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119回国会衆議院1990/10/24

国際連合平和協力に関する特別委員会 第2号

発言数
347
登壇者
19
会派数
3
開催日
1990/10/24

会議録

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、国際連合平和協力法案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎拓君。

山崎拓自由民主党

○山崎委員 いよいよきょうから委員会の審議が始まりまして、国民の注視の中で議論が取り進められてまいるわけでございます。  とりわけ国連平和協力法案につきましては国民の関心が深いところでありますが、私は、国民がこの件につきまして深い理解を持つということが一番肝心なことではないかと思うのです。情緒的な判断が行われるということが日本の将来にとりまして重要な問題を提起するということになりかねませんので、この審議を通じまして国民の正しい理解を深めるように各党の質疑が行われることを期待し、私も全力を尽くしたいと思います。  実は、先日テレビを見ておりましたところ、ある東京の団地におけるテレビのインタビューアンケート調査がございまして、この法案についてどう考えるかという質問に対しまして、ある奥様がこう答えられたのでございます。それは、日本はこんなに平和なのに、こんなに豊かなのに、なぜ自衛隊を戦地に送り戦争をするの、そう言われたのでございます。私は、そのお言葉を聞きまして、お気持ちはよくわかったのでございますが、そこで、この奥様の発言に代表されるような、なぜこんなに平和なのに、なぜこんなに豊かなのにということに対しまして、もう一段の国民の理解を深めるように、ぜひ海部総理においてもここで、その平和の由来、繁栄の由来について、これは国家があってそうなっているんだ、国際社会があってそうなっているんだ、我々はあの第二次世界大戦後の廃墟の中から立ち上がって今日に至っておる、今日の世界第二位の経済大国の地位を築くに至ったのだけれども、それは国の安全というものがあって、自由というものがあって今日がもたらされたものであるということについて、総理の口から国民に対して、ひとつその意味合いの重要性につきましてお話しをいただけないかと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 委員の御質問の根本は、戦後きょうまで平和であり、経済的に繁栄をしてきたことについて率直に述べよということでありますが、私は、これは、戦後、日本は再び戦争に参加しない、軍事大国にならないという誓いを立てるとともに、平和は、とりあえず日本自身が節度ある防衛力を持って専守防衛、みずからの国の平和を守るとともに、それだけではどうしても国際情勢の中で守り切れないという点があるとすれば、日米安全保障条約のもとで、アメリカの抑止力の中で平和を守っていこう、それは日本の平和と安全のみならずアジア・極東の平和と安全にも役に立つということで日米安保条約を結び、そのもとで平和を守ってきたわけです。  安全保障条約のときも、顧みますと、安保反対、戦争反対、安保を結ぶと戦争に巻き込まれるという議論が非常にあったことも事実ですが、私どもは、戦争を前提として安全保障条約を結んだのではなくて、これは安全を保障するために、平和を守るために安全保障条約を結んだのですから、平和は必ず大切に守り抜いていきますということを、あの当時も国民の皆様に政府は申し上げ続けておったのですが、きょうまで現実に、戦後、ただの一日も戦争に巻き込まれないで平和を守り続けることができたということの背景には、私は、日米安全保障条約の円滑な運用があって、同時に、その中で世界の情勢も背景として大きく今変わり始めてきたということが一つ言えると思います。  それからもう一つ、食うや食わずという言葉は悪いかもしれませんが、本当に食うや食わずの状態であった敗戦直後の日本がきょうまで、資源もありません、原材料を輸入して国内で加工をしてそれを売り出すというような貿易努力を営々と続けた。その中で、技術力とかいろいろなものでここまで来ることができたのは、世界が平和であったということと、それからもう一つは、自由経済、自由貿易の制度というものがだんだん確固たるものになってきて、そういった世界の好況的な環境の中で、日本は非常に恵まれた立場にあって今日のような地位を得ることができた。  大ざっぱなことを言いますと、今日、世界の経済力、すべてのGNPが二十兆ドルでありますけれども、アメリカが一国で五兆ドル、ECがECで五兆ドル、日本は一国で三兆ドル。これは我々が考えておる以上に、首脳会談なんかいたしますと、いろいろな立場の国、ヨーロッパの国からもアジアの国からも中東の国からも、これは日本に対する国際的な立場、国際的な地位というものを自覚した協力を求められておることも間違いありませんし、またそういう環境の中で育ってきた日本、そのために世界に対して貢献もしなきゃならぬというのでいろいろ努力を重ねてきておることも事実でありまして、日本ひとりだけで平和を守り、日本ひとりだけでここまで繁栄をし続けてきたというものじゃなくて、相互依存関係の中で、世界の国々との協調の中でこのような環境ができてきたんだ、私はこう受けとめております。  したがいまして、東西の対決が終わり、対立が終わり、冷戦構造を乗り越えつつあると言われる時代でありますから、この国際社会の中における平和と繁栄の意味、その位置づけというもの、どうしてここまで来られたのかということをしっかり一回考えてみて、これはまさに皆さんとともに、それじゃどのようにしていったらいいんだろうかということは、さらに平和を守り、さらに繁栄を続けるように日本はできる限りの努力、協力をしていかなきゃならぬ、私はそのように心得ております。

山崎拓自由民主党

○山崎委員 ただいま海部総理から、るる平和と繁栄の背景についてお話がございましたが、特にお触れにならなかったけれども、自衛隊の存在もございまして、戦後四十五年間、我々は日米安保体制とともに日本の平和と繁栄を守ってきた、このように考えるわけです。でございますから、国民の皆様方にぜひわかっていただきたいのは、平和と安全は空気や水と同じようなものではない、ただで我々がそれを手にすることはできないのであって、それなりの政治の努力というものが必要であるし、国民一人一人の政治に対する理解と支持が必要であるということなんであります。  それからまた、国際社会の中で、例えば日米安保体制のことについて総理お話しになりましたが、外国との集団安全保障体制によって今日まで、我々はコストを少なくして平和と安全を守り、かつ、今日の非常に大きな経済力を築くに至った、そのようなことから我々も国際社会に向かってそれなりの貢献をしていかなければならないということは当然のことではないかと思うのです。  そこで、先ほどの団地の奥様の発言にありますように、一体、こんなに平和なのに、こんなに豊かなのに、なぜ自衛隊が戦地に赴いて戦争をしに行くのか、こういう御疑問でございますが、一体この国連平和協力隊というものは戦争をしに行くのか。私はむしろ、この法律の「目的」に書いてございますように、国連の平和維持活動その他の活動に適切かつ迅述に協力するために、紛争地域の周辺に出ていく、あるいは平和維持活動に参加するということではないかと思うのですが、その点の誤解を私は解かなければ、今日の本法案に対する国民の世論は、私は正しい方向に行かないと思うのですが、総理いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 おっしゃるように大前提からまずお考えを正していただかなければならぬと思うのですが、今、戦争をやりに行くというようなことは毛頭考えておりませんし、世界に戦争を起こしてはならないというのが一番大きなねらいであります。  そうして、自衛隊とおっしゃいますが、自衛隊を今回の法律では国連平和協力隊に参加してもらって、そしてこの法律に書いてあることは、まさに国際の平和維持活動というそういった大きな問題で、戦争をやろうということなんかどこにも書いておりませんし、また「武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。」ということを法律の初めの基本原則としてきちっと押さえておるわけでありますから、これは戦争をやりに行くためのものでは絶対にないということはまず明確に申し上げさせていただきます。  同時に、戦後四十五年、国際連合が安全保障理事会というところで、東西両陣営のそれぞれのトップにあったアメリカもソ連もその安全保障理事会に入っておって、しかも平和の破壊者がここにある、国際の大義に反する問題がここに起こった、今の時代に武力で侵略をして一国を併合する行為は平和の破壊である、こう認定をして、直ちに、具体的に言えばイラクにクウェートから撤退することを求める決議を出しておって、その決議を受けて、その決議の実効性を確保するために国際社会が力を合わせて行っております今の問題も、これは戦争ではありませんし、同時にまた、この法律が第三条においていろいろ平和協力業務というものを書いてありますけれども、これは停戦の監視とか紛争終了後の行政事務とか医療活動とか、いわゆる戦争ではなくて、平和を維持し、平和を確保するための業務しか、きちっと法律に制限列挙で書かれておるわけでありますから、私は、その発想だけは、これは根本的に別な違ったことになるわけでありますから、そういったことは考えていないということを重ねて申し上げさせていただこうと思っております。

山崎拓自由民主党

○山崎委員 ただいま総理が言われましたように、この国連平和協力隊は「武力による威嚇又は武力の行使」は行わないということをこの法案の中で明確にしてあるということをぜひ国民に御理解をいただきたいと思うわけであります。戦争をやりに行くのではなくて、戦争をやめさせるための国連の活動に協力しに行くんだということを明確にすべきだと思います。  そこで、世論調査を見ますと、私、先般の安保特における質疑で朝日、読売のアンケート調査を例に引きましたので、きょうは毎日の世論調査を例に引きますが、これを見ますと「自衛隊派遣に「反対」五三%」と書いてある。その自衛隊の海外派遣が「憲法違反である」という回答が四九%だ、こうなっておるわけです。つまりこの国連平和協力隊に自衛隊が参加することとなりましたがために、この国連平和協力隊なるものは自衛隊と全く同義語である、そういう受けとめ方がされているということが一つ。それから、その自衛隊が海外に派遣されることが「憲法違反である」と考えている人が四九%いるわけでございますから、当然憲法違反であるものについて賛成するはずはないんで、自衛隊の海外派遣について反対が五三%になるというのは、これはけだし、その基本的誤った認識からすれば、私は、当然のアンケートの結果が出ると思うのです。  そこで、明確にしたいのは、自衛隊の海外派遣が憲法違反であるかどうかということについて、私は、明快な回答を総理にお願いしたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 自衛隊の海外派遣というものは、私は、憲法違反には当たらない、こう考えております。いわゆる自衛隊の、武力行使の目的を持ったり、武力による威嚇の目的を持って戦闘集団が海外に出ていくということは、私は、これは憲法に関する重大な問題が出てくる、こう思いますが、武力の行使を伴わず、武力による威嚇を行わず、その任務、目的も戦闘行為ではないわけでありますから、このことについては、平和協力法という別個の法律をきちっとつくって、枠組みを定めて、協力の目的も限定をしてきちっと書いておるわけでありますから、このことまで憲法が否定しておるものと私は受けとめておりません。  ただ、世論調査を例に引かれましたので、私も気づいておることを率直に申し上げますけれども、私どもがイメージしておることは、別に戦争の起こらないようにしようという国際大義、国連の決議、国連の決議があって、国際社会がこのような状態をこれ以上広めてはいけない、さらに原理原則に返って、八月一日の状況に一戻せというような具体的な決議まで国連でできておるわけであって、これは従来なら考えられないことでありましたが、東西の対立がおさまり、国際社会の意思、世界の意思としてこれは許されてはならないことだと決まったことでありますから、そのことの実効性を確保するための努力に我が国が許される範囲で協力をするということでありますから、そして二重、三重にもこの法律では歯どめをかけておりますので、これは国際社会の一員として、逆に国際社会に日本がいろいろ協力をしていくことは、きょうまでの経緯も振り返りながら、今日の立場、今日の地位があるのもそういった国際社会の協力の中での地位、立場であったということを考えてみれば、今できるだけのことはすべきだと思います。もし、法律上、学問上の定義とか分け方などが御必要であるとすれば法制局長官がお答えをいたしますが、私はそう考えております。

山崎拓自由民主党

○山崎委員 そこで明確にしておきたいことは、自衛隊の海外派兵と海外派遣が非常に混同されているということです。これは国民の皆様からすると非常にわかりにくいことでございまして、海外派兵と海外派遣、どう違うんだ、これがわからないのでございます。  海外派兵は、今日までの憲法解釈によると憲法違反であります。つまり、武力行使を伴う自衛隊の、海外に自衛隊が出ていくということは、これは憲法違反であるとされております。しかし、武力行使を伴わない形、例えば今度の国連平和協力隊への参加、これは武力行使は禁ぜられておるわけでございますから、こういうケースにおきましては憲法違反でないということは、今総理がおっしゃったように明確である。ただし、自衛隊法に任務規定がない場合には今まではできないということになっておりますから、したがって、今回は自衛隊法も改正していただいて、そして自衛隊が国連平和協力隊に参加するという任務規定を追加していただくということになった、かように考えているわけです。  そこで、今総理はさらに言葉を進められまして、今回の国連平和協力隊なるものは国際連合の決議に基づく諸般の活動、例えば国連平和維持活動等に協力するためのものであるということを力説されたわけでございます。そこで、私は国連ということについて特にこの際申し上げたいことがあるのですが、先回も申し上げましたけれども、我が国は「国防の基本方針」を持っておる。これは昭和三十二年の五月にできたのですが、この「国防の基本方針」を読みますと、「国防の目的は、直接及び間接の侵略を未然に防止し、万一侵略が行われるときはこれを排除し、もって民主主義を基調とするわが国の独立と平和を守ることにある。」これは自衛隊法三条の規定と共通いたしております。  そこで、自衛隊法三条ではこのようなことを書いてあるが、その目的を達成するための基本方針として四項目挙げておる。その第一項目が、「国際連合の活動を支持し、国際間の協調をはかり、世界平和の実現を期する。」こうなっておる。これが「国防の基本方針」の第一項です。  そのころの、「国防の基本方針」ができました昭和三十二年当時の国会の議事録を読むと、こういうことが出てくる。社会党の国防問題のエースとして活躍されました石橋政嗣委員が、このように質問しておられる。これは昭和三十二年の三月二十五日、衆議院の内閣委員会においてでございますが、「私のお伺いしておるのは、きょうは防衛計画ではないのです、国防の基本方針なんです。防衛の任務を負った自衛隊というものがあるのに、そういう自衛隊を持っておる政府に国防の基本方針がないというそんなばかげたことがあってよいのか。国防を持っておるからには、国防の基本方針に当るような案というものが当然あるのじゃないかということをお尋ねしておるのです。」と言っておられるのであります。  これに対して、当時の小瀧国務大臣が、「日本の防衛の基本的な考え方としては、今国連にも参加したことであり、国連を中心とするところの集団安全保障の機構というものができ上ることを期待し、同時に平和外交を進めまして、この国防関係についての全体の情勢をよくするということをやっておりますが、しかし何としてもまだ国連の集団安全保障機構というものができておらない現在においては、」云々ということを述べまして、国防の基本方針を定めるということについて基本的な考え方を述べられたのであります。さらに石橋委員は、それをなぜ国防会議にかけて正規のものにしないのかということを鋭く追及されました。こういう論議が国会にございましてこの「国防の基本方針」ができておるということを、改めて我々は確認しなければならないと思うのです。  その「国防の基本方針」に、四点ありますけれども、「自衛のため必要な限度において、効率的な防衛力を漸進的に整備する。」というところもございますが、まず第一に、国連の活動を支持して国際間の協調を図って、世界の平和の実現を期して、そのことによって我が国の平和と安全を守るんだという決意を、これは社会党の代表選手の鋭い追及を受けながら、今回、そのときにおいて「国防の基本方針」が定まった、そういう歴史的経過を我々は思いをいたす必要がある、かように考えるわけでございます。  そこで、そのときの朝日新聞を読みますと、「国防の基本方針」は、まだこれはできていない段階でございますが、現在国防会議事務当局で作成しておって、「その構想は、国防を広義に解釈し」「国防とは国の安全を保障することであって、従って単なる軍事的な「防衛」に限定されない。「防衛」は国防の一手段にすぎない」「日本の国防は必ずしも日本の力だけによって行うものでなく、例えば日米安全保障条約、あるいは国連の安全保障措置などによる集団安全保障にまつことも合せて考慮する、などである。」といって、この「国防の基本方針」のバックグラウンドをその当時の朝日新聞が紹介をいたしておりますけれども、そのようなものでありまして、まさに「国防の基本方針」に基づいて今回この国連平和協力法なるものができようとしている、誕生しようとしている。これは既に三十年来の我が国としてとるべき政策であった、あるいは念願であった、かように考えるわけでございますが、総理いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 お示しになりました「国防の基本方針」、まさにそのような趣旨のことがここに書いてございます。そうして国連中心でいくということ、国連中心主義の外交をするということも、同時にまた、将来国連が有効に外部からの侵略を阻止する機能を果たし得るに至るまでは米国との安全保障体制を基調としてこれに対処をしていくということも、先ほど申し上げましたように、日米安保体制のもとで平和を守っていくということもきちっと基本方針として書いてきて、そのとおりまたやってきたわけであります。  そういう見地からいって、国連を中心とする国際の平和及び安全の維持のための行動、そうして国連決議に基づくこれらの行動、それの実効性をまた高めていくための問題について、今度平和協力法が協力業務をきちっと定めて、日本の憲法の枠内でできる限りのことをしようと思っておりますのがこの法案の中身でありますから、「国防の基本方針」の指さしておる方向、国連中心で国際社会の平和と安定を守っていきたいと願っておる気持ち、それがそのままここににじみ出てきておるものでありますから、そのように御理解をいただきたいと考えます。

山崎拓自由民主党

○山崎委員 この国連平和協力法案を政府が提出いたしたのに対しまして、社会党から国連平和協力機構設置大綱なるものがほぼ同時期に発表されたわけでございます。  これを見ておりますと、社会党案は、国連が、決議があって要請した場合には、憲法の枠内で平和的問題を対象にいたしましてこの国連平和協力機構の中から部隊を出す、こういう趣旨になっておると思うのです。そこで、この社会党案でも、社会党の平和協力部隊の対象といたしまして国連のPKO、つまり平和維持活動も対象にしておるわけです。ただ、社会党案では、この国連平和維持活動に対して文民だけを送るということが実は特色でございまして、これが国連平和協力隊と違うところでございます。国連平和協力隊は、その中で、日ごろ訓練を積み、国連平和協力活動に最も有効に活動をするであろうという自衛隊の参加を認めておる、そこが明確に違うわけでございます。  私は、その点に関しまして外務大臣にお聞きしたいわけでございますが、あるいは総理でも結構でございますけれども、この国連平和維持活動に対して諸外国はどういう対応をしておるかということでございます。それから、今日までの国連平和維持活動はどのような歴史的な実績を積んできたか。その中で、社会党さんが考えておりますように、国連平和維持活動なるものは、その文字どおり平和で、本当に民間の人が行かれましても安心のできるものだけであるのか。訓練を積んだ、使命感を持った方々が、もちろんどなたも使命感を持って行かれると思いますけれども、真に厳しい訓練を積んで国益のために殉ずるという決意を持った方でなければ務まらないような分野も私は、あるのではないか、過去の国連平和維持活動のさまざまな歴史的な経過を見ておりますとそのようにも感ずる次第でございまして、その点について、実際のところどうであるか。これは外務大臣、お答え願いたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 国連の行います平和維持活動の中には、いわゆる平和維持軍というものとそれから停戦監視団というようなものが、この二つの項目に分けてあろうかと思います。  それで、平和維持軍というものは、あるいはレバノンとかいろいろなところに点在しておりますけれども、これはいわゆる武器を相当量維持した軍事力を持っていないと、この国連平和維持軍というものはなかなかその機能を発揮することはできない。一方、国連平和協力隊等が考えております停戦監視等に関しましては、原則として非武装ということが考えられております。  こういう中で、今まで国連が中心になりましていろいろとこの平和維持活動の中で行われたものを二、三御紹介いたしますと、アフガニスタンの問題あるいはイラク・イラン紛争の調停の問題あるいはナミビアの独立問題、こういうことがございます。  各国ともそれぞれ協力をいたしておりますけれども、日本国はそれじゃどのようなことを今までやってきたかということを申し上げますと、我々は、国連加盟国として国連に一般拠出金を九千万ドル、実は年間に出している世界第二位の国家であります。しかしそれ以外に、例えばイラン・イラクの軍事監視団を出す場合に国連に対しては一千万ドル、あるいはアフガニスタン・パキスタンの仲介ミッションには五百万ドル、あるいはニカラグアの選挙等に関しましては二百五十万ドル、このように個別にやはり国連の平和維持活動に協力をしてきている、こういう歴史がございまして、それぞれの国が国連の平和維持活動に応分の立場で協力しているということを御理解いただきたいと思います。

山崎拓自由民主党

○山崎委員 同僚の宮下議員の質問の時間が参りましたので、最後に私は外務大臣と郵政大臣に一言ずつお伺いいたしまして、私の質問を終わります。  外務大臣にお伺いいたしますが、イラクがクウェートに侵攻いたしましたが、この紛争が解決をいたしましたときに国連平和維持軍が出される可能性があると私は思います。例えば、ただいまお触れになりました停戦監視でございますとか、あるいはどういうものがございますか、兵力引き離しであるか、あるいは選挙に対する援助であるとか、さまざまなことが考えられますけれども、私はこの紛争の後の国連平和維持活動に我が国が参加すべきである、このように考えるのですが、そのためにはこの法案の成立がどうしても必要であります。一日も早い解決を望むと同時に、一日も早くこの法案を成立さしておくということが必要になるのではないかと、かように考えるわけでございまして、この紛争後のPKOに、国連平和維持活動に我が国が参加する意思があるかないか。これはちょっと総理大臣にお聞きした方がいいと思いますが、ひとつ総理大臣にその点についてお答えを願いたいと思います。  それからもう一点は、これは郵政大臣にちょっと、話が少し変わりますけれども、趣が変わりますが、最近見ますと、イラクのフセイン大統領は盛んにマスメディアを使って、全世界に向かって自分たちの立場を説明しておる。それに対して我が国の国際的なPR活動と申しますか、そういうものは必ずしも十全でないように感ずる。特に多数の私ども人質を現地に置いておって憂慮にたえない次第でございますが、それを、人質になっていらっしゃる皆様が唯一の精神的な支えにしている国際放送というものがあるというふうに聞いておりますが、一体我が国の国際放送はどういう状況になっておって、どういう今回の紛争に際して努力をしてこられたか、その点について郵政大臣に、国民に向かってひとつ説明をしてもらいたい。  以上、二つの質問をもって私のきょうの質問を終わります。どうぞ大臣、お願いいたします。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 この中東紛争が平和的に解決した後に、この国連平和協力隊が、もし法律が成立して日本政府としては送る意思があるのかどうかというお尋ねでございますが、もちろん法律案が成立をいたしますと、種々のこの法律に基づいた制度あるいは準備作業が必要でございます。  そういう中で、この中東地域におけるいわゆる停戦監視あるいはいわゆる紛争終結後の国連監視のもとにおける選挙あるいはその新しくつくられる行政府に対するアドバイスを行うための人間を派遣するということは、当然考えられることだと思います。  さらに、アジアにおきましては、もうこのカンボジア和平の見通しが非常に近づいてまいりました。これがいわゆるパリでの平和会議が開催されますと、恐らく年内最終の時点ごろにはこれが実現されると思いますが、年が明けますと、カンボジアにおけるこの停戦監視また停戦監視のもとでの国連の行います管理下の選挙、このようなことに日本政府としてはできるだけの協力をしていかなければならない。また、地域の復旧のためにも協力をしなければならないという立場にあると考えておりまして、中東のみならずアジアにおいては、カンボジアの和平後の日本の協力というものは極めて大きな仕事になろうと考えております。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 外務大臣が詳細申し上げましたが、私に停戦監視に参加する気持ちがあるのかどうかというお尋ねがございました。  今の状況が、平和的に根本に従って、私はまずクウェートからの撤退ということが行われるべきだということを今回の中東危機に関しては描いて、そのように努力しておりますし、また、武力行使になってはいけないという大きな前提で努力しておるさなかでありますから、次のステージで交戦が行われて、停戦監視のために来いというような具体的な要請があるのかどうか、またそういったこともする必要があるのかどうかというのは全く仮定の問題でありますから、そのときのことをここで一方的に予断と憶測で物を論ずるのは適当でないと思いますけれども、具体的にいろいろな場合に停戦が行われて停戦監視に出すのかどうかと言われれば、第三条に、その停戦監視には参加をするということが法律に明文として書いてございますから、そういったことが具体的な要請となったとき、具体的な必要があると判断したときには停戦監視には参加するつもりでございます。

深谷隆司自由民主党郵政大臣

○深谷国務大臣 国際放送の大きな意味は二つあると思います。一つは、日本の立場を世界に正確に伝える、日本の考えを正確に世界に連絡をする、もう一つは、このような紛争の事態になったときに、かの地に残された日本人に対して正確な情報を送る、こういう点ではないかと思います。  このたびのイラクの紛争に関しましては、直ちにNHKと相談いたしまして、八月の三日以降から一日三・五時間であったものを徐々に延ばしまして、現在は十一時間イラクに向けて積極的に放送を続けております。特に、肉親の方の声であるとかそういうものを含めまして全力を挙げているところでございまして、これからも鋭意努力を続けたいと思っております。  外に向かっての情報に関しましては、日本に入ってくる情報と比べて極めて少のうございます。現在、国際放送の基地といたしましては、茨城の八俣にございます。外国ではガボンあるいはカナダ、ギアナでございますが、来年の一月にはスリランカに新たに中継局をつくります。しかしそれにしましても、非常に日本の国際放送は他の国に比べておくれておりますから、それからまた、NHKを中心にして我が国は交付金という形で応援をするという形でありますが、日本の立場を正確に伝える意味では、もっともっと積極的に取り組まなければならないと思っておりまして、これも鋭意さらに拡大を検討しております。  どうぞまたお力添えをお願いいたしたいと思います。

山崎拓自由民主党

○山崎委員 終わります。

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 次に、宮下創平君。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、山崎議員に引き続きまして、今回の国連平和協力法案に対する質疑を行いまして、法案提出の背景にある国際情勢、それから現下の湾岸危機の問題に対する政府の認識と対応、あるいは本法案の理念とか必要性、それからまた具体的内容の幾つかの点について政府の考え方と総理の御決意を承りたい、こう思うわけでございます。  今日の国際情勢は、申し上げるまでもなく、まさに歴史的な変革の渦の中にあると存じます。昨年からの一年間を見ましても、二度の首脳会談を通じまして米ソ関係は協調の歩みを確かなものにしておりますし、またソ連、東欧の民主化へのうねりも、欧州を中心とする東西関係は大きな構造的変化を遂げているのではないかと思うのであります。その象徴が、昨年のベルリンの壁の崩壊と今回の東西ドイツの統一であろうかと思う次第であります。  このような変革の波は、ゴルバチョフ政権下のソ連のペレストロイカを震源地として欧州を中心にいたしまして始まったわけでございますけれども、この好ましい動きを全世界に広めていくということがぜひこれは求められておりまして、こうした努力をすることが何よりも肝要なことであります。その意味におきまして、最近の韓ソの関係の正常化、韓国とソ連の関係の正常化でございますとか、あるいはモンゴルの民主化等、アジア・太平洋地域においても好ましい影響が及んできておることはまことに歓迎すべきことであろうと思います。これらの変化は、戦後、我が国が自由と民主主義あるいは市場経済の価値に基づいた社会、国家を再建いたしまして、同じ価値理念を有するところの米国を初めといたします先進民主主義諸国との協力を基軸とした外交、あるいは内政を強力に展開してきたことの正しさを証明するものであろうと思うわけでございます。  しかしながら、氷は解け始めるときが最も危険だということをサッチャーさんが言われましたけれども、この言葉のように、過渡期における国際情勢とか国際的な状況というものは、一方、極めて不安定性、不確実性を内包する危険な時代であるとも思うわけでございます。そして、このことを最も端的に示しておるのが今般のイラクによるクウェートの侵攻に始まる湾岸危機の勃発であろうと思います。これは言うまでもありません。  そこで、イラクがクウェートに武力をもって侵攻し併合するという行為は、断じてこれは許すことのできない行為でございまして、これは国際社会全体にとりましても、我が国自身にとりましても、重大かつ深刻な脅威と認識すべき事態であろうかと思います。国際法とかあるいは国連憲章を真っ向から否定するイラクの行為に対しまして、国際社会の一致団結を背景にいたしまして、まず国連では、たびたび説明がございますように、国連の安全保障理事会は実に九回にわたる諸決議を出しております。そして、それもほとんどが全会一致というような、五大常任理事国の賛成はもちろん、全会一致という前例のないほどの国際世論の高まりを示しております。これらの決議を通じまして、国連はこのイラクの行為を国際の平和と安全に対する重大な破壊であると認定いたしまして、イラクに対してクウェートからの即時無条件の撤退を求め、これに応じないイラクに対しまして、すべての国連加盟国の義務として、これは国連決議六六〇、六六一でございますが、厳しい包括的な経済措置を決定いたしております。  さらに、安保理事会は、制裁措置のこの実効性を確保するために、湾岸に海上部隊を派遣している諸国に対しましても、安保理事会の権威のもとに状況に応じては必要な措置をとることも認めるというような毅然たる態度を示しておるわけでございます。  それから、世界の大多数の国々もイラクのこの行動を非難いたしまして、一層の侵略行為を阻止する必要がある、そしてイラクに対して、国連の決議に従って速やかに撤兵しろ、そしてクウェートの独立を回復することを求めて行動を全世界的に起こしております。  また、米国を初めといたしまして欧州諸国、アラブ諸国、またさらにはパキスタン等アジアの一部も派兵をいたしまして、そしてソ連をも含む二十六カ国の国々が、サウジアラビア及びその周辺の地域あるいは海域に軍隊を派遣をいたしております。  中でも米国が、八月二日のこの侵攻が始まるや否や迅速に空軍力と海軍力をこの地域に派遣いたしまして、イラクのサウジアラビア侵攻の可能性を封じまして紛争の拡大を防いだことは、私は国際的に高い評価を受けるに値する行動であると言わなければならないと考えております。もしも米国がこの迅速な行動を通じてイラクのサウジアラビアへの侵攻を抑止しなかったならば、一体中東問題はどのような発展を見たでありましょうか。世界と日本経済に対しはかり知れない混乱を引き起こしたことは間違いございません。  本会議以来本院の議論を見ましても、イラクの非を糾弾するというよりもアメリカを非難するという議論の多いのは一体どうしたことか、私は甚だ理解に苦しむところでございます。米国の力の低下と世上言われております。米ソ超大国の力は低下したと言われておりますけれども、いざというときに結局米国しか頻りになる国はないということを如実に示したものではないかとすら私は思うわけでございます。  我が国といたしましても、イラクの侵略行為が国連憲章や国際法に明白にこれを侵犯して違反し、国際の平和と安全を破壊するものであることを我が国は明確にもちろん主張しなければなりませんが、そして同時に、平和の回復を求めていくということは、我が国が国際社会で責任ある国家としての立場を貫いていくためにもぜひ不可欠であろうかと思います。単に我が国が石油供給の七割をこの地域に依存しているということだけにとどまりません。今や東西関係に大きな変化が生じておりまして、二十一世紀に向けた新しい国際秩序の模索が行われておるこの重要な時期であるだけに、イラクの国際法違反を真っ正面からこれは否定し、そしてその是正を厳しく求めていくことは特に重要なことでありますし、そうすることが我が国の重要な責務であろうかと思います。このような点の認識が基本になければならないと思うわけであります。  そこで私は、まず、このような国際情勢の流れの中におけるイラクのクウェート侵攻とその一方的併合という事態に対する総理の認識をお伺いしたいと思います。特に遠く離れた感じを持ちやすい中東湾岸地域の平和の破壊でありますが、この平和の破壊が我が国の国益にとっていかに重大な意味を有するか、まず総理より御所見を伺いたいと存じます。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 宮下議員の現状に対する認識というもの、私それをどう思うかというお尋ねでありますけれども、私も同じような視点に立って物を考えております。  ということは、先ほども申しましたように、世界が、東西の対立時代にはそれぞれ東西両陣営に軍事力を背景にした超大国があって、その枠組みの中で平和が保たれるような世界の枠組みがあった。それが、ベルリンの壁崩壊で象徴的にあらわされるように、東西の対立、対決が終わりを告げた。冷戦後の世界の秩序はどうするのか。これは、東西両陣営が話し合って協力して歩み寄って平和と繁栄を図っていきたいという、これが大きな歴史の流れであったと思いますから、そしてそれが希望が持てるようになったというのは、もうイデオロギーを背景とした対立とか、政治やあるいは経済の、国の体質、体制の違いからくる対立ではなくて、民主主義を求める、一党独裁はやめよう、そして自由経済、市場経済というものの価値を認めてみんながそれに歩み寄っていこう。要するに、民主化、自由化への世界の大きな動きというものは、すべての国々が一つの共通の価値を求めて、人間はいかにしたら豊かに幸せに平和に暮らすことができるかということを長い間探求し合った結果がここに来ておるんだと私は受けとめておるのです。  ですから、同じドイツの人を西と東に分けて、二十八年間、ベルリンの壁は、片や自由と民主主義、片や共産主義、統制経済ということでやってみたけれども、結果はよくわかったから一緒になろう、西ドイツの紙幣が通用してもいい、西ドイツの体制、仕組みがそのまま押し及ぶようなことであっても早く統一したいんだという、我々から見れば非常に劇的な、そしてスピードの非常に速い変化が象徴的に起こったということ、こういったことを見ますと、おっしゃるように、歴史の流れは、平和の方向へ、共通の繁栄の方向へみんなが力を合わせていこうという方に動いておるものと見たのですが、この氷の解けるときが一番危ないとヨーロッパでかねてから指摘されておったように、この希望を打ち砕くように起こったのがイラクのクウェートに対する侵略、併合という事実ですから、この事実はどうしたってこれは容認してはいけないと思いますし、これからの世界の秩序の中でこういったことを、仕方がないことだ、あれはああだといって認めてしまう立場に立つということは、これは歴史の流れに対する反逆にもなるわけでありますから、これはいけないことだというのを国際連合が決議をしたわけであります。  その決議は、東西両陣営の両巨頭も参加をしての決議で、そして実効性を確保するために、今御指摘のように二十六に及ぶ国々が、ヨーロッパと言わず全部集まって行っているわけであります。いち早くサウジアラビアに展開をして、クウェートからサウジアラビアへの戦火の拡大、平和の破壊がこれ以上進まないように、アメリカ軍その他の多国籍軍があそこで戦線のこれ以上の拡大を抑止したということは、私は率直に事実として評価をしなければならぬと思うのです。  そうして、それをそのままで膠着させないで、原則に従った解決のために今みんながその抑止力として努力をしておるわけでありますから、戦闘行為を行っておるわけでないわけですから、抑止力として行っておる努力、それに従って、イラクもクウェートからの撤退というまず第一の局面打開の作業をすべきではないか。そこからこの先についてのいろいろな、さまざまな問題が提起されていく。  私は、ニューヨークの国連でブッシュ大統領の演説も聞いてきましたけれども、それはイラクがクウェートから撤兵をすることというのが、例えばイラク・クウェート問題の紛争や、あるいはアラブ・イスラエル問題の紛争の解決という点についてもさまざまな機会を提供することになるんだから、ということは、まずこの緊迫した局面を転回するその勇気と必要性が強く求められておるんだ、それがまた恒久平和のためにも役立っていくんだということを、私は私なりに感じながら、そういったことが一日でも早く実現されるように強く望んでおるところでございます。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 現在、湾岸情勢は、軍事的には一応膠着状況にあるように感ぜられます。そして同時に、人質問題も解決されませんし、クウェートでのイラク占領の既成事実化が進んでおりまして、経済封鎖は果たして効果を上げているんだろうかどうだろうかというような点がございます。  この点についてお伺いしますが、長期的にしか経済制裁の効果は期待し得ない場合もございましょう。あるいは効果が上がっているかどうかわからないという場合もございましょうけれども、政府としてこういう場合にどのような解決策が望ましいと考えておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 当然のことだと思いますけれども、経済制裁が効果を上げて、それによってこの段階での解決のために効果が上がっていくということを、これは心から期待をするわけであります。そうして、今いろいろ行われておる一連の世界の努力も、この経済制裁の効果を高めようということの一致協力でありまして、先ほども委員お触れになりましたが、国連に加盟していない国でも、国連のこの決議は自分の国としても加わることが大切だという判断から加わっておる国もあるわけでありますから、日本も経済制裁には全面的に加わっておるわけでありまして、これが効果が上がりますことを心から期待しながら、効果を上げるためにはすべての国際社会がこの点について共同して行動をとっていくことが一番大切である、時間が少々かかっても粘り強く平和のために解決の努力をしていくのがこの問題の根本である、政府はこう考えております。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 総理の御答弁にありましたように、粘り強くこうした問題は取り組むべきであるという点は私も同感でございます。  ところで、最近フランスのミッテラン大統領が中東紛争和平提案を出しまして、いわゆる四段階解決を示しておりますね。またブッシュ大統領も、平和的解決が達成された後に取り上げられますところの中東地域の問題を国連演説で、今総理のお話しのように示しておられます。政府は一体これらの内容をどう評価しておられるのか。報道によりますと、フセインはこのフランスのミッテラン大統領の四段階解決の和平案を大変評価し、そして同時に、きのうかきょうでございますが、報道によりますと、フランスの三百三十人くらいの人質の釈放を決定しておるという報道が伝えられております。そういう背景もございますけれども、政府はこうしたミッテランの平和提案あるいはブッシュ大統領のこれに対する態度、またそういうものについてどのように評価をなさっておられるのか、また日本政府としても今回の危機の平和的解決とその後の復興に関しましていかなるビジョンをお持ちなのか、お示しをいただきたい、こう思うわけでございます。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 フランスのミッテラン大統領も日本と別に違ったことを言っておられるわけではございません。フランスの大統領は国連の演説におきまして、フランスの和平提案は、イラク側にこの安保理決議を受諾させることがまず前提条件だ、こう言っているわけです。これは日本と全く一緒でございます。それで、イラク軍のクウェートからの撤退、人質の解放を実現させるように要求をされています。これも日本政府と一緒であります。このような中で、いわゆるこの地域紛争というものが外交的に平和のうちに解決をすることが望ましい、これは我々の国も同じことを考えているわけであります。  ただ、この後に問題としてありますものは、パレスチナ問題というものがございます。国連決議二百四十二に基づくいわゆるパレスチナ問題の解決ということを、このイラクのクウェート侵攻がいわゆる撤退によって無事に国際社会で解決が図られるという時点になりますと、この問題を解決するために我々日本政府は積極的に協力をするということも当然のことでございまして、かつて日本を訪問されましたパレスチナのアラファト議長に対しましても、私どもは日本政府を代表して、パレスチナ人の自決権を認めるということを申しておりますし、イスラエル軍が占領地域から撤退をするということも主張しておりますし、またイスラエルの自決権も認めてやるということが必要だということをアラファト議長に私は率直に申しております。また、イスラエルにもそのように申しておりまして、私どもはこの湾岸の危機が回避された後に、日本政府としてはこの地域の平和的な解決、さらに繁栄、経済の再建のために積極的に協力をいたしたい、このように考えております。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 ミッテラン大統領の中東紛争和平案に対する今の外務大臣の御説明、私もそのとおりだと思います。一番基本的なことは、やはりイラク側の安保理事会受諾要求を、これをミッテランさんも主張しているということが基本的に重要な事柄だと思いますね。私も同感でございます。  さて、このようなイラクの行為は、国際社会として断固として拒否し、是正していく必要があることは当然でありますけれども、私は思うんですけれども、第二次世界大戦のヒトラーに対しまして宥和政策を展開したことがございますが、これがナチス・ドイツの戦争への道を開いたという、ミュンヘンの教訓ということを我々は忘れてはならないと思うのでございます。その意味で、半世紀にわたりまして米ソの冷戦というこの戦いを続けてきました米ソ超大国を含む国際社会が、今日国連のもとに一致団結した行動を示していることは、これまでなかった外交の枠組みが私は動き出したものだという点で、まさに特筆すべきことであろうと思います。この新しい歴史の流れを時代認識としてまずしっかりと理解することが、本問題の解決に非常に基本的に重要なことだと私は考えております。  しかしながら、これに対しまして我が国の貢献は果たしてどうであったかという点について御質問したいわけでありますが、確かに湾岸地域の平和と安定のために十億ドルの貢献、プラス九月の半ばにまた十億ドルまでの追加協力を示しておりますね。また同時に、エジプトとかトルコとかヨルダンといった湾岸周辺国に対しまして、この安定に資するために経済援助を二十億ドル出すことを約束していることは、私は評価いたしたいと存じます。極めて財政状況の厳しい中で、子供、老人を含めまして、これは国民一人当たりに換算いたしますと約五千円という負担に、四十億ドルでございますとなりますね。こうした負担は、そのほかに原油価格の上昇という問題もございまして、これらの負担を含めますと、実に大変大きなものだと思うのでございます。  しかしながら、一方、必ずしも世界じゅうが日本の貢献を日本の国際的地位に見合うものとして評価し、見ていないという点も事実ではないでしょうか。小切手外交とか平和を金で買うとか言われます従来の我が国の対応が、すべてを金によって解決したいということで、自分から手を汚して、また自分から汗をかいて努力するという姿勢に全く欠ける責任逃れであるとすら言われております。このままでは、一方で国民に負担を強いておるわけですね。そういう中で、他方ではそれでは世界に認められるかというと、世界では必ずしも十分に認められていない。日本はそういう意味で世界の孤児になっては大変だ、また二等国になっては大変だと私は思うわけでございまして、こういう事態になりかねないのではないかと思うわけであります。  そこで、日本の中東貢献策に対する理念ですね。これはしばしば総理も表明されておりますが、改めてその理念についてお伺いしたい。それからまた、今後同様の危機の発生が見込まれる際には、我が国としてはやはりタイムリーに、かつ目に見える形で責任ある行動をとっていくということ、そして、国際社会に名誉ある地位を確立していくということが必要でありますが、総理の御決意をお伺いしたいと存じます。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 国際社会の全体の平和と相互依存関係の中できょうまで歩みを続けてきた日本でありますから、そういったことを考えますと、国際社会の中で孤立していけるような状態でないということは、私はそのとおりだと思っておりますし、六億トン近くの原材料をいろいろなものを輸入しながら、それを七千万トン前後のものに加工をして製品として売り出して、それで日本の収支というものを成り立たせながら、世界各国との相互依存関係というものをずっと深めてきたその結果でありますけれども、世界に対する経済協力も、全体として実質額では百億ドルというところまで達してきた。世界の国々からはそのことについては評価をされ、歓迎も受けておる。また、日本の経済力がそういう大きな規模になってきましたから、例えば去年一年間でアジア地域からは六百四十億ドル製品の輸入をしてアジアの国国からも喜ばれておる。  しかし、日本は日米の貿易関係の中ではインバランス、日本側が五百億ドル前後のものを毎年ずっと黒字にしてきた。片方には赤字が偏った。もう少しその辺のところを何とか努力をしなければならぬという面はございますけれども、全体としては、日本はおっしゃるように経済的な面では豊かになり、国内の国民生活の質もそれによって高くなりつつあるということは、これは否定できない事実だと思います。  ですから、こういった平和が保たれていくという国際的な秩序というものが日本の生存にとっては極めて大切なことでありますし、日本はそういった中で生きていこうと決意をしておるわけでありますから、世界の秩序の中で平和を破壊したり、力でもって平和を奪うことは許すべきではないという国際的な世論の方向に対しても、国連決議という明確な線で示されれば、それを受けて行われるいろいろな各国の行動に対しても日本はできる限りの協力をしていくのは、これは当然の考え方である。これは世界の平和と繁栄をより確実なものにしていくために、力による勝手な破壊は許さないという、こういった平和の理念というものをきちっと守っていくために日本は努力をしなければならぬ、これが基本的な考え方でございます。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 私はここで特に重要な視点として、難民に対する支援策について、人道上の問題からも我が国は重視していくべきでございますので、この点についてちょっとお伺いいたしておきますが、今回の湾岸危機によりましてジョルダンへの難民だけでも六十万人を超えていると言われます。また、今後の事態の推移によりましては、百五十万人もの潜在的難民が存在するとも言われております。  我が国はアジアの一国を標榜ておりますが、このアジアの一国を標榜する我が国としては、アジアの難民すべてに対し援助の手を差し伸べる気構えがあっていいのではないかというように私は思います。そして、このことがアジア諸国に対し、今いろいろ批判等があるように報道されておりますが、このアジア諸国に対しまして日本への信頼と、また今回の自衛隊派遣を中心とする平和協力隊に対するアジア諸国の具体的理解を求める、こういうことの何よりのあかしになるのではないかと私は考えております。そういう意味で、政府はさきに二千二百万ドル強の難民支援を決定いたしましたが、しかし、難民の増大にいかに対処していかれるお考えなのかどうか、総理、また外務大臣から所見を承りたいのでございます。  特に、さきに決定いたしました貢献策の中でも、日航機を使い、あるいは全日空機等によります難民輸送を行っているのは承知しております。これは三回で、しかし総体としては約千人程度というようにも承っておりますが、これでは余りにも少ない状況ではないでしょうか。今後ともこのような目に見える貢献策というものが重要になると思われますけれども、それが遅々としてこのように進んでいないのは、支援態勢に問題があるのか、一体どこに問題があるのか。また、今回のこの平和協力法案が成立いたしますならば、この難民輸送が飛躍的に拡大する。輸送手段も調達できます、そういうことで飛躍的に拡大することになるのかどうか、これは政府の見解をお伺いしたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 委員もよく御承知のように、航空機を利用してアジア系の難民を自分たちの国に引き戻してあげる、このようなことで政府は格段の努力をいたしてまいりました。  しかし、御案内のように、日本には民間航空会社が日本航空を初め全日空とかあるいは日本エアシステムがございますけれども、海外のいわゆる航空業務を行っている企業は、すべて外国旅行をするために相当以前から座席の予約を顧客といたしておるという一つの原則がございます。そういうことで、機材はほとんどフルに回転されております。そうしないと企業は利益が出ないわけであります。そういう中で突如として難民を輸送してほしいと言いますと、既に数ヵ月前から海外旅行をするために予約をしているお客たちのキャンセルをしなければならない。これはこの旅行会社としては致命的な打撃を受けるわけでありまして、なかなかそういう中で政府が要請をいたしましても、この航空会社はすべて政府の期待にこたえるようなことができなかったわけであります。努力をしても実際はできなかったわけであります。相手方のあることであります。政府が幾らお願いをしても、機材を持っているのは民間企業でございます。そういうことで、これができなかったということはまことに残念に思っております。  こういうことをどのようにしたらできるのか、まあ我々が今考えておりますことは、将来輸入を、購入を予定しております政府専用機、このようなものが日本政府に所有ができるようになれば、こういう難民輸送あるいは邦人を救出してくるといったようなこともそれによって可能になろうか、このようなことで、やはり日本政府としては今回の苦い経験に合わせて、これらの新しい地域紛争に対する邦人保護の問題、またアジア周辺国の難民の救出の問題についても対応せなければならない責任が出てきたと認識をいたしております。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 次に、法案の問題に入りたいわけですが、今国会の中心課題は国連平和協力法案でございます。  この法案につきましての総理及び政府の基本的な考え方、内容についてお伺いしたいわけでありますが、今回の湾岸危機におきまして、国連を中心とした国際社会の一致団結した平和努力が中心的役割を果たしていることは、今まで議論になったとおりでございます。しかし、平和は傍観しているだけでは達成されません。国際協力によってみずから獲得し、守っていかなければならないものでございます。言うまでもございません。このことは、我が国の国際的地位の高まりからして当然であると考えております。そしてその際に、責任ある国家の行動としては、金だけではいけない、やはり知恵も必要だし、物も人も、こうした四点セットといいますか、四つの面が特に重要であろうかと思いまして、このどの一つを欠いても十分な役割と責任を果たせないことは明白なことであろうかと思います。  我が国は、従来から国連の平和維持活動等に対しまして、先ほど外務大臣からもお話がございましたように、主として資金面での協力を行ってまいりました。しかし、その他の活動面では、その枠組みが存在しなかったと言えましょう。その意味で、今回国連平和協力法案なるものができますことは、私は、今後の国際社会に生きる日本としてはまさに画期的なことでありまして、我が国が平和国家として責任ある行動をとっていくために不可欠な土台を提供する、土台をつくり上げるものだと言っても過言ではない、こう思うわけであります。したがって、この法案は日本の進路を左右いたします。また、憲法前文に示されておりますように、我が国が国際社会において名誉ある地位を占めることができるかどうか、これを決定的に決定づける試金石とも言えるというように私どもは理解をいたしております。  総理は、今日までいろいろな立場でこの法律の必要性について述べてこられました。そして、私どもはよく理解をいたしております。しかしながら、先ほどの山崎議員の世論調査にありますように、果たして本当にこれが国民の間に理解が浸透しているかどうかという点については、まだまだ私は不十分であろうかと思いますので、この委員会の冒頭に改めて国会、国民に対し、この法律がなぜ必要なのかという法案の理念と、それから同時に、この法案で成立される予定の国連平和協力隊、これは一体いかなることをするのかどうか、総理自身から改めて御説明いただきたい。わかりやすく説明していただきたい。  同時に、自衛隊の参加の必要性に対しまして、今これが一番の議論になっておりますけれども、国民の中に種々の議論なり感情がございます。総理はいかなる考え方のもとで自衛隊の参加を決定されたのか、国民にわかりやすく御説明をいただきたいと存じます。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 この国連平和協力というのは、いろいろな角度から考えますと、日本がいわゆる復興途上国の時代には、黙って自分だけで小ぢんまりとつじつまを合わせておればよかった時期があったかもしれません。ですから、日本は平和を守るためにも日米安全保障条約に依存をして、節度のある自衛力を自衛隊として整備して、平和を守って、国際的な貢献とか国際的な協力ということにはほとんど目を向けないで、心も寄せないできた時期があったことは、私も率直にそうであったと思います。  けれども、今日これだけの立場に立ってまいりますと、これは日本は自分が考えるよりも、むしろ国際社会の中の一員としてしかるべき責任を果たしていくことが国際社会の相互依存関係の中で生きていく上に極めて必要なことである、こう判断をいたしました。そうして、今度のこういった国連の決議が行われるようになったということも、むしろこの十年、二十年と言わず、つい数年前まで、もっと極端に言えば、東西の大きな対立が終わりを告げるベルリンの壁の崩壊前までは、国連で東西の背景を抜きにして、国際世論がここは世界の平和の破壊者だ、正義に反するものがここにあるという認定が国際社会の意向として国連で決定されるというような状況も、まさに考えられないことでございました。それだけ世界は希望の持てる方向に動きつつあると言って決して言い過ぎだとは思いません。  そういったときに、復興途上国という言葉が適当かどうかは別にして、これだけ大きな立場になった日本、西側のサミットの参加国ともなり、また世界の総生産の一割を優に超える国になったものが依然として黙って考えておる、口で物は言うけれども、お金は出すけれども、それ以外一歩も汗をかこうとしない、みんなと力を合わせて国際の決議に協力しようとしないというままでは、これはいけないと思いました。  それで、できる立場というのは、この国連平和脇刀法案に書きましたことを大前提として日本は平和協力をするわけでありますけれども、この国連の平和維持活動とか、国連決議の実効性を確保するために各国が行っておる行動に直接参加をして共同で行うことはできませんから、そこでこれに対して協力をする。しかも、武力による威嚇または武力の行使に当たるものであってはならないということは、これは日本の憲法の求めておる平和の理念の枠内で考えますと、この規定、そしてこのことはやはりアジア・太平洋地域の平和と安定に役立ってきたという実態もあるわけでありまして、こういう理念、立場を十分踏まえながら、の枠内でできることは何であるか、いろいろ総合的に議論、判断をいたしました結果、第三条にきちっとでき得ること、やるべきことの目標をずっと掲げて、業務を系列的に並べたわけであります。  このことに関しては、いろいろなお立場で、またいろいろなところからいただいておる御意見や反論や批判の中にも、こういったことをやることが全くいけないんだという批判は私は寡聞にして知らないわけでありますから、こういうことはやりなさいということでありますから、ですから、自衛隊は平和協力隊に参加をしてもらって、この平和協力隊の枠内で、平和協力隊の定める業務規定に従って行動をしてもらうという枠をはめて、武力による行使、一番ポイントは武力の行使をしてはいけないというその一点に尽きる。国が実力行使として戦闘行為に参加してはいけないというところに明白な一線があるわけでありますから、それはこの平和協力法案によってきちっと守っていこう、原則非武装でやろうということがこの法律の貫く理念でありまして、できるだけの協力をしていこう、こういうことであります。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 たびたび同じような質問になりまして恐縮でございましたが、総理から今、本当に決意を込めて御答弁いただきましたが、国民の皆さんも、やはり総理の真摯なそういった御答弁を通じて、本問題に対してよりよき理解を私は期待をしたいと存じます。  そこで、法案の重要な点につきまして、これから国民の理解を得る上で極めて重要な点がございますので、幾つか今まで議論もされておりますけれども、整理をいたしまして御質問をいたしたいと思います。これらの点につきましては、一般的に非常にわかりにくい議論でもある点もございます。また、曲解された議論に引きずられて本質が理解できないというような状況もありますので、どうかわかりやすく御答弁をいただきたいと思うのであります。  その第一は、協力法の憲法上あるいは憲章上の位置づけの問題でございます。  これもたびたびもう本院で議論をされておりまが、国連平和協力法案によります平和協力は、国連憲章それから我が国の憲法上いかなる位置づけになっているかという点でございます。特に問題になるのは、憲法との関係であります。私は、一般的に申しますと、本法案によって平和協力隊を派遣することは国連憲章の理念に当然沿うものであると考えます。また、憲法前文には、諸国民との協和による成果を確保しと表現されておったり、あるいは「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」というようにも書かれておりますし、また、憲法九条は、「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、」そして「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」というように書かれておりますけれども、このことからしても、「武力による威嚇又は武力の行使」を伴わない平和協力隊の目的と合致するものであると私は考えるものでございます。  特に、憲法九条との関係は、ここで私は憲法論を延々とやるつもりはございませんけれども、自衛隊の今の根拠とされるのが憲法の九条でございます。そして、憲法の九条は、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」ということがうたわれておりまして、その第二項に、この目的、前項の目的を達成するために、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」ということが明定されております。  そこで、今日の自衛隊の根拠は、国際法上は、いわゆる他国が攻撃を受けた場合に、我が国はこれにこたえることができるかどうかという集団的自衛権、こういう国際法上は集団的自衛権と、それから我が国が侵犯を受けた際にこれに応戦するという個別的自衛権とは、両方認められていると思うのであります。しかし、我が国の憲法は、この国際法上認められております集団的自衛権は、これは九条によって明確に禁止をしておるというのが現在の立場で、自衛隊はまさに個別的な自衛権、我が国が急迫不正の侵害を受けたときに、これに対応する武力の保持は憲法九条に禁止されていないという点が自衛隊の明確な根拠になっているわけですね。  したがって、私は、この点についてもう一回明確にそこを国民の前に明らかにしていただきませんと、集団的自衛権と個別的自衛権とは一体何なのか、そして憲法上どうなのか、さらに後ほどお伺いしますけれども、集団安全保障と憲法の関係が非常にこんがらがってまいりまして、理解を妨げているのではないかと思うのであります。この点はまずあるいは法制局長官からお伺いして明確にしていただいて、総理の御決意もいただいた方がよろしいかと思いますので、よろしくお願いします。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 お答え申し上げます。  ただいま集団的自衛権に関連したお尋ねでございます。その関係をまず御説明申し上げたいと思います。  集団的自衛権と申しますのは、自分の国と密接な関係にある外国、これに対する武力攻撃がございました場合に、自分の国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する、そういうことが正当化される地位だ、こういうふうに集団的自衛権は観念されていると思います。それで、我が国の立場でございますが、我が国は国際法上主権国家でございますので、いわゆる国際法上集団的自衛権を持っている、こういうふうに従来から言われているところでございます。  そこで、委員御指摘のとおり、憲法九条との関係でどうなるか、こういうことでございますが、憲法九条におきましては我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまる自衛権といいますか、逆に申し上げれば自衛権の行使は我が国の防衛のために必要最小限度の範囲にとどまるべきものである、その範囲において許されている、こういうふうに解されております。したがいまして、先ほど冒頭に申し上げました集団的自衛権、これは集団的自衛権を行使するのはその今許されていると申し上げた範囲を超えるものなんだ、こういうことで憲法上許されない、かように考えているわけでございます。  それで、今回の法案につきましては、国際の平和及び安全の維持のために国連が行う決議に基づき、あるいはそれの実効性を確保するために行われる活動、これに対しまして国際連合平和協力隊の派遣あるいは物資協力、こういったことによりまして実施態勢を整備するということでございますし、また国連平和協力隊の活動としましては、先ほど総理も申されましたように、「武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。」こういう憲法の基本原則の枠内で行われるということが前提になっております。したがいまして、今回の平和協力業務等、これに関しましては従来の集団的自衛権につきましての、先ほど申し上げました集団的自衛権についての憲法解釈、これに何ら抵触するものではない、かように考えております。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 法制局長官の説明は明快で、私も全くこれに同感をいたします。  そこで、平和協力隊への自衛隊の参加につきまして、結局自衛隊の海外派兵を認めるものだから憲法上問題があるとか、あるいは海外派兵禁止の国会決議、これは参議院で議論されたことでございますが、批判がありますけれども、この海外派兵と海外派遣というものは厳密に区別して考えなければなりません。自衛隊の武力の行使を伴わない海外派遣は憲法違反でないことは明確になっておる、これは御説明のとおりでございます。そこで私は、それでは政策判断としては武力行使を伴わない自衛隊を派遣することが適当であるかどうかという、これは政策論になろうかとも思います。  そこでお伺いするわけでありますが、日本人の一般的な庶民感覚から申しますと、危機管理の訓練を国の税金によって行っている組織といえば、これは自衛隊あるいは海上保安庁またさらには地方では警察ないしは消防というようなものがございましょう。しかし、そのような組織が国際的にも我が国にとりましても死活的に重要な今日のような危機に際しまして、その管理に参加することなく、ただ民間のボランティア活動だけに任せるというのは、私は時宜に適したものではないし、計されないものだと思うのであります。今回とられた貢献策におきましても、先ほどお話がございましたように、民間の輸送業界には、何で自分たちが危険な目に遭っているのにこの種の事態への対応を専門的にやっている自衛隊が後に残っているのか、全く理解に苦しむというような苦情もよく聞きます。また、船舶輸送にいたしましても、航空輸送にいたしましても、先ほど外務大臣から実情のお話がございましたように、それぞれの乗員組合等の抵抗もありまして、極めて難渋しているとお伺いをいたしております。  自衛隊の任務というのは申すまでもなく国の防衛でありますけれども、我が国の国際的な貢献を考える際には、自衛隊が武力行使や武力による威嚇を行わないで、その技能とか組織力、訓練された組織力を平和活動に生かす方向で国際社会への貢献に使うということに何ら私は問題はないと思います。平和協力隊に自衛官や公務員を含めることは、国家としての姿勢と責任を示す上で、これはむしろ不可欠なことであろうかと思いまして、民間のボランティアのみに依存してできることではないと考えますが、いかがでしょうか。  もちろん、武力の行使を目的とする形で海外派兵をすることは許されないことは今議論されてお答えになったとおりでございますけれども、これは憲法上自明のことでございます。しかし、現在の法案のように、国際の平和と安全のために国連決議に基づいた行動で、しかも武力行使を目的としないものであれば、国際協力の一環として憲法上問題ない、これは御説明のとおりだろうと私は思いますが、問題は、このことが将来に向けての武力行使を目的とする自衛隊の海外派遣につながるのではないか、この点が議論されておりますし、また、国民は素朴な疑問を持っている向きもございます。しかし、このことは極めて重要な懸念で、重大な懸念でもあると私は思います。  したがって、政府としてこのあたりの問題を法制上も制度上もいかに整理されておるのか、今まで御答弁の中でも十分述べられているとは思いますが、改めてお伺いしたい。そして同時に、総理からは、決していわゆる海外派兵はしないという点について明確な答弁を改めてお伺いをしたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 お答えをいたしますが、この平和協力法にきちっと明記しておりますように、その第二条において、業務の実施は、「武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。」ということは、法律の大前提として、大枠組みとしてきちっと置いてあるわけでありますから、武力による威嚇あるいは武力行使を行うための海外派兵というような問題は、これは毛頭考えていないわけでありますから、このことは、もう一回はっきりとここで申し上げさせていただきたいと思います。  さらにまた、もう一つは、これは率直に言って、大変申し上げにくいことですけれども、私はこのごろ、どうしてそういった御心配が起こるかと思いますと、よくテレビなんかでニュース、解説の時間なんか見ておりますと、この平和協力法のことが話題になってきたりしますと、ぱっと画面が変わりますと、必ずと言っていいぐらい、そこは、戦車が撃ちながら走っておったり、上陸用舟艇から戦車がおりてきたり、武力装備した軍隊が動いておる場面が映っておる。そこへ派遣するというようなことを毛頭考えておらないと言っても、あれを見れば、あれと同じことをやるのかと言われます。あれは多国籍軍の一部の映像を写してこられたのか、あるいはいつのものか知りませんが、ここで書いてある内容と違うということなんです。  平和協力隊の派遣というのは、ああいった戦車や武装部隊を出すことでは絶対にないわけでありますから、だから解説、説明のときには、そういったことではなくて、ここに書いてあるいろいろな問題等について、その内容を正確に反映するようなものを出すようにしてもらえたらもう少し御理解が深まるのではないかという気がいたしますが、いずれにしても、あれは、全く我が方が想定していない場面がいつも繰り返し出てくるということを私はこのごろ率直にそう考えておりますから、あえてもう一回この条文を見ていただいて、第二条には「武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。」ということをきちっと書いておりますし、原則非武装で行うこういう業務は第三条にこれとこれとこれときちっと書いてあるわけでありますから、そして、しかも第三条の二のイは、いわゆるPKOと呼ばれる平和維持活動のことなんですけれども、「停戦の監視」はきちっと書いてあります。  平和維持軍のことについてはあえてここに書き込むことができなかったのは、平和維持軍というのは、PKOは構わぬから参加しろ、そこまではいけという御意見もありますが、その中にも、武力行使を可能性として含むもの、現に武力行使が行われることが予測されるもの、そして武力をある程度携行するということが許されておるものについてはここは書いてございません。それは憶病だと言われるかもしれない。けれども、これは守るべき線をきちっと守って、武力行使を伴わないもの、武力の行使をしないものということの前提に従っての厳しい区分けがこの法案の中にはしてあるということをどうぞ御理解をいただきたいと思います。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 今総理の御答弁の中に、映像による視覚的な訴え方、これがやはり正確に行われなければならぬという点は私も同感です。私も全く総理と同感でございまして、テレビ等を見ますと、この国連平和協力法というのは平和のための協力の枠組みを考えているわけですが、そこに自衛隊を派遣するということだけで、自衛隊の戦車を並べ、あるいはジェット機を飛ばし、そういう映像が出てきて、国民に情緒的な反応を示すということは私はこれは適切でないと思いますから、どうかひとつこういう点は御注意をいただかなくちゃならぬなと思います。  さて次には、今いろいろ問題になっております国連憲章における集団的安全保障とそれから集団的自衛権の関係の考え方について御説明いただきたいわけですが、特に、我が国憲法との関係について御答弁をいただきたいわけです。  これは法制局長官にお願いしますが、今回のこの議論の点については国連協力法の最大の争点のように取り上げられておりますけれども、これは、先ほど御説明ありましたように、将来の国連軍が創設された場合のことでございまして、国連軍が創設され世界が連邦国家になる、そしてそのもとに、統一した軍事力のもとに紛争があればそれをコントロールしていくという体制が望ましいことは、カントが永久平和論を述べましたけれども、私は理想としてはそのとおりだと思いますけれども、現実にはなかなか国連がそういう状況に、今非常に世界が一致した行動をとっておるといえ、主権国家としての武力まで全部統合して管理するというような状況、つまり国連軍が創設されるということは遠い将来の問題であろうかと私は思うわけであります。したがいまして、今回御提案申し上げて我々が議論している国連平和協力法とは次元の異なった別個の問題であるというようにすら言ってもよろしいのではないかと思うのです。  しかし、本法案の審議に当たりまして、あるいは策定時に当たりまして、国民の間であるいは種種の議論がなされている点でもございますし、また、必ずしも十分その関係について理解が得られていない部分がありますので、ひとつ改めてわかりやすくここの関係を明確に答弁をいただきたいと思います。そうしませんと、憲法の集団的自衛権と将来の国連軍が創設された場合の集団的安全保障の問題がごっちゃまぜになって議論されると、この平和協力法案の本旨を逸脱し、非常に誤解を受けることになりますから、その点を明確にひとつ御説明いただきたいと思います。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 お答え申し上げます。  ただいまいわゆる国連憲章の正規の国連軍、こういうふうなお尋ねでございました。これにつきましては、従来から政府側で憲法解釈として述べておりますところをまず申し上げまして、それから国連憲章のいわゆる正規軍との関係、こういう形で申し上げたいと思います。  まず自衛隊につきましては、先ほど申し上げましたように、我が国の自衛のための必要最小限度の実力組織である、そういうことで憲法九条に違反するものではない、かようなことがまず第一前提と申しますか根本でございます。そういった自衛隊の存在理由から派生するといいますか、それの当然の問題としまして三つあるだろうと思います。従来大きく分けて三つのことを申し上げてきたと思います。  一つは武力、いわゆる海外派兵、これは先ほどから御議論になられているところでございますが、いわゆる海外派兵、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣する、こういったことだろうと思いますが、それは今申し上げました点、要するに一般に自衛のための必要最小限度を超えるものである、こういうことでございますから憲法上許されない、これは先ほど委員も御指摘のところでございます。  それから次に集団的自衛権、これも先ほど申し上げましたが、先ほど申し上げたことを改めて繰り返しませんが、集団的自衛権は、そういう意味で憲法九条のもとで許容されている我が国を防衛するため必要最小限度の範囲、これを超えるものでありますので、憲法上許されない、これが第二番目であります。  それから第三番目といたしましてはいわゆる従来の国連軍、これにつきましては、国連の平和維持活動を行ういわゆる国連軍というのがございますが、これは非常にいろいろな種類がございます。それを一概にくくって申し上げるわけにはなかなかまいりませんけれども、その国連軍の目的・任務が武力行使を伴うものであればこれに参加することは許されない、こういうことを申し上げてきているわけでございます。  今申し上げましたような従来の考え方、これを積み重ねてまいりましたけれども、そういう点から推論してまいりますと、今おっしゃられました国連憲章第七章に基づく国連軍、これは、その任務が我が国を防衛するものとまでは言えないのではないかという点で自衛隊を参加させることについて憲法上問題が残る、かような答弁を従来申し上げたところでございます。  他方、その次には国連憲章の問題でございますが、国連憲章の第七章に基づく国連軍、これは今まで設けられたことはございません。これは四十二条、四十三条といったところで書かれてございますが、こういったところのものはございません。  それから、国連憲章の四十三条におきましては、そういった場合に特別協定を国連と加盟国の間で結ぶ、こういう形になっているわけでございますが、従来そういう例がございませんからその特別協定もどういうふうな内容になるか、これはまだはっきりいたしません。  それから、国連憲章の四十三条では三つのことが書いてございまして、兵力、援助、便益、これを利用させるということが書いてございます。この三つのことにつきましては、必ずしもそのすべてを行う必要があるとまでは言われておりませんので、そういう意味でここの国連憲章の動きというのは一つ問題がございましょう。  そういう意味で国際情勢も非常に変化しておりますし、将来そういう問題が出てまいりましたときに、今申し上げましたような憲法上の従来の積み重ね、それの前提とその両方を総合勘案して判断する必要がある、かように申し上げているところでございます。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 今法制局長官から御答弁ございましたように、今回の国連平和協力法は、まさに憲法上も我が国の集団的自衛権の行使を禁止しておる、その延長線上のものであるということは明確になったわけで、このことをきちっと理解することが本法案に対する正確な理解を得る上で大変重要なことだと思います。ありがとうございました。  そういう関連でもう一つちょっと御質問をいたしたいのですが、国連平和協力法で自衛隊の参加を求める、自衛官を派遣することは、しかし、万が一派遣されているところで武力紛争に巻き込まれた場合には集団的自衛権の発動になって憲法上許されないのではないかという疑念が示されております。  今、平和協力法には武力の行使または武力の威嚇は行わないと明定をしておりますし、総理もたびたびこの点を強調されておられまして、私もそのとおりだと思いますが、こうした武力紛争に巻き込まれた場合に、集団的自衛権の発動になっていく可能性があるのかないのか。ある可能性もあると思うのですが、総理より、我が国の集団的自衛権の法規に抵触するような自衛隊の派遣は決して行わないというかたい決意をまたいただきたく、お願い申し上げます。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 いろいろな場面を想定して、どうなる、こうなるという議論につきましては、私は大前提として、戦闘行為に直接参加するようなことは絶対にしないという大前提を置いておりますし、また、武力行使の目的を持って戦場へ行くわけではありませんし、それは全く想定されないことなのであります。  そうして、派遣計画、実施計画を決めますときに、そのような状況にならないことを前提に計画をつくるわけでありますから、それは武力を持って、その交戦の目的を持って行くわけでは絶対にありませんので、実施計画をつくる段階でそれらのことに十分配慮をしながら業務のあり方を決めていくということでございます。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 私は本法案についての政府の基本的な考え方についてずっとお伺いしてきたわけでありますけれども、次に、この法律案自体の内容につきまして、特に重要と思われるポイントについて、政府の御見解をお伺いしたいと思います。  そこでまず第一は、非常に重要な点でございますけれども、国連平和協力法案の第一条でございます。  この第一条は、「この法律は、国際の平和及び安全の維持のために国際連合が行う決議を受けて行われる国際連合平和維持活動その他の活動に対し適切かつ迅速な協力を行うため、国際連合平和協力会議の設置、国際連合平和協力隊の設置等について定めることにより」と、この目的を明確に明定しておりますけれども、たびたび議論がされておりますように、何よりも大切なことは、この国連決議が国連平和協力隊の派遣の前提となるべきものであるという点であります。この点は、今展開をされておりますいわゆる多国籍軍というものにつきまして、一体これが国連軍とどう違うのか、あるいは多国籍軍の性格は一体どういうものなのか等々いろいろ議論がされておりますけれども、理論上は大まかに言うと二つのグループに分かれると思うんですね。  一つは、この法律で明定しておりまして、今次湾岸危機における多国籍軍のような国連決議に基づくもの、これが第一。それから、過去のいろいろな例がございますけれども、例証の一つとしてシナイ半島の多国籍監視団というようなものがございます。これは一応国連とは無関係なものということのようでございますけれども、この二つに分類した場合に、国連平和協力隊は国連決議に基づく活動についてのみ協力し得るものであるという点、これは極めて重要な本法案のポイントであろうと思います。  そこで私は、一条関係、大変重要なのでちょっとお伺いをいたしますが、この国連決議、一体国連決議というのは法的拘束力を持っているのかどうかという点が背景にあるわけでありますが、今回の国連決議は、安保理事会の決議、すなわち五大常任理事国を含む十五カ国の、二カ国ぐらいは留保して出ておりませんけれども、全会一致ということでございました。当然私は、この決議に基づいて行われる各国の行動、活動、これに支援することは法の目的に合致していると思いますけれども、しかし同時に、将来の問題としては、総会の決議が当たるのかどうか。これならば、総会の決議でございますと、場合によると五大理事国の一致が得られないで行われる場合があるかもしれませんね。そういう点が一つどうなのかという点。これは法制局長官で結構だと思います。——条約局長ね。条約局長にまたお伺いしましょう。  それから、各国の行動は国連の決議を受けて行われるわけで、この判断は各国の判断でございます。そして、その各国の行動を受けて、我が国が今回の国連平和協力法で、我が国の協力を我が国自身の問題として決定していくわけでございますね。したがって我が国の対応としては、この決議はどういう意味を持つかということと、これに基づく各国の行動をどう評価するかという二段構えの判断が必要であろうかと思うわけです。  また、今総会の決議のことを申し上げましたけれども、この総会の決議の場合には、あるいは一方の当事者に加担するような結果になって、まずい結果になる可能性も私は否定できないと思うのですね。今回の場合は、もちろんイラクは全世界が一致していますからこの点はもう明確ですが、今後の問題としてはそういう問題があろうかと思うわけであります。国際連盟は全会一致でございましたから、何もできなかった。しかし、今回は多数決原理というものを国連でも採用しているわけです。  そこで、我が国がこの問題を判断する場合に、法案によりますと国連平和協力会議、これは四条で設置が決まっておりますが、五条の一で、国連平和協力業務の基本方針を定める、それから二番目には、国連平和協力隊の海外派遣の可否を決めるということになっております。したがって、我が国が自主的にこの五条の平和協力会議、これは総理が主宰されますが、議長でありますが、ここでその海外派遣の可否を判断されるわけですね。  したがって、二段階、問題があります。各国が国連決議を受けて行われる活動が本当に適切な、国連決議の実効性を確保するために必要なものかどうかという判断を我が国がし、同時にその行動に我が国が協力していくかどうかの判断をしていくということでございますが、これは当然のことを私は申し上げているわけでありますけれども、非常にこの点がやはり今後のシビリアンコントロールその他の問題で重要であろうと思いますので、明確にしておきたい、こう思うわけでございます。  まず国連の関係について条約局長から御答弁をいただきまして、そしてまた全体的なことについては総理ないし外務大臣から御答弁をいただきたい、このように思います。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 お答え申し上げます。  今、幾つか大変重要な点の御指摘がございました。整理して御答弁申し上げたいと思います。  第一に、この法案の目的との関係でございますが、御指摘のとおりこの法律は、「国際の平和及び安全の維持のために国際連合が行う決議を受けて行われる国際連合平和維持活動その他の活動に対し」「協力を行う」ということでございます。  そこで、この意味でございますが、第三条に「定義」というものがございまして、この「国際の平和及び安全の維持のための活動」という定義のところで、「国際の平和及び安全の維持のために国際連合が行う決議に基づき、又は国連決議の実効性を確保するため、国際連合その他の国際機関又は国際連合加盟国その他の国が行う活動をいう。」というふうに定義されているわけでございます。  したがいまして、この法案に基づく協力は、このような国連の決議がある場合にのみ行うということでございます。したがいまして、国際的な平和維持活動でございましても、国連の枠外で、国連の決議なしに行われるものも若干ございますが、そのような場合には、この法案に基づく協力は実施しないということでございます。国連の決議がある場合にのみ、この法案の協力を行うという点でございます。  それから第二点でございますが、国連の決議にいろいろなものがございます。一つは安保理決議でございます。また、総会の決議というものもございます。安保理決議に関しましては、いわゆる拘束力、法的な拘束力を持った決定というものと、それから、安保理でございましても法的拘束力を持たない勧告を出すことができるわけでございます。例えば、先般安保理が決定いたしました経済制裁、これは加盟国を拘束する決定でございますが、その他の決議には勧告にとどまるものも多々あるわけでございます。他方、総会の決議はすべて勧告でございます。  ただ、いずれにいたしましても、我が国としては、安保理または総会の決議がございまして、これに基づいて各国がとる措置、あるいはこれに実効性を与えるために加盟国がとる措置に対して、この法案のもとで協力ができるという体制でございます。決議がある場合にすべて協力するという意味ではございませんけれども、その点は、先ほど委員の御指摘になりました次の問題になると思います。  第三の問題は、国連の決議を受けて加盟国等が行う活動についてはどうかという点でございますが、これは御指摘のとおり、各国の判断に基づいてとられるものでございます。そこで、これも御指摘のとおり、我が国がこれにどういうふうに協力するかという点は次の段階の問題でございまして、その可否、我が国としてこれにどういうふうに協力するかあるいはしないかという問題は、この法案のもとでいろいろな手続が決められておるわけでございます。  まず第一に、内閣総理大臣は、国際連合平和協力会議、これは閣僚レベルのものでございますが、これに諮問をいたしまして、このような活動に我が国として協力するかどうか、どういう協力をすべきかということを諮られるわけでございます。そして、業務計画というのを協力本部でつくりまして、これを閣議に諮って最終的に決定するということで、慎重な手続をとった上で我が国として判断するということでございます。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 ただいまの条約局長の答弁、了解いたしました。  総理、こうした点で、平和協力会議を主宰する議長としての総理の責任というのは、これは極めて重大なわけでありますが、改めてやはりシビリアンコントロールという点から、自衛隊の参加が想定されています以上、いかにこれが担保されているかという点、私は、法制的にはかなり整備され、そして担保されていると思います。が同時に、ひとつ総理としての御見解もこの際、承っておきたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 御質問の御趣旨を踏まえる形でできておりますのがこの平和協力法案でございます。それは、いろいろ自衛隊については派兵か派遣かという議論があったり、いろんな議論がございました。そして、私どもも今後国連の決議を受けて行われる行為にどのような形で、どのような範囲で、どのようなことに協力ができるのか、できないことは何なのかということも、いろいろその都度議論をしておるとまた時間もかかり過ぎる、遅過ぎるという御批判もいただくことになるわけであります。法的にそれを整備することは、シビリアンコントロールの原則をきちっと踏まえると同時に、こういったときには業務に必要な能力を持っておる人を、業務のこの段階ならば派遣することができるなということをずっと書いたのがこの法律でございます。  したがって、今御指摘の一つのシビリアンコントロールをどこでどうするのか、これはやはり第一条の目的に、これは決議を受けて行われる行為、同時に決議の実効性を確保するために行われておる活動に日本が協力をする、それに参加するんじゃなくて協力をするというところでまず大前提を置いておりますし、またその協力業務も、「武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。」ということをきちっと書いておりますし、また第三条に、その枠の中でできる業務は何であるかということをずっと制限列挙的にここに並べてありますし、また平和協力会議というものをつくって、この平和協力会議の中で、協力することが適当かどうかということの総合的な判断も、まず平和協力会議として協力することが妥当だと思ったときには今度は実施計画をつくることになるわけでありますが、この実施計画というものをつくるに当たっては、またいろいろと十七条の中に海外派遣に係る協力業務の内容とか派遣が行われる外国、その外国とはいろいろな立場で打ち合わせることもございましょう。  あるいはまた派遣の期間の問題、これは常設的なものでありませんから、派遣が必要となったら、まず期間とか規模とか構成を考えなければなりません。そして、その中にも協力隊の装備、例えば第二十七条で、この協力隊は原則非武装ではありますけれども、やはり基本的人権というものも隊員にはあるわけでありますから、治安の問題とかその他の問題について、隊員自身が身を守るために必要な小火器の携行を許したがいいか許さないがいいか。これは、必要と認めたときには特に認めて小火器の携帯を認めることにするというのが第二十七条に書いてあるわけでありますけれども、それらのことをこの平和協力業務の実施計画の段階できちっと考え、その考えがまとまったならば閣議決定を受けなければならぬ。二重三重に歯どめをかけておるわけでございますので、どうかそういった意味で、このシビリアンコントロールの枠組みの中で、平和協力隊として指揮権も一本化しておりますから、その中でその枠内での行動に限定をする、そのための法案をお願いしておるんだ、このようにお受けとめいただきたいと思います。     〔委員長退席、西田委員長代理着席〕

宮下創平自由民主党

○宮下委員 今、総理は武器使用につきましても言及をなさったわけでございますが、武器の携行と使用に関しましては、これはいろいろ議論が現在もされておるところでございますけれども、まあなぜに武器の携行が必要かという点は、やはり護身用の小火器ということでございましょう。しかし、武器使用に関しましては、自衛隊法八十七条との関係の統一見解というような問題も参議院でも議論されておるようにお伺いしておりますけれども、武器携行とその使用についてはやはり明確な限度を設けるべきではないかと思いますし、また、派遣の規模等についても今総理がお触れになりました。派遣の規模、態様等も、これは御案内のように平和協力業務の実施計画、十七条の中で平和協力隊の規模とか構成をきちっとお決めいただくということですから、我が国として果たすべき必要最小限度のものに当然なろうかと存じます。したがって、具体的な適用がこれから問題になろうかと存じますけれども、派遣に対する歯どめ等は、国民感情あるいは国民を安心をさせる意味でもこれはそう無制限なものであっては当然ならないわけでございますので、ひとつ派遣に対する歯どめ等は原則をきちっとしていただきたい、こう思うわけでございます。  そこで、時間の関係であと何点かお伺いしたいのですが、武力行使を目的としない協力隊が中東に派遣される場合には、国連軍ではない多国籍軍ですね、多国籍軍の性格論は今詳しくは申し上げませんけれども、この国連軍でない多国籍軍といかなる関係になるかという点が一応問題になると思います。集団的自衛権の行使が否定される中にありまして、他方で、多国籍軍と全く無関係に行動するような平和協力隊は考えられませんし、むしろそんなことをしたならば迷惑者にもなりかねない。したがって、どのような多国籍軍との協調行動を行うのかどうか、そしてどのような協力行動は行わないのか、このあたりの判断基準を明確にしていただきたいと思います。いかがでしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 個々具体的なケースについて、これにどのような範囲で協力をするのか、どのような範囲で協力できないのかということは、そのときの具体的なケースによって答えなきゃならぬと思いますが、私の想定しておる中では、これは参加ではなくて協力ですから、例えば今の現状を想定すれば、第一線で戦車隊が戦車隊として国境を挟んで対峙しているような前線に派遣するということは毛頭考えておりませんし、戦闘が現に行われているところにも平和協力隊が出ていくということは毛頭考えておりませんから、そのような派遣計画は立てる考えはございません。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 この点は、具体的に今度の中東紛争にどう対処するかという点に当たって、政府としては十分慎重な配慮のもとにこれは御判断をされるものでありまして、法の全体の趣旨からいって、私は当然国民の期待にこたえるような形での御判断が示されるものと思っております。  そこでもう一つの問題は、今回の国民の大きな関心は、イラク国内に軟禁状況に置かれております三百有余名の邦人の救出の問題であります。我我は、邦人のみではなくてすべての外国人の解放と自由の回復が必要で重要であると考えておりますけれども、特に邦人につきましては、日本国民として特別に配慮せざるを得ないんじゃないかなというのも、これは国民感情の一つでございましょう。そして、先ほど申しましたように、フランスの人質が解放されるという報道もなされておりますが、この法案を成立することによりまして、イラク側により厳しい措置をとられる可能性は排除されないのではないかという懸念も私は多少持っておりますけれども、しかしこの大きな目的のためには、私どもはきちっと毅然たる態度をとらなければなりません。政府としてはこの点をいかに考えて、邦人の救出にいかに取り組んでいかれるお考えか、ちょっと改めてお伺いしたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 人質問題につきましては、国際法上も許されるべき問題ではございませんし、人道上もこれは認められない行為でございまして、その人たちを人質として盾に使うというようなことは考えるべきことではないというのが国際的な常識であろうと思います。  そういうふうな状況の中におられる我々のいわゆる同胞を含めて、多くの国の方々が一日も早いその国からの出国の自由を得られるように国連が決議しているわけでありますから、この国連の決議をイラク政府が尊重するということがまず原点であろうと思います。  それを実行されないために、日本政府は国際赤十字あるいはまた国連事務総長を通じて、国際機関を通じてこの人質の解放問題を要請しておりますけれども、日本政府としては、現地にあります日本大使館を初めいろいろなルートを通じて努力を引き続きやっております。しかし、相手国政府がこれを出そうという決断さえすればすべてその問題は解決する問題、私はこのような理解をしておりまして、イラク政府に対して日本政府としては引き続き、多くの国の人質を即時解放されるべきだという気持ちを強く主張したいと思います。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 私は、総理が中東を歴訪された際にも、特にイラクのラマダン第一副首相に強くこのことを訴えられたということもお聞きしておりまして、また外務大臣も中東に行かれたときにこのことを第一番に強く訴えられているということは、これは紛れもない事実でございまして、私どもはこのことを高く評価するわけでございます。なお一層この問題、もう申し上げるまでもないことでございますので、よろしくお願いしたいと思います。  それから次に、国連平和協力法の問題につきましては、国内的な合意が必要なことは当然でございます。しかし、国際的な理解も必要であります。特にアジア諸国におきましては、この法律が日本の軍国主義復活への道を開くものとの懸念が示されておるように聞いておりますが、理屈の上では今まで総理と政府の答弁で十分これは、私はこの懸念は払拭されるものだと思っております。しかし、日本はアジア諸国を侵攻したという過去の事実を有していることも、これは否定できません。これら諸国の懸念に対しましては、特に私は留意する必要があろうかと存じます。私が先ほどアジア系難民の本国への送還を支援することの必要性を強調したのも、そのためでもございます。  総理、本年は国際社会が歴史的変革の波に洗われ、新しい国際秩序を模索する中にありまして、我が国におきましては天皇の即位の礼も挙行されるという新しい時代の幕あけとなっております。また他方、国会開設百周年の記念すべき年でもございます。私は、本法律案を成立させまして、将来の日本の平和国家としての道筋を明確に示すためにも、この際、歴史的に特筆すべき年に当たりまして、民主主義日本が戦後半世紀を経まして平和主義を着実に実行し、そして根をおろしているのだということを示すためにも、アジア諸国に対しましてきちんとした政策的な説明なりスピーチを行うことで過去の歴史へのけじめをつけるべきである、こう思うわけでございまして、総理の御所見をお伺いします。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 御指摘の点はそのとおりだと思いますし、また私も、国会の所信表明演説の中におきましても、戦後日本は歴史の反省に立って二度と軍事大国にはならない、侵略戦争を行った結果のアジアの諸国に対して与えたいろいろな問題については、これを深く反省の上に立って平和国家であらねばならぬという平和の理念、それは憲法の前文にも明らかにうたわれておるわけでありますし、その理念を守っていきますということ。同時にまた、そのこと自体がアジア・太平洋地域の平和と安全にも戦後四十五年間役立ってきた大きな背景の一つでもあったということも私は率直に申し述べて、これを変えたりする考えは毛頭ありません。むしろおっしゃるように、世界が戦後初めて平和への大きな流れになりつつあるというときでありますから、この流れをアジア・太平洋地域に持ってきて、欧州のみならず対決が終わるように、世界の平和と繁栄が地球的規模で行われるように今後努力をしていかなければならないのは当然のことであると、これも厳しく受けとめております。  したがいまして、国際連合の安全保障理事会で決議ができるということは、この安全保障理事会にはアジアの地域にある常任理事国中国も参加している。非常任理事国は、アジアから二カ国が代表で出ている。それらの、東西両陣営と言われたころの両方からのいろいろな代表も入り、ソ連も米国も加わっての決議でありますから、これは国際社会の大きな大義であり、これは国際社会が平和を目指す努力のあらわれだ、私はそう受けとめたいと思うのです。  そういうときに、その希望を真っ向から打ち砕くようなことは極めて残念でありますし、せっかく二十一世紀へ向けて平和の理念を掲げてやっていこうというときに、それを打ち砕くようなことを、あれは仕方がないことだと言って見過ごしたり、原則を守った解決をしないでおったのでは、これは将来に対してよくないことであるという判断がありますから、今回のことは国際社会がその能力を試されておると言っても私は言い過ぎではないと思いますので、日本としてはその平和の理念はもちろん掲げていきますが、掲げておる平和の理念の中にも、我が国の憲法には「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、」こういう平和を維持し、専制と圧迫を「地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」ということまで憲法の前文にきちっとうたって、平和の理念というものを掲げておるわけでありますから、できる限りの協力をしながら平和をきちっと守る努力を続けていくということが、私は日本が今とるべき立場ではないであろうか、こう考えております。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 時間がぼつぼつ参りましたので、最後に一問だけちょっとお伺いしておきたいのですが、これは過般行われた日本の貢献策について、多少誤解がある点を解いておきたいと思うのであります。  すなわち、この貢献策として最初十億ドルの協力、続いて追加的に十億ドルの表明がありました。さらに、二十億ドルの周辺国支援というように財政支援措置を決定しておるわけでございますけれども、私はこの実効がどうかとか、そういう点をお伺いするわけではございません。これは予備費によって十億が決定されていることは承知しておりますが、この予備費の支出の中で、これは外務省だと思いますが、湾岸アラブ諸国理事会に設けられました湾岸平和基金、これはGCCと言っておりますが、そこに設けられた湾岸平和基金に対しまして、全体でこの間予備費を出したのが千三百五十数億だと思いますが、このうちの約千二百三十億円の拠出をGCCに出しておりますね。そして、湾岸アラブ諸国理事会がこれを決定していくわけでございますが、この拠出された資金は一体何に使われるのか、武器弾薬の類に使用されることはないかという懸念が一部示されております。  私がお伺いしますところ、このGCCは八一年の五月に、湾岸アラブ六ヵ国がイラン・イラク戦争を背景にいたしまして、その結束の強化を目指して結成した国際機関でございまして、これに対する資金は航空機の借り上げや船舶の借り上げ、それからまた灼熱の地でございますから防暑機材、あるいは水関連の機材等を対象とする、そういう物資の協力に充てられておりまして、武器弾薬には使用されていないというように承知しておりますが、この点の確認と、それから野党の一部には、今回の中東貢献策がお金でそういうところへ出す、そして後の使途はチェックできないのではないか、したがって憲法の禁止している集団的自衛権の行使に当たるのではないかという議論がございますけれども、この点も私はそんなことはないと思います。それはなぜかといいますと、自衛権とは国家による実力の行使であるからでございます。こういう点についても、誤解を解く意味で明確にちょっとしておきたいと思いますので、御答弁をお願いいたします。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 中近東アフリカ局長から、そのGCCの資金の管理についての事務的な説明をまずさせていただきたいと思います。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○渡辺(允)政府委員 ただいま御指摘の、GCCに設置をいたしました湾岸平和基金に対する拠出金の使途でございますが、これは一つは資金協力、もう一つは物資協力という名前で呼ばれております。  そこで、その使い方は、資金協力につきましては、航空機及び船舶の借り上げ経費その他の輸送経費に使用するということでございます。また、物資協力につきましては、防暑機材、水関連機材、その他宿舎建設資材等もございますが、そういう物資に使用するということでございまして、御指摘のとおりでございます。御懸念のようなことはないということでございます。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 今、局長が御答弁申し上げましたとおり、この組織はこの管理として日本のサウジ駐在大使の恩田大使がその委員にも入っておりますし、またもう一方、GCCの専務理事も加盟しておりまして、日本政府の意思も十分反映されるという機構になっておることもこの機会に明らかにさせていただきます。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 私は最後に、この法案の成立に関する総理の御決意のほどをお伺いいたして私の質問を終わりたいと思いますが、戦前、日本は国際連盟を一方的に脱退いたしました。そして孤立化の道を歩みました。その結果、国際秩序の破壊者になりまして、世界の人々と国民を不幸に陥れた戦争へと突入することになったのは申し上げるまでもございません。このようなことが二度とあってはならないと思います。  今、東西関係の変化と国際秩序の変革の中で、国連が本来の機能を発揮している状況下で、我が国としては国連を中心とする国際平和維持努力に積極的に貢献していく必要があることは、ただいまの質疑を通じても総理から明確に答えられたとおりであります。この法案の中身は、現下の世界における我が国のあり方を示す極めて重要なものであります。不退転の決意で国民的合意をつくり、国民の理解をしっかりと求め、そして我が国が国際社会で責任ある国家として存立するように努力すべきであると考えます。総理の御決意をお伺いして質問を終わります。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 先ほど来お答えを申し上げてきたように、私は、日本が今日この立場で豊かな国民生活を築き上げることができるようになったのは、戦後の世界の平和と自由な経済体制の中で日本が成長してくることができたのである、このように考えております。そうして、これからの世界の目指すべき目標というものが恒久の平和であるととは、先ほど来、日本国憲法の前文にも、あるいは国連憲章にも、あるいは世界のすべての国々が求めておる理想ではないかと私も思っております。  それを達成していくためには、皆が力を合わせて、皆の協力によって国際社会の平和と繁栄を図っていかなきゃならぬというのが私の基本的な考え方でありますので、憲法の枠内ででき得る限りの協力をしていきたい。この法律でありますから、どうぞ御議論の上御理解をいただいて、孤立はしない、相互依存関係の中で生きていくんだというこの立場を御理解いただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 以上で終わります。

西田司自由民主党

○西田委員長代理 次に、牧野隆守君。

牧野隆守自由民主党

○牧野委員 今回の法案が提出され、今審議がなされているわけですが、その前提にはイラクによるクウェートへの侵攻、そして人質、国連決議で非難されているわけですが、どの観点から見ましてもイラクの行為は私どもは許すことができません。このために、我が国も、国際国家としましてより積極的に世界の平和と安全のために貢献する、こういう気持ちで、総理を初め政府を中心といたしましていろいろな措置がなされているわけでございます。  しかしながら、現実はアメリカ軍が二十万の兵士をサウジアラビアに派遣している。若い青年が、アメリカはもちろんのこと、自由世界を守ろうという高貴な気持ちで実は兵士が赴任しているわけでございます。片方、イラクサイドを見ますと、フセイン大統領の考え方、行為は絶対に許すことはできませんが、やはり若い青年が対峙いたしている次第でございます。  私自身、もう四十数年前ですが、海軍の実は軍人でございました。わずか十八から二十までの、まだ子供と言っていいと思いますが、そのときやはり死ぬということを考えました。最初は国家のために、こう考えておりましたが、極めて抽象的で、なかなか自分自身で納得できなかったわけでございますが、日本が各国に占領されたら国内はどうなるかなと。やっぱり考えましたのは、我々男性は別にいたしまして婦女子の問題でございました。自分の母親だとか兄弟だとかあるいは身近に知っている女性あるいは子供、これがどうなるかな、こう考えましたら、彼女たち、小さい子供たちを救うために死んでいい。そして、そういう身近な人々の顔を思い浮べまして、また同僚と話をいたしまして、その場合は死のう、そのかわり一対一で死ぬのは嫌だな、より多くの敵をと、こういう決意ができたところで実は死んでもいい、すうっとそういう気持ちになった次第でございます。  今回、私自身党の一員として、この法案をまとめさしていただくという立場にありまして、非常にこれを考えたわけですが、また思い起こしたわけですが、どんなことがあっても戦争を起こしてはいけないぞ、これは私のもう体いっぱいの気持ちでございまして、そういう点で今の両陣営の対立を見ますと、非常に心配で心配でならないわけでございます。平和国家として、総理を中心として政府はもちろんのこと、日本じゅうのあらゆる力を結集して戦争が起きないように全力投球していただきたいし、総理もそのようなおつもりだと思いますが、具体的にどういうお気持ちで——まず戦争を起こさない、長期化することも考えられます。それから、日本として非常な物質的な犠牲を強いられることもわかっております。一バレル一ドル上がって、この間まで十ドル上がったわけですが、これだけで日本じゅうとして二億円のお金を油のために余計支払っているわけですから、大変な実は支出でございます。それが三十五ドルになりますと、さらにその倍になるわけですね。こういうことを考えると、絶対に戦争は起こしてならないし、そしてぜひ平和的な解決に全力投球する、総理のこの中東問題に対する御決意をぜひ賜りたいと思います。     〔西田委員長代理退席、委員長着席〕

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 平和を守らなければならないし、また、平和的解決を心から念願しておるということは、私は再三にわたって申し上げ続けておるとおりであります。また、今湾岸諸国の首脳との会談においても、平和的に解決をしたいという気持ちはすべての首脳が持っておりました。そして、表現に幾らかの違いはあるにしても、この極めて不安定な緊張状態の将来について皆が懸念を持っておるのですから、私は、これは平和的な解決のための努力を強く求めてきたことも事実でございます。  同時にまた、十月四日に、当初予定にはありませんでしたけれども、面会を求められ、私も会いたいというので、イラクのラマダン副首相とも予定を変更して二時間近く対談をいたしましたけれども、そのときの話の中でも、私どもは平和的解決を強く訴えました。もちろん、平和的解決をしようという気持ちは皆が共通のはずでありますから、私はまずこの局面を転回することが、ラマダン副首相の方が強く強く言われた、要するにパレスチナ問題を含むアラブの問題の中東の永久の和平という構想の問題については、これについて日本としてもそれは国連決議の二百四十二号をかねてより支持をしておるわけでありますから、そうしてアメリカもエジプトも、あるいはベーカー提案とかムバラク提案とかいって、ついこの間までもずっと努力をし続けてきておる問題でございますし、それらのことについては、この現在のクウェートを実力で侵略したという緊急事態をそのままにしておいて、それと絡めて一挙に片づけようということもいささか問題の次元が違うのではないですか。局面を打開して恒久な話し合いのできるようなそんな雰囲気をつくっていくということも大切であるので、そのことができるのは、今はイラクだけが決心をして撤退をするという行為で局面が打開される。そうすれば、その次にいろいろな機会が出てくるということは、これはミッテラン大統領もブッシュ大統領もいろいろなところで提案しておる話でありますし、日本としてもそのときは二百四十二号の決議の線に従って、かねてよりこれを支持してやっておるわけでありますから、そういう恒久和平のための努力はできるんだからという平和解決への願いも強く言いましたし、また、現実にきょうまで日本はイラクに対していろいろと技術協力、経済協力をしてきた間柄であります。  そうして今日、民間と国と合わせると七千億円に上がるイラクの方からの債務がまだ日本に対しては債権として残っておるような状況ですから、どれだけ積み立ててどれだけ努力をしてきたのか。また、混合借款の余っておるのを使う問題でも、イラクが侵入のその直前の八月の一日まで日本の経済、そしてイラクの方との間で話し合い、相談が緒についておったというさなかでありますし、イラクの方もその借金の返済をそろそろ去年の十一月から始めようということで始まりかけてきたところでありますから、一日も早くこういった状況を払拭して国際社会に復帰してくれることをこちらも願っておるし、そうなれば、きょうまでイラクにとっては極めて大きな技術協力、援助国の日本でありますから、イラク、日本の関係も再構築できると思うし、私はそれを強く望むということもいろいろなお話し合いをしました。  その点については、きょうはここでこれ以上、結論の出るまで話し合いができないからということで、それでは引き続いて二国間の対話は続けていこうということを言いましたら、きょう話し合ったのはうれしいことだからやっていこうということで、あらゆる可能性、あらゆる場面を追求して平和的に解決したがいいし、またしなければならぬと思っておることも御指摘のとおりでございますから、どうぞそのように御理解をいただきたいと考えます。

牧野隆守自由民主党

○牧野委員 今総理からすばらしい御決意のほどをお伺いいたしましたが、外務大臣にお伺いしたいのですが、本件解決にはパレスチナ問題、国連決議のさらなる実施確保の問題、これは当然安全保障理事会にさらに日本としてこの平和を解決するために積極的な安全保障理事会の活動を頼まなければなりませんし、また、フランスの提案があり、最近新聞で伝えられるところによりますと、サウジアラビアの国防相がクウェートそれ自身についての解決策について触れております。  今総理からもお話ございましたように、日本は中近東については歴史的にまだまだ手の汚れていない国と言われております。中近東は歴史的にいろいろな変遷を経ておりますが、今日本として、国際国家として、総理を先頭にして解決に努力をしていただかなければなりませんが、我が党には中近東についても十二分な知識を持たれ、今まで政治的、経済的に深い関係をお持ちになっておられる方もおられますし、どうかそういう点で多方面にわたって具体的に行動していただけるように、今総理の御決意はお伺いいたした次第でございますが、具体的に外務大臣としてどのように対処されようとしておられるか、お考えを承りたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 委員お尋ねの、イラクに対する中近東地域を含めた将来の和平への日本の努力、また現在の問題の解決のための努力、この問題につきましては、政府はやはり国連の加盟国として国連の決議を重視するということがまず第一の大きな国連に対する加盟国としての責任であろうと思います。そういう中で、私どもはそういう立場にありながら各国と協力し、あるいはまた先般の海部総理のラマダン第一副首相との会談を通じても、政治対話を引き続きやろうということを申し合わされて別れられておりますし、また、前の衆議院議員の佐藤文生先生が、現在イラクのバグダッドでいろいろと先方政府と交渉していただいている最中でございます。そのようなことで、現地の情報も十分踏まえて、私どもといたしましては、一日も早くこのイラクのクウェート紛争というものが終了できますように、国際社会が安定した後でパレスチナの問題、この問題の基本的な解決のために各国が協力をしていかなければならない、このように考えております。

牧野隆守自由民主党

○牧野委員 次に、現在提案されている法案について質問いたしたいと思いますが、この法案を提出される前に政府の方から党の方に協議がなされました。党内で短期間の論議でございましたが、そして、各先生方から多方面にわたる御意見を賜りました。しかし、我が党としましては、まず第一に、現行憲法を守る、現行憲法の解釈の前提において。第二番目は、絶対に、野党の皆さんがいろいろ御心配なさるように、兵力の行使はしない、こういう前提で、国連でなされた決議に基づき、また、その実施を確保するために、その範囲内で日本政府として何ができるか。第三条に項目ごとに規定されておりますが、これらは今申し上げました二つの大原則と、それから国連決議に基づき、またはその実効を確保するために政府としては何ができるか、こういうことで御議論を賜り、基本的に了解をいただいた次第でございます。  したがって、今私どもとしてはこういう事態に対して具体的に何をしようとしているのか。それが基本的な問題であり、その論議を早期に実はお願いいたしたいわけでございますが、今申しましたこの原則だけは絶対に守る、これについてのいろんな御意見があるわけですが、これらについては、政府としましても明白に御答弁いただかなければならないと思います。  私としましては、自衛隊並びに保安庁の協力をお願いしているわけですが、これは自衛隊、保安庁ということではなくて、平和協力隊の一員として実は組織があり訓練されているわけですから、普通の個人の方にお願いいたしますと、そのお気持ちは私ども評価さしていただきますが、現実にワークするかどうかということになりますとなかなか問題でございまして、そういう意味から自衛隊並びに保安庁に、この法律として、平和協力隊の仕事としてお願いする、このように了解をいたしております。  したがって、原則的に非武装集団、この言葉が適当であるかどうかは知りませんが、まさに平和協力隊であり、非武装集団であり、今新聞、テレビ、また野党の皆さんがおっしゃっているように、国民の皆さんに、戦争はしないんですよ、憲法は守るんですよ、過大な兵器は使わないんですよ、しかも国連におけるこの決議に対して日本としてどう協力するか、こういうことで国民の皆さんの御了解を賜りたいわけなんで、その点について実は誤解が出ていることにつきまして私としては非常に残念でございます。どうしても今私どもは、この法案の基本的な考え方、これはぜひ国民の皆さんに了解していただいて、そして、日本は国際国家として尊重されるようにぜひ行動しなければならないと考えます。  そういう意味におきまして、この法案の基本的なお考え方、本会議における総理並びに外務大臣の御答弁あるいは予算委員会の御答弁等で私自身は十二分にわからせていただきましたが、まだこの基本について国民の皆さんに不安を与えているというのが事実でございまして、この席におきまして再度総理からこの原則を明白にしていただいて、国民の皆さんに安心していただきたい。総理のお気持ちを賜りたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 ただいまの御質問にありましたとおりに、私どもは二つの原則は忠実に守っていかなければならないものである、こう考えております。  また、今回新法をつくりますに当たりましても、この二つの原則を変えないし、それをどうしていくかということにおいて、第一の原則、要するに武力行使をしない、実力行使をしない、これは憲法の定める、先ほどの法制局長官の答弁にもありましたように大原則でございますが、これは第二条に「武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。」と明確に原則をここに書いておりますし、同時に、第三条の「平和協力業務」というものは、できるものはこれとこれとこれですという任務をきちっと掲げておりますが、この任務は、どの任務をとらえても武力の行使を必要とするものでは全くないものばかり掲げてある、いわゆる非軍事面の協力でありますから、原則のうちの一つはここに、法文にもきちっと書いてございますし、それよりも何よりも、私どもはそういったことを考えて協力をしようと思っておるのではありませんから。  もう一つの原則は、国連決議を受けての活動とするようにしたらどうか。これはもちろん、国連が決議をすることができるような具体的な可能性が今回初めて出てきたわけでありますから、その国連決議に加盟国として対応するためにはどうしなきゃならぬか。やはり見ておるだけではいけないわけですから、何ができるだろうか。最初申し上げた武力行使をしないという平和憲法の大きな枠、大原則を守りながら、やるときには国連決議に従ってやろう、国際世論が決めた問題についてやろうということも大きな原則でありますから、日本が勝手に、あそこへ行けとかここへ行けとか、これを手伝ってこいとか、これをした方がいいだろうとかいうのじゃなくて、その前提に国連の決議というものがある。そして、その国連の決議に基づき、または国連決議の実効性を確保するためにいろいろな国が行う活動がありますから、その活動に、ここもあれですが、行って一緒になって参加してやるというのではなくて、協力をするということでありますので、この原則はきちっと守りながら、国連決議を受けての活動とする。  今おっしゃった二つの原則は、この法律の中にもこのようにきちっと書いておりますし、それよりも法律をつくる前の心構えとして、理念として、考え方として、二つの原則にきちっと従っていくということになっております。

牧野隆守自由民主党

○牧野委員 今総理から明確な御答弁をいただきましたが、実は我が国内における今の論議を見ておりますと、何か国論が二分されているような気がする。これを外国から見ると、日本はどうなっているのかな、国際協力はできないのか、どういう国家だろうか。私は、国論が二分されている、こういうような印象を諸外国に与えることを非常に危惧いたしております。そういう意味におきまして、今総理から御確認の御答弁をいただいたわけですが、これによって前向きにこれからどんどん活動していただきたい。  そこで、外務大臣にお伺いしたいのですが、例えば難民救済、これ一つとりましても、そんな二十人や三十人でできるものでもなし、また、飛行機にしましても船にしましても、数もたくさん要りますし、それに必要な金は、これは膨大な金になるわけです。ただ、現在難民がジョルダン関係で、ある程度少なくなっている、こう聞いておりますが、今後の事態の変化によっては、例えば長期化するような場合、あるいは突発事故の場合には、まだまだこの難民の数はふえてまいります。我が国の活動する分野は非常に大きなものがございます。  それから、例えばアラビア半島におきまして、ああいう国でございますから、真水が欲しい、海水を淡水化する施設が欲しい。これだって、世界平和のためにアメリカ軍を初め多国籍軍が活動しているわけですから、国連決議の実効を確保するために出ているわけでございますから、我々としては協力しなきゃなりません。これ一つとりましても、どれだけの人が、どれだけの労力が要るか。  あるいは、今の状態で病人が出ることは当然でございます。この病院の設置、これにしましても、医者の数あるいは病院の建設、それの維持を考えると、大変な人を必要といたします。また、膨大なお金が要ることも想像されるわけでございます。  今回の法律案は、こういうことができるということに資すれば、今後予算を請求する場合とかいろいろな場合に一つのきちっとした根拠になるわけでございまして、そういう点から、外務大臣として今具体的にどのようなプロジェクトを念頭に置かれ、それについてどう対処しておられるか、そして、それが国際的に具体的に日本が大きな評価を受けるものであると私は確信をいたしておりますが、それについての外務大臣の御答弁をお願いいたします。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 米ソの対立が終わりまして、国連が安全保障理事会を中心に満場一致して地域紛争を解決するという、一つの新しい歴史的な事実が今回生まれたわけでございます。  そういう中で、先ほども私、自民党の方に御答弁を申し上げましたが、日本は今まで国連には相当額の拠金をしてまいりました。しかし、今回のような事態が発生いたしますと、物理的にこの協力をすることが要請をされてくる。こうなりましても、この法案が成立をするように御審議を願っておりますが、法案が成立をして今委員がお尋ねのように直ちに難民の救済にどれだけのことができるのかということを率直に申し上げますと、私は、なかなか現状ではこの難民の救済すら難しいということを率直に申し上げなければならないと思います。  それはなぜかと申しますと、例えば、この御審議の中で、私どもが今回のこの法案をつくらないとどうしても国際的な要請にこたえられないといった最大の問題は、輸送手段が政府にないということでございました。民間航空機を頼んでもなかなか無理をして出していただくわけにいかない。そういう中で、それじゃ自衛隊の輸送機を使ったらいいじゃないかという御意見もございましたが、自衛隊法にはそのような任務はございません。今回、もしこの法案が承認をされる、成立することになりましても、自衛隊自身が持っている航空自衛隊の輸送機というものは我が国に一体何機あるのか。これはほとんど十三機ぐらいしかないというように私どもは報告を聞いております。しかし、我が国の防衛のために最低限の輸送機の確保をする必要がございますから、難民の輸送等にもし協力ができるといたしましても、それはせいぜい三機か四機。一機のいわゆる難民を輸送する能力がわずかに九十人しかないということを報告で聞かされておりますから、そのような状態で私どもがこれから難民の母国への帰還に協力をするといいましても、おのずから限界がございます。将来、政府専用機が購入が予定されておりますが、もし政府専用機が購入されるということになりますと、例えばジャンボでございますから五百人ぐらいの人を乗せてフィリピンならフィリピン、あるいはバングラデシュに運んであげることができる。こういうことになりますと、この政府専用機を使った方がはるかに効率が高い。こういうことで、今回法律がもし成立をして自衛隊機の輸送機を使う場合でも、一機には九十人しか難民の輸送ができません。四機使われても、掛けますと三百六十人しか運べない。こういう状態でございますから、補給鑑にいたしましてもごくわずかな物資しか運べません。  このような状況の中で、国民の方々の中にはいかにも大戦争に参加するような法案のような印象を与えられておりますけれども、真実は私が責任を持って今申し上げたような状態でございますから、その点はよく御理解をいただきたいと思っております。

牧野隆守自由民主党

○牧野委員 私も、きちっとした御答弁を外務大臣からいただけると期待しておりましたが、そのとおりでございまして、今回の状況に日本としてどう対処するのか、また、この法律案によってどう政府の行動を支えてもらえるのか、こういう点で国民の皆さんも政府が何をしようとしているのかという点はよくわかっていただいたと私は思います。  そういう意味におきまして、この法案審議中、どうか国民の皆さんに、政府が具体的にこういうことを考えておりますよ、まさに国際貢献でありますよ、こういうように積極的に御答弁をしていただき、御説明を賜りたいと思います。  次に、外務大臣にお願いいたしたいと思いますが、実は、これは私自身もずっと疑問に思っておったわけですが、日本の経済協力のあり方について、日本はどんどんどんどん経済協力をする、その片方で、その国としていろんなところから武器を購入する、そしていろんな形で紛争にそれを使うという事例がどうも多いような感じがいたします。経済協力は、無償の場合は我々の税金が出されるわけでございますし、あるいは有償としましても極めて長期、低利でなされているわけです。しかも、その現状を見ますと、なかなかまともに返してくれるという国はそう多くないというのがまた実情でございます。  そういう点で今度のイラク問題について、ソ連とかフランスが大変な武器を売った、片方で日本は経済協力をしておった、そしてお金は返ってこない。考えてみると、何をしておったんだ、経済協力というのは。本当にじくじたるものがあるわけでございまして、今後政府は、経済協力をされる場合に、相手国が軍備を増強するというような場合には、わざわざ経済協力をする必要がないのではないか。そういうものを抑えて、なおかつ足りないから協力を頼むというのであれば、我々は協力するのにやぶさかでないと思いますが、今後の経済協力の運営について、特に外務大臣、外交の見地からそれをどのようにお考えになっておられるか。今後ぜひ経済協力を実施する場合の一つの大きな基準として考えていただきたいと思いますが、外務大臣の御所見をお願いいたしたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 委員御指摘のいわゆる発展途上国、パーキャピタでいいますと千ドル以下の国の国民の民生の向上のために、あるいはその社会の繁栄のために、日本は貴重な国民の納めていただいた税金を経済協力として今日までやり、世界で第一番の金額を持つようになったわけでありますけれども、今御指摘のように、我々の協力した資金が軍事力の強化につながるということであっては、国際社会のためには決して好ましいことではない。私どもは今後経済協力をしていく場合に、その国その国は主権に基づいてその国を防衛する権利を持っておりますから、その最低限のものは我々の国家としても、その国の主権を認める必要はあろうかと思いますが、膨大な軍事大国になろうとする国に、国民所得が低い場合でも経済協力はやらないという毅然たる外交姿勢をとらなければならないと考えております。

牧野隆守自由民主党

○牧野委員 それでは、再度本件についてお伺いいたしますが、イラクについては外務当局は具体的にどのようにお考えになっておられましたか。現在あのような大きな残高があるわけで、その間に大変な武力を買っております。担当局長で結構でございますから……。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○渡辺(允)政府委員 イラクとの関係につきましては、イラクが国連決議の求めるところを受けて今回の湾岸危機の平和的解決に応じました場合には、将来の問題といたしまして、純粋のその経済社会開発ということがあります場合には、これは我が国としても関係を再構築する用意はあると考えます。  そのほか、イラクを含めまして中近東あるいはアジア、アフリカ、ラテンアメリカ、そのほかすべての国との関係におきまして、そのような経済社会開発という目的のための経済協力を先ほど大臣のお答えになりましたような考え方のもとに進めるということでございます。

牧野隆守自由民主党

○牧野委員 次は、通産大臣に質問をさせていただきたいと思いますが、実は、日本にとって非常にバイタルな原油の値段が非常に流動的な状況にございます。こういう点で、過去のオイルショックを我々経験したわけですが、そのときの状況を見ますと、極端なときにはトイレットペーパーまで皆さんがもう集中して買いに行かれる、実に惨たんたる状況が生じたわけでございます。  しかし、今我々に統制という手段はございません。これは我が国の危機管理対策として通産大臣にお伺いいたしたいわけですが、例えば万一のことが起きた場合に、あるいは原油価格が急上昇いたした場合に、少なくとも備蓄の放出ということをお考えになっておられると思いますが、少なくとも精製メーカーには従前同様の原油が手配されて、価格は別にいたしまして、従前同様の生産ができる。したがって精製メーカーはその石油製品を従前売っておったところには必ず一定量売る。さらにその先は、従前、従来の取引先には責任を持って供給する。それがずっと末端までいくことによって消費者は安心して買いだめをしなくて済むわけです。中間のメーカーも買い占めをしなくて済む。売り惜しみはさせない。こういう措置は当然通産大臣としてお考えになっておられると思いますが、統制法規はないわけですから、法律をつくるとしたらまた国会でいろいろな審議をしなければならない。統制をすれば、ますます連鎖反応的に統制は統制を呼んで、売り惜しみ、買い占めになるわけで、危機管理対策として私はそういう準備をして、一番基本である精製メーカーに対して販売先を従前どおりにするという、まずそういう措置、これが必要だと思いますが、通産大臣としてどのようなお考えをお持ちですか、お伺いいたしたいと思います。

武藤嘉文自由民主党通商産業大臣

○武藤国務大臣 一つ基本的に考え方として、第一次オイルショックのときと今回とは非常に違うわけでございます。第一次オイルショックのときには産油国全体で供給を削減をしてきたわけでございますが、今回、御承知のとおりイラクとクウェートの分だけでございます。そして、その分についてはサウジアラビアその他が増産をいたしておりますので、現時点においては、国際的にも、もちろん日本国内においてもいわゆる需給関係においては全くタイトになっていないわけでございます。そういう点が一つございます。  もちろん、価格の問題については非常に不透明な点がございますので、例えば、ひょっとしたら 戦火が起きるんじゃないかというとこの間みたいにずっと上がったり、あるいは最近は平和的な解決がなされるのではないかというと急激にこれが下がってきたり、いろいろ変動が大きいわけでございますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、日本というのは残念ながらエネルギー源のない国でございまして、エネルギーの約八割を外国に依存をいたしておりますし、とりわけその中でも石油というものに依存している率が非常に高いわけでございますから、これが安定的に供給がなされ、二度とあの第一次オイルショックのときのような売り惜しみ、買いだめがなされないようにしていかなければならないという点は当然私ども考えております。  御承知のとおり、法律もないわけではございません。売り惜しみ、買いだめの場合には、それを抑える法律もありますけれども、法律を行使する前に、できるだけ円滑に供給がなされるようにということで指導いたしておりますし、私ども監視体制といたしまして、通産省本省あるいはまた各通産局に窓口を設けまして、何かそういうことがあったならば遠慮なくおっしゃっていただきたいという苦情の窓口も設けておるわけでございまして、決して国民の皆様方にそういうような御心配をかけないように努力をしてまいるつもりでございます。

牧野隆守自由民主党

○牧野委員 再度通産大臣にお伺いしたいのですが、今回もまた石油によって、国内で政治的にも経済的にもいろんな困難を生じているわけです。いつまで我々は石油に依存しなければいけないのか。中近東が恒久的に平和になってくれればこれにこしたことはないわけですが、ああいういろんな事情のある国でございますから、今後将来にわたって、紛争が起き、そのたびに日本は石油でいろいろ問題を生ずるわけでございます。何とか脱石油というものが行われないだろうか。  例えば今、日本の原油の輸入量の約一割が火力発電所に使われております。エネルギー源として民間でもいろんなところで使われております。自動車のガソリンはまた消費者ベースから見ましてもその最たるものでございまして、何とか原油の使用量を少なくすることができないか。今まで太陽熱の利用だとか、あるいは自動車についてアルコールへの転換だとか、いろんな検討がなされておりますが、いまだその結論といいますか方向は出ておりません。こういうことを考えますと、今度でも原油の値上がりだけで国民経済的にあれだけ膨大な損失を生じているということを考えたら、全世界の研究者、日本はもちろんでございますが、世界じゅうの研究者にお願いして、そういう転換の技術開発のためのお願いとかそういうものを日本としては基本的に考えるべきでないかな。  これはいろんな方法があると思います。世界じゅうがお金を出して研究機関をつくるというのも一つの方法でしょう。あるいは日本が中心になって基金をつくるというようなことも考えていいのではないか。今、来年その結果を求めるというのじゃなくて、五年、十年、十五年かけて、我が国の産業の体制を保持するためにも脱石油ということを日本全体で基本的に考えるべきではないか。大臣の御意見と、そして日本全体のエネルギー政策、石油で危機があった場合に揺れ動く日本の体制を維持するために、最後に総理のお気持ちをお伺いいたしたい、こう考えます。  通産大臣、まずお願いいたします。

武藤嘉文自由民主党通商産業大臣

○武藤国務大臣 一つの数字だけ、事実の数字を申し上げますと、第一次オイルショックのございました一九七三年度、このときはエネルギー供給の中の石油のシェアは七七・四%でございました。一九八九年度、昨年度はこれが五七・九%まで下がってきたわけでございます。しかし、今御指摘のとおりまだまだ油に依存している率は高いものでございますから、私ども二〇一〇年にはこれを四六%まで何とか抑えていきたい、こう考えておるわけでございます。しかし、それには今御指摘のとおりただ手をこまぬいては全くこれはできませんので、まず一番大切なのは、もう一回官民挙げて省エネルギー、国民の皆さんも本当に日本全体がやはり省エネルギーということに徹していただかなきゃならないということは一つあると思います。  あわせて、今御指摘のように石油にかわる代替エネルギーという形で、私どもとしては例えば水素エネルギーであるとかあるいは太陽熱であるとかあるいは燃料電池であるとか、いろいろと研究を進めておりますけれども、より一層それを進めていかなきゃならないし、今御指摘のとおり自動車におきましても、例えばメタノールであるとかいうようなものを燃料とする自動車の開発あるいは電気自動車の開発、これにも取り組んでおります。  それともう一つ、お話のございましたように大きな問題といたしまして、国際的にやはり日本が一番これはアメリカに次いで油を消費する、しかもアメリカは幸い自分のところで生産ができますけれども、日本は自分のところで生産ができなくて第二の消費国でございますから、こういう日本といたしましては世界的にも呼びかけてIEAの場を通じて、幸いIEAに御承知のとおり研究開発委員会がございますので、ああいう場を通じてより一層こういう新しいエネルギー、代替エネルギーの共同開発には積極的に取り組んでまいりたい。  そういうことで、今、基金というお話がございました。基金までつくるかともかくといたしまして、これは資金面においても積極的に日本は協力をしていかなければならない、こう考えておるわけでございます。

牧野隆守自由民主党

○牧野委員 以上で質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 これにて山崎君、宮下君、牧野君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時七分休憩      ────◇─────     午後一時開議      ────◇─────

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。川崎寛治君。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ひとつ徹底的にこの問題についてお尋ねしたいと思います。  そこで、まず大変悲しいことには、イラクの経済に大変御協力をしてこられた日本の皆さん方、経済人、技術者、それが今日なお三百数十名人質として捕らえられております。この二、三日、相次いでフランスの全員釈放であるとかイギリスのヒース元首相の訪問によるイギリス人であるとか、こうした釈放の報道がなされております。しかしこれは、イラクの行為というものを私たちは厳しく今国際的に非難をしておるわけでありますし、それぞれの行動をとっておりますが、私は今日の今のこの状況というのは、あなたが新しい国際情勢だ、こういうことを言っておりますけれども、今のこの世界の歴史、これを見ますときに、百年に一度とも言える歴史の大転換の時期だというふうに私は認識をいたします。  そして、そういう歴史の中で、大きな転換の中で考えられることは何か。それは、十月三日にドイツが統一をいたしました。今ヨーロッパは一つのヨーロッパの方向を目指しております。そして、今ヨーロッパでは敵のいない安全保障というのを議論を始めておるわけです。ソ連あるいは東ヨーロッパにおける大きな変化、これはソ連型の共産主義の行き詰まりというものもございます。これはしかし、米ソの冷戦が終結をしたということ、それから米ソが新しい協力の時代に入ったということ、その中で私たちは国連の問題も考えなければいけないわけです。その場合に、先般アメリカのベーカー国務長官とソビエトのシェワルナゼ外相が共同声明を出しました。それは、九〇年代の世界の平和、そのために果たすべき国連、そしてそのための国連強化ということを両外務大臣は声明をいたしたのです。  では、イラク問題というのは何なのか。私は、米ソの冷戦が終結をしたことによって、地域紛争は起きます。世界で二十数カ所の地域紛争の危険地も指定、検討はあります。ただ、ここで言えますことは、この湾岸危機が世界戦争には発展しない、このことを私たちは明確に見据えてこれからの九〇年代、二十一世紀というものを考えなければならないわけです。  八月二日のイラクのクウェートへの侵攻、これはもうまさに許すことのできない行為でありますし、それゆえに今東西両陣営、南北を問わずこの経済制裁に入っているわけです。そして、クウェートから撤退をせい、クウェート政権の復帰ということを言っておるわけです。これは、これまでの世界になかったことですね。  そうしますと、そういう国際情勢の中で今日本が果たすべき役割は何なのか。大きな歴史を眺めながら、世界を眺めながら、そして経済大国と言って今資金をあちこちから要求されております。しかし、今日本の外交というのには哲学が必要なんです。日本の国際政治の方向というのは哲学がなきゃだめですね。  そうしますと、そういう新しい情勢の中で今提案されておりますこの法律というものを見ますときに、これがその九〇年代に向かって国連を中心に日本が活躍をしていく方向の法律か。おたくの幹事長の小沢一郎君は、国際社会で孤立する、この法律ができなければ国際社会で孤立するということをよく言いますね。しかし、どうでしょう。この法律ができたらアジアの諸民族とがっちり手を握ることになるんでしょうか。そうじゃないでしょう。それは大きな認識間違い。  そこで、今アジアの各国から厳しい批判がございますが、例えば香港では、今度の、今行われております日本のこの国会を何と言っているか。マスコミ。中東国会ではない、まさに出兵国会だ。日本の自衛隊を海外派兵させる、そういうものを急いで、慌てて今日本の与党の諸君はやろうとしておるということに対する厳しい指摘をしておるんです。  総理の国際情勢についての認識をお伺いします。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 川崎委員が前半に時間をかけて御説明をいただいた国際情勢の認識というものは、私もそうだと思いながら伺っておりました。ベルリンの壁の崩壊、ドイツの統一、ヨーロッパのあの動き、そして大事なことは、今まで両陣営に分かれておった世界、冷戦という言葉で説明されてきた世界、それが結果として、今まで体制の異なっておった国も一つの目標のもとに民主化、自由化の大きな動きがあらわれてきた、それがまさにこの間のドイツ統一であったと私は受けとめておるのです。ですから、これからの世界は、一つの方向に向かって、平和で繁栄をしていくような世界にならなきゃならぬという大きな歴史的な流れが起こっておる、この認識は委員がおっしゃったように私もそのとおりだと思っております。  そして、この平和と繁栄を確実なものにするために、百年に一度の変化とおっしゃいましたが、むしろ国連が始まって初めて、安全保障理事会で決議が成立したというのはまさに国連始まって以来の変化ではないでしょうか。そうしてそこには、アジアからは中国も入っている安全保障理事会が機能しておる。アメリカも入っておる、ソ連も入っておる安全保障理事会が機能している。ここに許されないことがある、正義に反することがある、イラクのクウェート侵攻に関して国際世論が厳しくこれを非難したという点も私はそのとおりだと思って国連の行き先を期待をしておるわけであります。  そういう大きな流れの中にあって、日本も戦後国連中心の外交をしてまいりましたけれども、きょうまでややもすると復興途上国の日本としてはなかなか十分なことはできなかった。けれども、国連がこのように機能するようになって、そうして日本の地位、立場も自分たちが考えておるよりももっと大きく期待をされ、大きく果たさなきゃならぬ役割も出てきておるわけでありますし、また、世界が平和であったという大前提に立ってきょうまで繁栄もできましたし、また、アジアのことをおっしゃいましたが、去年なんかでも、アジアの国々に協力をする、間接的な協力にしかならなかったかもしれぬが、貿易なんかでは六百四十億ドルもアジアから製品の輸入をしてアジアの国国の経済と相互依存関係で協力もしてきた。そしてまた、日本の戦後のきょうまでの平和を守っていくという考え方、二度と軍事大国にならない、二度と侵略戦争はしない、これはアジアにおいて過去に行った歴史の反省からきた日本の立場でありますから、こういったものはアジアの平和と安定にも役立ってきたものと私は確信もしております。  その線をきちっと守りながら、武力による威嚇や武力行使を伴わない面での協力をするということで大きな枠組みをつくったのがこの法案でございますから、この法案を通して戦争に行くなんという発想は全くございません。これは国連決議の実効性を高めるための行為の中に、一緒になって参加してというのじゃなくて、それをできるだけのことを協力をしていかなければならぬ、せめてそれくらいのことはしなければならぬという立場、考え方に立ってしておるわけでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 総理が今熱意を込めておしゃべりになりました。そうすると、じゃ、なぜ、これはけさの毎日新聞でございますが、海部内閣の支持率が三五%にダウンをした、そして不支持が急増した、逆転をした。あなたが筆頭理事で売上税の特別委員会やりましたよね。あのときと同じ私は今雰囲気を感じているのです。国民の皆さん方が、海部内閣はこれまでもっとハト派だと思っておった、しかしそれがどんどん急速に落ち始めた、あなたの言っていることが支離滅裂になってきた、一貫をしていない。だから、中東政策に対する国民の皆さんの不満です。そして、なかんずく自衛隊の海外派兵という、海外派遣という、まあ派遣というでしょう、しかしこの派遣も派兵も同じですが、かつて支那方面派遣軍司令官と言っていた。この支持率の急速なダウンというところに今の国民の皆さんの海部内閣を見ておる目というのははっきりしているわけです。  さらに、今世界的にも、ニューヨークの原油がきのうはニューヨークWTIで五・四一ドル安くなって二十八・三八ドルに急速に下がった。それは何か。それはあなたが自衛隊を派遣をすることを一生懸命やったからじゃないのですよ。ミッテラン大統領の中東政策やあるいはプリマコフ・ソ連大統領の特使などは、そうしたアメリカの軍事行動を抑えながら政治解決へと動いてきている、アラブの諸民族の今の、武力ではなくて政治解決へ、そういうものでしょう。だからきのうのニューヨークの過去最大の大幅の下げというのは、中東衝突回避の観測だ、こう言っている。じゃ、この中東衝突回避の観測というのは間違っているのですか、正しいのですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 いろいろな努力がありまして、総合的に粘り強く平和的に解決しようという動きが出てきておる、それが石油の値段にも反映してきているという点については、私はそれは正しい見方の一つである、こう考えます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 ブッシュ大統領やベーカー国務長官は、つまり選択肢として武力の行使を捨てていませんね。あなたはこの行使があり得る、そう見ていますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 米国の内政、腹の中のことまでここで予断と憶測で断言することは控えておきたいと思いますが、武力を一番最初に使ってクウェートを侵略、併合して、今なお第一線に武力を配置し続けておるという原因があるからこそ、それに対する抑止力が出て、戦争はいけないよ、これ以上平和を壊してはいけないよというのが今回の原因のそもそものスタート地点でありますから、そのことも視野に入れてひとつ御理解をいただきたいと思うのです。  にもかかわらず、これを使ってはいけないから経済制裁をして、それによって平和的解決のためにまずクウェートから撤兵しなさいということを皆が口をそろえて言っておるというのが事実でありますから、私はそれを、その考え方を率直に受けとめ、信頼をし、その方に進んでいくことを心から期待をしておるわけでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 あなたは、中東訪問をされましたときにラマダン・イラク第一副首相とお会いになった。社会党の山口書記長の予算委員会における質問に対して、あなたは、予定外であったが、ラマダン第一副首相と会った、こういうことです。これは、岡田利春君がちょうどそのころ行っておりましたから、いずれまた具体的にお尋ねするでしょう。  日本は一番イラクの経済建設については経済協力をやってきたわけですね。なぜあなたはイラクに乗り込まなかったのですか。そしてその前に、あの八月、このけしからぬ問題が起きたときに何であなたは逃げたんですか。何で逃げたんですか。一番経済協力をしているなら物が言えるはずです。そして、イラン・イラク戦争までは日本はアメリカ側とも違うということで貫き通してきたわけです。もしそのスタンスというのが貫かれておったならば、あなたはちゅうちょなくイラクにも乗り込めた、あるいはフセイン大統領にも会見を申し込めたはずですよ。しかし、その方針が変わっちゃってアメリカ一辺倒になっておったから、あなたはもうイラクに——そして湾岸諸国を回ってお金をばらまいてきただけ。あなたの中東政策という、海部ドクトリンというのはないわけですよ。いや、あなた、頭を振っているけれども、ないんですよ。  だから、イラクに対してけしからぬと言うなら、あなたは行って、おれたちはこれだけ経済協力もしてきた、経済協力をしてきたその苦労してきた人々を、ただ人質を釈放と言うだけではなくて、大きな立場から、世界の立場から、あなたはイラク問題というものについて、ただ自衛隊を出してアメリカ多国籍軍の後方支援のためにとうつつを抜かすのでない行動が八月の初めにできた、あるいは先般行かれたときにも、これは当然できたと私は思うのです。なぜそれをやられなかったのか。ラマダン氏の方からは会いたいと言ってきた、彼の方から来たわけですね。あなたの予定外だった。予定外にラマダン氏が会見を申し入れてきた。しかし、そこで言っているのは、ただ人質の問題やその他けしからぬ、撤退しなさいというだけのこと。中東政策全体について、そのことは国民にわかってませんよ、それは。あなたの中東政策についての海部ドクトリンというのはわからぬわけです。明らかにしてください。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 非常に固定観念を持って物をおっしゃっては、私も答えさせていただきますので、ちょっと時間がかかりますが、御勘弁ください。  それは、予定に入ってなかったと言いましたのは、日程を出して許可をもらって出ていくときの面会予定などに入っていなかったということでございます。私が出発してから、たしかニューヨークにおるころからいろいろな接触がありまして、それなればジョルダンで会おうということをこちらから言って、お話をしたいからというので、ジョルダンへ行ったときにそこでラマダン副首相と会ったわけです。それは事実です。  それから、そこで二時間お話し合いをしたわけですが、私は何も撤退をしろ、人質を返せだけ言って帰ってきたのではありません。それは、もしそういったことをお考えになっておるとしたら、今ここでお考えを川崎委員どうぞ改めてください。あのとき新聞報道にも出たはずでありますし、飛行機の中での記者会見でも私自身のコメントとして率直に申し上げましたが、私は日本だけが今一人で行ってやるというよりも、これは国連が、百年に一回とおっしゃいましたが、始まって以来初めて決議をした中にこの問題解決の国際的な大原則がきちっと決めてあるのです。アメリカとイラクのことじゃなくて、国連決議の中に決まった大原則があるわけですから、それをまず守るということ。それは、クウェートからの撤退であり、クウェート政府の復帰であり、人質のすべての釈放である。それを果たされれば、そこから次にいろいろと展開していくであろう。私は、私の恒久和平に対する考え方をラマダン副首相にあのとき明確に申し上げてあります。  その一つは、国際社会に復帰していかなければならぬわけであるし、同時に、国際社会に復帰するためには、あのときラマダン副首相の方からも、これはクウェート問題だけじゃなくて、アラブとパレスチナといろいろな問題があるということを盛んに言われますので、それはわかっております、このような緊急な事態は、局面をまず変えて、恒久和平のための話し合いをしなきゃならぬわけです。きょうまでアラブとパレスチナ問題、アラブとイスラエル問題は、アメリカのベーカー長官の提案とかエジプトのムバラク大統領の提案とか、いろいろ努力がずっと引き続いて行われておった過程であり、しかも我が国は、その中東の恒久和平に対しては、国連決議二百四十二号の線に従って、イスラエルの占領地から撤退とかいろいろな問題については既に立場を明らかにして、明らかにして言ってあるわけでありますから、それに従ってお話し合いの場ができるなればそれは引き続きやろうじゃないかということもはっきりとその場で言ってありますし、そのことも報道の皆さんにも終わった直後に申し上げました。  それからもう一つ、日本とイラクの経済関係が多かったということはそのとおりでございます。ですから、今イラクで出国の自由をとめられておるイラクもともとの在住の皆さんはきのうまで、考えてもください、イラクのために経済協力、技術協力、発展のために頑張って働いて貢献しておった邦人たちではないですか。クウェートの人はクウェートでいろいろそういったことに活躍をしておった人ではないですか。それをいきなり自由を奪うのは、国際法上もさることながら、人道上も問題ではないですか。これはぜひ釈放するということを強く要求する。第三国のすべての方の釈放を強く要求する。しかし、それができれば、今おっしゃるように経済関係は非常に深かったわけです。イラクの方に日本に対する債務が累積して七千億円近くあるということは、これは周知の事実であって、そのことについてもラマダン副首相は認めておるのです。  ただ、これは今のこのような状況のもとで一挙に解決することができないならば、今後、借款の残りについてもどうするかという相談を八月一日までやっておったわけでありますから、そういったこと等も踏まえて、イラクと日本の経済関係を再構築する用意が日本の方にはあります。そのためにも、どうか国連決議の前提に立って、まずこの局面を転回して、そういう話し合いに入っていくためにもイラクの決断が必要であり、この局面を変えられるのは、平和解決への道を開かれるのは、今そのかぎを握っておるのはイラクですよということを私は何回も強く申し上げてきました。  ですから、そういったようなことを踏まえて恒久平和の問題を展望するなれば、今まず局面を変えて、国連決議に従って、すべての問題を解決する糸口をつくることが何よりも大切だというのが私の考えでありますから、どうぞそのように御理解をいただきたいと思います。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 ところが、この日本で国連平和協力法案を詰めれば詰めるほど、そして自衛隊の海外への派遣ということ、そういうことが議論をされればされるほど、イラク側で大変人質に対しても厳しい姿勢になり、自分たちはどうなるんだという不安が今訴えられてきておるわけです。だから、あなたが今一生懸命言われた。しかし、日本が今のこの時点でなぜ自衛隊を出さなきゃならないそういう法律にいったのか。国連の決議の問題は後ほど具体的に詰めてまいります。今イラクに対する私は制裁ということで言えば、日本は、午前中も議論ございましたけれども、五十万というアジアの難民の皆さん方、そういう人たちを早急に送還する、いや、それは民間の飛行機や民間の船がなかなか調達できなかったんだという、しかし、だから自衛隊というのは、そこの飛躍、それに国民の皆さんは今大きな不安を感じているわけなんです。  じゃお尋ねしますけれども、もし、仮定ですよ、この法律が通ったとして、(発言する者あり)通らぬ、そのとおりだけれども、じゃ平和協力隊が中東に出かけるのはいつですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 今なぜ自衛隊かとおっしゃいますけれども、当初どのような協力があるのだろうかいろいろ模索をして、そして、協力をするといってもそれにはおのずから限度がありますから、そのようなことをするためにはどうしたらいいか。率直に申し上げて、民間の皆さんにお願いをして、できることはしたいと思って努力もし、医療の問題とか具体的な拠点に対する輸送協力という問題を念頭に置いてこの考えをし、その実行をし、今も小さくは第一歩の芽が出てきておるわけでありますけれども、貢献策として、しかし、いろいろな都合があってなかなかできません。  同時に、こういった問題に対して、じゃ何もしない昔のもとへ戻ってしまって、考えと意見だけでやめてしまうかというと、それでは、せっかくおっしゃった百年に一遍の、世界の大きな歴史の流れ道で変わっていく新しい世界の秩序が生まれようというときに、日本だけは何もしないでおるのか。決議ができる国連というものができて、決議されたら、そこにできる限りの平和的な協力をしようということでこの案をつくったわけで、その後政府部内でいろいろと議論しました結果、先ほどもこの委員会で明らかにしましたように二つの大きな原則を踏まえて、一つは、武力による威嚇や武力の行使を伴うものは絶対にしない、これが一つと、もう一つは、国連の決議を受けてその実効性を高めるような国際努力に対してはこれは協力をしよう、この二つの原則を決めて、さあどうしたらできるだろうか。民間ばかりにやれと言わずに政府も率先して、公務員がなぜやらないのかという角度の御批判もございました。また同時に、きょうまでいろいろ蓄積された訓練の結果の部隊としての行動とか活動とかいろいろなものを見ると、物を輸送するとかあるいは医療班が出ていって協力してもらうときとか、いろいろ民間に頼んだときに擬しい問題であった壁を越えて効果的に協力をするためには、政府部内で慎重に検討をした結果、大原則、二つのたがをはめて、非武装を原則とする自衛隊の一部の人々にこれは参加してもらって、そして自衛隊の持っておる輸送能力やきょうまでの経験やきょうまでの訓練というようなものを成果を上げてもらえば平和協力はできるのではないか、こう判断をしてこの法案を提出させていただいた次第であります。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 私の質問に答えてないんですよ。これは、民間の協力の仕方については、確かに安全の問題その他がありましたからなかなか取り組めなかったという大変難しい問題はある。しかし、これは後ほど左近委員が、具体的に彼は協力、努力をしてきましたから、日航やら全日空やらあるいは海員組合やら、そういう輸送関係、運輸関係の組合とは彼は一生懸命努力してきたわけです、現在待機もしておるわけです、現在しておるんですよ。ですから——いや、それはだから別の問題。  それで、そうしますと、いつ出るかということに答えていないんですよ。この法律でいつ出るんだ。来年の五、六月でしょう、これ実際に部隊ができるのは。あなた方の言う平和協力隊というのはできるのはいつですか。  そうすると、なぜ今やらなきゃならないかということが後回しになっている。難民の、それじゃサウジに行っている医療の先遣隊は何をしているか。サウジには病院がいっぱいあって医者もたくさんおって、何にもすることがなくてうろうろしているじゃないですか。拠点づくりというのはどんな拠点をつくっているのか。  そういたしますと、この輸送の問題等については具体的に左近君からまたやってもらいますが、この問題は、そういうことで、だから、つまりPKOの、国連の平和維持活動についてもこれまで国連からもいろいろ問い合わせも来ておった、しかし、それはできないまま来たわけですよ。できていないわけだ、そういう仕組みが。仕組みができていないわけです。その仕組みをつくってきていなかったことは怠慢なんです。(発言する者あり)いや、それは違うんだ、自衛隊の派兵とは違うわけだ。そのことを私はきちっと言っておきますから、この具体的な後のそういう輸送の問題等については左近君の方から具体的に詰めてもらいますので、しておきます。  そこで、決議の問題、国連決議の問題について私は入りたいと思います。デクエヤル事務総長の発言について、事実関係というか、山口書記長に対する答弁、これは大変重要な問題でございますので、私はこれをまず、つまりこれは後ほどの法案そのものの決議を受け、あるいはそれを実効あらしめるため、効果あらしめるためというそういう決議の一番基本の問題ですから、この問題について具体的にただしたいと思います。  それは、十月の十九日、この予算委員会で山口書記長がこう言ったのです。デクエヤル事務総長は、多国籍軍は国連決議とは別と言っている、こういう指摘をしたんですね、別だ、こういう指摘を。これに対して赤尾国連局長は、事務総長は記者会見で真意が伝えられていないと述べて、多国籍軍は国連決議とは別との発言を自分で否定をした、記者会見で否定をした、こう言っているんです。  そこで、このデクエヤル事務総長の記者会見というのは、いかに国連が決議というものを厳密に解釈をし、決議を厳密に実行していくか、つまり、決議にいきますためには対立がありますから、灰色の決着というのもありますよ、しかし、決議をしたらその決議というものは一つ一つを厳密に実行していくわけですから。八月十三日に事務総長が言いましたのは、「アメリカが封鎖した」——この十三日の段階ですよ、記者会見の段階。あなた方は後の決議でどうのこうのということで逃げちゃいけませんよ。アメリカが封鎖したと述べたことに対して、封鎖ということ、ブロケードという言葉は国連の観点からは正しい言葉ではない。我々が現に見ていることは、多国籍軍の決定は、サウジアラビアとクウェートの合意に従ってアメリカ合衆国、フランス、イギリスその他の国及びアラブ諸国によってなされたものであり、国連の決議の文脈の中で行われたものではない。安保理事会決議に基づく、つまり、いいですか、「安保理事会決議に基づく国連のみが封鎖に関する真の決定を行うことができるのである。」真の決定を行うことができるのは安保理だけだ。こういうことを言明をしているわけです。明確に言っているわけです。そうしますと、この事務総長の権威を疑わせるような、つまり、権威を疑わせるというか権威を否定する、そういう発言をこの予算委員会で、しかも一党を代表しております書記長に対する答弁で間違った答弁をする、これは許せないですよ。単に言い間違えたという問題ではないのです。  よくわからぬようだから、国連局長の答弁を読み上げますと、「先生からデクエヤル国連事務総長の発言と多国籍軍及び決議との関連につきまして御指摘がございましたので、私たちのニューヨークからの報告をベースに御説明いたします。確かに、先生が御指摘されましたとおり、一部の報道におきまして、新聞等の報道におきまして、国連事務総長は多国籍軍の展開は、国連とは関係のないような発言をしたかのごとく報ぜられた事実がございます。」いいですか。「その後、ニューヨークにおきます国連事務総長の」ここで、大事なところです、「国連事務総長の」つまり国連事務総長自身が「記者会見におきまして、このような報道は自分の、すなわち国連事務総長の真意を伝えていないというふうに述べて、新聞報道を否定しております。」いいですか、「新聞報道を否定しております。」こう答弁をしたわけです。これは明らかに間違いなんです。事実を曲げて、事実を間違えてここで答えているのです。これは、国連の決議というのはどんなに大事か、そして事務総長の、これは権威にかかわる問題なんです。事務総長がそんないいかげんな発言をし、記者会見を否定をする、そういうようなことであれば事務総長は務まらぬのですよ。これは外務大臣、答弁してください。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○赤尾政府委員 先に私の方から事実関係について申し上げます。  ただいま先生が引用されましたとおり、国連事務総長はまず十三日の記者会見におきまして……(川崎(寛)委員「違うよ、ここで答えたことを言いなさい」と呼ぶ)はい。私が申しましたのは、国連事務総長は、アメリカ軍の行動は憲章に違反するというふうに一部報道に伝えられたけれども、米軍の行動は憲章に違反するという言葉を用いたことは一度もないというふうに、事務総長の談話として国連事務局報道官が十六日に発表しました。それをかいつまんで御説明したわけでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 冗談じゃないよ。冗談じゃないですよ。違うじゃないですか。あなたのここにおける発言は、「その後、ニューヨーク」、今のやつは前の方は引用だよ。「その後、ニューヨークにおきます国連事務総長の記者会見におきまして、このような報道は自分の、すなわち国連事務総長の真意を伝えていないというふうに述べて、新聞報道を否定しております。」いいですか。「新聞報道を否定しております。」事務総長みずからが記者会見をして、自分のしゃべったことを否定をした、こう答えたのですよ。だから、まずその事実をそのとおり言いなさい。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○赤尾政府委員 ただいまの点につきましては、事務総長がみずからニューヨークで述べたということでございません。事務総長はその日はリマにおりまして、事務総長にかわりまして国連の報道官が事務総長の談話を出したわけでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 違うというのですよ。それは、事務総長はそのころペルーを訪問中なんですよ。そのとおりです。そして、国連の事務総長の報道官が記者会見で……(発言する者あり)違うんですよ。違う。事務総長が記者会見で真意を伝えていないというふうに述べて、新聞報道を否定をしたんですよ。そうなんですよ。違うんだ。国連報道官が言ったのが事実。ところが、ここで、予算委員会で言っていること——じゃ、速記録を持ってきてくださいよ。それは、ここで間違ったことを言ったから参議院では訂正したんですよ。訂正したんです、参議院では。だから、ここでは国連事務総長の、いいですか、それなら、国連局長はここで報道官の言うことは、予算委員会のこの山口書記長に対する答弁では一言も報道官のことは触れてないのですよ。事務総長が否定をした。これは、だから、僕は速記を持ってきています、速記を。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○赤尾政府委員 もう一度正確に申し上げます。  十六日に発表いたしましたのは、報道官が事務総長の談話としてニューヨークにおいて発表したわけでございます。発表の内容は、一部新聞に報道されました米軍の行動が憲章に違反するという点については、自分はそういう言葉を用いたことは一度もないということでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 違うんだよ、違うんですよ。だから、慌てて報道官がというふうに参議院ではなっているんだけれども、この衆議院の予算委員会では——通じてないんだ、ここでは。ここではみずからが否定をしたことになっている。  いいですか、これは大事なんだ。要するに、国連決議をこんなにひん曲げちゃいかぬのですよ。(発言する者あり)そうじゃないんだ。国連事務総長が、これはつまり国連事務総長の発言というものを非常に大きな発言ということでとられまして、米軍のつまりブロケードした行動は国連憲章に違反すると国連事務総長が述べた、こういうふうに報道されたわけです。だから、そのことに対しては報道官が、右は誤報である、SGは、つまり事務総長は、記者会見でブロケード、つまり海上封鎖は、いいですか、これが大事だ、つまり海上封鎖というのは国連憲章四十二条にかかわるものだ、四十二条にかかわるものであり、安保理の決議が必要であるとの従来の事務総長の見解を述べたものであって、憲章違反という言葉は一度も使っていない、こういうふうに談話を出したわけです。報道官が談話を出した。しかし、国連局長のここにおける答弁はそうじゃない。速記録を持ってきなさい、速記録を。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○赤尾政府委員 ニューヨークにおける国連事務総長スポークスウーマン、これは女性の報道官でございますけれども、スポークスウーマンが述べました点は次のとおりでございます。  彼女は、ただいま先生が言われました内容について、これは事務総長のステートメントであるということで、リマにおいてきょう記者会見で答えたというふうに、ただ事務総長のステートメントとして発表したわけでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 僕はそのことは言っているのですよ。ところが、国連局長がここで答弁をしたのは、山口書記長がこうした国連事務総長の発言を引用して言ったら、それに対して、事務総長は記者会見で報道を否定をしたと。違うんです、これはだから違うのですよ。まあ、これは事実関係を調べてもらいましょう。委員長、これはだから事実関係を調べてもらうために理事でやってください。

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 議事録は後で調べます。後で確認いたしましょう。  どうぞ質疑を続行してください。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 それでは、先般来、参議院で問題になりました小型兵器の問題についてお尋ねをします。  防衛庁長官、防衛庁の法令用語としては小火器という言葉を使っていますよね。それで、なぜ今度この協力法案ではそれを小型兵器というふうにしたのですか。

石川要三自由民主党防衛庁長官

○石川国務大臣 ただいまの言葉の使い方につきましては、政府委員から細かく説明させます。

関收防衛庁装備局長

○関政府委員 防衛庁におきまして、小火器という言葉は法令用語として使っている例はございません。小火器という言葉が防衛庁内におきまして便宜的に種々の分類で使われておりますが、防衛庁として統一した定義というものはございません。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 そうすると、防衛庁における小火器というのは何をいうのですか。

関收防衛庁装備局長

○関政府委員 先ほど申し上げましたように、防衛庁内でも必ずしも統一的に定義されているわけではございませんが、一般的に申し上げればけん銃、小銃、機関銃、散弾銃をいうという使い方をされているケースが多い状態でございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 機関砲は入っていませんか。

関收防衛庁装備局長

○関政府委員 今申し上げましたように、けん銃、小銃、機関銃、散弾銃という使い方をしているケースが多いということでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 そうなりますと、この協力法では、協力隊員は小銃、けん銃を携行するんだ、こういうことでしたね、これまでの答弁は。しかし、これは矢田部参議院議員が参議院でも追及いたしましたように、自衛隊法八十七条では、これは「自衛隊は、その任務の遂行に必要な武器を保有することができる。」。こうなりますと、今言った小銃、けん銃に限るものではないということについては、参議院側における答弁でもそれぞれありました。これは衆議院のこの特別委員会の審議の際に、この歯どめというか、厳格な歯どめをつける、こういうことでしたね。その歯どめというのを答えていただきたいのです。

石川要三自由民主党防衛庁長官

○石川国務大臣 ただいまお尋ねの件でございますが、今回の新法によりまして自衛隊が参加する場合には、当然これは平和協力隊員としての任務を持って仕事をするわけでありますから、そういう場合におきましては当然新法の中に規定されておる、多分二十七条だと思いますが、それが使用できる、こういうふうに私は理解をしております。  ただし、今申し上げましたように、補給艦等の場合におきましてはそれ自体が防護用、何というのですか、船そのものを守るための一つの武器というものは九十五条で認められているわけでありますから、しかし、それは私は平和協力隊の任務ではない。やはり任務としては、平和協力隊の任務の場合には二十七条を適用される、私はかように理解しております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 八十七条では、「自衛隊は、その任務の遂行に必要な武器を保有することができる。」こうなっておりますね。それで、協力隊員は小銃、けん銃、こう言いました。しかし、自衛隊は、つまり自衛隊そのものが参加しているわけです、隊と隊員と。そうしますと、その任務の遂行に必要な武器というものを保有する、法律上は小銃、けん銃に限らないということなんです。そして、そのことは認めたんですよ、あなた方も。(発言する者あり)いや、これはつまり法律上はその任務の遂行に必要な武器を、小銃、けん銃以外の武器も持てると、自衛隊法上は。だから、それをこの協力法の中では歯どめかないではないかというのが参議院における論議で、それは結論が出ずにこの特別委員会に移しているわけです。  明確にしてください。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 基本的な考え方をまず私からお答えいたします。  この平和協力隊に参加するときの大前提というのが第二条にこう書いてあるわけでありますから、第二条によってこの平和協力隊は武力を用いてはならないという大前提の歯どめが置いてあるわけでありますから、この平和協力隊に参加をした自衛隊の指揮は平和協力隊の本部に一元化されるわけでありますから、あとはこの平和協力隊の各条文に従ってこれは判断されるわけであって、自衛隊法上に書いてある包括的な武器使用の問題と、個々具体的な任務を与えられた自衛隊がその具体的な任務遂行のためにいかなる武器を携行できるかということはそれぞれ異なるものでありまして、この第二十七条も、原則非武装ということを考えておる平和協力隊としては、派遣先の行く地あるいは隊員の基本的人権その他等を考えますと、小型武器を外国に行ってから現地で貸与することが特別にできるようにする、そのときも、けん銃と小銃に限るということをきちっとお答えをしておるわけでありますが、法令の用語その他については長官から答弁をいたします。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 お答え申し上げます。  総理が今申された大前提ということで実は尽きるとは思いますけれども、私、多少法律的な条文を引きながら敷衍して申し上げたいと思います。  まず、自衛隊法八十七条のお尋ねがございました。自衛隊法の八十七条というのは「自衛隊は、その任務の遂行に必要な武器を保有することができる。」かように書かれているわけでございます。これは、実は自衛隊がその与えられたすべての任務、これを遂行するために必要とされる武器を保有することができるという意味で、今総理も申されましたが、包括的に定めたものでございます。個々具体的な任務を与えられました自衛隊の部隊等が、その個々具体的な任務、これを遂行しますために携行する武器というのは、今八十七条で保有を認められているすべての武器という意味では決してございませんし、そういう趣旨の八十七条は規定ではないと思います。  それから、それを本法案に則して申し上げれば、まず平和協力業務は三条の二号におきまして具体的に列挙してございます。それに限られるわけでございますが、この業務を見ますと、その達成のために武器の使用を必要とするものはないと存じます。そういう意味で、そういったことを申し上げますと、平和協力隊の行う平和協力業務に参加する自衛隊の部隊等、これがその業務そのものを遂行する上で武器を使用する必要性はないわけでございます。そういうために武器を携行することは考えられない、こういうことがまず第一点でございます。  それからなお、平和協力業務に用いられる船舶等の防護のためというふうなことが参議院の方でもございました。自衛隊法の九十五条が適用されることがあるのではないか、こういうふうなことがございましたが、この条文はその使用には非常に厳密な要件を課しておりますし、その携行についてその使用の限度に伴う制限が当然あるものでございますが、それをこちらの法案でさらに申し上げれば、今総理も申されましたように、法案二十七条の護身用の武器の貸与あるいは自衛隊法九十五条の規定に基づく武器の携行、こういった場合におきましても、法案の十七条の規定で閣議決定を経た実施計画において平和協力隊の装備等について定めることにしてございます。そういう条文上の関係でございます。  以上の申し上げましたようなことから、自衛隊の武器等この平和協力業務に参加する場合の武器の携行については、制度上の仕組みとしては十分な歯どめが行われている、かようにお答えする次第でございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 あなた方はそう言っても、法律が、これは参議院でも繰り返し言われておりますが、法律が制定をされれば、今十七条の実施計画で装備もと、こう言う。しかし、じゃ十七条の実施計画の装備というものは何々ですか。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 法案の十七条におきましては、その二項でございますが、「実施計画に定める事項は、次のとおりとする。」ということのそのさらに二号でございます「平和協力隊の設置その他海外派遣に関する次に掲げる事項」、これがいわば閣議決定の内容の一つになるわけでございます。そこに「イ、ロ、ハ、ニ、ホ、へ」と書いてございまして、今御指摘は「ホ」の「平和協力隊の装備」こういうことかと思いますが、この「平和協力隊の装備」は、当然平和協力隊そのものがまず利用する、使用する資機材がございます。それから、今のような問題の各種装備があれば、それはここへ全部書かれますし、さらに「へ」として「その他海外派遣に関する重要事項」というのもございます。ここでいろいろの配慮要件その他は書けるもの、かように考えております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 今このどこに、では小銃、けん銃に限るというのが読めるのですか。この「平和協力隊の装備」でなぜ小銃、けん銃と。実施計画で決めるのですと、こう言った。そのときの内閣が決めるのですね。閣議で決めるのです。どうしてこれで小銃、けん銃というのが読めるのですか。法律ですよ、法律。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 一点、確認させていただきたいことがございます。  小銃、けん銃に限るというふうにさきに御答弁申し上げましたのは、法案の第二十七条の「小型武器の貸与等」という規定でございます。この規定は、御承知のとおり、先ほども総理から御答弁ございましたが、平和協力隊が派遣されました先の治安等、問題があるところがございますので、そのための隊員の安全ということを考えまして入れた規定でございます。これは護身用の武器ということでございまして、これは先ほど来御議論になっております自衛隊の装備、自衛隊の船等に載せてある武器とは別な問題でございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 どこに別だというのが法律上出てきますか。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 若干長くなりますが、正確を期すためにこの二十七条の規定を読ませていただきます。  二十七条は、冒頭に、正確に言わせていただきます。「平和協力隊員が自己の生命又は身体を防護するため特に必要があると本部長が認める場合には、本部長は、当該平和協力隊員が海外派遣に係る外国に滞在する間、次項の規定により指定された者が保管している小型武器を当該平和協力隊員に貸与することができる。」というふうに規定してございまして、三項でその使用の態様が非常に制限的に書いてございます。正当防衛あるいは緊急避難ということでございます。  このような目的でございますので、この「小型武器」というのは非常に限定されたものでございまして、この「小型武器」という表現の先例は警察法でございます。そして、その解釈といたしましては、けん銃と小銃に限るということでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 これは警察官ですか。警察官じゃないのでしょう。今警察庁の用語だなんて言った。混乱しているのですよ。だから、小型兵器だ、小火器だ、いろいろありますよ。しかし、今御説明になったところでどこに小銃、けん銃に限るというのが出てきますか。法制局長官は実施計画に全部逃げ込んでいるのだ。実施計画でやります、しかし、それは閣議なんですよ。白紙一任じゃないのですよ。白紙一任じゃないのだから、つまり、こういう法律というのはきちっと制度として、運用じゃないのですよ、立法できちっと歯どめをかけなければいかぬわけです。だから、どこで小型武器はけん銃、小銃というものに限ると読めますかと、歯どめがかかっていますか、自衛隊法の八十七条は、任務に必要なやつは持てる、こうなっているんですからね。そうすると、いろいろ言いました、いろいろ言いましたけれども、けん銃、小銃に限るということが今言われた。特にもう条約局長なんというのは長々と言ったけれども、何を言っているか、けん銃、小銃と、八十七条がどこで消えるんですかと、こう言うんだ。どこで歯どめがかかるんですか。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 まず、第一に申し上げられますことは、この平和協力法案の第二条の第二項におきまして「武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。」こういう大前提、これは先ほど総理がおっしゃられたことでございます。そういう大前提から申し上げまして、すべてのものがここに入ってくるわけではないということが、まず御了解いただけるだろうと思います。  八十七条は包括的に、自衛隊法の八十七条でございますから、自衛隊法としてその任務を遂行するために必要なすべての武器を包括的に書いてある、これはひとつ御理解いただきたいと思います。  それからその次に、先ほどるる申し上げましたけれども、結局、まずその任務、平和協力業務というものが武器を使用するものでない、武器を使用する必要かないものである以上、そういう武器の携行はあり得ないであろう、こういうことは次の問題です。  それからその次に、なお九十五条という御指摘がございましたので、九十五条あるいは法案の二十七条のこういう護身用の武器、こういう護身用の武器と申しますれば、当然のことながらその護身の限度というのが出てまいるわけでございますし、それを特に貸与する、こういうことでございますから、法案の十七条の実施計画で、装備のところで決まるのは、当然そういう限定かついてきたものを前提として決まる、こういうことでございまして、十七条で任意に決める、そういうことではございません。論理としてそこまで来たものの範囲内で当然決められる。もちろん、十七条の実施計画におきまして貸与しないということになったら、そこは書かれないわけでございます。そういう前提でございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 それじゃ協力法の第二条の二項の「武力による威嚇又は武力の行使」、武力による威嚇、武力の行使、この武器は何ですか。武力の威嚇による、だから、これが歯どめがかかっているんだという、どこが証拠ですか。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 二条二項自身は、これはこの平和協力隊の基本的性格を憲法の範囲内で決めるという趣旨から、その大原則といたしまして、憲法の基本原則、「武力による威嚇又は武力の行使」に当たるものであってはならないということを確認したものでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 だから、何だったら武力による威嚇になるのですか。けん銃や小銃は武力の威嚇にならぬのですか。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 これは御承知のとおり、「海外派遣に係る平和協力業務の実施等は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。」とございまして、この平和協力隊の任務あるいは業務というものが武力行使等に当たるようなものであってはならないということを決めたものでございます。したがいまして、その任務として武力を行使するというようなことはやってはいけないということでございます。  他方、第二十七条、先ほどその主要部分を読み上げさせていただきましたけれども、これは参加する協力隊の隊員個人の安全を図るために、先ほど総理も言われましたけれども、隊員の人権というものもございますので、治安の悪いところ等におきまして例外的に小型武器を貸与するという考え方でございまして、任務としてあるいは業務としてそのような武器を使用するというものとは性格が違うわけでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 これは、今いろいろ答えられたけれども、その自衛隊法八十七条には歯どめがかかっていないんですよ。そうでしょう、八十七条に歯どめがかかっていないんだ。だからその歯どめをここで答えるというのが参議院における回答だったわけです。歯どめはかからぬのですよ。法律上は歯どめはかからぬわけです。だからあなた方が言う運用で、今そのつもりではないんだと言ってもだめなんですよ、これは。だから法律でそこは歯どめをかけなさいと。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 法律上の歯どめがかかっておると私が申しますのは、法律の第二条の冒頭に、「武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。」と、こう明確に法律の歯どめがかかっておるわけでありますから、武力による威嚇を伴うような協力業務は全然考えておりませんし、この第三条に書いてありますことも、これは武力による威嚇では全くないわけであります。そして、そのことを推し進めますと、結局それは、自衛隊が戦闘機やあるいは戦車や大砲やそういったものを持っていくのではなくて、原則非武装で協力業務に行くのですけれども、現地の治安状況とかその他のことをいろいろ考えて、隊員の皆さんにも基本的人権というものはある、いろいろな想定される中で身を守らなければならないということもあるという御議論もあり、私もそう思って二十七条を決めたわけですが、この二十七条にも、平和協力隊員が生命または身体を防護するため特に必要があると認めるときはと大前提が書いてありますから、そのため特に必要があるものと言えば、この二十七条に限って物を言えば、これはもうピストルと小銃、それが限度である、あるいはなしで行くこともある、それはそのときどきの協力の内容とか具体的な任務の内容によって決めるということであって、事を構えて武力の威嚇に行こうというのではありませんし、武力による威嚇をするのではないかとおっしゃれば、第二条違反で明確に武力の威嚇を伴うようなことはやってはならぬわけでありますから、威嚇になるようなものは持っていかないわけでありますから、それはこの法律によってきちっと歯どめがかかっておると私は受けとめております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 これは、いいですか、PKO、国連平和維持活動というものをあなたは想定して今言っておられる。ところが一方では、中東の多国籍車への後方支援に行こう、こう言われる。だから、その場合には、これは自衛権の問題その他も発展をしてまいりますけれども、そうすると、そのときにその携行する武器というのはそれはけん銃、小銃だけに限るというところが、つまり今度のこの法律の非常に明確でない、つまり、平和維持活動という、国連が今これから進めようとしておる、進めなきゃならない、日本もこれはやらにゃいかぬ、その国連の平和維持活動の、つまりPKOの範囲であなたは答えている。しかし一方では、多国籍軍への今度は支援なんですからね。そうしますと、その場合に、自衛隊法の八十七条というのは、これは法律として歯どめがかかっていない、だからそこに歯どめをかけなさい。歯どめをかける、それを参議院では答えられたのですから。  だから、小型武器といった場合に、防衛庁はこの法案作成の過程で、機関銃も言った、ミサイルも言ったのです。スティンガーまで言っているわけですよ、持てるんだとこういうことも。(発言する者あり)防衛庁筋、防衛庁首脳とかいろいろあるわけです。だからそれだけに、つまり防衛庁がそういうことを発言してきているわけだ、今まで。だから、それはつまり小型武器というものの解釈をすれば、実施計画の中でその変更、変更というかそういうものの装備。だから、論理的にはあり得ない、法律論としてそれは違うんだということを法制局長官言えますか。自衛隊法八十七条も含めて、あるいは九十五条も含めて言いました場合に、今私が言ったそのことを法律として。

石川要三自由民主党防衛庁長官

○石川国務大臣 今委員が、防衛庁が小型武器というものの範囲につきまして、大変、先ほど装備局長から申し上げました防衛庁としての小型武器の概念といいますか、その範囲、それを越えたことが防衛庁で言われているということでございますが、それは私は間違いではないか、かように思うわけでございまして、改めて装備局長から、自衛隊が用いておる小火器という概念、それについて明確にもう一度説明させていただきたいと思います。

藤井一夫防衛庁防衛局長

○藤井(一)政府委員 ただいま防衛庁長官から申されたことを補足させていただきます。  装備局長が申しましたように、防衛庁の中に一般的に小火器というものの定義というのはございません。しかし、それを用います場合には、おおむね機関銃、小銃、けん銃、散弾銃、これらのものを合わせて小火器と言っているのが通例であるということを申し上げました。  それから、先ほど来法制局長官から御議論のございました歯どめの問題に関連いたしまして、自衛隊法九十五条の問題がございます。自衛隊法九十五条は、自衛隊の保有する武器等、これは船舶とか航空機でございますが、これが破壊されたり奪取されたりすることを防ぐための警察権の行使として、武器等の防護に当たる自衛官が武器を使用することを認めるという規定でございます。  この規定に基づきまして、現在、今度この法律によって参加が予想されます補給艦に積んでおります武器は、機関銃、小銃、けん銃、散弾銃、まさに先ほど申しました小火器程度のものでございまして、ミサイル等を考えているわけではございません。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 これは、そういう意味でいきますと、実施計画に装備はゆだねられるし、そうなりますと、これはもう国会を通らぬわけですよ。国会にかけられないでいくわけだ。この協力隊の派遣も、それから装備の内容も、みんな国会にはかからぬわけです。そうしますと、内閣でできるわけですよ。だから法律ができたときにどうなるかということは、これは法律の策定の過程の中では厳密にしなければいけないわけですね。そうしますと、歯どめをかける、つまり自衛隊法八十七条によります任務の遂行に必要な武器を持てる、こういうふうになっているわけでありますから、それならこの八十七条に、いいですか、八十七条に、ただし国連平和協力隊員は小銃、けん銃に限る、そうした歯どめをかけなければいけないわけですよ。そういう歯どめをかけるべきだ、総理どうですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 私は、この自衛隊法の八十七条は、長官も答えましたように、すべての自衛隊がすべての任務遂行のためにということを大前提に考えた包括的な規定が八十七条だ、こう考えますし、それをこちらの平和協力隊法の第二条で、武力による威嚇、武力の行使に当たるものであってはならないという歯どめをかけたのですから、平和協力隊に来るときには、この平和協力隊の法律で歯どめがかかっておって、その任務に従っておる間はこの法律に従ってもらわなければならないというのはこの法律のもとで当然のことであると思いますし、そして任務が終わって、期間が終わって、また自衛隊へ戻ったときには自衛隊法八十七条の定めに従って、与えられる任務に従ってまた保有することのできる武器の限度も変わってくるんだ、こう私は解釈しておりますから、第二条によって大前提として武力による威嚇、武器の行使はしない、ならないと禁止規定がこの法律に書いてあるわけでありますから、そのために自衛隊から協力隊へ来たら協力隊の指揮の一元化の中に入って、その実施計画に従ってその任務・目的を与えられて、限定されて出ていくわけでありますから、特に必要と認めるときに護身用の小型兵器を貸与することがある、ここでくくってあるわけでありますから、それで歯どめになっておる、このように考えます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 それは今立法しようとするあなた方でやるんだ、こう言っている。しかし、この法律ができたときにはそれは違うわけです。そして装備の計画も全部これは閣議で決めるわけですよ、閣議で。そのとき持っていくものも閣議で決めるわけです。あるいはそのときの行く場所によってどうするということも全部閣議で決めるわけですよ。だからこれは内閣一任法なんだ。この法律は内閣一任法なんですよ。だからこれくらい危険な法律はない。だから私は、先般来これは非常に議論になっておりますように、この自衛隊法八十七条で歯どめをかけるか、あるいは協力法二十二条の附則で歯どめをかけるか、これはきちっとしなければいけない。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 先ほど委員からお話ございまして、国連平和維持軍のお話が出ましたが、この法律は国連平和維持軍を対象といたしておりません。御案内のように、国連平和維持軍は武器を所有しております。(川崎(寛)委員「維持軍じゃない。平和維持活動を私は言っている」と呼ぶ)平和維持活動の場合は、原則非武装でございます。原則非武装で、そしてそのいわゆる派遣先、これは先ほど総理から御答弁申し上げましたように、この会議で決定をして閣議に了承を求めるわけでございますが、その先の治安の状況によって携行する武器の種類を限定するということでございます。行き先地の法律によって、その国で武器を保持することが禁止されている国家では、これはこの管理している者は武器を貸与いたさないことが原則になっております。いわゆる丸腰でそこで勤務をするということでございますので、その点はよく御理解をいただきたいと思います。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 総理、参議院では、法律上明文の歯どめ規定はない、自衛隊法の関係。その点は衆議院の特別委員会で明らかにするということを参議院で答えているんですよ。参議院で答えているんです。つまりこれは今のはもう参議院で答えていることと同じことを繰り返しているわけです。だから自衛隊法八十七条、それから九十五条の適用除外、適用除外ということをこの本委員会で明確にせにゃいかぬ。私は、これは明確にしてもらわなきゃ承知しません。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 参議院の審議の最中に問題点の整理の中でおっしゃったことがございましたので、私どもの方で政府の相談をしまして、確かにこの法案の中には自衛隊法八十七条については云々という、直接それを排除する明文の表現はどこにもございません。そのことは申し上げました。そういう明文の規定はない。けれども、明文の規定はなくても、それは今言ったように全自衛隊が持つことのできる全任務についての、要するに国が武力攻撃を受けた場合に、守るときに使える兵器はこれだけだというすべての任務に対する包括的な規定が八十七条の規定でありますから、だから八十七条の規定をここから排除するということはわざわざ書かなくても、これは自衛隊の一部がこの三条に固定、限定した目標に従って任務を与えられて参加するわけでありますから、この法律の第二条にきちっとした歯どめがあり、参加できる業務がきちっと書いてあれば、その業務に従って何を持っていくかということも明らかになるわけでありまして、そしてそれは当然護身用ということを前提に考えるわけでありますから、護身用は小型武器、あるいは小火器と言うのかもしれません。それはけん銃、小銃に限るということを、私はきちっと想定して考えて何度も御説明をいたしました。ですから、八十七条を除くという具体的明確な書き方はないということはそれは確かに申し上げました。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 それでは、自衛隊法上の歯どめがないということは認めているわけですね。自衛隊法上は、八十七条はあるわけ、九十五条もあるわけだ。そうしますと、問題は、この平和協力隊員は小銃、けん銃に限る、護身用で、こう今答弁しておられるわけですから、それならば、この平和協力隊員の自衛隊員は、自衛隊法八十七条、九十五条から除外されるという歯どめをかけなさいよ。そうしなければこれは、十七条の閣議で決める部隊の装備その他は全部内閣に一任されるわけですから、内閣に一任されるわけだ。あるいはこの業務内容にしても、防衛庁長官、じゃちょっとお尋ねしておきますが、これはあなたは参議院で——協力隊員の業務内容、答弁してください。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 何度も同じことを申し上げるようで恐縮ですけれども、確かにこれを見ますと、自衛隊法八十七条についてはなんという、そういう具体的明文の規定は確かにここには載っておりません、それは事実です、どこを探しても。けれども、この法案は新しい事態を想定してつくった法律でありますので、自衛隊法八十七条はすべての自衛隊がすべての任務遂行に必要な武器を保有することができるという包括的な定めなんですよ。包括的な中身なんです。そのすべての自衛隊の中から、ごく一部、必要なときに業務計画をつくって第三条に列記したるこの問題に限って参加をしてもらうわけです。任務によって参加をしてもらうのですから、しかも、参加をする前に武力の威嚇や武力の行使はしないということを大原則で置いてありますから、それはそれで原則非武装という精神であり、それは二条と三条に明らかに規定されておる。包括的な委任をしておる八十七条とはおのずから次元が違ってくるわけであるし、自衛隊の八十七条、こちらは、二条、三条は平和協力隊の業務や権限や任務を決めておるんですね。  その中で、私が申し上げたのは、特に二十七条に触れますと、隊員の基本的人権の問題等もあるので、隊員に貸与することができるものはこれだと決めた中で、けん銃、小銃ということを想定して、そのとおりにいたします、そのとおりにいたします。これはお約束しておきます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 そこで、今あなたがくどくど繰り返し言われたそのことを、いいですか、そのことを任務とするんだ、こう言う。それなら、その協力隊の自衛隊員は自衛隊法八十七条のこれから除外するということを、協力隊員の自衛隊員は除外をする、こういうふうに歯どめをかけなさいよ。

日吉章防衛庁長官官房長

○日吉政府委員 総理がお答えになられましたとおりでございますけれども、法律の建前の話でございますので、担当いたしております私の方からお答え申し上げます。  自衛隊法第八十七条という規定は、読ましていただきますが、「自衛隊は」でございます。自衛隊という組織全体、防衛庁自衛隊の自衛隊という組織全体が「その任務の遂行に必要な武器を保有することができる。」と定めているわけでございまして、個々の部隊がどういう武器を持つというようなことを定めているわけではございません。  この中で、個々の部隊が協力法に基づきまして平和協力業務に参加いたしましたときには、これは総理からも御答弁が何度もございますように、三条二号に列記された業務に参加するわけでございます。その業務の性格上、おのずからこれにつきましては、武器を使用する必要性というものは業務そのものからは出てこないわけでございますが、先ほど来いろいろ御説明がございますように、治安の必ずしも安全なところでないようなところに行くような場合もある、そういう場合に限って、第二十七条の規定によりまして護身用の武器に限って貸与される、こういうことになっているわけでございますから、明らかにきっかりとした歯どめがあるということでございまして、八十七条とは法体系が違うということでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 協力隊に参加をしておる自衛隊は、自衛隊員は、つまり、今法体系が違うんだ、こう言った。法体系が違うんだ、こう言った。じゃ、自衛隊員である協力隊員は、自衛隊法の別飼いの人たちですか。自衛隊法の適用を受けない、自衛隊法の別の人ですか。そうなることになるじゃないですか。法体系が違うんだ、こう言ったんだ。

日吉章防衛庁長官官房長

○日吉政府委員 自衛隊法第八十七条は、何度も申し上げますが、自衛隊という組織、防衛庁自衛隊というその自衛隊という組織全体が「その任務の遂行に必要な武器を保有することができる。」ということを決めているわけでございます。  しかも、その中の具体的な部隊がどういう武器を保有するかということにつきましては、今回の法律が通りました場合には協力隊に参加するわけでございますから、協力隊に参加いたしました部隊に編入されております、あるいは協力隊に自衛隊員個人として編入されて派遣されました職員が持ちます携行し得る武器は、二十七条でもって小型武器に限られているわけです。この小型武器といいますものは警察法にも用語がございまして、その定義は小銃及びけん銃ということに限られているわけでございますから、第二十七条によって明らかに歯どめはかかっている、こういうふうに言えると思います。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 それは法体系が違うんだと言ってみたり、かかっているんだと言ってみたり、それならこれはもう、この協力隊に参加をしている自衛隊員の携行する武器は小銃、けん銃に限ると書けばいいじゃないですか。

日吉章防衛庁長官官房長

○日吉政府委員 同じことを繰り返して恐縮でございますが、法体系といった言葉が適当であったかどうかは別といたしまして、八十七条は部隊、自衛隊という組織について、その組織が持ち得る装備につきまして書いているわけでございまして、個々の自衛隊員がどういう武器を保有し得るか、あるいは使用し得るかというのとは違う概念でございます。そういうことを私は法体系、法系列が違うと申し上げたわけでございまして、協力隊に参加いたしました自衛隊員が使用し得る武器というのは、協力隊法案によりまして二十七条で小型武器と限定されているわけでございます。かつ、この小型武器というのは警察法によりまして定義、概念が確立されているということでございして、明確に協力隊員となりました自衛隊員が持ち得るあるいは使用し得る武器は限定されていと解釈されます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 それなら、これだけ議論になっているんですから、二十七条の小型武器とはけん銃、小銃に限ると当然限定すべきですよ。国民の不安を取り除く、国民の法律に対する不安を、不信を取り除く。しかも、閣議で部隊の装備は決める、こうなりますから、一遍この法律が動くとそういうところで閣議に全部一任されることになるわけですから、だからこれは、この二十七条のここの武器は小銃、けん銃に限る、そういうふうにここは明確にすべきだ、私はそう思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 これは何度も申し上げますけれども、武力の行使に行くわけでもありませんし、その目的は武力によって威嚇をしてこようというものでも絶対にないわけでありますから、けん銃とそして小銃を貸与する場合も、原則は非武装でありますが、何回も申し上げるように、派遣先とかいろいろな問題等を考えればそこに行く人々の護身用、基本的人権の問題等もありますから、特別に必要と認めるときには貸与することができる、それも外国まで行ってからそこで初めて貸与をする、その外国の事情が許さないときはまたこれはしないと、いろいろな具体的な様子が前にあるわけですから、そのときどきの判断によって貸すこともあれば貸さないこともあるわけでありますけれども、貸すといえば小銃とけん銃であるということを二十七条できちっと書いておるということでありまして、その歯どめはやはり何といっても第二条の武力による威嚇、武力の行使はしないということと、三条の列挙されてある協力業務に限るということでありますから、これ以外の協力をしようというわけじゃありませんので、これが一番大きな歯どめであって、自衛隊法の問題は先ほどから言いますようにすべての自衛隊がすべての任務を遂行するために許されておる包括的な規定であって、その中のごく限られた部分についての協力、参加をするときの場合はこの平和協力隊の方の条文できちっと定めてある、それは小型武器に限る、小型武器とはけん銃と小銃だということは何回も明確にここで私が申し上げておるところでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 あなたは参議院で矢田部委員の質問に対して、小型武器をどのように携行させるのか、また歯どめの問題について、国連平和協力特別委員会の答弁で明確にすると。しかし、これは今の答弁では明確になっていないわけだ。だから歯どめがかかっておらぬわけです。だから明文を規定をしなさい、これが国民の要求です。法律に明記する。

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 政府側、御答弁をお願いします。

日吉章防衛庁長官官房長

○日吉政府委員 お答え申し上げます。(発言する者あり)

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 委員長が指名していますから。

日吉章防衛庁長官官房長

○日吉政府委員 現在御審議をいただいております協力法案の第二十七条には、護身用の武器いたしまして「小型武器」という規定が明確になされております。この「小型武器」といいますのは、既に法令用語といたしましては警察法に先例がございまして、これはけん銃及び小銃をいうというふうな解釈が確立しておりますので、この点は明確に、委員がおっしゃられるように、歯どめとこれを言えば歯どめはかかっていると思います。  ただいま御質問がございました小火器という概念と小型武器という概念は違いますので、小型武器は法律上の概念でございまして、ただいま私が申し上げましたように、けん銃及び小銃でございます。

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 質問を続行してください。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 今、警察法に小型武器は小銃、けん銃、こういうふうに書いてあるという答弁がありましたね。それなら、ここの小型武器というのは、けん銃、小銃に限るというふうに、警察法を言ってきたわけなんですから、それならこれを入れなさい。それからさらに、八十七条のこの自衛隊法の問題あるいは二十二条の附則、そこに入れるということで明確に歯どめをかけるということを私は要求します。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 私の方は、何度も申し上げましたように、自衛隊法の八十七条の包括的な規定と、それから具体的な平和協力法案の中に書いてある問題との区別、そして大前提で歯どめがかかっておるんだからということを何度も申し上げたのでありますけれども、私自身は小型武器はけん銃と小銃と何度もここで明確に申し上げておりますけれども、その歯どめのかけ方の問題についてのことについては、一度よく研究をさせていただきます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 今、総理の方から……(発言する者あり)

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 委員長から申し上げます。  質疑中ですから、御静粛にお願いいたします。  答弁ございますか。——川崎寛治君。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 いや、今総理が答えたんですからね。総理が答えたんですから、研究する、研究させてもらう、こういうことですから、このことについては、具体的な明文上の問題、どういうふうに歯どめをかけるか、そういうことについてはひとつ理事会で、今、研究すると答えたわけですから、それは理事会の方でひとつしてください。

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 この点につきましては、理事会でまた協議いたします。  川崎君、質疑を続行してください。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 この湾岸に展開されております多国籍軍、中東に。これは国連決議に基づいた多国籍軍ではないということは明確ですね。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 国連決議にありますその趣旨を、実効性を確保するために、それぞれの国が実効性確保の目的を持って出動したのが多国籍軍であると私は申し上げております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 それでは、今実効性をもたらすため、こういうことでしたね。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 確保。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 確保する。そうしますと、イラクから見ましても、もし日本がこの協力隊を出します、後方支援に出す。後方支援に出すということになると、多国籍軍の支援に行くわけですね。それとも全然別の任務で行くわけですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 あくまで国連の決議に示されておることは国際社会の平和秩序を回復ないし維持するためのものであって、今回の場合でも、平和の破壊は許してはならぬということで、そして占領したところから直ちに撤退をしなさい、正統政府を復帰させなさい、人質は解放しなさい、いろいろな国連のその決議の趣旨を、実効性を確保するために展開しておる多国籍軍のその行動に対して協力をする、こういうことであります。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 今アメリカは展開をしておるわけでありますけれども、このアメリカの多国籍軍は、冒頭にもちょっと触れましたけれども、プリマコフ氏などの政治解決の提案に対しましては留保しているわけですね。つまり、実力行使ということについては、武力行使というのはあり得るという状況ですね。そうすると、私がデクエヤル国連事務総長のブロケードについての発言を申し上げました。それは四十二条に基づくものでなければならないということを明確に言っているわけです。そうしますと、アメリカの多国籍軍がここで実力行使に入るという場合には、アメリカ多国籍軍の実力行使というのは国連の決議がなければ入れない、国連尊重ということでいけばそうですね。いかがですか。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 お答え申し上げます。  先ほど若干御議論のありました事務総長の発言でございますが、御指摘のとおり国連憲章第四十二条におきまして「安全保障理事会は、第四十一条に定める措置では不充分であろうと認め、又は不充分なことが判明したと認めるときは、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる。この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる。」というふうに規定されておりまして、事務総長が言われましたことは、ここにございます封鎖というのは四十二条の問題である、こういうことだろうと思います。  そこで、現在展開しております多国籍軍と国連決議の関係でございますが、若干整理して申し上げれば次のようなことになると思います。  第一は、ペルシャ湾の洋上に展開しております兵力及びサウジアラビアの要請に応じまして同国内の陸上に展開しております兵力の双方は、クウェートを不法に占領しているイラク軍を含めましてイラクに不断の圧力をかけることにより、イラクによるクウェートよりの即時無条件撤退を求める安保理決議六六〇の実効性を確保することに貢献していると思います。  それから第二に、このような洋上兵力及び陸上兵力の双方は、経済制裁措置を決定した安保理決議六六一の実効性を確保することに貢献していると考えます。この経済制裁措置は、御承知のとおり国連憲章上の根拠ということになりますと四十一条の決定でございます。  そして第三に、ペルシャ湾の洋上兵力の活動につきましては、経済制裁措置の厳格な実施を確保するために安保理の権威のもとに必要とされる一定の措置をとることを洋上兵力を展開している各国に要請する安保理決議が六六五でございまして、このような洋上兵力の活動につきましてはこの六六五に基づくものと位置づけられるわけでございます。  このように、現在展開しております多国籍軍は、イラクによる侵略に対して安保理が要求しております無条件撤退、そして経済制裁措置の実効性の確保ということが目的でございまして、これ以上のイラクの軍事的な拡大に対する抑止力となっておりますとともに、このような安保理の要求に対しまして実効性を確保するというのが目的でございます。  しからば、現在、幸いのところ武力衝突はございませんが、将来武力衝突が起こる場合にどうなるかということにつきましては、これは現在のところ、どういうような状況で武力衝突に発展するか、まさに今世界じゅうがそのようなことにならないようにということで努力をしているわけでございますので、それが不幸にして武力衝突に発展する場合にどうなるかということにつきましては、現在的確に申し上げることはできないと思いますが、そのような場合には、恐らくまた安保理の方で審議が行われて、何らかの措置がとられることになると思います。  また、いずれにいたしましても、多国籍軍は、国連憲章上個別的及び集団的な自衛権を行使することもできることになっております。ただ、どのような形で武力衝突になるかということは、現在的確に予測できないということでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 今の答弁は、国連決議に基づく武力行使というものではない、そして今理由としてはこの六六〇、六六一、六六五の国連決議を言って、それでクウェートの撤退をということに持ってきておりますが、それは先ほど言いましたような、国連事務総長が言っているようなそういう行動というのはとれない、国連決議の上ではとれないということ。それから、地上部隊は、これは国連決議の六六五号はこれを合法化していないわけですから、そうすると、国連決議の上で合法化されていないその地上軍である。しかも、事務総長自身は、実力行使するならば国連憲章四十二条、国連の手続をとらにゃいかぬ、こう言っているわけですから、今の答弁は間違っているのです。外務大臣、どうですか。  そうすると、要するにアメリカの実力行使、武力行使というものが行われたとしたら、国連決議のされない前に、つまり後で云々ということを言っておられますけれども、その国連の決議がなされない、そうしたものがされないで、六六〇なり六六一なり六六五号という決議でもしなされた、武力行使が行われたとするなら、それが合法的ですか。これは大臣に。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 まず、私の方から法律的な関係について簡潔に御説明いたしたいと思います。  先ほども申し上げましたように、ペルシャ湾の洋上に展開しておる兵力及びサウジアラビアの陸上に展開しておる兵力は、確かにこの国連決議で直接言及されているものではございません。しかし、であるからといって合法でないということはないわけでございます。一般的に申し上げますと、このペルシャ湾の洋上に展開している部隊、これは一般国際法上、海上におきまして移動し展開するということは、軍隊の移動ということは認められるわけでございますし、また、陸上の展開につきましては、サウジアラビアの要請があったわけでございますから、その国の要請があればそこに軍隊を展開するということは許されるわけでございます。  そして、デクエヤル事務総長が言われましたことは、このような多国籍軍の展開が四十二条にいういわゆる封鎖ではないということを言われたにとどまりまして、現在の展開していることが国際法上認められないというようなことを言われたことでは毛頭ないわけでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 条約局長、条約局長は参議院で、武力衝突が起こることはあり得ないわけではないが、クウェートからの撤退決議、経済制裁決議は残る、そうすると、六六〇の撤退決議、そして六六一号の経済制裁決議、これが武力行使の根拠だ、こういうふうにあなたは参議院で答弁しておりますが、そのとおりですか。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 確かに参議院でこの問題をめぐる議論をさせていただきました。この点につきましてもう一度整理して御答弁申し上げたいと思います。  先ほども申し上げましたように、現在幸いにして武力衝突はございませんが、これが将来どう展開するかということにつきましては、現在的確に予測することはできません。ただ、若干理論的な面ということで整理させていただきます。  まず多国籍軍は、先ほども申し上げましたように、イラク軍の即時無条件撤退を要求する安保理決議六六〇及び対イラク経済制裁を定める安保理決議六六一の実効性を確保するために湾岸に展開しているものでございまして、総理も繰り返し御答弁になっておりますように、政府はこのような国籍軍が武力行使を行うような事態に至ることなくしてイラク問題の解決が一日も早く実現されるよう、中東貢献策の一環としての資金協力、輸送協力、物資協力等により現に多国籍軍による国連決議の実効性確保のための活動に協力しているところでございます。  そこで、このような多国籍軍が新たな国連決議が行われないにもかかわらず武力を行使するようなことがいかなる状況のもとであり得るのか、現時点で一概に予測しがたく、仮定の問題にお答えすることは適当ではございませんけれども、純粋に法理論の観点から申し上げれば、そのような多国籍軍による武力行使が国際法上正当化されるのは、その具体的状況によりまして国連憲章の認める個別的または集団的自衛権の行使に該当する場合に限られると考えられます。このような問題につきまして参議院で御議論があったわけでございます。  そこで、そのときの御質問に答えまして、御質問は、多国籍軍が自衛権を行使して武力行使を行うに至った場合には、そのような武力行使は累次の安保理決議に根拠がなくて、国連決議を受けて行われる諸活動に対する協力を定めたこの国連平和協力法に基づく協力の対象とはなり得ないのではないかというふうに御指摘があったわけでございます。この点につきまして私ども政府の考え方というのを次のように申し上げている次第でございます。  先ほど申し上げましたように、多国籍軍が自衛権の行使を余儀なくされるような状況にはさまざまな状況があり得ますので一概に予見はできませんけれども、多国籍軍が武力行使を行っていても、多国籍軍が決議六六〇または六六一の実効性確保に引き続き貢献しているという実態が継続している場合もあり得べく、そのような場合には、多国籍軍による国連決議の実効性確保の延長線上にあるので、国連平和協力法に基づく平和協力業務等の協力を行うことは同法上可能であるというふうに申し上げている次第でございます。  さらに、具体的状況によりまして、多国籍軍による武力行使自体がイラク軍の即時無条件撤退を要求する決議六六〇の実効性を確保するものと国際社会において広く認識されるような状況もあり得ると思います。  いずれにいたしましても、武力行使を行っている多国籍軍に対して我が国が国連平和協力法に基づく協力を行う場合、我が国の協力は同法第三条二号に列記されております「平和協力業務」または三十条に定める「物資協力」に限られるわけでございます。このようなものが武力行使に当たるものではないわけでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 だから、その場合はこれは国連憲章五十一条の集団自衛権の行使になるわけですよ。そうしますと、日本が協力隊を中東に、後方支援に出すということになりますと、日本の協力隊はイラク側から見れば多国籍軍の一つですよ。このことは間違いないでしょう。総理、どうですか。これはもう条約局長だめです。本部長、本部長に。

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 条約局長の後に総理御答弁お願いします。条約局長、簡単にお願いいたします。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 簡単にお答えいたします。  先ほども申し上げましたように、参議院では仮定の問題に対しましてお答えしたわけでございますが、今、委員のおっしゃるとおり……。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 いやいや、委員長、日本の後方支援に行った協力隊はイラクから見ればこれは多国籍軍だと。

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 発言を求めるときは委員長の許可をお願いいたします。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 仮定の問題でございますが、多国籍軍が自衛権の行使を余儀なくされるような状況になりました場合にも、多国籍軍が決議六六〇または六六一の実効性確保に引き続き貢献しているという実態が継続している場合には、我が国としてはこの法案に基づくような協力は行い得るという考えでございます。  ただし、もとよりその我が国の協力活動がこの多国籍軍の軍事行動の一部として行われるわけではございません。その中に参加して、中に入って協力するということではございません。この三条二号に書いてございますような任務を遂行するということでございまして、これが多国籍軍の武力行使と一体となるような、そういうような場合にはこれは問題がございますが、そうでない限りはこの武力行使というふうに考えられないわけでございまして、そのような活動は行い得る、そのような協力は行い得るという考えでございます。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 多国籍軍とおっしゃいますが、我が国は軍隊を出して多国籍軍と一緒になって物事をやろうという考えは初めから毛頭ないわけでありまして、そして、軍ではありません。それに対して、医療協力とか輸送協力のできる限りの憲法の枠内でやろうということでありますし、武力の行使とか、何度も申し上げておりますが、武力の威嚇も行ってはならぬということを歯どめの大前提としてきちっと書いておるのでありますから、そのような事態は全く想定いたしておりません。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 多国籍軍の後方支援ですから、そうしますと、後方支援というのは支援をする相手がおるわけですよね。相手に対して、通信にしてもあるいは物資の輸送にいたしましても、それはまさに行動は一体でなきゃならないわけです。それじゃ、武力行使をアメリカ多国籍軍が行動を起こしたら、日本のこの協力隊は引き揚げるのですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 引き揚げるとおっしゃいますが、引き揚げるためには、初めに一緒に行っているという前提がなきゃならぬわけですが、一緒に前線や戦闘地域へ行くということは毛頭ありませんので、それは先生のイメージと前提が違うのじゃないでしょうか。  同時に、これは私どもは輸送協力ということは申し上げておりますけれども、それは実力行使ではありませんし、武力の威嚇でもありませんし、武力の行使でもないわけですから、何かこう考えている物事の次元が違うというような印象を受けながら、どうしてそこまでお考えになるのだろうか。私どもは武力の行使はしません、武力による威嚇もいたしません、したがって、そのような第一線に出ていって一緒になって多国籍軍に参加するということもいたしません。あくまで輸送協力を想定しての、これは今現に行ってもおりますものは、拠点を決めてそこまで物資協力の物を輸送して帰ってくるということが今の状況でありますが、これはあくまでも武力行使にならないように、平和的な解決を願いながらの努力を協力しておるということでありますから、ちょっと前提の違う御質問になると私は思います。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 前線と後方とあるわけですね。そして、それは輸送だ、輸送業務だ、こう言っているわけでしょう。しかし、イラクのミサイルというのは、不幸な事態が出ればこれは中東全域、範囲に入っているわけですよ。そうすると、通信や輸送やそういうものの拠点というのは当然その中へ入るわけで、ここは後方だから別ですよということにどうしてなるのですか。そして、軍隊ということはこれまでも何遍も答えてきているわけだ。外国では自衛隊は軍隊、軍人、こういうふうにしているわけですから、そうなりますとこの協力隊というのが中東に行けば、多国籍軍というのが配置されているわけだけれども、じゃその中と違う、多国籍軍とは違うんだという区分けはどこでするのですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 これはあくまで共同作戦をするとか多国籍軍のどこかに入り込んでいって一緒に役割分担をするとかいうことではございません。平和協力隊でありますから、なし得る限りの——憲法の枠組みもちゃんとあるわけです。武力による威嚇や武力の行使はしないということでなし得る業務を決めて、その業務はどのくらいが枠内の協力かということでするわけでして、肝心なことは、平和の破壊をやめてもらいたいというときに、やめてくださいという方にくみするのか、破壊してしまった人の方にくみするのか、その立場だけは明確にこの議論はしなければならぬと思いますから、平和の破壊をもとへ戻すために、実効性を上げるために活動しておるものに対するこちらは協力をしよう、こう言っておるわけであります。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 平和を破壊している方に加担をしているなんという、そうじゃないんですよ。つまり、全体から見れば多国籍軍というのは、いろいろな種類の多国籍軍があるわけです。その中で、例えばフランスなりは、あるいは海上におりますソ連艦なりはまた違う。それでフランスの多国籍軍というのは、アメリカの要請に従って出たのではないんですよ。これは欧州会議で決めて出てきたわけですから、このフランスの多国籍軍というのとアメリカ多国籍軍というのは違うわけですよ。  そうすると日本が、つまりアメリカが武力行使という場合に日本が後方で支援をする、物資の拠点になる、通信の拠点になると言えば、それは一線を引くようなあれはできないんですよ。どこで引けると言うのですか。どこで引けるのですか、それが。私はだから、その不幸な武力行使という事態に入ったら一線は引けない。だから、これは武力行使にならないようにしていかなければいかぬ。そのことは当然ですよ。経済制裁をしていかなければいかぬわけです。ただ、今は、不幸なそういう事態というものはあり得るということは、これまで条約局長も可能性というか法的な問題としては言っているわけですから、だから私は、日本が協力隊を出すということの今日の意味は間違っておるということを申し上げたいのです。だから一線を、前線と後方拠点、通信拠点、そういうものの一線を画せるということは絶対ないと私は指摘をしたいのです。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 この安保理決議というのは、委員も御指摘のように、イラクのクウェートからの撤退をさせるということを決議した国連の満場一致の決議でございますから、それによってこのイラク軍が撤退するというための有効性を確保するために多国籍軍は展開している。日本もこの平和協力隊ができて、我々の憲法の規格の範囲の中でこの法律の定める限度内において協力することは、つまり、安保理の決議の実効性を確保してイラク軍が撤退していくために我々は国連に加盟する一国として協力をするということでございます。これがもちろん戦争になるということを我々が求めてやるわけでは決してございません。イラクが下がっていくための協力でございますから、それ以外に道はないのであります。私はそのように認識しております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 武力行使も含めて展開されているわけです。本来ならば、今あそこに国連が前面に出られない状況がつくられているわけです。そのことがこの問題を複雑にもしているわけです。ですから、日本が経済制裁を進めていく、そういう上においても、このアメリカ国連軍との一体となった日本の自衛隊の派兵、派遣ということは、私はやるべきではない。日本が、あのイラクの制裁という問題については、経済制裁もやれます。先ほど来言っているような難民の救済問題等もやれます。そうしたことになぜ力を入れずにこちらの方に行くかということが今大きな問題になっているわけですから。いかがですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 難民救済に当たりましても、政府はいち早く二千二百万ドルという、国民の税金から難民救済のために巨額な資金を拠出いたしております。恐らく全拠出額の半分になっていると思います。また、我々は民間航空に頼んで、難民のアジアの国々への帰る協力もいたしてまいりました。私どもは、何にもやってないという声も聞こえますけれども、これ以上どうして何をやれるのか、これ以上やろうと思えば、今御指摘のようなこの法案の許す範囲の中でやる以外に道はございません。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 それじゃ、日本が協力をする多国籍軍というのはどこですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 安保理決議を受けて、この決議の実効性を確保するためにサウジに展開し、あるいはペルシャ湾に展開しているアラブ同盟軍、あるいはECの国々の海軍あるいは陸軍、このような多国籍軍と私は考えております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 支援をするためには、だれに支援をするのですか。じゃ、今のこの多国籍軍というものの実態を明らかにしてください。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 多国籍軍の数、国名につきましては政府委員から答弁をさせていただきます。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○渡辺(允)政府委員 いわゆる多国籍軍と言われておりますペルシャ湾岸周辺の派兵に参加しております国は、必ずしも各国がすべての状況を公開しているということでもございませんので、私どももすべてを把握しているということではございませんが、少なくとも二十カ国以上の国が陸海空兵力を派遣いたしております。その中には米国、カナダのような北米、あるいはイギリス、フランス、ドイツ、イタリー、スペイン、オランダ、ベルギー等ヨーロッパ、さらには太平洋からはオーストラリアがございますし、南米アルゼンチン、それからアジアはパキスタン、バングラデシュ、それからさらにアラブ諸国の間でエジプト、モロッコ、シリア、ア首連等々があると承知しております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 今言ったようなそういう多国籍軍と日本は、日本の協力隊は、連絡をし合って後方支援をやるのですか。だれに届けるのですか。だれと連絡をするのですか。今展開しておる二十数カ国の多国籍軍全部と連絡をとり合って、それにずっとしていくのですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 今お尋ねの点につきましては、それぞれの国、それぞれの国連加盟国がございますから、政府としてはいろいろと相手国とも連絡をしながら、日本の独自の判断でやっていくということでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 相手国というのは何ですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 今、局長が御答弁申し上げました多国籍の国軍でございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 それじゃ、二十数カ国とそれぞれ連絡をとり合うということですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 理論的にはそのようなことになろうかと思います。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 それでは、どれだけの部隊を持っていって二十数カ国の多国籍軍と連絡をとり合うのですか。日本が出そうとするこの協力隊はどれくらいの規模で、そしてどういう任務で、どういう業務内容で、その業務内容は何で決められるのか、明らかにしてください。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 簡単にお答えいたします。  ただいま御指摘の点は、この法案が成立した暁にはどのようなことになるかということだと思います。現在やっている中東貢献策は、まだ法案ができる前でございますから、御指摘の点は、この法案でどういうことになるかという御指摘だろうと思います。  その対象は、外務大臣が御答弁になりましたように、多国籍軍も入るわけでございますが、その全部に協力するということは常識的には考えられないわけでございます。ただ、その全部に必ず協力するということではなくて、具体的にはこの法案の第十七条におきまして、「内閣総理大臣は、国際の平和及び安全の維持のための活動に協力するため海外派遣その他の平和協力業務の実施が適当と認めるときは、実施計画の案につき閣議の決定を求めなければならない。」この実施計画でどの国にどのような協力をするかということを決めるわけでございまして、この実施計画に定める事項は、この二号にございますような基本方針、それからそのための、具体的な案件のための平和協力隊の設置その他のことをここで決めるということでございます。そして閣議決定をいたします前に平和協力会議に諮問をいたしまして、慎重な手続を経て具体的な協力計画を決めるという手続になるわけでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 それでは、先ほど来触れてもおりますけれども、海外派遣が行われる外国、派遣の期間、業務の内容、協力隊の規模及び構成、平和協力隊の装備、その他海外派遣に関する重要事項、これが全部この実施計画に一任をされているわけです。まさに全権一任法案です。つまり、平和協力隊派遣のこの問題についてはすべて国会の承認というものもありません。そうなると、この平和協力隊の業務というものはどこで定めることになりますか。この業務に従事する者とありますけれども、業務の内容、それはどこで決めますか。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 先ほど来総理が何度か御答弁になっておられますとおり、二条の二項で「海外派遣に係る平和協力業務の実施等は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。」という基本原則がまずございます。そして三条におきまして……(川崎(寛)委員「いやいや、具体的に言いなさい」と呼ぶ)はい。この三条の二号におきまして、「平和協力業務」として、これは「国際の平和及び安全の維持のための活動に係る次に掲げる業務をいう。」というふうに、「国際の平和及び安全の維持のための活動」という縛りがかかっておりますが、ここにイからチまで、停戦の監視でございますとかあるいは選挙の管理あるいは物資協力あるいは輸送、医療活動等々挙げてございます。このようなことが平和協力隊の任務でございまして、このようなものだけを行うことができるわけでございます。  したがいまして、具体的な案件に即して、「実施計画に定める事項」というのは、ここに挙げられましたいろいろの任務のうちどれをやるか、どれをどの程度、いつ、どこでやるかというような具体的なことを具体的な案件に即して決めるということでございまして、これは全権委任をするというようなことではございませんで、先ほど申し上げましたような二条、三条で掲げております平和協力隊の任務の範囲内で具体的な事項をこの実施計画で閣議決定して決めていくということに相なろうかと思います。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 そうしますと、この多国籍軍への協力ということで、輸送だ、こういうことを言いました。じゃ、協力隊が輸送をいたします相手としては米軍が中心になるんでしょうが、武器、燃料、弾薬というものが輸送の場合の一番大きな中身になると思います。そういうものの業務内容というのは、これはどこで決めるのですか。——外務大臣、答えなさいよ。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 技術的な点について私の方からまずお答えを申し上げますが、どこに何を運ぶかというようなことは、まさしくこの業務計画を策定いたしますときに決めるわけでございます。その手続は、先ほど申し上げましたように、平和協力会議の諮問を経て閣議で決定するということでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 そうしますと、それは武器、燃料、弾薬、そういうものの輸送ということもあり得る、こういうことですね。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 武器弾薬というものの輸送は原則いたしません。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 原則いたしません。では、今アメリカの運搬船を——これはやめておきましょう。  とにかく、この協力隊が後方基地から前線基地に輸送、それを任務とするということを先ほど来言っておられました。それが一番大きな中心だ、こう言われた。じゃ、武器、弾薬、燃料、これは原則として運ばぬ、こう言ったのですが、そのことは明確に、運ばないなら運ばない——何を運ぶのですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 私は、先ほど来申しておりますように、武器弾薬は運ばない。ただ、医薬品とかあるいは輸送機材とかあるいは修理用具とか、そのようなものを輸送するということも、この業務内容で諮って議論をしながら決めていかなければならない。このように考えております。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 お答えを申し上げます。  この法案におきまして、平和協力隊が輸送業務を行うということがその任務の一つとして掲げられております。それで、先ほども申し上げましたように、何を運ぶかということは、そのときどきの具体的なケースに応じまして、具体的な案件に応じまして決めるということでございまして、法律上は、おっしゃいましたような武器弾薬等を含めましていろいろなものを運び得ることになっております。その運ぶ内容につきましての限定というのは特にないわけでございます。ただ、この目的は、国際の平和及び安全の維持のための国連決議を受けて活動している多国籍軍のために輸送分野での協力を行うということでございまして、それが武力の行使と一体をなすような行為に当たらない限り協力法上平和協力隊がそのような協力を行うことは可能でございまして、かつ、それが適切と認められる場合には、協力法の定める手続に従って実際にかかる協力を行うことになるわけでございます。外務大臣がおっしゃいましたことは、恐らくこの武力の行使と一体をなすような行為に当たるような場合を念頭に置かれて言われたものと思いますが、何を運べるかということの限定はございません。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 これだけ大臣と局長と——大臣は原則としては運びません、こう言った。しかし、条約局長はそうじゃないわけですよね。だから輸送業務としてはあり得るのだ、当然のことでしょう。  そうしたら、あなたは、原則として武器弾薬はやりません、こう言った、医療品だ、こう言っておったのだけれども、実際に現地に行ってそんなことが分けられるんですか。そうすると、それは明らかに答弁が違うんですよ。これはもう重大な答弁の違いですから、これはもう明らかにしてください。

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 条約局長。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 待ちなさい。条約局長が答えた。委員長、いいですか。条約局長が答えた。外務大臣が答えたことに対して条約局長が今修正したわけです。明らかに修正ですよ。そうしますと、これは外務大臣に原則を明確にしてもらわなければいかぬわけですよ。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 もう一回確認させていただきます。  何を運ぶかというようなことは、その具体的な案件に即しましてこの業務計画の中で決定していくということでございます。  また、先ほど申し上げましたように、この輸送そのもの、輸送という活動そのものは別に武力の行使でもございませんが、ただ、これが例えば多国籍軍のやっております武力の行使と一体をなすような行為に当たる場合には、これはむしろ武力の行使とみなされるわけでございますから、そのようなことは行わないということでございます。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 一部御理解をいただかなかった点もあろうかと思いますが、改めて申し上げますと、今この輸送に関する業務の内容がございますけれども、輸送そのものはいろいろな対象物があるということはもちろんでございますけれども、この平和協力法の中に掲げられている多国籍軍と一体となった武力の行使につながるようなものは輸送しないということは私が先ほど申し上げた考え方であります。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 委員長、おかしいですよ。業務計画で、実施計画で全部そんなことは決めると言うのですか。そして、前線の活動に対して、その後方、補給基地からは武器弾薬を運ばぬのだ。それは多国籍軍とそういうことを明確に契約か何かするのですか。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 何を必要とするかというまずニーズがあると思いますが、それにつきまして、恐らくこれを受け取りたいという、多国籍軍の側から我が国に何が必要かということを言ってくると思います。ただ、何らか要請がございましても、それに全部応じるというわけでは毛頭ございませんで、我が国としては自主的に判断して決めるわけでございます。  ただ、何をどのように運べるかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、武力の行使と一体をなすような行為に当たらないという範囲内で行うわけでございますが、これがいかなる場合にそうかという点につきましては、この協力の目的、態様等具体的な実態に即してケース・バイ・ケースで判断すべき問題でございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 この国連平和協力会議で、本部長は総理大臣でしょう。そうすると、外務大臣が具体的に提起していくわけですよ。その外務大臣が今、原則として武器弾薬を運びませんと言明したわけだ。言明したわけだ。そうしたら、それは業務計画でわからぬ、こういうことになってきた。それならどういうことになるのか。この法律というのはひとり歩きするのですよ。明らかにもう今も答弁の中で分かれているわけです。武器弾薬を運ばないのですか、運ぶのですか。だから、先ほどあなたの原則として運ばないと言ったことを貫くのですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 直接、武力行使にかかわるような場所に輸送をしないというのが考え方の基本にございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 それは違うんだよ。直接武力行使に送らぬという、それじゃだめなんですよ。(発言する者あり)

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 答弁ありますか。——外務大臣。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 武力行使と一体になる場合、例えば戦闘が行われているような場所には武器弾薬は直接運ばないということでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 私はそんなこと聞いてないんですよ。後方基地から前線に輸送業務が中心だ、この中東に派遣する平和協力隊、国連平和協力隊の協力、国連平和というのはごまかしですからこれは外して、協力隊、この協力隊は後方基地から武器弾薬を運ぶのか運ばないのか。武力行使につながるとかつながらぬとか聞いておりません。だから、第一線に武器弾薬を運びますか、運びませんかと。

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 委員長から申し上げます。  外務大臣と条約局長の答弁が違うのではないかという御指摘ですから、外務省としてしっかりとした答弁をお願いいたします。外務大臣。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 武力行使と一体になるような場合、例えば戦闘が行われているような第一線には武器弾薬は運ばないということであります。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 だめですよ、これは。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 私は何回も、業務計画をきちっと立てますときに戦闘地域の第一線とか現に戦闘行為が行われている地域とか、まさに行われんとする前線にまで物を運ぶような協力は考えておりません、したがって、危険の伴うところへは行かせる計画はありませんということを何回も申し上げてきました。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 第一線だとか危険だとかということは私聞いてないんですよ。武器弾薬、それを送るんですか、輸送するんですか、しないんですかとこう聞いているんですよ。だから、後方基地における協力隊の仕事の大きな柱は、そうしますと武器弾薬を運ぶことが大きな仕事だ、そしてそれが武力行使になるとか、危ないところとか、そこには行かぬとか、そういう言い方になってきているわけですから、だから武器弾薬を輸送する輸送隊の役割を果たすのですねと。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 武器弾薬を運ぶのが主な仕事ということではございません。私どもが先ほど来御答弁申し上げておりますのは、運ぶ物の対象に限定はない、ただその目的、態様が武力の行使と一体をなすような行為に当たってはならないということを申し上げているわけでございまして、ただいまも外務大臣から御答弁ございましたように、その武力の行使と一体をなすような形で、態様で、武器弾薬を前線に運ぶことはないということを申し上げておるわけでございます。

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 質疑を続行してください。——質問してください。川崎寛治君。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 条約局長は業務の内容としては武器弾薬も輸送の業務である、排除しない、こういうふうに言ったわけであります。ですから、武器弾薬をこの日本の協力隊は後方基地から前線に対して——前線とは言わぬでもいい、どこでもいい。多国籍軍に、展開している多国籍軍に、それは中間点であろうと何であろうといいんですよ、それに武力行使につながる武器弾薬を輸送するということを一番の業務にするわけですから。それは医薬品も入れるでしょう、食糧も入れるでしょう、しかし、それを排除しない、こういうことですから、武器弾薬の——ですからこれは、武器弾薬を運ぶか運ばないかということを私は聞いているんですから、武器弾薬は原則として運ばないと言ったのがその外務大臣の答弁なんですから、そうしますと、外務大臣のその答弁が原則なのか原則でないのか、明確にしてください。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 武力行使と一体となるような場合、例えば戦闘が行われているような場合には、その場所に武器弾薬は運ばないということでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 じゃ、輸送業務に武器弾薬を含むのか含まないのか、明らかにしてください。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 先ほども申し上げましたように、輸送業務の中にはいろいろな物を運びますけれども、戦闘が行われているような場所には武器弾薬は運ばないということでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 私は輸送業務全般を聞いているわけですから、輸送業務そのものを聞いているんですから。輸送業務に武器弾薬を含みますか含みませんかと、こう聞いているんです。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 お答え申し上げます。  この法律上、そのような物の輸送も含みます。含みますが、その輸送にはいろいろ態様があるということを申し上げているわけでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 これは重大な問題なんですよ、第一線には行かないとか、戦闘の行われるところには行かないとか。そうなりますとこれは、しかも武器弾薬ですから、個別的自衛権の行使の問題から集団的自衛権の問題、全部発展してくるわけです。だからこれは明確にしなければいかぬわけなんですよ。輸送業務の、武器弾薬は、その業務としては運ぶということですね。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 輸送はいろんなものがございますけれども、先ほども申し上げましたように、武力行使と一体となるような戦闘が行われる場所に武器は送らない、武器弾薬は運ばないということであります。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 これは、今の問題については、私は留保しておきますから、委員長の方でよろしくお取り計らいをお願いします。

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 はい、わかりました。  ただいまの問題点の留保につきましては、その処理につき後刻理事会で相談いたします。よろしいですね、各党の理事さん。——それじゃ川崎寛治さん。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 総理、これは総理から明確にお答えいただきます。  つまり、情勢が変わった、国際情勢が変わったから国連憲章四十二条、四十三条に基づく国連軍の問題については、国連軍へ自衛隊の派遣という問題を研究したい、しかし、一応これは今はやめる、しかし、私自身としては研究課題として残す、こうなっているのですね。そうしますと、これは法制局長官も国連軍の問題については何遍もお答えしておりますから、これを答えてくださいとは言いません。この国連軍というのは、これまで四十五年間できなかった。これからもできない、難しい、正直言って。新しい時代になったからといって常設の国連軍というのはなかなかできない。そうなりますと、私は、国連軍を研究するとこう言うんですから、国連軍がもし四十二条、四十三条に基づいた——これはこのまま四十二条、四十三条と言うと国民の皆さんはわかりにくいかもわからぬですけれども、しかし、それができたとしたら、国連は中立でなくなる。これが国連の大事な役割なんですよ。つまり、国連軍をつくって制裁をやる、海軍、空軍、陸軍という武力によって制裁をやる、それを検討しよう、こう言うのですから、しかしそうなりますと、この国連は中立でなくなるわけです。いいですか。国連の重要な役割であるそれが、国連の中立の性格というのはなくなるわけですから、調停者としての立場を捨てるわけです。  だから私は、国連軍というのは、そういう形で言いますと、つくって、日本の自衛隊がそれに参加をする、これは憲法上間違いだということについては法制局長官も言ってきているわけです。これは明らかに国連憲章四十二条、四十三条に基づきます国連軍への参加ということは、中立の立場も捨てて制裁者になるわけですから、そうなりますと、憲法改正ということを前提にしなければ自衛隊の参加ということはできない。だから私はこの研究というものはやめるべきだ。日本が平和憲法というものを土台にこれから国際の平和のために努力するんです、協力するんです、こうあなたは言ってきたわけですから、私は当然、今研究課題として残すということについては、これはまさに解釈改憲だということで、皆さん方の自民党の中にも大変大きな意見があるんですね。でありますから、私はこのことは、これから新しい時代に日本が役割を果たしていくという場合に、そうした国連軍への自衛隊の参加を合法化するということについては間違いである、憲法改正をしなければできない。でありますから、私はこの計画はやめなさいということを総理に要求します。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 これは計画を立ててやっているわけでもありませんし、具体的目標を立ててやっているわけでもありませんが、各界にいろいろな御議論があることは川崎委員もよく御承知のとおりでありますし、また、どのようなふうに将来転換していくのかということもいろいろな御議論がありますし、また、今委員おっしゃったように、武力制裁を伴うようなことになれば国連は中立の立場でなくなるとおっしゃいますけれども、将来の国連が理想としておるものは、一国と一国と異なる国の対決の中で中立でいるということだけではなくて、皆が力を合わせて、そして皆の力で安全を確保しようというのが国連憲章の精神だという説も有力にありますし、また、この間のここの予算委員会の議論でも出たことですが、社会党の若手の一部の皆さんの中にも、憲法で禁止している武力行使は、すべての国が共同で行う普遍的な武力行使はそれには入らない、国連平和軍が普遍的なものである限り憲法の禁止対象ではないと言うべきであるということを、グループの方が名をして中央委員会に研究をお出しである、こいう事実があったということも一つのお考えではないでしょうか。これはここで明らかに議論さたことで、それを社会党が受けてどのようなこをされたかは別にして、そういう考え方もある。いろいろな考え方がありますから、私も、それらについては将来どうなるんだろうかということをあらゆる角度で研究をしておる最中でございますということは申し上げましたが、これは将来の研究課題であって、その他のことに対する整理は、過日来、法制局長官が随分いろいろ何回も区分けしてきちっとお答えをしたとおりでありますから、内閣の意見はそこで代表されておるわけであります。いろいろな意見が現実に今あるということでございます。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 私は、これは明らかに憲法改正でなきゃならぬ、こう思います。これは全く食い違っておりますから、日本の役割の果たし方というものも全く違ってくるわけですから。  そこで、国連中心ということを最近になりまして大変自民党さんは熱心に言っておられますね。ところが、じゃ具体的に軍縮に関する決議というのは、あるいは人権に関する決議というものを私はお尋ねをしてみたい。お尋ねというよりも、もう時間がございませんから指摘をしたいと思うんですが、七二年に、決議二三九四のAというのはすべての核実験を非難し七三年八月五日まで全面禁止する決議、これは日本は決議の提案国になったのです。大変結構でした。提案国。ところが八九年は、決議四四の一〇五というのでは、核保有国に対して核兵器実験早期中止の協議促進を求める決議には日本は棄権をしたわけです。いいですか。八九年、決議四四の一一七D、核軍備の凍結、この決議には日本は反対をしたわけです。いいですか。八八年の決議四三の八十九、国際平和と安全の強化に関する決議、これは賛成多数でございますけれども、反対をしたのはアメリカ、イスラエル、日本なんです。三国だけなんです、反対したのは。いいですか。ですから、国連中心に平和のために、核軍縮のために、唯一の被爆国である日本が国連の中で努力してきてないんです。事実です。  次には、人権小国だ。これは、梶山法務大臣一遍出てもらうということはいたしませんけれども、(発言する者あり)いや、これはもう時間がありませんから。  反アパルトヘイト、私は今反アパルトヘイト議員連盟の会長をしておりますので特にこの点触れたいと思いますが、反アパルトヘイトのための南ア制裁決議、これは一九八〇年、南ア制裁決議が初めて採択をされた。そのときに日本は棄権をしておるわけです。一九八八年に日本は名指しで非難されたんです。「南アフリカとの貿易を増大させてきた国、特に最近、最も重要な貿易相手国になった日本に対して、南アフリカとの貿易関係を断絶するよう要請する」というのが国連の決議です。日本は棄権です。一九八九年、去年です、南アの制裁決議に対して、賛成百十八、反対十一、日本は反対です。いいですか。  つまり、国連中心を言いながら——総理、見解を求めますから。国連中心を言いながら、日本は国連の中で、核実験をやめていく、核を廃絶していく、そういうことに対しても、人権、特に人権——九〇年代はまさに人権の時代ですよ。人権や自由や民主主義をどう守っていくかというのがこれからの世界の政治の大きな課題ですよ。その課題を担える、つまり、だから日本は経済大国だ、もうけることばかりだ、こういう非難があるわけです。ですから、私は、今指摘をいたしました幾つかの決議に対する日本政府の態度、とってこられた態度というものを通しまして、軍縮や人権に対して極めて冷淡であったという事実を指摘せざるを得ないのでありますが、総理、いかがですか。——待ってください。これは、私は事実関係がどうだこうだと言っているんじゃないのです。待ちなさい。だめだ。

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 簡単に。局長、簡単に答えて。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○赤尾政府委員 私の方から先に事実関係あるいは基本的な考えだけ御説明いたします。  ただいま突然の御質問ですので、私も、それぞれの決議について棄権したか反対したか、正確に記憶しておりませんけれども、恐らく今先生御指摘のとおりだと思います。  日本政府のそのときどきの投票態度につきましては、あくまで核実験の早期停止そのものについては変わりはありません。あるいは人種差別撤廃の早期実現、これは基本的な立場でございますけれども、その決議の内容をよく見まして、果たしてその決議が実効性があるものかどうか、あるいは、例えば南ア関係の決議で今引用されました決議につきましては、特定の国、例えば日本等を名指しして非難があるかどうか等にも留意しながら投票態度を決めている次第でございます。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 人権の問題につきましては、川崎委員が会長をしていらっしゃる反アパルトヘイトの議員連盟の集いのときも、私は一緒に参加させていただいて、委員の前で私の考え方も明確に表明いたしましたし、また、この間の国連の子供のためのサミットに行く前に人権条約もきちっと署名ができておりますし、それから、いろいろな問題が残っておるようでありますから、それらの問題をいち早く解決して批准に入っていけるように今鋭意努力をしておる最中であります。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 私は、事実関係を言いましたから、その点では十分に反省をしてほしいと思うのです。  そこで、平和維持活動の問題ですが、私は、この法案がカンボジアには関係ない、こう言われた、外務大臣が……(発言する者あり)え、違う。これは、平和維持活動にもあるんでしょう。カンボジアにもあるんでしょう。そうすると、カンボジアは、これは早ければ年内かと思っておりましたが、残念ながら来年になるでしょうけれども、大変重要な役割を日本は果たさなければいかぬと思うのです。私たちは今度具体的に提起もいたしておりますけれども、つまり、例えばベトナムの外務大臣はニューヨークにおける、これはある社、続売でございますが、記者会見で、カンボジアの和平の問題について国連が入っていく、そういうときに文民なら受け入れる、自衛隊に対しては大変厳しいことを言っているわけです。でありますから、自衛隊を除くということをいたしますならば、私たちも、常設の千人から千五百人の自衛隊を外した専門の——例えばカンボジアの問題ですと、言葉もあります。あるいは歴史の問題、地理の問題もあります。非常に複雑なんです。自衛隊が出ていって、カンボジアの具体的な行政の改革であるとか選挙であるとか、そういう問題に日本が役割を果たせるのかと言えば、私は果たせないと思うのです。だから、今度中東があれしたら解散する、こういうことでございましょうけれども、やはりそうしたものを常設しておく。そのことが私は、日本のこれから、つまり、先ほど言いましたように、国境や宗教や領土そして貧困というのがこれからの地域紛争の大きな課題ですから、そういうものに対応していく日本の仕組みというものをつくっていくことが、そして今中東に対しましても、この平和維持活動に熱心なフィンランドやノルウェーやスウェーデン、スウェーデンは百八十年間戦争してないのです、そういう国国やオーストリア、これは中東に参加してないのです。そういう意味では日本は幾らでも役割を果たせる。でありますから、そういう意味でこの自衛隊を外すということを提起をし、これならば話し合えるということを申し上げておきたいと思います。

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 時間に至りましたので、簡単に御答弁をお願いいたします。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 カンボジアの問題等につきましても、実は昨晩、私はグエン・コ・タク・ベトナム外務大臣と十時までいろいろとお話し合いをいたしました。カンボジアにおける停戦後のいわゆる停戦監視の問題、選挙の問題、このようなことで、今回政府が考えている国連平和協力法というものができればそういうところにも出すことができるようになるということで、昨晩もお話し合いをしたところでございまして、その点は十分これから御理解がいただけるように、私どもも歯どめをかけながら努力をしていかなければならないと考えております。

川崎寛治日本社会党・護憲共同

○川崎(寛)委員 終わります。

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 これにて川崎寛治君の質疑は、理事会協議分を残して終了いたしました。  次に、市川雄一君。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 私は、公明党・国民会議を代表して、国連平和協力法案についての御質問をいたしたいと思います。  まず、率直に申し上げまして総理、この法案は従来の政府の憲法解釈との関連でいろんな点に重大な疑義を含んでいる。したがって、私たちはこの法案にはもう明確に反対でございます。そういう立場で御質問を申し上げたいと思います。  まず、総理にお伺いしたいのですが、総理は八月二十九日の記者会見で、「自衛隊を海外に派遣することは考えていない」、こうはっきり明快におっしゃられました。しかしその後二転三転、四転五転して、結果的に出されたこの国際連合平和協力法案には自衛隊の派遣が明確にされている。昭和二十九年自衛隊が設置されてから三十六年間、紛争地域に自衛隊を海外派遣したことはなかったわけであります。これがいわゆる従来の政府の方針であったと思いますが、今回の法案では、平和協力隊という衣はかぶるにせよ、従来自衛隊を海外に派遣しないという政府の方針を大幅に変更する、基本方針の重大な変更だ、こう私たちは認識しておりますが、総理の御認識はいかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 御指摘のように、八月の初めにイラクのクウェート侵略という事態が起こり、国連の決議を受けて何か日本としてもできるような積極的な協力をしなければならない。それは、先ほどの御質問でもありましたように、このこと自体がもう百年に一遍、あるいは国連ができて初めての国連の決議ができたという、これはもう東西の対決が終わり、冷戦後の時代に入り、米ソも、すべての安保理事会参加国がこれは許してはならぬという国際世論に従った決議をしたわけでありますから、そういった全く新しい状況の中で、冷戦後の世界秩序の中で弱肉強食というような、力で弱い国を併合することを黙って見ておることは、これは許されないのではないかという考えがありますから、そこに立って新しい対応策を考えていかなければならない。そこで、貢献策というのを政府はいろいろ、何もないところで模索いたしました。そのとき、自衛隊を自衛隊として派遣するということは当初念頭になく、民間にお願いをして、そして民間の力を結集して、各界の国民の皆さんにお願いして、輸送協力とか医療協力とか難民に対する問題とか、いろいろなことをやろうと思って、一生懸命努力をし始めた。そのときのごく当初に私がそういう発想を持っておったことは、これはそうでございました。けれども、やってみてどうしてもそれができないんです。  先ほどの質問で、私は逆に言いますと、準備して待っているんだと言われるが、待っておる飛行機や船があるとおっしゃいますけれども、これはお願いをしたいんだけれども、それはなかなかそれではいろいろな問題があってうまくいきません。しかし、国連の決議が行われても依然としてクウェートからの撤兵という条件は満たされず、局面は不安定の中の安定といいますか、この危機の中の硬直状態が続いて、皆がそのことの先行きを非常に心配をいたします。国際社会の世論において、何とかこれは早くこの問題を原則に従って片づけなければならぬ、どうしたらいいだろうか。政府部内でいろいろ検討いたしました結果、今度の法案では二つの原則を大きく掲げて、すなわち武力の行使、武力の威嚇は絶対にしないということ、原則非武装で脇刀をする。しかも、広く国民の皆さんに訴えてこの協力業務というものは行っていきたい。それなれば自衛隊の一部にも平和協力隊に参加をしてもらって、平和協力隊の指揮下に入ってもらって、平和協力隊の決める業務遂行のために協力をしてもらう、これが一番自衛隊の持っておる長年にわたっての技能とか組織的な機能とか機材を提供を受けて協力隊の業務が適切に、そして具体的に運用できるものであるという判断に立ちまして、最終的にここに法案にまとめて、まとめたものを国会に提出してお願いをしておる、こういう経緯でございますが、あくまで海外派遣とか自衛隊のままで全部出してしまえということではございません。歯どめをかけて目的をきちっと決めてやろうということでございます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 四時から六時までという限られた時間ですので、どうぞ質問に明快にお答えいただきたいと思うのです。  私が総理に伺いましたのは、平和協力隊という衣はかぶっておるにせよ、組織としての参加あるいは併任というこの事実が明快ですから、これはもうだれが見ても自衛隊の海外派遣、これは少なくとも戦後三十六年間政府が自衛隊を海外に派遣しないとしてきた方針の重大な変更だ、こう私は認識していますが、総理の認識はどうですかということを伺っておるわけでございます。どうですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 その点に絞って申し上げれば、海外派兵はいたしませんが、海外派遣は、武力行使を伴わないということできょうまでも行った例はあるわけですから、憲法違反になるとは考えておりません。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 いや、まだ私は憲法違反とかそういうことを申し上げておるわけではありませんでして、自衛隊を海外に派遣しない——政府の見解は、武力行使を前提とした自衛隊の海外に派遣することは憲法上これは許されない、武力行使の伴わない自衛隊の海外派遣は憲法上許されないわけではない、しかし自衛隊法で定められていないので、自衛隊法の改正をしなければできませんという答弁をしてきた。ということは、政府の政策判断として、武力行使を伴わないものにせよ自衛隊を海外に派遣しないという方針が明確にあったから、そういう方針をとってこられた。今回は、附則とはいえ自衛隊法を改正して自衛隊が海外に派遣されるということは、政府の政策判断の重要な変更と私は認識しておるわけです。総理はこれをお認めになりますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 海外にいわゆる派遣をするということは、自衛隊法にその任務を与えて書けばそれは許されないものではない。きょうまでもそれはあったわけでありますから、今回も平和協力隊法の中で、平和協力隊に参加をしてもらうんですけれども、おっしゃるようにいろいろな自衛隊の問題がありますから、自衛隊法の改正もこの協力隊法の中に明記をして、御審議の対象に付しておるわけでございます。     〔委員長退席、西田委員長代理着席〕

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 どうも、認識を伺っているのですがお答えになってないですね。要するに、戦後三十六年間やってこなかったことをやろうとしているのですよ、総理、これは。ですから、やはり国民が非常にいろいろな不安を感じているわけです。  総理は、八月二十九日の記者会見で「自衛隊を海外に派遣することは考えていない」と明快に述べたわけですよ。我々は八月二十九日の記者会見、総理がやります、何時から、終わったら各党幹事長、書記長はその総理の会見のコメントをしてくださいというので、その総理のコメントというのは非常に重要なものとして我々は受けとめていたわけです。そういう前提でこれから法案が考えられていくんだなというこちらの判断があったわけです。ところが、法案が出ましたら、自衛隊法は改正です、自衛隊は海外に出ていくんです。これは総理、一国の総理としてやるべきことじゃないんじゃないでしょうか。八月二十九日といったらまだ記憶に新しい日ですよ。しかもこれから平和協力法の骨子ということで発表になるわけですよ。この中東問題が八月二日に発生して初めて政府としての見解を総理が述べた。初めて海部内閣としてどういう対処をするのかという原則を述べた、総理が。その原則が「自衛隊を海外に派遣することは考えていない」という。重い発言じゃありませんか、これは。それが、どういう事情か知りませんが、法案で出てきた段階では、自衛隊法は改正します、協力隊の衣はかぶっていますが身分は併任です、部隊としての参加です。明らかにこれは自衛隊の海外派遣ですよ。これは三十六年間政府がやってこなかったことを変えたんですよ、総理は。これは総理は認めなきゃなりませんよ。これは認めないんですか、どうですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 私はすべて認めてお答えをしておるわけでありますし、また、委−員は八月の記者会見だけ申されますが、九月の二十九日の記者会見のときには、海外派兵と海外派遣の問題を分けて、そして、海外派遣はこのような理由でするんですということもあの記者会見では申し上げて、その間の経緯も正直に申し上げておるわけでございます。そのとおり認めております。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 認めておるということですが、総理が一回、三十六年間政府がやってこなかったことをやりませんという発言と、今度はやりますというのは、これは簡単なことじゃないと思うんですね。その点をまず申し上げておきたいと思います。これは総理の責任がありますよ、かなり。  それから、総理は何回も、はっきり言って危険なところには行かせない、十月十九日の予算委員会におきましても、危険なところには行かせない、こうおっしゃっておるのですが、この国連平和協力法の基本的な方針は、危険なところに出動しないという考え方でできているんですか。だとしたら、法案の前提にきちっとそういうことを書くべきじゃないですか。どうですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 当初構想を考えましたときには、そういった一般の方々に頼んで貢献策は打ち立てていこうという考え方でありましたから、自衛隊に海外派遣してもらうことは考えていない、これは確かに言いましたけれども、その後いろいろ経過があったことは申し上げて、法律にまとまったときにこの法律を国会に出しておるわけでございます。     〔西田委員長代理退席、委員長着席〕  それから、これはあくまで協力ですから、でから平和協力をやるときに、しかも大前提として「武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。」と書いてあるんですから、それは当然として好きこのんで初めから交戦の行われておる危険なところとか危険を予測してその危険地帯へ行きなさいというような、そういう業務計画を立てるということは、これは想定しておりません。一々そのときの国際情勢とかその他のこと一切を十分に勘案をして、そして業務計画をつくるわけですけれども、第一線の危険なところ、現に戦闘が行われているところへは出す考えはありませんということを何度も申し上げてきましたが、それは今後この法律が成立さしてもらって具体的な案件が出てきたときには、その基本に従って業務計画を作成していこうという考えに変わりはありません。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 常識的に考えて、戦闘が行われているところへ行くなんてことはだれも考えてないわけですけれども、危険か危険でないかというのは、これは非常に難しいんじゃないでしょうか。状況というのが一つあって、それから危険な地域という地域があって、時間の経過で危険な地域が変化する。それから相手の対応の変化でまた変化してくる。あるいは、そういう意味では、状況とか時間の経過とかあるいは地域とか物理的範囲なのか、極めて流動的でございます。これはだれがどういう基準で、総理、危険か危険でないか、危険なところか危険なところでないかというのは、だれがどういう手続で判断するのですか。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 お答え申し上げます。  そのような判断は、抽象的にはなかなか難しいと思います。具体的な案件に即しましてこの協力隊を派遣いたします場合に、協力隊本部がつくりまして閣議にかける業務計画作成の際に判断するということでございます。内閣総理大臣は、この協力隊の派遣業務につきまして、第四条で設置される国際連合平和協力会議に諮問をいたします。そして、そこでの御意見を徴されまして、その後、十七条で規定しておりますとおり実施計画というものを作成いたしまして、これにつきまして閣議の決定を求めるわけでございます。その際にそのようなどこにどのような態様で行くかということについて判断をするということでございます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 そういう実施計画の段階で平和協力会議あるいは閣議の段階で決めた、しかしこれは、戦端が開かれた場合は状況がもうくるくる変わるでしょう。その場合はどうするのですか。だれか判断するのですか。一々全部本部長のところまで状況報告して判断したんじゃ時間差があって間に合わない。そういう場合はどうするのですか。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 御指摘のとおり状況が変わるということは十分あり得ると思います。その場合に本部におきましては、この実施計画の変更につきましても同じ手続で変更をすることになるわけでございます。ただ、現地での判断というのは確かに必要であると思います。その点につきましては、現地の責任者がどのような場合にどのように行動するかという指針をつくる必要があると思います。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 現地でだれが判断するのですか。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 本部長の指揮を受けて現地に派遣される協力隊の責任者でございます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 その責任者が判断して引き揚げるわけですか。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 具体的な状況によりましてはそのようなことも必要になることはあると思います。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 危険なところには行かせないのだと総理は何回もおっしゃるのですけれども、言葉だけでして、どこが危険でどこが危険でないかというのは、これは非常に特定は難しいと思うのですね。  例えば昭和二十五年十月六日、海上保安庁の二隻の哨戒艇が、朝鮮戦争にマッカーサー司令部の協力で行って機雷に接触して瞬時に爆発、沈没したという事件が昭和二十五年に起きております。これは「海上保安庁三十年史」という本、あるいは当時の海上保安庁の長官が後で「海鳴り」という回想記を出版しております。それを拝見しますと、かなり生々しく当時の状況が描かれております。一人が死亡、十八名が死傷、日本の掃海艇が二隻、機雷に接触して瞬時で爆発、沈没、こういうことが昭和二十五年の十月六日、朝鮮動乱のときに起きているわけですね。  このときの国会の本会議のやりとりとか予算委員会のやりとりを拝見しますと、非常に政府側はのんきな答弁をされているわけですね。青森とか向こうに機雷が流れてくることがあるので、海上保安庁が出ていってそれをやることがあるでしょうとか、機雷の処理というのは非常に困難で、ときどきぶつかって死ぬのはしようがないんですとか、こういう答弁をされているわけですよ。  確かに機雷の処理というのは非常に危険な作業だと思う。だけれども、こういう既に朝鮮動乱という実際の事件で海上保安庁の船が二隻機雷に触れて爆発して、十八人の死傷者を出したという事件がある。こういうことを考えますと、総理が言う危険なところとか、どこが危険でどこが危険でないのかというのは極めて私は難しいと思うのですね。  それでは、総理は危険でないと判断したのだけれども、実際行った自衛隊の人は危険だと思って帰ってくるということはできるのですか。自衛隊法の五十六条、五十七条では、そんなことしてはいけないと書いてある。敵前逃亡にされてしまう。そういう拒否する権利はあるのですか。自衛隊が行った、総理は安全だと言ったのだけれども、行ったら非常に危険だ、帰りますと言って帰ってくる、こういうことができるのですか。防衛庁長官、どうですか。

石川要三自由民主党防衛庁長官

○石川国務大臣 委員が尋ねられました大変危険か危険でないかというのは、確かに見方によっては非常に難しい面もあると私は思います。ただし、しかしどんなにそういう状況であっても、私どもは、この法案の精神でおわかりのように、いかにしたら我が国の憲法の範囲内で国際決議に基づく平和協力ができるか、こういうことからのぎりぎりといいますか、できる限りのことをいろいろと考案して今日のこの法案をつくったわけでありますから、すべてが絶対、その危険性はあっても、すべてができない、すべてが危険だということでは私はない。やはりその中にも可能なものが見出し得る、そういう努力をしてやらなければいけない。ですから、この法案は否定的に見るか肯定的に見るかによっては、私はかなり見解が分かれることもあるかと思いますが、しかし、私どもはやはりできるだけ憲法の枠内でやれることをやる、こういうことで安全地域、安全性を確保しながらこの業務をやっていく、こういう見解でございます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 防衛庁長官、あなたに伺いたいのは、自衛隊法五十六条では、「隊員は、法令に従い、誠実にその職務を遂行するものとし、職務上の危険若しくは責任を回避し、又は上官の許可を受けないで職務を離れてはならない。」こうなっているわけであります。危険を回避してはいかぬとこう書いてある。危険を回避したのでは自衛隊成り立たない、これは確かに。それから五十七条には、「隊員は、その職務の遂行に当っては、上官の職務上の命令に忠実に従わなければならない。」これは当然自衛隊は一つの組織ですから、当然の自衛隊法だと思うのです。  身分が併任である以上、自衛隊員はこれに縛られるのでしょう。その場合どうするんですか。総理は、危険ではない、ところが現場へ行ったらもうそんなとんでもない。船なんかだって行くのに一カ月ぐらいかかるわけでしょう。状況が変わっちゃうじゃないですか。状況、時間の経過、状況の変化、相手の対応、こういうことで全部変わっちゃうわけです。しかも、協力隊に入る自衛隊員はこういう自衛官としての身分を持っていますから、自衛隊法にきちっと定められたとおり行動しなければならない。どうするんですか、これは。

石川要三自由民主党防衛庁長官

○石川国務大臣 先ほどの答弁も関連があろうかと思いますが、私どもはやはり安全の確保というそういう前提のもとにこの協力作業を行うわけでありますから、したがって、もし委員が御指摘のような非常に有事的な危険性があるとするならば、当然これはその実施計画の変更、こういうことに私はなろうかと、かように思います。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 いや、だから、その実施計画の変更というのは、本部長のところで会議をやってやるわけですけれども、間に合わないですよ、そんなことでは現場は。その場合、現場の指揮官、責任者の判断で引き返しちゃうという権限を与えるのか与えないのか。そういうふうになっているのか。そうしないと、自衛隊法違反になっちゃう、これは。隊員は、危ないと思って引き揚げたら自衛隊法違反だ、こういうことになるじゃありませんか。そういうことはどういう歯どめになっているんですかということを聞いているわけです。

藤井一夫防衛庁防衛局長

○藤井(一)政府委員 ただいま先生は、危険なところに行かないという前提で命令をされて行っている自衛隊がたまたま危険に遭遇をしたらどうなるのかというような御質問でございますけれども、そもそも私どもといたしましては、今回の御要請といいますのは、国連平和協力会議の諮問を経て、具体的な実施計画で、戦闘行為に巻き込まれることがないようにという万全の方針のもとで参加要請があるというふうに承知しておりますので、万々そういう事態はないというふうに理解をしております。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 極めてあいまいだと思うのですね、総理。総理は、危険なところへ行かせません、行かせません、こうおっしゃるのですけれども、何というか、そういう言葉だけで、法律的に見た場合何も歯どめがかかっていないことを総理はおっしゃるべきじゃないと思うんです。もしおっしゃるなら、法律的な歯どめを明確にすべきだというふうに思います。  総理、この法案について総理は内閣の命運をかけておられるのですか、どうですか。自衛隊の派遣という戦後三十六年間内閣がやってこなかったことを総理はやろうとしている。国民の批判とか、公明党も含めて野党は反対している。また、参議院は与野党逆転状況だ。もしこの法案が成立しなかった場合の総理の政治責任はどうお考えですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 この法案は、大前提となっておりますのが「平和協力業務」というところにきちっと書いたものでありますし、そして自衛隊がいろいろ宣誓義務を持って、宣誓公務員として自衛隊に参加するときは、これは自衛隊の本来の目的を果たすために、自国の防衛のために、自国に直接武力による威嚇もしくは侵略、いろいろ受けたときに、それに向かってきちっと対応する、こういうことの規定がそこに、今お示しになったところには入っておると思うのです。平和協力隊は武力の威嚇や武力行使のために出動させるのではありませんから、平和協力のために限定的な業務の範囲内で協力するわけでありますから、それはそのときの判断によっていろいろと対応が変化することはあり得るわけである、私はそう思いますから、初めから好んで戦闘の行われておるような危険地域には派遣させる考えはない、そういう業務計画をつくる考えもない、こういうことを申し上げたのです。  それから、委員も今おっしゃるように、戦後四十五年で初めて国連が機能するようになったということ、二つの対立が終わりを遂げて冷戦後の初めての事態だということ、こういう事態に当たって、力が弱い国を併合するようなことを黙って見逃すことは、これはいけない。平和理念のもとで国連のそういった決議に基づいて、その決議の実効性が上がるようなあすの社会をつくっていくことが極めて大切だと考えておりますから、できる限りの法案ということでこれを出し、国会にお願いをしておるのでありますから、内閣としては、どうかこの法案は御審議の上、通していただきたい、この強い気持ちを持っております。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 強い気持ちを持っておる程度でございますか。選挙制度のときは、何か命運かけてとおっしゃっていたけれども、こっちの方が大きいですよ、問題としては。憲法の平和原則にかかわる問題ですから。それは、総理がおっしゃるように、米ソが冷戦が終了した、そして、今後は米ソ協調と国連中心で地域紛争の抑止、解決に当たっていく、そういう方向にならざるを得ないということは、それなりに我々は理解できるのです。ただ、だから今自衛隊を出していいんだということには私はならないと思うのです。そういう意味で申し上げておるわけですが、総理、この法律、もし不成立になった場合、総理の責任は——どういう決意ですか、決意は。内閣の命運がかかっている、こういう決意でしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 この法律を議論の上、理解していただいて、通過、成立させていただくことを強く願っております。そのつもりで今後も精魂込めてお願いをしていきます。強い決意であります。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 その問題は、また後ほど関連してきますが、総理、この法案は、国連平和協力法案は、政府の従来の憲法解釈の枠内であるとこう断言できますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 従来いろいろなことが行われてまいりましたが、この種の平和協力という問題については行われてこなかった問題でございますので、従来、できたことに対して、これは合憲か合憲じゃないかということの議論をずっとしてきた問題からしますと、ケースが違うようであります。したがいまして、この国連決議を受けての国連の実効性を確保するための行動に対する協力というものがいいのか悪いのかということは、政府としては、これはいい、憲法の枠内でできるものだ、こう判断をいたしまして、法案をつくりお願いをしておるのでありますが、このことにつきましては、必要ならば内閣の法制局長官から解釈の答弁をいたさせます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 法制局長官に出ていただく前に私の方でちょっと御質問したいのですけれども、十九日の衆議院予算委員会を見ておりまして感じましたことは、谷川元防衛庁長官、谷川議員がここで、予算委員会で質問した。こう言っておるわけですね。これは議事録というか速記を写させていただいたものに基づいて今申し上げておるわけですが、谷川委員は、この法律は「将来できるかもしれない国連軍への協力とは関係ない、国連軍に対する自衛隊の協力といいますか参加とかいうものとは関係ない法律だ、こういうふうに理解してよろしいということでございますね。」こう谷川委員が質問された。これに対して工藤法制局長官は、「今度の法案とはおよそ関係のないことでございます。」こう答弁されたのですが、法制局長官、よろしいですか。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 十月十九日の衆議院予算委員会におきまして、谷川委員の御質問にたしか、私ちょっとここに正確なメモを持っておりませんが、そのようにお答えした記憶がございます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 ここにワープロに打ったやつがあるんですけれども、そうしますと、同じ日に、十九日、衆議院予算会、外務省の柳井条約局長はここでこういう答弁をしているわけですね。この平和協力法案の第一条、第三条に言う「国際の平和及び安全の維持のために国際連合が行う決議」、この「国際連合が行う決議」に、国連憲章三十九条で言う国連軍、四十二条、四十三条で言う国連軍、いわゆるPKOと言われている国連軍、これがこの一条、三条で言う「国際連合の行う決議」に入るかと、こう質問しましたら、全部入りますと、こういう答弁を条約局長はなさっているわけです。そうしますと、工藤法制局長官は、国連軍はこの今度の法案とおよそ関係ないと、条約局長は、「国際連合が行う決議」の中には三十九条、四十二条、四十三条、四十二条タイプの国連軍、三十九条タイプの国連軍、あるいはPKOと称される国連軍、全部この法案の対象でございますということを答えているわけです。工藤法制局長官の答弁は、関係ない。これは答弁が食い違っているわけですが、どういうことでしょうか。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 お答え申し上げます。  私の答弁を引用されましたので、私がどういう趣旨で御答弁申し上げたか簡単に御説明したいと思います。  確かに私はこの法案の対象になり得るということを申し上げましたが、幾つか、私は今ここに議事録を持っておりませんので、正確な点、全部は覚えておりませんけれども、私が申し上げました趣旨は、一応対象になる、ただ、例えば三十九条の勧告に基づく朝鮮国連軍のようなものは歴史的な存在でございますし、また四十二条、四十三条でできる国連軍は将来の問題でございますし、どのようなものができるかによって違うわけでございますが、ここで、この法案で規定しております「平和協力業務」、そのようなもののうちには、先ほど引用されましたような決議に基づく国連軍なり、あるいは平和維持活動の内容として行う協力活動に、この法案でできるものもあるであろう、ただ、この法案は兵力の提供ということはできないわけでございますから、そういう問題は関係がないという趣旨で御答弁申し上げたつもりでございます。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 先日の谷川委員の御質問が、いわゆる将来できます、あるいはできるかもしれない正規の国連軍に対する自衛隊の参加ということについては、これから先の話であって、この法案、今提案されているこの法案は、その将来できるかもしれない国連軍に対する自衛隊の参加、こういうふうなことで問題を提起されたと思います。そういう意味で、私の方は、いわゆる武力の行使というものを前提にした従来の議論を申し上げたので、そういう意味では関係ない、こういうふうに御理解いただきたいと存じます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 これは後で議論しなければいけないのですが、自衛隊の参加とこういう、参加はというふうな質問だったので、関係ないと言った。しかし、この協力法は、自衛隊協力なんですね、自衛隊は国連軍に協力できるわけでしょう。柳井条約局長の答弁に従いますと、第一条と第三条で「国際連合が行う決議」、この決議というのは何も形容詞がついていないわけですから、国際連合が行う決議は全部入るわけですから、全部入るということは三十九条も入るし、四十二条、四十三条も入るということですから。ということは、この平和協力法案によって併任で部隊で参加する自衛隊がこれに協力できるという、こういうことになるわけでして、これは全く関係なくはないのですよ、極めて関係があるわけでして。  それではお伺いしますが、これは法制局長官に伺います。  昭和五十五年の十月三十日、政府答弁書というのがありまして、ここで、国連軍に自衛隊が参加できるかできないかという質問主意書に対する政府の答弁が文書で行われております。この答弁書というのは、もう御承知のように閣議で決定されて出されてくる。したがって、国会で総理が答えたということも非常に重いんですが、さらに閣議決定という手続上の重みもこの答弁書には加わっている。  そういう前提でお伺いするのですが、「「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないと考えている。」この主語を、多国籍軍の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないと。これは国連軍の目的・任務が、国連軍というのは国連決議に基づいて行われる手続のきちっとしたもの、多国籍軍は、ここでずっと議論されておりましたように、国連決議を踏まえているのか、踏まえていないのかという、実効性を確保するためという非常にその辺、皆さん苦しい答弁を繰り返された。したがって、決議の明快な国連軍の参加の場合でも、「「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されない」、こう政府答弁書は明快です。したがって、多国籍軍の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されない、こう当然読めるわけですが、法制局長官の御答弁をいただきたいと思います。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 五十五年の十月の答弁書におきまして、まず前提としては、いわゆる国連軍につきましてはいろいろな形態があり得る、態様があり得るので一概には申し上げられないかという前提を置いてはおりますものの、今おっしゃられましたように、いわゆる国連軍は、その目的・任務が武力行使を伴うようなものであれば、これに参加することは許されない、反面、その国連軍の目的・任務が武力行使を伴わないものであれば、これに参加することは憲法上許されないわけではない、かようなことを申し上げて、たしか答弁書になっていたと思いますが、そういう意味におきまして、これは我が国の武力行使との関連で議論がされているところでございます。  そこが、国連軍が多国籍軍にかわりました場合、その多国籍軍もまたいろいろなことはあり得るだろうとは思いますけれども、今の基本的な考え方は変わらないだろうと思っております。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 いや、ですから、今私の新しい質問は、多国籍軍の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊の参加は憲法上許されない、こう言えますねと、イエスかノーかという御返事を伺っているわけです。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 どうも回りくどく申し上げて恐縮でございますが、まさにそういう意味でございましたら、国連軍が多国籍軍にかわりましても、今の武力行使との関連でございますので、同様に考えてよろしいかと思います。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 多国籍軍の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないと今法制局長官が言いました。総理、同じお考えですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 いわゆる多国籍軍に……(市川委員「いや、イエスかノーかということ」と呼ぶ)自衛隊として参加することはできません。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 そういうことになりますと、要するにこれはもう明快なんですよね。この法律、まあ参加と協力の問題が出てきますが、法制局長官、長官のおっしゃっていることは、この鈴木答弁書とちょっとニュアンスが違うのですね。どうも弱めよう弱めようとしているのですよ、長官は、最近。衆議院の予算委員会、参議院の予算委員会の長官の答弁を聞いていますと、非常に何か長官は持って回ったような言い方を非常にして、頭のすばらしくいい方でいらっしゃるなという印象は受けるのですが、非常に慎重で、将来に含みを残そう残そうという努力をされている。何か非常にプレッシャーがかかっているんだろうなというふうに推測せざるを得ないのですが、しかし長官、これを最高裁に持ち込むと統治行為論で逃げられますから、長官が明快に答弁しないと、憲法解釈というのはぐらぐらするわけですよ、これは。ですからそういう意味で、長官が今国会で答弁して果たしておる役割は非常に重いと私は思うのです。  長官は、十九日の答弁、あるいは二十二日の参議院予算委員会の答弁でこういうふうにおっしゃっているんですね。「その任務が我が国を防衛するものとは言えない、そこまでは言い切れない国連憲章上の国連軍、こういうものに自衛隊を参加させることにつきましては憲法上問題が残るのではなかろうか。」こう言っているわけです。いいですか長官、憲法上の問題が残るのじゃないんですよ。憲法上許されない、こう明確じゃないのですか、鈴木答弁書は。「「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されない」国連軍の任務・目的が武力行使を伴わないものであれば、憲法上は許されるが、自衛隊法でこれはできません、こうなっておるわけですから、長官がそんな、どこのプレッシャーか知りませんが、頭に置いて、「憲法上問題が残るのではなかろうか。」なんて、こんな含みのある答弁をする場合ではないんですよ、これは。明快じゃありませんか。これは長官、はっきりしてください。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 確かに私、十月の十九日とあるいはもう一回、二回その趣旨のことを申し上げました。  といいますのは、実はその都度申し上げておりますところでございますけれども、国連憲章第七章に言ういわゆる国連軍、これが正確に、過去にはまず例がないわけでございます。それで、現在特別協定の姿も見えないわけでございます。  そういう意味ですから、よく中では例え話するのですが、相撲とろうにも相手の姿がちょっとよくわからないので、こういう感じを実は持っておりまして、ぴしゃっと言うには、こちらの解釈から推論してくるとこうなる、ただ、相手の姿がまだはっきりしていないので、そこでまだ憲法上の問題が残る、こういう言い方を申し上げたのであって、決して私自身、どうこうということを言っているつもりはございません。私は、ここではそういう意味の相手方、これを申し上げるときに絶えず申し上げていますが、他方、国連憲章ではこうなっていますということを申し上げて、そういう意味で憲法上の問題が残る、あるいは残るのではなかろうか、こういうふうなことを申し上げているところでございます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 それは長官、ちょっと違うんですよ。長官は衆議院の予算委員会で、まだ思考過程とした未整理の答弁をされたわけですよ。参議院の予算委員会を拝見していますと、かなり長官は、その後反省されたのか、整理された答弁をされているわけですね。  それで、ここにわざわざ、またこれも参議院の議事側に御協力いただいて写させてもらったのですが、ここに文書を持っていますけれども、要するに長官は、まず自衛隊につきましては、我が国の自衛のための最小必要限度の実力行使、これは憲法上許される、ということを基本に置いて、そこから派生する系、系列とかいう意味でおっしゃっているのだろうと思うのですね、三つのことをおっしゃっている。一つは、武力行使の伴う、他国の領海、領空に武力行使を前提として行くのは、これはだめです、それから自国と密接な関係にある国が攻撃され、自分の国が攻撃されてないにもかかわらずこれを阻止するのは、集団自衛権ですからこれはだめです、こう言っておるわけです。三番目に、国連憲章上の国連軍、目的・任務が武力行使を伴うものであれば、これは憲法上できないと。いいですか、そう言った上で、かような憲法解釈の積み重ねをもとに置いて推論しますと、推論の話はその後に出てくるんですよ。ですから、その前の段階の、従来の憲法解釈を聞いている段階で、長官は、憲法上の問題が残るのではあるまいかという極めて弱々しい言い方をされている。そこが問題なんですよ。もう鈴木見解で明快じゃありませんか。「「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、」自衛隊の参加は「憲法上許されない」残るものであろうかなんというそんなものじゃないじゃありませんか。明快に言ってください、長官。鈴木見解どおりですと。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 どうも繰り返しになって恐縮でございますが、まず私は、先ほど委員御指摘のとおりに、自衛隊の存在理由といいますか、我が国の自衛隊が憲法九条に違反するものではないということをまず申し上げます。それからその次に、その存在理由からこういうことですということで三点申し上げました。  そういうことが従来の憲法九条をめぐる解釈であり、積み重ねであるとすれば、そういうものからすると、実はその次でございますが、その任務が我が国を防衛するものとは言えない国連憲章第七章に基づく国連軍、ここのところに実はふわっとしたところがまだ残っているわけでございます。その任務が我が国を防衛するものとは言えない、あるいは言えないのではなかろうかという、そういう国連憲章の国連軍、そういうものに参加させることにつきましては、憲法上問題が残るのではなかろうか。実はそこのところは、後ろの「他方」以下のところを多少先取りしてそこで言っているわけでございます。したがって、やはり両方合わせてみないと、総合勘案してみないと、そこのところは具体的な明確な判断は申し上げにくい、こういうことを言っているわけでございます。  ただ、私は、憲法上の問題がないとか、あるいはそういうことは一切申し上げてないのであって、まず今までの歴史の積み重ねからいえば問題が残る、こういうことは明確に申し上げているところでございます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 ふわっと何か問題が残ると言うのですけれども、総理、鈴木答弁書は「「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないと考えている。」と、明快じゃないですか。何もふわっとするところないですよ、これ。しかも、この後に、「「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴わないものであれば、」「憲法上許されないわけではない」というところまで丁寧に書いてあるのですから。長官、総理大臣、ふわっとした余地はないですよ、この鈴木答弁書は。何もふわっとした余地ないじゃありませんか。「「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されない」と、明快じゃありませんか。これを変えるのですか。今の長官の答弁は、何かこれを変えようとする答弁ですね。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 私は、五十五年十月の答弁書でございますが、これを変えるということは一切申しておりませんし、またそのつもりもございません。まずそれが第一点でございます。  それから第二点として、今ふわっとということを申し上げたのですが、実はいわゆる従来の国連軍、ここで言う、この答弁書で触れております国連軍、これは、こういう形態のもので、こういう目的で、こういう人たちが集まってという過去のそれぞれについての適用、当てはめの問題でございます。これはそういう意味で、適用、当てはめでございますから、明確にここでは言ったわけでございます。それと同じような事態であるなら、こちらも当然同じ問題が出てくる。ただ、その適用、当てはめの対象が、先ほども申し上げましたけれども、今のところ似たような、四十二条、四十三条でいけばそうなると思われるから、思われるというか、五十五年と同じようであればもちろん問題になるという趣旨でございます。ただ、そこまで明確にこの国連憲章七章に基づく国連軍、言い切れるだろうか。そこのところが、まだ姿が見えないだけに、そこの問題が残るとしかそこのところは言い得ないんじゃなかろうか。適用、当てはめの相手方のところがそういう形であるということを申し上げているわけでございます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 ちょっとその答弁もおかしいんですよね。相手方が見えないから判断の余地が残るみたいなことをおっしゃっているわけですけれどもね、長官。だけれども、この昭和五十五年十月三十日、鈴木内閣が答弁書を書いて閣議決定した段階で、国連憲章は存在したわけですよ。五十五年以降に国連憲章ができたわけではない。したがって、法制局とも十分内閣が相談をしてつくっているはずなんですよ、閣議決定なんですから。すると、第七章の安全保障措置としての国連軍というものは頭に十分入れた上で、この五十五年の鈴木答弁書というのが出てきたわけでしょう。その鈴木答弁書は、いかなる修飾語も条件もなしで、「「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないと考えている。」と明快に答えているわけです。じゃ、何でその五十五年のときに、その国連軍は姿かたちが見えませんから、姿かたちを見てから判断する余地もありますがとかいう文言がないのですか。そんなの入ってないじゃありませんか。明快じゃありませんか。国連憲章というものを十分しんしゃくして内閣が閣議決定して出した答弁書じゃありませんか。それがふらふらふらふらするのでは困る。したがって、将来といえどもこの鈴木答弁書の解釈を変更しない限り、私は、自衛隊が国連軍に参加することは、政府解釈の違反、憲法違反、こうならざるを得ないと思うのです。どうお考えですか。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 今、委員、国連軍ということで仰せられましたけれども、実はこの五十五年十月七日、これは正確に申し上げますと、稲葉委員が提出されて、それにお答えしたものでございます。「自衛隊の海外派兵・日米安保条約等の問題に関する質問主意書」これにお答えしたものでございます。実は、その質問主意書の中で、質問の方で述べられておりますのが、「国連紛争を解決するため国連がその「平和維持活動」として現実に編成したいわゆる「国連軍」に関し、」こういう前提がついているわけであります。それで、その現実に編成したいわゆる国連軍に対して、それはまず質問として、どういう目的でどういう編成をされ、どういう任務にあったのか、過去の事例を挙げてカテゴリー別に説明をされたいというのがまずありまして、それらを受けたところで今の話が出てくるわけでございます。それで答えの方も、まず今のところで「国連がその「平和維持活動」として編成したいわゆる「国連軍」には、大別して、通常、」こういうものとこういうものがありますということを述べた上で、そういうことを、したがって、過去にできましたこの十幾つかだろうと思いますが、私、数はちょっと正確でございませんが、これらのところを引きまして、「いわゆる「国連車」は、個々の事例によりその目的・任務が異なるので、それへの参加の可否を一律に論ずることはできないが、」これはあくまでも現実にできました過去のいわゆる国連軍、これを前提に置いて「当該「国連軍」の目的・任務が」こういうふうに申し上げている。したがって、私が先ほどお答えしましたうちの第三番目のいわゆる国連軍と申し上げたのは、この質問主意書を引いて申し上げているのであり、かつ、これについては全然見解は変えていないところでございます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 そこで、国連軍の、国連軍と言うのは、何で国連軍を言うかといいますと、一つの理由は、この平和協力法の一条、三条で言う国連決議が、柳井条約局長の答弁で明らかなように、三十九条タイプも四十二条、四十三条でできる国連軍も対象です、対象ですと、こう言っているわけです。だから将来の問題じゃないのです、これは。できるかできないかは将来の問題かもしれませんが、法案としては対象に入れているんだから、今日の問題じゃありませんか、そういう意味において、そんな憲法判断が不明確じゃ困るということを言っているわけです。だって、法案の中には入っているんでしょう、三十九条と四十二条、四十三条が。ところが、これはできてみないと憲法判断できません、こういう答弁ですよ、今の答弁は。そこで聞いているわけですね。  ですから、国連軍というのは国連憲章の決議に基づいて明快な手続でつくられるもの、多国籍軍というのは国連決議に基づいてつくられたわけではない、その決議の実効性を確保するために展開している、さっきからこう答弁されているわけです。そうすると、この平和協力法の趣旨からいいますと、国連軍の方が、ある意味では、決議に基づいているか基づいていないかという点では、より明快なわけですね。多国籍軍の方が非常に不明快。これに自衛隊が参加することは憲法上許されない、さっき答弁された。  じゃ、参加はだめで協力がいいという論拠は何ですか、総理。総理にお伺いしますが、参加は憲法違反なんだ、しかし協力は憲法の範囲内なんだ。こんなの詭弁ですよ。どこで区別するのですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 参加をして、一緒になって行動したり一緒になって武力行使をするということは、これは明らかにいけないことだと思っております。ですから、この平和協力法には、明らかに、武力による威嚇もしくは武力の行使に当たるものであってはならないと、大きな大前提をきちっと置いておるわけでありますから、そういったときに、多国籍軍でもそこへ参加をすることはいけないことだ。協力するというのは、そういう状況を見ながら国連の決議の実効性を確保することが必要だという気持ちは我が方にもあるわけでありますし、また、力による侵略や併合を認めてはいけないという立場に立つこともそのとおりでありますから、その立場で協力をする、自主的にいろいろな業務計画をつくって協力をしていくということでありますから、そこに明らかな違いがあると私は思います。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 参加と協力、これは非常に区別しがたいと思うのですね。参加なら憲法違反で協力なら合憲だ、こういう問題を論じているのですよ。何か、辞書にどう書いてありますかと質問しているわけじゃないのです、私はこれは。だから、どういう判断の基準で政府は参加か協力かを分けるのですか。片方は合憲で片方は違憲と言う以上は、明快な政府としての判断の基準、これは私は必要だと思う。これを示していただきたい。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 私たちは、自衛隊を自衛隊として派兵することはいけない、法律に根拠があって派遣することはいいというふうに、こう考えておりますし、それから自衛隊が武力行使の目的を持って参加することと、それから武力行使の目的を持たないで、歯どめをかけて自主的に協力する協力隊に自衛隊にも参加をしてもらうということは、これは明らかに違うと考えます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 そういう質問をしているわけではありません。国連軍の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊が参加することは憲法上許されない、多国籍軍の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊は参加することは憲法上許されない。これは明快ですよ、さっき確認したのですから。協力なら今度はいいということでしょう。さっきの論議を聞いていると、多国籍軍も武力行使をするかもわからない、しても協力業務ができるかもわからないということを柳井条約局長ここで答弁していましたよ、さっき。さっき伺った。それが国連決議の実効性確保の継続になるのかならないのかで判断します、こういう答弁をここでしていますよ。あの答弁だってもう大問題なんです、今までの憲法解釈からいえば。  まずそれはおいたとして、私が聞いているのは、多国籍軍の目的・任務が武力行使なんです。自衛隊が参加することは憲法上許されないというのは、政府の憲法解釈じゃありませんか、何で協力ならいいんですかと聞いている。協力と参加の明快な区別をしなさいということを言っているわけです。どういう判断基準なのか。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 これは先日のいわゆる正規国連軍への参加のときにも申し上げたところでございますけれども、まず、なぜそれでは五十五年十月の質問主意書に対する答弁書におきまして、国連軍が、その目的・任務が武力行使を伴うものであれば参加することが許されないと申し上げたかというその前提として、先ほど私の発言を引かれて、系というふうにおっしゃられました。私もまさにそういうことだと思うのですが、憲法九条が、自衛隊は合憲である、しかしその合憲であるということは、我が国の自衛のための必要最小限度の実力組織であるということから合憲である、逆にその限度を超えるものは憲法はこれを許さない、こういう論理からスタートしまして、いわゆる海外派兵ですとかいうことを申し上げているわけです。  それと同じように、いわばそういう武力行使、その目的・任務に武力行使を伴うもの、そういういわゆる国連軍の中に入り込んでやれば、それはもうまさに我が国の自衛隊がみずから武力行使をしたと同様な形になる、そういう意味で参加ということを申し上げたわけであって、その武力行使と、いわゆる国連軍、あるいは多国籍軍でもよろしいのですが、が、武力行使、これをその目的・任務と関連づけていたとしても、それに対していわゆる参加、横から協力する、それの中に入り込んでみずから武力行使をしていると見られるというものと、あくまでも横から、その武力の行使をしているとは見られない、ここに一つのはっきりした限界があろうか、かように思っているわけであります。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 政府の行うことが合憲になるのか違憲になるのか、その判断の基準としては、今の話じゃ全くわからないですね、これは。全く恣意的で、もっと明快な見解を出してくださいよ。  論議をわかりやすくするためにあえて申し上げているんですが、国連軍の性格を言っているわけです、この鈴木答弁書は。自衛隊が武力行使を前提としているかしてないかということは言ってない。いいですか長官、総理。そうでしょう。  国連軍の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊は参加できません、国連軍の目的・任務が武力行使を伴わないものであれば、自衛隊の参加は許されますと、丁寧に二つ言っているじゃありませんか。したがって、長官の答弁は答弁になってないんですよ。入り込んで巻き込まれるかあるいは巻き込まれたと見られるかというような余地はないんですよ。国連軍の性格が、その目的・任務が武力行使を伴うものであれば自衛隊は参加できない、それがまた伴わないものであれば参加できます、明快じゃありませんか、答弁は。横から入るとか後ろから入るとかなんとか、わけのわからない、そのことによって平和協力隊のやろうとすることが合憲か違憲かが判断されるのですよ。何か中へ入り込むとか横からならいいんだとかという、そんなわけのわからない答弁で済むと思いますか。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 どうも私の表現が稚拙であったのかもしれませんけれども、こういうふうにお考えいただければと思うわけでございます。  それは、当該国連軍の目的・任務が武力行使を伴わないものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないわけではない、こういうのは、それには幾ら入りましても、それに参加しましても、それ全体は武力行使ではございませんから、憲法九条の関知するところではないわけでございます。  それに対しまして、その目的・任務が武力行使を伴うものであれば自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないというのは、まさにそれに参加することによって我が国が武力の行使をしたと同然のことになる、そのようなものは許されない、こういう、まさに憲法九条あるいは自衛隊の存在理由、これからスタートしているわけでございます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 ですから、参加は許されないわけでしょう。ただ、皆さん協力はいい、こう言うわけですよ。とすると、参加は憲法上許されなくて協力は許されるというのは、じゃ参加と協力はどういう基準で内閣が判断するのか、こう聞いておるわけです。それを、憲法の重要な判断が、中へ入ったとか入らないとか、横から支えるんだとか支えないんだとかという、そんなわけのわからない基準で判断するんですかと、総理、そういうものですかと。もっと明快な基準があるはずでしょう、憲法解釈なんですから。それを出しなさいよ、それを。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 第二条に、初めから、武力による威嚇、武力の行使に当たるものであってはならないということでありますから、これに基づいて協力するんですから、この協力隊は。だから次元が違うんじゃないんでしょうか。多国籍軍の中へ入り込んでいって、自衛隊が八十七条の武器も任務規定で全部持っていくなんという、そんなことではないんです、これ。違うんです。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 どうも私の表現方法が悪いのかもしれませんが、憲法九条では武力の行使を禁止しているわけでございます。したがって、許されないのは武力の行使に当たることが許されないわけでございます。そのときに国連軍、いわゆるこれまでの国連軍に参加する、武力行使の目的、これをその目的・任務とするものに入り込んでいく。入り込んでいくと言うとまた怒られますが、いわゆるそれの中に入って、その結果、我が国が武力行使と見られることになる、それは憲法で禁じているところである。それに対して、我が国が武力行使を伴わない、その任務・目的に武力行使を伴わない国連軍に幾らこれは協力しても、そもそもが武力行使にはならないのですから、憲法九条の当然枠外である、こういうことになるわけであります。  それで、それでは今度はその次に、その任務・目的が武力行使を伴うもの、これに協力するという話でございます。これは、その協力する態様が全く、先ほども話に出ておりましたが、前線の最前線に行ってその部隊と一緒になって、協力といってもそこまで行って一緒になるような、そこまでいけばいわば我が国が武力の行使と見られるようになるから問題である、これは先ほど条約局長も、武力の行使と一体化にするというふうな表現で申し上げておりましたし、過去においても私どもそういう答弁例がございます。そういうことで、そこの、あくまでも武力の行使となるか、見られるか、そこのところが決定的な違いだろうと思っております。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 そうしますと、多国籍軍の目的・任務が武力行使を伴う場合は自衛隊が参加できない、協力はできる、これは政府の考え方ですからね。そうすると、参加と協力をどこで分けるのか、今長官の答弁は、自衛隊が武力行使が伴うのかどうか、そこで分けているんだ、こう言うんですよ。これはどうも、その角度の話はそれなりにそうなんですけれども、鈴木見解はそういうふうに書いてないわけだよね。国連軍の目的・任務が武力行使を伴うものであればと、あくまでも自衛隊の武力行使がどうこうという角度の話は触れられてないわけです。国連軍の任務・目的で明快に規定しているわけですね。  今回の平和協力法も、多国籍軍がこれは武力行使を前提としているわけですから、これに自衛隊が協力する。我々は参加と協力の区別がつかない。したがって、参加、協力の明快な基準を、この間の予算委員会では、法制局長官は、国連軍の場合は指揮に入るか入らないかが一つのメルクマールだ、こう答弁された。今の答弁は、自衛隊が武力行使するかしないか。武力行使するかしないかということは、これは何も国連軍との絡みで議論しなくても、もう明快なわけですよ、憲法九条の解釈として。我が国を守る最小必要限度の防衛力はこれは合憲、これを超える集団自衛権、これはだめ。  今度は、それではもう一つ、国連軍の参加の問題が起きてきたわけです。国連軍の任務・目的が武力行使を伴うものであれば自衛隊は参加できない。あくまでも国連軍の性格づけを基本に鈴木答弁書というものはできているわけですよ。まさにそれが、今回の平和協力法の絡みで言うと、今回の中東の場合、多国籍軍が武力行使を前提としているわけですから、これに自衛隊が協力するということは参加とどう違うのかということは大問題なわけです。この法案で一番ひっかかってくるわけです。武力行使、武力の威嚇や行使をしないということをうたっているんだからいいじゃありませんかというのは、さきの答弁の例に従えば一つのことを言ったにすぎないのであって、もう一つ、それでは国連軍の例で言えば、指揮に入ったのか入らないのかという問題だって残るわけでしょう、長官の答弁に従えば。多国籍軍の指揮下に入るのか入らないのか、多国籍軍というのは統一した指揮者がいないわけですから、その指揮に入る入らないという問題は、非常に難しい問題。国連軍は国連という一つの指揮下にある。この参加と協力という問題は、ただ単に自衛隊が武力行使をするかしないかということだけではない、まだもう一つのメルクマールがありますと長官答えているじゃないですか。そのメルクマールというのは幾つあるんですか。どういうメルクマールを置いて判断をされるのか、これはやはり明快にする必要があると思いますよ。それを伺いたい。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 先ほどからの繰り返しの部分が若干ございますが、やはり武力の行使となるかどうか、我が国の武力の行使と判断されるかどうかということが最終的なものだろうと思います。  ただ、それではどうなるかわからないではないか、こういう仰せですが、私は確かに数日前に、指揮のもとに入る、これが一つのメルクマールだろう、こういうふうに申し上げました。指揮のもとに入って、いわばそれの一体性といいますか、その組織としての一体性、一員としてといいますか、そういうふうな行動を予定する、そういう関与の仕方というのは明らかにといいますか、参加だろうと思います。それに対しまして、そういう指揮下に入るとかあるいは組織の中に入るとかいうことでなくて、そういう別の関与形態、関与する形態、こういうものは、当然これは協力と考えてよろしかろうと思います。  ただ私は、ちょっと議論がここから混乱するかもしれませんが、協力の中でも武力の行使と一体になるようなもの、これは許されない、いわば武力の行使そのものと密着しているんだから許されない、こういうことは従来申し上げているところでございます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 それでは総理、今の長官の答弁でいいですか。ちょっと総理に確認しておきましょう。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 今の法制局長官の答弁、私はそれで結構だと思います。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 そうすると、長官の言う、この予算委員会で言った指揮に入るか入らないかというのは、武力行使との一体性だけという意味なんですか。長官は、今の説明ですと、指揮に入るか入らないか、それはまた武力行使と一体と見られるか見られないか、こういう論理立てで、ちょっと別のまた論理を置いて説明されているのですけれども、要するに、何が太い基準なんですか。指揮なんですか。そうすると長官、政府がやろうとしていることが、憲法解釈として参加は違憲です、協力は合憲です、こういう違憲か合憲かという判断が絡んでいる問題が、どうも何か法制局長官が来て頭をひねりながらしゃべらなければならないような基準しか内閣にはないんですかということなんですよ。  では総理、明快に総理から答弁してください。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 現在提案しておるこの法律からいきましても、武力行使を伴うものは、これは武力行使の協力や武力行使をやるということ、武力を持って出ていってともにやるということ、これはいけません。  それから、その参加と協力の分け方が今議論になったようですが、私は、やはり参加というのは指摘下に入るということも今長官の指揮したとおり、そして、組織の一部として一体性を持って共同行為をして武力行使をするということも、これもいけない。武力行使をするということが憲法が許しておらないものだという大前提に立てば、武力による威嚇、武力の行使に当たるものであってはならないという大前提を置いて、そしてまたこちらでは、三条にこれとこれとこれぐらいは協力できるでしょうという項目をきちっとつくって、協力業務を業務計画として決めて、そして自主的に協力するんですから、一体になったり指揮下に入ったり武力行使をしたりは絶対にしないわけでありますから、そこに判然と区別して御理解をいただければ、今の長官の答弁もそういうことを言っておる、ですから、私はよろしいと、こう申し上げたのです。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 まだ問題がたくさんあるわけですね。武力行使と一体か一体でないかなんて、こんな区別は本来つかないわけですよ、現実には、戦端が開かれちゃった場合は。戦端が開かれてなければある程度状況判断は可能だと思う。戦端が開かれれば、これは前線が日常的に動くわけですから。ですから、武力行使と一体不可分の拠点まで弾薬持っていきませんとさっき答えているんだけれども、そうこっちでは判断しているうちに戦線が後退してきちゃったら、これは一体不可分になっちゃうわけですから、それなら区別がつかない。  武器弾薬は輸送する、しかし武力行使と一体のところまでは持っていかないんだ、これもおかしな議論で、第二次大戦ではドイツはUボートを出して全部兵たん線を破壊したじゃないですか。通商路を破壊したじゃありませんか。軍事的には通商路というのは全部軍事活動ですよ。そんなことは通用しませんよ、国際的に。輸送船の中に軍事物資、武器弾薬は積んであります。ただ、バーレーンまでお届けして、戦闘地域までは陸送しませんから御勘弁ください、そんなばかなことが国際的に通用しますか。明らかな兵たん活動。戦端が開かれれば攻撃されても何にも文句は言えないじゃありませんか。そういうことが武力行使と一体なのか一体でないのか、こんな抽象的な、実際に起きた事態に当てはめることのできない基準で合憲だとか違憲だとかという判断をされるんですかと、そういう問題点がこの法案には含まれておるわけですよ。まず第一条の、武力行使を前提とした多国籍軍に自衛隊が協力する、参加は違憲、協力は合憲、これは大問題ですよ。したがって、これは明快な政府の今の時点での統一見解を私は要求したいと思います。どうでしょうか。

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 今市川委員の御指摘の点につきましての扱いは、理事会で協議をさせていただきます。統一見解の問題についての扱いは、理事会で協議をさせていただきます。(発言する者あり)  ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 速記を始めてください。  委員長から申し上げます。今の市川雄一君の御質疑に関する政府の統一見解につきましては、これを整理して出してもらうことにいたし、そしてその扱い、出し方等については、理事会において協議をいたすことにいたします。  市川雄一君。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 統一見解をぜひ出していただきたいと思います。  それでは、次の問題を御質問したいと思います。  五十五年十月三十日の鈴木答弁書、国連軍の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊の参加は憲法上許されない。恐らくこの答弁はいろいろな意味で、これからもし政府が柔軟なことを、憲法の解釈をもっと広げようと思ったときに一番足かせになってくる、制約になってくる答弁書だと私は重視しているわけですが、この答弁を変えるような解釈を政府がする場合、法制局長官、閣議決定して質問主意書に対する答弁として答えたこの昭和五十五年十月三十日の鈴木内閣総理大臣見解、これを解釈を変えるような見解を政府が出そうとした場合、これは憲法改正という手段を踏まなければできないと私は考えておりますが、長官はどういうお考えですか。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 質問主意書におきます答弁書で述べましたことの変更、この部分は憲法解釈にわたる部分でございますが、それが必ず憲法改正をしなければできないとまで言い切るわけにはいかないと思います。ただ、どういう変更の仕方があるのか、これはちょっと私も、こういうのがあるというふうに明確に今申し上げる自信はございません。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 憲法の第九条に関する政府の解釈、これは非常に重要な解釈であります。その解釈によって、それを規範として政府は行動しておるわけですから、解釈を変更するということは、政府の行動のもとになる規範が変わってしまうわけですから、この解釈の変更は非常に重要である。重要な解釈の変更が一内閣の判断でできるのかどうか。やはり憲法改正という手段を講じなければ私はできない、それだけの重みがある、こう考えているわけですが、法制局長官あるいは総理大臣、それをどう受けとめていらっしゃいますか。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 今お尋ねの件は、十月の十九日、衆議院の予算委員会におきまして神崎委員からもお尋ねをいただいたところでございます。  ただいまその五十五年十月の質問主意書に対する答弁書ということを仰せられましたけれども、実はそれの根にある議論は憲法九条をめぐる議論でございまして、そういう一連の議論が積み重なっているといいますか、それぞれ派生してくるといいますか、そういうものでございますので、その一部だけをちょっと直せば済むというふうなものでないことは事実でございます。したがいまして、そのよって立つところを全部論理的に整合性合うような形にならなければ、これは幾つかの派生してきた中の一つだけをちょっと変えればいいというふうなものでないことだけは申し上げられると思いますが、その全体の論理的な整合性というものをどういうふうにとっていくのか、それはいろいろ考えなければならないところだと思います。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 全体の論理の整合性とかという問題じゃなくて、政府の憲法解釈ですよ。憲法解釈の変更が内閣の判断によって簡単にできるということであったら、これはもう全く法治国家の体をなさなくなってしまうわけでして、やはり明文の改正を伴わなければ政府は確定した憲法解釈というのはできない、これが本来の筋じゃないんですか、長官。そういうふうにお考えじゃないんですか。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 解釈なるもの、これは憲法の解釈が一番重要だと思いますが、こういう手続でしなければならないというような手続をはっきり定めたものは当然ないと思います。  ただ、それでは常に恣意的に変えていいのか、こういうものでは絶対ないわけでございまして、法律の解釈というのは、やはり立案者の意図なり、それができますときの社会的な状況なり、あるいはその後の社会的な状況なりというものが全部そこで積み重なって出てきておりますので、その明確な手続があるかと言われれば、それは明確な手続を定めたものはないけれども、しかし、そういうこと全体を考えた法的な整合性というふうなものをあくまでも考えた上での論理の話としてしなければならない、かように考えております。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 それは答弁になっていませんね。総理はどうお考えですか、総理御自身は。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 この答弁書に書かれておりますように、いわゆる「「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないと考えている。」こう政府は答弁しております。五十五年十月七日の答弁書のことでありますが、そのときには、その背景として、全自衛隊はその任務の遂行のために包括的に必要な武器を保有することができるというのを当然背景に持った自衛隊の海外派兵になるわけでありますから、私はそういう意味からいって、この考え方はこれで間違っておらぬから、これを今変える必要はない、こういうふうに法制局長官が答えますことに同意をしておりますし、私もこの解釈を変えるという考えはございません。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 いや、総理が変えるか変えないかを伺っているのじゃなくて、もし変えようとした場合、単なる内閣の判断によっては変えられませんね、憲法改正という重い手続を踏まなければ、もうそれは単なる解釈の改正ではなくて憲法の改正に当たるわけですから、改正をしなければもうできませんねと、これを聞いているわけです。それほど重要な判断ではないのですか、憲法解釈というのは。  これは長官、同じ答弁になると思いますからあえて申し上げますが、昭和五十八年二月二十二日、角田当時の法制局長官がお答えになっているんですよ、長官。なかなか用心深く、出しませんが、「仮に、全く仮に、集団的自衛権の行使を憲法上認めたいという考え方があり、それを明確にしたいということであれば、憲法改正という手段を当然とらざるを得ないと思います。したがって、そういう手段をとらない限りできないということになると思います。」この日もきょうと同じようなことをもう何回もやって、ようやくこういう答弁が出てきたわけですね。それで、安倍当時外務大臣、谷川当時防衛庁長官、この法制局長官の答弁、どう思うか、全くそのとおりですと。これはもう政府見解ですよ、ですから。外務大臣と防衛庁長官が同意しておるのですから。  こうなってきますと、この予算委員会、衆議院の予算委員会あるいは参議院の予算委員会あるいは本日のこの特別委員会において、法制局長官が何回も何回もこの席で答弁されている最小必要限度の自衛力の行使、これは憲法上許される。これを基軸にして他国の領海、領空、領土を侵略するあるいは攻める、そういう目的を持って自衛隊が武力行使で出ていくことは、これはできない。あるいは武力行使を前提として自衛隊が外へ行くことは派兵につながる、できない。自国と密接な関係にある国が攻撃を受けて、日本の国は攻撃されていないんだけれども、にもかかわらず、その自国と密接な国を攻撃から守るあるいは阻止する、これは集団自衛権で、憲法九条の解釈としてはこれはできない、こうおっしゃった。もう一点、国連憲章上の国連軍、その目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊の参加は憲法上できない。  いずれのものも全部憲法九条解釈を基本にしておっしゃっているわけですよね。ですから、これを政府がそのときの内閣の一判断で解釈を変更しようとすることはもうできない、憲法改正という手段を講じなければできない、こうかつての法制局長官は言い、外務大臣も防衛庁長官も同意をした、こういう事実があるわけでございまして、そのとおりだと私は思うのですが、総理、どうですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 法制局長官の言いました考え方を私もそのとおりだとこう言っておるわけでありますから、今ここで武装集団である自衛隊を自衛隊のままで国連軍に参加させることがいいとか悪いとか、そんなことを我々は毛頭考えておりませんので、武力行使を伴わない国連平和協力隊を協力業務の範囲において参加させようということであって、この今議論になっておる字句、項目の考え方を、これを変えるとか変えようとか思ってはおりません。(市川委員「答弁になっていない」と呼ぶ)

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 質疑を追加してください。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 だから、五十八年の二月二十二日の算委員会議事録に明快に書いてあるわけです。集団自衛権に関する政府解釈の変更は、憲法改正という手段を用いなければできません、こう法制局長官が答えた。外務大臣と時の防衛庁長官も答えた。この鈴木答弁書は集団自衛権に関する答弁でないかもしれない。関連はしている。九条ですから、関連はしている。集団自衛権というものが禁止されているということが根っこにあって判断されて出てきた答弁という意味においては関連はある。しかし、そのものずばりの集団自衛権の解釈ではないかもしれない、集団自衛権というのは自国が密接な関係云々ということを置いておるわけですから。しかし、九条解釈として法制局長官は三つのことを絶えず言っているわけですね、この委員会で。  一つは、武力行使を前提とした自衛隊の派遣はだめですよ、それから、集団自衛権はだめですよ、国連軍の任務・目的が武力行使を伴うものであればだめですよ、こう言っている。  今私が質問しているのは、この国連軍の任務・目的が武力行使を伴うものであれば自衛隊は憲法上参加できない、この政府解釈の変更は、集団自衛権の解釈の変更と同じように憲法改正という手段を講じなければできないことですねと、こう聞いているわけです。これに対する答えに今の総理の答弁はなっていません、こう言っているわけです。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 大変恐縮でございますが、その五十八年の答弁、ちょっと手元に持ってきておりませんので、明確にお答えするわけにはまいりませんが、いずれにしろ、総理も常々おっしゃっていますように、憲法の改正というものは考えていらっしゃらない、こういうことでございます。  私どもの方でいろいろ研究しているというのは、これは先日の神崎委員にお答え申し上げましたように、常日ごろいろいろと検討しているということはございます。そういう意味で、格別総理のお考えも変わっていないと思いますし、私の方の態度も何も変わっているところはございません。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 集団自衛権に関する解釈の変更は、憲法改正という重い手続を踏まなければできないというのが法制局長官の答弁。国連軍の目的・任務が武力行使を伴うものであれば自衛隊が参加することは憲法上許されないというこの解釈はどうなんだと聞いている。集団自衛権に関する解釈はだめです、この解釈はそういうたがをはめたくないということですか、それじゃ。おかしいじゃありませんか。全部九条の解釈ですよ、全部重要な、同じ重みがあるじゃありませんか。一つのことについては憲法改正という手段がなければできないと言い、もう一つのことについてはあいまいな答弁をする。これは明確に答弁をしていただきたい。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 私、決してあいまいな答弁を申し上げるつもりはございません。ただ、今委員御指摘の五十五年でございますか、ちょっと手元にないものですから、そういう意味で、そのとおりと申し上げる実は前提がちょっと手元にないものですから、お答えを渋ったわけでございます。(市川委員、資料を示す)  お答え申し上げます。  ただいまの五十八年二月の予算委員会におきます角田元長官の答弁でございますが、「政府は政府なりにこれが正しい憲法解釈だと信じているわけでありますから、その正しいというものが正しくないという変更をするということをしない限り、現在の憲法の解釈というものは変えられないといいますか、変えるつもりはないというのと同じだと思います」というところ、あるいは「集団的自衛権の行使はできないという見解は、政策変更によって変更できるというような性質のものではないということは、まず申し上げていいと思います。」これはそのとおりだと思います。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 その後、「憲法改正という手段」その一番最後のところ、そこが大事なんだ。「仮に、仮に、」というところ。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 「仮に、全く仮に、集団的自衛権の行使を憲法上認めたいという考え方があり、それを明確にしたいということであれば、憲法改正という手段を当然とらざるを得ないと思います。したがって、そういう手段をとらない限りできないということになると思います。」これは今のような論理から申し上げれば、そういうことに当然なろうかと思います。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 これがそのとおりかどうか聞いているわけじゃないんですよ、これを読めばわかるんだから。何を言っているんですか。これを今さら何もあなたに読んでいただいて、このとおりですなんて、そんな質問をしているわけじゃなくて、五十五年の十月三十日の鈴木答弁書の解釈変更もこれと同じですかと聞いているわけで、答えてください。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 同じポジションにありますれば、当然同じお答えをすることになると思います。そういう意味で、今のと同じポジションにあるものと思っております。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 総理、同じポジションにあればこれと同じであるという今法制局長官の答弁がありました。総理も同じでしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 先ほどから申し上げておりますように、私は、法制的な言葉じゃなくて、ここに書いてあるこの問題については、この解釈を変えるということは考えておりませんので、その先のことについては法制局長官の言うふうになっていくと思います。変えるということを考えてないのですから。(市川委員「長官の言ったとおり」と呼ぶ)はい、そのとおり。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 そうすると、国連軍の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、これに自衛隊が参加することは憲法上許されない、これは仮に内閣が先行きかわったとしても、海部内閣が未来永劫に行くわけじゃありませんので、かわったとしても、これを変えようとした場合は、憲法改正という重い手段を講じなければこの解釈の変更はできない、このように今法制局長官と総理大臣の答弁を受けとめましたが、総理、大変恐縮ですが、大事なことでありますので、それで間違いない、こういう御答弁をいただきたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 この解釈を変える気持ちはありませんということは、憲法の解釈も変える気持ちはありませんということで、九条に書いてある武力による威嚇もしくは武力を行使することは考えておりませんという、それができるとは思っておりませんということでありますから、その先の仮定の問題についてどうこう言うわけにはいけないと思いますが、法制局長官が内閣の法制局として答えた問題については、私はそれはそうだと申し上げます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 認めるわけですね。法制局長官がここで答弁したことは総理は認めるわけですね。認めますと明快に言ってください。うなずいているだけでは議事録に残りませんから。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 内閣法制局長官がここでお答えしたことは、私は認めます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 そうなりますと、研究しているとか、将来の問題であるとか、憲法の集団自衛権あるいは今の政府解釈に重要な影響を与えるであろう問題が、政府内もしくは自民党内でどうも議論されているように我々は伺うわけです。国連憲章の言う、第七章で言う安全保障措置は日本国憲法が禁止している集団自衛権と概念が違う、これは国際法上の常識だ、こういうふうに私も一応理解はしております。しかし、だから、では第七章の集団安全保障措置としての国連軍に自衛隊が参加できるのかできないのか、こう問題をただしてみますと、この鈴木答弁書というのが一つの大きな解釈としてあるわけですね。  国連軍の任務・目的が武力行使を伴うものであれば、自衛隊が参加することは憲法上許されない。四十二条、四十三条というのは、だれが考えたって、これは柳井条約局長もここで答弁していますけれども、武力行使が前提なわけですよ。軍事的措置を決議して四十三条特別協定でできる国連軍なんですから、武力行使を伴わない国連軍であるわけかない。侵略が起きた、国連軍が行って鎮圧するという前提で四十二条の決定が下されるわけですから、それで四十三条で特別協定、武力行使が前提。そうなると、そこに自衛隊が参加することはできない、こういうことでございまして、集団自衛権という概念と国連憲章第七章の言う集団安全保障措置とは概念が違う。違うけれども、結局、日本はそれもやらないということを憲法解釈として既に言っているのではありませんか、こう私は受けとめておるのですが、法制局長官並びに総理大臣のその辺の御見解を承りたいと思います。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 四十二条、四十三条がこの条文のとおり動きますときには、そういう意味では「空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる。」というふうな前提でございますが、そういう意味でおっしゃられれば、まず今までの私の推論のその中にあるといいますか、ということだと思います。(発言する者あり)明確にとおっしゃられますと、その四十二条、四十三条がまだないわけでございますから、そういう意味で明確に、その段階で具体的に申し上げるということですが、推論の結果と、それから推論の中身に含まれております集団的自衛権のことと、それから四十二条、四十三条がこのとおり動きます、あるいは今後情勢の、この憲章の変更等がなくて、そういうふうな形で動いてまいりますれば、できないという形で推論があるという、そういう意味で憲法上問題が残ると従来から申し上げているところでございます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 それでいいですか、総理は。総理は何か御意見ありますか。——なければ……。  今の法制局長官の答弁は、国連憲章四十二条、四十三条の、改正とかそういうことがなければ、その手続に従ってできる国連軍は軍事措置をとる国連軍ですから、武力行使が伴う、したがって、政府の憲法解釈から推論すると自衛隊が参加することはできない、こういう御答弁でございました。  そこで、法制局長官にもう一つ伺っておきたいのですが、長官は参議院予算委員会、この予算委員会、何度も何度も自衛権のことを言った後に、ここから先は推論ですがと断りながら、まだ国連軍はできていません、特別協定というものがあります、それには兵力と援助と便益があります、この三つが必ずしもセットでなくてもいいのです、あるいはどうなのか、どういう形になりますか、それで憲法解釈の積み重ねがございます、それと、そのでき上がった国連軍の姿というものを総合判断して云々、こういう答弁を繰り返し繰り返しなさっていらっしゃるんですが、特別協定を結ぶということは、よろしいですか、長官、国連軍の指揮下に入るという意味ではありませんか、これは。違いますか。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 この特別協定というのはまだできておりませんし、どのような協定になるか、これは今の段階でははっきりしないと思います。あるいは御指摘のように国連軍というようなものができまして、統一的な指揮下に各国が提供する兵力が入るということもあろうかと思いますが、現段階ではどのような特別協定ができるかわからない次第でございます。法制局長官が姿が見えないというふうにおっしゃっておりますが、このことを含めてそういうふうにおっしゃっているんだろうと思います。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 時間がないので明快に答えてもらいたいですね。  特別協定を結ぶことは、法制局長官の言う国連軍の指揮下に入るというふうに私は思いますが、協定を結ぶんですから、当然国連軍の指揮下に入るということだと思うんですよ。協定は結びましたけれども指揮下に入っていません、こんな論理は通用しないと思うのですが、法制局長官、どうお考えですか。

柳井俊二外務省条約局長

○柳井政府委員 一点だけ補足させていただきます。  先ほど先生も御指摘のとおり、四十三条の特別協定では、兵力、援助及び便益を安全保障理事会に利用させるということでございますから、必ずしもその三つをすべて約束するということではないわけでございます。したがいまして、指揮権に入らない形の便益等の供与ということもあると思います。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 長官、長官が言ったことだから、長官が答弁。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 まず四十三条。今、条約局長も答弁ございましたように、提供し得るのがこの四十三条でまいりますと三つあるわけでございまして、その三つのうち、今問題になりますのは兵力のところだろうと思います。援助なり便益のところは、これはまたちょっと違った話があり得るのかもしれません。そういう意味で私は、前の答弁におきましても、四十三条により各国に求める貢献についても、兵力、援助及び便益の三つがあり、必ずしもそのすべてを行う義務があるとは言えないというものでもない、こういうふうなことをお答えしているわけでございます。  それから、その指揮に入るかどうか、これこそまさに国連がお決めになることといいますか、特別協定の中で決まってくるものでございまして、私の方は当然指揮のもとに入るべきであるとか入らなければおかしいというふうなこと、あるいは指揮に入るであろうというふうなことを……

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 できる方を言ったのじゃない、入ると考えるかどうかを聞いているのです。入ったと判断するのかしないのか。

工藤敦夫内閣法制局長官

○工藤政府委員 入ると考えるか考えないか、これは姿がないわけでございますから、私の方からは何とも申し上げられないわけでございます。

市川雄一公明党・国民会議

○市川委員 要するに、その目的・任務が武力行使を伴うものであれば、国連軍のその目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されない。協力はいいんだ。さっきさんざん議論して、これは統一見解を出していただくことになったのですが、じゃそう言うと、この協力と参加のメルクマールとして法制局長官は、指揮に入るか入らないかということを言ったわけです。指揮に入るか入らないかという判断の一つの具体例として私は質問しているわけです。あなたが何回も何回もこの委員会で特別協定、特別協定と話題を出しておられますから、その特別協定を結ぶということは、もう国連軍そのものに入るということじゃありませんかということなんですよ。軍事参謀委員会があって、それが兵力とか便益とか、そういうことではないのですよ。これは鈴木見解をずっと素直に読みますと、そういうことになるわけですよ。鈴木見解をずっと素直に読んでいきますと、何も私が考えたことではなくて、政府の憲法解釈を素直にずっと読んでくると、あるいはあなたの答弁を組み合わせると、そういうことになるわけで、協定を結んだ、しかし、日本は国連軍に参加していないんだ、こんなばかな話ないじゃありませんか。協定を結べば参加じゃありませんか、明らかに。これと鈴木見解の関係というのが、これは出てこざるを得ませんよ。  そのことを指摘して、きょうの質問を終わりたいと思います。

加藤紘一自由民主党

○加藤委員長 これにて市川雄一君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十五日午前九時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時八分散会

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