国際連合平和協力に関する特別委員会 第3号
- 発言数
- 469 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1990/10/25
会議録
○加藤委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、国際連合平和協力法案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜田卓二郎君。
○浜田(卓)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、提出されております国連平和協力法についての質疑を行いたいと思います。 昨日も当特別委員会でいろいろ議論が行われたわけでありますが、予算委員会、それに引き続く特別委員会の質疑を通じて、主として野党議員の質問を通じて、私は、この国連平和協力法はその真実の姿とは似ても似つかぬモンスター、そのように仕立て上げられてしまった、そのように感じております。例えて言うならば、私の考えでありますけれども、本法案は、国際平和と正義のために、世界の国々と協力して必要最小限の責任を果たそうとしている小羊のようなものだ。それがあたかもきばをむいて今にも人を食い殺そうとしている大トラであるかのごとく仕立て上げられてしまっている図式である。残念でならないわけであります。 そこで、なぜそうなったのか。その理由はたくさんあると思いますけれども、その中で特に指摘しなければならないことは、昨日の質疑の大半もそうでありましたけれども、この法律そのものに直接関係のない憲法論があれこれとなされて、そこで展開される議論があたかもこの法律の中身そのものであるかのように錯覚されてしまうというところが大きな原因だと思っております。 そこで、具体的に一つ二つ申し上げてみます。 例えば、昨日も大分議論がありましたけれども、国連憲章第四十二条に定めるいわゆる国連軍についての議論であります。総理に伺いますが、この法律は、我が国の自衛隊を国連軍に参加させるため、そして武力行使をさせることを可能にする、そういう法律であるかどうか、まずお伺いをしたいと思います。
○海部内閣総理大臣 この法律は、そもそも第二条において、「武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。」第三条において、この法律が決める平和協力業務というものは、停戦監視とかその他いろいろ並べてありますけれども、とてもそれは軍として武力行使に参加する、もっとわかりやすく言えば戦闘行為をやるとか一緒になって武力行使をするとか、そういったことは毛頭想定していない法律でありますから、この法律の条文の上からいっても、またその以前の精神からいっても、そのようなものでは決してないということでございます。
○浜田(卓)委員 それでは総理、国連軍、これは一体いつ結成されるとお考えですか。私は、四十二条で想定している理想的な国連軍が結成される状況というのは、今とはかなり違った国際情勢下であろうと思います。つまり、米軍もあるいはソ連軍も含めて国連という指揮のもとに入り、一つの世界警察軍、そういったものができるというのが私は国連憲章四十二条に想定している国連軍の理想的な姿であろうというふうに思っております。それは理想的な姿であるだけに、今の国際情勢からいっそのような形で国連軍が結成されるか、私は不確かなことであるというふうに思うわけであります。つまり、現在存在もしておりません、また、結成されるとしても多分遠い将来のことでありましょう。したがって、国連軍についての議論を、あえて言えば、まだ架空の議論を今決着させなければ、我々が今世界に対して果たしていこうとする最小限の責任を定めるこの法律を成立させ得ないと考えることは本末転倒であるというふうに私は考えますけれども、総理のお考えを聞かせてください。
○海部内閣総理大臣 この法律を提案いたしますときに私どもが考えたのは、さきに申し上げたような平和協力という日本の大きなきょうまで貫いてきた立場と平和の理念というものを守りながら、ただ国連が、せっかく冷戦後のこの新しい世界の流れの中で国連の安保理事会が平和維持機能として機能し始めるのではないか、いろいろな決議ができるようになった、そして同時に、我々が目指しておる国際社会というものは、力によって弱肉強食のようなことが仕方がないといって黙認されたり、それが既成事実となってしまったのではこれは絶対にいけないという立場に立って、しからばどのようなことが今我が国としてなし得る協力であろうかという角度に立ってつくり上げたのがこの平和協力法案であります。 それから、もう一つおっしゃいましたことは、国際情勢の変化というのは、私は率直に言って御質問に的確に答えるだけの予見は持ち得ないと思うのです。というのは、私自身のこの肌で感じた体験でも、ことしのまだ一月に、あの劇的なベルリンの壁の崩壊の後を受けてドイツへ行き、コール首相と首脳会談しましたときに、率直に申しましてコール首相が私に説明をしてくれた東西ドイツの統一の姿かたちとかあり方というものは、まず条約共同体から始めて緩やかな連邦形態にいくまでに十の項目があるんだ、少なくとも数年の目盛りを考えながらことしの一月に物を言っていらっしゃったのが、内容もスピードもその当の当事者の予測をはるかに超えて、十月三日にはもう統一ができてしまった。あるいは東欧でもきょうまでの政治体制を変えるという国がどんどん出てきた。ソ連でもまさかゴルバチョフさんが大統領と呼ばれるようになろうなんということは去年の今ごろだれか予想したでしょうか。そして自由化、民主化の波が襲い、今ガットに入りたいという願いまで出てきた。大きな国際情勢の変化、動きというものは、じゃ来年のことをここでどうなるこうなると予測しろと言われても、これはちょっと難しい話なんであります。 ただ、国連がそういった機能を持っていくということは、これは望ましいことであり、国連がそういった役割をきちっと果たすことは世界の願いでもあり、国連憲章にもそういったことがみんな力を合わせて恒久の平和をつくっていこうと書いてあるわけでありますから、そういうときに一つの手段としてどうなるかというのは、まだ憲章の内部自身でもきちっとまとまらない問題が多い、これはおっしゃるように将来の問題だということでありますから、この法案の問題とは初めから切り離して考えてやってきたつもりでございますし、この法案においてはそういう武力行使を目的とした参加ということは全然考えていない、これは法できちっとしてあるところでございます。
○浜田(卓)委員 次に、集団的自衛権についての質問に移ります。 これは私、かなり昨日の質疑の中で明らかにされてまいりましたけれども、念を押すためにお伺いをするわけでありますが、当初集団自衛権の解釈論議を総理が研究をしておられる、そういう新聞報道に接して私はびっくりしたわけであります。つまり、総理が研究なさるということは、普通国民が受け取るニュアンスというのはかなり切迫性があるというふうに感じられてもいたし方ない面があります。私は、それは総理の真意ではないということを昨日の御答弁を通じて確認できま した。しかし、もう一度私はおっしゃっていただきたいわけでありますが、研究なすっているとしても、その研究の意味合いは何か、この法律を成立させるための、制定するための前提として、集団自衛権の解釈を従来積み重ねてきたものから変える必要がある、そのようにお考えになっての研究なのかどうか、そこを確認をさせていただきます。
○海部内閣総理大臣 国連の決議を受けたり、国連決議の実効性を高めるためにという、国連決議というものを前提としたこの法案活動を考えたわけでありまして、そのさなかに国連というものの条文をいろいろ調べ、国連というものがどのように変わっていくのか、どういうふうに転回していくのか、いろいろな意見がございました。きのうも言いましたけれども、それはいろいろ意見があるのです。ですから、この意見に対してはどうなんだ、こうなったらどうなんだ、これはどうなんだということを研究することは、これはお許しをいただかなきゃならぬと思いますが、目的意識を持ってこの法律がどうのこうのと言った覚えは一度もありません。 同時に、それもそのようにするから研究をしておるんだという目的意識を置いてのことじゃなくて、国連軍というものが将来できるとしたら、あるいは将来とはいつごろなのか、決議とはどういうものなのか、そこには協定がどういうものなのか、いろいろ、きのうもおとといもここで御議論がありましたようなことを研究もしないで何にも知りませんと言うのも、これまた無責任千万な話であって、私が、研究をさせてもらうと言ったのは、そういったことを含めてでありまして、どこの皆さんでもいろいろな研究はなさっておって、こういうときはああだ、こういうことはこうだという御議論をなさるためには研究をなさった結果だろう、こう考えておりますので、この法案に関する限りその問題とは何の関係もありませんし、この法案のために解釈を変えるとか、これをこうするとかいうようなことはないということは、たびたびお答えをさせていただいておりますが、もう一回改めて、武力の行使を伴う目的で出すようなことは絶対にない、それはきちっと枠組みを守ってきょうまでの解釈でやっていくということは、内閣の法制局でもきちっと長官がきのう答えたところであります。そのとおりにお受けとめいただきたいと思います。
○浜田(卓)委員 今の総理の御答弁、いわば当然のことでありますが、安心をさせていただきました。 私は、憲法の解釈というものが、そのときの都合によって変えていいもの、あるいは変え得るものだとは思っておりません。もちろん憲法の変遷という議論もあります。時代の変遷に対応してその適用の変化は、これはあり得ることだ、学説的にも確立していると思います。しかし、その場合であっても、基本となるものは変わらないわけでありますから、そうでなければ国民は一体何を信用していいかわからなくなる。私は、その点を今の総理の御答弁でそのとおりの考え方であるということを確認させていただいたわけであります。 そして私は、今回の立法は戦後四十五年、この国会の場を通じてさまざまな議論が行われ、積み上げ、確定してきた、いわば憲法の確定解釈、その上に立って、その範囲内で立法が行われているというふうに理解をいたしておりますが、これまた確認でありますけれども、総理もそのようにお考えなのかどうか、まずお伺いをいたします。
○海部内閣総理大臣 御質問の趣旨のとおりの考え方で、どれが我が国として今なし得る範囲かということを厳しく考えてつくったものでありますから、例えば第三条のイのところを見ていただいても、「停戦の監視」と書いてありますが、武力行使を伴うような、あるいは過去において武力行使があったような平和維持軍の問題については、これはいささか考えが異なるというのでわざとここに挙げることはやめたということも、今まさにおっしゃるとおりの心情でこの法案をつくっておるという厳しい姿勢をそこにも示してあるわけでありまして、いずれにしても、武力の威嚇、武力の行使に当たるものであってはならないというのが大原則であります。
○浜田(卓)委員 戦後四十数年にわたって積み上げてきた、そして確定してきた、かつ国民的なコンセンサスを得てきた憲法の解釈の範囲内、それに基づく立法である、そして、それを軽々にお変えになるつもりはない、そのことを今確認をさせていただいたわけであります。 私は今我が国は、否世界全体でありますけれども、大きな歴史の転換点にあると思っております。我が国は第二次大戦後、早期に講和を結び独立するために安全保障条約を結び、そして米軍の駐留を得て、独立国家としての体裁を最小限整えて独立した、そういう歴史的経緯を持っております。つまり、我が国の戦後の歴史の初めには安保条約、そして米軍駐留あり、そういう特殊な歴史のスタートを切ったというふうに私は考えております。これはいわゆる吉田ドクトリンという考え方であります。 その結果、我が国の戦後四十五年の歩みというものは特殊な歩みであったと思います。しかし、それは同時に成功した歩みであったと思います。その結果として、我が国は今世界の中で最も繁栄した国としての立場を確立しているわけであります。単純化して申し上げるならば、安保条約で米国に対して基地を提供して米軍の駐留を得ることにより、我が国の外で起こったことは安保条約、米軍に任せる、我が国はみずからの国土を守り、国内のことに専念する、そういう体制でやってきたと言えるわけであります。 それと同時に、この出発の当初、もう一つ私は想定したものがあったと言えると思います。それは、究極的には対外紛争の処理は国連に期待するという考え方であります。昨日の山崎委員からの質問の中にもありましたけれども、このことは我が国の憲法の前文及び昭和三十二年に閣議決定されている「国防の基本方針」によっても明らかなことであります。そして、この関連で申し上げるならば、安保条約による米軍の駐留は、国際連合の機能が十分に成熟し機能し始めるまでの経過的なことである、そのように位置づけられているわけであります。そして、国際連合の機能が現実に強化された暁にはこの安保条約は自動的に消滅をする、そういう自動消滅条項を持ったスタートであったわけであります。 そして、今日我が国は大きく変化をしてまいりました。高度経済成長を実現し、経済力においては大国の仲間入りをしましたが、同時に世界も変化をしてきたわけであります。 まず、アメリカの力が相対的に衰えてまいりました。吉田ドクトリンの大前提とした一つの大きな条件が今失われつつある、私はそのように言わなければならないと思います。今回の湾岸問題の対応について見ても、米国は各国に分担金を負担してほしいという要請をいたしております。いわばアメリカ一国だけでは世界の危機に対応し切れない、そして日本がアメリカにのみ対外的なことはすべて依存をする、それもなし得ない、そういう状況に変わりつつあるということであります。同時に、共産主義、社会主義の失敗を明らかにしつつ、ソ連の力も今、後退しております。ゴルバチョフ大統領は、苦しみながら今自由主義と民主主義への転換を急いでおられるわけであります。 つまり、世界は米ソ二大超大国が対決して、そしてその緊張関係の中で動いてきたそういう時代を終わって、今や、アメリカもソ連も含めた国々が国連という場でわいわいがやがや協議を重ねながら世界のことを決めていく時代に変わりつつあるということであります。つまり、申し上げるならば、我が国の憲法がその発足の当初に想定していた姿が今、徐々にではありますけれども実現に向かいつつある、私はそのように判断してよろしいと思うわけであります。 このときに当たって我が国がどのように対応するか、これが今の問題であります。これが今の国連協力法の問題だということであります。国連に対して我々は、我が国は多くの資金を拠出してお ります。これからも資金だけを出して、安全保障の問題には直接的に関与していかない、そういう国であり続けるのか、あるいはまた、我が国の憲法が当初から想定していた姿に近づきつつあるわけでありますから、より積極的に国連の活動に参加して、国連を通じて世界の平和への責任分担を果たしていくのか、このどっちを選ぶか、そういう意味で私は、我が国は今歴史的な分岐点に置かれていると考えるわけであります。私の考えも総理の考えも、答えはどちらの道を選ぶか、この法律の提出によって明らかであるというふうに思うわけです。 したがって、ここで先ほど確認をさせていただきました、この法案に直接関係のないおどろおどろしい憲法論議を行って、それに終始してこの法案の本当の姿、そしてまた本当の位置づけというものを見失った、そしてこの成立を実現できなかったとすれば、それは我が国にとっての不幸である、我が国の将来に禍根を残すことにつながる、私はそのように考えております。 そこで、総理に確認的な御質問を申し上げるわけでありますが、私が今簡単に我が国の戦後の成り立ち、歴史、その特殊性、その変化、お話を申し上げましたけれども、このような分析について総理の御感想を伺いたい。そしてまた、国連平和協力法の位置づけについても私の考えに対する御所見を伺いたい。よろしくお願いいたします。
○海部内閣総理大臣 いろいろ御指摘になりました戦後の我が国の歩みの中できちっと踏まえておかなきゃならぬのは、日米安全保障条約によって日本は戦後の平和を守り抜いてきた、その選択、それは顧みて私は、日本としては正しかったし、言葉は適切じゃないかもしれませんが、そういった条約のもとできょうまで平和を守り抜いてきたこと、同時に世界が自由貿易、自由経済という環境がきちっとあって、安保条約も日米の安全保障だけではなくて、改定以後はむしろ経済協力あるいは福祉の条件をお互いに広めていこうというような、基本的な経済問題から社会の民主化の問題にまで全部協力をしていこうという、そういう基本的な面を持つ条約であって、それによって日本が今日の平和を守りながら質の高い国民生活を維持することができるようになってきたということは事実だと思います。 ただ、率直に言わせていただくと、それは日本、調子がよ過ぎるではないかという声がいろんなところに出てきて、もう少し協力したらどうか、ただ乗りという言葉が出たりいろいろした時期もありました。また、この間うちの構造改善協議なんかのことにずっと入っておりましても、日本の国際的な役割の果たし方というものが少ないではないか、国際的に見て日本は民主主義の国というけれども、自由の国というけれども、ルールが少し違うんじゃないかという声がいろいろ起こってきたことも御承知のとおりでございます。 できるだけそういったことは努力をしてきちっとまとめながら国際協力を日本のできる範囲で行うことによって、日本も国際社会の一員としていろいろ果たすべきものは果たしておる。戦後の復興途上期のような考え方じゃなくて、今日これまで責任を感じなければならぬ国、世界の経済力の一割以上を持っておるのですから、好むと好まざるとにかかわらず、影響力もそして責任も伴ったものになってきませんと日本の立場が孤立になっちゃう。孤立したら、相互依存関係を断ち切られたら、日本の今の経済では成り立っていかない面が非常にあることは御指摘のとおりでありますから、私は、国際協調にひとつ全力を挙げてできるだけのことはしていかなきゃならぬという願いがこの法案をつくる基礎にございますので、その点全く同じでございます。
○浜田(卓)委員 それでは、先ほど来申し上げておりますように、この国連平和協力法案というのは何をなそうとしているのか、そしてまた何ができ、何ができないのか、これを私は明らかにまとめていく必要があると思っております。いろいろな議論を通じて、断片的にはこれはやれそうだとかこれは恐ろしいとかいう記事が新聞等に出ているわけでありますけれども、これを整理して、特にきょうはテレビが入っているわけでありますから、お茶の間でこれが理解していただける、そして正確なこの法案についてのイメージを持っていただく、それが私は大事なことであるというふうに思うわけです。 その具体論をこれからお願いをするわけでありますけれども、その前提に、法制局長官に一点だけお伺いをさせていただきます。 昨日も大分議論がございました。集団的自衛権というのは一体どういうものであるか、なかなかわかりにくいと思うのです。まあ私に簡単に言わせるならば、今回のことでサウジアラビアがあるいは危ない、そこでサウジの要請に応じて米軍がサウジアラビアに展開をされる、これは私は集団的自衛権の具体的な姿であろうと思います。ですから、今回のいきさつからすれば、最初は集団的自衛権の行使で事が始まったわけであります。それを国連憲章四十一条の経済封鎖の決議が行われて、そのために必要な軍として既に展開されている多国籍軍がいわば国連決議の中の軍に変わってきた、そういうプロセスであろうと思います。これはちょっと余分なことでありますけれども。 それでは、我が国が、先ほど総理に確認をさせていただきましたけれども、戦後四十五年の歴史の中で積み上げてきて確定をしておる集団的自衛権の解釈を教えていただきたいと思います。
○工藤政府委員 お答えを申し上げます。 今集団的自衛権についてのお尋ねでございますが、国際法上国家は集団的自衛権——集団的自衛権と申しますのは、今委員御説のとおり、自分の国と密接な関係にある外国、これに対しての武力攻撃、これを自分の国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する、こういう権利といいますか地位だろうと思います。それで、我が国も国際法上集団的自衛権があるというのは、主権国家であるという意味から国際法上の概念としては当然でございます。ただ、憲法九条との関係で申し上げれば、憲法九条のもとで許されております自衛権の行使というのは、我が国を防衛するために必要最小限度の範囲にとどまるべきである、こういうことと解しておりまして、したがって、今申し上げましたような、我が国が直接攻撃されていないにもかかわらず我が国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を実力をもって阻止する、こういうふうなことは今の憲法九条との関係から申しましてその範囲を超えるものだ、これが従来の解釈でございまして、そういう意味で憲法上許されない、かように申し上げているところでございます。
○浜田(卓)委員 要するに集団的自衛権は、これは国家固有のものである、私はそうだと思うのです。今回も、我が国が直接攻撃されていないかどうか、そこは私は大変難しいと思いますよ。百四十一名の方々が拉致されて他国の政府によって拘束をされている、私はまさに主権の侵害だと思う。これは私は、よその国が攻撃されておって我我は関係がない、そのように考えていいかどうか疑問を持っております。ただ、そこはきょうの問題と直接的な関係がございませんので触れませんけれども、要するに今長官のおっしゃったことは、集団的自衛権というのは固有のものとして我が国はある、しかし武力を行使するような集団的自衛権というのは、我が国はそれを行使しない、それが憲法九条の精神から出てくる解釈である、そういうふうに私は受けとめさせていただきました。 それでは、そういう前提に立って柳井条約局長にお伺いをいたします。 委員長、パネルをちょっと使わせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○加藤委員長 はい、結構です。
○浜田(卓)委員 それともう一つ。一々行ったり来たりするのは時間がもったいないですから、これからずっと柳井局長に伺いますので、彼はここでずっと続けて答えることを御許可いただけますでしょうか。よろしいですか。
○加藤委員長 はい、どうぞ。
○浜田(卓)委員 それでは、お伺いをいたします。実は、きょうはお茶の間に見てもらうために項目を整理してまいりました。もうちょっと上手なものをつくるつもりだったのですけれども、やはりこの事柄の内容で、それほどうまくできなかったものですから。裏には書いてありませんので、後ろの方はごらんにならなくて結構でありますから、ひとつどうか……。 それで、柳井局長にお伺いいたしますが、ここのパネルにあります一つ一つ、これから平和協力隊がやれるのか、やれないのか、典型的なケースを実は整理をしてきたわけであります。ですから、一つ一つの項目について、これはできます、できません、そういうことをお答えをいただければありがたいと思います。 委員長、よろしくお願いいたします。
○加藤委員長 はい。どうぞ質問を続けてください。
○浜田(卓)委員 第一は、これはあえて確認するまでもないと思いますが、国連憲章四十二条に基づく国連軍に参加して戦闘行為を行うこと、これはできませんね。
○柳井政府委員 国連平和協力法第二条第二項は、平和協力隊の「海外派遣に係る平和協力業務の実施等は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。」旨を明記しておりまして、ただいま御指摘のようなことは国連平和協力法のもとではできないわけでございます。
○浜田(卓)委員 それじゃ、できないということで、これはバツですよね。私はこれはバツをつけてまいりましたから、見ていただきたいと思います。(発言する者あり)質問者は私ですから。 その次、多国籍軍とともにイラク軍に対する戦闘行為を行う、これは先ほど法制局長官とのやりとりで明らかにしましたけれども、例えばサウジアラビアに展開をしている米軍あるいはフランス軍あるいは英国軍、これはペルシャ湾ですね、そういういわゆる多国の軍とともにイラクに対する戦闘行為を行う、これはできますか。
○柳井政府委員 これも先ほどの御質問と同じでございまして、この「平和協力業務の実施等は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。」ということでございますので、これもできません。
○浜田(卓)委員 できない。できないと思って私はバツをつけてきましたが、これを見ていただきたいと思います。 その次は、同じ多国籍軍の指揮下に入って物資協力をする、いろいろな物を運んだり、多国籍軍の指摘下でそういう運搬を含めた行動を行う、これはどうですか。
○柳井政府委員 これは、この法案のもとで平和協力隊が外国の軍隊の指揮下に入って活動するようなことは全く想定しておりません。また、そもそも現行法制上我が国の公務員が外国の軍隊の指揮下に入って活動するようなことは認められておりませんので、これもできません。
○浜田(卓)委員 これもできません。 じゃ、その次、戦闘が行われている、戦端が開かれた後、そういう場所で多国籍軍に対して武器、弾薬、兵員、食糧、水、これを運搬する、これはできますか。
○柳井政府委員 この法案第三条二号の定める「平和協力業務」の一つといたしまして、「物資協力に係る物品の輸送その他の輸送、」が明記されております。輸送の対象物に制約があるというわけではございませんけれども、武力の行使と一体をなす輸送協力は行い得ないところでございまして、現に戦闘が行われている場所への武器、弾薬、兵員、食糧、水でございますか、そのようなものの輸送はできません。
○浜田(卓)委員 できないですな。つまり、武力行使と一体となるような行動はできません、そういうことですね。
○柳井政府委員 そういうことでございます。先ほど法制局長官からお話がございましたとおりでございます。
○浜田(卓)委員 じゃ、これもできないからバツですね。 その次に……
○加藤委員長 ちょっと双方、質問、答弁、明確にしてください。重なり合わないように。
○浜田(卓)委員 はい、申しわけございません。 戦闘が行われている場所で、つまり先ほどの戦場で多国籍軍に対して医療協力を行う、最前線に平和協力隊医師団を送り込んで医療協力を行う、これはできますか。
○柳井政府委員 法案第三条二号に定めております「平和協力業務」の一つといたしまして、「医療活動」が明記されております。総理もたびたび御答弁されておりますとおり、この法案のもとで、平和協力隊を現に戦闘が行われている場所または戦闘が行われようとしている場所に派遣することはしないということにしておりますので、そのようなことはできません。
○浜田(卓)委員 じゃ、これもバツですね。 それでは次に、色が変わりますけれども、停戦の監視、つまり、仮にイラク・クウェートの紛争が調停により終結をした、お互い兵を引き、かつ平和状態に入るわけですけれども、それをきちんと行われるかどうか監視する、これが停戦の監視でありますが、これはできますか。
○柳井政府委員 はい。これは法案の定める「平和協力業務」の一つでございまして、これはできます。
○浜田(卓)委員 これはマルですね。 第二点ですが、紛争終了後の暫定政権の行政事務への助言・指導を行う、これもできますね。
○柳井政府委員 これも法案の第三条二号に定めております「平和協力業務」の一つでございまして、できます。
○浜田(卓)委員 その次は、紛争終了後の公正選挙の監視・管理、いろいろなケースがあると思いますけれども、これはできますか。
○柳井政府委員 これも「平和協力業務」の一つとしてできます。
○浜田(卓)委員 その次は、現在ジョルダンには、数十万人あるいはもっとそれを超えると言われておりますが、アジアの人たちを中心とする避難民が集結をしております。飢えと渇きが彼らを苦しめているという報道がなされております。この避難民の救出輸送、これはできますか。
○柳井政府委員 法案に定めます「平和協力業務」の一つといたしまして、「紛争によって被害を受けた住民その他の者の救援のための活動」を明記しておりまして、このような活動の一環といたしまして、ただいま御指摘のような活動はできます。
○浜田(卓)委員 マルですね。 それでは、こういう避難民の方々への医療提供、これはできますか。
○柳井政府委員 法案の上で、「平和協力業務」の一つといたしまして「医療活動」というのがございます。また、「紛争によって被害を受けた住民その他の者の救援のための活動」も明記されておりますので、これもできます。
○浜田(卓)委員 最後に、紛争によっていろいろな災害が後に尾を引くでしょう。これの復旧作業はできますか。
○柳井政府委員 これも、「紛争によって生じた被害の復旧のための活動」は「平和協力業務」の一つとして明記されておりますので、できます。
○浜田(卓)委員 どうもありがとうございました。マルですね。結構です。 こういうふうに整理をいたしますと、要するに戦闘行為につながるもの、戦いの場における行動、そういうものはしないのですよ。やらせないのではなくて、これは私は大変時間をかけて詰めたものでありますが、法律的に、あるいは憲法解釈上できないのです。ですから、あたかもそういうものが中心になっているような錯覚は、これは私はなくさなければならない。そして、本当にこの協力法がねらいとしているものは、ここでマルがつきましたが、まさに避難民の救済であり、紛争が終結をした後の各種の監視・管理、災害復旧、そういうものであるということであります。 時間が経過しておりますから、この点については以上で終わりたいと思います。 次に進ませていただきます。 今、アジア諸国が心配をしている、そういう議論があります。現実にそういう報道もなされております。しかし、私はいろいろなことを分析をしてみなければいけないと思っております。我々がこの協力法によって何をしようとしているのか、それは我が国民ですら十分に理解が行き届いていない。いわんや他国政府、他国の人々にこれが正確に説明され、理解されている、そういう前提で考えるのは、私は間違いだと思うわけであります。新聞報道がなされる、その新聞報道の見出しを見て他国の国民の皆さんがいろいろな反応を示す、そしてまた報道が行われる、その報道を受けてまた我が国の報道が行われる、そういう一種の循環の中に、本当はどうかということとは別に一つのイメージがこれまた形成されているということも、私は正雄に見ていかなければいけないと思っております。 アジア諸国にもさまざまな意見があるわけであります。例えば九月二十日付のタイのネーション紙、これは新聞でありますが、「日本のちっぽけな対応」という社説を掲げておりまして、中東への物資輸送や通信などの支援活動に非武装の自衛官が従事できるようにする新たな立法措置が必要だろうと指摘をしております。そして、中東への政治的関与を避けている現在の我が国の姿勢は、不必要なまでに憶病である、そのようにすら論断をしているわけであります。 私は、実は議員外交の一環として、アジア・フォーラムという国際会議をつくっております。その組織を通じて、アジアの人々と濃密な政策対話を重ねております。早速、過日、このメンバーの皆さんの何人か、つかまる人だけでありましたけれども、国連平和協力法の説明をして、率直な意見を聞かしてくれということをやりました。インドネシアと韓国だけしか答えが唯価できておりませんのは残念でありますが、インドネシアの外交戦略に極めて強い影響力を持っておりますインドネシア戦略国際問題研究所長ユセフ・ワナンディ氏という人がおります。これは国際的に大きな活躍をしておられますから、多くの皆さんが御存じだと思いますが、彼は私の問いに対して、ASEANのリーダーはこの法案を理解し、支持するだろうと言っております。彼はその理由として、日本が単独で行うのではなく国連という大枠の中で行動するならば、軍事的暴走の心配はない、そういうコメントをしているわけです。そして、ワナンディ氏は最後に、東南アジア諸国に徹底的かつオープンにその意図を伝え、その行動について説明すれば、ASEANのリーダーは国連平和協力法案を支持するだろう、非常に確信を持って私に言い切ってくれました。彼は、インドネシアにおいて大統領に対して大変大きな影響力を持つ人物であります。 また、韓国のカウンターパートの一人が韓国中央大学教授のユン・ジョンソク氏であります。彼は友人が青瓦台に入っておりますし、韓国の学者の政策に関与する度合いというのは我が国よりもよっぽど大きいわけでありまして、韓国の政策に大きな影響力を持つ一人と私は確信をしております。彼は、この法案は基本的に日本の国内問題である、日本がグローバルな役割を果たすことは必要であり、国連の枠内で他の国々と一緒に行動することはよいことだ、そのための法律が必要ならばそれはよいのではないかと私に言っておりました。大切なことは、率直に我が国の意図についてアジア諸国に説明していくことだということを感じます。 そして、この忙しいさなかでありますが、たまたま日程がぶつかりまして、このアジア・フォーラムで先週、日中シンポジウムを開催いたしました。中国で最も大きなシンクタンクである中国現代国際関係研究所のリュウ所長初め十名の研究スタッフを迎えて、我々の仲間とともに三日間ディスカッションをやったわけであります。その中で、危惧の表明はありました。しかし、私がこの法案の意図するところを正確に説明をした後、彼の反応は変わりました。そして、最大の問題点は、天安門事件以来、政府高官レベルの交流がないために、日中間の政策対話のチャネルが少なくなっているんだ、そういう指摘であります。私は、日本が説明不足であること、それが中国側の不安の根幹に大きくあること、それを痛感したわけであります。 そこで、総理にお伺いいたします。あるいは外務大臣でも結構であります。 政府は、どのようにアジアの諸国に国連平和協力法案の説明をしておられるのか、また、どのようなコメントを得ておられるのか。これは詳細にわたっては結構でありますが、ここが私のポイントであります。政府としてアジア諸国に今後どのように説明していかれる方針か、そのために特使の派遣をお考えになっているのかどうか、その点についてお伺いをいたします。
○中山国務大臣 先般、委員が主宰されましたアジア・フォーラムにも私出さしていただいて、リュウ所長にもお目にかからしていただきましたが、これはやはりアジアの各国の指導者に、日本の国連の決議に基づいて行う国際平和協力というものに関する法律案の趣旨というものをよく理解してもらうということが一番大事だろうと思います。 先般、国連総会におきましても、各国の外相に対しては、日本政府が現在立法を準備しているこの法案の内容については既に説明を申し上げました。中国の銭外相からも、不安が起こらないように慎重にひとつやっていただきたいというお話もいただいておりますし、先般、おとついの晩はベトナムの外務大臣にいろいろとこの内容についてもお話をいたしております。また、フィリピンの外務大臣からは、この日本の今回の協力は歓迎すべきものだというお話もいただきました。できるだけ政府は積極的に東南アジア、太平洋地域の各国の首脳に、この日本の国連に対する協力の法案の内容について今後とも積極的に説明をいたしていく、このように考えております。 特使につきましては、この法案の成立後いろいろと御相談をさしていただきたいと考えております。
○浜田(卓)委員 時間が大分経過しましたので、それでは最後の質問を申し上げます。 我が国の外交努力についてであります。私は、全く個人的な見解でありますけれども、湾岸危機平和的解決のための山場が近々来るんではないか、そのような感じを持っております。そういうときに、我が国の外交問題に取り組むエネルギーが、そのほとんどが国内論争に使われているということは、ある意味では残念なことであります。一日も早くこの平和協力法の議論に終止符を打って、まさに我が国が外に対して本当の意味の外交努力をするべきときだ、そのようなことを痛感をしているわけであります。と同時に、もし我が国が外交的努力によってこのイラク・クウェート問題の解決に貢献することができるとするならば、この法案も大切であります。しかし同時に、同じぐらい私は、日本の役割というものを世界に対して印象づけ、インパクトを与えることができる、そのぐらいのウエートを持って外交努力がなされなければならないと考えているわけであります。 外交努力による平和的解決というのは、日本的に言えば三方一両損という言葉があります。今の大きな当事者は、イラク、そしてクウェート、そしてアメリカであります。もちろんソ連を初めとする世界の国も加わっております。しかし私は、ポイントはサダム・フセインが振り上げたこぶしをどうやっておろさせるか。と同時に、それを真っ向から正義の気持ちを持って受けたブッシュが、やはり振り上げたこぶしをどうやっておろせるか、そこがポイントだと思うわけであります。三方一両損ということは、同時に三方一両得ということもあるわけでありますから、日本がまさに中東に対して援助を行い、政治的に中立的な姿勢を保ちながら、例えばパレスチナ問題についても積極的な発言をしてこられた、私は、外務大臣の 努力を知っておりますからこれを多としておりますが、しかし同時にそういう立場を今フルに生かして、この中東和平のための外交努力が展開さるべきであるということをまず申し上げたいわけであります。 そこで私は、やはりアメリカにもきちんと物を言って、振り上げたこぶしをどうやったらおろせるか、そこをいろいろとアドバイスをするというのが日本の大事な役割ではないかと思います。日本はいろいろな面で貢献をしてまいっております。しかし、それは決して世に言われる対米追従ではないと思います。まさに日本が独立した国家として、またこの平和協力法をつくって世界に独自の貢献をしていく、その裏にはアメリカの意図と違ったそういう対応があっても私はいいんだろうと思うわけであります。 そこで、総理にお伺いいたしますが、アメリカの世論も今、平和的解決の必要性を強く訴えるようになってきているのです。ニューズウイークのギャラップ世論調査によりますと、七三%の人々が、軍事行動をとることよりも外交・経済制裁の見きわめを望んでいるわけであります。そして、外交的解決に一層努力せよという意見が六九%に達している。そういう現実を背景に、ブッシュ大統領にも総理は日本の独自な立場で早期解決への直言をしていく必要がある。当然やっておられるということかもしれませんけれども、この点についてのお考え、それから今後の御方針があればお伺いしたいと思います。
○海部内閣総理大臣 今回の湾岸危機については、粘り強く話し合いによって平和的な解決をすべきだということは、私は一貫して持ち続けておる考えであり、それをあらゆるところでも言い続けております。特に、中東の諸国の首脳と話してみましても、それぞれ、表現はいささかニュアンスは違っておりましたが、猛烈な懸念をしておるのは、危機の膠着化といいますか、何かこう実力によって侵攻し、侵略したという行為がこのまま定着してしまって既成事実になってしまうことは困る、何とかこれは平和的に打開しなければならない、そのために、国連決議が行われたあの項目というものがまず実行されることを非常に望んでおる。そのためには、国際的な協調で経済制裁の実効性を高めながら平和的に解決してほしいというのが、あの湾岸周辺諸国の首脳の一致した考え方でもあります。 ですから、その点については私も全く同じでありますから、ラマダン副首相に会ったときにも、そういった基本に立って、今この膠着した局面を転回して話し合いの場に臨んでいって——いろいろな恒久平和のことを話し合うためにはその局面を変えなければならぬわけであるから、国連の決議に従ってクウェートから撤兵をするというそのことを決断してかぎを開くことができるのは今はイラクですから、そのことについて強く求めるとともに、それができれば次のステージとしては、イラクとクウェートの間の紛争の話し合い、あるいはアラブとイスラエルとの問題解決の交渉、これはきょうまでアメリカのベーカー国務長官もエジプトのムバラク大統領も、それぞれ独自の提案をしながらあの地域で努力してきたにもかかわらず、まだ足踏み状態にある状況ですから、日本も二百四十二号の国連決議、あれには賛成をし支持をして、その基本線に従ってそういう平和解決が行われるように努力をするから、それは決断されたらどうかということ。 あるいはまた、日本とイラクの間には非常にきょうまで経済的な交流もあったわけで、イラクは日本に対して今七千億円のまだ債務がある、日本には債権がある。それから、混合借款の残りをどのようにして開いていくかという話が、イラン・イラク戦争終了後その話を始めてきて、八月の一日までその方法等について相談を行っておるという日本側の積極的な行動のさなかで、これが今断ち切られた状況ですから、私は、きょうまで同様に日本とイラクの間の技術協力や経済活力活性化のための再構築の用意は日本としてはあるんだから、その話ができるような環境整備のためにまず兵を引いたらどうか、それが平和的解決でまずやらなければならぬことであり、やれることだと、こう言いました。 ニューヨークでブッシュ大統領に会ったときには、絶対にこれは粘り強く根気強く平和的解決でやってもらいたい、世界の国々がこれだけそういったもので努力をしておるんだ、私も中東へ行ってそういった方針で話もしてくるし、また米国もその方針で努力をされておるものと思うがどうかと言ったら、それはベストの解決方法が平和的解決であることは間違いないし、それは国際社会がみんな一致して国連の原則に示されたとおりに動くことである。その日米首脳会談の翌日のブッシュ大統領の国連演説は、もう御承知のとおりに、イラクにまず兵を引いてクウェートの政府を復活させる、そうすればイラン・イラク紛争の解決のため、あるいはパレスチナ問題を含む中東恒久和平のためにさまざまな機会が提供されることになるであろうということを、ブッシュ大統領も国連で言っておる。これは、ミッテラン大統領の国連演説と、原則を守ってまず現状を局面転換して、それから全体の和平のことを考えようということと同じ流れ。日本もそれに対しては同じ考え方を持っておるわけでありますから、そういったことで、平和的な解決をしていこうということはいろいろ言っております。 私は、きのうもおとといも中国のマスコミの代表の方の表敬訪問を受けました。同じようなことをきちっと申してあります。過去の戦争に対する反省のこともきちっと持っておるし、同時に、あなたのお国の中国も参加していらっしゃる安全保障理事会でこういう決議ができて、ここに世界の大義に反するものがあるんだという決定がなされたということも国連の活動の中の初めてのことで、日本が恣意に日本だけの判断で、ここにあれがあるから、ここにこれがあるからといって手を出していこうというんではない、国連決議の実効性を高めるために、国連というものの考え方の中でやろうとしておるのがこれで、しかも武力の威嚇、武力の行使は絶対行わないで平和的解決を目指す平和的協力だということもきちっと説明をしておりますが、そういう基本方針でこれからも続けていくつもりですから、委員の御指摘の線と私も同じ考えでございます。
○浜田(卓)委員 私はもう一つ、ソ連というのは大変大事な役割を果たし得ると思うのです。今でもソ連の軍事顧問がイラクには、一説によると千人弱はまだいるというような報道もあるわけでありますが、私はソ連が本気になってこのイラクの説得に当たるということが大きなかぎだというふうに思っております。ソ連も今新しく始まりつつある世界秩序の中に入って、我々と一緒になって取り組もうという姿勢を見せ始めているわけであります。 過日、シェワルナゼ外相がお見えになったときに、中山外務大臣は湾岸情勢に関する日ソ声明を発表されているわけです。これは両期的なことである、従来からの日ソ関係を考えれば。しかし私は、これをもっと進めて、ソ連にとっても新しい国際秩序の中に入って本当にその中で大きな平和的な役割を果たすチャンスである、日本もいろいろ懸案はあるけれども、ソ連をそういう舞台に引っ張り出して日ソ共同でこの解決にも当たれる、それは画期的なことだと思うわけであります。 ですから私は、中山外務大臣のこの日ソ声明を出された御努力、大変敬意を表するわけでありますが、それをさらに延長して、このソ連というカードをもっと有効にこの湾岸の解決のために使えないものか。そのために、ゴルバチョフさんは来年来られるということでありますけれども、もっと早くあるいはこちらからでもそういう働きかけをして、ソ連に対しこの湾岸への取り組みをさらに奨励するといいますか、激励するといいますか、そういう姿勢が大事だと思いますけれども、外務大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○中山国務大臣 先般のシェワルナゼ外相と私との外相会談におきましては、イラク問題についていろいろと突っ込んだお話し合いをいたしまし た。シェワルナゼ外相もソ連の立場としてこの問題の解決に積極的に努力をするという強い御意志を承っておりまして、政府といたしましては、引き続きソ連ともこの問題解決に協力を求めるように一層の努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
○浜田(卓)委員 以上で私の質問を終わりますが、私は昭和十六年十月生まれであります。太平洋戦争の始まる直前に生まれたわけでありますが、物心ついたときは我が国は焦土と化しておったわけであります。そしてその中で、しかし希望に満ちて今日まで育ってくることができた、このように考えております。その中で現在の憲法を私は当然のものとして、そしていい憲法であるとして教えられ、そのまま私の確信になっております。 私は、この憲法が当初想定していたまさに国連中心の動きというものが出始めた今日今、憲法をどうこうするという議論は全く当を得ていない、むしろこういう新しい事態に、憲法が本来予定していた事態にこの憲法を生かして取り組んでいく、それが当面我々が考えていかなければならない最大のことであるというふうに思うわけでありまして、この国連平和協力法はそういう意味での国連中心主義への具体化の第一歩である、そのように受けとめておりますので、私どももこの法案成立のために頑張りますけれども、総理初め皆様方の努力を心から御期待を申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○加藤委員長 次に、高村正彦君。
○高村委員 中東の軍事大国でありますイラクが中東の経済大国であるクウェートを軍事力でのみ込んだ、これが今回の事態だと思うわけでありますが、このイラクがけしからぬということについては国民的合意があると思うわけでありまして、これに対して一方で、中東に展開しているアメリカを初めとした多国籍軍、これに対しては非常に評価して感謝するという意見もありますが、一方ではイラクもけしからぬけれどもアメリカもけしからぬのではないかという意見が国民の一部にあることも事実であります。総理はその点についてどうお考えになるか、お答えいただきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 どちらもけしからぬという意見は、ちょっと私はこの場合通らないと思います。それはきちっと、イラクが侵略をし侵攻をしたということ、これは悪いことをしてはいけないという我々の常識からいってもあるいは新しくつくろうという国際社会から見ても、とにかく武力で侵攻をして併合してしまうという行為は国際社会の大義に反する、許されない、だから国連で決議ができて、その決議には東西両陣営のトップにいる超大国も加わる、アジアの中国も加わっておる、そういうところで地球的規模でこれはいけないと決議されたことでありますから、やはり今回の湾岸危機あるいは中東紛争の原因をなしたものはイラクであって、イラクに厳しく反省を求め、クウェートからの撤兵をまず求めなければならない、これが議論の出発点でなければならない、私はこう思っております。 逆に言うと、あのときあれ以上平和の破壊が拡大されていかないために、多国籍軍というのが国連決議の実効性を確保するためいろいろなことでずっとこう出るわけですが、アメリカがいち早くあそこに抑止力を展開して、平和の破壊があれ以上進まないように、そういった深い懸念をあそこでとどめたということについては、これは同じ次元で判断すべき問題ではなくて、あの世界の石油が世界経済に与える影響等を深刻に考えてみますと、世界経済を安定的に確保していくためにはあのような行為をせざるを得なかったということに対しては、私は率直にその努力というものは認めたいと思うのです。ですから、それは質の違う次元の問題でございます。
○高村委員 それは仕方ないことで認めたいと思いますじゃなくて、私はアメリカを初め多国籍軍の行動に感謝しているとまで言っていただきたかったと思うわけでありますが、まさにあのときアメリカを初め多国籍軍が迅速に行動しなければ、総理も今おっしゃったように、サウジアラビアにも入ったかもしれないし、アラブ首長国連邦にも入ったかもしれないし、サダム・フセインという一人の独裁者が日本が頼っている七〇%の石油を押さえるかもしれなかった。人質をとって恬として恥じないそういう人が日本が頼っている七〇%の石油を押さえてしまう、そういうことになったら、日本はまさに生殺与奪の権を握られる、こういうことになることでありますから、私は、日本国民としてまさにこれは感謝をしているということだろうと思うのですが、その点、いかがでしょうか。
○海部内閣総理大臣 私も別に仕方がないことなんという言葉は使わなかったと思いますし、あれは抑止力としてきちっとあれ以上平和の破壊が進まないようにとめてくれたということを率直に評価をする、こう申しましたのは、おっしゃるように、石油が十ドル高くなれば日本は現実に百六十億ドル、製品まで入れると百九十億ドル年間支出増になって、経済に与える影響が非常に大きいんです。それは日本経済に与えるというのみならず、例えば去年日本経済の中でアジア地域から六百四十億ドルも製品輸入ができたんですが、それも日本の経済が停滞すればアジア諸国からの輸入も停滞する、アジア諸国にも間接的に経済的には大きな影響を及ぼす、どんどんこの問題は波紋を広げるわけですから、だから石油の供給源が安定しておるということ、幸いなことにあの米軍初め多国籍軍が展開してくれたことによってあれ以上の平和の破壊が行われなくて済んでおるということは、あそこの抑止力になってもらっておることでありますから、これは率直に評価をしておりますし、我々のできないことを我々にかわっていち早く展開をしてやってくれたということについては、それは感謝の気持ちを強く持つべきだと思います。
○高村委員 日本も国際社会の一員として当然に貢献をいろいろしなければいけないと思うわけでありますが、既に発表した貢献策についてごく簡単に述べていただきたいと思います。
○渡辺(允)政府委員 我が国の中東貢献策につきまして、私から事実関係を簡単に御説明申し上げます。 我が国の中東貢献策は、湾岸における平和回復活動に対する協力という分野と、それから中東関係国に対する支援という分野と、大きく言って二つに分かれております。 最初の湾岸平和回復活動に対する協力という分野につきまして、八月三十日に十億ドルの協力を行うという決定を行い、その後九月十四日に十億ドルを上限として追加的に協力を行う用意があるということを表明いたしました。それから、中東関係国に対する支援につきましては、同じ九月十四日に二十億ドル程度の経済協力の実施を決定いたしております。以上のほかに、難民援助のために二千二百万ドル強の拠出がございますので、総計をいたしますと四十億ドル強ということになります。この全体を決定いたしましたのが九月の十四日ということでございます。 これを他の主要先進工業国と比較をいたしますと、その翌日、九月の十五日にドイツが、上記に申し上げました二つの分野を合わせまして、すなわち我が国として四十億ドルという約束をいたしました分に対して、約二十億ドルの協力を表明いたしております。それから、引き続き十月の二日になりまして、ECが中東関係国に対する経済協力に当たります分について二十億ドルの決定をいたしております。 それで、この協力の各分野の実施状況をごく簡単に申し上げますと、一つは、政府が民間の航空機、船舶を借り上げて、いわゆる輸送協力をいたしております。それから、医療協力で先般先遣隊を派遣をいたしました。それからあと、資金協力、物資協力の分として、GCCの湾岸平和基金に拠出をいたしております。 以上が、政府といたしまして、現在の体制、財 政事情のもとで最大限の努力をした結果でございますが、一言つけ加えさせていただきますと、以上のうち、特に輸送協力、医療協力につきまして、民間の方々の御協力を得て実施しているという体制でございます。私どもは、この民間の方々の御協力がなければこれは実施できなかったというふうに考えておりますが、やはり民間の方の御協力をいただくについてそれなりの制約、限界もございます。例えば、輸送協力につきまして、民間の航空企業、船会社等はそれぞれの通常の業務を実施しておられるわけで、そのような中で今回のように緊急、相当量の輸送需要に対応できるように航空機、船舶を提供していただくということはなかなか容易でないということ、それから、その場合に、通常の商慣行に従って諸般の契約締結等に大変手続がかかるということ、それから、こういう事態を想定しておられない方々に、例えば安全確保の問題等についていろいろ御納得をいただかなければならないというような問題点が、実施の過程であったわけでございます。ただ、私どもは、この御協力は大変に評価をいたしております。
○高村委員 アメリカに行きますと、この日本の貢献策について、ツーレートあるいはツーリトル、こういうことをよく言われるわけでありますが、アメリカとすれば、極めて迅速に軍を出して、そして毎月の追加的経費が十二億ドルに上る、そういう気持ちになることもわからないではないわけでありますが、まさに今言ったように、世界の国で日本が最も早く、そして最も多く協力しているということの説明であったかと思うのですが、それで間違いないですか。
○渡辺(允)政府委員 実は、協力ないし貢献につきまして、資金面の協力あるいは要員の提供、物資の提供、その他いろいろございますので……(高村委員「資金面」と呼ぶ)資金面で申し上げると、先生今御指摘のとおりでございます。
○高村委員 総理が社会党の委員長にお会いしたときに、委員長の方からやはりツーリトル・ツーレート、こういう言葉があったように聞きますが、その中で、多国籍軍に対するものは別だとか多国籍軍に対するものはいけないんだとか、そういう言葉はあったのでしょうか。
○海部内閣総理大臣 党首会談のときのお話でございますが、ツーレート・ツーリトルと御批判を受けたことは、これは事実でございまして、私はそのとき率直に自分で謙虚に反省もして、それではどうか、どれくらい提供したら少な過ぎるとおっしゃらないんでしょうか、どれほど出したらお認めがいただけるんでしょうかということもお尋ねしたので、これは参考のためにどうぞ教えてくださいと言ったのですけれども、それは教えていただけなかったということでございます。 そのときに、具体的に多国籍軍云々ということは私の記憶では言葉の中に出ていなかった。ただ、お金を出す先を国連の平和基金をつくって出したらどうだ、そういう御提案はございました。国連に平和基金というものがあるかということを調べたり、それをつくったらそこへ出すよということ等も関係筋からやらせたことはあったんですが、そういう制度が今残念ながらございませんので、そういう国際機関の中に平和基金というものはないから、湾岸協力基金というものが湾岸理事会の中に設立されて、そこへ出したということでございます。 それから、遅過ぎるという御批判も、これはアメリカのみならず日本でもいろいろなところから聞いたわけですけれども、私の記憶に誤りなければ、ドイツが拠出されたのも、あるいはECが全部そろって決めて拠出をされたのも、これは日本が決定した後でありますから、だから何を基準にツーレート・ツーリトルと言うかというその前提の基準がちょっとしっかりしておりませんので、私の方は自主的に判断して、遅過ぎもしなかったし少な過ぎもしなかったんだ、できるだけのことをやったんだというのでありますが、御批判は謙虚に受けとめさせていただいております。
○高村委員 民間の医療団を派遣したということでありましたけれども、サウジアラビアに先遣隊を派遣した際に特別苦労したとかあるいは派遣が円滑に行われなかったとか、そういった問題点はあったのでしょうか。
○赤尾政府委員 医療団の先遣隊は九月十八日に出発いたしまして十月十九日に帰ってまいりました。一行はサウジアラビアに約一カ月滞在の間、先方の外務省あるいは保健省等と会談を精力的に行いますとともに、あるいは東部州にも参りました。そして、一部はジョルダンの難民キャンプの視察にも参りましたが、そのような活動を通じて、サウジアラビア側のニーズは何であるかというようなこと、あるいは日本としてどのような協力ができるかということを鋭意探ってまいりまして、最近帰ってまいりまして、私たち報告を受けまして、今後どのような協力ができるかということを鋭意検討をしている状況でございます。 確かに、非常に準備期間が短かったということと、国立病院の方あるいは大学病院の先生あるいは民間からの看護士、看護婦さん等、いろいろな方面から来ていただきまして、まずチームの編成等に若干時間がかかったことは事実でございますけれども、一行の滞在中は非常にチームワークよく活動していただきました。団長からは、一カ月の滞在の期間一日たりともむだに過ごしたことはなかったという報告を受けております。 〔委員長退席、山崎委員長代理着席〕
○高村委員 全員一生懸命やっていただいたということでありますが、今後の医療協力として、民間だけ、あるいは一部公務員も入ったかもしれませんが、自衛隊の防衛医官を入れなくとも十分に国際社会から評価できるような協力ができるのでしょうか。
○赤尾政府委員 今回は先遣隊で調査を主目的に行ったわけでございますけれども、今後もう少しじっくり医療協力を行うに当たりましての私たちの直面しております問題点としましては、まず人数の確保の問題、これを今鋭意関係省庁の協力を得て検討しておりますけれども、人数確保の問題。もう一つ非常に重要でありますのは、派遣期間の問題がございます。特に、大学病院あるいは国立病院、民間の病院から来ていただく方の場合には、その職を一時的に休職にしたままで来ていただくものですから、例えば一カ月とかせいぜい二カ月ぐらいの期間にとどまらざるを得ないということで、相当何回も交代をしなければいけないという問題もございます。もう一つ、ああいう中近東の地域の特殊性によりますけれども、看護士さんが非常に重要であるということで、看護士さんの一般からの募集というのは非常に困難であるということで、これらの要素を考えますと自衛隊の医官、看護士さんに期待するところが非常に大きいというふうに思っております。
○高村委員 輸送の面についてはいかがでしょうか。航空会社の協力も得たと聞いておりますが、例えば難民の輸送、そういったことも十分にできたんでしょうか。難民を本国に帰っていただくようなお手伝いが十分にできたと思われますか。あるいは物資の輸送についても、報道されるところによりますと船員組合が一部反対したとか、そういったことも聞かれましたけれども、十分な態勢でできたとお考えになるでしょうか。それともやはり十分ではなかったとお考えになっているでしょうか。
○渡辺(允)政府委員 現在、輸送協力につきましては、日本籍の船舶二隻、それから米国籍の船舶一隻、それから実は米国の航空会社との契約によりましてこれを実施いたしております。その過程においていろいろ経緯もございましたけれども、私どもとしては、いずれにしても関係者の方々からは現在の状況のもとで最大限の御協力をいただいたというふうにむしろ考えております。 したがいまして、十分か不十分かということにつきましても、結局、先ほども申し上げましたように、機材あるいは船舶のやりくりの問題、それから契約上の手続の問題、それから乗員あるいは船員の方々の安全性に対する御心配の問題等々いろいろございますので、これがやはり民間の方の 御協力だけで今後物を進めようとする場合には制約になり続けるのではないかというふうに考えます。
○高村委員 例えば医療だとか例えば輸送だとかそういったことについて、これから十分に国際的に認められるような協力をしていくために各官庁の協力も得なければ当然いけないだろうと思うわけでありますが、最も期待できる省庁はどこだというふうにお考えでしょうか。
○赤尾政府委員 医療につきましては、先ほど申しましたように厚生省、文部省あるいは民間の方にお願いしているわけでございますし、引き続きこれらの関係省庁の方の協力というのは非常に重要であると思っております。同時に、この新しい法律が成立しました場合には、その新しい法律のもとで長年にわたって蓄積された技能、経験あるいは組織力等を持っておる自衛隊の活用というのは非常に重要であるというふうに考えております。 次に、輸送に当たりましても運輸省等の協力を得ることは非常に重要でございます。特に民間の船会社あるいは航空会社等の活用に当たっては、運輸省の協力を得る必要が非常に重要でございますけれども、今度の中東湾岸策等の経験にかんがみまして、自衛隊の有する輸送能力、特に輸送機あるいは補給鑑による輸送協力というのが非常に重要であるというふうに考えております。
○高村委員 総理は平和主義者でありますから、最初から何が何でも自衛隊を出したいなんという気持ちは毛頭なかったのだと思いますけれども、憲法の範囲内で、そして国際社会のために、国際社会の一員として日本が何ができるかということを十分考えて実務的に検討したら、やはりその一部を自衛隊にも頼らざるを得ない、そういう結論に達したのではないかと私は推察するのですが、そういうことでよろしいのでしょうか。
○海部内閣総理大臣 最初に貢献策を発表いたしまして、医療協力、輸送協力、何とかしてしたい、民間にお願いをしたことはそのとおりであります。いろいろな壁があって、いろいろな問題があって、それが今日このような状況に立ち至っておることもそのとおりでございます。日本にはこういった事態に対応する法律や国内体制の仕組みが全くありませんでした。したがって、先遣隊に行ってもらうにしても随分問題があります。 そこで、これはやらないわけにはいかない、平和的な国際協力はしていきたいという立場に立って政府部内でいろいろ意見を出し合って検討いたしますと、輸送手段一つにしても、例えば北欧の国々の待機軍の問題を考えてみたり、あるいは別の組織、仕組みをつくれということも考えてみたり、いろいろなことをいたしましたが、船を一つつくるにしても飛行機を一つつくるにしても、つくるといいますか発注するにしても、政府専用機でさえあれだけ前にお決め願ってもまだ現実に入手されておらない。それが今度の場合に全く別の組織でボランティアの人に集まってもらってそれを運営する、しかもその時期が終われば、一定期間が来ればなくなるものでありますから、必要に応じてこれを編成して行おうというのがその仕組みになっておりますので、常時置いておくわけにもいかない。いろいろな議論をずっと検討をして、最終的に今回お願いしたような協力法案になったわけでありまして、そのためには、いろいろ世の中の心配も御議論もございましょう。しかし、武力による威嚇や武力行使はしない。自衛隊の皆さんがきょうまでやってきた組織的な訓練とか現に持っておる能力とかいうようなものは、医療の問題でも輸送の問題でもこれは効果的な協力を実現するためにはふさわしいものではないかというところに着目して、結論がこういうことになったということでございます。
○高村委員 社会党が発表した国連平和協力隊設置大綱によりますと、機構への自衛隊のいかなる形での関与も排除をしているわけであります。社会党の方も法律を出していただければここで土井委員長に私は直接質問もできたわけでありますが、こういうことができてないわけでありますから総理にお聞きしたいと思いますが、民間だけで行う、あるいは自衛隊の関与を一切排除する、そういうことで国際社会の一員としての責任を果たすことができると思われますか。
○海部内閣総理大臣 御協力をしなければならぬという大きな前提に立って枠組みを考えてきたわけでありますから、現実にやってみていろいろな障害があり壁があり、それが極めて困難だということもよく体験いたしました。そういった意味で、守るべき歯どめはきちっと守りますが、それぞれの組織や能力の持っておる機能を現実的に実際的に提供してもらうことによって、この枠組みの中で果たし得るのはこの法案に書いてあることが私は最も妥当な選択し得る道である、こう考えました。 以上です。
○高村委員 日本の国会で法律をつくるわけでありますから、憲法の範囲内でつくるというのはこれは当然のことでありますが、憲法の解釈にもいろいろあるんじゃないかというようなことも言われるわけであります。この法律は従前の政府の解釈の範囲内でまさに合憲なものだと私は解釈しておりますが、法制局長官、そのとおりですね。
○工藤政府委員 今委員仰せられましたとおりに、今回の法案は海外派遣という前提、この海外派遣につきましてはこれまで当委員会におきましてもしばしば議論のあったところでございますが、私どもは海外派兵と海外派遣とを区別して考えておりまして、いわゆる武力行使の目的を持たないで部隊を他国へ派遣する海外派遣、これは憲法上許されないわけではないと考えているということと、それから従来、法律上自衛隊の任務、権限として規定されていないものについてはその部隊を他国へ派遣することはできないと考えている、こういう前提がまずございました。 そういう前提の上で、従来の憲法解釈を変えることなく、そういう従来の憲法解釈の上に立ちましてできる。それの上でなお今回の法案におきましては、本則におきましてまず自衛隊の派遣を要請し、それから附則におきましてそれを受けた形で自衛隊法の改正をして部隊の参加を求める、こういう形でとっております。従来の憲法解釈、これを少しも変えるものではございません。
○高村委員 極めて常識的なことをお伺いしたいと思うわけでありますが、日本国が憲法の範囲内でできること、そのことを自衛隊という組織にやらせたら憲法違反になるということはあり得るんですか、あり得ないんですか。
○工藤政府委員 端的に申し上げて、一般論として申し上げれば、御指摘のように自衛隊がやるから、あるいは他の行政機関あるいはその職員がやるから、こういうことで武力の行使等の憲法上の問題、これは区別されない。要するに一般の他の行政機関の職員が行えば武力の行使とならない、憲法上問題を生じない、こういう行為を自衛隊あるいは自衛隊員が行ったから直ちに憲法違反、憲法上の問題が生ずる、こういうことにはならないと存じます。
○高村委員 具体的に言えば、民間のお医者さんが医療行為を中東に行って行ってもいいことであれば、防衛医官が行っても憲法上何ら問題にならない。それから、自衛隊が前線に出てバズーカ砲をぶっ放せば憲法違反になることであれば、外務公務員が同じことをしてもやはり憲法違反になる、こういうふうに理解してよろしいですか。
○工藤政府委員 なかなか具体例を挙げてのお話でございますので難しいわけでございますが、医療行為などについてはまさにそういうことでございます。逆にバズーカ砲その他をほかの行政機関の者が持って撃つということもちょっと考えられませんので、そういう意味でそれぞれ任務もございますし、そういう意味で一般論として申し上げれば、今のように憲法の九条ではおよそ我が国はこういうことというふうに主語は書いてございます。いわゆる自衛隊と他の行政機関とをそういう意味で区別することはないとは存じます。
○高村委員 自衛隊に平和協力業務への参加を要請したときに、例えば自衛隊が輸送業務を行うと した場合、どういう装備でどの程度のことを行えるのか、またその装備には武器は積まれているのか積まれていないのか、お答えいただきたいと思います。
○藤井(一)政府委員 自衛隊が御要請を受けまして海上輸送を行います場合につきましては、補給鑑を使うということが総理からの御答弁にもございます。その場合には、補給艦といたしまして私ども四隻持っておりますけれども、八千百トン型のものはそのうちの三隻でございます。これにつきましては、約九百トンの物資を輸送することが可能であると思います。 それから、航空輸送の場合には輸送機を使うということを総理は明言されておられますが、輸送機の中で一番大きなものはC130型という輸送機でございまして、これは十三機を持っております。同機は最大で物資約二十トン、人員で約九十名を搭載することができまして、無給油で約二千海里、おおむね東京からベトナムぐらいの間を飛行することができます。 それから、搭載しております武器でございますけれども、補給鑑につきましては通常、小銃、けん銃、機関銃及び散弾銃を搭載しております。輸送機につきましては通常、武器は搭載をしておりません。 以上でございます。
○高村委員 例えば医療行為を自衛隊が平和協力業務に参加して行うときには、どういう人を派遣してどういうことができるのか、お答えいただきたいと思います。
○玉木政府委員 自衛隊の医官等が平和協力業務に派遣されまして医療活動を行う際の活動等についてでございますが、現段階では具体的な派遣の要請が出ておりませんので確たることを申し上げることは困難でございますけれども、あえて一般論として申し上げますれば、現在自衛隊には七百三十名の医官がおりまして、そのうち数十名程度の派遣は検討が可能ではないかと考えております。 また、衛生隊として派遣するという観点から申し上げますれば、例えば医官、薬剤官、准看護士等、百五十名から百九十名で編成されております衛生隊程度の規模で派遣しますと、一日当たり二百名から二百五十名ほどの患者の応急治療、収容能力を持った医療協力ができると考えております。 以上でございます。
○高村委員 昨日この委員会で総理も既に触れられたことですが、大事なことですからもう一度おっしゃっていただきたいと思うわけでありますが、例えばテレビで「自衛隊派遣へ」と出て、そして戦闘部隊が鉄砲を担いで行進していく、戦車が出てくる、あるいは戦闘機が出てくる。そういうものが派遣されるのではないかと一部の国民は思っておられる。これは事実だろうと思うわけでありますが、戦車が出ていくことはあるのですか。あるいは戦闘機が出ていくことはあるのですか。戦闘部隊が出ていくことはあるのですか。その点についてお答えをいただきたいと思います。
○藤井(一)政府委員 自衛隊が平和協力隊から御要請を受けますのは、主として輸送業務あるいは先ほど来お話に出ております医療業務等でございますので、もともと武力の行使を目的としていない平和協力隊に戦闘部隊でございます戦車だとか戦闘機だとかそのようなものが出ていくということは全く想定ができません。
○海部内閣総理大臣 具体的な御質問でございましたので申し上げますけれども、私がきのう答弁で申し上げたことは、この国連平和協力隊の解説が行われたりいろいろなテレビの場面なんか見ておりましても、中断して絵になると必ず戦車が動いておる。しかも甚だしいときには射撃をしておる戦車の絵が出てくる。それから武装部隊がずっと歩いておる。あれは私どもの想定しておる平和協力隊の業務とは全く何の関係もないことでありますけれども、しかし、その場面だけを初めてごらんになる人は、ああこういうものなのか、これはいけないな、こんなことはだめだと非常に結論が飛躍するようですが、これは間々あり得ることだと思いましたので、私はきのう答弁の中で、内容にきちっとしたものを出していただくことが正確な理解を求めるためには必要なことだな、こう思いましたのできのう率直にお答えしましたが、あの気持ちは今も変わりません。 そして、そのような戦闘機や戦闘艦や戦闘部隊を出そうということは全く考えておりませんし、この法律自体に「武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。」という大前提をきちっと書いておるわけでありますから、あのような戦車が出ていくとか戦闘機が出ていくということは絶対にございませんので、重ねて御質問でありますからお答えをさせていただきます。
○高村委員 この法律の中には「部隊」という文字が出てくるわけでありますが、部隊というと、かつて戦争に行った方たち、部隊というのは戦闘部隊のことだよ、こういうことをおっしゃる方もいるわけでありますが、この部隊というのは例えばどういうことを想定して部隊と言っているのか、お答えをいただきたいと思います。
○藤井(一)政府委員 自衛隊が平和協力業務に参加いたします場合の部隊は、あくまでも「平和協力業務」に書いてある業務を実施する部隊でございます。したがいまして、先ほど来御説明しておりますように、輸送業務でありますれば輸送鑑とかあるいは輸送機であるとか、あるいは医療業務でありますれば医療隊、そのようなものが想定されます。 なお、個々具体的な部隊の内容につきましては、御要請があった段階で検討することになると思いますが、代表的なものといたしましては以上のようなものでございます。
○高村委員 そうすると、例えば補給艦なら補給鑑、その補給鑑とその乗組員が一体となって一つの部隊になっている、例えばまた医療チームを編成したら、それは医療チームと言ってもいいのだけれども、法案に落とせば部隊という言葉になる、こういうふうに考えてよろしいのでしょうか。
○海部内閣総理大臣 輸送協力をしましょうということで、例えば提供物資を決める、具体的に申しますと、ついこの間も八百両の四輪駆動車の提供をしようということになって、それを積んで運んでいただきたい、お願いをする、なかなかいろんな問題がございました。 きのう、これは答弁側で言うべきことじゃないかもしれませんが、御質問の中に、今、船や飛行機、民間の人が準備して待っておるんだという趣旨の御発言がございました。私は、ぜひ教えていただいて、そして、私が頼んでもいけないときには、ぜひ川崎先生から頼んでいただいて御協力がいただければ、これが本当の国民のための協力になると思うのです。ぜひお願いをいたしたいんです。そして、私どもでは頼みましたけれどもできなかったし、また、率直に申し上げて、あの四輪駆動車を積んだ船も港の出入り口のところでいろいろな問題がございました。そのときも船員組合の方に御協力をお願いをして、結果として出港をしてもらいましたけれども、大変なことになるわけです。 ですからそういう意味で、今、高村さんの御質問に答えると、なかなか難しいときに、じゃ補給鑑で行ってもらおう、補給艦を借りよう、しかし補給鑑そのものだけを借りてきましても、動かすノーハウとか動かす日常の訓練とかいろいろなものがあって、一般の方に頼んで来てもらって、その船に乗ってもらってチームワークよろしく船を動かす、大体百三、四十名の乗組員だと聞きましたけれども、やはり一糸乱れずその船をきちっと安全に航行するためには、それなりの訓練期間も要るでしょうし、それなりに習熟する期間も要ると思うのです。そうしますと、物だけ借りてきても現実的には動かすことができないわけであって、それじゃ常日ごろその船を動かすためには百三十名ないし四十名の人がおって動かしていらっしゃるというならば、その人たちも一緒になって、船を動かすというノーハウも一緒に持って協 力、参加をしてもらう、そのかわり、これは永久にもらいっきりというわけじゃありませんから、任務が終わったらまた帰ってもらうわけでありますから、一緒にグループとして参加してもらって動かしてもらって、終わったらそのまま帰って本務に復帰してもらうということを想定をいたしまして、そして考えまして、後は法制局や防衛庁、外務省で法律的な書き方や詰めをしてもらいました。私のイメージ、構想したのは、そういう意味で来てもらいたい。 輸送機も同じことであって、輸送機を借りてきても、これは率直に言うと民間航空の輸送機とは違うわけでありまして、量も非常に少ない。また、どう言うんでしょう、足が短い。もともと領海外へ余り行くことを想定していない自衛隊でありますから、足が非常に短い。プロペラ機ですよ。ですから、ジェット機の運航に当たっておる民間航空のパイロットを連れてきてプロペラ機のそれにすぐ間に合うかというと、それも訓練も要るし時間もかかる。日ごろその飛行機を動かしておる人に来てもらう方が現実的に動くのではないかという、私は率直にそういう発想をしたのです。 そこで、そのようなことができるのが極めて目的達成のためにはいいのではないかということで考えたわけでありますから、部隊等の参加というのはそういう意味で、借りてくるものが有効に動くための、組織として日ごろ当たっておる人々がともに来てもらうことが効率的であり、その分だけ早くできるという発想をしたのです。
○高村委員 部隊というのは、戦闘部隊ではなくて、補給艦なら補給艦を動かすその乗組員の一団を部隊とこう言ったのだ、こういうこと、よくわかりました。 ついでにお聞きしますが、例えば自衛官の身分、併任だとかあるいは休職・出向がいいんだとかいろいろな検討があって、その検討が一部の人にはあたかも官庁間の権限争いかのごとく伝えられたこともあるわけでありますが、併任にしなければ有効に補給艦が動かないとかあるいは輸送機が動かないとか、そういう実質的な理由があってそうしたのではないのですか。
○柳井政府委員 お答え申し上げます。 このたび、法案に関連いたしまして自衛隊の部隊等または隊員が参加できるようにするわけでございますが、自衛隊員に自衛隊員として参加、活躍していただく以上、例えば今御指摘のような問題もございます。また、この平和協力隊に参加していただくのは一定期間を限ってのことでございますので、その期間が終わりましたらまた復帰をしていただくということ等を勘案いたしまして、自衛隊員の身分はそのまま保持していただく。ただ、これは平和協力隊に参加して平和協力業務に従事していただくわけでございますから、平和協力隊員の身分もあわせ有することとするのが適切であろうということでこのような規定にしたわけでございます。 そして、第二十二条の四項にございますように、平和協力隊員になっていただいた自衛隊員は、「平和協力隊が行う平和協力業務に従事し、本部長の指揮監督に服する。」という関係になるわけでございます。
○高村委員 今の同じ質問、防衛庁にもお答えいただきたいと思います。
○藤井(一)政府委員 ただいま外務省条約局長からお答えされたことに尽きるわけでございますが、業務の内容から若干補足をさせていただきますと、例えば補給艦が参加をいたします場合に、それを動かします乗組員の資格といいますのは防衛庁独自のものを持っておりまして、一般の甲種船長とか一等航海士とかいったものとは違う防衛庁長官自身の免許を持っております。それから、輸送機を動かしますパイロットについても同様な状況にございます。そういう意味からいたしましても、自衛官の身分を持ちながらなおかつ平和協力隊の業務を行う、平和協力本部長の指揮を受けながら行うということが必要であったということが言えるかと思います。
○高村委員 派遣する場合に派遣隊員の安全も十分考えなければいけないと思うわけでありますが、その派遣する範囲、範囲というか地域ですね。具体的にどことどこはよくてどこがいけないということはそれは言いがたいと思いますが、例えば戦闘が行われているか否か、あるいは近く始まりそうかどうかとかいろいろあると思うのです。例えばイラクの兵器はどこまで届くかとか、いろいろあると思うのですが、そういった基準を抽象的でもいいからちょっとお示しいただければ大変ありがたいと思います。どういうことを考えて範囲を決めるのか。
○柳井政府委員 お答え申し上げます。 具体的にどういうところに派遣するかということにつきましては、個々の案件に即しまして業務計画をつくりまして、平和協力会議に諮り、また閣議決定をするということでございます。 具体的な案件を離れましてどういう基準でというところはなかなか難しいところでございますけれども、現に戦闘が行われているようなところ、あるいは非常に近く戦闘が行われようとしているところ、そういうところには派遣しないという考えでございます。その際に勘案しますことはいろいろあると思いますが、例えばその地域をめぐる国際情勢、緊張度の高さ、あるいはその武力衝突の性格、また、ただいま高村委員が御指摘になったような相手方の能力というような点を統合的に勘案しまして、具体的な案件に即して判断していくということになろうと思います。
○高村委員 派遣される平和協力隊員については特別の処遇は考えておられるのでしょうか。率先して国際社会の平和のために貢献しようとしている方々に手厚い処遇が必要だと思うのですが、いかがでしょうか。
○中山国務大臣 平和協力隊員としていろいろな国に行っていただく方々には政府としてもそれぞれ十分な手当てをする必要があると考えておりまして、具体的なことに関しましては政府委員からお答えをさせていただきたいと思います。
○赤尾政府委員 平和協力隊員として海外に行っていただきます場合には、通常本国において取っておられますいわゆる本俸、これはまず保障するのが原則になっております。それ以外に、外国に行っていただきますので、出張手当でありますとか、特に法律におきましては平和協力手当というものを設定することにいたしまして、ただいま具体的な内容につきまして関係省庁間で鋭意検討しているわけでございます。 それ以外に、治安の悪いところ等特殊な勤務環境等に配慮いたしまして、災害補償の面につきましても鋭意検討しております。例えば国家公務員災害補償法、これは自衛隊の方にもそれが準用されるわけでございますが、それに基づいて補償の特例が認められるように検討している状況でございます。
○高村委員 補償の特例というのは、公務災害補償について通常の補償よりも五割増しとか、そういうことを検討しておられる、こういうことでしょうか。
○赤尾政府委員 そういうことでございます。補償の五割増しの特例が認められるように、今人事院等関係当局と御相談申し上げているところでございます。
○高村委員 この法案が通るとまたいつか来た道を歩むことになるんだ、軍国主義になるんだなんと言う方がいるわけなんですけれども、そのいつか来た道なんて言葉はいつか聞いたせりふだと思うわけでありますが、単独講和か全面講和かとか、あるいは安保改定だとか、国論を二分する大きな課題であったことが何回もあったわけでありますが、単独講和をしたことがよかったか悪かったか、あるいは安保改定、日米安全保障条約が日本の平和と独立を保ち、そして繁栄のために役に立ったのかどうか、あるいは一部の人が言うように、いつか来た道、軍国主義の道を歩むようになったのかどうか、そういったことを、総理のお考えをお聞きしたいと思います。
○海部内閣総理大臣 ただいまの御質問で、戦後 日本がたしか昭和二十九年でしたか、いろいろ近代国家としての仲間入りをしたい、あのとき議論のあったのは単独講和か全面講和かではなくて、多数講和か全面講和かではなかったでしょうか。そして、多数講和というのはいわゆるその後東西に分かれた西側自由主義陣営との講和、全面講和というのは共産主義陣営も含めたすべての国との講和、どちらを選択するかという岐路であって、全面講和にしようとすると時間がややかかる、それから多数講和というのは、日本が今後自由と民主主義の生き方を選ぶのかどうかというときに、当時の日本の政府は自由と民主主義の道に従って多数講和を結んで、要するに全面講和ではないけれども、国際社会の一員として復帰することによって、生存を、安全を確保していこうと決意したのだろうと私は思います。 そして、その後の経過は、もう今日まで豊かな質の高い国民生活をつくり、四十五年間平和を守り抜くことができたということで、私は正しかった、こう考えております。そうして今現在、東西両陣営が割れて、そしてベルリンの壁も崩壊をして、最後は民主化、自由化の流れになって、結果としてあのとき全面講和をすると同じような方向に地球的な規模で動きつつあるというのですから、歴史の選択の中でも結論として間違いなかったと思っております。 いつか来た道とおっしゃいますが、例えば安保条約を結ぶときも、これはいけない、安保反対、戦争反対、安保は戦争になるといういろんなお声がありましたが、一日も戦争に巻き込まれなかったというこの事実もまた事実としてあるわけでありますから、そういったことを考えますと、やはり今日の選択が間違いでなかったということを率直に認めていかなければならないと思いますし、また、日本の国が恣意に、ほしいままに、ここはこうだからといって陸軍や海軍を出したという昔の過ちは二度と繰り返しませんということは誓っておるわけでありますし、そのようなことをする法案でもありませんし、国連の決議に従ったいろいろな世界の国際大義に生きていこうというのでありますから、その昔のいつか来た道に通ずるとは断じて私は考えませんので、それは質問者のお考えに私は率直にお答えをして、そのようなことにはなりません、考えておりません、明確に申し上げさせていただいておきます。 〔山崎委員長代理退席、委員長着席〕
○高村委員 冒頭で述べましたように、このイラクのクウェート併合ということはまさに地域軍事大国が地域経済大国を軍事力によってのみ込んだということでありますから、この際日本が公正な平和を回復するために十分な努力をしておかなければ、万々が一極東で同じようなことが起こったとき、極東で経済大国がよその国にのみ込まれそうになったときに、よその国に助けてくれ、国際社会に向かって助けてくれと言う資格がなくなるんだろうと私は思います。いつか来た道というのはむしろ国際的に孤立することが一番危険だ、そういうことだろうと私は思うわけであります。 この法案を準備するのに、緊急事態でありますから十分な時間がなかったにもかかわらず、総理初め皆さんが一生懸命汗を流して迅速にこういう法案をつくっていただいた、心から感謝するわけでありますが、現時点で必ずしも国民の理解が得られていないということも事実であります。最初はやはり千万人といえども我行かんという気概でこの法案をつくって、しかし民主国家でありますから、最後の時点では千万人とともに我行かんでなければいけないんだろうと思います。そういう意味で総理、この審議を通じて国民の理解を得られるように頑張っていただきたいと思うわけでありますが、最後に総理の所感をお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
○海部内閣総理大臣 ちょうど六十年前になりますか、当時の国際連盟から日本は脱退をして孤立の道を歩み始め、そしていろいろな経済制裁を受けたことも、そしてその後破滅の道に入り込んだことも、私どもは歴史の反省として厳しく持っております。そういった戦争を二度と繰り返してはならないという誓いは大きく立てながら、孤立しては生きていくことができない。今日の日本の立場も、平和な世界で自由経済、自由貿易の枠組みの中で、ある意味では非常に幸運な環境条件の中で、各界国民の皆さんの努力によってこの質の高い生活を維持することができるようになったんですから、それを維持し続けていくために、今度は権利には義務が伴っておる、責任も果たしていかなければならぬ。平和国家というのは平和を守るためにできる限りの努力は積極的にする国なんだということをひとつ念頭に置いて頑張っていかなきゃなりませんので、御理解をいただきたいと思います。ありがとうございました。
○高村委員 質問を終わります。
○加藤委員長 これにて浜田君、高村君の質疑は終了いたしました。 次に、岡田利春君。
○岡田(利)委員 私は、きのうの川崎議員の質問に引き続いて、政府の所信をただしたい、かように存じます。 海部総理はこの国会の始まる前、中東五カ国を訪問をされてまいりました。私も党の調査団の一員としてヨルダンそしてイラクを訪問いたしたのであります。総理とはちょうどヨルダンのアンマンで一日違いの行き違いになったのであります。 私はそういう意味で、まだイラクから出国できないでいる三百五名の邦人の皆さん、そしてこの人々の安否を気遣って今留守を守っている留守家族の皆さん、この心情に思いをはせながら、また、今の湾岸危機が平和的、政治的に解決することを熱砂の熱い思いを込めて、海部総理の所信をただしたい、かように存じておる次第であります。 私はその前に一点御質問をいたしたいと思うのでありますが、海部総理が信頼をする与党の議員の一つの発言があるわけであります。その発言の内容を御紹介申し上げますと、 日本がこれだけ大きな国でありながら、核を持たないという決断をしながら存在したことが大きかった。また専守防衛という、外に攻めて行く武器を一切持たないという選択をしてきたことは正しかったし、今後世界各国が同じ道を歩むようになるだろう。 中東情勢だが、ソ連、フランス、アメリカがかなりの武器を輸出してきたことが一つの原因となっている。我々は一切の武器を輸出しなかった国であるという誇りを持って、世界各国にも「おい、今後それはやめよう」と力強く呼びかけて行くべきだ。 自衛隊が正規の軍隊として現地に出て行って、丸腰で活動するのは憲法違反でなく、自衛隊法を改正すれば出来るというのが、我々の従来の答弁だが、現実には丸腰で紛争地帯に行くのは無理で、機能しないと思う。憲法改正をしない限り、また諸外国と十分な話し合いをしない限り、それはするべきではなくて、名前を変えても別途の組織を作らなければならない。自衛官が協力隊員を「併任」すべきでない。 今度の問題は、従来ハト派と呼ばれた国際主義者がディレンマに陥っている。だが私はここで憲法改正して自衛隊を出す方向に行かないほうがいいと思う。これは、ある意味で過渡期の話で、サダム・フセインのような国家の意思として他国を侵略するというケースは、もう世界の中で余り起こらないと思う。こういうことが起きれば日本の評価は下がるが、それ以外の時に評価を上げていれば世界から十分なる評価を受けることは出来るだろう……。 という発言があるのであります。聞いたことがありますか。
○海部内閣総理大臣 岡田委員がジョルダンにおいでのときに、岡田委員の御署名もある長文の要望報告書をいただきまして、私もそれを読ませていただきました。そして、難民キャンプにも私は行って見てまいりました。そして、平和的にその問題が解決されなければならぬということをいたく感じて帰ってまいりました。 今お読み上げになった文章は、実はどなたが書 かれたもので何に出ておったのか、ちょっと私は寡聞にして今初めてお聞きしたのですが、おっしゃらんとしておる趣旨はわかるわけであります。けれども、この国連平和協力法というものをつくりましたその背景というのは、まさに戦後四十五年、平和維持のためには機能することが難しかった国連が機能するようになった。言葉をかえて言うと、東西の対決とか冷戦時代が終わって、アメリカとソ連さえも力を合わせて安保理事会の決議ができるようになった。そういうときにはもう、平和の破壊者とか国際社会の大義に反するものがここにあるんだということがわかった以上は、それを見逃しちゃったり、まあまあ仕方がないやといって認めてしまうような秩序はこれからの世界秩序としてはふさわしくないというのが、基本的な私の考えでありますから、それに対して国際社会でそのようなことがもう二度と起こらないようにしていくのが今新しい時代を迎えておる第一歩の出来事でありますから、ここで法と秩序だけはきちっと守る、その役割は国連に果たしてもらいたいという願いが強くあるわけでございます。したがいまして、この法案は、そういったことを十分考えながら作成作業に当たってきたところであります。
○岡田(利)委員 今読み上げましたこの発言というのは、私は総理大臣になる前の海部総理の発言ではないかとさえ初めは思ったのであります。これは、九月二十五日に日商岩井のシンポジウムで加藤委員長が発言をされた実は内容であるわけです。 私はそういう意味で、自民党党内でもいわば本法案に対するいろいろな意見が多様に存在をしている、かように承知をいたしておるわけです。それだけに、この法案の審議はより慎重でなければなりませんし、そしてまた、我々が単に法案を国会内のみで審議をするという姿勢ではなくして、国民と一緒にこの法案の審議を考える、こういう姿勢が一番私は大事だと思います。しかも、自衛隊が何らかの形でも海外に出兵するのは、自衛隊法が制定をされて三十六年ぶり、極めて大きな歴史の転換期である、かように私は存ずるわけであります。 私は、ちょうど昭和二十年、一年繰り上げ徴兵検査を受けて旭川の第三部隊に入営をして、技術幹部候補生で終戦を迎えたわけでありますから、正規であれば我々以上の年配がかつての軍隊を経験いたしておるのであります。海部総理は、三十五年の同年兵でありますが、そのときはまだ中学二、三年ではなかったか、かように思います。我我は、戦後多くの人々の努力によって築かれてきた財産というものを、しっかりと間違いなくこれを守り通し、しかも子孫に伝えてまいらなければならない、かように思います。 そこで私は、改めて中近東の我が国の政策についてお伺いをいたしたいのでありますが、中近東政策はいわば戦後欠落しておった外交面であろうかと思います。我が国が中東政策といって一応政策過程または国際的に評価をされたのは、やはり第一次の石油ショックのときに初めて中近東政策らしい政策発言をしたと思うのであります。田中内閣の二階堂官房長官が一九七三年に官房長官談話を出して、イスラエルに対して我が国は正式に警告を発しました。そして、アラブの立場に理解を示すという談話を出したのであります。これを契機にして我が国の中東政策が始まったと思います。しかもその当時、ミッションとして海部総理の恩師でもある三木さんがこのアラブ諸国を歴訪して、そしてそれぞれの国と友好関係というものを保つ、こういう確認ができて初めて日本に対する言うなれば油の禁輸リストから外すということが実現をしたのでしょう。そういう中から本格的な我が国の中東政策が展開をされてきたと思うわけです。これはそういう意味で、中東諸問題に我々が発言でき得る多くのそういう蓄積があるということを意味しているのだと思うのです。私はそう考えますと、この中東問題に対する我が国のとるべき立場は当然明らかだと思うのですが、何か最近の言動を見ると、中東政策の変更を伴うような感じすら私は恐れるのであります。 そこで、改めて我が国の中東政策の基本的な立場をこの機会に明らかにしていただきたい、かように存じます。
○中山国務大臣 我が国の中東政策について率直に申し上げますと、この中東地域は委員も御指摘のように、日本との関係ではかつては非常に希薄な関係のあったところでございます。まず宗教が異なっている、また地域的な条件も違う、あるいはまた、ここに対する民間投資も日本は極めて少なかった、このようなことで日本と中東地域の関係が希薄であったことは事実でございますが、御指摘のように、第一次の湾岸問題が起こりまして以来、日本はこの地域の産出する原油に極めて大きな依存度を持っておりますから、この地域に対する考え方を十分これから検討しなければならないという真剣な対応に迫られたことは事実でございます。 そういう中で基本的にありますものは、やはりイスラエルとパレスチナの問題をどう解決するか、この問題が一番大きな問題であり、既に国連は二百四十二号の決議によって、日本国はイスラエルに対しても占領地からの撤退、またパレスチナ人の自決、イスラエルの生存権の確認という我が方の原則を示しておりますし、またアラファトさんに対しては、私も率直にテロ行為をやめるべきだということを申し続けてまいりました。しかしこの地域は、いずれにいたしましてもアラブ人の人たちによって問題を解決しなければならないという大原則が基本にあることは、私は見逃せない極めて大きな問題だと考えております。
○岡田(利)委員 今の外務大臣の答弁は従来の日本の立場を一応示しているのだろうと私も理解をします。だがそれは、やはり言葉で非常に軽々しく受けられるようになりつつあるのではないでしょうか。なぜかなれば、今度の中近東問題に対する、湾岸危機に対する政策は、アラブの人々にとっては日本の立場に対してやはり複雑な思いを持っておるようであります。もちろん総理は政府要人と会談をするでしょうけれども、アラブの広範な民衆の立場に立って物事を考える、こういう姿勢がなければ真に理解はできないと思うのであります。 では、日本の中近東政策の立場から考えて、アメリカの中東政策について我が国はどういう評価をしていますか。
○渡辺(允)政府委員 米国の場合には、やはり中東との関係で申しますと、アラブ諸国との関係もございますし、同時にイスラエルとの関係も非常に強いものがございます。そのような立場に立って米国は従来から、我が国とは違う立場ではございますけれども、中東和平問題の解決にはそれなりの努力をしてまいりまして、今年の春ぐらいまでにかけまして、例えばイスラエルとパレスチナ人の代表の対話を実現しようということでエジプトと一緒に努力をしてきたわけでございますけれども、その問題も一とんざしているというようなことでございます。 それからその他、広い中東地域の中で、各地域、各国との関係、いろいろ米国との関係には差異もございますけれども、やはり米国の中東における存在というものは、それなりに中東諸国も勘案しながら行動しているという感じを持っております。
○岡田(利)委員 今の答弁を聞いておりますと、我が国の中東政策に対する姿勢とかアメリカの中東政策に対する理解、極めて浅薄であると残念ながら言わざるを得ません。かつて外務省におりました波多野中近東アフリカ局長のことをふっと私は今思い出しておるのであります。アメリカの中近東政策は、やはり力の政策という立場が貫かれておると思うのですね。そして、それは言うなれば失敗の連続であった、こう言わざるを得ないのです。そして、我が国とは完全にスタンスは違うという立場に立って物事を考えていかなければならぬのではないでしょうか。また、湾岸危機に対してもそういう姿勢で臨まなければならぬのではないでしょうか。それは中近東に今おる、活躍を しておる日本人のほとんどの人々がそういう気持ちを抱いておる、こう私は申し上げることができると思うのであります。 では、アメリカとイラクの関係というのは、一体我が国は侵攻前、どういう関係であると理解されておりますか。
○中山国務大臣 イラン・イラク戦争の際には、むしろアメリカはイラクを支援したという認識を持っております。
○岡田(利)委員 単なるそういうものだけではないでしょう。その中では、アメリカがイラクに対して武器交渉してこれが暴露されるとか、あるいはまたイラクに対してはアメリカは衛星情報を提供するという協定を結んでおるわけでしょう。そして、今アメリカの米の輸出先は第一位が対イラク、輸出品目の内容にもなっておるわけです。我が国もイラクに対しては、もちろん投資を拡大して、最近五倍くらいの実績を上げているという状況にも相なっております。 そこで、これだけの関係にあるアメリカとイラクの関係、そして、イラクを訪問するアメリカの議員というのは非常に多いのであります。もう、この侵攻前にも、直前にも訪問いたしておるわけであります。また、そういう意味ではいろいろな接触が持たれておるわけです。常識的に考えて、衛星情報を提供しているアメリカが、なぜ一体イラクがクウェートに侵攻する状況を把握できなかったのでしょうか、私は非常に不思議に思うのであります。しかも、クウェートとイラクには大使館がある。我が国もそうであります。残念ながら我が国のクウェートの黒川大使は健康休暇でこのときには不在であったことも事実でありますが、しかし、アメリカだけではなくて、一方ソ連の軍事顧問団がイラクに民間人協力を含めて五千人もおるわけですね。そういう状況の中でこの侵攻が始まった。直前二十四時間前にわかったとか言われておるのでありますが、そうなってくると、今の化学兵器あるいはまた衛星情報というものは一体どの程度役に立つものか、まさしく考えざるを得ないのです。悪く考えれば、やらしてぶん殴る。この際は、クウェート解放よりもフセインを打倒する。同時に、百万人近いイラクの軍事水準というものを崩壊させる。そこにねらいを定めれば、これは政治的解決はないのであります。我々はそういう上に立って、日本はこの中近東政策の基本的立場に立って、どう対応するかということが問題なのであります。 この点についての政府の見解を承りたいと思います。
○渡辺(允)政府委員 ただいま現在の米国の対イラク政策についての御質問がございましたので、ちょっとお答えをさせていただきます。 米国は当初から、大統領の声明その他にもございますように、あくまでもイラクのクウェートからの無条件の撤退とクウェートの正統政府の回復ということを目的としているということでございます。その後、今回の危機が解決されました後の湾岸地域の安全保障の問題というのは確かに存在するわけでございますが、これについてはそのための新しい枠組みを考えたいということで、ヘルシンキでの米ソ首脳会談でも米ソ間に合意がございましたし、そういう考え方に立っているというふうに承知しております。
○岡田(利)委員 まことに残念ですけれども、質問する意欲がわかないというのが私の気持ちであります。 では、率直にまたお伺いしますけれども、イラク・イラン戦争、我が国は我が国なりの貢献もいたしたわけです。同時にまた我が国はこの両国の間に入って、安倍外務大臣がいわば創造的な外交展開というほど、自衛隊を送らずして、そして最終的に停戦命令が出て以来唯一のパイプ役を果たしたということは高く評価されるだろうと思うのです。私はそういう意味で、このイラン・イラク戦争を考える場合に、では、イラク・イラン戦争のあの状況でこの平和協力法を適用したとすればどういうことになるのか承っておきたいと思います。
○中山国務大臣 イラク・イラン戦争におきまして、当時の国連の安保理の状況はまだ米ソの対決状態にございまして、安全保障理事会が満場一致でイラク制裁の決議を行う、そのような状況に実はなっていなかったことは事実でございます。今日とは国際情勢が全然変わっておりますし、国連を中心とする地域紛争の平和の回復の姿勢も変わっておりますので、その当時と現在とでは対応の仕方がおのずから政府としても異なるものと理解をいたしております。
○岡田(利)委員 その当時も中曽根総理は、アメリカの要請による掃海艇を派遣するというような意向も表明されたでしょう。軍事専門的に言えば、七千海里も離れているところに、五百トン漁船みたいな掃海艇を派遣できるかどうか。それにはやはり補給艦も出さなければならぬし、またこれはもう戦場の第一線になりますから護衛艦も出さなければならぬでしょう。そういうことがまじめに議論されたわけでしょう。だが、それを官房長官は体を張って断念を求めたということが伝えられておるわけであります。 私は、イラン・イラク戦争の場合、もしこのような事態というものが起きてくると、この法律の拡大解釈が成り立つ場合があるのではないのか。完全一致かどうかということになりますと、棄権している国も決議によってはあるわけでありますから、ですからそういう意味で態度を保留する、棄権するという場合には、その決議に従って出動できるということも考えられるのではないかという危惧を実は持っておるわけであります。大体アメリカの場合には、国連の決議を拡大解釈をするという伝統的な手法があるわけです。今回の場合の六六五に対するものも、アメリカが一番加盟国で拡大解釈しているのですから。その次はイギリスの態度、あとは非常にシビアですよ。 今我々は非武力的な経済制裁措置という、これははっきり、監視委員会を設けていまだかつてない経済制裁をやっておるわけでしょう。武力が伴わないだけでしょう。何か武力の背景がなければ何もやってないような感じを国民に与えているのは遺憾千万だと私は言わなければならないと思うのです。私はそういう一連の認識の中で、我が国がどういうポジションでこの問題に対処できるかということを考えなければならないだろうと思います。 私は、海部総理のミッテラン提案に対する評価についてどうも断片的である、こう思います。やはり系統的に、ミッテランの提案については、我が国あるいは海部さんとしては、このように思う、もう少しぴしっと体系的にきょう見解を承っておきたいと思うのです。いかがですか。
○海部内閣総理大臣 御指摘のミッテラン提案というもののそもそもの第一は、国連の決議に従った対応をイラクがとるということを第一に掲げております。この原理原則に従った解決ということについては我が国もそれは主張をしておるわけでありますし、私もたびたび申し上げていることでありますから、そこはそれであります。 それから、それが終わった場合には、中東問題の恒久和平についての話し合いが始まっていかなければならない。それについては日本も、立場として二百四十二号の決議の線に従って行うということを私も言っておるわけでありますから、その次のステージに移ったときに、中東和平の問題について話し合いをしていこうということについてもこれは方向性として正しいものである、こう思いますし、それが実現をすることが実は中東問題が根本的に片づいていく要素であると思います。 ですから、きょう現在のこの非常に膠着状態に陥っておる、一触即発とも言われるような、報道されたような状況の中で、今でもまだ力と力の対峙が続いておるということは、やはりクウェートの状況を少し転換して、具体的に言うと撤退をして、そうすれば次にいろいろな話し合いの機会が生まれるということは、ミッテラン大統領のみならずブッシュ大統領も言っており、私もラマダンさんに言っておることであって、また、世界のすべての国がそういったことについては、表現やニ ュアンスや思惑は少々違っても、それは考えていることだと思うのです。 また、湾岸の首脳の間にも、ミッテラン提案の一つにある将来のあの地域の安全保障の仕組みの問題、これについても、国連が全部の世界の安全保障の仕組みをきちっと面倒見る、言い方は悪いかもしれませんが、面倒見るという確信をみんなが持てるようになるにはまだちょっと間がある。したがって、湾岸は湾岸でいろいろしたいという希望が出ておることと、何よりもムバラク大統領とサウジの国王との間には、あれほど事前にイラクとも直接話をし、クウェート侵攻なんかはしないよという約束がありながら、そういった会議を持ちながら、次のアラブの首脳会議が決裂するような突発的な行動に出られて、今はつぶされてしまっておるけれども、もう一回あの地域の共同の安全保障を考えなければならぬという機運があることもこれは間違いありません。私もいろいろな方からそれは聞いてきました。 だから、そういった意味でステージがいろいろ分かれてくると思いますが、まず第一には、国連決議をきちっと守る行動をしろということは要求の第一で入っておって、その局面が変われば中東の根本的和平の問題に話がいって、それから湾岸地域の将来の安全保障の問題についてはその後のステージだ、こういうことになると思うのです。私は、日本としては、日本とイラクとの経済関係、そういったものを再構築する用意があるということも、また八月の一日まで話を続けておった経済協力の問題についても、国際社会に原則を守って復帰することができれば、それは日本としては再構築をしていく用意があるのだということも二国間関係として申し上げてあります。そういったことを通じて、本当の意味の和平が達成されるように粘り強い平和解決への努力をしなければならぬ、こう思っておるところであります。
○岡田(利)委員 あなたはヨルダンのアンマンにおられたとき、また入る前に、ソ連のゴルバチョフ大統領の特使のプリマコフ氏がバグダッドを訪問したことを御存じでしたか、それとも知りませんでしたか。
○海部内閣総理大臣 知っておりますし、私が夕食をともにした首相が、ある時間が来たら今晩飛行場へ迎えに行くので自分はここでさようならをするという話でございました。私はそのとき首相には、どうぞプリマコフさんにも、日本の方も今こういうことで和平の努力のために一生懸命に動いておるというようなきょうのお話し合いなんかについてもよろしくお伝えおきください、こういうことを言ってお別れをしましたから、事前に十分知っておりましたし、ヨルダンからも直接聞いたわけでございます。
○岡田(利)委員 同時に、この時期には、フセイン大統領とアラファトPLO議長も会談を実はいたしておるわけです。世界は湾岸危機を一体どう平和的に解決するかという、言うなれば動きのきっかけの時期にあなたはあのジョルダンのアンマンを訪れたということに実はなったことは、今日の情勢が証明しているのではないかと思うのです。 私は残念なことは、あなたが例えばフセイン国王に会って話をされたり、またラマダン第一副首相といろいろ懇談されて我が国の立場を述べ、あるいはまた人質の解放について、国際法違反であるという立場からこれを強く要求をする、こういう一連のことはもう発言で承知をいたしておるわけです。問題は、我が国の外交政策として、この情勢をどう判断されたのか。その情勢が的確に判断をされるならば、あなたは経済援助だけお届けを御確認するのではなくして、このヨルダンにおいて、中東政策のいわば平和的な解決についての海部総理の提案というものを具体的に示すべきではなかったのか。いわば海部ドクトリンを示すべき全く絶好のチャンスであったのではないか、こう思うのであります。 私は、もしこのことがなされておれば、今あなたの前段に中近東に対する政策に関する答弁が残念ながら局長でありましたけれどもございましたが、そういう立場を包括的にそこで正式に、単に会談で話をするのではなくしてアラブに向かって話ができたならば、随分あなたに対する評価が変わったと思うのですよ。残念ながらあなたの評価は、今この時期にお見舞い外交をしたという評価ですね。私もそういう論評を読んだのであります。私は、そういう批評、批判が出るのは残念ながら甘んじて受けなければならなかっただろうと思うのです。今この国会で答弁することを、我々日本の立場はこうである、そしてこの問題はできるならば平和的に、政治的に解決をすべきであるという海部ドクトリンを示しておれば、イラクにおる在留邦人も変わってきたのではないでしょうか。 ここは、深刻にこの問題は考えてみなければならぬ問題だと思うのですが、私のこの意見に対してどういう感想をお持ちでしょうか。
○海部内閣総理大臣 ラマダン副首相のみならずフセイン国王との会談のときにも私は、随分時間もございますからしっかりと将来のこと等も踏まえて、先ほどの答弁の繰り返しになりますが、第一義的には原則に従った局面の打開のためにイラクの撤兵を求め、邦人を含めすべての第三国人を、国際法上のみならず人道上もこれは問題だから、速やかに釈放して国際社会にこたえるべきであるということは強く申しましたし、それだけで帰ってきたわけではなくて、先ほども申したように、日本の中東政策というものが、二百四十二号の国連決議に参加したとき以来それは一貫した変わらない基本であって、そういったものの話し合いに応ずる場所、日本もそれは二百四十二号の精神に従った中東和平のために努力を惜しまないつもりであるからそれにこたえたらどうか、そういう国際社会に復帰されることが世界の望みであり、平和解決のためにはその局面の転回が要るんだということもきちっと申し上げてきました。また、それに対しては、ヨルダンの国王もエジプトの大統領もその他の人々も、そういう考えには全く賛成で、きょう現在のこととリンクさせてその全部を一括して直ちに片づけようとすればこれは問題がこじれるばかりだから、ひとつ現状のものは局面の転換、それが続いたら中東の恒久和平の話に入っていく、そのことについても私は繰り返し申し上げてまいりました。 また、日本とイラクだけの二国間の問題については、イラクに対してきちっと話したことは先ほど答えたとおりで、経済技術協力の再構築や、八月一日まで日本は混合借款の残りをどうするかという問題についての具体的な作業を進めつつあったときでありますし、イラクと日本の関係においては、イラク側に七千億円の債務がある、日本側には債権があるということは、それだけ積み重ねの長年の努力があったということの両方の共通の理解で、それは今後二国間の話し合いの中でまた続けていかれる問題だから政治対話は続けるけれども、そういった環境ができるように決断をしてほしいということも、これはよく言い、終わってからも発表もしておるわけでありまして、それは御理解を願いたいと思うし、こういう考えでおるんだということをきょうもここで再三お答えをしておるわけでありますから、でき得れば日本のそういう考え方、この問題解決に向けての提案というものももうちょっと皆さんが知っていただけるように御協力をいただきたいと思います。
○岡田(利)委員 私は、外交はやはりタイミングが大事だと思うのであります。タイミングを外しますと、せっかくいいことも余り意味をなさないわけでありますから、そのときそのときのタイミングにぴしっとした、創造的に外交を展開する、このことが私はポイントでなかろうか、かように思うのです。そういう意味では、今回の首相の中近東訪問外交はそういう外交的な創造性を何ら持ち合わせなかった、残念ながらそういう総括をせざるを得ない、私はこう思うのであります。 そして、今総理は答弁されましたけれども、その中で、これからも引き続きお互いに話をしようとこう言われたのでありますが、しかし、あなたがのこのこ出かけていくわけにはまいりません。また向こうからも、今簡単にフセインが来るとい う状況にもないでしょう。しかし、何らかの形でその対話を継続するということを具体化しなきゃならないのではないでしょうか。私は、今そういうタイミングだとこう思うのであります。政府として、例えば特使を派遣するとか、あるいはまた、政府が動くことができないとすれば、与党である自由民主党の方々が動くとか、あるいはまた、自由民主党には日本イラク友好議員連盟があるわけです。五十四名の人々がおります。そのうち参議院が九名であります。閣僚の中にも五名、その議員連盟に所属している方がおるわけですよ。ですから、そういう意味でこれは珍しい、与党だけの議員連盟なんですね。そういう議員連盟も存在しているでしょう。あるいはまた、いろいろな団体もあるでしょう。知恵を出さなければならぬのではないでしょうか。 また三百五名の邦人がおるのであります。諸外国の場合には、イギリスでもフランスでも西ドイツだっても、いろいろな形でバグダッド訪問をし、それぞれの立場で平和解決の問題あるいは人道的な問題の解決に努力をしておることを我が国の邦人が目の当たりに見ておるのであります。日本人では猪木議員がまた行って、何か国会中で問題になっておりますけれども、初めて訪問したと言われておるのであります。私は、そういう意味で、海部首相が今言われたこれからの協議の創造的な具体化といいますか、知恵のある方法で具体化をしていろいろな人々の要望にこたえるという積極姿勢が現時点では必要であると思うのですが、情勢の認識はいかがでしょうか。
○中山国務大臣 先般、海部総理がアンマンにおきましてラマダン副首相とお目にかかった際も、引き続き政治対話を継続するということになっておりまして、私ども政府といたしましても、このイラクとのいろいろな連絡等は絶えず大使館を通じてやっております。機会があればいかようなことでも、この平和解決のためにあるいは邦人救出のためにとり得る手段があれば、私どもはとることにやぶさかでは決してございません。
○岡田(利)委員 私は、最近の中東外交はそういう意味で言葉の外交である、行動がなかなか伴わない。いわばアメリカに気兼ねをして行動がとれないということなんでしょうか。我々が今度の中東訪問する場合でも、外務省は反対であるということでしょう。正式に局長を通じて表明があったのですよ。万事そういう調子なんですよ。何か我々が日本の政治家として行くと、日本のためにだけ動くのではないか、そのことは結束を乱すとか、言うなれば、アメリカに気兼ねをするというのが余りにも大き過ぎると思うのです。もう少し濶達にやる、外交は創造的に濶達に展開をする、こういう姿勢がなければならないと思うのです。私は、中山さんを大変尊敬しているのですけれども、どうもこの問題になるとふだんの、いわばあなたらしいいいところがさっぱり出ないのではないか、こう残念ながら思わざるを得ないのであります。 ラマダン副首相との会談、あれだけの時間で、想像つくでしょう。あの人は、私も会いましたけれども、大体相当時間しゃべるわけでありますから、向こうの立場を。そして、首相がそれに対して言うのでしょう。あれだけの時間でどういうことが言えますか。ほとんどほぼ公式論的な話に終わったのではないでしょうか。私の経験からいってもそうです。木部大臣なんか昔会長ですから、そういう経験を何回も持っている大臣なのですよ。ですから、極めて原則的、公式的なそういう会談にならざるを得なかったというのが真相ですよ、これは。私はそういう意味で考えると非常に残念に思うのであります。 私はここで、在イラク邦人の五十名の方々と懇談をいたしました。そして、今あそこではクウェート組とイラク組と分けておるわけです。したがって、現在は一名クウェート組が帰ってまいりましたから百四十名、イラク組が百六十五名であります。私どもも、日本の国内で診断された診断書、これを全部集めました。そしてまた、その後の向こうの方の病状も一応調査をして、クウェートの関係については三十二名、イラクの関係については十一名の人々のリストをラマダン副首相に対して、人質は全体解放するのが当然であるが、まず健康上問題ある人々を出してほしいということで、診断書をつけて向こうの方にリストを提出してあるわけです。残念ながら、しかしどれが重い、軽いという順序を簡単につけられないことは、お医者さんである外相がよく御存じでしょう。例示として四名の名前を出したのであります。この方が先般釈放になって出国ができたという内容に実はなっておりまして、もちろん我々は、現地の大使館の片倉大使初め国枝公使とも十分連絡をとりながら、そういう会談に臨んでまいったわけであります。 そして、そういう邦人の方々のお話を聞くと、我々は今一遍に出られなくても、病気の人だけは先に出してくれ、非常に真摯な意見が寄せられておるわけです。これはもちろん向こうは国際法違反だと言っただけでは済まない問題でありまして、そういう努力が必要ではないでしょうか。それを創造的に知恵を出してやるべきだ、こう言っているのであります。もう一度答弁を願いたいと思います。
○中山国務大臣 私が積極的にやっていないというような御趣旨のお話がございましたが、私事実を申し上げますと、九月二十五日、ニューヨークにおいてアジス外相との会談を決定をいたしておりました。これは西側の諸国では日本が最初でございました。そこで、ニューヨークでお目にかかって、いろいろとこの問題の解決あるいは人質の釈放についてアジス外相とゆっくり相談をするということで、時間も全部設定をいたしておりましたが、残念ながらアジス外相がアメリカに入国することができなかった、こういうことで、この第一回、日本が西側に先駆けてやろうとした外交努力は実現ができなかったのであります。そのような事実もひとつ御理解をしておいていただきたいと思います。 私どもの考えといたしましては、その外相会談を踏まえて海部総理がアンマンでイラク側の指導者と具体的な話し合いに入るということを考えておりましたから、そのようなことができなかったことはまことに遺憾に思っております。今委員御指摘のように、私ども政府としては、できるだけのことをやろうという決意は十分持っておることもこの機会に御理解をいただいておきたいと思います。
○岡田(利)委員 だが、前に外務大臣がヨルダンのアンマンを訪問したときに、アジス外相は同じホテルにいたわけでしょう。あなたはすれ違っているはずですよ、そのホテルで。私は、外交というものはそういうチャンスをつかまえて、お互いに知っているのに全然知らんぷりして通り過ぎていく、こういう姿勢であっては逃げの姿勢だ、こう言わざるを得ないのであります。残念ながら、そのことも現地邦人の皆さんはよく知っておるのであります。私はそういう意味で、これは外務大臣一人を責めるのではなくして、今、我が国の伝統的な中近東政策を発展させなければならない、中東との関係はわずか十年とか二十年のスタンスではないんですね、これは長く続く関係なのであります。私はそういう意味で、善は急げ、過ちは改めることにちゅうちょするなかれで、ぜひこの面についても対応をとるべきだということを強く要求しておきたいと思います。 そこで私は、今回の訪問に当たってどういうルートをつくるか、いわば国際連帯という面を損なわないルートをつくるということに私どもは腐心をいたしたのであります。行くときにはセーター百五十着、冬が来ますから。トレーナー同様百五十着、食料品、日用品、家族の依願の手紙及び若干の品物、これを段ボール五十箱に詰めて持っていったのであります。同行新聞記者団、イラク・バグダッドに入られた方が二十七名おりましたが、全部個人の持ち物にしてこれを持ってまいりました。そして、それぞれの関係機関に届くように対応すると同時に、これを我々は大使館に預けて、邦人の救済委員会がこれを担当するというこ とで、その品物を届けてまいったのであります。 そして、あそこの場合には国際赤十字ではなくして赤新月社でありますから、そういう意味ではほかの国とは違うわけですね。我々はヨルダンの総裁とも会って、そして協力の約束を取りつけました。イラク・バグダッドにおいても赤新月社の総裁と会って、ここのパイプが十分とれましたという報告を我々は既に得ておるのであります。そうしますと、やはり国際赤十字の場合も、我が国の日赤が国際赤十字というだけではなくしてそういうルートも考えたらいかがなものか。私どももそういうルートを通じて家族と現地邦人の連絡に努力をしたい、かように思っておるわけであります。 そういう意味で、大使館自体にももう薬品がないのですよ。あるとお思いですか。我々が行ってみたら、もう必要な薬品がなかなか手に入らぬと言うのですよ。ですから、我々には、五島議員のドクターと村田ドクターが一緒に参りましたから、二人のドクターがおりましたから、持っていった薬品を全部大使館に置いてきましたですよ。大変喜んでいました。そのくらいのことができないはずがないのではないでしょうか。薬品は余るくらい送っていいのじゃないでしょうか。ヨルダンでは、食品を送るようにヨルダン大使館は努力しているのですから、それは大使館だけではなくして、在留邦人に届けば、これをそれぞれ現地の人もわかるわけですから、計画的にこの配付ができるのではないでしょうか。そういう点についても極めて冷たい態度である、こう言わざるを得ないのですが、いかがでしょうか。
○中山国務大臣 現地におられる方々の医薬品の問題について私どもは、今委員が現地を調査されての御発言でございますが、外務省としては十分な医薬品を送る手続はちゃんとやっております。ただ、その送付の方法については、外交上の問題がございますので、ここで明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○久米政府委員 拘留されております邦人に対する具体的な措置について御質問が先ほどございましたので、まずそちらから先にお答えさせていただきます。 先ほど病人及び老齢者の解放について御質問ございましたけれども、実は私ども、八月二十九日以降、全部で九回にわたってイラク政府側に、特に病人及び老齢者の解放について申し入れを行っておりまして、これはいろいろな形で、口頭でやったこともございますし、リストを出したこともございますし、あるいは診断書を添えて出すということもいたしております。詳細については省略させていただきますけれども、そういう形で合計九回にわたりまして八月二十九日以来やっております。 その結果、九月の二日に一人解放をいたしました。これが今回出てこられた富岡氏でございます。それから九月十八日には、イラクの南部で拘束されておりました竹内氏がバグダッドに移送をされました。ということで、八月末以来の努力の結果としていろいろな成果は既に出てきておると考えております。 それから、在イラク、バグダッドにおります邦人に対する食料品、医薬品の送付につきましては、ただいま大臣の方から御答弁がございましたけれども、私どもとしては、食料につきましては現地の邦人、各企業と緊密な連絡をとっております。現在のところはまだ各企業とも、これはばらばらにいろいろ個々の事情はございますけれども、特に差し迫った事情はないようでございますけれども、いざそういう事態が生じた場合には、大使館の備蓄を利用しまして邦人保護の活動として食料の差し入れをやるということで、備蓄の増強に努めております。また、医薬品につきましては、今大臣からお答えいたしましたとおり、具体的な方法についてはここでお話しするのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、現地の医務官に対していろいろな方法で送付をして、現地の医務官が各企業の個別の要請に応じて医薬品を提供する、あるいは拘束されている方々にも差し入れとして入れるという形をとっております。
○岡田(利)委員 今残っている人は三百名ぐらいなんでありますから、もし言われているとおりであれば、そういういろんな意見が出ないはずであります。これは率直な意見が実は出されておるのであります。もちろん特に基本的な問題は、我が国も戦後これだけの人質といいますか拘束者が外国に対して危険な状態にあるということは珍しいことでしょう、かつてないことでしょう。戦後初めて経験していることであります。かつてアメリカは、イラン大使館の人質救出作戦に失敗をして大変な、大統領の辞任問題にまで発展をいたしておるのであります。 その人々が言うのが、我々はこの協力法に賛成、反対、そういう意思表示はしません、それはもちろん国会で論議をして決めることでしょう、だが今この時期に、我々は現地に拘束されていて感ずるのは、やはり平和的、外交的解決以外にないじゃないですか、そういう時期になぜ今急いでこの国連平和協力法を制定をしなければならぬのですかということが、拘束されている現地邦人の声なんですよ。我々はそういう意味でもこの法律案を、国民だれが見ても拙速主義だ、泥縄式だと言われるこういう審議をしなければならぬのでしょうか、こう私は思うのであります。何かの要請、強い要請にこたえているだけだと残念ながら言わざるを得ません。 私はそういう意味で、もう時間が余りございませんから、まず海部総理大臣がこの拘束されている現地邦人と家族に対するあなたのメッセージをこの場所でお伝え願いたいと思うのです。
○海部内閣総理大臣 拘束されていらっしゃる邦人の皆さんやまたその家族の皆さんの御心中をお察しすると、それは心の痛みが余りあるものがございます。それは率直に私はそう思っております。でありますからこそ、これらの問題は、国際法上の問題のみならず、人道上にもすべての人が解放されなければならない、自由は一日も早く回復されなければならぬということを強く願っておるわけであります。そうして、この問題の根本は、どうかおわかりいただきたいのですけれども、それはイラクがクウェートを侵攻しこれを併合するという暴力行為がそもそもの原因であるわけでありますから、すべての方々を、これはもう一日も早く釈放するためにイラクに対して、この局面転換ができるのはイラク政府そのものでありますから、私はイラクの政府に対してこのことの決断が一日も早く行われるように、同時にまたイラクに対しては、現地の大使を通じて一日も早い釈放を求めるとともに、医薬品とかあるいは食料とかの差し入れも面接もしょっちゅう大使を通じて接触させておりますが、なかなかその面会すらイラク当局に認めてもらえないという壁などもあって、すべてを把握し切っておるとは言えませんけれども、今後とも粘り強く努力を続けてまいりますので、どうかひとつ我々のこの努力もお酌み取りいただきたい、このように心から考えております。一日も早い問題の根本的な解決を私は心から願っておるものでございます。
○岡田(利)委員 私は、このような問題は原則論だけではなくして、最善を尽くす、最善ができなければ次善を尽くす、次善がとれなければ三善を尽くす、三善がだめなら四善を尽くす、少しでも努力をする、こういう姿勢が最も大事であるということを特に指摘をしておきたい、かように思います。 残念ながら、時間が来ておりますので、最後の質問になりますが、避難民の問題であります。 私は、この避難民の問題について、特に総理もアンドラスの収容所を訪ねられて、空港に近いところでありますけれども、私どもは百キロ離れたアズラックの第一、第二収容所も訪れてまいりました。この問題については、外務大臣はしばしば質問に答弁もされておりますけれども……(発言する者あり)
○加藤委員長 御静粛にお願いいたします。
○岡田(利)委員 しかし、外務大臣の答弁でも幾 つかの問題があると思うのです。大体、イラン・イラク戦争の後、政府は政府内でこの問題についても総括をしているわけでしょう。そのときに、あの場合には直接タンカー船が攻撃されたんですから、今の場合と事情が違うわけですよ、深刻ですよ。そういう中で、ちゃんと総括をしているわけでしょう。今後、民間の用船を確保する場合にはどうしたらいいのか。そういう意味では、民間の関係についてはふだんからそういう点の話し合いができるようにしておかなければならない。もちろんそうでしょう。戦火が始まって、何も説明もしない、理解もできないで行け行け言ったって、できるはずがないでしょう。海運などは、第二次世界大戦で八百万総トンの船が沈んで、しかも四千二百隻も沈んでいるのですよ。そして六万人以上の人が死んでいるのですよ。これは陸軍や海軍以上の損耗率なのですよ。そういう経験をしている海員に対して機械的に言って、はいそうですかと言えますか。これは外務大臣よくおわかりだと思うのですよ。ふだんのそういう努力というものは当然しておかなければならない問題でしょう。私は、イラン・イラク戦争の結果、政府の研究機関などの総括している内容を一応あらかた読んでいるわけです。そう書いてありますよ。ですから、何も今この法律をつくらなくてもそういう問題に対応できることを政府がやればできるのであります。やらないでサボってきたということじゃないですか。そのことをまず第一に指摘をしておきたいと思います。 それと同時に、やはりあのヨルダンの場合にはもう能力を超えていますよね。六十万人も今難民が押し寄せた。百五十万人の人がおって六十万人ぐらい出る可能性があるというのでありますから。しかも気候が悪くなっていくわけであります。飛行機がない、船がない、こういうこともわかりますけれども、ここに迅速にもし我が国が対応ができたら日本の国際的な声価は物すごく上がったと思いますよ。それはもちろん日本はお金も出しています。あなたの説明をしていることもよく現地で承知をしておるのであります。だから我我は、そういうことができなかったということを答弁するんじゃなくして、人の責任に転嫁をするようなことを今するんじゃなくして、冷静に過去の総括を考えながら、そして現在は現在としてどう対応するか、将来どう対応していくか。この法案ができたって、当然そういうことはぴしっとふだんからやらないで、こんな法律だけに頼るということはおかしい話でしょう。この法律があったってやらなければならぬことでしょう。私はそういう姿勢が大事だ、こう指摘をしておきます。 そういう意味で、この避難民対策について今、日本がこれだけの経済大国になって、そして国際的な地位を持ち、あらゆる国と貿易をしている我が国がこういう問題にいち早く迅速に対応できることが期待されておるし、またそのことが将来の日本の外交に大きな肥やしになるということを申し上げたいのでありますが、感想はいかがでしょう。
○中山国務大臣 委員御指摘のとおり、難民の救済をするということは、その難民自身のためだけでなく、その難民を送り出している、難民になったその母国の国の人たちにも大変大きな喜びを与えるものだと思います。 我々の国は、国際機関を通じて約半分の二千二百万ドルを出しました。これも我々としてはできるだけのことをやったつもりでございますが、母国への帰還については、なるほど民間航空機にお願いする機会が少なかったということも事実でございます。いろいろなこともございましたが、ヨルダンでは今日難民は、六十万人ばかりおった難民が現在、十月二十一日現在では二千二百九十五名まで減少いたしております。こういうふうな事態に対応するためにも、今回の法案が成立すれば直ちに対応ができるものと私は考えております。
○加藤委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時一分休憩 ────◇───── 午後一時開議
○加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。岡田利春君。
○岡田(利)委員 午前に引き続いて政府の見解をただしたいと存じます。 特に、最近の報道関係の中で、アマコスト米大使は外務省に栗山次官を訪れて、次の点について強い要請をしたと伝えられておるわけであります。 その内容は、第一に、今度の湾岸危機に当たって日本の自衛隊の掃海艇、補給艦による軍事的支援を、後方支援をしてほしい。第二点は、多国籍軍への人的、物的、財政的支援。第三点としては、イラク周辺国への支援。このことは、諸外国の支持を得るためにはどうしても日本の決定的な支持が大事である、こういう強い要請がなされたと伝えられておるわけです。この点は間違いがないと思うのですが、いかがでしょうか。
○渡辺(允)政府委員 私どもは、今回の事態の対応を含めまして、米国とはいろいろなレベル、いろいろなルートでもちろん緊密な連絡を保っております。米側には米側なりの考え方もございますけれども、具体的な一々の話の内容につきましては、それを確認するのは差し控えさせていただきたいと思います。
○岡田(利)委員 私は、今度の国連平和協力法の政府の提案に当たって、日米関係の歴史的な検証をもいたしてみました。 我が国の自衛隊が発足して以来、一九五八年、すなわち六〇年安保の改定の以前の問題であります。当時、中東レバノンにおいて紛争が起きたのであります。そのときに、アメリカ側から日本政府に対して、中東レバノン紛争にぜひ自衛隊を出すことができないかという強い要請があったと史実は物語っておるわけであります。あるいは一九七〇年の安保改定についても、自衛隊の海外出兵について強い要請が行われた。以来、本格的に自衛隊の海外出兵はアメリカの日本に対する戦略的な要請項目としてその筆頭に挙げられてきたというのが歴史的経過ではなかろうか、かように思うのであります。 ですから、海部総理がブッシュ大統領に会って今回の平和協力法案の内容を説明をされたということは、言うなれば我が国がアメリカに対して、国会審議を終えていない平和協力法案は必ず成立をさせますという対米公約と受けとめられてもやむを得ないのではなかろうか、こう思うのでありますけれども、見解はいかがでしょうか。
○海部内閣総理大臣 一般的な問題として、日本が国連の加盟国として、国連の決議に従っていろいろな物資協力、輸送協力を既に始めようと思って努力しておるということや、日本には法律やその制度の整備が全くなされておらないわけですから、そういったことがスムーズに行われるのにはどうしたらいいかということの検討を始めておるということは申しましたが、法案の中身も内容もまだ全く詰まっておらないときでありますし、そのような具体的なことについてやりとりがあったわけではございません。
○岡田(利)委員 客観的に見れば、私は、やはりアメリカ側としてはこれは日本の対米公約である、このように受けとめておることは、残念ながらそういう上でこれから米側に対処しなければならぬのじゃないか、かように思うのであります。 そこで、きのう川崎議員の質問の中で、武器弾薬の輸送問題について質問がございました。外務大臣から原則として武器弾薬は輸送しないという答弁があったのであります。だがしかし、条約局長の方からさらに追加されて答弁があって、この武器弾薬については輸送はできる、こう答弁がありました。大臣の答弁を条約局長が逆の、別な答弁をするということは、我々議員としてそれを聞いていて非常に不快に実は思うのであります。この点は、外務大臣の名誉にかけて、もう一度本件 について明確な答弁を願いたいと思います。
○中山国務大臣 十月二十四日の国連平和特別委員会、この委員会におきまして、川崎寛治委員の御質問に対しまして、輸送協力において原則武器弾薬は輸送しないと私は答弁をいたしました。輸送は、協力法の第三条二号に規定されております「平和協力業務」の一つでございまして、輸送の対象物に制約があるわけではございませんが、武力の行使と一体をなすような輸送協力は行い得ない、こういう考えを持っておりまして、現に戦闘が行われているような場所への武器弾薬の輸送は行い得ないのが当然でございまして、そのようなことは一切行わないと考えております。
○岡田(利)委員 そういたしますと、私は具体的にあなたにお尋ねをしなければならない、こう思います。 まず第一には、武器弾薬というものについて一体どういう御認識をお持ちなのか、承っておかなければならぬと思うのです。いかがでしょうか。
○中山国務大臣 一般的に武器弾薬と私どもが言っておりますものは、何といいますか、俗に我我、兵器といいますか、小銃からすべてのものの兵器が含まれているというふうに理解をいたしております。
○岡田(利)委員 専門的に防衛庁長官、どうですか。
○関政府委員 武器という概念につきましては、法令によりまして必ずしも同じ定義がなされておるわけではございませんが、先生御案内かと存じますが、昭和五十一年の政府統一見解におきましては、自衛隊法上の武器というものにつきましては、「「火器、火薬類、刀剣類その他直接人を殺傷し、又は武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械、器具、装置等」である」と定義をいたしておるところでございます。
○岡田(利)委員 武装集団である自衛隊が武力行使の能力として持つものが武器であり弾薬である、私はこう思うわけであります。したがって、この武器弾薬は相手に当然威圧を与え威嚇を与えるということは極めて常識的だと思うのであります。 そうしますと、これを取り扱うことになりますと、第二条の二項にありますように、「武力による威嚇又は武力の行使に当たる」とありますけれども、少なくともこの取り扱いをするという意味は、輸送をするという意味は、威嚇を与えるという理解ができることは極めて常識的ではないか、こう私は思うのでありますけれども、この点はいかがでしょうか。
○柳井政府委員 お答え申し上げます。 いかなる場合にそのような物を、武器弾薬等を運送するかという点につきましては、個々具体的な場合につきまして業務計画を作成して会議に諮りまして、そして閣議決定するわけでございます。先ほど大臣からも御答弁ございましたように、武力行使と一体をなすような態様でのこういう物資の輸送は行わないということでございますし、また御指摘のとおり、二条二項におきまして武力の行使または武力による威嚇に当たるものであってはならないという基本を踏まえて、個々具体的な場合に判断をしていくということになると思います。
○岡田(利)委員 極めて危険な内容を含んでおるわけです。 では、具体的にちょっとお聞きしますけれども、多国籍軍の要請に従って、この輸送船は我が国の沖縄からペルシャ湾に武器を運ぶことができますか。
○柳井政府委員 どこからどこへ運ぶかということにつきましては、具体的な案件に即して判断するほかないと思います。抽象的にお答えするのはなかなか難しいことと思いますが、特にこの法案上、地理的な限定があるわけではございません。
○岡田(利)委員 この法案の審議に当たって、一応湾岸危機に対する対応としてこの法案の審議を急ぐという政府答弁がありますから、当然その前提に立って私は具体的な考え方を聞かざるを得ないのであります。 そうしますと、この輸送のルートとしては、例えば今言った沖縄からペルシャ湾に輸送ができますか、求められた場合にはするんでしょうか、あるいは米国の本土からペルシャ湾に武器弾薬の輸送をするんでしょうか、あるいはまた、多国籍軍でありますから、ソ連から頼まれればソ連からペルシャ湾に武器弾薬の輸送をするんでしょうか、こういうことを考えるのは極めて当然だと思うのですね。そのことに答えられないということは、私は非常に国民に大きな疑惑を与える結果になると思うのであります。もう一度、この点についての御答弁を願います。
○柳井政府委員 私から先にお答え申し上げます。 先ほど抽象的にお答え申し上げにくいと申しましたのは幾つか意味があるわけでございますが、そのような具体的な要請がどういう形でなされるか、またどういう状況のもとでなされるかによりまして判断が違ってくると思います。要請がありましても、これはあくまでも我が国が自主的に判断いたしましてこれに応ずるかどうかということを決めるわけでございますので、具体的な案件に沿って我が国として判断して決めるということでございます。そのときの国際情勢あるいはその紛争地域の状況等を総合的に判断いたしまして、そこで決めていくということでございます。
○岡田(利)委員 これは医療品とか、あるいはまた資材とか、あるいはまた食料品とか水とか、そういうものを輸送するということが当初言われておったわけですから、その場合ですと、内閣で最終的に決定をされるということについて国民の方は納得できると思うわけです。だがしかし、事武器弾薬になりますと、当然その基礎になる判断基準というものを具体的に示さないでこれは法案の審議というのはできない、こう思うのであります。そういう判断基準は示すことができますか。
○柳井政府委員 先ほど申し上げましたように、この法案の基本的な構造が、これは委員からも御指摘ございましたように、武力による威嚇あるいは武力の行使に当たるようなものであってはいけないという基本的な原則がございますし、また、この平和協力業務と申すものが国際の平和及び安全の維持のための活動にかかわる業務ということで縛りがかかっておるわけでございます。したがいまして、そのような基本的な性格から申しまして、これは今までも政府より御答弁申し上げておりますように、現に武力紛争が行われております場所あるいは武力紛争が極めて近い将来起こりそうな場所にはこのような平和協力隊は派遣しないという基本的な考え方もあるわけでございます。 そこで、繰り返しになって恐縮でございますが、具体的な案件に即しまして、その現地の状況あるいは国際的な関係、緊張度その他を総合的に判断いたしまして、ケース・バイ・ケースに決めていくということでございます。
○岡田(利)委員 かかる問題がケース・バイ・ケースで判断されては国民の不安を除くことができないと私は思うのであります。 では、もう一つ聞きますけれども、その場合に、武器弾薬を輸送するときに、輸送する我が国の自衛鑑、すなわち輸送船でありあるいはまた補給艦であろうと思いますけれども、その武器弾薬を輸送する我が国の補給艦なり輸送船がチェックすることができますか。どうでしょう。
○柳井政府委員 恐縮でございますが、一番最後のところ、よく聞き取れなかったのでございますが。
○岡田(利)委員 補給鑑、輸送船がチェックできますか、我が国の自衛隊が、自衛鑑が。我が国がチェックできますか、積み荷を。
○柳井政府委員 積み荷でございますか。どうも失礼申し上げました。 お答え申し上げます。 我が国の補給鑑等がもしそのような物を運ぶということになりますれば、それは当然我が国の管理のもとに行うわけでございますから、そのような確認は当然できるものと考えております。
○岡田(利)委員 そうしますと、日本の武器弾薬を運ぶ場合には当然これはチェックできるわけです。しかし、この設問は多国籍軍の武器弾薬を運ぶという前提があるわけですから、その場合に、例えばアメリカの要請があればアメリカの武器弾薬を運ぶ、その積み荷である武器弾薬をどういうものか全部我が国がチェックできる、こういう理解でいいんですか。
○柳井政府委員 ただいま具体的な要請があるわけでございませんので、どのような態様で運ぶようになるのか、あるいはならないのか、その点は現在ちょっと申し上げにくいわけでございますが、いずれにいたしましても輸送を行う場合には我が国の管理下で行うわけでございますから、そのときどのような確認ができるか、その点は要請がありましたときの話し合いによりまして決めていくということになると思います。
○岡田(利)委員 ではもう一つ、その場合に我が国は必ずチェックできるという了解がなければ、その武器弾薬は輸送しない、こう断言できます
○柳井政府委員 どのような物を積むかということにつきましては、その具体的な要請に即してそのときに話し合うということでございますから、その点のどこまで確認できるかということはきちっと決めた上で、その要請に応ずるかどうかということを決めることになると思います。(発言する者あり)
○加藤委員長 お静かに願います。——岡田君、質疑を続けてください。答弁もまた明確にお願いいたします。
○岡田(利)委員 武器には、核兵器も輸送されるわけですね。どういう武器が積まれるかわかりません。したがって、当然核兵器の場合でも、その場合はチェックができるかどうかということがはっきりしてもらわなければ、これは審議ができないと思うのです。いかがですか。
○中山国務大臣 当然、我が国は非核三原則の原則を持っておりますから、核兵器等に関してはこれを積むというようなことは考えられない、考えるべきではないと考えておりますし、また……(発言する者あり)
○加藤委員長 お静かにお願いします。
○中山国務大臣 また、この積み荷につきましても我が方としては自主的にチェックをして、その際に判断をいたすということでございます。
○岡田(利)委員 核兵器の場合には別であって、普通一般の武器弾薬の積み荷については自主的に判断するんだ、チェックをするんだ、こういう御答弁でありますけれども、どうして区別がつくんですか。それは核兵器の部分であるかもしれませんし、全体でないかもしれません、個々分散をして輸送する場合もあるわけですから。そういう区別がつかないんじゃないですか。だから、やるならば、すべての武器弾薬については、我が国は我が国の輸送する責任においてチェックがすべてできるんだということを明確に答弁なければ、これは納得できません。
○中山国務大臣 御指摘の点は、我が国の自主的な判断でチェックをいたします。
○岡田(利)委員 では、チェックする場合には、その本体を見なければチェックにならないわけですね。それは必ず本体を見てチェックをする、こう理解してよろしいでしょうか。
○柳井政府委員 大臣から御答弁ありましたように、我が国としては自主的に判断してその可否を決めるわけでございますから、これの確認はいたしますが、いずれにいたしましても、我が国が納得できないような形で何らかの物資を預かって運ぶということはあり得ないことだと思います。
○岡田(利)委員 政府が勝手に何でも判断できるという裁量権を膨大に与えるということは本法の精神に反するんじゃないですか。国民合意を求めるならば、その判断基準というものを明確に示すことによって国民合意が形成されるわけです。 こういう法律案というものは運用によってどんどんどんどん変わっていく可能性があるわけです。解釈によって、初めの平和協力隊がそのうちに自衛隊そのものになるということも判断できるわけでしょう。これはもう自衛隊というのはおるのですから、おるものを使うのは簡単なんですから、ですから、どんどんどんどんそれを使えば、九〇%はすべて自衛隊が業務を担当するということになりますと、これはもう協力隊自体が自衛隊だということになるのですよ。協力隊というみのをかぶった自衛隊、こういうことになってしまうわけですね。ですから、きのうの答弁も、少なくともこの武器弾薬の問題は非常に重要である。ずっと内容を見ても、輸送業務と通信の情報関係の業務、それ以外のものは大体できるようになっているのですよ、今でも。だから、ここを明確にしなければこの法案の審議はできないのです。そういう判断基準を明確に出してください。
○柳井政府委員 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、やはり何を輸送するか、どういう態様で輸送するかという問題は、これは個々具体的な場合に即しまして、ケース・バイ・ケースで判断せざるを得ない問題であると思います。 ただ、先ほど申し上げましたように、この平和協力法の基本的な構造が、武力を行使しないあるいは武力による威嚇を行わない、そして三条に掲げております限定的な任務を行う、そういうものでございますから、これは自衛隊そのものではございませんで、そういう任務の範囲内で、またこの法案の目的に沿って業務を行っていくということでございますから、そこにおのずから限界が出てくるというふうに考えております。
○中山国務大臣 もともとこの法案のいわゆる目的というものは、国連の決議を受けて行うものでございますから、国連の安全保障理事会で満場一致で決議が行われたという時点で、これを受けて行うのがこの法案の目的でございますし、その中に、国際の平和と安全を維持するために行うことが目的にうたわれております。 こういうことで、当然我々は、ここに書かれておりますように、この国際社会がいわゆる侵略者に対して、みんなが団結してこれをいわゆる抑圧していくということが国連の考え方でありますから、それに協力するために、今御指摘のように、我々がそこで核物質を積むとかそういうようなことは、私は日本の考え方として、自主的に判断をして、チェックをし、断るときは断るというだけのやはり自主的判断を政府は持つべきであるし、また持たなければならないと考えております。
○岡田(利)委員 条約局長、後からあなた今の大臣の答弁を変更することはないでしょうね。いかがですか。
○柳井政府委員 そのようなことはいたしません。
○岡田(利)委員 そうしますと、もし湾岸危機に多国籍軍から要請をされて武器弾薬を輸送する場合、これをある程度想定して聞かざるを得ないと思うのですね。先ほど言ったように、沖縄や米国から依頼があればその武器弾薬を積んでペルシャ湾に輸送することも可能である、こういう意味でしょうかと、こう聞いたのですけれども、この点についてはもう少し具体的に答えてくださいよ。
○柳井政府委員 具体的な状況によりますけれども、そのような輸送というものも法律上は排除されておりません。
○岡田(利)委員 だから、法律上は明記されていなくてもそれは裁量でやるというわけでしょう。そのときそのときの要請に従って判断をしてやるということですから、なお問題があるわけですよ。自由な裁量権を持っておる、こういう意味になるわけですから、極めて問題であるわけです。 したがって、例えば前方、後方の関係で、補給業務は後方だ、こう言いますけれども、近代戦争の中でそういう単純な分け方ができるのでしょうか。防衛庁長官どうですか、そういう常識がありますか、近代戦争に。前方と後方って、何ですか、これ。
○石川国務大臣 隊の実際の運用についてのお尋ねでございますならば防衛局長から細かに答弁させますけれども、私にとりあえず御質問でございますので、私の考え方を申し上げれば、やはり新 しいこの法案の中にも書いてございますように、私ども自衛隊の参加というものはそもそも、午前中の浜田委員の質問の中でもいろいろと、これはできるか、あれはできるかということの中でおわかりのように、平和協力隊としての要するに任務ということだけについての自衛隊の参加でございますので、したがってそういう意味で解釈すれば、私は、後方部隊であるから危険だとかそういうことには当たらない、かような見解を持っているわけでございます。
○藤井(一)政府委員 前方、後方ということの定義についての御質問でございますが、これにつきましては確たるものはございません。後方につきましては、極めて正面部隊に近いところで支援をする形態もありましょうし、非常に遠隔の地において支援をするというようなこともあろうかと思います。
○岡田(利)委員 後方も前方もないわけですね、近代戦争には。しかも、その後方支援として武器弾薬を輸送するというから問題が大きいのであります。したがって、これはもう前線そのものであるという理解をしなければいかぬではないでしょうか。当然、能力と威嚇を持っている武器弾薬に対して先制攻撃を加えるというのは近代戦争の常識じゃないですか。しばしばあらゆる戦争においてもそういうことが問題になって、むしろ朝鮮戦争の場合には、マッカーサーは、あの中国の東北をたたくということで彼は解任をされておるのであります。まして最近はミサイル戦争の時代であります。 今イラクの持っているミサイルは、どのくらいの距離を待っているミサイルを保有か御存じです
○加藤委員長 準備できましたか、答弁の。
○内田(勝)政府委員 イラクの持っております地対地ミサイルについてお答え申し上げます。 フロッグ7というのを持っておりますが、これが射程約七十キロ、これはソ連製でございます。それから、ソ連製のスカッドBと称せられるミサイル、これが約三百キロメートルでございます。さらに、そのスカッドBというミサイルをイラクが改良いたしまして、国産のアル・フセイン、アル・アッバスという二つのより長距離の射程のミサイルを持っておりますが、その射程はそれぞれ六百五十キロ、九百キロと言われている、そのように理解している次第でございます。
○岡田(利)委員 もう既に千キロを超えるミサイルを保有しているというのが常識になっておるわけであります。そうなりますと、中東全体を射程距離に置いているということになるのではないでしょうか。 したがって、武器弾薬を輸送する場合に、もちろん直接の前線基地じゃなくても、そのほぼ近いところ、港がなければいかぬでしょう、もし飛行機で持って行く場合には、空港がなければ着陸できないでしょう、それは限定されてくるわけでしょう。そういう武器弾薬を陸揚げする能力のない港に持っていくことはできないのが常識でしょう。そういう意味で、場所は限定されてくるのであります。 だから、抽象的な判断でそのときそのときのケース・バイ・ケースで対処をする、しかもそれは、前方と後方は区別がつかない、その場合には。したがって、攻撃能力があれば当然攻撃をされる、これが近代戦争の常識だということになりますと、これは本法の提案の理由と違うのじゃありませんか。こういう危険な輸送はできないということにしなければならないのではないですか。そんなことを勝手に政府の判断でやられたらどうしますか。この法案に対する疑念は私は国民として晴れないと思うのですね。いかがですか。
○柳井政府委員 ただいま御指摘のように、紛争当事国の攻撃能力というものもその判断の際の一つの要素になると思います。ただ、これは将来の問題といたしまして、必ずしもイラクについてただいま答弁ありましたような事実関係のみが考慮の対象になるということではございませんで、その紛争地域の国際情勢その他いろいろな要素を具体的に総合して判断するということでございます。再三御答弁申し上げておりますように、紛争が現に行われている場所あるいは非常に近い将来行われそうな場所には派遣しないという考え方でおるわけでございますので、この法案のもとでの輸送というのも、その意味で限定があるということは申し上げざるを得ないと思います。
○岡田(利)委員 ちょっと進めまして、では多国籍軍が武力行使をした場合、きのうの答弁に関連して、その場合にもこういう武器弾薬の輸送業務ができるわけでしょう、そういう見解でしょう。いかがですか。
○柳井政府委員 きのう御答弁申し上げましたのは、仮に多国籍軍が武力衝突に入ったという場合にこの法案に基づく協力業務ができるかという点でございました。この点につきましては、長くなりますからそのポイントだけ確認させていただきますが、そのような多国籍軍の行動が、現在の状況で申しますとイラクに関する国連の諸決議に実効性を与える、実効性を確保するという実態が継続する限り、すなわち、そのような状況の延長線上にある限り、この協力はできるということでございます。 ただ、その点につきまして、武器弾薬をそのような場合に運ぶかどうかということは、まさしくその時点での判断をすべき重要な問題だと思います。
○岡田(利)委員 極めて重大な問題ですね。今までの質問、答弁で立証されているように、前方、後方の区別はありません。そして、武器弾薬の供与、しかも実力行使をした場合においてもなおかつそれを続けようとすれば、私は、もう武力行使そのものに参加をしている、このように事実認定されるのは当然だと思うのですね。その場合には、集団的自衛権の問題でこれに参画できないという、憲法上にも疑義があると私は思うのです。この点、条約局長どうですか。あなたのしばしばの答弁から判断すると当然そういう解釈になると思うのですが、いかがでしょうか。
○加藤委員長 条約局長じゃなくて……。
○岡田(利)委員 法制局長官。
○工藤政府委員 従来からお答えしているところでございますが、いわゆる集団的自衛権、これはもう午前中もお答えしましたのであえて定義を申しませんが、集団的自衛権に当たるような場合には、我が国は、それは国際法上権利を持っていても行使をすることは憲法上許されない、こういうことでございます。 ただ、集団的自衛権というのはあくまでも実力行使の概念でございますし、その根っこは憲法九条にあるわけでございます。したがいまして、武力の行使という問題、それから判断すべきだと思います。武力の行使という概念、これは過去にも答弁例ございますが、それと一体になっている、まさにそれとくっついて、いわば今の例で申し上げれば、輸送というもの、輸送というよりももうその輸送が武力の行使そのものである、こういう場合には今のような論拠から許されない、こういうことでございまして、それのいわば反対としまして、そういう武力の行使と一体となっていると見られないようなもの、これにつきましては格別の問題はない、こういうふうに考えております。
○岡田(利)委員 武器弾薬の供給というのは、当然前線が実力行動に移っておれば、それはもう武力行使そのものじゃないですか。それが近代戦争で常識的な判断だと思うのですね。私は、そういう意味で、この国連平和協力法という、先ほどからずっと総理が答弁しているように、威嚇を与えない、安全な場所しかやらないという精神からいっても、武器そして弾薬の輸送というものは本法の精神から大きく外れるものだということが実証されたと思うのですね。そういう意味で、武器や弾薬の輸送をあきらめるか輸送しないということをはっきり明言するか、そうでないとするならば、本法の提案理由の説明、精神そのものが否定されるじゃありませんか。総理、いかがですか。
○柳井政府委員 この法案の精神ということから申しますれば、まさしく国連で採択されました決 議に実効性を与えるということで現在多国籍軍が展開しているわけでございます。これに対して、先ほど法制局長官からも御答弁ございましたが、我が国の憲法上なし得る範囲で協力を行うべきことは当然でございますが、その範囲のものである場合におきまして、そのような平和維持、平和回復活動に我が国が協力するということは、これはまさに国際平和を維持するのが目的でございます。したがいまして、そのような意味で、このような国際的な平和維持活動に協力するということはこの法案の精神に合致するところであるというふうに考えます。
○岡田(利)委員 では、その判断は一体だれがするのですか。
○柳井政府委員 具体的な協力関係につきましては、繰り返しになって恐縮でございますけれども、業務計画を本部でつくりまして、平和協力会議に諮問いたしまして、そして最終的には閣議決定して決めるということでございます。
○岡田(利)委員 閣議決定しても、これは具体的なそれぞれのケース・バイ・ケースで判断するわけでしょう。一々閣議で決定するわけじゃないでしょう。そうであるなら基準なり実行方針、その具体的なものを決めなければできないでしょう。本部長は、これは総理でしょう、自衛隊の最高指揮官も総理でしょう、全く同一ですから。だから、その基準も示さないで抽象的ないわゆる方針を示して、すべてそこで決定をするということは、本法の精神からいっても、今まで繰り返し繰り返し説明している趣旨からいってもなじまないということは明らかじゃないですか。もしそうであるとするならば、相当な基準を示して、ある程度みずから縛るというぐらいの決意がなければいかぬのではないですか。その点どうですか。そういうものを出す考えがありますか。
○柳井政府委員 若干補足させていただきますと、この法案の第十七条で、「内閣総理大臣は、国際の平和及び安全の維持のための活動に協力するため海外派遣その他の平和協力業務の実施が適当と認めるときは、実施計画の案につき閣議の決定を求めなければならない。」とございます。そして、第二項におきまして「実施計画に定める事項は、次のとおりとする。」とございまして、「協力業務の実施に関する基本方針」、それからその後に二としまして、「平和協力隊の設置その他」とございます。 それで、この中身でございます。中身につきまして、この具体的な案件に即して、具体的な案件ごとに決めていく。一つ一つ違う案件でございますから、それについては決定していくということでございます。 もとより、そのような、いろいろな御指摘のような御懸念がないような案件で、非常に類似の案件が繰り返されるという場合には、あるいは一括して基本方針を決めて一々決定しないということもあるかもしれませんが、現在御指摘になっているような非常に重要な案件につきましては、私まだこの段階で具体的な手続を承知しておりませんけれども、そういう重要な案件につきましては一つ一つ決めていくということになると思います。(発言する者あり)
○加藤委員長 岡田君。——岡田君の質疑を続けてください。
○岡田(利)委員 では、この法律が仮に成立をしたとすれば、その判断は本部長である総理がしなければならぬわけでしょう、特に基本的な方針について。あなたの今まで本委員会でいろいろ答弁をされている精神に基づいて、その場合にはどういう判断ができるんでしょうか。見解はいかがですか。
○海部内閣総理大臣 この問題については、私が考えております基本は何度もお話をいたしましたし、それからそのときそのときというのが非常に皆さんの方からはわかりにくいとおっしゃいますが、私の方も全くわからないわけで、戦闘を予想しておるわけじゃないんですから、戦闘を予想しておるわけじゃないわけですから、どのようなことが必要になるか……(発言する者あり)答弁中ですから聞いてくださいよ。答弁終わりまで聞いてから言いなさいよ、それは。ですから、条文のようにそのときそのときの情勢に応じて何を協力すべきかを判断するのは、これは当たり前のことではないでしょうか。ですから……(発言する者あり)いやいや、終わりまで聞いてくださいよ。
○加藤委員長 委員長から申し上げます。 答弁を続行してもらいますから着席願います。——御着席をお願いします。総理大臣、答弁を続けてください。
○海部内閣総理大臣 御質問に答えておるわけですからどうぞ最後まで聞いて、内容が気に入らなかったらまた反論してください。私の意見も聞いてください。 というのは、わからないというのは、皆さんはそれじゃ湾岸に直ちに戦争が起こるということを前提に、わかったと言って御議論なさるんでしょうか。私は、起こるか起こらないかもわからないし、起こらないように努力をしておるし……(発言する者あり)じゃ、法案の中身、申し上げましょう。 法案の中身は、この平和協力隊は常設でありませんから、必要が起こったときにその都度その都度つくるんですよ、置くんですよ。(発言する者あり)いや、ちょっと聞いてください。その都度どういったことが起こるかというと、この条文の第三条に書いてあるようなことを、紛争の問題、停戦の問題、医療の問題あるいは災害復旧の問題あるいは選挙管理の問題、いろいろ書いてあります。必要が起こったときにその都度その都度どのような対応をするかということを決めるために、平和協力会議を開いてそれを対応するわけでありますから、あくまでそのときそのときであるし、また、そのとき必要と認めるかどうかということも、会議に内閣総理大臣が諮って、平和協力会議がそのときそのときに業務の基本方針、海外派遣の有無も決めるわけですよ。決まりますと今度は、その次には具体的な要請が出てくる。具体的な要請が来たときも、またその都度それはどのような対応が協力できるかということを実施計画に従って決めるわけですよ。だから、あくまでそのときそのときの具体的な要請に応じて、これは対応できるのか、対応できないのか、それを判断して決めるわけであります。 そのときに一つだけ言えることは、この法律の大前提にも書いてありますから、武力の威嚇、武力の行使を伴うものではいけないという大前提を置いて第三条の中で許されておる行為について行うわけでありまして、そして、不幸にして戦闘が起こっておるときなんかに戦闘の起こっておる現場とかそこへ行かせるつもりはありません。それは協力の範囲を超えるわけでありますから、それはどこまでどうするかということは自主的にこちらの方でその都度その都度の具体的な情勢を判断して決める、こう言っておるわけでありますから、それは聞いていただかぬといかぬと思います。
○岡田(利)委員 総理の答弁は、前段の私の質問、答弁を十分理解をしてのみ込んで答弁しているのではないと思うのですね。前提を置いて質問しておるわけです。しかも、武器弾薬の性格、近代戦における前方、後方の関係、そういう点についてそれぞれ答弁があったわけでしょう。その上に立って、私は、この武器弾薬の輸送についてさらに最高責任者に予定されている総理の判断を実は求めたのですが、私の質問に対して当を得た答弁にはなっていないと思うのですね。 総理の今言っている趣旨からいえば、原則として武器とか弾薬といういわば威嚇を与えるそのもの、威力を示すそのもの、直接武力行使につながるもの、一体化のもの、こういうものはこの精神からいって除外をしますと言うならば、原則こういうものは輸送しませんと言うならば当を得た答弁だと思いますよ。しかし、あなたの答弁は極めて抽象的で、その場その場で判断するということになりますと、幾らでもそのときの判断でできる。また、一々閣議でやる問題じゃないわけでしょう。閣議だって極めて、ある一定の方針が決められるだけでしょう。あとは全部、それぞれはそれぞれの任地において指揮官が判断をして輸送す るわけでしょう。そういうものなんですよ。これが当然でありますから、やはりその原則的な考え方をぴちっと決めるということが一番重要なんだということを申し上げているのです。 だから、そういう意味で私は、この業務の中で、総理も読んでわかるように、イ、ロ、ハ、これはもう今まで国連協力でやってきている内容でしょう。そして、ホ、ヘ、ト、これはもうそれぞれまた民間でもやっている内容であって、別にこの法案がなきゃできないというものではないわけでしょう。一番問題なのは、このニなんですよ。「物資協力に係る物品の輸送」とあるから、ここに武器とか弾薬が含まれると解されないのですね、この表面文章からいえば。「物品の輸送」あるいはまた「その他の輸送」になっているわけですね。私はそういう意味では、ですからここに武器弾薬が入るとすれば、極めて注目するのは当然じゃないですか。法律上そこを注目して質問することは、私は極めて、国民が最も聞きたいところですから、当然だと思うのですよ。したがって、それにある程度具体的に答える、あるいは判断基準といいますかそういうものをある程度示すということが大事なんですよ。そういうものを示さないで一方的にすべてをやるということは少なくとも本法の立法の精神に反する、こう申し上げておるのであります。 そういう意味で私は、この問題については、特にこのやりとりでは時間がございませんから、理事会において、この問題についての私の質問に対して判断基準を政府として示していただきたい、このように強く委員長に要望いたしますが、いかがでしょう。
○加藤委員長 質疑の問題点をもうちょっと明確にしてください。理事会で扱うにしても、質疑の問題点がもうちょっと明確になっておりませんので、質疑を続けてください。
○岡田(利)委員 私が求めておるのは、このニの物資の協力に係る物品輸送の中に武器弾薬が含まれている、そうなれば、前方と後方の関係、状況からいってこれは一体的なもの、前線と後方は一体的なものであるというのは近代戦争の常識でありますから、そうしますと、ある程度の縛りが必要ではないのか。威嚇を与えない、危険なところにはやらない、そういうことがこの法律の中に示されて、総理からも繰り返し繰り返し説明されておりますから、その趣旨に従ってここにある程度縛りをかけるということが当然ではないでしょうか。今、質疑のやりとりで私はそう思うのであります。 したがって、その点についての判断基準というものを今ここで具体的に示されないとするならば、私の質問の趣旨をかみ砕いて、国民が聞きたいところでありますから、ぜひその点について統一的な見解なり判断基準になるものを示していただきたい、こう要求をいたしたわけです。
○加藤委員長 政府の方からその辺しっかりと御答弁ください。総理大臣。
○海部内閣総理大臣 この法律全体の中を見ますと、輸送の対象に制約があるわけではありませんが、武力行使と一体をなすような輸送協力は行い得ないと私は思いますので、現に戦闘が行われているような地域への武器弾薬の輸送を行い得ないのは、これは当然のことでありますし、また、私が平和協力会議に諮問をするときには慎重な配慮をきちっとしてまいりますから、こういう趣旨で行うということを理解をしていただきたいと思います。
○岡田(利)委員 今総理の説明は一歩前進したと思うのです。だがしかし、紛争の地域というのはどうなのか。武力を展開した場合に、これはもう紛争の地域と認定されるのが常識でしょう。ですから私は、では一歩進めて今湾岸危機の情勢を考えた場合に、ペルシャ湾に直接武器の輸送をできるのですか。これは、私の質問に対して政府は答弁をしないわけです、条約局長は。条約局長は、条約局長か安保局長か課長かわからないような話なんですが、私はそういう意味で、その点は一歩進めて答弁することが親切ではないですか、こう言っているのですよ。 だからその場合には、今の場合に例えば沖縄からペルシャ湾とか、多国籍軍に依頼されてペルシャ湾には武器弾薬は輸送できないんだ、武器は輸送しないんだという政府がみずから縛りをかけますということをここに言明できますかということを聞いているのですよ。
○中山国務大臣 今総理からもお答え申し上げましたように、武力の行使と一体となるような輸送協力は一切行わないということを申しておりますから、周辺に戦闘状態が発生しているというところには輸送協力を行い得ないという御理解をいただきたいと思います。
○岡田(利)委員 あと時間が少なくなりましたから、この問題については私は留保しておきまして、また同僚委員がさらに質問することにいたしたいと思うのです。 最後に、私は一、二点伺っておきたいのは、兵員の輸送について、これは多国籍軍から依願をされた場合に、要請があった場合に兵員の輸送ができるかどうか。単に平和協力隊に参加をする、自衛隊を輸送する、しないという問題じゃないのですよ。多国籍軍の方から要請があった場合に兵員の輸送ができるかどうか。もちろんその兵員は装備をしているでありましょう。この点の見解はいかがでしょうか。
○柳井政府委員 お答え申し上げます。 この輸送の対象には特に限定がございませんので、兵員の輸送もなし得る、法律上はなし得るということでございます。
○岡田(利)委員 もう一つ。補給艦、輸送艦で武器の輸送なり兵員の輸送ができると、今この点が明らかになったわけです。そこで、輸送する補給艦あるいはまた輸送艦あるいはまた輸送する航空機ですね、これには兵器が積まれているか積まれていないのか、もし搭載されておるとすればどういう兵器が搭載されておるか、この際、明確に答弁していただきたいと思うのです。
○藤井(一)政府委員 輸送に当たります船につきましては補給艦、航空機につきましては輸送機であるということは再三御答弁申し上げております。こうした船、飛行機に武器が積んであるかどうかということでございますけれども、自衛隊法に九十五条という規定がございまして、これは、自衛隊の保有いたします船舶とか航空機等が破壊されたり奪取されたりすることによりまして我が国の防衛力を構成する重要な物的手段が損壊されることを防ぐために、警察権の行使といたしまして武器の使用が認められている、こういう条項がございます。これに従いまして、現在補給鑑には若干の武器が積んでございます。機関銃、小銃、けん銃、散弾銃でございます。輸送機については現在積んでおりませんが、これにつきましても、必要があれば同様の武器を積むということに相なろうかと思います。
○岡田(利)委員 航空機の場合を私は焦点を当てて実はお聞きいたしたわけですが、そうすると、航空機の場合も補給艦と同じ武器は積み得るという見解ですか。
○藤井(一)政府委員 船舶、航空機ともに——飛行機につきましては現在は積んでおりません。しかし、武器等の防護に必要な武器というものは必要があれば積むということに相なろうかと思います。
○岡田(利)委員 だめだ。どうですか、これ。これでいいの。
○加藤委員長 答弁ありますか。
○岡田(利)委員 大きな問題だ、これは。(発言する者あり)——理事会の約束の時間もありますから、私の質問はこれで終わりますけれども、今の問題は私は保留しておきますので、前の答弁と違いますし、重大問題ですから、十分理事会でも扱っていただいて、また、その点が解明されるように強く希望して、私の質問を終わります。
○加藤委員長 ただいまの事実関係の点につきましては、後ほどまた重ねて政府からの答弁をもらう、そういう点を保留して岡田利春君の質疑は終了いたしました。 次に、二見伸明君。
○二見委員 具体的な質問に入る前に、総理に一言申し上げたいことがあります。 平和協力に何らかの知恵を出さなければならない、考えなければならないというのは、まさに国民の大多数の意見であります。そのことに国民は異論を挟むものではありません。しかし、出てきた法律案は、その国民が期待したような法律案だったかというと、そうではない。まさに平和協力業務と戦争協力業務が一緒くたになって出てきたのが私はこの法案だと思う。こんな法案を私たちは認めるわけにいかない。もし総理が平和協力業務に徹したいとおっしゃるならば、この法案の中から自衛隊の参加に関する条項は全面削除するのが私は当たり前だと思う。そうすれば、国民は安心をしていられる。最近の世論調査を見ても、自衛隊の海外派遣に対しては世論は厳しい批判をしている。そのことを考えても、平和協力業務に徹したいと思うのであれば、自衛隊参加条項は全面削除をするのが私は至当だと思います。そのことを冒頭に申し上げて、具体的な問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。 この平和協力業務、議論になった「平和協力業務」の中に「通信」という条項があります。総理、通信というのは、例えば停戦の監視だとか住民投票の監視だとか監査だとか、そういうことに通信が使われることについてはもちろん問題はないのだけれども、もしこの通信が、武力衝突が起こりそうなかなり危険をはらんだ緊張状態にあるとき、ある場所、あるいは紛争が生じたときでは、この通信というのは全く別の意味合いを持ってきます。現代戦争の中で中枢になるのはまさに通信だ。その通信という一項目が入っている。お尋ねいたしますけれども、通信の分野で平和協力隊は多国籍軍への協力はできるのでしょうか。
○柳井政府委員 通信自体は武力の行使に当たるようなものではございません。したがいまして、通信の分野におきましての協力業務ということも行い得るわけでございます。
○二見委員 確かに武力行使、ドンパチやっている武力行使では通信はない。しかし、現代戦争の中枢であることだけは事実です。とならば、軍事情報の相互交換を協力隊と多国籍軍の間でこれはできますか。
○柳井政府委員 これはむしろあるいは法制局の方からお答えいただくことが適当かもしれませんけれども、先ほど申し上げましたように、通信それ自体は武力の行使でないわけでございますので、そのようなことはできるというふうに考えております。
○二見委員 武力行使というのは、政府は最前線でのいわゆる火砲の撃ったり撃たれたりという場面を想定している。しかし、戦争というのはそれだけではない。これ全体が戦力なんだ。先ほど後方支援という話もありましたけれども、その後方支援のど真ん中にあるのが通信なんだ。それに協力できるということは、この紛争そのもの自体にこれは協力できるということなんだ。武力行使とは関係ない、それで済まされる筋合いのものではないと私は思いますよ。
○柳井政府委員 この協力隊は、御承知のように武力行使をその任務とするものでもございませんし、その任務に武力行使が伴うようなものではございません。したがいまして、この協力隊の協力業務と申しますものは軍事行動ではないわけでございますので、当然軍事情報というようなものをそもそも持っているというふうには考えない次第でございます。したがいまして、御指摘のような状況になるということはちょっと想定しがたいところでございます。
○二見委員 冗談言っちゃいけませんよ。通信というのは情報を集めるに決まっているんだ。通信というのは情報を集めるんです。情報を集めて発散する、それが通信でしょう。お互いに交換をし合う。まさに、紛争が起ころうとしている、あるいは紛争が起こっているときに情報を集め、情報を伝達し、情報を交換する、まさに戦力のど真ん中じゃありませんか。それはドンパチやっている武力行使とは違うかもしれないけれども、むしろそれをより効果あらしめるために最も重要な機能じゃありませんか。外務大臣、これどうなんですか。
○中山国務大臣 今委員もお話しのように、直接武力と一体となるような行為でないことは明白でございます。ただ、全体的な情報の協力ということになりますと、通信というものはもちろん情報の交換装置でありますから、それは情報が相互に交換されることは事実であろうと思います。ただ、この場合に、平和協力隊が派遣される前提に国連のいわゆる決議がなければ動けない。国際社会における侵略者が出て、国連の安保理事会が満場一致で議決をした決議を受けて行う平和協力業務の中にこの一項、通信が入っているわけでございますから、いわば国連の大きな目的に協力するということになる、私はこのように認識を持っております。
○二見委員 国連の決議を受けてあるいは国連の決議をより実効あらしめるために多国籍軍が展開をしている。それに対して協力隊は協力をする。その協力の中身が通信である場合には、ただ食糧を送るとか水を輸送するというたぐいとは全く次元を異にするんだ。まさに多国籍軍が、もし紛争が起こればまさに勝敗のかぎを握っているのが通信なんだから、それを軽々しく武力行使に当たらないからいいですとか、そんな甘い認識でこの通信を考えてもらっちゃ困る。そんなものじゃない。もう一度言ってくださいよ。
○中山国務大臣 御案内のように、この我々が考えております通信というものは一般通信でございまして、サウジアラビアに展開している多国籍軍、特に米軍等の場合にはAWACS等を全部配備しておりまして、いわゆる高等情報処理のシステムを完備した部隊が別におるわけでございます。我々の場合には、地上の通信とかあるいは海上の通信とか、あるいはまた、そこに移動する平和協力隊の安全を確保するための通信を行うとか、あるいは戦災地の復旧のための通信に協力をするということでございます。
○二見委員 あなたはそういうふうにおっしゃるけれども、法律にはそうは書いてない。 しかも、防衛庁と在日米軍の間では、インターオペラビリティーというのですか、その研究が行われたでしょう。防衛白書によると、去年の九月には、通信の分野では在日米軍と防衛庁の間でこの研究は終わつたとなっている。情報は相互互換性になっている。これはこの協力隊法とは違うかもしれない。しかし、在日米軍と日本の間では、通信の一体化というのは現実問題として進んでいるのです。 そういう現状を踏まえたときに、これは協力隊員の相互の連絡のための通信です、それだけに済まされるものではない。もちろんそういう用途も私は否定しないけれども、多国籍軍への協力と一番最初言われたんだから、そうなれば、協力隊同士の情報交換ではなくて、むしろ軍事情報の交換になるのは当たり前なんだ。それもできると言ったんだ。そういう重要なものがこの通信なんです。そうでしょう。その認識が全くないとはおかしいじゃないか、これは。その認識がなくて平和協力でございますなんて、そんな軽々しい議論、できるわけないじゃありませんか。
○柳井政府委員 私が先ほど通信の分野において協力ができると申し上げたのはそのとおりでございますが、ただ、この平和協力隊の活動あるいは任務というものはこの法案にあるとおりでございまして、もちろん、その武力行使を伴うようなものあるいは武力による威嚇を伴うようなもの、そういうような活動はできないわけでございます。したがいまして、この多国籍軍の間に入って、あるいは中に入って一緒に作戦行動をやるというようなことはこの法律上はできないわけでございますので、その軍事情報の交換というようなものはちょっと想定しがたいということを先ほど申し上げた次第でございます。したがいまして、どのような通信になるかと申し上げますれば、先ほど外務大臣がおっしゃったとおりだと思います。 また、この三条二号で列挙してあります中に 「通信」とございますけれども、何か多国籍軍だけが浮き彫りになっておりますけれども、ここで想定しております通信の大部分というものは、恐らく停戦の監視あるいは選挙の管理等々の場合であろうと思います。また、輸送の場合につきましても、先ほど外務大臣がおっしゃったような性格の通信であるというふうに私は考えております。
○二見委員 PKOの活動、連絡がスムーズにいくための通信だ、そういう意図でここに通信という名前を載せた、文字を入れた。しかし、あなたは今そうおっしゃるけれども、この法案が成立をすれば、この通信はそれだけに限定されないでしょう、これは。あなたはそう言うけれども、限定されないでしょう。限定されると書いてあるのか、ここに。書いてあるのか。
○柳井政府委員 その点は委員のおっしゃるとおりでございます。PKO等の通信に限られないという点はそのとおりでございまして、私のさきの答弁の中で、多国籍軍に対する協力という観点からの通信もあり得るということは、確かに申し上げたとおりでございます。 ただ、直前の答弁で申し上げたかったことは、協力隊が派遣されると申しましても、多国籍軍と肩を並べて武力行使をする、戦闘作戦行動を行うということではございませんので、その意味でこの通信の内容というものにもおのずと限度がある。その性格がどういうものかと申し上げますれば、先ほど外務大臣が言われたようなことであろうということでございます。
○二見委員 総理、総理はこの通信の問題を軽々しく、これはPKOだけに使われるものだ、それ以外のものは想定してないと恐らく総理もおっしゃるのだろうけれども、しかしこの法案が成立をしたときには、通信というのはひとり歩きしてきて、現代戦争の中枢に座る筋合いのものだという厳しい認識をお持ちなんですか、これは。通信というものがこれからの戦争にどれだけ大きな役割を持ってくるか、むしろ勝敗を決するキーポイントになるんだという認識をお持ちなんですか。ただPKOのためですなんて簡単に言えるものじゃありませんよ。もしPKOに限定するならば、これはPKOに限定すると書けばいい。それならわかる。
○海部内閣総理大臣 この法律の目的は、そもそも戦闘行為に参加したり、多国籍軍の中へ入って肩を並べて協力するというものではありませんから、むしろ外務大臣が答えましたように、今多国籍軍はそれぞれに極めて高い性能を持った通信設備を既に駆使しながら展開し、配備されておる。私の想定の中にも、そういう戦場に通信部隊が出ていって、どうでしょう、多国籍軍はそんな勝敗を左右するような重要な中枢部門を日本の平和協力隊に任せるでしょうか、逆に。そういうときは業務計画をつくる段階でそのようなところに入り込んではいけない、それはきちっと私は業務計画のところに慎重に対処するつもりでおりますから、そう心得ております。
○二見委員 それは業務計画の中で書くべき筋合いではなくて、法律の中に明確にすべき筋合いのものなんです。あなたが総理大臣のときはそれでいいかもしれない。総理大臣がかわったらどうなるのだ。
○海部内閣総理大臣 この法律は、何か湾岸危機だけをまず前提に置いて、そしてそれが武力行動に入ったならばということだけを想定してつくった法律じゃありませんから、PKOの問題とか停戦監視の問題とか、いろいろ法律としては非常に広いとらえ方で出ておるわけです。けれども、武力行使を伴わないようにしたいという強い願いもあります。ですから、そのことも第二条にきちっと書いてあるし、それからもう一つは、こちらが自主的に判断をして許される限りの協力ですから、中へ入り込んでいって一緒になって指揮・通信の中へ入り勝敗を左右するような、そんなことまで思い上がってできるものではない。平和協力法に従った限度の協力で、しかもそれはケース・バイ・ケースでそのときそのとき国連平和協力会議に諮問をして皆で議論をしてもらい、自分の方の能力でできるものの中から、ではこれぐらいのことは協力できるでしょうというのを決めるのが業務計画に決まっていくわけでありますから、その決めるときに責任者である私がそういったことを念頭に置いて慎重に対処してまいりますとお答えを申し上げておるのですから、そのように御理解をいただきたいと思うのです。
○二見委員 この法案はいわゆる多国籍軍を想定したものではないと言うけれども、出てきた発端はイラクの侵攻でしょう。法案の中には、例えばPKO、カンボジア問題を念頭に置いたPKOの問題も入っている。もう一つは「国連決議の実効性を確保するため、」という文言があって、多国籍軍に協力することがこれで決められている。できるようになっている。だから私、冒頭に申し上げたように、これは平和協力業務と戦争協力業務が一緒になって入っているんだ。通信だって平和協力業務の場合もあるけれども、これは戦争協力業務にだってなり得るんだ。むしろそうなったときの怖さというものを私は申し上げているのです。これは武力行使ではない。武力行使ではないけれども、通信というのは紛争、戦争のときには武力行使と一体不可分のものなんです、これは。だから、例えば通信は武力行使と一体不可分だから、これは集団自衛権の発動にもなりかねないのでできないとおっしゃるならいい。 私は、きょうの協力隊法の問題じゃないけれども、昭和六十一年三月の予算委員会で、委員長をやっている加藤さんが防衛庁長官のときに、情報交換の問題が集団自衛権に抵触するかどうかというので大議論をやったことがある。あのとき防衛庁長官だった加藤さんは国益で判断するとおっしゃった。そういう経緯がある。そのぐらい情報交換、通信というのは現代戦争で大変なものなんです。だからその認識を、これが武力行使と一体不可分のものになるからこれは許されないんだと明確に御答弁になるんなら、それはわかる。実施計画でやれないからできないんですと言うんじゃ困るんだ。
○海部内閣総理大臣 武力行使と一体になる内容を持つ通信の問題については、武力行使と一体になるようなものは実施計画でやれないと言っているんじゃなくて、実施計画でやらないようにする、こう言っておるんですよ。それから、そういったものを、私の想定ではいずれの国も要請をされないんじゃないでしょうか。軍の機密にも属しましょう。共同作戦もしておりません、指揮にも入っておらぬようなところに、どうしてそういうことまで想定されるか私にはわかりませんが、もし想定されたとしても、私の方で実施計画のときには組み込みません。お断りをいたします。
○二見委員 時間がないのでこれはこの程度にしておきますけれども、ただ、通信は戦争の場合に武力行使と一体不可分なものであると認識されれば、これは実施計画以前の問題としてできなくなるんだ。もう最初からできないんだ。実施計画云々でもないんだ。最初からできないんです。その認識があれば、だから憲法上できないんですと、こうお答えになればいいんです。
○海部内閣総理大臣 武力行使と一体になるような、そういった極めて高い蓋然性を持つような具体的な行動は、派遣計画のときにそれは武力行使と一体になることはできませんと言って、派遣計画の段階でこれは決めません。
○二見委員 もう一点、別の問題で、この平和協力業務の問題の中でやはり疑念を申し上げたいと思います。 午前中、自民党の委員の方から、紛争によって生じた被害の復旧のための活動、これは災害復旧みたいなもので、これはいいことですねとマルになりましたですね。その前には、紛争によって被害を受けた住民その他の者の救援のための活動も入っている。両方ひっくるめて、これはいいことですねというのでマルになった。ただ、この条文を読みますと「紛争によって生じた被害の復旧のための活動」の中に、それではお尋ねしますけれども、例えばサウジアラビアで米軍あるいは多国籍軍の施設が破壊をされた、例えば飛行場が破壊 をされて使えない、そういう場合に、その復旧活動は、これは法文上は対象になりますね。これはいかがですか。
○柳井政府委員 この法案上は、特にどのようなものについての復旧をするとかしないとかは書いてございません。ただ、ただいま委員のお示しになったような例というのは、実際問題としては余り想定できないことではないかというふうに考えます。
○二見委員 冗談じゃない。紛争が起これば一番最初にわかる話だ。紛争が起これば一番最初に飛行場がやられ、あるいは軍の施設がやられる。一番想定しやすいケースなんだ、これは。法文上はその復旧活動に参加できるんでしょう。
○柳井政府委員 紛争になればそのような施設が被害を受けるということは、もちろんこれは当然想定されるわけでございますが、ただ、この平和協力隊の平和協力業務との関連におきまして想定しているものは、実際問題としてはそのようなものというよりはここにございますように、例えば、「へ」のところにございますが住民の救援、「ト」の方は、住氏ということは書いてございませんけれども、そのような現地の住民の方々を人道的にお助けするということが念頭にあるわけでございますから、そういうものが中心である、そういうものを考えてつくった条文であるということは申し上げられると思います。
○二見委員 「へ」の「紛争によって被害を受けた住民その他の者の救援のための活動」と、「紛争によって生じた被害の復旧のための活動」とは同じじゃないのです。「へ」の方は、これはよくわかる。何とかしなきゃいかぬな、こういうケースなんです。「ト」の場合も、何とかしなきゃならぬなというケースと、例えば飛行場が破壊されたからそれを直さなければ武力行使が継続できないから何とかしてくれという話と、二つに分かれるんだ、ここは。両方ともこれはできるようになっている。歯どめがないじゃないですか。
○中山国務大臣 今のお尋ねの点は、この法律の二条二項、すなわち「平和協力業務の実施等は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるもの」、これはできないということをちゃんと明文に書いております。
○二見委員 そうすると、軍事施設を紛争中に復旧するための活動に参画できないのは、まさに破壊された飛行場を直すということが結果として武力の行使に直接つながるという判断でできないということですね。
○中山国務大臣 今飛行場という具体的な例をお示しでございますが、例えば民間航空の飛行場が破壊された場合に、これの復旧は、協力することはしなければならないと思います。しかし、軍用飛行場等において戦闘活動に直接一体となってするようなことは、これはこの明文上できないということであります。
○二見委員 要するに、例えば軍用飛行場を復旧するということは武力の行使と一体であるという認識を外務省はしている、だからできない、こういうことですね。
○柳井政府委員 ただいま外務大臣から明確に御答弁になったとおりでございまして、私は先ほど御答弁申し上げましたときに念頭にございましたのは、戦争か終わって、そして平和になって復旧なり被災民の救援をするということに関してお答え申し上げたわけでございますが、前提がもし違いまして、戦争が、いまだ紛争が続いておる、そういうような状況で軍用の飛行場を直すというようなことは、これは武力行使と一体となるというふうにその具体的な状況によってみなされる場合があると思います。そのようなことについては、これは武力行使と一体となる、もう本当にくっついてしまっていることであるということであるならば、それはもう武力行使そのものでございますから、このようなことはそもそも行い得ないということははっきり申し上げられます。
○二見委員 それからもう一つさらに、先ほどの岡田委員の質疑の中で、武器弾薬の輸送の話と兵員の輸送の話があって、兵員の輸送は、例えば在日米軍を戦闘している現場まで運ぶことはできないという話がありましたですね。すると、輸送できる場所というのは、あるところまでは輸送は可能なんですか、これは。
○柳井政府委員 先ほど来いろいろ御議論がございましたように、この輸送の態様につきましては、武力行使と一体となるようなものは行い得ないということでございます。
○二見委員 じゃ、武力行使と一体にならないというのはどんなケースが考えられますか。
○柳井政府委員 これは、ちょっとここで網羅的に申し上げるだけの知識がございませんけれども、武力紛争が行われている場所に赴くということではなくて、例えば第三国間を輸送するというようなことは想定されると思います。
○二見委員 そうすると、とりあえず、例えば在日米軍基地にあるアメリカ軍のミサイル、戦車、これを紛争地域、まさにドンパチやっているその場所までは、これは持っていけないけれども、別のところまでは運べる、別のところまで運んで、そこからこっちへ持っていくのは別の人にやってくれ、それならばよろしいということですね。要するに、これは距離の問題ですね。ある程度紛争をしている場所からかなり離れている場所であれば、これは一体ではない、こういうことですね。 もう一つ、いいですか。もし武器弾薬なり、あるいは先ほど兵員の輸送もできるという御答弁があったんだけれども、兵員の輸送ができるとなった瞬間に、この輸送鑑が運んでいく船は敵対行為ですね、相手の国にとってみれば。その瞬間、攻撃対象になりますね。だから、武器弾薬を運ぶ、兵員を運ぶということは、第三国へ持っていくから一体ではないということではなくて、その瞬間にこれは武力と一体不可分の行為になるんじゃないですか。結果として、最後はそれは武力行使するんだから。時間の差がある、距離の差があるだけの話なんだから。距離があれば、あるいは輸送したところからこっちへ行くまでの時間の差があれば一体不可分ではないというならば、どの距離ならば大丈夫で、どの時間ならば大丈夫だ、何日、戦線に着くのが一週間前ならば大丈夫、一週間後なら大丈夫だとか、千キロ離れていればいいんだとかいう、具体的に出してください、これを。
○柳井政府委員 その点は、具体的な状況を離れて申し上げるのは大変難しいと思います。具体的な案件に即しまして、そのときの国際情勢あるいはその輸送を行う場所、地理的な関係その他を総合して判断すべきものであると考えます。
○二見委員 そんな器用なことはできない。言葉の上の私は魔術だろうと思いますが、時間が参りましたので、質問は終わります。
○加藤委員長 これにて二見伸明君の質疑は終了いたしました。 次に、不破哲三君。
○不破委員 私は、国会に提出された国連平和協力法案なるものについて質問したいと思いますが、この問題は国際的に見ますと、国連中心の平和的な解決の努力を我が国が支援をするのか、それとも大戦争の危険に連なる軍事的解決の思惑に、企てに手をかすのか、そういう重大な問題にかかわる。しかも、日本にとってみると、自衛隊の海外派兵というもう本当に日本の進路の重大問題にかかわる法案だと思います。そして、多くの国民がそれだけにこの審議に注目していると思うのですけれども、率直に言って、あのイラクのクウェート侵略が起きたときにも、十月の国会で自衛隊の海外派兵についてこんな議論がされようとは、恐らく多くの国民が考えなかったと思うのです。あれよあれよというままにここに来てしまった。海部首相自身が、八月二十九日の記者会見で自衛隊の海外派遣は考えていないと明言された。これについていろいろ言われておりますけれども、私は、そういう情勢の、日本政府の側の対応の急転換があった背景には、やはりアメリカ側のたっての強い働きかけ、要請があったんじゃないか、多くの国民がこの点について深い疑惑を持っていると思うのです。 それで、私、法案の審議に入る前に伺いたいん ですけれども、この疑惑には一定の根拠がある。政府は、日米の政府間交渉、どういうことがあったかについてほとんど発表しませんけれども、この法案の準備過程で自民党の国防三部会の六人の代表がアメリカを訪問して、この問題についていろいろ議論をされています。その結果が訪米報告書として明らかにされていますけれども、この報告書を読んでみると、アメリカの政府や議会のあるいは各界の人々が日本の国連平和協力法案について要求しているものというのは、本当に生々しいものですね。例えば、日本は生命をかけるような貢献策をしてもらいたい、同民の血であがなう貢敵が求められている、国民の命をさらす危険を負担する気があるのか、こういう言葉が次々と飛び出してくる。中には、日本が今後国民の血を犠牲にした支援ができないならば日米関係の危機はさらに深くなる、そこまで断言した米側の代表もいます。つまり、国民の血を、国民の命をということは、軍隊である自衛隊を派遣してこの中東問題に貢献せよ。まさに生々しい要求があって、それがこういう自民党の国防三部会の報告書として明らかにされているわけですけれども、政党間の交渉でさえアメリカの国防長官や国防次官補がそういうことを言うわけですから、我々が政府間の交渉でそういう要求、要請があったんではないかと考えるのは当然であります。 重ねて伺いますが、本会議でも聞いたことですが、自衛隊の派遣あるいは自衛隊の部隊の派遣についてアメリカの政府側から日本の政府に要請があった事実はないのかどうか、このことについてまず明確に伺いたいと思います。
○松浦政府委員 先生から米側とのやりとりに関し一切交渉が行われていないのかというお話がございましたけれども、ブッシュ大統領と海部総理の電話の連絡あるいはニューヨークでの日米首脳会談の概要に関しましては、その都度プレスブリーフをしておりますけれども、全体として申し上げまして、アメリカから先生が御指摘のような形で自衛隊の派遣を要請してきたということはございません。
○不破委員 首相自身に伺いたいのですが、電話のやりとりというのは首相しか御存じない部分が多いと思うのですけれども、アメリカの大統領の側から自衛隊あるいはその一部の派遣を直接要請されたり打診されたりしたことはありませんか。
○海部内閣総理大臣 そのような具体的な要請を受けたことはありませんし、私の方からも、国連の活動に対する憲法の枠内でできる行為が何であるか十分検討して協力はするつもりである、これは申しましたが、具体的なやりとりはございません。
○不破委員 ところが、自民党側の記録では、九月十二日に国防総省で、これは国家安全保障問題担当者だそうですが、ローウェン国防次官補との懇談の中でローウェン国防次官補が、ブッシュ大統領は海部首相に対し掃海艇派遣の可能性について電話で打診したということを言明しているんですね。ちゃんと記録されているんです。それで、これがもし事実でないとすると、このローウェン国防次官補が偽りを言ったのか、それともこの報告書を書かれたこの代表団の方々が言われなかったことを書いたのか、代表団六人の方々のうち三人まではこの委員会に参加されておられるようですから、私はよもやそんなことはないと思うのですが、それとも海部首相があったことについて報告をしていないのか、どちらかにならざるを得ないのですが、いかがでしょう。
○松浦政府委員 私は今の先生が引用されました自民党の代表団とローウェン次官補のやりとりは存じませんけれども、海部首相とブッシュ大統領の電話のやりとりに関しまして、私、今手元に資料を持っておりますが、恐らく今言及されましたのは八月の十四日の電話のやりとりだと思いますけれども、その中ではそういう具体的な打診はございません。繰り返しになりますけれども、米側が当初から一般的な形で日本に期待しておりましたのは、目に見える形での貢献、これは人の派遣などが入ってまいりますけれども、それと財政的貢献の二つでございまして、この最初の目に見える形での貢献という点に関しまして具体的に何をするかということは日本側で考えてほしいという基本的な態度を最初からとってきております。
○不破委員 これはやはり、あなたが総裁のもとである自民党の代表団がアメリカに行って、アメリカの政府の正式代表と懇談をした内容がいわばこういう公式の形で明らかにされている。しかも、この最後には倉成団長が日本人記者団と懇談したことが発表されていますが、アメリカ側の意見について総括して、日本が血を流すつもりはないのではないかと考えている、これがアメリカの最大の危惧だということまで言っているわけで、そういう交渉がこの法案の準備過程で現に行われており、その中ではさっき言ったローウェン国防次官補からブッシュ・海部電話会談についての報告まである。 こういう事実がある以上、今度の海部さんの自衛隊の派遣は考えていないという八月二十九日発言からこの国会への自衛隊派遣を中核とする国連平和協力法案なるものへの転身は、少なくともその重要な要因としてアメリカ側の圧力があったと考えざるを得ない。私は、この問題は自民党の党内のことですから、はっきり調べられて、後でしかるべきときに間違いなら間違いとはっきりしてもらいたいと思いますけれども、こういう経過の中で、もし外国の要求の前に日本の自国の憲法上の制限を踏み破る、義務を投げ捨てる、そういうことがあるとすれば一国の首相として許されないことだということをまず最初に申し上げておきたいと思うわけであります。 続いて、この法案の中身について入りますけれども、私は、今度の政府が提出した国際連合平和協力法案なるものは、全く違った二つのことを混同させて、それで国民を惑わす、そういう組み立てになっているということをまず最初に指摘したいのです。 第一条「目的」は、この法律は、少し略しますけれども、国連の平和維持活動その他の活動について協力を行うものだとしてある。ところが平和維持活動、いわゆるPKOと言われているものは、戦争や内戦が事実上終結をした段階で行われる活動です。しかも、それに関連したすべての関係国が同意のもとに行われているのがいわゆるPKO、国連の平和維持活動です。だから、今の中東の問題でいえば、イラクの問題がほぼ解決をしてイラク自身も同意をして行われるのが国連平和維持活動であって、我々が今問題にしている湾岸危機への対応がそんな段階のものでないことは明瞭なんですね。それで、今我々が審議している湾岸危機への対応というのは、この「目的」からいえば「その他」の中に入っている。しかも、それが平和の解決や維持ではなしに、まさに先ほどからずっと議論されているように戦争協力、軍事協力そのものだ。だから私は、そういうときに全く性質の異なる、紛争が事実上終結した段階で関係国すべての同意のもとに行われる国連平和維持活動なる概念を真っ先に持ち出して、さもそれをやるための法律であるかのように言うのは、全く国民に対して、国民を惑わすものだと言わざるを得ないと思うのです。 〔委員長退席、西田委員長代理着席〕 それで、イラク問題に対する対応について言いますと、現在は、もうこれも改めて私が国連決議を繰り返すまでもありませんが、イラクに対して経済制裁を徹底する、それによってイラクを追い詰める、クウェートから撤退させる、人質を解放させる、そしてクウェートの主権を回復する、こういう国連が掲げている目標を経済制裁の徹底という手段で解決をする、これが今国連がとっている基本方針であることは、これはだれもが否定をされないと思うのですね。 それで、政府はその国連決議の実効性の確保ということをよく言われますが、問題は、この経済制裁をいかにして効果的に、そして抜け穴なしにやるかということにある。その点で、私は本会議で、多くの大国、例えばソ連がたくさんの軍事要員や経済要員を今なおイラクに残して、そしてイ ラクの軍事活動、経済活動を援助している、そういう問題がある。あるいはイギリスでは、イギリスの多数の企業が軍事施設の建設を含むプロジェクトに参加していて、これについて企業の代表はイギリス政府の指示のもとにやっているんだと公然と言っている。アメリカについても、アメリカがブラジル経由で核の技術とかミサイル情報とか、そういうものを流している。こういう状態で一体アメリカが世界に対してイラクの経済制裁協力と言えるのか。アメリカのニューヨーク・タイムズなどで告発されている問題を挙げました。 こういう安全保障理事会に席を占めて経済制裁の決議に責任を負っている諸大国が、いまだにこういう経済制裁の脱法的な抜け穴行為をやっている。これは明瞭な事実であり、それぞれの国で当局者が認めたり、あるいはそれぞれの国の代表的なジャーナリズムが告発をしたりしている問題ですが、この問題について政府はどのように認識をされ、どのように経済制裁決議の実効性あらしめるために努力をされているのか、この点を伺いたいと思うのです。
○赤尾政府委員 国連決議六百六十一号のイラク・クウェートに対する全面的経済制裁決議の実施状況につきましては、安保理事会のもとに監視委員会が設けられまして、その監視委員会が実行状況を監視しているという状況でございます。万一そういう制裁違反のような情報がある場合には、そこに報告されて、監視委員会でチェックを受けるという状況になっております。
○不破委員 例えば私はここにソ連政府のイズベスチャを持ってきておりますが、これはイズベスチャの十月九日号です。この間ソ連の特使の一人としてイラクに行ったべロウソフ副首相のインタビューが出ています。このインタビューの中には、まだソ連の要員はイラクに五千人残っている、いろいろな活動をやっている、そして、それでインタビューする記者がそれは国連決議違反にならないのかと質問したら、この場合、問題は何らかの設備や資材のイラクへの供給ではない、つまり、イラクの中にある資材だけを利用しているんだから何をやっても違反にならないんだということを公然と書いているわけですね。五千人を超えるメンバーですよ。 それで、ついでに言えば、西側諸国を含む他の諸国の会社も、イラクにおける施設の建設の契約義務を果たし続けている。あれだけ国連で経済制裁はといって、経済面でいわば侵略を押しとどめようとして懸命になっているのに、決議をやった大国が、輸出入さえしなければいい、イラクの国内の資源さえ使えば、軍事施設の協力をやっても、軍事要員の訓練をやっても、経済建設で戦力を強めても、何をやってもいいんだと公然と言われているわけですね。その中には、西側諸大国の企業もやっていますよということが公然と指摘されている。 それからついでに言えば、イラクには現在ソ連の要員が、契約済みの者がいて、みんな帰りたいらしいんですね。帰りたい者を残らせるために、十月一日から残っている者には賃金を二割引き上げて、そういう措置までとって足どめをしているという記事が、これはトルードというソ連の新聞に出ていました。そういう状態が現に安保理事会に席を置いている常任理事国である大国によってやられており、例えばこれはイギリスのファイナンシャル・タイムズという新聞ですが、この中にはイギリスのそういう行為が告発されています。これはニューヨーク・タイムズですが、ニューヨーク・タイムズでもアメリカの行為が告発されています。 そういうことにこそ日本の政府が本当にイニシアチブを発揮して、国連がどこかで監視していますから結構ですというようなだらしないことじゃなしに、そういう点でこそ日本の経済大国としての権威を大いに活用して、ぴっしりした経済制裁をやれ、脱法があったら新しい決議をやってそういう脱法ができないようにする、それぐらいのイニシアチブをとってこそ本当に国連中心主義の外交と言えるのじゃないでしょうか。これは総理に伺いたいと思うのです。
○赤尾政府委員 まず、私の方から事実関係だけ御説明いたします。 先ほど申しましたように、何らかの違反の情報がありますと、直ちに国連の安保理事会のもとに設立されております制裁監視委員会にまず情報が来まして、そこでチェックする体制になっておりますけれども、それとは別に、例えばOECD加盟国の間におきましては、決議成立直後から関係国の間で輸出入の禁止その他の手続等につきまして緊密に連絡をとり合っております。それとは別にまた、東京ですとかワシントンですとかロンドンとか、二国間ベースあるいは数カ国が集まりまして、制裁の実施を確保すべく具体的な問題につきましていろいろと話し合っております。
○不破委員 私は日本のことを聞いているのですよ。どこかでやっておりますと言っても、国連はそういう諸大国が中心になっているわけですから、自分で自分のぐあいの悪いことはやらないのです。だからこそ、日本が外交面で、そういう面でこそイニシアチブを発揮すべきだ。それは外交の信念にかかわることですから、総理の答弁を求めます。
○海部内閣総理大臣 これは本会議でも不破委員から同じ御質問がありましたので、あのときお答えしたと思いますが、今回の一番の大事なことは、国際社会で皆が力を合わせて経済制裁の効果が上がるように努力をしていかなければならぬという点にあることは、これは事実でございます。 ただ、今おっしゃったように、ソ連はまだイラクに五千人残ってやっておるわけですか、協力を。——いや、ちょっと待ってくださいよ。とおっしゃるし、それからアメリカはブラジル経由で核の技術を流しておるとおっしゃいますけれども、そういうことになれば、これは経済制裁がそこで、何というのでしょう、緩和されてしまうというか、イラクにとってはイラクのプラスになるようなことになるわけです。皆が力を合わせてやっていかなきゃならぬというときに、そんなことが本当であるとするなれば、これは早速日本としても、それが事実であるとするなれば、よく調査をされて、国連が決めた決議でありますから、決議の実効性を高めるために国連の事務総長にしかるべきこういった情報を提供して、これは何らかの措置をとる必要があるではないかということを、日本の意向として伝えてもらいます。
○不破委員 イギリスの問題については、私は本会議でも言ったのですが、ファイナンシャル・タイムズの九月七日付に告発が出ています。アメリカの問題については、ニューヨーク・タイムズの九月八日付に告発が出ています。それから今のソ連のイズベスチャは、イズベスチャの十月九日付のインタビューです。恐らく外務省は、翻訳家がたくさんおられるのでしょうからこういう新聞に目を通していると思いますけれども、やはり総理が約束されたように、こういう面でこそ本当に国連決議の実効性ある活動をしてもらいたい。ところが、我々が見るところでは、そういうところにはほとんど目を向けないで、公式のそういう政府当局の発表にも目を向けないで、専ら実効性でいえば多国籍軍だ、多国籍軍に協力するのが国連の経済制裁決議への協力だというように傾いているのが、私は率直に言って今の政府の対応だと思うのですね。 それで、この問題で言いますが、多国籍軍への協力が国連への協力だと言われるけれども、国連は第四十一条に基づく経済制裁は決めているが、第四十二条に基づく軍事的制裁を決めたわけでもないし、それに基づいて軍隊の出動を各国に要請したわけでもありません。今多国籍軍と言われる中で、国連の要請に基づいて出動したと言える軍隊があるかどうか、伺いたいと思います。
○柳井政府委員 一連のイラク関係の決議につきましては、ただいま委員御指摘のとおり四十一条、その前に三十九条の侵略の認定がございますが、四十二条の軍事措置の決定ではございませんで、四十一条の経済制裁措置の決定があるわけでございます。そして、このいわゆる多国籍軍は、 イラクのクウェートからの即時無条件撤退を求める決議六百六十の実効性を確保いたしますとともに、六百六十一の経済制裁措置の実効性を確保するという二つの面があるわけでございまして、これは決議そのものにそのような規定があるわけではございません。この点も御指摘のとおりでございます。したがいまして、これらは加盟国がその判断によりまして、これらの決議の実効性を確保するために兵力を展開しているということでございます。 他方、ペルシャ湾の洋上兵力の活動につきましては、経済制裁措置の厳格な実施を確保するために、安保理の権威のもとに必要とされる一定の措置をとることをこれらの兵力を展開しておる各国に要請する安保理決議六六五というのがございますが、これにつきましては、この六六五に基づいて洋上兵力の活動が行われている、臨検等の活動が行われているということが言えると思います。 ただ、いずれにいたしましても、根本にはイラクの侵略というものがあって、これを安保理が侵略である、平和の破壊であるということを認定いたしまして、したがいまして、これは単なるイラクとクウェートの二国間の紛争ではなくて、イラク対世界、イラク対国際社会の紛争の問題である、これに対して国際社会が一致して圧倒的多数の支持を得て制裁を加える、その形は経済制裁措置等に対する実効性の確保という形で行っているというのが現状であると考えます。
○不破委員 長い説明でしたが、要するに国連決議に基づいて出動した軍隊はいない、それから、その出ている多国籍軍の国連決議との接点も六百六十五号決議の一点だということなんですね、大体要約すると。できるだけ要約した答弁を求めたいのですけれども。 それで、そうしますと国連決議と多国籍軍の接点がそれだとなると、これから首相も言うように多国籍軍、米軍がどういう展開をするのか、どういう行動をとるのか、これはだれも予測がつかないわけですね。予測がつかないすべての行動に関して、政府はもう多国籍軍だから何でも支持するという立場をとるのですか。
○柳井政府委員 要約までしていただきまして大変恐縮でございますけれども、接点ということで申しますと六六五、一点というよりは、やはりこれらの決議全体に実効性を与えるということであろうと思います。 そして、我が国としてどういうものに協力するかという点でございますが、この法案との関係で申しますと、もとより、何らかの国連の決議があって、それに基づくかまたはこれに実効性を与える、そういうような国際平和維持活動に対して協力するということでございますから、この法案との関係で申しますと、決議がなければここで書いてある協力業務は行わないという関係になるわけでございます。また決議がある場合にも、我が国が自主的に判断いたしまして、どのような活動に協力するかということをこの法案で書いてあります一定の慎重な手続の中で決めていくという関係になるわけでございます。
○不破委員 そうすると、米軍が仮にこれから攻撃的な軍事行動をとった場合、国連の新しい決議がなければそれには協力しないわけですね。
○柳井政府委員 多国籍軍は先ほど申し上げましたような決議の実効性を確保するために展開しておるものでございますが、これまで総理も何度か御答弁されておりますように、政府といたしましては、このような多国籍軍が武力行使を行うような事態に至ることなくイラク問題の解決が一日も早く実現されるよう、中東貢献策の一環としていろいろな協力をやっているわけでございます。 そして、今御指摘の問題でございますが、このような多国籍軍が新たな国連決議が行われないにもかかわらず武力行使を行うようなことがどういう状況のもとで起こるのか、現時点で一概に予見することは難しいと思います。ただ、あえて仮定の問題にお答えいたしますとすれば、純粋に法理論の観点から申し述べれば、そのような多国籍軍による武力行使が国際法上正当化されるのは、その具体的状況によりますが、国連憲章の認める個別的または集団的自衛権の行使というものに該当する場合に限られるというふうに考えます。 そこで、そのように多国籍軍が自衛権を行使して武力行使を行うに至った場合には、そのような武力行使は累次の安保理決議に根拠がなくて、国連決議を受けて行われる諸活動に対する協力を定めた国連平和協力法に基づく協力の対象とはなり得ないのではないかという御趣旨かと思いますが……(不破委員「あなたが言ったのですよ、新しい決議がなければと」と呼ぶ)ああ、そうですか。もし間違っておりましたら御指摘いただきたいと思いますが、そのような場合にどういう協力がなし得るかという点につきましては、次のように考えております。 多国籍軍が自衛権の行使を余儀なくされるような状況にはさまざまな状況がございますが、多国籍軍が武力行使を行っておりましても、多国籍軍が決議六百六十または六百六十一の実効性確保に引き続き貢献しているという事態が継続している場合もあり得ようと思います。そのような場合には、多国籍軍による国連決議の実効性確保の延長線上にあると思いますので、この平和協力法に基づく平和協力業務等の協力を行うことは同法上可能でございます。 ただ、いずれにいたしましても、武力行使を行っている多国籍軍に対して我が国が国連平和協力法に基づく協力を行う場合、我が国の協力は、この法案第三条二号に列記されている「平和協力業務」、または第三十条に定める物資協力に限られるわけでございまして、このような協力は武力の行使に当たるものではございませんが、これらがもし武力行使と一体となるような態様になれば、それは従来から御答弁申し上げているように、これはできないということでございます。
○不破委員 あなたはさっきは、武力行使が行われるときには恐らく新しい国連決議が行われるでしょう、それに基づいて判断しますと言ったのですよ。ところが今度は、武力行使が行われて、国連決議がなくたって今までの決議で解釈できるときはあるんだと、全然違う答弁なんですよ、それは。また長答弁やるつもりですか。
○柳井政府委員 簡潔にお答え申し上げます。 恐らく武力行使が行われるような事態になれば何らかの新しい国連決議が出ると思いますが、ただ、先般参議院の予算委員会で上田先生より御提起になりましてこの議論がありましたものですから、私はそのような新しい決議がない場合にどうかという御指摘かと思ったわけでございます。
○不破委員 ここは大事な点でして、これは時間がないから、参議院と違って座っていてもこれはいきませんので、政府の見解は明確にしてもらいたいんですがね。新しい武力行使が行われる場合には新しい国連決議があるだろうと恐らくみんなそう思っているわけですよ。ところが、実際には条約局長の解釈だとそうでない場合もあるんだ。これは今世界で大問題になっているのですね。 実は、この国会で十六日にこの審議が始まりましたが、本会議が始まりましたが、同じ日にアメリカで上院の外交委員会があって、それが大問題になっているのです。アメリカが攻撃的な軍事行動に出るときに、せめて共和党、民主党の指導部には事前に協議してもらえないかということを議会側から要求したところが、国防長官の答弁は、必ずしもそうはいきかねる。つまり、アメリカの議会の了解すらなしに攻撃的軍事行動が行われる場合があるんだということを、あの我々が討論を始めた十月十六日にアメリカの上院で議論されているのですよね。ですから、この点は政府の見解を、今すぐでなくてもいいですから、改めて用意をして明確にしてもらいたい、ポイントの一つですから。 それで、そう処理していただいていいですか、委員長。
○西田委員長代理 後から相談をいたします。理事会で相談します。
○不破委員 じゃ、次に進みますが、それで今も条約局長がこの業務の範囲内ということを盛んに 言いましたけれども、業務に入ります。 輸送の問題ですね。これは武器、弾薬、兵員を含むんだということは答弁がありました。それから通信も、これも先ほどの討論で軍事的な通信も、頼まれるかどうかはわからないけれども、法律上は禁止されていないということが明らかになりました。その次に「機械器具の据付け、検査若しくは修理」という項目がありますが、これは武器や軍事施設を含みますか。
○柳井政府委員 輸送の問題につきましては、(不破委員「それはもういいです」と呼ぶ)よろしゅうございますか。(不破委員「だから機械器具です」と呼ぶ)さようでございますか。ただ、輸送の問題につきましても、武力行使と一体になるようなものはできないということも申し上げておるわけでございます。 機械器具の設置につきましてはいろいろなものが考えられるわけでございますけれども、私どもといたしましては、武器の据えつけというようなことは想定しておりません。
○不破委員 想定していないという答弁は困るのですよ。法律なんですからね、これは。想定していない人がたまたま条約局長をやっている場合と、想定している人が条約局長をやっている場合と、中身が変わったのでは困るのです。この法律が条文上この機械器具の中に武器を含んでいるのか、排除しているのか。
○中山国務大臣 お尋ねの、直接武力行使にかかわるような関係の兵器の据えつけ等には一切協力をいたさないということでございます。
○不破委員 武力行使にかかわる兵員と武器弾薬は輸送できて、据えつけはなぜできないのです
○中山国務大臣 据えつけは武力の行使と一体となるからでございます。
○不破委員 一体という概念が法律に全くない概念なんですね。輸送は一体でない、通信も一体でない、据えつけは一体になる。軍事施設というのは後方にも相当あるのですよ。しかし、これはまあいいでしょう。 機械器具の中には軍事施設は一切含まれないと確認していいですね、これは。また下克上ですか。
○柳井政府委員 そのようなことはいたしません。 この条文につきましては、機械器具只の定義があるわけではございませんが、ただ、先ほど大臣もおっしゃられましたように、機械器具の据えつけ、武器の据えつけというようなことになりますと、武力行使と一体になるような事情が非常に多いであろうと思います。そういうような観点から、この機械器具の中にはそのようなものは含めないで運用していくということを考えているわけでございます。
○不破委員 念を押しますが、運用なんですか、この法律上の定義なんですか。法制局長官の方がいいかもしれないですね。法制局長官、この中に軍事施設が含まれないというのは運用上の態度なんですか、それとも法律上の規定なんですか。
○工藤政府委員 お答え申し上げます。 まず、機械器具ということを一般的に申した場合には、その中には今のようなものは含まれるということはまずあろうかと思います。ただ、「機械器具の据付け、検査若しくは修理」、こういうことが先ほど来話に出ておりますように、武力行使と一体となるような機械器具の据えつけあるいは機械器具の検査ということになりますれば、むしろここで入る入らないという議論とは別に、二条二項におきまして、そういうものは「当たるものであってはならない。」こういうことでございますから排除される、法律的にはこういう関係になろうかと思います。
○不破委員 もう一遍聞きますけれども、法制局長官ちょっと……。そうすると、武器、弾薬、兵員の輸送は第二条二項にはかかわらなくて、据えつけと修理はかかわるのですか。
○工藤政府委員 法律案の三条二号のニですが、輸送のことが出てまいります。そこにおきましても、輸送という抽象的な概念でございましたら、その武器、弾薬、兵員等の輸送も、そういう意味でこの中に入っていない、ここで排除されているということではございませんけれども、当然二条二項の規定とあわせ読みますれば、武力の行使と一体になると考えられるものはこの中から排除されるという説明が適当か、あるいは二条二項で当然そういうものはやってはならない、こういうこと……
○不破委員 さっきの外務省の答弁では、武器弾薬の輸送は入っているのですよ。よくわからぬのですが、輸送の中に武器、弾薬、兵員は入るというのが今までの政府答弁でしょう。今の法制局長官の答弁では入らないという答弁ですね。
○柳井政府委員 念のために私の方からさきに御答弁申し上げたことを確認させていただきます。 輸送に関していろいろ御議論がございました。そして私は、その対象には特に限定はない、したがって武器弾薬等も入る、この三条二号の規定上は入る、しかしながら、これが武力行使と一体となるような場合には、これは武力行使そのものでございますから、ただいま法制局長官から御答弁ございましたように、二条二項の方で排除される、つまり、これはこの法律上そういうような輸送はできないということを申し上げた次第でございます。 据えつけにつきましても同じことでございまして、そのような場合には、そういうことをやる考えはございませんけれども、いずれにせよ、そういうものはこの法案上はできない、武力行使と一体となるようなものはできないということでございます。 ただ、輸送の場合には、いろいろそういう武力行使と一体とならないような輸送も考えられるわけでございまして、そのようなものはできる、こういう関係でございます。
○不破委員 政府はよく第二条二項を持ち出してきて、武力による威嚇または武力の行使に当たらないんだということが制限になっていると言われますけれども、実は輸送にしたって、現在中東に展開している多国籍軍は抑止力だというのは、これは武力によって威嚇しているわけですよ、事の是非にかかわらず。それから、これが発動すれば武力の行使なんですよ。だからそれを輸送する、あるいは後方支援する、通信で支援するということは、やはり武力による威嚇に加わることなんですね。一体であることは、肩を並べなければ一体にならないというものじゃないですね、これは。だから私は、この第二条二項で本気で縛るのだったら、そういうような武器、弾薬、兵員の輸送とか軍事にかかわることは一切できなくなるというのが当然の解釈だし、これは憲法の制約にも合致していると思うのです。 それからまた、もし米軍が直接軍事行動を起こして戦争が始まったというときになれば、これはまさにそのすべての行為が戦争行動、武力の行使についての支援行動になるわけですね。これは今のどんな戦時法規をとってみたって、あるいは戦前の我が帝国軍隊の統帥綱領なんというものがありますけれども、どれを見たって最も重要な軍事行動なんですよ、兵たんというのは。だから、明らかに相手側から見れば敵性国の戦争行動になる。そういうことに関して、この平和協力業務なるものの名によって、戦争行動になるものがずっと挙げられている、これが今の一番の問題だと思うのですね。 それで、私はちょっとここで一言言っておきたいのですが、よく冷戦の終結と言われます。しかし、冷戦が終結したと言うけれども、実際には冷戦の産物であった軍事ブロックは、解体に向かいつつあるのはソ連の側だけなんですね。アメリカの側は軍事同盟を維持していて、それでむしろ、いろんな地方にトラブルがあったら、世界の憲兵、世界の警察として行動するために軍事同盟を再編成しよう、これはアメリカの公然とした政策になっているわけです。だから私は、イラク問題に対処するときに我々は考えなければいけないのは、このイラクの侵略を本当に平和的な手段、 国連が決めた経済制裁手段で追い詰めて解決することに力を尽くすことと、それから今アメリカは公然と、世界の憲兵論というのはイラクが起きる前から言っているわけですから、世界の憲兵論に基づいて、今までやれなかった日本の軍事同盟的協力をよりやろうと引っ張り出そうとしている方向と、これは十分両面から吟味して対処しなければ、えらいとんでもない誤りを犯すことになる。それだけに、今度の国連平和協力法案なるものの条文の解釈は、そのときどきの執政官の、政府やあるいは本部長になるかどうか知りませんけれども、判断に、良識に任せるんではなしに、条文上これがいかに厳格に何が許されて何が禁じられているか、これを本気で審議しなければならない。そういうつもりで、ちょっと今後の条項についても少し立ち入るかもしれませんけれども、伺っていきたいと思うのです。 それでまず第一に、そういうことで政府が多国籍軍に協力するとなったら、協力隊を派遣することになる。この協力隊の規模はそのときどきに決めると言われますけれども、法律の条文上は、これ以上の規模になってはいけないという上限が何か規定がありますか。 〔西田委員長代理退席、委員長着席〕
○赤尾政府委員 平和協力隊の規模につきましては、第十七条と二十八条に規定がございまして、まず第十七条におきまして、総理大臣の発意または外務大臣の要請に基づきまして、本部におきまして実施計画を策定いたします。その実施計画の中に平和協力隊の規模及び構成等も盛られることになっております。これが閣議に諮られまして決定をされた段階で、その人数が協力隊の定員ということになります。任務を終わりましたら、その協力隊は直ちに解散いたしまして、その分定員がなくなるということになります。
○不破委員 やはり質問していることをちゃんと聞いて、それに対する答えをしてほしいんですよ。あなた以外の人が全部わかっているんだから。法律上の上限があるかと言って、ないわけでしょう、これは。あるかないか、それだけでいいんですよ。
○赤尾政府委員 法律上の定員はございません。政令で定めることになっております。
○不破委員 そういう調子で頼みますよ、これから。 それから、協力隊の装備ですが、小型武器がずっと議論をされてきました。それで、小型武器というのは護身用の武器で、けん銃、小銃だという概念はほぼ確定したと思います。そう理解していいと思うのですが、しかし、この法律を読みますと、小型武器を協力隊に貸与できるということが書いてあるだけで、小型武器以外の武器を協力隊は持ってはいけないという条項はどこにもないんですね。小型武器を超える中型あるいは大型の武器を協力隊が持ったら、これは法律違反になりますか。
○柳井政府委員 二十七条に小型武器の貸与等に関する規定があることは御案内のとおりでございます。そこで、この二十七条の趣旨は……(不破委員「いや、二十七条はわかっていると言ったんですよ。小型武器以外の武器を持ったら法律違反になるかと聞いているんですよ」と呼ぶ)はい、この小型武器は護身用ということに限られるわけでございますから、その意味で平和協力隊員は、これ以上のものは持てないということになっております。ただ、自衛隊から参加する部隊については、これは別途でございますが、いずれにいたしましても、二条の二項で「武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。」というふうに平和協力業務の限界が決めてありますから、これは二十七条は護身用という考え方で、それに限るということでございます。
○不破委員 今部隊は別と言いましたが、部隊の武器の上限は何ですか。局長、部隊が持てる武器の上限は何ですか。将来の本部長でもいいですよ。将来想定されておる本部長の答弁でもいいですよ。
○柳井政府委員 自衛隊の輸送に使います船舶等の武器の問題につきましては、防衛庁の方からお答えいただきます。 いずれにいたしましても、この個人の隊員は……
○不破委員 あなた今部隊は別個だと言ったのですよね。だからその別個の上限はどこにあるかという質問です。
○柳井政府委員 この点につきましては、防衛庁の方からお答えいただきたいと思います。
○藤井(一)政府委員 平和協力隊に参加いたします自衛隊の武器の使用につきましては、自衛隊法九十五条という規定がございまして、それに基づきまして、自衛隊の保有する船舶、航空機が破壊されたりすることを防ぐために武器を保有し使用することができますが、これは警察権の行使としてのものでございますので、いずれにいたしましても、小型のもの、武器でございます。
○不破委員 そうすると、部隊も小銃、けん銃の範囲なんですね、小型武器だというと。いいですね、部隊も小銃、けん銃の範囲なんですね。
○柳井政府委員 私の方からまずお答えいたします。 陸上自衛隊の方が持たれる武器につきましては、けん銃と小銃に限ることにしております。
○不破委員 どうしてそうばらばらに言うのですか。部隊は別だと言って、それでけん銃、小銃に限るんだったら、別じゃないでしょう。あなたはさっき部隊は別だと言ったでしょう。だから部隊の上限は何かと聞いているのですよ。
○柳井政府委員 陸上については同じでございます。部隊と申しましたのは、船舶、航空機のことを念頭にして申し上げたわけでございます。これにつきましては、防衛庁の方から答えていただきます。
○藤井(一)政府委員 自衛隊の参加いたします部隊、船舶、航空機等が持ち得ますものは、自衛隊法九十五条に基づきまして使用の権限が許されたものでございます。その場合、船舶につきましては、機関銃、小銃、けん銃、散弾銃を積んでおります。
○不破委員 さっき隊員については小型武器だ、部隊については機関銃までだと。それは一体どこに法律上の根拠があるのですか、この法律では。今の政府の判断ですか。それともこの法律のどこに根拠があるのですか、その制限についての。
○藤井(一)政府委員 自衛隊の部隊等が平和協力隊の行う平和協力業務に参加する際の武器携行について、これを直接制限する明文の規定は設けてございません。ただし、武器を使用いたします使用権限の規定が、先ほど来申し上げております九十五条でございます。これは警察権の行使の範囲内にとどまるものでございますから、おのずから小火器にとどまるものであるということを再三御答弁申し上げておる次第でございます。
○不破委員 たしかきのうの答弁で防衛庁側から、業務の性格からおのずから武器の性格が決まってくるという答弁がありましたね。例えば自衛隊の陸上で言ったら、輸送に当たるものは何の部隊ですか。輸送任務が、もし将来会議が設置されて、それで本部長から輸送を引き受けてくれと言われたとしたら、どういう部隊が参加しますか。
○中山国務大臣 補給艦と輸送機でございます。
○不破委員 なぜ補給艦を使うのかがわからないのですよ。補給艦というのは、軍艦に対して燃料や糧食やいろいろな必要な物資を補給するものでしょう。それで、わざわざ海の上で相手の軍艦に対して物を積み込めるように、給油のパイプやら特別の施設やら内部の移送装置やらをつくった世界でも有数のものですよね。その軍艦に対して物を補給するものを、陸揚げ装置は持っていないのですね、なぜ使うのですか。普通、海上自衛隊が物を輸送するとしたら、例えば今の演習でも四国から北海道へよく運んでいますが、補給艦なんか使わないでしょう。輸送鑑を使っているじゃありませんか。なぜ補給艦を使うのですか。
○藤井(一)政府委員 確かに自衛隊には補給鑑のほかに輸送鑑というものがございますが、これは非常に小型でございまして、しかも上陸用舟艇み たいなものでございますので、とても今回の御要請に応ずるような性格のものではございません。したがいまして、再三、先ほど外務大臣からも御答弁ございましたように、今回我々が輸送に使うというふうに考えておりますのは補給艦のみでございます。
○不破委員 自衛隊が持っている補給艦というのは高速補給艦といって、アメリカでもたしかまだ五隻ぐらいしかないやつでしょう。それで、日本の自衛隊はアメリカに次いで四隻持って、世界で有数なんですね。あと持っている国はソ連だけですよ。ソ連が一隻。それで、この補給艦は太平洋の演習のリムパックにまでおととしから行っているわけですね。専ら軍艦に対する補給なんですよ。それで、アメリカがその数隻しか持っていない補給艦で一体サウジアラビアに物資の輸送をやっておりますか。輸送鑑でやっているんですよ、みんな。だから、わざわざ補給艦を使うということを考えるとすれば、浜辺に物を揚げる輸送船だったら、船首が観音開きになって、兵員でも物資でもおろせるわけですが、そういう装置を一切持っていない補給艦を、軍艦に対して、護衛艦に対して、これは護衛艦随伴艦ですよ、それをわざわざ使うということになると、どうもこれは護衛艦を将来運ぶつもりがあるのか、あるいは第七艦隊の補給を専ら引き受けるのかと考えざるを得ないのですが、あえて補給艦を輸送に充てるというのはどういう構想なんですか。
○藤井(一)政府委員 あくまで私ども自衛隊が参加をいたしますのは、本部長からの御要請に従って参加をするものでございますが、その際に、輸送の任に当たれる大きさということを考えますと補給艦しかないということを再三申し上げているわけでございます。
○不破委員 補給艦の中は非常に複雑な装置になっていまして、単純なものを輸送するのには都合よくできていないんですよ、これは。それから積み荷、積みおろし。だから、ほかにないと言ったって、輸送艦をちゃんと持っているのに、なぜ輸送艦を言わないかというと、輸送艦には機関砲が装備されておるからですよ。だからここで言えないわけで、この業務の性質に即してと言うんだったら輸送艦が当然なんだが、輸送艦と言ってしまったら、小銃、けん銃までしか持てないという答弁が成り立たないから、無理に補給艦をここで引っ張り出してくる。私はここら辺に、本当に政府の裁量いかんで、明文上の規定がないわけだから、このものには。どんな装備ができるかということは平和協力会議で決める実施計画の中に入っているわけでしょう。その実施計画を決める平和協力会議なるものには法律上何の制約もないわけですよ。だからこんな、まさに装備について無制限な法律だと言わざるを得ないと思うのですね。 それで、次に進みますが、今度は、海上保安庁の船舶を利用するという条項がありますが、海上保安庁のどんな船を使うつもりですか。
○丹羽政府委員 お答え申し上げます。 基本的には海上保安庁の巡視船を使用するつもりでおります。
○不破委員 さっきの防衛局長の話だと、小さいものじゃ無理なようですね、派遣するのに。中型、大型の巡視船が何隻ありますか。
○丹羽政府委員 海上保安庁の巡視船につきまして、中型、大型というのがどこまで当たるかというのはいろいろな考え方があると思いますが、仮に私どもがつけておりますPL型、PM型ということで考えてまいりますと、PL型が全部で四十七隻、それからPM型が四十七隻でございます。 なお若干、先ほどの御質問につきまして単純にお答えしましたものですから、真意が伝わらないといけませんので申し上げますが、海上保安庁の巡視船を輸送に使うというつもりではございません。
○不破委員 海上保安庁の巡視船の一番大型のものは、私の調べですと十隻あって、十隻全部四十ミリ機関砲、二十ミリ機関砲、三十五ミリ機関砲で武装していますね。それから、今言われたPLという大型巡視船は、三十七隻あるうち三十六隻が四十ミリ機関砲、二十ミリ機関砲で武装しています。それから、中型PMも、三百五十トンですが、四十二隻のうち四十隻が二十ミリ機関砲で武装しています。こういう巡視船を今度の平和協力隊に協力を求められますか。
○赤尾政府委員 三条二号の「平和協力業務」がいろいろとございますが、その中に被災民の救済等がございまして、主として平和協力本部の……(不破委員「武装の話ですよ、どんな任務であろうが」と呼ぶ)依頼します任務のことでございますね。私は今、どういう仕事を頼むのかというふうに理解しましたものですから私が出てまいりましたけれども、考えられる業務といたしましては、例えば被災民の巡視船による救済でありますとか、傷病者に対する救急医療活動、あるいは沿岸国への搬送等の業務が考えられます。
○不破委員 答弁する人は、質問がわかる人に立ってもらいたいですね。海上保安庁といったって、巡視船は圧倒的部分が、中型以上は武装しているのですよ、二十ミリないし四十ミリの機関砲で。その機関砲を持った船を協力隊にそのまま動員できますかということを聞いているのですよ。だれか、やはり将来の本部長、答えてくださいよ。
○柳井政府委員 輸送ということではございませんけれども、海難救助等に海上保安庁に御協力いただくわけでございますが、その際、そのような装備を持った船を使うということを考えているわけでございます。そのような場合にそれを取り外すというようなことは考えておりません。
○不破委員 そうすると、ほとんど使える船はないんですよ。わざわざ海上保安庁を動員して、船舶を動員すると言っても、原則非武装とあなたは言われるけれども、原則非武装の巡視船なんてほとんどないんですよ。そういうことをほとんど担当者が理解もしないままつくった法律だとすれば、私は、本当にこれが将来運用の中でどれだけ肥大化するかということを恐れをなしますね。 それから次に、もう仕方がないから進みます。 今度は、次の問題は、自衛隊員が平和協力隊に参加を求められる。求められた自衛隊員は、それを拒否する権利はありますか。
○石川国務大臣 その要請が、法の精神といいますか、それに合致しているものである以上、私は、拒否はできないのじゃなかろうか、かように思います。
○不破委員 そうすると、例えば自衛隊員が個々に上級から行きなさいと言われても、それからその自分が属している部隊が派遣部隊に充てられても、これはもう拒否する自由はないわけですね。
○村田政府委員 お答えいたします。 この平和協力業務に参加するという任務が今回の法案によって認められますと、それは自衛隊の業務ということになりますから、派遣を命ぜられた者は、命令によって参加するということでございます。
○不破委員 自衛隊の業務だから命令に従う義務があると。そうすると、平和協力隊に入っちゃったら自衛隊法は有効なんですか、そのもとで。そのときから停止されるのですか、自衛隊法の拘束は。
○村田政府委員 これは法案によって、自衛隊員と平和協力隊員の身分をあわせ有するというふうに規定されておりますので、両方の規定が適用になります。
○不破委員 それから、この法律には、関係行政機関が協力を求められたら、関係行政機関の要員も派遣することになりますね。それで、例えば関係行政機関のある省庁とかある機関のトップとそれから平和協力隊本部が相談して参加しようということになったときに、それで派遣を命ぜられた公務員は拒否する自由がありますか。
○赤尾政府委員 まず、本部長から派遣の要請を受けました関係行政機関の長は、業務に支障がない限りにおいてこの要請に応ずるということになっております。その場合に、その長によって出向を命ぜられた職員はその命令に従うことになります。
○不破委員 だから、これはまさに本当に徴兵みたいなものですよ。自衛隊は命令で派遣する、それからそれに協力する文民もいわば軍属として強制命令で派遣される。まさにこれは、もうそれだけ見ても戦時の再現じゃありませんか。それで、これが民間への協力という要綱もある。民間は自由意思だと言うかもしれないけれども、ある企業が、企業のトップが協力を約束して、その企業の社員がそのトップの、上からの命令を受けるか受けないかとなったら、これはやっぱりこの社内の業務命令ですからね。平和協力隊本部の動員令というのは、そういう形で、いわば文民であろうが民間であろうが、強制力の動員をする、そういう要綱になっているんでしょう、これは。 それで、しかし送る先は安全な地域だと総理は盛んに言う。どこが安全な地域かという判定は、今の一寸先もわからない状況では非常に難しいと思うのですね。例えばこの間、まだ平和協力法が国会にかかる前に、医療の先遣団が派遣されました。それで、帰ってきたお医者さんが、この間、十月十九日に記者会見していましたね。読まれたと思うのですけれども、記者会見に臨んだ国立長崎中央病院長は「今回拠点を設置した場所は最前線ともいえるような所。やるからにはそれ相応の覚悟が必要だ」と記者会見で言っているんですよ。海部さんは、行く先は危なくないんだ、危なくないんだと言うけれども、現にもうこの法案ができる前に派遣したお医者さんの部隊でさえ、行ってみたら、拠点をつくったのは最前線だと言っている。そういうところへ文民から自衛隊員から——自衛隊とその家族だって今心配していますよ。いっぱい声が上がっていますよ、こんなはずじゃなかったと。お国を守るというから入ってきたのに、中東で命を落とすつもりはないとみんな言っている。ところが、文民も動員される、企業の者も動員される、行く先が危ない。 海部首相に伺いますが、あなたは何遍も、行く先が危険なところはないんだ、危険になりそうなところはないんだと繰り返し言われましたが、その保証はどこにあるんですか。
○海部内閣総理大臣 徴兵令みたいだとおっしゃいましたが、強制力で企業を動員することもありませんし、宣誓公務員と一般の公務員とは私は違うと思いますから、その辺のところは、強制の徴兵とかそんな思想、発想でもございません。 それから、平和協力でありますし、武力行使と一体を伴うようなところには派遣しないというのですから、現に戦闘が行われておったり、あるいは行われる蓋然性の極めて高いところへ初めから業務計画で派遣することは考えない、そこは極めて慎重に対処してまいります、こういうことを繰り返し申し上げております。
○不破委員 だけれども、私は一つ聞きたいのです。 自衛隊員は拒否する自由がない、一般公務員も上から言われたら拒否する自由がない。答弁したのですから、強制じゃないですか。 それからまた、海部さん、危ないところへは出さないと言いますけれども、あなたは、例えば八月のイラク侵攻が行われる直前、クウェートは危ない地点だと思っていましたか。思っていたかと聞いているんですよ。
○海部内閣総理大臣 まさかイラクがあのようなことをするとは思っておりませんでした。それは正直に申し上げておきます。
○不破委員 それはそうでしょう。外務大臣はその十日前にクウェート大使に二カ月間の休暇許可を与えたんですから。七月二十日ですよ、休暇の許可を与えたのは。ですから、これから先、この行く先は危険でないとか危険であるとかいうことの予測がつきがたいのが今の中東の湾岸危機じゃないですか。そのことを私ははっきり申し上げておきたいのです。 それからもう一つ伺います。 そういうところへ部隊が派遣されるのですから、その部隊に対して、相手側は人質作戦までやる無法な部隊です。たとえこちらが平和協力隊で平和の旗を掲げていても、その部隊に対して攻撃があることは予想できないことではないわけですね、輸送船であろうが何であろうが。その攻撃があったときに、この部隊は応戦するのですか、応戦できないのですか。それは防衛庁長官の領域のようですね。——聞かなかったのですか。ちょっとまじめに聞いてくださいよ。危険な地域に派遣するのだから、しかも相手は無法な、人質作戦までやる部隊なんだから、イラクなんだから、その平和協力隊に対して攻撃がある場合を想定するのは当然なんですね、あり得る。万が一そういうことがあった場合に、部隊は持っている武器をもって応戦できるのですか、できないのですか。
○藤井(一)政府委員 先ほど総理からも御答弁ございましたように、我々は本部長の御要請を受けて参加をするわけでございますけれども、その際には、国連平和協力会議の諮問を経て具体的な実施計画を閣議で決めるなど慎重な手続をとって対処されるわけでございまして、再三御答弁がございましたように、戦闘に巻き込まれるというようなことのないように万全を期すとの方針のもとで計画ができておるということでございますので、もし情勢が変われば計画が変更をされるということで、そういうような状況にはならないというふうに考えておる次第でございます。
○不破委員 イラン・イラク戦争のときには、タンカーでさえ攻撃されたんですよね。だから、そういう地域に、ペルシャ湾の近くまで行こうというからには、相手は無法者なんですよ。無法者から攻撃を受けることは絶対ないと保証なんかできないじゃないですか。そのときに、一体、武器を持って可能な場合に応戦できるのかできないのか、法律上の対応を聞いているのですよ。
○藤井(一)政府委員 ただいま申し上げましたように、そういうような状況が予想されないわけでございますので、そのときにどうするかということも考えておりません。 それから、現実に参加が予定される自衛隊の能力を見ましても、例えばけん銃とか小銃とか散弾銃とか機関銃でございますから、攻撃に対して応戦をなし得るような能力を持っているわけではございません。
○不破委員 そうしたら、国民みんなが危険だと思っていて、思っていないのは防衛局長ぐらいなものですよ。極めて危険なところに部隊を出して、相手から攻められても、それはもう攻められたら攻められっ放し。二重の危険じゃないですか、これは。 それからもう一つ聞きますが、今までの政府の国会答弁だと、例えば商船隊が、相手から継続的で計画的で組織的な攻撃を受けたときには、これは日本の自衛権の発動につながることがあり得るという答弁がありますね。平和協力隊が相手から無法な、意図的で組織的で計画的な攻撃を受けた場合には、これは前の商船隊の場合と同じように、日本の自衛権の発動につながり得る性質のものですか。それも聞いておきたいです。
○柳井政府委員 国際法の観点から、私に答弁させていただきます。 例えば、船舶が公海上を航海しております場合に、武器が使用し得る場合は二つあると思います。一つは、海賊あるいはテロリストの取り締まりでございます。これは警備行動でございます。それからもう一つは、国際法上の自衛権でございます。その二つの場合には、武器を持って応戦できるわけでございます。(不破委員「自衛権が発動できるかって言うの」と呼ぶ)国際法上はできます。国内法、憲法の問題はまた別でございます。
○不破委員 今のことは法制局長官に聞きたいのですよ、今のことは、商船隊が、そういう偶発的な攻撃じゃなしに計画的、組織的な攻撃を受けたときには、日本が自衛権を発動して防衛出動の対象になり得るということが国会の政府答弁だ、今までのね。それについて平和協力隊が、幾らこっちが平和、平和と言っても、組織的、計画的、意図的な攻撃の対象になったときに、自衛権の発動の対象になり得る性質のものかどうか。それは法制局でしょうね、やっぱり。長官、お願いします。
○工藤政府委員 お答えを申し上げます。 憲法九条のもとで許容されている自衛権の行使、発動ということにつきましては、従来からいわゆる自衛権の発動の三要件というふうなことを申し上げております。 三要件と申しますのは、まず第一に「わが国に対する急迫不正の侵害があること」、すなわち我が国に対する武力攻撃が発生したこと、これが一つでございます。それから二番目に「これを排除するために他の適当な手段がないこと」、それから三番目に「必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと」、こういうことでございます。 で、今の御指摘の点は、この三要件に照らして判断すべきことだと思いますが、通常、この三要件に当たるようなことはまずないのではなかろうか、かように考えます。
○不破委員 そうすると、前に政府が商船隊に関して答弁していたこととは、平和協力隊はそれ以下の概念だということになるのですね。 商船隊に対する攻撃は、公海上の商船隊はこれは日本そのものだという解釈で、政府は今まで自衛権の発動はあり得るという答弁をしてきたわけですよね。そうすると、平和協力隊というのはそれ以下の存在だということですね。それならいいのです。わかりました。
○工藤政府委員 商船隊につきましても、無条件にこの自衛権の発動の三要件に当たるとはたしか申し上げていなかったと思います。(不破委員「平和協力隊はあり得ますか」と呼ぶ)通常あり得ないと申し上げたところでございます。
○不破委員 これは、きょう詳しいことは言いませんけれども、昭和五十二年、一九七七年十一月の参議院内閣委員会で政府委員がはっきりあり得ると言っているんですよ、そういう場合が。これは政府側の確定解釈として公刊されていますからね。これも後でちゃんと詰めて、私は整理してもらいたいと思うのです。 それから、次に行きますけれども、これでもう一つ問題になるのは、これだけ今度の法案というのは、規模の点でも装備の点でも、それから内部の対応の点でも、もうほとんど政府の裁量に任されている部分が圧倒的に多いわけですね。しかもその結果は、事の解釈いかんによっては自衛権の発動にさえかかわりかねない。それからまた、アメリカが言う血の犠牲ですね、日本の国民の血の犠牲さえ伴いかねない。そういう重大な問題なんだが、国会の関与する余地が、この法律を通すこと以外には全然ない。通すか通さないかのこと以外には全くない。この法律が通ったときに、平和協力隊の運用過程に国会が何らかの発言権を持つ場所がありますか。
○中山国務大臣 国連平和協力隊に関連する予算については、国会の御審議が必要だと思います。
○不破委員 要するに、予算だけだということですね。 それで、次に法制局に聞きますけれども、これは第九条ですから平和協力会議のところですね。平和協力会議の「議長及び議員並びに議長又は議員であった者は、その職務に関して知ることのできた秘密を他に漏らしてはならない。」平和協力だから本当にオープンな話のはずなんだが、特別にこの平和協力会議に参加する者に対する、秘密を守れという義務が課せられていますね。今ある諸会議の中で、こういう守秘義務を特別に課している会議はほかにありますか。
○工藤政府委員 この組織と似た組織としまして、実は安全保障会議がございます。安全保障会議設置法の第六条の第二項におきまして、これと同様の規定を置いているところでございます。
○不破委員 いみじくも安全保障会議と言われたんですけれども、つまり、旧国防会議が変わったこの安全保障会議と、閣僚だけから成る会議でこの守秘義務があるのはこれしかないんですよね。つまり、政府が幾ら平和協力、平和協力と言って国民の前に開かれたと言っても、まさに実態は、この第九条の服務規定というのは安全保障会議の第六条の服務規定を丸々写したものです。そのほか中央防災会議とかいろんな会議があるけれども、多少似たものがあるとすれば科学技術会議が、あれは特許権の問題で途中で審議中のものを言えないということがあるけれども、この守秘義務を持っているのは日本の国防方針を決める安全保障会議だけなんですね。ここには、まさにこの会議の非常に危険な軍事的性格が出ていると思いませんか。 私が聞きたいのは、「他に漏らしてはならない。」という「他」の中に国会が入るかどうかということです。
○中山国務大臣 今御指摘のような他の会議との違いは、この国連平和協力隊に関する会議は、まずその前提として、国際の平和及び安全の維持のための国連の決議というものがなければこれは動かないわけでございますから、ここに大きな縛りがまず国際的にかかっているということを御理解いただきたいと思います。
○不破委員 何で国連の決議と秘密がかかわりがあるんですか。国連の決議に基づいて公明正大な平和の活動をやろうというのに、何でそれを外に隠す必要があるのですか。そして、その隠す、外の「他」というのは、我が国会は入るのですか、入らないのですか。
○赤尾政府委員 私の方から先に事実関係を御説明させていただきます。 平和協力会議におきましては、平和協力業務の基本方針あるいは派遣の可否等も検討することになっておりますが、そのような検討に当たりましては、例えば派遣業務、平和協力業務を行う前提となります国際情勢でありますとかあるいは当該紛争にかかわる在外公館からの情報でありますとか、そのような情報をベースといたしました分析、評価等のようなものもございますので、その限りにおきまして秘密保持の原則を盛ったわけでございますが、一般的には平和協力業務自身は特に秘密にすることはございません。
○不破委員 その秘密にすることがない話をするのに、何でわざわざ国防会議や安全保障会議から持ってきた守秘条項というのを「服務」と銘打って書き込んだのですか。やはりこれは軍事立法だということのあらわれじゃないですか。 もう時間が限られてきましたから、私、次に進みますが、何か言うことありますか、総理。 もう一つ。その「他」という中に国会が入るかどうか、それははっきりしてください。
○工藤政府委員 いわゆる守秘義務と国政調査権、国会には当然国政調査権がおありなわけでございますから、国政調査権ということに……。先ほどこの法律と国会との関係、これは委員たしか、この法律を通すところだけではないか、こう御質問ありまして、外務大臣から予算のところはございました。私はそれに追加して、国政調査権の話を申し上げておきたい、まずそれが第一点でございます。 それから第二点目は、今の国政調査権と守秘義務との関係、こういうことで、これは従来、たしか三木内閣のときであったかと思いますが、参議院の予算委員会においても申し上げたところでございます。国政調査権は最大限に尊重されるべきことであるということで、そういうことと、片方、内閣に属しているいわゆる国家公務員についての守秘義務、これについては、調整を図る必要がある場合、そういう場合には「国政調査権に基づいて政府に対して要請があった場合、その要請にこたえて職務上の秘密を開披するかどうかは、守秘義務によってまもられるべき公益と国政調査権の行使によって得られるべき公益とを個々の事案ごとに比較衡量することにより決定されるべきものと考える。」こういうことで、「個々の事案について右の判断をする場合において、国会と政府との見解が異なる場合が時に生ずることは避け得ないところであろうが、政府としては、国会の国政調査活動が十分その目的を達成できるよう、政府の立場から許される最大限の協力をすべきものと考える。」こういう統一見解もございます。そういうことで、当然、今のかかわり合いのことになろうかと思います。
○不破委員 だから結局、また要約させていただ きますと、首相の判断いかんによって、この平和協力会議の内容は国会に言えるものもあれば言えないものもある、そういうことになるわけですよね。つまり、そういう点では、承認事項でもなければ報告の制限もあるという、国会から完全に独立した平和協力隊活動が行われる。これまさに、首相が平和協力会議の議長であり、それから内閣の首相であり、それからまた本部長であり、平和協力隊全部を指揮する司令官でもあるわけで、幾つも顔を持っているわけですが、幾つも顔を持った首相がともかく平和協力隊に関する軍事的大権をいわば一身に担っている、国会は何にも口が出せない、こうなるということを私はまず、最後に指摘しておきたいのです。 それからもう一つ、多少残った時間で言いますと、政府はこれを国際的な要求にこたえる当然の貢献だとしきりに言いますけれども、世界の本当の世論というのは、今まさに日本の海外派兵が問題になって、それで危惧の声がもう世界じゅうに上がっているというのが実態でしょう。私の見た範囲でも、フランス、イギリス、オーストラリア、ドイツ、スペイン、フィリピン、タイ、インドネシア、シンガポール、南北朝鮮、中国、香港、クウェート、エジプト、ソ連、そういうところから既に、現に危惧の声が上がっています。アメリカでさえ、日本国民の血を求めているのは政府と一部の政治家だけです。例えば先日の、二日前の読売新聞にカーター元大統領の会見が出ていました。日本政府がこれは憲法上できないんだということをはっきり言えば、米国民は納得する。「日本は自分の決定について、米国の承認をいちいち受けるべきではない。憲法の規制があるからできないのであれば、そのことをはっきり、力強く発言するのがいちばんよい。」アメリカの元大統領でさえこういう忠告をしているわけですね。 それから、私きょうここにもう一つ、これはちょうど六日前のニューヨーク・タイムズですが、ニューヨーク・タイムズにこういう論説が出ました。ロゼンタールという人物の「日本の軍隊は、国内にとどめよ」という論説です。「米国は懸命になって、あらゆる手を尽くし、日本に重大な決定を下すよう説き伏せている。もし日本がついに同意することになれば、次なる世代はその重大な歴史的瞬間を記憶して研究し、そしてその日を呪うことになるだろう。」アメリカの有力紙が、もし日本がアメリカ政府の要請に応じてこの決定をやったら、後世の人々はその日をのろうことになるだろうと言っているのですよ。 「気乗りうすながら、日本政府は徐々にワシントンの要求どおり、ペルシャ湾への軍隊派遣に向かって動いている。はじめ東京は、絶対に派遣はしない、と言っていた。それが次に、たぶん、絶対にしないだろう、になり、今では、相手に発砲しなければならないようなことがない限り、派遣する、となった。」今の答弁どおりです。よく知っていますよ。「しかし、ひとたびペルシャ湾に赴けば、日本兵は」自分が「標的とされていることが分かるだろう。そして当然のことながら、日本兵が撃ち返さないなどとは、誰も期待しない。撃ち合いのあるなしにかかわらず、そこで起きるのは、日本人と幾億人ものアジアの人々の悪夢が蘇ることである。日本国憲法に違反して、日本の軍隊は再び海外出動の権限を与えられて、もはや文民が鍵を握る軍事的押し入れに閉じ込められることはなくなる。」これが六日前のニューヨーク・タイムズに出た警告ですよ。 この文章は最後に、しかし日本の国民は、今度は米国人よりも賢明であることを示すかもしれないと期待をしています。そういうアメリカの国内からさえ上げられている危惧の声に対して、総理はどういう考えをお持ちですか。
○海部内閣総理大臣 御指摘のようなことを私が想定して平和協力法をお願いしておるわけでは全くございません。そうして、軍事力を持った日本の兵隊がとおっしゃいますけれども、そういう発想も、正確にやはりこの法案の内容を理解されない方が言ったことであって、武力の行使を伴わない、武力の威嚇はしないということは大前提として掲げてあるわけでありますし、国連のそういう決議、そういったものがようやくできるようになった、そのときに国連の憲章の精神に従って、日本国憲法の前文にも書いてあるように、国際社会が力を合わせて、例えば今回で言うなれば、湾岸危機の原因をつくった一番いけない、社会的にここに正義に反するものがあると言われる行為を、みんなが国際社会の経済制裁という一致協力した行為によって平和を回復しよう、これ以上の破壊をやめさせていこうということに対してどうするかという角度の議論でありますから、すぐに戦争だの、撃ち合いだの、アジアの侵略だの、そんなことに結びつけるような発想で私どもは考えているわけでは断じてありませんから、そのニューヨーク・タイムズに書かれておる発想の前提が私は違っておるのではないか、こう言わざるを得ません。
○不破委員 日本兵というのはうそだと言われましたが、自衛隊が外へ出ていけば、平和協力隊の隊員であろうが軍隊とみなされるというのが、外務大臣が答弁し、首相も同意した国際法上の解釈です。それが武器を持っていくんですから、どこに誤解があるのですか。 私は、日本国憲法というのは、国際紛争の解決には武力を行使しない、だから軍事力をもって外国の紛争にみずからを巻き込むことはしない、それを明確に定めたのが日本国憲法だと思います。イラクの侵略というのは非常に重大な不法行為であり、我々も絶対糾弾しますが、国際紛争の一つであることは間違いないわけです。ここへ自衛隊が出ていけば、国策によって、政府の政策によって、政府の責任で日本が戦争に巻き込まれることになる。今私は、政府がこういうことを平気でやろうとしている動機には、侵略戦争への本当の反省がないことと関係がある。最近は侵略だったと言うようになっているけれども、本当に過去の反省がないから、アメリカの当の政府から言われるとすぐ、自分みずからが一月前に言ったことさえ覆して、自衛隊の海外派遣というような重大な問題を平気で国会へ出すようになる。私は、その根底にはそういう政府の重大な侵略戦争への無反省と、憲法に対する、これを遵守することへの無関心といいますか、平気で踏みにじってはばからない態度があることを指摘し、この法案の撤回を要求して、質問を終わるものであります。
○加藤委員長 これにて不破哲三君の質疑は終了いたしました。 次に、米沢隆君。
○米沢委員 早速質問に入ります。 まず中東情勢についてお尋ねをいたします。 去る十八日、アメリカのベーカー国務長官が米下院の外交委員会の公聴会でペルシャ湾岸危機への対応について証言をし、各国首脳との会談から見て、イラク軍に対する武力行使の道を開く決議案を国連安保理が採択する可能性が強いとの見解を明らかにしたと伝えられます。そして同時に、国連安保理の決議なしでも米軍が単独に作戦に踏み切る可能性もあり得ると表明したと言われております。今、湾岸危機が発生して二カ月半、依然として膠着状態が続いておりますが、一面では和平のための努力や、あるいは一面では公然と軍事介入が云々されるという情勢でございまして、予断を許さない状況であることは御案内のとおりでございます。 そこでお尋ねしたいのは、このようなベーカー長官の公聴会での証言について政府のコメントをいただきながら、今後一体情勢はどう展開していくと日本政府は見ているのか、その点についてまずお聞かせいただきたいと存じます。
○渡辺(允)政府委員 従来から御答弁申し上げておりますとおり、米国を初めとして現在国際社会におきまして、安保理の決定いたしました経済制裁を実施し、その実効性を確保するという意味の活動を行っておるわけでございます。それで、ベーカー長官の発言の真意を私、確定的に云々するわけにまいりませんけれども、米国といたしましてもあくまでこの問題の平和的解決を求めるということはしばしば表明されておりますし、今回の発言もそのような文脈の中で、むしろ現在の経済 制裁等の実効性を確保することによって平和的な解決を求めるという趣旨から出たものと理解をいたしております。
○米沢委員 どういう情勢になるかという皆さんの見通しはないということですか。アメリカのこの湾岸危機に対する対処の方針は、既に新聞等でも御案内のとおり、湾岸危機の平和的解決は優先するものの、部分解決ではなく、イラク軍のクウェート侵攻以前の完全な原状回復のためには武力行使に訴える用意があるというのがブッシュ政権の基本的な姿勢だと理解をいたしておりますが、そのアメリカの姿勢に対して、日本政府は全面的にそれを支持している立場なのか、それとも独自の判断によって独自の外交あり得べしという判断に立っているのか。その点について総理の見解をお聞きしたい。
○海部内閣総理大臣 日本としては、あくまで平和的な努力を粘り強く行って、平和的な解決をすべきであるというのが、これが基本的な一貫した考えでございます。こういった考えは首脳会談のときにも、私からブッシュ大統領に、日本の立場、そして要望というものは強く伝えておりますし、ブッシュ大統領もそういった解決への努力を粘り強く続けていくんだということを再三申しております。
○米沢委員 今おっしゃったように、日本の基本的な方針は、あくまでも中東に火を噴くことがないように、少なくとも軍事介入を許さないという立場で終始頑張っていかねばなりませんが、先ほどの話にありましたように、もし米軍が単独で中東に火をつけるという作戦を展開したときに、一体日本はどうするんですか。
○海部内閣総理大臣 そのようなことにならないように、今努力をしておるさなかでありますし、どうすると言われても、それはそのときの状況によって、日本としては平和解決を主張し続ける以外道はありません。
○米沢委員 まさにあなた任せの夜だからという感じに私には聞こえます。アメリカが単独に作戦を展開する、国連決議の裏づけのあるアメリカ軍のサウジへの展開かという議論がありましたけれども、今回は、新たにもしアメリカが単独で作戦を展開していくということになれば、一体それに対して日本はどう対応するかというぐらいのことは、やはり議論があってしかるべきだし、また皆さんの姿勢が示されてもいいのではないかと私は思います。 言葉をかえて、質問をかえて言うならば、もしそういう状況になったときに、依然として日本政府はアメリカ軍の支援の方に回るのか、それとも支援はしませんとはっきり言えるのか、その点はどうですか。
○海部内閣総理大臣 問題の根本は、アメリカがそのような展開をしたときに、これは、これ以上の平和の破壊をしないという国際社会の世論に従い、決議の実効性を高めるために行動したわけでありますから、その決議の実効性を高めていく、湾岸に平和を回復するための努力というものは、それは認めるという立場であって、湾岸に危機をつくったイラクの方にいろいろな配慮をするということは、これはいけませんけれども、さりとてどのように協力するかといっても、日本は平和解決をしてほしいという基本を繰り返すということであって、そこへ出ていくとかどうとかというわけには、具体的行動には入ることができない、こう思っております。
○米沢委員 ということは、湾岸危機の解決の一助だと日本政府が判断すれば、アメリカ軍の単独作戦も了承する、そしてそれも支援するということですか。
○海部内閣総理大臣 そのときのいろいろな状況でありますから、今から予断と憶測を持って了承するとかしないとか言える立場や権限ではありません。そういったことを粘り強く平和的に解決してもらいたいという基本的意思は何回も伝えてあるわけでありますし、ブッシュ大統領自身も、最近のニューヨークの演説等でも、湾岸危機の平和解決を目指してのいろいろな話もし、提案もしておるわけでありますから、私は、そういうふうに予断と憶測で今から仮定の問題、それに対してどうするか、了承するかしないかの結論は言い得ませんけれども、アメリカの一連の行動の根本になっておるものは、ここに正義に反するものがあるというイラクのクウェート侵略そして併合という事実をもとへ戻せというその方針については支持をしておるということであります。 〔委員長退席、西田委員長代理着席〕
○米沢委員 水かけ論になりますからこれ以上申しませんが、少なくとも我が国があそこに軍事介入をさせない、いわゆる火を噴くような状況をつくらないという決意があるならば、やはりアメリカが一挙に単独で、国連で議論したならいざ知らず、単独で作戦を展開し始めたときには、それなりに我々はアメリカが嫌がることも言い、また同時に嫌がることもしなければならないぐらいのことは決意を固めて対処してもらいたいということを御注文いたしたいと思います。 さて、この法案の背景になっております国連中心主義という点についてお尋ねしておきたいと思います。 この法案が用意されました背景には、今日までの米ソの対立、冷戦構造が崩壊をして、これから新たに世界の平和と安定のためには国連中心主義で世界の秩序をつくっていこう、また、今そういう時期に来て、将来もそれが続くであろうということを前提にこの法案ができておると言ってもいいと思うのであります。今回の中東湾岸危機への対処に当たりましては、幸いと言っていいと思いますが、今日まで大国の拒否権発動で国連が機能しなかったという場面が数々ありましたが、今回は、ソ連もまさにアメリカに同調する形で安全保障理事国がみんな共同歩調をとっているということが、まさにこれはさま変わりしたなという感じを持たしておるわけだと思います。 同時に、それはまた、いよいよ国連中心主義の時代がやってきた、あるいは国連の機能復権の時代だ、こう声高らかに叫ばれておるわけでございますが、しかし冷静に考えると、果たしてこういう状態が本当に未来永劫に確固たるものとして続いていくのかといえば、やはりクエスチョンマークもつけて冷静に判断しなきゃならぬことが私はあると思うのでございます。そうしたときに、この法律そのものがいわゆる国連中心主義というものの平和活動に限定して規定されておる。ということは、今後国連の動きが別の方向に動いたときに、このいわゆる国連中心主義の平和活動というものが逆に日本外交を縛ってしまうのではないかということも考え得るのではないか。そのあたりを今日本としてどう考えていらっしゃるのか。そのことは私は大事な問題だと思うのでございます。 したがって、今後の国際情勢の中で、特に国連中心主義あるいは国連機能復権がどうなっていくか、将来展望を皆さんはどう描いていらっしゃるのか。また同時に、我が国の平和外交の展開をその祭どういうスタンスで定めていくのか。あるいはまた、国連機能を高めていくために日本外交はどういうスタンスでこれから努力をされようとしておるのか。一連の国連中心主義ということにまつわる今後の日本の外交のあり方等について展望をお示しいただきたいと思います。
○中山国務大臣 今、国連中心主義というお話がございました。しかしこの話も、実は戦後続いた米ソの対決がやっと終わって、冷戦が終わったという事態で初めて引き起こってきたいわゆる国連の安保理を中心とした国際的な平和維持活動というものが効果を上げ始めた段階にすぎないという認識を私は持っております。しかし、この事態が一層促進されるように世界のそれぞれの加盟国は努力をする必要がありますし、そのようなことが実現できれば、国連憲章のつくられた当時の憲章の理想が前文に書いてあるような国際社会をつくっていくのだと私どもは期待をいたしておるわけであります。 しかし一方、この我々の国の日本を守るためには、今日の我々の憲法の許す範囲の中で最低限の いわゆる軍事力を保持しながら専守防衛に徹し、それに対して攻撃をされた場合ほ、それを超える能力は対抗するために日米安全保障条約というものを堅持して今日の平和と繁栄を維持しているわけでございますから、私どもは、国際社会の将来の流れは十分あらゆる角度から検討しながら、我が国の安全というものには絶えず注意を払っていかなければならない、このような認識を持っております。
○米沢委員 答弁漏れみたいなものがたくさんございますが、先に進みます。 昨日、公明党の市川書記長の質問に答えられまして工藤内閣法制局長官は、国連軍への自衛隊の参加について、国連軍の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、参加することは憲法上許されないという従来の政府見解を改めて是認されました。そして、憲法改正をせずにこの解釈を変更するのは困難であるとの認識を示されたとお聞きいたします。これは、憲法の新解釈への動きを封じ、海外派遣からなし崩し的に海外派兵への歯どめをかけることになるわけで、我々も評仙いたします。 ただ、お尋ねしたいことは、昨日の答弁は、国連軍への自衛隊の参加は憲法違反であるということは当然でありますが、あの発言の中に、国連軍への今度は協力までも憲法違反だとおっしゃったのかどうか、そのあたりを明確にお示しいただきたいと思います。特に、もし国連軍への協力までも憲法違反だということになりますと、国連憲章四十二条、四十三条にわたる活動には日本は全然参加できないということになるわけでございまして、少なくとも指揮権に入り参加することはできないが、しかし側面的に協力するというところだげは残しておかないと、これはもう国連主義を幾ら言っても日本は国連主義を放棄するということになりはしないかという懸念を持つからでございます。法制局長官の明快な答弁をいただきます。 〔西田委員長代理退席、委員長着席〕
○工藤政府委員 お答え申し上げます。 昨日の質疑におきまして私が申し上げたことにつきましてのお尋ねでございますが、昨日におきましても私は、やはりこちら、こちらと申しますのは憲法九条に基づく判断あるいはその積み重ねということについてまず申し上げまして、それからもう一方で国連憲章のサイドの問題、これは、これまでそういう国連軍が設けられたことはない、あるいは特別協定の実は姿が見えないというふうな表現を私使ったわけでございますが、そういうことでございますので、明確な結論を昨日申し上げたわけではございませんけれども、一応従来の我が国の憲法の考え方からいくとということで、幾つかの前提を置きながら申し上げたわけでございます。 ただその中で、今委員御質問の点でございますが、ここの中にもございますが、国連軍ができますときの特別協定、これでは兵力、援助、便益、こういうふうなものの三つをすべて約束しなければならないわけではないということ、あるいは一番問題になるのが兵力のところだろうと思いますが、援助なり便益のところはこれはまた違った話があり得るということでございます。 結論的に申し上げれば、まず、これまでのことをくどくどと繰り返しはいたしませんが、やはり我が国にとりまして武力の行使に当たる、あるいは武力の行使と一体になる、こういうところが問題でございます。そういうものとならない援助なり便益、こういうものについては特に憲法の九条で問題にするところはなかろうと思います。そういう意味で、従来のスタンスと変わるものではございません。
○米沢委員 さて次は、この法律の議論に入りたいと思いますが、この法案は、先ほどから議論しておりますように、我が国が国連を中心とした平和の秩序づくりに貢献する、そういうものの努力に寄与をする決意をして、そして今日までややもすれば金あるいは物中心の協力に加えて人的な協力、そのような体制を法の整備をもって対処しようということだろうと思います。 ここで、いわゆるこの法律に盛られる、今日までの動きからいたしまして新しい発想は何かと問われれば、まさにこの人的支援体制の必要性、重要性を認識されて、それを本法に平和協力隊という形で位置づけようとしていることだと私は思います。ところが、先ほどから議論がありましたように、一体このような人的支援、人的協力をやろうとするに至った経緯は、何かアメリカさんからやいのやいのと言われて仕方なくこういうものを対処せざるを得なかったという議論もあれば、我が国が当然今日までの外交活動において人的支援なかりせば本当に我が国は責任を果たすことができなくなったという認識からきたという議論もある。このあたりがやはり混迷しておる論争の一つだと私は思います。 そういう意味で、この際総理は、我が国の国際協力の柱にこの人的支援、協力を重要なものとして位置づけられた背景にどのような認識があったのかということを明確にお答えをいただきたい。一方では、今日の中東湾岸危機に関連してアメリカがうるさく言ったから出さざるを得なかったという非難もありますし、と同時にまた、そういうものは対米追従外交の結果ではないかという声もあります。同時にまた、人なんか出さなくていい、金さえ出しておけばいいんだという声も依然として強い。そういうものを踏まえながらあなたの見解を示してもらいたい。
○海部内閣総理大臣 この法案を提出しようとしたその背景は、あくまで国連が機能するようになったという大きな変化を目の前に見ますとともに、今後冷戦後の新しい世界秩序づくりのときには、例えば強い国が弱い国を侵略して併合するというようなことを、みんなが仕方がないことだと言って許してしまうようなことは絶対にあってはならない。そのために、国連の決議ができるような世界情勢になってきたということもまた大きな変化でありますから、この大きな変化のただ中にあって、そして復興途上国の日本ならいざ知らず、今これだけ好むと好まざるとにかかわらず世界経済に大きな影響と責任をあわせ持つ国になっておるわけでありますし、国連の中でも分担金はもう上から二番目になるようになってきておる日本が、お金だけ出せばいいではないかといえば、またお金だけの日本という批判が必ず出てくるでしょう。ですから、いろいろな面で協力をしなければならぬ。そこで、どのような協力の方法があるのだろうかということを考えながら、この法案の作成に当たったわけであります。 もちろん、アメリカは日本と最も大切な二国間関係の相手国でありますし、戦後きょうまで四十五年間、日米安保条約のもとで平和を守るための抑止力であったということ、また最近の貿易を見ても、日本側に一方的に五百億ドルに近い貿易黒字が残るということ、それがもとにいろいろな摩擦すら起こりかけておるほどでありますが、そのために日本がアジアの国々からいろいろ物の輸入のできるような経済力を持つに至ったということも、日米関係がそもそも大事にあったからでありますから、このことのみならず、地球環境の問題も、麻薬の問題も、テロの問題も、あるいは東欧支援の問題も、とにかく地球的規模でいろいろな問題についてアメリカとは外交上時折相談もしたり、政策協調をして世界の平和と安定に貢献するようにしていかなければならぬという立場は持っており、そのようにしておりますが、この法案に限って言えば、今世間で言われておるとおっしゃいますけれども、アメリカから頼まれたからやるとか、言われたからやっておるのでは全くなくて、最初にお答えしたとおりでございます。
○米沢委員 そして、この人的支援をやろうと決意をなされた中でもう一つ大きな特徴は、この人的支援の中に、戦後初めて憲法の範囲内で、特に国連の決議に基づく平和協力業務に限定した活動を自衛官の皆さんにも官民一体となって担ってもらおうというのがこの法案の最大の特徴だろうと思います。したがって、最大の論点の一つになっていることも御案内のとおりであります。 ところが、今日まで我が国では、自衛官の海外 派遣というテーマはタブー視されてきたこともありましたし、また、難しい問題をあなた自身が避けて通ろうとされたのかもしれませんが、この海外派遣というところに至るまで、あなたの心は二転三転したことはだれしも認めるところでございます。自衛隊は派遣せずの記者会見から始まりまして、自衛隊派遣を決意されてからも、自衛隊法の改正を本法の附則で片づけられたり、また、総理の所信表明演説でも、この重大で国民的にも非常にセンシティブな問題を真正面に据えて国民の理解を求めようとする姿勢ではなく、ただ、「この法案に基づく国際連合平和協力隊は、自衛隊などの公務員を初め広く各界各層の協力と参加を得て創設されるもの」でありますと、長い演説の中でただ一度「自衛隊」という言葉を使うだけの説明に終わっております。この重要な問題を説明されようとしていない。 今日に至るまで、そういう意味では、あなたを初め自民党の政府自身の姿勢には、この劇的な国際環境の変化の中で我が国が世界の平和と安定に寄与するためには、自衛官の皆さんにも新しい任務を担ってもらいたい、これこれしかじかの理由で国民の皆さんもわかっていただきたい、そういう自衛隊の海外派遣についての国民へのアピールが聞こえてこないことが大体問題だ。伝えようともしない。そこにあなたの姿勢に対する私は不信がある。 今、総理に国民が聞きたいことは、今日まであれほど自衛隊の海外派遣にはちゅうちょされてきた政府が、今なぜ自衛隊の海外派遣に踏み切らざるを得ないのかということをわかりやすく説明してあげることではないでしょうか。昔、国際緊急援助隊派遣法のときに、我々まさしくあのときは自衛隊を、丸腰の自衛隊さんを災害復旧のために貢献していただく、汗をかいていただくことが許されるのではないかと提案しましたが、政府は断固としてそういうものは認められないということで、あのような形に法律はでき上がりました。今我々は、この平和協力法の中で海外派兵をお願いするよりも、そのときの方がずっと国民的には理解が得られやすい状況ではなかったのか。にもかかわらずこんな問題を、そういうものにはちゅうちょされながら一挙にこんなものを出してきて、さあこれが正論だと言われたら、国民の皆さんだってやはり戸惑うのは当たり前ではないでしょうか。 本当に情勢が変化したのでしょうか。国民の声が本当にこういうものに対してやわらかくなったのでしょうか。逆に厳しくなっておるときに、あの国際緊急援助隊派遣法ではノーと言いながら、ここではイエスと言わざるを得ない何かのあなたの心にあるものを訴えない限り、国民の皆さんがわかるはずがないではないかと私はいつもあなたのお顔を見ながら思っておるわけでございます。したがって、この根本のところを訴えることなくして、ただ平和協力業務をやりますとか、武力の行使はやりませんなんて説明ばかりしておったら、あなたの後ろめたい気持ちが大きな声を出しているようなものだと私には思えてなりません。 そういう姿勢でありますから、またそういうことに余り意を使わない総理でございますから、総理の発言を聞いておりますと自衛隊の皆さんだって怒ります。我々は命令を受ければ命令どおりやります、しかし、自分からこの平和協力隊に手を挙げようとは思わない、そういう声を皆さんどうお聞きになりますか。おれたちはただ物か何かのように、ただ自由に都合のいいときだけ取り扱われておる、一体何だという声に総理はどうお答えになりますか。 私は、そういう意味でお尋ねしたいことは、今なぜ自衛隊の海外派遣に踏み切ったのか。自衛隊を派遣せずとの記者会見からこの結論に至る経緯並びに今私が申し上げた質問の趣旨を踏まえて、あなたの確信を持った国民へのアピールをわかりやすく聞かせていただきたい。
○海部内閣総理大臣 八月にイラクのクウェート侵攻という出来事が起こり、国連があのような決議をしたというときに、私は戦後の大きな世界政治の転換点であると認識をしました。そして、ベルリンの壁の崩壊以来東西の対立が終わり、冷戦時代を乗り越えつつあるという、新しい世界の秩序が求められつつあるということもはっきりとそこで見ることができました。 そうすると、国連中心主義というものを唱えてきた日本とすれば、この新しい世界の変化の中で日本としての果たすべき役割、やらなければならぬことは何かということを考えなければならぬのは当然のことでございました。したがって、あのイラクの侵攻の直後から、どのような貢献ができるかということで貢献策を政府は考え始めたわけであります。 そのときに、資金の協力とか輸送の協力とか医療の協力とか、これらのことができるのではないか、やろう。ただ、日本にはその法律の仕組みも制度の仕組みも、そういったときに対応するものが何もございませんでした。そこで私は、そのときは頭の中に描いておったこと、そして、法律や制度の仕組みになく、直ちに行動をして直ちにお願いをすると言ってやれることといえば、これは広く国民の皆さん、特に民間の皆さんにお願いをして、御協力をボランティアとしていただくこと以外に早くできる筋道、なし得る方向というものはそれしかなかったということでございます。 そこで、それで始めたのです。そして、どの程度のものが提供できるのか、どの程度のことがお願いできるのか、いろいろなこともいたしました。努力もしてみました。貢献策の第一陣は、まさに物資協力や輸送協力で始まろうとしたのですが、しかし、意のごとく具体的に、実践的にできるまでにまいりませんでした。そこで、政府部内でいろいろ慎重に検討もしました、判断もしました。しかし、こういったことに対応していってもらうためには、民間のボランティア的な皆さんにお願いをするというだけではいけないわけであって、これは国の立場で公務員の皆さんにもお願いしなきゃならぬ。そういった意味で、自衛隊海外派兵はいけないけれども、海外派遣ということで、ひとつきょうまでの長年の蓄積や訓練の実績や能力やいろいろなものを生かしてもらえば、医療協力とか輸送協力という面においては一番現実的にふさわしい協力が期待できるということの判断に立ってお願いをする。 そのかわり、平和協力隊というものをつくったならば、その中へいろいろ受け入れる枠組みとかあるいは対応をきちっと考え、そして、新しい国際化時代の中に日本の果たすべき役割、それに参加をしてもらいたい、そういう気持ちですから、所信表明のときにもきちっと書きましたし、九月の記者会見のときにはその旨もきちっと申しました。憲法の枠組みの中で、国連の憲章と日本国憲法の前文は目指す方向も同じですから、どうかこれに向かって皆さんの協力をお願いしたい、こういう発想で、効果的に、現実的に協力体制が前進していくようにお願いをしたということでございます。
○米沢委員 私は、この法律はもし形式的に成立をしたといたしましても、今おっしゃった、国民の皆さん方が海外派遣という問題について大方の理解を得られない、この法律は生きて使えないと思っています。そういう意味で、今一生懸命御説明をいただきましたが、私は、政府の姿勢としても総理の姿勢としても、協力隊はこんなものですという説明よりも、なぜ今海外派遣をお願いしなければならなかったのかということを本当に詳しく、わかりやすく国民にアピールし続けることがこの法律を生かすことであるということをぜひ総理は肝に銘じてもらいたいと思っております。 同時にまた、自衛隊の問題でございますが、結果的には、この自衛隊の参加の問題は附則で片づけることになりました。本来ならば、自衛隊のこの問題は、単に附則で片づけたり、あるいは自衛隊法の第八章の雑則で片づけたりするものではない。もっと崇高な仕事をしてもらおうというものが政府の中にあったならば、雑則で取り扱うのではない、附則で取り扱うのではない、第一章の三条で任務をちゃんと規定し、それをちゃんと六章 で受けて、やはり自衛隊の行動というものを明確にして自衛隊の皆さんに汗をかいてもらう、これが政府の姿勢としては正論だと私は思うけれども、どうもそのあたりも逃げられた。一体なぜこうして逃げるのですか。
○海部内閣総理大臣 これは国会へ法律の審議をお願いして議論をいただくのですから、逃げるわけでは毛頭ありません。逃げる気持ちでもございません。そして、この平和協力隊の中に自衛隊の参加もお願いをしてやろうということでありますから、この法律の審議を通じてともに議論をしていただくことがふさわしい、こう判断をしてこのような仕組みになっておるわけでございます。
○米沢委員 この問題は、オリンピックの手伝いをしたり運動会の応援をしたり、こういうものとはちょっと違うのじゃないですかと言うのです。逃げてないとおっしゃいますが、逃げておるじゃないですか。附則で片づけようとされておるじゃないですか。自衛隊法の改正でちゃんと受けとめられましたか。雑則ではなくて、第一章で受けて、自衛隊の任務、自衛隊の行動として、彼らが一番心配しておる、ただ都合よく取り扱われるという気持ちを排除するようなあなたは気持ちがあったのですか。 防衛庁長官、この点について何を言ったのですか、閣議で。
○日吉政府委員 本件の事業の重要性にかんがみますれば、米沢委員ただいま御指摘のお気持ちは十分わかるところでもございますが、この仕組みは、自衛隊みずからが国連平和活動に協力するという仕組みをとっておりませんで、平和協力隊という組織をつくりまして、その組織に協力をする、こういうふうな仕組みをとっておりますので、そういう関係で、主体ではありませんで、あくまでもやはり主体は国連平和協力隊でございますので、それに側面から自衛隊が協力をする、こういう形をとったことが、法形式上の形といたしましてその他の業務というような形の位置づけになったもの、かように理解をいたしております。
○石川国務大臣 ただいま米沢委員の見解も私は非常に貴重な一つの見解である、かように評価するものでありますが、今、日吉官房長から説明をされたように、協力隊への参加、協力、こういうような立場でこの法案との関係を考えた場合に、私は今までの百条の中に一項目を加えて、協力隊員として自衛隊が協力する、こういうことも位置づけとしてはやはり一つの考え方であろう。この二者を比較した場合に、今、日吉官房長が申し上げましたような観点から百条の六というような形でおさめる、こういうふうに私は自分で選択をしたわけでございます。
○米沢委員 これは形式の問題じゃないのです。ここに盛られている問題を、このような方式でなくても、皆さんに心があれば、ちゃんと処理できる法改正ができると私は断言しておきたいと思います。結局はこうなった理由、いわゆる自衛隊の参加の形式がこうだからこういう形になりましたというのは詭弁というものであって、本質的には皆さんには心がない。おずおずお願いするから、国民は何か悪いことをするのではないかと思って見る。そういうものにつながってくることを私は反省してもらいたいと思います。 さて、この法案に関しましては、依然として基本的な疑問が残ります。 第一は、確かに形式的に憲法との整合性が保たれて法案はできておりますが、この運用について果たして整合性が常に保たれ続けるかというと、皆さん方の政府の答弁等を見る限り信用できない。これは第一の大きな問題ですね。 第二の大きな問題は、さきの質問でも提起しましたように第三条第一号、協力する活動の範囲というものが非常に幅広く規定されておりまして、ここで議論になったようにいろいろと拡大解釈の可能性もある。第二に、第三条第二号の政令にゆだねる。まあ限定列挙をしておられますけれども、また政令の中身も少々明らかにされつつありますけれども、依然として政令にゆだねるという問題はやはり我々としては看過することにはならない。 また、第二条第二項、これが一番重要でございますが、「海外派遣に係る平和協力業務の実施等は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。」とあります。ところが、みずからは武力の威嚇や武力の行使はやらないが、しかし、他国の武力の行使、例えば中東に火を噴いたときでも、後方支援は軍との一体的行動でない範囲内でやれるとまで読めますね。法制局長官、そうですね。一体的行動でない範囲でやれるという部分の危なっかしさですね。常に、瞬時瞬時憲法との関連性がどうなるかというような問題等を内閣の恣意によってはかられたんじゃ、恣意によって決められたんじゃ、これはもう拡大解釈の最たるものだ、私たちはそう考えます。そういう意味で、そういうものに対する歯どめをどうするかという議論は、この前質疑をしましたが、研究中だ、研究しますと言うくらいで、つれない話でございました。 こういう問題の上に、もしこの法律が成立して、たびごとに集めてたびごとにお願いする、こんなことで一体何ができますかという気持ちも実際あります。そんなものがまた国民の皆さんが理解していただくような平和協力隊に育つであろうかという懸念もあります。等々、いろいろと法案には問題があるわけでございますが、特に私は問題だと言いたいのは、もし成立した後、この法の施行に当たりまして少なくとも政治的、社会的に満たされねばならない条件が二つあると思います。 それは難しいことではない、簡単なことでありますが、実際政府がやる気があるかどうかの話でございますが、第一は、やはりこの派遣される平和協力隊の隊員が誇りと使命感を持って任務に精励できる環境が整備されることが第一の条件です。第二の条件は、平和協力隊の派遣に際しては大方の国民の合意が得られるようなものでなくてはならぬ。しかし、先ほどから議論しておりますように、またこの法律そのものへも余り合意が得られない状況にある。私は、この二つの条件こそすべての前提条件だと思っておるわけでございまして、そういう意味でまだ世論は厳しい、そういう面を総理はどう理解されているのか。 あるいはまた、行かせる立場だけではなくて、行く立場に立った議論が本当にこの法案ができるまでになされたのであろうか。今後の政令事項には特にそういうものに関連するものが多いわけでございますが、私は、行かせる都合のいい立場ではなくて、行ってもらうという、汗をかいてもらう皆さんの立場で十分に議論がなされて、彼らの気持ちがそんたくされるものにならなければ、この法律は死に体同然だと言ってもいいと思うわけでございます。しかし、どうも法案作成に当たりましても、また、今後の政令の勉強されている最中でございますが、本当にそういう方向に行っておるのかなという心配が絶えないのでございますが、総括して総理の所見を求めてみたいと思います。
○海部内閣総理大臣 貴重な御意見を質問の中にまぜていただきまして、私も傾聴させていただきました。 特に、今最後に二つ示された条件は、まさにそのとおりだという感じがいたします。それはやはりせっかくこの国際社会が大きく変わる中にあって、新しい世界秩序の枠組みづくりの中で、社会の正義に反するというようなことはさせない、やってはいけないという平和の理念に基づいた国連決議を受けてのいろいろな行動に自分も一翼担っているのだ、世界の平和のために参加しておるのだという誇りを持って参加された方が行動してもらわなきゃならぬということ、まさにそのとおりでございますから、十分に今後このことを感じながら対応していかなければなりません。 また、国民の皆さんの合意を求めなければならぬ、その点もまさにそうでございます。残念ながら、今いろいろな現象やまたいろいろな問題等を眺めておりますと、必ずしも私どもが想定しておったり、私どもがやろうとしておることが正確に 御認識願っておらないのではないかと思われる面もたくさんあります。今後、それらのことを折に触れ誠意を持って説明をし、説得をし、理解をしていただく努力を続けていかなきゃならぬことも当然だと思います。 そのような考え方で、御質問の御趣旨を踏まえながら対応してまいりたいと考えます。
○米沢委員 そこで私は、行かせる立場でなくて行く方の立場からちょっと論議をしてみたいと思うのでございますが、まず第一にやはり問題視しなければならぬのは、今質疑の中心になっておりますが、多国籍軍への協力、これが一体何ができるのか、何をしようとしておるのか、危険ではないのか、それとも危険なのか、あるいは憲法上の制約は一体どこにあるかなど、いろいろと話題の中心になっています。 例えば、そういうものが議論になったときに、この平和協力隊員になろうという人がそういう議論を聞きながら、一体僕は募集に参加して、なったとしても何の目的で、何をやらされようとしておるのだということがこの議論の中から全然明白になってこないのです。この平和協力業務については、第三条第二号に書いてありますね。例えば、イ、ロ、ハまでは、これは国連のPKOに類するものでございますからまず理解ができる、どんなことだなと。あるいはまた、へ、トについても、これは任務の実像が大体想像できる。ところが、ニとホというものが非常に幅が広過ぎて、一体何ができるのだろうか。きのうの議論でも輸送から、とうとう弾薬や武器やら兵隊さんまで運べるという議論まで出てきたように、何か非常に包括的な言葉しか使われておりませんので、一体これがどういうふうに具体化されていくのかという点について非常に不明快だ。したがって、行く立場からすれば、もっと具体的にしてくれよ、抽象的でなくて具体的にしてください、行ってみたらとんでもない仕事になってきたということであってはならないわけです。そういう皆さんにもやはり理解をしてもらうためには、私は、この問題は抽象的ではなく、もっと具体的に何をやってもらいたいのか、具体例等も挙げてその任務の態様を明らかにするのが理解を求める人の立場ではないかな、姿勢ではないかな、そう思っておるわけですが、一体どう説明してくれるのですか。できないとするならば、これはもう羅列にすぎなければ、文書で後でぜひ明示してもらいたいと思うのですが、いかがですか、委員長。
○赤尾政府委員 ただいま特に御質問のニとホにつきまして、具体的な例を挙げて御説明申し上げたいと思います。 このニとホにつきましては、イ、ロ、ハの国連のPKOにかかわる活動及び第一条及び第三条に出てきます国連決議を受けて行われるその他の活動、双方にかかわる活動でございます。具体的に例えば輸送でございますが、「物資協力に係る物品の輸送」と書いてございますが、まず日本が物資協力を行う場合に、そういう物資の輸送が一つございます。あるいは輸送ですから、日本から平和維持活動が行われております現地までの輸送あるいは第三国間輸送というのは、先ほど議論されましたが、特にPKOとの関係で非常に需要が多いと思われますのは、近く行われますであろう西サハラにおきます住民投票でありますとか、あるいはカンボジアにおきます選挙あるいは行政事務、あるいは停戦監視に当たりましては停戦監視団、あるいは選挙監視要員等を国内で輸送する業務というのが非常に重要になってまいります。これはこれまで行われましたナミビアにおきます停戦監視あるいは選挙、ニカラグアにおきます停戦監視、選挙等におきまして、この輸送業務というのは非常に重要な役割を果たしてまいりました。 次に、通信でございますけれども、先ほども多国籍軍と一体になるような通信という質問がございまして、そういうものはないという御説明を申し上げましたが、通信につきましても、特に国連のPKOの行われます地域といいますのは、今ナミビアですとかあるいは中近東あるいはニカラグア、カンボジア、サハラ、アフガニスタン等非常に通信事情の悪いところでございます。このような通信は必ずしも自衛隊の方だけではなく、例えばNTTの方に移動通信機、設備等を持っていっていただいて、通信分野での協力を行うというようなことを想定しております。 次に、機械器具の据えつけ、検査もしくは修理でございますが、これは兵器の据えつけ、修理等は行わないということは先ほど御説明したとおりでございますが、具体的にそれではどんなものかということでございます。これは、これまでの経験で一番多いのは車両の整備、修理が一番多いわけでございますが、そのほか、先ほど申しましたような通信施設の据えつけですとか修理、維持等がございます。あるいは不便なところへ行きます場合には、簡易なプレハブ住宅の建設等もあるかと存じます。 次に、医療活動でございますけれども、これも国連の平和維持活動におきまして医療活動というのは非常に重要な役割を演じております。これは特に和平達成後の被災民あるいは現地の人たちの医療活動あるいは防疫活動、防疫活動もここに含むと書いてございますが、これは例えば薬剤の配付、散布あるいは例えば水質検査、そういうようなものも含めて考えております。
○米沢委員 そういう長い答弁だと思って文書でくれと言ったのでございますが、あえて言われました。しかし問題は、先ほどからやじの中に入っておりますように、今湾岸危機に対して派遣される、派遣されて何をするか、その仕事の内容が本当は一番聞きたかったわけでございます。だが、そういうように羅列されますと、いかにも何にも危険もなければ、何にも気持ちを煩わすことのないようにすっすっといける、こんな法律なんかすぐ通るような言い方でございますが、実際は中近東のあの湾岸危機に対して派遣をしなければならない、どういう協力の形で派遣がされるのか、そのあたりを聞きたいというのが本当のことでございまして、もっとまともに私は答えてもらいたいと思うのであります。 そこで、昨日の質疑の中で柳井条約局長は、湾岸地域の多国籍軍への協力に関して、多国籍軍の武力行使と一体とならないとの条件のもとに、平和協力隊の輸送業務の中に武器弾薬の輸送も含まれると言われた。こういう読み方なら、兵隊さんを運ぶ、他国の兵員も輸送可能、こういうことになるわけですね。しかし、私はあの話を聞いておりながら、何か条約局長は外務大臣を兼ねて、外務大臣を飛び越えて平和協力本部の本部長になったようなつもりで答弁されておるのじゃないかな、そういう答弁ぶりだったと私は思います。新聞に下克上答弁だなんて皮肉られておりましたけれども、いっそのような職制ができたのか、私は定かに知っておりません。 あの問題は、そもそも輸送業務というものを、法律的に言えば受け皿として輸送という言葉を書かざるを得ない、その中ではいろいろあるけれども、法律的にはいろいろ入っていますよ、しかし、それは法律の解釈の議論であって、それをするかしないかは政策判断だ、割り切ってこういう話の仕方がなぜできないのでしょうか。何かあの中で、いかにも弾薬も武器も兵隊さんも運べるんですよ、できるのじゃなくて、運ぶんですよと聞こえるね、あの話を聞いておると。それは越権行為だと私は思いますよ。 法律を、ここに書いてある平和業務の中で輸送と書いてあるが、輸送だっていろいろあるのですから、それをいろいろ列挙するわけにはいかぬから輸送という言葉で受け皿になっておる。だから、何が運べるかというといろいろ運べます、特にこれはだめ、これはだめという規定の仕方はありませんと答えればいいんだ。だから、武器も弾薬も運べるというのは、法律では運べますよ、しかし、それを運ぶか運ばないかは、これは政府の決断や政策判断じゃないですか。そのあたりをみんな区別されずにごちゃまぜにして、いつか本部長になってしまっておる。こういう発言には注意しなければいかぬですよ、総理だって、外務大臣だって。あのでたらめぶりは何ですか、あの政府 答弁の。私は、まあ優秀な方かもしれませんが、少なくとも職制にある限りちゃんと分をわきまえて物を言ってもらわないと、混乱するばかりじゃないですか。条約局長、反省の一言。
○柳井政府委員 下克上答弁と言われまして、大変恐縮に存じております。この点、私の答弁ぶりが至らなかったという点は深く反省しております。 私の答弁の中身につきましては、ただいま委員御指摘のとおり、この法律上はそのようなものが排除されていないというふうにお答えしたつもりでございます。また、これに伴う制約、すなわち武力の行使と一体視されるような場合にはできないということもあわせて御答弁申し上げたつもりでございます。 また、実際の政策上の問題につきましては、この業務計画をつくりますときに個々具体的な場合に即して決めていくということもあわせて御説明した次第でございます。
○米沢委員 法制局長官に聞きたいのでございますが、武器や弾薬を運んで武力の行使と一体でないなんてあるのですか。ましてや、中近東の湾岸危機を想定したときに、武器や弾薬や兵隊さんを運んで軍事行動や武力行使とは一体でない、そんな運び方みたいなのがあるのですか。
○工藤政府委員 お答え申し上げます。 今お話しの武器、弾薬、兵員の輸送で武力の行使との一体性、こういうことでございます。実は私どもの方の発想は逆でございまして、武力の行使と一体をなすような補給とか輸送とかそういうものは許されない、憲法上武力の行使と一体視される、まさにそれと見られるから許されない、こういう発想でございまして、したがいまして、具体的にそれがどのような場面でどのようにあるか、それは私の方からはなかなか判断しがたいわけでございますが、ただ一点申し上げれば、例えば一体視される、されないというのは、一つは、先ほどの御質問の中にもございましたように、時間的に離れているとかあるいは空間的に離れている、私の立場からはそういう抽象的なことは多少申し上げられても、実態問題としての判断というのは、これはお許しいただきたいと思います。
○米沢委員 今度は外務大臣に答えてもらいたい。 武力と一体とならない輸送、弾薬や兵器や兵隊さんを運んで武力と一体じゃないような場合がどういうときに想定されますか。
○中山国務大臣 現に戦闘が激しく行われている、そのようなところにこの輸送を行うということは、これは武力の行使と一体となるという判断で、それは行えない、このような考えでございます。
○米沢委員 それでは、何か危険のない遠いところなら戦争があってもいいということですか。あるいは今ならいいと。僕は、一体的であるとかないとかというのは我々の判断であって、相手側にとっては敵国のやることそのものじゃないでしょうか。そういうものもやれるということであれば、これはまた大きな問題になっていきますね。もう一回、答弁を変えられる必要はないんですか。
○中山国務大臣 日本政府として、この法案ができて輸送隊が出るということになりまして、例えば補給艦が行くというような場合、その場合でも、その地域に、戦闘が現に行われているというところに入っていくということはできないという考えであります。
○米沢委員 それ以外ならできると……。
○中山国務大臣 一体となっておらなければできるわけであります。
○米沢委員 これも水かけ論になりそうでございますが、軍事行動と一体であるとか一体とみなされるとか、そういう言葉では表現されますが、実際どこで現実の社会で分離できるのか、非常に難しい問題ですね。したがって、輸送の場合に武器や弾薬やあるいは兵隊さんを運ぶことはできるように法律はなっておるが、それは、そのときどきでちゃんと判断するということで答弁をおさめてもらいたいと思います。 それから、こういう平和協力業務は一体何だ、特に中東の湾岸協力という面で一体何だと問われたときに、総理はしつこく言われておるのは、危険なところには行きません、行かせません、危険を察知したら逃げ出します、危険なときには航路を変えますと言い続けておりますね。同時にもう一つは、先ほどの多国籍軍の軍事行動と一体となったあるいは一体とみなされる後方支援は憲法上の制約でやれないからできませんと、この二つの、抽象的な言い方でありますが、大きなかんぬきをはめておられるわけですね。 我々はこういうかんぬきをきかせてもらいますと、一体この二つの条件を満たしてやれるような平和協力業務というのはあるんだろうか、特に中東の問題に関連してあるんだろうかということをいつも考えるんです。何かあるのですか。何もしたくないとは言わぬが、するような形になっておるができませんということに結果的にはなるんじゃないですか。危険なところはないんだ、行かせないんだ、そしてもう軍事行動と一体となるような可能性のあるやつはやらせないんだもの。何がやれるんですか、この中東湾岸の問題に関連して言えばですよ。大体、今日の湾岸危機に対して、いつ何が起こるかわからぬというのが本当じゃないでしょうかね。いつ何が起こるかわからぬ。事前に危険であるとかないとか本当にわかるのでしょうか。ここで実施計画をつくるときに、そのときは危険でないかもしらぬ。走り始めたら本当に危険であるかもしらぬ。着いた途端に危険かもしらぬ、着いて十分後に危険になるかもしらぬ。そういうものを考えたときに、危険なところにはやりませんなんというのは、それは格好はいいですよ。格好はいいけれども、これはちょっと実態から離れている議論だと私は思わざるを得ませんね。 同時に、軍事行動と一体であるか一体でないか、こういうものは我々の判断であって相手様には通じない判断だと思います。そういう意味では、多国籍軍へ有効な協力をするとすれば、私は危険の大小はあったとしても、やはり危険を伴うものであるというのが常識ではないかと思うのですが、総理はどうですか。
○海部内閣総理大臣 初めから戦闘地域に危険を覚悟の上で入っていくということは、業務を策定するときに慎重に配慮をして、あらかじめ危険を予想される戦闘地域には業務計画は組まない。これは武力集団が戦闘に参加しに行くのでは決してないわけでありますから、平和協力でありますから、そういった線を引くということは、これは、ある意味では行ってもらう人の立場に立ったときでも必要な問題ではないかと私は思いますし、平和協力で拠点に輸送をするということ、今この法律がなくても最初の貢献策の中でやり始め、またお願いしてやっておることもあるのですけれども、それは一定の拠点まで一定の物資を運んでもらう。 今は、例によくここでも出ましたけれども、四輪駆動車の八百台を提供するということで船に載せてそれをサウジまで運んでもらった、そういったことがある。あるいは民間航空にお願いして了解を得られたぎりぎりの線ではアンマンに派遣をして、これは難民を、避難された人をアジアの国へ送還することが三回にわたってできた。いろいろなことがございますが、医療班のことなんかについては、これはまだ調査団が帰ってきたところでありますから、どのようなことでどうなるかということはもう少しイメージを立てて申し上げたいと思いますが、いずれにしても初めから危険を承知で危険なところへ行けという、そういうことは業務計画で考えていないということでございます。
○米沢委員 総理が危険なところへはやりません、憲法に違反しない平和業務だけやっていただきます、もろもろの懸念はありませんからどうぞ行ってくださいと言って送り出して、何もなければこれは幸いですよ。万一があるということをやはり考えて、だれがそのとき責任をとるんだ、そ の議論なしに私は協力隊にお願いするというのは、これは不親切だと思うということを言っておるわけであります。万一が起こったらあなたはうそを言ったことになるわけだから、総理が。そういうことがあってはならない。だから、万々一の場合でもやはり危険性はあるんだよ。それならそれにちゃんと対応して万全の対策を立てますよという——飛んで火に入る夏の虫みたいに、何も危険なところにだれも行きたがらぬと私は思いますが、そういうものではなくて、危険はない、危険はないとあなたがおっしゃると、行った結果、本当に危険な目に遭ったときに一体どうするか。言いたくはないですね。危険なところへやるとあなたは言えないだろう。しかし、危険なところへはやりませんという言葉だけを言っておると間違ってしまう。やはり危険もあるんですよということぐらいはあなたに正直に言ってもらわないと、私は実態の率直な報告にはならない、そう思っておるわけでございます。 そこで、平和協力隊に参加される皆さんの立場に立って考えれば、三つの問題がやはり気がかりだろうと思います。 一つは、この「小型武器の貸与等」、第二十七条にありますが、これは平和協力隊員が平和協力業務の遂行に当たり、万一の危険性に配慮して自衛のため、防護のため小型武器を携行するということでございまして、隊員の安全の確保の観点からも、また任務の遂行上からも私は重要な問題だと思っております。ただ、この法二十七条には「自己又は他人の生命」云々「小型武器を使用することができない。」と非常に厳しく使用規定が決められておることは御案内のとおりでございまして、これは当然のことだと思います。 しかし、防衛のためといえども、やはり武器使用は相手との相対性のあるものでございまして、先般来の質疑の中で、携行する武器について歯どめをかけるために外務省が列挙して示すというのはいかがなものかと私は思うのです。何も戦争に行くわけじゃありませんから、攻撃用の兵器を持っていくわけじゃありません。しかし、その場所場所によってはいろいろあるわけで、そこらは配慮してあげることが当然のことだ。問題は、それをどう使用させるかというのが問題であって、いわゆるよく言われます交戦規定、ルールズ・オブ・エンゲージメント、ああいう感じを逆に持っておった方が本当はシビリアンコントロールが厳格に確保されるということではないでしょうか。限定列挙して、小銃とけん銃しか持たせませんなんというのは、これも越権行為だという気がするな、僕は。だれですか、これは答弁する人は。
○中山国務大臣 先ほど、危険があるかないかということがございました。私は、率直に申し上げて、危険が全くないという事態が絶えずあるとは考えられない。例えば、先ほど委員から、中東は危険かというお話がございました。現在のところ、私もこの間中東へ参りましたときに、そこに戦闘部隊がたくさんおって物すごい緊張しているかと思って行ってみたのですが、実際は、日常生活は極めて安定しておりました。その当時そこで言われたことは、ここに毎日日本のオイルタンカーが何十杯も行き来しているのです、だから現在は非常に平和なんだ、しかし、もしここで戦闘が起こった場合は、この日本から油を積みに行っている船も危険にさらされる。やはり同じような条件がそこにはつきまとってくると私は率直に申し上げておかなければならないと思います。外務公務員におきましても、外地で絶えず危険にさらされております。そういう意味では危険はある。しかし、その危険をいかに防止していくかということは政治家がやらなければならない大きな責任ではないかというふうに私は自分に言い聞かしております。 また、今委員から御指摘ございましたけれども、この携行する護身用の武器、これにつきましても、原則は非武装ということでございますから、例えばこの輸送経過においては武器は責任者が管理をして個人には貸与しない。現地に到着いたしましても、現地の国の法律によって武器を保持することが許されていない場合にはそれを保持さすことはできません。しかし、もしそこに治安上の危険があります場合には、けん銃並びに小銃の範囲でこれを貸与することはその指揮者によって判断が決定される、このようなことでございますから、そのようにひとつ御理解をいただきたいと考えております。
○米沢委員 結局、交戦規定というようなものは全然考えていないということですね。
○柳井政府委員 この二十七条で規定されておりますとおり、これはあくまでも治安が悪いような場合の護身用の小型武器でございます。したがいまして、いわゆる交戦規定というようなものは考えておらない次第でございます。
○米沢委員 次の問題は、第二十六条にかかわります「服制等」という条文でございます。 平和協力隊の隊員の身分はどうもわかりにくいのだけれども、平和協力隊というのは文民みたいなもの、中に自衛隊が参加すればその自衛隊員に限り軍人だということでございますが、誤解があるといけませんので、平和協力隊は文民か軍人か、そのことをちょっとお答えいただけませんか。
○柳井政府委員 平和協力隊自体は軍隊ではございません。御指摘のとおり平和協力隊には自衛隊からの参加もいただきますので、その方々につきましては、国際法上は軍人、あるいは船であれば軍艦というふうにみなされるわけでございます。そして、それ以外の隊員の方々は文民ということになるわけでございます。
○米沢委員 仕事によっては自衛隊だけで仕事をするという場合もあれば、文民だけが仕事をする場合もあれば、場合によっては混成部隊という形で仕事につくということもある。問題は、例えばこの混成部隊になって万一の場合が起こったときに、一体こういうものは国際法上どう取り扱われていくのかということを説明してもらいたいと思うのでございます。自衛隊は軍人だとおっしゃるならば、海戦法規、ハーグ陸戦法規、それにジュネーブ条約に照らして取り扱われる。万一の場合ですよ、これは。しかし、混成部隊がその万一の事故に遭遇した場合に一体どういう取り扱いになっていくのか、特に文民はどうなっていくのか、そのあたりをちょっと聞かしてもらいたい。
○柳井政府委員 特に戦時法規についてのお尋ねと思います。 平和協力隊の派遣先等につきましては、これまで御答弁申し上げましたように、交戦が行われている場所あるいはその蓋然性の非常に高いところには出さない方針であるということでございますが、万一ということにつきまして、若干国際法上の理論的な問題につきまして触れさしていただきたいと思います。 まず第一に、自衛隊は、憲法上必要最小限度を超える実力を保持し得ない等の厳しい制約がございますけれども、国際法上は先ほど申し上げましたように軍隊として取り扱われまして、自衛官は軍隊の構成員というものに該当するわけでございます。 先ほど委員のお挙げになりましたへーグ陸戦法規あるいはジュネーブ条約等の規定があるわけでございますが、特に戦争犠牲者の保護に関するジュネーヴ諸条約、これは一九四九年の条約でございますが、このジュネーブ諸条約との関係につきましては、我が国が紛争当事国にならない場合におきましては、自衛官もあるいは文民もいわゆる第四条約、これは戦時における文民の保護に関する千九百四十九年のジュネーヴ条約でございますが、この文民の保護に関する条約のもとで保護を受けるということでございまして、この場合におきましては、自衛官の場合もあるいはそれ以外の文官の場合も特に変わりなく人道的な保護を受けるということでございます。 大変詳しい規定がございますが、数例だけ挙げさしていただきますと、例えば戦地にあった場合にこれらの方々が軍事的な利用をされてはいけない、こういう方々を軍事的に利用してはいけない、あるいは当然のことですが虐待、殺りくをし てはいけない、あるいは人質にしてはいけない、それから出国の自由を奪ってはいけない等々の規定の保護を受けるわけでございます。 他方、第二に、このようなことは実際上は余り考えにくいわけでございますけれども、ある国が我が国をいわば紛争当事国とみなすというようなことを全く理論的に考えました場合におきましては、この自衛官は国際法上軍人とみなされますから捕虜の待遇を受けるわけでございます。この場合におきましては、ヘーグ条約あるいは捕虜の待遇に関する千九百四十九年のジュネーヴ条約の保護を受けます。そして文民の方々は、先ほど挙げましたジュネーブ第四条約、文民の保護に関する条約の保護を受けることになります。 個々の具体的な規定については大変長くなりますので割愛させていただきますが、現在はいわゆる戦争法規というのは国際人道法とも呼ばれておりまして、いずれにいたしましても人道的な取り扱いをしなければならないというのが国際法上の制度でございます。
○米沢委員 次は、第二十四条に関連してお尋ねしたいと思います。 この第二十四条には「平和協力隊員には、平和協力隊の海外派遣に係る外国の勤務環境及び平和協力業務の特殊性にかんがみ、平和協力手当を支給することができる。」とあります。これはまた大変大事な問題でありまして、問題は、どれほど踏み込んで配慮がなされるかということだと私は思います。総理が危険じゃない危険じゃないと言うと、そういうことで値切ろうとしておるのかなと僕は聞こえるので、まあ意地が悪いものだからそう聞こえるのでございますが、やはりこの平和協力手当そのものは、「勤務環境」あるいは「特殊性にかんがみ」ですから、一種の危険手当みたいなものなんですよね。そういう意味では、危険がないから適当にというのではなくて、やっぱり踏み込んでもらうということが私は大事じゃないか、こう思うのでございますが、現在何を参考にしながら検討がなされておるのか、お聞かせいただきたい。
○赤尾政府委員 海外に行っていただきます平和協力隊員の方には、今取っておられる本俸に加えて出張旅費を支給するつもりでございますが、特に今先生が指摘されました任務の特殊性等にかんがみまして、平和協力手当というのをさらに追加してお出ししたいということで法律に書き込んでございます。具体的に例えばどの程度のものかということにつきましては、ただいま財政当局等と詰めている段階でございますので、今の段階では具体的なことは申し上げられませんが、だんだん明らかにしたいと思っております。
○米沢委員 何が参考かと聞いておるのですね。その参考にする例はたくさんありまして、低く見れば低い参考があるし、高く見れば高い参考がありますが、やはり私はこの平和協力手当というのは踏み込んだ配慮をしてもらいたいということを注文をしておきたいと思います。 同時に、この平和協力手当が一体どういうことになっていくのかなと思っていろいろ調べてみますと、警察と自衛官というのは給与とか手当とか体系が違いますから一律に比較はできませんが、やはりこれは自衛官には冷たい制度になっていますね、本当のこと。例えば災害出動の際の手当だとか自衛隊員の鑑隊勤務のときと、警察官の出張の手当の取り扱いとかいうのを見てみますと、非常に差別と言っていいぐらいで、ここに政府・自民党の自衛隊に対する変な思いがあるんだと私は思いますね。私はそういう意味で、今度は海上保安庁の皆さんも防衛庁の皆さんも一緒に行かれるようなときに余り差別があってはいけない、いや、もう絶対に差別があってはいけない、そう思うのです。ところが、自衛隊の給与等については自衛隊の給与ですよ、公務員は公務員の給与ですよとなると、まあ役人というのはうるさいものでございますから、みんなその延長線で議論しようとして、結果的にはばらばらの手当なり給料になってしまうのではないかなという気がしてなりません。そういう意味で、本当に大事なことでございますが、平和協力隊として出た場合の自衛官とか海上保安庁の職員だとかあるいは一般の公務員とか、それはいわゆる普通の文民の皆さん、国民の皆さん、余り差をつけてやることは非常に問題がありますので、ぜひ私はできるだけ同一の取り扱いをし、同時にこれから自衛官の給与とか手当というものをよく見直してもらいたいと私は思いますね。総括的にちょっと総理、答弁を求めたい。
○海部内閣総理大臣 具体的に手当のことについては私も詳細をよく存じませんけれども、しかしお話を聞く限り、この平和協力手当というものはでき得る限り踏み込んで、しかも他のいろいろなところと区別をつけないようにやらなきゃならぬということは、そのとおりだなと思いながら承っておりました。
○米沢委員 もう一つ、これは細かいことですが、行く人にとっては大変大事な問題ですが、例えば保険の問題ですね。今、自衛隊の皆さんは、政府は戦争がないと思っていますから、みんな個人で生命保険に入っておられますね。実は、事故があって万一がありますと、自己の生命保険で対処されるという姿になっておるわけです。 ところが、この任務遂行のときに万一があってはなりませんが、万一をやはり想定したときには、災害とか戦争のときに亡くなったなんというのはみんな免責規定になっておりまして、一般の保険はきかないんですよね。ですから、本当に家族のことを考え、自分のことを、身を守るという立場からは、私はこういう方はあの例のロイド保険のような、あれに入りたいと思われるのは当然のことだと思いますね。今、外交官の皆さん方がそういうものをうまく利用されていますよね。せめて平和協力隊員には、そういう配慮ぐらいはされてしかるべきではないかな、そう思うのです。 あるいはまた、大蔵省の指導が届くかどうかわかりませんが、平和協力隊で出ていかれるときには、その免責条項を棚上げしてもらうような交渉がトータルとしてできないかどうか、そのあたりについて御答弁をいただきたい。大蔵大臣も答弁をいただきたいと思います。
○橋本国務大臣 まだ事務的に検討中の段階でありまして、具体的に申し上げられる状況まで詰まっておりませんが、御指摘のような点は私どもとしても非常に心配をいたし、事務的に注意を喚起をいたしております。 なお、補足をいたしますならば、例えば国家公務員のドクターの場合、医療職の給与表、これには民間との較差を埋めるための調整手当も支給されておるわけであります。そうした点をも十分頭の中に入れながら、事務方同士の論議を見守っております。十分チェックをいたすつもりであります。
○赤尾政府委員 ただいま御指摘の戦争特約その他等につきましては、その必要性を私たちも認識しておりまして、ただいま検討いたしているところでございます。
○米沢委員 最後になりましたが、医療チームの派遣についてお尋ねしたいと思います。 先般、医療チームの先遣隊が帰国されましていろいろと新聞等で隊員の話が出ていました。その中に、サウジアラビア政府側の日本に対する期待は、戦火が起こったときに米軍同様に日本の医療チームにも二百床から三百床の病院を担ってほしいということ、さらに移動病院車、救急車、通信設備を提供してほしいということだったと理解した、化学戦についても防御システム面での協力を求められたというような話が、いろいろな新聞に出ておりました。また、この際の渡辺団長は、今後派遣される医療チームの治療の拠点をサウジアラビア東部アルコバルに決めたというような話もありました。そういうような医療チームの先遣隊の話等を皆さんもよく聞いておられると思いますが、一体あの状況の中でどれだけの医療に対する需要があって、日本はどこまで協力するか、先遣隊の話等を判断されて、今の段階で政府はどういう考えを持っておられるか。総理は百名ぐらいのお医者さんを派遣するとおっしゃいましたが、残 念ながら集まる人がおりませんでした。その公約は続行中でございますか。
○中山国務大臣 委員お尋ねの医療調査のための先遣隊が先日帰ってまいりまして、私も直接代表者からいろいろお話を聞かせていただきました。日本で想像しているような状態と相当環境が違う。先方は、もしイラク軍が攻め込んだ場合に、いわゆる戦火によって傷病者が出る、あるいは戦傷者が出る、そういった場合の治療をぜひお願いしたいということでございましたけれども、これにはいろいろと行かれた方々の中にも御意見があったことを率直に申し上げておかなければならないと思います。 なお、救急車あるいはその他の医療器具の提供についての要請につきましては、政府としてはできるだけの協力をすることができると考えておりますけれども、実際にいらっしゃいました看護婦さんなんかのお話を聞きますと、サウジは特に戒律の厳しいところで、衣服等も黒いものをまといながらでないと働けない、このような厳しい戒律があって、なかなか想像していたような状況ではなかったということも率直に私自身も話を聞かせていただいておりますから、これから続いて出します医療の方々につきましては、私みずからも医師の経験がございますから、十分関係者と相談をしながら、先方の需要にできるだけこたえるような形で協力をしていかなければならないと考えております。
○米沢委員 結局いろいろとこれから話が進んで、日本自身が野戦病院的なものをつくるというようなところまで発展するかもしれませんが、それにはもう御案内のとおり、いろいろな準備が要りますよね。いろいろな準備が要るためには、もう少し早くどういう形態でやるということを決められて、そしてその任に当たる皆さん方に準備を重ねてもらう。私は、この法律もひょっとしたら通らない、それでは、結局は今おっしゃるような政府の方針も、あるいは総理が最初に公約されました百名の医者団を派遣するなんというのも、夢のまた夢で何もできないということになるわけでございまして、事務当局がそういうトップのいろんな判断を受けていろいろと準備をし、いろいろと装備だとかいろいろな教育だとか訓練とか、そういうものをする時間をたくさん与えてあげないと、これは幾ら言ってもみんな済んでからの話ということになって、やあやっぱり日本というのはいつももたもたしておるなという、非難があっても称賛はないといういいかげんな方向にならないようにぜひ努力をしてもらいたいな、そう思っておるわけでございます。 特に、この法律ができたとして、そういう具体的にあちらに行って平和協力隊の皆さん方が活躍するまでに一体どれぐらいの時間がかかるのですか、総理。
○赤尾政府委員 法律が成立いたしました後、できるだけ早く必要な政令等の整備をいたしまして施行するということになります。その段階において、その現地の情勢あるいはニーズ等を考えながらやるということでございますが、できるだけ的確に対応できるように、早目に準備しなければいけないというふうに考えております。
○中山国務大臣 この法案が成立をいたしました暁に平和協力隊の本部が発足をするということに相なりますが、この民間からの参加をいただく医師の方々がどれだけおられるか、恐らく極めて難しい条件になるだろうと思います。そういう場合には、自衛隊にお願いをして、自衛隊の医療隊に参加をいただくということになろうかと思いますけれども、それにいたしましても、現地は日本との風土が相当違っております。私も、現にサウジアラビアに参ります前に、サウジアラビアで医療を担当されました札幌医大の和田という名誉教授がおられまして、この方々に随分詳しく聞いて、先方へ参りましてから、先方政府の、大学の教授からもお話を聞きました。なかなか難しい問題がございますが、自衛隊の参加をいただく平和協力隊の派遣隊員の責任者とも十分協議をしながら、現地の大使館とも協議をし、十分な準備を整えて、できるだけ速やかに体制を整えたい、このように考えております。
○米沢委員 終わります。
○加藤委員長 これにて米沢隆君の質疑は終了いたしました。 次に、楢崎弥之助君。
○楢崎委員 午前中、社会党の岡田委員が質問をいたしましたが、彼の人柄でしょうか、一つ言い残しておることがあると思います。 それは、外務大臣は平和的解決のため、あるいはいわゆる拘束されておる、人質と言われる邦人の方々の解放のために全力を尽くす、こうおっしゃいましたね。私も、平和的な解決、あるいはそういう拘束された人々の、邦人の解放を実現するためには何をなすべきかということを探るためにバグダッドに行きました。社会党の調査団とたまたま一緒になりました。そうしたら、行く二日前でしたか前日だったか、外務省の参事官クラスの人が来た、私の部屋に。行くのをやめてくれと言うのですよ。あなたの午前中のあれなら、我々と一緒の考えだから、御苦労ですね、できるだけのことは出先の大使館でもいたしましょうと言うのが普通じゃないですか。そして、後で聞いたら、何ですか、社会党の方にも行かぬでくれと言ったそうじゃないですか。あんまり調子のいいことを言っちゃいかぬですよ。私はそれを言いたい。 それから、私が参りましたので、私も十月四日に、いわゆるイラクに在住しておって拘束されている方々の代表約三十名の方と会いましていろいろ話を承ったが、一つだけお伝えしたいことがあります。それは、まあ大企業の支社の支社長、言うならエリートです。相当年配の方が多かった。恐らく日本におられれば自民党に投票される方でしょう。そう思いましたよ。ところがその人たちが、いいですか、クウェートから来た人がその当時は百四十一名、イラクにおられた人が百六十八名、計三百九名、我々三百名は日本のために死ねと言われるのだったら死にます、日本のためですか、日本のためじゃないでしょう、我々がこういう目に遭っているのはアメリカのためじゃありませんか、これが現地邦人の叫びです。私は、現地の邦人の方々はやっぱり実態を知っていらっしゃる、実態を。そして、この協力法案はつぶしてくれという言葉を使われました。 これだけお伝えをいたしておきます。
○中山国務大臣 この法案の取り扱いにつきまして、つぶしてくれぬかというようなお話でございますが、この法案は、単に中東の現在の問題だけを対象にしておりません。いろんな地域の問題を対象にして政府としては考えておりますので、そのようなお言葉は受けるわけにはまいりません。
○楢崎委員 まあ、出された方の立場はそうでしょう。 この法案は与党の中にもいろいろの意見がありますよ、もう御案内のとおり。戦争を経験した方方が批判的ですよ。野党の中にもいろんな意見がある、これがこの法案の私は特徴だと思うのですね。だから、この法案は一政党の党利党略で扱う問題じゃない。まして、海部おろしなんという与党の権力闘争の具にされてはかなわないんだ、これは。この法案は国家国民あるいは若い方々の将来、命運を決する重要な法案ですから、私どもはそういう立場でこの法案を審議しています。午前中岡田委員から、与党の人も現地に行かれたらどうですか、あるいは超党派で行かれたらどうですかという意見が出されました。私もそのことをぜひ考えていただきたい。つまりみんなでこの問題に当たろうじゃないですか。それは、まず現地を見ることからですよ。だから、できれば私は当委員会からでも超党派の調査団を送っていただいたらどうか、これはぜひ理事会で検討していただきたいと思います。希望を申し述べておきます。 それで、いろいろ法案の具体的な審議はありました。大体問題点が出尽くしたようであります。私はもう一遍、基本的な立場に立って総理の姿勢をお伺いしたいんですよ。それで、私はテレビも入っていることですから難しい言い方はしません。庶民レベルでお伺いいたしたいと思います。 総理は所信表明演説ですか、あれで大体三十秒か一分間に平和をずっと言われましたよ。自衛隊という言葉は一遍しか出てこない。私は戦争を経験した者として、やはり体験を語り継がなければいけないと思うからこれを申し上げるんですけれども、大体我々の経験によれば、軍部が出ていくときに侵略しますなどと言って出ていったことは一遍もありませんよ。必ず平和ということを言うんですよ。必ず平和ということを言う。そして実際は、いわゆる軍部が進出するその道筋をつける、これが過去の歴史なんですよ。いいですか、あなたはすぐ、危険なところへやらないとか戦争は何とかかんとかと言われますけれども、過去の歴史はそうじゃないんですよ。あの満州事変から日支戦争、そして太平洋戦争、どうしてそうなっていったか。昭和十二年七月七日、盧溝橋で一発の銃声が鳴った。たった一発です。それからだんだん入っていったのですよ。いいですか、それが歴史的な事実であり、教訓なんです。だから、百分の一でもその戦争の可能性があったら、これは政治家たる我々が考えなければいけない。 そういうことでお伺いをいたしますけれども、外務大臣、外務省の玄関に銅像が建っておりますね。だれの銅像か知っていますか。
○中山国務大臣 外務省の正面玄関の突き当たりに建っております子供、男の子と女の子がハトを持っている像が建っております。これは、外務公務員として大使あるいは公使あるいは一般の外務省の職員が外地においていわゆる死亡した者、公務死あるいは事故死、そのような方々のことをしのんで、みんながその冥福を祈るためにつくられた像と存じております。
○楢崎委員 それもあります。 もう一つ、あなたは目が大きいから気がつくはずですけれども、玄関のわきに池があるでしょう。池の向こうに立っている人がおるじゃないですか。ごらんになったことがありますか、どうですか。——ちょっと待ってください。今のお顔を見たら、ごらんになったことがない。何が建っているか。陸奥宗光の銅像が建っているのですよ。なぜか。陸奥さんの前に、外務大臣を飾った井上馨から大隈重信から榎本武揚、ずっとおるけれども、何で陸奥宗光の銅像が外務省の玄関にあるか。それぐらい知っておってもらわぬと、あなたのような態度になるのだ。いいですか、なぜか。吉田茂さんが碑を書いている。なぜか。吉田茂さんは駐英大使もされた、総理大臣もされた。なぜ陸奥宗光を買われたか。これは、当時の陸奥外務大臣がこういうことを言ったんです。それを吉田さんが買われた。外交の要諦は、条約の解釈にあらずして、すぐれて外交方針なり。この教訓ですよ。 一体、総理大臣の今度の問題に対する方針は何ですか。外務大臣の方針は何でしょうか。外務省がいろいろ答弁している。法律をもてあそんじゃいけませんよ。中国では法匪と言うんだ、そういうやつを。法律をもてあそんじゃいけない。 今は、総理には総理の言い分がありましょうけれども、我々が聞く限りは、あなたの方針は、何とかこの際この中東情勢を利用して、あるいは藉口、便乗して、結果として自衛隊の派兵に道を開く、扉を開く、そういうことを考えているんじゃないですか。だから、その結論に合わせるために、うじゃうじゃ、うじゃうじゃ、国連決議と関係のないのに、何ですか、国連決議の有効性確保、そんなことはないんですよ。どこにありますか。国連決議でも国連憲章でもいい、あったら教えてくださいよ。 そういうのを昔の人はこう言っているのです。風が吹けばおけ屋がもうかる、こういう言葉で笑うんですよ。知っていますか、この言葉。時間がないから私の方から言っておきますけれども、いいですか、風が吹けば目にごみが入って盲人になる人が多くなる。盲人になったら楽しみがないから三味線を弾く。そうすると、あの三味線の台のところのあれは猫の皮ですから、猫の皮が少なくなって、ネズミが繁栄しておけをかじるからおけ屋がもうかる。つまり、私が言いたいのは、いいですか、ある結論を持って、それに至るために関係のないところからうじゃうじゃ、うじゃうじゃ言って、その結論を導くというやり方を言うのですよ。 なぜか。今言ったとおり、その代表的なものが多国籍軍ですか、国連の決議、これの有効性を確保するために、こんなことを言っていたら何でもできますよ。それから、きょうも問題になりました、武力行使と一体になる。何です、これ。わかりますか。こんな言葉は入っちゃいけませんよ。 私は友人に高級官僚であった人がおりますよ。この人がやめて、同窓会のときこういうことを言った。いいですか、政府が具体的に政策を持ち合わせないとき、ごまかすとき、言い逃れるときはこういう言葉を使うと。迅速なる対応、可及的速やかに、効率的、効果的、実効性を確保する。全部あるじゃないですか、この中に。だから、こういう言葉を使ってごまかしてはいけないと言うのですよ。 それから、きょうの質問にも関連するが、聞いておきますけれども、私もやろうと思っていた。共産党の不破委員がいわゆる……(発言する者あり)今から入りますから落ちついて。いいですか。まあ御心配無用。 これは二十条、二十一条にありますけれども、例の隊員になってくださいと言ったときに断れるかという問題。これは断れない、命令だからと。私もそれをやろうと思っていた。これは実質的には徴兵、徴用、不破さん、徴用は言わなかったけれども、一般職員は徴用ですよ。これに匹敵すると思うのです。 じゃ、これ断ったらどういう罰則がありますか。海上保安庁でもいい、総理大臣でもいいですよ。
○村田政府委員 お尋ねの件でございますが、平和協力隊への参加を命ぜられた隊員が派遣の命令に従わない場合、これは命令に従わないということで、懲戒処分の対象になるわけでございます。
○楢崎委員 わかりましたか、総理大臣、懲戒の対象になるんだ。 法制局長官、徴兵令があるいは徴用が憲法違反と言われるそれの根拠はどこですか。
○工藤政府委員 お答えいたします。 徴兵制度、まずこれから定義していかなければならないと思いますが、徴兵制度とは、国民に兵役に服する義務を強制的に負わせる国民皆兵制度、つまり、軍隊を平時において常設して、これに要する兵員を毎年徴集し、一定期間訓練して、新陳交代させ、戦時編制の要員として備えるもの、こういうものを徴兵制度というものと理解している、これは実は昭和五十五年の政府の答弁書にあるところでございます。このような制度は、平時であろうと有事であろうと憲法の許容するところでないというのが従来の政府の答弁でございます。 その根拠というお尋ねでございますが、憲法の十八条あるいは十三条、こういうふうなところが挙げられます。ただ、憲法のどの条文に当たるかいろいろな挙げ方はあると思いますが、今のようなところが一応典型的に挙げられまして、いずれにしましても、憲法の許容するところではない。これが従来の態度でございます。
○楢崎委員 私は、直ちに今度の場合隊員にお願いしてそれを命令する、しかも断ったらいわゆる懲罰がある。(発言する者あり)懲戒がある。いいですよ、どっちでも。そのことをとらえて問題にしているんです。言葉はいいですよ。 いいですか、ほかの場合、職務命令でしょう、恐らくこれは。ほかの一般的な仕事やったらいいのですよ。今度はそうじゃないでしょう。先ほどから言うように、危険なところへ行くんでしょう。嫌と思う人もあるでしょう。嫌と言ったらやめんならぬかもしれぬ。やめさせられるかもしれぬ。これは……(発言する者あり)ああ、そうですか、そういう人はやめればいいんですか。そういう考えですか、与党は。いいでしょう、テレビが見ているから。 いいですか、今の法制局長官が言われました 「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」これとどうかかわるのです。これを断ったら、今度、断ったら罰則がある、苦役に。苦役でしょう、恐らく。私も行ってみてわかった。大体、言っちゃ悪いですけれども、言わなしようがないが、ああいう四十度以上超すところの地域で自衛隊は訓練されているのですか。自衛隊の持っている装備は、ああいう灼熱の地に耐え得るような装備ですか。(発言する者あり)いや、持っていくやつでもいいですよ。いや、冗談じゃないですよ、補給艦見てごらんなさい。機関銃も散弾銃も持っていくんでしょう。バルカン砲もわからない。だから私は、そのような断ったら罰則を科するというようなやつは、この憲法十八条に抵触する。どうですか。(発言する者あり)不毛じゃありませんよ、現実に断る人おるはずだ。苦役でしょうが。
○工藤政府委員 お答え申し上げます。 ただいま私が憲法の十八条あるいは十三条を引きまして申し上げましたが、この憲法の十八条がまさに奴隷的拘束のところの条文でございます。徴兵制度はこれに当たる、こういう御説明を申し上げました。 なお、国家公務員につきましては、国家との雇用関係といいますか、そういうことでございまして、この問題とはまた別個の問題であろうと思います。
○楢崎委員 その別個の問題を私は聞いているのですよ、別個の問題を。この法律で公務員も海上保安庁も自衛隊も命令を受けて出ろと言われる。苦役を伴うところだから断ったら罰則がある。それは強要、強制じゃございませんか。十八条に抵触するのじゃございませんか。徴兵令のことや徴用令のことを言っているのじゃないですよ、今は。間違えないでください。——どうして防衛庁が出てくるのですか、憲法に。
○村田政府委員 再度繰り返すようでございますけれども、これは派遣命令は職務命令でございます。したがいまして、自衛隊の隊員について申しますと、自衛隊法四十六条におきまして隊員が次の各号の一に該当する場合には、懲戒処分としていろいろできることが書いてありまして、「職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合」というような項もございまして、その上で慎重に検討の上いろいろ処置をするということになっております。
○楢崎委員 答えになっていませんが、残しておきます。 それで、法制局長官、お伺いしますけれども、今度協力隊が湾岸地区に行く、それは我が国の平和と独立を守る行為ですか。
○柳井政府委員 お答え申し上げます。 この法案の目的は、第一条にございますように、「国際の平和及び安全の維持のために国際連合が行う決議を受けて行われる国際連合平和維持活動その他の活動に対し」て協力をするためでございます。したがいまして……(楢崎委員「時間がないですからいいです。そんなことは何遍も聞いている」と呼ぶ)協力隊もそのための、その目的のために赴くわけでございます。
○楢崎委員 そんなことを聞いているんじゃないのですよ。法制局長官も答えられないでしょう。あなたはこういう問題には答えたんですよ。湾岸地方に自衛隊が出ていく、これは我が国の防衛とは関係ありませんという答弁をあなたはなさった。だから私聞いている。じゃ、我が国の平和と独立を守ることになるんですかと聞いているんです。(発言する者あり)そう、それを聞いているんです。なるならなる、ならぬならならぬ、関係ないならないと言ってもらったらどうですか、総理大臣。だれも答弁しないから、あなた、しなさい。
○海部内閣総理大臣 私は、広い意味で我が国の独立と我が国の平和のために役立つものであると受けとめております。広い意味で。
○楢崎委員 広い意味などと言うたらだめですよ、これは。厳しくとらえなくちゃだめなんです。 それじゃ聞きますが、防衛には関係ないと法制局長官はおっしゃった。いいですか、我が国の平和と独立を守ることに直接は関係ない。広い意味などとそんな答弁ないですよ、あなた。何でも関係してきます、そんなこと言ったら。法律的に考えなくちゃいけないんだ。だから私は聞いておきますが、今の自衛隊員は、自衛隊法の五十三条、それから自衛隊法施行規則三十九条、宣誓をしております。この宣誓の文言は、「私は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、」となっている。今度の場合、宣誓をし直すか、この文章を変えるんですか、追加するんですか。このままじゃだめですよ。
○石川国務大臣 大変余りにも高邁な御質問でございまして、私が答えてもとても満足いただけそうもございませんので、政府委員から詳細に答えさせます。
○楢崎委員 いや、もう政府委員だったら答弁要りませんよ。あなたがこの法案の最高責任者で、本部長になる人でしょう。あなたは副になるんですか。そういう人たちがそんなことじゃ、無責任じゃありませんか。だめですよ。
○石川国務大臣 今、大変非常に難しい問題でありますから、特に法規の関係もありますから、担当の方から説明させます、こういうわけです。
○楢崎委員 私は拒否します。 こういう問題について、責任者の一人が答えられないとは何ですか。防衛庁長官、あなたが宣誓させたのでしょう、自衛隊員に。その宣誓させられたこととほかのことをやらせるときには宣誓の文言に追加するか、あるいはもう一遍新しい宣誓をさせる必要があるんじゃないですか。当たり前の質問じゃないですか。このくらいの答弁ができないで、よく出しましたね、こういう法案を。無責任じゃありませんか。
○村田政府委員 今お尋ねの宣誓でございますが、先生ちょっと読まれましたが、「私は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、」というようなことに続いて、「身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえることを誓います。」ということで、今回の派遣につきましては、自衛隊法の改正が百条の六で行われまして、これに基づいて自衛隊の任務としてこの仕事が加えられたわけでございまして、この宣誓に基づいて行っていただく、こういうことでございます。
○楢崎委員 そんなことを聞いてないんだ。日本の平和と独立に直接関係ないから、服務の宣誓をやり直さないけぬのじゃないか、あるいは、宣誓文を訂正する必要があるのではないかと聞いておるのですよ。 もう時間がないから、せっかく予算委員会でも大蔵大臣にいろいろお願いしましたが、あしたも質問があるそうだから宿題だけを——そう変な顔しないでいいんだ。ちょっと聞いておきますけれども、あなたの予算委員会の答弁を聞いておりまして、まだわからない点がたくさんある。それで、私は今幾つか聞いておきます。 これは一般会計から出すことになるのか、あるいは予備費から出す、もう予備費はございませんから、これの費用です。(橋本国務大臣「これって何ですか」と呼ぶ)隊員を編成して出す費用ですよ。出動させる費用です。それから、何か別枠の、各省かかわっているから、それを引き抜いて何か別枠の特別会計的なものを考えているのか、あるいはもう一つ、将来この法案の出動のために赤字国債を出すようなことはないでしょうね。それだけ聞いておきます。
○橋本国務大臣 先日予算委員会でもお答えを申し上げましたが、この法律が通過、成立をいたしました段階でどのような業務が出てくるのかは、現時点においては想定ができません。そして、法律が通過、成立をいたしました段階で恒常的に必要になりますのは、国連平和協力本部の事務局の経費及び国連平和協力会議の事務経費であります。これは総理府及び内閣から支出されることになるわけでありまして、現時点でその後どういう 事態が起こる、そしてそのためにどれだけの費用が必要になるということは、想定のできる状況ではございません。
○楢崎委員 これが最後になると思いますが、私はあしたも質問を引き継ぎますけれども、私が心配しているのは、かつての臨時軍事費特別会計、今まで過去四回あった。一番新しいのは、満州事変から太平洋戦争のとき。この普通臨戦費あるいは臨軍費と言っています、これになる可能性があることを私は憂えている。ありますよ。特別会計になったらどうなります。赤字公債を出すようになったら戦時公債になるんだ。私は、この予算の出し方というのは、橋本さん、大変重大だと思っているのですよ。これも過去の戦争を知っておったら、こんなことは心配するのは当たり前でしょう。 それから、もう一つ聞いておきますが、防衛庁長官、補給鑑、これはヘリコプターを積むようになっていますね。そして、これは不破委員も指摘しましたけれども、洋上の任務しかできないのですよ。これは書いてありますよ。
○加藤委員長 楢崎委員に申し上げます。時間が経過いたしましたので、おまとめください。
○楢崎委員 わかりました。迷惑かけません。 洋上補給になっている、全部。海洋補給装置一式を備えている。海洋で何をやるんです。そして、ヘリコプターを積むようになっている。ヘリコプターを積むんですか、それだけ聞いておきます。
○石川国務大臣 この法案が成立して具体的な協力業務の内容が与えられるわけでありますから、そういう段階におきましてでない限り、今委員がお尋ねのヘリコプターがどうだとかこうだとかいうことにつきましては、私は極めてお答えできないと思います。 ただ、はっきり申し上げますと、ヘリコプターを出すとかそういうことまでは想定されておりません。あくまでも平和協力隊の業務として物資を運ぶ、こういうだけでございますので、その点は御理解をいただきたいと思います。
○楢崎委員 これで終わりますが、ヘリコプターは平和業務に関係ないですか、そんなことはないでしょうが。持っていくのでしょう。そういう装置になっているんだ、あの補給艦は。しかも、HSS2という対潜兵器を、対潜のヘリコプターも積めるんですよ。 終わります。
○加藤委員長 時間になりましたので、関装備局長、最後に答弁してください。
○関政府委員 一言だけ申し上げますが、通常はヘリコプターは搭載しておりません。
○加藤委員長 これにて楢崎弥之助君の質疑は終了いたしました。 ─────────────
○加藤委員長 この際、公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。 本案につきまして、議長に対し、公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 なお、公聴会は来る十一月一日木曜日開会することとし、公述人の選定その他の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ─────────────
○加藤委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。 本案につきまして、審査の参考に資するため、委員を派遣いたしたいと存じます。 つきましては、議長に対し、委員派遣承認の申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 なお、派遣地、派遣の日時、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 次回は、明二十六日午前九時三十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時三分散会