安全保障特別委員会 第4号
- 発言数
- 5 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1991/02/13
会議録
○中山委員長 これより会議を開きます。 国の安全保障に関する件について調査を進めます。 この際、内閣総理大臣から発言を求められておりますので、これを許します。内閣総理大臣。
○海部内閣総理大臣 一言ごあいさつ申し上げます。 世界は東西冷戦構造を乗り越え、新しい時代に着実に歩みを進めつつあり、昨年のサミットでも、今世紀最後の十年は民主主義の十年とうたわれたように、自由と民主主義という価値観がより普遍的な原理となってきております。世界は、このように真に地球は一つという時代に向かって、新しい国際秩序、枠組みの形成を模索していますが、一方で、東西対立の陰で表面化しなかった対立や紛争が顕在化しつつあり、危険な状況も生まれています。このようなときにこそ我が国は、責任ある自由民主主義国家として、冷戦構造克服後の新たな国際秩序の樹立に向けての努力を重ね、平和の枠組みづくりを通じ、二十一世紀の世界の運命に責任を負っていかなければなりません。 このような中にあって、我が国は、みずからの平和と安定を確保するため、日米関係の基礎をなす強固なきずなである日米安保体制を堅持し、その信頼性の向上を図るとともに、平和憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならず、文民統制を確保し、非核三原則を守るとの基本方針のもとに、節度ある防衛力の整備に努めてきたところであります。 防衛力整備の具体的な指針として、我が国は、昭和五十一年に防衛計画の大綱を策定し、これに従って防衛力の整備を進めてきましたが、この大綱は、安定化のための努力が続けられている国際情勢や国内諸情勢などに着目して、防衛上必要な各種の機能を備え、後方支援体制を含めてその組織及び配備において均衡のとれた態勢を保有することを主眼とし、これをもって平時において十分な警戒態勢をとり得るとともに、限定的かつ小規模な侵略までの事態に有効に対処し得るものを目標とするものであります。 平成三年度以降の防衛力整備については、国際情勢が変化する中で、これをどのように進めていくかという観点から、安全保障会議及び閣議において、「平成三年度以降の防衛計画の基本的考え方について」を決定し、国際情勢の変化に関する認識を明確にするとともに、国際情勢の変化と大綱の基本的考え方との関係を明らかにしたところです。 政府は、この決定において、最近の国際情勢の動向について、今後とも注目する必要があるが、総じて、大綱策定の際に前提とした国際関係安定化の流れがより進んだ形であらわれつつあると見ることができるとの認識のもとに、日米安保体制の信頼性の向上を図りつつ、引き続き、大綱の基本的考え方に従って効率的で節度ある防衛力の整備に努めていくことが適切であるとの判断を示しております。 この基本的考え方に基づき策定された新しい中期防衛力整備計画においては、現行中期防の実施により、大綱に定める水準がおおむね達成される状況等を踏まえ、主要装備については更新・近代化を基本とし、隊員の生活環境や情報、通信などの各種支援機能を初めとする後方分野の一層の充実に努めることなどを基本としています。さらに、在日米軍経費負担問題については、日米安保体制の効果的運用を図るという観点から、本計画の中で、在日米軍の駐留支援のための新たな措置を講ずることとしています。 また、この計画の実施に際し、憲法及び専守防衛等の基本的防衛政策に従うとともに、昭和六十二年一月の閣議決定に示された節度ある防衛力の整備を行うという精神を引き続き尊重することは言うまでもありません。 以下、防衛庁長官から新中期防衛力整備計画について報告させます。 委員各位におかれましては、今後の我が国の防衛力整備について、当委員会で速やかに御論議され、御理解、御協力くださるようお願い申し上げますとともに、国民の皆様におかれましても、一層の御理解を切に希望する次第であります。
○中山委員長 次に、防衛庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。池田防衛庁長官。
○池田国務大臣 政府は、昨年十二月十九日、「平成三年度以降の防衛計画の基本的考え方について」を安全保障会議及び閣議において決定し、また翌二十日、この決定に基づき、「中期防衛力整備計画(平成三年度〜平成七年度)について」を安全保障会議及び閣議において決定いたしました。 以下これらについて御報告申し上げます。 まず、「平成三年度以降の防衛計画の基本的考え方について」は、平成三年度以降の防衛力整備に際し、政府として国際情勢の変化についての認識を示し、これと防衛計画の大綱の基本的考え方との関係を整理したものであり、今後の防衛力整備に当たっての指針となるものであります。 この国際情勢の認識について、大綱の国際情勢と対比し、要約してみますと、次のようになります。 (1)国際関係の多元化や国際的相互依存関係の深まりといった傾向が引き続き進展していることにつきましては、今日においても同様であります。(2)国際関係の安定化努力については、大綱策定当時各種の対立要因が根強く存在していた東西関係は、今日、欧州を中心に対話と協調の時代に移行しつつあり、また、各種の軍備管理・軍縮交渉が進展を見せるなど、大綱策定当時から続けられてきた東西間の対話などの努力がようやく実りつつあります。(3)このようなことから、東西間の全面的軍事衝突またはこれを引き起こすおそれのある大規模な武力紛争が生起する可能性は、さらに少なくなっているものと見込まれます。 また、大綱策定当時において見られたような国家関係におけるイデオロギーや体制の持つ意味合いが相対的に低下しつつありますが、他方、依然として宗教上の対立や民族問題、領土問題、ナショナリズム等に起因する地域紛争などの不安定要因を内包していることにも留意する必要があります。 このようなことから、国際情勢の動向については、今後とも注目する必要がありますが、こうした変化は、総じて見れば、大綱策定の際に前提とした国際関係安定化の流れがより進んだ形であらわれつつあると言うことができます。 かかる状況を踏まえれば、平成三年度以降の防衛力整備についても、引き続き大綱の基本的考え方に従っていくことが適切であると考えられます。 次に、中期防衛力整備計画について申し上げます。 この計画における具体的な整備内容を決定するに当たっては、現行中期防の実施により大綱に定める防衛力の水準がおおむね達成される状況を勘案しつつ、また、最近における国際情勢の変化等を踏まえ、大綱の基本的考え方のもと、効率的で節度ある防衛力の整備を行うことを基本としています。 具体的には、(1)主要装備については、大綱に定める水準がおおむね達成される状況等を踏まえて更新・近代化を基本とし、一方、隊員の生活環境や情報、指揮通信等の各種支援機能、技術研究開発等後方分野の一層の充実に努め、防衛力全体として均衡がとれた態勢の維持、整備を図ることを重点とします。(2)防衛力の整備、運用面の一層の効率化、合理化を図ります。具体的には、まず、将来における人的資源の制約の増大等に的確に対応するため、自衛官の定数を含む防衛力のあり方について検討を行い、この計画期間中に結論を得ることとしております。次に、陸上自衛官の充足について、定数が十八万のところを、その現状を踏まえ、十五万三千人を限度とします。第三に、効率化、合理化努力の徹底により、自衛官の新たな増員は行わない方針です。つまり、現在既に国会に提出し御審議をお願い申し上げております防衛二法に含まれております定員増以外の新たな増員は、お願いしないということでございます。(3)我が国の安全を確保する上で基本的に重要である日米安保体制の信頼性の維持向上を図ることに留意し、在日米軍駐留経費負担に関する新たな措置を講ずる等各種施策を推進することとしています。 この計画の実施に必要な総額の限度は、平成二年度価格でおおむね二十二兆七千五百億円程度であり、年平均実質伸率は三・〇%となります。これは現行中期防の年平均実質伸び率五・四%に比べてかなり低いものであります。その内容を見ましても、正面装備よりも、隊員の生活環境の改善や情報、指揮通信等の各種支援機能の整備等に用いられる後方部門により重点を当てており、防衛関係費全体に占める後方経費の比率は、現行中期防では三三%であったのに対し、本計画では四〇%を超えるものとなっております。 また、各年度ごとの予算の編成に際しましては、一層の効率化、合理化に努め、極力経費を抑制するよう努力するとともに、そのときどきの経済財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、この計画の所要経費の枠内で決定するものとしております。 その際、「今後の防衛力整備について」に示された節度ある防衛力の整備を行うという精神は、引き続きこれを尊重します。 なお、この計画の実施に際しては、随時必要に応じて見直しを行い、三年後には、その時点における国際情勢、技術的水準の動向、経済財政事情等内外諸情勢を勘案し、総額の範囲内で必要に応じて修正を行うこととしており、今後の情勢の変化に対しても的確に対応できるようにしております。 本計画は、今後の我が国の防衛力整備に当たっての具体的な指針となるものであり、大きな意義を有するものであります。私としましては、この計画が最近における内外諸情勢を勘案して策定されたことを十分に認識し、国民の信頼にこたえ得る真に有効かつ効率的な防衛力の維持、運用を図る所存であり、国民の皆様の御理解を賜りたいと考えております。 以上でございます。
○中山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時十七分散会