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120回国会衆議院1991/04/23

社会労働委員会 第12号

発言数
63
登壇者
10
会派数
5
開催日
1991/04/23

会議録

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、老人保健法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として健康保険組合連合会副会長八木哲夫君、全国町村会長宇野勝君、日本労働組合総連合会生活福祉局長五十嵐清君、上智大学文学部助教授山崎泰彦君、以上四名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。本日は、本案についてそれぞれのお立場から何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、参考人各位からお一人十五分程度ずつ御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。  それでは、まず八木参考人にお願いいたします。

八木哲夫健康保険組合連合会副会長

○八木参考人 健保連の副会長の八木でございます。老人保健法の御審議に当たりまして、私どもの意見をお聞きいただきます機会を設けていただきましたことにつきまして、心から御礼を申し上げたいと存じます。早速入らせていただきたいと思います。  御承知のとおり、高齢化がますます今後進展するわけでございますけれども、高齢化社会におきまして老人の健康を守り、適切な医療を確保するという面で老人保健制度の果たします役割はますます重要となってきております。  ところで、老人保健制度が創設されて以来今日までの経緯を見ました場合に、特に六十一年の法改正以来被用者保険に対しまして過重な負担になってまいっておりまして、このまま高齢化が今後進展いたしました場合に、将来の被用者保険制度の存立も、拠出金の負担ということから非常に危なくなるのではないか。さらに、被用者保険を含めまして老人保健制度自身が崩壊する危機感というものを持っているわけでございます。そういう面で、私どもは二十一世紀の高齢化社会に十分安定した機能を果たせます老人保健制度を再構築すべきであるということで、制度の根本的な改革、特に国の責任と負担を強化する方向での改革というものを提言いたしているところでございます。  今回の改正案に対します私どもの基本的な考え方といたしましては、私どもの要求しております主張からいたしますと、決して満足できるものではなく、十分なものではないというふうに考えておりますけれども、少なくとも私どもが主張しております基本的な方向に沿った改革である点では一歩前進であるというふうに受けとめているところでございます。  提案されております法案の具体的な内容につきまして申し上げたいと存じます。  第一点は、公費負担の問題でございます。  私どもは、公費負担を三割から五割に引き上げるべきであるという主張をいたしております。老人医療の性格から見まして、どちらかと申しますと福祉的なあるいは社会保障的な性格が強いわけでございますし、現在の老人保健が各社会保険の共同事業ということになっておりますけれども、社会保険というのは本来その構成員なりあるいは家族のための制度であるわけでございますし、国民的な課題であります老人保健の共同事業に参加するということは、ある程度必要ではございますけれども、おのずから社会保険の限界というものがあるのではないか。今の社会保険のシステムということを基礎にします老人保健制度のあり方という点につきましては、基本的に大きな問題があるのではないか。そういう面から私どもは三割から五割ということで、国の責任というものを大きく中心にしました公費負担の引き上げというものを主張しているところでございます。今回の改正案におきまして、老人保健の医療費全部ではございませんが、介護部分に着目しまして、公費負担が三割から五割に引き上げられることは、公費負担の引き上げという面では大きな前進であると受けとめておりますけれども、老人医療費全体ではないわけでございますので、私どもとしましては、さらにこの範囲を拡大すべきであるというふうに考えておるところでございます。さらに、今回の改正案におきまして介護部分に着目しているということでございますので、老人訪問看護制度が創設されることになっておりますけれども、少なくともこういう部分につきましては、さらに公費負担の拡大を図るべきであるということで、将来におきます公費負担の一層の拡充をお題いしたいと存じているところでございます。  なお、昨年、老人保健法の改正が見送りになりまして、按分率が一〇〇%に引き上げになったわけでございますけれども、それに伴います当面の被用者保険の負担増に対する措置といたしまして、特別保健福祉事業ということで九百億の措置が講ぜられ、本年の予算におきまして、さらに百億上積みになったわけでございますけれども、これらの措置というのは被用者保険の負担増に対する措置でございますし、ぜひともこの制度は継続していただきたいと思います。この措置ですべてがカバーされているわけではございませんので、この措置の一層の拡充という点をお願いしたいと思う次第でございます。  次に、改正案の内容で第二点の一部負担の問題について申し上げたいと思います。  老人保健の一部負担の考え方につきましては、お年寄り自身においても健康に対します自己責任の考え方、あるいは医療費に対するコスト意識を持っていただくという必要、さらに、この制度が若い世代を含めまして各世代で共同して負担しているという面から申しましても、世代間の負担の均衡という点から申しましても、一部負担の見直しは必要であろうと存じますし、さらに、在宅療養者との関係、老人保健施設あるいは特別養護老人ホーム等の他の入所施設に入っておられる方々との負担のバランスからいたしましても、無理のない負担ということはぜひとも必要であると考えるところでございます。  私どもは、率直に申しまして、コスト意識を持っていただくという面から五%程度の定率負担を従来主張しておったところでございますけれども、一部負担のあり方につきまして関係者からいろいろ御議論もあるわけでございますし、定額ということである程度今まで定着している面もございますので、関係者のコンセンサスを形成するということが最も大事でございますので、私どもも定額でやむを得ないというふうに考えておるところでございます。  なお、一部負担が定額ということでございますと、当然医療費の上昇に伴いまして費用もふえるわけでございますので、一部負担の見直しということは必要でございますし、医療費の上昇に伴います一部負担のスライドということも必要であろうと思われます。さらに、社会保険におきましては、本人においてもあるいは家族においても一割なり三割という定率の一部負担をしているところでございますので、医療費に伴いますスライドという点についてもやむを得ないのではないかと考えられますけれども、この考え方は新しい制度でこざいますので、国民の理解を得るということがぜひ必要ではないかと思われるところでございます。  なお、現在、一部負担の問題と絡みまして、保険外負担問題、付き添いの問題でございますとかお世話代等の保険外負担が現実に行われている実情でございますので、こういうような保険外負担の解消という点につきましても積極的に取り組み、その解消を図るべきであると考えているところでございます。  第三点といたしまして、訪問看護制度の創設でございます。  在宅対策は最もおくれている分野でございますし、政府がゴールドプラン等でこの推進を図っているところでございます。そういう面で、新たに在宅訪問看護制度が創設されるということは、私どもとしましても、ぜひこの方向というものを伸ばしていただきたいというふうに思いますし、この在宅看護体制の充実というものに期待いたしたいというふうに考えておる次第でございます。  なお、看護婦等のマンパワーの確保という点は、これからのこの面の施策の推進に当たりまして最も重要な分野でございますので、この問題につきましてもぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思う次第でございます。  それから、その他の問題といたしまして、今度の改正法案の中には、介護の方法とか、あるいは介護機器等の研究開発というような努力規定あるいは医療の効率化の問題あるいは診療報酬のあり方等の問題につきましての検討規定というものが盛り込まれておりますけれども、これらの課題というのは非常に重要な課題でございますし、今後の老人医療のあり方におきましても大きな問題でございますので、ぜひこれらの検討課題というものにつきましては積極的に取り組んで、早急に取り組んでいただきたいというふうに考える次第でございます。  なお、これらの問題に関連いたしまして、私どもは、老人医療の負担のシステムの問題もさることでございますけれども、老人医療費が今後急増するわけでございますので、適正な老人医療費の確保ということが必要であるわけでございますけれども、その面で、医療水準の向上あるいは老人人口の増等に伴います医療費の増はやむを得ないわけでございますけれども、医療費の中のむだをできるだけ排除するという面で、適正な医療を確保するということはぜひとも必要であろうというふうに思われる次第でございます。  そういう面から申しますと、現在の診療報酬の体系が出来高払いになっておりますので、この中には薬づけ、検査づけと言われるような多くの欠陥をはらんでいるわけでございます。私どもは、老人医療におきましても、ある程度症状が固定化しました慢性の疾患に対しましては、包括的な定額払い方式というものを採用すべきであるというふうに考えておるところでございますので、これらの検討規定につきましても早急にそういう方向で取り組んでいただきたいということをお願いする次第でございます。  以上、改正案に対します私どもの考え方なり、あるいはお願いを申し上げた次第でございますけれども、今回提出されました改正案というものは、私どもの考え方から申しますと決して十分なものではございませんけれども、一歩前進でございますし、さらに、この改革によりまして、保険者に対します負担軽減ということは、現役世代の実質的な負担軽減につながる措置、毎月百三十億の負担軽減につながる措置でございます。改正法案におきましては、七月実施というものが予定されているところでございますので、一日も早い早急な成立ということをぜひお願いいたしたいと思う次第でございます。  以上、私どもの考え方を申し上げた次第でございます。御清聴どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。(拍手)

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 ありがとうございました。  次に、宇野参考人にお願いいたします。

宇野勝全国町村会長

○宇野参考人 おはようございます。ただいま御紹介を賜りました全国町村会会長でございます滋賀県野洲町長の宇野でございます。  まず初めに、諸先生方に、国民生活に関係の深い医療、年金、福祉などの諸問題について、日ごろ特段の御尽力を賜り、あるいはまた市町村行政についても格別の御理解、御高配を賜っておりますことに対し、衷心より敬意と感謝を申し上げます。  本日は、公述の機会をお与えいただきましたので、第一線の行政に携わっている町村長の立場から、現在当委員会で審議されております老人保健法改正案に対しまして賛成の意見を若干申し述べさせていただきたいと存じます。  御案内のとおり、我が国の社会は世界にほとんど例を見ない速度で進んでおります人口の高齢化あるいは出生率の低下あるいは女性の社会進出などにより大きく変貌しつつあります。この事態は町村においても例外ではございません。特に高齢化の進展は町村部においては極めて著しいものがあるのでございます。保健、医療、福祉の分野における行政の最前線にあります町村におきましては、介護対策の充実など高齢者対策の整備は喫緊の課題と考えているところでございます。  このような観点から見て、近年の老人の保健、医療、福祉の分野における国の行政施策の展開はまことに時宜を得たものと考えております。今回の老人保健制度の見直しも、高齢化を迎える我が国社会の基盤整備の延長に位置づけられたものと考えております。  まず、昭和六十一年の老人保健法の改正によりまして、加入者按分率が引き上げられて、昨年度からこれが一〇〇%となり、国民のすべてが公平な負担によって老人医療を支えていく体制整備が進められました。私ども町村は老人保健、医療、福祉の施策を預かる行政機関であると同時に、国民健康保険の保険者であるという役割をも果たしておるところでございます。六十五歳以上の人が五人に一人を超え、高齢社会を先取りしておる、そういう状態の国民健康保険の保険者として、財政危機の進行は右のような措置により、一応回避し得るものと考えております。  平成二年には、老人福祉法の一部改正が行われ、施設、在宅を通じる福祉サービスを一元的に実施する体制が整えられ、私どもは、現在平成五 年度の全面実施に向けて老人福祉計画の策定に取り組んでいるところでございます。  また、政府におかれましては、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」が開始され、二十一世紀に向けて、市町村が保健福祉サービスを拡充させるための基盤整備が進められることとされております。  私どもは、これらの国の施策と相携えて、明るく活力のある長寿・福祉社会の実現に努めてまいる所存でございます。  ただいま、本委員会で審議されています老人保健法等の一部を改正する法律案は、介護体制の充実、制度の運営の安定化を図るもので、まことに適当な、時宜にかなったものと考えます。  第一に、老人訪問看護制度の創設についてでございますが、これは介護が必要な状態にある老人が在宅でも安心して療養生活を送ることができるようにするためのもので、在宅医療の推進にとって画期的なものと考えております。  私の町野洲町は、現在九千三百世帯、人口三万三千の町でございますが、既に昭和六十三年度から国のモデル事業の指定を受けまして、訪問看護等在宅ケア総合推進事業の対象市町村となっております。したがいまして、先進的に訪問看護事業に取り組んでまいっているところでございます。野洲町では、現在行っておりますのは、それぞれがかかりつけのホームドクターの御指示を受けまして、五人の看護婦により今三十人のお年寄りに対し訪問看護を実施してまいっております。お年寄りにも大変喜ばれております。このようなことから、老人訪問看護制度が制度化されますれば、訪問看護事業が今後継続的かつ安定的に推進されることとなり、できるだけ在宅で療養したいという本人の意思、あるいは病院に入れるだけでなしに、自宅で介護したいという家族の希望がかなえられることになると考えます。  第二に、一部負担金の見直しでございます。  老人に過重な負担をかけたくないというのは広く国民に受け入れられる考え方だと思いますが、私は、高齢化の進展に伴い、老人医療費の増大は避けられない事態であることを考えるとき、過度な負担は避けつつも、必要な受診の抑制にならない程度の自己負担の見直しはやむを得ないものと考えております。  御案内のとおり、現在、介護を要する高齢者は、病院、老人保健施設、特別養護老人ホームに入院、入所しておりますが、高齢者は病院の自己負担が比較的、相対的に低いため、老人保健施設や特別養護老人ホームよりもむしろ病院を選んでしまいがちなのが現状でございます。今回の改正は、これらの施設相互間の利用者負担の公平化の観点から見ても、さらには、これからの老人福祉施策を円滑に実施していく上での環境づくりとしても必要なことであると思います。  第三に、公費負担の拡大であります。  先ほど申し上げましたように、加入者按分率の一〇〇%への引き上げにより、老人医療制度を国民で平等、公平に支え合う体制が整備され、国民健康保険の運営は改善されましたが、一人当たりの老人医療費は若い世代の医療費に比べて約五倍に上ります。社会全体の高齢化の進展により、財政状態は依然として厳しいという認識を持っております。  社会の高齢化に伴う財政の不安定化は、町村の医療費適正化や、町村の保健事業による中高年齢者の健康づくりに対して大変努力をしておりますけれども、そういう努力の範囲を超えるものであり、やはり社会全体で制度を支えていく必要があると考えております。  他方、老人医療に公費をむやみに拡大するということは、公費の財源がやはり税であります。したがいまして、社会保険制度の建前からいっても好ましくないものと思われます。  これらを総合的に勘案いたしますれば、今回の法律案の介護に着目した公費負担の引き上げは、地方負担の増加もありますけれども、保険者の財政負担を緩和する意味からやむを得ないものであると考えます。  その他、今回の案では、アルツハイマー症による若年性の痴呆の方に対して老人保健施設の利用を認める改正が含まれており、現状ではなかなか難しい若年痴呆の人の療養、介護に適当なものと考えます。  以上、老人保健法改正案に対して意見を申し述べましたが、せっかくの機会でございますので、私ども町村が現在直面しております最重要課題である高齢者保健福祉施策の推進について、この際、一言申し述べさせていただき、諸先生方の御理解を賜りたいと存じます。  「高齢者保健福祉推進十か年戦略」が遂行されるに当たっては、我々町村長もみずから、高齢化の進む町村においては特に重大な問題として鋭意促進に努めていかねばならないものと考えております。  しかしながら、これらの高齢者保健福祉施策を円滑に実施していくためには、総数で十万人に及ぶホームヘルパーさんや施設従事者の確保が問題であります。マンパワーの問題であります。しかも業務の性格上、単に人数をそろえるだけでなく、心と心の触れ合いのできる人材が必要となります。このような観点から在宅福祉施策の成否は、質、量ともに十分なるこれらの要員の確保にかかっておると考えております。  また、特別養護老人ホームの緊急整備等の基盤整備も強力に推進していただかねばなりません。  さらに、町村は二千五百九十ありますが、平均財政力指数は〇・三でありますので、財政基盤の脆弱な町村の現状から見て、さきに改正されました老人福祉法等福祉関係法の施行に伴う町村のいろいろな施設整備のための経費あるいはまた事務量の増加に対応する財政負担につきまして、国庫補助負担金あるいはまた地方交付税等において実態に即した十分な措置をお願い申し上げるものでございます。  諸先生方におかれましては、市町村及び国保の実情を十分に御理解の上、改正法が原案どおり早急に成立いたしますようお願いを申し上げまして、陳述とさせていただきます。何とぞよろしくお願いを申し上げます。大変貴重な時間をいただきまして、御清聴いただきましてまことにありがとうございました。(拍手)

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 ありがとうございました。  次に、五十嵐参考人にお願いいたします。

五十嵐清日本労働組合総連合会生活福祉局長

○五十嵐参考人 おはようございます。日本労働組合総連合会の生活福祉局を担当しております五十嵐と申します。本委員会で老人保健法等の改正案について意見を申し上げる機会をいただきまして、大変光栄に存じます。  まず、改正案についての見解から若干申し上げてみたいと思います。  今回の改正案の主な内容を見てまいりますと、第一に老人医療費の公費負担の引き上げ、第二に患者一部負担の引き上げ、そして第三に患者一部負担の医療費スライド制の導入、さらに第四に老人訪問看護制度の創設、第五に初老期痴呆患者の老人保健施設の利用、そして、これは法案とは関係ないかもしれませんが、平成三年度予算措置でありますが、被用者保険拠出金の助成措置の継続という内容に集約されるのではないかと私ども考えております。  公費負担の拡大では、老人医療費のうち介護費用に限定はされておりますが、従来の三割負担から五割に引き上げられ、今後介護施策を積極的に推進していけば、これがさらに額、率とも拡大をされるということについては、私どもとしては評価をいたしたいと思います。連合といたしましても、これらの内容については一歩前進との評価を行っているところであります。また関係者との間でも、私ども老人保健制度の改革に向けて共同提言というものをまとめて発表してまいりました、また取り組んでまいりましたその成果でもあるというふうに考えているところであります。しかし、連合といたしましては、長年にわたって老人保健制度における公費負担の拡大を求めてきたところでありますが、今回の措置では我々としてはまだ不十分であるというふうにとらえているところであります。  しかしながら一方、公費負担の現行の枠組みに一つの風穴をあけるものであるといいながらも、今回の改正案では、この三割の公費負担をわずか一・二五%、つまり三一・二五%にしかならないわけでありまして、これまで私ども五割への引き上げを求めてきた者としては、大きな不満の一つであります。将来を展望しても、政府案によりますと、介護費用に限定をすれば、これは到底五割までには引き上げられないのではないかというのがあるわけであります。  さらに、財政規模の面から見ますと、一部負担を引き上げることによって一千百八十億円と見込まれているわけでありますが、公費負担の引き上げはわずか七百五十億円程度であります。公費負担の拡大を前提として、私どもとしては、現行一部負担の引き上げというものをまさに清水の舞台から飛びおりる、その決意で取り組んできたわけでありますが、これではだれもが常識的な水準と納得できるところまではいってないのではないかと考えるところであります。したがいまして、私どもが公費負担を前提にして一部負担の見直しを図るということが、まさに逆手にとられたと言ってもいいのではないかというふうに考えておりますので、ぜひとも御賢察をいただきたいと思います。同時に、この点が私どもが不満としております第二点目であります。  同時に、患者一部負担は公費負担の拡大及び現行定額制の維持を前提に見直すべきであるとはいいながらも、公費負担の拡大と一部負担の見直しとのバランスといいますのが今申し上げましたようにとられていない、図られていない、そればかりか、入院時におきます負担額は倍増でありますので、負担の激変を生じさせるものであると言ってもよろしいかと思います。老人保健施設の入所者との負担のアンバランス、整合性が言われておりますけれども、後ほど申し上げますが、保険外負担をそのままにしておいては大変な負担を強いるものでありますので、高齢者の生活実態に配慮されてない、この点が不満とする第三点であります。  第四には、患者一部負担の医療費スライド制の導入であります。改正案では、老人医療費の伸びを指標といたしまして一部負担額を引き上げていく、これは高齢者の生活水準と無関係に引き上げられることになるわけでありまして、極めて問題であると考えます。そもそもの発想は、この点は老人医療費におきます患者一部負担の割合を五%にする、定額制の見直しでありますけれども、実質的には定率制と同様の役割を持たせるというものに尽きるものであって、私どもとしてはこの医療費スライド制については反対をせざるを得ません。  また、新しく創設をされます老人訪問看護制度にいたしましても、制度の充実普及を図るため、看護婦なり、あるいは保健婦等の人員の確保をどうするのかという問題がございます。「高齢者保健福祉推進十か年戦略」の完全実行での最大の課題はマンパワー、ウーマンパワーの確保にかかっていると言われる中で、この人員の確保育成対策は十分に明らかではないのではないかと思います。ある資料によりますと、平成元年の国民生活基礎調査でありますが、在宅要介護高齢者数は六十三万人に上るとの調査もあるわけでありまして、少なくともこれらの人々にこの訪問看護制度を適用するということになれば、それ相応の人員を配置しなければならないというのは言うまでもないことでありまして、その見直しや人員の確保育成は急を要するものではないかと考えるものであります。  さらに、先ほども述べました保険外負担の問題であります。入院に伴う保険外負担は月額二万二千五百円程度との調査結果も発表されておりますが、実際にこういう経験をした人と私ども話をしていきますと、この程度で済むような病院があるならぜひ紹介をしてほしいという声が多いわけであります。多くの人はこれの四倍ないし五倍以上支払っているのが実態であるというふうに経験上指摘をされているわけであります。基準看護承認病院であれば、本来付添看護はあってはならないはずでありますが、これが実際には行われているわけでありまして、患者の一部負担の引き上げ、特に入院時におきます現行の四百円を八百円に倍増するということとあわせて、保険外負担の速やかな解消が図られなければ、本人はもとよりのこと、家族に対しても大きな負担を依然として強要することになるわけであります。差額ベッド代や付添介護料、お世話代などといった制度外負担の解消が図られるよう積極的な取り組みを推進すべきであると考えます。  私どもは、これまで老人保健制度の抜本的な改革の方向といたしまして、公費負担を基本とした高齢者福祉医療制度というものの創設を提唱してまいりました。この考え方は、国の責任と負担を第一義として、国民のだれもが、いつでも、どこでも、安心して適切な医療を経済的な負担を感じることなく公平に受けられる医療制度の確立というものであります。これを基本目標に置きつつ、高齢者医療ではプライマリーケアを重視しながら、健康な高齢者づくりを推進するとともに、福祉にかかわる費用は全額公費負担によってでも賄うくらいの決意が必要ではないかと考えております。もちろん、私ども現役勤労者といたしましても、高齢化に伴う医療費増に対してそれ相応の負担をしていくということについては毛頭否定をするものではありません。しかし、その前提として求めておきたいと思いますのは、きちんと国がすべきことをやるのだ、つまりナショナルミニマムを確立することが前提にならなければならないと思います。  老後生活の中で高齢者の皆さん方が大きな不安感を持っておりますのは、何といっても病気になったときにどうするのだろうか、あるいは年金を初めといたします所得保障の問題がどうなるのだろうかというものがあるわけであります。私ども現役労働者のアンケート調査におきましても、これから迎える高齢化社会の中で不安が大きいといいますのは、今後とも税や保険料が今以上に多くなるのではないか、それに合わせて給付水準が切り下げられるのではないかというものがあるわけでありまして、そういう不安感を払拭していただきたいというのが私どもの願いであります。  いずれにいたしましても、今回提案されております老人保健法等の改正案には、ただいま申し上げましたように、大きな問題点があるというふうに考えております。しかし、公費負担の拡大に向けた施策や老人訪問看護制度の創設、初老期痴呆患者の老人保健施設の活用については、今でもベッド数が不足ぎみと言われている中で、この老人保健施設のより一層の充実が図られなければならない課題もあるわけでありましょうが、こういう問題、さらには被用者保険拠出金の軽減措置など、私どもといたしましても評価すべき点は少なくないと思います。  しかしながら、何といいましても、今指摘しましたような問題点の解明と解決策を講じていただきながら、法案の修正、補強で高齢者の皆さんにとって安心できる制度の拡充を図っていただき、これから迎えます高齢化社会における老人保健、医療制度の充実を期していただきますように切にお願いを申し上げまして、簡単ながら私どもの意見開陳とさせていただきます。  どうもありがとうございました。(拍手)

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 ありがとうございました。  次に、山崎参考人にお願いいたします。

山崎泰彦上智大学文学部助教授

○山崎参考人 上智大学の山崎でございます。  本日は、老人保健法等の一部を改正する法律案につき、研究者としての意見を述べる機会を与えていただきましたことにつきまして、心からお礼を申し上げます。  まず最初に、今回の改正案について、率直な印象を申し述べさせていただきます。  第一点は、争点となっています公費負担、拠出金、一部負担等の費用負担については、現在の老人保健制度の枠組み、財政状況、それに錯綜した利害関係のもとでかなり苦心された提案であると思います。  第二点は、飛躍的な拡充が求められています在宅介護対策として、従来の施策に加えて新たに老人訪問看護制度の創設が提案されていますが、これについては医療の側からの在宅介護への積極的なアプローチの道を切り開く画期的な新規施策として高く評価しております。  第三点は、第一点として申し上げましたことと関連しますが、現行の老人保健制度の枠組みのもとでの手直しは、もはや限界に近いところまで来ているのではないかということであります。年金、医療保険等の関連分野と有機的に関連づけた総合的な対応策を講じなければ、将来への展望を切り開くことができない状況に至っているのではないかということでございます。  以下、改正案の主要事項について、私の意見を申し述べます。  今回の改正案の中で、最も注目されるのは老人訪問看護制度の創設であります。  現在の在宅対策は福祉サービスを主体としており、量的不足があるほか、利用も低所得者に偏っているという問題があります。一方、医療保険による在宅対策では、昭和六十三年の診療報酬改定で看護婦による訪問看護が点数化されました。しかし、この訪問看護は医療機関からの訪問に限られ、看護婦不足もあって実施している医療機関は少数にとどまっていますし、医療と福祉の連携を強化する上で不可欠なシステムが十分に確立していないという問題もあります。  在宅ケアの充実のためには、供給主体の拡大、多様化と医療、福祉サービスの総合化が必要でありますが、老人訪問看護制度の創設は、その方向に向かって新たな礎石を築くものとして期待しております。  訪問看護制度の実施機関は、地方公共団体、医療法人、社会福祉法人、その他厚生大臣が定める者となっておりますから、これにより訪問看護の供給主体の拡大、多様化を図ることができます。  また、実施機関の「その他」の中に民間事業者が含まれるとすれば、単なるシルバーマーク制度を超えて、公的サービスの供給主体としての民間事業者の参入も進むことになります。さらに、このような供給主体の拡大、多様化により競争原理によるサービスの質の向上も期待できるのではないでしょうか。  懸念されるのは、深刻化する看護婦不足の状況下で果たして十分なマンパワーが確保できるかどうか、看護婦不足を増幅するのではないかということでありますが、訪問看護ステーションの創設は、むしろ潜在看護婦の受け皿にもなり得るもので、看護婦の確保対策としても注目できるように思います。  それは、昼間の勤務であること、病院看護で求められるような高度の看護技術、知識を必要としないこと、療養上の世話という看護の原点に立った自立的なサービスを提供できるという点でも、訪問看護療養費が適切な水準で設定されれば十分に魅力のある職場となる可能性があるからであります。  さらに、訪問看護制度の創設により、開業医の家庭医機能も強化されるのではないでしょうか。訪問看護はかかりつけの医師の指示を要件としており、それに伴って地域医療における開業医の継続的な訪問診療の拡大が期待できるからであります。  このように、訪問看護制度の創設は、私自身、これまで求めてきたものでありますし、高く評価したいのでありますが、その上でなお若干の注文をさせていただきます。  まず、提案されている訪問看護サービスの範囲が、看護婦のほか准看護婦、作業療法士、理学療法士等の医療職によるサービスに限定されているということでございます。介護を重点とする看護サービスを提供するという提案の趣旨、それに医療と福祉の総合化を図るという理念からすれば、介護福祉士等による介護サービスをも包括すべきではないでしょうか。さらに将来的にはソーシャルワーカーの配置も検討課題になるように思います。  また、訪問看護ステーションは、看護婦のオフィスとして位置づけられていますが、将来的にはデイサービス、ショートステイ等の施設サービスも包括して提供し得る機関への拡充もあわせて検討していただきたいのであります。そうすれば、訪問看護ステーションが地域での総合的な医療、福祉サービスの拠点として発展する可能性が開けてくるように思います。  次に、争点になっている費用負担について意見を述べさせていただきます。  まず、関係者が一致して要求していた公費負担の拡充でありますが、改正案では、介護に着目した引き上げに限定し、老人保健施設療養費と老人病院のうち特例許可老人病院の特例許可病棟の入院医療に要する費用について、現行の三割を五割に引き上げることとしています。これは介護部分についての福祉制度の費用負担との均衡を図るという理論的な根拠のほか、定率五割に引き上げた場合、新たに一兆二千億円もの財政負担の増加を伴うという財政面の制約があったと伝えられています。  改正案による公費負担の増加は、当面七百五十億円で老人医療費のわずか一・二五%にすぎません。しかし、今後、老人保健施設等の介護体制の整った施設の整備が順調に進めば、公費負担の割合は着実にふえますから、拠出金負担の増加は老人医療費の伸び率以下にとどめられることになります。その意味では、将来に向かっての展望の持てる提案として評価したいと思います。  ただし、将来とも、このような定率での公費負担の拡充を図るとなるとかなり問題があるように思います。それは老人医療費に著しい地域差がある現状において、定率で公費負担を拡充すれば、かえって地域間の不公平を拡大することになるのではないかと考えるからであります。  平成元年度の市町村別の老人一人当たり医療費を見ますと、最高は約百四十七万円、最低は約六万円でございます。国庫負担は定率で二割がつくわけでございますから、老人一人当たりでは、それぞれ二十九万円と一万二千円で、著しい格差があります。地域的な事情があるにせよ、保健事業や在宅対策に努力している市町村から見れば、定率での国庫負担の配分にはやはり問題があると言わざるを得ないのであります。現行の二割の国庫負担はともかくとして、今後の拡充分については、基準医療費の概念を用いるなど市町村の努力を促す配分の工夫が必要だと考えます。  また、公費負担については、老人保健施設等の入院医療費のほか、訪問看護についても公費負担割合を引き上げるべきではないでしょうか。介護に重点を置いた訪問看護ということであれば、決して無理な考え方ではないと思いますし、在宅療養を伸ばすという政策的な配慮としても妥当性のあることだと考えます。  次に、一部負担については、率直に申し上げて、現在の老人保健制度の枠組みの範囲では前向きの議論に発展させる余地はほとんどないように思います。  施設間、施設、在宅間、それに世代間の公平性を確保しなければならないことは、今や共通の認識になっています。そして、その共通認識からすれば、提案されている額そのものが低過ぎるとも言えなくはないのであります。  しかし、そのような観点からの本格的な費用負担の公平化を図るには、高齢者対策の抜本的な改革と並行して、総合的な観点から検討しない限り国民的な合意を得ることは困難だということも事実であります。  冒頭、そして、ただいま申し上げましたように、老人訪問看護制度の創設等、改正案には高く評価できる部分がありますが、全体として、現行の老人保健制度の枠組みのもとでの手直しは、もはや限界に近いところに来ているように思います。  私見を述べますと、費用負担の問題については、要介護老人に対する安定した所得の確保がどうしても必要でございます。年金制度が成熟してきたと言われますが、寝たきり、痴呆等の発現率の高まる後期老年層の老齢年金について見れば、 その八割近くが月額三万円程度の経過年金であります。また、老齢基礎年金にしても満額は月額五万八千五百円であって、これには介護費用は全く考慮されていません。要介護老人に対して、例えば老齢基礎年金に月額五万円程度の加算を行い、病院等の施設に入れば、それを一部負担、利用料として負担していただき、在宅では外部サービスを買っていただくということになれば、問題はすっきり解決するはずであります。これにより医療、福祉の効率化が図られ、年金制度に対する国民の信頼も格段に高まるものと考えます。  また、家族介護者に対しては、在宅サービスの拡充とともに、現金での介護手当の支給もあわせて検討すべきではないでしょうか。在宅サービスの供給が相当に進んだとしても、その利用は地域により世帯によりかなりばらつきが出ることは必至であります。在宅の要介護老人が外部サービスを利用するか、家族介護に頼るかによって、在宅サービスの利用に不均衡が発生することは避けられません。とすれば、これは新たな不公平の拡大になります。それを調整するには、家族介護に頼る場合には介護者に対して一定の手当がどうしても必要になります。  さらに、現在、育児休業制度の創設が課題になっておりますが、育児と介護は同質の問題であります。育児休業と介護休業を一体化し、かつ一定の所得保障を制度化していただきたいのであります。  以上提案しました、年金での要介護者に対する安定した所得の確保、家族介護者に対する介護手当、それに育児、介護休業手当の創設等にこそ公費を重点的に充当していただきたいのであります。もし、そうであれば、老人保健制度に対する公費負担の拡充は多少控えてもいいのではないのかとさえ考えております。  最後に、懸案となっております一元化を含む医療保険制度のあり方について、再度検討を開始しなければいけない時期に差しかかっているように思います。老人保健制度は、医療保険制度間の共同事業として位置づけられているわけでありますから、医療保険本体の基盤強化策を講じない限り、老人保健制度の安定した発展はあり得ないわけであります。  以上で私の公述を終えさせていただきます。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     ─────────────

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石破茂君。

石破茂自由民主党

○石破委員 参考人の先生方、きょうはまことにありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。  私は、この法案というのは全力を尽くして早期に成立させるべきものだ、このように信じておる一人でございます。持論でございますが、福祉というものは御機嫌取りに出してはならない、このように考えております。福祉が御機嫌取りになってしまえば、政治家のためにはなるかもしれませんが、最終的に、制度自体がひっくり返ってしまったときにだれがどのような責任をとるのかということになってくるはずであります。公費の負担がふえる、それをもっとふやせばいいではないか、確かに聞こえのいいお話なのかもしれません。しかし、公費の負担というのは、実は公というのが全然別の世界にあるわけではなくて、結局は現役の人たちが負担をするわけであります。全然別のところから、天からお金が降ってくるような話ならば、公費の負担拡充というのも大変結構なお話でございますが、そういうことには相ならないはずであります。  そしてまた、四百円が八百円になって大変にけしからぬというお話でございますが、これも適宜見直しておけば倍額なんぞというお話にはならなかったはずであります。激変ということにもならなかったはず。こういうものは本当に適宜見直し、その世代にふさわしいような対策というものを打っていかねばならぬだろうというふうに思っておるところでございます。  つきましては、五十嵐参考人さん、そしてまた山崎参考人さんにお尋ねをいたしたい。最後の質問は宇野参考人にお願いをいたしたいと思いますが、基本的な認識として、公平な負担とはどのようなものだとお考えでありますか。公平な負担という言葉があちらこちらでひとり歩きしておるように思うのでありますが、一体公平な負担というのは、だれがどのような負担をすることが公平という言葉に合致するのか、公平という認識についての御見解をお教えいただきたいのであります。  というのは、一九九一年、現在の時点でとってみれば公平ということもあるでしょう。しかしながら、我々三十代の人間が六十、七十、八十になったとき、時系列的に延ばしてみて、そのときにも公平というような概念を今のうちに打ち立てておかないと、これはおかしな話になるんではないかというふうに思うのであります。財政事情がよければ公費の負担がふえる、財政事情が悪ければ保険料の拠出がふえる、そういうような場当たり的なことであってはならぬと思うのです。公平とは一体何だ、だれがどのように負担をするのが公平であるのか、そのことにつきましての御認識をお教えいただきたいと思います。     〔委員長退席、粟屋委員長代理着席〕  もう一点は、責任という言葉も何かひとり歩きをしておるのでありますが、国の責任という言葉が出てまいります。国の責任とは一体何ですか。どのようなことに対するどのような行為が、だれに対する責任が、どのようなことに対するどのような責任が国の責任というふうに認識をしておるか、その点をお尋ねをいたしたいと思います。一番大切なのは、老人医療費というのは将来にわたってだれが最終的に負担をするか、その認識を今ここできちんとしておくことだと思いますので、以上二点をお尋ねいたしたいと思います。  最後の質問は宇野参考人に対していたしたいのでありますが、老人訪問看護、これをどのように評価をしておられるかということであります。地方自治体としてどのように評価をなさり、どのように運営をされ、どのように幸せなお年寄りづくりをやっていかれるおつもりであるか、評価と方針についてお尋ねをいたしたいと思います。     〔粟屋委員長代理退席、加藤(卓)委員長代理着席〕

五十嵐清日本労働組合総連合会生活福祉局長

○五十嵐参考人 先生にお答えいたします。  公正な負担とは何ぞやということと、国の責任とは何ぞやというお尋ねかと思いますが、その点についてお答え申し上げます。  先ほど意見開陳の中で申し上げましたように、私どもは、例えば老人保健制度で申し上げますと、国民全体の負担というものをまず考えるわけでございます。ですから、そういう点では国民といいましても各階層によって所得が違ってくるのは御承知のとおりでありまして、所得あるいは収入に応じた負担というものがやはり必要になってくるんではないかと考えます。そういう点で現役労働者に、例えば現在の老人保健制度でいいますとかなりの負担を強いていることは御承知のとおりであります。その点について、現役の我々自身も負担をすることについて否定をするものではありませんということを申し上げました。しかし、それが例えば他の階層といいますか、勤労者世帯、一般世帯と言ってもよろしいかと思いますが、それの比較を見ましても、勤労者世帯と一般世帯の負担の関係でいったら果たしてどうなのかという問題も一つあろうかと思います。私どもはそういう点で、格差のあるような負担ではなくして、だれでもが納得できる、そういうものを目指していくべきではないかというふうに考えております。  国の責任と申しますのは、先ほども申し上げましたように、私どもは、国としてはやはり国民だれもが安心して生活できる、例えば社会保障においての話でしたら、その時代時代を生活できる最 低水準を保障してあげるナショナルミニマムというものを確立すべきではないか。その点きちんと整理をしながら、なおかつ自助努力なりを求めるならば、それなりの方法があろうかと思いますが、私ども今までの考えから申し上げますと、自助努力がどうしても前に来て、その次に公的な保障といいますか、そういうものがあるんではないかという不信感といいますか、そういうものがぬぐい去れません。そういう点では、これから迎えます高齢化社会の中においても高齢者が安心して生活ができない、来るべき高齢化社会に対して暗いイメージしか持てない、そういう点についての解決策を早急に打ち立てていただければ幸いだというふうに考えておりまして、まずあるべきは国としてのナショナルミニマムをきちんと整理をし、そして、だれでもがなるほどと納得できる負担というものがあるべきではないかというふうに考えているところであります。

山崎泰彦上智大学文学部助教授

○山崎参考人 非常に難しい問題をお出しいただいて、ちょっと困っているんでございますが、まず第一点、公平ということでございますが、いろいろなとらえ方があると思いますけれども、一つは、やはり受益に応じた負担という観点があるように思います。そういう意味では、今回の老人保健の一部負担を定額で引き上げるということでございますが、本来のあり方からいえばむしろ定率が望ましいのではないかというふうに感じております。それからもう一つは、能力に応じた負担ということもあると思います。その辺で、現役世代に比べて一般的には高齢世代の負担能力が乏しいという判断があれば、現役世代よりも若干低い負担ということにもなるのかなというふうに思いますけれども、受益に応じた負担、能力に応じた負担、この辺をどう組み合わせるかということだろうというふうに思います。  それから、国の責任ということでございますが、これは実は国民が国に対してどれだけのサービスを期待しているのかということと一体の問題だと思いますし、さらに、その期待に伴って、どれだけ自発的に、自主的に負担し得るかということとも関連してくることだというふうに思います。  ちょっと印象的なことを申し上げますと、各種の世論調査で、老後の保障を国に対してどれだけ期待するかというと、例えば年金等ですと半分くらいというのが非常に多いのでございます。実は今の年金、国民年金はともかくとして、厚生年金はそれよりかなり高いところまで保障している。ということになると、国が少し出しゃばり過ぎているのではないかというふうな感じもしないわけでもないということなんでございます。  いずれにしても、国民の期待、そして、それに伴う義務としての負担との兼ね合いで国の責任の範囲が決まるものだというふうに考えております。     〔加藤(卓)委員長代理退席、委員長着席〕

宇野勝全国町村会長

○宇野参考人 ただいま石破先生からお尋ねがございました。在宅看護についてどういうふうに考えるか、あるいはまたどういうふうにやっているかという御趣旨だと思います。その前に、御存じだろうと思いますが、全国の高齢化率の推移です。昭和六十年のときには一〇・三でございました。平成二年になりまして一一・九。一二%です。ところが、我々町村は高齢化が非常に進んでおりまして、六十年のときにでも、全国平均一〇・三のときに町村は一三・四ありました。それから平成二年度では平均一四・八に高齢化率が進んでおります。一五%を超えるのは、六七・四%の町村がそうである。町村の方がずっと高齢化率が進んでおる、こういうことを申し上げたいのです。  うちは、訪問看護等在宅サービス、在宅看護のいわゆるモデル事業の指定を受けて三年前からやらせていただいております。二千七百世帯、一万四千人の町でありましたが、極めて便利になったものだから人口が急増いたしまして、現在では九千三百。在来の人二千七百が分家しても三千です。ところが九千三百になったということは、三分の二は外来の人です。若い世帯が多い。そういうことで、一時は学校を建て、保育園を建て、幼稚園を建てるのに追われましたけれども、一応そういうものは今おさまってまいりました。うちは高齢化率は九・五なんです。非常に低い。しかし、いずれみんなが年をとっていくことは明らかでございますので、いろいろな教育施設は終わってきたので、今度は生涯教育に力を入れようということで、生涯体育やらそういう施設をつくってまいりました。しかし、いずれにしても、一番最終は老人になっていって、在宅看護に力を入れなければいかぬだろう、こういうことを思いまして、幸い三年前に指定を受けました。  ちょっと申しますと、全国の率よりは大分低いのですが、寝たきりが六十人。ひとり暮らしが百六十人。全国では九・九%ですが、うちは三・八なんです。低い方です。寝たきり老人でも、全国では四・六ですがうちは二%、六十人です。全部に対応しています。それは、ひとり暮らしでも全部非常電話を贈りまして、何かあったらすぐに電話をするという対応をしています。あるいは、六十人の寝たきりの人も家で看護していますから、今訪問看護を受けておるのは三十人です。うちで対応しておるのは、看護協会の人に頼んで看護婦さん五人、そして、かかりつけのお医者さんに頼んで三十人に対応している。そのほかに保健婦が六人、看護婦が一人、あるいはまたホームヘルパーさんが四人いますので、そういう人たちで寝たきりの人にも全部対応しておる。いずれにしても、寝たきりの人やらひとり暮らしの人、それらにできるだけ対応していきたい。日の当たらないところに光を当てるというのが福祉の原点だと思いますので、そういうことをやっております。  それから、困っておるのは痴呆性老人なんです。これもうちは少ない方かもしれませんが、百五人あるのです。そのうち重度が三十二人あります。そのうち、重度でも病気の人は寝たきりで扱いやすいと言ったら悪いのですが、元気な人が十八人ありまして、動き回るのですね。元気で痴呆性が進んでいって、それを追うのに、名札をつけたりいろいろなものをつけたり大変苦労しておりますが、そういう対応をちゃんとせんかったら、幾ら人口がふえ町勢が伸展しても、そういう人たちの対応をやらなければいかぬ、こういうことを出発点でやってまいったというのが現状でございます。

石破茂自由民主党

○石破委員 ありがとうございました。終わります。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 永井孝信君。

永井孝信日本社会党・護憲共同

○永井委員 参考人の皆さんには大変御貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。  そこでまず基本的な考え方についてお伺いしたいと思うのであります。  本格的な高齢化社会が到来する、それを目前にしているのですが、四人の参考人の皆さんの基本的に出されている問題について共通する部分は、社会保険制度として対応すべきなのか、あるいは社会保障制度として対応すべきなのかという点についてはかなり見解の相違もあるようでありますけれども、とりわけ八木参考人の場合は、福祉的に考えてみれば社会保障的な性格が強いということを意見として述べられました。この両者の関係について、国が今後施策を立てていく場合にどのように基本的なスタンスを置いて進めていけばいいと思っていらっしゃるか、まず八木参考人と五十嵐参考人にお聞きをいたしたいと思います。

八木哲夫健康保険組合連合会副会長

○八木参考人 お答え申し上げたいと存じます。  先ほど申し上げましたように、老人医療の基本的な性格からしまして、現在の社会保険制度の共同事業というシステムでは非常に難しい問題があるのじゃないか。特に、六十一年の改正によりまして按分率の引き上げということから被用者保険に対しまして過重な負担になってきているということでまいりますと、老人保健制度を支えておりますそれぞれの社会保険事業自身の運営が非常に困難になるのじゃないかというようなことから、私ども率直に申し上げまして、この制度の性格から見まして、本来福祉的、保障的な性格が強いんだから、社会保険システムじゃなしに、別建ての 制度というものを考えるべきじゃないかということを提言しているところでございます。  ただ、そうは申しましても、現在の老人保健制度は巨額な費用でございますし、これを全部税金に依存する別建ての制度にするということは言うべくしてなかなか困難でございます。そういう面から申しまして、当面公費負担を三割から五割に引き上げるべきだということを主張しておるところでございますし、さらに、老人保健制度ができた当初の国の責任度合いと申しますか負担割合、そういうものが、たび重なる改正によりまして、逆に国のシェアというものが減ってきているという面から、公費負担の拡充の方向というのを考えるべきであるという点を主張しているところであります。

五十嵐清日本労働組合総連合会生活福祉局長

○五十嵐参考人 お答えを申し上げます。  私どもも、老人保健制度については、本来、対象であります高齢者、特にこの高齢者は慢性疾患や低所得者が多いという点から、社会保険原理を中心とした制度運営よりは、むしろ福祉サービス事業としての性格を強く持っているのではないかというふうに考えております。特に、老人保健医療については、有病率あるいは受診率というものが相当高いわけでありまして、そういう高い高齢者に対しては、福祉を中心とした制度というものを考えるべきではないかというふうに考えております。  以上であります。

永井孝信日本社会党・護憲共同

○永井委員 私も、社会保険制度でこの高齢化社会に対応するについてはおのずから限界が出てくる、これは後でちょっと触れますけれども、やはりこれは社会保障という立場で国が主として責任を持つべきそういう制度でなければならぬと実は思うわけであります。  そういう私の考え方を前提に置いてお尋ねいたしますけれども、この老人保健医療体制の充実というのは高齢者福祉政策の基本なんですね。年がどんどんいくごとに心身に機能低下が出てくるのはだれしも同じでありまして、避けることはできない現象であります。したがってこそ、この分野における公的責任というものが重視をされていくわけですが、高齢者の場合、保健と医療と福祉の分野を切り離すことは結果的にできない、これは密接不可分な状態にあるわけでありますが、この保健医療における公的責任と負担というものは、福祉分野の全体と比較して非常に立ちおくれていると私は思っているのです。こうした認識に立ちまして、今四人の各参考人が御意見を言われましたように、老人保健法の中の公的負担割合を現在の三割から五割に全体的に引き上げるということを私たちは求めてきているわけでありますが、この政府の改正案での公費負担の引き上げ率では、ごく一部に限定されるわけでありますから、非常に不十分だと思うのです。そうすると、公的負担を五割へ引き上げるためには、具体的にはどういうふうな施策をやれば公的負担の五割への到達が容易にできるか、これについてどう考えていらっしゃるか、五十嵐参考人と山崎参考人からお伺いいたしたいと思います。

五十嵐清日本労働組合総連合会生活福祉局長

○五十嵐参考人 お答え申し上げます。  特に、現在出ております公的負担の拡大等についてでありますが、私ども考えますには、今政府提案をされておる介護に着目しての老人保健施設の拡充、いわゆる特例許可老人病院を対象にして考えておられるわけでありますが、もし仮に政府案を補強するということになりましたら、この老人保健施設の拡充という問題が一つ出てくるのだろうと私は思います。平成二年度で三百八十二施設、三万六百床という数字をいただいておりますが、これをもっと、ゴールドプランとの関係もございますが、それを前倒ししていったらどうなのだろうか。今後ますます高齢化社会が成熟をしていきますと、老人保健施設平成十一年度で二十八万床というゴールドプランの計画がありますが、これもいずれ見直されなければならないのではないかという認識を私は持っているわけであります。  それからまた、特例許可老人病院の中で、特に入院医療管理承認病棟の増床の問題も出てくるのではないかと思います。現在まだこれが少ないという点では、いわゆる定額払い制をもっとふやしていけば、このベッド数がふえてくるという点で、政府案の補強としてはこの二点が考えられるのではないかと思います。  さらに、私ども修正として求めておりますのは、老人訪問看護制度創設に伴う公費負担の拡充の問題があろうかと思います。また一般病院における老人入院費の公費負担の拡充という点も出てくるだろう。さらに精神病棟におきます痴呆性老人の入院費の公費負担の拡充の問題もあるのではないか。またデイケアに対する公費負担の拡充はどうなるんだろうか。さらに、老人訪問看護制度の創設に伴って問題になってこようかと思われますが、いずれ在宅医療という問題も新たな制度として考えざるを得なくなる。そういう点におきます公費負担の導入というものがあるんではないかというふうに思っておりますので、ぜひこれらの点についても御検討の上、公費負担五割に到達いたしますように施策を御検討いただきたいというふうに思っているところであります。  以上であります。

山崎泰彦上智大学文学部助教授

○山崎参考人 先ほど来のお話の中で保険か保障かという議論があるわけでございますが、私自身は社会保険というのも社会保障の一つの手段であるというふうに考えております。そして社会保険には必ずしも国庫負担は伴うものではないというふうに考えております。これは国際的に見まして、原則として国庫負担をつけないで社会保険を運営している、そういう国もあるからでございます。それが第一点でございます。  それから第二点、医療の、マクロ的に言いますと、保険料であれ税金であれ国民の負担には変わりはないわけでございます。しかしながら、事医療について言いますと、仮に税ですべて財源を賄うということになりますと、恐らく現在の医療の供給体制の革命的な見直しというものが避けられないというふうに思います。つまり自由開業医制を前提にした医療の供給というものは、全額公費で賄うという体制のもとでは否定される、したがって、世界にも例はありますが、公共サービスとしての医療サービスの提供ということになるんだろうと思います。そういうことで非常に慎重な判新が必要だというふうに考えております。  それから、公費負担の三割から五割への引き上げということでございますが、何分非常な財源を食うわけでございます。国全体あるいは社会保障の中での優先順位というものを考えなければいけないというふうに思います。私個人の考えを申し上げさせていただきますと、例えば現在児童手当の改正案が出ておりますが、老人に対する施策に比べると著しくおくれているのが児童、出産、育児対策でございます。むしろ全体の中では、こういった分野、おくれている分野に公費を重点化して、そして伸ばしていただきたいというふうに思うわけでございます。  それから、公費を引き上げる場合に、先ほども申し上げましたけれども、全国一律に引き上げるというのはどうしても問題があるように思うわけでございます。今世の中の動きは一元化あるいは統合、一本化という趨勢で流れてきているわけでございますが、私は、その中でも個々の保険者なりあるいは市町村の努力を促すシステムを同時並行的に入れていかない限り、ただ大きくなっただけという非常に効率の低い、むだを生ずるという問題が避けられないのではないかというふうに考えております。その点で、例えば国民健康保険法の改正の中で地域差調整というものを入れておりますが、ああいった考え方が、統合、一本化だとか一元化という流れの中で一方必要なのではないかというふうに考えているわけでございます。  それから、三割から五割という点でさらに申し上げますと、将来的には医療保険、あるいは老人保健もまさにそうでございますが、福祉サービスに積極的に取り組むということまで決断しなければいけないのではないかというふうに考えております。医療の範疇で考える限り、介護に着目する と言っておりますが、本格的な介護対策は今の体制のもとでは非常に困難だというふうに考えております。つまり医療のための保険プラス介護のための保険ということで医療保険各法の目的を書きかえるというところまでいずれは決断しなければいけないのではないかというふうに考えております。  以上でございます。

永井孝信日本社会党・護憲共同

○永井委員 五十嵐参考人にお聞きいたします。  高齢者の生活実態、この保健医療サービスの内容等からして、今回の改正は働く者の立場からしますと、適正負担の限度をはるかに超える水準になっていると思うのですね。これについて、老人保健における国民の負担は本来どうあるべきだとお考えなのか、お答えいただけますか。

五十嵐清日本労働組合総連合会生活福祉局長

○五十嵐参考人 先ほども御答弁申し上げましたように、老人保健医療における、特に高齢者世帯にとって、この老人保健医療というのは基礎的福祉であるというふうにお答え申し上げました。そういう点では国民の負担のあり方等について、私ども現役も含めて、その負担のあり方というのは、国民連帯というものをまず考える必要があろうというふうに思っております。そういう面から見ましても、現在の老人保健制度におきます被用者保険の負担というのは、先ほど八木参考人も申し上げましたように大変過重であります。過重でありますから、だからといって、では一部負担を高齢者の皆さん方にかぶせていいかという点にはならないと私は思います。  と申しますのも、現在年金等の水準を見ますと、確かにモデル年金では二十万という数字が出ておりますが、しかし、実態ではそこまで行っていない。高齢者の皆さん方の生活実態あるいはお話を聞きますと、金額的にはわずかではないかという発言もないことはないわけでありますが、実態は大変厳しいというお話を聞いておりますから、仮に入院でも四百円から八百円になるというのは大変高いというお話をいただいております。  そういう点で、今回の改正案の中で、一部負担の引き上げ等についても圧縮を図っていただきたい。その点、また繰り返しになりますが、老人保健等は基礎的福祉ということになりますと、何としても公費負担、国の責任という点を私どもは大事にしていきたい。そういう点では、老人医療費に占めます国の負担の割合、公費負担というものを五割に引き上げていただきたいというのが希望でございます。

永井孝信日本社会党・護憲共同

○永井委員 最前の意見陳述の中で、五十嵐参考人は、本来は福祉というものは全額公費負担でやるぐらいの思い切った改革が必要だというふうに言われました。私も全く賛成であります。  ところで、宇野参考人は、この六十一年の改正で加入者按分率が一〇〇%になった、これが公平な負担の原則を確立したことになったという意味のことを言われました。片方、八木参考人の方は、健康保険というのは、それに加入している者とその家族のために我々は掛けているのだ。これはもう加入者按分率で拠出する側と国保を持っていらっしゃる市町村側との、極端に言えば利害の関係からいいまして、全く対立する部分であります。この加入者按分率はもう一〇〇%達成されたのでありますが、しかし、最前石破委員からも質問がありましたけれども、何でも国の方で国の方でという意見があるけれどもと、こういう御意見がありました。しかし、国民はすべて税金を納め、その上に社会保険料を掛けていくわけでありますから、その意味では八木参考人が言われましたように、この健康保険制度というのは、社会保険制度というのは、自分とその家族のために掛けているのだということは、私は十分うなずけるわけですね。そういう中でのこの老人医療の関係の改正でありますので、ひとつその辺について一言お答えいただきたい。  時間の関係がありますから、もう一点だけお尋ねいたします。  マンパワーの関係でありますけれども、マンパワーの確保が不可欠だということは、すべての参考人が触れられていらっしゃるわけであります。しかし、現実はなかなかそのマンパワーの確保というものはそううまく進んでいっていないし、これからも的確にどこまで確保できるかということは非常に不透明な部分があります。厚生省の方ではゴールドプランというものもやっておりますが、この関係について、では具体的にどこから手をつけたらいいのか、可能性があるのか、これが二つ目。  もう一つは、保険外負担の解消という問題でありますが、これはどこにメスを入れたらいいのか。これは五十嵐参考人と八木さんからひとつお答えをいただきたいと思います。  以上です。

宇野勝全国町村会長

○宇野参考人 ただいま先生から御指摘がありました、加入者按分率が一〇〇%になった、働く人に、自分たちのために掛けているのに、それ以外に一〇〇%まで出すのはおかしいじゃないか、こういう相反した意見があるように言われましたが、我々の方では、所得があって働いておられる間は社会保険でいける、ところが退職をされて収入がなくなって町村にお帰りになった者を、収入のない人を全部見ていかなければいかぬ。だから、本当のところは社会保険で、ずっと一生そこで働いておられたら、これは私個人の考えでして、全国町村会の考えではありませんが、最後までその人たちの面倒は社会保険で見てもらいたい、こう思っているぐらいです。したがいまして、そんなことを言うても制度上いかぬので、所得がなくなって故郷に帰られたら、それぞれの町村の住民になられるので、国民健康保険税は一般住民税の一・九三倍、倍ぐらい出しています。非常に保険税の負担にも限界がありますので、せめて加入者按分率はこういうことにしてもらいたい、これでお互いに公平な負担になるのじゃないか、こういう考えでございます。  それから、先ほどうちの町のことを申し上げましたが、町村というのは面積は七二・六、広大な面積を守っておるのですが、人口は二三%なんです。しかも二三%が、若い人は全部都会へ出て、全部ではありませんが出て、お年寄りが多い。それが故郷の山河を守っておる、国土を守っておる、こういう思いがあります。したがいまして、さっきも言いましたように、だんだん高齢化率が進むのは町村なんです。だから、町村では在宅ケアとかそういうことをやっていきたい。ところが、やっていきたいのだけれども、残念ながらお金がない。そしてマンパワーが非常に心配なんです。  さっき申し上げましたように、うちの町は入ってきた人が非常に多くて、しかも市民福祉生協というようなものをつくって、お互いに助け合いをしようというような滋賀県の組織をつくって、うちが本拠になっています。そういうことで、ホームヘルパーさんもいろいろな点は確保できますけれども、一番の問題がマンパワーなんです、要員なんです。お金がないということとマンパワーに、非常に要員に欠けるところがある。したがいまして、一つの町村ではなかなか無理だと思います。したがいまして、平成元年から実施されるというのを平成五年まで延ばしてもらいましたが、それまでの間にそれぞれの町村が隣接町村と組んで、そして一つの組織をつくるということに準備をしていってもらわなければいかぬ。町村自体も自分の問題として、金がない、人がないということでほっておける問題ではないので、みずから道を打開するように努力をしようじゃないかという思いを強調しておるということでございます。  以上でございます。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 八木参考人。  所定の時間が過ぎておりますので、簡潔にお話をお願いします。

八木哲夫健康保険組合連合会副会長

○八木参考人 保険外負担の問題で御質問がございましたけれども、私どもは保険外負担、いろいろ付添看護の問題とかあるいは差額ベッドの問題、おむつ代等の問題もございますけれども、これは早急に解消すべきだと思いますが、具体的にどうかということになってまいりますと、一つは、診療報酬の体系の問題にも触れるということ になろうかと思います。先般の、昨年四月実施されました介護力強化病院等におきましては、定額払い、介護力を強化するという形で、介護力が強化できたということでございますし、老人保健施設等でもそういうような措置が講ぜられているわけでございます。したがいまして、医療費の中のむだを排除するという一方、必要な部分については厚くするというようなことで、やはり診療報酬のあり方に触れる問題であろうというふうに思います。  それからもう一つ、差額ベッドの問題につきましては、現在ある程度ニーズもございますので、一人部屋、二人部屋等はある程度の差額ベッドというのは必要だと思いますけれども、少なくとも大部屋に対します差額ベッド、これは行政指導等によりまして廃止すべきであるというふうに考えております。

五十嵐清日本労働組合総連合会生活福祉局長

○五十嵐参考人 マンパワーの確保対策についてお答え申し上げます。  私どもの考え方といたしましては、特に保健、医療、福祉事業に携わる労働者の皆さん方は三Kと言われるほどきつい労働条件があるわけでして、まず、この労働条件を改善することが基本ではないかというふうに考えております。あわせまして、現在厚生省にあります事務次官を本部長といたします保健医療・福祉マンパワー対策本部というものを、内閣として責任のある対策機関というものにしていただけないだろうか。つまり省庁横断的につくっていただいて、そして内閣の責任において今後の保健医療・福祉マンパワーの確保を図っていただくという対策が必要ではないかというふうに考えております。

永井孝信日本社会党・護憲共同

○永井委員 どうもありがとうございました。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 遠藤和良君。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤(和)委員 きょうは参考人の皆様大変御苦労さまでございます。  最初に、私は山崎参考人にお伺いしたいのでごさいますが、先生の御意見を承っておりまして、老人保健法の論議をする前に、いろいろ高齢化社会全体に対しまして、医療だとか年金だとか福祉だとか、そういった総合的な観点からまず議論をすべきである、そうでなければ木を見て森を見ない議論になるのではないか。例えば要介護老人に対する所得保障を行うべきであるとか、あるいはそういう家族を抱える家庭に対して介護手当制度を行うべきであるというふうな政策提言もございましたが、望ましい国民負担率について、先生はどのように御認識をしていらっしゃいますか、その点からお伺いしたいと思います。

山崎泰彦上智大学文学部助教授

○山崎参考人 国民負担率というのは、一応政府レベルでは、高齢化のピークに達した時点においても五〇%以下にとどめたいという目標があるようでございますが、努力目標としてはないよりはあった方がいい、つまり、できるだけ効率的な運営を行っていくという努力目標としては意味があるのだろうと思うのですが、実は国民負担率の限界というものはないのではないかというふうに思っているわけでございます。  過去の例を申し上げますと、昭和四十五年あたりの国民負担率は二五%程度でございます。それが二十年たちまして現在ほぼ四〇%になっているわけでございます。この二十年間に二五から四〇に一五も上がってきているわけです。仮に将来五〇%前後ということになりますと、あと二十年、三十年たって一〇%上がるということでございまして、過去の国民負担率の上昇率からすれば、むしろ緩やかな上昇ということになるのではないかということでございます。  実は、ここ二十年間振り返ってみますと、急激な負担増であったわけですが、同時にこの間に、社会保障に限って見ましても、相当な給付の改善、施策の充実が図られてきたわけでございます。二十年前ですと、年金受給者、まだ圧倒的に福祉年金の受給者が多かった時代でございます。そして国民年金の拠出制年金もやっと昭和四十六年に支給が開始された。また医療保険におきましても、被用者保険、家族は五割、高額療養費制度はない、老人医療の制度もない、こういう状況下での二五%でございます。ということを考えますと、やはりこれだけの負担増が受け入れられているというのは、それだけその恩恵に浴する人がふえてきている、施策が改善されてきているということだろうと思います。したがって、どのような社会を二十一世紀に向けてつくるのかという議論が先にあって、それに伴ってどのような形で国民が公平に負担するかという議論が次に来るのだろうと思います。  以上でございます。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤(和)委員 確かに幅広い議論をした上でこの論議をすべきなのですけれども、きょうは老人保健法に限った議論になっております。  そこで、この老人保健というのは医療なのか福祉なのかという観点があるわけですね。そうすると、この公費負担のあり方についてもいろいろな議論があるわけですね。今、健保連の皆さんの意見は、老人問題というのは社会保障的な色彩が大変濃いから、これを被用者の医療保険にしわ寄せしているのはおかしい、もっと社会保障、社会福祉の対象と社会保険の対象を整理して考えるべきである、こういう議論がありました。  あるいは連合の皆さんからは、老人保健は国の責任と負担を第一義に置いて公費で行うべきであるが、一挙に実行するのは難しいので当面は三割の公費負担を五割にすべきである、将来は公費による高齢者福祉医療制度を目指せ、このような考え方が連合の方の意見だったように思うわけでございますが、今国民医療費二十一兆円ですが、これは多いのか少ないのかという議論もあるわけですね。病院を経営している皆さんから見ると、医療費が安過ぎて病院経営が成り立たない、こういうふうなのがあります。あるいは今の診療報酬は出来高払いで検査づけ、薬づけになる、だから老人医療はもう少し、慢性的あるいは介護、ケア中心のものは月に幾らというふうな定額制にすべきだ、これは健保連の皆さんの考え方のようでございますが、国民から見ると、病院に入れられると寝かせきりにさせられちゃうわけですね、医療費抑制政策がありますから。  薬の与え過ぎで老人はかえってマイナスになる、もっと薬価を抑えて技術料を高めていって診療報酬の抜本的な見直しを行うべきである、こんなさまざまな議論があるわけでございますが、山崎先生はこういうことについて具体的に、例えば国民医療費二十一兆円というのはどう考えるのか、あるいは診療報酬のあり方についてどう考えるのか、あるいは公費負担のあり方についてどう考えるのか、これを、ほかの議論はおきまして、今の老人保健の制度の中で御意見があれば承りたいと思います。

山崎泰彦上智大学文学部助教授

○山崎参考人 二十一兆円をどう考えるか。一つだけ確かなのは、まだまだむだがあるということは共通認識としてあるのだろうと思うのですが、全体としてどうかということになるとちょっと判断に苦しみます。むしろ諸外国で、日本の医療保険制度というのは非常に効率的な運営をしている、二十一兆円の割にはいい医療を提供しているという評価の方が、私がどうこう言うよりも妥当なのかなというふうな感じがいたします。  それから、診療報酬につきましては、今全国一本の診療報酬なのでございまして、この辺もそろそろ考え直していいのではないかという考え方があります。例えば沢内村だとか、最近では三木町あたりで、今の出来高払いの診療報酬をなぜ使わなければならないのだろうかという感じもするわけでございまして、診療報酬に選択制を入れるというようなことも考えていかなければいけないのじゃないかと思います。  それから、診療報酬の面において地域差も加味してくる必要があると思います。先ほど来保険外負担の問題がありますが、実は、これは全国一本の診療報酬を決めていることの矛盾がそういったところに出ているわけでございます。それで、今後ますます介護を重視した医療を提供しようということになりますと、まさに人件費の地域差というものが診療報酬に全く反映されてないということには大きな問題があるというふうに思っており ます。  時間も余りありませんから、以上にさせていただきます。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤(和)委員 それから、訪問看護制度の創設について先生は高く評価するという話があったわけでございますが、これは訪問看護を受ける人たちが利用料を払わなければならないという問題があるわけですね。その利用料は幾らになるのか、これは政令で決めるわけでございますから、まだはっきりわからないわけですが、例えば一回千円だとかそういう話になってくるのではないかと思うのですね。そうすると、今お話のありました要介護老人に対する所得保障だとか、あるいは介護手当だとか、そういう制度が裏打ちされなければ、この訪問看護制度というものが利用できない部分が出てくるのではないか、こう思います。したがって、少なくとも訪問看護制度に対する公費負担を三割から五割にして利用料を削減できるような形にすべきだ。現行で実際に要介護老人に対する所得保障というのはないわけですし、それから介護手当制度というものはないわけですから、今の状態の中で、負担能力から考えまして、この訪問看護制度を充実していくためには、利用料の設定をできるだけ安くすることが大変必要ではないかと思います。そのためにも公費の負担を五割程度に上げるべきだ、このように考えますが、これに対する意見を聞きたいと思います。

山崎泰彦上智大学文学部助教授

○山崎参考人 先ほどの私の意見の中にも申し上げました。訪問看護制度というものは介護を重視するという観点から創設されるわけですから、三割から五割程度に引き上げていただきたいというのは私も考えております。  それから、利用料につきましては、外来の一部負担とのバランスというふうなこともありますが、政策的に訪問看護を伸ばすということを考えれば、むしろ通常の医療の一部負担よりは軽減するという考え方もとり得るというふうに考えております。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤(和)委員 お医者さんが往診に行くと外来と同じで月八百円ということになるわけですね。ところが今度のことでは利用料というのは一回ごとに取るんだ、こういう考え方ですから、この辺は大変大きな問題点があるのではないかと私は思っております。  それから、訪問看護に行く方々の中に介護福祉士だとかあるいはソーシャルワーカーも含めるべきだという議論もありましたが、私たちは、大変要望の強い、例えば、はり、きゅう、マッサージ師も一緒に行けるようにしたらどうかとか、こういうことも拡充を考えているわけです。医療のスタッフだけではなくて福祉だとかそういう方々が総合的に行けるような制度にしていく。ですから、訪問看護、訪問介護両方を兼ねた医療プラス福祉、こういう形でやっていく方が地方の自治体にとっても大変有益な制度になるのじゃないかと思いますけれども、この考え方についてちょっと宇野参考人の意見も聞きたいと思います。

宇野勝全国町村会長

○宇野参考人 現在、うちの町のことだけですが、訪問看護を実施しております。一回六百円ずついただいておりますが、それは、お医者さんの指示を受けて、そして看護協会の人が行って、そこで褥瘡の手当てとか、おふろへ入れるいろいろな指導をしたり、大体一週間に二回ずつ行っています。そういうことですが、今度総合福祉保健センターをつくりまして、福祉関係でまずいろいろな体の機能訓練をするということやら、あるいは家でずっと預っていて家族の人がやはり疲れますので、ショートステイをやるとかミドルステイをやるとか、あるいはデイサービスでおふろへ入れるとか、そういう施設をつくって来てもらって入れる、そういう体制をとっておりまして、理学療法士やら、はり、きゅう、マッサージも今必要かもしれません、必要に応じて対応していきたいという施設を考えております。これは一回六百円ですので、あとは全部地方自治体の負担になりますので、できるところはいいけれども、金のない町村が多いので、できるだけひとつ御配慮願いたいというのが町村会としてのお願いでございます。  以上です。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤(和)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 児玉健次君。

児玉健次日本共産党

○児玉委員 参考人の諸先生に感謝いたします。  宇野参考人に最初に伺いたいのですが、とりあえず公費を五割にする、私たちもそれを強く求めています。  厚生省からもらった資料を見てみますと、昭和五十八年にこの制度が始まったとき、全体のどんぶりの中で国が出していた金額は一兆四千八百九十一億円で四四・九%でした。それが昨年の段階で二兆九百五十八億円、金額はふえていますけれども率は三四・九%、一〇%落ち込んでいます。そして今度の改正、括弧をつけなければいけないけれども、それがもし実施されたらというので、これも厚生省の資料で私たち試算してみますと、あれこれ省きますが、老人保健の基盤安定化のための措置、これは去年から始まっていますし、当面の間ですから、その分の百億を除きますと、八十億国の負担が直接少なくなるという事態が明らかになっています。  こういう国の負担が漸減していって今度の改正でもまた身軽になっていくという状態について、地方自治体の運営に御責任のある宇野参考人としてどのようなお考えか、お聞きしたいと思います。

宇野勝全国町村会長

○宇野参考人 ただいまの御質問でございますが、金額的にはなるほどそうかもしれません。しかし、今まで全然出してなかった地方自治体が三〇%を出していますね。それは国が二〇%、県が五%、地方自治体が五%、そういうことで三〇%になったのですが、国の方では、我々は地方制度調査会で絶えず申し上げておるのは、できるだけ国保というのは事業者は国だと考えてもらいたい、そして普通企業であれば半分は持つ、あとは利用者が持つので、少なくとも国がそれの責任者であると考えてもらいたい、そういう要請をしてまいりました。したがいまして、保険基盤安定策において、今までの定率、定額で、定率制で五〇%でしたが、それを分けられるのに調整率を三五あるいは定率を一五というのを変えようとされましたが、それは従来どおりにして、七百数十億ですか五百二十七億ですか、特別に負担をして上積みして出してもらったという、国の方で、そういう意味も含めて非常に窮迫で苦しんでおる地方財政のために調整率を含めた、定率も含めたいろいろなもので増額をしていただいておって、そしてお互いにそれから標準的に上がっていく。同じ率で上がっていくのもやむを得ないか。本当は我々の願いは、全部国でとは言いませんけれども、できるだけ弱小な財政の市町村の国保あるいは福祉の運営に力を入れてもらいたい、こういうことをお願いをしております。

児玉健次日本共産党

○児玉委員 五十嵐参考人にお伺いしたいのですが、先ほど参考人の御意見の中で、私の聞き違いが一部あるかもしれませんけれども、一部負担の増額に清水の舞台から飛びおりる思いで踏み切ったけれども、今度の結果を見ると逆手にとられた思いだという趣旨の御発言がありました。そこのところをもう少しお聞かせ願いたいと思います。

五十嵐清日本労働組合総連合会生活福祉局長

○五十嵐参考人 私どもこれまで一部負担の引き上げ等については、いろいろ問題がございまして、態度としましてはかなり厳しい御意見を持っている人も多かったということでございます。そういう点では、今回の老人保健法改正に当たりましては、私どもは、我々が要求をしております当面五割まで公費負担を拡大してくれるならば、それに応じて我々現役者もそうでありますが、老人の高齢者の皆さん方についての一部負担もそれ相応に負担をしていただく、つまり見直すことが必要ではないかという考えで来たわけでございます。そういう点では、従来古典的な労働運動を継承しておりますところですと、なかなか一部負担の引き上げ賛成とは言いづらかったわけでありますが、私ども連合としましては、それまで決意を込めて今回の老人保健法改正に当たっては取り組んでいこうというあらわれだというふうに御理解 をいただきたいと思います。

児玉健次日本共産党

○児玉委員 全体としての公費負担の五割の問題と高齢者の一部負担の問題というのは、あれかこれかの問題ではないだろう、私たちは、無料制度に戻すということを展望して公費負担の引き上げを求めていきたい、こう思っています。  時間もありますから、山崎参考人にお伺いしたいのですが、老人訪問看護事業につきまして、先ほど参考人は、供給主体の拡大という点を強調なさったと思うのですね。そして、公的サービスの供給主体として民間が加わる、そのことによって競争原理が発揮されるという趣旨のことを私は伺いました。それで、民間が医療の分野に参加するかどうかというのは、現に立派に参加していると思うのですね、病院でも老人保健施設でも。  それで問題は、営利を目的とするかどうかということだと考えています。例えば、よく御承知のように、医療法の七条では、営利を目的として病院、診療所、助産所を開設する者は、開設を認めないことができる、この老健法の中でも、営利を目的として老健施設を開設しようとする者、それは排除されています。ところが、この今度の案では、看護婦の訪問事業についてのみその点の規制がありませんで、そうなっていくと、今かなり社会的に広がりつつあるシルバー産業、例えば入浴の介護に一回一万円取るとか、そういうふうな部分が入ってきはしないかということを危惧いたします。  それから、先ほども御指摘が他党からありましたが、この利用料や車馬賃についていえば、減免制度を政府は全く考えていないという点もこれまでの質疑で明らかになってきているような経過もあります。  それで、営利を目的とした部分の参入が医療の大きな世界の中に初めて入ってくる危険性を私たちは感じているのですが、そのあたりについてどのようにお考えでしょうか。

山崎泰彦上智大学文学部助教授

○山崎参考人 実は私、そこまで細部読んでおりませんでお答えする力はありませんが、その辺につきましては、もしそういうことであるとすれば多少問題があるのかなと思います。今後の運用面等で十分注意していただきたいというふうに思います。

児玉健次日本共産党

○児玉委員 最後に八木参考人にお伺いしたいのですが、やはり公費の負担の部分、そこのところを当面五割にしていくという点で、余りちゅうちょをされる必要がないのじゃないかと思うのですね。例えば、消費税が導入されたときも、当時の厚生大臣が老人保健制度について、やはり五割にしなければいけないのかということを新聞で語って報道されたような経過もありますし、この五割にしていくという点で健保組合はどのような展望をお持ちか、最後にお伺いしたいと思います。

八木哲夫健康保険組合連合会副会長

○八木参考人 私どもは、公費負担を五割に引き上げるべきであるという主張をしているところでございますし、ちゅうちょしているということではございません。ただ、政府の財政事情等から見まして、今回、一部ではございますけれども、介護部分に着目して五割に引き上げたという面で一歩前進である、私どもはあくまでも一歩前進であるという受けとめ方をしておるところでございます。

児玉健次日本共産党

○児玉委員 終わります。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 柳田稔君。

柳田稔民社党

○柳田委員 きょうは、ありがとうございます。  最初に、皆さんにお尋ねをしたいのですけれども、二〇二〇年に二・五人に一人がお年寄りになるというお話がございます。私もちょうど二〇二〇年に六十五になるので、その一人かなと思いつつもあるわけなんですけれども、こういう時代が来るというのははっきりしているわけですけれども、その将来を考えて、今の老人保健制度、納得がいくものなのか、安心できるものなのか、一言ずつ御感想を教えてください。

八木哲夫健康保険組合連合会副会長

○八木参考人 私どもは、最初に申し上げましたように、今の制度というものは再構築すべきである、二十一世紀の高齢化社会に少なくとも安定した機能である老人保健制度というものを確立すべきであるというふうに考えているところでございます。

宇野勝全国町村会長

○宇野参考人 四人に一人の高齢者になるということになると、今はまだその延長線上の一つである、まだまだ充実を考えねばならないことはあろうと思います。したがって、これが最後ではない、こう思っております。

五十嵐清日本労働組合総連合会生活福祉局長

○五十嵐参考人 お答えいたします。  私も、先生と同じように二〇一〇年くらいになりましたら六十五歳以上の高齢者の仲間入りをする一人でございます。そういう点では、現在の老人保健制度、やはり再構築をしなければならないと思います。  そういう点で、私どもは福祉の面にわたっては公費を拡大していって高齢者保健福祉制度というものを提唱しているわけでありまして、それの具体化に向けての取り組みを強めてまいりたいというふうに思っております。

山崎泰彦上智大学文学部助教授

○山崎参考人 先ほども申し上げましたように、老人保健制度だけの議論ではなくて、総合的な高齢者対策のあり方という観点から見直しに入らなければいけないというふうに思っております。  それから、高齢化が進むということはお年寄りが多くなるわけですが、かつてのお年寄りと現在と将来、相当変わってくるように思います。感じといたしましては、高齢者の方にも、ただサービスを受ける、給付を受けるだけじゃなくて、制度を支える側に回っていただきたいというふうに思うわけでございます。年金が成熟するということは、その年金である程度の負担をしていただくというのは当然だという社会になると思います。  それから、将来に向かって一番今力を入れなければいけないのは育児対策、児童対策だというふうに思っております。  以上です。

柳田稔民社党

○柳田委員 ありがとうございました。一様に今のままじゃ不安ですよというふうなお答えだったかと思います。  今山崎先生の方からも、森を見ずに木だけ見て議論すべきではないというお答えもありました。また、先ほどはもうこの制度は限界に来ているというお話もありましたけれども、とは言うものの、やはりこれを議論しないといけませんので、私の時間も少ないわけですが、一つだけお聞かせを願いたいと思うのですけれども、私は受益者負担ということで一部負担はあってしかるべきだというふうに思っております。また、社会保障なり福祉なりの制度のことも考えていきますと、公費の負担そして拠出金、あってしかるべきだろうというふうに思うわけなんですが、二十一世紀を見据えた場合に、今のままの公費負担、一部負担、拠出金のバランス、今は一部負担を三%から五%にしようという案が出ているわけでありますが、この辺の三者のバランスについて皆さんは、今後を見据えてですけれども、どうあるべきだろうか、教えていただきたいと思います。

八木哲夫健康保険組合連合会副会長

○八木参考人 私どもは、基本的には老人保健の問題は国民的な課題でございますから、国、地方公共団体あるいは保険者あるいはお年寄り自身、それぞれが相応の負担というものはすべきであるというふうに考えております。  特に、老人保健の先ほど申し上げましたような福祉的、保障的な性格から見まして、国の責任度合いというのを強く考えるべきであるというふうに思いますし、それからお年寄り自身の負担というのも、これから高齢化社会でみんなでこの費用を負担しなければならないわけでございますので、無理のない負担というのは考えるべきであると思いますし、私どもは五%程度の負担というのは必要ではないかというふうに考えております。

宇野勝全国町村会長

○宇野参考人 いろいろな施設を利用するのは、やはり受益者負担というものはある程度出してもらわねばいかぬと考えております。今は老人医療については五%ですが、本当に出せない人はいろいろな点で別に出す、出せる人はやはりある程度出してもらった方がいいのじゃないかと思っておりますので、今の段階では五%ですが、それが将 来はどう変わるか、対応はまた考える時期が来るのではないか、医療費の動向によって。出せる人には出していただくという受益者負担の制度は堅持してもらいたいと思います。

五十嵐清日本労働組合総連合会生活福祉局長

○五十嵐参考人 先ほど来お答えしておりますように、老人保健あるいは老人医療制度を考えていきます場合に、その負担のあり方というのは、やはり国民全体の負担というのが必要になってこようかと思います。  ただ、先ほど来お話がありますように、それぞれ能力に応じた負担というのも必要になってくるということは大切な点だろうと思いますので、その点を抜きにして一律にということではなく、負担のあり方を考えていく必要があろうかと思います。  ただ、現役者だけに過重な負担というものはやはり避けるべきだと思います。そういう点では、例えば社会全体で高齢化社会におけるその費用の負担をどう考えるかという点が必要になってくるのではないかと思います。特に、私ども公平な社会の確立という点で申し上げますと、所得、資産という問題を考えていきますときに、資産をどうするかという問題があるわけでして、その点の税制上からの不平等の解消という問題もあるのではないか。それらを含めて税、保険料の公平な負担のあり方というものを検討したいと思っております。

山崎泰彦上智大学文学部助教授

○山崎参考人 一部負担だけに限定してお答えしますと、いつも非常に困ったことだと思っているのは、今の高齢者は実際に印象としまして決して貧しくないのですね。しかし、データの上ではっきりするのですが、二極分化していまして、非常に金持ちの方、それから一部低所得の方がいらっしゃるわけです。医療保険制度というものは、利用時の一部負担についてはできるだけ画一的な扱いにしているわけでございます。サラリーマンで給料が低いからといって負担率が低くなるというふうなことはしていないのでございます。それはそれで非常にいいことだ、つまり差別感を伴わないという意味でいいことだと思っているわけですが、老人について考えますと、先ほど申し上げましたように、一定の年金で最低の安定した所得を確保するということを考えないと、どうしてもこの問題をクリアできないと考えております。そういうことさえできれば、ある程度の一部負担の引き上げは合意が得られるというふうに考えております。

柳田稔民社党

○柳田委員 今回の老人保健制度の改善なんですけれども、私は、先ほど来から議論がありますように、一部だけではなくて総合的に見て、その中の一部として、これはこうあるべきだ、将来こういう時代が来るから、今はこうしてだんだんしていかなければならないという筋道がわかれば理解ができるのですけれども、それが何かぼやっとしていて霧の向こうにあるような感じで、非常に納得しづらい点がありまして、今いろいろと審議を通じながら、その将来のことを考えているわけなのです。  今後とも、自分のこともありますし、子孫のこともありますし、ますます日本も発展していかなければならないこともありますので、精いっぱい頑張る所存であります。これは皆さんも一緒だと思うのですが、またいろいろ機会がございましたら御指導なりをお願いしたいと思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四分散会

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