P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
120回国会衆議院1991/03/01

外務委員会 第4号

発言数
152
登壇者
13
会派数
5
開催日
1991/03/01

会議録

牧野隆守自由民主党

○牧野委員長 これより会議を開きます。  この際、中山外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。中山外務大臣。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 昨年十二月二十九日、外務大臣再任を拝命いたしました。早い機会にごあいさつを申し上げることを切望いたしておりましたが、本日その機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。  昨年八月二日に勃発した湾岸危機は、昨日のブッシュ大統領の演説をもって収拾の方向に向かわんといたしております。これは、我が国を含め世界の多くの国々が湾岸の平和と安定を回復するため、国連のもとに結束し、国連安全保障理事会の関連諸決議を堅持しつつ、相互に緊密な協力を進めてきた結果にほかなりません。  今や世界は、歴史的激動期の渦中にあります。特に、欧州における東西対立の解消と統合の時代の幕あけは象徴的な出来事であります。他方、過渡期に特有の不安定性、不確実性がある中で、国家間の利害対立や地域紛争も存在していることもまた事実であり、今回の湾岸危機は、今後の新たな国際秩序のあり方を問う試金石ともいうべきものでございます。  このような国際情勢の中にあって、世界の平和と繁栄を確保するため我が国の外交に課せられた使命は、ますます大きくなっております。  我が国としては、みずからの責任と役割を自覚して、世界の平和と繁栄に貢献していくことにより、新しい国際秩序づくりに積極的に参画してまいる方針でございます。  このような方針のもと、私は、今後とも海部内閣総理大臣のもとで、これまでの外交の成果を継承し、これをさらに発展させてまいる決意でございます。  本委員会の皆様は外交に精通され、多年にわたってこれに取り組んできておられます。今後とも皆様方の御鞭撻と御協力を賜りつつ、これまでの経験も踏まえて、外務大臣としての重責を果たしてまいる所存でございますので、委員各位の一層の御協力と御指導をお願い申し上げます。(拍手)      ────◇─────

牧野隆守自由民主党

○牧野委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。  まず、平成三年度外務省関係予算についてその概要説明を聴取いたします。鈴木外務政務次官。

鈴木宗男自由民主党外務政務次官

○鈴木(宗)政府委員 平成三年度外務省予算重点事項を御説明いたします。  平成三年度一般会計予算案において、外務省予算としては、五千七百六十三億五千五十九万七千円が計上されております。これを前年度予算と比較いたしますと、七・九%の伸び率となっております。  現在、我が国を取り巻く国際環境は、欧州における東西対立の解消や今回の湾岸危機に典型的に見られるごとく激動の最中にあり、既に新たな国際秩序形成への模索が始まっております。このような中で我が国としても、世界の平和と安定を確固たるものとするため、みずから進んで可能な限りの協力を行っていくことが不可欠であります。今回の湾岸危機は我が国に課せられている使命の重要性を如実に示したと言わざるを得ません。  このような使命を果たすためには、我が国は、これまで以上に強力な外交を展開していく必要があります。  かかる観点から、平成三年度においては、定員等の増強、在外公館の機能強化、国際協力構想を中心とする国際協力の推進の以上三点を予算要求の最重要事項とし、その他情報機能、海外邦人対策を加え、予算の強化拡充を図ることに努めた次第です。  外務省定員につきましては、本省及び在外公館合計で百十名の増員を得ました。この結果、三年度末外務省予算定員は合計四千四百十九名となります。  機構につきましては、在外公館として在マイアミ総領事館及び在ストラスブール総領事館の新設を行うこととしております。  在外公館の機能強化に要する経費は、百九十八億七千二百万円であり、前年度予算と比較いたしますと、十九億二千三百万円の増加であります。  次に、国際協力構想を中核とする国際協力の推進に関係する予算について御説明いたします。  国際協力構想の三つの柱は、政府開発援助の拡充、国際文化交流の強化、そして平和のための協力の強化であります。  まず、政府開発援助の拡充については、昭和六十三年六月に設定されたODA第四次中期目標に盛られた諸施策の着実な実施を図る内容のものとなるようにしております。平成三年度ODA一般会計予算については、政府全体で対前年度比八%増の八千八百三十一億円となりました。  外務省のODA予算について見ますと、対前年度比三百二十一億円、七・七%増の四千四百七十二億円となっております。この予算のほとんどは贈与予算であり、ODAの質の改善に寄与するとともに、外交の円滑な推進にも重要な役割を果たすものと考えます。  このうち無償資金協力は対前年度比百十四億円、五・七%増の二千百二十五億円を計上しておりますが、その内訳は、経済開発等援助費が一千七百二十六億円、食糧増産等援助費が三百九十九億円であります。また、我が国技術協力の中核たる国際協力事業団の事業費は、対前年度比七・三%増の一千三百四十一億円を計上しております。  また、援助実施体制の強化の観点より、国際協力事業団の定員につき、三十四名が純増となり、また、開発援助に携わる人材の育成のための経費について五億五千四百万円を計上しております。  次に、国際文化交流の強化でありますが、世界の異なる文化間の相互交流を促進し、世界の文化をより豊かなものにするとともに、近年の対日関心の高まりへの積極的な対応を図ることが求められております。  そのため、国際交流基金事業の拡充及び実施体制の強化、文化協力の推進のために対前年度比十三億七千二百万円、一四・九%増の百五億五千四百万円を計上しております。  次に、平和のための協力の強化につきましては、我が国は、国力の伸長に伴い、経済、経済協力の分野においてのみならず、国際平和の維持、確保等の政治的分野においても相応の国際的責任を果たすことが必要となっており、百七十八億五千七百万円を計上しております。  さらに、人類共通の問題への対処として全地球的規模で顕在化しつつある環境問題、あるいは麻薬問題に対し、国際機関を通じて積極的に貢献するため、四十一億五千三百万円を計上しております。  このほか、情報機能の強化及び海外邦人対策の整備拡充にも努めることとしております。  以上が外務省の平成三年度予算重点事項の概要であります。

牧野隆守自由民主党

○牧野委員長 以上で説明は終わりました。     ─────────────

牧野隆守自由民主党

○牧野委員長 次に、国際情勢に関する件について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川崎寛治君。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 全戦域で戦闘がやんだということは心から喜びたいことだと思います。ただ、この湾岸戦争というのは、東西対立が終わった後の新しい情勢の中で起きた非常に不幸なことでありまして、これは非常に冷静にこれから検証しなければならない、こう思います。しかし、きのうのきょうでございますから、限られた七十分という時間でございますので、大変限られた時間でございますけれども、幾つかの問題点についてお尋ねをしたい、こう思うのです。  私は、かつて第四次中東戦争の直後、フセイン大統領が副大統領の時代ですし、アジスは情報総裁でございましたが、アラブ連盟の招待で参りました。彼が政権をとってから、私たちの非常に親しい者も粛正をされておりまして、そうした点では個人的にも激しい気持ちを持っておるのでございますけれども、このサダム・フセイン大統領のイラクがクウェートを白昼侵攻をし、併合したという行為、これは国連史上かつてないことでございますし、許されない不法な行為だと思います。  そしてまた、独裁政治というものの悲劇が非常に深刻なものだということを今露呈をされつつあります。ただ、ではそれを解決していく、サダム・フセインをやっつけるあるいはさらにはクウェートの王様を戻す、つまりそういうことのためにどんな犠牲があったかということを振り返りますと、これはもう大変深刻な問題だと思います。そして、これは非常にいろいろ議論の分れるところだとは思います。  しかし、おびただしい数の生命が失われた。それは無実の女であり、子供であり、お年寄りである、あるいは人質になったクウェート人である、さらには十万人のイラク兵が死傷しておる、こういう報告もあるわけでございますし、さらには原油の流出によります地球環境の破壊、つまり戦争こそが地球環境の破壊の元凶だということを今度こそ、今回こそ暴露したことはない、こういうふうに思います。  さらにはメソポタミアの四千年の人類文明発祥の地の史跡も相当破壊をされておることだろうと私は思います。産業基盤もめちゃくちゃにやられております。そうしますと、これ以外に解決の方法はなかったのかという点については、疑問なきを得ないのです。外務大臣の見解を伺いたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 まずブッシュ大統領の停戦提案について、イラク政府はこれを受諾するという意思で国連安保理にその申し出があったことを、私は日本の外務大臣としても心から喜びを感じておるものでございますが、この八月二日に始まったイラクのクウェート侵攻、それに対する多国籍軍の、今までのクウェートからのイラク軍の撤退のための武力の行使というものについて、今委員から、これ以外に方法はなかったのかというお尋ねでございます。  私は、結局サダム・フセイン大統領が国連決議の重みというものを率直に評価をしていなかったんじゃないか、そのように実は感じてなりません。それは、停戦に至るまでの経過を見ておりまして、ソ連の和平提案を中心にずっといろいろとやりとりがあり、その間にも無数の人たちの命が失われていっているという事実を見てみますと、私は、やはりこの国連決議による平和の回復の考え方というものとの大きな誤差が一つの悲劇を招いたのではないかという判断をいたしております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 十二の国連決議がございますし、特に経済制裁というのは、アメリカのCIA長官も経済制裁の効果というものは認めていたわけでございますし、しかもアメリカとイラクとの間では対話がなかったわけですね。対話というよりも、交渉というのはなかったわけです。しかも、これはこれからの中東和平というものを考えますときに非常に深刻な問題だと思いますが、ヨーロッパとそれからアジアと中東、こういうふうに考えますときに、今度の場合のこの中東というのは、なるほどアラブ軍が、アラブの各国も入っております、入っておりますけれども、圧倒的にアメリカ、イギリス、フランスという多国籍軍が中心ですね。  そういたしますと、これは、南北問題というのが東西冷戦の後の一番深刻な問題でございますし、南北問題というのがストレートに出てきたわけですね。そしてその南北問題の場合に、地域紛争というのがこれからの大きな課題ですし、地域紛争にどう対処していくかというのが今度の湾岸戦争を通しても問題になるし、あるいはポスト湾岸戦争というものの、東西冷戦が終わり、南北問題、そして地域紛争、こういう中での課題になってくるわけですが、今度の場合に、残念ながら北が南をねじ伏せた。それは、膨大な軍事力ですし、膨大な資金ですし、そしてハイテクのすぐれた兵器であるしという意味では、戦争で勝ったけれども政治では負けるではないかという疑問がイギリスからも出ているわけですね。ハード外相がベーカー長官と会って帰ってまいりました後言っておりますことは、ガーディアンにも、非常に危険だと。  私は、だからこのことは、戦争と後の政治問題、つまりこれから外交問題というのが非常に大きな課題になってくるわけでございますから、そういう中でこの問題を考えますと、非常に深刻な問題がある。だから、戦争では勝ったけれども、外交では、つまり政治では負けるということがあり得る、そういう大変な危険性があるというふうに思いますが、いかがですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 この地域は、委員も御承知のとおり、パレスチナ問題、これが下敷きにございますし、パレスチナ問題のもっと大きな背景というのは、歴史的に千年を超える長い一つの争いの中に今日を迎えている。そういう中で、北が南をねじ伏せたという表現をお使いでございましたが、今回の問題は、単に北が南を押さえつけたということではなしに、ソ連も含めて、あるいはまたバングラデシュ、パキスタン、あるいはフィリピンや韓国の医療部隊も行っておりますが、国際正義というものを基盤に置いた国連のいろいろな活動というものが一つの新しい歴史のページを開いたのではないか、私はそのように考えております。  イスラエルが今回参戦をしておりませんでしたけれども、スカッドミサイルをたくさん撃ち込まれても、従来のイスラエルの姿勢なら反撃に出たろうと思います。しかしそれに耐え忍んで戦火が拡大することに耐えた。そういう面では、今回の中東における争いというものは一つのまた新しい歴史のページをめくったものではないか、私はこのように実は考えております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 イラクのこういうモンスターをつくった、つまり軍事大国をつくってしまったというのは、私は、やはり残念ながら国連の五常任理事国がイラクをモンスターにしたと思うのですね。ソ連であり、フランスであり、中国であり、さらにはアメリカもイラン・イラク戦争のときには地中海に艦隊を出しているわけですし、今日のあの地雷もそうでございます。そういう意味ではまさに五常任理事国がイラクという不法なモンスターをつくってしまった。そのことを考えますと、これからこれをどうしたらいいかということは大きな課題ですね。  外務大臣は、国連総会でも、武器輸出の禁止ということをあなたは演説をしておられますね。具体的にどのようにして武器輸出の禁止をするのか、どういうふうにして制度をつくるのか。  もう一つ。湾岸戦争の過程の中で、トルコなりイランなり、あるいはシリアなりエジプトなり、あるいはサウジアラビアなりというのがまたこれ武器援助を受けておるわけでありまして、それぞれ大きな軍事大国になってきておるわけです。そういう矛盾をつくり出してきてしまった。ですから、その中での武器輸出という問題は、日本がこれまで武器輸出をしてきていなかった、そういう立場からいたしますと、どこにも気兼ねすることなく大胆にこの問題に、武器輸出禁止という制度をつくる、そのために不退転の決意で臨まなければならないと私は思いますが、その点についての決意のほどを聞かせていただきたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 国連総会におきまして、日本政府の考え方として、私の演説の中に、武器輸出三原則を厳守してきた日本政府としては、化学兵器あるいは核兵器等を含めて一般の通常兵器までも透明性、公開性というものを強化すべき時代に入ってきているということを強く今まで主張しておりますけれども、私は、今後も日本としてはその方針を堅持して、国際社会にその参加をしてもらう国々を求めていくべきだという考え方を強く持っております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 それは従来の主張をただ繰り返しているだけなんですよ。ですから、まず第一には、五常任理事国が残念ながらイラクという不法なモンスターをつくったということについては明快にお認めになるかどうか。それから次には、武器輸出禁止というのを世界各国に向かって叫ぶというのじゃなくて、あなたは具体的に国連で何をしようとしているのか、武器輸出禁止のために具体的にどうしようとしているのかということを伺いたいのです。一ヵ月や三ヵ月も、半年も一年も前のと同じことを言ったってだめなんですよ。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 今委員御指摘のように、安保理事会の常任理事国が武器をイラクに輸出してきた、特に中国、ソ連、フランス、このような国々の大量の武器の売却というものが行われてきたことは現実に私は率直に認めざるを得ない。また、かつてのイラン・イラク戦争のときにはアメリカも含めて武器の輸出を行ってきた。こういうことを考えていきますと、私は、このモンスターをつくったという委員の御指摘は、結局サダム・フセインの考え方、国家のリーダーとしてどういうふうな国家をつくるかということを彼は指導者として描いていたと思います。強大な兵器を持つことによって自分の国家の発言権を強めていく、こういう思想が、イラン・イラク戦争のあの石油価格の高騰によって国庫の歳入がふえたときに、経済の活性化に使わないで軍事大国化に向かうという指導者の一つの考え方が、私はあの大国をモンスターにした、このように考えております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 そういう考え方がモンスターにした。そのことに対して五常任理事国が、モンスターになることがわかっていながら出してきた。しかもイラン・イラク戦争、つまりアメリカも、イラン・イラク戦争を通して革命イランというものに対抗するためにイラクに対しては一九八四年に国交を回復もしておるわけだし、食糧の援助もやるわけだし、それから最終盤では艦隊も出したわけです。  だからそのことが、つまり武器輸出というのは貿易だ、そういうことでまかり通ってきた、そういうことが今日のモンスターをつくったわけでしょう。だから、そのことに対してあなたがどう認識をし、これから国連の中でどうしようと決意をしておるのか、具体的な行動の方向を示していただきたいのです。

丹波實外務省国際連合局長

○丹波政府委員 ちょっと事実関係の問題がございますので整理させていただきたいと思いますけれども、恐らく先生も御存じだと思うのですが、一九八八年の国連総会におきましてまさにこの兵器移転の問題が総会の決議の対象になっております。百ヵ国以上の賛成を得て成立した決議でございますけれども、国連としてはとりあえずこの武器取引の透明性、公開性というものを高めるためにどういうことをすべきかという決議でございますけれども、この決議の結果、専門家グループというものが設置されておりまして、ことしの九月までにその研究の成果を発表するようになっております。  その研究の成果を受けて、国連として今後武器輸出問題にどう対処するかということを研究の対象とするということで、その専門家グループには実は日本の大使も入っておるわけですが、そういうものを受けて具体的に日本あるいは国連として今後どう対処するかというのが将来の問題ということになっておるわけでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 そうしたら、そんな決議がありながら今度はサウジアラビアにも二百十億ドル武器を出したり、あちこち武器を出したりということは国連総会の決議違反ですね。

丹波實外務省国際連合局長

○丹波政府委員 もう安全保障に大変昔から造詣深い先生御承知と思うのですけれども、一般論として、世界で武器輸出を禁止するという考え方は実はとり得ないという考え方は、私は、国連の多数国の考えていることだと思うのです。日本自身も御承知のとおり、アメリカから日本の安全保障のために装備を購入しておるわけなんで、そういう意味で、各国家の安全保障ということを考えますと、一概に全部禁止するというのはなかなか難しい。それでは一体どうするかというのが大変難しい問題としてテーブルの上にのっかっているということだと思います。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 それなら外務大臣は、そういう難しい、国家としてはだめだ、そういうことを、ただ抽象的にお題目を言っているだけですか、外務大臣。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 私はスウェーデンのSIPRIの年次報告を見てみましても、先進工業国が兵器をつくっていた時代から、やはり発展途上国も兵器をつくる動きが出てきている。それはなぜかというと、発展途上国も含めて国家というものは自国を防衛するために兵器を持たなければならない、これが一つの大きな基盤にあるんだろうと思います。だから、兵器を自分で生産する能力を持たない国家は他国から買う以外にない、この国際社会の常識化した指導者の考え方、こういうものと、我々の国家のように、敗戦によって国家が平和的に生きていく、そのためには自国防衛の兵器以外は一切輸出しない、生産しても輸出しない、このような考え方を持っている国家は世界には本当に日本ぐらいしかないのではないか、私はそのように思っております。  他国を日本と同じような考え方に引っ張っていくということのために、国連総会では日本の哲学、考え方というものを主張しているわけでありますけれども、果たしてどれだけの国家がこの考え方に協力をしてくれるかということは、それぞれの国の指導者の判断によるものだと私は考えております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 今度みんなテレビでパトリオットだとかトマホークだとかを見ますね。第三世界はこれからじゃんじゃん買いますよ。どうして防ぎますか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 パトリオットを買うとか、スカッドミサイルをこれからどんどん発展途上国が買うぞというお話でございますが、今まで米ソの対決の激しかった時代、世界は、東側の陣営と西側の陣営と非同盟の陣営とに三つに大体区分されていたのではないか。そういう中で、ソ連を中心とした兵器はやはりソ連と関係の深い非同盟の国にも売っていた、アメリカはアメリカでまた兵器を売っている、こういう一つの大きな歴史の流れともいうべき人類の闘争、国家防衛の考え方というものがとうとうとしてまだ流れ続けていると私は思います。  しかし、核が兵器化されたそういう時代において国連というものが、今日までの安保理の拒否権発動の流れから話し合いの場に変わりつつあるというこの中で、常任理事国に一つの理性、国家の理性というものを日本政府は呼びかけていかなければ、この問題の解決は到底難しい問題だ、私はこのように認識をしております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 これは議論しておったら長くかかりますからね、まだたくさん問題点がございますので。いずれにしましても、これは、地域覇権主義というのは、これからまた地域紛争でしょう。アメリカは国防予算の中でも考え方を出してきているわけだし、日本のそれに対する対応というものも求められてくるわけですから、そうなりますと、武器輸出禁止とあなたがこれまで国連総会やあちこちで演説をした、海部総理も言った、そのことは、日本としては、本当に何と言われようと、やはりやらなければいかぬのですよ。そのことをひとつ要求しておきます。  化学兵器が使われなかった、あるいは核兵器が使われなかったということは非常に幸いだったと思います、もうその力もなかったかもわかりませんが。そうしますと、化学兵器禁止、製造禁止、使用禁止ということも、これはやはりひとつ国際的な協定、制度というものをつくらなければいけない。いかがですか。

丹波實外務省国際連合局長

○丹波政府委員 お答え申し上げます。  先生の全くおっしゃるとおりでございまして、まさに化学兵器の包括的な禁止条約というものを締結するために一九八〇年から国際社会努力しておりまして、特に一昨年の一月にパリで大変大きな外務大臣レベルの会議が開かれたことが政治的な弾みとなりまして、鋭意国際社会この問題に取り組んでおりますけれども、難しい問題が幾つかあるものですから、その一つは、まさに化学兵器を廃棄していく過程における加盟国の安全保障の問題をどう確保するかという問題。もう一つは、化学物質を生産する民間の会社を査察しなければならないわけですが、この査察と産業機密の保護の関係をどうするか。そのほか幾つかの難しい問題がありまして、理想的な進みぐあいには必ずしもなってないという残念な状況にありますが、まさにこの湾岸戦争を契機にして化学兵器の恐ろしさということが認識されたわけでございますので、やはり日本はもちろんのこと、そのほかの国も鋭意この問題にもっと取り組んでいくべきである、そういう意味で、全体として先生の御意見と全く同感でございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 サダム・フセイン政権というのがどうなるか、私は、いずれ崩壊をする、こういうふうに見ております。ではその後どういう政権ができるかということは、中東和平の問題とも絡んで、非常に大きな課題だと思います。外務大臣はどういうふうに考えますか。ポスト・フセインの方向というものをどういうふうにあなた方は判断しているか、聞かせていただきたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 これからの停戦交渉の合意を経て、イラクがどのような国家体制を維持していくかということは、現在の時点で一つの判断を下すわけにはまいらないと思いますが、バース党がこれからどのような経過をたどるのか、あるいはまたイラクの一般大衆が、従来の指導層の国民に対する国際情勢あるいはイラクの立場というものの説明と現実との乖離にどのように反応するかということにかかって変化が起こってくるだろう。そういうことを考えますと、あくまでもイラクの国民がみずからの国家をつくる権利を持った唯一の人たちであると私は考えております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 政権を選ぶのは国民であることは当然です。しかし、これからの和平交渉なりこれからの中東を考える場合にはやはり一つの判断の材料ですから。  私は、この間倉成EC議連の会長さんなどとECの大使の皆さんと懇談しました。そのときにある大使、ある大使と言っておいた方がいいと思いますから、ある大使は、クルド族の反フセインのトップリーダーと会った、しかしそういう人たちはなかなか政権はできぬだろう、結局大佐あたりの軍人かというふうな、そういう見方をしておったという言い方をしておりましたが、やはり軍人が政権をとるということになると非常に不安定な政権になって、レバノン化という問題等も出てくると私は思うのです。だからその意味では、やはりバース社会党というものが組織としてどう民主化してくるか、そして今までのフセインに対する反対の民主的な勢力が出てきてバース党が一つの政権をつくっていくということが望ましいのではないかというふうに見ております。  ただ、アメリカは、バース党を非常に嫌っておる、それから宗教を嫌っておる。そういう中でアメリカが力でイラクの政権をということをやったら非常に危険だ、私はこう思います。その点については、そういう方向に行かないように外務大臣としても率直に言ってほしい、こう思いますが、いかがですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 日本政府としては、あくまでもイラクの国民の手によって新しい政府がつくられるべきもの、このように考えております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 クウェートの亡命政権と日本は接触をしましたか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 在日のクウェート大使を昨日外務省に招きまして、クウェートが解放したことに対して日本政府として祝意を表明いたしました。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 そうじゃないのですよ、サウジにある亡命政権と日本政府は接触をしておりますかということです。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○渡辺(允)政府委員 お答え申し上げます。  まず最初に、先生は亡命政権というふうにおっしゃいましたけれども、私どもは、サウジのタイフにありますクウェートの政府は正統な政府として認めておりまして、外交関係をずっと続けてきておるわけでございます。それで、この政府との関係は、我が方の在サウジ大使が随時連絡をとって今日まで来ておるわけでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 黒川大使は、新聞を見ると東京におるようですが、アメリカのクウェート大使はサウジにおりまして、十二月まで監禁されて新しくかわったわけですが、しょっちゅう接触しているわけです。そしていち早く二十八日には大使館をつくる。イギリスも、もうきょうですか、やりますね。日本は、これからやおら東京から出かけていく。こんなことで本当に──戦争に参加していないからぐあいが悪くて東京に帰ってきているのか、真っ先に逃げ帰ったわけですけれども、そういうことで複雑なアラブというのがウオッチできるのでしょうか、あるいは対策がとれるのでしょうか。私はきょう新聞を見て、黒川大使が東京におる、これから出かける、リヤドに行って接触をするというのを読んで、これではやはり日本はだめだなということを痛感をしました。いかがですか。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○渡辺(允)政府委員 お答え申し上げます。  先ほどのお答えでちょっと申し落としましたけれども、黒川大使は確かに本日までは東京におりましたけれども、正確に記憶しておりませんが比較的最近までヨルダンのアンマンにおりまして、ヨルダンのアンマンからサウジアラビアに赴いてクウェート政府との接触もいたしておったわけでございます。  それで各国大使館の状況でございますが、黒川大使につきましては、本日東京を出発してサウジアラビアに入りまして、サウジアラビアに現在でもクウェート政府の中枢部それから外務省その他がおりますのでそれと接触をし、現地事情を十分把握の上できるだけ早く現地にも入りたいということで向かっておるわけでございます。それから先生御指摘の米国、英国、フランス等の大使館につきましては、これは実はいずれも多国籍軍に軍を参加させておりました国でございまして、私ども照会いたしましたところ、それぞれ自国の空軍機でクウェートに入っておるというような状況になっておるわけでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 空軍機で入ったということを言いたかったのでしょうけれども、そんなのは問題外ですよ。  もう一つ、さっきの武器輸出の関係でもう一つ大事なことは、つまり軍事費増強の国には経済援助をしない、これは総理大臣が予算委員会で言っていますね。そうしますと、このことほきちっと制度化しますね。それから、これからODAの問題というのは非常に洗い直しをしなければいけないと思います。これは与党の皆さんも異議ないと思うんですね。これは私たちお互いに少し議論し合う問題だろうと思いますが、ODAを根本的に見直す、海外経済協力基金法、そういうふうなものを私たちはひとつお互いに話し合いたい、こういうふうに思います。  それから、つまり紛争地域にODAを使うということをやっちゃいかぬと思うんですね。それは、タイでクーデターがあった、だからおさまるまではやらない、こういうふうに言ったわけですが、そういうふうに、軍事費増強の国にはODAをやらない、それから紛争地域にはやらない、そしてODAのあり方を根本的に見直す。そして地域紛争の原因が何か、これは後、国連強化の問題と関連をして話し合いたいと私は思いますので、その点について外務大臣の見解を伺いたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 軍事大国化する国にODAを適用しないという考え方を先ほど委員から御指摘がございました。私どもは従来、発展途上国の民生の発展あるいはインフラ整備といったようなことで、日本がかつての被援助国としての経験からその国の国民の自助努力を中心に経済協力をやるという考え方で今日までやってまいったわけであります。しかし、そのような中には軍事大国化する傾向のある国家もございます。そのようなことで、今後日本政府としては軍事大国化に大変な力を入れているような国へのODAの協力というものは慎重に配慮をしなければならないと考えております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 それじゃ総理大臣の答弁からずうっと後退しているじゃないですか。もう少しぴしっとしなさいよ。  そこで、じゃ地域紛争の原因は何ですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 地域紛争の原因は何かというお尋ねでございますが、宗教上の戦いもありますし、国境線をめぐっての戦いもある、あるいはその国の国民が他国から殺害された場合に、隣国から殺害された場合に地域紛争を引き起こす機会もある、地域紛争の原因そのものはいろいろあると私は思います。しかし、地域紛争そのものに力を発揮するものは武器であります。近代兵器のないときは、やりとかいろいろなことでやっておったわけであります。  それが近代化されて、兵器を購入する、それによつて地域紛争が多くの殺傷力を持つ、殺傷の結果を生むという一つの歴史が我々に教えているわけでありますから、そういうことから考えていくと、地域紛争というものは一体何が背景で起こるのかということは、いろいろな背景に原因があります。例えば、シリアとイラクは同じバース党でございますけれども、これまた非常に仲が悪い。いろいろな問題があると私は思います。それを、そのときそのときその原因を究明しながら、日本の外交としての考え方を整理しなければならない、こう思っております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 地域紛争というのは、何といいますか類型的に整理しますと、今言われたことにも関連しますが、まず今は国境、領土、それから宗教、民族、そして経済格差、今度の湾岸戦争というのは、まさにこれが典型的に出てきたんですよ。そうしましたら、国境、領土、宗教、民族、経済格差、こういう地域紛争の原因をどう考え、どう対処していくかということがこれからの国連、つまり国連がせっかく米ソ協力でいこうとしましたが、一時だめになりました。本当にある意味で無能だというか無力だという感じが相当あると思います。しかし、国連を本当に強化をしていくためには、特にこれから地域紛争が問題になるわけですから、その地域紛争に対して国連をどう強化したらいいか、外務大臣の見解を伺いたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 私は、その地域地域においてもその民族民族の持っている特殊性があると思います。例えば、日本民族というのは全然資源がなくて、敗戦の焦土から四十五年間でこれだけの経済大国に国家をつくり上げるという民族性があったわけであります。そういうことから考えていくと、同じ東南アジアでも日本と同じような経済水準を保っている国家はないわけでありますから、そういうことを考えると、ヨーロッパにおいてもまたしかり、あるいはアフリカにおいてもいろいろと格差がございます。先生御存じのとおりであります。  あるいはラテンアメリカにおいてもそうでございますが、これからの国際社会は国連が中心となって、どうも天然資源が乏しい、そして貧困にあえいでいる国家がたくさんある。これはもう本当に神のいたずらといいますか自然条件的に生活水準が向上しない国家もあるわけでありますから、そういう国家に対しては、この民族性のすぐれて、激しい努力をやる国民の国家が、やはりその経済力に恵まれない国に配分をするという考え方、そういう考え方が.現在もこのブラックリストに載っている国々に対しては恵まれた国々が援助をするということをやっておりますけれども、これからもっとそういうことが拡大していくべきだ、そのように日本政府としては努力をしていかなければならないと私は考えております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 国連が無能だと言っている。PKOの問題もこれからの対処の仕方としては一つの問題ですよ。しかし、今言った国境だ、領土だ、宗教だ、民族問題だ、それから経済格差だ、こういういろいろな問題が、今地域紛争を予想されるのが世界に二十数ヵ所あります。そうしましたら、これに対して地域覇権主義を許さない、地域紛争を熱くしない、そのためにどうするかというのがこれからの国連の課題なんですよ。それで、中東安全保障のCSCEヨーロッパ版というのであなたもしゃべっているわけですから後で具体的に伺いますけれども、冷戦のヨーロッパと中東とアジアの違いというのをどう見ますか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 ヨーロッパは、委員も御案内のように、一九四五年の第二次世界大戦後一九六〇年ぐらいまでは東西対立が激しくなり一つの傾向を示したときでございましたが、一九七〇年ぐらいになってきてヨーロッパの指導者たちがヘルシンキに集まってヘルシンキ宣言をやって、そうしてヨーロッパを一つの大きな屋根の下にいる家族のような考え方で、みんなが対立を解除していこうという双方の努力があった。  そういう中で私は、ソ連のペレストロイカあるいは新思考外交というものがこれに大きな影響を与え、そしてこの分断されたヨーロッパは和平へ向かう、平和な方向にみんながかじ取りを始めて、そして昨年の十一月のパリ宣言、こういうことになり、CSCEというものは安全保障システムではないけれども、一つの話し合える場というものをヨーロッパにつくり上げた、私は、ヨーロッパの政治家たちの知恵であったろうと思います。  しかし一方、ヨーロッパに近接したアラブの地域は、御案内のように、長いあの地域の一つの歴史、これは宗教に根差したもので、イスラムの世界あるいはキリスト教の世界、ユダヤ教の世界といろいろございました。そして、シオンの丘に帰ろうというシオニズムに乗ってパレスチナの地にユダヤ人がどんどんと帰ってくる、あるいはまた外国ではユダヤ人が圧迫されるという中で、パレスチナ人と帰ってきたユダヤ人たちとの間に紛争が起こる。  一九四七年の国連のパレスチナを分割してイスラエルをつくるというこの決議が起こるまでに、歴史の流れとして、イギリスが植民地として持っておったインドとの間に通航路を持っておった。それが、一つはスエズ運河を通る航路であり、もう一つはこのいわゆる地中海からペルシャ湾へ抜ける一つの通路であった。いろいろな時代背景の中で、アラブはアラブ人独特の、アラブのものはアラブ人がすべて支配をしようという考え方があると思います。しかし、一方ではやはりこの先進国の油田をめぐる一つの戦略、こういうものが働いてきて、中東というものはなかなか安全保障機構というものがうまくできなかった。  アジアはアジアで、絶えず国会でも申し上げましたように、ヨーロッパと地政学的にもあるいは宗教学的にも、民族学的にも大変大きな違いがございますし、大陸と合わせて膨大な海洋があるわけでございます。そういうところにおける安全保障というものはおのずから本質的な違いがあるんだろうと私は考えております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 私が、地域紛争でヨーロッパとアジアと中東とどう違うかということをお尋ねをした、これは、中東安全保障とも絡む問題なんですが、ヨーロッパは、今いろいろお話になりました。東西の冷戦でしたけれども、熱い戦争がなかったんですよ。ベルリン封鎖はありました。しかし、熱い紛争がなかったんです。しかしアジアは、朝鮮戦争、ベトナム戦争、それからアフガニスタンあるいは中越、カンボジア、こういうふうに冷戦の中で熱い戦争があったんです。中東も、アラブ・イスラエルというので何遍も熱い戦争をやってきているわけです。  その上にもってきて、今度は、私がさっき言った北側つまり西欧側、欧米側ですよ、先進国がアラブと戦ったわけです、幸いにしてイスラエルは出なかったけれども。だから、そのことは、ヨーロッパとアジアと中東というものを考えた場合に、中東がなお一層複雑になってきた。そうなりますと、中東の和平という問題は容易なことではないということを、私はその三つを比較しながら──だから簡単にあなたがCSCEの中東版ということをヨーロッパとひっかけて言いますから、そんなものじゃありませんよ、もっと深刻に考えてほしいという意味で今の三つの地域を私は申し上げたわけです。  そうなりますと、これから中東の和平というものを考えていきます場合に、今のつまり熱い戦争がこのアラブとイスラエルのそれにもう一つ加わった。非常に、しかも深刻に加わったということの意味を考えるときに、中東和平が容易じゃありませんよ。しかも日本は、イラン・イラク戦争までは両方に口がきけるんだということを自慢をしてきたんです。  そこで、ちょっと手前みそになりますけれども、さっき言った第四次中東戦争のときに、私がアラブ連盟の招待で回った。そのときにはアラブは一つだったんですよ。そして、中東との関係がなかった当時の田中内閣は、三木さんが特使で回って、そのときにイスラエル寄りから中東寄りに、あるいは油寄りだとも言われましたけれども、変えたわけですね。今どうなのか。今日本の中東政策というのとアメリカの中東政策というのは同じですか、違うのですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 日本の中東政策というものは、先ほども申し上げましたように、古い歴史の中で日本は、植民地としての支配を行ったことは中東地域には一度もございません。日本が中東地域に関係を深めたのは、第二次世界大戦後の石炭から石油へ日本の工業のエネルギーが転換する過程から中東と日本との関係が急激に深まっていったと申し上げても過言でないと思います。そういう意味で、日本は中東のいろいろな国にそれぞれ協力をし、また原油を購入するという一つの組織をつくってきた、今先生もお話しのとおり、先生御自身が回ってきていただいた、歴史がございます。  アメリカは、中東地域に入っていったのは第二次世界大戦の始まる寸前だったと思います。そして中東で利権交渉、利権特使が行っております。そこで石油の利権についての交渉が成立している、そこからアメリカと中東の関係が出てきたわけです。  こういうことを考えていきますと、我々の歴史の中で、それぞれがいろいろな関係を持っておる。しかし日本はそのようなことではなしに、中東地域全域に均衡した形で関係を持ち得た一つの国ではなかったか、このように思っております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 アメリカの中東政策と日本の中東政策は同じですか、違うのですかと聞いているのです。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 アメリカの中東政策というものは油、アメリカも産油国でございますけれども、第一次世界大戦後に中東で初めてイランで油が発見されて、アングロ・イラニアンができたわけでありますから、そのような過程の中で世界のいわゆる燃料というものはシステムが変っていく。そういう中でアメリカがサウジアラビアに最初に手をつけていく、こういう接近を試みて交渉を結ぶということになってきて、そういうことで世界の経済と中東の原油価格というものが密接な関連性を持ってくる。  こういう中で、世界のGNPの中で日本、アメリカを比較してみると、日本よりもはるかに大きいGNP、アメリカは五兆ドルぐらいありますから。そういうことから考えていくと、中東原油のコストというものがアメリカの経済にも大きな影響を持っていることは、アメリカ自身が中東の政策の基本として認識していると私は考えております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 どうもはっきりしませんが、日本政府は、ポスト湾岸戦争の和平会議というのは国連を舞台に国連で議論をしていくという考え方ですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 ポスト湾岸の、いわゆる中東の新しい枠組みというものは、まず中東の国々がどのように考えるかということが基本でなければならない、それと中東に関係のある国々がそれにどういうふうに協力をしていくかということにあるのだろうと私は思っております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 それでは具体的に、パレスチナ問題について伺いたいと思います。  今度のこのパレスチナ問題というのは、アメリカがアラブから信頼されるかどうかということの非常に大きな境目だと私は思います。そうしますと、イスラエルを擁護してきておりますね。その関係は、今度の戦争中、イラクからのスカッドミサイルの攻撃に対して反撃しなかった、我慢をしたということは、イスラエルは今度の戦争に大変協力もしておると思います。しかし、そのこととこのパレスチナ問題ということの意味、つまりパレスチナ問題を解決しなければ中東問題は解決しない、そういう意味では直ちにアメリカの信頼が問われる。  そして特に、先ほど民衆の問題も言われましたけれども、アラブの中における民衆の不満、それは根底に貧富の差があるということもあるわけでございますから、そういうことが支配体制に対する批判にもなっておるわけです。私は、このアラブにおける王制の問題もこれから非常に複雑な過程をたどるだろうと思います。それはクウェートにしてもサウジにしてもそうだと思います。  つまり、日本がイラン・イラク戦争まで貫いてきた両方に物を言える唯一の国なんだということを、特に中曽根元首相などは大変口を開くと言われたわけですよ。そうしますと、日本も問われるわけですよ。今度は日本も、自衛隊機を出そう、九十億ドルの資金だ、こういうことで七ヵ月間大変揺れ動いてきて、外務省に言わせたら天下大乱だ、そういうつぶやきも出ておりますが、まさに外務省にとっては、去年からことしは天下大乱だったと思います。このパレスチナ問題についての日本の役割、つまりそういう両方に言えるんだと言ってきた。だから私はさっき、中東政策はアメリカと日本はどうなんですかと聞いたのですが、逃げ回ったわけですよ。そうしますと、日本はどういう役割を果たそうとするのか、伺いたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 日本政府のパレスチナ問題に対する基本的な考え方は、私は予算委員会等でも申し上げておりますけれども、まずパレスチナ人による民族自決権の確立、そしてパレスチナ人の手によって自分の国をつくるということを認めること。もう一つは、イスラエルの生存権をパレスチナ人が認めるということ。そして、この双方がそういうふうな認識のもとで話し合いを進める中で、日本としては経済協力もこれから行っていき、パレスチナの経済、民生の繁栄のためにも協力しなければならないという考え方を基本的に我我は持っております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 戦後復興については、これは大変な被害を受けておるわけですし、そしてそれは周辺国もそうですし、あるいは働きに行っておったアジアの国々の問題もあるわけです。そこで、日本政府の戦後復興についての協力策というのですか、対策はいかがですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 まず、占領下にあったクウェートの復興につきましては、クウェート自身が千億ドルも海外資産を持っているような豊かな国でございますから、経済的な資金協力というものは当面問題として上がってこないだろうと私は思っております。むしろいわゆる廃墟と化したと思われるクウェートの都市、そのようなものをどのように復興していくかということについて日本が協力することがあれば申し出ていただきたいということを既に申し込んでおりますけれども、サウジアラビアもまた金を持っておる国家でございます。  我々から考えますと、今回の被害国と思われるものは非常に豊かな国、しかし周辺のジョルダンあるいはトルコ、エジプト、シリアといったところは国民の生活水準が非常に低いし、国もこの戦乱によって貿易がとまる、あるいは出稼ぎ労働者の本国送金がとまった、避難民が帰ってくる、観光客が激減したといったような大きな影響を受けておりますから、それらの国々に対しては、日本はこれから二国間の協力も進めていかなければならないと思っておりますが、形として全体的にどのようなことに整えていくかということにつきましては、この停戦後に恐らく国連が中心となっていろいろと相談が起こるであろうこの国際的な協議、その場に日本もでき得ればぜひ参加をして協力すべきであると私は考えております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 この中東復興開発銀行、ベーカー・アメリカ国務長官が発言をしたり、また日本の国内でもいろいろな発言もあります。社会党の土井委員長も提案もいたしております。しかしなかなかこれは時間の問題あるいは効果の問題、いろいろあるんですね。そうしますと、やはり中東復興開発銀行というものをつくるとしたら、これは地域銀行としてはやはり最後のものになりますね。アジ銀などずっとできておりますし、イスラム銀行は余り役に立ちませんし、そうなりますと中東復興開発銀行というのは必要だろうと思います。しかし時間はかかるだろうと思います。  そうなると、今具体的に動いておるところでどうするか、こうなれば、私は、やはりIMFに湾岸平和基金、国連にというのはなかなか受け入れは難しいというのが今までわかったわけですから、IMFに平和基金というのをつくるということはどうか。日本政府としてはベーカーの提案に対してどう考えておるのか。これから資金協力を非常に迫られる日本だろうと思います、ドイツもそうですから。  日本とドイツという二つのかつて世界に惨害を与えた両国が、戦後経済復興をして、そして両方が出兵もしない、自衛隊も出さぬということで来たことは非常に非難されました。しかし私は、こういう経済大国がそういうことに参加をしなかったということの意味も大きいと思うのです。そしてこれからの歴史をつくっていく上において、私は大変日本とドイツは役割を担うと思うのです。ドイツ社民党が野党として戦費に反対をした。私たちも反対をしましたが、そのことは社会主義インターの中も割れました。しかし私は、戦後復興してきた、つまり平和というものを目指してきた、そういう国のあり方としては決して間違ってなかった、こういうふうに思っております。  そういう意味では、これは終わりの方へもう来ましたが、今のこの基金の問題についてベーカー提案をどう考えるのか、日本政府はどうしようとしておるのか。私が言ったIMFへの基金の設置をして直ちに役割が果たせないのか、九十億ドルはそこに入れたらいいじゃないか、そういう点、ひとついかがですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 私どもの最近の経験では、欧州復興開発銀行の設立が提唱されてから実際に活動が行われるのは、まだ活動自身が行われていない、最低一年半の月日が必要なわけであります。そのことから考えてまいりますと、中東復興開発銀行というものがつくられるとすれば、それは相当な時間がこれからかかる。そういうものがもしたとえつくられるという国際的な合意ができましても、それまでの経済協力というものをどうするか、それにはIMFとかあるいは世界銀行といったような国際金融機関と関係国がこれから協議をして、最も直ちに役立つ方向性のあるものをつくっていくということが必要なんじゃないか、私はそのように考えております。  いずれにいたしましても停戦が合意され、いろいろな協議が始まらないと、日本一国だけでどうするこうするということを打ち出すこともどうか、やはり西ドイツあるいはアメリカ、資金の提供力のある国と協議をしなければならないと考えております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 これは後で欧州銀行のときもまたいろいろ議論したい、こういうふうに思います。  国連の平和維持活動の問題はこれから大きな課題になりますね。私はカイロからのいろいろな情報などを聞いて、見ておっても、やはり自衛隊機の派遣、九十億ドル、そういうことがアラブの民衆にとってどういう日本の印象を与えているかということを、私は深刻にというか冷静に考えなきゃいけない、こういうふうに思います。  そこで、ちょっと時間がないので少しはしょってやりますが、私は、自衛隊抜きの文民による平和維持活動、これはもう大胆に進めるべきだ、平和協力法案のときに私は総理にも提案をしました。それなら私は賛成するということでやったわけですね。残念ながらそれはいきませんでした。去年の九月の国連事務総長からの「文民による平和維持活動について」という提言があるわけでございますし、例えば医療等についても従来は軍人だった、しかし、むしろ文民の方がいいということも触れてきておるわけです。  それでクウェートの復興なりイラクの復興なりというものを考えると、そこで提案をしてきております問題はいっぱい日本が直ちに取り組める、こういうふうに思います。ですから、そういう文民による平和維持活動というものに積極的に取り組むべきだし、また、法律によらなくても出せるようなものは、これは国連事務総長からの要請ということになりますが、積極的に国連事務総長とも連携をとって、日本は積極的に応ずるということ、例えば海水の淡水化の問題なども日本がやってきましたし、あるいはあの深刻な原油の流出の問題等もございますし、日本として積極的にそれらに取り組むべきだと思いますが、いかがですか。これが一つ。  それからもう一つは、サウジに出しておった先遣医療隊はどうなっているんですか、これは役立っているのですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 第一の委員の御質問、国連事務総長から要請があれば協力をするべきだという御趣旨の御発言がございました。私も政府としては全く異議はございません。問題は例えばクウェートで今コレラが発生する危機が、情報が流れております。そういうふうな中で国際緊急援助隊というものがこの地の住民のために活動ができないかどうかということを今政府部内で真剣に検討している過程にございます。そのことを申し上げておきたいと思います。  第二に、サウジアラビアに出しました医療先遣隊は一体どうなったのか、役立たなかったのじゃないか、こういうお話でございます。私は、率直に申し上げて役立たなかったと申し上げます。なぜか。それは理由がございます。その理由は、日本政府の意思によってどうこうできるものではなかったということであります。つまり、サウジアラビアは政府の保健省として、戦争が起こらない時点まではあくまでも診療所としての機能、活動をすることのみを認めるというのがサウジアラビアの保健省の条件でございまして、そのためには医師は三ヵ月間、整形外科、脳外科の外科医も含むというような現在の日本の医療体系の中でなかなかそれに順応できるような体制が日本には整っておらないということが一つあると思います。  もう一つは、全国の大学病院あるいは公私立の病院において、この戦争が始まったら弾丸、爆弾が飛んでくるようなところにひとつ政府が協力するからと言っても、病院の院長も大学の教授も、自分の弟子におまえ行ってこいということはなかなか言えないというのが、外務省で二回、二十数人の代表者を集めての会議の結論でございました。そこで私の判断で、あれは三十三億円の予算を計上しておりましたが、一億円使ったところでこの計画を中止したわけであります。つまり、国民の税金をむだにだらだらと使うべきではないと。  それから一時問題になりました救急車の問題、これは送りましたが、大変急いで送ったために、あれは注文生産でございますから、あり合わせのやつだけをとにかく送ろうということで好意的に送ったわけでありますけれども、これは右ハンドルだった。ところが、左ハンドルのところでは右ハンドルはなかなかきかない、こういうことでしたが、最近この自動車が活用できるようになりました。その具体的なことは局長から御答弁をさせていただきたいと思います。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○渡辺(允)政府委員 いわゆる十二台の救急車の問題でございますが、私どもこれを本来の目的のために活用すべく、いろいろ調整を進めてまいりました結果、これをサウジにございます多国籍軍のうちの一部の軍隊が使用するということになりまして、現在それは活用されておる状態でございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 いずれにしましても、現地でよく情勢を把握できないという体制があるのですよね。だから、例えばアンマンに行った乾パンも何年か前の古いもので、こんなものが食えるかと言われたりもしておる。これは行ったボランティアの諸君も書いてもおりますし、今の医療隊もそうです。それから、救急車もそうです。そういう意味では、本当に現地と密着をしていないし、現地の情勢を十分把握していないということを暴露したのですから、これからはひとつ改めてください。  最後に、米ソ関係です。これは、せっかくの新しい協力の時代に入ったのですが、今度の問題を通じ、さらにソビエトの中における経済の改革がうまいぐあいにいかなくて、ゴルバチョフ体制というのは非常に苦しい状況にもございます。しかし、私はやはりこれからの、あるいはアジアをこれから考えましても、日ソというのは非常に大事ですし、世界の情勢も米ソというのは新しい国連を強化していきますためにも大変大事だ、こういうふうに思います。そういう意味では、米ソのきしみがありますけれども、米ソをどういうふうにごらんになるかというのが一つ。  それから、ゴルバチョフ大統領が四月十六日でしたか、あなたがこの間行ってゴルバチョフ大統領と会ったときに、日本を訪ねる、こう言ったのですが、そのことがきちっとなるのかどうか。  それからもう一つは、ブッシュ大統領がきのう海部首相と電話で話をしたときに、早急に訪日したい、こういう意向を示されたそうですが、ブッシュ大統領の訪日はどうなのか。日本で米ソ首脳会談をやってくれればそれもいいだろうと思いますが、それは別としまして、大変大事な今の時期ですし、そういう中での日本の役割もございますし、今の点、二点お伺いします。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 お答えを申し上げる前に、ひとつ外務省の職員にかわって御理解をいただきたいと思います。先生は国際問題の権威者でいらっしゃいまして、この難しい時代に外務省が直面をいたしまして、幹部以下一般職員に至るまで夜を徹してこの七ヵ月間頑張ってきておりますので、その点は十分御理解をしてやっていただきたいということを外務大臣としてお願いを申し上げておきたいと思います。  米ソの関係につきましては、私は米ソ間の関係は十分連絡はとり合っているという自信を持っております。先日モスクワに参りましたときも、ゴルバチョフ大統領が私に、ソ連の外務大臣はアメリカの国務長官と密接に連絡をとっている。昨日でございましたか、ベーカー長官が今度はソ連を訪問するという話も出ておりますし、私は、米ソが話し合ってこの新しい歴史の扉を開いていくべきだという考え方を常に持っておる一人でございます。  ゴルバチョフ大統領の来日につきましては、四月十六日から十九日までという日程を大統領自身が私にカレンダーで示された。そういう中で、今月の三十日、三十一日ごろをめどに東京において日ソ外相会談を開催いたしたいと考えております。  また、ブッシュ大統領の訪日については、一月十四日にブッシュ大統領とお目にかかったときに、自分はぜひ日本に行くことを楽しみにしているというお話がございましたが、海部総理の電話会談も踏まえて、ブッシュ大統領の来日も近く行われるものと期待をいたしております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 終わります。

牧野隆守自由民主党

○牧野委員長 次に、上原康助君。

上原康助日本社会党・護憲共同

○上原委員 時間が大変限られておりますから、少し外務大臣にすかっとした答弁をお願いしたいのですが、歯切れが悪いですね。今の川崎先生のお尋ねとも若干重複する面もありますが、まず、湾岸戦争がようやくというか、昨日停戦、終結の方向にあることは大変喜ばしいことだと思うのです。その意味では、外務省を初め政府あるいは関係諸国のこれまでの労苦を私はそれなりに評価することにやぶさかではありません。  しかし、今度のこの戦争の結果、いろいろとまだ日本国民なり世界の人々に明らかにされていない面が相当出てくると思うのですね。ああいう軍事行動、戦争に本当に突入しなければいかなかったのかどうか、イラクのクウェート侵攻は許さるべき行為でありませんし、また、フセイン大統領の指導者としてのあり方も非常に問題であることは、これも否定できない現実だと思うのです。多数の国民を犠牲にしたこと、世界経済に著しい影響を与えていること、特に環境破壊に至っては言語道断と言わざるを得ない。  そこで、お尋ねしたい第一点は、この戦争終結後の中東、湾岸の平和の確立と経済の立て直しあるいは被災民、避難民等の援護といいますか、生活をどう立て直すかというのが当面する最も緊急な課題だと思うのですね。既に、アメリカももちろん、今お答えありましたように国連が協議をして関係諸国の意向なども聞いて、被災国の意向も聞いてやるということは当然のルールであり、手順ではあるでしょうが、イギリスにしてもフランスにしても、アメリカ、ドイツ、ソビエト、こういう各国は外交行動を起こしているわけですね、起こしている。  日本は、もちろん出先の大使館なりいろいろなものを通じてやってはいると思うのですが、国民から見ると、やはり鈍いのじゃないか、もっと迅速な外交交渉などを展開していいのじゃないか、よしあしは別として九十億ドルも出そうとしている、四十億ドルも出した、汗は流さなかったからといって日本が物を言えないはずはないと私は思う。そういう面が非常に歯がゆくてしょうがないのですが、これからこういったポスト中東のいろいろな政治、経済、外交課題について、日本外交は、日本政府はどうしていこうとするのか、基本的考え方というか、具体的なお考えをまず明らかにしていただきたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 日本政府は、既に小和田外務審議官をイスラエルに派遣をいたし、今日はアメリカに既に到着をいたしております。また、渡辺外務審議官を湾岸諸国を訪問させまして、政府首脳と協議をさせて、ポスト湾岸の経済復興のためにどのようなことを相手国政府が要望しているかということも既に情報も十分得ております。そのような立場で、さらに佐藤情報調査局長をアメリカへ派遣をいたしておりまして、私どもといたしましてはできるだけ各国との連携を強化するとともに、私自身も、国会のお許しがあれば適当な機会にアメリカ等とも協議を行わなければならないと考えております。

上原康助日本社会党・護憲共同

○上原委員 もちろん、それはそれぞれのつかさつかさでアクションを起こすのは当然と思うのですが、どうも消極的な感を受ける、これは私一人だけの印象じゃないと思うのですね。その点は、もうアメリカの御機嫌を伺ったりあちこちの国の出方を見るのでなくして、日本が主体的にどうするかということをぜひきちっとやっていただきたい、その注文を強くつけておきたいと思うのです。  そこで、今後いろいろ議論になっていくと思いますし、また、日本の国際貢献のあり方というものは、昨年の国連平和協力法案の審議以降、それ以前からもそうですが、依然として未解決のままです。今度もまた恐らくいろいろな難題にぶつかる可能性が強いと思うのですね。いろいろ報道されておりますけれども、外務省がまた所管になると思うのですが、新しい国際平和協力法案なるものを検討しておるやに聞いております。これは、いうところのPKOとの関係もあろうかと思うのですが、政府はいつでも提出できるような準備をしておる。実際にどういう検討をしておるのか。このポスト湾岸戦争に間に合うような法的整備、制度、法律、人的確保というもの、これをクリアしない限り堂々めぐり、議論だけに終わるのですね。大変残念なんです。  これは本来、やれ社会党が反対するからとかどうのこうのというよりも、政権を握っている、実際に政治、行政を担当している政府がきちっとしたものを提示をして、それに対案を求めるというなら話はわかる。だけれども、それはないわけでしょう、今まで。一体現在は、去年の十二月以降今日までどういう検討をして何をポスト湾岸に当たってやろうとしているのか、ぜひ明らかにしておいていただきたい。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 現在まで内閣官房が中心となりましていろいろと勉強はさせていただいておりますけれども、問題は、昨年の国会の際に自民、社会、公明の三党で……(上原委員「社会は入ってない」と呼ぶ)そうそう、自民、民社、公明三党の合意の覚書ができておりまして、この三党間の御協議というものが極めて大切であろうと思います。  私は、やはりPKOにいたしましても、国連平和維持軍を出すのかあるいは国連の停戦監視団にするのか、あるいはまた、日本からは選挙監視団が今まで出ておりますけれども、どういったようなところまで日本が協力するかということを三党間で十分御協議をいただいた上で、政府も御指示を仰ぎながら法案の作成を進めるものだと考えておりまして、まだ今日成案ができ上がったと言っていいような段階ではございません。現在検討中でございます。

上原康助日本社会党・護憲共同

○上原委員 恐らく私の推測では、内閣官房というか、これは安全保障室ですかね、どこかわからぬが、外務省も含めて具体的な検討をされていないと思うのだよ。しかし、新聞にはちらほらもういつでも出せる段階にあるとか。  それで、私は国連平和協力法案の審議にはいろいろタッチをしてきましたので、自公民のいきさつ等もよくわかる。それについてとやかく言うつもりはありません。ただ、ここで申し上げたいことは、いつまでも法的な問題とか制度の裏づけとか法的根拠がない限り、人的派遣にしても物にしても、金は今度のことでなるかもしれませんが、それができない、その根本的原因ほどこにあるかということを政府自体がよく自己検証した上でこの法案というものを出していかないと、私は絶対に実は結ばないと思うのですね。その基本が押さえられていないところに根本的原因があるのではないですか。  昨年の国連平和協力法案というのはPKOと国連軍みんなチャンポンにした、だから私が委員会でも、失礼な言い方なんだが自民党と共産党まで一緒にしたような法案ではないかと言ったら、そのとおりではないかとだれか言った。こんなことでできるはずはないのですよ。ですから、ポスト戦争になってもまた同じ議論を繰り返す結果になりはしないかという懸念を持ちますので、我々はあくまでも非軍事という基本を立てれば十分対応し得る面はあると思うので、そういう面では社会党としてもそれなりの対案なり政策というものを提示することはやぶさかではない、率直に申し上げて。だから、政府の考え方なりをぜひ早く明らかにしていただきたいと思いますね。  それともう一点、今大臣は大変大事なことをおっしゃいましたが、大事なことというよりも、これは聞く人によっては非常にがっかりなさると思いますよ。私も聞こうと思ったのですが、医療団の先遣隊の件です。率直に言って、サウジに行ったのが役に立たなかった、これは行った人には大変失礼なことになりますよ。だから、我々が指摘したいのは、政府は何かといえば自衛隊をどう派遣するか、そのことだけまず頭にある。自衛隊の輸送機をどうすれば行かすことができるのか、自衛隊をどうすれば憲法や現在の自衛隊法のそういう制度や法律で国連に派遣することができるのか、そこだけが頭にあるから全体的なことが絶対に実を結ばないという結果になっている。  この医療団派遣の問題にしても、行った方々のいろいろな言っているのを見ますと、お医者さんだけ一人二人行ったって無理だというのですね。やはり、大事なのはまさにお医者さんでしょう。そうであれば、総合的な医療救援チームをつくって、それを法的にも人的にも確保した裏づけによって派遣しない限りこういうのはだめだと思うのですね。その体制が全く整備されていないじゃないですか。そこに根本的な原因があったのじゃないですか。どうなんですか、この件については。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 おっしゃるとおりであると私は申し上げておきます。それは、日本の現在の法体系の中で政府の命令によって海外に医療チームとして出せるのは、国際緊急援助隊、これが法律で裏づけられております。ただし、この場合には天然災害に目的が絞られておりまして、いわゆる戦争の危険性のあるところにこの国際緊急援助隊を出すことには法律的に一つの枠がかかっておりますので、その点は御理解をいただきたいと思います。

上原康助日本社会党・護憲共同

○上原委員 ですから、今それをお尋ねしようと思った。法律的な枠があるわけでしょう、制約があるわけだからね。しかし、その法律的な制約があるにしても、文民なりあるいは非軍事という面での法的整備を与野党がもっと真剣になって議論をする、国民の合意形成を求めるという政府なり関係者の積極的な努力があれば不可能でないと私は思うのですよ。法的裏づけもない、人的確保も難しいという段階でやろうとするから無理が出てきているのじゃないですか。だから、安易な道で自衛隊を自衛隊をと。ですから、総合的な医療チーム、援助チームというものをこういった場合にどう日本はやっていくのかということはこれから真剣に、これはまず政府で考えてくださいよ。  そこで、さっきもお答えありましたが、これをもう少しはっきりしたことを明らかにしていただきたいわけですけれども、当初は、去年の国連平和協力法案を出そうか出すまいかという時点では、政府は国際緊急援助隊法の一部改正ということを、外務省、たしか頭にあったはずなんだ。また総理大臣も、青年海外協力隊、あれを頭に描いたのです、海部さんは。だが、プッシュホンでいつの間にか抑えつけられて、はいはいと言ってしまって穴ごもりしてしまった、去年は。  そこで、この国際緊急援助隊法というようなものが六十二年にせっかくある、これもいろいろ外務委員会で問題になった、問題というよりはいろいろ議論をされてこういう法律ができた。一体この運用なり実態はどうなっているのですか。簡単に説明してみてください。──もういい。できないでしょう。法律はつくっても、皆さん恐らく魂は入れてないよ。  そこで、大臣、大変重要なことを先ほど川崎先生にお答えになっていますが、国際緊急援助隊を出せないか目下真剣に検討中である、具体的にどんなことをお考えになっているのですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 ちょっと誤解があったらいけませんのでここで断らせていただきますが、先ほどの先遣隊の方々が役に立たなかったというようなことを私が申し上げておった、それは取り消させていただきたいと思います。  それで、大変御苦労をかけて、なかなか医者をリクルートするということがチームとしてはできなかったという現実問題で、この計画をやたら延ばすことは国民の方々に申しわけないということで、私が決断をしてこれを中止したわけであります。  今の国際緊急援助隊の問題は、例えばマニラの地震の際には大変活躍をしていただいております。本多先生という方がこの責任者の一人でいらっしゃる、私もお目にかかっております。今回クウェートのイラク軍が撤退後に、水道とかそういった公共施設が破壊をされて、ただいま伝染病が発生する危険性が高まっているというような情報が入っておるものでございますから、直接戦争に参加することではない、しかし戦争が終わって軍隊が撤退した後で二次的あるいは三次的に起こってくる伝染病対策等についてこのような組織が活用できないものかということについて、省内で検討をしているということでございます。

上原康助日本社会党・護憲共同

○上原委員 これは非常に大事な点で、国民向けにポーズじゃいかないと思います。これは重要な問題ですよ。  この法案を活用することによって、要するに民生の安定というか、そういった戦後の中東湾岸諸国の国民というか住民の生活関連におけるいろいろな戦後処理については、やろうと思えば、これを本当に政府が積極的に活用することによって私はできると思うのですね、今大臣がおっしゃるように。だから、なぜ、今でもやろうと思えばできる仕組みもあり法的裏づけもあるのに、それを十分に生かさないかというところに、まず日本は汗をかかないと言われる誤解が生まれているのじゃないでしょうか。ぜひこれは真剣に考えていただきたい。強く要望しておきます。  場合によっては、これで不十分ならば、自衛隊を派遣するためには法律改正しなければいかないものを、政令で特例政令設けてまでやろうとするのに、何でこういうのはやらないのですか。だから、そこに議論を不毛にしているというか、あるいは与野党の政策の合意点をむしろ溝をつくっている大きな原因があるのじゃないですか。その点も指摘をしておきたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 国際緊急援助隊を構成している隊員の方々は、警察、消防の方以外は民間の医療関係者でございまして、この方々も、短期間援助に行くということであれば条件的には難しくないと思いますが、問題は、地雷が相当まだ埋設されているということで、地域が非常に危険が高いという状況でございますが、外務省といたしましては、軍事的に問題がないというふうな事態になれば、国際緊急援助隊というものが三次災害あるいは二次災害に対応できるような行動ができないかということを真剣に現在研究している最中でございます。

上原康助日本社会党・護憲共同

○上原委員 地雷の撤去あるいはまた掃海艇を派遣してくれぬかと頼まれるかもしらぬけれども、それはまた別の時点の問題、そのような危険があればじゃどうするかということは、新しい国連平和協力法とかそういうのをつくるときにやればいいんじゃないですか。それは、またいずれ議論したいと思います。だから、当面する緊急事態に、日常生活の一般的状況の水準に回復するための日本側の貢献策としてはこういう面でもやれる面があるということを私は指摘をしておきたいし、それに対しては、国民がとやかく言う立場にはないと思うのです、政党にしても。やれる面からどんどん手をつけていったらどうですか。  そこで次に、時間ありませんから、これも後ほどの議論として聞いておきたいわけですが、今度の湾岸戦争に当たって一体在日米軍基地がどう活用されたかということ、これは極めて重要な問題を含んでおりますので、具体的に伺います。例えば、在日米軍基地から湾岸戦争に出動していった米陸軍、海軍、空軍、海兵隊、どういうふうになっているのか。沖縄基地からどのくらい行ったのか、まずその中身を明らかにしてください。

松浦晃一郎外務省北米局長

○松浦(晃)政府委員 先生に申し上げるまでもございませんけれども、日本の施設、区域からの艦船や部隊の一つ一つの動きは、これは米軍の運用でございまして、詳細につきまして米側より逐次連絡を受ける、こういう体制にはなっていないわけでございます。  しかしながら、私どもの日常の米側との外交上のやりとりを通じまして、今先生が御指摘ございましたけれども、一般的な形で、在日米軍の中で空軍の一部それから沖縄の海兵隊の一部それから横須賀に乗組員家族を居住させております空母ミッドウェー以下六隻等が運用上の都合によりまして湾岸地域に移動したということは承知しております。しかしながら、繰り返しでございますけれども、詳細に関しては米側から連絡を受ける体制になっておりませんので、私ども承知しておりません。

上原康助日本社会党・護憲共同

○上原委員 あなた、いつまでそんな十九世紀みたいな答弁してごまかすんだよ。だから、おかしいんだ、あなた。冗談じゃないですよ、これ。国民周知のとおりじゃないですか。  それで、確めておきたいんだが、アマコスト駐日米大使は沖縄に一月二十三日に行って、同盟国である日本に礼儀として、米国政府は、在日米軍が湾岸に展開していることを日本政府に通達したとはっきり言っているのですよ。通達あったの、なかったの。沖縄や在日米軍基地からどのくらい行っているの。失礼なんだが、そういうようなごまかし答弁、よしてくださいよ。

松浦晃一郎外務省北米局長

○松浦(晃)政府委員 先ほど申し上げたことの繰り返しになって申しわけございませんけれども、日常の米側との外交上のやりとりを通じまして、先ほど私がちょっと申し上げましたようなことは承知しておりますけれども、今先生がお触れになりましたような具体的な形で、かつ、正確な形で米側から日本側に通報してくる体制には今の安保体制上なっていないわけでございまして、今回についても、先ほど申し上げたことでございますけれども、詳細については存じません。

上原康助日本社会党・護憲共同

○上原委員 これは納得できませんね。事前協議の問題を含めて、はるか一万二千キロも離れた何が極東ですか。冗談じゃないですよ。今の点はいずれ時間をかけてお尋ねしたいと思う。  もう一点は、在日米軍基地、特に沖縄基地の整理縮小問題です。今度の湾岸戦争で幾分国際情勢に緊張が出たのは大変遺憾に思うし、だが戦争終結ですから、昨年のアメリカの新しいアジア戦略構想について、昨年六月十九日に日米合同委で在沖米軍基地の十七施設約一千ヘクタールの整理縮小方針が出ております。これは既定方針どおり進めなければいけない課題だと思うし、また恐らく変更はないと思うのですが、こういう件については外務省はどのように進めていかれようとするのか。これはもう時間がありませんから、大臣の方からすかっとする答弁でもやってみたらどうですか。     〔委員長退席、新井委員長代理着席〕

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 沖縄県におきます米軍施設、区域の密度が極めて高く、その整理統合につきましては強い御要望があることはかねて私も承っております。  施設、区域の整理統合問題を、米側と現在も協議を続けておりますが、平成二年六月返還に向け、日米双方が所要の調整手続を行っていくことが決まりました二十三の事案につきましては、現在までに既に三事案につき返還のための日米合同委員会の手続が終了いたしております。今後とも地元の御理解と御協力を得て、できるだけ早く返還ができるように作業を進めてまいりたいと考えております。

上原康助日本社会党・護憲共同

○上原委員 終わります。

新井将敬自由民主党

○新井委員長代理 玉城栄一君。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 私も湾岸問題で若干お伺いいたしたいと思います。  一時的な停戦、昨日のブッシュ大統領、それから国連の十二本の決議をイラク側は全面的に受け入れる意思表示をしているやに伺っておるわけでありますが、このことは非常に歓迎すべきことであり喜ばしいことだと思うわけであります。そういう中で、非常に憂慮されておりました化学兵器の使用までは至らなかったことはせめてもの救いだと思うわけであります。いずれにしても、今後あの地域の本格的な停戦、和平の実現、これはやはり国連を中心にして行われていくと思うわけであります。  そこでお伺いしたいのは、冷戦後の国際的な新しい秩序の構築といいますか、どういうふうにつくり上げていくかという非常に大きな問題がこれから国連等でも話し合いもされると思うわけでありますが、その点について外務大臣のお考えをお伺いいたします。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 中東和平後の新しい中東づくりというものは、恐らく私は国連が中心となってその一つの構想を打ち出してくるものだと考えております。もちろん、この域内の国々のイニシアチブが原則でございます。これがなければいかなる構想もその効果を発揮しない。域内の国々の協力と、また関係のある国々が一緒になってこの地域の、いわゆる新しい中東をつくる構想をつくり上げていくことが必要であろう、私はそのように認識をいたしております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 今回の問題で、アメリカはサウジアラビアのいわゆる用心棒ではないか、あるいはシリアはその番兵といいますか、そういうものではないかという批判もあります。一概にそうとばかりは言えないと思うのですが、いずれにしても、アラブ諸国の方々は、戦後の復興の問題にしても戦後処理の問題にしても、アメリカ主導でされることについては非常に反発が出てくると思うわけです。ですから、どうしてもやはり国連を中心にしてそういうものはしていくべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 お説のとおりであると考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこで、私この機会にお伺いをしておきたいわけでありますが、よく新聞等で出ていますことは、「「何もできない日本」」、今度の湾岸戦争問題について「外務省首脳 湾岸対応で失望感」とか出ているわけです。私も予算委員会の会議録をいろいろ見ますと、解釈の仕方によって極めて物騒な問題、いわゆる外務省首脳の方の発言としてされているわけです。そういう点から考えましたときに、これは外務省の方に限ったことではないと思うのですが、現在の日本の持つ憲法のいわゆる平和観といいますか平和主義というものに対する認識が、これでは外務省の首脳とありますから、もうぐらぐらしているのではないか。そこで日本がこういう国際貢献をするにしても憲法の制約があるからできない、失望感、こういうことでは非常にまずいわけです。ある意味では私は情けない思いもするわけであります。  それで、外務省首脳という方ですが、これは二月四日の予算委員会ですが、答弁でこういうふうに発言していらっしゃるのです。「御承知のとおり、日本国の憲法にはいろいろな制約がございます。しかし、私は、一番重要なことは、アメリカがあそこで血を流している、そのほかの国が血を流している、その痛みを日本は共有するという考え方、これを世界に示すことが一番重要だと思います。」という御答弁があるわけですが、これは解釈の仕方によっては大変誤解を招く。アメリカが血を流している、あるいは他の国も一緒に流している、その痛みの共有を日本もすべきではないかという解釈も成り立つということですが、この真意についてお伺いをいたしたいのです。

丹波實外務省国際連合局長

○丹波政府委員 これは具体的には私の答弁で、玉城先生が御承知のとおりです。私の発言の冒頭に、日本国には憲法があって、その憲法には制約がありますということをはっきり申し上げております。それから、言っております意味は文脈ではっきりおわかりいただけると思いますけれども、比喩的、精神的、哲学的な考え方を申し述べておるわけでありまして、日本人が物理的に血を流せと言っているわけでは毛頭ないということは、文脈で先生明らかに御理解いただけると私は思っております。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 この新聞の問題、先生御指摘になりましたが、それは産経新聞に裁った記事だろうと思います。それは実は記事が間違っておりまして、私自身がみずからの発言をそのように曲げて書かれたものでございますから、昨日産経新聞の政治部にクレームをつけております。  それはどういうことを申しておったかといいますと、日本の戦後の外交の中で、今回の湾岸の危機というものはかつて体験をしなかったような非常に大きな一つの経験であった、苦い経験であった、しかしこの経験は、これから先地域紛争がまた起こってくる可能性のある国際社会においてこの経験を一度総括をして、どういうことが日本の憲法の中でできたか、あるいはどういう問題がうまくいってよかったとか、いろいろなことを全部一回総括をする必要があるという考えを外務大臣としては持っている、そのような経験を十分役所の中で議論をして、そして日本の外交がさらに立派に活動できるように、信頼される国家として各国から尊敬を受けるようにやるために、概算要求をするまでにぜひひとつ考え方を整理しなければなるまい、大臣としてはそう考えておるということを申したのが、いろいろとそういうふうな報道になって流れたわけでございまして、これは私の申しておったことと全然かけ離れた言葉の使い方になって記事になっているということを、御理解いただきたいと思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 大臣の考えとは違うということでありますが、これまで湾岸戦争について外務省、いわゆる日本政府ですね、何もできないとよく言われることなんです。金さえ出せばいいのじゃないかというようなそこに、やはりさっきの丹波局長さんのお話、哲学というそういうような部分、それがはっきりしないから、そういうことになるのだろうと思います。  先ほどおっしゃいました文脈ですね、文脈をよく見ますと、まさに非常にこれは危険なことをおっしゃっているな、しかも、その答弁について大臣は、ちゃんとこういう憲法上の、あるということも──丹波局長さんの発言は非常に勇ましいですね。だから、その考え方、解釈がきちっとしていないところにやはり問題があると私は思うのですね。やはりこういうあれは訂正されたらどうですか。

丹波實外務省国際連合局長

○丹波政府委員 玉城先生に御面識をいただいて御指導をいただき始めてからもう二十年たっておりますけれども、私が大変尊敬申し上げておる先生がそういうことを御指摘になられたということは、大変念頭に置いて今後対処してまいりたい、こういうふうに思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 これは、私はなぜこういうことにこだわるかといいますと、血を流す、戦争ですね。沖縄の場合は、地上戦は悲惨な体験をして、そういう高官と言われる、首脳という方々がいざそういうときに後ろの方に行って旗を振る、こういう体験を持っているために、やはりこういうところの発言というものは慎重にやっていただきたいと私はお願いをしておくのですね。     〔新井委員長代理退席、委員長着席〕  それで、今後あの地域の戦後の復興という問題ですね。これは我が国としても相当協力もしていかなければなりませんが、しかし、先ほどもちょっと申し上げましたように、日本に対する印象というものは、余りいい印象がないわけですから、戦争が終わった、さて復興だ、そういう形で出ていきますと、やはり日本は本当にお金を中心にした国だ、そういう悪いイメージを与えると思うのですね。ですから大臣、その辺のところについて今後非常にそこら辺を気をつけて、やはり復興にも協力していくということは大事な点だと思うのですね。大臣の御所見をお伺いしておきます。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 私も、今御指摘の点が最も重要な点だと思います。  戦争の最中には日本としては何も手を出さない、そして戦争が終わったらすぐに経済活動に手を出すという印象を与えないような協力をしなければならない。それには、あくまでもクウェートの方々から、こういうことをひとつぜひ日本に協力してもらいたいといったような相手国からの要請を十分踏まえて、日本としては、日本ができることできないこと、そういうものを選別して、後に批判を受けないような形で日本の善意を尽くしていかなければならない、このように考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 クウェートの復興事業につきましても、やはりこれは参戦国、アメリカとかイギリスとかフランスとかが優先にされ、そのような割り当てもされているようですね。アメリカが六〇から七〇%、イギリスが二二%、フランス、イタリー、ノルウェーとかですね、結局、日本の場合はいわゆるクウェートへの協力というものはその三カ月後ということになっていくわけですね。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 三カ月後とか、そういったようなことではございませんで、例えば海洋汚染あるいは大気汚染あるいは地域の衛生設備、そういったような問題から含めて、クウェート政府がこの問題でぜひ日本の技術の協力を求めたい、こういうような要請があれば、政府としては環境に関しては相当経験を持っておりますから、現在も外務省が内閣と相談をしながら、どんなことが要請されても、どういう人たちがいるかということの調査、準備というものを既に始めております。  そういうことでございますから、私どもの国家としてどのようなことができるか。また国家以外に民間は民間で経済活動で動くでございましょうけれども、当面、戦争が終わった後の復興とかといったような問題について、一般の環境整備等は恐らくまずクウェート政府から日本政府にいろいろと御依頼があろうかと考えております。  昨日、クウェート大使をお招きしてお話を聞いたときにも、私はそのことを率直に申し上げて、クウェート政府の要請があれば、日本政府としては十分御協力を申し上げる用意があるということを言っておるわけでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこで、きのうの一時的な停戦ですね、イギリスの外務大臣、フランス、ドイツもですか、既にアメリカと協議のために行っているわけですね。日本の外務大臣というのは、そんなにゆっくりしていいのかどうか。先ほどの御質疑もありましたけれども、やはり日本というのは一歩でも二歩でも三歩でもおくれる、おくれることが外交なのか、あるいはこういう大事なときに率先して行かれて、人を派遣すればいいという問題でなくて、やはり責任者が出られてきちっと話し合いをされるという姿勢がちょっと薄いために、何もしていないという印象を与えていると私は思うのです。  外務大臣は何か新聞では三月末とか、三月末というと今月末ですか、そんなふうに──その間物すごく、湾岸の今後のいわゆる戦後処理復興の問題、枠組みの問題等回転してしまってからのこのこ出ていってもどうかなと。それはいわゆる例の追加支援の九十億ドルですね、これが衆議院は通りましたが、参議院はまだと、それができていないために行けないのか。私はそういうことではないと思うのですが、いかがですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 外務大臣としての一つの大きな問題は、日本の湾岸平和のための基金、九十億ドルの御承認がまだ国会で得られていないということが一番大きな問題であります。既にドイツは五十五億ドルを拠出しておりまして、日本はまだドイツに比べてはるかに低い、前の二十億ドルの段階での支出でございますので、それが外務大臣としては、国会で御承認が得られないと、なかなか相手の外務大臣たちといろいろ話をするということについては、日本政府としては少し準備が不足である。一日も早く御審議の上でこれを採決していただければ、成立の上は、私は適当な機会に国会で御承認をいただきますれば出かけたいと考えております。  昨日も実はベーカー国務長官と電話で連絡をいたしました。このベーカー長官が、湾岸を回って帰ってからぜひ会いたい、こういうお話でございましたので、外交チャネルを通じて日程の調整をするということで、現在作業を進めております。  なお、先生大変御心配いただいておるのは私もよくわかるのです。ドイツのゲンシャー外相が今度ワシントンを訪問することになりました。実はゲンシャー外相は昨年の九月の国連総会以降、アメリカ政府との直接話し合いのためにワシントンには行っておりません。私は一月十四日に、一日でございましたけれどもワシントンで大統領以下首脳といろいろ協議をいたしておりまして、そういう意味では私はドイツと比べて日本はそういう面で劣ってはおらないという一つの自信を持っております。なお、緊密に電話で連絡はやっておることを御理解をいただきたいと思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 だからいろいろたくさん努力をしていらっしゃることはよく存じ上げておりますけれども、やはりじかに出向いていって、さっきもおっしゃったようにこれから新しい国際秩序の枠組みづくりをしようという非常に大事なときですから、国会があるからという何かそこに責任を転嫁しないで、それは事情というものはみんな話せばわかることですから、やはり出かけていってじかに話し合いされるというのが非常に大事なことじゃないかなと私は思います。  そこで、ちょっとさっきの話に戻りますけれども、丹波局長さんに関係しますけれども、そういういわゆる憲法の制約ということに責任をかぶせておるならば、憲法の制約があるために国際貢献は我が国はできにくい、できないということであれば、じゃこれは憲法改正をするというふうに発展していきますね。国際貢献とか世界平和への貢献をするにはやはり大事なことで、その障害になる憲法を改正しなくちゃならぬ、そういうことに議論は発展していくわけですが、これはもしそういう考え方があるなら、この憲法改正なんという問題はこれはもう国民が判断する問題ですから、その辺ほどのように考えていらっしゃいますかね。

丹波實外務省国際連合局長

○丹波政府委員 もう先生はこの憲法に対する私の考え方は十分御存じだと思うのです。もう非常に長い間いろんな機会に先生といろんな問題を本当に先生に御指導いただいて今日まで来ております。  私が申し上げたいのは、むしろ私の個人的な感じを申し上げさせていただけば、外務省に三十年間奉職しておりますけれども、問題は憲法の制約にぶつかって何もできないということではないと私は思っております。私は、現在日本が行っていることと憲法の制約との間にはまだ相当幅がある、この中で随分できるものがあるのではないかと、問題はそこにあると思っています。繰り返しますけれども、私は憲法の制約にぶつかってそれを突き破れという考え方は毛頭持っておりません。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 ですから、現憲法下で国際的貢献はどういうことができるか。例えば今、今度の湾岸戦争のようなことが今後も全く起こらないという保証はどこにもないわけですから、だからそういう場合に、じゃ我が国はころいう平和憲法を持っている、そのもとでどういうことが国際貢献としてできるかということをきちっと、もうつくり上げてといいますか、それはちゃんとやはり示しておかないと、これはもう何かあるとこうだこうだとマスコミには書かれる、こういうことで、私は、外務省としてはちょっと問題があるのじゃないかという感じがするわけですから、その点外務大臣、いかがですか。まさか憲法改正というところまで発展しないでしょうね。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 国務大臣は、憲法九十九条の規定によりまして憲法を遵守するということが義務づけられておりますから、現憲法を維持していくことは間違いございません。  ただ、この国連平和協力といった問題点につきましては、憲法の枠内でできることの限界がどこまでかということの御協議をぜひ今回の三党合意の覚書に基づいて御協議をいただき、その一つのガイドラインを設定していただくこと、あるいは内閣法制局も十分対応して研究をいたしますけれども、ぜひひとつ三党の御協議で一つの枠をお示しいただければ大変幸いであると考えております。(発言する者あり)

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 今のどうですか。社会党さんもちゃんと、野党第一党……。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 社会党の先生方が御参加いただければこれにこしたことはございません。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 これもちょっと外務省と坂本官房長官、けさの新聞にありましたね。いわゆる九十億ドル追加支援の取り扱いについて、記者会見で官房長官はおっしゃっているのです。「戦争が早く済んだら平和維持や経済復興にも振り向けたい、と首相が国会で答弁している」、九十億ドルの一部をクウェートや周辺国への経済復興支援に充てたいことを明らかにしているわけであります。ところが外務省の方は、新聞によりますと戦後復興に回す余裕なんてないという意味の、官房長官と外務省と違うのですね。その辺はどちらが正しいのか、お伺いいたします。

松浦晃一郎外務省北米局長

○松浦(晃)政府委員 私どもは、外務省と官房長官の間に基本的な考えの差があるとは考えておりません。これは総理も国会でおっしゃっておりますし、私どもも申し上げておりますのは、今回の九十億ドルは、米国を中心といたします関係諸国が湾岸の平和と安定の回復のための活動に要する経費のうち、輸送関連、医療関連、食糧、生活関連、事務関連等の諸経費に充てる方針であるということでございます。これは最終的には湾岸平和基金の運営委員会で決定されることになっているわけですが、日本政府としてはこういう考えで対応するということでございます。  今後のことでございますけれども、その停戦後におきましても、現在湾岸地域に展開しております多国籍軍の多くは当面活動を継続することが必要とされると思っておりますし、また、この戦後処理が進むに従いまして多国籍軍は湾岸地域から漸次撤退するということになると思っておりますが、これらの際にも種々の経費が必要とされると考えております。  したがいまして、今申し上げましたこの基本的な方針に従いまして、湾岸の平和回復活動の一環をなしますこれらの活動のためにも支援をしていくということが引き続き重要と考えております。このような平和維持活動に加えまして、経済復興等に際しての活動にかかわる経費もこのような基本的な考えに基づいて対応していきたいというふうに外務省としても考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 我が党が、湾岸戦争終結後、湾岸地域の復興や民生安定、環境の破壊防止のために資金援助、資金協力をすべきである、こういうことを発表しております。これはいわゆる中東復興資金にこの九十億ドルから少なくても三十億ドルぐらいは回したらどうかという考えもありますけれども、どうお考えでしょうか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○松浦(晃)政府委員 湾岸地域の今後の復興問題に関しましては、先ほど中山大臣がお話しになりましたので私は繰り返しませんけれども、これはそれとしてしっかり対応していく必要があると考えておりますが、今先生御指摘の今回の九十億ドルの具体的な使途という点から申し上げますと、これは湾岸の平和回復活動に従事している諸国ということで私は申し上げましたけれども、もっと具体的に申し上げれば国連加盟国を支援するということになっておりますので、この湾岸平和基金からその他の国際機関等に支出するということは制度的にも残念ながらできないというふうに考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 制度的にできないとおっしゃいますけれども、戦争はもう終わっているわけですから、九十億ドルの中から何がしかをほかの、さっきの官房長官の発言のような経済復興とかそういうものに回すということ、そういう努力をされるということも、制度がそうだからできない。やはりこれは貴重な国民の血税ですから、そういうことをされる努力というのは必要じゃないかと思いますが、いかがですか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○松浦(晃)政府委員 私が最初に申し上げましたように、経済復興等に際してかかわる経費に充てるということも考えておりまして、私はそれを全く否定したわけではございません。私が先ほど申し上げたのは、先生が御指摘のような具体的な国際機関だとか地域的な機構にこの湾岸平和基金からさらにお金を移すということは制度的にできないということでございまして、経済復興等に湾岸平和基金から、これは対象は国連加盟国ということで個々の国になりますけれども、国に資金を提供するということは考えていきたい、こう考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 これは先ほどの川崎先生の御質疑の中でちらっとありましたけれども、いわゆる我が国のODAのあり方ですね。軍事大国のために金を使っている国には、あるいは他国に軍事援助をするような国には我が国のODAのあり方について、これは総理が積極的に勉強して政策に反映したいという趣旨の発言をされたようであります。外務大臣、その考え方はいかがですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 総理のお考えと変わりはございません。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 これからやはりこの問題も非常に重要な問題になってくると思います。イラクが軍事大国になった一因は、直接じゃないでしょうけれどもやはり我が国のODA予算、その援助をしたために、本来イラクがそこに使うべき金を軍事、いわゆる武器とか弾薬とかの購入に充てた。間接的にはODA予算というものがイラクの軍事大国への一因をなしていると言ってもこれは否定できないわけです。  そういうことを考えましたときに、今の総理の考え方、また今の外務大臣の考え方からしまして、委員長、やはりそういう我が国のODAのあり方についてこの外務委員会として何らかの決議をして、そしてこれを国会の決議というところまで持っていく必要があると私は思います。大臣、いかがですか、まず大臣のお考えを聞きましてから。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 あくまでも立法府のお考えでございますから、立法府の御決断でお扱いになるものだと私は考えております。  政府といたしましては、先ほど申し上げましたように、例えば膨大な軍事費をかけて軍国化を急いでいる国家にODAをやるというようなことは日本政府としては慎重に扱わなければならない、また軍事クーデターが頻発するようなところ、こういったいろいろなケースがございますけれども、日本政府としては、このODAについてはあくまでも民生の安定と向上ということが具体的に示された事例でないとやらないという原則を維持しておるということだけは御理解をいただきたいと思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 委員長、理事会で、ただいま私が発言した件、ぜひ協議をしていただいて、ぜひそういう方向で決議を何らかの形でするということは非常に大事なことだと思います。よろしくお願いします。

牧野隆守自由民主党

○牧野委員長 ただいまの玉城委員の御意見につきまして、後刻理事会等で協議をさせていただきたい、こう思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 これは大臣、今度の湾岸戦争で我々もリアルタイムにテレビで空爆だとか艦砲射撃だとかミサイルが飛び交う場面をみんな見たわけですね。そういうことを見たときに、我々沖縄はあの第二次大戦のときに悲惨な地上戦の体験をして、そのもとで逃げ惑っている人のことを考えますと、これはもうその苦しみというものは大変なものがあった。今回幸いに停戦という事態になりましたので非常に喜ばしいことなんですけれども、そういうことで沖縄の人は戦争なんかもう理屈抜きに嫌だ、そういう感情が非常に強いわけですね。  そういう中で今度、沖縄からどんどん中東に出ていくわけですが、海兵隊のフランク・アレンという伍長さんが、この人は沖縄の二世です、父親は元海兵隊員、母親が沖縄出身の女性ということで、二十二歳になるこのアレン伍長は一月二十九日、十七日に武力行使が始まって、サウジで戦死したわけです。このアレン伍長には小さい子供が二人ある。そういうことで、ハワイで米軍合同の葬儀が行われて、二十六日も沖縄で追悼式も行われているわけです。ですから、これが報道されて沖縄の人は全部ショックを受けたわけですね。  米軍だからとか、あるいは何だからという次元とは別に、人間として、沖縄からどんどんこういう戦場に出て行く人々に対して、沖縄の人は、無事で帰ってきてもらいたいとか、亡くなってはもらいたくないとか、傷つかないで無事に帰ってもらいたいという、これは沖縄県民の一つの願いなんですね。ところが、今申し上げたそのアレン伍長さんは二十九日に亡くなった、こういうことでショックを受けているわけです。これは一つの大きな、沖縄の立場から見て、沖縄の住民、県民とまでは言いませんけれども、沖縄二世に生まれ育ったその人が、今度の湾岸戦争に行って向こうで戦死したということに対する心情的な非常なショックがあるわけですね。それについて外務大臣はどういうお気持ちでいらっしゃいますか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 私も、アレン伍長の戦死に対して心から哀悼の誠をささげておる人間の一人でございます。  私もかつて沖縄開発庁長官をやらせていただいて、沖縄の終戦時のあの悲惨な、島民が戦火にまみれたことを遺跡を回ってよく覚えております。沖縄の方々が戦争に対する特別な感情をお持ちだということは私自身もよく認識をいたしておりますが、私は、このアレン伍長のお母様の言葉に非常に感銘を受けました。それは、息子はアメリカのためにだけ死んだのではない、世界のために死んだのだ、こういうお言葉がございまして、私はただただこのお母様の考え方も立派なものだと深い感銘を受けたわけでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 以上です。

牧野隆守自由民主党

○牧野委員長 次に、古堅実吉君。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 湾岸戦争は昨日ついに終わりました。そのことによって、昨年八月二日以来のイラクのクウェートへの侵略、併合に終止符が打たれました。私もここであえて喜びを表明させていただきたい、そう考えております。  ところで、我が国の湾岸戦争にかかわる問題で、事が終わったのではない、明らかにしておかなくてはいけないことはたくさん残されたように思います。その一つ、九十億ドルの支援問題について本日は質問させていただきます。  九十億ドルについて、政府は湾岸平和活動への支援として説明してまいりました。この政府が支援できる平和活動と言っているものについて、基本的な点をまず最初に御説明ください。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 幸い湾岸の武力衝突には終止符が打たれたわけでございますが、これまで湾岸地域で起こってまいりました事態につきまして若干振り返ってみたいと思います。  御承知のとおり、昨年の八月二日にイラクがクウェートを侵略いたしまして、明白な国際法違反を起こしたわけでございます。その後、国際社会は国連を中心といたしましてこの問題の平和的解決に努力を重ねてまいったわけですが、御承知のとおり、残念ながらイラクの入れるところとならず、クウェートからの撤退というのが実現いたしませんで、やむなく国連のもとで決議六七八号というものが採択されまして、このもとで加盟国の提供した軍隊が武力をもってこの侵略を排除するということになったわけでございます。  政府がこれまでいろいろな機会に御説明申し上げてまいりましたことは、この国連のもとでの侵略の排除という平和回復のための活動、そしてこの決議のもとで各国に要請をされました支援、我が国としてもこのような平和回復活動という国際的な努力に対して支援を与える、その一つとして資金を提供するということでございます。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 本日の新聞によりますというと、外務省の首脳が九十億ドルの使途について多国籍軍の中東駐留経費として使用することを認めるような話というのが出ております。外務省は米英など多国籍軍の今後の駐留についての経費を負担するなどとかいうお考えもおありですか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○松浦(晃)政府委員 先ほど条約局長から九十億ドルの支援の対象になります平和回復活動について御説明がございましたけれども、まさに国連安保理決議の六七八を含めまして、一連のこの安保理の決議に従って平和回復活動に従事している各国を支援するということでございまして、今先生の御質問の点について具体的に申し上げれば、まさに停戦達成後もこの平和回復活動が必要だと私どもは考えておりますけれども、この平和回復活動が安保理の一連の決議で言う平和回復活動の一環をなす限りこれらの活動に要する経費も含めて考えるべきである、こう考えております。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 今の御説明は、引き続き米軍などの駐留の経費にも充てるということで受け取ってよろしいんですか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○松浦(晃)政府委員 繰り返しになりますけれども、私が今申し上げましたのは、一連の安保理決議に従って平和回復活動を行っている各国を支援するというのが基本原則でございまして、停戦後の多国籍軍の活動がその枠内であるということであれば支援の対象になるということでございます。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 それじゃ改めてお聞きしますが、この中東における新たな平和維持といいますか、NATOの形の変わったような形での軍事ブロックをつくって、そこでの平和問題を考えていこうなどというそういう動きもございます。アメリカ自身がこれまでもそういうことにかかわる問題を言及してまいりました。そういうことも外務省として考えておられますか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○松浦(晃)政府委員 現段階で、停戦達成後、さらに言えばもう少し中長期の見地に立ちましたこの湾岸地域の安全保障体制がどうなるかということについて、確たる見通しを申し上げるような状況にまで至ってないと私思いますが、私、九十億ドルとの関係で先生が御質問しておられます点に関しまして申し上げれば、繰り返しになりますけれども、あくまでも今回の九十億ドルはこの一連の安保理決議で言っております平和回復活動に従事する各国を支援するということでございますので、私どもの支援の対象になりますのはあくまでもその枠内ということでございます。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 二月二十二日に米国の政府が議会に提出した補正予算によりますというと、砂漠の盾、あらし作戦の運用資金会計は外国から拠出された防衛協力基金の資金で補充される。砂漠の盾、あらし作戦の追加費用の支払い後、差額は国庫に戻されると明記されております。そのとおりですか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○松浦(晃)政府委員 先生が言及されましたのはこの二月の二十二日にブッシュ大統領がアメリカの議会に提案いたしましたこの補正予算案に盛られております砂漠の盾、あらし作戦にかかわる運営基金口座でございます。しかしながら、この運営基金口座の詳細なメカニズムに関しましては、非常に正直なところ申し上げまして私どもは承知しておりません。何分にもまだこの補正予算案の全文を入手しておりません。  現段階で私が申し上げられますことは、この二月の二十二日にホワイトハウスが発表いたしましたプレスレリースに基づいてでございまして、このプレスレリースを精査いたしますと、先生が今言及されましたこの運営基金口座の運営にかかる説明がございますけれども、非常に正直に申し上けまして、この運営基金口座はとりあえず百五十億ドルアメリカ政府が払い込んで発足いたしますが、その後の具体的な運営ぶりについてはよくわからないということが正直なところでございます。  で、先生が言及されましたこの防衛協力基金、これは各国からの貢献が払い込まれるところでございますけれども、そこから直接具体的な形で支出をされることもありますし、それからこの運営基金口座に移されるということもあるようでございまして、非常に正直に申し上げまして私どもも詳細なメカニズムについて今アメリカ政府に問い合わせをしておりますけれども、ちょっとまだ詳しい回答に接しておりません。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 先ほど私が念を押して確認を求めた点、それはそのとおりですか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○松浦(晃)政府委員 先生言及されましたこの運営基金口座にとりあえずアメリカ政府が百五十億ドル払い込みますけれども、外国等からの貢献が使用できるようになればそれを運営基金口座に払い込むという表現はプレスレリースにございますが、しかしこれは今申し上げましたようなことで、この全体がどういうメカニズムで運営されるかということは現時点では残念ながら詳細に関しては私どもまだ掌握しておりません。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 アメリカの今回の補正予算、直接みずから出す百五十億ドル、そして外国から拠出される防衛協力基金から充当されるもの、それを合わして運営資金、それを砂漠の盾、あらし作戦に使われる。ということは、アメリカの戦費のために直接全体として使われるということを意味すると同時に、それによって余った金はアメリカの国庫に戻っていく、帰属させられる、そういう内容にほかならないんじゃないですか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○松浦(晃)政府委員 今回の九十億ドルの具体的な使途に関しましては総理が予算委員会でも繰り返しおっしゃっておられますけれども、今私も触れさしていただきましたが、この湾岸の平和回復活動のために要する諸経費のうち輸送関連、医療関連、食糧、生活関連、事務関連等の経費に充てるということでございまして、今までの十九億ドルに関しましては、アメリカに九一%、それからそれ以外の国十二ヵ国、合わせて十三ヵ国を支援しておりますが、今回の九十億ドルが最終的にどういう形になることか、まだ現段階では正確に予測できませんが、その大宗がアメリカに行くということは、この湾岸平和活動の中心がアメリカであるということを考えれば当然だと思っておりますが、その他の国も支援してまいりたいと考えております。  具体的に、今度はアメリカとの関係では、今申し上げたようなことで、まさに日本政府の基本的な方針に基づいて湾岸平和基金の運営委員会で運営していくように持っていきたい、こういうふうに考えております。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 この補正予算におけるアメリカ側の説明というのは、これを実態に照らして補足的に説明を加えて申せば、アメリカ側が百五十億ドル、そして、一月から三月までの分として数字上明らかになっている日本側が九十億ドル、ドイツが五十五億ドル、サウジが百三十五億ドル、クウェートが百三十五億ドルなど四百三十八億ドルになります。それにアメリカの百五十億ドルが加わり、約五百八十八億ドルになろうかと思うのです。これが使われて、余ったものは国庫に帰属していくというのがこの補正予算の説明になっておるのじゃないですか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○松浦(晃)政府委員 私が今申し上げましたことの繰り返しになりますけれども、湾岸平和基金の運営委員会で、今先生具体的にアメリカの例をとってお話しでございますが、アメリカの例について申し上げれば、アメリカからニーズに基づいた具体的な要請を受けて審議決定をするものでございまして、その結果支払われた資金がアメリカ政府の国庫に入るということは、私ども全く想定しておりません。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 想定してないということなんだが、アメリカの補正予算の説明ではそういうふうになされておる。アメリカ側はそう受け取って、日本側の意思も理解の上でそう進めているということになりませんか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○松浦(晃)政府委員 私は、これも予算委員会で申し上げたことでございますけれども、今先生がお触れになりました、この防衛協力基金の設置に関します法律がございます。その第h項に、行政府は外国からの寄贈を受けた際は、その寄贈に付された条件を議会に通報するということになっておりまして、今までの十九億ドルの中でアメリカに向けられました資金協力は、輸送関連経費ということになっております。これは行政府からきちんと議会に対しまして、この湾岸平和基金を通じて得ました日本の資金は輸送関連経費に使うということを議会に通報しております。  今回の九十億ドルに関しましても、これが先ほど申し上げましたような形で、アメリカを中心といたしますが、いろいろな国々を支援する形になりますけれども、アメリカにつきましては、日本が考えております具体的な使途について、同様にアメリカ政府は対応していくと考えておりまして、それを踏まえて、アメリカ政府は湾岸平和基金に報告を出すということになっております。  したがいまして、具体的にこの湾岸平和基金からアメリカに向けました資金がどう使われたかということも、この湾岸平和基金の運営委員会に報告がございます。そして、それがまた日本政府にも連絡がくるということになっておりまして、私ども事後的にもきちんと確認ができるというメカニズムになっております。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 この湾岸基金九十億ドルというのは問い合わせ中という説明のできない面もありますが、アメリカがつい二十二日、国会で説明している補正予算との関連から理解すれば、何らの制限もなく戦争の費用のため、日本政府の説明によれば平和活動、平和を回復する活動、すなわち湾岸戦争です、それに振り向けられるということは、この使われる金には、戦費に向けられる、そうでないものに向けられるなどとかいったふうな区別は何もないという実態になっている。そういうことがこの補正予算説明からは理解できる、このように思います。  日本政府は、何か文書か何かをもって今言ったような条件をつけて、米国に明確に渡しておるのですか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○松浦(晃)政府委員 今回の九十億ドルにつきましてはこれからでございますので、今までの十九億ドルを例に申し上げたいと思います。  先ほど触れましたように、従来の十九億ドルの中で、資金協力は輸送関連経費としてアメリカに一定の額が支給されておりますけれども、それにつきましては、輸送関連経費ということでアメリカ側から湾岸平和基金の運営委員会に要請があり、それを踏まえて湾岸平和基金の運営委員会で決定をし、そういうことでその支払いを行っている。そして事後的にも、まだ全部についてではございませんけれども、湾岸平和基金から受け取った資金協力のお金は輸送関連経費に使ったという報告を受けております。先ほども申し上げましたように、同様なメカニズムで九十億ドルも運営していきたい、こう考えております。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 昨年十二月十八日の本委員会でしたが、大臣に質問をいたしました。一月十五日の期限が来て、万一戦争がぼっ始められても、引き続き日本政府は多国籍軍への支援をやるのか、あの第二次世界大戦の痛苦の教訓の中からかち取った日本国憲法の平和条項の前に、そういうことはできるはずはない、どうなんだという質問をいたしました。大臣はその答弁を避けられました。あれから間もありません。しかるに、この憲法をあたかも何ら支障がないかのごとくじゅうりんして、こういう戦争への多額の九十億ドルの支援というものをつぎ込んでまいりました。これは日本国憲法の名において許せない行為だというふうに断ぜざるを得ません。  そういう面で、この九十億ドルの湾岸戦争支援への支出というのは、平和条項を無視するということを抜きにして合理化できる説明もないと思うがゆえに、直ちに撤回をすべきものだというふうに考えます。  時間もございませんので答弁は求めませんが、指摘して終わらせていただきます。

牧野隆守自由民主党

○牧野委員長 次に、和田一仁君。

和田一仁民社党

○和田(一)委員 私は、これからの中東地域の平和と安定の我が国の貢献策がいかなるものか、当局、大臣のお考えをお聞きしていきたい。非常に限られた時間でございますので、許される時間内でお聞きしていきたい。また、もし時間があれば北方領土の問題についても一言だけお尋ねしたい、こんなふうに思っております。  もう私から申し上げるまでもございませんけれども、イラクのクウェート侵攻、併合から七ヵ月がたちまして、ついにやっとクウェートが解放されました。世界じゅうが願っていた中東地域での平和がようやく達成されようとしているわけでございます。  私は、イラクによるこの不法な侵略を排除するための多国籍軍による平和回復活動は、これはもう日本は当然支持をしてきたわけでございまして、停戦を機会にいたしましてイラクがすべての国連決議を完全に履行すると同時に、これからは平和な国家として出発していくということを世界は強く求めている、こう思うわけでございます。  そこで、私どもは、国連の一員といたしまして、また同時に、自由と民主主義と国際協調を大事にする国といたしまして、戦争が終わった後のこれからの中東湾岸地域またはその周辺地域の平和とそして経済安定のための積極的な貢献ということ、これが日本にとって非常に大事なことであり、当然の責務ではないか、こう思うわけでございます。そういう意味から、この中東地域の永続的な平和と緊張緩和を実現していきたい、こういう願いの中から、どのような方策を今お考えになっているか。  いろいろあると思うのですね。一つには経済復興という面での貢献。そしてまた、大変な環境汚染というものが進んでおりますが、こういうものに対する対策にどう貢献できるか。それから、これからの中東における安全保障体制、これは国連を中心にいろいろ考えていかなければなりませんけれども、こういうものの公正な戦後処理を含めた対応の仕方、国際会議の持ち方、こういうものに対してもどういうことを考えておられるか。それから、直後の平和活動に対する協力、こういうものでどういうことが現実としてできるのであろうか。  先ほど来、難民の問題であるとかあるいは医療の面における援助の仕方であるとかいろいろございました。こういう点。それから、やはりこれからの国際的な一員としてのいわゆる平和維持活動、これに参加していくために私たちはどうしたらいいのか、法制度というものをどう確立していったらいいのか。そういうことが今この機会に強く問われていると思うのですけれども、その点について、今いっぱい申し上げましたけれども、大臣、当局のお考えをお示しいただければと思います。そして、なお細かいことを引き続き御質問させていただきたいと思います。     〔委員長退席、新井委員長代理着席〕

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 今委員からいろいろと御指摘のございました湾岸戦争後の地域の復興問題でございますが、経済の問題につきましては、クウェート、サウジアラビアといったような非常に資産を持っている国家でございますから、この国には資金的な協力の必要性は極めて少ない。そういうことから考えますと、この国がどんなものを協力してもらうように要請してくるのか、そういうものを十分見きわめていかなければならないと思います。  そういう要請の中に恐らく環境問題というものが非常に大きなシェアを占めてくるのではないか。政府といたしましては、既に内閣とも十分連絡をしながら、環境庁を中心に、大気汚染、水質汚染、この問題について我が国の経験、技術を提供するような準備を進めておることをこの機会に申し上げておきたいと思います。  また、中東の安全保障の問題につきましては、委員も御存じのように、パレスチナ問題をどう解決するかという問題が極めて大きなウエートを占めてくる問題だと思います。パレスチナ問題の従来の構図の中で、今回の、イラク軍がスカッドミサイルをイスラエルに撃ち込んで多数の人たちが死亡し、けがをしたという中で、イスラエルは戦火が拡大することに対する極めて強い自制を行ったということは、新しい中東の安全保障への一つの方向性が出てきたのではないかという期待感を私は強く持っておりますけれども、いずれにいたしましても、国連の安保理を中心に、この安全保障の問題に関しましては、域内の国々及び関係の深い国々とかが寄って協議をしながら構想を固める必要があろうかと思っております。  また、お示しのございました平和活動に対する日本の対応につきましては、自民、公明、民社の三党で先国会で覚書をつくっていただいておりまして、一層早急にこの合意の確認をしていただきたい、細部の枠組みをぜひ急いでいただきたいということを政府としてはお願いをいたしますとともに、政府といたしましても、どのようなことができるのかただいま鋭意準備をやっておる最中でございます。  また、難民の援助等につきましては、難民の母国への帰還については一つのルールが確立をされましたが、医療等の問題につきましては、日本赤十字が国際赤十字と連絡をとりながら既に地域の周辺国に出ておりますし、また、現在、日本政府が既に希望者を募って、登録していただいている方々を中心に、WHOと協議をしながら準備を進めておることもこの機会に申し上げておきたいと思います。クウェートの復旧に際していろいろな防疫活動が必要になろうかと思います。そのような場合に、二次災害、三次災害における国際緊急援助隊がどのような枠組みの中で取り組みがるか外務省で目下検討中でございます。

和田一仁民社党

○和田(一)委員 経済復興についてですが、これはいろいろなやり方があろうと思うのですが、多国間援助あるいは二国間援助、こういうやり方もあろうと思います。私どもは、多国間援助ということを考えるときに、かつてのマーシャル・プランのような、中東復興のためのマーシャル・プラン、こういうものを考えていったらどうか、こう思うのです。  確かに今大臣おっしゃったように、クウェートあるいはサウジ等、非常に資金的には豊かで、ただ非常に災害を受けた、こういう国もあろうかと思いますが、同時に、資金的にも非常に苦しいという国々もあるわけなんで、私どもは、そういう国々のための経済復興基金的なものを創設していく、こういうことを考えてはどうか、こう思っておるわけです。それでまた、二国間援助は二国間援助として、先ほど大臣おっしゃいましたが、他の方の質問に対しても、ヨルダン、トルコ、エジプト、シリア等、こうおっしゃったわけですけれども、二国間援助についてはこれらの国々以外にも大臣お考えかどうかもあわせて、私どもが考えておりますいわゆる経済復興基金、こういうものを提唱して我が国は応分の基金を出す、こういうことについてはいかがでしょうか。     〔新井委員長代理退席、委員長着席〕

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 停戦がいよいよ実現するという段階で、安全保障理事会が恐らく今夕あたりからさらに具体的な活動を始めてくるだろうと考えております。そういう中で復興の資金をどうするかという問題につきましては、産油国にとっては資金の支援というものは不必要でございますし、あの地域の中でも油の出ない国がございますから、そのような国々をどうするか。それから、エジプト、トルコ、ジョルダン、シリアといった国々に対する援助をどうするか、こういうことにつきまして、特別な基金をつくるかどうかということは各国と協議を一回してみる必要があろうかと思います。しかし、当面IMFあるいはワールドバンクを通じてこの協議をしながら二国間、多国間の協力をしていく必要が時間的には速度が速いのではないかというふうに考えております。

和田一仁民社党

○和田(一)委員 今、アメリカを軸にいたしまして、イギリス、フランス、さらにドイツ等の外務大臣はワシントンに集まっているいろそういった問題も含めて下話がどんどん始まっていると思うのです。私は、そういう意味でぜひ、今大臣、考えてみますというお話がございましたけれども、日本がやり得る一つの方策としてこういうことを考えているんだがという呼びかけをやっていただく。そういうためにも、先ほどもいろいろ御質問がございましたけれども、時期が非常に大事だ、こんなふうに思うわけなので、国会の様子を見てできるだけ早くそういう機会をつくっていただきたい、こんなふうに思うわけです。  それから、経済的な支援だけでなく、日本の持っているノーハウとか、それからもしその他の協力が欲しいというところがあれば、それはそういう意味での人たちを集めて協力するべくチームをつくる、こういうこともぜひひとつお考えいただきたい。また、そういうのは民間からもどんどん出していくことになりますから、そういうために協力をしていく民間の企業に対してはそれなりの優遇を考えていかなければいかぬ、こう思うわけなので、そういう意味ではエキスパートというか専門家集団をつくって出してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。そして、そういう協力企業に対する配慮はいかがでしょうか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 私も同じような考えを持っておりまして、中近東アフリカ局長には既にもうある程度の時期前に、この戦後の復興に対応するだけの人たちがどこにどんな人がいるか、政府の関係省庁と協議をしながらリストアップを急いでもらいたい、それからその人たちが出るにしても必要な機材がどうなるかということも十分検討してもらいたいということを既に命じております。作業をやっておる過程だと私は思っておりますが、やはり時期が非常に重要だと考えておりまして、日本の方から協力できる時期が確認されれば即刻そのような対応をしなければならないと考えております。

和田一仁民社党

○和田(一)委員 大臣の方から国際緊急援助隊のお話も出ましたし、先ほど来御質問も重ねてあるわけでございますけれども、私はこの法案ができるときにもいろいろ御提言を申し上げました。しかし、現実は原案どおりのものができて、あるわけでございます。さっきのお話では、しかしそれが自然災害等を目的としたチームだけにすぐ使えないんだ、こういうことで今検討しているというお話でございました。この問題については各党同じような思いを持っておると思うのですね。せっかくあるんだから緊急のときに使ったらどうかという思いがあるのですから、ぜひひとつこれを前向きに検討を終えて実施できるような方向で御努力をいただきたい、こう思うのです。  私は、もう一つ欲を言えば、これは本当に十分機能できるような内容でやっていただきたい、こう思っておったのですが、今あるレベルでも結構ですから、とにかく使えるように急いでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 外務省といたしましても、この国際緊急援助隊を派遣できる条件というものを法律以外に──法律の許容範囲の中で二次災害、三次災害といった条件がそろえば出動できる可能性がございます。そういう意味では、外務省の中でも鋭意検討いたしておりますが、各党の政策の責任者の方々にも御相談をさせていただいて、この国際緊急援助隊がお役に立てるような仕組みをぜひ早めてやっていかなければならない、このように考えております。

和田一仁民社党

○和田(一)委員 ちょっと大臣にこの機会に確認しておきたいと思うのですけれども、先ほどもお話がありました、四月にソ連からゴルバチョフ大統領来日という予定というふうには聞いております。来日されれば当然北方領土の問題が話題に上がらざるを得ない。この北方領土は最近非常に民間も先行的に、返還されたらどうしようかということをいろいろ考えて動いている実態がございます。  そういう実情の中から、この間閣議で法務大臣から北方四島にいる在住ソ連人の法的地位の検討を始めたいという意向の御発言があったと新聞に出ております。これに対して外務大臣のコメントも新聞は伝えておりますが、この在住ソ連の人たちの法的な地位をどうするか。全部帰ってもらうんだというのではなくて、もう既に四十年あそこで定着して仕事をしている、生活している、そういう人たちに対する対応として法的地位の検討をするということは非常に大事だと私は思っているのですが、外交上、そういうことを国内的に検討を始めることはまずいのでしょうか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 北方領土の返還ということを求めてまいりました政府といたしましては、領土が返還されるための交渉の突破口をゴルバチョフ大統領の四月の訪日の時点、ぜひひとつソ連側も政治的な決断をお願いしたいということを申しておりますし、日本側もできるだけの努力をするということを政府としては申してきたわけであります。  そういう中で、返還が行われた後の、そこに住んでおられるソ連の方々の法的地位問題につきましては私は、平和条約作業グループというものが両国間にございます。そして返還に伴ういろいろな事項の整理をしなければならないと思います。そういう問題がございますから、ゴルバチョフ大統領の訪日の機にどのような首脳間の話し合いを進められるか、そのような時点の中で、その事態に対応して両国間の政府で行われております平和条約作業グループで各般の問題の協議が行われるものと考えております。

和田一仁民社党

○和田(一)委員 そろそろ時間になりますが、ソ連邦そのものそれからロシア共和国、こういう関係もあって、そこに住んでいる人たちにとって、これが具体的な問題になればどういう処置が取り交わされるのかは非常に関心が強いと思うのです。その際に帰化の問題であるとか永住権の問題であるとかそこで自分がつくった財産の問題であるとか、そういうことについての法的地位という問題は作業グループの中での話に当然出てくることですが、同時に、やはり交渉をしていく我々のサイドとしてもこの基本的なことをそろそろ合意しておかないと、それは別だよ、作業グループに任せておけというのでは、現実にあそこにいる人たちの意向が、これは返還が早くなるか遅くなるかに非常に影響してくる、こう思うだけに、ひとつその辺を十分お考えの上内閣での御見解をまとめられるよう努力をお願いしたいと思うのです。  言いっ放しになりますけれども、大変大事なことでございますので、一言大臣の御見解をいただいて終わらせていただきたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 戦後四十五年間の日ソ間の解決をしなければならないこの平和条約の締結という大問題の中の一番大きな核心である領土問題、領土の返還問題、この問題をゴルバチョフ大統領訪日の機に政治的に両国がいろいろ話し合うという決意をいたしておるわけでございますから、そこに住んでおられる方々の問題も含めて極めて機微な問題でございますので、どうぞひとつ外務省にお任せを願いたいと思っております。

和田一仁民社党

○和田(一)委員 ありがとうございました。終わります。

牧野隆守自由民主党

○牧野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十九分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗