商工委員会 第8号
- 発言数
- 304 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1991/03/13
会議録
○奥田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案並びに和田貞夫君外十名提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林義郎君。
○林(義)委員 今回、昭和五十二年の改正以来十四年ぶりに独占禁止法改正法案が提出されました。政府案が提出されるに至った直接の背景としましては、日米構造問題協議におきまして独占禁止政策に関するさまざまな問題が取り上げられたということがあるわけです。 そこで、政府にまずお伺いいたしますが、日米構造問題協議は、そもそも日米両国の構造問題をマクロの面での要因を含めて話し合い、両国がそれぞれの制度や慣行を自主的に是正するということで始めたものでありまして、日本側が一方的に米国側の言い分によって措置をとるものではなく、あくまでも我が国自身の状況を踏まえ、我が国の政策上の判断として行うものであるというふうに考えておるわけであります。報告書に盛られました日本側措置は、これらはあくまでも我が国の判断として、我が国の現在の状況において必要とされたものであって、今回の独占禁止法改正も全く同じような趣旨に基づくものだと思います。このように私は考えておりますし、そのように承知しておりますが、こうした理解でよろしいのかどうか、政府の御見解をまずお伺いいたしたいと思います。
○有馬政府委員 先生御指摘のとおりでございます。私どもが自主的にとる措置であり、また、この日米構造問題協議は、マクロ経済政策協調を補完するものとして日米両国で貿易と国際収支の調整の上で障壁となっていると考えられる構造的問題を互いに指摘し合って、それぞれみずから改善すべきと考える構造問題に取り組もうということで開始されたものでございまして、また、日本側措置の誠実かつ着実な実施こそ世界経済の安定的発展と日米間のグローバルパートナーシップの推進のため不可欠であり、本協議を契機にとられる措置は、日米両国のみならず世界全体に幅広く影響をもたらすものであると認識いたしております。
○林(義)委員 それでは、次に、今回の改正法案の趣旨についてお伺いをいたします。 まず、課徴金制度の性格ですが、我が国の独占禁止法におきましては、行政上の措置として、違反行為に対する排除措置と課徴金のほか、別途刑事罰が科されることになっております。これが諸外国と大きく異なる点であります。このため、課徴金制度につきましては、憲法の二重処罰の禁止との関係で、制裁的な性格のものであってはならないという点が重要でありまして、この点につきましては、昭和五十二年にこの課徴金を導入した際にも随分議論をしたところであります。 ここで私は改めて、その法的性格は何か、また、今回の改正でその性格が変更されたことになるのかどうか、その性格につきましては変更されていないのだろう、私はこう考えておりますが、この点につきまして政府の御見解を賜りたいと思います。
○梅澤政府委員 カルテルに課されます課徴金は、カルテルによる経済的利得を徴収することによって公正を確保するとともに、違反行為の抑止を目的とする行政措置であります。すなわち、公正取引委員会が行政手続によって課すというものでございまして、その点で、制裁等を目的といたします刑事罰とは明らかに異なるものでございます。この点につきましては、今回の改正問題を検討していただきました懇談会の報告にも明確にその点は示されておりまして、課徴金のこのような性格、すなわち、カルテルによる利得を徴収するという、合理的な範囲内においてこの水準を設定するということにされておるわけであります。したがいまして、御指摘のように五十二年に創設されました現在の課徴金の法的性格は、今回の改正案においてもいささかも変わっていないということを申し上げたいと思います。
○林(義)委員 今の答弁にもありましたが、課徴金というのは、カルテルによる経済的利得を徴収する行政上の措置である、刑事罰とは法的性格が異なるということが明らかになったわけであります。 そうしますと、現在の課徴金制度におきまして、カルテル対象商品の売上高に業種の区分に応じまして四%、三%、二%、一%という率を掛けて、さらにその二分の一が課徴金額になるという算定方式をとっているわけでありますけれども、これも、こうして算出した額がカルテルによる経済的利得に当たると見ておるわけであります。これはあくまでも推定ということだろうと私は思うわけでありまして、今回の改正におきましては、カルテル対象商品の売上高に原則六%、業種により二%、一%を掛けた額を課徴金額とし、中小企業の場合にはこれを原則三%、一%、一%とするということにしたわけでありますが、この場合にも当然この額はカルテルによる経済的利得の徴収として説明されなければならないものだと思うわけであります。 そこで、今回の改正においてこの率を設定した根拠は何かということであります。率の設定につきましては、五十二年の改正のときには経常利益率をもとにしておりました。当時のことを考えますと、売上高総利益率にするかあるいは営業利益率にするかというようなことを議論いたしましたし、また、当時の公取委員長橋口さんは、すべてのものを、すべての不当利得を全部算定してやるというような御議論もあったわけであります。今回は、今までの、五十二年の改正の経緯、また、それを踏まえまして、経常利益率というのが出ておったのですが、これを営業利益率に変えたということであります。これについてもひとつ御説明をいただきたいと思います。
○矢部政府委員 まず一定率の根拠でございますが、これにつきましては、カルテルによる経済的利得を直接反映する適切な指標といたしまして平均的な売上高営業利益率を用いまして、これに基づきまして一定率を設定したわけでございます。 具体的には、六%という水準につきましては、卸・小売業を除く全業種の一定規模以上の企業の昭和五十三年から平成元年までの間の平均的な営業利益率、これが五・九%でございますが、これをもとにいたしまして設定いたしました。 それから経常利益率を営業利益率に変えた理由でございますけれども、現在の制度におきましては、企業全体の収益状況を見る指標である経常利益率を指標といたしまして課徴金の一定率を定めておりますが、制度導入当時におきましては企業の外部資金に依存する割合が高く、事業活動そのものに係る利益を見る場合であっても金融収支を勘案した指標である経常利益率を用いるということに合理的な理由があったからでございますが、現在では自己資本の充実によって資金調達コストが相対的に低下してきておりますので、金融収支を勘案する必要が薄れ、また経常収支は財務活動の状況も含んだものでありまして、現時点で見ると、本来の事業活動とは直援関係のない多様な要素を考慮要因に含めるという側面が強くなってきておりますので、引き続き経常利益率を指標として用いることは妥当でなくなってきている。 一方、営業利益率は仕入れ、生産、販売等の企業本来の活動の実態を直接に反映する基本的なものであり、カルテル対象商品に係る事業活動から生ずる利益を反映する指標としてより妥当性を持つものと考えられることから、平均的な営業利益率に基づきまして一定率を改正することとしたものでございます。
○林(義)委員 今お話がありましたように、六%というのは営業利益率である。しかしながら、営業利益率というのは各業界または業種によってそれぞれ違うわけでありまして、例えば建設業のように、売上高営業利益率が六%より低い、三・七%というような数字もあるところには出ておりますが、そういったものまで六%まで上げるというのは上げ過ぎだという議論があります。しかし、建設業だけ別に項目を立てるということになりますと、それなら製造業の中で鉄鋼業はどうするか、情報産業はどうするかという議論になり、だんだん区分を細分化していかなければならないと思います。また、建設業の中でも、細分化をしていけば現実の利益率には区分によって高いところも出るし低いところも出る、こういうことになってくるでしょう。 最初に申しましたように、課徴金の率の定め方はあくまでも一つの推定でありますから、業種の区分は少ないすっきりしたものであった方がわかりやすいし、またその方が適切だと思うのです。また、仮に建設業を特掲するということになりますと、アメリカが日本の建設業は談合的な部分が多いということを前からも指摘しておるところでありますし、また新たな議論が起こる可能性もあ ります。しかし、ある業種について、現実の売上高営業利益率と今回の課徴金の率に乖離が存在する場合も確かにあると思います。 課徴金の率についての業種の区分の考え方と、実際の業種ごとの利益率と課徴金の率との関係について公正取引委員会はどう考えておられるのか、この辺についてのお考えをお尋ねしたいと思います。
○矢部政府委員 課徴金に関する独占禁止法改正問題懇談会の報告書にも記載されているとおり、課徴金制度はカルテルによる経済的利得を徴収する制度であって、課徴金の水準は、制度の性格から見て合理的な範囲内で設定される必要があるけれども、必ずしもカルテルによる個別具体的な経済的利得と厳密に照応する必要はなく、カルテル禁止規定の実効性を確保するために十全な抑止効果が期待できるものとして設定することが妥当であるという考え方が示されております。 この考え方に基づきまして、今回の改正法案では、カルテルによる経済的利得を個別具体的に明確に把握することは困難であるということにかんがみ、算定の容易さ、透明性の点を勘案しつつ、カルテルによる経済的利得を反映する最も適切な指標として平均的な営業利益率を用い、これに基づいて一定率を設定したものでございます。具体的には、簡明かつ透明性ある業種区分という観点から、その取引が他の業種と大きく異なる卸、小売業のみを例外といたしまして基本となる一定率を設定したところでございます。
○林(義)委員 政府案の中では、今もお話がありましたように六%が制度の性格から見て合理的なものであるということでありますが、私が新聞等で聞いておるところでは、アメリカでは、この率では独占禁止法の抑止効果というものは不十分である、課徴金を一〇%まで引き上げるように要望があったということを聞いております。それは新聞報道でありますから真偽のほどはわかりません。しかし、どのような話があったのか、御説明ができればしていただきたいと思います。また、引き上げるということであれば、一〇%という根拠は一体何なのだろうか。 私も実はアメリカへこの一月に行きましてアメリカの独禁当局といろいろ話をしたのです。アメリカでは、自分のところの、今まで損害賠償その他を取る、こういったカルテルによって上がったところのデータを調べてみると一〇%くらいだろう、こういうお話でありますから、それはアメリカの国内ではそうかもしらぬけれども、アメリカ国内のものをそのまま日本に持ってこられてもおれの方は困るよ、こういう話をアメリカの当局にしたんです。そうしたようなことからして、一〇%をとらなかったという理屈、その点はどういうことなのか、また、アメリカがなぜそういったことを執拗に言ってきたのか、この辺につきまして御説明をいただければと思います。
○梅澤政府委員 今回のSIIの過程で、日本の改正法案におけるこの課徴金の水準の問題について日米間で議論がございました。私自身も米国当局者と二、三回この問題について議論をいたしました。この六%という水準についてアメリカの方は、抑止力という観点から見れば不十分であるというのが彼らの指摘であります。その際、一〇%という議論も確かに出たわけであります。 これは、御承知のとおりアメリカの場合は課徴金という制度はございませんで、カルテルに対しては刑事罰で措置するという制度になっておるわけでありますが、アメリカの刑罰というのは、例えば企業の場合でございますと、たしか改正後、罰金の最高水準が一千万ドルもしくはカルテル利得の二倍という規定になっております。このカルテル利得の二倍という刑罰を運用するいわばアメリカ側の刑罰ガイドラインとして、カルテル利得としては一〇%をめどにこのガイドラインを適用するということになっておるわけでありまして、この一〇%というアメリカのガイドラインは恐らく今委員が御指摘になりましたようなアメリカの国内の経済事情等から見て出てきた数字であると思います。 ただ、このアメリカの一〇%という主張はアメリカの制度なりアメリカの実情の中から出てきた数字でありまして、彼らの主張は主張といたしまして、我が国の場合は、先ほど御説明申し上げましたように、課徴金問題懇談会でいろいろな角度から検討していただきました結果、この十数年間の売上高営業利益率の平均水準である六%、これを日本の課徴金の性格から見て設定するのが合理的である、しかもこれで抑止力を十分期待できるということでございますので、この水準の評価につきましては日米間で必ずしも見解は一致していないわけでありますけれども、これはあくまで日本の独自の判断として、この六%の水準で今国会で御審議を賜るべく御提案申し上げておるところでございます。
○林(義)委員 独禁法の運用の問題は後で時間があったらもう一遍なにしますけれども、域外適用という問題があります。アメリカの独占禁止法が日本でどの程度まで適用されるのか、また、日本の独占禁止法がアメリカの中の行為についてどの程度まで適用されるのかという問題はあると思いますが、私は、日米間におきまして、独禁法の運用についてはお互いの独禁当局がいろいろな点でよく話し合いをしていくことが必要だろう、こう思っております。それは二つの国が違うということを前提にしてお互いが意思疎通を図っていくことが必要だろうと思うわけでありまして、日本の制度の改正につきましては日本の実態に合わせて改正するということ、その点についてもアメリカ側にはきちんと説明していくことが必要だろうと思います。 次に、課徴金の対象となるカルテルの範囲についてお伺いしたいと思います。 今回の改正によりましてこの対象範囲は変更されないという説明が先ほどありました。どのようなカルテルが課徴金の対象になるかにつきましては、私はいろいろと問題があると思いますし、過去十年間の運用によりましてどういうふうになっているのか、その点につきまして従来の解釈を変える必要はないのかどうか、この点を御説明をしていただきたいと思います。 法律の第七条の二には、「実質的に商品若しくは役務の供給量を制限することによりその対価に影響があるものをしたときは、」と、こういうふうな形になっています。そのもう一つ前に条文がありますが、「その対価に影響があるものをしたときは、」と、こういうことがありますけれども、例えば販売数量制限カルテルとか供給量に直接影響を及ぼすような生産数量制限カルテル、そういったものが一体どういうことになるのか。また、もう一つ申しますと、価格に影響があるかどうかわからないけれども、設備制限カルテルであるとか顧客割り当てカルテル、顧客割り当てカルテルというのは要するに販売ルートの制限、販売地域の制限などというカルテルでありますけれども、これらが対価に影響があるかどうかという問題は、こうしたカルテルをやるから影響があるとは一律に言えないのだろうと私は思うのです。 私は、そういった意味で法文の解釈としては、「対価に影響があるものをしたときは、」ということにつきましては、一つ一つのケースに当たって、ケース・バイ・ケースで判断することがやはり正しいあり方ではないかと思うのでありますけれども、公正取引委員会の解釈につきまして、どういうふうに考えておられるのか、御説明いただきたい。
○柴田政府委員 昭和五十二年に課徴金の制度を導入していただきまして、その後この一月末まで私どもが課徴金を課した事件、全体で七十六ございました。これは全体の中で価格の引き上げがほほ四割の二十九件、あと価格の維持・引き上げが十三件、入札談合が二十一件の二八%、類型別にはそのようなことになっておりまして、全く課徴金の対象行為とならなかった、三条後段あるいは八条一項一号、つまりカルテル事件というのは二件でございまして、それ以外のものは多かれ少なかれ実は価格にかかわっていたというのがこれまでの運用の実態でございます。 今回の改正でも、今先生から御指摘いただきましたように、課徴金の対象となる行為の範囲は変わらないということは前提になっております。確かに過去の実例はそういうことでございますが、観念的に今幾つかの例を先生お出しいただいたわけでございますが、特にこの法案の中で「実質的に供給量を制限することによりその対価に影響があるもの」については、市場への供給量を制限することは必然的にその対価に影響を与えるものであるということから、その態様のいかんを問わず、価格カルテルと同様の効果を持つものとして課徴金の対象とするとの趣旨に基づき定められたものであるというふうに私ども理解をいたしております。個々のカルテルがこれに当たるかどうか、幾つかの例を今お出しいただきましたけれども、当該カルテルが供給量を制限するものであるかどうか、あるいは実質的に供給量を制限する効果を持つものであるかどうか、それによって決まってくるだろうというふうに考えておりまして、最終的には個別のカルテルの実態に即して、具体例によって判断をしてまいりたいというふうに考えております。
○林(義)委員 課徴金の算定方式につきましては、今お話がありましたが、カルテルによる経済的利得を個別に算定するという考え方が五十二年の改正の際にも当初の案としてあったわけです。そのときの議論を振り返ってみますと、カルテルは価格引き上げカルテルだけでなくて生産数量制限カルテルとか入札談合などいろいろな種類のものもありますから、それらも含めて価格に影響するカルテル全体を対象としてしなければ不合理になります。片手落ちになるということです。 そうなりますと、先ほどの答弁にもありましたように、ケース・バイ・ケースでさまざまな類型のカルテルが対象になりますから、これらのカルテルによる利得を個別に算定しようとしても実務的には非常に不可能になるし、大変な作業が要るということでありますし、行政的にもとてもやれない。結局のところカルテルによる利得というのは正確にはわからないということをその五十二年の立案のときに議論をしたところであります。私もその議論に参加をいたしまして、随分この辺は議論してみたのですが、そういった記憶があります。 そういたしますと、カルテルによる経済的利得を個別に算定するというのは無理でありますから、この点は現在も変わっていない、したがって、最初にありましたように六%云々という一つの推定を用いる、一律的なことでやらなければならない、こういうことになったというふうに理解しておりますが、この点につきましてはどうなんでしょう。
○矢部政府委員 カルテルによる経済的利得というのは、一般的には、そのカルテルがなかった場合の収益に対するカルテルを行った場合の収益の増分ということができるわけですが、カルテルの経済的利得を算定するためには、そのカルテルがなかった場合の収益を推定しなければなりませんけれども、これは実際には存在しないものでありますから、その意味で、カルテルによる経済的利得を個別具体的に明確に把握することは、委員御指摘のとおり、現実には困難なものでございます。 こうした点を踏まえまして、課徴金の算定方式につきましては、課徴金に関する独占禁止法改正問題懇談会においても十分御検討いただいたところですけれども、課徴金制度が行政上の措置であるということから、明確性、透明性のある客観的な基準による方式が適当であるということ。それから、カルテルによる経済的利得を個別に算定するとすると膨大な事務上の負担が生じることが予想され、措置の迅速性ということを考慮いたしますと、簡明な算定方式とすることが適当であるというようなことから、現行の売上額に一定率を乗じる算定方式を維持していくことが妥当であるというふうに考えております。
○林(義)委員 次に、実行期間についてお尋ねをいたしたいと思います。 現行制度では、企業が公取の勧告を不服としてカルテルの存在について審判で争うときに、企業は審決が出されるまでは、みずから存在しないと主張しているカルテルの破棄を行うことがないので、審判で敗訴すれば、その時点までカルテルが実施されたとして課徴金が課されてしまう。このため、企業は、審判手続が長引くと課徴金が莫大なものになるために、その危険を回避するために審判を争うことを断念せざるを得ないという問題があるということがしばしば言われているところであります。 これは、実は制度をつくったときもこの辺の問題があったわけです。課徴金というのは、極端なことを言いますと、長期間カルテルが行われていた場合には、理論的には昭和五十二年の改正法までさかのぼって課徴金がかけられるということになる。しかしながら、会社の帳簿額の保存期間というものも限られておりましたり、昔の資料もないということでありまして、その対応が難しい。 今回の改正では、課徴金の算定上のカルテルの実施期間を三年に限るということにしておりますが、これはこういった点を配慮したものだと考えておりますけれども、過去の運用実績、何件か課徴金を取ったものがありますけれども、そのカルテルの平均実施期間は一体どの程度のものであったのか。また、そういった運用の実績ということからすると、三年というのは割と長い期間だろうと私は思うのですが、これは、短いものは短いと、こう考えていいのだろうと思いますし、長くて三年と、こういうふうに考えるべきものだろうと思いますが、そういった形でいいのか、この辺説明してください。 〔委員長退席、額賀委員長代理着席〕
○矢部政府委員 課徴金を算定するときには、そのカルテルの実行期間の売上額に一定率を掛けるわけでございますけれども、現在の制度のもとにおきましては、今御指摘いただきましたように初めの時期については限定がないわけですから、理論的には昭和五十二年までさかのぼれるわけでございます。 今回の改正法案におきましては、法律関係の社会的安定性という観点、あるいはまた長期にわたって売上額の報告を求めるということは事業者に対しても必要以上の負担をかけるというようなことから、抑止効果という点から見て支障のない範囲で、実行期間としてさかのぼり得る期間に合理的な限定をすることとしているわけでございます。 具体的な期間を三年とした根拠でございますが、これは他の時効・除斥期間ですとか、それから事業者・官公庁の帳簿・書類の保存期間、それからカルテルの実際の存続期間というようなものを総合いたしまして三年と決めたわけでございます。 それから、その三年を超えるカルテルがあったかどうかという実態でございますけれども、実際にも、これまで課徴金納付の対象となった事件七十六件のうち、実行期間が三年を超えるものは四件でございます。今回、実行期間を限定するに際しましては、こうした点を入れたわけでございます。 それから、三年というのは、それ以上さかのぼらないということで、カルテルが一年であればもちろんその一年が実行期間になるわけでございます。
○林(義)委員 次に、談合問題についてお尋ねいたします。 談合については、日米構造問題協議におきましてもアメリカ側が厳しく指摘しておるところでありますが、公共入札につきましては発注者側の対応も含めて改善すべき点があり、これらは誠意をもって事に当たることが必要だと思います。 また、公共入札に関しまして、独占禁止法のガイドラインがありますけれども、談合問題に関して、公正取引委員会としてはこのガイドラインの運用を含め、どのように対応していくのか、改めてお考えを聞いておきたいと思います。
○糸田政府委員 委員御承知のように、公正取引委員会で、独占禁止法の解釈なり運用を産業界にもよく、正しく理解していただくようにという趣旨で、いろいろな点につきましてガイドラインをつくっておるところでございます。 ただいまお話しのございました公共工事にかかわる建設業界につきましてもこのガイドラインをつくっているわけでございますが、この趣旨は今申し上げたようなところでもございますので、私どもといたしましては、この業界においてこのガイドラインを一層正しく理解してもらいまして、独占禁止法違反ということが起きないようにしていただきたい。したがって、私どもも引き続きこれの周知徹底を図っていきたい、かように考えておるわけでございます。現段階でこの公共工事にかかわる建設業のガイドラインにつきまして、特に見直しをするといったような予定は持っておりません。
○林(義)委員 次に、損害賠償制度につきましてお伺いしておきます。 損害賠償制度は、アメリカの独禁法では大変に活用されておるところでありますし、年間におきまして千件に近い訴訟が行われておるということであります。アメリカの方からはこの損害賠償制度についていろいろな点の話があった、こう思っておりますが、私は、日本の立場におきましては、今の法律の規定で十分ではないか、あと行政的にいろいろなことをやっていくということは必要かとも思いますが、今の全体の体系を変えるのはどうかな、むしろ問題があるだろうと思うわけでありまして、無過失賠償責任等ありますけれども、一説には違法性の推定の効果を公取に与えたらどうかというような議論もあるようです。私は、これは公正取引委員会の行政機関としての性格上問題が多々あるのではないかと思います。 また、アメリカの損害賠償制度には三倍賠償請求という制度があります。私は、アメリカに行ったときも言われたのですが、ちょっと日本にはなじまないものだろうと思うのです。調べてみますと、三倍賠償というのはどうも旧約聖書のところからこの問題があると思うのです。やはりアメリカ人の物の考え方と日本人の物の考え方が違うわけでありまして、旧約聖書の中で、富者が旅人のために貧者の唯一の持ち物である雌の子羊を奪って調理してやった、それに対して、そのことをした者は死ぬべきだ、その人は憐れみをしなかったために、その子羊を四倍にして償わなければならない、といった考え方があるわけでありまして、どうもこれはヨーロッパ的というかアメリカ的な物の考え方にあるのだろうと思うのです。ローマの十二表法を経まして、こうした公の秩序の維持に私人が一定の役割を果たすという物の考え方がある。 しかし、日本では、そういった公の秩序の維持に私人が損害賠償をもってやるというふうな考え方の制度は、日本の法律意識の問題からしてなかなかなじみがたいものだろう、こう思うわけであります。 そうした問題を含めまして、損害賠償制度について公正取引委員会はどういうふうに考えておられるのか、御見解をいただきたいと思います。
○梅澤政府委員 まず、御指摘のありましたアメリカの三倍額賠償制度でございますけれども、これは英米法系の国では損害賠償に当たって実損額を上回る賠償制度を認めるという例はあるようでございます。ただ、独占禁止法違反あるいは反トラスト法違反について実損額を上回る賠償制度をとっているのは実はアメリカだけでございまして、アメリカの非常にユニークな制度でございます。 このアメリカの三倍額賠償制度の趣旨の説明としては、一つは、そのことによって私人が私訴を起こす場合のインセンティブになる、同時に、当然のことながら実損額を上回る賠償を命ずるわけでありますから、その上回る部分は制裁的効果として抑止的な効果を果たす、こういうことがアメリカの三倍額賠償制度の背景にある考え方であると思います。 ただし、我が国の場合は、これは日米の今回の構造協議の対話においてもはっきり申し上げていることでありますけれども、アメリカのような三倍額賠償制度をとるという考え方はない。その理由といたしましては、一つは、実損額を上回る賠償制度というのは、独占禁止法だけには限りませんで、不法行為一般についてどういうふうに考えるかという法制上の大問題がございます。それから、もう一つは、今回御議論になっている課徴金でございますけれども、アメリカには実は課徴金の制度がないわけでございます。したがいまして、恐らく刑事処罰でない形での抑止効果を発揮するというのは課徴金そのものでございますから、我が国では現行の独占禁止法二十五条に定めておる損害賠償制度をいかに活用していくかがこれからの課題であるということでございます。 これについては、現在既に学者を中心にいたしまして具体的な検討作業を進めていただいております。恐らく六月ごろにはその結果を公表する運びになると思いますが、ポイントは、訴訟が提起された場合に、裁判所から文書送付嘱託があった場合に、公正取引委員会としては、違反事実を明らかにする、かつ企業の秘密を守るという範囲内でどの程度までの資料をどういう手続で出すか、あるいは裁判所から損害額に対する意見を求められた場合に、どういう方法論で、しかもカルテルならカルテルのいろいろな形態がございますから、形態ごとにどういう形で損害額の意見をまとめるかということを事前に明らかにすることによって、この二十五条の訴訟の活用という方向でこの問題には対処すべきであると考えております。
○林(義)委員 若干時間がなくなりましたが、最後に、二つだけお尋ねしておきます。 まず、刑事罰の強化をしたか、こういうことであります。 現在、個人に対する刑事罰と法人に対する刑事罰については、一般に刑事罰は個人に対してかけるのが原則である。しかし、法人についても、個人の行った行為についての責任を問う形で個人に対する罰金と同額を科するという制度がとられておりますが、こうした考え方ではなくて、法人だけを罰するというようないろいろな議論があると思うのです。しかし、この議論は刑法上の問題として大変な問題だと私は思いますので、独占禁止法だけで検討すべきでない問題じゃないかと思うのでありまして、この辺につきましてどういうふうな検討をしておられるのか、お尋ねしておきたいと思います。 それから、最後になりましたけれども、もう一つは、独占禁止法の適用除外の問題があります。 これは、例えばアメリカの独占禁止法を日本に対する輸出について適用する、あるいは日本における入札について適用するというようなことが言われておる。本来アメリカの独占禁止法ですから、アメリカの消費者に対する不利益であるならば適用されてもいいのだろう、日本の輸出あるいはアメリカの輸入が適用されるというようなことだったらいいのだろうと私は思いますが、そういった問題が一つある。同時に、ECなどでは、ECの合併等の規制につきましていろんな点が、ECの独禁法またはヨーロッパ諸国の独禁法の適用をする、こういうふうな問題がいろいろあります。 私は、独禁法というのはやはりそれぞれの国がやっていかなくちゃならないのが大原則である。大原則でありますが、いろんな点で調整をする必要がありますから、私はOECDやガットなんかのようなところで構造問題として議論をしていくことが重要だと思いますけれども、この点につきまして公取委員長の方はどういうふうに考えておられるのか。 以上二点につきまして御質問いたします。
○梅澤政府委員 まず、域外適用の問題でございますけれども、これにつきましては公正取引委員会が先年行いました渉外問題の研究会できちんとした結論をいただいておりまして、日本の独占禁止法は日本の国内市場に影響を与えるものについて管轄権を有する、その場合には相手方が外国事業者といえども管轄権はあるということでございます。 この管轄権の問題は、OECDの場等でも非常に議論があるわけでございますけれども、大別いたしまして、まずECとの関係からいいますと、先般ECのブリタンと会いましたときにも、基本的には日本とEC間で管轄権の問題について、私は将来そうそごは起こらないであろうと考えております。 ただ、アメリカの方は、現在の国際事業活動ガイドラインというのがございまして、実は日本の市場で起こったような問題について反トラスト法を適用することについては、反トラスト法の適用を抑止するという形で従来来ておるわけでございますけれども、この管轄権を広げるという問題を実は司法省で検討いたしております。この点については我々としては、主権の問題もありますし、これから経済がグローバル化した場合のそれぞれ関係国間の政策協調なり、それぞれの管轄権の調整という問題がありますので、日本の考え方ははっきりと彼らにも再三再四申し上げているわけでありますが、いずれアメリカの方が何らかの考え方をまとめた場合に、これは事前に必ず日本の公正取引委員会のコメントを求めるということは約束いたしておりますので、もし具体的なアメリカからのそういう動きがございますれば、我々としては今申しましたような基本的な考え方に立って対応したいと考えております。 基本的には、今委員がおっしゃいましたように、この問題はいわばOECDのようなマルチの場でまず議論すべき問題であるということは御指摘のとおりでございます。 それから、刑罰の問題でございますけれども、これは昨年末でございましたか、法制審議会で将来の企業犯罪に対する刑罰のあり方として、自然人と法人の間における量刑のリンクを切り離す問題、その場合に法人に対する罰金の基準をどの程度に設定すべきかということがこれからの検討課題として既に作業が進められておるわけでありまして、一方、独占禁止法についても今委員がおっしゃいましたように同じような問題がございますので、これは遅くともことしの秋ごろまでに御結論をいただいて、当然のことながら法制審議会なり法務省とも十分協議をしながら具体的な対応を決めたいというふうに考えておるわけでございます。
○林(義)委員 時間が参りました。ありがとうございました。
○額賀委員長代理 小岩井清君。
○小岩井委員 私は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、日本社会党・護憲共同を代表して、六日に社会党・護憲共同案の提案理由の説明を申し上げたわけでありますけれども、質疑を受ける準備もいたしましたが、質疑がないようでありますので、きょうは政府案に対置をしながら御質問をいたしたい、このように思います。 最初に伺いたいことは、独占禁止法の目的について、この点について最初に伺います。 〔額賀委員長代理退席、逢沢委員長代理着席〕
○梅澤政府委員 独占禁止法の目的でございますが、これは独占禁止法第一条に明記されておるところでございますけれども、私的独占、不当な取引制限、カルテルでございますが、及び不公正な取引方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、公正かつ自由な競争を促進し、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とするということでございまして、私どももそのように理解をいたしております。
○小岩井委員 今、公正取引委員会の委員長から独占禁止法の目的について第一条を述べられました。この目的に向かって、その達成に向けて実効性を高めていかなければならないという任務を持っているわけですね。その目的達成に向かって実効を高めていく規定はどういう内容になっているか、これも御質問いたしたいと思います。
○矢部政府委員 独占禁止法の目的を達成するためその実効性を高めていく規定といたしましては三つございます。一つは、独占禁止法違反行為の排除命令及び課徴金の納付命令や独占的状態に対する措置など、公正取引委員会による行政上の措置規定でございます。二番目は、違反行為に対する罰則としての刑事制裁規定、それから三番目は、私的独占、不当な取引制限または不公正な取引を行った事業者の無過失損害賠償責任としての民事上の規定、この三つがございます。
○小岩井委員 実効性を高めていく規定としては三つの規定があるということですね。その三つの規定がそれぞれ実効性を高めていくために機能していたかどうかという、こういうことを踏まえて具体的にこれから質問したいというふうに思います。 第一点は、昭和五十二年の法改正、これはカルテル禁止の実効性を確保するためにカルテルによって得た不当な経済的利得を国が徴収する課徴金制度、これが導入されたわけですね。まずこの点から伺いますが、課徴金制度導入の五十二年度以前あるいは以後、以後については数字が出ています。先ほどの質疑の中にもありました。以前と以後と比べて課徴金を課すべき三条違反、八条違反、どういうふうに変わってきたか。私の調査では五十二年度以前の違反行為、いわゆる課徴金を課すべき内容と極端に変わってきている、数が少なくなってきているんじゃないかというふうに思うのですけれども、その点はどうですか。数字を挙げて説明してもらいたい。あわせて、なぜそういうふうになってきたのか、これも見解を伺います。
○柴田政府委員 今、導入前、導入後の計数の比較でございますが、突然の御質問でございまして、最近時点まで正確に計算したものを今ちょっと私持ち合わせておりません。ちょっと古いデータで恐縮でございます。四十二年から五十一年までの十年間に価格に影響のあるカルテルの事件をとらえましたのが合計で三百五件でございます。それで導入後、五十三年から六十二年まででございます、これはちょっと後で足してお答えいたしますが、六十一件、確かに相当に減っていることは事実でございます。減った理由は、これは幾つかあろうかと思いますけれども、私が理解をしておりますのは三つばかりの理由がございます。 一つは、やはり経済の実態、物価動向等がどういう状況にあったかということが一つ。つまり、導入前のときには石油ショック等がございまして、非常にインフレ傾向が強かった。そしてその後、安定成長期に入ってきて物価が非常に安定をしてきたということが一つ経済事情としては考えられようかと思います。 それから二つ目には、やはり課徴金の抑止効果というのが相当にあったのではないかなというふうに理解をいたしております。 それから三つ目としては、私ども課徴金制度を導入したことあるいはこの五十二年改正の趣旨を踏まえまして民間の方々あるいは業界の方々にカルテルの問題点の指摘を十二分に行い、いろいろな指導あるいはそういうことをPRした結果の効果があったのではないか、こういうふうに考えております。
○小岩井委員 五十二年度課徴金導入以後六十一件、そしてそれ以前三百五件、極端に違いますね、これ。いいことずくめで、第一点目としては経済実態と物価動向の違いがあった、第二点は課徴金導入をしたことによって抑止効果が上がった、それから第三点は民間、業界に指摘をし指導効果が上がった、今こう言いましたね。これだけですか。 というのは、課徴金導入によって逆に企業側のガードがかたくなったということもあるでしょう。それから、実際に不当な経済的利得を剥奪するということからする公取自身の慎重な、消極的な対応もあったのじゃないですか。この点はどうなんですか。
○梅澤政府委員 課徴金制度が導入されたために企業例のガードが強くなったとおっしゃる意味は、非常に警戒心が強くなって、本来違反行為をやっているにもかかわらずその違反を隠している、それに公取のメスが届かないのではないかというふうな御指摘だと思います。私どもはそういうことは毛頭ないと思っておりますけれども、しかし、経済がこれだけ複雑化してまいりますし、我々としても違反摘発に対するスキル、技術の向上をこれからも図っていかなければなりませんし、またここ一、二年予算等でお願いしておりますように、審査の部門の定員の充実をお願いをして機能を強化していかなければならないというふうに考えておるところでございます。 もう一つ、課徴金制度をとったがゆえに企業に対する違反措置の発動について公取がネガティブ、消極的になったのではないかということでございますが、こういうことは毛頭ございません。
○小岩井委員 企業のガードがかたくなって公取の摘発について十分でなかったのではないかということについては、毛頭ない、それから消極的、慎重になったことも毛頭ないということですね。数字が示すとおり、しからばどうしてこういう数字があらわれたのですか。
○梅澤政府委員 それは先ほど審査部長も申し上げたとおりでありますけれども、一つはやはり五十二年導入前の経済状況というものを如実に反映していると思います。というのは、導入以降におきましても、経済の好不況によりまして違反の発生の数字というものがかなり動くわけでございます。したがって、経済状況の反映というのは客観的原因としてあるというふうに私は考えております。 もう一つ、課徴金の効果でございますけれども、これは導入直後かなり大きな違反事件というものもございまして、その後途中でややこの件数が減っておる。その後またふえておるという動きもあるわけでございまして、私どもとしては、この課徴金制度というのはそれなりの効果を発揮し、定着をしてきたわけでございますが、しかし、導入後この十数年の経済構造の状況を見ますと、企業の経営が非常に多角化してきておる。それから企業の事業規模も非常に大きくなって、企業の体力も強くなってきている。その場合に、現行の一・五%なり二%という課徴金の水準が企業のいわば痛みとして、経済負担としての重みといいますか、そういうものが五十二年当時と今とではやはり相対的に低下してきておる。したがって、この機会に課徴金の水準を抜本的に見直してこれを引き上げる。同時に、たまたまここ二、三年来、諸外国におきましてもカルテルに対する抑止措置を強化するあるいは運用を強化するという方向に共通してございますので、国際的な政策協調という観点からいっても、この機会に課徴金の引き上げをぜひお願いしたいということでございます。
○小岩井委員 経済動向、経済実態それから抑止効果、民間、業界に対する指摘、指導の効果が上がったということが課徴金の数が少なくなったのだという、その趣旨で今のは一貫していますね。先ほど独占禁止法の目的達成に向けての実効を高めていく規定の御答弁をいただきましたけれども、その目的に実効性が確保されているかという観点から今課徴金を取り上げているのです。 ということで、実効性が上がっているということであれば、なぜ国際的批判が高まるのか、なぜ日米構造問題協議でこれだけ厳しく対応がなされてくるのか。この点について、今公取の言うことだったら堂々と物を言ったらいい。そうじゃないから問題なのでしょう。この点について伺います。
○梅澤政府委員 その点は、繰り返しになってまことに恐縮でございますけれども、五十二年に課徴金が導入されて現行の水準になったわけでございます。それは制度の定着過程で抑止効果を発揮してきたというふうに評価をすべきであると私どもは考えておるわけでありますが、これは課徴金問題の懇談会の報告書にも書いてあるところでございますけれども、先ほど申し上げましたが、この十数年間の日本の経済構造の動きを見た場合に、現在の企業の経済の体力からいって、現行の課徴金の水準というのは五十二年に設定された当時よりも相対的に低下してきておる。したがって、現状並びに将来における日本の独占禁止法の秩序を守るために、この機会に課徴金の引き上げを図るということは大きな政策効果があると私は考えておるわけであります。 もう一つは、先ほども申し上げましたけれども、経済のグローバル化した今日、競争政策という市場メカニズムの基本に当たる部分でありますから、この部分に関する抑止措置を含めて、諸外国と政策協調を図っていく観点から諸外国の水準と著しいアンバランスになっているような水準はやはり是正すべきである、これが今回課徴金の引き上げをお願いいたしましたいわば政策的な背景なり理由でございます。
○小岩井委員 国際的な政策協調であり、その政策効果を上げるためだということであります。 それでは、課徴金についてもう少し原則的なことを伺いますけれども、課徴金の立法の趣旨は何ですか。
○梅澤政府委員 これは先ほど林委員にもお答えを申し上げたところでございますけれども、カルテルによる経済的利得を国が徴収することによりまして、そのことによって公正を確保するとともに違反行為に対する抑止効果を目的とするというのが課徴金の法的性格であると考えております。
○小岩井委員 カルテルによる不当な経済的利得を違反業者に帰属させないための行政的措置と理解していいですか。
○梅澤政府委員 御指摘のとおりでございます。
○小岩井委員 それから、カルテルを抑止する措置として民事の損害賠償、さらに刑事罰、これを加えてカルテルを予防、抑止する、そのことが独占禁止法の目的を達成する内容であるというふうに理解していいですか。
○梅澤政府委員 カルテルにつきましては、今おっしゃいましたように課徴金それから刑事罰、損害賠償、これが我が国の独占禁止法が内包しておりますあるいは予定をいたしております抑止措置であるというふうに理解しております。
○小岩井委員 課徴金はカルテルによる不当な経済的利得を違反業者に帰属させないための行政上の措置であるとすれば、今回の政府提案について極めて大きな矛盾がある、問題があるというふうに内容を挙げて説明したいというふうに思うのです。 現行の課徴金については、実行期間中のカルテル対象商品の売上高の三%、これは製造業者については四%、小売業者二%、卸売業者一%ですが、これに二分の一を乗じた額であったわけですけれども、これを今回、卸売、小売業以外の大企業六%、中小企業三%、卸売業については大企業一%、中小企業一%、小売業については大企業二%、中小企業一%とする政府案ですね。この五十二年度制定した課徴金と今回の提案をされている内容、それぞれ数字的な根拠を説明してもらいたいのです。
○矢部政府委員 今回提案しております課徴金の一定率につきましては、先ほどもお答えしましたように行政措置であるという課徴金の性格にかんがみまして、算定の容易さとか透明性ということを勘案しまして、平均的な売上高営業利益率に基づいて設定されているものでございます。 具体的には、まず六%でございますが、これにつきましては卸、小売業を除いた業種の一定規模以上の企業の昭和五十三年から平成元年までの期間の売上高経常利益率の平均をとります。これが五・九%でございますので、数字を丸めて六%でございます。それから、卸、小売業につきましては、同じように計算いたしますと卸が一%、小売が二・二%という数字になっておりまして、あと中小企業につきましては、同じように中小企業の平均的な売上高をとってみますと三%という数字が出てくるわけでございます。 なお、昭和五十二年の改正のときには経常利益率をとりまして、同じように長期にわたります経常利益率の業種別の率をとってその二分の一をカルテルによる経済的利得、こういうふうにみなしたわけでございます。
○小岩井委員 今、両方とも経常利益率と言ったよ。どうですか。
○矢部政府委員 失礼しました。現行法は経常利益率で、今度改正法案では売上高営業利益率でございます。
○小岩井委員 そこが重要ですから間違えないようにしてください。 今、簡易性と透明性と言いましたね。これは一定率にしてなぜ透明性があるのですか。それと、営業利益率と経常利益率、変えた理由は全く説明していないのですよ。なぜ変えたのですか。要するに数字合わせで変えたのかということを聞きたいのです。
○矢部政府委員 まず透明性でございますが、課徴金というのは行政手続により徴収するわけでございますので、カルテル違反の場合に売上高に対して何%取られるということが、行政側にとってもあるいは企業側にとってもはっきりわかっている方が望ましいわけでございます。そういう意味で一定率というものを採用しているわけでございます。 それから、経常利益率を営業利益率に変更した理由でございますが、先ほども林先生の御質問でお答えしましたように、昭和五十二年当時は企業の借り入れ依存度と申しますか、要するに金利負担が大変大きかったわけでございますので、そのために事業活動そのものにかかわる利益を見る場合にも金融収支というものを採用すると申しますか、金融収支も見てカルテルによる経済的利得を推定するのが合理的である、こういう考え方であったわけでございます。ところが、現在では企業の自己資本というのは非常に充実してきておりますし、資金調達コストというのも相対的に低下してきているわけでございます。そういう意味で、現時点で見ますと、金融収支を勘案する必要性というものが大変薄れてきているというようなことから、経常利益率というのは現在カルテルの利得としての指標としては妥当性を失ってきているのではないかということでございます。 なお、営業利益率と申しますのは、これは企業の事業活動の実態を直接に反映する基本的な指標でございまして、カルテル対象商品にかかわる事業活動から生じる利益というものを反映するものとして適切であるということでございます。
○小岩井委員 先ほど課徴金の立法の趣旨を伺いまして、課徴金はカルテルによる不当な経済的利得を違反業者に帰属させないための行政上の措置と言ったでしょう。とすれば営業利益率、経常利益率はもっと問題なのですけれども、営業利益率を不当な経済的利得と同一視していることについて、これは全く説得力ないのですよ、今の答弁では。この点についてはどうなのですか。
○矢部政府委員 カルテルによる経済的利得というのは、厳密に把握するというのは実際にほとんど不可能なことだろうと思います。カルテルによって企業が利得を得るとしても、それは何らかの意味で利益率に反映されているというようなことから営業利益率をとったわけでございまして、少なくともカルテル利得というのは営業利益率に相応すると申しますか、かなり妥当な指標としては営業利益率が望ましいということでございます。
○小岩井委員 営業利益率を妥当とするなんてそんなに簡単に決めてしまっていいのですか。 それじゃ伺いますけれども、先ほど五十二年度以降、課徴金対象のカルテル事件六十一件という答弁がありましたね、いただいた数字では七十六件になっているのだけれども。これは当然カルテルについて、対象事件について不当な経済的利得を計算したと思うのですよ。これと営業利益率と比べてみてどうですか。
○矢部政府委員 現在、違法な事件ということでカルテルの課徴金の対象にするものでございますけれども、カルテルの審決におきましては、引き上げの目標とした価格がどうであるかということだけでございまして、事業者がすべてそのまま引き上げが実施できるということは通常ないわけでございます。それからまた、引き上げ前の価格が違反事件の要件ということではございませんので、審決にも、カルテルによる利得がどのくらいかということは要件となっておりませんので、通常はカルテルによる目標とされた引き上げ額だけが記載されているわけでございます。
○小岩井委員 引き上げ目標価格だ、不当な経済的利得は計算してない。じゃ、もとになるのは何の数字なのですか。上限の引き上げ目標価格だけなのですか。下は何ですか。どんぶり勘定でやっているのですか。
○矢部政府委員 カルテルによる違法行為というのは共同行為でどれだけの価格を設定するかということでございますので、もとの価格が幾らであったかということは必ずしも必要要件にはなっていないということでございます。
○小岩井委員 どうもはっきり質問に答えていませんけれども、観点を変えて伺いますけれども、今回、この改正課徴金は一定率で決めていますけれども、そしてその基礎になるのは営業利益率の平均ですよね。ということは、不当な経済的利得を違反業者に帰属させないという観点からいけば平均一定率はおかしいのじゃないか。したがって、最高の営業利益率は何%だったのですか。それから、最低は何%だったのですか。調査の資料、あるでしょうから、これを明らかにしてください。
○矢部政府委員 法人企業統計による業種分類でやはり昭和五十三年から平成元年までの平均の売上高営業利益率を見ますと、最高は電気業で一七・三%でございます。最低は卸売業の一・二%でございます。
○小岩井委員 営業利益率だけ見ても、それだけ最高と最低、違うでしょう。平均に持ってきて課徴金を決めるというのは非常に問題がある。ということは、平均以下の業者がカルテル事件を起こして課徴金を徴収することになった場合に、平均まで上げなきゃいけない。これは二重処罰になりませんか。
○梅澤政府委員 先ほど来、委員が御指摘になっておる問題は、実は課徴金問題の懇談会におきましてもそこは基本的な部分として議論されたわけでございます。 まず、その前提といたしましては、委員がおっしゃいますように、カルテルによる利得を事業者に帰属させないという制度本来の趣旨を厳密に実現するためには、個別の事業者のカルテルの利得が算定できるという根拠がないとできないわけでございます。ところが、カルテル利得といいますのは、再々先ほどから審議官が申し上げておりますように、本来カルテルがなかりせばどのような価格水準であったか、それとカルテルの実行による価格との超過収益が厳密に言うところのカルテル利得でございますけれども、カルテルがなかった場合の価格というのは実は地球上に存在しない事象でございますから、いずれにしろ何らかの形で推計なり推定をせざるを得ない分野でございます。 かたがた、カルテルといいます場合にも、値上げカルテルもございます、維持カルテルもございます、あるいは供給量制限カルテルもある、談合もあるといったようなふうでございまして、結局、個別算定というのは技術的にも非常に困難である。したがいまして、先ほど林委員にもお答えしたわけですけれども、アメリカが刑罰ガイドラインで運用しておりますのもやはり売上額に対する一定率というものをいずれ設定せざるを得ないわけでございます。そういたしませんと、個別の算定方式が明らかでない、そういった場合に行政でもってそれが裁量で決定できるのか、つまり一定率が透明性を確保できるというのは行政手続が透明性を確保できるという意味で一定率をとらざるを得ないわけであります。 そこで、一定率としていかなるものを設定すべきか、これも課徴金問題懇談会でいろいろな角度から議論されましたけれども、結局、先ほど来御説明しておりますように、現行の経常利益率を営業利益率に切りかえる。同時に、現行のように経常利益率の二分の一をカルテル利得とみなすというものは現状では根拠がない、したがってこの二分の一も外したということでございます。 それから、恐らく委員の御指摘は、そういった一定率を平均で出しているから実際はそれを上回るものと下回るものとあるだろう、下回るものについては二重処罰の問題が起こらないのかということでございますが、これも課徴金問題懇談会で御検討いただき、報告書にも明記されておりますように、刑罰との二重処罰を避けるという観点からは、カルテル利得と擬制される合理的なものとして一定のものが設定されるとすれば、個々、カルテル利得とその一定率に、当然そごが生じるわけですけれども、厳密に必ずしも照合しなくても二重処罰の問題は起こらないというのが学者の大方の意見でございましたので、今回のこの率を設定したわけでございます。
○小岩井委員 最後の方、大分苦しいような答弁でございましたけれども、二重処罰の問題について疑いが残るわけです。 それでは、平均でとったわけですから、一定率の課徴金の率以上に不当な経済的利得を上げた業者、これは逆にその業者に不当な経済的利得を帰属させないという課徴金の立法の趣旨に反しませんか。反しているだけではなくて、抑止効果じゃなくて促進効果を上げることにならないですか。どうですか。
○梅澤政府委員 今、小岩井委員がおっしゃいましたそういう論点は当然あり得ると思います。平均の一定率をとります以上は、それを観念上上回るということは当然考えられるわけでございますけれども、これは先ほど来再々申し上げておりますように、その前提としては、個別のカルテル利得はきちんと計算できるという個別算定の可能性があって初めて現実的な議論になるわけであります。したがいまして、今回の懇談会の報告でも、平均的な一定率で設定する、そのことによって二重処罰の問題を回避しつつ、しかもいわば営業利益率をすべて課徴金の対象にすることによって抑止効果は十分期待できるというのが結論でございます。 もう一言付言いたしますと、今回は原則一・五%が六%になる、四倍になるわけでございます。それで、現在の我々の課徴金の運用の実態から見ますと、実は八割までは大企業の部分でございます。この売り上げの六%という水準は、今日のように所有と経営が分離しているという実態の中では、例えば一〇%値上げすることによってカルテルをねらいにする、しかし実際は課徴金を受けるのは六%だ、四%ももうかるからカルテルをやろうというふうな企業のビヘービアにはならないということでございます。それは何となれば、経営と所有が分離をいたしておりまして、決算のときに売り上げの六%という社外流出を伴うことは現実にも経営者にとっては大変な抑止力になる、かたがた当然のことながらこの六%の課徴金支出は税法上も損金の対象になりませんから、企業の受ける痛みというのは非常に強いものがございます。したがって、平均で出した水準であるからそれを上回る企業については抑止力を持たないという議論には、私どもにわかに賛同できないわけであります。
○小岩井委員 にわかに賛同できないと言ったって、現実に不当な経済的利得をそういうふうに帰属させることになるのですよ。私の方がにわかに賛同できませんよ、あなたの答弁に。 それで、今、個別算定できることが前提という答弁ですね。先ほどの答弁では推計することはできるかもしれないということでしたけれども、ただし、きちっとした不当な経済的利得の額を算定するのは困難だという答弁でしたね。それでは、この不当な経済的利得相当額は算出することはできますか。
○梅澤政府委員 これもたびたび申し上げます課徴金問題懇談会でも学者の方々から同じ御指摘がございました。この点につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、過去の審決事例からどのようなカルテル利得が現実に推定できるかということでございます。ところが、御承知のとおり、課徴金というものは現在の制度で実行期間の売り上げに一定率を掛けるという非常に簡明な方式で我々の行政作業は終結するものでございますから、例えば当該カルテルについて、カルテル直前の価格が一体幾らであったのか、カルテル実行後実際の価格水準がどうなったかというものについてデータのある事案はほとんどございません。その意味で非常に難しいということと、カルテルにつきましては値上げカルテルのみならず談合とか維持カルテル、供給量制限カルテル、いろいろな体型がございまして、これについてのカルテル利得をいかなるメソッド、方法によって算定するかというのは非常に議論のあるところでございます。 この問題につきましては、損害賠償制度の損害額について公正取引委員会が意見を求められた場合に、どういう方法によってアプローチするかということは現在検討中でございますけれども、しかしいずれにいたしましても過去の違反事例そのもののデータから一定の大胆な仮定に立つとしても、カルテル利得を算出するという情報なりデータがないということはぜひ御理解を賜りたいと思うわけでございます。
○小岩井委員 データについての事案はないということですけれども、ないということだけでは済まされないでしょう、これは。公正取引委員会はカルテルについて抑止をするという任務を持った官庁でしょう。私は相当額ならできますかというふうに申し上げた、それについて立法例ありませんか。
○梅澤政府委員 ただいま私どもがお答えしておりますのは、過去の違反事例のデータに基づいてカルテル利得を推定するということができるのではないかということについて、技術的に非常に難しい、ほとんど事案によって明らかなものも、明らかといいますか大胆な仮定に立って試算をすることが可能なものは皆無ではございませんけれども、これはデータとしてはサンプルとしての意味を持ちませんので、その意味でそういうことをお示しすることはできないというふうにお答えしておるわけでございます。 それから立法例と仰せになりましたが、どういう御趣旨か……
○小岩井委員 ですから、独禁法じゃなくて、他に課徴金として立法例はないかというのですよ、相当額で。
○梅澤政府委員 あるいはお答えがずれているかもわかりませんが、例の狂乱物価のときに制定されました緊急法がございます。あのときは標準価格というものを政府が決定をいたしまして、それを上回った部分について課徴金を徴収するという制度がございます。ただ、あの場合の課徴金の仕組みと今回の場合とは異なるわけでございまして、あくまでそれは一応標準価格という物差しがあって、それを上回る部分について課徴金を課すというものでございますので、あの立法例がそのまま今回の課徴金に技術的に適用されるということは非常に難しいと思います。
○小岩井委員 今、公正取引委員会の委員長から答弁がありましたけれども、国民生活安定緊急措置法第十一条、ここに課徴金があるのですよ。それで、十一条の一項と三項が立法例としてこの課徴金に当てはまるのじゃないかというふうに思うのですね。そういう立法例があるのに、かたくなに個別算定することは不可能であるとか、あるいは相当額の計算すらできないということになれば、これは公正取引委員会の任務を放てきしたことになるのですよ。どうですか。
○梅澤政府委員 後で正確な答弁は事務局からいたしますけれども、先ほど仰せのとおりの法律、御指摘いただきましてありがとうございました。私もそれを考えながらお答え申し上げたわけでございますけれども、あの場合の課徴金というのはあくまでも政府が定めました標準価格という具体的な物差しがございまして、それを上回る部分ということでございますから、今回のように個々の事業者のカルテル利得を算定するのとはおのずから領域が違うのではないかということを申し上げているわけでございます。
○糸田政府委員 委員御指摘の国民生活安定緊急措置法でございますが、この法律の中に課徴金という制度があるわけでございます。これはただいま公取委員長からもお話がございましたように、あの法律では、今直接条文がないものでございますからつまびらかにはいたしませんが、標準価格あるいは特定標準価格というものを設定いたしまして、それを超えて販売している事業者に対して、超えている部分についてこれを課徴金として徴収する、たしかそのような制度であったかと記憶してございます。したがいまして、物差しとなる標準価格というものがあるわけでございますから、それをベースにいたしまして、現実に販売されたものの価格は幾らか、その差額は幾らかということはこれは簡明に計算できるわけでございまして、そういう仕組みであの法律はできていると思います。 そのことと、今御審議いただいております課徴金制度、独占禁止法違反に対する課徴金制度とは基本的に考え方も違うわけでございますから、国民生活安定緊急措置法の課徴金制度の考え方をそのまま導入するということはいかがかと思います。
○小岩井委員 そこに戻りますけれども、それじゃ六%を超えた部分はどうするのですか。ここにほかの立法例というのは立派にあるのですよ。それから六%下回った部分についての規定も第三項に立派にあるのですよ。ほかの立法例にあって、公正取引委員会がそれを取り入れられないということはないでしょう。
○梅澤政府委員 繰り返しの答弁で非常に恐縮でございますけれども、先ほど申しましたように一定の率を設定してそれを上回るもの、下回るものというのは、あくまでも個別のカルテル利得が算定できるという前提に立たないとその議論はなかなか難しいと思うわけでございます。でき得れば、委員がおっしゃるように現実にあるカルテル利得を残りなく徴収する制度にするためには、個別にそういう利得が算定できるということが一番いい方法であることはこれはもう御指摘のとおりでございます。ただ、五十二年の改正、それから今日までの我が国におけるこの課徴金制度をめぐる議論あるいは先ほど御紹介いたしましたアメリカの刑罰ガイドライン等によりましても、結局のところはやはり売り上げに対する一定率というもので課徴金というものは構成せざるを得ない。 ただ、その一定率の水準が妥当であるかどうかということは当然議論があるわけでございますけれども、私どもといたしましては、課徴金問題懇談会で種々議論いただいた結果、やはり大企業というものに着目した平均の売上高営業利益率というのが一番妥当な水準であるということでこの法案をまとめさせていただいたわけでございます。
○小岩井委員 今、国民生活安定緊急措置法の第十一条と今度の課徴金の考え方をきちっと比較した上での答弁は不明確ですね。これはちゃんと答弁をもらいたいというふうに思います。 あわせて御答弁いただきたいのですが、そういう不当な経済利得を業者に帰属させない、そういう大前提で我が日本社会党・護憲共同の課徴金についての案が提案されているのですよ。不当な経済利得全額を剥奪をする、剥奪するという言葉がきつければ徴収をする、ただし上限を一〇%というふうに今回の案を出しているわけです。それについての見解についても伺っておきたいというように思います。
○糸田政府委員 ただいまお尋ねの前段部分につきまして私の方から御説明申し上げたいと思います。 委員たびたび御指摘のように国民生活安定緊急措置法でございますけれども、これの十一条に課徴金という制度がございます。これは要すれば特定標準価格というものを政府がまず決定いたしまして、この特定標準価格を超えて販売している事業者がいた場合に、その超えている部分についてこれを課徴金として徴収する、こういう仕組みでございます。一方、独占禁止法違反に対する課徴金制度というのは、たびたび御説明申し上げておりますとおり、価格に関係するカルテルによって生じた経済的利得を徴収するというものが基本的な考え方としてあるわけでございますけれども、カルテルによる経済的利得というのは、言ってみればカルテルがなかった場合の収益、それからカルテルを行った場合に得られる収益とのいわば差額といいますか増分ということになるわけでございますけれども、問題はそのカルテルがなかった場合の収益というものの計算がこれは不可能に近い。先ほど公取委員長が地球上に存在しない事象であるというふうに申し上げましたけれども、全くそういうものでございます。したがって、こういう計算、算定ということは不可能である。一方、国民生活安定緊急措置法の方は、特定標準価格という明白なものを政府がつくるわけでございますから、これは可能である。そういった大きな違いがあろうかと思います。
○梅澤政府委員 今回の課徴金の問題につきまして、日本社会党から改正法案をおまとめいただきまして、それも私ども拝見いたしました。先ほど来、たびたび委員が御主張になっておりますように、カルテル利得をくまなく徴収するために一体どういう制度がいいのかという観点から種々御検討をいただいて、あのような案になったのであろうというふうに、私どもはその趣旨はよく理解できるわけでございます。同じような一つの方法論として、この懇談会でも議論をされたわけでございます。 社会党案によりますと、一〇%を上限として、ただし個別の事業者が自分の額は実はこれより低いのだということを主張することを認め、それを公正取引委員会が妥当と認めたときにはその額とするということでございまして、これはやはり公正取引委員会がそういう行政裁量による処分を行うためには、カルテル利得というものはどういうふうにして算定するかという、きちんとしたフォーミュラを法定しておきませんと、行政裁量が非常に恣意的になるという問題が起こるわけでございます。 そういった問題も含めまして、そもそも個別の利得を算定するというのは技術的に非常に困難である。同時に、そういった問題であるとすればなおさらのこと、行政庁である公正取引委員会が個個の事案ごとに課徴金額を裁定するという裁量を認めるということは、行政手続の透明性という点から問題ありということで、やはり最後は適当な一定率、簡明な一定率を設定すべきであるという結論になって、今回の御提案申し上げている内容になっているわけでございます。 その意味で、社会党案に対してどう思うかという御質問でございますけれども、その趣旨は大変よく理解できますけれども、実際の制度として私どもはやはり個別に公正取引委員会が裁量し、裁定するという制度は、行政制度としても非常に問題がありますし、現実的にも非常に難しい制度になる。結局のところは妥当な一定率の水準でもって課徴金というものは構成せざるを得ないというふうに申し上げなければならないと思っております。 〔逢沢委員長代理退席、佐藤(謙)委員長代理着席〕
○小岩井委員 課徴金だけが社会党案で提案しているわけでありませんから、ほかに移りますが、一点だけ申し上げておきますけれども、先ほど委員長からも、それから二人から地球に存在しない数字というふうに答弁がありましたね。個別算定ができないということであって、地球上に存在しない数字というのは何事ですか。地球に存在しない数字で推定して課徴金を取っているのですか。取り消しなさい。
○梅澤政府委員 私が申し上げたことを正確に内容を御説明申し上げますと、例えば値上げカルテルがあるといたします。そういたしますと、一年なら一年の実行期間、値上げカルテルが実行された。その場合に、もしカルテルがなければその実行期間中市場価格はどうなっただろうかということは地球上に存在しないということ、これはもう科学的にも現実的にも申し上げなければならない 問題だと思います。そこで二次的アプローチとして、それは難しいから、例えば一つの方法としてカルテル直前の価格というものを例えばカルテルがなかった場合の価格とまず推定する。ここで一つの推定が入っているわけでございますけれども、それで価格差を算定するというのが値上げカルテルの場合の一つの推定方法であるという議論は当然ございますが、私が地球上に存在しないと申し上げましたのは、現実にカルテル実行期間中に市場価格が一体何であったかということは、これは本当に実現してない事象でございますから、それをまた私はそういう表現で申し上げましたので、どうぞ誤解を賜りませんように。 〔佐藤(謙)委員長代理退席、委員長着席〕
○小岩井委員 その地球上に存在しないという表現そのもので、公正取引委員会の姿勢を感ずるんですよ。極めて高い姿勢だ。国会議員に対してそういう表現をするとすれば、国民に対してもっと高い姿勢に見えるじゃないか。取り消しなさい。
○梅澤政府委員 この箇所につきましては、課徴金問題懇談会の報告書には、現実に存在しないというふうに書いてございますので、そういうふうに訂正をいたします。
○糸田政府委員 ただいま委員長申し上げたとおりに尽きるわけでございますが、私ごときが誤解されるような言動を用いたということだとすれば、これは適当じゃなかった、そのように思っております。
○小岩井委員 続いて、社会党案と現行の独占禁止法を対比しながら質問いたします。 原価の公表に関してですけれども、現在、同調的値上げが実施された場合に、公正取引委員会は値上げの理由の報告を求めてこれを公表できることになっている、こうなっていますね。ただし、その報告内容が値上げの当否を判断できるものになっていなければならないと思うわけです。そうなっていないのではないかというふうに思うけれども、この点はどうなのか。値上げの理由の詳細が判断できる資料を求める必要はないのか。あわせて、現行の報告内容では同調的値上げに対する抑止効果は上がっていないのではないか、この見解が第一点。 第二点は、同調的値上げに対する十分な抑止効果を上げるために、同調的値上げが一般消費者の利益を不当に害していると認めるとき、当該事業者に対して当該商品等の原価について報告を求め、これを公表することが抑止効果を上げることになる、これは改正案でも社会党・護憲共同案でもこういう趣旨で提案しているわけでありますけれども、この点は法改正すべきではないかというふうに思うわけでありますが、この点についても公正取引委員会の見解を求めます。
○糸田政府委員 委員御指摘の独占禁止法第十八条の二というところに、価格の同調的引き上げに対する報告徴収の制度があるわけでございます。この制度は、要すれば、高度に寡占的な業界におきましては一般的に価格が同調的に引き上げられるという現象が間々見られるところから、これに対してどのように対応するかということでできた制度でございますが、こういった価格の同調的引き上げこれ自体は独占禁止法に違反する行為ではございません。しかし、こういったような事象に対して何らかの対応を考えていかなければならないということで、昭和五十二年の独占禁止法改正においてこの制度を導入させていただいたような次第でございますが、これは要するに違反行為ではありませんから、値上げに関してどの程度のことができるかということについてはおのずと限界がございますが、要すれば値上げの理由を価格の同調的引き上げを行った個々の事業者から聴取いたしまして、これを公正取引委員会がその概要を取りまとめまして国会に御報告申し上げる、こういった格好で一般に公表する、そのような制度で、これによりまして事業者の方も言ってみれば安易な価格の同調的引き上げといったようなことを慎む、そういったことが期待できる、こういう趣旨で導入された制度でございます。したがいまして、現在この制度を適正に運用しているところでございますけれども、これによりまして企業から価格の同調的値上げをいたしました理由を聴取いたしまして、それを国会に逐次御報告申し上げているところでございます。 一方で、社会党から御提案の独占禁止法改正法案、この中にこの制度につきましてもお触れになっていらっしゃるわけでございます。例えば企業から原価をとってそれを公表するということの御提案があるわけでございますけれども、私ども一般的に考えますことは、まず原価という話になりますと、例えば価格決定をする際にこの原価というものは極めて基本的な事柄でありまして、言ってみればこれを公表するという話になりますと、いわば価格決定の際あるいは価格競争を行う際の手の内をさらけ出すということもまた意味することになろうかと思います。 ということになりますと、これはかえって価格競争をゆがめる、そのようなことも考えられなくもないと思いますし、それからまた、そもそもこの価格の同調的引き上げ、この行為自体が独占禁止法に違反するものではないというようなことからも考えますと、一方で原価というものは個々の事業者にとって極めて高度の事業秘密に属する事柄でもありますので、これの公表ということについては慎重でなければならないというようにも考えられますし、さらに申し上げるとすれば、原価を公表するということになりますと、そもそも今の原価というのは、言ってみれば個々の企業が公正、妥当な企業会計原則に基づいて作成しているものでもございますから、企業によってばらばらであるということも十分予想されるわけでございます。そういったものをとってこれの公表に値するかどうかという技術的な問題も存在するわけでございまして、こういったことを考えますと、なかなか御提案のようなことは難しいのじゃないかなというふうに私ども考えております。 したがいまして、私どもとしては、この昭和五十二年におつくりいただいた現在の価格の同調的引き上げに対する値上げ理由の徴収という制度、この趣旨に沿って適正な効果が上がるように今後とも十分この運用に配慮していきたい、かように考えておるわけでございます。
○小岩井委員 時間が限られておりますから、次に移りたいと思います。 損害賠償請求制度について伺いますが、この制度については民事的規律としての役割を果たして、一般私人が独占禁止法の目的の実現に参加する、そういう制度として機能を持っておりますけれども、この制度の一層の実効性を高めるためにどうするのか、公正取引委員会の対応を伺いたいと思います。
○矢部政府委員 独占禁止法の中には、独占禁止法違反行為によって損害を受けた被害者がその損害を適正迅速に回復できるようにするために、無過失責任、それから裁判所が公正取引委員会の意見を求めるというような制度を根幹とした特別な制度ができております。 公正取引委員会といたしましては、この制度を有効に活用するということが現実的であるという考え方に基づきまして、研究会に依願いたしまして、どういう措置が必要かということを報告を求めたわけでございます。それで、その報告に基づきまして、現在損害賠償制度の有効活用のために公正取引委員会としては幾つかの措置を実施しているわけでございますが、例えば裁判所から文書送付の嘱託があったような場合には、事業者の秘密保持の問題ですとか事件処理上の問題というのがございます。そういうのに配慮いたしながら必要な範囲で資料を提供していくということを考えております。 それからまた、裁判所から損害額について意見を求められた場合には、できるだけ詳しく公正取引委員会の考え方を示すということも考えております。それからまた、違反行為の認定をした審決におきましても、内容をできるだけ明確にするということも考えております。さらには、この損害賠償制度が広く一般に知られるということも大切というようなことから、広報活動についてもパン フレットですとかセミナーですとか雑誌ですとか、そういうところに周知させるための方策をいろいろ検討しておるわけでございます。
○小岩井委員 現行法の第二十五条では、私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法については損害賠償の請求ができるとしておりますけれども、しかし、二十六条で、審決が確定した後でなければ訴えを提起することができないとされている審決前置主義がとられていますね。損害賠償請求制度が有効に違法行為を抑止する機能を果たしていく、そして、行政処分による違反行為の規制を補完して一般の私人の発意によって独占禁止法の運用を強化して適正な運用を実現していく、そういう観点に立つならば、この審決前置は、独占禁止法違反に対する民事的規律の役割を持つ損害賠償請求制度の実効性を阻害することにならないか。この点について見解を求めます。
○矢部政府委員 先ほども申しましたように、独占禁止法の二十五条に基づく損害賠償訴訟というのは公正取引委員会がその中でかなり中心的な役割を果たすという制度でございますので、そういう観点から二十六条に審決前置があるわけでございます。例えば、裁判所から意見を求められたときにも、審決がなければ公正取引委員会としても対応することは難しいわけでございますし、それからまた、審決の存在によりまして違反行為の存在についての被害者の立証が容易になるというような効果もあるわけでございます。したがいまして、審決前置ということは、むしろ独占禁止法違反行為によって生じた損害が適正迅速に回復できるようにするための制度でございまして、これによって損害賠償制度の実効性が阻害されるものではないと考えております。 なお、その二十五条に基づく損害賠償制度は、独禁法の法目的の実現のために認められている特別の制度ですから、同法に違反する行為についての損害賠償請求の方法をこれだけに限定するわけではございませんで、一般の民法の不法行為に該当する限り、その確定審決がない場合であっても、一般の例に従いまして損害賠償の請求をすることを何ら妨げられているわけではございません。
○小岩井委員 実効性を妨げられていることにはならないという御答弁でしたけれども、これは公正取引委員会側から見た考えですね。先ほど来の質疑の中でも、公正取引委員会の姿勢ですね、非常に権力的に感じます。私が感じるんだから。したがって、国民に開かれた公正取引委員会になってないんじゃないか。国民に開かれて、一般私人の発意によってこの法の運用を強化していく、国民ぐるみで独占禁止法の目的に向かっていく、そういう姿勢がぜひ欲しいと思うわけでありますけれども、そういう点からいっても、損害賠償請求制度について容易に訴えの提起ができるということからいって、二十六条の審決前置を廃止すべきではないか。これは我が日本社会党・護憲共同の案です。この点について見解を求めます。
○梅澤政府委員 公正取引委員会の独占禁止法の運用が公正さと透明さを保ち、国民から信頼される行政でなければならない、また、そのように我我が努力しなければならないという御指摘はそのとおり承ります。仰せのとおりだと思います。 そこで、確定審決前置主義の問題でございますけれども、先ほど来審議官が申し上げておりますように、この独占禁止法二十五条の損害賠償制度というのは、いわば民法の七百九条不法行為の損害賠償の特例的な措置として制度化されておるというふうに理解すべきであろうと考えるわけでございます。そのゆえにこそ、無過失賠償責任、それから、損害額の裁判所からの公正取引委員会に対する意見を求める制度、それから、一審が省略されまして二審制をとっておるということ、つまり、独占禁止法二十五条に定められたいわば民法の特例としての、しかも、被害者に対する適正かつ迅速な救済ということがこの立法の趣旨でございますので、やはりその前提といたしましては、一般の私人間のあるいは当事者間の損害賠償の争いと違いまして、公正取引委員会の審決があったものについて初めてこの制度はいわば有効に機能するという形で決められておりますので、この確定前置を制度上外してしまうということは、この独占禁止法二十五条の現在の建前からいって私は立法措置としては非常に問題があるというふうに申し上げざるを得ないと考えております。
○小岩井委員 国民参加の独占禁止法の目的実現に向けての積極的提案だというふうに理解して質問しているわけですけれども、大変残念ですけれども、これはまた次の機会に譲りたいと思います。 続いて、損害賠償請求において、違反行為が存在すること、当該行為によって損害が生じたこと、損害を金銭に換価した額の三点について原告側の立証が必要だ。現行法では、損害額について裁判所は遅滞なく公正取引委員会の意見を求めなければならないとされておりますけれども、被害者の立証負担を軽減するための公正取引委員会の対応について伺いたい、このように思います。
○矢部政府委員 被害者の迅速、円滑な救済を目的とする独占禁止法の損害賠償制度につきましては、まず制度の面で被害者の立証負担を軽減するために、まず確定審決ということによってその違反行為の存在についての被害者の立証が容易にされるという効果があるわけでございます。それからまた、裁判所からの求意見制度によりましてその違反行為と損害との関連性ないし因果関係及び損害額に関する原告の立証負担を軽減するという制度になっておるわけでございますが、さらに公正取引委員会といたしましては、先ほど申し上げましたように、研究会の報告に従いまして違反行為の存在あるいは損害額に関する原告の立証負担を軽減するための措置ということで、例えば裁判所からの文書送付嘱託に対して適切に対応していく、あるいは裁判所からの損害額の意見につきましてもできるだけ詳しく公正取引委員会の考え方を示すとともに、その根拠となる資料を可能な限り添付するというようなことを考えております。
○小岩井委員 続いて、社会党・護憲共同案についての見解を求めますが、事業者について審決が確定したときは、当該審決により認定された違反行為等があったものと推定する規定を新設すべきではないか、これは社会党案ですけれども、これについての見解を求めます。
○梅澤政府委員 公正取引委員会が確定審決によりまして認定した違反事実について訴訟上推定力を認める、これは一つの御議論であると思います。ただ、現在までの我が国の判例を見ましても、確定審決のありました事件につきましては、裁判所も事実上の推定力はこれは認めておるわけでございます。ただ、勧告審決の場合と同意審決の場合と審判審決の場合、それぞれ推定力に強弱があるということはこれは理論的に諸外国の例等から見ましても、これはある程度やむを得ないとは思いますけれども、事実上の推定力がある。 同時に、私人の独占禁止法違反の損害賠償が一番活用されておりますアメリカにおきましても、一般私人の訴えにつきましては、これは被害者、原告の立証責任ということで機能しておるわけでございまして、私どもはこの面ではむしろ事件の積み重ねによる判例の発展、成熟というものが基本になければならないというふうに考えておりますが、ただ公正取引委員会といたしましては先ほど来御説明申し上げておりますように、被害者、原告の公判延における立証事実をより容易ならしめるために、より負担を軽減するために資料の提供あるいは損害額の意見を裁判所に申し上げる場合も、より具体的にできるだけ明確にする努力をしていく、そのことによってこの二十五条の訴訟というものが広く国民に理解され活用される、そういう方途をとるべきではないかというふうに考えておるわけでございます。
○小岩井委員 見解を受けましたけれども、これまた議論は続けて別の機会にいたしたいと思います。 続いて刑事罰について伺いますが、この違反行為を抑止する、カルテル禁止規定の実効性を確保することを目的として、先ほど冒頭も質問の中でやりとりいたしましたけれども、行政上の措置としての課徴金と制裁措置としての刑事罰、この二つがあって、この二つが機能することによってこの抑止力を高めて独占禁止法の目的を達成していくということになるわけでありますけれども、刑事罰については全く機能していない、これがカルテル禁止の実効性を大きく阻害をしておることになると思いますが、これは公正取引委員会の対応について伺いたいと思います。これが一点。 二点目としては、刑事罰研究会を一月二十九日に開催をしましたね。今国会に独占禁止法改正案を提案をするということは前から、特に日米構造問題協議の協議の結果としてもそういうことになっているわけです。しかも独占禁止法をめぐる国際的批判が高まっている中で今国会に独占禁止法の改正案を提案をするならば、刑事罰強化についても同時に提案をしてきて当然だったというふうに思うんですよ。ところが、一月二十九日に刑事罰研究会を開催をした。全くちぐはぐですね。そして遅くとも秋ごろまでに結論を得ることをめどとしている。結論ですね、これは。提案するかどうかもわからない結論という全くちぐはぐな内容だ。なぜ今回そこまで詰めて提案をしてこなかったのか、これについても伺いたいと思います。
○梅澤政府委員 二点にわたって御指摘がございました。 まず前者の問題でございますけれども、五十二年に現行の課徴金制度が創設されまして以降今日まで、刑事罰をもってカルテル違反事件について責任を問う、つまり、公正取引委員会が告発を発動した例は一件もないわけでございます。この点につきましては、五十二年の法改正当時も、この刑事罰と課徴金の法的性格について当時の国会でも大変御議論があったという記録がございますが、その過程におきまして政府としては、あくまで刑事罰と課徴金というのは抑止措置としては併存するものであるけれども、この課徴金が定着するまでの間においてなるべく違反行為については専ら課徴金でもって対応する、刑罰の発動はいわば例外的な位置づけにするということで現在までやってまいったわけでございます。 そのこと自体につきましては、今日これだけ課徴金が定着してまいりましたことを考えますと、これまでの政府の対応というのはそれなりに歴史的な意味があったと考えるわけでございますけれども、現時点におきましては本来の専属告発権が与えられております公正取引委員会の刑事告発をより積極的に運用するために、昨年の六月に、市場分割協定とか、価格カルテルとか、あるいは共同ボイコット、談合等のカルテルに重点を置きまして、今後悪質なものについては積極的に告発をするという態度を明らかにし、その後検察庁と種種協議を重ねまして、先般両者の間で告発協議会というものを設定いたしました。今後、事案が出てまいりますれば当然積極的に告発をもって刑事責任を問うという方向で推し進めてまいりたいと思います。これはいわば今後我々が事実をもって皆様に御理解をいただくべき問題かと考えております。 二つ目の刑罰の法律改正の問題でございますが、これも課徴金問題の懇談会におきまして課徴金の六%の御結論をいただきましたときに、その過程で懇談会のメンバーの多くの方から、この際やはり刑罰についても大幅な引き上げを検討すべきであるという意見が出てまいりまして、年が明けまして急遽研究会を設置したわけでございます。 ただ、その前年の十二月でございましたか、法制審議会の方で、今後の企業犯罪に対する罰金のあり方について、現在の自然人と法人との罰金の上限を連結させている現行の制度は基本的に見直すべきかどうかという議論、その場合に自然人と比べて法人の罰金水準をどれだけ上げるべきかということについて検討を開始するという動きが実はございました。我々の研究会におきましても、学者ばかりでございますけれども、学者の中から、やはりこの際独占禁止法の刑罰の水準についても、今言いました法制審議会での議論に沿って少し時間をかけて抜本的な見直しを選択した方がいいという御進言をいただいたわけでございます。 したがいまして、私ども、しかしこれはいたずらに先に延ばすわけじゃございませんで、遅くとも秋までに御結論をいただく、その過程で法制審議会なり法務省とも十分協議をいたしながら具体的な法制化の努力を続けてまいりたい、現在はそういう対応で進めておるわけでございます。
○小岩井委員 今まで全く機能してなかったけれども、今後積極的に運用する、今後悪質なものについては罰則適用をする、検察庁と告発協議をもって今後の対応をしていく、要約すれば、こういうことでしたね。今まで全く機能しないで、今やる。要するに抑止効果を上げていくという機能を持つ官庁ですからね、この点はその任務をきちんと果たしてもらいたいと思うのです。 ですから、そういう前向きな姿勢ということは評価をいたしますけれども、この違反事例の中で大きな割合を占める不公正な取引を用いる行為について、これは社会党案で出しているわけでありますけれども、罰則適用による予防措置はとられていない。これは、不公正な取引方法の防止も独占禁止法の大きな柱だと思うのです。 二点出しておりますが、不公正な取引方法を用いた者、不公正な取引方法に該当する事項を内容とする国際協定または国際的契約をした者について罰則を新設するという日本社会党・護憲共同案について見解を求めます。
○梅澤政府委員 ただいま御指摘のありましたように、独占禁止法の大きな眼目は三つありまして、それは私的独占であり、カルテルであり、不公正な取引方法であるわけでございます。 現行法で私的独占なりカルテルの違反について罰則の規定がございますのは、基本的にはこの二つはいわば、行為の態様は違いますけれども、市場支配的な行為である、つまり市場メカニズムの基本である競争機能そのものをゆがめるということで、いわば市場秩序なり公正な競争秩序に対する侵害性の重大さということに着目して刑事責任というものを当初から決められておるわけでございます。 一方、不公正な取引方法と申しますのは、そういった行為を行いました事業者の市場における地位とかその行為が行われました市場の状況によって、公正競争阻害性を問われて違反になる場合と違反にならない場合がある。それは、具体的には公正取引委員会の指定でもってその行為類型は決められておるわけでございますけれども、その行為類型そのものもさらにケース・バイ・ケースで、いわばルール・オブ・リーズンで判断するという領域でございます。 つまり、違反の重大性という点と、刑罰である以上は構成要件というものは法定されていなければならないという法制上の問題があって、現行法では不公正な取引方法は刑罰の対象にしていないということでございます。この点は実はアメリカのシャーマン法等も同じでございまして、行政措置によって違反を問われる不公正な取引方法については刑罰の規定はないわけであります。 ただ、不公正な取引方法を行って公正取引委員会が排除命令を行い、それに従わない場合には当然刑罰の規定がある。そのことによって実は公正取引委員会の排除命令の強制力が担保されておる、こういう制度になっておりまして、そういった状況から見ますと、我が国の独占禁止法において不公正な取引方法の違反について、これを刑罰の対象にするということについては、市場機能の問題と、もう一つは罪刑法定主義という法制上の問題から非常に難しい問題があるというふうに申し上げざるを得ないと思います。
○小岩井委員 これは、罰則を新設すべきだという考え方は持っておりますが、これまた議論は別の機会にいたしたいと思います。 そして、制裁措置としての刑事罰が全く機能していないということは、今後機能させるということでありますけれども、これは今の答弁にもありましたけれども、公正取引委員会の専属告発、公正取引委員会でなければ告発できないというその専属告発に起因していると思うのです。告発は全く最近なされていない。その点についての評価と、今後どうするかという話は先ほど御答弁いただきましたけれども、そして、この独占禁止法については、損害賠償制度の確定審決前置、それから刑事罰の罰則は公正取引委員会が告発しなければ公訴の手続ができないという専属告発、この二つが国民に対して、閉鎖的で、全く暗く、何遍も同じことを言って恐縮だけれども、もう少し酷評すれば、ネクラの印象を与えるということになるわけです。私は先ほど来申し上げておりますように、独占禁止法の目的を達成するには国民ぐるみでやらなければいけない。明るく、国民に開かれた公正取引委員会にしなければいけない。開かれた独占禁止法の運用をしなければいけない。国民の関心を求めて、開かれた独占禁止法の運用を行うにはどうすればいいのかという基本的な態度を伺いたい。 あわせて、時間が追っておりますから、日本社会党・護憲共同提案の告発制度の新設についても伺っておきますが、審決により違反行為があると認定された場合、一般の市民に告発の道を開くことは、公正取引委員会の判断を求めて見解を明らかにすることが独占禁止法運用について、先ほど来申し上げておりますように、国民に開かれ、国民の関心を求めて、ひいては独占禁止法の目的に沿うことになる、こういう確信をしています。確信を持って日本社会党・護憲共同は提案をしているわけであります。そういう告発制度新設について我が日本社会党・護憲共同提案の内容について明確な御見解と対応についてお示しいただきたい、このように思います。
○梅澤政府委員 日本社会党の御提案にかかります告発請求の問題、それから公正取引委員会の対応についてお答え申し上げます。 審決により違反行為があると認定された事件について、何人も、法第九十六条第一項に規定する罪となるべき行為があると思料するときは、公正取引委員会に対し告発するよう請求することができるものとし、この請求があった場合において公正取引委員会が告発をしないことを決定したときは、その旨を文書で当該請求をした者に通知しなければならないものとする告発請求制度につきましては、法運用の公正さと透明性を高めるという観点からの御提案と理解いたします。 法第九十六条に定める専属告発制度については、同制度により、当委員会が告発権限を厳正に行使すべきことを前提としているものと理解しており、その責務の重大さを痛感しておる次第であります。 公正取引委員会といたしましては、御提案の趣を体し、当委員会に対し書面で具体的事実を提示して適当な措置として告発を求める旨の申告が行われた場合には、今後、法第四十五条第三項の趣旨にのっとり、告発を行った場合を含め、その事件についてとった措置を速やかに御通知申し上げるとの運用を行わせていただきたいと考えます。
○小岩井委員 告発制度の新設についての我が日本社会党・護憲共同提案に対する見解が出ましたけれども、それでは最後に、国民に開かれた公正取引委員会、国民の関心を求めて開かれた独占禁止法の運用を行う、今は告発の新設について聞きましたけれども、全般的な公正取引委員会の姿勢についてお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○梅澤政府委員 小岩井委員の御質疑を通じまして、今後公正取引委員会が行います独占禁止法の運用につきましては、その公正さと厳正さと透明性をもって国民の信頼をさらに深める努力が必要であるということを痛感いたしております。今後、違反に対する厳正な措置並びに独占禁止法の円滑な遵守が行われますように、各般の広報活動等にも全力を傾けて努力してまいりたいと思います。
○小岩井委員 ありがとうございました。これで終わります。
○奥田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時十二分休憩 ────◇───── 午後一時開議
○奥田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。大畠章宏君。
○大畠委員 日本社会党の大畠でございます。 私は、今回の審議の対象になりました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案等について、この独禁法の改正が自主的に効力を発するよう、そういうことを希望しながら幾つか御質問をさせていただきたいと思います。 既に午前中、小岩井議員の方からこの各法律案の条文の内容等についてかなり詳しい、そして正確なやりとりがございましたので、私としては午前中にありましたそのやりとりを聞いて、私もなかなか理解しがたいところ、それからこの法律案がより効果的に目的を達するよう運用するための環境等の課題についてもお伺いをしたいと思います。 まず最初に、この法案改正でありますけれども、まずこの法案改正の背景について少し私も整理をしたいと思いますので、この法案改正の背景についてお伺いしたいと思います。
○梅澤政府委員 この問題につきましては、昨年六月に私ども、館教授にお願いをいたしまして、流通・取引慣行等と競争政策に関する検討委員会という場でいろいろ御議論いただきまして、その際の報告書の総論部分にも書いてあるわけですけれども、今日我が国の競争政策というものを考えた場合に、一つは国内的にこれだけ国民経済が量的に拡大し発展してきた中で、市民生活といいますか、国民生活の豊かさという観点からいわゆる経済政策の消費者志向という流れが一つございます。それと同時進行的に日本の経済もこれだけ大きくなりまして、国際経済に占める地位が非常に大きくなった、というよりはむしろ世界経済そのものの市場が非常にグローバル化してきた。こういう国内的、国際的な要因の中で、やはり基本は、自由経済体制というのは市場メカニズムが基本にあるわけでありますから、この時点で市場メカニズムがより公正、より自由に濶達に機能するように、そういった観点から競争政策なり独占禁止政策というものを総点検すべきであるということでございます。 たまたま日米間で構造協議を行いまして、その中でも競争政策が一つの大きな論点になっておったわけでございます。その結果、基本的にこれから日本の競争政策というものは、その秩序をより強くするために秩序違反に対する抑止力を強化する、それからもう一つは、国内的にも対外的にも日本の競争政策なり競争秩序の運用の実態というものをより明らかにして、内外ともにわかりやすいものにしていく、つまり抑止力と透明性というのがこれからの競争政策の基本眼目であるということでございます。その抑止力の強化の一環として、現在御提案申し上げておりますカルテルに関する課徴金の引き上げという政策が位置づけられるかと存じます。
○大畠委員 たまたま日米構造協議等で指摘されて始まったということでありますけれども、私もこの問題についていろいろなところでお話を伺っていますが、たまたまではなくて、どうも日米構造協議で取り上げられてそれで急遽対応が始まったというような感じを持っております。したがって、私のとらえる法案の改正の背景には、まず一つは日米構造協議というものがあったのではないか。そして今委員長からお話がありましたけれども、まさに現在はボーダーレスといいますか、グローバルな時代になってきていますので、日本だけの商慣習で取引を行っていればいいというものじゃなくて、アメリカやヨーロッパ、そういう諸国とも共通のルールを日本もつくってほしい、そういう外圧がかなりあって今回大きく一歩踏み込まれたのではないかなと思います。そういう意味では今お話があったものとほぼ同じだと思うのですけれども、言ってみればこの問題もっと早く手をつけるべき課題ではなかったのかな、私はそんなような感じもするところでございます。 いずれにしても、今委員長からお話がありましたとおり、抑止力と競争力というものを発揮して公正かつ自由な競争のもとに消費者の利益を確保していくこと、こういうことがこの法案の目的だと思いますけれども、この背景は今わかりましたが、この改正の目的というものをどういうふうにとらえておられるのか、次にお伺いしたいと思います。
○梅澤政府委員 これはけさほど小岩井委員からも御指摘があったわけでございますけれども、独占禁止法と申しますか、公正、自由な競争秩序を維持するために制度の仕組みとしては三つ大きな分野があるわけでございます。一つは私的独占、二つ目はいわゆるカルテル、三つ目は不公正な取引方法ということでございますが、このカルテルというのは、御承知のとおり共同行為によって競争を回避する企業の行為になるわけでありますけれども、これの競争秩序に及ぼす悪性と申しますか、悪性という点は、そういう共同行為によって市場支配が行われる、つまり、市場メカニズムの基本というのは競争機能でございますから、これをとめてしまう、そこが一番大事な点になるわけでございます。かたがた、この競争機能をゆがめるという点では、我が国のこれまでの違反事例の実態を見てもそうでありますし、世界各国の違反事例を見ましても圧倒的部分はやはりカルテルでございます。したがって、我が国においてもこの競争秩序の維持を強化し抑止力を強化する、その主要な眼点はやはりカルテルである。 カルテルにつきましては、五十二年の改正で課徴金制度が創設されまして現在までこの課徴金が運用されてきたわけであります。我々の先輩の努力等もございましてこの制度は今日非常に定着はしてきておるわけであります。ただ、その間日本の経済社会構造というのは大きく変わってまいりまして、特に企業の体力というのは非常に強くなっておる、あるいは経営も多角化するというような状況でございますので、五十二年に設定された当時の状況と非常に変わってまいっておるわけであります。したがって、現行の課徴金の一・五%ないし二%という水準は設定された当時に比べましてやはり企業に与える経済的不利益の度合いというものは大きく低下してきておる。したがって、現状並びに今後の日本経済を展望いたしました場合に、まず何よりもこのカルテルの課徴金の水準を引き上げなければならない、そういった目的で今回の法改正を提案しておるわけでございます。
○大畠委員 この目的についていろいろお伺いしたいのですが、それは中間的な目的ではないかと思うのですね。というのは、私的独占、カルテルあるいは不当な利益、こういうものを防止したい。言ってみれば一番の代表的なものがカルテルだということでありますが、そういうものを防止したいということが法案の目的であるかもしらぬけれども、最終的には先ほどちょっと申し上げましたようにいわゆる内外の企業が公正な、そして自由な競争ができるような環境をつくって、最終的には一般消費者の利益を確保すること、これが私は公正取引委員会の根本的な目的だと思うのですけれども、今委員長のお話の中にはこの一般消費者の利益の確保というものに対する言及がなかったのですが、単にそういう状況をつくれば公取の役目は終わりだと考えておられるのでしょうか。
○梅澤政府委員 私がただいま申し上げましたのは、今回の改正法案が直接に政策手段として、目的としていることを御説明申し上げたわけでございますけれども、基本的には、委員がおっしゃいましたように日本の市場といいますか経済を内外ともに開かれたものとし、同時にそのことによって国内の消費者に利益を享受してもらうという大目的の中での位置づけであるということは御指摘のとおりだと思います。
○大畠委員 先ほど小岩井委員からもいろいろ御指摘がありましたけれども、往々にしてだんだんなれてくるとその最終目的を忘れてしまって、自分たちの任務はこれでいいんだという思い込みで始まる傾向もあると思うのです。これは非常に一般的な話でありますけれども、公正取引委員会の基本的な目的というのはまさにその一般消費者の利益の確保を図る、要するにそういうための環境をつくっていくんだ、そういうことを常に念頭に置いて仕事をしていただきたいなと私は思います。 いろいろこの目的については、今お話があったとおり認識的には一致しているわけでありますけれども、この法案の改正によってそれでは何をどのように実現させたいのか、この骨子についてお伺いしたいと思います。 〔委員長退席、甘利委員長代理着席〕
○矢部政府委員 今回の課徴金に関する独占禁止法の改正案の内容といたしましては大きく三つございまして、一つは、カルテル対象商品の売上高にかけます課徴金の一定率を引き上げることでございます。これは現在原則一・五%を六%に引き上げるということでございます。それから二番目の改正点は、カルテルの対象となる売上高を計算いたしますときの実行期間について現行法では特に限定はございませんので、この実行期間を三年に限定するという内容でございます。それから三番目は、カルテルによる課徴金の金額が少額なものの場合にはその納付を命ずることができないという規定がございまして、現在二十万円でございますがこれを五十万円に引き上げる、この三つを中心とする改正でございます。
○大畠委員 その法の改正の内容についてはわかりましたけれども、この改正をすることによって今問題の何をどうしたい、何を目的としてといいますか何をねらっているのか、それをお伺いしております。
○梅澤政府委員 これは先ほどもお答えしたところでございますけれども、公正で自由な競争秩序、換言すればそれは市場メカニズムを公正、自由に機能させるということであります。市場メカニズムの競争機能というものを一番ゆがめるもの、その意味で私的独占と並んでこのカルテルというものが挙げられるわけでありますけれども、実態においては先ほども言いましたように我が国においても諸外国においてもこのカルテルというのが違反の大宗を占めておる、しかも、そういうものでございますからこのカルテルというものが放置されるといいますか、カルテルが行われることによって市民生活、国民生活が受ける影響は一番甚大なわけであります。したがいまして、カルテルに対する課徴金を引き上げることによって現状、それからこれからの我が国の市場メカニズムをより機能させることを確保したいということでございます。
○大畠委員 そのとおりだと思うのですけれども、もう一つ、先ほど申し上げましたとおり日本の独禁法の法改正を行うことによってアメリカやヨーロッパとも対等な環境に市場をしていく、私はそれも大きなこの法改正の目的じゃないかと思うのです。常に日本だけのことを、日本国内のことだけ考えてこれからの私たちの仕事というものをした場合には非常に誤解を受ける。いわゆる日本だけの慣習でやっていくということはこれからなかなか難しいんじゃないか。企業なんかもかなり海外に飛んでいますし、そういう意味では私たちの日本の中のルールというのも、いろいろな過去の歴史的な背景がございますけれども、そろそろアメリカやヨーロッパと共通のルール化をしていく、なるべくそういうふうなルール化をしていく、そういうことも非常に求められているのではないかと思います。したがってこの法改正について、それはもちろん意識にあるのでしょうけれども、ぜひそういうことも常に念頭に置いた形で仕事をしていただきたい、これも申し上げておきたいと思います。 それで、今この法改正の背景についていろいろお伺いしてまいりましたけれども、この法案について何点かお伺いしたいと思います。この法案の問題につきましては既に小岩井委員の方からいろいろな質疑がされておりますけれども、そのやりとり、質疑応答を伺っていまして本当にそれでいいのかなということをちょっと冒頭にお伺いしたいと思うのです。 一つは、課徴金の引き上げにおいて算定の容易性があるから一律にしている、あるいは透明性を図りたい、あるいは算定するのに一律じゃないと根拠もなければ、技術的に困難であって、そういうことからなかなか難しいので、今回のこの課徴金の問題については平均値でという形で法文化した、理解してほしいということでございますけれども、いわゆる妥当な一律の一定率であるということでありますけれども、この課徴金の問題については、私が申し上げたとおり日本国内の法案がそれならばそれでいいというのではなくて、まさにアメリカやヨーロッパは日本の独禁法と同等のものはどういう対処をしているか、そういうことを常に念頭に置かなければと思います。 と申しますのも、先ほど言いましたように、この法改正の背景の発端には日米構造障壁協議があるのも事実でありますから、諸外国から見て日本の商慣習ですとか、それから政治もそうでありますが、非常に不透明感が強い、ぜひそれを透明にしてほしいというのも大きな要求の声でありますし、それも今回の法改正の背景にあると思います。 そういう意味で見てみますと、アメリカの措置でありますけれども、刑事手続については法人の場合は一千万ドルまたは違反行為により獲得した利益もしくは与えた損害の二倍以下の罰金ですね。それからドイツについて見ますと、制裁金の問題でありますが百万マルクまたは違反行為による超過受取額の三倍以下、こういう規定をしています。EC等もほぼ、前年度売上高の一〇%以下ということにしているわけであります。そういう関係からすると、いわゆるアメリカ、ドイツでありますけれども、違反行為による超過受取額あるいはアメリカでは違反行為により獲得した利益というものをきちっと規定して向こうではやっているのに、なぜ日本ができないんだ。この常任委員会ではいろいろ四の五のというような形で何とかくぐり抜けたとしても、逆に例えばアメリカあるいはドイツ等からうちでもこういう法案でやっているのになぜ日本ではできないのですかと言われたときに、どういうふうなお答えをしますか。
○梅澤政府委員 今委員が御指摘になりましたようにカルテルの抑止措置としてアメリカは刑事罰、それからEC諸国では、制裁金と我々は訳しているのですけれどもファインでございますが、これが日本の課徴金と基本的に違うのは、日本は課徴金はいわばカルテルの利得を徴収するという性格の行政措置である。一方、いわば制裁的な措置として刑罰があるわけであります。アメリカの場合は課徴金という制度がございませんから、いきなり刑罰でもって、恐らく思想的には利得も徴収するし制裁も行う。ECの制裁金というのは、日本の課徴金と制度の表面は似ておるのでありますけれども、これはやはり制裁的要素が入っておるわけであります。したがって、刑罰がないわけであります。 今回の課徴金の議論でもそこが非常に問題になりまして、我が国では刑罰と行政措置の二本立てでございますから、やはり二重処罰というものを回避しなければならない。同時に、そういうものとすれば、行政措置としての公正取引委員会の措置は非常に厳密な意味においてのカルテル利得を考え方として逸脱するものであってはいけないということでございます。したがって、課徴金を課す場合には、行政手続の透明性という観点からも、この一定率の議論が非常に国民にもわかりやすいし、それから行政手続の不透明性もそれによって解消することができるということでございますが、アメリカの刑罰にいたしましても、EC諸国の制裁金にいたしましても、そこに制裁的要素が入っておりますから、それを課す競争当局の裁量というのはかなり許されておるわけであります。 御指摘のとおり、例えばアメリカでカルテル利得の二倍、あるいはドイツの場合は三倍でございましたか、そういうふうな規定があるわけでございますけれども、私か承知する範囲において、それでは彼らの国においてカルテル利得というものを厳密に定義して運用をしておるということでは私はないと思います。午前中も申し上げましたけれども、アメリカにおいては刑罰ガイドラインで売上額の一〇%が目安であるという運用でありますし、EC諸国につきましても――実は公正取引委員会の事務局の諸君が非常に努力をして各国の運用の実態というものを今回の作業に先立って研究をしてくれたわけでありますけれども、当然のことながら運用の細かい実態については各国とも手の内は出さないわけであります。したがいまして、それは先ほど来申し上げておりますように、やはりカルテル利得の個別算定というのは技術的に非常に難しい分野である。ただ、行政裁量が認められておる制度でありますと、かなりこれは弾力的に運用できるわけでありますけれども、我が国ではそういうものとしては課徴金制度はないわけでございます。したがいまして、むしろ一定率という議論でこれまでも進めてまいったわけであります。 ただ、もう一言付言いたしますと、米国の当局者とのいろいろな話し合いの中でも、カルテル利得というものを売上額の一定率で算定するという考え方は非常によく理解できると。これはやはり共通の認識じゃないかと思っております。 〔甘利委員長代理退席、高村委員長代理着席〕
○大畠委員 今おっしゃることもわかるのですが、私は技術論議をしているのですけれども、先ほど小岩井さんの指摘で訂正されましたけれども、地球上に存在しない価格をもとに不当利益なんかを算定するのは不可能だという話をされていますけれども、アメリカ、ドイツ、確かにやってないかもしれません。しかしながら、私もその実態はわかりませんけれども、法律の中に「違反行為により獲得した利益の」という、そういうものが入っているのですね。すなわちそれは算出するだけのものがなければ、これは書いておけばいいんだというような法律じゃないと思いますよ、日本と同じように算出できるか算出できないかいろいろな議論をして、よし、これでいこうということに決まったんじゃないですか。それからドイツでも「違反行為による超過受取額」というものをベースにした法律になっていますよね。ところが日本ではそういうものはできないんだと。裁量が云々と言いましたけれども、ドイツだってアメリカだって、先ほどのお話じゃないけれども、地球上に存在しないようなものをベースに算出率なんかできようがないですよ。例えば事実わかりませんからね。そういう意味では私は日本だってアメリカだってドイツだって、みんな同じバウンダリーのもとに法案をつくっているんだと思うのですよ。 それで私は何を言いたいかというと、ECで一〇%以下というふうにしていますが、私も社会党の方で、護憲共同で出しました法案ではそういうのが一番適切じゃないか。いわゆる一〇%ということにして、ただしそれよりも下回る場合には告発を受けた相手方が、私どもの不当利益というのはこれだけなんです、実際計算してこれだけなんです、これを認めてくださいと。例えば一〇%と言っていますが、八%ですよ、あるいは七%ですよという申請をしてくる、それを内部をチェックして妥当と思えばそれを認めてあげる、そういうシステムを私どもはこの法案の中で述べているのですけれども、私はいろいろな午前中のやりとり、あるいはアメリカの実態、ドイツの実態を比べますと、私どもの提出した法案の方がどうも理にかなっているのじゃないか。それをなぜ、いや、そういうことはない、そんなのはできっこないんだ、これが一番いいんだと。いわゆる安易な方向に流れているのじゃないか。この点、ヨーロッパの方から理解されているということでありますけれども、本当にそうなのかなと。ドイツ、アメリカの方で法案化したものがなぜ日本でできないのか。 私は後ほどまた申し上げたいと思いますが、公正取引委員会のシステム、機能がどうも旧態依然としていて、そういう新しいニーズ、新しい社会的な要求に対する対応をするだけの機構になっていないのじゃないか。アメリカとドイツの公正取引といいますか、独禁法関係の対応についてもまた後ほどお伺いしたいと思いますが、いずれにしても、現在の公正取引委員会というものの機能がずっと存続するんだ、その存続する機能の中でどう諸外国からの要求を受け入れた形での公正、公平な競争市場というものをつくれるかという観点からどうも今回の独禁法というものは考えておられるのじゃないか。 そうじゃなくて、私は考えるのですけれども、ある物事があった、ある問題点があった、そうしたらその問題点をどういうふうに改善したらいいかという、いわゆるゼロベースで問題を処理しながら、こういう改善方法がある、ではその改善方法をやるためにはその機構なんかもこう変えなければいかぬ、ではその中での法案はこうしよう、機構もこう変えよう、そういうふうに考えていくのが物事の問題点の解決方法だと私は思うのですけれども、どうも今回のこの独禁法の改正案を見てみますと、現在の公正取引委員会の機能というのはきちっとこれまでと同じだ、人員とかなんかもほぼ構成自体も同じだ、ただ法案だけをいろいろな関係があるからこう変えよう、そういうことで何とかこれを乗り切ろうというような感じがするのでありますけれども、私はそういう意味からはぜひ機構そのものを含めて考えるべきだと思います。 それでこの問題、議論してもなかなかかみ合わないかもしれませんけれども、アメリカあるいは西ドイツの、違法行為による超過受取額の算定のシステム等については十分調べておられますか。
○梅澤政府委員 幾つかの御指摘があったわけですけれども、まず非常に技術的な議論になるわけで申しわけないと思うわけでありますけれども、我が国の課徴金の率を設定する場合に、今回原則六%で御審議をお願いしておるわけでございます。その場合にもカルテルによる経済利得という観念はあるわけなんです。もちろん、御指摘のようにアメリカそれからドイツは超過利得あるいはカルテルによる利得あるいはカルテルによってもたらした損害という概念はあるわけでありますが、その点では理論的には私は全く同じだと思うのです。 先ほどのことを繰り返すようで恐縮でございますけれども、アメリカの場合は刑罰である、ECの場合は制裁金であるということを申し上げたわけですけれども、そのECにしても、西ドイツにいたしましても、例えば売上額の一〇%を最高限度にするという制度になっているのですけれども、その場合の売上額はカルテルによる売上額じゃないのです。その企業の前年度の全売り上げの一〇%ということですから、ここのところではカルテル利得というものとリンクしていないわけですね。それは先ほど申し上げましたように、EC諸国の制裁金というのは、制裁金と我々が訳しましたように、カルテル利得プラス制裁的要素が入っているわけであります。その中で、カルテル利得というものを厳密に算定して運用しているか、私どもほかの国の実態を必ずしもつまびらかにしないものですから断定はできませんけれども、そういう運用はしてない。恐らく、アメリカも刑罰ガイドラインではっきり書いていますように、売り上げの一〇%、これはカルテルの売り上げですが、その一〇%を目安にして、その事案の状況に応じてこれを二倍にするか三倍にするか、そういった運用をしているのだろうと思います。
○大畠委員 そういった運用をしているのだと思いますということで、非常に不明確ですけれども、いわゆるこれだけ日米構造協議で日本が責められているわけですから、逆にアメリカはどうやっているのですか、そういう技術論をしてもいいのじゃないですか。例えば、アメリカの「違反行為により獲得した利益の二倍」といいますのは、とにかく獲得した利益というのはどういうシステムで算定しているのですか。そういう議論はやったことがありますか。
○梅澤政府委員 この一〇%というのは、午前中からずっと申し上げておりますように――いや、アメリカも日本に一〇%と言ってきましたのは、刑罰のガイドラインでカルテル利得というのを一〇%を目安にして、それで運用するということを言っているわけです。そのときに、一〇%の議論というのは一体何かということなのですけれども、これはアメリカとしては百年ぐらいのシャーマン法の歴史を持っている国でありますけれども、総合的に判断してやはり一〇%という経験則のようなものを出してきたのだろう。そこに私は厳密な方法論というものはない、そういうふうに考えているのです。
○大畠委員 ちょっと事務局の方にお伺いしますが、本当にアメリカでは一〇%というのですか。何か商工委員会の調査室の一覧表によりますと、一〇%というのはないのですよ。「法人の場合一、〇〇〇万ドル又は違反行為により獲得した利益」というふうに書いてあるのです。それの二倍。だから、課徴金の話じゃなくて、私は技術論をしているのですが、違反行為により獲得した利益というものを算出する、そういう手法を持っているのじゃないですか、アメリカは。あるいは、ドイツでも「一〇〇万マルク又は違反行為による超過受取額の三倍以下」というふうにやっているのですけれども、違反行為による超過受取額というものを算出する技術的な手法を持っているのではないですか。どうなんですか、これは。
○矢部政府委員 アメリカで、得た利得の二倍となっておりますが、これは独禁法の規定ではなくして連邦刑罰法全般の話として書いてありまして、実際には二倍ということでは運用されていないと聞いております。 もう一つ、一〇%ですが、アメリカのカルテルの実態から見て大体一〇%くらいということで、アメリカではこういう考え方がございまして、見つかるのは二回に一回くらいということになりますと、一〇%の利得でもし見つかるのが二回で一回ということであれば、その利得は倍になるということで、二〇%という数字が出てきたと聞いております。
○大畠委員 私は、課徴金の話じゃなくて技術論をしているのです。要するに、法律に盛ってあるのですから、必ずそういう違反行為により獲得した利益というものを算出するそういう手法を、システムをアメリカの関係者の機構では持っているのではないか、そういう質問をしているのですけれども。これ、わからなければあれですけれども。
○梅澤政府委員 先ほどからも繰り返して申し上げているわけですけれども、アメリカの刑罰のガイドラインというのは、結局利得の二倍というところが刑罰の水準だという運用をするわけです。その場合の利得は一体何を目安にするかというと、売り上げの一〇%、こう言っているわけです。一〇%というのは――カルテル利得というのは午前中からの御議論もありますように個々の場合によって皆違うはずなのです。だから、アメリカの一〇%というのも個々に厳密に積み上げて一〇%になったということではなくて、やはり独占禁止法のかの国の運用のもとで一〇%といういわば経験率のようなものをもって現在まで運用してきた。これは議論的に、カルテル利得の算出の技術的な方法論というのはだれが考えても同じことなのです。日本だけがそういう技術がわからなくて外国が知っておって、日本が知らないから今回一定率で出したのかということならば、私は、それは違うということははっきり申し上げなければならぬと思います。
○大畠委員 ドイツはどうなんですか。ドイツでも同じですか。
○梅澤政府委員 先ほど申しましたように、理論的に厳密なカルテル利得というものを算式する一定のフォーミュラというのはない。それと個々のカルテルの形態ごとに実情も違うわけでありますから、したがってそういう厳密なカルテル利得の概念を持っていなくても、制裁的要素を加味するということになれば、単にカルテル利得だけではなくて、その行為の悪質性とかいろいろなものを勘案しながら恐らく現実の制裁金というものを設定しているのだろうと私は思います。
○大畠委員 委員長の考えを聞いているのじゃないのですよ。私は事実を聞いているのですよ。ドイツではどういうシステムでやっているのですか。
○梅澤政府委員 これは先ほども言いましたように、事務局で各国の運用状況の実態を全部調べたわけであります。調べましたけれども、その手法については明らかなものはわからなかったということでございます。
○大畠委員 わからなかったというか、教えてくれなかったのかよくわかりませんけれども、これは私は非常に重要なポイントだと思うのですよね。先ほどから、課徴金の性格は不当な利益を吐き出させること、こういうふうに小岩井さんとの話の中で出てきたのですが、そうならば私はもっと突っ込んで、西ドイツ、アメリカの方に行って、どういう手法でやっているのか、わからなかったじゃなくて熱意を持って、例えばドイツとかアメリカに何人か派遣してこの問題を調べてきたでしょうか。
○梅澤政府委員 当然のことながら事務局からは派遣をいたしましたし、公取派遣のアタッシェもおるわけであります。現地の競争当局と接触させて、事務局で入念な調査をしてくれたわけであります。 わからなかったという意味は、彼らの方からそういった問題について明確な情報の提供というのはなかったということでございます。それはなぜかといいますと、やはりカルテル利得の個別計算というのは、午前中からるる申し上げておりますように、あくまで一定の推定のもとで、大胆な仮定に立って推定をするということはあり得ますけれども、それはカルテルの形態によって非常に違うわけでございますから、本来例えば日本の公正取引委員会から外国の競争当局に、あなたの国でカルテル利得というものをどういうふうに算定し、どういうふうに制裁金を科しているのですか、その方式いかん、ということについて、彼らから情報の提供がないということは、もしはっきりしておればそういうことは示すはずのものではないか。アメリカの場合は、むしろ刑罰のガイドラインで売り上げの一〇%を目安にするということで運用しておるということでございます。
○大畠委員 その件については、問題について公式に聞いたところ、いやそういう算出根拠はないとか――では、西ドイツでは違反行為による超過受取額というのをどうやって算出しているのですかね。
○矢部政府委員 公式にも聞きましたけれども、これは要するに威嚇力その他がなくなるというようなことで教えていただけませんでした。 なお、ちょっとドイツの超過利得でございますけれども、これは百万マルクというのはまず上限がございまして、その超過利得が三倍というのは、百万マルクを超える制裁金を科そうとする場合ということで、非常にレアケースのときでございます。ですから、百万マルク以下であれば特にカルテル不当利得とかそういう考え方でなく制裁金で取っておりますので、利得が幾らだということは全く必要ないわけでございます。 それから、あとアメリカとかドイツ、こういうのはやはり裁判所とかそういうところで細かく算定するときにはできるわけですけれども、行政措置として取る場合にはやはり簡明性が必要であるというのが日本の課徴金の考え方でございますので、必ずしも外国と比較してどちらの抑止効果が高いかというのは一概にはなかなか言えない問題ではないかと考えております。
○大畠委員 いやしかし、そうおっしゃいますけれども、不当な利益を吐き出させるという大目的を掲げているわけでしょう。聞いたけれども教えてくれなかった、そんな調査の方法はないと思うんですよ。何か教えてくれますかと言ったら、いや、それは教えられません、それで終わりなんですか。そんなに日本の国の調査権というか調査力というのは少ないんですかね、小さいんですかね。
○梅澤政府委員 これは誤解のないように申し上げますけれども、日本の場合ですと課徴金は一定率ということを法律で制定しているわけです。アメリカはガイドラインで、例えばカルテル利得として一〇%という目安を決めておる。ところがヨーロッパの場合は、先ほど来申し上げておりますように、いわばカルテル利得という考え方は基本にあるにしてもやはり制裁金でございますから、恐らくそういう基準というものはあるのかないのかわからないわけですけれども、ただし、もし我が国が同じような基準を持っている国であるとすれば、よその国からそういう照会があった場合に日本の公正取引委員会はそれは公開しないと思います。というのは、そういう基準を明らかにしないということによって威嚇力を増すというのが制裁金の制度でございますから、そこは公正取引委員会の事務局の諸君の調査が手抜かりであったとかあるいは相手国に低く見られてとれなかったというようなことでは絶対にないということだけはひとつ、ぜひ御理解願いたいと思います。
○大畠委員 そういうふうな話ですけれども、だって教えてくれなかったからわかりませんでした、そんなことでは、例えば先ほどの法改正の理由の中に、いろいろお話がありましたが、最終目的は一般消費者の利益の確保を図るというのが大目的でしょう。そのためのいろんな手段については、もうありとあらゆる手段を使ってやること。そして特にこの課徴金については、先ほどからいろんな話がありましたけれども、不当な利益を吐き出させるというのが一番の大目的ですから、その算出というのが一番のポイントになるはずだと思うんですよ。したがって、聞いたけれども教えてくれなかったというような感じでは、これはどうなのかなと私は思いますよ。だから、調査に手抜かりはなかったとかなんかという話ですけれども、それで済む問題じゃないと私は思うんですよ。 公正取引委員会の最終目的は何なのか、そういうことを常に念頭に置いて仕事をしていただきたいというのがそこなんでありますけれども、決して調査員の方を云々するつもりは私は毛頭ありません。しかし、この法案の特に課徴金というものの持つ性格からそういうところが大ポイントでありますから、そういうものをきちっと押さえていくこと、これが私は非常に大切ではないかと思います。この問題をこれ以上言っても余り進展がないと思いますので次の質問に移りますけれども、ぜひ、そういう意味で独禁法というものは単に法律を改正すればそれで済むということじゃないんだということを常に肝に銘じていただきたいと思いますね。 それから、幾つかあと細かな点ですが、再確認の意味でお伺いしますけれども、課徴金の実行期間を三年にしたのはどういう根拠で三年にされたのか、お伺いしたいと思います。 〔高村委員長代理退席、委員長着席〕
○矢部政府委員 実行期間につきまして三年といたしましたのは、まずほかの時効とか除斥期間、例えば債権が五年くらいで消滅するというようなこと、あるいは課徴金の算定に当たりましては事業者の売上額を公正取引委員会が算定しなければなりませんので、その資料になる帳簿の保存期間というのが大体五年が一番多いわけでございます。それからまた、実際にカルテルが行われているものの存続期間というようなものを見ますと、総合的に勘案いたしますと、三年を限度とすることが法の制度の趣旨から見て合理的であると考えたわけでございます。もちろん、その三年にすることによって抑止力を低下させるというようなことにはならないということも考慮に入れております。
○大畠委員 先ほどの話じゃありませんけれども、不当な利益を吐き出させるというのが大目的ですね。要するに、仕事がやりやすいようなルールをつくるというのが目的じゃないと思うんですよ。例えばこの不当利益一〇%というものについては、これはアメリカとかドイツ等ではどこら辺までさかのぼっていますか。
○矢部政府委員 外国の場合には不当利得を徴収するということではございません。制裁金でございますので――ただ時効はございます。ですから、違反行為が終わってから取り上げるについては三年ないし五年というような時効がございますけれども、その辺は不当利得を徴収することでございませんので、最大限が、上限が一千万ドルとかあるいは百万マルクということでございますが、その辺日本の課徴金とはかなり異なっておると思います。
○大畠委員 しかし、「違反行為により獲得した利益」というような評価があるんで、私はかなり、そういう「違反行為により獲得した利益」の一〇%と先ほどから言いますが、その分母は何なんですか、分母といいますかベースは。
○矢部政府委員 ECの独占禁止法の場合には、その違反した企業の前年度の全売上高でございます。アメリカは、刑事罰でございますので、上限が一千万ドルということでございます。
○大畠委員 一千万ドルというのはわかりますが、「又は違反行為により獲得した利益」とありますね。その「違反行為により獲得した利益」というのはどこら辺までさかのぼったものになっているんですか。
○矢部政府委員 先ほど申しましたように、不当利得の二倍というのは、これは独禁法だけでなくアメリカの刑事罰全体にかかっているものでございまして、そういう意味では、独禁法違反だけでなくほかの犯罪につきましても不当利得の二倍を取るということでございますから、カルテルのような不当利得でないはっきりした利得のものが計算できる事件もあると思いますので、そういうものに主に適用されているんだと思います。先ほど申し上げましたように、独禁法違反に関していえばこの不当利得の二倍という形で運用された例はないと聞いておるわけでございます。
○大畠委員 今まではこの実行期間というのはなかったわけですね、今までは、これまでの独禁法には。まあ三年に絞った。仕事がしやすいということかもしれませんけれども、なくてもこれまでやってきたんですよね。なくてもやってきたんですが、ここでなぜ三年という期限を入れなければならなかったのか、お伺いしたいと思います。
○矢部政府委員 非常にカルテルが長期にわたりますと、かなり前の利得というのがもし仮に上がっていたとしても、それはかなり前の段階で消費されているわけでございます。それをカルテルが長かったからということでその全部の売上高に対しまして単年度で課徴金を徴収するということは、法律の社会的な安定性の観点からも問題があるということと、それからもう一点が、先ほど申しました証拠収集上の限界と申しますか、帳簿の保存期限が五年と限られておりますので、それよりもさらにさかのぼって計算するということは実務上も困難になるわけでございます。
○大畠委員 帳簿の期限が五年であれば五年になぜしなかったんですか。
○矢部政府委員 カルテルが終わってから三年ということでございますので、実際に公正取引委員会で審査いたしまして課徴金の納付命令を発するまでには二年くらいかかるわけでございます。そうしますと、帳簿の保存期限の五年とそれから納付命令が出されるまでの期間約二年、差し引きまして三年というのがこの根拠の一つでございます。
○大畠委員 それは、そういう申請があった場合には押さえればいいんじゃないですか、帳簿を五年間、その時点で。二年間だけ審決されるまでかかるから、だからその時点から考えると差し引き三年だと言うのですが、そういうときには、そういう違反があれば五年間は捨てるな、この審決が終わるまでその帳簿類は捨てるなということをその事例については言えば言えるんじゃないですか。どうですか。
○柴田政府委員 どういうふうに課徴金をかけているかという具体例といいますか実例を少し申し上げないと御理解をいただけないのかなという気がいたしますが、私ども当然のことながら立ち入りするときにはカルテルの違反の疑いがあって立ち入りをするわけでございます。で、入るわけでありますが、先方の方はなかなかそういうことをやっていたということは認めたがりませんし、たとえやっていたとしても認めたがらないわけで、私どもとしては、その事案がカルテルであるということを実際に証拠に基づいて事件にしていくのは非常に難しい話で、かなりの時間がかかっております。場合によっては一年以上かかってしまうわけであります。そのときに相手方はたまたま闘いながら一方でカルテルをやめるようなことをやる場合もありますし、あるいはカルテルをずっと続けている場合もありますけれども、そういうふうに調査をやっている時間というのが実質かなりかかっている、それはひとつ御理解いただきたいと思います。 それからもう一つは、今度は我が方が一応事実を認定して勧告をいたします。私どもの調べを理解して、それで事実を認めるということになりますと、そこから今度は課徴金の納付のための計算手続に入るわけであります。先ほど来非常に簡易な方法でというふうに申し上げてはいるのですが、これは実際にどういうふうに売上額をとらえていくか、あるいはいつからいつまでという認定をするのは、今度は個別の企業ごとに売り上げの額を算定していかなければいけませんので、これも非常に簡易な方法であると申しましても手間としては実はかなりかかるわけでありまして、非常に急いでいる場合で半年ぐらい、長いものは一年近くかかるようなケースもございまして、そういう意味で実務的に、我が方が事件があるなというふうに考えてから課徴金を実際にかけて納付命令を出すまでに、これまでの例では一年半から二年ぐらいかかっているというのが実態でございます。
○大畠委員 その技術的な背景はわかりましたけれども、ならば、この三年間というものを何も規定する必要ないんじゃないか。例えば今は二年間ぐらいかかっているかもしれないけれども、これから公取がどんどん体質強化して、人もふやして、例えば半年間でその問題について処理できるような、今はコンピューターもありますしいろいろな調査機関もありますので、そういうことであれば、半年間で調査すればいわゆる帳簿期間五年とすれば、四年半ぐらいの間のいわゆる不当な利益を上げた帳簿を押さえることもできるんですよね。そうじゃないですか。調査期間が二年かかるから五マイナス二で三だ、ちょっと安易過ぎるんじゃないか。 要するに、この目的は何かといったら、不当な利益を吐き出させるというのがこの課徴金の目的でしょう。そうならば、捜査期間が二年かかるから五マイナス二で三だ、そういう、ちょっと安易過ぎるんじゃないかと思います。したがって三年ということじゃなくて、逆に言えばこういうのをやめてしまって、そして審決が出たときに調査に入る、そうすると五年間の帳簿がそろっているわけですから、半年後ならば四年半ぐらい押さえられるし、一年かかった場合には四年間のものが押さえられるし、その四年間の不当な利益を調査することもできるんじゃないですか。どうでしょうか。
○矢部政府委員 課徴金の納付を命ずるのはそのカルテルをやめてからというスタート時点があるわけでございます。 もう一つ、課徴金につきましては、違反行為があった場合には公正取引委員会は取らなければならないという規定でございます。ですから、企業によって、帳簿の保存がある、ないによって、取るか、取らないかというのは、法律的にも非常に不公正になるのじゃないかと思うわけでございます。 それから、帳簿を押さえられるかどうかでございますけれども、やはり違反と認定した後でないとこれもなかなか難しいので、審査の途中で帳簿を押さえるというのは法律的には非常に難しい問題じゃないかとは思っております。
○大畠委員 いや私が言っているのは、そういう捜査を始めた、そのときには確かに押さえられないかもしれない。それが今一年から二年かかるから、五年間の帳簿の保存とすれば、その時点からいったらその実際のカルテルをやった状況の三年分しか残っていません、これはわかりますよ。ただし、これからもずっと二年も調査がかかるという見通しを立てることがどうかと思うんですね。例えば今私が言いましたように、体質強化を図って半年後には審決が下る、そういう状況だって考えられるでしょう。そうするとその時点で不当利益の算定をするときに帳簿類を押さえれば、四年半ぐらいの帳簿を押さえられるんじゃないですか。どうも三年間というのが、今のお話を伺っていると、捜査の途中じゃないですよ、終わってからでいいですよ。ただし、その終わるのも、これからこの法律がずっと生きるわけですから、二〇〇〇年も二〇一〇年のときもあるわけですから、公取も随分体質が変わります。今のように、一生懸命頑張っているのでしょうけれども一年半、二年かかるというよりも、人も確かに二倍か三倍ぐらいふえて、非常に効率的に、アメリカとかヨーロッパと同等の人をかけて非常に機能的になる。そうなればもっと短時間に審決が出せるのではないか、そうするとこの三年間というのが何か宙ぶらりんになるのではないかと私は思うのですが、どうですか。
○梅澤政府委員 今回、課徴金の制度につきまして実行期間を三年間に限定するという議論が生じました背景をもう一度御説明申し上げたいと思うわけであります。 一つは、仰せのとおり、基本はカルテルによる利得を徴収するというのが制度の基本でございます。同時に、それはカルテルを抑止する効果をねらっておるわけでございます。現行の法律でございますとこの期間の限定がないものでございますから、例えば十年間のカルテルがあったとすれば法律上は十年を取らなくてはならない。ところが現実にはそういうものが取れないとした場合に、帳簿がなかった場合にそこのアンバランスの問題が起こる。それよりも何よりも、課徴金をやった、カルテルを行った行為はもちろん法律に反する行為であり非難すべき行為である、だから課徴金を取るわけでございますけれども、やはり法律によって一定の不利益を相手方に課すわけでございますから、これは税法であろうと何であろうと国民にそういった経済的不利益を課す場合に、一定の法定の要件のもとでそういう義務を課す場合においても除斥期間とか時効というものがございませんと法的安定性を欠く、そういう問題が起こるわけであります。 もう一つ逆のことを申し上げますと、これはしばしば言われることなんですけれども、我々の排除措置に不服の場合は審判を請求して、それから審判がずっと長引くわけですね。その場合に一定の除斥期間なり期間の限定かないと、最終決定がおくれた場合にこの期間全部課徴金を取られるのか。企業側としてはそういったリスクを避けるためにむしろ早い時点で不本位ながらここでやめましたというふうに言わざるを得ない、そういうリスクがあるじゃないかという議論もあるわけでございます。 彼此勘案をいたしまして、先ほど来申し上げておりますように現行の実務の実態、それから現在までのいろいろな違法カルテル事件の中の九五%までは実行期間は三年以内ということでございますので、もちろん五年やって実際は今回の制度で三年で済むという企業もあるいは出てくるかもわかりません。わかりませんけれども、そういった除斥期間による法的安定性という観点と今までの違反カルテルの実行期間の実態、それからこれを三年に限定したことによって果たして抑止力が減殺されるかということになりますと、今回原則を四倍に引き上げるわけでございますから、彼此勘案いたしました結果、やはり今回の改正の機会に、現在むしろ実行期間に限定がないというのが制度上不自然なわけでございますから、帳簿の保存期間等を勘案しながら三年ということで御提案申し上げているわけでございます。
○大畠委員 例えば審決が下るまでに二年半か三年かかってしまったときにはどうするんですかね。帳簿類は五年間ですから、二年間ぐらいしか保管されてないんですよね。そのときにその帳簿を捨てちゃった分まで課徴金を取れますか。システムからいうと私はおかしい感じがするんですよ。必ず二年の間に審決といいますかこのカルテル問題については結審するところまでいくと考えているのですか。その技術論からすると何かおかしい感じがするんですよ。
○梅澤政府委員 御質問の趣旨は、ずるずると事件の決定が延びた場合どうするかということなんですけれども、これは現在でも、課徴金を命ずる場合にはカルテルが終わってから三年を経過したら課徴金を課すことはできないわけです、法律上。現実にはカルテルが終わってあるいは二年目ぐらいに見つかったかもわからぬ。そういたしますと、今の事務局はこの一年内で課徴金の作業をやっているわけです。だから、今おっしゃった御質問は、今の納付金に関する除斥期間の制度から見ますとちょっと趣旨が私、理解できないのです。
○大畠委員 この問題について、そういうものであれば私はそれでもいいと思うのですが、いずれにしてもこれまで期限を設けていなかった、そして、その趣旨として、不当な利益を全部吐き出させるというような趣旨であれば一つの目安として三年というのはわかりますけれども、何かもう一つちょっと釈然としないところもあるな。今お話がありましたけれども、先ほどの説明では、この課徴金については審決まで二年ぐらいかかる、だから、帳簿の保存期間が五年間だから二年を引くと三年間の課徴金しか取れないのですよという説明があったから私はそういうふうな話をしたのですが、委員長のおっしゃることも、私はちょっとまた勉強不足かもしれませんがわかりませんね。まあ、これは次に移りますよ。 それではその次に、細かい話ですけれども、課徴金の納付を命じることのできない額を二十万から五十万にした、三十万円上げたというのですが、どういう根拠で上げたのですか。
○矢部政府委員 現在、独占禁止法七条の二第一項のただし書きがございまして、そこで課徴金の額が二十万円未満であるときはその納付を命ずることができないという規定がございます。この趣旨でございますが、これは少額の課徴金ではカルテルの抑止効果という観点から見た場合余り意味がないということ。それからまた、公正取引委員会の事務負担の軽減という問題もございます。これは、事業者団体のカルテルの場合に、構成事業者が大変数が多いような場合にそれの計算が大変負担が大きくなるわけでございます。それから、その波及的な効果といたしまして、中小零細企業に対して配慮するということもあるわけでございます。 このいわゆるすそ切り額につきましては、五十二年に制度が導入されて以降見直されておりませんけれども、今申し上げましたような趣旨を勘案いたしますと、制度導入後十数年間に経済実態がかなり変化してきているわけでございます。それからまた、今回課徴金の水準が引き上げられるわけでございますが、そういう点からただし書きのこの額についても見直しが必要と考えられたわけでございます。 それで、この根拠でございますけれども、制度導入以降の経済規模、所得の変動を示す各種の指標を総合的に勘案いたしますと、制定当時から約二・五倍になるわけで、金額では五十万円という数字が出てきたわけでございます。
○大畠委員 物価の水準等を考えて二・五倍にしたということですね。物価の上昇率とかそういうものを考えて二・五倍にしたということですね、結論は。
○矢部政府委員 物価というよりは、具体的にGNPの名目の比率の上昇を勘案いたしております。
○大畠委員 わかりました。 それからあと、中小企業の規定の概念があります。一億円以下の会社あるいは一千万円以下の会社ということでありますけれども、これを規定した根拠はどういう根拠でしょうか。
○矢部政府委員 中小企業の定義につきましては、独占禁止法だけで定義するというよりも、ほかにも中小企業にかかわる経済法というのがいろいろございまして、その中でも企業の規模の区分の整合性ですとか指標の安定性を勘案いたしまして、そういう中小企業関係法令で一般的に用いられている定義によったわけでございます。 具体的には、従業員規模と資本金規模で中小企業が定義されておりまして、卸、小売業、サービス業以外の事業の場合には、資本金の額が一億円以下または従業員の数が三百人以下が中小企業と定義されているわけでございます。それから、小売業、サービス業に属する事業を主たる事業とする場合には、資本金の額が一千万円以下または従業員が五十人以下。それから、卸売業の場合ですと、資本金の額が三千万円以下、従業員が百人以下というふうに決められておりまして、そういう一般的な中小企業の定義を使っているわけでございます。
○大畠委員 わかりました。しかし、これは、例えばそっちの法案が変わったら全部変えなければいかぬですね。そういう意味では、法案というのはなかなか複雑な様相を示していますが、その根拠についてはわかりました。 それから次に、先ほど少し話がありましたとおり、独禁法というものは改正すればいいというものではなくて、改正することによって何を実現するのだ、私は法律が変わればすべて解決するというものじゃないと思うのですね。したがって、この法律というのは、ある問題があってそれを解決するための、あるいは交通整理して非常にいい状態をつくるための法律だと思いますから、そういう意味では、この法律がたとえうまくいったとしてもその運用がうまくいかなければ当初の目的は達せられないと思うのですね。 そこで、この法案の周辺の状況等についてちょっとお伺いしたいと思うのですけれども、この改正案は、まさに当初の目的、あるいはいろいろな背景から公正な、自由な競争ができる環境づくりをして一般消費者の利益の確保を図ることという目的を達成するためにも、私は公正取引委員会の体制強化というのが必要じゃないかと思います。この公正取引委員会の人員構成についていろいろお伺いしたいと思うのですけれども、今公正取引委員会の選任、特に委員長を初め各公正取引委員会の委員というのはどういう形で任命されているのか、お伺いしたいと思います。
○梅澤政府委員 これは独占禁止法に規定があるわけでございますけれども、任命権者は当然のことながら内閣総理大臣でございます。両院の御同意を得て内閣総理大臣が御任命になる。その場合ほ、委員は法律または経済に経験のある者から適当な者を内閣総理大臣が御指名になるということでございます。
○大畠委員 この独禁法の改正の目的というのは、先ほど言いましたように、内外の企業が公正な、自由な競争ができる環境をつくって最終的に一般消費者の利益の確保を図ること、こういうことでございますが、それをまさに運営する、あるいは実際に行う取引委員会の人選について、例えばアメリカ等ではほとんど大学の教授ですとか法曹界の方々が当たられるということでありますけれども、日本ではどういう方々がこの委員に選任されていますか。
○矢部政府委員 独占禁止法は、消費者利益の確保と国民経済の健全な発展を目的として事業者の事業活動の基本ルールを定めた法律でございまして、絶えず変動する経済事象に適用されることから、公正取引委員会の委員長及び委員にはその職務上、法律、経済に関する豊富な知識と高度な専門性が必要とされるわけでございます。このため、独禁法により、公正取引委員会の委員長及び委員は、法律または経済に関する学識経験のある者のうちから内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命する旨定められております。それで、従来この規定にのっとりまして公正な見地から公正取引委員会の委員長及び委員が任命されてきているわけでございます。
○大畠委員 今ここに梅澤委員長がおられますので、余りこの問題は深く入らないことにしますけれども、いずれにしても、そういう意味からすると、私は官僚の方々よりも民間人をやはり登用すべきじゃないかなという感じもします。そういう意味では、この問題についてはこれだけにしたいと思います。 それから、体制でありますけれども、調査とか捜査をいろいろ御苦労いただいているわけでありますが、現在平成二年度には四百七十九名で、平成元年度に比べて二十五人増員されたということでありますが、アメリカの方の実例を見ますと、連邦取引委員会には九百八十名、司法省の反トラスト局では五百五十名の方々が日夜頑張っている。そういう意味では、それが数字となってあらわれていまして、毎年百件前後の独禁法違反事件が刑事としていろいろ取り上げられているということでありますけれども、私は、そういうものからすれば、日本の公正取引委員会の四百七十九名というのが余りにも少な過ぎるんじゃないか。 これは公正取引委員会の方に申し上げては何かもしれませんけれども、公正取引委員会としても、法律だけを変えるんじゃなくて体制をもっと強化してほしい、そういうことを自信を持って言うべきじゃないでしょうか。例えば独禁法問題、アメリカから日米構造協議でいろいろな話がありました。今回、この法律をいろいろ前向きに検討して変えようとされておりますが、法律だけ変えればいいというものではなくて、公正取引委員会の機能そのものを強化して、実効あるものにするためにはこういう公正取引委員会にしてほしいという、そういう御提言があって、動きがあってしかるべきだと思いますが、今どのような対応で、今回の独禁法の改正に伴って実効ある行動をされようとしているのか、お伺いしたいと思います。
○梅澤政府委員 公正取引委員会の機能強化について御指摘をいただきまして大変恐縮いたしております。私どもも、公正取引委員会が独禁法の厳正な運用をするに当たって、今以上にこの機能を強化していただきたいという強い希望を持っているわけでございます。 幸いに、非常に財政の厳しい折からではございましたけれども、平成二年では前年度に比べまして、専ら違反事件を処理する部門の定員を二割ふやしていただきました。この二割はそのまま調査のフロントに当たるものでございますから、その成果等もございまして、今日までのところ違反事件として処理をしてまいりました、まだ会計年度一年全部たってないわけでございますけれども、二月時点におきまして、前年同期と比較いたしますと、違反事件の摘発の件数が二割をやや超える水準にございます。今後ともこの傾向を続けてまいりたいと思うわけでございますが、これも平成三年度の予算で、今申しました違反事件を専ら処理いたします審査部門の定員をさらに十名増員をお願いいたしておりまして、その結果、この二年間で調査のフロントが約三割ふえるわけでございます。今後とも私どもの機構の強化の重点は、引き続きこの違反事件を処理する部門の増員を重点にし、かつ、本局のみならず八つの地方事務所がございますけれども、地方事務所の足腰を強くするという方向で進めてまいりたいと思います。これも平成二年、三年予算では大阪と名古屋にそれぞれ審査課を一課増設していただくことになっておりますけれども、今後ともこの方向といいますか、この点に重点を置いて機能の充実を図りたいと考えております。
○大畠委員 わかりますが、公正取引委員会の違反事件を取り扱っている方々は、本当に日夜頑張っていただいていると思うのですね。 私は、人間の能力というのは限界があると思うのですね。したがって、今お話ありましたけれども、平成三年十名というのですが、一けた違うのじゃないか。百名ぐらいやらないと、公正取引委員会としてはアメリカの日米構造協議にたえられません、この体制をつくるためには独禁法の改正とともに百名ぐらい増員してください。あるいは平成五年、六年にはアメリカと同等の――合計すると大体千五百名ぐらいがいろいろやっていますし、反トラスト局の五百五十名体制もございますし、そういう意味では日本が経済的にもアメリカの大体五分の三ぐらいを占めるような感じの経済行為をしているわけでありますが、それに対応するためには人員が足りません。平成三年百人出してください、次も百人、最終的には千名ぐらいの体制に持っていきたい、そして独禁法の改正と組み合わせて、アメリカやヨーロッパから物を申させない、そういう公正な自由な競争ができる環境をつくっていきたい、こういうことを私は公正取引委員会としてどんと出してもいいと思うのです。 それとともに、人員だけではなくて、機構等も強化を図って、例えば今お話ありました違反の問題については、検討チーム、あるいはいろいろな関係部署と連携をとって、情報なんかも公取だけで一生懸命苦労しているのではなくて、総務庁の統計局とか、そういうところと連携とりながら、あらゆる関係部局の既存の部門と連携とりながら、利用しながら、こういう強化策でこれをやっていきたい、そういうものを私は出すべきじゃないかと思うのですが、そういう計画はございますでしょうか。
○梅澤政府委員 機構、定員につきましては、事務局の方で五年あるいは十年タームの長期計画も検討いたしておりまして、御指摘のとおり、これからの重点はやはり違反事件に対する体制を強化するということでございますので、予算なり定員管理当局と今後とも十分話し合いながら、できるだけこれを充実してまいりたいと考えております。 それから、情報の収集システムでございますけれども、既に関係省庁とはかなり密接な連絡体制はとっておりますけれども、私自身といたしましては、もう一つ、部内体制としてコンピューターによる情報管理のシステムを、これは一朝一夕にはできませんけれども、徐々に今設計を組みながら進めておるところでございます。
○大畠委員 今お話がありましたけれども、部内でのコンピューターによる情報管理というのもあれでしょうけれども、コンピューターの導入については、徐々にというのではなかなかうまくいかないですよ。だから、全体的なプランを立てて、計画的にすぽんすぽんと人員投入とか機器投入していかないと、少しずつやっていこうとしたらなかなか進まないですね。今やっている方々の仕事手順とは違いますから、みんな嫌がるのですよ。それでなかなか進まないのですが、そういうことではなくて、これから公正取引委員会の仕事の流れはこうしよう、そういう機構改革をしながら、そのデータをこういう形で利用して、こういう仕事の流れにしようじゃないか。ぜひ私は、この独禁法改正を契機として大胆な機構改革、あるいは人員等の増強等についてもプランをつくって、それを海部さんにぶつけるべきだと思うのです。というのは、湾岸戦争で九十億ドルが軽く出ていくのですから、日米構造協議なんかも含めて、非常に厳しい状況に立たされておりますので、一般消費者を守る防波堤が公取ですから、私は、もっと自信を持って、こういう改革をさせてもらいたい、年間十人なんというものじゃないと思うのですよ。これだけ日本のいわゆる商慣習は非常に見えにくいということも言われていますので、それを打破するためには、単に法律を改正すればいいというのではなくて、これだけのものはぜひやってほしい、そういう前向きな御提言を踏まえた構想、ビジョンをぜひ打ち出していただきたいなと思います。 それから、独禁法の改正に伴って、それを実効あらしめるために幾つかお伺いしたいと思うのですけれども、公正取引委員会の中の審議等において、一般の方々の声をどういうふうに反映しようとしているのか。公正取引委員会としていつも念頭に置かなければならないのは、一般消費者の利益の確保を図ること、これが大前提ですからね。そういう意味で、常にそういうものは意識しなければいけないと思うのですが、そういう消費者の意見を委員会に反映させるために公聴会の制度というものはありますが、公聴会の制度というものは今どれくらい活用されておりますか。
○地頭所政府委員 公聴会の開催状況でございますが、六十一年度以降におきまして二十七の案件につきまして十三回ほど開催いたしております。
○大畠委員 六十一年度の前はどうだったのですか。
○地頭所政府委員 ちょっと手元に六十一年度以前のものがございませんので……
○大畠委員 やってないというわけじゃないですね。
○地頭所政府委員 はい。
○大畠委員 こういう制度もありますので、公取としてはそううるさい人との対話というのは余りやりたくないかもしれませんけれども、先ほど小岩井さんからお話がありましたとおり、公正取引委員会というのはだれの味方だというと、一般消費者の味方なんですよ。私はそういう姿勢をどんどん強めてほしいのです。どうも公正取引委員会というものに対する国民の不信感というのもかなり強いと思うのですよ。委員長がおられますから余り申し上げませんけれども、委員長としては一生懸命やっておる、職員の方も一生懸命やっておると思うのですが、それがなかなか理解されないという状況にもあると思うのですね。これは公正取引委員会の方々にもよく念頭に置いて仕事をしていただきたいと思うのですが、そういうことで、今ある公聴会の制度あるいはいろいろな制度をぜひ利用して、消費者の意見をなるべくたくさん聞いていただきたいということをお願いしたいと思います。 それからあと、いろいろ前後しますが、懇話会というものがございますね。独禁法の改正を行うに当たって改正問題懇話会というものを設置されていろいろ検討されてまいりましたけれども、この中に、そういう消費者という意味では非常に人が少ないのですね。大学の先生が十三人、それからいろいろな専門家の方四人、経済評論家の方が五人とか主婦連の代表の方が一人、弁護士さん一人という意味では非常に学問的な検討がされたが、逆に、一般消費者の方々の意見というものを、この独禁法の改正の懇談会の中でもうちょっとスタッフの中に入れるべきではなかったのかな、私はこう思うのですが、今回のそういう懇話会のメンバーをどういう形で構成されたのか、独禁法の最大の目的を念頭に置かれれば、もうちょっと消費者の代表の方々を入れるべきじゃないかなと思ったのですが、どうでしょうか、このメンバーの選び方は。
○矢部政府委員 この独占禁止法改正問題懇談会でございますが、これはできるだけ幅広い分野の有識者の方々に公正取引委員会の行政を理解していただくとともに、またそれぞれ各界の意見を聞くという場を設けられているわけでございまして、今先生が御指摘になりましたように消費者団体で二名入りておりますが、学者、言論界、産業界、中小企業、それぞれ入れて、全体の構成としてある程度規模を一定といたしますと、やはり消費者代表だけをたくさんというわけにはなかなかいかないんではないかと思うわけでございます。
○大畠委員 そうかもしれませんけれども、少なくとも五分の一程度は、最終目的がそういう目的なんですから、入れるべきではなかったのかなと私は思います。これはもう既に済んでしまったことですからとやかく言いませんけれども、いずれにしても、何遍も申しますように、この公正取引委員会というのは一般消費者の利益を守るための委員会なんだということを常に念頭に置いて仕事をしていただきたいと思います。 告発前置主義の問題についても、小岩井さんといろいろなやりとりがありましたけれども、いろいろな事情があると思います。当初、私ども社会党の法案の中に、公正取引委員会とは別に、直接裁判所の方に告発できる、そういう法案にしようじゃないかという検討もしました。しかし、公正取引委員会というものの機能を信じようじゃないか、公正取引委員会の仕事というものを信じて、その公正取引委員会の調査結果に対して、もしも、ここのところはやはり告発していただきたいというような被害者からの話があれば、公正取引委員会を通じて告発できる道を開こうじゃないか、そういう検討もしました。しかし今回、結果的に調査結果についてはその理由を付せないで、余り詳しく記入されないまま、その判定結果はこうですという形の通知になってしまっているわけであります。先ほど、午前中いろいろ委員長の方からも最終的な答弁がございましたけれども、私はこういう動きに対して公正取引委員会は本当に心して仕事をしていただきたいなと思います。この問題については午前中委員長の答弁が出ていますので多くを申しませんけれども、本当にそういうことを常に念頭に置いて実施していただきたいということをお願いしておきたいと思います。 それから、この公正取引委員会の中でいろいろな仕事をされているわけでありますが、どうも閉鎖的であるという指摘もいろいろ出されております。そういうことから、一般消費者から見ると、中でどういう話をしているんだろうか、結果だけがぽんと出てくる、赤い玉が出てくるのか白い玉が出てくるのか、中でどんな議論がされたんだろうか、そういうことから非常に私は公正取引委員会に対する――皆さん一生懸命仕事をやっているんですが、それがなかなか評価されないというのはそこにあると思うのですね。そこで、公正取引委員会の中でどんな議論がされてどうなったんですという情報をもっと消費者の皆さんに、一般に公開すべきだと思うのですけれども、そういう問題についてはどう認識されているでしょうか。
○矢部政府委員 公正取引委員会の行っております行政は、広く一般の人になるたけ理解してもらうためにはできる限り公表していくという方針で従来からやっておりますし、これからもそのように進めたいと思っております。
○梅澤政府委員 ちょっと補足をさせていただきます。 御承知のとおり、公正取引委員会は独占禁止法で定められました五人の合議体でございます。ここでいろいろ議論をし、公正取引委員会としての決定を五人の委員でやるわけでございます。このいろいろな議論の過程と申しますものは、殊に独占禁止法の場合に議論の過程においては企業の秘密にわたる部分とか多々あるものでございますから、これは当然のことながら非公開でお願いしておるわけでございますが、今後の方向といたしましては、当然のことでございますけれども、法的措置をとりましたものについては全部これを公表する、のみならず、従来は違反の法的事件に至らないいわゆる警告事案等については原則は非公開にしておったわけでございますが、これは昨年十月から原則公開にするということで方針を切りかえてございます。 そのほか、いわば今後の公正取引委員会の業務の運用、これは主として競争政策に関する問題になると思いますけれども、この点につきましては、ただいま議論を進めておりますガイドラインにいたしましてもあるいは適用除外制度のいろいろな問題にいたしましても、検討の結果をまとまった段階でなるべく公表をすることに努めてまいっておりますけれども、今後とも御指摘の考え方に従いまして、なるべく国民に広く御理解をいただくように、必要なものは積極的に公表していくという行政運用で進んでまいりたいと思います。
○大畠委員 よくわかりました。 私は、公正取引委員会というのは、先ほどから何度も申しますように、一般消費者にとっては本当に重要な位置づけでありますし、頼もしい存在になってほしい、そういう意味では、先ほどもいろいろ申し上げましたとおり、公正取引委員会の機構も、そして人員も本当に大胆に改革して、今委員長からありましたように、その仕事ぶりが本当に一般の消費者の方にもよくわかる、そういう機構の透明性を本当によく考えて今後運営していただきたいと思います。いずれにしても、今回の法改正を契機として、国内的にも国際的にもより信頼される公正取引委員会の活動を展開して、当初の目的であります公正かつ自由な競争を実現し、一般消費者の利益を図るよう一層の御努力を求めまして、質問を終わります。 大変ありがとうございました。
○奥田委員長 森本晃司君。
○森本委員 今回の改正で、いわゆる課徴金の引き上げがされるということになりました。その背景には、日米構造問題協議でアメリカ側から日本の独占禁止政策について指摘されたということが挙げられておりますが、独禁法の強化というのは、アメリカ側からの指摘をまつまでもなく、国民が経済大国にふさわしい豊かさを実感する上からも極めて大事なことであります。 今日まで、ともすれば我が国経済が企業優先で進んできた、そういった観点から、生活者、消費者を守るという視点が今日まで抜けていたのではないだろうかというふうに思う点でありまして、今回そういったことが改正されるに及んだということは、私にとってこれは一つの前進かなと思います。いずれにいたしましても、こういった問題は、アメリカの指摘をまつまでもなく、我が国自身が取り組んでいかなければならない問題だと思います。 まず最初に、公正取引委員会の独占禁止政策の運営についての基本的姿勢についてお伺いしたいと思います。
○梅澤政府委員 今回の課徴金の改正等も含めまして、今後独占禁止法の運用に当たって、まず公正で自由な競争の秩序を維持、確立するために、秩序違反に対する抑止力を高めるということが一つであります。いま一つは、内外ともに公正取引委員会の独占禁止法の運用が、わかりやすい、共感を持って協力していただけるという形での透明性を確保するということを主眼に置いているわけでございます。 御指摘がございましたように、これらの一連の独占禁止法の運用の強化、つまり抑止力を強化し、透明性を高めるという政策の転換は、日米構造協議が一つの契機となったことは事実でございます。しかしながら、これも御指摘がございましたように、基本はやはり我が国の国内市場の競争秩序というものを正常な形で維持し、そのことによって消費者の利益を確保する。同時に、これだけ経済がグローバル化した中で、日本の経済的な今日の地位を考えます場合に、外国からの我が国市場への参入等について、外国の目から見た場合においても我が国の競争秩序というものが公正なものであるという認識を高めさせる、このこと自身は、究極的には日本の利益につながるわけでございます。そういった点を念頭に置きながら、今後独占禁止政策の運用を進めてまいりたいと考えております。
○森本委員 今回、課徴金を改正しようということで六%になったわけでございますけれども、伺うと、アメリカが一〇%にするようにと主張しているということであります。これは、最初の構造問題協議の中で一〇%というのは出てきたわけではありません。いつ、どこで、どのような立場でこの一〇%という数字が出てきたのかということをお伺いしたいと思います。 それと同時に、政府が六%という考え方を示したときに、今回の案に対してことしの一月十七、十八日の日米構造問題協議での事後点検二回目の会合においては、この六%という数字を聞いたときアメリカが強い不満を示したんだというふうにも報道されている部分があります。カルテルを反社会的な企業犯罪と見るアメリカにとっては、そういった見方が行われるのは当然のことでありますけれども、我が国にあってもカルテルを反社会的な犯罪だというふうに見ていかなければならないわけであります。そういった視点からして、一〇%、アメリカが特にどういう要求をしたのか。それから、果たしてこの六%でアメリカは不満を示しておりますが、その要求に耐えられるものであるのかどうか、その点についてお伺いします。
○梅澤政府委員 SIIの協議でのやりとりについては、日米双方で公表問題について協議をして公表するという約束事になっているわけでありますけれども、この課徴金問題については既に米国の当局者が一〇%ということをアメリカのいわば関心を持っている水準として発表しておりますから、あえて私もただいまの御質問には正確にお答えしたいと思うわけでございますけれども、一〇%の水準が議論が出てまいりましたのは、正確に言いますと、日米構造問題協議の今般東京で行われましたフォローアップの場面で彼らの議論として出てまいりました。私自身もフォローアップ会合には出ておりませんけれども、相前後しまして米国の当局者とこの議論をいたしましたけれども、やはり一〇%の数字が出てまいりました。 その一〇%の根拠は、先ほど来申し上げておりますように、米国の刑罰運用のガイドライン等から見て、米国ではカルテルの利得というのは一〇%が目安である。したがって、日本の六%の水準はその点から見れば不十分である。もちろん、この六%の引き上げは日本にとって非常に思い切った引き上げであることは理解できるけれども、この抑止水準としての評価ということになると、日本はこれで十分抑止効果が期待できるという考えであるけれども、残念ながらその点については認識は一致しないということになったわけでございます。 ただ、我々としては、この課徴金問題懇談会において、日本の制度とアメリカの制度とは違うわけでございますから、やはり刑罰制度と行政措置制度が並立している日本の制度のもとで、二重処罰を回避しかつ十分な抑止力を期待できる水準としての六%という御結論をいただいたものですから、これは日米で評価が一致しないということは非常に残念でありますけれども、日本としてはこれを変更する考えはないということを明らかにいたしております。 ただ、今後刑事罰の問題あるいは損害賠償等抑止措置については、日本側としてもなお作業を進めなければならない分野の問題があるわけでございますから、これは当然のことながら日米双方、独占禁止政策なり反トラスト政策についての政策協調をお互いにやっていくということは非常に大事な問題であります。したがって、この課徴金の水準について、日米の評価なり認識というものが必ずしも一致しない現状ではございますけれども、今後とも日米双方がお互いの制度、立場を理解し、対話を進めることによってこの日米間における競争政策の協調というものを進めてまいらなければならないと考えております。
○森本委員 日本とアメリカとは二重処罰の点で違いがあるというわけでございますけれども、やはりこういう企業犯罪ということに対しては、我我は、公取は厳しく取り組んでいかなければならない。今後アメリカにもそういった点には、日本が十分日本の立場を主張するとともに、やはり公取の姿勢としてアメリカの一〇%、アメリカにこたえるという意味でなしに日本の生活者を守る立場からも強い姿勢で今後も臨んでいっていただきたいと思います。 そこで、現行法も課徴金が画一的でありますけれども、今回の改正案もやはり画一的になっております、六%という状況で。今回の改正に当たって一定率の六%とした根拠は一体どこにあるのか、その点についてお伺いします。
○矢部政府委員 この課徴金の水準につきましては、課徴金に関する独占禁止法改正問題懇談会におきまして各界各分野の有識者に徹底的な議論をしていただいて、その考え方に基づいて決定したわけでございますけれども、六%という課徴金の一定率につきまして、カルテルによる経済利得を徴収する行政上の措置という課徴金の性格がまずございます。それから、算定が容易であって、透明性、明確性というようなことを考えますと、現在のようにカルテル対象商品の売上高に一定率を掛けるという現在の方法がやはり今後とも引き続き妥当するという考え方に基づいたわけでございます。 それで、そのカルテルによる経済的利得を反映する最も適切な指標としては、現段階では平均的な売上高営業利益率が妥当であるということでございまして、もう少し具体的に申しますと、六%は、卸、小売業を除きました資本金一億円以上の企業の昭和五十三年から平成元年までの期間の売上高営業利益率の平均値五・九%に基づくものでございます。
○森本委員 最初の基本姿勢のところで公取委員長が、抑止力それからわかりやすい、透明性、こういう意味でやっていくというお話がございました。そこに欠けているのは、公平性がないなというふうに私は思ったのです。今のまた答弁の中でも、透明性、わかりやすさ、正確性というお話がございました。私はそれをも聞きながら、そこにもやはり公平性が欠けているなということを今実感しているわけです。確かに、「課徴金の一定率の指標」という資料によりますと、卸、小売業を除いた全業種の売上高営業利益率が資本金一億円以上で五・九%。それで、この五・九%という営業利益率は正常のときの営業利益率ですね。その点ちょっと確認させてもらいます。今の五・九というのは営業利益率。
○矢部政府委員 そのとおりでございます。
○森本委員 カルテルを結んだりするときには正常ではない、要するに、これ以上の利得を得ようとするからカルテルを結ぶ、あるいは値下がりを防ごうとするからカルテルを結んでいるわけでありまして、この五・九が通常の営業利益率を基準にされたというのは非常に私は納得しがたい。 それからもう一つは、じゃ、平均が五・九であるということでございますけれども、平成元年度売上高利益率、対象全業種別の全企業の利益率を見てみますと、平均は五・九%ですが、平均五・九ということは、それを上回る業種があるということです。ここの手元の資料では、鉱業では一〇・一%、不動産業一一・二%、電気業一六・八、それから、一億円以上の場合には鉱業が一五・三、不動産美一五・四、電気業一六・八%。電気業については、これは確かに公共性のものでありますからいろいろな角度から見られるにしても、鉱業や不動産業においては一〇%を超える利益率、いわんやまして資本金一億円以上のところでは一五%を超える利益率を上げているわけであります。こういう業種的にもそれ以上のものもありますし、あるいはじゃ、六%を超える利益を上げているところは六%かかっても何ら損害をこうむったという感じはあり得ない、やり得ではないかというふうに思うわけであります。そういったカルテルにもいろいろな形態がありますし、同じカルテルでも時と場合によって値上げ率は千差万別であります。朝からいろいろと議論がされておりますが、これを一律六%としていくのは実態から離れた不公平な算出方法ではないだろうか。六%を超えるこういった業種やカルテルについてはどのように取り組もうとされているのですか。
○矢部政府委員 課徴金に関する独占禁止法改正問題懇談会報告書にも記載されているわけでございますけれども、カルテルによる個別具体的な経済的利得というものは把握困難であるわけですし、やはりある一定の安定的な指標を課徴金の一定率とする必要があるわけでございまして、そういう意味から、業種でばらつきもありますし、あるいは各企業によってもばらつきがあるわけでございますが、その点はカルテルによる経済的利得の徴収という性格の合理的な範囲内で、必ずしも厳密に照応する必要はないのではないかというようなことからこの六%が出てきたわけでございまして、一応この禁止規定の実効性を確保するために十分な効果がこれによって期待されると考えているわけでございます。
○森本委員 その根拠として出したものが必ずしも根拠としてなっていないというふうに私は思うのです。もう少し弾力的に考えていかなければならないのではないか。 それで、いろいろな営業利益率の平均が五・九%というけれども、業種別に見るとそうではない、そして、個々の事件によって異なる。さらにまた、もっと低い、今度は逆の、農業水産の場合は一・〇であり、建設業三・五、製造業五・〇あるいは卸売業一・二、運輸通信五・七というぐあいにいろいろと六よりもはるかに低いところがある。そういったところにもやはり六%を掛ける。私は、そのカルテルを結んで得た利得を調べてそれに課すのが本来の姿であり、個々の事件でもっと弾力的に算定すべきではないかと思うのです。その点についてもう一度、じゃ高い部分もあれば低い部分もある、それを平均にした、平均にしたから、それを根拠にしたからこれでいくのだという考え方から弾力的にやろうという考え方がないものかお伺いしているのです。
○矢部政府委員 何度も繰り返しになるようで恐縮なんですが、カルテルによる経済的利得というのは、一般的にはカルテルがなかった場合の収益に対するカルテルを行った場合の収益の増分と言うことができるわけですけれども、このカルテルの経済的利得を算定するためには、カルテルがなかった場合の収益を推定しなければならないわけですが、これは実際には存在しなかったものであって、その意味でカルテルによる経済的利得を個別具体的に明確に把握するということは非常に困難なわけでございます。一応カルテルによる経済的利得を徴収するという考え方に基づきましてこの一定率が設けられているわけでございます。したがって、結果としてその課徴金額か個別具体的な経済的利得に厳密に照応していないこともございますけれども、課徴金の水準と算定方式がカルテルによる経済的利得を徴収する制度として合理的なものである以上、御指摘のようなことがあったとしても不公平に当たるものではない、こういうふうに考えているわけでございます。
○森本委員 カルテルが行われる前の価格、それからカルテルが行われた――これは値上げカルテルの場合ですね、維持カルテルの場合にはそれはなかなか難しいかもわかりません。値上げカルテルの場合には、カルテルが行われたときの価格、そして行われるまでの価格、これを引き算しただけで不当利得を出すという計算は成り立たないのですか。
○矢部政府委員 同じカルテルであっても、企業によってはその利得が同じように上がるかどうかというのは必ずしもはっきりしないわけでございまして、それからまた、カルテルの比較と申しますけれども、カルテルが行われている期間中にも普通のコストアップとか、そういう要因もあるわけでございますので、厳密な意味で前と後の比較ということからカルテルの利得を推定することは必ずしも適当ではないと考えておるわけでございます。
○森本委員 先ほど来もありましたけれども、じゃ、外国の場合はどうして営業利益率にかけないで――外国の場合の算出法はどうなっていますか。
○矢部政府委員 課徴金は、日本では刑事罰と併存しているために、二重処罰の禁止規定に触れてはいけないということから、カルテルの経済的利得を徴収するという性格を持っているわけでございますが、外国の場合ですと、アメリカでは刑事罰だけ、それからヨーロッパですと日本の課徴金に当たるようなものだけということで、刑事罰と課徴金は併存していないわけでございます。したがいまして、制裁として徴収できるわけでございますから、厳密な意味で不当利得が幾らかということはそもそも問題になっていないわけでございます。
○森本委員 そうすると、外国の場合は不当利得は幾らだということは算出していないとおっしゃるのですか。
○梅澤政府委員 これは先ほどもお答え申し上げたわけでございますけれども、外国の事情はつまびらかにしないわけでございます。というのは、外国が、外国がというのはヨーロッパでございますけれども、ヨーロッパの制裁金制度の運用方針なり、彼らの運用基準というものは公開しないわけでございますから、わからないというのが事実なんでございますけれども、ただ、私どもが推測する限りにおいて、ヨーロッパの制裁金制度は、日本のように不当利得に着目して、それを基礎に制裁金を科すという制度ではございませんで、これは制裁的要素も加味されておるわけであります。現に制度の仕組み自身が、カルテルによる売り上げだけでなくて、前年度の全売り上げを対象にして最高水準を決めているものですから、したがって、これはあくまでも推測の域を出ないわけですけれども、決して的の外れた推測ではないという前提で申し上げますと、恐らく外国では、そういう不当利得というふうな積算作業を制裁金を科するに当たって行っていないというふうに考えた方が私は正確だろうと思います。
○森本委員 今日まで課徴金を科せられたのが七十六件ということでございますけれども、約百二十億。今までの場合も公取は、課徴金をかける、課徴金の対象としての計算ではなしに、こういった課徴金の対象となったカルテル事件についていろいろ調べられるときに、不当利得というのは一度も計算されたことはないんですか。
○柴田政府委員 私どもの調査は二段階になっておりまして、違反事実を確定する部分と、それから、その後課徴金をかける部分と二つになっております。わかりやすい後者の方を申し上げますと、これは法律できもっとルールが決まっておりますので、そういった今先生御質問のような事項については全く必要がないわけでございますので、私どもはそういう調査はいたしておりません。 前段の違反事実を固めますのも、基本的には今の不当利得の有無あるいは額の確定ということは違反事実の要件になっておりませんので、一般的には調べておりませんけれども、ただ実行状況等で、例えば値上げカルテルでどのくらい値上げがあったかというようなことをたまたま調べているような案件はございますけれども、今申し上げたように、一般的にそれが違反事実確定の要件にはなっておりませんし、それに今審議官も御答弁申し上げたように、一口に値上げといいましても、実際値上げのとらえ方は個々一つ一つの取引についていいますと非常に難しいものですから、なかなかそういった実態まではつかめないケースが多うございます。たまたま今そういうことで、実行状況について調べている事案がないかと言われれば、私ども若干例外的にはそういう値上げ状況は調べたことがございますけれども、それからはね返ってどれだけが不当利得であるか、あるいは不当利得が幾らかということは調査をいたしておりません。 〔委員長退席、額賀委員長代理着席〕
○森本委員 審議官等は現場でいろいろとそういうお調べをされたわけで、今までの課徴金制度では、そういうのを調べてそれを対象としてかける必要がなかったから、逆に調べる必要がなかった、こうおっしゃるわけですけれども、実際現場で当たっておられて、値上げする場合には実感として一〇%以上の値上げということになるのじゃないですか。価格維持の場合にはそれは出てきませんけれども、現場でいろいろ当たっておられた一つの大まかな数字は大体わかってくると思うのですが、値上げする場合には大体一〇%以上ぐらい上がるのじゃないですか。
○柴田政府委員 これは全く千差万別でございまして、非常に数少ないもので、私どもがそういう意味で調べたといいますか、わかっているケースはございますけれども、そういうふうに一〇を超えているものもございますし、もっと非常に低いものもございまして、ぱらぱらと調べたケースでは私も何とも実感として申し上げる自信がここではないのであります。中には一〇を超えるものもあることは確かでございます。
○森本委員 営業利益率の六%をはるかに超えて、あるいは一〇%を超えているものもあるわけです。じゃ、今後そういう六%を超えているところについても、非常に悪質で、営業利益率の六%をはるかに超えているなということがわかってもやはり六%でいくというわけですか。
○柴田政府委員 今御提案申し上げて御審議をお願いしている法案はそういうことでございまして、むしろ機械的に計算をして納付を命ずるようにというのが法案の考え方でございます。確かに、今おっしゃったようなケースがあるいは間々あるかもしれませんし、それはもっと低いかもしれませんのであれでございますけれども、今お願いをしている制度としてはそういうことでございます。
○森本委員 今後いろいろな事件が起きてくる。その場合に、同時に不当利得もどれほどかということも恐らく公取の中では明確にわかっているケースも非常に多いと思います。殊に、悪質な場合、それから明らかに営業利益率の六%を超えるなと思われるところで不当利得が計算できる分については、今後も、そういったところについてはここはこうだよというぐらいにみんなにその不当利益を公表していく、それぐらいの心構えで取り組んでいかないと、六%を超える利益率を上げたところには何の抑止力もきかないし、やり得の感を与えるし、それを見ている消費者の皆さんも、公取に対する信頼はなくなってくると思います。 今後そういったデータを公表していくように強く要望して、次の実行期間についてでありますが、課徴金が導入された五十二年以降の課徴金対象事件数、現在まで七十六件と伺っております。この実行期間が今度は三年ということになりまして、先ほど来の話を聞きますと、疑わしきというものがあって、それで約一年半ないし二年はかかるので、だから三年にしたという話があったわけでございますが、カルテルの実行期間というのは平均してどの程度なのか。さらにその中で実行期間が三年を超える件数、それからそれぞれの実行期間ほどのようになっているのかということをお伺いします。
○柴田政府委員 お答えいたします。 七十六件の平均的なカルテル期間、実行期間でございますが、十四・三カ月でございます。それから三年を超えるものでございますが、七十六件のうち四件でございます。
○森本委員 三年を超えるものは四件とおっしゃいましたね。その四件の内訳をちょっとおっしゃっていただけませんか。
○柴田政府委員 一番長いのが六年四カ月でございます。それからその次は五年五カ月、三年六カ月、三年ちょうどということでございます。
○森本委員 そうすると、平均が十四・三、先ほど来の議論では一年半なので三年にしたのだという話ですね。要するに帳簿の保存期間は、一般の税関係の書類等の保存期間は五年と定められているものが非常に多いわけでございますけれども、五年と定められているのに実行期間を三年に限定した根拠は一体何なのかということを一つは伺いたい。そもそも課徴金というのは違法なカルテルで得た不当利益を取り上げるのがねらいである。対象になるカルテルが続いているのに一定期間を超えてさかのぼらないというのはどういう考え方からきたのか伺います。
○矢部政府委員 先ほど帳簿期間から二年引きますその二年と申しますのは、実行期間でございませんで、カルテルが終わってから課徴金の算定をするわけでございます。そうしますと、カルテルが破棄されてそれから課徴金を計算して事業者に納付を命ずるそれまでの期間が通常二年弱かかるわけでございます。そうしますと、帳簿の保存期間が五年といたしますと課徴金納付を命ずるまでは五年から二年を引いた三年が妥当ではないかという根拠でございます。 それから、実態的にカルテルで三年を超えるものというのは、今審査部長からお答えしましたように七十六件のうちの四件ということで非常に例外と考えられるわけでございます。また、一般的に言いましても一つのカルテルが数年以上の長期にわたって存続するということもまれではないかということでございまして、そういう技術的な理由あるいは実態面から見まして、総合的に実行期間を三年とすることによって抑止力を低下させるものでもないという点も考慮して三年と決めたわけでございます。
○森本委員 六年四カ月とかあるいは三年とか、まあ五%に満たないまれなケースですが、こういったまれなケースも今後起きてくるわけですね、今は極めてまれですけれども。こういう三年を超える期間のものが出ても、やはり実行期間は三年とされるのですか。
○矢部政府委員 一応法律関係の社会的安定性の見地ということもこの三年を決めた一つの理由になっているわけでございます。
○森本委員 その辺、課徴金の六%あるいは実行期間の三年、確かに公取の皆さんの今の陣容でもってすべてを調査しようと思うとこれは非常に大変なことで、むしろ今の基準でされた方が迅速にやれるということが考えられますけれども、こういった問題は三年とは定めないで、もっともっとこれからもその課徴金にしても、あるいは実行期間にしても、それぞれ弾力的にとにかくそういった企業犯罪を犯したものには徹底して調べていくのだ、こういう姿勢が必要かと私は思います。 次に、すそ切り額を二十万円から五十万円に引き上げられた根拠について伺います。
○矢部政府委員 このすそ切り額の趣旨でございますが、これは少額の課徴金ではカルテルの抑止効果という観点から見た場合余り意味がないということ、それから公正取引委員会の事務負担を軽減すること、それから零細中小企業に対しても配慮するという趣旨でございまして、制度導入以後今まで見直されてないわけでございますけれども、その間経済実態も変化しておりますし、また今回課徴金の水準を引き上げるということを踏まえますとこのすそ切り額についても見直しが必要になる、こういうように考えたわけでございます。それで五十万円の根拠でございますが、これは制度導入されて以降の経済規模、所得の変動を示すいろいろな指標を総合的に勘案いたしまして二・五倍ということから五十万円が出てきたものでございます。
○森本委員 次に、課徴金の対象範囲についてお伺いいたします。 中核としての違反行為はカルテルではありますけれども、対象行為をカルテル以外の行為にも拡大すべきではないかと思うのです。例えば再販価格維持などカルテル以外の行為についても課徴金を課すべきではないだろうか。また、将来課徴金の対象範囲について見直すという考え方はないのか、公取委員会の見解を伺います。
○梅澤政府委員 御指摘になりました問題については、課徴金問題懇談会においても最初に御議論を賜わった部分でございます。課徴金は、今仰せのとおり市場の競争機能を基本的にゆがめる、同時に、そのことによって国民、消費者に重大な影響を及ぼすであろうカルテルについて、しかも現行の課徴金制度におきましては価格に影響するカルテルをかなり広範に課徴金の対象にしておるわけでございます。 一方、おっしゃいますように再販維持も含めました不公正な取引方法についても課徴金の対象にすべきではないかという議論があるわけでございますけれども、懇談会の報告にもございますように、基本的にはやはり競争機能をゆがめ国民、消費者に甚大な影響を及ぼすカルテルそのものに課徴金を限定する。ただし、従来もそうでございますけれども、今後とも私どもといたしましては、この不公正な取引方法というものについてよりきめの細かい厳正な対処をしなければなりません。また、これについては即刻排除命令を出すわけでございますけれども、この排除命令に従わない場合には、これは別途刑罰によってこの命令の強制力は担保されておるという状況にかんがみますと、我が国の課徴金につきましては五十二年創設されましたとおり、現行の価格に影響するカルテルというものを専ら対象として運用するのが適当であるというふうに考えておるわけでございます。
○森本委員 カルテルが中核にはなってまいりますから、今後も不公正な取引に対しては公取が鋭い目を光らせているんだ、そういった姿勢を貫き通し消費者を守る、生活者を守るという毅然たる姿勢を貫いてもらいたいと思います。 次に、刑事罰についてでありますが、今回の法改正の中には刑事罰の強化が盛り込まれておりません。それが盛り込まれなかった理由は何なのか。それから、昭和五十二年の改正以降の物価上昇を考えても私は早目に刑事罰の改正をすべきだと思います。今後どのような予定なのか。できるだけ早い時期に見直すべきと考えますが、その見解を伺います。
○梅澤政府委員 独占禁止法の刑事罰の強化の問題につきましては、課徴金を御議論いただきました懇談会においても、今回の課徴金の引き上げを行うと同時に抑止力をさらに強化するために現行の独占禁止法の刑罰の引き上げについても早急に検討を開始すべきであるという御意見がございまして、年が明けて一月から研究会を発足したわけでございます。 たまたま前年の十二月に法制審議会におきまして今後の日本の企業犯罪に対する刑罰のあり方という問題が提起されまして、そこでの御議論というのは、独占禁止法もそうでございますけれども、現在の日本の企業刑罰に関する考え方というのはまず行為者の自然人の刑罰の水準がございまして、それに対して法人企業の刑罰というものがリンクされておる、こういう体制になっておるわけでございます。アメリカ等は既にこの企業と個人の犯罪の罰刑の基準というのは切り離されておりますが、これが今後我が国の企業刑事政策に関する基本的な問題点であるということが提起をされました。それで、独占禁止法につきましても一つは企業犯罪の刑罰としての典型的なものでございます。そういたしますと、そういう基本方向で御議論をいただくとすれば、これは学者の方々の御意見も皆そうなのでございますが、かなり時間をかけて抜本的に検討する、同時に法制審の御議論もにらみながら結論を出すという手順に必然的になるわけでございまして、その結果、今回の改正法案にはスケジュール的にも作業が間に合わなかったというのが実情でございます。 おっしゃるように五十二年当時の罰金水準は、これは物価のスライドをいたすにしてもこの際見直すべきであるという一つの考え方がございますけれども、そういたしますと、行為者と企業との罰金のリンクという今の体系を前提にする限りそう大幅な引き上げということは望み得ないというわけでございます。ただ、これは我が国の企業の刑罰法制に対する抜本的な改革を目指す問題でございますので、今後独禁法における御議論がまとまった段階で、やはり最終的には法制審なり法務省とも十分協議をしながらこの問題に対応したい、そういうふうに考えておるわけでございます。
○森本委員 今の委員長の御答弁の中にもありましたけれども、物価スライド以上のものを与えないと抑止力にはつながってこないなというふうに私も同様に考えております。また同時に、現行の刑事罰というのは、今委員長の話の中にもありましたけれども、個人の刑罰が柱になっておりますが、法人の犯罪行為に対する独立した罰則規定を設けるべきである。こういったものを早急に、今一月から検討されていると答弁がありましたけれども、今回のこの課徴金の改正をしたのでしばらくはこのままいこうという考え方ではだめだと思うのです。告発協議会が出ましたけれども、やはり早急にこの点をまとめなければならないと思うのですが、その点についてもう一度お伺いしたいと思います。
○梅澤政府委員 大変大きな問題でございますので検討にしばらくの時間を要するということでございますが、私どもも御指摘のとおりいたずらにこの問題を先送りをするという考えでは毛頭ございませんで、遅くとも秋までに御結論を賜るということで今作業を進めておるわけでございます。いずれ関係当局とも結論が出ました段階で十分協議をしながら、相なるべくばこれを制度化するという方向で努力をしてまいりたいと考えております。
○森本委員 今、公取委員長から秋までという答弁が出ました。私は、そういうのがまとまれば次の国会にでも引き続いてこの公取法の刑事罰の問題については改正をしていくべきだ、そのように思います。 次に、課徴金もそうでありますけれども、やはり最大の抑止力というのは何といっても告発という点にあるのではないだろうかということでございます。そこで、この告発については昭和四十九年、石油やみカルテル事件以来十五年間例がないという状況でございますが、最近の告発状況についてお伺いをしたいと思います。
○梅澤政府委員 御指摘のとおり、昭和四十九年に告発をいたしました石油カルテル以降今日まで公正取引委員会が告発権を発動した実績は一件もございません。これにつきましては、午前中もたしか御答弁申し上げたと存じますけれども、五十二年の法改正で課徴金制度が導入されました際に、刑事罰と課徴金というものはあくまで制度は異なる、役割分担をするものではありますけれども、課徴金制度をより生かすために違反事件については専ら課徴金をもって政府としては対応する、そのことによって課徴金制度の定着を図ってきたわけでございます。幸い課徴金制度も定着し、かつ今回は、現行の課徴金の率を引き上げる、同時に独占禁止法の運用の抑止力そのものを強化するというのを我々は政策運用の柱にいたしておるわけでございますので、昨年六月に、値上げカルテルあるいは市場分割、談合、共同ボイコットといったような悪質な類型に言及をいたしまして積極的に今後告発を行っていくという方針にいわば転換をいたしたわけでございます。そのために告発協議会を検察庁との間で設置し、今後これを積極的に実施に移していくという段階に現在あるわけでございます。
○森本委員 違反行為の抑止という観点から見て、告発が今日までほとんど行われてこなかったことは問題であると私は思っております。それで、これは公取委員の独禁法運用が甘かったと言われてもやむを得ないのではないか、それは事実であります。違反を摘発しても、警告や注意といったぬるま湯の行政指導が違反を再発させて、企業のモラルの低下に拍車をかけてきた。セメント業界のたび重なるそういった問題も起きてきた。にもかかわらず、これは告発の対象になるかどうかそれぞれ調べられたことでありますけれども、あの問題に対しても結局は告発が行われなかった。そこに公取に対する不信感がわいてきているところであります。 昨年の六月、悪質なものをこれからどんどん告発していくという方針転換をしたと今おっしゃいましたけれども、今までやらなかったことを今後やろうと決められたのは、それは何かの反省があったからなんですか。急に、方向転換をしよう。今までは課徴金だけでいいという方針で来た、それを告発でやろう。もう告発でやらなければならないということは以前からわかっている。それを急にそういう方向転換をされたのは何かあったのですか。
○梅澤政府委員 先ほども申し上げましたように、五十二年以降専ら課徴金によって違反行為を抑止するという政府が一貫してとってまいりました方向については、これは歴史的に見て決して誤りではなかったと私は考えております。何となれば、それは新しい制度としての課徴金制度をいち早く定着させるという目的を持ってそういう方針で進められてきたからでございまして、何も過去の公正取引委員会の態度が甘かったという、まあもちろんいろいろな見方があろうかと思いますけれども、私どもはそういう評価をいただくことには決して同意はできないわけでございますが、それはさておきまして、今回六月に新しく告発を積極的に進めるという方針を打ち出しましたのは、これは冒頭の委員の御質問にお答えいたしましたように、今後独占禁止法の運用を強化するその一つの大きな柱である抑止力というものを実効あらしめるために、今後は刑事罰によって違反行為の責任を問うという手段をやはり積極的に活用すべきであるということを明確に打ち出す必要があると考えたからでございます。
○森本委員 刑事告発というのは公取の専属権であります。どんなに悪質だとしても、検察庁で判断しても、公正取引委員会が告発しなければ告発ができないわけでありまして、今委員長からそういう方向転換をしたとおっしゃっていただきましたけれども、今後も厳しい姿勢で臨んでもらわなければならないと思います。 次に、何人も公正取引委員会に対して告発請求できるようにすべきではないか。また、その際、告発しなかったときには、その当該請求者に対してその旨を通知すべきではないか。これは今までも数多くそのことが議論されておりますが、今回もそれがなされようとしない。私はそういう形をとっていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○梅澤政府委員 先ほど来の御質疑を通じまして、私どもは、独占禁止法違反に対する告発が公正取引委員会の専属的権限に法律でもって決められておるということにつきまして、改めてその責任と任務の重大さを痛感するものでございます。したがいまして、今後具体的な事実を摘示されまして、書面で違反事実につき適当な措置として告発を求める旨の申告が行われました場合には、法第四十五条第三項の規定にのっとりまして、告発を行った場合を含め、その事件についてとった措置を速やかに当該申告人に通知をするという運用にさせていただきたいと思います。
○森本委員 先ほど来大畠委員の話も随分ございましたが、やはり公取は一つ一つそういったものを公開していくことによって、そのこと自体がまた大変な抑止力にもつながってまいりますし、同時に消費者の皆さん方にとっても公取の姿勢がよくわかってくるかと思うのです。 きょうもいろいろと議論させていただきました。大畠委員の質問の中にもありましたけれども、こういった問題、課徴金の問題にしてもあるいは告発問題にしても、今後企業犯罪あるいは不公正な取引を取り締まっていこうとするにしても、今の公取委員会の陣容では、皆さん本当に一生懸命頑張ってくださっても十分なことはできないのじゃないか。まず消費者の利益を確保するためにも公取委員会の機構拡充をすべきである。そのように独禁法の政策の強化が必要であるだけに、そのためにまず機構充実、人員が日本とアメリカと比べて極めて少ないという状況が先ほど来答弁がございましたが、もっともっと、まず人、それから情報化時代にたえていけるあるいは情報化時代を先取りしていける――むしろこれからのこういったカルテル等々を結ぶ場合には情報化のものを使って行えるということも十分考えられますし、また帳票等々についてもそういった捜査が行われていくと考えられます。情報化時代に対応できる公取委の機構充実、まず人員の充実、そしてそういった機能の充実を図らなければならないと思いますが、いかがでしょう。
○梅澤政府委員 平成二年度予算、それからただいま御審議を賜っております平成三年度予算を通じまして、違反事件を専ら処理いたします部門の定員をおよそ二年間を通じて三割増員をお願いしているところでございます。これは審査のフロントに当たる部分に充当いたしますので、この三割という戦力増は、実際の戦力といたしましては相当大きな数字にはね返ってくると私どもは考えておるわけでございます。今後におきましても、違反事件を処理する部門に専ら重点を置きまして、これは本局のみならず地方事務所の強化も含めまして、中長期的な機構の充実ないしは定員の増加についてのプログラムをつくりまして関係方面の御理解も得ながら充実に努めてまいりたいと思います。 なお、御指摘がございましたコンピューターシステムを含めましたより効率的な事務体制の確立、これも当然予算を伴う部分が多いわけでございますけれども、この面についても努力してまいりたいと思います。
○森本委員 柴田審査部長さん、どうですか、日常的な気持ちはそれだけあってもなかなか審査の陣容が少なくてやれない、これはひとつ部長の実感を伺いたいと思います。
○柴田政府委員 今大変難しい質問をいただいたわけでございますが、私の実感を率直に申し上げさせていただきたいと思います。 今委員長も申しましたように、三割、実は私どもの実動部隊をふやしていただいているわけでございます。そういう意味で私どもの気持ちが非常に高ぶっていることは事実でございます。一方また、先ほど以来いろいろ皆さんからお話を伺っているのですが、余り急にたくさんふやされても、私正直申し上げまして、やはりこれは中で仕事をしながら育てていく、日本の仕事というのはどうもマニュアルを見てトレーニングというわけになかなかいきませんで、実際実務の中から育てていくという一面もございますので、余り急に、例えば極端に百人今ふやしていただいても、私もうまくみんなを引っ張っていくだけのそういう意味での自信はないわけでありまして、徐々に徐々に、着実にいければというのが私の実感でございますし、正直今みんなの気持ちが大変高ぶっていることは事実でございます。
○森本委員 どうぞ公取の皆さんの陣容も充実し、そして誇りを持って、ひとえに消費者のために、生活者を守るために今後も尽力し、また、そのことが消費者の皆さんにもわかるように、まして今国際社会の中において国際的にも非難のされることのないよう、日本は商業の部分においてあるいは流通の部分において公正な取引を行っているのだ、他国から非難されないようにさらにさらに充実し検討してくださいますことを申し上げて、私の質問を終えます。
○額賀委員長代理 川端達夫君。
○川端委員 委員長、どうも御苦労さんでございます。よろしくお願いいたします。 この独禁法の改正の出てきた経緯の中の大きな要素に、日米構造問題協議がきっかけになったことは事実だというふうに思いますけれども、そういう部分でアメリカも非常に注目をしていることだと思いますが、湾岸戦争が終結をして、マスコミの報道等々では、アメリカにおいて、いわゆる直接血を流さなかった日本という部分に対する風当たりが今までの経済摩擦に加えて非常に強いというふうな側面を聞くわけでございます。そういうふうになる兆候があらわれているということの中で、こういう日米構造問題協議で公約した独禁法の見直しが一応成案を得たということは非常に高く評価をしているのですが、そういう環境がこの構造協議の時点からアメリカの世論的に変わってきているというか、違う風も吹いているという中で、そういう対日感情なんかを踏まえて、今回の案でアメリカへの対応というものが、自信のほどというのですか、これで大体説得できる、向こうにも非常に高く評価してもらえるという感触をお持ちなのか。フォローアップ等々でまた厳しくいろいろな注文が出てくるというふうなことが懸念されるのか。そのあたり、構造協議との関連において、それと特に、最近の日本への風当たりがきつくなったということも含めて、この法案に対しての感触というのですか、それをお聞かせいただきたいと思います。
○梅澤政府委員 今回御審議をお願いいたしております、現行の課徴金の水準を原則四倍に引き上げるという内容のものにつきましては、先般の日米横造問題協議の東京におきますフォーローアップの時点におきましては、抑止力の水準として十分であるかどうかという点について日米の認識は必ずしも一致をいたしておりません。ただ、私どもは、日本の制度とアメリカの制度とは違うわけでございますし、日本の課徴金制度につきましては、刑罰との二重処罰の問題を解決しつつ、課徴金の性格上許される合理的な範囲内において抑止力を十分達成する水準として、今回の六%という御結論を学者を中心とする懇談会の結論でいただいたものでございますから、これは日本政府の決定として今後変更する考えはないということをアメリカに明確にいたしております。 ただ、御指摘になりましたように、現在の日本の国際経済におきます地位から考えました場合に、単にアメリカとの関係のみならず、EC等も含めまして今後市場メカニズムの公正な機能をお互いに保証し合いながら競争政策の協調を図っていくということは大変重大な問題でございまして、我々としては課徴金の問題については今申し上げたような現状でございますけれども、なお刑罰の問題なり損害賠償制度なり、それから今後公正取引委員会が独占禁止法を運用するに当たっての実というものを内外ともに明確にしながら、しかし日米間の相互の認識の一致というのは単に日本だけの努力ということではございませんで、これはやはり日米双方が、SIIが始めた原点に立ってお互いの立場を理解し、対話を重ね、双方が認識を同じにするという努力を共有していかなければならないわけでありますので、そういった方向で努力していくということがこれからの公正取引委員会の対応になると思います。
○川端委員 おっしゃるとおり、私もお互いに、おのおの国内事情もあるわけですから、そういうものの立場を理解するということは非常に大事なのですけれども、そういう中で少しお伺いをしたいのですが、構造協議の中でもそのほかにもいろいろな問題が取り上げられました。そういう中で、かなり体質的に、今まで日本が持ってきた体質の違いというものが随分あるな、そういうことの中で、例えばよく談合問題が日本の中でも問題になりますし、消費者からも問題になりますし、アメリカ等諸外国からも指摘される談合体質というのがある。商売をやっていくときに、同業で目を血走らせて競争するのではなくて、それなりに分担しながらおのおの分け合っていこうではないか。いい言葉では協調ということなのかもしれませんが、そういうふうな体質がある。アメリカとか諸外国ではそういう部分はどうしても理解できない、こういうことだと思うのですね。 そういうことが、結果的には今、体質が違うという言葉では表現できるのですけれども、公取の立場として言えば、こういう日本が今指摘されている体質的な問題というものを諸外国との関連でお互いに理解してくれというときに、そういう体質を理解してくれといっても無理な部分と無理でない部分と両方あると思うのですけれども、そういうことに関してはどういう認識をお持ちなのでしょうか、日本のそういういわゆる商習慣体質というものに対して。
○梅澤政府委員 いわゆる日本の取引慣行、あるいは委員のお言葉をかりますればそれに内在しているいわば社会的、文化的な体質というようなことを御指摘になったわけでございます。ただ、その例として談合ということを仰せになったわけでありますけれども、我々が通常使います談合というのは、典型的には建設事業のような単品受注産業で競争入札が行われる場合に談合という形でのカルテルが行われやすい。この点は実は日本だけではございませんで、ある意味ではアメリカ、ヨーロッパも含めて建設事業における談合というのはいわば世界共通の現象でございまして、それは市場がそういう談合を生じやすいものを秘めているということで共通しているわけで、これは各国とも非常に厳しい対応をしているわけでございます。 ただ、委員が御指摘になりましたのは、談合等も含めまして、例えばよく言われる系列の問題とか株式の持ち合い等いろいろ日本の取引慣行なり体質というものが問題にされるわけであります。談合体質というのは、私の理解するところでは、我が国の共同体においていわば共存共栄、仲間内で落後者が出ないようにという、日本の歴史がはぐくんできた一つの風潮と申しますか、そういうものであるという指摘をする人もおるわけであります。それは一つの美風は美風として、それを我我は決して否定する必要はないわけでございますけれども、事、独占禁止法なり市場の問題として出てきた場合には、競争者同士というのは本来競い合うというのが市場メカニズムの基本でございますから、日本は談合体質があるがゆえに市場メカニズムなり独占禁止法の運用上特異な道あるいは日本の美風としてこれを主張することはできないと私は思います。そういう談合というものが文化的な美風であるとしても、取引とか市場メカニズムにおいてこれが行われる場合には独占禁止法でもって厳格に対応していかなければ、諸外国との関係でお互いに公正な競争を行うというパラダイムを共通にするという点では、そういう美風をもって主張することはできないということは言えると思います。
○川端委員 最近の日本が国際化していく中で世界からいろいろ言われる部分というのは、一つはやはり物差しの問題だと思います。 余談になりますが、正月にテレビを見ておりましたら、クイズ番組でクイズのチャンピオンを争うというときに、一匁は何グラムですかという問題が出たのです。おられる方は恐らくほとんどおわかりになると思うのですが、三・七五グラムだなと思いながら見ておりましたら、日本一を争うその決勝戦で二人とも答えられなかった。調べてみましたら、昭和三十四年に尺貫法というか計量法を変更している。日本は随分不便をしながら貿易立国、いわゆる資源を輸入し、働いて物をつくっていく、外国に売る、そういう経済の仕組みで世界の中で生きていこうというときに、日本は必要に迫られて物差しを変えたというのですね、非常に不便であるけれども。 それが今、独禁法という一つの物差しも、そしてそれを受け取る国民の感覚も、いろいろな部分で国際化というのが日本で問われるときに、日本の持っている物差しを可能な限り変えていかないといけないというその一つではないかなと思うわけなんです。例えば、今政治改革云々というので言われたときに、政治家というのは大体いろいろなところに寄附をするものだというのが日本古来の風土であり、いろいろなところへ何でも酒を持っていき、お金を持っていく、お祭りになったら一番たくさんお金を出すというのが日本の政治家というものの位置づけであったかもしれないけれども、それではいけないということで、一切禁止をしよう、物差しを変えていこうということだと思うのです。 そういうときに独禁法というものを考えたときに、独禁法違反という事象がありますね、皆さんが立件をされるというか、摘発をされる。教えていただきたいのですが、どこかの企業が独禁法違反になったときに、その会社及びその周辺一般の人が受けるイメージ、そして社会的な制裁という部分と、世界のほかの国で独禁法違反をある企業が受けたという部分とは現実に相当違いがあるのでしょうか、どういうふうに認識されておりますか。日本で脱税をして捕まりますと、まずい、ばれて下手くそなことをしたな、大体こういう感じなんですね。西欧諸国では、脱税したというのはもうその人自身が社会的に抹殺されるようなことである。そういう意味で言ったときに、これはどうですか、余り変わらないのか、相当違うのかという認識のことをお伺いしたい。
○梅澤政府委員 大変難しい御質問でございまして、あるいは私のお答えした後事務局から補足を申し上げることをお許し願いたいと思うのでございますが、独占禁止法違反というものに対するいわば社会の価値観に質的な違いがあるかというふうな御質問だろうと思うわけであります。 アメリカの場合はシャーマン法ができましたのは十九世紀末でございますから、百年以上の歴史を持っております。しかも、大変厳しい市場メカニズムを追求してきた国でありますから、これに対する違反というものについての社会的評価というものは、率直に言って日本とアメリカの間に差があると考えた方があるいは正確ではないかというふうに私は思います。現にアメリカにおきましては、これは一九三〇年代からだそうでございますが、一流の企業はほとんど例外なく独占禁止法、アメリカの反トラスト法の遵守基準というものを設けまして、これは単に社員心得というようなものにとどまらない、社内でかなり拘束力を持った基準で、自己規制をしておる。これは当然反トラスト法違反に問われぬための企業の自己防衛から自然発生的に出てきたものではあると私は思います。 そういったものと我が国を比べます場合に、やはり一つの差があるのではないか、それは単に我が国だけではなくて、アメリカとEC諸国とを比べましても、これは競争法の歴史が我が国と同じくまだ半世紀に達しない、向こうはもう一世紀以上たっている、この差が一つあると思います。ただ、今たまたま脱税の例をお引きになりましたけれども、この脱税に対する社会的価値観というものも、この二、三十年をたどってみますと、日本の社会的価値観というのは顕著に変わってきていると私は思います。ということになりますと、独占禁止法に対する企業あるいは経済界の関心、消費者の関心はもともと強いわけでございますけれども、これも最近とみに変化してきておるし、むしろそういう方向での独占禁止法に対する関心の高まりという点からいえば、日本の取引社会なり経済社会も希望が持てる方向に動いておるというふうに私は考えております。
○川端委員 私の申し上げたかったことも大体委員長のお話に尽きるわけですが、今、そういうふうに美的風士とか歴史的な慣行とかいうことで残していくべきことと、そうではなくて、いわゆる国際化の中で日本もみずから律し、変えていかなければいけないこと、そしてそれは社会全体を含めて変えていかなければいけないということの中の一つがこの独禁法の問題だと私は思っております。そういう意味で、かねがね御検討もあったのでしょうが、今回一つのきっかけとして構造協議も含めてこういう課題が表面上出てきたという中で、これからの公取の果たされるべき役割、責任は非常に大きいというふうに思うわけです。 そういう中で、先ほどから例えば外国と物差しが違う、社会的な風土が違うという中で、何でもすぐ裁判に訴えて、個人的に家に呼ばれていったときに玄関で滑って転んだら、それもその家の人の家の管理が悪いのだからというふうなことも裁判になるということを聞いたことがあるのですが、そういう部分で、裁判でとにかく黒白を明らかにし、責任の所在とそれを損害賠償するというふうな一つの社会と、日本はそういうことを余りしないという中で、どちらかというとこれからそういうふうに志向しようとしているのかなというふうにも見えるわけです。 これは難しい質問になるかもしれませんが、そういう日本的であるという部分と日本的でないという部分、違うという部分と物差しはきっちり変えなければいかぬという部分のミックスした状態でこの法案は考えていかなければいけないのだろうと思うのですが、そこら辺は今回の法律の改正に関して、すべて裁判するとか損害賠償するとかいうふうな欧米の例等とやや日本的でなじまないなという社会性の部分というふうな観点はどういう御苦労というか御配慮をされたのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○梅澤政府委員 今仰せになりました例えば独占禁止法違反についての損害賠償に対する社会の対応がアメリカと日本の場合では違う、これは御指摘のとおりだと思います。米国の場合は、もちろんこれも米国の歴史の話でもございましょう、ただ、反トラスト法違反の損害賠償制度に論点を限定いたしますと、三倍額賠償制度というのがあって、これ自身がプライベートアクションと申しますか、私人が訴えを起こす非常に大きなインセンティブになっておる、そのことがアメリカの反トラスト体制のいわば抑止力の一つになっておるというふうに評価をされておるわけでございます。 この点につきましては、日本の場合はそもそも抑止措置が、繰り返して申し上げているところでございますけれども、刑事罰と課徴金という制度がございまして、損害賠償についても独占禁止法の二十五条に、実損害額を賠償の限度とし、ただしこれを適正迅速に救済するという考え方から、独占禁止法の損害賠償を民法の損害賠償とは特別の扱いをするということで制度が仕組まれておるわけでございます。したがって、この制度については、アメリカのように実損害額を上回るような制度改正をすることは日本の制度の体系からいって困難でございますし、またそういう必要はないというふうに私は考えるわけでございます。 したがいまして、今回課徴金の引き上げをお願いしておるわけでございますけれども、これはぜせ成立をさせていただきますと同時に、今の日本の独占禁止法の基本的枠組みというものは変更する必要はない、むしろこれを実効あらしめるということが一番大事であるわけでありまして、アメリカも日本もEC各国もそれぞれ制度の仕組みが違うわけでございます。それは、それぞれの国がその仕組みを大事にしながら、むしろその実を上げる方向で努力すべきであるというのが基本的な考え方ではなかろうかと思うわけでございます。
○川端委員 そういう中で、今回課徴金の引き上げということでいろいろな立場の人からも指摘のある意見の一つに、刑事罰の問題がございます。刑事罰の強化という部分に関しての現状の御認識、今回はこれは触れておられないわけですが、これからの方向性というのですか、どういうふうにされようと考えておられるのか。あるいはもしスケジュール的にめどとかをお持ちであれば、それも含めてお聞かせいただきたいと思います。
○柴田政府委員 公正取引委員会は、五十二年の前回の法改正で課徴金が導入されたわけでございまして、それ以降この制度の定着に全力を尽くしてまいりました。 最近、消費者の利益がより一層重視されるような状況になってきているのだろうというふうに思いますし、独禁法の執行力を強化して、公正かつ自由な競争を維持促進することがより一層重要になってきているだろう。また、広く世界に目を向けてみましても、日本の経済活動の国際化が進展をいたしておりまして、各国の相互依存関係が密になってきている。そしてまた、欧米諸国では押しなべて独占禁止法とその運用の整備強化の方向にあるということを考えますと、我が国の独占禁止法の適用においても刑事罰の活用を含めた総合的な抑止力の強化の必要性が増大してきている、このように考えているわけでございます。 課徴金制度が今や定着したこの段階で、このような変化を踏まえまして、違反行為の悪質性あるいは社会的影響の重大性等を勘案して、必要と認められる場合には今後積極的に告発を行っていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○川端委員 それともう一つは、いつもこういう場で問題になるのですが、再販価格の維持制度というものもかねがねいろいろな議論があるわけです。いわゆる有識者等々の研究会でこういうものにメスを入れていく、研究をしようというふうなことも検討されているやにも伺っているのですが、この問題、再販価格維持制度についてはこれからどういうふうに研究し、検討し、見直していこうというお考えをお持ちなのか、あるいはそういうお考えがないのか、その点についてちょっとお伺いしたいと思います。
○地頭所政府委員 独占禁止法の適用除外制度につきましては、必要最小限のものとして市場メカニズムの活用を図るべきであるというのが基本的な考え方でございまして、現行制度の必要性、妥当性を検討して見直していくという作業を全般的に行っておるわけでございます。そしてその適用除外制度の運用を適正に図っていく必要があるというふうに考えております。 このような観点から、独占禁止法適用除外制度につきまして、政府規制等と競争政策に関する研究会、これは法律、経済の専門家の方々が中心でございますけれども、この研究会において検討を行っているところでございまして、本年の夏ごろまでにその結果を取りまとめるべく検討を進めていただく予定としておる次第でございます。再販制度の適用除外につきましても、ただいま申し上げましたような一環として同研究会において検討をお願いしたいと考えているところでございます。
○川端委員 今回の独禁法改正以外にもいろいろな課題も抱えているというふうに思いますが、先ほど委員長お述べになりましたように、これから世界の中でお互いの立場を理解しながら経済活動をやっていくという部分で非常に大きな役割を占める部分だと思います。何分にも御努力をお願い申し上げまして、終わりにしたいと思います。 ありがとうございました。
○額賀委員長代理 江田五月君。
○江田委員 独占禁止法改正案について質疑を行います。 今回の改正案、独禁政策全体についてこの程度でいいのかという不満もいろいろとあるのですけれども、しかし、前へ進むということは悪いことでないので、私ども基本的にこの法案には賛成をしたいと思っておるわけです。 違法なカルテルに対する課徴金をこれまでのざっと二倍から四倍に引き上げるとか、課徴金の算定上の実行期間は三年を限度とする、終期から数えて三年ということでしたね。実際に得た不当な利益を取り上げるというのですと、カルテルが発生してからの初めの三年の方がいいのではないかという感じもしたりとか、あるいは課徴金のいわゆるすそ切り額を五十万円未満とするという内容、いろいろあるわけですが、ぜひ公取にはこれからこれらの改正を生かして、内外から期待されている我が国の経済社会における流通、排他的取引慣行、系列、価格メカニズムなどについて競争政策を強化して、我が国の政府規制や商慣行、いわゆる談合や共同ボイコット、排他的な系列取引、内外価格差などの問題点の是正に頑張っていただきたいと思います。 さて、今回はいわゆるSII、昨年四月五日に発表されたいわゆる日米構造問題協議の中間報告を受けてということだと思いますが、その中間報告の中に、公取の関係についていえば、これは「排他的取引慣行 Ⅱ.対応策」の「1.独占禁止法及びその運用の強化」の(1)、ここに「また、外国事業者からの独占禁止法の違反事案等に関する通報、苦情の申し出について、公正取引委員会に相談・苦情窓口を設置し、迅速な処理を行う。」こういうところがあるのです。実はこれは英語で見ますと、「In addition,an Ombudsman system will be newly established in the FTC」云々、こういうことになっておりまして、「オンブズマン・システム」ということになっている。 これは私は去年の四月十八日の本委員会で、おかしいのじゃないか、日米構造問題協議、日米の食い違いがいろいろとあって、その食い違いをなくしていこうというのに、言葉の認識の食い違いをそのままにしているのではどうしようもない、英語では「オンブズマン」と言う、日本語ではそれを「相談・苦情窓口」と言うというのでは、これはかなり意味が違うのではないかという質問をしたことがあります。そのときの答弁はたしか、英語で「オンブズマン」というニュアンスは、日本語「相談・苦情窓口」と言えば一番よくニュアンスが伝わるからそう訳したのだという御説明だったのです。 そこでお尋ねしたいのですが、昨年の六月に設置をされました、「外国事業者からの相談・苦情窓口を設置し、専任の担当官を設置した。」という、ここで言われる相談・苦情窓口、専任の担当官、これがこの中間報告の中の「アン・オンブズマン・システム」と言われている部分に当たる、こう理解していいのですか。
○矢部政府委員 今、江田委員が御指摘になりました中間報告におきましては、外国事業者による「相談・苦情窓口」、「オンブズマン」となっておりましたが「最終報告ではこれの訳を変えておりまして、「オフィサー イン チャージ オブ フォーリン コンサルテーション アンド コンブレイント」となっております。ですから、相談、苦情を受け付ける窓口というように改めております。
○江田委員 なるほど、最終報告でそう改まったから、そこのそごはないのだというわけですね。やはり認識の違いというのがあっていろいろな問題が起きるということがあってはいけませんので、これはちょっと念のためにということですが、よろしくひとつお願いしたいと思います。 さて、それでは外国事業者からの苦情・相談窓口、この担当官というのはどのくらいおられるのですか。そして、昨年の六月に設置されたということですが、これまで何件ぐらい、どのような相談があり、どのように処理されたか、報告してください。
○矢部政府委員 この外国事業者による苦情・相談窓口と申しますのは、課長補佐クラスの者が担当としてこれに従事しておりまして、その下に数名のスタッフが、専任ではございませんけれども、従事しております。 それで、この外国事業者の苦情・相談窓口の設置の目的でございますが、これは外国の事業者が我が国の独占禁止法やその運用について必ずしも熟知していないことから、独占禁止法に関します各種の相談それから苦情の申し出、違反事案の申告を行いやすくするということを目的といたしまして昨年六月に設置したものでございます。 設置以来、これまでに外国事業者から約十件の相談が寄せられております。その内容は、公正取引委員会の施策一般に関する問い合わせのほか、並行輸入の阻害等の不公正な取引方法それから景品表示の規制に関する相談など広範囲にわたっておりますが、いずれにつきましても事案に応じまして迅速に適切な対応を行っております。
○江田委員 外国の事業者ばかりでなくて、我が国の消費者や一般の市民がカルテルなどの違反行為や不公正な取引を発見した場合に、これは公正取引委員会の審査部の情報管理室や総務課の広報あるいは直接担当課に相談に行けばよろしい、例えば独禁法四十五条にあるように、書面で事実を報告すれば公正取引委員会は適当な措置をとるか、とらない場合は報告した人にその旨を通知をしなければならない、そういうことになっているということだそうですが、これはオンブズマンといいますか、公正取引委員会に今の外国の事業者に対して提供されているような苦情・相談窓口機能を期待するというふうに考えてよろしいのですか。 〔額賀委員長代理退席、佐藤(謙)委員長代理着席〕
○矢部政府委員 日本の消費者その他企業の場合には、公正取引委員会のどこに相談あるいは申告を持っていったらいいかというのは比較的わかりやすいものですから、今先生から御指摘いただいたようなところで全部受け付けております。ただ、外国事業者だけにこういうのを設けましたのは、英語でも直接来られるようにということで、それぞれの現場では必ずしも英語での対応が十分でないものですから、特に外国事業者に限って設けているものでございます。
○江田委員 そうじゃなくて、今の去年の六月に設けられたものは特に外国人のために専門に設けられたものだ、それだけでなくて、日本人の場合にはどうするか、我が国の消費者や一般の市民がカルテルなどの不公正取引を発見した場合にどうすればいいのか、苦情・相談窓口風のものが日本の場合にはちゃんと用意されているのかどうかということについて伺ったのですが。
○矢部政府委員 違反事件の端緒になるような事実あるいは申告につきましては、審査部の中の情報管理室というところで受け付けて、これは本局でございますが、そのほか各地方事務所にもそういう申告を受け付けるところがございます。その申告の内容が具体的な事実を提示してきた場合には、どういう措置をとったかということも通知するようになっております。そのほか、独占禁止法の一般の相談につきましては、官房の中に独占禁止法相談所というところもございます。それからまた、事業者団体の相談につきましてはまた専門の窓口も用意されております。
○江田委員 近く我が国の流通、取引慣行等に関する独禁法の運用を明確にするためのガイドラインが作成されるようですが、これなども活用して我が国の消費者や市民が消費者利益を確保し、経済活動における社会的公正を実現するために公正取引委員会をいわば消費者、市民が活用する、これが期待できると考えたいのですが、それでよろしいですか。
○梅澤政府委員 今、江田委員が御指摘になりましたこのガイドラインというのは、私どもが今後の独占禁止政策の重要な柱にしております抑止力の強化と、もう一つ、今仰せになりましたような透明性といいますか、内外ともに日本の競争秩序というものについてよく理解してもらう、同時に、特に国内事業者についてはこれをよく御承知おき願って、違反行為の未然防止に役立てるということでございますが、いま一つ、これは消費者の方々にもぜひ御理解をいただくということは非常に意味があると考えるわけでございます。 というのは、消費者あるいは事業者もそうでございますけれども、独占禁止法の違反事件というのは具体的な取引によって発生するわけでございますから、それによって被害なり悪い影響を受けた人たちがそれは独占禁止法のルールに反するのだ、相手方はそういうことを知っているのだということが秩序を維持する上での大きな抑止力になるわけでございます。その意味で、事業者はもちろんでございますけれども、消費者も含めまして、このガイドラインというものが競争秩序の維持のためのいわば民間抑止力のような形で私は機能するということは期待をしているわけでございます。
○江田委員 公正取引委員会という役所は、もちろん公正な取引慣行の確立のために責任を負っている役所ですが、国民みんながそういう意識を持ってふだんから不公正な競争のないように注意をしておくという必要があるわけで、ぜひ公正取引委員会としても、そういう消費者や市民が活発に独禁法違反事例などに対して摘発するような活動を行うことを触発していただきたいと思います。 さて、今回の改正案では、大企業のいわゆる建設談合ですね、土木建設工事の談合については課徴金が一・五%から六%と最大幅四倍に引き上げられることになっているわけですね。そこで、建設談合の摘発について、告発したり課徴金をかけたりした過去十年間の事例、これを御報告いただけますか。 〔佐藤(謙)委員長代理退席、委員長着席〕
○柴田政府委員 今御質問の官公庁等の発注する建設工事の競争入札に当たりまして、事業者が共同してあるいは事業者団体があらかじめ受注予定者を決定するいわゆる入札談合でございます。 一定の取引分野における競争を実質的に制限いたします場合は独禁法三条あるいは八条一項一号に違反するということで、従来、公正取引委員会で重点的に審査を行ってまいりました。昭和五十七年以降の建設業関係の受注予定に関する談合事件の審決等でございますが、件数八件、課徴金の合計で七億九千四百九十八万円でございます。
○江田委員 何件ということと金額しか今御報告なかったのですが、その中身は、簡単で結構ですが御報告いただけないですか。
○柴田政府委員 八件の中身でございますけれども、一つが静岡の建設業協会の件でございます。これは、静岡市内における静岡県、静岡市発注の建設工事について、受注予定者を決定した案件でございます。五十七年九月の審決でございます。二番目が、清水建設業協会でございます。これは、静岡県の清水地区において静岡県及び清水市発注の建設工事について、受注予定者を決定した案件でございます。それから三番目が、清風会の案件でございまして、これは、沼津市における沼津市発注の建設工事について、受注予定者を決定した案件でございます。以上三件はいずれも五十七年九月の審決でございます。 それから四番目は、旧米軍工事安全技術研究会の会員等という件名でございまして、これは、米軍の発注工事の受注予定者を決定した案件でございます。これは、対象になっておりました事業者団体が解散をいたしておりまして、課徴金の納付命令のみを命じたものでございますが、六十三年十二月の案件でございます。 それから、四国電気・管工事業協会の電気工事部会の件でございますが、官公庁等が入札により発注する四国地区の特定電気工事について、受注予定者を決定した案件。それから、同じく四国電気・管工事業協会管工事部会という案件がその次ございまして、これは、官公庁等が入札により発注する四国地区の特定管工事について、受注予定者を決定したものでございます。電気と管ということでございます。それからその次が、香川県電気工事業協会の件でございますが、これは、香川県等が入札により発注する電気工事について、受注予定者を決定した案件。それから香川県管工事業協会でございますが、香川県等が入札により発注する管工事について、受注予定者を決定した案件。以上八件でございます。
○江田委員 いろいろまだ伺いたいのですが、談合というのは英語にもなっているようですね。DANGOなのか、あるいはDONEしてGOするから談合で、ちょうど英語的感覚も語感としていいのか。特に建設関係の談合は我が国の最もあしき経済社会の慣行になっていると思いますが、これまでの公正取引委員会の実績は、この程度では、実態のところと比べてみるととても談合の摘発抑止に成果が上がっているとは言えないと思います。 最後に、今回の法改正を生かして、我が国の建設談合を根絶するということについて、公正取引委員長の御決意をお伺いして、私の質問を終わります。
○梅澤政府委員 独占禁止法違反に対する措置を強化する上で、御指摘になりました談合に対する対応が一つの大きな課題であると考えております。 ただ、この談合と申しますのは、一般の不公正な取引あるいはカルテルと違いまして、非常に閉鎖的な集団の中で行われます。同時に、発注者の方も、入札状況をよほど子細に注意深く検討をしてもなかなか見つかりにくいという点で、一般の独占禁止法違反事件についてよりも違反の端緒が非常につかみにくいわけでございます。 したがって、私どもといたしましては、今後情報収集の活動というものをより効率的な方向に持っていくべくこれからも努力しなければならないと考えております。同時に、今後違反事件が明るみに出ました場合に、それが重大悪質な事件である場合には、昨年六月の公正取引委員会のステートメントにもございますように、課徴金のみならず、刑事責任を求めるというふうな強い姿勢で臨みたいと考えております。
○江田委員 まさに今のお話で、今回の法改正、課徴金の割り増しだけではとても効果のあるものにできないので、昨年の六月の体制の拡充ということが行われたわけですが、それだけでもまだ足りないということでしたら、どんどん注文も出していただいて、公取委員会が大いに活躍されることを心から期待をして、質問を終わります。
○奥田委員長 小沢和秋君。
○小沢(和)委員 今回の課徴金大幅引き上げは当然の方向だと思いますが、問題は、これが日米構造問題協議を通じてかけられてきたアメリカの圧力によって実現したところにあると思います。その点を公取としてどう反省しているのでしょうか。
○梅澤政府委員 今回の課徴金の引き上げは、我が国の市場の公正かつ自由な競争秩序というものをより強化するために、今後独占禁止法の運用を強化する、そのために違反に対する抑止力をさらに強めるとともに、公正取引委員会の行政運用を内外ともに透明度を高める施策の一環として取り上げたものでございます。 お説のとおり、この問題が日米構造問題協議を一つの契機として起こってきた問題ではありますけれども、これは究極的には日本の国内の消費者の利益を確保する、同時に、今日の世界経済における日本の地位から見て、これが諸外国との公正な競争政策の政策協調という点からぜひ取り上げなければならないという観点によるものでございまして、アメリカの圧力によってアメリカの言うとおりにこのことをまとめたということは、そういう事実はないわけでございますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
○小沢(和)委員 いや、私は論戦はしませんけれども、客観的な事実の経過がそれを物語っていると思うのです。 次の質問に入りたいのですが、残念ながら、公取委の独禁行政が財界などの圧力によって押しまくられていたということは、課徴金適用の実績を見ればはっきりしていると思うのです。せっかく石油ショックの教訓から課徴金制度をつくったわけですが、八四年度にがたんとそれが減り、ようやく八九年度から、国際的な圧力などの影響もあって増加に転じている、これが実績ではないでしょうか。このこと自体に、公取委の今まで財界などに押しまくられておったというような実績も反映しているのではないかと思いますが、どうでしょうか。
○梅澤政府委員 課徴金制度が導入されまして、昭和五十二年以来十数年間の過去の違反事件並びに課徴金の適用の問題について、これは件数を追ってごらんになりますと御理解いただけるかと思うわけでございますけれども、その背景にはそのときどきの経済変動によりまして、経済のあるいは景況の局面によりまして、違反事件の発生率というものにはやはり山谷がございます。そういった事情もあるわけでございまして、おっしゃるように、一部の財界と申しますか、そういったものの圧力によって公正取引委員会の過去の課徴金の運用が非常に消極的であったという御指摘は、私は当たらないと思います。
○小沢(和)委員 それじゃもう一つ問題を出したいと思うのですが、刑事告発を見ますと、一九七四年に石油元売、石油連盟などを告発して以来、十五年余り全く行われておりません。この点を見ても、不十分な現行独禁法さえ十分運用されていなかったと言わざるを得ないわけであります。日米構造問題協議で、流通、排他的取引慣行、系列の分野で独禁行政が問題とされました。そこでやっと公取委は、今回の法改正や刑事罰の積極的適用、被害者の立証負担軽減など損害賠償請求制度の運用改善などに取り組むということになったのではないでしょうか。公正取引委員会としてはこれを機会に、アメリカや財界の圧力などに左右されることなく、消費者、国民の利益擁護、真に公正な競争確保、国民経済を民主的に発展させる立場に立って、独禁法の抜本改革を含め独禁行政を見直し、強化をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○梅澤政府委員 公正取引委員会は、従来からも、それから今後とも、独占禁止法第一条に規定されております精神、つまり究極的には消費者の利益を確保し、国民経済の民主的かつ健全な発展に資するためにこの競争政策、独占禁止政策を強化し、強力に運用してまいりたいと思います。
○小沢(和)委員 ところで、最近における課徴金納付命令の状況を見ますと、命令を受けているのは中小企業が大部分ではないでしょうか。資料では、いわゆる法律上の中小企業に当てはまるもの以外はすべて大企業として扱い、いかにも大企業が多くの課徴金をかけられているような印象を与えるわけでありますが、世間で大企業と考えるのは今どきでは資本金十億円を超えるぐらいの大きさというのが常識ではないかと思うのです。資本金十億円以上の大企業ほどの程度の割合を占めているでしょうか。
○柴田政府委員 先日先生から資料の提出の要求がございました。十億円のところで計算をするのは少し時間がかかるものですから、とりあえずきょうは上場企業ということでお許しをいただきたいと思っております。 昭和五十二年に課徴金制度が設けられて以降この二月末までに七十六件のカルテルがあったわけでございまして、千百七十三名の事業者に対しまして百二十三億五千百四十万円の納付を命じております。このうち大企業、あるいはこれは今先生から御指摘のような定義の数字になってしまうのかもしれませんが、事業者で四四・七%、五百二十四名でございますが、課徴金では八一・三%、額にして百億三千八百六十四万円でございます。このうちに上場企業の占める割合について見ますと、事業者数で大企業全体の四一・八%に当たります二百十九名、課徴金金額で同じく六四%に当たります六十二億二千八百四万円とかなりの部分を占めているというふうに申し上げられるのではないかなというふうに思います。
○小沢(和)委員 他方で、価格の同調引き上げに関する調査の状況を見ますと、乗用車、鉄鋼、ビールなど大企業製品が問題とされております。我々から見ますとまさに日本経済、国民生活のために独禁法違反で目を光らせなければならない本命はこちらの方ではないかと思われるわけです。ところが、これらの値上げは独禁法第十八条の二により報告を徴収しただけだということであります。それで、報告の徴収とあわせて独禁法三条すなわちカルテル等の疑いがないかどうか厳正に調査を行うべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○糸田政府委員 今委員御指摘のように独占禁止法十八条の二に、価格の同調的引き上げに対する報告徴収という制度があるわけでございます。これはけさほども御答弁申し上げたところでございますけれども、この趣旨は、一般的に言って高度に寡占的な業界においては同調的な価格引き上げというようなケースがいろいろ見られるということでありまして、これは一方で独占禁止法に違反する行為ではございませんが、これにどのように対応していくのかという御議論が当時ございまして、その結果としてこのような同調的な価格引き上げがもし安易に行われているとするならばこれは問題があるんじゃないか。したがって、値上げ理由の報告を企業から徴収いたしまして、それの概要を国会に御報告申し上げる、そういった形で値上げ理由を世に公にするということによりまして安易な値上げに対して歯どめをかけよう、こういった趣旨でできている制度でございます。 私ども、この制度を昭和五十二年の独占禁止法改正によっておつくりいただいたわけでございますけれども、この制度が効果が上がるようにこれまで運用してきているところでございますが、一方で今委員御指摘のように、このことと独占禁止法に違反する、例えば価格カルテルとは全く別の問題でございます。こういった価格カルテルの疑いがあるといったような場合にはもちろん独占禁止法に基づいて厳正に対処しなければならない事柄だ、そのように考えておるところでございます。
○小沢(和)委員 この報告の徴収自体については、もともと非常に独占が進んでいるような業界についてはカルテル的な行為が行われる危険が非常に強いということからこういう制度をつくっているわけですから、もっともっと国民の納得いくようにこれを運用していただくことをお願いしておきます。 次の問題ですが、最近公正取引委員会がセメント大手十二社に対しまして販売数量制限及び販売価格の引き上げが独禁法第三条違反として勧告を行っております。過去にもやみカルテルの前科があるセメント各社に対し本来厳罰に処せられてしかるべきであるにもかかわらず、課徴金こそ百億円という大きな額になると報じられておりますけれども、刑事告発はまた見送られるというふうに伝えられております。このような報道が事実なのかどうか。刑事告発は課徴金とは別という建前どおり告発することが当然ではないかというふうに考えますが、いかがですか。
○梅澤政府委員 今回のセメントのカルテル事件でございますが、先般勧告をいたしまして、現在課徴金の最終の算定過程に入っております。本件につきまして刑事告発は予定をいたしておりません。これは先ほど来この委員会でたびたびお答え申し上げておりますように、昨年六月に従来の課徴金による抑止という観点からむしろ今後は重大悪質な事件については告発を辞さないという形に方針を転換をいたしたわけでございます。これはある意味では法的安定性の問題もございます。と申しますのは、セメント事件に当事務局が立入調査をいたしましたのは四月の時点でございまして、我々がステートメントを出す以前の事件でもございます。そういったことを考えまして、このセメント事件については告発を予定いたしておりません。
○小沢(和)委員 ここで問題にしたいのは、セメント各社の独禁法違反に公正取引委員会自身が責任を感じなければならないのではないかということなんです。一九八三年にそれまでの特安法を改正して産横法が制定され、セメント、石油化学などいわゆる基礎素材産業の生産、販売等の事業提携を推進するため、通産大臣と公正取引委員長との事前協議で独禁法適用を除外できる条項が設けられたわけであります。我が党はこの点を独禁法の骨抜きだとして当時強く反対をいたしましたが、公正取引委員会の昭和五十九年度年次報告を見ますと、一定の取引分野における競争を実質的に制限することにはならないとしてセメント二十二社の生産、販売、流通にわたる共同事業会社五社設立を承認したと報告されております。今回摘発された違法カルテルは、この共同事業会社が設立され、活動を開始した直後から始まっております。勧告を受けた十二社のうち十一社がこの共同事業会社に参加している。生まれるべくして生まれたカルテルだと言うことができるのではないでしょうか。言ってみれば、こういうような公取の姿勢なども見た上で、こういうカルテルをつくったということではないか。だから、私は公正取引委員会の責任は重大だと言わざるを得ないのですが、いかがでしょうか。
○糸田政府委員 委員御指摘のセメントの製造業界における共販体制と申しますか、共同事業会社の件でございますけれども、これは特定産業構造改善臨時措置法に基づきまして、いわゆる構造不況対策の一環として設立されたといういきさつのあるものでございます。 今、委員のお話の中に、この特定産業構造改善臨時措置法につきまして、独占禁止法の適用除外という、こういった御趣旨の御発言があったわけでございますけれども、誤解のないように申し上げてまいりたいと思いますけれども、この法律で当時認められておりました独占禁止法適用除外と申しますのは、これは設備処理のカルテルに関するものでございまして、例えば共同事業会社をつくるとか、その他事業提携をするということについての独占禁止法適用除外ということは一切ございません。 したがいまして、一方でセメント業界におきますこの共同事業会社でございますけれども、これにつきましては、もちろんそのことが、この設立が独占禁止法に違反しないかどうかという観点から、当時厳正に審査を行ったところでございます。それの結果が、今委員もお挙げになりましたが、当時の年次報告にも記載されていたところでございます。私どもいろいろな観点から競争制限にならないかということを審査したわけでございますが、結論において一定の取引分野における競争を実質的に制限するものではないという判断を下したところでございます。 他方で、今回のセメント業界における独占禁止法違反事件でございますけれども、この事件において、この共同事業会社は一切関与していないといったように私ども認識しているわけでございます。いずれにいたしましても、この共同事業会社が今後とも独占禁止法上、問題となるようなことを行うことのないよう、引き続き厳正に監視をしていきたい、かように考えているところでございます。
○小沢(和)委員 カルテル行為が始まったのは大体一九八五年ごろからというふうに新聞などでは報じられているわけです。だから、その直前に公取がこの共同事業会社の五社設立などを認めている。だから独禁の運用については大体ああいうような姿勢になってきているのだなということで励まされて、こういうようなカルテル行為に入っていったというような関係にあるのではないかということを私は言っているわけです。だから、今後そういうような点について、もっと厳正に対処をしていただきたい。 公正取引委員会はセメント十二社への勧告の中で、社長会など業界のあり方についても是正を求めておりますが、それはどういう内容か。それがもう既に実施をされておりますか。
○柴田政府委員 今委員から御質問ございましたように、社長会等について、従来繰り返し違反事件を起こしている業界でもこれあり、業界の姿勢をまず自省を求めたわけであります。すべて先方で、それぞれ事業者の方でどういう対応をしてもらうのか、やはりまず自主的に考えていただくことが何より大事だろうというふうに考えまして、この際思い切って社長会等についても問題を指摘したわけであります。すべて業界並びに各社においてはそういった会合を、業者の集まりとしての会合はみんな廃止するということを明確に約束もし、措置も済んでおります。
○小沢(和)委員 私は鉄鋼の職場で長年働いてまいりました。その私の経験からすれば、鉄鋼業界の横のつながりはセメント業界の比ではないと思います。販売担当副社長クラスの月曜会を初めとして、販売、購買、総務、人事、労働、広報等等、会社のすべての組織にわたって業界の横の組織があります。それも担当役員、部長、課長、係長の各レベルごとに毎月一回くらいのペースで集まっているわけです。その主な会合には通産省からも参加したりしておる。今、春闘の時期ですが、鉄鋼高炉五社では賃金の引き上げなどの春闘回答までも完全な横並びとなっております。セメント業界以上にこういう密接な関係を持っておる。これで生産、販売数量の割り当て、制限、価格の引き上げ、維持など違法カルテルが行われない保証があるのか。セメント業界への勧告に照らせば、こうした鉄鋼業界、私はひとつ自分の体験に即して申し上げたわけですが、ほかの業界のあり方も根本的に是正をさせるべきではありませんか。
○糸田政府委員 鉄鋼業界であれどういった業界であれ、またその業界の中にどういう会合があって何をしているか、そういったこととは一切関係なく、ともかく独占禁止法に違反するようなカルテルといったような行為が行われているとするならば、これは徹底的に独占禁止法をもって排除しなければならないことであると思います。したがいまして、私どもも常時こういった違反の疑いがないかどうかということについて情報の収集に努めてまいっているところでもございますし、もし具体的な端緒に接した場合には、これは機動的に独占禁止法を当てはめていくということでもございます。と同時に、他方でやはり独占禁止法というものを業界においても十分正しく認識してもらうということも大事であろうかと思っておりますので、そういった努力もまた怠らないようにしていきたい、かように考えております。
○小沢(和)委員 マスコミの報道によりますと、鉄鋼高炉各社は、造船、機械メーカー向け厚板、自動車向け薄板などの値上げをこのたび相次いで計画していると言われております。その中でいやしくも価格カルテルなどの独禁法違反行為が行われないよう、今から事前に警告などを発する必要があるのではないですか、この動きは。 〔委員長退席、高村委員長代理着席〕
○糸田政府委員 私もそういった新聞の報道は承知いたしております。ただ、新聞の報道を見ますと、例えばある鉄鋼メーカーはこういった内容の値上げを検討しているということでございまして、このことだけをもって直ちに独占禁止法に違反するようなカルテルの疑いありというように考えるのも、またいささか早いような気もいたしまして、いずれにいたしましてもこういった事態の推移を注意深く見守っていきたい、かように思っているところでございます。
○小沢(和)委員 今、ある鉄鋼メーカーはとおっしゃったけれども、新聞によっては、業界として値上げをしようと動き始めたということを報道している新聞もあるのですよ。いろいろな新聞に目を通していらっしゃるのじゃないかと思うのですがね。だから、そういうような指摘もひとつ念頭に置いて、厳正に今後監視をしていっていただきたいと思います。 建設省来ておられるでしょうか。ここで私、先ほども問題になっておったようですが、公共事業の談合を是正させる問題について一言御質問をいたしたいと思います。 これは日米間でも国際的に大問題になっておりますが、国内的に見ると私はなかなか是正が進んでおらないのではないかと思います。 〔高村委員長代理退席、委員長着席〕 私の地元でも、業者から私のところに訴えがありました。その資料を見せられて驚いたのですが、建設省の出先機関がどの工事をどこに発注するか決めてそこに書き込んである資料なんです。業界幹部と打ち合わせてこれまでの実績などで割りつけているようですが、これでは業者同士の談合よりもさらに悪いと言わざるを得ません。それで、私はそこの所長に、こういうような資料を見たがどうだと言って直接警告もして是正を求めておりますが、今のところ変化は見られないようであります。建設省みずから調査し、改善するようにこの機会に求めたいと思いますが、その意思があるかどうかお尋ねをいたします。
○松井説明員 お答えいたします。 ただいま先生のお話がございましたとおり、出先の方からもいろいろ報告を受けてございます。もちろん、独占禁止法その他の法令に違反する行為につきましては厳正にこれに対処するというのが私どもの方針でございまして、そういうことがあるはずもないし、起こり得ることはないというふうに考えておりまして、現実にも私どもの報告ではそういうことはないというふうに伺っておりますので、そのことを御報告させていただきます。
○小沢(和)委員 ここであるというふうにあなた方が認めれば、それはそのこと自体が大変な問題ですけれども、しかし私もここで発言する以上は、これはもう間違いないというふうに確信をするから言っておるわけでありまして、だから、今後もさらに実態、事実関係などについて十分調査をしていただきたい。きょうはこれは、こういう全体の議論の中の一つとして指摘をするにとどめておきます。 最後に、公正取引委員会にお尋ねをしたいのですが、今委員の顔ぶれを見ますと、こういう言い方は悪いかもしれませんがお役人出身の皆さん方がそろっておられる。それで私は、やはりこの際消費者代表などを委員の中に入れるべきではないかということを考えるがどうか、また、公正取引委員会の予算や人員を、今後活動強化していくために抜本的に拡充すべきではないかということを考えますが、その点どうかということをお尋ねして、終わります。
○梅澤政府委員 公正取引委員会の行います独占禁止法の運用の強化につきまして、そのために、委員会自身の機能の強化等につきまして、予算上の努力を今後とも続けてまいります。 なお、前段で仰せになりました点は、任命権者である総理大臣の所管に関する問題でもございます。独占禁止法は、消費者利益の確保と国民経済の健全な発展を目的として事業者の事業活動の基本的ルールを定めた法律であり、絶えず変動する経済事象に適用されることから、公正取引委員会の委員長及び委員には、その職務上、法律、経済に関する豊富な知識と高度な専門性が必要とされております。このため、同法により、公正取引委員会の委員長及び委員は、法律または経済に関する学識経験のある者のうちから内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命する旨定められているところでありまして、従来からこの規定にのっとり、公正な見地から公正取引委員会の委員長及び委員が任命されてきていると考えております。
○小沢(和)委員 終わります。 ─────────────
○奥田委員長 この際、お諮りいたします。 ただいま審査中の和田貞夫君外十名提出の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提出者全員より撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ─────────────
○奥田委員長 以上で内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたしました。 ─────────────
○奥田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○奥田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 ─────────────
○奥田委員長 この際、本案に対し、甘利明君外五名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党及び進歩民主連合六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が出されております。 まず、提出者より趣旨の説明を求めます。森本晃司君。
○森本委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法施行に当たり、独占禁止法違反行為の防止の徹底を図るため、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一、刑事告発は、独占禁止法の順守・徹底を図る上で効果的であり、独占禁止法違反行為に対する抑止を万全ならしめるため、刑事告発の活発化を図ること。 二、独占禁止法第二十五条に基づき独占禁止法違反行為に対する損害賠償請求訴訟を有効に行うには、原告の立証負担の軽減を図ることが重要である。このため、裁判所からの要請により違反行為と損害との因果関係、損害額の立証に必要な範囲でその根拠となる資料を事業者の秘密保持の問題等に配慮しつつ積極的に提供するようにすること。 三、課徴金の額を六%に引き上げ、抑止力の強化を図ったところであるが、カルテル等の独占禁止法違反行為を抑止するため、カルテル等の情報収集及び立証方法の検討を行い、独占禁止法の厳正な運用を図ること。 四、再販売価格維持行為等の不公正な取引方法に係る違反行為がなお跡を絶たない状況にかんがみ、違反行為の判断基準を明確にするとともに、違反事案に厳正に対処すること。 五、独占禁止法違反に対する罰金額の引上げは昭和五十二年以来行われていないが、独占禁止法違反行為の抑止力を高めるために刑事罰の強化の検討を行うこと。 六、同調的価格引上げの理由について報告を求めた場合において、公正取引委員会が報告の概要を公表する場合には、内容を充実し適切に行うこと。 七、公正取引委員会の機構の拡充及び定員の増加について速やかに必要な措置を講ずること。 以上であります。 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○奥田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 甘利明君外五名提出の動議について採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○奥田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。 この際、内閣官房長官から発言を求められておりますので、これを許します。坂本内閣官房長官。
○坂本国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、本法案の適切な実施に努めてまいる所存でございます。 ─────────────
○奥田委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ───────────── 〔報告書は附録に掲載〕 ────◇─────
○奥田委員長 次に、内閣提出、産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより趣旨の説明を聴取いたします。中尾通商産業大臣。 ───────────── 産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕
○中尾国務大臣 産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。 我が国では、近年の技術革新の一層の進展のもとで、産業技術に関する研究開発が高度となり、国際的に共同して研究を進める必要性が増大しております。しかしながら、特に国際共同研究の必要性の高い政府等の委託に係る産業技術に関する研究開発につきましては、その成果の取り扱いの諸外国との相違が外国企業の参加の障害となっており、研究開発の円滑な遂行を困難にしております。このような状況に対応して、政府等の委託に係る産業技術に関する国際共同研究を促進するための措置を新たに講ずるため、本法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。 第一に、政府の委託に係る産業技術に関する国際共同研究については、その成果として得られた特許権等の一部を研究を実施した企業等に帰属させることを規定するとともに、研究を実施した企業等が無償または低廉な対価で実施することを認めることといたします。 第二に、新エネルギー・産業技術総合開発機構の委託に係る産業技術に関する国際共同研究については、その成果として得られた特許権等の取り扱いについて、政府の委託の場合に準ずることといたします。 第三に、政府等は、その委託に係る産業技術に関する国際共同研究が、産業技術の分野において国際貢献に資するものとなるよう配慮することといたします。 以上が、この法律案の提案理由及び要旨であります。 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○奥田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 次回は、来る十五日金曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十四分散会