決算委員会 閉会後第2号
- 発言数
- 237 件
- 登壇者
- 29 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1990/11/15
会議録
○委員長(及川一夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨日、星野朋市君及び諫山博君が委員を辞任され、その補欠として秋山肇君及び高崎裕子君が選任されました。 ─────────────
○委員長(及川一夫君) 昭和六十二年度決算外二件を議題といたします。 本日は法務省、農林水産省、裁判所及び農林漁業金融公庫の決算について審査を行います。 ─────────────
○委員長(及川一夫君) この際、お諮りをいたします。 議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(及川一夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 ─────────────
○委員長(及川一夫君) それでは、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○千葉景子君 本日は、後ほど同僚議員の方から農水大臣などには質問させていただくということでございますので、私は、法務省そして最高裁判所を中心にいたしまして質問をさせていただきたいというふうに思います。 法務大臣、前回、この決算委員会の総括質疑におきまして、法務大臣に御出席をいただき、その際、大変内外で問題になっておりました法務大臣の御発言につきまして御意見を伺わせていただきました。そのとき法務大臣に、これからどういうことを考えていらっしゃるか、あるいは陳謝をいただくだけではなくて、人権の問題などにどう取り組んでいくかが大変重要な問題であるというふうに私も指摘をさせていただいた記憶がございますが、法務大臣、その後何か御意見なりお考えはまとめられましたでしょうか、まずお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(梶山静六君) 過般の決算委員会で千葉委員にお答えを申し上げましたように、私、あ の当時、人種差別、そういう意図は全くなかったけれども、結果としてそのような誤解を与えてしまったことに大変遺憾の意を表し、陳謝を申し上げ、今後の対策を講じてまいりたい、こう発言いたしましたことは今御指摘のとおりであります。 そして、それ以来私も冷静に考えたわけでございますが、私はやはり、私自身をひっくるめて日本民族というものは、歴史的に他の民族とそれほど交わりの経験が少ないために、無意識あるいは不注意で人種差別問題についての感受性が豊かでないという点があろうかというふうに率直に反省をいたしております。 ですから、これからはそういう感受性を高めることがまず第一のことだというふうに考え、あのときも、これからこのマイノリティー問題に対する日本の社会の認識をもっと高めていきたい、そういうことを申し上げたことを確認させていただきます。 そして、その後私は人権擁護局に指示をいたしまして、全国の人権擁護機関を中心にして、国際化時代にふさわしい人権意識の高揚を図っていく中で、マイノリティー問題に対する正しい認識を国民に広め、これを根づかせるような一般の啓発活動、具体的にはマスメディアを利用した広報、講演会、座談会あるいはシンポジウム等を開催をし、ポスター、啓発物品の配布等を積極的に行って、これからことしの人権問題の一番大きなテーマにして、この問題にまず取り組んでまいりたい、そのように決心をし、指示をしたところでございます。
○千葉景子君 それでは、これまでの法務省の人権擁護、人権保護に関する政策の推移について少しお尋ねをしたいというふうに思います。 ちょうど昭和六十二年度の人権関係に係る法務省の予算、そしてその支出状況、法務省の方からまとめてペーパーでお出しをいただきました。それを拝見いたしますと、項目といたしましては委員制度運営経費、それから人権侵犯事件調査等活動経費、地域改善対策事件処理経費、人権擁護委員実費弁償経費、いじめ・体罰人権問題対策経費ということで支出がなされております。それぞれ一定の中身が書かれているんですけれども、こういう項目だけでは実際にどういう活動がなされ、そしてそれによって、人権問題というのはその効果とかあるいはどういう結果があらわれたかというのはなかなか目に見えにくいところかというふうに思いますけれども、これでどういう前進が図られているのか、その点について少しこの中身の説明と、それからトータルでもよろしいんですけれども、どういう前進が図られているのかということについてお答えをいただきたいと思います。
○説明員(篠田省二君) それでは、お答えいたします。 まず、昭和六十二年度におきます人権擁護関係予算の内訳でございますけれども、人権擁護委員が取り扱った人権侵犯事件等の調査処理に要した実費を弁償するための経費として約二億五千六百万円、それから地域改善対策対象地域住民に対する人権擁護活動の強化を図るための経費として約一億五千八百万円、それから人権思想の啓発普及のための経費及び人権侵犯事件の調査処理のための経費等として約六千九百万円、合計にして約四億八千三百万円を支出しております。 それで、具体的な活動としてどういうことをやっておるかということですけれども、講演会を全国で合計して四千四百八十六回、座談会を一千四百十六回、討論会を三百五十一回、映画会を一千六百三十六回、そういったような活動をしております。 具体的にどういう効果があったかということでございますけれども、私どものやっております仕事は、人の心に訴えて人権思想の普及、高揚を図るということでございまして、その測定ということが非常に難しいわけでございますけれども、こういった広報活動を通じまして人権思想の高揚がやはり進んでいるというふうに考えております。
○千葉景子君 なかなかこれは目に見えない部分でございますので、数字的にはかるということは難しいかというふうに思います。着実に活動を強化していただくという以外にはなかなか難しいと思うんですけれども、片方でこういう活動を行いながら、しかしながら逆な面で、せっかく国民に対して人権の思想なりあるいは考え方を普及をしようといいながら、片方で法務省でそれに逆行するようなことが行われているのでは、これはちょっと問題なのでございます。 それで、ひとつ今大変問題になっていることを指摘させていただきたいんですけれども、法務省で「えせ同和行為対応の手引」というものを出版されていらっしゃいます。全体の中身につきましてはきょうは問題にいたしませんけれども、これはほぼ五千部ほど講演会の記録という形で印刷をされて、各方面から購入の問い合わせがあるということでございます。 この中に大変中身として問題のある発言といいますか記載が、載せられているわけでございます。それはどういうことかといいますと、全部読みますと長くなりますけれども、要するに、精神異常者でなければ物事を恐れることは何もないんだというような記載がこの中にございます。これは読んでみますと、逆に言えば精神異常者は大変怖いんだ、こういう受けとめ方ができるような記載となっているわけです。 これにつきましては、既にもう他の委員会などでも、予算委員会などでもこの問題が指摘を受け、また各団体などからも法務省に対して、これは大変差別的な表現ではないか、これについては早急に対応策を講じてこの出版物を回収するなりそういう手だてを講ずるべきであるというような抗議も大変多く寄せられているというふうに聞いております。これまで法務省は、この抗議なり要請に対しては、あるいは国会での質問に対しても、この表現は精神異常者と言っているのであって決して例えば精神障害者全体を指しているのではない、そこのところは明確に法務省としては区別をしている。決して精神障害者などを差別していることはないんだということを発言なさっている、御答弁なさっているというのは、これは会議録にも出ていることでございます。 しかし、どうでしょうか。梶山法務大臣の御発言もそうなんですけれども、法務省としてはこれは決して精神障害者を差別しているつもりはない、それは大変残念な誤解であるというようなことをおっしゃられましても、では、例えばこれを読んだ人が明確にそう受けとめるでしょうか。精神異常者というふうな表現ですけれども、ああこれは精神的に病を持った人に対する大変問題ある発言だというふうに受けとめるというのがやっぱり率直なところではないかというふうに思うんです。そういう意味では、御説明はわかります、区別をしているんだという意味はわかりますけれども、こういう多くの抗議があり、あるいは誤解というよりもやっぱりそういう受けとめ方をされるようなこういう記載を、法務省が編集をなさって出版なさっているものにいまだに載せられて出版が続けられているということに私は大変憤りを感じないわけははいかないわけです。 どうでしょう。これまではこれは区別しているんだから問題はないという御発言のようですけれども、やはりこの際きちっと対応策をとられて、もし出回っているものであればそれに対する誤解を解く。あるいは既に出版されているものは、もうこれ以上は差しとめるとかいろいろな対策が講ぜられてしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。 まず、これは五千部と聞いておりますけれども、どのくらいまだ販売されずに残っているのでしょうか。その辺はいかがですか。
○説明員(篠田省二君) 正確なところは把握しておりませんけれども、数百冊残っているというふうに聞いております。
○千葉景子君 五千部で数百冊ですから、かなりの部分まだ残っているということになりますね。もしこれをこのままにしておけばまたこれがさらにどなたかの手に渡っていく、こういう可能性が残されているわけです。この際、やはりこれをも う回収なさるとか、そしてきちっとした法務省としてのこれに対する陳謝であるとか、あるいは御説明をされるべきではなかろうかというふうに思いますけれども、その辺の対応についてどうお考えでしょうか。
○説明員(篠田省二君) この本の記事につきましての私どもの考え方は、これまで国会等で明らかにしたとおりでございまして、この記事に関してはその後も各方面からいろいろ意見なり抗議なんかが来ているわけでございます。それに対しまして私どもとしては、この本としては増刷を考えていたわけですけれども、そういったような状況を考慮いたしまして、これからはまた別途の企画をすることを検討しておりまして、増刷はしない、そういうことにしたいというふうに考えております。
○千葉景子君 増刷しないというのはこれはもう当たり前のことでして、これだけ問題になっているものを増刷するなんということがあったらこれはとんでもないことですが、増刷しないだけではなくて、まだ残部が先ほど言ったように数百冊おありだということですね。これに対してやはりきちっとした対応をとられるべきだというふうに思うんです。 それは、これまで御発言をなさっていて、法務省としても立場としては大変嫌なものだろうというふうに思うんですけれども、少なくともこれ以上混乱を招かないように、あるいは差別というものに対する法務省として、法務大臣もそれだけこれから積極的に取り組んでいかれようとしているところなのですから、やっぱりその第一歩としてもこういう問題は早く処理をなさるべきだというふうに思います。 もし御即答できなければそれを検討いただきたいと思いますが、いかがですか。
○説明員(篠田省二君) 残部の処理につきましては、慎重に検討させていただきたいと思います。
○千葉景子君 ぜひそうしていただきたいというふうに思います。 また、この問題ばかりでなくて、法務大臣はせっかく積極的にいろいろな人権問題に取り組んでいこうと言われるのであれば、私はやはり、これまで大分指摘をされています、そして例えばこの間南アフリカからマンデラさんがお越しになりまして、その国会演説に法務大臣も大変感銘を受けられたというようなお話も伺っております。しかしながら、日本はいろいろな人権に関する条約などの批准率が大変悪くて、例えば人種差別撤廃条約などがまだ批准をされていないという状況でもございます。やはり啓蒙に積極的に取り組まれるということの第一歩として、法務省としてもこういう先ほどのような問題のあるものについては早く解消する、あるいは世界的にも日本が人権に真剣に取り組んでいるんだなという姿勢を示す意味でも、例えばこういう人種差別撤廃条約の批准に向けて積極的に取り組む、そういう姿勢を法務省が見せることによってやはり国民それぞれもまた改めて人権というものについての意識を深くするのではないかというふうに思います。 こういう問題も含めていかがでしょうか。今後の法務省としての対応について、総括的なお答えをお願いしたいと思います。
○国務大臣(梶山静六君) 前段お答えをいたしましたように、これからそういう人種差別問題あるいは人権問題、こういう問題には積極的に取り組んでまいりたいという気持ちに変わりはございません。 ただ、もう千葉委員先刻御承知のとおり、あくまでも原則そういうものには前向きであるべきでありますが、例外のない法則はないとよく言われますけれども、個別の例外はこれは当然あってしかるべきであります。ですから、今委員御指摘のお話を聞いておりましても、この間の丹羽先生が刀で刺される、そういう状況を見ますと、一般の人たちが逆に恐怖心を持つ問題もございます。本来精神障害者については、そういう危険がないという原則の理解を深めるためにも、医療機関は、そういう危険の有無についての認定をがっちりする、そういうやり方をしなければならないというふうに考えております。 今の冊子の問題についても積極的に検討すべきでありますし、また人種差別の撤廃条約、こういうものも実は私もあれ以降初めて勉強させていただきました。原則的には極めていいことでございますが、さらに国内法そういうものを見ますと、日本の法体系の中でこの処罰規定というものが日本の自由やその他の問題とどう競合してくるか、こういう問題を見ますと、小さい問題かもしれませんが、そういう問題に何らかの歯どめをとめないでそういうことをしますと、比較的人種問題のない日本でむしろそういうものの制限、罰則を設けることによって起きる障害、こういうものをどう検討するかという問題を私は早急に取りまとめていかなければならないということで検討を命じている次第であります。
○千葉景子君 今法務大臣の御発言をいただきました。その中にも私ちょっと気にかかるところもないわけではないんですけれども、それはまた別途御意見を伺わせていただくことにいたしまして、ぜひきょう指摘させていただいたことなどを含めて検討をいただきたいというふうに思っております。 それでは次の質問に移らせていただきます。 先ごろ司法試験に関係いたします制度改革の案がまとまったということが発表されているところでございます。これは、弁護士会等も含めて法曹三者におきまして一定の協議がなされて、それを踏まえて今後の取り組み方が決められたということでございますが、概略、どういうことにまとめがなされたのか、ちょっと御説明をまずいただきたいと思います。
○説明員(濱崎恭生君) 司法試験改革につきましては、昭和六十三年十二月以来法曹三者の協議の場で鋭意協議をしてきたところでございまして、御指摘のとおりこのほど十月、先月基本的な事項について了解点に達したものでございます。 この合意に達しました内容は、司法試験の合格者数、現在の運用では五百人前後でございますけれども、これを七百人程度に増加させました上、論文式試験の合否判定におきましては五百人程度は従前と同じような方法で合格者を定めるが、二百人程度は初回受験から三年以内の受験者から合格者を決定する、これを私ども合格枠制というふうに呼んでおりますが、こういう法制度を整備すると、こういうことについて基本的に了解をいたしました。そういった制度導入に関するいろんな条件、それからその制度の実施等についてのいろんな条件、これについて法曹三者、とりわけ日弁連の方からいろいろ御意見がございましたので、そういった問題についても基本的な点について了解に達したということでございます。 今申しましたような法制度を整備するということについて、そういう条件のもとに了解が得られたという状況を踏まえまして、ただいま法制審議会でその法制面についての御審議を始めていただいておるという状況でございます。
○千葉景子君 これは、今内容をお聞きいたしましたが、一定の期間、検証期間というんでしょうか、様子を見る、いろいろな調査を含めて検証してみる期間というのも設けられ、またその結果を見て最終的な結論を出される。結果によって今回まとめられたものを導入するかどうか決められるということになっているんだろうというふうに思います。 司法試験の問題は、これは単に司法試験の問題だけではなくて、これからの立法、行政、司法、その一翼を担う法曹養成の大変重要なポイントになるだろうというふうに思うんですね。そういう意味ではぜひこういう法曹三者なりあるいはさまざまな多くの国民的な意見を聞いて取り組んでいただきたいというふうに思うんです。 ただ、私は考えるに、やはり今大変裁判所もそういう問題を抱えていらっしゃるようですけれども、いわゆる検察官の不足というものも大変大きな問題になっていて、この司法試験の改革を通じてそういう問題も解消していこうという目標もあ るように認識をしているところです。 ただ私は、検察官の不足あるいはよい人材を得るという点については、やはり司法試験の問題だけではなくて、検察内部の、あるいは法務省として、その改革というのは別な面からも十分に取り組んでいただかなければ、やっぱり国民に信頼をされる、そしてさらにはその仕事に熱意を持って携わっていこうという法曹を、検察官を多く集めるということは大変困難ではなかろうかというふうに思っている一人なわけですね。 例えばこれはいい面と悪い面があろうかと思いますけれども、やはり検察官一体、同一の原則というもとでなかなかそれぞれの個性なり自由な意見というものが反映しにくい面があるのではないかとか、あるいは例えばいろいろな冤罪等を含めて検察の取り調べや捜査の状況に、どこか国民の感覚や期待に少し反する、ずれている部分があるのではないかとか、あるいは捜査においてもどうしても警察が主導型になって検察がそれを後追いするといいましょうか、上塗りするようなことになっている部分があるのではないかとか、あるいはその身分保障の面などにおいてもやはりあれだけなかなか重要な仕事で大変な仕事ですけれども、転勤等な含めてなかなか待遇の面でももう一歩というところがあるのではないかとか、やはりさまざまな問題点が隠されているのではないかというふうに思うんですね。ですから、この司法試験改革は当然これから進めなければいけませんけれども、それと同時に、真に司法の一翼を、そしてさらには国民の権利を守るという立場でやっぱり検察のあり方というものも問い直していただく必要があるのではないかというふうに思いますが、その点などについては法務省としてはどんなふうにお考えでしょうか。
○説明員(井嶋一友君) 千葉委員には、いつも検事任官者不足問題について御理解のある御質問をいただいておるわけでございますが、現状の認識といたしまして、現に任官者が減少してきているのかという問題がまずあるわけでございます。確かに本年度は二十八名という史上最低の任官者でございました。そういった意味で大きな問題になるわけでございますが、長い目で見ました場合にどうかというふうになりますと、実はその前の年は五十一名任官しているわけでございます。来年はもう少しふえるだろうと考えておるわけでございますが、そういったことで必ずしも一時的な減少が減少傾向だと言えるのかどうかという点がまずあるわけでございます。しかし、総じて言えば委員御指摘のようにやっぱり減少傾向といいますか、そういったものがあるのかなというのは私どもも認識をしております。 そこで、その原因はさまざまであろうと思うわけでございますが、また大きな一つのインパクトといたしまして、司法試験が非常に現状が悪くなってまいって、御指摘のように非常に高年齢化したということから、検事任官を志望する者にとりましても平均三十歳前後がこの修習終了時期ということになるわけでございますので、やはり任官するということに対するいろいろな障害が高年齢というところからくるという隘路があるわけでございまして、そういった意味で司法試験制度改革の一つの重要な動機になっておることは御指摘のとおりでございます。 しかし、それだけではないこともまた濱崎調査部長が御説明したとおりでございますが、それはそれといたしまして、司法試験の改革は改革として緒についておりますので、それを進めてまいるということでございますが、それ以外に委員御指摘のような待遇の改善も必要であることは私どもも同じ認識でございます。 そこで、どういう問題があるのかということでございますが、やはり検事、検察官の職務というのは非常に国民の人権を直接的に扱う仕事でございますから、その職務の重要性と申しますか緊張度といいますか、そういったものが日常要求される職種でございます。そういった意味で、非常に何といいますか、検察官としての心構えというものが今の若い人になかなかマッチしてこないという問題がまず一つございます。 それから、職務の性質上全国を規模とした転勤を行う必要があるということからしばしば転勤をするわけでございますが、それに伴いまして、子女の教育問題あるいは両親の世話の問題といったようなものがやはり若い人たちの隘路になって、任官をちゅうちょするというようなことにもなる。さらには、一番卑近な例になるわけでございますけれども、同僚であった、同期であった弁護士の収入と検事の収入とにやはり格差がある、その辺をどう考えるのか、こういったところが指摘できる問題点かと思っております。 したがって、私たちはそういった問題点につきまして一つずつこれを排除していくということが検事任官者をふやすための重要な政策だというふうに考えております。 そこで、例えば初任給調整手当といったようなものの増額を図ることによりまして弁護士との収入格差を埋める問題、あるいは庁舎、宿舎を整備いたしまして弁護士の生活と近似するような生活環境を整備してやるといったような問題、あるいは執務の環境をよりよくいたしまして、ロイヤーとしての検察官の誇りを保持できるような環境に整備してやるといった問題、それからさらには研修、特に海外研修等を充実いたしまして検察官としての能力、資質の向上を側面的に図っていくといったような問題、もろもろございますが、そういった任官の隘路になっておる障害を一つ一つつぶしていこうという政策を総合的に進めておるわけでございます。 委員の御指摘はいつもありがたく思っておるわけでございますが、そういったことにつきましては私どももさらに努力を重ねてまいりたいと思っておりますので御支援をお願いしたいと思います。
○千葉景子君 弁護士と比べて云々ということはさほど大きな問題ではなくて、やはりその職務が本当に情熱を持って、あるいは誇りを持って携わることができるというところに一番大きなポイントがあるのではないかというふうに思うんですね。待遇の問題なども確かにそれは第二次、第三次の問題としてあろうかと思いますけれども、ぜひそういうところも含めてこれからの法曹養成について、それから司法の充実という面についてお考えをいただきたいというふうに思います。 この司法の充実という問題をまた違った側面から考えてみますと、今度は裁判所の問題もあろうかというふうに思うんです。ちょうど裁判所は百年の記念がこの間ございました。その百年を記念していろいろ報道等あるいはいろいろな書物なども通じて新しい問題指摘、問題提起などもされているところでございます。裁判所においても多分こういう百年ということを契機にまた新たな飛躍といいますか、お考えもお持ちのところというふうに思うんですけれども、どうも見ておりまして、日本の司法というのは国民から少し遠いところにあるということが感じとしてあるのじゃないかというふうに思うんですね。 私、たまたまことし夏にアメリカを訪問する機会がございまして、たくさんの裁判所等も視察をさせていただいたわけなんですけれども、これは制度の違いあるいは歴史の違いもございますけれども、アメリカの司法制度というのは大変国民に近いところにある。これはいろいろな原因があろうかと思いますけれども、やはりその一つに国民が司法に参加をする機会がある。陪審制のような形でですね。そういうものが大変司法に対する国民の関心を深くし、そしてやはり司法を国民のものにしているというところが大変強いのではないかというふうに思うんですね。これは日本でも戦前に陪審制度というものがとられていた歴史もございます。そしてまた、それに対するいろいろな問題点もあろうかというふうに思うんですけれども、やはりこれ一度検討し、日本がもっと開かれた司法、やはり国民の近くにある司法ということを考えるときに、検討に値する問題ではなかろうかというふうに思うんです。 アメリカなどを見ておりますと、最高裁判所の 裁判官にどういう方がなるかというのは大変な関心事で、ちょうどことし交代時期にあったようでございますけれども、日本ではなかなか、私どもでも、あら今どなたが最高裁判所の裁判官をやっていらっしゃったかしらというふうなところも多いんですけれども、アメリカなどは大変そういう点はどういう方がということが関心になっておりました。それだけ身近だろうというふうに思いますが、そういう中で陪審制度、これは最高裁でも研究がなされているやにも聞いておりますけれども、いかがでしょうか。やっぱりこういう問題はもし今後検討するとすれば、国民の相当な理解とかあるいは納得というものが必要であろうし、それからやはり意見を聞く必要があるだろうというふうに思うんですね。 そういう意味では、今どういう段階にあるか、研究をなさっているのか、あるいは今後いろいろなさまざまな分野から、あるいは国民からこういう問題に対する意見などを聞いたりする予定とか考え方をお持ちなのか、その辺についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) ただいま委員が御指摘のように、やはり裁判所あるいは裁判というものを国民に身近なものにしていく、そのためにはやはり国民の司法参加ということが一つ大きく考えられていいのではないか、まことに御指摘のとおりだと思います。現在、国民の司法参加という点では、委員も御承知のように、既に民事、家事の分野におきましては調停委員、司法委員等の制度もございます。また、刑事の分野でも検察審査会というような制度はございますが、さらに国民の理解を深めていくという今委員から御指摘のあった観点から、刑事裁判につきましてもさらに英米における陪審制度等の研究をしていく必要があろうという、そういう観点から、最高裁判所におきましては二年ほど前から陪審制度について基礎的な研究を進めておる段階でございます。 現在は、内外の文献等に当たりまして基礎的な研究を行っているほか、実際に制度運営の現場で実態を調査研究することも重要であろうという観点に立ちまして、裁判官を英米に派遣し、陪審裁判の実態の調査研究もしておるところでございます。 これを若干具体的に申し上げますと、米国には一昨年秋に裁判官一名を二カ月間派遣しましたほか、昨年十一月からはさらに裁判官一名を一年半という長期にわたりまして派遣し、アメリカの各地の裁判所で陪審裁判の傍聴とか、裁判官、陪審員、弁護士、学者等といろいろ対談をして意見を聴取するなど、鋭意調査研究を進めておるところでございます。また、英国の方にも本年二月に裁判官一名を派遣しまして、五カ月間にわたり同様の調査研究をしてまいったところでございます。 さらに私ども、国民の司法参加という観点では、英米の陪審制度のほかに、大陸諸国における参審制度というものにつきましても同様の研究をしていく必要があると思いまして、ヨーロッパ大陸諸国における参審制度につきましても現在文献等で基礎的な研究を進めておりますほか、来春にはドイツに裁判官一名を派遣して実情調査に当たらせようということを考えております。 先ほど委員が御指摘のように、この問題自体は非常に大きな裁判制度の根幹にかかわる重大な問題でありますし、最終的には国民一般、全国民のコンセンサスというようなものを必要とする問題でもございます。国民一般の理解と認識を深めていくということが非常に将来の問題として出てくるわけでございます。したがって、私どもといたしましても、このような基礎的な研究を進めていく過程におきましても、適宜法務省と協議する場も設けていく必要もあろうと考えておりますし、将来的に申しますと、陪審、参審含め刑事司法における国民参加という観点から、弁護士会あるいは国内の学者、有識者初め広く一般国民の方々の意見もいろいろとくみ上げ、聴取していく機会を設けることも必要であろうと思っておりますが、何分にも現在の段階は、先ほど申し上げましたような基礎的な研究に今取り組んでおることでございますので、まだ次のステップにかかるには若干の時間をいただきたいというふうに思います。
○千葉景子君 これはそうきょうあすにすぐできるという問題ではございませんけれども、ぜひ研究を進めると同時に、やはりまずこの研究の段階で、開かれた司法という意味で国民の意見なども早く聴取をしたり、あるいはそういう機会を設けるなど、論議を広げていただきたいというふうに思います。 それでは、時間もさほどありませんので次の問題に移らせていただきます。これはちょっと具体的な問題になりますが、入管局長の方にお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。 と申しますのは、最近、これは数は何百というわけではございませんけれども、ふえている問題といたしまして、日本に在留している外国人の方が何らかの形で裁判を提訴をするとか、あるいは裁判を受けることになったというケースがかなり見られるようになってきました。 その一例といたしまして、日本で働いている方が突然解雇になった。首になったということですね。その解雇理由が大変不当なものであり、あるいは理由もないものであるから、それを裁判なりあるいは労働委員会の場などで争って、自分の働く身分をきちっと回復をしたい、こういうことで裁判が起こされたりしているケースが大分見られるようになってきております。私のところにもそういう問題が大分持ち込まれてきているわけなんです。 そのときに、現在の入管法のシステムから言いますと、裁判のために在留が保障される、そういう条項が直接的にございません。解雇をされておりますので、労働をしているというその身分がなくなりますので、働く在留資格が消えてしまう。ところが、じゃ裁判中どうするかというと、とりわけてそれのための資格がないということになります。しかし、もともと正当な在留資格があった者が一定の問題が起こって係争中であるということでございます。そうなりますと、やはりその裁判によって身分が確定するまで何らかの形で裁判を受ける権利、それを保障する道を確保しておく必要があるのではなかろうかというふうに思うのですね。 これについてはいろいろ法務省としても工夫はしていただいているようなのです。例えば特定在留で考えていただくとか、あるいは短期滞在、こういう形で在留を認めていただくとか、いろいろ工夫はいただいているようなんですけれども、やはり裁判を受けているというその権利を保障する、あるいはそれを実効あらしめるために何らかこれから考えておく必要があるのではないかというふうに思うのですが、その点について、法務省としては今どういうふうにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
○説明員(股野景親君) ただいま委員から御指摘のございました問題につきましては、法務省当局といたしましても真剣に検討をいたしておりまして、実際に訴訟等にかかわっておられる外国人の方々がその訴訟の遂行のために支障のないように配慮するということが必要であると考えております。 基本的に在留資格につきまして、ただいま委員御指摘のようなケースもあり、また異なるケースもあるかと存じますが、我々としては、もしその在留しておられる外国人の方が訴訟を提起されたような場合等において、本来の在留資格というものに引き続き該当するという状況であれば、これは本来の在留資格で引き続き本邦での在留を願うということにさせていただいております。 また、たまたま職を失われたというような場合に、ほかの同様の職に就職されることが決まるまでの間の例えば手当てが必要であるというような場合は、ただいま先生も御示唆のございましたように、短期滞在という在留資格で引き続き本邦での訴訟の遂行には差し支えがないようにさせていただきたいと考えております。また、短期滞在につきまして就労の点での制約があるのではないか ということもあるいはお考えかと思いますが、この点についても別途資格外活動の許可を得られれば就労ができますので、そういう点での配慮も入管当局としてさせていただきたいと思っております。基本的に、こういう裁判の問題について在留しておられる外国人の方に支障のないように配慮するという立れております。日本の今の裁判の実情というものを場で臨んでまいりたいと考えております。
○千葉景子君 ぜひそうしていただきたいと思うんですけれども、短期滞在の場合は非常に期間が限ら考えますと、きょう最高裁からもお見えいただいておりますけれども、到底短期の数カ月でなかなか裁判が決着をするという実情にはございません。そうなりますと、大変不安定な中で裁判を受けているということになるわけですね。 確かにもともとの身分がなくなったといえばそれまでなんですけれども、逆に言えばその身分そのものを争っているというようなことでもございますので、非常に難しい問題だとは思いますけれども、やはり今後何らかの道を、現在は短期滞在などでできるだけの対処をしていただいているというふうに思います。場合によってはそれをさらに更新するというような形で対処をいただいているということも聞いておりますけれども、やはりもう一歩、何か条項といいますかその道を、短期滞在というのはどうも普通は観光とか、一定の法律でも決められていますように、性格上はちょっと違う在留資格だろうというふうに思うんですね。 御苦心いただいていることはよくわかりますけれども、ぜひ今後もこういう点について、入管法というのはやはりこれからの国際的な関係の中でいろいろ問題点がほかにも出てくるところもあるだろうというふうに思うんですね。そういう意味も含めまして、ぜひ前向きで検討をいただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○説明員(股野景親君) ただいま委員の御指摘のとおりいろいろ実際のケースごとに状況が違う点もあろうかと思いますので、私どもも実情をよく踏まえて裁判のあるいは訴訟の遂行に支障のないよう入管当局として配慮してまいるという立場で臨んでまいりたいと思います。
○千葉景子君 それでは、これは質問の予定がなかったんですが、けさほどちょっと通告をさせていただきました。緊急な課題なものですから質問をさせていただきたいというふうに思います。 つい先日、報道等で私も目にしたところなんですが、いわゆる在日韓国、朝鮮の皆さんの法的地位に係る問題です。これまでいわゆる九一年問題と言われてまいりましたけれども、それについての法務省としての一定の見解がまとめられたというふうな報道がなされておりましたが、具体的にどのようなまとめになったのでしょうか。ちょっとその中身を御報告いただきたいと思います。
○説明員(股野景親君) 四月三十日の日韓外相定期協議で、在日韓国人の三世以降の方々の問題についての対処方針というものがまとまったという点は委員の御高承のとおりでございます。 先般来各種の報道がございますが、法務省当局及び政府といたしましては、この問題については引き続きまだ検討中でございます。 法務省といたしましては、先ほど申し上げましたこの対処方針を踏まえまして現在韓国側との協議も進めておりまして、その韓国側との協議も進めながら、法務省としての所管の事項につきまして、法務省の所管する法令の改正等の具体策について現在検討を進めているところでございます。 具体策といたしまして、先ほど申し上げました三世問題の対処方針で法務省の所管する事項としては五つの事項が記載されておりまして、そのうち永住許可に係る問題、退去強制制度に係る問題及び再入国許可に係る問題につきましては、これは入管法に関係する問題でございます。これらの事項につきまして現在鋭意検討中でございますが、法務省といたしましては、できるだけ早く政府部内の方針をまとめまして、できるだけ早い時期に法の改正案を取りまとめまして国会にお諮りするという方向で、現在努力中でございます。 それから、あと二つの項目といたしまして、指紋押捺の問題、それから外国人登録証の携帯制度の問題がございまして、これはいずれも外国人登録法に関係する問題でございます。 その中で、指紋押捺の問題につきましては、かねてから国会での御審議におきましても御説明申し上げておりますとおり、指紋押捺にかわる制度の開発ということが必要になってまいりますので、その開発のために相応の時間を今後も要するという状況でございます。また、携帯制度の問題につきましても、今後なお慎重に検討を要する問題がいろいろございますので、引き続き検討を続けてまいるということにいたしております。
○千葉景子君 今大分慎重な御発言だったように思うんですけれども、入管法に係る永住許可の問題、退去強制、それから再入国の問題、これは一定のこれまでより以上の緩和といいますか、そういうことが多分予定をされているのではなかろうかというふうに思います。 しかし、むしろ一番指摘も多い外国人登録法に係る指紋押捺とそれから登録証の携帯義務の問題ですね、ここは今お聞きするところによりますと、どうもこれまでの制度が維持されていくのではないかなというふうに受け取らざるを得ないのですが、やはり長年日本に滞在をされて、日本の国民と市民生活、社会生活では本当に同一な生活を送られてきている、生活の本拠も日本にあるという皆さんについて、確かに指紋にかわる制度というお話でございますけれども、まあこれ長くなりますが、外国人登録法の審議の際にも必ずしも指紋押捺の制度が一体合理的なものかどうかという問題もございます。それから、日本人と同じ社会生活というふうに考えれば、それは日本人が別に指紋を押しているわけではありませんので、それと同じような取り扱いをしても別におかしくはないということもございます。 そういう意味では、やはりこの外国人登録法に係る部分ですね、入管法の部分のみならず、きょうの御発言ではかなり慎重といいますか、余り大きな変更が加えられないというようなどうも様相がございますけれども、再考いただきまして、ここはまた必ず韓国側あるいは北朝鮮の皆さんからも指摘などが出されるところだろうというふうに思いますので、ぜひ再度の慎重な御検討をいただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○説明員(股野景親君) ただいまの御説明の中で、入管法に関係する事項とそれから外国人登録法に関係する事項についての事柄の違いによる時間的な問題を御説明申し上げたわけでございますが、指紋押捺につきましては、既に四月三十日の対処方針の中でも、三世以降の方々については「これを行なわないこととする。」という結論は明示をさせていただいております。 そこで、ただいま申し上げました指紋押捺にかわる制度の開発ということが懸案になってまいりますが、これについてはできるだけ早い時期にこれを開発する。そして、三世以降の方々についての指紋押捺が要らなくなるという状況に至るように最大限の努力を払ってまいる所存でございます。
○千葉景子君 最後にさせていただきますが、今三世以降というお言葉がありましたけれども、この問題はそれのみならず、一、二世の皆さんも含めて大変重大な問題でございますので、今後より慎重な、やはり日本の歴史、それの反省に基づいた考え方というものをぜひ根底に置いていただいた対処を考えていただきたいというふうに思います。終わります。
○会田長栄君 会田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 農業を取り巻く環境が国際的にも国内的にも大変厳しい中でございます。とりわけ農産物輸入自由化、米の市場開放問題をめぐりましては、十二月初めのウルグアイ・ラウンドに向けて、三度の国会決議を踏まえまして、日夜本当に健闘されて おります農水大臣並びに関係者に、この機会をかりて心から敬意を表するものでございます。 昨日、この決算委員会におきまして、米の市場開放問題に関連をいたしまして武藤通産大臣に、アメリカにおけるベーカー国務長官との会談でいろいろと国内的に農業関係者に心配をかけているような話題を提供された、このことに関連いたしまして尋ねまして、最終的に、内閣の一員として通産大臣も三度の国会決議を踏まえて、今後この問題に誠意を持って取り組んでいくという回答をいただいたところでございます。その意味では、改めて今後の日本の国土保全、公共保全並びに農業振興という立場から御努力をいただきたいということを改めて不退転の決意で臨んでほしいということも重ねてお願い申し上げる次第でございます。 この機会にもう一度、農水大臣の方から御所見を承りたい、こう思います。
○国務大臣(山本富雄君) お答えいたします。 ただいま大変な御激励を賜りまして、恐縮しております。従来ずっと、当然のことですけれども、同じことを申し上げ、かつ同じ行動を続けてきたということでございますが、米は日本国民の主食でございますし、かつ我が国農業の基幹をなすものでございます。また、水田稲作は国土や自然環境の保全、地域経済上不可欠な役割を果たしてまいりました。このような米及び水田稲作の格別の重要性にかんがみまして、今先生お話しのように、国会において三たび決議がなされておるわけでございまして、私どもはこの決議の趣旨を体しまして、今後とも国内産で米は自給するという基本方針で対処してまいりたい、ウルグアイ・ラウンドに向かってもその方針で終始いたしたいというふうに考えております。
○会田長栄君 よろしくお願い申し上げます。 さて、具体的に本日の農水省に対する質問に入らせていただきます。 その第一点は、国営で行われる総合農地開発事業についてでございます。すなわち土地改良事業についてでございます。この事業は、土地改良法に基づいて行われていると承知しております。その点で、この事業を行う場合、どのような手続と条件のもとに今日行われているのかということをお教え願いたい、こう思います。
○説明員(片桐久雄君) 農業と農村の健全な発展を図るためには、何としてもやはり農業の生産基盤である農地の整備、それからまた農村の生活環境の整備というものを一体的に行う必要があるという観点から、私どもは土地改良事業を積極的に推進している次第でございます。 この土地改良事業を推進する場合には、まず地元の大部分の農家の同意を前提といたしまして、それから関係の土地改良区、それから市町村、都道府県、そういう方々の同意、申請というものをもとにいたしまして、国営事業の場合には国が直轄事業として実施するということにいたしておりますし、また、事業規模が小さい場合には県営事業とか、それからまた団体営事業というような形で事業を実施している次第でございます。
○会田長栄君 これと関連してお尋ねいたしますが、実際に土地改良法に基づきまして国営で行う土地改良事業というものが今全国的に多数に上っておりますね。その多数に上っている中で実は伺いたいのは、農家の同意というのはどういう内容のものでございますか。
○説明員(片桐久雄君) 国営の事業を行う場合に、原則として関係の農家の三分の二以上の同意を得て事業を実施するということになっているわけでございますけれども、その同意の内容といたしましては、そういう農用地開発事業を実施するということについての同意とともに、またこの土地改良事業、農用地開発事業をやる場合にはある程度の受益者の負担というものもございまして、その受益者の負担についても容認していただく、こういう意味があるわけでございます。
○会田長栄君 そうすると、農家の方がその地域の三分の二以上の同意を得てやるわけでありますが、その同意をとった後で、現実に国の事業としてだれの責任のもとにこれは申請するのでございますか。
○説明員(片桐久雄君) 申請の手続は、地元の土地改良区、それからまた市町村、そういうものを経由いたしまして、県を経由して国の方に申請がなされるということでございますが、事業の実施主体はあくまでも国営事業の場合には国が事業主体ということで、国が責任を持って事業を実施するという考え方でございます。
○会田長栄君 それは国が主体になって事業をするから、国に責任があるということでございましょうが、最終的に農家の方々の圃場整備あるいは開田、開畑いろいろやるわけでありますから、当然にしてその事業計画というのは農家の方々の御了解を得て初めて成り立つものと私は思っているんです。その際に、今お尋ねしたように、同意の中身というのは、実は申請される場合に事業計画、事業費用あるいは工期、これなども含めて当然にして農家の方々も御承知して同意されるものと思っているんですけれども、その辺はどのようになっているのでございますか。
○説明員(片桐久雄君) 先生御指摘のように、農家から同意をいただく場合にはその事業計画全体について同意をいただくわけでございまして、その中には確かに工期とか、それからまた負担金の額とか、そういうものも含まれるわけでございます。 ただ、御承知のように農業を取り巻く情勢というものが非常に急激に変化をいたしておりますので、当初計画したとおりの事業がなかなか実施できないというような客観的情勢がある場合には、その事業計画を途中で変更して実施するということもやっているわけでございまして、変更する場合にもやはり地元の農家の同意をいただいているというような状況でございます。
○会田長栄君 実は今全国的に過疎県と言われる県が二十一県、あるいは市町村自治体で言えば三百以上、こういう該当する地域が過疎地域とされておりますね。しかし、この過疎地域に意外と国営で行われている土地改良事業というのがあるわけですね。 農業の振興あるいは地域経済の活性化などというような大目標に向かってやっている割には、なかなか進展の状況が芳しくないということになっていまして、今この土地改良事業をめぐって農家の方々が一番不安に思っていることは、工期が長いということと、事業計画が変更になるということと、農家の負担が著しく高騰する、その上に農業の生産性が上がらない、いかにしてこの負担金を返していくかということが心配の種のようになっていまして、当初の土地改良事業に基づいて行われた大目標とはちょっと違ってきているような気がしてならないんです。したがいまして、事業計画が改めて変更される、変更された事業計画も時によってはまた変更されるということで、当初農家の皆さんに土地改良事業を勧めるに当たって説明されてきたことと大きく認識が違ってきているんですね。 例えば、全国的にこれは田んぼ、畑両方含めまして、田んぼであれば大体皆さんの負担金というのは十アール当たり米一俵ぐらいですよと。米一俵というから大体平均したら二万円ぐらいか、それなら二町歩開田しても何とかやっていけるのではないか。そこに希望を見出してみんな承知してきたわけです。ところが、その後変更変更と、こういうものがあって、とりわけ今日的な国際、国内情勢、経済活動の情勢の中にあって、多分十年、十五年、二十年、二十五年もかかる工事でありますから、当然にしてその事業費というものは当初約束したよりは膨らむことが当たり前なんですね。ところが、そのことと関連をして、農家の所得、生産性向上とうまく車の両輪のように走ってくれればいいわけなんでありますが、どうも片方が走らない。走らないと言ったのではしかられるかもしれませんね。のろのろ。片方はスピードがあるというように、ちぐはぐになっているわけですね。そこで大変不安を持っているわけですよ。そういう意味から言うと、この国営で行われ ている土地改良事業というものについても、当初の目標というものに向かって、これは農水省だけでは私はなかなかうまくいかぬと思うんですよ。 今日、ふるさと創生事業とかあるいは休暇村とかレジャー施設とかレジャー地域とかといって、大分法律に基づいてそれぞれ展開しておる。こういう中にあって、実際は結合しない。いわゆる村づくり、町づくりに結合しないということがあるものだから、どうしても農家の方の生産性、所得の向上というものは遅い。低い。そこでこの土地改良に伴う負担金のところだけに目が行く。目が行くんですよ、実感として感ずる。ところが、こういう金余り現象、東京金余り現象と相まってゴルフ場の設置要求が物すごく出ているでしょう。このことと関連をいたしまして、いわゆる土地改良事業というものがもう少し縮小してくれたらいいなとか、負担金を安くまけてくれたらいいなとか、そういう議論になってしまっているということは事実でしょう。あんな雑木山ただ遊ばしておくんだったら、今坪八千円で売った方がたんと所得になる、もう土地改良はやめてあの雑木山を売っちまうべと、こういう状況になってしまっているんですよ、気持ちが。だから、この土地改良事業計画を縮小してくれという声が出ちゃうんですね。 しかし、土地改良法に基づいて行われているところの事業というのは、本来であれば目標はもっと明確で、もっとバラ色だったんですね。何とかうまくいくぞと言って喜んでいたんですね。しかし、現実はそのようになっていないというところから、今日農水省は、ふるさと創生事業その他の法律に基づいて地域の活性化ということでもろもろの具体的事業が政府によって計画され、地方自治体で計画され、これを総合的にやれるような相談というのは農水省内で検討されているんですか。それとも政府部内でそういう検討を総括的にやる場所がおありなんですか。ちょっとこの辺のところをお聞きしたい、こう思っております。
○説明員(片桐久雄君) 私ども、全国各地で農用地開発事業を初めとする土地改良事業をやっておるわけでございますけれども、相当多くの地区ではこの土地改良事業を契機にいたしまして、いろいろ農業、農村の活性化を図り、地域振興に役立っているというケースが多いというふうに思っているわけでございますけれども、ただ先生御指摘のように、一部の地区ではいろいろ事情の変化によりましてなかなかうまく事業の成果があらわれないというところもあることは事実でございます。私どもは、そういうようなケースにつきましても、何とか私どもの実施している土地改良事業を活用しながら地域振興に役立てるようにということでいろんな努力をしている次第でございます。 先生御指摘の負担金の問題につきましても、いろいろ工夫をしながら負担金の軽減ということについて努力をいたしておりまして、特に平成二年度の予算では、この負担金の償還を円滑にするといいますか平準化するという観点から、新しい助成措置を打ち出すというようなこともやっておりますし、またこの負担金の軽減のために、できるだけ土地改良事業の公益性というものに着目して、地方公共団体、特に市町村からある程度の負担をしていただいて農家の負担を軽減していただく。その場合の市町村の負担については、地方財政措置の充実というようなことも打ち出している次第でございます。 それからまた、先生御指摘の地域の総合的な活性化のための対策をどう講じていくのか、こういう御指摘でございますけれども、確かに最近の農業を取り巻く厳しい情勢ということから考えますと、農業だけでなかなか地域の活性化を図れないという地域もかなり出ておりますので、農業も含めまして農業外のいろんな就業機会とか所得機会をふやしていくというような工夫もする必要があるということで、私どももいろいろ努力をしている次第でございます。 特に、平成二年度から農業農村活性化農業構造改善事業というものを新たに実施いたしておりまして、この中で二十一世紀村づくり塾運動というようなものを推進している次第でございます。この運動では、都市の住民とかそれからまた企業関係者とか、そういう方々の知恵もかりながらその地域の活性化のためのいろんな知恵を出していく、そういうことでいろいろ努力をしている次第でございます。
○会田長栄君 私は、土地改良事業は当初の計画、目標どおり進めるべきであるという視点なんですよ。というのは、先ほども申し上げたとおり、全国で二十一県がもう過疎県になっているんですね。市町村で言えば、正確ではないかもしれませんが、五百七十、これが過疎化が進行している。しかし、一面でこの土地改良事業というのは、農業の振興と地域経済の活性化のためにこれまた進行している。その点で、政府一体になっていわゆる農家の方々の所得向上、そのための生産性向上といいましょうか、あるいはリゾート法に基づいて今リゾート開発というものが進んでいる、あるいはレジャー産業が大きく伸びている。こういうところから関連をすれば、この三つを非常に連結をして総合的に重点的にやっていったら、もっと夢が出てくるのではないかと思うから、私はここに視点を合わせて今お尋ねしたわけでございます。 そういう議論というのを農水省あるいは政府部内の関係省庁でする時期に来ているのではないかと思うから、私が思うぐらいでありますから、政府はとっくに思っているんだろうと思いますけれども、そういうことがございましょうか、こういうことです。
○説明員(片桐久雄君) 先生御指摘の、特に中山間地域といいますか、自然条件の恵まれないような地域で、もちろん農業振興ということで一生懸命やるわけでございますけれども、ただそれだけではなかなか地域の振興、地域の活性化が難しいというようなところでは、農業外のいろんな就業機会、所得機会、特に先生御指摘のようないわゆるリゾート開発といいますか、政府の方でも総合保養地域整備法、こういう法律を制定いたしまして、関係各省庁がその支援のためのいろんな措置をやっているわけでございます。それからまた、農水省といたしましても、農業外のいろんなそういう、例えば市民農園とか観光農園とか、そういうような都市の住民と農村が交流しながらいろいろ所得機会をふやしていくというような仕事もいろいろ進めてまいりたいということで努力をしている次第でございます。
○会田長栄君 これはふるさと創生事業と相まって、町づくり、村づくりというものが今全国的に各市町村で大きく力を入れられているところでございますから、この土地改良と関連をしてうまくいっている地域、なかなかうまくいかなくて問題ばかり出てくるというような地域を皆さん把握していたらぜひ教えてもらいたい、こう思います。
○説明員(片桐久雄君) 現在私ども二十一世紀村づくり塾運動というものを全国的に、都道府県段階それから市町村段階、いろいろ組織をつくりまして進めている次第でございます。確かに非常にうまくいっている地域というものもございまして、特にどういうところがうまくいっているのかということでございますけれども、大体市町村長さんとか農協の組合長さんとか、そういう地元のリーダーが非常にしっかりしていて地元のまとまりがいいというところが比較的うまくいっているのじゃなかろうかというふうに思っているわけでございます。私どもといたしましては、そういう村おこしといいますか村づくりのためのリーダーを育成するためのいろんな事業というものにも取り組んでまいりたいというふうに考えております。 先生御指摘の、そういううまくいっている地域について把握をしているかということでございますけれども、私どもとしては、いろんな調査を行いまして、そういう実態もいろいろ把握いたしまして、関係のところにそういう情報を流しているという状況でございます。
○会田長栄君 関係の市町村に今情報を流してい るとお答えになったんですね。それでは、この機会でありますから、ぜひ私にもその資料をいただきたいと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。 そこで、最終的にこの土地改良事業について二点だけお伺いいたします。 国営土地改良事業は、これは御承知のとおり大型プロジェクトでありまして、農政あるいは財政の抑制、こういったものと関連をするし、受益者農民あるいは土地改良区の要望、こういったものが次から次に出てきて、事業計画というのは当初の計画よりも質、量とも拡大するというような傾向にあることを私は承知しています。したがいまして結果的に、事業費が当初計画で実施を始めたとき、いわゆる同意するときにお話し申し上げたものよりも農家の負担額というものは十アールにつき十倍ぐらいに実は工期が長くなり、質、量とも変わってきているというところから出てきている。したがって、今農家の皆さんが最も心配しているのは、これだけの負担金が払えるのかというところに実はきているわけですね。 それは先ほど申し上げたとおり、生産性の問題、農家の所得の問題と関連をするし、多分に東京マネーが地方に参りまして山や畑を買い占めるというような動きも出ているところなものだから、余計にその問題がクローズアップされる。いわゆる農水省の努力していること各自治体の努力していることというのがなかなかストレートに入らない。そういうことと関連をいたしまして農家の皆さんの生産意欲というものは非常に減退しつつあると言った方がいいんでしょうか、そういう状況でありましょう。 したがって、これと関連をいたしまして私は最後に二つだけ質問させていただきます。 一つは、国営土地改良にかかわる農家の負担金の減免対策というのは今日の現状ではどのようになされているか、ひとつお聞かせ願いたい。
○説明員(片桐久雄君) 土地改良事業の農家の負担金につきましては、農業を取り巻く情勢というものが非常に厳しいということから、できるだけその軽減に努めてまいりたいというふうに考えております。 六十三年からこの対策に取り組んでいるわけでございますけれども、一つは、償還期間をできるだけ延ばすといいますか、計画償還制度というものを導入した次第でございます。これは償還期間が従来は十五年または十七年というような償還期間でありますけれども、これを二十五年ぐらいに延長いたしまして、それで年々の償還額をできるだけ低くする、こういうような工夫もいたしております。 また、平成二年度からこの対策を打ち出しているわけでございますけれども、償還額のピークをできるだけ平準化するというような対策を講じまして、この平準化するための必要な資金につきましては無利子で融資をするというようなことで、この無利子助成のための基金といたしまして、平成二年度から五年間かかって一千億円の資金を造成いたしましてその助成に充てる、こういうようなことも平成二年度に打ち出した次第でございます。 それからもう一つ大きな点は、土地改良事業の公益性といいますか、公共性という観点から、県それから市町村などの地方公共団体の負担をできるだけふやしていただくということでございます。このための地方財政措置を充実するというようなことで、そういういろんな措置を講じながら農家の負担をできるだけ軽減する、こういう努力をしている次第でございます。
○会田長栄君 この農家の負担金を軽減するために六十三年度以降やられている三点の事業につきまして、一定の条件というのが常につけられるとこう思いますが、その一定の条件というのはどのような中身なのか、ちょっと教えてください。
○説明員(片桐久雄君) この条件につきましては、それぞれの方法についていろいろありますけれども、基本的な考え方といたしましては、まず農産物の自由化とか、それからまた米の需給調整とか、それからもう一つは工事の期間中に事業費がどのくらい高くなったのかとか、そういうような指標をもとにいたしまして適用の地域を決めている次第でございます。
○会田長栄君 今日、国内的には農業を取り巻く条件というのは厳しくなっています。このまま推移すると農業の後継者がいなくなってしまうのではないか、いわゆる農業を営む人が他の産業に全部吸収されてしまうのではないかという実は一種の危機感を持っている一人でございます。その意味では、この土地改良事業に伴っての農家の負担金対策というものに積極的に政府も、今日までの努力を多としますが、それ以上に検討されるようにお願いを申し上げておきます。 第二の問題は、私先ほど申し上げましたが、何といっても土地改良を何のためにするんだというところにくるわけですね。これを今忘れてはならないんだと、こう思っているんです。そこで農水省といたしましては、この農家の負担金と同様に営農指導というものがどのように一体行われているのかということがこれは非常に大事な問題なんですね。 そこでお伺いをします。農地開発事業を図る観点から、営農の対策事業は当面具体的に一体どのように行われているのかというところをお尋ねいたします。
○説明員(片桐久雄君) 現在国営で農用地開発をやっておりますのは、全部畑地の開発ということでございます。それで、畑地開発の場合には、営農指導というものが非常に重要であるというふうに考えている次第でございます。特に新規に畑地を開発する場合には、どういう作目を導入するのかということが非常に大きなポイントでございます。そのための新規作物、どういう作物を導入したら一番成功するのかというような検討をするための調査というものを実施いたしております。大体最近では果物とか野菜とかそういうものが中心でございますけれども、そういう新規作物の導入のためのいろんな調査検討ということが第一点でございます。 その次に、その事業地区の営農の展開方向とか、それからまた従来の営農方法をどう改善していくかというようなそういうためのいろんな調査、それから新しい営農技術というものを導入する場合のいろんな、実際にやってみせるといいますか、実証、実用化するための展示圃というようなものもやっているわけでございます。それからまた、営農をうまくやるための営農の組織づくりといいますか、そういうものも非常に重要であるというふうに思っております。 こういうような営農指導を行うために、農水省の地方農政局というのがございますけれども、それからまた県、それから地元の各段階でそういう営農の指導の推進体制を強化していくということでございまして、具体的に、現地におきましては国営の事業所、これは農林省の一番の末端の機関でございますが、それに都道府県には農業改良普及所というものもございます。それからまた、市町村の関係者、土地改良区、農協、そういう地元の関係機関で構成する営農推進組織というものを整備いたしまして、受益農家の所得の向上に向けていろんな指導を充実していく、これからもまたそういう方向でいろいろ努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○会田長栄君 最後でありますが、実は行政改革という言葉がはやり出し、そして実行され、財政が抑制されて大変地方の農業試験場とか研究所とか、営農指導をやる場合の農業改良普及所とか、縮小されているんですね。これはまことに私の意図することと反対なんですよ。そういう残念な状況に今日きているということを見逃すわけにはいかない。 したがって、当初目標を立てて土地改良を国営で行われているわけですから、ぜひこの目標を失わずに、山間地域の過疎県あるいは過疎市町村にこれ以上拍車がかからないように、この改良事業の分野でも総合的に前進できるようにひとつ農水省としても今日までの努力の上に立って、さらに 追求してほしいということをお願いして農水省の質問は終わります。
○説明員(片桐久雄君) 先生御指摘のように、確かに行政改革という問題もあるわけでございますけれども、農用地開発を新規にやっているところとか、また畑に新たにかん水するいわゆる畑かん地域というふうに承知しておりますけれども、そういうところでの営農の指導の重要性というものは非常に大きいわけでございます。 私どもといたしましては、そういう農用地開発の地域とか畑かん地域とか、そういうようなところには特に重点を置いて指導体制を整備するように都道府県、市町村を指導いたしてまいりたいというふうに考えております。
○会田長栄君 この土地改良事業を中心といたしまして、最終的に目標を失わずに、当面課題になっておりますところの農家の負担金軽減の問題、そして地域経済の活性化、あるいは特産物を中心とした営農指導の向上、いわゆる農家の所得向上というようなことで努力されているということでございますが、今私が申し上げたとおりの状況でございますから御努力いただくこととして、最後に、農水大臣からひとつ今後の御努力の決意などを承れれば幸せでございます。
○国務大臣(山本富雄君) 土地改良問題などを中心にしていろいろ御指摘があったわけでございますが、一々私ごもっともだというふうにお聞きをしておりました。先生の御主張などを十分踏まえまして、今後さらに努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
○会田長栄君 ありがとうございました。 それでは次に、法務省に移らせていただきます。 日本政府の招待によりまして来日されたアフリカ民族会議副議長のネルソン・マンデラ氏が国会で演説されました。そして、その演説内容の一節に、南アフリカを民主的で差別のない一体としての国へと変革していくに当たり、日本政府の招待は励みとなると、こういうことが述べられました。私も、三十年間に及ぶ苦闘を思うと、何となくこれからが大変という気持ちで拝聴したわけでございます。 そこで法務大臣、この演説をお聞きになりまして、法務大臣としてどのような所感を持たれたか、まずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(梶山静六君) ネルソン・マンデラ・アフリカ民族議会副議長の国会演説をお聞きいたしまして、今委員御指摘のように、二十七年余に及ぶ投獄にも屈せず、志を高く信念を貫かれたその風格と申しますか、そういうものに接して、大変感動を覚えた次第であります。そして、同氏が世界を歴訪され、アパルトヘイト撤廃のために献身的な努力を重ねていることに深く敬意を表するとともに、一日も早くアパルトヘイト撤廃が実現するように願ってやまない次第であります。
○会田長栄君 次にお伺いしたいのは、実は非常に高邁な感想をお持ちになりまして、私も全く強く胸を打たれている状況にありますから、今後ともぜひ人権問題を中心として法務大臣としても御努力をお願いしておきたいと、こう思っております。 そこで、法務大臣の過日の人種問題の発言ですが、実は国際協調ということを日本政府は外交政策の基本にしているわけですね、ところがこの発言問題が瞬く間に世界各国を走りまくりました。折も折、日本政府がネルソン・マンデラ氏を招いて国会で演説をいただくということになっているときの発言でございます。 私は、その意味では深くはきょうさわるつもりありませんが、実は我々日本国の同胞が海外に行って働いている、なおかつ経営をしている、あるいは永年居住をしているという状況にあるんですね。このことが私は最も今日本政府が気を使わなければならない時期ではないかと、こう思っているんです。したがって、これは海部内閣が一体的にこの種の問題について誤解のないように誠意を持って取り組まなければいけない課題だと思っているんです。このまま海部内閣が誠意を示さないでおけば、間違いなくこの火種というのは、常にあらゆる課題の底辺にこの種の問題が置かれるのではないかという危惧がしてなりません。したがって、法務大臣初め海部内閣が、今後とりわけ海外で活動をしている人たちがそういう心配のないように、国際交流活動を通じてできるようにしていくためには、本当に慎重に誠意を持って一つ一つ具体的に対応していかなければいけないのじゃないかと、こう思っている次第であります。 その点についての今後の御決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(梶山静六君) きょうの前半、千葉委員にもお答えをいたしましたように、私の発言に人種差別の意図は全くなかったのでございますが、結果として大変な誤解を与え、その言葉を撤回し、陳謝を申し上げ、これからの行動をもってその責めを果たしていきたい、こういうことを申し上げたわけであります。国際化が進むに従いまして、その辺の配慮が極めて大切だということを身をもって痛感したわけであります。 人権擁護を所管する者といたしまして、国内においても国際的にもすべての人間が人種や性別、信条あるいは信仰によって差別のされない、法のもとに平等であるという人権思想をこれから周知徹底させるために、あらゆる機会を通じまして努力を重ねてまいる所存でございます。
○会田長栄君 さて、これと関連をいたしまして、我が国の人権問題でございます。年々この人権問題が国民共通の認識となりつつあって、多くの国民に関心を持たれているところでございます。これは喜ばしい限りではございますが、そこで法務省にお伺いいたします。 法務省は、毎年度、人権尊重の思想を定着させるためもろもろの事業に取り組んでいるように承っております。そこで一つは、その法務省が人権尊重の思想を定着させるために取り組んでいる事業というものがどのようなものがあって、それに取り組んでいる結果、どのような一定の成果が出てきて、一面でどういう問題が今日出てきているのかということについてお伺いいたします。二つ目の問題は、特に今日、国際的、国内的に大きく取り上げられようとしていることがあればひとつ説明を願いたい、こう思います。 特に、先ほど私どもの同僚議員の発言で、日本の裁判というものがありましたが、長いことで有名なのは日本の裁判、そういう意味では大変人権が抑制、抑圧されている期間が長いということもこれ事実であります。そういう意味で何とかこの問題についても法務省として、先ほどお聞かせいただいて今海外に行って調査研究をしているということではございますけれども、精力的にこの長期裁判という問題についてどのように一体対応していっているのかということも含めてお聞かせ願いたい、こう思います。
○説明員(篠田省二君) まず、法務省が具体的にどういう取り組みをしているかということについてお答えいたします。 法務省の人権擁護機関といたしましては、広く人権思想の普及高揚を図るために積極的に、具体的には人権侵犯事件の調査、処理それから人権相談を行うことによって具体的な事案を通して人権尊重の意識の高揚のために活動を行っております。それから、一般啓発といたしましては、毎年啓発活動の重点目標を掲げ、マスメディアを利用した広報、講演会、座談会、シンポジウム等の開催、さらに啓発用ポスター、リーフレット、啓発物品の作成、配布、中学生を対象とした人権作文コンテストの実施等を積極的に行っているところであります。 本年度は、啓発活動重点目標に「社会の国際化と人権」、サブタイトルとして「国際化時代にふさわしい人権意識を育てよう」という項目を掲げまして活動をしておりますが、昨今、我が国社会においてアメリカのマイノリティー問題について認識不足が見られるということが指摘されていることから、人権週間を中心としてマイノリティー問題についての認識を国民の間に根づかせるために、具体的には今月二十六日に東京法務局の主催 で講演会と映画の集いというものを計画しております。そのほか、人権週間に行いますシンポジウムにおきましても、マイノリティー問題をも含めました活動を展開したいというふうに考えております。 それから、裁判に関する御質問でございますけれども、人権擁護局といたしましては、啓発活動ということについての所管事項でございまして、所管外ということになりますので、ちょっとその点のお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○会田長栄君 それでは次に、昨日に引き続きましてまた水俣公害訴訟の裁判所和解勧告を環境庁が拒否したことについてお伺いいたします。 水俣公害訴訟の東京地裁の和解勧告、そして政府がこの勧告を拒否したことについて、なぜ被害が大きくなったのか、そして二十年以上も苦しみ続けている原告に対して、余りにも非情ではないかということで、とりわけ水俣公害と厚生省との関係、農林水産省との関係、環境庁との関係、通産省との関係、経済企画庁との関係などを今日までお尋ねしてまいりました。その上に、東京地裁民事部の和解勧告だけではない、福岡地裁、福岡高裁というように次々と恐らく和解勧告が続くであろう、こういうことも予告をしてまいりました。経過はそのようであります。 したがって、この和解勧告について、熊本県知事あるいは株式会社のチッソも勧告どおりテーブルに着くということを意思表明いたしました。国だけは、行政の筋を通す、こういうことでございました。環境庁は関係省庁と慎重に協議をしましたが、和解勧告拒否の姿勢は変わっていない状況だと承っております。その理由は、行政の筋を通す、裁判の結果を待ちたい、これほど冷たい響きはないでございましょうと私は感じます。 そこで、決算委員会で法務大臣にお願いをしていたとおり、そのことについてお尋ねいたします。 一審、二審の和解勧告は拒否というかたくな一点張りでなくて、環境庁自身が関係省庁と協議をして政治決断をすべき時期でありましょうと私は申し上げました。そこで恐らく環境庁長官から法務大臣にその話があるものと思います、その際は、法務大臣は積極的にこの和解勧告を受けとめて政治決断の一助とすべきでありましょう、こう申し上げましたが、環境庁長官から、法務大臣、御相談がありましたか。
○国務大臣(梶山静六君) 水俣病に関する関係閣僚会議に報告するため、環境庁ほか関係行政庁が水俣病訴訟に関する国の見解についてと題する見解を取りまとめることに当たって、当大臣も相談にあずかったところでございます。
○会田長栄君 相談にあずかったそうでありますから、それではもう一つ重ねてお尋ね申し上げます。 環境庁が関係省庁と協議をして、なおかつかたくなな姿勢というのは、どんな理由なんでしょうか。
○国務大臣(梶山静六君) 和解勧告が出たことは私も承知をいたしておりますし、そういうことができるというか、環境が整っているかどうか、こういう問題については私も少しく検討させていただきました。しかし、水俣病の被害者に対する救済制度、これは既に公健法に基づく認定制度、それに基づいて公平な救済が図られているはずでありますし、さらに環境庁において、地域住民の健康不安の解消を図るため、新たな施策を検討しているというふうに聞いております。 それから、各地の水俣病訴訟において、さきに公表された国の見解のとおり国の法的責任の有無が問題にされている上、そもそも原告らが水俣病に罹患しているかどうか、この重要な争点となっていることから、今回の裁判所からの和解勧告に応ずることができないという各省庁の見解は、私は妥当なものだというふうに考えております。
○会田長栄君 私は、水俣病が発生をして、公害で大変長期間苦しんでいる、この国の行政機関とのかかわりというものを前回、前々回お尋ねいたしました。決して国の行政機関として逃げられる状況ではございませんということもその際申し上げました。それは、国の各関係行政機関が最初から真剣な、慎重な、なおかつ公害を防止するという観点に立てば、この問題は最小限に食いとめられたのではなかったのですかということもつけ加えました。ましてやチッソ、あれを製造すれば水銀が出てくるなどというのをわからないでつくっている人などは、そういう化学者は一人もございませんということもつけ加えました。 したがって、なぜテーブルに着けないのか。熊本県知事も着く、チッソも着く、こういうことでありますから、私は、環境庁は丸腰では着けない、こう思っているのじゃないか、本当の理由は。テーブルに着けば必ず補償の問題が出てくる。補償の問題が出てくれば必ず金だ。ところが環境庁にはそういう金はない。関係省庁にもそういう金があるかといえば当然にしてない。なければ着きようがない。だとすれば、これはもう海部内閣総理大臣が内閣の意思統一をして政治決断すべき時期に来ていると私は思っているんです。恐らく金の問題ですから、大蔵省は首を簡単に縦に振らないでしょう。 そこで、最後に法務省の関係局長にお尋ねいたします。 裁判所の和解勧告は、一審で和解勧告が出て解決することもある。二審判決が出て和解することも多々ある。伝えられるところでは、行政の筋を通す、一審、二審ではだめだ、こういう御意見が伝えられておりますが、そういうことはないのでございましょう。したがって、今日、この種の事件で一審で和解した、二審で和解したという例があったらぜひ聞かせていただきたい、こう思います。
○説明員(加藤和夫君) 御質問の件でございますが、スモン訴訟の和解の例がございます。スモン訴訟につきましては、その当時、和解の当時でございますが、九つの地方裁判所におきまして国の損害賠償責任があるということを前提とした判決が下されておりました。それともう一つ、水俣病訴訟においても問題になっております原告らが病気にかかっているかどうか、こういう点に関しましては、スモン訴訟の場合はそれほど大きな争いではございませんでしたけれども、医師のキノホルムの投薬証明というのがございまして、これによって病気であるということは確認される。この二つの点から和解の条件が十分整っていた、こういうことでございます。したがいまして、国としても裁判所の和解勧告に応じて和解の成立に至った、こういうことでございます。
○会田長栄君 どうぞこの問題、まさしく苦痛の伴う問題でございますから、法務大臣含めまして海部内閣としても早期に政治決断できるようにお願いをして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○西岡瑠璃子君 私は、国有林野事業の再建と活性化について、主としてそのことについてお尋ねをいたします。 その前に、まず、高知県でこの十一月に百周年を迎える県立農業高校というところがございます。そこの生徒さんが先日私にこのような手紙を送ってまいりました。全文を御紹介するには時間がございません。一部を御紹介いたしまして、特に農林水産大臣に、この若き農業後継者となるべき人たちの心からの叫びをお聞き取りいただきたいと思います。 読みます。「私たちの多くは農業高校生としての誇りを胸に日々過ごしておりますが、一部の生徒の中には目標を見失って怠惰な毎日を送ったり、いろいろの理由から中退に至る生徒が後を絶ちません。また内外の諸情勢から日本の農業そのものに対する大きな不安感にさいなまれている者もおります。」「普通高校と違い、座学の授業のほかに各種の実験実習や作業実習に多くの時間をさき、花や野菜を育てたり、家畜を飼育したりすることに快い汗を流しております。」と、そういう毎日ですけれども、「どうか我々農業高校に学ぶ生徒のために」私どもを励ます言葉、そして今の農 業を取り巻く情勢についてわかりやすいメッセージを百周年に当たり送っていただきたいと、こういう要請でございました。これはもっと長いのですけれども、ほかにももう一人の女性の作文もつけ加えられておりました。 私はこれを読ませていただきまして、もう二晩徹夜をいたしまして、簡単な文章でいいと書いてございましたけれども、このような「農業は国家の基本です」という冊子を手づくりでつくりまして開校記念日に間に合うようにお送りをしたわけでございます。 きょうは会田委員の方からお米の問題、農業の問題について詳しく御質問をせられましたので、私は重複を避けまして、今の農業高校生の手紙を御披露し、これからの農政について本当に彼らが日本の農業に希望が持てる、夢が持てるようにぜひお取り組みいただきたいということをお願いして本題に移ってまいります。 去る八月三十一日、IPCC、気候変動に関する政府間パネルが地球温暖化について科学的な知見をまとめて報告書を出しております。温暖化ガスの排出規制とともに、とりわけ温暖化ガスを固定する森林の造成、充実などの諸対策の検討が国際的にも大きな課題となるであろうことは必至でございます。熱帯木材丸太貿易の四割を占め、熱帯林の喪失にも大きな責任があります我が国が、熱帯林再生基金の創設など有効な対策を示すとともに、国内の森林資源充実に国としての一層の取り組みが望まれると思いますが、そうした立場から主として国内森林問題について幾つか政府の対応をお尋ねしたいと思います。 きょう私の質問にお答えくださる農水大臣、そして小澤林野庁長官は私の地元であります高知県にも二年ほど赴任をしておられましたと伺っております。ぜひ誠意あるお答えをいただきたいと存じます。 まず、昭和六十二年に森林資源基本計画が改定されておりますけれども、その前の五十五年計画の目標達成度はいかほどでございましたでしょうかお尋ねいたします。
○説明員(小澤普照君) 先生の御質問にお答えいたします。 この森林資源につきましては、まさに熱帯林も含めましてその整備、充実が叫ばれているときでございます。そのような観点から私どもも国内の森林資源の整備につきましては積極的に進めてまいりたいということでやっておりますが、特にこの森林が持っておりますいろいろ多面的な機能というものを総合的に発揮するために森林資源に関する基本計画を策定いたしまして、これに基づきまして森林整備を進めているところでございます。 今先生お尋ねの、昭和五十五年に改定されました基本計画でございますけれども、この達成状況につきましては、昭和六十年度の時点でこれを分析といいますか評価してみましたところ、造林の面積につきましては約六割、それから伐採量、まあ収穫量でございますが、これにつきましては約七割、それから林道の開設量でございますが、これにつきましては約六割の実行結果になってございます。
○西岡瑠璃子君 つまり、目標が達成できなかったということでございましょうが、その理由は何でしょうかお尋ねいたします。
○説明員(小澤普照君) こういうふうに計画と実績の間に乖離がございます。私どもこの原因というものを整理してみますと、一つには、この時期非常に住宅の建設が落ち込んでおります。つまり、木材の需要が減退しているわけでございます。と同時に、したがいまして木材の価格が低迷しているというようなことでございます。そのような状況になりますと、どうしても木材を生産するということにつきましてブレーキがかかるといいますか、林業者の意欲も下がってくる、そのようなことがあると思います。その他諸事情もあると思いますけれども、森林とか林業をめぐります状況が著しく変化をしたということからこのような乖離が生じたのではないかというように考えております。
○西岡瑠璃子君 私は、地球の森林喪失に対する我が国の責任をお伺いして、そして国内資源充実のための施策をこれからどういうふうにすればいいかということでお尋ねをしていくわけでございますけれども、まず林政審の中間報告についてお伺いします。 地球環境の保全と森林資源の造成、充実が世界的な規模で強く叫ばれております中で、我が国の森林、林業は高度成長期を通じた乱開発や過伐による資源の減少と荒廃、そして山村人口の流出、過疎化による森林管理、造成機能の低下、外材輸入による価格の低迷など、森林、林業に経済性のみを求めてきたツケが今、回されて、危機に瀕している、先ほど長官も御説明されたような次第だと思います。 私も、本年、日本社会党の派遣いたしました国有林の視察調査団ということでこの国有林の実態を見てまいりました。長官ももちろん詳しく御存じのところでございますけれども、高知県の安芸郡馬路村を訪ねまして現地の方々から本当に深刻な報告を受けたわけでございます。 二つあった営林署は既に統廃合されております。今人口が二八・五%も五十三年当時から減っておりまして、平成二年で千四百人。このままで推移をしていきますと、今もう小中学校は複式ですけれども、それだけではありませんで、郵便局もなくなるのではないか、そういう危機感を地元の特定郵便局長さんからも切々と訴えを受けたわけでございます。 こうした中で去る八月、林政審議会が「今後の林政の展開方向と国有林野事業の経営改善」について中間報告を行ったことは既にもう皆様も御案内のとおりでございますが、年末までには最終答申をまとめる予定と伺っております。 さきの中間報告は、今後の林政の展開方向として流域管理システムの確立、国有林、民有林合わせた森林計画制度の改善、林業労働者の育成確保など幾つか評価できる点もございます。しかし、その一方で国有林野事業については林野、土地の売却、組織全般の徹底した見直し、要員の縮減という形で縮小再生産的な方向を明らかにしております。 中間報告が主張いたしております国有林、民有林一体となった山づくりのためには、国有林の持つ組織、要員、施設や技術の活用が必要ではないかと思うわけですけれども、この点についてお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
○説明員(小澤普照君) 国有林、民有林を連携一体化しました中で森林の整備を進めていこうとしているわけでございますが、森林の整備全体につきましては、先ほどの計画、実績の乖離もあるというようなこととか、その後国民の要請、森林に対する要請でございますが、これも非常に多様化しているというようなことで、私どもはその要請にこたえるために、資源基本計画につきましても昭和六十二年に改定を行いまして、新しい取り組み方をしてまいっているところでございます。 この中では、森林の整備につきましても人工林、天然林と二通りございますけれども、人工林は複層林と単層林と二つに分けて施業、整備をしていく。それから天然林につきましては、育成天然林の施業と天然生林施業というようにさめ細かに分けていく。これもすなわち多様な要請にこたえるための考え方でございます。そしてさらに、今回お尋ねの林政審議会の中間報告でございますが、この中でもやはり言われておりますことは、森林の諸機能の発揮、確保でございます。 この森林の諸機能が確保されるべき地域はやはり流域を単位としてございますので、この流域の中には民有林、国有林双方が含まれているわけであります。したがいまして、森林の整備をより高度に進めるためには、同じ流域の中にございます民有林、国有林を一体として整備していく必要があるということでございます。そして、その達成に必要な林業の生産基盤の整備でございますとかあるいは林業の担い手の育成確保等を進めることが求められているのでございます。 このような中で、国有林でございますけれども、まず民有林と同一の森林計画区ごとに新たに国有林地域森林計画というものを樹立いたしまして、これに則して民有林との密接な連携のもとで適切な森林整備を図る必要がある。そしてまた、その担い手として民間の林業事業体の育成に努めまして、民有林、国有林一体として効率的な事業の実行を進めるということが必要であるという考えに立つわけでございます。 なお、国有林野事業につきましても非常に多面的な機能が要請されておりまして、しかも、これらの機能はそれぞれ重なり合っているということがございますが、私どもとしては国有林を国民のためによりよい経営を実現するために、国土保全林でございますとかあるいは自然維持林、それから森林空間の利用林、また木材生産林、この四つの類型区分を行ってそれぞれの機能の維持向上に努めてまいりたいというように考えておりまして、これにふさわしい林業技術を用いていくということを基本といたしましてきめの細かい施薬管理を今後行ってまいりたいというように考えております。
○西岡瑠璃子君 今長官は、森林の機能の発揮と申しましょうか自然保護と調和した森林機能の発掘のためには育成天然林の施業や複層林の施業などを施さなければならない、そういった小まめな森林の手入れをしなくてはならないというふうなお考えをお聞かせいただいたわけでございますけれども、総務庁の行政監察に基づく勧告では、二万人体制でも過剰だということが指摘をされているわけでございますね。林業労働者が絶対的に不足をしている、こういった中で、先ほどのお言葉ですと民間の労働者にも委託をすると。もっと劣悪な労働条件で働いているわけですね、民間の労働者。 私は、こうした中で本当に今おっしゃった担い手の育成の推進というお言葉とは非常に矛盾をした対策ではないかと思うわけでございます。現場を切り捨て、国有林野事業を縮小していくという方向は、総務庁が一方で指摘をしております幾つかの施業また間伐の的確な実施とも相矛盾するものではないかと思いますけれども、いかがでございますか。
○説明員(小澤普照君) 確かに総務庁の行政監察の結果が出ておりまして、この中で種々指摘がございます。 私どもとしては、まず国有林野事業でございますけれども、この国有林野事業につきましては林産物の安定的な供給、それからまた国土の保全あるいはまた水資源の涵養等の公益的機能の発揮をいたしまして、その使命を十全に果たしていく必要があると考えておりますが、このためには経営の健全性の確立ということが必要でございまして、この中には各般の自主的な改善努力が徹底されることが重要であるというように考えているわけでございます。 それから、民間事業というものを導入しておりますけれども、これにつきましては林政審議会の中間報告の中におきましても、事業の民間実行の徹底を図るということが言われておりまして、先ほどの流域の中での一体的な管理あるいは森林の整備というようなことと連動してくるわけでございますけれども、各地域の振興なりあるいは担い手の確保等も含めまして、民有林、国有林ばらばらではなくて、やはり一体連携化の中で担い手の強化も行わなければならないだろうということから考えているものでございまして、私どもはその中で国有林につきましては、この国有林そのものは森林の三割も占めております。また国土の二割を占めている重要な存在でございまして、この国有林の経営はしっかりさせなければいけないということはございますので、そしてまた国有林が国民に期待されている使命を達成するためにも必要な措置は講じなければならない。しかし、その中での人間という問題、やはり国有林も担い手が要るわけでございますが、これにつきましては使命達成のための必要最小限のものにしなさいという指摘を受けております。そのような中で私どもは効率的な、また適切な森林整備を図るべく検討を進めているところでございます。
○西岡瑠璃子君 きのうの毎日新聞の夕刊を拝見いたしますと、もとの国鉄総裁の高木文雄さんが痛烈な言葉を言われております。森林、山が年々荒廃をしていく。原因はいろいろあると思うけれども、農政と林政の基本が全くなっていないところに最大の原因がある。森林はもはや見放されている。最大の問題は山に人がいなくなっていくということで、全く困ったことだ。そして、農水省にお金がないわけではない、このようにおっしゃっています。 私は今の長官のお話を伺って、もっと林業に今お金を使わなければ、人を大事にしなくてはならない。そうしなければ、私の高知県なんかは全国でも唯一黒字の林野事業ですよね。そういったところの人たちの本当に心からの叫びを聞いて、どんなことになっても山をおりるわけにはいかない、そう言っている人たち、山の防人たちをこれ以上私たちは消すわけにいかないと思うんです。 そういう点で私は、今本当に農水省にお金かないのか、林業は一体どうなっているのか。林業の利回りはいかほどになるんですか、ちょっとお伺いいたします。
○説明員(小澤普照君) 林業の利回りが最近低下しているのではないかというお話がよくございまして、私ども、これにつきましてはいろいろと計算もしてみているわけでございます。確かに林業というものは樹木の生育が大変長期間かかるということでございまして、しかも、木の種類によりましたりあるいは立地条件によりましたりして、そのような因子からもいろいろと条件は変わってくるわけでございますけれども、利回りを算出するためには一定の条件のものを選ぶ必要がございますので、国内で私どもは主要樹種である杉につきまして計算をしてみているわけでございます。 この場合でいろいろな前提条件、例えば植えてから伐採を何年でやる、まあ五十年ぐらいで今考えてみておるわけでございますが、そしてその場合に育成経費がどのくらいかかるか。これにつきましては、現在の私どもの計算では平成元年度における育成経費ということで計算しております。それからまた、それが成長して収入になる場合の、この場合は立ち木のまま、立木で販売した場合の収入というものが現在の価格ではどうだというのが出てまいりますから、そういうふうに収入額とそれから投下する必要のある額というものを出しまして、そしてそれが五十年かかってどのくらいの利率で回っていくのかというようにして、いわゆる造林投資の利回り計算をしてみているわけでございますけれども、この計算によりますと二%程度、年々の利回りがそのくらいであろうというような計算になっております。
○西岡瑠璃子君 その利回りというのは、内部収益率、つまり伐木収入に一致する造林費の利回り率ということになるだろうと思いますけれども、これがもうずっと五十年、五十五年、六十年、六十三年、年々低下をしているわけですね。本当に今林業は利回りが低いということが明らかになったわけでございますけれども、そうなりますと、もう自己資金による森林の整備には限界があるということを私はお認めにならなければいけないんじゃないかと思うわけです。 政府が六十二年の七月に策定をした長期見通しによりましても、西暦二〇〇四年でも自給率は四三ないしは四八%でございます。この目標すら現在の森林の手入れ不足、労働者の減少、そして高齢化、こういった中では達成困難ではないかと思うわけです。特に間伐の手おくれによって資源的にも劣悪な森林が増加をしているのではございませんか。森林所有者の負担による森林整備にはおのずから限界がございます。森林整備事業を計画的に進めていくためにも、私は公共事業の長期投資計画に含めるべきだと思いますけれども、いかがですか。
○説明員(小澤普照君) 確かに林業をめぐります情勢はなかなか厳しいものがございます。そのような中で林業の維持、発展を図り、または森林の 整備を進めていく必要がございまして、そのための対策が必要なわけでございますけれども、森林というものが木材の生産供給ということだけではなく、いろいろと水資源の涵養でございますとか国土あるいは生活環境の保全でございますとか多面的な役割も果たしておるわけでございますので、これらの面から考えた森林の整備というのが極めて重要なわけでございます。 したがいまして、森林の整備につきましては造林でございますとかあるいは林道という基盤整備、こういうものを進めていく必要がございますけれども、長期的な視点に立ちまして計画を定め、そして実行する必要があるわけでございますので、このために投資計画というように言えると思いますが、森林整備五カ年計画の策定ということが必要であると考えまして、来年度予算の概算要求の中で新たに森林整備五カ年計画の策定に取り組むべく要求も行っているところでございます。
○西岡瑠璃子君 毎年毎年補助金を出してももう追っつかない状況になっているというわけでございますから、ぜひ資金の長期計画を出していただきたい、そう思います。 ところで、間伐の問題ですけれども、せっかく育った木が間伐で切られましても利用されないということですね。約半分が森林の中に放置されて腐っているということを伺います。その量は何と二百八万立方メートルにも達するというふうに伺いました。今条件が悪くて間伐のできない箇所を間伐すると、この利用されない資源はますますふえると思います。二百八万立方メートルといいますと、この量はパキスタン、ベトナムで切られる薪炭材の一割に達するというふうにも伺っております。何十年も育ってきた大切な資源が採算に合わないというだけで腐らされ、その一方で消滅が心配されている熱帯材が輸入される、こんなことでよろしいでしょうか。 間伐促進策が伐採、加工に集中しているわけですけれども、私は材の利用促進のための新たな助成措置を考えてはどうだろうか、そういう措置がとれないだろうかと思うわけです。例えば、搬出費などに向けられないかお伺いしたいと思います。
○説明員(小澤普照君) 先生御指摘のように、確かに間伐の推進に努めておるわけでございますが、一方で林内に置き去りにされるものがあるわけでございます。私どもは、間伐そのものは活力ある健全な森林を育成、整備するためには必要なことでございますから、まずこの実施に力を入れているわけでございまして、昭和五十六年度から特に間伐の促進のための総合対策を実施しておりまして、年々間伐の面積もふえているわけでございます。五十六年には全国で二十三万ヘクタールの間伐を実施いたしましたが、その後年々ふえてまいりまして、現在では大体年間三十万ヘクタールを超えるぐらいまで増加しております。 しかし、一方で林内に置き去りにされるもの、これはございまして、私どもの方から申しますと間伐材の利用率を高めるということが必要でございまして、現在、まだしかし利用率は五十数%ということでございますから、残りの四〇%強が林内に置いてこられるわけでございます。この利用の促進を考えておりますけれども、このためにいろいろと現地でも取り組みを進めていただいておりますし、また政策的にも必要なことをやろうということで、主なものを申し上げますと、この間伐材の加工、流通に必要な施設の整備でございますとか、それからこの杉等を中心とします中小径の針葉樹の高度加工、このための技術開発をやるあるいは商品化を進めるということをやっております。 それから最近では、間伐材を利用するためにゼファーボードというんですが、これは要するにのしいか状に間伐材を平べったくしまして、これを張り合わせましていろいろ木工品等に使うというようなやり方でございますが、こういうものも推進しているわけでございます。さらにこれを進める必要がございますので「今後も努力をしてまいることを考えておりますけれども、加工流通施設の整備でございますとかあるいは利用加工技術の向上を図りまして、間伐材がより高度に利用されまして、この資源の有効な利用を図りたいというように考えております。
○西岡瑠璃子君 間伐材を利用促進する方法の一つといいましょうか、そしてもう一つ環境保護運動の一環としても、熱帯雨林を守るために割りばしを使わない運動というものが広がっておりますけれども、私はこれは果たしてそれだけの間伐の促進につながるかどうかというのは、ちょっとデータ的に見ますと疑問なわけです。間伐材でつくった割りばしを使うということも一つの需要拡大策にはなるでしょうけれども、森林を育成するという環境保護の立場からも適当ではないかと思うわけですけれども、この割りばしを使わない運動ということと関連して長官はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○説明員(小澤普照君) 最近、確かに割りばし論争といいますかいろいろ世上論議がございまして、私どもはやはり割りばしを使うべきではないという方々のおっしゃっているそのお気持ちの中には、せっかくの資源でございますから一時的なものに利用して使い捨ててしまうのがいけないのだというようなお考えだろうと思うのでございます。 しかし、私どもの目から見ますと、先ほども出ましたように、林内に捨てられてしまうものもあるということでございますから、やはり資源の有効利用という面から考えますと、いろいろな面でむしろ使っていただきたい。使う場合には大事に使っていただけばよろしいわけでございますので、そういう中から最近はまた有効利用の方の動きも出てまいりまして、間伐材で割りばしを製造して販売するというようなことも出てまいりました。それからまた、間伐材を使いまして木炭をつくりまして、これをまた土壌改良等に使うというような動きも出ておりまして、私どもはやはり資源のリサイクルという面でもっともっと努力をしなければならないと思っておりますし、やはりそういう中から本当にこの資源というものを大切に使うということが定着するようになればというように考えて努力してまいりたいと思っております。
○西岡瑠璃子君 私、先日高知県の安芸郡馬路村へ参りましたら、多分その間伐材でつくっているんじゃないかと思うんですけれども、とてもすてきな創作こけしが並んでいまして、これはもう初めてなんですね。本当にびっくりいたしました。 いずれにいたしましても、間伐の促進は森林資源の充実だけでなく過疎の進行する山村の活性化にもつながることでございますし、林業不況から減少し高齢化しつつある労働者の仕事を確保し、また均衡ある国土の発展の見地からもぜひとも必要なことだと思うわけでございます。 林業県と言われております私の地元の高知県におきましても、高知新聞の調査による林業労働者の問題は本当に深刻でございます。高齢化がどんどんと進んでおります。これはひとり高知県の問題に限らず全国共通の問題であろうかと思います。森林整備事業における林業労働力の確保には、地球環境保全の視点も入れて検討しなければならない、そういう意味で私は政府の一段の御努力をお願いしたいと思います。 先ほども申しましたように、何としても私は労働者を縮減するよりも労働者を確保するという方向で御認識を新たにしていただきたい、そうしなければ山の危機はますます深まる、そういうふうに私は思うわけでございますが、いかがでございましょうか。重ねてお聞きいたします。
○説明員(小澤普照君) 私の方もこの林業労働力の確保対策ということを大変重要な課題と実は考えておるわけでございます。 最近、林業労働者は年々減少しておりまして、林業の就業者数で申しまと、昭和五十五年には全国で十九万人おったわけでございますけれども、平成元年には十二万人に減少しておるわけでございます。そしてまた同時に高齢化が進んでいると いう実態がございまして、五十歳以上の方々が昭和六十年には実に五九%を占める状況になっておりまして、林業労働力の弱体化には著しいものがあるというように考えております。 そのような中で、今後、国産材時代というように我々申しておりますけれども、今、戦後造林しました森林が年々育ってきておりまして、これがいずれ世に出てくるわけでございますが、このようなときに備えて担い手の確保ということが重要であるというようにも考えておるわけでございます。もちろんその他森林の整備のために必要なわけでございますが、そのような中でやはり林業というものが魅力のある場でなければいけないということも考えまして、そのような魅力ある林業にするための諸施策が必要であるというように考えておりますので、具体策といたしましては造林、林道等の生産基盤をまず整備していく、整備することによりまして、高性能の機械開発も今行われておりますけれども、それを導入することができるというようなこと、あるいはまた林業事業体が育成強化されませんと新たな人の参入が難しいというようなことでございます。 さらにはまた、林業就業者の生活の場でございます山村地域の安定的な発展が必要でございまして、やはりそのようなもろもろの要素が改善されなければならないということでございますので、私どもとしては平成二年度から、担い手の育成確保を図るために林業の担い手育成総合対策というものを実施しておるわけでございますけれども、さらに来年度におきましてはこれらに加えまして、月給制の導入でございますとか社会保険の加入の促進でございますとか、あるいはまた新しい技術を習得するための事業でございますとか、それから高性能機械の導入にいたしましても、性能が高いだけに事業を相当共同化してやらないと機械が有効に使えないというような問題もございますから、そのような共同化の推進ということも考えまして、これらの諸対策をあわせまして担い手の育成にあるいはまた確保に努めたいというように考えている次第でございます。
○西岡瑠璃子君 先ほど長官は林業を魅力あるものにしたいと言われました。まさにそのとおりだと思いますけれども、なぜ林業労働力が確保できないのか。林業に対するイメージというのがいわゆる俗に言われる三K、きつい、汚い、危険。その上に最近では五Kになって、給料が安い、勤務時間が長いという非常に劣悪な労働条件のイメージがもう現実になっているわけですね。 そういった中で、先ほど私が前段で高知県立農業高校生の切なる願いを御披露いたしましたけれども、その農業高校生の林業科の生徒に地元の新聞社がリサーチをいたしました。山を守るのはだれかと。それは国家政策、そして国民的課題として守つていかなくてはならないということを彼らが答えて、七二%もの数字でそういう答えが出ているわけでございます。林業の大切さというものを十分に認識をしているわけでございます。 こういった点からも、私は何としても、先ほど長官がおっしゃいましたけれども、社会保障を充実させ、そして賃金をアップさせ、この高校生のアンケートにもありましたけれども、やっぱりゆとりのある仕事、こういうふうな労働条件の改善を図っていかなくては私は十年後の林業はもう本当に大変なことになる。若年労働力の確保はおぼつかない、そういうふうに思うわけでございます。 話題を変えまして、現在の森林の実態につきまして、保安林の機能が発揮できない森林が八十九万ヘクタールあると伺っております。山地災害危険箇所が全国で十七万六千カ所もあると言われており、森林の本来的な機能の発揮が危ぶまれている現状について、私は林野庁の把握しておられる事実を説明をしていただきたいと思います。
○説明員(小澤普照君) 森林の公益機能を守る上で、保安林というものが大変重要な役割を果たしているわけでございます。我が国の保安林は種類がいろいろございまして、水源の涵養でございますとかあるいは防災、国土の保全というような保安林、それから生活環境の保全を図るための保健保安林というようなものから、いろいろあるわけでございますけれども、この指定面積は総面積で現在八百二十二万ヘクタールでございます。 今先生御指摘の、保安林が機能を十分に果たしているかどうかということでございますけれども、これにつきまして私どもは保安林整備臨時措置法という法律に基づいて整備を図っているわけでございまして、この法律は昭和五十九年に改定されておりますが、その時点で調査をいたしまして、保安林の中でまず立木の密度が低い、つまり木の生立本数が少ないということになるわけでございますが、こういう森林でございますとか、それから生育状況が著しく悪いというようなことで保安林の機能を十分に発揮していないんじゃないかというように認められるものを調査したわけでございます。 この数量は約五十三万ヘクタールというふうに把握してございます。これは特定保安林というふうに指定をいたしまして整備を進めたいということでございまして、この中で五十三万ヘクタールというのは一つ一つの保安林の団地の中で部分的に生育状況が悪いというようなものもカウントしておりますので、緊急に手当てを要するものはそれより面積は少ないわけでございますけれども、しかしながらそこの部分については早急に手当てをする必要があるということで、具体的には造林の補助事業あるいはまた森林開発公団によります水源林造成事業、こういう事業の中で必要な造林、保育等の施業確保を図るというようなこと、それからもう一つは緊急に治山施設の設置をする、そしてこれとあわせて森林の整備を必要とする区域につきましては治山事業により実施をするというようなことでございます。 今後ももちろん保安林の重要性にかんがみまして、機能が十分に発揮できるように保安林の中での状況の悪い森林につきましての整備を促進してまいりたいというように考えております。
○西岡瑠璃子君 先ほど長官は水源涵養機能があると言われましたけれども、その機能が今や山村の過疎化とか林業不況などによりまして森林の管理水準が低下をしている中で危ぶまれている、そういう状況にあるというふうに伺っております。 そこで、国におきましても重要水源地域として明確な位置づけをする必要があるのではないかというふうに思いますけれども、いかがでございますか。
○説明員(小澤普照君) 先生おっしゃいますように、保安林の中でも水源涵養保安林というのが一番面積が大きいのでございますが、その中で特にまた重要な地区として保安林の整備を図るなりあるいは水源涵養の機能を発揮させなければならないというところにつきましては、治山事業の中で重要な水源地域の整備事業というものがございまして、その中で森林の整備を進めているわけでございます。 その他、通常の造林ということで強化が図れるところもございますので、そういうのは通常の造林事業でございますとかあるいはまた森林開発公団の水源林造成事業というようないろいろな面から整備を進めているわけでございます。
○西岡瑠璃子君 中間報告でも勧告でも、国有林保護のための別途財源措置の必要性が指摘をされております。何よりも私は、先ほどから申し上げておりますように、一般会計からの繰り入れが必要だと思うわけですけれども、中間報告では国民の参加、つまり費用負担、それによる緑資源の維持、造成ということが提唱され、新たな費用負担の手法の実現ということがうたわれておりますけれども、具体的にはどのようなものが考えられるのでしょうかお尋ねいたします。
○説明員(小澤普照君) 公益的な機能を森林に発揮させるための費用負担というのはいろいろな方法があると思います。通常は、大もとになりますものは先ほどの治山事業というようなものでやりますけれども、そのほかに各地域で支えていただくというようなやり方があるわけでございますし、また国民参加ということで一般の国民の方々 にも支えていただかなければならないというように思っているわけでございます。 私ども端的な面で今実施しておりますのは、例えば緑のオーナーというような制度によりまして、国民にそれぞれ加入していただいて、この資金を森林の整備に使っていくというようなものもやっておりますが、これなどは今国有林の方では加入者が五万人を超えて年々拡大をして大変私ども心強く思っているところでございます。 それから、その他各流域の上流下流の間でいろいろ協定を進めていくような必要もございますけれども、これにつきましては流域管理システムというようなものをこれから定着させて、新たな制度としてつくる必要がございますが、このような中でも上下流の自治体の間で御相談をしていただくような手法でございますとかそういうものもやってまいりたいと思っておりますし、その他一般の方々にも森林を利用されるような場合に森林整備のために少しでも御協力いただく方法はないか。広く言いますと緑の羽根の運動からいろいろやっておりますけれども、このようなものをさらに広めてまいりたいというように思うわけでございます。
○西岡瑠璃子君 だんだん時間がなくなってまいりまして、水産業のことについてお尋ねしたいと思っていたのですが、最後の方を少し飛ばしまして、六十二年度の国有林野事業特別会計では債務の償還がいかほどになりますか元利別に御説明いただきたいと思います。
○説明員(小澤普照君) 六十二年度では、この償還金につきましては利子と元本というものがございますけれども、合わせまして千七百七十九億円になっておりまして、そのうち利子の部分だけで申しますと一千六十一億円でございます。
○西岡瑠璃子君 平均利率は幾らになりますか。
○説明員(小澤普照君) 利率は実は刻々と変動しておりますので、平均で今までのものをトータルいたしますと六%強になっております。
○西岡瑠璃子君 国有林野事業の特別会計の財政圧迫が金利負担にあるということがよくわかると思うわけですけれども、こんな利率では、先ほど御説明をるる受けました林業の利回りからいいましても、財政確立は本当に困難だと思うわけでございますが、昭和五十三年以来の改善計画によって要員と組織は計画どおり削減されたが再建のめどが立っていないというのは、これは金利負担があるからではございませんか。
○説明員(小澤普照君) 確かに金利負担というのは大きな経営圧迫要因であるというようには考えますけれども、しかし私どもは、これだけではなくて、もちろん木材の販売というようなものがなりわいになっているわけでございますし、またその他組織の簡素化も必要であるとか、あるいはまた仕事の能率を高めることも必要であるというようにも考えまして、やはり総合的な対策を講じていくべきであるというように考えております。
○西岡瑠璃子君 四月の新行革審答申、そして七月の総務庁の行政監察報告、八月の林政審議会中間報告がいずれも累積債務対策に触れているのは、私はそうした問題があるからではないかと思いますし、また辛うじて残っております国有林労働者をさらに削減する検討が進んでいるということはどうしてもこれは納得がいかない。何としても私は、国有林野事業再建策の検討に当たってこうした点を十分に踏まえた検討を政府にお願いしたいと、こういうふうに思っております。 我が国の森林荒廃の原因、要因は、国有林の場合は財政の収支的均衡を回復することばかりに目を奪われ、経営の合理化、効率化が一面的に追求されたことが最大の要因であると思います。民有林の場合には、林業労働力の絶対的な不足に加えて長期にわたる木材価格の低迷による林家の経営意欲喪失が主な原因であろうと思います。国有林野事業を縮小均衡の方向に向かわせることは国有林の荒廃を最も決定的なものにすると私には思われてなりません。 森林の管理、経営に関する具体的活動をみずから行う国有林野事業が単に国有林自身の復興にとどまらず、民有林の整備、増強についても機能するような方策を今後講じていかなくてはならないというふうに考えます。 最後に、農林水産大臣に今後の林政改革に取り組む御決意のほどを伺わせていただいて終わりにしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○国務大臣(山本富雄君) お答えいたします。 先ほど来、先生と小澤長官の間で質疑応答がございました。我が国の森林、林業は森林整備の停滞、それから今出ております林業就業者の減少、高齢化等大変厳しい状況に置かれております。さらに、これも御指摘でございますが、国有林野事業はその累積債務が二兆円を超えまして、その経営改善がまさに急務であるということでございます。 このような状況に対処いたしまして、先般の林政審の中間報告を踏まえ、民有林、国有林を通じた森林の流域管理システムの確立あるいは国有林野事業の経営改善対策の樹立等新たな林政の展開に向け特段の努力を傾注してまいりたい。 つけ加えますけれども、先生の御主張を私非常に傾聴しておりました。ただ、これは予算委員会などでもしばしば私は答弁いたしましたが、やはり出血多量では困るわけでございまして、どうしても血はとめなければならない、それから患者の体力を回復する。すなわち国有林野の立て直しというものは、財政再建はまさに急務なんだ、こういう観点がございます。しかし、それだからといってただ人員の面にだけ目を向ければいいものではない。まさに山は荒れておる、山の防人は必要なんだ、こういう考え方ももちろん持っております。そして、日々の仕事も先ほど来いろいろ御指摘がございましたけれども、進めていかなければならないというふうなことなどもございまして、まさに言うはやすく行うはかたしという感じを非常に強く私は持って仕事に当たっております。 米問題、その他農政問題、いろいろ問題ございます。しかし、この林政の問題が非常に大きな私どものやるべき仕事である。長い将来を展望しつつ足元からひとつ立て直しをしていきたいということでやってまいりますので、ぜひ御協力をお願いいたしたい、こう思っております。
○西岡瑠璃子君 ありがとうございました。 本当に私は、きょう幾つか用意しておりましたのですけれども時間がなくなりまして、二つ目の水産業振興費の予算額に対する決算の状況について御説明を伺いたかったのですけれども、時間を厳守しなければなりませんのでやむを得ません。六十二年の決算を拝見しましても六十一億円を超える不用額が生じている。私ども高知県のような水産立県の人たちが聞いたら本当にもうどぎもを抜かすようなことだと思うんです。何としてもむだのない予算編成と効果的な予算執行について農林水産大臣、水産庁長官のさらなる御努力をお願いしたいということを申し上げまして終わりにいたします。
○委員長(及川一夫君) 午前の審査はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。 午後一時二分休憩 ─────・───── 午後二時一分開会
○委員長(及川一夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、昭和六十二年度決算外二件を議題とし、法務省、農林水産省、裁判所及び農林漁業金融公庫の決算について審査を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○石渡清元君 私は、当面の米の問題、そして都市圏農業、さらに水産漁業関係についての質問をさせていただきます。 まず、米の問題でございますけれども、関税貿易一般協定多角的貿易交渉、いわゆるガット・ウルグアイ・ラウンドの最終協議がいよいよ十二月の初めに近づいてまいりました。約百カ国の閣僚がブリュッセルに集まりまして、今までの四年間の協議の大詰めを迎えるわけでございまして、午前中にもこのことについて触れられたわけでござ いますけれども、この現在基礎的食糧としての米を、日本の立場について大臣は現在のところどういうお考えで取り組まれようとしているのか、そして今後どのような展開に推移していくか、見通しを含めて御所見をまずお伺いをするものでございます。
○国務大臣(山本富雄君) 午前中にもお答えを申し上げましたが、私どものかねてからの主張はもう一歩も変わっておらない、結論から言いますとそういうことでございます。 なお、今後のスケジュールその他若干申し上げたいと思いますが、今先生のおっしゃったガット・ウルグアイ・ラウンド交渉、ちょうど四年目の最終段階に入りまして十二月の初旬にブラッセルで行われる。中身はいろいろございますけれども、農業関係についてだけ言えば、国内の保護、あるいは国境措置、輸出競争等々、御高承のとおりでございますが、各国がそれぞれの立場に立って議論を展開してきた。これはもういろいろの問題がずっと底流にございまして、私どもかねてからそのことは申し上げてきたつもりでございますが、最近に至ってかなり問題がはっきりしてきた。最大の問題点は、米国とECとの間の輸出補助金問題である、こういうふうに私ども心得ております。なお、それのみならず、各国間の意見の隔たりが非常に大きくて、今後どういうふうに事態が進展していくか全く予断を許さないというふうな状況ではないか、今日の時点でそういうふうに考えております。 こういう中で、我が国の姿勢は今申し上げたとおり首尾一貫して変わらず。国会決議を踏まえて、あるいは内閣としての統一した意見の中で進んでまいりましたけれども、特にこの九月の末に、一つは米のような基礎的食糧及びガットの規定に基づく輸入制限品目は関税化が難しい。アメリカはすべて関税化と、こう言っているわけですけれども、そういうことは実情に即さないのではないかという主張。それから二番目といたしまして、国内支持及び国境措置についてはAMS、これは御存じだと思いますが、保護の総合的な計量手段、計算方式とでもいうんでしょうか、このAMSによって支持、保護の削減を行うこと等の従来の基本的立場を踏まえて、まずカントリーリスト、国別表、これは一応十月の一日までというふうに申し合わせができておったんです。それからオファーリスト、これは十五日まで。それを主要国としては非常に早く提出をいたしました。いろいろ関係者の中では議論もございましたけれども、私どもこれは出すべきものは早く出した方がいい。しかも、この国別表とオファー、両方とも実は唇歯輔車の関係とでもいうんでしょうか、関連しておりまして、別々に出すこともなかろう。主張は主張として、今までやってきたものをきちんと書き込んで出せということで私の方からお願いをいたしまして、それをかなり早く、世界の主要国としては最も早く出した。 私は、今日に至って日本のこの態度というものは多くの国々から評価をされておるというふうに思っております。当然のことではありますけれども、結果的には非常によかった。したがいまして、今後とも我が国としてはかねがねの主張のとおり、特に食糧輸入国としての立場をしっかり反映される交渉結果がもたらされるように最後の努力を傾けたい、こういうふうに考えております。
○石渡清元君 いち早くさまざまなオファーリストを初めとして提出をされたということは非常に結構なことだと思います。 今の大臣のお話のとおりに、今アメリカとECが厳しく対峙しているような傾向であるわけであります。全部最終合意に達するというのはちょっと私ども新人が見ても非常に難しい、あるいは先が見えにくい今状態にあろうかと思いますが、事米の問題について、十二月の初旬でまとまるんだろうか、あるいは年を越しちゃうようなケースも出てくるんじゃないか、その辺のところはいかがでしょうか。
○国務大臣(山本富雄君) 今るる申し上げたとおりでございますが、全くそれぞれの主張がかなり隔たりが大きいものですから、さあこれ、詰めていくのは大変だなと、率直にそう私どもも思っておりますし、各国ともそう思っているだろう。ジュネーブの会議を主宰しているダンケルさんなどもそう思っている節があると思っております。しかし、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉は、これはもう二十一世紀の自由貿易体制を支えさらに進展をさせるためにどうしても成功をさせる必要がある。もちろん農業問題だけじゃございませんから、十五分野それぞれありますが、何としても成功させようということで進めてまいりましたから、その大筋といいますか、この大きなうねりというものは最後までその方向で行くのではないか。 ただ、今先生御指摘のとおり、農業問題、特に日本の米の問題については余りにも先々言われ過ぎてしまった。私は、あれは順序が違う、十五分野の中の一分野が農業で、その一分野の農業の中の日本の一つの品目でしかないと、こういう説明を繰り返し繰り返ししておりましたけれども、今まさにそういう状況に入ってきました。ただ米の問題だけ、これの協議を最後に至ってされるなどということがあってはならない。やっぱり物には順序がありますし土台がありますから、そこで十分論議をしなければならない。 しかし、これはもう越年かなどと、今の状態で、今の時点で既に言ってしまうことはまことに早計でございまして、これから最後の閣僚会議、一応三日から七日までというふうに予定をされておりますけれども、そこへ向かっているわけでありますから、何とかそこまで、恐らくジュネーブでそれまでに随分努力をなさるでしょうし、その状況なども見ながら我々は最後の期待を年内妥結と、ウルグアイ・ラウンド交渉全体が妥結をすることを最後まで望みを捨てずにいくべきではないか、こう考えております。
○石渡清元君 私は、さきの日米牛肉・オレンジ交渉のように、早くいろいろなものを出しちゃったはいいが、最終的には一方的に何か譲歩を強いられるようなそういうパターンにはまらないように、若干懸念をし、お伺いをしたわけであります。 それでは、具体的に、そういったような外からの圧力に対してどうお考えになるかをお伺いしたいと思うわけでありますけれども、新聞等々で御承知のように、即位の大礼に出席されたアメリカのクエール副大統領が十四日、きのうですか、海部首相にブッシュ大統領の親書を手渡して、日本の米市場開放問題について強く働きかけがあった。この親書をそのまま食えるか食えないか、それはわかりませんけれども、さっき申し上げたとおり、アメリカとECがやっているうちは少しはいいかもしれませんけれども、このような市場開放圧力に対して、今度は日本の番に来ることが十分予想されるわけでありますので、こういったような対外圧力について今後どのように対応し、また相手国の理解をどのように得るようにされていくのか、御説明願いたいと思います。
○国務大臣(山本富雄君) 私の考え方というか覚悟を先に申し上げますと、理不尽な外からの圧力に屈してはならない。正当な理由があり、きちんと話し合いがなされた上で外交交渉というのはすべて行われるべきでありまして、一方的にしかも理屈を超えて圧力などということがあってはならないし、そんなものに屈してはならないというふうに私は考えております。 そこで、今御指摘の、クエール副大統領と海部総理との会談がきのう一部のテレビ、新聞に報道されております。一つはブッシュ大統領の親書を手渡されたと。これは私の確かめたところによれば、手渡されたようです。しかし親書ですから、内容については私も正確に海部総理から聞いているわけではございませんけれども、漏れ承るところによりますと、米のコの字も書かれておらないということのようでございます。ただ親書ですから、中身について公式に私の方からこうであるああであるというふうにコメントするのは差し控えたいと思っております。 それから、会談の際に米開放について非常に強く求められた向きの新聞見出しなどもありましたりテレビの報道もありまして、私も大変気になるものですから、それなりに確認をしてみました。そういうことはございません。こちら側から米の問題を総理から出したなどということもございませんし、話の中身はそういう中身ではない。ただ、ウルグアイ・ラウンド交渉を成功させなければならないということと、それからとりわけ農業問題が、従来言われておりましたとおり、各国ともに困難なそれぞれの事情を抱えておるという中で、アメリカの持っているものの例示もあったようです。日本も米がありますなと、これはもう従来から話の出ていることでありまして、その米をとにかく何が何でも開放してくれよというふうな御要望などは全然ない。一つの話の向きとしてそういう話が出た。では、それに対して海部総理はどうかといえば、ウルグアイ・ラウンドは成功させましょう、こういうふうにだけ答えた、そう私は承知をしております。
○石渡清元君 アメリカはあの手この手できますので、この親書もその一環ではないかと思うわけであります。 国内でも、部分自由化だなんていう意見を出す方もいらっしゃるようでありますけれども、実際問題として、アメリカの妥協とか譲歩の可能性というのは、日本の交渉いかんによっては向こうもかなり下がる部分があり得るという、その辺はいかがなものでしょうか。
○国務大臣(山本富雄君) 先生の御質問の真意をあるいは取り違えているかもしれませんけれども、世によく言われる二国間交渉云々などということがあるんですけれども、今そういう状態じゃありません。また、二国間でやろうとしておらない、あくまでも多国間の交渉すなわちウルグアイ・ラウンド交渉である。その中でこれを成功させようという筋書きで進んでいるわけでありますから、二国間がどうとか、二国間になればああじゃないかこうじゃないかよく言われますけれども、私はそういうことは今考えてもおらないし、アメリカも多国間でやろう、こう言っておるわけですから、多国間交渉の線に沿っていくべきではないかというふうに思っております。 それから、アメリカはアメリカの主張があります。ヨーロッパもヨーロッパの主張がある。日本は日本の主張がきちんとあるわけでありまして、この主張の正当性というものはかねがね例の五カ国の農相会議でもかなり細かく開陳をしてまいりましたが、これから先もこれはしっかり説明をし、先ほど申し上げたとおり理解をどうしても得たい、こういう考え方でおります。
○石渡清元君 それぞれの主張を出し合うわけでありますけれども、そういう多国間の関係の中で、例えば農産物貿易の新しいルールでもつくろうとか、そういったような展開ということは考えられるんでしょうか。
○国務大臣(山本富雄君) 今そういうふうには聞いておりませんし、そういうことも予想しておりません。
○石渡清元君 仮定の問題でございますけれども、例えば新ラウンドが決裂した場合、世界の農産物の市況というものはどんな混乱というんですか影響が予想され、あるいは日本はどういったような問題を抱えてしまうのか。これは仮定ですけれども、参考までにお伺いをしたいんですが。
○説明員(川合淳二君) 今回のウルグアイ・ラウンドの農業交渉が始まりました背景と申しますのは、八〇年代に世界的な農産物の構造的な過剰がございまして、EC、アメリカを中心に補助金つきの輸出、いわゆる輸出競争が激化したことがございます。こうした事態を何らかの形で打開するということが今回の交渉の大きな一つの契機であったろうと思っております。その後、農産物の生産の状況が少し変わったりいたしまして若干状況は変わっておりますけれども、やはり先ほど大臣からもお話がございましたように、EC、アメリカ間の輸出競争、これに基づきます輸出補助金というものが一番大きな問題になっているということでございますので、ウルグアイ・ラウンドの推移によってはこうした事態がもう一度現出するというようなことが考えられるということでございます。 ただ、日本の立場から申しますと、日本は輸入国でございますので、こうした貿易戦争と申しますか、貿易に対しては日本のいろいろな政策あるいは状況がここに何らかの影あるいは影響を与えているかというと、そういうことはほとんどないというふうに考えておりますので、そうした世界の農業情勢が再現されるかもわからないというようなことではないかというふうに思っております。
○石渡清元君 それでは、今度は国内の関係に目を向けてみたいと思うわけであります。 年々国民の米消費量が長期的に低減している傾向が数字で示されているわけでありますけれども、その一方では、しょうちゅうとかおせんべいみたいな米を粉にしたものがどんどん輸入をされておるわけでありまして、今も答弁にありましたけれども、世界最大の農産物の輸入国であるわけでありまして、そういう面では非常に食物の種類も豊富、国民食生活も大分その背景が変わってきておりますけれども、そういう変化の中で米の完全自給体制というものをどう守っていかれるのか。
○説明員(浜口義曠君) 先生御指摘のように、米の需給関係からいいますと、具体的な数字を申し上げますと、戦後のピーク、三十七、八年でございますが、一人当たり百四十キロありましたものが、最近の一番新しいデータは六十三年でございますけれども、一人当たり七十一キロというところまで低減をしてきておりまして、そういう意味ではいわば大幅に減ってきております。約四割減という状況でございます。戦前一人当たり一石とか、あるいは百四十キロの年間の消費量でございますので、半減でございます。この中で食生活のカロリーベースからいいますと、カロリーが大分高くなりまして、戦後国民の体力、身体の健全さというものが助長されたわけでございますが、ここへまいりまして多様化と、これも先生おっしゃったように多様化が進んでおります。 そういう意味で、米をめぐる需給の問題についてはかなり厳しいものがございますが、米の面につきましては三つ考えられると思います。今のような主食の面であるということが一つ、それからもう一つは地域の経済に大きな影響を持っております稲作経済の問題、それからもう一つは稲をつくり育てております水田の問題でございます。 それぞれの問題につきまして、第一の点につきましては、減少したと言いながらもやはりこれは日本独特の日本型食生活というような形に見られるとおり、米を中心とする主食としての位置づけというものがまだやはりカロリーベースでいきましても二六%、そういうような状況になっておりまして、こういった点については国民の栄養の観点からも国民各層の御理解を賜っていかなきゃいけないのではないかというふうに考えるところでございます。また、最近におきます脂肪等々の関係からいろいろな成人病といったようなものも言われているわけでございますので、そういった意味での国民各層の支持を受けていかなきゃいけない点があろうと思います。 また第二番目の点は、これは東京から一歩出ますと、地域経済においては一番大きな影響を持つものは、農産物といたしましては当然のことでございますが稲作でございます。これは、そういう意味では各地域において言をまたないわけでございます。 さらに、最近エコロジーとかそういったようなことを言われております水田の環境保全の機能、こういったことについても日本の国は多雨にしていつも緑滴る国だと、こういうことでございますので、その貴重なる意味づけというものはともすると看過しがちでございますけれども、こういった点についても国民の皆様方の支持を受けて理解をしていていただく面ではないかと思います。 そういう意味で、今回国会の決議等に基づきま して、米については国内産で自給するという方針を貫いていくためには、先生御指摘のように世論と申しますか国民各層の支持がなければいけません。農家の方々におきましても、生産性の向上という御努力をされているわけでございますし、また一方では生産調整という厳しい状況を克服していただいている状況でございます。そういう状況を十分国民各層の方々に御理解を賜りつつ、この国内自給方針といったようなものを国際裏において主張していく必要があるのではないかというふうに思っておりまして、農林水産省挙げましてそういう点の米、稲作さらには水田の重要性について十分理解を得られるよう努力もしていかなきゃいけないというふうに考えているところでございます。
○石渡清元君 確かに国民的なコンセンサス、オーバーに言えば国論の統一と申しますか、そういったようなことが非常に大事だと思う。ということは、大分変化して、またいろんな報道がされておりますので、需給調整をしながら生産水準をちゃんと維持を図っていかなきゃいけない。一体どうやってやるんだろうか、あるいは、その中でも国内ではいろんな意見が出てしまいますので、これは一体完全自給はどこまでもつんだろうかという心配までするような最近のさまざまな報道ぶりなわけでございまして、特に生産水準の確保、水田のコントロールはなかなかそう簡単にはできないんじゃないかと思いますが、その辺のところは今後どういうふうに需給調整、生産水準の維持というものをされていくのか。
○説明員(浜口義曠君) 米の需給の問題は、先生最初に御指摘のとおり減少傾向というものがあるわけでございますが、こういったものにつきましては、その栄養的な価値等々から考えまして、やはり一方では需要拡大というような施策も展開をしているところでございます。 その中におきまして、ただいまの御質問の関係でございますが、需給調整の問題の一番の行政的な手段ということにおきましては、現在、行政的な名前では水田農業確立対策、ことしから後期対策に入っておりますが、前期から引き続きまして六年間の計画で行っております。その中身は、一つは米の生産を調整しながら、その部分について水田の生産力を助長して、言うなれば外国から輸入の大きい飼料作物でありますとか、あるいは大豆でありますとか麦等に転換をしていくということでございます。そういう両方含めまして生産調整の問題があるわけでございまして、これは昭和四十四年から実施をしておりますので、もう二十年になんなんとしております。その生産調整の面積も八十三万ヘクタールに達しているわけでございまして、全水田面積の約三割にも達しております。 ただこれにつきましては、具体的に転作、あるいはこの水田農業確立対策と名づけておりますとき以来、日本におきます言うなれば日本型の輪作体系を展開しようということで、生産力が一方では上がりますけれども、その中で需給調整を頭に置きまして、他の大豆であるとかそういったものをつくりながら生産をコントロールしていくということがあるわけでございます。 生産調整の次に需給調整の問題につきましては、現行の食管制度のもとにおきまして、これも昭和四十四年から導入されましたけれども、自主流通米というものがございます。自主流通米と政府米の両者のバランスをとるというその調整面、生産調整と自主流通米及び政府米との調整というような形で、現実はありますところの各種の米に対する需要に対応する生産をコントロールしている、こういう仕組みになっております。 なお、これにつきまして今後とも十分現実における需要動向というものを、需要拡大とあわせながら、見きわめながらきちっとした生産調整を行っていくことが必要だというふうに考えているところでございます。
○石渡清元君 いずれにいたしましても、やはり米の消費拡大、これはずっと以前から言われていることなんですが、現実問題としては少しずつ減っていっているという現状なんで、ぜひひとついろんな面で宣伝をしていただきたい。米が主食じゃない外国人が、米は健康にいいんだ、太らないんだと言う方が、例えばフランスのアラン・ドロンなんかは米がいい、太らないと言う。一方では米を食べると太るぞという説があったりして、これもいろいろ情報が入り乱れているようでありますけれども、そういったようなことも含めて、ぜひ現代向き、今様に米の消費拡大を図っていただきたいと思います。 そして、具体的に、国内流通の改善あるいは新価格形成の努力をされてきたわけでありますけれども、この今回の成果についてお示しをいただきたいと思います。
○説明員(浜口義曠君) 需要拡大の点につきまして一言申し上げさせていただきます。 先生御指摘のとおり、やはり米が体にいいんだということを基本に据えまして実施するということが必要だというふうに考えております。この点につきましては、正しい知識の普及ということを予算の一つの大きな柱に掲げて実施をしていきたいというふうに考えているところでございます。 次に、流通改善の点についての御指摘でございました。流通改善につきましては、やはり民間流通のよさを最大限に導入するということから、消費者のニーズへの的確な対応等を図ることも含めまして、昭和六十三年の三月に米流通改善対策というものを策定いたしまして実施をしております。集荷から販売に係る流通の各段階において、この施策を実施しているところでございます。 各般の施策がございますが、一つは、小売業者の店舗の展開等につきまして特定営業所の導入等を行うとか、あるいは卸売業者につきましての新規参入、さらには隣接県の卸の許可の実施といったようなことがその中心的な事業でございます。 もう一つ、ことしから自主流通米制度、この自主流通米は政府管理米の約七割にも達しているわけでございますが、その自主流通米についてことしから財団法人自主流通米価格形成機構の開設する取引所におきまして、東京と大阪で二カ所で入札をさしていただいたわけでございます。これの中で、十月の末に東京で、さらに大阪で十一月の七日に実施をいたしました。合計で、銘柄の品種でいきますと五十品目を上がります入札がかけられましたのですが、延べの数字で申し上げまして、東京、大阪合計をいたしまして七十三の銘柄が入札にかけられたわけでございます。この入札にかけられたものはそれぞれの銘柄が一万トン以上流通しているという現在の米の流通の中での大きな銘柄ごとでございまして、結果的に申し上げますと、そのうち去年の値段から比べまして値上がりをしたもの、入札が人気のもとになりまして高く上げられたものが三十七ございまして、値が下がったものが三十六といったような、ちょうど相半ばするような形で、それぞれ消費者の方あるいは卸の方々の傾向が第一回目からあらわれたというふうに考えているところでございます。 なお、これは来年一月また再開をされまして、今後逐次それぞれの東京、大阪において実施されるわけでございますが、そういったものの中で今後丁寧に慎重にこの傾向というものを見ていかなければいけませんが、この米の価格形成の機構につきまして三点だけ申させていただきます。 一点は、食糧管理制度、食管制度発足以来初めての取り組みではございましたけれども、この二カ月の間に、機構の御努力のほかに卸関係あるいは集荷の関係の方々の御協力のたまもの、一致した成果が上げられたということでございます。 さらに第二点目といたしまして、米の銘柄に対する国民の関心が、ウルグアイ・ラウンド等々のこともございましょうけれども、それの延長線上の中に米に対する関心が極めて高かったということでございまして、こういう形でマスコミ等々についてもいろいろの論評を加えていただきましたこと、非常に喜ばしいことであるというふうに考えているわけでございます。 内容的に言いますと、これからいろんな意味で、業務でございますので、改善されるべき点は 改善していかなきゃいけませんが、国民の目に見える形で米の値決めが行われるようになりましたことは米の流通にとって画期的なことではなかったかと、第三番目にそういうふうに考えているところでございます。
○石渡清元君 いずれにいたしましても、今、内外ともに非常に大変な事態、状況に立っていると思うわけでありますけれども、やはり多国間のいわゆる国境調整をしながら臨むわけでありますので、少なくとも大臣の御決意のように、米の完全自給政策が後退しないようにこれからも大きな御努力をされますよう期待をいたしまして、次の問題に移らせていただきます。 次は、農業生産基盤環境についてでございます。 午前中も、森林について後退はしても余り前進していないのじゃないかというような質疑もあったわけでありますけれども、農地もややそういったような、少しずつ減少傾向があるのではないか。特に都市圏の農地が非常に何か都市行政のサイドで進められていっているような傾向を私強く感じるわけでございまして、そういう中で、保全農地を良好に耕作管理するためにはどのような措置やら指導をされているか、簡単に御説明願いたいと思います。
○説明員(片桐久雄君) 先生御指摘の都市農業でございますけれども、私どもはこの都市農業を市街化区域の中で行われている農業というふうに理解をいたしまして答弁させていただきたいと思います。 この市街化区域といいますのは、都市計画法で区分をしておるわけでございますけれども、「おおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」と、こういうふうに規定されておりまして、この市街化区域の線引きを行う場合には建設省と農水省で十分協議をいたしまして、農業施策、地域農業との調整も了してこの線引きを行っているというものでございます。 したがいまして、市街化区域内の農地につきましては、農政上の取り扱いも農地転用は届け出制ということで、市街化区域の外側の農地については許可制になっているわけでございますけれども、市街化区域の中については届け出で転用ができるというようなこと、それからまた農業政策上も効用が長期に及ぶような基盤整備のような政策はこの市街化区域の中の農地については行わないと、こういうふうに運用している次第でございます。 ただ、現実には市街化区域内の農地が全国で約十七万ヘクタールございます。それからまた三大都市圏の特定市、いわゆる宅地並み課税の対象になっているような地域、そういう地域でも約五万五千ヘクタールの農地があるわけでございます。こういうふうに市街化区域内の多くの農地が残っておりますのは、やはりまだ必要な都市の基盤整備が伴わないとか、それからまた所有者の営農継続の意思が非常に強いとか、それからまた当初の線引きにおいて宅地需要を相当上回る面積が農地に取り込まれたのではなかろうか、こういうようないろんな問題があるわけでございます。この市街化区域の中の農地を一挙に短期間に宅地化するということは確かに現実的ではないということで、私どもといたしましてはこの市街化区域の中を、保全すべき農地とそれからまた宅地化を進めるべき農地というふうに区分をして、これからいろいろ税制上の措置それからまた農政上の取り扱い、そういうものを確立していきたいというふうに考えている次第でございます。 ただ、この区分の基準でございますけれども、これにつきましてはやはり市街化区域という性格からしまして、町づくりといいますか良好な都市環境、そういうものをどうつくっていくかというような観点から区分をすべきであろうということで、現在、主として都市計画の観点から区分をするというようなことで進めているわけでございます。農水省といたしましては、この区分によりまして保全すべき農地というふうに位置づけられた農地につきましては、今後とも農業継続ができますようにいろんな施策を講ずるように努力してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○石渡清元君 今の答弁、まさに都市計画上のそういう感が非常に強いわけで、例えば十年以内とか、そういう期限の制限だとか、それでなくても市街化区域内の農地というのが非常に小分割、小区画、あるいは小面積の傾向が、分散農地になっておりますが、それをまとめて経営単位、いわば採算に合うような経営単位としての営農をしておるわけでありますが、その辺のところのさまざまな税制もしかり、そのほか国土利用についての関係省庁にどんどん保全すべき農地というものをもっと積極的に取り組んでいただかないと、都市の農業生産者が非常に将来一体どうなっていくんだろうかという心配を持ち始めておるわけでありまして、そうしますと後継者の問題にもつながってまいりますので、さんざん農地とか水田の多機能は随分言われる割にはなかなかそれが、本当に純粋に農業経営を継続しようという人が何か将来不安にならないような、そういったような取り組みをぜひひとつお願いをしたいと思うんです。
○説明員(片桐久雄君) 都市農業につきましても、いろいろ農産物の供給という面で大きな役割を果たしているとか、それからまた都市の中の緑地空間としても非常に大きな役割を果たしているという点では非常に重要な役割を果たしているというふうに考えている次第でございます。ただ一方では、都市づくりといいますか、住宅宅地供給という問題もあるわけでございまして、こういう市街化区域の中でどうしても農業を振興、保護しなければならないというようなことにつきましては、なかなか国民的な理解を得ることも難しい面もあるというふうにも考えている次第でございます。 私どもといたしましては、そういう都市環境とか住宅環境とかそういうものをいろいろ考慮しながら、保全すべき農地というものをきちっと位置づけて、そういう位置づけられた農地につきまして営農継続のためのいろいろな施策を展開してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○石渡清元君 ぜひそういう営農意欲がわくように、どしどしひとつお取り組みを願いたいと思います。 それでは、時間もありませんので水産漁業汚染を中心にお伺いをいたします。 最近非常にいろいろな汚染原因があるわけでありますが、第一点のごみの問題でありますけれども、昭和四十七年の集中豪雨のときに、私ども神奈川県、東京湾と開放型の相模湾に面したところでありますけれども、物すごいごみで、そのごみを称して「因幡の白兎」だなんて、そういう表現があったほどごみの浜になったわけでございまして、そしてそれが目に見えるところでなくて、最近は非常に海底深くかなりのごみ、そのごみも分解をしないようなビニール、プラスチックあるいは空き缶が海底にたまっている傾向がある。「しんかい」、昭和六十年の深海の海底調査船でありますけれども、三浦半島なんか潜りますと、白く見えているのはみんな深海のかなり深いところでごみだというんですね。この問題についてはもちろん漁業者だけが捨てているというわけではありませんけれども、この辺の実態と対策についてはどのようにお考えか。
○説明員(京谷昭夫君) 御指摘ございましたように、いわゆるごみ類による海洋、私どもにとりましては生産の場であります漁場ということになるわけですが、そういう事態が、ごみ汚染問題、大変深刻になっておるということ、地域によって若干の差はございますが、御指摘のとおりでございます。 漁業サイドから見ますと、こういった事態というのは魚の産卵に支障を生ずるとか、あるいは魚の資源の再生産過程で特に小さい魚の育成プロセスが害を受けるとか、さらに海上に漂流するものについては漁船の操業等に支障を来すというふう な問題が生じておるわけでございます。 御指摘のとおり、ごみの内容として私ども掌握しておりますのは、ビニールあるいは発泡スチロールといったような生活上あるいは産業上の廃棄物でございますし、また空き缶というふうな形で、日常の生活で使われているものが投棄されておるというケースが多うございます。このごみによる障害の発生の仕方というのは、沿岸部とそれから外洋部で若干態様を異にしますが、ただいま先生から御指摘のあったような状態というのは恐らく沿岸部でまま見られる状態であろうかと思います。 基本的に私どもこの問題については、やはりこの源になります関係住民の皆さん方あるいは漁業者の日常の活動で、自主的にこういう事態を招かないようなお心がけをいただくというのが何としても重要であるということで、水産資源保護協会といった私どもの関係団体を通じて日ごろから関係都道府県なり市町村を通じて啓蒙普及を図っておるわけでございます。ただ、現実にこういった事態が発生したものについては、市町村等のお手も煩わしながら、ある種の住民活動あるいは漁民活動として日を決めて清掃を行うというふうな運動を地道に展開をしておるわけでございます。 また、特に先ほど先生から御指摘のございましたように、海底に堆積をするというふうな事態になりますと、もうかなり大がかりな仕事になります。堆積物の除去、あるいは要すればヘドロと一緒になったような状態のものをしゅんせつしていくというふうな大規模な仕事が必要になりますので、これにつきましては一定の国庫補助事業を仕組みまして、現実にごみによる漁場被害を受けているような地域については、そのための仕事を沿岸漁場保全事業と言っておりますけれども、そういった形態での漁場のいわば清掃事業をしておる、こういう状況でございます。
○石渡清元君 確かにそのごみが漁業者とかそういうのでなくて、ほとんど海の場合は河川が七、八割、向こうから流れてくるというのが多いわけでありますけれども、ごみが水産資源に非常に悪影響を及ぼしつつある。またそれがすぐ実害となって出てこないところが問題でございまして、神奈川県の定点観測で開放性の相模湾でCODの指標はクリアしている、大丈夫だというんです。ところが、油壺の突端に臨海実験所、これはナポリに次ぐ世界二番目の古い実験所なんです。そこで調べますと、海底の生物がどんどん絶滅していく。絶滅マークがどんどんふえていく。ムラサキウニのとげがどんどん、ぼろぼろしてなくなっていくというそういったような状態がありますが、これは結局魚がそれをえさとして飲べますので、その影響を心配しておるわけであります。 それでは具体的に、漁業経営の廃棄物、いわゆる特に漁網でございますけれども、非常に漁網の廃棄がこのところまだまだされているようでございまして、この水産庁の水産工学研究所でも、流されてきた漁網を集めると約八割が自然に切れたのでなくて人為的に切られて捨てられている、流されているというんですか、そういったような鋭利な刃物の跡があるというような状況とか、あるいは北海道のイカ流し網の六十八人の漁業者にアンケートしたら、大体その六割が捨てたことがあるか、あるいはたまには捨てた、こういったようなデータも出ておりますので、この点につきまして水産庁では漁業者に対するどのような指導をされているか。
○説明員(京谷昭夫君) 先ほど来お話しございます、いわゆる海洋におけるごみの問題でございますが、その中に、ただいまお話のありました漁業サイドからの廃棄物が含まれておることは事実でございます。ただ私ども、この漁網による被害というものは、特に外洋部において大変大きな問題になるわけでございますが、外洋部に形成されております廃棄物の全体の構成を見ますと、先ほど申し上げましたように、沿岸部と似た現象でございますが、発泡スチロール、それからその他のプラスチック類が全体の漂流物の約四割を占めておるわけでございます。この漁業サイドからの廃棄物のウエートを見ますと、網の使用に伴う浮き類と、それから網を含めて大体一二、三%という構成比を持っております。ただ網の場合には、現在の材質が非常に強化されておるということもございまして、かなり長期にわたって浮遊をする、あるいは何といいますか、連続した構成物でありますから、いろいろ物にひっかかったりひっかけたりする場合が多いということで、私どもこういった事態を招かないように、漁業サイドからの廃棄物が適正に処理されるように指導をしておるつもりでございます。 この問題、実は国際的にもいろいろ問題が多うございまして、御承知のとおり、海洋汚染防止条約という国際条約が一九七〇年代の初めにつくられまして、それを受けて国内では海洋汚染防止法を策定して、その精神にのっとってそれぞれこういった問題を起こさないような規制をしておりますけれども、なかなか完全には目の届かない実態もあるわけでございます。 私ども、漁業団体を通じまして、こういった国際的あるいは国内的な規制に反するような行動が行われないように指導を重ねますと同時に、持ち帰って的確にこれを処理するということが肝要でございますので、陸上における処理施設の整備等を助成事業で行っておるわけでございます。 また、やや長期的な課題にはなろうかと思いますが、網なりあるいは釣り糸につきまして分解性を持った材質を開発して、これによって漁具を製造するということに向けて、バイオプラスチックと呼んでおりますけれども、そういった新しい材質の開発にも現在取り組んでおるわけであります。 また、当然、冒頭に申し上げましたような啓発指導活動というものを息長く続けていくということが何にも増して重要でございますので、関係団体の力もかりながら、そういった意識の改革といいますか、そういうものにも取り組んでいく必要があるというふうに考えておる次第でございます。
○石渡清元君 それと、最近少なくなったようでありますけれども、流出油、油を捨てたり、まあタンカーの座礁などの海難事故は別としても、そういった故意に捨てる油が非常に、特に九州地方などにそれが集まって廃油ボールというものがよく流れる。最近は非常に減ったそうでありますけれども。それらに対してどのような指導をされているか。
○説明員(京谷昭夫君) 油濁、まあごみの一種になるんでしょうか、油濁による、船舶からの廃油投棄等による海洋汚染問題もかなりあるわけでございます。これも御承知のとおり、先ほど申し上げました海洋汚染防止法によって船舶上における廃油処理に厳しい制限を加えておるわけでございますが、御指摘のような事態が続いておるわけでございますけれども、最近におきましては大分改善をされてきております。 ただ、これは廃油問題ではございませんが、もう一つ並行して出てきておりますのは、御承知のとおり、産業活動の活発化によって石油運搬が大変頻繁になってきておりまして、それに対応した石油運搬船の事故による実は油濁被害というのも、御承知のとおりことしの一月の末に京都沖で起こったというふうな事例にも見られるわけでございますけれども、そういった事故が時々発生をしまして漁業サイドでも被害を受けるという状況でございます。 基本的に、海洋汚染防止法の精神にのっとった的確な処理というものを遵守させていくことということが基本でございますが、私ども、この油濁によって発生した漁業被害については、まさに原因者負担の原則に従って、ケース・バイ・ケースではございますけれども、的確な補償が行われるように措置をしておるところでございます。
○石渡清元君 それでは、だんだん細かくなって恐縮でございますけれども、船底の塗料とかあるいは漁網に塗られた有機系スズの毒性、これは化学物質審査、規制法で難分解性のものとか長期に残るようなもの、高蓄積性のものはもう禁止され ちゃっているんですけれども、まだ漁網にTBTOを塗っている人を見かけたとか、あるいは船底から溶け出すというんですね。それは漁船ばかりじゃありません、プレジャーボートもいろんな船も含めて溶け出している。 それがなぜわかったかというと、何か養殖のハマチの奇形がばかに多いので何だろうと思って調べたらそういったようなものが検出された、それで最近になってその使用は禁じられた、こういうことになっておるわけでございますけれども、その辺のところの徹底はいかがなものでしょうか。
○説明員(京谷昭夫君) お話しございますように、海洋汚染のもう一つの形態として、海水あるいは海底に有害物質が流出をし沈殿をする、またそれが魚に摂取される可能性も排除できないというふうな問題がございます。その一つの例としてただいま有機スズ化合物の問題の御指摘があったわけでございますが、これは御承知のとおり「漁網あるいは船の場合が圧倒的に多いわけでございますが、船底に貝類あるいは藻類が付着することを防止するために船底塗料等に使われておる一物質であります。 この問題について、私どももかねがね実態の掌握をしておるわけでございますが、ことしの八月に環境庁が行った調査結果では、現時点で直ちに人の健康に問題を生ずるおそれはないけれども、この状態というのが長期に続いていくと将来が多少心配であるというふうな指摘がありまして、この問題については汚染の状況を的確に把握すると同時に、その原因を取り除くための対策というものを適宜適切に行っていくということが必要であるというふうに考えております。 このことし八月の環境庁の調査結果に基づきまして、先ほど御指摘がございましたように、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、通称化審法と呼んでおりますけれども、この化審法の規定に従いましてこの有機スズ化合物、内容について若干分類の差はございますけれども、その製造なり輸入について制限をするとかあるいは禁止をするという措置が順次講ぜられております。 またこの塗料を使用する側としまして、大量の船舶を管理しております運輸省、あるいは私どもも相当の漁船がおります、また我が方もわずかながら漁網に使っている例がございましたので、数年前からこの使用を自粛するような指導をしてきております。 その自粛の内容については順次強化をしてきておりまして、現時点では代替製品の開発の状況を見ながらこういった有機スズ化合物を含んでいない塗料を使用するようにという指導を漁業サイドで完全に励行させると同時に、一般船舶業界におきましても、内航船については使用をやめようじゃないかという措置を現在運輸省の方で講じていただいておるというふうに承知をしております。
○石渡清元君 いろいろ汚染源について申し上げましたわけでありますけれども、いずれにいたしましても、厳し過ぎることはないと思います。ということは、海洋の関係は広域汚染にすぐつながってしまいますので、海中の濃度がごく微量だと、一ppt、これは百万分の一ppmなんですが、だから大丈夫だということではなく、これが植物系のプランクトンが取り込んで動物のプランクトン、小魚が食べる、大魚が食べる、海洋哺乳動物が食べる、こういう捕食を重ねて、食物連鎖の中で濃縮循環しているわけでありますので、その循環の頂点に立っているのは人間ということを忘れずに、この徹底についてはぜひひとつよろしくお願いを申し上げ、質問を終わります。
○猪熊重二君 きょうは農林水産省に対していろいろ質問をさせていただきます。農林水産省の中でも、国有林野事業特別会計についてお伺いいたします。 先ほども国有林野の状況についていろいろ質問がありましたけれども、きょうの審議は六十二年度の決算審査ということですので、まず昭和六十二年度の国有林野事業部門における事業収支、累積欠損金、累積債務額について数字を述べてください。
○説明員(小澤普照君) 昭和六十二年度におきます国有林野事業の債務状況でございますが、決算結果についてお答えいたします。 木材の販売収入を主体といたします自己収入二千八百八十一億円でございまして、支出総額は五千五百十八億円ということから、長期借入金に係る償還金利子千七百七十九億円を除いた事業支出は三千七百三十九億円でございまして、いわゆる基礎収支差、これは事業の収支差でございますけれども、八百五十八億円の支出超過となっております。損益計算上の損失、いわゆる欠損金は五百四十二億円で、累積欠損金は七千五百二十三億円でございます。 なお、借入金の方でございますけれども、これは造林、林道等についての投資財源で借り入れたものでございまして、六十二年度は二千五百五十八億円でございまして、収入総額の四六%を占めておりますけれども、六十二年度までの累積債務額は一兆六千九百八十億円となっております。
○猪熊重二君 要するに国有林野事業は、この六十二年度においても既に企業的に見た場合にはもう破産状態だと思います。 大臣、昭和六十二年度のことをお伺いするので非常に申しわけないけれども、今の数字をお聞きになって、一年間の事業収支でマイナス八百五十八億というふうな状況の場合、これは破産状態だというふうにお考えになりませんか。どうですか。
○説明員(小澤普照君) 確かに先生御指摘のように、累積債務は大変多額になっておりまして、極めて厳しい財政事情にあることは事実でございます。 しかしながら、国有林の経営を今後も維持または回復させて国民の要請にこたえていくことが必要でございまして、このためには要員の適正化、組織機構の簡素合理化、新規収入の確保など、各般にわたる経営改善努力を続けてまいりますと同時に、累積債務対策を含め、経営の健全性を確立するための総括的な対応策につきまして現在林政審議会の御意見をお聞きしながら検討を進めているところでございますので、あくまでも経営の立て直しを図るという立場で努力をしたいというように考えておるわけでございます。
○猪熊重二君 長官はそのようにおっしゃいますが、今六十二年度の決算においても事業収支がマイナス八百五十八億円、こういう状況。それでは、要するに事業収支がマイナスになったのはいつからなんですか。
○説明員(小澤普照君) まあ戦後国有林野事業の経営を行ってまいりましたけれども、昭和二十年代から三十年代につきましては大変木材につきましての供給も行い、材価も堅調であったというようなことでございまして、黒字も計上しておったわけでございますけれども、その後、昭和五十年度に至りまして百三十五億円の損失を計上いたしまして以来、連年損失を計上しているところでございます。
○猪熊重二君 今、長官がおっしゃったように、国有林野の赤字、一口に言って赤字ですね、これはもう五十一年から続いているわけです。それで今あなたがおっしゃったような、やれ適正要員の確保だとかあるいは事業の効率化だとか、そういうことは五十一年から言っているんです。五十一年から言っていて、六十二年の決算においても今のようなことなんだ。だとしたら、もし五十一年度の質問をされたら今のようなお答え、六十二年度の決算についても今のようなお答え。要するに、五十一年からずっと数字はどんどんどんどん上がっていって、このカーブは下がることもなければ平らなこともない、どんどんどんどんマイナスが上がっているだけなんだ。 それで、農水省として、あるいは林野庁として、改善計画をして何とか立て直ししようという努力をされていることは認めますよ。五十三年度に改善計画を立てた、そして十年間にせめて何とかうまくいくようにと。しかしだめだということになって、今度は五十九年度です。五十九年度も改善計画を立てたけれどもこれも実現不可能とい うことで、今度は六十二年度に三度目の改善計画、見直し計画をした。 では、この六十二年度に立てた見直し計画の概要を簡単に言ってください。いつまでに事業収支がとんとんになって、いつまでに企業的に借金も返せるとか、こういう簡単なことを、六十二年度に樹立した計画の内容をおっしゃってください。
○説明員(小澤普照君) 昭和六十二年の七月に改善計画を改定いたしております。この改善計画では、平成五年度までに経営改善に必要な基本的条件の整備を図ることといたしておりまして、収支の均衡につきましては平成九年度までに達成することを目標としております。
○猪熊重二君 特に私が申し上げたいのは、この昭和六十二年度の改善計画においてもこういうことを言っているんです。「特別会計制度の下で、原則として独立採算制」を図るということが書いてあるわけなんです。 私は、後で申し上げますが、もうこれは独立採算制なんという問題じゃないだろう、こう思うので特に申し上げるんですが、要するに、今の年号に直すと平成五年まで一生懸命改善計画やって、平成九年には収支がとんとんになる、こういう改善計画を立てたということなんですが、それでは、先ほどお伺いしたのは六十二年度だが、六十三年度と平成元年度はこの計画に従って少しはカーブが落ちてきたか。どうなったか概略述べてください。
○説明員(小澤普照君) 六十三年七月に改定いたしまして、その後の経営改善の実施状況について申し上げます。 まず一つには素材生産をやっておりますが、これを請負化率を高めるということでやっておりまして、これは六十二年度は三六%の率でございましたけれども、翌年の六十三年度には三八%に上昇させ、さらに元年度には四〇%に上昇させておるわけでございます。 要員につきましては、六十二年度末四万人でございましたが、六十三年度末三万七千人、元年度末で三万四千人という状況になってございます。 組織機構につきましては、六十三年度は営林署における三百十三の課の統廃合を行いました。なお、百十三の担当区事務所、七十一の事業所の統廃合を実施しております。元年度におきましては、営林局におきまして十課、営林署におきまして十三課の統廃合、二十担当区事務所あるいは六十九事業所の統廃合というような簡素化を進めておるわけでございます。 自己収入につきましての確保策でございますけれども、林産物収入につきましては、六十二年度千九百十七億円でございますが、六十三年度は千九百二十六億円、元年度は千九百九十五億円という状況になっております。なお、林野、土地の売り払い収入につきましては、六十二年度が七百三十三億円、六十三年度七百三十一億円、元年度七百四億円でございます。一方、分収育林、いわゆる緑のオーナーと称しておりますが、このような収入あるいは森林レクリエーション等に係る収入でございますけれども、これにつきましての収入確保努力をいたしておりまして、六十二年度八十四億円、六十三年度百三億円、元年度も同額の百三億円でございます。 このように種々努力をいたしてきているところでございます。
○猪熊重二君 あなたはいろいろおっしゃるけれども、要するに人員削減頑張ったとか営林署の数を減らしたとかね。私は仕事をしていないと言っているんじゃないんです。 ただ、結論的に言えば、単年度における事業収支というのは全部マイナスなんだ。昭和六十二年度から順番に言っていけば、八百五十八億、次が八百二十六億、次が六百六十五億。毎年毎年事業収支はマイナスの状況が全然変わっていないじゃないですか。それから、累積欠損額も、今の年度で申し上げれば、七千五百二十三億から八千五十八億、そして去年は八千四百九十四億。ずっとカーブが上がっているだけじゃないか。さらに債務ですね。累積債務額も一兆六千九百八十億から一兆八千八百七十六億、去年は二兆七百二十六億円ということで、二兆円になっている。 要するに、改善計画つくって一生懸命やりますと、六十二年に改善計画つくったけれども、六十三年、平成元年、恐らくことしの平成二年度だって借金。要するに企業経営状況が悪いという状況のカーブは全然減っていないじゃないですか。ですから、こういう故善計画を五十三年から三回つくっても、ほとんど実現可能性のない改善計画というものをつくっている。 そして私が非常に心外に思うのは、こういう実現できないような改善計画をつくって、それについて責任を負う人がだれもいない。このことを大臣にも申し上げたいんです。きのうは原子力船のことに関してだれも責任とる者がいないと、喜岡委員がこうおっしゃった。私も、まあ山本大臣に前のことを一生懸命ここで怒っているのは申しわけない、また長官もまだなって何カ月でね。だけれども、林野庁長官にしても大臣にしても、自分がいるときだけ何とかかんとかやっていればそれで相済みというふうな無責任な行政対応というものはあっちゃならぬ、こう思うんです。しかし、まあそんなにここで怒っていてもしようがない。 それで、会計検査院にお伺いしたい。 会計検査院は、この六十二年度の決算、まあ六十三年度、平成元年度の決算もあるわけですけれども、とりあえず六十二年度の決算審査ですから、六十二年度の国有林野事業に対する会計検査において、今言った改善計画というものの実現性についてどのように認識していましたか。
○説明員(白川健君) 国有林野事業の問題については、私ども従前から問題提起を続けているところでございます。 この改善計画の関連で申しますと、昭和五十九年に策定されました改善計画に即して林野庁当局では収入の確保とか事業運営の能率化等経営改善に努めているところでありますが、しかし、我々検査してみますと、この事業を取り巻く環境が一段と悪化している。収入の増加を図ることはさしあたり無理ではないか、そのように判断しております。 そして、現状のまま推移するとこの財政はますます悪化するであろう、こういう認識を抱いております。
○猪熊重二君 そのような認識、すなわち、このような経営改善計画の実現性はほとんど不可能だろうというような認識について、会計検査院として検査報告の中に何らか記載しましたか。
○説明員(白川健君) 五十年度に赤字が発生したというその時点以来掲記を続けているわけですけれども、昭和六十一年の暮れに公表しました決算検査報告におきまして、先ほど私が述べましたような趣旨の指摘を行っております。そして昭和七十二年度、これは平成九年度になるわけですけれども、平成九年度までに「収支の均衡を回復し、経営の健全性を確保するという目標の実現も困難となるおそれがある」という指摘をしております。 説明しますと、これは特記事項という形で検査報告に掲記したものでございますが、この特記事項の趣旨は、林野庁の努力だけではなかなかこの問題は解決しないのではないかという考えから、政府及び国会と国民一般にこの問題を提起して、諸方面で検討していただきたいと、こういう気持ちから検査報告に掲記したものでございます。
○猪熊重二君 さらに会計検査院としては、この改善計画のこともさりながら、国有林野事業がこのような特別会計において経営的にやっていくことは不可能であるというふうな点、あるいは国有林野事業の公共事業的性格というものを考えれば、単に独立採算制をとるとか、企業的に何とか資産をふやすとか、そんなことはやっていけないし、そのことだけを目的にして制度の運用を図るのは不適切であると私は思うんだが、そのような点に関する会計検査院の認識及びこの認識に基づく会計検査上の指摘、そういうものはありましたか。
○説明員(白川健君) 先ほどから話題に出ており ますように、国有林野事業は木材の生産が中心になるわけですけれども、そのほかに、国土の保全とか水資源の涵養とか自然保護、そういう役割も持っているわけでございます。そういう公益的な機能に対応する費用については、これはまた委員も御指摘のとおり、財政措置も必要ではないかと考えるわけでございますけれども、ただ、企業的に運営している木材の生産、販売というものにつきましては、これはあくまで企業的に運営していただきたい、そういう考えでおるわけでございます。
○猪熊重二君 あなたが今おっしゃった、六十年度分の検査の結果を六十一年十二月に発表した「国有林野事業の経営について」というこの会計検査院の指摘は、単に商売としてはどうだこうだということは書いてありますよ。こういうふうにして一生懸命採算をとれとか生産性を向上しろとかいうふうなことは書いてあるけれども、これだけの昭和五十一年からの先ほど申し上げたような経理状況を見れば、会計の状況を見れば、一生懸命頑張ったってほとんどだめだというのは、もう十五年間だめなんだ。にもかかわらず、会計検査院としてこれはどこかが間違っているということをなぜ指摘しないのか。 会計検査院法の三十六条には、法令や制度や行政の改善を必要とする事項があると認めるときは指摘しろと書いてある。要するに、国有林野事業の独立採算制なんという問題じゃなくて、もう少し公益的な側面から考え直さなきゃいけない。国有林野事業特別会計というふうなことをやっていられる段階じゃないというふうな認識は全然お持ちじゃないんですか。
○説明員(白川健君) 私どもは国有林野事業の経理面から問題を提起したということでございまして、先ほど委員がお示しになりました六十年度の決算検査報告掲記事項は、中身は会計経理の面が主体になっております。したがいまして、先ほどから問題になっております公益的な分野、そちらについては私どもの分析、検討が及ばなかったというのが実情でございます。
○猪熊重二君 今、六十二年度の決算に関連して会計検査院に一応苦言を呈したんです。同じことは六十三年度も平成元年度も、あるいは平成二年度はおやりになったたかどうかは知らぬけれども、数字のつじつま合わせの会計検査をしても、それはそれなりに意味があるけれども、それ以上の会計検査院の地位、職責というものがあるだろうと私は思うんです。これについての何らの指摘もないということはまことに遺憾なことです。 時間がありませんので次に、国有林を含む森林に対する総理府が行った平成元年十月の「森林と生活に関する世論調査」というものがあります。国民が森林についてどう考えているかという問題です。これについては、社会党の村沢牧先生がことしの五月十八日に参議院の予算委員会で、また私もことしの六月一日の農水委員会でいろいろ意見を申し上げました。 この国民の森林に対する意識調査、この中で非常に重要な点三点についてごく簡単に林野庁長官、お答えください。まず、国民が森林に対して期待している森林の働きというものは何なんだということをお答えください。
○説明員(小澤普照君) 森林の働きにつきましては、まず第一に「山崩れや洪水などの災害を防止する働き」というのが六八・一%の方が回答しておるわけでございます。二番目は「水資源をたくわえる働き」ということで五三・八%、三番目が「貴重な野生動植物の生息の場としての働き」が四一・三%、「大気を浄化したり、騒音をやわらげたりする働き」が三六・一%、「木材を生産する働き」が二七・五%。以下「野外における教育の場としての働き」、あるいは「レクリエーションの場」等々となっておるわけでございます。
○猪熊重二君 要するに、国民の方が森林の働きについてよく納得し、承知しておられると思うんです。 今、会計検査院にしろあるいは林野庁の長官にしろ、一生懸命特別会計だとか独立採算制だとか言っているけれども、国民は森林に対して独立採算制だどうだなんということは言ってはいないんです。山崩れや洪水などの災害防止、七〇%近い人が、それが森林なんだと言っているわけなんです。あるいは水資源を蓄える働きだと言っているのが五四%の人なんです。山から木という財貨を獲得するんだ、森林は木を生むための生産手段なんだと考えている人は二七%しかいないじゃないですか。この二七%の問題が独立採算制の問題であり企業会計の問題なんです。森林はそういうものじゃなくて、五〇%、六〇%、七〇%の人が違うことを考えているんです。これが森林の働きなんです。 それでこの山を、森林を整備する費用の分担について国民はどのように考えていますか。
○説明員(小澤普照君) 費用負担につきましては、まず第一番目に「国や地方公共団体が積極的な助成を行う」とする意見が四七・八%ございます。それから二番目は「森林の公益的な機能に着目して、恩恵を受けている者も費用を分担する」というのが一八・一%、三番目は「緑のオーナー制度や募金など広く国民の参加を得て森林づくりを行う」というのが一四・五%、それから四点日は「森林の所有者が自らの責任で森林づくりを行う」というのが一一%というようになっております。
○猪熊重二君 この費用の分担に関しても、国民の意識はまことに健全で立派だと思うのです。国や地方公共団体が銭を出して森林を、山を保全しろと言っているのが四七・八%、要するに半分ぐらいの人がそう言っているわけです。それで、森林を特っている人が銭を出せと言っているのは一一%なんです。ということは、これもやっぱり先ほどの特別会計、独立採算制ということからいったら、公共事業だから国や地方公共団体が銭を出せという人が五〇%近くいる。所有者がというのは、これは国有林所有者としての国ですよね、国有林で言えば。国がその所有者という立場で銭を出せと言っているのは一一%しかいないじゃないですか。 さらに、これからの森林整備をどのようにやっていくかということについてもほとんど同じような答えがありますが、簡単に答えてください。
○説明員(小澤普照君) これからの森林整備のあり方についてでございますけれども、この点につきましては、まず第一番目は「森林はたとえ経済効率に合わなくても、国土保全、災害防止などの役割を重視して整備すべき」であるという回答が七九・三%ございました。二番目は「森林は経済活動の対象であるから、経済効率を第一に考えて整備すべき」であるという回答が一〇・六%などとなっております。
○猪熊重二君 要するに、この国民の森林あるいは山に対する意見、これをやったのは、林野庁がやったわけでもどこでもない、総理府でやったんです。だから、官房長官のところへ行ってあるいは海部総理のところへ行って、あなたのところでやった世論調査の結果国民はこう言っている。だから特別会計なんということを言っていないで、もっと銭を出して山を守れというふうなことを言っていったらどうですか、大臣。いかがですか。
○国務大臣(山本富雄君) 先生の、非常に厳しいんですけれどもすべてを御認識の上でいろいろ御質疑をなさっているのを聞いておりましたが、原則論で大変恐縮でございますけれども、以下、次のように申し上げたいと思うわけでございます。 国土の保全、水資源の涵養、自然環境の保全などの森林の公益的機能に対する国民の関心が高まっており、その高度発揮は国有林野事業の重要な使命であります。農林水産省といたしましては、今後とも特別会計制度のもとで森林の公益的機能の発揮のため、鋭意その整備、保全に努めてまいる所存であります。 なお、国有林野事業の厳しい財政事情にかんがみ、特別会計制度のもとで国有林野内の治山事業については全額一般会計負担とするとともに、造林、林道事業等についても逐次一般会計からの繰り入れを拡充する等所要の財政措置を講じてきて いるところであります。 そこで先生の御所見でございますが、すべてを御理解の上でと申し上げましたのは、非常に従来からのいきさつも御存じの上でこれから先のことを示唆しながら御質疑をなさっておられるというふうに私どもよくよく承知をしております。先ほど来他の先生方の御質疑に対しましても私からもお答えをいたしましたが、国有林の大赤字がこのままでいいというふうに思っている者はだれもおらない。しかも、その財政的な処理だけではなくて、山は国民の財産である、国土保全のためにどうしても必要だ。山といっても森と林がなければ山じゃありませんから、その森と林は国と国民のために絶対必要だ、こういう観点も十分私ども認識しております。 現下最大の急務はこのことを、国民世論というものを今先生数々御指摘になりましたが、バックにしながら何らかの方策を講じなければならない。このままの状態で推移していくことはもはや許されないという考え方、決意のもとに、最終答申もいずれ林政審で出るでしょうけれども、やるのは我々がやるわけでありますから、必ず何らかの方策を将来に向かって講じていかなければならない、私自身はそういうふうに考えておりまして、決してこの場限りで責任を回避しようなどということは考えておりません。責任は重々感じております。
○猪熊重二君 私は、先ほど世論調査のことを非常に申し上げたのは、この世論調査に対して林政審議会の中間報告、ことしの八月に出たものですけれども、これは浅学非才の身で申し上げるのはまことに恐縮なんですけれども、今の国民の世論調査に比べて非常におくれているというか、認識が不完全じゃなかろうかと私は思うんです。このような中間報告を出した上で秋なり冬なりに林政審議会から最終報告が出てきても、事の実態を正確に認識してそのための改善策というものが出てくるかどうか非常に不安なんです。 というのは、時間がありませんから私の方からしゃべってしまいますけれども、要するに林政審議会の中間報告は、国有林野を四つの機能に分類しろ、こう言っているんだ。これは結構なんだ。四つの分野というのは、「国土保全林」、「自然維持林」、「森林空間利用林」、「木材生産林」、こういうふうに四つに分けろ、そして森林管理しろと。それは結構なんです。しかし今、審議会が森林を四つの類型に分けろと言ったこの四つの類型の中で、最初に申し上げた三つは公共利用の問題なんです。最後の四つ目の「木材生産林」というところだけが要するに独立採算で銭もうけしましょうという項目にすぎないんです。森林を四つの機能に分類しろと言っているけれども、だからどうだということをこの中間報告は何も言っていない。 それから、赤字の解消策についても提言している。何を提言しているか。先ほどの委員もお話しになっていましたけれども、要するに保有している林野、土地等の資産の処分をしろ、こういうことを書いてあるんです、中心的には。国有林なり国有林の上の材木を売れば二兆円の借金なんというのは、それはきょうだって返せる。どんどん売っ払えばいいんですから。そんなものは解決策じゃない。さらに累積借入金の処理方式も何か考えて別途経理する方式を検討しろなんて言っているだけなんです。要するに、何か国有林の公共的作用というものについてちらちら言っているけれども、だからどうなんだという結論的な、中間報告ですから結論はないのが当たり前かもしれませんが、こういう発想方法だと全然根本的解決にならないのじゃなかろうかと私は心配するんです。 それを林野庁なり農水大臣は、最終報告が出たら出たらと言っているけれども、最終報告が出たら今までと同じような似たような十年先の改善計画でも立てる、実現不可能な改善計画をまた立てるというようなことになったんじゃ問題の先送りだけだ、このように私は考えるから申し上げているわけです。 話は変わりますが、ことしの七月に総務庁が国有林野行政に対して勧告を出しています。この勧告の中では、今の林政審議会の中間報告なんかよりはよほど事態を的確に把握していると私は思います。 まず、改善計画に対する評価としては、「平成九年度に収支を均衡させることは極めて厳しい状況にある」、要するに、言葉は丁寧ですけれども、できっこないよと言っているんです。そして、「国有林野事業を経営するに当たっての採算性と公益性との調整に関する考え方が法律上において必ずしも明確にされないまま事業経営が行われ現在に至っている」から、もう少し公共事業としての側面とそれから独立採算による企業経営という側面と法律的にも明確にしろ、こういうふうなことを勧告しているんです。 この総務庁の勧告に対する総括的な御意見はいかがでしょうか。
○説明員(小澤普照君) 七月に勧告が出ております。国有林野事業につきましては各般にわたる経営改善努力にもかかわらず、その累積債務残高は二兆円を超えておるわけでございます。この極めて厳しい財務事情にございまして、総務庁の行政監察におきましても抜本的な改善を図るべき旨の勧告をいただいたところでございます。 そこで、さらにまた林政審議会の中間報告におきまして改善についての中間報告、ただいま先生からいろいろ御指摘もございました機能類型に応じた管理経営でございますとか、あるいは累積債務の処理方策、あるいは事業実行形態、組織機構及び要員のあり方等についての方向づけもいただいております。 林野庁といたしましては、総務庁の行政監察に基づく勧告を考慮しながら、また林政審議会の中間報告の趣旨に即しまして、国有林野事業の経営改善のための具体策を目下鋭意検討を進めているところでございます。
○猪熊重二君 私は、この問題をお伺いするに際して大蔵省にも来ていただこうかと思ったんですが、来ていただくのはやめたんです。それはなぜかというと、林野庁自身がまだ全然意識改革をしていないから。意識改革していないのに、大蔵省に銭をもっとちゃんと出せと言う立場にないから大蔵省には来てもらわなかったんです。いつになってもまだそういうことを言っているようじゃ、問題の先送りにしかすぎないと私は思いますよ。 要するに、例えば日比谷公園をごらんください。坪五千万するか一億するか、あの辺の土地だったら。だけれども、日比谷公園を収支合うように運営せにゃならぬなんて言っている人はだれもいないんです。あれは都市の中における山というか森林なんです。要するに都会地においては公園というものが必要だ。これが高い土地をただあんなことをやっておって、人が歩いているだけじゃもったいないと言う人はいないんです。 全然機能は違いますが、山はあること、木が生えてあること、そのことで意味があると私は思うんです。中国五千年の昔から治山治水と言っている。何で河川事業にだけ銭出して、これは公共事業で銭出して、治山の方の、山の方にはやれ銭もうけしろの、独立採算でやれの、なぜ言っているんだ。治山がだめだったら治水はだめなんです。治山治水というのは私が言っているんじゃなくて、あなた、五千年も六千年も昔の中国からです。 ですから、ともかく私がこれ申し上げているのは、林野庁に文句言っているんじゃないんですよ。発想を変えて、どんどん銭持ってきて、国民のために先ほどの世論調査に乗っかってもっとすばらしい国土を保全しましょうやということを申し上げているんです。 大臣どうですか。今すぐ特別会計廃止というわけにはいかぬでしょうけれども、一言最後に何か言ってください。それで終わります。
○国務大臣(山本富雄君) 非常にありがたい御質疑だったというふうに身にしみております。意をむだにしないように体しながら、微力でございますけれども、誠心誠意何とか治山治水の方向へ向かって頑張りたい、こう思っております。
○猪熊重二君 以上です。
○高崎裕子君 最初に、最高裁にお尋ねいたします。 近年、消費者信用の急増が論じられ、それに伴う争いが消費者信用訴訟という形で裁判所に持ち込まれるようになっております。とりわけ簡易裁判所において急増していると言われておりまして、私の所属する日本弁護士連合会においても、この問題に非常に関心を持っているところです。 最初に確認したいんですけれども、全国の簡裁の消費者信用関係訴訟の新受件数を見ますと、昭和六十二年で十四万五千九百十三件、六十三年で十万六千八百二十三件、平成元年度で八万五件となっており、通常訴訟に対する割合は六十二年で七七・八%、六十三年度で七三・四%、平成元年度で七一・一%。また被告が欠席したまま行われる欠席判決の件数、これはいずれも消費者信用関係訴訟で既済事件のうち、昭和六十二年度が七万二千三百五十五件、昭和六十三年で五万三千二百三十五件、平成元年度で三万六千四百六十一件で、これも割合としては、六十三年度から平成元年度までそれぞれ四七・七%、四五・六%、四二・七%という数字になっておりますが、これで間違いございませんね。
○最高裁判所長官代理者(今井功君) 今御指摘のとおりでございます。
○高崎裕子君 次に、訴状ないし支払い命令の正本が送達できないで返戻される割合というのは、全送達件数中およそ三割前後で、その送達できない理由としては、一、全戸不在、二、転居先不明、三、あてどころに尋ね当たらず、四、あて名不完全がありますが、そのうち全戸不在、つまり受取人不在、これがかなりの部分を占めているというのが実情だと伺ってよろしいでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(今井功君) そのとおりでございます。
○高崎裕子君 簡裁の消費者信用関係訴訟の新受件数が七割以上にもなるという高さ、それから既済事件中の欠席判決が半数近くになっている、これは信販、クレジット、それからサラ金関係の事件で裁判が行われていること自体知らない、あるいは自分に判決が出ているということも知らないで、突然給料が差し押さえられて知るというようなトラブルが絶えないわけですけれども、これは民訴の百七十二、百七十三条のいわゆる付郵便送達が使われていることと関連して問題になっているわけです。これは六十二年に我が党の内藤委員が決算委員会でも質問しているところですが、最高裁の民事局でつくられた「信販関係事件に関する執務資料」、これを拝見させていただきました。これによりますと、「民事局等の調査によると書留郵便に付する送達の運用について慎重な庁が大部分であって、余り活用されていないようである」、「その運用には十分な配慮をすべきである」、こうされているわけです。ところが他方で、「しかし信販関係事件は、簡易迅速な解決が要請される少額の金銭請求事件であるので」「この送達方法の活用を考える必要がある」。これはつまり、信販関係事件については最高裁はこの付郵便送達をどんどんやっていいと、奨励をしているというふうにしか思えない表現になっているわけですけれども、これは現在でも一般事件とそれから信販関係を区別して運用を考えているというふうに理解してよろしいんでしょうか。
○最高裁判所長宮代理者(今井功君) 確かにそのような資料がございます。 それで現在考えておりますのは、どのような事件でございましても、送達を受ける方、この方の利益は十分擁護しなければいけない、こういうことで考えておりまして、特に信販事件とそれから一般事件、これを区別するというようなことは考えてございません。 このような資料が出ましたのは、当時非常に信販事件がたくさんございまして、その信販事件では比較的昼間は住所、居所にいない、このような例が非常に多かったものですから、そのような資料がつくられたというふうに理解をしております。
○高崎裕子君 そうすると、一般事件と信販関係事件とは区別はなく同じだ、つまりいずれも慎重に扱えという考えたと。それは一般事件の運用基準で行うというふうに最高裁としては考えておられるというふうに伺ってよろしいんでしょうか。
○最高裁判所長富代理者(今井功君) そのとおりでございます。 この送達につきましては、送達を受ける方の利益、それからそれと同時に、送達をしなければ訴訟が始まらないものですから、これは原告についてもやはりそれは考えなきゃいけない、そのバランスということが必要でございますが、そのようなことを考えて今のような運用基準をつくったということでございます。
○高崎裕子君 そうすると、一般事件と同じように運用されているかどうかについて、今度はその指導が徹底されていくということが極めて大切になってくると思うんですが、その点、例えば各庁が最高裁の運用基準に従ってそれぞれ申し合わせ協議事項をつくるなどされているわけですけれども、その事項について報告をされるシステムになっているのか。そして運用基準を逸脱するようなケース、守られていないというヶ!スについてはどのように是正するのかという指導体制というんでしょうか、チェック体制というんでしょうか、その辺はどのようになっているんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(今井功君) これは委員御承知のとおりでございますが、このような、例えば訴状などを送達するのはどういうふうにするかということについては、各裁判体が最終的には決めるわけでございますが、それについての基準というようなものを一応つくってございます。それについて、各庁でいろいろそれに基づいてそれとほぼ変わらないような基準をつくってあるところは大多数だというふうに認識しております。ただ、それをそのまま全部最高裁に報告してほしい、こういうシステムにはなっておりません。現在私どもが把握しておりますのは、例えば協議会とか会同だとかあるいは裁判官の研究会、このょうな席で簡易裁判所の裁判官あるいは書記官の方方からいろいろな実情を伺っております。そういうことである程度は承知をしておる、こういうことでございます。 そこで、後段の問題でございますけれども、この送達につきましては、先ほど申し上げましたように、送達を受ける人の利益、これは十分考えなきゃいけないということでございまして、そのような送達を受ける者の利益を害することのないようにということは、今申し上げました協議会あるいは研究会を通じて常に私どもの方で徹底をさせておるというところでございます。
○高崎裕子君 最高裁としてはいろいろと協議をするということで御努力もされているという御答弁ですけれども、例えば「判例タイムズ」の六百三十九号でも出された、債権者が債務者の就業先を知りながらこれを秘匿して虚偽の上申書を提出して、これで裁判所が付郵便を行うというような、これはもうかなり異常なケースだったと思うのですけれども、あるいは就業先の調査もしないで付郵便をするというようなことがあるものですから、日弁連としてはこれを重視しまして、昨年の九月に簡易裁判所における消費者信用訴訟の実態と問題点ということを調査結果としてまとめたわけです。 これは高裁所在地八簡裁を含む全国十四簡裁の昭和六十二年十月受け付けの民事通常訴訟の中から信販関係事件のみ各三十件を無作為に抽出して実態調査をしたというその結果をまとめたものですが、この付郵便の関係で言いますと、特別送達を一回行っただけで直ちに付郵便にしてしまうというのが大阪、京都、札幌。それから報告書なしに付郵便を行っているというのが長野、名古屋、福井、福岡、札幌、釧路。それから全く何らの添付書類なしに付郵便送達をしている、これが長野、名古屋、福井、福岡、釧路というように、最高裁の基準さえ守られていないという実態が明らかにされているわけです。 私どもの調査では、この基準さえ知らない、こ う言われる書記官さえいらっしゃったということで、大変驚いてもいるのですけれども、他方、こういう信販事件というのは、御承知のとおり、契約の成立に争いがあるとか、契約は成立しているけれども売買の目的物に瑕疵があった、あるいは役務が提供されなかったという抗弁を主張する、あるいは遅延損害金、手数料がアドオン方式になっているというような言い分などがあるなど、さまざまな言い分を持っているケースがむしろ通常訴訟以上にと言えるほどあるんです。 とすれば、一般事件と同様に慎重にしなければならない、こう考えるわけで、先ほどの御答弁でも、一般事件と区別をされない、慎重にということであれば、この民訴の百七十二条の解釈を厳格にするということで、少なくとも訴状、それから判決正本については、特別送達が不奏功になったら就業場所に送達しますね。これが不奏功になっても、次に日曜、休日の速達郵便での送達か執行官送達、これを試みて、それが不能になって初めてこの付郵便を行う。それには普通郵便による通知書も別途送付するという、こういう基準で運用されることが、トラブルを完全になくすということにはならないにしてもかなり救済できるのではないかと、現場の書記官やあるいは弁護士会の調査の中でも明らかになった問題点としても感じておりますが、この運用の基準について、最高裁としては一般事件と信販事件を区別せず、こういう運用基準が望ましいというふうに理解をして指導していただけるというふうに考えてよろしいのでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(今井功君) 今問題になりましたのは、いわゆる付郵便送達、郵便に付する送達でございますが、これにつきましては、実際には相手方に届かなくても届いたものとみなされる、こういう法律の規定でございますので、運用については慎重な配慮が必要だと、御指摘のとおりでございます。 そこで、その場合にはまずその要件について厳格に考えなければいけない。大体行われております一般的な運用といたしましては、先ほど御指摘の基準にも書いてございますけれども、まず、特別送達を住居所に対して実施をいたします。それがそこにいない、いないといいますか、行ったときにたまたま不在であった、こういうことで送達ができなかったという場合には、まず就業場所がある人につきましては就業場所の方に送達を試みるということをやっております。それで、就業場所への送達もできないという場合に初めて付郵便送達を行う。 それから就業場所がないという場合でございますが、就業場所がない場合につきましても、その就業場所があるかないかということを具体的に調査を求めまして、だれがいつどこでどのような調査をしたか、このような報告書を出してもらいまして、その上で裁判所の方で就業場所が本当にないということがわかった場合に今度は日曜あるいは休日に到達しますような速達郵便、速達で出しまして、それでも届かない場合に初めて付郵便送達を行う、こういうことを言っておるわけでございまして、そのようなことが守られるように今後いろんな機会に徹底をしたいというふうに考えております。
○高崎裕子君 一般事件と区別をしないということであれば、先ほど御指摘をいたしました区別をするような記載については、むしろ誤解を招くということで撤回すべきではないかと思うんですけれども、その点御検討いただけないんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(今井功君) 先ほどの資料は、決してそのような趣旨ではございません。しかしながら、御指摘の点は十分踏まえまして、送達を受ける者の保護に欠けることのないように十分配慮をしていきたいというふうに考えております。
○高崎裕子君 これは国民の裁判を受ける権利を保障するという観点で極めて重要な問題だと理解しておりますので、最高裁が指導性を発揮していただくということを強く要望いたします。 次に、農水省への質問に移りたいと思います。 最初に、ウルグアイ・ラウンドの農業交渉でございますが、米の市場開放や我が国の農業政策を大きく左右するウルグアイ・ラウンドの農業交渉は、最終合意の十二月上旬までもうあと半月余りとなりました。ECのオファーリスト提出のおくれということで、年内合意が困難となっているとも示唆されているわけですが、報道によりますと、十一月十日付朝日あるいは九日付日経などですが、ダンケル・ガット事務局長は、ウルグアイ・ラウンドの行き詰まりを打開するために、農業分野については政治折衝とそれから事務協議の二つの場に分けて、政治折衝の舞台で政治的な判断で交渉を打開しようとしている。これは事務レベルの調整が失敗に終わったなら、政治的取引がすべて閣僚会合にゆだねられるということを意味することになるわけです。 また、アメリカが提出したオファーリストでは、我が国の米はまず国内需要の三%、これは約三十万トンですが、これをミニマムアクセスとして輸入する、そして十年間で一・七五倍までその枠を拡大するなど、非関税障壁を関税に置きかえ、段階的に削減しようとするものなわけです。 大臣は、これまで米の輸入自由化問題で、あるいは乳製品やでん粉の輸入制限品目の問題について、最終段階において国会決議を体して、国内産で自給するということを繰り返して言われたわけですけれども、これまでの立場を変更して何らかの政治決着を図ろうというふうに考えておられるのか、その点を伺いたいと思います。
○国務大臣(山本富雄君) いろいろお話がございましたが、米につきましては、従来どおりの方針で貫いてまいります。
○高崎裕子君 ぜひそのことを堅持していただきたい。従来の方針と変わらないということを心強く確認をさせていただきます。 私のおります北海道は、稲作について恵まれた土地資源を生かしながら、例えば、きらら三九七というような、厳しい寒さに耐える品質改良を重ねて、それは筆舌に尽くせない苦労だったわけですけれども、全国一の作付面積と収穫量ということで、我が国最大の食糧基地であるという安定供給のための役割は極めて大きいというふうに思うんですけれども、その一方で、もっとつくりたいという農民が大勢いるわけですね。その中で約十三万ヘクタール、転作率にして四九・八%、全国の減反面積の約一六%にも上る減反を強いられているわけです。 これで米が輸入自由化されたなら、専業農家中心の北海道ですから、その農業は壊滅的な打撃を受ける。そればかりではなく、加工も含めると北海道では農業は地域経済の二〇%を占めているということで、最近発表された試算でも地域経済に及ぼす影響は極めて大きいことが明らかになっているわけです。 大臣は、八月三日の参議院の農水委員会で、「日本農政の責任者は、不肖でございますが農林水産大臣である山本富雄である。私の考え方を基本にして日本の農政を、米問題を含めて進めさせていただきたい」、こう心強い発言をされておられるわけで、この決意をもって十二月のブリュッセルに臨まれるということをこの場で改めて確認をしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(山本富雄君) 今お話しになりましたような決意でウルグアイ・ラウンドに臨みたい、こう考えております。
○高崎裕子君 北海道の稲作単一経営の農業収支は、農家経済調査、これで見ますと、一九七五年から一九八八年の十三年間に農業粗収入はほとんど変化がないわけです。他方で農業経営費、これは七〇%上がり、借入金が二倍にふえた。この結果農業所得は一九七五年を一〇〇とすると五八にまで落ち込み、約四割もの所得減になっているというのが実情でございます。 農水省は十月十二日に、てん菜、バレイショなどの今年産の畑作物の生産者価格、これを四・六%から二・九%引き下げを決めたわけで、私は十 月九日に農水大臣にこの件での申し入れも行いました。その際大臣は、ガットに一九八六年を基準に保護を原則三〇%削減する案を提出しているので大変気が重い、こういうふうにも言われました。 私は農家の方といろいろ懇談もしてまいりましたが、政府の言うとおり信じて一生懸命働いてきた、しかし残ったのは借金だけだ、これから一体何をつくればいいんだという血を吐くような言葉を本当に忘れることができないのです。そんな苦労をしながら、しかし農業が好きで好きでやめられない、何とか農業だけで生活をしたいものだ、まじめにまじめに働いてそういう苦労をされてきた農家の方に今こそこたえる、そして北海道の農業、我が国の農業を守るために、農業保護の削減ではなくそれを強化していくということが求められているのだということを強く主張いたしまして、次の質問に移りたいと思います。 北海道では米と同様に重要なのが脱脂粉乳や練乳などの乳製品、でん粉でございますが、現在の輸入制限措置を堅持するのかどうかということに関連してお伺いしたいわけです。 乳製品、でん粉の輸入割り当て制度の問題は、一九八八年二月のガット理事会でガット規則違反というパネル裁定がなされて、その後アメリカとの協議でトウモロコシの無税割り当て枠の拡大、あるいは抱き合わせ比率の緩和など、当面合意しているわけですね。また、我が国がガットに提出したリストでも、乳製品、でん粉について関税相当量の項目から除外をしている。 ところで、こういう中で十一月九日付の毎日新聞の報道によりますと、ウルグアイ・ラウンドの農業交渉でアメリカとECが関税化で大筋合意した場合、米が保護貿易の象徴として攻撃を受けることになるから、米の国内自給を維持するために乳製品とでん粉の二品目について関税化を受け入れた方がプラスになるという、こういう判断から、今月末をめどに検討しているという報道がなされているわけです。あるいは時事によりますと、十一月五日付で政府は内部文書を作成したと。これは関税化について主要国がECの案を中心に合意する可能性が高いというふうにした上で、品目によっては関税化を受け入れた方が有利だということで、あらかじめ検討する必要があるという内容だと伝えられておるわけで、そうなりますと、政府の方針が転換するという大問題にもなるわけで、こういう内部文書がこの報道のように作成されたのかどうか。毎日新聞等の報道も含めて、これらの報道は事実なのかどうか確認をしたいと思います。
○説明員(川合淳二君) 御承知のように、我が国は九月二十八日にオファーリストを国別表とともに提出いたしております。ここにおきましては我が国の主張を盛りまして、それに基づきます提案になっているわけでございますが、その中では、我が国といたしましてはガット十一条の規定、すなわち今御指摘がございましたでん粉等に関する輸入制限の根拠規定でございますが、この規定の解釈を明確にするよう提案を行って各国の理解を得るように努力しているところでございます。言いかえますと、関税化につきましてはガットの規定に基づく輸入数量制限品目につきまして、我が国が生産制限の実施あるいは国内市場の安定を図るという上では量的な管理が必要であるということで実施しているわけでございまして、関税化の対象とすることは困難だという論拠に基づくものでございます。 そうしたオファーを出し、今後私どもといたしましては交渉においてこの立場を確保するべく最大限の努力をするということでございますので、今御指摘のような報道があったことは事実でございますが、今申し上げましたように、従来の方針に変更なく私どもは対処していきたい、こう思っております。
○高崎裕子君 ぜひ方針を曲げないで、今の制度を堅持していただきたい、そう思います。 さて、次の質問でございますが、北海道の畑作地帯のうちで十勝地方を初め網走、釧路など道東方面で九月から十月に台風があり、そして長雨が続くということで、バレイショ、てん菜など、被害見込み額で約八十六億円という非常に大きな被害が生じたわけなんです。これについては残念ながら天災融資法の発動による天災資金の特別被害地域、これの対象にはならなかったということなんです。 そこで、この救済についての対策でございますけれども、災害資金としてこのほかに自作農の維持資金の融通、制度資金の償還猶予措置、あるいは共済金の早期支払いなどが考えられるわけですけれども、この被災農家の救済に万全を期すという点で、ぜひそうしていただきたいという観点で、お答えをいただきたいと思います。
○説明員(上野博史君) 今お話のありました九、十月の長雨、台風によります被害につきましては、北海道だけではございませんで、全国的に非常に大きな被害が生じておりまして、二千二百三十四億円という規模に達しているというふうに把握をされているところでございます。 こういう事態に対処いたしまして、本日、十一月十五日付で天災融資法の適用政令を発動いたしまして、被害を受けた農林漁業者に対します低利の経営資金を融通するということにいたしたところでございます。 今先生お話しございましたように、北海道については残念ながら特別被害地域という扱いにはなっておりませんですけれども、こういう天災融資法の適用を受けるということにはなっているわけでございまして、所要の資金の貸し出しができるということになったわけでございます。そのほか、今お話しございましたように既往の貸付金、制度資金につきましては償還条件の緩和を既に通達をいたしているところでございますし、それからまた、農業共済金の早期支払いというようなことにつきましても適切に対処するよう指導をいたしているところでございます。それからまた自創資金の融資枠の確保ということもいたしているところでございます。 今後とも、できるだけ被災農家のために救済に万全を期してまいりたい、かように考えております。
○高崎裕子君 ぜひその点をよろしくお願いいたします。 次に、酪農等についてお尋ねいたします。 北海道では肉用牛のうち約七割が乳用種ですが、酪農家の貴重な副収入となっているぬれ子や乳廃牛の販売価格、これが来年四月の牛肉完全自由化を前に大暴落をしているという問題があるわけです。いわゆるぬれ子の価格がことし五月ごろまでは十四万円から十五万円という高水準でずっと推移してきたわけですが、六月二十八日の旭川市場で十五方四千六百二十七円というのが七月五日にいきなり五万五百七十三円と、六月二十八日の平均価格の三分の一以下の大暴落になったわけです。また、乳廃牛の価格が、昨年の平均価格で三十万近くと、これも高水準で推移してきたわけですが、ことしになって二十一万円台という下落傾向が見られて、七月五日には十万円台を割り込むということで、前年同月の半値以下の価格となっているわけです。これは農水省の統計情報部が十月三十日に発表された九月の農村物価指数にもあらわれているところで、実は北海道酪農協会にも行ってお話を伺ってきたんですが、ここの市岡常務が、このような急激な直下型地震のような変動が起こるとは想像もしていなかっただけに、ことしの北海道酪農家の経営経済は大きな打撃となることは必至で、一戸当たり四百万円近くの所得の減少となるだろうと、こう述べておられたわけで、大変な問題になっているわけです。 そこでお尋ねしますが、こうした大暴落を招いた原因は一体何なのかというふうに理解されているでしょうか。
○説明員(岩崎充利君) ぬれ子の価格につきましては、昭和六十二年以降かつてない高水準で推移してきましたけれども、本年度初頭をピークに低下に転じております。特に六月から七月にかけてかなりの低下を見たのも事実でございます。ま た、乳廃牛につきましても、おおむね安定して推移してきておりましたが、本年春からかなりの低下を見ている。これらの価格低下の要因といたしましては、輸入牛肉の供給増加に伴いまして国産牛肉のうち比較的下位規格のものの価格が影響を受けているということのほかに、特に乳廃牛でございますが、本年これはかなりの出荷増がございまして、その影響も無視できないのじゃないかというふうに見ております。 私ども、余りにこのような急速な価格低下というものは生産者に与える影響も大きいということから、本年夏以降畜産振興事業団によります輸入牛肉の売り渡し数量の調整なり国産牛肉の消費拡大等によります国産牛肉価格の安定ということに努めてきたところでございますが、八月以降ぬれ子及び乳廃牛の価格は下げどまり、また北海道では、ぬれ子価格につきましては十月に入りまして若干の上昇に転じているというような状況でございます。
○高崎裕子君 いろいろ原因を挙げられましたが、つまるところ、私どもはやっぱり輸入牛肉の過剰在庫が原因ではないかというふうに思うわけです。 そこで、畜産振興事業団の方もお見えになっていますのであわせてお答えいただきたいと思うんですが、今年度の輸入牛肉は、年間割り当て量が前年度に比べ六万トンふえた三十九万四千トンに拡大しているわけです。商社などによる完全自由化を前にした輸入増加で、過剰ぎみの輸入牛肉は十万トン、これに輸入内臓肉が加わって十五万トン、これは通常在庫の三倍とも言われているわけで、これらの処分が大暴落の引き金になったのではないか、これは先ほどの市岡常務の御指摘にもあったところでございます。 そこで、畜産振興事業団は、来年四月の牛肉完全自由化と同時に輸入牛肉の売買から撤退することになるわけですが、今後保有在庫はどのように売却処分される予定なんでしょうか。 また、十月三十一日付の日経新聞では、これまでは月一回の競りでやっていたのが、冷凍輸入牛肉の在庫を十一月中にも約二百トン程度を割安な価格で放出し、順次在庫処分する、こう報道もされているわけで、この報道だけで価格にかなり影響が出てくるということで、この報道が事実なのかどうかということも含め、今後の輸入牛肉の在庫処分について明確な方針を示すべきではないかと思われるんですけれども、どのように吐き出す予定なのか、その辺をお答えいただきたいと思います。
○参考人(今村宣夫君) 畜産振興事業団におきましては、従来から牛肉の需給及び価格の動向に非常に配慮をしながら、畜産物の価格安定等に関する法律に基づきまして、農林水産省の御指導のもとで牛肉価格の安定等を図りながら計画的に輸入牛肉の買い入れ、売り渡しを行ってきたところでございます。 ところが、御指摘のように、先般一部新聞報道におきまして、来年三月までに事業団の在庫をすべて処分するのではないか、しかもそれに関連しまして非常に割安な価格で放出をするのではないかという報道がなされたところでございます。私、この報道は、一部誤解に基づくか、あるいはまた憶測に基づくものではないかと思っております。 それは、日米豪の自由化に関します政府間合意におきまして、明年四月からは事業団は輸入牛肉の価格安定及び売買の関与はしないという取り決めがございます。報道ではそれを「撤退」というふうに言っておりますが、関与しないということは、まあ輸入は政府間の約束でございますから、これは輸入しなきゃいかぬのですが、同時に事業団は来年の四月以降は牛肉を売れないんじゃないか、したがって三月までに在庫を事業団は一掃するつもりではないかというふうに思われたわけでございますが、これは畜安法の附則三条に規定してございますように、政府は、かつて在庫をいたしました牛肉はなお従来の例によりまして売り渡すことができるわけでございます。したがいまして、何も三月までにその在庫処分をどうしてもしなきゃいかぬということには相なっていないわけでございますし、また事業団は、一部新聞に報道されましたようなことは全然考えておりません。そういうことでございますので、私どもはあの報道を訂正するために市場関係者あるいはSBSの関係者あるいは業界紙等に十分その真意を伝えてございます。 しかしながら、確かに来年の三月末に事業団は在庫を持って自由化を迎えることは確かでございますが、この在庫数量がどの程度になるかということはちょっと年明けてみないとわからないのですけれども、現在事業団は約四万トンの在庫を持っております。通常、年度を越しますときの在庫は二万トンないし二万五千トンでございますから、この程度を持ち越すのは当たり前でございますが、年明けないとどの程度の在庫になるかは明確でございませんが、この在庫の処分につきましては、もとより畜産物の価格安定等に関する法律に基づきまして農水省とも十分協議をしながらその処理を取り決めていくというつもりでございます。
○高崎裕子君 そうすると、安売り、投げ売りはしない、価格安定をさせながら行っていくということであるということで確認させていただきまして……
○参考人(今村宣夫君) 来年三月過ぎまして自由化を迎えますと、事業団は価格安定、需給安定の機能を喪失するわけでございます。したがいまして、自由化ということになりますと、価格はおのずから形成される価格ということになります。 事業団は、この在庫を処分いたしますときには、四十一条二項に基づきまして処分をすることは当然のことでございますが、時価よりも高いとこれは売れないことは当たり前でございますが、時価よりも安いとこれはまたしかられるわけでございまして、その辺のところをどういうふうにやっていくか非常に苦心の存するところでございます。
○高崎裕子君 要するに、一挙に放出して安売り、投げ売りということで混乱をさせない、こういうことでやっていただけるというふうに確認をして、次の質問に移りたいと思います。 学校給食牛乳でございますが、学校給食牛乳の供給総量は一九八八年度で約六十一万トン、それから飲用牛乳の一二%を占めているということで、対象児童生徒数は夜間高校も含めて一千五百万人、児童生徒の健康増進ばかりでなく、全体の供給量の五〇%が中小乳業メーカーで、二三%が農協生産者プラントが担当しているということから、酪農産業の振興にとっても重要な役割を果たしてまいりました。しかし、一九八三年の臨調や財政審答申で、いわゆる受益者負担、あるいは零細補助金の削減ということで、毎年牛乳二百cc当たり補助金単価が削減されてきた。最高時が五円八十銭、これが現在では三円十銭に減額をされているわけです。農水省は概算要求で学校給食用の牛乳供給事業交付金として五十六億五千八百万円を要求をしているわけですが、この内訳を見ますと、助成単価は二百cc当たり三円十銭、このうち九十銭が畜産振興事業団の指定助成対象事業、良質牛乳推進事業が充てられているということなわけですね。 そこで、農水省は学校牛乳の補助金見直しを検討されているのかどうか、それから学校給食用の牛乳予算の確保にどのように対処される方針なのか、具体的にお尋ねをいたします。
○説明員(岩崎充利君) 学校給食でございますが、私どもは牛乳飲用の促進を図る、また児童生徒の体位、体力の向上に資するということから、学校給食につきましては極めて重要なものだというふうに受けとめております。ただ、学校給食用牛乳に対します現行の助成方式、単価助成の方式につきまして、さきの臨調答申、また財政審答申において少額一律補助だということ等の見直し提起がなされているということでございまして、私どもは今申しましたような学校給食用の牛乳供給事業の意義、重要性ということと臨調答申の指摘 等も十分踏まえながら、現在見直しを検討しているということでございます。 また、必要な額につきましては、この見直しとも関係いたしますが、必要なものについてやっぱり確保する努力をしていくべきであるというふうに考えている次第でございます。
○委員長(及川一夫君) 高崎委員に申し上げます。 時間が回っていますから、最後の一問にしてください。
○高崎裕子君 それでは、厚生省にせっかく来ていただいていますので、簡単に一問だけ、お尋ねしたいと思います。 いわゆるポストハーベストの件で、先ごろ輸入レモンから除草剤の2・4Dが検出されて、この点について厚生省は事前にこの事実をつかんでいなかった。民間団体の子孫基金がアメリカに行って調べて明らかになったということで、今国民の中で木安をかき立てているわけなんです。ポストハーベストはその農薬の残留度の高さからいっても本来あってはならないものです。低温流通とかガスなどの使用によってより安全なものにしていくべきです。 厚生省は、ポストハーベストの基準づくりをすればいいという安易な対応ではなくて、国民の安全を守る立場からその技術確立をアメリカ政府に要求すべきではないか、また予算増額の要求も含めて考えるべきではないかと思いますが、この点いかがでございましょうか。
○説明員(牧野利孝君) 輸入農産物の安全性を確保するためには、私ども今現在必要な調査を実施しているわけでございまして、これらの調査結果をもとにいたしまして、急ぎ基準を設定すべく努力しているところでございます。 当然来年度以降におきましても引き続きその安全性の確保は努めていきたい、かように思っております。また、その基準の設定に当たりましては、関係国とも十分協議するわけでございますけれども、その際には今御指摘の趣旨も念頭に置きつつ対処する考えでございます。 以上でございます。
○高崎裕子君 終わります。
○高井和伸君 私は、農林水産省と法務省に対しまして、基本的には同じテーマについて、各省庁の御担当の中身についてそれぞれ御答弁いただきたいという立場で質問いたします。 私は、行政手続法(仮称)と呼んでいます、政府部内においても検討されています行政手続の一般ルールについて、法制への道の一環として統一法制する必要性があるのじゃなかろうか。その前提といたしまして、各省庁所管の法律で私の関心を持っているのは二点でございますけれども、特に侵害処分、国民の権利義務を制約するような侵害処分の手続において公正な手続がとられているかというような側面で関心を持っておりまして、各省庁にその実態をお尋ねしてまいっているわけでございます。 もう一つ、行政指導という側面におきまして、これも各省の御担当の中でどんなふうに行われているのか。これは昨年度の日米経済交渉の中で行政指導の透明性というようなテーマで取り上げられた点でございましたけれども、そういった行政手続のルール化における前提としての事実をお尋ねしたい、そういう立場でございます。 そこで、農水省の方からお尋ねいたしますけれども、許可の取り消しなどのいわゆる侵害処分の実態についてあらかじめ出していただいた関係法令は全部で五十五ございました。その中で特に幾つかの例を取り上げまして、その実際をお尋ねしたいということでございます。 行政手続の整備の観点としては、事前手続の問題であらかじめ相手方に告知する、そして聴聞の機会を与えるというような手続が行われているかどうかというよりは、法令に定められているかどうかという側面、それから処分の理由が付記されているのかどうかという観点、それから関連文書への関係者のアクセス、文書閲覧というような感じでございますけれども、それが保証されているのかどうかという点が私の興味の中心でございます。 そういった側面での侵害処分の、各法令の中ではどうなっているのかということで、まず農地法における農地転用許可の取り消しはどのようになっているのか、その具体例をお教え願いたいし、数もわかれば教えていただきたい。
○説明員(片桐久雄君) 農地法の農地転用の許可の件でございますけれども、農地法第八十三条の二によりまして、農地転用の許可の取り消しその他の是正措置を命ずることができるというふうになっておりまして、最近における転用許可の取り消し件数につきましてまず申し上げますと、六十二年度一件、六十三年度一件、平成元年度はゼロ、こういうふうになっております。 それで、取り消しにつきましての手続の問題でございますけれども、行政における透明性とか公正性というものを確保するために、まず農地法の第八十三条の二第二項におきまして、あらかじめ処分の相手方に弁明の機会を与えることとなっております。これを受けまして事前通知、それから弁明の機会の提供等の手続を実施しておりまして、その手続のやり方につきましては通達を定めまして関係行政機関を指導しているところでございます。 具体的に申し上げますと、まず、処分に先立ちまして書面により、違反転用者に対して違反行為の内容及び理由を明記しつつ違反行為の停止を勧告するということ。それからまた弁明の機会を与えるということになっております。また、処分を行う場合にも理由を付記しつつ書面により通知するほか、この処分について不服がある場合には不服申し立てができるというような教示も行っている次第でございます。
○高井和伸君 理由付記については、ある意味では法制以上の具体的な実施の段階で行っている、こういうふうに聞いておけばよろしいわけでございますね。 それでは次の問題で、獣医師法に定められている獣医師免許の取り消しは、どのような手続で行われているのか。今と同一の観点から。
○説明員(岩崎充利君) 獣医師法の第八条第二項の規定では、獣医師が罰金以上の刑に処せられた場合等に農林水産大臣が獣医師免許審議会の意見を聞いて免許の取り消しまたは一定の期間の業務停止を命ずることができるとされておりますが、その規定によります免許の取り消し処分につきましては、過去三年間ございません。 手続の整備状況でございますが、この場合、取り消し処分は当たりましては、同条の三項の規定によりまして、獣医師免許審議会は当該獣医師に対しまして処分理由を文書をもって事前に通知し、当該獣医師またはその代理人に弁明及び有利な証拠を提出する機会を与えなければならないというふうにされているところでございます。 また、関係文書につきましては、獣医師免許審議会運営規程というものがございますが、これに基づきまして、会長の許可によりまして利害関係者に閲覧させることができるということにされております。 また、処分理由の付記につきましては、実態として農林水産大臣が業務停止処分の通知を行う際には理由を付記しているということでございます。 このような措置によりまして、獣医師免許の取り消しにつきましては行政手続の明確性なり公正性に十分配慮した制度であるというふうに考えておる次第でございます。
○高井和伸君 続きまして、日本農林規格に関する、いわゆるJASの規格承認工場の承認取り消しという手続においてはどのようにたっているのか。
○説明員(馬場久萬男君) いわゆる日本農林規格、JAS規格の承認工場の承認取り消しにつきましては、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律第十五条の二という規定によりまして、取り消し要件に該当することが判明した場合には、当該処分に係る者に対し、事前に期日、 場所及び当該処分の原因たる事実を通知して公開による聴聞を行い、弁明の機会を与えることとなっておりまして、行政手続の明確性、公正性に十分配慮して行われているところでありまして、実際の実績といたしましては昭和六十二年度に一件ございましたが、六十三年度及び平成元年度におきましてはゼロでございます。
○高井和伸君 ただいまの御回答を聞いておりますと、幾らかばらつきはあるにしろ、事前手続の側面でほかなり充実した法令である。しかしながら、他の五十五もあるたくさんの法令の中、いろいろ見ていますと、ほとんどこういった事前手続がやや欠けているという側面があるという事実もございます。しかし、相対的な議論をしても仕方がありませんので、ひとまずこれまでにいたします。 次の問題といたしまして、農林水産省が最近実施した行政指導の例をあらかじめ教えていただきました。こういった行政指導で、先ほど申し上げた点で私が興味を持っているのは、行政指導が間間、ある意味では行政行為の強制力のある行為じゃなくて任意の行為で行われるにしろ、かなり強制的に行われる側面があるのじゃなかろうか。そして、それを受ける立場からすれば、突然やられるというか指導を受けるという立場で、ある種の損害を受ける側面もあるのじゃなかろうか。そうした場合に、予測可能性あるいは損害が最小限で済むように、さらにはある意味ではペナルティーがないようにというような側面で行政を行うのが行政指導の本筋だろう。そういった面から最近の農林水産省の行った行政指導についてお尋ねします。 聞くところによりますと、要するに麻薬資金をきれいにするというようなことについての行政指導があった、こう聞いておりますが、この点はどのように行われたのかお尋ねします。
○説明員(川合淳二君) 麻薬等の薬物の不正取引によりまして得た金の出所を隠す行為、いわゆるマネーロングリングの防止を図るために、去る六月に農林水産省経済局長、それから大蔵省銀行局長の連名で、農林中央金庫などの農協系統金融機関を対象とする文書を通達したところでございます。 これは、麻薬によります被害をなくすため佐麻薬犯罪組織の活動を資金面から封ずるということが重要であるということにかんがみまして、農林中央金庫の行う金融業務の指導監督、それから系統関係金融機関の指導監督というようなことを行う農林水産省設置法の所掌事務の範囲内におきまして、農協系統金融機関に対しまして、マネーロンダリングの防止のための措置につきまして制裁を伴うことなく協力を要請するという形で、その理由を文書で明示いたしまして通達をしたものでございます。
○高井和伸君 続きまして、農道管理者に対する交通安全の行政指導はどのように行われたのか、お尋ねします。
○説明員(片桐久雄君) 土地改良事業によりまして農道をつくってそれを管理しているということでございますけれども、これは大体、具体的には市町村もしくは土地改良区、こういう団体が農道を管理しているわけでございます。この農道の管理者に対しまして、交通安全についての行政指導を行っているわけでございますけれども、この交通安全につきましての指導は、内閣で統一的に交通対策本部というものを設けまして、この決定に基づいて全国の交通安全運動の一環として実施されているわけでございます。 これは、農林省の方から都道府県知事を通じて農道の管理者に対して交通安全運動の徹底を文書により要請しているわけでございますけれども、具体的には市町村とか土地改良区とか、こういう農道を管理している団体が交通安全の施設とか道路標識の点検とか、それから側溝の掃除とか路肩の草刈り、有線放送等による広報活動、こういうものの実施等を行っているわけでございます。
○高井和伸君 それからもう一つは、輸入合板のJASの格付の推進についての行政指導はどのように行われたのか、お尋ねします。
○説明員(馬場久萬男君) 御案内のとおり、JASは農林物資の品質の改善あるいは生産、流通、消費の合理化を図るということによりまして一般消費者の選択に資することによって公共の福祉を増進する、こういうことでございまして、JAS製品が広く流通することは、非常にそれぞれの農林物資について一定の規格以上のものが国民に供給されているということで望ましいわけでございます。 ところで、今御指摘の輸入合板のJAS格付の問題でございますが、国内産の合板に比べますと、最近特に急増しておりますインドネシア産の合板等については、そういう格付を行わないで出回ったものが多うございます。これは国内の合板の流通の中でできるだけ一定の規格に合ったものを流通させた方がいいという観点から見るとやや問題なのではなかろうかということで、私ども食品流通局の担当課長、消費経済課の課長でございますが、それと林野庁の担当課長と連名で関係団体に、なるべくJAS規格の格付を受けるようにしてくださいという、いわば協力依頼をしたという性格のものでございます。したがって、法律に基づく強制的なものとかいうことではございませんで、全体の、国内での一定の品質のものが流通することを希望して、協力をしてくれ、こういう指導でございます。
○高井和伸君 今の点で一点だけ追加で聞いておきますけれども、この格付を輸入業者が任意に協力して行うとすると、どのぐらいの負担が業者にかかるんでしょうか。
○説明員(馬場久萬男君) JASの格付は、先生御案内のとおり任意格付でございますから、これは希望したものについて一定のサンプルをとりまして規格に合っているかどうかをチェックする、そしてそれに適合したものについてはいわゆるマークをつけるということでございます。したがいまして、実際にはその実費を勘案して定めております格付手数料、これは合板でいいますと一平米当たりで〇・二五円、二十五銭という程度のものでございまして、特別の負担という形には考えておりません。
○高井和伸君 農林大臣にお尋ねしますけれども、今までの議論を聞いてどうのという立場ではなかなか議論は進んでおりませんでしたけれども、閣議の了解事項でもあると思いますが、行政手続法制、統一的な法制をつくる、整備するということについてのお考え、今後どう取り組むかというお考えがあれば一言お聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(山本富雄君) お答えいたします。 農林水産行政の展開に当たりましては、農林漁業者や消費者を初めとする関係者の方々の御理解を得ながら推進することが基本だと思っております。その意味で、行政手続を整備し、公正で民主的な行政運営を実現していくことは極めて重要であるというふうに認識をしております。 行政手続法制の統一的な整備につきましては、第二次行革審最終答申におきまして、専門的な調査審議機関を設置し検討すべき旨の提言がされておりまして、また、十月三十一日に発足いたしました第三次行革審におきましても総理大臣の諮問がなされたところであります。 農林水産省といたしましても、第三次行革審の場での御審議を踏まえながら、公正で民主的な行政の展開を旨として適切に対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
○高井和伸君 続きまして法務省にお尋ねします。 侵害処分についてあらかじめお尋ねしましたところ、八件あるという報告を受けておりまして、その中から、時間のある限り、順次質問させていただきます。さらに、行政指導について質問しましたところ、最近行政指導を、過去三年やったことがない、こういう御回答なので、そのようなつもりで質問させていただきます。 まず、件数の多い出入国管理及び難民認定法というところにおきます次の各項目についてのその 手続の実際をお尋ねしたいと思います。 上陸申請者に対する退去命令、これが大変数が多いというふうに報告を受けておりますが、これは具体的にはどんなふうに行われているのか、その手続の実際をお尋ねいたします。
○説明員(股野景親君) ただいま御指摘の入管法に基づきます上陸申請者に対する退去命令の手続でございますが、上陸申請者についてまず入国審査官が申請者についての上陸の審査を行いまして、上陸の審査を行った際にその上陸のための条件に適合しない、こう思われる場合に、今度は入国審査官から特別審理官に審査が移りまして、特別審理官の口頭審理が行われます。そしてその特別審理官による口頭審理の結果、上陸の条件に適合していないということが認定され、その認定に当該の外国人が服したという場合には退去命令が発せられることになります。また、その当該の外国人が特別審理官の認定に服さないで法務大臣に対して異議を申し出ることもできますが、このような法務大臣に対する異議の申し出がなされた場合には、その申し出に対して理由がないという法務大臣の裁決がなされたときには、退去命令が発せられることになります。 このような場合の退去命令が発せられた件数は、平成元年におきまして合計八千百四十八件となっております。
○高井和伸君 続きまして、その退去強制事由該当の外国人を収容する規定がございます。この規定の運用はどのようになっておるのでしょう。
○説明員(股野景親君) 退去強制手続は、これは入管法上退去強制の条項がございまして、その条項に該当する疑いがあると、入国警備官による違反の調査が行われ、さらにその身柄の収容が行われるということでございます。 このような収容が行われました件数は、平成元年におきまして二万二千六百二十六件に及んでおります。
○高井和伸君 これについて一点だけ。 事前手続がなされないようになっております。事の性質上、事前にあなたをこうこうこういう理由で収容しますよなんということを言っちゃうと、逃亡されるというのか、収容の効果が上がらない、そういう側面で事前手続がないんでしょうか。先ほどの手続と比べると、ややそういった面の落差があるものですからお尋ねします。
○説明員(股野景親君) この点、収容の行われました後に、次いで今度は入国審査官による違反の調査に移るわけでございますが、そういう点で収容令書を執行してから時間を限りまして四十八時間以内に身柄を入国審査官の方に引き渡すという手続にいたしておりますので、その意味での収容の手続についてきちんと歯どめがかかるようにいたしております。
○高井和伸君 時間が参りましたので、まだ予定しておりましたけれどもこれまでにいたします。 法務大臣に一つお願いでございますけれども、行政法統一への道のり、閣議の一つの努力目標が出ております。法制の面では法務省というのはある意味では法律の執行者としてほかなり中心的な位置にあられる省庁だと思いますので、行政手続法制定への御努力をお願いいたしたいと思います。
○国務大臣(梶山静六君) 検討させていただきます。
○三治重信君 まず、法務省の入管関係について、要望やら現状認識についてお答え願いたいと思うんです。 出入国管理法の改正によってと、それから実際上いろいろ日本の経済発展から外国人の出入国が非常にふえて、その第一線の許認可が大変混雑し、おくれているということを我々いろいろ陳情を受けて、実情を聞くと非常にそういうことを感ずるわけなんですが、実態をどう認識されておられますか。
○説明員(股野景親君) ただいま御指摘をいただきました点、私どもも実情をしっかり把握して、これに適切に対処することが大切であるというふうな立場で事態に臨んでいる次第でございます。 先生御指摘のとおり、入国管理局の業務というものが非常に急増している状況にございまして、出入国者が最近非常にふえておる。また、在留の外国人の数も非常にふえておるということから、地方入国管理局の窓口の事務が非常に繁忙をきわめておる、こういう状況がございまして、私どもとしては、これに対して適切な対応をとるよう努力をいたしているところでございます。
○三治重信君 適切な対応はしておられるんだろうけれども、現実の入国申請やそれから現実にいろいろの関係者の陳情を受けると、私は名古屋なんですけれども、二、三カ月待たされるのは通常であるし、一たん番が来ても、行ってみると、ちょっとした書類の不備でまた回されちゃう。一月、二月延びちゃう。これは何とかならぬか。実際窓口で話をして、大体よかろうと思って直して出したものが、ちょっとしたことでまた延ばされちゃう。こういうことぐらい何とかならぬかということと、それからいろいろそういうことについて実際入管当局の事務担当者に聞くと、そうおっしゃっても、実際我々はもうこの人数では限度があってとてもできません、病人も出かかっていると。したがって先生、早くやるためにはひとつ人員をふやすことをぜひやってもらわぬと、とてもこれは解決できませんよ、こういうことで、よし、それなら応援のために一遍国会で、入管の方へ事務が処理できるように人員をふやすなり、それから法務省の中で応援の対応をつくってもらうとか、何か当面の処理をもう少しやってもらわぬと、これは実際業務をする者もそれから外国人本人にとっても、大変なロスだろうと思うんですよ。 ただ入国管理の手続を改正したということだけで業務そのものはサボっておるとか、何かめちゃくちゃに難癖つけてやっておるということじゃなくて、非常にスピーディーにやってもらっているのだけれども、扱う人間と業務の量が物すごくアンバランスで、改正のときにこういうことを考えて改正したのか。これがもしも改正のときにそんなことを考えないでやったとすると、非常に国のそういう配慮の不足から大変な迷惑をかける。これは何とか人員増をまた来年度予算でそういうことについて実際考えてもらわにゃならぬし、法務省の中で人員の一時的な流用もぜひ考えてもらいたいと思うんですけれども、その点はいかがですか。 それと、今言ったような、一つのことを二回、三回とやられると、どんどん、二月が四月になり、四月が六カ月になるわけだから、だからある程度のことがわかったら、ちょっとしたささいな書類の不備なんかは、少しのことはおいてでも早く処理する、二段階の処理の仕方をぜひ現場に指示してもらいたいと思うんですが、この二つをひとつお願いします。
○説明員(股野景親君) 我々の事務の量的な増大とそれから内容の複雑化、それぞれに対応を必要といたしておる状況でございます。 まず、ただいま委員の御指摘の、このたびの法改正におきまして、私どもといたしましても業務の増大ということに的確に対応するためのいろいろな改善措置を講じたところでございまして、一つには、まず審査のための基準というものを申請者側にもあらかじめよく御理解いただくということが審査の迅速化に役立つという観点から、審査の基準につきましてこれを公表するという形をとることによりまして、その点の審査の合理化、迅速化ということに役立つようにしたことがございます。また、あらかじめ上陸許可の申請をするに先立ちまして、日本で入管法上に求められている要件に合致しているということを認定を受けることによってそのための在留資格の認定証明書というものの発給が得られ、それによって審査の入国手続がさらにまた迅速化されるという、こういう制度も新たに発足させました。したがって、改正入管法においてはそのための努力をいろいろと法の規定の上でも盛り込んだ次第でございます。 それからまた、審査の仕方についての御指摘もございまして、この点は私どもも、十分に御指摘 の点も念頭に置きながら対処すべきものと思っております。実際上の審査に当たりますと、なかなか申請書の内容に不備な点があったり、あるいは疑問の点があったりしまして、おのずと審査に時間を要する面もございますが、できる限り重複を避けた審査の進め方ということは必要であると考えておりますので、そういう意味での申請者側での御不便がないよう今後ともその合理化に努めてまいりたいと思っております。 さらに、もう一つ御指摘をいただきました入管当局の職員の数につきましても、業務量の伸びに対しまして職務の合理化、機械化等の努力や適正な人員の配置ということによる努力で最大限の効率を上げるようにいたしておりますが、なお定員についていろいろと今後増強を図っていくべき面があると考えられまして、この点は関係御当局の御理解をいただきながら、この増員の点についても努力させていただいております。平成二年度、本年度でございますが、この点についての関係当局側の御理解もいただきまして大幅な増員を得られたという状況もございますので、この得られた増員分につきましての最大限の効率的な活用ということも今後努力をしてまいりたいと考えております。
○三治重信君 御説明で大体わかりましたが、一つお願いなんだか、審査基準の公表という、その審査基準というようなものを、書類か何かであったら、届けてもらえないですか。何かそういう基準があったら――いやもう返事はいいですから、あったら、書類でひとつ。私の方も協力します。係がそれを知ればいいんだけれども、今のところそういうような審査基準の公表とか審査基準というのはどういう内容かというようなことについて一々個別の陳情のときに大体しかわからないものですから、一般的な書類があったらそれを届けてもらうと、私の方でも協力して、陳情者に指導して協力したいと思いますから、よろしくお願いします。 それから、農水省の関係でございますが、ウルグアイ・ラウンドでいろいろ断片的に新聞報道されておるんですが、私の不知のいたすところかもしれませんけれども、ウルグアイ・ラウンドの農業問題の一番大きなのは、各国でやっている農業補助金を減らすのだというようなことが随分言われておるわけです。そうすると、一番被害を受けるのは日本の農林行政。補助金行政でやっておるわけですからね。それを減らすというようなことについては農水省はどういうふうに考えておられるのか。また、それはある程度、一説によれば三〇%減らすというようなことが言われておるんですが、それはそういうふうなある程度の目標が決まるのかどうかということが一点。 それからもう一つは、それに対して農業の補助金の削減がウルグアイ・ラウンドで予定されているとするならば、それに対する農業の削減は、どういう方面で日本農業に対して対応していこうとするのか、その点ちょっと御説明いただきたいと思います。
○説明員(川合淳二君) ウルグアイ・ラウンドの農業交渉におきましては、すべての農業保護の削減とガットルール、この二つに対する交渉が行われているわけでございます。すべてと申しましたのはやや語弊がございますが、一つは国内支持、国内保護の問題。もう一つは国境措置。それから輸出競争。この三つが大きなテーマでございます。 先ほどもお答えいたしましたように、ウルグアイ・ラウンドが始まりました背景には、輸出国間の競争の激化ということがございました。したがいまして、私どもの主張の一つといたしましては、こうした輸出国間の輸出補助金の削減あるいは撤廃ということが一つ大きなテーマではないかということがございます。それと、貿易効果を歪曲している農業に対する保護についての削減という問題が全体的にテーマとしてあるわけでございます。実は、中間見直しという時点で中間の合意があります。これでは農業の支持、保護の相当程度の漸進的な削減ということが各国間で合意されているわけでございます。これに基づきまして、国内保護の削減ということについての各国の提案が出されているわけでございます。 我が国といたしましては、先般のオファーで盛り込んだように、一九八六年を基準といたしまして十年間にAMSという考え方、これはある種の計量に基づきます保護手段でございますが、それを三〇%削減するという提案をしております。しかしながら、先ほどのようなウルグアイ・ラウンドの背景からいいまして、主としてこうした問題は輸出国間の輸出競争ということに起因するわけでございますし、我が国は御承知のような輸入国でございます。したがいまして、こうした三〇%の削減ということを基本にしながらも、既に一九八六年九月以降削減している実績、輸入の割合、それから米などの生産調整の割合というようなものを勘案するということにいたしまして、この三〇%をそれぞれこうした割合で削減した数字をオファーしているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、国内の保護の削減に当たりましては、あくまでも輸出国の立場というもの、それから生産調整を行っている、そういう実情を踏まえた形で提案を行っているわけでございます。 したがいまして、二の問題につきましては、今申しました内外価格差及び不足払いというようなものを中心といたしましたAMSの削減という概念がございまして、これに基づきまして、各国が削減すべき対象の政策につきましていろいろな議論が行われております。交通信号で、青あるいは黄色というような言い方をしております。青というのは削減対象外の政策でございます。それから黄色というのは削減の対象でございますが、この青の政策がどういうものかということを見きわめながら、私どもはそういうところで政策を進めていくということになろうかと思いますが、私どもの主張といたしましては、この削減の対象は、今まで申し上げましたような直接的な不足払い、それから内外価格差というようなところを対象にいたしておりまして、それ以外のものは削減の対象にしないということで今交渉に臨んでいるところでございます。
○三治重信君 そうすると、基本的に生産基盤の強化というのですか、土地改良とか、または農業の今後の市場の競合化とか、流通関係の合理化とか、そういうようなものについての補助金の関係は対象ではなくて、専ら価格に対する補助なり、あるいは不足払いに対するいろいろの操作のやり方を改善するというふうに理解していいわけですか。
○説明員(川合淳二君) まさにその点が今議論があるところでございます。今私が申しました青の政策あるいは黄色の政策というものにどういうものが入るかということにつきましては、各国間でかなり意見の違いがございます。 私どもは、生産性の向上などに直接関係ある、今御指摘の基盤整備その他の構造改善に関連するような政策などについては、その対象にすべきでないということは主張しておりますが、例えば投入補助金あるいは投資補助金といった範疇につきましてはかなり議論が分かれているところでございまして、今御指摘のような非常に明確な点について私どもが主張している点につきましては、これからの問題でございますが、何らかの感触というものが出ているものもございますが、実際には具体的な政策につきましてはこれから議論がなされ、かついろんな形で青あるいは黄色というような仕分けがなされていくのではないかと思っております。 したがいまして、私どもといたしましては、今御指摘のような政策につきましては、何とか青というような政策にしたいということで努力しているところでございます。
○三治重信君 一つお伺いしますが、日本は大変な輸入国なんですが、米の問題でいろいろ問題があるけれども、まあそれはさておいて、物すごい世界一の輸入国が、まだ輸入を制限しているとかなんとか言われるのは、いろいろのちょっと自己 矛盾の感じを持つわけなんだが、無制限な輸入ということについて、やはりどこの国も農産物の無制限な輸入という観念なんですか。ある商品についてはある程度の割り当てとか、国内自給率というようなものをお互いに認めなくちゃいかぬとか、そういう輸出入についてのその国の農業の基盤とかいうようなものについての配慮、輸出入に対するある程度の自主規制というものは認めるような方向があるのかないのか。
○説明員(川合淳二君) 農業政策は、各国の置かれました気候風土、それから地形などにも当然関係するわけでございますので、私どもといたしましては、各国の農業政策というものはそれぞれ特色ある政策が行われているわけでございますから、そういうものはなるべく尊重すべきだという立場に立って交渉に臨んでいるところでございます。
○委員長(及川一夫君) ほかに御発言もないようですから、法務省、農林水産管、裁判所及び農林漁業金融公庫の決算の審査はこの程度といたします。 次回の委員会は二十日午前十一時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時六分散会