社会労働委員会 第4号
- 発言数
- 240 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1991/03/08
会議録
○浜田委員長 これより会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。住博司君。
○住委員 小里労働大臣は、さきの当委員会におきます所信表明の中で、我が国では高齢化、国際化、技術革新や女性の職場進出など大きな構造変化が進んでいると述べられた上で、こうした変化に的確に対応して、ゆとりのある勤労者生活を実現するために積極的に労働行政を推進するとおっしゃいました。大変心強いお言葉だったと思います。 私たちの国は、戦後四十五年余りの間、先輩の皆様方が英知を集め、汗を流した結果、現在の繁栄を手にすることができたと私は思っているわけです。ただ、そういう中で、戦後間もなくつくられたいろいろな制度や法律、それが繁栄の礎になったことも事実だと思います。しかし、時代の流れとともに、さまざまな制度の見直しや改革、新しい制度、法律の作成もまた必要になっている、こういうふうに思うわけです。役割を終えた制度、法律もあるでしょう。それから、労働省の仕事にしても、今までのように労働省側、使用者側といった枠づけ、そういう定義づけだけではもはや成り立たなくなっている面も出てきていると思います。新しい視点に立った制度や法律、これまでの施策の見直しでありますとか発想の切りかえもどうしても必要になってくる、こんなふうに考えます。きょうは、その意味を込めて幾つかの質問をさせていただきます。 まず、まさに今転換期の、高齢化の急速な進展や、国際化の波にさらされている中で、労働行政をどのように展開していくのか、かじ取り役としての大臣の御決意を改めて伺っておきたいと思います。よろしくお願いします。
○小里国務大臣 住先生にお答え申し上げます。 申し上げるまでもなく、お話にございましたように、産業、経済、社会の変化は大変顕著なものがある。労働行政がいろいろ展開してきておるけれども、既存の枠に満足せず、絶えず反省、総括しながら、そして、進展する厳しい労働諸情勢の中で新しい一つの方向を、決意を新しくして進めるべきではないか。そして、どのように考えておるかという意味のお尋ねであろうかと思います。 先生お話しのとおり、本格的な高齢化社会の到来でございます。あるいはまた、技術の革新におきましても、情報の高度化、展開等におきましても申し上げるまでもないところでございます。殊に、お話がございましたように、経済活動などグローバル化が顕著に進んでまいっておりまして、いわゆる構造的な、あらゆる分野におきまする変化が著しいのでございます。私ども労働行政の立場から見ておりましても、例えば就労体制の顕著な多様化あるいはまた勤労者の意識変化も一層進んでまいっております。こういうようないわば時代的な一つの転換期に当たりまして、私どもの労働行政は、国民からも非常に強く、それらの革新と同時に発展のための画期的な一つの考え方あるいは施策というものが求められておりますことは申し上げるまでもないところでございます。 私は労働大臣施政方針の中で申し上げましたように、そのような時代的な際立った厳しい行政に対する要請を基本にいたしまして、例えて申し上げますと、労働力需給の中長期にわたる一つの展望、そしてまた、雇用あるいは能力の開発などを進めてまいることも大きな一つであろう。あるいはまた、女性の進出が非常に顕著でございます。こういう働く女性に対しまする私どもの新たな任務というものも考えていかなければならぬと思います。あるいはまた、おっしゃるように高齢化社会が進んでまいりますから、それらの施策も必要であります。あるいはまた、きょう後ほど質問でも出てまいろうかと思うのでございますが、時短を中心にいたしました労働者の福祉対策等々、いろいろ列挙申し上げますと根本に関する問題がたくさんあるところでございますが、各位の御指導もいただきながら万全の施策を進めてまいろう、かように考えておるところでございます。
○住委員 大変ありがとうございました。御丁寧に御答弁をいただきまして、そういうおつもりでぜひ労働行政を進めていただいて、言ってみれば働く者の立場、それから、働く者の環境改善、そういったものについてぜひ御努力をいただきたい、こう思う次第であります。 私たちの国が世界一の経済大国になった、その原動力は実を言うと中小零細企業の頑張りだった、こういうふうに思うわけです。ところが、私自身が選挙区を回りまして中小企業の経営者の方方とお話をする、ないしは、かつて私が働いていた九州や近畿で親しくなった企業経営者の方々とお話をいたしますと、大概人手不足の話題になる。とにかく人がいないんだ、仕事があるんだけれども働いてくれる人がいないので受注もできない、何とかしなければと思うんだけれどもどうしようもないんだ、最後は泣き言になってしまう。 さきに日本生産性本部が九一年度版の労使関係白書というのを発表しましたけれども、それによると、将来はさらに深刻だ、こういうふうになっている。つまり、西暦二〇〇〇年までの今後十年間、世紀末を迎えるまでに労働力人口の年平均伸び率は対前年比〇・四%から〇・二%くらいに鈍化する、こういう内容だったわけです。しかも、従業員三十人未満の零細企業の従業員一千百万人と、自営業の中で家族従業員と言われる方がいらっしゃいますが、その千六百万人、合わせて二千七百万人のうち五百万人くらいは、高賃金だとか勤務時間が短い、言ってみれば高い生産性を持つ大きな企業に移っていくという指摘をしていました。まさにショッキングな内容だったと私は思うのです。ゆとりのある生活や豊かさを求める傾向が今後ますます強くなれば、短い労働時間であるとか充実した福利厚生施設であるとか、よい職場環境であるとか、そういうことを望む人がさらに多くなってくる、こういうふうに思います。こうした点で、大企業と中小企業の格差は埋めがたい、極めて大きなものになっている。しかし、放置しておけば中小企業はますます労働力確保が難しくなることは火を見るよりも明らかであります。 今国会に提案されております中小企業の労働力確保のための雇用管理の改善促進法案がありますが、これはいわば中小企業を魅力ある職場としていくために必要なものだと私自身は思っています。この法律によって具体的に何をしようとしているのか、その点をお伺いしたいと思います。
○若林政府委員 ただいま先生御指摘くださいましたように、現在におきます人手不足、求人倍率も一・四四になっておりますし、失業率も二%でございます。大変に厳しい状況にございます。また、中長期的に見ましても、私どもの推計では、一九九〇年代の前半が、毎年労働力人口が〇・八%ぐらい、後半五年ぐらいが〇・四%ぐらいという伸びでございまして、やはりずっと人手不足基調が続くということでございます。 そういう中で、特に中小企業の人手確保というものは大きな問題であろうというふうに認識をいたしておるわけでございます。そして、やはりこういう中小企業で労働力を確保いたしますためには、労働時間を短縮いたしますとか、職場環境を改善する、ただいま先生が御指摘くださいましたとおりでございます。 そこで、そういったことのために、支援策を盛り込みました中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律案を、通産省と共同で今国会に提出させていただいているわけでございますけれども、具体的には、まず第一に労働力の確保を図りますために、中小企業者が行います雇用管理の改善に係る措置に関しまして、通商産業大臣と労働大臣が指針を作成をいたします。 二点目といたしましては、そういった構成中小企業者の雇用管理の改善に関する事業につきまして事業協同組合等が計画を作成をいたしまして、都道府県知事の認定を受けることといたしております。 第三点といたしましては、こういった計画に従いまして、労働時間の短縮、職場環境の改善等の雇用管理の改善に取り組む事業協同組合等及びこれを構成いたします中小企業に対しまして、財政上、金融上、税制上にわたる総合的な支援措置を講ずる、こういう内容でございます。
○住委員 この制度そのものにつきましては大変大事なものだと思いますし、ぜひその運用をしっかりさせていただいて、とにかく中小企業における人手不足感、それを解消させる、まさに喫緊の課題だと私は思いますので、積極的な取り組みをお願いをしたいと同時に、中小企業における能力開発の問題であるとか、人材育成の必要性、このことについてもぜひ光を当てていただいて、積極的にやっていただきたい、こう思う次第であります。 ただ、先ほども局長は全国の雇用情勢のお話をされました。全体の基調としては人手不足感というのはあるわけですけれども、場所によっては雇用機会が不足し、働くところがない地域とか、あるいは若い人たちの望む仕事が余りなくて、みすみす若年層の人たちが外へ流れていってしまうというような地域もある。私の地元にもそういう場所がございます。労働省は、今まで地域雇用開発促進法というのによりまして、これまでもいろいろな施策を進めてきたわけですけれども、若年労働力の流出に歯どめをかけるということのためには、より一層の取り組みが必要だと思います。私にとってみれば、つまり、働く人にとって住みよいところであるとか住んでみたいところ、こういうものをいかにつくっていくのかというのがまず大事だと思うのですね。少し大きな視野に立って、いろいろな考え方で施策を展開していかなければいかぬのではないか、こんなふうに私自身は考えているところです。 これも今度地域雇用開発促進法の改正案というのが出ているわけですけれども、その点ぜひ踏み込んでいただいて、具体的に政策誘導していただきたいと思うのですが、今どんなことを考えておられるのか、それについて少しお尋ねをしたいと思います。
○若林政府委員 地方の雇用情勢でございますが、これは、最近は大変改善をされてきておるわけでございます。しかしながら、ただいま先生御指摘なさいましたように、若い人が依然として流出している地域が多うございます。Uターンを希望している若い方も随分いるのでございますけれども、その受け皿となる若い方々を引きつける魅力ある雇用機会がないといったようなことが、大きな原因だろうと思います。他方、企業も地方立地をしたいという場合に、やはり企業が求めている人材という面でのミスマッチもございます。 そういった観点で、若年者を中心とした労働力が流出している地域、こういったところで若い方々が定着をしていただく、そういったようなことのために、私どもといたしましては、若年者等の能力等にふさわしい魅力ある雇用機会を地域に創出していくことが必要であると考えておりまして、これまでは、ただいま御指摘の地域雇用開発等促進法は、地域に雇用の量をつくるということが重点でございましたけれども、さらに、地域によりましては質の面でございますね、魅力のある雇用機会といったものをつくるということのための対策を盛り込んでまいりたいというふうに考えております。 例えば地方に、一定の地域につきまして基金をつくりまして、こういったところでUターンの促進の事業を進めるというようなことでございますとか、あるいは魅力のある雇用機会をつくっていただいた場合には、それに対して助成措置を講ずる、こういったことも内容とした地域雇用開発促進法の改正案を今国会に提出させていただいているところでございます。
○住委員 人手不足の点、幾つか質問をしてきたわけですけれども、労働力人口の伸びというのは鈍化する、こういうふうな見込みが出ている。いや、下手をすれば減少の傾向に転ずるかもしれないのだという指摘もある、こうした中で働く女性の役割はますます大きくなってくる、先ほど大臣がおっしゃったとおりだと思うのです。女の人が働きやすい環境をしっかりつくっていくことが、言ってみれば我が国の経済の安定的な発展、さらなる発展の重要な柱になるだろう、こんなふうに思うわけです。六十一年にスタートしました男女雇用均等法によって、女性の活躍の場は広がりました。だがしかし、結婚や出産といった大きな人生の節目というのがありまして、それをきっかけに離職していく人も多い。そして、仕事に戻ろうにも戻れない。そんな話もよく聞くわけです。女性が仕事と結婚、子育て、つまり、仕事と家庭を両立させる仕組みを確立をしておくこと、これが今ぜひ必要なことであろうと思います。 育児休業の法制化につきましては後ほど少し詳しくお尋ねをいたしますけれども、その前に、仕事をしたいと望んでいる女性に対して、具体的にどんな施策によって援助しているのか、その点をちょっと簡単に触れていただきたい、こう思うのです。
○高橋(柵)政府委員 先生御指摘のように、最近、女性の雇用労働者の数は非常にふえてきているわけでございまして、今や千八百万人を超える状況になっているわけでございます。その職域が広がり、そしてまた、その勤続の期間もかなり長期化しているところでございまして、いわゆる生涯を通じて職業とのかかわりが非常に深くなってきているという状況にあるわけであります。 そのような状況の中で、私ども、女性が働きやすい環境を総合的に整備をしていくということが最も重要であるというふうに考えておりまして、その根幹といたしましては、男女雇用機会均等法の一層の定着を図るということが前提でございますが、なお仕事と家庭も両立が図られますように、今お話しの育児休業制度の法制化を初め、再就職のための就業支援策の強化あるいは再雇用の勧奨といったような、総合的な施策を現在展開いたしているところでございます。
○住委員 時間があればもう少し具体的に詳しくお聞きしたいのですけれども、ちょっときょうは時間がありませんので、次に移らせていただきます。 育児休業制度、今法制化の話がありました。労働大臣の諮問機関であります婦人問題審議会は、この五日、大臣に建議を提出なさった。報道によれば、この建議では、男の人でも女の人でも、働く人が育児休業を申し出たときは、「子が一歳に達するまでの間を限度としてこれを認めることを事業主の義務とする」と規定しまして、中小企業に対しては一定期間法律の適用を猶予するとしている、そういう内容だと思うのですね。一方、育児休業期間中の所得保障については、労働者側、使用者側ともに意見、見解の違いがあって、一定の方向を定めることは困難であり、広範、多角的な観点から論議を深められる必要があるとして織り込まれなかった。また、企業が違反した場合の罰則についても建議には盛り込まず、法律の実効性を確保する手だてとしては、行政機関による適切な指導、勧告、ガイドラインの作成の必要性を打ち出している、これでいいわけですか。こういう内容でいいのでしょうか。
○小里国務大臣 端的に申し上げまして、本当にすぐれて時宜を得て、しかも御熱心に前向きの方向で育児休業法の制定に向かってのお尋ねでございます。 まず、先生も御承知のとおり、このいわゆる育児休業制度を強化し、そして推進していこうというねらいは、先ほども若干お触れになりましたように、家庭にありまして子供を育てながら、いわゆる家庭生活の主役も務める。同時にまた、社会に進出をいたしまして職場人としても働きます。言いかえますと、職場人と家庭人との円滑なる調和を図りながら、そしてまた、本来婦人が持つ経験、能力というものを十分に生かしていくように環境整備をするのが今次の法体制整備強化の大きなねらいであることも御承知のとおりでございます。しかも、国民世論の中におきましても、非常にこの問題に対しましては熾烈なる世論の高まりがありますことも御承知のとおりでございます。それらを受けまして、国会におきましても、過年度を見てまいりますと、これが法制定についての要望がしばしば論議されてまいっているところでございました。 先ほどもお話ございましたように、今次私ども労働省といたしましても、婦人少年問題審議会にこの法体制のあり方はいかがであろうかということを伺っておりました。御承知のとおり、五日にこれに対する建議が出てまいったところでございます。 さて、その中身につきまして、ただいま先生の方から担保の問題、あるいは若干不平等取り扱いの問題に関することもお尋ねがございましたが、まず基礎的に、現段階におきまする状況を申し上げますと、一つは、ただいま婦人少年問題審議会から建議を得たところでございます。労働省が中心になりまして各方面の、あるいは世論の意見などもお伺いしながら、いわゆる法律案の一つの原案作成に目下奔走をいたしているところでございます。できるだけ早い機会に成案を得まして、再度婦人少年問題審議会に正式に諮問をいたしまして、これが答申を得て、そしていよいよ所要の手続を経まして国会の各位の御審議、御検討をいただく。そのめどは今国会中に間に合わせるようにいたしたい。その方向で努力をいたしておるところでございます。 そこで、先生からお尋ねの中身の問題でございますが、いろいろございます。これは釈迦に説法でございますけれども、例えば対象者の問題、あるいは目的をどうするか。あるいは休業取得を要請する場合の要件をどういうふうは定めるか。あるいは担保の問題、あるいはまた不平等取り扱いの問題。あるいは先生がただいまお話がございました中小企業等に対する配慮の問題。あるいは原職ないし原職相当復帰の問題。あるいは最も問題が、大変これが解決は厳しいなと私ども予想をさせられておりまする休業中の保障の問題等々、大変さまざまな問題がたくさん、極めて濃密に、縦横絡んでおりまして、これらを聡明なる関係各位の前向きの意欲と、そしてまた、一つの合理性によりまして整理をして、そして世論の要望にこたえなければならない、そういう状況であるわけでございます。この機会は、私は端的に申し上げまして千載一遇のチャンスだ。これは行政の立場から見ましても、あるいは国会審議という一つの政治の場面から見ましても、あるいはまた国民要請という、そのような一つの建前から見ましても、今次が私は一つの潮どきではなかろうか、そういうふうに希望をいたしておるところでございます。 しょせんは、これは率直に申し上げまして、休業を取得をする、これを法的に保障をする枠組みをつくるということが、当面では一番大きな要諦ではなかろうかと思っておるところでございまして、どうかひとつ、関係各位におかれましても、そのような大きな観点からこの際御検討をいただきますことを、あわせましてこの機会にお願いを申し添えさせていただく次第でございます。
○住委員 まさに大臣がおっしゃった、本当にこの時期を逃がしたらいけないのだ、こう思うわけです。まず、きちんとしたその枠をつくるということを大前提としてお考えをいただいて、ぜひ作業を進めていただきたい、こう思う次第です。 ただ、一つだけ、私自身もかつて経験をしたことがあるのですけれども、先ほどから中小企業の話をしてまいりました。こういう制度をつくりますと、使用者側と労働者側がきちんと話ができるようなところはいいわけですが、言ってみれば未組織の労働者の方であるとか、中小零細企業の方方にとってみれば大変つらい立場に置かれる場合もございます。ですから、ぜひ先ほどの基本的な考え方の観点に立って、中小企業で働く人たちや未組織労働者の方々がこの法制度の中から取り残されないように、そういう観点も含めてぜひ御考慮をいただきたい、こう思うわけであります。 持ち時間も余りなくなってまいりましたので、労働時間の短縮についてちょっと触れていきたいと思います。 時短につきましては、賃上げと同時に、ことしの春闘のメーンテーマ、こういうふうに言われているわけです。豊かで潤いのある生活には労働時間の短縮が不可欠だ、こういうふうに言われてもう久しいわけであります。先日、ある新聞で労働省の企業調査というのが載っておりまして、労働時間を短縮したら生産性が上がったんだというのが、ほんの小さな記事でしたけれども載っておりました。これの具体的な内容についてお伺いしようと思ったのですが、時間がありませんので、四月から法定労働時間週四十四時間になる。着実に時短が進んでいくわけですけれども、一つ二つぜひこれだけは考慮しておいていただきたいということを申し上げたいと思うのです。 先ほどからずっと中小企業、大企業の格差の話をしてまいりました。御承知のとおり、日本の国は親会社、子会社あるいは下請といった関係で進んでいるわけです。時間短縮につきましても、一つの企業だけゆとりのある生活をしていたのでは成り立たないわけですから、同じ業種であるとか、あるいは地域ぐるみで取り組んでもらう。もう既にスタートしているところもあるように聞いておりますけれども、ぜひそれを推進していってもらいたい。要するに、それぞれそれぞれで、あの人は働いているんだけれども、私は時間短縮で休んでいるんだ、どうもおれはゆとりのある生活じゃなくて、不安を感じてしまうよなんということにならないような、そういう時間短縮のあり方であってほしい、こう思うわけです。 それからもう一つ、これはちょっととっぴな考え方かもしれませんけれども、日本の場合、給与が月給制になっているわけです。月給制の中で時間短縮をやっていきますと、言ってみれば手取りというのでしょうか、そういうのが少なくなりはしないだろうか、そういう話も出てくる。時間給制度をやっているヨーロッパの場合には、賃上げ率を抑え込みながら、しかし労働時間の問題も考える。要するに、こういうこれから我々のやっていかなければいけないものを既に先取りをしているようなところがある。そんな外国の例も見ながら、私たちとしては時間短縮にどう取り組んでいこうとしているのか、その点少しだけお答えいただきたいと思うのです。
○小里国務大臣 私がお答え申し上げたいことまで含めまして、しかも基本的な要件を踏まえてお尋ねいただいておるようでございます。 申し上げますと、私どもの労働政策の中におきまして最も重要な、当面精魂傾けて解決に当たらなければならない問題の一つが時短でございます。概して申し上げますと、時短は、決して満足はいたしておりませんけれども、その流れは着実に進んでおる、私どもはかように評価をいたしておるところでございます。 ただいま先生お話にございましたように、法定週四十六時間を四十四時間に持っていきましょう、これも御案内のとおりでございます。あるいは中小企業等におきましてこれが成績が極めて不調じゃないかと私どもは心配しておりました。例えば年次有給休暇の問題にいたしましても、御承知のとおり最低付与日数六日を八日に置きかえましょう、その方向で動いておりますことも御承知のとおりでございます。あるいは連続休暇の問題等におきましても、もう先生御承知いただいておるとおりでございます。 ただ、先生が先ほど御指摘ございました、時短というのはやはり職業間、地域間あるいはそのほかのいろいろな縦横のさまざまな勤労者がまさにおいでになるのだが、これが総体的に全体的雰囲気の中で進められるような一つの態勢が必要だという御指摘でございますが、まさにそのとおりでございます。 以上、簡単でございますが、お答え申し上げておきます。
○住委員 時間ですので、きょうは本当に御丁寧な御答弁ありがとうございました。
○浜田委員長 伊東秀子君。
○伊東(秀)委員 まず、外国人労働者の問題について伺います。外国人労働者の問題については、不法就労の問題、それから研修の問題について伺いたいと思います。 まず、不法就労の問題についてですが、昨年の十二月、イランの十二歳の少年がローラーに巻き込まれて労働災害死するという事件が起こりました。この事件は大変深刻な問題を我々日本人に投げかけたのではなかろうかと思います。十五歳以下の労働基準法違反の少年を使っていたということ、あるいは一家を挙げて不法就労者であったということ、さらに、中小企業の深刻な人手不足の実態を明らかにしていたのではなかろうかと思います。 法務省、労働省挙げて、単純労働者は受け入れない、取り締まりを強化するという一方で、不法就労者はどんどんふえ続けている。そして、三K労働と言われる日本人が嫌がる労働の現場で中小企業の人手不足を補っている、しかも、労働関係法規等の人権保障は全くない状況で働かされているという実態があるわけでございます。こういった現実に対して政府はどのように対処するのかという問題。まず、入管法が改正されて不法就労助長罪が設置されてから、この不法就労が最近はさらに悪質な暴力団等が介入する、つまり地下に潜るような傾向が出てきた、良心的な業者が手を引いて、非常に悪質なブローカー等の手によって不法就労者が労働させられているという実態があると言われておりますが、この点についてどのように把握しておられますでしょうか。
○小里国務大臣 先生、今、不法就労者、外国人労働者に関連いたしてのお尋ねでございますが、不法と同時にまた、適法と申し上げていいのでしょうか、いわゆる正規の手続を経て入ってまいりまする外国人労働者の問題も絡めまして、ちょっとこの機会に答弁させていただきたいと思う次第でございます。 先生もただいまお触れいただきましたように、我が国の経済社会、特に国際化に伴いまして外国人労働者の出入国数が顕著にふえてまいっておりますことも御承知のとおりでございます。特に正規の手続を経た労働者も、今から五年前と比較をいたしますと、ざっと申し上げまして約二・三倍ぐらいに達しておるかと思います。今度は先生お尋ねの不法労働者のごときにおきましても、このようないわば公式の場で申し上げてどうかと思いますけれども、一説によりますと十数万人滞在しておられる、そういう状況であるわけでございます。 そこで、先生はいわゆる研修生の受け入れ等とも絡ませてのお話であったようでございますが、基本的には我が国の外国人労働者に対応する措置といたしましては、御承知のとおり、昭和六十三年五月二十七日のいわゆる「世界とともに生きる日本」、経済運営五カ 年計画の中で、あるいはまた昭和六十三年六月十七日の第六次雇用対策基本計画におきまして、さらっと申し上げますと次のようなことを整理いたしております。 まず第一に、専門的な技術を有する、いわゆる専門技術的な能力を持つ外国人、あるいは外国人ならではの能力を持つ外国人労働者は、ただいま先生の質問の一つの念頭にもあられたと思うのでございますが、可能な限り受け入れていこう、その方向で施策を進めてまいっておりますことも御承知のとおりでございます。 もう一つは、いわゆる単純労働者は慎重に対応しよう。その理由は、もう先生おわかりいただいておるところでございますが、我が国の労働あるいは経済社会に及ぼす影響等を十分配慮しなければならない、このことを使用者、労働界あるいはまた各界各層の意見を整理してまいりますと、その方向に集中的に要望が強いという背景も感じられるところでございまして、そのような観点から外国人労働者は対応をいたしておる。 しかしながら、ただいま先生お話がございましたように、研修制度につきましては、国際社会に貢献をしなければいかぬ、そのような視点に立ちまして、積極的にこれが対応を進めておるという状況でございます。なおまた、後ほどお話が出るかと思うのでございますが、それらの研修制度強化促進のために財団も平成三年度中に設置をいたしまして、これが啓蒙、促進を図ろう、そのような対応をいたしておりますことも御承知いただいておるかと思う次第でございます。
○伊東(秀)委員 御答弁がちょっと質問からそれておられたのではないかと思うのですが、私がお聞きしたのは、助長罪が設置されてからむしろ不法就労者の人権侵害が進行しているというような実態を、法務省なり労働省なりは把握しているかどうかということを簡潔にお答えいただきたかったわけでございます。
○若林政府委員 昨年の六月に改正入管法が施行されてから後におきます実態の状況というものは特に私ども把握をいたしておりませんけれども、先ほどお触れになりました就労経路の問題でございますけれども、昨年の秋でございますけれども、私どもの調査をいたしましたものによりますと、あっせん業者全体で直接の応募とか、知人、外国人従業員、同業者の紹介によって外国人労働者を雇用したという企業が全体の九割でございますけれども、あっせん業者等の紹介によって雇い入れた企業というのは八%程度に満たないという結果がございます。
○伊東(秀)委員 次に進ませていただきます。 次に、不法就労者の労働災害も近年とみにふえているということが言われておりますけれども、この実態がなかなか浮かび上がってこない。平成元年度は八十九件申請があったということでございますが、不法就労者全体の数がふえている、しかも、労働災害もふえていると言われているにもかかわらず申請という形で出てこない背景には、労働省なりが不法就労の事実を知ったときに法務省の入管局に情報を提供するからである。その不法就労というカードを握られて、外国人労働者が人権侵害の実態の中で非常にうめいているという状況があるのではなかろうかと思います。 しかし、せんだって平成元年十一月十日及び十一月三十日及び十二月七日の参議院法務委員会での政府の御答弁で、申告や相談における不法就労者については情報提供しないというふうに御答弁なさっております。 そこでお伺いしたいのですが、こういった申告や相談の過程で労働災害あるいは賃金の不払い、犯罪にも匹敵するような強制労働という事実が判明した場合、労働関係法規を彼らに適用するという立場から、具体的にどのような御指導、措置をとっておられるのか、御答弁お願いいたします。
○佐藤(勝)政府委員 不法就労者の増加ということになりますと、これは労働災害に結びつくあるいは労働基準法等の違反を増加させる等の問題がいろいろ生じてくるという認識がございます。したがいまして、私どもといたしましても、出入国管理法の周知を行うということで、できるだけ不法就労がないような状態をまずつくらなければいけないと思いますが、しかしながら、不法就労であろうとなかろうと労働者として国内の事業場に使用されている限りは、労働基準法、労働安全衛生法等の法規は日本人と同じく適用がされるわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、監督の際の発見あるいは申告なり相談があったことによりまして違法な事実が発見されました場合には、まずこれを是正をする、そのための必要な指導を行うということをまずやるわけでございます。 それから、その場合に出入国管理当局に不法就労のことを通報をするのかどうかという点についてお触れになりましたけれども、一般的に申しまして、監督、調査によりましてそういった法違反が発見されました場合には、労働基準法等の違反についての是正をまず行う。それから、不法就労についての通報を行うかどうかというのはその次の問題でございます。 それで、今特にお触れになりました申告なり相談があった場合にはどうかという点でございますけれども、非常に一般的に申し上げれば、出入国管理法自体にも、不法就労の事実を発見した場合には、これは公務員としては通報する義務があるという規定もございますけれども、一方におきまして、相談、申告は本人が言ってくるわけでございまして、これをした場合に直ちに通報するということでは、この相談なり申告の制度自体が何といいますか、効果を上げ得ないということになります。そういうような行政目的との均衡を考えまして、申告、相談の場合にはまず原則として通報をしないというような取り扱いが実際になされておるわけでございます。
○伊東(秀)委員 是正措置をとるというふうにお答えになられましたけれども、例えば労働災害の事実が発覚した場合にはすぐに申請の手続をとりなさいとかいう形で具体的に指導するのか、あるいは賃金不払いの事実が発覚した場合に、通報しないから賃金の確保のための措置まで指導しているのか、ちょっと具体的にお答えいただきたいのです。
○佐藤(勝)政府委員 まず労働災害が起こった場合のことを申し上げますと、災害が起こって、これにつきましては事業主は監督署に報告する義務があるわけでございます。あるいはその他の端緒で発見をされる場合もありますけれども、その場合には監督署としては関係法令についての違反があるかないかということを中心にいたしまして事実の調査を行いますし、また労災補償の申請がございますれば、これは普通に日本人と同じように措置をするということになります。 それからまた、賃金不払いの場合でございますけれども、賃金不払いの事実があれば、これは賃金を支払わせるという指導をすることは当然でございまして、実際にそのような例は数多くございます。
○伊東(秀)委員 今おっしゃったような措置をとっている間は通報しないということを現実に行っていると解釈してよろしいのでしょうか。
○佐藤(勝)政府委員 先ほどは申告あるいは相談のことに触れて申し上げましたけれども、申告、相談を端緒といたしまして不法就労の事実がわかった場合には、その労働者の権利救済、それから労働基準行政としての業務運営に支障を招く場合もある。直ちに通報すればそういう場合もあるということなので、具体的に情報提供を行うか否かにつきましては、その情報提供の必要性、出入国管理行政機関に対します情報提供の必要性と、それから労働基準行政としての業務運営への影響を比較考量して個別に判断して対応するということになりますけれども、申告、相談という制度自体が本人からの申し出、当然ながらそういうことを前提にした制度でございますから、これを直ちに出入国管理当局に報告をするということになれば、その制度自体が無意味になるというおそれがほとんどの場合、あると思いますので、そういう観点に立って取り扱っている、こういうことでございます。
○伊東(秀)委員 申告、相談の間だけ通報しない、労災保険の給付申請が上がってきたときには通報するというのであれば、全然労働省としての労働関係法規の適用を確保するという行政目的も達成されないのではないか。申告、相談の段階で是正を勧告ないし指導したのであれば、その是正措置がきちんととられるまで通報しないというのが行政目的を確保するための当然の措置ではないかと思いますが、その点について明確にお答えいただきたいと思います。
○佐藤(勝)政府委員 労働基準監督機関といたしましては、まず労働者の権利の救済といいますか、その違法状態の是正ということを優先をいたします。優先をいたしますが、不法就労者に関し、重大、悪質な労働基準関係法令の違反が認められた場合と、それから不法就労者に関し、労働基準関係法令違反が認められ、司法処分または使用停止命令を行った場合と、それから多数の不法就労者が雇用されている事業場があって、当該不法就労者について労働基準関係法令違反が行われている場合などの事実があって、不法就労を放置すること自体が労働基準行政としても非常に問題になるという場合には、これは通報せざるを得ないということになるわけでございます。 いずれにいたしましても、労働基準法等の違反があればそれを是正する、それから労災の申請があれば、これに対して給付をするための手続を迅速に進めるということを基本にいたしてやっておるわけでございます。
○伊東(秀)委員 ただいまおっしゃられたような法規違反というのは不法就労者の側にあるというよりも、むしろ不法就労者を雇用していた側に悪質な法規違反がある場合というふうに受けとられるわけですけれども、そういう場合には不法就労者自身も通報される、そして、すぐに退去強制されるというのであれば、悪質な労働関係法規違反の被害に遭っている、最も人権救済を強く受けなければならない不法就労者ほど保護されないという矛盾を起こすわけです。むしろ労働省として、本格的に労働関係法規を適用し、基本的人権を保障するという立場、その行政目的を遂行するのであれば、徹底的に、そういう個々別々というよりも、むしろ人権救済に必要な期間は通報しないとか、あるいは通報しても退去強制しないとかいう明確な基準を打ち出す必要があるのではなかろうかと思いますが、その点について御答弁願います。
○佐藤(勝)政府委員 不法就労者といえども、その就労につきまして基準法等の違反がありましたときには、その是正をまず行うという立場であることは今まで御説明申し上げたとおりでございますが、ただ、すべての場合につきましてその不法就労の事実を関係機関に通報しないということは、現在の法律の建前から我々には許されないことであると思います。したがいまして、行政目的との均衡を図りながら、法違反による、言ってみれば被害を受けている労働者の救済をまず念頭に置きながらも、そういった法益の比較権衡を考えながら行政運営を行うというのが基本的な立場でございます。
○伊東(秀)委員 入管法六十二条二項の通報義務が公務員にあることは事実でございますけれども、先ほどから御答弁されておられるように、不法就労者であっても労働関係法規の適用がある。それを労働省としては実効性のあるものにしなければならないという立場に立つのであれば、例えば労働災害に外国人労働者が遭った場合は、治癒または症状固定するまでの間は滞在を保証するとか、給付申請手続に必要な期間は滞在を保証するとかいう形で実効性のある措置を同時に設けなければ、絵にかいたもちになるのではなかろうか。その辺の前向きな検討の御答弁を明確にいただきたいという意味で御質問しているのですが、ちょっと抽象的でわかりづらい面があります。
○佐藤(勝)政府委員 例えば災害を受けた場合にどのくらいの滞在をさらに認めるかということにつきましては、私どもからお答えする限りではございませんけれども、労災補償に関しましては、御本人あるいはその御遺族が帰国される場合でも、その場合に必要な調査をいたしまして労災の支給ができるようなことを迅速にやる、これは現実に行っておりますし、また帰国された後でも、法律上支払うべき必要な給付は外国送金をするなどの方法によって行っているところでございます。そういうふうなことで、例えば今おっしゃいましたように、帰国をした場合にその点についての権利保護に欠けることがあるということにならないように、現在厳に行政運営を行っているところでございます。
○伊東(秀)委員 具体的にお聞きいたしますけれども、人権救済上の措置をとる必要がある場合に、退去強制を猶予するとか仮放免の制度を弾力的に運用するとか、あるいは退去強制ではなくて出国勧告制度を活用するとか、いろいろな方法があるのではなかろうかと思いますが、そういった点についての現法規の中での弾力的な運用についてはいかがでしょうか。
○町田説明員 ただいまの御質問がありましたようなケースにつきましては、基本的に当局の方は不法就労外国人の積極的な摘発、それから速やかな退去強制の実施に努めているところでございますが、退去強制手続中、これら外国人につきまして賃金の未払いとか労働災害等の問題があるときは、当局は非常に人手不足でありますし、また、施設の問題、いろいろな問題、隘路があるわけでございますが、その中でできる限り配慮して、ケース・バイ・ケースで対応しているというところでございます。ただ、これら外国人に対しまして一律に何か正規在留を認めるというような考え方はちょっとできないだろう、こう思っております。
○伊東(秀)委員 今の御答弁で、ケース・バイ・ケースで前向きな処置をなさっていらっしゃるということで、その点は大変いいことではなかろうかと思うのですが、やはり不法就労者の不安定な身分に対する思いから言えば、ある程度基準を明確化する必要があるのではなかろうか。入管行政については余りに裁量の幅が大き過ぎる、もう少し基準を明確化すべきではないかという形の批判もございますので、その点は十分御配慮いただきたいと思います。 次に、研修ビザで入国して、実質就労というふうな形で認定されるケースが大変多くなっていると言われているわけでございますけれども、法務省入国管理局が一九八八年の四月から一九八九年の六月にかけて、東京、大阪、名古屋、広島、福岡、札幌の主要都市四十社に対する研修実施企業に関する実態調査というものを行っております。この中でも、研修名目ではあるけれども実質は就労であると認定したケースが二十三件に及んでいるわけでございます。このように研修ビザで入国しながら就労と認めた場合には不法就労者になるわけで、そうなれば当然、労働災害に遭った場合には労災申請ができるとか、六万円程度の小遣いしかもらってなくてこき使われていた場合には、当然の最低賃金法に基づく賃金ぐらいは支払いなさいとかいう労働者性を認めるべきであると考えますが、その点についてはいかがでしょうか。
○佐藤(勝)政府委員 労働基準行政の立場から申しますと、研修生であるか労働者であるかというのは、あくまでもその現場での実態の問題でございますので、研修生として入ってきている方が実態として労働者であるというふうに認められれば労働者として扱う、こういうことになります。
○伊東(秀)委員 といたしますと、労災申請あるいは賃金不払いに対する賃金を支払えというようなことも請求できるということですね。
○佐藤(勝)政府委員 労働者であれば、これについての法違反は監督省としては、通常の手続に従って違反があれば是正をさせるということになります。
○伊東(秀)委員 研修生であるか実質就労であるかというのは、大変その境界が難しいのではなかろうか。OJTがなされているのが実態ですし、しかも研修といっても時間外にまで及んでいるとか、長時間労働をさせられているとかいう事実がこの調査結果でも挙げられているわけでございますが、その点について、その認定はどこの機関で行うのか、何を一つのメルクマールにして行うのかについて御答弁いただきたい。
○大澤説明員 研修であるか就労であるかという点につきましては、御指摘のとおり大変難しい問題がございますが、私どもの経験に照らしまして、過去いろいろなケースを扱ってまいりました結果、入管法の改正の施行に伴いまして省令を定めました。この省令によりまして、九つの基準をかなり詳細に定めております。それを一々チェックすることによって、就労か研修かを振り分ける、一応これが現在の基準となっております。
○伊東(秀)委員 としますと、その最終的な判断は法務省の方が行うということなのでしょうか。
○大澤説明員 研修生として入国をしたいという申請がございますと、法務省といたしましては、関係者からいろいろな書類を出していただきまして、今申し上げました各基準についてチェックをいたしまして、就労の疑いがあるということになりますと、在留資格認定証明書というものを交付しないという措置を講じまして、その結果、そういう外国人の方々が入ってこれなくなるということでございまして、入国の段階においては、私どもがこの基準に基づきまして、チェックしておる次第でございます。
○伊東(秀)委員 私が今伺っていますのは、入国の段階ではなくて、研修ビザで入国して後に、実質は就労であった、つまり不法就労であるということが発覚した場合、不幸にして労働災害に遭ったとか、あるいは全く賃金に相当するものを支払われない状況で強制的に働かされていたというようなことで発覚した場合に、その労働者としての救済の認定をどこが行うのか、つまり、これは実質労働であったという認定をどこで行うのかという問題でございます。
○佐藤(勝)政府委員 研修生として入国をした後にどういうふうな実態にあるかということを、一般的に判定をするとか管理をするとかいう問題は別といたしまして、労働基準監督機関としては、あくまでも実態が労働者であれば労働者として扱うということに尽きるわけでございますので、例えばその人が研修ということで入っておりますが、実際の状態は労働者であるということになれば、それに関します法違反があれば、責任のある、労働者について必要な措置をとるということをいたすのは当然であります。
○伊東(秀)委員 先ほどの、八八年四月から八九年六月にかけて法務省が行った研修企業に対する実態調査に関してお伺いするのですが、この調査結果で二十三件が実質就労と判断された、それで即刻退去強制したというような報告があるわけでございますけれども、この事案において、労働者性は認めながら、そういった賃金の補償とか人権救済上の措置はとったのかとらなかったのか、とったとすればどのような措置をとったのか御答弁いただきたいと思います。
○町田説明員 ただいまの個別のケースにつきまして、具体的な資料等が手元にないので、ここで明確にお答えできないわけですが、私どもといたしましては、退去強制の過程で例えば本人がまだ賃金をもらっていないというようなことを申し立ててきた場合には、可能な限りもらえるようにしてあげるというか、そういうようなことは若干やっております。したがって、恐らくこのケースでもそういうケースがあればやっているであろう、こういうぐあいに思っております。
○伊東(秀)委員 労働省にお伺いしますけれども、今研修生の入国者が一番多いのは中国やタイである。それで、中国やタイから日本国に研修ビザで入国する場合三つのルート、つまり公的ルート、準公的ルート、それから民間ルートの中での民間ルートで入ってくる場合が一番多い。そして、民間ルートで入ってきて、その中国やタイのブローカーが事前に日本の企業と相通じていて、研修ビザで入国してそれで就労させているというようなことが報告されているわけでございますけれども、こういった事実が判明した場合、つまり、こういった事実というのは就労の実態が判明した場合に、先ほどでは労働者性を認めるということでしたけれども、彼らが労災給付申請等を具体的に上げてくれば、事実を審査して認定する場合もあるというふうに考えていいでしょうか。
○佐藤(勝)政府委員 当該外国人のその入国の経緯はともかくといたしまして、とにかく事業場における実態が労働者であれば要するに労働者として扱うわけでございますから、お尋ねのように、もし労災事故が起きまして、これが補償の対象になるということであれば、そのような手続がとられることはむしろ当然でございます。
○伊東(秀)委員 それから、この労働関係法規違反、さらには暴行、脅迫、強制労働等犯罪にたぐいする事実が判明した場合に、法務省、労働省ともに人権救済上の措置をとるという基本姿勢にはお変わりないかと思うのですけれども、それを具体化するためには、先ほども申し上げましたように滞在を保証しなければならない、一定の要件であるいは不法を合法化していく措置をとらなければならないのではなかろうか。つまり、不法就労をどういう形で解消していこうと考えているのかを両省に簡潔に御答弁いただけたらと思います。 〔委員長退席、石破委員長代理着席〕
○町田説明員 不法就労者をなくすということは、これは非常に困難な話であります。それは政府機関が努力しても、簡単に解決する話ではないのだろうと思います。 どういうことかと申しますと、我が国の周辺の諸国にはそれぞれの国内で十分な雇用の機会を与えられ得ない方々が億単位という膨大な数でおられるわけです。また、我が国とそれらの国との間の経済格差が非常に大きいという事実もございます。そういうような条件がございますので、必然的にそういうような国から外の国にいわば出稼ぎに行かれるというのが実態であるわけですが、行き先として欧米の先進諸国あるいは東欧、ソ連、中東、それから我が国、こういうような地域に分けられると思うのですが、先生御承知のとおり、欧米諸国でもかなり規制を厳しくしている。それから東欧、ソ連、これは一連の経済改革の関係で外国人をむしろ締め出しておられる。それから中東、これは今回の湾岸危機等の関係で出稼ぎが非常に難しい、大きなダメージを受けているわけでございます。そうしますと、行き先がないわけでございますから、その億単位という膨大な数の方方が機会があれば我が国においでになるという可能性があるわけでございます。そういう状況の中で、簡単に不法就労外国人をなくすということは非常に難しいだろう、こういうぐあいに思っております。 ただ、我々といたしましては、できる限り合法的な形で入国して在留していただくという方向で一生懸命努力する、そのためになるべく合法的に入る枠を政府機関全体で協力しながら広げていくべきだろうと思いますが、他方また、不法就労外国人については速やかに送還していくという基本的な考え方で臨むべきであろう、私はそのように考えております。
○佐藤(勝)政府委員 在留期間をどうこうするというのは私どもからお答えできませんけれども、私どもとしては、例えば災害が起きました場合に、その後の在留期間が短い場合も、長い場合ももちろんでございますが、十分な調査をできるだけ迅速にして必要な手続をとるということによって労働基準行政上の保護が行われるように努めておりますし、これからもそういたしたいと思っております。
○伊東(秀)委員 合法的な枠をなるべく拡大していくということでございましたけれども、例えば研修ビザで入って、六万円程度のお小遣いだけで実質長時間、汚い三K労働と言われるものをさせられるというような実態にならないように十分に力を注いでいただきたいと思います。 次に移りたいと思いますが、昨年ですか、女子銀行員の過労死事件というものが東京地方裁判所に提訴されましたけれども、これに関しまして女子労働の問題、さらには時間短縮との絡みでお伺いいたします。 労働省は、先ほどの御答弁にもございましたように大変時短を進めたいとおっしゃっていらっしゃる、さらに先月の二十二日ですか、企業が操業率アップのために時間外労働をふやすのは時短の流れに逆行するということで残業時間二割減を目指す方針を打ち出されました。さらに、現在施行後五年目に入った男女雇用機会均等法の見直しについては、その中にある女子保護規定を撤廃しようというふうに考えておられるということも報道されております。その理由としては、女子保護規定のために職種が限定されたり、あるいは男並みに残業できず能力が生かし切れないという批判があるから、これが女子労働者側から出ているためというような報道がなされておりますけれども、この二つの姿勢は逆行するのではなかろうか。一方では残業はなくしていかなければいけないという姿勢を打ち出しながら、男並みに残業できないのは女性の能力を摘むから女性の時間外労働の保護規定はなくすのだという方針、これは大変矛盾しているのではなかろうかと私は考えるわけです。 現実に、雇用均等法が施行されてから女子労働者の職場でのストレス性の疾患とかあるいは無月経、腰痛、慢性疲労、こういった心身の不調を訴える女性がふえてきていると言われております。特にコンピューターの導入の激しい金融業界では、現在は第三次オンライン化が進められまして、大変な能率のアップを図っている反面、このコンピューター化によりまして女子行員が大幅に削減されているという状況にございます。 それで、例えば、これは昭和五十六年の三月から六十二年の三月の六年間にかけて、ある大手の銀行の女子労働者の数と一人当たりの銀行の従業員の当期収益を比較したものを御紹介いたしますと、五十六年三月に七千五百十一人いた女子労働者は四千四百三十人に減少している。四割以上削減されている。ところが、銀行の従業員一人当たり当期収益は百八十二万四千円から六百八十二方五千円、四倍に増加しているという実態がございます。 こういうような大変な金融業界あるいは生保業界と言えばいいのでしょうか、機械化の進んでいる労働現場での女子労働の実態について、労働省ほどのように把握しておられるのか、御答弁いただきたいと思います。 〔石破委員長代理退席、委員長着席〕
○高橋(柵)政府委員 先生の御指摘がございました雇用機会均等法が施行されて五年目になるわけでございまして、均等法施行後女性の働く分野が広がり、また女性の処遇も改善されるというようなことで、その効果は大きかったわけでございますが、女性の労働強化が見られるのではないかということでございます。この女性労働強化という問題につきましては、これは雇用機会均等法そのものの問題ではなくて、いわゆる働き方、働かせ方というような広い意味での労働条件の問題でございます。これは男性も含めて労働者全体の労働条件の改善、労働時間の短縮ということが図られる必要があるというふうに私ども考えているところでございます。 基準法上の適用状況そのものにつきましては基準局の方の所管でございますので、そちらに譲りたいと思います。
○伊東(秀)委員 昨年提訴された過労死事件によりますと、この方は一九八九年の六月十二日に、ある大手の都市銀行で働いていた二十三歳の女子行員の方なんですけれども、極度の疲労により死亡したという事案で、今御両親が、これは過労死であったということで提訴されているのです。その中で、今問題にされていることといいましょうか、出てきた事実は、女性の時間外労働規制が労働基準法上ある。しかし現実には、オンライン化により、そして女子行員の大幅な削減により、所定内労働時間というのでしょうか、一日の労働時間が、実働時間が大変増加している。さらには、仕事の密度が高くなった、大変精神的な負担が増大している、こういう状況があり、時間外労働が五十時間から百時間にも及ぶ実態があるにもかかわらず、この労基法上の二十四時間に合わせるような勤務時間管理を行っているという実態。さらに、これは女性だけでなくて男性の場合、当該銀行のみならず多くの銀行で時間外予算制度というものを設けており、時間外労働をしてもその時間外手当の予算枠に応じて、例えば百時間労働しても三十時間とか二十五時間とか、そういったような勤務時間管理を行っているというようなことが言われているわけです。この点について、労働省及び大蔵省は把握しておられるのかどうか、御答弁願います。
○佐藤(勝)政府委員 労働時間の短縮という観点からいえば、もちろん所定内時間の短縮も中心でございますけれども、それにあわせまして所定外労働時間の短縮を進めていくということが不可欠でございます。そのためにことしは、現在労働大臣告示としてつくられております所定外時間の指針の見直しの検討にかかるということも予定をしております。したがいまして、非常に無理な残業というものはなくしていかなければいけないという認識はございますけれども、ただ、今先生が言われましたある銀行のいろいろな事実という点につきましては、現在会社の方が争っているということで裁判になっている問題だというふうに認識をいたしておりますので、私の方からとかく申し上げることは現段階では差し控えさせていただきたいと思います。
○伊東(秀)委員 当該銀行という意味ではなくて、銀行等金融業界にこのような事実があるということを労働省なり大蔵省は把握しているかという質問でございます。
○佐藤(勝)政府委員 労働基準監督署におきましていろいろ監督、調査をいろいろな事業所に対して行っておりますけれども、労働時間に関します法令違反というのは、銀行もありますけれどもほかの分野でももちろんございます。そういった、非常に一般的に申し上げれば、労働時間に関する規定も含めました法違反が数多く見られるという現状であるというふうに認識いたしております。
○永田説明員 お答え申し上げます。 ただいま労働省の方からお答えいただきましたように、現在具体的な事案につきましては裁判中と聞いておりますし、それから、本件につきましては労働行政のすぐれた問題と考えておりますので、大蔵省としては、いずれにしましてもちょっとコメントを差し控えさせていただきたいというふうに思います。 ただし、一般論として申し上げますと、銀行につきましても、その労働行政法規等各種法規を遵守して適切な対応をしなければいけないということは当然のことと考えております。
○伊東(秀)委員 これは「週刊現代」の一九八八年七月三十日付の号なんですが、やはりこの中にも、銀行の中で時間外労働をしても実際の残業時間に応じた手当が支払われない、さらには、そのために東京江戸川労働基準監督署に調査を依頼したこともあるというようなことで、その際には労働基準監督署から改善命令が出されたというような事実の報道もございますし、新聞紙上あるいは当該銀行の従業員組合の八八年の意識実態調査でも、今一番労働時間関係で重点的に取り組むべき問題は何かということについては、男性の四九・六%、女性の三七・四%が時間外が正確につけづらい等、時間管理強化に伴う問題が問題であるというふうな実態が浮かび上がってきております。これは、先ほどの両省の御答弁でも十分にこういった金融業界の問題については具体的には把握しておられないようでありますけれども、もし、これから御調査なさって、こういったようなことが事実として存在するということが判明したならば、大蔵省、労働省としてどういう御指導をなさるかについて、簡潔にお伺いいたします。
○佐藤(勝)政府委員 労働基準行政の運営の過程におきまして、銀行も含めまして、ただいま具体的に御指摘になりました超過勤務についての割り増し賃金に関する法令違反というものがございまして、我々としても、今先生の方からもお話が出ましたように、労働基準行政の網にかかったものにつきましては具体的に指導是正をいたしております。そのことは、今までもやってきたわけでございますけれども、今後とももちろん変わりはないわけでございまして、このような法令違反については是正指導に努めてまいる、こういうことでございます。
○永田説明員 お答えいたします。 先ほど申し上げましたとおり、銀行におきましても、労働法規も含めまして各種法規の遵守に努めるよう指導してまいることは当然でございますし、既に四十年に銀行の経営刷新といいますか、関係の通達も出しております。五十九年にもこれをフォローアップしておりますけれども、行き過ぎた資金獲得行為については厳に注意するということは指導もしておりますので、適正な指導に引き続き努めてまいりたいと思います。
○伊東(秀)委員 「日経ビジネス」一九九〇年七月十六日号で、全国銀行協会連合会の会長さんであられる端田泰三さんという方が、インタビューに対して、「十年前に比べると男性は減っていませんが、女性はかなり減らしております。そういう合理化を進める一方でマーケットは急成長していますから、物すごく多忙になっているのは確かです」というふうにお答えになっておられます。つまり、銀行は製造業に対して大変大幅な収益を上げているということ、土地の問題等々も含めて昨年あたりから批判を浴びているわけでございますが、労働省、大蔵省ともに政府の方針が時短である、さらには、生活のゆとりの向上ということを打ち出している以上、こういった経済大国の冠たる存在である金融業界からまず経営や労働のあり方に対する体質改善をきっちり図っていただくように行政指導していただきたいと思います。 最後になりますが、冒頭に申し上げました雇用機会均等法における女性の時間外の撤廃について、先ほどから質問に挙げました金融業界の実態も踏まえてでありますが、女性の健康破壊、過労死まで裁判になっているというような実情にかんがみて、この時間外の撤廃は、法の根本になった女子差別撤廃条約の精神、つまり女性の母性と労働の共存という精神ですけれども、さらには、労働省が今打ち出している時短の流れにも逆行するものではないかというふうに私は考えておりますが、その点について明確な御答弁をいただけたらと思います。
○高橋(柵)政府委員 労働基準法の時間外労働の制限等の女子保護規定、これは均等法の制定当時におきます均等、平等そして保護という基本的な命題の問題でもあったわけでございますけれども、雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保を実現するためには、当時の審議会等におきましても、男女労働者が同一の基盤で働けるよう、その労働条件の法的枠組みを同じくする必要があるという観点から、将来的には解消するという展望に立ちながらも、現実には女子がより重く家庭責任を負っているということ等も踏まえまして、六十年の基準法改正によります女子に対する保護を一部緩和し、原則としてこれを存続させることといたしたものでございます。 同法につきまして、労使双方からこの改正を望む声があるということは事実でございますが、私どもといたしましては、男子を含めた労働者の労働条件と労働環境の整備、家庭責任は男女共通の問題であるという社会全体のコンセンサスの形成など、女性の職業生活と家庭生活の両立を可能にするための条件整備ということに努めてまいることが重要であるというふうに考えております。
○伊東(秀)委員 今御答弁にもございましたように、女性の家庭生活と社会的労働の両立、共存ということを実質的に確保する観点、さらには、今出生率が大変下がってきているわけでありますけれども、このような女子労働者が増加している現在、こういった残業をさらに野放しにするような方向への法改正は、ますます育児と労働の両立を不可能にし、出生率のさらなる低下につながるのではなかろうかというふうに危惧しているものでありまして、そういった点からも、よくよく考慮をし、撤廃することのないよう望みまして、私の質問を終わらせていただきます。
○浜田委員長 岡崎宏美君。
○岡崎(宏)委員 岡崎です。私は、今、過労死の問題などがテーマになって論議が進んでおりますけれども、労働大臣、所信表明の中で、日本の発展は一人一人の勤労者の汗のたまものである、これをどうにかして豊かさを還元をしたい、そういう所信をいただきましたので、ではどういうふうに具体的に還元をしていただくかということについて幾らかお尋ねをしたいと思います。 今、銀行の女子職員の過労死が一つ問題になったわけですが、私は、ある男性の働き方についてまず大臣にお尋ねしたいと思います。 ここ三月の残業時間が毎月百時間を超えている。彼には所定労働時間というものが会社との契約の中であるわけですが、実際の実労働というのは所定の時間の一・七倍であった。ひどいときは一・八倍であった、こういう状態がずっと続いていて、毎日十一時間以上はぶっ続けで休みなく働いている、こういう人がおります。 大臣にお聞きしたいと思いますが、こういう働き方は非常にゆとりのある働き方でしょうか、それともやはり、過重だなという働き方でしょうか。一度お聞きをしたいと思います。
○小里国務大臣 お答え申し上げます。 先生も御承知のとおり、勤労者もそれぞれ形態がさまざまございます。そしてまた就労の、産業、企業の現場もさまざまにわたっておるわけでございまして、中でも、ただいま先生お触れになりましたような、そういう特異な一つの好ましからざる現象もあろうかと思う次第でございます。 私どもは、いわゆる大所高所から、しかも具体的に、ただいま御指摘になりましたような明暗両面にわたる就労者の現業務の状況を的確に把握しながら、そして適切、迅速に対応していかなければならない、かように感ずる次第でございます。
○岡崎(宏)委員 特異な例ではあるけれども、好ましからざる状態であるということはかなり過酷な働き方だな、大臣、そういうふうに受けとめていただいたというふうに考えてよろしいのでしょうか。あえてお尋ねいたします。
○小里国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
○岡崎(宏)委員 実は、今大臣にお尋ねをいたしました働き方をしていたある男性と申しますのは、二月二十一日の朝日新聞に載っていた記事の男性なんです。彼は当時三十三歳のコンピューターのシステム開発をしていたソフト技術者なんです。この人が実は脳幹部出血ということで亡くなったわけなんですね。この方の奥さんが非常に心配をいたしまして、彼の働き方は非常に過酷だったと、今労働災害の認定を求めているわけですが、実はこの人の働き方について、会社側は「この程度の労働実態は過重なものとはいえない」こういうふうに言っているのです。 私は、労働省というのはいろいろな任務はあると思いますが、しかし、あくまで労働者の保護というものが最重点に考えられなければいけない。しかも、仮に百歩譲ってこれが特異な例だとしても、こういう特異な例が我々の側から見れば、いろいろ実態を見ていくとやはりたくさん出てきているということを考えるときに、企業にこの程度の労働実態は過重なものとは言えないというふうに言わせている労働省の姿勢を私はお尋ねしないわけにはいかないのです。これについていかがお考えでしょうか。
○小里国務大臣 大変基本的に大事な問題点をただいまお尋ねいただいておると思います。 すぱっと申し上げまして、雇用の促進、そしてまた、労働者の基本的権利をきちんと守ってあげる、そしてまた、そのことは職場環境から、あるいは福利厚生施設あるいは雇用条件、百般に及ぶであろう、そういう基礎的な心得を私どもは常に厳粛に堅持しながら対応しなければならぬ、さように考えておるところでございます。
○岡崎(宏)委員 実はこうした、特にこの方の場合も内部のあるいは心臓の系統で、今過労死と言われる部分の大半だと思うのですが、過労死一一〇番というものが、やはりたくさん問題が出てくる中で、弁護士の皆さんであるとかあるいは労働団体の皆さんであるとか、いろいろなところで協力をしながらやっております。大変な件数が上がってきているというふうに言われているんですが、しかし、その大半は労災の認定がされない。なおかつ、皆さん結局裁判ということに持っていくわけですが、その判定が出るのにはなかなか時間がかかる。これは労働者の保護、私は、労災の補償というのは労働条件の一部分だと思うのですけれども、これがうたわれている労働基準法をきちんと守らせていく、そういう立場の労働省としては、この労災の認定ができるだけ速やかに、しかも、今問題になっている過労死というものが、あくまでも遺族や——遺族というものを本当はつくってしまってはいけないわけですが、それでも出てきた以上、遺族の皆さんや、あるいは今もうその手前と言われている多くの労働者の保護のために、ぜひ必要な人員を確保するなりなんなりしてやっていただきたいと思うのです。あえてその御決意をお伺いをしたいと思います。
○小里国務大臣 お話もございましたように、また、先ほど私も答弁申し上げましたように、基礎的にはさような一つの心構えで当たらなければならないと思っておりますが、さらにまた、平たく申し上げまして、それぞれの現場におきまして、ただいま先生御説明いただいたような具体的現象が出てまいろうかと思います。やはり、その場合にこそ積極的にその状況の把握に努める、そして、適切かつまた勤労者に対しまして怠りのないような行政措置を万全に施しておこうという一つの意欲的な対応というものはおっしゃるとおりでございまして、日ごろ私ども、二万五千前後でございますか、労働省挙げてそのような基本に立って対応をいたしておるつもりでございますが、また、よくよく各位の御指摘等も、あるいは希望なども十分勘案しながら努力を続けてまいりたいと思っております。
○岡崎(宏)委員 行政上のあらゆる措置を具体的にしていただくために、実際のところを少しお尋ねをしてみたいと思います。 今、労働災害というのがよく言われますが、しかし、労働省の統計上は減少傾向だというふうによく説明がなされるわけです。それでも、数字に上がってくるだけで七十七万件、それに該当する人数にすれば二十二万人、こういうふうにやはり大変大きな数字が上がってきているんです。しかも、その数字に出てくるのは、労災の発生状況が明らかになるのは休業四日以上ということですから、それ以下のものも含めていきますと、もっともっと実際には多いだろうと思われます。 私は兵庫であるわけですけれども、一月の二十四日付で兵庫の労働基準局が労災の発生状況をまとめております。その中で、九〇年の死亡者が百三十一人、こういうふうに挙がっております。その中には昨年の長崎屋の火災の十二人も含まれてはいるわけですが、それでも八九年と比べると二十人以上死亡者がふえているのです。過去十年で比べてみましても、一九八一年に次いで悪い記録になっております。 具体的に各企業あるいはそこで働く人たちを健全な状態で働かせるために監督していただいている官庁として、こういうふうに実際上がってくる数字がなかなかよくならない、これはどういうことなんでしょうか。特に兵庫でこういう数字が上がっておりますけれども、その内訳なんかも含めてぜひ現状をお知らせいただきたいと思います。
○佐藤(勝)政府委員 ただいま兵庫県の例をお出しになりながら最近の労働災害の発生状況についてお尋ねがございましたけれども、もちろん地域によって違いがございますが、ごく最近の現象として全国的にまた死亡災害がふえてきているという傾向がございます。ただ、長期的に見ますと、例えば十年間をとってみますと、休業四日以上の災害あるいは死亡災害、両方とも顕著に減ってはきておりますけれども、死亡災害につきましては、昭和六十二年、六十三年とふえてまいりまして、私どもとしても大変な危機感を持っていろいろな対策を講じた結果、平成元年には前年に比べましてこれは減りました。減りましたが、平成二年にまた死亡災害が、全国の数字でございますが、増加をしてくるというような状況でございます。 具体的に申しますと、平成二年速報値で二千五百二十七人の方が労働災害でお亡くなりになっておる。これは前の年に比べますと百八人の増加ということでございます。産業別に見ますと、特に死亡災害をとってみますと、その四割以上が建設業ということでございまして、これは、最近の非常な好況に重ねまして、人手不足の問題、熟練労働者の不足の問題あるいは労働者の高齢化の問題、いろいろな事情が作用していると思いますが、そういう事情に対応した労働災害の防止対策を必ずしも十分にとらなかった結果としてこういうふうになっているのではないかというふうに我我としても非常に懸念をいたしておるわけでございます。 労働災害の防止につきましては、従来から労働災害防止計画、現在は第七次の計画でございますが、そういう計画に基づきまして計画的に進める、それから労働安全衛生法、それに伴います諸法令の整備、それから、そういう法令に関します労働基準監督機関によります監督指導、それから事業者自体の自主的な災害防止活動、これは企業レベルでも必要でございますし、また、事業主の団体レベルでも大いに推進をしていただくということで、いろいろなことをやってきているわけでございます。 いずれにしましても、最近の状況として死亡災害はふえる傾向にあるということは、私どもとしても非常に危機意識を持って受けとめておりまして、今後とも労働災害の防止につきましては非常な決意を持って当たりたい、かように考えております。
○岡崎(宏)委員 死亡災害はわずかとはいえふえていっているというのは、一方で、先ほど申し上げたように、一人一人の体を本当に破壊をしている状況とあわせて、豊かさとはかけ離れた状態が生まれていっているわけですから、行政指導も含めてぜひ力を入れてやっていただきたいというふうに思います。 もう一つ、これはある意味で過労死などを防いでいくためのものにもなるのではないかと思いますので、ちょっとお尋ねをしてみたいと思うのですが、よく職場で健康診断をいたします。これは一九八九年の統計だと思いますが、職場の定期健康診断の結果、病気を持っているというふうに言われた人が百四十四万人という数字が上がっております。これは受診者の一三・三%、こういうふうに言われているのですけれども、これは労働省の方に報告の義務があるのは五十人以上の規模の事業所である。ところが、私たちよく大変なんだというふうに聞く実態を多く持つのは、むしろ五十人未満の規模の事業所で多い。しかも五十人未満の事業所というのは全事業所の数の中のもう九七%ですし、労働者の数で言えば五七%を占める。なぜここの部分が統計に上がってこないのかというのは、これだけ大勢の人を対象にしている部分が統計にこれまで上がっていないというのは非常に不思議なことですし、統計に上がっていないとしても、どういうふうにいわゆる中小の事業所の人たちの健康状態を労働省としてつかんでこられたのかということを教えていただきたいと思います。
○佐藤(勝)政府委員 労働安全法に基づきまして、事業者には労働者の健康診断を義務づけておりますし、これは規模の大小を問わず義務づけておりますし、また、お話しのように労働者五十人以上の事業場につきましてはその結果の報告を求めているところでございます。 それで、この報告を求めている理由でございますが、これは全国労働者一人一人の健康状態をくまなく国で把握するというようなことでは実はないわけでございまして、労働者の健康診断からあらわれました一般的な健康状態を把握いたしまして、これに関連をいたします政策立案等の資料とするために報告をとっているというのがこの報告の目的でございます。そういうことからいいますと、全般的傾向を把握するためには常時五十人以上の労働者を雇用する事業場からの報告を集めていれば足りるという考え方に立っておるということをまず申し上げます。したがって、こういうことから特殊健康診断、つまり安全衛生法規に基づきまして有害業務に指定をされている業務に従事する労働者に対する健康診断につきましては、これは事業場の規模に関係なく報告義務を課しているということもございます。 そういうことで、若干報告をとることの趣旨がこういうことだということについての御理解をまずいただきたいのですが、そんなこととは別にいたしまして、とにかく労働者について健康診断を行うということは、これは事業場に、事業主に義務づけているわけでございますから、私どもとしましても、この義務が確実に履行されますように、いろいろな機会を通じましてこの健康診断受診促進のための指導を行っているところでございます。報告義務の問題につきましては一応そのようにお答えをさせていただきたいと存じます。
○岡崎(宏)委員 それでは、報告義務はとりあえずないけれども、大半の部分を網羅しているのが中小と言われる部分ですから、そこの労働者の状態というのはおおよそどういうふうにつかんでおられますか。
○佐藤(勝)政府委員 ただいまの御質問は、その健康診断の結果についてどうか、こういうことのお尋ねというふうに理解をいたします。 定期健康診断の実施結果でございますけれども、これはもう製造業が代表的なものだと思いますので、とりあえずそれについて申し上げますと、健康診断の実施されました事業場の数が二万五千七百九十八、その受診者数が四百六十六万五千六百九十五、疾病の総数が五十万一千五百二十二ということで、疾病発見率が一〇・七%というような数字でございます。これは製造業全体でございますけれども、事業の種類によって疾病発見率が非常に高いものもございます。例えば、石炭鉱業でありますと一五・七%についての疾病が発見をされている、非鉄金属鉱山については一七・四%、金属石油等工業につきましては三五・七%というふうに、産業によって疾病発見率が大変違っているという実態も明らかになっておるところでございます。
○岡崎(宏)委員 製造業だとかそういう部分になると随分有病率もふえていっているんじゃないかと私は思います。統計をとるという趣旨、さっきおっしゃいましたから、その趣旨からいくとやはり多い方の部分が義務づけられていないというのは非常に不思議だというふうに言われてもちょっと仕方がないんじゃないかと私思いますので、ぜひこれは、そちらの方の統計をとる側の体制の問題もあるのかもしれませんけれども、これは検討していただきたいというふうに思うのです。 それで、実はたくさんいろいろな部門で今条件が非常に問題があるというふうに言われているのですが、私、つい最近病院の現場を見てきましたので、少し看護婦さんの問題についてお尋ねをしてみたいというふうに思います。 先月四カ所の病院、私ども社会党の視察団が回ってまいりました。私は、夜勤をしている看護婦さんのところも一緒に行っていろいろなお話を伺ってまいりました。ちょうどもう大きなおなかの妊婦さんが一人で病棟で夜勤をしているところにぶつかりました。その人だけでなく、たまたま私も県の職場におりましたので看護婦の仲間たちの様子もたくさん見てさましたけれども、非常に少ない人数、二人月八日夜勤というのはよく言われますけれども、それも守れない状態の中でたくさんの人たちが働いております。そういう中で今看護婦さんの人手が随分不足しているということが言われております。何で不足するかというと、週休二日制はなかなか進まないわ、夜勤の回数は本当に多いわ、また賃金保障も、年齢とともに上がっていけばいいですけれども、もうある年齢を過ぎるとほとんど上がらないという状態であるとかいうことが実際に起きてきているわけで、やはり魅力のある職場とはだんだん言いがたい。魅力を感じるどころか、これ以上ここで働いていると体がもたないという声が大きくなって実は看護婦さんたちが職場から離れていっているというのがあると思うのです。 そこで、お尋ねしたいと思うのですが、いろいろな規模がありますけれども、今民間の病院で看護婦さんたちの週休二日制の普及率というのはどのくらいになっているのでしょうか、ちょっと教えていただきたいと思います。
○佐藤(勝)政府委員 労働省で昨年労働時間総合実態調査を行いましたけれども、これによりますと、病院だけ抽出したわけではございませんが、大部分が病院であります保健衛生業の状態を申し上げますと、完全週休二日制をとられている割合は、労働者の割合にいたしまして四・二%ということでございます。
○岡崎(宏)委員 マイクを通して声がよく聞こえにくいものですからあれなんですが、完全週休二日の分が四・五とおっしゃいましたか。
○佐藤(勝)政府委員 もう一度繰り返させていただきますが、保健衛生業の完全週休二日制の実施率、これは労働者の割合で見まして四・二%でございます。
○岡崎(宏)委員 普及率が非常に悪いと思うのですけれども、一方で看護婦さんをどうしてもふやしていきたいという考えがある以上、少し改善の方向を出していただかないとやはり魅力を感じて人はやってこないと思うのですよ。この非常に悪い普及率をどういうふうに伸ばしていくお考えでいらっしゃいますか。
○佐藤(勝)政府委員 病院業におきましては、その性格上、救急救命という突発的事態にも常に対処が求められるというようなことで、労働時間短縮が率直に申しまして進めにくい面があるということは否定をできないわけでございます。しかしながら、国民の生命、健康を守る重要な仕事をされている看護婦さんでございますので、この看護婦さんを初めとしまして民間病院に働く労働者の方々に生き生きと働いていただくためにも、労働時間の短縮が重要であるということは論をまたないところであります。そのためにどういうことをするか、こういうことでございますけれども、労働省としましては、病院の集団を対象としました指導を行うというようなことによりまして、労働時間短縮につきまして自主的な努力を促進するための指導、援助を行うということが一つ。それから、労働基準監督機関によります的確な監督指導を行うということによりまして、労働時間を初めとする労働条件の改善向上に努力をしているわけでございますが、今後においてもこうした相談、援助に努めてまいりたいと思います。ちなみに労働時間の短縮……
○浜田委員長 佐藤局長、答弁はもう少し言葉を明確に、大変聞き取りにくいようですから。
○佐藤(勝)政府委員 それで、特に労働時間の短縮が困難な集団につきましては、労働時間制度改善援助事業というものを行って指導しているわけでございますが、この事業の対象に病院の集団を選定して実施している、こういうことでございます。
○岡崎(宏)委員 ずっとこの間、労働時間の短縮に向けての問題があると思うのですが、労基法の法定労働時間の短縮ということがありますね。六十三年、労基法が改正されて一週間の法定労働時間が四十時間になりました。週四十時間制が確かにそこに書かれたのですけれども、当面は四十六時間というふうに読みかえがされたり、あるいは猶予期間が置かれたりというふうにされて、実質、働いている人たちにとっては労働時間の短縮がなかなか進まない。特に病院や社会福祉施設については労基法の八条第十三号の事業として分類されてきて、特に三十人以下の労働者を使用する事業場については適用猶予の対象事業場として取り扱われることになった。そして、ことし三月三十一日までの間は週四十八時間というふうにされています。また、五人未満の労働者を使用する病院あるいは社会福祉施設については、やはりことしの三月三十一日までの間、これは一週間五十四時間あるいは一日九時間労働をさせることができるとされています。ことし四月一日以降について、当面の労働時間は四十六時間から四十四時間へというふうに二時間短縮するとなってきていますけれども、まだ猶予するよとされている事業の範囲は変わらない。病院や社会福祉施設について、三十人以下の事業場は週四十六時間、一人から九人の規模の事業場は四十八時間というふうに特例がされている。こういう特例がどんどん変わらないでまだ残っていくと、いろいろな特殊事情があるからというふうに言われていきますと、いつまでたっても労働時間の短縮は進まない。いつまでたってもそこに働く看護婦さんの働きづらい状況は変わらない。そうするともう悪循環の繰り返しで、やはり人が来ないわけですから、思い切ってここを改善してほしいと思うのです。何で三十人以下の事業場について法定時間四十四時間に移行できないのかということをお尋ねしたいと思います。
○小里国務大臣 先ほどから民間病院看護婦勤務状況等を一つのベースにしているいろ御指摘いただき、ただいまは労働時間短縮、一般論としての御指摘でございます。もう前段につきましては局長の方から御答弁申し上げたところでございますが、先ほどの先生のお尋ねをお伺いしながら、また、私自身労働省で用意いたしました資料などを特に数値の面等で見ながらお伺いいたしておるところでございますが、御指摘の問題点と申し上げましょうか、解決を迫られる問題等も確かにあろうかと考えております。特に病院というのは、申し上げるまでもなく、言うなれば救急救命という非常に特殊な一つの業務形態でございまして、それらの状況も勘案しながら、さらに先ほど局長の方から答弁申し上げましたように、自主的な事業主あるいはまた従業員等の話し合いによる積極的な解決も求めておるところでございますけれども、労働省といたしましても、具体的に、かつまた適切な対応を怠ってはならないと思う次第でございます。 なお、最後の方のお尋ねでございますが、なぜせっかく法定労働時間四十六時間を四十四時間に持ってきた、それにもかかわらず特例を設けるのかというお話でございますが、簡単に申し上げまして、全体としての労働時間の短縮を決断し、かつまた、それを実行にのせるという前後の状況等からいたしまして、速やかに、かつまた、円滑にそうすることが行いやすいんだという一つの状況もあろうかと思う次第でございます。しかしながら、そのような猶予の期間の客体になる事業主といえども、やはり本則の四十四時間という一つの基本を決めたなれば、その基本に立った協力を積極的に求めていく行政指導あるいはまた助言等を怠ってはならない、かように考えておるところでございます。
○岡崎(宏)委員 ぜひ私は効果を期待したいとは思いますけれども、しかし、猶予期間を置かれ、ここは特別なところだからもうちょっと待ってというふうに言われている中で働いている人にとっては、本当に暗い状態なんですね。 では、いつごろこの猶予期間を外していくということを目標に置いて、どういうふうな指導をされようとしているのかということをお聞かせいただきたいと思います。
○小里国務大臣 猶予期間は二年間でございます。
○岡崎(宏)委員 それ以上延びないというふうに考えてよろしいでしょうか。
○佐藤(勝)政府委員 四月一日から実施をされます週四十四時間への移行の政令におきましては、この猶予措置は二年間というふうに規定をされておりますので、そのままいけば二年でこの猶予措置がなくなる、こういうことになります。
○岡崎(宏)委員 それでは、二年後さらに何かの猶予期間はもうつかない、こういうふうに考えて努力をいただくというふうに私たちは解したいと思いますが、よろしいですね。
○佐藤(勝)政府委員 ただいま申し上げましたのは政令の規定の仕方について申し上げたわけでございますけれども、今後どのように進めるかということは、私どもとしては一生懸命やっていきたいと思いますけれども、二年後以降どうするかということにつきましては、ことし実態調査をやりまして、中央労働基準審議会の場でも御議論をいただき政策決定に至るというふうに考えております。その場合に、平成四年度末を計画期間とする労働時間短縮計画、それから経済運営五カ年計画についてはもちろん重要な区切りであるというふうに考えておるわけでございます。
○小里国務大臣 これは先生よく研究なさっておいでになりまして、おわかりいただいておるところでございますが、先ほどの前後の答弁に絡めて私の方からもう一回お答え申し上げたいと思うのでございますが、御承知のとおり、「世界とともに生きる日本」経済運営五カ年計画、昭和六十三年の五月の二十七日策定をいたしております。また、それと前後いたしまして、六十三年の六月の十七日いわゆる第六次雇用対策基本計画を策定いたしております。こういうような一つの大きな政府の正式の方針を背景にいたしまして、私どもは、ただいま先生が恐らく念頭に置いて質問を展開なさったのではないかと思うのでございますが、言いかえますと、完全週休二日制です、そして法定労働時間四十時間です、総じて一千八百時間です、これはもう言うなれば表裏一体の目標でございますが、これを、平成四年を最終年度としての啓発運動を目標に置いてやっておるわけでございますから、私ども行政としては、この政府の方針を手がたく、そして忠実に実行するために今全力を挙げておるところでございますから、先生の御質問の、一つの念頭に置かれたその期待にこたえられるように努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○岡崎(宏)委員 たくさん形容詞を並べていただいて非常に恐縮しておりますが、しかし、私たちといたしましては、また多くの働く人たちから見れば、今の時点では猶予期間を二年に限ったけれども、二年先のときには、そのときの審議会でまたいろいろ相談をいただいてというふうなことを何度も何度も聞かされますと、労働省というのは本当に今だれの方を向いてくれているのだろうと、ふと疑問を感ぜざるを得ませんから、ぜひきちんと、この二年間猶予期間は仕方がないとしても、もうこれ以上猶予期間なく、本当に日本の中で働いている人々のためにも、それこそ世界から詰められているわけですから、その人たちのためにも私たちの国の労働時間は千八百と、ここまでやってきたんだというふうに胸を張って言えるようにぜひ強力な行政措置をとっていただきたいと思います。 少し時間がなくなってきましたが、ちょっとお尋ねしたいことがあります。 これはパートタイムの問題なんですけれども、私ども兵庫でパートタイム一一〇番という、これは労働組合の人たち、弁護士さん、いろいろな役所の関係の人もそれぞれボランティアで、ちょっと時間をいただいて手伝っていただいたりしながらパートの人たちの相談を受け付ける場所を持っております。ついこの間も春の強化週間ということでやりましたが、年二回集中的に受け付ける週間を持ち、あとは常時いつでもいいですということで受け付けているのですが、集中的なことをやりますと、五百件を超えて電話がかかってくるんです。税金の話だとか社会保険が相談の大半にはなっているんですけれども、その中で、雇入通知というのは見たことがないというか、相談をずっと聞いている中で、あなた雇入通知をもらいましたかと言うと、そんなものは知らないとかということもありますし、ちょっと文句を言うといきなり首を切られたとかということもありますし、突然あなたはあしたから来なくてよろしいと言われることもあるんだという相談が非常に多いんです。こういうのをどういうふうにごらんになっているんでしょうか。 私たちも非常に心配しまして、ではどういうルートでその人たちがパートの先を見つけてきたかというのを聞きますと、知っている人から紹介をされたとかということが大半ですね。たまたま労働省が出しておられる数字を見ても、知人友人に紹介されてというのが一番ですね。それから、いわゆる求人雑誌がそれに並ぶ形で二番目ですね。本来なら、きちんとお互いに条件も確認しながらできる役目を持っている職安というのは非常に低い位置にある。本当を言うと、みんなが職安に行って職を探せばこういうトラブルは防げるものがいっぱいあると思うのですが、ここら辺はどういうふうに現状認識していらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。
○佐藤(勝)政府委員 パートタイム労働者の労働条件に関連するお尋ねでございますけれども、パートタイム労働者には労働基準関係法令が適用されないというふうな誤った認識があるわけでございます。それで、パートタイム労働指針において決めております雇い入れに際し雇入通知書の交付ということが必ずしも励行されていないというようなこと、それからパートタイム労働者を解雇する際に労働基準法に定められている手続が行われていないものが一部に見られるというような問題、トラブルがあることは御指摘のとおりでございます。 私どもとしては、このようなパートタイム労働者の労働条件の改善を図るために平成元年六月にこの指針を告示したところでございまして、この告示の内容が定着するようにいろいろな機会を通じまして鋭意努力をしているところでございます。 特に労働条件の明示につきましては、この中でも非常に重要な問題でございますので、この指針とは別に、雇入通知書のモデルを作成いたしまして、これを用いて労働条件の明示を徹底させるように指導しているところでございます。 このようなことで、今後ともあらゆる機会をとらえまして、労働基準関係法令の遵守、告示の定着化に努める、それから的確な監督指導を労働基準監督機関によりまして行うということによってパートタイム労働者の労働条件の確保、改善を図るということに努力をしてまいりたい、こういうふうに思います。
○岡崎(宏)委員 今パートタイムの指針が出されていて、それに基づいて雇入通知なり、あるいは雇用労務管理者の設置なりが指導されているわけですね。しかし、それに関しては、あくまで指導であって、そうしなかったからといって何の罰則もない。そういう中で効果のほどはどうなんだろうかということをお尋ねしたいと思いますし、今私たちが知る限りでも本当に多くの相談があるわけですから、問題がないとは言えない。パートタイムの労働者の人たちのための指針を早く、単なる努力するものだけではなくて、やはり守らなければ罰則も含めてというふうな本来の保護のための法制定をするお考えがあるかどうか、私たちはできるだけ早くしてほしいと思いますけれども、大臣にお聞きしたいと思います。
○小里国務大臣 お答え申し上げます。 パートタイム労働者の労働条件等にかかわる改善指導等については、先ほどもお答え申し上げましたように労働省の一定の指針をもちまして対応いたしておるところでございますが、それでは不十分だからもう少し法的に拘束性を加えたきちんとした対応措置がさらに必要ではないかというお話でございます。実は、私も就任いたしまして、この問題を過去の本委員会の議事録等からしばしば指摘いただいておることを承りましたので、率直に申し上げまして事務当局ともお話をしてみました。その結果を簡単に申し上げますと、労使の意見の隔たりが非常に大きいな、実はそういう感じも受けたところでございます。目下関係諸法令等をできるだけ身近にとらえなから、そして、おっしゃる方向でパートタイム労働者のいわゆる諸権利あるいは労働条件の改善を図ってまいらなければいけない、こういうふうに考えておるところでございますが、改めて、さしあたって法的整備はどうするか、こうおっしゃいますと、時間をいただき、ただいま申し上げましたような気持ちで検討させていただきたい、こういうことでございます。
○岡崎(宏)委員 ぜひ前向きに御検討をいただきたい、そういうふうに思います。大臣がそこまで関心を持っていただいているということ、私たちは、うれしいな、率直にそう思いますけれども、働いている人の保護ということをまず一番に考えていただいて、今すぐできないにしても、なぜできないかというあたりをきちんと踏み越えていくようにしていただきたいと思います。私たちもこれから非常に注目をしまして、また具体的な要求をさせていただきますので、お願いいたします。 終わります。
○浜田委員長 沖田正人君。
○沖田委員 先ほど同僚の岡崎宏美委員から、医療現場や福祉現場で働く労働者の労働時間短縮問題についての質問がございました。私からも、重複をしない点で大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。 看護婦さんは今でも白衣の天使として子供たちのあこがれの職種であるわけであります。それは、病める者にとりまして温かな救いの手を差し伸べるという献身的なイメージがあるからにほかならないのでございます。こうした子供たちの純粋なあこがれの気持ちを持って看護婦さんになろうとしたときに果たしてどうだろうかということになるわけでありますが、実態は、きつい、汚い、危険といった3Kの職場の代表としてその存在があると言わざるを得ないのであります。そして、こうした職場に若い人は集まってこない、長続きをしないという実態と構造があるのではないでしょうか。聞くところによれば、看護婦さんの退職理由の第一位は、結婚、出産、育児となっておりまして、これは女性としての基本的なライフスタイルをも侵害しているのではないかと思います。 そこで、看護婦さんの有資格者が百七十万人とも言われる中で、就労者は七十七万人、実に就業率は四五%と、多くの有資格者が働きたくても働けない実態にあるのではないでしょうか。幾ら週休二日制、時間短縮を言っても、マンパワーの充足がなされなければ問題は解決されません。一時離職した看護婦さんの再就職をしようとする場合に、短時間の就労を希望する者があるわけでありますが、そういう場合もあるわけでありますが、ある程度柔軟な雇用形態、労働時間管理を導入していく必要があると思いますが、大臣の所見をお伺いをいたします。 二つ目に、岡崎宏美委員が指摘をいたしましたように、完全週休二日制の実施という問題については、平成四年度がリミットになっているわけでありますが、どうも先ほどからの答弁をお伺いいたしますと、ことしの実態調査に基づいてさらに延長があり得ることを、どうもそういうふうに聞こえてならないわけでありますが、きちっと大臣答弁で歯どめをかけていただきたい。平成四年度には完全週休二日制実施を実現をいたします、もしも、ことしの調査で不十分な点が出たら、マンパワーの充足等に対して積極的な努力をいたしますというように、力強い確かな発言をお願いいたしたいと思います。
○小里国務大臣 お答え申し上げます。 病院という特殊な就労現場あるいは就業現場でございます。申し上げましたように、まさに救急、救命という非常に社会的にも重要な使命感を持つ、そして重要な任務を担っておりまする一つの就業の現場であります。そしてまた、お話ございましたように、必ずしも看護婦の募集あるいは就労等は円滑に行われていない、いわゆる需給関係というのは厳しい関係にある、それにもかかわらずある意味のミスマッチと申し上げましょうか、ただいま先生御指摘のように、正規の資格を持った看護婦さんはたくさんおりますよ、しかしながら、現実に就業してサラリーをもらっております看護婦さんは半分にも足りませんよ、そういうような状況はどうして出てきておるのか、発生をいたしておるのか、その背景をよく検討する必要があると思う次第でございます。 申し上げるまでもなく、看護婦さんたちの就業、就労形態というのは、他の一般産業とは隔たった特異なものがあることも私どもはよく承知をいたしております。そのようなこと等もよく把握をしながら対応を、措置を講じていかなければならないと思う次第でございます。 それから、特に先生が完全週休二日制、きちんと平成四年という目標があるじゃないか、これに対する私どもの労働行政という立場からどうもボリュームがないのじゃないか、一部危惧の気持ちをお持ちのようなお話でございました。私どもは決してそういう生易しい気持ちで考えておるわけではございませんでして、今日のいろいろ分野の広い労働行政の中で最も重要なる施策の一つは時短である、こういうふうに考えておるわけでございまして、その時短の中におきまする、また、その特定の事業が家庭生活等に及ぼす波及効果を考えるときには、完全週休二日制というものはそのほかの時短のための目標項目に劣らず大事な問題ではなかろうか、さように考えておる次第でございます。 先ほども若干申し上げましたように、時短の流れはおかげさまで、そしてまた、それぞれの労基法を中心にいたしました改正等いただきまして非常に弾力性がついてきておる、着実に伸びてきておる傾向がございますから、私どもはここで一段と、気を緩めずに、決断と、そしてまた実効性のある計画をもって対応したい、かように考えておるところでございます。
○沖田委員 大臣に重ねてお伺いをいたしますが、明快に平成四年というリミットは延長しないと断言できませんか。
○小里国務大臣 率直に申し上げまして、目標としては、これは私ども労働省にとりましてあるいは政府の方針としても神聖なるものである、かように厳粛に受けとめておるところでございます。
○沖田委員 厳粛に受けとめていただいているならば、私としては先ほど申しましたように、調査によっていろいろ困難な問題が発生をしたとすれば、充足対策その他を含め適切な対処をお願いいたしたい。したがって、平成四年をリミットとするということについては、断定的な発言をしていただくことによって労働行政の多くがリードされる、こう期待をするわけでありますが、大臣の重ねての御答弁をお願いいたします。
○小里国務大臣 先生のおっしゃること、よくわかります。その平成四年というのは私どもに課せられました国民的重要なる要請課題の一つである、したがいまして、厳粛に神聖なものだ、こう申し上げておるところでございまして、手がたくその対応措置を講じてまいらなければならぬと思います。 それから、先生再三御指摘いただきますから申し上げるわけでございますが、はばかりがあるかもしれませんが、私の言うなれば個人的所感として申し上げますと、今日の時短の流れは、関係機関あるいは国民あるいは労使ともども協力をいただきまして、私は円滑な方向に、そしてまた、手がたく円滑に流れておるな、実はそういう実感も持っておるところでございまして、ぎりぎりの具体的な一つの対応措置というものも、先生の御期待に沿えるように、そう遠からずいろいろ御相談できるのではないかな、実はそういう感じも持っておるところでございます。
○沖田委員 非常に丁寧に、懸命に答弁をいただいていることはよくわかりますけれども、どうも私理解しにくいのは、厳粛にとか神聖にとかいろいろ言われましても、これがどういうふうに平成四年というリミットを限定するのか、歯どめをかける言葉として受けとめられるのかということがよくわかりませんので、もう一度ひとつ御答弁願います。
○小里国務大臣 なるほどもっと具体的にお答え申し上げなければならぬのかなと思う次第でございますが、先ほど答弁で申し上げましたように、近々その先生の御期待なさる方向で、私どもも、またこれは確信を持って準備をしなければならぬ、こういう心意気でございまして、ぜひひとつ先生方の御指導、啓発もいただきながら、その方向で、私どもが避けて通れない大事な問題点として対応いたします、こういうふうに申し述べさせていただく次第でございます。
○沖田委員 私はやはり大臣の良識と見識を持っていただいて、どうぞひとつ神聖にして厳粛なる事実というものを具体的に発効していただきたいと思うわけでありますが、であるがゆえに、大臣になられたわけでありますから、勇気と決断を持って、朝令暮改にならないように、平成四年には絶対やるのだ、そのために近いうちに決断するのだ、こういうふうにお漏らしをいただけませんか。
○小里国務大臣 先生のおっしゃるように、きちんと平成四年がやってきたなればそれは実行いたしますよ、間違いございません、そのための対応措置を講じますということを申し上げたいのでございますが、御案内のとおり、これはさまざまな、簡単に申し上げまして、六千三百万人に及ぶ勤労者に直結する諸問題であろうかとも思う次第でございまして、そのためには行政措置も、あるいは社会的ないろいろ関係者の対応措置等もいただかなければならない問題でございまして、常に、今日労働政策を進める上で具体的ないろいろな施策をどんどん出してまいりますが、例えば、今度のこの委員会におきましても、関係法令を三つ出しております。あるいは育児休業法等も御相談しようと思っておりますが、私は、育児休業法一つをとっても、今先生のおっしゃるその方向により接近をするための大きなクッションになる、そういうような一つの楽しみと申し上げますか、期待も持ちながら講じておるところでございまして、常々不退転の気持ちで、そして先生が御指摘になるようなおもんばかり、配慮を持ちながら努力してまいります、こういうふうに申し述べさしていただく次第でございます。なおまた、私は、今のような時短の流れ、そして産業経済の発展の諸状況等を見てまいりまして、このことはなし得られない一つの政策ではない、かように確信をいたしておる、こういうことでございます。
○沖田委員 今の大臣の発言は、従来の国会決議に後ろ向きの後退的な発言ではなかろうかと心配をするのですが、そういう心配はございませんか。
○小里国務大臣 むしろ国会決議こそ私どもは大事に、最も基本に据えてかからなければならない問題でございますから、あえてその国会決議のことなども含めてこそ神聖なる厳粛な目標であります、こう申し上げた次第でございます。
○沖田委員 たびたびで恐縮でございますが、重要な問題でありますから、もう一度お答えをいただきたいと思います。 近々決断をなさると言われるのはいつごろまででしょうか、これが一つ。それから、後退的な後ろ向きの発言ではない、あくまでも神聖にして厳粛だとおっしゃるならば、平成四年をリミットにするのだという答弁があってしかるべき、大臣の英断で御答弁いただきたい。
○小里国務大臣 先生御承知のとおり、もろもろの前後の法律の改正等も必要とする問題でもございます。そしてまた、労使の関係等を重要に参考にもいたしながら、広く国民の皆さんにも御相談して進めなければならない。法律をつくると同時に、また、国民が全面的に共鳴をいたしまして、協力をしてくれなければならない問題でございますから、私どもは、そういう総体的な一つの判断に立ちながら、具体的にそして手がたく前向きで精いっぱいの努力をいたします、かように答えさしていただく次第でございます。 ただし、先ほども申し上げましたように、私の気持ちからするなれば、情勢分析におきましても、これは前途は開けてくるな、そういう気持ちを持っておりますし、なおかつ、今日の状況であれば、その大きな壁が仮にあるとするなれば、それは結果をクリアできる問題だ、私はそういうふうに判断をいたしておるところでございます。 きょう、先生がここまで詰めて質問をしていただくということであったなれば、もう少し私のスタッフに対しましても、基本的なところを相談してまいればよかったな、こう思う次第でございますが、そういうことで御理解をいただきたい次第でございます。
○沖田委員 ほかの質問の時間がなくなりますからここら辺でやめますけれども、もう一度答えていただきたい。 今の発言は、いろいろ考えるけれども、言葉が多くて意味が不明瞭。したがって、従来の国会決議等に照らして考えてみれば、後退的な発言であるのかないのか、その点はっきりしてください。いろいろおっしゃったけれども、本当の意味がわかりません。
○小里国務大臣 私も、寡聞にして十分承知いたしていない状況下におきまする答弁を申し上げておるところでございますが、今ここに事務方から持ってまいりました第百二十回通常国会の答弁結果等をちょっと今流し目で見させていただいておるところでございますが、直感的に申し上げまして、先生のおっしゃる方向はきちんと論議はされておりますけれども、その基本的な一つの方針はわかりますが、具体的にきちんとしたものは整理されていないような感じも受けるところでございます。 しかしながら、先生にお言葉を返すわけじゃないのでありますが、先生先ほど意味不明瞭だ、こうおっしゃいますが、私は割と意味ははっきりとしておると思うのです。先生のおっしゃるのは、平成四年、きちんと一千八百時間というものを法制上、そしてまた産業、仕事の現場でそれが実践できるようにということを言っておられるわけですから、私どももその方向で最善の努力を、最高の力を振り絞って頑張ります、また状況はその方向にあると私は思っておる。そしてまた、個人的所感として申し上げるなれば、これはでき得る問題だ、そういうふうに気持ちとしては概念として持っておりますが、また大方内外に非常にその影響が及ぶ話でございますから、もう少し行政として権威ある機関決定をいたしまして、これを推進する以上は、少なくとも国権の最高機関に法律を出してまいりまする以上は、もう少し基礎的なところを検討、整備をさせてくださいませんか、こう申し上げておるわけでございまして、どうかひとつ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
○沖田委員 どうもよくわかりませんと言えば大変失礼でありますが、どうぞ平成四年この週休二日制の措置が確実に実行されるそのときまで見届けて、大臣は頑張っていただきたいことを切に私は期待をするものであります。 同時に、今言われましたけれども、いつごろまでにいわゆる決断をなさるのか、判断をなさるのか、もう一度ひとつお伺いいたしたいと思います。
○小里国務大臣 これはもう釈迦に説法でございますが、労働省、労働政策という機関原則の立場からは先ほどお答え申し上げたところでございますが、お話にございますように政治判断としてはこれはきちんと我が政府が目標を決めておるわけでございますから、これを忠実に履行できるように私どもは責任ある措置をとらなければならぬ、こう考えております。 したがいまして、そういう考え方に立ちますと、そんなに長く準備を怠っていけるものではないわけでございますから、また怠っておるわけでもございませんが、できるだけ早い時期に関係機関各位にも御相談をする時期が来なければならぬ、さように心がけておるところでございます。
○沖田委員 非常に残念でありますけれども、時間がありませんために、次の機会にさらにひとつ的確な御答弁をいただきたいと思います。どうぞひとつ完全週休二日制の実現に向けて、まず法律をつくって具体的に前進をする決意を明らかにしていただきたい。そのための決断を求めたいのでございます。 続きまして、お伺いをいたしたいと思いますが、看護婦さんの人手不足については今いろいろと議論が出ているところでありますが、同じように建設労働者の不足という問題が社会的に大きな問題となっていると思うのでございます。大臣といたしましては、この建設労働問題についてはどのように考えておられるのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思うのでございます。なぜ建設労働者が不足してきたのか、どうして建設労働者になり手がないのか、このような問題をどうしたら解消できるか、その対策と努力についてお伺いをいたしたいと思います。また、建設労働はなぜ若い人たちに魅力がないのか、どうしたら若い人たちに建設労働の二代目、三代目となってもらえるか、その方策について御所見をお伺いをいたしたいと思います。 〔委員長退席、野呂委員長代理着席〕
○若林政府委員 ただいま先生御指摘のように、建設業におきます人手不足は大変厳しいものがございます。いわゆる未充足率という数字がございますけれども、この未充足率で見ますと、それは八%の水準になっておるわけでございまして、過去の非常に高い水準をさらに超えている状況でございます。今後、建設業は公共工事の拡大等がございまして、労働力がさらに不足することが考えられるのでございますけれども、ただいま御指摘のように若年労働者の入職が少ないわけでございます。建設業は労働者が全労働者の大体一割近くおるわけでございますけれども、新規学卒者の入職は毎年四%余でございます。そういうことで、高齢化も進むというような状況にございます。そういった観点で、この仕事は大変に創造的な仕事でございますけれども、そのためには、この建設業のための人手不足対策を強力に進めなければならないというふうに考えております。 若者などがなかなか入ってこない原因というものにつきましては、一つは、労働条件等の問題がございます。労働時間が長いといったような問題、あるいは、ただいま御議論ございましたような週休二日制等の普及が他の産業よりおくれているといったような面が一つございます。それからまた、いわゆる三Kといったような職場環境の問題もあるわけでございます。福祉施設の整備といったような面もおくれております。また、この産業の特性と申すべきかと存じますけれども、非常に工事量の跛行性等がございまして、常用化といった面で他の産業に比べますと臨時日雇いのウエートが高いといったような構造もあるわけでございまして、こういった面の改善を図るということが急務であろうかというふうに思っております。 私どもは、このために建設業の労働対策というものを重点の一つにいたしておるわけでございまして、特に平成三年度におきましては、建設業の総合的な労働対策というものを重点に取り上げて予算のお願いをいたしているところでございます。
○沖田委員 三Kとか六Kとか、看護婦さんの場合は八Kとも言われているところでありますが、建設労働の職場も看護婦さんの職場も同じような悩みを持っているわけでありますが、どのように解消するのか、取り急ぎ対策強化と抜本的な取り組みを図らなければならないと思います。この建設労働者不足の解消はいつまでかかるのか、また、建設労働者に向けての対策や制度はいろいろ不十分な点があるとお認めいただいたようでありますが、この不十分な対策や制度というものは目立ってきているわけでありますが、いつになったらその整備が充実するのだろうか、図られるのだろうか、この点についてもひとつ所見をお伺いいたしたいと思います。
○若林政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、建設業の労働問題というものにつきましては相当構造的な問題があるわけでございます。重層下請構造といったようなものもその一つでございまして、これを短い期間に改善していくということは大変に難しいことであろうと考えておるわけでございますが、私どもは、建設労働の改善につきましては五カ年計画をつくりまして、これによりまして、省はもとより他の関係省庁とも連携をしてその改善を図っておるところでございますけれども、平成三年度から新たに建設労働の改善計画の五カ年計画を進めることにいたしておりますので、これからは、五カ年計画を決めるわけでございますけれども、新五カ年計画に沿ってこの改善を進めてまいりたいと考えております。
○沖田委員 今おっしゃったように、建設産業それ自体が大変複雑な中身になっておりますから、元請とか下請とか重層下請とか、言ってみたところで実態は非常に複雑であるわけであります。最近では、建設業界でもその制度の改善を図っておられると仄聞いたしておりますけれども、とりわけ野丁場、つまり比較的長期の建設現場、ゼネコンの現場、そしてまた、もっと難しいと思われるのは町場の職人さんの現場など、非常にいろいろ難しい現場もあると思うわけであります。 しかし、問題は、この週休二日制というものについて考えてみるならば、それぞれ労働形態や賃金実態が違っているけれども、週休制というものは今日的には大体定着していると見ておられるかどうか。それから、週休二日制については現状ではどのように実施実態があるだろうか、その点についてひとつ御所見を伺いたいと思います。
○佐藤(勝)政府委員 週休二日の前に、週休制の問題にお触れになったと思いますけれども、週休、週に一回の休みを与えなきゃいけないというのは基準法上の要求でございますから、これが行われているという前提で申し上げますが、週休二日制につきましては建設業全体で見た場合に、昭和六十三年の調査によりますれば、労働者の割合にして五四・三%が何らかの形の週休二日制の適用を受けております。ただし、その中で毎週、つまり完全週休二日ということになりますと大変低うございまして、労働者の割合にいたしまして三・四%という結果が出ておるわけでございます。
○沖田委員 今の調査は、いわゆるゼネコンの長期的な現場と理解せざるを得ないと思うのですが、町場の職人さんの現場、住宅現場等の実態というものは今の統計に入っていないと思いますが、その辺、説明をしていただきたいと思います。
○佐藤(勝)政府委員 ただいまの資料の出所を申し上げませんでしたが、労働省の賃金労働時間制度等総合調査の結果によって申し上げたわけでございますが、この調査の対象は規模三十人以上の事業所でございます。したがいまして、今先生がおっしゃいました町場の事業所で入っていないものがあると思います。
○沖田委員 いわゆる町場の現場の実態というものが十分に把握されていないと思いますが、この週休二日制の問題等についても、労働条件の向上の問題については野丁場も、町場も並行して向上、アップできるような対策というものを常々考えていただきたいことを特にお願いをしておきたいと思います。 引き続いて、月給制でない労働者にとって日曜、休日のほか土曜日も休みということになりますと、日額賃金を引き上げないと減少になることは理の当然であるわけであります。そこで、収入を確保しないで休みを増加されるということは、月給労働者と比較してみて非常に難しいのじゃないかと思うのでございます。どうしたらいいか。制度や政策の面で考えられないものかどうか。この点、ひとつお考え方を聞かせていただきたいと思います。
○小里国務大臣 お答え申し上げます。 賃金の問題は、最終的には労使間の協議を尊重するべきことでございますが、先生御指摘のように、実態といたしまして休日の増加に伴いまして日給者の賃金が減少しないように措置をしなければならぬ、また、実態といたしまして、その収入が少なくならないように配慮をいたしております企業があることも先生御承知のとおりでございます。 また、これは労働時間短縮を円滑に進める上でも極めて大事な話かと思っておりまして、そのような観点から努力をしてまいりたいと思っております。なおまた、労使間で、労働時間短縮とあわせまして、いわゆる生産性の向上対策と申しますか、それらの経営改善計画を図る中で適切に解決を進めていくことも期待いたしておるところでございます。なおまた、実際には週休二日制を導入するに当たって、先生お触れになりましたように日給者の賃金を保障すると申しますか、担保するという観点から、月給への一本化の問題もあろうかと思います。そして、単価の引き上げを行っている企業も相当数あると私どもは伺っておりまして、こうした取り組みは、先ほど申し上げましたように、労働時間短縮を円滑に進めるという上からも大事なことではなかろうか、かように思っておるところでございます。
○沖田委員 重ねてお願い申し上げておきたいと思いますが、やはり町場における一人親方の問題が非常に難しいと思いますので、制度、政策面ででの検討をとりわけお願いいたしておきたいと思います。 続いて、建設省では昨年から関東地建の中で幾つかの現場をテストケースとして週休二日制を実施しておられるように思いますが、この中身について御説明いただきたいと思います。この場合、土曜休日の保障をしておられるのかどうか、その内容についても含めて、実態的にひとつ御答弁をいただきたいと思います。 〔野呂委員長代理退席、委員長着席〕
○青山説明員 お答え申し上げます。 今先生おっしゃいました建設省での週休二日制の試行につきましては、関東地建において五つの現場で昨年の十一月よりモデル工事を実施しているところでございます。モデル工事につきましては、週休二日制に関する実施上の課題を明確にすることを目的として行っているものでございまして、あわせて官民から成る検討委員会を設けて対応策について検討しているところでございます。 このモデル工事において従業員の手当はどう考えているかという御質問でございますが、それは休業補償という考え方から、積算にも反映しているところでございます。さらに、今は関東地建の例を申し上げましたが、平成三年度には同種のモデル工事を全国的に実施していきたいと考えておるわけでございます。 今後、モデル工事におきまして明らかになりました問題点の対応を検討しまして、週休二日制の導入を推進するための諸方策を講じてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○沖田委員 関東地建のテストケースでは、休業補償という考え方で取り組んでおられるようですが、その休業補償という考え方は、一〇〇%の賃金日額を保障されるのか、八〇%なのか、さらには六〇%なのか、実情を報告願いたいと思います。
○青山説明員 お答え申し上げます。 六〇%を考えております。
○沖田委員 週休二日制で土曜日も休みということになると、一日分は四割方賃金が減る、こういうことですね。六〇%保障ですから、四〇%は減る、目減りする、収入が減少する、こういうことになる。そういうことをやはりどこかで解消しなければ気の毒ではないですか。この点どういうふうにお考えか、所見を伺いたい。
○青山説明員 お答え申し上げます。 今の六〇%の考え方につきましては、労働基準法第二十六条にございますが、使用者の責において休業とする場合の手当の支払いの規定に準拠したものでございます。 私ども、大切なのは、この休業補償が労働者の手元にきちっと手渡されるということがまた非常に重要なことだと思っておりますので、そういった考え方を企業の皆さん方にも徹底していきたいというふうに考えておるわけでございます。
○沖田委員 基準法上の休業補償額というものを保障するんだ、こういう指導であるようでありますが、これではやはり収入が減ってしまう。さなきだに賃金実態が高いとは思われないわけでありますから、今は多少景気が増高しているけれども、これでもしも二、三年たって景気が冷えてきたときに、いわゆる賃金実態というものは一体どうなってくるか、非常に心配であるわけであります。 したがって、労働省としても、この土曜休日の問題についての保障のあり方については、各方面と十分折衝しながら、設計単価、契約単価の問題等も含めて行政指導を適切にひとつ進めてもらわなければ、これはなかなか月給制というものが整っていない状況の中で、賃金日額を減らされたのではたまりませんから、とりわけこの点についての強力な指導と適切な制度というものをひとつつくっていただきたいと思いますが、所見を伺いたいと思います。
○青山説明員 先生の御指摘にありましたような点も非常に重要な課題かと思っております。それにつきましても、モデル工事につきましてその他の課題も含めて課題を明らかにして、その対応策を考えることによって、週休二日制の普及を図っていきたいというふうに考えております。
○沖田委員 先ほども御説明いただきましたように、六十三年度の値で三・四%の実施率、これは町場の労働実態は含まれていない、こういうことになりますと、これはなかなか全国的に徹底をしていくのは時間的に難しいのではないかと心配されるわけであります。 先ほども大臣からもいろいろお話がありましたが、時短の流れの中で、ひとり建設労働だけが置いてきぼりにされるということについては実態上問題がある、こういうふうに考えるわけでありますから、とりわけこの対策、対応というものについては積極的に取り組んでいただきたいことを切にお願い申し上げておきたいと思います。 あわせまして、週休二日制というものが定着するまでに問題になるのは、やはり悪天候、雨が降ったり、風が吹いたり、雪が降ったりというときに、一体この問題についてもほっておいていいのかどうか、いろいろ言われるわけでありますが、職人殺すに刃物は要らぬ、雨の三日も降ればよい、こういうことわざがある。これは、いわゆる土方とも言われ、ある場合には大工とも言われ、そしてみずからをある意味では卑下しながら伝えているざれごとであろうと思います。非常に悲しい言葉であろうと私は思います。 そこで、悪天候のときにおける雨降り手当とか、それからそういう雨降り、雪降りで仕事のできない日の手当というものの制度、仕組みというものをやはり考えていかなければならぬのじゃないだろうか。このことについて建設省もドイツやフランスの例にいろいろ学びながら調査団を派遣し、そして、実態的に取り組みをされようと今努力しておられる最中だというふうに仄聞をいたしておりますが、その内容についてひとつ考え方を聞かしていただきたいと思います。
○澤井説明員 お答え申し上げます。 ただいま御指摘のように、日給の方等を中心といたしまして、悪天候のため作業ができない場合あるいはその他の事情によりまして休業日が増加いたしますと、収入は減少するということが多いわけでございます。また同時に、有給休暇制度もなかなかそういう方々には普及しにくいという状況にございます。こういったことに対応するために、抜本的には、やはり先ほど来御指摘が出ておりますように、社員化を進める、あるいは月給制を拡大していく、また、施工方法の面につきましてもプレキャスト化を進める、あるいは機械化施工を進める、自動化を進める、いわば天候を克服していくというような抜本的な対応が基本的には必要だろうと思っております。 ただあわせまして、今先生御指摘のように、フランスやドイツには悪天候の場合などに、建設現場で作業ができなくなったというときに、相応の手当を支払うという制度が現にあるようでございまして、こういった国々の制度につきましても今後調査を行いつつ、時短の流れ全体の中でこうした日給制等の方々の有給休暇の付与、単なる悪天候手当という広がりではなくて、もう少し幅広い広がりで検討をしていきたい、これからいろいろと検討していきたいと考えておるところでございます。
○沖田委員 あわせましてやはり問題が出てきますのは、この建設労働の実態の中で年次有給休暇という問題がなかなかとりにくいわけであります。御承知のように、パート労働とか季節労働者、出稼ぎ労働者の場合についてはだんだん体制が整備をされつつあるようでありますけれども、ひとり建設労働の場合はまだまだ十分ではありません。したがって、年次有給休暇の問題についても、やはり週休二日制の問題であるとか、悪天候手当の制度であるとかいうものとあわせて、やはりいろいろ検討されなければならない大きな課題であろうと思います。 したがって、こういう問題については、すべて今おっしゃったように、保障といいましょうかそういう問題が考えられなければならないわけであります。いわゆる年間雇用報償の問題だとか、悪天候手当の制度の問題だとかいうようなことをいろいろ考えながら、やはり国や業界でもいろいろ考えておられるように思いますけれども、しかし、これは建設業の労働基金というものの創設を考えながら、稼働日に応じてスタンプ制とか印紙制とかいうようなものを採用しながら、年間を通じた一定割合の報償金といいましょうか、賃金補償というものを考えなければならない時代にもうなってきたのじゃないだろうか、このように考えるわけですが、この点についての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○若林政府委員 悪天候手当の問題あるいは報償金制度の問題、基金の問題、御指摘がございました。この問題につきましてはいろいろとこれまで論議のテーマになっている問題でございます。この問題につきましては、やはり基本的には何と申しましても常用化を図っていくということが基本であろうというふうに思うわけでございます。常用化を図る、あるいは月給化を進めるということが基本であろうと思いますし、ただいまお話ありましたように積雪、降雨等の悪天候下でも工事が可能となるような施工上の改善を進めるということが第一であるというふうに考えております。そういった観点では、やはり工事の平準化といったようなことにさらに一層努力を重ねなきゃならないというふうに考えております。 ただいま先生の御提案の悪天候手当、報償金制度、基金等につきましては、これまでもいろいろと議論が重ねられておるわけでございますけれども、これまでの議論ではやはりこういったものをある種の保険システムで補償するということになりますと、それは地域等の間での給付と負担との不均衡の問題とか、あるいは認定の問題とかいろいろな難しい問題があるわけでございまして、現時点なかなか関係者の理解が得るのが難しい問題であるというふうに考えております。先ほどドイツ、フランスの悪天候手当のお話がございましたが、私どもも建設労働の改善という観点からはそういった制度もいろいろと勉強をしてまいりたいというふうに考えております。
○沖田委員 難しいからこそひとつ取り組んでいただきたい、こう思うのであります。若い人たちに建設労働に参加をしてもらおうという、魅力ある職場なり、さらには賃金補償というものを、労働条件の保障というものを考えていかなければ、やはりこの建設労働の問題解決にならぬわけでありますから、画期的な対応とその努力と検討をお願いをいたしたいと思いますので、その点について決意のほどをひとつ大臣からお聞かせいただければありがたいと思います。
○小里国務大臣 先生から建設産業の現場におきまする数項目にわたる御指摘をいただきながらお聞かせいただいたところでございますが、先ほど局長の方からも答弁申し上げましたとおり、さらにまた一段と、先ほど先生の御要請の気持ちなども参考にいたしながら善処をしてまいらなければならないと思います。
○沖田委員 建設業におきますところの労働災害というものは、依然として全産業中大きな比率を占めているわけでありまして、特に死亡率では全産業中トップであるわけであります。建設業での労働災害対策は急務と考えますが、元請、下請さらには重層下請構造という複雑な仕組みの中で、その雇用と使用関係からさまざまな問題を抱えていることは御案内のとおりであります。その一つとして近年手間請という形態が横行いたしまして、建設業における雇用と使用関係がさらに複雑化しているところでございます。したがいまして、手間請問題について少しく質問をさせていただきたいと思いますが、まず、建設業におけるいわゆる死傷災害数は、全産業の死傷災害中に占める割合が極めて高いわけでありますが、その実態をどのようにつかんでおられるかお答えをいただきたいと思います。
○佐藤(勝)政府委員 建設業におきます労働災害の状況についてのお尋ねでございますが、建設業におきます労働災害は、長期的には減少傾向にはございますが、死亡者数及び休業四日以上の死傷者数の割合は全産業のそれに対しまして、死亡者数で約四割、それから休業四日以上の災害につきましては約三割ということで非常に大きな割合を占めているわけでございますし、また平成二年におきましては、前の年に比べまして相当の増加を見ているところでございます。 建設業につきまして労働災害が多発するのはどういう要因によるものかということでございますけれども、建設業につきましてはその業態からしまして、例えば高所作業等の危険作業が多いということもございます。それから、御指摘のように重層下請により異なった企業に属する労働者が同じ現場で混在をして作業をするというようなこと、それから、建設工事量の増大に伴いますところの安全管理の徹底が十分ではない、さらには、人手不足によって未熟練労働者が現場で就労するという例が多くなってきておるというようないろいろなことが響いていると思いますけれども、対策としては、これらの状況に対して適切な措置をとらなければいけないということで、労働省といたしましては、建設業を労働災害防止対策の最重点業種として取り扱っております。そして、大きな工事につきましても工事の計画段階、設計段階において安全衛生措置を確保する、非常に大規模な工事になりますと労働省本省で委員会におきまして詳細な検討、具体的な設計につきましての検討を行うというようなこと、それから、現場におきます現場店社を通じます安全衛生管理体制の整備を行う、それから、工事に用いられます機械、設備の安全対策、安全性の確保ということ、それから、労働者、使用者双方に対します安全衛生教育の推進、こういったものを中心に関係法令の整備、監督指導の実施、それから、業界におきます自主的な災害防止対策の促進に努めているところでございます。
○沖田委員 労働省の災害統計、とりわけ負傷された方の数は労災隠し等から実態より少ないのじゃないかと思われますが、使用者責任の回避が行われている面もあって少なく報告されているのじゃないか、こういうことが心配されますが、その実態について御説明をいただきたいと思います。 さらに、第二種特別加入、つまり一人親方労災の加入者が増加しているわけでありますが、その理由についてお伺いをいたしたいと思います。住販メーカー等で手間請従事者がふえており、一人親方労災への加入の強要という実態が見られるわけでありますが、労働省としてはその実態を把握しておられるかどうか、聞かしていただきたいと思います。 本来、一人親方労災とは、みずから請け負った仕事を人を使用せずに行う者が対象と考えるわけであります。手間請が請負と類似される名称であるが、みずから建材等を調達することなく、住販メーカー等の管理下で単に労務を提供し出来高に応じた報酬を得る場合は、その労働者と解されるべきであると思いますが、一人親方労災の対象とは考えられないわけでありますが、この点について労災保険法上どう考えられますか、お考えを聞かせていただきたい。外注工事等であればいわゆる消費税が免除される、そういうことでイージーに走っている向きはないか、この点についてもお聞かせいただきたいと思います。
○佐藤(勝)政府委員 大変多岐にわたる御質問でございますので、順次お答え申し上げます。 まず、いわゆる労災隠しということでございますけれども、御承知のように労働者が労働災害によって死亡し、または休業したときは、安全衛生規則に基づきまして遅滞なく監督署に届け出なければならないということにしておるわけでございまして、この報告義務を履行するよう、あらゆる機会を通じまして啓発、指導に努めているところでございます。しかしながら、御指摘のようないわゆる労災隠しというものが実態としてあるということは私どもも認識をしております。ただ、事の本質上それが一体どのくらいあるのかということの数的把握は甚だ困難でございますけれども、このようないわゆる労災隠しが発見されました場合には、労働基準監督機関として非常に厳しく対処しておるわけでございまして、そのような実例もあるわけでございます。 それから、労災加入に第二種特別加入が増加をしているがその実情、原因はどうか、こういうようなお尋ねだったと思いますけれども、労災保険制度については本来雇用されている労働者を対象にするものでございますが、労働者ではない中小事業主、それからいわゆる一人親方、特定作業従事者等についても労災保険に任意に特別に加入できる制度を設けていることは御案内のとおりでございます。こういう特別加入の中で、一人親方、それから特定作業従事者を対象とした、これは第二種と言っておりますが、第二種特別加入の加入者が増加していることは先生御指摘のとおりでございます。 中身を見てみますと、その増加の原因は建設業の一人親方の加入者数がふえていることが大きく影響しているわけでございます。このように建設業の一人親方の特別加入がふえている理由としては、一つには特別加入制度についての周知が進んで、こういう制度がだんだん皆さんにも利用されるようになったということが大きな原因であろうかと思います。 ただ、これまた先生のお気づきのように、一部の業者の中には労働者として雇用することを避けるということで、一人親方の特別加入した者に仕事をさせることがあるやにも聞いておりますけれども、労働省が労災補償を行います場合には、あくまでもその者が労働者であるという実態にあればこれは通常の労働者に、通常のと言いますと語弊がございますが、いわゆる一般の労災保険の適用を受ける労働者に対する補償を行うわけでございます。仮にこれが例えば手間請と言われる方が一人親方の特別加入をしていた場合であっても、労働の実態として実は労働者と同じものである、つまり使用者の指揮命令下に労務を提供して賃金を受ける、大ざっぱに言いまして、そういうような性質を持った労働者であるかどうかという判断をいたしまして、労働者であると判断すれば、一人親方でなくて特別加入者ではなくて通常の労災による補償を行う、実態としてまさに一人親方であり、それの特別加入として扱うのが正しいという場合にはそのように扱うということで、労災補償制度の運用の面ではあくまでも実態に即した取り扱いをするように心がけているところでございます。
○沖田委員 建て売り業においても、建設業として行っている者に使用される手間請従事者にあっては、実態として労働者と解して行政指導に当たっていただきたいと思いますが、こういう点。さらには、個々の労災事故の実態について労働者であるか否かを判断するのであれば、手間請従事者にとっても非常に不安であるわけでありますから、企業側の一人親方加入強要の助長と、労災保険法で救済されるべき者が救済されないことが生じている実態があるのかないのか。さらには、誇張と言われると思いますけれども、手間請従事者を労働者と解さない場合は建設業における労働者はすべて事業者とされかねないわけでありますから、この点については十分調査検討をお願いいたしておきたいと思いますし、同時にこの点についての御報告をお願いいたしたいと思います。 最後でございます。時間がありませんから要望だけ申し上げておきますが、全国労働保険事務組合連合会の加入促進奨励金の制度の問題については、いろいろ議論があり、検討方の要請も来ているところでありますから、この点は特に労働省の方でも調査検討の上で実態に即して適用していただきたいと思います。 以上、要望を申し上げて質問を終わります。ありがとうございました。
○浜田委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時五十五分休憩 ────◇───── 午後一時三十二分開議
○浜田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。石田祝稔君。
○石田(祝)委員 まず労働大臣にお伺いをいたします前に、初めての質問でございますので、労働大臣御就任おめでとうございます。いろいろとお聞きをしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。 先日も所信をお伺いいたしまして、本当に労働行政に真剣に取り組んでおられるということを私も実感いたしました。そういう観点からいろいろとお伺いをさせていただきたいと思います。 まず最初に、今後の労働力人口の推移と見通しについて若干御見解をお伺いしたいと思います。
○若林政府委員 今後の労働力需給の見通しでございますけれども、まず供給サイドについて申し上げますと、中期的には、近年の出生率の低下等を反映いたしまして生産年齢人口が一九九五年以降減少に転ずるわけでございまして、労働力人口の伸びも、一九八九年から九五年、つまり一九九〇年代の前半につきましては年率で〇・八%程度、九五年から二〇〇〇年まで、一九九〇年代の後半につきましては〇・四%程度の伸びでございまして、特に若年労働力人口の伸びにつきましては一九九五年以降減少に転ずることが見込まれるわけでございます。 さらに、今後の労働力の供給構造面につきましては、高年齢者の増加が著しいわけでございまして労働力人口の高齢化が一層進展いたしますこと、第二点は、女性の職場進出の進展につきましては今後とも続くと考えられますこと、第三点は、高学歴者の比率につきましても引き続き増加することが見込まれますこと、こういった構造的な変化が生ずることが予想されるわけでございます。
○石田(祝)委員 今お話をお伺いしますと、生産年齢人口は減っていく、その中で女性そして高齢者の方たちがふえていくだろう。私のいただきました資料も、数値的に見ますと男女合計で、二〇〇〇年を推計した資料でありますけれども、この中で唯一減っているのが十五歳から二十九歳と、非常に若年の部分が減ってきております。それに比べまして一番ふえているものが、男女合計いたしましたところで六十五歳以上、そして男性ももちろん六十五歳以上、女性も六十五歳以上、この部分が非常にふえてきている、こういう推計になっているということであります。この観点から、将来の労働力という問題を考える場合に、また、今問題になっております時短ということも考えた場合に、やはりワークシェアリングというか働き分けというのですか、こういうことが非常に大事になってくるのではないか。そういう中で、特に今後女性そして高年齢者、そしてもう一つ、障害を持つ方々がどういうふうに社会の、労働力と言うのはおかしいですけれども、そういう部分に入ってきていただけるのか、私はこれが重要であると思います。 昨年、アメリカでもADA法というのが成立いたしまして、普通のやり方で、障害を除けば通常の仕事につけるという人たちに対していわゆるアクセスを保障する、そういうものに対する障害となってはならない、こういう法律が成立をいたしました。女性の問題はまた別途お聞きするといたしまして、きょうは特に障害を持つ方々の問題、それから、その後で高年齢者に対する問題についてお聞きをしたいと思います。 まず最初に、障害者の雇用について特に大臣のお考え、御決意をお伺いしたいと思います。
○小里国務大臣 先生前段でお話ございましたように、労働者年齢構成の中で高齢者が顕著にふえてまいる、お答え申し上げたとおり、また御指摘のとおりでございます。そのような状況から判断をいたしましても、そしてまた、障害者に対する一つの対策という極めて大事な要素の上に立ちまして判断をいたしましても、御指摘の、障害者がいわゆる健常者と同じような一つの雰囲気の中で、あるいは就労現場を保持するということは極めて大事なことだと思う次第でございます。そのような、一般企業におきまして自然に障害者が働けるような社会を実現していくという、言うなればノーマライゼーションの理念にのっとりまして、昭和五十七年に制定されました障害者対策に関する長期計画、あるいはまた昭和六十二年でございますか、この推進のための後期重点施策というものが方向づけられておるところでございまして、これらの基本に立ちましてその推進に努めてまいっておるところでございます。 殊にまた国連障害者の十年、いよいよあと二年でございますが、平成四年を終期に迎えまして、雇用率は停滞傾向を示しておるところでございますけれども、この間雇用される障害者も大幅に増加するなど、障害者の雇用状況は言うなれば改善されつつございます。労働省といたしましては、障害者対策を労働行政の最重要課題の一つとして努力を傾倒してまいりたいと思っております。
○石田(祝)委員 きょうの新聞でありますけれども、ホーキング氏事故、こういう記事が載っておりましたけれども、大臣、このスチーブン・ホーキング氏という宇宙物理学者は御存じでしょうか。御存じでありましたらちょっとお伺いをしたいと思います。
○小里国務大臣 余り細やかなことは存じ上げておりませんが、障害を持つお方ではないかとも存じております。
○石田(祝)委員 もう少し詳しく承知をしておいていただければ、これはもうすばらしかったと思いますけれども。 この方はイギリスのいわゆる宇宙物理学者で、アインシュタイン以来の天才ではないか、このように言われている方でありますけれども、現在四十九歳で、二十五年前に筋肉が退化する難病にかかった。そして現在はほとんど指先ぐらいしか動かない。そういう中でアインシュタイン以来の宇宙論、その学説の創造に向けて、本当に指先ぐらいしか動かないところを使って、アインシュタイン以来の天才だ、こういうふうに言われている方で、また「宇宙を語る」、こういう本を出して、今ベストセラーにもなっております。ですから、この人がこういう形で活躍できるというのは、周辺機器と申しますか、指先だけ動かしてでも意思の疎通ができる、自分の能力というものを発揮できるような状態になってきている。ですから、障害を持っているということがある意味で言えば障害にならないで人類の進歩にも役立つ。ですから、私は先ほどから障害者の雇用ということを申し上げておりますけれども、今までだったらだめだと思われているような人もどんどんそういう部分にアクセスさせていく、そういう努力というものがあれば大いに役立っていただけるのではないか、こういうふうなことで私はちょっと例を出させていただきました。 それで、我が国における障害者雇用の現状について、私、昨年もこのことをお聞きしたと思いますが、現状と、昨年一年間どのように進展をされたのか、ちょっとお伺いをしたいと思います。
○若林政府委員 障害者雇用の状況につきましては、平成二年の六月一日現在におきます障害者の雇用状況を見ますと、一・六%の身体障害者雇用率が適用される一般民間企業に雇用されております障害者数は二十万三千六百三十四名でございまして、この一年間で八千三百五十八人の大幅な増加となっているわけでございます。しかしながら、一般の労働者数もこれまた大幅に増加いたしましたので、実雇用率につきますと一・三二%でございまして、前年と同じ率になっております。規模別に見てまいりますと、この実雇用率は依然として規模の大きいところで低いという状況でございます。また、産業別では製造業で高く、これも従来の傾向でございますけれども、卸、小売業等の第三次産業で低いということでございます。
○石田(祝)委員 残念ながら実雇用率は上がっていない。その中で、八千数百人の方が新たに雇用されるようになった、これは非常に喜ばしいことだと思います。しかしながら、大企業ほど未達成の部分が多い、このお答えは去年とたしか同じであろうかと思います。極端に言えば、それだけ社会的責任を持って取り組まなければならない大きな企業ほど達成率が低い、このことは去年、ことしの問題ではなくて、ある意味で言えば、長い期間同じような傾向が続いてきているのではないかと私は思います。 その間どのように指導されてきたのか。また、これからどうされるのか。特に去年の監察指導のときに指摘事項として出されて、とにかくそういう企業は発表しなさい、たしかこういうふうな指摘をいただいておったのではないかと思います。去年の段階では私も質問をいたしませんでしたけれども、ある意味では、もうちょっと強く働きかけると申しますか、未達成企業は名前を公表する、これからはそういうふうな弱い立場の人たち、また環境等に配慮できないような企業というのは生き残っていけない、こういうふうなことを、労働行政の監督官庁として明確に出す必要があるのではないかと私は思います。とにかくそういうこちら側の姿勢というものをはっきりさせて、そして、そういう中で障害者をしっかりとこれからの労働行政の中に位置づけていく、私はこれが大事だと思います。この二点についてちょっとお願いをいたします。
○小里国務大臣 率直に申し上げまして、私も労働省に入りましてその辺の基礎的なところを勉強してみました。 ただいまお話しのとおり、規模別に見ても、規模の大きいところこそ障害者の雇い入れというのは小さいところよりもやりやすいはずだけれども、成績が極めて不振である、そういう状況、あるいはまた産業別に見ましても、製造業を除いて、小売、卸売あるいは飲食店というような第三次産業等において極めて不調でありますよという状況でございます。本来、御承知のとおり、雇い入れの計画作成命令制度等を中心にいたしまして労働省は集中的な指導を図ってまいっておるところでございますが、これらの指導もより積極的に、そして強く対応してまいらなければならないと思いますが、そうしてもなおかつ最終的にその実効を期し得られない、成果を上げ得られないような企業に対しましては、ただいま先生御指摘のように、厳粛に公表する等の措置も当然必要だろう、私はそう判断いたしております。
○石田(祝)委員 ぜひ、最終的にはもう公表も辞さない、こういうぐらいの強い態度で臨んでいただきたいと思います。 私は昨年もたしかお話をしたと思いますけれども、障害を持つ親には四つの苦しみがある、こういうお話をさせていただいたと思います。一つは子供が生まれたとき、そして学校に入るとき、そしてその次は卒業するとき、就職ですね、そして四番目は親自身が死ぬときだ。障害を持つ親には四つの苦しみがある、こういうふうなお話を私もさせていただいたと思います。そういう中で、生まれてきたときに障害があるかどうかわかるわけですから、あと本当に親の立場としてできること、これは就職ですね。先ほど大臣からも、積極的に働きかけていくというお言葉をちょうだいいたしました。 私は、そういう中で諸外国と比べてどうだろうかといつも思います。日本の中だけで考えておってはなかなかわかりにくい面もございます。そういう意味で、諸外国の現状をおわかりになる範囲で、外国ではどういうふうに雇用されておるのか、簡単にお願いしたいと思います。
○若林政府委員 障害者の雇用対策につきましては大きな二つの流れがあろうかと思います。欧米諸国におきましては、西ドイツ、フランス、イギリス、オーストリアなどの多くの国におきまして日本と同じような雇用率制度等の割り当て雇用というものが行われております。しかし、アメリカとかスウェーデンはこういったような割り当て雇用は望ましくないという考えでございまして、そのような制度は採用いたしておりません。今回アメリカでは差別禁止といったようなアプローチからの障害者対策がとられているわけでございまして、これもやはりそういった基本的な考え方に沿っておるわけでございます。 そして、こういった二つの流れをとるいずれにおきましても、リハビリテーションにつきましては同じでございまして、職業リハビリテーションの制度を充実させてきております。内容は、障害者に対するカウンセリング、職業評価、能力開発、こういった点につきましてはいずれの流れもとっているところでございます。 我が国につきましては、御承知のとおり、西ドイツ等と同じような割り当て制度をとっておりますし、また、こういった外国と引けをとらない職業リハビリテーション体制が設けられておるわけでございます。
○石田(祝)委員 諸外国の現状、割り当て制度をとっているところ、西ドイツ、イギリスなんかもそうであったかと思いますが、西ドイツはたしか今重度障害者法で六%になっているというふうに記憶しております。西ドイツの例で構いませんが、この六%の雇用率に対して実雇用率は西ドイツでは直近の資料では何%になっていますか。
○若林政府委員 少し古い資料で恐縮でございますけれども、一九八七年の資料でございます。西ドイツでは雇用率が六%ということになっております。それに対しまして一九八七年の実雇用率が五%でございます。まず法定雇用率が高いわけでございますけれども、これは日本と障害者の概念が異なっておりまして、広くとらえておりますのと、西ドイツではトリプルカウントの制度などが取り上げられておりますので、そういった関係で法定雇用率の率が高くなっているというふうに理解いたしております。
○石田(祝)委員 各国でいろいろと障害者の概念も違うということは、私もお聞きをして承知いたしております。そういう中でも、やはり西ドイツがトリプルカウントだった、日本もダブルカウントもあるわけですから、そのあたりも率で見たときにどうかな、例えば西ドイツが六%の目標に対して実雇用率が五%ですから、これは八三%の達成率になっております。日本は目標に対しては七〇%ですから、目標設定値の部分というのは別としましても、その設定値に対してどれだけ達成されているかという、割に低いわけですよね。ですから、そこのところもやはり障害者の概念とも違うので一概に比較はできないかもしれませんが、目標として定めている以上はやはりそれに近づけるのが当然であるし、それがだめであればこれは目標を下げるということが妥当だと思いますので、目標を決められている合理的理由があればそれに近づけるように頑張っていただきたいと私は思います。 それから、法定雇用率の算定基礎から除外される部分があります。この除外率についても各業種の除外率の見直し、これは五十一年に除外率というものが算定をされて以来見直しがされていないというふうに伺っておりますけれども、十五年間もそのままというのはどうかな、これはそろそろ除外率等も、また、業種ももう一度見直しをするべきではないかと思いますが、その点についてどのようにお考えか、ちょっとお聞かせください。
○若林政府委員 五十一年のときにはいわば身体障害者雇用促進法が制定以来の大改正を行ったわけでございまして、納付金制度等の新しい制度を導入いたしまして、いわば全く新たに制度を構築したような形でございます。この除外率制度というのはそのときどきの産業の変化、職種の変化によりまして当然変わってくる問題でございますけれども、これはちょっといじって済むという問題ではございませんで、極めて根本的な問題でございます。 そういった面でこういう御議論、私どものところのこれは除外率から外してくれとか、そういう御議論が大変多いわけでございますけれども、しかし、率直に申し上げまして、これはなかなか手のつけにくい問題であるということでございます。それによりまして、障害者の雇用率制度が、全体が総洗いをしなければならない、こういう問題でございまして、確かに十五年たっているではないかという御指摘もございますけれども、私ども実務を担当する者といたしましては、そして、ただいま御指摘のような計画作成命令、適正実施勧告というものを適用し、そういったものが十分扱われない場合には公表をもって臨むというようなことで、強い行政指導を続けておる者といたしまして、ただいま御指摘のような点はなかなか難しいということを御理解賜りたいと存じます。
○石田(祝)委員 私は、そこはちょっとおかしいと思います。直すことが必要であればそれはやるべきであるし、必要でないというお考えであればそれは結構だと思います。しかし、十五年間、先ほども御答弁の当初に、産業構造も変わってきておる、こういうお話があったろうかと思います。十五年間も一つのことがフィックスされて、固定されてやるということはおかしい。御答弁をぜひ明確に言っていただきたいのは、その中でこれは直す必要があるのかないのか、難しいとか難しくないとかいうのは別の議論といたしまして、これはもうテクニカルの問題として、障害者の雇用、大臣も強い御決意を述べられましたが、この除外率というのは、極端に言えば、三角形の面積を出すときに底辺掛ける高さ割る二というのは、これは面積です、これは底辺の長さを削っているわけです。ですから、その底辺の長さを削る部分を多くしていけば、幾ら高さというものを高くしても面積はふえない。いわゆる実雇用数はふえないということですから、そこの部分が十五年たったときに見直す必要があるのかないのか。これだけは端的にちょっとお答えいただきたいと思います。
○若林政府委員 理論的に申しますと、先ほどおっしゃいましたように、産業構造の変化、職種の変化がございますので、常にそういうものは見直しの対象になり得ると思うのでございますけれども、しかし、私ども実務を担当する者といたしまして、そして、それが大きく影響するものであるかというと、それはそういうことはないというふうに思っております。確かにある一つの、一点を見ますと、御指摘のもっともだなという点はございます。しかし、その産業なら産業の全体を見まして、それで変えなければならないということになりますと、そこまでのことはないというふうに考えております。
○石田(祝)委員 私は、先ほどホーキング氏の例を出してお話をさせていただきました。今までだったらとても考えられないようなことを周辺の機器の発達等によって、今もう最大に人類に貢献できる学者として活動されている。これが例えば十五年前だったらどうであったろうか、そういうことも考えるわけでございます。そういう意味で最初に申し上げたわけであります。 ですから、この除外率というのは最大のところで確か百分の五十とかそういう大きな数字のところもあるんじゃないですか、数は、私は細かいのをちょっと手元に持ってきておりませんが。ですから、そういう部分があるということ、また、産業構造も変わってきている、また、ホーキング氏の例を引いても、やはりそういう周辺がよくなってくれば本人の能力を発揮できないこともない、こういうこともあるわけですから、いろいろな難しい問題等あるのはそれはわかりますけれども、見直すべきなのか、見直さざるべきと言うとおかしいですけれども、諸般の事情があっても、少なくとも十五年も置いておいたのですから見直しをするべきだ、その中で、できない、今のままでいいということであれば私は結構だと思いますけれども、そういう合理的な理由があるのか、いま一度お答えをいただきたいと思います。
○若林政府委員 先ほども申し上げて繰り返しのお答えになって恐縮ですけれども、私ども実務を担当しておる者といたしまして、全体として見て見直さなければならないということになりますと、そういう段階ではないというふうに考えております。個別の、ある非常に限られたところの仕事というものを見ますと、それはあるいは難しくなるとかあるいは可能ではないかという点はあろうかと思いますけれども、業種全体として見てその除外率の率を変更するというような事態ではないというふうに考えております。
○石田(祝)委員 御答弁が、大体頭に実務を担当する者としてというのがおつぎになっておりまして、私の聞いている感じでは、どっちを向いて仕事をされているのかなと。実際、変えるのが難しいとか、御自分の仕事、実際できるかどうか、産業界の協力も得なければできないわけですから、そういうこともあろうかと思いますけれども、ちょっと向いている方向が私は違うのじゃないか。お顔がどっちを向いてやられているのかなという気がいたします。このことはまた、いずれ機会がありましたらやらしていただきたいと思いますけれども、その点だけ最後に申し述べさせていただきたいと思います。 それでは、あと時間もございませんので、平成三年度の予算で、ここに予算案を持ってきておりますけれども、まさしく今審議をしているわけでありますが、この中で障害者雇用対策の推進予算、これが平成二年がおよそ三百四十億、三年が三百六億、こういうことで、およそ三十四億減っております。これは、いろいろな事情もございましょうが、減った原因というのは何でしょうか。
○若林政府委員 平成三年度の予算は、先生御指摘のとおり三百六億でございまして、平成二年度は三百四十億で、三十四億の減となっておりますが、この主な理由は、平成元年度より建設に着手してまいりました障害者の職業総合リハビリテーション施設、障害者職業総合センターでございますが、このセンターが本年度に完成することになることに伴いまして、その建設等の経費が減額になった、必要なくなったということに伴う減少でございます。
○石田(祝)委員 それでは最後に大臣にお伺いをします。 アメリカで去年ADA法が、大統領が署名をされて発効する予定になっております。このADA法について、御感想を大臣の方からひとつお願いします。
○小里国務大臣 お答え申し上げます。 あらゆる社会の分野におきまして障害者の差別をなくする、そしてまた、障害者の人権を保障しようというこの構想は、私は大変高く評価するべきものであると考えております。対比いたしまして、我が日本の場合は、先生御承知のとおり、言うなれば事業主の連帯社会の理念に立ちまして、この障害者雇用率を向上させていこうという一つの発想で基盤を置いておるものだ、さように理解をいたしております。殊に、またアメリカの場合には、いわゆる差別禁止というアプローチによって立っておるところに一つの特性もあろうかと思う次第でございまして、私どものいわゆる障害者雇用対策というのは、今せっかく定着もいたしておりますし、これを育てて展開していかなければならないかな、さように考えておるところでございます。
○石田(祝)委員 どうもありがとうございました。関連で同僚議員がやりますので、よろしくお願いします。
○浜田委員長 大野由利子君。
○大野(由)委員 派遣労働者問題につきまして何点かお尋ねしたいと思います。 派遣労働者が大変ふえている現状だと思いますが、労働者派遣事業所数の現在の総数と派遣労働者の数の変遷、それから派遣労働者で社会保険や労働保険の適用を受けていらっしゃる方がどれぐらいいらっしゃるか、その正確な数字とパーセントをお答えいただきたい。また、その促進に当たりまして労働省がどのような対応をされていらっしゃるか、お尋ねしたいと思います。
○若林政府委員 事業所数でございますが、平成三年三月一日現在で、一般労働者派遣事業が二千九十七事業所、それから、特定労働者派遣事業が九千二十八事業所でございまして、合計一万一千百二十五事業所となっております。制度発足後三年間で一般労働者派遣事業につきましては約二倍、特定労働者派遣事業につきましては約一・五倍の増加になっております。 それから、労働者の数でございますが、事業報告の集計結果によりますと、一般労働者派遣事業、これは登録者と常用雇用労働者の合計数でございますが、平成元年度が約三十五万四千人でございます。制度発足後約三・五倍でございます。また、特定労働者派遣事業、これは常用雇用労働者だけでございますが、平成元年度約七万四千人となっておりまして、制度発足後約一・五倍でございます。 それから、保険の状況でございますけれども、労災保険につきましては、いかなる就労形態でございましても適用されるわけでございまして、すべての労働者が加入をいたしております。派遣労働者についても同様でございまして、平成元年度末でございますと四十二万八千人ということになります。雇用保険につきましては、特定労働者派遣事業につきましては、基本的には加入要件に合致するすべての派遣労働者が加入ということになります。平成元年度末では七万四千人ということになります。それから、一般労働者派遣事業につきましては、常用労働者につきましては基本的にはすべての派遣労働者が加入ということになりますので、平成元年度末では三万七千人ということになります。登録型の労働者につきましては、断続労働を繰り返す実態に即しまして、一定の加入基準を設定して適用いたしておりますが、平成元年度末では四万二千人と推定をいたしておるわけでございます。 加入率につきましての統計は今までとっていなかったわけでございますが、法施行後三年後の見直しに関します中職審の労働者派遣事業小委員会の報告に基づきまして、平成三年度以後、社会保険も含めて実態を把握することといたしております。
○大野(由)委員 今お話を伺ってまして、派遣労働者が非常に数がふえている、そういう現状にあるかと思います。また、この派遣事業が急増している過程におきまして、この制度を充実させるために社会保障制度の確立が大変重要な課題になってくると思います。 法案審議が行われました昭和六十年六月、参議院の附帯決議の中で「労働者派遣事業、労働組合が行う労働者供給事業その他の民間の労働力需給調整システムにより就業する労働者について、社会・労働保険の適用の促進その他福祉の向上が図られるよう、適切な指導に努めること。」、このような附帯決議がなされております。この加入率に関しましてはまだ調査をされていない、そのような今お答えでございましたが、東京都が実施いたしました登録型派遣労働者の労働、社会保険の加入状況を見ますと、雇用保険は三二・八%で三人に一人しか入っていないという状況でございます。健康保険は、自分名義で加入している人は二〇・三%で五人に一人、厚生年金保険に関しましては、加入しているが二〇・五%でやはり五人に一人、そういう状況になっております。国民年金に加入している人が四五・九%、どの保険にも加入していないというのが三〇・〇、国民皆保険の中で約三分の一がどの保険にも入っていらっしゃらない、そういう現状が出ております。 確認のためにお伺いいたしますけれども、労働省は、この附帯決議の趣旨どおり派遣労働者においても社会保険や労働保険の適用の促進が必要と考えていらっしゃる、このように理解させていただいてよろしいでしょうか。
○若林政府委員 この派遣事業、特に登録型のものにつきましては、働いておられる方の気持ちといいますか、そういった面では、それぞれの方のお気持ちがあって、この加入の促進はなかなか難しい点があるのでございますけれども、しかし、私どもといたしましては、こういったような労働保険、社会保険につきまして、ただいま御指摘のございました附帯決議も踏まえまして積極的に加入させていく、こういうスタンスでこれまで指導いたしております。
○大野(由)委員 派遣労働者の方で、社会保険が一定の条件があれば加入できるというシステムを知らなかったという方が非常に多い、そういう現状でございます。登録の段階で、派遣元である労働者派遣事業者から一切そういう話を聞かされてないという実態がございます。これが加入者が非常に少ない要因ではないか、そのように思うわけですが、これに関連しましてお尋ねをしたいと思います。 二月十五日、東京都中央区にあります大手派遣会社が、会社が負担すべき社会保険料を実質的に派遣社員に負担をさせていた、そういう問題がございまして、労働省は東京都とともに合同調査をなさったと思いますが、この問題について概要を説明していただきたいと思います。
○若林政府委員 御指摘の件につきまして調査を行ったわけでございますが、この派遣会社では、福利厚生面で社会保険の加入について要望が強くなってきたということから、派遣労働者確保のための方策の一つとして社会保険の加入を行うことといたしました。そして、派遣労働者が社会保険に加入いたします場合には、加入前の時給よりも一〇%低い額で時給を設定いたしまして、設定後の賃金支払い額を基準に本人負担分の社会保険料を控除したというものでございました。しかしながら、この派遣会社は、本来加入させることが当然のものに対してこのような制度を適用したというのはやはり適切でない、こういうような判断のもとにこの制度を廃止いたしまして、さかのぼって差額相当分を返還することといたしております。 以上が、私どもが聴取いたしました、あるいは関係書類から確認いたしました内容でございます。 〔委員長退席、石破委員長代理着席〕
○大野(由)委員 ちょうどここに派遣事業者が配っております一覧がございます。「社会保険導入について」、こういう用紙を配っておりますが、平成元年の十月からこの制度を、派遣元が自分たちの保険料を労働者から徴収していた、一割削減していた、そういう状況がございます。これは明らかに健康保険法七十二条、また厚生年金法の百三十九条に違反するのではないか、そのように思います。厚生省の社会保険庁の方の御意見も伺いたいと思います。
○田中説明員 御説明申し上げます。 これまでの調査で明らかになりましたところによりますと、問題の企業が賃金を従前のものより一〇%減額して設定をいたしていた理由につきまして、社会保険加入に係ります事務手続に要する費用にそれを充てるためというふうに説明をいたしております。 社会保険庁といたしましては、健康保険法、厚生年金保険法に基づきます事務処理は事業主の本来業務であるというふうに考えておりまして、被保険者から諸経費に充てるということでの費用を徴収してはならないものというふうに考えておるところでございます。 その後、この企業につきましては、この取り扱いが適切でないということで全額返還をするというように私どもは聞いておりますが、これは返還が当然のことというふうに考えておるところでございます。
○大野(由)委員 こうした問題が行われているということは、これは氷山の一角でございまして、ほかにもこうした派遣元事業所がたくさんあるのではないか、私はそのように思いますが、労働省としてはこうした問題にどのように対処されるか、お伺いしたいと思います。
○若林政府委員 労働省といたしましては、御指摘の問題につきましては、派遣元事業主は派遣労働者の福祉の増進を図るように努めなければならないといたしております労働者派遣法第三十条の趣旨に照らして不適切であると考えておりまして、この派遣会社に対しましては、今後労働者派遣法の三十条の精神に反することのないように派遣労働者の福祉の増進に努めるように指導をいたしたわけでございます。 また、ただいまお話ございましたように、ほかの事業所、登録型派遣会社の事業主団体に対しまして、本件のようなことが今後生じないように既に文書で指導をいたしました。さらに、各都道府県に対しましても、社会保険の加入により派遣労働者が不利とならないように定期指導等、機会をとらえて指導するように通知をすることといたしております。
○大野(由)委員 労働省は、二月十五日の東京都との合同調査で派遣会社に対し事情聴取をされているわけですが、その中でこの事業所が、違法行為を行うに当たりましてマニュアルに頼った、そのように言っていたということです。そのものを入手されていると思いますが、それを御存じでしょうか。
○大石説明員 残念ながらこのような出版物が出回っているということは全く承知していなかったわけでございますが、今回、本件の調査に当たりまして、その過程の中でそうしたものが存在しているということを承知した次第でございます。
○大野(由)委員 今お話がありましたマニュアルがこの本でございます。私、この本を実は国会図書館で借りてまいりました。四万八千円という大変高いマニュアルでございますが、このマニュアルの中の一部をちょっと読ませていただきたいと思います。三百七十七ページにこのように出ているのでございますが、「賃金の約一割の事業主負担を消化する為には派遣時間料金を百二十円程度引上げるか、該当者の時間給を実質的に五十円程度引下げざるを得ない。実際には前者の値上げ策は難事であるので後者の時間給の実質的引下げ策が採られることになろう。」このように出ているわけです。また、少し飛ばしますが、最近の「若年層新人類の現在志向を念頭におくとき」「賃金の実質手取額が同種労働者のそれの二割減ともなれば積極的に加入の要請をする者は少いであろう。」そのように出ています。二割減というのは、事業者負担分の一割と本人負担分の一割、合わせて約二割ということを言っているわけでございます。 こうしたマニュアルをもとにしてこの事業者が行った。この事業者は、新しい業界なので経験が少なく、このマニュアルに頼った、高梨先生が序論を書き、社会保険労務士が執筆しているので、このとおりやればいいと思った、そのように言っておりますが、私は、この本を読んでみたときに、この事業者が違反行為を行うに当たりまして、かなりやはり影響を受けている、そういう感じがいたします。言葉が適当かどうかわかりませんが、違法行為をそそのかすというか、示唆するというか、そのような表現になっている。これは非常に問題ではないか、そう思うわけですが、労働大臣の御見解を伺いたいと思います。
○若林政府委員 ただいまの御指摘の点でございますけれども、今伺っております限りにおきまして、先ほど申しましたように、派遣法の三十条の精神という点から申しまして、やはり問題があるというふうな気がいたします。この点につきましては、私ども、こういったような派遣事業をなさる方が誤解を受けることがないようによく指導していくべきではないかというふうに、今伺いまして感じた次第でございます。 なお、けさも新聞で報道されておりまして、高梨教授はインタビューを受けられてお答えになったようでございまして、私ども聞いているところでは、監修とかそういったことは全くしておられませんし、ほかにどういうような記述があるか一切なく、自分だけがインタビューを受けたというような形でのお受け取りだったように伺っております。
○小里国務大臣 当該事業主に対する厳正な指導を含めまして、ただいま局長が答弁いたしたとおりでございます。
○大野(由)委員 インタビューに答えただけとおっしゃいましたけれども、この本の冒頭のところに「本書の制作にあたっては、信州大学の高梨先生、また社労士の皆さんに多大なご協力を頂戴した。編集者として感謝に耐えない。」このように書いてあります。 また、この文章を私幾つか拝見したわけですが、この本は明らかにはっきりそう書いてあるわけですが、「派遣先・派遣社員ユーザー企業のための設問八十三項目」ということでQアンドA方式になっているわけです。この文章の中にも「登録型派遣労働者は常用労働者とは労働意識を異にする者が多い。」「登録型労働者の場合は生計補助または余暇利用の為の労働との認識に立つ者が多数を占めると考えられる。」そういう認識のもとでつくられている本であるわけでございます。これは、とんでもない間違いでありまして、東京で、高い家賃の中で一人暮らしで、本当に必死で生きている、そういう女性もたくさんこの派遣労働者の中にいらっしゃいますし、生計の中心として、家族を養いながら派遣労働者で頑張っている方もたくさんいらっしゃいます。そうした立場ではなくて、労働者派遣法というのは、派遣事業の適正な運営とともに労働者を保護するという、そのために設けられた法律であると思いますが、このように一方的なユーザーの側に立った本、そういうマニュアルの方に序論を書き、そして便宜を計らっている。また、明らかに高梨先生が書いていらっしゃるということで、信用してこのマニュアルに従った、そのように事業所は言っているわけでございますが、このことに関しまして労働大臣の御見解を伺いたいと思います。
○若林政府委員 ただいま、序文にはそのように高梨先生の協力に感謝するというふうに書いてあったというふうに御指摘でございましたが、高梨先生御自身はその本自体も見ておられないようでございますし、高梨先生のところにはその本は送付もされていないということでございました。事実だけ申し上げます。
○小里国務大臣 局長が答弁申し上げたとおりでございます。
○大野(由)委員 そういうことが果たしてそういう答弁で済むのかどうか。それではとても納得ができません。今そういう答弁をなさいましたけれども、本当にどちらの側に立って答弁をされたのか、実態を調査された上でおっしゃったのか、ただ高梨先生のおっしゃったことを一方的に答えられたのか、労働省としてはどういう立場で、調べた上で今のお答えをなさったのか、お聞きしたいと思います。 〔石破委員長代理退席、委員長着席〕
○若林政府委員 この点につきましては、私ども本日の報道を見まして、そのような私どもの承った点を申し上げたわけでございます。あちこちの事情を聞いて申し上げているというのではもちろんございません。高梨先生御自身のおっしゃったことを申し上げたわけでございます。
○大野(由)委員 そういうことであれば、高梨先生はこういうふうにおっしゃっていますが、事実はわかりませんので調査してお答えしますと、そのようにお答えしていただくのが正確ではないか、そういう意味では正確な答弁ではなかったのではないか、そのように思いますが、いかがでしょうか。
○若林政府委員 ただいまのことは別といたしまして、今先生が御指摘になりましたマニュアルの本と申しますか、その内容につきましては、私どもよく読みまして、その内容についてやはり先生がおっしゃいますような派遣事業法、これは働いている人を守っていく法律でございますから、そういった観点からいって問題になる記述があるのかどうか、その辺はよく読んで調べてみたいというふうに思います。そして、必要があればそういった点についての誤解がないように十分指導をしたいというふうに思います。
○大野(由)委員 高梨先生は、現在労働省の中央職業安定審議会の会長を初め、多くの審議会、研究会の要職にいらっしゃるわけでございますが、このように公的な立場にいらっしゃる方がこのような序論を書き、こういう立場でやっていらっしゃるということは、非常に問題があるのではないか。「生みの親が語る労働者派遣法の「心」」と題する序論を出されていますと、この本の内容を全面的に信用する派遣事業者が出てきても不思議ではない、そのように思います。 ぜひとも大臣、この際、先ほどのお話の中には一万以上の事業所がございます。この事業所がこの本を参考にしながらやっているということでございますが、半分と見ましても五千の事業所がこれをもとにして派遣労働者を使っているということは大変ゆゆしき問題ではないか、そのように思います。これから早速全国調査を実施していただいて、そして、本当に派遣労働者を守るために対策を講じていただきたい、そのように思いますが、大臣、明快な御答弁をお願いいたします。
○小里国務大臣 せっかくの先生の御提唱でございます。十分留意をさせていただきまして、研究、考査をさせていただきたいと思います。
○大野(由)委員 ぜひ早速調査をしていただきまして、また、その結果を教えていただきたい、そのように思います。 それから、今回の違法行為は中間搾取と申しますかピンはね、そういうことに当たると思いますが、この派遣法には中間搾取を規制した規定は設けられていないわけでございまして、中には四割、五割という大変な中間マージンを派遣料として取っていらっしゃる事業所があるというふうなことも伺っておりますが、私は、派遣料の明示とか、また派遣料の割合でございますね、率ですか、そういうものの上限を定めるとか、ピンはねにきちっと規制を設ける何らかの対処が、法改正を行うべきではないか、そのように思いますが、いかがでしょうか。
○小里国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、せっかくの先生の御提唱あるいは御注意でございます。十分留意いたしまして、チェックさせていただきたいと思います。
○若林政府委員 ただいま派遣料金、派遣賃金の関係についての御指摘でございました。一般的に申しますと、大体七、八割というところではないかというふうに思います。これはいろいろなケースがあろうかと思います。これは労働者派遣というサービスに対する対価が派遣料金でございまして、一方、派遣労働者の賃金は、派遣元事業主と派遣労働者との間で自主的に決定さるべきものでございます。それらはいずれも独自の立場から、いわば市場原理に基づいて決定されるものでございまして、これをいろいろと法制度で縛っていくということは適当でないというふうに考えております。
○大野(由)委員 しかし、何らかの対策が必要ではないか。上限を定めるとか、額を決めるのがもし無理であれば、せめて明示をする、派遣先からは幾ら支払われていますが、派遣元でマージンをこれだけ取るので、あなたにはこれだけお支払いします、ということが労働者にはっきりわかる形での明示というか、そういうものが必要ではないか、そのように思いますので、ぜひその点、また御検討をお願いしたいと思います。
○若林政府委員 法律が施行されまして三年後の見直しに関します中職審労働者派遣事業小委員会でいろいろ御議論がございまして、そこで報告がなされているわけでございますが、「派遣労働者の賃金その他労働条件の維持向上に資するため集計結果を定期的かつ広範に公表することが適当である。さらに、派遣労働者の賃金水準についても一定の周期で実態調査を行い、その結果を公表することが適当である。」こういう御指摘がございました。 したがいまして、労働省といたしましても、来年度から地域ごとの派遣料金と賃金水準につきまして定期的に調査をして、これを公表したいというふうに考えております。
○大野(由)委員 それから、労政事務所に持ち込まれます派遣労働者のトラブルの問題で非常に多いのが突然の解雇の問題がございます。これは少なくとも三十日前に解雇の予告をするとか、また、突然の解雇の前は三十日分以上の賃金をお払いするとか、そうしたことが非常に守られていない、そういう現状がございます。労働基準法二十条、また、二十六条に書かれています労働者への基本的権利、こうしたものをしっかりと明記をする、また、派遣労働者にこういう権利があるということを教えていくということが非常に大事なことではないかと思いますので、こうした問題についてもぜひ早急によろしくお願いしたいと思います。
○若林政府委員 ただいま先生御指摘の点につきましては、派遣元事業所に対する監督指導はもとより、派遣先に対しましても計画的に指導することによりまして、トラブルの解消を図ることといたしておりまして、そのために昨年十月に、「派遣労働者の適正な派遣就業の確保を図るために派遣先が講ずべき措置に関する指針」というものを作成いたしました。そこで、ただいま先生おっしゃいましたような契約の解除の問題でございますとか、あるいは派遣をされました場合に、その派遣労働者にいろいろ説明をするといったようなことについても留意するように、この指針の中で定めております。
○大野(由)委員 派遣労働の人たちがますますふえると思いますが、これからもこの派遣労働が適正に運用されることと同時に、労働者の保護と申しますか、福祉のために、本当にぜひ労働省によろしくお願いをしたいと思います。 それから、きょうは育児休業につきましてお尋ねしたいと思いまして、厚生省、また、人事院の方にも来ていただいておりましたが、申しわけありません、制限時間が来まして、質問を打ち切らせていただきたいと思います。大変ありがとうございました。
○浜田委員長 児玉健次君。
○児玉委員 小里大臣は、先日の所信表明で、労働時間の短縮は国民的課題である、そういう指摘をなさいました。私も全くそのとおりだと思います。当面、完全週休二日制と週四十時間を実現していく、そのためには、一般的な指導、一般的な取り組みでなく、取り組みにおいて困難なところ、おくれが出ているところ、そういうところに労働省としての努力を集中すべきだと私は思いますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○小里国務大臣 児玉先生も御承知のとおり、昭和六十三年、労基法改正相なりまして以来、それぞれの関係機関あるいは企業、事業主等の御協力によりまして、時短の一つの流れはほぼ順調に流れてまいっておると思います。むしろ今日の段階におきましては、決して気を緩めるわけではございませんが、着実に進んできておるという感じはいたします。 しかしながら、御承知のとおり一千八百時間、そして、ただいま先生がおっしゃいました完全週休二日制という、この目標を達成するためには、まだ容易ならざる一つの上り坂を痛感させられるところでございまして、さて、その打開策として、ただいま先生、難しいところから手をつけていくべきではないかというお説でございますが、全くそのとおりであると思います。割と簡単に、簡単と申し上げますか、余り抵抗なく進められるところよりも、むしろ行政の重点は先生の御指摘のようなことを参考にしながら進めるべきであろう、かように感じます。
○児玉委員 労働省は昭和六十三年六月に労働時間短縮推進計画というのを発表されていらっしゃいます。その中に「行政の取り組み」という部分がありますが、そこで労働省は、みずから課した課題として「公務員等の完全週休二日制の推進のため、関係省庁等との連携を密にし、環境の整備に努める。」こういうふうに明らかにされています。どのようなことをなさったのか、具体的に御説明ください。
○佐藤(勝)政府委員 公務員の完全週休二日制に対する労働省の取り組みでございますけれども、これは関係各省連絡会議の場はもちろんのこと、公式、非公式、いろいろな場合を通じまして、総務庁あるいは人事院といった直接これを担当する省庁と話し合いを不断に行っておるところでございます。私どもの立場として、ぜひこの公務員の完全週休二日制を推進してくれということを申し上げておる次第でございます。
○児玉委員 人事院が昨年八月に提出した週休二日制等に関する報告、この中で人事院は、週休二日制の試行実施の具体的計画が一部の部門で策定されていない、このことを指摘して、具体的な措置が速やかに講じられる必要がある、このように強調しております。人事院が言う一部の部門の中に国が設置者である病院、診療所等が含まれている、これは多くの言葉必要ありません。国立の病院で完全な週休二日制が、たとえ試行であるにせよ実施されたら民間の医療機関に積極的な影響を及ぼす、これは疑いありません。 そこで、まず文部省に伺いたいのですが、昨年七月十八日付で全国国立大学病院長会議連絡協議会が要望書を出していらっしゃる。この要望書の中で病院長の諸先生は、国立大学で週四十時間制を実施した場合、さまざまに綿密に調査をされたようですね、シミュレーションもなさって。そしてその結果、全国四十二大学における看護部門の不足数は千四十一・六名だという指摘をなさっていると思うのですが、事実はそのとおりですね。事実の有無だけを答えてください。
○草原説明員 事実、先生の御指摘のとおりでございます。
○児玉委員 文部省は、先ほどの人事院の報告だとか今の全国の病院長の諸先生のお話、そういうのをお受けになって、看護婦の定員を百二名ふやす、さらに、その他の努力もなさって、ことしの四月、私がお聞きしているところでは四月の十四日または二十一日から試行的実施に入られると承知しております。どのくらいの大学病院で試行に移られるか、お答えください。
○草原説明員 先生御案内のとおり、国立大学病院については、医療現場に混乱を生ずることのないよう、これまで慎重に検討を重ねてきたところでございまして、まだ試行実施するには至っておりません。しかしながら、文部省としては、国家公務員の週四十時間勤務制の試行の意義や昨年八月の人事院報告における試行未実施部門に係る指摘等を踏まえまして、平成三年度予算に向けて看護婦等の定員増について例年以上に努力するなど、その条件整備に努めるとともに、他方、各大学に対しましても、少しでも多くの国立大学病院が試行を実施するよう理解と協力を求めてきたところでございます。その結果、現在のところ九割以上の国立大学病院において平成三年四月からの実施が可能であるという回答を得ておりますし、また、残りの国立大学病院についても、多少時期はずれますが、平成三年度中に試行に入るよう努力する意向であるとの回答を得ているところでございます。
○児玉委員 九割の国立大学病院で試行的実施に移る、東京大学は七月と伺っておりますが、それぞれの時期がほぼ明示されてそこに進もうとしている。昨年十月、全国大学、高専教職員組合が発表なさった看護婦の実態調査、それを拝見しました。二十四の大学、九千八百六十九名の看護婦さんを対象にして五千五百六十四名の回答を得られた。それを拝見しますと、今日なお夜勤九日以上が六三・四%、十一日以上が二五・七%、ICUが存在している職場に限定して言えば、十二日以上が二六・三%もあります。週四十時間制、週休二日完全実施、そこに向けた取り組みとあわせて月の夜勤が八日以内、複数勤務、そういった状況を実現するために、文部省は今後どのような努力をなさるのか、承りたいと思います。
○草原説明員 国立大学附属病院の看護婦の確保については、従来から文部省といたしましても重点的な施策として取り上げまして、各病院における看護水準の向上と勤務条件の改善を図るために必要な要員の確保に努力してまいったところでございます。特に、平成三年度におきましては、この看護業務の密度が年々高まっているということもございますし、また、看護体制の整備充実を図ることが重要かつ緊急な課題となっておりますことから、病棟あるいは特殊診療施設、診療科等の看護要員の確保を中心にいたしまして、要員の確保に努力をしてまいりまして、平成三年度においては前年度の約五割増に当たる百二名の増員を予定いたしているところでございます。看護要員の確保については今後ともさらにこのような努力を継続してまいりたいと考えております。
○児玉委員 そういった努力を抜本的に強めていただきたいと強く要望します。 さて、国立の病院というと、もう一つの大きな分野が厚生省です。厚生省に伺いますが、国立病院・療養所の関係で週休二日の試行的実施はいつから始められますか。
○真野説明員 先生御案内のとおり、昨年の四月から交代制職員の週四十時間勤務の試行に入っておりますが、国立病院・療養所におきましては実施が難しいということから御承知のとおり入っておりません。 ただ、厚生省におきましても、昨年来そういうことから各病院、療養所の業務の見直し、合理化等の自助努力を行い、なおかつ、さらには条件整備に努力をしてまいったわけでございますが、現在のところ確たる、いつからという形で御明示できる時期は現在のところはっきりいたしておりませんが、先ほど来先生御主張のとおりの週休二日制の重要性にかんがみまして、その試行の実施について厚生省としても鋭意検討してまいりたいというふうに考えております。
○児玉委員 昨年十二月十八日、衆議院内閣委員会で国立病院等の週休二日制実施をめぐって質疑が交わされております。その中で、これは小里労働大臣にもぜひお聞きいただきたいのですが、当時総務庁長官であった塩崎さんは、国立病院等における完全週休二日制の実施に難しい問題があるということは知っておるがと述べつつ、公務員の中で例外ができるようなことは大変残念なことでございます、こういうふうに述べて、私はそういう観点でひとつ大きな努力を払っていきたい、そのことを明らかにしております。国立病院・療養所で鋭意検討中だというので済まされるような状態ではないと思うのですが、どうですか。
○真野説明員 もちろんその重要性につきましては私どもも十分認識をいたしておりますし、その努力をいたしておるわけでございますが、一方におきましては定員をふやさない、予算をふやさないというような形で、他の交代制勤務職員のところでは試行に入っておるわけでございまして、大変大きな職場を抱えておる国立病院・療養所といたしましては、そういう制約の中でどういう形で試行が可能かということを今鋭意検討しているわけでございます。
○児玉委員 検討が真剣であるかどうかという、そのことを見分けるメルクマールは、皆さんが完全週休二日制を実施するために今不足人数が何人になっているか、そこをつかんでいらっしゃるかどうかだと私は思います。先ほどの国立大学病院についていえば、病院長が大変な苦労をなさって、そこに移るためには千四十一・六名が必要だ。この数字について教職員組合がどういうふうな判断をしているか、それは全く別のことです。ともかく病院長として千四十一・六名が必要だ、こういう数字を出していらっしゃる。国立病院・療養所の分野で完全週休二日制に移るために不足数は何人ですか。
○真野説明員 先ほど来お答え申し上げておりますように、いろいろな制約がございまして、その中で自助努力とあわせて条件整備を図るということでございますので、各病院の各病棟における自助努力がどの程度可能かということとの関連もございますので、現在看護部門で何人というものは確たるお答えをいたせる状況にはございません。
○児玉委員 置かれている状況という点では国立病院だけが独自ではないですよ。いうところの病棟の見直しだとか看護の云々とか、私はそのことについて強い意見を持っていますが、さまざまな要素はすべての交代職員のところでぶつかっている問題、にもかかわらず、あなたのところだけそれが出せないというのはどういうことですか。 御承知だと思うけれども、一九七七年六月に決定された看護職員の雇用、労働条件及び生活状態に関する条約、きょうの午前中、病院、診療所は救命救急という任務があるから困難だという議論もありましたが、それは全く逆で、この条約の第六条で、看護職員は、当該国の他の労働者の条件と同等またはそれ以上の条件を享受する、でなければ救命救急のとうとい仕事に当たれないんだ、これが国際的な常識ですよ。厚生省はこの問題で労使の必要な協議を真剣に始めるべきだと思うのですが、どうですか。
○真野説明員 完全週休二日制の実施の前に、私どもとしては試行のための可能性の検討をいたしておるわけですが、その試行に入る、または週休二日制を完全実施するということになりますと、これは勤務条件の問題になってまいりますので、労使協議を行うということは当然のことだと思っております。
○児玉委員 現状は極めて不十分だということを強く指摘し、この面の努力の抜本的強化を強く求めます。 最後に、労働省にお伺いしたいのですが、病院、診療所その他、保健衛生業での労働基準法三十二条違反、それは概略的にどんな状況でしょうか。他の産業に比してどんな特徴がありますか。
○佐藤(勝)政府委員 病院等におきます基準法三十二条違反の実情についてのお尋ねでございますが、労働基準監督機関におきましては、特に問題の認められる事業場を対象にその監督指導を実施をしているわけですが、最近の監督指導経過、これは平成元年でございますが、病院、診療所その他の医療保健業における労働基準法第三十二条違反事業場の割合は、男子につきましては二九・二%、女子労働者については三一・八%でございます。ちなみに全産業におきましては、男子に係ります違反率が一〇・六%、それから女子に係ります違反率が四・四%ということでございますから、かなり高いということが言えるかと存じます。
○児玉委員 昨年この委員会の質問でも私、強くそのことを求めたわけですが、今女性の方が率が高い、現状そのとおりだと思うのです。ただ、皆さんがおっしゃっているのは、訪ねた場所でどうなっているかということですから、必ずしも全体を示していないと思う。先日伺った病院で、一月の病棟の時間外労働の平均が二十四・九時間。一人の看護婦さんは月に四十五時間の時間外労働をやっていました。その月だけかと思って翌月また伺ってみた。そうすると、その病棟の時間外労働の平均は三十・七時間、最高が四十五時間です。これは、法の規制を受けている保健衛生業に従事する婦人労働者の二週十二時間以内、年間百五十時間以内、ここを明らかに上回っています。この部分に対する労働省の指導監督を思い切って強化していただきたいと思うのですが、いかがですか。
○佐藤(勝)政府委員 先ほども申し上げましたとおり、特に問題のある事業場につきまして重点的にやっているわけでございます。そのような観点は今後とも変える必要はないかと存じますが、監督指導に当たりましては、タイムカードや賃金台帳等に当たりまして、年間労働時間の所定外労働時間の限度に係ります違反の有無につきまして的確に把握することに今後とも努力をいたしたい、かように思っております。
○児玉委員 労働時間の短縮を国を挙げて進めていく。しかも、これは、一九八八年六月の閣議での「おおむね計画期間中に」の「期間」というのは、言ってみれば、それまでにという意味でして、そうなってきますと、政府として省庁の別を超えた取り組みの体制の確立、そして、取り組みの抜本的な強化が必要だと思います。時間のようですから、その点で大臣の考えを聞いて、終わります。
○小里国務大臣 しばしばお答え申し上げておるところでございますが、労働時間の短縮はまさに国民的な課題でございます。また、労働省にとりましても、労働政策推進の上から考えまして当面極めて重要な問題でございます。先生がただいま、目標時限を切っての切実な課題ではないかというお話でございますが、ごもっともなお話でございまして、十分前向きできちんと対応をいたさなければならぬ、かように決意をいたしておるところでございます。
○児玉委員 終わります。 ────◇─────
○浜田委員長 この際、内閣提出、勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。小里労働大臣。 ───────────── 勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 ─────────────
○小里国務大臣 ただいま議題となりました勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 勤労者財産形成促進制度は、勤労者の計画的な財産形成を促進し、その生活の安定を図ることを目的としており、現在、勤労者財産形成貯蓄を行う勤労者は千九百万人を超え、その貯蓄額は十四兆円近くに達するなど、我が国の勤労者の生活において大きな役割を果たしてきております。この制度につきましては、既に、六次にわたる法改正が行われ、内容の充実が図られてまいりました。 しかしながら、最近における勤労者の持ち家取得の困難化、高齢化の進展、教育費用の高額化等社会経済情勢の変化に対応し、勤労者の財産形成を一層促進していくためには、現行の制度について所要の改善を図り、財形貯蓄原資の一層の活用と制度の魅力の維持、向上を図っていく必要があります。 政府は、このような状況にかんがみ、勤労者財産形成施策の充実強化を図るための案を勤労者財産形成審議会に諮問し、その答申をいただきましたので、ここに勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案として提出した次第であります。 次に、この法律案の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。 第一は、勤労者財産形成貯蓄制度の改善であります。 高齢者雇用の拡大に伴い、一般財形貯蓄の契約締結についての年齢要件である五十五歳末満の要件を撤廃するとともに、いわゆる社内預金について事業主の貯蓄金の管理が中止されたときには、その貯蓄金を一般財形貯蓄への預け入れ等に充てることができるようにすることといたしております。 第二は、勤労者財産形成給付金契約及び勤労者財産形成基金契約の改善であります。 契約の受益者等となる勤労者の要件について、最初の信託金等の払い込み時については、その日以前一年間を通じて勤労者財産形成貯蓄を有していることから、勤労者財産形成貯蓄を有することに緩和するとともに、勤労者が支払いを受ける給付金を、原則として、勤労者が有する勤労者財産形成貯蓄契約等に基づく預け入れ等に充てることにより支払うようにすることといたしております。 第三は、勤労者財産形成融資制度の改善であります。 勤労者財産形成持ち家個人融資の貸付限度額を、勤労者財産形成貯蓄の額が属する政令で定める額の区分に応じ十倍に相当する額の範囲内の額から勤労者財産形成貯蓄の額の十倍に相当する額に改めることといたしております。 また、雇用促進事業団が行う進学のために必要な資金の貸し付けを、教育を受けるために必要な資金の貸し付けに拡充するとともに、雇用促進事業団は、事業主団体、福利厚生会社及び日本勤労者住宅協会に対し、事業主がその雇用する勤労者に貸し付けるために借りることとなる住宅の建設、購入等のための資金を貸し付ける業務を行うことができるようにいたしております。 以上、この法律案の提案理由及びその内容の概要につきまして御説明申し上げました。 何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○浜田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 ────◇─────
○浜田委員長 次に、内閣提出、児童手当法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。下条厚生大臣。 ───────────── 児童手当法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 ─────────────
○下条国務大臣 ただいま議題となりました児童手当法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 近年、我が国の人口構造は急速に高齢化するとともに、核家族化、女性就労の増大、出生率の低下など、児童や家庭を取り巻く環境は著しく変化しております。このような環境変化を踏まえ、二十一世紀の社会を担う児童が健やかに生まれ育つための環境づくりを総合的に推進していくことが重要な課題となっております。 児童手当制度については、昭和六十年の法律改正において、制度のあり方をさらに検討すべき旨が法律に規定され、また、昭和五十七年から実施されている特例給付の期限が平成三年五月までとされていることもあり、児童が健やかに生まれ育つための環境づくりの重要な柱として、制度全般の見直しを行うことが必要となっております。 こうした状況を踏まえ、中央児童福祉審議会において、幅広い観点から検討をいただき、その意見具申の内容に即して、世代間における社会的な扶養及び経済的な支援の必要性の高い児童養育家庭に対する育児支援の強化という観点から、支給対象を第一子に拡大するなど、我が国の実情に即して児童手当制度の見直しを行うため、本改正案を提出した次第であります。 次に、改正案の主な内容について御説明申し上げます。 第一に、児童手当の支給対象につきましては、第二子以降としている現行制度を改め、第一子に支給対象を拡大することとしております。 第二に、支給期間につきましては、経済的支援の必要性が高い時期に給付を重点化する観点から、三歳未満とすることとしております。 第三に、手当月額につきましては、現行の倍額とし、第二子については五千円、第三子以降については一万円とし、今回新たに支給対象となる第一子については、第二子と同額の五千円とすることとしております。 第四に、平成三年五月で期限切れとなる特例給付につきましては、当分の間、継続することとしております。 第五に、制度改正の実施時期につきましては、平成四年一月一日とすることとしております。なお、特例給付の実施時期につきましては、平成三年六月一日とすることとしております。 第六に、制度改正の実施につきましては、現行制度の受給者に配慮し、制度の移行を円滑にするため、経過措置を設け、三年間で段階的に実施することとしております。 その他、所要の規定の整備を行うこととしております。 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○浜田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 次回は、来る十二日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時三分散会