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120回国会衆議院1991/02/20

文教委員会 第4号

発言数
252
登壇者
20
会派数
3
開催日
1991/02/20

会議録

臼井日出男自由民主党

○臼井委員長 これより会議を開きます。  文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。増田敏男君。

増田敏男自由民主党

○増田委員 自由民主党の増田敏男でございます。文部大臣の所信に対して質問をいたしますが、大臣への文教委員会での初めての質問者でもあるわけであります。まず、井上文部大臣の大臣御就任に対し心からお祝いを申し上げます。  それでは、早速質問に入らせていただきますが、急激に変貌する社会にあって、子供の教育はまさに社会の基盤であり、国民の信頼にこたえ、不断の検討を行うとともに、積極的に取り組んでいく必要があります。子供たち一人一人が生き生きと個性豊かに成長するためには、教育諸条件の整備を図ることが重要であります。我が党においては、子供一人一人に行き届いた教育ができるよう四十人学級の推進に取り組んできたところでありますが、定数改善計画も当初計画どおり来年度に達成される見込みが立ったようであります。まず、定数改善についての大臣のお考えと、定数改善の内容、進捗状況についてお伺いをいたしたいと思います。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 お答えいたします。  まずもって、増田先生からお祝いの言葉をいただき、大変ありがとうございます。一生懸命頑張りたいと思います。  今質問にございましたように、私ども、この第五次教職員定数改善計画、実に昭和五十五年から十二年間にわたりまして与野党の議員の皆さんのお骨折りで四十人学級が達成したわけであります。児童生徒一人一人に行き届いたきめの細かい教育を行う、これが四十人学級の皆さんの御要望だったわけでございますが、おかげさまで平成三年度にこれを計画どおり実行、達成できることに相なりました。今この予算をお願いしているところでございますが、非常に厳しい財政事情のもとでございましたが、計画が達成できました。これは、本委員会を初め関係の皆さんに心から厚くお礼を申し上げますとともに、一生懸命この問題に努力をいたしたい、このように考えます。

増田敏男自由民主党

○増田委員 定数改善を生かすためにも、教育に当たる先生方の資質と能力の向上を図ることがもちろん重要であると考えます。教員のあるべき姿について、大臣はどのように考えておられるのか、伺いたいと思います。  この先生ならと任せられるような、親からも子からも社会からもぜひ信頼される先生がすべてであってほしい、このように私は考えておるところであります。初任者研修も着々と実施されてきておりますが、その成果についてお伺いするとともに、教員の資質、能力の向上のためにどのような施策をとっているのかについてお伺いをしたいと思います。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 私も、今先生おっしゃるように、まず教員には、教育者としての使命感、さらにまた人間の成長、発達についての深い理解、そしてまた児童生徒に対します教育的愛情。私事にわたって大変恐縮ですが、私は小学校一年生から教わった先生の名前は全部覚えております。二年生のとき教わった先生はきれいな方だったなとも思うし、また、その先生方の愛情というものが、いまだに私ども、この教育というのは大切だな、五十年たった今日でもそういう感情を抱くわけであります。そういう一人一人に対する愛情、また教科に関する専門的知識、これはもう言うまでもございません。広く豊かな教養、それらを基礎とした実践的な指導力、こういうものが重要であるなという感じを抱くわけであります。

増田敏男自由民主党

○増田委員 大臣の真摯な答弁をお聞きをしながら考えたことなんですけれども、今さら申し上げる必要もないと思いますが、昨年は一・五七ショック、こういうような言葉が出まして、出生率が問題になりました。二十一世紀を展望した教育の制度あるいは教育の行政のあり方にもまさに大きな一石が投じられた、このように私はとらえております。児童数の減少が速い速度でいよいよ到来しつつあることが現実となった、こういう受けとめに立っておるところであります。検討、対応を十分に進めていただきたいな、このように要望いたすところであります。  それでは次に、国際化に対応した学校教育についてお尋ねをしたいと思います。  国家間の交流が進む中で、一方では湾岸危機など国家間の摩擦や緊張も増大をしてきております。我が国が国際社会においてより積極的な役割を果たしていくためにも、教育の国際化を進め、国際交流を積極的に推進していく必要が重要であると考えております。国際化に対応した学校教育についてどのように取り組んできているのか、このことについてまずお伺いをいたしたいと思います。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 今の先生のこの国際社会におきます我々の教育、大変重要なことであると思いますが、国際理解の推進、まず私どもが、やはりこの国際化が著しく進展する中にあって、基本であります初等中等教育におきます変化に適切に対応した教育の充実、これが必要ではなかろうか、このように思います。  さらにまた、新学習指導要領におきましては、学校教育全体を通じて諸外国の人々の生活や文化を理解する、しかも尊重する国際理解の教育を進めてまいりたい。我が国の文化と伝統を大切にする態度、こういう観点に立ちまして、コミュニケーション能力の育成を図りますとともに、外国語教育の充実、また高等学校におきます世界史、この必修化等によって国際的資質の育成の推進をいたしたい。  さらにまた、高等学校段階におきます留学生交流の円滑な実施、特に各市で、地方自治体でもやっておりますが、学校自体でやっております姉妹校、その国際交流、こういうことで活発化を図りたい、このように思います。

増田敏男自由民主党

○増田委員 ただいまの御答弁の中で、諸外国とのきずなを強固にしていく上でも留学生教育は極めて重要なんだ、こういう意義を持っている、このような意義を含めて御答弁があったわけであります。  大臣は、所信表明の中で、十万人受け入れ計画、こういうことに言及をされましたが、真に実のある交流を図るがためにはどのような施策を展開なさっていくのか、この点についてお伺いをしたいと思います。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 留学生問題は、平成四年度におきまして四万人ぐらいであろうと言われたのが、現実にもう四万人を突破している。二十一世紀には恐らく十万人ぐらいに、あるいはそれ以上になるんじゃなかろうか、こう考えているわけでございますが、文部省では、留学生の教育と生活実情に即して、関連施策の総合的な推進、特に大学におきます教育指導体制の充実はもとよりでありますが、留学生に対します宿舎の整備、あるいはまた、円高によります私費留学生に対します援助、こういうものも考えまして、私ども、留学生の受け入れ体制の十分な整備充実に努力をしなければならない、このように考えております。

増田敏男自由民主党

○増田委員 やはり海外の問題に関連するわけでありますが、海外から帰国をしてくる子供たちが御案内のとおり増加をいたしております。いわゆる帰国子女のことでありますが、海外でいろいろな貴重な経験を積んできた子供たちを受け入れる体制を充実する必要がある、このように私は考えております。いろいろと御努力をなさってきておりますが、現状及び今後の取り組みについて、この点をお伺いしたいと思います。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 これもまた、先生がほとんど質問なさったとおりのことを今文部省としても行っております。これは、海外から帰国した児童を円滑に受け入れますとともに、適切な教育の機会を確保するために、特に帰国子女教育研究協力校、そういう学校を指定いたしましたり、あるいはまた高等学校、大学入学試験の選抜上特別な配慮を行う、こういうことを指導して、今日まで受け入れ体制の整備を促進しております。  特に今後、海外で身につけた特殊性、例えば国際的感覚といいますか、あるいは国際性といいますか、さらにまた海外で覚えた語学、それぞれの国で覚えた語学、これを伸長するという観点を踏まえつつ、一層細かな施策を十二分に推進いたしたい、このように考えております。

増田敏男自由民主党

○増田委員 次に、地域文化活動とスポーツの振興についてお尋ねをいたしたいと思います。  昨年は、春には芸術文化振興基金、暮れにはスポーツ振興基金がつくられるなど、文化、スポーツの分野において、言うなれば大変明るい話題の年であったわけであります。また、生涯学習振興法の制定など、生涯にわたり生き生きとした人生を送るための施策が着々と進められておりますことは大変意義のあることであると考えております。  今後は、生活に密着をした地域の文化活動について積極的に取り組んでいく必要がある、私はこのように考えております。地域の文化活動の振興のためにどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたしたいと思います。  なおまた、スポーツ振興基金ができまして、スポーツの振興にも弾みがついてきた、このように感じているところであります。国民が手軽にスポーツに親しむことができるようにするための条件づくりをどのように図っていかれるのか、このことについてもお尋ねをいたしたいと思います。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 今の御質問でございますが、芸術文化振興基金五百億は、平成元年の補正予算、またスポーツ振興基金、これまた平成二年の補正予算におきまして二百五十億ちょうだいいたしました。さらにまた、民間からの御寄附も今ちょうだいいたしまして、芸術文化振興基金の方は予定どおりいっておりますし、またスポーツ基金の方も、私経済団体を回りまして、非常にいい感触を受けておることを御報告いたしたいと思います。  今、地域文化活動の振興についてお話があったわけでございますが、これは私どもも芸術文化活動を盛んにして、特色ある芸術文化を育成することは、我が国の文化振興にとっても極めて重要である。特に先生の言われた地域文化活動、これは文化庁といたしましても、従来から地域住民の文化活動の拠点となるいわゆる公立の文化会館の整備、これはずっと各先輩の先生方の御努力で文化会館の整備を行ってきたわけでございますが、すぐれた舞台芸術の地域巡回活動、あるいは先生の地元で、昨年は埼玉で行われました国民文化祭、そういう施策、こういうものを通して私は地域文化の発展をいたしたい。御案内のように、先ほど申し上げましたように、この振興基金ができまして、これはぜひ地域文化の活動にも使って、下から盛り上がるような振興を図りたい、私はこのように考えます。  また、平成二年度から、新たに地域文化の振興のモデル事業といたしまして、地域の特色ある文化活動、これはそれぞれの地域の水準向上、活性化を図る地域文化振興特別推進事業、例えば、これまた埼玉県の越谷で能楽の町づくり、そういうような地方公共団体と協力して、ぜひ地域文化、地域の持つ文化活動の推進、そして国の文化に頑張りたい、このように考える次第であります。  さらにまた、スポーツの振興のため、これも国民の皆さんが心身の健全な発達と明るく豊かな国民生活の形成に寄与するために、広く国民の皆さんがどこでも体力増進、運動のできるような施設を整備することが私は一番大切だ。今先生が、文部省としては条件はどうだ。これはまず第一点に、スポーツの施設の整備の充実であります。それからまた、各種スポーツ活動の充実。さらにまた、コーチといいますか、スポーツの指導者の、育成と言っては失礼ですので、指導者の養成といいますか、そういう三点を通して、我々が生涯スポーツ振興のために、いわゆる生涯スポーツを続けていくために、この整備を図らなくてはならない、このように思うわけであります。  スポーツ振興基金をちょうだいいたしまして、私、やはりスポーツは、自分自身スポーツで鍛えましたので、これは専門的なスポーツももちろんでありますが、どなたでもできる、そしてどういう条件でもできるといういわゆるスポーツのすそ野といいますか、そういうものを広げて、そして豊かな町づくり、国づくりをするためには、やはり豊かな健康である、このように考えて、一生懸命ひとつ取り組みたい、このように考えます。

増田敏男自由民主党

○増田委員 文化並びにスポーツの関係に対しては一生懸命取り組んでいくという意欲を示されました。大いに御期待を申し上げたい。私も実は長いこと体協に関係をしてまいりました。したがって、県、市町村レベルのスポーツの振興、特に生涯スポーツ、社会体育あるいは学校体育、こういったいろいろの兼ね合いの中から高齢化時代に到来した今日の姿を考えれば、それなりのスポーツをますます振興していかなければなるまい。大臣の大変な意欲に大きな御期待を申し上げながら、頑張っていただきたいと激励を送るところであります。  それでは、時間の関係で最後になってしまうかと思うのですが、就任早々大臣にはまことに恐縮な質問になるわけであります。かといって、今これを避けて通ることはよくないだろう、このような判断から御質問を申し上げたいと思います。  それは、千葉大の問題についてであります。大変に残念なことでありますけれども,千葉大学の医療機器購入をめぐる事件が、連日と言っては言い過ぎですけれども、ほとんどそのように報道されてきております。事実の解明はもちろん司直の手にゆだねられるべき事柄であります。このような事態は、大学に対する国民の信頼を裏切るものであり、二度とかかる事態が生じることのないように厳正に対処することをお願いしたい、このように思います。  また、ただ一方で、大学において最先端の医療機器を用いた最先端の医療を行うということは、学問、学術の進歩にとってもう実に大変なことであり、私はまことに重要だ、このようなとらえ方をいたしております。今回の事態がこのような大学の意欲にブレーキをかけたり、萎縮させるようなことがあっては、これまた大変に遺憾なことであります。  まず、今回の事態について大臣のお考えを伺いたい。また、大学の先生一人一人の自覚も当然でありますけれども、かかる事態が生ずることがないよう、機器選定の仕組みなりあるいはあり方なりについて再度検討する必要もある、このように私は考えられないかととらえておりますので、このたびの事態に対する対応についてぜひお考えをお聞かせをいただきたい。お願いいたします。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 まず、今先生が、この千葉大の医療機器問題、もう国民の信頼を損なう、本当に皆さんに信頼されるべき大学が本当に申しわけないということで、これは遺憾という言葉で表明したらいいか、あるいは大変申しわけないという感じでございまして、今後厳正に対処してまいりたいと思います。  かねてから国立大学職員の綱紀の厳正な保持と物品の購入、こういうものに関しましては、購入契約のいわゆる公正な手続の確保について指導徹底してきたところでありますが、こういうような国民の信頼を裏切るということになりまして本当に申しわけない、このように考えます。大学当局に厳重に指示をいたしまして、現在事実関係の究明を行っており、司法当局による捜査の成り行きを注視しつつ、文部省といたしましても、今後も厳正な対処をいたしたい、このように考えます。ただただ国民の皆さんには大変申しわけないという感じでいっぱいであります。

増田敏男自由民主党

○増田委員 ただいま御答弁をいただいたわけであります。組織、仕組み、制度、こういうものにはおのずから限界があるわけであります。携わる方々の倫理観なり価値観なりあるいは自覚なりがこういったことには基本的に求められるものでありますけれども、今御答弁がありましたその方向でぜひひとつお願いしたいな、こう思います。  ただ、私は二月十八日付の産経新聞を読んだのですけれども、「他大学も捜査対象」こういう見出しが出ておりました。そして「捜査の範囲を他の国公立の医療機関にまで拡大する方針を固めたもようだ。」というような書き方が出ておったわけであります。  そこで、この報道の真意はわかりませんけれども、少なくも報道が出たということは、それなりのことがあるのでしょうから、今回の事件は軽々に結論づけるべきではない、その推移をよく見守り、そして捜査結果を待って対応すべきだと私は考えております。  大学が、あるいは教育が信頼される姿で今後とも続いていくように、そういうことを考えながら今意見として申し上げてきたわけであります。先ほどの御答弁で十分ですので、これからこういうことがないような方向でぜひ頑張っていただきたいな、このように願うところであります。  時間が来たようでございますけれども、就任早々嫌な質問であったと思いますけれども、避けて通ることができません。お互いに日本の教育のあしたのために頑張っていければな、このようなことからお尋ねをいたしました。  それでは、先ほど申し上げた点を要望とさせていただきまして、私の質問はこれで終わります。大変どうもありがとうございました。

臼井日出男自由民主党

○臼井委員長 次に、村田吉隆君。

村田吉隆自由民主党

○村田(吉)委員 自由民主党の村田吉隆でございます。ただいまは増田委員の大臣所信にかかわります大変幅の広い質疑がございましたけれども、私は、本日は、昨年の十二月には中教審の小委員会のレポートが出てまいりましたし、そしてことしになって大学審の答申が出たということを踏まえまして、それにかかわります問題について大臣に質問をさせていただきたいというふうに考えております。  私も昨年来この文教委員会に属させていただきまして、まことに月日のたつのは早いもので一年間がたったわけであります。私も教育という問題は国家の大変重要な施策の一つであるというふうに考えておりまして、当委員会に属しているということに対しまして、私は心から幸せに考えているわけでございます。  我が国におきまして教育についての問題点が指摘されてまいりましてから大変長い期間がたっているわけでございますけれども、しかしながら、一方において大臣の所信の中で教育改革という言葉が出てまいったのは、私はそんなに古いことではないというふうに心得ているわけであります。本日の質疑に関しまして、過去十年ぐらいの大臣所信を比べてみたわけでございますけれども、たしか六十年の臨教審、これが開始されて以降こういった教育改革という言葉が出てきたかに私は考えておるわけでございます。  昨今の教育の現状を見ますと、社会の大変急速な変化に伴いまして、教育改革の進展を上回るスピードで教育に関する問題の深刻化が私は進んでいるのではないかというふうに考えているわけであります。政府が取り組むべき施策の中には、内政問題に限っただけでも、高齢者問題とかあるいは土地問題、土地問題については今国会において政府が取り組みを示していくわけでありますけれども、いろんな問題が積み重なっているわけであります。しかしながら教育問題、これこそは青少年の育成という問題にかかわるわけでありますから、一刻も早い対応が私は必要じゃないかというふうに考えているわけであります。校内暴力の問題、あるいは高校における中途退学者の増大、あるいは進学競争さえも最近では低年齢化している、こういう問題も数々ございまして、私どもには教育の現場にある子供たちの悲鳴がここまで聞こえてくるような、そういう感すらいたすわけであります。  教育改革という言葉でありますけれども、教育改革といいますと、一般的に言いまして、国家の目標を掲げまして、それに向けての教育の内容の変革といいますか改善というようなふうにとらえがちでございますけれども、私は中教審の小委員会のレポートを読みまして、その中に書いてあるように、教育が持つゆがみによって子供が今陥っている心的抑圧から可能な限り解放すること、これがこのレポートでは教育改革の課題といいますか目標だというふうに書いてございますけれども、教育の現状を考えますと、私もこの小委員会のレポートの指摘に同意したいというふうに考える者であります。中教審の小委員会のレポートにつきましては、私もざっと読ませていただいたわけでありますけれども、大変その取り組みにおいて熱意あるレポートであるなというふうな一読した後の感想を持ったわけであります。  初めの問題に戻りますけれども、大臣所信の中で各大臣が教育改革の必要性について述べられてきているわけでありますけれども、私は本日、この機会に、この小委員会のレポートに関連して、改めて大臣に教育改革についての所見をお伺いいたしたいというふうに考えているわけであります。  これまでの大臣所信を見ますと、私は教育改革の担当大臣であると言い切った大臣もあるように読み取れますけれども、どうか井上大臣のこの教育改革に対する熱意といいますかお考えをまずもって御披露いただきたいというふうに考えます。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 今先生の教育改革に対する私どもに対する御質疑でございますが、一応中教審の中の細かいお話は、先生が抽象的なものも出しておられませんが、教育改革にどう取り組むんだ、こういうことでありますが、私は、教育というのはずっと長く私どもの先輩が築き上げてきた、まさにこれは国の基本でありまして、一日たりともゆるがせにできない国政の重要な課題であると認識いたしております。二十一世紀に向けて国際社会の中で信頼と尊敬を得られる心豊かな国民の育成をするために教育改革の推進に全力を尽くす所存でございます。  御案内のように、これまで臨時教育審議会の答申を踏まえつつ、生涯学習体制の整備であるとかあるいは教育内容の改善、さらにまた、教員の資質の向上、高等教育の個性化あるいは高度化、教育改革にかかわります各般の施策を進めてきたところであります。これらの施策を推進するとともに、現在中央教育審議会、中教審におきまして、関係審議会、これはもう御案内のように、大学審議会あり生涯学習審議会あり数々の審議会がございますが、教育改革の諸課題について精力的に現在御審議をいただいておりまして、これらの審議等を踏まえつつ今後二十一世紀を展望した教育の諸制度を確立いたしたい。やはり教育改革を私ども積極的に推進したい。何回も申し上げますが、そのために今各審議会でそれぞれ御審議をしていただいておりますので、その結果を踏まえつつ対応いたしたい、このように考えております。

村田吉隆自由民主党

○村田(吉)委員 答申なりレポートなり相次いで出されたわけでありまして、大学教育にかかわること、あるいは高校教育の改革にかかわること、いろいろな内容になっておるわけでありますけれども、教育というのは、横の関係もあり縦の関係もあり、どのレベルのことを言っているのか、つながっておりますから大変難しゅうございますけれども、私が大学レベルの話をしているのか高校レベルの話をしているのか多少混乱することが、あるいはそれを一緒にすることがあろうかと思いますが、その点はお許しをいただきたいというふうに考えるわけであります。  それで、本日は中教審の小委員会のレポートに関連する問題について、私は若干の質問を試みたいというふうに考えているわけであります。  繰り返すわけでありますけれども、国の教育というものは、国の将来を動かすものでありますけれども、その反面、教育を取り巻くいろいろな環境、例えば社会的風潮とか習慣あるいは日本人の心理的な動向というか、そういうものにも大変深くかかわっているのではないかと私は考えているわけであります。それに加えて、もっと具体的には産業界がどう学卒者を取り扱っておるのかという問題、それから家庭のしつけとか教育の問題、それからマスコミ等の影響というものも私は大変大きいのではないかというふうに考えまして、これらの要素がいずれも教育そのものを規定する、そういうことになっていくのではないかというふうに考えるわけであります。いわば教育が社会を形づくる一方で、社会が教育に影響を及ぼしていくという関係にあるのではないかというふうに考えるわけであります。したがいまして、教育だけの力では教育改革というものもなかなか進んでいかないだろうというふうに考えまして、教育改革といっても文部省の力だけではなかなか及ばないというところがある。その限界も私は認めていかなければいけないというふうに考えるわけであります。しかしながら、大臣も先ほど述べられましたように、教育という問題につきましては、たゆまぬ改善の努力といいますか、日々新たに、学生たちあるいは子供たちがその教育の中におるわけですから、教育を担当する所管大臣として、教育のよりよい方向に向けての改善あるいは改革についてのたゆまぬ努力をしていかなければならないという御決意を私はありがたくちょうだいしたわけであります。  そこで、小委員会のレポートの中で論じております平等とそれから効率、こういう問題について私は少し議論をしてみたいというふうに思います。  小委員会のレポートにおきますと、日本の教育は諸外国に比べまして、平等、それから効率という、いわば教育の中では二律背反するその概念をうまく調整してきたという記述がございます。しかしその反面、学校間の格差とか序列というものも生み出してきた。そういう弊害が出てきているというのも事実だというふうに述べております。かえってこの平等と効率という概念の対立というものを調和させながら、何といいますか、学校間の格差とかその序列というものを生み出すことによって、そういった問題点、相反するその概念についての問題点をうまく克服してきたのが日本の教育の現状であるというふうに述べておられるわけであります。  私は、その指摘というのは確かに正しいのではないかというふうに思うわけでありますけれども、しかしながら、そのとおりであるとするならば、言葉はちょっと言い過ぎるかもしれませんけれども、悪平等、すなわち等しからざるものを強いて平等に扱おうとした結果、その無理が平等主義に基づく教育、これを打ち破って学校間の格差とか序列を生み出したりあるいは偏差値偏重による教育のゆがみ、それから受験戦争、こういうものを招いたという分析になってくるというふうに考えるわけであります。  それで、この場合におきまして、時代の変革に伴いまして、教育における平等とか効率についての考え方の思い切った転換が求められるとすれば、私は従来の画一主義的、これは、これを打破すべしということが臨教審の報告でも出ておるわけでありますけれども、そういった画一主義的あるいは平等主義的教育を脱却して、より能力や資質に応じたいわば効率重視の教育に移っていかざるを得ないのではないかというふうに考えるわけであります。その教育の中へ、すなわち、言葉が適当かどうか私もわかりませんが、市場原理を導入していくということも、今の教育の現状あるいはそういう問題点、無理が出ているとすれば、やむを得ないのではないかとも考えられるわけであります。  しかしながら、他方、日本人の心理というものは、互いにできるだけ同じようにという心理的傾向が強く働いている社会でありますから、私はそういったことが能力重視ということになっていった場合に、ますます教育の現場における競争の激化だけを招くという結果にならないかというふうに心配するわけであります。私はこのレポートを読んでおりまして、従来うまくやってきたと自画自賛している平等と効率という概念というものを、平等からその重点を効率の方にやや移していくべきだと指摘しているのか、あるいはその平等あるいは効率という概念そのものをより弾力的に、あるいは多様化して広げていくということを主張しているのか、多少そこのところが私は不明確なところがあるのではないかというふうに考えているわけであります。  その効率重視か平等かという問題については、何も教育だけの問題ではなくて、今我々日本の社会がどちらに行こうか——今まで戦後社会というのは平等主義に基づいたいろいろな施策が行われてきたわけでありますけれども、社会全体が平等主義からあるいは効率主義に移行しようとしているのか、そういった点も考え合わせまして、教育だけではなくて、社会全体がこの問題についての非常な概念の対立で苦しんでいるという状態にあると思うのでありますけれども、大臣には、この教育における平等と効率という問題、どう取り扱っていったらいいのかということについてお伺いをさせていただきたいというふうに思うわけであります。

佐藤次郎文部省大臣官房総務審議官

○佐藤(次)政府委員 お答え申し上げます。  先生の御指摘いただきました中央教育審議会の学校制度の小委員会の経過報告は、昨年の十二月にまとめまして公表をさせていただいたところでございます。現在、各方面からの御意見、そして関係団体のヒアリング等を行いまして、答申に向けて審議を行っているところでございます。  御指摘の、その中におきます「平等と効率のバランス」という問題を第一章のところで記述が出ておるわけでございますが、この第一章のところは、教育改革をいろいろ提案をしているわけでございますが、その教育改革を考えるに当たりまして、我が国の教育が抱える諸問題の歴史的あるいは国民の意識などについても幅広く理解をしていただこう、こういう意味で設けた章でございまして、その中で、我が国における教育や社会における平等あるいは効率、どのように考えられているかということを事例を挙げまして述べておるわけでございます。  先生御指摘の平等と効率を効率の方に重視をしてこれからいくのか、概念を変えていくのか、こういう御質問でございますが、この中では、従来の効率と平等の考え方を述べながら、では今後どういうふうに考えたらいいのかということにつきましては、こういうふうな考え方を述べているわけでございます。今後は平等や効率の概念を大きく変えるという発想の思い切った転換を求められている、そういった考え方を示した上で、「これからは、全員が同じ教育内容を受けるような形式的な平等ではなく、個性に応じてそれぞれ異なるものを目指す実質的な平等を実現していくことがますます重要になる。たとえある程度経済的に非効率になっても、教育的に効率的な方が良いのだ」という考えに立って進めるべきである、こういう趣旨の記述をいたしているわけでございます。  小委員会の議論の中では、この平等と効率につきましては、新しい観点に立ちまして、今申し上げましたような視点をぜひ強調していきたい、こういうことでまとめられているというふうに私は理解をいたしているところでございます。

村田吉隆自由民主党

○村田(吉)委員 この問題は本当に神学論争みたいなことになってしまうわけで、私は本当に、ほかの世界においてもこの問題の取り組みというのは行われていると思いますけれども、大変難しい問題で、概念の広げ方をどちらかに余計に広げれば、それは効率重視の方になってしまうし、バランスが崩れるということにもなるし、大変この問題というのは難しい問題だと思いますけれども、私はそれにもかかわらず効率というものをその能力や資質に応じた、バラエティーに富んだ教育をするということであると解するならば、その方向性に向かってぜひとも教育が進んでいただきたいというふうに望むものでございます。  時間がどんどん過ぎまして、幾つかまだ質問したいことがございますけれども、教育の多様化、弾力化という問題でありますけれども、これまでも教育の多様化、弾力化という方向に従って教育改革をやってこられたというふうに思うわけでありますけれども、私は、その中で早くも幾つかの弊害も生じてきているということも見受けられるわけでありますし、また自由が無責任を招くというか、そういう意味でこのレポートが指摘しております私学の自由と責任ということで、六年制一貫中等教育、中等学校ですか、その一貫性教育の問題について臨教審のレポートでは、公立学校に対してでありますけれども、やや肯定的にとらえたところがあるわけでありますが、そういう問題点、それが進学競争の激化と低年齢化を招いているという、そういう指摘、あるいは推薦入学制度の問題点、これにも指摘がございます。これは多様化あるいは弾力化という問題が招いた弊害というよりは、私学の自由と責任という問題に帰着するんだろうと思いますけれども、この問題についても真剣な改善の御努力をお願いいたしたいというふうに考えております。  それから次に、大学審の答申でも、それから中教審のレポートでも、中教審では高校レベルについて述べておられますが、編入試験の問題についてちょっと述べてみたいというふうに考えております。  できたらこの資料をお配りいただきたいと思うわけでありますけれども、よろしゅうございますか。

臼井日出男自由民主党

○臼井委員長 どうぞ。

村田吉隆自由民主党

○村田(吉)委員 私は資料をもらいまして、ここに大学の編入試験についてのいろいろな状況が書いてございます。私自身、編入試験を経て大学を卒業した経験がございまして、一期校に失敗いたしまして二期校に入りまして、入った途端に私は情報を集めて、編入試験制度というものがあるんだということを発見いたしまして、これなら浪人することはないなということで、私はそのときに、こういうチャンスがあるということについて大変福音と感じたものであります。  ここをよくごらんになっていただくと、私が出たのは京都大学の法学部でございますけれども、こういう入試情報というか多様なバイパスというか再チャレンジの可能性、そういう問題についてのアクセスをみんなに平等に提供してやる、私はこれが大変必要なことではないかというふうに考えているわけでありまして、ざっと見ると、有名校というか東大の工学部でもやっておるし、京大の法学部でもやっておるし、私のときには京大の医学部でも編入試験をやっておりました。現在でも阪大の法学部とか医学部とか歯学部とかがやっておるようでございますけれども、私は、文部省がいいのか入試センターがいいのかどうかわかりませんけれども、受験生の皆さん方に多様な道があるんだぞということを提供してやる義務があるのではないかというふうに考えております。大臣からその点についてお答えをいただきます。とにかく入試の情報あるいは多様なアクセスに関する情報をひとしく学生あるいは受験者に提供して差し上げるということについてどう考えるかということです。

前畑安宏文部省高等教育局長

○前畑政府委員 今先生御指摘のことはまことにごもっともなことであると思います。編入学について申し上げますと、これは、現在編入学のための特別の定員を設定するということが制度上きちっと決められておりませんがために、ただいまお配りをいたされました資料は国立大学だけが書いてあるかと思います。国立大学については、いわば試行的に編入学の定員を設定するということが行なわれておるわけでありますが、私立学校については、そのときどきの欠員の状況を見ながら編入学を実施しておるという状況でございます。したがって、今後、大学審議会の答申を踏まえて設置基準等の整備を行い、私立大学についても一般的に編入学の定員が設定できるようになりました場合には、現在、国立大学については「大学一覧」という私どもで監修して市販している資料集にきちっと編入学の定員が幾らあるということを書いておりますが、私立大学も含めて、編入学に対するいわば情報の公開といいますか、アクセスをもっとできやすくするという方向で検討させていただきたい、このように思っております。

村田吉隆自由民主党

○村田(吉)委員 最後の質問になりますけれども、最近、教育改革、教育内容の改革というものが矢継ぎ早に行われているわけでありまして、私も地元に帰りまして先生方といろいろな話し合いの場を持っておりますけれども、どうも教育の現場、すなわち教師たちに対してそういった教育の激しく動く変化というものが十分伝わっていないような、そういう心配を私はしておるわけであります。教育の内容を変えていくというのは大変結構なことでありますけれども、それによって、かつまた情報が伝わらないことによって一番困るのは学校の先生でございますから、どうか文部省の努力によりまして、そういった教育内容の現状における速いスピードの変化というものをきめ細かく教育の現場に教えて差し上げる、そういう御努力をしていただきたいというふうに思います。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 御指摘のように、いろいろ動いておりますことが教育の実践の場に届かないということでは困るわけでございます。私どももこれまでいろいろな努力はしているつもりでございます。例えば全国的な規模でのブロックごとの講習会を開いたり研修会を開いたり、さらには、それを受けた人たちが各県に戻られまして、今度はその方々が講師になって県ごとで講習会を開いたり研修会を開いたりすること、さらには、私どもで指導資料をいろいろつくりまして、それを全国の学校にお配りする、さらには文部省でも各種の広報誌を出しておりますが、そうした広報誌を通じましていろいろ伝達をするというようなことに努力をしておるつもりでございます。しかし、まだ十分でない点もございましょうから、私どもは今後一層御指摘の趣旨に沿いまして努力してまいりたいと思います。

村田吉隆自由民主党

○村田(吉)委員 それでは、重ねて最後に情報の提供あるいはその情報に基づいた教育の現場への指導というものを徹底するということをお願いをいたしまして、私の質疑を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

臼井日出男自由民主党

○臼井委員長 次に沢藤礼次郎君。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 まずもって、大臣、就任おめでとうございます。特に教育というのは他の分野と違いまして国民すべてが当事者であるあるいは当事者であった、生涯学習ということになれば、これからも当事者である、そういう意味で大変重要な分野であると思いますし、子供たちに関して言えば、二十一世紀を担う子供たちにかかわる問題ですから、いわば未来に責任を持つという意味でも極めて重要なお仕事だと思うわけで、まず最初に、文部大臣として二十一世紀を担う子供たち、若者たちに何を訴えたいのか、何を語りかけたいのか、それをお聞きしたいと思います。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 沢藤先生にお祝いをいただきまして恐縮でございます。  まさに先生、現場で長い間御経験をなさっていらっしゃるわけでありますが、私は、教育は我が国が二十一世紀に向けて創造的で活力のある文化国家として発展し、また世界に貢献するための基礎でありまして、国民一人一人が生きがいを持ち、充実した人生を送るための基盤をつくるものであるというように感じております。このためには、積極的にこの教育改革に取り組むとともに、知徳体の調和のとれた心豊かな国民の育成のため、教育のあり方につきまして不断の努力をいたしたい、そのように考えておりまして、特に国民の期待にこたえる教育を目指しまして全力でひとつ取り組みたい、このように考えます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 目の前に中学生あるいは高校生がいるということで語りかけるということを御期待申し上げておったのですが、ただ、内容等につきましては、今の御発言とこの前の文部大臣の所信の中で明らかにされておりますので、これを土台にしながら次の質問に進んでまいりたいと思います。  私は二番目の質問として、教育とは何だろう、これを大臣からお聞きしたいのです。というのは、教育をめぐってたくさんの論議がありまして、あるいは違った角度からの切り込みがあり、あるいは対立する論があります。たくさんあります。こういった中で原点をきちっと据えてかかるということが極めて大切だと私は思うので、教育の原点、つまり教育とは何だろう、そのことを大臣に問いかけたいわけであります。そしてまた、教育にとっては何が重要か、何を目指して、何をどう教え育てるのか、そして教育の主体はだれなんだということも含めてお答え願えれば幸いでございます。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 私は、学校教育ではまず基礎的な問題、そして基本的な内容をしっかり身につける、そして心豊かな人間育成を図るとともに、社会の変化に主体的に対応できる能力の育成、さらにまた、一人一人の個性を生かす教育の充実を図ることが必要である、このように認識いたしております。  先日ちょっと新聞の中に、一人一人の花を咲かせたい、その花が小さくても、あるいはまたすばらしくきれいでなくてもいいじゃないか、一人一人の花を咲かせるのを私は長い教員の間でその子供たちとその家庭の親らに教えられましたということが載っておりました。まさに教育は、そういう一人一人の子供の個性を豊かに伸ばしてあげたい、そういうこともあわせて考えていきたい、私はこのように考えます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 ありがとうございます。文部大臣の所信を改めて読み返しまして、何を目指しているのかなということをそしゃくしてみました。特に初等中等教育の部分についての記述の中から「豊かな心を持ち、たくましく生きる人間」というのがまず出てまいりました。これに私は共感を覚えます。そして次には「社会の変化に主体的に対応できる能力」これも私は共感を覚えます。そして三つ目に「基礎・基本を重視」大切にしながら個性を生かす教育を目指したいということをおっしゃっています。私はこれが三点セットだというふうに理解をいたしました。これを大事にしながら今後教育行政を展開していただきたいと思いますし、これを基本にしながらきょうの質疑を進めてまいりたいと思います。  私は学校におった経歴があるものですから、一体これはどういうことなんだろうということを考えるときに辞典を引く癖がございます。いつも申し上げるのですが、「教育」というのを引いてみました。全部は御紹介申し上げませんが、例えば三省堂の大辞林、これには「他人に対して、意図的な働きかけを行うことによって、その人間を望ましい方向へ変化させること。」とあります。このような定義といいますか記述は、岩波の広辞苑にもありまして、「人間に他から意図をもって働きかけ、望ましい姿に変化させ、価値を実現する活動。」とあります。今二つ申し上げたわけですけれども、この言い方の中には、まあ子供たちに対してということもあるわけですが、他から意図をもって働きかける、そしてある方向に変化させるということが教育の一つの定義なんです。もう一つは、これは言うまでもなく本来的なものというのでしょうか、「知識を与え、個人の能力を伸ばすためのいとなみ。」とかあるいは「教え育てること。人を教えて知能をつけること。」このような記述がございまして、大きく二つになるわけですが、まとめて言えば、一つは人間としての発達、個人としての発達を願うという側面と、もう一つは意図的な働きかけをもって望ましい姿に変化させることという、能動、受動の関係が教育の中であるんだということを指摘しているわけです。  私はここでひとつ所信をただしておきたいのですが、他から意図的に働きかけて望ましい方向に変化させるという場合のこの定義の中で、だれがどのような意図をもってだれに働きかけるのか、望ましい姿とは何だろうか、このポイント、ポイントをちょっと確認してみたいのです。だれがだれに働きかけるのか、どんな意図をもってどのような望ましい姿を求めるか。これは大変難しい問題でありますけれども、もっとお答えいただきやすいような形で申し上げますと、例えばだれがどのような意図をもってということを、今までの私たちの歴史を振り返った場合に、独裁的な権力者があって、その人がその人の意図でもってその人の望ましい方向に変えるということもあった。ヒトラーもそうだろうしフセインもあるいはそうかもしれない。あるいは国、国家が一つの意図をもって国家が望ましいと思う方向に変化をさせるという例もないではなかった。これは過去の日本がそうだと私は思います。  多分大臣も私とほぼ同じ年代だと思うのですが、愛国行進曲というのがございましたね。覚えておられますか。第二の国歌と言われたわけですが、あの中で、   起て一系の大君を   光と永久に戴きて   臣民われら皆共に   御稜威に副わん大使命   往け八紘を宇となし   四海の人を導きて   正しき平和うち建てん   理想は花と咲き薫る こういう一節があるのです。これはまさしく国家目的であります。それに基づいて私たちはまさしく軍国主義教育を受けました。学校長と並んで陸軍の配属将校が座っていました。学校長の権力の及ばない人が学校にいたわけであります。そして私は旧制中学四年でしたか五年を終わった時点で海軍に行った、こういう思い出を持っています。こういうことを歴史の反省として見た場合に、この場合教育というものをだれがどのような意図をもってだれに働きかけるのかということをきちんと整理しておかないと、民主教育は守れないと思うのです。  もう一つ気になるのは、あるいは産業界の意図というのがあった時期があったのじゃないか。マンパワーポリシーという言葉が突如として教育の場に出てきました。人的資源、そしてそれは明らかに産業界の要請だというふうに我もかれも理解したわけであります。  こうして見ますと、だれが、何のために、どのような意図をもって、だれに働きかけるかということ、これを正しく整理しますと、だれがというところは、特定の独裁者でもなければ、イデオロギーを持った政策集団でもなければ政党でもない。教育に携わる、かかわる多くの人々、例えば両親はもちろん地域住民、保育者、教師、医師、その他各専門分野の方々、地域の教育委員会、中央の教育当局、こういったところがそれぞれの部署に応じて参加をし、協力していく、つまりこれがだれがの部分だろうと私は思うのです。そして、何を意図してという場合には、私は文部大臣の演説のあの三つの柱、これが極めて私たちの目指す方に一致しているのではないかと思う。このことの確認をしてまいりたいと思うのです。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 だれが、だれに対してということでございましたら、やはり教師が子供に対して教育を行っているのだろうと思います。  現在の我が国の学校教育におきましては、国会でお定めになりました教育基本法に基づいて行っているわけでございますが、先生御案内のように、教育基本法第一条には、「人格の完成」ということが「教育の目的」として掲げられております。したがいまして、私どもは、教育基本法に基づきます人格の完成を目指して、いろいろな組織、いろいろな人たちが職務に応じて教育をしているわけでございますが、子供たちに対します教育といたしましては、やはり学ぶ立場に立った教育ということがこれから特に大事であろうというふうに考えております。今回の中教審の審議経過報告もそうでございますし、新しい学習指導要領が目指しております教育課程の方向も、例えば小学校の生活科にあらわれておりますように、教える立場の論理、これももちろん重要でございますけれども、それと同時に、学ぶ立場に立った教育の実現ということがこれから特に重要であろうというふうに考えております。先ほど文部大臣の所信にもございました個性教育とか、それから社会の変化に対応する能力とかいうことも、そうした一つの重要なポイントであるというふうに考えているところでございます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 大臣の所信を引用して質問申し上げましたので、大臣から御答弁をお願いしたかったわけであります。  それでは、若干角度を変えて御質問します。  だれが、どのような意図をもって、何を目指して、だれにということを限定しますと、だれに働きかけるか、これは学校教育の場合は子供たちが主体である、これは御異存ないと思いますが、よろしいですか。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 今の先生の御質疑でございますが、学校教育において人間尊重の精神を涵養したり、個性の伸長を図ること、これを教育の基本として私どもはやりたい。私も育った年代は先生と同じでございますので、その当時はそういうようなことであったわけでありますが、現在学校教育におきまして、人間尊重の精神、そしてまた個性の伸長を教育の基本として子供一人一人を大事にする、こういう教育を進めるということでございます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 次は、何を目指して、どのような意図といいますか、方向性ということになりますと、先ほど申し上げた大臣の演説の三つの柱、これがそれに当たるだろうと私は思うのですが、この理解はそれでよろしいですか。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 これはもう今言いましたように、先ほど先生の御質疑にありましたように、最初大臣所信表明で申しましたように、教育の基礎的、基本的な内容をしっかり身につけて、そして心豊かな人間の育成、そしてまた個性を生かす教育が最重要、このように私は考えております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 わかりました。  最後に、今の問題についての最後ですが、さっき局長は、だれがというときに教師というふうにお答えになりました。これは学校教育、つまり学校という一つの教育の場ということを想定しての御答弁だと思うのですが、教育は、今おっしゃったように、未来に向かっていろいろなことを幅広く子供たちを育てるわけですから、たとえ学校教育の機関であったとしても、父母、地域社会、あるいは行政、これは無関係じゃあり得ないでしょう。私はそういう総合的な判断なりあるいは地域の教育力というふうなものが教育を支えていると思うのです。つまり学校教育は、学校という一つのグラウンドと校舎の中で行われるから教師だというのではなくて、本当に教育を考えた場合には、今申し上げたお医者さんも含めて、学校医も含めて、教育にかかわっている人みんなが子供たちのためにというのが本当だと思うのですが、その部分だけひとつお答え願いたいと思います。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 御指摘のとおりだと思います。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 では、このことを基本にしながら次に進ませていただきます。  私は、時間の関係で若干予定しておりました質問を飛ばしますが、教育の基本を論ずる場合に、今まで確認をいただいたことのほかに、特に私はこういうことを考えているので、これは意見として申し上げておきたいと思います。強調したいことが三つあります。  一つは、今も申し上げましたが、教育は未来にかかわるものだということです。したがって、二十一世紀の担い手である彼ら、彼女らがどう生きるだろうかということに思いをいたしながら、しかし彼ら、彼女らがどの道をどう選ぶかという判断は、やはり彼ら、彼女らの主体的な判断、その判断ができるような能力なり力なりというものを我々大人の責任で次代のあの人たちに判断力とか豊かな人間性の芽を準備してあげるというのが必要だろう。つまり未来に責任を持つという姿勢が必要だろうということが一つ。  それから、教育は今申し上げたとおり公共的な非常に広がりを持った仕事であるということ。これは教師一人とか文部大臣の命令一下ということにはまいりません。教育にかかわるすべての人がかかわっているんだという公共的な事業であるということ。  そして最後に、教育というのは、私も随分いろいろな体験をしてきましたけれども、究極的には愛情じゃないかという気がするのです。非常に素朴な発言で、皆さんから何か幼稚だなと思われる感じがするのですけれども、大臣に前もって文書をお上げしておきました。これを読んで、できるだけ共感を得ながら、これからの論議を進めていきたいと思うのです。  「握手する入学式」、これはここでも一回取り上げたことがあるのです。しかし、メンバーもかわったし大臣も新しいわけですから申し上げますが、この本にあるわけですけれども、この本の著者は小学校の校長を経験なさった方で、退職後に書いた本です。その中の「握手する入学式」で、うちの学校の入学式は、新入生の名前を呼ぶときに校長は壇の上にいない、壇をおりて一人一人子供たちの手を握って歩く、語りかける、「あしたからひとりで来れるネ」とか、きょうの朝御飯どうだったとか語りかけながら握手をして歩く、そうすると子供たちは握り返す、その握り返す力、温かさから学校長は、今まで生きてきた子供の思い、それを育ててきた父母の思いが伝わってくる。そう感ずるのです。感じない人もいるかもしれないけれども感ずるのです。そして「ぼくも人間です」という子供の主張が小さな手を伝わってくる。そのときに学校長は胸の中で約束をします。これが大事だと思うのですが、「学校はキミの味方、どんなことがあっても、学校はキミを守ってやるヨ」これを誓うわけです。これは校長だけじゃない、教師全体の誓いでなきゃならないと私は思う。学校は君の味方なんだ、この基本がないと、これから触れます登校拒否、不登校の問題、いろいろな問題の根本が見えてこない、このことを申し上げて、次に具体的な登校拒否あるいはいじめ、自殺という方に入っていきたいと思います。  登校拒否の現状、傾向、特徴をごく簡単にお示しいただきたいと思います。これはあるはずですが。そして、特になぜ中学生がふえてきているのだろうか、こういう疑問があるのですが、それももし触れていただければ幸いでございます。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 登校拒否につきましては、まことに遺憾なことでございますが、年々ふえております。平成元年度では中学生が四万八十人、小学生が七千百七十八人でございますので、小中合わせますと四万七千を超えるということでございます。この数字は五十日以上引き続いて休みました者の数でございますので、五十日以内という登校拒否もございましょうから、これは私ども調査をしておりませんけれども、かなりこれを上回る数になるということは十分推測にかたくないわけでございます。  登校拒否がなぜ起きているのかというようなことを私の方で調査しておりますが、それにはいろいろな要因がございます。例えば学校生活が影響している場合、例えば学校内の友人関係とか教師との関係とか学業の関係、そういう要因もございますし、家庭生活での影響、家庭の親子の問題とか家庭内の不和の問題、そういう問題もございます。さらには本人の問題、本人に病気があるとか、その他いろいろな事由によりまして、本人の原因でそうした問題が起きているものもございます。しかし、いずれもこれは、どれが原因というのはなかなか見きわめがたい場合が多いわけでございまして、先ほど申し上げました学校、家庭、本人等のいろいろな諸要因が複合的にかかわっている場合もかなりあるわけでございます。いずれにしましても、この問題につきましては、重大な問題といたしまして、私どもも真剣に取り組んでいるところでございます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 中学校が生徒数の割には多いですよね。けた外れて大変多いです。率からすれば小学校の十倍くらいになるのじゃないですか。どうでしょう。それと七・五・三教育との関係はないのでしょうか。小学校で理解できるのは七割、中学校で五割、高等学校で三割という七・五・三教育というということが言われておりますが、それと関係はないでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 いろいろな要因がかかわっていると思います。御指摘のように、学校の授業に不適応を起こすということが理由で登校拒否になっている場合ももちろんあるわけでございますから、その学習の到達度ないしは学習の状況というものがかかわっているものももちろんあることは、そのとおりだろうと思います。しかし、いろいろなその理由を見てみますと、先ほども申し上げましたように、学校の問題にしましても、必ずしもその学業成績だけではなくて、友人関係をめぐる問題とかないしは教師との関係がうまくいかないとか、あるいはクラブ活動、部活動で不適応を起こすとかいろいろな理由がございますので、一概に小中学校におきます学業の問題だけということは言い切れないと考えております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 今度文部省で出しました、去年の十一月ですか、学校不適応対策調査研究協力者会議が中間報告を出していますね。その中で、特に今までのスタンスと違ってきているのは、学校の責任を前面に打ち出す中間報告を出した。それから、それと関連して、学校に、無理無理とは書いていませんが、行かせることだけに力点を置いてきた従来の指導方法を改めて、バイパス等もある程度、適応指導教室など学校以外の機関を回り道して学校に戻る方法というふうなものにも触れている。こういうふうなことで、学校にもかなりの責任があるということは私は否定できないと思います。やはり一番接触しているのは、親もそうでありますけれども、学校の教師でありますから、これは学校の責任はあると思うのです。  ただその場合、それをさらに内容的に登校拒否の背景をさぐってみた場合にどういうことがあるだろうかということを私なりに拾ってみたいと思うのですが、この中間報告をまとめるに当たっていろいろな角度から意見をお聞きしたと思うのですけれども、ある新聞の指摘しているように、この中間報告で足りない点がある。それは、当人たちの意見がないじゃないか。一番の主体、さっき出ましたね、教育の主体、彼ら、彼女らが不登校、登校拒否をして、それに対してどうするかということの一番の中心になる人たちからの声を何らかの形で聞いてほしかったという意見があるわけです。  私は、それについてこうこうという御答弁をいただく前に、ここに一冊の本があるのです。これは私の岩手県の高等学校教職員組合と小中の教職員組合が合同しまして、「子どもたちからの教育改革」、その次には、今度は「父母たちからの教育改革」というのを出しました。そして最近は「教師たちからの教育改革」というのを出したのです。ここにはもう私自身教師仲間としてこんなところまで書いていいのかと思うくらいのことが、実態が赤裸々に出ています。これは全部並べて読んだら私は一つの方向性が出てくるのではないかと思うのですが、きょうはここで一々御紹介することはやめておきます。  ただ、この中の「子どもたちからの教育改革」、中学校、高等学校の生徒から、五千人ぐらいの子供たちからアンケートをとった結果があるわけです。例えば、項目を見ますと、「これだけは先生に言ってもらいたくないこと。」とか「先生に話してもらいたいこと。」それから「先生との間で、こんな時、心が明るくなった。」「暗くなった。」それから「こんなことを言われた時、先生を好きだと思った。」「こんなことを言われた時、先生を嫌いだと思った。」尊敬したときはどういうときか。軽べつしたときはどういうときか。学習の意欲がわいてきたのはどういうときだったのか。その反対はどうか。あるいは学校でうれしく楽しかったのはどんなときか、楽しくなかったのはどういうときかというふうなことをかなり、二十八項目に及んで、これは一冊ほとんど全部回答なんですが、出ているのです。  そこで私は、今局長おっしゃった一つのこれからの対応策というものに入っていくわけですけれども、そのときの視点として多く指摘されていることがあるのです。これを全部紹介できないのが残念ですけれども、例えばこれは私らの反省だと思うのですが、「学校でうれしく楽しかったことは、どんなこと・どんな時だったでしょう。」という問いに対してどきっとする答えがたくさん返ってくる。「土曜日の授業が終わった時。」「休みの前の日の帰宅中の時。」「昼食時。」「休けい時間。」「先生が休んだ時。」「テストが終わった日。」「学校が早く終わる時。」つまり学校がない状態、先生がいない状態が楽しいという答えでしょう、これは。ここに私は根源的な問題があるような気がするのです。  逆に、先生に力づけられた、「先生を好きだと思った。」というときはどういうことかというと、一言でいえば励まされたときという答えが返ってくるのです。「ガンバレよ!」「がんばったな。」「よくやった!」「いいぞ!」頑張ればできる。これが一番うれしいというのですね。つまり、それは生徒にとっては自分の存在を肯定されているということ、生徒の存在を受け入れてもらっているということなんです。これが一番心に刻まれているという子供たちの叫びなんですね。  まだまだたくさんありますけれども、非常に「学校でかなしくいやだった」ときはどういうときかというと、「先生に無視された時。」「差別された時。」「ひいきされた時。」も嫌なんですよ。自分がひいきにされても嫌なんです、そこには差別があるから。そういう答え。あるいはテスト、成績、友だちとの関係、これは確かに大きいです。そういうのが出てきています。そして受験体制が指摘されています。  そういったことを私なりに整理してみまして、これから二つ、三つの件について御所見を賜りたいのですが、教師はこっちを向いてくれない、そばに行っても忙しいから次にしてくれとか、きょうは会議があるからおまえたちとはつき合っていられない、書類整理があるからだめだ。つまり一番の主体である生徒が最も大事な接触を求めていっているときに、主体と関係のない、本来的なものと関係のない理由で学校がこれを拒否している。忙しい、会議だ、研究授業があってその下調べで忙しい。つまりこれは学校の都合ですね。そして訴えられるのは、忙しい、教材研究だ、こういうことなんです。この忙しさを取り除くことが登校拒否その他の対策のうちの一つだと私は思うのですが、この辺についてお考えをお聞きしたい。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 先生のいろいろなデータ、また長い教員としてのあれを私は今拝聴いたしまして、登校拒否というのは本当に今一番、四万七千と言われておりまして、年々増加しておりまして、かけがえのない学校生活を送ること、本当に教育課題としては大変大事なことでございます。しかし、今言われるように、また先ほど私も、入学式の一人一人の子供に握手をする、そういう愛情、そしてまた、私はそれはできなかった、お母さんと一緒に私の手も握ってくれ、こういうことが一番大切なことではないかな。人間味のある温かい指導、こういうことがやはり登校拒否というものをなくす問題であろう。いいお話を伺いまして、私どももこういうものをひとついろいろデータをいただいて、何としてもこれは登校拒否というものを食いとめたい。  また、社会的にもいろいろな状態があると思います。例えばお子さんが非常にひ弱と言うと大変失礼ですが、私のころはみんな兄弟も多かったわけですから、そこで兄弟げんかをやる。外に行くといじめられてぐっとくる。しかし、一人っ子で子供が少ないというところに子供自体のあれもあると思いますが、やはり社会あるいは学校全体を見直さなければならない、少しでも登校拒否がなくなるように全力を尽くしたい、このように考えております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 別の点に触れますが、進学が重くのしかかっていることは、私は今さら申し上げるまでもないと思う。数多くの子供たちが悲鳴を上げています。競争も必要だという声もありますけれども、ここまで追い詰めなければならないのかということもありますし、それに向けての授業内容、学習内容の圧倒的な量。さっき七・五・三と申し上げましたけれども、これは理解しない方の子供が悪いのでしょうか。一番大事な主体である子供たちがわからない、わかりたいと言っているときに、七・五・三、仕方ないな、それということでどんどん教科書を進めていく。三月までには終わらなければならない。これをこなさないと受験競争に負けるという実態をどう受けとめたらいいか。  そこには、私は、一つは学習内容の精選があってもいいと思うのですよ。ところが最近は、例えば教育漢字が、臨教審以降になりますか、ここ十年くらいになるのですか、教育漢字が八百八十一から九百九十六にふえている。小学校二年生の算数、十七単元あったのが二十五単元になっている。とてもじゃないが、親はもちろん相談相手にもなってやれない。小学校の先生方は教科別ではないから全部こなさなければならない。自分の専門以外は、ある部分についてもう自信がない。そうすると、結局手引書に頼って型どおりの教科書をこなす授業をせざるを得ない、こういう訴えを私は非難することはできないと思うのです。小学校六年生でミリリットルの概念が出てきます。円錐の概念が出てくる。それが今度は小学校二年まで来る。私、化学の教師ですから、ミリリットルというのはよくわかりますけれども、それが小学校二年生。九九が小学校四年生から二年生でしょう。小学校二年生になったときすぐ九九を使うようなステップになっているかというと、そうではない。一休みして次ということになっている。こういうことなどを見た場合に、低学力、ついていけない、七・五・三教育、見切り発車、落ちこぼれ、そして登校拒否、あるいは暴力ということにつながらないとは限らない。これは学習内容についてはもっと精選して、何のために教えるか、何のために教育するかということですよ。  この前、私ここで前の文部大臣にも申し上げたのですが、何で数学と理科を勉強しなければならないのだ。数学は君たちの一生にこういう役に立っているのだ、だから必要なのだと堂々と言える、そういう教師が欲しい。理科は、化学は何のためにやっているのだ。私は化学ですが、アルコールの化学式が。C2H5OHだということを知らなくても、アルコールを飲めば楽しく酔える。なぜ必要なのか、そこの答えを私は文部省にとは言わないけれども、そういう目的意識を持ってやろうということを教師あるいは学校に呼びかけてほしい。もう忙しいのはいいから、会議とか書類とか研究授業というのは、まず忙しいのはちょっと置いておけ。何のために国語があるか、何のために理科があるか、このことを徹底的に話し合え。むしろその方が大事ではないですか。そういった意味で私は、教育内容の精選と目的意識、目標意識を持つ、これが極めて大切だと思うのですが、御所見を賜りたい。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 御指摘のように、教育内容の精選は重要であると考えております。昭和五十年代の学習指導要領の改訂のときには、ゆとりのある学校生活を送れるようにするということで教育内容をかなり大幅に精選したわけでございます。それからまた、今回の昭和六十年代の学習指導要領の改訂でも、ゆとりと充実のある教育の考え方を継続いたしておりまして、教育内容の精選等かなり図っておるわけでございます。もちろん御指摘にありましたように、漢字の字数をふやしたりしておりますが、六年間で十字ふやしましたのは、御案内のように、低学年の国語の授業時数をふやしたというようなことも背景にございまして、小学校時代から必要な漢字はきっちりと定着させようということでふやしているわけでございます。いずれにしましても、数学や理科ではかなり大幅に内容精選はいたしていることも事実でございます。私どもは、そうしました新しい教育課程の趣旨が教育の実践の場に定着していって、子供たちが本当に充実感のある授業を受けられるようにしていただきたいと考えているわけでございます。  御指摘のありました学校が忙し過ぎるのではないかという点も、確かにそういう面がございます。私どもは、なるべく学校内でも諸行事、諸授業を精選していただいて、本当に子供たちが心豊かな、そして個性のある子供たちに育つ、そういう教育が実現されることを期待いたしているところでございます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 時間が過ぎますので、次の問題、定数関係に入るのですが、その前に、今までいろいろ御意見を交わしたことの締めくくりにとは申しませんが、お願いをしておきたいことがあるのです。  今申し上げた多忙さを何とか少なくしてほしい、子供たちに向かう時間を確保してほしい、これは教師の願いです。条件整備というのは、文部省の教育行政の大きな仕事のはずでありますから、これは重要な条件であります。それからまた、学習内容の問題もそのとおりであります。そして教師の教育観とか価値観ですね。これは私もかつての仲間、私の後輩を想像しますと指摘しにくい心情もあるけれども、これはあえて指摘しなければならない。この次の機会に、私はあえてこの教師たちからの教育改革というのを取り上げながら、私たちの仲間、後輩に、教育というものはこうではないのだろうかということを問いかけるような質疑をしたいと思いますので、これは次の機会に移させていただきたいと思いますが、今申し上げたとおりであります。  それから、やはり大臣にぜひ理解していただきたいと思うのは、入試というのが子供たちの心に暗くのしかかっている。中学校から高校、高校から大学、特に中学校から高校に行くときの、いわばある生徒にとっては地獄の思いをする。私の知っている人が、うちの息子はできが悪いから、もう受験の間際、近くなりますと、うちに帰ってきて机に向かって何をやったらいいかわからないで、こうやっているというのです。本当にこうして震えている。あれを見ると、本当に高等学校なんかどうでもいいと言いたくなるけれども、そうはいかないからということを漏らしていました。  そこで、ひとつ御披露申し上げます。これは中学校三年生の生徒の詩であります。済みません、大臣聞いていてください。あとでコピーを見せます。「人の値段」という詩であります。   ぼくの見た夢   大きな商店の店先に   ぼくは並べられていた   ぼくも、ぼくの回りの商品も これは仲間ですね。   みんな値段がついている   それは偏差値である   お客は これは高等学校です。   数値の高いものから買って行く   ぼくは売れ残って、なかなか売れない   店先では売り子が これは教師ですね。   品物をふいたり並べかえたりしていた。 という、見た夢ということなのです。これは極めて何か示唆的な詩だと思うので、これ大臣、ひとつ胸にしまい込んでおいてください。  今度はもうちょっとからっとしたもので、大学の教育学部の生徒に書かせたもの。「学校」とかけて何と解く。「田植機」と解く。「心は根づこうが根づくまいが植えつけ作業だけくりかえす所」。これが「学校」とかけている。もう一つ、「学校」とかけて「歯医者の待合室」と解く。「待っている間は友達とおしゃべりして楽しいが、時間がくるとつらい思いをしなければならない」。「学校」とかけて「かまぼこ工場」と解く。「いろいろな素材を骨ぬきにし、すりつぶして同じ型のものをつくり出す」。(笑声)これは本当は笑っていられないのですよ。子供たちはそういう体験をしてきているわけだ。  これは恐らく霞ケ関のビルの中にいただけではわからないと思いますよ。どうぞいつでも現地に飛んでいって、学校長に紹介されるなんということではなくて、第一線に飛び込んでいつか見てください。そこに何があるかということ。これはあなた方の想像しているよりももっともっと重大な問題が提起されるはずです。このことをお願いして、次に進みます。  定数、一学級当たりの児童生徒数の低減について。小中学校四十人学級の実現。これはさっきの質問にもありましたが、その状況と、この後三十五人、三十人の学級を目指すべきだと思うのだが、どうでしょうか。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 先生方のいろいろ御努力によりまして、十二年がかりで四十人学級が第五次教職員定数改善計画で成ったわけでありますが、過密都市におきましては、これはやはり四十人でありますが、そうではない過疎地帯におきましては、もう二十二人、二十五人もございますし、また、今それを、私ども調査費がつきまして、今後どうして改善するかということもよく今までの状態、またこれからのものをよく見きわめて対処をいたしたい、このように考えております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 ぜひこれは急いでいただきたいのです。私たちは二年後、三年後大したことはないのですよ。これから十年くらい生きたり、あるいは文部省の方は何年かまだ勤める、退職までまだ何年あるかなということですけれども、子供たちにとってはこの一年、一年が勝負なんですよ。三年間しかいない。それをひとつ実感していただきながら、急いでいただきたい。もし財政的な理由があってそれがなかなか進まないというのであれば、優秀な文教委員長を先頭にして、我々が一致団結して大蔵省に攻め上ります。どうぞ頑張ってください。  それから、高等学校の定数の問題がちょっとおくれていると思うのですけれども、これも急いでいただきたい。私の体験からすれば、三十五人までいかなければこれはどうにもならない。私は実験の方が主体ですが、実験台がどのように配置されているかということを皆さん御存じでしょう。その実験台に四人を配置する。四、九、三十六ですよ。これが危険を防止しながらきちんと実験をさせる、我々教師の責任の持てる一つの範囲です。特に高等学校の場合は、中卒生の激減期を迎えていますから、ピンチをチャンスに切りかえることによって、つまり一学級当たりの生徒数を減らすことによって教育効果は上がる。学級数は減らさないで済むという方向に努力をしていただきたい、このことを一言お願いします。

菴谷利夫文部省教育助成局長

○菴谷政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたように、高等学校の子供も今後減ってまいります。それで、先ほど大臣からも申し上げましたように、今後の学級編成を含めまして、いずれ要するに教員定数というところに集約されて、それで経費がかかってくるわけでございます。したがって、そういったもののあり方については調査費も計上してもらいましたので、まず現計画の、平成三年度は一応完成時点になります。予算を認めていただきますと、完成時点になりますので、それによる実際の学級編成とか先生の配置の状況とか、あるいは今後のことを考えます場合でも、一応減るということはわかっていますけれども、全国的に数字を大まかにつかんだだけでは何のことかわかりませんので、やはりそれを実際の市町村やら学校のある地域におろしていろいろ検討しなければなりません。  そういうこともございますので、そういった調査を行い、その結果等を踏まえて、さっき先生がおっしゃったように、大変厳しい財政状況は多分続くと思いますけれども、そういったこともいろいろ勘案しながら慎重に検討、研究していきたい。高校についても同じことでございます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 あらかじめいただいておりました第四次公立高等学校教職員定数改善計画、御努力には敬意を表したいと思いますが、重ねて申し上げますけれども、ひとつ急いでいただきたいということを切に希望し、要望いたしておきます。  さっき大臣、校長先生の名前、わかっているとおっしゃいましたね。大変温かい話だなと思って聞きました。私は生徒の名前を、新しく赴任する学校からあらかじめ名票をいただきまして、「あ」から始まって名前を暗記していく。そして最初のときにもちろん出席簿を使わないで呼名する。しかし、やはりちょっと頭が足りないものですから、ある学校に行ってずっとやって終わろうとしたら、だれか欠けているのかと言ったら、すぐ目の前にいた生徒が、おれが欠けている、呼ばれなかったと。ところがそれはそれなりに今でもつき合いが続いているのです。  そのような人間関係をつくるためにも、一学級、かって五十五名というのがあったでしょう、ベビーブームのころ。もう物理空間的に無理ですよ。炭酸ガスの濃度は上がるわ、何かあったときの避難訓練をしても時間がかかるわ、机間巡視はできない。それらのことを思い出していただけば、まず適正規模というのは——諸外国の例が出ているわけですけれども、二十名、三十名がいわゆる先進国と言われているところでは普通ですよね。せめてこの状態をつくってくださいよ。そして、子供たちとの、生徒たちとのつき合いの密度が濃くなる、この状況をつくることによって、人間疎外あるいは登校拒否、不登校という現象はかなり基本的に解消できると思う。これはただ単なる財政の問題じゃありません。そのことを腹に据えて、ぜひ文教行政に携わる方々の御努力をお願いしてまいりたいと思います。  次に移ります。  大臣の所信にも触れておられました幼児教育とかあるいは障害児教育、心遣い、心配りが行間ににじみ出ていたと思います。そこで障害児教育について二つお尋ねをいたします。  障害児教育の中で私が問題だと感じているのは、養護学校を例にとりますと、後期中等教育部分に該当する高等部への進学率が極めて低い、あるいは都道府県によってかなりのばらつきがある。ということは、高等部の定数の関係もあると思うのですけれども、まず最初にお聞きしたいのは、障害児教育における後期中等教育の充実、展開に向けて、進学率の実態をどうとらえておられるか。都道府県のばらつき、そういったことについても触れていただきたいと思います。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 御指摘のように、養護学校の高等部につきましては、県によりまして整備の状況がさまざまでございますので、進学率自体もばらつきがございます。少ないところでは二〇%台のところから、多いところでは九〇%台のところということでございます。  心身障害児の義務教育終了後の進路ということにつきまして、もちろん養護学校の高等部というものは重要な役割を果たすわけでございますが、ただ、高等部という一つの学校体系だけではなくて、福祉関係、労働関係のいろいろな機関がございます。そうしたものを多様な教育の場としてとらえるということが必要であろうと考えているわけでございます。したがいまして、進学率を一つの目標値を何か定めまして、一律に設定して、それに向けてということは、ちょっと高等学校への進学率の場合とは事情が異なるのではないだろうかと考えております。  しかし、そうはいいましても、養護学校の高等部というのは重要でございますし、高等部ができる限りその門戸を広げる、そして後期中等教育の機会を提供していくということは望ましいことであると私どもも考えております。したがいまして、私どもとしましては、養護学校の高等部の進学率の特に低いところにつきましては、高等部の整備をしていただくようにお願いをしておるところでございます。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 今細部にわたって局長からお話がありましたが、この養護学校、障害児教育、もうまさに私も一番大切だと思いまして、まず養護学校の視察を第一番目にやってまいりました。そして、その子供たち一人一人に会って手をとってまいりました。特に高等部の方が絵をタイプに打って、六カ月かかったそうでありますが、それを私に贈っていただきまして、大臣室のすばらしい絵があったのですが、それをおろしまして、いただいたものを二つ掲げてありますから、ひとつぜひごらんになっていただいて、私どもも一生懸命この問題は取り上げたい、このように考えております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 ぜひ大臣室にお伺いして、その絵を拝見させていただきたいと思っております。  局長が言われたことも私理解できるのですよ。確かに中学部を卒業した人が必ず高等部とは限らないということはわかっております。わかっておりますというか理解できます。そういった福祉部門との兼ね合いもあるでしょうが、いずれにしても、相対的に後期中等教育あるいはそれに該当するレベルのところに、どのくらいは高めたい、こういう目標は、今ここで無理であるならば、やはり今後検討していただきたい。そして少なくとも、たしかいただいた資料からいえば、「養護学校中学部卒業者の進学率の推移」という数字を見ますと、平成二年度では進学率が六四・六%となっていますね。せめてそのレベル以下のところはそこまで引き上げるということに当面の目標を置いていただけないでしょうかね。どうですか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 確かに低いところがございます。したがいまして、私どもはとりあえず五〇%以下のところを重点的に整備していただくつもりで、先般も個別に五〇%以下の県に私どもの方に来ていただきまして、いろいろ御事情も聞きまして、そして私の方から何とかその整備を進めていただくようにお願いもした、御要請も申し上げたというところでございます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 時間があと五分弱ということで、午前と午後にまたがるような気がするので、せっかくおいで願った厚生省の方、申しわけないけれども、午前と午後両方つき合ってください。済みません。  次の問題は、障害を持って生まれる子供さんたちの早期発見の体制を充実させていただきたい、そして、その早期発見の結果を直ちに早期療育につないでほしい、その体制をつくってほしい。それは、私はずばり言えば三歳未満児が大切な時期だと思いますので、所管からいえば厚生省かなと思いますが、いずれ早期療育、早期教育ということになった場合には、症状にもよりますけれども、教育の場からの、例えば障害児学校に勤務している先生方の応援も必要になってくることが出てくるだろうと思う。そういった意味では、いずれにしろ早期教育を実施する主体である文部省と早期の前の最早期の時期の早期発見と早期療育の守備範囲を持っておられる厚生省、ここはチームプレーよろしくその体制をつくっていただきたいと思うのですが、まず厚生省の方、障害児の発生している状況があれば、もし難しかったら今私が申し上げたことに対する厚生省の御意見、見解をお願いしたいと思います。

吉武民樹厚生省児童家庭局障害福祉課長

○吉武説明員 お答えを申し上げます。  障害児の方々につきましては、私ども身体障害児の方につきまして昭和六十二年に調査を実施させていただいております。これは身体障害者の方と御一緒に調査を実施させていただいております。  それから、精神薄弱児者の方につきましては、実は昭和四十六年の調査が現時点の最新の調査でございまして、これは端的に申し上げますと、その後五十年に調査をいたしましたけれども、プライバシーの問題等でいろいろな問題がございまして集計できておりません。実は昨年の九月に精神薄弱児者の方の福祉対策基礎調査ということで実施をさせていただきまして、この調査は全都道府県、全政令指定都市で実施をしていただいております。その結果は来年の秋ごろにはまとまりますので、その時点では新しいデータで申し上げることができます。  現段階で申し上げますと、五歳末満の障害児の方、今申し上げました調査から推計をいたしますと約二万三千人というふうに考えております。今申し上げましたのはあくまで推計でございます。  それから、実際の療育体制でございますが、これは私どもいろいろな手段を組み合わせまして、できるだけ地域で最適の療育のシステムを都道府県、政令指定都市を中心につくっていただくということを基本といたしておりまして、障害児の方の通園施設が現在全国に三百十四カ所ございます。この定員が一万一千八百人でございます。  それから、肢体不自由児の方につきましては、肢体不自由児施設という入院の病院であり福祉施設である施設が大体各都道府県少なくとも一つございますが、ここで通園部門というのを設けておりまして、ここに約千三百人の定員がございます。  それから、そのほかになかなかこういう通園施設の整備が一挙に難しい場合に、市町村事業といたしまして、身心障害児の通園事業というのを実施をいたしております。これが二百六十七カ所で約五千三百人という形でございまして、これを全部トータルいたしますと六百十二カ所、約一万八千人ぐらいの定員がございます。  このほかに、私どもの方で保育所の整備をさせていただいておりますが、保育所の中で障害児の方を受け入れようということで、この定員が大体五千三百人程度でございまして、トータルで申し上げますと、約二万三千人ぐらいの定員の状況になってございます。  ただ、これは先生御案内のとおり、地域によってまだまだ療育体制が十分に整備されてない地域もございますので、私どもは、そういう地域を中心に、今後ともこの療育体制の整備につきまして力を入れてまいりたいというふうに思っております。  その際に、御指摘のとおり、私どもの関係機関で申しますと、保健所でありますとかあるいは医療機関、それから福祉の方で申し上げますと、児童相談所あるいは福祉事務所、それから地域には児童委員の方々がおられますので、この連携を十分とってまいりたいと思っておりますし、先生御案内のとおり、このほかにも学校教育の関係で障害児の教育をやっていただいております。例えば、私どもの施設のオープン化事業というような形で、施設の機能を生かしまして、在宅の障害児の方々の例えば療育の相談でございますとか検査でございますとか、あるいは必要な場合にはお母さんと一緒に一週間ほど施設に入っていただきまして、短期間の集中的な療育訓練を行うという仕組みもございますので、そういう点につきましても、今後とも文部省あるいは都道府県段階におきましては、知事部局と教育委員会との連携を十分図るように努力してまいりたいというふうに考えております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 休憩時間が来ましたので、午後にいたします。

臼井日出男自由民主党

○臼井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ────◇─────     午後一時開議

臼井日出男自由民主党

○臼井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。沢藤礼次郎君。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 午前中に引き続いて厚生省にまずお伺いします。  健診がございますね、乳幼児健診というものが。土地によって若干違うかもしれませんが、四カ月、七カ月、一歳児あるいは一歳半、それぞれの健診があるわけですが、三歳児健診になる前のせめて一歳児半くらいの健診で障害をチェックできれば、大変早期療育に結びつけることができる。こういう早期健診、幼児の健診を主体にした早期発見の体制について、もう一度お願いしたい。  あわせて聴覚、聴力、聞く方ですが、これは聞いたのですけれども、普通しゃべり始める時期にならないと聴覚の障害、言語障害がわからないのだが、ある機械を使うと六カ月くらいの健診でももうわかる、こういうことを聞きました。聴性脳幹反応、ABRと略称されているようですが、これですと六カ月健診段階でわかる。これを活用して、この分野については早期発見できるのではないかということを聞きました。それらを含めて健診体制、早期発見ということについての取り組みをもう一度ひとつお示し願いたいと思います。

高原亮治厚生省児童家庭局母子衛生課長

○高原説明員 お答え申し上げます。  障害の防止対策でございますが、厚生省におきましては、現在障害の発生予防といたしまして、両親、特に母親に対しまして、母親学級等を通じまして、飲酒でありますとかたばこでありますとかウイルスの感染、そういうふうな障害の発生防止に役に立ちます知識の普及啓発を行っております。  それから、委員御指摘のように、早期発見の観点から、新生児に対しまして精神薄弱などの原因となります先天性代謝異常、それから先天性甲状腺機能低下症、クレチン病でございますが、そういうものの早期発見の検査を行っております。また乳児期、一歳になるまででございますが、おおむね二回乳児健診を行っております。それからさらに、一歳六カ月時点で市町村事業といたしまして健診を行い、さらに法定健診でございますが、三歳児健診、こういうふうに最小限四回程度の健診を行いまして、障害児の早期療育につなげるよう努力しているわけでございます。  また、心身障害研究事業というふうな研究事業を行っておりまして、医学的知見の集積に努めておるところでございますが、厚生省といたしましても、このような有効な手だてのある異常に対します健康診査や検査等を行いまして、障害の早期発見体制の充実が重要であると認識しておりまして、今後ともこれらの施策の一層の推進を進めてまいりたいと考えております。  それから、御指摘の聴覚ABRの検査でございますが、これははっきり申し上げまして、全員に行うというふうなところまではちょっと時間もかかりますし、技術的な問題、それからお医者さんの数、これが委員御指摘のとおり、最も確実な聴覚障害の早期発見方法であるというのは国際的にも一致しておるわけでございますが、臨床ベースということで一致しておりまして、集団健診用ということでは国際的にもまだ無理だろうというふうに言われております。それでこのABRにつきましては、制度的に申しますと、先ほど御説明申し上げました乳児の前期の健診等で、その健診医がこれはそういう検査をやった方がいいのではないかという所見が出ますと、設備がある限りないしはその技術がその地区においてある限り、これは無料で検査ができる、そういうふうな仕組みになっております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 今お答え願った部分につきましては、聴性脳幹反応、ABR、これは今御答弁いただきましたように、全員に一斉にというわけにはなかなかいかないと思います。ただ、予診というのでしょうか、生まれた方が未熟児であったり仮死状態で生まれたとか、あるいは家族、血縁の方に同じような病気があったかなかったかということとか、聴覚に影響のある薬物、ストマイとかカナマイですね、こういったものをとったことがあるかないかというふうなことを総合してリスクを詰めていって、これはやはりちょっとというときには、すぐそれを検査に結びつけてほしい、このことはお願いしておきます。  さて、今お聞きのとおりですが、早期発見体制を進めていただくということの上に、早期療育あるいは教育ということに移るわけですが、次に文部省にお願いしたいのです。  ある聾学校の先生にお聞きしたのですが、三歳未満児でいわゆる聴覚が欠落している、あるいは難聴の方に教育をしますと、大変治りが早いというのですね。そして、補聴器なんかを利用して物を聞かせる、そのことの教育を積み重ねていきますと、就学時にはほとんど健聴児と同じレベルまで達して話をすることができる。その違いというのは非常に大きいわけです。放置した場合はほとんど一生聾唖者として過ごさなければならない。これを早期発見、早期療育に結びつけたときには、今言った健聴児とほとんど同じまで発達するということですから、天と地のくらいの違いがあるわけです。  そこで、早期発見を早期療育、早期教育に結びつけるということの観点から、文部省は三歳児以降は幼稚部ということで設置していますけれども、それ以前は厚生省の守備範囲だということになると思うのだが、療育、教育ということになれば、やはり専門的な知識、技術を持っておられる障害児教育の教職員の方々、この方にも地域の療育センターなり療育機構というものに参加していただく体制が出てくれば、これは非常に地域にとってはプラスになるだろう。  したがって、一番最初の指摘に戻るわけですが、文部省としても、今申し上げた早期発見の次の段階の早期療育、教育というものについて、厚生省と十分意見を交わしながら、その体制づくりに努力をしていただきたい、このことを一言お答え願いたいと思うわけであります。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 御指摘のように、心身障害児につきましては、障害を早期に発見して、その障害に応じた適切な教育を行うということが望ましいわけでございます。三歳未満の幼児につきましては、これも御指摘がございましたように、学校教育の対象ではないわけでございますけれども、ただいま申し上げました早期発見、早期の必要な教育という観点から、盲聾養護学校の幼稚部などでは教育相談をやっておりますし、また都道府県、指定都市の特殊教育センターなどにおいても教育相談という形でそれぞれの対応をしているわけでございます。私どもとしましては、今御指摘のありましたように、これは文部省だけではできませんので、厚生省と十分連絡をとりまして、この充実に努めてまいりたいというふうに考えております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 この件については文部省に一つだけお願いをしておきます。質問じゃありません。  たしか、これは後で確認してほしいのですが、北海道かどこかで、対象が十名ほど、十名を超えた場合にはいわゆる県立障害児学校でもそれを引き受けるというのでしょうか、研究対象でしょうか、そして職員数も一人か二人加算するというふうなことを聞いているわけです。そういった意味で、これは文部省の守備範囲じゃない、学校の守備範囲じゃないから、下手に定数を使ったりなんなりすると、会計検査の方でしかられるのじゃないかとか、地方交付税でいじめられるのじゃないかという心配をしている人もいるのですよ。そういうことのないようにぜひ温かくフォローしてほしいということをお願いしておきたいと思います。——何かございますか。もしあったら簡単にお願いします。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 御指摘の趣旨を踏まえまして、一生懸命やりたいと思っております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 最後に、厚生省にもう一度お願いします。  早期発見ということとは、違った角度から、学校教育の段階で、中学校、高等学校で精神障害を起こすケースが非常にふえてきておる。これは文部省にももちろんかかわりあるわけですが、親御さんはなかなか気がつかない。思春期に多いわけですが、思春期の精神障害にかかったときに、あれ、変だぞと思うのは、学校生活の方が多いんだそうです。これはひとつ今後の課題として学校の先生方に予備知識あるいは保健知識というものの必要な部分を覚えておいていただいて、特に思春期を預かっている重要な時期の中学校、高等学校におきましては、そういう精神障害の発生といいますか罹病を早期に気がつく、それをすぐ治療の方に回すという体制をあわせて留意していただきたいと思うのです。  厚生省にお願いしたいのは、精神障害者が長い間施設に入っていて、最近は地域で治療する、家庭で治療するという方向が出てきているわけですね。施設から出てくると、施設以外の生活の体験がないものですから、極めて適応が大変だ。早い話が道路一本横切るのに横切れないというのですね。どういうふうにして横切ったらいいかわからない。車のこともありますがね。それからうちに帰っても、これは家庭の問題だろうと思うのですけれども、居場所がない、こういう訴えが多いわけです。それからもう一つは、働きたいと思っても、福祉作業所が各所にかなりあるんだけれども、そっちには身体障害者の方が主に入っていまして、あの人たちは精神障害と違って割合に組み合わせによっては作業が進むんです。ところがそちらの方の施設に精神障害者が入るとなかなか、何といいますか足並みがそろわないということで敬遠されがちな傾向がある。これは克服してもらわなきゃなりませんが、精神障害者を対象とした集合住宅、集団住宅とかあるいは共同作業所というふうなものへの配慮をお願いしたいと思います。時間の関係上、ごく簡単にひとつ済みませんがお願いします。

廣瀬省厚生省保健医療局精神保健課長

○廣瀬説明員 お答えいたします。  長期入園、それから長期入院のために、家庭に帰ってきて居場所がなくなるという問題等踏まえまして、新しい法律、六十三年七月にできました。その中で社会復帰対策についての内容が盛られてございます。現在社会復帰施策おくれておりますが、一生懸命努力して進めてまいりたい。  その中でメニュー的に盛っていますものが、一つは小規模作業所といいまして、十人前後の方々で家庭の近くで面倒を見られるというものがございます。それから通所授産施設。それから来年度の予算要求の中では、入所授産施設、それから福祉ホーム、援護寮というような施設をつくってまいっております。年間かなりつくってまいりたいというふうに思っておりますが、やはりまだ精神障害者に対する偏見というのが地域にもございまして、その辺のところも含めながら仕事を進めてまいりたい。先生の御指摘のところは十分に頭に置きながら努力してまいりたいというふうに思っております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 厚生省の方、御苦労さまでした。後は質問ございませんので、どうぞお引き取りください。  引き続いて、今度は文化の問題に入ってまいりたいと思います。  文化庁が主な所管だと思いますが、文化というのは何でしょう。そして地方文化、地域文化という言葉が頻繁に使われるのですが、これと対置される中央文化というのはあるんでしょうか。まずこの辺からお聞きしたい。なるべく簡潔にお願いします。

遠山敦子文化庁次長

○遠山(敦)政府委員 文化の関係、御質問いただくとは思っておりましたけれども、文化とは何かという難しい御質問があろうとはちょっと考えておりませんでして、たまたま今持っておりまして、午前中、先生は何か問題がわからないときは辞書を引いてみるというお話でございますね。その辞書を引いたのがございますので。文化、申し上げるまでもなく、アメリカの研究者も一九五〇年代でしたか、文化の定義は百四十とか五十とかあると言っておられましたのでございますが、仮に辞書的な意味として掲げられているものといたしましては、「社会を構成する人々によって習得・共有・伝達される行動様式ないし生活様式の総体」であるというとらえ方をしているようでございまして、別の言い方をすると、「学問・芸術・道徳・宗教など、主として精神的活動から生み出されたもの」というようなとらえ方もございますし、あるいは中教審の答申の中では、「国民が日常生活の中で自己の向上のために行う自発的な営みを文化活動としてとらえる」等々さまざまなとらえ方がございます。  要するに、人間が生きとし生きるという形の中で生活様式全般をとらえる考え方から、あるいは文化の中核となる芸術文化なり文化財保護というようなものを中心に考えていく考え方等さまざまにあろうかと思います。その中で地域文化とは何かというお話でございますけれども、地域文化というのは、それぞれの地域において歴史あるいは伝統を背景にしながら、そこの人々が培ってきた文化を総体的にとらえる、そういう考え方であろうかと思います。  どうも十分な答弁でなくて申しわけありません。そんなふうに考えます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 ちょっと意地の悪い質問になったかもしれません。しかし、これは基本的な問題ですから、少しやりとりしてみましょう。  文化はいろいろなとらえ方がある、そのとおりなんですね。もうずばり言えば、人間生活すべてが文化だというふうに言い切ってしまってもいいのじゃないかと思うのです。私の考えを二、三、申し上げますので、それに対する御所見をお願いするという格好で質問したいと思います。  文化というのは人間の営み、生きることほとんどすべてにかかわっておるということですね。例えば教育、学術、芸術、芸能、文学、医学、科学、これはもちろんですが、生産、産業、機械文明、あるいは交通、通信、こういったものも文明と普通言われていますが、広い意味の文化に入るのじゃないか。それから制度的なものがありますね。風俗、習慣、政治もこれは文化だというふうなことから考えますと、文化というのは、人間の営み、生きることそのものだ、非常に大切なことなんだということを私は基本に据えたいのです。  したがって、文化というのは、生きている、生活しているわけですから、その地域と離れたところには文化は生まれないし存在しない。したがって、地域文化ということがあたかも中央文化との対比の中で、中央に何かいいものがあって、地方文化というのは、その受け皿だとか、あるいは枝分かれ文化だとかというとらえ方を私はしたくない。文化というのはそもそもがその地域のものなんだ。実体がある、生活の中に文化がある。架空のとは申しませんが、中央というところの文化というのは本来ないのじゃないか。それは東京文化があったり東京弁があったりいろいろあると思うけれども、それはやはり広い日本の国の中の一部ですから、地域というのは、やはり全体よりも小さいところ、地域、部分、こういうことで、私は中央、地方という言い方は本来はないものであって、なくしたいものだという考えを持っております。このことについての御所見を賜りたいと思います。

遠山敦子文化庁次長

○遠山(敦)政府委員 今の先生の御見識で中央の文化、地方の文化というのはない、地域の文化の総体を称して文化と言うというとらえ方は、まさにそういう考え方もあり得ると思います。それで、一国の文化という考え方もありましょうし、それぞれの民族がはぐくんできた特有の文化というとらえ方もあろうかと思います。その場合に、地域の文化がそれぞれ現在に至るまではぐくんでこられたものの総体としてのものが、ある国の文化なり、民族の文化なりというとらえ方であるということは確かであろうかと思います。ただ、御議論の重点の置かれ方によって、先ほど申しましたように、いろいろな文化のとらえ方がございますけれども、地域の文化が大事だということにおいては、これは私どもも同感でございます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 余りこの問題にだけ時間をとるわけにまいりませんので、若干補足して次の質問に移ります。  また辞典なんですけれども、中央って何だろう。「働きの上で中心をなす重要な位置、役目。」そして地方に対して首都、首府という使い方がありますね。ところが、ここの中にはちょっとした落とし穴があるような気がするのです。地方に対して首府、首都を中央と言うというふうな定義があるから、したがって、東京は中央だという言い方には落とし穴がある。首府、首都は動くことがありますから、そうすればそこはもう中央ではなくなってしまう。つまり中央というのは機能でしょう、機能。どこか中央はありますか、連れていって案内してください。ないですよ。あえて言えば、政治の機能としての中央あるいは産業の機能としての中央、あるいはマスメディアとしての機能としての中央というのはあるかもしれぬけれども。海部総理大臣だって、現住所はどちらかわかりませんが、仮にこっちのマンションにおられるとすれば、東京都という一地方の自治体の住民なわけです。海部総理大臣だって中央の人じゃないのです。ここのところをいろいろな文化を論ずる場合少し掘り下げていただきたいなと私は思うのです。  というのは、次の問題に移っていくわけですけれども、方言の問題もあるのですよ。そこには価値観が伴っています。そして、私ども地方から出てきた集団就職の人間の中で、いわゆる方言を笑われて萎縮するあるいはふるさとに帰ってしまう、あるいは死んでしまう、自殺するというふうなケースだってあったわけです。そこにはゆえのない優越感と差別感、劣等感がある。こういうことからすると、実体は地方なんだ。だがそれを、方言の場合は、あっちの地域では別な方言を使って、こっちも違う方言を使うということで、交わる、交流する範囲が広くなるに従って不便を感じてきて共通語というものが出てきた。したがって、まず方言ありき、そこに生活ありき、裏腹の関係で方言ありき、それが広域的な生活の中で共通語がつくられたというふうに認識すべきだと思うのですが、この点はどうでしょうか。

遠山敦子文化庁次長

○遠山(敦)政府委員 共通語が全国的な共通の言葉であるのに対しまして、方言というのは、それぞれの地域においての共通の言葉であろうかと思われます。共通語は改まった場でありますとか公共的な場で使われるのに対しまして、方言といいますのは、地域内あるいは家庭内の打ち解けた場で使われるのが一般的というふうに言われております。  それで、共通語の必要性というのは言うまでもないわけでございますけれども、一方で方言につきましても、それぞれの土地の文化でありますとかあるいは民俗、風土と密着しております。それからまた語り継がれる民話の中でも伝承されてまいりますように、日本語の歴史的な変遷の姿を多く残すものでございまして、非常に価値のあるものであるというふうに言えるかと思います。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 この問題は次の機会に譲って少し深めたいと思うのですが、最後に一つだけ方言あるいは地方文化に関して具体的にお伺いして、次のテーマ、平泉に移っていきたいと思います。  方言について言えば、生活語なわけですよ。本当に生活に密着している。例えば東北地方で随分省略化した言葉がありますね。青森なんかでは、我、私を「わ」と言いますね。あなたを「な」と言いますね。これは汝からきた「な」、我からきた「わ」、「な」と「わ」。それから、食え、食べてくださいというのを「け」と言いますね。食べますよということを「く」、「け」「く」これで対話なわけです。それは、寒い地域で生きている場合は、口を余り長くあげ過ぎていますと体温が奪われる。厳しい風土の中では短く意思を伝達する必要がある。それから林業労働者、船乗りなんかは、あんな状況の中で、ああどうですか、そちらの方に木が倒れますか、来そうですねなんて言ったら、これは命にかかわりますから、乱暴な言葉でぶつっぶつっと断ち切るような表現になる。これはやはり生活語ですよ。そういう認識を私は国語教育の中でも大事にしてほしい。これはいつか文部省の方にお聞きをしたいと思います。  一つだけ。方言は生きていますが、いわゆる共通語教育が進んでいまして、福島でしたかどこかでは、校則の中に方言を使わないことという指導をした学校がある。これは大変なことだと思いますよ。そういうことのないように指導してほしいということと、老人が今正確に持っておられる方言が、老人の生命とともにどんどん滅びていきます。その前に方言についての地域的なライブラリー、保存というふうなものについて配慮をしていただきたいと思うのですが、その点だけの御答弁をお願いします。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 学校教育ではもちろん共通語の指導をいたしておりますけれども、一方、方言というのは、それぞれ御指摘のありましたように、人が生まれて最初に触れる言葉でございますので、意味の重要なものであると思います。したがいまして、学校教育におきましても、共通語と方言の果たす役割などについて理解するということで、私どもで出しております指導書では、方言が変化する傾向が見られる現在、方言の存在する意味を改めて理解させる必要がある、そして方言が担っている役割を理解させ、方言を尊重する気持ちを持たせるようにするというようなことも指導もしているところでございます。  また、校則で方言を使わないというようなことを決めたところがあるという御指摘でございますが、校則自体は学校でお決めになりますので、それぞれいろいろな事情があってお決めになったのかもしれませんけれども、私どもはここに、今申し上げましたように、方言の意義というものについてそれぞれ子供たちの実態に応じて指導するという立場をとっておりますことを申し述べさせていただきます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 次に移る前に、一つだけ文化庁にお願いしておきます。これは今度制度化されました芸術文化振興基金についてであります。  これの応募件数と採択件数を見ますと、応募した中から採択された採択率とでもいうべきものが分野ごとにかなり数字の差があるのですよ。例えば芸術創造普及活動という、例えば国立劇場を舞台にしてやっているとか有名な劇団あるいはオーケストラというふうなところが主体になる芸術創造普及活動の採択率は六〇・八%です。金額にしますと六八・五%なんです。それに比べて地域文化の振興活動あるいは地方で文化振興普及活動をやっている団体に対する文化振興普及団体活動、この分野を見ますと、地域文化振興活動の占める採択率は五八・三%、そして金額からいうと全体の二〇・七%とぐんと減ってきます。それから第一線で苦労している人たちに該当する文化振興普及団体活動については採択率が四六・三%、五〇を割っています。そして助成金、交付された金額の総額の一〇・三%でしかない。つまり芸術創造普及活動が約七〇%の金額、地域文化振興活動は二〇%、文化振興普及団体活動は一〇%と、七・二・一というふうな配分になっています。やむを得ない部分もあるかと思いますが、どうぞひとつ地域の文化、地方の苦労しながら活躍している小さな劇団なりグループなりに対する援助、採択率を、今後の運用の中で御検討願いたいということを申し上げておきたいと思います。  平泉が急速にクローズアップされてまいりました。これは柳之御所と呼ばれる極めて歴史的に重要だと思われる遺跡が発見されたということがきっかけになりました。しかし皮肉なことに、それは文化的な発掘作業から発見されたのではなくて、一関地域の水害から住民を守るという建設事業の調査の中から発見されたというスタート自体が非常に困難性をはらんでいるスタートだったわけですが、何としても、これは文化財としての重要性と住民の生命財産を守るという治水対策と、どちらも日本にとってあるいは国家規模の重大な事業だと思うわけです。結論を申し上げますと、これはどっちがどっちをとるという二者択一で終わらせる性質のものではございません。私は強くそう思っています。地元の人もそう思っています。  そこで、問題をある程度明らかにして整理するために、まず平泉の持っている文化あるいは政治的な意味、意義というものをごく簡単に確認をしたいのですが、文化庁は日本の歴史の中における平泉というものをどう位置づけているか、平泉文化の特徴、かつそれをどうとらえているか、現在の史跡、遺跡保存の重要性についてどう考えているか、このことを総体的にお答え願いたいと思います。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 我が国の歴史の中で最も重要な価値を有するものである、こう私は確信いたしております。  平泉文化は、奥州の権力者として藤原氏が、京都の中央文化を取り入れて、そして平泉の地に築いた独自の文化でありまして、我が国の歴史の中でも重要な価値を有しているものである。十一世紀末から十二世紀末までの長い間ですね。そういう中で、今いろいろ先生のお話の中にございましたが、私自身も見せていただきましたし、すばらしい文化である、このように感じております。  細部にわたりましては、文化庁の方から御報告させていただきます。

遠山敦子文化庁次長

○遠山(敦)政府委員 今大臣からお話ありましたように、平泉文化は日本の歴史の中でも重要な文化と考えられているものでございます。文化庁といたしましても、こういう認識に基づきまして、既に、平泉の地に残されました中尊寺境内、毛越寺跡、無量光院跡を特別史跡に指定をいたしております。また、毛越寺の庭園を特別名勝にも指定いたしておりまして、その保護に努めているところでございます。また、既に現存している当時の建造物でありますとか美術工芸品などの重要な文化財につきましても、その多くを国宝なり重要文化財に指定しているところでございまして、文化財行政の中でも平泉については非常に大事なものと考えているということを申し上げることができると存じます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 それぞれお答えいただきまして、ありがとうございました。  そこで、もう一つつけ加えて、こういう視点もある、あるいはこういう角度から見た場合の価値、平泉文化、平泉の遺跡ですね、こういう価値もあるのじゃないかということを御指摘申し上げますので、それについての文化庁のお考えをお聞かせ願えればと思います。  これは、前の東北大学の教授の高橋富雄さん、歴史学者です。現在盛岡大学の学長をなさっております。この方の著書に「みちのく—風土と心」という本がございます。その中から引用いたしますと、平泉の文化、政治の歴史的な位置づけについて次のように触れているので、若干引用させていただきます。日本史の中で地方としての可能性を最大限に発揮した歴史、これが平泉の歴史だということが一つ。同時に、古代国家の経営を離れて、つまり当時の中央権力ということですね、中央権力から離れて、古代国家の経営を離れて、地方の独立を達成しようとする地方の豪族の営みとして形成された意味が大きい。与えられた文化じゃない、地方の力でもって築き上げた文化なんだということであります。そしてまた、規模から、内容からいって奈良、京都に次ぐ第三の新しい形の都である。奈良、京都に次ぐ第三の都、古代都市から中世都市が形成される中間にあって、第四の都、これは鎌倉というわけですが、第四の鎌倉が中世を統一するその先ぶれ、地ならしをしたのが平泉だ。つまり奈良、京都、そして平泉。そして平泉の場合は、特徴として地方の力でもって練り上げた地方からの政治であり、文化である。そして、その流れが鎌倉を開いた、鎌倉時代につながっているんだという視点でありますから、日本の歴史を東日本と西日本に分けた場合の東日本が日本史の第二の源流となったのは、鎌倉というよりは、その前史が平泉だ、こういうふうなとらえ方をしているわけです。西日本と東日本を対立的にとらえているわけではないでしょうけれども、いずれにしても、東日本あるいは東北地方というのは、いつも平定されたり征伐されたりしている歴史が長かったものですから、そういうふうな意味では、平泉というのは、いわゆる地方の精神のよりどころ。こういう東北、東を代表する歴史の頂点を高めたのが平泉だというふうに高橋富雄さんは位置づけているわけであります。こういう高橋学説に私はすごく共感を覚えるのですが、文化庁どうでしょう。

遠山敦子文化庁次長

○遠山(敦)政府委員 先生からちょうだいいたしました「ふるさとの詩」という本の中に、今お読みいただきました文章があったなと思って、今拝見いたしております。  立派な学者の先生のお書きになりましたものがいいとか悪いとか私どもで到底申し上げる事柄ではございません。とは思いますが、藤原氏は、先生おっしゃいましたように、奥州全域を支配して、その地域から産出する金等の財力をもちまして、平安京の文化を取り入れていたけれども、独自のすぐれた文化を形成したものというふうには言えると思います。同時に、この時代において京都以外で王朝文化を形成した唯一のものというふうなとらえ方は一般的なとらえ方であろうかと思います。それと、土着文化という形で非常に突き詰めた学説に連なっていくのかどうか、その辺は私どものここでお答えできることではございませんけれども、その平泉に花咲いた文化というものの重要性、その意義というものについては、私どももそれについて十分認識しているつもりでございます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 その平泉の文化あるいは政治を象徴する遺跡として今度柳之御所跡が姿をあらわしたわけです。これはいろいろな学説もありますから、一〇〇%発掘が終わったわけではないのですけれども、平泉の歴史を築いた支配者藤原三代の御館の資料が今までなかった。平泉の政庁、つまり政をとった場所が柳之御所の発掘でもって具体的な遺跡となって姿をあらわしたのじゃないかという見方があります。  そこで、遺跡保存の要望がほうはいとして出てまいりました。これは多分文化庁にも行っていると思いますが、日本考古学協会、日本歴史学協会、文化財保存全国協議会、東北史学会、岩手史学会、岩手考古学会、平泉文化研究会等々が連名で文化庁長官に出した要望書がありますが、これの中に言わんとするところが要約されていると思いますので、ここでくどくどと紹介はしませんけれども、今申し上げた平泉の中の柳之御所、この遺跡が多分単なる居館、住んでいる場所、居館の一つというにとどまらずに、まさに東鏡に記された平泉館、すなわち平安時代後期の北日本に君臨した奥州藤原氏の政庁そのものであろう。内閣総理大臣のいる官邸ということになるのでしょうかね、政庁そのものであろうという考えを裏づけるのにかなり有力な材料だ、こういうふうなことで保存、史跡指定等について要望書が出ております。  また、しかし一方では、先ほどもちょっと触れましたように、あの地域は有数の水害常襲地帯でございます。岩手県というのは四国四県の広さを持っておりますが、その五分の三くらいの範囲から降った雨が集まってきて北上川に集中して宮城県に行く。その全くのかなめの地域に平泉、一関があるわけです。極端に言えば、岩手に降った雨のかなりの部分があそこに一点に集中する。しかも宮城県境は狐禅寺といいましてすごく幅の狭いところが二十キロも続いている。したがって、増水しますと、それがはけないためにバックウォーター、背水が出る。そして大変な水害をこうむる。その水害の繰り返しはかなり頻度が高くて、被害の額も規模も大きい。それに対して国があそこに遊水地計画を立てたわけです。水をためて、あふれた水を抑えて、そしてはけるのを、排水の時期を待つというような遊水地計画、これの周囲堤、堰堤が伸びてきた計画の延長線に、この柳之御所の遺跡が出てきたものですから、これが問題としては極めて大変な、また地元としてはいろいろな課題を抱えた問題になっているわけです。ただ、総体的な地元の声、これは地元の新聞岩手日報がアンケート調査をした結果があるのですが、地元の声としては七割が保存派である。これは計画はもう凍結してしまえという過激なものから、工事その他を一部変更して何とか工夫して保存すべきだというのが圧倒的に多い六七・四%、合計七一・六%の人がいわば保存派と言われておるわけです。一方、工事を急げ、遺跡は記録保存でいいという、いわゆる工事促進的な立場に立つ方が二二・五%、やはりこれも無視できないパーセンテージだと思うのです。実態はこうである。こういう学界あるいは地元の悩みに満ちた声を、結論から言うならば、文化庁、建設省、どうぞ真っ正面から受けとめて、何としても二者択一ということに走らずに、両立できる道を徹底して努力をして追求していただきたい。幸い時間的な余裕はある。あす、あさってということじゃないようですから。これが私のきょうの質問の結びの部分であります。  これは、最後にお聞きしますが、その前段として、平泉の史跡あるいは歴史としての価値については今文化庁からお聞きしました。もう一方の建設省にちょっとお聞きしたいのですが、柳之御所が発掘されたいきさつは、さっき私から申し上げたとおりですが、間違いないかどうか。そして一関遊水地の事業、これがどういう意味、必要性を持っているかということを、概略的で結構ですから、あるいは工事なり土地買収の進捗状況なりという、住民が判断するのに必要な材料を答えていただきたいと思います。

日野峻栄建設省河川局治水課長

○日野説明員 御説明申し上げます。  一関遊水地の計画は、もう先生も御案内のとおりでございますが、北上川水系全体の治水計画の中で、上流のダム分と相まって毎秒四千五百トンの洪水調節を行うための事業でございます。  一関遊水地事業には三つの遊水地を計画しておりますが、そのうち、第一遊水地につきまして昭和四十七年度より周囲堤の建設に着手いたしております。築堤は段階的、計画的に進めておりまして、現在戦後第三位の水位を記録いたしました昭和五十六年八月の洪水時の高さで施工中でございまして、平成三年の出水期までに概成を予定いたしております。  なお、昨年の九月に東北地方を襲いました台風十九号の出水によりましては、一関の市街地が、普通ですと浸水をしていたわけですが、この堤防のおかげで非常に浸水予防効果があって、効果を発揮いたしております。  今後は、引き続き次の目標であります戦後第二位、アイオンですけれども、昭和二十三年の台風でございますが、この水位の高さまでかさ上げを順次していく予定にいたしております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 また、後ほどもう一度建設省の方には質問がありますから、ちょっとお待ちになってください。  そこで、大臣、今お聞きのとおりなんです。平泉文化、それを象徴する、しかも歴史を書きかえるかもしれない重要な遺跡だと思われる柳之御所が姿をあらわした。これはやはりできれば文化保存的な手法で発掘作業というふうなものを急いでいただきたい。予算、人員。そして、それが明らかになった場合の判断としては、これの保存ということについての可能性、それに対する手だて、建設省との徹底したコンセンサスの形成ということについて、保存を前提としてどういう——中身はここで触れませんが、ぜひ努力をしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 今文化庁からお話がありましたし、また建設省の治水課長からお話がございまして、結論としては、遺跡の保護と治水事業の両立を図る方向で調整をいたしたい、このように思います。この治水事業と遺跡の保存が両立するような方向で、私ども、関係各省さらに地方公共団体、そういうものが調整して、先生の今の御質問にこたえたい、このように考えております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 建設省はいかがでしょうか。

日野峻栄建設省河川局治水課長

○日野説明員 御説明申し上げます。  一関遊水地に係ります文化財発掘調査は、現在財団法人岩手県文化振興事業団、それから平泉町の教育委員会にお願いをいたしまして、昭和六十三年度より行っておりまして、平成五年度まで調査をいたしまして、平成六年度に調査報告書が出される予定になっております。  建設省といたしましては、引き続き文化財発掘調査の進捗を見守りまして、その最終結果を踏まえまして、適切に対処をいたしたいというふうに考えております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 この問題の最後に、文化庁に一つと、再度建設省に一つただしまして締めくくらせていただきます。  文化庁に対しては、平泉の既にもう明らかになっている史跡がございますね、無量光院だとか金色堂とか。そういったものも含めて、平泉の既に明らかになっている史跡を含めたあの地域全体の遺跡群として、これを総体的に保護し、あるいは発掘をする。そして、あの地域の地域づくり、全体としての史跡の町、史跡の地域としての構想に向けて努力をしていただきたい。その過程では、調査の促進ということもありますし、史跡としての指定をお願いすることも出てくるだろうし、あるいは古都法を適用する形でのあそこの地域の保存というふうなことも出てくるかもしれない。それは仮定の問題ですから、こうやりますと答えが出てこないと思いますけれども、いずれにしても、平泉の既に明らかになっている史跡を含めたこの地全体の遺跡群としての保護、平泉の地域の地域づくりというものに心と力を注いでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

遠山敦子文化庁次長

○遠山(敦)政府委員 現在発掘調査が進行しております。現時点で最終的なことを申し上げられないことは先生もおっしゃっているとおりでございますが、現在把握されております遺跡が藤原氏の居館といいますか、住んでいた跡ということであれば、奥州藤原文化の中心をなす大変価値のあるものであろうかと思われます。これはやはり全体の調査結果を待って、それについて考え、さらには、それ及び既に指定をしておりますものとの関連につきましても、またその段階で全体をとらえて考えてまいりたいと思います。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 ぜひそういう方向で御努力をお願いしたいということになるわけであります。  私は、日本の歴史の中での東とか西あるいは地方、地域ということにかなりこだわった発言をしてまいりました。これは、今の日本の価値観というものが、ただ単なる人口とか経済力の集中だけではなくて、一極集中的な要素が価値観の上にも及んでいるということを私は見逃し得ないのではないかという気がするわけです。  どういうことかといいますと、文教委員会ですから子供たちを例にとりますと、学校を卒業します。地元に残る、残らない。同じ学校でも、東京に行く、行かないということの論議の中で、東京へという東京志向が非常に強いのです。そして、ここに住んでおられる方と、こっちから出てくる場合とでは学費もかなり違いますね。あるいは就職にしても、立派な職業があるのだが、なかなかそっちには向かないでこっちを向く。そして文化にしても、都市型、消費型、マスプロ型の文化というのが今大体主流をなしていますね。ましてや若者にとってはそうです。そういった中で、農業をやろう、水産業をやろう、林業をやろうという自然を相手にした文化本来の土壌である自然というものに対しての価値観が非常に薄れてきておる。こういう価値観の偏りというものを私は指摘したいが余りに、東とか西とか中央とか地方ということにこだわってきたわけです。  例えば、若者の気持ちをあらわす歌、少し古くなりましたが、「ぼくの恋人東京へ行っちっち」とか、トンビに対して「そこから東京が見えるかい」と呼びかけるという、これがいわゆる流行語になり、そして「北へ帰る人の群れは誰も無口で海鳴りだけを聞いている私も一人」というふうな津軽海峡冬景色、「帰ろうかな帰るのよそうかな」という逡巡が、そういうのが今の若者の行動なり気持ちを左右している、価値観に投影しているわけです。したがって、国会移転とか遷都のお話というのは、私は物理空間的な問題もあるけれども、日本全体の価値観あるいは歴史観というふうなもののバランスを考えるという立場もとりたい、そういうことからかなりこだわったわけであります。  そういう願いも込めて、この柳之御所の取り組みについては、文部省、文化庁の特段の御努力をお願いしたいと思います。  最後に、建設省さん、私も実は水害の体験者なのですよ。アイオン、カスリン、うちの中まで来まして、水害というのは本当につらいものです。ただ、その後岩手では五大ダムができたり、それからあそこの地区からいえば、磐井川にもう一つダムができたらどうかなという考えもあるわけです。それから、ダム整備と関連して、アイオン、カスリンまでの水位というものを予定した工事というものを、それをそのままでいくのかどうかという時間的な経過の中での検討も出てくるかもしれない。そういったことも含めまして、さっきお答えになったように、両立を願うそのプロセスにおいて、ここがこうなるなとかあるいは今さしあたりは柳之御所までいかない、二十三メートルレベルの暫定堤防を築けば当面の対策になるのではないかなということを実は現地で盛岡工事事務所長さんとも話し合ってきたのですけれども、そういったことも含めて、いろいろな今後に向けての御検討をお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。

日野峻栄建設省河川局治水課長

○日野説明員 御説明申し上げます。  先生御指摘の暫定的な堤防の件でございますが、御案内のとおり、戦後第三位の五十六年の八月の洪水の高さで、今全体的に第一段階としてやっているわけでございますが、これが平成三年の出水期までに大体でき上がりますので、何とかこの水位まででしたら大丈夫なようになる予定でございます。しかし、今後はやはりアイオン、カスリン等、だんだんと計画的に上げていかないといけませんので、その節はまたいずれこの文化財の問題が出てこようかと思いますが、とりあえず暫定的な安全性はこの出水期までに保たれるようにする予定にしております。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 この問題については調査が終わっていない現時点でございますから、これ以上の論議あるいは答弁はちょっと難しいかと思いますが、繰り返すようですけれども、これは極めて重要な事柄が二つぶつかっている。しかし、それを二者択一ということじゃなくて、ぜひ国の力、総合的な判断、必要があれば財政を投入するというくらいの気構えで、両大臣に頑張っていただきたいということを要望して、この部分を終わりたいと思います。  残された時間があと数分ということですが、大臣、非常に残念ながら大学の汚職の問題に触れざるを得ません。こういうことで質問を閉じるのは私も不本意なんですけれども、振り返ってみますと、過去十年間という範囲内だけでも、一九八一年の東京芸大、バイオリンの事件がありましたね。芸大の教授による問題が起きました。それから、文化庁の名前が出てきて恐縮なんですけれども、一九八二年に文化庁の職員についての事件が起きています。一九八三年には防衛医大の——時間が終わったようですから、国立東京医科歯科大学、大阪大学、そして千葉大学、その都度今後はということのコメントがあるわけですが、こうして続いてきますと、やはりどこかに何か欠陥があるのだろうと思います。ひとつきちんとメスを入れまして、文字どおり今後こういう不祥事が二度と起こらないようにお願いしたい、そのことをひとつお聞きして終わりたいと思います。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 先ほども御答弁で申し上げましたように、信頼を裏切って国民の皆さんに大変申しわけない、遺憾である、このように思います。  今お話しのように、機器購入問題をめぐって、あるいはまた大学の教授の、過去の医科歯科問題、こういうときに適正に、厳正に対処しているわけでございますが、こういう事件が起きて大変申しわけございません。より一層、今司直が入っておりますので、これに対応いたしまして粛正をしてまいりたい、厳正にひとつ対応いたしたい、このように考えます。

沢藤礼次郎日本社会党・護憲共同

○沢藤委員 時間が来ました。終わります。

臼井日出男自由民主党

○臼井委員長 次に、宇都宮真由美君。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 宇都宮真由美でございます。よろしくお願いいたします。  まず、大臣にお伺いしたいのですけれども、大臣は学校というもの、特に小学校、中学校が子供たちにとって楽しく毎朝喜んで行くべきところであるか、それとも学校というのは勉強する、勉強だけじゃないですけれども、勉強が主な、大きな比重を占めるわけですから、勉強というのは人間にとってそれほど楽しいものではない。そういう意味で、将来立派な大人になるために、社会で活動するために仕方なく勉強する、そういうために行くところである。それともまた別のお考えを大臣としてお持ちでしょうか。まずその点をお聞かせください。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 大変これは難しい問題だと思いますが、私自身のことを申し上げますと、もう私は学校へ行くうち本当に楽しく行った日もあります。また行きたくなかった日もあります。しかし、やはり全体を通して学校へ行くというのは楽しいことだということで、それはなぜかというと、やはり立派な先生にお会いしていろいろなお話も、また教育も受けられる、またいい友だちにもめぐり会える、そういうことで九〇%以上は楽しく学校へ通わしていただきました。ゆえに、実は今そういう中で子供たちもぜひそういうことであってほしいなという希望も抱いております。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 大臣としては楽しい学校を理想としていらっしゃるということだろうと思いまして、そういうお答えをいただきまして本当に安心いたしました。もし別の方のお答えをいただいたらどうしようと内心思っておりました。  それで、そうしましたら、続いてもう一つ。大臣としては、文部省からあるいは一般の方からいろいろ情報がお入りになると思うのですけれども、そういうものを総合いたしまして、今の学校はどうであるとお考えでございましょうか。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 今私申し上げましたように、これはやはり学校に楽しく行きたいということには、学校教育、先生の、教員の資質の向上あるいはまた学校がすべて教育に完備した学校でありたい。さらにまた、お母さんも社会教育、そしてまた家庭教育、学校教育、そういうものは今整いつつある。一〇〇%とは言えません。しかし現在の教育がやはり私は、これは一〇〇%と言われませんが、長い間私どもの先輩がこの教育に対して熱心にやっていただいた、特に世界の中で日本ほど教育に熱心なところはないと思いますし、また先生方初め一生懸命この教育のためにやっていただいておりますので、今の教育に全体としては私は満足をいたしております。しかし、やはり改革をしなければならない点も多々あろうと思いますので、そういう意味におきましていろいろ各審議会に今諮問してお願いをしているところであります。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 では、きょうのテーマであります登校拒否について私はお尋ねしたいと思います。  まず、平成元年度の登校拒否児童生徒が小学校で七千百七十八人、中学校では四万八十人ですか。パーセントにしまして小学校の方では全児童数に比較しまして〇・〇七%、中学校の方では〇・七一%ということなんですけれども、この数字、人数並びにパーセンテージ、この数字を見まして、文部省の方ではどういうふうな感想といいますか認識といいますかをお持ちでございましょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、中学校は四万人を超えております。それから小学校は七千人を超えております。全体で四万七千人という数でございますし、これは実は子供の全体の数は年々減っているのでございますが、この登校拒否児は実は年々ふえている。率は今御指摘になりましたように、一見低いようでございますけれども、その子供たち一人一人にとってはかけがえのない教育の機会なわけでございますので、その生涯における重要な教育の機会が、たとえ一人でも学校に行きたくても行けないような子供があるとすれば、それはやはり問題ではないか。ですから私どもは、この率というよりは、その子供一人一人にとってかけがえのない教育の機会というものをどうやって回復してやろうか、そこがやはり重要な点ではないかというふうに認識をいたしております。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 私は正直申しまして、いろいろ新聞、テレビ等のマスコミ、あるいは私の身の周りといいますか、身近なお母さん方の声をずっと聞いておりましたのと比べますと、この数字は低い、思っていたよりは少ない、そういう感想を持っております。  それで、その登校拒否児童生徒の定義なんですけれども、この定義は学校嫌いが理由で年間五十日以上休んだ児童生徒である、これはそのとおりなんでございましょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 登校拒否の調査を私どもが学校基本調査の一環としてやっております。これは随分前からやっているわけですが、そのときの調査項目は「学校ぎらい」という項目で、欠席理由の一つとして「学校ぎらい」というのを挙げて調査をしているわけでございます。欠席理由につきましては、もちろんこの「学校ぎらい」のほかに「経済的理由」とか「病気」とかいろいろあるわけでございまして、そういう調査もしているわけでございますが、「学校ぎらい」の欄につきましては、心理的な理由などから登校を嫌って長期欠席をした者の数を記入するということになっておりまして、この場合五十日以上欠席した児童生徒を対象に調査をしているわけでございます。したがいまして、一応五十日という線で昔から実は調査をしているものでございますから、これを継続しているわけでございますが、五十日以上が必ずしも登校拒否ではないわけでございまして、五十日以下でもいろいろ複雑な問題を抱えて学校に行けない子供がいるわけでございます。ですから、そうしたものも背景にあるということを考えますと、この登校拒否児の問題というのはかなり大きな課題であるというふうに私どもは受けとめているのでございます。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 私も確かに、五十日で切っていますから、この数字にはあらわれない登校拒否児童生徒というのが数多く存在しているのじゃないかと思ってお聞きしているわけなんですけれども、先ほど申し上げましたが、小学校で七千百七十八人、中学校で四万八十人というのは、やはり五十日以上学校嫌いが理由で休んだ児童生徒ということになるわけですね。  それで、ちょっとこれは細かなことなんですけれども、その学校嫌いで五十日以上休んだ子供の数とこの登校拒否児童生徒の数が少し違うのです。それは学校嫌いで五十日以上休んだ子供というのは平成元年度で七千百七十九人、一人なんですけれども違うのですね。中学校で四万八十七人、これは七人違うのですけれども、これはどういう理由に基づくのでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 学校基本調査は中間的に速報値を出します。それで最終的に確定値を出すわけでございますが、その速報値と確定値の差でございます。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 では、本質的な違いというのはないわけですね。  そうしますと、この五十日で切った、五十日以上としたことについては、特に合理的な理由というのは、何か昔からそうしていたということなんですけれども、ないと考えていいわけなんでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 この調査は昭和四十一年からやっておりますので、その当時どういう理由であったかというのは必ずしも明らかではないのでございますが、一応小中学校の各教科などの年間の授業日数が二百十日でございます。五十日はおおむねその四分の一に相当しておりまして、この四分の一を上回る欠席がある場合には、やはり小中学校の授業としましては、学習指導上いろいろ問題があるということから、一応その四分の一をめどに五十日という数字を掲げたものというふうに私どもは理解しております。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 確かにこういう調査をする場合には、どこかで基準点というのを設けなくてはならないということはわかるのですけれども、そうしますと、例えばこの五十日を、極端な場合四十九日とした場合あるいは四十八日とした場合あるいは四十日、三十日とした場合には、この数字あるいはパーセントがどれだけ変わってくるか、そういうふうな調査はなさっていますでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 実は、まことに申しわけないのでございますけれども、この五十日でずっと昭和四十年代から調査をしておりまして、それじゃ五十日を下回る者についてはどういう状況なのかということにつきましては、全国的な調査がないわけでございます。  そこで、この登校拒否の問題がいろいろ大きな課題になってきておりますので、私どもとしましては、この五十日未満の者につきましても、ある程度の実態は把握したいということで、ただ全国的な調査というのは、学校基本調査はもう既にずっと確定しておりますので、なかなか難しいわけでございます。そこで、全国の六つの県を抽出いたしまして、欠席日数が五十日を下回る者についてどういう状況にあるかということをサンプリング調査したいということで、目下千葉大学の教育学部の先生にお願いをいたしまして研究をしているところでございます。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 では、今のところでは全国でどのくらい数字が変わってくるかということは把握なさってないということでございますか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 把握いたしておりません。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 ただ、この五十日というものに何か合理的な切る理由があるのであれば、五十日以上を調べて登校拒否、そういう数字を出してもいいかと思うのですけれども、特に合理的な根拠がない以上、実質的に考えまして五十日と四十九日とでは本質的な差はないと思うのですよ。そういう意味で、五十日というものに余り合理的な基準がない以上、その周辺部を把握しておかなければ、本当の意味での登校拒否児童生徒をどうするか、そういうふうな政策はできないのじゃないかと思うのですけれども、この点いかがでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 学校基本調査は全国的な調査でございますし、当時、始まりました四十年代には、こうした登校拒否の問題は極めてレアケースとして、学校恐怖症、スクールホビアと英語で言っておりますが、そういう外国の一つの状況から日本に学校恐怖症というような訳語が出て始まったというようなことがございました。当時の状況とは違っているわけでございますが、ただ、じゃ何日で調査をするかというのは、やはりこう刻んできますと切りがなくなるわけでございます。しかし、まさに五十日と四十九日ではどう違いがあるのかというのは御指摘のとおりだろうと思います。  したがいまして、先ほど申し上げましたように、私どもとしましては、五十日以下の欠席をする子供たちの状況がどういう傾向にあるのか、そして、それはどういう問題点を持っているのかというようなことにつきましては、もう少しきわめて、研究をしてまいりたいというふうに考えて、調査研究を大学の先生にお願いをしているところでございます。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 ぜひ調査研究をしていただきたいと思います。私たちの周りで、うちの子が学校に行かなくて困るとか、登校拒否なんだ、そういうふうな言葉を聞く場合には、五十日で切っては、お母さん方の気持ちとしては、五十日以下であろうと以上であろうと多分気持ちの上ではさほど差はないと思うのですよ。そういう声が聞こえてきますので、私など、この〇・〇七%あるいは中学校で〇・七一%、ちょっと低いような、そういう感じを持ちました。  それから、ちょっと離れるかもしれないのですけれども、児童生徒が一年間に何日くらい学校を休むかという調査で、何日くらいまでが多くて何日後になるとぐっと少なくなるとか、そういう欠席日数の生徒の分布といいますか、そういうのは大体どういうふうになっているのでしょうか。もしできればお願いいたします。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 学校基本調査では、先ほど申し上げましたように、長期欠席の場合、「病気」それから「経済的理由」「学校ぎらい」「その他」ということで調査をいたしておりまして、その学校嫌いを理由に、ないしは病気、経済的理由でもいいのでございますが、欠席している場合に、何日が何名、何日が何名という全体の状況の詳細を調査するということはいたしておりません。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 しかし、例えばこの登校拒否児童生徒に対する政策等を考える場合に、ある意味では調査の必要があるのじゃないかという気がするのですけれども、その点どうでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 具体的にいろいろ対策をとります市町村レベルないしは都道府県レベルでは、そうしたきめの細かい調査をしているところもあるというふうに承知しておりますが、全国的にこれをしたかと言われますと、先ほど来答弁しておりますように、実はしていないわけでございまして、そういう全体的な状況の把握をした方がそれはよりいい、きめの細かい対応ができるではないかという御指摘であれば、それはそのとおりであろうと思います。  先ほど申し上げましたように、登校拒否の実態につきましては、五十日以下の分につきましても、いろいろ調査研究をお願いしておりますが、単に以下の問題だけではなくて、登校拒否全体につきまして、その五十日以下の欠席者の分も含めて、先ほどの六県につきましてのサンプリング調査をお願いしているわけでございまして、その調査結果、研究結果を見まして、私どももまた次の施策を進めていきたいと考えております。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 登校拒否児童生徒の条件といいますか、定義づけの一つの条件になります日数の点はこれでおきまして、もう一つの欠席の理由が多分学校嫌いということだと思うのです。これはちょっと離れるのですけれども、調査は「病気」と「経済的理由」と「学校ぎらい」、そして「その他」、そういう区分に分けられているのですけれども、一応病気というのはわかるのですが、経済的理由で学校を長期欠席するというのはどういう状況なんでしょうか。ちょっと登校拒否とは離れるのですけれども。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 今日ではかなりそういう状況はないと思いますが、昭和四十年代、これはかなり前から、四十年代の前から調査があるわけでございまして、経済的な理由によって学校に出席できないという場合も全国的に見ればまだあるのではないかということで調査をしておりまして、それらの調査に基づきまして、就学奨励事業とか育英事業とかの施策に資するということでいろいろ調査をしているわけでございます。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 経済的理由で年間に五十日以上休んだ生徒とするのが、小学校の方では昭和六十三年、平成元年とも百二名ですか、中学校の方では昭和六十三年度は五百九名、平成元年度は六百三十六名という数字が出ているのですが、教科書は一応無料ですし、その他PTA会費とか給食費等を免除する、そういう制度もあると思うのですけれども、にもかかわらず経済的理由で学校に行けないというのはどういう状況が考えられるわけでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 一番典型的に考えられますのは、サラ金ローンで親が蒸発といいますか夜逃げといいますかしてしまうような場合が一番典型的な例であろうと思います。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 今の夜逃げして行けないというのは、夜逃げして、その場所を離れてしまって学校に行けなくなるというのは一応経済的理由になるのかもしれませんけれども、少なくともこの日本は、ほかの面ではわかりませんけれども、経済的、物質的な点では豊かになったと言われておりますので、この経済的理由で学校に行けないという子どもたちは、少なくともここの数字はゼロにするようにいろいろ政策等考えていただきたいと思います。  それから、「その他」という部分が、これも結構かなりの数字を占めているのですけれども、このその他というのはどういう理由が考えられるのでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 まことに申しわけございませんが、今ちょっと事情を承知しておりません。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 欠席の理由を調査する場合には、調査するのはやはりその教えている担任なりの先生が調査するわけなのでしょうかね。そして調査する相手というのは児童生徒本人ということになるのでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 これは学校基本調査でございますので、全学校、悉皆調査をしております。やり方としましては、文部省から都道府県の教育委員会、都道府県の教育委員会から市町村の教育委員会、さらに学校という形で調査票をお送りいたしまして、そこで記入していただいて、また同じ方法で戻してくる、そして集計するということでございます。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 欠席の理由というのを学校嫌いというのは、本人に聞いて、本人が学校が嫌いだから行かないのだといった場合がこの「学校ぎらい」のところに入っているのか、それともほかに、例えば先生の方が、病気ではないし欠席する特別な理由もないということで「学校ぎらい」というところに入れているのか、そのあたりはどういうふうなんでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 これは学校の先生が日常的に子供を観察をし指導しているわけでございますので、子供の欠席の理由というのは教師が大体わかるわけでございます。したがいまして、もし不明な場合は、もちろん本人ないし親に照会をするということはあり得ましょうけれども、実際は、日常的に継続的に指導しておりましたら、子供の欠席の理由というのはわかると思います。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 学校に行かない理由が学校が嫌いかどうかというのは、これは一応児童生徒本人が判断するところじゃないかと思うのですよね、原則的には。私が思うのは、その点と、あるいは「その他」の部分に、嫌いということをどういう形で子供に聞くのかわかりませんけれども、例えば学校は好きか嫌いかと先生が聞いた場合には、ひょっとしたら子供だったら学校が嫌いとは担任の先生に言いにくいかもしれない。そういう意味で、「その他」と「学校ぎらい」、この人数が分かれているのですけれども、はっきりと分けられるのかどうかというところにちょっと疑問を持っているのですけれども、そのあたりいかがでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 「学校ぎらい」となっておりますので、現時点に立って考えてみますと、言葉が適切であるかどうかということは問題としては残るかもしれません。しかし、この調査を始めましたときから、この「学校ぎらい」の定義としましては、心理的な理由などから登校を嫌って長期欠席した者というわけでございまして、本人の心理的ないしは情緒的な原因により学校に来れない、ないしは行きたいと思っても行けないという一つの状況がこの登校拒否児にはあるわけでございますので、それは教師として日常的にずっと指導しておりましたならば、その辺は十分把握できるものというふうに思います。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 これだけ社会問題化しています登校拒否に対する対策として考える場合に、人数を把握するのであれば、むしろ「病気」「経済的理由」あるいは「その他特に学校を休む理由」を設けて、特にそういう理由がないのに休むという数を把握して、そして、それに対する対応を考えた方がいいんじゃないかと素人なりに思うのですけれども、このあたりはいかがでございましょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 「学校ぎらい」という欄には、先ほど申し上げましたような理由で担当の、まあ日常的に指導している教師が見て判定をして記入をするわけでございますが、もちろん「その他」の欄に登校拒否的な傾向を持つ子供が入っているかもしれませんし、それはここに挙げました数字だけではなくて、もう少し大きな問題というふうに考えております。先ほど来も、繰り返しになりますけれども、五十日以下で休んでいる子供たち、これは恐らくこの数字の数倍あるだろうと言われているわけでございまして、そうしたものも含めまして、私どもは登校拒否対策というものを考えているわけでございますので、「その他」の欄に計上しているもので、もしそういうものがあるならば、当然それも対象にして私どもとしては施策を考えるべきものであるというふうに思います。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 ぜひそうしていただきたいと思います。  それから、私現場の人間じゃないもので、現場の先生方の声といいますか意見といいますか、そういうのをお聞きしたかったと思っているのですけれども、まだそれをしてないのですけれども、この数字をどのように考えるとか、そういうこともお聞きしたかったのですけれども、例えば子供たちが理由もないのに一週間なり十日なり休んだ場合、そこで先生方としては、多分この登校拒否児童生徒に対すると同じように、家庭訪問とかあるいは電話をかけたりとか、そういうことをなさっていると思うのですけれども、そういう先生方の対応について、文部省の方で何らかの指導というか、そういう基準というのはあるのですか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 これは、小中学校につきましては就学義務がございますので、学校教育法の施行令によりまして、一週間以上子供たちが欠席をした場合には、学校長は教育委員会に届けを出すということになってございます。したがいまして、たとえ一日でありましても欠席すれば、担当の教師としては当然気になる話でございまして、その理由等につきましては把握するものと思われますけれども、少なくとも一週間以上にわたって欠席をする子供たちに対しましては、学校長はもちろんその理由等につきまして把握いたしますし、そして、その結果につきましては、教育委員会等に報告をする。そういう形で、これは就学義務の履行に関します一つの行政的なシステムとして行っているわけでございますが、この登校拒否の子供につきましては、まさにそれが長期にわたるわけでございますので、当然法令等に基づきましても対応するということになっております。もちろん、これは法令にあるからそうするという問題でない側面も当然あるわけでございまして、学校教育として子供たち一人一人に充実した教育を施すという観点から見ましても、これは法令のあるなしにかかわらず、長期に欠席する子供たちに対しましては、当然教師、学校としては必要な調査をし、実態を把握して指導するということになるわけでございます。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 それからあと一つは、文部省の方で、こういう登校拒否児童生徒につきまして、問題行動調査というのですか、それで分析を行っているということなんですけれども、そこで分類されます登校拒否の分類から、平成元年度から情緒障害など神経的拒否を除く。だから、登校拒否児童生徒の中に情緒障害など神経的な理由によって登校しない子供を登校拒否のところから除いて、それは病気の方に入れるということなんですけれども、それはどういう考え方に基づくものなのか、そして、そうしたことによって数値がどの程度変わってくるでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 今の御指摘がちょっとわからないのでございますが、不安などの情緒的混乱に基づくものも登校拒否の中に含めて調査をしているのでございますけれども……。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 済みません、ちょっと聞こえなかったのですけれども、もう一度お願いします。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 情緒的混乱などを理由にする場合も登校拒否の中に含めて調査をいたしております。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 今もそうでしょうか。(菱村政府委員「はい」と呼ぶ)ちょっと日本教育新聞、平成元年十月二十一日の新聞なんですけれども、それによりますと「文部省は基本的に「登校拒否は病気ではない」という立場を取っており、情緒障害などによる”登校拒否”は病気による長期欠席として扱う」というふうな記事が出ているのです。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 先生の御指摘の新聞記事の内容が私どものやっていることとちょっと違うような気がいたしますが……。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 では、昭和六十三年までの登校拒否の分類と平成元年度の分類とでは、調査の方法等につきましては変わっていないということなんでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 平成元年から調査の内容は変えております。変えておりますが、元年の調査でも「不安など情緒的混乱の型」というものを調査対象に入れております。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 多分「学校ぎらい」というところで大きく登校拒否をくくって、そして、その理由というか原因というか、そういうのでいろいろ分けていると思うのですよ、その問題行動調査というので。その中の情緒的な混乱によって登校しない神経症的な拒否の型というのをのけてしまうということじゃないかと思っていたのですけれども、そういうことはないんですか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 平成元年度の調査では、登校拒否の態様といたしまして区分いたしておりますのは、「学校生活に起因する型」「遊び・非行型」「無気力型」「不安など情緒的混乱の型」「意図的な拒否の型」「複合型」「その他」というふうに分けておりまして、この分類につきましては、前と若干変えておりますけれども、「不安など情緒的混乱の型」につきましては従来どおり入れているわけでございます。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 わかりました。  では次に、登校拒否児童なんですけれども、この子供たちの進級あるいは小学校、中学校の卒業はどのようになっているんでしょうか。進級、卒業の認定というのは、平素の児童の成績を評価して、これを定めるということなんで、校長の裁量ということなんですけれども、登校拒否の生徒たちの進級、卒業というのはどういうふうな状況でしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 子供たちの課程の修了の認定等につきましては、ただいま先生の御指摘がありましたように、平素の成績を考慮して校長が最終的には認定するわけでございますが、この場合に、どの程度欠席をすると卒業ないしは進級が認められのか認められないのかという問題はもちろんございます。従来の行政実例等ではおよそ半分程度というのが一つの目安ということになっておりますけれども、しかし、これはあくまでも学校長が子供たちの学習状況の実態に応じて判断すべきことでございますので、私どもとしましては、これは学校長の判断にお任せをしたいというふうに考えております。  そこで、実際上どのように認定をしているかということになりますと、私どもは、そのすべてについて調査をしたということはございませんので、実態の詳細はわかりません。ただ、先ほど申し上げましたように、およそ登校日数が年間の半分程度をめどに認定をしている場合が多いのではないかというふうに思います。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 いわゆる登校拒否と言われている子供たちが進級しているか卒業しているか等につきましては、調査はなさったことはないんでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 進級、卒業につきます調査はいたしておりません。  それから、先ほどの認定の方法なのでございますが、私どもでは、この登校拒否につきます指導書を文部省で出しておりまして、それには「学校において進級や卒業の認定を行うに当たっては、出席日数のみで機械的、形式的に判断するのではなく、その生徒の履修の状況や指導の経過、心身の発達の状況などを考慮して総合的に判断しなければならない。」というふうに示しております。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 登校拒否の生徒たちも、三分の一くらいは直って復学をしているということなんですけれども、そうなりますと、残りの三分の二くらいは登校拒否が続いてしまって、そのまま進級の時期とか卒業の時期とかを迎えてしまうことになると思うのですが、そういうふうなことを繰り返して、例えば中学校を卒業してしまったら、文部省としてはもうどうしようもないということになるんでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 これは、卒業の認定等はもちろん学校長が行うわけでございますので、学校長等がそういう認定をすれば、それはもちろん有効であるということでございます。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 これも今問題になっています高校の中退とかにもかかわってくるんじゃないかと思うのです。もちろん高校中退者がすべて登校拒否であるわけではないのですけれども、一部分重なり合う部分があると思うのです。学校嫌いの生徒たちが中学校を卒業してどうしているか、高校に行ってそこで適応できているかとか、あるいは就職してそこで適応できているか、どこにも行かないでどうなっているかという調査、そういうのは文部省としてはなさらないのでしょうか。もしすれば登校拒否に対する政策上何らかの資料になるんじゃないかと思うのですけれども、それはなさっていないのですか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 登校拒否児のその後の経過と申しますか、フォローアップ等の調査はいたしておりません。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 それは文部省の管轄では全くないということなんですか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 もちろん文部省の管轄でないなどということはないわけでございまして、これはやるとすれば、当然私どもで行うべきことであろうと思います。とりわけ中学生の登校拒否につきましては、その後どういう経緯をたどるかということは、もちろん私どもとしても関心があるわけでございますけれども、現在のところそうした調査はまだしていないということでございます。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 では、調査の必要性がないと判断なさっているわけじゃないのですね。それにもかかわらずなさらないということは、どういう理由に基づくのでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 私どもとしましては、そういう調査をいたしておりませんが、先ほど申し上げました学者に依頼をしております調査の中で、ケーススタディー的にそういう問題も取り扱っていただけるものというふうに期待しております。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 先ほどからいろいろ学者の方に調査をお願いしている、その一つになるんじゃないかと思うのですけれども、登校拒否がこれだけ社会問題になりまして、平成元年七月ですか、学校不適応対策調査研究協力者会議、こういうのを文部省としては発足させましたね。それで、これが昨年の十一月ですか、中間報告を出されたと思うのですけれども、その中で、登校拒否というのは特別の子供に限って起こるものではない、登校拒否の原因というのは、その子供の性格傾向あるいは家族状況とか家庭環境あるいは学校、社会、いろいろな要素が絡んで登校拒否が起こると言われていまして、特に登校拒否はどの子にも起こり得るものである、そういう指摘がこの中間報告でなされたのです。このことは、要するに、登校拒否の原因となる要素のうち、どの子にも起こるということは、特にその子の性格傾向とかが特別であるとか家族環境が特別であるとか、そういう要素ではなくて、むしろ学校全体あるいは社会、そういう要素が登校拒否の原因の大きな比重としてあるんだということが指摘された、そういうことになるんじゃないかと思うのですけれども、この点につきまして文部省の方ではどのようにお考えでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 先生御指摘のように、私どもでこの登校拒否の調査をします協力者会議を設けておりまして、昨年末中間的な報告を出していただきました。その中で、登校拒否問題への対応の視点といたしまして、まず第一に、この登校拒否はどの子供にも起こり得るものであるということを示したわけでございます。これは従来の考え方からいいますと新しい視点と言えると思うわけでございます。といいますのは、従来は、とかくこの登校拒否の問題は、その子供本人の性格傾向ないしはその性格傾向を持つ家庭に問題があるのじゃないかというとらえ方が一般的であったわけでございます。これは教育界がそうであるというよりか、いろいろな分野でそういうことに理由があるのではないかと言われていたわけでございますが、協力者会議でいろいろ調べていきまして議論をしておりますうちに、やはりどの子供にも起こり得るものだ、そういう観点でこの問題をとらえていくことが必要であるというふうな全体的な意見になったのであります。  ですから、登校拒否の実態を見ますといろいろある。月曜日に休みがちな子供もあるし、飛び飛びに休む子供もいるし、夏休みなどの休み明けに休む子もいるし、特定の教科の授業のある日に休む子もいるし、それから五十日と言わないでも、学校を欠席しがちな子もいるし、遅刻を繰り返す子もいるし、いろいろな子供がいる。そして、その理由としましても、学業が思わしくないとか友人関係がうまくいかないとか学校生活にプレッシャーを感じているとかいろいろあるわけでございまして、この子供たちがある程度共通して潜在的に持っている学校に行きたくないという意識、そういうものもやはり考えなければいけないという観点から登校拒否の子供たちを見て、そして、とりわけ学校では予防的な観点からこの問題に取り組む必要があるということを指摘したのでございます。  したがいまして、もちろん本人にも問題がある場合もありましょうし家庭に問題のある場合もありましょうけれども、単にそれだけではなくて、学校生活あるいは社会、いろいろなものが複合的にかかわっている場合がございますし、とりわけ最近の調査では、学校生活に起因して登校拒否を起こす場合も相当あるわけでございますので、私どもはいわばどの子供にも起こり得るという視点から、この問題に学校が取り組んでいただきたい、そしてなるべく早期の予防的な措置もとっていただきたいということを指導しているわけでございます。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 結局、そういうふうに子供とか家庭とか特別の先生とか、そういう特別な条件によって起こるのではなくて、むしろ学校制度全体あるいは社会制度、社会のシステム全体がこの登校拒否に対して一つの原因になっている、そういう指摘だと思うのです。こういう指摘がされたことによりまして、これは中間の報告ではございますけれども、多分今までしてきた対応とは異なった指摘がなされたと思うのです。それによりまして、文部省としましては、どのように対応あるいは都道府県に対する、学校に対する指導を変えていかれるおつもりか、そのあたりをお聞きしたいのです。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 どの子供にも起こるという立場から考えますと、学校としましては、やはり登校拒否の予防的な対応を図る必要があります。そして、この予防的な対応を図るためには、子供たちの、真の児童生徒の理解というものが大切でございますし、その児童生徒の理解に立った指導を展開していくことが重要になろうかと思います。  具体的には、集団生活に適応する力を身につけさせる。ですから、学級活動などをもう少し活性化し工夫をしていく。さらには子供たち一人一人の個に応じた指導というものが求められる。そういうことでは学習指導方法の工夫、改善ということも必要であろうと思います。さらに児童生徒の立場に立った教育相談というものも学校でもう少し充実する必要がございましょうし、先ほど来先生も御指摘になっております家庭とか地域社会、そういうものと学校との連携というようなことも重要になるということでございます。  そうした今申し上げましたような諸点につきまして、学校の取り組みを促しているところでございます。特に登校拒否の前兆といいますか、そこに陥るまでにいろいろな前兆があろうかと存じますが、そうしたものに気をつけて取り組むということが必要であろうというふうに思います。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 それで、登校拒否の原因として学業の不振ということが大きな、多分一番じゃなかったかどうかわかりませんけれども、学業不振というのが一つの大きな原因になっていると思うのです。この点を考えてみましても、結局今の学校制度自体に問題があるとすれば、そして、しかも大きな理由が学業不振であるということを考えますと、今子供たちに教えている内容が難し過ぎるのではないか。あるいは進むスピードが速くて、一日休めばもうついていけなくなる。ましてや一週間も休めば全く授業がわからなくなってしまう。そういうふうなところにもと、まあこれも素人ですけれども思うのですけれども、その授業内容等につきましては、文部省の方ではどのようにお考えなのでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 学業不振を原因とします登校拒否ももちろんございます。これは数字で申し上げますと一五・九%でございますが、そのほかに学校生活での影響が直接のきっかけになったものとしましては、友達との関係をめぐるいろいろなトラブルが原因の場合、これが一五・二%、それから教師との人間関係と申しますか、教師との関係をめぐって登校拒否に陥っている例が一・八%、そのほかクラブ活動とか部活動へ不適応を起こしているものが一・五%、さらには学校の決まり等校則などをめぐる問題として、それが理由になっているのが三・一%、さらには入学とか転編入学、進級のときの不適応が四・四%とさまざまでございます。  ただ、これは先生も御指摘になりましたように、学業の不振を理由にするものが一五・九%、数字としてあるわけでございますので、その学業の問題につきましては、教育内容の精選ということは当然重要なことになるわけでございます。登校拒否だけというわけではございませんけれども、私どもも昭和五十年代の指導要領の改訂、さらには今回の、昭和六十年代の改訂におきまして、教育内容の精選ということには特に力を尽くしてきたわけでございます。学校の授業を子供たちにとってわかりやすい授業にする、そして子供たちが学校に行くことが、先ほど楽しいというお話がございましたが、楽しくなる、自己実現ができる、充実感を持つ、そういう場になるように今後とも力を尽くしていかなければならないと考えております。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 学校の教科といいますか授業の内容ということが、教えるものの内容ということがいわゆる登校拒否と無関係ではないと私は思っていますので、そのあたりも十分に御検討いただきたいと思います。  それからもう一つは、登校拒否を直すといいますか、学校の先生の家庭訪問等あるのですけれども、その中に、子供たちはいわゆる養護の先生、保健の先生のところに行って相談するとか、そういうこともよく聞くのです。そういうことは、結局今の先生と子供の関係が、子供の学力を先生は評価する、自分たちは評価の対象であって先生が評価をするんだ、養護の先生はそういう関係ではない、だからこそ養護の先生のところに行って相談したりするんだ、そういうふうなことが指摘されている部分もあるのですけれども、そういう学校の先生と生徒との関係については、文部省の方ではどういうふうにお考えでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 おっしゃるように、確かに今のこの受験過熱の中で子供たちがそうした学校における教科の評価を通じて心的な抑圧を受けているということはあろうと思います。これは今回の中央教育審議会の審議経過報告でもいろいろ問題にしているところでございますが、私どもはそうした子供たちの心的抑圧というものを取り除いてやるということは重要なことであろうと思います。学校教育におきまして一番重要なのは、先生と生徒の信頼関係でございます。これは私どもも学習指導要領の総則の中にも、そのことの重要性を指摘しているわけでございますが、教師と生徒との信頼関係を深める、そのために先生は生徒を十分理解して、そして適切な指導をしていくということが最も肝要なことだと考えております。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 ぜひそういう方向で指導していただきたいと思います。  それから、ちょっとこれにも関係するのですけれども、今のこの日本では教育ということが一つの産業といいますか経済活動、産業の一つになっています。塾、塾と、そういうのを言いたいわけなんですけれども。そういう産業ということは、結局能率性とか効率性、そういうことが重視される分野だと思うんですよ。その産業の一つに教育というものが対象となっている。先ほどから話が出ていますように、教育というのは効率とかそういうのとは離した方がいいんじゃないかというふうに言われているのですけれども、そのあたり文部省の方としてはどのようにお考えでございましょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 教育を産業と申しますかサービス産業の一種としてとらえるとらえ方もあろうかと思いますが、私どもは、やはり教育というのは、教育基本法にございますように、人格の完成を目指すものでございます。人間形成を目指すものでございますので、これは産業というふうには考えたくない、考えていないつもりでございます。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 文部省の方の御担当ではないかもしれないのですけれども、今は現実として学校以外にいろいろな授業をするといいますか教科を教えるというところがいっぱいあって、それが事実として産業として成り立っている、そういう現状があろうかと思うのですけれども、それに対しては何か対応していく方針といいますか、そういうのはいかがなんでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 塾の問題などがいろいろあるわけでございますけれども、私どもは、やはり公教育というものを本当に父母の信頼の受け得るものにしていきたい。ですから、学校教育を充実していきたいと考えております。いわばそうした塾のようなもの、教育産業的なものが盛んになるということは、学校教育の立場からは必ずしも好ましいものではないと考えております。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 次に、登校拒否に対する対策の方について少しお聞きしたいのですけれども、実際子供たちが登校拒否になった。そういうことで現場の先生が一応対処なさるのだと思うのですけれども、それはおいておきまして、文部省の方としましては、一応学校嫌いということが理由になっていますので、一つには、登校拒否の子供たちが学校以外に——登校拒否になった場合、学校が嫌なわけですから、学校以外の施設といいますか場所で、そこで話したりとか指導したりとか、そういうふうなことが一つには考えられると思うのですけれども、そういう場所とか施設というのはあるのでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 登校拒否の子供たちが学校に行けないでいるということで、学校としましては、学校に復学する、戻るということを一生懸命やっているわけでございますが、学校に戻ります過程におきまして、その子供たちを、全く何らかの教育も受けないで家庭にいるだけということだけではなくて、学校以外の施設等におきまして、何らかの教育相談とかないしは教科の指導を受けるということが有意義な場合があるわけでございます。これは、公のものも今若干できかけておりますし、民間のものでも幾つかあるわけでございますが、私どもでも昨年から適応指導教室の授業というのをモデル的に進めておりまして、これは子供たちとして学校というところには行けないんだけれども、学校以外の例えばオフィスのビルの一角を借りて、退職した先生方がその子供たちに教育相談をしながら教科指導もするという施設を設けますと、そこには通う子供もいるわけでございます。したがいまして、そうしました一種の教育指導の施設を適応指導教室と私の方で呼びまして、これについてモデル的に助成をしていくという仕事も進めているわけでございます。  これは市町村が設置します公の教育指導教室でございますが、その他の相談機関ないしは民間におきますそうしましたいろいろな活動というものもふえてきておりますので、私どもとしましては、そうしたものも学校に復帰する過程のプロセスにあって有効な場合には、そうした方法をとることもあり得るのではないかという立場でおります。今回の先ほどの登校拒否に対しますこの調査研究のレポートでも、その点を指摘しているところでございます。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 この適応指導教室というのは、まだモデル的にやっているということなんですけれども、例えば、これはどういう形、文部省が、あるいは学校がそこに委託して行うということなんですか。あるいは教室の運営というのは、民間でも、あるいは市町村なり都道府県なり自治体でやる場合もあるのですか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 今申し上げました文部省がモデル的に補助金を出しておりますのは、市町村の教育委員会が設置をしているものでございます。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 そうしますと、もしその教室に行けば、それは学校に出席した出席日数の中には入るのですか、入らないのですか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 現在のところは出席日数には入れておりません。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 では、将来としては、そういうところへの出席も学校の出席に入れる、入れてもいい、そういうふうな展望というか、そういう形でその教室を行っていくことも考えられるわけでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 この点につきましては、実際に担当されていらっしゃいます先生方にもいろいろな御意見がございまして、出席日数に入れると、もう学校に戻らないケースもあり得るんじゃないかということで、かなり慎重な意見を出される方もございますけれども、今後の一つの課題であるというふうに私どもは考えております。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 そうしますと、これはモデルケースとしていつからなさっているのか。そして、どういう効果といいますかがあったかということを把握していらしゃいましたら教えていただきたいのです。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 これは今年度から、平成二年度から実施しておりまして、全国で二十カ所を指定しております。  その効果等につきましては、始めたばかりでございますので、いずれその結果をまとめていただきまして、私どもでも検討を進めていきたいと考えております。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 それからもう一つ、対応として考えられるのは、結局生徒たちと学校との関係で問題になるわけですから、学校関係以外の指導、この適応指導教室なんかもある意味ではそうかとは思うのですけれども、教職者以外の人が子供と学校の間に入って子供と接して、そして登校拒否を直す、そういうふうなことが考えられると思うのですけれども、そういうふうな対応について何か具体的になさっていることがあれば教えていただきたいと思いますし、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。私はホームヘルパーみたいなそういう形のことをちょっと頭に置いて考えているのですけれども。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 今私ども進めております適応指導教室では、学校の先生だけではなくて、カウンセラーとかそのほかいろいろなそういうことに詳しい方々にも参加をいただいてやっております。公の市町村がやっております適応指導教室以外にも、もちろん民間のそうしました登校拒否児の施設があるわけでございますけれども、そこでは恐らく先生の資格を持っていらっしゃる方ないしはない方もいらっしゃるんだろうと思いますが、そうしたものにつきましては、これもいろいろなものがございましょうから、直ちにそこに行くのがいいかどうかということは、やはり慎重な教育的な配慮と申しますか判断が必要であろうと思います。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 私は、埼玉県の所沢市ですか、あそこでスクール・ソーシャル・ワーカーとか、そういう制度を、教育委員会が何かそういう制度を設けて対応しているというのをちょっと聞いたものですから、そういう形で、スクール・ソーシャル・ワーカーというのがどの程度の認知をされた職業かどうかはわからないのですけれども、そういうのを頭に置いてちょっとお尋ねしていたんですけれども、そういうのはまだ全然お考えになっていないんでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 先ほど申し上げましたように、適応指導教室には、先生だけではなくて、こうしたいろいろな活動をされていらっしゃる方も参加している場合があるわけでございますが、今御指摘のありました埼玉県のソーシャルワーカーの方には、私どもの研究会にも来ていただきまして、いろいろお話をお伺いして、討議の、何といいますか参考にさせていただいております。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 今度厚生省の方で登校拒否児童に対する福祉対策モデルというのを始めようと、そういう試みが今厚生省の方にあるんですけれども、まず厚生省の方に、なぜこういう事業をお始めになったのかということ、あるいはここで言う登校拒否児童というのと、いわゆる今文部省の方で登校拒否児童と言われているのと、その対照ですね。どういうふうな差があるのかということをちょっとお聞きしたいのですけれども。

秋山勝喜厚生省児童家庭局育成課長

○秋山説明員 厚生省が平成三年度に実施を予定いたしておりますひきこもり・不登校児童福祉対策モデル事業というのがございますけれども、この趣旨及び概要について説明をさせていただきます。  児童福祉関係の相談機関といたしまして各都道府県に児童相談所というのがございます。この児童相談所に相談ケースがたくさん参りますけれども、その中で学校の長期欠席児、いわゆる不登校児童に関する相談件数というのが近年著しく増加をいたしてきておるというような実態にございます。この不登校の原因にはいろいろあると思いますけれども、概念的には主として学校生活への不適応、あるいは家庭的要因によるもの、また児童本人の心理的問題、こういうふうに分けられるかと思います。このうち家庭的あるいは心理的要因によるものにつきましては、児童福祉の観点から、児童福祉施設等の機能を十分に活用して、その対応を図る必要があるというふうに考えまして、文部省ともいろいろ御連絡をさせていただきながら、この児童福祉施設等の機能を活用した平成三年度の児童福祉対策モデル事業というものを実施することを予定しているところでございます。  これらの事業につきましては、不登校児の社会性とかあるいは自主性の伸長、家族関係の安定を図る、こういうことによりまして登校意欲の回復を支援するということで、児童福祉の向上に資することを目的とするものでございますので、この実施に当たりましては、円滑な実施を期するために、都道府県に、教育関係者、それから児童福祉関係者による福祉と教育の連絡会議というものを設けまして、ここで調整を図りながら実施することといたしておるところでございます。  なお、このモデル事業は一応四つの事業から成っておりまして、これを順次概略説明させていただきます。  一つは、ふれあい心の友訪問援助事業というのがございます。この事業は、児童相談所の相談指導の一環といたしまして、登校拒否児の家庭に児童の姉さんや兄さんに当たるような世代の学生等のボランティアを、心の友、メンタルフレンドというふうに称しておりますけれども、これを派遣いたしまして、児童の心を開かせ、悩み事の相談あるいは社会性の向上、こういうものを援助しようというものでございます。  二つ目は、下登校児童の宿泊等の指導事業でございます。これは夏休みの期間を利用いたしまして、不登校児童を、児童相談所に付設されております一時保護所というのがございますけれども、ここであるとかあるいは児童福祉施設に一週間程度宿泊させまして、あるいはまた通所させまして、心理療法や生活指導あるいは野外活動、こういうものを一緒に行うことによりまして、自主性や社会性の向上を図り、登校意欲の回復を支援をするというようなものでございます。  次に、三つ目でございますけれども、家族療法事業というのがございます。これは不登校の原因には家族関係に問題がある事例も多いというふうに言われておりますので、情緒障害児施設というのがありますけれども、ここで不登校児童とその家族を土曜、日曜などを利用いたしまして短期間の宿泊をさせまして、家族関係の改善、それの援助、それから集団カウンセリングなどを行うためのものでございます。  四つ目は、養護施設という家庭に恵まれない子供の施設があるわけですけれども、ここで不登校の児童に指導事業をあわせ行うということでございます。この事業は、家庭環境に問題がある養護に欠ける不登校児童、母子家庭等でございますけれども、こういうところにはいろいろ問題のある子供も多いというように聞いておりますので、この子供たちを一定期間養護施設に入所させまして、基本的な生活訓練であるとか共同生活体験あるいはカウンセリング等の心理治療といいますか、こういうものを行うものでございます。  今申し上げたこれらの四つの事業につきましては、モデル的に実施するわけでございますが、不登校児のそれぞれの状況に応じて対応するものでございまして、これらの事業と学校、教育関係サイドとの対応というのが総合的に実施されなければならない、このように思っておりまして、そのことによって福祉の向上が図られるのではないかというふうに期待しているところでございます。  それから、私どもの方の不登校児と登校拒否の関係でございますけれども、申し上げた中に、登校拒否というのは、全く同じような条件、同じような内容のものというふうに認識をいたしておりますけれども、私どもが先ほど申し上げましたような事業は、福祉的に対応することによって、この不登校の児童に何らか支援をしてあげたいという考え方に基づくものでございます。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 今お聞きしまして、例えば学生等を児童の心の友として、メンタルフレンドですか、として派遣する、これはある意味では学校関係者以外の者が子供たちに接するということで、スクール・ソーシャル・ワーカー、そういうのに似ているかと思いますし、不登校児童を一時保護所等に宿泊させるとかいうのは、文部省の方がなさっています適応指導教室ですね、そういうものに共通する部分があろうかと思うのですけれども、特に登校拒否の場合には、一人の登校拒否の生徒をとりましても、必ずしも原因が一つというわけではなくて、社会の事情とか、特に学校の制度とかには複雑に絡み合って起きているということだと思いますので、やはり厚生省の方でこういう事業をなさる場合にも、文部省との連携ということはどうしても欠かせないんじゃないかと思うのですけれども、そういう文部省との連携につきましては、具体的にどういうふうになさっていこうとしているのか、その点少しお聞かせいただきたいと思うのですが。

秋山勝喜厚生省児童家庭局育成課長

○秋山説明員 先ほどもお答えの中で申し上げましたけれども、本省におきましては、文部省と緊密な連携をとるというのが一つございます。それからもう一つは、実施段階、都道府県におきまして、福祉関係者、それから教育関係者がそれぞれ相集まって連絡を密にする、この中でこの子供たちの最もよい方法、こういうものを見出し、そして、この四つの事業の中にどれに当てはめたらいいのかというようなことも含めて、それからさらに学校に復帰するときの問題もありますので、そういうものももろもろこの中で協議していただくというふうに考えております。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 連携を密にする。連絡を密にして連携をとっていくということは当然のことなんですけれども、それでは、こういうモデル事業を始めようとなさるに当たって、実際には文部省の方とはどのようなお話し合いをなさったか、どういう連絡を取り合ったかということをお聞きしたいのですけれども。

秋山勝喜厚生省児童家庭局育成課長

○秋山説明員 文部省はやはり教育の関係でございますので、教育的な観点から、私どもは福祉的な観点からということで、あくまでも福祉施設あるいは福祉の現場でどのようにこれが対応できるかということでお互いに話を進めているところでございます。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 福祉の観点からというのも、そういう面はあるでしょうけれども、それだけではないと思うのです。例えば、先ほどの学校不適応対策調査研究協力者会議の中間報告では、登校拒否というのは本人とか家族とかの関係ではなくて、むしろだれにでも起こるということで、学校とか社会の要因が大きく影響しているのではないか、そういうふうな報告がなされているのですけれども、そういうことに関しては、では、厚生省の方としてはどういうふうにお考えなんでしょうか。

秋山勝喜厚生省児童家庭局育成課長

○秋山説明員 私どもが実施いたしますのは、やはり福祉的なサイドからあくまでもアプローチをするということでございますので、いろいろな場面におきましては、当然学校の先生側の協力も得ながら実施することになりますが、やはりあくまでも福祉を重視した考え方で進めたいというふうに思っております。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 では、文部省の方にお伺いしますけれども、厚生省が行おうとなさっているこういう事業について、文部省の方では何か御相談をお受けになりましたか。そして、これから厚生省とどういうふうな連絡を取り合って、目的は同じだと思いますので、どういうふうに対応していこうとお考えになっていらっしゃいますか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 厚生省がなすっていらっしゃいます事業につきましては、もちろん私どもも承知いたしております。こうしました登校拒否に対しますいろいろな事業というのは、これはやはり登校拒否が学校、家庭、社会、さまざまな要因が複雑に絡み合って起きているものでございますので、その解決に当たっては関係者が皆力を合わせてやるべき問題であろうと考えております。厚生省のこうしました事業につきまして、私どもも今後とも連絡を密にして対応してまいりたいと考えております。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 先ほども申し上げましたように、登校拒否の生徒たちを何とか学校に戻す、登校拒否を直さなくてはいけないということにつきましては異論はないと思いますので、何とか学校に戻そうという方向でお互いに努力していかれるのだと思うのですけれども、私としましては、協力し合わないと、多分別々に事業を行うよりは、お互いが連絡し合ってしなければ力を発揮できないと思いますので、ぜひ厚生省、文部省、力を合わせて少しでも一人でも多くの子供たちを学校の方に戻すということをしていただきたいと思います。  最後にもう一つ、登校拒否に対する対処の方法として、学校とか社会とか全体が影響しているということだから、そういうことを一概に言えないかもしれないし、ある意味ではちょっと環境を変えるということで、必ずしもいい方法ではないとは思うのですけれども、ある学校で適応できなくて登校拒否が起こってしまった場合に、別の学校に行くというシステム、そういう転校というか、そういうのをもう少し自由に、割と校区制というのは決まっていますけれども、そういうふうなことを行うということはお考えになっていらっしゃらないのかどうか、その点について最後にお伺いしたいのですけれども。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 どこに就学するかというのは、学区がそれぞれ決まっておりますので、それによって行うわけでございますけれども、この学区の変更、就学すべき学校を変更することにつきましては、これはやはり安易に運用しますといろいろ問題が起きることも事実でございます。ただ、いじめなどでどうしてもその学校に適応できないというような場合には、転校理由になるということを私ども通知を出しているわけでございますが、登校拒否全般につきまして、その就学校の変更を認めるかどうかにつきましては、これは少し慎重にしないと、そういう傾向を持っている子供が変わったから必ずしもよくなるということにはならないわけでございますので、もう少しこの点につきましては慎重に対応していきたいと思っております。

宇都宮真由美日本社会党・護憲共同

○宇都宮委員 いろいろと長いことありがとうございました。  登校拒否というのは、一番最初に申し上げましたように、私たちの周りで本当に非常によく聞く、最初この数字がすごく少ないと感じたと思うぐらいよく聞く問題ですし、大きな社会問題になっていると思いますので、ぜひ登校拒否という現象の把握を、数字にあらわれていない部分がずっと多いのではないかと思うのです。そういうふうな隠れた部分もぜひ把握していただきまして、そして予防も含めまして、登校拒否が起こらないように、大臣が一番最初におっしゃってくださいましたように、楽しい学校にするように文部省関係の方々の一層の努力をお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

臼井日出男自由民主党

○臼井委員長 次に、鍛治清君。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 大臣の所信に対して幾つかの点で御質問を申し上げたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  最初に、朝以来他の委員も若干触れておられましたが、千葉大学の問題につきまして御質問をさせていただきます。  非常に残念な悲しい事件でございますが、私は、起こりました以上は、やはりけじめをつけて、きちっと後々こういうことが再度起こらないように対応すべきであろう、こういうふうに思いますので、そういう意味を含めて、ただ、今いろいろ関係者に対応されて取り調べ中でございますから、内容にわたってどの程度お聞きできるのかわかりませんけれども、御質問申し上げたいと思います。  最初に、この事件につきまして文部省はどのように事実関係を把握していらっしゃるのか、お尋ねいたします。

坂元弘直文部省大臣官房長

○坂元政府委員 植松教授が逮捕されたのは二月十四日でございますが、今月十四日当日、直ちに私どもとしましては、事実関係の確認、それから今後の大学における適切な対応につきまして、千葉大学当局に対して指示いたしまして、逐次大学当局から事実関係等について報告を受けることになっております。  それで、その報告によりますと、今回のコンピューター断層撮影装置、CT購入の経緯につきましては、私ども文部省から予算の配賦があった後に、五名の教官から成る仕様検討委員会、千葉大学では仕様検討委員会と言っておりますが、大学によっては機器審査委員会とか機器選考委員会とかいろいろな名称を使っておりますが、仕様検討委員会において入札の仕様を策定いたしまして、平成二年九月十一日に官報で入札の公告を行いました。これに基づきまして、問題になりました横河メディカルシステム株式会社と東芝メディカル株式会社の二社が入札を行い、入札者の提案に係るそれぞれの機器につきまして五名の教官を技術審査職員、これは仕様検討委員会のメンバーと全く同一のメンバーでありますが、それを技術審査職員に選任いたしまして技術審査を行った結果、それに合格しました横河メディカルシステム株式会社について開札を行い、あらかじめ設定した予定価格の範囲内であったということから同社が落札し、平成二年十月三十一日、同社と契約したというふうに私ども事実を確認いたしております。  いずれにしましても、本件につきましては、先生先ほど御指摘のとおり、司法当局によって捜査が行われておりますので、私どもとしましては、捜査の進展を注視しながら、大学当局と緊密な連携をとって、さらに事実関係を詳細に把握してまいりたいと考えているところでございます。  私が今御説明いたしました事実関係だけを見ますと、形式的なことでございますが、形式的に見ますと、会計法令上、一応形の上では適正な処理がなされておったということになっております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 大学においての機器選定委員会もあったようですが、そのあり方とか公開入札の実態、これも不明朗だったと言われているわけですけれども、こういう機器選定のシステムについて何か問題点、こういったものは今どういうようにお考えになっていらっしゃるでしょう。

坂元弘直文部省大臣官房長

○坂元政府委員 この機器選定委員会というのは、先ほど沢藤先生からちょっと御指摘がございましたが、昭和五十八年に東京医科歯科大学で医療機器の購入に伴いまして、ある一人の教官が金品を業者からもらって収賄罪で起訴された事件がございます。そのときまでは、このような複数の検討委員会で検討するのではなくて、比較的その機器を一番使う教室の教授が最終的に決めていたような、そういう経緯がございます。そういう経緯がございまして、私どもとしましては、これではおかしいのではないか。むしろ複数の教官から成る機器選定委員会をつくって、そして一人で決めるのではなくて、複数の人間が合意によって決める、そういう仕組みをつくったらどうかということで各大学を指導いたしまして、それに基づいて現在各国立大学とも、今申し上げました仕様検討委員会、機器検討委員会あるいは機器選定委員会というような名称の委員会を設けているわけでございます。  ただ、問題になりますのは、そういう検討委員会でいろいろ議論をいたしましても、一番その機器を頻繁に使う教室の先生の意見が、合議体の会議であってもどうしても重視されるおそれも事実上あるわけでございます。さらに、ほかの大学は七名から大体十名くらいでこの委員会が構成されておるのですが、たまたま千葉大学の病院の場合には五名であったというようなこともございまして、人数的にはもっとふやす必要があったのじゃないか、あるいはもっと機器選定委員会そのものの運用の仕方について改善すべき点があるんじゃないかというようなことも私ども痛感しているところでございまして、事実関係が明確になりました段階で、機器選定委員会のあり方、運用の仕方等につきましても、関係者の意見も十分聞きながら検討してまいりたいと考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 これはひとついい形で、二度とこういうことのないような形で工夫をしながら取り組みをやっていただきたい、御要望を申し上げておきます。  それから、横河メディカルシステム社ですか、ここのMRIの機器を、いろいろ報道等を見ておりますと、国公立の病院、私立大学の病院、それから総合病院等含めますと、全国で大体百六十二カ所くらい導入しているのじゃないかというふうなことが伝わっているわけでありますけれども、そういったこと。さらには某大学の放射線科の教授が突然自殺をされた。関係があるかないかということもわかりませんが、こういったことを、素人ではありますが、我々第三者として見ておりますと、何か随分広がっていくのではないか。また、それに対する対応というものを、やはり何らかの手を打っておく必要があるのじゃないかというふうなことを心配するわけでございますが、この点についてはいかがお考えでございましょうか。

前畑安宏文部省高等教育局長

○前畑政府委員 今先生御指摘のように、ある大学でも関係の教授が突然辞表を出したというようなことも報じられておることは承知をいたしております。私どもとしては、公立あるいは私立の大学における医療機器の購入のあり方につきまして直接に発言をする立場にはございませんが、今先生御指摘のように、今後における捜査の進展というものを見守りながら、公立、私立を含めた大学の医学部なりあるいは附属病院の運営ということについても、何らかの目を向けなければならないような事態があるいは起ころうかということも考えられるところであります。  いずれにいたしましても、今後における捜査の進展の状況を見守りながら、関係団体とも協議をしてまいりたい、このように考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 この問題につきましては、今取り調べ中でもございますし、まだまだこれからどういうふうになるかわからない部分もありますし、文部当局もしっかりと、実態がこれ以上どうなるかということがおわかりになりにくい面もあるかと思いますが、そういうことも勘案いたしまして、これ以上の質問は差し控えますが、ひとつ大臣、この問題につきまして、再発防止等の今後の対応と、これに対する大臣の所見、それから決意等をお聞かせいただきたいと思います。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 先ほど申し上げましたように、国民の信頼を損なったということに対しまして深く遺憾の意を表するわけであります。ただいま官房長また高等教育局長から答弁いたしましたように、ただいま司法の手に移っておりますが、再発防止のために、文部省といたしましては、最大の努力をいたしたい、厳正にこの対応をいたしたい、このように考えます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 では、次に移らせていただきまして、中教審の審議経過報告についてお尋ねをいたしたいと思います。  昨年の十二月十八日の第十四期の中央教育審議会におきまして、学校制度に関する小委員会と生涯学習に関する小委員会の審議経過報告というものを公表いたしております。この報告は、大変近来になく教育の関係で、マスコミ報道等を含めて、教育界を含めて非常にいろいろな賛否両論の中で迎えられたといいますか、報道されたといいますか、そういう内容であったと思います。型破りであるとか、異色だとか、諮問の枠を越えている経過報告だとかいうようなことを言われているわけでございますけれども、私は、この経過報告の中でも言われておりますように、この報告の公表を機会に教育問題について大いに議論をしてほしい、巻き起こしてほしい、そしていい形での方向をつくっていきたいのだというような、中に希望の文言もありましたけれども、そういう意味では非常にいい形であったのかなというふうにも思っております。  それと、教育の問題というのは、突き詰めていきますと、最後にはどうしても入試の問題ということになることが多いわけでありますけれども、本報告の中では、入試問題について、大学入試でありますが、特定高校の有力大学への集中排除といったような、かつてない大胆な提言もしておって非常に評判になった。さらに文章自体も非常にいろいろとわかりやすくてよかったとか、いや、ああいう作文はだめだとか、これも議論があったようであります。私は、いろいろな意味で、今回の経過報告の公表は、いい悪いも含めて非常に意義があったのかなというふうにも思っておりますけれども、しかし、最終答申では、従来の例から見ますと、多少手直しもあるのでしょうが、骨格は変わらずに、変更ないままに出されるのかというふうな推測もされるわけですけれども、私は、ここで一番大切なのは、教育関係の機関や関係の皆さん、それから国民の皆さんから幅広くせっかく巻き起こったときでございますから、しっかりとこの審議経過の内容について意見を聞き、また論議を深めた上で、十分検討を重ねた上で最終答申を出していただきたいなというふうにも思っておるわけでございますが、この答申について、今後どのようなスケジュールで、どういう形でまとめて、いつごろ発表するようになるのか、今後の問題についてお尋ねをいたします。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 御案内のように、中教審から途中経過でございますが出させていただきました。最終結果ではございませんし、また、それについていろいろな希望もあり、しかし報道によりまして、それに対する私学などの反論もよく承知いたしております。これもまた途中、まさに現在進行形でございますので、答申を待ちまして、そして幅広い、先生今御指摘のような、そういう最終的ないい案にいたしたい、また答申を見てひとつ対応をいたしたい、このように考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 次の御質問は、していいのかちょっと迷っておりますが、というのは、今回の経過報告の書き方というのは、私たちにとっては非常に読みやすかった。整足しているかどうかということになると多少問題があるのかもわかりませんが、私の知っている人にもいろいろ意見を聞いてみましたけれども、非常に読みやすかった。役所でおつくりになる文章は大体わかりにくい、まあすきなくつくるせいかわかりませんけれども、そういうふうな話がありまして、ああいう形で今後出るといいのではないか。私も確かにそうだなという気はしているわけですが、最終答申もこういうふうな形とか、こういう文体で、内容も今申し上げたような形でしっかり詰めていただいてお出しをいただきたいというふうに思うのですが、いかがでございましょうか。

佐藤次郎文部省大臣官房総務審議官

○佐藤(次)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘いただきましたように、審議経過報告として昨年十二月にまとめさせていただきまして、公表させていただいたわけでございます。  委員会では、この一年半にわたります審議を、できるだけ教育関係者以外の方も含めまして、広く国民の方々に読んでいただき論議をしていただこうということで、また審議経過報告でもあるということも含めまして、その表現もできるだけ読みやすいような形、また事例等も入れまして、広くいろいろ理解が得やすいような形でつくってみたらどうかということで取りまとめをされたわけでございます。  これからどういう形でこれを答申にまとめていくかということでございますが、本審議会では学校制度の小委員会のほかに生涯学習の小委員会の方の報告もございまして、この二つの小委員会の報告をどういう形で答申にまとめていくかということでございますが、今新聞、テレビ等でいろいろな形で多く報道をいただいているわけでございます。また文部省でも、中教審ニュースとか文部広報とか、あるいは大蔵省印刷局より市販をいたしまして、広く国民の皆様に今読んでいただきまして、また、私ども事務局の方にも数十通の手紙をいただいております。また審議会でも、この二月に三日間、三回にわたりまして教育関係団体の全国的な、各地域から集約していただきました御意見をただいま聞いているところでございます。そういったものを踏まえまして、ちょうど任期が四月二十日でございますので、そういったことも念頭に置いて現在審議会で答申の姿をどうするかも含めて御検討をこれからいただくということでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 それはひとつぜひいい形でお願いいたしたいと思います。  中教審の経過報告の中で最終的に言っていることは、どうも大学の問題であるような気がしますけれども、直接的には高校の問題、そのあり方や入試の問題等について論じておるのだと思います。入試についていえば、大学の入試はいろいろ言われながらも、何だかんだ言いながらも大分多様化してきたように思います。いろいろな個性ある人たちを入学させていくというルートが少しずつ、以前に比べれば開けてきているのではないか。それに比べますと、私は、高校の方が今ちょっと心配なのかな。だから、大学自体の改革は大学審議会で今答申が出てきて、法案もぼつぼつ出てきておる最中ですから、これからが大変なことになると思いますが、私は、高校自体も改革はきちっと同時に進めておく必要があるだろう、こういうふうに思いますが、この高校の改革につきましては、具体的にどういうふうな形にやっていくおつもりか、ひとつ大綱をお聞かせいただきたいと思います。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 高校入試につきまして申し上げます。  高校入試につきましては、偏差値問題とか受験体制の過激化の問題とかいろいろ指摘されているところでございまして、文部省でも従来からその改革につきまして各都道府県に通知等により指導をしているところでございます。  改革の方向としましては、高等学校の個性化といいますか多様化といいますか、それに応じました多様な選抜方法の実施をする、そして生徒のいろいろな能力を積極的に評価する。そのためには選抜尺度を多元化するというような観点からこの改革を要請しているわけでございますが、現実的に各県でもいろいろな御工夫があることはあります。例えば、愛知県では受験機会を複数化しようとか、そのほかの県でも、実施科目を高等学校の学科の特色に応じた工夫をするとか、出題傾向につきましてもいろいろ配慮するとか、さらには学力試験と調査書の扱い方につきましていろいろ工夫をして、多様な評価を進めていくとか、推薦入学をいろいろなところで取り入れていくとか、面接をするとか、さらには帰国子女とか転入学の生徒に対します特別な取り扱いをするとかというさまざまな工夫が都道府県で行われておるわけでございますけれども、御指摘いただきましたように、まだ十分であるとは言えないと思います。今後中央教育審議会の正式な答申をいただきましたら、それによりまして、また一層改革に取り組んでいきたいと考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 次に、高等教育の問題でお尋ねをいたしたいと思いますが、大臣は、所信の中で、「我が国が、今後とも、社会的・経済的発展を続け、国際社会にも積極的な貢献をしていくためには、高等教育の充実と改革を不断に推進することが重要であります。」こういうふうに述べておられるわけでありますが、この高等教育の改革につきまして、基本的な方向はどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お伺いをいたします。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 私の所信表明で申し上げましたように、我が国が今後一層の発展を続ける、そういう国際的に貢献していく上で、この高等教育の充実と改革が極めて重要である。まず基本的な方向といたしましては、教育や学術研究において世界にも貢献し得るよう、教育、研究の高度化、さらにまた個々の高等教育機関の個性化、そして社会や学生の多様なニーズに柔軟にこたえていく、これが対応。そういうことで、私は、充実と改革の中で高度化、個性化、多様化、この三点を柱にして、今後の高等教育に当たりたい、このように考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 高度化ということの御答弁がございましたが、これに絡んで、大学院の拡充、改革というものを本気になって考えなければいけないのじゃないか。大学審議会でもこの点については触れられておるわけでありますけれども、情報化、国際化など急速に変化をしておる今日におきまして、今後、特に二十一世紀になって我が国がその活力を持続していく、豊かな社会を築いていく、こういうためには、大臣もおっしゃるように、すぐれた人材を育成していくということが非常に大切だと思います。そういう点で、大学院というのは技術革新の進展を支える研究者の育成、養成という点で大変大切でありますし、社会の各分野における発展を担うための専門的な知識、技術等を有する人材の育成を行う場としても役割は大変大切なものになると思います。  ところが、先日発表されました「教育指標の国際比較」の中において、我が国の大学院については、他の先進諸国に対して量的に極めて少ない、こういうことが明らかにされているわけであります。これについては文部省はどういうふうにこれをとらえ、考えられ、どんな形で大学院の整備を進めていこうとなさっておられるか、お尋ねをしたいわけです。  特に最近、研究者の飢餓時代が来るのではないかというような話も専らあります。これは科学技術庁の需給調査推計による需給状況を西暦二〇〇五年度で見ると、研究者として百一万人は必要だというようなことを言っておりました。ところが実際には研究者は五十万人しか養成できないので、五十一万人が不足している。こういう状態で、まさに研究者飢餓時代の到来であって、大変なことになるぞというような警告も発せられているような状況の中で、今申し上げたように、大学院ということに対する取り組み、これはもう非常に大切であろう、こういうふうに思うわけですが、この点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

前畑安宏文部省高等教育局長

○前畑政府委員 今先生御指摘のように、我が国が今後世界に貢献していくためには、大学院の充実ということが大変重要であるというふうに認識をいたしております。  御指摘ございました国際比較にいたしましても、ちょっと申し上げさせていただきますと、人口千人当たりの大学院学生数という指標で見ますと、我が国は〇・七人であります。千人当たりの大学院の学生数はアメリカが七・一人、イギリスが二・二人、フランスが二・九人ということでございまして、諸外国に比べて大学院の量的な規模も非常に小さいという状況にあります。これは、一つには我が国の大学院が、理工系など一部の分野を除きましては、大学院の教育あるいは研究指導というものが社会的に十分に評価されないということもありましょう。また、逆に申しますと、大学院の側においても、社会的需要に十分こたえた教育あるいは研究指導といったものの展開が不十分であるということにも一因があろうか、このように考えております。  先生御指摘ございましたように、私どもとしては、今後大学審議会において現在鋭意御審議をいただいております大学院の整備充実のあり方、さらには大学院の量的な整備のあり方についての御答申をいただきまして、その答申を踏まえ鋭意努力をさせていただきたいと思っております。  例えば、先ほどの研究者の不足につきましても、御案内のとおり、平成元年には大学院の設置基準を改正いたしまして、博士課程につきましても、従来のような大学における研究者養成ということではなくて、それだけにとどまらず社会の多様な方面で活躍し得るような人材の養成ということも大学院の目的の中にも入れましたし、また社会人等を大学院に受け入れて、教育あるいは研究指導の充実を図るという道も新たに整備をしたところであります。今後とも大学院の量的な整備、さらには内容の充実について努力をさせていただきたい、このように考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 私は、大学の学部の充実、とにかく大学に入ると、試験試験で受験勉強を通ってきて、入った途端遊ぶ人が多いというようなことで、これはちょっと厳しくすべきであるという意見もあり、私も実はそう思っておったのです。この前もちょっと申し上げたことがあるかと思いますが、我々の時代だと、中学から高等学校に上がりまして、それから大学ということで、どうも高等学校時代に遊んで人間形成が随分できたような気がいたしておりまして、いろいろな人と会って話をしている中で、大学・学部はもう三六%の方が入学しているわけですけれども、遊んでいるなら遊んでいるという状況で人間形成をやらせたらどうか。むしろ大学院を充実して高度化し、量的にもきちっとそろえていく。さらにはレベルですね。今局長からの御答弁にもございましたが、非常に厳しい財政状況の中から、国立大学等においても大学院の教育水準の低下というものが私ども非常に心配されるわけであって、この向上については本当に取り組んでいかなければならないのではないか。さらには、どうも大学院といったら研究一本やりのような感じで私どもは今まで受けとめておったのですが、やはり教育という分野においてもしっかりとしていく必要があるのではないか、こういうような思いもしているわけでございますが、こういう点についてはどのようにお考えでございましょうか。

前畑安宏文部省高等教育局長

○前畑政府委員 今先生御指摘のところは重々ごもっともでございまして、例えば留学生などからも、日本の大学院で学んでいる留学生がアメリカの大学院で学んでいる自分の友達と話をするときに、日本の大学院における教育あるいは研究指導のあり方について大きな批判が寄せられているというようなこともよく耳にするところでございます。  先ほども申し上げましたが、大学審議会で大学院の整備充実の問題について御審議をいただいている中でも、大学院における教育、研究指導のあり方というものが大きく取り上げられております。大学院もあくまでもスクールでございますので、そこでは大学院としての学生に対する教育、研究指導を充実しなければならないということで、教育課程あるいは研究指導方法についての体系的な整備を図る、事業計画の作成、学生に対するガイダンスの充実、さらには社会的需要に適切にこたえ得る分野、内容の魅力ある教育、研究を一層展開するといったようなことも指摘しながら、大学院における教育、研究指導の強化ということが指摘をされておるところであります。また、先ほど申し上げましたように、教員につきましても、広く社会に人材を求めまして、大学院における教育、研究の幅を広げ、大学院の活性化を図るということが指摘をされておるところでございます。  繰り返しになりますが、今後さらに審議を深めていただきまして、来年度の早い時期には答申をちょうだいできるかと思っておりますので、答申をいただきますと、それを踏まえまして、積極的な対応を図ってまいりたい、このように考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 まあ教える方の側は厳しくそういうことでやっていただくということになるのだと思いますが、教える側の先生の問題は、また別の機会に、大学教員の問題は大切であると思いますので、いろいろとまた御意見もお聞きしながら、これは一度議論をしてみたい、こう思っております。  大学院生の方は、これはいろいろ聞いておりますと、文化系とか社会系の大学院生というのは、担当教授も実質的には何かほうりっ放しということもないのかもわかりませんが、私の耳にいろいろ入ってくるのは、何か放置されていてそのままもうほったらかしにされている、こういう傾向が強い。理工系は、今度は逆に教授の方が助手のように一生懸命お使いになって便利をしておる。したがって、本人自体が自分のやりたいこと、いろいろなこともやりにくくて、無給の助手みたいな感じで扱われている実情が多いのだというふうな話も聞くわけです。そういうことがもし事実あるのかどうか。こういうところの実態、文部省御存じなのでしょうが、この点どういうふうに実情を把握されておるのか。  さらに、こういった大学院生に対する、これは今質問申し上げたことにも戻るのでありますが、そういう実態を知るにつけて、私は、大学院生に対する教育、研究指導というものの充実強化、本当にきちっとこの大学審議会答申で、これはいわゆる新制大学ができた時代以来の大学改革であると言われておるときでございますから、この点についてもかっちりとした形で充実をしていくべきであろう、私はこういうふうに思いますが、重ねてこの点についていかがでございましょうか。

前畑安宏文部省高等教育局長

○前畑政府委員 御指摘のとおりでございまして、旧制度の大学院をそのままいわば引きずっておるような現状にございまして、新しい制度のもとにおける課程制大学院というのは一つのスクールとして存在をするわけでございますので、学生に対する教育、さらには研究指導というものについてさらに意を払う必要があろうかと思っております。  先般ちょうだいいたしました大学審議会の答申で、大学院についての自己評価というようなことも提言をされておるわけでございますが、その自己点検、自己評価の項目の中にも「教育活動」という項目を大きく評価項目の例として示しておりまして、「研究指導の方針・方法・体制」といったようなものについて各大学でぜひそれぞれ点検をし、評価をしてほしいという提言もしていただいておるところであります。  御指摘の趣旨に沿って、今後とも努力をし、関係の基準等の整備についても努めてまいりたい、このように考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 評価のお答えの中で、評価の問題が出ましたので、そちらの方でちょっとお尋ねをしたいのですが、これは言うまでもなく、大学というのは教育について公的な責任を負うものですから、教育水準の維持ということは、これは当然必要でありまして、それに伴ってもう一遍、これは後でちょっとお聞きをしたいと思いますが、この大学設置基準の大綱化、いわゆる大学審議会の答申の中で大綱化、弾力化というものが言われておりますが、これはまたもう一遍後で聞くといたしまして、これとあわせて大学に対する評価ということを行うことが求められてくるわけでございますけれども、これについては自己評価システムを導入する、こういうふうになっているわけですね。その項目の一つとして、今局長もお挙げをいただいたのだと思いますけれども、この自己評価システムについては、具体的にはどういう方法でどんな項目によって行うというふうに考えていらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思います。これは最終的には第三者機関による評価が一番いいのだろうという気がするのですが、これについてもいかがでございましょうか。

前畑安宏文部省高等教育局長

○前畑政府委員 御指摘の点は、この二月八日にちょうだいをいたしました大学審議会の答申に触れて提言をされておるところでありますが、一つには、この問題が大変難しいことは、先生御案内のとおり、我が国では大学がみずからを評価をしたりあるいは第三者機関による評価ということを受け入れる土壌というのが非常に薄いといいますか少ないということでございます。  したがって、この大学審議会における審議の過程におきましても、この評価あるいは点検ということについては、多くの意見が寄せられております。そこで、とりあえずは各大学がそれぞれの行っている教育研究活動についてまず点検をし、評価をしてみるということから始めるべきではなかろうかということで、先ほどお話がございました評価の実施方法につきましても、さらには点検すべきあるいは評価すべき項目につきましても、まずはそれぞれの大学自身が自主的に設定をして、そして、その設定をした項目について取り組んでいく。また評価の仕組みにつきましても、それぞれの大学においてどういうふうな方法が適切であるかということを十分考えながらやってもらおうという、非常に何と申し上げますか、現在の大学の具体の状況を踏まえて、かなりモデレートな提言をしておるわけであります。  自己評価の項目につきましては、「例えば、」ということで、答申で項目の例示をちょうだいをいたしておりますが、これにつきましても、「各大学の判断により適切な項目が設定されることが望ましい。」このような答申本文における表現にとどめておるところでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 大学の先生方の悪口を言うと、これは後で怖いことがあるのかもわかりませんが、非常にいい先生もいらっしゃるのですけれども、大体大半、大方の先生方は、他の人やら他の学校を評価したり批判なさることは非常にお好きなようですが、自分自身が評価されるのは極めて嫌がられる方が多いようであります。  したがって、その中で自己評価という問題にどう取り組むかということで、それこそ苦渋に満ちた選択でこういう形にまずなったのかなというような気もいたしますが、私はそういう点は、文部省あたり、行政サイドでむしろ思い切ってはっきりこうすべきだというような方向を示す方がむしろ大学の改革が動きやすいのじゃないかなというような気もいたしております。今局長もそういうふうな御答弁をなさっていらっしゃいますので、それはそれとして十分に進めながら、本当に大学のあり方というものを、ひとつ従来と違った形で改変していく、改革していくという方向にぜひ進めていただきたいと思います。  そういう中で、私は、この自己評価について、まあ内容等は各大学に任せるとしましても、その結果については何らかの方法でぜひ公表はした方がいいのではないかな、こういうふうに思っておりますが、この点についていかがでございましょうか。

前畑安宏文部省高等教育局長

○前畑政府委員 今先生御指摘のことは、まことにごもっともであると思います。おっしゃるとおりであると思います。大学審議会の答申の中におきましても、「大学に対する社会の理解を求める等の趣旨から、大学の教育研究活動の実情等を、それぞれの大学において公表することが重要であり、その促進が望まれる。」ということを提起をし、「このため、自己点検・評価の内容を活用して、各大学が何らかの方法で一般向けに教育研究活動の状況を公表することも一つの方法であると考えられる。」このように記載をしておるところでございます。今後関係の基準等の整備を行います際には、その点についても留意をさせていただきたい、このように考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 ちょっと私も整理しておいた質問があれこれになってしまって、大変お答えいただくにも恐縮ですが、ここで大切な内容で一つ御質問申し上げますが、二月八日に大学審議会の答申が出されたわけですけれども、この答申について、文部省としては、今後どのようにその具体化を図っていかれるのか、これをお尋ねをいたしたいと思います。  特に、今回の答申のポイントは、大学がその責任と判断において教育、研究を実施できるように大学設置基準の大綱化、弾力化を進めることにあると思いますが、この中で一般教育、専門教育等の授業科目の科目区分を廃止するということになっているわけでございますが、これによって大学教育がどのように変わることを期待されているのか、ひとつお聞かせをいただければ、こう思っております。  私はこの点はまさに本当に大学改革の大きなポイントの重大なところになっていくんだろうと思いますが、この一般教育担当の先生方の間ではいろいろ話が聞こえてまいります。どうも我々は冷遇されて追いやられてなくなるんじゃないかという話があったみたいです。一方では、いい形で専門教育と手を組んできちっとやっていけば、むしろ充実していくんだというような意見もあるようでございまして、いろいろされておるわけですが、文部当局としてはどういうことに変わっていくように期待されているのか、できればお聞かせをいただきたい。

前畑安宏文部省高等教育局長

○前畑政府委員 二月八日に大学審議会からいただきました答申は五つございまして、一つは、「大学教育の改善について」ということで、ただいま先生御指摘ございました大学設置基準の大綱化ということを主たる内容にするものでございます。これにつきましては、後ほど申し上げますが、法律案等との関係もございますので、国会における法律案の御審議の動向をも見定めながら、来年度の早い時期には設置基準の改正ということで大学審議会に諮問をいたしたい、このように考えております。  第二点は、「学位制度の見直し及び大学院の評価」ということがございます。学位制度の見直しにつきましては、これも大学設置基準と同様なスケジュールで学位規則の改正を文部省でやらせていただきたい。また、大学院の評価につきましても、大学院設置基準で何らかの手当てをする必要があるのではなかろうか、このように考えております。  第三点は、「学位授与機関の創設」でございますが、これは大変大きな問題でございまして、法律改正を伴うものでございますので、ただいま国会に法律の改正案を提出させていただいているところでございます。  それから、「短期大学教育の改善」、「高等専門学校教育の改善」、この二つがございます。これもいずれも短期大学設置基準あるいは高等専門学校設置基準、さらには関係の学校教育法の一部改正ということも伴うものになりますので、できるだけ早い機会に法律案として提出をし、御審議をいただきたいと思っておりますし、また関係の設置基準改正につきましても、法律案の御審議の動向を見ながら、来年度の早い時期には設置基準の改正ということで大学審議会にお諮りをいたしたい、このように考えております。  それから、一般教育、専門教育の問題でございますが、これもただいま先生御指摘がありましたように、従来は、現行の大学設置基準におきますと、大学の教員の方は、一般教育を担当する教員と専門教育を担当する教員が、設置基準の上で、人数におきましてもきちっと区分けをして定められております。また担当する授業科目につきましても、設置基準上、一般教育科目、専門教育科目、こういう区分を置いて決めておるわけでございます。  したがって、大学でカリキュラムを考えます際にも、卒業の要件として、設置基準に定められております一般教育科目三十六単位をどうしても大学の全体としてのカリキュラムの中に組まなければならないということから、御案内のように、国立大学におきましては教養部という制度を設けまして、大学に入りますと、まず教養部へ行って、主として一般教育を学ぶ、こういう体制になっております。  そういうふうな制約の中で、各大学がいろいろカリキュラムを工夫する場合に非常な制約になっておりますし、また教員の中にも、先ほど先生御指摘のようないろいろな不都合があるということでございました。今後は、そういった科目の区分がなくなったこと、そして教員についての区分がなくなったことから、各大学がそれぞれの目指すところ、教育の理念あるいは学部・学科の目標といったようなものについて柔軟な対応ができるようになる、このように考えております。  先ほど大臣からも御答弁がございましたが、各大学がその個性を十分に発揮して、社会や学生の多様な要請に柔軟にこたえ得る教育体制ができる、このように期待をいたしております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 奨学金の問題でちょっとお尋ねをしたいのですけれども、現在、学部学生、大学院生というのは、教育費、財政的な問題もあって、アルバイトなどに非常に時間をとられて十分な勉強や研究の時間がとれない、こういう実情があるようです。好きでやっている人も中にはおるのかもしれませんが、私の知る限りでは、やはり必要に迫られてそうしているという人が多いようでありまして、こういうやり方というのはどうか。そういう意味で、奨学金という問題は真剣に文部省でももうひとつ拡充の方向に取り組むべきではないか、こういうふうに思います。  特に、学部学生もさることながら大学院生ですね。先ほどから大臣初め前畑局長からもいろいろこの大学院の充実のことが言われました。そうしますと、なおさらここに、もう経済的な問題についてひっかかって、それがあるから勉強に集中できない、研究に集中できないという形は、こういう機会に取ってあげるという意味で奨学金制度というものは十分拡充をしていくことが必要であろう、私はこういうふうに思いますが、この点についていかがでございましょうか。

前畑安宏文部省高等教育局長

○前畑政府委員 先生御指摘のとおり、大学院を今後整備充実していくということが我が国の将来にとって大変大きな課題でありますが、そのためには、一つの大きな問題として大学院の学生の処遇を改善するということがございます。現在御審議いただいております大学審議会の大学院部会におきましても、大学院の学生の処遇について特に項目を挙げて御審議をいただいているところでございまして、奨学金につきましても、貸与額の引き上げであるとか、さらには細かい点になりますが、現在大学院の学生が奨学金を育英会に申請いたしますときに、御案内のとおり、奨学金の基準としては、家庭の経済状況と本人の学力、この二つの基準が主な指標になりますが、大学院の学生になりましても、本人の家庭というのが親元の家計基準が適用されるという甚だ不都合な状況もございまして、これにつきましても、親の収入よりは本人の置かれた経済状態に着目したものにするという方向での改善ということも指摘をされておるところでございます。  さらに、大学院の学生につきましては、奨学金という学生としての側面のほかに、若手研究者としての側面もまたあるわけでございまして、これについても日本学術振興会における特別研究員制度の拡充ということも提言をちょうだいいたしております。さらにつけ加えて申し上げさせていただきますと、大学院の学生が、もちろん学生として教育を受け研究指導を受けるわけでございますが、学部学生に対して、学部学生の指導について一定の役割を果たすということが期待できないだろうか。これは、先ほども先生から御指摘ございました学部における教育の充実という観点からしても、いわゆるティーチングアシスタントとして大学院の学生を活用する、それによって学部の教育も充実をするし、さらには若干でも大学院の学生の経済的な面での援助にもなるのではなかろうか、こういう制度も提言をされております。  今後とも大学院の学生の処遇については十分意を用いてまいりたい、このように考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 今お答えがありましたティーチングアシスタント制度ですか、これはひとつ積極的に導入をしておやりいただきたいと御要望申し上げておきます。  次に、大学に関連して、放送大学の問題でありますが、放送大学の応募状況、この前朝日新聞社から出ております「アエラ」ですかにその応募状況のことが出ておりまして、定員に対して、募集人員に対してもう極めて低い数字があって、どうも読んでおると、放送大学は危機に瀕しているのかなと思いかねないような内容でございまして、私はいろいろお聞きをしてみましたが、そういうことはないということではございましたが、こういう機会にぜひひとつこの内容について実態をお答えいただきたい。さらに、やはり早急に全国ネットワーク化というものを図るべきであろう、こういうように思いますが、この点についていかがでございましょうか。

福田昭昌文部省生涯学習局長

○福田政府委員 御心配いただいて恐縮でございます。今お話しになりましたのは、一月末のあたりのときの状況であったと思いますが、本日までの集計によりますと、応募者の数は合計で九千六百二十人ということでございます。これは昨年の同日と比較しますと、昨年の場合が九千三百六十八人ということでございますので、昨年よりちょっと上回っておるという状況でございます。昨年の場合の最終的な応募者数が一万三千五百四十五人ということでございますが、今のそういう状況からしますと、最終的には昨年とほぼ同数程度の数になるものではないかというふうに予想をいたしておるところでございます。  また、現在放送大学は、御承知のように関東地域が主な対象地域になっておりますけれども、御指摘のとおり、対象地域の拡大によりまして学習機会の拡充を図っていくということは、生涯学習を推進していく体制を整備するという観点からも大変重要な課題だというふうに考えております。  なお、この放送大学の対象地域の拡大を図っていくに当たりましては、放送網の整備のあり方あるいは面接授業、単位認定試験等を実施いたします学習センターの整備、そういったもののあり方につきまして検討していかなければならないわけでございます。私どもにおきまして、所要の調査を行うとともに、種々そういった課題について検討しておるところでございまして、今後鋭意取り組んでまいりたいというふうに考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 私は、学習センター等、本部も含めて視察に行ったり、いろいろな関係者のお話を伺ったり、大学で勉強している方々のお話等も聞いて、いい形で進んでいる、こう思っているだけに心配しておりましたが、安心をいたしました。関係者の御努力をお願いをいたします。  次に、環境教育でちょっとお尋ねをいたしたいと思います。  先進諸外国の例では、米国で環境教育に関する連邦法というものが一九七〇年に制定されまして、学校教育、社会教育で具体的施策が実施されています。またフランスでは、一九七〇年の大統領声明を機に、国の重要施策として環境教育というものが重視されてきたわけで、さらにスイス、スウェーデン等では、義務教育の学習指導要領に環境教育の位置づけが明記されておるというようなことで、我が党におきましても、こういった流れの中で矢追副委員長も前、文教委員会の折に質疑をされておられたわけでございますが、エコロジー社会の実現を目指している立場から、環境教育というものは非常に重要視していくべきものであると思いますし、その取り組みも文部省自体もだんだんと最近真剣におやりいただいておるようには思っております。なお、これは学校教育における環境教育の推進ということについて強力に進める必要がある、こういうふうに思っておりますが、文部省の基本的な考え方をお尋ねをいたしたいと思います。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 環境問題につきましては、二十一世紀に生きる児童生徒に正しい理解を深めさせることは極めて重要であります。学校教育におきまして、社会科、理科及び保健体育を中心に環境と人間とのかかわり合い、また環境を保全することの大切さ、そういうものを指導してまいっております。また、児童生徒に自然との触れ合いを通して環境の大切さを体得させるため自然教室を推進いたしております。今後ともこの問題につきましては、一層の充実に努める所存でございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 今大臣から大枠の基本的な考え方をお聞きしたわけですが、具体的な取り組みというものはどういうふうになさっていられるのか。もう少し詳しくひとつお答えをいただければと思います。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 環境教育の重要性につきましては、ただいま大臣から御答弁がありました。具体的に私どもが今やっておりますのは、まず教育課程の基準であります学習指導要領の中にこれを位置づけるということでございます。  今回の学習指導要領の改訂におきまして、環境教育につきましては、いろいろなところでその充実を図っているわけでございます。  例えば、小学校の社会科では、現在公害の問題と国民の健康、生活環境等の指導をすることになっておりますが、今回、国土の保全、水資源の涵養というようなことのために森林資源が大切であるというようなことを新たに入れておりますし、また「環境保全のための国民一人一人の協力の必要性に気付かせる」というような事項も入れているのでございます。また、理科で申し上げますと、小学校の六年で、今回新たに「人は、食べ物、水、空気などを通して、他の動物、植物及び周囲の環境とかかわって生きている」、そういうことを指導するということにしております。  さらに、中学校で申し上げますと、社会科の「公民的分野」で「環境の保全」というようなことを入れておりますし、理科の方では、「地球と人間」というところで自然環境の保全に関する態度が育成されるようにすることというのを新たに加えております。  また、高等学校では、現代社会の中で、「環境と人間生活」という項目を設けまして、「環境と人間生活とのかかわり合いについて理解させる」、「環境にどうかかわって生きるかについて考えさせる。」ということにしておりますほか、理科の地学では、「地球と人間」という項目で環境教育をする。さらには保健体育でも、「環境と健康」という形で取り扱う。  また、少し視点が違いますが、道徳教育でも、自然を大切にし、愛することが大切だということを新たに指導するように加えたりしております。  このように、まず学校教育の中で、正規の教育課程の中に位置づけて指導するということにしているわけでございますが、何せこれは新しい指導分野でございますので、学校の先生方がこれについて関心を深め、研究を深めていただく必要があろうかと存じます。そこで、今年度から教師用の指導書の作成に着手いたしました。今年中には中学校、高等学校の教師用の指導書を作成して、全国の学校に配付したいと思っております。さらに平成三年度の予算案では、小学校の先生の指導書をつくりたいという予算を計上しておりますし、さらに環境教育につきまして先進的な研究を進めていらっしゃる学校の先生方にお集まりいただきまして、環境教育シンポジウム、研究協議会等を開催して一層の啓蒙を図っていきたい、こういう予算も計上しているわけでございます。今後ともこの分野の教育につきましては、一層力を尽くしていきたいと考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 この環境教育を確立するために、環境教育法(仮称)の制定、これを検討すべきときが来ているのではないかというふうに思っているわけでございますが、これについてはいかがでございましょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 先ほど先生から御指摘がございましたように、確かにアメリカでは環境教育の推進のための法律ができております。そのほかの国でもいろいろその整備を図っているところもあるようでございますが、御提案の環境教育法につきましては、大変貴重な御提言だと存じますので、諸外国の例なども調べました上、今後の研究課題にさせていただきたいと存じます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 これはひとつぜひ推進方をお願いいたします。  それから次に、世界遺産条約の批准問題でちょっとお尋ねしたいのです。これは直接的には文部省ではないかもわかりませんが、関係も大いにあると思いますので、文部省か文化庁のお答えで結構でございます。  世界の文化、自然遺産を保護するための国際協力を目的としました世界遺産条約、正確には世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約と言うのでしょうか、これが結ばれてことしで十九年になるわけですが、これはいろいろ実態をお聞きしてみますと、既に百十五カ国が条約に加盟して、そのうちの百十二カ国が批准を済ましておるという実態があるのですが、なぜか日本だけがいまだに条約を批准してない。これは何か国際社会のなぞの一つになっているというようなことなのでございます。この際、日本も環境問題に絡らみ、世界遺産条約を批准すべきときが来ているのじゃないか、こう思うのですが、これについての御意見をお聞かせいただきたいと思います。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 予算委員会で御答弁申し上げましたが、一九七二年、第十七回のユネスコの大会で、御案内のように決定されまして、採択になりまして、一九七五年十二月から条約が発効した。このことにつきまして、世界の文化遺産及び自然遺産の保護、私ども日本としても、その趣旨は望ましい。そしてまた、文化財保護法との関連で、私ども文部省としては、今先生の言われたとおりでございます。関係各省、外務省、また環境庁と相談いたしまして、ぜひ善処をいたしたい、このように考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 ぜひひとつ御推進方をお願いいたしたいと思います。  次に移りまして、子供の病気です。その中で特に成人病、子供の成人病と正確には言えるのかどうかわかりませんが、こういう問題が最近非常に報道もされ、問題になってきているようでございます。特に小中高の子供たちについて、いわゆる成人病とされております高血圧、高コレステロール、それから糖尿病などの兆候が非常に見られるようになってきたという指摘が多くなってきているわけです。成人病の若年化現象といいましょうか、これを指摘する学者の先生やお医者さん方が多数出てきていらっしゃるわけですけれども、この子供の成人病、現代の文明病とも言われているようでありますが、この点についてお尋ねをしたいと思います。  最近の新聞報道で、昨年ですか、日本体育大学で子供の健康問題について調査をされて、その結果が発表になっているわけです。それによりますと、高校生の糖尿病が十年前の約十倍になっておる、こういうふうに調査結果が出ているのですね。それから低体温、体温が低い子供さんたちもふえてきているという結果が報告されております。また、文部省が毎年実施されている学校保健統計調査を見てみましたら、肥満児の項目、肥満傾向の子供さんは、昭和五十五年度と一番新しい平成二年度の調査資料を比較してみますと、小学校段階では一・六%から二・二%にふえてきている。中学校では一・三%から一・七%にふえてきている。高等学校では一・二%から一・三%、これはわずかですが、いずれにしても皆ふえてきているわけですね。全体的に見て漸増傾向というものが非常に明らかになってきているわけです。この次代を担う子供たちにこういう兆候、傾向が見えるということは、我が国の今後にとって大変な問題じゃないかと思うわけでございまして、こういった子供たちの新しい健康問題に対処するために、まず実態の把握がより正確になされなければいかぬと思うわけでございますが、こういった問題を含めてお尋ねをいたしたいわけです。  最初にお尋ねしたいのは、子供の健康状態を把握するという意味で最も大切なものの一つであります学校における児童生徒の定期健康診断についてです。この定期健康診断では、学校保健法に基づいてたしか十一項目の検査を実施するということになっているわけでありますが、この学校保健法というのは三十年前にできた法律で、最近の疾病構造の変化、新しい健康問題への対応ということを考えると、検査項目の見直しをする必要があるのではないかと考えるわけです。したがって、この点についてどういう項目をつけ加えてやったらいいかというようなこともあるのですが、例えば血圧の測定、それから尿糖の検査、心電図、心音図検査、こういった項目等をつけ加えて検査をするというような見直しが必要ではないかと思うわけです。これは私がきょう初めて御提案申し上げるのではなくて、我が党の同僚議員でございます日笠議員が昭和六十三年三月に、これはたしか予算委員会だったと思いますが、質問して提案を申し上げているわけですが、これについては非常に前向きの御答弁がありました。それでその後定期健康診断の見直しについてどういう形で進めていらっしゃるのか、まずそこをお尋ねいたしたいと思います。

野崎弘文部省体育局長

○野崎政府委員 学校におきます定期健康診断のあり方につきましては、現在日本学校保健会の中に健康診断調査研究委員会というのを設けまして、その中で検討が行われておるわけでございます。その検討課題はいろいろあるわけでございますけれども、健康診断項目全般にわたります見直し作業ということもあるわけでございますが、今先生から御指摘のございました児童生徒の疾病構造の変化等に対応した検査項目、こういうこともその中に含めまして、特にこういう問題につきましては、専門家から成る小委員会をつくりまして、具体的な検討を鋭意進めているところでございます。検討しておりますと、技術的な課題等も出てきておるようでございまして、まとめを受けるまでにはもうしばらく時間が必要である、このように承知をしておるわけでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 こういう項目の見直しが必要だということについては、十分御理解があった上ですり合わせをしながら取り組みをなさっておられるようでございます。どうかひとつこういったものがなるべく早くきちっと見直しができますように推進方を御要望申し上げておきます。  そこで、さっきもちょっと申し上げましたが、こういったことの原因究明とか対策等を立てるについては、これはもう実態を正確に把握することが必要であるわけでございまして、その実態の把握についての対応をひとつぜひやっていただきたいわけですが、これについてはどのようにお考えかをお聞かせいただきたいと思います。ある県の調査では、児童生徒数の二ないし三%が成人病の傾向があるというふうな報告もあるぐらいで、これの実態把握というものは緊急を要する問題ではないかと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。

野崎弘文部省体育局長

○野崎政府委員 今先生から御指摘ございましたように、児童生徒におきましても成人病の兆候を有する者が見られる、こういうような指摘がございます。また、新たな健康問題といたしましては、各種アレルギー疾患等、そういうことに対する関心も深まってきている、こういうようなことで、私どもといたしましても、このような新しい健康問題につきまして、その実態を把握する、そして、それが毎年毎年どういうような形になっていくのかというような観察をしていくということも極めて重要なことだ、このように考えているわけでございます。  そういうようなことから、平成三年度の予算の中に、全国の学校からサンプル校を選定いたしまして定点観測を行う、サンプル校での観測を行う、そういうことによりまして、継続的に児童生徒の健康状態の情報を集め、またそれを解析をする、それに基づきまして的確な指導に資したい、こういうようなことで、児童生徒の健康状態サーベイランス事業、こういうものを財団法人日本学校保健会にお願いをすることとして、平成三年度の予算案に新規事業としての計上をしているところでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 今児童生徒の健康状態のサーベイランス事業ですかについてお答えがあったわけですが、これについてもう少し詳しくお話を願えればと思いますが、いかがでしょう。

野崎弘文部省体育局長

○野崎政府委員 この事業、新しい事業でございますので、まず準備が必要であろうということで、平成三年度は準備の関係の経費を計上しているわけでございます。  具体的には、日本学校保健会の中に学校関係者あるいは専門家によって構成されます児童生徒の健康状態サーベイランス委員会、こういうものを設置いたしまして、対象とすべき健康問題、どのようなものを選定するのか、あるいは情報収集の方法、それから定点観測の体制、こういうものを検討をいただく、と同時に、集められるだけの必要な情報収集なども行う、こういうようなことを予定しておるわけでございます。それで、健康問題としてどのようなものを選定するか。例えば血圧とか血清、コレステロール値、あるいはアレルギー症状、疲労感などいろいろな事項が考えられるわけでございますけれども、その中でどのようなものを選んでいくかは、このサーベイランス委員会で検討していただこう、このように考えておるわけでございます。  平成三年度このような準備をいたしまして、その準備に基づきまして、できる限り速やかにサーベイランスの実施体制を整えまして、継続的な定点観測を実施をしてまいりたい、このように考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 こういった病気については、今まで御質問申し上げた問題とともに大切なのが、やはり学校におきまして成人病予防を初め新しい疾病などについての教育が必要になってくる、こういうふうに思うわけでございます。端的に申し上げますと、保健、給食と一体化した健康教育という形でこういった教育を推進していくということが大切ではないのかということでございますが、この点についてはいかがでございましょう。

野崎弘文部省体育局長

○野崎政府委員 先生御指摘のとおりと私どもも考えておるわけでございまして、小さいときから運動、休養、食事、こういうものを初めといたします心身の健康に関する知識というものを十分理解をいただく、そして、それを実際の生活に生かすことができるような能力や態度を育てていくことが大変大事だ、このように思っておるわけでございます。  文部省の体制といたしましては、昭和六十三年から健康教育課を設置して、学校保健、学校安全、学校給食、こういうものを含めまして健康教育の総合的な推進を図っていくという体制を整えているところでございます。また新しい学習指導要領におきましても、学校におきまして健康教育を学校の教育活動全体を通じて行う。それらの指導を通じまして健康で安全な生活を送るための基礎が培われることが大切であるということを述べている次第でございます。また小中高等学校を通じまして健康と生活行動のかかわりというものを重視をする、そして健康の保持増進のためには、運動、休養、食事の調和のとれた生活を送ることが重要であることを強調している次第でございます。  文部省の事業といたしましては、既に健康教育推進研究指定校の設定、あるいは全国健康教育研究協議会の開催というような事業も実施をしているわけでございますけれども、特に来年度からの新規の事業といたしましては、地域で取り組む必要があるだろうということで、健康教育推進地域事業というようなものを新たな経費として計上させていただいているところでございます。今後とも、そういう意味で御指摘のような学校教育、社会教育を通じました健康教育の総合的な推進ということに努めてまいりたいと思っております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 健康という問題を考えますと、これは幅広く考えた場合に心の健康という問題もある、こういうふうに思うのですね。最近はいじめとか校内暴力とかいろいろな学校での問題がある中で、表面上では頭が痛いとかおなかが痛いとかいうようなことを言っておるのですけれども、実際は心因性、心の問題で、それによってそういう症状が起こってくるという例が、有名な小児科の先生あたりもそういうことをおっしゃっておられますし、各地でそういう状況というのは出てきているようです。私も実際にぶち当たったことがございますが、これはやはりそういう意味からも心の健康ということは大変大切だと思うのですね。学校においては、特にそういう問題があったときに、保健室を訪れて、養護教諭にいろいろ何かそういうカウンセリング的なものも含めてやってもらうという中で、そういうものがきちっと治っていくとか平常に戻るというようなことも随分あるように思います。こういう実態が随分とあちこちであるということから見まして、この心の健康の問題についての相談活動の充実というものを真剣に考えていくことが大切ではないか。だから養護教諭ももちろんでありますが、カウンセラーも各校に配置するというようなことも含めて対応すべきであろうというふうに思いますが、文部省はどういうふうにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

野崎弘文部省体育局長

○野崎政府委員 今先生御指摘ございましたように、頭痛とか腹痛というようなことで保健室を訪れる、しかし、よく聞いてみますと、やはり心の健康問題がその背後にあるというようなことは私どもよく聞いておるわけでございます。  こういうことにつきましては、やはり学校におきます養護教諭の果たす役割というのは非常に重要になってきているのではないか、こう思うわけでございまして、養護教諭によります健康相談の充実を図るために、従来からヘルスカウンセリング指導者のための講習会、こういうようなものを開催いたしまして、養護教諭の資質向上を図ってきているところでございます。特に保健室におきます相談活動の充実を図る、そういう観点から基礎資料をいろいろ整える必要があるだろうということで、これは本年度でございますけれども、保健室における相談活動に関する調査研究事業というのを開始しておるところでございます。その内容は、心の問題を持ちまして保健室を訪れる児童生徒の実態、そして、こうした児童生徒への対応の実践事例というものを調査いたしまして、今後こういうような調査を踏まえながら相談活動の充実の方策を検討していく上で参考にしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。  また、カウンセリングの話も出たわけでございますけれども、現在、生徒指導講座とか、そういう場でカウンセリングあるいはそれを含めた生徒指導の問題ということについても十分研修を進めているという状況でございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 これは大臣に最後にお尋ねですが、以上、健康教育、成人病等についてのいろいろ質問を申し上げたわけでございますが、こういった問題について大臣はどういうふうにお考えか、所見をお聞かせをいただきたいと思います。

井上裕自由民主党文部大臣

○井上国務大臣 先ほど体育局長から細部にわたりまして御案内がありました。子供たちに成人病の兆候が非常に著しいという健康問題、各方面からお聞きをいたしております。これは非常に重要な問題である。今まで定期健康診断、これは一年一回法律により、学校保健法の施行規則の第四条に法第六条第一項による十二の検査項目がございまして、身長であるとか体重であるとか胸郭であるとか耳鼻科であるとか目であるとか結核の有無であるとか、その中に全部やれない尿というようなものも入っているわけでございますが、こういう健康診断を適切に見直しまして、そして平成三年度予算に新たに計上していただきました児童生徒の健康状態サーベイランス事業、早く言うとサンプルですか、そういうものをして、では全部の子供たちの血液をとってやるかということも、これまた大変なことであります。そういう点で、今御指摘のありました肥満児、そういうものに対しましても適切に配慮いたしたい、このように考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 もう一、二分時間がありますが、あと質問用意しておりましたが、質問すると時間が足りなくなりますので、私の質問はこれで終わらしていただきます。ありがとうございました。

臼井日出男自由民主党

○臼井委員長 次回は、来る二十二日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十二分散会

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