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120回国会衆議院1991/05/15

決算委員会 第6号

発言数
196
登壇者
25
会派数
4
開催日
1991/05/15

会議録

渡辺省一自由民主党

○渡辺委員長 これより会議を開きます。  昭和六十二年度決算外二件及び昭和六十三年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、外務省所管、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫について審査を行います。  この際、中山外務大臣、近藤農林水産大臣及び農林漁業金融公庫当局の概要説明並びに会計検査院の検査概要説明につきましては、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺省一自由民主党

○渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     ─────────────    外務省所管昭和六十二年度決算について  昭和六十二年度外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要をご説明申し上げます。  歳出予算現額は五千三百二十億七千四百六十八万円余でありまして、支出済歳出額は四千二百七十五億四千四百十万円余、翌年度繰越額は一千十五億四千二百三十三万円余、不用額は二十九億八千八百二十五万円余であります。  歳出予算現額の内訳は、歳出予算額四千四百四十三億九千二百十一万円余、前年度繰越額八百七十六億八千二百五十七万円余でありまして、前年度から繰り越したものの内訳は経済開発等援助費八百七十三億七千九百十万円余、在外公館施設費三億三百四十七万円余であります。  支出済歳出額の主なものは、経済協力の一環として、青年海外協力隊派遣、開発調査、センター協力、機材供与、保健医療協力、農林業協力、産業開発協力、開発協力、専門家養成確保等の事業、アジア諸国等の開発途上国に対する経済開発援助および国連開発計画等の多数国間経済技術協力のための拠出等に要した経費三千百三億五千三百二十四万円余、エネルギー対策のため国際原子力機関に対し同機関の憲章に基づく分担金及び拠出金として二十四億二千七百二十一万円余、並びに各種国際機関に対する分担金等として四十七億八千九百二十万円余であります。  次に、翌年度繰越額について申し上げますと、財政法第十四条の三第一項の規定による明許繰越のものは一千十四億九千五百二十三万円余でありまして、その内訳は経済開発等援助費九百九十七億四千六百七十六万円余、在外公館施設費十七億四千八百四十七万円余、及び財政法第四十二条の規定による事故繰越のものは四千七百十万円、その内訳は経済開発等援助費四千七百十万円であります。  不用額の主なものは、外務本省の項で退職手当を要することが少なかったこと、国際協力事業団事業費の項で災害援助協力を要することが少な かったこと等により、国際協力事業団交付金を要することが少なかったこと、並びに在外公館の項では、職員諸手当を要することが少なかったこと等のためであります。    外務省所管昭和六十三年度決算について  昭和六十三年度外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要をご説明申し上げます。  歳出予算現額は五千六百八十二億二千八百八万円余でありまして、支出済歳出額は四千七百三十二億八千四百二十万円余、翌年度繰越額は九百十七億百三十六万円余、不用額は三十二億四千二百五十一万円余であります。  歳出予算現額の内訳は、歳出予算額四千六百六十二億三千四百九十九万円余、前年度繰越額一千十五億四千二百三十三万円余、予備費使用額四億五千七十五万円余でありまして、前年度から繰り越したものの内訳は経済開発等援助費九百九十七億九千三百八十六万円余、在外公館施設費十七億四千八百四十七万円余であります。  支出済歳出額の主なものは、経済協力の一環として、青年海外協力隊派遣、開発調査、センター協力、機材供与、保健医療協力、農林業協力、産業開発協力、開発協力、専門家養成確保等の事業、アジア諸国等の開発途上国に対する経済開発援助及び国連開発計画等の多数国間経済技術協力のための拠出等に要した経費三千四百九十億八千六百三十八万円余、エネルギー対策のため国際原子力機関に対し同機関の憲章に基づく分担金及び拠出金として二十六億三千五百二十三万円余、並びに各種国際機関に対する分担金等として七十四億八千四百七十六万円余であります。  次に、翌年度繰越額について申し上げますと、財政法第十四条の三第一項の規定による明許繰越のものは八百九十億三千二百十二万円余でありまして、その内訳は経済開発等援助費八百七十七億六千三百九十四万円余、在外公館施設費十二億六千八百十七万円余、及び財政法第四十二条の規定による事故繰越のものは二十六億六千九百二十四万円余、その内訳は経済開発等援助費二十六億六千九百二十四万円余であります。  不用額の主なものは、外務本省の項で退職手当を要することが少なかったこと及び在外公館の項では、職員諸手当を要することが少なかったこと等のためであります。     …………………………………    昭和六十二年度決算外務省についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  昭和六十二年度外務省の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。    昭和六十三年度決算外務省についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  昭和六十三年度外務省の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────    昭和六十二年度農林水産省決算概要説明  昭和六十二年度の農林水産省の決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、歳入につきましては、収納済歳入額は一般会計において三千二百七十一億二千二百六十四万円余、食糧管理特別会計各勘定合計において六兆八千五百四十億五千百六十八万円余、国有林野事業特別会計各勘定合計において七千三百三十二億四千九百四十三万円余、農業共済再保険特別会計各勘定合計において一千二百七十六億六千四百五万円余、漁船再保険及漁業共済保険特別会計各勘定合計、森林保険特別会計、農業経営基盤強化措置特別会計及び国営土地改良事業特別会計の総合計において五千五百七十億四百三十一万円余となっておりまして、一般会計の収納済歳入額の主なものは、日本中央競馬会法に基づく納付金であります。  次に、歳出につきましては、支出済歳出額は一般会計において三兆三千四百億六千三百三十四万円余、食糧管理特別会計各勘定合計において六兆八千百二十九億八千八百三十二万円余、国有林野事業特別会計各勘定合計において七千二百六十九億二千百七十九万円余、農業共済再保険特別会計各勘定合計において五百八十一億八千八百九十二万円余、漁船再保険及漁業共済保険特別会計各勘定合計、森林保険特別会計、農業経営基盤強化措置特別会計及び国営土地改良事業特別会計の総合計において四千八百八十六億七千四百八十三万円余となっております。  次に施策別にその主なものにつきまして、御説明申し上げます。  第一に、水田農業をはじめとする土地利用型農業の体質強化に要しました経費は一兆一千五百二十三億五千二百八十二万円余でありまして、水田農業確立対策につきましては、本対策の初年度として、水田を活用して生産される作物の生産性の向上、地域輪作農法の確立及び需要の動向に応じた米の計画的生産を、生産者・生産者団体の主体的責任をもった取組を基礎に一体的に推進するため、転作等を実施した農業者に対し水田農業確立助成補助金を交付するとともに、本対策の着実かつ円滑な実施を図るため、都道府県等に水田農業確立対策推進交付金を交付いたしましたほか、転作条件を整備し、転作の促進とその定着化を図るため、水田農業確立対策推進事業等に対して助成いたしました。  また、昭和六十三年度の米需給調整の円滑な推進を図るため、農業協同組合等が昭和六十二年度に実施した米需給調整円滑化促進特別対策事業に助成いたしました。  土地改良事業の推進につきましては、農業の土地条件の整備と用排水施設の近代化を通じて、生産性の向上を促進し、水田の汎用化と畑地基盤の整備を図り農産物の需給の動向に即応した農業生産の再編成を推進するため、国営かんがい排水事業を実施いたしましたほか、都道府県営、団体営の各事業に対し助成いたしました。また、水資源開発公団の実施する事業に助成いたしました。  農用地開発事業等の推進につきましては、農業構造の改善の方向に即して、主産地の形成を図りつつ農業経営の規模拡大を図るため、国営農地開発事業を実施いたしましたほか、都道府県営、団体営の各事業に助成いたしました。また、畜産を基軸とする大規模な農業開発を推進するため、農用地開発公団が行う広域農業開発事業及び畜産基地建設事業に助成いたしましたほか、畜産主産地形成基本調査等の調査を実施いたしました。  飼料基盤に立脚した大家畜経営の安定的発展を図るため、国営草地開発事業を実施いたしましたほか、都道府県営草地開発事業、道営草地整備改良事業及び団体営草地畜産基盤総合整備事業に助成いたしました。さらに、畜産主産地の生産の合理化を図るため、公社営畜産基地建設事業に助成いたしました。また、畜産経営をめぐる環境汚染問題に対処するため、都道府県営畜産経営環境整備事業及び団体営畜産経営環境整備事業に助成いたしました。  このほか、国営の干拓事業を引き続き実施いたしました。  農村の総合的整備の推進につきましては、農業と農村の安定的な発展を図るため、農業生産基盤の整備と併せて農業集落の整備を図る農村総合整備事業に助成いたしました。  構造政策推進体制の整備と経営規模拡大対策の推進につきましては、農用地の有効利用及び流動化の促進により中核農家の経営規模の拡大を図るため、構造政策推進会議により構造政策推進のための幅広い運動を展開いたしました。また、構造政策推進会議の諸活動との連携の下に、農用地利用調整会議を設け、農地の受け手・出し手等に関する情報の整備、農地流動化に当たっての規模拡大の方向付け等を総合的・一体的に行う農用地経営規模拡大促進事業に助成いたしました。  さらに、農地保有合理化法人の土地買入資金等に助成いたしましたほか、農用地利用改善団体等が農地の改良、荒し作りの改善等に必要な資金を 無利子で貸し付ける農用地利用増進対策事業に助成いたしました。  農業構造改善事業の推進につきましては、最近の農業を取り巻く諸情勢に対処するため、新農業構造改善事業後期対策の中で地域農業の組織化の促進、土地基盤及び近代化施設の整備、環境整備等農業構造の改善に必要な事業に助成いたしました。また、新農業構造改善事業前期対策の継続事業等に助成いたしました。  農業の担い手の育成につきましては、新規学卒就農者のほか、Uターン青年、農外からの新規参入者等を含めた幅広い観点から、若い農業者の育成確保対策を総合的に推進する若い農業者育成確保促進事業に新たに助成いたしますとともに、農村在住青年等の就農意欲の向上を図る農業後継者育成モデル地区設置事業に助成いたしました。  また、道府県の農民研修教育施設(県農業者大学校)の整備の推進等及び民間の農村青少年研修教育団体事業に助成いたしましたほか、農林水産省農業者大学校において研修教育を実施いたしました。  このほか、畜産総合対策において、生産意欲や向上心の強い経営の担い手の円滑な参入の促進等を図るため、地域畜産活性化パイロット事業に助成いたしました。  農業後継者等に対する資金の融通につきましては、農業改良資金の農業後継者育成資金等の貸付けを実施いたしました。  第二に、需要の動向に応じた生産性の高い農業の展開に要しました経費は一千百七億三千七百五十二万円余でありまして、農業生産体質強化総合推進対策につきましては、需要の動向に適切に対応しつつ稲作と転作を有機的に結びつけた田畑輪換等の合理的な土地利用方式を実現することにより、水田の持つ高い生産力を最大限に発揮する地域輪作農法を確立するとともに、主要作目について生産性の高い主産地を育成する総合的な農業生産対策を推進するため、小規模な土地基盤の整備、生産機械・流通施設の整備、地力増強、生産組織の育成等の諸事業に助成いたしました。  水稲につきましては、稲作を含めた水田の合理的な土地利用方式と作付体系の確立、生産性の向上を強力に推進し、併せて稲作の技術水準の向上及び技術指導のための拠点づくりを推進いたしましたほか、大規模乾燥調製貯蔵施設等の基幹施設の整備及び米のばら出荷施設等の整備に助成いたしました。  さらに、稲作生産の省力化、安定化を図るため、農業改良資金制度において、稲作省力生産安定資金の貸付けを行いました。  畑作物につきましては、農業生産体質強化総合推進対策において、地域の実態に即した合理的な輪作体系の導入・定着を図るとともに、需要の動向に即した生産の振興、生産性の向上、流通の合理化等を図るため、小規模な土地基盤の整備、共同利用施設の整備、集団営農用機械の導入等に助成いたしましたほか、茶、こんにゃく等について、需給の安定等を図る特産農産物生産流通安定対策事業に助成いたしました。さらに、そばの新品種の普及奨励等を図るそば総合改善対策事業、ハトムギの流通の円滑化を図る新作物契約改善推進事業等に助成いたしました。  養蚕につきましては、広域的な生産流通施設の整備、桑園基盤の改良整備、省力新技術の導入等に助成いたしますとともに、高生産性一貫技術体系を装備した養蚕経営モデルの実証展示等に助成いたしました。  果樹につきましては、果樹農業振興基本方針等に基づき、うんしゅうみかんにおいては、需給の均衡を早急に図るため、他作物への転換等に助成いたしますとともに、土地基盤及び生産施設の整備に助成いたしました。  かんきつ及び落葉果樹においては、産地の総合的な条件整備に助成いたしましたほか、果樹高度生産モデル団地の設置に助成いたしました。  さらに、パインアップルにおいては、優良系統種苗の供給、生産機械等の導入による産地体制の整備に助成いたしますとともに、ウイルス無毒化施設等の整備に助成いたしました。  また、うんしゅうみかん等の生産者の経営安定等を図るため、果実生産出荷安定基金造成事業に要する資金造成等に助成いたしました。  さらに、他の果樹への転換後の栽培管理の合理化、高品質果実の生産等の推進により、果樹経営の規模拡大等を志向する中核的な果樹農家の育成を図るため、農業改良資金において、果樹栽培合理化資金の貸付けを行いました。  花きにつきましては、花き産地への情報の提供、新品種等の原種苗の導入、栽培技術の指導、消費者に対する栽培知識の普及等を行う拠点的な総合施設の設置に助成いたしましたほか、地域の実態に即して、土地基盤整備、生産・出荷施設の導入等による産地体制の整備等に助成いたしました。  野菜につきましては、野菜指定産地の計画的な整備育成を図るため、野菜指定産地の指定を進めるとともに、野菜集団産地育成事業に助成いたしました。また、施設野菜作経営の安定を図るための施設野菜総合環境制御モデル団地設置対策事業、気象災害、地力の低下、病害虫等によって変動しやすい野菜の作柄を可能な限り安定化させるための野菜作柄安定総合特別対策事業等野菜集団産地特別整備事業に助成いたしました。  畜産総合対策につきましては、生産性の向上等経営体質の強化、畜産物需給動向への的確な対応及び大家畜生産の振興合理化に重点を置いて、次の事業に助成いたしました。  地域畜産総合対策といたしまして、市町村振興計画に基づき、飼料作物等の生産振興及び生産・利用の効率化、土地資源の有効利用による地域畜産の振興等の促進を図るため、飼料基盤整備事業、飼料生産利用効率化事業、地域畜産集団牧場整備事業及び自給飼料生産振興推進事業に助成いたしました。また、肉用牛生産の振興等を図るための肉用牛等振興施設整備事業、畜産経営環境の保全、家畜ふん尿の土壌還元利用等の促進を図るための畜産環境対策事業並びに基金造成により肉用繁殖雌牛等の導入を図るための家畜導入事業資金供給事業及び肉用牛経営安定対策事業資金供給事業に助成いたしました。さらに、中核的担い手の育成・確保及び粗飼料多給による低コスト肉用牛生産の振興等を図るための地域畜産活性化事業、転作田等の有効活用を通じ肉用牛生産の拡大・定着を図るための水田肉用牛等生産条件整備事業に助成いたしました。  広域畜産総合対策といたしまして、都道府県の基本方針に基づき、生産から流通消費に至る各種広域事業を総合的に推進するため、家畜市場再編整備事業、総合食肉流通体系整備促進事業、鶏卵肉流通改善事業、生乳の乳質改善のための乳質改善機器整備モデル事業、畜産技術の向上のための畜産技術向上施設整備事業及び畜産経営技術の改善向上のための畜産経営技術対策事業に助成いたしましたほか、飼料作物の奨励品種の選定・普及、種子の増殖、高度生産利用技術の普及、収量安定化栽培技術の普及のための飼料作物種子・生産利用技術対策事業に助成いたしました。また、乳用牛・肉用牛・豚・鶏及び馬について計画交配、能力検定等により優良な種畜・種鶏の作出・選抜等を行う家畜改良増殖対策事業に助成いたしました。家畜衛生対策においては、家畜飼養形態の多頭化、集団化及び家畜疾病の多様化への対応に重点を置き、家畜衛生対策事業に助成いたしました。また、畜産物流通・需給調整事業に助成いたしました。  さらに、牛の受精卵移植技術等の実用化促進体制の整備及びその利用促進のための牛の受精卵移植技術利用促進事業等に助成いたしました。  飼料基盤の整備強化につきましては、草地の造成整備等畜産公共事業の畜産総合対策との一体的推進を図りました。  流通飼料対策につきましては、麦作振興及び飼料自給度の向上を図る観点から、国内産飼料用麦について、その流通を促進するため、飼料用麦流通促進奨励補助金を交付いたしました。また、国際的要因に基づく配合飼料価格の大幅な変動が畜 産経営に与える影響を緩和するため、価格差補てん原資の造成に助成いたしました。  家畜伝染病予防対策等につきましては、家畜の伝染病の発生を予防し、そのまん延の防止を図るため、家畜伝染病予防事業を実施いたしましたほか、動物検疫所における動物・畜産物の検疫等、動物医薬品検査所における動物用医薬品の検査等を実施いたしました。  種畜牧場における家畜改良増殖及び畜産生産技術の開発普及等につきましては、畜産総合対策とあいまって肉用種雄牛の産肉能力後代検定による選抜、乳用種雄牛の後代検定による選抜、豚の系統造成と造成された系統の維持・増殖、鶏の改良、牛の受精卵移植の実用技術の開発及び草地利用による大規模経営技術の実験展示等を行いましたほか、飼料作物優良品種の増殖用もと種子の生産配布等を行いました。また、各種の畜産技術の研修を行い、畜産技術者の養成及び畜産技術の普及・向上を推進いたしました。  農業機械対策につきましては、農業機械利用技能者の育成、修理整備体制の充実、高度機械化体系の実証、農業機械作業の受委託を推進する新農業機械銀行の育成、中古農業機械の広域的な流通施設の整備等を総合的に行う事業に助成いたしました。また、農作業の安全指導等を行う農作業安全対策推進事業に助成いたしました。さらに、農業機械の開発改良及び検査・鑑定を行う生物系特定産業技術研究推進機構に出資いたしますとともに、研究事業に助成いたしました。  肥料及び農薬対策につきましては、肥料及び飼料等の品質を保全し、その公正な取引を確保するため、肥飼料検査所の体制強化を図ったほか、農薬検査所においては農薬残留等の検査及び調査研究を行うとともに、農薬の製造業者等に対する指導取締りを実施いたしました。  農作物の種子確保対策につきましては、優良種子の大規模かつ高能率な種子生産団地を育成するための主要農作物種子生産改善事業に助成いたしました。また、原原種ほ、原種ほ等の設置、都道府県採種管理事業、原原種・原種生産体制整備事業及び広域の種子生産流通体制を整備するための種子需給調整推進事業に助成いたしますとともに優良品種の適正な選定と早期普及を促進するため、奨励品種情報高度利用促進事業に助成いたしました。  また、種苗対策につきましては、農林水産植物の育種の振興と種苗の流通の適正化を図るため、種苗法に基づく品種登録制度及び指定種苗制度の運営、組織培養による種苗の効率的な生産技術の共同研究等を引き続き実施いたしましたほか、種苗管理センターの本格的な業務運営を図りました。  植物防疫対策につきましては、病害虫防除員等の設置、指定病害虫の発生予察事業の実施及び病害虫防除所の運営に係る基礎的経費について、都道府県に植物防疫事業交付金を交付いたしました。  また、植物防疫総合推進事業において、イネミズゾウムシの特別防除、航空機による共同防除等に助成いたしましたほか、新たに、新発生病害虫や発生様相が複雑化した病害虫に対し、総合的な防除技術の開発等を図るため、病害虫総合制御技術推進特別対策事業に助成いたしました。  沖縄、奄美群島等に発生しているウリミバエ、ミカンコミバエ等の防除のための特殊病害虫特別防除事業に助成いたしますとともに、枝枯細菌病のまん延防止等を図るための特殊病害虫緊急防除事業に助成いたしましたほか、引き続き検疫体制を整備する等植物防疫所の機能の強化を図り、検疫及び消毒の安全迅速化のための技術開発等を推進いたしました。  土壌保全対策につきましては、適切な土壌管理を行うため、土壌環境対策事業に助成いたしました。また診断技術の指導並びに土壌及び作物体の診断を行う地力増進診断指導事業及び土壌改良資材の表示の適正化、農業の生産環境に関する診断システムを構築する土壌保全対策管理事業に助成いたしました。さらに、地力増進特別事業、不良土壌改善対策事業に助成いたしました。また、土壌汚染の防止のため、農用地土壌汚染対策計画の策定に資するための現地試験等に助成いたしました。  平成二年に大阪府下鶴見緑地を会場として開催される「国際花と緑の博覧会」の開催準備につきましては、政府出展館の設計・施工及び政府出展展示物の設計・製作を行いますとともに、財団法人国際花と緑の博覧会協会が行う会場建設事業に助成いたしました。  第三に、バイオテクノロジー先端技術等の開発・普及と農林水産情報システムの開発・整備に要しました経費は一千二百四十二億一千九百十九万円余でありまして、農林水産業・食品産業等におけるバイオテクノロジー先端技術開発の推進につきましては、二十一世紀を見通したバイテク育種の推進(バイテク育種二〇〇〇年)といたしまして、新たに植物DNAの塩基配列解明に関する研究に着手いたしましたほか、バイテク植物育種に関する総合研究及び都道府県試験研究機関の共同研究による地域バイオテクノロジー研究開発を引き続き推進いたしました。また、培養植物の幼苗化・馴化技術の開発等を行うバイオナーサリーシステムの開発に関する研究に着手いたしましたほか、これらの研究開発の基盤となる遺伝資源の総合的な確保、利用を推進するため、遺伝資源・情報の管理利用システム(農林水産ジーンバンク)の整備等を引き続き推進いたしました。  食品産業等に係る技術革新プロジェクトの推進といたしましては、産・学・官の連携の下に民間の活力を生かしつつ、これらの分野でのバイオテクノロジー先端技術の積極的な開発を図るため、新たに、食品産業における酵素機能変換技術の開発を行う民間の共同研究に助成いたしました。  大型プロジェクト研究等の推進につきましては、長期的視点に立って、生物資源の効率的利用技術の開発に関する総合研究(バイオマス変換計画)、近海漁業資源の家魚化システムの開発に関する総合研究(マリーンランチング計画)及び農林水産業における自然エネルギーの効率的利用技術に関する総合研究(グリーンエナジー計画)を推進いたしました。また、生産性向上等のための技術開発といたしましては、水稲、転作作物を通じた生産性向上技術の開発、水田利用高度化のための地域輪作技術体系の確立、画期的な高品質・高収量畑作物の新品種育成等の総合的な技術開発に着手いたしましたほか、土地利用型農業の生産性向上のため、超多収稲の品種開発、安定多収裁培法の確立に関する研究を引き続き推進いたしますとともに、作物、家畜の成育診断・予測等のための情報処理技術の開発を推進いたしました。さらに、国土資源と環境保全のための技術開発といたしまして、農林水産業のもつ国土・環境保全機能の維持増進に関する総合的な研究を推進いたしますとともに、長距離移動性害虫の被害を的確に回避するための移動予知技術の開発を推進いたしました。このほか、技術水準の高位平準化を図るため、大型・体系化技術の開発に必要な素材技術及び技術需要に迅速に対応するための新技術の開発を促進いたしました。  国際研究協力の推進につきましては、海外農業研究といたしまして、熱帯地域等における農林業生産力の飛躍的な向上に資するため、関係国と共同して革新的技術体系の開発基盤となる技術シーズを開発する基盤技術研究に新たに着手いたしましたほか、熱帯農業研究センターの基盤技術研究体制等を整備拡充いたしました。また、先進国等との国際研究交流といたしまして、バイオテクノロジー先端技術の開発等の推進のため、欧米先進諸国の研究機関との共同研究等を引き続き実施いたしました。  都道府県の試験研究等に対する助成につきましては、都道府県の試験研究機関が共同して、バイオテクノロジー手法による地域の生物資源の改良・活用技術の開発を行う地域バイオテクノロジー研究開発促進事業及び広域にわたる技術問題の解決を図る地域重要新技術開発促進事業を引き続き実施いたしましたほか、都道府県試験研究機 関の行う低コスト稲作技術の開発、国産材の需要開発、水産増養殖用初期餌料の培養開発等の特定研究開発等促進事業を引き続き実施いたしました。  また、品種改良、土壌肥料等に関する指定試験事業を引き続き実施いたしましたほか、沖縄県における試験研究機関の施設等の整備及び奄美群島における農業試験場の施設整備を引き続き実施いたしました。さらに、大学及び民間の試験研究機関を対象とした農林水産業特別試験研究(応用研究)を引き続き実施いたしました。  試験研究機関の運営・整備等につきましては、九州農業試験場、家畜衛生試験場及び水産工学研究所の研究施設について計画的整備を図るとともに、引き続き、農林水産生物遺伝資源管理施設等の整備を推進いたしましたほか、新たに筑波研究施設等の設備の緊急整備を行いました。また、研究用機械につきまして、計画的整備を行いました。さらに、試験研究の円滑な推進を図るため、試験研究機関の運営経費を確保するとともに、研究計算及び研究情報流通の効率的推進を図るため、農林水産研究計算センター等を整備いたしましたほか、新たに、試験研究に必要な数値情報検索及びデータ解析システムのソフトウェア開発に着手いたしました。  民間の研究開発に対する支援体制の強化につきましては、バイオテクノロジーをはじめとする生物系産業技術に関する研究開発を幅広く推進するため、民間を対象に出資・融資のほか、国との共同研究のあっせん等の業務を行う生物系特定産業技術研究推進機構に対する産業投資特別会計からの出資・融資を引き続き行いました。  新技術の実用化促進につきましては、水田作における複合経営及び低コスト栽培技術体系を確立・定着化させるため、ハトムギの高位平準化技術の確立及び作物全体利用並びに地力増進等の技術実用化に助成いたしますとともに、新作物導入のための探索、そば高能率生産技術、落花生高度省力化生産技術及びもみがら等農業副産物の多目的利用技術等の実用化に助成いたしました。  また、農業集落から排出される汚水中の窒素・リン除去技術の研究開発、地下ダムの技術開発を目的とした試験施工を行いましたほか、バイオテクノロジーの活用等による木材成分の総合利用の促進、間伐材等を利用した木材の新規用途開発・実用化等に助成いたしました。  さらに、漁業における省エネルギー技術の開発等を行い、新たに、生産構造の再編整備に資する新技術の開発に助成いたしましたほか、人工衛星による利用システム実用化試験事業に助成いたしました。  協同農業普及事業につきましては、普及職員の設置、農業改良普及所の運営等の事業の基礎的経費について、協同農業普及事業交付金を交付いたしました。  また、生産性の高い水田農業の確立を図るため、生産技術面及び農業構造面からの普及指導活動を総合的に推進する水田農業確立普及活動特別事業及び最新の情報処理技術等を活用した高度な営農診断と指導を行う地域営農診断指導高度化事業に助成いたしましたほか、地域農業の振興上先導的な役割を果たす農家を育成確保する先導的農家育成確保事業及び中核的な農家の農業経営基盤の強化を図る農業経営改善総合指導活動事業に助成いたしました。  また、効率的な普及指導活動に資するため、普及情報センター及び農村生活総合研究センターの調査研究活動に助成いたしましたほか、農業改良資金において、生産方式改善資金及び農家生活改善資金等の貸付けを、沿岸漁業改善資金においては、生活改善資金の貸付けを引き続き実施いたしました。  蚕業技術の普及指導等につきましては、蚕業改良普及職員の効率的設置及び蚕業技術指導所の運営等の事業の基礎的経費について、蚕糸技術改良普及事業交付金を交付いたしましたほか、新たに、情報システムの整備等及び繭検定の集中合理化を進めるための検定施設の整備等に助成いたしました。  畜産経営技術の普及指導につきましては、畜産総合対策において、畜産農家の組織化と畜産経営技術の改善向上活動を推進いたしますとともに、肉用牛生産経営技術の自主的な改善を図るための情報システムの整備を行いました。さらに、中央畜産研修施設において、各種の畜産技術の研修を実施いたしますとともに、国の種畜牧場において、草地利用による大規模経営技術の実験展示等を行い、畜産新技術の普及を図りました。  農村地域等の情報化の推進につきましては、ニューメディア等の利活用を図り、生産性の向上、流通・加工の合理化、農村の活性化等に役立てていくため、地域における先駆的・モデル的な情報システム化の構想の推進・普及に助成いたしました。  また、農業分野における各種情報システムの的確かつ効率的な利用に資するため、中・長期的な指針の検討、ソフトウェアの利用・開発促進等の条件整備等情報の高度利用対策を推進いたしました。さらに、農山漁村ふるさと情報提供事業及び新規就農ガイド事業に助成いたしました。  農業技術の普及及び情報処理の効率的な推進につきましては、効果的な普及指導活動、農業生産環境に関する情報、農業経営診断技術等においてコンピューターの活用、システムの開発、データベースの整備等の事業に助成いたしました。  統計情報の集計、公表システム等の整備運用につきましては、昭和六十二年度から平成二年度までの計画に基づき、農林水産統計情報処理システム整備事業に着手いたしました。また、生鮮食料品の合理的な価格形成に資するため、引き続き生鮮食料品流通情報サービス事業の円滑な実施に努めました。このほか、農業関係団体等に適時、的確な情報を提供する農業情報システムの開発研究を引き続き実施するとともに、これに関連して統計情報等のコンピューターを用いた提供方法について検討を行いました。  食品産業等に関する情報システムの開発・整備につきましては、情報処理技術の急速な進展に対応して、食品の生産、流通、加工及び消費における情報システムの開発・整備のための事業に助成等を行いました。  森林・林業、木材産業に係る情報システムの開発・整備につきましては、木材流通の合理化に資するため、木材取引情報に関するネットワークシステムの開発をすすめるとともに、新たに国産材の生産、流通等の情報に係るモデルシステムの開発、森林資源の適正管理に活用するためのリモートセンシングにより得られる各種情報を解析するシステムの開発を実施いたしました。  水産業に係る情報システムの開発・整備につきましては、沿岸・沖合漁業等の漁況海況予報事業に助成いたしますとともに、短期的漁場形成に関する予測等を試験的に実施する漁況海況情報高度利用開発試験に助成いたしましたほか、人工衛星による利用システム実用化試験事業に助成いたしました。  また、新たに、航空機による海洋構造把握のための手法の開発試験を行うほか、引き続き、海洋観測衛星MOS—1の利用システムの調査・検討を実施いたしました。  統計情報の整備につきましては、農林水産行政の効率的かつ適正な推進に資するため、農作物統計調査、農林経済統計調査等の各種統計調査を引き続き実施し、農林水産業の生産、流通、消費等の各分野の実態を把握いたしました。また、農林漁業の生産構造等を明らかにするため、主要果樹について果樹農業構造調査を実施するとともに、一九九〇年世界農林業センサスの試行調査及び昭和六十三年度実施予定の第八次漁業センサスの試行調査をそれぞれ実施いたしました。さらに生鮮食料品の流通情報の的確な提供を図ったほか、地方統計組織の業務の効率化に資するため、新たに農林水産統計情報処理システム整備事業を実施いたしました。  第四に、活力あるむらづくりと農林漁業者の福祉の向上に要しました経費は二千三百十二億二千 百八万円余でありまして、農村の集落整備の推進等につきましては、農村の集落における土地の計画的利用を図り、農業生産基盤と生活環境の一体的整備を推進するため、集落整備に必要な計画を策定し、農村基盤総合整備事業の中で農村の集落整備に助成いたしましたほか、農業振興地域制度の適正な運用を確保するため、従来の農業・農村整備計画策定事業を再編し、各種の地域課題に対応した計画の策定を推進することとし、これに助成いたしました。  農村の総合的整備につきましては、農業と農村の安定的な発展を図るため、農村の在住者が豊かな安定感のある生活を享受できるよう生産基盤、生活環境等農村地域の総合的な整備を行う農村総合整備モデル事業、農村基盤総合整備事業及び農業集落排水事業に助成いたしました。  山村の総合的整備につきましては、山村振興法に基づいて指定を受けた振興山村を対象として、就業機会の確保、高齢者の生きがい対策、生活環境の整備等を総合的に行う第三期山村振興農林漁業対策事業に助成いたしました。  また、来るべき国産材時代に備えて森林を適正に管理し、林業を活力ある産業として育成していくための国産材供給体制整備事業に引き続き助成いたしました。  さらに、林道網の整備と併せて生活環境の整備を総合的に行う林業地域総合整備事業等に助成いたしますとともに、新たに、山村及び林業の活性化に資するため、分収林制度等を活用した森林(もり)づくりと森林を保健・休養、文化教育等多面的な利用に必要な施設及び環境の総合整備を行う森林(もり)とのふれあい環境整備事業に助成いたしました。  漁村の総合的整備につきましては、漁港施設の整備と併せて、漁業集落の環境基盤等の整備を行う漁業集落環境整備事業に助成いたしました。  また、地域漁業の振興を図っていくため、適正な操業の実現、水産資源の維持増大、就業機会の増大、生活環境条件の整備等を総合的に推進する沿岸地域活性化緊急対策事業等に助成いたしました。  過疎地域等の総合的整備につきましては、農林漁業の振興、農林漁業関連地場産業の育成、高齢者対策の推進、生活環境の整備等を総合的に行う新農村地域定住促進対策事業に助成を行うとともに、農村地域定住促進対策事業に引き続き助成いたしましたほか、地域改善対策として、農林漁業の振興に必要な農林漁業生産基盤の整備、農林漁業近代化施設の導入等に必要な事業に助成いたしました。  農業移住につきましては、全国拓植農業協同組合連合会が行う啓発相談、教育訓練、農業移住者に対する援助資金に対する利子補給等に助成いたしました。  健康の増進と婦人・高齢者対策につきましては、農業従事者の健康の維持・増進を図るため、中堅農家健康推進対策特別事業、地域健康生活対策特別事業等に助成いたしました。また、農村婦人のグループ活動を助長する農家生活改善技術等普及推進事業及び婦人農業従事者の役割の開発と地位の向上等を促進する農村婦人役割開発促進事業に助成いたしました。  さらに、農村型の長寿社会に向けて、ゆとりと潤いのある快適な環境づくりを行う農村地域トータルライフ向上対策事業に引き続き助成いたしますとともに、農村に通した新しい労力援助・活用方式の導入を図る農村型労力活用推進事業に新たに助成いたしました。  このほか、農村の高齢化の急速な進展に対応するため、農村高齢者役割向上対策事業に助成いたしました。  農業者年金制度につきましては、農業経営の近代化及び農地保有の合理化を図るとともに、農業者の老後の生活の安定に資するために、農業者年金基金が行う農業者年金事業、離農給付金支給業務並びに農地等の売買及び取得に必要な資金の貸付業務に助成いたしました。  第五に、健康的で豊かな食生活の保障と農産物の価格の安定に要しました経費は五千八百九十四億六千九百九十四万円余でありまして、日本型食生活の定着促進につきましては、総合的な食料消費対策の推進を図るため、食料品に関する知識の提供等を行う事業に助成等を行いました。  消費者対策の推進につきましては、農林物資規格表示制度の運用の充実、新食品等の品質表示のガイドラインの設定・普及等を推進するとともに、新たに、JAS製品の流通促進を図るための啓発及び業務用食品の表示の在り方についての調査検討を行いました。また、消費者の啓発を図るための情報提供、苦情処理体制の整備等を推進いたしますとともに、一般消費者の食生活改善のための啓発事業、消費者、生産者、食品関係事業者との対話機会の確保を図るための事業等を総合的に行う食生活改善実践活動モデル事業及び食と緑の博覧会を開催するための実行体制の整備等を図るための食と緑の博覧会事業に助成いたしました。  米の消費の拡大につきましては、米食を中心とした日本型食生活の形成、定着を図ることを基本として、米の消費の維持拡大を図るため、食糧管理特別会計において、地域の実情に即した地域米消費拡大対策事業、学校給食への米飯導入を計画的に推進するための学校給食用米穀の値引売却等を実施いたしました。  牛乳の消費の安定的拡大を図り、酪農の振興と児童及び生徒の体位・体力の向上に資するため、学校給食用牛乳供給事業の財源として畜産振興事業団に交付金を交付いたしました。  また、果実については、うんしゅうみかん果汁の消費の拡大及び定着を図るため、果汁消費促進特別対策事業に助成いたしました。  水産物の消費拡大を一層推進するため、魚食普及のネットワーク化等により魚食の普及・啓発等を図る水産物食生活合理化促進事業に助成いたしましたほか、家庭外消費用水産物流通促進パイロット事業及び水産物加工食品等市場開拓推進事業に助成いたしました。さらに、水産物鮮度保持流通総合推進事業及び生鮮水産物冷却貯蔵温度基準設定事業に助成するとともに、魚介類に含まれる栄養成分の食用利用化を図るための加工処理及び量産化技術の開発等を行う魚介類有効栄養成分利用技術開発事業を実施いたしました。  米麦管理制度の運営につきましては、食糧管理制度の運営の円滑化を図るため、食糧管理特別会計の調整勘定へ必要な調整資金を、また、国内米管理勘定へ過剰米処分損失補てん金をそれぞれ繰り入れいたしました。  畜産物の価格安定につきましては、加工原料乳生産者補給金交付事業の財源として畜産振興事業団に交付金を交付いたしました。また、牛肉の価格安定を図るため、同事業団が価格安定制度を実施するのに必要な資金の一部について出資いたしました。さらに、肉用子牛価格安定基金の交付準備金の造成に助成いたしましたほか、鶏卵の計画生産の推進等について指導いたしますとともに、卵価安定基金の補てん準備金の造成に助成いたしました。  野菜の価格安定につきましては、生産出荷団体が主体となって作付けから出荷に至る過程を通じ有効に需給調整を行う重要野菜需給調整特別事業に助成いたしました。また、野菜供給安定基金が行う指定野菜の価格補てん事業について、指定消費地域の拡大、交付予約数量の増加等事業の拡充を図りましたほか、指定野菜に準ずる野菜等について都道府県段階の法人が行う価格補てん事業に助成いたしますとともに、対象出荷期間の拡大等事業の拡充を図りました。さらに、端境期等における野菜価格の高騰に対処するため、同基金が行う野菜売買保管事業に助成いたしました。  果実の価格の安定につきましては、加工原料用果実価格安定対策事業の資金造成に助成いたしましたほか、うんしゅうみかんの需給調整を図るため、生産、流通、加工及び消費にわたる需給安定対策に助成いたしました。  大豆及びなたねの生産農家の保護につきましては、生産農家の所得の安定を図るため、販売数量及び方法を調整して販売事業を行う生産者団体等を通じ、生産者に交付金を交付いたしました。  砂糖及び甘味資源作物等の価格の安定につきましては、てん菜及びさとうきびの価格支持のための国内産糖の買入れ及び売戻しに伴う売買差額の補てんに充てるため、蚕糸砂糖類価格安定事業団に交付金を交付いたしますとともに、同事業団の業務運営の経費に助成いたしました。また、沖縄本島に比べて生産条件等に格差のある離島の分みつ糖製造事業者に助成いたしましたほか、沖縄産含みつ糖の価格差補給事業に助成いたしました。  繭及び生糸の価格安定につきましては、繭糸価格安定制度を適正に運用するとともに、蚕糸砂糖類価格安定事業団の生糸在庫及び負債を整理するための特別の勘定の欠損金を補てんするため、蚕糸砂糖類価格安定事業団在庫生糸特別処分損失補てん交付金を交付いたしました。  第六に、食品産業の振興と流通対策の推進に要しました経費は百六十三億二千八百四十六万円余でありまして、食品産業対策につきましては、財団法人食品産業センターが行う調査、広報、経営の指導、消費者対策等の事業に助成いたしますとともに、食品産業における技術の開発を推進する新技術開発事業、新技術実用化促進事業及び先端的技術の食品産業への導入を推進する革新技術導入開発事業、柔軟に多品種の生産に対応し得る効率的な製造システムを開発する食品産業FAS開発推進事業、食品産業バイオリアクターシステム開発事業、食品産業酵素機能変換技術開発事業、中小の食品製造業における技術者等を対象とする食品産業人材育成促進事業等の各事業に助成いたしました。また、農水産業サイドと食品産業サイドの連携を強化し、地域農水産物の加工利用を促進し地場産業の振興を図るため、地域農水産物を原料とする新製品の開発、施設の整備、技術の向上、情報の収集・提供、原材料の安定取引の推進等を行う地域食品振興対策事業に助成いたしましたほか、ふるさと食品の普及に資するためのフードプラザ事業及びふるさと食品情報事業に助成いたしました。さらに、食品工場環境保全対策推進特別事業、地域外食産業近代化促進モデル事業、外食産業国産食材開発利用推進モデル事業、外食産業経営改善推進事業及び外食産業総合調査研究事業に助成いたしました。  食品流通の効率化につきましては、卸売市場整備基本方針及び同整備計画に基づき、三十三都市の中央卸売市場(四十八市場)の施設整備事業及び十四都市の地方卸売市場の施設整備事業に助成いたしました。また、新しい商店街区の形成、販売手法の開発導入等に必要なマスタープランの策定を行う食料品商業活性化推進対策事業に助成いたしますとともに、生鮮食料品等の流通の合理化を図るため、食料品卸小売業者の経営診断、教育研修等を行う生鮮食料品等流通改善促進事業に助成いたしましたほか、食品物流の効率化を図るため、食品物流効率化システム開発事業に助成いたしました。  さらに、食糧事務所職員による食品の生産・製造・流通段階における巡回点検指導を実施いたしましたほか、国民金融公庫の生鮮食料品等小売業近代化資金貸付制度を拡充いたしました。  畜産物の流通加工の合理化につきましては、畜産総合対策において、家畜市場の再編整備、産地における食肉センターの整備、食鶏産地格付包装流通センター及び良質液卵製造施設の設置等の事業に助成いたしました。また、畜産物の需給の円滑な調整と流通消費の改善を図る観点から、肉畜鶏卵の生産出荷調整、小売店における食肉の適正表示販売の指導、生乳需給調整及び生乳計画生産の推進指導等の事業に助成いたしました。  野菜の流通加工の合理化につきましては、広域にわたる野菜産地に出荷及び加工の中核となる施設の整備事業に助成いたしましたほか、野菜の周年需要の進展に即応して、野菜端境期平準出荷モデル対策事業に助成いたしました。  果実の流通加工の合理化につきましては、農業生産体質強化総合推進対策において、選果施設、長期貯蔵施設等の整備に助成いたしました。  第七に、国際協力の推進と食料の安全保障の確保に要しました経費は四十二億二千八百九十九万円余でありまして、国際協力の推進につきましては、開発途上国等の農林水産業生産力の向上等を通じ、これら諸国の経済社会の発展に寄与するため、農林水産業開発に対する協力を一層推進することとし、引き続き海外派遣専門家の養成研修及び海外からの研修員の受入研修を実施いたしますとともに、アフリカ地域の食料農業事情に関する緊急実態調査、中華人民共和国の畜産についての技術協力に関する調査等を実施いたしました。また、国際農業関係機関を通じる協力として、国際連合食糧農業機関(FAO)に準専門家を派遣いたしましたほか、農業開発推進のための環境管理調査のための拠出等を行いました。また、国際稲研究所、国際半乾燥熱帯作物研究所、国際熱帯木材機関及び国際協同組合同盟に拠出を行いました。  さらに、引き続き社団法人国際食糧農業協会が行う調査普及事業等に対して助成いたしますとともに、民間団体が行う海外農業開発事業の事前調査、海外食糧農業情報の整備、開発途上国の農協指導者等の研修、農用地開発公団の技術情報の収集整備、アセアン諸国の中核農民の研修等に助成いたしましたほか、新たに民間農林業投資促進のための調査事業、食品加工分野の技術協力等に助成いたしました。さらに、ソヴィエト連邦、大韓民国及び中華人民共和国との間の技術交流を実施いたしましたほか、民間団体が行う中華人民共和国との間の農業分野における技術交流に助成いたしました。このほか、国際協力事業団を通じる農林業開発協力に対する投融資事業等を実施いたしました。  農林水産物の輸入の安定確保につきましては、主要輸出国との間で緊密な情報及び意見の交換を行いましたほか、国際食糧農業情勢に関する情報収集及び調査分析等を行いました。  備蓄対策の推進につきましては、飼料穀物、大豆及び木材について、国際需給の動向に対応して、供給及び価格の安定を確保するため、各公益法人が行う備蓄対策事業に助成いたしました。  第八に、農林漁業金融の充実に要しました経費は一千五百八十二億八千二百五十万円余でありまして、農林漁業金融公庫資金の充実につきましては、農林漁業の経営構造改善、基盤整備等に必要な資金の確保を図りますとともに、林業基盤整備資金の償還期限及び据置期間の延長等の融資内容の充実を図りました。この結果昭和六十二年度の貸付決定の総額は、四千九百六十三億六千五百八十七万円となりました。また、農林漁業金融公庫の業務の円滑な運営に資するため、一千四百三十七億三千二百万円を同公庫に交付いたしました。  農業近代化資金及び農業信用保証保険制度の充実等につきましては、農業近代化資金の昭和六十二年度の貸付実績は、二千五百六十九億七千九百八十九万円余となり、既貸付金を含めその利子補給等に助成いたしました。また、農業者等の農業経営等に必要な資金の融通の円滑化を図るため、都道府県が行う農業信用基金協会に対する出資について助成いたしましたほか、農業信用保険協会に対して融資業務を行うのに要する資金及び保険準備資金に充てるための資金を交付し、保証保険機能の充実強化を図りました。なお、昭和六十二年十月一日に農業信用保険協会、林業信用基金及び中央漁業信用基金を統合し、農林漁業信用基金を設立しました。  農業改良資金制度の充実につきましては、農業者の自主性と創意工夫を活かした本資金の活用を積極的に推進するため、生産方式改善資金の中の経営転換等推進資金の拡充を行うとともに、おうとうの品質向上と生産安定の技術の導入を促進するため、地域農業技術導入資金の貸付枠の拡大を図るほか、農業後継者育成資金を充実いたしました。  また、農業改良資金の貸付金の財源に充てるため、一般会計からの繰入れに加えて、日本中央競馬会の特別積立金のうち百五十億円を、農業経営基盤強化措置特別会計に特別納付いたしました。  第九に、二十一世紀に向けた森林・林業施策の充実に要しました経費は三千八百二十七億八千七 百十四万円余でありまして、林野公共事業の推進につきましては、新たに第七次治山事業五箇年計画を策定し、その初年度として治山事業の緊急かつ計画的な推進を図ってまいりました。特に、水資源の確保上重要なダム等の上流の水源地域の荒廃した森林の水土保全施設の整備等を図る水源地域緊急整備事業、市街地、集落等と山地が近接した災害の発生しやすい地域を対象に防災施設の総合整備等を図る地域防災対策特別整備治山事業を新たに実施いたしますとともに、治山事業に要する経費の財源を国有林野事業特別会計治山勘定へ繰り入れいたしました。  また、水源林造成の円滑な推進を図るために必要な財源を森林開発公団に出資いたしました。  林道事業につきましては、林業生産力の向上、木材の安定的供給等に資するため、民有林林道の計画的な整備を推進するとともに、林業地域総合整備事業、林道網緊急整備事業等に助成いたしましたほか、新たに森林造成林道整備事業に助成いたしました。また、森林開発公団が行う大規模林業圏開発林道事業及び特定森林地域開発林道事業に助成いたしました。  民有林造林事業につきましては、国民の森林に対する要請の高度化、多様化等森林・林業を巡る諸情勢に適切に対処して効果的な造林事業を推進するため、造林補助事業体系の再編を行うとともに、集団的、計画的な推進を図る森林総合整備事業を拡充して実施いたしました。  災害復旧等事業につきましては、山林施設の復旧事業と激甚災害を受けた森林に係る復旧事業を計画的に実施するとともに、特に、当年発生した豪雨、地すべり等により生じた荒廃山地の復旧等を行うため、新たに災害関連緊急治山等事業に助成いたしました。  森林・林業、木材産業活力回復五カ年計画の推進につきましては、森林・林業、木材産業を巡る厳しい情勢の中、その活力を回復させるため、その第三年目として、各般の緊急対策を着実に推進してまいりました。木材需要拡大推進緊急対策としましては、木材及び木造建築物の良さを普及、啓発するため、木造建築物普及促進のシンボルとなるモデル木造施設の建設等に助成いたしました。  また、木材産業体質強化緊急対策としましては、木材産業における新分野への事業転換、生産方式の合理化等の促進に必要な設備資金等に対する利子助成を行うために必要な資金造成等に助成いたしました。  さらに、森林整備等林業活性化緊急対策としましては、林業生産活動を活性化し、地域の実態に即した森林の整備と林業の生産性の向上を図るため、間伐促進対策を中心とした森林地域活性化緊急対策に新たに助成いたしますとともに、間伐等の実施に必要な事業運営資金として借り入れる短期資金に対しての利子助成をいたしました。  林業経営の活性化につきましては、地域林業の組織化のための活動の推進、林業生産基盤及び林業経営近代化施設の整備、山村地域の環境条件の改善等を有機的に関連づけ、総合的に実施する新林業構造改善事業、新沖縄林業振興特別対策事業等に助成いたしました。また、国産材の安定供給体制の整備に資するため、新たに林業情報システムの開発事業、効率的な素材供給基地づくりのための素材供給基地整備パイロット事業に助成いたしました。さらに、地域林業整備育成対策事業及び苗木の需給安定を図るための優良種苗確保対策に助成いたしましたほか、担い手の育成確保につきましては、林業就業者の計画的育成確保等を図るための地域林業担い手育成確保対策事業を新たに実施いたしますとともに、高度な技能を有する林業従事者の育成、雇用体制の整備、林業労働安全衛生の確保のための対策及び林業後継者の育成確保対策等に助成いたしました。このほか、森林組合の育成、不在村者等所有の森林の適正な森林管理を推進するため、新たに不在村者等所有森林活性化対策事業を実施いたしました。  森林機能の維持増進につきましては、松くい虫被害対策等として特別防除、伐倒駆除、特別伐倒駆除等による的確な防除を推進いたしますとともに、被害森林の復旧、整備を図るほか、誘引剤の研究開発等新たな事業を実施いたしました。また、適正な森林整備の推進を図るため、国民参加及び費用負担による水源林等の森林整備を推進するための全国基金の創設を促進する森林整備推進事業の実施、保安林整備等の推進、林地開発許可制度及び森林計画制度の適正な運用を図りましたほか、林野火災危険地域において予防体制の整備等を図るための森林保全管理事業に助成いたしました。  山村振興と森林の総合的利用の促進につきましては、林業・林産業が重要な地位を占めている集落において、特用林産物の生産振興を中心とした総合的な集落振興を行う林産集落振興対策事業に助成いたしました。また、国民の森林に対する多様な要請にこたえるとともに森林を多面的に利用するために必要な森林(もり)づくり、施設整備を行う森林(もり)とのふれあい環境整備事業を新たに実施いたしました。さらに、緑資源の確保と国土の緑化に資するため、全国植樹祭の開催をはじめ、都市近郊緑化推進モデル事業、森林多目的利活用促進対策事業等を推進いたしますとともに、医療、教育、文化等森林の高度利用に資するため、新たに森林利用高度化対策事業を実施いたしましたほか、入会資源総合活用促進対策事業に助成いたしました。  木材需要の拡大と流通対策等の充実強化につきましては、森林資源を有効活用した新商品の開発、実用化を促進する事業、木材の新規需要開拓に必要な調査・分析等を行う事業、物流コストの縮減等を目指した効率的な物流システムを構築するためのモデル事業等を実施いたしましたほか、木材の需給及び価格の安定を図るための木材備蓄対策等に助成いたしました。  林業金融の充実につきましては、林業改善資金の貸付事業に対する助成及び国産材産業振興資金の貸付けを行いますとともに、農林漁業信用基金に対して保証出資を行い、林業金融の円滑化を図ってまいりました。  林業技術の高度化につきましては、林業技術の改善と林業経営の合理化等を図るため、林業普及指導事業に助成いたしますとともに、試験研究の充実を図ってまいりました。  海外林業協力の推進につきましては、開発途上地域等における森林資源の保続培養と林業生産力の向上に資するため、これら地域の林業開発に協力するとともに、有用な林木種の利用や保存に必要な基礎資料の収集、造林資金協力の円滑な推進を図るための調査等に助成いたしました。  国有林野事業の経営改善につきましては、改訂・強化した「国有林野事業の改善に関する計画」に即して経営改善を進めるとともに、国有林野事業における造林、林道及び林道災害復旧事業に要する資金の一部、治山事業に要する資金並びに職員の退職手当及び借換えのための借入金に係る利子補給金に対する繰入れをいたしました。  第十に、二百海里時代の定着等に即応した水産業の振興に要しました経費は二千八百十七億四千七百二十八万円余でありまして、漁業生産基盤の整備につきましては、第七次漁港整備長期計画に基づき、沿岸・沖合漁業の基地を重点として漁港施設を整備いたしますとともに、快適な漁港環境の形成のための漁港公害防止対策事業及び漁港環境整備事業並びに漁港施設の整備と一体的に行う漁業集落環境整備事業に助成いたしました。また、新たに、遊漁船等と漁船との漁港利用を調整し、漁業活動の円滑化を図るための施設整備を行う漁港利用調整事業に助成いたしました。さらに、第二次沿岸漁場整備開発計画に基づき、魚礁の設置事業、増養殖場の造成事業、沿岸漁場の保全事業及び沿岸の広域な海域において漁業生産力の積極的活用を図る海域開発基幹事業に助成いたしました。  我が国周辺水域の漁業振興につきましては、新たな観点からの二百海里水域の開発の展開を図るため、水産業を核とした沿岸・沖合域の総合的な整備開発の条件等に関する調査・検討事業に助成 いたしますとともに、つくり育てる漁業の推進を中心とした漁業開発を促進するための新技術導入事業に助成いたしましたほか、漁況海況データの収集・解析による短期的漁場形成に関する予測、人工衛星情報の活用システムの実用化試験等を行う事業に助成いたしました。また、栽培漁業の推進のため、国の栽培漁業センターにおける施設整備及び種苗生産等の技術開発を推進いたしますとともに、道府県が行う栽培漁業センターの施設整備、栽培漁業技術の開発等について助成いたしましたほか、栽培漁業事業化促進事業に助成いたしました。また、我が国河川を母川とするさけ・ます資源の計画的造成を図るため、国営さけ・ますふ化場の放流事業、施設整備を推進いたしましたほか、民営増殖施設、さけ・ます通路等の整備事業及び本州における放流事業に助成いたしますとともに、さけ・ます資源の質的向上を図るための調査等を実施いたしました。  沿岸域の適正な漁場利用と漁業経営の改善を図るため沿岸域計画営漁推進事業に助成いたしましたほか、我が国周辺水域における漁業・漁場のより適切な管理による資源の合理的な利用・管理を行うため、新たに、漁業高度管理適正化方式開発調査を実施いたしました。また、沿岸漁業の構造を改善するため、生産条件、漁村環境の整備等を総合的に行う新沿岸漁業構造改善事業及び新沖縄県水産業構造改善特別対策事業に助成いたしますとともに、地域漁業振興のための沿岸地域活性化緊急対策事業及び漁業地域活性化緊急対策事業に助成いたしました。また、内水面漁業の総合的な振興を図るため、内水面振興対策事業等に助成いたしました。  漁業と遊漁との漁場利用の調整・適正化のため、遊漁者の啓発等の事業に助成いたしますとともに、秩序ある漁場管理体制の確立、資源保護・培養に対する釣り人の協力促進等のための施設の整備を推進いたしました。また、漁場利用協定の締結等の促進、遊漁者及び釣り船業者の組織化の指導、漁場利用調整を行う事業に助成いたしました。  さらに、漁業調整委員会等の運営について交付金を交付いたしますとともに、漁業関係法令遵守意識の醸成等のための研修、啓蒙普及事業に助成いたしましたほか、沿岸基幹漁業の操業実態、経営状況等の調査を実施いたしました。また、新たに、秋さけ資源の適正な管理のため、その回遊実態の把握に必要な資料の整備を行いましたほか、引き続き水産資源保護のための保護水面管理事業等に助成いたしました。  さらに、我が国漁業水域制度の適正な運営、沿岸及び沖合漁業取締指導体制の整備等を図るとともに、我が国周辺二百海里水域内の漁業資源量を迅速かつ的確に把握するための調査を実施いたしました。  沿岸漁業等の生産性の向上及び経営の近代化を図るため、普及職員の設置等水産業改良普及事業の運営に要する基礎的な経費に対し交付金を交付いたしますとともに、漁村における人づくりの推進等のための漁業後継者対策事業等に助成いたしました。また、沿岸漁業の振興及び生産性の向上のため、沿岸漁業改善資金の資金造成に助成いたしました。また、漁業者の老後の生活の安定を図り、漁業の担い手の確保に資するため、漁協系統が自主的に実施する漁業者老齢福祉共済の運営に助成いたしましたほか、新たに、良質な漁業労働力の確保を図るため、漁業離職者に対して体験乗船を通じた漁労技能の指導等を行う漁労技能者育成促進事業に助成いたしました。  水産業経営対策の充実強化につきましては、内外の厳しい漁業情勢に対処して、中小漁業者が自主的かつ計画的に減船等を行う経費として、特定漁業生産構造再編推進事業に助成いたしますとともに、減船に伴い必要となるとも補償資金等の融通をいたしました。また、漁業経営の再建に資するため、漁業経営再建資金及び漁業経営維持安定資金等の利子補給に助成いたしましたほか、漁業近代化資金、農林漁業金融公庫資金等の融通を行いました。さらに中小漁業者等の漁業経営等の改善に必要な資金の融通の円滑化のため、都道府県が行う漁業信用基金協会に対する出資について助成いたしますとともに、農林漁業信用基金が漁業信用保険業務の円滑な実施を確保するために必要な資金を出資いたしました。  漁業協同組合の育成強化を図るため、都道府県が行う漁協経営指導強化対策事業等に助成いたしますとともに、漁業経営の悪化に伴い経営不振に陥っている漁業協同組合の信用事業の整備強化のため、漁協信用事業整備強化対策事業に助成いたしました。さらに、漁業経営の体質強化を行い新たな技術体系を確立するため、漁業における省エネルギー等新技術開発事業等に助成いたしました。  水産物の消費、価格及び流通加工対策につきましては、水産物の消費拡大を推進するため、魚食普及のネットワーク化等により魚食の普及・啓発等を図る水産物食生活合理化促進事業、水産加工品等の市場開拓等を推進する水産物加工食品等市場開拓推進事業、外食向け水産物の潜在的な需要の開拓を図り、水産物素材の安定的供給システムづくりを行う家庭外消費用水産物流通促進パイロット事業、冷凍水産物等の鮮度保持流通のマニュアル化及び事業化並びに消費者啓発等を行う水産物鮮度保持流通総合推進事業並びに摂氏零度前後の温度帯における生鮮水産物の流通を確立するための温度基準の設定を行う生鮮水産物冷却貯蔵温度基準設定事業等に助成いたしますとともに、魚介類有効栄養成分利用技術開発事業を実施いたしました。  また、水産物の価格安定を図るため、漁業生産者団体等が主要水産物に対して行う水産物調整保管事業について、財団法人魚価安定基金の資金造成に助成いたしました。  さらに、産地における流通加工体制を整備するため、水産物流通加工拠点総合整備事業に助成いたしますとともに、国際規制の強化、多獲性魚の生産増大等水産加工業をめぐる原料事情の変化に対処して、水産物の加工の促進と安定的供給等を図るため、水産加工施設資金及び水産加工経営改善強化資金の融通を行いました。  資源開発・海外漁場の確保につきましては、海洋水産資源開発センターが行う新漁場開発事業、新資源開発事業等に助成いたしましたほか、海外漁場における我が国漁業の操業の円滑化に資するための海外漁場操業対策事業に助成いたしますとともに、海外漁業協力事業に必要な資金の造成を行ったほか、海外研修生受入事業、専門家派遣事業、海外漁場開発協力事業に助成いたしました。また、諸外国との漁業交渉に必要な基礎資料を得るため、各種水産生物の資源調査を実施いたしますとともに、新たに、国際捕鯨委員会による商業捕鯨全面禁止(モラトリアム)決定見直しのための鯨資源の包括的評価に必要な生物学的データを得るため、鯨類捕獲調査を実施いたしました。さらに、各種条約、協定の遵守及び安全操業の確保を図るため、遠洋、北洋漁業の指導監督及び取締りを実施するとともに、各国との漁業協定を実施するために必要な助成等を行いましたほか、我が国北洋さけ・ます漁業の操業の確保と日ソ間の漁業協力を一体的に推進するため、さけ・ます漁業協力事業に助成いたしました。  漁業災害補償制度につきましては、漁業共済掛金の一部に助成いたしましたほか、漁業共済に係る保険金支払財源不足に充てるため漁船再保険及漁業共済保険特別会計に繰り入れいたしました。また、漁業共済保険金の支払いに関する特別措置に伴い、支払資金借入金に対する利子に要する経費として交付金を交付いたしますとともに、漁業共済団体の円滑な事業運営のために必要な資金の貸付けを行う農林漁業信用基金に補給金の交付を行いました。また、漁船損害等補償制度につきましては、漁船保険等に係る保険料の一部に助成いたしました。  漁場環境保全対策等につきましては、赤潮対策として、赤潮予察実用化技術開発試験等を実施いたしましたほか、広域・深層の赤潮の早期探知技術の開発等を実施いたしました。また、漁業公害 対策として、水銀・PCB等による魚介類汚染状況調査、海産魚に係る有害化学物質の毒性試験及び重要貝類の毒化原因調査等を実施いたしましたほか、漁場保全に関する啓発、沿岸・内水面の漁場においてプラスチック類等の廃棄物の除去等を行う事業等に助成いたしました。さらに、原因者不明の漁場油濁による被害漁業者救済のため、財団法人漁場油濁被害救済基金に助成いたしました。また、漁場環境影響対策として、浅海域における大規模開発による漁業影響を監視するためのモニタリング手法確立調査等を実施いたしましたほか、複合的な産業開発に伴う漁場環境の変化を適切に予測評価するための漁場環境容量等検討事業に助成いたしました。さらに、魚病対策として、指導者育成、研究等を行う魚病対策総合センター事業を実施いたしますとともに、防疫対策の実施及び関連の機器整備等を行う魚病対策補助事業に助成いたしました。また、機能的な漁業無線施設の実現を図るための漁業用無線施設の整備事業に助成いたしました。  また、試験研究の実施につきましては、国の水産研究所等の調査研究の充実を図るとともに、都道府県水産試験場の機器整備、組織的な調査研究の推進等のため助成いたしました。  第十一に、その他の重要施策に要しました経費は三千二百八十六億六千八百五十七万円余でありまして、海岸事業の推進につきましては、第四次海岸事業五カ年計画に基づき海岸保全区域における事業を実施いたしました。  農業災害補償制度につきましては、農作物共済、蚕繭共済、畑作物共済、家畜共済、果樹共済及び園芸施設共済に係る掛金国庫負担金等として九百十四億三千百四十九万円余を農業共済再保険特別会計へ繰り上れいたしましたほか、農業共済団体事務費等として五百四十八億二千八百五十一万円余を助成いたしました。  災害金融の円滑化につきましては、天災融資法に基づく災害営農資金等の利子補給補助として十一億二千四十四万円余を助成いたしました。  災害対策公共事業につきましては、台風、豪雨、地震等により被災した農地、農業用施設、山林施設、漁港施設等の災害復旧事業等を実施いたしました。  エネルギー対策の推進につきましては、長期的に需給の不安定化が予想される石油・エネルギー情勢に対処し、農林水産業及び関連部門におけるエネルギー需給の安定を確保するとともに、省エネルギーの推進を図るため、中長期的視点に立ったエネルギー対策の検討、推進を実施いたしました。  農業団体の整備につきましては、農業委員会等、農業協同組合等及び農林漁業団体職員共済組合の円滑な運営等のため所定の事業を実施いたしました。  最後に、各特別会計の事業につきましては、食糧管理特別会計において、国内産米麦、輸入食糧及び輸入飼料の買入れ、売渡しの事業を実施いたしました。  国有林野事業特別会計の国有林野事業確定においては、自主的改善努力を基本とし、これと所要の財政措置によって国有林野事業の経営の健全性の確立を図ることとし、改訂・強化した「国有林野事業の改善に関する計画」に即して、事業運営の能率化、経営管理の適正化、収入の確保等を推進するとともに、造林事業、林道事業等の生産基盤の整備を実施いたしました。  治山勘定においては、森林の有する公益的機能の維持増進を図るため荒廃山地の復旧及び防止事業を重点的に推進いたしますとともに、防災林造成事業、保安林整備事業、地すべり防止事業等を実施いたしました。国有林野内治山については、その公益性にかんがみ、二百八十一億八千三十一万円余を一般会計から繰り入れて実施いたしました。  農業共済再保険特別会計につきましては、農業勘定において、農業共済組合連合会等に対する補助金及び交付金、六十二年産水稲・麦等の風水害等異常災害の発生による再保険金により、支出済歳出額は二百四十三億一千七百十万円余となっております。家畜勘定においては、農業共済組合連合会等に対する交付金、乳用牛・肉用牛等の死廃及び病傷事故による再保険金により、支出済歳出額は二百六十八億九千九百二十二万円余となっております。果樹勘定においては、農業共済組合連合会に対する交付金、りんご等の風水害等異常災害の発生による再保険金等により、支出済歳出額は三十七億四千七百三万円余となっております。園芸施設勘定においては、農業共済組合連合会に対する交付金、風水害等の発生による再保険金により、支出済歳出額は二十一億二千五百八十五万円余となっております。  その他、漁船再保険及漁業共済保険特別会計、森林保険特別会計、農業経営基盤強化措置特別会計及び国営土地改良事業特別会計といたしましては、それぞれ所定の事業を実施いたしました。  以上、昭和六十二年度の主な事業の概要につきまして御説明申し上げました。これらの事業の執行に当たりましては、いやしくも不当な支出や非難されるべきことのないよう、常に経理等の適正な運用について、鋭意努力をしてまいりましたが、昭和六十二年度決算検査報告におきまして、不当事項等として指摘を受けたものがありましたことは、誠に遺憾に存じております。指摘を受けた事項につきましては、直ちに適切な措置を講じましたが、今後とも指導監督を一層徹底いたしまして、事業実施の適正化に努める所存であります。  なにとぞよろしく御審議のほどお願いいたします。    昭和六十三年度農林水産省決算概要説明  昭和六十三年度における農林水産省の歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  一般会計の歳入につきましては、当初予算額は二千八百九十二億八千八百四十一万円余でありますが、予算補正追加額等四十一億二千五十七万円余の増加がありましたので、歳入予算額は二千九百三十四億八百九十九万円余となっております。  これに対し、収納済歳入額は三千五百九億二千十二万円余であり、これを歳入予算額と比較いたしますと五百七十五億一千百十三万円余の増加となっております。これは、日本中央競馬会納付金が予定より多かったこと等の理由によるものであります。  次に、一般会計の歳出につきましては、当初予算額は二兆五千五百六十一億四千六百十四万円余でありますが、かんきつ園緊急再編対策事業に必要な経費等として予算補正追加額三千五億五千五万円余、既定予算の節約等による予算補正修正減少額百三十六億三千百九十一万円余、北海道における農業基盤整備事業を実施するために必要な経費等について、総理府所管から移し替えを受けた額二千四百四十八億四千四百五十四万円余、前年度からの繰越額四百八億五千八百万円余、山林施設災害関連事業に必要な経費等として予備費百五億一千六百二十六万円余の増減がありましたので、歳出予算現額は三兆一千三百九十二億八千三百九万円余となっております。  これに対し、支出済歳出額は三兆八百四十九億五千八十一万円余であり、これと歳出予算現額との差額は五百四十三億三千二百二十八万円余となっております。  この差額のうち、翌年度への繰越額は、四百三億五千九百四十五万円余であり、不用額は百三十九億七千二百八十三万円余となっております。  このほか、これら一般会計とは別に大蔵省所管産業投資特別会計に係る支出済歳出額は二千三百七十一億四千三十三万円余となっております。  次に施策別にその主なものについて、御説明申し上げます。  第一に、土地利用型農業の体質強化を目指した構造政策等の積極的な推進に要した経費であります。  その支出済歳出額は、九千七十七億三千四百四十五万円余であります。  まず、農業の生産性の向上及び需要の動向に即 応した農業生産の再編成を促進し、土地利用型農業の体質強化を実現するため、第三次土地改良長期計画に基づき、その基礎的条件である農業生産基盤の整備を、NTT資金の活用も併せ、着実かつ効率的に実施するとともに、土地改良事業に係る償還の円滑化を図るため、所要の措置を講じました。  また、経営規模拡大を促進するため、市町村段階においても構造政策推進会議を設置して、中核農家・営農集団の育成を図るため、その組織化の支援と情報・技術の交換、土地利用型農業経営指標の作成、地域リーダーの活動に対しての支援等を行うこととし、構造政策推進体制の強化を図りましたほか、農業構造改善事業を拡充強化いたしました。  さらに、担い手農家の育成確保を図るため、Uターン青年、農外からの新規参入者等を含めた幅広い観点からの農業後継者対策等を実施いたしました。  第二に、需要の動向に応じた生産性の高い農業の展開に要した経費であります。  その支出済歳出額は、四千百六十四億七千六百六十六万円余であります。  まず、水田を活用して生産される作物の生産性の向上、地域輪作農法の確立及び需要の動向に応じた米の計画的生産を一層推進するため、水田農業確立対策を引き続き実施いたしました。  また、高水準水田農業を地域の実情に応じて実証するためのモデル事業等を追加するなど、農業生産体質強化総合推進対策を強化充実し、地域の自主性と活力を基盤に各般の生産対策を総合的かつ計画的に実施いたしました。  さらに、肉用牛生産の低コスト化及び肉用牛資源の拡大の重要性にかんがみ、中山間地域等の放牧可能な地域における子牛生産集団と先進肥育経営とのネットワークを形成し、低廉かつ安定した子牛生産と低コスト牛肉生産の拡大のための条件整備を図る肉用牛生産ネットワーク対策を実施する等畜産総合対策の充実を図りました。  また、生産コストの節減を図るため、新たな利用形態としてのリース方式による農業機械の導入及び利用の推進、広域的な農作業受委託の促進等を行う低コスト農業機械高度利用総合推進対策事業等を実施いたしました。  このほか、農産物輸入の自由化等により影響を受ける農家経営の安定と農業の体質強化等を図るため緊急に行ったかんきつ園緊急再編対策事業等の資金造成に助成いたしました。  第三に、農山漁村地域の活性化対策の推進に要した経費であります。  その支出済歳出額は、一千八百七十七億六千三百五十七万円余であります。  まず、農山漁村社会の高齢化、混住化等に対処しつつ、経済社会の変化にも即応して、農林水産業に携わる人々が意欲と生きがいを持てる新しい地域社会を目指し、農林水産業の振興と併せ、生活環境の整備、安定した就業機会の確保、リゾート地域の整備、都市と農山漁村との交流の促進等により、農山漁村地域の活性化を推進いたしました。  また、都市部に比べて立ち遅れている農村集落の生活環境の改善を図るため、農村総合整備モデル事業、農村基盤総合整備事業等を推進いたしました。  さらに、農林漁業生産活動・ふるさと交流等に必要な施設の整備、農山漁村地域への企業導入を促進するための関連施設の整備を行うなど、第三期山村振興農林漁業対策事業、新農村地域定住促進対策事業等を拡充強化いたしました。  第四に、バイオテクノロジー先端技術等の開発・普及と、農林水産情報システムの開発・整備等に要した経費であります。  その支出済歳出額は、九百九十五億一千六百二万円余であります。  まず、農林水産業、食品産業等の生産性の飛躍的向上等を図るため、二十一世紀を目指したバイオテクノロジー研究開発及びその基盤となるジーンバンク事業を推進するとともに、生物情報の解明と制御による新農林水産技術の開発に関する総合研究等の基礎的・先導的なプロジェクト研究等を実施いたしました。  また、産・学・官の連携強化による研究の拡充を図るため、官民交流共同研究を実施するとともに、民間の研究開発に対する支援措置を強化するほか、限界地域における農林業生産のための研究を実施する等熱帯地域等に係る試験研究を拡充強化するとともに、国際研究交流を推進いたしました。  これらの技術開発の成果等について農家への普及等を図るため、協同農業普及事業等の効果的な推進を図りました。  さらに、農村地域等におけるニューメディア等を活用した情報システム化構想の推進・普及を図りました。  このほか、農林水産業の構造等の実態を的確に把握し、農林水産行政の効率的かつ適正な推進に資するため、第八次漁業センサスをはじめ、各種統計調査等を実施いたしました。  第五に、健康的で豊かな食生活の保障と農産物の価格・需給の安定に要した経費であります。  その支出済歳出額は、三千七百九十三億七百五十四万円余であります。  まず、健康的で豊かな食生活の保障の観点から、日本型食生活の定着促進を図ること等を基本として、消費者ニーズの多様化・高度化等に対応した食生活・消費者対策や、牛乳・果実等の農水産物の消費拡大対策の推進を図りました。  また、農産物の価格については、需要の動向と生産性向上の成果をより的確に、かつ可能な限り反映し、農産物が国民の納得の得られる価格で安定的に供給されるよう努めました。  さらに、農産物輸入自由化等により影響を受ける農家経営の安定と農業の体質強化等を図るため緊急に行った肉用子牛価格安定事業等を実施いたしました。  第六に、食品産業の振興と流通対策の推進に要した経費であります。  その支出済歳出額は、百五十億三千四百七十三万円余であります。  まず、農業サイドと食品産業サイドとの連携の下に、食品産業のニーズに合致した原料農産物の安定供給と利用の高度化等を図るため、食品産業原料対策を総合的に推進するとともに、食料消費面における健康、本物、ふるさと志向の高まりの中で、ふるさと食品の普及を図るため、コスモスプランを推進いたしました。  また、食品産業の体質と経営基盤の強化を図るため、技術対策を拡充強化し、ハイセパレーション・システム、酵素機能変換等の先端技術の開発を推進するとともに、食品産業の大宗を占める中小企業の技術水準の向上を図るため、汎用性の高い技術の開発を推進いたしました。  さらに、生鮮食料品等の流通の合理化を図るため、卸売市場の計画的整備等を推進いたしました。  第七に、国際協力の推進と食料の安定供給の確保に要した経費であります。  その支出済歳出額は、三十五億七千九百二十七万円余であります。  まず、開発途上地域における農林水産業の生産力の向上等を通じまして、これら諸国の経済社会の発展に寄与するため、国際連合食糧農業機関のフィールドプロジェクト及び国際熱帯木材機関への拠出等国際機関を通じた協力を推進するとともに、農林水産業分野の資金協力を促進するための検討調査、熱帯地域等の農業環境資源に関する研究、南太平洋諸国等の沿岸漁業振興のための協力事業等を実施いたしました。  このほか、農林水産物輸入の安定確保を図るとともに、備蓄対策を推進いたしました。  第八に、農林漁業の金融の充実に要した経費であります。  その支出済歳出額は、一千五百七十四億八千六百五十六万円余であり、農林漁業生産の経営構造の改善、基盤整備等の促進に資するため、農林漁業金融公庫資金、農業近代化資金等の各種制度資 金について、所要の融資枠の確保、融資内容の充実を図るとともに、農業信用保証保険機能の充実を図りました。  第九に、林業・木材産業の活性化と緑豊かな国土づくりの推進に要した経費であります。  その支出済歳出額は、三千八百四十七億三千三百五十五万円余であります。  まず、国土保全と林業生産基盤の整備を図るため、NTT資金の活用も併せ、第七次治山事業五箇年計画に基づき、治山事業を計画的に推進するとともに、水源林造成、林道及び造林事業の一層の推進を図りました。  また、林業経営の活性化等を図るため、新林業構造改善事業、林産集落振興対策事業等を推進するとともに、就労の安定化、就労条件の改善等による担い手の育成確保及び生産性の向上、安全性の確保を図るための林業技術の開発・改良を推進いたしました。  さらに、木材需要の拡大対策を充実強化するとともに、林業・木材産業の活性化を図るため、木材の生産、流通、加工を担う川上と川下が連携し、需要者のニーズに対応した地域材の産地化及び新しい流通加工システムの整備を推進する地域材供給特別対策、木材産業の体質強化対策等を充実強化いたしました。  また、森林機能の維持増進等を図るため、間伐等による森林の整備、地域の被害態様に応じた松くい虫被害対策等を実施するとともに、森林の総合利用を推進いたしました。  このほか、国有林野事業について、改訂された改善計画に基づく経営改善を推進いたしました。  第十に、二百海里時代の定着等に即応した水産業の振興に要した経費であります。  その支出済歳出額は、二千八百十五億九千八万円余であります。  まず、第八次漁港整備長期計画及び第三次沿岸漁場整備開発計画を新たに策定し、NTT資金の活用も併せ、漁港及び沿岸漁場の整備を推進いたしました。  また、水産業を核とする沿岸・沖合域の総合的な整備開発を図るための基本計画を策定するとともに、新沿岸漁業構造改善事業の後期対策を発足させましたほか、沖合養殖システムの開発等新技術開発の強化、栽培漁業の推進、さけ・ますふ化放流事業、養殖業対策、資源管理型漁業の推進等の施策を実施し、我が国二百海里内の漁業開発を推進いたしました。  さらに、水産業経営対策として、水産業関係資金の円滑な融通を行うとともに、漁協信用事業の整備強化等を推進いたしました。  また、新資源・新漁場の開発、対外交渉に必要な資源調査等を行うとともに、海外漁業協力を推進いたしました。  さらに、中核的な水産物流通加工施設の総合的整備等水産物の流通加工の合理化を推進するとともに、水産物の価格安定を図るほか、魚食の普及啓発等の水産物の消費拡大対策を推進いたしました。  このほか、漁場環境保全対策、魚病対策、漁船対策等の施策を推進いたしました。  第十一に、その他の重要施策に要した経費であります。  その支出済歳出額は、三千八百十四億八千八百八万円余であります。  まず、海岸事業については、第四次海岸事業五箇年計画に基づき、NTT資金の活用も併せ、海岸保全区域における事業の実施を図りました。  また、災害対策については、農作物共済等の各共済に係る所要の共済掛金国庫負担金、農作物共済に係る再保険金支払財源不足金等を農業共済再保険特別会計に繰り入れたほか、農業共済団体事務費等を助成し、農業災害補償制度の円滑な実施を図るとともに、災害営農資金等の利子補給及び損失補償に対する助成を図りました。  さらに、台風・豪雨等により被災した農地、農業用施設、山林施設、漁港施設等の災害復旧事業を実施いたしました。  このほか、農業団体の整備についても、農業委員会等に対して、引き続き助成等を行いました。  以上をもちまして、一般会計歳入歳出決算に関する御説明を終わります。  次に、各特別会計の決算について御説明申し上げます。  第一に、食糧管理特別会計であります。国内米管理勘定等の七勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は五兆四千五百五十九億四千九百九十八万円余、支出済歳出額は五兆四千三百八十一億七百九十六万円余でありまして差引き百七十八億四千二百二万円余の剰余を生じました。この剰余金は、法律の定めるところに従い翌年度の歳入に繰り入れることといたしました。また、このうち食糧管理勘定の損益計算上の損失は二千百四十七億五千二百五十三万円余でありまして、調整資金を取り崩して整理いたしました。これにより、食糧管理法、農産物価格安定法及び飼料需給安定法に基づき、米、麦、でん粉、輸入飼料の買入れ、売渡し等を管理することにより価格の安定と国民食糧の確保を図り、もって国民経済の安定に資するための事業を実施いたしました。特に、最近における米需給の動向と今後の見通しを踏まえ、米の消費拡大の推進を図るとともに、消費・流通・生産の各般にわたる緊急の取組により、需給均衡の回復に努めました。  第二に、農業共済再保険特別会計であります。農業勘定等の六勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は一千五百二十億六千二百六十七万円余、支出済歳出額は一千二百十五億六千二百十一万円余であります。歳入歳出差引き三百五億五十六万円余のうち、翌年度へ繰り越す額百五十一億七千六百三十三万円余を控除し、百五十三億二千四百二十二万円余の剰余を生じました。この剰余金は、法律の定めるところに従い、それぞれ翌年度の歳入に繰り入れ、又は積立金として積み立てること等といたしました。これにより、農業災害補償法に基づき、農作物共済等の各共済についての再保険事業を国が行い、農業経営の安定等を図るための農業共済事業の円滑な実施を図りました。  第三に、森林保険特別会計であります。収納済歳入額は百二十一億一千五百七十八万円余、支出済歳出額は二十一億七千五百六十五万円余であります。歳入歳出差引き九十九億四千十二万円余のうち、翌年度へ繰り越す額九十七億四千七百四十九万円余を控除し、一億九千二百六十二万円余の剰余を生じました。この剰余金は、法律の定めるところに従い積立金として積み立てることといたしました。これにより、森林国営保険法に基づき、森林の火災、気象災及び噴火災を保険事故とする森林保険事業を国が行うことによって林業経営の安定を図るための事業を実施いたしました。  第四に、漁船再保険及漁業共済保険特別会計であります。漁船普通保険勘定等の五勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は四百六十六億二千九百四十四万円余、支出済歳出額は二百七十八億三千百六十六万円余であります。歳入歳出差引き百八十七億九千七百七十八万円余のうち、翌年度へ繰り越す額百五十九億七千八十万円余を控除し、二十八億二千六百九十八万円余の剰余を生じました。この剰余金は法律の定めるところに従い、それぞれ積立金として積み立て、又は翌年度の歳入及び一般会計へ繰り入れることといたしました。これにより、漁船損害等補償法、漁船乗組員給与保険法及び漁業災害補償法に基づき、国が再保険及び保険事業を行うことによって漁業経営の安定に資するための事業を実施いたしました。  第五に、農業経営基盤強化措置特別会計であります。収納済歳入額は五百六十六億九千三百九十一万円余、支出済歳出額は二百二億一千八百四十八万円余でありまして差引き三百六十四億七千五百四十二万円余の剰余を生じました。この剰余金は法律の定めるところに従い翌年度の歳入に繰り入れることといたしました。これにより、農地法等の規定に基づき自作農創設のため国が行う農地等の買収、売渡し等に関する事業、農地保有の合理化を促進するための事業に対する助成及び農業改良資金助成法の規定に基づく農業改良資金の貸 付事業を実施いたしました。  第六に、国有林野事業特別会計であります。国有林野事業勘定につきましては、収納済歳入額は五千六百九十九億四千百十万円余、支出済歳出額は五千六百三十三億二千六百十三万円余であります。この勘定の損益計算上の損失は五百三十五億四千五十九万円余でありまして、法律の定めるところに従い損失の繰越しといたしました。治山勘定につきましては、収納済歳入額は一千七百二十六億二千四百八十九万円余、支出済歳出額は一千七百二十五億三千二十万円余でありまして差引き九千四百六十九万円余の剰余を生じました。この剰余金は法律の定めるところに従い翌年度の歳入に繰り入れることといたしました。これにより、国有林野法に基づき国有林野の管理経営の事業及びその附帯業務に係る事業並びに治山事業の計画的推進を図る事業を実施いたしました。  第七に、国営土地改良事業特別会計であります。収納済歳入額は四千六百五十九億五百三十万円余、支出済歳出額は四千五百七十二億九百三十三万円余でありまして差引き八十六億九千五百九十七万円余の剰余を生じました。この剰余金は法律の定めるところに従い翌年度の歳入に繰り入れることといたしました。これにより、土地改良法に基づきすべての国営土地改良事業、受託工事及び直轄調査に関する事業を実施いたしました。  以上、昭和六十三年度の主な事業の概要につきまして御説明申し上げました。これらの事業の執行に当たりまして、会計検査院の決算検査報告におきまして、不当事項等として指摘を受けたものがありましたことは、誠に遺憾に存じております。今後、この種事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図る所存であります。  なにとぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和六十二年度決算農林水産省についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  昭和六十二年度農林水産省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項五件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項三件であります。  まず、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項について御説明いたします。  検査報告番号八五号から八九号までの五件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるもので、補助の対象とは認められないものに補助金を交付していたり、補助の目的を達していなかったり、工事の施工が設計と相違していたり、事業費を過大に精算していたりしているものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。  その一は、重要野菜に係る野菜価格安定対策等事業に関するものであります。  農林水産省では、主要な野菜についての生産及び出荷の安定等を図ることなどを目的として野菜価格安定対策等事業を実施しておりますが、その一環として野菜供給安定基金に、指定野菜の価格が著しく低落した場合に、その生産者に生産者補給金を交付するため、生産者が出荷を委託した登録出荷団体に対し生産者補給交付金を交付する指定野菜価格安定対策事業を実施させており、生産者補給交付金の交付に充てるための資金の一部として基金に対し毎年度多額の国庫補助金を交付しております。  また、農林水産省では、指定野菜のうち特に需給の安定を図る必要のあるキャベツ、たまねぎ等の重要野菜について、全国農業協同組合連合会等に重要野菜需給調整特別事業を実施させております。そして、これら価格安定事業と需給調整事業とは重要野菜について需給の調整をして価格の安定を図るため、有機的に関連づけて運営されております。  すなわち、価格安定事業により交付される生産者補給交付金には、一般補給交付金と特別補給交付金とがあり、一般補給交付金は重要野菜と重要野菜以外の指定野菜とに共通して交付されるものでありますが、特別補給交付金は重要野菜についてのみ交付され、需給調整事業において農林水産大臣の承認を受けた出荷計画どおり出荷したと地方農政局長等が認定した場合に、一般補給交付金に上積みして交付されることになっております。  そして、地方農政局長等は、この認定に際して、計画どおりの出荷がされていない場合であっても、異常な気象条件によって収穫量が著しく減少したことなど、計画どおりの出荷ができなくてもやむを得ないと認められる事由があるときは、これを勘案して計画どおりの出荷がされたとの認定をすることができることになっております。  しかして、今回、重要野菜について、最近の三出荷期間における生産者補給交付金の交付等の状況を検査いたしましたところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられました。  すなわち、 (1) 出荷期間が一箇月を超える重要野菜についても、月別の出荷実績数量及び出荷計画数量を考慮して計画どおりの出荷をしたかの認定を行うことができるのに、出荷期間を通じた出荷実績数量等により認定が行われているため、特別補給交付金の交付額三億九千五百六十一万余円(うち国庫補助金相当額二億六千七百二十七万余円)が需給調整の効果を十分発現していないものとなっていたり、 (2) 出荷の実態を十分把握しないまま、異常な気象条件によって収穫量が著しく減少したなどとしてこれを勘案し、計画どおりの出荷がされたとの認定をしていたため、適切とは認められない生産者補給交付金の交付額九千十一万余円(うち国庫補助金相当額六千百八万円)が交付されていたり などしていました。  この点について当局の見解をただしましたところ、農林水産省では、六十三年十一月に通達を改正して、計画どおりの出荷をしたかの認定に当たっては、月ごとの出荷実績数量及び出荷計画数量を考慮して行うこととするなどして、本事業の適正な実施を図ることとする処置を講じたものであります。  その二は、水路トンネル工事における覆工コンクリート打設費の積算に関するものであります。  農林水産省では、土地改良事業の一環として、内空の高さが一・八mから三・六m程度のコンクリートで覆工した水路トンネル工事を多数実施しておりますが、六十二年度に施行したこの種の二十五工事における覆工コンクリート打設費の積算について検査いたしましたところ、いずれも覆工型枠としてトンネル内部を移動することのできる標準長さ十二mの鋼製スライディングフォームを使用することとして型枠費を算定しておりました。  この型枠費の積算のうちスライディングフォームの損料につきましては、農林水産省が制定した土地改良事業等請負工事標準歩掛に基づきまして、スライディングフォームの使用をトンネルの長さに関係なく一工事現場限りとするとの考え方に立ちまして、その必要経費を算定するという全損計算方式により積算しておりました。  しかしながら、スライディングフォームは、近年、トンネル工事の増加に伴いこれを使用する機会が増加していることや、その材質、性能等が向上していることから、他の工事に転用することが可能となってきていること、他省庁等の積算基準においては転用を前提とした損料計算方式を採用していることなどからみて、このような一工事現場限りで償却するという全損計算方式で算出しております本件覆工コンクリート打設費の積算は過大になっていると認められました。  この点について当局の見解をただしましたところ、農林水産省では、六十三年十月にスライディングフォームの損料算定方法を適正なものに改 め、同年十一月以降契約を締結する工事から適用することとする処置を講じたものであります。  その三は、蚕糸砂糖類価格安定事業団による沖縄県産甘しゃ糖の売戻価格に関するものであります。  農林水産省では、国内産糖関連産業の健全な発展を促進するなどの目的で、国内産糖の価格支持の措置を講じており、その一環として蚕糸砂糖類価格安定事業団に対し、国内産糖の売買業務を、その製造事業者との間で当該事業者が製造した国内産糖を買い入れ直ちに当該事業者に売り戻すという方法で行わせております。  そして、国内産糖のうち甘しゃ糖の売買業務における買入価格につきましては、さとうきびの最低生産者価格にその買入れ及び甘しゃ糖の製造に要する費用の額を加えた額を基準として、また、同じく売戻価格につきましては、輸入甘しゃ糖の国内価格から国内産甘しゃ糖を精製糖製造業者等へ販売するのに要する標準的な販売経費を控除した額を基準として、それぞれ農林水産大臣が定めることとされております。その結果、売戻価格は買入価格より低く設定されることとなりまして、事業団は売買業務を通じてこの買入価格と売戻価格との差額を売買差額として甘しゃ糖製造事業者に支払っております。  農林水産省では、沖縄県本島産甘しゃ糖の売戻価格に係る販売経費につきましては、県外に移送し精製糖製造業者等に販売することを予定しまして、これに要する海上運賃、販売手数料、保管料等の標準的な費用に基づいて算定しておりました。  今回、事業団が六十事業年度から六十二事業年度の間に本島内の三甘しゃ糖製造事業者との間で実施した甘しゃ糖十八万一千七百六十トンの売買業務について調査いたしましたところ、このうち八万三千三百八十四トンは、甘しゃ糖製造事業者でもある県内唯一の精製糖製造業者が、自ら製造したものを事業団との間で売買し、また、他の二事業者が製造し事業団と売買したものを購入して、精製糖に加工するなどしたものでありますが、事業団では、これらの甘しゃ糖の売戻しに当たっても、県外の精製糖製造業者等に販売されることとして定められた売戻価格をそのまま適用しておりました。しかしながら、この売戻価格の算定の基礎となっている販売経費は、本島産甘しゃ糖を県外に移送し精製糖製造業者等に販売するのに要する費用として算定されたものでありますから、県外に移送されることのない本島内販売分等について、このように算定された売戻価格を適用していたことは適切とは認められないものであります。  この点について当局の見解をただしましたところ、農林水産省では、六十三年十一月に、沖縄県産甘しゃ糖に係る販売経費につきまして、新たに本島内販売分等の区分を設けてその額を算定し、これを基礎とした売戻価格を昭和六十三年産以降に適用することとする処置を講じたものであります。  なお、以上のほか、昭和六十一年度決算検査報告に掲記いたしましたように、鶴卵価格安定対策事業の実施について処置を要求いたしましたが、これに対する農林水産省の処置状況についても掲記いたしました。  以上をもって概要の説明を終わります。    昭和六十三年度決算農林水産省についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  昭和六十三年度農林水産省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項六件、意見を表示し又は処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項三件であります。  まず、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項について御説明いたします。  検査報告番号八六号から九一号までの六件は、補助事業の実施及び経理が不当と認められるもので、補助の目的を達していなかったり、補助の対象とは認められないものに補助金を交付していたり、補助金を過大に交付していたり、工事の設計が適切でなかったり、工事の施工が設計と相違していたりしているものであります。  次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。  これは、農業改良資金の貸付事業の運営に関するものであります。  農業改良資金の制度は、農業者等が能率的な農業技術を導入したり農業経営の規模を拡大したりなどする場合に、これらを助長するため、都道府県が農業者等に対し無利子で資金を貸し付けるものであり、農林水産省は都道府県に対し、当該事業に必要な資金の三分の二相当額を、この制度が発足した昭和三十一年度から五十九年度までは補助により、また、六十年度の法改正以後は無利子資金の貸付けにより助成しており、その額は六十三年度末までの累計で九百四十億九千三百四十一万円となっております。  都道府県においては、農業改良資金の貸付事業の経理は特別会計を設けて行い、この特別会計に属する資金の運用益は農業者等への貸付財源に充てるものとされております。また、貸付財源に余裕がある場合には、政府貸付金について繰上償還を行ったり、国庫補助金について国に自主的に納付したりすることができることとなっておりますが、この繰上償還等の制度は、国の助成方法を補助方式から貸付け方式に改めた六十年度の法改正の際に、農業者等への貸付財源に余剰が生じている都道府県から国へ繰上償還等がされた資金を貸付財源が不足している他の都道府県へ融通することによって、都道府県の間の資金の過不足を調整し、国の助成資金の効率的な運用を図ることを目的として設けられたものであります。  今回、青森県ほか二十九県における農業改良資金の貸付事業の運営状況等を調査いたしましたところ、貸付財源となる前年度繰越金や農業者等からの当該年度における償還金が相当多額になって、当該年度の貸付額を大幅に上回っており、このため多額の余剰資金を生じている県が多数見受けられ、また、これらの中には、当該年度に新たに政府貸付金の貸付けを受けている県も見受けられました。そして、本院の計算によれば、六十三年度において、これらの県が国に繰上償還等を行うことが可能であった額は十七億三千四百七十一万円程度、資金に余剰を生じていて必要がないのに政府貸付金の貸付けを受けた額は三億七千二百六十六万円に上ると認められました。  また、県において、農業改良資金に係る特別会計の余裕金を他の会計の余裕金と合わせて総合的に運用した場合の運用益を当該特別会計に適正に計上していない事例が見受けられ、計上額が六十二、六十三両年度で合計五億五千六百八十万円、うち国庫補助金及び政府貸付金相当額で三億七千百二十万円過小になっていて適切とは認められませんでした。  このような事態を生じているのは、農林水産省が都道府県に対し制度の趣旨を周知徹底していなかったこと、地方農政局等における都道府県の貸付事業計画の審査が十分でなかったことなどによると認められました。  したがいまして、農林水産省におきまして、都道府県に対し六十年度の制度改正等の趣旨の周知徹底を図るとともに、地方農政局に対し貸付事業計画について十分な審査を行うよう指導を行うなどして農業改良資金の効率的かつ適切な運用を図るよう改善の処置を要求いたしたものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。  その一は、農林水産業地域改善対策事業の実施体制に関するものであります。  農林水産省では、国が行う地域改善対策の一環として、歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域の農林業及び水産業の振興を図り、その経営の安定と農林漁家の生活 水準の向上を図るため、農林水産業地域改善対策事業を実施しております。  今回、埼玉県ほか二十県で実施された農林水産業地域改善対策事業のうち農林業又は水産業の用に供する各種の共同利用施設を設置する農林業近代化施設整備事業及び漁業近代化施設整備事業等について、昭和五十一年度から六十二年度までの十二年間に国庫補助金の交付対象となった二千四百四十件のうち一千二百十三件を対象として、これらの事業により設置された施設の管理運営状況を調査いたしました。  その結果、設置された施設が無断で処分されたり、貸し付けられたり、遊休化したり、特定の個人の専用となったりなどしていて、補助金交付の目的を達成しているとは認められない事態が埼玉県ほか十六県で百四十六件、事業費四十八億二千三百二十九万余円、国庫補助金相当額三十一億七千四百九十一万余円見受けられました。  このような事態を生じているのは、市町村や県等が事業計画の策定や承認に当たり事業実施に必要な基本的事項についての調査や審査等を十分行っていなかったり、農林水産省においてこれらの事業実施手続等が適切に行われるための実施要領等が十分に整備されていなかったことなどによるものと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、農林水産省では、平成元年九月に実施要領を改正するなどして、事前に十分な調査検討を行い適切な事業計画を策定するよう市町村に対して指導強化を図るとともに、事業計画の審査を適切に行えるよう県、地方農政局、水産庁の審査を充実強化するなどの処置を講じたものであります。  その二は、漁業の調査、取締り等のために借り上げる船舶の用船料の算定に関するものであります。  水産庁では、漁業秩序の維持等を目的として漁業調査取締業務を実施しておりますが、このため、船舶を所有する民間の事業者と用船契約を締結しており、これらの用船契約に係る用船料の算定については、五十六年四月に全面改正した用船料算定基準に基づいて行ってきております。そして、六十三年度に十一事業者と締結した十五契約について、この算定基準に基づき用船料を総額十一億五千九百五十九万円と算定しておりました。  今回、この十五契約に係る用船料の算定について検査いたしましたところ、算定基準で定める乗組員の給与費単価が事業者に雇用されている乗組員の給与費単価に比べ高額となっていたり、算定基準で定める燃料油単価が実勢価額に比べ高価となっていたりなどしていて、用船料が約九千三百十万円不経済になっていると認められました。  このような事態を生じているのは、用船契約の相手方である事業者の中には、漁業を取り巻く社会情勢の変化の影響を受けて、漁業を中止し、同庁の調査取締業務にその所有する船舶を貸し出すことを主な業務とするものが増加したりしてきていて、これらの事業者に雇用される乗組員の給与体系は、算定基準改正当時における漁業を営む事業者の乗組員の給与体系と異なってきているのに、これに適応した算定基準に定める給与費単価の見直しを行わなかったり、燃料油の価格の動向を考慮していなかったりしていたことなどによるものであると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、水産庁では、平成元年三月に算定基準を改正し、給与費の単価等を乗組員の給与等の実情を勘案した単価等に改め、元年度以降に締結する契約から適用することとするなどの処置を講じたものであります。  その三は、畜産振興事業団の助成により実施されている搾乳牛選抜奨励金交付事業に関するものであります。  農林水産省では、畜産物の価格安定等に関する法律に基づき、昭和六十二、六十三両年度に畜産振興事業団に、その指定助成対象事業の一環として、社団法人中央酪農会議が実施した搾乳牛選抜奨励金交付事業に対して助成させております。  この奨励金交付事業は、乳質の優れた搾乳牛を選抜することにより高品質な生乳の生産を図ることを目的として搾乳牛の個体乳質検査を行う指定団体に対して、中央酪農会議が事業団から交付される搾乳牛一頭当たり三百五十円の助成金を原資として奨励金を交付する事業でありまして、その交付額は、両年度併せて計五億八百四十三万余円となっております。  今回、六十二、六十三両年度に奨励金交付の対象となった個体乳質検査を実施した搾乳牛のうち、乳用雌牛の能力向上等を目的とする国の補助事業である乳用牛群総合改良推進事業による乳成分検査の対象にもなっていた搾乳牛七十二万六千百四十六頭について、両検査の実施状況を調査いたしましたところ、このうち七十二万一千四百九十一頭についての個体乳質検査の検査項目は、乳成分検査の検査項目と同一となっておりました。したがって、乳成分検査の対象となっていたこれらの搾乳牛を重ねて個体乳質検査の対象とする要はなかったと認められ、これに対して交付された奨励金計二億五千二百五十二万余円にかかる事業の実施は効果的でないと認められました。  このような事態を生じているのは、近年における検査機器の進歩により、一個の検体である生乳から同時に多数の項目の検査をすることが可能になっているのに、農林水産省において、両検査の検査実施項目の重複を避けることについて事業団及び中央酪農会議を十分指導していなかったことなどによるものであると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、農林水産省では、平成元年十一月に、国の補助事業による乳成分検査の対象となっている搾乳牛を搾乳牛選抜奨励金交付事業の対象となる個体乳質検査の対象にもすることができるのは、乳成分検査の検査実施項目以外の項目の検査を行う場合などとする旨の通達を発して、事業の効果的な実施を図る処置を講じたものであります。  以上をもって概要の説明を終わります。     ─────────────    昭和六十二年度農林漁業金融公庫業務概況  昭和六十二年度における農林漁業金融公庫の業務の概況についてご説明申し上げます。  国においては、生産性の高い農林水産業を実現し、国民の需要に応じた農林水産物の安定供給を図ることを基本として諸施策が展開されました。  こうした国の施策に即応して、当公庫は、業務の運営にあたりまして、関係機関との密接な連けいのもとに、農林水産業の生産基盤の整備及び経営構造の改善のための融資を推進するとともに、多様化する資金需要に対応して、融資条件の改善を含め、融資の円滑化に配慮してまいりました。  昭和六十二年度における貸付計画について申し上げますと、貸付計画額は六千二百億円を予定いたしました。  これに対する貸付決定額は四千九百六十三億六千五百八十七万円余となり、前年度実績と比較して二百六十二億五千百六十四万円余の減少となりました。  この貸付決定額を農業・林業・水産業に大別して申し上げますと 一、農業部門  三千四百八十四億四千十七万円余 二、林業部門  五百億六千八十三万円余 三、水産業部門 八百九十二億八千六百六十一万円余 四、その他部門 八十五億七千八百二十四万余 となりまして、農業部門が全体の七十・二%を占めております。  次に昭和六十二年度の貸付資金の交付額は五千三百二十一億三千百三十九万円余となりまして、これに要した資金は、資金運用部からの借入金三千四百四十三億円、簡易生命保険及び郵便年金の積立金からの借入金三百三十二億円、並びに、貸付回収金等千五百四十六億三千百三十九万円余をもって充当いたしました。  この結果、昭和六十二年度末における貸付金残高は五兆二千五百四十一億千十四万円余となりまして、前年度末残高に比べて八百三十八億三千四百十三万円余、一・六%の増加となりました。  貸付金の延滞状況につきましては、昭和六十二年度末におきまして、弁済期限を六か月以上経過した元金延滞額は三百五十二億三百九十三万円余となりまして、このうち一年以上延滞のものは三百三十二億千百二万円余となっております。  次に昭和六十二年度における収入支出決算の状況についてご説明申し上げますと、収入済額は、収入予算額四千四十七億九千七百三十一万円余に対し四千十六億五千七十六万円余となりました。また、支出済額は、支出予算額四千百二億七千五百二十九万円余に対し三千九百四十九億七千七百四十万円余となり、支出に対し収入が六十六億七千三百三十六万円余多くなっております。  最後に、昭和六十二年度における当公庫の損益計算の結果について申し上げますと、貸付金利息等の総利益は四千百五億四千八百四十七万円余、借入金利息等の総損失は四千百五億四千八百四十七万円余となり、利益と損失が同額となりましたため、利益金はなく国庫納付はありませんでした。  これらの業務の遂行にあたりましては、常に適正な運用について、鋭意努力してまいりましたが、昭和六十二年度決算検査報告におきまして、農業基盤整備資金等の貸付けにつきまして不当事項として指摘を受けたものがありますことは、まことに遺憾に存じております。指摘を受けました事項につきましては、直ちに適切な措置を講じましたが、今後はこのようなことの再び起こることのないよう業務運営の適正化に一層努める所存であります。  以上が、昭和六十二年度における農林漁業金融公庫の業務の概況であります。なにとぞよろしくご審議のほどお願いいたします。    昭和六十三年度農林漁業金融公庫業務概況  昭和六十三年度における農林漁業金融公庫の業務の概況についてご説明申し上げます。  国においては、生産性の高い農林水産業を実現し、国民の需要に応じた農林水産物の安定供給を図ることを基本として諸施策が展開されました。  こうした国の施策に即応して、当公庫は、業務の運営にあたりまして、関係機関との密接な連けいのもとに、農林水産業の生産基盤の整備及び経営構造の改善のための融資を推進するとともに、多様化する資金需要に対応して、融資条件の改善を含め、融資の円滑化に配慮してまいりました。  昭和六十三年度における貸付計画について申し上げますと、貸付計画額は六千億円を予定いたしました。  これに対する貸付決定額は四千五百八十八億六千八百二十六万円余となり、前年度実績と比較して三百七十四億九千七百六十万円余の減少となりました。  この貸付決定額を農業・林業・水産業に大別して申し上げますと 一、農業部門  三千百二十六億八千七百十万円余 二、林業部門  四百五十億五千三百五十八万円余 三、水産業部門 九百三十五億二千百七十四万円 四、その他部門 七十六億五百八十三万円余 となりまして、農業部門が全体の六十八・一%を占めております。  次に昭和六十三年度の貸付資金の交付額は四千六百五十億二千六百二十一万円余となりまして、これに要した資金は、資金運用部からの借入金三千五百三十億円、簡易生命保険及び郵便年金の積立金からの借入金三百三十億円、並びに貸付回収金等七百九十億二千六百二十一万円余をもって充当いたしました。  この結果、昭和六十三年度末における貸付金残高は五兆二千二百八十億二千百十二万円余となりまして、前年度末残高に比べて二百六十億八千九百一万円余、〇・五%の減少となりました。  貸付金の延滞状況につきましては、昭和六十三年度末におきまして、弁済期限を六か月以上経過した元金延滞額は三百七十三億千八百七十五万円余となりまして、このうち一年以上延滞のものは三百六十二億三千四百九十四万円余となっております。  次に昭和六十三年度における収入支出決算の状況についてご説明申し上げますと、収入済額は、収入予算額三千九百八十三億三千三百八十六万円余に対し四千十六億千七百十二万円余となりました。また、支出済額は、支出予算額四千十三億五千八百八十五万円に対し三千九百四十億二千七百四十九万円余となり、支出に対し収入が七十五億八千九百六十三万円余多くなっております。  最後に、昭和六十三年度における当公庫の損益計算の結果について申し上げますと、貸付金利息等の総利益は四千百五十六億六千六百八十七万円余、借入金利息等の総損失は四千百五十六億六千六百八十七万円余となり、利益と損失が同額となりましたため、利益金はなく国庫納付はありませんでした。  これらの業務の遂行にあたりましては、常に適正な運用について、鋭意努力してまいりましたが、昭和六十三年度決算検査報告におきまして、農業基盤整備資金等の貸付けにつきまして不当事項として指摘を受けたものがありますことは、まことに遺憾に存じております。指摘を受けました事項につきましては、直ちに適切な措置を講じましたが、今後はこのようなことの再び起こることのないよう業務運営の適正化に一層努める所存であります。  以上が、昭和六十三年度における農林漁業金融公庫の業務の概況であります。なにとぞよろしくご審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和六十二年度決算農林漁業金融公庫についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  昭和六十二年度農林漁業金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項七件であります。  検査報告番号一四五号から一五一号までの七件は、農業基盤整備資金等の貸付けが不当と認められるものであります。  これらの農林漁業金融公庫の資金貸付事業は、農林漁業者に対し、農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期かつ低利の資金で、一般の金融機関から融通を受けることが困難な資金を直接又は金融機関に委託して貸し付けるものでありますが、農業基盤整備資金等の貸付けに当たり、借入者から事実と相違した内容の借入申込みや報告がなされていたり、借入者から貸付対象事業費の減額についての報告がなされていたりしているにもかかわらず、これに対する審査及び確認が適切でなかったなどのため、貸付対象事業の一部が実施されていなかったり、貸付金額を過大に算定していたり、貸付対象事業費の減額に伴う貸付金の繰上償還の措置を執っていなかったりしているものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。    昭和六十三年度決算農林漁業金融公庫についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  昭和六十三年度農林漁業金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項七件であります。  検査報告番号一四八号から一五四号までの七件は、農業基盤整備資金等の貸付けが不当と認められるものであります。  これらの農林漁業金融公庫の資金貸付事業は、農林漁業者に対し、農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期かつ低利の資金で、一般の金融機関から融通を受けることが困難な資金を直接又は金融機関に委託して貸し付けるものでありますが、農業基盤整備資金等の貸付けに当たり、借入者から事実と相違した内容の借入申込みや報告がなされていたり、借入者から貸付対象施設の処分についての申出がなされていたりしているにもかかわ らず、これに対する審査及び確認が適切でなかったなどのため、貸付金額を過大に算定していたり、貸付対象施設の処分に伴う貸付金の繰上償還の措置を執っていなかったりしているものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     ─────────────

渡辺省一自由民主党

○渡辺委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北川石松君。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 質疑に先立ちまして、元外務大臣安倍先生の急逝を心から残念に思いますと同時に、長年にわたった外務大臣のその業績とお徳をしのびまして、謹んで哀悼の誠をささげたいと思います。   惜しみてもなお余りある人をこそ人こそ惜しめ人の命を 私は、きのうはまた大事故でたくさん亡くなられましたが、亡くなっていかれる方々、先人に対して心から哀悼をささげ、御冥福を祈るものでございます。  では、ただいまより質問に入らせていただきます。  まず冒頭に、外務大臣、農林大臣、それぞれの大臣の方に、明治憲法以来、外務大臣としては、中山外務大臣は、一人どの方を尊敬していられるか。また、農林大臣も御同様に、明治憲法以来の農林大臣のどの方を一番尊敬していらっしゃるのか。それぞれ一名、お名前を挙げていただきたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 多くの明治以来の外務大臣の方々は、それぞれに立派な政治家としての信念を持ち、日本の外交に携わってきておられると私は考えておりますが、特に日本の歴史上経験のなかった、日本が無条件の敗戦を迎えたときに、日本の国家の再建、また国際社会への復帰のために大変な決断をされ、今日の日本の繁栄の基礎を築かれた吉田茂元外相に対し、私は尊敬の念を特に抱いております。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 実は、ちょうど私が百二十四代目の農林水産大臣でございまして、数多くの先輩たちが、瑞穂の国と言われる我が国の基幹産業である農林水産業に対して全身全霊を尽くしてこられた諸先輩でございます。私がちょうど生まれが佐渡ケ島でございまして、私の郷里から山本悌二郎農林大臣が身近なところでございますので、よく書物などを読ませていただいて尊敬をしておる一人でありますが、諸先輩にはそれぞれ敬意を表しておるところでございます。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 それぞれの大臣の尊敬するお名前を伺いまして多とするものでございます。  そこで、今、米というもの、お米、稲作でございますが、これが外交上あるいはいろいろの形の中で大変論議をされている。幸い、外務大臣、農林大臣がおられますので、この米に対する所見を簡単に聞かせていただきたい。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 日本は、四面海に囲まれた島国でございますし、そこに一億二千万を超える国民が生活をしなければならない。そのような島国の国家にとって食糧の確保ということは国民生活に欠くことのできない重要な基本的な考え方であろうと思います。そういう意味におきまして、今日、日本の穀物自給率が三二%、またカロリーベースで四八%という低い水準を示しており、世界での大きな農産物の輸入国として存在しておりますが、米及び稲作等の重要性に関しましては、日本の食糧安全保障という観点から、これをできるだけ国内で自給をすることが国民の生活、また国家の存立のために極めて重要であると私は考えております。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 もう先生、農業問題、大変熱心に御指導いただいておりますので承知のことでありますけれども、米は我が国の主食であると同時に、また、地球環境問題が取り上げられる今日の状態の中では、社会政策上国土保全なり、緑化なりあるいは水源涵養なりというあらゆる役割を持っておるわけでございますし、あわせて稲作は、我が国の農業の基幹産業であると同時に全国土でつくられておるということでございます。  世界に数多くの国がありますけれども、主食は何だと問われて、日本の国民は米と素直に言われる誇りを実は持っておる一人でございまして、数多くの国の中でも、主食は何だと問われてもなかなか率直に答えられない国もある中で、米の文化的なはぐくみ、地域社会における役割というものは、食糧のみならず大きな役割を持っておる、そういう立場で自給をしていくという方針で今ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉の場でも臨みたい、こう考えておるわけであります。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 両大臣から米についての所見を伺って、私は、米は日本の基本だ、こういう考えを持っておりますので、同じ政治の枠の中にある外務、農林にいたしましても、アメリカに対してあるいは欧州各国に対しても、日本の確固たる農業行政の中に外務省というものが対応していく必要があるのじゃないか、こういう所見を申し述べておきたいと思います。  そこで、外務省にお聞きいたしたいのでありますが、北方領土が今日に至ってもなお、あいまいもこたるという言葉は当てはまらないにいたしましても、戦後今日、あの佐藤元総理が沖縄の返還なくして平和はないと訴えてアメリカから沖縄の返還を来しました。過日、ゴルバチョフ大統領がお越しになったが、何らの形が出ていないということは那辺にあるか、御答弁を願いたい。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 北方四島は、委員も御存じのとおり我が国の古来の領土でありまして、かつて我が国が武力によってこれを獲得したというような領土ではございません。そういう意味から、この領土を返還をしていただく、ソ連の一方的な不法占拠を一日も早く終わらせて四島を返還さす、そして日ソ間の新しい関係を構築していくということが極めて重要であることは私が絶えず外交の場を通じて申し述べておりますが、先般のゴルバチョフ大統領の訪日の際に、かつて領土問題はもう存在しないというソ連の主張がございましたが、今回の共同声明には明確に二国間の問題として歯舞・色丹・国後・択捉という地名、島名を挙げてこの共同声明に記載をいたしたことは、この問題が今後とも日ソ間の大きな交渉の原点であるということが両国間で確認をされたものと私は認識をいたしております。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 農林大臣にも関係あると思うのですが、北方四島が返りますと、二百海里漁場というものが日本に大変な国益をもたらすと思うのです。こういう観点に立ちますと、北方四島はぜひとも返してもらいたい。過日来、個人的には日本語のよくわかるソ連大使にゴルバチョフさんが日本に来るなら土産に四島を返しなさいよと言ったことも記憶しておりますし、また昨年の環境庁長官のときに、ソ連の外務大臣が来たときに、来年ゴルバチョフさんに四島を土産に持ってきてください、こう言った。そして、あそこにあなたのところが出している軍事施設は全部やめて、予算がそれだけ必要なくなるじゃないか、環境施設を置いたらどうですかとまで言った。四島を返すことですよと強く言っておる。  なぜこれが返らないか。私は今日に至って、五年前に日本語のよくわかるソ連の大使が、今それは外務省は困るのではないですかと言ったから、何を言っているんだ、おれは外務政務次官をしたんだよ、外務省が困るようなことがどこにあるのだと言ったことを今呼び起こすのですが、外務省も一貫した姿勢の中で、一日も早く北方四島が返って、そこに漁場がある、大きな大きな日本の全体に対する、世界の安定にもつながるし、すべてにいいと私は思うのですが、いま一度、簡単でいいですから、外務大臣、農林大臣、両方の御意見を聞かしてもらいたい。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 この四島の一括返還という方針を堅持しながら今後ともソ連に対する外交を推進してまいりたい、このように考えております。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 今、返還をしない現状の中で、最近における北方四島の漁業の問題について数字を挙げてお答えするものはございませんけれど も、少なくとも日本の領土であったころからを考えてみても世界最大の漁場、宝庫と言われた地域であります。そしてまた、当時を思い起こすと、そこに漁業権を保有しておった人たちの話を聞かせていただいた中でも、大変今日的な漁場としてもまだ相当の漁業経営を営むことができるというふうに推定をいたしておるようでありますし、また森林もかなりの資源があると聞かされておるわけでありますから、そういう意味からいっても一日も早く農林水産省を所管しておる私としても返還をしていただきたい、こう思っておるところであります。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 六十二年度、六十三年度の外務省、農林水産省の決算書を見ますと、どちらも繰り越しが年々ふえてきておる。こういう中で、私は決算委員会においてちょっとこの点を聞いておいて将来の予算編成に役立たせなければいけないと思うものがあります。例えばODAについて、本年のODA予算は幾ら計上し、議会を通過したかを担当から聞きたいと思います。

橋本宏外務省大臣官房審議官

○橋本説明員 お答え申し上げます。  平成三年度におきまして一般会計で認めていただきました予算が八千八百三十一億円、前年度に比べまして八%増ということになっております。これをもとにしまして平成三年度におけるODA全体の事業予算規模が一兆五千二百九十五億円でございまして、昨年に比べ五・五%増となっております。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 その予算の編成、執行に当たっては、心してやっていただかなければならない。それはすべて国民の血税なんだから、外務省が予算を編成し、大蔵省がこれを認めてただ湯水のように使うということは許されない、このことを心してもらわなければいかぬと私は思う。  例えば、ODAは各途上国を初めいろいろなところへ出しておりますが、これでその国が喜んでおるかどうか、こういう例についてつぶさに外務省は検討されたか。検討いたされましたか。

橋本宏外務省大臣官房審議官

○橋本説明員 先生御指摘のように、我が国の経済協力の事業は一九八九年におきまして既に九十億ドル弱ということで、我が国は世界最大のODAの供与国になっているわけでございます。我々としては、この協力ができる限り被援助国のニーズに沿うものであり、そしてまた相手国の政府のみならず、国民、また草の根の方々にも喜んでいただけるよう鋭意努力しているわけでございます。  しかしながら、いろいろ文化等の違い等もございまして、我々の努力についてはさらに努力を重ねていかなければならないところでございまして、以前に先生が外務政務次官でおられたとき以降も我々として努力をし、例えばNGOとの連携をした協力とか、それから大規模の経済協力だけでなくて小規模の協力もやるとか、それからまた環境についても従来以上に配慮していくという形でできるだけの努力をやっているところでございます。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 限られた時間なので、質問いたしましたら簡単に答弁を願いたい。  そこで、今答弁の中にありましたように、私は外務政務次官を務めさせていただき、党の外交部会長、また外務委員長も務めましたが、当時から見ると非常に飛躍してODA予算がふえてきておることは事実である。一つの例をとりまして申し上げたいが、例えばザイール共和国に有償でこれを持っていった、そして鉄橋をつくられた、このことについて外務省は何らかの考えを持っていらっしゃるか。私は、ODAというものは国際の貢献をし、発展途上国を含めて世界に日本の外交を通じて大きな貢献ときずなを持っていく大切なものだと思っておるのですよ。ODA予算を否定するものじゃない。否定するものじゃないが、これをなおなおやっていただきたい。この願いを込めているだけに、このODA予算によって各国に与えられたものがその国の民意に反してしまってはならない。このことが重要だと思うのです。  そこで、今申しましたザイールのあれは七百七十二メーターですか、あの鉄橋の予算、それからザイール共和国はどう考えておるかということの説明を簡単にしてもらいたい。

橋本宏外務省大臣官房審議官

○橋本説明員 先生御指摘のザイールの橋梁につきましての協力は、一九七三年度に三百四十四・九六億円の有償資金協力をしたものでございます。  当時、ザイール政府としましては、その橋をつくり、それからまた鉄道を整備して海岸まで持っていって鉄鉱石等の輸出増進に使いたいと言っておったのでございますけれども、ザイール側の債務の増大ということもあって鉄道の建設が十分にいっておらず、橋をつくった本来の目的を必ずしも十分に達成されてないということを承知しております。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 十分にその国の意を体していないということは事実だ。あの三百何億の膨大な予算を持っていってつくりながら国民のニーズにこたえていないということも事実である。こういう点を考えますと、これからのODA予算の執行については厳しく、やはり外務省が企業の考えの中に立つのじゃなしに、その国が何を考え、何を望んでいるかということを考えた上に立っての執行をしなくちゃいかぬと考えております。このことを申しておきたい。  例えば、援助予算がついた、大蔵省がおる、この予算を消化しなくちゃいけない、これに対して企業との話し合いがあるからこれはやらなくちゃいかぬということであってはならない。このことを強く私は指摘し、援助国に対するところの心を大事にしなくちゃいかぬということを申しておきたい。  時間が限られておるので、次に進みます。  外務省というのはサービスするだけじゃなしに、地球環境保全への日本の貢献もやっていく上においては、どのようにこれから外務大臣として対応されるかということを私はちょっと聞かせてもらいたい。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 開発途上国の中で特に経済協力をやります場合にも、この地球環境の保全問題というのは全人類の共通の課題だと私は認識をしております。焼き畑農業による熱帯雨林の減少、また地球温暖化の問題、いろいろ含めて、日本政府はこれからとにかく一九八九年から三年間で三千億円をこの地球環境の保全のために協力するということを国際社会に約束をいたしておりますが、私どもは特にこの開発と環境の保全ということに全力を払わなければならないと考えております。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 中国も今度は七千億近い開発の援助を日本に対して申し入れておりますね、外務大臣。そこで、中国でのいろいろな形のばい煙その他による酸性雨が日本を襲ってくることもなきにしもあらずだ、こういうことも考えなくちゃいかぬ。さすればODA予算の執行についてはそういう環境ということに、今大臣からも御答弁願ったのですが、私はやはり厳しく対処しなくちゃいかぬと思っておりますが、再度そういう点についての外務大臣の御見解を聞かせていただきたい。もちろんJICAやOECFのお考えもあると思うが、環境に対してのお考えを聞かせていただきたい。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 北川委員もかねて環境庁長官として日本の環境行政及び国際的な環境に対する協力に御尽力をいただいてきた大変な経験者でいらっしゃるわけでございまして、そういう意味から長官御在任中からもかねて途上国への環境分野の技術移転を促進するための国連環境計画の地球環境保全技術センターを日本に誘致する、設置するということで御努力をいただいてまいりました。現在この構想は推進中でございますが、今後とも地球温暖化対策、森林保全等を含めて、一九九二年に予定されております環境と開発に関する国連会議の成功に向けて積極的に努力をしてまいりたいと考えております。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 外務大臣の積極的な環境についての意見は大変ありがたく、結構だと思いますが、環境庁の意見というものを外務省は過去どれほどか重要視しておられたですか。だから、私は、同じ政府部内の一つでありますから、環境に関しては環境庁の意見というものをこれから強く 反映をさせていただきたい。このことを要望いたしておきたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 御指摘の点は極めて重要な点でございまして、外務省の方と環境庁との間で人事の交流を行うべく目下協議中でございます。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 では、水産庁長官が何かソ連との話し合いがあるということで退席されるということを聞いております。先にこの点からいきたいと思います。  日本のダムとか河口ぜきとか河川とか、あるいは例えば関西新空港をつくるための大阪湾の漁業とか、いろいろの漁業に関しての補償が今日までなされてきておりまするが、この補償について把握しておられる点があるならば御説明をひとつ願っておきたいと思います。

京谷昭夫水産庁長官

○京谷説明員 御指摘のとおり河川、港湾埋め立て等の事業によりまして漁業が影響を受けるケースがあるわけでございます。このような事態については、御指摘のとおり漁業補償が行われておりますが、私ども情報として掌握をしておりますのは、影響を受けて漁業権を放棄した面積等については累次情報を得ております。  補償の具体的内容については、先生御承知のとおり原因となる事業者と関係する漁業者との直接の話し合いで決定をされておりまして、その具体的内容は一般的に公開されておりません。したがいまして、私ども、一部報道されておるような情報以外の詳細な内容については状況を掌握できる立場にないということを御理解をいただきたいと思います。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 長官も急ぐだろうが、もう一遍答弁に立ってもらいたい。  補償によって漁民がそれで満足するのかどうか、あるいは掌握しておらぬとおっしゃるが、いかほどの補償によってそこの漁業は続けられるのか、あるいはそれで消滅するのか、そのようなことについて掌握してないようでは困る。再度答弁を願いたい。

京谷昭夫水産庁長官

○京谷説明員 漁業補償に伴いまして漁業権が消滅する場合、あるいは一定の影響を受ける場合、いろいろ形態の違いがございます。漁業権が消滅した状況については掌握をしておりますけれども、そのことによって当事者がどのような対応をしているかということについての詳細、私ども詳しくは承知をしておりません。あくまで当事者との話し合いの中で正当な補償が行われ、それをもとにしていろいろな対応が行われておるというふうに理解をしております。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 漁業権の消滅と補償ということを今おっしゃったが、では、長良川の河口ぜきの建設に伴ってその漁業権を失うのか、あるいは漁場がつぶれてしまうのか、漁民はそのために将来生活ができなくなるのか、こういう点について、関係長官の説明を受ける。

京谷昭夫水産庁長官

○京谷説明員 長良川河口ぜきの建設に伴います漁業補償について、私ども内容の具体的な状況は掌握しておりませんけれども、この場合には漁業権が完全に消滅をするというケースはないと承知をしております。河口ぜきの設置に伴いまして、工事中あるいは完成後の漁業に対する影響額を算定をして補償しておるというふうに承知をしております。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 翻って、あのせきをつくられるときに、漁業組合挙げて反対の提訴をされた。そのような重要な、あの長良川に関係のある漁業組合は、生活権をかけてのことであった。そのときにあなたは長官であったかなかったか知らぬが、当時の水産庁は、同じ政府部内にあって、あのせきは四十三年の閣議決定、水の必要のための閣議決定じゃありませんかと、漁民のための立場に立って、同じ政府部内の中で、水資源公団、建設省と、漁民を守るための努力をされたなら、その報告を願いたい。

京谷昭夫水産庁長官

○京谷説明員 お話しございましたように、長良川河口ぜきの基本計画、昭和四十三年に閣議決定をされまして、その実施方針が昭和四十六年の十二月に策定をされたものでございます。  この決定に当たりましては、私どもから、水産業に及ぼす影響調査に基づいて具体的措置を決定し関係漁業者の了承を得ることということを条件にして同意をしております。その後、事業主体と関係漁業者の間でいろいろな協議があったことは承知しておりますが、この条件に基づきまして関係者の理解を得、所要の措置を講じつつ仕事が進められておるというふうに理解をいたしております。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 長官も心せくのだろうが、所要の措置とは何だったのですか。所要の措置というものはどういう措置を、政府部内で水資源公団あるいは建設省と、そして農林水産省がどういう所要の措置を講じたら、漁民が、あの長良川の郡上八幡から赤須賀に至るまでの組合員の皆さんが御理解を願える考えに立って、どのような所要の措置をされたか、それを聞かせてください。

京谷昭夫水産庁長官

○京谷説明員 とられております措置は、先ほど来申し上げておりますとおり、あくまでも事業主体と関係漁業者の話し合いの中で決められて実行されている、あるいは計画をされておるというふうに考えておりまして、その内容について私ども概略聞いておりますのは、漁業に対する影響防止のために、遡河性魚類の遡上効果に支障のないような魚道の設置、さらにまた漁業振興のための種苗施設の整備、そしてまた個々の漁業者については先ほど来お話のありました漁業補償の交渉が行われ、補償が実行をされておる。これらの措置を私ども聞いておるわけでございます。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 いや、それはあなた、建設省が魚道をつくると言うたことの代弁みたいなことを言う必要はない。あなたの所管するところの漁業に従事する人たちの幸せのために、水資源公団、建設省とどのように話をされたか。所要の措置というものはそんなものですか、魚道をつくったらそれでいいという、そんなもので大自然に生きておる魚というものは決して育成できるものじゃない。私はこのように思っておりますが、どうです。

京谷昭夫水産庁長官

○京谷説明員 先生御承知のとおり、まあ長良川河口ぜきに限らず、この種の一連の公共的事業はそれなりの目的を持って行われるわけでございまして、この事業によってまた、お話しございますような漁業面への影響というふうなマイナス面もあるわけでございます。その比較商量をしながら、そしてマイナスの影響を受ける方々との利害調整なりそれに対する対応措置を実態的には事業主体と関係者の間でよく相談をして決めていくという形が基本になっておるわけでございます。  私ども、いろいろな御議論があることは間接的に聞いておりますけれども、基本は事業主体と関係者の話し合いの中で了解のつく条件整備をした上で円滑に事が処理されていくことを期待をしておりまして、私ども直接当事者間の話し合いに介入するというふうな立場にないこともひとつ御理解をいただきたいと思います。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 直接中に入らないということであるならば、その該漁業組合が反対をしたのを御承知やね、あなた。あの当時のすごい反対を御承知でございますか、長官、どうです。

京谷昭夫水産庁長官

○京谷説明員 いろいろな経緯があったことは一般的に聞いておりますが、私、その当時、直接担当でございませんでしたので、詳細な内容については承知をしておりません。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 当時その職になかったから詳細に把握できてないとおっしゃるならば、またの機会に報告を願ってもいいですよ。あなた、せいていらっしゃるから。  ただ、ここで申し上げておきたいのは、あと大臣もいらっしゃるし、関係の部長その他もいらっしゃるから聞きますが、補償をどのように水資源公団が農林省に、あるいは漁業組合に、打ち合わせも何もなしに——農林省が全然知らなかったのですね。全然知らなかったと言えるのですか、やはりその中に入るだけの責務と情熱と、漁業の皆さんのために農林省が矢面に立ってでも、これは漁民を守らにゃいかぬというところの強い政治の姿勢がなくては、これは一、魚だけじゃありませんよ、日本の国民全般が何を頼りにみずからの生 活の安定をしていくのですか、いかがですか、こういう点をお聞きしたい。

京谷昭夫水産庁長官

○京谷説明員 先ほども申し上げましたとおり、この種の事業推進に当たって、特にこの長良川河口ぜきの場合には閣議決定、実施方針の策定といった手続が進められる中で私どもの意見を申し上げているわけでございます。  具体的な調整過程はやはりあくまで直接当事者あるいはまた関係地方公共団体が参画をして行われるべきであり、私どもその推移を見守りながら必要な対応が生じたときにはその都度考えていくというふうに対処していきたいというふうに考えておるわけでございます。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 その都度考えていくという御答弁を願ったのでありますが、また閣議決定の重要性も御指摘なさった。なるほど、四十三年に当時の日本の経済情勢の中で水の必要性を感じて水需要ということの閣議決定であったと私は承知しておる。四十八年に見直しをされて、当時の工事費二百三十五億と承知しておる。四十八年に見直しですよ、水の利用ということで。  さすれば、そのときに応じて対処すると言われるならば、その後アセスメント法案というものは国会に提出しながら日の目を見なかった。当時は環境庁がない、四十三年は。アセスメント法もできておらぬ。しかしながら、各地方自治体でアセスメントの必要性をいろいろな形で条例でつくっていった。国はつくっておらぬ。これではいけないということで閣議においてアセスメント法に関するところの閣議決定をなされたのを長官は承知しておりますか。

京谷昭夫水産庁長官

○京谷説明員 この長良川河口ぜきの基本計画が作成された当時において環境アセスメント法がなかったこと、そしてまた、その後環境アセスメントの制度ができましてその後の事業についてはそういった手順を踏んで事業が行われておるということは承知をしております。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 それは四十三年、そしてその後アセスメントができたのは承知しているとおっしゃる。  さすれば、今おっしゃった漁業を営んでおられる方が長良川に関係して危殆に瀕するということがあったときに、後ほど、アセスメント法ができなかったために閣議でアセスメントの必要性の決定をしておる。これに対して、あなたはそれの責任者として各漁業組合を守るための意見を当然申し述べるべきだと思うが、いかがですか。

京谷昭夫水産庁長官

○京谷説明員 先ほど来繰り返し申し上げておりますように、私どもとしてはこの基本計画、実施方針の策定に当たって、水産業への影響調査に基づいて具体的措置を決定し関係漁業者の了承を得ることということで、当事者間での話し合いで決着がつくことを条件としておりますので、それが円滑に進められるであろうということでこの事業を了解し、またこの条件に沿って条件整備が行われつつあるというふうに考えておるわけでございます。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 長官、今答弁されたのは漁民本位のあなたの職責ということの中において新しいものに対処すると言われるならば、今こういう形が出て、漁業補償を各組合とかそんなものに何ぼされたかをあなた把握しているかということを聞いたら、もう答弁にならない、わからぬとおっしゃる。  それでは、中央の政治というものはどのような形で指導をし、あるいは国民を守ろうとするのか、再度あなたのこのことに関しての長良川あるいは日本の全体の、これからソ連と対応なさるのでしょうが、そういう中の長官として漁業を守るということ、漁民を守るというその考えをもう一度聞かせてもらって、行っていただきたいと思います。

京谷昭夫水産庁長官

○京谷説明員 水産業、そしてまたこれを支える漁業者の果たす役割というものにつきましては、御指摘をまつまでもなく我が国の動物性たんぱく質供給量の半分近くを担うという意味で大変重要な産業活動である。そのために、水産業の振興なりあるいは漁民の生活安定のために最大限の努力をするということは私どもの当然の職責であると考えております。  ただ、そのことに影響を及ぼす別のいろいろな開発事業が進行することも事実でございます。私ども、いろいろな考え方があろうかと思いますけれども、そういう事業を行う主体と私どもとして仕事の対象になりますそういう大事な皆さん方との間の話し合いというものができるだけ円滑に進むと同時に、やむを得ず影響を受けざるを得ないという場合におきましては適切な補償措置がとられていくということ、そしてまた、残った皆さん方がその条件のもとで水産業の振興にさらに精励できるような条件づくりについては、関係地方公共団体等とも力を合わせて必要な努力をしていく必要があるというふうに考えておる次第でございます。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 あなたの心せいておるのだろうと思うが、本当に漁民を思うという長官の立場に立って適切に措置するというならば、今このせきに対してあなたの考えを聞かしておいて行ってください。そして、あとの答弁はだれにするということを言っておいてください。責任を持って言っておいてください。

京谷昭夫水産庁長官

○京谷説明員 水産行政についての私の基本的な考え方、先ほど申し述べたとおりでございます。答弁者については、必要がありますれば、私、ここに残ってお答えをさせていただきたいというふうに思います。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 私は、ソ連と打ち合わせがあるということで、質問の順序も変更してあなたに答弁を願ったのですが、では、おっていただいてソ連との交渉に支障ないというのですね。それならおってください。あと十分余りですから。  では、これはわかるでしょう。例えば郡上八幡の漁業組合が水資源公団から何ぼの補償をもらったというぐらいは農林省の中で把握しておるでしょう。赤須賀漁業組合は幾らの漁業補償をもらった、それは全然把握してないのですか。

京谷昭夫水産庁長官

○京谷説明員 先ほどもお答えしましたが、長良川河口ぜきの事業に限らず、一般的に、補償措置の具体的内容については事業者の側からもあるいは補償を受けた側からも公開されないというのが通例となっております。  それは、一般的に考えますと、補償の内容が大変類似ケースに影響するという立場が事業者の側から見るとありますし、また補償を受けた側から見ますと、個人的な秘密にかかわる問題であろうということがあろうかと思います。したがいまして、私ども補償の状況について知り得る情報というのは、新聞報道等をされておるところで部分的に知るという程度であるのが実態でございます。また、関係者に対して私ども強制的にそういう事情を聴取する権限を持っておりませんので、そういう私どもの立場も御理解をいただきたいわけでございます。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 これは公開されないとあなたはおっしゃったけれども、冒頭に言ったように、補償額というものは、国家予算を編成し、これの執行に当たって、補償をしているのは全部国民の血税なんだ。そうじゃないでしょうか、長官。補償費はそうじゃないですか。国の予算でしょう。どうお考えですか。

京谷昭夫水産庁長官

○京谷説明員 私、補償費を支弁する事業主体について現在特段の権限を持っておりませんけれども、長良川河口ぜきの場合には、水資源開発公団が国庫からの補助を受けて行っている事業であり、補償費はそういった財源から支弁されておるというふうに理解をしております。その予算に対するチェックの仕方についていかにあるべきかということについて、私、直接の担当でございませんので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 直接の担当を出しなさい。

京谷昭夫水産庁長官

○京谷説明員 建設省または水資源開発公団ではなかろうかと思います。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 長官、僕はあなたをいじめているのでも何でもない。この決算委員会において、いやしくも国の予算を執行したその予算執行額、 漁民は幾らもらって満足し、幾らもらって涙をのみながら判をついた、いまだ判をつかない、長良川の郡上八幡から赤須賀に至る組合の中でいろいろな形が出ておる、このことを水産庁長官は全然把握せずして、北川石松が質問しよるから何とか三十分切り抜けたい、こんな甘いもので決算委員会を見ておるならば私は承服できない。  あなたは、最初、北海道へ出張しなければいかぬということを部下に言わせておる。北海道には行ってらっしゃいよ、答弁をちゃんとしておいてくれ。今度はソ連との話し合いだと言われるから、これはやむを得ないと思っておるのにそういうことを言って、今の答弁を聞いておるとあいまいもことして、漁民のことを心していないという考えを持たざるを得ないが、いま一度答弁に立ってください。しかる後、質問の内容を変えたい。

京谷昭夫水産庁長官

○京谷説明員 本日の質疑に当たりまして、私のいろいろな予定がございましたが、変動がございまして大変御迷惑をおかけしたことは陳謝申し上げたいと思います。  それから、水産行政について私どもどういう姿勢で対処しているかということは先ほど申し上げたとおりでございます。  しかしながら、たびたびお尋ねのある他事業と漁業との調整問題は、先ほど来申し上げておりますように、やはり当事者間の話を基本にして調整が行われておるわけでございます。その結果を受けて水産行政面で対処すべき問題がありますれば、私どもとしても状況に応じて適切な措置に努めていくという所存でございます。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 では、状況に応じて適切な措置をとるという長官のその言葉を多として、あなたに対する質問は、この際、また再度質問するときがあると思いますが、終わりたい。  長官、これは心して聞いておいてくれよ。僕は、アメリカの参事官に晩飯をごちそうになったときに、日本へ牛肉を入れたいと、オレンジ・牛肉の問題があったそのときに参事官に言うた。徳川幕府以前からの日本の大きな鯨というところの一つの形を、この歴史を覆すのか、あなたのところはインドで牛を殺すかい、こんなにまで言うた。それは日本の漁業ということを思うために国会議員として言うておる。それはつらかった。しかし、言うべきことを言わなくては政治の筋は正せない。あなたが本当に漁業組合を思うならば、水産庁は建設省に対しても漁業のためにこれは役立たないというぐらいのことを言うべきことは、国民によって信頼を得ておる日本の行政じゃないですか、私はこのことを申し上げておきたい。  なお、委員長、きのう長谷委員の質問に答えて、アセスメントのために十七億円使ったと言っておる。七百四十一億円のいろいろの金を使った、こういう答弁がくしくもきのうあった。総工事費千五百億円ということも発表されておる。ところが、私の承知しておるのでは、八百億近い金がいろいろの形で使われておる。例えば、ちゃんと書いておる。ここに判までついてきておる。いろいろなところにこの長良川に関して金が使用されておる。こういうようなところをこの決算委員会で究明せずして国民の負託にどうしてこたえるんだ。  会計検査院、だれか来ているか。——はい。大蔵省、だれか来ていますか。——あなた、答弁の資格で来ているんだね。そうしたら、そこでにこにこ笑っておるが、大蔵省は、先ほど冒頭ODAで言ったように、予算編成してこれを執行し、これを執行したから次もつける、そういうマンネリの中で予算をつけていくことでは国民の負託にこたえられない。現状にそぐわない政治をしてはならないんだ。それが一番大事なのが立法府である国会なんだ。行政府の至らないところはたしなめなくてはならないのが国会なんだ。私はそういう職責に立って、あほやと言われてもばかと言われても、このことを追及しながら、これからの大蔵省の予算編成にこのことを深く加味してやってもらわなくては困る。  例えば海津町に幾らの補償金が出ておる、長島町に何ぼ出ておる、漁業組合に何十億出ておる、そのトータルが何百億という膨大な予算になっておる。千五百億の予算の中でそれほどの膨大な補償費を必要とするのかどうか。しかも四十八年に二百三十五億の予算計上のせきではないか。今千五百億、こんなに膨大にふえてきておるということは物価指数から見ても不思議である。大蔵省、どう思いますか。一遍答弁してみなさい。

設楽岩久大蔵省主計局司計課長

○設楽説明員 お答えいたします。  突然の御質問ですので、担当が参っておりませんけれども、私、決算の担当の司計課長として答弁させていただきます。  ただいま先生のおっしゃった点につきまして、六十三年度のシーリングあるいは六十三年度の予算編成等につきまして、先生の御趣旨を担当各主計官並びに幹部の者に伝えまして、対応させていただきたいと考えております。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 課長が今決算委員会で答弁されて、これは決算委員会で答弁する資格を持って答弁したのですね。ならば聞いておきたい。九十億ドルの湾岸のときに、外務大臣、このことを事前に大蔵大臣から聞かれてオーケーしたのですか。ちょっと聞きたい。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 政府間の交渉でございますが、財務担当の大蔵大臣とブレイディ長官の間の協議が行われたわけであります。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 あなたにはなかったね。向こうで……。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 本件に関しましては、委員も御存じのように、内閣は一体でございますから、大蔵大臣が日本政府の代表としてアメリカの財政担当の財務長官と交渉するということでやったと思います。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 会計検査院、ちょっとこのことに関して会計検査院としてのお考えを言ってみなさい、長良川河口ぜきの予算執行の面について。

白川健会計検査院第四局長

○白川会計検査院説明員 お答えいたします。  私、第四局長でございまして、この長良川河口ぜきの漁業補償の関係は第三局の担当でございますので、ちょっと所掌が変わっておりますが、一般的な意味でお答えいたしますと、漁業補償につきましては、内閣で定めた補償基準に基づいて算定した上で補償するということになっておりまして、私自身も検査はしたことはございますけれども、いろいろ細かい点はかなり問題があったようにも記憶しておりますが、全体としてはこのようなものかなということで検査の過程では納得して帰ったという記憶がございます。

北川石松自由民主党

○北川(石)委員 大蔵省と会計検査院は決算委員会の重要性ということの認識が不十分だと言わざるを得ない。内閣によって補償については決定をされるのです。会計検査院というものはどんなものですか。この予算の執行いかんについては会計検査院は身を挺してこれを指摘しなければいけない。——一分間前を持ってこないで質疑時間が終了しましたとは、どういう不見識なんだ、これは。ここをしっかりしておけよ。一分前に持ってくるべきなんだ、常識上。  農林大臣、こういう問題について、農林大臣の見解もあろうと思いますが、きょうは委員長、はっきり言っておく。資料の提出もない。それから長官の答弁も不十分。私は、この長良川河口ぜきについての補償費の資料というものがきのうと大きな食い違いがある、ここで答弁した。このこともあわせて指摘をし、そして再度これに対するところの書類の提出を求めると同時に、質問の足らざるを総括においていたしたいと思います。  以上をもって終わります。ありがとうございました。

渡辺省一自由民主党

○渡辺委員長 小川信君。

小川信日本社会党・護憲共同

○小川(信)委員 農水省所管を中心に幾つか御質問申し上げたいと思いますが、その前に、先ほど北川委員も冒頭お話がございましたように、私、山口一区から選出されておりますもので、一区選出の先輩の安倍晋太郎先生が急逝されたことを非常に痛恨のきわみと郷党の一人として思っておりますと同時に、安倍晋太郎先生は農林水産大臣、さらには外務大臣という職をされておりましただけに、本日、こうしてその両省の所管の決算委員 会で質問することができたということは何かの因縁ではなかろうかというふうに思いますし、そういうふうな気持ちも含めまして質問させていただきたい、このように思っております。  私、昨年の十二月、ベルギーのブリュッセルで開かれましたガット閣僚会議に社会党の一員としてガット閣僚会議に御出席の閣僚の皆様方の応援と、それから幅広い世界中の農民の皆さん方との連帯、交流ということで、五日間滞在をいたしまして、ガット閣僚会議のあの会場のロビー、さらには各国の農業団体の代表の方々とマスコミ、政府関係者の方々との接触をいろいろな形でさせていただいたわけでございます。  そういうふうな中で私なりに感じましたものがございますが、それを申し上げますと、まずガットというものに対して我々日本は米の自由化、市場開放問題を非常に大きな課題として私たちは行ったわけですけれども、ガット会場全体の農業に関する雰囲気というのは、農業問題というのは十五分野の中の一つの分野であるということ、そして、その農業そのものの中でも先鋭的な対立というのはECとアメリカとの輸出補助金等の問題が極めて厳しい対立点であったということです。  それで、ヨーロッパの関係の皆さん方からいろいろ話を聞きましても、日本の米の問題というのはほとんど出てこない。そして、ECの皆さん方は、日本はなぜECの輸出補助金政策というようなECの農業保護政策に対して批判的な意見を言われるのか、農業というのは、それぞれの国なり立地条件、環境条件というのがあるのではないかというようなことを盛んに言われる。それから、発展途上国の皆さん方は、政府関係、マスコミ関係、農業関係の皆さん方は、どうもガットというのは先進国のためにあるような感じがしてならない、我々発展途上国の意見というものはなかなか受け入れられる議論の中に入れない、こういうふうな不平を漏らしておられる。  そして、共通的なものは、各国、アメリカもヨーロッパも東南アジア等々世界じゅうから集まった農民の共通意見は、農業こそ、そしてその中でも家族農業こそが環境を守ることができるんだ、環境を守るという意味から農業に対する保護というのは当然ではないか、こういうふうな意見が共通的な意見として出てきたというのが私のウルグアイ・ラウンドのガット閣僚会議、ブリュッセルでの感想であったわけでございますが、その十二月の閣僚会議も決着をつけないまま終わってきております。  そして、交渉が引き続き行われるわけでございますけれども、今、今後の交渉を考えてみるときに、アメリカのファストトラックの延長問題と非常に深い関係であるのではないか、これが延長できるかどうか、アメリカ議会の動向というものが非常に重要な役割を持つのではなかろうかというふうに思うのです。実質的に、これが延長されるかされないかということでガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉の成り行きというものは大きく変わってくるだろうと思うのです。  現実、アメリカの中では、この延長に対して反対の立場をとっている各種団体や業界もあるわけなんですね。例えば、繊維業界とか繊維関係の労働組合、それからウエーバーに関係するような農林漁業団体、さらにはメキシコとの自由貿易における問題で反対の立場をとっているカリフォルニアやフロリダの野菜生産農家の人たちのグループ、さらには環境グループ、こういうふうなものがあって、アメリカの議会がどうなるかというのが非常に予断を許さない。  もし延長が認められたとしても、ウエーバー条項とかその他いろいろな問題で条件がつけられるのではないかというふうに思っておるわけですけれども、この見通しに対して外務省はどのように考えておられるのか、そして、これが延長された場合に今後の交渉にどのように影響するのか、それから、このファストトラックが否決された場合に今後の交渉にどのように影響するのか、まず外務大臣からお聞きしたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 米政府が議会に対して要請をいたしておりますファストトラックの手続の権限延長は、十四日、上院財政委員会及び下院歳入委員会で審議の延長が支持がされ、本会議に送付されたと承知をいたしております。今後約一週間後に上院及び下院の本会議で表決に付されるの予定になっておりますが、上院、下院のいずれかの本会議で延長が否決されない限り延長が確定をいたすものと考えております。  ファストトラック延長問題は基本的には米国の行政府と議会との間の問題でございますが、十四日の関係委員会の審議の結果にあらわれておりますとおり、米政府は権限延長を議会に働きかけておりまして、我が国としては、このような米国政府の努力によって月末に延長を確定し、もってウルグアイ・ラウンド交渉が今後本格化するというふうに期待をいたしております。

小川信日本社会党・護憲共同

○小川(信)委員 延長される見通しだという判断でおられるようでございますけれども、延長されるとしても、例えばウエーバー関連品目を持っている生産者団体、乳製品とか落花生とか綿花、そういうところとの裏取引があるのじゃないか。そうすると、アメリカはガットに臨んでも、国内の農業保護削減というもの、今まで言っておったものにある程度たががはめられるということもあるのではないか、さらには、外に対して今まで以上に強く要求していかなければならないような環境になってくるのではないかというような点も危惧しておるわけです。  もう一つ、ガットの問題で考えられるのがECの農業改革の問題です。EC内部もなかなかこの問題が合意されるような状況になっていないというようなことが考えられます。いわゆる農業保護水準を下げることについて、フランスやドイツ等々の農業団体、農民団体は非常に大きい抵抗をしておる。それから、オランダやイギリスとの国の間の議論の違いもあるということで、なかなかこれがきちんといかないのじゃないかという問題もあります。  さらには、既に御存じのように、アメリカとECの間では油糧種子の輸出の問題で激しい対決が続いておる。こういう問題が、私は、ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉の中でこれから解決できるかどうか、交渉が決着するかどうかの大きな役割、要素を占めるのではないかという感じがしておるわけでございます。アメリカはスーパー三〇一条を発動する、それを発動したらECは報復するというような非常に激しい対立にまでなってきておるというようなことです。そういうECの農業改革の問題または油糧種子のECとアメリカの交渉の経緯というものがウルグアイ・ラウンド、ガット交渉の中で大きく影響、作用すると私は思いますが、このECの動向について外務省はどのようにお考えか、お聞きしたい。

林貞行外務省経済局長

○林説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、農産物につきましてはアメリカとECの対立が一番大きな問題となっているわけでございます。その関連で、ECの農業改革の動きというものがウルグアイ・ラウンドの中で極めて注目されているわけでございます。  このECの共通農業政策の改革につきましては、去る二月にEC委員会からその基本的な考え方が示されまして、その後、ECの内部で検討が続けられるというふうに聞いております。この改革案につきましてはいろいろ報道されておりますが、支持価格の相当の引き下げによる生産調整、それから中小農民を中心とする代償措置の導入等と聞いております。  このウルグアイ・ラウンドとの関連でございますが、EC自体は、この改革はEC独自の必要性のためにやっているのだということを言っておりますが、他方、ケアンズを中心といたします農産物輸出国は、この改革がウルグアイ・ラウンドにいい影響を与えるのではないかという観点から極めて注目しているということを聞いておりまして、このEC等の改革とウルグアイ・ラウンドに与える影響というものを私どもは注意深く見守っていく必要がある、こういうふうに考えております。

小川信日本社会党・護憲共同

○小川(信)委員 ただいま二つの点、一つはアメリカのファストトラック、これはアメリカ国内での農業関連団体、企業、さらにはそこに働く労働者の、アメリカの農業保護削減に対して国内での、激しい抵抗があるということですし、またECの農業改革についても同じような一つのEC域内においての傾向がある。それぞれの国でそれぞれの作目をつくり、自然環境を背景とする、特に家族農業的な農業をやっている立場にとってみれば、このウルグアイ・ラウンドの農業交渉というものは極めて大きな影響があるというふうに見ておると思いますし、また全体的に見れば、このラウンド交渉中の中での大きな視点は、やはりアメリカとECとの関係が大きな関係であるというふうに客観的に見ることが正しいと思います。  しかし、残念ながら日本国内では、日本の米があたかもウルグアイ・ラウンドの決着を阻害している最大の要因であるようなマスコミ報道が連日のごとく行われておるということです。と同時に、政府のOBとか政党の幹部とか学者とか評論家というのが、ウルグアイ・ラウンド決着の唯一の道は日本が米の市場開放、自由化をすることが唯一の道であるかのごとく言っておられるというような、言うなれば世論誘導的な風潮が極めて強いのではないかという感じがします。先ほど申し上げたように、このウルグアイ・ラウンドの中心はEC、アメリカを中心とした農業問題であるし、そのほか知的所有権とかサービスとかいうような他の分野における未解決の問題が中心であるべきものが、あたかも日本の米の価格のように言われておる。  先般も、四月二十九日ですか、ブッシュ大統領がアメリカの農業放送協会のジャーナリストを対象にした講演の中でも、ECの理解を得ることがまず第一だ、これにてこずっているというようなことを言っておりますし、さらにはヒルズ通商代表は、日本の米がウルグアイ・ラウンドの農業交渉において障害になっているかという質問に対して、交渉を前進させる上で指導者として日本を頼りにしたことがないので、米が障害になるとは考えていない、こういうふうに言っております。さらに、極めて残念なことですけれども、これは日本の外交姿勢に問題があると思いますが、日本人は常に後追いであり、問題になっていないがリードもしてくれない、かぎはECであり、市場アクセスの妨害となっている障害を取り除かせることである、そうすれば日本、韓国もこれに追随してくるであろう、こういうふうに言われておるということです。  言うなれば、日本の米というのはガット・ウルグアイ・ラウンドの焦点でない、中心的な課題でないということははっきりしておるにもかかわらず、今申し上げたようなマスコミ誘導、いわゆる世論操作が行われておる。これに対して、この農業交渉は日本の米が中心であるという誤解を解くために政府が積極的に努力をされることが必要じゃないかと思います。  現実、五月十二日の読売新聞に「対米条件など検討 サミット前後がヤマに 自民”軟着陸”の道模索 コメ部分開放」というような大きな記事が出ております。これに対して、政府・与党一体というお話でございますが、こういう事実はないんだ、このことについては問題であるというようなことも言っておられるだろうと思います。そういうふうなことを前提にして、政府は、誤解を解くために、そして先ほどおっしゃったように日本の米を守るという立場に立って積極的な努力をされる必要があると思います。今までそういう御努力はされたと思いますが、その点、どうなのか、そして今からそのような御努力をされるのか、その辺をまず聞かしていただきたいと思います。  これは、外交交渉の一つの窓口としての広報を担当する部署の外務省と、それから現実的に米というものを持っておられる農林水産省、それぞれ大臣からお答えいただきたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 委員も、昨年のブラッセルにおいて、いろいろと私ども政府の出席をいたしました閣僚に対して御支援をいただいたことをこの機会に改めてお礼を申し上げておきたいと思います。  やはりこのガット、関税及び貿易の一般協定というものは、ガット・ウルグアイ・ラウンドという名称によってうたわれている。しかし、委員の御指摘のように、この歴史、またこれの内容というものが一般国民の方々に十分認識されているかということをいえば、私はなかなか御理解をいただいている方も少ないのではないかと思います。  委員も先ほど御発言のとおり、この分野は十五分野にわたっているということも重要な現実の問題でございますが、その中で農業分野というものが各国の、特にケアンズ・グループ、EC、アメリカ、日本、韓国あるいはスイスといったような国々にとっても一つの大きな問題を提起をしているということも否めない事実でございます。  考えてみますと、一九三〇年代に世界で保護貿易主義が台頭して第二次世界大戦に追い込まれたということから、戦後の反省としてIMFと世界銀行と、それからこのガットの組織ができ上がってきた。そして今日、貿易が世界的に大変発展をいたしておりますけれども、その中で戦後のいわゆるガットの協定でカバーされているものは約六〇%にすぎない。そういう中で、貿易外投資、貿易関連投資の協定とか、あるいは知的所有権の問題とか、いろいろと新しい分野が貿易に関連して登場してきていることも現実の世界の姿であろうと思います。  こういう中で、保護貿易主義が台頭する可能性がある。特に農業問題においては、一九七〇年代の国際的な農産物の不況によって、世界の主要農産品の輸出国はこれに対して増産をする方向をつけた。そのために、結果として八〇年代になって農産物の過剰時代が来て、そして輸出補助金をつけて国内の余剰農産物を海外に売るという姿が出てきたわけであります。  こういう問題を含めて、私どもは貿易立国をしている国家でございますから、世界の貿易の中でガットの恩恵を受けて最も受益をしている国は日本であるということが、やはり我が国にとっての重要な認識の問題だと考えておりますが、今回のガット・ウルグアイ・ラウンドにつきましては、やはりその中に占めます重要性、またこれが不成功に終わった場合の保護貿易主義の台頭によって受ける日本の被害というものを考えますと、これは大きな国益に関する国際的な課題であるという認識を外務大臣としては持っておりまして、そういう意味ではガット・ウルグアイ・ラウンドの年度内の成功に向けて努力をしていかなければならない、このような認識を持っております。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 先ほど先生から各般にわたって御意見なり御指摘がございましたけれども、まさに米の問題というのは、関係国からいっても、金額からいっても、数量からいっても、農産物の位置づけからいったら実はそんなに大きなものではございません。ただ、残念なことに、先生からも御指摘のございましたように、国の内外を問わずして日本の国は閉鎖的だという認識に立っておる人がかなり多いのではないかということを今日まで気にしてまいりました。  そのことが一つは米の問題が象徴的に、また国内からいろいろなことでマスコミに報道されるということもございますし、またいろいろな心配をされて米の問題を国の内外を問わず言及いたしておるわけでありますが、今ほどヒルズさんからのお話で、米はそんなに問題でないというふうな言い方の記事が出ておったことの御紹介がございましたけれども、しかしまた、いろいろなところでヒルズさんを初めとして農務長官、議会筋も少なくとも米は日本は開放をするべきだということも言っておることも、また実は報道されておるわけであります。  ただ、私どもそういう誤解の上に、閉鎖的でない我が国が、しかも一九八六年の、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉を四年後ということに決めてからスタートして四年間の間に最も開放したのが日本ではないか、そう認識をしておる立場からいえば、大変な誤解である、その誤解を解消する 努力はしておるかどうかという御質問であった、こう思うわけであります。  このことは私、大臣に就任して以来今日まで可能な限り日本は自由化問題については本当に真剣に取り組んで自由化の先進国である、純輸入国の先進国でもあるけれども、自由化についても私どもは、今外務大臣からお話のございましたように、自由貿易体制の中であらゆる分野が国益を考えて今日までそれなりの経済的な繁栄をしてきた国でありますから、このルールだけは何としてでも成功させたいという立場ではあるが、そういうことを踏まえて、アメリカに幕張メッセの問題もありましたので、我が省からも職員を派遣いたしまして、関係者に可能な限り一品一品の明細をつけて、そして広報活動と理解を求める努力もしてまいりました。また、輸入先である穀物団体なり、それぞれ牛肉の団体なり、我が国の農業団体からもその誤解を解くような努力をしてもらうように、私の方からも要請を実はいたしておるわけでございまして、先生からもまた機会があったら、そういう各方面での、国の内外を問わず理解をしていただくことに御協力をいただきたいと思うわけであります。

小川信日本社会党・護憲共同

○小川(信)委員 今外務、農林、それぞれ大臣からお話をいただきましたが、どうも端的に言って、米の問題については農水省だけが頑張っておられるけれども、通産省とかほかの省庁は、あれは農水省のことであって我々のことではない。極端に言いますと、例えば反ダンピング協定の問題とか知的所有権の問題、土地の問題とかいろいろありますけれども、米を前面に出してそういうふうなものは後ろに隠れておるような感じさえせざるを得ないというような状況なのです。私はそういう気持ちでおるわけです。  ですから、米の問題というのは、単なる単品としての商品である米を自由化するかしないかという問題と違って、もっと広い深い意味があるのだということで、農水省はもちろん中心になるでしょうけれども、外交交渉の窓口である外務省が一体となって内閣全体で、日本の米の今置かれておる立場というものに対する誤解を解くために、私は積極的かつ具体的な取り組みをしていただかなければならぬと思います。  実は私、地方行政委員会におりますけれども、先般も地方行政委員会の質問の中で申し上げたのですが、日本の全道府県が米の自由化、市場開放の反対決議をしておられます。それから、全国で約七割の市町村が議会等で議決をしておる。国民全体の意思にもなっております。国会によって三回の決議もしておる。さらには、この間衆議院では請願採択を行った。そういうふうな国民の意思の積み重ねとして今米の問題が出ておるのを、正しく国民全体に状況を知らせるということが政治の責任であると同時に、行政府としての当然の役割だと私は思いますので、具体的な対応をぜひやっていただきたい、このように思うわけでございます。  次は、米の自由化の問題もさることながら、先ほどちょっと申し上げましたように、米の部分開放という言葉が盛んに出てきております。米の自由化は、それは日本は反対だけれども、部分的な自由化はやむを得ないんじゃないか。いわゆる最低限の輸入義務というものは負う必要があるのではないか。五%とか三%とかいろいろなことをいろいろな形で言われておりますけれども、この自民党の軟着陸の道模索というのも、そういうふうなことで、農林関係の議員の方は極めて厳しくこれに対して党内で反対はされておりますけれども、極めて具体的な内容までこういうふうにして報道される。  これは、米の開放を決断する場合の対米条件として、アメリカに認められているガットのウエーバー条項の対象十四品目を五品目程度に減らすとか、それから食糧禁輸を一方的に行わない保証をするとかというようなことなどが検討されておる、こういうふうな極めて具体的な検討がされておりますが、このことについて外務省、農水省、それぞれ大臣は、自民党の方から、党と政府は一体だということを常に言っておられますが、これについて協議なり意見を求められておられるか、その辺を聞かせていただきたいと思います。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 いろいろな方々からいろいろな意見が確認をすることのできないほど正直たくさん実は出ておるわけでありまして、ただ一貫して、私が確認をしている範囲内では、マスコミから聞かれて答弁をしておるというのが大体の筋のようであります。党の総合農政調査会なり農林部会からは、責任者から一度もそういう会議を開いたことも聞いておりませんし、また私どもにそういう話し合いを求められたことも全くございません。  私は、政府は、総理、一貫をしてそれこそ国会で答弁しておりますように、自給方針を貫いて国会決議を尊重していくという方針で対処していく決意でもおりますし、先生すべて御案内のようでありますけれども、またウルグアイ・ラウンドの場所で米が議題になるというようなところまで全くまだいってないわけでありますから、党からその時期にそういう方針を出したり私どもに話し合いを申し込むというそういうことを考えられない、そう認識をいたしておるわけでありますので、今後、従来の方針で対処していきたい、そう考えております。

小川信日本社会党・護憲共同

○小川(信)委員 大臣のそういうような御決意を私は信じたいと思いますが、新聞に党執行部は云々という形でこういう表現が出るということが、先ほど言った国民に誤解を持たす、そして農民にとってももうだめなのかという不安を持たすことになるわけなので、こういうふうなことのないような広報対策というものを私は力を入れていただきたいというふうに思います。  そして、部分開放ということならいいんじゃないかというような妥協の道というものを盛んに言われますけれども、五%、一〇%部分開放といっても、五%部分開放ということは五十万トンの米が入ってくるということになるわけなんですね。五十万トンというのは十万ヘクタールの減反をさらにやらなければならないということ、そういうふうなことが現実、今の農村なり農業の環境からいって可能なのかということと同時に、もう一つは、部分開放というのはやがて自由化への道を開く道になるということをお考えいただきたいと思います。  私は四年前、当時、私、山口県の農協中央会の参事をやっておりましたけれども、六月二十日にちょうど農協組合長の会合をやっておりますときに、牛肉・オレンジの自由化を政府はのんだというような報告を聞いて、そしてその会合で相当厳しく議論をされたことがあります。マスコミからも取材をされたという経験があります。そして、ことしの四月からその自由化が始まったわけですけれども、その前の部分開放までの積み重ねが牛肉・オレンジの自由化になってきたわけですね。ですから、部分開放、一部分自由化はいいじゃないか、こういうふうな安易な妥協をすることは絶対に避けるべきであるというふうに思っております。  現実、日本は世界で最大の食料品の輸入国ですし、そして先般の新聞にも出ておりましたけれども、OECDのまとめによっても、九〇年の農業保護水準は、ECやアメリカはふえておるのに、日本は水準を下げておるわけですね。国内でこれだけの努力をしておるということ。そして、自由化、部分開放というものが国内農業に大きい影響を与える。部分自由化というものが、将来、完全自由化につながる道を開くものであるという苦い経験を持っておるということからも、このことについて私は厳しく臨んでいただく必要があると思いますし、同時に、米というものの背景というのは、私が申し上げるまでもなく、日本の経済全体、社会全体、国土保全の面からも、また伝統文化の面からも大きい役割を持っておるということで臨んでいただきたいと思います。  この点について、外交交渉責任者としての外務大臣と、農業を担当する部署の農林水産大臣の御決意を聞かせていただきたい、このように思いま す。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 米及び稲作等の重要性にかんがみて、これを国内産で自給するという国会の御決議の御趣旨を十分踏まえて政府としては今後とも外交交渉をやってまいりたい、このように考えております。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 先生から今るるお話がございましたし、政府の方針は今外務大臣から申し上げられたとおり一貫をしていくわけでありますけれども、今日的な米の重要性というのは、単に食糧だけではなくて、私は、世界の農産物で、国民の文化や生活にこれほどかかわり合いのある農産物はないだろう。そして、日本の農業の基幹作物として位置づけられておるわけでありますから、現状の減反面積でさえいつ解消できるかという不安で、これが農家の意欲を阻害をしておるという認識をいたしておるわけでありますから、これ以上減反のふえるような状態というものを我が国の農政としてはとれない手段だ、こう思っております。  それぞれの国が重要な農産物を持っておるわけでありますし、先ほど先生お話のありましたように、アメリカでもファストトラックも条件づきではないかというお話もございました。また、我が国が輸出補助金についてもいろいろ言っていることに対してのECの反発等についても、私も実は承知をいたしておるわけでございます。そういう分野にわたって、農業問題というのがそれぞれの国での重要性というもの、国民生活での重要性というようなもの、あらゆる角度から、この農業交渉は極めて困難な交渉になろうかと思いますけれども、不退転の決意で対処していきたい、そう考えております。

小川信日本社会党・護憲共同

○小川(信)委員 それでは話題を変えて、ことしが、農業基本法が制定されまして三十回目ということで平成二年度の農業白書も出されました。見させていただいたわけですけれども、まさにこれは農基法農政三十年の一つの総括という立場で整理がされております。また、九〇年農業センサスもまとめられております。そういうような中で今の日本の農業の現状を見てみますと、まずセンサスを見ての特徴でございますけれども、耕作放棄をしておる農地が非常にふえておるということです。  なぜこれだけの耕作放棄農地がふえたのかということを考えなきゃならない。それも山間地域が一番耕作放棄地がふえておる率が多いわけですね。それから中間地、そして都市地域、こういうふうになっておる。特にいわゆる、よく言われております中山間地域における耕作放棄というものが非常に進んでおる。都市地域の耕作放棄というのはある意味ではわかりますけれども、そういうふうなことが一つの特徴として出ております。  それから農家戸数の減少です。これは今までのセンサス年次の中では一番大きい数字で農家戸数が減っておるということ、それから農業後継者の減少というものが非常に著しくなってきておる。さらには高齢専従者がふえておる。いわゆる農業をやっておられる方がお年寄りがふえてきたということでございますが、こういうふうなことです。  先般も、これは農水省の農業総合研究所の調査や農水省の調査なんかを見ますと、今後五年から十年後に農業従事者が高齢化しておるために農業から引退するとして考えられる地域というものが非常に多くあるということが出されております。そういうことを考えると、農業基本法三十年、この総括、そしてその数字として出てきた九〇年センサス、極めて農業にとっては厳しい数字として出てきておる。三十年間農業基本法体制農政で行ってきたことについて、農水大臣はこの三十年間の農政をどのように評価されるか、所見を聞かしていただきたいと思います。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 一口に言えないほど農業を取り巻く環境なり国民生活が変化をいたしておりますので、私が大臣就任後間もなく農業基本法を一度勉強してみたい、見直してみたいという発言をしたことが大変大きな反響に実はなってまいりました。それは私一人でないのだなという認識を実は私も持たせていただきましたし、またこれだけ各般にわたって環境が変化をしておりますので、どこからどのように手をつけていこうかということも実は思案をいたした時期もございます。ただ、今は国会も終わって若干の時間を割いてどういうことを検討するかということを目下勉強いたしておるところでございまして、でき得れば夏ごろまでには私の検討項目だけを事務局におろして事務局とのすり合わせをしていきたいな、そう考えておるわけであります。  先生お話しのございましたように、三十年前と今日の変化でございますし、農業基本法は、日本が戦後一貫をして工業化社会に向かうときに勤労者所得と農村所得との格差を何とかして縮めていくために最初は価格政策をとってきた。しかし、価格政策というのは一定の限度がありますから、構造政策を進めるということでコスト引き下げのための政策というようなものを農業基本法を中心にして、私はそれなりの成果をおさめてきたのではないだろうか、そういう評価を実はいたしておるわけであります。  今日の農村を取り巻く状況を、今先生から後継者の問題、高齢化の問題、中山間地の問題、それぞれ御指摘がございましたけれども、いずれにしても国際競争力という一面を持っておるという立場からすれば、規模拡大、機械化、そしてまたコスト引き下げという、こういう状況の中で地理的にそのことが不可能な地域、いわゆる中山間地というふうなところに耕作を放棄をするところが非常に多くなってきておる。そして、なかんずくまた高齢化をしておるという今日の状況でございますので、中山間地に対する活性化対策事業というものも今進めさせていただいておるわけであります。この政策、今出したばかりでありますけれども、大変な人気で、予算が対応できるかどうかという心配をするぐらいの大変な人気を今集めておるという状況でもございます。  もう一方では、今3K問題とかいろいろなことを言われて、農業に取り組む後継者というのは、ただ単に農業を合理化したり近代化したり規模拡大したり、所得面だけでは考えられない面が一つはあろうかと考えて、村づくりを少し、生活面でも集落の排水等を重点的に施策をして生活の環境をよくすることとあわせて、農村全体における景観等を考えて、都市と農村の交流をしたときに都市の人たちが喜んで農村に行って滞在するような施設整備、環境をつくることで、そこに住んでおる若い人たちにも自分の村や町の価値観というものを改めて認識をしていただくと同時に、交流がまた進められていくのであろう。そして農村の生活環境がよくなれば、またそこで農林水産業を営んでいただけるのではないだろうか、後継者もまた生まれてくるのではないだろうか。このことはまた多極分散、ふるさと創生という国の大方針に一つは合致をしておることでございます。  時たまたまことしから生活関連枠というようなものができましたし、競馬法の改正でもまた農村整備等に予算の裏づけをさせていただくことにもいたしたわけでありますので、その辺を全体を考えて、一方、消費者生活そのものが——外食産業、加工産業で七〇%を超えてくるような状況になってまいりました。このことによって流通関係にも大変な変化が予想されるわけでございますし、各般にわたってもう一度ひとつ農業全体を見直してみたいという私の考え方から、今農業基本法を勉強させていただいておるところでございます。

小川信日本社会党・護憲共同

○小川(信)委員 今大臣がお話しになったことが、言うなれば三十年農業基本法を総括した上での今からの一つの考え方だ。これは大臣は長期プランといいますか、そういうふうな形で今から先の検討を指示されておられますけれども、これは早く出して、そして各界各層の検討の上で国民全体が合意するものにつくり上げていただきたいと思います。  ただ、現実、この三十年間で大きな変化があったということは間違いないわけなんですね。それ も残念ながら農業にとって前向き、上向きの大きな変化かといったら必ずしもそうでない。例えば農家戸数が六百万戸から三百八十万戸ぐらいに少なくなったというようなこと、自給率も下がってきたとか、一つ一つを取り上げてみましても前向き、上向きの三十年じゃなかったという極めて厳しい現実はあるかと思います。新しい方向づけを私はぜひお願いを申し上げたいと思いますし、当面する具体的な問題として幾つかの課題がございますけれども、その幾つかの課題に対してまずお尋ねしたいのが、先ほどもお話がございましたが、農村地域社会というものが大きく変わってきておるのだということがまずあるだろうと私は思います。  昔の、三十年前の農村なら、米をつくり、麦をつくり、選択的な拡大部分としての野菜とか果樹、そして酪農があり、肉牛があり、養鶏がある、こういうふうな形で農村地域社会というものが農業ということだけで進められてきたと思いますけれども、現在の農村地域は農村集落が極めて混住化してきておる。それから農家の暮らしそのものをとってみても兼業化が非常に進んできておる。農家所得の中に占める農業所得の割合というものは兼業所得の方がはるかに多いというような状況になってきております。そういうふうな中で、農家の人たちなり、また農村社会に住んでいる人たちの生活観というか、そういうふうなものも私は大きく変わってきているんじゃないかというふうに思うのです。  今まで、例えば農水省の公共事業はどちらかというと農業生産基盤整備というものが中心に進められてきております。私は、日本の国の農業政策は終始一貫今日までそうだったと思います。農業生産を高めるために、そして農家の農業所得を高めるために、農業労働生産性を高めるためにということが中心で来た。これは当然のことであると同時に、必要だったと思いますけれども、やはり今後は農村地域社会の生活環境整備にもっと思い切ってウエートを移していくことが必要ではなかろうか。いわゆる農村の生活環境の改善の問題なり、それからこれはある意味では農村の地域社会維持のためにも必要だ。  例えば道路をつくるというようなこと、公共下水道を農村地域にも持っていくというようなこと等も必要でしょうし、それから農家の人たちを含めた農村地域社会に住んでおられる方々の生活ニーズが大きく変わってきたということの認識、そういうふうなものをやはり総合的に考えて、生活環境整備に農水省が所管される公共事業を思い切ってそちらの方へウエートを変えていく。それと同時に、全体のボリュームをもちろんふやしていくことも必要だろうと思いますけれども、その辺のことについてのお考えを聞かせていただきたいと思います。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 生産基盤をやることも、また生活環境に関係がないかといえば関係はあるわけでありますが、その予算をまた生活関連にウエートを置いていくということの基本的な考え方については私は同意をするものでありますけれども、また別に生活関連枠という新たなものが実は本年度から誕生いたしたわけでありますから、新しい角度からその方面に、また生活関連に対して予算取りをしていかなければならない、こう思っておるわけであります。  本年度は、農村の生活関連という具体的な単独のものからすれば集落排水が目玉になるわけでありまして、昨年から本年に対して倍増させていただいたわけでございますし、また基盤整備の従来の公共事業を、一つは負担軽減ということの役割をまた少し果たしていきたい。  農村の今の実情からすれば、農家負担で基盤整備が重いというそういう状況で全国各地から聞かされるものですから、負担をできるだけ軽減をさせてやりたい、そういう面と両面がありますけれども、従来の公共事業の中に、例えば集落には広域農道でも街路樹を植えたりして景観をよくすることができないだろうか。転作作物の中にあるいは花を対象として、レンゲやスミレや菜の花というようなもので景観的によくするような作物を実は転作奨励金の対象にというようなことも考え合わせて、生活面を重視をした部分で今後予算づけをしていきたい、こう考えてむらづくり対策本部を設置をして、構造改善局の次長を本部長にして各局から対策本部に、縦割り行政がいろいろ言われますから横割りでこの対策本部を設置をさせていただいたところでございますので、それぞれまた御指導いただきたいと思うわけであります。

小川信日本社会党・護憲共同

○小川(信)委員 おっしゃることはわかりますけれども、例えばこのセンサスで出ておる数字を見ましても、農業集落のし尿の処理の方法なんかを見ましても水洗というのは一二%しかない。あとは皆くみ取り方式だというのが現実の農村社会なんです。それから排水に至っては公共下水道というのは三・八%しかない。大多数は河川や農業用排水路に流しておるというのが半分以上あるわけなんですね。そういうふうな農村環境。  これは農水省の仕事としてやるのか建設省の仕事としてやるのか別といたしましても、やはりこういうふうなものを整備していくということが必要でしょうし、それから舗装のない道路がまだまだたくさんある。それから、役場や農協があるような村の中心まで行くのに一時間も一時間半もかかるようなところに集落があるということを考えると、道路というものを整備する。ある意味では、農道とか林道とかいうような形でつくられたものを市町村道にしたり県道に変えることによって、管理はそちらにさせて農民の負担は少なくさせるようにする、交付税の対象に入れていくというようないろいろな方法があって、そういうものを組み合わせた形で農村地域における公共投資というものを実質的に充実していくことが私は必要ではなかろうかというふうに思うわけなんですね。  それはある一面は何かというと、私は農村における後継者の確保の問題とも関連をしてくると思います。やはり快適な住みやすい農村地域でなければ、若い人たちはなかなかそこに住もうとしない。村の中の我が家から拠点となる地方の中核的な都市に行くのにまあ車で三十分か一時間ぐらいで行けるような道路をつくってやれば、農村地域に住むことも可能になってくるわけですね。そういうことを幅広い角度で考えていくことが必要だろう。そのためには、事業費の農家負担と受益者負担というようなものも思い切って考えるし、農道とか排水路というようなものは本来河川であり道路であるという認識に立って全部公共的に負担をする、こういうふうなことも必要ではなかろうか。こういうふうなことを総合的に長期的な展望、検討の中でお考えをいただかなければならないというふうに思うわけです。  それから次の問題として、先ほども指摘しました耕作放棄をする農地がふえてきておるということです。農地の保全ということが国土保全上に極めて重要だということは、水田農業の役割という中でも言われておりますが、これが耕作が放棄されますと、五年、十年たつともう完全にここは水田としての機能なり耕地としての機能がなくなって土地が荒廃をしてしまうということであれば、耕作放棄した土地を活用する道というものをやはり考える必要があるのではないか。  そういうふうなことを考えていきますと、耕作放棄をしておるような土地は農用地利用増進法の利用収益権という特定要件ですか、そういうようなものでやれるとは言いながらも、なかなか現実的に難しいということになれば、農業生産法人とか農協とか役場とかと一緒になっての第三セクター、こういうふうなところが農地を管理し、そこでの農業の経営がきちんとできるようにするとか、それから、現在は農業に関係のない人でも農村地域へ行って農業をやりたいという人たちにそういう農地を積極的に開放して提供し、そこで農業をしてもらえるような仕組みをつくる、そういうふうなことが考えられるのではなかろうかと思います。  そのための必要な農地法とか農用地利用増進法とか、それから農基法とか、いろいろな関連する 法律を整備をしていただいて、耕作放棄している農地を積極的に利用ができるようにする。そして新規の、若い人たちでないかもわかりませんが、新規に農業をしようとする人たちが参加できるような道を開いていく。さらには、規模拡大したいという人たちに提供していくという道もあるでしょうけれども、とにかく荒れた田畑が村の中にないようにあらゆる施策を講じて取り組んでいただきたいと思います。その辺についての施策を、あればお尋ねしたいと思います。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 私ども農林水産省が一つの制度を発足させるということになると、どうしても全国一本になって、北海道から沖縄まで一本の制度ということにならざるを得ないわけであります。しかし、地域の実情によっていろいろな環境がございますので、できるだけメニューを多くして、今先生お話しのようなことがほとんどできるような状況で、例えば、土地条件の不利なところでいろいろな作物を選択して品質の高いもので高級なものをつくって価格、所得を上げていくという一つのやり方をするにしても、あるいはそこにとどまっておる若い人たちの環境をよくするためにも、あるいは放送施設であるとか、あるいは住宅環境であるとか、いろいろなことをその地域その地域の実情に合わせるとすると細かいものがたくさんあるわけでございまして、私どもは、総合的な立場で相当のメニューを用意して、あらゆることが中山間地活性化対策事業でやれるだろう、こう判断をいたしておりますし、また、いろいろなところから御意見が出てくればまたそこのメニューの中に入れることもやぶさかではございません。  ただ、むしろ私は、先ほどもお話し申し上げましたように、予算が伴うかどうかという方が今は逆に心配いたしておるところでもありますし、先ほど先生から御指摘のありました問題点、ちょっと細か過ぎて私も答弁を差し控えたのでありますけれども、ボトルネックというようなことで、道路が何よりも生活の基盤でありますけれども、山があって、山を回ってくると一時間もかかるところでトンネルを掘れば十五分で行くようなところが全国各地に見受けられますので、今農村で毎朝毎晩一時間で通勤しろと言うと大体町に出てしまうという状況でありますから、初期投資は大変お金がかかりますけれども、長期的に見れば災害対策、維持管理等を考えれば、トンネルを掘って十五分で行けるようなことで、初期投資が高くなってもいいからそういう形で、農道について、隧道、橋というものを、できるだけ短距離で農村から職場に、あるいは町に、距離を縮めていくという方向でも今指導いたしておるところであります。

小川信日本社会党・護憲共同

○小川(信)委員 私が申し上げたいのは、とにかく農村地域の環境をよくしていくということが今何よりも大事であろう、その環境をよくしていかなければならないためには、多面的、多角的な対応、取り組みが必要だ。その問題について、実は私は地方行政委員会でもお話し申し上げ、吹田大臣は、トンネルをやるんだとおっしゃいましたけれども、もちろんそれも必要でしょう、いろいろな角度がありますけれども。  私は、自分の地元の現実を見ましても、私も農村におりますけれども、農免道路というのがあるのです。相当昔つくった農免道路があります。これは国道に並行して山側を走っているわけですけれども、ほとんど通勤用に使われるわけです。もちろん農業にも使うでしょうけれども、通勤用に使う。こういうふうなものをもっと幅員を広げて、そして県道にも昇格したら、さらに立派な用を、効率を果たす道路があるわけなんです。そういうふうな問題等も、農水省、自治体、建設省が協議して整備することによって、農村の環境というようなものは変わってくると思うのです。そういうふうなところで一番日の当たらないところが中山間地域なんです。  先ほども、中山間地域に対して極めてきめ細かくやるように努力しておるし、また、メニューに対して希望が非常に多い、予算が足らないくらいだというようなお話がございましたけれども、確かに、いろいろ考えてみましても、中山間地域というのは過疎化と高齢化が進行しているし、社会資本もおくれておるし、就業機会もないし、それから、市町村の財政力も弱いし、いろいろな悩みを持っている。農地だって、平たんじゃなくて急傾斜が多いというようなこともございますし、交通も不便だといういろいろな問題を抱えておるところですので、ここに対してそれなりの特別の施策を講じていかなければならない。  と同時に、この中山間地域というのは、既に御存じのように、国内食糧の農産物の四〇%を供給しておるのだということです。それから、アジア・モンスーン地帯の急傾斜のこの日本の国土で見れば、この中山間地域こそが川下の国土の保全、洪水防止の機能なんかを果たしておるということなんですね。そういうふうな役割を持っておる。それと同時に、一番自然環境、緑に恵まれた地域であれば、この中山間地域を守らなければならない。こういうことになりますと、先ほど大臣がおっしゃった、沖縄から北海道まで画一的な農業政策というものには問題があるかもわからないし、また、平たん地と中山間地域と同じような農業施策というものもやはり問題があるのじゃないかと私は思うのです。  私は、今後の農業政策、施策というものを二つに分けて考える必要があるのじゃないかと思うのです。一つは、市場競争に対応できるような、いわゆる市場型農業に対する農業政策と、もう一つは、環境保全型農業に対する農業政策。中山間地域は環境保全型農業だと私は思うので、それに対応できるような農業政策。この二つの分野に分けて政策を進めていく、施策展開していくことが必要じゃなかろうか、それが中山間地域を守る一つの大事な役割になるのじゃないかと私は思っておりますし、先般、大臣、御報告を聞かれたかと思いますけれども、我が党もこれについての具体的な提案をしておるわけでございます。「自立・共生・革新の地域農業振興対策」、特に「中山間地域対策を中心として」ということで発表させていただいておりますけれども、中山間地域、日本の農業に今求められるのはそういうふうなものではなかろうかと私は思いますが、この辺についてのお考えを聞かせていただければと思います。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 先生今お話しのとおりだ、そう認識をいたしておるわけであります。  平場の国際競争力に打ちかつだけの農業、営農ができるような対策を講じていかなければなりませんし、また中山間地というのは、土地の不利な条件のところで、そういう規模拡大というようなことには不適当なところではありますけれども、社会政策上大きな役割を果たして、そこに集落、営農していただく必要性というのは国家的に必要な立場でございます。  しかし、そういう地域に限って町村の財政が脆弱でございますので、今回、自治大臣とも相談をして、県営の部分につきましては地方財政の中で一定の支援をしていただくことになりましたけれども、まだ団体官のところまで残っておるわけでありまして、今後私ども、そういう中山間地域を抱える町村に対しての団体営事業等を含めてこれらの財政支援もしていきたい、こう考えておるわけであります。  いずれにいたしましても、そういう地域と平場という二つの面での施策を進めていくことが我が国の農林水産業を営む上に非常に大事な時期ではなかろうか。特に環境問題が地球的な規模で問題にされておるときでありますし、仕事もそういう面ではまた理解を得やすい、そういう面を考えて仕事を進めさせていただいておるわけであります。

小川信日本社会党・護憲共同

○小川(信)委員 おっしゃるとおりだと思います。  そこで、具体的な提案でございますけれども、中山間地域を対象としたいろいろな施策を現実にやっておられると存じております。それから、いろいろなほかの省庁にも関連するものもありますけれども、総合的な政策を推進していくという上 で中山間地域農業なり地域を振興するという意味での独立した一つの法律をつくってやっていくことが必要ではなかろうかと思います。その法律に基づいて具体的な施策を進めていく、そういうことが中山間地域というものの役割を国民に正しく、きちんと認知させることにもなるだろうし、それから今、西ドイツ、ヨーロッパ等でも行われておりますような条件不利地域に対する所得を保障して、そこで定住をし、農業なり林業をやってもらうのだ、こういうふうなことが国民的な支持を得るということになることも必要だと思いますけれども、そのためにもそういうものも含めた法律というものが必要ではないかと思いますが、大臣の御所見を聞かせていただきたいと思います。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 一つの考え方であることは私も理解ができるのですけれども、これまた従来あります過疎法、山村法というようなこととの兼ね合いも実はございまして、その中から農林水産省が知恵を絞って、今回、中山間地活性化事業で地域のニーズに大体対応できるという確信のもとに実は事業を進めたばかりでございます。  あわせて、所得保障という考え方もあろうかと思いますけれども、私ども今日まで負担の軽減ということで、大体中山間地事業ということになりますと、全国町村の負担をどうするかということと県の負担がどうなるかということが、まだそれぞれ全国一律じゃございませんけれども、少なくとも一割以下にとどまるのではないだろうか。私の町が実施しているのは四%程度の地域の負担でございますので、こう考えてみますと、所得保障という面よりも、従来やってきた負担を極めて軽減をしていくという方策でしばらくこの事業を進めさせていただいて、なおいろいろな法律が次々出ていくとまたいろいろな絡まりが出てきてこの事業がおくれるものですから、過疎法、山村法、他省との協議に時間のかからないように、我が省で考えられるだけの知恵を絞って今進めたばかりでありますので、いましばらくこの事業の推移を見て御協力をいただきたいと思うわけであります。

小川信日本社会党・護憲共同

○小川(信)委員 一つの要綱による事業としてやる、法律の裏づけによって政策としてこれを展開していくということ、それは具体的な中身が同じならそれでいいではないかということになるかもわかりませんけれども、やはり一つの法律として、もちろん山振、それから過疎法というようなものとそのときに調整をとる、統合していくというようなことも場合によってはあってもいいのではないかと思いますけれども、今これほど世間の注目を浴び、問題を農林業が抱えておる、問題が集積されておるような、そして日本の経済や社会に一番大きな影響を持っておる中山間地域、ここに集中的に施策を持っていくためには、きちんとした法律をつくってそれを基盤、基礎にして取り組んでいくことが具体的な施策を展開していく上でも、また市町村、自治体が具体的に事業を展開していく上でも、法律的な裏づけがあるのとないのとでは大きな違いが出てくるだろうと私は思うのです。  そういうふうな意味から、これらの問題についてひとつ十分な御検討を、せっかく長期的な農政の方向づけの検討をされるよう指示されておるわけですから、その中でぜひ御検討をいただきたい。このように強く申し上げておきたいと思います。  時間もございませんので、次に進めさせていただきます。  次の課題は、日本の農業、先ほどもお話しございましたけれども、明治以降の日本の経済、産業の近代化、発展の中で、日本の農業が果たしてきた役割というのは非常に大きいものがあっただろうと思います。明治以降、日本の産業基盤の中心として、そして日本の工業、商業等の資本形成の上でも農業というものが果たした役割は非常に大きい。特にそういうふうな中で、日本の農業を支えてきた一つの役割を担ってきたのは協同組合組織ではなかったかと思います。  一九〇〇年、明治三十三年に産業組合法ができて以来、今日までで九十数年、二十一世紀でちょうど百年になるわけでございますけれども、産業組合を中心として、戦前、昭和十七年まで農村地域、漁村地域それぞれのところで産業組合を中心にしての協同組合運動というものが農村地域なり漁村地域の産業なり経済の一翼を担ってきたということは私は否定できない事実だろうと思います。昭和の初めの経済恐慌なり農業恐慌の中で、それを産業組合が一手に引き受けてその厳しい事態を乗り越えてきたというような協同組合の歴史もあります。  また戦後、昭和二十二年の十一月に農協法が公布されまして、二十三年、各地に農業協同組合ができて、今日までいろいろと農協という組織に対する意見や批判もその過程の中ではあったとしても、日本の農業の発展の中で農業協同組合が担ってきた役割というものは非常に大きいものがあるし、また、この組織があってこそ日本の農業というものが、それなりに協同組合に参加した組合員の生活、また社会的な地位、経済的地位の向上のために役割を果たしてきた。地域においては、地方自治体等々と一体となって地域の農業、経済振興のために果たしてきた役割は大きいというように思っておりますが、農林大臣は日本の農村における協同組合運動、戦後の農協の役割についてどのように御評価されておられるか、まず聞かしていただきたいと思います。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 農協は、もとより当初、庭先商いから始まりまして、特に生鮮食料を扱っておる立場からすれば、やはり時間と鮮度というもののかかわり合いからして、庭先での個々の農家の交渉というものは決して生産者に有利な立場じゃございません。それを農協組織をもって集荷をし、そして市場を通して、流通、消費に回っていくという一つの基本的な流れとあわせて営農の指導をしていただく。そして、かつては購買事業でも、それぞれ採算性の合わないところには、生活品まで行き届かないところに農協の購買事業が役割を果たしてきたという大変重要な農村にとってのまた精神的なよりどころ、そういうもので経済的なよりどころとして大きな役割を果たしてきたと認識をいたしておるわけであります。

小川信日本社会党・護憲共同

○小川(信)委員 単なる経済的な合理化ということだけでなくて、私は、農村、地域社会、ひいてはもっと大きくは日本の国の経済全体の中で大きな役割を果たしてきたと思っておりますけれども、その農協も、大きな経済的変化なり社会的な変化、例えば金融の自由化、それから農産物等の市場開放の問題、情報化、国際化、こういうふうな中で、やはり農協組織も大きく体質を変えていかなければならない。  一つは、先ほど申し上げたように、基盤になっております組合員が変化してきておるわけですね。農家戸数が少なくなってきている、兼業化が進んでくる、高齢化が進んでくる、農村地域社会が混住化してくるというようないろいろな要件の中で、農協も時代に対応してその体質を強化していかなければならぬということで、既に御存じかと思いますけれども、三月二十九日、全国農協中央会の総合審議会で、「系統農協を通ずる事業機能の強化と事業運営の合理化・効率化および組織整備の将来方向ならびにその実行方策」、それからもう一つは「農協・連合会の事業機能の拡充および経営管理強化のための法制度等の改正対策」についてというものを答申をして、現在、全国各地の農協組織で組織の討議がされておられるように聞いております。そして十月には、全国大会でこれを確認をしてこれに取り組んでいこう、こういうふうなことが決議されております。  その中身は、まず第一には、組合員の皆さん方の期待にこたえられる仕事がやれるような体制にしていこうということが一つです。そのためには片一方では、金融の自由化とかいろいろな問題で農協の経営体質を強化するためには農協の合併も進めていかなければならぬ。現在三千幾つかある農協を千にしていこう、一県で十か二十くらいの農業協同組合にしようということですけれども、それと同時に、伝統的にあります系統三段階制と いうものを見直して、この間を縮める二段階制というものを考えていこうじゃないかというようなことが提案されておるようでございます。  既にこの全国農協中央会の総合審議会の答申についてごらんになられたと思いますが、これについてどのように御評価されておられるのか、その辺を聞かせていただきたいと思います。

川合淳二農林水産省経済局長

○川合説明員 今御指摘ございましたように、農協系統では三月二十九日に総合審議会におきまして農協の組織、事業のあり方についての答申が取りまとめられました。  内容は、今お話がございましたように、農協系統組織みずからの改革を図って、農協組合員のニーズに十分対応できるような機能と役割を積極的に果たしていくために事業、組織の合理化あるいは効率化、さらに時代のニーズに応じた新しい事業展開を行おうというような内容になっております。  今後、十月の農協大会に向けて組織内で十分討議をするということでございますので、私どもは、まずみずからこういう答申を受けて改革に取り組もうというその姿勢そのものを十分評価いたしますとともに、私どもといたしましても、こういう時代に沿った動きが着実に進められますように、できる限りの支援をしたいというふうに考えておるところでございます。

小川信日本社会党・護憲共同

○小川(信)委員 そこで具体的なことですけれども、農協の現在の全国連、県連、単協という三つの組織の機能を整備強化するために組織みずからどうするかということは、これは組織の問題として皆さん方が十分検討されて時代に最も適応する、ふさわしい組織体制にしていかれると思いますけれども、やはりもう一つは、私は、日本の農村社会なり日本の農業の振興発展のために、今でいえば地域社会全体の中で大きな役割を果たしておる農業協同組合というものがさらに今後も引き続き今まで以上に役割を果たしてもらうためには、やはり政策的にも制度的にもこれを支援していくことが必要ではなかろうかと思っております。  そういうような中で、この答申の中に出ております幾つかの課題があるわけですけれども、まず第一に、現在農協法で認められております各事業を拡充する必要があるということが強く出されてきております。  そういうふうな問題の中で特に象徴的なものは、いわゆる福祉事業・サービス、こういうふうなものを中心とした社会開発とか保健・教育文化等の施設の設置、こういうふうな面での農協の事業が強化できるような法改正への期待、それから金融自由化に対応するために、ほかの金融機関、市中銀行、都市銀行等と同じように競争ができるように、外為業務とか国債等の窓販・ディーリング業務等の取り扱い、こういうふうな問題とか、いろいろ農協法上にある貸出規制の緩和というようなことで、金融自由化の進展に対応するための事業機能の強化のために必要な規制の緩和ということも強く求められておるわけですけれども、こういうふうなもの等を含めて、二十一世紀を展望した新しい時代にふさわしい農業協同組合のあるべき姿というものを考えて、農協法の改正ということについてお考えがあるのか、あれば、どういうところをどのような考え方で変えていくということを考えておるのか、わかる範囲でお答えをいただければ、このように思います。

川合淳二農林水産省経済局長

○川合説明員 ただいまお話がございました総合審議会の答申の中にも触れられている点でございますが、新しい社会経済的な環境の変化に対応して農協が取り組むべき事業、あるいは新しい事業、それから拡充すべき事業というようなものについて、私ども、その説明も受けておりますし十分認識しているところでございます。そうした事業が組合員あるいは地域の要望に的確にこたえていくために必要であれば、そうしたものも取り入れていくことにつきましては私どもも協力していきたいと思っております。  ただ、こうした金融の自由化に代表されますように厳しい経済環境が一方にあり、また競争の条件というものも徐々に広がってきているわけでございますので、農協の経営体質というものを強化し強靱なものにしていくということも一方で必要だろうと思っております。そうしたものが両方相まって農協が組合員あるいは地域の要望にこたえていくということになろうかと思います。  そうした意味で、農協法改正ということにつきましても御要望があることを承知しておりますので、そうしたことを踏まえながら私どもなりに検討を進めていきたいと思っております。

小川信日本社会党・護憲共同

○小川(信)委員 時代にふさわしい、そして組合員である皆さん方の期待と国民全体の期待にこたえられるような農協活動なりが今後できるような制度の改善、改革のために農水省としても十分御尽力をいただけるもの、このように思っております。  そのためには、私は、まずもって農業協同組合の基盤である単位組合、いわゆる市町村にある農協そのものの体質の強化ということがまず第一であろうと思います。いろいろと体質強化のための内部的な取り組みはされておりますけれども、やはり法的な面からの体質強化というものも農協法改正の中で考えていかなければならない事業があるのではなかろうかと思います。  それは、理事会制の法定化の問題とか、代表理事制の問題とか、員外理事枠の拡大の問題とか、内部監査機能なり監事機能の問題とか、監事の役割の問題とかいろいろそういうふうな面も含めて制度、法律の見直しというものをお考えいただければ、こういうふうに思います。  同時に、私は今一番求められておるのは、いろいろ言われておりますけれども、総合審議会の中にもありますが、現在三千幾つかあります農協組織を千農協、全国で各県十から二十の農協にしていこうということです。数は少なくしていくことがいいのか多いのがいいのかは別としましても、大体全国千ということになりますと、一農協が組合員戸数が一万戸ぐらい、そして資金量が一千億円ぐらいにはなるだろうと思います。そういうふうな規模の農協にしていくことによって体質を強化していくということは、私はある意味で必要だというふうに思っております。  そのときに二つの面があります。一つは、組合員に対するサービスをどのように充実強化していくのかということがあります。そして、民主的な運営というのがきちんとやれるかという問題と、一面は、企業体、経営体としての経営管理体制がきちんとでき、厳しい、競合する事業と競争に負けないような体制がとれるような仕組みをつくるということ、これが今農協に求められておるものだろうと思います。  そういうふうな意味からいうと、一万戸ぐらいの組合員を擁する規模の農協というものが私は必要だろうと思います。しかし、現実、農協合併というものはなかなか、口で言うのは簡単ですけれども難しいものなんです。自分は、先ほど申し上げましたけれども、農協中央会におりまして、事務の担当責任者として、参事として、そして農協合併を幾つか手がけてきました。建前では、皆さんいいと言います。しかし、具体的に現実になってくるとなかなか難しい。役員の数の問題、だれが組合長になるかというような問題も含めて、役員の問題もありますけれども、財務の調整というものが非常に大きい問題になってくるわけです。  個々の農協の力の格差があるわけなんですね。そして、財務の内容が違う。これを調整するというのは口で言うほど簡単なものではない。この辺をきちんと整理していかなければ、農協の合併というものは理論的には、また気持ちとしては必要だ、やろう、こう言っても、現実できない。そういうふうな面から、やはり私は今第七次まで延長されました農協合併助成法を大幅に改正をして、財務調整に必要な原資、今県レベルでは何億というような基金を出して、その果実で支援をしている県が幾つかあるわけなんですね。そういうふうなものをフォローできるような面も含めた農協合併助成法、この改正をすべきじゃないかというふうに思うわけです。  御存じのように、農協合併助成法は昭和三十六年の農業基本法の制定に相まってこれが行われたわけなんですね。これは農業近代化に即応する農協をつくるということで行われた。そして農業近代化資金助成制度というようなものと含めて農協合併助成法が発足したわけですけれども、さっきもお話しのように、農業基本法は三十年経過してきた。そして農業協同組合も三十年の中で役割をしてきたけれども、新しい時代にふさわしい役割を担わなければならない。ちょうど軌を一にしているわけですけれども、この農協合併助成法の改正、大幅な、内容を見直しての改正、今は税制上の優遇措置と利子補給があるだけで、施設に対する合併後施設の利子補給だけですけれども、もっと合併を進めるために必要な助成的な措置なりを含めた農協合併助成法というものが考えられないのか、そのあたりについてのお考えを聞かせていただきたいと思います。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 これはちょっと政府委員が答弁しにくいので、議員立法でありますので、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。  どこをどのように直すかということは、農基法なり農協の自主改善案を今それぞれ審議をしておるところでもございますけれども、いずれにしても、農協がでっかくなれば農協そのものの体質が強化をされることは当然のことでありますけれども、営農等について行政区域をまたがった合併農協がたくさんできていくときに、県の普及なり町村の営農なりというようなこととの、営農部分についてもそうでもありますし、また合併そのものもそうでもありますし、あらゆる角度からもう一度延長に当たってはそれぞれ各党間で話をしていただく必要があるのではないかな、この程度でひとつ答弁を御勘弁いただきたいと思います。

小川信日本社会党・護憲共同

○小川(信)委員 議員立法ですからそういうことになると思いますけれども、私は第七次を八次に延長せいと言うのじゃなくて、法律で、助成法で無理ならやはり積極的に合併が実現できるような実利的な支援を私はする必要があるということだと思います。現在の合併助成法は、出資のみなし配当に対する税金の免除の問題とか不動産の登録税の問題とかいうようなことです。これだって大きいメリットですけれども、もっと実利的に組合員に目に見えるような支援をすることによって合併を促進させなければ、時代におくれたらおくれたところは大変な禍根を残すようなことになりかねないというふうに私は思うのです。  そして現実、県なんかが独自に支援の措置を講じておるわけですので、それをフォローするというような仕組みも考えられるのじゃないかと思います。助成法の改正ということであれば難しい、今大臣の御答弁の範囲だということになれば、具体的な施策としてフォローする何か施策が考えられないかということですけれども、そのあたりではいかがでございましょうか。

川合淳二農林水産省経済局長

○川合説明員 農協合併につきましては、今お話しのように財務関係の調整というのが一番重要な事業となるということは私どもも承知しております。しかしながら、現在の農協の資金そのものはかなり膨大なものでもございますので、まず一義的には、そうしたものを利用しながら何らかの施策をとれないかということがまず考えるべき問題だろうと思っております。  いずれにいたしましても、これから千農協に向けていろいろと御議論が出てくる段階でございますので、そうした御議論をよく私どもも承りまして検討をさせていただきたいと思っております。

小川信日本社会党・護憲共同

○小川(信)委員 それでは、農協の組織整備、強化の問題については終わりまして、次に自主流通米の価格形成の場の問題について幾つかお尋ねしたいと思います。  平成二年のマル自米の入札取引、滞りなく終わったということだろうと思います。これについて食糧庁としての評価はどのように評価されておられるか、まず聞かせていただきたいと思います。

浜口義曠食糧庁長官

○浜口説明員 ただいま先生お話しのように、自主流通米につきまして「今後の米政策及び米管理の方向」ということで農政審議会の答申が出ましたのが平成元年の六月であったわけでございます。これに関連をいたしまして、関係団体いろいろ御議論がございました。また、国会におきましては、農林水産委員会におきまして種々御指導あるいは御議論を賜りまして、特に会期外でも御議論を賜って、昨年の八月にこの機関が設立をされまして、出来秋の十月末からやっとこれの進展をしたということでございます。  昨年は、御案内のように全国の作況指数が一〇三ということでございました。かつまた、東の方の米どころあるいは北関東のところを中心に作況指数が一一〇というような、もちろんそれぞれの米の需給というものが作況によって変わるわけでございますが、そういう状況で発足をさせていただいたわけでございますが、ただいま先生御指摘のように、四回目の入札が一応終わったということでございます。  この時点におきまして評価をというお話でございますが、食糧庁といたしまして、最初の、第一年目のことでもございます。今のような作況という特別の状況のもとでのお話でございますので、早計にこれの内容について評価をするということは問題であろうと思いますが、具体的な数字を申し述べてみますと、延べで七十三の品目がそれぞれ上場されたわけでございます。最初の東京におきます場合におきましては、両方合わせまして三十二だったわけでございますが、第一回目のときは十八が前年に比べて上がって、一昨年の数字を下回ったのが十四という数字でございました。最終の大阪では両方で三十九あったわけでございますが、前年度に比べて上がったものが十六、それから下がったものが二十三という数字でございました。この点につきましては、各銘柄ごとの、県単位の銘柄ごとについていろいろな状況が出てきたわけでございます。  これを簡単に要約すると、いろいろ問題があるかもしれませんが、やはり全国的に作付が増加したものにつきましては値下がりといいますか、低迷をしたということが事実でございます。具体的に大きく挙げられますのが東北のササニシキという点でございます。他方、地域の特性を生かした銘柄ということでよく言われるわけでございますが、北海道のきらら三九七、これは上限の七%にぴったり張りつきました。それから、先生のところを言って恐縮でございますが、ヤマヒカリ等々は三%上がった、こういうふうなことでございまして、言うなれば、それぞれの地域の特性を生かした銘柄が人気を博したというのが実態でございます。もちろん、これは今のようなことでございまして、早計にここで判断をすることではないかもしれません。  ただ、全体で、自主流通米に価格形成が行われまして、もう一つ食糧庁として申し上げなければいけないのは、銘柄についての国民の皆様方の関心が高かったということで、消費者の方も含め、それから農家の方々も含め、やはり銘柄を中心に良質米を提供していこうという意欲が出てきたのではないか、また、いろいろな点がございますが、この点に関してはジャーナリズムも好意的な反応をしていただいたんじゃないかというように思っております。  ただ、今後の問題ということでいきますと、大きく考えますと政府米と自主流通米のあり方ということに関係いたしますが、ことしでまいりますと、今までずっと政府米の集荷が減ってきたわけでございますが、去年の最終のものに比べましてことしの集荷といいますか、平成二年産の集荷はおかげをもちまして十三万トンばかりふえているわけでございます。そういった点は、これはくっつけて独断をしてはいけないかもしれませんが、自主流通米における価格形成の場がこういうふうに目に見える形で行われたということとも関連をするのではないかと思っております。  私どもといたしましては、平年化というものを平成三年度の最大の眼目にして、かつまた運営については、これは先生方のいろいろ御議論を賜りました自主流通米機構というものをつくっていた だいたわけでございますので、そこでの十分の御議論を踏まえながら慎重に対応していかなければいけないというように考えているところでございます。

小川信日本社会党・護憲共同

○小川(信)委員 今長官の方から全般的に評価されたのでございますけれども、現実、ことしの価格形成の場の東京、大阪、それぞれ四回で行われたのでは、ササニシキが全面的に下がって、一部特定の地域を除いてのコシヒカリ、こういうようなものが下がっております。Aランク米で基準で大体四・二%ぐらい下がったということでございますから、約千円ぐらいの値下がりになったということだろうと思います。ヒノヒカリ、きらら、ゆきひかりとかむつほまれなんかが上がったという一つの傾向はこれで出てきたと思います。これが来年の作付計画に——来年というよりはことしの作付計画にそれなりに影響してくるだろう、農家の人たちの作付選択の一つの指標になったということは一つあるだろうと思います。  もう一つ問題があるのは、このマル自米の価格形成の場というのは、指標価格を出していくんだということで、二〇%という範囲でこれを張ってきたということですね。この指標価格と米の入札取引価格というものとの考え方の違いがどこにあるのかということです。  私たちは、やはり二〇%の指標価格としてこれを考える、で、残り八〇%の自主流通米というのは相対取引で価格を決定しなさいというふうな理解でおるわけですけれども、現場で見ますと、平成二年産についても、指標価格が決まったから必ずしもそのとおりに相対取引価格がスムーズにいくとは限らないようですし、それから、入札、そして落札した価格さえ、極端に言えば歩戻しのような形で値引きが行われているというような現実もあるように聞いているわけなんですね。  ですから、この指標価格としての役割ということであれば、これは三年度の関係にもなってくるでしょうけれども、やはり二〇%というものはあくまで取引指標価格ですよという位置づけをする必要があるんじゃないか。そのためには、ことしは年四回やりましたけれども、三年産は六回やるということですけれども、この六回というものが多いのか少ないのかも問題があるだろうと思います。指標価格なら年四回でもいいじゃないかという意見も出るでしょうし、それから、年間の値幅制限が七%ですけれども、何か食糧庁のお考えでは一〇%にしたらいいというような原案があるようですけれども、私は、七%だって千円の差がある、これがもとになって来年の基準価格になってくると、相当大幅な価格変動が一、二年の間に出てくるということだろうと思います。  そういうふうなことを考えると、平成三年産の自主流通米の入札に対する基本的な考え方として、やはりことしの年四回、二〇%制限、それから上下七%、場合によってはこれは五%ぐらいにした方が価格の安定ということでつながってくるのではなかろうか、こういうふうな感じがしておるわけですし、私は、この自主流通米の価格形成の場としての将来を考えたらその方が適切ではなかろうかというような感じがしておるわけなんです。その辺のお考えも聞かせていただきたいと思います。

浜口義曠食糧庁長官

○浜口説明員 先生、大体三つぐらい主な点の御提起がございました。概論的に申し上げまして、この問題は市場価格の形成ということでございますので、やはり当事者の御議論というものを尊重して、自主流通米の理事会あるいは運営委員会等々で十分御議論の上決められるべきだというふうに思っております。  ただ、先ほど先生御指摘のように、この仕組みの一番の眼目である指標価格はおっしゃるとおりでございまして、全部を入札ということではございません。今御指摘のように、その入札取引をした部分を指標価格として、相対で行われる部分、そういったものを、これを遵守していただくことが第一だろうと思っております。私どものところに御報告を受けております各経済連あるいは卸からの御報告は、大体指標価格を中心にして上下一%以内のところでの御報告を受けているわけでございますが、先生御提起の実態というものも十分私どもも調査をしながら、この指標価格という考え方は貫いていかなければいけないというように思っております。  それから回数でございますが、これは私ども、月一回というようなことを固執はいたしておりませんけれども、やはり四回で、去年、出来秋十月ぎりぎりでやりました。そういう意味で、平年化ということでこの数字のところは十分検討していかなければいけないと思います。  また、値幅制限についても、先生の御指摘の点を十分踏まえまして対応していくように、運営委員会等々の議論を見守っていきたいというふうに思っております。  以上でございます。

小川信日本社会党・護憲共同

○小川(信)委員 余りもう時間がないので、問題だけ申し上げますけれども、現実、入札した価格で、取引で値引きが行われておるということと、それから指標価格をもとにして、表面的にはこれでということになりますけれども、値引きが行われておるということ、集荷と卸の間の競争がそういう意味で非常に複雑になってきておるという現実があるということですね。ですから、そういう現実も踏まえていただきたい。  それから、もう一つ気になるのが、ことし、案では超早場米とか早場米を上場してみようかというような御検討があるようですけれども、現物がないものを上場するということですね。まさに先物の取引になってくるわけですけれども、こういうふうなものが現実になじむのかどうなのか。こういうようなものが従来どおりの集荷団体と卸の相対でやられることが必要じゃなかろうかなというふうな思いがしております。  ともかく第一年次、二年産米で終わったわけですので、食管制度を堅持するという中でこの制度を円滑に進めていく上には、初めが大事ですし、やはり生産者、集荷団体、卸、小売とそれぞれが合意、理解できるような仕組みをしていただくと同時に、もう一つは、ここの指標価格で決まった、値が下がった米がストレートに消費者価格に反映するような、消費者もよかったという、その価格の動きを見て私たちもよかったと思うような指導を徹底していただきたいというふうに要望して、終わりたいと思います。  最後に、時間もなくなりましたので急いで申し上げますけれども、この国会で食品流通機構の食品流通構造改善促進法が成立いたしました。それと同時に、第五次の卸売市場整備の十カ年計画もスタートをするというようなことで、食品の流通について積極的に取り組もうというような御計画でございます。  この食品流通構造改善促進法の中身を見せていただきますと、これに基づいて市場の整備をやっていこう、いろいろな規模の整備をやっていこうということで、十年間で十兆円ぐらいの金を突っ込んでやっていこう。ハードな面での一つの取り組みは理解をできるわけですけれども、これは中央卸売市場の整備、これも十カ年計画を見ますとハードなものですけれども、私は今求めたいのは、こういうふうな食品流通なり生鮮食料品の価格形成をする市場と、また流通の拠点となる市場の整備、ハードの面の整備ももちろん結構です、まずやっていかなければなりませんけれども、やはり現行の中央卸売市場法が今の食品流通なり生鮮食料品の流通のサイズに合っているのかどうなのかということを極めて危惧するわけです。  実は私、三月にやりました物特の委員会でこの問題について御質問したわけですけれども、重ねて申し上げるようでございますけれども、現在中央卸売市場で行われている価格の決定というもの、競りというものが法律どおりに必ずしも行われてない。というのは、大産地、規模の大きい産地と量販店というようなものの中で、従来の卸売市場法ではなじまないようなことが公然と行われておる。例えば、相対取引、先物の取引が行われておるということですね。それから競りで決まった値段と相対で決めた値段が違った場合には、仕 切り伝票の改ざんが行われるというようなことがある。  それから、市場法では決済は何日以内というようになっているのが、月末手形決済というような形が公然と行われておるというようなことですね。そういうふうなこと、いわゆる市場外流通が行われている。市場法でこういうふうにしてと決められたものが現実に行われてないというような問題があるわけですね。  そういうふうなことを考えると、ハードな食品流通の構造改善をするのも必要でしょうけれども、直接的に目の前にある、そして長い一つの歴史と経験を持っておる市場法の見直しというものが一つ考えられるんじゃないかと思いますが、その辺、いかがでございましょうか。

馬場久萬男農林水産省食品流通局長

○馬場説明員 先生おっしゃいますように、最近の食品の流通、特に大都市におきますと量販店あるいは外食産業というのが非常に伸展をしてきまして、これらは市場の取引の時間にとらわれない取引を希望するということがございます。  そこで、中央市場において、御指摘のようにいわゆる先取り問題が出てきておるわけであります。これはこれでやはり経済の実態としてあるわけでございますが、従来の卸売市場の建前からいいますと、おっしゃるような先取りというのはおかしいではないか、これは非常に限られた、例えば船が出ちゃうというようなことで時間的にどうしようもないものについて認めた経緯がありますから、そういう意味ではルールが乱れてきているのではないかという御指摘のあるところは私どもも承知しているわけでございます。  ただ、今の市場法そのものにおきましても、取引のルールにつきましては確かに委託、競りというのは一つの原則でございます。例外は認められているわけでございまして、その運用については、多くは政省令あるいは各開設者の定めます条例にゆだねられているところでございます。  そこで今般、私ども、卸売市場法に基づきます第五次の卸売市場整備基本方針を定めるに当たりまして、法改正をすべきか運用でできるかという点も議論をいたしたわけでございますが、今の法体系の中でも十分運用で対応できるのではないかという審議会の議論等もございまして、今回、第五次の卸売市場整備基本方針におきまして、これらの取引の方法について、各市場の持っている経済的な地歩あるいは市場の地域性、実態等を反映した取引ルールの確立を図ってそれを遵守していくようにという方針を出したところでございます。  具体的な先取り問題につきましても、例えば東京の大田市場あるいはことしになってから淀橋市場におきまして、この問題を解決するための予約取引のルールを決めるというようなことを試験的にやっておりまして、実際の法改正をしなくても運用の中でこれらの変化する経済の実態に対応したルールを確立していきたいというふうに考えております。

小川信日本社会党・護憲共同

○小川(信)委員 現実に合うようにやっていくことが、やはり流通を円滑化、合理化することになるだろうと思うわけですので、十分検討いただきたいと思います。  同時に、地方卸売市場、やはり地場生産、地場消費ということが生鮮食料品にとっては非常に重要でございますので、地場の卸売市場の機能の整備もあわせて十分御検討いただきたいと思います。  時間がございませんので、最後の質問でございます。  先ほどからもう話の中にも出ましたけれども、この四月から牛肉・オレンジの自由化が行われるようになりました。輸入牛肉が日本に入ってきておる、既に国産牛肉を上回っておるというような状況でございますけれども、ことしは七〇%、来年六〇%、再来年五〇%の関税があるから、まだ国内商品との区分けなり、また国際的な商品としても特別な位置づけであると思いますけれども、関税が五〇%以下になってくると、もう既にこれは国際商品として輸入牛肉は見なければならなくなってくるものと思います。  そうすると、国際的な価格との連動ということで考えられると、やはり国策的には大きな変動がある牛肉を輸入するということになりますと、非常に大きなリスクが生ずる危険性があるということ、こういうようなことからでしょう、先般来マスコミ報道もございましたけれども、牛肉の先物取引市場の創設の研究が進められておるようです。三年先ぐらいを見越してだろうと思います。私がもらった資料の中にも、新農政研究所の松浦さんなんかが中心になっておられるようですけれども、先物取引市場の開設の問題、その中で一番日本ではなじむのは輸入牛肉ではないかというようなことも言われております。  この辺について農林水産省、これは今からの食肉の、牛肉の流通上に大きな意味を持つものだと思いますので、これについて農水省はどのあたりまで検討されておられるのか、農林水産省としての考え方はどうなのか、お聞かせいただきたいと思います。

馬場久萬男農林水産省食品流通局長

○馬場説明員 商品の先物取引は、先生も御案内のように、リスクヘッジ機能あるいは価格形成機能を有するということで、特に国際性を増します商品の生産なり流通の上で非常に重要な役割を果たしているというふうに期待されているところでございます。このため、昨年商品取引所法の改正を行いまして新規の上場品目をかなり広げられるようにしたわけでございます。  そこで、今お話も出ましたが、民間サイドの研究機関等におきまして新規商品の上場についていろいろと検討をしておる段階でございます。その中にはトウモロコシであるとか、あるいは水産物、冷凍エビですね、あるいは輸入食肉というようなことも検討の対象になっているわけでございます。ただ、食肉については規格とか品質に非常に大きな差があるというようなこともありまして、現時点ではその上場について具体的な時期とか方法についてはまだ何ら定まっておりませんし、私どもも具体的にそういうものを持ち合わせておるわけではございません。  なお、本年四月からの牛肉の輸入自由化に関連しましては、輸入牛肉はそうはいっても比較的品質にばらつきが少ないじゃないかという御議論もございますが、食肉価格安定制度との関連あるいは現物価格と先物価格との関係をどう考えるか等々いろいろ問題ございまして、我々としては生産者及び流通業者の意見を十分聞いて慎重に対応したいと考えております。

小川信日本社会党・護憲共同

○小川(信)委員 時間が参りましたので、これで終わりたいと思いますけれども、農林水産省に期待しておる国民の多くの声を受けとめていただきまして御検討いただきますようお願いを申し上げまして、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

渡辺省一自由民主党

○渡辺委員長 午後二時から委員会を再開することとして、この際、休憩いたします。     午後一時三分休憩      ────◇─────     午後二時開議

渡辺省一自由民主党

○渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。長谷百合子君。

長谷百合子日本社会党・護憲共同

○長谷委員 まず最初に、農水省の方に食糧の自給率、こういったものがずっとあるかと思うのですけれども、ここにあるのは昭和三十五年から平成元年度までのがあるのですけれども、熱量自給率では七九が四八に、総合自給率では九八から六八に、これはずっと一貫して減り続けておるわけですけれども、こういった減り方に対して、一体どこまで減っていったら大丈夫なのか、どうするのか。減っているのですけれども、こういう状況に関してどういうふうに考えておられるのか、ちょっとお話し願いたいと思います。

近藤元次自由民主党農林水産大臣

○近藤国務大臣 食糧は言うまでもなく国民生活にとって最も基礎的な物資であり、一億二千万に及ぶ国民に安定的供給を図ることが重要な農政の基本的課題でございます。残念ながら、自給率を 向上しようと思って努力をいたしておるわけでありますけれども、カロリーベースで四八%、穀物自給率三〇%ということに、今低位に低迷をいたしておるという状況でございます。  そのことは、一つは米の消費も減退の一途をまだたどって歯どめがかかっておりません。飼料穀物の輸入が、また一方では畜産振興とあわせて増大をいたしておるというのが今日の実情でございます。しかしながら、何としてでも自給の見通しによる作物ごとの長期展望を、大変難しいことではございますけれども出させていただいたわけでございまして、その達成時期にはカロリーベースで五〇%まではぜひ努力をいたしたいと思って目標を立てているところでございます。

長谷百合子日本社会党・護憲共同

○長谷委員 努力をするということでございますけれども、一方では、日本は減反の政策とか、それから開発、いろいろなゴルフ場等の開発によって、それから宅地もございますね、そういったものによって農地を転用してきた、こういう歴史があるかと思うのですけれども、こういったさまざまな理由で、その目的別というか、ゴルフ場とか宅地とか大ざっぱでよろしいですけれども、そういうものによってどれぐらいの広さの農地が失われているのか、数字で示していただきたいと思います。

片桐久雄農林水産省構造改善局長

○片桐説明員 農地の転用面積でございますけれども、我が国の経済の動向を反映いたしまして、昭和四十七年とか八年ごろ、大体年間六万ヘクタールぐらいの農地転用があったわけでございますが、その後五十年代減少傾向になりまして、二万ヘクタールから三万ヘクタールぐらいというような面積でございます。一番最近で見ますと、平成元年で三万三千ヘクタール、こういうような状況でございます。  その平成元年の農地転用面積を用途別に見ますと、住宅用地への転用が全体の約四分の一、八千三百ヘクタール程度と最も多いわけでございますが、そのほか官公署、商業サービス施設等の建設用地への転用が七千八百ヘクタール程度、それからまた工場用地等への転用が五千六百ヘクタール程度、こういう順番になっているわけでございます。そのうち、先生御指摘のレジャー施設とかゴルフ場とかという転用もございますけれども、これはレジャー施設で全体で千五百ヘクタール程度、その中でゴルフ場への転用面積が八百四十七ヘクタール程度、こういうふうになっている次第でございます。

長谷百合子日本社会党・護憲共同

○長谷委員 そういたしますと、四十年代に比べますと少しずつ減っている、こういうふうに受け取るわけですけれども、今後こういう宅地並み課税というようなこともあったりしていろいろな問題があるのですけれども、農地を減らしていくということに関してはきちっとした歯どめをつくっていく、そういうふうに受け取ってよろしいのでしょうか。

片桐久雄農林水産省構造改善局長

○片桐説明員 農地の面積につきましては、一番多いときで約六百万ヘクタール程度の農地面積があったわけでございますが、現在時点で五百三十万ヘクタール弱というような面積になっているわけでございます。  この農地面積についての将来の見通しでございますけれども、平成十二年を見通した食糧の生産の見通しというのを農林省でつくっておりますけれども、その平成十二年の食糧生産、農産物の生産に必要な農地面積というのが大体五百万ヘクタールから五百二十万ヘクタール程度というふうに見ているわけでございます。私どもといたしましては、こういういろいろな農地に対する転用需要というものにも適切に対応しながら、農業生産に必要な農地の確保ということで一部農用地の造成事業もやっておりまして、平成十二年、五百万から五百二十万ヘクタール程度の農地の確保ということでいろいろ施策を展開していきたいというふうに考えております。

長谷百合子日本社会党・護憲共同

○長谷委員 この前の湾岸戦争のときにも、石油を七〇%湾岸地域に頼っているということで、大変日本も軍事的な貢献もしなければいけない、そういうことを言われておりましたけれども、日本の食糧を海外に非常に依存しているという状況におきまして、やはり世界的なレベルでそういう国際紛争とかあるいは今のように環境が世界的な規模で干ばつあるいは温暖化というようなことがあるときにも不作になる、こういうことは十分に考えられます。それから人口の問題が、これもまたどんどんふえにふえているという状況があるわけですね。さまざまな要因で日本に全く食糧が入らない、こういうような可能性はないとは言えないというふうに私は思うわけですけれども、そういうことに対してどう対応するのか。  今五百万ヘクタールの農地を何とか確保するというお話でしたけれども、これは一九八一年ころに農政審議会の答申、こういったところで審議されたときにも、あのときも大体五百万ヘクタールで試算されていたと思いますけれども、これでやりますと、どうも芋とかそういうものを非常にふやしまして、サツマイモの需要というかサツマイモを食べるのが二十倍ぐらいになるんじゃないかとか、全体に芋を五、六倍にしないとやっていけない、今のような肉を食べているような生活はもう根本的に維持できないというようなことが出ておりましたけれども、そういった問題もございますので、私はこの農地政策に対してやはりもっともっと日本の農業をきちっと守り立てていくという、減らしてきたではなくて、維持でもなくて、もっともっとしっかりしたものにしていく必要があるだろう、こういうふうに考えております。  食糧がストップしたときに私たちが生きていけなくなるのじゃないか、非常に飢えるのじゃないか、こういった視点と、もう一つ、輸入の食品というものが非常にたくさん、どんどん入ってくるという状況の中で、ポストハーベストという問題が大きくクローズアップされてきていると思います。  このポストハーベストというのは大変重大なことでありまして、この国会の中でも何人かの方がいろいろなところで質問されていることは私もよく存じ上げているのです。そのポストハーベストの実態というものについては、まだ日本の厚生省の方でも農水省の方でも十分知っていらっしゃらないのじゃないか、大変失礼なんですけれども、私はそう思わざるを得ないような、ちょっとまだまだ不完全な状態で、ポストハーベストを行われたものが国内に入ってきてしまっている、こういう現状を心配しているわけでございます。  私の方に入ってきますいろいろな情報では、小麦なんかは日本はたくさん買っておりますね。ちょっと自給率、今具体的な数は忘れましたけれども、そういうものに対しまして、向こうで日本向けの小麦に対して直接に、例えばマラソンとかレルダンとか、こういった農薬を小麦の中に薫蒸するだけではなくて、まぜてしまうのですね。それこそ粉のものをぱあっとそのまま入れたり水で薄めたりしてやっているわけですけれども、口にする、私たちが食べるものに直接農薬をまぜるという実態。それから米、これも輸入を自由化すべきかどうかいろいろな議論があるところですけれども、こういうところにもスミチオン、これはスミチオンだけではないと思いますけれども、こういうものを小麦にやはりまぜているということが伝えられております。これはほんの一部のことで、なかなか現場のことというのをつかみ切れていない、こういうふうに思うわけでございます。  現在、こういった基準ということについて検討している、こういうふうに伺っておりますけれども、どういうような状況でしょうか。

野村瞭厚生省生活衛生局食品保健課長

○野村説明員 お答え申し上げます。  まず、ポストハーベスト使用農薬につきまして、十分実態を把握していないのではないかという御質問がございました。  我が国におきましては、御存じのように農産物の収穫後に農薬を使用するということはほとんど行われていないわけでございますが、諸外国におきましては、殺虫でありますとかあるいは防虫等の目的で収穫後、ポストハーベストということでございますが、の農産物に農薬を使用するという例があることは十分承知をしているわけでござい ます。  米国以外の輸出国におきましては、法文の上では、必ずしも農薬の使用方法につきまして収穫前と収穫後で区別しているわけではございませんけれども、米国につきましては、連邦の関係規則集によりますと一九八八年現在でございますけれども、ポストハーベストに使用できる農薬として六十品目リストアップされているわけでございます。  それらのポストハーベスト農薬の実際の使用状況を把握するということが私どもにとっても非常に重要になってくるわけでございますが、確かに先生おっしゃったように、実際の使用状況ということになるとなかなか把握が困難な面もございますけれども、その重要性にかんがみまして、輸出国政府等を通じましてその実態把握に努めておるところでございます。     〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕  いずれにいたしましても、私ども厚生省といたしましては、この農薬の使用する時期が収穫前あるいは収穫後にかかわらず、食品の安全性を確保すべく、農薬の農産物における残留基準というのを早急に設定していかなければならないと考えておるところでございまして、今年度、平成三年度におきまして、特に主要農産物、小麦とか大豆とかバレイショ等あるわけでございますが、これらの我が国にとっては輸入ということになりますけれども、輸入主要農産物についてのポストハーベスト農薬の残留基準を現在設定すべく作業を急いでおるというのが現状でございます。

長谷百合子日本社会党・護憲共同

○長谷委員 例えば、農薬というのはしょっちゅう変わってくるわけですね。新しい農薬なんかもどんどんつくられると思うのですけれども、そういう新しい農薬がつくられた場合には、どういうふうに対応されるのですか。

野村瞭厚生省生活衛生局食品保健課長

○野村説明員 お答え申し上げます。  今平成三年度中に残留基準の設定というのを急いでおるわけでございますが、これは現在主要農産物に入っておるということで把握しておるものについてでございますが、先生御指摘の、今後新しいポストハーベスト農薬についてどういう対処をするのかということだろうと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、まずその実態把握についてさらに努力をして、新たなポストハーベスト農薬が使用されるということであれば、その安全性等、十分私どもとしても検討しなければいけませんし、必要が生じれば当然今後もそれらの残留基準の設定をしていくということで対処を考えておるところでございます。

長谷百合子日本社会党・護憲共同

○長谷委員 それについても把握をしながら基準をつくっていく可能性とかというふうに聞いたのですけれども、薬は数限りなくと言っていいほど、新薬まで含めますとどんどん出てくるわけですけれども、そういうものに対して後々にこうやって基準をつくっていくというふうなことになりますと、大変私はそれは泥縄というふうにも思えるし、逆にそういうふうに基準をつくっていって、今、日本では使ってはいけないようなものがありますよね。それを新薬として、あるいは今使っているからというようなことで、アメリカならアメリカとの話の中で、こういう農薬を使っているから基準をつくれというようになってきたときに、逆にその基準があるからそこまでは使っちゃっていいんだというふうに、ポストハーベストをもっと広げていくとかいうふうにはならないでしょうか、そういう心配はないでしょうか。

野村瞭厚生省生活衛生局食品保健課長

○野村説明員 現在、ガット・ウルグアイ・ラウンドの食品に係るグループの中でも、食品の規制につきましては国際的な調和を図るようにというような議論が行われておるわけでございますが、私どもがその場で主張しておりますのは、基本的にそれぞれの国によって食生活が違うということがありますので、必ずしも国際基準に従わずにもっと国際基準より厳しい措置もとり得る、場合によっては基準が設定できないということもあろうかと思いますが、そういうような基本的な姿勢で臨みたいと考えておるところでございます。

長谷百合子日本社会党・護憲共同

○長谷委員 そうした検査の体制、安全管理は大切なことなのですけれども、こういった実態は今、日本ではどういう状態になっておりますか。

野村瞭厚生省生活衛生局食品保健課長

○野村説明員 一般に輸入食品につきましては、全国にございます、厚生省所管でございますけれども、検疫所におきましてチェックをいたしております。  農薬につきましても、現在のところ、先ほど申し上げましたけれども、基準がポストハーベスト農薬についてはないわけでございますが、国際機関でもございます国連食糧農業機関なり世界保健機関で定めたものでありますとか、あるいはそれぞれの国で基準を定めている場合にはそれを参考にして現在のところはチェックを行っているということでございます。  特に、平成三年度におきましては、農薬等非常に高度の検査を必要とするものがあるわけでございますが、そういうものに対しましては集中的にそのような検査ができるようなセンターを検疫所の組織の一つとして設けるべく、実際には横浜を考えておるところでございますけれども、そういう検査機能をも強化することによっていろいろ輸入食品、場合によって私ども十分安全性をチェックする必要のあるものがあるわけでございますので、それらに対処していきたいと考えておるところでございます。

長谷百合子日本社会党・護憲共同

○長谷委員 そういうふうにして安全をチェックしていただくというふうにぜひお願いしたいのです。  それと同時に、そういう水際でチェックをしていくということはもちろん必要なのですけれども、私も一番最初に申し上げましたように、現状を変えていくというようなことも含めて、やはり日本はたくさんそういうものを買っておるわけですから、みんな私たち日本国民が食べてしまっているわけですから、そういうものに対してはそういう薬品は使ってはいけないと言うばかりではなくて、使わないでいけるような方法、例えば今一部の国では、二酸化炭素を使用するとかもっと低温で貯蔵するとか、それから乾燥剤を使ったらどうか、それから密閉容器、容器がずさんなものであれば虫が当然入ってしまうわけですから、そういうものに対してもきちっとした容器をつくるべきじゃないか、こういったことを原産地、それから輸送のルート、ずっと船で持ってくる間にもう一度ポストハーベストがやられている、こういったこともあるわけですから、そういうことも含めてきちっと指導という言葉がいいのか、日本が買うのですから、主体的にやはり安全機能を確立するために頑張っていただきたい、こういうふうに思うのですけれども、その辺に対しての御所見をお願いいたします。

野村瞭厚生省生活衛生局食品保健課長

○野村説明員 先生おっしゃるとおりでございまして、水際だけのチェックではなくて、国内に実際に流通する段階でも、最近は都道府県がかなり積極的に輸入食品に重点を絞りまして検査を行っておりますが、これらのデータをも私ども都道府県から得まして、それらを水際でのチェックに生かしたいと思っておりますし、また先生御指摘のように、輸出国に対しましても、必要があれば安全性確保対策、いろいろ具体的な指摘も場合によってはしなければならないかと思いますけれども、そのような考えをもちまして対処をしてまいりたいと考えております。

長谷百合子日本社会党・護憲共同

○長谷委員 本当に私たちの命にかかわることでございますので、ぜひ十分な安全体制というものをつくり上げていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  続きまして、林業、森林のことで少し伺いたいと思います。  近年、私、ゴルフ場問題、あるいはリゾート法の関係で改正法案なども取りまとめをいたした関係で、非常にいろいろなところで森林が開発によって失われている、こういう状況について見聞きいたしておりますけれども、こういう状況を、みんな今は環境を大切にしよう、そういうことは一致しているにもかかわらずどんどん森林が失われている、これは一体どういうことなのかということで幾つかお伺いしたいと思っております。  日本のそういう乱開発、乱開発と言うとまた乱開発ではないという御意見もあるかと思いますけれども、森林の状態、今までのかけがえのない保安林、つまり水を涵養するための今までだったら切ってはならないような保安林とか、そういったものにも開発の手が伸びている、実際に開発されてしまっている、こういう状況についてどうでしょうか、実情をどういうふうにつかんでいらっしゃいますでしょうか、伺いたい。

小澤普照林野庁長官

○小澤説明員 私ども森林の管理あるいは森林の維持でございますとか育成、こういうことに努めている、そういうことを所管しておりまして、今先生おっしゃいますように、私どもも森林のいわゆる公益的な機能という側面を重視して行政の展開を図ってまいりたい、このように考えているわけでございます。  我が国は国土の六七%が森林ということでございまして、開発とかそういう利用面との調整も当然図ってまいっておるところでございますけれども、私どもは、その際においていわゆる乱開発等がないように対応してまいりたいと思っておりますので、森林の面積そのものにつきましては必ずしも減少という状況にはないと考えております。ここ十年ぐらいで一%ぐらいのやや減少ということはございますけれども、そのような中で水源の涵養を初め、あるいは自然環境の維持でございますとか、あるいはまた同時に森林の良好な環境を生かした空間利用という考えもございますので、木材の供給等とも調和を図りながらやってまいっているということでございます。  なお、保安林の解除等につきましては、これは一つ一つ厳正な審査もいたしまして、その機能が損なわれることのないように機能代替というようなことも十分考えまして実施してまいっているところでございます。

長谷百合子日本社会党・護憲共同

○長谷委員 どうも森林の事業が、今まで日本は森林事業というと木材生産ということが主軸にきたんじゃないか。木材を生産するということで生産して売ってもうけてということになれば、これは企業の論理が働くかと思うのですね。そういったことかと思うのですけれども、独立採算制になっている。このようなことが今の森林の破壊と非常に大きな関係があるのではないか、私はいろいろ調べてみますとどうもそういうところに行き当たってしまうのですね。  今回、国有林野事業改善特別措置法一部改正ということも行われましたけれども、林野行政、林野庁全体で二兆二千五百億円という大きな累積赤字があるわけですけれども、この赤字の金利分についてのまたその一部の補てんというようなことに今なっているかと思うのですけれども、こういったことではなかなかその根本の赤字行政、つまりその赤字を埋めるために結局森林を売ってしまうのが一番手っ取り早い、それから人員を減らしてしまうのがいいというような形でやられているのが実情だと思うのですね。しかし、今林野庁の長官が言われましたように、森林の機能というのは決して木材生産のためということだけではない、こういうお話でございました。つまり森林の持つ多くの機能というものは社会的な共通資本である、こういう認識が非常に一般化しておるわけでございます。  そういったことを考えてみますと、やはりこれを企業のような一年ごとの特別会計、独立採算というやり方ではやはり維持するのが大変難しいだろうということを思うわけですね。例えばリゾート法のときにでも、地元が非常にお金に困っていれば売ってしまうということをとめるのは非常に難しいということをどこへ行っても感じるわけです。こういったことを、今申し上げたように社会的な共通の財産、環境はみんなのものだ、こういうような観点に立ちまして、やはり一般会計に組み入れてこれからの林野事業というものを行っていくべきではないか、私はこのように考えるわけですが、その辺に対しての御所見はいかがでしょうか。

小澤普照林野庁長官

○小澤説明員 ただいま御指摘ございました国有林の経営と事業の問題でございますけれども、この百二十国会におきまして国有林野事業改善特別措置法の改正をお願いをいたし、今般その改正を見たところでございます。この中では、やはり国有林野事業と申しますのは、ただ単にもちろん木材の生産のみではございません。今般の法改正によりまして新たに国有林の、経営改善計画と申しておりますけれども、これの組み直しをやるわけでございますが、この際に国有林の森林の機能類型を行うということにしておりまして、その機能につきましては、国土保全でございますとかあるいは自然の維持、それからまた森林空間の利用、それから木材の供給、また水源の涵養、このような機能類型をしっかりいたしまして、これらを経営目的として健全な経営に努めたいということでございます。  それから、ただいまも先生おっしゃいました財政の悪化の問題、確かにございますので、今般の改正によりまして、累積債務二兆二千五百十一億ということでございますけれども、これを経常事業と区分するということにさせていただくことにしたわけでございます。そういたしまして債務は債務として処理していく。それから経常事業につきましては、今申し上げましたような各種の機能、使命というものがございますから、これを調和的に発揮させる必要があるということでございますので、そのような機能類型に基づきまして我々体制を整えてやってまいりたいということでございます。  なお、独立採算、特別会計という問題でございますけれども、この問題につきましては、公的な機能発揮も十分持ち合わせておりますけれども、同時に木材の供給、販売という事業もかなり大きな規模で実はやっておりまして、このような点から考えますと、そのような面での経営につきましては効率的に国の事業として行うという意味から能率的な運営もしなければならないということで、そのような能率的な経営の尺度をはかるためにも会計というものをきちっとやる必要があるというように考えて特別会計の中での運用ということを考えているわけでございます。  しかしながら、同時に治山事業を初め公的な事業もやっておりますために、この点につきましては一般会計からの繰り入れ措置ということをお願いいたしておりまして、そのようなことで若干申し上げますと、今までも造林あるいは林道の事業に対する補てん等も一般会計からの繰り入れを行ってまいったわけでございますけれども、この平成三年度におきましては、特に一般会計からの繰り入れの対象範囲を拡大いたしまして民有林に対する補助体系と同一にいたしますほか、新たに保安林の指定解除等にかかわります行政的な経費を繰り入れ対象といたすこととしております。  それで、このような公益的な機能発揮にかかわる一般会計の繰り入れ額について申し上げますと、平成三年度は総額で百五十億円ということになっておりまして、これは前年度百十九億円でございましたので、対前年比で一二五・四%という予定でございます。したがいまして、厳しい財政事情のもとではございますけれども、その増額に努めてまいっております。  なお、治山事業につきましては、国有林野内におきまして三百二億円の予算ということでございまして、この点につきましても前年度が二百九十三億円ということでございますので、一〇三・一%の予算ということでございます。今後もこのような一般会計の繰り入れも含めまして国有林の経営と同時にその国有林の持っております使命の発揮に努めてまいりたい、このように考えておりますし、一般会計からの繰り入れにつきましてもその予算の確保に努めてまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。

長谷百合子日本社会党・護憲共同

○長谷委員 一般会計からの繰り入れをいろいろ努力されているというふうに伺いますけれども、今保安林の解除等ということもちょっと御答弁の中にあったかと思いますけれども、利子の支払いだけでも大体一千四百四十三億円、このくらいあると聞いておるわけですけれども、これに対しまして、その計算をすると今幾らになるのかわかり ませんけれども、どうでしょうか、全部を一般会計から得るということはもちろん無理なわけですね。そういう状況ですと、結局やはりこれを経営努力といいますか、会計をきちんとやるというそういう視点、効率をよくするというような視点からも結局土地の売り払いということをやめることは非常に難しいんじゃないかというふうに今伺ったのですけれども、どうでしょうか。

小澤普照林野庁長官

○小澤説明員 利子等のことでございますと、これは今回経常事業と区分をいたしました累積債務処理の問題ということになってくるわけでございます。確かに今までは債務処理と事業経営というものが同じ会計の中でやっておるということで区分ということではなかったわけでございます。今回も一つの特別会計でございますので、この点につきましては区分をさせていただきまして、そしてその上で債務処理を行うわけでありますが、この場合に今般の改正で今までと異なるところは、区分すると同時に債務処理に当たりまして当然その利子、元金の償還という問題が起きてくるわけでございますが、これが経常事業に支障を及ぼしてはならないという観点で区分をいたすというところに特徴がございます。  したがいまして、木材の伐採収入をもってそれに充てるということではなくて、もちろんその自己資産の売却によって充てる部分はございますけれども、同時にまた償還金が不足する場合には借りかえ措置を講じまして償還に充てるということでございますが、しかし借りかえを行いますと、それは当然借入金になってくるわけでございますが、今般はその場合に借りかえ等によって生じました借入金についての償還で、言うなれば自己財源が不足する分につきましては一般会計からの繰り入れ措置を講ずる道が開かれたわけでございます。  したがいまして、この点につきましては具体的な予算化ということになりますと、これからいろいろと諸般の財政状態もございますけれども、少なくともそういう債務処理についての新しい道が開かれたということでございますので、私ども、これを経常事業に影響を及ぼさないように、債務処理についてはこれにつきましても的確に対応してまいりたいということで御理解をいただきたいということでございます。

長谷百合子日本社会党・護憲共同

○長谷委員 その森林も社会的な環境権としての共通資本、こういう認識に立って、やはり今土地の売却をやるというふうにおっしゃいましたけれども、そういうことのないようなあり方ですね、そういった事業のあり方にするように一層これからも検討していっていただきたいと重ねてお願い申し上げておきます。  それから、今度は外務大臣に少しお伺いいたしたいと思います。  きょうは、かつて外務大臣として御活躍されました安倍先生がお亡くなりになったことに対しまして心より弔意を表させていただきます。  それで、今国際協力ということがしきりに言われておるわけですけれども、こういったことを実現していくためにもやはり在外公館、こういった施設、それから人等も含めまして今以上に拡充して、積極的にそこを強化していくべきではないか、こういうふうに私は思っておるわけですけれども、どのようなお考えでしょうか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 委員お説のとおりでございまして、在外公館もまだ十分全般的に拡充されていると申す段階ではございません。  海外御視察いただいたときにも公館等を御視察いただいておりますが、先般の湾岸危機によりますあの周辺国におります在外公館長からの報告を見ましても、ちょうど今中近東大使会議を東京で開催いたしておりますけれども、やはり在留邦人また海外旅行者が非常に多くなってまいりましたこの時点で、地域紛争等の発生いたしました場合に現地の邦人、企業また海外旅行者がいざといったときに助けを求めて、保護をするのが公館の役目でございますので、そういうことから考えますと、公館における一定の収容のスペース、またそこにおける自家発電の発電能力の問題、備蓄食糧の問題、通信の問題、また通信線が遮断された場合の通信衛星を使っての交信の問題、外務省といたしましても今回いろいろと貴重な体験をいたしましたので、来年度の予算も含めて概算要求でこの公館の機能充実に一層努力をいたさなければならない、このように考えております。  また文化交流事業におきましても、国際交流基金等を通じまして文化交流の面でも一層努力を払わなければならないと考えております。

長谷百合子日本社会党・護憲共同

○長谷委員 昨日も私はこの委員会で、九十億ドルの援助についてその利子みたいなものが八百億円というふうに伺いました。そのほかにも、先ほどちょっと北川委員の方からも出ましたけれども、九十億ドルの拠出ということが行われたわけですが、これを一体どこの国に、あるいは幾らというような決め方を、外務省、外務大臣がきちっとこれを配分すべきだ、決めるべきではないかと私は思うのです。  どうもいろいろな情報によりますと、さっきのお話にも出たように大蔵省、大蔵大臣の方で決められてしまったというような事実があるのじゃないかと伺うのですが、どうなっておりますでしょうか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 昨年のイラクのクウェート侵攻によりまして、安保理の決議六七八を受けて一月十五日の期限を前にしましてこの国際社会でイラクが安保理決議を受けるかどうかということが問題になりました。一月十七日に期限が切れまして多国籍軍が決議に従って武力行使に踏み切ったのを受けまして内閣に湾岸危機対策本部が設置を見、第一回会合で新たな支援策が検討されました。  引き続き大蔵大臣が訪米をし、その帰国報告を受けまして政府・与党首脳で意見交換を行いました結果、最終的に海部総理が判断をして日本政府として九十億ドルの追加資金協力を決定いたした、こういう過程でございます。

長谷百合子日本社会党・護憲共同

○長谷委員 私はその九十億ドルの援助に関しては大臣とはちょっとまた別の考え方を持っておりまして、やはりこういう援助を政府とかあるいはアメリカとか、そういったところだけで決めてしまってはいけないんだという考えが根底にあります。  しかし、その考えとは別に、今非常に問題になっているのは、アメリカが、どうも援助する約束をしたという額よりか少ないのじゃないかということでごたごたしているというようなことも言われておるわけですね。そういったことのトラブルを、政府内同一性があるというふうにおっしゃるのであれば、そこはまた非常に問題じゃないかと私思うのですね。大蔵大臣がやられたことと外務省の立場、あるいはアメリカとの関係ということでいろいろなそごが起こっているとしたら非常に問題だというふうに思うわけです。  今大蔵省の方から、これの穴埋めという言い方はちょっとまずいかもわかりませんけれども、こういったことを処理するために、外務省に対して、別の形でアメリカが不足だと言っている部分に関しての援助金、こういったものを支払いたい、支払うためのいろいろな算段をしないかというような働きかけがされているということも聞いておりますが、この点はどうでしょうか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○松浦説明員 先生から九十億ドルに関しましていろいろ御質問がございましたけれども、先生繰り返し御指摘になっておられます外務省と大蔵省の関係でございますけれども、これに関しましては、私ども事務レベルでも大臣レベルでも連絡を密にしてやっております。  それから、九十億ドルを決めました段階においてでもそうでございますし、その後においてもそうでございますが、最終的には総理が判断をされて、それに従いまして私ども対応しておりますので、先生がちょっと示唆されましたように、大蔵省と外務省の間の意思疎通がうまくいかなくて云々ということはございませんので、その点は最初に申し上げたいと思います。  それから、国別配分でございますけれども、これに関しましては、いわゆるこの九十億ドルに関 しましては、アメリカに大宗が行くということを従来から国会で申し上げておりますが、これは湾岸平和基金の運営委員会、これは在サウジアラビアの大使が日本政府の代表として対応しておりまして、そこで決めておりますけれども、アメリカに大宗が参りますけれども、イギリス、フランスにも既に配分を決めております。今四百五十五億円残っております。したがいまして、一兆一千七百億円のうち四百五十五億円を残しましてアメリカ、イギリス、フランスに配分が行われ、その残りに関しましてはこれから運営委員会で決定するということでございます。これに関しましても、政府の部内で十分調整して、その意向を踏まえまして、今申し上げました湾岸平和基金の運営委員会の日本政府代表が対応しているということでございます。  それから、先生が触れられましたこの九十億ドルの目減り云々という点でございますけれども、これに関しましては国会の場でも繰り返し申し上げておりますけれども、私どもいわゆる九十億ドルということでドルでも申し上げることが頻繁にございますけれども、これは今ちょっと私数字を申し上げましたように、第二次補正予算に計上さしていただきました一兆一千七百億円と円で言うことで、これも対象はアメリカ以外にはイギリス、フランスと申し上げましたけれども、それ以外の国も今後出てくると思います。こういうことでやっておりますので、いわゆる目減り問題というものは私どもは念頭に置いておりません。

長谷百合子日本社会党・護憲共同

○長谷委員 今御説明いただいたわけですけれども、そういうようなごたごたにはやはり外務省は非常によくたけていらっしゃるというふうに私思うわけですから、何を決めるときにも、外交に関しては一貫した姿勢、責任のある外交政策というのは外務省がきちっとやってほしい、こういうことが一つあるわけですね。というのは、私、何回もしつこく言いますけれども、九十億ドルを特に出せ、別にこう言っておるわけではございませんけれども。  国際貢献、国際協力ということが非常に重要視されている今日でございますけれども、こういうときにやはりどうも日本に期待されているのは金だけ、あっちこっちから金を出せ——金をかなり出しているのですけれども、感謝をされない、私は大変残念なことだと思うのですね。こういう外交の現状というものをやはり変えていかなければいけないだろう、つくづくいつもいつも私は思うわけです。  そのためには、やはり国際貢献と言った途端に自衛隊だ、こういうような形で短絡的に結びつけていかないで、日本は大国になっておるわけですから、やはり環境問題、これは本当に大きな問題です。CO2の温暖化の問題、砂漠化の問題、それから海洋汚染、今後ともいろいろなことが出てくるかと思うのですね。原発の事故の問題なんかもありますし、難民救助、こういった問題、もう本当に数限りなく出てくるわけです。こういったものに対しても、今までだと、要請されればそれについていろいろ検討して出していこう、割合こういうような形が強かったのじゃないかと私は思うのですけれども、そうではなくて、日本はどういったことに対して、つまり私に言わせれば環境、それからそういった世界の人々とのきちっとした連帯ということができるような外交を積極的に推進するんだ、こういうことをアピールしながらやっていくことがぜひ必要だというふうに私は思うのですね。  そんなときに、今NGOがあちらこちらで非常に活躍されておるわけですけれども、こういったNGOに関しましても、その審査が難しいとかいろいろ言ってなかなか厳しいという苦情なんかも私のところに寄せられるのです。そういう民間のNGOに対して、やはり外務省も積極的に支持して援助していく、こういう姿勢を貫いていく、それから、きのうの委員会でも、同じような苦情がありましたので、同時に、世界のNGOの皆さんに対しても誠実な態度で臨む、やはり日本は一緒になって世界の問題を解決していくんだ、こういうような姿勢を示していく、こういうことも非常に必要な問題だというふうに私は思うのですね。  そういった、今私が申し上げたいろいろなことを含めた形で、ぜひ——もう一つ、私、大きな問題を忘れましたけれども、熱帯雨林の問題、この消失に関しては本当に世界じゅうの皆さんが憂えているのですね。これは早くとめなければいけない、そうしなければ砂漠化する、これは確実なことです。湾岸地域もアレキサンダーのころは緑の大地だった、こういうこともあるわけですから、これはなくなってしまうと非常に難しいだろうということが言われていて、ODAでかなり熱帯雨林にも落としているという現状も私伺っているのですけれども、落としていても、その消失のスピードが下がるどころか、もうどんどん速くなっている、この状況に対しては、やはり違うやり方を考えなければいけないだろうと思うわけですね。  その違うやり方も、相手国の実情、そういったものに踏み込んで、やはり外務省が、きちっと政府間交渉なりなんなりで、例えば環境保全、熱帯雨林保全をするということを条件づけた上で援助をしていくというようなことも含めて外交を積極的に推進する、こういうことをぜひしていただきたいと思うわけですけれども、そこまで含めてちょっと大臣、御答弁をお願いしたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 これだけ日本が経済大国になってまいりますと、国際貢献をどうするかということについての考え方を政府としても国民の皆様方にも十分御理解をいただくようなことをきちっと決めるべきときにやってまいったという認識を私は持っております。  今、国連に対するいわゆる分担金、これも年間九千万ドルぐらいに達しております。これはその国々に応じての拠出でございますけれども、そのほかに任意拠出がございます。例えばUNHCRとかあるいはUNDPとか、いろいろな国連の機関に拠出をするという要請が参ります。あるいはバングラデシュの避難民に対する援助とかクルドの難民とかいろいろなものがございまして、そういうものを全部合わせますと、去年だけで五億ドルぐらいの金を実は日本は我々の国民の納めた税金から拠出しているわけであります。  しかし、最近各避難民等の調査をされて帰ってこられた国会議員の先生方の報告によりますと、国連機関を通して拠出をした分については、相手国の政府も含めてほとんど十分認識されていないという問題点が指摘をされております。これから日本として、二国間で協力するのにどのように考え方を整理していくのか、あるいは多国間で協力をする割合をどうするかといったようなことも徹底的に考え方を整理しなければならない時期に到達をしていると思います。  もう一つは、日本の経済規模に応じてどの程度まで拠出が可能であるかという日本のGNPと拠出の関係、やはりこれを相当慎重に考えていかなければならない時代に入ってきたのではないか。  こういうことから考えますと、ODAの場合は、OECDの目標値はGNPの〇・七でございますけれども、日本は〇・三二、それから先進国の平均値が〇・三三でございます。そういうことからいいますと、目標値まで日本としてはまだ努力しなければならない余地が十分残されているといったようなことがございます。  もう一方では、二国間の協力をする場合に、相手国の政府が要請をした場合に我々が協力することを決定するということでございますけれども、今回のバングラデシュのサイクロンのような事態になりますと、相手国政府も大変混乱状態に入っておりまして、なかなか現地との情報の交換が本省との間で十分にできない。こういった体験の中で、相手国政府がヘリコプターの派遣を各国に要請する、そういった場合に私どもがまず考えましたのは、日本のヘリコプターで緊急援助隊として派遣できるものはどんなものがあるのかといった場合には、海上保安庁が巡視艇に積んでいるヘリコプター、これを巡視艇で運ぶという方法が一つ ある。しかしその場合に、海上保安庁のヘリコプターはパイロットを含めて四名しか定員がございません。  そういうことになりますと、難民輸送という問題は実はできなくなる、あるいは貨物輸送もできません。こういう結論になりまして、消防庁にお願いをして、大阪と東京の消防ヘリコプターを本日派遣いたすことにしております。これは十二名の定員枠がございますから、二機派遣すると一回に相当な人を運ぶことができる。ただし、これを運ぶ場合にも船で運んでおったのでは間に合いませんので、ジャンボを我々の国費で借り上げてそれで運ばなければならないという手続が必要になってきた。要請を受けてから約十日ぐらいの日数が要ったわけでございます。  そういう中で、この国際緊急援助というものについて、相手国の要請があった場合に、日本として自分の国が持っている災害救助のノーハウあるいは機動力、人員といったものをこれからどのように提供することができるであろうかということも、これは広く御意見をちょうだいしながら、日本としての考え方を整理しなければならない時期に到達してきたと考えております。  もう一点、先生、NGOのお話をされました。NGOは、御案内のようにもちろんノンガバメント・オーガナイゼーションでございますから、政府が支援するということは本来NGOのあり方の原則とは矛盾するわけでございますけれども、この方々の御苦労にいささかでも協力ができることを何かできないかということで、政府は一昨年からNGOの補助金制度をつくりまして、今年度予算ではたしか二億八千万円御審議をいただいたと考えております。大変好評でございます。今後、これについてさらに努力を続けてまいりたい。また、各国のNGOとの連絡も政府としては在外公館等を通じてできるだけ努力をしなければならないと考えております。  最後に、環境の問題に先生お触れになっております。御案内のように先般のサミットの際に、日本は地球の環境保全にみずからの持っている技術と経済力を提供するということで三年間に三千億円の基金を拠出することを既に国際社会に約束いたしておりまして、逐年それに対して実行いたしております。  こういう中で我々は、今お話しのとおり、エネルギー消費に伴う大気汚染あるいはまた焼き畑農業等についての地球温暖化の問題、こういった問題を含めまして、私どもは地球環境保全ということが日本の国の国際社会への外交政策の大きな柱であるということを昨年の国連総会でも明確に国際社会に約束いたしておりまして、そのような考え方で外交を進めております。明年、発展途上国の開発と環境の会議がございますけれども、これの成功に向かいまして私どもはさらに一層の努力をいたしたい、このように考えております。

長谷百合子日本社会党・護憲共同

○長谷委員 時間が押しておりますので、一言だけ。  本当に近隣アジア諸国を大変不安に陥れてクレームがつくような自衛隊派遣ということではなくて、環境保全といったことについて日本はぜひ積極的に指導的な立場で外交政策を展開していただきたい、このようにお願いして質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

藤井裕久自由民主党

○藤井委員長代理 東祥三君。

東祥三公明党・国民会議

○東(祥)委員 ODAに関して質問させていただきます。  日本はこれまで経済力、そしてまたその経済力を生み出すことができた国際社会における経済の相互依存性あるいは日本の対外依存性、また平和国家追求という名のもとにこの十年間驚くべき援助量を拡大してまいりました。しかしながら、量の拡大の反面、いろいろな課題が出てきたことも否定することはできません。  例えば制度面の改善あるいは整備、人材の不足、調査研究機関の不足等が挙げられます。さらにまた、昨年来の湾岸問題を通じて日本の国際貢献や国際協力のあり方がまさに問われている、こういった視点を踏まえて以下質問させていただきたいと思います。若干青臭い書生論的な議論になるかわかりませんが、御容赦願いたいと思います。外務大臣並びに日本外交のトップを彩られる外務省の諸先輩の方々の胸をかりたい、そのようなつもりできょう質問させていただきます。  まず初めに、素朴な疑問を投げかけたいと思うのですが、日本は世界最大の援助供与国になっているにもかかわらず世界各国から決してよく思われていないのではないか、こういった印象をお持ちの方々もあります。外務大臣、まずこの点についての御見解を伺いたいと思うのです。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 日本が経済大国になりましてODAを含めていろいろと国際協力をやっておる、そのような中で日本は国際社会から十分歓迎されていないのではないかという御趣旨の御質問かと承りました。  私どもは、ODAの実績では昨年ついに世界で第一の拠出国となっておりますし、ODAを通じて発展途上国の国民生活の繁栄のために協力をいたしております。ODAを行っておる立場にございまして感じますことは、私は全部が全部完璧にうまくいっているとは思っておりません。公害問題を起こしているような話も、例えばインドのダムの問題等も御指摘が出ております。しかし、全般的に見まして、私は日本の協力というものは高い評価を受けていると思っております。一昨日もLLDCに対する協力の会議が東京でございましたけれども、大変高い評価をいただいておりまして、私どもはさらに一層充実して多くの国の期待にこたえなければならない、このように考えております。

東祥三公明党・国民会議

○東(祥)委員 私的なことで申しわけないのですが、私もこれまで日本のODAを使った種々のプロジェクトの現場でまさに被援助国の発展に寄与され、献身的に働いていらっしゃる日本の専門家の方々にもお会いいたしました。また、被援助国において何が最も重要なニーズなのか、このような点を探し求めている専門家の方々にもお会いしております。さらにまた、日本国内におきまして、日本のODAをいかに有効にまた効率的に使っていったらいいのか、このような分野においてまた真剣に努力されている多くの方々にもお会いいたしております。  そういった意味においては、全面的に日本のODAが悪いだとかいいだとかそういう視点ではなくて、ただ強調したいことは、日本の経済活動、そしてまた日本のこのODAの広がりが全世界的になってまいりますと、結局その援助に従事されている計画立案者また実行者、ODA担当者、こういう方々がお思いになっている以外の別の効果が出てきてしまうんではないのか、思惑とは全然違ったものになってきてしまうんではないのか。例えば無償供与で、どうしてもその被援助国にとって輸送手段の一環として一つのジープが必要だ。そのジープを大量に無償援助で供与する。しかし、その国が政府の混乱によって不安定化してくる、内乱が始まってしまう。その内乱に使われているのが結果として日本のジープであるということも当然あり得るわけです。  そういう視点から考えますと、結局日本の外交におけるODAのあり方そのものが今まさに問われているのではないのか。日本の外交におけるODAの戦略的また政治的意義づけというものがどうしても必要になってくるんではないのか。したがって、こういう質問をきょうさせていただいているわけでございますが、次に、この日本外交におけるODAの戦略的また政治的位置づけというのは一体どういうふうになっているのか、この点について、もしよろしければ外務大臣、お願いいたします。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 日本の外交におけるODAの占める位置というもの、これは委員も御指摘のように日本の外交の一つの大きな手段といいますか、相手国と協力をする一つのばねになっていることは、率直に申し上げて非常に効果があると思っております。そういう意味ではODAと日本の外交政策というものは一つの大きな深い関連性が存在していることを申し上げておきたいと思います。  ちなみに今この経済協力の配分を昨年の年次で見ますと、アジア地域に六二・五%、中近東に五・四%、アフリカに一五・三%、中南米に八・三%、大洋州に一・四%、欧州に〇・二%、分類不能な対象国で六・八%というのが一応の百分率になっているわけであります。  そういう中で、御案内のように一人当たりのGNPが二千ドル以下といったような国々が一応の対象となって、DACリストに載ったところにこの協力をする。協力の原則としては、相手国からの要請に基づいて日本が調査団を派遣して相手国の実態というものをよく調査をして、そしてフィージビリティースタディーを十分こなした上でこの援助のやり方を決定するという考え方でまいっておりますけれども、私は率直に申し上げまして、日本はODAで世界一のランクを占めるようになりましたけれども、それを処理する外務省の職員あるいはまた実施機関であるJICAの職員の実数というものがアメリカあるいはイギリス、その他の先進国と比べますと非常に低い地位にある。こういうことから私ども外務省といたしましては、金額のふえた分に見合ったいわゆるODAの担当職員の数を充実しませんと将来この未消化の問題が起こってくる可能性がある、こういうことで、これからこのODAの実施に伴う人員の充実について外務省としては強く要請をし、整備をしなければならないと考えております。     〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕

東祥三公明党・国民会議

○東(祥)委員 現在のODAが直面している問題についてはまた後ほどお話ししていただきたいと思うんですけれども、今の外務大臣の御答弁の中に、日本のODAというのは要請主義に基づいて行われる。ところが、要請主義というのは被援助国側から見ればこれは無限でございます。百七十数カ国ある、その国がこういうものが必要なんだということを日本に要請してくることができるわけですから、その要請それ自体を拒否することはできないわけです。したがって、要請主義に基づくといっても要請主義それ自体は無限である。  しかし、その要請主義にこたえるための能力が日本に果たしてあるのか。それがまさに経済力であり、また日本の経済規模における援助供与量だ、このように思います。しかし、その援助量というのは限られているわけですから、要請に対して日本がどの要請に従って援助をするのか。ここにはまさに選択が迫られるわけですね。しかし、その選択をするに当たってのじゃあ基準は一体何なのか、これがきょうの最大のポイントでございます。  先ほど外務大臣がおっしゃった基本的に外交の一環としてのこのODA、ODAを供与するに当たっての基準というのは一体何なのか。ここはあくまでも基準でございますから無限ではありませんので、ここに日本の意思が働いてくる。そういう意味では極めて政治的また戦略的なものにならざるを得ないんだろう、このように私は理解いたします。  その援助を実施するに当たってまた日本がどのような分野に、だれのためにどのようにという、そういう援助をするに当たっての基準は一体何なのか。最近、四月十日の参議院の予算委員会における海部首相の答弁の中に四つの基準というものが出ました。四つの指針、何が何だかよくわからないんですけれども、これは基準なのか、それとも前々からずっと言われていた人道的考慮が一つ、それからさらにまた相互依存性というこの二つが基準なのか。何が何だかさっぱりわからない。だから、そういう意味におきまして、ぜひもう一度、援助するに当たって要請を受けた、その要請を受けるに当たって何を基準にして日本が援助を供与することを決めるのか。この点について御答弁願いたいと思います。

畠中篤外務省大臣官房外務参事官

○畠中説明員 我が国が経済援助を実施してまいりますときの基本的な理念は、先ほど先生御指摘のとおり、人道的な配慮と相互依存関係というものが基本的理念としてございますけれども、それを実際にその先方の要請を受けてどう判断していくかということになりますと、我が国が援助をいたしますときに我が国とその国との二国間関係、いろんな関係がございますけれども、そういうことも配慮いたしますし、その時点での国際情勢あるいはその国にあります被援助国のニーズ、これは非常に大きな部分を占めますが、その国が現在どのような経済状況にあるか、どのような分野で援助を必要としておるかといったような点を踏まえまして、またその経済社会状況等を総合的に判断してその分野あるいはその量といったものを決めてまいっております。  私どもといたしましては、一般的にはその国の民生の安定と福祉の向上、それから経済発展に資するような援助をしていくということで実施しておりますけれども、どの分野にどういったような援助をしていけば今申し上げましたようなことに役に立つかということはその国々によって状況が違いますので、その都度総合的に判断して実施しております。  先ほど先生御指摘のありました、最近、ODAを実施してまいりますときに特にこういう点にも注意を払ってまいりますということで、軍事支出の動向とか被援助国の大量破壊兵器あるいはミサイルの開発製造等の動向とか、こういったような四項目を内外に明らかにいたしましたけれども、私どもが援助を実施してまいりますときには、ただいま申し上げましたようないろいろな面でのニーズの把握、二国間関係、その国の経済情勢、そういったものを踏まえて総合的に判断する中で、その際に今後、今申し上げましたような四項目について十分に注意を払って決定していくということでございます。

東祥三公明党・国民会議

○東(祥)委員 極めて一般的で、まさに日本のODAがよくわからないと言われるゆえんが今のお言葉にあったのじゃないのか。つまり、繰り返しますけれども、要請主義というこのシステムそれ自体に対しては私は一切否定していないわけです。要請主義というのは無限に出てきます。したがって、その無限にこたえられる基準だというふうに言えば今のお話はよくわかります。しかし、その要請主義にこたえられる能力が限られているわけですから、結局選択せざるを得なくなってくる。選択するためには、ある意味で受け身ではなくて積極的な反応を示さなくてはいけなくなる。その積極的な反応を示すための基準は一体何なのですか、これが私の質問なわけです。  人道的な考慮というふうに言った場合、これをアプリオリに、ある国が国内において人権が弾圧されている、迫害されている、そういった場合においては、日本がたとえその国から要請されたとしても、それは援助をしないのかするのか、こういう問題になってきます。ただ、その判断する材料が一つだけではないというのはよくわかるわけですけれども、その面を踏まえた上で、なおかつこの四つの新視点といいますか指針といいますか、こういうものを加えた上で判断するのか、この辺をもう一度答弁願いたいと思うのですが。

畠中篤外務省大臣官房外務参事官

○畠中説明員 お答えいたします。  先ほどちょっと私、要請の点について申し上げることを抜かしましたが、先生御指摘のとおりに、被援助国側からの要請と申しますのは非常にたくさん出てまいります。その要請をどういう形で我が方の援助につないでいくかということでございますが、私ども、まず要請を受けましたときには、その被援助国側の優先順位と申しますか重点の置き方、要請いろいろございますけれども、我々の方にも協力できるのに限度がございますので、それを決めますときにまず先方の、どういうような順序で実施してもらいたいかということを聞きます。これはどうして聞くかと申しますと、やはり援助と申しますのは私どもが外から資金援助をしたり技術協力をしたりいたしますけれども、開発そのものは、それをその国が自分のところでいかに有効に使って開発に結びつけるかということで、開発自身は先方の役割が非常に大きゅうございます。  具体的に申し上げますと、ある一つの要請のプロジェクトが出てまいりましても、それについて先方がどれほど準備をしておるか。例えば土地の 手当てはできておるか、あるいは私どもが援助いたしますのは主といたしまして外から外貨で調達すべきものを基本としておりますけれども、そのほかにも自分のところでしなければいけない予算措置もたくさんございます。そういうものはやはりその国の政府の開発の順序に従って先方は用意いたしますので、援助が役に立ち、タイミングよく実施に移れるためには、先方のそういった手当ての状況、そういった優先度を踏まえて決めていく必要がございます。  もう一つの面は、私どもは、要請が出ました場合にその背景を調査いたします。その背景が、我々が見ておりまして実際にその国の経済と比較いたしまして役に立つのか立たないのか。優先順位として、先方が言ってきたものが本当にそういうことなのか、あるいは今申し上げましたような諸般の準備がどのくらい整っておるかといったようなものを十分先方と話し合いで聞きながら、そしてその要請を決めてまいります。  したがいまして、先方から要請があれば、それをそのまま要請があったからといって実施するということではございません。今申し上げましたようないろいろな調査あるいは先方との話し合いを通じまして、役に立つ援助を我々のできる限度内で先方の優先順位を尊重しながら決めてまいります。

東祥三公明党・国民会議

○東(祥)委員 よくわからないのですけれども、まず日本が要請される、それに基づいて判断されるその基準は何かというと、先方のニーズがその国の経済社会開発の優先順位においてどこを占めているのか、こういうふうに判断されるというふうにおっしゃっているのですが、基本的には日本のODAは限られているわけですね。一兆数千億円。そのうちまず地理的な配分なりまた分野別の配分なり、こういったものが先にあるんじゃないでしょうか。そういうものがあった上で、百七十数カ国あるわけですから、国連加盟国でも百五十を超えてしまうわけですから、そういう国々からどっと要請が来たときに、その要請に基づいて判断していく、こういうことは多分物理的に不可能だと僕は思うのです。  私が言っているのは、日本のODAの全体をまずどのように割り振っていっているのか。割り振るに当たっての判断基準は一体何なのか。これがあって初めてそこに該当する国々からの要請があったときに今御答弁いただいた部分が開始されるんだろう。私は前の部分を聞いているわけです。そうでないと日本のODAはまさに積極的また攻撃的な機能を果たさなくなってきてしまうということで、日本の意思というものがなくなってきてしまうわけですね。もう一度お願いします。

畠中篤外務省大臣官房外務参事官

○畠中説明員 配分のどの程度の規模をどのような地域にというときの判断の基準をお尋ねと思いますけれども、先ほど、冒頭私申し上げましたように、それを判断いたしますときには、当該被援助国と我が国とのいろいろな関係がございますが、そういうものがどの程度頻繁か、あるいはその国の置かれておる国際情勢といったものも判断しながら、配分と申しますか大体どの程度がいいかということが決まってまいりますけれども、我が国は既に相当長い間援助を実施しております。今申し上げましたような判断の積み重ねが既にございます。その結果が先ほど大臣から説明がありましたように、アジアの国に六割以上の援助というものを配分して実施しております。  ただ、そこに今度の湾岸情勢その他の国際情勢が変化いたしますれば、そのときの状況を踏まえてそれに対応するような割り振りをまたそのときに考える。ただし、基本的には、申し上げましたように我が国とのこれまでの長いおつき合い、それから国際情勢、そういったものを踏まえながら、もう一つはその国の規模とかサイズとかニーズとかいうこともございますけれども、そういうものを総合的に判断して今までやってまいりまして、そしてこれまでやってまいりましたその延長線で今後も考えていきたい、そう思っております。

東祥三公明党・国民会議

○東(祥)委員 そうしますと、この新しいと言っていいのかどうかわかりませんが、参議院予算委員会における海部総理答弁の要旨がここにあるわけですけれども、開発途上国の軍事支出等と我が国政府開発援助のあり方について、三点大きく分けて述べているわけです。  第一点が先ほど御答弁してくださいました政府開発援助を施行するに当たって考慮しなければならない点として、被援助国の貧困あるいは飢餓の状態、そういった人道的な考慮ですね。さらにまた相互依存性の問題だ。第二番目というのが軍備管理・軍縮に関してどのような状況にあるのか。そして第三項目目に四つの新しい視点というのが出てきているわけです。被援助国におけるGNPに占める軍事支出の割合だとか、生物化学兵器製造、核ミサイルの製造状況だとか、武器の輸出入あるいは民主化の度合い、こういった新しい四点が出てきているわけですけれども、この四点についてお伺いさせていただきます。  まず、この点に関してのデータというのは日本にあるのですか。日本独自のその力でもってこのデータを獲得することができるのでしょうか。

畠中篤外務省大臣官房外務参事官

○畠中説明員 今御指摘の軍事支出の動向、あるいは大量破壊兵器、ミサイルの製造の動向、あるいは武器輸出入の動向、もう一つございますのは、民主化の促進及び市場経済の導入あるいは基本的人権の尊重状況といったような四つの項目を今後援助を実施していくときに十分注意してまいりますということを総理から内外に明らかにしていただきましたけれども、これについての情報というお尋ねでございますが、こういったようなものの事柄の性格上、いずれも事実関係の立証は非常に困難でございます。  それで、私ども日本で、独自でその正確な情報を得るということはなかなかできません。また、その軍事支出あるいは武器輸出入の動向といったようなものもどの国にどの程度のレベルが適切かといったような判断はそれぞれ国際的な状況において、それぞれの国が置かれている状況というのはまちまちでございますので、一律にその基準を設けるといったようなことはなかなか困難かと思われます。  しかしながら、開発を実施いたしますときの資源の適正な配分といったような観点から、今後我々が援助国と被援助国といろいろな援助協議をしてまいりますときにも、こういったようなその国の動向を十分注目しながら、要すれば援助協議の場におきましても、事実関係を照会しあるいは我が方の立場を説明し、そういうことを踏まえながら援助も決めていきたい、そう思っております。

東祥三公明党・国民会議

○東(祥)委員 そうしますと、この新しい開発援助のあり方の四点というのは何なのですか。日本のODAを実施するに当たっての基準にはなり得ないわけですね。あくまでも参考材料ということですか。

畠中篤外務省大臣官房外務参事官

○畠中説明員 ここにございます四つの項目を直接援助の量に反映させるといったような意味での基準にはなりにくいものと思いますが、しかし、先ほど申し上げましたように、開発を進めるという意味からの資源の配分あるいはその国の、何といいますか、政策全体の問題として適当かどうかということで援助の協議をしてまいりますときにも、そういった点を踏まえながら、そういった点が非常に我々の懸念であることを伝え、そして今申し上げました四点のところで極端に変化があった場合には、どういうことでそんな変化があったのかというような説明を十分聞くことになると思います。  そういうようなことを踏まえて、その国の置かれている状況も踏まえて判断をして、そして不適切な場合、それが国際的にもあるいは我々の、日本側からの援助協議の場でいろいろ議論をしても、なかなかそれが受け入れられないといった状況が続くという場合には、これは当然援助の量にも反映されていくことになると思いますが、機械的にその状況を把握して援助の量に基準として反映させるべきそういったものではございません。

東祥三公明党・国民会議

○東(祥)委員 世界各国はODAのやり方におい ていろいろ違うわけです。北欧にも北欧型の援助の仕方がありますし、アメリカにもUSAIDに代表されるような形での援助のやり方があります。そういう視点から見ると、日本はどうしても外から見ているとわかりづらい。どのように援助というのが決定されていくのかというのもよくわかりづらい。  先日、スウェーデンに行ってきたときに、この問題についてスウェーデンにおいてはどのような決め方をされているのですかという質問をさせていただいたときに、基本的に国会において大枠を決めるというわけですね。この年、また来年度にわたってどのような援助をというより、どの国に対して基本的な援助をしていくかを決める、あとはすべて官僚の方々に任せる、また特別の開発援助庁の方に任せるというシステムができ上がっているわけです。  多分、日本のODAの不幸というのは、一生懸命皆さんがおやりになったとしても、重箱の隅をつつくような、こういうところを失敗したじゃないか、ああいうところを失敗したじゃないかということで、基本的に表の部分が、日本の援助というのはどうあるべきなのか、どのような国に何をしていかなければならないのか、こういった基本的な議論というのがされてこなかった。したがって、日本の援助というものが輪郭が非常にあいまいもことしたものになってきてしまっているのじゃないか。  そこで、私は常に危惧をしているわけですね。今の参事官のお話を聞いていても、結局、日本のODAを実施するに当たっての基準というのは一体何なのかな、わからないわけですね。茫漠としている。そのときのその国が直面している経済情勢あるいはその国が国際情勢の中でどのように見られているのか、こういったいろいろな不確定要素が全部入ってきて、結局、日本のODAの独自性といいますか、そういったものが浮き彫りに出てこない。浮き彫りに出てこないのが日本のODAのあり方なのかもわかりませんけれども、その辺、もし参事官の方で、日本のODAというのはこうなんだという言葉がありましたら、ぜひ教えていただきたいと思います。

畠中篤外務省大臣官房外務参事官

○畠中説明員 先ほども御説明いたしましたが、私どもといたしましては、基本的理念としては既に確立された二つの理念を持っております。人道的配慮と相互依存関係を中心にやっていく。そして目的といいますか、対象といたしましては、民生の安定、福祉の向上、そしてその国の経済発展に資するような援助をしていくということでやっております。  国会との関係での御議論でございますけれども、予算を御審議いただきますときにODA予算ということで大枠をお認めいただいて、そして実施をさせていただいております。

東祥三公明党・国民会議

○東(祥)委員 次の質問にいきます。  現在、日本のODAが直面している課題あるいは問題というものがあるとすれば、一体どういうことでしょう。また、その問題を克服するに当たって、一体何をやられようとしているのでしょうか。

畠中篤外務省大臣官房外務参事官

○畠中説明員 我が国は一昨年、一九八九年の実績で世界最大の援助国になりましたが、今先生の御質問の、今後どういったような面での問題を解決していかなければいけないかという点でございますが、絶対量といたしましては世界最大でございますけれども、例えばODAの量をはかりますときにも、国際的な基準は、絶対量も一つの基準ではございますけれども、そのほかにその国のGNPとの比率で比較する比較方法がございます。  それは、一つには、援助する方の力といいますか能力との関係での比較だろうと思いますが、そういう面で申し上げますと、日本はただいまGNP比は〇・三二でございまして、先進ドナー国、先進援助国の、十八カ国ございますけれども、その中でまだ十二番目でございます。下から数えた方が早いということで、量の面でも、国際比較ではこの点で今後ともGNP比を上げていく必要があると思います。  もう一つの点は、通常、質の面と申しますが、日本の援助の一つの特徴は、全体のODAの中で借款の部分が非常に多うございます。借款、必ずしも悪い援助ではございませんけれども、国際比較の場では一つの贈与比率という言葉がございまして、返してもらわなくていい援助とそれから返してもらう援助との比率を一つの基準、質の面での基準として比較しております。  これを比較いたしますと、日本の場合には全体のODAの中の四二・四%が贈与の分でございます。残りは借款の分ということになりまして、その意味では、先進ドナー国の中で贈与の部分が一番少ない援助でございます。そういう意味では、今後ともこの贈与比率を高めて、質を高めていく必要があると思います。現在実施中の第四次中期目標におきましてもこの点を明確にいたしまして、そのもとにできるだけこれを改善する努力を今しておるところでございます。  もう一点は、先ほど大臣が触れられましたけれども、ODAは一面において非常に文化、伝統、制度が異なる外国において実施いたします。そしてその外国、被援助国との共同事業という性格を持っておりますので、すべてが日本側の思っているような段取りで円滑に進むわけではございません。そして、あるときにはいろいろな思い違いがあったり手間取りがあったり、いろいろなことがございます。こういう中で相手国のニーズに応じましたきめの細かい援助を実施していくためには、援助実施の体制が非常に重要でございます。  我が国の場合、主要援助国に比べまして援助実施の職員数が極端に少ないのがこれからの一つの課題でございます。特に現地の、東京ではございませんで、現地での、出先での機関の要員が非常に少のうございます。ちなみに職員一人当たりの援助量と比較いたしますと、アメリカとの比較では、日本の場合には一人が約二倍の援助を実施している実態でございます。また、イギリス、カナダとの比較で申しますと、一人が四倍の援助量を実施している状況でございます。  そういう状況におきまして、外務省といたしましては、厳しい定員の状況のもとではございますけれども、関係方面の御理解を得まして援助要員の拡充に今後とも努めて、さらにきめ細かい、効果のある援助を実施してまいりたい、そう考えております。

東祥三公明党・国民会議

○東(祥)委員 次に、そのODAの中でもある意味で特殊なんだろうと思うのですが、国際緊急援助隊の問題について質問させていただきます。昨日の外務大臣のバングラデシュとのかかわり合いについては後ほど北側委員の方から関連質問がありますが、私の場合は湾岸問題にかかわる国際緊急援助隊の問題です。  ここに外務省からいただいた資料があるわけですけれども、「サウジアラビアにおける原油回収のための国際緊急援助隊チーム派遣」、その状況についての資料をいただいておりますが、三月の下旬から四月の下旬まで、約一カ月間にわたって流出された油回収のために十八名の専門家の方が働いてくださった。  私がここで質問したいことは、私ども三月の中旬にちょうどこのチームが活動しているところを見ておりました。原油流出されてからその時点においてもう約二カ月以上たっている時点でした。そのときにはもう既にオランダのチームが入っていた。政府レベルでありません、民間レベルですけれども、オランダのチームが入っていた。また、イギリスのチームが別のところで活躍されている、こういう御指摘を受けました。そのときに日本からは既にオイルフェンスは届いておりました。スキマーというのはまだ届いていない。その現場には届いていないけれども、サウジアラビアにはもう既に着いていた。人がいないということですね。  そうしますと、この専門家チームが派遣されたのが三月の下旬、油流出されたのが一月中旬、その間、この援助隊チームを派遣するに当たってとられた行動というのは一体どうだったのか、この点について御質問させていただきます。

畠中篤外務省大臣官房外務参事官

○畠中説明員 ペルシャ湾原油流出回収に出ました国際緊急援助隊の出るまでの時系列的な点をちょっと申し上げますと、まず、緊急援助隊を出しますときには、やはり援助隊員の安全と申しますか、そういったものの確認といいますか、危険がないような状態にして援助隊を出さないといけないということが一つございます。  実は、湾岸の地域はああいう状況でございましたので、政府は渡航自粛勧告、危険だから行かないようにという勧告を出しておりました。これを解除いたしましたのが三月五日でございます。三月五日に解除いたしまして、そして人が行けるという状態になって、八日から十九日にかけてサウジアラビア等に環境汚染対策調査団、まず、どういったような環境汚染に対する援助のニーズがあるかということを調査するための調査団を出しまして、そしてその流出原油回収についての協力の要請はその調査団に対して先方から出されました。やはり行きましてから活動いたしますときには、先方政府のいろいろな協力を得ながら動きませんと活動もできませんので、この場合にも、先方政府の要請を受けて、そして出すということになります。  政府といたしましては、この調査団の帰国後、直ちに国際緊急援助隊チームというものを出すということを決めまして、その受け入れの確認を求めて、三月の二十四日に先方からその確認がございました。そういうことで三十日に原油回収を目的とした専門家チームを派遣したというのが今までの時系列的な点でございます。

東祥三公明党・国民会議

○東(祥)委員 参事官の御説明でよくわかりました。時系列的な動きはわかったんですが、問題は国際緊急援助隊のそもそもの役割なわけです。今回は油でした。もう環境チームが行ったとき、私たちと前後していますから、わずか二、三日おくれで我々は現地に行っています。その時点においては、もう在サウジアラビアの日本大使館の方がサウジアラビアが必要なものというのは把握しているはずです。把握していました。それを、環境チームを送って、そして大気の動向だとか海流の調査だとか、まさにきめ細かい調査ができるならば別ですけれども、通り一遍の調査をされたと伺っております。  そういう意味では、現地に長く滞留して油流出における海の汚染の状況だとか、潜ってヘドロがどのようにたまっているかとか、そういう調査はされていないわけです。我々が行ったときに既にオランダのチームが働いていた。そのずっと前にもうオランダの方にはこの情報が届いているわけです。緊急援助隊チームというのは、何か事が起こったときに、起こったその当国においてもがたがたしている、どうしていいかわからない、これに対してどういうふうにすべきなのかということで、ある意味で被援助国の要請と援助をする側が同時的に動いていかない限りうまく機能しないんだろうというふうに思うのですね。  そしてまた、危ないか危なくないかというのは、緊急援助隊なわけですから、援助隊ならばいいですが緊急援助隊ですから、その緊急援助隊たらしめるためにはやはりそれなりの即応態勢をつくっておかなければならなかったんでしょうけれども、日本は初めての経験ですからなかなかそういう即応態勢ができなかった。だから多分おくれてしまったんだろうというふうに思いますけれども、情報のギャップがおかしくて、じゃ日本大使館というのは何をやっているんだろうか。日本大使館はずっと前にこの情報は押さえていたはずです。その要請に基づいて当然その情報を本省の方に送ることができたはずです。それに基づいて動くことができないのか。  緊急援助隊を送るためには、常に前もって現場に先発隊を送って、その現場を見て、その人たちが戻ってきて、そして初めて送れるものなのか、あるいは在外公館の情報だけでもって動けるのか、ここでもよくわからないのですけれども、よろしくお願いします。

畠中篤外務省大臣官房外務参事官

○畠中説明員 御指摘の点は、今度の湾岸の状況というのは通常の、例えば地震災害に対する緊急援助隊の場合とは状況が違ったんだろうとは思います、戦争がございましたから。そして、緊急援助隊を出しますときにも、援助隊員の身の安全ということは、これはやはり確保する必要がございました。したがいまして、退避勧告が出ておる、要するに危険だという状況のもとでは援助隊を出すということは、それはできないことでございます。  この援助隊を出すのに大使館の情報だけでいいではないかというお話でございますけれども、やはり環境汚染というものは、日本が協力するとすればどんな対応ができるかということを検討いたしますには、大使館にはそれの専門家はおりませんので、やはり環境の専門家のチームに行っていただいて、現状を見て、そして、オイルの回収もあるでしょうし、それからプラントのメンテナンスのための技術者を出すということもあるでしょうし、あるいは大気の汚染を今後どうしていくのかといったような面もございますし、そうしたものを全部総合的に調査団に把握してもらって、それに一つ一つ対応していったのが今度の状況でございます。  ちなみに、先生御指摘の、オランダその他のチームは早く出ましたけれども、あれは政府ベースの援助ではございませんで、先方のコマーシャルベースで、自分の身の危険は自分の負担で出ていったチームでございますので、そういう手続を踏んでいるものと比べますと、私どもの政府援助はそれとの比較におきましてはどうしても少しおくれたような感じが見えるかもしれませんが、他方、サウジの評価は、日本の政府がきちんと政府ベースであれだけの援助をしてくれた。そして、行ったときにはまだ相当残っておりまして、供与しましたオイルスキマーなどを使ってオランダ隊の横で日夜本当に苦労しながら大変大きな作業をしてくれました。そういうことについての評価はサウジ側にも大変高くございます。

東祥三公明党・国民会議

○東(祥)委員 評価というのは必ず変わるんですね。私たちが行っているときには、なぜ日本が来てくれないのかということでした。もう既にいらっしゃる方々に対しての評価というのは極めて高いわけですね。また、それが政府レベルから来るのか、その現場を見ている一般の人々から来るのか。評価というのは必ず変わります。これは、ずっと一定であり続けるということはあり得ないわけです。  したがって、国際緊急援助隊あるいはまた平和協力、国際協力というもので一番必要なのは、また日本で最もおくれているのは、よく指摘されるように、いつも遅い、だからクイックでなければいけないんだ。さらにまた、なぜ出すのかということが明確でなければいけないんだ。いつもわからないわけです。外国から見ていると、いつもわからない。ごたごたしている。掃海艇の問題もそうでした。クリアじゃないわけです。さらにまた、ビジブルなんだ。クイックであり、なぜ出すのかということがクリアであって、そしてビジブルだ。これが一体化したときに初めて国際的な評価といいますか、初めに行けますから、一番早く行けますから、これは固まりますね。  しかし、日本がやられることは、今までは、これから多分変わっていくだろうと期待いたしますけれども、この部分が全然なっていない。一生懸命やっています。ODAも世界に比して比べものにならないほどたくさんやっています。しかし評価はどうなのか。どうせやるならば大量に初めからやってくれ、どうせやるならば明快にやってくれ、こういう問題ですね。これがないから、何とかして日本の国際協力体制をつくっていこうという議論をずっとしてきたんだろうと私は思うのですけれども、もし何かありましたら、外務大臣、お願いします。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 今般の湾岸危機に対する日本の人的貢献というものが確かに委員おっしゃるようにいろいろと我々に教訓を与えました。それは、戦後、平和の中で生き続け、繁栄を続けた我々日本にとって、あのような侵略行為によって一国が併合されるというようなことに対して、その周辺 国の戦後のいわゆる回復のためにどのように日本が協力するかということについては、私は、恐らくほとんどの国民が一つの考え方というものを相互に議論をし、考え方を練り合わせていた時期だと思います。  そういう中で、先般の国会において国連平和協力法も成立を見ませず、結果として自民、公明、民社の三党合意によるPKOに関する覚書がつくられたという経過がございました。また、ODAに関しましても、またこの緊急援助についても、緊急援助のあり方——私は率直に申し上げまして、一昨日、サウジアラビアに対する医療の援助の総括を近ア局長といたしましたけれども、それは、大体二十三億円の予備費を用意したわけであります。ところが実際に使用できたものは二億八千万円でありました。なぜそういう結果になったのかといえば、戦争の危険のあるところに、たとえ人道上の立場でも医師及び医療関係者が行くことにちゅうちょがあったということであります。また、政府はそれを命ずるだけの法律権限を持っていなかったということであります。  そういうことで、私もみずから医療関係団体の責任者に十二月には何遍かお集まりをいただいて、日本医師会を初めいろいろな、各医療機関の代表者と意見を交換いたしましたが、そのときに出てきたものは、なぜ自衛隊を先に出さないのか、なぜ民間の医師にそういうことを強要するのか、こういう意見が相当ございました。そういう中で、この第一次調査団、第二次調査団で行っていただいた先生方は大変御苦労いただいたわけでございますが、結局医師のリクルートができないという結論に達したわけでございまして、そういう意味で私はみずからの責任でそれ以上医師を強制的に派遣することを中断させたわけであります。  医療器材等の提供もいたしましたけれども、結果的には医療協力というものは大きな効果を発揮することができなかった、私はそういう結論を得たわけでありまして、その後、クルドの難民の問題、さらにまたバングラデシュのサイクロンの問題等につきまして、我が国の緊急援助に対する政府の基本的な考え方、またこれは、国民の御理解と御支持がなければこのような緊急援助を行うことはなかなか難しい状態にございますから、ただいまトルコとイラクの国境に医療団を派遣することもいたしておりますし、イランの国境にも出しております。昨日も第三次を出しました。できるだけのことはやっておりますが、これも実は、何カ月かそこに滞在して医療活動を行うといったような医療体制がまだ日本にはございません。  こういう状況がございまして、私どもはこのような経験から、どのようなことをすれば、今委員が御指摘のように、クイックで、そして皆が納得できる協力ができるかということをこれから意見をまとめていかなければならない、またそういう制度も整備をしなければならないと考えております。

東祥三公明党・国民会議

○東(祥)委員 ぜひ今外務大臣がおっしゃられた線に沿って、さらにさらに御尽力していただければと思います。  時間が来てしまいますので、北側委員の方から関連質問で、残された時間、バングラデシュ関係について質問させていただきます。ありがとうございました。

渡辺省一自由民主党

○渡辺委員長 この際、北側一雄君から関連質疑の申し出があります。東君の持ち時間の範囲内でこれを許します。北側一雄君。

北側一雄公明党・国民会議

○北側委員 まず最初に、バングラデシュのサイクロンによる大変な被害、これに対しまして、我が公明党も五月の九日に海部総理に対しまして緊急援助の大幅な増額また国際緊急援助隊の派遣の申し入れをさせていただきました。これに対しまして翌日の十日に、二百万ドルの緊急援助に追加いたしまして七百五十万ドルの追加緊急援助をしていただき、また十三日には緊急援助隊の派遣を決定されまして、きょう派遣されているというふうに聞いております。今回のこの問題に対する政府の非常に速やかな対応につきましては、私、大いに評価するとともに、申し入れをさせていただいた一人として感謝を申し上げる次第でございます。  ところで外務大臣、昨日、記者会見でこの国際緊急援助隊に関連いたしまして、自衛隊のヘリコプター、要員を緊急援助にスムーズに利用できるよう国際緊急援助隊派遣法の一部を見直す必要があるという発言をなされたという報道がなされております。これはどういう趣旨でこのような御発言がなされたのか、まずこの点をお聞きしたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 今回のバングラデシュを襲いましたサイクロンによって十数万人の方々が亡くなられて、また多数の数えられないほどの被災民が出ている。そういうところに食糧、物資の輸送、また難民の移動、このようなことについてバングラデシュ政府から各国に対してヘリコプターの提供を要請されたわけでございます。  このような中で、日本政府としては、今委員御指摘のように一千万ドルの食糧援助、またさらに合計一千万ドルの緊急援助をいたしましたけれども、ここでヘリコプターを提供するということになりますと、一体どういう手段があるのかなということから考えますと、まず第一に考えられるのは、国際緊急援助隊法という法律の指定した枠内で、例えば警察庁とか消防庁あるいは海上保安庁といったような政府機関がございます。いわゆるヘリコプターを所有している機関の中で提供のできるヘリコプターを持っている役所、つまり海上保安庁等にまず打診をいたしたわけでございます。  そのような中で、海上保安庁からは、乗員はパイロット合わせて四名ということでございまして、一隻の海上巡視船に積載されているヘリコプターは合わせて二機ということでございます。そういうことで物の輸送、人の移動になかなか貢献ができない。こういうことから、本日出発いたしました東京と大阪の消防のヘリコプター、これを急遽ジャンボ機を手当てして、これで空路輸送をするということにいたしたわけでございます。  このような経験から、率直に申し上げまして、日本政府が憲法の定めたいわゆる武力による威嚇または武力の行使は国際紛争を解決する手段にしないという憲法の規定のもとで、我々が持っている機材を提供する方法というものを将来考える必要が出てきたのではないか。  御案内のように、資金を提供いたしましても、当座その資金は食糧の購入等には使えましても、実際に運搬手段が相手国にないといった場合にどのような協力ができるのかといえば、消防関係では国内の消防活動にこれは必要でございます。また、海上の保安のためにも海上保安庁のヘリコプターが必要になってくる。こういう中で日本政府として保有しているヘリコプターというものがいわゆる自然災害のためにも利用できるということを考えるとすれば、大型の輸送ヘリというものはどこにあるかといえば、これは自衛隊が七十機持っているわけであります。そのようなことがこの国際緊急援助隊のこれからの運用について利用できるのかできないのか、また利用すべきかどうかという御議論をこれからしていただかなければならないと私は考えております。  つまり、相当な資金を出しましても国際的に相手国からは評価をされないという意見が相当報告として上がってきておりまして、これからの援助のあり方について、我々はどのような形でその相手国の要請にこたえることが国家間の友好と協力をするのに最も役立つかということを申し上げたわけでございます。  この国際緊急援助隊法というものを国会で御審議いただきました当初、自衛隊のいわゆる参加、このような問題については将来検討するべき課題であるということが当時言われて、国会で政府側が答弁をいたしておりまして、私は昨日の記者会見において、今後この問題を国会及び国民の皆様方の間で御議論をいただき、あくまでも自然災害によって相手国の要請があった場合にこのようなことができるかどうか、またそれが国際的な貢献 であり、評価を高める一つの大きなあり方ではないかということを申し上げたわけでございます。

北側一雄公明党・国民会議

○北側委員 これまで緊急援助隊というのは、きょうのを含めましてこの四年間で十八回派遣をされております。十八回の緊急援助隊の派遣の実績の中で、今大臣がおっしゃったような自衛隊の装備、そういうのを活用しなかったことによって何か不十分なことまた不都合なことがあったのかどうか。  私が聞いている話では、この緊急援助隊の派遣チームについてはこれまでの実績の中で現地では非常に高く評価されていることが多いというふうに私は聞いております。去年のイランやフィリピンの地震の際につきましても、現地では非常に高く評価されておる。今回の中東においてもそうでございます。私は、自衛隊のそういう装備の活用というのが果たしてそれほど必要性があるのかなという一つ根本的な疑問がある。  それから二番目に、自衛隊の問題に触れる以上はやはり自衛隊のあり方、ここを根本的に議論していかないといけないのじゃないかと私は思うわけでございます。今大臣の方からもおっしゃいましたけれども、この国際緊急援助隊法制定時においての国会での議論、昭和六十二年でございますけれども、そのときは、自衛隊の海外派遣に対するそのときの世論を配慮して自衛隊を外したわけでございます。大臣は先ほどは将来の検討課題だとおっしゃいましたけれども。  また、これは直接政府の問題ではないのですが、昨年の十一月の自公民の国際平和協力に関する三党合意、そこでもこの災害援助活動について触れておるわけです。そこでどう言っておるかというと、自衛隊とは別個の組織をつくって、そしてその組織がPKOの活動のほかに災害援助活動にも従事をしていくのだというふうな記載がしてあるわけです。その三党合意と果たして整合性があるのか。  また、最初申し上げましたけれども、私は今大切なことは、緊急性とか必要性とか、その場その場の緊急性、必要性だけを理由にして、そうではないとおっしゃると思いますけれども、それだけを理由にして自衛隊の海外派遣を論ずるのではなくて、根本的に自衛隊のあり方を真正面から論議して、その上で十分な国民合意に基づいた自衛隊の任務、また位置づけをしていかないといけないのではないか、私はそのように思う次第でございます。大臣、いかがでしょうか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 御指摘のとおりだと思います。  私は率直に申し上げて、この国際緊急援助隊法が国会で御審議をいただき、法律となって成立されてから三年有半の日時が経過したわけでございますが、国際環境は大変変わってきた。しかも日本の国際協力を求める声は国際的に非常に強まっている。また自衛隊が災害出動を国内で災害の際にいたしました場合に、今日では知事の要請に基づいて自衛隊が各地の災害復旧に大変大きな貢献をされていることは国民の皆様方に既に十分御存じをいただいているところでございまして、そのような貴重な経験、またノーハウというものを国際的に生かすことが可能かどうか、こういうことを率直に御議論をいただくことが極めて重要な時期になってまいった。これは国際国家としての信頼と期待を今得ている日本としては、十分国民の間で御議論をいただく、また国民の代表のいられる国会で御議論をいただくことが将来の日本のために大変必要であるという認識を持っております。

北側一雄公明党・国民会議

○北側委員 以上でございます。

渡辺省一自由民主党

○渡辺委員長 寺前巖君。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 きょうは、イラクがクウェートを侵略しておれの十九番目の州だ、こう言って侵略を合法化しようとしたあの湾岸戦争を振り返ってみると、そのイラクの行為を、覇権主義として侵略主義を助長した要因には、武器をイラクに強化をするという役割があったということを私たち世間の者はみんな見ていると思うのです。きょうは、国際的に武器の輸出問題について検討すべき段階に来ているんじゃないだろうかという問題についてお聞きをしたいと思うのです。  ことしの三月一日ですが、アメリカの国防総省がエジプトにF16戦闘機四十六機を売却するという発表をしているんですね。それから十九日になると、兵器を輸出する際に最高十億ドルの信用供与を企業に与える、さらに相前後して総額約百八十億ドルの武器を中東諸国に売却する計画まで出てきている。あの戦争の苦い経験からしても、もうそういうことをやめようじゃないかということが話題になっている最中に、いよいよ戦闘は終わった、終わらす、そういう事態においてもう売却の話が始まってきている。一体この戦争をどういうふうに見ていたんだろうか。  最近「ワールド・ミリタリー・エクスペンディチャーズ・アンド・アームズ・トランスファーズ」ですか、この本を図書館の調査局へ行って見せてもらってきました。国際的に武器の輸出入というのを書いてある資料というのは何にあるのだろうか、余りないのですね。アメリカの軍備管理軍縮局が出している本、あるいはまたストックホルムで出しているところの資料など、考えてみたら二つぐらいしか世界的にはないのかなというふうに私なりに見たわけです。  この資料を見てみますと、世界の軍事費と兵器移転報告書は一九八四年から八八年の五年間にイラクの兵器の輸入額は二百九十七億ドル、こう出てくるのですね。これはべらぼうに多いですよ。二番目のサウジアラビアが百九十五億ドル。ですから物すごい武器を世界各国がここに輸出をして、そしてああいう覇権主義、侵略主義を実行させる保障をしてやったようなものだ。なぜそういうことになってきたんだろうか。あのイラン・イラク戦争で、反西側的色彩の強いイランのイスラム原理主義を封じ込めよう、そのために面倒見てやった方がええで、そういう意図を持ってイラクにせっせと軍事支援をやっていたというふうに世間の人は見ていると思うのです。  それでは一体どこの国がこういうことを積極的にやってきているのかと見ると、そこにはソ連があるしフランスもあるし中国もあるし、こう出てくるわけです。まあ世界の大国がずらっとそこに名前が出てくるわけでしょう。アメリカの政府高官の最近の発言を見ても、イラクへ米国のハイテク軍事技術がほとんど無制限で輸出されたというようなことまで出てきていますよ。寄ってたかってイラク軍の近代化を推進するという役割を担ってきているだけに、この中東地域に対して、あるいは世界のこういう武器輸出に対して、この際に禁止をする、規制をするということを国際舞台の重要課題として位置づけて行動すべきではないんだろうか。  特に米ソを中心とする世界の大国が重要な役割を担っているだけに、アメリカがもう戦争が終わりになってくるとすぐに武器の輸出問題でこういうことをやっているというのはまことに嘆かわしいことだ、私はそういうふうに思うのですが、外務大臣はどういう御見解に立っておられるのでしょうか、お伺いしたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 委員も統計資料をもとにいろいろお話しいただいているわけでございまして、イラクに対する武器の輸出をやった国というものはいわゆる世界の大国、ソ連あるいはフランス、中国といったようなところが大方の輸出国であります。そういう中で、中東という地域、この地域は極めて激しい国家間の対立の歴史を持っておりまして、今回イラクがいわゆる国連安保理決議を受諾することによって停戦が成立したわけでございますが、その後の湾岸地域の平和と安定のための各国それぞれが考えている安全保障という問題は、この地域の非常な特殊性を持っているものだと私は考えております。  先般GCCの各国とエジプトの外務大臣がシリアのダマスカスに集まってこれからの中東和平についてのいろいろな協議をいたしておりますが、その中においてはやはり各国がその国の安全保障をどうするかということを極めて強く主張していることは注目すべきことだと考えておりまして、私は、この地域の武器の管理・登録制度といった ようないわゆる今回考えられている、今米ソの外相会談が開かれた直後でありますけれども、中東各国がこの地域の安全保障を議論する会議が持たれた際にこの地域の軍縮あるいは軍備管理というものをどのようにするかということの議論をされることを日本の外務大臣としては期待をいたしております。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 例えばイラクには中国の武器が随分行っている、あるいはソビエトも行っている。武器が行くだけではなくして、その武器との関連で人の配置もやらなければならない。訓練もしなければならない。そういうことがどういう結果を生んだのかということをあなた自身も先刻御存じの上で、最近アメリカなりソビエトなり中国なりこういう大国の幹部の皆さんといろいろお会いになった。それぞれの国に対してどういうふうに問題を提起されたのか、具体的にお話を聞きたいと思うのです。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 私は、率直に申し上げてこの地域に対する軍備管理、このようなことで各国の超大国がそれぞれ協力をすべきであるということを考え、話し合っております。この地域はこの地域のいわゆる各国の責任者がそれぞれ地域全体の平和と将来の安全保障のことを協議する、そのような判断の中でそれぞれが軍縮をし、軍備をする。超大国はそこに兵器の輸出というものはやはりその地域の意思に応じて考えていかなければならない。今までのような米ソの対決の中での武器の輸出といったようなことではなしに、今回はこの地域の全体会議というものが開かれるわけでありますから、私はそういう面で超大国も含めてこの軍備の削減・軍備管理というものは必要であるということを申しております。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 四月十日の参議院予算委員会の会議録を読んでいますと、外務大臣はこういうふうに発言をしておられますね。「我々は、日本の技術力をもってしては相当近代化の水準の高い兵器を生産する能力を持っておる国にかかわらず、武器輸出三原則で国際平和のために一切武器を輸出していない、これが日本の国是である、そういう立場から考えると、中国に対してもひとつ武器の輸出を自粛してもらいたい、こういうことを要請したわけであります。」中国には武器を出すのを自粛しなさいよという問題提起をおやりになったように聞こえるのですが、そうじゃなかったでしょうか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 先般の訪中をいたしました際に、銭其シン外相との外相会談において、そのようなことを中国に申しておりますし、先日訪日されました中国の貿易部長との会談においても、私が率直にその点を申し上げております。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 それでは中国に問題提起されたわけですが、ソビエトとアメリカについては武器の輸出の自粛を要請されなかったのですか、されたのですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 ソ連に対しても申しております。  アメリカに対しても、この地域の軍備管理というものの重要性を日本政府としては申しております。  ただし、申し上げておきたいことは、中国側の私に対する返事は次のようでございました。この地域への武器の輸出というものは、いわゆる安保理常任理事国が八〇%以上を占めている。ここで中国だけが武器の輸出をやめろ、自粛しろと言われても、他の国の問題がここに存在しているということの指摘がございました。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 私の聞きたいのは、中国にそういう提起をされた、それじゃ他の大国についてはどうなんだろうか。特に、アメリカが三月にF16を輸出するということまで公然と発表してきている。こういう事態のもとにおいて、エジプトにF16を四十六機売却するということまで発表してきておる、こういう事態の中で、アメリカに対してなぜ提起しないのだろうか。具体的でなければいけないと私は思うのです。  この資料を見ますと、中東諸国の武器輸出、例えばサウジアラビアは一九八四年から一九八八年までに百九十五億ドル輸入しているが、そのうちアメリカが二九・七%だ、フランスは三八・四%だというふうに数字が出てくるわけです。あるいはエジプトが出てきます。シリアについて言うならば、八十二億ドルという金額で八三・六%をソ連が出している。  そうすると、あの地域におけるところのこういう大国がせっせとやってきている経過と、それから現実にアメリカがまた売りますよということを提起している現実、こういうことを見たときに、総合的な管理と同時に、もともと武器は売るべきではありませんよと日本の立場に立って私たちは中国に言いました、こう言うのだったら、日本の立場に立ってアメリカやソ連やフランスに何で堂々と要求をしないのだろうか、私はわからぬのはそこなのだ。  一番言うべきところのその国に対して、新しい問題、新しく武器売却が始まってきているという事態に合わせて、ちょっと待ったをかけるという問題提起をすることがなぜ日本はできないのだろう。本当に国際的貢献を言うならば、そういう積極的な提起をすべきではないのだろうか。いかがですか。

丹波實外務省国際連合局長

○丹波説明員 ちょっと事実関係の問題が絡んでおりますので、私の方から答弁させていただきたいと思います。  まず、現在の先生御提起の問題につきましての国連を含みますところの国際社会の考え方は、武器を輸出することはいけないという考え方ではございませんで、一定地域の軍事バランスを崩すような武器の輸出というものに問題があるという考え方であろうかと思います。  一国一国の立場をとりますと、国として自衛権というものがある、その自衛権を全うするためにはある程度の武器は必要であるという考え方に国際社会は立っているわけでございまして、これは例えば一九八八年の国連総会の「国際兵器移転」というタイトルの決議が採択されておりますけれども、その中で「地域の特種事情を考慮にいれた上で、国家の安全保障上必要な合法的なもの以上の」、つまり合法的なものがあり得るという考え方に立っておりまして、「合法的なもの以上の武器の獲得を抑制する手段・方法」というものを検討していこうじゃないか、そのために「全世界的な武器移転に関する公開性・透明性」というものを高めようじゃないかということをこの決議が言っております。  まさにここで言っておるのは二つでございまして、繰り返しになりますけれども、国家そのものから見た場合に合法的に自衛権を全うするための武器の獲得ということがあり得る、問題なのはその必要な以上の獲得が問題なんだ、それを抑制するために公開性、透明性というものを高めていこうじゃないかという決議でございます。  ちなみに、この決議のもとに現在国際兵器移転専門家グループというものがつくられておりまして、ことしの秋に検討の結果の報告書を事務総長に提出することになっております。基本的にこのグループの出してくる結論は、その透明性、公開性を高めるために一体どういうことがあり得るかということを議論したということでございます。  最後に、また繰り返しになりますけれども、問題は、一定地域の軍事バランスというものを乱す、不安定にさせるという意味での武器輸出が問題になっているということでございます。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 私はそんなことを聞いているわけじゃない。外務大臣が予算委員会で御発言になった精神は非常に大切だと思ったから聞いてみたんだ。外務大臣はそのときにおっしゃっていたのはそうじゃないのです。日本の国是があって、この立場を世界的な交渉の基本の姿勢にするんだという立場を表明されたのは、私は非常に感銘しましたよ。感銘したのです。武器輸出三原則で国際平和のために一切武器を輸出していないんだ、これが日本の国是だ、その立場から中国へ行ったときに、ひとつ武器の輸出は自粛するようにしてもらったらどうだろう、こう提起した、なかなかやりよるわい、こういって感心しておった。  ところが、さっきから話を聞いておったら、管理の話ばかりしてこの精神の話が出てこない。これは外務大臣、外務省の中で言われてしまったのかいな、あの精神、おまえはけしからぬ、そんなことを言うておったらあくか、日本国憲法がどうのこうの、国是がどうのこうの、そんななまっちょろいことを言っておったらどうするんだというて外務省の中で大臣が孤立してしまったのかいなと不安になってきた、あれ、閣議で怒られたのかいなと。それやったら違うで。外務大臣のここで提起された、日本の国是に従って外交交渉をやってきたと胸を張って予算委員会でおっしゃった話こそ大切にしなければならぬ話じゃないだろうか。  確かに海部総理が日米首脳会談、四月の上旬でしたよ、ここで言っているのはこう言っている。「今回の湾岸戦争を通じて、大量殺りく兵器の不拡散と、通常兵器の他国売却に関して公開性、透明性を確保することがいかに重要かを改めて認識した。国連主催で武器の国際取引に関する会議を開く必要がある。」公開性、透明性だ。  公開性も透明性もええけれども、ともかく武器を売って、そして覇権主義国になってしまう、侵略主義国になってしまうという事態をつくった責任。考えてみたら、日本国のあの憲法の精神、武器輸出三原則のあの国是、こういう国是の精神が国際的に持ち込まれることの方を強調することこそやってほしい話だったなあと私は思うんですよ。だから、そこは外務大臣、本当に後退したなあというふうに私は思うのですが、そうやないと。それはもう武器輸出三原則に基づいてこれからもやりますよ、アメリカにもそれはあかんと。もう売り込むようなことも早速やり始めた。かつて死の商人という言葉が流行したことがありますよ、あの第一次世界大戦、第二次世界大戦のときに。本当にそういうことにしてしまったらだめだ、こういう気持ちをやはり私は堅持してほしいなあと。御発言ありますか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 我々の考え方というものは何ら変化をいたしておりませんで、今月の末に京都で開かれます国連軍縮会議、これは日本の政府と国連との協力によって京都で百人ぐらいの海外からの出席者を入れて、ここで改めて国際社会におけるいわゆる軍備の削減・軍縮問題を日本政府がイニシアチブをとって会議を開くわけでございまして、そのようなことから日本の外交方針というものは一つの原則というものを貫いていることを御理解いただきたいと思います。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 一番言わんならぬアメリカが、世界で大量の、あるいはソビエト、大きな超大国が現実的に売り始めた、この事態が起こっているんだから、ちょっと待て、これを言うのか言わぬのか、これが一番大事なところやと私は思いますのやで。そんな一般論と違うのや。これを売るって言い始めたんだから、ちょっと待て、こう言うのか言わぬのか、これは重要や。これは首脳会談で総理がそう言うかと思ったら違うのや。何やら公開性や透明性を確保するとか、そんなこと、それも大事なことかしりまへんで、そやけど、あんた、売ろうというやつを、ちょちょちょっとそれ待て、こう言うのか言わぬのか、それが大事なところや。それを言わぬようやったら、何やってるのやということになりますやろ。  わしが聞きたいのはそこなんだ。僕は、中国へ行かれてぱあんと問題提起された、あれが大事やと思う。それをやりなさい、こう言うておるんだ。国際会議をやっても具体的にそれを言わなんだら、ちょっとアメリカさん、あんた売ることを決めたけれども、もう売り始めたんか、どれだけ売っとるんや、それが世界のバランスにどうなると思うとるんやと言うて、そこで詰めなあかんのや。それでこそ値打ちのある三原則を持っている、おお、さすがに日本の外務大臣やな、こうなりますのや。それをやらなあかんと。  私はこれを見たついでに、今度は日本のやつが出てきよるのや、ここに。それで、これを見ると日本は武器輸出国になって出てくるんや、この中に。日本の武器輸出の金額が出てきよるのや。一九八〇年を見ると九千九百万ドル、八一年に二億八千四百万ドル、八二年に一億九千四百万ドル、八三年に三億六千二百万ドル、八四年に三億一千五百万ドル、八五年に一億五千三百万ドル、八六年に一億八千百万ドルかな、八七年に一億一千四百万ドル、八八年に七千万ドル。ずっとこの中に日本のやつが出てきますのや、この金額が。これは武器輸出になっているのでっせ。外務大臣は武器輸出三原則がある、こうおっしゃった。ところが、この統計を見ると武器輸出の金額が出てきよる。これはどういうことですのや。

丹波實外務省国際連合局長

○丹波説明員 これは軍備管理軍縮庁、ACDAでございますけれども、ACDAのこの数字を作成した担当官に聞いてみなければわからないと思いますけれども、その理由は、武器の定義をどういう定義でとっているのかということによろうかと思います。日本政府としていわゆる武器輸出三原則というものを厳格に適用してきていることは御承知のとおりでございまして、それをすり抜けたものが外国に行ってて、それが載っているということではないと確信いたしております。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 それはそうやろ。外国が出しているものやから外国に聞かなんだら、何でやというのはわからへんわな。確信したってあかへんのやで。聞かなあかんのやもん。そんなもん外国のことや、そんな、確信を持ってますのやと言うたってあかへんのや。何でも素直に聞きなはいよ。それが大事やと言うのや、わしは。  これを見るとこんなのが出てきますのやで。九三、〇六 九〇—〇〇〇というところに爆弾、機雷、ミサイルと部品、金額の単位は何だ、単位は千円だ、アメリカに二千九百八十七万六千円、こういうふうに出てきよるのや。ミサイルというのが出てきよるのや。えらい物騒な話になってきよるわけやね。書いてあるのやもん、しゃあないわな。書いてあるのや。そうすると、これはやっぱり調べないかぬのと違うやるか。私ら、一体世界の武器はどないになっとるのや、各国の輸出の状況はというので見ようと思ったら、ともかく私が知ったのでは二つしかないんだ。これとストックホルムのやつと。これを世界的にやはり頼りにしよるのや、いや応なしに。そこに、日本は武器何とか三原則ですのや言うたって、おまえさんのところ何や、ミサイルやら何やら売ってますがな、こうきられるのやで、外務大臣。そうでしょう。これは私ははっきりと一回、数量とか金額とか国別資料とか、日本のこういう輸出の問題についてきちんとした資料を持っていなかったら、外国で出たやつに対して、それは違いまっせと言うのやったら、違いまっせという説明がきかなあかんと思うのや。これは一体どういうことになってますのや。これが間違いなのか、これは合うとるのやけれども、日本に資料がないでうまいこと説明つかぬで、これが天下御免で流れてますのやと言うのか、これはどういうことになってます。通産省、お願いいたします。

鹿島幾三郎通商産業省貿易局輸出課長

○鹿島説明員 先生御質問の件でございますけれども、私どもの方でも米国の軍備管理軍縮局の統計がどういう統計かということにつきましては、大変申しわけございませんけれども、その詳細を承知しておりませんのでコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、我が国の輸出に関しましては、先生御承知のとおり通関統計という大蔵省がつくっております統計がございまして、ただし、ここでも武器という統一的な項目があるわけではございませんで、例えば拳銃でございますとか、あるいは火器といった複数の項目に分かれて掲上されておるわけでございます。それらの項目の中には例えば猟銃でございますとか、あるいはオリンピック等に使いますスポーツ銃でございますとか、こういったものも含まれておりまして、武器の輸出につきまして正確にいかほどの輸出があるということを申し上げることは困難でございます。  もちろん、先ほど来御答弁でもございますように、我が国としては、武器の輸出に関しましては、武器輸出三原則あるいは政府統一見解といったものに基づきまして大変厳格に輸出に規制を 行ってきておるわけでございまして、通関統計にあらわれております輸出の、こういった例えば猟銃、スポーツ銃といったものは今申しました武器三原則上の武器ではございませんので、そういったたぐいの輸出でございますとか、あるいは先ほどちょっと米国向けのミサイルの輸出があったようなお話もございましたけれども、外国から購入された武器につきまして、これを修繕をするとか、あるいは不備がございまして、欠陥がございまして、それを返還するといったような場合もこれに掲上されるわけでございますけれども、いずれにしましても武器輸出三原則で禁止されておる武器の輸出に当たるものではないというふうに考えております。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 もう時間が来たから残念ですけど。  私は、これは「日本貿易月表」八八年十二月版を持っておるのですよね。これは八九年も九〇年も出ましたんやろな、もう。これをずうっと拾うて、武器の項目のところをずうっとやったら、思わぬ話としてさっきのミサイルの話が出てきたわけですよ。それで、一体これはちゃんと数量、金額、国別にどういうふうにしているんだという資料はありますのかいな、ないんですかいな。あるんじゃったらあったで、資料を提出してくださいな。ともかく、武器輸出三原則があるというのに武器が出てきて、ミサイルが出てきて、そのミサイルが、それは何や今の話を聞いとったら修理に出した金額が書いてあるのやとかと。それやったらそれで、ちゃんと整理をして、こんな物騒な話は絶対に御心配要りませんというような統計がちゃんと出されているものだったら、その統計をひとつ見せてください。わかりやすいやつを見せてください。  それから、大臣にお願いしたいのですが、軍縮の京都会議ですか、やられるとか、それからサミットがある。そういう国際会議で、今湾岸戦争が停戦になった、その事態において、もう早速武器輸出のいろいろな計画がだあっと、さっきも言いましたように、すごい、百八十億ドルという、日本円にすると二兆五千億円ほどになりますか、そういう売り込みが始まってきている、計画が出されている。ちょっと待ったと言うて、やってくれますか。やってくれるのか、やってくれないのか。公開性や透明性やなんというような抽象論をどこかで演説してはったのはよろしいけど、私の願いは、具体的にちょっと待ったという声をかけるのか、かけないのか。ちょっと総合的に相談しようじゃないか、ともかくそれは待ったというふうにおっしゃるのか、おっしゃらないのか、この点を最後にお聞きして終わりたいと思います。

鹿島幾三郎通商産業省貿易局輸出課長

○鹿島説明員 お答えいたします。  現在のところ、我が国の武器輸出三原則で言う武器に関しまして統計はとっておりません。ただ、先ほどお話も出ておりましたけれども、現在、国連の場におきまして国連への報告制をどういうふうにしていったらいいかということが検討されておる最中でございまして、そうなれば関係各国はその自国の輸出入につきまして当然実態把握をしなければならないことになるわけでございます。  しかしながら、先ほど申しましたけれども、武器というものにつきましては定義がいろいろございまして、どういった範囲の武器を国連への報告制の対象とするか、あるいは例えば修理品の輸出入といったことも今の報告制の対象にするかどうかといった非常に技術的な問題もございまして、これらについてはまだ統一的なルールがないのが現状でございます。  私どもとしましては、できるだけ早くこうした国連の場におけるルールづくりが完成して、それに基づいて対応してまいりたいと思っておるところでございます。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 委員から日本政府としてサミットでどういうことを言うのかというお尋ねでございますが、私は実は一昨日イラクの片倉大使、今、日本に帰っておりますが、彼と二時間余り懇談をいたしました。つまりイラクのサダム・フセイン政権というものが今回の事件を契機にどうなっていくのか、あるいは隣国であるシリア、イスラエルあるいは湾岸諸国、これらの国々の人々の考え方はどうなのかということを尋ねましたところ、彼は率直に次のように申しております。つまりこの地域の各国はそれぞれ自国の安全保障のために大変厳しい考え方を持っている、そうして中東のバランスが崩れるこの状況の中で、どのように将来の自国の安全保障を考えるか。御案内のように、イスラエルとシリアとの関係も極めて厳しいものがあります。シリアとイラクの関係も極めて厳しいものがある。そういう中でそれぞれの国には生きる権利があるわけでございまして、そのような国々の指導者が国民の生命と財産のために安全保障をやるということは、これは政治家の大きな責任であろうと思います。  そういう中で、先ほど国連局長が申しましたように、秋に向けて現在協議をされております国際的な武器の透明性、公開性を確立するための報告が現在つくられている最中でございまして、日本政府としてはそのような国連を中心とする考え方、また中東の和平等について、サミット等においても武器の透明性、公開性というものを各国の安全保障政策も踏まえた上でどのようにやっていくかということについては協議をすることが重要であると考えております。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 時間が来ましたのでやめますが、はっきり物事というのは言ってほしいなということを率直に申し上げます。

渡辺省一自由民主党

○渡辺委員長 次回は、明十六日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十六分散会

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