外務委員会 第9号
- 発言数
- 319 件
- 登壇者
- 28 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1991/04/12
会議録
○牧野委員長 これより会議を開きます。 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とバングラデシュ人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とブルガリア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とフィンランド共和国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び国際通貨基金協定の第三次改正の受諾について承認を求めるの件の各件を議題といたします。 これより各件について政府より提案理由の説明を聴取いたします。中山外務大臣。 ───────────── 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とバングラデシュ人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とブルガリア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とフィンランド共和国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件 国際通貨基金協定の第三次改正の受諾について承認を求めるの件 〔本号末尾に掲載〕 ─────────────
○中山国務大臣 ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とバングラデシュ人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 政府は、バングラデシュとの間で租税条約を締結するため、バングラデシュ政府と数次にわたって交渉を行いました結果、平成三年二月二十八日にダッカにおいて、我が方井口特命全権大使と先方カーン大蔵省国内資金担当次官兼国家歳入庁長官との間でこの条約に署名を行った次第であります。 この条約は、これまでに我が国が諸外国との間で締結してきた租税条約と同様に、経済的交流、人的交流等に伴って発生する国際的二重課税の回避を目的として、バングラデシュとの間で課税権を調整するものであり、条約全般にわたり、OECDモデル条約案に基本的に沿ったものとなっております。 この条約の主な内容といたしまして、まず、事業所得につきましては、企業が相手国内に支店等の恒久的施設を有する場合に限り、かつ、当該恒久的施設に帰属する利得に対してのみ相手国で課税できるものとしております。ただし、国際運輸業所得のうち、航空機の運用による所得に対する租税につきましては、相手国において全額免除とし、船舶の運用による所得に対する租税につきましては、相手国において、その国内法上の課税額の五〇%または課税対象総収入の四%のうちいずれか少ない方の額で課税できることを定めております。また、投資所得につきましては、配当、利子及び使用料についてそれぞれ源泉地国における限度税率を定めております。 この条約の締結によって我が国とバングラデシュとの間での各種所得に対する課税権の調整が図られることとなり、両国間の経済及び文化の面での交流が一層促進されるものと期待されます。 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とブルガリア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 政府は、ブルガリアとの間で租税条約を締結するため、ブルガリア政府と数次にわたって交渉を行いました結果、平成三年三月七日にソフィアにおいて、我が方田島特命全権大使と先方コストフ大蔵大臣との間でこの条約に署名を行った次第であります。 この条約は、これまでに我が国が諸外国との間で締結してきた租税条約と同様に、経済的交流、人的交流等に伴って発生する国際的二重課税の回避を目的として、ブルガリアとの間で課税権を調整するものであり、条約全般にわたり、OECDモデル条約案に基本的に沿ったものとなっております。 この条約の主な内容といたしまして、まず、事業所得につきましては、企業が相手国内に支店等の恒久的施設を有する場合に限り、かつ、当該恒久的施設に帰属する利得に対してのみ相手国で課税できるものとしております。ただし、国際運輸業所得に関しましては、船舶及び航空機のいずれの運用による所得に対する租税につきましても相手国において全額免除することを定めております。また、投資所得につきましては、配当、利子及び使用料についてそれぞれの源泉地国における限度税率を定めております。 この条約の締結によって我が国とブルガリアとの間での各種所得に対する課税権の調整が図られることになり、両国間の経済及び文化の面での交流が一層促進されるものと期待されます。 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とフィンランド共和国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 政府は、昭和四十七年二月に署名されたフィンランドとの間の現行の租税条約を改正する議定書を締結するため、フィンランド政府との交渉を行いました結果、平成三年三月四日にヘルシンキにおいて、我が方黒河内特命全権大使と先方スクールニク大蔵省国際租税審議官との間でこの議定書に署名を行った次第であります。 この議定書による改正の主な内容としまして、フィンランドの税制改正に伴い、現行条約に定めるフィンランドにおける対象税目の一部を改正し、船員税にかえて非居住者の所得に対する源泉徴収税を対象税目とするとともに、フィンランドにおける二重課税の排除の方式につき一定の所得を除き国外所得免除方式を定めている現行条約の規定を改正し、一定の配当以外の所得について外国税額控除方式とすることを定めております。 この議定書の締結によって我が国とフィンランドとの間の二重課税回避の制度がさらに整備され、両国間の経済及び文化の面での交流の緊密化に資することが期待されます。 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。 最後に、国際通貨基金協定の第三次改正の受諾について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 この改正は、平成二年六月に国際通貨基金の総務会で承認されたものであります。 この改正は、国際通貨基金に対する加盟国の債務の履行遅滞の増大に対処するとの観点から、国際通貨基金協定上の義務の不履行を続けている加盟国の投票権の停止等を規定することを目的とするものであります。 我が国がこの改正を受諾し、その早期の発効に寄与することは、国際通貨基金における我が国の国際協力を推進するとの見地から有意義であると認められます。 よって、ここに、この改正の受諾について御承認を求める次第であります。 以上四件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
○牧野委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 ─────────────
○牧野委員長 これから質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松原脩雄君。
○松原委員 まず最初に租税条約についてお伺いをしますが、現在我が国は三十六カ国と租税条約を締結しておりますが、相手国側から条約締結の希望表明というものがあったのが発端として交渉を進められたのが大部分なんですね。そこで、三十六ある租税条約中、我が国が締結希望を表明して、こちらから表明して作成されたものがあるのかないのか、お答えをいただきたいと思います。
○野村政府委員 今先生御指摘のとおり、日本は三十六カ国と結んでおりまして、大部分の国が相手側からの希望というふうにおっしゃられましたけれども、これは日本と外国との間の人的あるいは経済的な交流の実態を反映して結ばれるものでございまして、日本の方から希望を表明して締結した国も結構数多くございます。具体的に国名を若干申し上げさせていただきますと、インドネシア、エジプト、オーストラリア、オランダ、韓国、シンガポール、スペイン、中国、スリランカ、ドイツ、ニュージーランド、ハンガリー、フィリピン、フランス、ブラジル、ベルギー、ポーランド等の国につきましては、むしろ我が国の方から積極的に締結を希望して締結に至った、そういうことでございます。
○松原委員 それでは、現在この種の租税条約締結を希望しておる国、そういう国がありましたらそれをお教え願いたいということと、もう一つ、租税条約の改正を希望している国がございましたらそれをお願いしたいと思います。
○野村政府委員 新たに日本との間で租税条約の締結を希望している国の数としましては、十四カ国ございまして、そのうち既に三カ国とは交渉を行っております。若干の国名を申し上げさせていただきますと、フィジー、チュニジア、アルジェリア、ルクセンブルク、ポルトガル等でございまして、現実に交渉を行っておりますのは、トルコ、ユーゴ、アルゼンチンの三カ国でございます。 また、改正でございますけれども、改正につきましても、希望している国、七カ国ございまして、そのうち二カ国とは交渉中でございます。交渉中の国としましては、ニュージーランド、マレーシアがございます。改定について交渉を申し出ている国としまして主なものはインドネシア、スリランカ、ノルウェー、オランダ等でございます。
○松原委員 我が国の方から租税条約の締結を希望している、こちらの方から希望している国というのはございますでしょうか。
○野村政府委員 既に三十六カ国と結んでおりまして、これは二カ国結びますと三十八カ国になるわけでございますけれども、今のところ、私どもの方から積極的に特に締結したいという形で具体的な交渉について考えておるという国はございません。
○松原委員 租税条約のうち、特に発展途上国との場合においてはいわゆるみなし外国税額控除と言われる規定が入っておる場合が多いようですが、このようなみなし外国税額控除を条約のうちに入れておる、そういう条約関係にある国は何カ国ほどで、そのうち幾つか国名を挙げていただけますか。
○野村政府委員 先生御指摘のとおり、開発途上国との間で締結いたしました租税条約につきましてはみなし外国税額控除というのを取り入れておる場合が結構多うございまして、我が国が既に締結した租税条約のうち、十四カ国との間の条約についてはそれを採用いたしております。 主な国としましては、シンガポール、パキスタン、インド、タイ、マレーシア、スリランカ、ブラジル、ザンビア、インドネシア、フィリピン等でございます。
○松原委員 このみなし外国税額控除制度というのは、課税の公正というような観点からしますと問題がある。私も、これは制度としてはちょっと問題があるんじゃないかと思うのですが、このみなし外国税額控除制度を導入しておる理由、その辺についてはどのようなお考えでこれをやっておられるのですか。
○野村政府委員 開発途上国との間の条約につきましては、開発途上国の経済発展に、先進国の側からする投資がプラスになるという点が考慮されるべきであるというのが租税条約についての国連のモデル条約の考え方でございまして、開発途上国の方から、進出企業に対しまして特別の税の優遇措置を講じておるという場合に、それをこういうみなし税の考え方を取り入れることによりまして、進出企業が出やすくするということでございます。もしそれでないと、結局居住地税課税ということで、日本で、先進国の側で課税することになるわけでございまして、そういたしますと、せっかく開発途上国の側で企業誘致等のために免除等の優遇措置をとっているという効果が相殺されてしまう、そういうことでございます。
○松原委員 私は、その点どうもODAの現実の行使の状態を見ておりましたら、相手国政府との不透明な癒着といいますか、そういうものがかなりあるように私は思うのですね。ですから、みなし外国税額控除という制度をしておりますと、現実に相手国の政府での税率とみなし税率との間にギャップが生じますから、ちょうどそこのギャップのところが相手国政府との不透明な癒着に使われたりするということだって考えられぬことではない。したがって、投資を促進するためにこういう制度を置いたということですが、その半面では病理的な面も発生し得るのではないかという観点からしまして、この制度そのものを将来にわたって見直していくとか、そういうふうなお考えはお持ちなんでしょうか。
○河上説明員 お答えいたします。 みなし外国税額控除につきましての、言うならば開発途上国側からの御要望ということにつきましてはただいま外務省の方から御答弁があったとおりでございますが、これに対しまして、この制度につきまして、やはり税負担の公平といった観点から問題があるのではないのかという先生の御指摘、こういう御意見は確かにございまして、政府に税制調査会がございますが、こちらの御答申におきましても、確かにその意義は認めるものの、また一方でその適用あるいは範囲につきましては合理的なものに限るべきではないのか、こういう御答申をいただいておるわけでございまして、私どもといたしましてもこの制度の意義、それからまた合理的な範囲といったものを十分見きわめつつ、また相手国との関係もございますが、そこら辺とよく話し合いをいたしまして、できる限り適正なものにしてまいってきておりますし、今後もそうしたことで対応したい、かように考えております。
○松原委員 そこで、今回のバングラデシュとブルガリアの両条約についてお聞きをしますが、この両条約に関してそれぞれいつごろ我が国に対して条約締結の希望の表明があったのか。そして政府の見るところ、両条約締結を希望してきた各国のねらいといいますかメリット、それをどのように見ておられるのか、お伺いをしたいと思います。
○谷野政府委員 私の方からバングラデシュの件についてお答えいたしまして、後ほど欧亜局の審議官からブルガリアの件をお答えすることにいたしたいと思います。 バングラデシュにつきましては、一九七九年の五月に先方から本件条約の締結について要請がございました。そして、この条約を締結することによりまして、先ほど来政府委員からも御説明しておりますように二重課税回避等の制度が整備されるわけでございますから、この場合日本とバングラデシュとの間の経済交流の一層の促進が期待されるわけでございます。 御案内のとおりでございますが、バングラデシュはかねてから日本からの投資を大変強く希望しておりまして、そのためにはこういった法制面での整備というのが日本の企業の進出に一定の安心感を与えるにも必要であろうという先方政府の強い認識もございまして、それを受けてお話し合いをし、今般の条約の締結になったわけでございます。したがいまして、これによりまして日本からの投資の増大を私どもも期待しておりますし、先方政府もそのような結果につながることを非常に強く期待しておるということだと思います。
○高島説明員 ブルガリアの関係につきましてお答え申し上げます。 ブルガリアにつきましては、一九八三年の六月に我が国に対して正式に租税条約の締結につき申し出がございました。先方の期待は、基本的には先ほど答弁がございましたバングラデシュと同様の期待でございまして、我が国との経済交流、人的交流をこの条約締結によって一層促進したい。特に、これもバングラデシュと同じでございますが、この条約締結によりまして日本からの一層の投資の促進を期待しているということでございます。
○松原委員 今度の租税条約について、ブルガリアとバングラデシュ、それぞれ交渉の開始時期が異なって、ことしの春先に署名になったということなのです。ブルガリアとの交渉は二年余りほどかかったのではないかと思うのですが、それだけの期間がかかった理由ですね。それからブルガリアとの関係で、条約作成に際する問題点は何であったのかをお願いしたいと思います。
○高島説明員 ブルガリアとの条約の締結交渉につきましては、ただいま委員御指摘のとおり約二年余りかかっております。そのように通常よりはやや長い期間を要したという理由といたしましては、ブルガリアの社会制度及び租税制度が我が国とかなり異なっておりましたことから、交渉の過程におきましてはまず相互の税制等についての理解を深める必要がございまして、さらにその上でブルガリアの租税制度の有する特殊性にかんがみまして、条約上の具体的な規定ぶりに工夫を要する点が若干あったということが理由の一つでございます。 若干具体的に申し上げますと、ブルガリアはいわゆる国籍主義という方針をとっておりまして、したがいまして、第三国にいるブルガリア人でもブルガリアの居住者と同じように課税するという制度をとっております。したがいまして、今回の交渉におきましても、このように第三国に住んでいるブルガリア人の所得等に対する課税を今回の条約の対象から外すというための技術的な問題等もあった次第でございます。
○松原委員 ブルガリアの件で、適用される租税のうち日本については所得税、法人税、住民税、そしてブルガリアにおいては総所得税、利得税、こういうふうになっているわけですよね。これは税の科目といいますか、それがちょっと変わっているように思うのですが、この点は、条約上このような違ったものとして扱ったことについて問題点なりなんなり税法上の問題点は生じはしないのでしょうか。
○高島説明員 確かに、御指摘のようにブルガリアとの租税条約におきましては、日本においては所得税、法人税、住民税が、またブルガリアにおきましては総所得税、利得税が課税対象となっており一見異なっているように見える次第でございます。ただ、ブルガリアにおきますこの利得税と申しますものは、ブルガリアの法人の利益にかかる税金ということでございまして、これは国税と地方税を含んだ税の総称ということでございまして、この税のうち五%は地方に回される税金、こういうことになっておる次第でございます。そういう次第でございますので、今回も我が方の側におきましても住民税を対象に含めたという次第でございます。──ちょっと訂正いたします。間違えました。五%じゃございませんで一〇%でございます。
○松原委員 そうしますと、ちょっと確認しておきますが、日本側の方では住民税を入れることになっていますね。それはブルガリアの方の対象税の中に住民税が含まれているからそれで均衡をとった、こういうことでしょうか。
○野村政府委員 基本的な考え方といたしまして、この租税条約の対象税目をどうするかという場合に、お互いに所得に対する税というのがあればそれを全部対象にする、それに相互主義の考え方を入れていくということでございます。したがいまして、今説明がありましたように、名前は違いますけれども、基本的には地方税、住民税の考え方がブルガリアにおいてあるということでございますので、私どもの方にも対象税目として住民税を入れておるわけでございます。 他方、御審議いただいておりますバングラデシュにつきましては、それがないということでございますので外している、そういう考え方でございます。
○松原委員 次に、バングラデシュの租税条約ですが、その中に国際運輸業の船舶について特別に源泉地国で課税できるようになっています。この条項が取り入れられた経緯とその理由を御説明願いたいと思います。
○野村政府委員 お答え申し上げます。 このケースも開発途上国との租税条約の場合の国連モデル条約のパターンに乗っておるわけでございまして、国際運輸業の場合には源泉地国では基本的には課税しないというのが一般的な考え方でございますけれども、やはり源泉地国においても課税できるように、税収入があるようにという配慮がなされている例でございまして、船舶については国内法の課税額の五〇%または課税対象総収入の四%のいずれか少ない方の額で税収入がバングラデシュの方に入り得るという配慮を行ったわけでございます。
○松原委員 こういう発展途上国に対する一種の優遇措置を入れながら租税条約がつくられていく過程はよくわかったわけです。 そこで、バングラデシュのことについて一点聞いておきたいことがございます。ちょうどことしバングラデシュで選挙が行われました。この選挙に日本の国会議員が超党派で六名出かけてまいりまして、いわゆる選挙監視活動を行ったわけです。その選挙監視活動、現地のバングラデシュでも、初めて日本の国会議員がこういう選挙監視の国際的な動きの中の一環としてやってきたということで随分報道もされますし、その団員でありました参議院議員の種田誠君もその手記の中で、今般の監視行動については、日本大使館において重厚な手配等の準備をしていただいて、極めて行動がスムーズに行われた。現地の大使館員各位に感謝を申し上げるというような手記も書いておられるようであります。監視行動は非常に成果が上がったという評価を私どももいたしております。そこで、バングラデシュ選挙に関する今回の日本の国会議員六名による選挙監視活動、この辺の経緯と評価について政府の方のお考えをお聞きしたいと思います。
○谷野政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、昨年十二月のバングラデシュにおける政変を受けまして、去る二月二十七日バングラデシュにおきまして国会の選挙が行われた次第でございます。そこで先方バングラデシュ側から、ぜひ日本からも、今お話しの、選挙のための視察団、監視団を送ってほしいという御要請がございまして、国会の中に日本とバングラデシュの議員連盟がございますが、私どもそちらへお話を御相談いたしまして、積極的に御対応いただきました。余り例のないことでございますので、そういった日本の姿勢をバングラデシュ側は大変高く評価したわけでございます。参議院の福田宏一先生に団長をお願いいたしましたけれども、社会党の方からもただいまお話しの種田先生も含めて、北村哲男先生あるいは谷畑孝先生、お三方の御参加を得たわけでございます。 御報告によりますと、歴史始まって以来の大変高い投票率のもとで、選挙は全般的に自由にかつ公正に、そしてまた平和裏にかつ非常に秩序正しく行われたということでございまして、その旨は現地での記者会見でも監視団の方から御発表になっております。私どもは、このようにバングラデシュにつきましても、せっかくの民主化への動きをいろいろな面で支援していきたいと思っておりまして、今後ともそういう面での可能な支援を行っていきたいと思っております。 この場をおかりして一つ申し上げたいことは、お隣のネパールでも五月に同じような選挙を予定しておりまして、ネパール側からもぜひ日本から選挙監視団を送ってほしいという要請を受けておりまして、またその時点で国会の方といろいろと御相談させていただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
○松原委員 今回の選挙監視活動というのは、これからの日本が、国際国家日本といいますか、国際貢献という問題をいろいろなレベルで積極的にやっていかなければならない、そういうものの一つのいい例を提示していただいた、こう私は思っております。特にPKOということになりますと、これは国連活動、国連平和維持活動、こうなります。しかし、国際的な貢献活動というのは何も国連活動には限らない。特に今回の選挙監視活動は国連活動というわけではなかったと思います。 この点で、アメリカもかなり大規模な選挙監視団を実は入れているのですね。しかしこれは、いわゆる民間活動として、NGOとして取り組まれておるということなんです。アメリカの場合はNDI(全米民主主義研究所)というふうな機関がこれに関与をして、例えば人を派遣するときにはもちろん費用がかかりますから、その費用には、国の予算のほかに、企業、労働組合、民間人などの寄附というものも組み合わせ、そういうものによって維持されている。こういう動きもこれから非常に参考になるし、今後日本も、政府もその方向で問題を前進させることをやっていくべきだと思うのです。いわゆる国際的フィランスロピー活動というものになるだろうと思うのです。ですから、今度のネパールその他の選挙監視に限らず、世界の民主化のために必要なそういう民間的諸活動について、今回は国会議員でしたが、これをもうちょっと広げてみる。 例えば、全国にいる地方議員の方なんかで、そういう活動があるならば私は参加をしたいという希望を募らせておく。あとはそこを支える資金です。資金のところはアメリカ型の、政府予算に民間の資金、寄附をいただいて資金の手当てをする、そういうこともこれからはどんどんやっていかなければいかぬ。その場合に政府もまたそういう方向性について明確な指針等を持っていた方がいいと私は思うのですが、その点についてちょっとお聞かせを願いたいと思います。
○谷野政府委員 ただいまお話しのようなことも十分念頭に置きまして、さしあたってネパールに五月、もうすぐでございますので、より幅広い方方の御参加を得てきちんと対応いたしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○松原委員 次に、フィンランドとの租税条約という点についてお伺いしますが、この条約の特徴を簡単に要約して御説明願います。
○野村政府委員 今回のフィンランドとの関係の租税条約の改正でございますが、これは専らフィンランド側の事情と申しますか、フィンランドにおける税法の改正に起因するわけでございまして、それに伴ってフィンランドの方から交渉申し入れがあり、改正することに至ったということでございます。 具体的には二点ございまして、先ほど大臣の趣旨説明にもございましたけれども、船員税というのが廃止された一方、非居住者の所得に対する源泉徴収税という新税が導入されたということ、さらには、フィンランドにおきまして、基本的には我が国と同じような外国税額控除方式をとるに至ったという点がございまして、それをそのまま反映いたしたということでございます。
○松原委員 そこで、ちょっと国際的な税の、所得の移動等を通じて一つの問題が出ておることは、特に多国籍企業に関しては問題がたくさん出てきていることは既に承知のとおりであります。 そこで昨今も、ことしになってからですか、AIU保険日本支社というのがありますが、それが日本において得た所得を海外に移転をする、そしてそれはどうやらどうも各国の租税制度をうまく利用した一種の脱税的な形態をとったのではないかという形で報道されているのですが、この種の多国籍企業が税をできるだけ逃れるというためにさまざまな国際的ないわゆる行動をすることについて、政府はこういう状況についてどういう御認識を持っておられるのか、まず一般的にお伺いしたいと思います。
○河上説明員 お答えいたします。 ただいま先生御指摘の多国籍企業がいろいろな国の税制を用いて、場合によっては租税回避を図るというような動きがあるのではないか。これに対します私ども税制の立場からいたしましては、やはり適正な課税、あるいは適正な納税ということは非常に重要である、こういう観点から、我が国の制度の整備をしてきたところでございます。例えば取引、親会社と子会社の間におきます取引の価格を操作することによります税負担の回避ということが考えられるわけでございますが、こういった移転価格問題に対応いたすために、昭和六十一年に移転価格税制を導入させていただいたわけでございます。
○松原委員 やはりこの種の、一種の租税を逃れるためによく出てくるところがいわゆるタックスヘーブン、租税避難地というのですか、タックスヘーブン、そういう国が現に存在していることは間違いがないわけですね。そして課税をしっかりやるためには、タックスヘーブン国での税務調査ということももちろんやっておられると思うのですが、その辺のところの実情はどうなっていますか。
○日出島説明員 先生御指摘のとおり、我が国の経済、大変国際化しておりまして、これを利用した脱税も多いということで、我々国税の執行当局といたしましては、海外取引を利用しました不正所得の発見に重点を置いた調査をやっているところでございます。特に、タックスヘーブンの国とか地域に海外子会社を有するような大法人に対しましては、一般に相当な調査日数を投入いたしましたり、また海外子会社が絡むような取引関係については、特に重点的に徹底した調査を実施しているところでございます。 また、海外取引調査に当たりましては、必要に応じまして調査官の海外派遣等によりまして海外取引の実態の解明、それから調査の充実というところに努めているところでございます。また、担当する調査官の方の質的な向上のためにも、調査官に対する外国語ですとか貿易実務及び海外取引調査技法の研修などを実施いたしておりまして、調査官全体の海外取引調査能力の向上に努めているところでございます。
○松原委員 そうすると、今そういう努力をなさっているのはわかりましたが、現実にそういうタックスヘーブン国に対するそういう税務調査が非常にうまく機能していて有効な成果を上げていると思われているのか、それとも、いや実はその努力をしているけれども、本当は難しいんだというふうに思っておられるのか、もしそうだとすれば、それを解決するためにはどういうふうなことが必要であるとお考えになっているのか、その辺はいかがでしょうか。
○日出島説明員 ただいまの状況をちょっと御説明させていただきますと、平成元年四月から平成二年三月までに決算期が到来いたしました資本金一億円以上の大法人の申告状況を見ますと、タックスヘーブン対策税制に規定されております特定外国小会社等を有するということで申告をいたしてきているものは、内国法人数、これはいわゆる親会社でございますが、六百五十四社ございまして、それらの有する特定外国小会社、これはタックスヘーブン等地域、国に本店等を有する外国法人で、内国法人等によってその発行済み株式の五〇%を超える株式等を直接、間接に保有されている会社を言うわけですけれども、これらのうち所定の基準によりまして一定部分が内国法人の所得に合算されるというもので、我々、課税対象留保金額というふうに言っておりますけれども、この特定外国子会社等によって日本国内で合算される課税対象留保金額は二百九十七億円に上っております。 次に、調査の方を申し上げますと、資本金一億円以上のタックスヘーブン対策税制に係るものにつきましては、平成元事務年度、これは平成元年七月から二年の六月までの間でございますけれども、申告に誤りのございました内国法人数は六十五件、そして申告漏れの課税対象留保金額は二十一億円となっております。このような状況を見ますと、タックスヘーブン対策税制は、十三年たったということもございまして、一般に浸透し効果を上げているのではないかと考える次第でございます。
○松原委員 ちょっと質問を変えたいと思うのですが、先ほどもバングラデシュの選挙監視団の点で若干申し上げました、昨今日本でも経団連の方で一%クラブというのをつくって、フィランスロピー、企業の社会的貢献といいますか、こういう活動が日本でもそろそろ本格的に始まりつつあります。これは、特にフィランスロピーの発達した欧米では、企業がただ利益を上げるという存在ではもはやない。それは社会における一企業市民として十分に社会の中で尊敬をされる、貢献をするということで盛んにフィランスロピー活動が行われているわけです。恐らくそれが日本にいわば外から入ってきたということで、今、日本でもフィランスロピー活動というものが言われるようになっていると思うのです。 これは今後、日本の企業が海外進出をしていく場合に、それぞれの国においてそのような企業のフィランスロピー活動をやはりやらないことには、今度は現地の方で、もうけて利益を上げて帰るだけだ、こういうふうな非難を受けてくることはもう間違いないと思うのです。そういう意味で、この種の国際的なフィランスロピー活動の重要性ということについて政府のお考えと、それから今後のいわば指導、その点についてはどんなふうにお考えになっているのか、お聞きをしておきたいと思います。
○渡邊(泰)政府委員 お答えいたします。 海外への進出企業が進出先においてよき企業市民、グッド・コーポレート・シチズンとして活動して現地社会へ融和、貢献していくことは重要である、こういうふうに政府も考えております。このため、今先生がおっしゃられました企業によるフィランスロピー活動の一層の充実が肝要である、こういうふうに考えております。 このようなフィランスロピー活動は、基本的には企業の自主的判断と責任において実施されるべきもの、こういうふうに念じておりますが、政府としてもその重要性にかんがみて、従来より米国あるいは東南アジア等で現地の進出企業関係者に対して、フィランスロピー活動の必要性について各個別の地方におきまして会議を開きまして理解を求めております。 そしてその際に企業の皆様から、自分たちではそういうことをやるけれども、政府としても例えば免税措置等で助力をしてほしい、こういうことを受けまして、我々の方でも今般海外広報協会に国際貢献減税というものを認めていただきまして、本社から海外への寄附に対して税制面から条件整備を図っております。現地におります企業が現地の法律に従ってこのようなフィランスロピー活動に対して免税措置、これは十分に利用するようにということで現地に指導をしております。
○松原委員 これとも関連しますが、企業が海外へ進出をしていくという傾向は今後も弱まることはないと思うのですね。 ことしの三月に報道があったのですが、グアム島へ進出をした日本のホテル企業が、今グアムでも相当ホテル建設ラッシュになっているようですが、現地の人たちのお墓、墓地の上にホテルをどんどん建てている、そういうことで現地の人たちが大変お怒りになっている、こういう報道があったのです。これはこの間韓国でも日本の進出した企業が、企業の撤退をめぐって現地の労働者の皆さんと労使紛争を起こしてしまっている、こういう例もありました。日本でもその手の乱開発をやってみたりとか、そういう企業はたくさんあるようですけれども、今後企業が海外へ出ていくときに、日本ではある意味では許されているようなことも一たん海外でやってしまうと、やはりこれまたその悪い影響が日本全体にはね返ってくる、こういうふうに私は思うのです。 そうしますと、そろそろ日本企業が海外投資をする場合のいわば行動基準というか一種の倫理めいたものといいますか、そういうふうな行動基準めいたものを日本国としても設定をして、そして企業の指導に当たるというようなことももう考えたらいいのじゃないかと思うのですが、その点いかがでしょうか。
○須藤政府委員 お答え申し上げます。 海外投資は受け入れ国に雇用機会の創出等の経済的な貢献をもたらすということもありまして、積極的に推進すべきだと考えておりますが、他方、先生御指摘のとおり、進出企業は地域社会の中でよき企業市民となることが期待されていると思います。このような配慮の欠如から御指摘のような感情的な摩擦が生ずることもありますので、そのようなことのないように努めていくべきだというふうに政府としても考えております。既に民間の経済団体におきましては、これまで自主的に海外投資に当たっての行動方針というものを策定しておりまして、その中のポイントの一つには、投資先の国の社会との協調、融和というようなことも入っておりまして、非常に正しい行動指針だと思いますが、外務省としてもこのような観点から引き続き企業に対して協力を求めていく考えでおります。 それから、御指摘のありました朝日新聞のグアム島のホテルの件でございますが、事実関係は詳細まだ調査中でございますが、これまで現地の総領事館を通じて判明したところでは、約二年ほど前に某日本企業が更地を買収してホテルを建て始めたところ、地下から古代の住居の跡が出てきたということで、その中からチャモロ人という現地人の遺骨が百体余り発見されたということが確かにあったようであります。企業側といたしましては、グアム大学の考古学の教授に調査をしてもらった上で地元の住民と話し合いまして、古代の住居跡を移して複製をつくって、そこに遺体も移して安置するという形で和解が成立したという報告を受けておりますが、その件とこの報道の件が同じかどうか、なお調査中でございます。
○松原委員 ちょっと外務大臣に取りまとめてお聞きします。 今までの質疑で、一つはバングラデシュの選挙監視団活動、これもまたこれからの日本の国際貢献のための大切な一場面として提示をされた。そういういわゆる国連、NGO活動的なものをも国際活動にとって重要であるということで位置づけをしておるというふうなお答えがございました。 これが一つです。 それからもう一つには、海外へ進出する企業に関しては、一つは投資ビヘービアといいますか、一企業が間違ったら日本国全体に悪い影響としてはね返るということが出てくるわけですから、今後投資行動基準といったものについて外務大臣としてはどういう方向性で努力をされようとしておるのか。 それから三つ目には、やはり企業の投資ビヘービアですけれども、現地におけるフィランスロピー、企業の社会的貢献という問題についても前向きに取り組んで指導するというふうな三つの点について、大体前向きの御答弁をいただきましたが、取りまとめてその点について外務大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○中山国務大臣 まずバングラデシュにおける選挙監視の問題等につきまして、この報告書を拝見しましたけれども、大変効果があったと思っておりますし、このような活動をこれからも続けて拡張してまいりたい、このように考えております。 また、各国における現地投資を行う会社がその地域のために貢献をするということによって初めて地域から歓迎されるわけでございまして、地域の人たちの精神的な問題あるいはまたモラルに基づいたような問題で、日本企業が投資をする際には十分配慮するように外務省としては指導をしてまいりたい、このように考えております。
○松原委員 次に、IMF協定の第三次改正についてお伺いをします。 今回の改正は、IMFへの一般資金利用の資格を喪失した後、相当の期間債務の履行遅滞を続けている加盟国に対して投票権などの権利を停止させるという新しい一種の制裁措置を入れることが基本になっておるわけです。 そこで、現在このIMFの一般資金利用の資格を失った国というのはどんなものがあるでしょうか。
○須藤政府委員 本年の三月一日現在で八カ国ございます。国名を挙げさせていただきますと、スーダン、ザンビア、ペルー、リベリア、パナマ、ソマリア、ベトナム、シエラレオネの八カ国がIMFの一般資金を利用する資格の喪失の宣言を受けております。
○松原委員 債務の履行遅滞がどれくらい、どの程度の段階に達しますとこの資格を失うことになっておるのでしょうか。
○須藤政府委員 IMF協定の第二十六条の第二項というところに規定しておりますが、IMFの一般資金の利用不適格宣言が決定されるまでの期間については特に定めてはおりません。ただ、実際の例を見ますと、債務履行遅延国が債務の遅延を起こし始めてから宣告を受けるまでの期間は一年弱から三年以上までいろいろなケースが見られます。具体的には、個々のケースに応じて理事会の過半数の多数によって決定されるという仕組みになっております。
○松原委員 そこで、今回の改正の中身で「一般資金を利用する資格の喪失の宣言から相当の期間の経過後に」今回の新しい制裁措置が発動し得る、こうなっているようですね。ここで言う「相当の期間」というのはどの程度の期間を想定しておられますか。
○須藤政府委員 この点につきましても、協定上は「相当の期間」について明確な定めはございませんが、一般的には六カ月前後が適当と考えられておりますけれども、具体的にはそれぞれの国の個別の事情に応じて理事会の投票権の七〇%の賛成によって個々に決定されていくということになっております。
○松原委員 今回のこの制裁措置では、投票権を失わせるであるとか理事になれないとかその他の項目になっているようですが、そのほかにもっと強いのは、たしか除名のような措置が既にありますね。そうすると、ある種の、最もきつい除名措置よりもちょっと中間なのか、その前の段階の措置を今回入れたことになっているのですけれども、この措置を入れてこういう債務履行の遅滞国を解消させていきたいというねらいがあったと思うのですが、実際的にはどういうふうな形でその効果が期待できるとお思いになっていますか。
○須藤政府委員 御指摘のとおり、現在の協定のもとでは投票権の停止等の規定は、一般資金の利用不適格宣言を受けた加盟国に対しまして強制脱退の手だてしかなかったところを改めて、当該加盟国の投票権及びそれに関連する権利を停止するということで、その趣旨といたしましては、そういう中間的な措置を導入することによりまして当該国の自助努力を促そうということが一つございます。そうすることによりましてIMFの枠組みの中で債務履行を実施せしめる効果が期待されるところでございます。 またこの結果、IMFの国際金融機関としての資金基盤の健全性の向上、つまり遅滞した債務が返済されることによりまして回転していくわけでございますから、そういう意味でも資金基盤の健全性が向上されると同時に、遅延によって他の加盟国が負担を負っているわけでございますが、その負担の軽減も図られることになるというふうに考えております。
○松原委員 いわゆる第三世界といいますか、そういう国で累積債務で苦しんでいる国というのは何も今資格停止になっておる八カ国だけではない、もっとたくさんおられる。苦しい台所でありながらIMFに対する返済についてはやりくりしながらやっている国もたくさんあると思うのですね。 ところが今おっしゃった八ヵ国については債務の履行遅滞という状態になっておるという点を考えまして、まず第一番目に、この八ヵ国がこれほどの重度の債務履行遅滞状態に陥った原因をどんなふうに考えておられるのか。それから、ほかの累積債務のある国でもちゃんと返すものは返していっているということからすると、このIMF制度というのは世界の各国において、経済上あるいは投資導入上あるいは国の開発上、実際どの程度の権威と状況を保っているのかという点についてお伺いしたいと思います。
○須藤政府委員 御質問の前半部分をお答えさせていただきたいと思います。 確かに債務累積で苦しんでいる国はたくさんあるわけでございますが、その中でもIMFに対して支払い遅延を起こしております八カ国につきましては、国によっていろいろ事情は異なるかと思いますけれども、一般的に言えますことは、一九七九年の第二次石油危機に伴う先進国経済の停滞によりまして、これらの八カ国の主として一次産品の輸出国でございますが、そういう一次産品の輸出の減少あるいは市況の低迷ということがございまして、それに加えまして国によっては内政がかなり混乱している、あるいは人口増加率の抑制とか教育とか保健水準の向上というような国内経済の構造改革の停滞、構造改革がうまくいかなかったということもありまして、経済状況が好転しないままに対外債務の支払いに窮したというような事情があるかと考えられます。
○松原委員 今回のこの第三次改正は、いわゆるIMFの第九次の増資というものとセットになっているわけですね。今回この増資が実施されますと、日本は今までたしか五番目の出資国だったと思うのですが、今度の増資後は日本は二番目の出資国になる。一番がアメリカで二番が日本、そして同じ額でドイツが並ぶ。その後ろにイギリス、フランスというふうに連なっていくと思うのです。つまり、今まで五番目の出資国であったものが二番目の大きな出資国になる。出資額にして大体、要するに今までの出資額のたしか倍増になると思うのですね。こういうふうな状態でいよいよIMFの中でも日本の果たす役割は極めて重要になってきた、こう考えるわけですが、今後のIMF活動における日本政府の御方針というものをこの際聞かせておいていただきたいと思います。
○井川説明員 ただいま先生から御指摘がございましたように、今回の第九次増資によりまして日本はIMFでアメリカに続きましてドイツと並んで二位の地位を占めるわけでございます。これは、我が国は従来からIMFに対しまして資金面あるいは運用面で積極的な貢献をしてきたわけでございますけれども、あくまでもIMFのシェアの面におきまして、我が国の経済実態に見合った地位を認めるよう各国に要請してきたわけでございます。 今回IMFにおきまして我が国が二位の出資国になりますことは、こうした我が国の従来からの主張に沿ったものでございまして、これは今後我が国がこれからどうするといったことよりも、我が国のこれまでのIMFに対する貢献が各国から認められた結果であるというふうに考えておりまして、今後もその重要な責任を認識いたしまして、引き続きIMFの運営において積極的に貢献してまいりたい、かように考えております。
○松原委員 ちょっと一点だけ、これは最後に外務大臣にお聞きしておきたいのですが、このIMFにおける二番目の出資国になるということの意義というものについて、外務大臣にコメントをお願いしておきたいと思います。
○中山国務大臣 第二次世界大戦後設置されたIMFが今日まで四十五年間の歴史をたどってきた、そういう中で、日本政府はかつては極めて低い立場にございましたけれども、国の経済力の発展とともにこの国際金融機関に対する出資の金額が非常に高くなってきた。我々の日本国が経済国家として極めて国際的な高いランクを占めているということで、大変うれしい現象であると考えております。
○松原委員 終わります。
○牧野委員長 玉城栄一君。
○玉城委員 ただいまのIMF、国際通貨基金の第三次改正、それからバングラデシュ、ブルガリア、フィンランド三国との租税条約、私、二十分でございますが、あわせてお伺いをさせていただきたいと思います。 一つは、このIMFにソ連は加盟はしていないわけでありますが、ソ連はIMFへの加盟の意思を持っているやに伺っております。現在のソ連のIMFへのそういう現状は、考え方、希望、どういうふうになっているのか、お伺いをいたします。
○井川説明員 お答えいたします。 ソ連のIMF加盟申請の話はいろいろ報じられておりますけれども、具体的にソ連から正式に加盟要請があったという段階ではございません。いろいろ動きはございましたが、昨年の十二月には米国のブッシュ大統領が、ソ連をIMFのスペシャルアソシエート、特別参加国として招いてはどうかという提案を行いました。これにつきましては、直ちに加盟を認めるということではございませんで、ソ連に対して技術的な支援を行う、あるいは各種の会合に出席する、あるいは年一回通常行われておりますようなコンサルテーションを行うといったような内容になっております。 本年の一月には、七カ国大蔵大臣・主要銀行総裁会議がニューヨークで開催されましたが、その直前にバルト三国の情勢に大きな変化もございまして、七カ国蔵相会議の場では、ソ連のIMFにおけるステータスにつきましてどうするといったような共通の認識を持つには至りませんでした。ソ連の情勢は今流動的でございますので、ソ連のIMFの加盟の問題につきましては、ソ連の政治動向あるいは経済動向を見きわめつつ、主要国と意見を調整しながら検討する必要があるかと思います。
○玉城委員 ただいまのソ連のIMFへの加盟の問題ですが、これはいつまでもIMF側が閉ざしているというわけではなくて、ソ連のいろいろな条件があるかもしれませんが、いずれにしても、そういう条件を整えて参加できるような体制に持っていくということは必要であろうと思うわけですが、日本政府としてはどういう方針、外務大臣はどのようにお考えですか。ソ連もIMFにやはり参加してもらいたい。しかし、これこれの条件はソ連も整えてもらわなければいかぬ。それには我が国はこういうふうにいろいろやりますとか、援助とかそういうところはどうお考えでしょうか。
○中山国務大臣 ソ連からまだ正式な参加申請がなされておらない状況でございまして、申請が行われたという段階において、加盟条件が満たされているかどうかということの審査が行われるという手順が待っているわけでございますが、日本国としては、ソ連の申請があって審査が行われるということについては一応歓迎をすることでございます。
○玉城委員 この第三次改正、また第九回目の増資ということで、我が国も相当額の出資をIMFに対してはする。それだけにやはり日本の責任というのは重くなってくるわけですね。ところが、片や加盟国では債務不履行といいますか、債務履行停滞国がたくさん出ている。それに対しては制裁といいますか、それぞれの持つ権利を制限しようという規定の改正になっているわけですけれども、ソ連は全く今まではこれに参加していない、これから条件を整えて参加する。その債務の問題も今後の問題としては出てくるわけです。片や大国ですから、経済はまた非常に悪い状況にあるということですから、やはりIMFに参加させるような方向で、我が国としてできる助言も必要ではないかという感じがするわけです。 どっちかといいますと、経済協力面で日ソ関係は、ヨーロッパに比べると我が国は大幅におくれていると思います。ペレストロイカ以前においてもヨーロッパではそれぞれできる分野でやっているわけですが、我が国の方はソ連とはそういうことは余りされていないわけですから、領土問題が一つの大きな問題になっているわけですね。ですから、きょうは十二日ですが、十六日にゴルバチョフ大統領が来日される、そういう問題も含めてやはり今後お話し合いをされると思うのですが、ソ連との経済協力、いわゆる金融的な支援の問題、そして領土、この委員会でも大分論議もされてきましたけれども、やはりそういう経済協力というものは積極的に領土問題に目鼻をつけてやるべきだとは思いますが、改めてお伺いをいたします。
○中山国務大臣 日ソ間の民間貿易は往復三十億ドルずつ輸出輸入ございますから、フィンランド、西ドイツあるいはイタリー、フランス、日本といったところが大体トップランクにいるわけでございます。そういう中でソ連がIMFに加盟するといったようなことも、これからソ連政府が自国の通貨の国際的な金融市場における価値を高めることに努力をしていただかなければなりませんけれども、日本政府としては、ペレストロイカの方向性も支持しておりますし、領土問題を突破口、この問題が解決されるという時点で、経済協力のことも当然考えていかなければならないと我我は考えております。
○玉城委員 このバングラデシュとの租税条約ですが、これは去年の五月に海部総理が向こうに行かれたときに投資保護協定の問題も話し合われた。その話し合いをされて、その後どういうふうに進展しているのか、そして、その投資保護協定があると、我が国から向こうに投資する場合の向こう側のインフラ、これが整備されているのかどうか、その辺をまずお伺いいたします。
○谷野政府委員 お答え申し上げます。 バングラデシュとの間の投資保護協定につきましては、総理がお越しになりましたときもお話がございましたし、その前から、かねてから締結についてバングラデシュ側から強い要請を受けております。私どもは、バングラデシュ側の投資受け入れの制度なり関係の法令なり、ただいまお話しの投資環境等総合的に判断いたしまして、かつ我が国とバングラデシュの間の経済交流の実態も見きわめまして、引き続きこの締結について検討してまいりたいと思っております。とりあえずは、ただいま御審議いただいております租税条約の締結を通じまして、先方との経済交流がより活発になることを期待しておるわけでございます。 それから、先方のバングラデシュのインフラの状況についてお尋ねがございましたけれども、これは申すまでもなく、残念なことにインフラの整備というのは大変おくれている状況でございます。若干の数字を申し上げますと、例えば農村の電化率はわずか一八%でございますし、国民の電気の利用率、使用率も八%にすぎないようでございます。道路の整備状況も非常におくれております。それから通信部門あるいはエネルギー部門、多々おくれがございます。そういうことで、私どもは引き続き経済協力を通じましてバングラデシュのこういった面での整備強化にお手伝いしておるということでございます。
○玉城委員 この国は世界の最貧国、経済的に非常に低レベルという状況のように伺っておりますけれども、今局長さんもおっしゃったように、経済的な援助体制、総理も予算委員会でそういう話をしておりますが、ぜひ経済的に向上されるような体制に我が国としても貢献をしていただきたい、こう思います。 さっきの質問で、IMFのことなんですけれども、あのときに、今債務履行停滞国、その国々をおっしゃいましたけれども、その中にペルーがありましたね。ペルーが債務不履行といいますか、そういう状況にあるわけですが、こういう債務履行遅滞国に対して我が国としては、我が国と関係するそういう国々については基本的にどういう方針を持っておられるのか、その辺をお伺いいたします。
○須藤政府委員 債務履行が難しくなっているという国につきましては、国によっていろいろ事情があるかと思いますが、まず基本的にはその国の自助努力が必要なわけで、特にその国の経済政策あるいは構造改善というような経済運営の仕方をIMF等とよく相談しながら適正な経済運営をしていただく、それから自助努力をしていただくということが必要かと思います。 同時に、そういう自助努力を助けるための国際的な協力、それから日本独自の協力も必要であるという考えに基づきまして、日本政府といたしましては、これまでIMFとか世銀、アフリカ開発銀行、アジア開発銀行、いろいろな国際機関に対して最大の協力、協調を行うとともに、そういう国と一緒に輸銀とか海外経済協力基金が協調融資を行うとかいう形で協力しております。 それから、六百五十億ドルの資金還流計画というものもつくって途上国に資金が流れるようなこともしておりますし、ODAの第四次中期目標というものも定めて途上国を援助しているわけでございます。さらに、パリ・クラブとかトロント・スキーム、ブレイディ構想、新債務戦略、そういうものに対してもできる限りの協力をして、債務問題の解決に努力しているという状況でございます。
○玉城委員 ペルーの大統領が先日来日されましたけれども、ペルーに対してはどういうことをされるおつもりですか。
○田中説明員 お答え申し上げます。 ペルーにつきましては、日本として現在やり得ますことは、例えば無償協力を片方においてはやっております。他方、IMF・世銀等との関係におきましては、ペルーのこれらの国際金融機関に対する本来払うべきお金でまだ払っていない延滞金というものが随分の額になっております。それで、この延滞金をいかにして解消するかということが現在最大の問題になっております。 そして、この問題を解決することによって再びこういったIMF・世銀あるいはIDBという機関から金が流れ、かつ日本を含めたほかの国からも金が流れるようなシステムになっていくことになるわけであります。したがいまして、現在やっておりますのは、この延滞金をいかにして解消するかということで、日本及びIMF・世銀、IDB、それからいろいろな先進国と今いろいろ努力をしているところでございます。
○玉城委員 ですから、その意味も含めましてわざわざ大統領が我が国に来ているわけですから、延滞金についてどういう方針を持っていらっしゃいますか。
○田中説明員 延滞金につきましては、実は数字でいいますと二十二億ドルという非常に大きな額になるわけでございます。それで、これを、例えば通常の場合でございますと、今申し上げましたIMF・世銀あるいはIDBに対する延滞金をほかの国が、アメリカとか日本とかいう国がかわりに返すという意味において面倒を見る、あるいは民間からブリッジローンを得てやるとかいう話があるわけでございますが、この二十二億ドルというものは余りにも従来とはかけ離れた、ほかの国の例には見られないような大きい金額でございます。 したがいまして、現在いろいろ考えておりますのは、まずこういった国際金融機関への延滞金が国際金融機関サイドの努力でもう少し圧縮できないかということを今いろいろ話をしておるところでございます。
○玉城委員 ペルーは御存じのとおり、我が国とは深い関係にもあるわけでございますから、ひとつ日本としても最善の御努力をお願い申し上げたいと思います。 最後に、フィンランドは例の国連憲章、いわゆる旧敵国条項の中に入っていると思いますが、そのとおりでしょうか。そして、これはいつもこの委員会でも議論をされておりますけれども、日本も旧敵国条項の対象国、こういうことになっているわけですが、これは本当にだれが考えてもおかしな話、敵国と本当に言えるのかどうか。ですから、アメリカはこれについてどういう考えを持っていて、一応それはおかしいから改正、外そうというか条項を改正しようということは言いながらも、これはやはり日本という国は危ないぞ、いつか何をするかわからぬぞ、そういう本音があるのかどうか、その辺もあわせてお伺いをいたします。
○中山国務大臣 国連憲章における旧敵国条項の廃止に関しまして、先般の日米外相会談で私からベーカー長官に要請をいたしました。アメリカ政府は、日本政府の要請を理解して協力をするということでございます。なお、このアメリカが協力をするということを言ってくれた大事な点は、ほかの憲章全部さわるということでは大変なことになる、だから旧敵国条項に限ってこれを廃止するということでアメリカは理解をするということでございます。 なお、ソ連との外相会談においても、ソ連のベススメルトヌイフ外相は、日本政府のこの考え方、要請について理解を示してくれまして、協力するという意思を表明してくれました。なお、イギリスのハード外相も、既に時代おくれになったこの憲章を廃止するように各国と協議をしよう、中国の銭其シン外相とも、会談をいたしました節に日本の政府の考え方を申し上げまして、中国政府としても理解をするということになっておりまして、あとフランスとの外相会談において要請をすることになりますれば、常任理事国五カ国が一応日本政府の要請を受けるという形になりますので、そういう面も含めて今後とも外交努力をいたしたい、このように考えております。
○玉城委員 今のこの問題はどこも、いや、こんなことは理解しませんということはあり得ないと思います。みんな理解はします。ですから、一日も早くきちんと理解されたものが、そういうものが、フィンランドも含めて外させるということをぜひやっていかないと気分的にもどうも、そういう条項が今もってあるということもおかしな話ですので、よろしくお願いします。 終わります。
○牧野委員長 古堅実吉君。
○古堅委員 先ほどの御説明によりますと、基金の資金利用不適用宣言を受けている諸国が八ヵ国だということでありました。この資金利用不適用宣言を受けている諸国が今回の改正によって投票権停止措置を受ける対象国になるのかなというふうに考えるのですが、いかがですか。
○須藤政府委員 今次の協定改正によりまして、IMFの一般資金の利用資格の喪失の宣言を受けている国につきましては、引き続き相当期間協定上の義務を履行してない場合に七〇%の多数によって投票権を停止することができるという趣旨の改正でございます。 一般資金を利用する資格の喪失を受けている国、現在八カ国でございますが、これは時とともに変化しておりますので、現時点での当該八カ国が今度の改正発効後も引き続きそういう状態にあるということは必ずしも断言できないわけでございまして、現在の八カ国が投票権停止の対象となるということは言い切れないと思います。 いずれにしても、制度的には、IMFの一般資金を利用する資格を喪失してから相当の期間義務を履行しない場合には基金の決定によって投票権を停止される可能性は有するということではないかと思います。
○古堅委員 一般的な傾向としては、やはり発展途上国がその対象国となる可能性は極めて大きいと思うのですね。債務返済能力がないのは、こうした発展途上国だけにすべて責任があるというふうには見られないと思います。発展途上国を長期にわたって支配下に置いて、その経済の基本条件を崩してきた先進諸国の側にも大きな歴史的責任があるというふうに考えます。今後さらに返済能力がなくなって投票権停止対象国はふえるんではないか、そのようにも考えられますが、見通しはいかがですか。
○須藤政府委員 今度の協定の改正の趣旨は、債務の履行遅延問題の解決に当たって不可欠であります当該国の自助努力を促すということを趣旨としているわけでございますが、先生御指摘のとおり、累積債務問題の解決には債務国自身による経済再建努力が基本でございますが、同時に先進国といたしましても、債務国自身が引き続き経済再建計画を実施していくことを前提に、国際機関とも協調しつつ総合的な対応、例えば先進国側の経済の持続的成長を維持するとか途上国の輸出産品への市場アクセスの改善を図るとか、それから資金フロー、資金の流れを拡大するとか、そういうような政策を総合的にとって対応していくことによって債務国の自助努力を先進国としても支援していくということが必要だと思います。 IMFとしてもそのような観点から、問題の解決策といたしまして関係各国間の国際協調体制をつくって支援を行申ってきておりまして、我が国を含む各国も債務累積問題を抱えている国々につきましてその軽減策を検討し、一九八九年に発表されました新債務戦略等による対応を進めておりますし、別途低・中所得国に対しましてはパリ・クラブで検討されておりますし、最貧国に対しましてはトロント・スキームというような形でいろいろな対策が講じられているところでございまして、我が国といたしましても、今後債務返済能力のない国を支援していくことによりまして、そういう国が減少していくということを期待しているところでございます。
○古堅委員 投票権を停止すれば債務返済能力が回復されるなどとかいうことにはならぬと思うのですね。大事な問題は、累積債務問題の根本的な解決を優先していくという立場に立つかどうか、それが今問われている大事な点じゃないかと思うのですが、大臣いかがお考えですか。
○須藤政府委員 御指摘のとおり、投票権を停止するだけでは問題解決にはならないという面は確かにございますが、やはり債務問題の基本は当該国の自助努力を促していくということではないかと考えております。しかしながら、同時に債務累積の救済といった南北問題の側面についても、日本政府といたしましてODAの第四次中期目標のもとでODAの拡充に努める、あるいは五年間に六百五十億ドル以上の資金還流計画の実施に努める、あるいは国際機関との協調ということを通じて債務問題そのものの解決にも努力しているところでございます。
○古堅委員 昨年の外交青書は、「債務国自身の成長指向の「体力作り」が不可欠であり、」「先進国としては、「新債務戦略」に対する支援を強化するとともに、世界経済のインフレなき持続的成長の維持、市場アクセスの改善等、幅広い分野にわたる総合的対応をとっていくことが必要であり、」と述べています。そうした総合的支援が今緊急に必要だということが大事な点だと思うのです。投票権を停止して他の国際金融機関や各国の間の不信頼を大きくする、そういうことではないというふうに思うのです。大臣、御所見を賜りたいと思います。
○中山国務大臣 発展途上国における累積債務問題というものは、相当大きな国際的な金融上の問題になっています。私の認識では、債務残高が全体で一兆二千九百億ドルぐらいになるのではないか。そういうことを考えますと、この足腰を強くして経済的な自立を図っていくという協力のあり方というものは一方にはありますけれども、あくまでも自助努力というものをやらせないと経済がいつまでたっても軌道に乗らない、こういうことでございますが、我が国としては、資金還流計画というものを既に発表いたしておりまして、従来の三年間、アルシュ・サミットのときでございましたが五年間で六百五十億ドルの資金還流計画を立てておる、こういうことでございます。
○古堅委員 今日の発展途上国の累積債務は、新旧植民地主義の搾取あるいは収奪、多国籍企業の横暴に大きな根本的な原因があるというふうに思うのです。したがって、先進国は途上国の権利制限ではなしに、まず累積債務からの脱却のための努力、それをいろいろの面から検討して、今の何かますますつぶされるような方向ではなしに、その条約の目的にもかなうような方向に発展させるべき、そういう問題だと思うのです。そういう立場からのこの問題についての対処を強く求めておきたいというふうに思います。 今月初旬の日米首脳会談で、海部首相はブッシュ政権の中南米投資基金構想への協力を約束いたしました。また、さきの米州開発銀行総会でも大蔵大臣が応分の資金拠出を行う用意があると表明しております。これは、報道にもありますように一億ドルを拠出する考えを示したものと受け取ってよろしいかどうか、お伺いします。
○森説明員 先生御指摘の米国の提案する多国間投資基金構想でございますけれども、御承知のとおり、これは中南米諸国における投資促進を図るため、米州開発銀行の中に総額十五億ドルの基金を設けまして、技術援助、人的資源開発、企業開発といった目標のために資金の供与を行おうとするものでございます。中南米諸国の経済再建においては、民間部門の強化を図り、市場指向の経済改革を進めることが重要でございまして、この観点から、民間投資促進のための多国間投資基金構想は適切かつ時宜を得たものと考えております。 したがって我が国といたしましても、去る七日、名古屋におきます米州開発銀行の総会において応分の資金拠出を行う用意がある旨を表明したところでございます。ただ、拠出の具体的な金額につきましては、今後検討していくこととしておりまして現在決まっておりませんので、名古屋総会でも応分の負担という言い方をさせていただいたところでございます。
○古堅委員 日本は既に米州開発銀行への出資を通じて中南米への支援を行っておりますし、また政府開発援助も続けております。日本とアメリカでは中南米との関係の深さも違います。しかしアメリカの意向に沿うような形でなぜ新たな負担をする必要があるのか、御説明いただきたいと思うし、援助という点ではむしろアフリカを中心とする四十カ国近い後発発展途上国への人道的支援こそ急がれなければならない問題ではないかというふうにも考えますが、大臣の御所見を賜りたいと思います。
○中山国務大臣 世界の累積債務が先ほど申し上げましたように一兆二千億ドルぐらいございます。その中で中南米の累積債務の総額は四千二百二十二億ドルに上っておりまして、こういうことから考えますと、中南米のこれらの累積債務の解消のための経済協力あるいは金融協力というものはやはり世界の発展途上国の経済の再生に極めて重要なものであると考えております。なお一方、御指摘になりましたアフリカにおきましても相当な累積債務がございますけれども、アフリカと中南米と比べますとはるかにアフリカの方が経済の自立速度というものは速い、こういうふうに私どもは認識しております。 日本政府としてはこれらの地域に対してODAを含めて毎年協力をいたしておりまして、それぞれ、中南米には日本のODAの約一〇%、あるいはアフリカに対しては同じく一二、三%の協力を行っておるということを御理解いただきたいと思います。
○古堅委員 橋本大蔵大臣は発展途上国の公的債務削減の問題について、公的債務削減と新規融資を両立させることは極めて困難というふうに述べられました。なぜ困難なのかお聞きしたい。
○森説明員 先生御指摘のとおり、先般の名古屋総会におきまして大蔵大臣からそのような話をさせていただいております。対外債務は、途上国が経済再建や開発のために借り入れを行い、これらの目的に沿って有効に活用することを前提とした有償の資金でございまして、その返済が当然の義務となっているわけでございます。こうした対外債務の本来の性格から考えましても、公的債務を削減いたしますと、まじめに返済に努めている債務国の自助努力を損なうという問題がございます。 さらに、公的資金は民間資金と異なりまして、民間資金借り入れが難しい債務国にとりまして、経済再建のための最後のよりどころとも言える性格のものでございます。したがいまして、一般論として申し上げれば、こうした公的債務の削減を主張するような国に対しましては新規融資を行うことは難しいと言わざるを得ないわけでございます。 我が国といたしましては、開発途上国の経済成長回復のためには新規融資が不可欠であるという立場をとってきておりまして、債務累積という目前の障害に目を奪われる余り、現在及び将来の新規融資の芽を摘んでしまうということは、決してその国の明るい未来に資するものではないと考えております。
○古堅委員 時間が参りましたので質問を終わりますが、議題となっております租税三条約についての質問はできませんでしたが、フィンランドについては間接控除条項で、ブルガリアは十年間のみなし税額控除条項で、またバングラデシュもみなし外国税控除条項で、日本の資本進出を殊さら優遇する内容となっているというふうに理解しておりまして、その三条約について反対であることをここで表明させていただきます。 以上で質問を終わります。
○牧野委員長 和田一仁君。
○和田(一)委員 租税条約とIMFと、けさから審議をしておりますが、同僚議員の質問を伺っておりまして、私がお尋ねしたいと思うことは大方お答えをいただいたような感じがいたしておりますので、若干角度を変えて質問させていただきたいと思います。 まず、IMFでございますけれども、このIMFの三次の改正と、それから第九次増資とがリンクされているということでございますけれども、これが増資の発効要件の一つとなっているということに解釈されているのですが、このリンクの意味合いをちょっと御説明いただきたいと思うのです。
○井川説明員 ただいま先生の方から御指摘があったように、今回の第九次増資と第三次協定改正というものがリンクされている、第三次協定改正が発効いたしませんと増資の方も発効しないということになっております。これは、増資を議論する過程でさまざまな議論があったわけですが、先ほど来からるる御説明いたしておりますように、IMFに対する加盟国の債務履行遅滞というものが、債務履行遅滞自身も大きな問題ではあるわけですが、それにとどまらず、国際通貨制度において中心的な役割を果たしておりますIMFに対する信頼そのものの問題である、こういった認識があったこと、あるいは銀行としてのIMFの資金の健全性を保つ、こういう必要性、さらにIMFの債務履行遅滞の問題が現在他の加盟国、とりわけ借入国の負担をふやしている、こういった観点から大きな問題であるという議論になりまして、議論の過程で今回御審議いただいております第三次協定改正と増資の発効の要件をリンクさせる、いわばIMFの資金基盤の強化とIMFの資金の健全性というものは一体となって考えるべきである、こういう考え方が出てきたわけでございます。
○和田(一)委員 我が国がかつて一九五三年と五七年にIMFよりポンドとドルを引き出したということがあるようですが、またその後、スタンドバイ取り決めは結んだことがある、こういうふうに書いてございますが、現在、このIMFからのSDRというようなものはどうなっているのか、あるいは何かIMFを通しての融資取り決めというものがあるのかどうか、これをお尋ねしたいと思います。
○井川説明員 お答えいたします。 ただいまSDRの仕組みといいますか制度がどうなっているのか、我が国がどういうような状況になっているのかという御質問だったと思いますけれども、SDRはIMFの第一次協定改正におきまして準備資産を補完する、国際流動性を供給するという観点から創設されまして、一九八二年までに二百十四億SDRの配分がなされております。 このSDRにつきましては、特別引き出し権と訳されておるわけでございますけれども、加盟国が国際収支上の必要がある場合には交換可能性のある外貨にいつでも取りかえることができるということでございまして、SDRは我が国の外貨準備の中でも一つの重要な要素を占めておるわけでございます。 それから我が国とIMFの取り決めということについては、我が国がIMFに加盟いたしましたのが昭和二十七年、一九五二年でございまして、当時、我が国の国際収支上の理由で二度ほど取り決めを結んだことはございます。現在ではIMFからの借り入れというものは先ほど来御議論されておりますように、主として開発途上国の債務累積問題に対処するといったようなものがそのほとんどを占めております。
○和田(一)委員 ちょっと私の聞き方が悪かったかと思いますが、今、時期としては、たまたまソ連から初めて大統領が来日して、懸案の北方四島の問題も何とか糸口をつけたいという時期になりました。そういう話が進めばやがていろいろな経済的な取り決めもソ連との間にもできてくると思うのですが、そういう認識の中で、今IMF問題やらいろいろなこういう問題を考えるときに、私、もういろいろ御説明を聞いたので角度を変えますが、コメコンのことについてもちょっと伺いたいと思うのです。 東欧諸国は、経済民主化路線のために共通の土俵は今失いつつあるのではないかと思うのです。かつてコメコンという組織の中で相互の援助協力をやってきたわけですけれども、この一月にコメコンが解散しよう、こういう話し合いになったということを聞いております。それにかわる新しい組織をつくろうじゃないか、こういうところまでは来たようなんですが、解散にもならず新しい組織にもならないというのが今の実態ではないかと思います。こういう中で東欧諸国は大変苦悩しておりますが、もう社会主義経済という共通の土俵を失ってしまった上にソ連と東欧諸国との貿易がどんどん縮小していく傾向の中で、一つにまとめようという意欲があるのかどうか、これもちょっとどういうふうに分析しておられるか、聞きたいと思うのです。 そういう関係の中で、またあとちょっと追っかけて聞きたいのですが、先般のパリ・クラブ等、ポーランドを含めて大きく債務を削減しようという話も、これは関連してくると思うので、まずコメコンのことから伺いたいと思うのですが、今コメコンの実態が解散しようという話し合いになり、さらに新機構をつくろうというふうになっている、こういった状態をどういうふうに分析されておるか、お答えいただきたい。
○高島説明員 コメコンにつきましては、ただいま先生の方から御指摘がございましたように、本来、ことしの二月にブダペストで第四十六回総会が開かれ、そこで従来のコメコンの機構が解体されて新しい国際経済協力機構が創設されるような方向で動いていたわけでございますけれども、そのうち、新しい機構の創設という点につきましては加盟国間で調整がつかず、そのために総会も延期になり、新たな機構を創設する面では合意に至っていないという状況でございます。 今後の展開を予想するのはなかなか難しい状況にあるようでございますが、ただ、近く、今月中にもこの問題の調整のための加盟国間の会議が開かれるという予定になっておるようでございますので、私どもとしてもその成り行きに注目しているところでございます。 一般的に今まで言われております観点でその新しい機構の方向として見ますと、従来のコメコンの機構、機能を一部引き継ぎつつも、主として情報や経験の蓄積と交換あるいは各種のアドバイスを行う、ある意味で現在西側諸国でございますOECDに近いような、そういったものが新しい機構の方向として念頭に置かれているような印象でございます。ただし、これはまだ合意に至っておりませんので、ただいま申し上げましたように、現在私どもとしても注目して見ているところでございます。
○和田(一)委員 そういう非常に不安定になってきている情勢の中で、今度ポーランドの公的債務削減がパリ・クラブで決まりまして、さらにこれはエジプトも公的債務削減をやろう、こういうような方向のようですが、ポーランドの公的債務削減が決まって、これを補てんしていくのにODAの無償資金の予算枠で処理するというふうにも報道されているのですけれども、こういう方向でやるのかどうか。無償資金の予算枠の中でやるということになると、援助の質の面からこれは少し、どういう考え方でそういうやり方をとろうとするのか、この辺が一つ問題ではないかと思うのです。 それから、きょうは時間が余りありませんので細かくは突っ込んでお聞きできないかと思うのですが、今度のIMFの第九次増資というのがあるわけでございます。私は、こういう債務を削減していく、これは政策的に非常に意味があると思うのですけれども、同時にIMFへの増資というようなこと、これは大事ですが、一方で大事な国にはそういう負担を軽くしてあげようという政策をやりながら、一方ではそういうIMFなどの国際基金への融資、こういうお金をもっと出さなければいけない、こういうことが関連していきますと、これは大きく世界の外交の中の戦略としてその辺をやるからにはしっかり取り組んでいかないと、何か大国の大きな戦略の中で我々だけがそういう立場をはい、はいと言ってやっているというふうにもとられかねません。そういう意味合いも込めて、私は、今、このパリ・クラブのポーランド債務の削減であるとか、IMFへの新しい増資であるとか、そういうことを伺いたいと思っておるのですが、ひとつその点についてわかりやすく御説明をいただきたいと思います。 そして、あわせて大臣、こういうあり方について外交上どのようなお立場で取り組まれるか、お聞きしたいと思います。
○橋本説明員 委員、いろいろな点について御質問でございますので、私の方からポーランドのことにつきまして簡単に御説明申し上げたいと思います。 委員御指摘のようにポーランドとエジプト、特にポーランドにつきましては三月十四日に債務を五〇%削減することについての基本的な枠組みというものがパリ・クラブで決まったわけでございます。しかしながら、この枠組みに従いまして具体的にどのようにやっていくかということについてはまだ検討中でございます。実際の削減の方法としてパリ・クラブで議論されておりますものは、元本の削減、金利の削減それから金利の一部を元本に繰り入れた上で返済期間を長期化する等のオプションが考えられているわけでございます。 しかし、我が国としてこれらのオプションのどれを使って実質上この五〇%の削減に対応していくかということにつきましては、先ほど触れましたようにまだ決まってないわけでございまして、委員御指摘のように、果たしてODA、特に無償資金に影響が出てくるのかどうかということにつきましては今のところ不明でございまして、具体的にはお答えがまだできない状態にございます。
○中山国務大臣 一般的、全般的に見まして発展途上国の累積債務が一兆二千九百億ドルあるいは三千億ぐらいのところに来ているのじゃないかと思いますが、問題は、先進国から途上国に対して流す資金よりも途上国から先進国側に返済する金額の方が大きいということで、逆流現象が起こっておる、この問題をどういうふうに解決していくかということが先進国対発展途上国の問題として現在大きく憂慮されている問題だろうと思います。そういう意味では、累積債務をどのように処理していくか、またその発展途上国に対する協力をどうするかということにつきましては、日本の資金還流計画も含めて国際的に先進国間でこれから十分協議をしていかなければならないと考えております。 なお、日本として考えられることは、もう率直に申し上げていろいろな機関からの金融的な要請が相次いでおりまして、日本のこれからの経済発展の流れと合わせて、これからの国際的な資金協力については政府としても絶えず注意を払っていく必要があるというふうに認識をいたしております。
○井川説明員 ただいま先生から御指摘の御質問につきまして、IMFについて簡単に申し上げさせていただきたいと思います。 今回の第九次増資によりまして、我が国はIMFで、アメリカに次ぎまして、ドイツと並びまして二位の地位を占めるわけです。これは、我が国がこれまで資金面あるいは運用面におきまして積極的な役割を果たしてきた、これが主要国を初め開発途上国、IMFの数多くの加盟国の支持するところとなったというふうに思っております。 今後のIMFの運営におきましては、現在やはりIMFあるいは世銀が国際金融体制の中核となりまして、累積債務国の経済再建計画の青写真をつくる、そのプログラムのもとにその国の信認を増しまして、民間資金あるいは公的資金、あるいはパリ・クラブにおきますリスケジュール等の取り決めをするということが重要でございます。したがいまして、我が国は増資後にIMFで第二位の経済実態を反映した地位を得るわけでございますけれども、IMFの運用面あるいは政策面において積極的な貢献をしたい、かように考えております。
○和田(一)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、私が全体で申し上げたのは、そういったIMFへの増資をやり、一方、大臣が今おっしゃったような途上国からの逆還流、そういうことは非常に政策的に、外交的に大きなカードになると私は思うのですね。それをしっかりと踏まえていただきたいということと、それからさっきポーランドで答弁いただきましたけれども、三年度のODAの無償の予算はたしか千七百二十六億だったと思うのですが、それはポーランドやエジプトの債務の削減の枠に使うかどうかまだわからない、こうおっしゃっていたけれども、これを使うのかどうか。これは非常に大事だと思うのですね。この予算を圧縮するようなことになると、これはまたさっき申し上げましたように、せっかくのODAの中で日本の外交的な立場というものが問われてくると思うわけなので、その点を私もう一回、はっきりお答えできなければやむを得ませんけれども、さっきはまだわからない、こうおっしゃっていたけれども、それを使うかどうかだけ、もう一回お聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。
○橋本説明員 繰り返しで恐縮でございますけれども、先般のパリ・クラブで決まりましたのが基本的な枠組みでございまして、それによって三つの選択肢が与えられ、それをいかに組み合わせて今後我々としてはこれに対処していくかということで、いろいろな形の債務もございます。かなり技術的なこともございます。そういったことで、今の段階でお答えはできかねるのでございますけれども、他方、先生御指摘のように、無償資金協力予算というものについても限りがあることは事実でございまして、それらの資金需要が、特に最貧の開発途上国において大きくあるということで、そこら辺のところも十分に踏まえた上で適切に対処してまいる所存でございます。
○和田(一)委員 終わります。
○牧野委員長 これにて各件に対する質疑は終了いたしました。 ─────────────
○牧野委員長 これより所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とバングラデシュ人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○牧野委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とブルガリア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○牧野委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とフィンランド共和国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○牧野委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。 次に、国際通貨基金協定の第三次改正の受諾について承認を求めるの件について討論に入ります。 討論の申し出がありますので、これを許します。古堅実吉君。
○古堅委員 日本共産党を代表して、国際通貨基金協定の第三次改正に対する反対討論を行います。 今日、発展途上国が直面している累積問題の根源には、独占資本主義諸国が発展途上国を長期にわたって支配下に置き、その経済の基本条件を破壊してきたという歴史的要因があります。したがって、IMFに対する債務返済ができないからといって、最も重要な権利である投票権を停止するなどの懲罰的、制裁的措置をとるべきではありません。 また、南北問題が深刻化する中で、債務返済不履行がますます増加していく傾向がありますが、それに対して投票権の停止で対応するならば、発展途上国の投票権シェアがさらに低下し、その結果、先進資本主義諸国の立場だけが強化されていくということになりかねません。それは南北問題の公正な解決にとって好ましいことではありません。 以上の理由から、本件、国際通貨基金協定の改正に反対するものであります。
○牧野委員長 これにて討論は終局いたしました。 ─────────────
○牧野委員長 これより採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○牧野委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○牧野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ───────────── 〔報告書は附録に掲載〕 ─────────────
○牧野委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時十九分休憩 ────◇───── 午後一時三分開議
○牧野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福田康夫君。
○福田委員 あと四日たちますと、いよいよ待望のと申しますか、ゴルバチョフ大統領が訪日をされるわけであります。ソ連首脳の初めての訪日ということで大変注目をされる、また歴史的な意味も大いにある、こういう訪日でございます。歴史的にと申しましたのは、日本にとりましても戦後四十五年間、長期にわたる懸案問題というふうなことで解決がつかなかった問題について話し合おう、こういうことでありますから、我が国にとりましてもまことに歴史的でありかつ画期的である、こういうふうに思っております。 これは大統領の方にしましても、ほかの西側先進諸国にはもう既に全部行っているわけでありますけれども、日本だけまだ行っていない、こういうことでありますので、そういう意味におきましても、大統領としてもこれは意義の深い訪日である、こういうふうに思うわけであります。 そういうことでありますけれども、日ソ間というのは長い間不信の塊、こういうふうなことで参りました。歴史的に言えば日露戦争、それからシベリア出兵、そしてソ連の対日参戦、こういうことがございました。これは国家間の非常に不幸な歴史で、また紛争、事件というふうなものだったわけでありますけれども、第二次大戦後も領土問題とシベリアの抑留者の問題、こういう非常に不幸な問題が発生してきていまだに解決していない、こういうふうなことであります。 こういうことが積もり重なりまして、そして不信が増大されました。日本も大変な不信をソ連に持っているというのが現実であります。特に日本の方に不信が強いということで、ソ連嫌いというのが日本人のかなりの部分を占めるのじゃないかな、こういうふうに思っております。 そういうことですから、今回のソ連の大統領の訪日ということはその不信の解消ということを目指して、これからどのような会談になるかわかりませんが、それを一つの大きなテーマとして努力をしていただく、また当然のことながら、我が国もそれに対応して最大限の努力をする、誠意を持って努力をしていく、こういう姿勢が大事ではないか、こういうふうに私は思っております。 そこで、大統領が来日すれば両国間の中心的な課題は領土問題である、こういうふうに当然考えるわけでございまして、この話をまずしなければいけない、こういうことになろうかと思います。しかし、来日の直前、ただいまでございますけれども、四島返還は当然のことながら外交当局が主張し、また日本国政府、国民もそういう主張をしてきたわけでありますけれども、それ以外にも二島返還とかいろいろな案が入りまじって言われておるというのが現状でございます。 このことにつきましては、先般衆議院の本会議で北方領土問題の解決促進に関する決議案、これは「北方領土の返還実現は、日本全国民の長年の悲願である」こういうふうに表現されておりますけれども、そういう悲願と言うぐらいの願望を我が国は持っている。そしてこれはかねがね言ってきたことでありますけれども、四島は日本固有の領土である、こういうふうに長い間主張をし続けてきたという経緯がございます。返すのが当たり前ということであろうかと私は思いますけれども、しかし、こういう四島返還ということはきちんと主張し続けることに極めて重要な意義があると思います。それは、我が国が領土と主権を一生懸命守る国であるということをほかの国にも、そして日本の国民に対しても示し続けなければいけない、こういう意味合いにおいて極めて大事なことであると私は思っております。 そんなふうなことでありますので、こういう主張はいかなる情勢下においても主張し続ける。事実主張し続けてきたわけでありまして、冷戦下においてもしかり。そして、その冷戦構造が崩れ、対立の図式がなくなりつつある今でも全く同じ主張をし続ける。これは当然でありますし、また我が自民党もそういう主張を続けてきたということでございます。 今回、大統領が来られましてこういう主張をしっかりとソ連に主張し続けなければいけない、これは当然でございます。しかしながら、先ほど申しましたように、二島問題とかいろいろな議論があるわけでございます。 この四島問題については、四島を主張するということについては、社会党さんが先般、千島返還から四島返還に政策転換をされた、こういうふうに伺っております。これは社会党さんが大変思い切った決断を下したな、若干遅きに失したけれども、非常に現実的な対応をされたというふうなことで、私は敬意を表したい、こう思います。ただ、新聞によりますと、そこの四島返還を通り越しまして、二島段階返還まで進んでしまった、それも承認するというふうに書いてございました。これはちょっと随分頭の切りかえが速いなというふうに私は思っております。非常に柔軟な思考をされていらっしゃるな、こう思っておりまして、私どもちょっとそこのスピードにはついていけないなというふうな感じもいたしております。 この二島返還論というのは、別に社会党さんがいいとか悪いとかそういうことではなくて、これは今現在、非常に方々で議論をされておりまして、もう二島返還が当たり前だというぐらいな常識的な案だというぐらいにまで取りざたされている、こういうようなことでありますけれども、私は先ほど申しました四島返還という主張が消えておるわけではないのだし、これはれっきとして我我今でも言っておるわけです。国会でも言っておるわけですから、この主張をあくまでも交渉において貫き通していただきたい、こういうふうに思っております。 そうでないと、国民も一体四島なのか二島なのか、または多元外交をしているのではないかとかいったような不信を持つ可能性がある。外交を信用できないというふうなことになっても困りますし、また交渉当事者でございます外務当局も、これは交渉がしにくい、迷惑だというふうなこともありますか、あるのではないか、こういうふうに私は思うのでありますけれども、そういうふうなことも含めまして、これはもうひとつしっかりした考え方を持って交渉に臨んでいただきたい、こういうことを私は思っておるのであります。 そこで、まず確認の意味で、交渉の基本的な姿勢というものをひとつ御説明をいただきたい。従来と変わらないのか、もしくは何らかの変化があるのかどうか、そういうふうなことをお聞きしたいと思います。 それともう一つの原則であります政経不可分、このことについても変わるものか、変わらないのか、この点御説明をいただきたい、こう思います。
○中山国務大臣 日ソの間における長年の懸案でございますこの領土問題を解決して平和条約を締結する、こういう一つの目的がございましたが、戦後四十五年間、一時は一九五六年の日ソ共同宣言で歯舞、色丹は平和条約時に返還するという宣言がされ、また一九六〇年になりますと、この共同宣言のその条項は無効であるといったような一方的な通告がされる、こういう中で、ソ連政府も領土問題が存在するということをここ一年、二年の間にそういう議論がされるようになってまいったわけでございます。 日本政府にとりましては、歯舞、色丹、国後、択捉というこの四島は戦争によって得た領土ではないということで、我々は日本の古来の領土として四島一括して返還を要求するという姿勢を今日まで貫いてまいりましたが、今回のゴルバチョフ大統領の訪日に当たりましても、日ソの首脳会談において、この国会の御決議も踏まえて、この我我の国会の要請を主張していくということになると申し上げておきたいと思います。 なお、政経不可分の問題につきましては、日本の政府の考え方は従来と変わっておりません。
○福田委員 私は、そういうふうな御答弁を伺いまして、確固たる姿勢を貫いていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。 そして、大統領が訪日をされますと、必ず経済協力の話が出てくるわけでございます。出てくるであろう、こう思うのです。であろうと申しますのは、これは実は最近、訪日中には経済協力議題にせずなんていう報道もなされておりました。その点いかがですか。そういうふうな新聞報道なんかは正しいのでしょうか。
○中山国務大臣 新聞の報道に関しましてはコメントする立場にございませんが、我々のいろいろな協議する問題は、日ソ間に横たわる領土問題を含めたあらゆる問題が議論されるだろうと考えております。
○福田委員 この経済協力の話も、領土の二島、四島と同じようにいろいろな話が巷間飛び交っておる。その金額といい内容といい、諸種の話が今出ておるわけであります。そういう中には、領土を金で買うというふうな誤解を与えかねないような報道も含まれているということも、遺憾ながら事実であるというふうに私は思っております。確かに政経不可分というのは、この言葉自身非常に誤解を与えやすいし、また説明がしにくいという部分があろうかと思います。そういうことでありますので、なおさら十分な配慮が必要だろうかと思いますけれども、その政経不可分につきまして、きょうの朝日新聞の「論壇」で木村汎教授が、善意と善意の交換、こういうふうな表現でいいことを書いてありますので、私、紹介申し上げませんが、これをひとつ見ていただきたいな、こう思っております。 そこで、私、一つお尋ねしたいことは、経済協力をする場合に、これは領土と絡む絡まないは別にいたしましても、ソ連に対する経済協力自身が何ら問題がないかどうか。実は昨年のヒューストン・サミットでもって、対ソ経済もしくは金融支援というふうな話が出たと思います。そのときにドイツとフランス、イタリアが入っていたかどうかは知りませんけれども、このヨーロッパ勢はソ連に対する経済援助を積極的に主張した。ところが、日本と米国が非常に消極的な態度をとった。その背景には、日本は領土問題が未解決であるということ、それから米国はキューバに対するソ連の援助というものがあったのでというふうに、私ちょっとよく覚えていないのでありますけれども、そういうふうな事情が背景にありまして、そしてその意見が分かれ、結局援助を見送った、こういうふうな経緯がございます。 そうなりますと、今回日本が領土問題とはいいながらも経済援助をするというふうなことになりますと、これはそういうサミットの仲間のうちでもって日本が突出したことをするのじゃないかな、こういうふうなことになるのじゃないかな、こう思います。それからもう一つは、IMF、G7なんかでもやはり経済支援は、これは例のバルト三国問題があったということもありまして、見送ろうというふうな申し合わせをしたというふうに、私、実はうろ覚えでありますけれども、理解しておるのでありますが、そうなりますと対ソ経済援助、協力というのは日本だけで先行できるものか、こういう問題が当然あるわけでありまして、その辺どのように大臣お考えになりますか。
○中山国務大臣 委員も御指摘のように、昨年のサミット以降、世界銀行、IMFあるいはEBRD等の四機関の合同の調査ミッションがソ連に出まして、その調査報告が後日出てきたわけでございますが、それによりますと、ソ連に対する金融支援というものは大して効果がないという章が一つ立っておりましたし、また知的な協力、つまりペレストロイカを成功させるための知的技術協力というものが必要であるという指摘もございまして、私ども日本政府の考え方もアメリカ政府の考え方も、またこれらの国際金融機関の調査の結果もほぼ同じ考え方でございました。 そういう考え方からいたしますと、日本政府といたしましては、今日までソ連から来られる調査団に対して、ペレストロイカの技術協力、知的協力というものを実施してまいってきております。そういうことが現在のソ連の経済の再建には極めて有効であるという認識を持っております。
○福田委員 なかなか難しい問題だろうかと思います。 それから経済協力につきましては、もし協力したとしてもソ連の軍需産業になってしまうというのではこれはもう何にもならないのでありまして、そういうふうな、他の諸国にも迷惑をかけるような結果になってはいけないのでありますけれども、この歯どめが果たしてできるかどうかということですね。この辺は何かお考えございますか。
○中山国務大臣 その件に関しましては、昨年の九月に来日されたシェワルナゼ外相と私との外相協議におきましても、ソ連の経済における軍需産業の占める問題、この点については我が方から指摘をいたしました。
○福田委員 イラクのこの間の例もあるわけでありまして、別に軍需産業とかいうことでなくて民間のプラントなんかに融資をする、それが結果的にはイラクの軍需産業を助けているのではないかというふうな指摘もあるわけでありまして、大変難しい問題であろうかと思います。この辺は相当しっかりした理論的な根拠を持っていかないと、今後難しい局面になるのではないかなというふうに私は思います。そういうふうなことのないような仕組みをひとつどうぞお考えいただきたい、かように思っております。 次に、ちょっと話題が飛びますけれども、大統領が来られますと、シベリアの抑留者の問題がございまして、これはシベリアで戦後大変御苦労された方が、また亡くなられた方がいらっしゃる。抑留された方が五十数万人というふうに伺っておりますけれども、抑留者の気持ちを考えますと、これは明らかにポツダム宣言違反であるということから考えましても、ソ連が関係者の理解と十分な満足が得られるような対応をしてもらわなければいけないというふうに私は思っております。 それで、これもちょっと聞きましたところ、来日中の四月の十八日に抑留の代表者と大統領がお会いになる、こういうふうなことで、この場において遺憾の意を表明するのではないかというふうな観測があるわけでありますけれども、このことについて、大統領の十分なる理解を得ていただくように、外務当局からもひとつお話しをいただきたい、かように思っております。 次に、大統領は今回来られるわけでありますけれども、その大統領のおひざ元は一体どうなっているか、こういう問題があります。それは大統領は交渉する立場にあるのかどうか、こういったようなことも含めまして、ソ連の国内政治情勢が非常に複雑で、その辺、今回の交渉に何らかの影響を与えるかどうか、また、交渉の性格が変わるとかそういうふうなことはあるかどうか、その点、御説明をいただきたいと思います。
○中山国務大臣 さきにお触れになりましたシベリア抑留者の問題は、これは戦争が終わってから六十万人近い人たちがソ連に連れていかれた。そういう中で六万人近い人が亡くなられた、また、生きて帰れた人も大変厳しい強制労働の中で苦難の日々を送りながら、数年の労役に服して日本に帰ってこられた。そういう戦後のソビエトにおける抑留者のあの思い出は我々日本国民からはなかなかこれは消えるものでもありませんし、当の亡くなられた方々の御遺族もまた、異国の地に果てた家族のことを思いながら今日なお生きておられるということも事実でございます。 そういうこともございましてか、ソ連のゴルバチョフ大統領は訪日前にハバロフスクの日本人墓地に参ってくるということでございます。私どもはこの戦争の最後に起こった悲しむべきこの事態、この事態が今回のゴルバチョフ大統領の訪日を契機にして、国民感情がこの悲しい思い出から幾分でも慰めが得られるような大統領の御配慮があれば、それは日ソのこれからの新しい歴史を開く上で大きく意味するものがあろうと考えております。 またもう一つ。ソ連の今の内政上の問題で、外交交渉をやる権限は当然のことながらソ連政府にあるわけでございますけれども、先般のベススメルトヌイフ外相が来られたときにもロシア共和国の外務大臣が同行され、私との会談には同席をされておりました。今回も同行されてこられるということでございまして、私どもはそういう立場で交渉をしていかなければならないと認識をいたしております。
○福田委員 これは交渉の相手として、当然ながら大統領が交渉の相手になるわけであります。しかし、ロシア共和国の存在も無視できないというふうな感じがちらりといたしましたけれども、まあ日本といたしましては、万全なる交渉ができるような段取りをしていただきたい、こういうことは当然のことながらお願い申し上げる次第でございます。 この四島の返還の交渉、これは北方四島、北海道の北の小さな島、四島でありますけれども、そういう意味からは非常にローカルな問題だととられがちでありますけれども、実はこれは国際的な視野で考えなければいけない問題でもあるわけであります。特に日米関係とか、それからアジア諸国との関係、こういうものは当然この交渉の中において視野に入れておきながら、配慮をしながらやっていかなければいけないのではないかと思うのでありまずけれども、そういうふうな交渉、そういうふうな諸国との関係を今回の交渉の中でどのように位置づけていかれるか、抽象的で結構でございますので、お答えいただきたいと思います。
○中山国務大臣 この北方四島の持つ国際的な位置というものは一体どういうものかというお尋ねでございましたが、当然ながら安全保障の上で、単に日本の国家が持つ安全保障上の問題だけではなしに、北太平洋における安全保障の一つの島嶼であるという考え方に立って、日米安全保障条約というものが現存しているというこの前提においてソ連政府も当然日ソの交渉を行われるわけで、何ら日米安全保障条約の存在はこれを妨害するものでも何でもないという観点から交渉が今日行われつつあるわけでございます。そういう意味では、この地域の領土問題というものが解決すればアジア・太平洋におけるこの日ソの関係が拡大均衡して平和が助長されるということは論を待たないと思っております。
○福田委員 ちょっと一般情勢になりますけれども、ソ連の政治経済が最近非常に変わってきているわけであります。質的、量的は変わってきている。このことがアジア諸国にはどういう影響を与えていますでしょうか。
○兵藤政府委員 お答えいたします。 ソ連のペレストロイカの中から出てまいりました新思考外交というものは、アジア・太平洋の地域においてまだ具体的な形でなかなかあらわれてこないということがしばしば指摘されてきたわけでございますが、パリにおきます昨年の欧州安全保障会議、十一月のパリの会議以降ますますアジア・太平洋地域の将来性、可能性ということについてソ連側も関心を高めてきているというふうに思うわけでございます。そういう中にあって韓ソ国交樹立の加速化、あるいは最近いろいろ報道されているわけでございますけれども、中ソ関係の急速な進展というものが見られるわけでございますが、そういう流れの中でゴルバチョフ大統領の訪日というものも位置づけられるということで、そういう観点からソ連側もアジア・太平洋地域というものにますます積極的な関心を表明しつつあるというのが昨今の状況かというふうに考えるわけでございます。
○福田委員 私は、ただいま御答弁いただきまして、このソ連との交渉が極めて世界において大事な交渉である、こういうふうな感をなおさら強くいたしました。そういうふうなことでありますので、この交渉をぜひ堂々と交渉していただきたい。それからもう一つは、後世外交史上にさん然と輝くような交渉にしていただきたい。これを切望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○牧野委員長 岡田利春君。
○岡田(利)委員 日ソ関係の問題に絞って御質問いたしたい、かように思います。 十六日にはゴルバチョフ・ソ連大統領が日本を訪問するわけであります。したがって、これからの質問もある一定の節度を持ちながら、そしてまたこの日ソ東京サミットが成功することを特に期待しながらこれからの質問をいたしたい、こう思います。 日ソ間あるいはまた帝政ロシア時代から考えても、ロシア、ソ連の最高責任者が日本を訪問するというのは初めてでありますから、まさしく歴史的な事実であることは間違いない、こう思うわけです。 若干、日ソ間の歴史を振り返ってみますと、今から百三十六年前に日露通好条約が締結をされ、そして七十四年前には十月ロシア革命が行われて現在のソ連政権が樹立をされた。ポツダム宣言を受諾してから四十六年ですけれども、実は日ソ中立条約の締結から計算しますとちょうど半世紀、五十年目になるわけであります。サンフランシスコ平和条約の締結以来既にもう四十年になるわけですが、特に日ソ共同宣言の締結以来三十五年の時間が実は経過をいたしています。 私は、この三十五年の間の日ソ間の話し合いの山場というのは、一九七三年の田中・ブレジネフ会談だろうと思います。日ソ共同宣言からちょうど十七年目なんですね。この田中・ブレジネフ共同声明から今日ゴルバチョフ大統領が訪問する年は十八年目で、ちょうど中間に位置いたしておるわけです。そして、今回言うなれば平和条約の締結交渉ということになると思うのですが、日ソ間で一体平和条約の締結交渉というのは何回あったのだろうか。第二回は田中・ブレジネフの交渉だ、こう言われているわけですね。この間四年間引き続き接触が行われて、当時の宮澤さんとグロムイコの会談が二回行われた。その後、会談とは言えないけれども、十三年前に園田外務大臣がグロムイコと、日本の平和条約の案とソ連側の善隣友好条約をお互いの金庫にしまっておかれた。こういういきさつを通って今回のゴルバチョフ大統領を迎えるわけです。 私はそういう流れを考えてまいりますと、まさしく今回のゴルバチョフ大統領の日本訪問のチャンスというのは、戦後のこの日ソ間の、しかも大国の日ソ間においてまだ平和条約が締結されていないことに終止符を打つ最も重大な時期である、こう思うわけです。したがって、日本政府としても今回のこの日ソ東京サミットを迎えるに当たって、その意義というものについてそれなりに総括をされておると思うのですけれども、そういう意味でゴルバチョフ・ソ連大統領の訪日の今日的意義というものを一体政府はどのように理解をしておりますか。
○中山国務大臣 第二次世界大戦後の米ソの対立が始まって以来、ヨーロッパにおきましては御案内のように、冷戦が終わるという時代を迎え、ヨーロッパの安全保障も考え方が各国で協議をされ、また同意を見つつあるという今日の姿でありますけれども、アジアにおける日本とソ連の間の領土問題という問題は、第二次世界大戦後の東西対立の残滓としてまだ残っているという認識を持っております。 今回のゴルバチョフ大統領の訪日を機に領土問題を解決して日ソ関係が平和条約のもとにどんどんと拡大していく関係が起こってくることを私どもは期待をいたしておりますし、それがひいてはアジア・太平洋の平和と繁栄のために大きく貢献するものという意義を持っていると認識をいたしております。
○岡田(利)委員 私は、今回の日ソ東京サミットは、我が国外交に一体新思考というものがあるのかないのか、ソ連ばかりに新思考外交ということを強く求めていますけれども、今この時点において日本が国際社会に対して日本のいわゆる新思考という新しい思考に基づいた外交が展開できるかどうか、この試金石になるのではないのか、こんな思いもするわけであります。同時にまた、このサミットにおける我が国の対応の仕方というものは、我が国が国際政治社会において将来発言権をきちっと持っていくことができるのかどうか、いわばそういう国際政治社会における役割を日本が果たせるかどうか、このことをかけている極めて重大な会議である、単に領土の問題という、それだけに矮小化されたものではなくて、そういう重みを持っておると私は思うのですが、外務大臣の見解はいかがでしょうか。
○中山国務大臣 ドイツにおいては一九七〇年代既に国境線の確定が独ソの間で完結を見ている、そういう中で、昨年の十一月の東西ドイツの統一ということが実現してきた。ここで、まだ国境線の確定していない北方の地域において今回の会談を通じて問題が解決をされるということになりますと、アジア・太平洋における大きな一つの新しい国際環境というものができ上がってくる。それは単に日ソだけの問題でなしに、アジア・太平洋の各国にとっても極めて好ましいことであろうと、私どもは全力を挙げてこの日ソの協議に努力をしなければならないと考えております。
○岡田(利)委員 我が国外交の当面する課題として、日ソ間の関係をまず修復すること、問題を解決をすること、同時に、ようやく緒についた日朝間の国交回復、これを解決する、当面する今、日本政府も力を入れているカンボジア問題の解決を図ってインドシナの情勢を安定化させる、言うならば、この三つが解決されればアジアにおける極めて明るい安定的な方向というものができ上がってくると思うのです。今度の日ソ東京サミットというのはまさしくその重大な第一歩である、こう私は思うのであります。 だがしかし、残念ながら今日のソ連国内の状況は極めて激動していると申し上げなければならないとも思いますし、またゴルバチョフ大統領の権力的な基盤について、やはり極めて憂慮すべき報道がたびたび伝わってくるわけであります。このことは、相手側がどういう状況を背景にして、どういう基盤に立っているかという分析が極めて重要だと私は思うのです。外務省としては、この今日のゴルバチョフ大統領の権力構造の実像とソ連国内の背景にある状況が、今回の東京サミットにどういう影響をもたらすと分析されているか、その点についてまず伺っておきたいと思います。
○兵藤政府委員 お答えいたします。 ゴルバチョフ大統領が直面いたしますソ連の国内問題、まさにペレストロイカの真価が問われている局面であるかと存じます。 御承知のとおり、経済的な状況がいろいろ悪化していく、あるいは連邦と共和国との関係、いろいろ複雑な問題が存在している、そういう中で、いろいろな無秩序、混乱というものをある程度引き締めていく必要もあるというような状況の中にございまして、ペレストロイカの先行きもやや不透明な状況になっているという状況でございますが、ゴルバチョフ大統領は、このペレストロイカ路線を堅持するということを再三強調されておられるわけでございます。また、そこを基盤といたします新思考外交を推進するということでございますので、私どもとしてはこのゴルバチョフ大統領の努力が実を結ぶ、強い指導力を発揮されるということを心から期待をいたしておるところでございます。
○岡田(利)委員 外務省はしばしば、ソ連の新思考外交というものはアジアに及んでないということをここ数年間繰り返し繰り返し述べられてきておるわけです。私は、この認識は誤りであったのではないか、こういう立場に立っておるわけであります。 ゴルバチョフ大統領が書記長に就任以来ちょうど六年の時間が経過をいたしているわけです。その間の米ソの関係あるいはまたヨーロッパにおける諸問題の解決等について、私が触れるまでもないと思うのですが、しかし今述べられたような状況から判断すれば、日ソ間の問題を解決するタイミングとしては少なくともグッドタイミングであるとは言えないのではないか。やはり若干タイミングが遅きに失した、やはり新思考外交というのはアジアには及んでないという日本のそういう受けとめ方、積極性のなさが結局こういう状況の中で日ソ間の東京サミットを行わざるを得なくなったのではないか、こういう見方もあるのでありますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○兵藤政府委員 私どももゴルバチョフ大統領の新思考外交のもとで北方領土問題を何とか打開するという努力を過去六年間続けてきたわけでございますが、例えばその中から平和条約締結交渉、これは外務大臣レベルでございますけれども、その下に日ソ平和条約作業グループというものをつくったわけでございます。七回にわたりまして協議を続けてきた。この協議の中身は、北方領土問題の法律的な問題あるいは歴史的な側面について、ブレジネフ時代までには考えられなかったような詳しい法律論というものが闘わされてきたわけでございます。これはその以前には考えられなかったようなことであったかと私どもは思うわけでございます。 また、ペレストロイカそれ自体の方向性というものを日本としても支援したいということで、特に中山外務大臣とシェワルナゼ外務大臣の九月の外相会談におきまして日本の積極的な姿勢を出しまして、ゴルバチョフ大統領のペレストロイカ支援というものを積極的に進める、あるいはいろいろな人道的な援助をするというようなことで、私どもも置かれた状況下の中で積極的に対応する努力を重ねてきたつもりでございます。
○岡田(利)委員 最善のタイミングではなくても、最善を尽くさなければならぬことだけは事実でありまして、そのことを期待申し上げておきたいと思います。いわば、いろいろあるけれども、まだゴルバチョフ・ソ連大統領は十分とは言えないけれども、ビジネスのできる人であるという信頼感の上に立って今回の交渉が行われるのだと思います。 そこで、今までの経過の中で二、三承っておきたいのですが、小沢自民党前幹事長が三月二十四日ソ連を訪問いたしましてゴルバチョフ大統領と二回にわたって会談をいたしたわけです。これは御本人が公式に記者会見された内容等から判断しても不明な部分が多いのでありますけれども、領土問題と経済協力という問題が出ておるわけであります。そういう面からしてこの小沢・ゴルバチョフ会談について、政府自体としてはどういう評価をしておりますか。
○兵藤政府委員 お答えいたします。 小沢幹事長は仰せのとおり、ゴルバチョフ大統領と二度にわたる話し合いをされたわけでございますが、小沢幹事長は自由民主党を代表するお立場から領土問題について突っ込んだお話し合いをされたというふうに承知をいたしております。 私どもが承知しております範囲でお答えをさせていただきますれば、小沢幹事長はまさに北方四島一括返還という、日本政府と全く同じ立場に立ってゴルバチョフ大統領に二度の会見にわたって日本側の主張を強く展開されたと承知をいたしております。
○岡田(利)委員 まあいいでしょう、党のことを局長が余りとやかく言える立場でもないと思いますから。ただ、問題は今度の東京サミットにきちんと文脈がつながるかどうかという問題なのであります。 では、ベススメルトヌイフ外相が先般初めて日本を訪問されたわけですが、その前に外務大臣はもう既にモスクワにおいて会談がなされておるわけです。そこで率直にお聞きしますけれども、ベススメルトヌイフ外相のこの今回の日本との関係改善の政策は、前任者のシェワルナゼ外相の路線というものを正しくといいますか、このいわゆる本流をきちっと受け継いでおる、こういう認識に立っておられますか、それとも違いがあるのか。ただ表面的な違いというのはロシア共和国の外相が一緒においでになって横に座られて今回日本で交渉したというのはこれはもう極めて劇的に違う状況ですけれども、しかし私どももシェワルナゼ外相には二度にわたってお話を聞いたりしておりますから、そういう意味ではシェワルナゼ外相の考え方というのは随分大衆的に述べられておるわけであります。そういう立場からもその点が非常に国民的に関心があると思うのですね。いかがでしょうか。
○中山国務大臣 シェワルナゼ外相とベススメルトヌイフ外相との考え方、日ソにおける交渉の考え方というものは変わっておらないという認識を持っております。
○岡田(利)委員 そうしますと、シェワルナゼ外相のいわゆるオープンの講演の内容等を聞きますと、この領土問題は存在し解決しなきゃならない、しかしそれには双方のそれぞれの立場があり双方の主張を今先鋭的に違いをはっきりさせるというよりも、できるだけ共通の認識をお互いに求め合いながらそして違いの意見もまたさらに共通点に到達するように努力をしなきゃならない、時間がかかっても日ソ間はそういう努力をすべきであるし、その努力のためにいろいろな手段を考えてはどうなんでしょうか。こういう一連のやはり思考だと私は思うのですね。したがって今外務大臣の答弁は、現在のベススメルトヌイフ外相の考えも、そういうものを受け継いでいる。ちょっと具体的にいかがでしょうか。
○兵藤政府委員 今先生から御披露がございましたように、シェワルナゼ外務大臣は中山外務大臣との会談等におきましても、北方領土問題の解決という必要性ははっきりと認めながらも、この解決にはなお相当の時間がかかるという点を強調されたわけでございます。その点はベススメルトヌイフ外務大臣の発言にも受け継がれているわけでございますけれども、それに対しまして中山外務大臣が一貫して主張をされましたのは、戦後四十五年たつ、まさにこの問題をこれ以上先送りするということは日ソ関係の中長期的な展望を考えてももう余りにも過去の、今までの失ったものが大きいという点を指摘されまして、今こそゴルバチョフ大統領が英断を下す時期に来ているという早期解決を訴えられたわけでございます。
○岡田(利)委員 この会談の中に象徴的に一つの問題について結論めいたものが確認されておるわけですね。それは何かというと安全保障にかかわる協議の問題であります。したがってこの問題は今後日ソ政策企画委員会において協議をしていく、しかも今年じゅうに二回目もやりましょうという点がもう外相会談の中で象徴的に確認されている事項だと思うのですね。この認識はやはり安全保障の問題は非常に多岐にわたるし、また日本側としても内容を深めるには時間がかかる。例えば朝鮮問題とかカンボジア問題とかあるわけですから。そういう日本側の配慮もあってこの企画委員会において協議をしていく、しかも今年二回目やりましょう、こういう合意になったのでしょうか、この点いかがでしょう。
○兵藤政府委員 まず先生仰せのとおりの認識に立ちまして、昨年の九月に日ソ外相レベルという公式な場で初めてでございましたけれども、アジア・太平洋におけるこれからの展望を考えます場合に、日ソ両国がアジア・太平洋の安全保障ということをどう考えていったらいいのかということ、その中でもちろんソ連がさしあたり最も関心を示しております軍事戦略面における問題も含めまして真正面から議論をするという必要性、これは双方一致したわけでございます。 そこで第一回目のこの問題に関します議論を中山外務大臣とシェワルナゼ外務大臣との間でいたしました。これは初めてでございます。それを受けて昨年の十二月に政策企画協議という場をこちらから提案をいたしまして、第一回目のまさにその議論を続けたわけでございます。ベススメルトヌイフ外務大臣との間では一月の下旬の会議のときにもこの問題を引き続き話をいたしました。またゴルバチョフ大統領が参ります際にも恐らくその線上でのいろいろな御議論が今度は最高首脳レベルで行われるかというふうに考えております。
○岡田(利)委員 海部総理は四月四日にアメリカを訪問してブッシュ大統領と日米首脳会談を持たれておるわけであります。ただ、この会談の内容が随分詳しく報道されているのですけれども、この中にはこの日ソ首脳会談に関するいろいろな話し合いが行われたという記事は一行もないのですね。少なくとも新聞の発表やあるいはまた記者会見の発表では述べられていないわけであります。しかし、この日ソ首脳会談にまつわる問題やあるいはまた米ソ首脳会談の見通しは一体どうなるかという問題や米ソ協調に関する今日のアメリカ側の姿勢とかもろもろのことが当然意見交換されておると思うのですね。この点はどの程度話し合いが行われたのでしょうか。いかがでしょう。
○松浦(晃)政府委員 先生御指摘の今回の日米首脳会談におきましては、この二国間の問題、ポスト湾岸の中東問題それからアジア・太平洋の問題が議論されましたが、残念ながら時間がなくなりましてソ連の関係には話が及びませんでしたが、ブッシュ大統領の会談の前に先立ちまして海部首相はクエール副大統領と朝食をとられまして、その席ではかなりソ連問題が話題になりました。 それからさらに申し上げれば、中山大臣が三月の下旬に訪米されました際には、ベーカー国務長官とまさにソ連問題に関しましてかなり議論をしておられますので、その意味では今回の日ソ首脳会談の前に日米間のいろいろな意見交換が行われたということが言えるかと思います。
○岡田(利)委員 外務大臣は、総理大臣の前にわしもアメリカに行ってベーカー長官と話し合っておるよ、こういう気持ちを持って聞いておったのじゃないかと思うのですが、そうなんですね。今も答弁にありましたように、三月の二十一日に外相会談の中でこれらの問題については相当突っ込んだ話し合いが行われておると承知をいたしたわけです。ただ、多少まちまちな報道等もあるわけでありますが、その会談における日ソ東京サミットについての米側の意向として何かきちっと伝えられたものがあるのでしょうか。単なる意見交換でしょうか。いかがでしょう。
○中山国務大臣 単なる意見交換でございます。
○岡田(利)委員 その意見交換の中で認識が一致した主なものは何でしょうか。
○中山国務大臣 近くゴルバチョフ大統領が訪日をされて領土問題を中心に日ソの交渉が行われるということを話し合ったわけであります。
○岡田(利)委員 ある報道によれば、その際外務大臣に米側の意向として、第一は経済協力はソ連軍事産業の民需への転換を促進するような形になるようにやってもらいたいということ、第二は多国間協議による新たな安全保障の枠組みづくりなどを目指しているソ連提案にはこたえてはならないということ、いわゆる軍事バランスの変更をしてはならぬということですね、第三番目は北方領土返還交渉で四島の非武装化返還は条件として協議の対象にしてはならない、こういう意向が伝えられたと言われているのですが、いかがでしょう、感想を承りたいと思います。
○松浦(晃)政府委員 中山大臣とベーカー長官の会談におきますソ連関係の議論でございますが、基本的に今大臣からお話しのとおりでございますけれども、ベーカー長官の質問に答えられる形で、今回ゴルバチョフ大統領が来られた際に主要なテーマとしては領土問題、それからアジア・太平洋の安全保障問題の二つがあるということを申されまして、それにつきまして日本側の考えをかいつまんでお話しになられましたけれども、それの関連で今先生が触れられましたソ連に対します支援との関連で、軍需産業から民需産業への移転問題も念頭に置いて対応していく必要があるという指摘がございましたけれども、先生がそれ以外幾つか指摘されましたような具体的な点に関しまして話題になったということはございませんです。
○岡田(利)委員 そういう意味の話し合いは当然出たのでしょうと思いますけれども、まあいいでしょう。 さらに中山外務大臣は四月六日に中国を訪問されているわけですね。そして李鵬首相との会談を行い、銭外相との会談を行っておるわけですが、対ソ問題について話し合われておるようであります。この対ソ問題については、特に中ソの関係改善の問題、そしてまたこの我が国の日ソ関係改善における領土に関する中国側の意向、態度といいますか、これらも話の中に出たように大々的に報道されておるわけですね。この点について真偽のほどをきちっと説明していただきたいと思うんです。
○中山国務大臣 中国側から日本の北方領土問題については理解と同情をしているというお話がございました。私の方から、従来中国政府は日本の立場を支持をしてきていただいていると感謝していると申し上げました。
○岡田(利)委員 中国の北方領土に対する支持は熱烈なものがありましたね。我々もよく知っているんですよ。しかし最近の中国の立場というのは、それは言うならば日ソ間の問題であるという点で、余りコメントを積極的にされないようになりましたね。前はもう聞かなくてもコメントをどんどんしましたから。だから、そういう点でやはり中ソ関係改善に配慮しているというような感じがあるんではないのか。もちろんこれだけ中ソ関係が改善されて、国境問題が解決されていくとそういう国家間の配慮というものがあるんだと思うんですが、そんな御印象はありませんか。
○中山国務大臣 現在中国とソ連との関係は良好である、そういう認識の上に立って近く中国の江沢民さんがソ連へ公式に訪問されるという関係の中にあると思います。
○岡田(利)委員 国境問題は五月の中旬に江沢民総書記が訪ソした場合に全般的に、現在九〇%合意をしておって、ほぼ解決されるであろう、こう言われておるわけであります。しかも、我々が例えばシベリアやあるいはまた極東あるいはサハリンまで行きますと、中国人労働者はどこでも見れますからね。また農場においてもそうなんですね。これは単に労働力が提供されているというスタイルじゃないんですよ。いわば商品借款のような形で労働力が提供される、こういうところまで緊密に進んでおるわけですね。 例えばもとの大泊、コルサコフにおいても水産加工工場には中国人労働者が働いていますよ。あるいはまたホルムスクにおいても海員会館の建設や、あるいはまたユジノサハリンスクにおいても中国人がどんどん働いていますよ。目につきますね、たくさん。そういう状況まで進んでおるということが今日の状況を物語っておるんではないかなと私は思うんです。そこで、中ソ関係で長年問題になっておりました中ソの、特に東部の国境問題がほぼ解決をする。今、ソ連側でいえばウスリースキーの島の問題は双方まだ結論が出てないようでありますけれども、このまま解決できるんだ、こう言っておるわけですね。この解決の手法について何か学ぶものがありますか。 例えば一方的に中国の主張が通ったとか一方的にソ連の主張が通ったとかそういうものじゃないんだろうと思うんですね。やっぱり双方が譲り合ってこれらの問題が合意に達しているという状況が中ソ間の国境問題の解決の方向じゃないでしょうか。あるいはまた一番最後まで残ったウスリー川とアムール川に挟まったこの島の問題は、これは相当大きい面積でもあるし、恐らくこの解決は多少の時間がかかっても別途な解決方法も行われる可能性がある、こういう情報もあるわけですね。こういう点についていかがでしょうか。
○兵藤政府委員 中ソ国境をめぐりますいろいろな紛争は長年の多岐にわたるわけでございます。ある時期には先生御指摘のとおり一部の国境線をめぐりまして砲火まで交えるという極めて緊張した状況もあったわけでございます。そういう中で私どもも最近ソ連、中国両政府による精力的な交渉の中でかなり実質的な合意が達成されているというふうに承知をいたしております。先生の御質問で、もし学ぶことがあるとすれば中国側、ソ連側とも大変な忍耐と息の長さをもってお互いにこの問題を粘り強く交渉してきたというその一点にあろうかと思うわけでございます。
○岡田(利)委員 ゴルバチョフ大統領の訪日の日程が最近ほぼ確定的に発表されておりますし、首脳会談の議題等についても伝えられておりますし、またその際のいわゆる調印をする合意文書についてもそれぞれ伝えられておるんですが、まちまちなところもあるんですね、報道関係の内容を見ますと。各社によって違いがあるという意味であります。 そこでお聞きいたしておきたいのですが、一つは日程その他については完全にもう確定した、こう言えるのかどうか。まだ問題点が残っているのかどうか。それから首脳会談の議題についてもどうなるのか。それから合意文書については初めは十三、その次十四、十五。十五のうち一つまだ調整中、いろんな報道があるんですが、僕らも先般訪問したときにソ連外務省で聞いたのでは、十五の合意文書についてこれはほぼ九〇%きちっともうできているという話を聞いてまいったんですが、この点どこまで進んでおるんでしょうか。
○兵藤政府委員 最初の御質問のゴルバチョフ大統領の十六日からの日程でございますが、大筋のところはほぼ合意を見ております。今第二次先遣隊が訪日中でございまして、細かいところについての微調整をやっているところでございます。 日ソ首脳会談の議題につきましては、大ざっぱに分けまして、一つは当然のことながら最大の懸案でございます北方領土問題を解決しての平和条約締結問題、それから二国間のいろいろな問題、それと先ほど先生からも御指摘のございましたアジア・太平洋のいろいろな問題を含みます国際情勢につきまして意見交換を行うということで原則的な合意ができております。 さらにお尋ねのゴルバチョフ大統領訪日の際にいろいろ結ばれます文書でございますが、ざっと御報告申し上げますと、政治的な分野におきましては、日ソ政府間の協議に関する文書、それからもう一つはソ連邦及び日本国において埋葬された者にかかわる問題及びその他に関する諸問題に関する文書、長いタイトルではございますが、これはまあシベリア抑留者と俗称されることに関する文書でございます。それから経済、科学技術分野でございますが、第一にソ連邦におけるペレストロイカに関する日本国の技術的支援に関する文書、それから第二に一九九一年─九五年の貿易及び支払いに関する文書、第三に一九九一年から九五年の沿岸貿易に関する文書、第四でございますが、展覧会及び見本市の日ソ両国における開催にかかわる協力に関する文書。それから、環境保護分野における協力に関する文書。原子力の平和利用の分野における協力に関する文書。チェルノブイル原発事故の結果生じた事態を克服するための日ソ間の協力に関する文書。さらにこれに加えまして航空分野における文書二件。以上が経済、科学技術関係の文書でございます。 文化面におきましては三つあるわけでございますが、最初は一九九一年から九二年度の文化交流に関する文書。二番目が文化財の保護に関する文書。第三番目が現代日本研究に関する分野における文書。今日までのところ、これらの文書は両国間において確定を見ているということでございます。
○岡田(利)委員 そこで、特に関心のあることは、現地等からもきょうも陳情に来ておるわけですが、漁業協力に関する共同声明といいますか、文書。この点、まだ結論が出ていないとすれば何が問題なんですか。
○兵藤政府委員 漁業も日ソ関係の大変に重要な分野でございます。この点に関しましては、今ソ連側とまだ鋭意話し合いの段階にございます。まだ話し合いの決着がついておりませんので、私からここで具体的なことを申し上げることは御容赦いただきたいと思います。
○岡田(利)委員 話し合われている内容は大事なことですけれども、しかし、例えば来年からサケ・マスの沖どりが禁止される。禁止をしますということなんですから、そういう状況下においてソ連の最高責任者が来るのに、そういう問題等を含めたもう少し広範なもの、いわば漁業は日ソ間のかけ橋であるということで三十五年間続いてきたわけです。それについてはどうも政府の対応の仕方がまずいではないかという声がやはり強いわけです。 大体これ、モスクワの大使館でやっているのでしょう。別に水産庁がやっているわけではないのでしょう。そういう意味では、どうもいかがなものかという声が非常に強いのであります。歴史的な経過からいってもウエートからいっても、また置かれている現状からいっても、もちろん日米加、国際的な動きも知っていますけれども、もう少し工夫してやはり系統的にやるべきであったのではないのか。まして、今考えられている程度のものが協定に達しないとすれば失望は大きいでしょう。政府は何をやっておったんだという声が出ると思うのですよ。いかがでしょう。
○兵藤政府委員 まさに先生御指摘のサケ・マス沖どり全面禁止の後の日ソの漁業関係はいかにあるべきかということは、外務大臣以下外務省も多大の関心のあるところでございますが、わけても農林水産省近藤大臣以下あるいは京谷水産庁長官以下、この問題について大変に頭を痛めておられる。まさにそうであるからこそソ連側といろいろ難しいお話し合いを続けておられるというふうに承知をいたしております。
○岡田(利)委員 漁業問題というのは、ともすれば外交の正面舞台に上るというのじゃなくして、それは水産庁でやってください、外務省からはだれかその場合の交渉に参加しますよ、そういう傾向がずっと続いているのです。だから、どうも外務省主導の中における漁業問題というのはどうでしょう、この点は随分不信感が強いですね。私も公平な第三者的な立場で見ていても、どうもその点、漁業問題になりますとちょっと弱みを見せることになるというような、外務省自身としてはそういう感情が非常に強いのじゃないでしょうか。いかがでしょう。
○兵藤政府委員 先生のお言葉でございますが、従来より外務省も漁業分野の重要性ということはつとに認識しておるつもりでございますし、いろいろな形の漁業交渉、二百海里の大変な時代の交渉もあったわけですが、それも含めまして、私どもは水産庁といろいろ密接に協議をさせていただきながら、先生からも御指摘がございましたが、モスクワ大使館ではまさに一体となって、外務省の機関としてソ連邦漁業省といろいろな形の折衝を日夜続けているわけでございます。そういうことで、外務省も積極的に、漁業問題には関心を持ち、いろいろ関与させていただいてきたというのが私の認識でございます。
○岡田(利)委員 今協議をしている共同声明の内容となるものについての意見の相違があるのでしょうけれども、大体想定がつく内容でありまして、その程度のことも合意に達し得ないとすればいかがなものかという感じがいたします。この点特に、最終まとめについての注意を喚起しておきたい、かように思います。 次に、シベリア抑留者の問題についてでありますが、ゴルバチョフ大統領が特にその当時のソ連側の過ちを率直に認めて遺憾の意を表する。そして、伝えられるところによれば、ハバロフスクの日本人墓地にお参りして日本を訪問する、こういうことを承知いたすわけですが、それは、遺憾の意を表するのは、日本側に対して、こういうところで過ちについて率直に遺憾の意を表しますということが既に伝えられておるのだと思うのです。また日本側としても重大な関心のあることでしょう。例えば衆議院の本会議場での演説の中に含まれる問題なのかあるいはまた首脳会談の中で述べられる問題なのか。今度は抑留者、十五人の代表の方々とも会う日程が組まれておるわけですから、もちろんそこでも率直な話があるのだと思うのですが、この点は何か詰まっておるのでしょうか。
○兵藤政府委員 この問題につきましては、あくまでもソ連政府のあるいは大統領の自発的な誠意あるお気持ちの表明の問題でございます。日本政府から、こういう場所でやってしかるべしあるいはこういうことでやってしかるべしということを申し上げる問題ではないというふうに承知をいたしております。したがいまして、私どもも、ソ連側の自由な意思の発意として、ソ連側の選ぶところでそういう表明をしていただくというのが至当な考え方であろうということで、ソ連側といろいろ話し合っております。
○岡田(利)委員 シベリア抑留死亡者の交換文書の中身でありますけれども、もちろん死亡者名簿が今度は持参されるということは報道されておりますし、当然これが手交される、墓地の位置についても通知なされる。そうしますと、墓地に対する墓参の自由化というものが当然認められる、または、その墓地に対して慰霊碑の建立をするとすればそれも認められるというような内容になるのではないかなと思うのです。別にソ連側がこれに対して見舞い金を出すとか、そんな話にはならないわけでしょう。 そこで、今、ソ連側が労働証明書を出すという問題があるわけですよ。必ず出すでしょう。出した場合には、日ソ共同宣言第六項の、請求権を相互に放棄をするという面で、その分をソ連側に請求するということはいかがなものか。個人であろうと団体であろうと国であろうと、これは放棄してあるわけですから。そうしますと、これはもし問題点があるとすれば、日本の国内手続において政府と抑留者との間のいわゆる補償問題というものが生まれてくる、こう思うのですが、この点についてはどういう見解を持っておりますか。
○柳井政府委員 ただいま御指摘の問題につきましてお答え申し上げます。 いわゆる労働証明書というものが出るのかどうかという問題がございますが、この内容が必ずしも明らかでない現時点におきましてはなかなか考えにくい問題ではございますが、仮にシベリア抑留者の方々が抑留国であるソ連側から抑留中の労働時間等について証明する何らかの文書の発給を受けたということがございましても、抑留者の所属国たる我が国が当該抑留者の方々に対して労働賃金の支払い等を行う国際法上の義務を負うことはないわけでございます。 他方、ただいま岡田先生から御指摘のございました請求権の問題でございますけれども、この点はまさに日ソ共同宣言第六項において、このシベリアの抑留にかかわる事項を含めて戦争の結果として生じたすべての対ソ請求権を放棄しているわけでございますので、我が国政府としてソ連側に政府間で働きかけを行うということはできない状況になっているわけでございます。 しからば、他国に抑留された自国民、この場合は我が国の国民に対して国内政策上の見地からどのようなことを行うかということにつきましては、所掌上外務省としてちょっとお答えするわけにはまいらない状況でございます。
○兵藤政府委員 もう一つつけ加えさせていただきたいと存じますが、今条約局長から御答弁申し上げましたのは、あくまでも先方が労働証明書を出したと仮定しての議論でございます。今日までソ連政府から労働証明書を発給するという明確な回答ないし意思表示はございません。
○岡田(利)委員 北方領土関係の問題について若干承っておきますが、政府はさきに閣議了解として北方渡航自粛方針というものを決められた。この閣議了解、自粛方針を決められたという内容がくせ者でございまして、何かケース・バイ・ケースというか、いろいろな形に出てまいっておるわけです。 そこで、ビザを取得して入域をして報道するということはこの自粛方針に反して、少なくとも罰則がないから外務省はその報道関係者に外務省の取材を拒否するというようなことが言われたり、外務大臣が声高々に厳重抗議を申し込むというのを新聞に談話みたいなものを出してみたり、大人げないなというような感じを私は持つわけですね。特に報道関係というのは人工衛星で地球どこでも情報がわかるような状況でしょう。むしろそういうものを知らしめる、非常に有効じゃないですか。どうですか、最近の報道を見ていると。むしろその方が有効なんですよ。そういう点はちょっとどうか、時代錯誤じゃないか。 まして北方領土に関する活性化は、最近ソ連の方が討議でも何でも活性化していますよ。新聞にも自由に報道していますよ。日本の方は何か外務省が目をひっくり返して、政府の方針以外のことを言うと国賊か何か、国賊とまでは言わなくてもすぐ目玉をむき出す、これも大人げないと思うのですね。だから今、日本が全体主義の国でソ連が自由主義の国だという感じが本件についてはするのですね。この件は即刻改めるべきではないか、こう思うわけです。 そうしますと、ビザのない場合どうなるのか。ビザのない場合入域することは、これも入域しようとすればいい顔しないわけでしょう。これはやはり政府の何か証明書なんてもらう必要ないわけでしょう、これはビザなしなんだから。だけれども余りいい顔しないのですよね。やめてくれやめてくれと来てみたり、どうなっているのですか、これは。いかがでしょう。
○兵藤政府委員 事実の報道の重要性は、私ども十分認識するわけでございますが、先生も先刻御承知のとおり、墓参がしばらくできない時期がございました。あるいは昆布、これは民間協定でございますけれども、昆布がしばらくとれない時期がございました。なぜ根室の漁民たちに歯を食いしばっていただいたか、あるいは墓参に行きたいという切実な気持ちを抑えて頑張っていただいた方々がいたかと申しますと、それはひとえに北方領土問題、北方四島の日本国の法的な立場というものをいかにして崩さないでいくかという一点に集約をされているわけでございます。 先生には釈迦に説法でございますからこれ以上詳しく申し上げませんけれども、そういう状況であったわけでございます。そういう中で我が方の法的立場を事実としてもし切り崩すということがあるとすれば、まさに今ゴルバチョフ大統領訪日を迎えて、正念場を迎えているところでございますから、私どもは、八九年九月十九日の閣議了解というものをぜひ忠実に厳守してほしいということを申し上げている次第でございます。
○岡田(利)委員 こういうことがいわば法的に直接関係ある、こう言いますけれども、例えば二百海里の場合には、七条で双方の主張を妨げるものではないというのが一項入りまして、二百海里協定を結んであの海域全部認めているわけですね。それ一項があるからだというならば、知恵を出して、こちらの方でこういう問題についてはあれだというのをするか、報道とかごく限られたものについてですよ、やはりそういう知恵を出してこういう問題には対処すべきだと思うんですよ。外務省としてももう少し弾力的に対応する、知恵を出して方針、方法を考えたらどうかということなんですよ。二百海里になるとやむにやまれずああいう形で、私もあのとき随行員で交渉についていきました。だけれども報道関係とかこういう問題についてまで、報道規制をする、できないようにする、そして向こうの報道と契約して向こうでやったものを受けてやる、こんなさもしいことはやめられた方がいいのではないか、こう思います。 いずれにしても、しかしこれは日ソの新しい関係が、大統領が来られてその後新しいスタイルで物事を考えなければならぬわけですから、そのときに十分検討してもらいたい、こういう気持ちなんですが、それだけ、どうでしょう。
○兵藤政府委員 今先生の言われた知恵というお話でございますが、墓参につきまして若干、これがその知恵に当たるかどうかわかりませんけれども、ささやかながら一つのソ連側との合意というものができているわけでございます。ゴルバチョフ大統領が参りまして基本的な問題についてどういう展開を見せるかということも見合わせながら、先生の御意見も貴重な御意見として承っておきたいと思います。
○岡田(利)委員 では漁業者の場合、漁業免許権があって、その漁業免許権を行使する。密漁じゃないんですよ。漁業免許をもらっていって、そしてその漁業免許の内容の漁業を行使するという点で、北方海域に入域して漁業をすることについては認められるのでしょう。ただソ連が管轄権を実際行使していますから、拿捕されるかどうかは別問題ですけれども、それは問題ないのでしょう。
○柳井政府委員 領土の問題につきましては管轄権の問題が非常に重要な要素でございまして、ある個々の行為が相手方の管轄権を認めたような場合、具体的に申しますと、ソ連が現在我が北方四島を不法占拠しておるという状況におきましてソ連側の管轄権を認めるような行為をするというようなことは、一般的に申しまして我が方の立場を害するおそれがあるわけでございます。何か特定のことを一回やったら我が方の立場が害されるかということになりますとこれは具体的に検討する必要がございますが、ただ一般論といたしまして、そのような行為が積み重ねられるということになりますと我が方の立場に影響があるおそれが生ずるということで、このような問題につきましては私どもとしては非常に慎重に考えておる次第でございます。
○岡田(利)委員 いや、日本の漁業権の免許を受けて、そしてその漁業権に基づいた漁種の魚をとる。拿捕されれば拿捕保険というのを日本でつけているわけだから、拿捕保険というのがあるのですから、政府も予算を出しているのですから、そういう仕組みになっているのですよ。だから行って魚をとることは問題がないのでしょう。私、三十年間質問していますけれども、今まで何も問題なかったのですよ。きょう、何か条約局長の答弁を聞いていると回りくどいのですけれども、できるかできないかということですよ、どうなんですか。
○柳井政府委員 先ほどの御質問がソ連側の免許というふうな意味かと思ったものですからあのように申し上げたわけでございますが、もとより我が国の漁船が我が国政府の許可に基づいて操業するということについては特に問題はないわけでございます。ただ、これをソ連側がどういうふうに評価するかということは別問題でございます。
○岡田(利)委員 ですから、ビザなしで領海に行って自分の漁業権に基づいて漁業ができるのに、ビザなしでですよ、ビザなしで行くということも自由じゃないか、認められるのじゃないですか、認められておるのでしょう、こう言っているのですよ。ビザをもらえば別ですよ。何もビザなしで、例えば根室から出て島に上がって交流したということだっていいのでしょう。ビザを持っていくのが問題でしょう、領海にひっかかりますけれども。ビザなしで行くことが自由なのでしょう、日本は自分の国だと言っているのですから。いかがですか。
○柳井政府委員 いろいろな知恵を授けていただきまして、私どももよく考えてみたいと思いますが、一般的に申しますと、我が国の国民がビザなしでソ連側が現在事実上支配している場所に赴くということは、ビザという点に関します限り、先方の許可をもらうとか、あるいは管轄権に服するということではないわけでございます。その点はよろしいかと思いますが、ただ、ビザなしでソ連が事実上支配しております場所に赴きまして、特に向こう側が異議を申し立てなければよろしいわけでございますが、ただ、そこで何か問題が起こったときに、例えば先方の法令違反に問われるというような形でソ連側の管轄権行使が実際に行われるということになりますと、この主権の問題が生じてくるというふうに考えております。
○岡田(利)委員 時間がありませんから、これは本論でありませんから。 そこで、私は今回の領土問題の協議に当たって、日本側として私が言う次の三つの原則について確認できるかどうか、見解を聞いておきたいと思うのです。 一つは、もちろん現在でもソ連軍の一個師団程度の軍隊がここにおるという点については撤収しなさいということを日本はかねがね要求いたしているわけです。したがって、返還された北方領土については非武装の地帯としてここには軍事力は置かないという点についてむしろ態度を明らかにした方が、交渉に臨むに当たって、協議に臨むに当たって日本の立場がはっきりするではないかというのが一つの原則であります。 第二の原則は、時間がありませんから現在の北方四島の実態は聞きませんでしたけれども、約三万人の人々が住んでいる。したがって、北方領土が返還された場合、現在住んでいる住民の、軍人を除く希望者に限っては協定永住権が認められる、認めてよろしい、そういう用意があるという原則を日本が認めることができるかどうか。 第三番目は、返還された北方領土に対しては両国民が自由アクセスとして入域が認められる、あるいはそれに準じた措置をとる、いわばフリーゾーンとか経済特区とかいろいろなあれがありますけれども、とにかくそこに、もちろん協定永住権を認められればある程度自由に往来ができる。 この三つの原則は、私は、むしろ日本の今回の北方領土の返還に臨む姿勢としてきちっとされて臨まれた方がいいのではないかなと思うのですけれども、政府の見解はいかがでしょうか。
○兵藤政府委員 ソ連政府が私ども日本が要求しております北方四島の主権の問題について英断を下したという場合に、それ以後の問題につきましてはいろいろな問題があるわけでございます。今先生御指摘の問題もその中の重要な問題であると思うわけでございます。それらの問題につきましての先生の御意見は承ったわけでございますが、まさに主権について向こうが踏み切ってくれた後のいろいろなことをどうするかということは、私どもが行っております交渉の中身に立ち至っての問題でございます。今交渉中でございますので、日本政府の基本的な考え方を今ここで申し上げることは御容赦いただきたいと思います。
○岡田(利)委員 これは私の意見として参考になるところがあれば参考にしていただきたいと思います。 もう一つです。一九四五年以来ちょうど四十六年間の間に北方領土で重大な変化が起こったとすれば、何が起こっていますか。どういう認識を持っていますか。
○兵藤政府委員 お答え申し上げます。 法的な地位につきましては、不法占拠がずっと続いている、それに対しては日本政府は繰り返し繰り返しその不法性を指摘し続けてきている、その点については何ら異なるところはないということでございますが、ほかの、島の中で起こっております現象面で見ますれば、先ほど先生御指摘の、例えばソ連が不法占拠をいたしました直後に展開いたしておりました一個師団相当の軍が一時引き揚げた、しかしそれが七八年に戻ってきた、それが今しっかりとまだ駐留を続けておるというような状況、これは一つの変化だろうかと思います。 さらに、先生御指摘のように、四島に相当数のソ連国民が移住して、例えば一番大きな分野は漁業でございますけれども、あそこに例えば漁業コンビナートができる、缶詰工場ができるといったような経済活動がかなり展開をされておるというふうに認識をいたしております。
○岡田(利)委員 私は、先般サハリンを訪問してフョードロフ知事と会ったときに、その会談の中でいろいろ述べたわけですが、今サハリン州の総水揚げ高の五〇%があの海域なんですね。五〇%がサハリン周辺で水揚げをしている。これがサハリン州の水産関係の実績なんです。それで、今二つの問題は確かにそうですけれども、もう一つ、二百海里時代に入ったということなんです。これは環境的に大変化なんですよ。ということは、当時は領海十二海里なんです。日本は三海里だったのですね。それが日本も十二海里にしたわけですね、二百海里時代を迎えて。そして二百海里になっておるのです。ですから、権益というのは大変な違いなんですね。 かつてフルシチョフは、経済的価値がない、軍事的価値があると、こう言ったのですけれども、フョードロフさんは、経済的価値もある、日本と競争したってかなわない、こう言っているのですね。それは実際問題として感情だと思うのです。ですから、択捉を見るとわかるでしょう。択捉からだったら、こっち二百海里太平洋、こっち二百海里オホーツク海ですよ。国後は一部そうですけれども、国後と歯舞、色丹は一緒になっていますから。その点は非常に重大な変化なんですよ。ただ、お互いにこれには触れないようにしているのですね。しかし、変化であることは間違いないわけであります、管轄権が及ぶのでありますから。そして双方、日ソ、ソ日の漁業協定をしているのでありますから。そして時間はもうそれ以来十三、四年たっているのです。 鈴木内閣時代に北方領土の日を決めてからことし十年目ですからね。ことしはちょうど十年なんですから。そういう点で、このことも十分分析に入れておかなければならない。どうも魚のことは外務省弱いのじゃないかというような感じが私しまして、そういう意味では、お互いにそういう水産物を共同的に利用するということは、北方領土の問題が解決したから領海十二海里に機械的に管轄権が及んで、これはもう主体的にすべてを行使するというような姿勢は、私は時代の変化に目をつぶることになるのではないかなという気がしますね。もちろん、これからの話し合いの中に出るのかどうか、ソ連側は意図的にこの問題は出しませんけれども。そういう点についてもこれから考えておかなければならぬ問題点ではないかな、こう私は思うのですが、やはりこれ、今言われた変化のうちに重大な変化の一つとして追加されていいのではないでしょうか、いかがでしょうか。
○兵藤政府委員 先生がまさに仰せのとおり、北方四島の最大の産業は問題なく漁業であるわけでございます。先生のお触れになりました二百海里の問題につきましては、先生御高承の二百海里線引き交渉というときにここが大問題になったわけでございます。その大議論を経ましてできました条約によりまして、お互いに領土問題についての立場は留保しつつ、御承知のような今は取り決め、了解のもとに漁業を続けざるを得ない状況でございますが、北方四島の経済的な価値を論じます場合に、間違いなく漁業というものは中核的な地位を占めるという認識は、仰せのとおりだと考えております。
○岡田(利)委員 今回の領土問題に対する我が国の基本的な姿勢の問題でありますが、私からいいますと、一九五六年の日ソ共同宣言の確認、実行を前提として、国後、択捉両島に対する日本の主権を認めるということである、要約すると。正確ですか、いかがでしょう、日本の立場ですよ。
○兵藤政府委員 日本国政府の主張は、共同宣言で引き渡しが既に約束をされております歯舞群島、色丹島に加えて、固有の領土でございます択捉島、国後島両島の返還を受ける、一括して四島の返還を受けるというのが基本的な立場でございます。
○岡田(利)委員 そうしますと、小沢さんは政府の方針から逸脱したことを言ったということになりますか。
○兵藤政府委員 私が理解いたしておるところでは、まさに小沢幹事長も今私が申しましたのと全く同じ認識から、四島一括返還ということでゴルバチョフ大統領に強く迫られたというふうに承知いたしております。
○岡田(利)委員 外務省というのは随分頭かたいなと、今の答弁を聞いて私は思いますね。私なんかは、今私が言ったように、歯舞、色丹の共同宣言の引き渡しということを認めて、そして、これはいつ実行するかという話になるでしょう。その上に、国後、択捉については日本の主権を認める、しかし、これはいろいろな事情があるから、時間をかけて話しましょう。主権を認めればある意味では一括返還じゃないですか、ただ内容が段差返還になるというだけですよ、そうじゃないですか。主権を認めるということは、今回認めればそうなるのじゃないですか。だからそうすると、そういう理解に立てば、今言われたことと小沢さんが向こうへ行って言ったことは同じだ、同質線上にあるものだ、こう言えるのですね。そういう言葉は外務省は使わないものね。どうでしょう、私が今言ったことについて、いかがですか。
○兵藤政府委員 北方四島一括返還と申します場合の中核的な問題は、まさに先生御指摘のように、主権の問題、この問題について仮にソ連政府が明確な決断を下すという場合には、その後の状況につきましてはいろいろな考え方、知恵というものがあるのであろうというふうに認識いたしております。しかしながら、日本政府は、今ここで一番問題なのは、その主権の問題についてゴルバチョフ大統領の英断を求めるというこの一点にあるわけでございます。
○岡田(利)委員 国後、択捉の主権を認めるということは、それはもう歯舞、色丹は当たり前に認めているというのが前提になるのでしょうね、論理からいって。まあいいでしょう。とにかく、今度の交渉は、そういう意味で最善を求めてもちろん会談が行われるわけですね。しかし、最善が求められないからもうパアだということじゃないわけでしょう。最善が求められなければ次善を求めて、とにかく次への展望を日本としてはきちんと橋頭堡を築くという不退転の決意で日ソ東京サミットを成功させなければならぬのではないか。あとは、選択は政府ですからこれ以上は申し上げませんけれども、そのことを申し上げておきたいと思うのです。 そこで、最近気になるのは、さっきも福田先生からも経済協力の問題でいろいろ出ていましたけれども、経済協力の問題もソ連側が余り並行的に議題にしないようにという希望もある。日本側も、もちろん拡大均衡論に従って、相手の出方次第だから、それに伴って経済協力を考えるのだからあれだというようなことを盛んに言われるわけですね。しかし、私の先ほどの質問に対しては、我が国はソ連のペレストロイカを支援する、こういう基本的な立場は変わりない、そういう気持ちでまたこの日ソの関係を調整してきた、こう述べられているわけですね。私は、やはり経済協力というのはその延長線上に今日もあるのではないかと思うのですね。それは変わりがないのではないですか、いかがですか。
○兵藤政府委員 経済協力という言葉は非常に広い範囲の言葉でございまして、一般的に対ソ支援と同義語で使われることもあるわけでございますが、私どもが基本的な日本政府の姿勢としてずっと堅持してまいりましたのは、現在は拡大均衡という言葉で申し上げているわけでございますけれども、本格的な、大規模ないわば金融支援というものを中心といたしました経済協力というものを実施していくためには、日ソ両国の間に安定した政治的な基礎がなければならない、その政治的な安定した基礎というものはどうしても平和条約の締結なくしては考えられない、その平和条約の締結は北方領土問題の解決なくしては考えられない、こういう認識でございます。 しかしながら、だからといって日ソ間の経済関係、協力関係を一歩も進めないという姿勢でないことは、先生もよく御存じのとおりでございます。過去におきましても、互恵あるいは日本のいろいろな政策、あるいはそのときどきの日ソ関係をしんしゃくいたしまして、ケース・バイ・ケースで、例えばシベリア開発という分野におきましてもいろいろなプロジェクトが進行してきたということは、御承知のとおりでございます。また、ペレストロイカの支援というのは、先ほど申しましたような理念に立ちまして、技術的な、知的な側面から援助をするという考え方で積極的に進めているものでございます。また、緊急な人道的な援助ということに踏み切りましたのも、これはまさに人道的な観点から、食糧危機が叫ばれました実情を踏まえまして実施をするということでございます。 したがいまして、拡大均衡という原則の中で経済は何もやらないということでは毛頭ございません。いろいろな形での経済関係というものは進んできている。しかし、にもかかわらず本格的な経済協力という段階に進むためにはどうしても越えなければならない一つの問題がある、こういう認識であるわけでございます。
○岡田(利)委員 時間が来ましたから、残念ながら終わりますけれども、経済協力の問題もケース・バイ・ケースだとか、あるいはまた政経分離とか、今度は拡大均衡というか、外務省もここ二十年ぐらいの間にいろいろ言葉をかえて説明しておりますが、これはいずれも同質なものだと私は思うのですよ。ただ、これからの我が国の経済発展の方向を考えますと、本当に相互依存の関係が強まるということは事実だと思うのですね。例えば一つの例をとりますと、天然ガスというのは、地球上に賦存している四〇%はソ連に賦存しているのです。あと六〇%はソ連外なんです。ですから、我が国のようにベストミックスだなんていって平気で発電所で電気をおこすのに天然ガスをたいている国なんというのは、イタリーと日本しかないのですから、そんなことをやっているとすぐ枯渇しますよ。 そういう意味からも、やはり日ソの関係というものは改善されなければならぬ、相互依存の関係は来世紀必ず詰まってくるということを念頭に置いて、経済協力等についても余りかたくなにリンクするのじゃなくてやはりもう少し弾力的に対応していくという姿勢が相手の気持ちを解きほぐすのではないか。いわば弁証的なものじゃないですかね、人間関係とか国と国とのおつき合いというものは。そう私は思いますので、その点についてもひとつ十分御検討の上対応してもらいたいということを申し上げます。 最後に、きのうですか、韓国の大統領府のスポークスマンの発表で、ゴルバチョフ大統領は日本からの帰りに韓国にお寄りになって、三時間程度北東アジア情勢とか韓国の国連加盟の問題とか経済援助とか緊張緩和の問題等について意見を交換する、これもまた南北朝鮮を通じてソ連の最高責任者が朝鮮半島を訪れるというのは、これは初めてでしょう。これも極めてビッグニュースだと思うのですね。そして、国際政治にもやはり相当なインパクトを与えていると私は思うのです。 このような日程は事前に外務省に御連絡がありましたか、ありませんでしたか。これだけは伺っておきたいと思います。
○兵藤政府委員 韓国政府から、事前に通報がございました。
○岡田(利)委員 終わります。
○牧野委員長 上原康助君。
○上原委員 大変短い時間ですので、端的にお尋ねします。 今も先輩の岡田先生からいろいろお尋ねあったのですが、いよいよゴルバチョフ・ソ連邦大統領の来日が来週に迫って、歴史的な日ソ首脳交渉が秒読みの段階に入っているわけです。私は、せんだっても、日ソの新しい信頼醸成措置というものを確立していく上ではアジア・太平洋地域の安全保障問題ということをもっと重要視すべきだ、従来の、ソ連側にももちろん非があったかもしれませんが、我が国のソ連敵視政策というものをこの際改めるべきだということを強く主張してきた経緯があるわけです。 そこで、昨年九月当時のシェワルナゼ外相がおいでになったときに、日ソ間の信頼醸成措置として八項目にわたって提案がなされておると聞いております。今度も、アジア・太平洋地域の軍事、安全保障問題について幅広い対話と人的交流を、この昨年の九月のソ連側の提案に対する対案というか代案として日本側から提起をする考えがあるとかないとかいろいろ取りざたされているわけですが、そのアジア・太平洋地域の安全保障ということについて、政府はどういうふうにお考えになっているのか。また、今回の日ソ首脳交渉の主要テーマにこのことも入るのかどうか、明らかにしていただきたいと思います。 〔委員長退席、園田委員長代理着席〕
○兵藤政府委員 先生御指摘のとおり、シェワルナゼ外務大臣が九月に参りましたときに中山外務大臣と本格的な意見交換を始めたわけでございますが、ソ連側は、まさにいわば基本的な考え方のすり合わせというものを中心にやったわけでございますが、そのときに具体的に八項目提案というのを出してきたわけでございます。 私どもは、そういう具体的な検討に入る前に、アジア・太平洋の安全保障問題というものを総合的にどう考えるべきかという立場から議論をいたしたわけでございます。その中で、私どもは、欧州で起きましたことを自動的に、あるいはそのままアジアに引き写して考えるわけにはいかないというところを中心といたしまして、例えばアジアは、NATOとワルシャワ条約機構が陸上で対峙していたという構造とは地政学的に、あるいは戦略的に、基本的に違った面がある。 あるいはアジアの場合には、もう少し基本的な点を掘り下げますと、そもそも経済的にも一人当たりの国民所得が三けたの国、四けたの国、五けたの国と、極めて複雑な発展段階にある国々がそろっているというような状況、あるいは安全保障ということについても、また、二国間の取り決めその他複雑な構成になっている、あるいは脅威感ということ一つとりましても、また単純ではないというような、今申し上げたようなことも含めました総合的な安全保障というものをどう考えるかという議論を展開したわけでございます。
○上原委員 ですから、今度の首脳会談における主要なテーマとして、アジア・太平洋地域の安全保障問題を議論されるのかどうかということを聞いているわけです。もちろん私は、全欧安保協力会議、いわゆるCSCE型の多国間協議の枠組みを今おっしゃるようにすぐアジアにおいても設置をして十分な効果をおさめるかどうかについて幾分疑問はあるわけですが、しかし、参考にはなると思うのですね。 そのことは別として、その多国間協議型を設置する相手側の提案に対して、日本側の見解は見解としていいわけなんだが、少なくとも今後の日ソ間、アジアの安全保障ということを考えた場合に、日ソ間の信頼醸成ということも加えて十分なアジアにおける緊張関係をどう緩和をしていくかということが主要な議題でなければならないという認識を私は持っておるわけです。恐らく相手側もそのことを提起をするでありましょう。日本側はややもすると、今大臣いらっしゃいませんが、この間また総理も外相もアメリカへ行ってベーカー国務長官に、北方領土交渉というものを、非軍事化するとか自衛隊を配備しないとか、そういう注文をつけられる交渉には応じるなとかいろいろなことが言われているわけですね。それでは、また主体なき外交と言われますよ。 そうでなくして、本当に日ソの信頼関係、アジアの安全保障というものを考える場合にはもう少し防衛庁関係を含めて、そういう主要テーマで今回の首脳会談をやるべきだと思うのですが、その点はひとつ明確にしておいてください。これはぜひ外務大臣からも答えてください。
○兵藤政府委員 来るべき日ソ首脳会談におきましては、国際情勢の中におきまして、アジア・太平洋におきます安全保障問題ということも当然議題になるであろうと私は予想をいたしております。 先生御指摘の信頼醸成という点でございますが、まさに私どもも先生と同じように、信頼醸成というものがいかに大事であるかという認識から出発しているつもりでございます。拡大均衡五つの要素ということを申しましたときにも、日ソ関係の間で一番重要な問題は平和条約締結問題である、しかし、第二の原則として、その解決のためにも日ソ間での信頼というものを醸成していく必要性があるという認識を日ソ間でいたしたわけでございます。 そういうことも踏まえまして、九月のシェワルナゼ外務大臣の訪日の際にも、いかにして日ソ間で信頼醸成を築いていくかということから、例えばチェルノブイルのあの原発事故に対しまして、唯一の被爆国として積極的にこれに対して協力をしたいという私どもは善意の提案をいたす。それに対してシェワルナゼ外務大臣が大変に高く評価をしていただく。あるいは、また別の面でいきますと、中東問題に関しまして日ソ間で初めて、これは日ソ外交史で初めてでございますけれども、共同声明を出して、お互いに湾岸問題については相協力、協議しながらやっていこうということをうたい上げるというようなことでございますとか、あるいは、そのときにたまたま起こったわけでございますけれども、やけどをしたコースチャ君の話が出るとか、そういう小さなことでございますけれども、日ソ間の信頼醸成というものがいかに大事かという認識を私どももつとに深めているわけでございます。 アジア・太平洋におきましても、まさにこの点が重要な点だということは先生の御指摘のとおりでございまして、であればこそ、私どももアジア・太平洋の安全保障というものを考えます場合に、例えば朝鮮半島の緊張緩和という問題あるいはカンボジアの問題といった問題もその大前提として解決していく必要があるというふうに、九月あるいはそれ以降の安全保障をめぐります日ソの議論の中でも主張をしているわけでございます。
○上原委員 ですから、朝鮮半島あるいはカンボジア問題、北東アジアというか、そういう全般的なことを協議するということであるならば、単なる日ソ間だけではなくして、多国間協議の枠組みということも想定をした上でのアジア・太平洋地域における安全保障ということを模索していかなければいかぬと思うのですね。 そこで、時間ありませんので、今外務省が中心になっておる政策企画協議の拡充強化を図るのかということですね、今度の首脳会談の結果というか、それを受けて。例えばこの協議に、ソ連国防省と日本の防衛庁関係も含めた拡充強化を考えておるのか。幅広い対話、人的交流という場合、安全保障という場合は当然そういうところまでいろいろ考慮の上で進めていかなければいかない課題だと思うのですが、その点はいかがですか。
○兵藤政府委員 政策企画協議は昨年の十二月に第一回協議を始めたわけでございますが、今回首脳会談におきまして、これがどう評価され、どういうふうに拡充していくかというお話は、まさにこれから首脳間で話し合われるところでございます。 私どもは、基本的な考え方といたしまして、日ソ間で安全保障の問題についても十分に意思疎通を図っていく、そういう意味の相互理解を深めていく必要性というものは十分に認識をしているつもりでございますので、そういうための試みというものは広げてまいりたいというのが基本的な考え方でございます。
○上原委員 中山外務大臣はどういうお考えで臨もうとしておられるのか。アジア・太平洋地域の安全保障問題、ちょっと今席をお外しになっておられたのですが、例えば防衛庁長官も入れた、今局長レベルのそういった政策企画協議をさらにレベルアップしたものまで場合によっては構想していかれるおつもりなのかどうか、御見解を聞かせていただきたいと思います。
○中山国務大臣 昨年始まりました政策企画協議は、日ソ双方ともこの内容も価値があるものという認識を持っておりまして、さらにもう一度今年この会議を開いて、その次の段階から次の新しい取り組みについて日ソ間で協議をしようという考え方に立って現在それを進めているところでございます。
○上原委員 私の聞いていることにはちょっとお答えになりませんでしたが、その推移を待ちましょう。 それともう一点、先ほどの岡田先生のお尋ねとも幾分関連するわけですが、今度の領土返還交渉に当たって、もう二島とか四島云々というのは常識論で、当然国民の合意形成はなされつつあると思うから一応おきますけれども、北方領土駐留のソ連軍の撤退問題も今回の交渉で話し合われるのかどうか。先ほどの信頼醸成ということといろいろ関連してくるわけなんだが、場合によってはゴルバチョフ大統領は、むしろ撤退するということを向こうから提案するかもしらぬという報道もあるわけで、日本側は、今までの日本側の外交姿勢あるいは防衛論からすると、当然そういうことも議論の対象に私はならなければいかないと見ているんだが、そのことについてはどういうふうなスタンスで臨まれるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○中山国務大臣 日本政府といたしましては、かねてから一貫して北方領土における駐留ソ連軍の撤退を要求し続けてきておるわけでございまして、これからもそのようなことは機会あるごとに主張してまいりたいと考えております。
○上原委員 ですから、撤退を主張してこられたし、またその主張は続けていかれるということであるならば、当然そこはそれなりの緩衝地帯にしていく、緊張をもたらすような対応は我が方もとらないという姿勢でなければうまくいかない、私はこう思うのです。その点はせんだっても若干議論をし、注文をつけてありますので、きょうはこれ以上は申し上げません。 そこでもう一点は、日ソじゃありませんが、湾岸戦争の戦後処理という面で大事なことですのでちょっとお尋ねしておきたいのですが、私はこの二、三日のマスコミ報道を見て、イラン及びトルコに避難民として行くイラクのクルド人のあの状況を見て大変胸が痛みます。これは人道上一刻も猶予のできない事態だと思うのですね。改めて湾岸戦争の悲惨さ、確かにアメリカや多国籍軍は武力では勝利したかもしらぬが、戦後処理、人道問題ということからすると大きな政治的、経済的課題というものを残してしまったという、大変悲惨な状態が続いている。イランに百万前後が続々と避難をしている。あるいはトルコもそれに近い数字だと言われている。 恐らく国連もこのことについては非常な配慮をしていると思うのですが、我が国も昨日、何か方針をお決めになったということも聞いているのですが、こういう課題こそもっと国連にも提起をして、日本の経済力というか、そういった人道上の対策として積極的に私はやるべきだと思うのです。この点について外務省、どういう対処をしていかれようとするのか、もう少し迅速な救援対策というものを展開すべきだと思うのですが、ひとつ見解をお聞かせいただきたいと存じます。
○中山国務大臣 政府は、湾岸紛争の際に起こりました避難民流出に備えて、初動計画として要請された三千八百万ドル、UNDROに拠金をしておりましたが、想像したほどの避難民が出なかったということで、千七百万ドルの余剰が出ておったわけでございます。その中で、国連に対しましてもUNDROに対しましても、日本政府が将来これの使用については政府の意見を言いたいということでリザーブしてございましたが、その中から一千万ドルをこのクルドの避難民たちに緊急に援助するように、それを決定いたしました。 それから、イラン及びトルコに出てまいりましたクルドの避難民のために総額約一億円、イランに対しましてはテントとかそういったもので六千三百五十万円相当の物資を提供することにいたしましたし、またトルコにいますクルドの避難民に対しては毛布、テント等総額四千百十万円相当の緊急援助をすることにいたしました。また一方、人的な協力をするために医療チームを構成して、これを国際緊急援助隊として派遣をいたしたということでございます。
○上原委員 その資料は私もいただいているわけですが、これも国連の災害救助調整官事務所から要請があってやったような感を受けるわけですね。ですから、金額上の問題ももちろんいろいろあるでしょうが、この人的、医師、看護の派遣についても、こういうことを言うとすぐまた自衛隊を何とかかんとかじゃなくして、やはりこういうことについて日本の外交というか援助というものがもっとそれこそ目に見えるように強く提起をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。きょうも時間があれば本委員会でも緊急決議でもやろうかということを今与野党で話し合っておりますので、政府としても国連とも相談をして、さらにイランあるいはトルコにできるだけの資金的あるいは人的援助を展開をしていただくことを強く要望しておきたいと思います。 それと、次に、私はかねがねぜひ外務省に聞いておきたいことがあったわけですが、なかなか機会がなくて今日まで延び延びになっていますが、在日米軍の車両ナンバープレートというのは一体どういうふうになっているのか。
○松浦(晃)政府委員 先生御承知と思いますけれども、地位協定の第十条におきまして、在日米軍の公用車両は、それを容易に識別させる明確な車両番号標または個別の記号を付さなければならないということになっております。これは具体的にどういうように運用されているか私ども詳細には承知しておりませんけれども、一般論といたしましてナンバープレートがない場合でも個別の記号が車体に付されていればよいということになっているわけでございまして、米軍は地位協定に従った運用を行っているものと私どもは理解しております。
○上原委員 あんた、またそんないいかげんな答弁をしちゃいけませんよ。今これはあんたがおっしゃるように、例えば沖縄の場合かねては、復帰前はもう全部軍用車両だってナンバープレートをつけておった。復帰後も一時期つけておった。この四、五年、あるいはまあ三年ぐらいといいますか、全くナンバープレートつけてないんですよ。 委員長、ちょっと僕はここに写真持ってきてあるから大臣と今答弁する人に見せてください。 全く占領状態。確かにあんたが言うように地位協定の第十条「合衆国軍隊及び軍属用の公用車両は、それを容易に識別させる明確な番号標又は個別の記号を付けていなければならない。」地位協定上このようにはっきりしているんですよね。だが、在沖米軍の車両というものは一切つけてない。オリジナルナンバーで、オリジナルナンバーというのはちっちゃくて見えませんよ、これは。しかも、それが国道やいろんなところを大量に今横行というか運行している、ごっついのが。ところどころでいろんな、えんこを起こしたり事故を起こしたり、交通渋滞に非常な支障を来す場合が多い。なぜ地位脇定に明確にうたわれていることについてさえも皆さんこれをアメリカに実施させないのか、一体どういうことなんだ。本当にひどいですよ。これを見てください。どこに番号ついているか。
○松浦(晃)政府委員 先生がまさに地位協定の十条を今読み上げられたわけでございますけれども、これは私も申し上げましたように番号標、つまりナンバープレートまたは個別の記号ということでございまして、今確かに写真を拝見いたしますとナンバープレートはついておりますけれども、何らかの個別の記号が車体に付されているかどうかは先生からいたださました写真ではちょっと判別できませんので、私も即座に意見を申し上げかねますけれども、先ほど申し上げましたように、ナンバープレートがないからいけないということではなくて、ナンバープレートがなければ何らかの識別させる個別の記号が車体に付されているかどうかという点でございます。 いずれにしましても、この地位協定の趣旨に反するような状況があるのであれば、もちろん私どもはそれを是正する適切な措置をとらないといけないと思っておりますけれども、今いただきました写真では、ちょっと申しわけございませんが、そこのところは判断ができない状況かと思います。
○上原委員 何でこれ見て判断できないの、あなた。もう時間だから……。あなた、ナンバープレートつけなければ──前はついておったの。あんたは沖縄に住んでないの。僕は住んでいるの。毎週帰って僕はいつも見ているんだよ、これを。冗談じゃないですよ、あなた。どうしてそんな占領意識丸出しなことをアメリカにさして、地位協定上も守らさないんだよ、皆さん。それはじゃ調べてやりますね。やりますね。以前はついておったんだ、立派に。私は今の答弁では納得できない。
○松浦(晃)政府委員 繰り返しになりますけれども、先生はナンバープレートに重点を置いてお話しでございますけれども、私が申し上げておりますのはナンバープレートまたは個別の記号ということで、このナンバープレートがなければ直ちにいけないということになるのではなくて、個別の記号があるかどうかという点でございまして、それは今の写真ではちょっと申しわけございませんが判断できないので、いずれにしましても万が一にも地位協定の趣旨に反するような状況があればこれはもちろん是正すべく適切な措置をとらなければいけない、こういうふうに考えております。
○上原委員 ナンバープレートだけを僕は言っているわけじゃないんだよ、あなた。あなた日本語よく読めよ。英文でもいいよ。「公用車両は、それを容易に識別させる明確な番号標又は個別の記号を付けていなければならない。」ということでしょう。そういう識別はないのよ、これ、番号もなければ。オリジナル番号というのは、あなた、ちっちゃい文字で、これしかついてない。しかも以前はそうじゃなかったの。最近からなんだ。中東戦争が起きた前後から。だから、こういうことは地位協定にも抵触するので調べて訂正させるという答弁ならまだいいんだが、何か今やっているのがもっとも問題にならぬような答弁じゃ納得できない。大臣、これどうします。私はそれは納得しませんよ、本当に。皆さん、じゃ今すぐ電話入れて調べさせてごらん。ついてないの、そういうの。だめだ、それじゃ。
○中山国務大臣 よく事実を調査いたしまして、原則論に基づいてアメリカ側に話をいたしたいと考えております。
○上原委員 これは非常に今問題になっているんですよ。しかも我々沖縄にもともと住んでいる人ならわかるけれども、観光客の皆さんや本土から行く人や外国から来る人はどうしてだろう、こういうやり方は。ぜひ早急にというか即刻米側にそういった無謀な軍用車両の使用は訂正させるように強く要望して終わります。
○園田委員長代理 遠藤乙彦君。
○遠藤(乙)委員 私はまず、掃海艇の問題からお聞きをしたいと思います。きょうの朝刊各紙を見ますと、政府は掃海艇派遣の意向を固めるといった報道がなされておりますけれども、そのとおりなのかどうか、またこの掃海艇派遣問題に関する政府の態度につきましてお聞きをしたいと思います。 〔園田委員長代理退席、委員長着席〕
○中山国務大臣 ペルシャ湾におきまして多くの機雷が浮遊していること、またドイツ等の諸国が人道上の理由及び国際航行の安全確保の観点からペルシャ湾海域への掃海艇の派遣を決定していることは我が政府もよく承知をいたしております。日本といたしましては、諸外国の船舶及び日本の船舶及び船員の安全をどのように確保するかという点に現在深い、重大な関心を有しておりまして、本件につきましては機雷の敷設状況を含め、ペルシャ湾の実情、掃海艇を派遣する必要性等につき十分に調査の上、その結果を踏まえて今後慎重に対応すべき問題と認識をいたしております。現時点におきまして、政府としての対応を結論づけているというわけではございません。
○遠藤(乙)委員 そこで、我が国に対する掃海艇の派遣につきましての国際的な要請が来ているかどうか、その点につきまして御説明をいただきたいと思います。
○松浦(晃)政府委員 国際的な要請が来ているということはございません。
○遠藤(乙)委員 国際的な要請がないのに安易に出るということはないだろうと我々は感じているわけですけれども、この掃海艇の派遣の問題、非常に素直に考えますと、これは前向きに考えてもいいだろうという感じはいたします。 一つは、戦争がもう既に終わっているということ。また、これは目的からして、ペルシャ湾の機雷を排除してタンカーや船舶の航行の安全を確保するという目的のためですから、非常に素直に考えれば、我が国の国際貢献、国際協力として当然だろうと考えられるわけですけれども、他方、この問題が非常に難しいのは、自衛隊が絡んでいるからなわけでございまして、我が国においていまだ自衛隊のあり方について十分な国民的コンセンサスがないということ。とともにもう一つは、国際的に、特に近隣諸国に対して第二次大戦以来の我が国に対する危惧の念といいますか、負の遺産があるというわけでして、こういった問題を余り軽々に考えるべきではないだろうというのが私どもの基本的な考え方でございます。 したがいまして、派遣するか否かという、そういう実質の問題とともに、方法論としましても、これは先般の自衛隊機派遣のように、安易に政令の改正とかあるいはまた法解釈の範囲ですり抜けるのではなくして、やはり正々堂々と国民に問題を提起して十分な議論をして、自衛隊法の改正によってこれはやるべきではないかと考えるわけでございますけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
○中山国務大臣 政府といたしましては、状況を調査してどのようにこの地域の機雷の排除ができるか。それが、最も多くこの地域を運航しておるのは日本船舶が多いわけでございまして、船員組合からも要請が出ていることでもございますし、現在どのような対応をするかについて鋭意検討している段階でございます。
○遠藤(乙)委員 ニーズがいろいろあるということは理解できるわけですが、いずれにしましても、これは必ず法律改正で臨むべきであるというのが私どもの態度でございますので、ぜひこの点は強く指摘をしておきたいと思っております。 続いて、日米関係についてお伺いしたいのですが、先般大臣も訪米をされ、また総理も訪米をされて一連の会談が行われたわけでございますけれども、今回特に湾岸問題で生じた日米間のきしみ、ぎくしゃくというものがどの程度解消されたかということだと思います。そういった点で、米国の対日不満あるいは対日不信といったものがどの程度ぬぐい去ることができたのか、その点も含め、この首脳会談の評価なり感触なりをお聞きしたいと思っております。
○松浦(晃)政府委員 私どもは、基本的に日米関係の根底にございますいわゆるファンダメンタルズ、基礎的な条件というのは、日米の貿易収支が改善されている等を見ましても、良好な状態にあるというふうに考えております。 しかしながら、今先生が御指摘のようにアメリカ側、特にアメリカ国民の側におきまして日本を厳しく見ている状況があるのは事実でございまして、そういう状況を踏まえまして三月下旬に中山大臣が訪米されましてブッシュ大統領、ベーカー長官とも会談され、四月の四日にはロサンゼルスの郊外で日米首脳会談が開かれたわけでございますけれども、私どもはこういう一連の会談をきっかけといたしまして日米関係が再構築されていくということを強く希望しておりますし、またそれに向けまして努力していきたいと思っております。 しかしながら、先生御指摘のように、アメリカ国民が厳しい目で日米関係を見ているわけでございますので、一朝一夕にしてそういうわだかまりが払拭されるということは残念ながらございませんので、日米間にございます懸案を着実に解決し、日米双方で努力していくということが必要だと考えております。幸いなことに、日米両国政府間におきましては非常にいいコミュニケーションが保たれておりまして、日米両国政府間は非常に強い信頼関係において結ばれているということもあわせて御報告したいと思います。
○遠藤(乙)委員 今回の首脳会談で日米両国は協調を確認したわけですけれども、湾岸後の国際システムの構築の中で責任をどう分担していくか、非常に重要な問題、これに関してはまだ必ずしも透明な感じがないという感じがしておりまして、我が国として具体的にどのように日米間で国際的な責任を分担していくのか、その点につきまして政府の考えをお聞かせいただきたいと思います。
○松浦(晃)政府委員 今回の日米首脳会談におきましても、日米間の、二国間の問題の適切な処理をどうしていくかということに加えまして、グローバルな問題、特にポスト湾岸の中東問題、それからアジア・太平洋の問題に関しましても意見交換が行われたわけでございます。さらに中南米につきましても議論が行われておりますけれども、まさにこういう中東、アジア・太平洋、中南米等におきまして日米が政策協調に努めまして、グローバル・パートナーシップに基づきまして協力、協調関係を進めていくということが今後重要であると考えております。 先生御質問の具体的な責任分担というのが最初から明確な形であるわけではございませんので、まさにそういう形でグローバル・パートナーシップを進めていくということが日米がそれぞれの国力に応じた責任を果たしていくということにつながるものと私どもは考えております。
○遠藤(乙)委員 今回の首脳会談で特にやはり経済問題、貿易問題が非常に大きなウエートを占めたという印象を持っております。やはり米国が冷戦後の、湾岸戦争後の課題として米国経済の競争力の回復というのが非常に大きな問題であるということを感じていることをあらわしているのだろうと思いますけれども、その関連におきまして、ブッシュ大統領が海部総理に対しまして、米問題につきまして、日本の米市場への参入を望んでいる、強く要請したと理解をしております。これに対して海部総理の方から、ウルグアイ・ラウンドの中で解決をしたいと答えられたと聞いておりますけれども、具体的にどのようにウルグアイ・ラウンドの中で解決をしていくのか、政府の考えをお聞きしたいと思います。
○須藤政府委員 今回の日米首脳会談におきまして、御指摘のとおり海部総理大臣とブッシュ大統領との間でウルグアイ・ラウンドをできるだけ早く成功裏に終結することが世界経済のためにも日米両国のためにも必要であるという認識で一致いたしまして、そのために日米で緊密に協力していきたいということになったわけでございます。その関連で米の問題にブッシュ大統領の方から触れられまして、難しい問題とは承知しているが、ウルグアイ・ラウンドの成功のため協力していきたいというふうな形で言及してきたわけでございますが、それに対しまして、おっしゃられましたとおり総理の方から、ウルグアイ・ラウンドの中で解決に努力していきたいということを説明されたわけでございます。 具体的に申しますと、米の問題を含めまして、現在ウルグアイ・ラウンドの農業交渉の場におきましていろいろ議論が行われているわけでございますが、難しい問題を抱えておりますのは日本だけではなくてアメリカ、例えばアメリカは十四品目についてウエーバーを持っている。それからECにつきましては可変課徴金という制度を持って非常に厚い保護をしているということがありますし、それからアメリカもECも輸出補助金を持っているということで、それぞれ難しい問題を抱えておりますので、米の問題につきましても、ウルグアイ・ラウンドの中で各国が抱えているそういう困難な問題とともに解決すべく努力していきたいという趣旨を述べられたわけでございまして、今後ともその方針で交渉してまいる所存でございます。 なおその際に、我が国にとりましては米が食生活及び農業等において格別の重要性を有しているということに十分配慮した解決でなければならないという点を総理も強調されておりますし、今後の交渉においても我が国の立場を十分に主張していきたいというふうに考えております。
○遠藤(乙)委員 今回の一連の日米会談、大臣が行かれ、小沢前幹事長が行かれ、また首脳会談と一連の日米会談の中で我が国から対ソ関係改善方針を説明をしたと理解をしておりますが、これに対しては米国政府から、特に我が国の対ソ経済協力のあり方あるいはアジア・太平洋地域の安全保障について慎重に対処してほしいという要請があったと聞いております。そういった点で、米国政府はゴルバチョフ大統領の訪日と日ソ関係の改善についてどういった目で見ているのか、ひとつ率直なところをお聞かせいただきたいと思います。
○中山国務大臣 米ソの首脳会談の問題が一つございます。これは、二月に予定されていたものがSTARTの交渉が少しおくれておりまして、ことしの上半期の終わりごろに米ソの首脳会談が持たれると我々は予測をいたしております。 なお、アジア・太平洋の安全保障についてはアメリカも重大な関心を持っていることは御承知のとおりでございますが、アメリカの認識と我々の認識とは全く一緒でございまして、ヨーロッパのCSCEと同じような考え方でこのアジア・太平洋地域を同じようにシステム化して考えるということは難しい問題で、やはり局地的な紛争を個々に解決しながらアジア全域の経済を発展させていくことによって緊張を緩和していくという考え方で我々は対処している、アメリカもそれはよく理解をいたしておると思っております。 その意味で、日ソ間の領土問題をめぐる今回の首脳会談につきましては、米国も十分日本政府の考え方を理解していると信じております。
○遠藤(乙)委員 続いてソ連情勢、日ソ関係に移りたいと思いますが、まずソ連の国内問題、国内情勢でございます。 非常に悪化しているという認識を私は持っておりますが、まず一番大きな問題としてソ連の国家の崩壊といいますか、ディスインテグレーションという過程が非常に進行しているという感じがします。特に各共和国の独立運動、これにソ連はどのように対処しているのか、また日本政府としてどう見ているのか、その点につきましてお聞きしたいと思います。
○高島説明員 お答えいたします。 御指摘のように、現在ソ連の国内におきましてはバルト三国、グルジア共和国等各共和国の連邦からの離脱の動きがございます。これらにつきましては、これら共和国の国民の意思が尊重されるべきであるという側面と、同時にソ連全体として見た場合にこのような各共和国の動きが連邦制の根幹にかかわる、こういう側面があり、ある意味で極めて難しい問題であろうというふうに私どもも認識しているところでございます。 ただ、いずれにいたしましても、このようなソ連国内における民族問題、連邦と共和国の関係にかかわる問題は、当然のことでございますけれども民主的、平和的に話し合いによって解決されるべきであるという基本的な考え方でございます。こういう点につきましては、先般バルトにおいて一度ならず武力が行使されたことは極めて残念に思っておりまして、先般のモスクワにおける日ソ外相会談の際にも、外務大臣の方から先方外務大臣、ゴルバチョフ大統領に我が国の考え方は明確に伝えたところでございます。 私どもとしては、今後とも引き続きこのようなソ連国内におきます民族問題が民主的、平和的に解決されることを強く期待し、そのように働きかけていきたいというふうに考えているところでございます。
○遠藤(乙)委員 もう一つの重要な問題は経済状況だと思います。特に最近のソ連経済は、ゴルバチョフ大統領がかつてブレジネフの時代を停滞の時代と評価をしたわけですけれども、それよりも悪くなっているという感じがいたします。いろいろソ連政府は高額紙幣の強制回収等かなり大胆な措置を実施しておりますけれども、市民の最も関心のある物不足の解消に貢献しているとはとても思えないという状況でございます。 こういったソ連経済の現状及び見通しを外務省としてどのように今分析をしておられるのか、また我が国として対ソ経済支援をする場合どういった方策があるのか、政府の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
○高島説明員 御指摘のとおり、ソ連経済は大変難しい状況にございまして、例えば昨年の経済状況につきまして、ソ連の公式統計でもGNPの成長率がマイナス二%と戦後初めてのマイナスということが発表されておりますし、輸出もマイナス二・九%と非常に大きな落ち込みを示しております。さらにインフレにつきましても一九%というふうな大きな数値を示しておりまして、極めて困難な状況にあることを明確に示しておりますし、さらに本年につきましては、もちろん公式の発表はまだございませんけれども、昨年よりは一層厳しい状況にあるということが西欧各国あるいは国際機関の見通しのみならず、ソ連国内におきます各機関や学者等の見解からも示されているところでございます。 これはいろいろな原因が考えられるわけでございますが、その一つとして考えられる大きな点は、現在経済改革を考えているわけでございますが、その一環で古い指令型経済の体制は壊したけれども改革そのものは十分に断行できていないということで、かえって経済を混乱させているという側面もかなり大きいんではなかろうかと考えております。 それでは日本はどうすべきかという御指摘でございますが、この点につきましては、申し上げるまでもなく、私どもとしては日ソ関係全体を拡大均衡させるということが基本的な方針でございます。したがいまして、対ソ経済関係もこのような日ソ関係全体の発展の中で考えていく必要があるだろうというふうに基本的に思っているところでございます。
○遠藤(乙)委員 続いて、対ソ金融支援の問題でございます。 最近我が国では、政府、民間ともに対ソ金融支援の議論が高まっておりますけれども、まず、昨年七月にヒューストン・サミットで経済宣言が出されたわけで、その中でソ連に関する部分がある。この中に北方領土の問題が明記されているわけですけれども、こういった金融支援をこれから行っていくとした場合に、このサミットの経済宣言との整合性をどう考えていくのか、この点につきましてお答えいただきたいと思います。
○高島説明員 現時点におきまして対ソ金融支援そのものをどうするかという点についてはお答えするのは必ずしも適当な時点ではなかろうというふうに私は思いますが、ただ御指摘のヒューストン・サミットとの関連で申し上げますと、確かに今先生が御指摘になりましたように、昨年のヒューストン・サミットの経済宣言の第四十四パラの中に、「有意義かつ持続的な経済援助の可能性を高める」ためには「ソ連が市場指向型経済に向けたより大胆な措置を導入し、多くの資源を軍需部門から移転し、地域紛争を助長している国家への支援を削減するとの一層の決定を行うこと」が必要であるということがサミット参加国の一致した認識であるということを明確に述べております。 同時に、四十三パラでは「いくつかの国は、既に多額の融資を提供する立場にある。」とも述べておりまして、多額の融資の提供が個々の国の判断によりなされ得るとの認識も同時に示されているところでございます。 なお、また御指摘になりましたように、我が国との関係におきましてはさらに四十六パラで「北方領土に関するソ連との紛争の平和的な解決が日本政府にとり有する重要性に留意した。」と述べられておりまして、大規模な対ソ金融支援問題とのかかわりにおいて領土問題が重要な意味を持っているということを示しております。このようなサミットにおきます考え方は現時点においてもなお有効性は持っているというふうに考えておるところでございます。
○遠藤(乙)委員 対ソ金融支援に関しましては、国際的にはむしろ慎重論が非常に強くなっているのが現状だろうと思います。例えばIMFなど国際四機関、世銀、OECD、EBRDを含めて、金融支援をしてもむだという対ソ経済報告を出しております。また、一月のG7では対ソ金融支援を見送っておりますし、また米国からも安易な金融支援はソ連の軍拡を促すということで慎重論が台頭しておりまして、こういった国際的な慎重論の台頭に対して我が国政府はどういう見方をしているか、その点につきましてお答えを願います。
○高島説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、現時点で日本として金融支援をどうするかということを申し上げるのは必ずしも適当な時点ではないと思いますが、ただ、一般論として申し上げますと、確かに今御指摘のような議論がございますし、同時にその中でソ連の軍事費、軍需より民需への資源移転あるいは第三国への軍事援助などの動向も十分踏まえて検討されるべきであるということは、私ども基本的にそうあるべきであるというふうに考えておるところでございます。
○遠藤(乙)委員 今度大統領訪日があるわけですけれども、ソ連側として今回の初めての大統領訪日、どんな成果を期待しているのか。ソ連側から見て訪日の成功、失敗の判断基準というのはどういうものか、これを政府はどう考えているかということと、他方同様に、我が国にとって何を期待し、また我が国としての成功、失敗の判断基準はどこにあるのか、そこら辺につきまして、言いにくいかもしれませんけれども率直にひとつお話をいただければと思います。
○高島説明員 申し上げるまでもなく、日ソ関係の抜本的な改善のためには北方四島の返還を実現し、平和条約を締結して、あらゆる分野で質的に新しい日ソ関係を築き上げるということが必要なことでございまして、まさにゴルバチョフ大統領の訪日をそのような日ソ関係の抜本的改善のための突破口としたいということが日本政府の基本的な考え方でございまして、このような考え方は既に総理、外務大臣から何度も御答弁申し上げているところでございます。現在私どもゴルバチョフ大統領の訪日のために真剣に準備しているところでございますし、この訪日が抜本的な改善の突破口となるようゴルバチョフ大統領の英断も期待しているところでございます。 ただ、現段階でどうなれば訪日が成功であり、どうなれば失敗であるということを私が申し上げることは必ずしも適当ではないのではなかろうかというふうに考えておりまして、その点は御理解いただきたいと思います。
○遠藤(乙)委員 今回領土問題、平和条約等大変重要な交渉が行われるわけでございますけれども、一つ非常に危惧している要素は、ソ連国内でエリツィン・ロシア共和国議長と大統領との対立が非常に深刻であるということ、また、連邦法と共和国法の間で権限争いが非常にある、こういったことはやはり平和条約の締結、北方領土問題に大変大きな影響を及ぼすものだろうと考えられますけれども、この点につきまして政府としてはどのように考えておられるか、御意見を聞きたいと思います。 〔委員長退席、園田委員長代理着席〕
○高島説明員 現在のソ連の国内法におきましては、外交政策上の重要決定は依然として連邦の権限ということになっておることは御承知のとおりでございます。したがいまして、外交交渉を行う際の我が国の相手方というのはあくまで連邦政府になるという基本的認識でございます。また同時に、政治的に見ましても、現在のソ連の政治状況の中で重要な決定、決断を行い得るのはやはり依然としてゴルバチョフ大統領自身であろうというふうにも考えているところでございます。 ただ、御指摘になりましたように、ソ連邦内におきましてロシア共和国が従来と異なった役割、従来にも増して重要な役割を果たすようになってきていることも御指摘のとおりでございます。ただ、このようなロシア共和国の意向を外交関係あるいはソ連の政策決定の中にどのように取り込んでいくのであるかという点は、これは基本的にはソ連の内部の問題であろうと考えておるところでございます。 ただ、私どもとしてもロシア共和国の重要性は十分認識するところでございますので、ロシア共和国との実質的な交流の促進には努力したいと考えております。同時にまた、現在ソ連邦の中で行われております連邦と共和国の権限の関係についても引き続き十分な関心を払って見守っていきたいと考えておるところでございます。
○遠藤(乙)委員 制度的には確かにゴルバチョフ大統領に中心的な権限があるのだというのはそうだと思いますが、他方、政治的な今の立場、権力基盤を見ると、ドイツ統一のときのような力は今のゴルバチョフ大統領にはないという感じがするわけでして、特に軍部、保守派あるいはエリツィン議長との関係等から非常に厳しい制約が課せられているのではないかと思われます。そういったことの関連で、ゴルバチョフ大統領の権力基盤、政治力、そしてその政治的将来をどのように見ておられるか、その点につきましてもお聞きしたいと思います。
○高島説明員 確かに御指摘のように、ソ連の現在の国内状況は重大な局面にあり、そのためにペレストロイカの真価も問われるような状況になってきているというふうに私どもも認識しているところでございます。特に経済状況の悪化、先ほどお話のございました共和国の連邦離脱の動き等の中で、中央政府の方が規律の引き締めに頼りつつあるような状況も出てきているところでございまして、そういう意味合いにおきまして、ペレストロイカの先行きはかなり不透明になってきているというふうな認識でございます。 ただ、ゴルバチョフ大統領が民主化、自由化というペレストロイカの正しい方向性を堅持されることが極めて重要であろうというふうにも考えているところでございまして、そのための指導力と決断力を引き続き強く期待しているということでございます。
○遠藤(乙)委員 ゴルバチョフ大統領の訪日した際、新しい日ソ関係を踏まえた太平洋地域の安全保障の新構想を発表するというふうに伝えられておりますけれども、この点につきまして外務省としてはその概要なりとも承知をしておられるでしょうか。
○高島説明員 ゴルバチョフ大統領訪日の際に大統領がどのような提案を行われる予定かということにつきまして私ども正確な情報は現在得ておりません。しかし、ソ連側は御承知のとおり、従来からアジア・太平洋地域の軍事問題に大きな関心を示しておりますし、このような観点から、海軍軍縮やあるいは信頼醸成措置などの提案も行われておるわけでございます。これに対しましては、私どもの方としましては、常々申し上げております点は、アジア・太平洋地域の安全保障の問題は単に軍事的な見地だけじゃなく、政治、経済を含めた総合的な見地から考える必要があるというようなこと、あるいは信頼醸成措置のごときヨーロッパの経験をそのままアジアに適用するといったことは、客観点な情勢から見て必ずしも適当でないと考えていることも御承知のとおりでございます。
○遠藤(乙)委員 このアジア・太平洋の安全保障問題に関する日ソ対話についてアメリカからはいろいろ注文がついている。例えば軍事バランスの変更に係る問題は日ソ交渉の対象とすべきではないとか、あるいはCSCE型の多国間の協議組織の設置などには応じるべきじゃない、こういったことをアメリカは注文をつけているようですけれども、こういった問題が提起された場合に我が国としてはどう対応するのか、お聞かせ願いたいと思います。
○高島説明員 今も御説明申し上げましたように、私どもとしましては、ヨーロッパとアジアの状況にはかなり大きな違いがある。そういう観点から、ヨーロッパに範をとったような措置を客観的な条件が異なるアジア地域にそのまま適用することは現実的ではないというふうに基本的に考えているところでございます。
○遠藤(乙)委員 今回のゴルバチョフ大統領の訪日、非常にいろいろな意味があるのだろうと思います。特にアジア・太平洋地域には、いろいろな意味で大きな影響を与えるのだろうと思いますが、特にソ連としては、この朝鮮半島を含むアジア・太平洋地域に新しい秩序をつくってみずからアジア・太平洋国家としての存在を誇示する、それから、今後外交の重点を次第にアジアに移していくきっかけともしたい、そういったような意向があるのだろうと私は考えます。 したがって、ゴルバチョフ大統領の訪日はアジア諸国に非常に大きな影響を与えるわけでして、我が国としても周辺国との事前協議のもとにゴルバチョフ大統領を迎えてしかるべきだと考えるわけですけれども、こういった点で政府は周辺国との事前協議を行ってきたのかどうか、その点についてお聞きしたいと思います。
○高島説明員 ただいま先生御指摘になられましたように、日ソ関係の抜本的な改善は二国間の観点だけではなく、アジア・太平洋地域の平和と安定、さらにはより大きく申しますと、世界全体の平和と安定の確保にも非常に重要な意味合いを持つものであるというふうに考えている次第でございます。 まさにこのような観点から、我が国といたしましては、従来、ゴルバチョフ大統領の訪日を含みます日ソ関係あるいは対ソ政策等に関しまして、種々のレベルにおきましてアジア諸国とは緊密な意見交換を行ってきているところでございます。
○遠藤(乙)委員 今度日ソ首脳会談でいろいろな議題が出るのでしょうけれども、二国間の話は別として、一つ重要な議題となり得るのは、恐らく朝鮮半島問題だと思います。今非常に流動的ですし、この九〇年代、アジア・太平洋地域における最大の問題の一つと考えられるわけですけれども、恐らくソ連からは日朝交渉を促進してほしいとか、そういった期待が出るでしょうし、日本からは逆に、改革、開放化に向けての北朝鮮への影響力行使を期待するようなことになると思いますけれども、この際ぜひ日ソ両国で、韓国、北朝鮮には十分気を使いながらもこの朝鮮半島のあるべき統一像について意見を交換するいい機会ではあると思うわけですけれども、この問題についての政府の見解をお聞かせいただきたいと思います。
○高島説明員 御指摘のように、ゴルバチョフ大統領の訪日の際には、二国間関係だけでなく広く国際情勢全般につき幅広い意見交換が行われることが予定されておりまして、その中でまさに御指摘の韓ソ国交正常化、あるいは日朝正常化交渉開始等、最近注目すべき動きの見られる朝鮮半島情勢についても、かなり突っ込んだ話し合いが行われるものと私どもも考えているところでございます。
○遠藤(乙)委員 この朝鮮半島問題に関連しまして一つの重要なポイントは、恐らく国連加盟問題ではないかと思いますけれども、朝鮮半島両国の国連加盟問題は今どういう状況になっているか。
○中山国務大臣 国連加盟問題につきましては、現在南北の首脳間で交渉が持たれているという現状の中で、我々はこの問題は南北の首脳間で協議をされ、解決をされることが最も望ましいというふうに考えております。国連総会の秋までの間にこの南北の両政府間でどのような協議が行われますか、日本政府としてはこの動きをよく注目してまいりたいと考えております。 〔園田委員長代理退席、委員長着席〕
○遠藤(乙)委員 国連加盟問題で、恐らく韓国としては単独加盟を持ち出す可能性が非常に高い。特に、ことしの国連総会に向けて単独加盟を打ち出す動きが強いと思います。そうなりますと、当然安保理事会の中国、ソ連がどういう対応をとるかということが大きな一つのかぎになってくるわけですけれども、ソ連の対応はどうなのか、また、日本として働きかけをすることがあるのか、そこら辺につきましてはいかがでしょうか。
○中山国務大臣 この韓国の国連単独加盟の問題につきましては、まだ各国とも最終的に態度を決定していないという判断をいたしておりますが、各国とも朝鮮半島の両政府がどう動くか、こういうことを現在注目をしているものと考えております。
○遠藤(乙)委員 日ソ関係が改善された場合、今後南北朝鮮統一問題に関して、いわばドイツ統一のときのようなツー・プラス・フォーの枠組みがある程度見えてくるのではないかと思います。もちろん、全く同じではないけれども、恐らく南北両朝鮮、そして米ソ中日ですね、このいわゆるツー・プラス・フォーの枠組みで南北統一問題を考えていく、もちろん当事者の話が一番大事ですけれども、それを促進するような環境づくりをやはりやっていく必要性が強くなってくると考えられます。そういった点で、このツー・プラス・フォー的な考え方の会議、特に最初の時点では政府間というよりもむしろ議員レベルのそういった交流、話し合いというものがまずは行われるべきだと思います。いろいろな構想が既に出ているわけですけれども、この点について政府の考え方、あるいは見通しについてどうお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
○竹中政府委員 お答えいたします。 朝鮮半島問題につきましては、第一義的には南北の両当事者の直接対話により平和的に解決されるべき問題だというふうに考えております。これが我々の基本的な認識でございます。他方、朝鮮半島に関係を有する諸国が率直に意見交換をすることができる場をつくることは、同地域の緊張緩和あるいは南北統一のための環境づくりという観点から、これは有意義だと考えております。
○遠藤(乙)委員 我々もこのツー・プラス・フォー、特にまずは議員レベルでの話し合いをするのは大変有益だと考えておりまして、ぜひとも政府も積極的に取り組んでいただければと希望を表明いたしまして、時間ですので、質問を終了いたします。
○牧野委員長 古堅実吉君。
○古堅委員 日ソ首脳会談と領土問題についてお尋ねします。 領土問題を実利主義的にお金、すなわち経済力を背景に解決しようとしては将来に悔いを残し、正しい解決にはならないと考えます。国際正義に照らして、国際法上も、政治的にも道徳的にも国際的に通用する確固たる立場を踏まえての粘り強い交渉こそ今求められている大事な点ではないか、こう考えます。 そこで、最初にお尋ねしますが、南千島、北千島を含む千島列島は、一八五五年二月七日の日露通好条約、一八七五年五月七日の樺太・千島交換条約に照らし、日本がロシアから奪取したものでもなく、暴力及びどん欲により略取したものでもなく、平穏のうちに我が国に帰属することになった歴史的な日本の領土であるということについては認められるかどうか。
○柳井政府委員 ただいまお述べになりました一八五五年の日露通好条約によりまして、北方四島が我が国の固有の領土であるということが当時のロシアによって認められたものでございまして、歴史的に固有の領土であるということは明らかでございますし、また、ただいま御指摘ございましたように、得撫以北の占守に至る十八島につきましては、一八七五年の樺太・千島交換条約によりまして平和的に我が国の領土になったという点、御指摘のとおりでございます。
○古堅委員 日本共産党は、歯舞、色丹、択捉、国後の四島だけではなく北千島も歴史的領土であり、このすべてを日本に返還しなければならないというふうに考えています。 問題は、ヤルタ協定に示されているソ連の大国主義にあるわけで、この大国主義の是正を求める対ソ交渉をぜひ進めてほしい。そのことを抜きにしては将来に悔いを残さないような正しい解決には進展していかないのじゃないか、こう考えますが、大臣の御所見を伺いたい。
○中山国務大臣 私どもは、この第二次世界大戦の中において行われたヤルタ会談等において領土の拡大を求めないという考え方がございましたが、そういう点から考えますと、この戦争が終わってから一方的に不法占領したこの北方領土というものの返還は、我が国の古来の領土について当然の我々の権利として返還を要請しているわけでございます。
○古堅委員 領土問題の根源は、スターリンがヤルタ会談で、対日参戦の条件として千島列島の引き渡しを要求するという大国主義にあったことは余りにも明らかであります。 ソ連に対して、ソ連が国際法上の根拠としているヤルタ協定の不法性、不当性を正面切ってただしていく、そういうことが基本的な重要な問題でありますし、そのことについて今回の首脳会談を通じて外務大臣として、その立場を踏まえて展開する決意があられるかどうか、そのことをお聞きしたい。これまでのように、第三者間の協定であるので日本はそれに拘束されないといったような消極的な立場で御答弁されるのではなしに、今質問しているようなものについてまともにお答えいただきたい。
○中山国務大臣 本件につきましては、かねてから行われております日ソ外相会談におきまして日本政府の考え方を相手方に強く主張をいたしております。
○古堅委員 ヤルタ協定は、一九四一年八月十四日の大西洋憲章、一九四一年九月二十四日の大西洋憲章への参加に関するソ連政府宣言、一九四二年一月一日の連合国共同宣言、一九四三年十一月二十七日のカイロ宣言、一九四五年七月二十六日付のポツダム宣言などで確認されている領土不拡大の原則に反しているものであります。 そういう立場を踏まえて、今回の首脳会談を通じてソ連の態度をただすということが強く求められています。そういう歴史的な事実に照らしてソ連との交渉を進めるということを避けて通ってはなりません。領土問題の根源がヤルタにある以上、ヤルタ協定の誤りを正すことを日ソ交渉の基礎に置くべきだ、ここが大事だというふうに思いますが、御答弁されようとはしませんけれども、もう一度念を押してお尋ねをします。
○柳井政府委員 ヤルタ協定がソ連の領土主張の根拠になり得ないということにつきましては、先ほど大臣から御答弁ございましたように、これまでも我が国として強く主張してきたところでございます。 また、領土不拡大原則につきましては、四一年の大西洋憲章そして四三年のカイロ宣言において確認されておるわけでございますし、また、ソ連も入りましたポツダム宣言の中におきましても、カイロ宣言は履行せらるべくと第八項で明記して継承されているわけでございます。そして、このポツダム宣言はソ連を含む連合国と我が国との間での戦争終結のための基本的な合意でございます。そして、その中に引用されている領土不拡大原則は戦争終結の一つの条件としての性格を有しているというふうに考えておりまして、我が国としては、このような考え方に立って、我が国固有の領土である北方四島の返還を強く主張しているわけでございます。
○古堅委員 ヤルタ協定を否定する立場に立てば、当然のこととして、南千島、北千島を含む千島列島、日本の歴史的な領土だというふうな主張が生まれます。何も北方四島などとかいう形で限定して問題にすべきではありません。質問の趣旨は、そこをはっきりさせなさいということなんですよ。このヤルタ協定がサンフランシスコ平和条約に基本的に持ち込まれた結果が二条(C)項の千島放棄条項ではありませんか。対ソ交渉でヤルタ協定を正面から非難しないのは、そうすればサンフランシスコ平和条約を批判するということにつながる。そして、ヤルタであの大国主義的誤りを犯したスターリンそしてアメリカのルーズベルト、イギリスのチャーチル、この三人の責任まで及んでいく、そういうことになるので、そういうことを気兼ねして持ち出さないということではありませんか。
○柳井政府委員 得撫以北の千島列島につきましては、先ほども御指摘のとおり、我が国が平和的に手に入れた諸島でございます。ただ、この千島列島につきましては、我が国はサンフランシスコ条約第二条(C)項によりまして同列島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄しておりまして、この条項を一方的に廃棄して千島列島の返還を求めるということは残念ながらできないわけでございます。 この千島列島の放棄につきましては、講和の当時の状況からいたしましてやむを得なかった措置であると考えております。私どもといたしましては、かかる代償を払いましてようやく我が国の完全な主権と国際社会の一員としての地位を回復することができて、今日の繁栄と平和国家としての名誉ある地位を築くことができたというふうに認識する必要があるというふうに考えております。
○古堅委員 ああいう侵略戦争を展開してポツダム宣言を無条件受諾した。とはいえ、領土問題はちゃんとポツダム宣言に明確にされていますよ。「「カイロ」宣言ノ条項ハ履行セラルベク」と言っています。ポツダム宣言を受諾したときには、ヤルタ協定などというものはどこにも知らされていなかった。ですから、日本が受諾したのはポツダム宣言です。ヤルタ協定も何も含まれていない。そういう立場を明確にする、国際的にも通る正義、道理、国際法上に照らしてもそこが道理だということを主張する立場に立たない限り、やはりお金、経済力をバックにして領土をお金で買うと言われるみたいにして、マスコミでも伝えられるような、そういうそしりを受けかねないような結果に落ち込んでいかざるを得ないのですよ。これでは、何とか金を出せば解決できるのではないかと思ってみたところで解決しませんよ、道理が通らぬから。 サンフランシスコ平和条約で放棄したという。いかなる国際的な取り決めであろうと、それが国際正義に反し、国際法上正されなくてはいけない内容のものがあればそれを正すことができる、破棄や改廃も可能だ、国際的には通る道理ではありませんか。ヤルタ協定とそこにあらわれたソ連の大国主義の是正を要求せずしては領土問題の解決はできないというこの論議こそ今、日ソ首脳会談が目前に迫ったときに一番大事な点だと思うのですね。 政府は、北千島は要求しないと、サンフランシスコ平和条約を持ち出してきてそんなことを今も説明しておりますが、ヤルタ協定とそれを基礎にしたサンフランシスコ平和条約の千島放棄条項はともに領土不拡大の原則という国際法と国際政治の原則に違反している。そういう枠組みにとらわれる、それを不動のものとする、そういうことでは結局はソ連の千島領有を正当化するということにもなりかねません。今必要なのは、ヤルタ協定に示されたソ連の誤りそのものを明らかにさせることであって、したがって、全千島返還の要求を政府みずから閉ざすようなことをすべきではない、厳しくその問題を指摘しておきます。 昭和二十六年、すなわち一九五一年十一月一日に外務省条約局と法務府法制意見局が編集し、大蔵省印刷庁から発行された「日本の約束─解説 平和条約 付 日米安全保障条約」と題する本が出されました。この本であります。質問との関係がありますので、大臣にそれを示したいと思います。 大臣、開いてごらんいただきたいと思いますが、最初のところに吉田総理大臣と天野文部大臣の序文がついております。これは当時の日本政府の公式見解を示すものだというふうに思いますが、開いて見られるだけでも、それがそうなのかどうかは大臣の御判断が願えるかと思います。いかがお考えですか。
○柳井政府委員 ただいまお示しいただきましたこの解説書は、昭和二十六年十月に外務省条約局及び法務府法制意見局が作成いたしましたいわゆる「日本の約束─解説 平和条約」のことであると考えます。この解説書はまさにサンフランシスコ平和条約の内容を解説したものでございまして、その中で我が国の領土の処理につきましても解説をしている次第でございます。
○古堅委員 これは御説明のとおり、まさに当時の政府の公式見解以外の何ものでもないと思いますが、大臣、いかがお考えですか。
○柳井政府委員 当時、政府といたしまして、このサンフランシスコ平和条約の内容を広く国民の間で理解をしていただくということで発行いたしました解説書でございます。
○古堅委員 政府の当初の千島の範囲についての見解は、一九五〇年三月八日、島津政務局長が、ヤルタ協定の千島の意味は、いわゆる南千島、北千島を含めたものを言っていると考える。ただ北海道と近接している歯舞、色丹は島に含んでいない。外務委員会での答弁であります。 一九五一年十月十九日、平和条約特別委員会で西村条約局長は、この条約に言う千島がいずれの地域を指すかという判定は、現在に立って判定すべきだと考える。したがって、この条約に千島とあるのは、北千島及び南千島を含む意味であると解釈している。このように明確に述べています。 そして、今示しました平和条約の解説書であります。千島についての言及は、その十五ページに書いてございます。「歯舞諸島については、千島列島に属しないということが、この条約の起草者であるアメリカのダレス特使によって主張されている」というふうに書かれているだけでありますけれども、二十ページから二十一ページにかけての見開きの地図には「平和条約に伴う領域の変更」によって日本から「離れる領域」に国後、択捉以北が明記されているのであります。その部分をちょっと大きく印刷してまいりました。 政府の公式見解を示した「解説 平和条約」によって二十ページ、二十一ページにこの条約に基づいて日本から切り離される地域として国後、択捉ということでちゃんと点線が入っていまして、切り離されるところが文章ではなく地図をも指し示して明確に示されています。しかも、この示しました本というのは、みずからも条約を正確に解説していると言い、学校やあるいは学生、青少年、そういうところで条約についてよく知ってもらうための便宜のためにつくったのだというふうに、それをつくった政府の立場を明確にしています。 そのようにサンフランシスコ平和条約におけるところの二条(C)項というものは明確だったのですよ。条約を締結したあの場における吉田全権も、そのことを当然のこととして南千島まで千島列島という概念に入るという内容の演説をしたりしています。ですから、そこに何らかのあいまいさがあったなどとかいうふうなものではない。だからこそ、サンフランシスコ平和条約二条(C)項については、きちっとヤルタ協定まではさかのぼって国際正義に照らし、国際法上道徳的ないろいろな面からも国際的に通用するような公理に基づいた主張を展開していかぬと、ただ単に、条約を結んだときにはきちっと、そういうあいまいさがなかったのにかかわらず、後で解釈をこっそり変えてそれを押し通そうというふうなことをしても、それが通るはずがない。今のこの問題も、こういうのは恐らくソビエトにも行っておるのでしょう。もう一度、この解説書をごらんいただいて今申し上げたような立場からどう考えるか。大臣からもお答えくださいよ、こんな重大な時期ですから。
○柳井政府委員 ただいま御指摘の解説書の中にそのような地図があることをもとより私どもよく承知しております。これは同条約の調印直後で、しかも我が国が依然として連合国の占領下にございまして連合国側の見解も不明確であったという当時の状況のもとで、この昭和二十六年、一九五一年の十月に衆議院の平和条約特別委員会におきまして行われた当時の西村条約局長による答弁、先ほどお読み上げになりましたが、それと同趣旨の内容でございます。 サンフランシスコ平和条約第二条(C)によりまして我が国が放棄することとなった千島列島には歯舞、色丹両島とともに国後、択捉両島が含まれないと解すべきであるという考え方は当時から政府としても持っていたものでございます。事実サンフランシスコ講和会議における演説でも当時の吉田全権は国後、択捉両島は過去において一度も外国の領土となったことがない旨を主張しておりまして、また前述の当時の西村条約局長の国会答弁におきましても、吉田全権が講和会議において明らかにした見解を日本政府として今後とも堅持していく方針であるということもあわせて述べておられるわけでございます。 しかしながら本件解説書が作成されましたりあるいは西村条約局長の答弁が行われた当時におきましては、千島列島には国後、択捉両島は含まれないと解すべきであるという政府の一貫した見解を平和条約の解釈として間違いなくそうであると言い得るところまで煮詰めるためには、主要連合国であり、また平和条約の主たる起草者でもある米国自身の見解が煮詰まるのを待つ必要があったという事実があったと思います。 いずれにいたしましてもその後主要連合国であり、またこの条約の主たる起草者でもあるアメリカは国後、択捉両島が日本の領土であるとの見解を再三表明しておりまして、政府も平和条約調印直後に表明された当時の見解の中に不明確なものがあったということを踏まえまして、これを明確にするため昭和三十一年、一九五六年でございますが二月の衆議院の外務委員会において、平和条約により我が国が放棄した千島列島の範囲についての政府の統一見解、いわゆる森下政務次官答弁でございますが、これを示しましてその後も累次にわたりまして内外にこれを明らかにしてきていることは御承知のとおりでございます。 この昭和二十六年の当時におきましては、この我が国の領土の範囲につきまして、あるいはその背景となった状況につきましていろいろな意見があったのは事実だったと思います。例えば先ほど先生から御指摘ございましたヤルタ協定、私どもはこれに縛られないということはいろいろな機会に申し上げている次第でございますが、御党共産党におかれましても昭和二十六年の当時におきましては、例えば一月二十八日の衆議院の本会議における御質問の中で、これは川上貫一先生でございましたが、「ヤルタ協定は、厳たる国際間の条約であります。これを破ろうとするものは、国際条約を愚弄し、国際道義を踏みにじり、カイロ宣言にも難くせをつけ、」云々ということも言われておったわけでございますが、その後先ほど先生の御指摘あったようなお考えに変わったというふうに承知しております。
○古堅委員 川上議員がそういうふうな発言したというものまで持ち出して何か共産党の言い分が道理の通らぬものであるかのように装うというふうなことかもしれませんが、みずからの立場さえ、自分が言っていることについて納得させられないようなことで国際的に通用する国際交渉ができますか。 あのサンフランシスコ条約を結んだときに千島問題についてその区域などというものがあいまいさがあったということではないのですよ。現に日ソ交渉がなされた一九五六年当時、日本の全権は千島は南千島まで含まるということを前提にしての交渉を始めていますし、政府が国会における千島という範囲について態度を変え、その範囲を変えた答弁を始めたのも一九五六年。ですから、最初はあいまいであったからどうこうというふうなことではなしに、はっきりしておったのだが、国際正義に照らした道理を尽くすような立場での攻め方はできないのでサンフランシスコ平和条約をそのままとっておきにして、それを不動のものとして何とかつじつまを合わせようとしているからそんなこそくな手段が出るのですよ。ごまかしも甚だしい。我が党の議員がそういう誤った態度をとったそのことがあるというのであればそれは正されなくてはいけない問題ですし、日本共産党の現在の主張については何らのあいまいさもございません。 本来千島でもない北海道の属島である歯舞、色丹両島については日ソ共同宣言でも日本への引き渡しが合意されております。その返還の速やかな実現と残る領土の返還を実現する課題を両立させる筋道を政府として考えることが大事ではないか、現状に照らしてそうも考えます。その点で、まず歯舞、色丹両島の返還のための中間的な条約を締結して、残る領土については交渉を継続する、そういうことを確認して最終的に日ソ平和条約を締結し問題を解決する、そういうことが将来に悔いを残さずきちっとして問題を解決する最善の現実的な道だというふうに思います。この二段階方式とも申しますか、そういう考え方について外務大臣から御所見を賜りたい。
○中山国務大臣 政府といたしましては、国会の御決議に基づきまして、我々は国会の御決議を尊重しながら、四島一括返還という従来の方針に何らの変化はございません。
○古堅委員 やはり自分の立場に自信がないものですから質問にさえも答えられない、そういう形ではソビエトに対する交渉の態度はしっかりしたものになりませんよ。要は、二島返還で領土問題は決着するわけではありません。残る領土問題解決のための日ソ交渉は継続するのだということが日ソ間で合意されれば将来への展望につながるわけで、日本政府がソ連側に正面から提起してそのための最善の努力を払うことが現状の見通しなどとの関係においてもやはり大事な点ではなかろうか、そのように思います。 最後に、今回の交渉を通じて北方のそれなりの、二島ないしそれ以上の島が返るということになった場合に、返還されるこれらの諸島についてアメリカが要求してもそこには米軍基地を置かせない、そういうことは確認できますか。
○高島説明員 お答え申し上げます。 現在、数日後に迫りましたゴルバチョフ大統領の訪日を控えまして、日ソ交渉まさに正念場にあるというふうに私ども認識いたしております。まさにこのような時点におきまして、北方四島の返還にかかわる諸問題、北方四島の返還の態様、条件その他について、現時点では私どもの考え方を申し上げることは必ずしも適当でないというふうに考えております。
○古堅委員 そういうことさえも言えないんだからね。これはもう本当に対米従属も甚だしいよ。 終わります。
○牧野委員長 和田一仁君。
○和田(一)委員 きょうは大臣にお尋ねしたいと思っておりますが、昨日の夕刊、きょうの朝刊等の大きな見出しの中に掃海艇派遣の問題が出ております。この問題についての大臣のお考え、政府の方針、こういったものをここではっきりお聞かせいただきたい、こう思っております。 三月十五日にも当委員会が開かれまして、総理が出席した中で、我が党の永末議員からも同様の質問がございました。そのときも、鋭意調査をしているんだという総理の答弁でございました。先ほど大臣も、状況の調査をしているという意味の御答弁がございましたけれども、現に、ペルシャ湾での航行の安全の確保がいかに必要であるかということは十分御認識いただいていると思います。また、そういう安全確保のために我々ができることがあって、やればそれは国際的な貢献にも重要な意味合いがあるということもひとしく御認識いただいていると思いますが、まず大臣、いかがでございましょうか。
○中山国務大臣 ペルシャ湾には現在千以上の機雷が埋設されていると我々は聞いておりまして、この機雷の状況は、現在あらゆる関係先から情報の入手に努めております。 委員も御指摘のように、この地域を航行する船舶は極めて多く、その中には日本の船舶が極めて多数を占めている。こういった中で、政府といたしましては、海員組合からも要請があったという事実も踏まえながら、どのような対応をすべきかということをただいま鋭意検討している段階でございます。
○和田(一)委員 大臣はこの安全な航行の確保の必要性、これは認識されていると私は思います。そういうところに今千個からの機雷があるんだという調査もお手元にあるようでございます。そして、今海員組合をお挙げになりましたけれども、安全な航行にしてほしいといういろいろな要請が各界から来ている、そういうお話でございました。鋭意調査して検討とおっしゃるのですが、既に外国ではここへ行って掃海作業をしているわけですね。これは当然そういう認識でありまして、調査をした上で行ったと思います。そういう国はもう既にそういう調査の段階を過ぎて、実質的な掃海作業に入っている、こう思うわけです。いつまで我が国はそういう調査をしているのか、これは非常に長いなという感じがいたします。 それから、いま一つ大事なことは、日本に掃海の能力がないんだというならば、幾ら調査して、ああこれは必要だと思ってもできません。しかし、今、日本には掃海能力からいえば世界の五指のうちに入る大変優秀な掃海技術、能力がある、これはもう世界が認めております。それから、この派遣についてはいろいろな考慮をされていると思うのですが、法律的には、何か手直しをするとか解釈を変えなければいかぬ、そういう手続を踏まないとできない問題かどうか、ここのところは大臣はどんなふうにお考えでしょうか。
○松浦(晃)政府委員 先生が御質問の法律は自衛隊法で防衛庁の所管でございますので、外務省からちょっと云々しにくいのでございますけれども、基本的な姿勢は今大臣がお答えになりましたように、現在慎重に対応すべき問題として考えている、鋭意検討しているということで御理解いただきたいと思います。
○和田(一)委員 そうじゃないのですよ。鋭意検討というのは法律的に出せないというのかどうかということを、私はそれだけずばり聞いたのです。八七年の内閣委員会で私は当時の中曽根総理大臣に伺ったのですよ。そのときに、今の法規で海上自衛隊がペルシャ湾の掃海に従事することは法的に問題ない、こう答弁されたし、そのことはこの間三月十五日のこの委員会でも総理はきっちり認めているのですよ。ですから、私が言いたいのは、能力はある、法律的には何ら問題がない、にもかかわらずなぜ調査、調査と言ってなかなか最後の決断ができないのか。私は、こういった意味での貢献を日本がするかしないかを世界がじっと見ていると思うのです。 能力はある、やろうと思えばやれる手続になっている、しかし何らアクションを起こさないというのは、やる意思がないんだ、やる気がないんだ、できるけれどもやらないんだ、そうとられてしまいますよ、その辺はどうなんですかということをぜひ伺いたいのです。これが手続上だめだというなら、その手続をどうすればいいかということになる。そんな問題はないんだ、クリアしているんだというならば、なぜここで、能力があり、出せる状態にありながら出さないのか、それを伺いたいのです。そして、これをやるならば時期もある。いつまでもたって決定したのでは、向こうでもモンスーンが吹いてきたりすれば作業も困難になる、やるなら今だという声もある。そういうときに、どうしてなかなか決められないか。内閣の閣内にあっていろいろな議論をされているかと思うので、大臣にそのことをお伺いしたいと思うわけです。大臣、いかがでしょう。
○中山国務大臣 掃海艇の派遣の問題につきましては、各界でいろいろな御意見があることは政府もよく認識をいたしております。また、能力の点から考えましても、日本の海上自衛隊の掃海能力というものは世界の五つの指の中に入る能力を持っていることも事実でございます。 しかし、今日までのいろいろな国会の御論議等を通じて、国際的に日本がどのような形で貢献ができるかといった中に掃海艇の掃海という問題が登場してきて、これをどのように我々が判断するか、それは憲法上、法律上、また政策上それが行われるかどうかということ、また国民がそれに対して十分御理解をしていただけるかどうかということについても、政府としては現在慎重に検討しているという段階でございます。
○和田(一)委員 まだよくわかりません。憲法上というお言葉を使いましたけれども、今の憲法が施行された後、日本は公海上で掃海作業をやっておりますね。朝鮮動乱のときに米軍の要請を受けて掃海艇を出して、掃海作業をやって成果を上げたという事実があるのですよ。そういうことを考えれば、同じ憲法下で、憲法上の問題というのはどういうことをおっしゃるのか。それから法律的には、あのときは自衛隊でなかったかもしれません、しかし今自衛隊ということになるならば自衛隊ではどうかといえば、その自衛隊法上で法規的にはもう何もないんだということであれば一体何を鋭意検討なさらなければいけないのか。世論調査とか選挙とかということであるならば、もう内閣もこういう問題については調査されているのじゃないかと思うのですよ。私は、今国民はこれを求めていると思っている。何もしなかったという強い反省があった。そして今汗をかくとすればこれしかない、汗をかくものは。この汗をかくことを今なぜ自分らでできないのだ、国民は大いにそのことについては関心が高いと私は思っております。私は大臣がお立場上なかなか今すぐここで言えないのもわかりますけれども、しかしこれはどうしてもきちっと、私はきょうはお聞きしたい、そういう思いでおります。いかがでしょう。
○中山国務大臣 実は、ペルシャ湾における掃海においては、いわゆる戦争状態が国際的にもう完全になくなったということが確認されることが極めて重大であるという考え方が一つはございます。つまり、安保理における停戦の決議がイラク政府によって十分受諾されて受け入れられるということも一つの大きな前提条件であるということを明確に申し上げておかなければならないと思います。これはほかの案件と別に、戦争に巻き込まれない、いわゆる平和時における国際的な海洋の安全の確保のために日本が国際協力をするという一つの考え方の中に立って申し上げれば、戦争状態がないということが極めて重要な要素であるということでございまして、政府はこの地域のいわゆる戦争状態の終結がどうなのかということに安保理の状況あるいは現地の状況等調査をいたしてまいったわけでございます。
○和田(一)委員 今の大臣の御答弁を聞くと、まだそういう状態にないように伺うのですが、そうすると九日の国連の安保理事会の決議、あれはどういうふうに御理解なさっているのですか。私は実質的な戦闘行為はあれで終えんした、イラクは受諾した、こう思っておるのですが、違うのでしょうか。
○柳井政府委員 ただいま大臣から御答弁ございましたように、現地の状況等につきましてはいろいろ情報の収集あるいは調査の必要があるというふうに聞いております。 安保理につきましては、四月六日にイラクの外務大臣から安保理の議長あてに書簡が参りまして、いろいろイラクの立場がその中で述べられておりましたけれども、結論的には安保理決議六八七号を受諾するということを通報してきたわけでございます。ただ、その後これが確かにイラクの最終的な回答になり得るかどうかということにつきまして安保理側におきまして検討がなされまして、その結果、十一日付だと記憶しますが、安保理議長からの回答によってこのイラクの回答は安保理決議を受諾したものであるというふうに考えられるという回答が出たところであるというふうに承知しております。
○和田(一)委員 ですから、一応あの決議を受諾したというふうに認識してよろしいのでしょう、今は。そういう意味では、三月十五日、我が党の永末議員が言ったときと状況が変わってきているのですよ、まさに。ですからこういうことが可能ではないか、やるべきではないかと私は申し上げているのであって、八七年に中曽根さんに言ったときはまさに戦闘の中でどうかという質問をしたので政策的には無理だという答弁があったのですが、今はもう戦闘状態は一応終わった、こういう状態の中で航行の安全を確保するために放置されている機雷を除去するということは、私は当然やるべきことだ、こう思っておるわけでございます。 大臣、先ほどは何かまだ戦闘状態があるようなお考えだったのですが、そうじゃないということで、これはぜひ急速にお進めいただかないといかぬ、こう思います。私はもう必ず出していただけるものと確信しておりますけれども、きょうはその先を伺いたい。 防衛庁の人来ていますか。出すからにはそれなりの対応が必要だと思うのですよ。恐らく母船を出して、そして掃海艇を何隻かくっつけて、補給艦をくっつけていくんだと思うのですね。少なからぬものになるとは思います。しかし、二十五年のあの朝鮮動乱のときの掃海でも犠牲者が出た。二隻が触雷して沈没して一人が死亡、八人が負傷、こういう事実があるわけですね。そのときはそのときなりの対応をした。しかし、今自衛隊法ができ自衛隊ができてからそういった対応ができるのかどうか。私は行くからにはそういうきちっとした補償がないと行けないと思うが、その辺はどうでしょう。
○新貝説明員 自衛官の災害補償に関する件でございますが、仮に掃海艇の派遣が決定された場合におきましては、派遣された隊員が誇りを持って安んじて業務に従事できるようにすることが重要であると考えております。 自衛官の公務上の災害に対する補償につきましては防衛庁の職員の給与等に関する法律第二十七条第一項の規定によりまして、国家公務員災害補償法を準用して一般職の国家公務員と同様の補償を行うことになっております。 なお、特に危険な業務に従事して公務上死亡した自衛官に対しましては、警察官等におけると同様通常の補償の五割増しの補償を行うこととしておりますので、仮に掃海艇の派遣が決定された場合にはこの五割増しの補償ができるように検討してまいりたいと考えております。
○和田(一)委員 太田さんですか。この前御巣鷹山に日本航空のJALが落ちました。国内のああいう出動でも手当というのはつきます。非常に急斜面な危険なところで作業していただいたわけですけれども、そのときも私はいろいろと申し上げたけれども、災害出動の手当でも警察官の手当との格差が非常に激しい。ましてやこういう危険な業務に当たらせるために、自衛隊に対する補償のあり方が、私はきょうは長官にも来てもらいたいくらいだったのですが、今のままで、五割増し規定をかけたって警察の同じような立場の人の補償とどれだけ違いがあると認識されておりますか。
○新貝説明員 警察官の場合には地方公務員でございますので幾分の違いがございますが、基本的には国家公務員同士というものは皆一緒でございます。したがいまして、死亡した場合の一時金及び年金というものは海上保安庁職員も防衛庁職員も国家公務員である警察庁職員も皆同じことになっております。それで先生がおっしゃっておられる差があるというような問題は賞じゅつ金等の問題において差があるということになろうかと思います。
○和田(一)委員 その賞じゅつ金で差が出ちゃうんですよ、どうしても。このことはこの前も、私は沖縄の航空隊の事故のときにも申し上げたことがあるのですけれども、そういうものに対する法的なバックアップが何にもできてない。だから、私は出していただきたいと思ってさっきから質問しているんですが、出していただくからにはそういうことをきちっと考えておく必要がある。これを五割増しの規定があるから一般公務員並みでやればいいんだからと言っていたんではどうにもならない。 みんなが集団的に団体生命保険に自分のポケットマネーで入ってなければ何もできないというような形のまま、いやこれでいいんだと思っているんだったら大変なんです。ですから、そういう意味で、こういうことをしなければならぬときに来たのですから、それに対するきちっとした法的な整備、対応というものをもうやらなければいけない、私はこういうふうに思っております。大臣、お聞きになっていかがでしょうか。私は、本当にどんどん政府としてそういう方向で御論議をいただきたいと思うのですが、いかがですか。
○中山国務大臣 委員かねてから御指摘の点、国家のために、あるいは公益のために働いてそこで殉職をされる方々に対する国家のいわゆる救済制度というものに差があるということでは相ならないと思っておりまして、そういう点も踏まえて政府は十分これから真剣に検討して早急に結論を出さなければならないと考えております。
○和田(一)委員 ぜひ前向きに急いで検討していただきたいと思いまして、次に移ります。 日ソ関係、特にソ連の大統領来日直前のこういう委員会でございまして、先ほども、大統領がお見えになって、日本とソビエトとの間の国交回復が何とかしてこういう機会に成立していただきたいと願っておるわけですが、そういう中で、政経不可分の今までの方針がやや変わってきたかなという御質問にも、いやそれは変わらないという先ほどの大臣の答弁もございました。どういう結果が出ますか、その結果いかんによっていろいろな情勢が変わるのではないかと思いますけれども、今予想されている日ソ首脳会談の中身でございますけれども、北方四島の返還という民族の悲願がここでどのように結実していくか。 北方四島を返していただきたいということなんですが、一括即時返還という今までの姿勢、これはもうそのまま主張したらいいと私どもは思うのですけれども、現実には一括四島同時にというのはなかなか厳しいということもよくわかっております。したがっていろいろな予測が出るわけなんですが、日ソの共同声明の中で二島の問題は一応の合意がありましたけれども、その線がもう一回確認されるのか、あるいはその線からさらに出て四島ということになるが、その四島は同時ではないんだということになるか、いろいろなケースがここで考えられてくるわけでございますが、基本的に交渉の中身にあってこの固有の領土である四つの島の主権をきちっと認めさせる大事な機会だと私は思っております。主権をまず認める、そして、後その主権に従ってどう原状を回復していくか、昔の日本の主権行使ができたような状態に回復していくかを話し合う場にすべきだというふうに私は強く感じておりまして、まずこの大前提が少しでも変わったときにはこの問題は御破算になるというふうに私は思っておりますが、どうでしょうか。
○中山国務大臣 今お示しのように、日本政府の考え方というものはまず主権の確認ということから始まるのであろうと私は考えております。この首脳会談は、恐らく両国の関係の抜本的な改革のために首脳間でのいろいろなやりとりがあろうかと思いますが、政府としては今私が申し上げたように四島の主権を確認するというところから始まるものと考えております。
○和田(一)委員 大臣の御答弁をそのままぜひこの日ソ間の大事なときに貫いていただきたいと御要望いたしておきます。 それで、きょうはたくさんのことを聞きたかったのですが、もう時間がないので、その点を大臣からお答えいただいたので、ほかの問題に移らせていただきますけれども、今毎日、テレビのニュースを見ていると必ず出てくるのは、湾岸の終結した後、イラクの国内事情によって大変な、悲惨な難民の問題が出ております。こういう難民救済ということで非常に各国が心を痛めているわけでございます。これに対して、難民のいろいろな問題を扱う国連の高等弁務官事務所あるいは国連災害救済調整官事務所あるいは国際移住機構、こういうところが中心になっていろいろな対応を世界にお願いしていると思うのですが、今我が国がやっていることはどの程度のことであり、そして、ますます問題が容易でないことがわかってきている今日、これからどうしようとされているのかお知らせいただきたい。国民は、非常に気の毒な状態だな、何かやっておるのかな、こういう思いで日々のテレビを見ていると思いますが、どうでしょう。
○渡辺(允)政府委員 現在、イラクからイラン及びトルコに大量に流出しております避難民の問題につきましては、私どもも人道的な観点から非常に強い憂慮と懸念を持っております。具体的にこれまで政府の行いました対応は次のとおりでございます。 まず資金協力といたしまして、今月の六日に、国連災害救済調整官事務所にこれまで拠出いたしておりました資金のうち一千万ドルをこのイラン及びトルコに流出したクルド人を中心とする避難民救済のために拠出するということを決定いたしました。 それからさらに、引き続きまして十日、物資の面で、まずイランに対しまして医薬品、テント、毛布等の緊急援助物資、五千万円ちょっとになりますが、それを提供するということ、またトルコに対しましても同じような緊急援助物資、四千万円超でございますが、それを供給するということを決定いたしております。 それからさらに、国際緊急援助隊の医療チームが本日東京を出発いたしまして、これはイランに向かっております。 国際機関の方では、国連事務総長がエリック・ソイという元国連事務次長であった人を調査団長に任命をいたしまして、この調査団がこれからイラクに派遣をされるところでございます。また、UNHCRの緒方さんもこれからイラン、トルコを調査のために訪れられると承知をいたしております。 そこで、私どもといたしましては、こういうミッションの調査結果等をも踏まえながら、必要に応じてさらに何ができるかを検討してまいるという考えでおります。
○和田(一)委員 対応はしていただいているわけですが、国連の難民高等弁務官の計画でも、まだまだ予想していたよりはるかにひどくなったので、もっとたくさんの協力を世界の国々に求めなければならぬ、こういうような状態のように思います。大臣、こういう国際社会の中で、経済的な大国になった日本として、人的にできないところでも何か手が出せる、救いの手が差し伸べられるということがございましたならば、もうこれはやはり今積極的に取り組むべきときだと思います。予算としてまだ四億ドルぐらいさらに追加してこういう難民対策に必要だというような話も聞かされておりますが、ぜひそういうことに対しても、まあ金で解決するんではないんだという思いを示すためにも、汗をかくときにはかくようなことを片一方でやりながら、なおかつそういうものにもきちっと対応できるようにぜひお願いしたいと思います。御答弁をお聞きして、終わらせていただきます。
○中山国務大臣 このクルドの難民問題はただいま我が国内におきましても大きな関心を持たれておる問題でございますし、政府としましては、資金の提供というのみならず、人的貢献をせなければならないということで既に出発もさせましたが、難民の状態がさらに激化するということであれば積極的に支援を続けたい、このように考えております。
○和田(一)委員 終わります。
○牧野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時一分散会