予算委員会 第16号
- 発言数
- 344 件
- 登壇者
- 54 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1990/05/30
会議録
○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を開会いたします。 平成二年度一般会計予算、平成二年度特別会計予算、平成二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 平成二年度総予算三案審査のため、本日、海外経済協力基金副総裁谷村昭一君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) この際、山本通商産業大臣代理から発言を求められておりますので、これを許します。山本通産大臣。
○国務大臣(山本富雄君) 福島第二原子力発電所三号磯原子炉ポンプ損傷事象についての報告書記載の基礎としたデータのリストについては、早急に作成し、提出する。 また、特別委員会において議論の対象とした資料については、そのリストの概要についてまとめ、報告をする。 以上でございます。
○委員長(林田悠紀夫君) それでは、稲村稔夫君の残余の一般質疑を行います。稲村君。
○稲村稔夫君 ただいま大臣からの御回答をいただいたわけでありますが、その中でちょっと確かめておきたいと思います。 まず、報告書記載の基礎としたデータのリスト、これは早急に作成しと言いますが、早急にというのは締め総までと受け取ってよろしゅうございますか。そのほかの後段のリストについては時間がかかるかどうか、その辺のところも明らかにしてください。
○政府委員(山本雅司君) ただいまお尋ねの最初の基礎としたデータのリストにつきましては、何とかして締めくくり総括までに準備したいと考えております。 それから後段の議論の対象となりました細かいリストの概要につきましては、この作成につきましてはやや時間がかかるかと思いますから、その御猶予をいただきたいと考えております。
○稲村稔夫君 それでは締め総までに前段のものについてはぜひ出していただきたいと思います。また後段のものもできるだけ早急にということを御要望申し上げておきたいと思います。 なお、きのうのエネ庁の答弁の中にも気になることが幾つもございました。例えば企業が提出したものの中で云々というようなことがございましたが、企業が提出したものを果たして秘密とするべき問題であろうかどうかなどということも疑問になるわけであります。しかし、これでまたやりますととまってしまうといけませんから、きょうはそこのところは次の機会に譲るということにさせていただきたいと思います。 それで、次はこのグリーンの表紙の資料、どういう範囲に配付をされましたか。
○政府委員(山本雅司君) この事故の原因とその対策の報告書につきましては、去る二月二十二日にマスコミの関係、もちろんプレスも中心でございますが、マスコミの関係者に対しまして公表いたしました。したがいまして、これは世間に公表しているものでございまして、資料を欲しいという向きのお話がございますればどこにもお出ししている、こういう性質の資料でございます。
○稲村稔夫君 そうすると、この間の確認に基づいて修正箇所がありましたね。この修正というのはどのようにしてこれを配付したところに徹底をするのですか。
○政府委員(山本雅司君) この報告書の中に図面でやや不正確な点がございましたから、それをわかりやすくするために今御指摘のような修正を施しております。この修正につきましても、やはり同じようにマスコミに対しましてこれを公表いたしまして、必要があればいつでもこれをお渡しするという形で発表しているわけでございます。
○稲村稔夫君 これほど大きな問題になったわけでありますから、これは少なくとも本委員会の委員全員に配られてもいいんではないかと思いますが、いかがですか。
○政府委員(山本雅司君) 実は全く物理的に残りの部数が少ないという点はございますが、大至急印刷いたしましてお配りしたいと考えております。
○稲村稔夫君 部数が少ないと思うから本委員会にと言ったんですよ。印刷をするんだったら全国会議員に配ってください。そして修正の箇所も明確にして配ってください。どうですか。
○政府委員(山本雅司君) 全国会議員の先生方にお配りするかどうかという点につきましては、もちろん私どもはお配りする用意がございます。ただ、その点につきましてどういう手続といいますか、やり方をするかはちょっと検討させていただきたいと存じます。
○稲村稔夫君 そのときは、訂正し、修正したものは配るんですか。
○政府委員(山本雅司君) 実は、訂正したのが現在製本になっておりますから、訂正済みのものをお配りすることになると思います。
○稲村稔夫君 そこで、本来であれば入りたかった本論になるわけなんでありますが、福島原発の運転再開というのは、どのような手順で、どのようなことが確認をされたら許可をするつもりでおられますか。
○政府委員(山本雅司君) この点につきましては、前のこの予算委員会でもお答えしたかと存じますが、現在、事故の原因と対応策が出たところでございます。したがいまして、今後それを含めまして総合的なプラントの健全性について、今専門家の御意見も伺いながら鋭意検討している段階でございます。したがいまして、この健全性についての検討が終わりますればこれをもちろん公表いたしますし、さらに関係の皆様方にも十分御説明してまいりたい、このように考えております。 なお、政府部内の手続等は、いろいろもちろん決められた手続がございますから、これは今までの決まった手続にのっとってやってまいりたい、このように考えております。
○稲村稔夫君 ここでもまだもう少し詰めたいところがありますけれども、今の御報告で、なおこれから確認をした上でその結果として公表をされる、こういうことでありますから、その公表も見てからということにもなろうかと思いますので、きょうはその辺のところを突っ込むことはやめますけれども、ただ地域住民の納得の上ということを前提にいたしますと、公表されたものについて住民の方で疑義が出てきた場合には再開は簡単には認めない、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
○政府委員(山本雅司君) この点につきましては、この前の委員会で武藤通商産業大臣から答弁申し上げたとおりでございます。
○稲村稔夫君 結果が出ないと何とも言えないという部分もあるわけでありますから、今私が疑問に思っていることをここで詰めるだけの時間がございませんので、そこはそれではこの程度にさせておいていただきましょう。随分長い時間かかったわけでありますから、できるだけ質問が早く済むように私も一生懸命努めていきたいと思います。 そこで、次に移らせていただきます。地球環境と放射能汚染への対応について伺ってみたいと思います。 まず、科学技術庁、この放射能汚染ということに対して環境とのかかわりでどのような対応をしておられますか。
○政府委員(村上健一君) 核実験等に伴います放射性降下物に対する我が国の環境放射能対策につきましては、先生御案内のとおり、昭和三十二年以来実施しておりまして、特に昭和三十六年以降は政府に設けました放射能対策本部の方針に基づきまして科学技術庁を中心に関係省庁、関係都道府県等の協力を得て調査が実施されてきておるところでございまして、それに必要な調査体制が整備充実されてきたところでございます。特に最近では、ソ連チェルノブイル発電所事故時に我が国の放射能調査体制が有効に機能いたしまして、さらに本事故を契機に当時の国会の御決議も踏まえまして、調査体制を三十二都道府県から四十七都道府県に拡大するとともに、装置の配置、更新等充実強化を現在図っているところでございます。 こうした放射能調査の結果によりますと、我が国の放射能水準は、三十年代に核実験が頻繁に行われましたときは比較的高い水準にありましたが、その後は実験の禁止に伴いまして昭和四十年代前半に相当減少いたしました。その後漸減傾向にありましたが、昭和六十一年のソ連チェルノブイル原子力発電所事故の影響で一年ちょっと、少し高くなりましたが、現在はほとんどもとの水準に戻っておりまして、現在では環境放射能の水準は十分に低いレベルになっているというふうに承知しております。 なお、我が国の原子力施設から放出される放射性物質につきましては、原子炉等規制法に基づき厳しい管理が行われておりまして、また、主要な原子力施設の周辺における環境放射線モニタリングの結果によりますと、現在まで国内の原子力施設から周辺住民の健康に影響を与えるような放射性物質の放出、異常蓄積が観測されたことはございません。以上のようなデータにつきましては、原子力安全委員会の審議を経て公表しているところでございます。
○稲村稔夫君 私は、放射能汚染というものについては地球環境の観点から非常に大きな問題だというふうに思っておりますから、その辺についてもう少し伺いたい面もありますけれども、科学技術庁の対応というのは、全体でそのための予算というのはどのくらいとっておられるのか、これをお聞きしてこれは終わりたいと思います。
○政府委員(村上健一君) お答えいたします。 現在御審議いただいております予算では、都道府県に交付いたします特別会計分も含めまして約四十七億円、そのうち一般会計分が約七億円でございます。
○稲村稔夫君 次に、厚生省に伺います。 チェルノブイリの原発事故以来輸入食品の放射能汚染が大きな問題になっておりますけれども、その対策は現在も続けられていると思いますが、どのようになっておりますか。
○政府委員(目黒克己君) 放射能に汚染されました疑いのある輸入食品に対する対応でございますが、一般の輸入食品に対するのと同じく、全国の二十一カ所の検疫所において食品衛生監視員が食品衛生法に基づいて監視を行っておりまして、同法に違反するものにつきましては、廃棄、積み戻し等の処分を行うなどをいたしてきたところでございます。 また、特に、御指摘の昭和六十一年四月下旬に発生いたしましたソ連チェルノブイリの原発事故以後、食品の安全性を確保することのために事故発生直後から放射能の検査をいたしてきたわけでございます。現時点では、特にヨーロッパ地域から輸入されます食品のうち、食品の種類、対象国により汚染のおそれのあるものを中心といたしまして検査を実施いたしているところでございます。 なお、事故発生以来約四万五千件の検査を実施しておるのでございますが、現在までに基準を超えた食品は、トルコ産のヘーゼルナッツ、月桂樹等の香辛料、フィンランド産の牛の胃、フランス産のタイム等、十二カ国で五十一件ございましたが、輸出国への積み戻し等の指示をいたしているところでございます。今なお監視体制を続けているところでございます。
○稲村稔夫君 二十一カ所で監視員の方が監視に当たられている。監視員の方は何人おられますか。
○政府委員(目黒克己君) 約九十名でございます。
○稲村稔夫君 約ですか。
○政府委員(目黒克己君) 九十名の監視員。本省あるいは検疫所等がございますので、九十名の食品衛生監視員が監視に当たっているところでございます。
○稲村稔夫君 その監視員の方は放射能汚染を中心にしているんですか。それともほかのことも皆一緒ですか。
○政府委員(目黒克己君) 一般の輸入食品と同じ任務について、一般の輸入食品の一部として行っているのでございます。
○稲村稔夫君 ちょっと間の議論を飛び越してしまう形になるかもしれませんが、厚生大臣に、九十人の方でそれこそ農薬関係も、あるいは放射能も、あらゆる食品の食品衛生上の監視をするというこの体制というのは、これでは今の食品輸入大国ではちょっと心細いんじゃないかと思いますけれども、これをどう強化するおつもりでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 輸入食品量が増加する中で御心配ごもっともでございますが、本年度、平成二年度予算では十名の増員を要求して、今お願いをしておるところでございます。
○稲村稔夫君 十人、百人ですか。私が最初に聞いたころに比べればかなりふえていますけれども、それにしてもまだ随分少ないんじゃないですか。輸入食品の量をひとり考えてみてください。 私はそのために予算を大いに使うくらいの決意がなければ、国民の健康を守るという上では非常に問題があると思うんですけれども、その辺これからの体制としてどういうふうに考えておられますか。厚生大臣、もう一度お願いいたします。
○政府委員(目黒克己君) 先ほど大臣がお答えしましたように、定員の増を図りますとともに、輸出国登録工場制度等、相手の国の状況等をさらに詳しく把握するといったようなことを含めまして、さらにこの監視の徹底を図ってまいりたい、充実強化に努めてまいりたい、このように思っているところでございます。
○稲村稔夫君 この辺も専門的にかなりいろいろと議論をしたいところなわけでありますが、それこそ急行列車で通過をする形になります。厚生省には以上で終わります。 次に、環境庁に伺いたいと思います。 地球環境を守るという観点から放射能汚染というのがかなり大きな重要な問題だと思うのでありますけれども、環境庁という立場での体制はどのようになっておりますか。
○国務大臣(北川石松君) ただいま委員の放射能に対しての環境庁としての態度、こういうことでございます。 放射能汚染対策につきましては、原子力基本法によって原子力関係の法律が整備されておりまして、その中でも環境への影響というものの規制が厳格に行われていると承知しております。なお、放射能汚染につきましては公害規制法からは除外されている。しかしながら、環境ということにつきましては原子力を所管する省庁で対応がなされていかなければならないと思っておりまするが、環境庁といたしましても地球全体の環境という点からは、これについては常に鋭意監視を深めなくちゃならぬと、こういう考えでおります。
○稲村稔夫君 私は、原子力行政の担当のところを中心にして監視体制も含めてきっちりとやっていただかなきゃならない、これは当然なんだと思うのです。だけれども、環境という観点からいったときにはやはりこれは担当省庁だけの問題ではない、そういうふうに言われれば、そうすれば農薬取締法があるのだからそれじゃ農薬の問題だってほうっておいていいかと、こういうことになるわけですよ。環境としてやっぱり重大な関心を持って、今のように抽象的ではなくて少し具体的に放射能汚染というものに対してどう取り組むかということをやっぱり環境庁は考えていただきたいと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(北川石松君) ただいま委員が御指摘になられました環境の問題は、放射能は原子力だからそっちに任せておくということじゃなしに、やはり御指摘のように環境庁としましても大切な問題でございますので、この点につきましては前向きで取り組んでいかなくちゃいけない、こういう思いをしております。
○稲村稔夫君 いろいろときのうからきょうにかけての議論の中で御答弁いただいたことを私も記憶しておきながら、これからもまたさらに機会あるたびに議論をしていきたい内容がございますし、問題の提起もしているつもりでありますので、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。時間の関係もありますので、次の方に入らせていただきたいと思います。 北洋で北朝鮮籍の漁船で操業していてソ連に拿捕されたということで今マスコミでもいろいろと報じられておりますけれども、これはどういう事実になっておりましょうか。
○政府委員(都甲岳洋君) お答え申し上げます。 ソ連側は五月二十二日までに、北太平洋カムチャッカ半島南東の公海上二百海里外におきまして、北朝鮮旗を掲げた十二隻の漁船をサケ・マスの不法操業の容疑で拿捕したということを言っております。現在までソ連側より得られている情報によりますと、十隻につきましては北朝鮮の船籍を持っているようでございますが、他の二隻については正確な情報はまだございません。この乗組員の中には約百四十名の日本人が乗っているということで、現在そのうちの九隻が色丹島へ連行されており、あと三隻がサハリンのホルムスクに連行されているのではないかという情報も届いております。 以上が事実関係でございます。
○稲村稔夫君 ソ連の情報ということですが、それは外交ルートを通じてソ連からきちっとした情報を得たということですか。
○政府委員(都甲岳洋君) ソ連側から外交ルートを通じて正確な情報を得ておりますのは、十隻について北朝鮮籍であるということ、それから百四十名の乗組員が乗っているということでございまして、あとの九隻が色丹島あるいは三隻がサハリンのホルムスクに向かっているというのは情報として得ているだけであって、正式な通報ではございません。
○稲村稔夫君 海上保安庁、この点については船舶法違反あるいは海上運送法違反ですか、というような容疑でもって捜査をしておられるということでありますが、どのように捜査は進捗をしておりますか。
○政府委員(塩田澄夫君) お答えを申し上げます。 ただいま外務省の欧亜局長から御答弁がございましたような公電を外務省からいたださまして、その情報に基づきまして、これらの船舶は四月中に釧路港を出航した漁船十二隻の疑いがあると考えておりまして、これらの船舶につきましては海上運送法第四十四条の二第一項違反の無許可貸し渡しに該当する疑いが濃厚となっておりますので、釧路海上保安部は関係部署と連携をとりまして、当該十二隻の所有者であります会社等の事務所など二十六カ所につきまして捜索、差し押さえを実施したところでございます。
○稲村稔夫君 これは全部釧路だけですか。十二隻二十六カ所というと、ほかの地区あるいはほかの都道府県等にわたっていますか。
○政府委員(塩田澄夫君) ほかの都道府県にもわたっております。
○稲村稔夫君 どことどこになっていますか。
○政府委員(塩田澄夫君) 釧路以外では気仙沼市、根室市等でございます。
○稲村稔夫君 等というのはどういうことですか。
○政府委員(塩田澄夫君) それでは、現在捜索、差し押さえをしております都市を申し上げますと、釧路のほかは、いわき、宮古、根室、函館、瀬棚でございます、北海道でございますが。以上でございます。
○稲村稔夫君 こっちがしゃべる時間がなくなるのであれだけど、このくらいの簡単なことはさっさと言ってもらった方がよかったのですが、水産庁、どうしてこんなことになったんでしょう。きのうの大臣答弁と水産庁長官答弁とちょっと違うなどとテレビでの報道などもありましたけれども、いかがですか。
○政府委員(京谷昭夫君) ただいま外務省、海上保安庁からお話しございましたような案件でございまして、漁業にかかわる問題ということで、私どもなりに調査もしてまいっております。詳細につきましては現在捜査中ということもございまして、ひとつ細かい点は御容赦をいただきたいと思いますけれども、日本国内に従事するという形で登録をされております漁船が国内法に違反をして外国との契約に基づいて貸し出されたのではないかという疑いで、私どもも事実関係を掌握しつつ、海上保安庁と連携をとって現在事実解明に当たっているところでございます。
○稲村稔夫君 事前に水産庁が知っていたんではないかなどという報道もあって、それは否定をされたようだけれども、大臣は、少し恩情をもって臨むことも大事なんじゃないかというようなニュアンスで伝えられたとテレビ報道などはありますが、大臣はこの点はどういうふうに考えておられますか。
○国務大臣(山本富雄君) お答えします。今委員から大臣と水産庁長官の答弁が報道によると多少食い違っているんじゃないか、こういう話でございましたが、それは報道したり解説するのは自由なんですけれども、全然食い違っておりません。出どころは一つでございまして、食い違うはずはないのであります。 ただ、今最後にお話しになったことで、私が申し上げたのはこれは漁民一般の方ですね。特にこういう厳しい国際情勢の中で漁業をしている方々について法を曲げて云々なんていうことはあり得ない、あり得ないことだけれども、政治にしても行政にしても血もあり涙もあっていいんじゃないかという趣旨のことを一般論として申し上げた、こういうことであります。
○稲村稔夫君 大臣の気持ちはよくわかる気もいたします。ただ問題は、ここに一つの象徴としてあらわれているわけでありますが、それだけにこれからの問題は非常に大きな問題があると思うんです。北洋それからベーリング海での漁業、これは今どうなっていますか。
○政府委員(京谷昭夫君) ただいま御指摘のございました水域は、御承知のとおり我が国の伝統的な北洋漁業の漁場であったわけでございます。水域は御承知のとおりソ連二百海里水域、それからアメリカの二百海里水域、それからベーリング公海、それから一部日本の二百海里水域というものも含まれるかと思いますが、一つには、御承知のとおりアメリカ二百海里水域内における操業は、直接我が国漁船が漁獲するものは現在完全に全部締め出されておるという状態でございます。ソ連との間につきましては、日ソ間の地先沖合い漁業協定に基づきまして、相互入り会いの状態で、若干規模を縮小しながら継続をされておる、こういう状態でございます。 それからベーリング公海につきましては、一つにはいわば各国の自由な競争のもとで操業が行われておる、いわゆるスケトウダラを中心にしたトロール漁業、それからベーリング公海及びその他の北太平洋公海で行われておりますソ連産のサケ・マスを対象にしました我が国漁船によるサケ・マス漁業、こういう状態でございますが、トロール漁業につきましては大変資源的な制約もございまして、漁獲量が漸減をしておる。それからまた国別の競争が大変激しい状態になっておる、こういう状態でございます。それからソ連産サケ・マスを対象にした公海上でのサケ・マス漁業については、実は今年の操業につきましても大変厳しい日ソ交渉がありましたし、ソ連側は一九九二年から日本漁船によるソ連二百海里外でのソ連産サケ・マスの漁獲を禁止する、やめたいという方針を大変かたい態度で示しておる、こういう状況が概況でございます。
○稲村稔夫君 いわば北洋もベーリング海も我が国の漁船はみんな締め出されてしまうという将来展望しか持てないということになります。そうすると、こういうことに対してどういう対策を講じようとしているんですか。これ、重大問題なわけですね。生活がかかっています、みんな。農林水産省、それから北海道の重要産業でありますからこれは北海道開発庁長官。それからこれは減船に伴っていろいろと対策を立てている労働省も今の態勢でいいとお思いになっているだろうかということも一緒に聞きたいと思います。
○政府委員(京谷昭夫君) ただいまお話しございましたように、いわゆる北洋漁業の将来展望につきまして大変厳しい情勢にあること、御指摘のとおりでございます。そういう事態を踏まえまして、もちろん我が国の伝統漁業ということでありますので、必要な対外折衝を私どもとしても最大限やってまいりたいと思っておりますけれども、率直に申し上げまして、減船等といったような形で再編を余儀なくされる事態も予測しておかなければならない。 そのための国内対策を円滑に進めようということで昨年の十二月に国際漁業再編対策に関する閣議了解をしていただいたわけでございますが、この閣議了解の中では、再編整備を余儀なくされる減船漁業者の方々に対する救済措置、それに伴って職を失う漁船員の方々の再雇用問題、それからまたそういった事態に対応して、先ほど先生もお触れになりましたけれども、地域の経済にも一定の影響を与えるわけでございますので、そういった事態に対処した、いわば城下町対策的な対策を適宜やっていくという基本的な方針が示されておるわけでございます。 ただいまのところ関連する漁業種類としては、平成元年度の補正予算で措置をいたしました北洋はえ縄刺し網漁業、それから東部ベーリングのツブ漁業、この二つについて減船者に対する救援措置を具体化して現在実行に当たっておるところでございます。さらにまたこれから事務的な詰めをしていく必要がありますけれども、北洋サケ・マス漁業につきましても、諸般の情勢を踏まえまして、少なくとも減船が予想される。これに対応した減船者に対する救援措置の骨格につきまして、四月の末にこの骨格を示して五月からことしの操業を開始しておるわけでございますが、その状況を見ながらこの骨格の具体化にこれから取り組んでいきたい、こういう状況に相なっております。
○国務大臣(砂田重民君) 委員御指摘のように、北海道におきます北洋漁業は極めて厳しいものがございます。片一方、北海道は我が国の漁業生産量の約四分の一を供給してまいりました。今日なおその状態は確保されているところでございまして、期待にはこたえているという感じがいたすわけでございます。 今水産庁からお答えがありました北洋漁業のこれからの厳しい局面に対する各様の対策のほかに、第五期北海道総合開発計画に基づきまして、北海道の特性を生かしつつ、多目的な漁港、漁村の整備、海域の条件に適合した沿岸漁場の開発、あるいはまた水産物の付加価値を高めようという意欲が北海道で大変高まってきているときでもございますので、流通・加工機能の強化等の施策を農林水産省とも相談をいたしながら進めてまいりたい、かように考えているところでございます。
○国務大臣(塚原俊平君) 国際的な漁業規制の強に伴いまして減船を余儀なくされております漁業でございますが、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法で特定漁業ということに指定をいたしまして、その離職者について船員険、失業保険の個別延長あるいは職業転換給付金の支給を行いまして、休職中の生活の安定や再就職の促進を図っております。 また、漁業離職者の方々のうち陸上部門に再就職を希望される方については、このような措置を活用しつつ再就職の促進を図っているところでございますが、最近の状況をちょっとお話をさせていただきますと、昭和六十三年度に六十八名、平成元年度に五名がその対象になっております。 以上でございます。
○稲村稔夫君 いろいろなお話を伺いましたが、対応がうまくいっていれば、今回のような事件は起こさないでも済むように対応がいろいろできたんじゃないかというふうにも思うんですが、今回なぜこういう事件が起こったのか、そこのところが非常に大きな問題だと思うんです。行政の対応というものについては、これはもう少し徹底的に原因も究明していただきたいし、さらにまた、漁業者の皆さんが生きていける方法というのを本当に積極的に展開してもらわないとこういう事件はなくならないと思うんですね。その辺はどうですか、水産庁は将来の展望をお持ちになっていますか。
○国務大臣(山本富雄君) これは今委員の御指摘のとおりでして、今回のことは、まだ進行中ですけれども、徹底究明を急げと、こういうふうに関係著に指示をしておりますが、その上でしっかり、こういうことは再発しないようにしなくちゃならないと思っておりますけれども、いずれにしても背景は、先ほど来御指摘があったような、特に北太平洋地区の漁業が非常に毎年毎年厳しくなっている、そして漁民の方々が魚をとりにくくなっているということに起因をしていることは間違いがない。ですから、今答弁を聞いておりまして、保障の方のことが重点になっている。当面そういうことになるんです。なるんですけれども、それよりも何よりも、何とか魚がとれるような状態を沿岸も含めて構築しなきゃだめじゃないかと、こういう話も実は水産庁長官とはし合っているわけでございます。 いろいろ言葉を並べましても、実はこれはなか なか実行は難しいんですけれども、しかし漁民の方々の生活を考えればもう一刻も猶予できない。これは日本じゅう各地そうなんですけれども、特に北洋関係はそういう状態でございますから、もう完全に締め出されてきておるということも踏まえまして、あらゆる政治行政の機能を総合的に使用して、漁民の皆さんのこれから先の生活が立つような方策を講じていかなければならない。もちろん北海道を初めとして各地域の都道府県の行政にも協力をお願いする、こういう考え方でございます。
○稲村稔夫君 突然ですがというあれがあって恐縮ですけれども、防衛庁長官、内容的にいろいろと伺いたいと思ったけれども時間がなくなりました。だから考え方を伺います。 日本海を完全に平和なものとして保障できるという体制というのは防衛上非常に重要だというふうに私は思うんですが、長官はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(石川要三君) もちろん日本海の安全というものは極めて重要だと、そういう点では同意見でございます。
○稲村稔夫君 私は、日本海をまさに平和な海として保障が確立されるということが漁業にとっても、漁業者の生きる道をつくっていく上でも大事なことだと思うんですよ。グローバルな観点からいえば日本海なんて生けすみたいなものですよ。沿岸各国で協力をしてここを漁業の宝庫として育てていくということ、これは日本の防衛にとっても非常に重要な問題だというふうにも思うんですよね。ということになりますとこれは積極的にそのような方向への努力をしてもらわなきゃならぬ、こんなふうに思うんですが、今までそのような努力を、平和圏とかなんとかと言いませんが、いずれにしても日本海の平和を保障するために外務省もあるいは水産庁等で努力をどの程度されたかお聞かせをいただいて、私の質問を終わりたいと思うんです。
○国務大臣(石川要三君) 日本の平和のためにはもちろんのことでありますが、今いろいろと質疑応答がございましたような、漁業の方々が魚をとれ、これからも生活を安定させていくということも当然これは必要なわけでありまして、そういうためには波静かにしておかなければいけないわけでありますから、その中で何をやったかというと、なかなかこれは難しい。 実は先生の質問の御趣旨がちょっとはっきりつかめませんので十分なお答えができないと思いますが、抽象論ということでおしかりを受けるかもしれませんが、要するに今までのいわゆる日米安保体制、そして適切な規模のもとに今日まで努力をいたしまして平和が構築されてきたわけでございますので、これを引き続いて我が国の平和、安全のためにもさらに努力をしていくべきだと。 これでは先生の御質問の趣旨に合わないかもしれませんが、抽象的にはそういうふうな考えを持っているわけでございます。
○稲村稔夫君 防衛庁にしてはいいです。
○政府委員(都甲岳洋君) お答え申し上げます。 日本海が真の平和の海になるためには、やはり周辺諸国との安定した関係が重視されることが非常に重要だと思っております。そういう意味で、朝鮮半島における状態が一刻も早く緊張緩和に向かうということが一つ我々が目指す方向だと思いますが、何よりも重要なのは、やはり日ソ関係が安定した基盤の上に完全に正常化される必要があるというふうに考えております。
○稲村稔夫君 具体的に何をやっているか。
○政府委員(都甲岳洋君) そういう意味で、領土問題を解決して平和条約を締結し完全に正常化するという努力を従来とも続けてきておるわけでございますし、来年のゴルバチョフ大統領の訪日に向けて一層この努力を強化したい、そういうふうに考えております。
○政府委員(塩田澄夫君) ただいま先生から日本海における日本漁船の安全対策を何をやっているかという御質問がございましたのでお答え申し上げますが、海上保安庁といたしましては、日本海における我が国漁船の安全を確保するという観点から、沿岸海域に所要の巡視船を配備いたしますとともに、随時航空機を哨戒させることを行いまして安全の確保に努めております。また沖合海域におきましても、拿捕等が懸念されます竹島周辺海域及び日本海の中部海域におきまして、それぞれ常時一隻の巡視船を配備いたしますとともに、各種漁業の漁期あるいは我が国漁舶の出漁状況を勘案いたしまして、必要に応じて巡視船の増強配備をいたしまして警戒に当たっているところでございます。 また、漁業基地におきましても、漁業組合、関係機関等を通じまして拿捕防止及び安全操業の指導を行っているところでございます。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で稲村稔夫君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、國弘正雄君の一般質疑を行います。國弘君。
○國弘正雄君 まず最初に、先ごろの盧泰愚大統領の訪日に関連して幾つか伺いたいと思います。 後になって過去を変えたり、起こったことを起こらなかったりするわけにはいかない。過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となる。こう申しましたのは西ドイツの大統領のワイツゼッカーでありまして、八五年の五月にこういう有名な言葉を吐いたわけですが、私はこの間の盧泰愚大統領の幾つかの講演、演説を聞いておりましてワイツゼッカーさんの発言を思い起こしていました。ただ、ワイツゼッカー大統領の場合には奪った者の反省がありました。他方、盧泰愚大統領の発言には奪われた者の大変に抑えた悲しみのようなものを私は感じました。 日本と朝鮮半島との関係あるいは朝鮮民族との関係が、日本側が奪った者であり、朝鮮半島側、朝鮮民族側が奪われた者であるということは言うまでもありません。そして、この間の私どもの同僚議員の要請によって、今政府はこの盧泰愚大統領訪日のいわばフォローアップに心を砕いておられるというふうに伺います。 そこで、まず官房長官にお尋ねをしたいんですけれども、この間の盧泰愚さんの訪日、彼の一連の発言、そして今私がワイツゼッカー大統領を引用したわけですけれども、そういった一連のことをお聞きくだすってどのような御感想をお持ちか、伺いたいと思います。
○国務大臣(坂本三十次君) 盧泰愚大統領が訪日をされて、そして非常に謙虚で、誠心誠意韓国の気持ちを私どもに伝えていただきました。そして、歴史の認識を共有するということからあすの協力が生まれるんだ、歴史というものは神様でもこれは消すことはできないというようなお話もありました。そういう意味で、日本が植民地支配をやったその歴史的な認識というものは私どもも厳しく反省をして、この過ちは二度と繰り返してはならぬというそういう反省のもとに、しかし、そこまで共通の認識を持ったならば、過去は勇気を持って断ち切ろうというのが盧泰愚大統領のお話でありました。私はまことにすばらしいことだと思っております。 そういう意味で、日韓のこのいわゆる過去を清算して、新しい日韓友好の時代をつくって、アジアの平和にも貢献したい。私はその未来性に対して非常にうれしく、我々も協力しなければならぬと思っております。「人生の本舞台は常に将来に在り」と、この国会の前にも尾崎咢堂が書いてありますが、両国関係もまさにそのとおりだろうと思っております。
○國弘正雄君 過去を断ち切るということを韓国の大統領がおっしゃったということは、これは先ほども申しましたように大変に抑えた悲しみのもとに生まれた発言だと思います。過去を断ち切るということが大事であることは今官房長官の仰せのとおりですけれども、しかし、歴史は逆立ちした予言者であるなどという言葉もありまして、やはり我々が過去を振り返るということは、何も感傷に浸ったり、あるいは好事家的な物好きで過去のいろいろな事実を探し出すということではなくて、未来への展望を過去を振り返ることによって 手に入れる、その意味において歴史は逆立ちした予言者であるということが言えると思うんです。 そういう立場に立ちますと、日本とそれから朝鮮民族との間の関係というのは、例えば我々は彼らの土地を奪いました。彼らの名前を奪いました。創氏改名がこれであります。そして私の調べたところでは、創氏改名を強いられた朝鮮民族は四分の三にも及んでいたと聞いています。また、彼らは日本語を使うことを強要されるという意味において言葉を奪われました。そしてまた、熱心な儒教の徒であったり、あるいはクリスト者がアジアにおいては珍しいぐらい多いあの地域において私どもは彼らに神道を強要いたしました。朝鮮神宮などというのはその一例であります。つまり我々は彼らから土地を奪い、名前を奪い、心を奪い、そして言葉を奪ったわけであります。しかも我々は彼らの命をも奪ったわけでございます。 例えば、後でちょっと触れたいと思いますけれども、地震の問題に関連して、関東大震災のときに、当時は朝鮮同胞あるいは半島同胞などという名前で呼ばれたいわゆる朝鮮人が少なくとも六千人あのどさくさに紛れて殺されたという事実もございます。しかも朝鮮人が攻めてくる、不逞鮮人が毒をまいているなどというデマは、実は流言飛語という形でしたけれども、それはただ単に民衆の側から自然発生的に出たものではなくて、当時の警察や軍隊がその通信網によって広げたという流言飛語でもありました。 そういったようなことを考えますと、私どもはそう簡単に過去を断ち切れないのではないか。少なくとも朝鮮民族に関する限り、彼らがそうやすやすと過去を断ち切ることができないのではないかというふうに思います。とにかく彼らはもう儒教の伝統に骨がらみずぶぬれな人々でありますから、例えば家系であるとか家名であるとか、あるいは先祖の祭祀、お祭りというようなものは我々日本人よりもはるかに大事にする人々であります。そういう人々に対して我々は今申し上げたようなことを強制したわけでございますから、我々の側からすればそのことはいつまでも記憶にとどめておかなければならない事実であって、盧泰愚大統領の温情にいい気になっているわけにはいかない。しかも、盧泰愚さんが何を言われたにしても、韓国の民衆の中にやはり不満が七〇%近く存在するという事実を我々は忘れるべきではないと思います。 このごろ国際化ということがかまびすしく言われるわけですけれども、ごく近い過去における国際社会、これは朝鮮半島全部あるいは中国あるいは台湾というようなところを全部含むわけでありますが、そのマイナスのかかわり、負のかかわりを知らない若者が最近大変にふえております。こういう若者たちが国際化時代とやらであちこちに出かけていくこと、私も大学の教師でございましたからよくそのあたりの事情を知っておりますが、これはちょうど海図もなしに船出をするような非常に危うげなものを感じます。 そこで、私は文部大臣にお伺いしたいわけでございますけれども、そういう今申し上げたような現代史あるいは近代史、その知識が十分になければ国際化時代に船出することなど危なっかしくて見ておれないというようなそういう認識あるいは見識、そして少なくとも知識、そういうようなものが今の日本の教育の中でどのように行われているか、あるいはそれをどのように持っていこうとしておいでになるか文部大臣の御所見を承りたく思います。
○国務大臣(保利耕輔君) 私は終戦のとき小学校の五年生でございました。以降、中学、高等学校、大学と進みましたが、いわゆる戦後の教育を受けた者でございますが、今御指摘のようなことというのは私自身も余り教育を受けた記憶がなかったように思います。 しかしながら、私が政治家になりましてから、この問題は非常に大事だということを感ずるようになりました。それは、たまたま私の地元が唐津という町でございますが、その近くに肥前名護屋城の城址がございまして、ここがいわゆる秀吉の朝鮮出兵の拠点になったところでございました。その歴史をいろいろと勉強し、また朝鮮半島とのかかわりについて地元の人からいろんな話を聞く中で、次第に韓国の問題が私の頭の中に意識としてできてきたわけでございます。 そういうような自分自身のことを考えてみまして、今先生御指摘のように、現代の若者が朝鮮の歴史について、あるいは日本と朝鮮とのかかわりについて知らないのではないかというお話でございますが、先日も御指摘をいただきまして、いろいろな教科書を調べてみますというと、昭和五十七年のいわゆる教科書の問題に端を発しまして、創氏改名でありますとか、強制連行でありますとか、あるいは日本語の教育でありますとか、そういうことについては全部の教科書が触れているのを私調べました。そして、これだけのことが書いてあって、これをきちんと教えられれば一応の歴史の理解はできるのかなと思いました。 しかし、私自身の経験からいいますと、日本の歴史は非常に長いものですから、縄文式、弥生式というようなところからずっと入っていきまして、大体今授業の形としては、江戸中期から末期ぐらいに入りますと、もうそれから授業が進まないで学期末になってしまうというようなことになって、どうしても現代史というものの教育にまでいかないで終わってしまうんではないかというような個人的な気持ちを持ちますがゆえに、非常に大事な今御指摘の日本と朝鮮半島あるいはアジアに対するいろいろな問題についてのところまで手がいくように、そういうことを考えまして、少なくともここのところはきちんと教育をしてもらいたいし、さらに飛ばすようなことがあってはまずいなというような気持ちを持っておるわけでございます。 たまたま、文部省といたしましても、昨日から始まりました教育課程講習会というものが各地で始まりますが、その場をとらえまして、各地の教育者にこの問題についてしっかりした認識を持っていただくように関係者の指導に当たりたいということで、私たちも努力をしていかなきゃならぬ、こういうふうに思っておるところでございます。
○國弘正雄君 伺います。 幾つかの試みが今までなされまして、例えば現代から最初に入っていく、そしてだんだんと時代をさかのぼっていく、そういう歴史教育というものがあり得るのではないか。そして、そういう教科書を試みにつくった歴史家もおられないわけではない。例えばそういうようなものを採用しても構わないというだけの雅量を文部省はお持ちでしょうか。
○政府委員(菱村幸彦君) 指導事項につきましては、学習指導要領で項目、ねらい等を決めておりますが、そこの指導の順序というのは特に制約がございません。これは学校の教師の判断によりまして教えるわけでございますので、もし現代史からさかのぼって過去に至る歴史教育が適切に行われるならば、それはそれであり得る授業方法でございます。 また、教科書につきましても、過去から現代に至る教科書が現在のところ全部でございますが、仮に現代から過去にさかのぼる教科書ができまして、それが教育上も適切なものであればもちろん検定を通過するであろうというふうに思います。ただ、残念ながらと申しますか、今日までそういう教科書の検定申請はございません。
○國弘正雄君 検定申請がまだないということは全くおっしゃるとおりだと思いますけれども、そういう突拍子もないことをすればもう絶対に前段階においてはねられてしまうというようなおそれといいますか、懸念があるがゆえに、そういうものを手がけた人が私の知っている限りでも何人かいるわけですけれども、検定にまで持っていかない。あるいは途中で教科書会社の方が、先生、そんなものを出したって文部省に断られることは火を見るよりも明らかだからおよしなさいというようなことで、事実上の何といいますか、検定が事前において行われている、私はそのように了解す るんですが、いかがですか。
○国務大臣(保利耕輔君) 基本的な立場は今初等中等教育局長から御答弁を申し上げたものでございますが、仮にそのような教科書が検定に上がってくるとするならば、それは今局長から御答弁申し上げたとおりであります。
○國弘正雄君 教科書の問題にもう少しかかわりたいんですけれども、テーマが幾つかございますので、次に移らせていただきます。 経企庁長官に伺います。 いわゆる朝鮮戦争、あるいは朝鮮事変と呼ぶ人もおりますけれども、この朝鮮戦争というものが当時の日本の経済のいわば復興と出しますか、あるいは再建に非常に大きく寄与した。つまり日本はある意味において焼け太ったんだという考え方がございますし、韓国ないしは北の、つまり朝鮮民族の専門家の中にもそういうことを数字を挙げて申す人もよくございます。 そこで、朝鮮特需と言われるものが当時の日本の経済、例えば輸出にどれぐらいの寄与をしたと思われるか伺いたいと思います。
○国務大臣(相沢英之君) 御案内のように、いわゆる朝鮮戦争は昭和二十五年の六日から二十八年の七月の間に発生したのでございます。 委員が指摘されますように、この間は相当巨額な特需があったわけであります。当時はいわゆるドッジ・ライン下における安定恐慌の時代でございまして、日本経済は非常に沈滞の局面に際会をいたしておりました。朝鮮戦争による特需がこの沈滞局面をかなり急激に変えたということは事実だろうと思うのであります。 そのいわゆる特需でありますけれども、これは朝鮮における戦地用の直接資材、それから駐留軍の軍人軍属の個人消費、それから米国側の防衛分担金、これが主なものでございますが、この広義の特需収入額は、昭和二十五年には――金額を申し上げましょうか。
○國弘正雄君 パーセンテージ、比率ぐらいでいいです。
○国務大臣(相沢英之君) 昭和二十五年以降の比率を申し上げますと、これは輸出とは区分してつくっております。恐らく国内におけるサービス等を含んでいるからではないかと思いますが、ですから、外貨収入における特需の割合について申し上げますと、昭和二十五年が一四・七%、二十六年が二六・四%、それから二十七年が三六・八%、二十八年が三八・二%ということになっております。 したがいまして、外貨収入中の約三分の一を超える、四割近い収入があったわけでありまして、これは輸出とは別に区分しておりますけれども、輸出の額の、例えば昭和二十九年におきましては約半分に相当をいたしております。
○國弘正雄君 ベトナム戦争のときのいわゆるベトナム特需を今のような物差しで計算いたしますと約一七%と私はアジア経済研究所の専門家に伺ったことがありますので、今長官が仰せになった三六・八とか三八あるいは半分近くというような数字がいかに大きいものであるかということに改めて感じ入ります。 そして、朝鮮民族が、朝鮮戦争こそがいわば日本をして経済復興の緒につかきしめた一つの大きな要因であったというふうに言うことはこれは決して彼らの身びいきでもなければ、正確さを欠いた一方的な発言でもないと思います。いや、朝鮮戦争は日本が始めたわけじゃないじゃないかという反論も聞こえてくるわけですけれども、しかし振り返ってみると、三十八度線において南北を分割させた、朝鮮半島を、単一民族の単一言語の人々を分割させてしまった歴史的な経緯には日本が責任を負うべき部分もかなりあるわけでありまして、そういったようなことも忘れないことが、先ほどの過去を断ち切ってもいいという盧泰愚大統領の言葉に我々としてこたえるゆえんであるというふうに考えるものであります。 それでは、その次のテーマとして、平和の配当としての防災対策というようなことに話を進めさせていただきます。 ただ、この平和の配当、ピース・ディビデンドという言葉と並んで私がきょうぜひ御披露しておきたいいま一つの言葉がございます。それはデタント孤児あるいは冷戦孤児という言葉であります。孤児というのはいわゆるみなしごという、オーファンという意味でありまして、これはイギリスや、あるいは英語圏においてこのごろよく使われるようになった、あるいは他の非英語圏のヨーロッパにおいても使われるようになった言葉であります。 これはどういうことかというと、冷戦構造が明らかに崩れつつある、あるいはデタントが明らかに進行しつつある、冷戦構造の崩壊ないしはデタントの進行によって何をしてよいかわからなくなってしまった人々あるいはグループあるいは機構を冷戦の孤児ないしはデタントの孤児というふうに呼ぶわけであります。その一番いい端的な例が軍需産業でございます。 この間も申し上げましたように、アメリカには大小取りまぜて約二十五万ぐらいの軍需産業と呼ばれるものがあるわけですけれども、その非常に多くが今やデタントを迎え、あるいは冷戦の崩壊を目前にし、現実のものとすることによって、何とかして平和経済に移行したいということで大変に心を砕いているということでございます。 その意味において私は、この平和の配当ないしは冷戦の孤児にならないための新しい軍事力にかわる道義的な代替案というようなものを我々がっくり出していかなければならない、考え出していかなければならない、こう思うわけでありますけれども、私は、防災というようなことはその一つたり得るというふうに信じております。 そこで、官房長官に伺います。 官房長官は寺田寅彦の例の「天災と国防」という論文をお読みいただいたということでございますが、この間も紹介いたしましたように、あの論文の中で寺田は、日本には非常に特殊な、しかし、A国よりもB国よりもC国よりも、どこの国よりも強い天然の強国として天災というものがあるんだ。こういう特殊な天然の強力な敵を四面に控えて、我々はどのようにして科学的国防を行わなければならないか、こういうようなことを彼はるる説いたわけであります。昭和九年の十一月のことでありました。 さて官房長官、寺田の「天災と国防」というあの文章をお読みくださってどのような御感想をお持ちになったか、伺いたいと思います。
○国務大臣(坂本三十次君) 寺田寅彦の「天災と国防」についての論文は、あなたからいただいて読ませていただきました。 国防といっても、外敵から国民を守るというのは当然のことでありますけれども、しかし、日本のように、日本は世界でも一番地震の起こる国だということでもありますから、国土、国民を守るという意味では大変な、天災というものはよほど対策を国民が皆日ごろから考えなければいかぬという趣旨を述べられております。ところがあの中に、全く日本人というものは、天災があった当時は大騒ぎするけれども、済んでしまったらもうけろりと忘れて、全然対策のことについて真剣に考えない、これは困ったことだと。普通の人ならばそれはやっぱり日ごろの生活に追われておるし無理もない。しかし、事国民を守り、国土を守るというような認識をしっかり持たなきゃならぬような政治の中枢にあるような者、この人だけは絶対に忘れてもらっては困る、そういうような趣旨であります。 漱石門下生の高弟でありますから、その文章は非常に説得力のあるものでありまして、なるほどなと私も感激、感謝をしたわけでありまして、これは我が国の防災につきましても怠っておるところはないかひとつよく点検をしてみなきゃならぬなという気持ちを持った次第です。
○國弘正雄君 どうもありがとうございました。 先ほど日本は世界で有数の地震国であると仰せになりましたけれども、全くそのとおりでありまして、マグニチュード三以上の地震の約九分の一は日本及び日本周辺において発生しておるのが常 でございます。また、敗戦後幸いにして戦争で直接命を失う人は日本にはいなかったわけでありますけれども、各種大小さまざまの地震によって命を落とした人は七千人に上っておるという数字もございますから、余り簡単に忘れない方がいい。何か台風一過すぐ忘れてしまうという日本人の性癖を、かのライシャワー元駐日大使がタイフーンメンタリティー、日本人の台風的思考という言葉で呼んでおりますけれども、何か私もこの天災の問題を考えるたびにそういう思いがしてならないわけであります。 そこで官房長官、私これはお願いでございますけれども、日本の地震ないしはこういう天災に関する対策のための機構というのはたしか六つの省庁にまたがっていると了解いたします。国土庁、文部省、運輸省、通産省、科技庁、それから建設省。建前としてはお互いに分担、協力をしていくということらしゅうございますけれども、建前と本音、例によって例のごとしでありまして、その実はばらばらの建前であって行政が一括化されていないという思いがいたします。 例えば、アメリカ合衆国におきましては、地震とかそういう関連の仕事は全部USGSというところにまとめられております。中国においても国家地震局という統括的な役所があってそこが一括してこの問題を担当しております。ところが、我が国においては、例えば、地震の予知というのは国土地理院に属しておる、これは建設省だと思います。他方、地震と非常に密接な関係があって両者の間を蔵然と分かつことができない火山噴火予知連というのは気象庁、つまり運輸省に所属をしている。なかなか一元化が行われにくい状況にあるわけです。 そこで、長官にお願いしたいことは、ぜひこの問題を海部内閣の一つの目玉として、できるだけ各省庁の障壁を取り払って、緊急な問題でありますから、できるだけ総合的な施策、対策を講ずることができるようにひとつお取り計らいを願えないであろうか。なぜこういうことをお願いするかという理由は今すぐ申し上げます。
○国務大臣(坂本三十次君) 決して怠っておるというわけでもございませんけれども、十八省庁で中央防災会議というのをやっております。しかし、十八省庁といったらもう政府全部みたいなものであります。しかし、そこであなたが指摘されるようにみんなが寄り集まっておるものですから、その辺の有機的なやっぱり協力関係はもっとしっかりしろという御指摘だろうと私も思っております。 特に、地震につきましては発生のメカニズムがなかなか科学的にもつかみ切れておらぬというところもこれあると思いますけれども、全省庁挙げてひとつ協力をして、そして研究の足らざるところは研究をする。そして、予知の技術でカバーできるところは、そういう技術を生かして実際に予知できるように何らかの対策を立てられないかというような点につきまして今後ともよく協力しまして、そしてできるだけの、成果のこれはと思ったものは、これでいけるというぐらいのところまで思ったならば、予知に関する予算なども考えていくべきだなと、こう思っております。
○國弘正雄君 確かに、特に直下型地震についてはそれを事前に予知することが非常に難しい。プレート型いわゆる海溝型については比較的容易だけれどもという技術的な困難さがあることは私も仄聞しております。しかし、先ほどのたくさんの省庁がおざなりに手をかけているということでは、共同責任は無責任という言い方もございますし、どうしても機動性に欠ける。しかも、この地震対策というのはもう機動性がなければ何の意味もないというたぐいのことでございますので、特にお願いをしたいと思うんです。 なぜ私が非常に今心配をしているかと申しますと、実はこの間もこの委員会でこの問題についてれましたその日でありましたけれども、地震予知連の副会長、東大名誉教授の力武博士が、今後十年以内にM六以上の直下型の地震が東京を襲う確率が四〇%であるということを、公的には発表なさいませんでしたけれども、何といいましょうかひそひそ話といいましょうか、あるいは私話というような感じで発表――発表という言葉がいいかどうかは別として、なさったわけであります。この四〇%云々というのは、降水確率何十%という話とどこがどのように違うのか私は素人でございますからわかるよしもございませんけれども、しかし力武さんのようなこの道の最高権威の一と言われている方がそこまでおっしゃるというのは、私にとっては心穏やかではございません。 そして、同じ予知運の同じく東大名誉教授の浅田博士も、この力武説は全くそのとおりであるというふうに賛意を表しておいでになります。あと数年すると、徳川幕府が江戸で開かれて、つまり江戸開府以来四百年たつわけでございましょうけれども、その間二十一回ぐらいの非常に大きな地震が起きておる。直下型とそれからいわゆるプレート型がほぼ半分ずつだということを聞いております。この直下型というのは非常に予知が難しいんだということはよく私もわかるんですけれども、さらばといって手をこまねいていていい理由はないし、一つ私が非常に気にかかりますのは、例えば力武さんや浅田さんというようなこの分野の最高権威のおっしゃることがどうも私語に、私語といいますか私の言葉にとどまっていて、彼ら御本人もおっしゃるんですけれども、政府とかあるいは自治体の対応はほとんどゼロに近いということなんですね。 力武さんに至っては、なぜ政府の対応が鈍いんだろう、非常に腰だめの姿勢をとっているんだろうと。その理由は、予報が外れたときに責任をかぶるのが嫌だからじゃないかというようなことをはっきりとおっしゃっておられる。官僚機構が特にすぐれてそうであるかどうか私は知りませんけども、しかし、力武さんの御説明は何か私どもに納得がいくものがあるわけでございます。 そこで伺います。予報が外れたときに責任をかぶるのが怖いからあえてこういう学者の、研究者の発言を私語のレベルにとどめ、政府や自治体が思い切った反応をしないのでありましょうか、どうでありましょうか。そのあたり、御解説ください。
○政府委員(市川一朗君) お答え申し上げます。 先ほど官房長官の御答弁にもございましたとおり、政府レベルでは中央防災会議というのがございまして、そこで災害対策を統括しているわけでございますが、その中央防災会議におきまして地震防災対策のための専門委員会というものを設けておりまして、そこで六十三年の六月に一つの中間報告をいただいております。それが現在私ども国土庁を初めといたしまして政府の防災関係者の共通の認識になっているわけでございますが、内容を簡単に申し上げますと、南関東地域におきましては相模トラフ沿いでM八クラス、これは関東大地震と同じ規模でございますが、の巨大地震が発生する可能性は百年か二百年先とされる一方で、ただ同地域直下におきましてM七までのクラスの地震の発生についてはある程度の切迫性があるとされております。それで、南関東地域のM七クラスの地震は、地震の規模としてはM八クラスに比べますと三十分の一の規模でございますからかなり規模は小さいわけでございますが、それが地盤の浅いところでそれで東京等で起こりました場合は非常に大きな被害が起こる可能性があるということで、私どもはその対応に現在取り組んでおるわけでございまして、今お話がございました武先生もこの専門委員会の一人のメンバーでございまして、私どもと認識の上においても十分一致しておるというのが私どもの見解でございます。
○國弘正雄君 今も御説明ございましたけれど、何がいつ起こってもおかしくないところにまで来ているということはどうやら事実のようであまして、これは東大の茂木教授もいつ起きてもおかしくないということを断言しておいでにな。あるいは北海道大学の島村教授は、確かに米ソのデタントで地上には平和が来た、しかし地中激動が始まったと、こういう言い方をしておい でになる。そして、この間も申し上げたと思いますけれども、島村さんは、いつミサイルが飛んでくるのかわからないのにそれを受けて立つレーダー装備はまことにもって不十分である、軍事的なアナロジーでそういうふうにおっしゃっておいでになります。何か事が接近しつつあるんじゃないか。この間これも申し上げたと思いますけれども、今の日本の予知体制というのはまるで節穴である、そしてマグマが地下で笑っている、どうもそういう事情だと言っていいと思うのであります。 しかも、我々が心配しております関東地区の直下型もしくは海溝型の地震、それ以外に例えば岐阜県とか富山県とか長野県、この三県の県境、北アルプスと言っていいと思うんですが、そういったようなところにおいてもえらく大きな地震が起きるかもしれないということを専門家から伺ってまいりました。 ところが、それを調べたいわけだけれども予算も人手もまことにもって不十分で、地震計すら今の予算では十分に設置することができないというような嘆きの声が聞かれます。この間も申しましたように、たったの六十一億九千万円というような地震予知対策費で一体何ができようというのであるかと、私なんかもそう思うわけであります。この北アルプスあたりは、これは確かに人口はもちろん稠密じゃございません。非常に過疎の地帯でございますけれども、ただ怖いのは地震によって山崩れあるいは土砂の崩壊というようなことが起きて、その結果例えば鉄砲水みたいなものが起きて、そしてそれが下の方に大きな災害をもたらすあるいはダムが決壊する、こういう可能性もなしとはしないと思うのであります。 そういうことに関連して、いわゆる山地と申しますか、その災害の危険、それから雪崩その他の危険な箇所というものが一体日本でどの程度あるのか。そして、そういうような危険に対してどのような山地災害の防止策が講じられているのか、そのあたりを伺いたいと思います。
○政府委員(甕滋君) ただいま林地あるいは山地の災害危険箇所についてのお尋ねでございますが、私ども山地災害の予防、復旧のためには治山事業に取り組んでおりますが、現在の第七次治山事業五カ年計画の策定に先立ちまして、昭和六十年度、六十一年度に危険地区の調査を実施いたしました。 その結果で申し上げますと、約十七万六千カ所山地災害危険箇所がある。国有林が七千カ所、民有林は十六万九千カ所、現状としてこういう把握をしております。そのために、今申し上げました治山事業五カ年計画に基づきまして治山施設、山崩れ発生予知施設の整備を総合的に行う特別整備治山事業を初めとする各種治山事業を積極的に実施しておるところでございます。
○國弘正雄君 それでは、この防止対策について一部お話を伺ったわけでございますけれども、それに関連して林業問題全般についての関連質問を同僚の村沢議員にお願いいたします。
○委員長(林田悠紀夫君) 関連質疑を許します。村沢牧君。
○村沢牧君 災害を初め危険地域については、山地の件については今お話のあったところでありますが、建設省の所管についても農林水産省の所管についても、その危険な箇所がわかっておるにもかかわらず対応が大変におくれております。もっと積極的な対策を講ずるべきであります。このことは国有林についても言えることであります。 私は去る五月十八日の総括質問で、こうした問題を含めて国有林の現状を指摘し政府の今までの施策を追及し、抜本的な再建対策を講ずることを要求したところでありますが、その後五月二十七日、NHKの七時のニュースは国有林の再建問題について次のような報道を行っております。 国有林は国土面積の二〇%、七百六十万ヘクタールを占め、林野庁が管理経営しているが、高度成長の過度の伐採や要員の拡大を進めたことがたたって赤字経営に陥り、累積債務は現在二兆円を超えています。このため、先月の臨時行革審の最終答申でも事業の抜本改革がうたわれるなど、再建策の模索が続けられております。林野庁の構想によりますと、累積債務のうち一兆円前後については保有資産の売却で埋め、残りは国の資金援助を受けながら返済をしていく。国と地方自治体が共同出資して新しい特殊法人をつくり、そこに作業員を移す形で人員の削減を進めるなどとなっています。このうち資産の売却は、都市部にある関連施設から行い、自然環境の観点から森林の売却は原形を保ったまま利用される場合に限って行う。また新しい特殊法人は民間の産業も受け入れ、採算の確保を目指すとしています。林野庁では、今後林政審議会に具体案を諮る一方、本格的に調整を進めまして、七月の末を目途にして最終案をまとめたいと、このようにNHKは報道しているのであります。 この報道は関係方面に大きな刺激を与えています。国有林の再建は国会でもたびたび取り上げておるところでありますが、このような具体的な思い切った構想は初めて聞くことであります。林野庁はこうした考え方に立って再建を検討しているんですか。
○政府委員(甕滋君) 国有林野事業の経営の健全化のためにただいま総括的対応策につきまして林政審議会において御検討を願っているところでございまして、さらに関係方面の意見も聞きながら今後方針を決定していくこととしております。このことは本委員会におきましてもこれまでも申し上げているとおりでございます。 ただいま先生が紹介されました報道でございますが、全体として御指摘の報道にありました事実はございません。
○村沢牧君 そのような事実がないということは、報道された構想は林野庁が固めているわけではない、この報道は事実無根であるということですか。
○政府委員(甕滋君) 現在、私どもとしても林政審議会で御検討を願っておりまして、その方向なりあるいは内容なりはあくまでもこれからの審議を積み重ねる中で出されてくるものでございます。現段階においては、構想と言えるほど整理されたもの、まとまったものはございません。
○村沢牧君 そうすれば、これから林政審議会の審議を進めていくわけでありますが、報道されたような具体案も含めて審議をお願いするんですか。審議会の作業ほどのように進んでいますか。また、いつごろまでに最終答申を出してもらうんですか。
○政府委員(甕滋君) 林政審議会におきましては、ことし三月以降、国有林野事業の総括的対応策といたしまして、これまでに累積債務対策でありますとか組織、要員のあり方等をめぐるいろいろな論点につきまして審議を願ってきておるところでございます。 ただいま申し上げましたように、原案と申しますか、構想といったものが具体的に論議されるまでには至っておりません。現在、できれば夏ごろには何らかの形で中間報告をいただければと思っております。 なお、最終報告までには引き続き詰めの論議を願うことになろうかと考えております。
○村沢牧君 NHKで報道されたような内容も含めて林政審議会にこの審議をお願いするんですか。
○政府委員(甕滋君) 先ほど申し上げましたように、私どもとして一つの構想なり方針なり、こういったものを持ってお諮りしておる現状ではございません。これからもろもろの論議を尽くしていく中で私どもの方針もあるいは構想も固めてまいりたい、見出してまいりたいと、こう考えている次第でございます。
○村沢牧君 各方面の意見を聞いて再建対策を立てる、その場合にはどうしても職員との協調が必要であるというふうに思いますが、それをどういうふうに考えていますか。
○政府委員(甕滋君) 御指摘の点はそのとおりでございまして、私どもにも労働組合がございますので、十分意思疎通を図りながら検討してまいりたいと思っております。
○村沢牧君 農林水産大臣、林政審議会の答申を踏まえて施策の前進を図るといたしましても、先日私の質問に対して総理及びあなたは、超党派でいろいろなアイデアを出して議論をしていただく、社会党を初め野党の御協力もお願いしたい、こういう答弁をしておりますけれども、その方針に変わりありませんか。
○国務大臣(山本富雄君) お答えいたします。 国有林野を取り巻く情勢は非常に厳しい、これはただいま先生の御指摘にもあったとおりでございます。この経営の健全性を何としても確保したいということで、ただいま総合的な対応策につきましていろいろやっておる最中でございます。もちろん林政審議会、昨日もございましたが、回を重ねて林政審議会にもお諮りをしておるということでもございます。また、今お触れになったように、この間の委員会でもお話がございまして、この総括的な対応策を策定する場合は、林政審議会はもとよりでございますけれども各方面、特に野党の皆さん方の御意向は十分承って相談をさせていただいて、なおかつ助力もいただきながらこの国有林野の赤字問題を何としても克服していきたいというふうにお答えをしたとおりでございます。
○村沢牧君 最後に、大臣から答弁もあったところでありますが、確認をしておきたいというふうに思います。 林政審議会からも検討してもらう、同時に与野党の意見、協議を踏まえて国有林の抜本的再建を図る、このことを改めて農林水産大臣に確認いたしたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(山本富雄君) そのつもりでやってまいります。
○村沢牧君 終わります。
○國弘正雄君 先ほどの地震の予知の問題に戻らせていただきたいんですが、六十一・九億円というのが全部をひっくるめた予知関係のお金であるということなんですね。各大臣に伺いたいんですけれども、この六十二億弱という金額をどのようにおぼしめしますか。
○国務大臣(保利耕輔君) 六十一億九千二百万円のうち、文部省の所管は十八億五千万円でございます。いろいろな調査研究等をいたしあるいは観測網等を整備いたしてまいりますにはもう少しあった方がよろしいのではないか、これはお願いをするところがあろうかと思いますけれども、整備には力を出していかなきゃならぬ、そういうふうに思っております。
○政府委員(須田忠義君) 先ほどいろいろ議論が出ておりましたけれども、地震予知はまだ研究開発段階でございまして、これまで各省庁において整備されてきた観測網、観測井、その辺のデータの蓄積、それが今非常に大事な段階に差しかかっておるという認識をしております。したがって、そのデータをもとに地震のメカニズムなり予知の研究を続け、引き続き研究の進展に合わせて拡充するなりの措置をとるべきじゃなかろうか、そういうふうに考えておるところであります。
○政府委員(立平良三君) 気象庁におきましては、地震予知に関連しまして全国における大中小の地震の観測を実施しております。これは測地学審議会の建議によります地震予知計画の趣旨に沿って行っているものでございます。そのために必要な所要の予算を確保しておるところでございます。 特に東海地震につきましては、体積ひずみ計とか海底地震計を整備しておりまして、また関係機関の協力も得まして百三十三項目の観測データを気象庁本庁に集めております。これを地震活動等総合監視システムによって処理することによりまして総合的な常時観測を実施しておりまして、現状で対応できる限りの直前予知体制をしいておるというふうに考えております。
○政府委員(近藤徹君) 建設省におきましては、所管施設の防災化また防災に資する各種事業を実施するとともに、地震予知といたしましては国土地理院におきまして地殻の変動、特に観測強化地域である東海・南関東地域を中心にいたしまして継続的に各観測、測量を実施しているところでございます。今後も測量の方法等に工夫を加えつつ、地震予知事業に支障のないよう努力してまいる所存でございます。
○国務大臣(綿貫民輔君) 地震関係予算について予算が少ないんじゃないか、こういう御質問だと思います。確かに、建設省の国土地理院の地震関係係予算を見てみますと、今から十年前の五十六年、五十七年ごろには十七億台でございましたが、現在は十五億台。マイナスシーリングとかいろいろ国の財政再建の関係でこういうことになったと思いますが、今後はまたいろいろと公共事業拡大もありますから、ぜひよろしくお願いします。
○國弘正雄君 同じことは消防庁の予算についても言えるんじゃないかと私は伺っているんです。つまり、少なくとも全体の予算の中において占める比率がこのところ大幅に減じている。消防庁長官ないしは自治大臣いかがですか。
○政府委員(木村仁君) 五十年代以来厳しい財政状況でございましたので、消防庁予算もかなり切り詰めたものになっていることは御指摘のとおりでございます。 消防関係施設設備の補助金について申しますと、ピーク時に二百五億でございましたものが、現在百三十七億ということになっておりますが、平成二年度予算におきましてはそれを実質増額していただきまして、ほぼ百四十億に近い金額まで回復していただいております。今後もこのような努力を続けてまいりたいと考えております。
○國弘正雄君 今建設大臣それから消防庁長官からそういうお話があったんですが、ぜひひとつスクラムを組んでいただいて、六省庁ですね、関係の皆さん方がスクラムを組んでいただいて、大蔵大臣にぎりぎりこれを攻めつけていただいて、しかもそのコーディネーションを官房長官にお願いしたい、私はこう思っています。というのは、本の意味で国民の生命財産を守るということは一どういうことかということを思い起こす必要があると思うからであります。 大蔵大臣、一九七六年にはこの地震対策関係のお金がたしか二十三億円見当であったと伺っていますが、それが七九年には五十八億に飛躍的に伸びております。その間、大規模地震対策特別措置法という法律がしかれたことがこの大きなジャンプの原因だろうと思いますけれども、かつて二十三億を五十八億にふやされたんですから、今回でも六十二億を倍増ぐらいさせることは容易なことじゃございますまいか。いかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変失礼でありますが、多少私は言葉を返させていただきたいと思います。 まず第一点は今の体制についてでありますが、これは委員が御承知で恐らくお触れにならなかったと思いますけれども、地震予知対策としては科学技術庁長官を本部長とした地震予知推進本部、これを中心として機能させているところであります。また、私はそのメカニズム、非常にむしろ現況はうまく機能していると実態として考えております。 なぜなら、私はちょうど大島の三原山の爆発の時点、運輸大臣でありました。そして、あの爆発した日はこのちょうど同じ部屋で国鉄改革関連法案の審議の途中でありまして、その審議中にメモが入り、当時の参議院の委員各位にも委員会運営の上で非常に御協力をいただいたことを今でも覚えております。そうして、確かに急激な噴火により予知におくれはありました。しかし、その後における島民の避難誘導等、後で分析をしてみますと幾つかの問題点が出てまいりまして、その結果として港湾の改修等が行われておりますけれども、結果的に一人の犠牲者も出さず全員無事に避難させることができたことは、委員も御承知のとおりであります。そして、あの時点において国土庁を中心とする体制というものは非常に私はうまく機能したと思っておりますし、その後における避難しておられる方々への食料の配送等について各省庁さらに東京都が非常にいいチームワークを 組んで体制を最後まで確保していただいたことを、当時私としては非常に感謝いたしておりました。 そうした実績から考えてみますと、私は仕組みは不断に見直してよりよいものを考えていく必要はあると思いますけれども、地震関係を特定の部局を編成しそこに集約することばかりが地震対策の強化ではないと思います。また同時に、今六十一億九千万円という御指摘を受けまして改めて見てみますと、そのとおりであります。ただ同時に、委員に振り返ってお調べをいただきますと、急激に予知の予算のふえておりますとき、これは機器の整備に非常に大きな金額を要した時期であります。今後におきましても私どもは、所管省庁を通じ予算要求があり、その機器の整備についてあるいは増強について御要請が出てくれば、その都度十分これは検討させていただくことはやぶさかではありません。 しかし、その機器の整備が終わりました後、その機器を運用し例えばその得られたデータを解析する、三原山の噴火によって得たデータなどというのは非常に貴重なものでありまして、まさに現在もその分析が続いておるわけでありますが、こうした時期には施設整備ほど巨額の予算の増加を必要とするものではございません。むしろそれがより人手の面で増強を必要とする場合があり得る、これは私も認めます。そうした中において私は各省庁はそれぞれの所管分野において適正な御要求をいただいたと考えておりますし、その御相談の上に立って今回まとめました地震予知対策の予算というもの、今後ともに私どもとしては注意を払いながら対応してまいりたい、そのように思います。
○國弘正雄君 大蔵大臣、お言葉を返すようですがと前置きなさったんですが、全然お言葉を返しておられないわけで、なぜ……。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 組織についてのことです。
○國弘正雄君 全然そんなことはないですよ。いやいや全くおっしゃるとおり。いや、だから必ずしも全部にまとめるだけが能じゃないと思います。だけれども、とにかくできるだけ効率よくする。日本的に一番効率のいい組織というのはあり得ると思いますから、何も中国やアメリカの例に倣うべきだと申し上げているわけではありません。たまたま例として申し上げているわけです。
○国務大臣(橋本龍太郎君) それじゃお言葉を返しましょう。訂正します。
○國弘正雄君 はい、そうしてください。 それから先ほど島の噴火のことについておっしゃったが、あのときは、少なくともその当時においてはどうもあれは予知ではない、後知であるというような非難もございましたですね。それから、どうも政府よりも都知事の英断がむしろあの事態をうまく被害なくあれする上に大きくあずかって力があったんだというようなことも言われていたんですが、その点いかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は決して東京都さらには当時の大島の現実に行政に当たっていた方々のその英断というものを否定するつもりもありません。またそういう視点からまいりますなら、私は当時一番見事であったと思いますのは大島の中におけるバスの運転手諸君の振る舞いでありまして、噴火のさなかにおいて全地域を回り全住民を救出する上にこの諸君の功績というものが私は非常に大きかったと思っております。 しかし、私は当時海上保安庁を所管しまた気象庁を所管する立場として、委員が御指摘のとおりデータの解析中に予想よりも早く噴火が起こったということで、結果的に予知失敗という御指摘を受けたことも記憶をいたしておりますが、全員避難に踏み切るについて各省庁の行政機関の連携体制というものは大変見事なものであった、私はそう考えております。
○國弘正雄君 さっき大蔵大臣は人手の増強が必要であるという趣旨の御発言をいただきました。これはもうまことに心強い御発言でありまして、人手をふやせば当然お金も余計それだけかかるわけですから、お金を預かっておられる役所の担当者としてこの問題については本当に格別の御配慮をお願いしたい。事は民族の、これはもう寺田寅彦が言っていることですけれども、本当に国を滅ぼすことにもなりかねないんだ、この天災というやつはと。全くその可能性があるわけでありますから、その点はひとつ十分な御配慮をお願いしたいと思いますし、官房長官も各省庁をできるだけ有機的に、余りセクショナリズムにならずに連携がとれるような御配慮をお願いしたいと思うんです。 さあそこで、この日本の大地震の可能性というものについては、日本国内だけで論議されているんじゃございません。というのは、災害というものは国境などを尊敬しないからであります。つまり、チェルノブイリの死の灰はもうあっちこっちに飛ぶわけで、国境を簡単に越えてしまう、ボーダーレスである、災害とはボーダーレスであるということは言うまでもありません。 そこで、一九八九年の六月号、ちょうど一年ぐらい前ですが、これもちょっとこの間名前だけ触れたんですが、アメリカの経済界の人がよく読んでおります「マンハッタン」という雑誌がございまして、この雑誌が特集を組みまして、東京大地震がウオール街を破滅させ得るの次第についてと、こういう題で特集を組んでいるわけであります。これを御紹介する時間的余裕はないんですけれども、ただはっきり言っていることは、世界の主ないわゆるプレートの十二のうちの四つが交錯しているのが東京である。あるいは世界でももう致命的と言ってもいいように重要な都市すなわち東京を時限爆弾の上に営んでいる愚かさというような非常に強い言葉を使って、この問題について警告を発してくれておる。 そこで、六つぐらいのシナリオがあるんですが、それをちょっとざっと読みますので、大蔵大臣、これはおかしいよと思われればどうぞおっしゃってください。 まず第一に、地震が東京を襲うわけです。兜町株式取引所とその一切の取引の記録が消滅をする。コンピューターは確かにあるんですね。私はこれを実際に見てまいりました。ところが、もう一つの補助のコンピューターというのがすぐ隣に置いてあるんです。だからこいつがだめになりゃこっちもだめになることは決まり切っているわけで、あれでは補助のコンピューターの役割なんか果たしっこないんですね。記録が消滅する。そこで、海外での日本の株と円が大暴落する、これが第一のシナリオ。 第二番目は、西側の保険会社が日本からの請求への支払いのために株式やそれから債券を放出することで、いわゆる外国為替市場というものががたがたになってしまう。 第三のシナリオは、日本は国内再建の金繰りのために海外資産の引き揚げというか処分を始める。 四、日本マネー、ジャパンマネーが撤退することによって証券市場というものが崩れてしまう。アメリカのいわゆる金利が高騰する。 五番目、高金利のためにアメリカの消費物資や住宅費を引き上げる。これは高金利が引き上げる一方で、不動産開発とかあるいは貯蓄信用組合とかあるいはGNPとかというようなものはどんどん落っこってしまう。 やがて東京株式取引所が再開をされるわけだけれども、もう西側はその後とんといかさないと。 大まかに言うとこういうシナリオなんですが、そのシナリオ、不十分な解説で申しわけありませんけれども、お聞きくださってどのようにお考えですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 非常に幾つかの仮定を置いた上でそうしたシナリオを組み上げられたということは、私ども自身がこれから先十分に頭に置かなければならない、それに対応するプログラムを用意する必要のある事態である、そのように考えます。
○國弘正雄君 ありがとうございました。時間がもういよいよございません。平和の配当としての軍縮ということについて伺おうと思っ ておったんですが、もはや時間がないわけでございます。ただ、一言だけこれは防衛庁長官に御意見を賜りたいんですけれども、韓国との関係の話で質問をスタートいたしましたから、韓国のある新聞の社説の一説をもって舞いおさめることにさせていただくんですが、ことしの初めに韓国はソウルの世界日報という、どっちかというと保守的な新聞でございますけれども、が社説で以下のように書いています。 世界的な軍縮の機運が高まりつつある中で、なぜひとり日本だけが軍備を増強するのか、その理由を我々韓国民としては釈然として知らなければならない権利を持っている。 こういう趣旨の一月六日の世界日報紙の社説でありました。この社説についてどのようにお考えですか。
○国務大臣(石川要三君) 突然の御質問でございますから、十分にょう先生の趣旨に答弁できないと思いますが、今のその社説については私はまだ読んでございません。ただ、今御質問いただいたのを直観でございますけれども、韓国から、我が国の防衛費の最近の増大といいますか増高といいますか、そういう点については非常に高い伸び率だというふうに御批判をされているのであると思います。 ただ、これは言いわけになってしまうと思いますけれども、私どもはやはり大綱の水準に一生懸命努力をして、その結果があのような数字になったということでございまして、これは韓国の方々のそういう目に対して私は決して理解されるような説明にはならぬと思いますが、そういう見解を持っておるわけであります。
○國弘正雄君 イージス艦について。 イージス艦の欠陥その他についてはもう既に言われているんですが、アメリカのある有力なニュース雑誌が、このイージス艦というのはアメリカの最悪の武器のナンバーシックスであるということを去年発表しております。いかがですか。
○国務大臣(石川要三君) 我が国の防衛力整備の内容の一つでございますので、専門的な立場から政府委員から答弁させたいと思います。
○政府委員(日吉章君) 委員ただいま御指摘の米国の専門誌とは、米誌USニューズ・アンド・ワールド・リポートの一九八九年七月十日号のことであると承知いたしておりますが、これによりますと、イージスシステムの問題点については、「昨年七月ペルシャ湾においてイージス搭載艦が戦闘機と誤認されたイラン航空機を撃墜したことによって明らかとなった。」ということを理由といたしまして、武器ワーストテンの一つとしてイージスシステム搭載艦を挙げているということを御指摘になっておるのだと思います。 しかしながら、この事件が起こりまして、米国防総省が詳細なる調査をいたしましてその調査報告を発表いたしておりますが、それによりますと、イラン民間航空機を撃墜いたしましたのは乗員の誤認等によるものであって、イージスシステムは正常に作動していたというふうに発表されております。また、イージス艦の対空目標の識別手段といいますものは基本的には他の艦艇と同様のものでございまして、識別装置が正常に作動しておりましても、相手航空機の対応のいかん等によりましてはその能力発揮には限界がございまして、これは艦艇の対空目標の識別手段一般の問題でございまして、イージス艦、イージスシステム特有の問題あるいはイージスシステムに欠陥があるということではないという調査報告書だと理解をいたしております。
○國弘正雄君 いずれ反論させていただきますが、きょうはこれで終わります。 ありがとうございました。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で國弘正雄君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、木庭健太郎君の一般質疑を行います。木庭君。
○木庭健太郎君 私もこの席に着くのは初めてでございまして、きょうは、この委員会でも少し取り上げられましたけれども、ODAの問題、特にインドのナルマダ川流域の総合開発の問題について何点かお伺いしたいと思っております。 御存じのとおり、このプロジェクトの中で今一番問題になっているのがサルダル・サロバル・ダムの建設の問題でございまして、世界銀行が四億五千万ドルを融資しておりまして、日本のOECFの方からも二十八億五千万円の融資がされて今スタートをしております。しかし、もう日に日に地元住民を初めとして世界のNGOからも猛反発が起きているのが現状でございまして、融資を中止しろという声が随分高まっております。 この問題を考えるときに、これはただ一つのプロジェクトというような問題ではないなということをしみじみ感じます。やっぱり援助と開発、開発と環境というか、そういう日本の援助のあり方そのものをこれは問いかけているんじゃないかなというふうに感じます。ところが、実際この問題を見たときに一番感じるのは、融資を決定した後何でこの問題が起きたのか原因が何か不明というか、よくわからないということが多いということでございまして、まず外務省にお伺いしたいんですけれども、この融資はどのような事前調査を踏まえてどのような理由で決定されたかというのを第一点目に伺いたいと思います。
○政府委員(木幡昭七君) 本件につきましては、八五年の三月にインド側より正式に円借款の要請がございまして、我が方は同年の四月に政府調査団を派遣し、六月にさらに経済協力基金の審査ミッションを派遣して先方と協議を行った結果、同の八月に我が方としてただいま御指摘のあった二十八億五千万円までの円借款供与を決定したものでございます。 なお、この本件決定に当たりましては我が方としましては、インド側より提出のありました各種の詳細な資料さらには世銀より入手した資料を十分精査の上、先ほど申し上げました政府調査団、ECF審査ミッションを派遣し、本件の全体の開発計画における位置づけ、資金計画、事業の実施体制等についてインド側より説明を詳細に聴取するとともに、現地調査を行うことによりまして環境、移住問題に対する対策も含め詳細な調査を行った次第であります。 なお、今問題になっております住民移転の問題あるいは環境面の配慮等については、適切な配慮を払う旨が世銀とインド政府側との間で合意されていたということを十分確認の上、それについても念のため情報等を入手した上で、インド政府のその確認の意向を取りつけて供与の決定を行った、こういう経緯でございます。
○木庭健太郎君 この問題のポイントは、もういつも言われていることですけれども、このダムを建設することで三万七千ヘクタールですか、これはOECFの調査ですけれども、そういう農地や森林が水没して、それに伴って流域に住んでいる少数民族の人たち、これを中心に約二百四十の村、約十万人が移住を余儀なくされる。合意はできていると言いながら、実際には今のところ移住先はまだ決まらないで、現地住民から猛烈な反対運動が起きているというのが一番の問題だと思っております。 今外務省がおっしゃいましたけれども、世銀から資料を入手して十分精査と、インド政府からの資料も検討したというふうにおっしゃるんですけれども、その世銀の調査、それから政府の調査、この調査なんですけれども、その資料の中に現地住民特に水没する地域の住民から直接話を聞いたというような資料なり、そういうものがあるんですか。
○政府委員(木幡昭七君) 先方の住民との間のお話は、これは当然のことでございますが、先方の州政府とかあるいは中央政府とかが、自国国民との関係でございますので、一義的にきちんと処理するということになっているわけでございます。我が方といたしましては、そういう先方の当局の意向を十分確認をとりまして援助決定の手続をとった次第でございます。 もちろん、その後の状況について、移住計画等についてのおくれがあるということも私どもは承 知しておりますので、その辺のことを現在慎重に見守っているというところでございます。
○木庭健太郎君 その世銀の調査というやつは、実際に現地住民から話を聞いているんですか。れだけ確認させてもらえますか。
○政府委員(木幡昭七君) 世銀が現地の住民とどのような話し合いをしたかの詳細は必ずしも私どもはつまびらかにしておりませんですが、相当年月をかけて本計画については世銀において調査をしたものでございますので、その上でまた中央政府とあるいは州政府と世銀との間で長いこといろんな話し合いをし、何回も移住計画等についてインド側の実行計画の促進等についても話し合っていると承知いたしております。
○木庭健太郎君 やはりわからないんですよね。そういうふうに事前調査で本当にそこの人たちと会ってきちんとやったかどうかがはっきりしないんです。 OECF、きょうわざわざ来ていただいて本当にありがとうございました。OECFの方も決定前にこれ事前調査されていますので、まず、いつどこで具体的にどんな調査をされたか、ぜひお聞かせください。
○参考人(谷村昭一君) 今外務省からお話しございましたように、基金では一九八五年の六月に調査を実施いたしております。その段階におきましては世銀が全体の調査をやっておりましたので、世銀の審査結果等を踏まえまして、私どもが融資いたしますのはその事業の中の揚水発電機あるいは発電関係の一部機械でございますので、これらの事業に関します技術的、経済的フィージビリティーの確認のための調査を実施いたしました。 なお、お尋ねの世銀がこの段階で個別に話を聞いておるかということでございますが、私どもが聞いておる範囲内におきましては世銀は融資の前の段階におきまして環境、移住問題について調査をいたしておりますし、現地の意見も聴取したと私どもは聞いております。もちろん、私どもが直接やったわけではございません。
○木庭健太郎君 そうすると確認ですけれども、OECFとしてはこれは一部の調査だから、発電機の中の全体の中のたった一つだから、ある意味では大部分は世銀にお願いして、今の話ではOECFとしては水没する住民から直接話は聞いていないということだろうと思うんですよね。そういうことを確認したいのと、もう一点は、ただ現地調査というのは、本当は一番関係ある人たちの意見をやはり聞かなくちゃいけないんじゃないかと思うのでございます。相手国が言ったこととそれから実際にそういう現場にいる人の話に矛盾がないかどうか、それを確認するのが調査だと私は思えるんですけれども、御意見を。
○参考人(谷村昭一君) この件は実は世界銀行が環境、移住問題につきまして大変熱心に調査をされましたし、またインド政府との間でも環境、移住問題についてインド政府が対処するということの確認をとった上、そういう状況で基金の融資要請があったわけでございます。したがって、そういう状況を踏まえて私どもとしましては、世銀の環境、移住の調査の結果及び世銀とインド政府との合意を踏まえてこの全体の事業についての判断をいたしたと、こういうことでございまして、先ほど申し上げましたように、直接現地の住民の意見を聞いたということはいたしておりません。
○木庭健太郎君 この問題、御存じのとおり、昨年九月に六万人の大集会、大抗議集会があってみたり、水没地域の橋の上の座り込み、一万二千人がやってみたりと。それから、つい先日はこちらの東京のシンポジウムがあって、この中にも出ていらっしゃる方が何人かいらっしゃいますけれども、そういう状況を迎えているんですけれども、OECFの方がことしに入って現地に調査団を送られたということを聞きましたので、これは何月何日から何日間どこを見ていらっしゃって、具体的にどんな調査をされたかということをお願いします。
○参考人(谷村昭一君) 本年の二月から三月にかけまして、二週間程度だと思いますが、私どもの業務二部長が現地に出張いたしまして大変熱心に現場を視察して回っております。もちろん、この事業は御承知のようにインドの三つの州にまたがるわけでございまして、受益をする州とそうでない州があることはもう否定できないわけでございます。 したがって、現地に参りました私どもの部長は、そのうちの二つの州は現地視察をいたしました。しかし、一つの州につきましては、州政府からの要望もございまして現地に参ることは見送ったと、こういう経緯になっております。しかし、今申し上げましたように、現地を視察するとともに、インド政府あるいは実施機関と進捗状況その他の問題について十分打ち合わせをしてきたと、こういう状況でございます。
○木庭健太郎君 今もう先におっしゃっていただきましたけれども、一つの州に入ってない、この入ってない州が実を申しますとその一番反対していた州だと。ということは、結局反対の声は一言もまた聞かずにあれだけいろいろあったのに帰ってこられた。これはどうしてですかね。その要望もあったということはどういう州から要望があって、絶対入ってはいけないというようなことがあつたんですかね。その辺は、あったとしても入って聞くのが筋じゃないですか。この辺も本当にわからないんですね。お願いします。
○参考人(谷村昭一君) 今お話しのございましたうち、三つのうち二つ行ったと申し上げましたが、そのうちの一つの州はむしろ反対的なところがある州でございまして、そこには参りまして現地視察をいたしました。しかし、もう一つの州は、これは州の当局者が今回はぜひ見送ってもらってくれと州の責任者が私どもの部長に発言をいたしましたので、これはやはり何と申しましても現地の州当局のそういう要望を無視して現地に参るということは穏当でございませんので、そこは引き揚げてまいったと、こういう状況でございます。
○木庭健太郎君 済みません。その見送らなくちゃいけなかったのは、一応どういう理由でというふうに言われて入れなかったんですか。それだけちょっと聞かせておいてください。
○参考人(谷村昭一君) 実は、州当局もそこは余りはっきりしたことを申してなくて、種々の理由によりとこういう言い方だったようでございますが、種々の理由により今回は見送ってほしい、こういう言い方であったと報告を受けております。 〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕
○木庭健太郎君 余りやってもこれ以上出てきそうにないんで、せっかく調査を行われたんですから、その結果どんな印象を持たれたか、プロジェクトそのものに対する進展がどうだったかという御感想と、もう一つは環境配慮という面での御感想と二つに立て分けてお聞かせください。
○参考人(谷村昭一君) 今回の部長の出張に関しまして私どもが受けました報告は、先ほどの三州で移住対策が講じられてきつつあるわけでございますが、確かにその受益をする州では移住が進んでおる州もありますが、対策がおくれている州もあることも事実でございまして、私ども全体の評価といたしましては、必ずしも円滑に移住対策が実施されると言いがたい状況だという印象を持ったということを率直に申し上げておきたいと思います。 それからもう一つは環境問題でございますが、これは基金としまして最近一番力を入れてやりたいと思っておることでございまして、昨年の十月に「環境配慮のためのOECFガイドライン」というものをつくりまして、これは貸出先の政府その他の機関に配付いたしまして、借入人が開発事業をするときの指針にしてもらおうということでつくったわけでございます。そのほか環境専門の職員を新しく拡充強化するというようなこともやっておりますし、それから必要とあれば外部専門家を活用するというようなことも考えて、我々としましては今後環境に対する影響というものを十分配慮した事業を展開してまいりたいと思っておるところでございます。
○木庭健太郎君 今回の問題というのは、原点はやっぱり融資を行うときの調査のあり方だ、それ がどうも欠陥があるように思えてならない。言葉で言ってしまえば、開発を優先してしまって現地の声を忘れてしまえば問題が起きるのは当然ですし、世界的に今援助と環境という問題が論議されているけれども、実際の現場ではまだまだ落とし穴があるなということをこれを見ていると感じます。また、日本に対しては、これは世銀との協調融資なんですけれども、そう言ってもういつも何か世銀任せというようなことがどうしても言われている。現場をきちんと見てこないということが、批判が現在起きているのも事実でございます。 ただ、これはOECFの人たちと話しますと、こんな数少ない要員でうちがどうやってやっていきゃいいんだというようなことをおっしゃる方もいらっしゃるし、またもう一方ガイドラインをようやくつくりましたね、あれについてはもう少し踏み込んだ形に変えた方がいいというようなことをおっしゃる方もいらっしゃいます。そういった意味で今後調査体制をこれどんなふうにして、――私は変えなくちゃいけないと思うんですけれども、御見解があればぜひお伺いしたいと思っております。
○参考人(谷村昭一君) 今先ほどちょっと申し上げましたように、基金では全体としまして確かに職員の数が少ないわけでございますが、最近大変政府でも御配慮いただいて、着実ではございますが年々人員増をさせていただいておるわけでございます。 もちろんこの人員増というのは、例えば環境問題一つ取り上げましてもただむやみやたらに人をふやせばうまくいくかというとそうではございませんので、着実にふやしながらまた人を養成していくということがぜひとも必要で、私どもとしては先ほど申し上げましたような環境ガイドラインをつくり、あるいは環境の専門家を入れ、あるいは外務の専門家を活用するというような各種の方策を講じつつ、今申し上げたような体制整備を図ってまいりたい、こう考えておるところでございます。
○木庭健太郎君 どうもOECFの方ありがとございました。 ところで先日、このサルダル・サロバル・ダムについてODAの追加融資を中止するという方向を固めたというような一部報道がございましたけれども、外務省、事実関係ほどうなっておりますか。
○政府委員(木幡昭七君) この計画についての追加融資の問題につきましては、我が方といたしましては本件計画の環境その他、移住問題等に及ぼす影響等も考慮に入れまして、目下事実関係の推移把握に努めているところでございます。現時点におきましては、追加融資については慎重に対応するという姿勢で臨んでおります。
○木庭健太郎君 それでは、来月十六日にはパリで世界十五カ国それから世銀とか国際金融機関が参加したインド援助国会議が開かれることになっておりますけれども、日本としてはそのときまでにこの問題についての一つの方向性を持っていこうというおつもりでいらっしゃるんですか。
○政府委員(木幡昭七君) 六月の下旬にインドに対する援助国会議が開かれるわけでございますが、インドからは昨年来、電力とか植林、医療、住宅等、広範な分野における援助要請が来ております。目下これらの要請を踏まえまして精査、検討を進めているところでございます。なお、その検討を進めている対象の要請リストの中には、現在のところサルダル・サロバル・ダム計画は含まれておりません。
○木庭健太郎君 私も含まれていないということは大体わかっているんですけれども、その会議の席で、今慎重に検討されているわけですから、その席で一つの結論を出すような方向まで持っていくつもりでいらっしゃるのかどうか、まだまだ慎重に慎重に対応しなくちゃいけない、どちらなのかということを聞きたいんですけれども。
○政府委員(木幡昭七君) 援助国会議におきまして援助をブレッジします場合には、これまでの要請を踏まえてきちんとした裏づけを持って我が方としてはプレッジするということを必ずやっている次第でございます。本件について我が方で審査対象に今してないということは、この次の援助国会議においてそれについて我が方として前向きの援助プレッジをするということは極めて困難であろうと存じます。
○木庭健太郎君 そうすると、もしかしたら後ろ向きのやつだったら要るかもしれないということになるかもしれないと思うんで、その点ちょっと確認させてもらいたいのと、もう一つ、そうしますとこの問題、世界銀行が六月末を期限にいたしましてインド政府に総括的な対策の提示を求めておりまして、そこまでに問題が解決しなかったら一応融資中止というようなことを世界銀行の方も打ち出しておる、期限が六月末でもございます。日本として、その六月末のそういう世銀の一つの結果を待ってからこの問題について結論を出されるんですか。
○政府委員(木幡昭七君) 本件につきましては、ただいま先生から御指摘のとおり、世銀とインド政府当局との間でいろいろやりとりが続けられているところでございます。私どもとしては、インド政府が世銀との間で約束したような移住、環境面の計画が円滑に進むということをもちろん期待しているわけでございますが、それがきちんと進まない場合には、我が方としては引き続き本件については融資について慎重な態度で臨む、こういうことでございます。
○木庭健太郎君 ところで、世界銀行に大きな影響力を持っていらっしゃいます大蔵省の方は、世界銀行からこの問題について今のところどのような報告をお受けでございましょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、外務省の事務方の方から御報告を申し上げた内容と大差ありません。そして、インド政府は環境及び移転の問題に対して今最善の努力を払いつつあり、事態の進展も見られるということを世銀にも報告し、世銀として今事実関係をなお把握しインド政府の対応というものを見きわめつつある状況であると、そのように承知をしております。 補足いたしますと、ことしちょうどアジア開銀の総会がインドのデリーで行われました際に、私も気になりましてボンベイまで行き状況を聞いてみました。確かに三州の利害が入り組み、住民の間の声というものの一色には染め切れない、民族的な問題点も非常に根深いような話でありまして、今私はやはり十分その対応を見きわめる必要があると思っております。
○木庭健太郎君 今大臣からおっしゃっていただきましたけれども、この六月三十日、一つの期限がある。またもう一つ、大蔵省としては本当に最近環境には熱心でいらっしゃるようで、世銀とアジア開銀に環境アセスメントに関する基金の創設というようなこともお考えになって、非常に前向きに取り組んでいらっしゃるというようなこともお聞きしておりますし、ぜひこの問題、政府の絡みの問題いろんな問題があるんですけれども、ぜひその環境の視点というのを日本としてある意味ではイニシアチブをとりながら、やるときも慎重に対応していただきたいし、私個人の意見で言えば、本当は融資中止というような形を大蔵大臣の方からは言えないものかなというようなことも思うんですけれども、その点についてぜひ、世界環境のイニシアチブを日本がこれからとっていくんだという面から、何かもう少し積極的な取り組みはできないかということをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) この案件についてということではなくお答えをさせていただきたいと思いますが、今委員が御指摘になりましたような視点を含め、地球環境問題というものの重要性から、昨年七月の国際開発協会、IDAに対し環境ファンドを創設し、七億円を払い込んでまいりました。またIDAにおけるこの環境ファンドを世銀にも本年は拡大する。そして開発政策、人材育成ファンドの枠組みの中で、世銀とIDAに対し環境関連の拠出金として二十億円の拠出を行う予 定であり、現在御審議中の平成二年度一般会計予算政府原案に計上させていただいております。また、アジア開銀におきましても同様環境ファンドを創設し六億円の拠出を行う予定にしておりまして、そのための予算を同じく計上させていただいているところでございます。 今後こうしたものが活用される中におきまして、今御論議をいただくような問題が再現しないことを、同時に、やはりそれぞれの国に環境についての専門家が育っておればこうした問題の発生については未然に防げる場面も多かろうと思いますので、それぞれの国における人材養成についても協力をしていきたい、そのように考えております。
○木庭健太郎君 このナルマダの問題だけじゃなくて、これまでもODAプロジェクトについては環境破壊の指摘が随分ございます。確かにOECFの方がガイドラインというのを策定してありますけれども、最近の状況を見ると私としてはこのガイドラインの内容充実がもっと必要だというふうに思えてならない。 〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕 例えばアメリカではこの環境アセスメントの制度があってみたり、一般からの要請でこれは環境影響評価表などについて公聴会を開いておりますし、そういったものがなければいけないんじゃないかなということを考えるんです。特に我が国でも今の検査機関に加えて第三者機関による検討機会というのを充実するようなそういう考えをぜひ持っていただきたいし、またもう一つの問題は、これはマレーシアに進出した日系企業の公害裁判が五年越しに行われていたり、フィリピンでも公害輸出というような批判があるのも事実でございます。 先日アメリカで開催されました地球環境問題に関する国際議会人会議というのがございまして、この中で私たちの同僚の広中議員が、開発途上国での企業活動に本国と同じ厳しい環境保護規制が適用されるべきだというようなことを提唱いたしまして、多くの賛同も得たと聞いております。ぜひ国際的視野に立って我が国政府としても、例えば一点目は国際環境アセスメント条約を締結することを国連などに提案するというようなこと、また二つ目は国内でも環境アセスメント法を制定して海外進出企業についてもこれを義務づけるとか、三点目にアジア開発銀行など公的資金活用についてもこの条件を付すというようなことをやるべきだと思うんですけれども、それぞれについて所見を伺いたいと思います。
○政府委員(赤尾信敏君) 私の方からは、今先生が申されました国連等の場において環境アセスメント条約のようなものを提案してはどうかという点につきましてお答えしたいと思います。 我が国政府といたしましては、いろんな経済活動を行うに当たっての環境面への配慮ということは非常に重要であるということは十分認識をしております。国連におきましては、去年の五月の国連の環境計画の理事会におきまして環境アセスメントについての決議が採択されておりまして、これは一種のガイドラインでございますけれども、私たちはこのガイドラインに基づいて十分環境アセスメント等に配慮していくということになっておりまして、今環境事務局長が関係国さらに関係国際機関等とこの問題はこのままでいいのか、あるいはさらに改善の余地があるか等につきまして意見を交換していくということになっておりますので、その一環として私たちとしても対応してまいりたいというふうに思っております。
○政府委員(横田捷宏君) 通産省でございますが、海外進出企業と環境問題の関係につきまして御説明申し上げます。 海外に進出いたします日本企業が進出先の現地法人ということでございますので、環境保全のためのその国の諸規制を遵守していくということは当然のことでありますけれども、同時に公害対策先進国という我が国の立場、技術等を生かしまして現地の環境保全に貢献することが期待されておるわけでございます。この点につきまして、通産省におきましても産業構造審議会のガイドライン等で民間企業、団体等を指導いたしておりますが、民間経済団体におきましてもっとに自主的な海外投資基準等を設定しておられるわけであります。 最近の話でございますが、本年四月にはさらに環境アセスメントの重要性を含みました十項目の環境配慮事項、この提言も行われております。政府といたしましても、このような民間ベースの申し合わせ、提言等も含めた形で海外進出企業の環境配慮が行われることを期待いたしております。 国内の公害関連諸法規の海外進出企業への義務づけの点につきましては、困難な事情があるわけでございますけれども、今後とも日本企業が海外現地社会の環境問題に十分配慮した企業行動をとるよういろいろな機会をとらえて監視をしてまいりたいと思っております。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員の御指摘は私はそのとおりだと思います。 そして、今ADBあるいはIBRDなど国際開発金融機関の融資に当たって、融資対象となるプロジェクトの環境面の影響についてはこれらの機関があらかじめ十分調査をする、審査をするということは大変必要なことであります。そこで、それぞれの内部規則に基づいて借入国の協力を得ながら、事前に環境面についての審査などを行うことが既に義務づけられております。そしてADBにしましてもIBRDにいたしましても、環境部局を正式に設置するあるいは拡充するなど、組織の整備また借入国との政策協議などの場を通じて途上国に対しても助言等をこのごろ行えるようになってきました。 問題は、国内の公害防止義務等の法規を海外進出企業にそのまま適用するということが途上国の主権の問題等とも絡む部分がございますが、今通産省の方から自主的な規制ルールというものは既に存在をするということでありまして、むしろ私どもとしては国際開発金融機関そのものがこうした面についての組織を拡充しあるいはその能力を高めていくことで一つの対応を考えていきたいと思っております。
○木庭健太郎君 きょうは通産大臣がおりませんのでもうそれ以上突っ込む気はないんですけれども、どうしてももう少しこういった問題について前向きの姿勢を示しておかないと、やはり今、海外のどこへ出たときもそういう指摘される問題が本当に多いわけですから、その辺もう少し検討していただきたいような気もいたします。 次に、援助の職員の体制の問題について伺います。 今人員が圧倒的に不足しているという現状だというようなことが言われておりますけれども、援助を実施する職員の体制の現状についてどう認識されるかをお伺いしたいと思います。
○政府委員(木幡昭七君) 私どもの方で所管しておりますJICAを例にとって若干御説明を申し上げたいと思います。 JICAの場合には技術協力と無償資金協力の実施業務をやってもらっているところでございますけれども、これまでいろいろ予算面の御配慮を得まして、我が国の援助額は十年前に比較しまして円ベースで見て二・八倍に増大しているところでございますが、相対的に援助要員の方はまだそれに追いつくような形にはなっておりませんで、伸びの面で見ますと約五割の伸びにとどまっているというような状況でございます。 ODAの量的拡充につきましては着実にこれまでも努力をし成果を上げているところでございますが、いろいろ環境問題等ODAの対象分野の広がりもございますので、援助に携わる人材の育成また人員の数の増加等についても、引き続き各方面の御支持と御理解を得て努力をしていかなければならないところであるというふうに考えております。
○国務大臣(相沢英之君) OECFの職員についても一言申し上げますと、御案内のように、円借の融資額も年々非常にふえてまいりまして、五十年に対しまして残高で申しまして約十倍を超える 金額になっておるのであります。職員の方は五十年の三月当時百五十六名、平成二年の予算で二百七十四名、これは役員を除いた数でございますが、最近その仕事の状態等につきまして財政当局においても十分しんしゃくをしていただいて年々増員を認めていただいておりますが、なお各種の機関、例えばアジア開発銀行、アフリカ開発銀行その他との比較におきましてもまだまだ不足する点があるのではないか。ただ、円借の場合は融資の対象が相手国政府でございますから、今までもいろいろと問題点の御指摘がございましたが、それらの点につきましても、一次的には相手国政府というものにおいて十分調査をし、研究もし、検討もいただくということの前提に立って仕事が行われている点も当然あるわけでありますので、この点はお考えをいただきたいと思いますが、それにいたしましてもなお一層の充実を監督官庁としてもお願いしたいというふうに考えております。
○木庭健太郎君 今おっしゃったようにばらばらでなかなかわかりにくいんですけれども、一まとめにすると、日本の人員は今援助のために千六百人程度になっておりますね。よく言われることですけれども、同規模のアメリカが三千六百人というようなことも言われておりますし、その他の援助国と比べても確かに少ないのが現状なんです。だから、逆に言えば、どんどんお金だけふやしていけば、日本というのは金権国家だみたいなことが言われてしまうし、それが批判の対象になるような気もいたします。一人当たりの援助実績というのは今日本は四百六十七万ドルという巨額な額でございまして、何か職員に聞きましたら、どうやって金を使うのかというような、そういうことも難しいというようなことなおっしゃった方も実際いらっしゃいました。 確かに皆さん方いろいろ御努力いただきまして 年々人数はふえていっているし、ふえているだけじゃなくて質の問題も大蔵大臣がおっしゃったみたいに大事なことですし、その部分もやっているんですけれども、何か足りないなと思うと人間がぽっぽっぽっとついていく。実質的にこの援助に関して、例えばこれくらいの額になっていくならば、体制的にはこの辺までは大体日本としては持っていくんだ、要員としてはこれくらい確保しながらやるんだというような将来像というのはないんですかね。それがあればかなり違ってくると思うんですけれども。最終的とは言いません、将来どんな体制をつくろうとなさっているのかをお伺いしたいと思います。
○政府委員(木幡昭七君) 先生御案内のとおり、目下ODAにつきましては第四次中期目標ということで鋭意その拡充、充実に努めているところでございます。もとより、それに伴って人員増加が必要になることはそのとおりでございますが、これにつきましては、できるだけ関係部内の効率的な仕事の仕方、この辺をまず徹底して、その上で必要になる増員をお願いするという姿勢で臨んでおりますので、中期目標というような形での人数についての目標計画等については、ただいまのところ数字で申し上げるようなものはございません。できるだけ能率的に仕事をし、その上で必要なものをお願いしてまいる、こういうことでやっているところでございます。
○木庭健太郎君 きょうは外務大臣がいないとわかってやっておることですが、官房長官いらっしゃいますね。 外務大臣代理、何か一言ありませんか、この体制について、どれくらいに持っていこうというようなお気持ちがあれば。
○国務大臣(坂本三十次君) この委員会でいつか外務大臣も、外交実施体制、外交はやっぱり最後は人でやるんですから、この実施体制についてはいまだどうも不十分だということを嘆いておりました。経済援助につきましても、日本に対する世界の期待というものがますます、日本の国際的責任も高くなってまいりますので、やはりそういう実施体制についても今後とも検討をしていかなければならぬと思っております。
○木庭健太郎君 もう一つは、量から質への転換ということがODAについては盛んに言われております。質の面ではまだまだ援助各国と比べておくれているのも現実でございます。例えばアジア各国を回りましたら、日本のODAというと何と言うかというと、ローンと、つまり貸付金、借款のことだというような言葉が返ってくるというのが現実だそうでございます。また、ODAの中には確かに無償援助とか技術協力があるのにそういうことが言われるというところが、ある意味では我が国のODAの現状を示しているんじゃないかとも思います。 実際に我が国のODAで見ていきますと、有償資金協力の割合が現在五八%でございます。他の西側先進国を見ましても著しく高くて、例えばもう御存じのとおりですけれども、有償資金協力の割合というのはアメリカでは、これはちょっと特別な事情もございますけれども、わずか五%でございまして、フランスが二六%、西ドイツ三〇%、イタリアが三四%というような現状でもございます。確かに政府は本年度も無償援助というのをふやしていることは確かなんですけれども、まだまだ無償援助分というのをふやしていかなくちゃいけないだろうし、例えば政府として目標を有償資金協力の割合が例えば五割を切るような水準に持っていくとか、最終的にはそういうような形で、決して日本はローンじゃないんだというようなことをやる必要があるんですけれども、そういう方針を打ち出していらっしゃるのですか。そういうものを私はつくらなくちゃいけないと思うんですけれども、そういう方針について伺いたいと思います。
○政府委員(木幡昭七君) ODAの中で無償資金協力に関してどのぐらいまでの割合を占めるべきかというお尋ねでございますが、これも先生御指摘のとおり、我が国の援助の六、七割がアジア向けに行っているわけでございます。これは開発資金のニーズが非常に大きい地域であるアジア地域に我が国のODAの三分の二程度が向けられているという事実があるということでございます。こういう地域は、御案内のとおり、発展段階が進んでおりますので、無償というよりは有償資金協力で対応すべきだということが援助関係の国際機関等の場でも認識としては一致しているところでございます。より貧しい地域、サブサハラとかそういう最貧国に対して無償の援助を重点的にやっていくというのが国際機関等におけるコンセンサスでございます。 我が方といたしましては、アフリカ等の最貧国などに対して無償資金協力で対応するということを近年とみに努力しているところでございまして、その拡充の割合は着実にふえているところでございます。 なお、無償資金協力に限った形でODAの中で何割というような目標値をつくるということは、これまた実は相手国、相手地域の発展段階も刻々と変わるわけでございますし、そこで数字を挙げて目標を設定してまいるということはなかなか難しい問題がございます。総論的でございますが、当面は第四次中期目標のもとで、ODA全体の枠組みの中でその拡充に努力してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○木庭健太郎君 もう一つ、この有償資金協力のやり方についてももっと工夫が必要だというようなことがよく言われます。それが例えば量から質への転換といっても、そういう努力のあらわれというふうにもなるかと思うのでございます。例えばこの有償資金協力ですけれども、貸し付け後何年間か据え置きがあったとしても、借りた途端に利子がつくというようなことではなくて、例えば据置期間後というようなそういう一つのやり方、そういういろんなやり方が出てきて、払いやすいというんですか、そういうやり方のシステムができてきてもいいんじゃないかと思うんですけれども、その点についてはどうでしょうか。
○政府委員(勝村坦郎君) お答えを申し上げます。 先ほど有償の割合についてどういう見込みを持っているかという御質問がございましたが、有償の割合を引き下げるということ自体が援助の内容 をよくすることでは必ずしもないように思います。ただ、現実の問題といたしましては、先ほど委員から御指摘がございましたが、援助全体の中におきます貸し付けと有償の比率というのは、長期的に見ますと、着実に下がってきているということは申し上げられると思います。 ただいまお尋ねの据置期間中の利払いのことでございますが、据置期間は、御承知のとおり、それぞれの相手国の条件によりまして異なっておりまして、三十年返済期間で十年間の据え置き、あるいは二十五年間で七年の据え置きというような、相手国の所得水準を考慮いたしましてできるだけ相手側に有利なような供与をいたしておるわけでございます。また、金利自体につきましては現在、元年度平均で二・六四%となっておりますが、これも相手側の所得の状況によりまして、特にLLDC等につきましては非常な低利で供与をいたしておるわけでございます。 据置期間と申しますのは、これは特にプロジェクト等の資金供与をいたしました場合に、当初、立ち上がり期間のいわゆる懐妊期間というものに相当する時期を見ているわけでございまして、その期間について特に利子を免除するという理由は必ずしも正当化されないだろうというふうに考えておりますし、また、先ほど申しましたように、特に低所得国に対しましては非常な低利で供与いたしておりますので、その間利子を取らないというふうなやり方が必ずしも適切かどうかというふうに考えております。
○木庭健太郎君 それからもう一つ、自分自身ODAを少し勉強しながら非常にわかりにくかったのは、ODAに関する資料の問題でもございます。この資料は各担当機関、省庁それぞれに見事なものがいっぱいございます。ただ、ある意味ではばらばらと出て、どれか一つ見て、じゃ日本のODAの全体像は何かというようなのを見ようとしても、なかなか不明瞭だと言わざるを得ません。政府として日本のODAの現状がこの一冊を見ればはっきりわかりますよというようなものを私はぜひきちんとした形でつくるべきだと思うし、また、当委員会でも問題になりましたけれども、このODAというのは、調べようと思って資料がなかなかないし、わかりにくい。そういうODAのいろんな案件についても、例えば事前の段階、中間の段階、事後の段階、各段階で国会がチェックできる、国民がチェックできれば一番いいんですけれども、そういうチェックできるシステムみたいなものをつくることが必要だと思うんですけれども、その点お答えいただきたいと思います。
○政府委員(木幡昭七君) ODAに関する資料でございますが、私どもこれまでも随分いろいろなものをつくって努力はしてきたつもりでございます。ただ、今御指摘のように、一冊見ればすべてわかるようなものをつくるべきだという御指摘でございましたら、もうちょっとそれをわかりやすいように編集して一冊のものにするというような努力は今後も重ねてまいりたいと存じます。先生あるいは御案内かと存じますが、公表している資料はたくさんあるのでございます。それがわかりにくいということでございましたら、もうちょっとわかりやすくするように、私どもいろいろ御意見もちょうだいしながら研究を重ねてまいりたいと思います。決して私ども資料をできるだけ出さないとかつくらないということではございませんので、国民の御理解をいただくということについては引き続き努力をしてまいりたいと考えております。 それから第二の質問でございますが、ODAの実施前、実施中、実施後等についての種々の段階でのチェック、そういうものができないかという御指摘でございます。 我が国の場合、ODAは具体的なプロジェクトにつきましてそれぞれ個別に相手国ときめの細かい話し合いを行いまして、相手国の要望を聴取し、理解を得ながら毎年国会で御承認いただく予算の範囲内で決定していく、実施していくということになっております。この場合、援助の供与対象国、金額、あるいは予定案件等の詳細につきあらかじめ出せという御要望がありましても、なかなかその段階で詰まっていないということもございますし、また相手国との間で交渉の最中であるということが通例でございます。 したがいまして、先方との交渉の立場もございますので、その辺の困難な面があるということ、ひとつこの点は御理解をいただきたいと存じます。各国の例を見ましても、ほとんどすべての援助国におきまして、我が国と同様国会の御承認をいただいた予算の範囲内で、政府が行政権の範囲において、行政権に基づきまして外交交渉を行い、具体的な援助案件について話し合って決定するというようなことを行っているところでございます。もとより、実際に行ったプロジェクト等につきましてできるだけ説明をすべしという御要望に対しましては、私ども相手国政府ともお話し合いをしながら、できる限りの情報公開には努めてまいる所存でございます。
○木庭健太郎君 そうは言われますが、なかなか本当はこの資料の中身というのは正直言うとわからないことが多いんですよね、出ている項目なりそういうのを見ていくと。そのことを本当はちょっと聞きたいんですけれども、何か官房長官は御用事があるようですから。 官房長官にちょっとお尋ねいたします。 日本が世界に果たす役割を考えていくときに、ODAはこれからも当然拡大していくということでございます。しかし、それに対応するのには、もっと援助の基本理念というのを明確化したような法体制の整備がぜひとも必要だし、さっきもあったようにばらばらということじゃどうしてもわかりにくい。ある意味じゃ責任体制の明確化というのが絶対必要だというふうに私たちは考えております。私たち公明党は、国際開発協力基本法というのの制定を目指して法案も再三国会に提出をいたしております。政府としてもそろそろ立法化に踏み切るべきではないかというふうに考えます。また、我が国の援助体制は関係省庁合わせて十七省庁と、もうほとんどでございますし、また円借款でも四省庁体制ということになっています。こうした体制では国際的な状況変化に対応できないと思いますので、体制の整備、そして責任主管庁の明確化ということについて、官房長官の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(坂本三十次君) 開発援助、これは我が国とその対象国との相互友好、依存ということと、人道的な配慮に基づいて開発途上国の経済社会開発、民生の安定、福祉の向上、こういうことに貢献をするという目的は、これはもう明確になっております。そういうような意味で、我が国の国際経済協力の実施体制というものは、先ほどお話がありました点もございますが、全体としては順調に伸びつつあると考えておりまして、経済協力の一層の効果的な、効率的な実施のために、現行の関係法令等の枠内で改善をしてまいりたい。いわゆる援助基本法の制定まではまだ必要ではないのではないかと思っております。
○木庭健太郎君 甚だ不満でございます。私たちとしてはぜひともやっぱり責任体制の明確化と、理念も非常に抽象的だと私は思っております。そういった意味では、その点はまだまだこれからやっていきたいと思うんですけれども、そこで打ち切りまして別の問題に移ります。 雇用保険の問題で、まず平成元年度の被保険者数、資格喪失者数、受給資格決定件数、受給者実人員数、基本受給率、どうなっているか、まず御報告願います。
○国務大臣(塚原俊平君) 平成元年度における雇用保険被保険者数は三千十八万一千人、被保険者資格喪失者数は四百七十九万七千人、それから受給資格決定件数は百四十三万七千件、それから受給者実人員は五十万六千人、基本受給率は一・七%であります。
○木庭健太郎君 ただいま数字をいただいたんですけれども、この数字の中で私が一番注目したいのは、この数字は前年度より資格喪失者がわずかではありますけれども増加しているんですけれど も、それにもかかわらず受給者実人員数が減少して、しかも基本受給率も〇・二ポイントばかり低下しております。つまり、失業しても失業保険をもらわない人がふえているということでございます。これはやっぱり景気が政府の予想以上にいい証拠じゃないかと私は思うんですけれども、労働省側はどうこれを分析されていますか。
○政府委員(清水傳雄君) 御指摘のように、平成元年度におきまして、雇用保険の被保険者資格の喪失者数は四百七十九万七千人で、前年度に比べまして三・九%増加をいたしております。これに対して受給資格決定件数は百四十三万七千件で、前年度に比べまして六・四%の減。受給者実人員は月平均五十万六千人、前年度に比べ八%の減となっております。 これは、御指摘のように、景気拡大局面におきましてはより条件のいい職場を求めた転職者等が増加をするという傾向がございますが、好景気を反映いたしまして、失業給付を受給するに至らずに就職する人たちも多い、こうした事情によるものと考えております。
○木庭健太郎君 そのとおりだと思います。そのおかげで、雇用保険の方の余剰金でございますけれども、この三年間調べましたら、年間大体二千億円から四千億円、雇用保険の積立金、六十三年度末実績は一兆六千六百七十億円、平成元年度末は一兆九千億円が見込まれる。六十一年度末に比べると、これは実に二倍以上にもなっているわけでございます。やっぱり私は、たまり過ぎれば返すのが本当だと思います。特に最近は国民の社会負担というのはさまざまな面でふえる一方でもございますし、少しでも負担を軽くする方法があれば、ぜひ取り組むべきだというふうに思っていますし、私たちもその願いを込めて法案を提出させていただきました。 そこで、第一点目ですけれども、平成二年度から三年間、被保険者の雇用保険料の負担を現行の二分の一とするという特例措置をぜひとっていただきたいと思うんですけれども、これをやると月収三十万円の人で、わずかではございますけれども、年間一万円ほど軽くなるわけでございます。私たち一応ざっとした試算でございますけれども、これをしますと、積立金累計もこれぐらいだと余り減らずに済むというようなことも出ております。ぜひやっていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(塚原俊平君) この前及川委員の方にも御答弁申し上げたんですが、基本的には労使半という一つのあれがございますから、それかどうしても最後のよりどころという部分がございまして、なかなか御趣旨に沿えない部分がございます。 今の第一点目につきまして、労働省としての考え方を政府委員から答弁させたいと思いますのでちょっとお聞きいただきたいと思います。
○政府委員(清水傳雄君) 今の御提案の雇用保険料のいわゆる労働者負担分を三年間半額にするということにつきましては、ただいま大臣からも申し上げましたように、雇用保険の失業給付は言うなれば労働者の最後のよりどころであるものでございまして、やはり制度自体の強固な安定性を確保いたしまして、景気の好不況にかかわらず安定的な給付を行っていく必要があると考えておりまして、好況期、不況期、保険料率を上げ下げする、こうした形は適当ではないんじゃないか、このように存じます。 また、雇用情勢の急激な悪化が仮に生じた場合には、現行の保険料率の場合でも赤字が生じるということにもなりますし、それから失業という保険事故をどんなふうな形で負担するか、こういう仕組みのそもそものあり方の考え方からいたしましても、制度発足以来労使折半負担、こういうふうな形でやってまいったわけでございまして、そうした事柄について御理解をちょうだいいたしたいと存じます。
○木庭健太郎君 理解するわけにいかないわけでございまして、さっきもおっしゃったんですけれども、労使折半という問題についても、確かに日本の制度は労使折半でございます。しかし、例えばEC各国を見てみれば、この社会保障費というのは当然事業者側が高くて、働いている方が少ないんですよね。そういう例があることも認識していただきたいし、また確かに、急激に悪化するとおっしゃるんですけれども、例えば六十二年度でしたか、五カ月間連続して完全失業率が三%を上回った、このときも積立金の取り崩しは行っておりません。そんな現状もございます。 また、確かに最後のよりどころ、それも一つの事実でもございますけれども、また別の面を見れば、先ほど言われたように、状況によっては失業保険をもらわなくても済むようなケースも出てくるわけです。そういった意味では、ある意味では一つの一時的休職給付的な性格もございますし、まだ考えられる面が私は十分あると思います。 もう一つこの雇用保険の問題で私ども提案しておりますのは、六十歳以上の高齢者の雇用保険料を免除する点でございます。 今、六十四歳以上で雇用されている人については、事業主負担分も含めて免除されております。しかし、現行の定年制、六十歳定年制というのが実際にまだまだ達成できていない現状ですし、ぜひあらゆる方途を使ってこの高齢者雇用対策というのは取り組んでいかなくちゃいけないんじゃないか。私は、雇用三事業だけじゃ足りないと思っていますし、そういった意味では、ぜひ高齢者を使いやすい、雇いやすい、そういう環境をつくるためにも、六十歳への前倒しをぜひしていただきたいと思うんですけれども、これについての見解を伺います。
○国務大臣(塚原俊平君) その点につきましても、六十歳以上につきましては最長三百日という大変手厚い給付を行っている等々の御答弁を実は及川委員の方に申し上げまして、それで理解をとお願いしましたら、理解できないというお話をいただきまして、一応もう一度労働省の方からの考えを政府委員の方から答弁させます。ちょっとお聞きいただきたいと思います。
○政府委員(清水傳雄君) ただいま大臣から申し上げましたように、六十歳以上の受給資格者につきましては、被保険者期間に応じつつも最長三百日間の手厚い給付を行っておるわけでございます。こうした中で六十歳以上の高年齢者の保険料を免除する、こういう形になりますと、高年齢者が非常にこれからも急増いたしてまいります中で、給付と負担の面におきまして他の年齢層との不均衡がやはり拡大をする、こういうふうに考えられるわけでございます。 それから高齢者の雇用促進という意味合いにおきましては、お触れにもなりましたが、事業主負担による雇用保険三事業によりまして積極的な対策を行っておるわけでございまして、言うなれば雇用保険全体としてそうした形で対応する仕組みになっておるところでございます。 そのようなところから、免除年齢を六十歳以上とすることは私どもといたしましては適当ではないのじゃないか、このように考えておりますので、御理解をちょうだいいたしたいと存じます。
○木庭健太郎君 確かに、雇用三事業で就業率が伸びていればいいんですけれども、どっちかといったら五十八年と比べて六十三年の就業率の方がむしろ低下している現実もあるわけです。だから、もうちょっといろんな角度からやらなくちゃいけないんじゃないかなということを特に感じるわけでございます。 それと、今の見通しでいきましたら、平成二年度末、つまり今年度末には積立金かついに二兆円を超えて、雇用保険料率の引き下げを検討する対象となる二倍を超えるというようなことも必至だというようなことも言われております。余り過ぎてどうしようもなくなって、ようやく引き下げ対象になったからそれから始めるというのでは、私は労働省としては余りに情けないと思っております。 大臣に確認しておきますけれども、二倍を超えたとわかったら直ちに引き下げを検討されるのかどうか。そして、重ねて私がきょう指摘した点に ついてもあわせてぜひ検討していただきたい。大臣もサラリーマンの経験があるわけですから、サラリーマンに対してぜひ朗報を期待したいということをお願いいたしまして、最後の質問とします。
○国務大臣(塚原俊平君) 実は、私大変に理解できるんです。御指摘、一々ごもっともな部分が非常にありますし、つじつまが合っている部分も物すごくございます。ただ、今既に答弁いたしましたような経緯等もございまして、なかなか難しいような状況にございます。できるならば、一応きょう御答弁した範囲で何とか御理解をいただければというふうに思います。
○木庭健太郎君 終わります。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で木庭健太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、林紀子君の一般質疑を行います。林君。
○林紀子君 五月十五日、国の責任のもとに初めての原爆死没者調査が発表されました。今回の調査で新たに一万一千九百二十九人の死没者が確認されました。広島では五千五百五十一人ですが、戦後四十年にしてまだこれだけの新たな死者がわかったことは、原爆の破壊力のすさまじさを改めて示していると思います。 そこでお伺いいたしますが、今回の調査で原爆死没者の全容が解明されたとお考えでしょうか。
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。 今回の死没者調査は、生存しておられる被爆者に対しまして記憶にあります死没者の状況を調査いたしまして、広島、長崎両市が行っております原爆被爆者動態調査といいますものを補完することによりまして、原子爆弾によります死没者の実態をより明らかにすることを目的といたしまして実施いたしたものでございます。したがいまして、この調査だけで死没者の全容が解明されたわけではございませんが、原爆死没者の実態をより明らかにするための役割は果たしたものというぐあいに考えております。
○林紀子君 それでは、政府として死没者はどのくらいに上ると推定しているでしょうか。特に昭和二十年末までに亡くなった方ほどのくらいと推定しておりますでしょうか。広島、長崎それぞれについてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(長谷川慧重君) 被爆によります死没者の数につきましては、いろいろ調査がありますものの、正確な数はわかっていないところでございます。 原爆に被爆した方でこれまでに亡くなった方につきましては、広島、長崎両市が行っております動態調査により把握されております数が総数に最も近いというぐあいに考えられるわけでございますが、その数は、先生お話しございましたように、今回の死没者調査により新たに確認された死没者の数を加えまして、広島が二十万一千九百九十人、長崎が九万三千九百六十六人、合計二十九万五千九百五十六人というぐあいに把握いたしているところでございます。 それから二十年末までに亡くなった方ということにつきましては、非常に調査が難しいわけでございますけれども、二十一年の八月に広島の調査のまとめがございまして、それが大体十一万八千人、長崎につきましては二十五年の原爆資料保存委員会の報告によりますと七万三千八百八十四人という数があるわけでございまして、それ以外にもいろんな調査があるわけでございますので、なかなか正確な数、はっきりした数がわからない状況にございます。
○林紀子君 私が伺っているところによりますと、広島市では国連に市長の名前で報告したその推計といいますのが、二十年末までに亡くなった人は、広島市で十四万人プラスマイナス一万人、こういう数だということです。今回の調査で明らかになりましたのが七万九千六百三十三人、およそ八万人です。ですから、およそ六万人以上の方々がいまだにお名前がわからない。こういう大きな隔たりがあるのではないでしょうか。全容解明にはほど遠いその原因は何でしょうか。
○政府委員(長谷川慧重君) 原子爆弾の投下によりまして爆心地に近い方々が一瞬にして亡くなったというような経緯もございまして、そういう面で中心部に当たる方々の氏名等がなかなか把握できないというのが現実の姿であろうと思います。そういう面で、広島、長崎両市におきましてはいろいろの調査を行っておりまして、死没者の数、あるいは爆弾の落ちる前の状況につきましての復元調査等を行っておるわけでございますが、なかなかそれにおきましても、いわゆる身寄りの方々等が一緒に亡くなった場合におきましては数がわからないということで、先生のお話にございましたようにかなり数に差があると申しますか、そういう状況でございます。 なお、これからも広島、長崎両市におきましてはそういう面で実際の数の把握には精いっぱい努力してまいりたいということで、私どもも応援してまいりたいというように思っております。
○林紀子君 今お答えがあった原因と同時に、余りに調査が遅過ぎた、こういうことがこれまた一つの大きな原因ではないでしょうか。どうして四十年もたってようやく調査をすることになったのですか。
○政府委員(長谷川慧重君) 死没者に関します調査につきましては、従来から広島、長崎両中が動態調査という形で行ってまいってきております。今回の調査と申しますのは、昭和五十九年、六十年の衆議院、参議院両院の社会労働委員会で、国において死没者調査を行うべしという決議を受けまして、六十年の十月に実施いたしたものでございます。
○林紀子君 今回の調査の目的に、「原爆による死没者の実態をより明らかにし、これを後世に伝えることを目的とする。」と言われております。全容解明というのはどうしても必要だと思います。今後国として全容解明のためにどういうことをするつもりでしょうか。
○政府委員(長谷川慧重君) 今回の死没者調査によりまして原爆死没者の実態がより明らかになってきたというぐあいに思っているわけでございますが、今後の死没者の総数の把握につきましては、引き続き行われております広島、長崎両市の動態調査に期待いたしまして、国といたしましてもこれに対する支援を送ってまいりたいというぐあいに考えております。
○林紀子君 お話にありましたように、今までも広島、長崎両市は動態調査を行う、それから本当に一家全滅したようなその中心部分では一人一人の名前を思い起こして復元調査をするなど、随分大きな努力を続けてきました。しかし、この努力によっても明らかにならなかった死没者が、国が今回調査に乗り出して初めておよそ一万二千人、確認困難な人も含めますとおよそ三万七千人が新しく発見されたわけです。今回は被爆者健康手帳を持っている人に対してだけの調査でしたが、全国民を網羅する形で調査すべきであると思います。昭和二十五年には国勢調査の附帯調査としての被爆者調査を行っております。今調査をしなければますます全容解明はできなくなります。国勢調査の附帯調査をしてでも全容解明のために国として努力をすべきだと考えます。 次に、今回の調査でわかった幾つかのことをお伺いしたいと思いますが、八月六日、九日当日の被爆者は、十九歳以下は広島で一八・三%、長崎で二一・九%と非常に高い率を示しています。被爆時の年齢割合はどうだったでしょうか、また男女の比率ではどうでしょうか。
○政府委員(長谷川慧重君) 今回の死没者調査で記載のございました死没者十七万三千九百二十五人の方々の男女別を申し上げますと、男女別につきましては、男が五二・五%、女が四七・五%、これは広島でございます。長崎が、男が五〇・九%、女が四九・一%と、いずれも男の割合がやや高いという状況にございます。 それから年齢別の割合で申し上げますと、広島、長崎とも四十代が最も多く、それぞれ一九・四%、二一・二%というぐあいになっておりまして、以下五十代、十代、三十代の順となっており ます。
○林紀子君 若年層ほど直爆死及び急性障害による死亡の割合が高いと報告されておりますが、その辺はいかがですか。
○政府委員(長谷川慧重君) 直爆及び急性障害によります死亡は、広島におきまして今回把握いたしました死没者の数のうちの三七・三%を占めるわけでございますが、広島の方では九歳以下の方が一〇・二%、十歳代で二二%、二十歳代で一一・三%、それから長崎におきましては、九歳以下の方が一七・九%、それから十歳代で二四・四%、二十歳代で一三%というぐあいに、両市とも二十歳代以下で被爆した人の数が比較的多くなっております。
○林紀子君 今お伺いしましたのは、そういう若い方がたくさんの方が被爆をした、そして直爆死、急性障害による死亡の割合が多いということですが、その原因との比較というのをお教えいただけますか。
○政府委員(長谷川慧重君) 非常に難しいお尋ねでございますが、私ども市とも相談いたしまして、その理由といいますか、なぜかということにつきましては、やはりその爆心他に近いところにそういう年齢層の人が多かったんじゃないかというぐあいに推察いたしているところでございます。
○林紀子君 確かに十代の方たちがこれだけ亡くなっているというのは、建物疎開などで動員をされて、まさに爆心地、その中心に十代の若者、女学生、中学生がたくさん集まっていた、そういうことによるものだと思います。 今幾つかの数字をお教えいただきましたが、こうした結果は、赤ちゃん、子供、また女性であれお年寄りであれ無差別に皆殺しをする原爆の非人間性というものを示していると思います。そして、その後に続く死も非常に悲惨なものです。青年期に被爆した人の早い死が一つの特徴です。また、昭和二十年代の後半からは、がんによる死亡がふえ始めました。病気で亡くなった方のうち、二十歳代で被爆した人の四三・一%が、三十歳代で被爆した人の三八・四%が、そして十歳代で被爆した人の三六・四%が、がんで亡くなっていることがわかります。さきに厚生省が発表いたしました生存者調査によりましても、苦労や心配は何かという問いに八割近い被爆者が自分の健康だと答えておりますが、この不安の背景にはこうした数多くのむごい死があるのです。 こうした被害の継続性ということを考えましても、他の兵器には見られない残虐性というものを認めないわけにはいきません。厚生大臣はこの点どうお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 今回の調査結果から見るまでもなく、原爆被害の大きさ、悲惨さというものがいかなるものか、改めて胸にこたえておるわけでありますけれども、その意味で平和を願う気持ち、そして核兵器を世界じゅうからやめさせなければならないという強い決意を持つ私の今の心境でございます。
○林紀子君 大変力強いお返事をいただいたわけですけれども、このような悲劇を繰り返さないためにも、今回の調査の生の声である自由記載欄、これを公表して原爆白書の形にまとめ、原爆の実相を国の内外に知らせて、唯一の被爆国の政府として非核の国際世論の先頭に立つべきだと考えますが、お考えをどうぞお聞かせください。
○政府委員(長谷川慧重君) 先生お尋ねの自由記載欄の公表の問題でございますが、この自由記載欄は被爆者の方々の生の声でございまして、非常に貴重な資料でございますので、これは大切に保存してまいりたいというぐあいに考えております。 ただ、書かれたものを生の形で公表することにつきましては、プライバシーの問題等もございまして、いろいろ問題がございますので、そういう問題のない範囲で活用方法をどうするかということを今後検討してまいりたいというぐあいに思っております。
○林紀子君 私も氏名を全部発表しろということを言っているわけではないわけですけれども、被爆者の団体であります被団協も被爆者、遺族の生の言葉として原爆被害の実相を伝える貴重な原材料であるとこの自由記載欄の公表を要求しております。プライバシーというものを侵害しないやり方で公表できる方法は考えられるはずだと思うわけです。 また、原爆死没者の多くは原爆医療法が制定される以前に死んでいきました。国からの何の手も差し伸べられないまま亡くなったのです。原爆医療法が制定されました昭和三十二年の八月の時点での死没者数と全死没者に占める割合をお知らせいただきたいと思います。もしその時点での統計がなければ、その前の昭和三十年八月の時点でも結構です。
○政府委員(長谷川慧重君) 今回の死没者調査の結果を見ますと、広島では三十年八月五日までの死没者数が五万三千四百五十九人で、全体の四九・五%、長崎におきましては昭和三十年八月二十日までの死没者数が二万八千七百八十一人、四三・六%というぐあいになっております。
○林紀子君 今お知らせいただきましたように、三十年の時点でおよそ半数近くの方々が亡くなったわけです。三十二年の時点ではこの数、割合がさらにふえることは確かです。厚生大臣は、さきの予算委員会でも被爆者に弔意を示すと言われました。国から何の手も差し伸べられないままに亡くなっていったこうした人々に対して弔意を示す道、それは現在、全野党共同で提出している被爆者援護法を制定する以外にはないと思います。 次に、この四月に原爆ドームの保存工事が完了いたしました。この原爆ドームの保存のために国はどのような援助をなさいましたか。
○政府委員(長谷川慧重君) 原爆ドームの保存につきましては、広島市におきまして市の経費と国民からの募金によりまして保存工事を行ったものでございます。国といたしましては、これに特別な援助等は行っておりません。
○林紀子君 国が何もしていないというのは、唯一の被爆国として大変残念なことであり、また無責任なことではないでしょうか。 原爆ドームの保存のために広島市や彼団協を初め関係諸団体は大変大きな努力をされました。必要な資金を、国からの補助がないために、日本の内外に募金を訴えました。募金は短期間に目標の四倍以上、四億円近くも全国、世界から集まり、このほど工事が完了したわけです。そして、一緒に寄せられた手紙も三千通以上に上ると言われております。国の内外の関心の高さだとはお思いになりませんか。厚生大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(津島雄二君) 原爆ドームの保存について大きな反響がございましたことは承っております。核兵器による惨禍を二度と繰り返してはならないという国民の強い願いのあらわれと受けとめております。政府といたしましては、原爆二法を中心といたしまして被爆者対策を充実していくことによっておこたえすることだと思っております。
○林紀子君 寄せられました手紙には、若いお母さんが、原爆ドームを見て初めて平和の問題を考えた、子供には決して核戦争など味わわせたくない、こう書いております。被爆後四十五年たち、当時被爆した建物は老朽化し、あるいは都市開発の中でだんだん取り壊されていっております。私は今回、被爆した建物であります広島の日赤原爆病院、広島大学の理学部、レストハウス、日本銀行広島支店などの原爆遺跡の調査を行ってまいりました。被爆者の方々は、私たちの命には限りがあります。いつまで生きられるかわかりません。しかし、建物はしゃべることはできなくてもその姿でそこにあるだけで原爆の悲惨さを後世に長く伝えることができる。ぜひ遺跡の保存をお願いしたいと訴えていらっしゃいます。広島市議会では、三月、全会一致で遺跡保存について「歴史的財産を後世の広島市民に伝承すべきである。」と決議を行っているのです。 私は、世界で唯一の被爆国日本として遺跡保存に努力し、後世に知らせることは歴史的、国際的な使命であると思いますが、厚生大臣、これもぜ ひお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 現に使用されております被爆建造物をどういうふうに保存するかは、それぞれ持ち主、管理者の方々のお立場、利用計画等がございまして、これを総合的に判断して行われていると思います。国としては今これに関与する立場にないというふうに考えております。 しかしながら、広島、長崎両市におきましても、戦後の復興以来、被爆建造物の保存にはいろいろな工夫をし、配慮をしているというふうに承っております。
○林紀子君 先ほど厚生大臣は大変力強い決意、核戦争は決して起こしてはならないという御答弁をくださいました。そのお気持ちが本当にあるならば、この被爆建造物を残して後世に伝えるべきではないでしょうか。県や市も今努力をしております。しかし、その努力をもっと助けて、この建造物を残すということをぜひ御決意いただきたいと思います。もう一度御返事をお願いいたします。
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。 先生お話しございましたように、原爆ドームにつきましては非常に歴史的な価値もありますし、非常な記念物でございますので、そのものは残すということで広島市がいろいろお考えなわけでございますが、先生がただいま挙げられました例えば原爆病院のものにつきましては、確かに建造物の一部に原爆の放射能あるいは光の強烈さを残した遺跡がございますので、そういうものにつきましての保存といいますものにつきましては、原爆の恐ろしさを後々まで伝えるためには残す価値があるかとは思うわけでございますが、その建物全体を保存するということにつきましてはいささか問題がございまして、大臣がお答えいたしましたように、その建物全体の持ち主なり管理者なりが適宜判断をしておやりになることであろうというぐあいに思うわけでございます。
○林紀子君 持ち主が適宜判断するのであれば国の援助などは何も要らないはずです。しかし、持ち主だけではもう持ちこたえることができない、しかも、原爆の遺跡として大変重要だということで私はここでこういう指摘をしたわけです。 被爆者の方々が訴えていらっしゃるように、建物がその場所にあって、あの当時どこから爆風が来たのか、そしてどんなふうにこの窓枠が壊れたのか、ガラスが飛んで壁にこういう跡を残したのか、その場所にあって残すことがどうしても必要だと思います。いかがでしょうか。大臣、お願いいたします。
○国務大臣(津島雄二君) 委員の御質問のお気持ちはよくわかりますけれども、国に対してそのような具体的なお話は今まだ来ておりませんので、市の方ではいろいろ工夫をしておられると承っております。
○林紀子君 私は先ほど大臣のお答えを聞きまして大変力づけられたわけですけれども、具体的なお話になりますと全く違っているということでは大変残念に思います。 昭和二十四年には広島平和記念都市建設法というものが制定されました。衆議院でこの法律の趣旨説明にたたれた当時の民主主義党の山本久雄代議士は、「広島を世界平和の発祥地として、また聖地として、それにふさわしい都市を建設し、もって広島を永遠に記念しなければならないという声が高くなっているのであります。かかる世界の世論にこたえることは、一広島市民のみならず、戦争を永久に放棄したわれわれ日本国民全体の義務であり、また同時に世界人類に対する最大の貢献でもあります。」、こう述べられ、衆参とも全会一致で可決されたのです。世界で反核の声が大きくなっているこの時期に、国の責任において広島、長崎の原爆遺跡を永久に保存するべきだということを訴えて、次の質問に移らせていただきます。 最近マスコミでも大きく取り上げられまして社会問題になっております看護婦不足についてお聞きいたします。 看護婦さんがいかに疲れているか、また看護婦不足が医療現場にどのような影響を与えているかは厚生大臣も十分御認識なさっていらっしゃると思います。この五月の二十四日には、日本医療労働組合連合会が取り組み、心が通う看護がしたい、そのためには大幅な人員増が必要と三千百五十人の看護婦が集まりました。また、五月の十六日には看護協会が開いた看護制度改正推進総決起集会には八千人もの看護婦が集まり、医療の現場の実態を訴えました。一九六五年五月二十四日に出された人事院の判定、複数夜勤で月八日以内、いわゆる二・八判定ですが、この判定が出てからもう二十五年にもなります。現在、この二・八体制の実施状況は、一般病院も含めてどうなっておりますでしょうか。
○政府委員(仲村英一君) お答えさせていただきます。 人事院の判定は昭和四十年に御指摘のとおり出ておるものでございまして、夜勤につきましては月に八日を一応の目標とするということ。それから二人夜勤を必要とする看護単位については計画的に一人夜勤の廃止に向かって努力すべきであるというふうな、おおむねそういう判定でございました。それは四十年でございまして、四十九年から五年間第一次看護婦需給計画、五十四年から六十年まで第二次看護婦需給計画ということでつくりまして、おおむねその目的はこのころ達成をしたというふうな判断でございましたが、現在のような慢性疾患の多発でございますとか、病床の増でございますとか、夜勤の勤務の形態の変化でございますとか、在宅医療の問題でございますとか、看護婦の需要が非常に増大してまいったということから、昭和六十三年に看護職員需給見通しというのをつくりまして、現在の目標は平成六年に九十三万五千人で均衡を図りたいということでやっておりますが、これもなお細部についてはいろいろ御指摘がございますので、引き続きいろいろの角度から見直しをするということで勉強しているところでございます。
○林紀子君 その後の医療水準の著しい向上を考えますと、もう二・八体制では不十分、職場からは、夜勤は三人体制で六日以内にという声も上がっております。二・八体制も四半世紀たっても実施できない。政府としてはこの責任どのように考えていらっしゃいますか。厚生大臣、お伺いいたします。
○国務大臣(津島雄二君) ただいま政府委員からも御答弁いたしましたけれども、六十三年から計画的に需給計画を進めておるわけでありますけれども、これからの事態の推移に応じてさらに努力をしなければならないんではなかろうか。特に今の勤務体制をできるだけ軽減していってさしあげる。それから、全体として労働力が非常に不足をいたしますから、やっぱり看護婦さん方に働きやすい職場環境をつくってあげないと実際、医療のサービスもできないわけでございますね。そういう意味で、政府委員から御答弁いたしましたように、この今の計画を進めると同時に、これからの事態の推移に応じて必要な措置はとっていかなきゃならないなというのが私の気持ちでございます。
○林紀子君 国際的に見て日本の看護婦の数の水準ほどうなっているか、OECD調査ではどういうふうになっているかお知らせいただきたいと思います。
○政府委員(仲村英一君) WHOの統計で申し上げますと、人口一万人対で日本は六十三・四人、アメリカは八十三・〇で日本より多うございます。イギリスは三十二・五で非常に少ない数字になっております。西ドイツは五十・四、スウェーデン八十四・六ということでございまして、まあ国によって制度、資格が若干ずつ違いますので正確な比較は非常に難しいと考えておりますけれども、こういう実情の数字になっております。 それからOECDの数字は、ここに発表されておるものを加工しまして見ておりますが、看護婦さんがすべて病院に働くという前提で一応百床当たりの看護職員数を比較してみますと、日本が四十人強でございますけれども、先ほど申し上げました国々では四十人から百人ぐらいの間に散らば っておるというのが現状でございます。
○林紀子君 日本では百床当たり十八・三人ということではないですか、四十人までふえておりますか。
○政府委員(仲村英一君) どの数字をお引きになったかちょっと確かでございませんが、私どもが病院報告という、六十三年十月一日現在の病院に働いておる看護婦さんについてとりました統計によりますと、百床当たりで資格を持っておる看護婦さんが三十四・八人、それから看護補助者を含めました看護要員数が百床当たりで四十一・八人というのが私どもの持っております数字でございます。今おっしゃったのは、統計のとり方にもよるわけでございますが、恐らく准看護婦を含まないものの数字ではないかというふうにちょっと理解しております。
○林紀子君 いずれにいたしましても、日本の看護婦さんの数というのが非常に少ないということは事実です。 一九八八年五月に閣議決定されている「世界とともに生きる日本 経済運営五カ年計画」では、計画期間中に週四十時間労働制の実現、総労働時間を千八百時間にとうたっております。また、第六次雇用対策基本計画でも、一九九二年には千八百時間とうたっているわけですね。今回の看護婦需給見通しでは週休二日制、労働時間短縮はどのような見通しになっておりますでしょうか。
○政府委員(仲村英一君) 私どもの需給見通しにおきましては、週休二日制を実現するのに現在のところでは数字的には四七%という数字が出ておりますが、これにはいろいろ前提がございまして、一部現在の看護婦さんの平均の労働時間が四十二時間という数字もございますし、それから御承知のような経過規定と申しますか、猶予規定等がございますので、先ほど大臣からもお答えいただきましたように、閣議決定されております一九九〇年代前半のなるべく早い時期に四十時間にするという政府の方針にできるだけ沿うような形で、この需給見通しもその点からももう少し細かく精査する必要があるというふうなことでこれから対処してまいりたいと考えております。
○林紀子君 週休二日制にする、千八百時間にするということでは、労働大臣、看護婦さんの面では四七%ということで閣議決定が生かされていないと思うわけですけれども、労働大臣としてはどうお考えになりますか。
○国務大臣(塚原俊平君) 看護職員の需給見通しも、これは基本的には労働時間の短縮の方向を踏まえていただいているものと考えております。ただ、いずれにいたしましても、看護婦の方は大変に今人手不足で、人材の確保が厳しい状況にある。ますます雇用のいい状況をつくらなければいけないということは、やっぱり病院等を魅力のある職場とするということから考えてみましても、労働時間の短縮はこれはもうぜひとも取り組まなければいけない課題であります。看護婦さんの労働時間の短縮を積極的に進めていただくことが大変に重要であると考えております。
○林紀子君 今局長もお答えになりましたけれども、需給見通しについて見直すことはやぶさかではないと、この四月十九日の衆議院の社会労働委員会で我が党の児玉議員の質問に対してお答えになっておりますけれども、いつこの需給見通しの見直しをなさるのか、どのように見直しをなさるのか、そのことをぜひお伺いしたいと思います。
○政府委員(仲村英一君) 先ほども御答弁させていただきましたが、この需給見通しにつきましては、平成六年で均衡を図りたいということで考えておりますが、需要側についても恐らくかなりの変動要因があるのではないか、それから、ただいま御指摘のような労働時間の問題にいたしましても、猶予規定のある部分、経過規定のある部分等ございますので、病院の大きさ等で労働時間が違うというふうな部分もございますので、そういう部分も含めて細かく見直しをするということで現在作業に入りたいと考えております。 しかしながら、この需給見通しにつきましては、全国一本でなくて各都道府県の養成計画その他の看護婦の需給全体から積み上げるという手順を踏んでおりますものですから、都道府県とも相談する、調査をお願いするというふうな手順もございますので、今ここでいつそれが完成するというふうなことはちょっと申し上げられない段階にありますので、御容赦いただきたいと思います。
○林紀子君 それでは、各部道府県に対してももうこの見通しの見直しについて始めるというそういうことは指示をしているということですか。
○政府委員(仲村英一君) 前国会で見直しをするという方向につきましては私ども申し上げておりますが、具体的にかなり膨大な数字になりますものですから、今現在都内で検討をしておるというのが実情でございます。
○林紀子君 本当に看護婦さんの現状を考えたら、ぼちぼちやるということでは到底間に合わないと思うわけです。今後、育児休業制度についても新たに考慮することも必要だと思います。先ほど厚生大臣もおっしゃいましたけれども、看護婦さんの労働条件、それをよくしていくためにもますますこの数の見直しというのが必要なわけですけれども、養成所の増設や院内保育所の拡充などについてもぜひ必要だと思います。このような条件整備についてはどういうふうに計画をなさっていらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(仲村英一君) 先ほど御説明させていただきました看護職員需給見通しに基づきまして、私ども平成元年度から、新たな需給見通しに基づきます、言ってみれば緊急五カ年計画のようなもので大蔵省にも予算を要求してまいったわけでございます。その大筋は、新しく看護婦さんになっていただく方をふやすという方向、それから現在働いておられる看護婦さんができるだけやめないで長く続いて働いていただくという方向、それから現在家庭にお入りになっている免許をお持ちの看護職員の方ができるだけもとの職場と申しますか、現役復帰をしていただきたいというふうなこの三つの方向。同時に、看護婦さんの質の問題が非常に大事でございますから、大きく言いますとこの四本柱で対策を立てておるわけでございますが、例えば養成力の拡充のところでは、大蔵省の御理解を得まして、施設整備につきましても五億増額をしておりますし、新たに設備整備も導入するというふうなこととか、養成所の運営費につきましても細かく見直しをさせていただくとか、そういう方向も打ち出しております。 それから、先ほどの家庭にお入りになっている看護婦さんにできるだけ復帰をしていただきたいというためには、ただお帰りになるといっても、なかなか今看護の現場も非常に日進月歩でございますので、その能力再開発といいますか、そういう形での講習会をおやりいただくような予算というのをことしから新しくとらせていただいておりますし、それから離職の防止といいますか、現在働いておられる方ができるだけ子育て等に御不便を感じないように院内保育所の数をふやす努力でございますとか、そういう形で私どもいろいろの方向で予算的にも努力をしておるというのが現状でございます。
○林紀子君 国民の命を守る立場にある看護職員の方たちの労働実態がこういうようでは国民の命そのものがおろそかにされていると言わざるを得ません。 「地球より重い命を守る仕事に青春の情熱を燃やす白衣の姿尊とく光る」、患者さんは看護婦さんにこういう歌を贈っています。しかし、この患者さんの気持ちにこたえられない、ナースコールが鳴ってもすぐにベッドに駆けつけられない、こう看護婦さんは訴えているのです。どうしても看護職員の労働条件の総合対策を行い、増員計画、確保対策を至急検討すべきであるということを申し上げて、私の質問を終わります。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で林紀子君の質疑は終了いたしました。(拍手) 本会議散会後直ちに再開することとし、休憩いたします。 午後四時五十六分休憩 ─────・───── 午後五時四十分開会
○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を再開いたします。 これより西川潔君の一般質疑を行います。西川君。
○西川潔君 どうぞよろしくお願いいたします。 政府はこのたび高齢者保健福祉推進十カ年戦略を策定したわけですが、二十一世紀まで残された十年間で六兆円を上回る事業を行うということですが、老人福祉をやっております私としても大変本当に喜ばしいプランでございます。ぜひ実現をしていただきたいと期待しております。 このプランは高齢者の保健から福祉に幅広く、現状と比較しますとかなり意欲的というか大き目の目標数字が並んでおりますが、まず厚生大臣にこの戦略を策定した意義とその実現への決意を改めてここでお伺いしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 来るべき二十一世紀を活力のある長寿福祉社会にしなければならないということで、国会における数次の御議論も踏まえまして発表いたしましたのがゴールドプランでございますが、特にその発表に当たりましては大蔵大臣、自治大臣の御協力、御理解を得て発表させていただいたという意味で、私どもはこれをぜひとも具体化しなければならないと思っております。 考え方としては、あくまでも地域の創意工夫を大事にして、地域に即した日本型の福祉社会をつくっていく、その中で在宅、施設福祉が上手に組み合わされて進めていかれるということをねらっておるものでございます。どうか御理解をいただきたいと思います。
○西川潔君 今お話にも出ましたが、そのお金でございますが、ゴールドプランの予算といたしましては十年間で六兆円が見込まれているわけです。日本の予算は一年一年決めていく単年度主義をとっておられますが、この十年間で予定の予算が確保できるかどうか。時の流れに左右されることも考えられるわけですが、一抹の不安なども私などはあるわけですけれども、政府といたしまして決定されたことですからぜひ実現をしていただきたい、こう思うわけであります。ぜひ大蔵大臣の御決意もお伺いしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今厚生大臣からも御答弁がありましたように、この計画を確定いたします段階で自治大臣にもお入りをいただき、三閣僚で合意の上でこれを公表いたしました。しかし、今委員が御心配になりますように、確かに今日本の財政事情には相当さまざまな厳しい要件がございます。しかし、私どもとして、いろいろなそれは制約もあるでしょうし問題もあるでしょうが、それこそ各般の制度、施策を見直しながらも財源捻出に全力を尽くして、十年間におけるこの目標は達成いたします。ただ、毎年毎年の計画については、これは地方がやはり仕事をしていただくわけですから、それぞれの自治体が優先度をどこに置かれるかによっても毎年の計画には躍りがありますので、十年というトータルの目標は動かすつもりはありません。
○西川潔君 そこで、その地域のお話をお伺いしたいんですけれども、地域福祉について、私はもう本当にいろいろ回らせていただきまして地域に密着した福祉、これが一番理想であります。市町村になるべく権限があった方がいいと思うわけですね。そうすると、地域の方々がさめ細やかなお世話をしていただける。 そこでお伺いしたいんですが、地方の単独事業について国としてどういうふうに見ておられるのか。これこそ独自の福祉として私は育てていくべきではないかなとこういうふうに思うんですけれども、その意味から例えばデイサービスの補助とかホームヘルパーへの補助、縦に切る補助よりもむしろ地方の独自性を生かした総括的な補助のあり方を考えていただけないものでしょうか。例えば消費税の収入を福祉のためにと言われるならば、その一部を福祉事業の実施のために地方がある程度自由に使えるような、例えば地域福祉事業補助制度といったようなネーミングを自分でつけてみたんですけれども、こういうふうな予算化ということは大蔵大臣としては考えられないものでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これはむしろ自治大臣あるいは厚生大臣のお立場からの御意見も伺わなければならないことでありますけれども、今委員が御指摘になりましたような視点をまさに私どもは頭に置きながら、元年度の補正予算で御論議をいただきました中に地域の振興基金というものを私どもは設けました。 これはまさに市町村の地域振興基金費というものはそれぞれの地域の福祉活動の促進を図るのに当然お使いをいただく経費であります。私は、そのいわゆる地方単独事業と言われるものでありますけれども、これはやはりそれぞれの一般財源として地方で充当されていく、そしてそれぞれのやはり個別の施策というものに着目した補助というものは国の補助制度で組み合わせる、そしてそこになお今委員が御指摘になったような部分を補っていくものがこの基金と、そのように位置づけて考えておりまして、御指摘の方向について異論はありません。組み立てとしてはそういう形で考えていきたい、そう思っております。
○西川潔君 御丁寧にありがとうございました。 次に、私はお年寄りの健康や福祉の推進について政府や地方の公共団体などが計画を立てたり予算を確保することは大変大切なことだと思いますが、施設を回りましてお年寄りの方々とお話をさせていただきますと、実際には福祉の現場というのは本当にマンパワーということが言われておりますが、本当に人なんです。お年寄りの面倒を見られる、介護される、本当に人間、優しい人たちに支えられているんだなと。 そこで、きょうは特に福祉を支えるマンパワーの問題について質問をします。 まず、現状についてお伺いしたいんですが、お年寄りの施設だけでなく福祉関係施設で働く人々は現在どのくらいおられますか。また、在宅サービスを中心として担当するホームヘルパーは全国で何人ぐらいおられるのか、これらの人々は毎年どれぐらいふえていっているのか、また過去二年でも三年でも結構ですが、予算を立てられた人数と実績についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) 老人福祉施設を初めとします福祉関係施設における職員の総数でございますが、昭和六十三年十月一日現在で約五十八万人でございまして、昭和六十一年度以降毎年約一万人程度増加をしてきております。 またホームヘルパーの数でございますが、昭和六十三年度末現在で見ますと二万五千八百六十名ということになっておりまして、昭和六十二年度以降毎年二千二百人程度増加してきております。 それからホームヘルパーの予算の人数と実績でございますが、まず昭和六十一年度で申し上げますと、予算上の人員は二万三千五百五十五人でございますが、実績は二万一千三百八十一人。それから六十二年度でございますが、予算上の人員が二万五千三百五人に対しまして実績は二万三千六百二十七人。六十三年度につきましては、予算上の人員が二万七千百五人に対しまして実績は二万五千八百六十人。 以上でございます。
○西川潔君 現場を回らせていただきまして、こういうことが本当に心配でたまりません。 次にホームヘルパーについてですが、ホームヘルパーさんは今お伺いするところによりますと本当に順調に伸びておりますが、このゴールドプランでは単純に計算いたしましても毎年平均で六千四百人ずつ、それ以上ふやしていかなければならないわけですが、いろいろ全国地域を回らせていただきましてもなかなかなり手が少ない。特に、こうして計画を立てておりましても全国市町村の対応が大変心配されるわけですが、このあたりは現段階で伺えるような内容をちょっと聞かせていただきたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) ホームヘルパーの利用に当たりましては、従来ともしますと世間体をはばかるとか他人を自分の家の中に入れたくないというふうな意識などがありまして、そういうこと をおもんぱかってどうも積極的に利用しようとする動きになっていない傾向があることは否めない事実でございます。 こういったことを解消するために、来年度予算では在宅介護支援センターを新設したい。そして、身近に相談ができサービスにつなぐ体制を整える、在宅福祉サービスを利用しやすい環境をつくってみようではないかということを考えておりますとともに、市町村におきましても管内のお年寄りをめぐる実情を把握していただきまして、その実情に対応して適切なサービスを提供でき、しかも計画的にそれが行えるような仕組みにしたい。あわせまして、ホームヘルパーとケースワーカーなりあるいは保健婦さんなど、そういう専門職等でチームを編成いたしまして仕事をしやすい体制を整えたい。そのほか、処遇改善をするとか勤務形態もいろいろ実情に合わせて多様化をするとか、あるいは市町村直営のほかに委託方式も考えるとか、市町村の実情に応じまして適切かつ円滑に対応できるような仕組みを考えたいと思っております。 そして、こういった点につきまして国はガイドラインを示すとかマニュアルを示すとか、そういうことで市町村の仕事をなさる場合の参考資料をいろいろ提供申し上げかつ財政面での裏づけを図ってまいりたい、そんなことで対応したいと考えております。
○西川潔君 ありがとうございます。こうしてお話をお伺いすると安心していいのかな。いやいや実際に回ってみますとまた不安なことも多々出てくるのでありますが、今後お年寄りが急激に増加する中で、まさしく私はこうして質問させていただいておるんですが、本当に我々の年代の、私は昭和二十一年生まれでございますが、ピーク時は我々が七十歳。大蔵大臣、お幾つでございますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ちょうどあなたより九つ上になります。
○西川潔君 もう我々後先の問題でございますね。九つといえば大変なことです、いわゆる我々が大蔵大臣を支えているということなんですから、どうぞ今の地位にいらっしゃるときに高齢者を支えていただきたい。本当です。そういう立派なお席に座っていらっしゃるわけですから、本当に。いやもう我々現場を歩いていつも、人間どうしても最終的にはお金と人みたいなお話を現場ではお伺いしてくるんですけれども、潔さん、あんた国会に行ってんのやから大臣にちょっと言うて財布のふたあげてもらいいな、そういうふうなことを簡単におっしゃるんですが、それがなかなかいきまへんのやと言うてんですが、地元ではそうはいきません。 そこで、職員の皆さんとかホームヘルパーの皆さんを確保していただかなければいけないんですけれども、いわゆる各業界とも今は本当に人手不足です。福祉の場合は人手の確保も大切ですが、人柄、優しくお年寄りを介護できる情熱のある人が何よりも求められております。その点である程度十分な待遇を保証しないといけないと思うんです。みんな仕事がえらいけれども、潔さん、安いのやで、でも心でやらせてもらっているというお話を聞くんです。 新聞によりますと、この間の新聞では長野県の市町村が行ったホームヘルパーの採用試験に、長野市が四十人の採用枠に対して受験者は六十八人、松本市が二十二人の採用に対して九十九人が応募されました。その背景には、職業として社会的にも認知されてきたんではないかなと。僕ら福祉施設を回らせていただいたりお世話させていただいている人間としては大変うれしいことですけれども、処遇、給料の問題、労働時間の問題、待遇、十分にこれはなされているんでしょうか。
○政府委員(岡光序治君) 従来から処遇改善に努めてきているところでございまして、具体的には平成元年度におきましてはホームヘルパーの手当額を大幅に引き上げたところでございますし、平成二年度予算では手当額の引き上げに加えまして活動費の引き上げを予定しておるところでございます。 それから社会福祉施設職員の給与の問題でございますが、国家公務員に準じまして毎年改善を図ってきているところでございます。平成二年度におきましては、職員の勤務条件につきましても週四十四時間制に見合った運営費を確保する、それから施設職員が年次有給休暇をとりやすくするために代替の要員費を確保する、そしてその内容を改善する、それから宿直業務につきましても非常勤職員へ切りかえるということによりまして労働時間の短縮を図れるような条件整備を図る、こんなふうなことを具体的に盛り込んでいるところでございます。 今後とも、ホームヘルパーや施設の職員の確保を図るために処遇の改善とか今おっしゃいました社会的評価を高める、こういうふうなことにつきましてあらゆる努力を図ってまいりたいと考えております。
○西川潔君 次に働く方法ですが、働きたい方も実はいらっしゃるんです。ホームヘルパーについてはゴールドプランでは十万人の確保、こういうふうに明記されているわけですけれども、これにつきましてはヘルパーを必要とするお年寄り一人一人でそのニーズも随分違います。またヘルパーになられる方にとっても、常勤できちんと一日働きたいという方もおられますが、自分の時間を有効に活用して余り毎日拘束されるのは嫌ですとおっしゃる方もおられます。事情はさまざまでございますが、私も今までいろいろ回らせていただきまして思うんですけれども、場所、地域によって随分違うなと思います。施設の数、ホームヘルパーの数、量的な面での違いもこの部分が一番目につきますけれども、例えば同じ関西でも六十五歳以上のお年寄り一万人につきましてホームヘルパーの数は大阪に比べて京都や兵庫県は少ないんです。東京ではなお少ないんです。非常に人手不足が深刻なんです。 そこでこの深刻な、そしてこれから先もっともっと深刻になっていくわけですけれども、この人手不足のことなんです。家庭の主婦の方々も気楽に御近所のそういう施設にパートで行けるような非常勤の形でもっと広げていただけたらというふうにも考えるんですけれども、いかがでございましょう。
○国務大臣(津島雄二君) 私も福祉の現場を歩いてみまして、このマンパワーの確保というのは本当に大変だと思いますが、その中で一つうれしいと思いますのは、やっておられる方がやはり人間が人間の御面倒を見るという仕事、何と申しますか、肌のぬくもりを感じ合えるようなそういう仕事というのは最高の仕事だと言っていただく方が多いわけですね。 ですから、そういう何というか職場環境を育てていけば、今の十カ年戦略の目的は達せられるんじゃないかと思います。そのためには需要面、供給面両方からの工夫をしなきゃならない。その第一が先ほど御指摘の待遇でございましょうし、それから地域社会において在宅のサービスというものが、これは当然の地域社会の行政の責任だということを確立していかなきゃならない。それと同時に、労働力が不足してくる中で皆さんが働きやすい勤務形態を工夫していかなきゃならない。いろんな国の例を見ましても、随分いろんな勤務形態を工夫しておられるようでございまして、我が国におきましてもそういう工夫をしてまいりまして、十万人の確保をぜひともやり遂げなきゃいかぬと思っております。御指摘のとおりであると思っております。
○西川潔君 次に、マンパワーの資質についてお伺いしたいんです。 現在、特別養護老人ホームの職員やホームヘルパーになるには特別な資格は要らないということになっておるんですけれども、しかしこうした方々のお仕事はだれにでもすぐにできるように見えるんですけれどもなかなかやれません。実際に、現場ではお年寄りの方々より若い介護人の方々の方が腰を痛めたり足を痛めたり腕を痛めたりというようなことでございまして、この辺を十分に御理解していただきたいと思うんですけれども、相当の専門知識も必要でございます。こういう現場の研修とかまた教育というようなことはどういう ふうになっているんでしょう。
○政府委員(長尾立子君) お答えをさせていただきます。 施設の職員に対する研修でございますが、これは施設長自身もいろいろな意味で御苦労いただいておるわけでございますが、国それから都道府県におきましても研修につきましては積極的に実施を考えております。 まず国の状況について申し上げたいと思いますが、厚生省では基幹職員、施設の基幹職員でございます施設長、それから主任の主任指導員と申しますか、そういった基幹職員に対します研修を、全国社会福祉協議会の社会福祉研修センターというのがございますが、そこに委託をいたしまして実施しております。 それから日本社会事業大学、これは非常に古くからこういった社会福祉関係の従事者の専門的な指導者を養成する大学として国が委託し実施をしておるところでございますが、この事業をやっております。今先生お話しのホームヘルパーでございますが、これは採用時に政令指定都市、都道府県が家庭奉仕員講習会を実施いたしまして、まずホームヘルパーになっていただく前の研修を三カ月程度やっていただきまして、その後も定期的に研修を実施しておるわけでございます。 もう一つは、こういった全体の専門家の方々の資質の向上ということにつきまして、身分制度といいますかそういうものを設けるべきであるという御議論がございまして、昭和六十三年度に介護福祉士という形での資格制度をスタートしておるところでございます。
○西川潔君 福祉の仕事もこれから本当に専門家がどんどんと必要になってくる時代でございますが、その介護福祉士でございます。昭和六十二年に法律化されたわけですけれども、こうした方々が中心になってお年寄りに質の高い介護を提供していただくということで、介護に当たっている御家族に指導したり、皆さん、女房にまた娘に嫁にということでございます。先日も大阪の老人保健施設というところへ見学に行ってまいりますと、御家族の方が二週間でも二十日でも一カ月でもおじいちゃん、おばあちゃんと一緒にそこで泊まっていただきまして、生活をともにして介護の方法を覚えて帰る。 本当にいろいろなところでいろいろ御指導をいただいたりPRもしていただいているわけですけれども、こういった介護福祉士と言われるような方々がどんどんどんどんふえてくれればなと僕なんかはそう思っておりますが、まだ六十二年でございますので、何年に何人くらいの方が資格を得られて、そういう方々がまた卒業して本当にいろいろ働ける職場があるのか、そのあたりのお話をお伺いしたいと思います。
○政府委員(長尾立子君) 介護福祉士の資格の取得の方法は、試験を受けていただきます方法と、指定をいたしました養成施設を卒業して資格を取得する、二つの方法があるわけでございます。現在までに二回国家試験を実施いたしております。第一回の国家試験におきまして二千七百八十二人、第二回の国家試験では三千六百六十四人の方が合格をされました。今後これらの方々が登録をいただきまして介護福祉士という資格を取得されるということになるかと思います。 次の養成施設のことでございますが、本年四月の開校分を合わせますと既に百一校が指定をされております。大変こういった必要性を認めていただきまして、多くの学校法人かこういった養成施設の開設に積極的に取り組んでいただいておりまして、まことにありがたいことだと思っております。そういう意味では、これらの養成施設の卒業者と国家試験の合格者を合わせますと毎年八千人程度の方が介護福祉士の資格を取得されるというふうに考えております。 それで、これらの資格取得の希望者でございますが、実は私ども過去二年の介護福祉士試験の受験者数から見まして、予想を上回る御希望があるというふうに理解をいたしておるわけでございまして、いろいろな方面で介護の仕事に携わってこられた方がこの資格を得たいということで積極的にお取り組みいただいておるというふうに思っております。
○西川潔君 これから資格を持った方がどういうふうに処遇されるか、どのような役割を果たしていくか、本当に問題だと思うんですけれども、これが不十分ですと今後希望者も減ると思います。せっかく資格を取ったのに、いや受けなかったらよかったというふうに後悔されたんでは、これはもう大変なことでございます。私はお知り合いの方にかなり全国講演に参りましても介護福祉士の方を随分お勧めさせていただいておるんですけれども、私の知り合いの、養成する学校に入学した本人が、潔さん、入るのは入ったものの全然こういうことをやっぱり知らない、もっとPRをしていただきたい、介護福祉士をより魅力ある資格にするためにも、またこういう資格者をふやすためにもと。将来性について、ここはひとつ大臣にお伺いしたいんですけれども。
○国務大臣(津島雄二君) 介護福祉士の制度につきましては、政府委員から御答弁いたしましたように、私どもの期待以上の方々が参加をしていただいている。教育の現場においては盛り上がってきていると思いますけれども、しかしこれを社会全体においてもう少しPRをし盛り上げ、優秀な人物が入ってこられると同時に資質の向上を図らなければならないというふうに思っております。そのためには、発足以来二年を経過したばかりでありますが、これから一層PR等に努力をし、社会的な認識を高めていくことの中からまた高齢者や障害者に対する社会の理解、それからまた介護福祉の質の向上が図られるものと考えてございます。
○西川潔君 最近の新聞を見ますと、若い人たちはきついとか危険とか汚いとか、よく三Kと世間では言われておるんですけれども、それに加えて給料が安い、休暇がない、格好悪い、新しく新三Kというのが加わったそうです。合わせて六K、それにYがつきまして一Y、屋根のない職場、こういうふうに言われております。そういうところには寄りつかない、人手不足であるということですけれども、福祉の現場ではどうでしょうか。 ある大学の教授によりますと、我が国の社会福祉施設で働く若い世代の福祉離れがひそかに進行しつつあると言われております。大変心配なことです。私もいろいろお話を聞きますと、現場では施設で一年も勤めるともう中堅だベテランだと言われる施設もたくさんございます。その理由には、実は三つのキがこちらの施設にもあるんです。大蔵大臣、御存じですか。大蔵大臣に関係のあるところなんです。ひとつ。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 率直に申しまして、私、学生時代に障害児施設でのボランティアはやったことがありますが、老人施設の体験を持っておりません。今考えてみましたが、ちょっとなかなか思い当たりません。
○西川潔君 実は大蔵大臣にお力をかしていただきたいのは、ここの三K、社会福祉施設の三つのK、キといいますのは、きつい、つまり仕事がきつい。きれいごとでは済まされない。最後に大臣にお願いしたいのは、給料が安いというのが入って、この三つが入っているそうです。 もっともっと若い方が働きやすくなるように、処遇の改善や雇用の形態の工夫はもちろんのことですけれども、イメージアップのPRが本当に必要ではないかと思います。福祉の仕事が社会的に見てやりがいのあるすばらしい職業であることは、本当に僕なんかも声を大にしてPRはさせていただいておりますが、もう少しマスメディアというのでしょうかテレビや新聞、雑誌、こういうものを使って、この中ではそれは難しいと思うんですけれども、もう少し厚生大臣に僕なんか本当に厚生省のPRマンとしていろいろと使っていただいたらと思うんです。別に私は厚生省に使っていただいたからギャラくれというようなことではございませんので、こういうことでもっともっとPRをしていただきたいんですけれども、人をふやすためには厚生大臣としてはどういうふうに考 えていらっしゃるんでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 福祉の現場を支えていくために優秀な若い方々が意欲を持って取り組んでいただく必要がある、委員の御指摘のとおりでございます。とかく福祉の現場についてネガティブなお話もございますけれども、私最近現場を歩いてみますと、どこに出しても恥ずかしくないような立派な施設ができ上がってきているし、またそれなりに意欲を持って若い方が取り組んでおられる姿を見て大変感動しておるわけでございます。 そういういい方の面を育てていくために一層のPRが必要ではないか。おっしゃるとおりでございまして、西川委員これまでも非常にこの問題に熱心にお取り組みいただいておる。また当委員会においてもそういう委員の方々がおられる。どうでしょうか、私どもと一緒にあるべき施設を見学でもさせていただいたりしてPRに努めたらどうかなと、今お話を伺いながら感じたところでございます。今後とも職員の処遇の一層の改善、それから施設設備の向上などイメージアップのために大いに努力をしてまいりたいと思っております。
○西川潔君 本当にお優しい心で御答弁をいただいて、ありがとうございます。ぜひ御一緒させていただきたいと思います。 でも、大臣がいろいろ現場を回っておられるというお話をお伺いしたんですけれども、どうしても大臣が訪問されるということになりますと、一番いい部分を見ていただくというようなことに現場はなるわけですね。僕なんかは裏玄関からでも入れてもらえるようなもうつき合いがあるわけですからしょっちゅういろいろ見せていただいて、そういうところのお名前を出さずに、参考にさせていただいてこうして質問をさせていただくわけなんですけれども。本当に、できれば御一緒に。 また、僕がこうしてやらせていただくというのは実際に人ごとではないわけです。家にも八十二、七十六、七十二歳と親がおりまして、大分最近は弱ってもまいりましたので、本当に一生懸命現場と家と回らせて、家は回ってないんです、現場を見させていただいて、家も実は回らなければいけないような状態なんです。私ごとですが、家内の母親がぼけの症状がちょっと出てきておりまして、夜中二時、三時まで洗濯をするわけですね。洗濯機をからからからから回しておるんです。家内の母親が三時ごろお休みって寝るころに、うちの父親がおはよう言うて起きてくるわけです。大変な家庭環境なんです、施設もさることながら、厚生大臣にうちの家にも見学に一回来ていただきたいというふうに思うわけです。 やはりこうした福祉の仕事につきましては、これを職業とする方々の確保、これは本当に大変なことです。そして、現場を回りますとボランティア活動の推進も大変重要だと思います。このボランティアの方は、決して世間に認められようということでやっているわけではないんですけれども、やはり地道な活動を評価され場面によっては行政的にもう少し支援してあげたらどうでしょうか。僕は三年間法務委員会にもお世話になっておったんですけれども、保護司の皆さん方とかもう本当に見えないところで頑張っておられる方が随分いらっしゃいます。そういう意味で、社会的な顕彰の拡大についてもう少し取り組んでいただけたらと思うんですけれども、厚生大臣いかがでしょう。
○国務大臣(津島雄二君) 私も、福祉の進んでいる国の状況を見ますと、どうもボランティアの方々がどこまで参加していただけるかということが非常に大きな意味を持っておるという認識でございます。また、そういうことの中から福祉全体に対する社会の理解が高まっていくわけでございまして、私どもとしても各種の施策とあわせて社会連帯の精神に基づく福祉活動への自発的な参加を育てるようにしなければいけないと思っております。 こういう観点から、ボランティア活動が永続的かつ自主的に展開できるような基盤を整備しようということで、昭和五十二年から小学校、中学校、高校において学童、生徒のボランティア活動普及事業というものをお願いいたしまして、そして福祉ボランティアのまちづくり事業も実施してきているところでございます。さらに、昨年から全国ボランティア大会というのを開催いたしまして、そして熱心にやっていただける方々が一堂に会して、そして私どもの方からも表彰状等を差し上げるということをいたしまして、非常に高く評価をしていただいております。 これからもこういうボランティア活動の芽を大きく育てていくように私どもも努力をいたしますので、委員におかれてもお気づきの点がございましたらどうか御提案をいただきたいと思います。
○西川潔君 ありがとうございます。 最後の質問にさせていただきます。 先日、読売新聞に載っておったんですけれども、「これからの高齢化時代に備え、お年寄りを理解し心を通わせることができる人材を」と北海道の教育委員会が「初めて老人福祉教育に取り組むことになった。」と。北海道の六校を、高校ですが、パイロットスクールに指定されて、研究、実践の成果を今後の高校教育に積極的に反映をさせる。福祉教育に特色を出す学科、コースの設置なども検討していくと。 迫りくる高齢化社会は現在の若い世代が支えていくことになるわけですが、核家族化などもあってお年寄りとめったに接したことがない若い人が多いわけです。この間もお伺いしますと、接したことがないから、おじいちゃん、おばあちゃんをというと、どうも臭いとか汚いとか、もう近寄るのも嫌だとかというような子供たちも実際にいるんです。ですから、隔離とか分断をしないノーマライゼーションの考え方にのっとって老人福祉を学校で、教育の現場で福祉教育ということで、今後こういうことは僕なんかは大いに進めていただきたいと思うんですけれども、厚生省としてはいかがなものでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 先ほども答弁の中で申し上げましたが、やはり社会教育の充実が大事でございまして、それによりまして福祉というものが社会の最も重要な部分であると、それからノーマリゼーション、つまり高齢者も障害者もおられるのが自然の社会の姿だということを若いころから教えていっていただきたいなと思っております。 先ほど申し上げましたように、小学校、中学校、高校におきまして教育の面でもそういうことを取り上げていただくようにお願いしておりますが、これからも一層いろいろな創意工夫をしていただきますように文部省とも御相談をし、一生懸命取り組んでまいりたいと思います。また、そのことの中から、私ども厚生省だけではできない分野に、例えば住宅とかいろんな分野に福祉の観点というものが入ってくるんではないかというふうに思っております。
○西川潔君 ありがとうございました。 私は思うんですけれども、親子三代一つ屋根の下でもう二十三年生活をさせていただきまして、二十五年ほど現場を回らせていただいておりますが、やはり人生の先輩、おじいちゃん、おばあちゃん、いろいろ施設を訪問させていただいてお話をお伺いしますと、御本人たちはもとよりですが、この高齢化社会というのはやはり若い僕たちの問題なんです。安心をして仕事に頑張れる、そしてまた勉強に。こうしておしゃべりさせていただいている間でも、大阪の方からどんな電話が入ってくるかなということが実際僕たちは心配なんです。そういう意味で我々も一生懸命頑張らせていただきますので、どうぞ大臣の皆さん方もよろしくお願いいたします。 きょうは、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で西川潔君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、野末陳平君の一般質疑を行います。野末君。
○野末陳平君 きょうもまた土地税制とそして節税の行き過ぎた実態との関連で幾つか質問をして いきたいと思うんです。前回は税負担の公平という見地から宅地並み課税を取り上げましたけれども、きょうはまず大都市の農地がどの程度有効利用されているかという、そういう角度で質問していくんです。 経企庁にまず聞きたいんですけれども、東京都の農地は時価総額にしてどのくらいになるか。お願いします。
○政府委員(田中章介君) 国民経済計算年報によりますと、昭和六十三年末における東京都の耕地の資産総額でございますが、二十八兆一千七百三億円となっております。
○野末陳平君 約二十八兆円ということですが、ところがおもしろいことに、北海道と東北と四国と九州と、ここの四地域の農地を全部ひっくるめて時価総額を計算してみますとまさにこの東京の農地のそれとほぼ同じように私は計算したんですけれども、誤りがあるかどうかわからないので経企庁から正確にお答え願います。 〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕
○政府委員(田中章介君) 御質問の北海道、東北、四国、九州の耕地の資産総額ですけれども、二十九兆九千七百十六億円となっております。
○野末陳平君 約三十兆ですから。東京の場合が二十八兆で、それから今の北海道、東北、四国、九州合わせた農地の時価総額三十兆。ほぼといってもちょっと二兆円ばかり違ってしまいましたけれども、いかに東京の農地が高いかということはこれでもわかると思うんです。 さて、この高い農地で農業をやっているわけですから、農水省に聞きますけれども、東京においては農産物の収穫量がどのくらいか。お米、麦、野菜などをひっくるめて収穫量の合計はどのぐらいでしょうか。
○政府委員(谷山重孝君) お答えいたします。 昭和六十三年におきます主要な作物といたしまして、米、麦、野菜、果樹、芋類、豆類、工芸作物、それから雑穀、この合計でお答えいたしますと、東京都の収穫量は十四万四千トンということになります。
○野末陳平君 約十四万トン。それでは、北海道、東北、四国、九州における農産物の収穫量を合計しますとどのくらいになりますか。
○政府委員(谷山重孝君) 北海道、東北、四国、九州の四地域を合計いたしますと、収穫量では、先ほど申し上げました主要作物につきましてはただいま二千四百八万四千トンということになっております。
○野末陳平君 これはもう当然でして、面積も違いますしそれから東京は農業が主産業じゃないからなんですけれども、ここでびっくりしたのは、時価総額二十八兆円というそういう高い土地でやっと十四万トンの実績であると。これはいかに東京の農地が価値に比較して非効率的な利用をされているかということだろうと思うんです、いろんな見方ができますけれども。 そうすると価値ある土地がやはり生かされていないな、もっと有効に使われるべきだと単純に思ったわけですが、建設大臣、今のデータで御感想が何かあったならばひとつ、土地の有効利用という点で。
○国務大臣(綿貫民輔君) 大都市圏におきます農地と地方の農地と、いろいろの利用の仕方は同じでも地価が相違するということでございまして、先生の御指摘はもっと有効利用しろということだと思うんですが、その点につきまして現在建設省でも大都市圏の農地の宅地化とかいろんなことを考えておりますが、しかしこれはあくまでも農業をやりたいという個人の意思は尊重していかなきゃならぬということでございまして、特に憲法二十九条の財産権というようなものもございますので、その辺も勘案しつつ今の点をいろんな複雑な気持ちで聞いておりました。
○野末陳平君 今のデータはいろんな見方ができるとは思うんです。 自治大臣にも聞いておいていただけばいいんでけれども、少なくも三十兆の土地では普通なら二千四百万トンからの農業ができる。ところが東京というのはそれが全然違いまして、一万トンの農業生産をやるのに何とそれのために使う土地の値段が二兆円になっちゃうという単純計算になるんですけれども、これはどう考えてももはやそこは農地ではなくて宅地だからそういう値段がついているのであって、そういうところで農業をやるということが、これは採算がとれるはずがないし、またほかの有効利用をすべきところだというふうに考えた方がいいと思うんですね。 そこで、建設大臣の今のお答えですが、東京に限らず大都市の農地というのはここらでやはり、農業をここではやっていいここでは宅地化しなきゃいけないと、幾ら私は農業をやりたいと言っても宅地化すべきところで農業をやりたいんだということを許すということ自体、やはりそこはひとつ勘弁してもらうということでこれからの線引きは厳密にやるべきだ。しかも、ある程度土地の値段というものも考慮に入れた線引きをすれば、土地のむだ遣いが減ってもう少し有効なる、効率のいい土地利用ができてくるのだと、そのための利用計画をこそ早急に建設省に進めてほしいとお願いしておくわけですね。 そこで、新たなる線引きをおやりになるという予定で、その場合にやはり当然のことながら土地の値段というものがかなり基本的な条件になるだろうと思うのですが、それを含めて簡単に農地の利用計画のポイントをお示しください。
○政府委員(真嶋一男君) お答えいたします。 大都市における住宅宅地供給の促進のために農地が大きな役割を果たしていることは私ども十二分に認識いたしております。しかし、市街化区域内農地につきましては、農地所有者の土地保有意欲が強いということとか、あるいは地域によりましては道路等の公共施設の整備が少し立ちおくれているところもあって、宅地化が円滑に進んでいないというのも事実でございます。このため、大都市地域の市街化区域内農地につきましては、宅地化するものと保全するものをまず区分した上で、宅地化をするというものにつきましては道路、公園の整備、土地区画整理事業の積極的な実施というようなことを進めるとともに、地区計画制度という地域に即した小さな都市計画でございますが、そういうものを活用していく、あるいは開発許可制度、それな適切に運用していくというようなことで計画的な市街化、宅地化を図ってまいりたいと考えておるところでございます。 また、これをさらに推し進めるために、公共施設の整備とあわせて容積率とか建物の高さ制限とかを緩和いたします住宅地高度利用地区計画制度という、そういう制度を創設するために都市計画法及び建築基準法の改正案を今国会に提出しているところでございます。
○野末陳平君 そういう計画も早く一般の人に知られるということも大事だし、同時に宅地並み課税というのは言うべくしてなかなか難しいわけで、その宅地並み課税について理解を国民に深めてもらうためには、政府はいろいろな角度からのデータを出すのがいいだろうと思うんですね。ですけれども、私はあくまで参考資料の一つとして今のようなデータも頭に入れておいたらいいかなと、そう思って自治大臣にも聞いていていただいたわけなんです。 さて、節税、行き過ぎた節税とそれから土地問題に入る前に自治大臣に先にお伺いしておきますが、実は宝くじのことなんでして、というのは数日前にこれに気がついたのでちょっとこれを挟ませてもらいたいと思うんです。 宝くじの人気というのはもう相変わらず上々で、特に今のジャンボなぞは国民に喜ばれているようで健全レジャーとして定着していると思うんですが、疑問が一つありまして、新聞広告を見たりあちこちで見ますと、ちょっと誇大というかまずいと思って感じたんですが、「一億人の夢、一億円の夢。」。「一億人の夢、一億円の夢。」ですよ。そういうキャッチフレーズで一億円か百六十本、こうなっておるんです。新聞広告、これは切り抜きですけれどもね。一億円が百六十本と、かなり派手なんです。これは、小さい字で明記されてい るけれども、一等と前後賞を合わせて一億円になるわけで、一億円が百六十本というのは実はうそでして、六千万円が百六十本なんですね。前後賞を合わせた一億円を百六十本というような書き方なんですが、実は六千万円百六十本と書かなきゃいけないんです。 何か誇大広告で、全国自治宝くじにしてはちょっとこそくだと僕は思っているんです。ですから、「一億円の夢」なんて書くのも実は前後賞合わせての話ですから、この際広告にけちをつけるわけじゃなくて、ストレートに一等一億円の賞金にしたっておかしくないと思うんで、むしろ当局に聞くんですが、法律的事情でなぜ一等一億円ではいけないのか、なぜ六千万円でこそくにもごまかした百六十本なんて数字を書くのかは気が知れないんですが、それはどうしてですか。
○国務大臣(奥田敬和君) これは、先生はもう御存じだと思いますけれども、今宝くじの一枚の発売額、証票の金額三百円ということで決まっておるわけですから、それの二十万倍が限度なんです。したがって、今の規則では六千万が限度だと。今自治体宝くじは非常に順調に人気がありまして、おかげさまでこれらの資金は地方自治団体の公共事業を中心にもう幅広く大変な資金として使わせていただいておるわけですが、そういう人気は定着しております。 ところが、今うそつきだと言われて誇大広告並みに言われましたけれども、これはちゃんとやっぱり前後賞つきで一億円という形でやっているはずですから。これは発売団体も含めて、主催の地方自治団体もそんなインチキで売っているものじゃありません、ギャンブルと違いますから。そういった点だと思います。 ただ、今質問への形で結論までお話しさせていただきますけれども、そういった御指摘も納得できます。そして、ちょうど三百円にしたのが昭和五十五年ですからやがて十年経過しておるんで、この辺で一遍自治体なり発売の団体なりとよく相談をして名実ともに一億円ということに検討したいと思っておりますけれども、そうすると証票金額を一枚五百円に持っていかなきゃいかぬ、最近は連番買いが多いですけれども。そういったことでの検討も含めてやりたいと思っています。
○野末陳平君 じゃ、あえて率直に聞きます。三百円というのはもう十年たつっていうそれですけれども、半端になりまして、三百円一枚こっきりという人も中にはいますけれども、大抵はまとめて買いますね。そうしますと、大臣おっしゃったように、もう今五百円でいいと思うんです、証票金額は。五百円で、千円で二枚買うし、五千円買いたい人は十枚買うし、その方が切りがいいし、五百円にして二十万倍とやれば一億円になるから、そうすると現行法の中でできるはずなので、僕はもうストレートに、前後賞合わせて一億円なんというのはもうやめて、大臣の検討課題はすぐ実況すると。そして、もっと夢のあるものにして、全国くじがあっちこっちで、地方のくじまで東京の人にも買ってもらえるように、大阪の人にも買ってもらえるように、そういうふうにした方が結果的にいいので、検討じゃなくてすぐそれはもうおやりになるということでよろしいのじゃないですか。
○国務大臣(奥田敬和君) もう御提案の趣旨を生かして検討したいと言っておるわけですから、それは私の意思が那辺にあるかという形は委員十分お察ししていただきたいと思うんです。私もどっちかというとすぐやりたい方ですから。
○野末陳平君 まあ日本人も大人ですし、一等が一億円になったところで、それで射幸心をあおってどうしてこうしてというような批判的なことはもうないはずですから、楽しみにしております。自治太大臣、結構です。 前回私が言ったのは、土地がもうかる商品である、得な財産だという土地神話を崩すためには税制面からのアプローチが必要でと、こういうことを言いました。そうしたら、税調の取りまとめの方にも、小委員長の取りまとめの中にも、最後の方に土地税制の主たるねらいは土地の資産としての有利性を減殺することを中心とありまして、まさに我が意を得たりで心強く思うんですが、具体的に別の角度からきょうはまたこの問題にアプローチしてみたい。 路線価なんですね。節税がいろいろと行き過ぎて目に余るというその原因は何だというと、節税ができるようなシステムになっているという今の税法なり税制上のいろんなあり方の問題で、その一つに路線価がある。路線価が公示価格の七〇%をめどに引き上げるというのが当局の方針です。 〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕 これはわかっていますが、この方針はこれからも変わらないのか、それともここらで路線価の決め方、あり方を検討すべき課題が生じたのかどうか、その辺の認識をまず答えてください。
○政府委員(岡本吉司君) 相続税評価におきます路線価の決め方でございますが、御案内のとおり、我々地価の公示価格であるとか、あるいは売買実例の価格であるとか、あるいは不動産鑑定士などの地価事情に詳しい方、精通者の意見をもとに路線価を決めているわけでございます。この場合、路線価が公示価格の七〇%ということでやや低いのではないかという御趣旨の御指摘でございますけれども、我々相続の場合の土地を評価する場合に、土地の価格そのものにまず非常な値幅があるということは念願に置かなきゃいけないだろうと思っています。土地には代替性もございませんし、売り買いのときの状況とか売買の需給関係によりまして、たとえ同一の土地につきましても相当の値幅が出てくるというのが実情だろうというふうに考えております。 また、さらに加えまして、相続の場合には被相続人の、いわば亡くなられた方でございますが、そういった方の死亡という偶発的なことを契機といたしまして、いわば課税上の評価だというようなこともあるわけでございます。したがいまして、こういったことから我々といたしましてはかた目の評価ということで、仮に納税のために売り急いだとしても我々の相続税の評価額がその売買価格を上回ることのないようにということで地価公示価格と同水準の七〇%をめどにということでやらせていただいているわけでございます。 そろそろ見直しの時期ではないか、こういった御質問もあったわけでございますけれども、その点につきましては、今申し上げましたように公示価格相当額の七〇%ということに我々は合理性があるというふうに考えているわけでございますが、さらに加えまして、ちなみに現在の各部道府県の県庁所在地の四十七都市の最高路線価が六五・三%でございます。したがいまして、当面まずこの目標の六五・三を七〇%に引き上げる努力をするのが先ではなかろうか、まずこの目標に向けて努力したいと考えているわけでございます。 さらに、ちなみに六五・三を七〇に引き上げるというのはかなり大変だということを申し上げたわけでございますが、この三年間でこの評価額の評価水準を約六・七%引き上げておりますけれども、これを評価額で見ますと、毎年二割から三割弱上げているわけでございます。この二年間で先ほどの四十七都市平均でも地方を含めて二倍になっているわけでございます。したがいまして、これはある意味ではまた相続税の方の納税者の負担ということにもはね返ってまいりますので、我々といたしましては、当面この七〇%をめどに引き上げることに努力するというのが先決ではなかろうかと、こう考えている次第でございます。
○野末陳平君 しかし、現実には公示価格はいわゆる通常の取引相場よりもまた低目に設定されておりますから、そこでいろんな弊害がくる。つまり路線価が相続税の評価基準になっているという現実から、この路線価が公示価格の七〇%、このあたりでいろんな節税の行き過ぎた実態がやや目に余るという、これが現状じゃないかと思うんですよ。 今のお話でいきますと、私の方で言いますと、要するに路線価という独特の物差しがありますね。そうしますと、一億円の土地を相続するケースと、そして一億円の預貯金を相続するケースと 仮に比べれば、それは当然相続税がきついのは一億円の預貯金である、しかもそれが相続税額において相当開きがあると、こういうふうに思えるんですが、そういう計算をするとどの程度になりますか。もちろん控除した後というようなことに関して。
○政府委員(岡本吉司君) 幾つかの前提を置かなくてはいけないわけでございますが、今お話ございましたように、債務控除であるとかあるいは遺産にかかります基礎控除までも控除しました後で、仮に相続人、これも何人いるかという問題がございますが、仮に一番簡単な例で子供が一人だと、こういった例で考えてみますと、仮に預貯金で一億円ということになりますと、税額を計算しますと三千四百八十万円が相続税の税額になるわけでございます。 これが一億円の土地の方になりますが、取引価格といいますか時価一億円、これが路線価でどの程度の評価になるものかというところが非常に問題があるわけでございますが、この数字が我々決して全般的な、平均的な数字とは思っておりませんが、物事を非常に簡単にするために仮に半分だと、これが一番話が簡単だと思いますので、仮に半分だというふうにして計算をしてみますと、一千三百三十万円が税額になるということでございます。したがいまして、今のは仮に半分だという仮定を置きましたものですから、ここが変わることによりまして若干額が変わってこようかと、こう思っております。
○野末陳平君 確かに乱暴な比較をしているわけなんですが、しかしこういうような仮計算に基づいて世間では節税が行われている。そして、そのとおりの成果を上げているというのはもう国税庁は御存じだと思うんですね。 つまり路線価格と時価、取引相場というか、これは変動は厳しいとはいうものの、このギャップがかなりある。そのために今言ったように預貯金だと三千五百万近い相続税、それを土地にかえておけばひょっとして半分以下。これでは一千三百三十万と出ていましたけれども、今の話は。要するにわざわざお金を土地にかえて相続税の対策をする。これは得になりますからね。もっと頭のいい人は借金をして節税をする。その借金は時価で引いてもらえますからね。それも説明するまでもないと思うんですね。 つまり根っこに路線価というものがあるために、何千万あるいは何億という節税になるのは事実ですから、こういう路線価というものをいまだに公示価格の七〇%をめどに引き上げるんだという方針を堅持していくというのが時代に合っているのかどうか。むしろマイナス面で悪用されている。そういう認識のもとに、路線価の決め方はもうこちらで考え直すべきなんだ、こういうことを私は言いたかったわけなんですよ。それについてはどうですか。
○政府委員(岡本吉司君) そのお答えの前に、土地で持っているのが果たして有利かどうかというところも一言だけ言いわけといいますか、釈明させていただきたいと思うわけでございますが、評価の面のみをとれば、やはりそこに現在の路線価方式をとっている限りにおきましては、我々のかた目の評価ということでございますので、差が出てくることは御指摘のとおりでございます。ただ、相続財産全体を考えましたときに、やはり相続財産そのもの全体の流動性であるとか換価性であるとか、あるいは土地で持った場合の譲渡のときの課税等々も考えますと、即断して直ちにすべてが有利だと言うにはやや簡単でない面があるんじゃなかろうかという気は我々特っております。 ところで、それは言いわけのような話でございますけれども、現在の路線価方式の決め方、先ほど申し上げましたように、相続税の特殊性からしますと、やはりかた目の評価というのを我々やらざるを得ないだろうと考えておるところでございます。したがいまして、まずその七割に向けて、現状はまだ七割までいっておりませんので、まずその七割に向けて努力する、実はそういった意味で評価の適正化になお一層努力する、こういうことを考えておるわけでございます。
○野末陳平君 七割にいってないからこそ時価とのギャップがあり過ぎて、そこに節税の知恵が生まれるというのはもう当然のことで、財産の持ち方、土地が有利かどうかというのは本人が決めることですから、私は、税制面から土地が有利な資産であるという、それはもう間違いないことでないのかというのをお聞きしているんでしたけれどもね。 そこで、大臣にお聞きしますけれども、行き過ぎた節税の元凶は間違いなく路線価なんですよ。これが時価と大きく乖離しているから一億円の預貯金と一億円の土地、どっちが税金安いだろう、こういう発想になってくる。となると、もう時価と路線価の差を縮めることが先決なんですね。縮めるのはどうしたらいいかというと、路線価というかなり時価よりも低い、せいぜい半分という程度のものを固執するんでなくて、もう公示価格に一本化してもいいし、あるいは路線価をもっと引き上げるのもいいし、どちらにせよ時価との乖離差をできるだけ少なくして節税の入り込む余地がないようにすれば土地が有利な資産だという発想もなくなってしまうんですよ。だから、話は簡単でして、時価に近づけるんだからもっと上げていいんですよ、路線価を。名前は公示価格に一本化になってもいいんです。片方を国土庁がやって、片方を国税庁がやっている。別々の目的であると言うけれども、二本値段があるのをこれは一本にできるんですね。 そこで、じゃ税率を今のままのような五〇、六〇、七〇、これは高過ぎる。やはり抵抗がありますから、税率を下げ、評価を上げるということでバランスをとれば節税ということがそんなに入り込む余地はなくなって一番いいんじゃないかな、世間の実態を見てそういうふうに感じるんですけれども、こういう検討の方向というのは、大蔵大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど事務方から、委員が仮定計算を命じられました一億円を現金で相続した場合、土地で相続した場合、その仮定計算の数字を見せられました。今御答弁申し上げた以外の仮定も置いて幾つかの試算をしてみておりますが、これはもうほかの部分を除いて論議をいたします限り委員が御指摘のとおりであります。 ですけれども、ただ、土地の相続税評価というもの、これは土地の価格というものに相当の値幅がある。また、お人の死亡という偶発的と言ってはいけませんけれども、偶発的なきっかけによる課税上の評価という性格がある。そして、仮に納税のために売り急いだとしても、その評価額が売買価格を上回らないようにという考慮をする、そういうことから地価公示価格と同水準の価格の七〇%程度を目途という評価の論議が出てくるわけでありまして、これは私は相続税の性格を考慮した上で決定されるものとしてそれなりに合理的なものだと思います。ただ、土地の相続税評価というものにつきましては、今後とも相続税の性格を考慮し、地価の動向にもやっぱりきちんと目配りをしながら、できるだけ適正に評価をするように慎重な対応をしてまいりたい、そのように思います。
○野末陳平君 そうなると、当分路線価というもののあり方が今までと変わらないとすると、土地を持っている人はとっても喜んで相続対策が十分に期待どおりにできるだろう、こういう皮肉なことになるので、実に残念ですけれどもしょうがないですね。 じゃ同時に、相続という特別な事情が起きるというような話になったんじゃまずいから、今度はいわゆるサラリーマンが借金をしてマンションを買いますと税金が安くなる、還付を受ける、こういうような話も世の中にはもう知れ渡っているわけです。 私は三年ぐらい前でしたか、節税マンションという広告が少しえげつないから、この辺はチェックしたらどうなんだというようなことで取り上げたことがあるんですけれども、改めてきょうお聞きしますけれども、この節税マンション、つま りサラリーマンが、サラリーマンでなくてもいいんですが、ローンでもってマンションを買った場合に、損益通算が本業の所得とできて結果的に減税になる、節税になる、こういうことに対して大蔵省はチェックをしてこれにブレーキをかけるべく、これを損益通算をさせないという方向で検討していると聞きましたが、その根拠と、それからそういう検討の中身をもう少し、時間もないですけれども説明してください。
○政府委員(尾崎護君) 例えば、給与所得または事業所得等でかなりの所得がございまして、かなりの税金を払っておられます方が別途借金をしてマンションなどを買う。そこで赤字が立ちますと、給与所得または事業所得で納めておりました税金が還付されるというような形の節税策がかなり広く行われているということは、御指摘をいただいているとおりであろうかと私どもも認識いたしております。税制調査会等におきましても、一つの問題点として自民党の税制調査会で議論になったことがございます。 今回も御承知のとおり、政府の税制調査会、土地問題を取り扱っておりますけれども、昨日発表されました小委員長の取りまとめでもこの節税の問題に触れられておりまして、今後税制調査会の中でも具体的な議論になっていくのではないかというように私ども考えております。
○野末陳平君 ですから、大蔵省はどういう方向で考えているのかを聞きたいんで、しかもそのデータを、どのぐらいの節税になるからこれは損益通算を認めちゃいけないんだという結論が出るのかどうか、その辺のことが聞きたかったんですが、どうですか。
○政府委員(尾崎護君) これは委員よく御承知のとおりの、いわば損益通算ということは、つまり総合課税というところから出てくるわけでございます。一方におきまして、やはり総合課税、総合した所得について累進的に課税をするというのが所得税の生命だ、こういう話もあるわけでございますが、しかるがゆえに総合をするということは利益の総合だけではございませんで、他方で損失の総合をしてしまうということもあるわけでございます。 したがいまして、この問題を検討していく場合に、総合所得課税、所得の総合ということについて一体どう考えるのかという非常にその基本にれる話になってきておりまして、あるいはその得の分類、事業所得でございますとか、譲渡所得でございますとか、不動産所得でございますか、そういう所得分類についてどう考えるかというような基本的な問題にも触れてくるところでございます。非常に私どもの内部におきましてもさまざまな議論がございまして、率直に申しまして、今のところこれが答えというようなところまで至っていないというのが現状でございます。 仮に、その税率がフラットであるというようなことになりますと、この総合の問題をすっぱり割り切って、それぞれ別々に分類所得課税のようなことでもいけるわけでございますけれども、我が国の所得税はかなり累進度の高い所得税でございますので、その総合をする面と総合をすると損失が合わさってくるという面で非常に悩んでいるというのが実情でございます。 具体的な例といたしましては、課税の実例などを見ましていろいろな例をつかまえているわけでございますけれども、リゾートマンションの賃貸借あるいはワンルームマンションという最近はやりのものを利用する、あるいは一戸建ての中古住宅等でもそのような例を見ますし、それから非常に切実な問題といたしましては、転勤をする、転勤をしてしまったために自分の家を貸すというようなことが起きるわけでございますけれども、場合によってはこれもまた節税策になってしまうというようなこともございまして、この種の問題は大変難しい。同時に所得税の基本に触れてくるようなところでございますので、いろんな面からの検討が今後とも必要だというように考えております。
○野末陳平君 余り難しい説明なんでちょっとわからなくなってしまったんですけれども、要するに、損益通算をこのマンションの場合にもう認めないという方針を検討しているのかどうかということを聞いたわけでして、それについてだけ、検討しているとかそういう方向が望ましいとか、そういう答えを求めているんですけれども、それについてはお願いします、もう一度。
○政府委員(尾崎護君) 申し上げたいと存じましたのは、利益があった場合には通算する、損失が出た場合には通算しないというようなことはなかなか難しいわけでございまして、総合課税ということをどう考えるかということに触れてくるということをるる申し上げた次第でございます。 どうするのかということにつきましては、まだ思い悩んでいるところでございまして、結論を持っておりません。
○野末陳平君 大蔵大臣、今の局長の話なんですが、サラリーマンとか事業主とかとにかくローンでマンションを買う、買える人というのは恵まれている方で、そして損益通算ができればかなりの節税になる。ですから、得をしているんですが、これを老後の計画でやっている人もいればいろいろあるようなんで、少なくともこの損益通算ができないようにしちゃうと、かなりみんなサラリーマンなどがっかりするだろうなと思うんです。僕もいずれやらなきゃいけないなと、そう思いつつ、ちょっと今の段階ではどうかなと思っていたんで、じゃ大臣の方にお聞きした方がどうも答えがはっきりするようなんで、そちらへお願いします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今御指摘を受けましたような問題が生じますのは、結局事業には至らない規模の業務から出てくる雑所得の損失が損益計算が認められておりませんのに、不動産の貸し付けによる所得である不動産所得というものにつきましては、事業所得的な不動産所得、また雑所得的な不動産所得というものの区別がなされないままに、先ほど所長が申しましたように、その損失が常に他の所得と損益計算をすることが認められている。そこから出てくる問題ということであろうと思います。そして、局長自身が率直に思い悩んでおるという御答弁を申し上げましたけれども、私自身今どうというお答えを申し上げるほどの知恵もありません。 ただ、先般来委員を初め本院の御論議を伺っております中において、私どもとしていろいろな角度からの非常に示唆に富む御指摘を受けております。今の御意見をも含めまして、こうした御意見というものを税制調査会の方に御報告をし、今後の検討の材料にしていただき、その中で御検討いただくと同時に私自身も少し考えてみたい、今そんなことを考えておりました。
○野末陳平君 じゃ私の考え方を言いますと、これは損益通算を認めないということになってしかるべきデータが出れば、それはそれでやっていいんですが、そうすると、結果的にはやはりまた弱い者いじめみたいな印象になりかねないんです。法人の場合、土地を買っても損金に算入され、建物を購入する場合すべてにおいて有利なコストの物すごい安い取得ができる。個人はなかなかそういかないわけですね。ところが、年金生活者あるいは小さい事業主あるいはサラリーマンなどがそれなりの目的を持ってローンに頼って手に入れる、それだけを損益通算認めないということになると不公平になるんじゃないか。結果的に弱い者いじめをやるだけに終わってしまうんじゃないかということになりますので、総合課税の話はともかくとして、節税マンションだけの損益通算を認めないというのは乱暴過ぎる。 これは法人の土地購入の借り入れ利息を損金に算入するという、無制限にやっているというこの部分と一緒にあわせて考えて、そしていい結論を出すということがいいと思うんです。あくまでも法人の方がいろんな点で有利であるという税制を続けて、個人がせっかくやっているようなところをいじめるという結果になるのが怖い。ですから、損益通算についてはもう少し慎重に考えた方がいいということを一応申し上げて、これで終わりにいたします。 どうもありがとうございました。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で野末陳平君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、竹村泰子君の余の一般質疑を行います。 この際、坂本官房長官から発言を求められておりますので、これを許します。坂本官房長官。
○国務大臣(坂本三十次君) 日韓外相会談で韓国側から日本側に対して、強制連行された人のリスト、朝鮮人のリストを示してもらいたいというお話がありました。 太平洋戦争中に強制連行された朝鮮人リストについては、何分古い話のことでもありますが、当時の事実関係や法律関係について、現在内閣官房を中心にして関係省庁と共同して調査をいたしておりますので、もう少しお待ちください。
○竹村泰子君 閣議で大変御検討いただきましたそうで大変うれしく思いますけれども、強制連行というのは日本政府が国家権力で連れてきた人を指すのですね。昭和十七年から敗戦までぐらいだと思いますけれども、その前、昭和十四年ごろから自由募集というような形で連れてこられた人がいたということですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(有馬龍夫君) ただいま官房長官が仰せられましたように、当時の事実関係をまさに今調査しているところでございまして、その結果、今御指摘になられましたような問題についても、ある段階では適切なお答えができるかと思っております。
○竹村泰子君 私がお聞きしたいのは、強制連行というのは一体どういう人たちですかという概念をお聞きしたかったんですけれども、今お答えできないということですので、仮にこの人たちが個人で日本に賠償請求をしてきたらどうなさいますでしょうか。戦勝国アメリカでも日系人の強制収容に関する賠償法というのを立てまして千九百五十億円賠償しておりますけれども、そのようなことをどういうふうにお考えになりますでしょうか、官房長官。
○政府委員(谷野作太郎君) お答え申し上げます。 この点は、先生御存じかと思いますが、徴用された韓国人に対する補償の問題は、確かに日韓国交正常化交渉において韓国側から対日請求の一つとして提起された経緯がございますけれども、いずれにいたしましても、昭和四十年に締結されました韓国との請求権及び経済協力協定によりまして、日韓間の問題としては既にそのとき決着済みというのが日本政府の立場でございます。
○竹村泰子君 きょうは国会図書館館長においでいただいておりますけれども、資料がございましたでしょうか。
○国立国会図書館長(指宿清秀君) お答えいたします。 私ども国立国会図書館に所蔵いたしております資料の中には、ただいまお尋ねのような関係の名簿等はございません。
○竹村泰子君 韓国の太平洋遺族会という方たちが九〇年の四月においでになっておりますが、このときに軍属、軍人の名簿はあったと厚生省は認めておられますけれども、公開は拒否しておられますね。このことを厚生大臣は御存じでしょうか。
○政府委員(末次彬君) 御指摘のとおり、軍人軍属につきましては全体の名簿の中にそういう方が入っているということでございます。これは一種の人事に関する記録でございますから、名簿の提示をしてほしいというお話がございましたが、プライバシーに関することでもございまして、国内においても同様の取り扱いをいたしておりまして、その名簿の提示はできないというふうにお答えしております。
○竹村泰子君 中央協和会というのが戦中にございまして、移入労務者の指導員講習などをやっております。これは厚生省と内務省と地方自治体で協力をしてやっているんですけれども、そういうことなど多くの、私の調査によりますと、名簿がないとは言えない現状がございますが、いかがでしょうか。
○政府委員(有馬龍夫君) 繰り返して申しわけございませんけれども、今調べているところでございまして、御指摘の諸点については今この段階では明快にお答えすることができません。
○竹村泰子君 従軍慰安婦の調査もなさいますね、官房長官。
○政府委員(有馬龍夫君) 先ほど官房長官が仰せになられましたように、今内閣官房が中心となりまして関係しておられるところと協力しながら調べております。
○竹村泰子君 各大臣にお答えいただきたいんですが、時間がございませんので、十分誠意を尽くして調査をしていただきますことを官房長官お約束してください。
○国務大臣(坂本三十次君) きのう内閣官房で、関係各省庁に対してそういうリストがあったら出してもらいたいということで、今鋭意調査中であります。
○竹村泰子君 一九六五年の日韓条約は経済協力だけです。個人補償は別ではないでしょうか。また、北朝鮮に対しては全く放置されたままでよいというのはどういうことでしょうか。 敗戦後四十五年、余りにも遅い戦後処理ではないでしょうか。反省もざんげもなかったことがまさに今問われていると思います。韓国、朝鮮の人のみでなく、そして従軍慰安婦も、日本の植民地支配に対するすべてのことを調査するという前向きの閣議決定を受けて、窓口をきちんとつくり、遅まきながら誠意を持って調査をしていただきたいと強く要望して終わります。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で竹村泰子君の質疑は終了いたしました。(拍手) 以上で一般質疑は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後七時十分散会