予算委員会 第10号
- 発言数
- 427 件
- 登壇者
- 45 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1990/05/21
会議録
○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を開会いたします。 平成二年度一般会計予算、平成二年度特別会計予算、平成二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 平成二年度総予算三案審査のため、本日、政教分離の侵害を監視する全国会議事務局長西川重則君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) それでは、これより総括質疑を行います。山本正和君。
○山本正和君 初めに、先日の本委員会で総理並びに大蔵大臣からの御答弁に関連しまして、きのうのNHKの各党討論会で自民党の政務調査会長加藤六月さんが、大体税制というのは欠陥がなけりゃ直す必要はないので、欠陥があるから直すんだ、どなたが言ったか知らぬけれどもと、こう極めて冷ややかに言われて、幹事長もそうだそうだとうなずいておった。前回、党の総裁である総理大臣が、欠陥はないけれども世論にこたえて見直しを行う、こういうふうに御主張されたことと大分ニュアンスが違うわけですね。その辺、与党の首脳と政府との見解の不一致についてどうお考えになるか、まず冒頭お伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ちょうど私その時間帯は他の仕事をしておりまして拝見をしておりませんでしたので、先ほど記録に起こしていただきましたものに目を通しました。政調会長は、見直し案を出している以上、欠陥がないとは言えない、そこで食料品、家賃、教育の非課税などを行った。つくった方からしたら欠陥はないと言いたいが、税に完全無欠のものはない、こういう言い方をされたということでございます。 これは私は、政調会長の御見識としてそのままお受けをするわけでありますけれども、ちょうど売上税について非常に厳しい御論議がありましたものを受け、政府としてこれに対応をいたしながら消費税を組み立ててまいりましたプロセスを考えてみますと、非課税範囲を最小限度のものにとどめるという当時の方針というものが私は誤っていたものだとは考えておりません。そして、広く薄くというその基本線の中で非課税範囲を最小限にとどめてまいります中で、確かに食料品あるいは家賃、教育といったものも課税対象になっておったという事実はそのとおりでございます。そして、その売上税当時の世論とは逆に、消費税の実行の段階になりましてから、より非課税範囲の拡大を求める、殊に食料品あるいは教育といった分野につきまして拡大を求める声というものが国民から強く起こりましたことも事実でございます。その限りにおきまして、その国民世論の変化というものを察知し得なかったという点から見れば、これはあるいは欠陥と言われるものなのかもしれませんが、制度としてあるいは税の理論の上でこれを考えました場合に、私は欠陥であったとは考えておりません。 先般も御答弁を申し上げましたように、税理論として正しいもの、国民の常識に受け入れられるとは限らないという意味において問題がなかったとは私もあの答弁で申し上げておりませんわけでありまして、私は政調会長としてはそうした国民感覚というものを中心にお答えになられたものと思います。 ただ、その税が完全無欠なものではない、常に見直しが必要だ、これはある瞬間正しいものでありまして、時代の変化に応じて常に見直す必要があるという意味においてはそのとおりでありまして、私はそう理解をいたします。
○国務大臣(海部俊樹君) 自由民主党でございますから、いろいろな立場、いろいろな角度の御意見もありましょうし、物事には視点によって光の面も影の面もいろいろ見えてくると思います。私にお尋ねがあれば、私はよかれと思ってやったことでございますし、昨年の四月から始まりました消費税というのは、消費税だけが突然出てきたのじゃなくて、そのほかのいろいろな法人税や所得税の減税とか、資産課税の原則課税とか、いろいろな一環として行われているものでありまして欠陥とは考えておりませんが、しかし、世の御指摘や国会におけるいろいろな御議論や新聞の世論調査の指さす方向などを謙虚に見詰めてみますと、これは思い切って見直した方が世論や多くのものに従うことができるのではないか、こう思って見直し作業に着手したというのが率直なところでございます。
○山本正和君 提案する以上は欠陥がないということで提案されただろう、それが最初の消費税。それを今度見直したわけですから、前のやつが欠陥があったということはこれはおっしゃりにくいと思うんですね。また政府としては、あるいは提案責任の与党としては、総理の言われたことの方が私は筋が通ると思うんです。中身がいい悪いは別ですよ。それは私どもが国会で議論するわけですからね。しかし、出す者がそういうことを言って無責任なことを言うというのは、これはもし日本社会党だったら大変なことになる。土井委員長がいろいろ言ったことを、実はあれは欠陥がないと言っているけれども欠陥があるよなんと私は言えないと思うんですよね。 そういう与党が本当に政府をきちっと守ってやろうという気があるのかないのか、そこを国民が大変不思議に思っているのだけれども、それはどう思われますか。
○国務大臣(海部俊樹君) どういうことなんでしょう、政府・与党首脳会議等でしょっちゅうこのことは話し合いをしながらやってきたことでありますし、この見直し案策定の段階においても政府・与党一体となってしてきておるわけでありますから、だから同じ行為も、先ほど申しましたように、視点を変えていろんな角度から言えばそういうようなことになるのかなということであって、根底は私自身の考え方は今さきも申し上げましたとおりでございますし、謙虚にやはり世論の指摘に従って改めなきゃならぬということを私も決意して見直し案を出しておるわけでありますから、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
○山本正和君 国民は総理の言われることはわからないわけなんです。自由民主党というのは自由に、むちゃくちゃ自由放縦じゃないと思うんですよね、自由と民主主義ということを標榜している党でしょう、一応。だから、自由民主党なら、党として決まって政府が提案する場合には、総理が主張されたことはそのまま支持しているというのが私は当然だと思うんですよ、総裁ですからね。そこのところを、テレビを見ておった人はみんなわかりますよ。加藤さんの顔と小沢さんの顔を見ておったら、いかにも冷ややかに、大蔵大臣がそう言ったか知らぬけれども、そんなの欠陥がなかったら直さぬですよと、幹事長もうんとうなずいている。一番の責任者である総理や大蔵大臣の発言に対してのああいう態度は、国民から税制見直しに対する不信感しか生まれないのですよ。そこのところをひとつ私は、特にこれはこれ以上はお答えは要りませんけれども、指摘しておきたいと思います。国民のための自民党になってほしいから言っている。 それで、ちょっとついでにここで感想をもう一点お聞きしておきたい。先日からの新聞紙上で、ある人が百二十五億円とか百十五億円とか大変な高価な絵画をお買いになった。もちろんピカソとかゴッホとかルノワールとか大変有名な画家のかかれたものです。こういうものを買われたという記事を見ますと、国民感情からいって、待てよと、あれは一体税制上はどうなるんだろうか、こういうことをちょっと心配するんですけれども、ああいうものを買われた場合の税制上の措置はどうなるのか、またその者の資産に対してはどういうふうな評価をされるのか、扱いをされるのか、国民が皆不審に思っているものなのでちょっとお聞きしておきたいんですが。
○政府委員(岡本吉司君) 御指摘のような事実が報道されたのは我々も承知しておりまして、たびたびこういった席で御答弁申し上げておりますとおり、ああいった記事が出ますと我々としても非常に関心を持つわけであります。 ただ、一般論から申し上げまして、例えばその個人の課税後の所得でああいったものをお買いになるということになりますと、これは課税後のお金で買われているわけでございますので、全然課税上の問題は生じない。強いて申し上げますれば、個人の場合には相続財産としてそれが残っているかどうかというような関心は我々は持っておるところでございます。
○山本正和君 法人の場合はどうなりますか。
○政府委員(岡本吉司君) 法人の場合には、これも一般論でございますけれども、恐らくそれに見合う現金なり何らかの資産をお持ちになっておって、それが絵画にかわっただけ、そういった美術品にかわっただけということで、資産の間の振りかえになりますので、それだけでは課税問題は生じない、こう考えております。
○山本正和君 国民が、ああいうことをする人たちもおる、国民生活は必ずしも豊かとは言えないけれども大変豊かな人もおる、こういう感じを持つと同じことで、日本の企業について、これはちょっと数字を忘れましたけれども、たしか百六十兆、二百兆近いのかな、対外資産。企業が持っている資産は大変なものなんですね。この前大蔵大臣は、国は貧乏ですよ、百六十四兆円も負債を抱えていますとこうおっしゃる。世界じゅうの負債と一緒ぐらい。しかし、それ以上の資産を日本の企業は外国に持っているんですよね。大変豊かな企業ですよ。 そういう中で、外国から見てこういうものについては随分いろんなことを思うと思うんですが、そういうふうなことについて、企業、いわゆる財界と政府、やっぱり日本の国を代表する重要な役割を持っているわけですから、国際的ないろんな影響等についてこれはいろいろ配慮されなきゃいけないと思うんですが、そういうことについての話し合いはおやりになるお気持ちがおありでございますか、政府としては。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は新聞記事で見まして、ああお金を持っていらっしゃる方もあるんだなという感じは持ちましたけれども、率直に申して、それが個人の資産でお買いになったのか、企業としてお買いになったのかまで深く掘り下げて考えてはおりませんでした。 むしろあの記事を見ましたときに、率直な私の感じを申しますと、一体この絵をどこかに死蔵してしまわれるんだろうか、それとも、個人か企業か存じませんけれども、お買い求めになりましたその名画というものを一般国民にも見せていただけるような場に展示をしていただけるんだろうか、率直に私はその瞬間そんな感じを持ちました。 私は自分の郷里に大原美術館を持っております。これも特定企業のオーナーがみずからの資産をなげうって収集した泰西名画を、みずからの管理のもとに美術館をつくり国民の啓蒙のために展示を続けておるものであります。私はあそこまでいきますと、むしろ大原美術館というものは既に国民の資産という感じで見ておりますし、ある意味では地域の住民は郷土のいわば誇りのような感じでこれを見ておるわけでありますが、果たして今回購入されました名画が同じような国民のまなざしを浴びることになるのかどうか、これはお買いになりました方のその絵に対する今後の立ち居振る舞いと申しましょうか、そうしたことで評価の決まるものではなかろうか、今御質問を受けながら率直にそのような印象を持っております。
○山本正和君 私が質問いたしましたのは、やっぱり日本の企業なりあるいは政府なりには、今国際社会の中でさまざまないわゆるジャパンプロブレムと言われている問題があるということは御承知のはずですから、そういうものに対する配慮等も含めて政府としても企業や財界の方々との話し合いの中では十分に取り上げていただきたい、こういう趣旨で申し上げたんですけれども、これはもうおわかりになっていると思いますから。 ただ、そこでちょっと私、企業のことを悪口を言うのが社会党だと思われたら困りますから、企業というのは非常に重要な役割を果たしていますし、私どもも高く評価する、大事にしなきゃいけないと思っているんですね。その企業がしかしずっと今大きく変わりつつある。フィランソロピー・コーポレート・シチズンシップというふうなことが今財界の中で議論されていることについては御承知でございますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) そうした論議が交わされておるということについて耳にいたしたことはありますが、十分な知識は持っておりません。
○山本正和君 野村証券の田淵会長が、社徳という、人間の徳と同じように会社にも徳がなくてはいけない、それがなかったら国際社会の中で日本の企業はやっていけない。さらにはもっと言いますと、企業というものが市民でなくちゃいけない。コーポレート・シチズン、こういうふうに企業と人間、この関係をしっかり持っていかなければいけないと今盛んに言っておられる。また商社も、かつて税金をいかに納めぬ方法があるかということを研究された商社が、やっぱり納めなきゃいかぬというふうにちょっと変わってきたということも聞くんですね。 しかし、そういうふうなことを含めて私はやっぱり今国民が率直に疑問を持っているのは、日本の国の税の仕組みがどうなっているんだろうか、そして五、六年前から盛んに言われた不公平な世の中、税制はむちゃくちゃじゃないか、サラリーマンは一〇〇%取られる。ところが、クロヨンならいいがトーゴーサンピンまでいろいろあるという税の非常に大変な矛盾の中で税制改革を政府がおやりになった、やろうとして今されておられる。それに対してやっぱり企業の方も、特に大企業を中心としていろんな形で日本の国のことを真剣に議論する、そういう空気が生まれている。だから、それだけに私は税制改革の論議は重要だろうと思うんですね。そういう意味でひとつ税制改革の我が国の手順について少しお伺いしておきたい。 まず、どうでしょうか、税制改革とこういうふうに言いますけれども、そもそも議会というものとその国の税との関係をどういうふうにお考えでございますか。税制との関係ですね。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変お答えのしづらい御質問でありますが、率直に私からお答えを申し上げますならば、これは税制のみならずあらゆる法律案につきまして、従来から国会において御審議をお尽くしいただき、その国会の意思を反映した議決というものがなされてきている、私はそう考えます。その意味におきましては税というものにつきましても同様でありまして、税制改正につきまして政府として法律案を国会に提出させていただく、あるいは議員立法として特定の議員の方々の御意見というものが取りまとめられ国会に提出をされる、それを国会の意思において論議し、結論をお出しいただく、私はそういうスタンスのものであると考えております。 政府の立場から申し上げますならば、政府としてさまざまな視点からその折その折における税制改革を常に心がけながら、国会にその見直しあるいは新たな税制についての創出あるいは既存の税制の廃止、さまざまなケースがありますけれども、見直しをしつつ必要と思われる法律案を国会に提出いたすわけでありまして、これが国会で御論議をいただき、一日も早く成立をさせていただくように努力するのが政府の立場でありますが、これについて院としてまた十分な検討を尽くされる、これは国会のお立場と、そのように心得ております。 いずれにいたしましても、でき上がりました税制というものは、それが議員立法でありましょうと政府提出立法でありましょうと、国会の御審議を得て議決をされたという限りにおいて国会の御意思を反映したものとなっておる、そのように心得ております。
○山本正和君 議会が生まれたのは税金の問題から生まれた。これはイギリスの議会が恐らくあらゆる議会の中での出発点ですね。そのイギリスの議会制度が生まれたのは、税金をどう納めるかということから議会が生まれた、こういうことを言っておるんですけれども、それは御承知でございますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 西洋史でさんざん悩まされたところであります。まだいや応なしに記憶をいたしております。
○山本正和君 大変結構でございます。 ですから、今度の税制改革、中曽根総理以来の税制改革という中で、国民も、あるいはヨーロッパやアメリカも含めて、日本の税制改革を見ておって、やっぱりおかしいんじゃないかと思っている部分が幾つかあろうかと私は思うんです。要するに世界各国の歴史あるいは議会制度というものの過程から見てですね、それについてちょっと今からお伺いしていきたいんです。 まず、我が国で税制を定める手順をちょっとお示しいただきたい。税法を国会に提案する手順ですね、大蔵省内部あるいは政府内部いろいろありますから、その手順をちょっと。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 政府としてお答えを申し上げますならば、税法を直接主管いたします省庁は自治省と大蔵省でございます。これは常にそれぞれの主管する税制というものを見直しつつ、そのときそのときにおける変化に対応する構えを常にとり続けておると心得ております。そして、その中において、これは政府の税制調査会が税制調査会の意思として研究され政府に意見を提出される場面もありましょう。総理から諮問をされ、その諮問に応じて検討をされた結果を報告されることもありましょう。いずれにしても、税制改正につきまして、政府税制調査会の御論議を経て、それを意見としてちょうだいしました政府が今度はそれを具体的な立法作業として準備を進め、法制局の審査を経て国会に提出するというプロセスになります。 一方、政党政治の中で、与党の税制調査会は与党としての立場において、また国民の世論等を勘案しながら党の税制調査会としての論議を進められ、折に触れて政府にも意見を申し述べられる。我々は当然これは政府・与党の関係において十分にそれを拝聴しながら、一方では政府税制調査会の御論議といわば突き合わせていき、政府としての最終案を決定し、国会に御提案し御審議をゆだねる、そのようなプロセスと心得ております。
○山本正和君 政府税調の役割と歴史的経過をちょっと、事務局で結構でございますから。
○政府委員(尾崎護君) 政府の税制調査会は総理府の設置法に基づきまして置かれておりまして、ただいま大蔵大臣の御答弁にございましたように、大蔵省が所管しております国税、それから自治省が所管しております地方税、両者につきまして総理大臣の諮問を受けまして審議するということになっております。 歴史的といいますと、ちょっと今いつからかというのを思い出せないでいるのでございますが、もちろん戦後のことでございますし、毎年毎年の税制改正におきまして非常に重要な役割を果たしておりますと同時に、長期的視点に立ちましてより抜本的、基本的な問題を一年にとどまらず何年かかけて同時に検討するというようなこともいたしております。 委員の任期は三年でございますので三年ごとに改選が行われまして、通常その改選されたときの一番最初のときに総理が諮問をなさる。三年間はその諮問の範囲内でいろいろとそのときそのときの情勢に応じて検討を続けていくというのが通常でございますが、時にその三年の途中におきまして別途諮問が行われるということもございます。 現在の税制調査会会長は小倉武一先生でございまして、御承知のとおり、御指摘の抜本的税制改正のときも同じく小倉武一先生でございました。
○山本正和君 かつては大蔵省が責任を持って原案をつくって国会に提出した。政府税調がこれにかかわるようになってきたのは何年ごろかちょっと教えてください。
○政府委員(尾崎護君) 今の形の税制調査会ができましたのは、ちょっと私先ほど思い出せないと申し上げましたが、三十四年からでございます。初代の会長は中山伊知郎先生でございました。それまではいろいろ臨時的に税制調査会のようなものが設けられていたのでございますが、恒久的に置かれることになったわけでございます。 その最初のころから税制調査会につきましての議論を受けまして政府が税制改正案をつくっているわけでございまして、今でも個々具体的な問題をすべて税制調査会にかけているのかというと必ずしもそうでもございません。税制調査会は学識経験者、各方面の代表の方がおそろいになりまして非常に高い見地から御検討なさるわけでございますので、税の仕組みの基本的な問題につきまして御論議いただくというのが通常でございます。 現在論議されております土地税制のようなああいう基本的な問題について議論が行われるわけでございますが、毎年毎年の予算編成に関連いたしまして、政府で申しますと各省庁が各種の政策税制を要求するということがございます。その種のものは政府間で議論される、あるいは自民党税調の中で議論されるということがございますが、必ずしもそのような小さな政策税制一つ一つについて政府の税制調査会でやっているというわけではございません。したがいまして、大きな基本的な仕組み、考え方につきまして答申を得まして、それに基づいて、そういう政策的な要請もあわせました形で政府が年々の税制改正を取りまとめる、それを予算編成の時期に税制改正大綱として固めまして、そして予算編成の際の歳入見込みに当たりまして減税であればその分を引きますし、増税であればその分を加えるというようなことで、予算編成と溶け込んで毎年の税制改正をやっているわけでございます。
○山本正和君 自民党の税調の役割、また、この発言権が大変最近強いわけでありますけれども、この経過をもし御存じでございましたら、これは自民党ですから総裁の方からお答えいただくのか、それとも副総裁の立場で大蔵大臣からお答えいただくのか、ちょっと教えていただきたいんですけれども、党税調。
○国務大臣(海部俊樹君) 自由民主党に税制調査会がございまして、毎年この問題についての調査研究、立案、それから政府に対するいろいろな物の考え方の伝達、いろいろなことをしてもらっておりますが、これは議院内閣制でございますし、また政府・与党の関係もありまして、毎週政府・与党では連絡会議も開いてそこにそごのないように取り進めておるわけでございます。 そして、自民党の税調がいつごろからできてどうなったかということにつきましては、具体的なあれを持ってきませんでしたけれども、私が当選しました二十九年前にはもうあったわけでありますから、恐らく自民党結党と同時に税制調査会の制度はスタートして毎年そのようなことが行われておったと、私はそう理解いたしております。
○山本正和君 かつては池田元総理あるいは前尾繁三郎幹事長、大蔵省出身の大変立派な政治家がおられた。また、かつての福田総理も大蔵出身でございます。大蔵省が税そのものについての責任者、税法の責任者という立場から研究をしてきちっとした理論を立てて、そしてそれをもとに政府税調がさらに広い立場から議論をした。そういう段階では常税調は余り物を言わなかった。この五、六年間といいましょうか七、八年間といいましょうか、党税調が何もかも決めてしまって、政府税調が決めたことはあれは別だというふうな風潮があるやに言われるわけですけれども、その辺について総理はいかがお考えでございますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員の御指摘でありますが、これは私は多少事実と相違をするように思います。 政府税制調査会は政府税制調査会としての使命に基づき十分その役割を果たしていただいておりますし、政党政治の中におきまして、議院内閣制の我が国において与党の税制調査会もまたその立場において論議をするという意味において、その中における今委員が述べられましたような不幸な関係というものは私は生じていないと思います。 ただ、これは一般論としてお聞きをいただきたいことでありますが、これは我が党ばかりではなく、政党政治というものが敗戦後今日までこれだけの歴史をたどってまいります間に、各政党ともにそれぞれの政策担当部局というものはいわばそれぞれの分野についてのエキスパートが次第次第に育ちつつあると私は考えております。そしてその場合に、ある場合、これは行政官の任期等を考えてまいりますと、それぞれの現時点における各省庁の責任者よりも長い経験を特定の問題については有しておるケースというものは当然のことながら生じております。そうした中から出てくる御意見というものはそれだけの当然歴史的な経過を踏まえ、重みを持った御意見でありますし、それが時代がだつにつれて重みを増していくということは事実問題としてあるでありましょう。しかしそれが、党税調が政府税調をないがしろにするといった御批判につながるものとは私は考えておらないのであります。
○山本正和君 それじゃ、税法をつくるとき、税制についての議論をするときには、政府税調、党税調と大蔵省との関係、これは一体どうなるんでしょうか。大蔵省は原案をつくるそういう作業が一体できるのかできないのか、その辺どうですか。
○政府委員(尾崎護君) 政府税調との関係で申しますと、諮問に基づきまして政府税調が審議を始めますときに、私ども事務局といたしましていろいろと資料を調製して審議のために提供するというようなこともいたしておりますし、また御質問に応じてご説明をし、私どもの意見も述べるということをやっているわけでございます。 一方、党税調との関係で申しますと、党税調に出席するようにお話がございましたときにはそこに出席をいたしまして、やはり同じように現行制度の御説明をしたり、あるいはもし大蔵省の意見を問われれば大蔵省の意見を述べるというようなこともいたしてきているわけでございます。 そのような各方面の御意見を承りまして、その結果として先ほど申しました政府の税制改正の大綱を取りまとめるというのは私どもの仕事でございますし、また各省庁の政策要請、政策税制の要求を受けまして、それについて採用するとかしないとかいうようなことを決め、その税制改正大綱の中に取り入れていく。それに応じて法律を直し、そして改正法案あるいは新規の立法といたしまして国会に提出して御審議を仰ぐ、そのようなことを私どもはやっているわけでございます。
○山本正和君 そうすると、もう大綱ができた段階では党税調並びに政府税調の意見を全部聞いてでき上がったと、こういうことですか。
○政府委員(尾崎護君) 私どもは御意見を承った結果として取りまとめているわけでございまして、その中には税調の審議等でお決めいただいたそのとおりのものが入っていることもございますし、また御審議に及ばなかった点についてまで、先ほど来申しておりますように、各省庁の御要求等の対応としてそのようなものも入っているというようなこともあるわけでございます。 どこをどのように税制を考えていくのかという基本のところで大蔵省は何もしてないんじゃないかというようにお考えかもしれませんけれども、例えば税制調査会におきましてどのような問題を御審議願うかというようなその段階での立案というのも私どもやっておりますし、繰り返しになりますが、各種の資料、それから求められれば私どもの御意見ということもその審議の過程におきまして申し上げてきているわけでございますから、いわば政府税制調査会の委員の皆様方、それから与党であります自民党の税制調査会の方々の意見、それと政府・大蔵省といたしましての意見がさんざん闘わされてきた結果といたしまして、それを受けて政府案を取りまとめる、そういうことになるわけでございます。
○山本正和君 もう一遍聞きますけれども、党税調の意向は大体反映されているということでよろしゅうございますか。
○政府委員(尾崎護君) 議院内閣制のもとでの与党の御意見でございますから、その過程、御意見が固まります前に私ども十分議論はさせていただきますが、固まりました結果につきましては十分尊重させていただいております。
○山本正和君 ちょっとそれじゃ話を変えまして、この問題はまた戻りますけれども、アメリカでは一体この税制改革の手順はどうなっているかちょっと説明してください。
○政府委員(尾崎護君) 必ずしも詳細について存じているわけではございませんが、私も大分前になりますが昭和五十年から五十三年までワシントンに勤務したことがございまして、そのときの記憶等で申し上げますと、アメリカの場合には下院の歳入委員会というのが非常に強い権限を有しておりまして、税法につきましては下院の歳入委員会を通じて提出されるというのが慣行になっているわけでございます。 御承知のように、完全な三権分立でございますから、政府側といいますか大統領府あるいは財務省の意見というのは、形の上ではあくまでメッセージ、あるいは下院の歳入委員長などに法案をお出しいただくその内容につきましてお願いをする手紙というようなふうにお考えいただいてよろしいかと思います。もちろんそういう議会との関係を生じます前に、一般国民に対しまして直接大統領がこのような税制改正をしたいということを呼びかけまして知らせまして、そして一般国民の支持を求めるというようなことも行われるわけでございますけれども、通常の税制改正といたしましては、財務省等がいろいろ考えたものも自分で法案を出すことができませんので、それを議会の関係者に説明する、そして議員立法という、議員立法といいますか、それしか立法がないんですが、それでやっていただくということになるわけでございます。 そこで、議会が開かれますと、議会でいわゆる証言という形で政府側の意見を述べるわけでございますが、慣例によりますと大体財務長官が一番最初の証言をするということになっておりまして、そこで政府側の意見を十分に述べるということをするわけでございます。アメリカの例などを横から見ておりましても、そのような証言だけで終わるわけではございませんで、やはり議会のスタッフあるいは議員直接に財務省あるいは内国歳入庁等が活発に働きかけを行いまして、できるだけ自分たちの考え方が通るようにという努力もいたしているようでございます。上院の方には御承知の財政委員会がございまして、下院を通りました後上院で非常に大きな修正が加えられるというようなことが珍しくないというところがまたアメリカらしいところでございまして、その結果、両院協議会等で今度はその調整を行う。そして法律として出しましても、御承知のように、その内容によりましては大統領がビートーをするということができるわけでございまして、これを議会が三分の二の多数をもちましてオーバーライドしない限りにおきましては、そのビートーがそのまま効力を持つというようなこともあるわけでございます。 それからまた、日本と全然違いますのは、ほかの法律に乗っかって税法を通すというようなところがございまして、議会での取引でございますが、そういう意味で、アメリカの税法というのは日本の税法と比べますと非常にわかりにくい。あちらこちらにいろいろくっついてしまっているというようなところがございまして、私ども税の問題について日本から問い合わせがございましたときに、その根拠法規等を勉強するのに大変苦労した記憶がございまして、議会のスタッフのところに伺って話を聞いたりしたこともございます。そういうことで、基本的には我が国のような議院内閣制と違うものですから、法律として税制ができ上がっていく過程というのはかなり違うように、私はそういう印象を受けました。
○山本正和君 要するに、財務省報告は議会に直接するわけですよね。自民党も社会党もおる、日本で言えば。あるいは他の野党もおる。そこへ財務省報告を出すんです。合同で議論して原案をつくるんですよ、下院は。与党だけで一方的につくったものをしゃにむに強行採決するというようなばかなことはやっていないんですよ、どこでも。これは一つの違いですけれども、これは別にしておきましょう。上院と下院が合同委員会をつくって、原案もつくるんですよ。日本の税制改革のやり方とアメリカのやり方は随分違いますから。ただし、日本の場合とアメリカは制度が違いますから、それじゃ日本とよく似ているイギリスの税制改革のやり方をちょっと説明してください。
○政府委員(尾崎護君) イギリスは、実は私勤務したことがないものですから実感を持ってお答えすることはできないのでございますが、いろいろな機会に伺っております私の知っている限りのことで申し上げますと、これは議院内閣制でございますから、むしろ我が国と似ているところがあろうかと思います。税法の提案も、私の記憶に誤りがなければ、政府側が行うということになっていると思います。 イギリスの一つの特色は、大きな税制改正をいたしますときに、政府がその内容につきましてペーパーを出しまして、早目にその内容を世の中に知らせる。そしてそれに基づいて法案をつくり議会に提出をするということで議論が行われる。イギリスの議会は、御承知のように議員間の激しいやりとりがあるわけでございますが、そのような議論を通じまして税法が定められていく。ちょっと私、もし誤っていたら謝りますが、たしか上院と下院で、下院案が通って上院でそれが認められなくても、同じものが下院で二回か三回通りますとそのまま法律になるというようなことがあったかと思いますが、やや記憶が定かではございません。
○山本正和君 要するに、片方の政府・与党が自分たちで議論して、その決めたことでもって政府提案にしてしまってそのまますぱっと通してしまうというようなことは、これは議会における野党の存在というものを十分に配慮していないという結果にしかならないんです、結果としてですよ。だから、与党が一生懸命考えて政府と相談して出したけれども修正にも応じましょう、場合によっては、間違っていたら廃止しても構わぬですよというのが議会制民主主義なんですね。政府・与党で決めてしまったからしゃにむに通すんだ、これは長い間自民党が圧倒的多数だったから通ったんですけれども、やっぱり違ってきている。 本来、議会というのは、政府の提案したものを修正したり、やめさせたり、あるいはもっとよくしたりする責任が議会にある。その辺について、特にこの税制の問題は民主主義の一番根幹ですから、そういうことについて、大蔵大臣、担当大臣として一体どうお考えでございますか。これは総理にも質問します。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、例えば大蔵委員会に在籍したことがありませんので、大蔵委員会の過去の実績については知識を持っておりません。しかし、こちらに安恒理事がおられますけれども、私は社会労働委員会が長いのでありますが、社会労働委員会におきましては、むしろ政府の提出いたしました法律案、ある場合は議員立法、これについて与野党が協議をしながら折に触れ修正を加えるということは別に珍しいことではございませんでした。むしろ各党が共同して、政府が要らないと言った法律案を我々は書いた記憶も持っております。 それだけに今私は委員の御質問を伺いながら感じましたことは、我々は本当にそのときそのときの時点を考え最善の努力をし最善の法律案を出しているという自負心はございます。税制について当然のことであります。ですから、政府の責任者といたしまして十分な御説明を申し上げ、院の御理解をいただいて、全く政府原案のままで通過成立をさせていただきたいという願いは大変強いものがございます、しかしそれは院における論議を拘束しようといったものではなく、十分論議を尽くしました結果、各党の御意思が那辺にあるかによって決すべきことであろう、そのように思います。
○山本正和君 大変議会制民主主義を大事にした御発言で私も安心いたしました。総理も一緒でございますね。
○国務大臣(海部俊樹君) 率直に申し上げまして、議会における審議の結果を大切にしていかなきゃならぬということは私もそのとおり認識いたしております。ただ、例に引かれましたアメリカの議会、イギリスの議会と日本の議会とは、そのよって立つ基盤とか運営のルールとかいろんなものが異なっておりまして、それが直ちに日本に一〇〇%妥当するとは思いませんけれども、十分各界の御意見を尊重しながら議会の審議を大切にしていくという姿勢は、これはとらなければならぬということは当然だと思っております。 また、現に今御議論になっておりますいろいろな法案の問題についても、与野党の間で十分お話し合いをいただいて修正の上成立していくという例が非常にたくさんあるわけでありますし、現にこの間の税法でも、衆議院の本会議段階では、一部野党の主張されました修正案を入れて可決成立させていただいたという経緯等もあるわけでありまして、できる限り御意見を尊重しながら進めさせていただきたい、こう私も考えております。
○山本正和君 特に税制なんという問題は、本来ほとんど全会一致に近い形でもって決めていかなければ国民の納得は得られない、これはどこの国でも大体そういう手順を踏んでいるんですよね。圧倒的反対、物すごい勢いの反対があるにもかかわらず数でもって押し切ったというふうな税制改革というのは世界の歴史にない。寡聞にして私の知るところはそうなっておるわけです。だから、やっぱり税制改正については、先ほど大蔵大臣また総理大臣もお気持ちとしてはそういうことをおっしゃったんだろうと思うんですけれども、そういうふうに受けとめてよろしゅうございますね。
○国務大臣(海部俊樹君) いろいろ国会における各党各会派の御議論が進展していきますことを私は心から期待いたしますし、その合意がいただける場合の結果というものは政府としても尊重をしていかなければならない、そういう気持ちで審議に臨んでおります。
○山本正和君 じゃ、ちょっと詰めが足りませんけれども、これはこの程度にして、また一般質問もありますから申し上げます。 今度の税制改正の手順の中での問題点をちょっと指摘しておきたいと思うんです。 まず、これは私国会へ出まして、決算委員会で同僚議員として大変尊敬もし、感服もした、またいろいろなお話を聞いてお人柄にも触れたのでありますけれども、前の参議院議員の福岡選出の福田さん、元国税庁長官で大変な御苦労を願った方、レイテ島決戦というふうな経験もされて本当に立派な方です。その方がいろいろと税制改革に当たって自分の思いを出版された「税制改革への歩み」という本、これは自民党の皆さんは恐らくみんな読んでいるだろうと私は思うんですね、参議院議員で税制の専門家ですから、現職の議員だったときに。私も随分これを読ませてもらった。すばらしいことがいろいろ書いてある。これを今お手元に参考資料を配りますので、ちょっとごらん願いたいと思います。 〔資料配付〕
○山本正和君 それで、初めに書いてあるのは先ほど私が言いましたような事柄、これは与党が言っているんです、野党の私が言っているんじゃないですよ。要するに税制改革のあり方についていろいろ我が国の問題点を指摘しています。これは別にいたしまして、その次に課税ベースの問題が出ているんです。要するに税金を私どもが納めるときに税率が高いとか低いとかという議論をしますけれども、じゃ実際にかける税金の対象はどうなのかということを議論せぬことには高いか安いか議論になりませんよと。 かつて私も税制特別委員会でおととしも、さきおととしも随分議論したと思うんです。そうしたら、日本の法人税は高い法人税は高いと盛んに言っておったんですね、その当時。竹下大蔵大臣、また総理になられてからもそう言っておられた。ところが、課税ベースの問題でそれじゃ政府がまともに議論したのかということでやってみると、かつて大蔵省と経団連とも議論したらしいですが、中途半端に終わってしまって、課税ベース問題はうやむやになって、そのまま政府税調でもその問題を明らかにせぬままに、課税ベースの問題がはっきりせぬままに税制改革に入ってしまっている、こういう問題が一つあります。 だから、大きな企業はどんどん資産がふえていく、利益は上がらぬけれども資産がどんどんふえる。損金勘定がどんどんふえていく、しかし大変な資産を持っている。だから外国から見たら日本の企業はおかしくて仕方がない。そんなに企業が豊かになるんなら国も豊かになるんですよ、よその国は。我が国だけは豊かにならない。外国から見ておかしくなっている。 そういうふうな問題も含めて、私はここで福田さんが言っておられる中で、まず税制改革の前提は所得課税の不公平を是正すべきだ、これが第一点。次に、所得課税に問題がないかどうか。例えば、勤労性所得と資産性所得、これに対する課税のあり方はどうなんだ、あるいは税務執行はどうなんだ。これをきちんとやって、国民の前に明らかにして、それでなおかつ問題があるので税制改革についてはこうしますよということを言わなければだめですよということを福田さんは一生懸命言っているんですよ。そういう考え方について、総理及び大蔵大臣、どうお考えでございますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 亡くなられました福田議員の御意見でありますが、私は今率直に感じますことは、むしろ主税局長としてあるいは国税庁長官としての長い御経験の中からこういう御意見が出てきたものであれば、在任中にその御意見を生かす御努力をしていただかなかったことが大変残念である。そのような感じを持っております。
○山本正和君 どう考えるか、今のような福田さんの言っておられることについて担当大臣として、要するに税制改革の手順ですね、所得課税の不公平是正をまずやらなければいかぬ、それから所得課税についての検討をする必要がある、勤労性所得課税、資産性所得課税。それから税務執行がどの程度行われておるか、こういうことをまず国民の前に明らかにしてから、そして抜本的に変えましょうという提案をすべきだと、こういうことを言っているんですが、そういう考え方についてはどうかということです。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、私は現在においても、これは率直に申して現役の事務方の諸君をかばうような形になりますが、こうした努力は当然のことながら税務官僚として続けられておる努力であると存じます。そして、そうした努力の上に、今後も税制改革という不断の見直しというものは行われていくであろう、そのように思うわけであります。 ただ、率直に申しまして、私は議員として税の論議に参画した経験を今日まで持っておりませんのでその福田主税局長、国税庁長官時代をよく存じませんから、それ以上の論評はできませんが、ここで指摘をされておりますような考え方というものは、現時点においても私は税務官僚として当然持って努力をしておるものであろうと、そのように思います。
○山本正和君 いや、これはこちらへ大蔵省の局長以下幹部の方がたくさんお見えでございますが、私は率直に言いまして大蔵省は昔は、今が悪いというんじゃないんですよ、昔は、大蔵省の課長以上になったら日本の国を背負うぐらいのプライドを持ってやっておったし、随分元気のいい人が多かったと思うんですよ。自民党が何と言ってこようとだめですよ、こういう人が随分おった。近ごろもおるかもしらぬですよ、ちょっとそれは余談です。余談ですが、本来そうだろう、私はそうなければいけないと思うんです。 今ちょっと大蔵大臣が言われたんですが、大蔵大臣は具体的なことを言わぬことにはどうもなかなかお答えになりません、あなたは。確かにそれは気の毒だと思うんですよ、大蔵大臣になられたときには既に何もかも全部でき上がった後の話ですから気の毒だと思いますけれども、しかし、役目だから仕方がない、それは当然受けてもらわぬと。私はまず、国民が見ておっておかしいなと思っているものを具体的にひとつ挙げていきますから、これはしばらく退屈かもしれませんけれども、ちょっと聞いていただきたい。 まず、政府が所得の捕捉をするについて大蔵省あるいは国税庁がやるときに実調率というのがあります、この実調率の傾向がどうなっているか、ちょっと。
○政府委員(岡本吉司君) 直近の年分、昭和六十三事務年度分で申し上げますと、申告所得税関係、これは我々営庶業という言葉を使っておりますが、自営業とお考えになっていただければよろしいわけでございますけれども、その営庶業の申告所得税関係は実調率三・九%、法人税の方は九・一%でございます。
○山本正和君 額を言ってください、額を、追徴税額を。実調による追徴税額を。
○政府委員(岡本吉司君) 今、調査による恐らく増差額という御趣旨でございましょうか。法人税の場合で申し上げますと、六十三事務年度におきまして十九万八千件の調査を行っております。これが今申し上げました九・一%の実調率になるわけでございますが、これによりまして把握いたしました申告漏れ所得金額でございますが、これが一兆四千九百十七億円でございます。
○山本正和君 加算税を含めて教えてください。
○政府委員(岡本吉司君) 税額でございますか。ちょっとお待ちください。――調査によります増差税額でございますが、これは加算税を含めまして六千百六十四億円でございます。
○山本正和君 この法人税の調査状況というのは、五十四年から六十三年の十年間を見ると、当初は実調率一〇・四%、今は九・一%です。件数は十七万九千件から十九万八千とふえていますけれども、これは国税庁に大変気の毒なんですけれども、スタッフが足りないんですよね。本当に夜の目も寝ずに国税庁の職員は頑張っているんだけれども、なかなかできません。これは行政改革の中で、実際外国の例を見ても、日本の国税庁ぐらい殺人的に仕事の量の多いところはないんですよね。この辺は私は大蔵大臣に特に配慮してほしいと思います。 それで、九・一%ですね、百件のうち九件調べたら六千百六十四億円の加算税を含めた追徴税額があった。もし一〇〇%やったら幾らになる。六兆になる、機械的に計算したら。こういうことを見ておったら、国民の税に対する、サラリーマンは一〇〇%納めているのに法人はひょっとしたら全部で六兆も脱税しているのか、こういう不信感がまず出るんですよね、この実調率というやつは。 それでは次に、赤字法人の問題を聞きます。 我が国の法人総数と、その中に占める赤字法人の数と、資本金一億円以上の赤字法人の数をちょっと言ってくれますか。
○政府委員(岡本吉司君) まず、数字の前に今の実調率の絡みで一言だけ申し上げさせていただきたいと思うわけでございますが、確かに九%の実調率でやりますと先ほど申し上げましたような税額の漏れが見つかっているわけでございますが、これを単純に一〇〇%に伸ばすというのは、我々としましてやはり漏れていそうなところから調査対象に選定しておりますので、我々としてはそこまではちょっと伸びないかなと考えているところであります。 続きまして、法人数の中の赤字法人と利益法人でございますけれども、これは会社標本調査という統計を我々でとっております。これの六十三年分で申し上げますと、稼働中の内国普通法人でございますが、全部で百八十五万二千社ございます。このうち赤字法人が九十五万一千社ございます。したがいまして、黒字の方が九十万一千社でございます。なお、この赤字の九十五万一千社の中で資本金一億円未満ということになりますと九十四万四千社でございます。
○山本正和君 そうすると、その赤字法人という中に、今のお話でいくと資本金一億円以上が一万社あるということになりますか。
○政府委員(岡本吉司君) やや端数の問題はございますけれども、万単位で切り上げればそういうことになります。
○山本正和君 資本金一億円以上の企業というのは、これは上場会社が圧倒的に多いんですね。そして、含み資産とか、要するに会社の経営内容、株価も大変高いんですね。そういう会社が赤字法人ですから、法人税を納めぬでもいいんですよね。そういう仕組みは世界に例がない、これは私ちょっと調べてみたけれども。資本金一億円以上で何年間も何年間も赤字法人で、しかも一部上場している会社なんていうのは国際的に余り例がない。そういう仕組みについて、大蔵大臣どうお考えでございますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員から述べられましたような御意見というものが国民の中にあることは承知をいたしております。そして、そうした御意見を踏まえて税制調査会において赤字法人に対する課税のあり方について検討されました中で、税制改革の答申において次のように述べられております。 「赤字法人課税を法人税として考える場合には、基本的に所得課税としての法人税の枠組みを超えるという問題がある。」、これが第一の指摘であります。「公共サービスに対する応益負担という観点から、赤字法人に何らかの外形標準による負担を求めてはどうかとの考え方については、赤字法人といえども地方税として住民税均等割や固定資産税を納めており、これとの関連を踏まえて検討すべきである。」、これが第二点目であります。また、「赤字法人の中には、黒字であるにもかかわらず意図的に赤字申告しているものもあり、これに対しては、引き続き、税務調査の充実等、執行面で対応すべきものではないか。」。そのほかにも御意見はありましたようでありますが、主なものとして出ておりますものはこの三つでありました。 一方、「最近における赤字法人の諸般の経費支出の状況を踏まえ、交際費等の任意的な経費支出の損金算入について見直しを行う等所得課税の枠内で所要の措置を講ずることは検討してよいのではないか。」、こうした御意見もあったわけでございます。 また、六十三年の与野党協議、十月十七日でありましたか、この際には、赤字法人課税の問題につきまして、「法人企業の過半が、赤字申告であるという実態に対する問題意識は共通であり、意図的な赤字申告については、引き続き、税務調査の充実等、執行面で対応させる。ただし、赤字法人には、業績不振で真に赤字となっている法人もあり、外形に着目して負担を求めることについては住民税、固定資産税等との関係もあり、なかなか難しい面もある。費用の損金算入については、今回の改革案において土地に係る借入金利子の損金算入を制限することとしているが、赤字法人に適切な社会負担を求める具体的方策については、なお引き続き検討する。」、このようなことになっておりました。 私どもとして、問題意識は持ちながら今後とも適切に対処してまいりたいと、そのように考えております。
○山本正和君 要するに、赤字法人の問題に見られるように、法人の問題は検討しなきゃいけない余地があるということを大蔵大臣もお認めでございますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) そのとおりの問題意識は持っております。
○山本正和君 では使途不明金について、この前新聞で報道されておりましたようにかなり問題点が出ておりますけれども、その状況を御報告願いたいと思います。
○政府委員(岡本吉司君) 国税庁におきましては資本金一億円以上の法人につきまして使途不明金の状況を把握しているわけでございますが、昭和六十三事務年度に実地調査を行いました法人につきまして把握しました使途不明金の総額は四百五十一億円になっております。
○山本正和君 調査の数、ちょっと言ってくれませんか。
○政府委員(岡本吉司君) 調査をいたしました件数が四千六百八十五件でございまして、このうち使途不明を把握した法人数が五百八十二件ございます。これの額が四百五十一億、こういうことでございます。
○山本正和君 これは単純な計算はできませんけれども、これを資本金一億円以上の全企業に機械的に拡大して計算すると幾らになりますか。
○政府委員(岡本吉司君) 先ほどと同じようなお答えを申し上げざるを得ないと思うので、単純に引き伸ばしてというところはどうも我々の計算上出てこない数字ではございますが、御参考までにと申しますか、把握している数字で申し上げますと、この実地調査件数といいますのは、一億円以上の法人の所管法人数が約二万七千ございまして、おおむね一七%程度でございます、その四千六百八十五というのがですね。したがいまして、先生の御立論に立つならば、おおむねこれを五・五倍か六倍ぐらいにしますとそういう数字が出てくるのではなかろうかという気がいたします。 大変恐縮でありますが、お答えにかえさせていただきます。
○山本正和君 要するに、庶民から見たら、使途不明金が一七%調べて四百五十一億あったら、まあ五倍はあるだろう、二千二百億からの使途不明金が使われている、一億円以上の企業ですね、そう見るのが私は普通だと思うんですね。 この使途不明金という制度が一体外国ではどうなっておるか、これは大臣御承知でございますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は存じておりません。
○政府委員(岡本吉司君) 大変申しわけございません、外国でどういう課税を行っているのか……。 そもそも我々は使途不明金という制度ではないというふうに心得ております。と申しますのは、やはり本来は所得のあるべきところに課税をするのが原則でございますけれども、たまたまその調査先におきまして支出先が明らかにならないというときに我々はやむを得ずそこで課税している制度でございます。
○山本正和君 私も素人で、一生懸命勉強したんです、これは。もう去年から一遍やっつけようと思って調べたんだが、なかなか難しくて弱ったんです。 だけれども、使途不明金なんという、こんなものをやっている資本主義国家はないんです。堂々とまかり通っている。これは会計上のミスあるいは金銭が合わないというような形での会計上の処理はあります。しかし、使途不明金が二千億からぼんとこう大企業の中にまかり通るというような、こんな資本主義は自由な市場経済じゃないんです。総理は自由な市場経済、盛んに使われたけれども、日本は自由じゃないんです、これ。アングラマネーを生む。この使途不明金を仮に今の制度のままで一番頭のいいやつがやったら、会社で使途不明金を出しておいて社長が自分のポケットに入れて知らん顔をしておってもまかり通るんですよ、この使途不明金というのは。背任横領しようと思えばできる。まあそういうことをする人はおらぬと私は思いますよ。 それからもう一つ、政府・与党にとってこれまた内政干渉とおっしゃるかもしれぬけれども、使途不明金の問題がだんだんだんだんふえている。あれは自民党が会社に金をよこせ、金をよこせと言うもので、会社は出しようがないものだから心ならずも使途不明金になっちまうんだという、こんなようなつまらぬことまで言われるとしたら、与党にとっても大変な御迷惑だろうと思うんです。この使途不明金はやっぱり検討すべきだと思いますけれども、いかがでございますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今大変失礼でありますが、使途不明金、この手元にあります三年を見ますと、六十一年で四百二十九億円、把握されました法人数七百三十八、六十二年が七百三十九で五百七十億円、六十三年が、先ほど次長から御答弁を申しましたように、五百八十二社で四百五十一億円と、必ずしもふえているという御指摘は当たらないと思います。 しかし、こういう御指摘を受けるまでもなく、使途不明金というものにつきましてはできるだけその使途というものを解明していく努力をまず払う、そしてその支出先に対して適正な課税を行うということが本来でありまして、一生懸命事務方の諸君は苦労してくれておりますけれども、どうしてもその使途が不明の場合にはこれを損金不算入ということで課税を行っているわけであります。仮に仮装隠ぺい行為が行われておりますならば、これはさらに重加算税を伴うものになるわけでありまして、現行の国税定員の中で労働力等々を勘案いたします限り、私は法人税として限界的な措置であるということは御理解をいただきたいと思います。 ただ、今委員から御指摘を受けましたので、私も時間があればちょっと他国がそうした場合にどういうふうな対応をしているのか調べてみたいと感じましたけれども、事実問題としてそのようにお答えを申し上げます。
○政府委員(尾崎護君) 大臣のお話でございますのでさらに勉強をしてみたいと思いますけれども、手元にございます資料で先進諸外国におきます使途不明金の課税上の取り扱い、これを簡単に申し上げますと、いずれの国も使途不明金の損金性は認められないわけでございます。これは日本でも認められないわけでございます。それは同じでございます。 それで、どのようにされているかといいますと、一例といたしましてイギリスを申し上げます。支出先を明らかにせよとの税務当局の要求に対し、受領者の氏名を明らかにしない場合その支払い額は、課税所得の計算上控除できないということとされております。 それから西ドイツを申し上げますと、支払い先を明示せよとの税務当局の要求に対し、受領者の氏名を明らかにしない場合の支払い額は、課税所得の計算上控除することができない、これは法律に書かれているようでございます。 そういうことでございますので、我が国の取り扱いも諸外国とかけ離れたものにはなっていない、ほとんど各国とも同じやり方であろうというように考えられます。
○山本正和君 扱いは確かにそうなんです。ところが額がこんなに上っている国は世界にないということです。こんな巨額に上る使途不明金を出している国は、いわゆる自由な市場経済をとっている国にはないんです、これは。会社というのは株主に対する責任があるわけですから、使途不明金を出したら株主に対する責任をとらなければいけない。従業員に対してもそうですし、お客さんたる消費者に対してもそうなんです。それがとにかくこんなにまかり通っているというのはおかしい。 総理は施政方針演説で、市場経済こそ我が国のと、こういうふうにおっしゃった。その市場経済を守るためにも政府はこんな問題はきちんと対応してもらわなければ困る。いかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) せっかくの御指摘でありますし、我々としてもこうした問題を少しでも減らしていくための努力は基本的に今後ともに続けてまいりたいと思います。
○山本正和君 その次に、税法で今一番国民が見てわかりにくい問題、租税特別措置の問題をお伺いしたいと思います。 租税特別措置というのは一体いつごろから生まれて、現在租税特別措置による減収額が幾らになっているかちょっと御報告願います。
○政府委員(尾崎護君) 現在の租税特別措置法がいつできたのか今ちょっと調べておりますが、租税特別措置という考え方は戦前からあったものでございます。 数字を申し上げますと、企業関係の租税特別措置による減収額は、平成二年度で五千六百四十億円と見込んでおります。ただ、委員よく御承知のとおり、我が国では交際費課税の特例をやっておりまして、損金算入を認めていない部分がございますので、その増収が八千九百十億円ございます。したがいまして、企業関係の特別措置といたしましては交際費課税を入れますと三千二百七十億円逆に増収になっているわけでございます。所得税を含めまして全体の租税特別措置による減収額、これは交際費の問題を別といたしまして、全体の減収額といたしましては二兆一千二百十億円というようになっております。平成二年度ベースでございます。
○山本正和君 本来、法人税の基本概念からいって、租税特別措置というのはあっていいのか悪いのか、どうですか。
○政府委員(尾崎護君) 課税の中立性ということを考えます場合に、課税ベースはできるだけ広くとる、企業活動に対して税制が中立的であるべきだというのが原則でございまして、そういう考え方からいたしますと、特別措置のようなものは少なければ少ない方がいいというように考えられますが、他方、現実問題といたしまして、現在土地税制におきまして大変大きな議論になっておりますけれども、例えば土地対策として税制を利用するというようなことになりますと、これは必然的に企業活動等に対しましてインセンティブを与えたりあるいはそれを抑制したりすることにするわけでございますから、中立性を離れて特別措置を講じなくてはならないわけでございます。 したがいまして、税をそういう政策的に運用することから税はできるだけ離れてあるべきだというように考えますと、中立性を重視して特別措置はもう小さければ小さい方がいいということになりますし、しかし税も特定の国民の福祉の向上のためには活用されるべきだということを考えますれば、ある程度租税特別措置が生ずるのはやむを得ないというように考えます。
○山本正和君 よく政府が言われる中で、何といいますか、都合によってはこっちを使って都合によってはこっちを使うということをやられるのですね。法人というのは個人に還元するんだからという言い方でもって法人税制の問題を議論しておいて、そしてそうは言うけれども法人は社会的存在だから企業献金も政治活動も自由だ、こういう議論もあるんですね。法人には人格がないということでもって税金の問題を議論しておいて、今度は政治の話になると法人は社会的存在だ、こう言われるんですね。ちょっと似ているんですよ、この今の議論はね。 特別措置というのは、これは確かに一つ一つの法を見るとそれぞれの時代によってさまざまな要求の中で生まれているんですよ。このことは私もよく知っています。一遍になくしたら混乱が起こるでしょう。しかし、本来こんなものはやってはいけないんだという原則はどうなのかと聞いているんだから、これは本来税の建前からいったらない方がいいんですよということを政府としてはやっぱりきちんと言うべきだと私は思うんですが、いかがですかね。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今主税局長から御答弁を申しましたように、税の公平性、中立性、これは基本原則としてあくまでもそうあるべきものであります。 しかし、それを超えて、たまたま今局長は土地税制を例に御説明を申し上げましたが、そのほかにも例えば環境対策でありますとかさまざまな政策的な、税制の公正、中立という原則を超えて、社会的な要因によって必要な施策が生じる場合はございます。そうした場合の租税特別措置というものは、これはその公平性、中立性という原則を超えてなお社会的に必要とみなされるという視点から、私は、その原則の一部が変わるという見方をされましてもその必要性が優先する、基本はあくまでも公正性、中立性というものである、そのように思います。事実としてそれを超える政策的な必要性がある場合、租税特別措置を適用することは私は当然のことと思います。
○山本正和君 ちょっとそれは大臣、また一遍じっくり議論したいと思いますけれども、税の議論をするときにはやっぱりまず大前提は理論的にきちんとしたものでなくちゃいけない。そしてその理論的にきちんとしたものの上に政治的にどうするかということが加わった議論をしてもいいのですけれども、税のあり方としての問題を議論するときには、そういう問題を初めから入れてしまうと税の根本がもともと成り立たないというふうに私は教わったんですけれども、いかがですか、そこは。
○国務大臣(橋本龍太郎君) いや、ですから申し上げていることと違わないと思うんです。 基本が公正、中立である、あるいは簡素までつけてもいいかもしれません、こうした基本原則であるということを私は決して否定しているんじゃありません。その上に立って、私は例えば環境問題を例に引きました。局長は土地問題を例に引きましたが、それを多少犠牲にしてもその問題に対応しなければならないという問題は現に存在をいたしますし、今後ともに発生する可能性はあるわけでありまして、その場合にその公平性、中立性というものにとらわれて税としての対応ができないのでは困るわけであります。 私は、委員が御論議になっております視点と私どもと、あるいは私の方が表現がつたなくて御理解いただけないかもしれませんが、基本的な部分において異なる部分があるとは考えておりません。
○山本正和君 私がいろいろここで今議論をしていることは、現行税制の中における税の基本からら考えての問題点を指摘するということで、使途不明金の問題を言ったり特別措置の問題を言っているわけですから、そういう意味で税の基本的な問題の中に幾つかいろんな問題点がありますよという指摘はこれは受けとめてほしいと私は思うんですよ。 そしてその次にまだ問題があるのは、これも我が国における特別な措置というふうに日米構造協議でも議論されている問題。引当金、準備金の問題ですね。これは引当金、準備金によって減収額は一体幾らぐらいになりますか、ちょっと報告してください。
○政府委員(尾崎護君) 引当金の類は租税特別措置ではございませんので租税特別措置で言うような意味での減収額という中に入ってまいりませんが、租税特別措置の減収額につきまして態様別の分類で申し上げますと、特別償却が一千八百五十億円、それから準備金が六百四十億円、それから免税とか税額控除、所得控除等によるものが一兆八千七百二十億円。合計いたしまして、先ほど申しましたように、所得税、法人税合わせて二兆一千二百十億円ということになっております。 現実に税収の減という話ではなくて、例えば貸倒引当金、退職給与引当金、それから賞与引当金等につきましてどのぐらいの額が引き当てられているかということでございますが、ちょっと今確認させておりますけれども、退職給与が一番大きくて約十兆円、それから賞与が六兆円、貸倒引当金が三兆円ぐらいであったというように記憶いたしております。税金じゃございませんで、各企業の引き当てている額でございます。
○山本正和君 引当金が特別措置になるかならぬかの問題はこれは学者の中で議論がありまして、特別措置だという話もあるんですね。 それは別にいたしまして、要するに我が国でこういう引当金その他の金約十兆円が課税対象になっていないんですよね。しかし、それじゃこれは国際的にどうなのかという議論はしたのかといったら、大蔵省と経団連が何年か前にやった。やりっ放しでその後議論していないんですよね、この問題は。ですから私は、法人税はもっと安くていいと思うんですよ。二〇%でも構わぬと思う、極端なことを言ったら。うんと下げたらいいんです、税率は。しかし、税額はきちんとせめてヨーロッパやアメリカ並みにしたらどうか、こういう議論が国内で盛んに出ているんですよ。そういうことについて、だから一遍法人税について本当にいろんな意味で基本的に国際社会にちゃんと間に合うように、国際社会の中でも恥ずかしくないようにやるべきだと私は思うんですけれども、国際社会の中に対応する法人税であるべきだ、こういうことについては、大臣はどうお考えですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今の御意見でありますけれども、私、ちょっとそこのところは必ずしも意見を委員と一にいたしません。 と申しますのは、今たまたま引当金の御論議がありましたけれども、これは確かに退職給与引当金のみで十兆円余りの金額が積み立てられているということでありますが、これは退職金として支給をされました段階において当然一定のルールによって課税対象になってくるものであります。賞与引当金またしかりであります。そうしてまた各種の租税特別措置等々があるから、むしろ委員の御指摘からいえば、もっと法人税率は低くしてもいい、ただそういう特別措置的なものを整理しろという御指摘であるといたしますならば、これは各国それぞれの事情によってその特別措置といったものがどのような形で行われているかには差異があるわけであります。そうしますと、そうした制度、仕組み、それぞれの異なるものを単純に比較いたすその結果として制度の改廃ということを論ずるのは、私はいかがなものかと思うのであります。 なぜ私がそういうことを申し上げるかといいますと、私は、今度の通貨統合を初めとした東西両ドイツの統一に向けての動きの中で、これがどう既に変化をしたのかあるいはこれから変化するのかを知りたいと考えておりますけれども、非常に厳しい対立関係の続いておりました当時の西ドイツには、ベルリン振興法というものによって西ベルリンに対する長期の信用供与に対しての租税特別措置でありますとか、あるいは東ドイツ国境沿いに一定のエリアを設けましてそこに出ていく企業に対しての特別償却でありますとか準備金制度を認めるとか、これは東西両ドイツというベルリンの壁に隔てられた厳しい状況というものを反映しての施策でありますけれども、こういうものが税制の中にあったわけであります。 これは西ドイツの当時の置かれた国際環境の中で西ドイツとしてとるべき租税特別措置であったでありましょう。税制上の特別措置であったと思います。これが今度既にもう変わっているのか、あるいはこれから変わるのか、私はこういう分裂状態を前提にした税制が早くなくなる日がドイツに来ることを期待いたしますけれども、これはそうしたものを一つの例として申し上げますように、その国のそのときに置かれました環境によって租税特別措置等々の措置には変化がございます。これを一概にならして法人税率と連動させての議論というものは私はこれは無理があるのではなかろうか、そのように考えております。
○山本正和君 いや、大臣の言っていることを私は否定しているんじゃないんですよ。ただ、日本企業がヨーロッパにも行っているわけですよ。アメリカにも行っているわけですよ。アメリカはアメリカの税制の中で企業活動をしている。ヨーロッパでもやっているんですね。ちゃんと立派にやっていけるんですよ。そして、国際的に見て我が国の税制がどうもおかしいという部分がある。これは指摘を受けるわけですね。我が国から見てもアメリカやヨーロッパに対しても指摘をする、当然ですよ。お互いに言い合えばいいんですね。しかし、そういう中だから国際的にお互いに認め合う、そういう立場から我が国がいかに何でもこれは恥ずかしいというやつがある。そういうものは直さなきゃいけない。だから、国際的に対応し得るような法人税制というものを考えるべきときじゃないかということを私は言っている。それについてどうですかと聞いている。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは法人税のみに限らず、税というものは常に見直しを必要とするものであります。それはそれぞれのときにおける状況の変化を踏まえて行われるべきものでありますから、私は今委員が御指摘になりましたような角度から法人税を見直した場合にどのような問題があるのか残念ながら十分な知識は持ちませんけれども、仮に御指摘のような問題点があるとするならば、これは当然論議をして検討する必要があるでありましょう。 しかし、今申し上げましたように、やはりそれぞれの国の税制というものはそれぞれの固有の社会の中で組み立てられてきておる歴史を持つものでありますだけに、今当然国際化が進んでいる時代とは言い条それぞれの国の歴史を離れては存立をし得ない、お互いにまた相手との制度の違いを認める度量も必要になる、私はそうした分野はこれから先さまざまな問題で同様の壁にぶつかるときがあるであろうと思います。 国際化の努力はもちろん必要であります。しかし、同時にお互いが相手の歴史とその中に出てきたものを認め合うということも必要であろうと思いまして、欧米と異なる、だから日本の制度をすべて欧米に当てはめるという視点のみが出てくることは好ましいことではない。議論の上で、認め合うのか直すべきなのか、直すとすれば我々が直すのか相手側が直すのか、さまざまなケースがあろうかと思います。検討は常に行っていくべきである、それは率直に私もそう思います。
○山本正和君 法改正の検討の必要があるということですね、今のお話は。
○政府委員(尾崎護君) 先ほど来大臣から御答弁いただいておりますとおりなのでございますが、引当金につきまして一例として委員お挙げでございましたので申し上げたいと存じますけれども、例えば我が国の場合退職給与引当金というのがございまして、御指摘のように十兆円ぐらい企業がそれを積んでいるわけでございます。じゃアメリカに退職給与引当金というのがあるかというと、これはないわけでございます。アメリカはどうするかといいますとこれは年金方式でございまして、退職年金プランに基づいているわけでございまして、企業がその退職年金プランに拠出する場合には広範にそれが損金算入を認められているわけでございます。我が国には退職給与というものがあるということから引当金制度になっているわけでございまして、これは税の問題というよりかは、先ほど来大臣が申し上げておりますように、世の中の慣行、しきたり、それぞれの国の風土、そういうものによって違ってくるということであろうかと存じます。 しかしながら、法人課税の分野におきましては、委員御指摘のとおり国際的に企業が活躍しておりますので、租税条約等を含めまして国際的なそごができるだけ生じないようにするというお考えは、私どもも仰せのとおりであろうというように存じております。しかしながら、各国それぞれの特色によって全部が全部一つにできるという話ではないだろうということでございます。 それから先ほどお答えできませんでした租税特別措置法がいつからできたかということでございますが、昭和二十一年からだそうでございます。ただ、特別措置そのものは大正年間からあるようでございます。
○山本正和君 来週も私また今度は土地税制の問題を含めて大蔵大臣に詳しくお伺いしたいと思っております。もうきょうは時間がありませんから、最後に私は一言要望を申し上げておきたいと思います。 いわゆる単に与野党の対立とか、やれイデオロギーのぶつけ合いとかいうふうな時代では今はないと私は思うんですね。そうすると、そういう中で国民が今二十一世紀を迎えようとするときに税制をどうしなきゃいけないかという議論をするときには、私は一番これは率直にやらなければいけない。率直にやる場所はどこかといったら、開かれた国会だろうと思うんですよ。確かに与党は国民の多数からの支持を得ている。それは負うべき責任もありますし、私ども尊重しなきゃいけないと思うんです。しかし、税制の議論というのは、与党の場で議論が終わったらおしまいだ、あとはもうとにかく国会を通過させればいいんだという今までのあの習慣は税制にはなじまない。 ですから、与党でまとめていただくのは結構です。しかし、まとめた案を国会に出すのなら出して、そこでみんなで議論を十分する。そして、本当に謙虚にひとついいところがあったらとりましょう、私たちは最善と思いますよと、こう言って議論をする。もっと言えば、本当は自民党の税調の偉い人にみんなここへ並んでいただきたいと私は思う。そして議論をすればいいんですけれども、全然それをせずに、とにかくもう与党はじっと我慢して――本当は言いたい人がたくさんおると思うんですよ、この中にも。 問題がある。しかし、それをじっと我慢したままで何かうつうつとして、野党ばかり言いっ放しで自民党はじっとこらえている、与党は。私は正直に言いますと、与党の中に私よりももっと税金を勉強して本当に正しい税理論を持っている方がたくさんおることを知っているんですよ。そういうものは国会で議論せずに与党で決まってしまったら黙っているという、こんなばかな国会はないと私は思うんですよ。だからアメリカとは言わぬけれども、アメリカの場合は下院で議論をする、上院は上院で議論をする、それで場合によっては合同で議論をする、そして案をつくるんでしょう。 だから、税制改革について抜本的にもう一遍、総理、見直す気持ちをひとつ特に私は要請しておいて、もう時間が過ぎましたのでこれで終わりますが、来週またやりますので、どうぞよろしく。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で山本正和君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、中曽根弘文君の総括質疑を行います。中曽根君。
○中曽根弘文君 最初に、今後の日米関係についてお伺いをしたいと思います。 日米関係について考えてみますと、日米構造協議の最終報告がこの夏に出されることによって日米二国間の大きな懸案事項というのは一応片づくことになろうかと思います。もちろん、構造協議につきましては報告されたことのフォローアップが重要となってまいりますけれども、日米二国間において今後残る問題、課題は何であろうか、何が中心となるのであろうか、総理の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 日米間の経済に関する、特に摩擦の面を取り上げた問題は、最終報告を機に一つのまとまりを見せるだろうと私も期待をしておりますが、これはこれでもってすべて終わりというわけではなくて、両国がそれぞれ国内の構造問題について取り組みをし、それがうまく機能すればするほど情勢もまた変わってくるわけでありますから、新しいよくなった情勢のもとで次なる問題が出てくるかもしれません。そういうときに備えて、いつでも国際社会の中における日本の立場というものを孤立しないように協調していかれるにはどうしなきゃならぬかという経済面の努力は不断に続けなければならないと思っております。 また、今後日米間に何がほかの大きな問題かとこういうお尋ねでしたけれども、東西の対立が終わって冷戦構造の発想を乗り越えつつあるということは、やっぱり世界が新しい秩序を模索してどのような枠組みをつくるかということに、アメリカはアメリカなりに日本は日本なりにそれぞれの立場における責任があろうと思います。例えば、各地域における平和と安定を本物にしていくためのいろいろな努力も要るでしょうし、あるいは人類の二十一世紀を目指しての共通の問題となっております地球環境の問題もございます。また、当面南北問題という言い方で今日までずっと言われてきた累積債務を発展途上国の問題としてどのように取り上げていくかということもございます。 また、きのうまで鉄のカーテンの向こう側で体制の違う状況でいた国の人々が、民主主義、自由経済社会に政策の軸足を変えるのだと言っていらっしゃるところには、積極的に国づくりあるいは人づくりに御協力をしていかなきゃならぬ。そういった面における日米の二国間の共同作業、政策協調という問題もたくさん出てくると思います。そういったようなことに取り組んでいかなきゃならないと考えております。
○中曽根弘文君 ヨーロッパにおきましては今大きな変動、変革が行われておるわけでございまして、こういう大きな変革というのは我が国にとりましても大変大きな影響を及ぼしてくるわけでございますけれども、しかし、何といいましても日本にとって最も重要なのは日米関係であろうかと思っております。 そこで、再び総理にお伺いしますけれども、今後の日米関係はどういう時代に入っていくのだろうか、どうあるべきなのか、こういう点についてお伺いしたいと思いますけれども。
○国務大臣(海部俊樹君) 今後の日米関係というのは、要するに対立、対決の時代は終わったわけですから、力でもって平和のお役に立つというアメリカの発想も当然変わってきておるはずでありますから、日本とアメリカが価値を共有する自由と民主主義と市場経済というもののあり方を欲するところにできるだけ積極的に貢献をしてお伝えしていく、国づくりに御協力する。日米というのは世界のGNPの四割近くを二国で生産しておるのですから、やっぱりその位置にふさわしい責任が日米双方にあろうと思うのです。だから、日米のことだけを考えておればいいわけじゃなくて、世界の新しい枠組みづくりに日米が共同して政策も考え、あるいは共同作業もし、安定に寄与していかなければならない。 そのためにはどんなことでもやっぱり話し合いをもっともっと強くして、例は悪いかもしれませんが、日米間の経済問題がちょっとぎくしゃくするから一方的な制裁を構えてのスーパー三〇一なんという制度じゃなくて、この間やりましたSIIのようにいろいろ問題を提起し合う、話し合う。できることとできぬことはあっても、お互いにできることは誠意を尽くして解決しながら、両方で地位にふさわしい責任を世界に向かって果たしていかなきゃならぬ。一言で言うと、日本とアメリカはよきパートナーとして協力し合い相互依存を深めていかなければならぬだろう、私はこう考えております。
○中曽根弘文君 ありがとうございました。 時間の関係で次に移らせていただきます。CSCEの参加問題についてお尋ねをいたします。 去る四月六日の衆議院の予算委員会でこの問題が取り上げられました。会議録によりますと、社会党の山口書記長の質問に対して政府は、CSCEに正式のメンバーとして参加することはない、このように答弁をされております。これに対して山口書記長は、CSCEに正式メンバーではないが参加をするということですねと確認をされております。ということは、正式ではないがオブザーバーか何かの資格で参加をするということになると思いますけれども、この件について事実関係の確認をさせていただきたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 今委員お尋ねのCSCEに日本は参加するかということでございますが、御存じのようにCSCEはヨーロッパの国々の機構でございまして、日本がこれに参加するという立場ではないと考えます。ただし、欧州安全保障協力会議は、先般ボンにおいて開催されたCSCE、東西経済会議の最終文書中におきまして、OECDに対し、経済改革を推進するためCSCE参加国及びOECD加盟国の専門家を集めた会合を主催することが慫慂されており、OECDとしてもこれに積極的に応ずる旨決定をいたしておりまして、かかる会合の開催には日本としても積極的に参加をしてまいりたいと、こういうように考えております。
○中曽根弘文君 そうしますと、さきの予算委員会での政府の見解というのは、参加する立場ではない、そういうお考えであるとおっしゃいました。そうしますと、この予算委員会での答弁というのとは違ってくると思うんですけれども。
○国務大臣(中山太郎君) 先般ございました衆議院での議論の中では、例えばNATOが主催する専門家会議に日本はオブザーバーとして参加をすることが、このヨーロッパの変化の影響がどのようにアジア地域に国際的に影響を及ぼしてくるかという点について、日本政府としてはこれらのヨーロッパの動きの流れを十分熟知する必要があるので、そのようなシンポジウムには積極的に参加するというふうに意思を表明したようなことでございまして、今お尋ねの点と少しポイントが違うんではないかと、私はそのように認識をいたしております。
○中曽根弘文君 あのときの予算委員会の会議録をよく読んでみますと、今外務大臣がおっしゃったNATOのセミナーのこととCSCEの参加のことが多少混同しているような気がいたしました。私は、ヨーロッパの政治情勢が急激に今変化をしておるわけですけれども、従来のようにNATOとワルシャワ条約機構軍という対立した関係が薄くなってまいりますと、ヨーロッパの新しい秩序づくりや調整の場というものがCSCE、安保会議が中心となって進められるものと思いますけれども、いかがですか。
○国務大臣(中山太郎君) 今委員御指摘のCSCEが将来ヨーロッパの安全保障並びに経済等を含めた全ヨーロッパのいろんな問題の協議が行なわれる機構に変質していく可能性は十分あろうと思います。しかし、それは単なるヨーロッパだけのことではなしに、地球的規模の影響を与えるものでございますので、私ども日本政府としても重大な関心を持ちながら、できるだけそのような中の情報を得るべく努力をしていかなければならない、このように考えております。
○中曽根弘文君 それじゃヘルシンキ宣言の内容について御説明をいただきたいと思います。いわゆる第一バスケットから第三バスケットがどういうものか、御説明いただきたいと思います。
○政府委員(都甲岳洋君) 御説明を申し上げます。 ヘルシンキ宣言が採択されましたときに、当時のいろいろな各国の利害をバランスをとった形で宣言に盛り込むということでかなり厳しい交渉が行われましたけれども、その結果、第一バスケットにおいては安全保障の問題を主としてその中に盛り込みまして、それにヨーロッパにおける国境の確定といいますか、平和的な変更は認めつつも国境の確定ということを一つの前提といたしまして宣言に盛り込まれました。 それから第二には、ヨーロッパの中における経済協力の問題でございます。 それから第三番目のバスケットにおきましては、人権の問題を主として取り上げまして、当時まだかなり厳しい規制をとっておりましたソ連、東欧の諸国に対して、離散家族の問題であるとか情報の伝播の問題等について改善を求めるということを前提といたしました内容を宣言に盛り込んだ次第でございます。 そういう意味で、この三つのバスケットというのは、当時の欧州の情勢を反映して、かなり重要なバランスをとったものであるというふうに認識されていたと思います。
○中曽根弘文君 確かにヨーロッパの会議ではありますけれども、今局長の御説明にもありましたように、単に安全保障だけではなくて、経済とか科学とかそういう問題あるいは環境とか人道の問題も取り扱う一つの国際会議であろうかと思います。私はぜひこれに参加することを検討していただければと思っております。さらに、今から申し述べますような理由によりまして参加の検討をお願いする次第です。 その一つは、ヨーロッパというのは我が国にとりましても貿易を初めとしてあらゆる面で非常に密接、重要な地域でありますけれども、経済的な協力、支援の面でも、過日欧州復興開発銀行に重要出資国として参加することを決定したばかりであります。それからポーランド、ハンガリーに対しても総理が訪問された際に経済支援措置を打ち出しております。我が国は、東欧支援を行おうとしているアジアの主要国としてCSCEに積極的に参加をすべきと考えます。 それからもう一つは、日本は世界の種々の機構へ多額の出資を行っております。また、数多くの国に対して経済援助を行っておるわけですけれども、その割には世界の重要な政策決定の場から孤立をしているのではないかと考えますし、むしろ孤立の道を歩んでいるのではないかとも思うわけでございます。国民の大事な税金をこういう援助に使っておるわけでございますから、重要な国際会議に積極的に参加をして、そして日本の主張を堂々とすべきであると考えます。 それからもう一つは、欧州の新しい安全保障の枠組みというものは日本の安全保障にも大きな影響を与えてくることになります。そのためにも欧米との意思疎通を十分に行っていく必要があるわけですけれども、私は欧州での変革のプロセスを実際にその調整機関に参加して学んでおくということが、将来のアジアの平和と安定の構築に大いに役立つものと考える次第でございます。 そういうことで参加をすべきと考えますけれども、三月二十五日のロサンゼルス・タイムズ紙でイタリアの外務大臣が、日本はCSCEに参加すべきである、それによって日本の欧州からの政治的孤立をなくすることができ、また欧州と日本の一層緊密な政治協力がすべての関係国の利益となる、こういうふうに述べておるわけでございます。また、イタリアがCSCEの議長国となられるようですけれども、これからそういうときが参加のチャンスではないかと思いますので、ぜひ参加を御検討いただきたい。もう一度外務大臣の御回答をお願いいたします。
○国務大臣(中山太郎君) 委員御指摘の点は、これからの国際政治を考える上で極めて重要な御指摘であると私は拝聴いたしておりました。 御案内のように、ヨーロッパは今ECの統合、さらにEFTAとの関係を強めていく関税の協定の問題、あるいは東ヨーロッパの自由化、民主化の問題、こういうものを考えてまいりますと、ヨーロッパはやがて大きなヨーロッパに経済的にも発展していくことは間違いないと私は認識をいたしております。ちなみに名目GNPで見ましても、ECが四兆七千億ドル、EFTAが六千九百五十億ドル、東欧が九千二百七十四億ドルでございますから、これらの経済圏の統合といいますか、リンケージが大きくなっていくことは巨大な国際市場がそこに一つできてくる、こういう認識の上に立てば、私どもはこれからの新しい国際政治の中で日米欧の関係をどうするかということで、非常にこの日米欧の関係を強化するということが日本の外交方針の大きな基軸でなければならない、このように考えております。 先般三月初旬に行われました日米首脳会談におきましても、当面の日本とアメリカの貿易の不均衡をなくすることをまず片づけた上で、我々は日米間で将来の国際問題をどのように考えそして解決するために協力し合うかのフレームをつくろうということをブッシュ大統領が海部総理に申し出られて、これで合意を見たわけであります。 また、日本とECとの間の政治枠組みというものをどうするか。これは近く行われる日本・EC定期閣僚会議、これは中曽根総理のときから実はこの定期協議がいろんな国際環境の中で行われることは残念ながらでき得なかった。そういう中で、ぜひこの定期協議をこの五月には実施いたしたいということを私どもは考え続けてまいりましたが、国会のいろんな法律案の御審議の状況でこれがまだ定かになっておりません。ヨーロッパとの政治的話し合いをどのようにやっていくか、しかも東ヨーロッパを巻き込んだ指導者たちの新しい変革の考え方が日本との間にどのように交換できるかということは、これから日本外交にとって極めて大きなポイントであろうと思います。私、今委員の御指摘のとおり、この三極の経済及び政治の何といいますか、フォーラムをいかに固めていくかということに政府としては全力を挙げてまいりたい、このように考えております。
○委員長(林田悠紀夫君) 中曽根弘文君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十七分休憩 ─────・───── 午後一時一分開会
○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を再開いたします。 平成二年度総予算三案を一括して議題といたします。 休憩前に引き続き、中曽根弘文君の質疑を行います。中曽根君。
○中曽根弘文君 次に、第三世界への武器輸出についてお伺いをしたいと思います。 昨年十二月のマルタ沖の米ソ首脳会談は大変劇的であったわけでありますが、それによって軍縮、平和へと大きな一歩を踏み出したことは大変歓迎するものであります。しかし、アジアに目を向けますと、まだまだ解決されなければならない問題が数多く残されております。東西の緊張緩和の風もまだアジアには回ってきていませんし、地域紛争もなくなってはおりません。現在も内戦状態の続いている地域、また軍事力を背景に対峙している地域、例えばイランとイラク、あるいはイラクとイスラエル、インドとパキスタン、あるいは朝鮮半島等もありまして、マルタ会談が成功し、その後急速に東ヨーロッパの民主化、自由化、東西ドイツの統一の動きがあるからといいましても、アジア・中東地域においては平和へ向かっての大きな進展があるとは思えない状況であります。 我々は、現在ヨーロッパの大きな変革に注目をして期待を持って見守っておりますが、同時にアジア・太平洋地域にも平和が一日も早く訪れるよう常に努力をしなければならないと思っておりますが、総理の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) マルタ沖米ソの会談で世界の対決姿勢を対話と協力的な方向に向けていこうという大きな流れが出てきたことは、私も中曽根委員と同じようにこれは全く歓迎すべきことであると、その流れが定着していくことを強く願っておりますが、一番顕著にわかりやすくあらわれたのがヨーロッパでございます。それで、アジア・太平洋地域にそれがそのまま押し及んでくるようにどのような努力をしていったらいいのか。東西の対立、東西の対決という図式が解消されても、例えばアジアでは中国は東西対決の図式の中では一体東西のどういう位置にあったんだろうか。全然関係ないという方もあれば、違うところにいらっしゃるという方もある。 それから今御指摘になったインド、パキスタンの問題でも、あそこは非同盟中立が旗印でありましたから東西対立、対決というときにはそれと非同盟ということであったでしょうが、今まだカシミール問題等をめぐっての国境紛争の危機も非常に我々は懸念をしておるわけであります。私はインドにもパキスタンにも、もうこれから力で訴えるようなことは考えないで、自制をして平和的に解決してほしいということを強く要望してまいりましたが、これなども確かに一つの問題点です。カンボジアの問題にしてもいろいろございます。 そういったアジアに今懸念されます紛争の火種というようなものを一つずつどのようにして解決していくかということが、アジアでは平和と安定を築き上げていくためにまず取っかからなければならない第一の課題である、このように考えております。
○中曽根弘文君 そこで、現在我々が最も恐れなければならないのは、これらの地域、特に中東地域への武器輸出が活発に行われていることであります。特に注目しなければならないのは、ヨーロッパのみならずアジアや南米の国々からも多くの武器が輸出されていることであります。今や中東地域は世界の火薬庫とも言われて、ますます核の恐怖が急速に広まっており、私はこの地域こそ今日最も危険な地域であると思います。 したがいまして、これ以上第三世界の国々へ武器やその製造技術が渡らないよう先進国は真剣に考えてその防止に努力をすべきであると思いますが、この中東地域での中距離ミサイル、核、化学兵器の拡散の状況について、簡単で結構ですから御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(渡辺允君) 私から事実関係をお答え申し上げます。 中東地域は、先生御承知のように、東西関係と必ずしも直接関係のございません地域特有の領土問題、民族問題、宗教問題等がございますために、不安定性をはらんだ地域でございます。そこで、この地域での武器の拡散については種々報じられておりますし、このような状況は私どもも憂慮しているところでございます。 具体的にどの国がどういうふうに兵器を配備しておるかということにつきましては、各国とも必ずしも全貌を公表いたしましたり確認したりしておりませんので全貌を把握するのは困難でございますけれども、確認されたところだけで申し上げましても、イラン・イラク紛争の最中に化学兵器が使用されたということを国連の調査団が確認をいたしておりますし、また本年四月には、イラクのサダム・フセイン大統領がイラクが化学兵器を保有しているということを公に認めております。それから中距離ミサイルにいたしましても、各種の広報資料等で判断いたしますと十カ国近い国が持っておりますし、また最近それが次第に射程が延びてきているというような問題もあるわけでございます。それから核兵器につきましては、これが一番難しいところでございまして、どの国も核兵器を保有しているということを公に認めた国はないという状況でございます。
○中曽根弘文君 私は、東西間の軍縮が進むことによってこの余剰となる兵器の生産力、主に欧州を中心として削減、廃棄される核兵器や通常戦力、そして洗練された兵器、そういうものがアジアでの紛争地域あるいは紛争の可能性のある地域への武器輸出に転用されるならば、東西間の軍縮というものは必ずしも手放しで喜べるものではないと思うわけですが、衆議院の予算委員会の質疑の中でも、アジアを古い兵器のごみ捨て場にしてはいかぬという発言がございました。政府もいろいろなレベルで米国を初めとするNATO諸国に対してその懸念を伝えておられると思いますけれども、私はこれらの余剰武器の紛争地域への輸出を大いに憂慮しているものであります。 そこで、中東地域を初めとする紛争地域への武器輸出に対しての外務大臣の御見解をいただけたらと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 紛争地域への兵器の移譲、援助、このようなことが行われていることはまことに残念でございますけれども、現実の世界では毎日行われているわけでございますが、米ソが軍縮を行うという一つの大きな平和への歩みが始まる中で、それに関連する兵器が破壊されずに第三世界あるいは紛争地点に援助の形などで出るというようなことは避けなければならない。せっかく世界が平和へ向かうという中でこのようなことが起こらないように日本政府としても機会を見て主張してまいりたい、このように考えております。
○中曽根弘文君 そこで私は、東西の協調、軍縮の話し合いの急速に進みつつある今のこの機会に、紛争発生の可能性の高い地域または紛争発生中の地域に対して各国の、特に軍事大国の武器輸出を規制する国際的な合意を形成することを検討すべきであると考えます。核拡散防止や化学兵器の禁止と同様に、この問題は世界平和実現のために取り上げるべき重要課題でありまして、特に中距離ミサイル等の輸出規制は早急に行わなければならないと思いますが、外務大臣いかがでございますか。
○国務大臣(中山太郎君) 委員お尋ねの中距離ミサイル等、今発展途上国あるいは紛争地点はそのような兵器を求めておりまして、このような兵器が輸出される、あるいは購入されることを規制するということについては極めて消極的でございますけれども、先進国間ではこのようなことを一日も早く規制するように主張をしなければならない、このように考えております。
○中曽根弘文君 何かそういう具体的な合意を形成するような動きというものはおありなんでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 具体的な点につきましては、政府委員から国連等の動きについて今御答弁をさせていただきたいと思います。
○政府委員(林貞行君) 武器輸出一般につきましては、先ほど外務大臣から申し上げましたように、非同盟諸国も含めまして多くの国が自国の安全という観点から消極的であるというのが現実でございます。 他方、先生が具体的に御指摘になりましたミサイルにつきましては、我が国といたしましても、中近東、最近の第三世界におけるミサイル拡散の現状につきましては、アメリカ、カナダ、西欧諸国とともに大変な懸念を有しているわけでございます。我が国は、これらの諸国とともに共通のミサイル関連機材・技術輸出規制ガイドラインというものをつくっておりまして、これをもとにミサイル関連機材・技術の輸出規制を実施しているところでございます。今後とも、各国とも協調してまいりましてかかる努力を継続していきたい、こういうふうに考えております。
○中曽根弘文君 このままですと、ますます中東地域の核の拡散は広がることになると思います。 そこで総理にお伺いいたしますけれども、七月のヒューストン・サミットで、そういうような武器輸出の国際的監視抑制の機構をつくるようなお話が出るか出ないか、あるいはそういうような提案をされたらいかがでしょうかと思うわけでございます。私は軍縮と同時に、こういうようなこともサミットの場で真剣に話し合うべきことだと思いますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 委員のお考えの中にありますように、私もいろいろ平和と安定を本当のものにするためには一つ一つの芽をつぶしていかなければならない。今度インド、パキスタンでそれぞれの首脳に核不拡散条約にとにかく入ってくれ、入ることから一歩を進めようということを両首脳にも強く要請しましたのはそういった考え方からでございます。ただいま御指摘のヒューストン・サミットの問題につきましては、これからまだ時間もあることでありますし、慎重に私も検討をさせていただきたい、こう思います。
○中曽根弘文君 ぜひ御提案をしていただけたらと思います。 次に移ります。 極東ソ連軍の動向と我が国の対応についてお伺いをしたいと思いますけれども、最初に私の考えを述べさせてもらいまして後ほど若干の質問をしたいと思います。 まず第一点は、昨年半ば以降急速に始まった東欧諸国の民主化の動き、あるいはソ連のペレストロイカ、グラスノスチのみならず、NATO軍とワルシャワ条約機構軍との緊張緩和という国際情勢に大きな変化が起きておりますけれども、我々はこれに注目し見守るというだけでなくて、我が国を含む北東アジア地域における安全保障体制をどのようにつくっていったらよいかということを今考えていかなくてはならないと思います。 この北東アジア地域においては、ゴルバチョフ大統領のウラジオストク演説や北京での軍備削減演説等があります。それらによって緊張緩和のムードが出始めてはおりますけれども、果たして本当に極東のソ連軍事力が大幅に削減されている状況になっているのか。私は非常にこの点に関心があります。外務大臣は先日本委員会で、極東地域におけるソ連の軍事力、ソ連の脅威につきまして、以前に比べ侵略的要素が薄まってきつつある、今はその過程であると御答弁をされましたけれども、私は侵略的要素が薄まる可能性ができつつある過程と認識をいたしております。我々は、指導者の演説や軍縮希望の表明だけから判断しないで、ソ連の軍事能力や軍備の配置など具体的事実を見て物事を判断しなければならないと考えるものです。 そして第二点は、沿海州や北西太平洋、この地域におけるソ連の海空軍事力の質的、量的増強が継続して、INF全廃条約が進行中とはいいましても、依然としてSS20が残っております。かつ、我が国固有の北方四島が不法占拠され、さらにはソ連軍が一個師団規模の地上軍をそこに配備している。そういうことを考えれば、ゴルバチョフ大統領の新思考外交も、我が国周辺地域においては単なるアドバルーンを上げたにすぎないと言わざるを得ません。ゴルバチョフ大統領の演説の内容から見て、ソ連が日本やアジア・太平洋地域に対する問題も打開したいと考えていることは明らかでありますけれども、しかし当面は、東欧の問題や民族独立の問題また国内経済問題等で手いっぱいで、極東の問題まで同時に進めることは困難というのが実情であろうと思います。 そして三点目は、しかしながら、沿海州や北西太平洋についてもソ連が政治、軍事政策を大きく変えるような提案を将来出してくる可能性はあると思われることです。なぜならば、防衛白書にも記されておりますけれども、この地域で極東ソ連軍は核戦力及び通常戦力ともソ連全体の四分の一ないし三分の一に相当する戦力を保有しておりながら、ソ連のGNPに占めるこの地域の貢献度はわずか二%にすぎないからであります。これは経済政策の行き詰まったソ連政府にとって大きな負担になっているはずであります。ゴルバチョフ大統領の訪日を控えた今こそ、我々は対ソ関係について総合的な戦略を立てるべきであると思いますが、いかがでしょうか。そのためには、ゴルバチョフ大統領の極東における軍事力削減表明を冷静に分析し、それが確実に実施されるよう交渉しなければならないと考えます。 具体的な質問に入る前に、以上申し述べました私のこの基本的な認識について総理及び防衛庁長官の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(石川要三君) お答えいたします。 今、中曽根委員の質問に入る前での自分の認識といいますか、そういう点を披瀝されまして、私は拝聴いたしまして、基本的にまず、委員の国際情勢、軍事情勢の分析につきましては同感するものでございます。したがいまして、私どもはそういう国際情勢、軍事情勢の中で、これからのアジアの情勢を踏まえて次期の防衛計画というものを樹立していきたい、かように考えております。
○国務大臣(海部俊樹君) 今御指摘になりましたアジア・太平洋におけるソ連軍事力につきましては、我が国としてはその存在について懸念を持っており、日ソ外相協議等の場においてソ連に対しても率直に表明するとともに、北方領土からのソ連軍の撤退や極東ソ連軍の削減方の申し入れもしておるところであります。 我が国としては、対話と協調によって新しい国際関係を、ひとり欧州にとどまらずアジア・太平洋地域において実現すべく努力してまいる方針であります。そのためにソ連がこの地域における膨大な軍事力を削減していくことが重要であり、この点については今後ともあらゆる機会をとらえて明らかにしてまいりたいと考えます。
○中曽根弘文君 そこで、先ほども述べましたけれども、ソ連の軍事力の脅威についてですが、外務大臣は、以前に比べて侵略的要素が薄まってきつつある、今はその過程と答弁をされたと私は申しましたけれども、私は、脅威とは能力と意思、すなわち侵略できる能力と侵略をする意思の両方があって脅威となると思います。 北東アジアにおけるソ連の軍事的能力は質的に増強されております。そして意思については、ヨーロッパ地域においては軍縮交渉や東欧民主化の変革に対するソ連の対応で明らかになっておるわけですが、しかしながら北東アジアの地域についてはまだわかりません。意思の有無は実証なくしては、つまり裏づけなくしては判断できません。ですから、基地の公開や戦力の具体的数量や能力の公表、また師団や兵器の削減等、これらが明らかとならなければ検証もできないわけであります。 ソ連は、四月二十五日モスクワで、国境兵力の削減について中国と合意をいたしました。しかし、これは対中国政策でありまして、対日政策はまだ具体的に出てきておりません。もう一度ソ連の北西太平洋での軍事力について、本当に侵略的要素は薄まりつつあるのかどうか、政府の考え方をお示しいただきたいと思います。
○国務大臣(石川要三君) 極東ソ連軍、特に沿海州及び北西太平洋地域の軍事力の状況でございますが、これにつきましては、御承知のとおり一九六〇年代中期以降、質量両面にわたりまして一貫して増強されているのが現実でございます。今日では、ソ連軍全体の四分の一とも三分の一とも言われるような膨大なものである、このように認識をしているわけでございます。 御指摘の極東ソ連軍の配備、展開状況でございますが、沿海地域、樺太、オホーツク海、カムチャッカ半島など、我が国に接近した地域には重点的に配備、展開されている、このように考えられます。具体的に申し上げれば、この地域には極東ソ連軍の師団約六割、戦闘機の約六割、爆撃機の約八割が配備されているのに加えまして、さらにソ連最大の太平洋艦隊がウラジオストクを主要拠点として展開するなど、極東ソ連軍の大半というものが展開されている、こういう状況でございます。 先ほど委員の御質問の前段でいろいろと軍事情勢についての所見を述べられまして、基本的には私も同感しているわけであります。ただ、先般も御質問があったと思いますけれども、要するに最近ソ連の攻撃的な面における脅威論といいますか、そういうものは能力的にはともかく、意識的といいますか、そういう点では非常に低下しているということは米当局もそのような見解を持っているわけであります。私どもは、いわゆる攻撃的なそういう点におきましては確かにグローバル的な観点からすれば事実である、しかしアジア・太平洋地域におけるいわゆる現実的なソ連の軍事力の存在ということから見ると私どもは依然として潜在的脅威ありと、このような認識をしているわけでございます。
○中曽根弘文君 防衛予算は凍結をせよ、または削減をせよ、そういう意見がありますけれども、超軍事大国であるソ連の軍事力削減が本当に行われたと検証できないうちに我が国の防衛力を削減することはいかがなものかと思います。すなわち、我が国としては、先ほど申し上げました意思と能力の両方が明らかに低下しない限り、効果的抑止力を確保し専守防衛ができる防衛力を維持することが重要と考えますが、防衛庁長官、いかがでしょうか。
○国務大臣(石川要三君) 再三議論の中で出てまいりますように、脅威論でございますが、今委員が御指摘されましたように、いわゆる潜在的脅威というものは能力と意思、こういうふうに言われているわけでありまして、先ほど来るる申し上げましたように、そこに厳然たる軍事力の存在がある限りやはり潜在的脅威ありと、このような認識を持つわけでございます。しかも、ゴルバチョフ政権が誕生して以来ソ連の一方的な軍縮の発言がいろいろとございますけれども、現実がなかなか、果たしてどのように軍縮されているかということの実態がなかなか明確ではございません。そういうようなことから見て、私どもはやはり今、従来のようないわゆる空白があることがむしろかえってその地域の不安を醸し出す。そういうような観点からの今日の防衛大綱の水準は維持していくのが正しい方法ではなかろうか、かように思うわけでございます。
○中曽根弘文君 大統領の北京演説でこの極東ソ連軍の戦力削減についての発表があったわけですけれども、大変に内容が依然としてあいまいかつ不明な点が多く、漠然としている。今防衛庁長官は実態が明確でないとおっしゃいました。確かにその実態把握が非常に困難な状況であると思います。 ソ連がもし本気で北東アジア地域での軍縮を実行しようとするのならば、削減の内訳を詳細に示すと同時に、基地等の公開をしなくては信頼の醸成はできない、そういうふうに思います。我が国はこれらの点について積極的に要求をしていくべきではないかと思います。コンフィデンス・ビルディングはそうした中から生まれてくるものと思いますけれども、いかがでしょうか、外務大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 極東ソ連軍の軍備の削減問題につきましては、かねてから日ソ外相会談の場でそれぞれ意見を交換いたしております。近く米ソ首脳会談の後に発表されるであろうソ連のシェワルナゼ外務大臣の来日の機会にも、この問題はもちろん大きな話の一つで柱であるというふうに理解をいたし、私どもといたしましては、アジア・太平洋における平和を構築するためのソ連軍の実態がどのように今後削減されていくかということは十分議論させていただきたい、このように考えております。
○中曽根弘文君 先ほどの防衛庁長官の御発言で、実態が明らかでない、そういう御発言がありました。軍事力削減の状況というのは実際確認できるのだろうか、単に信用するだけでしょうか。また、在アジア米国軍削減発表が今後極東ソ連軍の削減にどのような影響を及ぼしてくると考えられるのか、その両方の政府の御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(石川要三君) 実際問題としての軍縮の具体的な進展度合いというものを確証するということはなかなか困難ではないかと思います。しかし、現実にどのようなことが想定されるか、その現実の状況というものにつきましては詳細に政府委員の方から答弁させたい、かように思います。
○政府委員(日吉章君) 極東ソ連軍の削減が実現するとしました場合に我が国の防衛政策にどのような影響を与えるかという点でございますが、それにつきましては、既にゴルバチョフ大統領等がその一方的な削減などの発表を行っておりますけれども、その具体的な内容は、ただいま委員が御指摘になられましたように詳細はわかりませんし、なおかつ一部量的な削減が見られることも事実でございますけれども、依然としてその軍事力の蓄積につきましては膨大なものがございまして、引き続き海空軍力を中心としまして装備の近代化、質的強化が続けられているのが事実でございます。 このようなことから、極東ソ連軍の一部削減が実施されたといたしましてもその性格には基本的な変更が加えられるようなものではないと思われますので、その軍事能力は依然としてソ連の自国防衛に必要な能力をはるかに超えたものであるということに変わりはないのではないかと思います。我が国といたしましては、先ほど大臣からもお答えいたしましたように、平時から保有すべき防衛力を保有しているわけでございますので、したがいまして、このような極東ソ連軍の一部削減が実施されたといたしましても極東ソ連軍の性格が基本的に変わらないと考えられますことから、我が国の防衛政策に基本的な影響はないものと、かように考えております。
○中曽根弘文君 今もう一つ御質問したんですけれども、アジアにある米国軍の削減発表が今後極東ソ連軍の削減にどういう影響を及ぼしてくるかということをお願いします。
○政府委員(日吉章君) どうも失礼いたしました。 米国が、欧州におきます好ましい変化や厳しい財政事情を背景といたしまして、国防費の削減とかアジアにおきます前方展開戦略の再編成を計画しておりますことは、ただいま委員から御指摘のとおりでございます。しかしながら、米国は、自国と同盟国などの平和と安定を確保するためには引き続き抑止戦略、それから前方展開戦略の維持が必要であると認識しておりまして、このような再編成が行われたといたしましても、米ソ間の軍事バランスの維持を図りながら、また地域情勢に力の空白を生じさせないよう慎重に行われるものと私たちは理解いたしております。 したがいまして、米国の前方展開戦略については今後とも基本的な変化はなく、当面、極東ソ連軍に対する影響も含めまして、極東地域の軍事情勢に大きな影響を与える可能性は少ないものと、かように理解いたしております。
○中曽根弘文君 将来、もしの話ですけれども、ソ連が沿海州や北西太平洋での現実的な軍事力削減案を提案してきたらどう対応されますか。そのときはもちろん米国とも相談をし対応を考える必要があると思いますけれども、そういうような勉強といいますか、検討は常時行っているのでしょうか。そういう場合でも日米安保条約は堅持が妥当と私は考えますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 委員のお尋ねは、極めて重要な要素をはらんでいる政治的な問題だと思います。 アメリカ軍のいわゆる米ソの交渉における軍備の削減、またソ連の軍備の削減、このような問題が近く行われる米ソ首脳会談で大きな議題となることは疑いのないところでございます。 そのような交渉を我が国といたしましては、十分米国とも情報の交換をいたしながら、このアジア・太平洋を中心に展開してきた米ソのお互いの力によるバランス、そういうものが今後どのように減少をしていくのか、そういうものは、委員から先ほど御指摘がありましたように、日本政府としても十分確認をした上で我が国の安全保障政策というものを国民のために十分検討していかなければならない。その中にあるものは、今日まで平和と繁栄を築くことができた、この抑止と力のバランスをうまく保つことに成功した日本の一つの防衛的な考え方というものが非常に日本の国力の繁栄に大きな効果をもたらしてきたことは疑う余地はないと思いますが、当分の間、米ソの軍縮が進むにいたしましても日米の安全保障条約というものを堅持していくという考え方には、日本政府は現在のところ考え方を変えておりません。
○中曽根弘文君 私は、日本の外交防衛論議がどうも半分に分かれ過ぎていると思われてなりません。片や絶対的なソ連の脅威論があり、もう一方では親ソ論の脅威払拭論が対峙をしておりますけれども、日本の外交防衛を論ずるのに本当にこれでいいのかという思いがあります。 我々は、東西ドイツの統一という歴史的大事業をまさにやろうとしているこの現実を見るときに、共産主義の東ドイツを統合する西ドイツ国内にさまざまな不安があることと思います。しかし、東西の統合が実現の方向に向かって進んでいるのは国論の統一がなされているからではないでしょうか。脅威減退論を振りかざしていたのでは国論の統一はできません。ソ連の軍事的脅威に変化が見え始めたことは事実である、しかし脅威はある、こういう正しい認識に基づいた国論の統一こそ日本の外交防衛政策にとって必要ではないかと思います。また、それなくしては北方四島の返還も困難ではないかと思います。我々はヨーロッパの動きにもっともっと学ぶべきでありまして、政府もそのためには正確な情報の提供をさらに心がけていただきたいと思います。これは私の見解でありまして、御答弁は要りません。 次に、外国人労働者問題に移らせていただきたいと思います。 総理は連休中に南西アジア各国を訪問されて、各国で大変な歓迎を受けたそうですが、パキスタン、バングラデシュ等、訪問した国の人たちが単純労働者として日本に大勢来ているということについてどうお感じになられますでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 我が国における外国人労働者の中で、いわゆる入管法で認められて入ってきておる人と、それで認められておらないいわゆる不法就労の人と両方あるわけでありますけれども、不法就労の防止は重要な課題でありまして、政府としてはこれに全力を挙げて取り組まなければなりませんが、外国人単純労働者を受け入れた場合における国内各方面への影響も非常に大きいと思いますので、その受け入れの問題は、今後改正入管法の施行の効果を踏まえて多様な角度から慎重に検討を続けていくべき問題であろう、私はこのように考えております。
○中曽根弘文君 せっかくの御答弁なんですが、私がお聞きしたかったのは、海部俊樹さん個人として、日本にそういう外国の人たちが来て過酷な条件のもとで働いておる、しかもこの間総理がいらっしゃって歓迎を受けた国々の方々が多いわけですけれども、そういうことについてどうお感じになられますかということをお聞きしたんですけれども。
○国務大臣(海部俊樹君) そういう立場からじゅんじゅんと言われますと、私もつい感情的にそうですと、こう踏み切っていきたいような心境になりがちですけれども、しかし、それぞれの国における国の生活、国の活力、その国全体が活力を持って離陸をしていってもらうように日本は今国づくり、人づくりにもできるだけの積極的な協力をして、その国から日本へ就労に来た人だけを大目に見て何とかして問題を片づけようということではなくて、その国にとどまってその国の人が全力を挙げられるような活力ある国づくりに御協力をしなければならぬし、そうしましょうというのが今度の私の南西アジア訪問において首脳会談で行った一連の会談の大きな背景でございました。 現実に日本に今来ていらっしゃる人々に対して、新しい入管法ではどのような在留資格にするか、項目も広げましたし、種目も広げたことは委員も御承知のとおりと思います。そういった国際協調の中で、あるいは相互依存関係の中で、どの程度のことを受け入れていったらいいのだろうかということについては入管法の施行を十分見たい、こういったわけでありますし、委員御指摘の点については、その国自体が力をつけてもらうように全体として御協力をしていくのが大切ではないか、基本的にはそのように受けとめさせていただいております。
○中曽根弘文君 この問題につきましては、昨年来衆参予算委員会でたびたび取り上げられました。各関係大臣の御答弁は、早急に関係省庁と協議をして政府としての考え方をまとめてまいりたい、大体このような趣旨の御答弁であったと思います。しかし、こういうふうにいろいろ議論している間にも、毎日何十人、何百人という外国人の労働者が入国をしておる、そして不法滞在で不法就労しておる、そういう現状でございます。 そこで一つ伺いたいんですが、閣僚懇を初めいろいろな研究会、調査会等が発足をしておるようですけれども、現在どのような研究会や調査会が設置されていて、それがどういうスケジュールでどういう方向に検討が進んでいるのか、御説明をいただきたいと思います。閣僚懇のことと、法務、外務、労働省あたりの研究会についてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(長谷川信君) 法務関係について御説明申し上げます。 今先生お話しの閣僚懇のことにつきましては、また官房長官あるいは外務大臣からお話があると思います。 今委員おっしゃいましたとおり、不法に潜って入っている人が内輪に見ても十万人くらいいる。この十万人という数は日本にとって決して生易しい数ではございません。その反面また、昨今労務者不足で、要するに人不足でもって、外国の労働者の方々をむしろ少し入れたらどうかというかなり強いお話もこの前の衆議院の委員会あるいはこの参議院の委員会でもいろいろ先生方からあったことも事実であります。そういう中で今の問題の解決が迫られているわけでございますが、不法で入っているということはこれはどう考えても不法ですからいいわけはないんですよ。 ただ私どもの希望としては、どっちみちもし入れるようになったら、いろいろ技術も若干覚えておる、あるいは質もよい、そういう者を若干入れたらどうかという意見も出ていることも事実であります。その反面また、お話しございますようにいろいろございますので、もうしばらく待ったらどうかという意見も出ていることも御案内のとおりでありまして、それらのすり合わせというか、意見の調整をまず国内において図らなければならないということが今先決になっております。 そういうことでございますので、今すぐきょうあす解決できるほどそう単純な問題ではないのでございますが、我が国のためにどういう方法をとったら一番いいのかということを、先ほどいろいろ外務大臣からもお話しございますように、あるいは総理からお話がございますように、今いろいろ検討をし模索をしている最中でございまして、いつ幾日までというわけにはいきませんが、できるだけ早い機会にこれらの結論を出したいものだというふうに念願をいたしておるわけであります。 以上であります。
○中曽根弘文君 外務省。
○国務大臣(塚原俊平君) どんなことをやってきたかということなんで……。 昭和六十二年に、小池和男さんというのは京都大学の先生だったかな、を中心に学識経験者から成ります外国人労働者問題研究会というものをつくりまして、さらにこれを進めて六十三年には学識経験者に労使の代表を加えまして、円城寺さんは日本経済新聞かなんかだと思うんですが、を中心にした外国人労働者問題調査会というものを開催いたしまして検討して、いわゆる外国人ならではの能力を持つ、あるいは特殊技能を持つ方を入れて、単純労働者の方はやっぱりかなり慎重に考えなくちゃいけないんじゃないかという結論がそこで出たわけです。 そういうようなことで研究会を開いて一応今までやってきて一つの結論が出ましたので、その結論が出た背景というのは、これはちょっと繰り返しになって申しわけないんですが、まず、日本の国は雇用がいい雇用がいいとはいってもやっぱり百四十万ぐらいの失業者の方がいる。あるいは高齢者の方もこれからどんどん雇用していかなくちゃいけない。それから女性が職場進出してもう女性の重要性がさらに高まっているというような一連のことがございまして、まだまだ日本国内のこれからの雇用というものは非常に大切な部分がある。 また加えまして、いわゆる俗に言う三Kというところに外国人労働者を使いたがっているんじゃないかとか、いろんな議論がありますが、今外国人労働者の方が働いている部分というのは、単純労働で働いている部分というのは一番日本の国の基幹で大切なところなんですよね。だから、仮にこのままでいっちゃってそこが全部外国人の方になっちゃうなんてことになりますと、日本の国の経済の一番の基本が外国人に押さえられちゃうというそういうような心配もございます。そういったことで、やっぱりかなり慎重に今労働省としてはこれから外国人労働者につきましては考えていかなくちゃいけないんじゃないか。 ただ、そういう状況の中で非常に人手不足感が広がっているというようなことで、この前、本院斎藤委員の御質問に対しまして、ちょっと前向きに、受け入れ問題のメリット、デメリットを有識者の協力を得ながら多様な角度から十分に慎重に検討、整理してまいりたいというような御答弁をしたんです。ただ、そういうような形をこれからとっていくにしても、やっぱり不法の方ともし仮に今度認められた方で不法じゃない方と、こういますと、またそこでごたごたになってもこれは困りますので、ともかくまず改正入管法の方をきっちりその作業を法務省でしていただけると思うので、それを見守ってまいりたい。それに対して、私どもはこういう内容ですよということで指導していくというような形になっていくと思いますけれども、しばらくはそういう形で見守っていきたいというふうに考えております。
○中曽根弘文君 閣僚懇。
○政府委員(公文宏君) 私の方から閣僚懇談会の状況についてお答えいたします。 外国人労働者問題に関する閣僚懇談会でございますが、昨年の十二月に一回開きました。政府のかねがねの方針は、御承知かと思いますけれども、当面専門的な技術、技能を有する外国人については可能な限り受け入れる方向で対処するわけでございますけれども、いわゆる単純労働者につきましては多様な角度から慎重な検討をするというのが政府の従来の方針でございます。 しかし、最近の諸情勢あるいはいろいろな各方面からの御意見を踏まえまして閣僚懇談会を開きまして、例えば単純労働者の取り扱いをどうするか、あるいは研修生の受け入れをどう考えていくか、あるいは不法就労の状態があるわけでございますけれども、そういう問題について具体的にどう対応していくかというようなことについて意見の交換をお願いしたということでございます。 その後、閣僚懇談会でいろいろな御意見がございましたけれども、我が国あるいは諸外国で外国人労働者の、あるいは外国人一般ということも含めてでございますけれども、制度、法令の適用についてどういう状況にあるか。例えば社会保障制度がどういうふうに適用されているか、そういう問題を少し勉強しようじゃないかということになっておりまして、私ども今その勉強、調査をやっているということでございます。 そういう状況や、先ほど総理からお答えございましたように入管法の改正が六月一日からございますので、その運用状況なんかを見ながら、今後折に触れてこの閣僚懇談会をまたやっていきたいというふうに考えているということでございます。閣僚懇談会の方は以上でございます。
○中曽根弘文君 いろいろ各省に御説明いただきましたけれども、この単純労働者、私が今問題にしているのはこの不法就労者のことですけれども、これを今後どうするかということについては入管法でもこれは受け入れないということになっておるわけですけれども、やはり現実的には大勢のこういう不法就労者がおるわけで、特に大変今いろいろな問題が起きておる。そして不安が広がって混乱も起きておりますし、雇用者も労働者本人も大変心配しておるわけですね。それから犯罪の数も急速にふえております。それから労働条件が非常に悪い、そういうところも随分あるようですし、また南米や中南米からの日系人の就労も最近はふえているようです。今後ますますこういう問題がこのままですと大きくなっていくんではないかと思いますが、各省検討はしていただいておりますけれども、やはりいつごろまでにどうするかということをきちっと決めていただいて、そうして、前に外務大臣の御答弁でも受け入れる場合はこうしなければならないだろうと、こうした方がいいだろうというような御答弁がございましたけれども、結論をできるだけやはり早く出していただくことが大事ではないかと思っております。 そこで、今ちょっと申し上げました日系二世、三世の就労、これについて現在どういう状況になっておるか、またこれは日本の国内では合法的なのだと思いますが、外国で問題があるかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○国務大臣(塚原俊平君) 一応ブラジル、ペルーが割にこのごろ日系人が多いんですが、これは無論一世は問題ないですし、二世も問題ないです。日本で働くのは。これは法務省から御答弁があるかもしれません。入管法のあれで今度は三世ももしかしたらよくなるのかもしれないですけれども、だから、どちらにしろ日本国内の方は問題がないわけです。 それで問題は、それを出す方の国がそれに対していろいろなお感じを持っていらっしゃるということで、ペルーはこちらへ働きに来るのは自由なんですが、何かブラジルはいろんな規制があるというようなことも伺っております。ただ、そういう状況の中で、今ブラジルからは、昭和六十二年は五千人から六千人ぐらいだったんですが、平成元年では一万八千人から二万人ということで大変に急増をいたしております。 そういう中で日系人が、我が国で就労に制限のない方々に対しては公共職業安定所で日本人と同様の職業紹介、相談等を行うことになっているんです。ところが、労働者派遣法違反等不法な就労あっせんの形態も何か今見られる状況があるようでございまして、労働省といたしましては、今後とも日系人の就労希望者の増加が予想されますので、現地国の状況も十分に留意しまして、適正な就労が確保されるように努力をいたしてまいりたいと考えております。
○政府委員(股野景親君) 日系の二世、三世の問題について、現在の入管法と六月一日から新たに施行になる改正入管法との関連で一言だけ申し上げますと、現在日系の二世、三世の方々、これは日本人の子であるかあるいは我が国に日本人の近親者がおられる、こういう事情を考慮いたしまして、法務大臣が特に在留を認める者として我が国に在留を認め、そしてその在留活動には制限を設けないという取り扱いをいたしておりますので就労ができるわけでございます。 改正入管法、六月一日から施行されますが、ここにおきましても日系の二世及び三世の方につきまして同様の事情を考慮して、新たに定住者という在留資格を与えることにいたしまして、これについて、就労を含めて我が国での活動に入管法上の制限を設けない、こういう扱いをいたすことにいたしております。
○中曽根弘文君 よくわかりましたけれども、いろいろな地域で、一つの地域の商工会とかそういうような団体がまとまって南米から日系人を受け入れようという動きがあるようでございますが、労働大臣から出す方で問題があるようだ、そういうような御答弁もありましたので、その辺をよく、そういうような動きのある団体とかグループに対して御指導していただいた方がいいんじゃないか、そういうふうに思っております。 それから、中小企業では、特に零細製造業やサービス業で人手不足の問題が大変深刻化しているわけです。経済の発展を維持するためには、やはり政府として現実的な対応をとるべきではないか。すなわち、ぜひ受け入れる方向で検討すべきである、そういうふうに私は思っております。何といいましても外国人労働者の問題は大変に社会面に、経済面に大きな影響があることですので、国民のコンセンサスを得ることが重要でございますが、さらにできるだけ早い時期に合意ができるように、結論が出るように御検討いただきたいと思っております。 それからさらに大変人権の問題もあると思いますので、こういう点にもぜひ御配慮をいただきたい。 それからもし将来受け入れる場合の話でございますけれども、希望する国が数十カ国も希望してきたらどう交通整理するのか。この国は入れてこの国はだめだとかそういうことはなかなか難しいと思いますし、そういう点までお含みいただいて御検討いただければとお願いいたします。時間の関係もありますのでこれぐらいにさせていただいて、次の問題に移ります。 教員の研修制度について伺いたいと思います。 子は国の宝とよく言われます。だれもが願うことは、あすの日本を担う子供たちが個性豊かに健全な成長をすることであります。家庭におけるしつけ、また社会における教育も確かに大切であることは言うまでもありませんが、子供たちが一日の大半を過ごして、また集団生活の中でさまざまな影響を受ける学校での教育というものの重要性が一層問われてくると考えます。 そこで問題になりますのは、施設の充実、つまりハードウエア、それから教育内容の充実、ソフトウエアはもちろんのこと、教員の資質の向上、ヒューマンウエアと言うんでしょうか、それが最も重要であると思います。私がここで言う資質の向上とは、教育指導の面ではなくて、教員個々の人間性の面であります。決して今の先生方が質的に問題があるというわけではございませんけれども、やはりしっかりとしたすばらしい先生に子供を託したい。子を持つ親としてはそう思うのは当然であろうと思います。 そこで、平成元年度より初任者研修制度がスタートしたわけですけれども、その内容について簡単で結構ですから御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(保利耕輔君) 将来の日本を託する子供たちの教育が重要であるということは、もう先生御指摘のとおりでございます。また、その教育を担当する教員が絶えず研修に努めまして資質の向上を図るということもこれも大変大事なことだと思います。 そこで、教育公務員特例法を見てみますというと、その中に「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。」という条項がございます。そうしたものを具現化し、特に教職生活の第一歩でございます初任者の時期にいろいろな研修を行いまして、教員としての見識を深め、さらに能力を磨くということは大変大事だということで、臨時教育審議会の第二次答申の中にもそのことが盛られ、さらに六十三年五月に法改正を行いまして初任者研修の制度をスタートさせたところでございます。先生御承知のとおり、平成元年度からスタートをさせておりますが、平成四年度から全面実施ということで段階的に実施をいたしているところでございます。現在までのところ大変成果が上がっているという報告を受けております。
○中曽根弘文君 ありがとうございました。 私はこの制度の一層の充実を願っております。まだこれで十分とは思っておりません。二十一世紀へ向かって資源のない日本にとりまして唯一の資源は人材、すなわち人間であります。ですから、子供たちが視野の広いバランスのとれた人間に育つためには、子供を指導する先生方がまず教師である前に社会全般というものをよく知ってもらい、体験してもらい、そして視野の広いバランスのとれた一人の人間でなければならないと思います。もう一歩踏み込んだ制度をつくるべきと考えますけれども、文部大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(保利耕輔君) 当面は初任者研修制度の充実に努めてまいりたいと思っておりますが、先生御指摘の点というのは、恐らく企業等に定期的に派遣をして学校以外で研修をしたらどうだということだろうと思います。そこで、こういった企業などに働きかけて、実社会でどういうことが行われているのかということを勉強していただきまして、柔軟な思考方法でありますとか、あるいは企業における発想方法でありますとか、あるいは幅広い人間関係を勉強していただくとか、あるいは企業におきます規律関係がどうなっているかとかいうようなことを勉強していただくというのは大変重要な意味を持っておると思います。そこで、そうした問題についてはこれから折あるごとに研究を重ねていかなければなりません。先生から御指摘の点については、十分に念頭に置きましてこれから対処してまいりたいと思います。
○中曽根弘文君 今文部大臣からも御答弁がありましたけれども、私はここで小中学校の教員の校外長期研修派遣制度の創設を提案したいと思います。 期間は半年とか一年とか、これは採用後三年から五年の間に民間企業とか自治体とか、あるいは公共団体等へ派遣をしていただいて、企業でしたら営業でも総務でも何でも結構ですけれども体験をしていただく、そういうことはきっとその教員の本人にとりましても得るものが多いと思います。もちろん派遣地の身分とか給与とか、そのほかの待遇については詰めていただかなくてはなりませんけれども。 そこで、千葉県で高等学校の教員に関してこのような制度があるようですが、御説明をお願いいたします。
○国務大臣(保利耕輔君) 私も長い間企業に勤めてまいった者でございますから、企業の中においてさまざまな勉強をするということは意味があろうかと思います。千葉県の具体的な例につきましては政府委員から答弁をさせます。
○政府委員(倉地克次君) 千葉県の研修の実態でございますけれども、これは昨年から始まっているところでございまして、高等学校の普通科の教員一名を企業に派遣している次第でございます。昨年の場合は、ある百貨店に派遣いたしまして一年研修したわけでございますけれども、企業の方の配慮によりまして、短期間にいろいろな職場を経験したということでございます。本年度の例もやはり一人派遣して研修しているわけでございますけれども、これは百貨店と製造業の方へ半年ずつ派遣することを予定しているということでございます。 以上でございます。
○中曽根弘文君 まだまだ私はこの制度も不十分であるとは思いますけれども、よくぞ千葉県がこの制度を導入されたと高く評価をいたしております。一層の充実を期待しています。また、こういう制度が今後各県において実施されることを切に希望いたしております。 しかし、千葉県のこの制度は高等学校の教員を対象としておりまして、知識技能を修得させることが主なようでありますけれども、私が新たな制度を提案いたしました最大の理由は、確かに高等学校の先生方の知識技術の修得も重要でありますけれども、やはり子供の人格形成の上で多大な影響力を持つ小中学校の先生方がより社会を広く知っていただいて、そしてバランスのとれた人間性豊かな先生であってほしい、そういうことを願うからであります。いろいろ困難な点もあろうかと思いますけれども、ぜひ御検討いただきたいとお願いいたします。総理の御見解をいただけたらと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 教師が教壇に立たれる前に人間としていろいろなことを経験し、体験し、またいろいろな立場に対する思いやりや配慮も身につけて指導に当たっていただくことは、これは私はできれば非常に望ましいことだ、こう考えます。いろいろな角度から教員の皆さん方の研修制度や海外の長期派遣の制度やいろんなことを考えておりますのもそういったことを願っての一環でございます。今後とも御質問の趣旨を体していろいろ私も研究をさせていただこうと思います。
○中曽根弘文君 どうもありがとうございました。終わります。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で中曽根弘文君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、竹村泰子君の総括質疑を行います。竹村君。
○竹村泰子君 この秋に行われます即位の礼、大嘗祭についてお伺いをしたいと思います。 即位の礼、大嘗祭というのは一体どういうことなのか、そして、昨年の十二月二十一日に政府見解をお出しになりましたが、どんな過程で決定されたのかお伺いしたいと思います。
○国務大臣(坂本三十次君) 政府見解が出るまでの過程、またその内容という御質問であります。 即位の礼に関する諸問題について幅広く協議を行うために、昨年の九月二十六日の閣議決定によりまして内閣に内閣官房長官を委員長とする即位の礼準備委員会を設置いたしました。この委員会は、儀式のあり方等について、大嘗祭を含め、四回にわたり十五名の方々から意見を伺って、それらを参考にしながら、憲法の趣旨に沿い、かつ、皇室の伝統等を尊重したものにするという観点から、慎重な検討を行いました。即位の礼準備委員会は、昨年十二月二十一日、委員会としての検討結果を「「即位の礼」の挙行について」としてまとめ、同日の閣議に報告し、了承をされたところであります。 以上が経過でございますが、次にその内容の概要であります。 まず、国事行為たる即位の礼については、即位を公に宣明されるとともに、その即位を内外の代表者がことほぐ儀式である即位の礼正殿の儀。次に、即位の礼正殿の儀終了後、広く国民に即位を披露され、祝福を受けられるための御列である祝賀御列の儀。次に、即位を披露され、祝福を受けられるための饗宴である饗宴の儀とすること。それから次に、挙行時期は平成二年秋を目途とする。次に、即位の礼正殿の儀の参加者数は、内外の代表二千五百名程度とし、饗宴の儀の出席者は三千四百名程度とするということであります。 次に、大嘗祭の意義についてでございますが、大嘗祭は、稲作農業を中心とした我が国の社会に古くから伝承されてきた収穫儀礼に根差すものでありまして、天皇が即位の後、初めて、大嘗官において、新穀を皇祖及び天神地祇にお供えになって、みずからもお召し上がりになり、皇祖及び天神地祇に対して安寧と五穀豊穣を感謝されるとともに、国家国民のために安寧と五穀豊穣を祈念される儀式でありまして、皇室の長い伝統を受け継いだ、皇位継承に伴う重要な儀式であります。 また、大嘗祭の儀式の位置づけ及びその費用については、大嘗祭の趣旨、形式からして宗教上の儀式としての性格を有するものと見られることは否定できません。また、その態様においても、国がその内容に立ち入ることにはなじまない性格の儀式でありますから、大嘗祭を国事行為として行うことは困難であると考えます。しかし、一方で大嘗祭は、皇位が世襲であることに伴う、一世に一度の極めて重要な伝統的皇位継承儀式でありますから、皇位の世襲制をとる我が国の憲法のもとにおいては、その儀式について国としても深い関心を持っており、その挙行を可能にする手だてを講ずることは当然と考えられます。その意味において大嘗祭は公的性格があり、その費用を宮廷費から支出することが相当であると考えております。
○竹村泰子君 その挙行を可能にする手だてを講ずることが当然と考えられ、また公的行為である、行事であるというふうに考えることが相当であるというふうなお答えでありましたけれども、その辺はどうも全然わかりません。しかしそれは後回しにいたしまして、即位の礼については、皇室典範二十四条の範囲はどこまでなんでしょうか。
○政府委員(工藤敦夫君) 今委員御指摘のように、皇室典範の第二十四条におきまして、「皇位の継承があったときは、即位の礼を行う。」、かような規定がございます。これは、皇位の継承に伴いまして国事行為たる儀式として即位の礼を行うものを予定した、かように考えております。 既に天皇陛下が御即位になられました直後、昨年の一月七日でございますが、そのときに、即位の礼の一環といたしまして剣璽等承継の儀が行われております。また、同じく昨年の一月九日には、即位後朝見の儀が行われております。ことしの秋に予定しております即位の礼といたしましては、ただいま官房長官からお答えがありました中のいわゆる即位札正殿の儀、祝賀御列の儀及び饗宴の儀と、こういうことでございまして、これらの儀式はいずれも天皇陛下の御即位に伴いまして国事行為として行うのにふさわしいものと、かように考えております。
○竹村泰子君 皇霊殿神殿に奉告の儀、賢所大前の儀、これらの儀式は何をするんですか。
○政府委員(宮尾盤君) 期日奉告の儀と申しますのは、賢所及び皇霊殿神殿におきまして天皇陛下が即位礼正殿の儀及び大嘗祭を行います期日を奉告をされる儀式でございます。 また、即位礼当日賢所大前の儀でございますが、これは即位礼正殿の儀の当日、賢所に天皇陛下が即位礼正殿の儀を行うことを奉告される儀式でございます。
○竹村泰子君 これは神事ではないんですか。
○政府委員(宮尾盤君) ただいまの期日奉告の儀あるいは賢所大前の儀というのは、いずれも即位の礼あるいは大嘗祭と深く関連する一連の儀式として行われるものでございます。そういう意味では、これらの儀式はいずれも即位礼あるいは大嘗祭と深く関連する皇位継承儀式の一環であるというふうに考えられるわけでございますが、宗教上の儀式としての性格を有すると見られることは、これは否定できないというふうに考えております。
○竹村泰子君 よくわかりませんが、神式で神様の前でなさるわけですね。
○政府委員(宮尾盤君) 皇室が行われております祭祀の形式によって行われるわけでございます。
○竹村泰子君 神事を国の費用で国の行事として行われるわけですね。
○政府委員(宮尾盤君) いわゆる神事であるかどうかということについては、いろいろなその言葉の意味合い等が、いろいろな解釈の仕方等があると思いますが、ただいまの御指摘の儀式は、先ほども申し上げましたように、即位礼または大嘗祭と深く関連をする皇位継承儀式の一環である。即位の礼あるいは大嘗祭というのは、政府の考え方といたしましては、これは皇室の長い伝統に基づく皇位継承儀式である、その一環としてこれらの儀式を行うというふうに考えておるわけでございます。 ただ、それが宗教的な色彩があるかどうかという観点からいたしますれば、先ほどお答え申し上げましたように、宗教上の儀式としての性格を有すると見られることはこれは否定をすることができないだろうと、こういう考え方でございます。
○竹村泰子君 国民はそれぞれいろんな宗教を持っています。信教の自由というのは、何を信じるのも自由だし、信じないのも自由であるはずです。それを国の行事として税金を使って国民にこれ皆押しつけを強要するということは、これは信教の自由を大きく侵すものであると思いますが、いかがですか、法制局長官。
○政府委員(工藤敦夫君) まず第一にお答え申し上げたいと思いますのは、決して国民に押しつけるといったような強制の意味を持つものではないということでございます。 それから第二番目としまして、大嘗祭の性格づけとしまして、先ほどお答えがございましたように、確かに宗教上の……
○竹村泰子君 今言っているのは即位の礼です。
○政府委員(工藤敦夫君) 失礼しました。 即位の礼につきましては国事行為として行う、こういうことでいわゆる憲法の儀式を行うこと、国事行為を行うことの一つとして皇室典範が即位の礼を行うということで予定しているところでございます。そういう意味で、決して押しつけるとか押しつけないとか、そういうことではなかろうと思っております。
○竹村泰子君 国民の税金を使って、それを国の行事として神式で行うということは押しつけることじゃないですか。ちゃんと答弁してください。
○政府委員(工藤敦夫君) ちょっと区別してお考えいただきたいと思っておりますが、即位の礼とそれから大嘗祭と二つございます。 それで、即位の礼は、先ほど申し上げましたように、国事行為といたしまして皇室典範にのっとりまして行われるわけでございます。これにつきましては宗教上の性格は持たないと、かように考えております。 それからもう一つ、別途、大嘗祭につきましては、政府見解にもございますように、宗教上の儀式としての性格を有すると見られることは否定できないということでございますが、これもいわゆる伝統的な皇位継承儀式である、こういうことで公的な性格がある。したがいまして、大嘗祭の費用を宮廷費から支出することが相当である。ただし、これとても皇位の伝統的な継承儀式でございます。決して押しつけるというふうな性格のものではございません。
○竹村泰子君 私はちゃんと区別して言っているつもりですけれども、即位の礼の中での神式の祭りではないですかというふうにお聞きしている。ちゃんと質問を聞いていてくださいね。 ここで押し問答をしても仕方がないですが、しかし即位の礼の中で神式で行われる部分は国事行為でしょう、国の行事として行われる。これは信教の自由を侵すものではないですかとお聞きしているわけです。それは無宗教でなさるんですか、即位の礼は。
○政府委員(工藤敦夫君) 先ほどお答え申し上げましたように、即位の礼は、昨年行われました二つの儀式とそれからことし予定されております儀式ということでございまして、先ほど宮内庁次長がお答え申し上げましたのは、期日奉告の儀あるいは賢所大前の儀というふうなことをお答え申し上げましたけれども、これは今回予定しております即位の礼の中に含まれているとは私どもの方は考えておりません。
○竹村泰子君 おかしいですね。そうしますと、即位の礼は無宗教で全部行われるんですか。即位の礼の中のさまざまな行事、祭りは全部無宗教ですか。
○政府委員(工藤敦夫君) 先ほどお答え申し上げましたように、即位の礼ということで行われますものは宗教的な性格を持たないものと、かように考えております。
○竹村泰子君 それじゃ、即位の礼でいろいろなさるそのお祭りですね、お祭りというか行事というか、それをもう一度挙げてください。
○政府委員(工藤敦夫君) 先ほどお答え申し上げたところでございますが、即位の礼といたしまして現在既に行われたものが、昨年の一月七日に行われました剣璽等承継の儀、それから同じく昨年の一月九日に行われました即位後朝見の儀でございますし、またことしの秋に予定しておりますものは即位礼正殿の儀、祝賀御列の儀及び饗宴の儀でございます。
○竹村泰子君 それは無宗教で行われるということでよろしいんですね、確認ですが。 それでは、大嘗祭をお聞きいたしましょう。大嘗祭というのはどういうお祭りなんですか。
○政府委員(宮尾盤君) 大嘗祭についての意義あるいはその儀式の位置づけということについては、政府の即位の礼準備委員会で結論を得ておりますそのことを先ほど官房長官の方から申し上げたわけでございますが、具体的に申し上げますと、この秋に予定されております大嘗祭は、皇居東御苑に造営を予定しております大嘗祭におきまして、本年十一月二十二日から二十三日にかけて行われる予定でございまして、悠紀殿供饌の儀及び主基殿供饌の儀の二つの儀式がその中核となって構成をされる儀式であります。 それで、この儀式の内容としましては、伝統に従いますと、新穀などを天皇御みずから皇祖及び天神地祇にお供えになる御親供、それから国家国民のために安寧と五穀豊穣などを感謝し祈念されて御告文をお読みになる、それから新穀などを御みずからお召し上がりになる御直会、こういったものを柱として構成されることになろうと思っておるわけでございますが、具体的なその式次第については今後決定をすることにいたしておるわけでございます。いずれにいたしましても、皇室の伝統を尊重して、今後慎重に検討する、こういうことにいたしております。一応そういうものと考えております。
○竹村泰子君 もう少し具体的にお聞きしたかったんですけれども、大嘗祭というのは非常になぞに包まれた儀式であるというふうに聞いているわけです。その意味合いは本当に大きななぞに包まれたままである。例えば大嘗祭に先立つ即位の礼で天皇がお乗りになる八角形の屋根を持つという高御座という玉座、これはアマテラスオオミカミの座を受け継ぐものとされているし、天皇が神格を得られる儀式であるというふうに伝えられているわけですね。そのようなことはもう十分当事者はおわかりになっていると思うんですが、もう少し具体的に、例えばどんなことをしてどんな祭りを神様の前でするのだとか、そういうお話を伺えませんでしょうか。
○政府委員(宮尾盤君) 先ほど大体の概要というものを申し上げたつもりでございますが、さらに大嘗祭の細かい儀式、これは今後検討することになりますので、まだ具体的に決まっておるわけではございませんが、先例等によりますと、大嘗宮、いわゆる悠紀殿、主基殿、それぞれ行われるわけでございますが、それぞれの場においてまず稲つきを行う。これはその年とれた稲をついて精米にする、こういう行事でございます。それからそこに各地方のもろもろの農水産物等を展示する、いわゆるこれは庭積みの机代物、こういう名前で呼んでおりますが、そういうものを置く場所を設ける。それから悠紀、主基それぞれの地方の風俗歌を奏したり、あるいは皇后陛下、皇太子殿下初め各皇族さん方が御拝礼をされる。それから御親供になられる神饌を行立という言葉を使っておりますが、神饌行立という行事が行われる。 それから先ほど一番中心的な部分であると申し上げましたが、天皇御みずから神饌を御親供になる。それから天皇が御拝礼の上、御告文をお奏しになる。それから御直会、御直会というのはその年とれました新穀を御みずからそこでお召し上がりになる、こういう御直会というのがある。これがお祭りの中心的なものでございます。
○竹村泰子君 これまでの国会答弁、いろいろな皆様の質問、答弁を議事録から拝見しておりますと、皇位を継ぐ者として大嘗祭は即位の法的要件ではないのかという問いに対して、そうではない、即位に伴う儀式の一つであるというふうにお答えをなさっているんですけれども、そして、ごく内輪の神式による天皇家の神事である、儀式であるというふうにお答えになっているんですけれども、それではなぜ公的行為となるんでしょうか、よくわからないんです。なぜ宮廷費が使われるんでしょうか。内廷費を増額なさって大嘗祭は執行されるべきではないんでしょうか。
○政府委員(宮尾盤君) これもこれまでの御答弁の中にあったわけでございますが、準備委員会の結論にも書いてございますように、大嘗祭というのは皇室の行事として行う、こういうことにした場合に、大嘗祭につきましては皇位が世襲であることに伴います一世に一度の極めて重要な伝統的皇位継承儀式でありますから、皇位の世襲制をとる我が国の憲法のもとにおいてはその儀式について国としても深い関心を持ち、その挙行を可能にする手だてを講ずることは当然であると考えられる、こういう意味において公的性格があるというふうに準備委員会の結論が出ておるわけでございます。 そういうことで、政府として、慎重に御審議をいただいた委員会の結論としてこういう性格づけがされているということであります。
○竹村泰子君 本当は、信教の自由とか政教分離とかいう関係からいけば、即位の礼を国の行事として行って、大嘗祭を内々で天皇家の祭りとして切り離して行えば最もすっきりすると総理も思っていらっしゃるんじゃないですか。しかし、残念ながら内廷費ではお金がどうしても足りないんですよね。ですから、宮廷費を使うために公的行事であるというふうなそういうこじつけをなさったのではないですか。官房長官、いかがですか。
○国務大臣(坂本三十次君) こじつけとは私は考えられませんけれども。天皇の国事行為は憲法に決められたものがありますね。それから天皇家だってこれはやっぱり私的な生活はもちろんありますね。しかしその真ん中に、語弊があるかもしれないけれども、憲法で定められた皇位継承ということに関係がありますので公的行事ということにして、そしてその公的行事のお金は私的なお金ではなしに、公的行事にふさわしいと申しましょうか、宮廷費を使ったというのではなかろうかと思います。
○竹村泰子君 天皇の行為の中に公的行為という位置づけはないですね、法制局長官。憲法にもないです。
○政府委員(工藤敦夫君) 公的行為という分類でございます。これは天皇の行為を分けまして、憲法上規定がございます国事行為、こういうものが一つございます。それからそれのほかにいわゆる象徴としての地位に基づくもの、こういう意味での公的行事、それから国事行為、公的行為以外の行為、こういうふうなことを従来から申し上げているところでございます。
○竹村泰子君 憲法のどこに公的行為という言葉が出てきますのでしょうか。
○政府委員(工藤敦夫君) 憲法上出てまいりますのは国事行為でございます。ただ、天皇の行為として、過去何度か御答弁申し上げておりますが、そういう今申し上げました公的行為、あるいは国事行為、公的行為のいずれにも該当しない行為、これがあることは従来から申し上げてきておりますところで、国事行為が憲法上書いてあるところ、それは御指摘のとおりでございます。
○竹村泰子君 何か言いくるめようというような意向が感じられてならないんですけれども、これは新憲法下でしかも象徴天皇となって初めての即位の礼ですよね。天嘗祭ですよね。ですから、今回行われる即位の礼、大嘗祭はこれからずっと後々の先例となるわけです。非常に重要な意味を持っていると私は思いますけれども、人間宣言をしたはずの天皇が神と一体となる、あるいはみずから神になる大嘗祭を行う必要があるのでしょうか、総理、どう思われますか。
○政府委員(宮尾盤君) 大嘗祭が神と一体となる儀式ではないかという前提に立っての御質問であろうというふうに思うわけでございますが、大嘗祭につきましてはいろいろな学説もありますし、いろんな立場からの説がありまして、ただいま御質問をされたような立場での説があるということは私どもも承知をしておるわけですが、この大嘗祭の意義といいますか性格といいますか、そういうものについては、たびたび申し上げますように、天皇が御即位の後初めて大嘗官におきましてその年の新穀を畠祖及び天神地祇にお供えになって、御みずからもお召し上がりになり、皇祖及び天神地祇に対して安寧と五穀豊穣などを感謝されますとともに、今後も国家国民のために安寧と五穀豊穣などを祈念される、こういう儀式であるというふうに私どもは基本的に考えておるわけでございます。
○竹村泰子君 皇祖というのはどなたのことなんですか。
○政府委員(宮尾盤君) 皇祖はアマテラスオオカミでございます。
○竹村泰子君 何と申しますか、神話といいますか、伝説とか神話の世界に人間宣言をしたはずの天皇がなぜそういう行事を、即位の礼はともかくとして大嘗祭のような行事をなさらなければならないのか。天皇はどう考えておられるんでしょうね。総理、ちょっと感想を聞かせてください。感想で結構です。
○国務大臣(海部俊樹君) 日本国憲法の第一条には、天皇は日本国の象徴であり、その地位は日本国民の総意に基づくと書いてございます。私の感想を言えということでありますから、そういう憲法第一条の国民の総意に基づく天皇の地位が継承されるわけですから、即位礼は。皇室の伝統行事がそこで行われるものと、私はそういう感想を持ってこれを厳粛に迎えたい、こう感想を持っております。
○竹村泰子君 きょうは参考人においでいただいております。政教分離や信教の自由のためにずっと働いてこられた西川重則さんにおいでいただいておりますので、どうかお願い申し上げます。 私からお聞きいたしますが、即位、大嘗祭、この政府見解について、まずどう思われるか簡単にお聞かせ願えますでしょうか。
○参考人(西川重則君) 今紹介にあずかりました西川と申します。 私がかねがね疑問に思っていることが幾つかございますが、今御質問にお答えするために今まで報道されたことを一言申し上げたいと思います。 素朴な疑問でもありますけれども、即位の礼挙行についての政府見解が事実上決定したというふうに既に去年の十一月十七日の時点で新聞が大きく報道したわけですね。その内容、つまり大嘗祭が公的な皇室行事だというふうに既に報道され、そして、特定の宗教を助長しないというふうなこと、あるいは「国の援助相当と宮廷費支出に道」というふうな見出しのもとに大きく報道されました。 これは皆さん御承知のとおりだと思いますが、そのときに私が不思議に思いましたのは、即位の礼準備委員会、当時森山官房長官でしたが、森山官房長官が責任を持って非公開で十五人の学識経験者から意見聴取をされていた。そして、まさにその新聞が報道されたときは十一月十七日だと思いますが、それは非公開の中で、後の新聞の報告によりますと二回目の意見聴取の日でありました。つまり、十一月の七日から始まって十一月の二十九日に終わっている。十五人の方々が四回意見聴取をされている。したがって、その後半の十一月二十二、二十九日のその時点での報告というのが、既に今は明らかにされておりますけれども、事前に報道されたことについて考えてみますと、意見聴取を政府がなさっているときに、後で決定を見たと言われる政府の見解の決定と既に事実上同じだったということについて大変不思議に思っている一人であります。 そういう意味で私はまず今の御質問に対しては、意見聴取をなさったその本当の目的は何なのか、また、なぜそのように早々と事実上政府見解の決定というのが新聞に報道されるようなことが可能だったのか等々を考えますと、一体十五人の意見聴取をされた方々の意見というものがどういうふうに具体的に反映され、そして具体的な形でそれが政府見解の決定となったんだろうかというふうな疑問であります。 そういたしますと、私の気持ちですが、これは残念ながら一月もたたない短期間の中に、しかも一つの立場というのが結果的には出ておりますので、先ほど宮尾次長が言われたようなそういう大嘗祭の考え方ということが政府見解の中に出ているという意味で、これは国民の一人といたしまして、意見聴取あるいはまた民主主義のルールに基づいてなさったとするならば、なぜそのような事柄が具体的な形で行われてしまったんだろうか、つまり、その点について非常に疑問があり、その後についてもいろいろなことを考えさせられて今日に至りました。 以上であります。
○竹村泰子君 ありがとうございました。 それではもう一つ、大嘗祭を公的行事としたことについて、今の論議を聞いておられたと思いますけれども、天皇の公的行為という位置づけをどう思われますでしょうか。
○参考人(西川重則君) 先ほどのいろいろな御質問またお答えを聞いておりましたが、やはりその点についても、天皇が象徴天皇としてその地位を第一条において明記されている、それからもう一つは、世襲制というのが第二条に明記されている、それによって継承すると、これは憲法の中で明記されていることですが、しかし、国事行為という意味で、政府が、宗教性を具備しているという意味でそれをとらないということも政府見解の中に書かれてある。そういう意味で、それでは私的行為なんだろうかというと、そうではなくて公的行為だというのが事柄の筋だと思うんですね。そして決定を見られた内容として書かれてある。 ところが、天皇の公的行為というのは一体何であるか。これは先ほどお答えされたとおり、大嘗祭にかかわる問題として、それにふさわしい国の関心の対象として公的な性格があるというお答えであって、これは憲法原則から具体的に根拠づけとして法的な意味で、あるいはまた私たちが納得できるような意味での公的行為というふうな意味にはやはりどうしても私としては考えられません。つまり、なぜなのかといいますと、やはり象徴天皇及び憲法原則というのが、その憲法原則に基づいて事柄を進めていくというのであれば、それが国事行為としてなぜできないのかということを考えたときに、それは公的行為というふうに切りかえるのではなくて、やはり国事行為ができない理由ということが憲法原則に基づいて解釈され、適用されるというのが筋であろうというふうに考えます。 宮内庁も伝統的にお考えだと私は思いますが、いわゆる三分法、つまり国事行為、私的行為、その真ん中に公的行為というふうに憲法解釈を持っていくのではなくて、やはり憲法の原則ということを貫徹されるのであれば、国事行為、つまり七条の十項目に至る儀式を行うということの関連の中でどういうふうな意味でなすことができるのかあるいはできないのかということについては、やはりそういう憲法原則に基づいた解釈、適用がなされてしかるべきじゃないでしょうか。そういう意味で、公的行為というのは、やはり大嘗祭をなすためにいろいろとお考えになったことから出てきたんじゃないだろうかというふうに私は考えさせられております。
○竹村泰子君 それでは最後に、信教の自由、政教分離について西川先生の御意見を、時間の都合もございますので少し簡単にお願いいたします。
○参考人(西川重則君) 信教の自由と政教分離の問題ということが、戦前、特に戦争中とにかく戦争に大変かかわった国、加害国の私たちの歴史的反省ということを踏まえて、制憲国会では金森徳次郎氏が本当に千回以上の、国会においてなされたと。そのときに、大嘗祭にかかわる質問もされたときに、やはりその問題について金森徳次郎氏は政治の組織としての面ということを強調されて、宗教の面を皇室典範の中には盛らないということが歴史的教訓としてあるという趣旨のことを発言されておりますね。それは四六年の敗戦直後の出来事である。 ところが、今回の問題というのは、そのような厳格かつ徹底した政教分離原則から出てくる推論ではなくて、残念ながら八〇年代あるいは九〇年になった今日の状況の中で大嘗祭、即位の礼ということが政府見解のような方向性の中でなされているというふうに思われて仕方がありません。ということは、信教の自由というのは本当に精神性、個人の精神生活の基本原則である。したがって、その目的とされているのは、国及び社会から妨げられないその信教の自由ということをそれぞれが、自分もまた他の方々もそのような精神生活の安定、基本原則ということが貫徹できる社会をつくっていくということがそもそも信教の自由の私は目的だというふうに考えられます。 したがって、そういう意味で、その信教の自由が完全に保障されるために、やはり戦争中の出来事、特にアジアに対し、韓国に対し、あるいは中国に対しなした、そのような反省を踏まえた出来事として金森徳次郎氏も答えたわけであります。同じ与党の立場でお答えになりました。そういう出来事を、私は今本当に日本人の一人として、歴史の反省を踏まえて国会の中で討議されたときに、信教の自由、政教分離の車の両輪の関係ということが再び日本の国が他の国に対して、アジア に対してどのようにあるべきかという関連の中で、文脈の中で真剣に話がなされたと私は思います。 そういう点で、私たちにとって、天皇も含めて信教の自由、一人一人の信教の自由ということがどのように認識され、またどのように政教分離原則とのかかわりの中で社会の本当の意味での平和と公正と正義を実現するための条項なのか。世界に冠たる条項だと言われているのも、それは私たちの国がそのような反省を踏まえて制憲国会で議論をし、それが二十条に詳しく書かれたと……
○委員長(林田悠紀夫君) 簡単に願います。
○参考人(西川重則君) そういうふうに考えております。
○竹村泰子君 西川先生、どうも本当にありがとうございました。結構でございます。 それでは、次の質問に移ります。 私は、有権者からこの大礼についてよく聞かれるんです。でも説明のしようがないんです。国民の代表として国会議員が賛否を問われている。予算審議をしなければならない。けれども中身がわからない。さっきもお答えになっているとおり、中身はまだよくはっきりわかっておりませんとおっしゃっている。わからないものを審議できないですよね。 例えば大嘗宮を一つつくるのに幾らかかるかお聞きしましたら、十四億かかるそうですね、大体。大嘗宮というのはすぐに壊してしまうんだそうですね。この際もう少し質素にお願いしたいとか、国会がお願いすることについて、国民の税金の使われ方について、もう少しこういう方法でやっていただけないでしょうかと、この段階、手続を飛び越えて、勝手に予算を組んで、全部でこれこれかかります、五十九億五千二百万円ですか、即位の礼と大嘗祭と両方で。これだけかかりますと言われても、これは国会議員の予算審議権にかかわる問題ではないかと私は思います。もう少し詳しく国民にも、特に国会にもわかるように、即位、大嘗祭それぞれにかかる費用は、そして詳しい内容はこのぐらいですと、何がこうです、これがこうですというふうにお出しをいただかないと困るのではないかと思いますが、いかがでしょうか、総理あるいは大蔵大臣。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 即位の礼あるいは大嘗祭などの皇位継承儀式に必要な経費と申しますものは、国及び皇室の行事としての各種の儀式の挙行の経費、警備経費、外国来賓の滞在経費、広報報道関係費などから成っておりまして、組織別には、皇室費、総理府本府、警察庁、宮内庁、外務省にそれぞれ計上をいたしております。これらの経費の全体を取りまとめました金額あるいはその内容につきましては、これまでも資料要求等がございましたときお答えをいたしてまいりました。 今委員からの御指摘でありますけれども、予算というものを国会を初めあらゆる方々によく御理解をいただくというのは大事なことでありますから、これからも必要がありますならば資料の作成等工夫をしてまいりたいと思いますし、もし必要がありますならばそれぞれ内容についての御説明をいたさせます。
○竹村泰子君 それは大変私は必要であると思うのですけれども、きょうその説明をお聞かせいただけますんでしょうか。御用意がありますでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 総理府本府に計上をいたしておりますのは総額が三十三億八千五百万円であります。その内訳は、即位礼正殿の儀に関係いたしますもの十四億三千五百万円、祝賀御列の儀一億二千万円、饗宴の儀四億三千三百万、そのほかといたしまして十三億九千七百万円を計上いたしておりますが、その内訳は、広報及び報道関係費が五億四千二百万、記録関係の経費が四億二千七百万、一般参観及び準備その他儀式執行の事務経費が四億二千八百万でございます。 また、皇室費に計上いたしておりますもの二十五億六千八百万円でありますが、大嘗祭関係は二十二億四千九百万円であります。その内訳は、大嘗宮の儀、これが十八億二千七百万円、その中には大嘗宮の設営関係費として十四億五千三百万円、儀式用品及び装束関係費が三億七千四百万円となっております。大饗の儀は三億四千七百万円でありまして、そのほか、大嘗祭挙行に伴う経費といたしまして、内容は勅使発遣の儀などの経費でありますが、七千五百万円を計上いたしております。そのほかに、その他の皇位継承儀式関係費、山陵御親謁の儀等の経費でありますが、これが三億一千九百万円であります。 また、宮内庁には一千二百万円を計上いたしておりまして、これは皇室活動随伴等の旅費でございます。 警察庁は十一億七千三百万円。これは装備、通信関係の費用であります。 外務省九億八千万円。この内訳は、外国来賓の滞在経費が六億五千九百万円、受け入れ事務態勢経費が二億五百万円、報道関係経費が一億一千六百万円。 以上であります。
○竹村泰子君 総額幾らですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 総額八十一億一千八百万円であります。
○竹村泰子君 八十一億というお金が使われるわけですね。大変なことです。私がさっき申し上げましたように、このくらいでいかがでしょうかというお尋ねは一度もございませんでした、国会にも。こういうことでいいんでしょうか。 総理に私はお聞きしたいのですけれども、太平洋戦争で日本が侵略を行っていったアジアの国々で、かつて天皇の名によって行われた戦争のために、千八百万人の人々が死んでおられます。ほとんどが今飢えと貧困に苦しんでいる、一日五万人もの子供たちが飢えのために死んでいく国々であります。かつての占領国である日本の天皇の即位と大嘗祭に八十一億というお金が使われるということをこのアジアの国々の人々はどういう思いで受けとめるでしょうか。総理、どう思われますか。総理の御感想で結構です。
○国務大臣(海部俊樹君) いろいろ比較対照するときには、その金額だけをお取り上げになってこれをどう思うかとおっしゃられないで、過去のそういったアジアに対するいろいろな御迷惑、与えた苦痛については、それはもう別の次元で厳しく反省もし、同時にそこへは、多くの問題点を提起されるごとに、こちらもできるだけそれは御協力をしていかなければならぬということで協力もしておるわけでありますし、今御議論になっております問題は、まさに憲法の第一条に規定されておる天皇の地位の皇位継承に伴う伝統儀式でございますから、そのことについては、次元の違う問題として十分誠意をもって御説明をしたら御理解がいただけるのではないでしょうか。 過去の問題の償いは、これまでも一生懸命に反省に立って御協力を続けてきておるつもりでございますし、またその他の毎年毎年の児童の問題については、これまた戦争ということよりも、むしろ今日の食糧不足とか環境問題とか人口問題から起こっておる問題として国連等を通じて今後も取り組んでいかなきゃならぬ問題だろうと、こう思っております。
○竹村泰子君 食べることすらできないで、おなかをすかせて、黙って空腹で死んでいく子供たちが一日五万人いる国々で、このことを幾ら説明しても理解ができるでしょうか。 もう一つ総理にお聞きいたしますけれども、あなたはあの戦争は、太平洋戦争は聖戦だと思われますか、侵略だったと思われますか。
○国務大臣(海部俊樹君) この間もお答えをいたしましたが、私はあの戦争を聖戦だと言ったことは一度もありませんし、そんなことも思っておりませんし、侵略の事実があったことを率直に私は認めて申し上げたところでございます。
○竹村泰子君 それでは、あの戦争は侵略戦争であったということはお認めになるわけですね。
○国務大臣(海部俊樹君) 今そう言いました。今お答えしました。
○竹村泰子君 わかりました。ありがとうございました。 この大礼のことにつきましては、あるいは天皇制の問題につきましてはたくさんのことをまだまだお聞きしたいんですけれども、残念ながらきょうはこのくらいにしておきます。 それでは次に、がらっと変わりますが、ゴルフ場の問題について質問をさせていただきます。 ゴルフ場について質問をいたします前に、環境予算についてお尋ねをしたいんですけれども、環境予算は主たる目的が違う予算を環境保全に必要として集められて、特別会計を合計いたしますと一兆三千五百億円。日本は環境行政が非常に弱いとか貧しいとか言われてまいりますけれども、こんな予算構成では何もできないわけですよね。少ない環境予算の中をよく見れば、半分以上は関係ないもので占められているという状態。例えばこんなことがあります。私、ここに持ってまいりましたけれども、漁港施設整備事業資金貸付金、これ環境予算に入っているんです。新産業都市等事業追加貸付金、もうこういうことがたくさんあるわけです。例えば鉱害防止監督検査あるいは鉱山保安技術対策のうち鉱山保安技術基準作成、休廃止鉱山等鉱害防止対策調査指導費とか、こういうものがたくさん環境予算の中に入っているんですけれども、こんな予算案の組み方を根本的に変えていかないと、環境というのは、今これだけ地球規模の環境破壊が叫ばれているときに、どうやって守れるんだろうかと私は思いますけれども、大蔵大臣と環境庁長官にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(北川石松君) ただいま竹村委員から御質問のございました環境予算につきましては、いろいろ項目を挙げますと多種多様にわたっておりますが、それはもちろん環境をよくするために計上された予算でございまして、そのものがすべてずばりと環境に影響を与えているものもございますが、環境庁の予算としましては四百九十六億八千四百万円を計上いたしております。私は、なお必要な予算については、少ないという御指摘を受けると、そのとおりである点もあると思いますが、ただ、環境行政というものは、地球はもちろん、我々の日常生活のそのすべての環境をよくするために行政が施行されなくちゃならない、このように考えております。もちろんそのために総合的に各関係省庁との間においての予算の編成でございます。このことを踏まえまして、各関係省庁とよく連絡をとりながら、政府一体となって総合的に環境行政を進めていきたい。 なお、私の十分に答弁の足らざる点は政府委員にいたさせます。
○竹村泰子君 大蔵大臣もお考えを聞かせてください。この環境予算の半分以上がほかのことで占められているんですよね。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は率直に申しまして、むしろ昭和四十年代の半ばに公害が多発し、発生してしまった公害からどうして改善をするかということにきりきり舞いをさせられました時代から、今そうした問題を一つずつ処理をしながら、より広義の環境問題というものに取り組める時代がようやくやってきたような気がいたしますりそれでも、我々がちょっと注意を怠りますと、先般来問題になっておりますゴルフ場における農薬の過剰使用のような問題が出てくるわけであります。その意味では、私はできるだけ幅広く環境問題というものをとらえて、広義の環境予算というものを充実していくという方向が間違っているとは思いません。 ただ、総体が多いか少ないかということになりますと、これは年々の財政事情、その他のものを勘案しながら、また、それぞれの要求官庁から出てまいります施策を精査しつつ決定をしていくものでありますから、さまざまな御議論はあろうかと思います。しかし、私は、環境というテーマはある程度広くとらえるという考え方が間違っているとは思いません。
○竹村泰子君 でも、この項目を今一々挙げるわけにはいきませんけれども、これざっとごらんになったら、やっぱりこれははてなとお思いになるのではないですか。もう一度考え直していただきたいと思います、お組みになるときに。 それから環境に限らずですけれども、一般予算の配分比率を考え直さなければならないのではないでしょうか。今は増分的予算編成をしているわけですよね。ふえた分だけどこへ幾らつけようかという予算編成をしておられて、もう二十年もずっと防衛費は何%、福祉は何%というふうに大体決まっていて、ふえた分だけをどうしようかという考え方をしていらっしゃる。だから配分比率はちっとも変わらない。防衛費にしても、あれだけ国民の間に反対がありながら、じりじりと増額の一途をたどっているわけです。枠づくりを思い切って本気で考え直す必要があると思いますが、例えば環境予算などはGNP一%ぐらいにするとか、そういう思い切った施策をひとつ次の予算編成のときには考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 申しわけありませんが、私はそういう発想は余り賛成はできません。むしろそのときどきにおいて、やはり必要だと思う場合にはその一%を超えている資金を投入する必要があるときもあるでしょうし、もっとその年度は少なくて済むというときもあるでありましょう。予算編成というものが今委員から一方では固定化しているという御指摘をいただきました。しかし、例えば防衛費と社会保障関係費でも、このところ防衛費の伸び率が高いというおしかりがありましたけれども、平成二年度は社会保障関係費の方の伸び率が高いことも御承知のとおりでありまして、年々これは動いているわけであります。そうした中で逆に環境という、これは我々にとって大変大切なテーマでありますけれども、こういう費目を比率で固定してしまう、これはやはり私は施策の弾力性を欠くことでありまして、むしろそのときどきの問題、また財政状況等々を勘案しながら適時適切に対応していくのが本旨であろう、私はそう思います。
○竹村泰子君 環境を守るために思い切った考え方を今回ぜひとっていただきたいと思うわけでけれども、ゴルフ場の問題に入ってまいります。 ゴルフ場は一体何省が責任を持っているんでしょうか。総合的に行政をやるところはありまでしょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) たまたま今農薬の問題が出てまいりまして八省庁で連絡会議をつくりました。私の方で実は幹事役を引き受けておりますので、そういう面で私ここで答弁に立たせていただきましたけれども、全部を所管しているわけではございません。ゴルフ場のいわゆる事業そのものがサービス産業の一つでありますから、そういう意味においてゴルフ場事業については通産省の所管でございますけれども、大体ゴルフ場の建設になりますと、この間も調べてみると、二十四の法律あるいは省令、そして省庁は八つの省庁が関係をいたしておるわけでございまして、そんなようなことで、これからのゴルフ場建設に当たりましてもいろいろ意見を調整しなきゃいけないということ、それから農薬の問題を御指摘いただきましたので、その問題のことなどを含めて連絡会議をつくらせていただいておりますが、今の八省庁がそれぞれの法令に基づかれて規制をいろいろと指導しておられるところであります。
○竹村泰子君 自然公園の中のゴルフ場は幾つあるんでしょうか。
○政府委員(山内豊徳君) 自然公園の中に国立公園、国定公園がございます、御存じかと思いますが。国立公園に現在六十八のゴルフ場、国定公園に四十六のゴルフ場があることを把握しております。
○竹村泰子君 そのうち水源に影響があると思っておられるゴルフ場は幾つあって、どこなんでしょうか。
○政府委員(山内豊徳君) 今申し上げましたゴルフ場は現在動いておるゴルフ場でございまして、もう少し説明させていただきますと、国立公園、国定公園の特別地域では昭和四十九年以来新設を認めておりません。そういうこともございまして、今申し上げました数字は既に事業としての経過をかなりたどっておるゴルフ場でございますので、私どもの把握では、所管の国立公園管理事務所から水源上の問題があるものとは報告を一切受けておりません。
○竹村泰子君 水源に影響があると思っているゴルフ場はないということなんですか。 水源というのは、ゴルフ場をつくるためにはたくさんの木を切り倒していくわけですよね。森林が水源を確保していることはもう御存じのとおりだと思いますけれども、そういう意味で言えば、私はすべてが水源に影響があると言っても差し支えないと思うわけです。この水源の森林が切り倒されますと人工的な毒素をろ過できなくなります。また、クラブから出る排水は富栄養化して環境に与える影響ははかり知れないものとなります。ここは別に水のそばではないから大丈夫だということは決して言えないのではないでしょうか。地下にしみ込んでいくとそれはどこから流れ出してくるかわからない。そういう意味におきまして、私はゴルフ場をつくるときにはよほどよく調査をしていただき、あるいはアセスメントをしていただかなければならないと思いますけれども、現在ゴルフ場の総面積はどのぐらいあるのでしょうか、現存。
○政府委員(山本貞一君) 今年三月の調査によりますと、十六万四千ヘクタール程度でございます。
○竹村泰子君 その十六万四千ヘクタールというのは、私は浅学でちょっとわからないんですが、日本全体の面積の何%ぐらいになるんでしょうか。何カ所かも教えてください。
○政府委員(山本貞一君) 〇・四%程度と存じます。ゴルフ場の数は千六百九十四、今年三月時点での調査でございます。
○竹村泰子君 大変な数ですね。 そして、ゴルフ人口というのは今およそどのぐらいと見ていらっしゃるんでしょうか。
○政府委員(山本貞一君) 昭和六十三年度の通産省で行いました特定サービス産業実態調査によりますと、年間の延べ人数で七千七百万人程度でございます。
○竹村泰子君 七千七百万人ですか。大変な数なんですけれども、これで割りますと一人当たりの面積はどのぐらいになるんでしょうか。
○政府委員(山本貞一君) ゴルフ場の総面積を人口で割りました数字は一人当たり十三・五平米という数字を計算しておりますが、今御質問の趣旨は七千七百万人で割るという趣旨であるとすれば、算数にちょっと弱いんですが、もう少し二十一か二十二平方メートルあるということになるかと思いますが、年間の延べ利用者でございますので一人で何回も利用されるということもあろうかと存じます。
○竹村泰子君 二十一平米ぐらいですか。 〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕 私は何を言いたいかといいますと、勤労者それから一般の大衆は、スポーツをしたくてもなかなか場所もない、時間もない。運動場も余暇もゲートボール場もなかなかつくれない。そういう中で、太陽、空気などからいっても、これは大変ぜいたくな不当な配分ではないかということをちょっと申し上げたかったんですけれども。 そのゴルフ場の、市町村の面積のうちゴルフ場が一〇%を超えているところはどこでしょうか。
○政府委員(芦尾長司君) 市町村別のゴルフ場の面積につきまして自治省としても把握はいたしておりませんので、今ゴルフ場の実態の正確な把握、ただいまお話しございましたが、関係省庁会議が設けられておりますから、そこでよく協議して調べてまいりたいと思っております。
○竹村泰子君 おわかりにならないんですか。私の住んでおります北海道の広島町というところは、現在九・七%でございます。そして計画中のものが全部できますと、一九%になりまして全国一になります。これらの市町村の土地利用方法、そして環境保全は異常だと思いますけれども、いかがでしょうか、長官。
○国務大臣(北川石松君) 委員の御質問でございますが、全国的にその市、その町によって数も違います。またその環境も違っておると思いますが、環境庁といたしましては、そういう農薬の汚染あるいはその環境の破壊等に今後ともよく留意をしながら、各地方自治体の御意見も聞き、そうしてその地域住民の皆さんに御理解の願えるようなゴルフ場をつくっていただきたい。決してゴルフ場を否定するものではないということも前提に申し上げておきたいと思います。 以上でございます。
○竹村泰子君 そういうことをお聞きしたんじゃないんです。そういう異常なゴルフ場のふえ方をしている市町村について、環境庁長官はどういうふうに思われますかとお聞きしたんです。自治省にもお伺いしたいと思います。
○国務大臣(北川石松君) 異常なほど、ゴルフ場が一九%もできるということは、それはその自治体の中でこれを私は規制していただきたい、そしてその市民、住民の皆さんのやはり環境をよくしていただきたい、このような思いをいたしております。
○国務大臣(奥田敬和君) 全国平均でゴルフ場の面積〇・四%ということでございました。北海道は、御存じのとおり、国土面積の二一、二%を占めているはずですし、しかも別海町という町あたりは、私が聞いているところでは香川県一県の面積にも匹敵するくらい、はっきり言って日本の国土の中では一番緑地なり森林の多い、リゾートには最も通した地域でもございます。しかし、一町で二〇、一九%という形は、それははっきり言うと町全部がゴルフ場みたいな、町の形で珍しい、全国一ということでございましたから、それだけその町の方針で、リゾート地として全国で最もゴルフ場適地として全国に宣伝される、町には町としての町長さんなりのやり方があるんだと思います。はっきり言って、工場を呼ぶにも企業は来ない。ゴルフ場をつくって、ゴルフ場の修繕、男の人は修繕、お年寄りは草むしりじゃないですけれども、そういった形、あるいは奥さんは兼業なりパートなりでいろいろ働き場所等々でゴルフが主産業になっておる町であるとすれば、それもまた町の行政としての行き方ではなかろうか。しかし、私たちの常識からいえば、一九%というのはちょっと異常であるなと。かといってその行政庁に対してどのような指導をするかというと、それはやっぱり町民、自治体が独自に判断されることであろうと私は思います。
○竹村泰子君 今のお二人の大臣の答弁、私は大変びっくりもし、不満でございます。とりわけ環境庁長官、あなたは国の環境を握っておられるわけでしょう。どう環境保全をしようかという、非常に大事な私たちの命の源である環境をつかさどっていらっしゃる大臣ではないのですか。それが、幾らふえたってそれは市町村の責任でございます、それは市町村のなさることでございますということを言ってしまっていいんですか。
○国務大臣(北川石松君) 委員の再度の御質問でございますが、環境庁といたしましては、やはりゴルフ場をつくる場合にもいろいろの面から各地方自治体にもお願いをし、また環境を損ねないようにということでは適切な指摘をいたしております。
○竹村泰子君 ここで押し問答をしても仕方がありませんが、環境を損ねないようなということは私はあり得ないと思うんですね。だって木を切らなきゃつくれないんですから、そして今のところ農薬をまかなきゃできないんですから、まあ千葉県は別といたしましてね。そういうところで、幾ら多くたって環境を損なわないようなゴルフ場なら大丈夫ですというふうなお答えでは、私はこれはもう絶対に納得できません。しかし、次に行きましょう。 現在の我が国の法体系の中で、ゴルフ場が絶対つくれない地域は、それはどんなところですか。
○政府委員(山内豊徳君) 先ほど通産大臣から御答弁ございましたように、実際ゴルフ場の造成にかかわります法令は幾つもの省にまたがっておりますので、恐縮でございますが環境庁の所管します法律を中心に説明させていただきたいと思います。 先ほど先生から冒頭に御質問ございましたように、自然公園法という法律で国立公園、国定公園並びに都道府県立自然公園を決めているわけでございますが、先ほど私から申し上げましたように、国立公園、国定公園の特別地域では四十九年以来ゴルフ場の造成を認めないという措置をとっておりますので、その意味では国立、国定公園の特別地域は一応ゴルフ場はできない地域ということが環境庁の法令の上からなっております。
○竹村泰子君 釧路湿原の道路を隔ててすぐわきにゴルフ場ができているんですよね。これはもう湿原の存否にかかわります。こういうことをどうお思いになりますか。
○政府委員(山内豊徳君) 今例をお挙げになりました釧路湿原の本体は御案内のように国立公園、また中心部分は特別地域でございますから、もちろんあすこにはつくれないわけでございます。その周辺、つまり御指摘の点は国立公園の区域外ということが中心になるかと思いますが、これにつきましては、一般的な意味での都道府県あるいは地元市町村を通じての行政的な相談はできるわけでございますが、先ほど先生御指摘のように、法令に基づく禁止と申しましょうか、許可しないという扱いはとり得ないということになっておりますので、あとは個別にその計画に応じて市町村あるいは場合によっては道御当局がどういう指導をしていただくかということにかかっているわけでございます。
○竹村泰子君 ぜひその辺をきちんと調査していただきたいと思います。 次は、建設省にお伺いいたします。 先日御徒町で事故がありましたけれども、地盤凝固剤というのがありますね、これは中身は何ですか。
○政府委員(望月薫雄君) まず、一般的に凝固剤の使用の関係でございますが、私ども地盤凝固剤の使用をめぐりまして、昭和四十九年以来、事務次官通達をもちまして注入工法による建設工事の暫定指針というものを示して業者等の指導を行っております。そういった中で、具体的に今御指摘がありました凝固剤関係のものでございますけれども、薬液注入として現在使われますのは珪酸ソーダを主成分とする水ガラス系のものがほとんどであって、私どもの暫定指針におきましてもそれ以外のものについては使用を規制するという方針をとって臨んでおります。
○竹村泰子君 中身、成分をお聞きしているんですけれども。それと、それはゴルフ場ではどんなところにどのように使われていますか。
○政府委員(高橋達直君) 私どもが化学物質の審査、規制の法律を担当しておりますので通産省からお答えをさせていただきますけれども、現在使用されております地盤凝固剤でございますが、セメント系とそれから水ガラス系というものがあるわけでございますが、ゴルフ場において使用されるものは主として水ガラス系ということでございまして、その成分は珪酸ナトリウムが主成分でございます。これにセメントと粘土でございますペントナイト等を混入するという形がゴルフ場で使用される地盤凝固剤の主たるものでございます。
○竹村泰子君 どこでどんなふうに使われているか。
○政府委員(高橋達直君) これは、ゴルフ場を造成いたしますときに一部地面を平らにする等のために泥を動かすということから地形が不安定になるというようなことを凝固させるために、保安上、安全の観点から使用するというものと考えております。
○竹村泰子君 凝固剤の中身について珪酸ナトリウムということでしたけれども、私の調査によりますと水銀、マンガン、砒素、鉛、亜鉛などが入っているというふうなことを聞いているのですが、そういう事実はありませんか。
○政府委員(高橋達直君) 直接私どもの調査ではないのでございますが、昭和五十八年に社団法人日本薬液注入協会が地盤凝固剤二百数十種類につきまして成分をチェックいたしましたところ、水銀、砒素等は含まれていなかったというふうに聞いております。しかしながら、御指摘のように水銀、砒素というものは人の健康に重大な被害をもたらすおそれがある物質であるわけでございますので、当省といたしましても、これらの物質と地盤凝固剤とのかかわり合いにつきまして、今後関係省庁とも連絡をとりながら調査をしていきたいというふうに考えております。
○竹村泰子君 ぜひお願いいたします。 次は農薬についてお伺いしたいんですが、農薬規制は要綱で行っていらっしゃいますが、本来条例で規制すべきではないんでしょうか。条例ではぐあいが悪いんでしょうか。
○政府委員(松山光治君) ゴルフ場に限らず農薬全体につきまして、やはり有用な資材ではございますけれども扱い方次第によっては人畜なり環境なりに害を及ぼしかねない、こういうことで農薬取締法に基づきまして一定の検査に合格したものを登録し、それを適正に使用していただく、こういうことで指導に努めておるところでございます。特にゴルフ場につきましては、六十三年の八月に通達を出しまして、今現在都道府県で鋭意取り組みが進められておる現状にございます。 今先生の方から要綱というお話がございましたが、現実の取り組みを見てみますと、三十九の都道府県で実施要綱あるいは実施指針等々の形で具体的な指導指針を明らかにいたしまして指導しておるわけでありますが、その場合の具体的な形態といたしまして、一つは立入検査を実施いたしましてきっちりした指導を行っておる。去年の平成元年度の実績で千七百カ所余において既に立入検査が行われております。また、農薬を扱う方を対象にいたしました講習会も百回を超えるというのが平成元年の実績でございます。 今条例というお話もあったわけでございますけれども、農薬取締法の法体系との関係もございまして、私どもはこれからどういう形でさらに具体的に適正な使用を進めていくかということがむしろ問題であろうというふうに考えております。せっかく、今申し上げたような形で各府県での取り組みが具体的に進んでおりますので、これをさらに推し進めるという趣旨でこの新しい予算を計上してございます。これを活用いたしまして、各地域の実情に即した防除指針といったようなものを具体的に策定していく、そういうことで農薬の適正使用、安全使用の徹底を図っていきたい、このように考えておる次第でございます。
○竹村泰子君 農薬の使途、使用法、規制などについて大臣はどうお考えになっていらっしゃいますか。農業の場合、ゴルフ場の場合、両方できればお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(山本富雄君) お答えいたします。 今、私どもの局長から答弁がありましたとおり、ゴルフ場における農薬使用については、都道府県を通じまして従来ともに指導をやってまいりました。各県でも相当指導要綱ができておりますから、その指導要綱などを取り寄せて見ておりますが、これからもそれらを通じましてできるだけ、今委員の御指摘のような点、被害の及ばないように、人間の健康に関することでありますから気をつけてまいりたい。特に今御審議いただいております平成二年度の予算、水質目標値設定ということも踏まえて、防除指針を作成する等の予算をまたつくっておりますので、ひとつこれを活用いたしまして、各省庁とも連絡をしながら、ゴルフ場における農薬の適正使用を徹底していきたい、こういうふうに考えております。
○竹村泰子君 農業の場合と違いまして、ゴルフ場の農薬使用というのはほとんど野放しの状態であったわけですよね。ですから、今後の課題としてぜひそれは農水省できちんと規制を、また基準を決めていただきたい、そういうふうに強く要望しておきます。
○国務大臣(山本富雄君) これは委員、お言葉でございますけれども、野放しではありません。間違いがたまたま出たところもあります。そういうところではそれなりの原因があったようです。あったようですが、しかし非常に徹底してやっているゴルフ場も調査してみるとあります。従来の農薬よりも半分にしろというふうな指示を出しているところもございます。私は逆に、これは農薬取締法に従ってやっているんだから、しかも適正な薬を適正に使っているんだから半分にする必要はないじゃないか、こうためしに言ってみましたら、いやしかし世間でこれだけ言われている以上十分自粛自戒をしたいというふうなことをそのオーナーは言っておりまして、これはゴルファーのためにもそうですし、従業員のためにもそれをやりたいというふうなことでございますから、これは野放しということはありません。しかし、非常に重要な事柄でもございますので、今後とも十分留意をして各都道府県を通じましてしっかりした指導をしてまいりたい。 そしてまた、ゴルフ人口もさっき七千万という話ですけれども、これは延べ七千万ですけれども、私の承知しているところでは一千万人、大変なゴルファーがおるんです。この中の先生方でも随分おります。ゴルフの愛好者がたくさんおります。ですから、これは非常にいいスポーツですから、そういう意味でもスポーツとして大事だと。また、先ほど広島町の例が出ましたけれども、これは産業、雇用の場所としても重要だ、地域の活性化のためにも重要だということもありますから、環境保護あるいは農薬使用、十二分に気をつけながらこれを進めてまいったらどうかな、こう私は考えております。
○竹村泰子君 私はゴルフが悪いと言っているのではございませんで、もっと大衆が健康的に安く楽しめるスポーツとして利用できればいいなと思っているわけでして、そういうふうにみんなでつくっていかなければならないと思います。 労働省にお伺いしたいと思いますが、大臣、一番の被害者はキャディーさんとも言われますが、従業員の公害被害についてどう考えておられますか。
○国務大臣(塚原俊平君) ゴルフ場というのは、農薬だけじゃなくてともかく物すごく危険が多いんです。ボールが飛んできたり、クラブが飛んできたり――いや、これは本当に。あと、がけから転げるとかそういうのがあるんです。それで「ゴルフ場の事業における労働災害防止のためのガイドライン」というものをつくって厳しく指導しておるんです。それで、一番最近では本年の二月にこれを出しているわけなんですけれども、その中で農薬の取り扱い作業についての部分も出してあるんです。短いことですし、ぜひとも御承知いただきたいので、この部分だけちょっと御披露したいと思います。このとおりやっていれば絶対大丈夫だということなので。 一番が、農薬散布作業に際して農薬散布作業責任者を明確にすること。二番が、散布に際して呼吸用保護具、保護眼鏡、保護手袋等の着用をすること。三番が、散布時にはできるだけ風上に位置をすること。四番が、散布作業はコース使用時間外にすること。五番が、気象条件によっては散布作業を中止すること。六番が、農薬の種類によっては散布後一定時間立入禁止の掲示を行うこと。七番が、散布作業後は作業衣の取りかえ、洗身、うがいを必ず行うこと、ということで指導しておりますので、このとおりやっていただけるように現在もやっておりますが、恐らくこのとおりでいけば大丈夫だと思います。
○竹村泰子君 絶対大丈夫ということは絶対あり得ないと思いますけれども。 大臣、農薬の被害に関して事例をお持ちでしたらちょっと教えていただけませんでしょうか。
○国務大臣(塚原俊平君) 農薬に関してがないんですよね、事例が。一応ちょっと、私だけではあれなんで、基準局長から御説明いたします。
○政府委員(野崎和昭君) 昭和五十八年度以降現在までに把握しておりますゴルフ場における農薬による被害は、休業災害五人、不休災害十人でございますが、これらはいずれも全部散布作業中のものでございまして、キャディーがキャディー業務中のものはございません。
○竹村泰子君 政府は、これらのゴルフ場の災害の近ごろのマスコミ報道を決してお読みにならないわけではないと思います。農薬の被害がゼロだというのは、たまたま調べられていない、データがないというだけの話でございまして、こういったことについて責任を持たなくてもよいとお思いでしょうか。環境破壊、生態系の破壊、農薬の野放し、野放しでないとおっしゃいましたが、まあ野放しに近い状態、無秩序なリゾートの開発その他、このような状態を一日も早くなくすために、通産大臣、御決意を伺わせていただきたいと思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほども答弁させていただきましたように、今連絡会議を随時行っておりまして、今のような農薬の問題あるいはゴルフ場の健全な運営の問題等、いろいろ議論をいたしておりますので、ぜひとも近い将来にいい結論が出て、それで指導するようにさせていただきたい。先ほどの話で健全なスポーツとしてみんなが楽しんでできるように、そしてそのゴルフ場によって被害が起きないように、また多少は自然環境が破壊されるかと思いますけれども、できるだけ自然環境の破壊が少ないようにこれは努力をしていきたいと思っておるわけでございます。
○竹村泰子君 よろしくお願いいたします。 次の質問に移りたいと思いますが、私の地元北海道では、初めて泊原子力発電所の第一回の定期検査が四月二十七日から始まっております。定期検査で労働者被曝の問題について以下少し御質問したいと思いますけれども、不幸なことにこれらの施設におきましては、被曝線量の大小は別として現状では被曝ゼロということにはなっていないですね。いかがでしょうか。現状をお答えいただきたいと思います。
○政府委員(向準一郎君) お答え申し上げます。 原子力発電所につきましては、電気事業法に基づきまして毎年一回発電をとめまして定期検査というものをやっているわけでございます。この検査といいますのは、故障、トラブルに対する予防保全対策ということで原子力発電所の安全確保上大変重要なものでございます。そういうことで我々国の検査官、それから電力会社の自主点検ということで電力会社の作業員あるいは社員の皆さんが各部を点検し、調整をし、いろんな作業をやっているわけでございます。こういう中で、放射線下の作業があるわけでございますので放射線被曝というものがもちろんある程度あるわけでございますが、これには法令によりまして厳重な規制をなされておりまして、その中で十分安全性を確保して定期検査の趣旨を全うできるようにやっているわけでございます。 以上でございます。
○竹村泰子君 その定期点検のときには非常に大量の人員を投入することが必要であると。人海戦術と言われているようですけれども、必然的にこれらの作業が下請、さらに孫請に出されることになり、重層下請は構造的なものとなっているとお聞きしておりますけれども、一般的に考えて被曝をする機会が多いのは定期点検のときなんでしょうか。 また、定期点検とはどういうことをするのか教えていただけますでしょうか。
○政府委員(向準一郎君) お答え申し上げます。 発電所を運転いたしております、それから先ほど一年に一回定期検査をやるというお話を申し上げましたが、放射線の被曝という観点で見ますと、やはり定期検査時が多いわけでございます。それにつきましては、先ほど申し上げましたように、放射線被曝管理を厳重にしまして、例えば定期検査の作業を自動化、遠隔化しますことによりまして被曝線量の一層の低減とかあるいは被曝管理の徹底ということで被曝の低減のために我々一生懸命やっているわけでございます。 それで、定期検査の内容でございますが、大きく言いまして二つございまして、国による定期検査、これは安全確保上重要な事項について国の検査官がやっているものでございますが、これにつきましては安全確保上重要な機器とか設備につきましての分解機能検査、それからもう一つは原子力圧力容器とか主要な配管、弁の健全性を確認するための非破壊検査、それから調整運転段階において最終的に原子力発電所が安定に運転できることを確認する検査というのを国の検査としてやっているわけでございます。 あわせまして、電気事業者が自主定期点検、整備ということをやっておりまして、これらにつきましても機器の性能低下が発電所全体に影響を与えるということで、いろんな点検計画を計画的につくりまして、分解点検、単体の機能試験、系統機能試験、調整運転ということをやっているわけでございます。 以上でございます。
○竹村泰子君 作業内容とその作業従事者について、特に電力会社社員とその他のメーカー、関連会社や下請労働者、一般労働者の比率、一般的に。 また、それと北電泊原発の事例についてお答えいただけますでしょうか。
○政府委員(向準一郎君) お答え申し上げます。 まず、現在原子力発電所が三十七基ございますが、それで運転中あるいは定期検査中といろんな状態があるわけでございます。それによって働いておられる人の数というものが変わるわけでございますが、本年三月末現在という面で見ますと、約三万人ということでございます。それで、このうち電力会社の社員というのが約六千人、関連会社の社員が約二万四千人ということになっているわけでございます。 それから、今お尋ねの北海道電力泊発電所でございますが、現在定期検査中ということでございます。これからの、これは想定でございますが、定期検査中、一日最高では約千五百人ぐらいの人が従事されるというふうに聞いております。 以上でございます。
○竹村泰子君 今三十七基とおっしゃいましたけれども、今「ふげん」も含めますと三十九基じゃないですか。
○政府委員(向準一郎君) お答え申し上げます。 私申し上げましたのは実用原子力発電所ということで、通産省が今保安業務にかかわっているものの基数が三月末現在で三十七基ということでございまして、現時点でございますと三十八基ということになると思います。
○竹村泰子君 そして「ふげん」を加えると三十九基ということなんですね。 そして、その三十九基の原発が一体どのぐらいの労働人口で動かされているかおわかりでしょうか。
○政府委員(向準一郎君) 先ほどもちょっと答弁をさせていただきましたが、現在三十八基の発電所がございます。それで「ふげん」を入れますと三十九基となるわけでございますが、現在私の持っておりますデータは三十七基ということで、三月末現在でまとめますと、先ほど申し上げましたように約三万人ということでございまして、このうち電力会社の職員が約六千人、関連会社の社員が約二万四千人ということでございますし、「ふげん」につきましては約三百人というふうに聞いております。
○竹村泰子君 一日に千六百人もの人手を要する定期点検というのもあるわけですから、その三十九基の原発が三万人で動いているわけはないわけですよね。ということは、作業に従事している人たちは多くの原発を転々と回っているというふうに考えてもよろしいでしょうか。
○政府委員(向準一郎君) 今申し上げましたように、定期検査時というのは大変たくさんの人が要るわけでございます。そういうことで、北海道の泊発電所につきましては最高で約千五百人というお話を申し上げましたが、全国平均一基当たりで見ますと、定期検査時で約一千百人という数字になっております。
○竹村泰子君 とすると、この人たちの受けてしまう放射線被曝線量も積算されていくわけでありまして、労働者一人一人から見れば非常に重要かつ大変なことだと思いますけれども、それらの労働者に対する放射線教育と申しますか、そういう教育はどういうふうになっていますでしょうか。
○政府委員(村上健一君) お答え申し上げます。 放射線教育の話の前に被曝管理の点について御説明を申し上げたいと思います。 御承知のとおり、放射線業務従事者の被曝管理につきましては、従来から国際放射線防護委員会の勧告を取り入れました原子炉等規制法の法令に基づきまして、事業者に対して従事者が当該業務につく年度の放射線被曝の経歴等について記録することを実は義務づけております。しかしながら、今先生御指摘のとおり、従事者によっては原子力発電所を移動する場合もございますので、この線量を一元的に把握するために、昭和五十二年十一月に財団法人放射線影響協会の中に放射線従事者中央登録センターというものを設けまして、昭和五十四年度から本格的に放射線管理の手帳の制度を運用してきております。 この制度に基づきまして現在手帳の交付を受けました者が約十九万人おります。この手帳は被曝の正確な経歴を一元的に把握するために導入されたものでございまして、この所持者が本人であるということが確認できること、それから自分の被曝の状況を本人がわかること、それから被曝歴の証明になることなどの特徴を有しておりまして、この記入は、原則として雇用主がみずから行うということになっております。また管理は、紛失したり損傷したりしないということで、原則としてやはり事業者が管理することになっておりますが、従事者は退職する場合には当然これを渡されますほか、自分から内容について確認を求めたい場合はこの確認を求めることもできることになっております。 同様な趣旨でございまして、健康管理の問題につきましても、法令に基づきましていわゆる職員それから従事者等の健康管理、健康診断等を実際に厳守してやっておられるところでございます。
○竹村泰子君 残念ながら今のお答えのとおりにはなかなかいっていないようでして、大量の下請、孫請労働者が破曝量の多い危険な作業に十分な説明も受けないまま、日当がよいという理由だけで動員されている。さらに恐ろしいことには、このような危険な作業をするに当たって作業員の被曝線量のごまかしや改ざんも随分報道されております。 こういったことを思いながら、被曝の実態を知る労働省や厚生省のお役人、国の責任を問うているわけですが、厚生省のお役人がほとんどいらっしゃらない。五年前には労働省では原発にかかわるお役人がわずか七人だったと聞いておりますが、今は何人いらっしゃるでしょうか。
○政府委員(野崎和昭君) 私ども労働基準監督官が監督に当たるわけでございますが、原発だけに従事しているわけではございませんが、全国で約三千人ほど監督官がいるわけでございます。原発のある事業場におきましては、その監督官の最も重要な仕事がただいま被曝管理の問題でございます。
○竹村泰子君 何人いるかと私はお聞きしたんですけれども。
○政府委員(野崎和昭君) 先生お尋ねの数は、放射線管理専門官という特別の専門官の数ではないかと思います。この人数は、御指摘のとおり七人でございます。
○竹村泰子君 今も七人。
○政府委員(野崎和昭君) はい。
○竹村泰子君 厚生省はいかがですか。
○政府委員(加藤栄一君) 放射線取り扱いの病院において取り扱い関係を所掌しております科はございますけれども、実態を知っておる専門官というのはおらないと思います。
○竹村泰子君 そういう現状なのですが、労働者、被曝の実態調査を国が行うべきであると思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(野崎和昭君) 労働省におきましては、労働安全衛生法に基づきます電離放射線障害防止規則というものに基づきまして、管理区域における被曝の限度を年間五十ミリシーベルト以下にするように定めておりまして、管理区域に入るごとにフィルムバッジあるいはポケット線量計等によりまして被曝量を測定することになっております。その結果が私どもの方に報告が参っておりますけれども、限度の五十ミリシーベルトに対しまして下請労働者も含めまして一人平均の年間の被曝量は一・八ミリシーベルトである、なお、最も多かった方は二十九・五ミリシーベルトである、そういう報告を受けております。
○竹村泰子君 そんなことを聞いているんじゃないです。実態調査を……
○委員長(林田悠紀夫君) 竹村君、立ってもう一回聞いてください。(「質問の内容を聞きなさい」と呼ぶ者あり)
○政府委員(向準一郎君) 通産省でございますが、原子力発電所につきましてお答えさせていただきます。 従事者の被曝線量につきましては、法令を遵守することはもちろんでございますが、可能な限り低く抑えるよう電気事業者を指導しているところでございます。 それからこの被曝線量でございますが、これは法令等によりまして電気事業者にその報告を義務づけております。それで、その結果につきましては、実用発電用原子炉施設における従事者の被曝管理状況ということで一年に一回取りまとめて公表しているところでございますし、原子力安全委員会にも報告しているところでございます。
○竹村泰子君 私はそういうことをお聞きしたんじゃないんです。原発は農漁民やら炭鉱離職者や、そして大都市の寄せ場の労働者や都市労働者、外国人労働者をのみ込んで動いているのはもう常識となっています。中でも問題なのは、暴力団に使われていた十六歳、十七歳の高校生とか、日当がよいだけということでいろんな人が行って、そして被曝をしてしまったケースがたくさんあるんです。そういったことに対して国は実態調査をしていただけませんでしょうかとお聞きをしているんですけれども、いかがでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(大島友治君) 大変御心配をかけてどうも申しわけないです。 私ども、この原子力発電所の放射線作業従業者の被曝線量と申しましょうか、これにつきましてはこれを減らすように、絶対ないとはこれは私も言い切れませんから、低減させるように基本方針を持ってやっておるところでございます。そのために、原子炉等規制法等の関係法令に基づいて、そして事業者に対して厳重に厳しく被曝管理を義務づけてやっていくというふうに私ども考えてやっておるわけでございます。さらに、今後とも被曝管理対策の適切な運用が図られるよう最大の努力を払ってまいる、これが私の考え方でございまして、いろいろ措置をとってもなかなかこれは完全というわけにはまいりませんけれども、それに向かって最大の努力を払ってまいりたい、こういうことですからどうぞよろしくお願いします。
○竹村泰子君 委員長、答えてないですよ。答えてないです。実態調査をしてくださいと言っている。実態調査はどうするんですか。
○委員長(林田悠紀夫君) 大島科学技術庁長官、もう一回答弁できますか。
○国務大臣(塚原俊平君) 一応いいでしょう、労働省で。――だめ。では……。
○竹村泰子君 やっぱり科技庁に答えていただきたい。
○委員長(林田悠紀夫君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(林田悠紀夫君) 速記を起こして。
○国務大臣(塚原俊平君) まず、被曝についてはもう当然報告義務があるわけでございますし、それからただいま基準局長が答弁しましたように、所在地には労働基準監督官、所在地の監督官はこれは放射線管理官が徹底的な教育をいたしまして、非常な知識を持ちましてこれに対応できるようになっております。ですから、当然報告がありましたものにつきましては監督官が行きますし、また監督もさらに強化するようにいたしてまいりたいと思います。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で竹村泰子君の質疑は終了……
○竹村泰子君 全然答えてないです。答えになってないです。
○委員長(林田悠紀夫君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(林田悠紀夫君) 速記を起こして。
○政府委員(野崎和昭君) 先ほどもお答え申し上げましたように、原子力発電所の放射線被曝の被曝限度の確保につきましては私どもの行政の最も重点でございます。先ほど申しましたように全国の三千人の監督官とそれから七人の専門官でやっておりまして、御指摘の泊その他につきましても今後とも十分に監督、指導に努めてまいりたいと思います。 なお、私どもそういった監督指導権を持っておりますので、特別の調査等は必要がないというふうに思っております。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で竹村泰子君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、石原健太郎君の総括質疑を行います。石原君。
○石原健太郎君 日米構造協議の中間報告の取りまとめ直後の世論調査では、海部内閣あるいは自民党に対する国民の支持率が一段と高くなったわけでありますけれども、そこにはやはり国民の何とか摩擦を解消してほしいという気持ちも込められているのではないかと考えます。総理も再々おっしゃっておるところでありますけれども、日本の今日の経済の安定、そしてまた今日まで平和が続いたということは、日米関係が非常に良好に保たれていたからだということも一つの理由かと考えるのであります。 ただ、残念ながら、最近になりまして、アメリカの世論調査等では日本に対する見方がだんだん厳しくなっている。また、米国の議会にもそうした考え方もあるようでありますけれども、大正の末ごろから昭和にかけて日本と米英との関係がだんだん悪化していったときに、大正十年七月二十三日に石橋湛山元総理は「太平洋会議に対する我が態度」と題して、もう既に総理も政府の皆様も御承知かと思いますけれども、一応参考に読ませていただきます。 「我が国の総ての禍根は、しばしば述ぶるが如く、小欲に囚れていることだ、」、「幾多の大思想家も」「大欲を満すがために、小欲を棄てよと教えたのだ。」、「しかるに我が国民には、その大欲がない。朝鮮や、台湾、支那、満州、またはシベリヤ、樺太等の、少しばかりの土地や、財産に目をくれて、その保護やら取り込みに汲々としておる。従って積極的に、世界大に、策動するの余裕がない。」と述べられております。さらに、「吾輩は、せめてこの春、尾崎氏が軍備縮少問題を提げて起った時、」「我が国から進んでこの会議の招集を、英米に提議することにしたかった。総て戦いは守ったのでは負けだ。進んで打って出でてこそ、我に有利な」態勢がとれる。「今回の会議にてもその通り、我からこれを提議するなら、自分の好きな場所、時、および問題の範囲等を選み得た。」、「吾輩の説ける如く、我が国が主動者となって、この会議を開いたなら、随分実現し得たことであった。」、「英米から発動し来たらぬ限り、実際政治問題にあらずとして、他人の事の如く澄ましていた日本は、今さらどうすることも出来ぬ。」、「彼らには、まだ、何もかも棄てて掛れば、奪われる物はないということに気づかぬのだ。しかり、何もかも棄てて掛るのだ。これが一番の、而して唯一の道である。」、こう言われております。 時代も違いますし、軍縮問題と経済問題という違いもありますけれども、石橋先生は自由主義貿易論の先駆者でもあられたわけでありまして、自由貿易を打ち立てるためには日本はこのくらいの決心は必要ではないかということで書かれたのだと思いますし、実際に満州とか朝鮮、樺太等を失ったあの大東亜戦争の終戦の後に日本は今日の繁栄を築いてきたということであります。 これから日米間の貿易不均衡ということが一番大きな問題だとは思うのでありますけれども、そうした問題とか、あるいは米軍の駐留費の我が国の負担の問題、またもろもろ外交問題、そしてまた今日日本は「世界の中の日本」ということで、ますます諸外国に対して開かれた国になっていかねばならぬと考えます。もちろん我が国の固有の伝統とか文化、外国の人によくお会いいたしますと、日本の国はもう二千年からの歴史、伝統があって大変うらやましいことだというようなことも言われておりますけれども、そうしたものを守りながら、たびたび話題になります外国人労働者の問題とか外国人留学生あるいは難民の問題、そうしたことにも今私が引用させていただいた石橋先生のようなお考えも少し今後とも引き続き頭の中にお入れいただきながら対処していただきたいと私は心から願うものであります。 こうした点に関しまして総理の御所見をお伺いできればとお願いをいたします。
○国務大臣(海部俊樹君) 御引用になりました石橋先生の文章は私も学生のころに読ませていただいた記憶もございます。同時にまた、そこで述べておられることは、大きく高い次元に立って本当に何が国益に直結するのか、国のことだけ考えないで、アジア、世界、いろいろな角度から貢献できるような国になれというようなふうに私なりに当時感じたものでございました。 今具体的に御指摘のありました最近の日米二国間の貿易インバランスの問題にしても、そういう次元の問題で大事な日米関係がぎくしゃくするのは非常によくないことでございますし、同時に日米が世界経済に負わなきゃならぬ役割、世界のためにしなきゃならぬ仕事はたくさんあるわけでありますので、そういったことは相互の依存関係というものをあるいは開かれた市場にして共通のルールのもとで前進していくというためにも、日米関係のみならず、今後はアジアともそしてヨーロッパともいろいろな関係が出てくるわけでありますから、国際的に通用するために高い次元に立って政策遂行の努力をしていかなければならない、こう受けとめております。
○石原健太郎君 次に、環境の問題もこの委員会でいろいろ議論されてきたところであります。 気象変動に関する政府間パネルのその後の検討等によりましても、やはり地球の温暖化は着実に進んでいる。そしてまた、さらに温暖化が進めば低開発国等を中心に世界各地にさまざまな被害が出る、一刻も早い炭酸ガス等の抑制も必要だというような報告も中間的に出ておるところであります。ホワイトハウス会議の前後のころに、環境庁の見通しによりましても、通産省の見通しによりましても、炭酸ガスの発生を凍結しても我が国の経済は成長していけるのだというような御説明があったところであります。また、炭酸ガスを単に凍結しただけでは引き続きこれまでと同じように温暖化が進むので、いずれは抑制、削減ということも必要になろうし、あるいはまた産業界とか通産省なんかが考えて進めているところの炭酸ガスを他の物質に転換する、吸収させる、あるいは炭酸同化作用の能力にすぐれた植物を開発する、こんなことも必要になってこようかと思いますけれども、炭酸ガスの凍結と経済発展の見通し、そうしたものに政府の統一的な御見解があれば伺わせていただきたい。 それから国連の環境デー等にもちなみまして、我が国でも六月の五日でしたか七日でしたか、環境週間というものが始まるわけであります。我が国が今後こうした環境問題に対して対処をしていくためには、やはり国民の合意とか納得ということも必要になってくるかと思うのでありますけれども、環境週間等に対しては政府はどう取り組まれるのか、また今後国民に対してマスコミだけでなくて政府はそうした環境問題をどのようにアピールしていくお考えなのか、お聞かせいただけたらと思います。
○国務大臣(北川石松君) ただいまの石原委員の御質問でございますが、まず、環境週間は六月五日から行いたい、このように思っております。これにつきましては、総理にも御出席を願って、国を挙げての環境デーということで国民の喚起をしたい、こんな思いをいたしております。 また、先ほどの経済の成長とそして地球環境の両立の点で御心配を受けておりますが、御指摘のように、温暖化を停止するためにCO2に対してのいろいろの手はあると思いますが、その手の打ち方によれば、やはり経済もまた抑止しなくちゃいかぬ。しかしながら、経済を成長させながら環境保全をしていきたい、温暖化対策をやっていきたい、こういう点については、私は今後の研究課題もたくさんありますから、技術その他、開発をするものはして、そして期待に沿っていきたい、こんな思いをいたしておる次第でございます。
○石原健太郎君 酸性雨が降っているということで、森林に被害が出たり、このまま降り続けば破壊的なことも起こってくるだろうというような見方をする人たちもあります。八八年の六月から七月、全国の都道府県がいろいろ観測したようでありますけれども、特にこの北関東とか山梨県等では硝酸イオン濃度が高いということが観測されまして、それは自動車の排気ガスによるものだとも言われております。 また最近、都市の渋滞、混雑によりまして、自動車の都内の平均速度は二十キロ、あるいはそれを割っているというお話もありまして、自転車でさえこれはまあ十八キロぐらいの速度であります。しかも、地方の都市でも、朝夕のラッシュ時等におきましては、自動車よりも自転車の方が早く目的地に到着するというようなことが起こるわけでありますけれども、自転車はそれだけじゃなくて、炭酸ガスを発生しませんし、道路上に占める面積が小さいですから、道路を有効に利用することができるわけであります。 また、交通事故を起こして加害者となったときにも、死亡事故なんというものは起こさない。自転車が人をひき殺したなんということは聞かないわけであります。また、私よく七十、八十まで自転車に乗っているお年寄りの方を知っているんですけれども、そういう方は大体九十過ぎまで生存されるということで、健康にも非常にいいわけでありまして、私はもっともっと自転車が活用されることが望まれる、こう考えておりますけれども、現実に自転車がどういう立場を道路上で占めているかということを見ますときに、歩道を走るようにするまでにはいろいろ御議論もあったかと思いますが、やはり歩道はお年寄りも歩けば通園の小さい子供たちも歩く。私の体験でも、歩道を歩いているときにいきなり後ろから、どいてくださいとか、リンリンなんてベルを鳴らされて、おちおちお店をのぞきながら歩くこともできないというような実態もあるわけであります。 自転車も歩行者も安心しながら通行できるように、ぜひ自転車専用のレーンをふやしていただくとか、少なくとも新しい道路をつくるときにはそういう専用レーンを必ずつくるようにする。また、駅頭なんかに最近あちこち自転車駐輪場ができまして利用者も大変多いようでありますけれども、これはどこの所管かは私はわかりませんが、さらにそうした駐輪場の増設等につきましても政府の熱心なお取り組みをお願いできたらと思います。
○政府委員(関根謙一君) 自転車専用レーンにつきまして警察庁からお答えを申し上げます。 自転車は、御指摘のように日常生活における交通の手段として大変重要な手段であると認識をしておりますが、問題はその自転車の安全性の点でございます。自転車の安全性を図るためには、本来でありますれば自転車専用道等を設けることが重要かと存じますが、現在の道路構造から考えますと、専用レーン等を設けることも確かに一つの方法かと存じます。私どもといたしましても、そのような観点から、安全性と道路の交通の実態等を勘案して自転車の専用レーンを設置すべく努力をしているところでございます。
○政府委員(三谷浩君) 自転車道の整備の面で御説明させていただきます。 大体自転車の数が今二人に一台という数でございます。自転車道の整備というのは確かに大変重要でございます。御指摘のように、市街地におきます道路の建設に当たっては、台数にもよりますが、幅の広い歩道とそれから自転車通行が両方通れますような自転車歩行者道、こういうものをあわせて整備しております。それから、既設の道路でございますが、交通安全施設等整備事業で、非常に交通弱者でございます歩行者あるいは自転車の利用者、こういう方の安全を図るための自転車道というものを整備しております。それで、自転車の利用が多いときには、先生から御指摘ございましたように、歩道とは別に自転車道の設置というものが必要でございますので、またそういうものについて整備をしております。 それから都市の郊外、こういうところでは自転車の安全を確保し、あわせて心身の健全な発展に寄与する、こういう目的で昭和四十八年度以降、大規模自転車道の整備、これは延長二十キロ以上ぐらいの規模のものでございますけれども、現在まで全国四十三路線について完成をいたしました。さらに四十七路線につきまして整備を推進しております。 それから駐輪場でございます。これも大変問題になっております。建設省では、昭和五十三年度から特に駅周辺の路上におきます放置自転車の解消ということで、補助事業といたしまして駐輪場の整備を推進しております。それからさらに、民間によります整備、こういうものを援助するために、道路開発資金によりまして低利の資金を貸し付ける制度、これは昭和六十一年に創設をいたしました。 こういうようなことで二十一万台分の駐輪場を整備いたしましたが、放置自転車台数は昭和五十六年の約百万台をピークに、現在八十万台程度まで減少しております。今後とも自転車の一層の活用と、それから放置自転車の解消のための駐輪場の整備を積極的に推進する考えでございます。
○石原健太郎君 東京の混雑の原因の一つには、東北とか北海道とかあちらの方から来る関西とか中部方面に向かう車は、一度東京を通過していかなければなりません。また、逆にあちらの方から東北に向かう車も東京を通過するということで、混雑に拍車をかけているような実態もあろうかと思いまして、東京を迂回するような高速道路をぜひ促進していただけたらと思います。 それからまた排気ガスの増加の一因に、駐車中の車が常時エンジンをかけっ放しで、高速道路なんかでもそうですし荷物の積みおろしする状況を見ていてもエンジンをかけっ放しですし、また客待ちのタクシーなんかでもいつもかけっ放しだと。自動車の速度が落ちれば落ちるほど排気ガスの排出の割合は多くなるわけですけれども、アイドリングなんというのは非常に大気の汚染に悪い影響を与えるんじゃないか。 昭和三十四、五年のころでしたか、昔はみんな自動車の警音器を絶えず鳴らしながら走っていた記憶があるんですけれども、警音器をやめようということを公安委員会の方でしたか強く国民にアピールしたら、今日のようにほとんど鳴らす、使う人がいなくなったというような状況もあるわけであります。駐車中のエンジンを停止するような義務づけを考えられたらいかがかと思うのでありますけれども、その点について御答弁をお願いいたします。
○政府委員(三谷浩君) お答えいたします。 東京を迂回する道路の建設の問題でございます。今お話がございましたように、確かに東京の首都圏、高密度な都市活動が営まれておりますので、大変東京の道路というのが慢性的な混雑をしております。さらに、東京都区部をいわゆる通過するだけの交通、これを私ども調査いたしますとやはり一日約二十万台ございます。こういうことが非常に交通混雑に拍車をかけているわけでございます。 一方、東京都区部には高速道路は放射状に大体六本入っております。東名、中央、関越、東北、常磐、東関東、こういうことでございます。環状道路につきましては、都道の環状七号線とかあるいは一般国道の十六号線というような一般国道が存在するのみで、総体的に非常に整備がおくれております。 このため建設省におきましては、東京都心から半径七、八キロの地域での首都高速の中央環状線あるいは半径十五キロぐらいでは東京外郭環状線、さらにその外側にあります四十ないし五十キロの地域では首都圏中央連絡道路、こういうものの環状線の計画を立て、整備を進めております。平成四年度まで現在第十次道路整備五カ年計画を始めておりますが、首都圏中央道路は全体の約六割に当たります江戸川から板橋の間の二十七キロ、東京外郭環状線につきましては全体の三分の一に当たる練馬から三郷の三十キロについて供用をしたいというふうな目標で整備を進めております。今後とも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
○石原健太郎君 私が今質問申し上げた趣旨は、もっと遠くの小山とかあのあたりから迂回をして小田原とか、場所は私は専門家にお任せしますけれども、もっと外の関東平野の山すそを走るような道路という意味で申し上げたんですけれども。
○政府委員(三谷浩君) 首都圏の道路につきまして絞ってお答えをいたしましたけれども、当然全国的なネットワークという意味では高規格幹線道路も一万四千キロの整備が必要でございますし、その一環として北関東連絡道路ということで例えば群馬県から茨城県、こういう高規格道路についても整備がもちろん必要でございますし、いろいろ考えてやっております。
○政府委員(関根謙一君) 駐車中の車両の排気ガス抑止のための措置についてお尋ねでございます。 駐車車両の大部分は運転者が車両を離れた状態にあるものでございますが、この場合につきましては、安全性という観点から運転者の遵守事項としてエンジンをとめるべきことが定められております。他方、運転者が乗車している場合、先生例として挙げられました客待ち中のタクシー等でございますが、この場合につきましては現在何ら規定はございません。しかしながら、御指摘でございますので、迷惑行為を防止するといったような観点からその必要性、妥当性について今後検討してまいりたいと存じます。
○石原健太郎君 以前、列島改造とか過疎過密の解消というようなことがありましたし、その後は東京一極集中の是正ということで政府は熱心に取り組んでこられたところでありますけれども、実態はなかなか一極集中が是正できない。一省庁一機関移転なんといいましても、大体は横浜とか埼玉県あたりに移転先が希望されている。私は、ほかの機関に東京からどこかへ行ってくださいと言うよりは、まず率先垂範といいますか隗より始めよということで、国会が地方に移転することが一番手っ取り早いんじゃないか。東京は今日の経済発展のもとに、世界的に商業とか金融の国際的な機能も果たすようになってきた。しかし、今のように地代とか事務所の賃貸料が高ければなかなか日本に来て商業活動をしようと思ってもできない外国の企業なんかもあろうかと考えられます。 移転先につきましては、私も大蔵大臣とか農林水産大臣と同じように森林保護というのは極めて大切なこととは考えますけれども、今のような議事堂の移転とかあるいは池子のようなこうした場合には、森林の開発もやむを得ないのではないか、林野庁にお話をして国有林の払い下げを受ければ、林野特別会計の二兆円なんというものも一気に解消できて農水大臣の悩みの種も減るだろう、こんなふうにも考えておるわけであります。 それで、国会が移転するというような場合に、それは国会が決議してあと国会法などを改正すればそれで実現可能なのか。あるいはまた、内閣とか皇居との関係等もあっていろいろ法律的な問題があるのか。その辺のところを現行法制上の問題点があるならば法制局長官から御見解を伺わせていただきたいと思います。
○政府委員(工藤敦夫君) ただいま国会の移転という観点からのお尋ねでございます。 内閣法制局として格別このような問題を検討しているわけではございませんけれども、仮に国会の移転が行われました場合に現行の法律が改正必要かどうかというふうなことで見てまいりますと、最高裁判所の場合には裁判所法の六条におきまして「最高裁判所は、これを東京都に置く。」というような規定がございますが、国会の場合にはこういう直接的な規定はございません。あと例えば関連するような法律といたしましては、国会議事堂周辺地域及び外国公館等周辺地域の静穏の保持に関する法律、比較的最近できました法律でございますが、ここで「国会議事堂周辺地域」というのを別表で決めておりまして、そこで例えば千代田区の霞が関あるいは永田町というようなところを引いておりますので、こういったところの改正が必要になろうかと思います。 あるいはまた別途、これは直接の改正が必要かどうかではございませんが検討すべき事項としては、例えば首都圏整備法、ここで首都圏整備法におきましてはたしか「わが国の政治、経済、文化等の中心としてふさわしい首都圏の建設とその秩序ある発展を図ることを目的とする。」というような首都圏整備法の規定もございます。こういった点については検討を要するだろうとは思います。 以上のようなお答えになろうかと思います。
○石原健太郎君 だんだん社会が活発になるにつれまして、森林等もだんだん減少したりあるいは自然が失われていくということもあります。一方、鎌倉とか和歌山県の田辺の天神崎のあたりでは、民間の人たちがお金を出し合いながら山を買って地域を保全しよう、こういう動きもあるわけでありますけれども、やはり民間の力にはどうしても限界があるというようなことが言われております。環境庁にそうした点、ぜひ今後とも行政的に支援できることは一生懸命応援してやっていただきたい、こんなお願いをいたすところであります。 また、従前には知床の原生林とか白神山地とかいろいろそうした国有林を伐採することが問題になったわけでありますけれども、林野庁の方では自然生態系保護林というようなものを考えられて、これまで七カ所指定されて、ことしは十一カ所ですか指定されるようでありますけれども、今後とも引き続きその面積の拡大とか箇所の増加等よろしくお願いをしたいと思うのであります。 今度指定される保護林の中に尾瀬の一帯があるわけでありますけれども、尾瀬も近年訪れる人が多過ぎて、その人たちが排出するもののためにだんだん自然環境が変わっていく。あるいはまた、福島県は東京電力の総電力量の三分の一を供給しているわけでありますけれども、尾瀬からも水がとられまして、福島県が供給している電力の三千分の一は尾瀬の水に頼っているわけであります。その発電のために尾瀬がだんだん乾燥化していくんじゃないかというような心配も持たれているのでありますけれども、環境庁としてはぜひ、今後余り訪れる人が多過ぎるとき、その人たちが汚したものを片づける分ぐらいの費用は来た人に負担していただく、あるいはそうでなければ、尾瀬の湿原に影響を与えるようなところには宿泊を遠慮していただくというようなことを考えていただく必要があるんじゃないかと私は考えますが、その辺につきまして環境庁の答弁をお願いしたいと思います。 あと、自然の一環に野生の鳥獣というものがあるわけでありまして、大正時代に鳥獣保護法が制定されまして、そこでかすみ網の使用等も禁止されているところであります。しかし実際は、野鳥の会とか警察庁の方でも随分かすみ網の密猟防止のために努力されておりますけれども、その使用が後を絶たない。その原因は、やはり使用はできなくてもつくるのは自由だからというところにあるかと思うんです。日本では年間三、四百万羽殺されているのじゃないかといいますけれども、キプロスあたりでは日本から三千枚ぐらいのかすみ網が一遍に輸出されて、年間二千万羽ぐらいの鳥が殺されているというような報告があって、世界六十五カ国が加盟している国際鳥類保護学会でもそうしたことが話題となりつつある。 私は、こんなかすみ網の問題なんかが海外でも取り上げられたりして、日本のイメージが悪くなったりするということを心配するんです。今はそんな小鳥の肉なんか食べなくても、豚肉だって牛肉だってブロイラーでももう本当にふんだんにあるわけですから、かすみ網使用の原因となる製造も中止するようにしていっていただけたらと願っておるものでありますけれども、その辺二点御答弁をいただけたらと思います。
○国務大臣(北川石松君) 石原委員の尾瀬地区に対しまするこれを保護する熱意と、そしてまた日本においても大切な尾瀬地区でございまして、これは国立公園の特別保護地区に指定いたしております。しかし、先ほどの御指摘のように、尾瀬地区へ行かれる利用者といいますか、尾瀬地区へ行かれる方が非常に増大をいたしてきまして、そのために環境が悪くなり日本のとうとい尾瀬地区の環境が侵されていることは御指摘のとおりであります。環境庁といたしましては、この自然を保護するためにあるいは排水に、あるいは来られる人たちにも適正な利用をされるように対処していきたいと思っております。そのためには、関係各省庁とも連絡をとりながら、厳しい尾瀬地区を保護するための対策を立てたい、このように思っております。 なお、いま一つのかすみ網の問題でございますが、これは鳥をとるのとそれから魚と両方ですね、区別するとその製造におきまして非常に難しい点もございますが、鳥類保護という点に関しましては御指摘のとおりでございます。この点については、世界の中でやはりこのことも指摘を受けておる点でございますから、よく検討し前向きで当たっていきたい、こういうふうに思っております。 以上であります。
○石原健太郎君 先ほど引用させていただいた石橋先生の中には、いろいろな地域は挙がっておっても千島ということは一言も触れられておらなかったわけで、これは私も当然千島は日本に返してもらわなくてはならない。そのためには、やはりただ返せ返せと言うだけよりも、むしろ返してくれればそこはソ連の国民にとってもこのようにメリットがあるんですよというような、ある程度の千島の利用法についても考える必要があるんじゃないか。 またその千島以前に、北海道のことも忘れてはいけないと思うんです。北海道は中央部から遠いですし、冬期間非常に寒いというハンディがある上に、従来北海道を支えてきた産業であるところの石炭にしても林業、水産業、農業、みんな北海道に責任があるのではなくて、世の中の移り変わりによってあるいは国際的な関係によって、北海道を支えてきた産業が今苦しい状況に置かれている。 私は、たまたま昨年、通産省の方から派遣されて北海道上砂川の無重力実験場の建設なんかを視察する機会を得たのでありますけれども、そのとき、北海道は将来航空宇宙産業の基地になりたいのだというようなお話も伺いました。また、いずれにしても今後の北海道の経済基盤を支えていく、先ほど申し上げたような産業にかわって支えていく産業が育っていくことが大切かと思いますけれども、こうした点につきまして北海道開発庁の方からお考えをお聞かせいただければと思います。
○国務大臣(砂田重民君) 石原委員御指摘のように、北海道の産業の問題については大変厳しい環境にあるわけでございます。 北海道産業というのは従来第一次産業、第三次産業に偏っておりまして、二次産業の集積が大変薄うございます。これの発展を今後考えてまいらなければなりませんけれども、今御指摘がございました宇宙航空産業基地、大変重要な問題でございまして、地元も大変な熱意を持って、産官学一体になっての研究機関を既に創設いたしまして、いろんな角度から研究を始めているところでございます。 航空宇宙産業というのは非常にたくさんの分野の極めて高度なテクノロジーに支えられて成り立つ産業でございますだけに、すそ野が大変広い。少し夢のようなお答えになるかもしれませんけれども、宇宙開発事業団は今HIIロケットの研究開発をしております。もう遠くない将来これが完成されるんではないかと思いますが、その次に来るものはやはり無人スペースシャトルであろうと思います。無人といいながら、スペースシャトルでありますならば帰ってくるわけでございます。受け入れる基地が滑走路五千メーターないし六千メーターが必要だと言われる。日本じゅう探してそういう基地というものが得られるだろうか。我が北海道は太平洋に面して広大な地域を持っているわけでございます。そういう意味で、宇宙産業の基地としての可能性が非常に高い。開発庁といたしましても重大な関心を持ちまして、今の段階では地元におきますこういう研究に対しましてベーシックな情報収集努力をいたしまして地元の熱意を支援してまいりたい、かように考えているところでございます。
○石原健太郎君 健全な青少年を育成するということは今私ども大人世代の責任であり、また青少年にいい環境を与えるということは私どもの責任であると考えております。 文部省等におかれては学校教育の面でいろいろ努力をしていますし、地域にありましても児童館活動とかあるいは健全育成会、スポーツクラブなんかによりまして地域の人たちがボランティア精神で子供がよく育つようにと努力をしているんですけれども、一方、商業主義、営利主義といいますか、さまざまな出版物とかビデオとかあるいは街頭の宣伝ポスター、そういう活動をしている人たちからしばしば私はああいう出版物とか写真とかあんなものは何とかならないのかと、こうも言われるのでありますけれども、そうしたものの規制がなかなか難しいとなれば、やはりそうしたものから悪い影響を受けない、誤ったそうしたものに対する認識を持たないように、きちんとしてやらなくちゃいけない。 儒教とかマホメット教、キリスト教、みんな千年、二千年の伝統を持って世界じゅうに非常に多くの信者を持っているということは、そこに真理があるからだと思うんですけれども、そうした教えではこうした性に関するようなさまざまな問題は非常に厳格に取り扱っているように思うのです。文部省にお願いをするんですけれども、どうか青少年がこうしたものから悪い影響、誤った観念を受けないように、看護婦さんなんかになるような人は、希望する人はだんだん減って、そうした産業に従事する若い人がどんとふえていくというようなことですと、人口が、合計特殊出生率というんですか、一・六六になってしまったとか、青少年の全人口に占める比率が史上最低になったとか、さまざま将来の日本の繁栄とか民族の繁栄に心配される問題も出てくる。文部省としてきちんとした一層の取り組みをお願いいたしまして、私の質問を終わります。 どうもありがとうございました。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で石原健太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、和田教美君の総括質疑を行います。和田君。
○和田教美君 私は、防衛問題に集中して質問をいたします。 防衛庁は、今平成三年度を初年度とする次期防衛力整備計画、つまり次期防の策定作業を進めております。そこで、先日私、防衛庁に対して資料要求としてこの次期防の策定の基本方針について報告をするようにと要求をいたしましたところ、こういうメモが参りました。私、読み上げてもいいんですけれども、防衛庁長官から改めてひとつ基本方針について御説明願いたいと思います。
○国務大臣(石川要三君) お答えいたします。 次期防の基本方針でございますけれども、委員御承知のとおり、次期防の内容につきましては、一昨年の十二月の安全保障会議における討議を踏まえまして、国際情勢、軍事技術の動向、経済財政事情等を勘案しつつ、安保会議を中心に政府全体として検討が進められていくわけでございます。したがいまして、具体的な策定方針といったものにつきまして、今述べられる段階ではございません。 しかし、防衛庁としては、国際情勢の動向や中期防での大綱水準がおおむね達成することなどを考えますならば、量的拡大を図るよりも後方分野を含めて全体として効率的で均衡のとれた防衛力の確保をしていきたい、このように考えているわけでございます。 したがいまして、事業の検討に際しましては私は三点を重要なポイントとしているわけでございまして、一つには、正面装備については量的拡大を図るよりも将来方向を展望しつつ質的向上を図ることを基本とする。二つ目には、むしろ正面装備よりはその能力を有効に発揮するための情報、指揮通信等の各種支援能力の拡充等を図っていきたい。それで三点目には、人的資源の制約等を考慮して隊員施策の充実を図るとともに、防衛力全般にわたる効率的合理化の徹底により省力化を図っていきたい。 かような点に力点を置きながら進めていきたい、かように考えているわけでございますが、繰り返すようでございますが、これからの安保会議の中でこれらが決定される、こういうわけでございます。
○和田教美君 そこで海部総理にお尋ねしたいんですけれども、内閣に総理大臣を長とする安全保障会議というのがございますけれども、実は今防衛庁がこういう作業をやっておるわけでございますけれども、国際情勢、我が国をめぐる安全保障環境というものは、去年の秋以後マルタ会談などを経て根本的に変わってきているというふうに私は思います。マルタ会談で冷戦の終結が宣言をされて、そしてその後緊張緩和が本格的に進んでおる。時代は軍拡から軍縮への時代に動きつつある。こういう非常な転換をしているわけでございます。 今防衛庁長官は一昨年の安保会議の検討に基づいてこの作業をやっているという話でございましたけれども、しかしそういう大転換の中で去年の暮れから、つまりマルタ会談以後政府が安全保障会議を開いてこういう問題を検討したということは全くないわけです。本来ならば、私はまずそういう安全保障会議を開いてそこで情勢を分析して、そしてどういう防衛政策が必要かあるいはまた次期防というふうなものが果たして必要なのかどうかというふうなものを検討するのが順序だろうと思うんですけれども、全く順序が逆じゃないかというふうに思うんですが、いかがでございますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 結論から申し上げますと、今着手しております中期防の取り扱いが終わりまして、平成三年度以降の防衛力の整備につきましては、今御指摘になっているいろいろな国際情勢の変化の問題もございます。同時にまた、いろいろな財政状況、経済状況との関連の中でこの取り扱いをどうするかということを決めなければなりません。 そして、御指摘のように、たしか安全保障閣僚懇談会というのを昨年いたしまして国際情勢の変化についての説明を受けたり、予算の組み方の問題等についての会議を開いたことは記憶いたしておりますけれども、本格的にマルタ会談以後の、東西の対決から冷戦の発想を乗り越えたこの状況を踏まえてこれをどう見るかとか、あるいはそれはただ単にヨーロッパのみなのかアジア・太平洋地域にはどうなるのかとか、いろいろ意見もありますし不透明な点等もまだあるわけでありますから、それらの点もすべて踏まえて、私はできるだけ早い機会に安全保障会議を開いてこれらの点の検討をしなければならないと考えております。
○和田教美君 それでは、次期防の作業が大体まとまって、それを事実上追認するという意味で安全保障会議を開くということではないんですね。安全保障会議を何回も開いて、そこで今おっしゃったような情勢分析その他について基本的な考え方を閣僚レベルでまとめていくというお考えなのかどうか、その点を御確認したいわけです。
○国務大臣(海部俊樹君) これは、安全保障会議を構成しますメンバーでそれらの問題について真剣に議論を一度しよう、できるだけ早い機会にしたい、こう考えております。
○和田教美君 できるだけ早い機会というのは、国際情勢も踏まえてと言うんですが、国際情勢は刻々動いているわけですが、一つの切りとしては今月の末に米ソ首脳会談が行われますね。そこで安全保障問題についての大きなまた展開があると思うんで、そういうものを踏まえると、できるだけ早くというと大体六月中というふうに我々受け取っていいでしょうか。
○政府委員(依田智治君) 今総理からお答えいただきましたように、できるだけ早い機会に開催していただこうと考えておりますが、現在国会で真剣な議論が行われておりますし、また五月末から六月にかけましては米ソ首脳会談等がございますので、私どもとしてはそれらの状況を踏まえまして可能な限り早い時期にということで、今何月ということはちょっとあれですが、できるだけ早くやりたいということで準備をさせていただいている段階でございます。
○和田教美君 可能な限り早くというと、今の米ソ首脳会談なんかを踏まえてというなら当然六月と考えるのが常識的じゃないですか。総理、どうですか。
○国務大臣(海部俊樹君) できるだけ早い機会にやりたいと私は思って指示しておりますから、今何月何日とは申し上げられませんけれども、できるだけ早い機会にいたします。
○和田教美君 それからもう一つお答えがないんですが、何回もやるつもりかどうか、一回限りか。つまり、次期防を追認するための安全保障会議一回限りか。その点、腹づもりをお聞かせ願いたい。
○政府委員(依田智治君) これまで一次防から四次防、さらに大綱、現在の中期防、おおむね十回くらい開催しております。ちょっと少ないときもありますが、前回の中期防は八回慎重審議をしております。 今回、国際情勢のいろんな変化とかその他経済財政事情、大綱の取り扱いの問題、その他いろいろありますので、私は従来程度ないしそれ以上開く必要があるんじゃないか、そんなことで事務局としては考えております。
○和田教美君 これは防衛庁にお聞きしたいんですけれども、予算編成と次期防の関連の問題です。 来年度予算の概算要求は八月にはしなきゃならぬわけですね。そうすると、次期防の作業がそれまでにまとまって了承を得られればそれに基づいて予算概算要求ということになるんでしょうけれども、今のようなテンポではとてもそれは無理だろうと思うんで、したがって概算要求は概算要求として一応単年度でやっておいて、それから次期防を秋からことしいっぱいぐらいにかけてまとめていくというお考えなのか、それとも何が何でも予算概算要求までには次期防をまとめちゃおうというお考えなのか、その点はいかがですか。
○国務大臣(石川要三君) またできるだけ早くと言うと怒られてしまうんですけれども、これも時期があるわけであります、概算要求。そしてまた、たまたま次期防の初年度がダブるわけでありますから、そういうわけで予算編成時期等もありますが、できるだけ早くということでございますが、なお事務当局の立場から、政府委員からもう少しその内容につきまして詳しく御説明をさせていただきたいと思います。
○政府委員(日吉章君) お答え申し上げます。 私どもといたしましてはできるだけ早くまとめていただくことがありがたいわけでございますけれども、国際情勢も非常に流動的でございますので、先ほど来申し上げておりますように、遅くとも初年度の平成三年度の予算、政府原案ができるまでにおまとめをいただきたいと思います。 なお、私どもといたしましては、前々からも申し上げておりますように、防衛予算の性格にかんがみまして、ある程度の中期的な展望を持った上で概算要求はさせていただきたいと思っておりますが、御参考までに申し上げますと、現在の中期防計画も九月十八日に安保会議、閣議決定がされておりまして、概算要求には間に合っておりません。
○和田教美君 いつでもなるべく早くというお答えの繰り返しなんですけれども、そこでもうこれは幾らやっても時間のむだですから、先に進めます。 大蔵大臣にお聞きしたいんですが、先日のこの委員会で防衛費については聖域としないということをお答えになりましたね。聖域としないということは概算要求でシーリングの別枠扱いはしないということなのか、それとも別枠扱いはするけれども査定を厳密にやるとそういう意味なのか、お答えを願いたい。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 現在までの概算要求基準の中におきまして、人件費、年金成熟化に伴う経費、また政府開発援助、石特会計への繰り入れと並びまして、国際条約歳出化ということで防衛関係費が例外事項として扱われている点は委員が御承知のとおりであります。しかし、その要求と実際の査定における作業というものは別のものでありまして、査定において全くこれを聖域扱いせずに論議を今日までいたしてまいりました。先日私が御答弁を申し上げましたのは、まさにこれから先も聖域扱いするという意思はないという言い方をいたしておりますが、今後ともに国際情勢、そのときどきの経済財政事情などを十分勘案しながら、国の他の諸施策との調和を図りながら適切に対応していきたい、そういう考え方を申し述べたものであります。 なお、平成三年度予算におきましてどのような概算要求基準を設けるか、そしてその中に例外事項を設けるか設けないか、設けるとすればどうするかといったようなことは、現在まだ平成二年度の予算を御審議いただいている段階でありまして内部の議論もできていない状況でありますけれども、私どもなりに夏までに慎重に検討していきたいと考えております。 いずれにしても、査定において聖域扱いをすることはありません。それ以前の段階をどうするかはまだ検討いたしておるところであります。
○和田教美君 それでは、次期防の内容についていろいろ疑問点をこれから質問していきたいんですけれども、まず公明党・国民会議は、さきに衆議院の予算委員会で市川書記長が提案をいたしましたとおり、防衛費の三年間凍結そして計画の単年度方式ということを提唱いたしております。この防衛費の三年間凍結というのは、平成元年度のレベルで防衛費を凍結するということでございますが、平成元年度か二年度のレベルかということは別としまして、この凍結という考え方ですね、新聞にもいろいろとこれを支持する意見も大分出ておりますけれども、こういう考え方について総理は、安全保障会議で全く問題にもしない、そういう考え方も含めて検討するというお考えがあるかどうか、それともこれはもうとてもだめだということなのか、それをお聞かせ願いたい。
○国務大臣(海部俊樹君) 御引用になりました市川書記長との質疑のときにも私はたしか申し上げたはずですが、いろいろな諸情勢をまさに検討するのが安全保障会議でございますから、初めから凍結するとかしないとかということを決めてかからないで、もっと素直な気持ちでいろんな検討をしてみたいとこう思っております。
○和田教美君 次に、そうなりますとやっぱり次期防の経費規模というものがどうなるかということが問題になると思います。 防衛庁からいただいたメモによりますと、防衛関係経費のあり方及び経費規模というところでは、防衛関係経費のあり方については総額明示方式が望ましいということが書いてございます。これは、もう既に衆議院の論議でも防衛当局あるいは大蔵大臣からもそれが望ましいという答弁をされております。私たちの立場は、総額明示方式というのは必要な経費を積み上げていってそして総額を明示するということであって、これは全く歯どめにならないという立場をとっておりますから、これはもう中期防のときに十分論議をしたと思いますので今は触れません。 そこで、やっぱり問題は総額といいますか、あるいは防衛費を毎年毎年どの程度の伸びにしていくか、これが問題だろうと思うんです。 〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕 最近、新聞の報道によりますと、次期防の防衛費の伸びについては大体四%ぐらいを基準に伸ばしていくという記事が出ておりましたけれども、今は大体実質五%ですね、平成二年度。大体それぐらいのめどで防衛費を伸ばしていこうというふうにお考えかどうか、防衛庁のお考えを聞きたい。
○政府委員(日吉章君) 先ほど来からお答え申し上げておりますように、まず経費ありきということではなくして所要の経費の内容を積み上げてということでございますので、今のところ私どもといたしましてはどの程度伸ばして試算をするというふうな考え方に立って作業はいたしておりません。 なお、積み上げました作業の結果、その数字がどのような数字になるかというようなところまで作業は進んできておりません。
○和田教美君 このメモによりますと、策定に際しては昭和五十一年十一月の閣議決定の節度ある防衛力の整備を行うという精神を尊重していくことは言うまでもないと書いてございます。これはどういうことですか。つまり、GNP一%以内の枠は守っていくということなんでしょうか。
○政府委員(日吉章君) 今委員が御引用になられました五十一年の閣議決定はいわゆるGNP一%枠を決定いたしました閣議決定でございますが、そこで言っておりますのは、GNP一%枠を決定したその閣議決定の精神、すなわち防衛費につきましては節度ある防衛費を維持する、こういう精神を維持していくということでございます。
○和田教美君 次に、計画対象期間、計画方式についても私のいただいたメモには書いてございますけれども、五年あるいは三年が常識的な線ではないかと考えているというふうになっておりますけれども、五年か三年か一体どっちを考えておるんでしょうか。 このメモによりますと、同時にローリング方式との関連についても触れておりますけれども、私の見るところ、五年固定方式の計画ということになりますと、これだけ国際情勢が激変しているという情勢の中で、一回もローリングをやらずに中期防のようにやっていくということは到底困難だろうというふうに思います。どうしても途中で見直しをしなければならないということになるんではないかと思う。そうなると、しかし総額明示方式を守っていくということですから、それとの間に矛盾が出てきまして、総額明示は崩れてしまうということになります。そうなると、結局は今の情勢では防衛庁としては、まあ三年計画というぐらいでやむを得ないというふうに考えられてきているんではないかというふうに私思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(石川要三君) 委員御承知のとおり、次期防の計画対象期間でございますけれども、これは今後の安全保障会議において検討され決定される問題であるわけでありますが、したがって具体的なことを述べられる段階ではございませんけれども、あえて防衛庁の立場から考えて一般論として申し上げさせていただきたいと思いますが、中期的な防衛力整備計画を進めるという点から見れば、ある程度の期間の見通しが必要であるということとともに、対象期間が余り長くなると正確な見積もりを行うことが難しくなる。 また、しからば五年とか三年とかというのが一応常識的な線ではないかとこんなふうには思いますけれども、また先生が今言われましたローリング方式につきましても、計画の弾力性の確保あるいは国際情勢の変化への対応という点から見れば、すぐれている面を有しているわけでございます。が、他方においては、計画上の所要経費とその実績との関係が容易に把握できることが望ましいことでありますから、そういう観点からすると、昭和六十二年の一月の閣議決定において中期防期間中のローリングを行わないこととした経緯等もございまして、それらを考慮する必要があろうかと思います。 いずれにしましても、今の段階におきましてはまだ決定されていないわけでございまして、これらの点について計画の内容を煮詰めながら今後決定をされていく、このように御理解をいただきたいと思います。
○和田教美君 防衛庁としてはどう考えているかと。決定していないのはもちろん安保会議も開かれていないわけですから当たり前のことで、防衛庁の考え方はどうかということを聞いているわけです。
○国務大臣(石川要三君) したがいまして防衛庁としても、今果たして五年が一番いいか三年がいいか、あるいはというような点をこれから検討を進めて煮詰めていきたいと、かように考えております。
○和田教美君 総理は、衆議院の答弁だったと思いますけれども、日本の防衛力の整備について、つつましやかな防衛力を整備してきたというふうな答弁をされております。どうしてつつましやかという考え方が出てくるんでしょうか。 外国の、例えばイギリスの国際戦略研究所なんかの発表によると、とにかく日本の国防費は先進国の中でアメリカに次いで二位であるというふうなことを言っておりますね。それから三位グループに入るというふうな見方もあるし、どう見てもこの国防費がつつましやかな防衛力だというふうに私には理解できないわけですが、どうしてそうお考えなんでしょうか。 〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のような表現を私はしたことが記憶にございます。そのときなぜそういうことを言ったかといいますと、我が国の防衛力整備のもとを見てみますと、みずからの国の平和と安全を守るために、しかも自分ですべてができるわけじゃなく、日米安保条約のもとにおいてそちらに抑止力も頼りながら、限定的な小規模の侵略にのみ当面一定期間対処できるようなものだと、初めからまことにそういう目的であったわけでありまして、世界が力で対決をする、そして東西の対決が続いておる時代にもその基本線は崩さないでずっと来たわけでありますから、そういった意味でつつましやかな防衛力の整備をしてきた。 同時に、外国へ向けて侵攻していこうなんていう意思もなければ能力も持たなかったわけでありますから、そういった外国に脅威を与えるような兵器のたぐいも一切それは整備をしてこなかったわけでありますから、みずからの国を守る、しかもそれは安保条約のもとでアメリカの抑止力のもとで平和を守るという一念に通じてやってきたのでありますから、そういった背景全体をとらえて私はつつましやかとこう表現をいたしました。
○和田教美君 しかし、東南アジア――この間防衛庁長官も東南アジアを回られて、とにかく日本の軍事大国化懸念というふうな発言までマレーシアの国防大臣ですか、どこかから飛び出したというふうな報道もございましたね。とにかく外から見ればこれだけの防衛費を持っている国がつつましやかな防衛力とは到底理解してくれないだろうと思うんですが、どうも総理の尺度が我々と違うんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 金額からいきますと、いろいろ例はお引きになりましたが、ミリタリー・バランスというよく御引用なさるものからいっても六番目の金額になっておるということは私もそれは見ておりますけれども、どうですか、日本の防衛費というのはそれらの諸外国とずっと比べて、必要ならば専門家から答えさせますが、人件費が非常に多くの部分を占めておるとかいろいろな特異性が私はあると思いますから、金額が幾らだからこれでつつましいかどうかということに直ちになるかどうか、私ももう一回考え直してみますけれども、そういった内容をきちっと見ていただければ金額だけでその脅威論とは直接結びつきません。 また、実はきのうも太平洋経済委員会の各国の首脳とのテレビの討論会がございましたが、そのときも、たしかリー・クアンユー首相だったと思いますが、日米安保条約の必要性は十分認める、日米安保条約のもとで日本がみずからの国を守ろうという防衛力を整備しているのはそれはある意味でアジアにとっては非常に大切なことだから、むしろ逆に日米安保条約を破棄しちゃって日本が独自の行動を起こすようなことになることは、それは経済力とともに新たな懸念が生まれてくるもとになるというようなことは確かに言われましたけれども、それは現在の日本の状況についてはそれでよろしいんだと。むしろ積極的に日米安保条約の仕組み、体制がアジア地域の平和と安定に役立っておるということの意見であったと私はそれに参加をしておって受けとめてまいったわけです。
○和田教美君 三木内閣が防衛計画の大綱を決めたときに、同時にGNP一%枠というのを決めたわけですね。この少し前まで海部総理はたしか三木内閣の官房副長官をやっておられたから、そのいきさつはよく御存じだろうと思う。私はこの三木さんの決断、GNP一%枠と決めた決断は非常に高く評価した一人でございますが、そこでこの新しい防衛計画に切りかわるという時期に、改めてGNP一%枠を厳守するということを海部総理のもとで復活したらどうか、そういうふうに考えるんですが、いかがでございますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 平成三年度以降の問題につきましては、安全保障会議を開いてそこで経済情勢や国際情勢やいろいろなものを判断の対象にしながら決めていくべき問題でありますが、いずれにいたしましても昭和五十一年の閣議決定のあの精神は守っていくつもりでございます。
○和田教美君 大変官僚的な答弁で、三木さんの弟子ともちょっと思えないような答弁だと思います。 さて、大分時間もたってまいりましたので、次期防に関する内容の問題に少し触れたいと思いますけれども、その前に、私たちは防衛計画の大綱の見直しもやらなきゃいかぬということを言っておるわけです。なぜ防衛計画の大綱の見直しもしなきゃいかぬと考えているかといいますと、第一は、なるほど総理は最近今の防衛力は平和時の防衛力である、基盤的防衛力である、こういうことを盛んにおっしゃるわけですね。確かに五十一年に防衛計画の大綱を決めたときはそのことが盛んに強調されました。しかし、その後実際の整備というものは相当違った方向に行ったんではないか。つまり、基盤的防衛力の構想のあれは脅威に対応したものではないんだ、脅威とは別の要するにコンパクトだけれども均斉のとれた防衛力をつくるんだということだったと思うんですね。 ところが、その後国際緊張が激化してきたというふうな状況の中で、実際にはそういう基盤的防衛力構想的な考え方がなくなってしまって、防衛力の整備の実際においてはいわゆる脅威に対応する所要防衛力構想ですね、そういう考え方によって防衛力整備が行われたんではないかというふうに私は思うんです。その結果、とにかくこれだけ大きな防衛力になったというふうに私は考えておるわけです。 例えばその証拠に、当時の大村防衛庁長官が、これは昭和五十五年の十月二十一日の衆議院安保特別委員会です。「最近の極東におけるソ連軍の増強は潜在的脅威と受けとめ、これを念頭に置いて防衛力の充実に至っておるわけでございます」と、明らかに脅威を念頭に置いて対応するという所要防衛力論に立った考え方を述べておるわけですね。防衛計画の大綱の本来の基盤的防衛力という考え方と違うわけですね。そういうことが見直さなきゃいかぬ一つの理由であるということ。 それからもう一つは下方硬直型である。とにかく緊張が高まってきた場合には防衛力を増強しなきゃいかぬというケースについては、この防衛計画の大綱にはちゃんと書いてございます。しかし、今のように逆に軍縮の方向に動きつつあるという状況の中で、もっと減らさなきゃいかぬというような問題が出てきた場合にどうするかということは、全然書いていませんね。その点においてもこれは修正をしなきゃいかぬということから、防衛計画の大綱は全面的に見直すべきだというのが我々の考え方ですが、総理はいかがお考えですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 当時のことを思い起こしてみますと、あの大綱をつくるときの前提は、やはり東西間の全面的な軍事衝突またはこれを引き起こすおそれのあるような大規模な武力紛争が起こる可能性は少ない、そういう大前提に立っての認識でございましたし、また日米安全保障体制のもとにおける我が国の安全と平和維持に必要な、平和時における整備すべき防衛力の目標というもので整備したのだと私は記憶いたしております。 それから今おっしゃる意味が、これは僕が取り違いだったら後から訂正させますけれども、限定的かつ小規模な侵略までの事態に有効に対応し得ることということが大前提の目標にありましたし、そして情勢に重要な変化があれば新たな防衛力の体制に円滑に移行し得ること、防衛力の整備に当たっては諸外国の技術的水準の動向に対応し得るよう質的な充実向上に配意することとこうなっておるわけですけれども、あくまであのときはもう全体的な力の対決、対立ではない、そういう大規模な紛争は起こらないということを前提にした平和時における限度ではなかったか。もし極端な国際情勢の変化が起こるときにはそれに対応できるようなものでなければならぬけれども、そのときは平和時においてはこれが我が国の基盤的な防衛力のめどであるということを決めたのが大綱であったと、このように今思っております。
○和田教美君 下方硬直型だと、要するに下げる場合のことは全然書いてないという点はどうですか、防衛力の水準を。今おっしゃったように、緊張が激化して重大な情勢の変化があったら、ふやすことについては今お読み上げになったようなことは書いてあるわけですね。ところが、それを減らすという問題については全然触れてないじゃないですか。
○国務大臣(石川要三君) 大綱についても今海部総理からお話があったとおりでありますが、下方修正の点が触れてないんじゃないかという委員の御質問がございます。 そこで私の方から考え方を申し上げたいと思いますが、私はやはり、今るる総理が申し上げましたように、要するに昭和五十一年のあのデタントの時代の国際情勢、軍事情勢の中から特に二つの柱といいますか、一つは東西が真っ正面から衝突するようなこともなかろう、したがってもう当面の小規模、限定的な対応ということが一つ。そしてもう一つは日米安保の効用、こういうことからいわゆるアジア・太平洋地域において我が国が置かれている立地的な立場から見ても、そこに全く防衛力の空白というものがあったらむしろ危険である、こういうようなことから、憲法あるいは国の基本的な方針である専守防衛というこういう大きな大前提のもとに、いわゆる最低限のものを防衛力のあり方として求めたと。 そういうわけでございますから、極端に言えばそれ以下というものは、私は独立の一国としての存立を期すためにはやはりこれ以下のものはあり得ない、むしろこれが最低である、こういうような立場で大綱の水準というものができている、かように認識をしているわけでございます。
○和田教美君 これは非常におかしな話で、そうなると、どういう情勢が生まれてもこの中期防で一〇〇%完成するこの大綱の水準以下になることはあり得ないというお考えですか。そういうふうな説明ですね。
○政府委員(日吉章君) 総理と防衛庁長官からお答えいただきましたことで尽きているかと思いますけれども、私の方から補足説明をさせていただきたいと思います。 まず大村防衛庁長官の御発言についての点でございますが、これは大村防衛庁長官が当時おっしゃられましたのは、ソ連の潜在的脅威というものを念頭に置く必要があると言いましたのは、基盤的な防衛力水準であります大綱水準にすら現在達していないので、周辺におきます潜在的な脅威が高くなればその整備のテンポを速めなければいけません、急いで整備しなければいけませんとこういうことを申し上げたわけでございまして、脅威に対処いたしまして基盤的防衛力の水準そのものを上げないといけないというふうに防衛庁長官が当時おっしゃったわけではないという点が一点でございます。 それから和田委員御指摘の大綱の中に、私たちは俗にエクスパンド条項と言っておりますけれども、拡大し得る余地というようなものをにおわしているではないか、メンションしているではないかという点でございますが、これはいつも総理の方から御答弁いただいておりますように、大綱で定められております整備水準といいますものは我が国が平時から保有すべき基盤的なものでございますから、不幸にして有事が到来いたしましたときに、その有事の状態に可及的速やかになおかつ効果的に対応し得るような基盤的なもの、そういうものでなければならないということを言っているわけでございまして、これは国際情勢によってその基盤的な防衛力の水準が動くとか動かないとかいうようなことを述べているわけではございませんで、平時と有事との対比において述べているわけでございます。 それから最後の、しからば基盤的防衛力のその水準そのものはいかなる国際軍事情勢のもとにおいても具体的内容が変わらないのかという点でございますと、この点につきましては、著しく国際軍事情勢が変わりまして国際軍事技術が非常に向上する、周辺諸国の軍備の水準等が高くなりますと、それから生じます限定、小規模侵攻の態様も大きなものになるでございましょうから、基盤的防衛力の整備水準も上がるでありましょう。しかしながら、逆に非常に軍備管理・軍縮が進みまして、我が国が基盤的防衛力と考えておりますものも必要がないくらいに諸外国の軍備管理・軍縮が進んだ場合には、理念的な問題といたしましては、基盤的防衛力水準の具体的内容は低下するということはあり得ると思いますが、現在進行しております軍備管理・軍縮交渉のような状態は我が国が現在整備しようとしております基盤的防衛力水準の具体的内容に影響が与えられるようなものではないと、かように認識いたしております。
○和田教美君 それじゃ、今の防衛庁長官の答弁と考え方としては違いますね。要するに下方修正はあり得るんだというのが今の局長の答弁ですね。防衛庁長官は、これは最低限のものだからこれ以上は絶対下げないんだということです。一体どっちが本当ですか。
○国務大臣(石川要三君) いささか舌足らずだと思っておりますが、私は大綱の一つの理念的な面をここで申し上げたわけでございまして、確かに今防衛局長がここで説明いたしましたように、それが極端に例えば周辺諸国の軍事情勢というものが大きく変わる、上にも下にも変わる、こういうときにはこれは絶対的に大綱がそういうものと無縁であるとはこれは私も思っておりません。しかし、ただ私は、再三総理もここでも述べられたように、要するに憲法とか専守防衛とかそういう性格の中で、要するに国際情勢の分析の中から空白となることをしないように、そして平時においての最低の防衛力を整備していく、こういう一つの理念を申し上げたわけでございますので、私は考え方においては変わっておらないと、かように思うわけであります。
○和田教美君 それではなぜ、極端な云々というような表現を今お使いになりましたけれども、今のような情勢ですね、世界的に軍縮の傾向、もう主要先進国も全部防衛費はトーンダウンの方向に向かいつつありますよね、そういう状況の中でなぜ我が国だけが中期防の後の次期防においてもなおかつ何がしか数%上げていくという考え方を防衛庁はとっているんですか。それはどういう根拠によるんですか。
○政府委員(日吉章君) お答え申し上げます。 現在、米ソを中心とする軍備管理・軍縮が進んでおりまして、ソ連のことは必ずしも定かでない点はございますけれども、米国につきましては実質的に予算の規模等を縮減していきたいという意向が述べられております。ところが、米ソにつきましてはグローバルな観点から戦略的等の軍備を持っておりまして、これを現在の国際情勢を勘案いたしまして引き下げていこうとすることでございますが、その他の西欧主要国等につきましては、現在のところ具体的に予算額を減少させていくというような決定がなされているというふうには聞いておりません。 なお、私どもの防衛力整備計画の作業でございますけれども、私どもといたしましては、基盤的防衛力の整備、現在おおむね大綱水準を達成しているわけでございますが、これを維持していくためにはそれ相応の努力が要ろうかと思いますけれども、現在のところ私たちとしては何%伸ばさないといけないというような結論にまで達しているわけではございません。
○和田教美君 そうすると、防衛費横ばいということはあり得るという今の答弁だと考えられるわけですけれども、私も全くそうだと思うんですね。中期防は平成二年度予算で一〇〇%完成するわけです。防衛計画大綱の別表も完成するわけです。それ以上に装備その他でふやしていく必然性というのは何もないわけですね。そうすると、防衛費をふやしていくという根拠というものは全くないと思うんですね。その点を半ば認められたと言っていいんでしょうか。もう一度確認をいたしたい。
○政府委員(日吉章君) 私が現在の防衛力整備水準を維持するだけでもそれ相応の努力が必要であると申し上げましたことは、横ばいでよろしいということを意味しているわけではございません。例えば名目的な予算で申し上げますと、日本の防衛庁の予算の四〇%以上が人件費あるいは糧食費のようなもので占められておりますけれども、給与改定等がございますとそれは即増加につながってまいります。また、例えば正面経費等で申し上げましても、仮に量的な装備の増加を図らないといたしましても、命数が参りまして減耗してまいりましたものを補完するという場合には新たな装備の購入費の方が高価なものにつく。これは性能のアップあるいはその後の経済事情等の変化によりまして金額が増加するというようなことがございまして、必ずしも私の答弁は凍結する、あるいは横ばいで可能だというようなことを申し上げたわけではございませんで、横ばいにするということは極めて困難である、かように考えております。
○和田教美君 つまり、防衛費は伸ばしていくということを実質的に認められたわけです。 そこで、中期防の平均伸び率は五・四%ですね。平成二年度の予算で見てみますと実質防衛費の伸び率は五%、名目で六・一%ということになっておりますが、少なくともこれから次期防をやる場合にこれよりもふやすという考え方はないでしょうね。これよりは下げる、仮に伸ばすとしても。その点はいかがですか。それも言えないんでしょうか。
○政府委員(日吉章君) まさに次期防期間中にどのような整備を図るかというところから判断をしてまいるべきでありまして、今のところ何%までなら許容できる、あるいは何%以上にはならないというようなことは言い得るような状況ではございません。
○和田教美君 防衛庁長官から答えてください、これは政治的な問題ですから。
○国務大臣(石川要三君) 事務的サイドで今作業しているわけでありますが、それも先生が御指摘のような質問に対しては今の段階でははっきり申しかねる段階でありますから、政治的な立場で言えといってもこれは不可能に近いわけでございます。 ただ、一言委員に申し上げたい点は、実は今のような軍縮の時代でございますから、先生のその御意見、御質問の趣旨は私もよくわかるわけであります。ただ問題は、それじゃ実際例えば三年にしても五年にしても次期の中期防の中でそれが実現できるかとなって、いろいろと私なりに調査をいたし、これまたなかなか難しさというものが非常にあるわけであります。今も政府委員から回答があったように、例えば現在の四兆一千何がしかの中の分析をいたしますと、いろんな兵器を買った、それが何年度で買うわけですね、そういうようなことから歳出化経費といいますか、要するにツケの経費ですか、そういうものが約四割。そして人件費、食糧費というものが四割。これで八割ですね。それであと二〇%。その二〇%のうちにも教育費あるいは油、そういったようなものを差し引きますと、これもまたやや固定的な支出になりますから差し引きますと、全く左右できるものの額というものは非常に少ない。 そして、この際ですから申し上げたいと思いますが、私も実は暇を見つけて各部隊を視察しております。実際行ってみますると、例えば今日のような時代の中におきましても、兵舎へ行ってみますると要するにクーラーもないんですね。そして窓をあげて寝るような、そういうこの夏の暑いときに。しかも何平米ですか、もう非常に数の多い隊員がそこに寝泊まりしている。それで、しかも夏は寝ることを考えますと、とてもじゃないけれどももっともっと隊舎等もこれは改善しなければいけない、こういうこともございます。それからこのごろは、最近この間も言いましたけれども、小中学校、幼稚園へ行ってさえもプールのある時代に、まだプールどころじゃない、体育館もないようなものが八十カ所もある。こういう実態を見ると、やはりこれからもまだまだ後方整備というものは相当やらなきゃならない。そういうようなことを考えると、要するにこのままかたく、伸びてはいけないというような、そういう固定的にしてしまうことはなかなか私は難しいんではないかなと、こんなふうに思うわけでございます。 しかし、いずれにしましても、先生の今の国際情勢の中のそういう国民的な立場の御意見といいますか、そういう感じ方、それは私にも理解できないことではございませんので、一応先生の貴重な御意見として十二分に頭にとどめていきたい、かように思います。
○和田教美君 後方整備とかそれから要するに更新だとかというのに金がかかることはわかりますよ。 しかし、今私が質問したのは、中期防の伸ばし率は五%であったと、これよりもふえないでしょうねということを聞いているわけです。それよりは下げるでしょうねということを聞いているわけで、そのぐらいのことが答弁できなくて防衛庁長官が務まりますかね。
○国務大臣(石川要三君) 今の責任ある立場でパーセンテージのことについての言及は私はいたしかねます。
○和田教美君 それでは正面装備のことについて二、三お尋ねしたいんですが、正面装備も含めて今の防衛庁長官の報告によると量的拡大を図るより後方分野を含めて要するに均衡のとれた防衛力を確保するということをお述べになりましたね。 そうすると、量的拡大はやらないということだとまずイージス艦ですね、これは既に二艦中期防の間でやったわけですね。これ以上はもうイージス艦はふやさない、量的拡大はやらないと言うんですからこれは間違いないですか。
○政府委員(日吉章君) 大臣の方からお答え申し上げましたのは、比較の問題といたしまして量的拡大よりは質的充実に重点を置くということであるという点をまずお断りさせていただきたいと思います。 なお、具体的な内容でございましたイージス艦でございますが、これは現在各護衛隊群、四個護衛隊群がございますが、これにつきまして二隻ずつミサイル艦艇を配備いたしておりますが、このうちの少なくとも一個護衛隊群については一隻ずつを近代的な装備を完備いたしましたミサイル艦でありますイージス艦にかえていきたいということでございまして、中期防期間中にはその四個護衛隊群のうち二個護衛隊群を耐用命数が来たのに伴いましてかえることを計画しているわけでございまして、あと二個護衛隊群につきましては古いターター艦が残っているわけでございますので、これにつきましては次期防期間中にどのようにするかは今後検討していくことでございます。
○和田教美君 それじゃ量的拡大を図るということじゃないですか。とにかく一番最大の金のかかるものをふやしていくというのですから、量的拡大を図るということにならざるを得ない。これは間違いだと思いますね。 それから次に中期防、これを見ますと、「その他」という項目の中で、「空中給油機の性能、運用構想等空中給油機能に関する研究を推進する。」ということが書いてございます。これはもう五年間やってきたわけですね、研究の推進を。もう結論が出てもいいと思うんですが、次期防ではこれを、空中給油機をいよいよ導入するんでしょうか。
○政府委員(日吉章君) まず、イージス艦の方について補足をさせていただきたいと思いますが、正面装備につきましては艦艇で言いますと六十隻、航空機につきましては四百三十機、そういうふうな枠の中での国際軍事技術水準の動向に応じての更新は図られていくことは当然のことだとかように考えておりまして、イージス艦につきましても中期防で行いましたのは、そういうふうなターターシステムからイージスシステムへの国際軍事技術の動向に対応して更新を図ったということでございます。 それから空中給油機能に関する研究でございますが、委員ただいま御指摘のように、中期防の中にも「研究を推進する。」というふうに書かれておりまして研究を続けてきておりますが、現段階においてはまだ確たる結論を得るには至っておりませんので引き続き検討をしているところでございまして、次期防におきましてどのように処置するかにつきましては今後の検討課題だと考えております。
○和田教美君 そうすると、空中給油機は少なくとも次期防の初期には導入できませんね。間に合いませんね。仮に導入しようと思っても研究がまだ確たる結論が出ていないというんですから。その点いかがですか、導入の考え方はないんですか、初期の段階では。
○政府委員(日吉章君) 具体的な次期防計画の内容につきましては、残念ながらまだ確たることをお答えできるところまで防衛庁限りの検討も進んでいない状況でございます。
○和田教美君 次に、もう一つこういうことが中期防に書いてあります。「洋上防空能力の向上を図るため、各種装備の組み合わせによる効率的な洋上防空体制の在り方について、速やかに検討を行う。」ということが書いてございます。この洋上防空能力の組み合わせというのは、今言った空中給油機だとかあるいはAWACSそれからOTHレーダーあるいはまたイージス艦、そういうものを全部含めたものだと思うんですけれども、そこでイージス艦はこれからまだふやしていくというんですが、空中給油機を除いてAWACS、早期空中警戒管制機、これはどうするんですか、導入するんですか。 それからまた、OTHレーダー、これは毎年予算で調査費をつけているんです。かなりの額の調査費をつけている。いつまで調査費をつけたままなのか、もう結論が出てもいいと思うんですが、これはどうするんですか。
○政府委員(日吉章君) お答え申し上げます。 早期警戒管制機、AWACSでございますが、これにつきましては先ほど申しました空中給油機と同じように現在検討しているという段階でございます。 なお、OTHレーダーについてでございますが、これにつきましては私どもは、ただいま委員からも御指摘ございましたように、これまでも調査費をつけていただいておりましてそれによりまして調査を進めておりますが、現実には現在米側が既に設置いたしておりまして実験運用を開始しているものがございますが、これの結果等をなおしばらく見守る必要があろうかと思います。 なお、私どもといたしましては小笠原諸島に設置するのが適当ではないかと考えておりますが、設置する場合の地理的条件等につきましての研究をいましばらくする必要があろうかと、かように考えております。これらの問題が解決されましたときにはOTHレーダーをどうするかということを最終的に結論を出したい、かように考えております。
○和田教美君 OTHレーダーというのは、ソ連の航空機の奇襲攻撃に備えるためにとにかく遠い先のソ連領土内の情報も得なきゃいかぬというために設置するんだという説明を、私、新聞記者をやっておりましたときによく聞きました。しかし、今そういうソ連の航空機の奇襲攻撃なんていうことはあり得ると思っているんですか。全く私はこういうものは必要ないと思うし、この正面、何といいますか洋上防空能力構想そのものが全部もう時代に合わなくなってきていると思うんですが、その点はいかがですか。
○政府委員(日吉章君) 我が国は専守防衛を防衛の基本方針としておりますので、他国にも増して早期に正確な情報を把握するということが非常に重要でございます。そういう意味で、OTHレーダーは非常に有用な装備ではないかとかように考えております。
○和田教美君 とにかくもうこういう押し問答をしていてもしようがないですから、時間も大分切迫しましたので、ソ連の潜在的脅威論が盛んに論じられておりますので、それについて二、三お聞きしたいと思います。 防衛局長の答弁をずっと聞いておりますと、結局脅威の中には顕在的脅威と潜在的脅威がある、しかしソ連には今侵略する意図はないんだから顕在的脅威はない、しかし能力は十分あるんだから潜在的脅威はある、こういう説明だと思います。そうすると、潜在的脅威というのは何か。結局、イコール軍事的能力ということになると思うんですが、そのように理解していいんですか。
○政府委員(日吉章君) お答え申し上げます。 脅威は侵略し得る能力と侵略しようとする意図が結びついて顕在化するものでございますが、意図というものは変化するものであり、我が国の防衛を考える場合には我が国周辺におきます軍事能力について配慮する必要があると考えております。潜在的脅威という表現は、右のような考え方のもとに侵略し得る軍事能力に着目し、ここは委員御指摘のとおりでございますが、これまで私必しも十分に御説明ができていなかったのかもしれませんが、その上にそのときどきの国際情勢等も含めまして総合的に判断して使用する概念だと、かように考えております。
○和田教美君 そうすると、軍事的能力に着目するというんなら、意図はゼロですけれどもしかし膨大な軍事的能力があるということではソ連もアメリカも同じですね。アメリカは潜在的脅威というふうになぜ言わないんですか。その点をはっきりしてください。
○国務大臣(石川要三君) 潜在的脅威というものは侵略し得る能力だけに着目しているわけではないわけでありまして、国際関係等も含めて総合的に判断して使ってきた表現であります。したがいまして、米国は我が国と安全保障条約によって結ばれております、我が国の安全に寄与することが期待されている同盟国でございます。そもそもその軍事力が我が国にとって潜在的脅威であるとは、したがって考えられないわけであります。
○和田教美君 同盟国であるというのも広い意味では意図――意図と能力というのに分ければ意図の方に入ると思うんですね。ある場合にはとにかく能力のことばかりソ連の場合には強調して、そしてこれは潜在的脅威だ脅威だと言う。ある場合には意図の軍事同盟であるということを強調してこれは潜在的脅威でないと、使い分けをしているというふうに私には思えてならないんですね。その点はどういうふうに思いますか。 どうも私は、これはこういう言葉を使うと言葉自体が非常にあいまいでひとり歩きをする、非常に危険だというふうに思うんですよね。もういいかげんでやめられたらどうか、防衛白書なんかに書くのをやめられたらどうかと思うんです。実は防衛庁長官も最初どうもおどろおどろしい表現だというようなことを言っておられたじゃないですか。ところがいつの間にか、この間タイかなんかで潜在的脅威という言葉を使っておられますね。もうやめたらどうかというふうに思うのですが、その点は防衛庁長官ともう一人総理にもひとつお考えを聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(石川要三君) 米国と我が国の関係につきましては先ほど申し上げましたとおりの同盟関係でございますが、したがいまして同盟国が我が国に侵攻してくるということは私は考えられない、かように思っております。
○和田教美君 私の質問に答えていない。潜在的脅威という言葉を使うのをやめたらどうかと、こう言っているんですよ。
○国務大臣(石川要三君) 潜在的脅威というのは、要するにパワー、能力と意図、侵攻してくる意図があるかどうかあるいはまたその力があるかどうかということが私は潜在的脅威ということの尺度だと思うんです。そういう意味からいって、同盟国が我が国に侵攻してくるというそういう尺度というのは私はないんじゃないか、このように申し上げたわけでございます。したがって、私はそういう言葉を使うとか使わないということじゃなくして、アメリカは潜在的脅威ではない、このように申し上げたわけでございます。
○和田教美君 いや、使わないかどうかということを聞いているんです。
○政府委員(日吉章君) 私どもが脅威とか潜在的脅威と申し上げておりますのは、私どもだけが申し上げているわけではございませんで、国際的に全く同じ定義であるかどうかの点は別といたしまして、基本的には英語で言いますとスレットあるいはポテンシャルスレットというように使われておりまして、この言葉から受ける印象が一般の方々あるいは国防問題等にそれほど御関心のおありでない方にどういう印象を与えるかという点は別といたしまして、これは一つの国際的な共通の概念、言い回しでございます。
○和田教美君 脅威論、もう時間がなくなりましたから言いますけれども、脅威とは結局意図と能力の相乗積であって、たとえ能力はあっても意図がゼロなら脅威はゼロ、あるいは大幅に減少する。今の同盟の関係を取り上げたらそうですね、そういうことじゃないですか。 そうすると、やっぱりソ連がとにかく日本に侵攻してくるという意図がない、あるいは非常に減少したという以上は、ソ連の脅威は減ったというふうに見るべきじゃないかと。この間外務大臣は非常に難しい表現でこの問題を答えておられましたけれども、ソ連の脅威は減ったということじゃないですか。部下の岡崎駐タイ大使もソ連の脅威は大幅に減少したということを何かの座談会で述べておりますね。彼は防衛の専門家ですよ。その点どうでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 今委員お尋ねのソ連の潜在的脅威が薄れたかという話でございますが、防衛庁長官から御答弁申し上げていますように、我が国周辺のいわゆるソ連の軍の配備状態というのは、全戦力の三分の一ないし四分の一は周辺にある、さらに北方領土には一個師団ぐらいの軍隊が展開しているという認識の中で、ソ連の国内におけるいわゆるグラスノスチによる言論の自由の進行状態、またそれによって引き起こされてきた民族運動、あるいは共産党の一党独裁から複数政党制に変わる過程の中において、ソビエトの内政というものは非常に現在経済的な改革も渋滞している。そういう中で、ソ連の国内政治というものは大変難しい状況にあると私は認識をしております。 そういう中で、改革推進派あるいは改革急進派の勢力に対して、それに反対する勢力、保守派あるいは軍部の考え方というものが果たしてこのままの形でソ連の外交方針をさらに進めていくことができるだろうか。その点は、日本の国民の生命と安全をお守りせなければならない私は外務大臣の立場で、ソ連の国内情勢の変化あるいは推移、そういうものを同盟国とともに、あるいはヨーロッパの国々とともに、ソ連の正しいペレストロイカの方向性というものが推進していくことを支持はしておりますけれども、果たしてこれがそのとおりいくかどうかということは現段階で断言することができない、そのような状態に今ソ連の情勢はあるという認識を持っております。
○和田教美君 私の質問に答えていないですよ。要するにソ連の脅威は低下したのかどうかと。岡崎君がそう言っているじゃないかと。
○国務大臣(中山太郎君) 岡崎大使が大使の立場で何を言おうと、私は外務大臣であります。外務大臣としての考え方で判断をして御答弁をいたしております。
○和田教美君 だから、低下したのかどうかと聞いているわけです。
○国務大臣(中山太郎君) 低下を始めつつある可能性はある、しかしまだそれを決定的に低下したと言い切る情勢にはソ連の国内情勢はないと、こういう考え方であります。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で和田教美君の質疑は終了いたしました。(拍手) 明日は午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時五十六分散会