予算委員会 第15号
- 発言数
- 425 件
- 登壇者
- 51 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1990/05/29
会議録
○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を開会いたします。 平成三年度一般会計予算、平成二年度特別会計予算、平成二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 平成二年度総予算三案審査のため、本日、日本銀行総裁三重野康君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) それでは、これより猪熊重二君の一般質疑を行います。猪熊君。
○猪熊重二君 きょうは一般質疑で、少々細かい問題をお伺いさせていただきますが、当の本人にとっては非常に大変なことだと思いますのでお伺いいたします。 まず最初に、横浜市の固定資産税の過誤納の問題についてお伺いします。 去る五月十七日以来、新聞各紙によって横浜市における固定資産税の取り過ぎ問題が報道されておりますが、自治省としてこれについて調査した結果があれば報告していただきたいと思います。
○政府委員(湯浅利夫君) 横浜市におきます固定資産税の課税誤りにつきまして申し上げたいと思いますが、横浜市では平成元年度から固定資産税の納税通知書に課税資産の内訳を添付することにいたしました結果、納税者からの問い合わせなどがございまして、その調査をした結果、課税誤りが判明したと聞いております。 市のお話によりますと、固定資産税の課税誤りの内容は、課税誤りの総件数が九百五十九件、それにかかわる税額が約一億二千八百万円でございます。このうち七百六十件、約五千七百万円につきましては全額還付を行ったわけでございますが、残りの百九十九件につきましては時効にかかる部分がございまして、約三千四百万円につきましては還付いたしましたけれども、還付できない額が約三千七百万円となったということでございます。 課税誤りの原因につきましては、家屋が滅失したことに伴う課税台帳の整備漏れでございますとか、あるいは所有者誤りなどが多いということでございます。
○猪熊重二君 固定資産税のそのような課税の誤りについて、原因の一つはやはり課税の形式とかその辺に問題があると思います。固定資産税の課税の形式とかあるいは納税通知書等、課税の手続について概略説明してみてください。
○政府委員(湯浅利夫君) 固定資産税の徴収は普通徴収の方法によるということにされておりまして、この普通徴収というのは、徴税吏員が納税通知書を納税者に交付することによりまして税を徴収するというやり方のものでございます。 固定資産税の納税通知書の記載内容でございますが、地方税法におきまして、納税者の住所、氏名、それから課税標準につきましては土地、家屋、償却資産ごとの価額、それからこれらの合計額、それから税率、税額、納期などを記載することにされております。 先ほど申し上げました固定資産の内訳につきましては、固定資産課税台帳の縦覧制度がございますので、これによって確認することができるということから、納税通知書に記載することは法律上求められていないわけでございます。
○猪熊重二君 結局、住民がもらう納税通知書には、土地幾ら建物幾らと合算した金額があるだけで、その中身がわからないわけです。今回横浜市が課税物件の内訳明細を書いたということでこういういろんな誤りがはっきりしてきたわけです。今固定資産課税台帳の閲覧制度があるから明細書を送らなくてもいいんだ、こういうお話ですが、それじゃ実際問題として、固定資産税の課税台帳がどの程度閲覧されているのかお伺いしたいと思います。
○政府委員(湯浅利夫君) 全体の統計は私ども持っておりませんけれども、この平成元年度の固定資産税の縦覧状況につきまして横浜市に問い合わせたところ、縦覧者の数は約二万人と聞いております。横浜市の固定資産税の納税義務者数は延べで約七十六万人ということでございますので、確かに縦覧をしておられる方々の数は少ないわけでございます。
○猪熊重二君 結局、トータルで送られてきた金額を見ただけでは自分の個々の物件が三つあるのか二つあるのか全然その物件の中身もわからないわけです。課税台帳閲覧制度があるといっても、課税台帳を実際に見に行く人もそう多くないわけですから、全部の自治体において課税物件の明細内訳書、こういうものを納税者に送るような行政指導というものをお考えいただけませんでしょうか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(奥田敬和君) 今横浜市の事例を挙げての御質疑でございまして、先ほどから聞いておったんですけれども、今まで縦覧ということはしてもそんな丁寧な内訳までつけた自治体というのは、横浜がそういった点では優等生のような形で住民にとっては非常に親切なことであると思いますし、またそうあってほしいと思いますけれども、その結果大変な誤りも判明したということで大変残念なことだと思っております。 各自治体も、本来、単なる縦覧でいつでも見れるということだけじゃなくて、あるべき姿はやっぱり横浜市を見習って、詳細を納税者に知らせて納付していただくというのが私は好ましい、そういった形はできるだけ普及して見習うようにという方向で指導したいと思っております。
○猪熊重二君 ところで、先ほど局長からの説明にありましたように、横浜市の場合、百九十九件、三千七百万円というものが還付できない、こうおっしゃったわけですが、過誤納金の納税者からの返還請求に関する手続について説明してください。
○政府委員(湯浅利夫君) 過誤納金の還付につきまして大体二つの事例があろうかと思いますが、まず当初の賦課決定に取り消し得べき瑕疵があってその額が過大であった場合、この場合には、地方団体は改めて正しい税額の賦課決定を行いまして、これに基づいて納税通知書を送達いたしまして過納金を還付するという形になろうかと思います。この場合の賦課決定は、固定資産税につきましては地方税法第十七条の五の第三項の規定によりまして法定納期限の翌日から起算して五年を経過した日以後はすることができない、こういうことになっております。 それから二つ目は、この当初の賦課決定が無効であった場合でございますが、この場合には、改めて正しい税額の賦課決定を行うまでもなく、納税者は過納金、誤納金につきまして還付の請求ができるわけでございますが、この請求権につきましては、地方税法第十八条の三の規定によりまして、「その請求をすることができる日」、すなわち納付のあった日から五年を経過したときは時効によって消滅をする、こういう形になっております。
○猪熊重二君 「その請求をすることができる日」から五年を経過すると時効によって消滅する。ですから、納め過ぎた税金を返してくれ、こう言っても五年を過ぎると時効によって消滅する。それで、その請求をすることができる日がいつかということが問題になるわけです、この日を基準にして五年という問題になりますから。その請求をすることができる日ということについての自治省の従前の、あるいは過去における、そして現在における取り扱いについて御説明ください。
○政府委員(湯浅利夫君) 地方税法におきます過誤納金の還付請求の消滅時効につきましては、昭和五十二年三月三十一日の最高裁の判決で、これは法人税に関する事案でございましたが、国税通則法第七十四条第一項の還付請求権の消滅時効の起算日について、「その請求をすることができる日」というのは、無効な申告または賦課処分に基づく納付の場合にはその納付のあった日というふうに解されているわけでございます。 この判決の効力につきましては、ただいま申しましたとおり法人税の事案ではございましたけれども、この判決文の中に、地方税法第十八条の三と同趣旨の国税通則法第七十四条の規定について、無効な賦課処分に基づいて納付があった場合でも、その請求をすることができる日というのはその納付のあった日と解するという判断が示されておりますので、この判断に従いまして、無効な賦課処分につきましては、その請求をすることができる日というのはその納付のあった日というふうに解釈をいたしまして地方団体を指導しているところでございます。
○猪熊重二君 私の質問は、この最高裁の判決がある以前、要するに昔の取り扱いはどうだったんだ、この判決が出てからどう変わったんだということをお伺いしているわけです。
○政府委員(湯浅利夫君) この判決が出る前におきましては、固定資産税のこういう誤賦課のものにつきましては、五年の消滅時効ということではなしに、さらにさかのぼって還付請求ができるということを各自治体から照会のあった事案について文書で回答しているものがございます。これを、この最高裁の判決が出たことによりまして、指導を先ほど申しましたような形に変えたわけでございます。
○猪熊重二君 要するに、昭和五十二年のこの判決が出るまでは、その請求をすることができる日というのを、間違ったということがわかったというその日にしておきましたから、間違ったということがわかれば返してくれということですぐ返ってきたんです。ところがこの判決があったものですから、その請求をできる日というのを納付の日にしてしまったから、横浜市の場合でも二十八年間過誤納しておいて、納めさせられていて、結局五年分しか戻ってこないで二十三年分はだめだと。そうすると、この最高裁の判決というのは非常に大きな意味を持っている。最高裁判決の中身について概略説明してください。
○政府委員(湯浅利夫君) この五十二年三月三十一日の最高裁の判決につきましては、法人税の関係の事案でございますけれども、国税通則法の第七十四条第一項、これが地方税法の十八条の三と同じような規定でございますが、還付請求権の消滅時効に関する規定の問題でございますが、この問題について最高裁の判決につきましては、この還付請求権の消滅時効の起算日でございますその請求をすることができる日というのは、無効な申告または賦課処分に基づく納付の場合にはその納付のあった日と解すべきである、こういう判決が出ているわけでございます。
○猪熊重二君 中身を御説明いただいたわけですが、要するに、法人税を納付するについて、自分で払い過ぎたということがわかっていろいろ計算したいけれども計算書類が検察庁に押収されている、そのために自分で計算できない、ところがその書類が返ってきてから八カ月の余裕があったにもかかわらず還付請求、返還請求しなかったという事案であって、しかもこれは法人税ですから申告納付の問題なんです。こういう判決の事案を直ちにすべての場合に適用するということが妥当かどうか、その辺について検討されましたか。
○政府委員(湯浅利夫君) 最高裁の判決は、おっしゃるとおり申告納付に関しての還付請求権の消滅時効の事案でございましたけれども、この判決によりますと、無効の申告または賦課処分についての時効の起算日について、「その納付のあった日と解すべきである。」、こういう判決が出たわけでございますので、この判決そのものが固定資産税に直接は関係ございませんが、法律の考え方一般といたしまして、国税も地方税も同じ考え方で運用するべきであるし、また、この判決にございますように、申告納付と賦課徴収いずれを問わず消滅時効の起算日は納付のあった日だというふうに判示をしていることから考えまして、内部で当時いろいろ検討したようでございますけれども、やはり判決に従って地方団体を指導するのが適当だろうということでやったわけでございます。
○猪熊重二君 要するに、この最高裁の判決の事案は法人税の申告納付に関する問題であって、しかも自分で請求すれば五年以内にできる八カ月のゆとりがあった事案なんです。こういう事案を、申告納付でなくして賦課納付、しかも固定資産税のように継続的に納付することが一般的に考えられているこういう場合にまで、ただやみくもに最高裁の判決だからということだけですべての場合を網羅するように判断するのは適切でないと私は思うんですが、法制局長官、こういう判決の、いわゆる一口に言うと射程距離と申しておりますけれども、この辺についてはどうお考えですか。
○政府委員(工藤敦夫君) お答え申し上げます。 ただいま自治省の税務局長からお答え申し上げましたように、五十二年三月三十一日の最高裁判決、これは法人税に係る還付請求権に関する事案についてのものでございます。今委員御指摘のように、無効な申告または賦課処分によって国税を納付した場合、その還付請求権の消滅時効がいつから進行するか、こういう点についてでございまして、判決の理由におきまして国税通則法を引きまして、その七十四条一項に言うその請求をすることができる日、これは無効な申告または賦課処分に基づく納付の場合にはその納付のあった日と解すべきである、こういうふうに述べているわけでございます。 もう委員十分御承知のように、一般的に言いますと、判決はいわゆる司法権の作用として具体的な訴訟事件についてなされる判断でございますから、その効力というものも、当然その具体的な当該具体事案に限られるものと考えております。 ただ、今お尋ねの事案が横浜市の場合でございますが、地方税である固定資産税の過誤納付金の返還請求に係るものである。それに対して、御指摘の昭和五十二年の最高裁判決は、国税である法人税の過誤納付金の返還請求に係るものである、こういうことであり、また過誤納付の原因についても、事柄は今委員御指摘のように事案を異にするわけでございます。ただ、国税、地方税の過誤納付金の返還、先ほど国税通則法あるいは地方税法を引いてお答えがございましたけれども、その規定の趣旨は同じであると考えられますので、消滅時効の起算日について同様に考えてよいのではなかろうか、かように思われます。 ただ、お尋ねの事案につきましては、その詳細を承知しておりませんので、具体的な結論を断定的に申し上げるのはこの際差し控えさせていただきたいと思います。
○猪熊重二君 大臣、私が今申し上げているのは、役所の方を信頼して、役所から決めてきた金額をそのまま素直に払って、そして役所の全く手違いで二重払いさせられた、あるいは滅失した建物に対する課税をされた。これを五年間で、しかも納付の日から五年たったらもう返さぬというふうなことだと市民感情としてこういうことは納得できない。要するに一口に言えば信用した人間がばかを見る。役所のやることを全面的に信用して一生懸命税金を払ったら、役所の間違いで払い過ぎたにもかかわらず五年たったらだめだ、しかも、その五年が納めてから五年だと。過誤納付がわかったときから五年というのが五十二年の判決の前の取り扱いだったわけです。納めたときから五年といったら、先ほども申し上げたように二十八年間間違って取られた人は二十三年分取られっ放しなんだ。何とかそこで考えなきゃならないというので今の最高裁の判決の射程距離を少し検討されたらどうかということを申し上げたわけですが、これについて何かうまいお考えはありません
○国務大臣(奥田敬和君) 猪熊先生の御意見に私は個人的には全く同感です、明らかに行政ミスですから。二十八年間もたくさん取り続けておった。それは縦覧できるんだからそれに気がつかなかった者が悪いと言われても、今御説明のとおりに法人と違って賦課徴収でございますから、そういった固定資産税の性格から見て、こういった明らかな行政ミスということは本当に遺憾だと思います。 ただ、今も聞いておりましたけれども、最高裁判決が出て還付措置は講ずることができないというような形で、五年間でもうあとは時効だ、法的にはそういうことのようです。それを今変えろといったってちょっと難しいんですけれども、しかし納税に対する住民感情からいうと、これはちょっと許せないことじゃなかろうかなと、矢田部先生もうなずいておられますから。 私は余り法律に詳しくありませんけれども、住民感情はよくわかると思うんです。そんなミスをして、それで五年間でぽいだ、あとは知らぬ、これじゃ税に対する行政への信頼というものはもう損なわれるということは感情的にはよく理解できます。釈然としません。ですから、やっぱり当事者である横浜市と、これはどんな知恵があるか、今お互いに先生の御指摘の意を踏まえまして、住民感情で、二十八年間も取られっ放しにしておった方の釈然としない感情にもこたえるという意味で何らか、かといって他方最高裁判決を曲げるということにもいかぬし、そこのところで何かいい形の検討する方途がないか、今せっかく検討させます。
○猪熊重二君 この問題は、先ほども私が申し上げましたように、課税物件の内訳明細を納税者に送るようにという行政指導をした場合には、横浜市だけでなくして日本全国の問題として広がってくるんです。今横浜市が標的に挙がっていますけれども、横浜市はいいことをやったらかえってミスがばれちゃった、こういう変な結果になっていますけれども、もし課税明細を全自治体が納税者に送るようになったら、いや取られ過ぎだどうだ、間違いだという問題が全国的に起きてくる可能性が多い。ですから、ここで少し自治省としていろいろ考える余地はあると思うんです。 私は、最高裁の判決を何もこの場合にまで適用しなくてもいいんじゃなかろうか。要するに賦課課税であるということ、固定資産税が継続的な課税であるということ、こういう点を考えれば、先ほどの申告課税である法人税の場合の最高裁の判決をここへただ引き伸ばして持ってくる筋合いはないだろう、こういうふうなことも考えますので、その点も検討していただきたい。 それから、時効利益の放棄をしちゃいけぬという法令の規定になっているけれども、どういう場合も一切合財だめなのか。要するに法律というのは解釈の問題ですから、もし「その請求をすることができる日」の解釈の方がうまくいかないのならば、時効利益の放棄をしてはならないという禁止規定を縮めて解釈すればいい。いろいろ知恵を絞って納税者のための方策を考えていただきたいと思います。 以上でこの横浜市の問題を終わります。 次の問題に移りたいと思います。次の問題はJRの不正乗車の割り増し運賃に関する件です。 JRに不正乗車した者には割り増し運賃の支払いが課せられています。この割り増し運賃の額の妥当性についてお伺いしたいと思います。 まず最初に、概略的なことでよろしいんですが、国鉄の当時、あるいはJRとなってからの不正乗車の件数とか金額とか、この不正乗車によって取ったお金が全収受金の中の運賃収入等に占める比率はどんな程度になっているのか。わかる範囲で結構でございます。
○政府委員(大塚秀夫君) 国鉄当時の不正乗車の件数とこれに対する収受金について、国鉄の資料によりますと、国鉄最終の五カ年、五十七年度から六十一年度の平均をとりますと、全国で件数は年約八万件、収受金は年約七億円となっておりまして、旅客運輸収入に占める比率は〇・〇二%でございます。 なお、分割・民営化後のJR各社の不正乗車に対する取り扱いにつきましては、各駅ごとにそれぞれ把握しておりますが、統計業務の合理化によりましてJR全社一括しては毎年の集計は行っていないところでございます。
○猪熊重二君 JRに限らず鉄道全般でも結構ですが、不正乗車した場合、その者に課される負担金についてどのような法規制になっておりますか。
○政府委員(大塚秀夫君) 鉄道営業法第十八条第二項で、有効な乗車券を所持していない乗客等に対しまして鉄道事業者は鉄道運輸規程の定めるところにより割り増し運賃を請求できることとなっており、これを受けまして鉄道運輸規程、これは運輸省令でございますが、第十九条で、その旅客が乗車した区間の相当運賃及びその二倍以内の増し運賃を請求することができることとされております。
○猪熊重二君 この鉄道営業法及び鉄道運輸規程、この規定はわかるんですが、この規定のほかにJR等では独自に負担金を徴収するための規則を設けているらしいですが、その規則の内容等を簡単に述べてください。
○政府委員(大塚秀夫君) 各JRにおきましては、それぞれ旅客営業規則、これは運送約款に当たるものでございますが、これに基づいて不正乗車の際の増し運賃に関する規定を設けておりまして、その区間の相当運賃と二倍の増し運賃を収受するということになっておりまして、それぞれのケースについて詳細を定めているところでございます。
○猪熊重二君 その営業規則はどのような法的根拠に基づいて制定されていて、その規則に対して運輸省はどのように関与しておりますか。
○政府委員(大塚秀夫君) 鉄道事業につきましては、特に利用者が多く、その権利義務関係について公的にも基本的なところは規制する必要があるということで、鉄道営業法及びそれに基づく鉄道運輸規程、また軌道につきましては軌道法に基づく軌道運輸規程、これらに基づいてこの増し運賃に関する規定その他運送約款の基本に当たるところを定めているところであり、これに基づいてJR各社もそれぞれ旅客営業規則と称する運送約款を定めているところでございまして、これらの法令に基づいた営業規則ということになっております。
○猪熊重二君 あなたはそうおっしゃるけれども、鉄道営業法と言うけれどもこれは十八条一条があるだけなんです。それから鉄道運輸規程といっても十九条という一カ条があるだけなんです。運送約款の旅客に関する細かいそういう取り決めなんていうものは何も書いてないんです。そして、各JRあるいは私鉄の営業規則は何百条という条文を持つ規則になっているんです。この規則制定に関して運輸省はどう関与しているんですか。
○政府委員(大塚秀夫君) 今申し上げましたように、営業規則というのは、付合契約、つまり不特定多数の利用者を相手とします運送契約を結ぶにおいてJRがその契約内容を定めたものでございまして、これは各駅において公示することになっております。また、その基本的なところは、今申し上げましたように、他の運送機関に比べてはるかに詳細な鉄道営業法、鉄道運輸規程という法令に基づいて基本が定められているところでございます。 この不正乗車の際の規定というのも、その基本的なところはそれぞれ一条ずつでございますが、法律、省令に規定があり、これに基づいて実施、運用に当たっての具体的な条項はJRという鉄道事業者それ自体に任せているところであり、国鉄以来、長期間にわたってそのような形で営業規則に基づいて不正乗車について対応しているところでございます。
○猪熊重二君 私が質問しているのは運輸省はどう関与しているかということなんです。それについてお答えください。
○政府委員(大塚秀夫君) 運輸省は、今申し上げましたように法律、省令に基づいて監督はしておりますが、具体的な営業規則については認可等は行っておりません。
○猪熊重二君 認可もしていないし、それを調べもしないで、それが鉄道営業法なり鉄道運輸規程なりに合っているか合っていないかがどうしてわかるんですか。こんな何千万人あるいは年間を通せば何億人という人間が利用する鉄道の細かい営業規則が全く野放しなんです。私鉄も野放しなんです。こんなばかなことはないじゃありませんか。例えば損害保険なら損害保険、火災保険にしろ生命保険にしろそういう約款については、それぞれ所管庁が付合契約、普通契約約款については認可したり届け出させたり監督しているでしょう。運輸省は何も監督していない。運輸大臣どうなんですか、これは。運輸大臣、答えなさい。何にもほうりっ放しなんてばかなことはないじゃないですか。
○国務大臣(大野明君) 細かいことはまた後で政府委員から答弁させますが、いずれにしても鉄道営業法の規定は、長年にわたる運用あるいは慣例というものを蓄積した上でおおむね適正に行われていると思っております。しかし、仮に具体的な問題があるとすれば、ひとつ今後研究したいと思います。
○猪熊重二君 このように運輸省が何ら関与をしていないこの営業規則に基づいて各鉄道、JRを含めた私鉄においてこれがお客さんに適用されている。その適用の状況が果たして妥当かどうか私はお伺いしたい。 まず、横浜市の鴨居駅から八王子を経由して国分寺駅まで普通乗車券の大人片道の運賃とこれを不正利用した場合の割り増し運賃は幾らになりますか。
○政府委員(大塚秀夫君) 同区間の普通運賃は七百六十円であり、また不正利用の場合の割り増し運賃分はその二倍の千五百二十円となります。これは東日本旅客鉄道営業規則に基づいてでございます。
○猪熊重二君 同じ区間を通学定期券一カ月の金額と、この定期券を期間経過一年後に一回不正利用した場合の運賃、割り増し運賃は幾らになりますか。
○政府委員(大塚秀夫君) これも東日本旅客鉄道の場合で言いますと、同区間の大学生用の通学定期の一カ月運賃額は一万百八十円であり、期限切れ後一年を経過して不正使用した場合の運賃相当額は、その一年間不正乗車したものと考えられますので、五十五万四千八百円であり、割り増し運賃分はその二倍の百十万九千六百円となります。
○猪熊重二君 定期券を期間経過後一年たって一回使ったら百六十六万四千四百円取ってよろしい、こんなことがどこに根拠があるんですか。
○政府委員(大塚秀夫君) 旅客営業規則によりますとそのようになっておりますが、なお旅客営業規則上は、利用者に悪意がないと証明された場合には取らないことになっておりますし、また必要な減免を行うという規定もございます。
○猪熊重二君 それはどこにありますか。
○政府委員(大塚秀夫君) これは東日本旅客鉄道の場合でございますが、今申し上げました定期乗車券の不正使用旅客に対する運賃料金等の収受につきましては旅客営業規則の百六十八条等でございますし、旅客に悪意がなくその証明ができる場合は適用しないというのは旅客営業取扱基準規程の百六十二条、またその三百十三条にはこの増運賃及び増料金を収受する場合支社長等がその額を減免することがあるという規定になっております。
○猪熊重二君 私がこんな問題を予算委員会で、先生方あるいは関係者いろいろおられるのに細かいことを申し上げて悪いですが、実際にこれだけの金を取られる人がいるんだ、一回使っただけで、期間経過後一年たった定期を。使うのは悪いんですよ。悪いけれども、一回七百六十円分乗っただけで百六十六万も取るなんて、こんな規則が社会的に妥当性がありますか。こういうふうなものを取っていいことになっている。 しかも、旅客営業規則によれば「収受する」と、原則はもう取ると書いてある。しかもこれには減免なんということは直接は書いてない。こういう営業規則があって、これが実際に運用されていて、そして運輸省はこのような約款に対して何らの規制も監督も認可も何の手続もとっていない。こんなばかなことがありますか。もしこの定期券の問題が、先ほど局長は鉄道営業法、鉄道運輸規程に合致していると言うから、じゃこの期間経過後一年後に使った定期券の場合の「相当運賃及其ノ二倍以内ノ増運賃ヲ請求スルコトヲ得」というこの規定の「相当運賃」というのは何ですか。
○政府委員(大塚秀夫君) この不正乗車に関する規定については、旧国鉄以来非常に長期間にわたる運用がございますが、その際には、定期券が切れて例えば一年後に一年前の定期を不正に使った場合には、定期券が切れた翌日から毎日一往復ずつ乗車したものとして、その一往復ずつの運賃にその日数を掛けたものを相当運賃として取るということになっておるわけでございます。
○猪熊重二君 運賃と言うけれども、定期券の運賃だったら一カ月の定期券の運賃、それのまあ仮に二倍ということなら理解できますけれども、この規定は鉄道営業法及び鉄道運輸規程の条項に私は違反していると思うんです。(発言する者あり) それで、今どなたか、乗らなきゃいいんだとこうおっしゃる。私は乗った人間を弁護しているんじゃない。要するに犯罪者であったって、どんなことをされたっていいということじゃないでしょう。世の中のすべての問題について、それにふさわしい処罰なり負担なりというものがあるはずです。これを改善するべきだと私は思いますが、運輸大臣いかがですか。
○国務大臣(大野明君) 先ほども私から御答弁申し上げたことではございますが、今先生の御質問や政府委員の答弁を私はやりとりを聞いておりまして、一回というお話でしたけれども、一回かどうかという証明もそうなると必要なんじゃないかなと。ここら辺の事実関係がはっきりしなければなかなか議論はかみ合わないような気がいたします。しかし、先ほど申し上げましたように、具体的な事例として何かあればそれはひとつ考えてみたいということでございます。
○猪熊重二君 営業規則についての運輸省の関与については何もお考えになりませんか。
○政府委員(大塚秀夫君) 国鉄改革の趣旨から、鉄道事業におけるJRについて規制をできるだけ緩和して当事者に任せようということでございますが、もちろん私どもとして、国鉄以降JRになりまして、営業規則類において不適切なものがあればそれぞれ指導していく考えはございますが、現在法令を改正する意思はございません。
○猪熊重二君 しかも、確かにこれは無賃乗車というのは刑法的には詐欺罪になる。そしてまた、会社や学校に通報されれば、その人としては非常に困る。そういうことを根拠にしてこれは詐欺罪だよと、あるいは会社や学校に通報したらあんた困るでしょうということでこういう不法な、不当な金額を請求するという鉄道のあり方について私は非常に心外に思う。運輸省の方で検討していただきたいと思います。 次の問題についてお伺いします。 現在、国は北海道日高支庁の沙流川に二風谷ダムを建設中です。しかし、この二風谷というところは昔よりアイヌの人々が生活してきたところであり、アイヌの人々にとっては神の来るところというぐらいに神聖なところです。このダム建設と少数民族の保護問題についてお伺いします。 まず、ダムの建設に伴う水没戸数、水没面積、この水没対象地の所有者の中にいるアイヌの人の人数とか地籍とか、この辺の概略について御説明ください。
○国務大臣(砂田重民君) 二風谷のダムの問題、具体の数字でございますので政府委員から正確にお答えを申し上げたいと存じます。
○政府委員(松野一博君) お答えいたします。 二風谷ダムの建設は建設省所管の事業ではございますけれども、北海道開発と関連いたしますのでお答えさせていただきます。 二風谷ダムにつきましては、先生今お話しいただきましたように、一級河川沙流川の平取町地先に建設されるものでございまして、洪水調節、流水の正常な機能の維持、かんがい用水、水道用水、工業用水の補給及び発電を目的としております。ダムの高さは三十一・五メーターでございまして、総貯水量は三千百五十万立方メーターであります。ダム建設に伴います水没面積は約五百六十八ヘクタールでございます。このうち民有地は約百九十九ヘクタールでございます。その水没対象地の土地所有者の数は百五十三名でございます。 ただいま先生からお話のございました件でございますけれども、この地域は古くからウタリの方々が多数居住している地域ではございますけれども、ただいまの百五十三名、総数に占めますウタリ関係者等につきましては、これはプライバシーに関することでもございますので把握することは困難と考えております。
○猪熊重二君 そうすると、当然に、現在アイヌの人の持っている土地でなく、第三者が持っている土地ではあるけれども、本来的に北海道旧土人保護法に基づきアイヌ人に下付された土地であるかどうかというふうなことはわかりませんか。
○政府委員(松野一博君) お答えします。 下付後、転売等によりまして所有権が移動しております。そういったことからも、ダムによる用地買収時点でウタリの方以外の所有になっております旧下付地がどの程度あるかということにつきましては、用地買収に当たりまして旧土人保護法の手続を必要としないというようなことから、日下付地か否かの確認の必要性がないわけでございまして、把握いたしておりません。
○猪熊重二君 北海道開発庁としては何も調査しておられない、こういうお話ですが、地権者百五十三人中アイヌの人が八十五人、半分以上である。あるいは二風谷地区の住民人口約五百人中八割以上がアイヌの人である。そして、この二風谷地区全域が明治以降、北海道旧土人保護法に基づいて全域がアイヌの人に払い下げられた土地であるというふうなこと、こういうふうなことについては、調査はしていないにしても、認識はお持ちなんでしょうかどうでしょうか。
○政府委員(松野一博君) ただいまの下付の問題でございますけれども、旧土人保護法に基づきまして下付された土地ということでございますが、以来相続されてきた土地でございますけれども、これまでの間にある程度長期間たっておるわけでございますが、種々の相続のケースが考えられるわけでございまして、しかし、今は地域のこれまでの歴史的経緯から多くの方々がウタリの方々と想定されますけれども、これをもってその所有者がウタリの方々であるとは必ずしも言えないのではないか、こう考えております。
○猪熊重二君 現在までに国が取得した水没対象地のうち、任意売買によるものと収用によるものとはどんなぐあいになっておりますか。そして、全部収用によって国の取得になりましたか。
○政府委員(松野一博君) 水没対象地の中の国の取得した土地のうち、任意買収によるものは百三十八人、約百七十七へクタールでございます。収用委員会の和解によるものが十人、約十九ヘクタールでございますし、また収用委員会の裁決によるものは五人、約三ヘクタールでございます。 収用地につきましては、権利取得の時期は平成元年三月六日、明け渡しの期限は平成元年三月十六日でございまして、国に帰属しておるわけでございますけれども、まだ一部明け渡しはなされていないというような状況でございます。
○猪熊重二君 収用された人の中で、現在この裁決に不服であるとして建設大臣に審査請求している人は何人いますか。
○政府委員(望月薫雄君) 本件裁決につきまして、昨年の三月四日に建設大臣あてに裁決申請がなされました。この請求者は二名でございます。
○猪熊重二君 その二名の人が、この裁決に不服である、審査請求したいと言っている。その言い分の大要はどういうことでしょうか。
○政府委員(望月薫雄君) 裁決申請に当たりましての土地所有者の主張でございますが、一つは、事業認定の要件を満たしていないという点、いわば事業認定の違法性といいましょうか、そのことについてがあります。 もう一つは、憲法二十九条三項違反ということで、正当な補償に沿っていないということで、具体的にはアイヌ文化の保存等について、少数民族としてのアイヌの財産権を侵害している、こういうことでございます。
○猪熊重二君 沙流川においてサケをとることもできない状況になった。要するに、アイヌの人にとってサケがかつて主食であり、そして現在においても祭事、祭りに使う生き物である。このサケが全然とれないようなダム建設、あるいは漁業上の規制、こういうものについての不満はありませんか。
○政府委員(望月薫雄君) 北海道の収用委員会での審理の過程におきまして今おっしゃいましたようなことが主張なされています。アイヌの大きなお祭りである、伝統儀式でありますチプサンケ、この実施場所の補償がなされていないという主張があります。
○猪熊重二君 水産庁にお伺いしますが、この沙流川における、あるいは沙流川の河口におけるサケ・マスの漁場に関して、漁業権なりあるいはサケ・マスの採捕権についてはどういう状況になっていますか。
○政府委員(中村晃次君) お答えいたします。 沙流川が流れております門別町の漁協の関連で申しますと、沿岸域にサケ・マスをとるための定置漁業権が七つございます。実際に沙流川の河口だけをとっていいますと、沖合八キロ程度のところに定置漁業権が一つ設定されております。また、内水面につきましてはサケ・マスの漁獲はできないということになっております。 以上でございます。
○猪熊重二君 もう少し詳細に、どういうことがあるので結局サケが全然川を上ってこないんだということについて説明してください。
○政府委員(中村晃次君) サケ資源につきましては、その資源の保護培養ということが大変重要でございまして、このために水産資源保護法、それから北海道の内水面漁業調整規則によりまして内水面でのサケの採捕は制限をしているということになっております。これは、内水面に帰ってまいりましたサケは採卵用の親魚という格好で利用しておるわけでございまして、商業的な漁獲は認めていないということでございます。 ただ、例えば先生御指摘ございましたような、アイヌの伝統的な漁法を伝承していくということ、あるいはアイヌの儀式のためにサケの採捕が必要であるというような場合でございましたらば、特別採捕、北海道知事によります特別採捕というようなこともこれまで認められた経緯もございますので、こういったような事情がございましたら、それに応じまして北海道庁とも相談しながら適切に対応していきたいというふうに考えております。
○猪熊重二君 要するに、川にやなをつくってしまったら、もうそこからはサケが上へ上がってこない。沙流川の河口近くに毎年八月十五日から一月三十一日まで、ウライと言うんだそうですが、要するに網を設置してしまうから全然サケが川へ上ってこない。上ってこないサケを、祭り用であろうがいわんや主食用であろうが、とる手だてはない。 その辺のことについて官房長官にお伺いしたい。 国際人権規約B規約の二十七条に、突然ですから私の方からお読みします、「種族的、宗教的又は言語的少数民族が存在する国において、当該少数民族に属する者は、その集団の他の構成員とともに」、その次なんです、「自己の文化を享有し、自己の宗教を信仰しかつ実践し又は自己の言語を使用する権利を否定されない。」、こういうふうに書いてございます。 アイヌの人がサケを祭り用に使うという宗教的な行為、あるいは、これは文化とは言えませんけれども、自分たちがそのサケを主食にしあるいは主食に近い食べ物として利用する、こういう権利がこの人権規約によれば保障されているのではありませんか。
○政府委員(鶴岡俊彦君) 現在日本周辺に回遊してきますサケは、河川で自然産卵したものではなくて、漁業者が、先ほど言いましたように定置漁業によって採捕して、それを人工ふ化して放流したものが帰ってきているわけでございます。それで原則的に、先ほど次長の方から御答弁申し上げましたように、それぞれの沿岸域におきます定置漁業によって商業的な漁獲は行っていますし、内水面の場合にはふ化放流のための採卵用にのみ認めることにしておるわけでございます。 先生御指摘のように、祭事用等につきましては、先ほど次長が答弁いたしましたように、それに必要な数量につきまして特別採捕という道があるわけでございまして、そういうことにつきましては、当該河川につきましては北海道庁と協議しながら適切に対応していきたいということでそういう面への配慮を行っているわけでございます。
○猪熊重二君 要するに多数者の利益のために少数者を犠牲にするという考え方だったら、少数民族問題というものは解決できない。ですから、サケ・マスの現在の状況がこうであるからということだけを理由にしてアイヌの人々の宗教なり生活様式なりを否定することはできない。要するに私が申し上げたいことば、少数民族、少数者の問題は民主主義の多数決原理とは別個な原理で考えていかなきゃならぬ、こういうことなんです。多数決でやったら、少数なんだから負けるに決まっているんです。少数民族の問題を考えるときに、ただ多数が多数の便宜のために公共の利益というふうな名目のもとに物事を決めるということは全く間違いであると私は思うんです。官房長官の見解を伺いたい。
○国務大臣(坂本三十次君) 私もあなたのおっしゃるそのお気持ちは十分に理解さるべきものであると思っております。基本的人権の尊重は当然でございます。そして、このウタリの方々の具体的ないろいろな問題については、北海道知事から要望がありまして北海道ウタリ対策関係省庁連絡会議というものが設置をされて、そして所要の検討を行っておるということでありまして、その多数とそれから少数の人々の人権の尊重というところの調和、それを具体的にどういうふうに進めていくかというようなことにつきまして北海道を中心といたしまして十省庁から成る連絡会議もございまして、そこででき得る限り少数民族のいわゆる人権の尊重ということについて努力をすべきものであると思っております。
○猪熊重二君 北海道開発庁が、先ほど答弁にありましたように、何ら二風谷におけるアイヌの人の立場、あるいは二風谷というのはアイヌの人にとってどういう意味を持っているかほとんど考慮していない。このことを北海道開発庁長官に強く私は申し上げておきたい。 そして、この二風谷の二風谷ダム建設に関して六十三年十二月五日付の朝日新聞の「論壇」に載っている古田武彦さんという日本古代史の先生の文章をちょっと読ませていただきます。 工業団地も、洪水調節も、皆立派なことです、必要です。しかし、考えてみて下さい。同じ名目で、伊勢神宮や出雲大社の神域が一掃され、「近代化」されるとしたら、日本国民は黙っていましょうか。「やむをえない」と言いましょうか。それとも、「それは困る。しかし、アイヌの聖域くらい」と言うとしたら、もう明日の日本人は、世界の大通りを、恥ずかしくて歩けなくなると思われます。 以上で質問を終わります。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で猪熊重二君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、神谷信之助君の一般質疑を行います。神谷君。
○神谷信之助君 まず最初に、ゴルフ場問題についてお伺いします。 環境庁長官、ゴルフ場の農薬使用問題について先般指導指針を出されたようでありますが、農薬はその使用方法あるいは使用量によっては水質の汚濁を生ずる、そういう危険がある。したがって水質汚濁を未然に防止する、そういう観点での指導指針らしいんですが、したがって一〇〇%安全とは言えぬ、使用方法や使用量を間違うと危険があるという前提で調査をされ、指針を出されたと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(北川石松君) ただいまの委員の御質問でございますところのゴルフ場の農薬に関して一〇〇%の安全性があるのかどうか、こういうことの御指摘でございますと、これは一〇〇%の安全ということは言い切れないと思います。しかしながら、指針値をやっぱり設定いたしまして、厚生省とも十分連絡しながら、やはり人の健康に関する問題でございますので、専門家の意見を聞くとか、あるいは医薬とか公衆衛生学とか、いろんな見地からこれを設定させていただきました。必ずしも十分とは言えませんけれども、今後ともこの問題につきましては、やはり人間の健康と環境ということで、環境庁といたしましては前向きで対処してまいりたいと思っております。
○神谷信之助君 そこで自治大臣にお伺いしますが、今環境庁長官が一〇〇%安全とは言い切れぬということで指針を厚生省と協議して出された。農薬は一〇〇%安全だとは言い切れないという点では自治大臣も同じ御意見でしょうね。
○国務大臣(奥田敬和君) そのように考えます。
○神谷信之助君 そこで、自治大臣に直接関係をされているんでお伺いするんですけれども、御承知のように、大臣が理事長をなさっている金沢セントラルカントリー倶楽部、これが今ゴルフ場建設を計画中でありますが、その事業主体である金沢セントラルリゾート株式会社が、この五月七日にゴルフ場予定地の周辺住民約千二百戸に「農薬は一〇〇%安全といえます」というビラを配布したんですが、今の大臣の御答弁からいうと、「一〇〇%安全といえます」というのは少なくとも言い過ぎではなかったかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(奥田敬和君) 言い過ぎだと思います。
○神谷信之助君 そこで、大臣も理事長をなさっているわけですから、少なくともこれを訂正させるようにされてはいかがかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(奥田敬和君) 金沢セントラルカントリー倶楽部は今法的な手続をとっておる段階だと聞いておりますけれども、ただ委員にお願いしたいのは、平成四年、再来年の七月オープンの予定だということで、私を理事長理事長と言っておりますけれども、理事長予定者です。これはゴルフ場ができてからじゃないとゴルフ場をつくっている人と、まあ社交クラブみたいなものですから、できてからの経営に別に参画するわけじゃありませんし、ですから、理事長予定者としての立場で物を言いますけれども、もし藤田さん、大変信用のおける事業家でございますけれども、そういった形で、一〇〇%云々という形で住民にそういったチラシをまいたとするならば、それはまだ一〇〇%というのはおかしいじゃないかという形でお話は伝えようと思います。だけれども、私はあくまでもできてからの理事長予定者であるということで話し合いをしたいと思っております。
○神谷信之助君 おっしゃるとおり、理事になられる皆さんですということで向こうの方からも出しています。予定者であることは間違いないようです。 そこで大臣、さきの総選挙のときに、二月十日付の朝日新聞によりますと、リゾート開発に対してアンケートが出されています。その中で大臣は、自分の所有地だからどう開発してもいいという考えを改め、地域の合意を重視していく必要がある。横暴な開発をチェックすべきだ、こう回答なさっているんですが、これはもっともな話だ、間違いないと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(奥田敬和君) 地元の御同意を得なければそういった形でやるということは私はやはり慎むべきであると思っております。
○神谷信之助君 そこで、実はゴルフ場予定地の周辺住民は、近接をして夕日寺小学校を初め住宅、高校、大学、自然公園なんかがありますね。これはもう大臣よく御承知だと思うんです。それから金腐川の水流、水源汚濁のそういう危険、あるいは土砂崩れのおそれ、こういう不安を住民の皆さんは持っておられて、そして反対だという意思も表示されている。ですから、今の大臣の、地域の合意を重視するという立場からいうならば、理事長の予定者でもある、しかも建設施工業者の一つの治山社の代表取締役は大臣の弟さんでもありますわね。だから、そういう点からいうと、あなたの力でこういった地域の合意を得られないような計画は少なくとも中止を検討するなり慎重に考えるなり、こういう点についての御意思はおありかどうか。 それから、それと、周辺住民で組織をしている夕日寺校下の自然と文化を守る会が、去る二十三日にセントラルカントリー倶楽部の理事予定者の皆さんに公開質問状を出されています。少なくともこれにはそういった点も含めて誠意ある回答をしていただくのがいいんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(奥田敬和君) もちろん誠意のある回答をしなきゃいかぬと思います。 ただ、今委員御指摘になりましたけれども、私は、金沢というのは京都となぞらえられるくらい文化も自然環境も非常に保存されておるすばらしい町です。そういった町でゴルフ場をやろうなんというようなときには、これは他県の例を引く必要はありませんけれども、金沢市としても石川県としても、厳重な二重、三重のチェック体制の中での開発許可ということになろうかと思います。とりわけ今委員御指摘の夕日寺とか地名を挙げられましたけれども、小坂校下とか、これは私は金沢市で毎回最大の得票を得ておる、言ってみれば市民代表の政治家だと思っています。 しかも、今御指摘になった地域は私の支持者の大変多いところです。私は理事長予定者としてなぞらえられていますけれども、私に対して地権者並びにそういった、大多数という言葉を使われましたけれども、そこの住民の大多数は私の支持者ですけれども、そんな苦情は全然私の耳に届きません、実際の話。そういったことからいって、はっきり言って、あの辺の環境を保全しながら、しかも金腐川という、あのお金が腐る川と書く、ここは本当に私はこの辺の地域もよく知っています。それで、今御指摘のとおり大変な土砂崩れの問題もあります。だから、自然環境保全という形においては厳しい規制が課せられておることは当然でありますし、今言われましたような細かい、細部規定も守って良心的なすばらしいゴルフ場形成をやってくれるであろうという市民の期待感もまたそこにあると。むしろ私がなることによってそういった付近環境を含めてきっと良心的な形でやってくれるんじゃなかろうかという期待感もあるということをぜひ私は強調したいわけです。 ですから、そういった意味合いにおいてはまじめにお答えをしなきゃいかぬと思っておりますし、また住民あるいは地権者の一部にそういった反対があるなら、その反対の皆さんの御意見もよく承りながら当然同意のもとに進められるべきものである、決して無理をしちゃいかぬ、私は今でもそう思っています。
○神谷信之助君 今大臣もおっしゃいましたけれども、実は京都にもあの大文字山にゴルフ場をつくる問題がありますね。それで、反対運動がずっと起こって、大臣おっしゃったように、そういう危険はなくすとかいろいろ初めはおっしゃっていたけれども、そういう住民の意見を取り入れてもう中止をなさいました。だから、この辺はひとつ十分含んで御検討いただきたいということを重ねて申し上げておきます。 次に、リゾート法の問題に移ります。 国土庁にお伺いしますが、現在の進行状況を報告していただきたいと思います。
○政府委員(野沢達夫君) リゾート法に基づく基本構想等の進行状況でございますが、総合保養地域整備法に基づきまして都道府県から出されました基本構想につきまして順次承認を行っておるところでございますが、昨日福井県の基本構想が承認されまして、現在二十一道府県の基本構想が承認されております。これらの府県においてその具体化に向けて取り組みが行われているという状況でございます。 また、熊本県など三県から現在基本構想の承認の申請が行われております。そのほか基本構想の前提となります都道府県の基礎調査でございますが、十六府県から主務省庁に提出されている、こういう状況にございます。
○神谷信之助君 特定地域の総面積と事業費は。
○政府委員(野沢達夫君) 特定地域の面積でございますが、基本構想が承認された二十一道府県でございますが、それの合わせた特定地域の面積でございますが、約三百三十万ヘクタール、福井県が加わっておりますので三百三十万ヘクタールでございます。 それから事業費でございますが、福井県を含めまして五兆六千九百億円、これは今後約十年程度にかけてこれから事業が実施されるという事業費でございます。以上でございます。
○神谷信之助君 特定地域の合計面積は今ありましたが、あと基礎調査提出済みの分まで含めますと国土全体の二〇%近くになります。それから、あとまだ残り七都府県が出ていないんですが、これは申請が出れば承認をされるということになっていきますか。
○政府委員(野沢達夫君) 特定地域の面積、先ほど基本構想が承認された二十一道府県の面積を申し上げましたが、申請中のものが約三十九万ヘクタール、三県でございます。それから基礎調査のものが二百五十八万ヘクタールございます。申請中あるいは基礎調査提出府県のものにつきましては、仮にこのまま確定したとして全部を足しますと六百二十七万ヘクタール、国土面積に対して約一六%という数値になります。 それから現在二十一道府県について基本構想の承認が行われておりますが、基本構想の承認申請を出している三県、あるいは十六県について基礎調査が終わりまして主務省庁に資料が提出されておりますが、これらにつきましては総合保養地域整備法あるいは同法に基づく基本方針に照らしまして一件一件慎重に検討を行いまして、法律に定めます地域該当要件あるいは基本方針、そういったものに適合しているものについては逐次審査の結果承認を行っていくということで進めてまいりたいと思っております。
○神谷信之助君 いずれにしても、四十七都道府県全部やりますと、現在で一六・五%ですから、国土全体の約二〇%を占めるというそういう状況になります。 そこでお伺いしますが、こういうように国土の至るところにリゾートを一斉につくっていくというような、そういうやり方をやっている国は世界にありますか。
○政府委員(野沢達夫君) リゾート整備につきましては、欧米等では長い歴史を持ちまして、そういった点でそれぞれの国において適地においてリゾート整備が歴史をかけて整備されているという例がございます。こういったことで、欧米諸国ではそういった歴史を持ちながらリゾート整備が進められておるわけでございますが、我が国におきましては総合保養地域整備法に基づきまして民間事業者の創意工夫に重点を置いた民活手法で整備していこうと。一方、自由時間の増大あるいは生活様式の多様化、こういったものに応じましてリゾートのニーズが高まっております。こういったことに対応するためにこういった法律を設けまして、都道府県が基本構想をつくりましてそれに基づいて整備をしていくということを我が国でやっております。こういったやり方は、他の国はかなり長い歴史を持っておりますが、我が国のやり方というのは我が国独自のやり方ではなかろうかと思っております。
○神谷信之助君 皆さんに御配付をしてあります資料の(1)が大体先ほどから国土庁が説明をしている内容です。 そこで、その中で重点地域の中核企業、これは配付をしている資料の右側の「主要な参加企業」という欄です。これは野村総研の調査に基づいていますが、国土計画、西武セゾングループ、小野田セメント、三菱地所、東武鉄道、名鉄、東急不動産、大成建設、新日鉄、全日空などが入っておりますが、それは間違いありませんか。
○政府委員(野沢達夫君) 都道府県の基本構想に基づきましてリゾートの整備を進めている事業主体でございますが、これは委員御案内のように、ただいまお示しのありましたような全国的な企業もございますが、地元のいろんな企業も参画されております。それから地元の市町村などと提携しまして第三セクターをつくってやっているというようなことで、いろんな形での事業主体がこのリゾート整備に携わっております。 配付資料に示されました参加企業でございますが、昨日資料をいただきまして確認をしているところでございますが、私ども基本構想で事業主体を書いていただく場合に、第三セクターの場合は第三セクターの名前が出ております。したがいまして、これらの一部の企業についてはあるいは第三セクターに入っているのかもしれませんが、現在確認がなされておりません。もう少し時間をいただきたいと思います。しかし、この中で半分以上の企業については、事業主体としてそれぞれの県のリゾート整備の事業に参画しているということは事実でございます。
○神谷信之助君 これは相当の資本力とそして相当のやはりノーハウがなければこういう事業はできませんから、したがって、中心の企業になるのは大企業、大手の企業が並ぶというのは当然のことですね。 そこで、ゴルフ場とかスキー場、ホテルあるいはテニスコート、マリーナなんかの民間の特定施設を建設するそういう企業に対する助成措置、これはどういうものがありますか。
○政府委員(野沢達夫君) 総合保養地域整備法に基づきまして承認を受けました基本構想に盛り込まれております特定民間施設に対しましては、この法律に基づきまして一定の助成措置が講ぜられることになっております。 まず税制上の助成措置でございますが、法の第二条第一項に八号から成る施設がございますが、第一号から第四号までの施設、つまりスポーツ、レクリエーション施設あるいは教養文化施設、休養施設、集会施設、こういった一定の施設につきましては、国税においては所得税及び法人税の特別償却制度が適用になります。それから地方税につきましては、特別土地保有税の非課税措置及び事業所税の軽減措置がございます。また、地方税でございますが、各県で条例を設けまして不動産取得税なり固定資産税の不均一課税をする場合に地方交付税による補てん措置、こういったものが税関係でございます。それから金融上の措置でございますが、日本開発銀行、北海道東北開発公庫等の政府系金融機関から先ほど申し上げましたような施設に対して低利融資の制度がございますし、また第三セクターが事業を実施する場合にはNTTの無利子貸し付け等がございます。 ただ、先ほどいろいろ施設名を委員からお示しいただきましたが、例えば会員制のゴルフ場につきましては、これはこの税制上あるいは金融上の措置は適用除外になっている。それからホテル等についても、五号施設でございますからこういった税制上の優遇措置は講ぜられない、こういうことになっております。
○神谷信之助君 そのほかまだあるでしょう、地方債その他。
○政府委員(野沢達夫君) 失礼いたしました。 そのほか、地方債につきましては、民間事業者に対する出資、補助をされた場合に特別の配慮をするとか、あるいは道路、下水道等の公共施設の整備について促進するという配慮規定が法律にございます。それから、農地法等による処分についても配慮するということが法の上でございます。また、国有林野の活用あるいは港湾にかかわる水域の利用についての配慮、こういった規定がこの総合保養地域整備法には盛り込まれているところでございます。
○神谷信之助君 承認済みの基本構想の中で、いわゆる三点セットと言われておりますゴルフ場、スキー場、ホテル、これをそれぞれ何カ所計画されていますか。あるいはホテルの宿泊収容人員、これは合計何人になりますか。
○政府委員(野沢達夫君) 承認を受けた基本構想は現在二十一件でございますが、この二十一の構想に盛り込まれております箇所数でございます。ゴルフ場につきましては九ホール以上の新増設のものが約百五十カ所でございます。それからスキー場でございますが、新増設のものが約百カ所。それからホテルでございますが、これはホテルと名がついているものでございますが、約二百五十カ所でございます。 それからホテルの収容人員でございますが、ホテルについて基本構想の中で規模等を書くことになっておりますが、大部分は部屋の数、室数という形で出ておりますし、一部収容人員あるいは面積だけしか書いてない、こういったように記載がまちまちでございます。したがいまして、収容人員を統一的に把握することは困難でございますが、委員から資料にお示しありましたような収容人員の計算方法がございますが、収容人員を試算する一つの例かというふうに私ども受けとめております。
○神谷信之助君 今おっしゃったように、ゴルフ場、九ホール以上で百五十カ所。建設省の資料によると現在もう既に全国のゴルフ場は千六百四十カ所です。それに造成中及び計画中が七百九カ所ということで、総面積はもう二十万ヘクタールを超えます。基本構想承認済みだけで新増設分の二三・三%になるわけですが、したがってこのリゾート法がまさに何といいますかゴルフ場乱開発の起爆剤になっています。 それからスキー場は、今おっしゃったように百カ所で、これは一万三千ヘクタール余りになるでしょう。 ホテルの方ですが、これも余暇開発センターが昨年の暮れ、十一月に発表した調査によりますと、長期休暇及び週休二日制、そういう仮定の上で全国の宿泊施設、これを調べてみると、現在が宿泊人員が年間二億八千万人、二〇〇〇年には五億六千万人、約二倍になる。したがって宿泊施設は新規にこれから七十八万六千ベッド、リゾート法で約五十万ベッドつくられていくと。こういうことになると宿泊施設は供給が需要を上回るような状況になってくる。これは余暇開発センターの調べです。 今後の各県が出す基本構想は、よそがどんな状況かというのはわかりませんけれども、全体をつかめるのは政府、国土庁でつかめるわけだ。こういう状態ですと、まさに何といいますか、それに対する指導もやらなければえらいことになる可能性もある。だから、現状というのはまさに無秩序、放漫施策だと言わざるを得ないと思うんですが、国土庁長官、この辺についての見解をお聞きしたいと思うんです。
○政府委員(野沢達夫君) 総合保養地域の基本構想でございますが、いろいろ各県なりに立地条件を持っているわけでございます。そういった立地条件から見まして相当数の特定民間施設が既に整備されつつありまた整備されるのが見込まれる、こういった地域について作成されてくるわけでございますが、そういった一つ一つの事業を基本構想に盛り込んでいくに当たりましては、まず民間事業者によりましてフィージビリティースタディー、立地可能性調査等を行う、あるいは県も独自に行う、他県の状況等もいろいろ把握しながら構想を詰めていく、こういったことでかなり慎重につくられている実態にあろうかと思います。 そういった点で各県のいろんな配慮があろうかと思いますが、委員御心配のように、こういった施設が過剰になるということはやはり避けるべきであり、留意していくことが大事だろうと思います。今後とも基本構想の作成に当たりましてはそれぞれの地域におけるリゾートの需要や市場条件等の的確な把握に努め、長期的な視点と明確な整備方針をもって地域の特性を生かした着実なリゾート整備を行っていただくよう都道府県等に指導してまいりたいと考えております。
○神谷信之助君 リゾート法の目的に、国民が余暇を利用して滞在してレクリエーションを楽しむというのがあります。 そこで聞きますが、四人家族が四泊ないし五泊あるいは一週間滞在してリゾートのいろいろな施設を利用するとして、どのぐらいの費用が要るというように見ておられるんですか。
○政府委員(野沢達夫君) リゾート法に基づく整備でございますが、委員御案内のように、六十二年に法律ができまして第一号が六十三年の七月に承認になった、こういったことでリゾート整備が始まりましてからまだ日が浅いという状況でございます。 ただ、各県のリゾート構想に基づきまして今後整備が進みますと、リゾート地域において多様ないろんなタイプのリゾート施設というものがこれから出てくることが予想されると思います。滞在型のリゾートでございますが、こういったことを今日の時点で想定するのは非常に困難でございますが、リゾート法は本来国民がだれでも利用できる総合的な機能を備えたリゾート地域の整備でありまして、そういった意味からリゾート地域にはホテルばかりでなく家族が安い料金で利用できますペンションあるいはロッジ、キャンプ場、体験農場、クアハウス、遊園地などもあわせて整備するように指導しているし、現実に各県の構想もそういったものが盛られております。 日本では割合現在体験者が少ない長期滞在型のリゾートでの過ごし方、これについてどのような形態でリゾート地域に滞在するか、これはなかなか現在想定することは困難でございますが、ただいま申し上げましたような多様な宿泊施設、多様な施設を備えることによりまして国民がみんなで楽しめるリゾート地域を整備してまいりたいと、かように考えている次第でございます。
○神谷信之助君 いろいろおっしゃいましたけれども、結局長期滞在のこれらのリゾート、大体年間所得どれぐらいの層を考えておられますか。
○政府委員(野沢達夫君) 国民のいろんな所得の方々がおられますが、そういったそれぞれのタイプの国民の方々が楽しめるようなリゾート地域を整備してまいりたいと考えております。
○神谷信之助君 広く国民の利用を促進するという点について、このリゾート法にはどんな対策が法律上規定をされていますか。あるいはまた、対策は行政的にはどういうことをお考えですか。
○政府委員(野沢達夫君) 総合保養地域整備法の基本方針でございますが、その中でリゾート施設の利用料金につきましては、国民に対して適正な価格で良質なサービスが提供されるよう配慮する、こういったことを基本方針の中で定めているところでございます。
○神谷信之助君 ハードの面はどんどんといろんな助成措置がありますよ。今おっしゃった良好なサービスで適正な価格にするために、一体具体的に何をする規定がありますか。
○政府委員(野沢達夫君) 国民の方々がリゾート地域で過ごすやり方というものは多様なものがあると思います。所得階層なりいろんなタイプによりまして多様な活動をリゾート地で期待していると思います。そういったことで、いろんな施設を整備すると同時にやはり宿泊費というものがかなり長期滞在の場合大きなウエートを占めますので、先ほど申し上げましたようにホテルのほかペンション、ロッジ、キャンプ場、いろんな多様な宿泊施設を備えまして国民の皆さんがみんなで楽しめるリゾート地の整備を心がけてまいりたいと考えております。
○神谷信之助君 これはやっぱりリゾート法の本質を私は示していると思うんですよ。この法律の目的の中で、「ゆとりのある国民生活のための利便の増進」とあります。ところが、法律の中にも政府の基本方針の中にも各県の基本構想や基礎調査の中にも、一切この具体的な対策というのは見られないわけですね。片一方、民間事業者の能力の活用に重点を置くという目的、そういう側面、これは具体的にいろんな助成措置を規定している。対策も講じられています。だから、何のためのリゾート法かと言わざるを得ないと思います。 そこで運輸省に聞きますけれども、今度臨時行革審の答申で格安の料金で家族連れでレジャーが楽しめるところの家族旅行村の増設に待ったがかかったという報道がありましたけれども、その内容を説明してください。
○政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。 昨年の十二月に出されました臨時行政改革推進審議会の「国と地方の関係等に関する答申」におきまして、観光レクリエーション地区施設整備費補助金、これが先生今御指摘の家族旅行村の補助金でございますが、当該補助金につきまして「今後の新規整備地区数を限定し、早期に廃止する。」とされているところでございます。政府といたしましてはこの答申を最大限に尊重する旨の閣議決定を行っておりまして、運輸省といたしましてもこの答申にのっとり本施設の利用状況、地域のニーズ等を勘案しつつ今後の新規対象地区の選定のための検討をただいま行っているところでございます。
○神谷信之助君 これに対する国の助成措置はどうなっていますか。
○政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。 国の助成措置は国庫補助金の限度額八千万円、三分の一補助ということになっております。
○神谷信之助君 自治体からの増設の希望はその後もあるんですか。
○政府委員(宮本春樹君) お答えします。 現在、ただいま申し上げましたとおり選定中でございますが、かなり整備されておりますが、依然としてなお引き続き整備してほしいという希望がございます。
○神谷信之助君 安くて家族連れでレジャーを楽しめる、これはこういう家族旅行村だけじゃありません。同じような国民宿舎とか国民休暇村とかこういったものがあるんですが、これらはすべて国の助成措置は極めて少ない。今もあったように最高限度額が八千万円までですからね、三分の二補助で。だからあとは、残りは県や市町村が出してつくっているという状況です。しかし料金は低廉な料金、規制をして抑えていますよ。そして、みんなが楽しめるようにやっている。ところが一方、先ほど言いましたリゾート開発、これは自然の景観を保護するためのいろんな規制も全部解いていく、あるいは税金も融資も関連事業に対して自治体がやるということで、いろんな手厚い手だてを講じているわけですね。これは莫大なものだ。 片一方、庶民のためにはわずかにすぎない。わずかなものを削れというんだよ。こんなばかな話はないと思う。だから、そういう点では、国民のために、将来本当に国民がレジャーを楽しめる、余暇を楽しめるということになったら大多数の国民、年収三百万、四百万、五百万という層の方々が本当に家族ぐるみで行けるような、しかも長期滞在できるというならば価格もちゃんと規制をしたり一定のものをしなきゃ、まさにリゾート法というものは高いところに土盛りだけする法律だということになるでしょう。この辺についてちょっと国土庁長官の見解をお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。 先生御指摘になりましたように、今度のリゾート法には二つの背景がございます。一つは余暇時間の拡大に対するニーズの高まりをどうするかという問題、それからもう一つは地方の地域活性化の問題、この二つが背景になっております。それから、実は先生御高承のとおりでございますが、この間、過疎地域活性化特別措置法ができました。これは昭和四十五年の緊急、五十五年の振興、活性化で過疎はよくなりません。それは目玉商品がないからです。そんなことでございまして、実はこのリゾート地域の背景にはこのような例えば先生の今御指摘あったゴルフ場とかあるいはスキー場、そういうものをやっぱりやらないとなかなか実はこれは私は活性化につながらない。そんなことがございまして、実は六十三年スタートしてまだ若干日が浅くていろんな点があると思いますが、今先生御指摘の中で特に自然環境の保全との調和に十分配慮しつつ、あるいは国民だれもが利用できる総合的な機能を備えた総合保養地域の整備が名実ともに着実に進められるよう努力してまいりたいと思います。 それからもう一つ、先生がおっしゃった、今リゾート法で大分できますが、基本的にサービスが悪くて高いところは国民が行きません、同じリゾート地域でも、御存じのようにこれは経済の原則ですが、悪いところは滅びていきます。なくなっていきますからその意味では自然淘汰されていく、このように思っています。したがって、私は基本的に安くていいところ、サービスのいいところはどんどん人が来る、そうでないと行かなくなるから先生の御懸念の心配は多分ないんじゃないか、こう思っております。
○神谷信之助君 冗談じゃないんで、サービスが悪くて料金が高かったら来なくなる。企業はさっさと退却するでしょう。残された市町村はどうなる。そんな気楽なことを考えてもらったら困るんだよ。みんな金を出しているんだよ。税金を使っているんだよ。無責任ですよ。しかし時間の関係で次に行きますが、次は自然保護問題です。 これまでに承認された全国二十一地域のリゾート整備構想と重複する、重なっているところの国立公園、国定公園、これは幾らありますか。
○政府委員(山内豊徳君) 二十一の承認済みの基本構想で、国立公園が重点整備地区に図面の上で重複しているものが十二公園ございます。そのほか国定公園が八つに及びますので、おおむね二十一の公園のうち二十の県については図面の、地図の上での重複があるわけでございます。 ただ、つけ加えますと、公園内で施設を一切予定してないのがその中に二県ございますので、御理解いただきたいと思います。
○神谷信之助君 北海道の富良野・大雪リゾート地区構想、これのうちジャパンヘルシーゾーン地区についてお聞きをします。 大雪山の国立公園内に計画されている美瑛町のスキー場建設計画、その概要を報告してください。
○政府委員(野沢達夫君) 御質問のスキー場計画でございますが、平成元年四月に承認されました北海道の北海道富良野・大雪リゾート地域整備構想の中の計画だと思います。そのスキー場だと思いますが、承認された基本構想によればこのスキー場の規模は面積が七十七へクタール、リフトが三基、レストランが一棟のほか、千台を駐車します駐車場、こういったものが計画の中に書かれております。
○神谷信之助君 環境庁長官に聞きますが、リゾート法では自然保護、周囲の環境保全との調和、したがって基本構想の承認に当たっては環境庁長官との協議が義務づけられています。農地法とか森林法その他先ほど説明ありましたように「適切な配慮」ということで規制の緩和が明記されていますが、環境庁長官、協議された場合よもやこのリゾート法によって規制を緩和するということはなかろうと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(北川石松君) 委員の御質問の総合保養地域整備法に基づくリゾート構想について、自然公園区域において規制を緩和するかどうかという御質問だと思うんですが、各部道府県の中の地域の状況もありましょうが、特別に緩和する考えは持っておりません。
○神谷信之助君 このスキー場建設予定地域では貴重な原生林とか動植物なんかが生息をしているということが知られておりますが、どんな種類のものか、環境庁から報告をしていただきたいと思います。
○政府委員(山内豊徳君) 北海道のリゾート構想につきましては、私ども先ほど先生御指摘の協議を受けたわけでございますが、その際協議を受けた内容で、このスキー場一帯の植生としてはエゾマツ、トドマツの自然林があるということ、それからジャパンヘルシーゾーン地域と名づけられております地域一帯のことでございますが、鳥類ではクマゲラ、両生類ではエゾサンショウウオが生息しているということを道当局から聞いております。
○神谷信之助君 そのほかに天然記念物の四種類の高山チョウ、それはどうですか。
○政府委員(山内豊徳君) 私ども書面で協議を受けました段階には、例示的だと思いますが、今申し上げましたものを主に説明を受けております。
○神谷信之助君 昨年末レッドデータブックを発表されましたが、その調査目的及び調査結果を報告してください。
○政府委員(山内豊徳君) レッドデータブックと略称されておりますのは、我が国においても野生生物の種の減少が懸念される、理由はいろいろあるわけでございますが、私どもとしては何らかの保護対策を講ずるために現状を把握したいということで、学識者を動員しまして調べたものでございます。 かいつまんで申し上げますと、残念ながら既に絶滅してしまったものの種類がどのくらいあるか、それから非常に絶滅のおそれが差し迫っているものがどういうものがあるか、それに準ずる二つのランクのものがどのくらいあるかということを学識者の知見をもとにまとめたものでございます。
○神谷信之助君 選定結果は、それぞれ何種類ありますか。
○政府委員(山内豊徳君) まとめました結果で申し上げますと、哺乳類では私が申しました上から三つのランクをトータルいたしますと、百分率で一〇%ぐらいの種類が三段階の危険度にあるということでございます。鳥類ではやはり一〇%ぐらいが報告されております。淡水魚その他いろいろばらつきがございますが、大体把握されていた種類のうちの一割内外はいわゆる絶滅危惧、あるいはそれに準ずるバルネラブルと言っておりますが、危急な状態にあるということを把握しております。
○神谷信之助君 日本生態学会がリゾート基地建設構想に関する要望書を出していますが、その内容を報告してください。
○政府委員(山内豊徳君) 昨年の八月でございましたが、生態学会が学会でお集まりになりましたときにいろいろの意思表示をおまとめになっていらっしゃいますが、その中で総合保養地域に基づくリゾート構想に絡んで、一般的、全国的な問題意識ではあろうと思いますが、生態学会の立場でいろいろ懸念を持っているということが文書で私どもにも送られてきております。
○委員長(林田悠紀夫君) 神谷信之助君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十七分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を再開いたします。 平成二年度総予算三案を一括して議題といたします。 休憩前に引き続き、神谷信之助君の質疑を行います。神谷君。
○神谷信之助君 配付いたしました資料の(2)をごらんいただきたいと思うんです。 これは美瑛富士スキー場の計画図であります。下の方にあります赤い線の部分がスキーのコースです。このコースに緑の部分、これは国立公園の第一種特別地区を示しておりますが、これが含まれているということを環境庁は、これで間違いございませんか。
○政府委員(山内豊徳君) この件は道がおまとめになりました基本構想を国土庁を通じて私ども協議を受けているケースでございますが、私どもが協議を受けました内容は、国立公園の普通地域の中でスキー場を考えられた案でございますので、ここに書かれております図の緑部分に入った赤いコースのことは存じておりません。
○神谷信之助君 現地をごらんにならなくて、道庁の方の説明だけで済ませておられるというのは極めて重大だと思うんですよ。既に現地ではコースとかリフト、これを若干短くして強行する動きが出てきています。しかし、環境庁で出されております先ほど御説明になったあのレッドデータブック、この中で環境庁自身も生態系全体の保全の必要を強調しておられます。先ほど明らかにされました貴重な動植物が絶滅をすれば、これは環境庁長官の責任は非常に重くなってくると思うんですよ。一度破壊されたらもう取り返しがつきません。長野県の冬季オリンピックのスキーコースも自然環境保護のために変更される、そういうこともありました。 地元の保護団体は、特別保護地区に指定してはどうか、そういうふうにして生態系を全体として守ってもらいたいと。巣をつくっている木があったらちょっとコースを曲げたらいいというような問題ではないということを強調しておられます。少なくとも環境庁が責任を持ってアセス調査をしっかりやる、そういう必要があるんじゃないかと思うんですが、この点について長官の御意見を聞きたいと思います。
○政府委員(山内豊徳君) 事実関係にわたりますので私から説明させていただきたいと思いますが、先ほど申しましたように、私どもが公式に道のリゾート構想として聞いておりますスキー場のコースは、このお手元のお配りなさった図ではございませんで、普通地域の中でおさまるスキーコースになっておることが一点でございます。 それからその際、先ほど私が御披露申し上げましたように、道当局からはここに生息するクマゲラその他についてのデータもいただきましたので、私どもはそれな前提に、普通地域の中だけのスキー場コースであるならばそういった生態の保護と十分両立するという判断をいたしまして返事を申した経緯がございます。 なお、ここは直接私どもが調査してないのは事実でございますが、現地には管理事務所もございますので、かなり現実的な実態は私どもの責任で把握をしている地域でございます。
○国務大臣(北川石松君) ただいま局長が御答弁申し上げました北海道の問題でございますが、初めてこの地図を見せていただきまして、また局長が答弁いたしました。また、北海道自体が、これは国立公園であれば私の方はやはり綿密に調査をして、長野県のオリンピックですら変えてくれたんだから、やはり先ほどのおっしゃっている大自然と生態系を守っていくことは大切なことであると思っておりますので、この点をお答えしておきます。
○神谷信之助君 このリゾート法に我々は唯一反対をした党であります。そのときに危惧をした点が、先ほど指摘をいたしましたように幾つか出てきています。これ以外にもあります。 きょうはこれで終わりますが、私はこのリゾート法は早く廃止をすべきだということを指摘しておきます。 次に、郵政大臣問題に移ります。 郵政大臣、大沢武志リクルート社元専務、彼とは十年前から親しい間柄だったということを聞いていますが、間違いありませんか。
○国務大臣(深谷隆司君) 昭和五十年の初めごろから友人でございました、今おつき合いしていませんが。
○委員長(林田悠紀夫君) 関連質疑を許します。吉岡吉典君。
○吉岡吉典君 大沢元専務との関係は否定できません。 大沢元専務は何のためにあなたにいろいろ接近していたか、政治献金したか。この点何ら目的なしにそういうことが行われるはずはないと思います。これは三日十四日のリクルート公判で、リクルート元専務大沢氏が供述調書の中でも、職安法改正阻止プロジェクトチームをつくり、その会議録の中で、公判廷に示された資料によりましても、あなたを陳情の対象としている。あなたの秘書の石塚氏をリクルート社員だということにして給料を払うように取り計らったのも大沢氏だと、こういうふうに言われております。あなたは今でも親しかった以上の関係は何らないと、こういうふうに言い張られますか。
○国務大臣(深谷隆司君) リクルートの問題とは全く無関係に、多分昭和五十年か五十一年ごろからの私は友達でございます。ですから、そういう友達としての関係を長年続けてきたわけで、ただし六十三年の七月に大きな社会的問題になったことを機会に、不本意でございますが、今おつき合いすることを控えております。
○吉岡吉典君 私がお伺いしたのは、その問題ではありません。 それじゃ、もう一度別の面から聞きます。 あなたは、この大沢調書によっても、労働省の野見山審議官らと浅草の料亭で接待を受けたこと、あるいは平河町のスナック「ラテン」で接待を受けたと、こういうことが裁判所の証拠に採用された調書でも出ているわけですね。そういう点についてもあなたはこれまで記憶がないと、こうおっしゃっていましたけど、今も記憶はありませんか。そういう人と席をともにしたことは認められますか。
○国務大臣(深谷隆司君) 今まで何回も申し上げておりますように、下町の政治家というのはつき合いが非常に多うございまして、さまざまな人たちと連日のようにお会いしています。ですから、この前から申し上げておりますように、どんなふうな形でどんなときに飲んだということについては記憶は定かではありません。ただ、申し上げられることは、何か頼まれて接待を受けるというそういう認識においては全くないということは申し上げられます。
○吉岡吉典君 私は大沢氏と席をともにしたことがあるかということをお伺いしたわけです。
○国務大臣(深谷隆司君) 全く個人的な友人でございますからもちろん食事したこともございます。
○吉岡吉典君 我々の調査では、浅草の料亭というのは「治の家」であり、平河町のラテンというのはあなたの親しい大沢氏と特別に親しい関係にあるスナックです。両方とも御存じですね。
○国務大臣(深谷隆司君) 浅草は私の地元でございまして、それらの料亭は年じゅう今でも使っております。 それから「ラテン」については、こういう席でこういう話を申し上げることはどうかと思いますが、むしろ私がひいきにしている場所でございます。家族や後援会や新聞記者とも何回も飲みまして、最近は自粛して全く行っておりませんが、そういうような場所でございます。
○神谷信之助君 大沢氏との関係、これは否定なさいませんでした。大沢氏と大臣との関係あるいはリクルート社との関係について解明をするために、立木委員が石塚元秘書を証人喚問要求しましたが、私はこの際大沢武志氏の証人喚問を要求したいと思います。 委員長の方で、理事会で御協議いただきたいと思います。
○委員長(林田悠紀夫君) 後刻理事会で協議いたします。
○神谷信之助君 終わります。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で神谷信之助君の質疑は終了いたしました。 ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、粟森喬君の一般質疑を行います。粟森君。
○粟森喬君 私は、まず最初に源泉所得税の減税問題についてお尋ねをしたいと思いますが、最初に自治大臣にお尋ねをいたします。 いわゆる標準世帯の課税最低限、これは所得税といわゆる地方税といいますか住民税の場合の課税最低限が違います。これを所得税の水準まで上げるということは結果的に減税に結びつくと思いますが、住民税や地方税に対してそんな措置を今後とる気がないのかどうか。やはり課税最低限が違うということは問題だという立場で私どもは見ていますので、答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(奥田敬和君) 今数字を挙げての御質疑でございますけれども、申しわけないのですけれども、ちょっと不勉強で、答弁は政府委員からさせることにいたしますから、よろしくお願いします。
○政府委員(湯浅利夫君) 個人住民税の減税につきましては、先般の税制改革におきまして、かなり住民税におきましても減税をやったわけでございます。 その結果、御指摘の課税最低限につきましては、夫婦子供二人の給与所得者について、平成二年度以降は二百七十二万二千円という形になります。御指摘のとおり、所得税の課税最低限に比べますと住民税の課税最低限は低いわけでございますけれども、これは基本的には住民税というものは、地域の経費を住民の皆さんにできるだけ薄く広く税負担をお願いしようという考え方から、従来から所得税の課税最低限よりも低い課税最低限で住民税の負担をお願いしているということでございまして、この考え方につきましては、今後とも所得税と必ずしも合わせてやるということではなしに、やはり住民が地域からの行政サービスを受けるという観点からの住民税負担という点もお考えいただきまして住民税の課税最低限を決めていくべきものだというふうに考えております。
○粟森喬君 今の自治省の見解に対して、課税最低限のところが違うということについて大蔵省としてどういう見解をお持ちでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、今自治省から述べられましたお考えと同等と心得ております。
○粟森喬君 税の性格などによってかなりその問題の本質と関係をするのだろうと思いますが、後でもう一度課税最低限のところはやりたいと思いますので、源泉所得税全体のことについてお尋ねをしたいと思います。 平成元年度の当初予算段階でつくった源泉所得税の税収見込みに対して、たしか補正予算の段階で増額修正をされたと思います。いわゆる源泉所得税は確定申告ではございませんので、現段階で平成元年度末の源泉所得税の税収見込みがかなりはっきりしてきていると思いますが、この金額は幾らなのか示してください。
○政府委員(尾崎護君) お答え申し上げます。 現在までに判明しております税収の状況は三月末の分まででございます。源泉所得税収は、累計で十四兆一千二百五十六億円でございます。補正後予算額が十五兆二百億円でございますので、進捗割合で見ますと九四%ということに相なります。前年同月は、三月末で九二・三%ということでございましたので、年度を通しました源泉所得税収は、これから四月分、五月分の税収を見なければわかりませんが、進捗率で見る限りは、補正後予算を若干上回るのではないかというように考えられます。 ただ、どれだけかというのは、まだ四、五月分を残しておりますので、ちょっと予測はお許しをいただきたいと存じます。
○粟森喬君 そうしますと、消費税導入のときに、所得税は減税します、これはもちろん給与所得者といいますか、源泉所得者も含めて減税します、こういうふうに前提を立ててそして消費税を導入したと思うんです。ところが実際にやってみたら、給与所得者を中心にした源泉所得税が増収になったわけでございますから、これを減税の財源にすることは一定程度可能だと思いますが、そのことに対して火蔵大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、先般の税制改革についてお触れになりましたけれども、先般の税制改革におきましては、所得税、住民税を合わせまして三兆三千億円、六十二年九月改正分から含めますならば五兆五千億円に上る大規模な所得減税を実施いたしました。結果的に私は、中堅所得者層を中心とした重税感あるいは負担累増感というものは大幅に緩和されたと考えております。そしてその減税効果が平成元年から本格化をしているわけでありまして、今、私はその上に所得税減税を行うという考え方は持っておりません。
○粟森喬君 これは大蔵大臣にさらにお尋ねをしたいんですが、給与所得者といいますか、サラリーマンが依然として今の税制に対して不公平感といいますか、そういうものを持っているというふうに思いますが、それはどの点に該当するというふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、委員がまさにそのどの部分を想定されながら御質問いただいたのかわかりませんけれども、昭和五十年代の後半非常に強まっておりました重税感あるいは不公平感と申します部分については、先般の税制改革で随分こたえたと私は考えております。また、その当時所得税減税のみならず、いわゆる不公平という視点から非常に論議をされました幾つかの中で、例示を挙げますならば社会保険診療報酬に関する租税特別措置、これは見直されたわけでありますし、あるいは有価証券取引が原則非課税でありましたものが原則課税に改まったというようなことで、従来から言われていた不公平という部分についてはそれなりの答えを出してきたと思っております。 ただ、今日の時点においてはその不公平という論議が変質してきているのではなかろうか。それはまさに地価というものを挟み、土地を持つ者と持たざる者との間における資産格差、そしてその資産格差というものについての不公平感、こうしたものが強まって、今日不公平という言葉にまさに該当するような感覚を国民の中に持たせているのではなかろうか、そんな心配をいたしております。
○粟森喬君 その一面はそのとおりだというふうに私は思います。しかし、もう一つ明確にしておかなければならないのは、サラリーマンの税の不公平感の一つには捕捉率の問題があると思います。いわゆるトーゴーサンとかクロョンと言われたものでございます。特にこの部分も、いわゆる基礎控除として三十五万が認められているわけでございますが、これで果たして本当にサラリーマンの必要経費としてみなすことができるのかどうかになるとかなり問題があるわけでございますから、いわゆるトータルに減税をするという問題と、個々にその種のことについて今後どう手直しをしていくのか。この辺のところについて、現状とこれからの課題について答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員が御指摘になりました所得種類の異なる分野における所得捕捉という問題につきましては、従来からもその適正な把握に国税当局は一生懸命に努力をしてきてくれたと考えております。しかし、それに対してさまざまな声があったことも事実であります。これから先も引き続いてその適正な把握に努めてまいらなければならないと私も思いますが、その基本の上に立ち、どういう対応ということになりますと、これは私、ちょっと自分の力では及びませんので、専門家である国税庁の方から答弁をお許しいただきたいと思います。
○政府委員(岡本吉司君) 国税庁におきましては、いわゆる所得の種類の違う間におきます捕捉差につきまして、主として事業所得の捕捉につきまして努力しているところでございます。今大臣からお答え申し上げたところでございますが、やや細かく申し上げてみますと、我々のとっております施策の一つは、やはり税務調査の充実ということがあろうかと思っております。これはもちろん、いろいろ各種の資料、情報を収集いたしまして、特に我々が営庶業者と称しております方々に対しては、年間十六万ないし十七万件ほどの実地調査を行っているところでございます。 こういった税務調査とはまた別に、いわゆる納税意識の向上といいますか、納税道義の高揚といいますか、こういった面につきましても大事な話だろうと思っております。やはり申告納税でございますので、納税者自身が納めていただくという気持ちに立っていただくということが一番肝要かと考えております。したがって青色申告者の育成であるとか、白色につきましても記帳制度の定着であるとか、こういうところに努力をしているところでございます。その他、納税相談、広報等も努力しているところでございます。さらに、地方公共団体、税理士さん方等の御協力とか、あるいは我々の中のコンピューターを使ったところの内部体制の充実とか、こんなところに心がけているところでございます。以上、種々の施策を通じまして、課税の充実には努力をしているところでございます。
○粟森喬君 その給与所得者以外の方の捕捉率を上げようとする努力については多としますが、給与所得者といいますか、サラリーマンの課税、いわゆる経費としてみなされる部分というのは、今からいろいろ申し上げますので、これからの課題としてぜひとも継続して検討をして、決算までの段階に一定のものの見解を出してもらうように、また改めて質問を申し上げたいと思います。 特に、そのうちで通勤費の問題を若干申し上げます。通勤費は五万円まで控除の対象になることになりました。ところが現実に、例えば新幹線なら新幹線を利用して通勤をする。例えば高崎から上野間の通勤パスを買いますと、これは五万円を初めからもう超えてしまっています。したがって、通勤費というのは全額非課税という立場で物を考えるということが果たしてできないのかどうか、やるべきだというのが私の立場でございますが、見解を求めたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私自身が運輸大臣のとき、税制改正に対し通勤費の控除限度をもっと引き上げてほしいという要請をいたした経験を持っておりますので、私は今五万円までその非課税限度額が引き上げられたことについて、ある意味では当時を思い出しながらほっといたしております。 ただ、この問題につきましては、税の理論の中におきましてさまざまな問題点を持っておるようでありますので、事務方から説明をすることをお許しいただきたいと思います。
○政府委員(尾崎護君) 御承知のとおり、サラリーマンの場合、給与所得控除というのがございまして、平均して三〇%ぐらい収入から控除されているわけでございますが、その中に、例えば通勤に係る経費のようなものも観念的に含められているわけでございます。それとのバランスの問題になるのでございますが、委員御指摘のような強い御要請もございまして、実は平成元年度におきまして、従来の二万六千円から一挙に五万円まで通勤手当の控除を引き上げたという経緯は御承知のとおりでございます。 また、自動車などの交通用具を使用しております者に支給する通勤手当、これも通勤距離に応じまして非課税限度につき、昨年十一月に政令改正で引き上げを行ったところでございます。したがいまして、現行の非課税限度の水準は私ども妥当な水準であるというように考えております。
○粟森喬君 妥当と言われる理由は何ですか。
○政府委員(尾崎護君) これは例えば今の五万円の水準ということでどういうことになるかといいますと、JRでいいますと、東海道本線ですと熱海までの定期が買えます。大体最長通勤距離、JRの場合で百六キロぐらいまではこの五万円で間に合うわけでございます。 私鉄で申しますと、小田急線、東武日光線、京成成田線、それから西武池袋線、秩父線でございますが、等は終点まで買いましても全部五万円の中に入るということでございまして、確かに御指摘のように新幹線でかなり遠くまでということになりますと五万円の枠は超えるわけでございますけれども、大体通勤の範囲はカバーしているというように考えております。
○粟森喬君 在来線の場合の通勤の限界値がほぼ五万円というのはわかります。しかし、特に最近の一つの傾向でございますが、サラリーマンの持ち家といいますか、マイホームというのはかなり土地の急騰によって上がっている。そうしますと、東京を中心にして遠距離であっても例えば新幹線で通勤をすれば持ち家は可能というケースがさまざま出てきます。 したがって、通勤費の取り扱いについて、新幹線を含めましてこれは非課税限度額を今後拡大すべきではないか、こういう立場で申しておりますので、総合的な政策としてそういう立場をとっていただくということについて大蔵大臣の見解をさらに求めたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私、そういう意味で対比して見たことがありませんでしたので、今ちょっと資料をこうして眺めてみますと、なるほど新幹線を利用されました場合、例えば小田原までといいますと、一カ月の定期が六万九千二百二十円、これはオーバーいたします。しかし小田急の方で見ますとこれは全然違うんですね。 そうなりますと、むしろ問題は、この限度額が五万円であることが適切かどうかということ以前の問題として、総合交通体系の中における鉄道の料金設定、さらには在来線とJR、あるいは新幹線と在来線のJR、私鉄といった料金設定の問題とも連動することのようでありまして、今委員が御指摘になりましたような視点から検討をする以前の問題が運輸政策の立場の中で行われる、その上で次のステップとして必要があれば税務当局としての判断を再度行うということになるのではなかろうか。とっさに今これを見まして、私もちょっと首をかしげ、かつ、元運輸大臣としてはちょっと頭を抱える部分がございましたが、率直な感じを申し上げます。
○粟森喬君 いずれにしても、五万円になったことによりまして新幹線通勤などのケースがかなりふえると思います。もちろんそういう意味で、私鉄との格差とか在来線との格差をどうするかという問題もありますが、やはり遠距離通勤をある程度可能にしていかないと、これは都市政策の問題でもあるんですが、一極集中をできるだけ円でかいたときに拡大をしていくという意味では極めて重要な問題でございますから、引き続き検討を求めたい、こういうふうに思います。 次に、課題を別の問題に絞って申し上げたいと思います。 特に消費税導入に当たりましては、給与所得者の中で中位所得者というんですか、いわゆる六百万、八百万、この辺を中心にして減税比率を高めたということは、これは一定の評価をしなければならないところはあるなと思います。 要素としてかなり見込まれたのは、中高年齢者における教育負担といいますか、大学へ行くとか高校へ行く教育費が相当ふえているというのは各種報道でもかなり出ているかと思います。したがって、そういう意味では配慮をされたわけですが、やはり明確に教育費を一定程度、これは義務教育以上の高校、大学を中心にしての教育費減税といいますか、私はそういうものを認めるべきだという意見でございますが、そのことについて見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは従来から、家賃の控除といった御論議がありましたときにもしばしば申し上げたことでありますけれども、こうした制度をつくりまして、一番の問題として考えなければならないことは、税金の負担をしておられない御家庭とアンバランスを生ずる、こういう問題は私は非常に大事な問題だと思っております。しかし、これにつきまして委員が今見解を述べられましたので、私はとっさの判断として首をひねる部分として、課税をされていない世帯の御父兄に対してはその恩典は及ばないという問題点があると思いますが、事務的に補足するところがあったら補足してください。
○政府委員(尾崎護君) 委員御指摘のとおり、先般の抜本改革の所得税減税に当たりましては、中堅所得階層を中心にその減税の恩典が及ぶように配慮したところでございますけれども、それは、これまた委員御承知のとおり、実はライフサイクルという考え方でございまして、サラリーマンとしての生活を考えてみたときに、若いときは確かに所得は低いんですが、生活は割合余裕がある。生涯で一番高い給与を受ける四十代の後半から五十代の初めぐらい、そこは確かにいただくものは多いんですが、教育費でございますとか、おつき合いの費用でございますとか、あるいは年老いた親の面倒を見るとか、いろいろなことが重なりまして支出もかさむという世代があるわけでございます。そこに減税の恩典が及ぶようにしようというのが私どもの議論でございました。 その際に一つ配慮いたしましたことは、ちょうどその世代の方々が子供を有しておりました場合の扶養控除につきまして、子供が十六歳から二十二歳というような年齢の者につきましては、一般の扶養控除は三十五万円でございますが、それを十万円上乗せしまして四十五万円にするという措置を講じたわけでございます。これもいわばその年代におきまして教育費等がかさむということもやはり頭に置いて行ったことでございまして、そのほか税率構造の累進緩和とか、あるいはその簡素化でございますとか、配偶者特別控除でありますとか、いろいろなことによりまして中堅のサラリーマンを中心に三兆三千億に上ります思い切った減税をいたしたわけでございまして、実質的な配慮は十分行われているというように考えております。
○粟森喬君 それぞれこの種の課題別に減税することについて給与所得者の中でアンバラが出るんではないかという大蔵大臣の指摘でございましたが、私は、大学へ出している人と出していない人の支出の度合いといいますか、租税公課などを引いた可処分所得の中で現実には格差があるわけですから、そこに減税を認めることによって、これはむしろけしからぬという意見が給与所得者の側から出る性格ではないというふうに思っています。したがって、一定の考慮をしたということと、そういう非課税項目を明確にするということはかなり違うと思いますし、引き続きそのことについて何らかの検討を加えてほしいということを重ねて要望します。できたら大蔵大臣、もう一度答弁をお願いします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員がお述べになりましたような御意見というものを土台にしながら、先般の税制改革において、例えば今十六歳から二十二歳の控除額の引き上げを主税局長は例示をしながらお答えを申し上げたわけでありまして、そうした年代層に対して配慮が必要であるという視点については、私は委員と税務当局としての判断には変わりはないと思います。ただ、より普遍的な効果等を考え、総体的に今主税局長から御答弁を申し上げましたような考え方を採用したわけでありまして、私どもとしては、こうした考え方で対応していくことが好ましい税の体系である、そのように考えております。
○粟森喬君 主税局長、今十万円と申し上げましたが、この部分を将来にわたって固定するのではもちろんないと思いますが、今の大蔵大臣の答弁、さらにこの部分が将来どう動いていくのか、見解を述べていただきたいと思います。
○政府委員(尾崎護君) 子女に対します扶養控除の間に差をつけたというのは今回が初めてのことでございまして、その背後には大蔵大臣から御答弁がございましたような配慮が働いているわけでございます。今後いろいろと議論が行われると思いますが、この点につきましてどのように議論が進展するのか今のところちょっと予測は、恐縮でございますがお許しをいただきたいと存じます。 申し上げるまでもないことでございますけれども、所得税の世界におきましては、そういう生活費の一つ一つを取り出して控除をするということは避けるべきであるというのが基本的な考え方でございまして、そのような基本原則のようなものもあるということもあわせて御配慮いただきたいと存じます。
○粟森喬君 今の答弁を聞きますとあと言う元気がなくなるわけでございますが、実は同じような意味で言うと、家賃控除の問題です。 他の質問もあったと思いますが、やはり資産格差が言われ、そして例えば自宅を持っている者とローンを払っている者、それから借家住まいの者、いろいろあるわけですが、家賃控除について何らかの形でやっぱり導入すべきではないか。そうしませんと、単に資産課税を強化するというだけでは問題が解決をしないというふうに思います。しかし、このやり方でございますが、やはり上限も必要だろうし下限も必要だろうと思いますが、これについて今後の重要な検討課題にしていくべきだ、こういう立場で私どもは思っています。大蔵大臣の見解をお聞きしたい、こういうように思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これを粟森委員から御質問をいただくのはこれが初めてでありますけれども、本院におきましてもまた衆議院におきましても、この家賃控除という問題はしばしば御意見が出されておりました。それと食い違うといけませんので答弁資料を正確に繰り返させていただきたいと思います。 家賃控除の創設については、家賃は食費や被服費等と同様典型的な生計費であることから、家賃だけを取り出して特別の控除を設けることには基本的な問題があろうか。限界税率の高い高額所得者やより高額の家賃を支払っている者がより大きな恩典を享受する反面、非納税者には恩典が及ばないことになるなどの問題があると考える。また、大都市圏の土地住宅問題の観点から見ても、家賃控除の創設は問題の根本的解決にはつながらず、借り家の需要を刺激することによりかえって家賃の高どまりを招くといった懸念も否定できない。 これが従来申し上げてまいりました見解そのものでありまして、大変失礼とは思いながら、正確を期すために答弁資料そのままを読み上げさせていただきました。そして、家賃問題というのが確かに大切な問題点であるという認識は私たちも持っております。 ただ、この答弁でも申し上げましたように、非課税世帯にはその恩典が及ばないというのは非常に大きな家賃控除を考える場合の問題点でありますし、同時に確かに家賃の高どまりという現象は私どもも心配です。そうした観点から、今回の消費税見直し案の中で家賃に対する非課税という考え方を私どもは打ち出したわけでありまして、こうした点もぜひ考え合わせていただきたいとお願いを申し上げます。
○粟森喬君 今、通勤費と教育費、それから家賃控除を申し上げたわけですが、やっぱりサラリーマンに対してその種の費用別に余り非課税をつくりたくない、こういうことが基本に来ますと、いわゆる給与所得者の中でも、現実に懐に入れる可処分所得にはかなり格差が生まれてきていることは現実でございます。したがって、税の不公平感というのは、資産のある者とない者というのは給与所得者の中にもありますし、それから通う場所によっても違うわけでございますから、やはり何らかの格好で不公平感を持っているこの部分について将来手を入れるべきだ、こういう立場で問題を提起していますが、トータルとしてその種のことについてどうお考えなのか、見解を大蔵大臣からいただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは大変お答えをしにくい問題でありますけれども、今、例えば家賃あるいは教育費という例示を挙げ、特例控除を論議の対象として御提起をいただいたわけでありますが、それぞれについてやはりそれぞれの問題点があるということも今率直にお答えをしたところであります。そして、先ほど委員もお認めをいただきましたけれども、不公平感というものが現実に存する。その中の一つの問題は資産に対する適正な課税というものに対しての国民の要望である。私はそれは素直にそう受けとめております。また、捕捉率の問題等につきましては、これは国税当局が従来から努力をしてまいりましたけれども、当然これからも公正を確保するために全力を尽くすでありましょう。 その部分を除きますと、私は基本的に、今回の税制改革の中で基礎控除から各種の控除が見直されて新たな体系のもとに現在税制は動いておるわけでありますが、根本的なポイントというものは、それぞれの控除の中身の厚さ、そしてそれが国民生活の上にどれだけの役割を果たすかということであろうと存じます。そうした視点から、十六歳から二十二歳のお子さんをお持ちの御家庭の教育費負担というものが当然重くなるという想定のもとに、その控除額についてのいわば十万円の上乗せという体系も用意をしたわけでありまして、税制というものは私は不断に見直していくべき性格のものであると思いますから、今後ともより国民に御理解をいただき、御協力のいただける体系を常に保ち続けるように努力をしてまいりたい、そのように思います。
○粟森喬君 これは大蔵大臣に申し上げておきますが、今勤労者といいますか、サラリーマン層を中心にして依然としてやっぱり減税に対する期待が非常に強いわけでございます。どういう格好でやるかということについて幾つかの点で申し上げたわけでございますが、一つは、やはり消費税導入で現実には現行の制度も残っておるわけでございます、いわゆる消費税三%入ったまま。それで、まだ見直し案も通っていません。そういうことも一つの背景にあるかと思いますが、この十年間ぐらいの実質所得を見ますと、サラリーマンはベースアップをやっていますが、実質所得が余りふえていないということがかなりやっぱり重要な要素になっています。したがって、減税というのはそういう要素を含めてぜひとも考えてもらいたい問題だと思います。 そこで、ちょっとここは踏み込み過ぎだと思いますが、一つの仮説でございます。今、消費税の見直し案と廃止法案が出ていますが、いずれも成立しなかった場合にこの部分についてどういう扱いをするのか、したがって給与所得者を中心にして減税の財源というのはどこにあるのかということがあるんですが、例えば減税の財源がある程度確保できれば、それは給与所得者を中心にして減税するという考え方があるのかないのか、そこについてお尋ねをしておきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これはあくまでも仮定として委員がお尋ねでありますので、私も仮定としてお答えをさせていただきたいと思います。 今私にそれだけの財源が与えられました場合、それを減税に振り向けるというよりも、やはり国債残高の累増を防ぐという基本的な財政体質の立て直しの用途をまず私であれば頭に浮かべます。 それは、今回の税制改革というものが本格的に動きましたのが元年からでありますから、今その効果がようやく着実に出てきている状態の中であります。そしてその中において、その一つの柱であります消費税というものは旧来の個別物品税が廃止をされた後広く薄くという視点から創設されましたものでありますけれども、国民の中に御議論があることは事実でありますし、政府としてその一層の定着を図るための見直し案を国会に御提案しておることも御承知のとおりであります。また一方、野党共同で廃止についての案というものが提案をされておることも事実でありまして、私どもの立場からまいりますと、これは一層国民に御理解をいただき定着を図るために見直し案というものが通過成立することの一日も早いことを祈っておりますけれども、委員の想定されましたようなケースが全く考えられないと申し上げるわけにもまいりません。 しかし、私どもとしては、院の御意思を確定される段階におきまして国民生活に与える影響等を十分御勘案いただき、論議を尽くした中における結論が相願わくば私どもの目指す方向と同様であることを祈っております。 そうした状況とはまた別に、平成二年度末において国債残高が百六十四兆に達するという状態は、できるだけ早くその累増に歯どめをかけませんと後世代に非常に大きな負担を残すことになるわけでありまして、現時点においてそれだけの余裕の財源がもし私に与えられるとした場合、私は将来に残す債務を少しでも今のうちに減らしておきたい、そのように考えております。
○粟森喬君 私は、大蔵大臣のその辺の発想が私どもと大分違うというふうに思っています。 といいますのは、このまま推移をしますと、平成元年度の決算では歳入が予算から見るとかなりふえるというふうに見ています。そのときに、ふえたら財政法に基づいて国債発行残高へ回すもの、繰り越しに回すもの、こういうことに相なるということになるわけでございますが、私どもは少なくともその部分を、全部とは申しません、何らかの格好で減税部分に回すべきだ、これが私どもの主張でございます。したがって、この間の政府答弁はもう初めに国債発行残高ありきでございますが、改めてこの部分について検討をお願いしたい、こういうふうに思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今御意見は確かに承りました。しかし、やはり私は後世代にできる限り負担は少しでも少なく引き継ぎたい。同時に、今我々は、社会資本整備一つをとりましても、二十一世紀の到来までの間に準備をしておかなければならない高齢化社会への対応というものを多く持っておるわけでありまして、私個人からいいますと、そういうお金があれば国債償還に本当に全部使いたいという気持ちは率直に持っておりますけれども、そればかりではなく、財政上さまざまな対応を必要とする項目もあろうかと思います。御意見は私は一つの見解として承らせていただき、私どもの考え方もまたそれなりの御理解は、賛否は別としていただきたい、そのようにお願いを申し上げます。
○粟森喬君 これ以上これでやっていてもなかなか問題が解決しないこともわかりますが、あくまでも何らかの格好でやってほしいという意見があったことについて、とどめておいてほしいと思います。 確認しますが、財形について今五百万を一千万にするということが一部報道されていましたが、これはまた、しないということにはならないんだと思いますが、確認を求めたいと思います。
○政府委員(岡部晃三君) 財形貯蓄は、今非課税限度額が財形住宅及び財形年金につきまして五百万円でございます。これを一千万に倍増していただきたいということはこの数年来大蔵省といろいろと御論議を尽くしてまいってきているわけでございますが、しかし、これにつきましては長期検討事項とされておりまして、引き続き私ども労働省としていろいろと折衝してまいりたいというふうに考えております。
○粟森喬君 大蔵大臣、この問題どうですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今私も、この勤労者財産形成制度を社会労働委員会で議論した一人として、現状の残金がどれぐらいになっているだろうとちょっと数字を繰っておりました。そうしますと、財形貯蓄の平均残高が、元年三月末の数字でありますけれども八十一万円という数字が今手元にありまして、これはその限度額の引き上げ以前の問題として、これだけしか残高がないという状況がどういう理由なのか、まずそこの検討が必要かな。むしろ、その上限を引き上げましてもほとんどその利用者がないとすれば、あるいは十分な利用がされないとすれば、本来の制度創設の趣旨とどう変わってきたんだろう、ちょっと私はそれが気になりまして今眺めておりました。 しかし、今労働省の御答弁でも大蔵省との間で相談をしておるというお話でありますから、その相談は相談として続けさせながら、私は制度創設当時の社会労働委員会のメンバーとして、なぜこれほど平均残高が少ないという現象を出したのかちょっとその原因を調べてみたい、率直に今そう感じております。
○粟森喬君 私どもの知る限りでは、制度が非常にややこしくなったことと、それから現実には財形の住宅貯蓄なんかは、家を建てるときおろしますから、積むばっかりというふうに必ずしもならないわけです。それで、財形年金なんかはかなり逆に制約もあるわけでございますから、今後の減税についてもこれは重要な検討課題としてお願いをしたいというふうに思っています。 そこで、さっきから減税の話ばっかりしておるわけですが、実は増税というか、不公平税制の是正として大土地保有税や株式のキャピタル総合課税をやるべきだという意見をずっと持っていたわけでございますが、これらについては、こっちはやるけれども減税はやらないということなのかどうか。ここは答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) こっちはやるけれどもこっちはやらないということかという御指摘でありますが、これは私、全然切り離した御論議を願わなければならないと思います。 今御承知のように、土地の問題が非常に深刻化している中で、土地税制というもののあり方でさまざまな角度から御論議をいただき、政府としても税制調査会の小委員会において今真剣な御議論を願っておるところであります。これは、国民に今資産格差というものについての御論議のある中で、土地というものについてどう対応すべきかを税の視点から検討するということでありまして、こっちはやるがこっちはやらぬという御指摘の対象とは私はおのずから問題の質が違うと思っております。 また、キャピタルゲインについて御論議がありましたが、これにつきましては今までにもいろいろな問題が議論をされておりますけれども、その対応というものは、従来の原則非課税から株式につきまして有価証券譲渡益原則課税という方向に変えていることでもありまして、こうした方向はむしろ世論の動向を十分に把握しながら進めてきたことであり、委員が先ほど述べられました国民の中における不公平感というものをなくしていくための一つの手法でもあると御理解をいただきたいと思います。
○粟森喬君 それでは次に、労働時間や連続休暇や週休二日制のことについてお尋ねをしたいと思います。 まず、労働省にお尋ねをしたいと思いますが、労働時間は経済運営五カ年計画の中で、一九九二年、平成四年までに千八百時間にするというのがその当時の提言でございました。現状と、平成四年までにそれが達成できるのかどうかということについて、まず労働大臣にお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(塚原俊平君) 現状でございますが、昭和六十三年四月以降着実に、改正労働基準法が施行されましてから、減少は徐々にはしてまいりました。平成元年度でございますが、総労働時間が二千七十六時間ということで前年度比で一・〇%の減、それから所定内労働時間は千八百八十八時間ということで、やはり前年度比一・〇%の減と、いずれも過去最低にはなりました。しかし、政府が経済計画で出しております平成四年までに千八百時間程度に向けてできる限り短縮をするという目標達成にはまだまだかなり遠いものがございます。 そういうことでございますので、週休二日制をまず完全に実施して、それから年次有給休暇はともかく二十日とってもらって、それから所定外労働時間は百五十時間に抑える、これを実行しないと千八百時間にはならないわけでございますが、一年一年少しずつ近づけるように努力をいたしてまいりたいと考えております。
○粟森喬君 経企庁、これをつくった立場でございますから、見解を述べてください。
○国務大臣(相沢英之君) 今労働大臣からお答えがございましたことと大体同趣旨でありますが、今お話しのように、経済計画では年間総労働時間を計画期間中に千八百時間程度に向けてできる限り短縮するということになっておるのであります。六十三年の四月には法定労働時間を段階的に短縮することを定めた労働基準法が施行になりました。そしてまた、六十四年一月からは国の行政機関等の隔週土曜閉庁が実施されましたし、地方団体におきましてもその導入が進められております。平成元年二月からは金融機関の完全週休二日制が実施されてまいっております。今後とも、まず隔週週休二日から完全週休二日制になりますように、また特に公務員につきましてもそのような制度の改正を進めてまいり、また中小零細企業につきましても、その普及を促進するために各種の指導、援助を強化していく考えであります。 平成元年の十月には余暇のシンポジウムを開催いたしましたし、また平成二年の四月には国民生活審議会の余暇・生活文化委員会の最終報告におきましても、また経済審議会の構造調整部会の報告におきましても、特に就業時間の短縮につきましては報告を出しますとともに、これを推進することを申し合わせているのでございます。 総労働時間で今、元年で二千七十六時間ということでありまして、まだ二百数十時間短縮を必要とするのでありまして、残された時間が余りございませんのでなかなか難しい点はあると思いますけれども、過去におきましてもかなり急速に短縮しているという事例もありますから、完全週休二日制の実施等を促進することによりまして、何とか計画期間内に達成されますように企画庁としても努力をしていきたい、このように考えております。
○粟森喬君 難しいということを言っていただくために質問しているのではございません。どうやって達成するかが一つの大きな問題だと思っています。 同時に、この数字の中にはパート労働者が含まれているわけでございます。ですから、正規の従業員といいますか、所定内労働時間が過単位で定められている労働者の数を見ると、特にこれは国際的にも批判を受けている非常に重要なポイントでございますから、そのような格差を埋めるためにどうするのかということについて労働大臣に改めてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(塚原俊平君) ともかく千八百時間にするということを単純に計算いたしますと、先ほども申しましたように、週休二日を確実にするということ、それから時間外は百五十時間にするということ、それからいわゆる有給休暇を二十日間とっていただくということ、その三点が達成できればこれは千八百時間になるわけでございます。 ただ、現状といたしまして、規模の大きな企業はかなりそういう対応ができているわけでございますし、また中小企業につきましても、大企業と、例えば私の地元の日立市のような日立製作所とそこの協力企業というような形のところは、徐々にではございますが、これも四百五十時間の所定外を四十五時間やっと縮めたんですが、でもこれもまあ大変な進歩だったと思いますが、そういうことができるんですが、そういうことではなくて、いわゆる中小でそれぞれのいろんな大きな企業と契約をしながらやっていらっしゃる会社とかそういうところが数多いわけで、なかなかそういうところに対する対応がこれから難しくなってまいると思います。 ただ、ただいま申しました具体的な数字というものは現実にあるわけでございますし、特に中小企業に対しましてできる限りの対応をこれから講じてまいりたいというふうに考えております。
○粟森喬君 この問題に関して言うと、過去の論議の中でも、労働省なり政府と対立しているところは、いずれにしてもこのままいけば千八百時間は達成は非常に難しいという現状追認ではやっぱりだめだと思います。推進法なのか労働基準法の改正なのか、何らかの格好で法的規制を加えないと難しいのではないかというのが私どもの見解でございます。そのことについて労働大臣の見解を承りたいと思います。
○国務大臣(塚原俊平君) ただいま申し上げましたように、やはり企業間にそれぞれの諸事情がございまして、法的規制を加えるということになりますと、なかなかそれに対する対応の厳しい企業というもの、あるいは職種というものも出てまいります。そういうことでございますので、労働省としても精いっぱい今日まで努力してきたわけでございますが、現在行っている一つ一つの指導等をさらに強化する、あるいはそれぞれの識別でいろんなお集まりがございますから、そういう席でさらに私どもからもよくお話をさせていただくというようなことをしながら、何とか平成四年、現実の問題として、じゃさらにどうだと聞かれるとやっぱり難しい部分がたくさんあるわけですが、でも精いっぱい何とか近づけるように頑張っていきたいと考えております。
○粟森喬君 労働基準法の改正のときにも、労働時間の問題についての法規制をどうするかということがかなり論議があったと思います。年休を二十日間完全にとってくれればというふうにさっき言いましたが、諸外国の中では幾つかなお法的な規制をやっているところがございます。そんなことを勘案したときに、労働省というのは労働者の保護行政のために出発をしているわけでございますから、企業の立場にも十分理解を示すというのは必要でございますが、やはり法規制のことについて検討を求めたい、こういうことで申し上げます。
○国務大臣(塚原俊平君) あくまでも労働者がいかに健康で働きやすい環境をつくるのかというのが私どもの仕事の一番の主要な目的でございますので、その点につきまして精いっぱい頑張ってまいりたいというふうに考えております。 また、過去の労働基準法改正の経緯等もございますので、基準局長が来ておりますので、もしよろしければ一言だけでも答弁させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○政府委員(野崎和昭君) まず法定労働時間の関係でございますが、委員よく御承知のとおり、四十八時間制でございましたのをこの前の改正で、政令で段階的に四十時間に縮めていくというふうになっておりまして、六十三年四月には四十八時間から四十六時間にいたしましたが、来年四月にはこれを四十四時間にする、そのための政令改正を行うべく現在準備を進めているところでございます。 もう一つ、年次有給休暇の関係でございますが、これは当初最低付与日数というのは六日でございましたが、これをこの前の改正の際に十日に引き上げまして、小零細企業は若干の猶予期間を持ちつつ十日にするということで、現在それが進行中でございます。この年休の二十日付与、二十日取得というのが現実には現状と計画との間に乖離が一番大きい部分だと思います。この部分については労働省で現在労使を含む専門家に会議を開いていただいておりまして、何とか現状の、現状は十五日付与、消化率は半分でございます。これを二十日付与、二十日取得に向けて引き上げるためのガイドラインを現在鋭意作成していただいておりまして、近いうちにそれができると思います。それが出ましたら、それに基づいて強く指導を進めてまいりたいというふうに考えております。
○粟森喬君 時間の都合もありますのでちょっと急ぎますが、学校を中心にする土曜休日の問題、それから公務員の土曜休日の問題、これは早急にすべきことが社会的に週休二日制なり労働時間の短縮に非常に重要な引き金になると思いますが、現状と、いつごろまでにそれを達成するつもりか、見解を明らかにしていただきたいと思います。文部省と総務庁にお願いします。
○国務大臣(保利耕輔君) 学校五日制の問題についてのお尋ねかと存じますけれども、御承知のように昨年八月に調査研究協力者会議を発足させておりまして、現在九都県、六十八校でその実証的なデータを得るためにこの研究協力校において問題点について具体的な研究を進めております。 学校五日制という問題につきましては、教育課程のあり方でございますとか、あるいは教員の勤務形態をどうするかというような問題でありますとか、あるいは学校運営全体あるいは子供の生活にかかわる地域あるいは家庭、それから学校との関係、そういったものに留意しなければなりませんし、また国民世論の動向等もよく見きわめる必要があろうかと思います。そういうことで調査をさせていただいておりまして、こうした幅広い観点から調査をし、およそ平成三年度末までにこの学校週五日制の問題について一応結論を得たいということで調査を進めております。
○国務大臣(塩崎潤君) 総務庁といたしましては、公務員の労働時間の短縮、週休二日制を目指して着々努力中でございます。 まず第一に、本年四月から御承知のように交代制職員の週四十時間勤務制の試行を開始したところでございます。 さらにまた、昨日会議を開催いたしましたが、学識経験者に御参集をいただいて週休二日制あるいは週四十時間勤務のための条件整備のための懇談会をつくりまして、この中でも大いな努力を払っていきたい、こんなふうに考えているところでございます。 したがいまして、私どもはこの試行の実施状況、さらにはもう既に実行しております土曜閉庁の定着状態、あるいは民間におきますところの週休二日制の実現状況、さらにまた世論の動向等を見ながらこの労働時間の短縮の問題は鋭意進めてまいりたいと今努力中でございます。
○粟森喬君 先ほども申し上げましたように、世論の動向というか、全体のバランスじゃなく、やっぱり先行してやるということが結果的に社会の中でそういうものを定着させる先駆け的な役割を果たしますので、ぜひとも早期の実施についてお願いをしたいと求めます。 全く別の問題ですが、六十歳定年の問題について労働省からちょっと見解を聞きたいと思います。 今、六十歳定年の問題、これは努力義務でございますが、現状ほどうなっているか、これについてお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(塚原俊平君) 現状の数字について職安局長から答弁させます。
○政府委員(清水傳雄君) 六十歳定年の実施状況につきましてお答え申し上げます。 六十歳以上定年を採用している企業の割合は、平成元年度におきまして六一・九%でございます。これに、現実に採用はいたしておりませんけれども六十歳以上定年を予定している、あるいは決定している、近い将来そういうふうな方向にやっていきたい、こういう形でやっております企業を含めますと七九・三%、こうした状況になっておるところでございます。
○粟森喬君 六十歳以上の雇用問題に関する法案がこれから予定をされるというふうに聞いておるわけでございますが、大事なことなんですが、六十歳定年というのが定着をしていない段階でやること、それから実質それによって定年が切り下げられて六十五まで雇用するというか、いわゆる選択定年制と一般的に言われていますが、この制度でいわゆる六十歳定年という原点が変化する可能性がないか、このことについて懸念がございますので労働大臣の答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(塚原俊平君) 法案はあくまでも六十歳定年制をまずしっかり確立して六十五歳までの継続雇用をと、それで六十五歳までの雇用を確保したいという部分にあるんですが、今御指摘の部分は大分検討しているようですので、事務方の方からちょっと答弁させていただきます。
○政府委員(清水傳雄君) 現在提出をいたしております法案におきましては、六十歳定年に関します規定の上に、さらに六十歳代の雇用を同一企業においてできるだけ継続されるように、そういうことへ向けての規定を改正いたしまして提案をいたしておるわけでございます。 お尋ねは、そういうふうな六十歳定年についての現在の規定をそのままにしておいて、その上にさらにそういう形をオンするということは六十歳定年の部分が弱くなるんじゃないか、端的に言えばそういうふうな御質問であろうかと思うわけでございます。 〔委員長退席、理事伊江朝雄君着席〕 現在の六十歳定年の努力義務の規定は単なる努力義務ということになっておるわけではございません。それを実現すべく、これは法律上、定年の引ぎ上げについての要請、それから定年の引き上げ計画の作成命令、そうした現在考えます相当突っ込んだ形でのぎりぎりの行政措置を法律上講ずる、そういうふうなことを伴った規定でございまして、これは法律がこういう形でまいりましたのは、六十一年から施行いたしておりますが、現在それらの一連の行政措置についての企業に対する指導というふうなものを進めておる最中でございます。 具体的に申し上げますと、平成元年度末までにそうした形で定年延長の引き上げの要請を行いました企業というのは一万六千百七社に達しております。その約三分の二に相当する一万七百五十六社が六十歳定年を実施または実施を決定するに至っている、こういうふうな形で行政措置の効果というふうなものが私ども見まするに着実に進んできている、こういう状況でございまして、六十歳定年の定着を図るということは今回の法律改正の中におきましても極めて重要な部分でございます。そうしたものの目標というふうなものも十分に掲げながら全体として高齢者雇用を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。
○粟森喬君 あと二年で国際障害者年を迎えるわけでございますが、障害者雇用のことについて若干お尋ねしたいと思います。 労働省が過去この予算委員会でも雇用率が未達成のことについてはそれなりに見解を言っているわけでございますが、少なくともこの障害者年までにこの未達成企業の達成をどのような決意で、どういう手順でやろうとしているのか、労働省の見解を明確にしていただきたいと思います。
○国務大臣(塚原俊平君) 障害者の対策につきまして一・六%という数字があるわけでございますが、まだ一・三二%ということでございます。現実の問題として、雇用自体はふえているのでございますが、どうしても分母の方もふえてしまうものでございますからなかなか達成ができないという状況にございます。 そこで、事業主に対する指導をきちんとしなくちゃいけないということで、計画作成命令を発する基準の明確化等による制度の積極的な運用をする、あるいは労働省による直接指導も含めた多様な手段を使った計画的な雇い入れ指導の強化などの措置を講ずるというようなことをこれからさらにいたしてまいります。また、このような達成指導をしても正当な理由なく改善努力が行われない場合には、最終的には企業名を公表するなどの制度の的確な運用によりまして雇用制度の実効の確保をいたしてまいりたいというふうに考えております。
○粟森喬君 今公表のことが出たわけですが、この間、新聞報道でございますが、総務庁からこのことが出ていた。本来労働省でやるべきことについて、総務庁から労働省にそういう勧告といいますか、そういうようにしてもらいたいという要望が出た背景と総務庁の見解、それからそれに対する労働省の見解、二つをお聞かせ願いたいと思います。まず総務庁から。
○国務大臣(塚原俊平君) 総務庁からの勧告を持っていますので……。 今回総務庁から出されました改善意見は、企業に対する身体障害者の雇用促進指導の効果的実施を図る観点から行われまして、一つとして、身体障害者雇い入れ計画作成命令等の的確な実施をしろ、二つとして、雇い入れ指導強化及び公表制度の的確な運用をしろということが主な内容になっております。
○粟森喬君 労働省としてはそのとおりやるということですか。
○国務大臣(塚原俊平君) 当然労働省はやるべきことをきちんとやらせていきます。
○粟森喬君 それでは次に、物価問題についての質問を幾つかしたいと思います。 一つは、予算をつくるときにいわゆる物価上昇見込みを常に立てるわけでございますが、平成元年度の予測と結果、それから平成二年度の予測について経済企画庁長官から見解を示してください。
○国務大臣(相沢英之君) ちょっとお待ちください。
○理事(伊江朝雄君) 事務方。
○政府委員(田中努君) 突然のお尋ねでしたのでちょっともたつきましたが……
○粟森喬君 予告しておいたわけで、物価問題について尋ねると言ったら、そのぐらいは聞かれるのが当たり前じゃないですか。
○政府委員(田中努君) 平成元年度のまず卸売物価から申しますと三・五%、それから消費者物価につきましては二・七%の上昇、これが実績見込みでございます。 それから平成二年度につきましての見通しといたしましては、卸売物価指数につきましては〇・六%、それから消費者物価指数につきましては一・六%という見通しを持っております。
○粟森喬君 数字、合っているんですか。もらった資料とちょっと違うよ。間違いないですか。
○政府委員(田中努君) 間違いございません。
○粟森喬君 平成元年度の予測がたしか二・〇だったのが二・六になったというのは、どの数字に該当することを言っているんですか。
○政府委員(田中努君) 平成元年度の全国の消費者物価指数、これの上昇率は二・九%となったわけであります。したがいまして、先ほど申し上げました数字との対比で申し上げますと、二・七%と想定をいたしましたのが二・九%になったわけでございます。これは実績見込みの数字との対比で申し上げているわけでございます。
○粟森喬君 最近卸売物価が円安の傾向などによってかなり上がってきているという傾向がありますが、これを数字の上で示してください。
○国務大臣(相沢英之君) 総合卸売物価につきましては、元年度が三・五%という実績を示しております。平成二年に入りましてから、一月が三・七、それから二月が三・五、三月三・九、四月二・七、五月は、これはまだ上旬でありますけれども、二%という数字になっております。
○粟森喬君 卸売物価の上昇というのは常に消費者物価あるいはいろんなところにはね返ってくるわけでございますが、今後の物価の見通し、消費者物価とかさまざまな物価に対するはね返りについて経済企画庁はどんな分析と見通しを立てているのかお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(相沢英之君) 卸売物価につきましては先ほど数字を申し上げましたが、これにはかなり為替の動きが影響をしておるのでありまして、最近でこそ一ドル百五十円を割る為替相場になってまいりましたが、ひところ御案内のように百五十円台、百六十円に達するというような姿でございました。 〔理事伊江朝雄君退席、委員長着席〕 為替相場は一番敏感に卸売相場に響くのでございまして、先ほど申し上げましたような数字になっておりますが、大体為替相場が一〇%円安に振れますと卸売物価については約一%の影響があるということがモデル計算で出ているのでございます。したがいまして、そのほかの要因はありますけれども、為替がこのような状態でかなり円高に振れてまいりましたので、そういう為替要因によるところの卸売物価の上昇はこれは落ちつくというふうに思っております。 それからなお、消費者物価につきましては、無論この為替相場も影響いたしますが、その影響の度合いは卸売物価ほどではございません。一〇%円安に振れました場合に、消費者物価では大体〇・五%、また、その度年当初にそれが一〇%程度振れた場合の年内における影響はさらに小さく、〇・三ないし〇・二%という数字が出ておるのであります。したがいまして、為替の物価に対する影響は、そういうことで、これからの為替相場によりますけれども、かなりその点は落ちついてくるのではないかと思うのであります。 なお、最近における消費者物価の値上がりが割と高いというのは、生鮮食料品の値上げが大きく響いておりまして、生鮮食料品が一〇%程度前年に対して上昇しているということでありまして、それの要因を除いてみますと、それほど大きな上昇ということにはなっていないのであります。
○粟森喬君 これは将来に対する予測の問題でございますから若干見解が違うのではないかと思いますが、私どもは、今の傾向からいうとかなり物価が上がっていくのではないかということの強い懸念を持っています。したがって、物価対策に関する実行機関を何らかで設置しておかないと、上がってからあわててやるというのが過去の通例でございます。私どもはそういう意見を持っているということを申し上げまして、時間の関係もありますから次のところにいきます。 独占禁止法についてちょっとお尋ねをします。 独占禁止法が制定されたのはたしか昭和の早い時期でございましたが、その後何回か改正もしております。制定されたときの社会的要因というのは、むしろ独占体制を解体するということに一つ目的があったと思いますが、その都度の変更の社会的背景などについてどうなっているのか、その関連性について述べていただきたいと思います。
○政府委員(梅澤節男君) 簡潔に申し上げますが、独占禁止法ができましたのが昭和二十二年でございます。これは戦後の政治制度上の民主主義、経済制度上の民主主義、一連の改革の一環といたしまして、アメリカの反トラスト法を母法といたしまして導入されました。それから昭和二十八年になりまして、戦後の独占禁止法と当時の経済社会情勢との関連で若干の手直しが行われております。私どもの理解では、その後、この独占禁止法によりまして、我が国における独占なり経済力の過度集中というものが排除された結果、その他さまざまな要因がありますけれども、今日までの日本経済の発展の機動力の大きな条件の一つをなしてきたと考えております。 昭和五十二年になりまして、いわゆる安定成長期を迎えました。安定成長期に入りまして、いわゆる寡占による経済停滞というものを防ぐためにカルテルの課徴金の導入とかあるいは独占状態に対する規制、これはユニークな制度でございますが、こういう独占禁止法の強化の制度がとられました。その結果、五十二年から今日に至るまで経済の集中なり独占という弊害は出ておりません。これが日本の経済の活発な動きの一つの要因となっております。 ただ、もう一つの側面としては、経済の競争が非常に激しくなってまいりますと、企業はどちらかといえばそういった競争を回避する誘惑を断ちがたいわけでありますから、カルテルとか不公正な取引方法に走りやすい、これからのポイントはそういうところにあるだろうと思っております。
○粟森喬君 独禁法には消費者保護という立場が明確に書いてあるわけでございますが、これは過日の連合参議院の同僚議員の池田議員からも、立証過程の問題や審決の求め方について現状では非常に難しいと。今、日米構造協議の中で課徴金の強化などのことが出ていますが、消費者保護という立場から、この立証過程についてもう少し緩和をするといいますか、独禁法、公取の立場からそれをしやすくするという立場からの改正の考え方がないのかどうかお尋ねしたいと思います。
○政府委員(梅澤節男君) 今、政府の方針といたしまして、独占禁止法の改正が予定されておりますのはカルテルの課徴金でございます。これについては、カルテルに対する抑止力を強化することによって、先ほど申し上げましたように、より競争が公正、自由に行われるようにということでございます。 それから今委員が専らおっしゃいましたのは、消費者が独占禁止法違反事件によって損害をこうむった場合の損害賠償の問題だと思います。これは独占禁止法に無過失賠償責任という制度がございまして、かつ消費者の立証責任を負担軽減する制度が講じられておるわけであります。この制度自体を改正する必要は私どもはないと考えております。 問題は、現在の制度をより消費者にとって軽い負担で、迅速に損害が救済されるというのが制度の本旨でございますから、この制度の本旨に沿いまして、裁判が行われました場合にその消費者が受けたであろう損害額に対する公正取引委員会の意見、これを具体的に的確に提出することによって司法の判断に反映させる、こういった方向が一番現実的であろうということで今検討をしているところでございます。
○粟森喬君 きょうはその程度にとどめておきますが、いずれにしても消費者保護という立場では、現状の手続の改廃だけでは一定の限界があるように思います。改めてそのことはお聞きをするということで、きょうはそこでとめておきます。 入管法の改正について今から質問をしたいと思います。 過日、質問の最後に、オーバーステイといいますか、六月一日から新しい入管法が施行されるわけですが、新聞報道でも、毎日入管局へ人が来て、これは明らかに入管法に関する外国人に対する連絡といいますか、周知徹底の仕方に間違いがあったと思うんですが、そのことについて法務省の見解をお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(長谷川信君) お答え申し上げます。 今委員御案内のとおりに、外国から不法に入っている方が十万から十二、三万くらいいると称せられております。そしてまた……
○粟森喬君 不法に入っているんじゃないんだ、合法的に入っているけれども不法に仕事をしているわけでしょう。
○国務大臣(長谷川信君) それは、まあいろいろ言い方はございますが……。 それと、要するに技能を持って正式に入っている方が七万から七万三千くらい、これは日本から見ますと十七、八万くらいになるので大変な数字ではございますが、ヨーロッパ先進国から見ると必ずしも比率は多い方ではございません。 そういう中で、今この問題の対応を迫られておるわけでございますが、これは不法である以上、やっぱり滞在というのは合法的に滞在するのが普通で、不法というのはよくないことでありますのでお帰りをいただくということでございますが、ただ、今委員から御指摘がございましたように、何といいますか、不法ではあるが、しかしかなり今、七件に一件労働者不足で倒産が出ているんですよ。去年の四月同期よりも倒産がかなりふえてしまっている。そういうものをいろいろ勘案しますとなかなか判断が難しいのでございますが、しかし建前としては、これはやはり不法である以上お帰りいただくということで、そういうことでパンフレットを書いたり何だかんだいろいろ書いてやっているわけでございます。今御指摘の点については必ずしもその成果が上がっているとは私も思っておりません。 ただ、そういうことで帰っていただいて、そして将来はいろいろ多角的に考えて、合法的な入国者はふやしていこう。それで日本に来て働く人もいい、日本にとっても助かる、そういう需給関係というものを確立しなければ、この入管問題の基本的な解決はできないということでございます。 今おしかりをいただいた御指摘の点については、これは私も十分わかりますので、パンフレットだとか何だかんだいろいろございますが、そういう点については、日本の評判が余り悪くならないように十分配慮をこれはもうどうしてもやるつもりであります。
○粟森喬君 特にオーバーステイの問題について、いずれにしても六月一日施行だというのでこれからまた混乱の絶頂期を迎えると思うんです。したがって、建前は建前としてあっても、やはりオーバーステイであってもその本人の動向を含めて、一定の猶予期間が現実には存在するというふうに理解をしてよろしいのかどうか。
○政府委員(股野景親君) 不法滞在の外国人の人々についての取り扱いの御質問でございますが、現在の法律のもとでも、また改正入管法のもとでも、いずれもこれは違法行為でございます。 そこで、当然これは退去強制手続の対象になるわけでございまして、当局としては、この事態が判明するにおいて速やかに退去強制手続をとっているというのが現在までの状況であり、今後もさような手続をとるということになります。したがって、猶予期間というものは設けておりません。
○粟森喬君 これは労働省にお尋ねしたいと思うんですが、いずれにしても今人手不足という現象があって、外国人労働者で、このように新入管法で実施されれば、倒産をするとか店をしまわなきゃならぬというケースが出てくるわけです。今の建前だけで果たしていいのかどうかということでして、労働省の見解を求めたいと思います。
○国務大臣(塚原俊平君) 労働省といたしましては、再三御答弁申し上げておりますが、労働力のミスマッチというものがかなり見られる、あるいは将来に対する展望も非常に微妙なものがある。加えて、昭和四十年代に外国人労働者を入れるべしという強い御意見がございましたが、その結果、昭和五十年の初頭にはレイオフもしなければいけないような状況になった。また、本院の社会労働委員会でも御指摘されましたが、体の不自由な方々の職場がかなり侵されている部分がある等の問題もございますものでございますから、今までと同じスタンスで現在おります。
○粟森喬君 ちょっと時間がございませんので、きょうはこの辺にしておきます。 ただ、もう一度申し上げますが、今、入管局長は相当厳しく、これは不法滞在だから直ちに帰ってもらうと言いますが、やはり国際問題になるというか、現実に経済格差があったり労働力需給関係が存在する中で、法の一方的な強行ということについて私どもは反対でございます。ですから、そういう立場も考えて、一定の、猶予期間というと言葉の表現も含めていろいろあるんでしょうが、そこは一定の配慮をお願いしたいという立場で申し上げます。 それでは次に、厚生福祉関係について若干お尋ねをしたいというふうに思います。 一つは、今回、先週ですかアメリカで障害者保障法が制定をされたわけですが、このことに対して日本政府といいますか、厚生省の見解をまずお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 委員仰せのとおり、ADA法、米国障害者法が下院で可決されたということでございます。なお、これが法律として成立するには若干まだ上下院両方の調整等があるということは御承知のとおりでございます。 この法律が成立し、アメリカにおいて雇用やアクセスの確保を通じ障害者の社会参加が促進されることは、我々から見ても喜ばしいことだと思っております。我が国でも障害者の完全参加と平等、いわゆるノーマリゼーションということで施策を進めておりますので、負けないように努力しなければならないと思っております。
○粟森喬君 今度、老人福祉法の改正によって在宅福祉という制度をかなり今後広げていこうということで考えられているわけですが、在宅福祉というのは年齢による障害が起きた高齢者だけではなく、すべての障害者にそういう在宅福祉を広げていくという考え方について、それは基本線として貫かれるのかどうか、改めてお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 私もいわゆるゴールドプランについていろいろPRの努力をいたしております中で、実は委員の御指摘のとおり、これは在宅の障害者福祉にそのまま使えるシステムでございますから、その点についてのPRが欠けていたなと若干反省をしておるところでございます。いわゆるノーマリゼーションを進めていくためにはやはりそれぞれの地域社会で障害者の方も積極的に参加していただけるように、それからまた在宅の方でいろいろな在宅福祉サービスのニーズがある場合には的確に対応する、それから在宅と施設福祉サービスの両方が組み合わされて統一がとれた実施ができるというようなねらいのもとに、実はこれから御審議をいただきます法律改正によりまして、市町村段階でこれを統一的にやっていただくという方向を今御検討をお願いしておるところでございます。
○粟森喬君 その上で高齢者保健福祉十カ年戦略の内容を見たときに、ちょっと質問をしたいと思います。 そうなりますと、地域社会で全体的に在宅福祉を受け入れるというのは、地域社会でそういうことを認知していくというか、に同調していくコンセンサスが非常に大事だと思うのです。それから、建造物、道路、橋、階段、スーパーなども含めまして、いわゆる寝たきり老人ゼロにするというのですから、車いすに乗るケースもあるだろうし、普通の視聴覚障害者が歩いても点字ブロックをつくるとかそういうことが必要なのですが、今度の予算編成に当たりまして当然この部分だけコストが上がるはずでございますが、建設省のその種のところの予算編成に当たってそういうことが配慮されているのかどうか、そこについてお尋ねしたいと思います。
○政府委員(福本英三君) 建設省といたしましては、高齢者や障害者が安全で快適な生活を営めるような住宅の確保や町づくりを進めることが非常に大事な問題だと思っておるわけでございます。そのような観点から住宅対策あるいは道路整備、官公庁施設の整備等についていろんな施策を講じてきているところでございます。 具体的に申し上げますと、住宅につきましては高齢者や障害者に配慮した設計の公共住宅でございますとか、あるいは生活支援サービスを備えた高齢者向けの住宅とか、あるいはまた金融公庫におきまして老人同居住宅に対する割り増し貸し付けというようなものを行っておるところでございます。あるいはまた先生からもお話がありましたが、道路整備に際して歩道の段差の切り下げでございますとか、あるいは視覚障害者誘導用のブロックの設置といったようなことも行っておりますし、官公庁施設のスロープの設置といったようなことも行っているわけでございます。 これらは既定の予算の範囲内でいろいろ工夫を凝らしながらできる問題でございますので、今後もいろいろ工夫を凝らしながらこれらの施策を積極的に推進してまいりたいと思っておるところでございます。
○粟森喬君 今答弁されたことはこれまでやっていることでございまして、新しく在宅福祉政策になったから変えようという視点はないはずでございます。 建設大臣、この種のことについて今あるものをどう直していくかということを含めて、従来までの施策以上のものをつくることについて建設省としての見解をお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(綿貫民輔君) お答えします。 福祉政策に沿ったいろいろの公共施設の整備をしろということでございますが、また、いろいろきめ細かい問題がたくさんあるわけでございまして、今やっておりますことについて先ほど総務審議官から御説明申し上げましたが、今後、さらにきめ細かくいろんな問題を分析しながら、ただいまの福祉政策に沿うような方向にもっと努力していかなければならぬと思っております。
○粟森喬君 私、十カ年戦略の具体的な財政措置を見たときに、この種のことが完全に欠如しているといいますか、特定の市町村に特定のことをやるだけでは問題が解決しないと思います。 そういう意味で、大蔵大臣、今後の予算編成に当たりまして、在宅福祉を前提にしたときの財政計画、財政の考え方、そこをお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 多少過去にさかのぼりますが、今委員が御指摘になりましたような発想、ちょうど厚生省が昭和四十八年から五十年にかけまして身体障害者福祉都市モデル事業というものを実施いたしました。定額補助でそれぞれの自治体においてそれぞれの自治体の障害を持つ方々のニーズに一番ふさわしいものを採用し行うという事業であります。 ちょうど私が厚生大臣になりましたとき、昭和五十四年から六十年にかけましてこの構想をもう一つ広げまして、身体障害者と限定をせず、障害者福祉都市推進事業という形で、十万人以上の都市及び広域福祉圏を含めて同種の事業を定額補助で実施いたしました。そしてその上に立ちまして、昭和六十一年から元年まで同じくやはり厚生省の事業として障害者の住みよい町づくりというものが行われてまいりまして、それを今回、高齢者保健福祉推進十カ年戦略の中で住みよい福祉の町づくりという形に切りかえてきたわけであります。 今委員が御指摘になりましたような発想で今までいろいろな事業を繰り返してまいりましたけれども、率直に申しまして、それぞれの自治体における問題の把握に差異がありますために非常に効果を出した地域、余り効果のなかった地域、率直に言ってございました。 一つの例を挙げますと、例えば所沢市がこの障害者福祉都市の事業を利用しながら西武鉄道と相談をされ、所沢駅にリフトを装着することによって障害者が駅構内における移動を自由に行えるようにする。そのかわり、この障害者福祉都市構想の定額補助をもちまして駅周辺の舗道の整備その他を行う、非常に効率的に生きたケースもございます。 私は恐らく今後ともに厚生省がこうした構想を推進していかれるでありましょうし、財政当局としても御相談をしながらタイアップをしてまいりますが、基本的にはその公共事業を実施されるそれぞれの地域がそれぞれの地域の障害者のニーズをどこまで把握しておられるかによって非常に効果のある場合、またほかの町が同じようなことをしているから私のところでもといった発想でおやりになると余り効果を上げないという事実が過去にもあったことを申し添えまして、要求がありましたら、十分相談をしていきたいと思っております。
○粟森喬君 在宅福祉を前提にするというときに一つの大きな問題は保育所と学校の問題がございます。 過去のことで申し上げますと、障害児を保育所へ入れるとか地域の学校へ入れることに大きな壁があったわけでございますが、現状とこれからの考え方について厚生省と文部省にお尋ねをします。
○国務大臣(津島雄二君) ただいまの御質問にお答えいたします前に、わざわざ大蔵大臣から大変行き届いた御答弁をいただいたのでありますが、十カ年戦略の中で何も顔が出ていないではないかという御質問に対して、大蔵大臣が言われましたように、住みよい福祉の町づくり事業がしっかりと組み込まれてございまして、これも実施箇所も八十市町村にふやし、それから人口も今まで五万以上の都市であったのを今度から三万以上の都市にするとか積極的に展開をしていくということをつけ加えさせていただきたいと思います。 さて、障害児を地域の保育所で受け入れるべきではないか、まさにそのとおりでございまして、これはノーマリゼーションの第一歩だと思っております。そういうことで、厚生省といたしましても、保育所に通所でき集団保育が可能な方々については積極的にこれを保育所において受け入れるように都道府県に指導をいたしております。そしてまた、委員御承知と思いますが、障害児の方四人につき保母さん一人が配置できる経費を加算したものを補助金制度の中に組み込んでおるところでございます。
○粟森喬君 今の部分は重度の障害者も含めてですか。重度の障害者の場合には四人に一人では不可能だと思うんですが。
○国務大臣(津島雄二君) そこが確かに問題点でございまして、重度の障害者の方の場合には今の集団保育ができるかどうかというところで実は私は担当者の間に迷いがあるんだと思っております。それは率直に申し上げます。そういう問題がございまして、そこのところはそうなっていないということでございます。
○粟森喬君 これは、親の選択権もあるわけですが、重度の障害者でも地域の保育所に入れてほしいという要望があったときにできるだけそれに沿うようにしてもらいたい。したがって、それが在宅福祉といいますか、福祉も存在する町づくりだと思いますので、そこはこれからの問題としてぜひとも実現をしてほしいと思います。よろしいですか。
○政府委員(古川貞二郎君) お答えいたします。 障害児保育につきましては、ただいま大臣が答弁されましたとおり、厚生省としてもこれを非常に力を入れてやっておるわけでございます。昭和四十九年に始めまして、最近はこれを特に特別保育対策ということで力を入れているわけでございますが、ただ保育所ということで今現在加算の対象となっておられる方々は、今大臣からお話がございましたように、その保育所で集団的な保育ができると。したがいまして、障害児の中である程度、中程度の障害の方々と、こういうことでございます。軽度の方々は、当然一般の健常者と同じように保育所の中でやっておられると。 ところで、先生の御指摘の特に重い人たちをどうするか、こういうことでございますが、大臣からもお話がございましたように、そういう方々については保育所で健常の方々と一緒に保育をやることが本当に子供の幸せかどうか、これは肢体不自由児施設とかいろいろな盲児施設等々がございまして、そういった専門施設で対応した方がいいのか、あるいは保育所の中で一般の健常の方々と一緒に保育した方がいいのか、その辺の問題があろうかと思うわけでございます。したがいまして、いわゆる身体障害児の専門施設とそれから一般の保育所というような問題についての検討が必要であろう、こういうふうに考えております。
○粟森喬君 重度の場合でも、ある程度親の希望を受け入れることがあり得るというふうに理解していいのかどうか。
○国務大臣(津島雄二君) 重度の方の場合も、保育所における保育が可能な場合には積極的に対応するように指導いたします。
○国務大臣(保利耕輔君) 保育所については所管をいたしておりませんので、保育所の問題といいますよりは教育一般ということでお答えをさせていただきたいと思います。 今先生お尋ねのように、ノーマリゼーションの観点からいろいろお話をいただいたわけでございますが、障害の種類と程度というのをやはり考えなければいけない。そして、最も効果的な教育措置というのがどういうものであるかというのをやはり考えなければいけないということで、現状では盲学校、聾学校、それから養護学校というのを設けて特別な措置で教育をしておりますが、ただ、ノーマリゼーションということを考えますと、やはり正常な、正常なと申しますか、障害を持たない子供との交流というのが非常に大事だという観点から、そうした教育交流あるいは社会との交流というのに努めるように私どもとしては努力をして、そして障害児の皆様方が社会性を持つようなそういう教育方法をとるように努力をいたしております。
○粟森喬君 今の答弁ですと、これまでの考えと変わらないということになります。 それで、ことしが在宅福祉を積極的に進めょうという元年だとすれば何らかの格好で変えるべきだし、文部省としてもいわゆる義務教育の過程で親の意見を取り入れて、その部分について一定程度従来の基準を緩和すべきだと思いますが、見解をもう一度お尋ねします。
○国務大臣(保利耕輔君) 先生御指摘の点は大切な点だと思いますが、やはり教育行政を預かります文部省といたしましては、どうすれば一番効果的なあるいは適切な教育措置がとられるかという観点を大事にしたい。それで御承知のように、小学生では大体五十万円ぐらいの年間の経費をかけておりますが、障害児につきましては五百万円以上の経費をかけるというような形で適切なことをしております。しかし、先生御指摘の点については非常に大事な点ですから、十分に研究をさせていただきたいと存じます。
○粟森喬君 いずれにしても非常に大事なことなのは、交流ということじゃなく、現実に日々学校に通うことが社会を変えることになるわけでございます。在宅福祉というものを徹底するときに、教育の場でそれが実現をしないとかなり難しいと思いますので、改めてそのことについて検討をしていつごろまでに改善をした内容について明らかにするのか、答弁をお願いしたいと思います。
○政府委員(菱村幸彦君) ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、心身の障害の程度に応じましていろいろ教育を一番いい方法で行うようにしているわけでございます。したがいまして、現在特殊教育諸学校に就学しております子供は〇・三七%でございまして、率からいえば大変低い。その子供たちに対してはいろいろ学級編制も教師の配置等も厚くしまして、子供に合った本当にいい教育をやろうということでやっているわけでございます。 したがいまして、障害の程度によりましてその教育を私たちは考えておりますので、ノーマリゼーションということはもちろん大切でございますけれども、特殊教育諸学校における教育というものは私どもも今後とも充実をしてまいりたいと、このように考えております。
○粟森喬君 特殊学級では問題が解決をしないと、地域の学校で受け入れる条件をつくるべきだというふうに言っておるんです。そこに幾ら金をかけたって、いわゆる在宅福祉といいますか、地域社会の中で福祉の町づくりをすることと今の教育行政は逆行しているのではないかという立場で意見を申し上げています。改めて答弁をお願いします。
○国務大臣(保利耕輔君) 貴重な御意見ですから研究をさせていただきますと先ほど申し上げました。 いつまでにどうするということになりますと、今ちょっとお答えができませんけれども、十分に検討させていただきたいと存じます。
○粟森喬君 また改めて聞く機会もあると思いますから、きょうはこの程度にしておきます。 最後に、無認可の授産所とか作業所とか生活センターのことについてお尋ねします。措置費というのは福祉法人、これは一種、二種ございます。ですから、五人まででしたら何とかそれを措置していただく条件がございます。ところが私見も若干交えて言うならば、いわゆるこの種の施設はできるだけ小さな単位でつくる方がその地域社会に一定の自然な条件を生み出すと思うのであります。そのうちの二人以上の無認可に対して、国としては今後の措置基準について見直す考え方があるのかないのか、意見をお尋ねします。
○国務大臣(津島雄二君) いわゆる小規模授産施設でございますが、実際相当たくさんできておりますのは、委員の御指摘のようなやっぱり現実のニーズがあるんだろうと思います。その一方、私ども障害者の方の授産施設を担当する立場から申しますと、まず一定のしっかりした水準を維持して差し上げなきゃならない、それから責任者も本当に責任を持ってそういう方々を温かく抱える方でありませんとぐあいが悪い、そういう立場から申しますとやっぱり一定の水準を保つという私どもの行政上の要請もあるわけでございます。 そこで、今やっておりますことは、五人以上の授産施設であっても、何というか本来の授産施設の分場として認めて認知をしていこうというやり方をとっておるわけでありますけれども、しかし、全体の数の中でその中に認知をされているものは必ずしも多いとは言えないわけでございます。現状はそういうことであります。
○粟森喬君 施設をしっかりするだけじゃなく、指導員をちゃんとしっかり確保するときは措置費をちゃんとしていただくということが非常に大事でございます。それで、五人以下でもいわゆるやり方、運営などがしっかりしていれば何らかの格好で措置費を認める方向を、今回の、在宅福祉制度の元年といわれることしですね、ことしの予算では既にもう確定をしていますから、今後の問題としてこれを検討していただきたいと思いますが、厚生大臣の答弁を再度お願いします。
○政府委員(長尾立子君) 私からお答えをさせていただきます。 先生御承知のように、措置費の体系の中で、今おっしゃいましたような資格のちゃんとした、責任を持ってお仕事をしていただけるような方を確保していくということはどうしても必要な要請だと思っております。そうなりますと、そういった方々についての人件費というものを考慮いたしますと、これはやはり公費で実施をいたします事業でございますので、ある程度の効率性と申しますか、そういうものが必要なのではないかということを考えております。 今回、分場方式という形でいわば施設の規模を小さくするということを考えたわけでございますが、その意味では現在は五人ということに一応の線をつくらせていただいたと、こういうことでございます。
○粟森喬君 時間がありませんのであれでございますが、五人はよくて四人はだめだというのはやっぱり問題があると思うので、これは今後の検討課題として残しておきたい、ぜひとも厚生省の方で考えてほしい、こういうことを申し上げまして、終わります。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で粟森喬君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、寺崎昭久君の一般質疑を行います。寺崎君。
○寺崎昭久君 民社党・スポーツ・国民連合の寺崎でございます。きょうは土地問題、住宅問題を中心に質問をさせていただきます。 今国会の冒頭、海部総理は施政方針演説の中で、国民の間に豊かさが乏しいのは往生活の貧困が大きな要因である、地価の高騰は社会的公正を揺るがせ国民の住宅確保の夢を奪っていると、そういう認識を示されました。私もまさにそのとおりだと思います。とりわけ大都市における地価の異常な高騰というのは、単にサラリーマンからマイホームの夢を奪ったというだけではなく、個人の努力の差とは関係のないところで資産格差を広げた、そういうことから政治に対する不信感を大変増大させたと思っております。問題というのはそれだけではなくて、地価高騰によって勤労の相対的な価値が低下したし、それによって勤労意欲もなえさせていると思います。 それから大事なことは、憲法二十二条では居住、移転、職業の選択の自由がうたわれているわけでありますけれども、この地価高騰によって事実上それが奪われているということも大事な問題だと思います。また、土地転がしで得たお金がジャパンマネーとして世界じゅうを駆け回って脅威を与えているということもゆゆしさ問題だと思います。既に経済活動にもいろんな影響が出始めているのが昨今でございます。こう考えるときに、住宅土地問題というのは九〇年代の最大の課題であろう、一刻も猶予できない問題であろうと思っております。 こうした中で海部総理が、東京通勤圏において勤労者が良質な住宅を確保できるよう、この十年間に百万戸を目標にした新たな住宅供給を行うという約束を施政方針演説の中で行われました。大変期待しているのでありますけれども、これまでの経緯を踏まえて申し上げると、本当にやれるんだろうかという危惧の念はぬぐえないわけであります。 そこで、この問題を中心にまず質問をいたしますが、建設大臣から、この十年間百万戸計画というのはどういう仕組みだとか考え方、機構でやろうとしているのか、まずその点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(綿貫民輔君) 今御指摘のように、総理も施政方針演説の中で申し述べられましたが、百万戸住宅建設計画につきましては、まず宅地というものを十分に確保しなければならないということから、ただいまこの国会に私どもは大都市法の改正あるいは建築基準法、都市計画法の改正案等を出させていただいておりまして、これに、今税制調査会でいろいろと土地税制について御協議いただいておりますが、その税制を上乗せしてまいるとそれによりまして宅地というものがある程度確保され、それらのこととあるいは都市計画等々を踏まえて、その上に住宅を建設して供給していきたいということを考えておるわけでございます。
○寺崎昭久君 ただいま法改正や税制改正の件について触れられましたが、これは後ほどまた改めてお伺いするとして、百万戸計画というのはどの程度の住宅を供給されようとしているのか、中高層賃貸マンションなのか一戸建てなのか、あるいは国がつくろうとしているのか民間活力を利用されようとしているのか、その辺についてお伺いしたいと思います。建設大臣。
○政府委員(伊藤茂史君) 今大臣が申し上げましたように、大都市法をお願いしてございます。大都市法の体系というのは、都府県の境界を越えまして関係の都府県と相談をしながら国が全体の住宅、住宅地の供給方針というものをつくりまして、それに基づいて都府県が供給計画をつくるということでございまして、具体的なプロジェクトの実施については、その都府県計画に基づいて、国、公共団体、それぞれ関係の供給主体が責務を負う、こういうことになります。別途住宅建設五カ年計画、これがございますが、平成三年度から新しい五カ年計画をつくるわけでございますけれども、その中で、国全体の計画、それから地方計画、都府県計画という体系の中で、これまた公的資金住宅につきましてきちっとした計画をつくり予算上の措置を毎年いただく、こういう仕組みになっているわけでございます。 今先生お尋ねのそういう仕組みの中で、例えば東京圏について公共と民間とどういうふうな役割分担になっていくのかというお話でございますが、そういう計画の中で申し上げますと、東京圏につきましては十年間で約二百万ぐらいの新規立地上の住宅供給をやることになります。その中で、子供が大きくなる過程で、夫婦と子供一人ないし二人ということでございますが、そういう世帯が一番都市の住宅問題としては大きゅうございますが、その方々に借家から持ち家へスムーズに住みかえていただく、あるいは借家でもより広い借家に住んでいただくというところが一番大きいものでございますので、そこら辺の需要を押さえますと、大体二百万戸のうち百万戸ぐらいが最も大事な住宅供給になるだろう、こういうふうに私ども考えて百万戸という数字をはじき出しているわけでございます。 したがいまして、この百万戸は全体供給する中の一部分でございまして、全体供給については今申しました大都市法と住宅建設五カ年計画の中でできるだけ大都市圏の中で良質な住宅を大量供給をして、中長期的に住宅価格を安定させるということが大目的でございます。その中で、今申しましたような世帯に対して百万戸を何とか確保しようということでございます。 したがいまして、今現在いろんな施策を持っておりますが、その施策内容を充実しながら、公的主体はもちろん努力をいたしますし、民間主体による良質な賃貸住宅に対する低利融資であるとか減税であるとかそういうものもやっていきたい、あるいはそういう優良プロジェクトに対しましては容積率の割り増しあるいは補助金、公的資金の融資等を十分にやって価格のコントロールをしながら、今申しましたような問題の世帯が住宅を持てるようにということで考えております。 それから戸建てか中高層かというお話でございますが、事柄の性格上実際的にそういう百万戸というのは今申しましたような方々の住宅を考えておりますので、一般勤労世帯となりますと共同建てがウエートが高まるということは十分考えられることでございまして、私どもも共同建ての方向で考えておるところでございます。
○寺崎昭久君 二百万戸をつくっていただける、そういう計画のもとに進めるというのは大変結構なことだと思うんですが、物はできても入れないというのではつくったことにはならない、供給したことにはならないと思います。大事なことは、幾らでそういう住宅とかそういう分譲住宅を提供できるのか、そこが肝心なところだと思いますのでお聞きします。建設省、お願いします。
○政府委員(伊藤茂史君) 先ほど申し上げましたように、今回の住宅供給はまず大量供給ということをやりまして住宅価格の適正化、安定化を全体として図っていく、その中で一般勤労者が取得をしたりあるいは賃貸として入居できるような住宅をできるだけたくさん確保していく、こういう政策をとろうとしておるわけでございますが、その際に私どもが目安としておりますのは、住宅宅地審議会で限度負担率という考え方がございまして、収入に対しましてこれ以上の住居費の負担はなかなか困難であろうという限度を決めております。いろんな細かな数字があるわけでございますけれども、簡単に申し上げますと、持ち家につきましては中堅所得層で住宅ローンの返済、元利償還の額が所得の二五%以内になるように、あるいは賃貸住宅につきましては家賃が二〇%から二一%程度になるようにというようなことがございます。 そういうことをもとにいたしまして、京浜大都市圏、東京圏の場合の勤労者世帯の平均所得等々から今の限度率、それから政策融資によります低利融資もございますし減税もありますし、そういういろんな国からの助成措置を勘案いたしまして概算しますと、大体住宅価格にしますと四千万、それから賃貸住宅にしますと十三万ないし十四万というところが目安でございます。これは平均所得で限度で計算しておりますので、実際はそれ以上の所得の方もありますしそれ以下の住宅価格もありますし家賃もあるというそういう分布状態になりますが、大体の目安はそういうところで考えておるところでございます。
○寺崎昭久君 一戸建て四千万円を目安というお話でございますけれども、改めて私が指摘するまでもなく、既に一戸建て住宅というのは五千数百万円というのが実態であるわけです。もちろんどこに建てるか、距離の問題もあるとは思いますが、例えば都市開発協会が平成元年に調査した資料によりますと、東京圏の標準的中高層住宅の価格というのは五千七百万円、平均サラリーマン年収の八・九倍と報じられております。それから、建設省が発表された平成二年度の資料によりましても、これでは中高層マンションが五千四百万円となっておりまして、年収を七百三十万円に計算しておるんですが、既に七・四倍という数字になっております。 普通のサラリーマンにとって住宅に幾ら出せるか、負担限度率というんでしょうか、これはもうおのずから限度があると思いますし、私は年収の五倍ぐらいがせいぜいではないだろうか。としますと、現状で三千万円とか三千五百万円ぐらいが買える限度ではないんでしょうか。そうしますと、せっかく二百万戸あるいは百万戸の計画を進められても、かなりの部分の人は入れないという状況になるわけであります。既に五千数百万円になっている住宅の価格をどうやって四千万円まで引き下げることができるのか、これが第一点。それから、よしんば四千万円としても、現状のサラリーマンの負担限度とはかなり差があるわけであります。これを具体的にどうやったら詰められるのか、建設大臣にお考えを聞きたいと思います。
○政府委員(伊藤茂史君) お答えします。 今委員御指摘の都市開発協会が出しました首都圏の平均価格五千数百万円のものを四千万円に下げ得るかというお話でございますが、私ども先ほど申しましたのは平均的な勤労者が取得し得る限度ということで四千万円をめどとすると申し上げたわけでございまして、首都圏で供給する住宅の平均値五千数百万円を四千万円に下げるとは申し上げておりません。したがいまして、新規供給の二百万あるいは四全総で申しております十カ年で三百八十万、四百万近いような住宅の平均値がどうなるかということは私ども推計をしておりませんのでわかりません。ただ、百万戸相当のところは目安として四千万ということを考えているということでございます。 それでは、四千万という住宅がどういうところに立地しているか、そういう立地条件はないではないかというお話でございますが、今現在七十平米のマンションで四千万円というのがどういうところにあるかということでございますが、東京圏で申し上げますと東から北側に向けて二十キロ圏の若干外側のあたりがちょうど四千万円の価格のマンションが供給されておる地域でございます。ほぼこの地域は東京駅から通勤一時間圏の範囲内に入っております。これが南でありますとか西に参りますと、四十キロ圏の外になりましたり中になったりいたします。したがいまして、私どもは、今申しましたのは現実の市場価格でございますから、今後の大量供給によって、この今申しました線をできるだけ近い地域に引き寄せていくということと同時に、今申しました地域を中心にできるだけ大量の供給をしていきたい、こういうふうに考えたいと存じております。
○寺崎昭久君 私が入手しました都市開発協会の資料によりますと、東京圏では四十キロ、五十キロ圏内で専用面積が七十五平米の中高層住宅を入手するとすれば四千四百七十七万五千円という数字が出ているわけであります。少し今の数字と差がありますし、今二十キロ圏とおっしゃったんでしょうか、とても信じられないんですが、もう一度答弁をお願いします。
○政府委員(伊藤茂史君) 今申しました数字は確かに出所は違っておりますが、ただキロ単位で申します場合には東側も北側も西側も、要するに非常に住宅価格が違うところを三十キロから四十キロですと同じふうにとらえて、安いマンションも高いマンションも一緒にして平均をしていくということをやりますので、都市開発協会のやり方はそういうやり方の平均値だと思います。したがいまして、私が申しましたのは七十平米で四千万円の住宅が南とか西とかに参りますと四十キロ圏の外ないしは中と申し上げましたので、主力は四十キロ圏帯のところにそういうものがいっぱいあるということでございますので、多分四十キロ圏から五十キロ圏のところは全体を平均すると、資料のもとはちょっと違うと思いますけれどもそれに近い数字、四千万円前後になるというふうに思います。
○寺崎昭久君 湘南では多分四十キロ圏で一時間で来られると思いますが、今局長が申された方角で言いますと四十キロを超えたらまず一時間では都心に入ることは難しいのじゃないかと思います。 具体的に言いますと、私は千葉県の柏というところから国会へ来ております。距離にして三十二、三キロだと思いますけれども、うちを出てから議員会館に着くのに一時間半は優にかかります。どうして四十キロが一時間という数字が出るのかどうも納得できないのですが、もう少し説明してほしい。
○政府委員(伊藤茂史君) 私が今持っております資料ですと、湘南方向で言いますと戸塚、大船あたりが、大船になりますと四十キロを超しますけれども、そこら辺が一時間圏でございます。それから柏の方向でございますと松戸、北柏のちょっと手前あたりぐらいまでが一時間圏でございます。
○寺崎昭久君 電車に乗っている時間は確かにそうでしょうけれども、通勤というのはそういうものじゃないと思うんです。うちを出て目的地へ着くまで幾らかかるかというのが大事なことだと思うんです。そういうことを抜きにして、戸塚だったら一時間圏内だとか、松戸だったら一時間圏内だと。じゃ、そこへ四千万のうちが建てられるんですか。少し場所と時間と切り離して物を言い過ぎるんじゃないかと思うんですが、もう一回答弁をお願いします。
○政府委員(伊藤茂史君) 家を出ましてから勤務場所までそれぞれ個々の者がどのくらいかかるかということを方面別に見たものはどこにもないと思います。したがいまして、一般的には公共的な交通機関、特に鉄道を使ってどのくらいかかるかということで東京駅からどのくらいというふうに言われるのが普通だと思いますので、私ども今申しましたのはそういうことで調べたものを申し上げたわけでございます。 戸塚方向で申し上げますと、私どもが調べたところでは四千万のマンションのところは、戸塚の先でございますが、大船の近辺から小田急江ノ島線沿いにずっと北上している線でございます。
○寺崎昭久君 ほかの質問もございますのでこればかりやっておるわけにいきませんが、ぜひ総理が約束された百万戸計画、また一時間で四千万円という住宅を必ず実現させていただきたい。強く要望しておきたいと思います。 それから次に、総合的な住宅対策を進めるに当たっての行政機構のあり方、そういう観点から質問をさせていただきます。 土地問題については過去何度も地価の高騰だとか乱開発が生じましたし、そのたびに土地取引であるとか金融であるとかあるいは都市計画だとか、いろんな対策が講じられてきたわけでありますけれども、結果から見ればそれが有効に働いてきた、機能してきたとは言えないのではないかと思っております。今回の土地問題についてもその原因はいろいろと分析されておりますし、各方面からも問題指摘はたくさんされていると思います。しかしながら、結果としてサラリーマンはもう首都圏でうちは持てないという状態になっていることは間違いないと思いますし、そのことは行政の責任であろうと思っております。今回こういう問題を招いたのは土地問題に対する考え方がおかしかったから生じたのか、あるいは行政機構がうまく機能しなかったからこういうことになってしまったのか、この点について国土庁長官それから建設大臣に御見解を賜りたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 寺崎先生にお答えします。 先生の御指摘のとおり、すべてが実はかみ合っておると思います。ただ例えば土地神話、これが生きておったということでございまして、だからこれまで土地を持てば必ずよくなるということもあったと思います。それから行政的におきましても必ずしも有効的に作動しなかったというような点があると思いますが、今度は国土庁が中心になりまして、実は二つの点で今までと違っていると思います。 その一つは、土地基本法を制定した、少なくとも公共福祉優先の原則を打ち立てたということでございます。それからもう一つは先ほど先生から御指摘があったようなことでございまして、海部内閣の最重要課題ということでございまして、内閣全体が取り組む、その調整を私がやらせていただくということでございます。そんなことでございまして、昨年暮れに土地対策関係閣僚会議を開きまして土地対策の十項目を決めました。それを含めてこれから取り組むというのが今までと違っていると思います。 そんなことでございまして、もう先生が御高承のとおりでございますが、大都市地域の宅地供給とかあるいは税制の見直し、税制につきましても一口に言いますと資産の有利性を減殺する税制をつくる、それからもう一つは個人と法人との税負担の公平を貫く、こんなことで税にお願いしておる。また、あるいは先ほどのような国公有地の利用あるいは法人の低・未利用地の活用、それに市街地化農地の活用、こんなことを含めて宅地供給をやる。それと並行しまして、総理の指示もございまして、現在大切なことは実は地価をどうして安定させるかということでございまして、まだ下げるところまでいっておりません。だから、地価をどうして安定させるかということで監視区域の強化とか、あるいは大蔵大臣にお願いしまして金融の総量規制等をやっておる。 そういう形の中に、先ほど言ったようなことで総合的施策を講じながら土地の神話を打ち砕く、そしてできれば地価を下げたい。そんなことで、総理が言っておりますようなことで、私は一戸建て住宅とは申しません、住まいが持てるというのは中高層住宅、少なくとも住まいが持てるような、サラリーマンの所得の五、六倍、私は五倍というのはきついと思いますが総理は五倍と言っておりますからまあ五、六倍で何とかひとつ住まいが持てるようにしたい、本当に働く人に夢と希望を与えたい、こんなことでこれから土地政策に取り組みたい、こう思っております。
○国務大臣(綿貫民輔君) 地価対策につきまして行政機構に欠陥があるのじゃないかというようなお尋ねでございますが、先般来超党派で韓国の土地政策等を御見学になってもおわかりのように、また台湾におきましてもいろんな施策をやっておりますが、土地政策というのは極めて難しいということはおわかりのことと思います。私どもの日本におきましても、憲法二十九条で財産権の保障をしながら、公共福祉のことにつきましては別途に定めるということで、昨年末土地基本法ができたわけであります。それにのっとりまして私ども建設省では供給策ということによって地価の安定を図りたいということで、今回大都市法の改正等を出させていただいておるわけでございます。やはり土地対策につきましては規制と供給、この両面からこれをおさめていくというのが最もいいのではないかと考えております。 なお、ただいま国土庁長官からございましたように、過剰流動性から来るような投機については厳然と対処していかなければならぬということで、大蔵省から既にそういう通達をいただいておりまして、相当効果が出ておるようにも聞いております。したがいまして、我々行政機構の中では、土地基本法を中心にいたしまして有機的に今後の政策を進めていくことによって土地対策に万全を期していけるものだと考えております。
○寺崎昭久君 ありがとうございました。 水をかけるつもりはないんですけれども、これまでも問題が起こる都度審議会に答申が求められ、いろんな法案がつくられ、対策を打ってきたと言うのですけれども、結果として今日のような深刻な土地不足、住宅不足、高騰という問題を生じているわけでありますので、今度こそはということでぜひ取り組んでいただきたいと思います。 ところで、今のことに関連して言いますと、昭和四十年代の後半から例の狂乱物価、乱開発というのがありまして、それを契機にして国土庁ができたわけであります。国土庁の任務というのは国土庁設置法の三条、四条に記載されておりますが、どうも現状を見る限り地価問題だとか土地の供給問題あるいは計画的な土地利用さらには都市計画、そういったものが課題のまま残されているように思えてならないわけであります。そういうことから、改めて国土庁長官に国土庁の仕事あるいは現状というものについてどのように御認識されているのか伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) 先生にお答えいたします。 実は国土庁につきましては、率直に言いますと色男ではないけれども金も力もないというのが国土庁だったと思います。これが総合企画官庁ということだと思います。が、今度違いますのは、先ほど言ったように二つほどできました。それからまた、実は総理から全部の権限をいただいたということがございまして、今までとは取り組みが違っております。そんなことでございまして、土地対策関係閣僚会議におきましても十分お願いし、またそれをやっていただいておるということでございまして、今までは必ずしもそうでなかったかと思いますが、これからは十分皆さんの期待にこたえられるような総合企画官庁として行政の枠を越えて思い切ったお願いと指導ができる、そして必ずや皆さんの御期待に沿うような効果をあらわすことができる、このように考えてやっております。
○寺崎昭久君 そのことに関して先日予算委員会で、これは衆議院でありますが、民社党から政府としての総合土地対策要綱の実施状況の報告を求めました。それを私も拝見しましたが、一つ大事なところが抜けているんじゃないかという気がしたわけであります。 法律をどう改正しますとか、土地供給をどういうふうにやりますとかいろんなことを書かれておりますけれども、肝心のこの問題を解決、推進するためにどういう状態、体制というんでしょうか機構というんでしょうか、で進みますという部分がそっくり抜けていたように思うんです。これでは従来と全く変わらないんじゃないか。今長官は大変力説されたわけでありますけれども、見る限りでは従来と余り変わらないな、それ以上の期待は持てないなという感じしかないわけであります。これはどうしてこの部分が欠落したのか。総合的な土地行政の総合調整の推進についてという項が抜けていたわけでありますが、なぜか。教えていただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。 今の点については実は私もよく知りませんが、今度今までと違いますのは、昨年暮れに土地対策関係閣僚会議を開いております。これを中心に今後なすべき十項目の重点方針を実は決めた。これを全閣僚が海部内閣一致してやろうと、これが非常に違うわけでございまして、私はそれがどうして抜けているのかよくわかりませんが、今後はそういう取り組みであると。しかも先ほども申し上げましたが、海部内閣の最重要課題であるというふうなところが違うということで、これは特に御理解願いたいと思うわけであります。
○寺崎昭久君 四十年代にもそのような決意を聞いたように記憶しております。 先日いただいた資料というのはこの資料であるわけですが、この項目の最後には総合的な調整の推進という項目があって、今までとはこう違いますよという中身が記載されてしかるべきだと思うんですが、実は国民が期待しているのは、どんな法律をつくりますよという以前に、本当に内閣として命運をかけてこの問題を解決してくれるのかどうか。それにはこういう人選でこういう機構でやりますということを従来とは違う変わったやり方で見せていただけないと、またまた同じことの繰り返しかなという失望感しか生まれないわけであります。どうなんでしょうか。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えしますが、今先生がおっしゃることにつきましてはよく私わかりませんが、ただ今度はその点は例えば昨年暮れの土地基本法、これは超党派でお願いしました。実はこの土地問題というのはただ政府じゃなくして、もう与党野党問わず全部お互いに協力してもらう、そういう形の中で国民の理解と協力なくしてはできません。そんなことでございまして、今度は私はそういう意味におきましては土地基本法の結果を見まして皆さんにも一緒に協力してもらえると、政府も努力すると、こんなことで今までとは違って御信頼をしていただきまして、ぜひ逆に御理解と御協力を願いたい、こう思っておるわけでございます。よろしくお願いいたします。
○寺崎昭久君 土地政策審議会というのが設置されておりますが、伝えられるところによりますと、土地税制、土地利用あるいは首都機能の分散、そういったことがテーマになると伺っております。これまでも審議会というのは幾つか設けられましたし、その都度答申も出されたわけでありますけれども、そして先ほども言いましたが、その都度法律の手直しも若干行われてきたと思います。ですが、結果から見れば余り有効に働かなかったし、この二十年来土地住宅問題というのはずっと続いてきていると思うんです。結局空振りに終わったということが言えるんじゃないかと思うわけであります。 その原因は何かといえば、国に金がないとか知恵がないということじゃなくてやる構えがない、そういうことなんではないかと思うんです。そういう意味からいいますと、これまでの延長線あるいは現状の省庁というのを前提にしてその枠内で法律を変える、若干やり方を変えてみるかということではなくて、行政のあり方とか既存の省庁の枠を破って新しい機構をつくってでもこの土地問題、住宅問題をやるぞというところを見せていただきたい、そんなふうに思っているんですけれども、既存の省庁の枠を越える、閣僚全員で取り組むんだというお話はこれまでも何回も伺っておりますので、実際に仕事をやっていただく省庁の関係について枠を越えてでもやるという状態をつくっていくのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。国土庁長官。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。 もういろいろ今まで私が御説明してまいったわけでございまして、内閣総理大臣が責任者でございます。海部内閣の最重要課題ということでございまして、枠を乗り越えてでもやっていく、こんな決意でやっております。だから今までとは違うということを御信頼願いたい、こう思うわけでございます。
○寺崎昭久君 枠を乗り越えるということは新しい機構をつくってでもという、そういうふうに受けとめてよろしいのでしょうか。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。 枠を乗り越えてというのは、新しい機構をつくるということではございません。でございまして、いろんな考え方があると思いますが、私は先ほどから言っています、総理が言っております少なくとも所得の数倍で働いている人が住まいの持てるような形にどうしてするかという形の中に、これがやっぱり土地政策の一番大きな命題だと思っていますが、住まいを持ちたい人が住まいを持てるようにしたい、こんなことができるようなふうにどうして持っていくかというふうなことで、いろんな考え方、やり方があると思います。したがって、私は新しい機構をつくらなくても今のままで十分できる、このように考えております。
○寺崎昭久君 土地問題についてこれまでの行政の縦割り組織の中でできるのかといえば、私はもう無理だと思うんです。 土地問題とちょっと離れますけれども、例えばODAの問題が出てくるとしますと、各省庁が予算の中でODA関連を出すわけです。外国人労働者問題が出てくれば各省庁がそれに関与してまいります。あるいは大深度地下空間利用の話が出てくるともう何省庁も出てくるんですが、全体としてそれじゃ束ねてどういう対策をするかということになりますと、関係閣僚会議と称してよくわからない。私は国会にいてもよくわからないんですが、国民から見るとますますわからない。そういう状態の中で時間だけがたっていくという状態が続いているし、このことに対して国民は大変不満を持っているわけであります。やっぱり形で変わったぞというのを見せないと理解されないと思うんです。そういう意味では、枠を越えるというのは新しい機構と予算をつけてでもやるんだというぐらいの決意をぜひ示していただきたい、そのようにお願いしておきます。 少し角度を変えて、住宅問題について質問を続けます。 住宅土地問題を解決するに当たっては、大事なことは国民が今何を求めているのか、そのために何を講じなければいけないのか、あるいは阻害要因になっているのは何なのか、そういうことをまず明らかにすることが大事だと思います。 現状の問題がなぜ生じたのか私流にまとめてみますと、一つは土地行政というのが、あるいは土地政策というのが、土地をどう使うか、都市をどうつくるか、専らハード面に着目した政策や行政が行われ、国民が一番必要としている快適な住環境とか住まいやすい家をどう持てるのか、いわばソフト面に着目した政策が後回しにされたために、今日のような問題が起こっているんではないか。 それから税制面について言いますと、私は例えば法人と個人の資産にかかわる税制というのはかなり差があり、法人が優遇され過ぎているというように思います。一つ一つ例を挙げるつもりはありませんけれども、今大事なのはそして国民が求めているのはやっぱり住みよい住環境ということであり、それを実現するためには国民生活優先という視点に立った政策の見直しが大事ではなかろうかと考えております。この国民生活重視の政策に私は転換してほしいと思っているわけでありますが、これに関する建設大臣、国土庁長官の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(綿貫民輔君) お答えいたします。 国民重視の政策をやれ、これは当然のことだと思います。私どもはやはり絶えず最大多数の最大幸福ということを目指してやらなければならないと考えておる次第でございます。その意味におきまして、御指摘のような方向で今後とも努力していきたいと思っております。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。 もう先生の御指摘のとおりでございまして、そんな立場でこれからも大いに努力したい、このように考えております。
○寺崎昭久君 それでは、きょうは総務庁長官においでいただいておりますので最後の締めくくりをお願いしたいと思うんですが、つい先日総務庁長官は生活環境省構想なるものを打ち出されたやに伺っておりますが、その後いつの間にか立ち消えになったようであります。口の悪いのは寄ってたかってつぶされたんだというようなことを言うのがいるんですが、真偽のほどはわかりません。ですが、昨今の問題を考えるときに、これまでのように御都合主義とかセクショナリズムで住宅問題が解決できるとは思えないわけです。 そこで、行政改革の見地からもこれまでの国土行政とか土地行政あるいは住宅行政のあり方を見直す、ぜひ見直してもらいたいと思いますし、そのことを強く要望しながら、総務庁長官の御見解を賜りたいと思います。
○国務大臣(塩崎潤君) 委員御指摘のように、私どもはこれから国民生活重視の観点からの行政を考えていかなければならないという点は、たびたびここで申し上げたところでございます。ただいまの土地問題については、国土庁長官がるる申し述べられましたように、機構というよりもむしろ具体的に打ち出されるべき施策について効果のある政策を見つけるのがなかなか難しい、その点にあるかと私は思うわけであります。しかし、国土庁の総合的な基本的な政策と同時にまた土地対策閣僚会議という集合体によって、これを国民生活重視の観点からの土地政策にすることは私は多く期待ができる、こんなふうに思っておりますので、この点についての行政組織の再編成の問題については私個人としてはその必要はないような気がするわけでございますが、常に行政のあり方については私どもは検討すべき課題を負っておりますので、検討としては十分やっていく必要があろうかとも思っております。
○寺崎昭久君 ぜひ有効な政策が打てますような、行政機構も含めて、続いての御検討をお願いしたいと思います。 次に、宅地の確保、供給という面から御質問いたします。 土地問題というのは言うまでもなく大都市圏だけに限ったわけじゃなくて、地方にも波及している昨今でありますけれども、ここでは東京圏を想定して代表例として御質問をさせていただきます。 東京圏の深刻な住宅問題に関して、住宅適地が足りないのか、余っているけれど出てこないのかというのが常に論議の的になるわけでありますけれども、この点国土庁長官に伺いたいのですが、例えば東京圏で宅地の絶対量が不足しているのか余っているのか、その辺の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたしますが、実は先月、これはちょっと私ヘリコプターで東京、埼玉、千葉を見ました。 随分土地はございますね。国公有地が一番少なかったですが、あと企業の低・未利用地がすばらしく多かったです。ほとんど青空駐車場です。それから農地も多かったですね。全部で六万三千へクタールと言われます。先ほどの先生の御質問に建設大臣がお答えいたしましたが、大体中高層マンションで一ヘクタールで二百二十戸と言われます。中高層住宅と一戸建てとでミックスして約六十戸と言われますが、したがって大体二百二十戸、一万ヘクタールあるといえば二百二十万戸できるわけですね、中高層。ということで、土地は十分あると。ただ問題はこの土地をどうして出してもらうかということ、それからもう一つどうして安く出してもらうかということでこれから総合的土地対策が必要、このように考えております。
○寺崎昭久君 ただいまの御見解からは土地は不足していない、ただ出てこないだけだというように受けとめたわけでありますが、ということは土地があっても有効に使われていない、あるいは土地所有権を盾にして気まま勝手に所有者が使っているからこういう状態が出てきているんだと。としますと、これまでのように土地問題、とりわけ地価が高騰するのは土地の供給不足だから、つまり需給のアンバランスがあるから高騰するんだというのが私は政府が御説明されてきた中身じゃないかと思うんですが、それに修正を加えるということになりましょうか。つまり、有効利用されていないのが原因だというように修正されると考えていいでしょうか。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。 これは、総合的な土地対策を申し上げたんですが、今までのは税制上の問題、特に土地は問題があったと思います。それからまた国公有地の未利用地の場合、率直に言いますと昔は五階建てのマンションですね。つい最近のはエレベーターのついた高層マンションですが、この場合に非常に問題なのは、仮に高層住宅にしたいと思った場合に住んでいる人の家賃の問題があるわけです、これは。だから、現状は安いけれども後でできたのは家賃が高くなるわけです。一体それをどうするかという問題。 そこで家賃補助の問題等が出てくると思うんですが、それをどう解決するかという問題とか、また企業の場合は先ほど先生御指摘のような個人と法人の税負担が非常に不公平です。こういったことをどうするかということ。そんなことで、今大蔵大臣が税制調査会にお願いして税の見直しをお願いしている。これは一口で言いますと土地の資産の有利性を減殺するというようなことな基本方針にやっておる。そんなことでございまして、総合的な土地政策の見直し。また、建設省では大都市地域の宅地供給の法案を大臣が出されています。そんなことでございまして、それを総合的にどうやるかということの中に宅地を出す、できれば安く供給する、こんなことでいきたいと思っています。
○寺崎昭久君 土地の使い方に問題があるというように言い直してもよろしいのかと思いますが、としますと土地には一定水準以下の不能率というか非効率というか低利用があってはならない、そういう義務があるんだという前提に立たない限り、とりわけ大都市圏における宅地問題、住宅問題というのは解決できないんではないかと思うんです。 昨年の土地基本法のときにも土地所有権が制限され得るものなのかどうかということが論議されたと思いますけれども、私は計画なくして開発なしということに立ちながら土地所有権にも踏み込んだ議論をしない限り、大都市の土地問題というのは解決できないんじゃないかと思うんです。御存じのとおり、西ドイツだとかフランスでも土地所有権の絶対性を認めながらも、例えばゾーニングと言われる詳細な都市利用計画、そういったものをかぶせて、土地はこう使わなければいけない、これ以下の使い方をしてはいけないというようなところまで決めているわけでありますけれども、日本でもこの詳細な土地利用計画、いわゆるゾーニングで土地の所有権については一定の使用上の制約を施すことができるんだとお考えなのかどうか、国土庁長官にお尋ねします。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。 実は先生の先ほど御指摘のありました昨年暮れにできた土地基本法、これが公共福祉優先を決めたということは私権に一歩踏み込んだと、こう思っております。これは憲法第二十九条二項というのもそんなことでございまして、これからそんな形で土地政策を展開したい、このように考えております。
○寺崎昭久君 今、憲法二十九条との関係がちょっと私わかりかねたんですが、もう一度お答えを、恐れ入りますが。
○政府委員(藤原良一君) お答えします。 仰せのとおり、土地基本法では公共の福祉の観点から土地は適正に利用されるべきものだというふうな理念が規定されております。これは何か適正かというのが問題でございますが、それぞれやはり地域の社会的経済的諸条件、あるいは自然的文化的な条件も踏まえて利用の仕方を考えるべきだという趣旨でありますが、さらにはやはりできるだけ充実した土地利用計画を策定しその計画に従って利用していく、そういう利用の社会的責務が伴うのだ、そういうふうに理解しておるわけでございます。
○寺崎昭久君 土地利用に当たっての社会的責務が伴うんだということは、例えば都市計画区域に対して諸外国とりわけヨーロッパなんかか行っております詳細な都市計画制を取り入れる、あるいは詳細な都市計画許可制というんでしょうか、そういうことを取り入れるという前提で都市計画区域全体にもう一回利用方法を中心にした網をかけ直すということが必要ではないかと思うんですが、建設大臣いかがでしょうか。
○政府委員(藤原良一君) 計画の策定充実に当たりましても土地基本法で規定を置いておりまして、必要に応じて詳細な土地利用計画を策定するという方向を打ち出しております。個別具体にはどのような法律でどういうふうな計画制度を整備していくかというのはそれぞれ実体法にゆだねておりますが、方向としてはそういう方向で今後それぞれの法律が検討され、また計画制度が充実されていくことだと我々期待しておるわけでございます。
○寺崎昭久君 ただいまの問題については、単に土地利用に限らず建物コントロールということも含めて都市計画法の見直しをぜひ進めていただきたい、そういうふうに要望しておきまして、次の問題に移らせていただきます。 先ほど東京圏には土地がある、それをどう利用するかだというお話の中に、例えば市街化区域農地を活用できないかということもございましたが、乱開発を防止するあるいは計画的高度な利用を進めるという観点から、この市街化区域農地について国とか地方公共団体で買い上げるという仕組みをつくったらどうかと思うんですが、建設大臣いかがでしょう。
○政府委員(望月薫雄君) 市街化区域内農地の宅地化を進めるに当たって大変大事なことは、今先生おっしゃいましたが、いわゆるスプロールを防止しながら計画的に供給に結びつけるということであろうと存じます。そういった中で、私ども市街化区域内農地については宅地化するものと保全すべきものをしっかりと区分して、そしてその上に立って宅地化するものについては計画的な住宅供給に結びつく宅地化を進めたい、こういう構えでございます。 その際に、今おっしゃった国が買い上げてという点でございます。これにつきましては、率直に申しまして私どもこの市街化区域内農地の宅地化の方向というものは、やはり土地所有者の意向というものも無視してかかるわけにいかないという点が一つあらうと思います。また同時に、現実の地価動向あるいは土地利用の状況等を踏まえますと、計画誘導を進めますけれども、これが基本でございますが、やはり私どもこの地域については区画整理手法というものが大変重要な施策ではなかろうかと、こう考えております。 そういった中におきまして、いうところのいわゆる先買い区画整理事業、こういった事業について住宅・都市整備公団あるいは公共団体、供給公社、こういったところが積極的に機能するということが十分考えられますし、また進めてまいりたいと考えておるところでございまして、そういった観点から公的な取り組みというものも十分に考慮してまいりたいと考えておるところでございます。
○寺崎昭久君 ただいま区画整理の手法を使えばというお話でしたけれども、これは御存じのように土地をどう使うかということであって、どう利用するかということとは関係のない話ですね。私はその利用も含めれば、一たん国が買い取るという前提で利用を考えたらどうかと申し上げているので、もう一度御答弁をお願いします。
○政府委員(望月薫雄君) 具体的にどのような利用、端的に言うとどのような住宅供給に結びつけるかということまで考えたときに、いろいろな段階があろうと思います。 ただ、申し上げたいことは、私ども今決めつけてそれが戸建てであるか集合住宅であるかということを言うのは地域の実情等においていろいろとさまざまなケースがあるというふうに考えますが、私どもとしては市街化区域内農地というものはこれからは大宗としては集合住宅供給ゾーンとして考えるのが中堅勤労者住宅供給としても重要であろう、こういう認識に立っているわけでして、そういった観点から先ほど言ったようなことを申し上げているわけでございます。特に国あるいは公共団体が直接買い上げなければそういう具体の効果が担保できないというふうにはむしろ考えなくて、そういう方向での努力を強めてまいりたい、こう考えておるところでございます。
○寺崎昭久君 ただいまのお話というのは、実態から目をそらしているのかあるいは気がつかないふりをしているのか、そこから出てきた答弁ではないかと思います。 例えば東京近郊で、家族が住むとはとても言えないようなワンルームマンションがいかにふえているのか、そういう実態を御存じだと思うんです。それは乱開発と言ってもいいんじゃないでしょうか。あるいは税金逃れのために節税のためにと言っていいんですか、何年も何十年も住めないような住宅がぼこぼこできているというのが現実であるわけです。ですから、先ほど私はゾーニングをやり直してその上で国として大事な市街化区域農地を活用することを考えたらどうか、そのためにお買いになりませんかと申し上げたわけです。これ以上出てきませんか。建設大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(綿貫民輔君) 宅地をふやすためにこのたび大都市法の改正とか建築基準法並びに都市計画法の改正を出しておりますし、本当はもう一ついわゆる生産緑地法の改正というのも出させていただきたいと思っておったのでございますが、これは今税制調査会で土地税制について論議をこれからしていただくわけでございまして、その論議を待って、ぜひそれも出させていただきたいと考えておるわけであります。 そこで、法の改正の中におきましては、今御指摘のような低・未利用地等につきましてはこれにある程度レッテルを張って、さらに利用していただけない場合には計画をさらに厳密に出していただくか、あるいは買い取り協議に応じていただくというような内容にもなっております。 今の農地につきましては、先ほど局長からもお答えいたしましたように、そこが宅地化できるものと生産緑地として残すべきものとその所有者の意思を十分尊重したいという長年の懸案でございますので、そこに力点を置いてできるだけ宅地化していこうという方向づけを今考えておるわけでございまして、御趣旨の買い取りというようなお気持ちもわかりますが、そのような背景もございますので、ただいま局長がお答えしたようなことで努力をしたいというふうに考えておるわけであります。
○寺崎昭久君 建設省がお調べになった市街化区域内農地実態調査によりますと、今後十年間農地をそのままにして農家を続けたいという人は六二%となっています。あとは転用してもいい、売ってもいいという人なわけであります。やっぱりそういうところにもっと着目していいんじゃないかと思っているわけであります。 国がもし買うというそういう前提ができたら、税制についても特別の措置を講じて、農業をやっている人の意思は尊重しつつも売りたいという人には売りやすくしてやるというのが、土地政策にとって大事なことではないかと思うんです。国が買うという前提ができないと税制をどうするという仮定の話はできないのかもしれませんけれども、具体的に土地の公有優遇税制とまでは言いませんけれども、大蔵大臣、それは難しいんでしょうか。
○政府委員(尾崎護君) 実は現行制度も委員の御主張のようになっております。と申しますのは、御承知のとおり譲渡所得の計算をいたしますときに土地の譲渡による収入金額からその取得費それから譲渡に要した費用というのを引きます。それから、各種の特別控除が認められる場合にはそれを引きましてその所得が出てくるわけでございますけれども、五年以上の長期保有の場合にはその所得四千万円まで二〇%、四千万円を超えると二五%で課税をするということにいたしているわけでございます。農地を含めまして土地などが国や地方公共団体に買い取られるという場合には、実は買収目的を問わずに一律二〇%、つまり四千万円を超えても二〇%の税率により譲渡所得課税を行うという優遇措置が現在もございまして、これが委員のおっしゃっておられます優遇措置という考え方と乖離しているものかどうかわかりませんが、考え方といたしましてはまさにお説のとおりになっております。 そのほか、御承知のとおり、例えば収用といったような買収目的あるいは買い取り形態に応じまして、五千万円、二千万円、千五百万円などの各種の特別控除が設けられておりまして、国や地方公共団体に土地が買い取られる場合の配慮はそのように現在も行われているわけでございます。
○寺崎昭久君 時間の関係もございますので、一方的にこう考えておりますというのを申し上げて終わりにしますけれども、市街化区域農地を国が買い上げるというシステムができるならば、今主税局長がお答えのような、措置法三十一条の二でしょうか、そういうようなことだけではなくて、例えば売り主には国が買い上げるという前提において固定資産税の十五年間納税猶予制、免除するとか、あるいは相続税の二十年納税猶予制の制約を撤廃するとか、そういうことも含めて考えていただきたい。お金があるのかないのかということで言えば、そのために例えば建設国債を発行するということも考えられるだろうし、あるいは信託方式を導入するということも可能なわけなんで、いろんなことを考えてほしい、そういうふうに要望しておきたいと思います。 今譲渡益課税の問題についてお話が出ましたのでこの点についてひとつお伺いしたいんですが、宅地不足とか地価高騰というのは個人が営業外で行う投機行為も原因になっているんではないか、そのように思いますので、土地譲渡に関する個人所得の課税についてお伺いしたいと思います。 つい先日私がタクシーに乗りましたら、運転手さんがこう言うんです。自分の弟が貸し付けマンションを借金で買った。二年間で値上がりしたので売ったと。買ったときは借金で買ったわけですから、まず借金の利子それと給料を総合して税務署に持っていったら税金が戻ってきたと。売ったときには重課といっても五年の短期の重課しかかかっておりませんのでそこでも何かもうかったような気がして、結局のところ大金をつかんだというような話をしておりました。私はこの個人の固定資産にかかわる譲渡に対しても二年の超短期重課制度を適用するべきじゃないかと思うんですが、大蔵大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 申しわけありませんが、技術的な問題を含みますので、事務当局から答弁をさせます。
○政府委員(尾崎護君) 現行制度上はまさに御指摘のとおりになっておりまして、法人の場合でございますとすべて二年以内の譲渡でございますと超短期重課制度にかかるわけでございますが、個人の場合にはそれが事業所得に当たるかあるいは雑所得に当たるか、その二つのケースについてのみ超短期車課制度が適用されているわけでございます。委員の例示されましたようなケースは一般の譲渡所得として扱われまして、個人の譲渡所得でありますから特別の超短期重課ということなしに、通常の短期の重課が行われたものであろうというように存じます。 これはおかしいではないかという御指摘でございますが、現行税制が目的としておりますのは、いわゆる不動産業者等が土地転がしをする、それに対して何か対策を講ずるべきであるということからこの制度が設けられたわけでございまして、したがいましてその事業所得ないし事業的な要素を持つ雑所得のケースについてだけ現在限定しているわけでございます。税制調査会で、広くすべてのことを検討するということで今行われておりますので、御指摘のような点も含めまして今後議論をいただきたいと存ずる次第でございます。
○寺崎昭久君 税金をどう集めるかということが問題じゃなくて、土地の投機行為をどう抑えるのかという観点から税制問題を考える、そういう時期だと改めて強調しておきたいと思います。 それから個人の譲渡所得にかかわってもう一つ質問させていただきますが、未利用地の取得にかかわる負債の利子については当該土地の取得金額に加算されるというようになっております。そして、各種所得の金額計算上、当該負債利子というのは取得価格に今算入が認められているわけですけれども、これをやめてはどうか。法人の場合にはこの種の利息というのは四年間の損金不算入というか、猶予制度と言っていいんでしょうか、後からかかるわけですから、そういう税制が適用されておりますけれども、私はこの損金不算入は永遠に続けるべきだと思っている前提で、個人についても取得価格に借金分を乗せるというのはやめさせたらどうか。つまり、借金してまで土地投機で金もうけをしてはいけないということを強調したいわけであります。その件について大蔵省の見解を聞きたいと思います。
○政府委員(尾崎護君) 土地の取得を借入金によりましていたしました場合に、その借入金の利子をどのように扱うのかということはここのところ大きな議論の対象となっているわけでございまして、委員御指摘のように法人につきまして先般、借入金で土地を取得した場合には新規に取得した土地に係る借入金の利子につきまして一定期間、四年間でございますが、損金算入を制限するということを行いました。これは、御指摘のように一種の課税の繰り延べのような状況になっているわけでございますけれども、これによりましていわば投機的といいますか、さしあたり使用しない土地を買った場合の利子負担を法人に求めるということをいたしているわけでございます。 これを期限を切らずにどこまでもそのようなことをやるべきだという御意見、またさらに個人のケースについてもそれを広げていくべきであるという御意見でございましたが、それらの点、今後さらに幅広く、法人の利子の損金算入各般にわたりまして今議論が行われているところでございますので、今後の税制調査会の議論において検討をしていただきたいというように考えております。
○寺崎昭久君 時間も迫ってまいりましたので最後に一点、いわゆる地価の一物四価の問題に関して大蔵大臣に見解を伺いたいと思うのです。 これまでも一物四価を一本化するという論議がまた必要性が言われてきたと思うのですが、今日までなかなかこれが実現しないわけであります。どの程度実体が伴っているかわかりませんが、韓国でも一物一価の公的地価評価を行うということに取り組んでいる昨今でございます。内容について私がお話しするまでもないんですが、その一物一価を実現するために、例えば固定資産税は今自治省の管轄のために地方税になっておりますけれども、固定資産税を一物一価を実現させる方法として例えば国税にしてはどうか。地方税を国が掌管するのが目的ではありませんので固定資産税で上がった税収というのはそっくりそのまま地方に返す、また事務についても団体委任事務扱いとすれば可能ではないかと思いますし、その結果地価評価の一元化が図られるのではないかと期待しているわけでありますが、御見解を賜りたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これはもう細々としたことを私は改めて御説明申し上げるつもりはありませんけれども、確かに相続税評価と地価公示及び固定資産税の評価の間にはそれぞれの目的、性格の違い、さらにその評価方法にも相当の隔たりがあるということから、従来からそれらの公的評価を直ちに一元化することは非常に難しいというお答えを繰り返してまいりました。しかし同時に、相続税評価と他の公的な土地評価の価格相互間の関連というものにつきましては、いろいろな問題点はありながらもこれから先も相互の均衡と適正化を図るように努めなければならないと私たちも考えております。 ただ、そうした視点からの御提起ではありますけれども、私はやはり固定資産税というものを、評価を一元化するという視点から事務の形態につきましても委員御工夫になっての御提言でありますけれども、国税とするということにつきましては、税の世界において固定資産税というものが資産の保有と市町村の行政サービスとの間に存在する受益関係というところに着目をして課税するという性格を持っております以上やはり市町村の基幹的な税であり、国税に移しかえるという御提案については、お気持ちは理解ができますけれどもにわかに賛成しがたいと率直な感じを申し上げます。
○寺崎昭久君 そういう状況にあることは私も承知しているんですけれども、それを言っておりますと一物四価がいつまでたっても解消されない。具体的にこう進めたいというお考えは大蔵大臣はないんでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私自身、今こうしたいという考え方を持っておるわけではございません。 ただ、これは別に税制調査会に責任を転嫁するという意味ではありませんで、土地基本法ができまして初めて共通の基盤に立った土地税制の見直しが現在論議されております中であります。その結果等も見ながら均衡を図る努力は続けてまいりたい、そのように考えております。
○寺崎昭久君 ほかにもいろいろ質問したいことがあるんですが、時間が参りましたのでこれで終わりにしたいと思いますけれども、土地問題というのは冒頭申しましたように九〇年代の最大の課題だ、これを解決しなければやがて日本沈没も招くのではないかというぐらいの気持ちで、従来の慣行だとか従来の考え方ではなくて発想も機構も新たにしてぜひ取り組んでいただきたいと思いますし、私どももそれを期待しながら御協力もさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。 どうもありがとうございました。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で寺崎昭久君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、稲村稔夫君の一般質疑を行います。稲村君。
○稲村稔夫君 きょう私は、物価問題とそれからエネルギー・原子力行政問題、それに日本海の問題ということで三つのことについてお伺いをしたいと思っております。 最初に物価問題について伺いたいわけでありますが、特に日銀総裁、きょうは外国の方の仕事もあったようでありますけれども、お差し繰りをいただいて御出席いただいて感謝いたします。 そこで早速ですけれども、最近の物価動向についてどのように日銀として把握しておられますか。
○参考人(三重野康君) お答えいたします。 最近の日本の国内の卸売物価は大体前年比〇・六ないし〇・七%増、消費者物価は二%台の半ばあたりを推移して、落ちついた推移を続けていると言ってよろしいかと思います。 この先についても、この基調がすぐに変わるというふうには見ておりません。現在のように好景気が四年目に入っているわけでありまして、そういう中で最近は人手不足による労働コストの上昇、それから最近は円安がちょっと修正されておりますけれども、それでも円安による輸入コストの増大というものがあるにもかかわらず物価が比較的落ちついておりますのは、昨年来の予防的引き締め等の効果もありまして物価に対する感じが非常に落ちついているということと、それを背景にしまして企業が、収益が割に好調なもので懐が深いものでございますから、コストの増大にもかかわらず製品価格の設定については非常に慎重な態度をとっている、そういうこともありますし、一部素材業種につきましては、従来の設備投資から供給能力が増大しましてやや需給が緩んでいる。加えて、いまだ輸入の価格抑制効果も働いているというふうに思われます。 それでは問題は何もないかというとそういうことではございませんで、やはり労働コストの増大がサービス価格等にじわっとプレッシャーがかかってきておりますし、マネーサプライの伸びも引き続き高うございますので、そういったものが物価にどういうふうに出てくるか今後とも注意深く見てまいりたい、こういうふうに考えております。
○稲村稔夫君 そのようにおっしゃるわけでありますけれども、物価については下がるという傾向はここのところずっとないわけであります。国民の反対をする消費税が導入されて以来というものだけを見ましても物価は上昇傾向にある、こういうことになると思うんですけれども、その辺についてはどのように理解をしたらよろしゅうございましょうか。
○参考人(三重野康君) 委員がおっしゃるようにやや値上がりしておる部分もございますが、片一方また電気製品その他値下がりしておる部分もありまして、全体としてはただいま御説明申し上げたようにほぼ落ちついた基調がまだ続いておる、問題は将来にはございますが、そういうふうに見ております。
○稲村稔夫君 昨年度の政府の見込みは対前年度で二%くらいだったと思うわけでありますけれども、先日の発表ではそれをかなり上回る対前年度二・九%ということになっているわけであります。そのようなことを考えていきますと、物価の将来というのには総裁が言われるように楽観をしていたのではいけないのではないかという気もするんですが、もう一度お願いをいたします。
○参考人(三重野康君) 今委員御指摘の数字は昨年四月から消費税が入りましたものですから上がっておりますが、消費税の効果、前年比で言いますと先ほど申しましたように卸売物価は〇・六ないし〇・七でございまして、楽観はいたしておりません。中央銀行でございますから、物価の番人でございます。したがって注意深く見てまいりたいとは思いますが、今のところは比較的落ちついた数字が幸いにして続いておるというふうに考えております。
○稲村稔夫君 ちょっと運輸大臣に確かめたいと思うんですが、先日も議論になりましたが、タクシー料金の値上げ問題などがありました。労働力不足が大きな要因になっているというふうにお答えになったと思いますが、間違いないでしょうか。
○国務大臣(大野明君) そのとおりでございます。
○稲村稔夫君 今、日銀総裁も言われましたが、サービス業等ではというふうに労働コストの上昇をちょっと触れられましたが、この労働コストの上昇というのはかなりこれからの大きな問題じゃないかと思うんです。労働力不足で時給千円を超えるパートタイムも結構出てきている、こんなふうに聞いているわけでありますが、労働大臣、賃金が上がっても物価上昇で相殺されては何にもならないと思いますけれども、この辺事情を掌握しておられるでしょうか。そしてまた、それなりの対策を何か講じておられるでしょうか。
○国務大臣(塚原俊平君) 御指摘のとおり大変に人手不足感が広がっておりまして、賃金の動向につきましては一部業種、建設業とか運輸業とかではやや高い上昇率になっておりますが、全体では比較的落ちついた伸びになっております。賃金の上昇が物価上昇を加速させる――ある程度やっぱり物価が上がる原因にはなっておりますけれども、加速させるところまではいっていないというふうな認識を持っております。 ただ、いずれにいたしましても、労働力需給のミスマッチを解消して労働力不足の解消というものに努めることは絶対に重要であるというふうには考えております。
○稲村稔夫君 私は、労働コストの上昇というのはこれからの問題としては非常に重視をしていかなきゃならない、政策的にも非常に大事な課題だというふうに思うわけであります。労働力不足というものをインフレに転嫁させないために、ではどういうふうにしたらいいと考えておりますか、経企庁長官。
○国務大臣(相沢英之君) 今委員御指摘のように、労働力の需給が大変にタイトになってまいっていることはこれは当然に賃金に影響があることは明らかでございますが、先ほど労働大臣から答弁がございましたように、現在までのところはそれほど大きな要因となっていないということは、賃金と物価の上昇との関係を見ても数字的に明らかなのであります。 そしてまた、確かに労働力の需給の面ではタイトにはなっておりますけれども、同時に、御承知のように非常に民間の設備投資が、特に省力化、合理化に向けての設備投資が活発に行われておりまして、平成元年で申し上げますと、当初の見込みをはるかに上回る対前年一四%、主要産業について言いますと二二%という非常に高い設備投資が行われておるのでありまして、そういうことの効果もかなりこの労賃の上昇を緩和するところの要因になっているだろうというふうに判断をいたしております。
○稲村稔夫君 私は、日銀総裁そしてまた今の経済企画庁長官その他政府の方の皆さんの御答弁を、皆さんといっても労働大臣でしたね、お答えをいただいた範囲では、どうも楽観的に過ぎるんではないかというふうに思われてならないわけであります。 そこで、日銀総裁にさらに伺いたいのでありますけれども、通貨の供給量と物価との関係、これをどのように通貨管理の責任をお持ちになっておられる日銀としてはお考えになりますか。
○参考人(三重野康君) マネーサプライ、今委員のおっしゃいました通貨の量でございますが、代表的な指標として私たちはM2プラスCDの平残をとっておりますが、この数字、これはもう委員御案内のとおりでございますが、簡単に申し上げますと昨年の十―十二月は一〇%、一―三月は十一%、四月は一三%とふえてきております。 もちろん、このようにふえてまいりましたのは一時的ないし特殊な要因が重なっているわけでありまして、と申しますのは、例えば金利が上がってまいりますと企業は前広にお金を借りて預金にしばらくそれを置いておくとか、あるいは金融自由化が進んでおりますので金融商品間のシフトが起きる、特に郵貯が十年前の非常に高い定額貯金が四月から満期になっていまして、その分が普通の預金に流れてM2プラスCDに入ってくるとか、そういうふうな一時的な要因もございますけれども、そういったものを割り引いて考えなければなりませんが、割り引いて考えても実体経済の伸びに対してお金の量はやはり少し多過ぎるというふうに思っております。 そのマネーサプライが多いから直ちにインフレになるとかそういったことではございませんが、さっき比較的物価に対する見方が落ちついていると申しましたけれども、もし何かの都合でインフレ心理などが起きました場合にはインフレをそれだけ加速させる性質のものでございますので、私どもとしては今のマネーサプライの動向は本当に注意深く今後とも見ていきたい、こういうふうに考えております。
○稲村稔夫君 今総裁もお答えになりましたように、マネーサプライの観点からいさますとこのところずっと増大ぎみ、こういうことであります。特にこれから先、その辺私は心配になる面もあるわけであります。 そこで、この委員会でも先ほどまで随分いろいろと議論になっておりました地価高騰問題があります。この地価高騰には金融緩和の副次的効果もあった、こういうふうに日銀当局もお認めになっているということになります。そうすると、地価もインフレへの要因になり得ることを考えるとその責任は日銀にもある、こういうことになりませんか。
○参考人(三重野康君) 委員御案内のとおり、五年前のプラザ合意で世界的に政策協調をして日本のような黒字国は内需中心の経済発展の構造に変えていこうということになったわけでありまして、それでその上に急激な円高に伴うデフレショョクを緩和するために五年前から金融緩和を行ってまいりまして、そのこと自身は私は正しい選択でありましたし、また今日の景気拡大もそれによって導き出されたとは思っております。 しかしながら副次的作用がございまして、金融緩和がやはり土地の上昇に結びついたという片棒を担いだということは否定できないと思います。したがいまして、私どもは昨年あたりから金融機関に対して自粛をお願いすると同時に、公定歩合を上げてまいりました。公定歩合を上げるのは何も土地の値段を抑えるためだけにやったわけではございませんけれども、そういう金利を上げることによって土地の上昇に対してある程度の歯どめもかけたい、そういう思いも入っているわけでございます。
○稲村稔夫君 私は地価の問題はたまたま目立つものの一つとして今挙げたわけであります。 そこでもう一つ伺っておきますが、そうすると適正な通貨供給量の水準というのはどういうふうに考えたらよろしいんでしょうか。
○参考人(三重野康君) マネーサプライが高い場合、それが内外の経験によりまして長い目で見ますと物価騰貴に結びつくケースが多いということはそのとおりでございますが、ただ一定のあるマネーサプライがどの程度だとどのくらいの物価の上昇に結びつくかという具体的なあれはなかなかございませんので、適正水準というのを具体的に示すのは難しゅうございまして、やはりそのときの経済金融情勢の中で判断するより仕方がございませんけれども、今の日本のマネーサプライは、先ほど申しましたように、実体水準から見てやはり高いというふうに思っております。
○稲村稔夫君 そういたしますと、普通の常識的な判断でいきますと金融引き締めというのは通貨供給量にも一定程度の影響を与える、こういうことになるわけでありますが、日銀は四回でしたか引き締めをやられましたけれども、供給量が減っていませんね。どういうわけでしょうか。
○参考人(三重野康君) マネーサプライの増勢をとめるあるいは減らすためには金利を上げることが一番でございまして、普通ならば金利を上げてまいりますとあるタイムラグを置きましてマネーサプライの増勢は鈍化するはずでございますが、今のように金融自由化を進めております段階ではそれがなかなかあらわれにくいということがございます。しかしながら、この四回にわたる金利を上げました累積的効果というのはこれから出てくると、私どもはそういうふうに考えております。
○稲村稔夫君 私は、日銀は今までの対応、今いろいろと御答弁いただきましたけれども、やはり反省していただくところは厳しく反省をしていただいてそして適切な対応を、間違いのない対応をしていただかなきゃならない、こんなふうに思うわけです。西ドイツの例を見てまいりましても先手先手と努力をしているようでありますから、私は我が国もそのようにしてもらいたい。特に地価の問題などを見てみますと、ドイツの一つの伝統かもしれませんけれども、第一次大戦後はレンテンマルクの奇跡などということが言われました。それこそドイツはそういう面では非常にすぐれた側面を持っているかもしれません。我が国はそのちょうど逆のことを今とっているわけであります。地価がどんどんどんどん上がっていくという形であります。 そんなことを考えていきましたら、やはり通貨供給、これが金余り現象ということにもなっているというふうに思いますし、そういう点では私はこれからの日銀の政策も十分にひとつその辺に留意をしながら対応していただきたい。日銀は反省をしていただきたいということを私は申し上げて、総裁には以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。 そこで、政府の物価対策について私はもう少し伺いたいと思います。 私、先日国へ帰ってまいりましたら、原料になる鋼材がこの五月に入ってから大体六、七%軒並みずっと上がっております、どこのどういう種類の鋼材も。ということがありまして、これ物価値上がりとの関係では極めて重大な傾向だと思いますけれども、その辺は掌握しておられますか。
○政府委員(田中努君) 五月上旬の国内卸売物価は総体としては安定をいたしておりますけれども、その中で特に上昇をしておりますものの中に…… 〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕
○稲村稔夫君 総体的に安定していると言えるのですかな。
○政府委員(田中努君) 鉄鋼でございますけれども、鉄鋼が前旬比では横ばい、〇・〇%、前年同月比で〇・三%の増加ということになっております。
○稲村稔夫君 私は、今の政府の方の統計でもってただそれだけで答えてくださいというつもりで聞いたんじゃないんですよ。具体的に上がっている、五月に入ってからですよ、そのことの事実、そういう事実を政府としては掌握していますかと、こう聞いているんです。答えてください。
○政府委員(田中努君) 今御指摘の五月に入りましてからの鉄鋼、鋼材の具体的な上昇の状況については、申しわけございませんが現在のところ把握をいたしておりません。
○国務大臣(相沢英之君) 手元に国内卸売物価の五月の上旬の数字でございますが、鉄鋼につきましては対前年同月比で〇・三%の上昇になっております。
○稲村稔夫君 私は、物価問題というのは、生きているものをつかまえるわけですから、すぐそういう市況に敏感でなかったらだめだという、そういうつもりがあって伺っているんです。統計の数字なんて聞いているんじゃないですよ。そういう姿勢は示されるんですか。
○国務大臣(相沢英之君) 私どもの役所は御案内のように物価局を持っておりますし、物価に対しては極めて重大な関心を持っている役所でございまして、私自身も物価の推移につきましては絶えず注意をいたしておりますし、関心も持っております。すぐ数字をお答えできませんでした点はお許しいただきますが、絶えず注目しているということは、これは申し上げられます。
○稲村稔夫君 日銀で調べられたこの卸売物価指数でも、例えば建設用の材料などについてはかなり値上がりは激しい、物によってそういうものがいろいろとあるわけですよ。それで、今私はたまたま私の町は金属加工業ですから、鉄筋とかそういう意味で言っているんじゃないですよ、鋼材全体についてそういうものの動向が起こっておる。それをどういうふうに掌握しているかどうかということを伺って、掌握していないとしたらそういうものにやはり適切に対応できるようなそういう機動性というのを持たないと物価対策というのはなかなかうまくいかないんではないですかと、こういう考え方があって伺っているんです。もう一度お答えください。
○国務大臣(相沢英之君) 先ほど日銀総裁から答弁ございましたように、卸売物価は全体としては安定した動きでございますけれども、子細に見ますとその中において、建設用の資材に関しましてはほかの物価よりも騰貴率が高く出ております。手元に数字を今あれですけれども、大体倍ぐらいの数字が出ておると思います。これは賃金面におきましても賃金の上昇率の中で建設関係の賃金がやはり上昇率で倍近く出ている。これは特に最近におけるところの一般の公共投資あるいは民間の設備投資、建設工事の増加というものの影響がその点にあらわれていることは事実だというふうに思っております。
○稲村稔夫君 少し角度を変えましょうか。 日米構造協議でアメリカ側は公共事業に対する投資を大幅にふやすように強く要求をいたしております。政府はこれを拒否したいようでありますが、そのかわりに十年計画で対応という形のようであります。これは各省庁のそういう計画を全部集めたら五百兆になるというふうな話も伺いましたけれども、十カ年計画で大体どのくらいの規模の公共投資をやろうとしておられるんですか。
○国務大臣(相沢英之君) 日米の構造協議におきましては、従来の公共投資よりも大幅に増額をするということが一つの考え方になっておりまして、しかもその事業につきましては、国民生活に直接関係のあるところの投資というものを重点に考えるということになっております。 で、前々週から関係の各省に対しまして、企画庁としては大体これから先の十年間でどの程度の公共投資の金額を考えているかということについての考え方を聞いております。これは現在まだ継続中でありまして、おっしゃるように五百兆とかなんとかという数字はまだまとめておりませんし、大体私どもの考え方としては、ここでも申し上げましたように、過去十カ年間において伸びてないところの事業の項目につきましては大体これから先も一応フラットに見ると、それから過去十カ年間において伸びているところについてはその伸び率の三割増しないしは五割増しの数字ではじいたらどういうことになるかということでもって数字を求め、さらにその際に各省庁としての考え方を聞いている段階でございます。したがいまして、新聞等に五百兆というような数字が出ていますが、これは私どもとしては関知をしていない数字でございます。
○稲村稔夫君 いずれにしてもかなり膨大な財源を見なきゃならない、こういうことにもなってくると思うんですが、過去においても景気の浮揚策でもって公共事業ですね、かなり大型予算を組んで投入をしたとき、例えば過去の例を見ていきますとそのときにはまず資材が値上がりをして、そうして物価値上がりにどんどんどんどん影響していっているわけです。波及しているわけです。このことを考えていったときに、あなたのところで今十カ年計画で一定程度ふやしていこうということを考えるんだったら、物価に対する対策というものを必ず立ててなきゃならぬということになるんじゃないですか。その辺どんな計画があるんですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 構造協議の議長省、担当省として私の方からお答え申し上げたいと思います。 今委員が御指摘になりましたような心配を私どもも持ちました。そして、アメリカ側からのアイデアとしてGNP対比で数字を固定する、あるいはそれを計画的にそれぞれの年次に割り振るといったアイデアが出されましたものに対し、これについては私どもがどうしても採用できないということを申し、非常に激しい議論も途中ではありましたけれども、中間報告で既に御承知のような内容の私どもとしての報告をまとめたわけであります。 それは、まさに今委員が述べられましたような過大な公共投資によってインフレを引き起こす、あるいは景気の過熱を招くといった事態は我々としては避けなければなりません。こうしたことを考えますと、最終的に十年間の投資総額は確定をいたすにしましても、それぞれの年度における事業量等につきましては当然そのときどきの経済情勢、財政状況というものを考えて弾力的に対応していかなければならないからでありまして、今御指摘になりましたような点を報告の中には「各年度の具体的な進め方については、日本における公共投資が経済・景気対策に大きな役割を果たしていることにかんがみ、インフレ、景気過熱を招かないように留意しつつ、各時点での経済・財政情勢を踏まえ機動的・弾力的に対処していく方針で臨む。」、こうしたものを明記いたしました。これは、私どもが今委員から御指摘になりましたような問題点同様の視点からこの問題に対処しているということで御理解をいただきたいと思います。
○稲村稔夫君 せっかく大蔵大臣にお答えをいただきましたので、今の点は私はもう少し議論もいろいろとありますけれども、大蔵省の関係で特に伺っておきたいと思いますのは、消費税が今度見直しになりまして内税化をすると便乗値上げがみんな続いていくんじゃないかという心配も結構あるんですけれども、その辺の対策は何か立てておられるんですか。見直しを認めるという意味で言っているんじゃないですけれども。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 念を押されなくても、お立場はよく存じております。 ただ、今委員が御指摘になりましたのは食料品の小売段階における非課税化ということについてであろうと思いますが、これは御承知のように消費者の方々から非課税というものを求められる、一方ではその流通の過程における税の累積を考えて、その中におきまして流通段階における軽減税率と小売段階における消費税非課税というものを組み合わせて飲食料品の問題に答えを出したわけであります。そして、この軽減税率によりまして一・五%引き下げというものは既に確定しておるわけでありまして、小売段階における脱負担はないわけでありますから、我々としては当然一・五%というその数字どおりに下がっていかなければならないと考えております。これはそれぞれの業種を所管されます各省において当然物価のチェックもしていただけると思いますし、また企画庁等におかれてもそうした指導はしていただきチェックをしていただけると考えておりまして、小売段階非課税が逆に飲食料品の価格上昇を招くとは考えておりません。 〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕
○稲村稔夫君 私は、いずれにしても内税化をするということによってその税額が幾らであるかということがわからない、競争が激しいところでは価格上昇、便乗値上げというようなことには余りなっていかないでしょうけれども、やはり価格競争が余りない部分というようなところでは便乗値上げにつながっていくという危険を多分に感じております。それは、今食料品についてのことを言われましたけれども、今後私は食料ばかりではない、消費税に伴ってのその問題は常について回るんではないかというふうに思っておりますので、これはまた別に改めて議論をしなければならない課題でありますから、この程度にさせておいていただきます。 もう一点伺っておきたいと思いますのは、ドイツの統一はマルクの需要量を物すごくふやすんではないかというようなことが心配をされております。そうすると、世界の中で優等生と言われてきたマルクと円というものが、そのうちのまたマルクもインフレ傾向に入っていくと、通貨需要量がすごくふえてというようなことになってまいりますと、そのほかの国々はもう既にインフレ傾向があるというふうに私は思っているわけでありますが、そうすると我が国に対する影響を水際で果たして食いとめて、我が国だけがひとり物価上昇の枠の外にいることができる、こういうことになるのかどうか、その辺のお考えを聞かせていただきたい。
○国務大臣(相沢英之君) 両独の通貨同盟につきましては、先般、両独政府が両独通貨・経済・社会同盟の創設に関する国家条約に調印したところであります。お話しのように、この両独の通貨の統一によりましてそれがどのような世界経済また日本経済に影響を与えるかという問題でありますけれども、当初は両独のマルクの一対一の交換ということを通じましてかなりドイツにおいてのインフレが高進するのではないか、特に東ドイツにおいての消費が促進をされるためにそういう現象が起こるのではないかという心配を持っておったようであります。ただ御案内のように、東独のマルクの交換に際しまして年齢によりまして一対一での交換の限度を設けたということもあります。それからまた、東ドイツにおいて統一後かなり雇用の見通しに関して不安を持っている面もございまして、せっかく収得したマルクをむだに費やしてはならぬ、こういう気持ちもかなりあるようであります。そういうことがあるので、当初考えられたほどの消費促進、インフレということはないのじゃないか、こういうふうに見ているのであります。 そういう意味におきまして、御質問の意味がこのことによって直ちに国際的なインフレの発生のおそれがあるかどうかということかと思うのでありますけれども、そういう点につきましては、これは先のことでありますけれども、それほど大きく心配する必要はないのじゃなかろうかというふうに見ております。
○稲村稔夫君 私は、政府の見方というのは極めて楽観的過ぎる、常にそう思うんですよね。さっき長官、私の前どなたでしたかね、お答えになっているときに、消費者物価の上昇、生鮮食料品のアップはあるけれども全体に心配ないなんて、こういうふうに答えておられましたけれども、さっき私の町の鉄鋼、鉄材料のお話をいたしましたけれども、物価が上がっていくという要素、要因はあちこちに今出てきているというふうに私は思う。そして、国際的にも心配をされることはいろいろあると思う。それだけに警戒を十分にしてもらわなきゃならぬ、そしてその対策は万全に立ててもらわなきゃならぬ、そして緊急の中で特にマネーサプライがどんどんと増大しているということになればなるほど金余り現象というのをここで収束をしなきゃならぬ、こういうことになるんじゃないでしょうかとこういうことを申し上げたくて、政府のその辺についての甘さを私は強く指摘しておきたいと思います。 そういう点、もう時間がなくなりましたから、せっかくお聞きするつもりで準備をしていただいた何人かの大臣の皆さんには申しわけありませんが、次の方に移らせていただきます。 次は、エネルギー政策について伺いたいと思います。 原子力以外のエネルギーの利用技術の現状と今後の見通しについて、これは科学技術庁と通産省に伺いたい。
○政府委員(石塚貢君) それでは、初めに研究開発の調整官庁の立場からお答え申し上げます。 資源の約八割までを海外に依存いたします我が国におきましては、エネルギーの安定供給を確保するということは極めて重要なことでございます。このような観点から、昭和六十一年閣議決定されております科学技術政策大綱におきましても、重要研究開発分野の一つといたしましてエネルギーの開発及び利用というものを位置づけております。また、政府が中心となって推進すべきものといたしましてエネルギー研究開発基本計画といったものが内閣総理大臣によって定められておりまして、私ども積極的に新エネルギーの研究開発を進めているところでございます。 具体的に申し上げますと、新エネルギーにつきまして、太陽あるいは地熱あるいは風力、海洋におきます波力、そういった研究開発を長期的な観点から関係省庁におきまして推進しているところでございます。しかしながら、現状におきましては、原子力、石油等にかわり得るだけの成果というものがまだ得られておりません。今後とも積極的に新エネルギーの研究開発を推進していくこととはいたしておりますけれども、この原子力、石油等にかわるといいますか、そういうことはなかなか難しい。これをむしろ補完する形での利用にならざるを得ないというふうに現在思料いたしておるところでございます。
○政府委員(山本雅司君) 基本的には今科学技術庁から答弁申し上げたとおりでございますが、私どもといたしましては、やはり新エネルギーというのは環境負荷も小さいししかも自然エネルギーを利用するという利点がございますから、今後のエネルギー開発の観点からは最重点課題として取り組みたいと考えております。 ただ現在のところ、やはりエネルギーの分布が非常に幅広く分かれているとか、あるいはその利用と使用の時間的な差があるとか、いろいろの制約がございまして、現在のところ全体のエネルギーバランス上は約一・三%という低い水準でございます。これを現在総合エネルギー調査会で御検討願っておるところでございますが、何とかして大々的にこれをふやしていきたいということで、二〇一〇年に向けましては何とか総エネルギー供給の五%以上にできないものだろうかということで、エネルギーの技術開発と同時に技術開発が進んだ面については積極的な導入を図っていきたい、このように考えておるところでございます。
○稲村稔夫君 それぞれ立派な御方針をお答えいただきましたが、それでは科学技術庁の予算における原発関係予算に対して今のほかのエネルギー関係の予算というのは何%になりますか。
○政府委員(石塚貢君) お答え申し上げます。 科学技術庁の原子力関係の関係経費は、平成二年度、現在御審議いただいております予算案では二千九百六十二億円をお願いいたしております。これに対しまして新エネルギー、科技庁が担当しておりますのは植物の光合成関係のものとそれから海洋の波力発電でございますが、この二つ合わせまして約一億二千万円ということでございます。
○稲村稔夫君 通産省にも同じことを聞きます。
○政府委員(山本雅司君) 私どもの予算関係では実は一般会計は非常に少のうございまして、石油石炭対策の特別会計と電源開発の特別会計関係から出しておりまして、石油代替エネルギー対策は全体で、平成二年度予算でお願いしておりますが、これが三百四十億でございます。それから、電源多様化勘定でお願いしておりますのは、科学技術庁分の約一千億を含めまして約二千億円でございますから、通産省関係は一千億円強でございます。そのうち原子力直接は約三百億円、二百八十七億円でございまして、その他のものは原子力以外のところに一応対策として組んでおるところでございます。ただ、先ほど申しました三百四十億円の石油代替エネルギー対策の中には、供給確保のための債務保証とか、そういうものも一部まじっておりますから、これがすべて技術開発ということではございませんが、その大宗はやはり導入促進対策とか技術開発とかいうところになっております。
○稲村稔夫君 最初の御答弁の立派さに比べて後の方の御答弁は何とみみっちいんだろうという感じを私はぬぐい得ないわけであります。特に科学技術庁予算の方は本当に残念だと思います。 要するに、大事だ大事だとおっしゃっているけれども実際は口だけであって、経済主義みたいなことに全体が押し流されているんではないだろうか、そんなことが心配されます。そんなことのないように今後の取り組みをしっかりとやっていただきたい、このことをまず要望しておきたいと思います。 次に、具体的に福島の東京電力第二発電所の三号炉の再循環ポンプ破壊事故について伺っていきたいと思います。 まずそこで、ちょっと残念だと思うんですけれども、私の要求いたしました資料のうち出していただくことに決まったものもありますけれども、事故調査特別委員会に配付をした資料の一式をいただきたいというのに対してはこれは出していただけないそうでありますが、どうしてでありましょうか。
○政府委員(向準一郎君) お答え申し上げます。 先生から御要求のありました資料で可能な限りのものにつきましては提出させていただくということになっているわけでございますが、今御指摘の福島第二原子力発電所第三号機の調査特別委員会、これは先生御承知のとおり通産省が学識経験者から専門的、技術的な意見を聞くというために設置したものでございまして、当委員会におきまして審議、検討の過程で用いられました資料等の開示につきましては、委員会におきます専門家の自由な発言及び資料の開陳を阻害せず原因の究明等に関する審議が十分なされることを確保するという観点から、その公表を差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
○稲村稔夫君 もうその審議は終わったんでしょう。出した資料をどうして出せないんですか。
○政府委員(山本雅司君) 御指摘のとおり審議は終わりまして報告書はいただいたわけでございます。ただ、この審議につきましては、実は十六回にわたりまして審議をお願いいたしまして、現地調査も七回お願いしたわけでございます。そこに提出いたしました資料は、企業から受けましたある意味では非常に細かな記録も当然含まれますが、そのほかに委員の先生方からの所見も含まれております。さらには、当然ではございますけれども、その自由な意見交換の議事録も当然その中に含まれておるわけでございまして、こういうようなものにつきましては、大変膨大な資料になるものですから、委員会の全部の資料を一括してという御要求に対しましては、残念ながら、それを提出いたしますと今後のいろいろ内部の御意見を伺うときの問題も公表するのを前提に技術的な御意見とか非常に率直な御意見をいただくことが難しくなるというような懸念もございます。 したがいまして、先生御指摘の、具体的に例えばこういうものというようなのが御指摘いただけますれば、それにつきましては具体的に出せるか出せないか検討いたしまして、できるだけお出しするという形で対処したいと考えております。
○稲村稔夫君 どういうもので審議したかわからないでしょう。こういうものということは何事ですか。そして、一体それはトラックいっぱいあるんですか、膨大だと言うけれども。
○政府委員(山本雅司君) 具体的にこの前武藤通産大臣からもお答えいたしましたけれども、私どもは基本的には資料は必要なものはできるだけ公開したいということで考えております。 ただ、中には非常に企業の機密に属するものとか、さらには委員の発言に関するものとか、さらには財産権に関するものとか、安全保障とか、もっといろいろございますけれどもそれは別にいたしまして、そういうような公務員としてお出しできない部分もございます。したがいまして原資料につきましては、私どもだけの判断でなくて出してもらったところの判断というのも必要になる場合もございます。したがいまして、委員会に出した――委員会というのは内部の実は技術顧問委員会でございますが、その委員会に出したもの、あるいはその議事録、さらには委員の先生方のメモまで全部一式お出しするということは、これは中の行政のやり方として非常に出しにくい、こういうことでございまして、具体的にこういう資料こういう資料というものがございますればそれはできるだけお出しするという方向で検討したい、こういうように申し上げておるわけでございます。
○稲村稔夫君 それじゃ、その議事録に当たる部分、委員の皆さんのメモに当たる部分、それを除いたら出していただけますか。
○政府委員(山本雅司君) これは一般論で非常に恐縮でございますけれども、企業の機密に属するもの、それからこれは……
○稲村稔夫君 それじゃ何のための原子力の公開なんですか。公開の原則はどうしたんですか。
○政府委員(山本雅司君) この前、委員からはないはずだとおっしゃいましたけれども核物質防護に関するもの、あるいは個人のプライバシーに関するもの等はお出しすることができない場合がございますけれども、それ以外のものはできるだけお出ししたいということで、大任もこの前この本予算委員会でもお答えしているところでございます。
○稲村稔夫君 それじゃ、出せるもののリストを出してください。
○政府委員(山本雅司君) 今出せるもののリストを明示的にここでお出しするというような約束をすることはまだ具体的な内容を検討しておりませんからできませんけれども、具体的にこういうものということで資料要求がございましたら、これは国権の最高機関の要求でございますから、それにつきましてお出しすることを検討したい、このように考えております。
○稲村稔夫君 リストが出なかったら何を要求していいかわからないでしょう。全リストを出してください。
○政府委員(山本雅司君) 具体的に先生が御要求の資料がどういうものか実はわからないものですから、それで全リストということが言えないわけでございます。 ただ、成果につきましては報告書ということで全部お出ししておりますし、その成果に関してこの点についての資料かどうかという要求がございましたら、それにつきましては十分お出しする方向で検討したい、こういうことでございまして、とにかくどこまで出せるか、全部出せと言われましても、それはどこまでの資料か、物すごく膨大な資料がございますから、それについてポジで、これは出せるということで一般的にお答えすることは難しいかと考えております。
○稲村稔夫君 おかしいんだよな。どういうものを出したかも我々はわからないんですよ。だから、出したもののリストを出しなさい。そしてその中で出せないものは出せないでこれこれこういう理由で出せないとはっきりさせてくれりゃそれでいいじゃないですか。
○政府委員(山本雅司君) 実は、内部のその顧問会の先生方の意見をお聞きするということでこの調査特別委員会をやっているわけでございまして、それは一種の……
○稲村稔夫君 我々の意見は聞かないんですか。
○政府委員(山本雅司君) その中の議論のための資料の整理をしているわけでございます。したがいまして、その中でどういう議論をしたかという資料を全部網羅的にお出しする必要があるのかどうか、そこらにつきましては確かにいろいろこういう点が必要だ、あるいは、この報告書の中で全部公表しておりますけれども、この前も御指摘いただきましたように……
○稲村稔夫君 この中には全部なんて公表していないでしょう。
○政府委員(山本雅司君) この角度がちょっとおかしいというような御指摘もございました。それから私ども精査いたしまして、実は六カ所ほど図面につきまして、例えばこの……
○稲村稔夫君 それは後で聞きますよ、また。
○政府委員(山本雅司君) イラストをつくっておりまして、イラストの中で見える部分の数がやや不自然だというようなところは早速訂正させていただいたわけでございます。したがいまして、そういうような問題になり得る点、あるいはこの点がどういう原資料かというような御指摘がございますれば、それは十分お出しいたしますし、不明確な点がございましたら私どもとしても訂正した方がいい点はぜひ訂正していきたい、このように考えておるわけでございます。
○稲村稔夫君 だめだな、それでは。リストが何で出せないんですか、それを全部出せと言わないんですから。リストだけでも出しなさいと言っているんだ。
○委員長(林田悠紀夫君) ちょっと速記をとめて。 〔午後五時二十五分速記中止〕 〔午後五時五十三分速記開始〕
○委員長(林田悠紀夫君) 速記を起こして。 暫時休憩します。 午後五時五十四分休憩 ─────・───── 午後六時二十八分開会
○委員長(林田悠紀夫君) 委員会を再開いたします。 稲村君の残余の質疑は明日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時二十九分散会