P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
118回国会参議院1990/05/14

予算委員会 第6号

発言数
334
登壇者
30
会派数
4
開催日
1990/05/14

会議録

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を開会いたします。  平成二年度一般会計予算、平成二年度特別会計予算、平成二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。     ─────────────

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) この際、公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。  平成二年度総予算三案審査のため、来る五月二十四日に公聴会を開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 御異議ないと認めます。  つきましては、公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) この際、政府側に申し上げます。  答弁につきましては、質疑者の趣旨を体し委員長から指名いたしますので、そのとおり答弁に立たれるようお願い申し上げます。     ─────────────

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) それでは、これより総括質疑を行います。久保亘君。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 私は最初に、海部さんの政権担当者としての政治に対するお考えを三つのことについてお伺いしたいと思っております。  一つは、選挙制度審議会の答申を受けられて首相としてこれと取り組まれる態度について、私ども報道等を通じては伺っておりますが、改めて総理のお考えを承りたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 政府の選挙制度審議会においていろいろ御審議をいただいてまいりました。これは選挙制度のあり方の問題と政治資金のあり方の問題について主として今回の答申をいただきましたが、引き続いて区割りの問題、参議院の二院制のもとにおける性格の問題、そして政党というものが法的規制を受けるとすればどのような角度からどうするかという、そしてまた、公的な助成に絡む問題としては政党法が要るのではないかという角度の問題については、引き続いて審議会で御審議をいただくということになっております。  私は、政治改革というのは今の制度、仕組みのままでいいとは思っておりませんので、世のいろいろな御批判を受けて、特に政治と政治資金に関する問題について一連の不祥事件があったことを厳しく反省しますと同時に、特に政府といたしまして、その諮問をした審議会からいただいた答申でございますから、この答申の中身を最大限に尊重して政治改革を行っていかなければならぬというそういった強い決意を持っております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 この答申をお受けになりましたときに、首相は、選挙制度改革を中心にする政治改革に対して不退転の決意で当たりたい、こういうお話でございました。不退転の決意というのは物事と取り組むに当たっての決意をあらわされるものだと思っておりますが、過般の記者会見において、内閣の命運を賭してこの問題に取り組みたい、こういうことを申されております。内閣の命運を賭すということは、結果に対する責任を明らかにされたものだと私は思っております。これは不退転の決意ということとは違ってくるのでありまして、一国の宰相として軽々しく発言なさる問題ではない。よほどのお考えに基づいて内閣の命運をかけるということをおっしゃったのだと思っておりますが、内閣の命運を賭すということになれば、どういう事態に対して内閣の命運をおかけになるのか、そのことを伺っておきたいと思うんです。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 私は、海部内閣がスタートしたときはどん底からのスタートであって、生易しい政治状況ではないということを組閣に当たって申し上げました。そして所信表明演説においても、政治改革というものは国民の皆さんの信頼を確立するために不退転の決意で取り組まなければならぬということも率直に申し上げました。そして今、選挙の実態、日ごろの政治の実態を見ておりまして、このままでいいとお考えになっておるお方がどれほどあるだろうかということも私はよく考えてみました。必要以上にお金がかかる、あるいはある御批判は、お金をかけ過ぎるとおっしゃる方もあるわけですけれども、しかし、現実の問題として各党がお届けになっておる政治資金というのを見てみましても、随分膨大な額が必要になっております。いい悪いの問題は別であります。  こういったときに、これを特に今の選挙の制度そのままでいきますと、多数党を形成しておる者は、同じ選挙区において同じ党の複数の候補者が争う場合が特に衆議院の選挙の場合には非常に多かった。そういうところで政治と政治資金の問題が随分議論されておることもこれは議員もよく御承知のことと思います。選挙制度審議会が各界各層の代表の方々、有識者の方々のお集まりによって非常に精力的な御審議をいただいて、これだけはという答申をいただいたのでありますから、内閣はそれを最大限に尊重して、しかもこういう国民の皆さんから非常に政治不信を受けたこの時期にこの答申を受けたということを私は厳しく受けとめて、内閣の命運をかけてこの問題解決のために前進をしていかなきゃならぬということを閣議でも閣僚とともに申し合わせ、そして事の内容は議員の皆さんの身分に関する重要な問題でありますから、各党各会派の御議論を十分いただきながらこの問題の解決に当たっていきたいという考え方を率直に表明し、御理解と御協力をお願い申し上げた次第でございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 私がお伺いをしているのは、総理が内閣の命運を賭すとおっしゃった以上は、どういう事態に対して責任をとらなければならぬということをお考えになった上でのことだと思うのであります。  一つは、政治改革に対する成案を得られて、そしてそれが実現できない場合、このことに対してはこれは私ども野党の立場の者もその論議を通じて責任の一端を負うべきものだと考えております。しかし国会に付すべき成案を得られない場合、あなたは十一月をめどにということをおっしゃられておりますけれども、成案を得られない事態に立ち至る場合には、内閣の命運を賭すということをおっしゃっているのでありますから、当然にそのときには進退に及ぶものと思いますが、そういうことをお考えの上ですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 政治改革をやり抜こうという大きな目標を持って成案を得るべく努力をしていくことはこれは当然でありますけれども、具体的なこれから取りまとめの作業を始めるときでありますから、やれなかったときはどうするか、やれたときはどうするかという、むしろ国会議員の一人一人の身分、立場に関する重要な問題ですから、第三者的な立場でやれなかったらどうするか、やれたらどうするかじゃなくて、やるためにどうしなきゃならぬかということについての御意見も率直に述べていただきたい。  また、政府の選挙制度審議会がいろいろ今御批判のあるこの選挙制度に関して各党の皆さんの御意見も承りたいとこう申し上げたときには、どうか御出席いただいていろいろ御意見を承りたい。この議会でその御議論をいただく場をつくるために政府としては最大限の努力をして、成案をまとめるべく全力を挙げて努力をいたしますから、どうぞそれについては御議論に参加をしていろいろな角度からの御議論をしていただきたいと、私はそうお願いをいたします。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 法案が国会に提出されれば、その論議を野党として私どもも十分に尽くすことは当然であり、また我々自身もみずからの考え方を明らかにしなければならぬ、こう思っております。しかし、命運を賭すという言葉を軽々しくお使いになったものではない、私はこう思っておるのでありまして、当然この問題の成り行きによっては内閣の責任をかける、こういうことだと私はあなたの言葉を理解いたしましたので、そのことはそういうことですかということをお尋ねしているんです。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 極めて重く受けとめて私は申し上げております。同時に皆さんにも、それは今なさなければと、今のままでいいとおっしゃるなら別ですけれども、今のままではいけないと私は思っておりますから、極めて重く受けとめております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 この問題はいずれ内閣の命運を賭していただくときが来ると考えておりますので、私どもは議会制民主主義を守り育てるというそういう立場に立ってこの問題には真剣に厳しく対応してまいりたいと考えております。  二番目にお尋ねしたいのは、韓国大統領の訪日を前にして、今戦争責任論がいろいろと議論をされておりますし、先般も矢田部委員の方から質問もございました。  私は、日本の侵略戦争に対する責任、それから一九一〇年の日韓併合を初めとして、アジアの各国に対する植民地支配や侵略によって日本が犯した大きな誤り、このことに対する反省と、そのことに対する事実の認識というものをきちんとやらなければならない。戦争が終わって四十五年たっていまだにこれらの問題が議論されているということは大変私は不幸なことだと考えているのであります。我が国でこの問題をきちっと国際的にも国内的にも決着をつけるということになれば、総理大臣がどう言われるというような問題ではないのではなかろうかと思っておりまして、国権の最高機関としての国会において明確な決議を行い、その上に立って首相が発言をされる、あるいは天皇のお言葉となる、こういうことが正しいのではないか。そのことを今我々はやるべき責任を負うているのではないかと考えているのですが、いかがでしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 過去の歴史に対する認識につきましては、私は、過去の歴史というものは正しく認識して、反省すべきはきちっと反省をして再び繰り返さないような決意をきちっと内外に表明することが大切だと考えておりますし、また昭和四十年に日韓共同コミュニケにおいて、過去の関係は遺憾であって深く反省をするという立場、また昭和四十七年の日中共同声明において、過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し深く反省するという認識を表明したわけでありますけれども、私はこの態度についていささかも変わるものでないと思っております。内閣としてはそのような基本をずっと貫いてまいりましたからこれからも貫いてまいります。  国会の問題につきましては、それこそ各党各会派の皆さんのお話し合いによってどういうようなことをされるのかは国会の問題であろうと、こう考えさせていただきます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 なぜこれらの問題が今日なお決着できない状態にあるかといえば、歴代の自民党内閣の中で、閣僚の中からもこの戦争責任に関する国際的な問題を引き起こすような発言もしばしばございました。また、自民党幹部の中でもそのような御意見を述べられた方もございます。  そういうことで、この問題は国内的にも決着がついていないだけではなく、国際的に依然としてアジアの諸国を中心にして日本に対する不信感があるわけであります。私はこの問題については、この際国民の意思を代表する国会が国権の最高機関として日本の明確な意思をあらわすことによって決着をつけるべきときに来ていると考えているのでありまして、自民党の総裁としてどうお考えになりますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 内閣としてどのように考え、反省しということについては率直に申し上げましたが、私、自民党総裁としても個人としてその気持ちに変化はございません。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 いや、国会決議をやることについてどう思いますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 国会決議は国会でおやりになる。内閣が言うべきことじゃない。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 じゃこの際、今、天皇がどのような御発言になるかというようなことが随分話題となっておりますけれども、日本の元首というのは憲法上どうなっているんですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 天皇は、日本国憲法において、日本国民統合の象徴であり日本国民の総意に基く、憲法上こうなっておると思います。  難しい理論につきましては、これは法制局長官からお答えをするのが相当かと思います。

工藤敦夫内閣法制局長官

○政府委員(工藤敦夫君) 今、天皇の元首性と申しますか、そういう……

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 日本の元首はだれかと聞いているんです。

工藤敦夫内閣法制局長官

○政府委員(工藤敦夫君) 元首ということにつきましては、元首の定義いかんにかかわる問題であると、かようにかつてお答え申し上げていると思います。かつてといいますか、はるか以前のように、元首というのが内治外交のすべてを通じまして国を代表し、行政権を掌握している存在である、こういうふうに定義いたしますならば、現在の憲法のもとにおきましては天皇は元首ではない、こういうことになろうと思います。しかし、今日の定義の、まあ定義する方にもよるわけでございますが、実質的な国家統治の大権を持たなくても国家におけるいわゆるヘッドの地位にある、こういう方を元首と見る見解もございますし、そういう見解もかなり有力であろうと思いますが、この定義によりますならば、今総理大臣がお答えになりましたように、天皇は国の象徴であり、さらにはごく一部ではございますけれども、外交関係におきまして国を代表する面もございます。そういう意味で、現憲法下において、そのような限定された意味におきましては元首であると言っても差し支えなかろうと、かように考えております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 元首としての性格もお持ちになるということになれば、憲法上の天皇のお持ちになる権限その他を考えました場合には、やはり天皇が御発言になられます場合のその根拠として、国権の最高機関である国会の決議というものの上に立ってなされる方が一番妥当なのではないかと考えるんですが、いかがでしょうか。

工藤敦夫内閣法制局長官

○政府委員(工藤敦夫君) 現在の憲法におきましては「天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。」ということがございますし、天皇が政治にわたられるようなことは厳に慎まれるということになっております。そういう意味で、内閣の責任におきまして行動されるということが基本であろうかと思います。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 内閣は国会の議決に基づいてこれらの問題について内閣の意思を明確にされることがよろしかろうと、そう思うんですが、いかがですか。

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 速記を起こして。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 日本国の憲法は三権分立の精神にのっとって構成されておるものと私は思っております。内閣は行政の責任、国会は立法の責任をそれぞれお持ちになっておる。お互いに予断と憶測でもって侵したり侵されたりしてはいけないものだというように私は理解しております。内閣が何を決めても国会は全部それに従うというような決め方はどこにもございませんし、そんなことをしたら、今申し上げたようになぜ三権分立になっているかということがおかしくなりますし、また天皇のいろいろな御発言に対して憲法上は「内閣の助言と承認」においてこれを行うと制限列挙してございます。天皇は象徴であられるということは日本国憲法に特記されておる、世界の憲法にどれと、比較憲法学者でないからわかりませんが、非常に珍しい例ではないかと私は受けとめております。そういう意味で、法理論的な細部にわたった議論に関しましては法制局長官に答えをいたさせます。

工藤敦夫内閣法制局長官

○政府委員(工藤敦夫君) お答え申し上げます。  ただいま総理お答えになりましたとおりでございます。我が国の憲法におきましては、三権分立の立場に立ちまして、行政に関しましては内閣がその責任を負うことでございます。  ただ、もう一言つけ加えますならば、当然国会が、議院内閣制という制度も我が国憲法はとっておりますわけでございますから、内閣がやりますことに関しまして例えば国政調査権のようなものといった、三権分立とそれに伴うそれぞれのチェック機能と申しますか、そういうものを有していることもまた当然でございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 国会が過去の戦争、侵略、植民地支配等に対する責任と反省、謝罪を明確にすれば、これは国民の総意として内閣総理大臣はそれに基づいて御発言になる、こういうことになりますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 今日までも、国会の御決議をいただくときは、各党各会派のお話し合いによってそのような決議をなされたと存じております。国会の決議は、内閣といたしましてはこれを尊重してまいりました。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 それでは、もう一つ総理に政治の姿勢に関する問題としてお尋ねしておきたいことがございます。  米の自由化の問題をめぐってあなたの党の政務調査会長が、過般、ある新聞のインタビューに答えて、国会決議は大変重いものだ、もし米の自由化をやるようなことになれば内閣は総辞職すべきだ、こういうことをおっしゃっておりますが、まず農水大臣、御存じですか。

山本富雄自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(山本富雄君) 存じておりません。聞いておりません。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 これは最近、全国農業新聞の一面を飾るインタビュー記事として取り上げられた問題でございます。当然このような重要な問題はあなたにはごらんになるようにするのが役所の仕事じゃないかなと思うんですが、御存じないということなら仕方ありません。  じゃ総理、国会の決議は重いものだ、米の自由化をやるということならば内閣は総辞職すべきだ、それができないならば国会を解散すべきだというような意味であったと思っておりますが、そのことについてどうお考えですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 米の問題については、予算委員会で御議論のありますたびに、国会決議を尊重して国内産で自給するという基本的な方針で対処してまいりますということを私も再三お答えしてまいりました。その国会決議は重いものであるということも重々よく承知しております。その先のことについて私は何ら申し上げたこともありませんし、またそういったことが言われたというインタビューの記事なるものも私も寡聞にして承知しておりませんので、私の基本的な立場をもう一回ここで御答弁申し上げてそれで御理解をいただきたいと思います。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 時間が大変制限をされておりますから、税制の問題について少しお尋ねをしたいと思っております。  まず最初に、予算にあらわれた数字の確認からさせていただきたいと思うのでありますが、平成二年度における消費税の収入見込みは六兆六千五百億円。うち消費譲与税が一兆三千三百億円となっておりますが、この数字は私が申し上げたことで間違いありませんか。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) おっしゃるとおりでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 六兆六千五百億円と積算をされた根拠について、六十三年十二月に消費税が成立いたしますときには六十三年度ベース、平年度五兆四千四百二十五億になっておったはずでありますが、これが平成元年度を経て二年度に六兆六千五百億まで伸びてまいりますその根拠を御説明いただきたい。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 消費税の税収を計算いたします際に一番基礎となっておりますのは、事業者の国内の付加価値額でございます。その付加価値額を私ども積み上げで計算いたしますと、平成元年度ベースの場合は二百四十九兆円というのがもととなっておりましたが、平成二年度にはそれを二百七十二兆円というところをベースに計算をいたしてございます。それをもとにいたしましていろいろ輸出分あるいは投資分等の調整をいたしまして課税対象額を算出するわけでございますが、その課税対象額は平成元年度分では百七十九兆円、平成二年度分では百九十三兆円ということになっております。  しかしこれは過去の実績をもとにして計算されたものでございますので、それをもとといたしまして経済見通しなどの数字を使いまして当年度分に引き伸ばした数字といたしまして、課税対象額は平成元年度の場合百九十八兆円でございましたが、平成二年度の場合には二百十三兆円ということになっております。これに対しまして三%を乗じますと平成元年度の場合には五兆九千四百億円、それから二年度の場合には六兆三千九百億円ということになるのでございますが、それをもとにいたしまして、前年度から繰り越されてきている課税見込み額あるいは翌年度に移る分、それから普通乗用自動車に対しまして三%上乗せした六%の税率を適用しておりますが、その分の調整等をいたしますと、最終的に収入見込み額といたしまして平成元年度は四兆五千二百二十五億円といたしましたが、それに対しまして平成二年度は六兆六千五百億円ということになっている次第でございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 この六兆六千五百億円の消費税収というのは、いわゆる見直しが実現するという前提に立っているものだと思いますが、そうですか。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) おっしゃるとおりでございます。見直しが実現するものとして平成二年度に及ぼす額を調整してございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 それは幾らになっておりますか。平成二年度の減額分、それから平年度ベースで見直しによる減額は幾らになっておりますか。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 初年度分といたしましては八百七十五億円でございます。これを平年度といたしましては八千五百二十億円と相なります。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 幾らだって、平年度は。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 八千五百二十億円でございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 大蔵省の税制改正の要綱によれば、見直しによる消費税減収は二年度ベースで平年度六千八百二十億じゃありませんか。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 委員の御指摘になりました数字は一般会計ベースでございまして、先ほど来申し上げております、例えば税収額で六兆六千五百億と申しておりますのは消費譲与税分も含めた数字でございます。ベースが違いますが、一般会計ベースでとりますと御指摘のとおりでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 そうすると大蔵大臣、自由民主党の見直し方針が発表されましたときには、元年度ベースでこの見直しによれば一兆一千四百億の減税となる、こういうことを国民に対して説明されておりますが、八千五百二十億の平年度ベースの積算を大蔵省がやっているというのはどういうことになりますでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 自由民主党が試算をされましたものと政府が消費税の見直しに係る数値として現在御説明を申し上げております数値との間の差、正確な数字は今主税局長から御説明をさせたいと思います。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 私、もっと正確に申し上げるべきであったかもしれませんが、先ほど平年度ベースで八千五百二十億円の減収と申し上げましたのは、一つには減収分といたしまして一兆一千三百五十億円がございまして、それに対しまして、逆に消費税の仕入税額控除の制限などによりまして増収分といたしまして二千八百三十億円があるわけでございます。それを通算いたしますと八千五百二十億円の減収となるわけでございます。  委員御指摘の自民党の数値というのは、この政府の計算でいきますと一兆一千三百五十億円という減収サイドの数字に相当するものであろうと存じます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 そうすると、この八千五百二十億円の内訳を説明してみてください。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 消費税の非課税範囲の拡大等で一兆一千三百五十億円の減収となっておりますが、そのうち飲食料品の小売段階非課税それから特別低税率の創設によりまして九千八百七十億円の減収でございます。その他の非課税範囲の拡大によりまして一千四百八十億円ということになっております。それから、消費税の仕入れ税額控除の制限等といたしまして二千八百三十億円これは増収を見込んでございますが、一つは仕入れ税額控除の否認、例えば交際費でございますとか自動車の一部でございますとか、そういうものであり、もう一つは中間申告や納付回数の増加による分が出てくるわけでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 それでは、今納付制度の改善ということを言われましたが、免税事業者それから簡易納税制度などの適用によって税収減が、当初平年度で四千八百億程度を見込まれたんではなかったかと思うんですが、一年を経過いたしました今日、どの程度の実績を見込んでおられますか。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 先ほど御説明申し上げた中で、基本的な計算といたしましてまず最初に事業者の国内付加価値額等を計算する、平成二年度で申しますとそれは二百七十二兆円であるということを申し上げました。そこからいろいろ調整をしていくわけでございますが、その調整の中に中小事業者に対する特例という分がございまして、それを私どもの計算では約十六兆円というように申し上げておりました。その十六兆円に三%を掛けて四千八百億円ということが言われているわけでございますが、税収ベースで調整をしているわけではございませんで、付加価値額を調整して課税対象額を出す段階でその対象となる中小事業者の付加価値額を十六兆円と見ているということでございます。  委員御承知のように、例えば三千万円でございますとか五億円でございますとか頭打ちがある制度でございますので、年の経過とともに所得水準、売り上げの水準も上がってくるわけでございますけれども、同時に卒業していってしまうものが出てまいります。そこで平成二年度分につきまして我々が再度計算いたしました結果、やはり約十六兆円という同じような結果が出ておりまして、それは卒業していく分が出るということであろうと考えております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 この問題については、昨年見直し方針が発表になりましたときに、本年の五月までで一巡をするのでその間実態把握に努めてそしてその上で検討を加えなければならぬ、こういうことになっているわけです。既にその五月が半ばに来ておりますが、検討をされた状況というのは御報告できますか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今国税庁がちょっと参っておりませんので一応私から申し上げますと、現在まだその作業は続いておるわけでございます。そして、この五月いっぱいで完了いたしました段階でこれを各税務署から全部上げまして集計いたしてまいりますと、最終的な解析が終わりますのは、恐らく七月の終わりぐらいには全部の税務署から上がってまいりましたものを解析して御報告のできる状況になるであろうと思っております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 私は、消費税の税収が平成二年度において六兆六千五百億と積算をされた。しかも見直しによる減収八百七十五億を控除してそうであるということは、六兆七千三百七十五億の現行法による積算があったということになるわけですね。六兆七千億へ伸びるというその根拠を先ほど主税局長が説明されましたけれども、同じ大蔵省から出されております民間最終消費支出の伸び率や、政府消費支出の伸び率などを見てまいりますと、そういう面からそういう計算にはなってこない。とすれば、最初の消費税をつくりますときの消費税収の見込みが非常に小さく抑えられたのか、あるいは平成二年度の予算編成に当たって大きな積算をやられたのか、そのどちらかであろうと思うんですが、この点はどう思われますか。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 先ほど、課税対象額をまず出す、それが平成元年度は百九十八兆円であり、平成二年度は二百十三兆円であるということを申し上げました。それに三%を掛けまして課税見込み額を出すわけでございますが、単純に三%を掛けますと、平成元年度の場合には五兆九千四百億円、平成二年度の場合には六兆三千九百億円ということになるわけでございます。  ところが、委員御承知のとおり、平成元年度は初年度でございましたものですから、税収といたしまして平成元年度に入ってまいりませんで、平成二年度に繰り越される課税見込み額というのがあるわけでございます。それが約一兆七百四十億円ございました。この一兆七百四十億円は、平成元年度の課税見込み額五兆九千四百億円の中に一応入っているのでございますが、平成元年度から落ちまして、繰り越されて翌年度の平成二年度の方に加わってくるわけでございます。それに対しまして、今度は平成二年度から平成三年度に繰り越されるものがあるわけでございますが、これはもう初年度ではございませんので、初年度と比べまして減りまして六千五百四十億円ということになります。この六千五百四十億円は先ほど申しました平成二年度の六兆三千九百億円の課税見込み額から落ちるわけでございますが、他方一兆七百四十億円が乗っかってまいりますので、委員の御指摘になりましたように、課税対象額の伸び率と比べまして税収の伸び率が高く出るという結果になっております。それはそういう年度間の調整によるものでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 しかし、こういう大きな伸び方をする中で、簡易納税制度などによるいわゆる税収が、消費者は納めたけれども国庫に納入されない分が依然として四千八百億のまま推移するという計算は、卒業の問題だけで四千八百億ということになっていかないんじゃないですか。全体がずっと大きくなる中で、こういう納税制度の特例による減収分というものは据え置きのままという計算にはならないんじゃないですか。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 平成二年度分につきまして、平成元年度と同じ方法で積み上げてみたものでございます。その結果、大体同額ということになりました。一般に経済が伸びているのにここのところが同額と出てくるのはどういうことであろうかと我々も中で議論をしてみたのでございますが、検討の結果、やはり卒業していくものが出ていくために頭打ちがございますので、三千万とか五億とか、そこを出ていって普通の課税事業者になってしまうという方々が出てまいりますので、全体としては確かに御指摘のようにかさ上げになっているわけでございますが、課税ベースの調整額としては同じ十六兆円と出てくるということでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 私はそうはならないと思っているのでありまして、もともと免税業者の負担する分というのは非常に小さいのでありまして、簡易納税制度の適用を受ける資格を持つものは全企業の九六・七%に及ぶわけですから、九六・七%のものの中から簡易納税制度の枠を卒業するものというのはそんなに出てこない、こう思うんです。  この問題は、徴税制度に対する納税者の不信というものが非常に高まっている中で、大蔵省としてはできるだけ四千八百億という数字を据え置くことによってこの額を小さく見せたいというお考えがあるんだろう、こう思っておりまして、非常に問題だと思っておりますが、一巡しました段階での実態の報告を詳細にしていただきました段階で、私どもとしてはまたこの問題についても意見を申し上げたいと思っております。  いずれ消費税の問題については、税制特別委員会が設置されることになれば、そちらでも詳しい議論が行われることになると思うのでありますけれども、この際総理大臣に伺いたいことは、なぜ消費税の見直しを必要と考えられたのか、見直しの根拠ですね、それをひとつ御説明いただきたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 見直しの根拠とおっしゃいますが、私が率直に申し上げますと、消費税の制度を導入しましたときは、社会に必要な費用をできれば公平にすべての人に負担していただきたい、こういう理念で、資産も含めて所得と資産と消費、この三つの税制を加えることによって新しい税制改革をしていこうというのが昨年の四月からスタートしたときの消費税の姿でございました。いいと思ってこれを施行したのでありますけれども、参議院の選挙のときにいろいろな世論の御批判も受けました。また、主観は客観に否定されるというんでしょうか、いいと思ってやったことも、世論調査の結果を見ると見直しをしなさいという声が非常にたくさんございました。私は、ですから、世論の指さす方向というものにも率直に従わなきゃならぬ。  それから、自由民主党の中においても、今のままでいいんだろうかということでいろいろな角度から見直しの議論をいたしました。そういったときに、例えば家賃に対する課税は、今住宅宅地問題がこれほど社会的に要請が強いときだから、それはやはり反省して見直して、なしにした方がいいんではないだろうかとか、人間の生命の根源に触れる部分に課税するのはどうかというお声も随分ございました。そういったことにも率直に反省をして見直しの対象といたしました。  また、世論調査なんかで一番多く出てまいりましたのが、食料品の小売段階における課税の問題でございました。そういったことを全部踏まえて、政府と与党とのいろいろな反省の上に立って、世論を尊重して見直し案をまとめ上げた、こういうことでございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 消費税は、本来課税してはならないものに課税し、税制の基本的な理念からいうならば誤りがあったということをお認めになって見直そうとされているのですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 私はそのような角度からしたのではございません。  今申し上げましたように、確かに日本では消費税という制度、仕組みは初めてのことでございましたが、世界のOECD加盟国や、あるいはそれ以外の国でももう五十に近い国において、名前こそいろいろ違いますけれども、消費に対して課税がなされておるという実態があるわけでございますし、また、所得と消費と資産とにバランスのとれた課税をするというのはいろいろな国で行われておる税制でもございます。したがいまして、国の将来のことを考えてなるべく広く必要な費用を負担していただきたい、こういう願いから税制を考えたものでございます。  したがって、消費税の既に施行して始まりました中において、世論の御批判等も十分に参照して見直しをすることによって消費税というものの定着を図っていきたい、こう考えたんです。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 私は、見直すという以上は、特にあなたは思い切った見直しが必要だということをおっしゃったんだから、見直すという以上は現行消費税には欠陥ありということを認めたから見直そうというんじゃないんですか。文句を言うから、それじゃ少し直してやろうか、こういうことですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 欠陥があるから見直したのではございません。また、私は世論というものを極めて大切に尊重しておりますから、文句を言うからというようなそういうことじゃなくて、世論の結果、世論の指し示す方向がこうであったから、むしろ私たち自身のいいと思ってやったことも、これは世論の指さす方向と見ればいろいろあるので素直に、思い切って、いいと思っておるけれども、欠陥があるとは思わなかったが、見直す方が世論を尊重した結果になる、素直にこう思ってやったんですからどうぞ御理解をいただきたいと思います。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 海部さんらしくもない答弁だと思いますよ。消費税にはいろいろ欠陥があった、だから見直すということなんじゃないんですか。間違いはない、欠陥はない、しかし世論がいろいろあるから直そう、それはちょっとあなたの言い方としては私は聞こえないね。  特に見直しの問題について、人の生命に対する国民感情に配慮というのは、人の生命に対する問題について消費税という名前のもとに課税をしたということは、これはやっぱり間違いだ、だから直そう、こういうことじゃないんですか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、今委員が使われました欠陥という言葉の定義を争うつもりは別にございません。ただ、お考えをいただきたいのは、その消費税の前に売上税についての論議があったということであります。そして売上税の論議の際、御承知のように非課税範囲を相当大きくとって政府は国会に御提案を申し上げました。しかし、その非課税範囲を非常に大きくとりましたこと自体がさまざまな不公平を呼び、非常に厳しい御批判を仰ぐ原因にもなったわけであります。そうした反省の中から、すべてに対して課税という精神を最大限私は当時の税務当局として考え、消費税という制度を組み上げたと、私はそう理解をいたしております。  今委員が御指摘になりました人の生命にかかわる部分というもの、これはたまたま税の理論と社会保障の理論の谷間にあった部分だと私は理解をいたしますが、今それを委員が欠陥と言われるなら、そうした議論も成り立たないとは私は申しません。ただ、非課税を拡大して売上税が批判を受けた中で、消費という行為そのものに着目をし例外を最小限度に抑えて公平を期そうとした消費税という考え方がベースにあったことについては、これは賛成反対は別として、考え方としては私は御理解がいただけることだと思います。  その上に立ち、消費税というものの一層の定着を図るという視点から、政府として、まさに総理から今御答弁がありましたように、国民の声というものに耳を傾け、国民の御要望を受けてこの見直し案を現在国会に御審議をお願い申し上げておる、そう御理解をいただきたいと思うのであります。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 海部さんは文部大臣を二度もおやりになった。橋本さんは厚生大臣をおやりになった。あなた方が、今税の技術論としての整合性からそういうことをおっしゃるけれども、税の理念というものに立てば、そして議会制民主主義の原点は税制がいかに社会的正義と公平を貫くことを求められているかという立場に立てば、誤りは誤りとして率直に認めるべきであって、人の生命にかかわる問題に課税をしたということは、厚生大臣経験者の大蔵大臣としては、これはやっぱりよくなかったと、こう認めなければいけない。そしてまた、学校教育にかかわるものに、証明書にまで消費税を課すことを決めた、こういうことは文部大臣を二回もおやりになった海部さんとしては、やっぱりこれは間違いであったということを認めた上で見直すという考え方に立つのでなければ、この消費税は全然間違ってないんだ、全く誤りではないんだ、しかし国民がいろいろ批判をしているから少し直しましょうかというのは、それじゃ誤りのないものを見直すということは、見直すことによって誤りを犯すということになりませんか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員からおしかりを受けましたけれども、私はそのおしかりそのものに対して議論を吹っかけようなんという気持ちはありません。  ただ、先般の税制改革というものに当たりまして、最も基本的な理念として負担の公平、経済への中立性、制度の簡素化というものが挙げられておりましたことは委員御承知のとおりであります。殊に、その負担の公平というものが税制に対する納税者の信頼の基礎でありますこと、また全体としての負担の公平というものが垂直的な公平と水平的な公平という二つの理念を適切に組み合わせるというところにあったことを私は御理解いただけると思うのであります。その上に立ちまして、税の議論としては私はその消費税の考え方というものがそれなりに貫かれていると思っております。ただ、前任ポストに戻りまして厚生大臣と言われましたが、ですから、私はその社会保障の議論のすき間と税制の議論のすき間にこうして国民から御指摘をいただく事態が起きたと考えておりますと率直に申し上げ、欠陥と言われればそういう見方が成り立たないとは言いませんということも申し上げております。  ただ、税の理論という視点から通して物を申します限りにおいて、私は今委員が述べられましたことを税の議論の上における欠陥とは考えておりません。むしろ他の制度との組み合わせの中で私はもう少し国民感情を考え、努力をすべきものがあった。それは私が大蔵大臣になりましてからも何遍か申し上げてきておることでありますけれども、税理論というものにおいて消費税という制度に欠陥があったという委員の御指摘については、これは私はそのとおりだとは申し上げるつもりはございません。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 それは税を取る側の理論としてその合理性を求めようとすれば、そういうあなた方の主張になるだろう。しかし、税を納める側の立場に立てば、明らかに間違いなんですよ。だから、その税を納める側の意見を徴することなく消費税を強行した。そして税を納める側の消費者である国民が批判をし、意見を述べた。そうすれば、あなた方が消費税を取り入れるに当たってつくられた税制改革法四条には「国民が公平感をもって納税し得る税体系の構築」、こういうことがうたわれていますね。「公平感をもって納税し得る税体系」になっていないから、納税者である国民は批判し、廃止を求め、また一部の人たちは見直しを求めたんです。だから、その辺は率直に認めないとあなた方の見直しというのは一体何なのかということになるんです。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、私は私の現在の立場として最大限素直に申し上げておりますのは、社会保障としての考え方、それと税制との間のすき間に問題がなかったとは私は申しておりません。ただ、税の理論というものからいきますならば、負担の公平という中でそれなりに私は制度としてはよくできているということも前に申し上げた記憶がございます。  ただ、私自身が大蔵大臣になりましたときに、率直にその状況の中で国民に対して御意見をいただきたいと申し上げましたのも、まさに今委員が御指摘になりましたような税制としての理論的な精緻な組み上げ方、その中における完結度とそれを受けとめる国民の意識の間には差異がある。その差異というものは、例えば人の生命というものにと今委員が御指摘になり、あるいは教育というものについてと言われるまさにそうした点にあったと私自身も考えておりますから、ですから、あえてそれを欠陥と言われますと、私は税制の欠陥という、税制としての制度の欠陥ではない。税制を組み上げていく中でむしろ国民感情をもっと吸い上げる努力を事前にして反映しておくべきであったというような御指摘であれば、私はこれは素直に受けなければならないと思うんですけれども、制度の仕組みとして税理論の世界で議論をいたします限り、これは欠陥と私は申すことではないと思っております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 私も教師をやっていたことがありますが、間違っているから改めるということは、これは子供とも、また私ども自身も子供に教えられるという立場でも、いつも考えてまいりました。しかし、間違っていないということならば、なぜ直すのか。これは国民にはわかりにくいことですね。私はその点は率直に、やっぱり総理大臣、首相としてはそういう言い方をなさってはいけないんじゃないでしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 税の問題につきましては、先ほど申し上げたことを繰り返すことになると思いますが、私は消費税だけをとらえて御議論いただくのじゃなくて、所得と資産と消費にバランスのとれた税の仕組みで、公平に社会に必要な費用をすべての国民の皆さんに負担していただくようにしなければならないという考え方を持っておりました。  したがいまして、昨年四月からスタートした税制改正のときも、消費税三%が加わるというところ以外にも、例えば所得税なんか随分減税になっておるわけでありますし、法人税も減税になっておるわけでありますし、そういった減税になった分と、それから減税だけでは国の財政も成り立っていきませんから、バランスをとって資産にも、原則非課税という資産課税を原則課税ということに持っていった。消費税も新しく入った。そのかわり間接税その他のものについては、従来やってきたいろいろ批判のあったものはなくしていった。全体像の中でいろいろ思い切った御議論をいただきたいということを申し上げながら、その考え方は欠陥があったとか間違っておったとかいう受けとめ方はしておらぬわけであります。  ただ、世論調査の結果やいろいろな御注意や不満等が聞こえてまいりますと、政府と自民党だけで間違いなかったと言っておってもこれは定着させるのにいろいろいけませんから、国民の皆さんの理解と御協力を最終的には得なきゃならぬので、それなれば定着をさせるためにいろいろな問題について思い切って見直しをしていこう、こう決めて見直しをしたわけでございまして、言葉をかえて言うと、よりよきところへ持っていって定着するように御理解をお願いしたいというための努力の一環であったと申し上げさせていただきたいと思います。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 これは本来課税してはならないものに課税し、そして逆進性を高めることによって社会的弱者に非常に負担を重くした。しかも、こういう問題について、今はしなくも総理が言われたけれども、消費者である国民の意見を十分に組み入れることができていなかった。これが議会制民主主義のもとにおける税制を考える基本ですよ。そのことにおいてまず誤っていたんじゃないですか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は当時の経過を正確に存じておるわけではございませんけれども、従来の政府の税制調査会の審議のあり方等を考えてみます限りにおきまして、公聴会等において国民の声を聞く努力等は相当程度に払われておったと思います。そして同時に、いろいろな角度で私は意見を吸い上げる努力をしておったと思っておりますけれども、それが不足していたというおしかりは甘受いたします。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 本来、税における公平というのは、消費税のような税制によって公平が期せられるのではなくて、入り口における応能負担主義の原則というものを重視せず、出口における生活、人間が生きるために必要なものにばさっと課税をするということによって、公平というのは、本来、同じ所得や資産のある者が同じ税金を負担するということに対する水平的公平が期せられていないということに対する国民の不満を逆用して、それを支出における公平な負担ということに置きかえることによって消費税は税制における公平を根本から崩したと私は思っております。特に今日のように所得や資産の格差が拡大をしていく情勢の中で、所得税のフラット化とリンクさせながら消費税を導入しておいて、一方では所得や資産のフラット化については何の政策もとられていない。こういうことによってどうして国民が消費税を公平な税制として受けとめることができるでしょうか。だからこそ、今国民の消費税に対する批判が強いわけです。このことに対して、率直にやっぱり消費税の欠陥や誤りというものを認めて見直しを言わなければいけないんじゃないでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今公平という視点からいろいろな御論議をいただいたわけでありますけれども、税負担の能力というものをどういう指標で測定するかというのは一つの問題点でありますけれども、今委員がお述べになりました中にもありましたように、個々人の税負担の能力を示す指標として所得、資産、消費というものが考えられる、これは御指摘のとおりであります。そして、その所得というものにつきましては、これは所得課税というものがまさにあるわけでありますが、昭和五十年代の後半にその所得税というものを中心にした所得課税に対して非常に国民から悲鳴が上がっておりました状態を委員も御否定にはならないと思います。そうした中で税制改革を求める声が世論調査の中でも圧倒的に大きかったことは私は否定なさらないと思うんです。そして、そういう中で今回の税制改革というものは行われたわけでありまして、それが所得課税をフラットにしたというおしかりになるとすれば、私はこれはちょっと承服はできません。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 そうではない。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) そうではないんですね。ありがとうございます。  そうすれば、これはやはり垂直的な公平というもので累進的な負担を求めることのできる仕組みとして御了承のいただけるものでありましょう。同時に、消費というものを指標とする消費課税というものは、これは本当にその消費の大きさに応じて比例的な負担をするという水平的な公平の確保という意味で十分私は御理解のいただけるものであると思っております。  ただし、それは委員から先ほど来御指摘を受けましたように、他の仕組みできちんと組み合わせて対応しません限り、弱者に対して著しい負担を与える危険性を持っておることはそのとおりでありまして、でありますからこそ、社会保障分野その他における手当てというものを一方では拡充もいたしておるわけであります。  そして、今確かに御指摘の中で触れられましたように、今もう一つ国民の中から税に対して非常に御批判の出ておりますものは、資産格差というものに対する適正な課税というものでありますが、これは本委員会においても私はお答えを申し上げたことがあるかと思いますが、従来、その代表的な土地というものについて土地政策というものが確定しない中で税が主役を負わせられていたところに私は土地税制の一つの悲劇があったと考えておりました。土地基本法を成立させていただきました中で、今政府税制調査会の中でも小委員会を設けてこの資産格差の拡大というものに対し、資産課税の適正化を求める国民の声を受けながらこうした点についての見直し、検討が行われておるところでありまして、私はそれなりにきちんと対応し続けておる、そのように理解をいたしております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 時間がなくなりましたので、最後に総理大臣に伺っておきたいことがあります。  消費税の廃止それから見直しは、それぞれ昨年の参議院選挙、ことしの総選挙における与野党の国民に対する重い公約でございます。この公約に基づいて両方の法案が衆議院に提出されておりますが、今日の状況においてはこの両案が決着する見通しが非常に困難と思われますが、総理、どうお考えになっておりますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 私は、御指摘のとおり、選挙中、税の話は楽しい話ではありませんけれども、どうかわかってくださいと言って、見直し案のことを率直に訴え続けてまいりました。私の記憶に誤りなければ、野党の社会党の委員長も二月四日に記者会見で、間接税改革の必要と称して個別間接税の問題を提起されました。選挙中の記者会見、そして相当具体的に普及率によって税率を変えるとか、いろいろなことの御発表が社会党の方からもなされました。ですから、見直し案について、社会党もこの前お出しになったような代替財源案とか、新しい税の再改革基本法というようなものが、名前はどうなるかわかりませんが出てくるものと私は期待をしておりました。それを比べていただいて、国会で間接税のあり方というものはどうすべきかというような角度の御議論がなされるものと思っておりました。したがいまして、私としては、政府がお願いしておる見直し案についてはぜひこれは御審議、御議論をいただくとともに、社会党がお考えになっておるかわるべき税制の姿とはこんなものだという代案をぜひお示しいただいて、それについての御議論がいただけるなれば、これが一番願わしいことではないだろうかと、率直に言わせていただくとこういう気持ちを持っております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 今の、消費税と個別間接税との問題を同じ見直しの枠で論ずるということについて私異論がありますが、そのことについてはまた別の機会にやらせていただきたいと思っております。  ただ、現行消費税ではよくない、だから消費税を何とかしなければならぬということは、国会全体が国民に約束し、負っている責任だと思うんです。そのことをこの国会でどう決着させようとお考えになっているのかということをお聞きしているんです。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 現行の消費税と比べて、見直しをして国民の皆さんに理解をしていただき、より一層の定着をさせていきたいという強い願いで見直し案を提案いたしておりますので、御議論をいただいて、見直し案の成立に向けて御理解をいただきたい、この気持ちで今国会に臨んでおる次第でございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 それはあなたの願望であって、消費税を廃止するという公約に基づき参議院は既に昨年十二月十一日に廃止を可決しておるわけです。そういう経過があるわけです。そういう中で、見直し案を通してくれというあなたの言い方は一方的なんです。どうすればいいかと私は聞いておるんです。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 一方的だと言われますかもしれませんが、政府といたしましては、見直し案をぜひ成立させていただくことが現行の制度よりも少なくとも国民の皆さんのために一歩前進することになると、こう理解をしておりますので、それに対して、皆さんの方のお立場で一方的に廃止廃止とだけおっしゃらないで、少し御議論をいただいて、どちらがよりよい結果になるかという現実の議会政治の中での選択の中に一歩足を踏み込んでいただいて御議論をいただけるとまことにありがたいと私はこう思いますので、どうぞよろしく御理解を賜りたいと思います。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 それではちょっと角度を変えて、衆議院で可決されて今本委員会に付託されております平成二年度予算案は、消費税の見直しを前提にしているものであります。  仮に予算が衆議院優位で成立したとしても、この予算の法的裏づけとなる重大な関係を持つ歳入にかかわる見直し法案が成立しない、否決される、廃案となるという状況になった場合には、これは予算案の否決にも等しい結果だと思うんですが、総理はそのことをお考えになったことはありますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 予算案が憲法の規定その他に基づいて審議され、見直し案も憲法の規定やその他国会の規定で審議されるわけでありまして、私はそれは国民生活を安定、向上させていくという立場から考えますと、全部元も子もなしで否決だということにするよりも、できたものはきちっと認めながら一歩一歩前進していくことの方がより現実的な解決だと思いますので、見直し案のことについても頭から一方的に否決だ、そのときはどうするかとおっしゃらずに、そうなると困るなら一緒になって一遍、議会の立場で考えた場合はどうなるだろうかと、政府はそれは見直しを一方的にお願いしておるんですけれども、議会の立場で国民生活のために考えるなればどうしたらいいかという、その温かい御配慮もぜひいただきたいものだと私は思っております。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 別に私たちが困るというわけではありませんよ。むしろ行政の長としてあなたのお立場が大変お困りになるんじゃないですか。予算は通ったがこの予算の歳入にかかわる重要な法案が否決された、こういう例は余りないと思うんです。  同じ国会でその予算関連法案が否決または廃案となったという例を御存じですか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 予算関連法案と今委員は最後に言われましたので。  予算関連法案でありますと、実は私どもは健康保険法とか厚生年金保険法とか、何回か経験を持っております。  歳入についての重大な関係のある案件ということでありますと、私は今まで大蔵委員会等に所属したことがありませんので、過去の例については十分知識を持っておりません。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 歳出にかかわっての法案では前例がないわけではありません。しかし、歳入にかかわる法案がその予算と同じ国会において審議され、そして関係法案は否決されたという前例はほとんどないんじゃないですか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 申しわけありませんが、私はちょっとそういう過去の例を熟知する委員会におりませんでしたので余り知識を持っておりません。必要でありましたら、政府委員から答弁をさせます。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 厳密な意味で否決になったということでございますと、今最近の例としては思いつかないわけでございますけれども、例えば酒税、昭和五十七年でございますが、酒税が最後の段階、参議院の本会議で可決に至らず流れたという例はございます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 憲法の八十四条の定めによっても、この重大な法案が否決または廃案となるということになれば大変重大なものだと思っております。  それだけに私は、首相としては国民に対する現行消費税はこのままではいけないということを約束された、そのことに対する責任をどう果たすかということで虚心坦懐にこの国会において話し合いができるように、税制特別委員会等において論議をされます際にも、余り政府の出した見直し案が絶対のものであるというこだわり方をせずに論議を深められることが、今国民に対する首相また国会の責任ではないかと思うんですが、いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 政府といたしましては、思い切って見直した最善のものであるとこう確信をして国会に御議論をお願いしておるのでありますが、国会の御議論は国会としての別の高い次元に立っての御議論でありますから、国会の御議論が一層深まっていくことを私どもは期待させていただきます。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 時間ですから。

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 以上で久保亘君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 次に、及川順郎君の総括質疑を行います。及川君。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 初めに内外の諸情勢につきまして、内閣の政治姿勢に関する事項につきまして総理に数点にわたって伺いたいと思います。  総理は今国会における所信演説で「我が国が世界のどの国に対しても軍事的な脅威を与えるような存在となってはならない」、このように明確に述べておるわけでございますが、これは具体的にどのような我が国の防衛を意味するのか、あわせて激動する世界情勢の中での我が国の防衛のあり方も含めて、最初に御答弁をお願いしたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 世界のどの国に対しても日本が軍事的な面で脅威を与えるような国になってはならない、言葉をかえて言いますと軍事的な大国になることを日本は願っておらない、これは御指摘のとおりに私は所信表明で申し上げたところであります。  また、我が国の防衛はどういう考えかとおっしゃいますけれども、これはもう憲法そして専守防衛の大方針のもとに、文民統制のもとでみずからの国の安全と国民生活の平和をきちっと確保するという、専守防衛という面に大きな大原則があるわけでありまして、他国に対して事を構えるとか他国の脅威になるようなということは毛頭考えておりません。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 私は、最近の国際情勢の劇的な変化さらにまたそういう状況の中で、平成二年度予算におきましては防衛計画の大綱水準の達成を目指した中期防衛力整備計画がほぼ一〇〇%達成されたという事実、我が国の防衛費がそういう状況の中で西側先進工業国の中では第二位と指摘されるまでに大きな規模になっているという、こういう状況から考えまして、今我が国の防衛がこのまま進んでいくということが果たして国際世論の中で是か非かということは、極めて重要な岐路に差しかかっていると思っておるわけでございます。  したがって、そうした内外の情勢から考えまして、さきに我が党市川書記長が衆議院の予算委員会で防衛費の三年間凍結、これはまさに時宜を得た主張ではないか、このように思うわけでございますが、この点につきまして総理の御所見を承りたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、我が国の防衛力は、現在中期防の最後の年度になる平成二年度予算の御審議をお願いしておるわけでありますが、あれはもとより平和時における我が国の基盤的な防衛力の節度ある限界を示したものである、こう受けとめております。  これが達成されました後どうするかということでありますが、中期防が終了しますまでに改めて国際情勢及び経済、財政事情等を勘案して、憲法及び専守防衛等の基本的な防衛政策のもとで決定をしていくつもりでございます。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 ミリタリー・バランスの一九八九年から一九九〇年にかけてのデータを、これをちょっと拡大して見やすいように——総理見えますか、お持ちしましたけれども、(図表掲示)この中で見ますと、まず先進国、アメリカ、カナダ、フランス、それから西独、英国、日本、これをごらんになっていただきたいと思います。各国ともに昨年から防衛費は減っている。そういう状況の中できれいに伸びていっているのは日本の防衛費だけです。世界的なデタント、軍事状況というものが変わってきているときに、やはり軍事力、防衛費というものはそのときどきによってふえたり減ったりという、これはあってよろしいのではないか。  平成三年度の大蔵省の概算見積もり、シーリングの方向が出ましたけれども、来年度もやはり防衛費や年金や政府開発援助などは例外扱いという方向で臨むようでございますけれども、このような時期に国民世論の支持を得るということは非常に難しいんではないか。そういう意味で、防衛費の凍結問題に対して総理、検討するという姿勢を示されませんか。再度お願いいたします。  なお、平成三年度の方向というのは先日の報道によって示されておりますから、もしそういう状況でなければ大蔵大臣もお答えいただいて結構でございます。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変恐縮でありますが、事実関係でありますので、まず総理の御答弁の前に私から申し上げさせていただきたいと思います。  現在、平成二年度の予算の御審議を願っております中でありまして、私ども平成三年度の概算要求基準のルールをどうするかまで作業をいたしておる状況ではございません。今委員は、来年度の概算要求基準における例外扱いが確定したという報道を見たというお話でありますが、これは、私が財政当局の責任者といたしまして、そこまで我我はまだ作業が進んでおる状況ではございませんし、先般来国会における答弁の中でも、夏までに私どもは来年度の概算要求基準は決める、それは赤字公債依存体質脱却後の財政のルールをどう持っていくか、それを踏まえて考えていくことであって、夏までに概算要求基準は決めると申し上げておるわけでありまして、今までも防衛費というものを我々は聖域扱いしてきたつもりはありませんけれども、今後も防衛費というものを聖域扱いする意思はないということとあわせて、概算要求基準はまだ我々はルールを決めておらないという事実をまず御報告申し上げます。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 今一覧表もお示しいただいての御質疑でございました。我が国の防衛力というのは、世界が力による対決状態のときにもそれに対してくみしたり、日本が力でもってお役に立っておりますというような、そういう思い上がった気持ちや能力があったわけではございません。したがいまして、平和時における防衛力整備をどのようにしていくか、他の政策との整合性の中でこうしてきたわけでありますから、お示しになった一覧表のように、諸外国と比べて多い年や少ない年があった、諸外国と比べて日本の方はまるきり一直線であったという御指摘でございましたが、それはやっぱり中期防を達成していくというための予算措置であったろうと思っております。それが今度平成二年度予算で終わる、こういう意味でございます。  それから、何度も申し上げるようですが、中期防終了までに改めて国際情勢、財政、経済情勢を勘案しながら防衛の基本政策の決定を行っていくわけでありますから、中期防がきちっと終了するまでに改めて検討をする課題であると考えております。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 総理の考えが今までの既定概念の繰り返しであるということに対して極めて不満ではありますが、大蔵大臣は来年度の方向、聖域扱いをするということは決めていない、このようなことはしかと確認をさせていただきたい。その上に立って次の質問に移らさせていただきたいと思います。  政治改革は海部内閣にとりましても極めて重要な柱になっておるわけでございます。特にリクルート事件等の反省に立ちまして政治改革を進めるという姿勢、これに異論はあるわけではございません。そこで、内閣の今後の姿勢としまして政治改革への具体的な取り組みの内容、これをぜひお聞かせいただきたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 一昨年一連の不祥事件の結果を厳しく反省して、政治改革を行っていきたいという強い決意を持っております。内閣としては、選挙制度審議会からの答申の中でその制度、仕組みの根源、あるいは一連の国民の皆さんの不信を招いたその理由の政治と政治資金に関する問題についても、これは透明性を高めるとか、あるいはどうしても必要な納得のいただけるものならばそれをどのようにして確保していくかという問題等についても、幅広い御議論をいただきました。その答申は、引き続いてさらに夏ごろまでにいろいろと御審議を続けていただくことになっておりますので、そのすべてを受けて、国民の皆さんの信頼を確立するために政治改革は取り組んでいかなければならない、こう考えております。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 第八次選挙制度審議会がその答申で、衆議院での小選挙区比例代表並立制の導入を盛り込んだ答申を出しております。  先ほど同僚委員の質問に対しまして答弁がございましたが、あたかも政治にお金がかかるのは現行選挙制度の弊害であるというような、こういう趣旨にとられる御答弁がございましたけれども、現行制度でもお金をかけないで選挙をやっているところはあるわけです。したがって、政治にお金がかかるということは、選挙制度そのものによっての要因というものがすべてではない、これは明らかにしておきたいと思います。あわせまして、政治改革に名をかりていやしくもまず小選挙区導入ありきというような姿勢に対しては、私たちは断固として反対しております。この点についての総理の所見を承っておきたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 選挙制度審議会の答申の中にも、政治や選挙にお金をかけないようにする方法ということについていろいろ議論され、結局根本は現行制度の中にもその一つの原因があるのではないか、こう指摘がなされております。  特に、私ども衆議院で選挙を十一回戦わせていただきました。衆議院の選挙区制度は今中選挙区という世界でも極めて希有な制度になっております。政権を担当しようとする政党は同一選挙区で複数の候補者を立てて争わなければならぬというのがこれは現実でございます。私はそれがすべてではないとおっしゃる委員のお考えに頭から反論するわけではありませんけれども、複数の者が選挙を戦いますときは、選挙事務所を設けることも選挙を戦うときの組織をつくりますことも、今は全部私でやるわけです。党の支部でもありません。公の機関でもございません。そうしてそこにおいては、公約は同じでございますから、政策の根底は複数の候補者は同じということに相なります。  そうしますと、この答申の指摘にもありますように、政策以外の問題点にいろいろと人とのつながりや選挙行動の主眼が置かれがちになる風潮ということが指摘されますし、同時に、もう少し政党の姿、政党の支部の形が明確になって政党の支部単位の選挙ができるとか、政策中心の選挙ができるというようになりますと、今言いましたような個人が事務所をつくり組織をつくり宣伝活動をしというようなことはなくなっていくものと思うわけです。  ですから、前々回の選挙で当選された議員の自由民主党の有志の方が年間の経費を公表された。新聞に出ておりますから申し上げますが、平均して一億円から一億二千万円となっておる。どうしてそんなにかかるんだろうかなと思って見てみれば、なに自分の胸に手を当てても、事務所や政策宣伝費や広報費や後援会というのはみんな自分の個人の組織であったというようなところに大きな問題点があったことも率直な事実でございました。  そういったものをアメリカの議会がどのような政治活動に対して国が見ておるのか、あるいはヨーロッパではどのようなことが行われておるのか。みんな個人に任せて、政治資金から選挙から政策宣伝から全部個人でやれという制度が近代民主主義の選挙制度のもとでいいものなのかどうなのだろうか。お金のかかる原因がそこにあるんじゃないだろうか。あるいは政権をとろうとなさる政党が、今後現行の選挙制度のままで押していきますと、同じ選挙区で二名、三名、四名という複数の候補者を立てなければ政権担当政党になれないというこの現実からいくと、じゃ政策以外の問題のどこで選挙を戦っていくことになるんだろうか。いろいろな反省や問題点も出てまいりましたので、そのようなことをすべて含めて国会の御議論をしていただきたい。  選挙をきれいなものにし日常生活にもお金がかからないようにしていくことが、この際政治が信頼を確立するためには大切なことではないだろうかと私は考えましたので、その意味でこの選挙制度審議会の答申の中に盛られておる指摘は、私ども自由民主党もこの前の反省に立って考えてきた政治改革大綱のよって立っておる基本的な点と重ねてみると似たような方向を指さしておる、こう受けとめておるところであります。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 私は、政党名で行う比例代表、こういうことを今の政党政治や衆議院の状況から考えるならばむしろ検討した方がいいんじゃないか。なぜ小選挙区制がどうしても必要なのかということに対しては議論の余地は十分ある。  それからもう一つは、ただいまの御答弁で大変な金額を所属の代議士の選挙のメンバーが使ったと。そういう自民党の候補者がお金を使う体質は改めていただきたい。それはぜひその方向で私は努力をしていただきたい。これは私は答弁を求めません。その点だけはぜひ指摘をしておきたい、こう思います。  それで、関連に移りたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) ちょっと答弁させてください。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 そうですか、それじゃどうぞ。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 一点だけ言わせていただきたいのは、私は自民党の候補者がお金をそれだけ使ったとは決して申し上げておりません。前前回当選された衆議院の議員の方が日常的な政治活動の費用に、人件費や……(「自民党の議員だ」と呼ぶ者あり)そう言いましたよ、前々回の我が党の当選された方がと。今度の選挙で使ったという言い方はしておりませんので、それぐらい日常の政治活動にはお金が要るということと、それから各党の政治資金というものは選管へお届けになってたくさん出ておるわけですけれども、それがいい悪いじゃなくて、現実に日常の政治活動にもお金がかかっておるという事実があるわけでありますから、それを個人でやらせるよりも政党が肩がわりして、政策本位の政治活動ができるようにすることがいいのではないかという考えを申し上げたわけですから、それは訂正させてください。選挙に使ったと言っているわけじゃありませんから。

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 関連質疑を許します。猪熊重二君。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 時間がありませんので、直截簡明に質問させていただきます。  深谷郵政大臣とリクルート社との関係の問題でございますが、リクルート社から深谷郵政大臣の後援会である南陽会に対する退会届が出されたということで、四月九日衆議院の予算委員会で我が党の市川書記長が退会届を衆議院に出すようにということで、一カ月たった五月十日深谷大臣から退会届が出されました。この退会届は、作成日付は昭和六十三年七月二十八日となっております。  そこで、深谷郵政大臣にお伺いしたい。  この退会届を南陽会が受領したことに関連して、いつリクルート社のだれから南陽会のだれがどういう方法で受け取ったのか、明らかにしていただきたい。

深谷隆司自由民主党郵政大臣

○国務大臣(深谷隆司君) 猪熊委員にお答えする前に、重ねて申し上げますが、このたびの自主申告がおくれたことで多大の御迷惑をかけましたことをまことに申しわけなく、深く反省していることを申し上げさせていただきたいと存じます。  市川先生から、お話しのように、退会届の件についての資料要請がございました。私どもも事務所でスタッフが集まりそれぞれの報告を聞いたのでございますが、当時としましては退会届を念のために預かっておいた方がいいのではないかという程度で、まさかこういう事態になると思いませんでしたから、これを証拠物件として保管していたというものではなかったようでございます。  いつごろどういう形でということについては定かではございませんが、あの日付が六十三年七月のたしか二十八日になっておると思いますので、恐らくその後そう遠からぬ日にちではないかというふうに秘書の者たちが申しておりました。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 私が申し上げたのを繰り返します。これは非常に重要なことなんです。  なぜかというと、深谷郵政大臣が現在郵政大臣としてその地位にあり得ることの根拠として、官房長官は、六十三年七月に退会したそのリクルート社がミステークで、向こうの間違いで金を送ってきたかどうかということが問題の中心になっているわけです。ですから、この退会届がいつ出されたのか、そのころだろうというぐらいのことでなくして、リクルート社のだれからおたくの後援会のだれがいつ受け取ったのか、これを明確にしていただきたい。そして、それを調査して委員会に報告していただきたいと思うんです。しかも、この予算委員会の審議中に明らかにしていただきたい。もう一度お伺いします。

深谷隆司自由民主党郵政大臣

○国務大臣(深谷隆司君) 大体、こういう経済後援会の退会は自然になされる場合が多くて、一々退会届をとるという性格のものではありませんでした。ですから、現物があるということで私も意外に思ったくらいですが、当時としては問題になっていた会社であったために、念のためにそういうものがあればいいと事務局の者たちが配慮したのではないかと思うのであります。  いつどのような形で手に入れたのかということについて何回も確認をいたしましたが、日にちその他については定かではないという答えでございまして、先生の御指摘に対して明確に答えられないことを申しわけないと思っておりますが、それが事実でございますので、御理解いただきたいと思います。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 ここで、大臣にもよく申し上げておきたい。この退会届の日時が、退会届をリクルート社から受け取った日時が明らかになるかならぬかということは、それを明らかにするということはあなた自身の国民に対する責任なんです。国民の方が六十三年の七月じゃなかったなんということを証明する筋合いのものじゃないんです。あなたの方が、六十三年の七月なら七月に受け取ったということを国民が納得できるように証明せなきゃならぬ責任を負担している。なぜかといえば、あなたが、先ほども申し上げたように、今この郵政大臣としておられることの根拠のただ一つは、六十三年の八月以降も、八月から十二月までお金が入ったというのは向こうの間違いだと、これをあなたは証明しなきゃならぬ。そして、あなたのいろいろおっしゃっていることを伺うと、国民は、退会届のこの紙切れ一枚で、しかも六十三年七月二十八日付ですね、ああそうですかと直ちに了解するほどあなたの言動についての信用性というものを持っていないんです。要するに、国民が納得するような意味で、あなたが今申し上げたようなことを明らかにしていただきたい。  特に私が申し上げたいのは、この退会届の受領の日時に関して、十一日のこの委員会において矢田部委員の方から、これは六十三年七月に受け取ったものじゃなくて、六十四年の一月七日に金十万円をリクルート社に返したときに、そのときに受け取ったものじゃないか、日付をさかのぼらせて受け取ったものじゃないかというふうな疑問が出ているんです。もしそのようなことが事実であるとすれば、これは深谷大臣一個の問題じゃない。国会に対して内容の虚偽の文書を提出したということになったら、内閣全体の責任の問題です。これは私は仮定の問題ですからそれ以上申し上げる気はありませんけれども、そこまで言われているにもかかわらず、六十三年七月幾日にどういう状況で受け取ったということを明らかにできないとすれば、あなた個人の問題じゃない。海部内閣そのものの命運の問題です、国会に対する。いかがですか。

深谷隆司自由民主党郵政大臣

○国務大臣(深谷隆司君) 猪熊委員に対して反論するわけではございませんので聞いていただきたいのですが、南陽会を会社が退会したのは間違いなく六十三年の七月のことでございます。  何回も申し上げましたように、手続の違いで誤りがあったものでありますから、全額残りの十万円を返済いたしてきちっと手続はいたしたわけであります。そのことは確認をいたしております。そして同時に、退会届の文書そのものは、先ほども申し上げましたように、今日こういう事態を予測して身のあかしを立てるためにつくったものではないのであります。とっておいた方がよかろうという配慮で受け取ったということでございますので、申しわけありませんが、明確な日時については彼らがわからないと言っておりますので、私はそのことを信用する以外にはないと、こう思っているのであります。  どうぞお間違いなく、退会をしていただき手続の違いから若干払い込まれたものについては明確に戻しておりますので、そのことは御信用願いたいと存じます。お願いいたします。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 私が了解するとかしないとかという問題じゃないんです、これは。  要するに六十三年の夏、リクルート社との関係をきちんと整理するように深谷郵政大臣は後援会に指示した、その指示によって事務方の方で後援会からリクルート社に退会してもらったと、こうおっしゃっている。しかも退会届は、時期が時期だけに後援会の係の者が念のためにリクルート社に作成していただいて受領したんだと、こうまでおっしゃっておる。それにもかかわらずなぜリクルート社が八月から十二月まで月々二万円の金を送ってきたかということが、通常の常識を持っていると判断できない。了解できない。納得できない。だから、それを国民が納得できるようにあなたはするべき義務があると思います。  時間ですので、以上で終わります。

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 及川順郎君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を再開いたします。  平成二年度総予算三案を一括して議題といたします。  休憩前に引き続き、及川順郎君の質疑を行います。及川君。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 環境問題について伺いたいと思います。  地球温暖化やそうした問題が非常に注目されておりますが、国内におきまして、酸性雨の問題につきまして、先日東京都議会でも取り上げられたことが報じられておりました。  環境庁にお伺いしますけれども、我が国における酸性雨は降っているのかどうなのか、その調査データがありましたら伺いたいと思います。

北川石松自由民主党環境庁長官

○国務大臣(北川石松君) 酸性雨につきましては、我が国においてもこれは観測されておりまして、その影響は大きいということも把握させていただいております。ただ、この点につきましては、関係各機関とも連携をしながら、世界の各国の間でよくこの点の情報を交換しながら対処していかなくちゃいけない、こういう考えを持っております。また、地球環境保全の観点からも、東アジア地域を中心とした酸性雨の観測や研究、また協力を強化していきたい、こんな思いをいたしております。  なお、足らざる点につきましては、事務当局に答弁させます。

安橋隆雄環境庁水質保全局長

○政府委員(安橋隆雄君) 我が国で観測されました雨の中からpHで申しまして四台の酸性雨が観測れているわけでございます。先生御案内のとおり五・六よりも低いものが酸性雨と言われているわけでございますが、四台のものが出ているというのが実情でございます。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 酸性雨、pHで五・六以下、今御答弁にありましたようにpH四台で降っている。こういう状況を考えますと、酸性雨の被害というのは、樹木に対しては葉や幹に直接影響を及ぼすもの、それからそれが降りまして土壌を酸性化させて影響が出てくるもの、この両面がございますけれども、最近国内において樹木の影響というのが極めて問題視されつつございますが、林野庁では今年度予算の中にも全国調査の予定が入っているようでございますが、具体的な内容を示していただきたいと思います。

山本富雄自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(山本富雄君) お答えいたします。 今委員から御指摘の酸性雨でございますけれども、ヨーロッパやアメリカ、北米ですね、これは森林の生態系に深刻な影響を与えている、そしてそれが国際問題化している、こういうことでございます。  今環境庁の方からもお答えがございましたが、林野庁としていろいろ今まで状況をキャッチしておりますところでは、大変際立って被害が我が国の森林に対して起こっておるというふうな状況は今のところございません。しかし、森林の維持保全をするということは、今だけじゃなくて、これからずっと先々まで必要でございますから、これに対しては十分対応していかなければならない、こう考えておりまして、今委員の御指摘のとおり、ただいま御審議をいただいております平成二年度予算、この中で酸性雨などの森林に対する影響を科学的に調査する、こういうことを目的にいたしまして、全国に千二百カ所の地点を、定点を対象にいたしまして森林のモニタリング調査を行う、しかも単年度でなくて継続的に行うというふうな予算を計上させていただいております。  今後、森林の被害の有無あるいは雨や土壌の成分等について調査分析をこれらについて行いまして、この結果に基づいて関係省庁とも十分協議の上、森林の維持が長きにわたってしっかり図られるように適切に対応してまいりたい、こう考えております。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 環境庁に伺いますけれども、酸性雨が降って、それが樹木に与える影響と土壌を酸性化させる、この被害の顕在化する年数とか状況とかについて、もし調査のデータがありましたらお示しいただきたいと思います。

安橋隆雄環境庁水質保全局長

○政府委員(安橋隆雄君) 酸性雨の被害の影響でございますが、欧米では先生御指摘のように森林に対して影響が出ている、あるいは湖沼に対して影響が出ている、湖沼が酸性化して魚がすみにくくなっているというような例はございますが、現在のところ日本の森林なり湖沼あるいは土壌につきましては、環境庁の従来の調査では被害は顕在化していないという状況でございます。しかしながら、降っている雨自体は欧米並みの酸性雨の雨が降っているわけでございますから、顕在化していないからといって油断はならないわけでございます。  したがいまして、環境庁といたしましては、その影響が出ないようにいろいろとモニタリングなり調査なりを進めているところでございます。どの程度の期間で具体的に被害が出るかというようなことにつきましては、残念ながら詳しいことはまだわかっていないような次第でございます。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 先日、都議会で指摘されましたのは、関東に杉の立ち枯れ等が始まっている、あるいは赤城山でシラカバの立ち枯れがある、こういう指摘がございました。先日、私は群馬へ行って現場を見てまいりましたが、ちょっと私が撮りました写真でございますが、(写真を示す)こういう状況でございますね。杉の立ち枯れがはっきり出ておりますね。地元ではからすどまりと言いまして、俗説では上から枯れてくる、それが酸性雨の被害じゃないか。これにはいろんな定説がありまして、地下水の低下とか、あるいは複合汚染とか、こういう状況が言われておりまして、必ずしもそれは学説的に定まっているという状況ではございません。しかし、このような状況が群馬から帰りの、東京まで来る間に至るところに目につきました。  こういう状況について、林野庁としてしっかりと、今までもデータが地方自治体から出ているにもかかわらず、どうもそれは因果関係がはっきりしないからということで、酸性雨調査と結びつけて調査活動をするということに対して非常に腰が重い、こういう指摘がございました。この点についてはどのような御見解をお持ちでございますか。

山本富雄自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(山本富雄君) 私の郷土の群馬県のことを例に挙げて大変御心配いただきましてありがとうございます。  今委員の御指摘のとおりでございまして、けさも実は林野庁長官とこの問題をいろいろ突っ込んで話し合ってみました。酸性雨の問題はこれは事重大だと。そして、これは今のところ科学的にそれが直接因果関係があるというふうな立証はないんですね。それから、欧米のような相当の大きな部分について森林が立ち枯れているというような実態も今のところ我が国にはない、ないけれども、容疑者であることだけはどうも間違いがないというふうなことを二人で話し合いまして、これはそのために今度の今申し上げた千二百カ所のモニタリング調査を継続的にやってみよう、環境庁ともよく相談をしながら、日本の国を守っていく意味で、森林を守っていく意味で、委員の御指摘等によれば多少遅きに失しましたけれども、しかしこれは早速対応しよう、こういうことで精力的にやらせていただきたい。もちろん科学者等ともよく意見を聞きながら進めてまいりたい。各県の実情もしっかり把握してまいりたい。群馬県の実情もしっかり把握いたします。ありがとうございました。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 酸性雨の被害につきまして、葉や幹に影響を及ぼすというのはなかなかあらわれにくい。もう一つの視点として、土壌に対する影響、これが指摘されております。欧米で非常にこの酸性雨被害が顕著にあらわれている原因に、土壌がポトゾルという、これは酸性を中和する緩衝能力が小さい。それに比べまして、西日本の方にあります赤黄色土、それから関東周辺にある黒ボク土、これは非常に緩衝力が大きい、こういう状況が指摘されております。  一つは、先日、東京農工大学の戸塚教授が中心になりましてまとめましたデータの中で、この土壌の状況につきまして一つのデータ実験が出ております。黒ボク土、それから赤黄色土、これを大体土壌十センチから十五センチぐらいのところで、そして苗木がどのように影響を受けるかということについて実験データが出ております。私は先日伺いまして状況を聞いてまいりましたけれども、試算によりますと、大体十三年から三十八年、このぐらいで、もしこのままのpHの状況で酸性雨が降っておりますと苗木が育たなくなる、こういう点が指摘されておりました。  これは私は非常に重要な問題だと。森林の経済性といいますか、一つのサイクルが四十年から五十年、このサイクルを考えますと、今から本気になって手を打っていかないと間に合わない、こういう状況を非常に危惧いたします。私は、そういう意味で、専門家や学者のメンバーが一生懸命になって研究した成果というものを行政にどう反映していくか、行政側で積極的に取り入れて将来のために今から手を打っていくかということが問われているのではないか、そのように強く感じたわけでございます。行政側の対応として、ぜひ総理、農水大臣にもう一度御答弁をお願いしたいと思います。

山本富雄自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(山本富雄君) 今先生のおっしゃったように、従来各都道府県あるいは学者などの意見をその都度参照しながら対応してきたということもございます。ございますが、今お話しのとおり、これはもう世界的な規模でこの問題が進行しつつあるというふうな基礎的な認識もございますので、これは一刻も早く対応していかなくちゃならない重大問題だと。特に森林を受け持っております我が省としては、将来を展望しながらできるだけ早く対応してまいりたい、そのための基礎調査をことしから手がけてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。しっかりやります。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 酸性雨に対する森林保護の問題については、農林大臣が申し上げましたように、これは大切に取り組んで努力をさせていただきます。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 総理、行政での対応が大変おくれているということに対して私は率直に不満です。ただいま申し上げました戸塚教授が中心になってやっておりますのは、文部省の人間環境系重点領域研究等で既にこの基礎研究はかなり行われている。それを行政側がどう取り入れるかという姿勢の問題である。ぜひこれは積極的に取り組んでいただきますことを強く要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。  大蔵大臣、我が党の本院における三木副委員長が代表質問で財政改革につきまして質問をいたしました。私はこの答弁の趣旨も踏まえまして、政府が目標として実行してきた財政再建とはいかなる財政構造のものを示すのか、改めてこれを伺いたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) ちょうど御審議をいただいております平成二年度予算案におきまして、私どもは財政再建の第一の目標として掲げてまいりました赤字公債依存体質というものからはようやく脱却するに至りました。しかし同時に、平成二年度末には百六十四兆に達する公債の残高を抱えておりまして、その累増の防止にこれから全力を我々は挙げなければなりません。しかも、この間におきまして各種の繰り延べ措置でありますとか、いわゆる隠れ借金と言われるものが何種類かございました。ある程度はこうしたものも解消してまいりましたけれども、いわゆる隠れ借金と申しますものをこれからきちんと処理していく努力も必要でございます。  またその上に、よく御承知のように、国鉄改革の中で旧来の国鉄の抱えておりました累積債務というものを清算事業団に集めたわけでありますが、この国鉄清算事業団の用地の売却等が終了いたしました段階においてもある程度の債務というものは残るでありましょう。これをどう国民の御負担の中で処理していくかといった問題もございます。こうしたものを考えてまいりますと、私どもはまさに財政再建の第一ステップまでようやく到達をしたが状況は依然として極めて厳しいものがある、そのように考えております。  同時にもう一つの問題点としては、公債依存度の問題が従来から厳しく指摘を受けてまいりました。ようやく平成二年度予算におきまして八・四%までこれを下げることができたわけでありますが、財政審等から御意見をいただいておりますのも、将来を考えてまいりますときに公債依存度をできるだけ引き下げていくべきであり、五%程度まではこれを下げていくべきだという御指摘もいただいておるわけであります。  いずれにいたしましても、赤字公債依存体質脱却という第一のステップはどうやら今回こぎつけたところでありますが、これから先は公債残高の累増にどこで歯どめをかけることができるか、同時に公債依存度をどこまで引き下げていくことができるか、同時にその過程におきまして隠れ借金と言われます各種の繰り延べ措置等をもとに戻し、国鉄清算事業団の累積債務を処理していくことができるか、これらがこれからの我々の肩にかかる課題でありまして、なお道筋は極めて厳しいものがございますが、何とかしてこうしたそれぞれの課題に対して我々は答えを出していき、財政体質が健全になったと言える状態に早くこぎつけたい、今そのように考えております。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 大蔵大臣、財政再建という呼称ですけれども、昭和五十九年度予算編成以後、当時から赤字公債発行脱却をもって財政再建と呼称してきたことは事実です。それが平成二年度で赤字公債発行ゼロになった、達成した、いやこれは第一歩だったんだ、こういう発言に最近は変わってきている。私は、当初からそういう状況を承知の上で赤字公債脱却をもって財政再建という呼称を用いてきたのかどうか、この点について再度伺いたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今ちょうど手元にあります過去の答弁でありますが、五十七年十二月十三日の予算委員会、これは衆議院の予算委員会であると思いますが、当時の竹下大蔵大臣が財政再建の言葉の定義を幾つかの形でいたしております。  一つは「特例公債依存の体質から脱却し、また全体としての公債依存度を引き下げて財政の対応力を回復すること、これをまず定義といたします。」。続いて「長期的な観点から財政の対応力ということを考えますと、最終的には建設公債をも含めた公債全体の依存度を低目に抑えていくこと、」、あるいは「当面財政再建とはそのような定義づけが行われて、ただ特例公債依存ということは一定の時期までのめどであり、最終的には建設国債をも含めて公債依存度が低下していくという方向を志向するのは当然である、」、こういう答弁もございます。  私は、実は自分が就任をいたしましてからは、赤字公債依存体質脱却というのは第一のステップという申し上げ方をしてまいったつもりでありましたが、過去の答弁で今変わったのではないかという御指摘を受けましたけれども、いわば赤字公債依存体質脱却というのを一つのシンボルとして御答弁を申し上げてきたことはあったかと存じますが、今五十七年の当時の竹下大蔵大臣の答弁を振り返ってみましても、赤字国債に依存しなくなればそれが財政再建だと限定して申し上げておったとは私は思いません。赤字公債依存体質脱却というのは、あくまでも一つのシンボル的な表現であったかと思いますが、赤字公債がゼロになったから財政再建が終了した、そういう言い方は私はしていないと思うんです。  ただ、いずれにいたしましても、我々は国債残高の累増に歯どめをどこでかけられるか、これはこれからの我々に与えられた大きな役割でありますし、同時に各種の繰り延べ措置、いわゆる隠れ借金と言われるものを正常に戻していく努力、こうしたものをきちんとしていかなければなりませんし、同時に建設国債につきましても、公債依存度を下げろいう財政審御意見から考えてみました場合に、いわば公債発行限度額と建設公債とのすき間を少しでも大きくしていくための努力は、我が国のこれからの財政が経済の各種の状況に随時対応していくためにも必要なことであろう、そのように考えております。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 それでは、五十九年度予算編成以後、財政再建、赤字公債脱却の状況を第一歩となぜ言わなかったんでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変申しわけありませんが、私はその五十七年度の、委員が御指摘になります以前の大蔵大臣の答弁を例に引き、赤字公債依存体質脱却イコール財政再建ではない、そういう認識は当時から政府にあったということを申し上げたわけでありますが、五十九年時点を御指摘でありますならば改めて議事録を調べてみたいと思いますけれども、私は、いわば赤字国債をゼロにするということを一つの財政再建に向けてのシンボルとして国民に語りかけ、御協力を願ってきた、そういうことではなかったのかと今思います。その赤字国債をゼロにすれば財政再建が終わりだ、私はそう申したとは思いません。  しかし、御指摘でありますので改めて私は先輩大蔵大臣たちの議事録を調べてみたいとは思いますが、いずれにいたしましても、赤字国債の発行がゼロになったらそれで財政再建を完了した、そのようなことは申しておらないと思います。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 それでは、大蔵当局に伺います。  五十九年度当予算委員会に提出されました「中期的な財政事情の仮定計算例」では、昭和六十五年度、つまり平成二年度、ここで国債残高、国債費はどのぐらいに試算されておりますか。

小粥正巳大蔵省主計局長

○政府委員(小粥正巳君) お答え申し上げます。  五十九年度当予算委員会に提出をいたしました「中期的な財政事情の仮定計算例」というのがございますが、これによりますと、もちろん種々の仮定前提を置いてのことでございますが、六十五年度の国債費十五兆六千二百億円、このような数字を提出いたしております。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 国債残高は。

小粥正巳大蔵省主計局長

○政府委員(小粥正巳君) 国債残高でございますね、六十五年度年度末で百六十六・六兆円、こういう数字を提出しております。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 ただいま提示されました数字は、本年度の見込みであります国債残高百六十四兆円それから国債費につきましては十四兆二千八百八十六億円。ほぼ合っているんですね、当時から見通しがついているわけです。  したがって、やはり当時からの呼称の仕方としては、財政再建の方途として赤字公債脱却を一つの一里塚として初めからきちっと提示していくことが、少なくとも憲法九十一条の精神に示されました財政状況を正しく国民に報告するという義務に照らして、あるべき姿勢ではなかったか。少なくとも当時使われていたその用語というものが変わったのかな、こういう感じを抱かれるような状況はこれはよくないのではないか。  私は、大蔵大臣が就任になってから私はこのように言っているということを否定するものではありません。政府の対応としまして、その姿勢はきちっとここで整理して改めて国民に明確に提示をしていただくことが大事ではないか、そういう観点から、総理、大蔵大臣、お二人の御所見を承っておきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、五十九年に限定されてお尋ねをいただきますが、五十九年の当時の大蔵大臣の答弁を私は実は全部見ておりませんので、その部分は先ほど申し上げましたように改めて私も調べてみます。  ただ、政府の姿勢が今委員がお述べになりましたような方向ではなく、今読み上げましたように、五十七年十二月十三日の衆議院予算委員会の答弁におきましても、長期的な観点からは財政の対応力というものを考え、最終的には建設公債をも含めた公債の依存度を低目に抑えていくとか——赤字公債脱却をもって財政再建終了という答弁はいたしておらないわけであります、五十七年当時において。  ですから、私が五十九年にもし委員が言われたような形で申し上げておったとすれば、それは赤字公債脱却という非常にシンボリックなテーマを財政再建の一つの象徴として国民にお訴えをさせていただいたのかもしれないと思います。もしそうであり、国民に誤解を与えるようなことがあったとすれば、それは言葉足らずということでおわびをいたさなければなりません。しかし、私はそうであったとは思わないということと同時に、財政再建という我々が踏んでいかなければならない大きな課題の中で、ようやく赤字公債依存という事態からは我々は抜け出すことができた。今後再び赤字公債に頼らなければならないような財政にしないためにも、私どもはこれから必死の努力をしていかなければならない。  そして同時に、既に百六十四兆に達しようとする平成二年度末の公債残高というものを考えてみましても、どこで累増に歯どめをかけられるか、ブレーキをかけることができるか、これは大問題でありますし、この財政再建を唱え出しましてから今日までの間に、公債への依存度を少しでも下げるためにそのときそのときの努力の中で、理屈はありながら繰り返してまいりました歳出の繰り延べ措置といったものも正常に一日も早く復さなければならない。そして、公債依存度そのものも、ひところは三割を超える事態まであった我が国の財政をようやく八・四%の依存度まで下げることができましたけれども、なお五%以下に抑え込む努力をしろという財政審の御意見というものを我々は目標としてかざしていかなければならない。そしてその中で我々は高齢化社会というものに向けての備えをしていくということでありますから、極めて厳しい道をたどらなければならないわけでありますが、我々は国民の御協力を呼びかけながらその目標に向けて全力を尽くしてまいります。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 大蔵大臣が詳細に御説明いたしましたとおりでありますけれども、赤字公債の発行に毎年毎年頼り続けていくというのが好ましくない状況であることは私も全くそうだと思っておりました。ですから、赤字公債発行に頼らなくてもいいようになったことはこれは第一歩を踏み出したものだ、こう評価をさせていただいておった次第であります。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 どうも大蔵大臣、素直にすっと返事が返ってこないので多少不満は残りますけれども、次に進めます。  大蔵大臣の財政演説の中で、財政の対応力の回復を図ることは緊要の課題ということを訴えておられますね。緊要な課題と言う以上は具体的に目標となる定量的な数値をお持ちであろうか、このように思うのでございますが、具体的に示していただけますか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 数字を含みますので、主計局長から御答弁を申し上げさせます。

小粥正巳大蔵省主計局長

○政府委員(小粥正巳君) ただいま具体的な数字を挙げてこれからの財政再建の内容を示してほしい、こういうお尋ねでございますが、先ほどから大蔵大臣からも御説明を申し上げておりますように、平成二年度末で百六十四兆円と想定をされます国債残高がございます。この国債残高を直ちに減額する財政的な余力は実は率直に申しまして我が国の現在の財政の状況ではなかなかございません。したがいまして、財政審報告でも指摘されておりますように、当面はまず国債残高が累増しないことを目指すべきであると考えております。  そこで、お尋ねのそれでは具体的な目標がないのかという点でございますが、今後の財政運営を進めていく上で、いわば中期的視点に立ちましてその検討の手がかりを示すものといたしまして、過日当予算委員会にも御提出申し上げましたが、幾つかの仮定のもとに今後の国債整理基金の資金繰り状況等を試算いたしました「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」というものを中期的展望の資料としてお出ししてございます。これによりますと、前提となる幾つかの仮定は省略をさせていただきますが、来年度、平成三年度末で国債残高が約百六十七・六兆円、四年度末約百七十・一兆円、五年度末百七十二・五兆円というように、平成十五年度までの国債残高を先ほど申し上げましたような一定の仮定のもとに数字をお示ししてございます。  ただ、この国債残高は、今申し上げましたところでおわかりのように、公債依存度を引き下げるという前提を置きながら、なお残高としては若干ずつふえた形をとっております。これは実は先ほど申しました先般の財政審報告によりましても、例えば財政事情が仮にその年度の剰余金が発生した場合、その他財政に少しでも余剰が生じた場合には、できるだけ国債の償還に充てるべし、こういう御指摘をいただいております。  ただ、ただいま申し上げておりますこの国債整理基金の資金繰りについての仮定計算は、今申し上げましたような各年度に発生するかもしれない剰余金等あるいは国債の償還の財源としては予算繰り入れというような手段もあるわけでございますけれども、そのような財政上の余剰、国債の償還に充てるべき余剰はこれは仮定計算の性質上特に想定をしておりませんので、そのような財源がございまして国債の残高の縮小に充てるという可能性はこれはまた別途あり得るというわけでございますが、そのような前提はございませんで、先ほど申し上げました三年度以降若干残高が各年度増加をするというそういう姿をお示ししているわけでございます。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 詳細は省きますけれども、ちょっとすき間率の問題やあるいはまた赤字公債を埋め合わせるためにという財源見通し、こういうものを詳細に検討しましたけれども、この方向でいくとすれば相当厳しい状況が予測されるわけですね。これは大蔵大臣御承知のとおりだと思います。  具体的に私は二、三点指摘をいたしまして、今後の対応につきましての御所見を承って、この問題を終わりたいと思いますが、現在の財政状況を見ますと、一つには、新イザナギ景気と言われるほどの好景気でも財政構造における公債依存体質は改められなかった、これは事実でございます。  二つには、既にシーリング方式による抑制型財政にほころびが出てきている、これが指摘されておりますね。  三つ目には、財政再建までという大義名分のもとに行ってまいりました地方自治体に対する補助金引き下げも来年度は復元しなければならない、こういう状況がございます。  四つ目には、社会資本整備について国内はもとより対米関係からも増額しなければならない、こういう状況がある中で景気の動向がいつまでも新イザナギ景気が続くとはこれは保証できない。こういう状況の中で特例公債に頼らない体制づくりを実行するとすれば、よほど内閣が、大げさに言えば政治生命をかける、このぐらいの決意でやらなければできない。これは将来のために予見しておいてもいいというこういう試算データに基づきましての私自身のそうした見通しを持っておりますが、この点につきまして、その対応について、大蔵大臣、総理の御所見を承りたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員からもお触れになりましたけれども、ひところ昭和五十四年当時、公債依存度が三九・六、実績でも三四・七まで上がっておりましたものが、平成二年度においてようやく八・四まで下げてくることができた、これは今申し上げたとおりであります。また、それでは累増する公債残高にいつブレーキがかけられるのか、これは仮定計算に基づきまして主計局長から御説明を申し上げました。  そして、今委員からお話がありましたように、例えば日米構造協議の中で私どもが中間報告の中に、今後の公共投資の十カ年計画を数字で示すというみずからへの約束を公表しておるわけでありますけれども、この一方におきまして、我々は建設公債につきましてもできるだけその発行を縮減しながら、国民から税としてお預かりをし国が使わせていただく財源をそこに充てていきたいと考えております。  これは確かに、いわゆるすき間率という意味では少しすき間を大きくとりながら、万一の場合に財政の弾力的な対応を可能にする余地をふやすという意味で、我々はどうしても努力をいたさなければなりません。そういう意味では建設公債そのものもこれからできるだけ発行を減らし、税によってなし得る事業をふやしていく努力が必要、これは御指摘のとおりであります。また、委員からもお触れになりましたけれども、財政の中で今後処理を要するものとして、後年度の処理方法が法律で定められておりますものも、国民年金、地方財政、そのほかにも政管健保の国庫補助の繰り入れ特例あるいは棚上げ債務の扱い、そして国鉄清算事業団の累積長期債務の処理といったものがあるわけでありますから、これは委員が御指摘になりました以上に私どもとしては厳しい財政運営をしなければならないと心に誓っておるところであります。  しかし、それを乗り越えていきませんと本当に財政の対応力を回復することができないとすれば、その状況を率直に国民の前にも御説明を申し上げ、御理解をいただき、御協力をいただくために我々は最善を尽くさなければならない、そのように考えております。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 特例公債依存体質脱却後の財政運営としては、高齢化社会に多大な負担を残さず、再び特例公債を発行しないことを基本として、公債依存度の引き下げ等により国債残高が累増しないような財政体質をつくり上げることに全力を傾けてまいらなければいけない、こう考えます。  なお、中期的視点に立った財政運営を進めていく上での検討の手がかりを示す一つの試算として、建設公債を減額する仮定を置いて財政の中期展望を作成してお示ししておるところであります。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 決意は大変結構でございますが、なかなかこれを実行するということは並み大抵ではない、このことだけは繰り返し指摘をしておきたいと思います。  次に、生活者の視点に立った幾つかの重点施策について伺いたいと思います。  一つは、非常にハイペースで進んでおります高齢化社会に対する対応としまして、先ごろ高齢者保健福祉推進十カ年戦略について発表がございました。非常に長期計画的なものがこのような形で公表されたということはそれなりの評価をいたしますが、改めてその概要について御説明をお願いしたいと思います。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 我が国社会が抱えております課題は、外に向けましては国際化への対応でございましょうが、二十一世紀の超高齢社会にどのように備えるかということが最大のものであることは委員の御指摘のとおりでございます。  これからの十カ年というものはそういう意味で非常に大事な十カ年でございまして、私どもとしてはこの十カ年にこのことだけはしなければならないという計画を立てて、今世に問うておるところでございます。  その内容を簡単に申し上げさせていただきますと、高齢者保健福祉推進十カ年戦略、ホームヘルパー十万人の確保、そしていわゆる在宅サービスの三本柱の整備、それから在宅介護支援センターの一万カ所の整備、こういう市町村における在宅福祉対策の緊急整備がその第一でございましょう。それから外国等に比べまして寝たきりになるお年寄りが多いという御指摘もございますので、寝たきり老人ゼロ作戦ということで、できるだけ高齢者でも寝たきりにならずに日常の生活や社会活動をしていただきたいということが第二でございます。そして、これを支えるために在宅福祉等充実のための長寿社会福祉基金を設置いたします。そしてまた、これまで以上に特別養護老人ホームであるとか、老人保健施設であるとかの施設の整備も進めていかなければならないと思ってございます。  こういう七本の柱を立てまして、これだけはどうしても十年間でやらなければならない、全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 総理に伺います。  昨年十月の本院の本会議におきまして、総理は、二十一世紀の本格的な高齢化社会を控えて、欧州型の高福祉高負担とアメリカ型の自助努力を中心としたものを念頭に置きながら、政府は六十一年六月に長寿社会対策大綱を発表した、また昨年十月には福祉ビジョンを作成して国会の審議に供している、このようにお述べになっておられます。意識の中には、欧米いずれのタイプにも属さない日本型福祉を念頭に置いての御発言と思いますが、この日本型福祉につきましてどのような概念、どのような福祉像を描いておられるのか、改めて御所見を承りたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 粗っぽい言い方になるかもしれませんが、欧米の社会福祉の姿というのは、まさに高福祉高負担の限度のところに行っておるのではないだろうか。そして、私自身がいろいろ欧米の福祉を研究させていただいても、その負担率においても五〇%をはるかに超えるところに行っておる。そのかわり旅行者である我々に対してもいろいろ至れり尽くせりのことを考えていらっしゃる。一方、アメリカの方はそういった公的な問題、高負担高福祉じゃなくて、もう少しみずからの自助努力というものが中心になっておる福祉の仕組みになっておるように、私も調査をした結果そんなように受けとめました。  したがいまして、そのどちらがいいかどちらが悪いかということよりも、むしろその中間に日本型といいますか、日本の求める社会福祉の姿があるのではないだろうか。負担も五〇%のもっと下のところに、五〇%を超えるところに行かないようにということはいろいろな審議会や皆さんもおっしゃることであり、私も五〇%を超えてしまう負担というのはいろいろな面においていかがなものかという考え方も持っておりました。同時に、欧米の論文なんかを読んでみましても、家庭の介護とか親族の介護とかというようなものに関する論文も、今までの高福祉高負担の中でも一つの新しい角度として発表されておる論文が随分ございました。  私は、そういった意味で、日本における社会やあるいは家族制度やそういったもののずっと流れの中にあってどのような形がいいのだろうかということをいろいろ議論をした結果、先ほど厚生大臣が答えましたような、例えば十カ年のゴールドプランとか、あるいは審議会が出していらっしゃる社会保険の費用も含めた負担率を五〇%の下のところに求めるとか、いろいろな考え方が出てきておるのだと、私はこう受けとめております。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 閣内統一するわけではありませんが、大蔵大臣、本院におきましての質疑の中で、これは私も聞いておるんですけれども、同趣旨の日本型福祉につきまして言及されていることがございます。御所見を承りたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今厚生大臣、また総理からお話がありましたものと基本的に私は変わりはありません。ただ、特に私は、実は厚生大臣当時から日本型の福祉社会というものを考えたいということを常々申してまいりました。そして今もそうした気持ちを持っております。  今核家族化が進んだ、婦人の社会進出がこれだけ進んだといいながら、日本人の世代間同居志向の強さというものは欧米諸国に比べて確かに強いものがあります。むしろそれを資産として考えることはできないものか、昔から私はそういう気持ちを持っておりました。そして、これをあるとき申しましたとき大変御婦人から反発を受けまして、初め私はその意味がわかりませんでした。結果としてわかりましたのは、それはいわば高齢者の福祉というものを妻、娘あるいはお嫁さんの犠牲の上で仕上げるつもりではないのかという指摘でありました。大変恐縮でありますけれども、私は、在宅福祉を世代間同居を維持しながら進めようとすれば、むしろ費用は社会的にはよほどかかると思っております。そしてその場合のマンパワーを確保するのは相当苦労しなければならないと思います。  現に、私自身が今母親を病院に抱えておりますし、そして先日まで学校に娘が通っておりましたときには、学校の余暇を利して娘が時々病院に行ってくれましたけれども、仕事を持つようになりましてからそれもできなくなりました。幸いに介護の方をお願いするだけの資力がありますから家族がつぶれてしまうところまでの苦労はせずに済んでおります。しかし、やはり一年八カ月余りの病床を振り返ってみまして、特に手術を繰り返しておりましたころは私自身も病院に泊まり込みの毎日でありましたし、私の妻や子供の負担も相当なものでありました。  それだけに、在宅福祉というものを充実しようとすれば、私は社会的なコストはむしろ現在よりも高くなることをある程度考えておくべきだと思います。しかし、それでも私は世代間同居志向の強さという日本人の特質というものは日本型の福祉社会というものをつくる上で考慮に入れてしかるべきものだ、そのように考えております。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 国民負担率につきましてですが、税負担それから社会保障負担を合わせました国民負担率、そのデータにつきまして政府としてこれまで平成十二年、平成二十二年度の推計を何%に見込んでおられるか。六十三年三月十日に厚生省と大蔵省が試算をしたデータは手元にございますけれども、その後試算をし直したデータがありましたらお示しいただきたいと思います。

小粥正巳大蔵省主計局長

○政府委員(小粥正巳君) 国民負担率の将来推計についてのお尋ねでございますが、ただいま委員御指摘の昭和六十三年三月に厚生省と大蔵省で予算委員会に提出をさせていただきました将来についての社会保障給付費、社会保障負担、国庫負担の推計についての資料、その後に政府側からこの負担率あるいはその内容につきまして推計をお示ししたことはございません。  ただ、つけ加えさせていただきますと、御案内のように、先般の臨時行政改革推進審議会の最終答申におきましてこの国民負担率についての言及がございました。これは政府の将来推計ではございませんけれども、政府に対していただきました新行革審の答申の中にこの点が触れられていることは御案内のとおりでございます。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 それでは、六十三年三月十日のデータをもとにいたしまして、国民負担率の合計ですが、社会保障負担、租税負担、これを合計したものが平成十二年度で四一%から四一・半程度、平成二十二年度で四五から四六・六程度。平成二年度の実数は同じ要領でどのぐらいになっておりますか。

小粥正巳大蔵省主計局長

○政府委員(小粥正巳君) 平成二年度の国民負担率、これは現在御審議をいただいております平成二年度の予算におきます国税、地方税の租税負担を前提にしての数字でございますが、国民負担率合計四〇・四%という数字でございます。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 今までの国民負担率の推移を見てまいりますと、五十五年で三一・三、六十年で三五・三、そして平成二年度で四〇・四。いずれも五年で四%ないし五%の伸びをしているわけですね。ところが現実に見ますと、既に平成二年度の状況、六十三年三月十日の試算の十二年の推計四一%台、わずか一%ぐらいですよ。この十年間でこの範囲でおさめられると本気になって考えておられますか。

小粥正巳大蔵省主計局長

○政府委員(小粥正巳君) ただいま委員が御指摘になられました平成十二年度、これは六十三年三月に国会に提出をいたしました厚生省、大蔵省共同で作成した数字をもとにして国民負担率の推計を一定の仮定のもとに行った結果、御指摘の四一ないし四一・五という数字でございます。ただ、これは六十三年度、先ほどの資料を提出いたしましたときの当時の社会保障関係の制度、施策をそのままにしてこれを前提に推計すればという仮定でございましたし、それからまた、租税負担につきましても、当然経済の成長率その他一定の仮定のもとに推計をしたものでございますから、先ほどお答え申し上げました平成二年度の現在御審議をいただいております予算その他を前提とした国民負担率とベースが完全に同一であるということでは必ずしもないわけでございます。  ただ、いずれにしましても、二年度予算を前提にいたしまして既に四〇%を若干ながら超えているという大変高い負担率の数字が出ているわけでございますから、御指摘のように、その前提はともかくといたしまして、この六十三年度当時提出をいたしました平成十二年度、西暦二〇〇〇年の負担率として一定の前提のもとに四一ないし四一・五という数字が出ており、それとの間が想定年度では十年違っておりますのに極めて近接をしているということは事実でございますし、仮に今後十年間に御指摘のように四一ないし四一・五という当時一定の前提のもとに出されました負担率以下にとどめていくということは、これは当然のことながら社会保障制度自体のたゆまざる改革等を前提にしなければ大変難しい課題であるということはそのとおりでございますけれども、私どもは、この一定の負担率を想定してのものでは必ずしもございませんけれども、御指摘のように大変難しい課題ではありますけれども、国民負担率全体の抑制に財政の立場からも困難を十分に念頭に置きながら努力を続けなければならないと考えている次第でございます。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 私が質問しているのは、この十年間で一%前後という状況に向けてできるかできないかというその見通しを聞いているんです。できるのか、できないのか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) できるかできないかと聞かれますと、これは実はかえって大変お答えに困るわけでありまして、我々はそれに向けて全力を尽くさなければならない。さもないと本当に国民負担が国民の耐え切れないところまで上がりかねない。我々はその国民負担の上昇をいかにして食いとめていくための努力をするか、その努力を死に物狂いでしていかなければならないということであると、私はそう思います。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 そういう精神論を聞いているんじゃないんですよ。その一%、わずかここまで来ている状況ができるのかできないのか。ある程度常識的に考えてその見通しができなければこれは見通しとは言えないんじゃないでしょうか。私はそういう意味で、新しいデータをもとにして高齢化社会に向けて本気になって取り組むという姿勢であるならばきちっと国民負担率について推計のやり直しをすべきである、このように提案を申し上げたいと思いますが、いかがですか。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 及川委員の御指摘のとおり、非常に厳しい現況にございます。  また、これから高齢化が進んでまいりますと当然社会保障の給付水準の見直しも必要になってきますし、どちらかといえば需要もふえてまいると思います。しかし、基本的にはいわゆる長寿社会が活力を失ってしまいますと福祉施策自体がもたなくなってしまう。でございますから、一方におきましては、先ほどから御指摘のとおり、また最近の審議会の御指摘のとおり、負担率を五〇%を超えるようなところにはどうしても持っていってはいけない。非常に苦労の要るところでございますが。  そこで、委員にひとつ御理解をいただきたいのは、社会保障の場合でも福祉の場合でも、負担と給付の関係についてやはり国民の皆様方の御理解を得る必要がある。それは私ども厚生省が特段の努力をしなければならないと思います。でございますから、社会の活力を失わない範囲内であらゆる努力をするとともに、その中におさまるような給付はきちっとしていくという努力をまずしていくべきものではないかというふうに考えております。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 私の質問に答えていないんですよね。最新データに基づいて推計をし直す考えがあるかどうか、おやりになったらいかがですかと言っているんですから、やるかやらないか答えていただきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) これは私は院として再計算をしろと言われればその労を惜しむものではございません。  ただ、これはもう委員がよく御承知のように、あくまでも現行の制度を一定の仮定を置いて試算していくものでありますから、今後の例えば金利一つをとりましても、あるいはその他の要因によって容易に変化し得る要素を多分に持っております。そして、その推計がひとり歩きをすることをむしろ私は恐れます。しかし、本院としてそうした状況をすべて超えてでも仮定の上に立った計算をし直せという御指示があるなら、その御指示に従わないわけではありません。  ただ、仮定計算と申しますものがあくまでもやはり変動要因を持つものであるということは御理解をいただいた上で、その作業を私は命じていただきたいと思います。仮定計算が、その数字がひとり歩きをし、それから一歩でも動いたらおしかりをいただくということでありましては、これは我々としては責任の負えることではないわけであります。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 大蔵大臣、もしそのようなことをおっしゃるならば、六十三年三月十日に厚生省、大蔵省で出したこのデータは何なんですか。やはりこういうデータを出している。私は何も一%それが動いたからどうかと言っているのではない。既に平成二年度、今年度の見通しの中で、今まで立ててきた状況の中で一%、この十年間で一%前後におさめるということは難しいじゃありませんか。したがって、新しい資料に基づいてその見通しを立てていかなければ、政府として政策を立案しているとは言えないじゃないですか。いかがですか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、私はこの六十三年三月十日の資料につきましても、現行制度を前提とし社会保障に係る給付費及び負担を仮定計算した。これは六十四年度以降の国民所得の伸びを四・〇から五・五と仮定し、あるいはその他の仮定要因を置いておることは委員が御承知のとおりであります。その仮定要因を置いて行いました試算というもので、確かに今御指摘になっておりますように非常に幅の少ない状態が現実に出てきておる。その理由というものにつきましては先ほど主計局長が御説明を申し上げたわけでありますが、やはり仮定計算の中でのことでありますから、先ほど主計局長が御説明をしたような要因が変動いたしますとその変動幅というものは出てくるわけでありまして、この試算につきましてもそういう仮定というものが置かれているということが申し上げたいことでございます。  ですから、私は院から御指示があり、仮定計算をもう一度し直せと言われれば、その御指示は、いろいろな問題はありましょうけれども事務方にはそのとおりの指示をいたしますけれども、それにつきましても変動要因の幅は非常に大きいということだけは御理解をいただきたいと申し上げておるわけであります。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 平成二年度の国民負担率の見込みが四〇・四%、当時の六十三年三月十日、この計算が四一・数%台に見通しを立てている。こういう状況は既に六十三年三月十日のこの展望における資料は資料にはならぬということです。したがいまして私は、新しいデータに基づいて本当に将来高齢化社会に向けての展望が開けるような、そういう見通しの政策が考えられるような推計をきちっと出していただくことを強く要望いたしておきます。  あわせて、この日本型福祉社会という考え方の中に、国民負担率について総理は先ほど五〇%を超えてはならないというこういう状況をお話しになりましたが、これについては具体的に詰めて御検討はなされておりますでしょうか。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) ただいまの及川委員の御質問にも関連をいたしまして、その前の六十三年の推計についてだんだんと実態と離れているではないかという点について、実は厚生省でこの推計のかなりの部分をさせていただきましたので、大蔵大臣の御答弁に追加をして申させていただきたいと思います。  御案内のとおり、いろいろな前提を置いて計算させていただきましたが、その前提には年金あるいは医療保険の制度をこれからどうするかという幾つかの課題を残して推計をしたわけでございます。そして、こういう課題自身が、なおこれから国民の理解を得て絶えざる改善をしていかなければならないという現状にあることを、専門家の委員でございますが、ひとつ御理解をいただきたいと思います。もとより今大蔵大臣が申されましたように、絶えず数字を見直して実態に即したものにしろという御指示につきましては、私はそのとおりだろうと思います。  そこで、これからの日本的な福祉をどういうふうに構築するか、負担の面で具体的に考えているかという点につきましては、私ども六十三年のあの推計を超えるものは今持っておらないわけでございますけれども、先ほども御答弁申し上げましたように、その前に例えば増高してまいります医療費をこれからどうするか。一般国民が医療サービスに不安を持たないように、しかもなおかつ過剰な負担にならないようにするにはどうするかというような問題一つを例に挙げましても、まずそのことに厚生省として取り組みまして、それに対する展望を得ながら将来の負担を委員の皆様方に御提示申し上げていくという手法の方がむしろいいんではないかというのが私の考え方でございます。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 手法が逆転していると思うんですね。施策の方向がきちっと明確に展望が示されていない状況の中で、やはり政策の立案というのは極めて難しい。こういう点で、やはり私は新しいデータに基づく国民負担率の推計、見通し、日本型福祉においてもやはりそれは煮詰まっていないと指摘せざるを得ない、こういう状況でございます。  三月に放映されました日本型福祉に関するNHKのテレビ討論で、テレビアンケートのデータが出ておりましたが、老後に不安を抱く人七一%、不安を抱かない人一八%、一方では老後生活を子供に頼れると思わない人が五五%、子供に頼れると思う人は一五%です。それから、日本型の家族状況の特性というものを大蔵大臣は挙げておられましたが、高齢者の家族との同居率につきましても、昭和三十五年に八一・六%から六十三年では六一・九%、約三十年近くの間に二〇%の減少を示しております。  こういう状況を考えてみますと、政府が日本型福祉社会の特徴として挙げている家族扶養への期待というのが薄れつつある。その一方で、国民は老後に不安を抱いている。やはり高齢化社会の福祉負担というものが個人に押しつけられてくることを心配している。消費税の極めて強硬な導入の姿勢に対して国民が猛反発を示したというのはやはりその点にあったのではないか、私はこう見ざるを得ないわけでございます。その点についての所見をぜひ大蔵大臣、お述べいただきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今たまたま同居率が昭和三十五年が八十何%と述べられましたでしょうか、そしてそれが新しい数字で六十数%に下がったという御指摘でありましたが、実は私ども欧米と比べてみました場合に、依然として六〇%を超える同居志向というものがあるということは、やはり私は日本の一つの特色であると思います。そして、むしろその世代間扶養が可能な状況をどうつくり出していけるか、これが制度を仕組んでいく上での一つの大きな問題点であろうと思います。その場合に、先ほど私はたまたま自分の家を例に引きましたけれども、公共福祉サービスという面について我々はもっと本当に力を入れていくべき面があると考えておりますし、またマンパワーの充足について努力をしていく分野が必要であるということも申し上げてまいりました。  先ほど来委員がお述べになりましたのとどうも私食い違って恐縮でありますけれども、委員は将来変わっていくべき施策のあり方を踏まえた仮定計算を求められる。しかし、先ほどの仮定計算は、六十三年の場合でも申し上げましたように、仮定計算をいたします場合、現行の制度を前提にして伸ばしていくわけでありますから、そこからは将来変わり得る施策というものが出てくるわけではない。現行の水準の負担が伸びていってどうなるかという数字であるというところに、私は逆に今仮定計算というものに首をひねった理由があるわけであります。  厚生大臣からお述べになりましたように、今後の社会保障、福祉政策というものを時代に合ったそして将来に向けての方向づけをする施策を立案していかれる、それに財政もまた対応していく、こうした努力を積み重ねていくことに私は全く異論を持つものではございません。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 話を前へ進めます。  高齢化社会十カ年戦略におきまして具体的な問題を何点か伺いたいと思います。  痴呆性老人の実態、将来推計によるデータ、これが極めて現代社会の重要テーマになってきておりますけれども、十カ年戦略におきましては、この痴呆性の疾患に対しまして、寝たきりとそれから痴呆性老人の重複について、統計的な数値があれば明らかにしていただきたいと思います。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 委員御指摘のとおり、この点では余り具体的な数字をこれまで十分にお示ししていなかったと思いますが、調べてみますと、昭和六十年時点で痴呆性老人は約八十万人、寝たきり老人は約六十万人であると推定されておりますが、ここで統計が重複をいたしまして、痴呆性老人であって寝たきり老人である者がどのくらいあるかというところが実は問題でございましたが、私どもは約三十万人ぐらいであるというふうに考えてございます。これを調整いたしますと、寝たきり、痴呆性いずれかの重複を除いて約百万人ぐらいという数字でございます。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 この原因とかそれから対応の仕方については、非常にそのメカニズムがはっきりしていない、こういう状況の中でなかなか立ちにくいという状況がございます。アメリカでは老人問題研究に対する国立の研究所がございます。十カ年戦略におきましても、センターの建設、これが項目としては盛り込まれておりますけれども、具体的な内容を将来そういう方向への展望を踏まえて考えておられるのか、この点を御確認させていただきたいと思います。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 厚生省といたしましても長寿社会確立のための基盤となる長寿科学研究を推進しなければならない、これは委員が今御指摘のとおりでございまして、その中核となるべき長寿科学研究センターにつきましては、十カ年戦略の一つの柱でございますが、これをどうするかは、昨年十一月に学識経験者から成る検討委員会を開催させていただきまして、研究施設、臨床施設から成る国立の機関を九〇年代の半ばまでに発足できるように努力すべきであるという御報告を取りまとめていただき、この報告を踏まえながら国立で発足する方向で今鋭意準備を進めておるところでございます。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 ぜひこれは充実を望みたいと思います。  十カ年戦略に盛り込まれましたデイサービス、ショートステイ、ホームヘルパー、この三本柱につきましても大変具体的な数字を示されておりまして、これは私どもも在宅福祉三本柱として推進をしてきた者として評価いたしますが、この状況で現在のそれぞれの実態に対して十分な対応ができる、このような見通しは持っておられますでしょうか。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 先ほども一部御答弁申し上げましたが、十カ年戦略におきまして、高齢者ができる限り住みなれた地域社会にとどまりながら介護を受けるということを一つの目標にしております。確かに日本では福祉について家庭が大きな役割を果たしていただいておりまして、これはありがたいことでございますが、私ども厚生省の福祉政策がそこにもたれかかるようなことがあってはならない。ある意味で言うと、社会の親孝行ということもやはりしなければならないという考え方に基づいておるものでございます。こうして十カ年戦略の目標として、ホームヘルパー十万人、それから非常に短い期間施設に入っていただくサービスを五万床、それから一日施設に来ていただいていろいろ介護を受けていただくデイサービスセンター一万カ所という目標を掲げてございます。  これでどうなるかという委員の御質問でございますが、私どもは大体これによりまして寝たきりのお年寄りの場合にはホームヘルパーが一週間に四回はおいでいただける、それからデイサービスに週二回お入りいただける、こうなりますと大体一週間のサービスは完結できるんではないか。そして二カ月に一回は今のショートステイの施設へお入りになっていただける、こういうことを一応頭に置いているわけでございますが、もとよりこういう我々の計画が本当に成功するかどうかというのは、やはり地域社会に即した本当に賢明な組み立てをしていただく必要があると思います。  委員は地方の目を通して政治を考えるとかねがね主張しておられるようでございますが、私どももそういう立場から、地域社会の立場からいろいろと私どもにアドバイスを与えていただければ幸いだと思っているところでございます。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 ただいまの推計で五年後の平成七年には在宅の寝たきり老人が大体三十三万から三十七万、これに在宅の痴呆性老人、先ほどおっしゃられました百十万前後、これを加えますと百四十三万から百四十七万。これをもとにしまして、これもただいまの推計で週四回から六回ホームヘルパーが訪問すると仮定しますと、一人のホームヘルパーで少なくとも一日に十人の訪問をしなければならない。これは大変なことですね。しかも、このホームヘルパーにしましても、介護担当の人材育成とか社会的地位とか、そういうマンパワーと言われる人材育成のための研修規定がこの十カ年計画では明示されておらないわけです。この点についての充実をお考えになっておられるかどうか承りたいと思います。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 今委員御指摘のホームヘルパーに荷重される仕事のロードでありますけれども、私どもの計算はちょっと違うのでございまして、恐らくそこはデイサービスとショートステイの重複とかかなり技術的な問題があると思います。それはそれといたしまして、しかし、おっしゃるとおり十万人の方にきちっとした介護の基本的教育を授けて差し上げる、そしてまた労働力不足の中で意欲のある方々に参加をしていただくというのは、それは容易でない仕事であろうと思っております。私どもはこの十カ年戦略を進める上でここのところが一番大変なところだろうなと。しかしぜひともやらなければならないわけでございますから、例えば制度化されました介護士の制度を大いに充実をしていくとか、それからもちろん待遇の改善。であるとか、それからまた勤務形態の工夫をいたしまして、例えばある程度熟年になられた方でも社会参加ができる方には参加をしていただくような工夫をするとか、あらゆる工夫をしていかなければならないというふうに考えております。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 例えばこの十カ年戦略でホームヘルパー十万人、ショートステイ五万床、デイサービス一万カ所といっても、これを具体的に進める地方自治体にとりましては全然見当がつかない。せめて年次計画、そして市町村がやりやすい体制づくりを国がやっていただきたい、こういう声が大変強いわけでございますが、この点についてはいかがでしょうか。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 委員御指摘のとおり、やはり国としてしっかりしたアウトラインを示して進めていくべきでございますが、しかし、同時にまた、こういう在宅福祉等の仕事は地域社会における対応が一番大事であるというのが私の考え方でございますし、委員も恐らく同感していただけると思います。そういう意味で、今回の国会に老人福祉法等の改正案を提出させていただきまして、地域社会にこういう問題についてのより大きな参加をしていただくと同時に、それぞれの地域社会で計画を立てていただいて、計画策定の過程で地域も、また国もいろいろアドバイスをして差し上げるという体制を確立いたしたいというふうに考えております。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 細かな問題になりますが、費用負担の問題でございますが、これがやはり大変な家計に対する重荷になっておる。やはり在宅介護、障害年金等の支給をぜひ実現していただきたい、こういう声が強いわけでございますが、この点に対する取り組みをまず一点伺いたいことと、それから、在宅といっても宅のない在宅だなんという厳しい御指摘がございまして、やはり高齢者に対する施策も突き詰めていきますと住宅政策に入ってくる。この点につきまして、高齢化社会に向けての住宅政策への発想の転換が必要ではないか、このように思うわけでございますが、これはぜひ厚生大臣と、建設大臣にもその展望について御所見を承りたいと思っております。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 在宅介護をしていただく上でいろいろな費用負担がかかるということは事実でございまして、その点に着目して何か制度をという御指摘はいろいろございますが、私どもの今の考え方は、これを一定の金額で処理するというよりも、まず最初にやるべきことは、具体的に低廉で使いやすい在宅サービスをお届けするという仕組みをつくることが今の最大の課題であるというふうに考えてございます。  一方、住宅問題でございますが、まさに委員の御指摘のとおり、私も大都会の福祉の現場を見てまいりまして、結局は住宅、土地問題にぶつかるなと、高齢者になられた方が老後をどういう住宅で暮らしていかれるか、また何かあったときにはどうしたらいいだろうかという、本当に身につまされるような話をいろいろ聞かされておるわけでございますが、私どもといたしましても、融資制度の充実等を考えてお願いをして逐次実現をしておるわけでございますが、また、住宅の確保につきましては、高齢者の方や車いすを利用される方にも使いやすいケアハウスを大幅に整備していただく、それから、公共住宅と福祉サービスを結びつけたいわゆるシルバーハウジングを推進していただくとか、高齢社会に対応した住環境の整備についていろいろと積極的に御提言もし、お願いもしておるところでございます。もとより私どもだけではできないところもございますので、関係各省の御協力を切に御期待をしておるところでございます。

綿貫民輔自由民主党建設大臣

○国務大臣(綿貫民輔君) お答えいたします。  高齢化の進展への対応は住宅政策においても大変重要なことだと認識いたしております。なお、ただいま厚生省と建設省と協力いたしまして、シルバーハウジングプロジェクト等の実施もいたしておりますが、在宅の皆さんにつきましては、いろいろ内部の改装等につきましても今後意を用いるような住宅政策を展開していかなければならないと考えておるところでございます。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 建設省の取り組みはやはり非常に重要な意味を持つわけでございまして、ぜひ高齢者住宅に対する取り組み、施策の充実を期待いたしたいと存じます。  高齢者だけではなくて、一般サラリーマンの住宅事情も非常に厳しゅうございまして、東京圏内十キロから二十キロ以内でマンションの価格がサラリーマンの平均年収の十・七倍、こういう数値が出てきております。これはまじめに一生働いても住宅は持てない。こういう状況の中で活力を求める、そういう社会状況というものは非常に厳しいのではないか。こういうところで分譲の公共住宅が大変期待されるところでございますが、これも大変でございまして、申し込み倍率が八六年ころには十倍を超え、八七年度以降首都圏では八十倍、宝くじを買うのと同じみたいな状況になっている。この住宅政策というのは土地利用の問題とのかかわり合いも非常にあるわけでございますが、国土利用計画と公共住宅施策につきまして、これは国土庁長官も含めまして、建設大臣、取り組みをもう一度披瀝していただきたいと思います。

綿貫民輔自由民主党建設大臣

○国務大臣(綿貫民輔君) 大都市圏におきましての住宅宅地供給政策というものは、目下の一番大きな重要な問題でございます。したがいまして、この国会にも大都市法の改正等々宅地住宅の供給策に関する法律等も出させていただいておりまして、ぜひ皆様方の御協力をいただきたいと思っております。  なお、今回土地税制等につきましても税制調査会でいろいろと真剣にお取り組みいただいてこれらを後押ししていただくようでございますから、それらの相乗効果によって住宅宅地政策がさらに前進するように努力をしていきたいと考えております。

佐藤守良国土庁長官官房長

○国務大臣(佐藤守良君) 及川先生にお答えいたします。  先生の御指摘のとおりでございまして、土地問題をどうするか、非常に大きな問題でございますが、総理の強力な指示によりまして昨年土地基本法が成立しましたものですから、土地基本法に示されました土地についての基本理念、それからまた、それに対する展開等を踏まえまして需給両面にわたる強力な施策を展開したい、こう思っています。  具体的施策としては、昨年土地対策関係閣僚会議が開かれまして、その際今後の重点実施項目を決めました。先ほど建設大臣も申し上げましたが、大都市地域におきます宅地住宅供給の促進とか、あるいは総合税制の見直しとか、あるいはその他いろいろの問題につきまして内閣を挙げて取り組むというようなことで、総理の指示もございまして全力を挙げて、実は先ほど先生の御指摘がありましたようなことでございますが、基本的には住まいを持ちたい人が所得で住まいを持てるようにしたいということをもちまして、政治的にあるいは政策的配慮を加えながら全力を尽くしております。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 住宅状況というのは、まじめに働いている人たちにとりましては、やはり一生働いて求められる公共住宅をという声が非常に強いわけです。こういう声にこたえる施策というのは喫緊の課題であり、各省庁力を合わせてこの期待にこたえないと、国の対応のおくれを指摘されるばかりじゃなくて、日本の将来の発展に大きな影響を持つわけでございますので、ぜひこれは強化をしていただく、くれぐれも強く要望いたしておきたいと思っております。  あわせまして、勤労者の生活の状況に関連する問題といたしまして、私どもはかねがね雇用保険制度の改善に関する提言を行ってまいりました。二つの点になっておりまして、現在の労働者が負担しております雇用保険料を平成二年度より三年間半額にする、それから六十歳以上の高齢者の雇用保険は免除する、こういう二つの提言をして、その実現に向けて強く政府に要望してきたところでございますが、労働大臣、これに対する対応と具体的めどについて御答弁をお願いしたいと思います。

塚原俊平自由民主党労働大臣

○国務大臣(塚原俊平君) 雇用保険は、制度発足以来、一応労使折半というようなことでずっとやってまいりました。ですから、ここが一つの御提案がなかなか実現するのが難しいというところになるんですが、ただ逆に今の雇用保険の勘定というんですか、お金の余りぐあいというんですか、それは結構やっぱり余っているわけですね、割にこのごろ雇用もいいですし。ですから、その三年間というのは数字の上の計算でいきますと非常にいいところをついていまして、御提案としては本当にいい御提案だと思うんです。ただ、ここが冷静にならなくちゃいけないところだと思うんですが、雇用状況というのは、じゃ政府の経済見通しは何なんだと言われればそこまでなんですが、やっぱりまだわからないんですよね、先行きが。今余りによ過ぎますので、不安な状況というのもまたかなりある。  そういうことになりますと、雇用保険はもう最後のとりでになるものでございますから、やっぱりここのところはある程度、公明党さんのすばらしい御提案に対してしかられても、やっぱりちょっと頑張って一応今のままの状況でぜひとも、三年間の半額というのは確かに数字的には合う部分はあるんですが、何とか今のままで継続していきたいというのが私たちの考えです。  それからもう一点、六十歳以上の点についてなんですが、高齢者の雇用は特にこれから一番大きなテーマになってまいります。それで、いわゆる折半のほかに事業主の負担のやつがあるわけなんですね。雇用保険の三事業でかなり高齢者負担、その部分で積極的に進めているものでもございますから、やっぱりここを全額免除するということになりますと、ある程度均等が崩れちゃうような部分もあるものですから、何とかこれもお許しをいただきたい。大分しかられると思うんですが、ぜひよろしくお願いいたします。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 昭和六十三年の雇用保険積立金、最高で一兆六千億の余裕が出ている。平成元年度分の見込みで一兆九千億になっている。こういう雇用のいい状況が続いている中でこれだけ財源がある。いい線をついている、こう言っていながらなぜやらないのですか。私たちは極めて冷静に判断をして、働く人たちのためにせめてこのぐらいは実行していただきたいということで御提案申し上げているんですから、これは真剣に私は対応していただきたいと思うんです。いかがでしょうか。

塚原俊平自由民主党労働大臣

○国務大臣(塚原俊平君) まず、冷静にというところは言葉が適切じゃございませんのでまことに申しわけございませんでした。  ただいま申し上げたんですが、どうしても今のこのいい雇用状況からいきますと、やっぱり歴史がちょっと違うんでしょうけれども、今までの歴史の流れを見ますと、必ずその後に厳しい状況が来るものでございますから、無論そういうような状況にしたら、当然自民党は何やっているんだと言われることですからそれはしちゃいかぬのですけれども、ただ、労働行政というのはいろいろなことでちょっと血が通っていないなんてしかられるときもあるんですが、これも一生懸命血を通わせるように今努力しているんですが、やっぱり最悪最悪のことを常に考えていかなくちゃいけないと思いますので、何とか御理解をいただきたいと思います。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 理解はできません。これはなお今後鋭意私たちも強力に推進をしてまいりたい。このことを付言して、次の問題に入りたいと思います。  最近の交通環境につきまして、大変死亡者がふえているという特徴がございますが、これまでの交通事故、昨年十五年ぶりに一万一千人を超えたというこの状況、本年も既に三千人を突破しているという状況の中で、昭和四十年代の交通戦争と呼ばれた時代から第二次交通戦争と言われるような状況に今突入しているということでございますけれども、こうした最近の統計データを踏まえまして、その特徴につきまして、総務庁でございますか担当省庁、お答えいただきたいと思います。

塩崎潤自由民主党総務庁長官

○国務大臣(塩崎潤君) 交通対策本部長としてお答えを申し上げたいと思います。  及川委員御指摘のように、第二次交通戦争の様相を呈していることは御案内のとおりでございます。私どもはここ二年間のうちに四つに及びますところの基本対策要綱を打ち立てまして国民に訴えているところでございますが、それでもきのうの交通事故死者数を調べてみますと、昨年の同日と比較して七人多い、こんなような数字が出ておりますし、ゴールデンウイーク中の死者数は三百七人で過去十年間の最高と、こんな情報を今得ているところでございます。  私どもは、来年の四月から交通安全基本計画の第五次の場面に差しかかっておりますので、基本的な施策を大きなエネルギーを投入する気持ちでやってまいりたいと思っているところでございます。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 第二次交通戦争と言いますから、戦争のデータでちょっと。(資料を示す)これは戦争の資料に基づきまして、日清、日露、第二次大戦、これと最近五年間の交通事故による死傷者、これを比較いたしますと、第二次大戦のときに、戦時中ですよ、戦後の状況のデータは入っておりませんが、二百七十七万。それに対して最近五年間で三百七十三万人に達している。これだけ戦争以上の死傷者が出ているにもかかわらず、とうとい命に対して死んだり傷を受けたりしているにもかかわらず問題意識がそれほど出てこないという原因をどのようにとらえておられますか、お伺いしたいと思います。

塩崎潤自由民主党総務庁長官

○国務大臣(塩崎潤君) 幾つかの原因があろうかと思いますが、車社会に入りまして車の利用に対する国民の意識が私はこの交通事故の、何と申しますか、認識の低下をもたらしているものだと基本的には考えております。そのほかいろいろ理由がございましょう。私どもは道路の整備状況が自動車の保有の増加状況に比べて大変おくれている点等たくさん理由があるかと思いますが、基本的には車社会が与えた国民に対する意識、これが私は事故の最大の原因ではないか、こんなふうに考えているところでございます。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 それは無理ですね。意識なんていう問題じゃありません。  第一次交通戦争の当時、ガードレールや横断歩道橋、信号機の増設といったハード面の充実である程度これは対応した。しかし、最近の死亡者の激増というのは、これはそういう問題じゃない。指摘の中には、事故そのものに対する徹底的な科学的調査分析とその取り組みが欠けているんではないかという指摘があるんです。この点についてはいかがですか。

塩崎潤自由民主党総務庁長官

○国務大臣(塩崎潤君) 御承知のように、昨年は一万一千八十六人の死者数がございました。最高は四十五年の一万六千人の状況を示したことがございます。その後、御承知のように道路網の整備、今申されました安全施設の整備等によって八千幾らの人数に低下したこともございます。最近上昇のきみを呈しておりますのは今申しましたようなことが原因だと思いますが、委員のおっしゃるように、私も単にハードの面だけの対策では十分ではないと思いますし、ソフト面の充実もこれから大きく力を入れてまいりたいと思っているところでございます。今申しましたように、平成三年度から第五次の交通基本対策をつくりたい、こういうふうに思っておりますので、ここに重点的に今申されましたような施策を盛り込んでいきたいと考えているところでございます。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 先日、NHKのスペシャル番組で西ドイツの取り組みがいろいろ紹介され、輸出向けと国内の私たちが乗っている自動車の安全構造の違いとか、あるいはまた事故発生から医療行為が行われるまでの時間短縮とか、こういう問題が極めてリアルに統計データをもとにして放映されておりました。ごらんになりましたでしょうか。

塩崎潤自由民主党総務庁長官

○国務大臣(塩崎潤君) 私も拝見いたしました。いろいろと各国とも自動車事故対策には苦労しているようでございます。  私どものところは、御承知のように、老齢者さらにまた自転車等の特殊な交通手段によりますところの事故が多いというふうに私どもは考えておりまして、日本独特の対策もまた考えていかなければならないと思いますし、ドイツも大変困っていて、私はドイツ人からも聞いたことがございますが、数字的に見て日本に対して誇れるような数字ではないように、ドイツ人も悩んでいるようでございます。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 それでは具体的に伺いましょう。  交通事故発生から医療行為が行われるまでの時間と死亡率の状況につきまして、政府側にこの関係についての統計データがあればお示しいただきたいと思います。

木村仁消防庁長官

○政府委員(木村仁君) お答えいたします。  交通事故プロパーにつきましてのそういう数字をちょっと手元に持ちませんので、また調査をいたしてみたいと存じます。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 調査していないということなんです。  私はこの問題につきまして非常に重要視をいたしまして、西ドイツでは交通事故発生から負傷者の治療開始までの時間と死亡率の関係、これは徹底的に調査をしている。その時間短縮のために徹底的な努力をしている、こういう状況がございました。既に二十年前から自動車連盟のADACが国の資金援助を受けまして緊急ヘリコプターによる患者の輸送テストを行って、試験期間に年間三千回の緊急出動をしている。そして事故発生から治療開始までの所要時間を平均八分間まで短縮して事故死の減少に貢献した、こういうデータを示している。こういう問題に具体的に取り組まなければ、幾ら言葉で言ったとしても施策にはならないと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎潤自由民主党総務庁長官

○国務大臣(塩崎潤君) お答え申し上げます。  この問題も衆議院でもたびたび緊急医療体制の問題、救急医療の問題として御提言がございましたし、私どももそのような方向についてこれから力を入れていこう、こういうことを答えてきたところでございます。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 それでは、一つ例を出しましょう。(資料を示す)  これが西ドイツで発表しましたクラインの一九七九年の調査です。こちらに事故発生から医療行為が行われるまでの時間帯が五分刻みに書いてある。負傷者の救命割合を上にとりましてやりますと、二十五分で六〇%を割る。このデータで五分に短縮をいたしますと、八五%近くの救命割合になる、こういう状況が既にデータとして出ている。  大変進んでおります我が国においてこういうデータがないというのは私はむしろ不思議なぐらいに思うんですけれども、こういうことに対して取り組んでいくという考え方はありますか。

塩崎潤自由民主党総務庁長官

○国務大臣(塩崎潤君) この問題につきましては、厚生省と消防庁が大いに検討をして研究するということになっているところでございます。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 委員御指摘のとおり、四十年代は大変な第一次交通戦争でございまして、そのときに私どもが一番困りましたのは、いわゆるたらい回しの問題でございました。それから今日まで三次にわたる救急医療体制の整備をいたしまして、今、初期、二次、三次の整備がおおむね終わりまして、最初の救急告示病院、救急告示診療所における受け入れ体制、それから休日、夜間における第二次救急医療を担当する病院群輪番制の確立、それから非常に高度な医療を要する場合の第三次救急医療センターへの搬送、こういう体制整備がようやく終わったという状況でございまして、三次のセンターの充実についてはなお待つべきものがございますけれども、委員御指摘の救命率を上げるために搬送中にどうするかということについては、私は率直に認めますが、実は対応がおくれていたと思います。  そこで、国会における御指摘もございまして、現在、救急医療体制検討会というものをつくりまして、私どもとしてまずやらなきゃならぬのは、どうしても医療のサービスをできるだけ早く現場までお届けするということでございますから、ドクターカーやヘリコプター等の利用による救急患者の搬送体制等二十一世紀に向けての救急医療体制のあり方の総合的な検討をお願いしておりますが、これはじんぜんとして日を待つ気持ちはなく、できるだけ早く結論を出して具体化をしたいと思っております。

木村仁消防庁長官

○政府委員(木村仁君) 先ほど申し上げましたように、交通事故プロパーにつきましてちょっと数字を持ちませんが、救急搬送そのものにつきましては、現在、現地到達までに約五・八分、病院に到達するまでに約二十一分前後というような、かなりな改善が見られております。  それから、いわゆるたらい回しの件につきましても、以前は相当あったように聞いておりますけれども、現在は二百四十七万人搬送いたします中で一回以上病院を変わった方が約四万人、その四万人のほとんど大部分が一回だけというように改善は見ているわけでございまして、先ほど厚生大臣からお答えがございましたように、消防庁といたしましても、厚生省と協力し、厚生省の医療機関の整備に対応いたしまして、消防による救急搬送の改善のために救急業務研究会あるいは救急業務の将来を考える懇話会等において十分検討いたして、新しいシステムの構築に努めている次第でございます。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 昨年、北海道におきまして救急ヘリの実験事業を試みましたが、結局、行政側の総論賛成各論反対で実を結ばなかったと、これもNHKで取り上げられております。どうでしょうか、ゴーサインを出していただけますか。

奥田敬和自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(奥田敬和君) 今北海道の道庁所有のヘリが救急医療用に何か難色を示したというような件をお聞きいたしたわけでありますけれども、道庁が持っておるヘリコプターはあくまで防災用、行政用で持っておるわけでありますけれども、私は、今委員御指摘のように、人命に関することであり、これを救急用に持っていくということはまことに望ましいことだと思っております。したがって、道庁にもよく相談して、そういう形で救急医療用にも使うように相談してまいりますけれども、恐らく道庁からも前向きな返事が返ってくると思っております。したがって、私はテレビの内容見ておりませんからあれですけれども、北海道庁が恐らくその協力を積極的にやれなかったというのは、いわゆる防災用ヘリという形と救急用ヘリとの共用をするために私らの方が何か言うかと思って遠慮したんじゃないかと思うんですけれども、必ず前向きに対応させるようにいたします。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 相談ではなくて、やろうじゃないか、これでお願いします。いかがですか。

奥田敬和自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(奥田敬和君) やるように協議、指導してまいります。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 私は先日、事故発生から治療行為までの所要時間と死亡率について臨床データがないだろうかと思いまして、北海道の札幌医科大学の金子教授に面談を求めまして種々聞いてまいりました。先ほど御答弁の中にございましたように、統計データは、残念ながら国内の臨床データはないということでございます。私はこの状況を聞きまして国の対応は非常におくれているな、ドクターズカーの導入、それから救急ヘリコプターの配備を前提とした具体的対応は急がなければならぬ、こういう実感を持って帰ってまいりました。  これもまた西ドイツのデータです。(資料を示す)五十年のときを一〇〇と押さえまして、そしてその後の事故の状況をずっと追ってみました。これは非常に科学的です。統計データですから正直です。西ドイツは車の上昇と合わせて事故も起きておりますが、死亡数が減っております。西ドイツの死亡数、これはもう大変な数字です。ところが、日本の場合には、事故件数がふえているのと合わせて死亡者もずっとふえている、こういう状況でございます。これは明らかに西ドイツの緊急の場合の事故対策が進んでいる、こういう判断ができる一つの証左ではないだろうか。したがって私は、こういうデータの中で取り入れてよしとするものは積極的に取り入れるという姿勢が大事だと思います。  さっき対策本部長というお話がございましたが、本部長ではなくて、その上に総合をつけて、いかがですか総理大臣、総合本部長に就任をして、この問題、国民の命を守るために真剣に取り組む、この姿勢を表明できませんか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 交通事故から人命を守るということは極めて大切な問題であります。肩書のいかんにかかわらず、全力を挙げて取り組んでいかなきゃならぬ問題であると私は考えております。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 じゃ具体的に、先ほどから出ておりますお医者さんを事故現場へ早く行かせるドクターズカーの導入、救急ヘリコプターの配備、なるべく早い時期に実現する、こうお答えいただけますか。

奥田敬和自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(奥田敬和君) 先ほどからの御提案のドクターズカーの問題、そして救急ヘリの問題、これは大変大事な方向なので、消防庁に関する限りにおいては救急ヘリを、ちょっと気の長い話ですけれども、答申もいただいております。二十一世紀初頭までに各県一台配備しろとか、あるいはドクターズカーの問題にしても、二十四時間お医者さんを常につけていくという形は我々は理屈としては十分検討もいたしました。しかし、実行的に非常に困難な面がございます。現に大阪あるいは関東で特定的にやっておられる自治体もあるわけですけれども、このドクターズカー制度を全国的にやっていくという面においては、まだまだちょっと検討の時間が必要だと思います。  ところで、ただ救急医療に関しまして、この面についてはぜひ先生方の御協力を得たい。これはやはり今の医師法なりその他のお医者さんとの関係におきまして、大体消防士が救急で車を持っていっても、もう人工呼吸程度しかすることができないという制約がございます。そういうために、できるだけこれから、これはエレクトロニクスといいますか、心臓の復活機器等々も大変進歩しておるんですから、それらの機器は十分利用させていただけるように、また応急的な看護措置に関して看護士の問題あるいは医師資格の問題等々はありますけれども、何とかここはひとつ関係省庁とも協議いたしまして、応急手当てに関する限りにおいてはある程度の短期養成でプレメディカルをやれるような措置に御協力をいただければと、その方途を今研究している最中ですけれども、ぜひこの面さえ解決できれば、どれくらいの死亡数に抑えられるかは別として相当数、今のところ搬送中に心臓急患で大体三百六十人くらいが死亡されているという数字が出ておりますけれども、せめてこの半分くらいは救済できるんじゃなかろうかと思っております。ぜひその面においては、プレメディカルの面における看護士の資格の件についての先生方の御協力を得て、何とかこの法案、整備体制を行いたいと思っておりますので、御協力を賜りたいと思っております。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 やろうと決意すればできるというのが皆さんの意見なんですよ。ですから、やはりその方向に向けて積極的に取り組むということが非常に大事だと思う。  私は最後に、時間が参りましたので伺いますけれども、最近の廃棄物の増加はすさまじいものがございまして、産業廃棄物、産業系一般廃棄物、これが台所から出る家庭用廃棄物の処理まで圧迫しているという状況がございまして、しかも東京首都圏の廃棄物の最終処理場がだんだん関東から東北方面へ北上しているという状況がございます。この実態データについて統計的に調べている状況がありましたらお示しいただきたいと思います。

目黒克己厚生省生活衛生局長

○政府委員(目黒克己君) お答えいたします。  首都圏一都三県におきます産業廃棄物の広域移動の実態について一応データを手元に持っているわけでございます。もちろんこれはある程度推計的なものもございますし、それから一般廃棄物等についてはなかなか定かなものがまだ現在手元にはございませんが、一応産業廃棄物についての実態から申しますと、発生量が埼玉、千葉、東京、神奈川で約千三百万トン余りというふうなことでございますが、そのうちの約七百三十万トン程度が自区内で処理ということで、ほぼ半分近くが自区域内で処理されているようでございます。具体的な細かな数字につきましては現在まだ推計の段階で把握していないのでございます。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 自治体任せではなくて、国が早急に調べて対策を立てる、こういう考え方をお持ちですか。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) ただいま政府委員から御答弁申し上げましたような大変な量が今出ております。廃棄物の処理対策につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律によりまして一般廃棄物は市町村、それから産業廃棄物は事業者の責任において処理する、これを国としても適切に行われるように技術開発の推進を図るとか技術的、財政的援助を行うとかいう建前に一応なってまいりました。しかし、数量がこれだけ大きくなりますと、やはりそれでいいかという問題は確かにございます。  そこで、まず量に対しましては、厚生省として特に大都市圏における広域的最終処理場を確保するために、例えばフェニックス計画というものの推進を図っておるところでございまして、これにより厚生省がみずから地域の指定、財政援助、自治体間の指導、調整を行うという一つの計画を世に問うておるところでございます。  なお、これでは不十分であるという考え方から、目下私どもとしては有識者の意見を早急に聞いて、法律改正を含めてこの制度全体の改善を行いたいというふうに考えております。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 厚生大臣、有識者の意見を聞いてとおっしゃいましたが、自治体では、国は基礎調査ばかりしていて実際に役立つ対策を立ててくれないと大変怒っているんですよ。ですから、これは各省の今の状況、ばらばらになっている廃棄物の定義、それから廃棄物の処理に対する責任体制、これを含めた法体系の整備とあわせて具体的な対応をぜひやっていかないと大変な事態になる。  先日、ポスト新行革審で、生活関係行政を担当している部門を統合して生活環境省の設置を機構改革の柱とするといった総務庁長官の意向が報道されておりましたけれども、結構なことだと私は思う。最後に、この生活環境省の早期実現と、これを廃棄物処理に関する主管官庁としてきちっとこれに対応する、こういう点でぜひ総務庁長官、それから総理大臣の最後の御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

塩崎潤自由民主党総務庁長官

○国務大臣(塩崎潤君) この問題はこれから御提案申し上げますところの新しい行革審の法案の中でいろいろと御意見を賜ることになると思いますが、御承知のように、消費者生活重視の行政改革の観点の中で今の御指摘の問題は検討されることになると考えております。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) この問題につきましては、今の長官の答弁もございますが、私としても十分研究させていただきます。

及川順郎公明党・国民会議

○及川順郎君 終わります。

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 以上で及川順郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 次に、立木洋君の総括質疑を行います。立木君。

立木洋日本共産党

○立木洋君 私は、まず政治改革に関連して中選挙区の定数是正の問題について質問いたします。  総理は今度の選挙改革の問題について、あなたの命運をかけるというふうに述べられました。選挙の根本的な問題は、これは主権者が国民なんですから、主権者の意思と選択が正確に公平に反映するように行うのが選挙制度の根幹であります。この問題について言うならば、まさにこれまで国会でも明確に速やかに定数是正、抜本改正をやるべきだということになってきたわけですから、これを直ちにやるということがまさにその要求にこたえる基本だと思うんです。なぜそれを総理はおやりになってこられなかったのか、その点についてまずお尋ねします。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 定数に関する国会の問題、まさに御指摘のとおり国会で御決議をいただいておる問題でありますから、国会自身の御意思として各党各会派間で十分に話し合って適切な結論をお出しいただくのがまず国会に対する私たちの基本的な立場、姿勢ではなかろうか、こう考えておりますので、国会における御議論を期待させていただきます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それは総理のお言葉としてはおかしいんじゃないかと思うんです。あなたは自民党の総裁でもあるんです。自民党というのは与党なんですから、その点の責任を負わなければならない。国会に審議していただくというのは、国会に任せて私は知らないということでは総理・総裁としては通らぬではないですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 理屈を言うわけじゃありませんが、ここにお呼び出しをいただいておるのは内閣の総理としてお呼び出しをいただいておるのでありまして、国会の場に政党の党首がお呼び出しをいただいてお答えするのじゃありませんので、どうしても政府サイドの答弁になることはこれは御理解をいただきたいと思います。そういう意味で、憲法上の三権分立がございますから、国会の御決議というものを政府が勝手にああだとかこうだとか言わずにこれは尊重をしていく、こういう基本姿勢を申し上げたところでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 自民党の総裁としてのあなたに改めてお尋ねしましょう。  問題について言うならば、まずこれまでの選挙制度審議会の第七回までの答申というのは、定数是正を行うべきであるという答申になってきた。御承知のように、この定数是正が行われていないというので、一九八三年以降重なる違憲判断というのが裁判所で示されてきた。ですから、国会の中でもそれを是正しなければならないということで是正をやったのです。だけれども、それは暫定的だ、抜本的に速やかにやらなければならないということになったのは御承知のとおりの経過なんです。    〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕  ところが、その後自民党はこの問題について意見がまとまらないと言ってなかなかおやりになろうとしない。問題は、そこまでなったにもかかわらず、答申で改めて聞く必要もないのに答申で問題にされる、選挙審議会を求めるというやり方をおやりになった。全然別の問題が出てくる。そういうことでは、自民党の総裁としていかがなものかということになるわけですから、この点について明確に、速やかに定数是正についてあなたはおやりになるという意思がおありなのかどうなのか、改めて総理・総裁としてお答えいただきたい。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 衆議院議員選挙の一票の格差の問題について、それを主たる内容としてのお尋ねが今ございましたが、今度の審議会の答申は一票の格差を選挙区ごとに一対二未満とすることを基本原則とする答申が来ておることも委員御承知のとおりと思います。この答申を実施すれば、投票価値の平等の要請にもこたえることになるわけであり、今御指摘の選挙違反——失礼しました、憲法違反云々の問題からはるかに前進した結論が出てくることになるわけでありますので、そういったことを含めて私は受けとめさせていただいております。  なお、院の決議に関しましては、先ほどと同様になるかもしれませんが、各党各会派の間において院の決議を尊重してお話し合いを進めていただくことを強く期待しております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 自民党の総裁としておやりになるかどうかということもはっきりさせていただきたいと思うのですが、問題は定数是正を速やかにやるべきだということが国会で決まった。そしてその方向で努力しなければならないということも明確にされてきている。ところが別の方向に行ったのですね。問題は、定数是正の問題であなたは今言われましたけれども、そうではなくて、小選挙区制という方向にあなた方は大綱を出された。それで審議会に問題が投げかけられたわけではないのですか。民主主義というのは、一人一人が持っている一票の価値というのがほぼ等しくなるように常に努力していくというのが民主主義のあり方なんだ。そういう努力をしないで小選挙区制という方向にあなた方が方向を出された。それで審議会に申しつけるなどというふうなことは全く筋道がおかしいのじゃないか。  今出されている小選挙区の並立制ですか、これによると死に票が大変になるのじゃないですか。死に票が多くなるということは、あなた御承知のように、国民の意思が正確に反映するということを根本的に踏みにじることになるのじゃないですか。これはこれまで何回も戦前から問題になってきた。だから小選挙区制という問題が中選挙区に変わったときに、あなた御承知ないんですか、問題にされてきたことなんですよ、歴史的にも明確にされている。あなた、死に票がたくさん出て、それで選挙制度は結構だというのでしょうか。あなたは、四割台の得票で八割の議席を占めるというような小選挙区並立制が民主主義の理念にかなったというふうに言われるのでしょうか。明確にしていただきたい。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 私も一票の格差というものは非常に大切だと思っておりますから、一対三を超えると憲法違反の疑いが出てくるといういろいろな世論も知っておりますし、現にそういった判例があったことも知っております。ですから、一票の格差を一対三ではなくて一対二にするということを基本原則にするという答申は、答申の精神としては一票の価値を大切にするということで、なるほどと思って素直に読ませていただいた次第であります。  それから私は、やはり今度の選挙制度そのものについて、四割の得票で八割の議席を得るためにとか、そういう底意を持って依頼したのでもありませんし、また、前内閣が諮問をしそれをたまたま私のときに審議会から答申をいただきましたけれども、その答申も政治資金のことやいろいろなことと並べて政党本位の、政策本位の選挙が行われるようにしろという、選挙制度の仕組みそのものについていろいろな角度から突っ込んだ御議論を各界の代表にしていただいた有識者の結論と受けとめさせていただいております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 一つ抜けていますよ。死に票が多くなって民主主義にかなうんですか。(「立ってやれよ」と呼ぶ者あり)答弁してないんです。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 比例代表制を加味することによって、その問題に対しては審議会の答申の中では触れてございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 これは自民党の森氏が、かつて試算したことのある単純小選挙区制だけではなく、この比例代表制を加味した数字を出しております。それによりますと、これは過去七四年以降の五回にわたる経過を計算に入れたものですが、自民党の議席は三百六十八議席になるという試算が出されております。しかも、死に票は大変なものになる、小選挙区制ですから。小選挙区制が中心なんですよ。これで民主主義の理念にかなうのかどうか。あなたは国会で決められたこの定数是正という問題を、自民党の総裁として直ちにやるべきだというこの決議を実行する意思はないのかどうか、改めてお尋ねします。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 私は、何度も申し上げるわけじゃありませんが、ここへお呼び出しいただくのは政府としてお呼び出し願っておるわけでありまして、党のことは各党間でいろいろ御議論をいただき、各党の合意でできた院の決議に対しては、これは私は国会議員個人の立場からいっても、党の総裁からいってもそれは大切だと思っておるということは何度も申し上げておりますが、司法、行政、立法の三権が分かれて、皆さん方は私を立法府としてお呼び出し願って御質疑願っておるわけでありますから、審議会の答申に従って私は申し上げておるわけでございます。行政府であります。失礼いたしました。    〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕

立木洋日本共産党

○立木洋君 海部総理も何回かお間違えになりますね。大分慌てているんじゃないですか、あなたは。よく落ちついて答弁してください。  問題は、ここで何回も総理・総裁として答弁いただいた経過というのは歴史的にも何回もあるんです。この問題については、あなたがやはり自民党の総裁としても国会で決められた決議を積極的に進めようとする意思かないと私は言わなければならない、あなたの答弁で。  それで問題は、あなた自身が先ほど言われた死に票が大量に出るという、こういう問題についても、あなたは民主主義者であるならばそれにふさわしいやっぱり対応をとるべきだ。そういうお答えも明確にされていない。  そういう点から、もう一つの問題で、あなたは何回かこの選挙制度の問題で金のかからないということを主張してこられました。首相は、小選挙区並立制になったならば、小選挙区と比例の並立制になったならば金がかからなくなると、あなた保証できますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 小選挙区になることは、民意を反映しないとか、死に票の問題をどう思うかということですが、中選挙区でやっている国というのは世界の国々の中でどれだけ例があるでしょうか。希有な例だと思います。むしろ小選挙区で選挙をやっておる国が世界にいろいろあるわけでありますし、そしてそのとき少数政党のいろいろな意見や死に票をなくするために比例代表制という制度が加味されておると、私はそう理解をしておるのです。ですから、それらのことはよその国で行われてきたこと、それらを全部踏まえて考えていかなきゃならぬという視点が一つあるということでございます。  また、この前、これは院が違うところの御議論でしたから言っていいかどうか知りませんけれども、自民党は一定の得票率で議席をたくさんとるではないか、野党は同じぐらい得票率があっても議席が少ないではないか、こういう角度のお話もございましたので、それは選挙区制度の問題としておとらえになるよりも、自民党はその中選挙区の中で複数の大勢の候補者を出して選挙をいたしました。ですから、一人しかお立てにならないと、票はたくさんおとりになりますから得票率は上がるけれども、議席はトップ一人だけということになります。自民党は二番目、三番目、四番目とこう分け合いましたから、票は少なくなっても当選する議席は結果として多くなったんですということを申し上げました。  そのかわり自民党が体験したものは、政党中心、政策中心の選挙ではございませんでした。選挙事務所から選挙の陣営から必要なお金から、みんな個人で集めたんです。政策宣伝も個人でいたしました。そこでいろいろな問題が起こってくるでしょう。お金がかからなくなるかならぬか保証しろと言われると保証の限りではありませんけれども、少なくとも政党が行ってくれて、政党がそれらの政策宣伝もやってくれる。選挙事務所とかあるいは人員を自分でつくらなくてもいいということになっていきますと、私はその分だけはお金は確実にかからなくなる、私どもの仲間ともいろいろ相談してみたんですけれども、それはそうだということに相なりました。私はそう思っております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 総理はアメリカだとかフランスなんかへよく行かれるから、そういうところは小選挙区です。私、知っています。しかし、北欧だとか西ヨーロッパの少なくない国は小選挙区制でやっていないんですから、そういうところのこともよくお考えになっていただきたい。  それから問題は、あなたは政党本位の政治を今までやってこなかったからだ、だから政策本位になるように努力するというふうなお話をしましたけれども、これまで政策本位で本当に選挙をやるならば、立会演説会をなぜ禁止したんですか。政策をわかってもらう文書の配布をなぜ制限したんですか。こんなことをやって、政策本位で選挙ができるようなやり方をしなくて、そして死に票が大量に出るようなこんなやり方までやってくるというのは全く筋違いだ。自民党の——自民党ではございませんが、党派を離れてあの田村さんがやられましたよね、衆議院の田村さん。小選挙区制にしたら金がかからないという妙な注釈はやめてくれと言っているんです。こういう問題に対する意見というのはたくさん出ている。ですから、あなたが国民の今の自民党の政治のやり方に対する批判を逆手にとって、中選挙区は金がかかるんだ、政策本位でないのも中選挙区だ、こう言って中選挙区がすべて悪いかのような言い方をして、結局問題はあなた方自身がやってきた金権政治、企業ぐるみの戦術によって安定多数を獲得しようという、こういう一党支配を永久化させようとするところに根本的な問題があるんだということを私ははっきり指摘しておきたい。ですから問題は、政治改革を本当にやるというなら、主権者である国民の意思を体して定数是正を速やかにやるべきだ。リクルート解明、企業からの献金の禁止、これを明確にすべきだということを重ねて指摘しておきたいと思うんです。いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 技術的な問題や詳細については担当の自治大臣からお答えをいたさせますが、政治資金の問題については、自由民主党においても一昨年以来の一連の厳しい反省に立って政治改革大綱を党議で決定しておりますし、その方向に向かってこの審議会でもいろいろな選挙制度の問題や政治資金の問題を含めて答申をいただいておりますので、それらに対する対応はこれから取り組みをしてまいるところであります。

立木洋日本共産党

○立木洋君 海部総理は国会で決めたことを忠実に実行しようとする意思もないと。今度の選挙制度はまさに民主主義に反する小選挙区並立制を導入しようとしている。私たちは断固としてこれに反対するということを明確に述べておきたいと思うんです。  あなたの内閣の責任にかかわる問題として、リクルートの事件に関連して深谷郵政大臣にお尋ねします。  当時、リクルート社分を含めて深谷氏の政治資金を担当していた秘書は、私たちの調査に対しまして、昭和六十三年七月当時、深谷氏からリクルート献金について調査を指示されたことはない、これが一つ。二つ目、したがって調査はしていない。三つ目、リクルートの退会届も知らないと私たちに答えております。今まであなたが国会で公式に述べてきたことと全く違う調査の結果を私たちは得ていますが、これはどういうことですか。

深谷隆司自由民主党郵政大臣

○国務大臣(深谷隆司君) 立木委員にお答えする前に、何回か申し上げてまいりましたが、私の自主申告がおくれたことから海部総理を初め国民の皆さんに多大の御迷惑をおかけしたことを改めてまたおわびしたいと思っております。  ただいまの委員の御指摘のお話については、どのような形で共産党の皆様に情報が行ったのか私定かではございませんが、多分既にやめた秘書から聞いた話ではないかなと想像いたしますが、ただいまのお話とは違いまして、私が申し上げてきたことが事実でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 私たちは国民の信頼を受けていろいろな方からお話を聞くことができます。問題は、当時あなたの政治資金の担当だったリクルート社の分もかかわっていたその本人から聞いた答えなんです。その人が知らないということをあなたはどのようにして調査できたんですか。

深谷隆司自由民主党郵政大臣

○国務大臣(深谷隆司君) お答えいたしますが、その秘書は既にやめた秘書でございます。どういう形で共産党の皆様にその人が情報を入れたのか私定かではございませんが、私が申し上げていることがすべてでございます。そして、私どものその当時からの秘書はただいまも秘書官をしておりますし、スタッフはそろっております。その一人だけがすべてではないのでございます。どうぞ御理解いただきたいと思います。

立木洋日本共産党

○立木洋君 あなたのそのような主張を一体国民がテレビで聞いてどう考えるでしょうか。あなたの言っていることが本当だと本当に思うでしょうか。  問題は、政治資金の当時の担当者自身が知らないことをあなたが調査をしたと言っているのは全く信用できないということを述べておきたいと思います。  次にもう一つ、今台東区の区会議員をされている金田功氏がかつてあなたの秘書であったということはあなたはお認めですよね。

深谷隆司自由民主党郵政大臣

○国務大臣(深谷隆司君) 立木委員に申し上げたいと思うのでありますが、どういう御趣旨で彼の名前が出たのか私これから伺わなければなりませんが、彼も既に三年前にもうやめて現在区会議員をしている立場の人でございます。ですから、どういう質問をなさるかわかりませんけれども、私がここで名前を申し上げるというのはいささか話が違うのではないかと思っております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 この席はあなたが私に質問する場所ではないんです。私があなたに質問している場所なんですから、お間違いないようにしていただきたい。  この金田功氏というのは、六十二年の四月二十六日に区会議員に立候補されて当選しました。その中に、私は深谷代議士の秘書として十二年間にわたり云々というふうに公報に書いてあります。そして、あなたの秘書の名簿にもちゃんと載っております。この方が秘書だったうちの数年間にわたってどこから給料が、賃金が支払われていたんでしょうか。わかっていたら述べてください。

深谷隆司自由民主党郵政大臣

○国務大臣(深谷隆司君) 今回の問題というのは、リクルートにかかわる疑惑で私の倫理というものが問われてまいりました。金田さんについてはリクルートとは全く無関係でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 金田氏が秘書だった数年間、朝倉忠孝氏が病院長をしている八王子の滝山病院の職員だったということにして賃金を出してもらっていたということがあるということは、私たちは明確な調査の結果情報を得てます。問題は、これがこの数年間にわたって毎月二十五万円出してもらっている。私たちは調べを尽くしていますが、あなたは秘書である石塚猛氏を八八年七月までリクルートの社員だったと言い張って、そして事実上リクルートから給料が出されていた問題について、今度の関連で見るならば、石塚氏の問題についてもあなたは偽りを述べていたということが十分に推測されるんです。だから、この問題についてあなたにお尋ねしたんです。

深谷隆司自由民主党郵政大臣

○国務大臣(深谷隆司君) お言葉を返してまことに申しわけありません。金田さんというのは、ただいま台東区の区会議員でございます。れっきとした区会議員であります。そして彼は十数年にわたって、例えば自分で製図をプロとして書いて収入を得たり、あるいはただいま御指摘の病院ではケースワーカーとして、毎週土曜日と聞いておりますが、そういうところへ通ってそれを選挙に出るためのいささかの資金の準備に充てたり、それなりの努力をしてきた方でございます。  私はこのたびの問題で倫理を問われていますから何を言われても反論をすることを避けてまいりましたけれども、事金田君というお名前がただいま出されましたけれども、それと同列に論じていただきましたならば、彼のプライバシーは一体どうなるんだろうかと非常に心配しております。どうぞひとつそこいらを御検討いただきたいと思います。

立木洋日本共産党

○立木洋君 問題は、あなたが石塚猛氏の場合について明確にされることによって問題は解決できるんです。  委員長、私はこの石塚猛氏を証人として喚問することを要求するので、理事会で検討していただきたいと思いますが、いかがですか。

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 後刻理事会で協議いたします。

立木洋日本共産党

○立木洋君 総理、今までこの議会の中で繰り返しこの問題は問題になってきました。あなたが任命された方であります。全く問題がないとあなたは本当にお考えでしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) いろいろ調査の初期の段階において慎重を欠いて皆さんに御迷惑をおかけしたことについては、私は本人に厳しく注意をいたしますとともに、今後みずからがこの問題を厳しく受けとめて戒めていくように厳重に注意もいたしました。

立木洋日本共産党

○立木洋君 あなたはこの問題を、リクルートの事件を明確に解明してそして国民に対して責任を負うという立場がおありならば、今度の問題について、石塚猛氏がいつからいつまでリクルート社のどの部署で勤務していたのか、勤務の実態、賃金の支払いなどリクルート社から報告をさせるように官房長官に命じて処置をしていただきたいが、いかがですか。

深谷隆司自由民主党郵政大臣

○国務大臣(深谷隆司君) 現在も私の秘書をしておりますから私から申し上げますが、既に何回も申し上げたとおりの状況でございまして、そのことについて明確に官房長官に提出済みでございます。私は自分の調査の確信を持って提出した内容でございます。どうぞ御理解いただきたいと思います。

坂本三十次自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(坂本三十次君) 郵政大臣に対するリクルート社からの献金等については、同大臣から自主申告なされた内容について私が確かめて公表したものであります。確認に際しては、私が同大臣から直接説明を聞くとともに、もうこれ以外にないかということを特に念を押してまいっております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 総理、問題は、本人の言い分だけを聞いて、今までの国会の審議を聞いて全く通用しないということが明らかになってきているんですから、あなたが責任を持って解明する必要があるんです。本人の言い分だけを聞いて済ますことができるかどうか。

坂本三十次自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(坂本三十次君) 私としては、郵政大から自主申告のあった内容について確かめて報告をしたものであります。  政治家のあらゆる政治資金の一つ一つの中身について第三者が確かめることは、司法手続は別として、結局は政治倫理の観点から、御当人の徹底した調査によるしかないと思うのであります。郵政大臣の件については、私は説明を受けた際、もうこれ以上ないかということを先ほども申しましたように特に念を押し、最善を尽くしたものであります。

立木洋日本共産党

○立木洋君 そのリクルートの問題について調査をしなさいということを言っているんですよ。政治献金全般を私は言っているんじゃない、リクルートの問題について言っているんです。リクルート社について調べなさいと言っているんです。納得できませんよ。

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 速記を起こして。  ただいまの問題は後刻理事会で協議いたします。

立木洋日本共産党

○立木洋君 総理、改めて申し上げておきますが、この問題はこのリクルートの事件に関連する深谷氏本人の重要な問題の一つなんです。今まで、この石塚猛という秘書がリクルート社で働いていたという形にして、実際上は彼の秘書として、つまり賃金という形で政治献金を受けていたという疑惑が問題になっておるんです。勤務の実態がどうだったのか、賃金はどこがどう払っていたのか、仕事を本当にリクルートでしていたのか、問題は何一つ解明されていないんです。御本人も述べていないんです。  この問題に対して、リクルートの問題に関連があるんですから、私はリクルート社にあなたが、政府が責任を持って、内閣が責任を持ってこの問題をお調べなさいということを言っておるわけですから、理事会で協議されると言っているので、引き続いてこの問題は追及していきたいというふうに述べておきます。  次に、安保と軍縮の問題についてお尋ねします。  総理は、今の世界は変わりつつある、だから冷戦時代の考え方から抜け出して新しい平和共存の方向に進むべきではないかということを施政方針演説で述べられました。今問題は、この冷戦時代の考え方の根本は何だったのか。これは東西の力の対決、軍事ブロックなんですね。これをやっぱりなくしていくということを考えるべきである。それなれば、日本の安保条約というのはこれは冷戦時代の産物なんですから、これ自体についてもなくすという方向で努力をするということを当然考えなければならないのじゃないか。この点について、なくすべきだという主張に対してあなたの見解を述べていただきたい。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 東西の対立、対決が冷戦時代の発想を乗り越えつつあるということは私も率直にそう思っております。ただ、なぜ東西の力による対決、武力による対立が起こったかということは、私はその以前の問題として、他のイデオロギーの存在を認めないというような膨張主義の発想も世界にはあったんではないでしょうか。そういったことをめぐってそこに一つの対決が生まれたのではなかったかという感じを私は受けております。  ただ、日本の場合は戦後この東西の対立の中へ自分の力でもってそれに加わりましょうとかお役に立ちましょうとかいう発想は持つことはできなかったし、持ってはいけないことでございました。戦後はひたすらにみずからの国の平和と国民生活の安全を守っていく、いわば専守防衛といいますか、そういった平和時におけるみずからの国の安全を守るためにはどうしなければならぬかという、その発想に立っての自衛力の整備でありました。  日米安保条約というのは、そういった日本が自分の力でどうにもならない問題について、安全保障条約でこれはその抑止力その他にもすがって平和を守り抜くという、そういった願いを込めて結んだ条約であったことも事実でございます。そして、現実に平和が守られてきたと思っております。私はそのような姿形の中で日本の平和と安全を守り抜いていきたいと考えております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 確かに、戦後日本政府は平和的な方向に憲法を守って、力の対決でなく軍事同盟にかかわることのない道を歩んできた。その道を誤ったのが日米安保体制じゃないか。だから、力の体制に入ったんだ。封じ込め戦略ということの中へ入ってきて、そして現在どうですか。アメリカから要求されてシーレーン防衛、洋上防空、大変な武器まで持つような状態になってきている。今この問題が改めて冷戦時代の産物だといって軍事同盟の問題が厳しく世界的に問われているわけですから、ここでやはり戦後の誤りを正さなければならぬ。だから、そういう点ではこの軍事同盟の問題、あなたは今なぜ軍事同盟である安保体制が必要だと言うのですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 現実に平和を守り抜くことができたということと、それから東西の力による対決、軍事同盟、軍事ブロックとおっしゃいますが、日米安保条約はある意味では日本にとって非常に幸運なというか、あるいは日本にとってはバンデンバーグの決議の唯一の例外としての安全保障条約でもございました。そういったものの中で節度のある防衛力の整備によって平和と安全を守り抜くことができたと思っております。  そして、その条約は三十五年の改定のときに相互協力そして安全保障という防衛面のみの条約ではなくて、自由な制度、仕組みの中で経済の発展をし、それぞれの諸国民の福祉条件の向上も目指すという、そういった問題に重点を置いた両面性を持った条約にもかかわってきておるわけでありまして、私はこれが世界の対決や世界の対立を推し進めるのに役に立ったという考え方はとりません。同時に、これによって平和が守られてきたものだと私は受けとめております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 戦後四十五年たちました。そしてアメリカの大変な熱い戦争がやられたベトナム侵略戦争がありました。あの戦後四十五年間の世界で起こったアメリカの行った熱い侵略戦争に、進んだ資本主義国で基地としてかかわりがあったのは日本だけですよ。あの戦争状態の中で、どうです、日本では安保条約のもとで米兵が駐留した。その米兵が犯した事故、犯罪によってこれまで千十三人の日本人が命を落としたじゃないですか。今、基地の問題が大変になっているんですよ。国民が今基地の問題に対して大変に厳しい判断を下している。こういう問題があなたの眼中に入らぬのですか。  バンデンバーグ決議の問題に関して言いますが、この点については外務省が述べてください。バンデンバーグの最も重要な第三項、これが今日の日米現行条約の第三条にどのように記載されているか、引用してください。

福田博外務省条約局長

○政府委員(福田博君) 先生のお尋ねは、安保条約三条ではないかと思います。読み上げさせていただきます。「締約国は、個別的に及び相互に協力して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる。」。  以上でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 アメリカのバンデンバーグ決議というのが上院で採択されたのが、御承知のように一九四八年ですよ。この決議の最も重要な精神というのは何か。今述べられたように、「継続的かつ効果的な自助および相互援助」、つまり、いつまでも継続して効果的に自分で軍備をふやす、その点でお互いに協力し合う、これがバンデンバーグ決議の重要な精神です。これを相手の国がやるならばその国と安全保障条約を結びますというのがバンデンバーグ決議じゃないですか。  ここに、昭和三十五年七月、外務省が出した文書があります。もう大変前ですからこんなに古くなっています。ここにちゃんと書いてあるんです。日米安保条約の第三条、これは我が国ではよくバンデンバーグ条項という名で呼ばれている。こういうふうに述べて、この条項の由来がここにあるんだとはっきり述べているんですよ。日本の国が自分から自助して軍備をふやす、そしてその点で相互に協力する。アメリカの一九八四年の国防報告でも述べている。日本が軍備をふやしてくれているおかげでアメリカの戦略に大変役に立っている。こういう事実をあなたは否定なさってはいけない。日本だってアメリカの戦略のもとで、最近の防衛白書の中でソ連の潜在的な脅威ということを述べているところを引用してください、防衛庁。

内田勝久防衛庁参事官

○政府委員(内田勝久君) お答え申し上げます。  防衛白書の四十四ページでございますが、その冒頭でございます。「今日では、極東ソ連軍は、核戦力及び通常戦力とも、ソ連全体の四分の一ないし三分の一に相当する戦力を保有するに至っており、その軍事力蓄積には膨大なものがある。」と述べております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 防衛白書の中でも明確にソ連の潜在的な脅威ということに言及して、力の対決という枠組みの中に組み込まれた状況が明白に示されております。ですから、かつて中曽根首相が、御承知のように、日米間の同盟には軍事的な問題が含まれておりますとはっきり述べているわけですね。だから日米運命共同体だと。そして、ソ連のバックファイアに対して日本を不沈空母として四海峡を封鎖する、そういうことまでやりますという問題までやったんです。  今あなたは、日米安保体制ということのイメージを変えようというふうな言い方で、軍事的なかかわりがあるという側面を軽視してはならないんです。この問題が極めて重要な点なんです。この日米安保体制というのが軍事的な側面を明確に持っているということ、そして同時にこの問題でアメリカの要求に基づいてやっぱり軍備をふやしてきているんだということをあなたは明確に認めるべきだと思いますが、いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 私は、日米安保条約が当初安全保障の面からスタートしたものであるということを明確に申し上げたつもりであります。そして、三十五年の改定のときに、相互協力並びに安全保障条約と変わってきたという点も明確に申し上げたつもりでございます。  それからバンデンバーグ決議の問題については、これは私の理解からいきますと、日本は憲法のもとで専守防衛のもとにおける国是があるわけでありますから、そういった国が——バンデンバーグの決議というのは、諸外国と結んだときは相手国が攻められたときにはアメリカは防衛に行く、アメリカが攻められたときはアメリカの防衛に行くという相互協力の精神が貫かれておったと私は理解しておるんです。けれども、日本の場合は憲法上それができないし、日本を攻められたとき、攻められないように抑止力で守ってもらうけれども、アメリカが一たん緩急の有事のときでも、日本は出動して防衛に行くことはできませんよという、そういう意味で私は非常に日本にとっては好都合なというか幸運なというか、そういうものであった、たった唯一の例外だったと、私はあの締結当時を思い起こして記憶いたしております。  それからもう一つ、日本の防衛力の問題について、極めて節度ある防衛力の整備をやっていました。日米安保条約によって日本の当初の防衛というのは任せて、抑止力も全部それに頼って平和が守られ続けてきたんです。この事実を私は申し上げたわけでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 あなたは先ほど力の対決に組み込まれていないということを言われたから、それは間違いだと、安保体制になってから、御承知のように、東西の対決の中で日本がその役割を担うようになってきたわけですから、この点を私は明確に指摘したわけです。  今問題になっているのは、アメリカが最近アジア・太平洋の戦略的枠組みということを国防総省の報告で提起しました。これは今までのアメリカの主張から見ますと二つの変化が見られます。もちろんその前提には、アメリカ政府は日米軍事同盟の堅持ということを依然として主張しています。日米安保体制の堅持ということを明確に主張しております。  その中での一つの変化は、アジアと太平洋地域において、依然としてソ連はアジアにおける主な脅威であるが、七〇年代や八〇年代にそうであったような深刻な脅威とは見られないという表現が一つあります。  もう一つは、この地域においては旧来の脅威の概念は変化しつつあるという指摘があります。つまり、これはハーディスティ・アメリカ太平洋軍司令官の言葉を引用しますと、「太平洋地域における最も可能性のある脅威は、」、ソ連の脅威はあるがとは述べつつも、「いまは別のところに存在している。」、こういう二つの変化の問題が指摘をされています。  このアメリカが依然として日米安保体制が必要だという根拠として、アジア・太平洋の戦略的な枠組みという中で述べたアジア・太平洋についての情勢認識について、海部総理はどういうふうにお考えなのかお聞きしたい。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 私は、日本の安全と日本国民の平和を守るための極めて限られた、日本のみを対象とした日本の防衛力でありましたから、これはやっぱり委員言われるように東西対立の枠組みの中へ組み込まれておったということには当たらないんじゃないでしょうか。ですから、私どもが国会議員になってアメリカの議員といろいろお話しするときによく言われたことは、安保ただ乗り論といいますか、日本の平和はただでやっておるじゃないか、もっとみずからの国の責任ぐらいはみずからの国で負うようにしたらどうだという意見を随分言われたことを私は思い起こすのです。  けれども、それは日本は東西の力の対決の中でお役に立とうとか立てるとか思ってもいませんでしたし、思ってもいけないことであったので、そういうことが事実として続いてきておったのだと私は思います。ですから、現在でもそうでありますけれども、この地域の力の均衡というか、これから先は軍備管理・軍縮の方向にいろいろ議論が進んでおることは私も承知しております。冷戦の発想を乗り越えつつあることも承知しております。しかし、不透明な問題や不安定な問題もたくさんありますから、アジア地域の平和と安定のためにはどうしたらいいのか、それぞれアジアにある紛争一つ一つを解決していく努力を日本は軍事力以外のことで積極的にしなきゃならぬと思うから、努力もしておるさなかでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 軍備の問題については後で重ねて私は指摘をしたいと思いますが、まず最初に、アメリカの国防総省が提起しましたこのアジア・太平洋の戦略的な枠組みの中で、五つのアメリカの主要戦略が指摘をされております。その五つの主要戦略の中の三つ目の条項、これを引用してください。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) お答えいたしますが、先生が引用されました戦略的枠組みの中で先生が御指摘の五つというのはどれを具体的に指しておいでになるかちょっと私存じませんが、この報告書の五番目に一九九〇年代及びそれ以降の戦略的枠組みという項目がございまして、もしこのことを指していらっしゃるのでございましたら、今後十年間におきますアメリカのアジア・太平洋におきます目標を掲げまして、第一段階、第二段階、第三段階までに言及いたしまして、米軍の兵力削減の一般的な見通しを述べております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 いや、そこじゃないんです。日本部分の前文の中で述べているアメリカの主要戦略の第三番目。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) お答えいたします。  先生が御指摘の日本の関係に関しまして確かに五つの指摘がございまして、その三番目にございます指摘を読み上げさせていただきます。  日本を基地とする米軍の経費支援の増大を含む地域的調整に対する支援を奨励しつつ、世界の重要地域の安定を維持するため、日本が西側同盟国とともにさらに密接な政治努力を行うよう求めること。  以上でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 同じ日本部分の前文の中の第三段階の部分を引用してください。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) 先生御指摘の諸点は、次に第一段階、第二段階、第三段階とございます最後の第三段階のところを指しておられると思いますが、この第三段階は今後五年ないし十年の間を指しておりまして、具体的な表現は読み上げさせていただきます。  東西関係の状況いかんによっては、米国は戦力のプレゼンスの一層の削減を開始することが可能。日本における米国の抑止能力、母港化された空母、戦略輸送航空機及び同地域に配備された空軍の攻撃戦力は、地域的及びグローバルな任務を遂行し、米国の条約上のコミットメントを果たすためにとどまるであろう。  以上でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 この問題というのは、日本から作戦行動を行う米戦力、これに対する資金的な援助の増大を日本に求めているんです。そしてその支援を促す。その米軍といい米戦力というのは、世界的な地域で行動を行うものである。  第三項目目も、同じように日本における米軍、これは世界的な任務を遂行するために行う。これはこれまでの日米安保条約の適用範囲あるいは地位協定の内容から見てもまさに重大な内容を含んでいると指摘せざるを得ないんです。  こういう問題が日米安保条約上、地位協定上根拠があるのかどうなのかはっきりさせていただきたい。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) 先生御承知のように、日米安保条約及び地位協定は、アメリカに対しまして日本の安全のためばかりではなくて極東の平和と安全のためにも在日米軍基地の使用を認めております。したがいまして、この在日米軍基地が日米安保条約の目的達成のために同条約に従い運用されるということは当然でございます。  今、先生御指摘のグローバル云々という点に関しましては、アメリカは広くグローバルに平和の維持のための役割を担ってきておりますので、したがいまして極東の平和と安全なくしては世界の平和もないという当然の認識を述べたものであろうと私ども受けとめておりまして、今私が御説明いたしました安保条約及び地位協定の条約上の建前にいささかの影響を与えるものでないと了解しております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 今の松浦さんの解釈というのはとんでもないことです。  ここで問題にされているのは、日本から作戦行動を行う米戦力に対する資金的な援助、これは地位協定の中で認められないことなんです。認められないと衆議院でちゃんと返事をしているじゃないですか。問題は、しかも世界的な規模でここではアジア・太平洋の地域に関することを述べている。その作戦行動をアメリカがやる。私たちは日米安保条約に反対ですよ。しかし、あなた方が認めている日米安保条約だって日本と密接な関係のある極東の範囲内、これは国会で何回も議論されてきたことであります。それを無限定に拡大する、協定や条約上にも反したような状況にまで持っていこうとする内容が出されてきているわけですからこれは重大な問題だということを指摘せざるを得ないんですが、総理いかがですか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) 繰り返しで恐縮でございますけれども、今回の報告書は私どもは先生が今御指摘されたような形では受けとめておりませんで、私が先ほど引用いたしました報告書におきましてもはっきりとアメリカの条約上のコミットメントを果たすということが明示的に書いてございまして、その条約上のコミットメントは何かといえば、それは先ほど私が御説明したとおりでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 そういう言い方で松浦さん、ごまかしたらだめですよ、ここでアジア・環太平洋地域における戦略の枠組みを出してきているんですから。今ここで問題にされているのは、日本の安全を守るためだけではなくなってきている。既にアメリカは世界の主要地域に向けて日本から作戦行動を起こす。それに日本への地位的な調整まで要求してきている。資金の援助まで求めてきている。大変な事態になっているわけです。  既に報道されていますが、この構想の中の日本に関する問題の第五項目に、政治、軍事レベルの対話を拡大し安保協議プロセスを再活性化するということまで提起されてきています。既に報道されていますようにこの問題についての検討がされているようですが、外務大臣、この問題についてはどういう検討がなされているんですか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) お答えいたします。  確かに先生御指摘のような文言が今回の報告書に入っております。正確を期すために読み上げますと、政治、軍事対話をふやし安保協議の過程を再活性化することということでございますが、これは今いろいろな新聞報道があるのは承知しておりますけれども、この二月にチェイニー国防長官が参りまして、総理、外務大臣、防衛庁長官ともいろいろ話をいたしましたし、それから私ども事務レベルではいろんな形で対話を持っております。したがいまして、そういう安全保障全体に関しますいろんな対話を今後活性化していこうという趣旨と受けとめておりまして、それは私どもが考えていることとも符合いたします。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 今北米局長がお答えを申し上げましたとおりでございますが、外務大臣としては、米ソの超軍事大国というものが長い間対決をしてきた、我々の国は日米安保条約の効果的な運用により、また自主的な日本政府の努力によって、今日まで平和の中に一億数千万の国民がその生活を送ることができたという現実も無視することはできないと思います。しかし、米ソ両大国の間でマルタの会談で話されたように、いわゆる冷戦の終わりの始まり、こういう段階で、六月二日に予定されている米ソの首脳会談に向けて両国間の担当者の間で軍縮問題が熱意を持って議論されていると私は認識をいたしております。  一般には、何かすぐにでも平和がやってくる、世界じゅうの核戦力がなくなるというようなことを考えておられる方も相当おられるように存じておりますけれども、現在大陸間の弾道弾、潜水艦あるいは爆撃機から発射する核弾頭つきの長距離弾道弾は、ソビエトは一万九百五十三発、アメリカが九千八百六十八発持っているわけでございまして、これが一度に発射されると地球が数十回崩壊するような核の力を持っていることも無視することはできません。たとえ米ソの両国間での軍縮の中で地上戦力、あるいはまた大陸間弾道弾の削減の話し合いがうまくいきましても、それぞれ六千発ずつ所有するということになるわけでありますから、これらの現実を離れて我々の国の国民のとうとい生命と財産をおろそかにするような外交はできない、こういうことでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 問題は、先ほどアジア・太平洋の戦略的枠組みというのをアメリカが提示してきた、このアジア・太平洋地域に対して今アメリカが提起してきているのは二つの問題が出されてきている。一つは、確かにソ連の脅威は減ったけれども主な危険はソ連にある、脅威があると言っているんですね。もう一つは、それとは別のところに脅威があるということが主張されてきている。そういう状況の中で、依然として日本に対して軍備を増強するように、あらゆる安保の枠組みをさらに広げて日本をアメリカの戦略に組み込もうとする意図が出されているのがこの戦略的な構想なんです。  アメリカのブッシュ大統領が言っていますように、別の危険というのは、第三世界の紛争だとか内乱だとかテロリズムだとか麻薬戦争だとかいうふうなことが出されてきている。こういう問題は既に日本の安全だとか極東の範囲内だとかというのを超えているんです。そういう状態に日本が安保体制を口実にして巻き込まれるということになるならばこれは極めて危険なことになるわけですから、私はその問題をはっきりさせないといけない。そういうことも、ここで先ほど述べましたように、日本との政治、軍事対話を拡大し安保協議手順の再活性化を図るということによって、アメリカの考えている戦略構想の中に日本が引き続いて間違った安保体制の道をさらに拡大して進むならば危険になる、重大だということを私は述べたんです。  その点で軍縮の問題に関連して海部総理にお尋ねしますが、あなたは四月三十日、インドの議会で軍事大国にはなりませんという演説をなさいましたね。このことで思い出すのは、一九七七年、福田元首相がマニラで、いわゆる福田ドクトリンといって軍事大国への道を選ばないということを決意された。あれから十三年たった。この間、日本の軍事費はどれぐらいの率で伸びたんでしょうか。

藤井一夫防衛庁経理局長

○政府委員(藤井一夫君) お答えいたします。  一九七七年、昭和五十二年度の防衛関係費でございますが、一兆六千九百六億円でございます。ただいま御審議をいただいております平成二年度の防衛関係費は四兆一千五百九十三億円でございます。これを割ってみますると、その率は約二・五倍ということになります。

立木洋日本共産党

○立木洋君 八九年度のアメリカの国防総省が出した同盟国の貢献度の中でも、十六年間に日本がNATO諸国の平均値に比べて二・四倍も多い伸び率を示しているというふうに指摘されています。こんな大変な伸び率、かつて当時第九位だった日本の軍事支出というのは今や世界の第三位、NATO並みで計算すると第三位になるというふうに計算されております。こんな大変な軍事費を伸ばしてきておりながら、軍事大国にならないなどというようなことをどういう根拠で言うことができるんですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) あくまでみずからの国の平和と安全を守る専守防衛に徹する国として、言葉をかえて言いますといかなる国にも脅威を与えるような軍事国家にはならないという意味においてそれは今日も極めて大切な通用する問題でありますし、同時にまた、先ほどもちょっと触れましたように、平和時においてどの程度の基盤的防衛力で十分とすべきかいう節度ある防衛力整備の問題をめぐって今日まで防衛費が伸びてきたことは、これは申し上げたとおりでございますけれども、それは平和時におけるみずからの国を守るというその大前提に立っての防衛力の整備でございました。他国に脅威を与えたりするものでは絶対にあってはいけない、こういうことであります。

立木洋日本共産党

○立木洋君 あなたが幾ら力説されても、本当にほかの諸国の方々が納得するだろうかという問題があると思うんですね。  石川長官、あなたは先日マレーシアのリタウディン国防相と日本の軍事的な役割の問題を含めて話し合いしましたですね。どういう話し合いの内容でしたか。

石川要三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(石川要三君) 過日私は東南アジア三国を訪問したわけでありますが、その最終訪問国としてマレーシアを訪問いたしました。そのときに、同国防大臣と約一時間半ぐらいにわたりましていろいろと意見交換をしたわけでございます。  事細かには今ここで申し上げられないかもしれませんが、アウトラインだけ申し上げますと、特に今回行ったのは、今立木委員もいろいろと御心配されておりますように、とかく東南アジア諸国が我が国が軍事大国化するということに大変脅威を感じられておる、こういうことが言われるわけでありますが、特にそういうことを私はみずからの目で確かめみずからの耳で確かめてみたい、こういうことが訪問の目的でございました。  そういうことから特に時間をかけていろいろとお話をしたわけでありますが、結論から言いますと、私が我が国の防衛政策というものを大変事細かに説明いたしましたそのことにつきましては、三国の首相並びに国防大臣につきましては私が想像している以上に日本の防衛政策というものにつきましてはかなり理解をされたということを私は確信したわけでございます。  特に一番最終のリタウディン国防大臣との話でございますが、最初に約二十分ばかりでございますか、先方の国防政策についてブリーフィングがございました。それからまたさらに同じ時間ぐらい私の方から申し上げていろいろと意見交換をしたのでございますが、特に大臣から私に言われたことを一言申し上げますと、我が国におきましてもマスコミあるいはその一部のところにおきましては日本の防衛費というものは非常に額が大きいと。ですから、よく言われるような要するに軍事大国化というものにつきまして懸念の意見があるということは事実でありますけれども、今、日本の防衛庁長官からの憲法上からあるいはまたあらゆる角度からの話を聞いてよくわかった、こういうようなお話もいただいたわけでございます。さらに、特に今後もそういう懸念があるとするならばどういう方面に力点を置いて努力をしたいか、こういうようなお話もされました。その点につきまして私は、繰り返すようでございますが、いろいろとお話をしたわけでございます。  ただ、質問にはございませんけれども私の意見をいささか申し上げさせていただきたいと思いますが、結局そういうふうな不安というものがどこから起こってくるだろう、こういうことでございますけれども、一つには、私どもがいかに我が国の防衛政策というものが憲法を遵守して、そして平和憲法であり専守防衛であるというようなことを話しても、割合にそれがなかなかこちらが思うほどに理解がされない懸念がございます。それは何かというと、憲法というものは比較的、我が国では憲法は四十五年も変わっていないわけですけれども、憲法そのものが非常に変わりやすい、変えられるものだというふうな、そういう考えも先方にはあるんじゃなかろうか。そういうことが非常に彼我の間の大きな認識の根底にある、私はこのような感じもしたわけでございます。  以上、雑駁でございますが、そんな所見を申し上げまして回答といたします。

立木洋日本共産党

○立木洋君 総理、今の話を聞かれたように、十分に時間をとって説明したら納得してくれたようなお話でした、日本の軍事的な問題に関して。ところが、マレーシアのリタウディン国防相が発言した内容がバンコク・ポストの五月九日付に掲載されているんです。  これを見ますと、この国防相は、日本がこの地域におけるより強力な軍事的役割を持ち、第二次大戦のときの野望を復活させるかもしれないという懸念を表明した。そしてマレーシアの彼は、石川防衛庁長官が述べた保証にもかかわらず、依然として日本の軍事的潜在力に懸念を抱いていると述べた。そして彼は、ASEANの人々は非常にこの問題には敏感なので、日本の軍事的な役割を拡大しないようASEANとして日本に伝えることをタイの外務次官であるプラパス氏に提案をしたということが報道されているんです。  あなたは、外国に軍事脅威を与えない、これが日本のあり方だと言いました。しかし、現に石川長官が行って話をしたにもかかわらず、第二次世界大戦のような野望を復活させるかもしれないという懸念を表明しているんです。これはただ単にマレーシアのこの国防相だけではなく、ASEANとして日本に提案しようじゃないかということをタイの外務次官に提案したというんです。  この問題というのは、シンガポールの首相にしろあるいはインドネシアの国防省の担当官にしろ、日本の防衛力の増大については繰り返しこれまで懸念を表明してきている。こういうことで、あなたが言っているような、日本は軍事大国にはなりませんと言ってこれまで大変な軍事費をふやし軍事体制をふやしてきたことに関してアジアのこういう諸国の指摘があるわけですから、軍事費を削減し軍備を縮小する、そういう努力こそ今行うべきではないでしょうか。アジアのこういう指摘に対してあなたはどういう対応をされますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) アジアの国々に対してそのような懸念を持たれないように、私は十分我が国の基本的な立場や基本政策やそういったものについて説明を今後とも機会のあるごとに繰り返していこうと思いますし、また我が国は他国に脅威を与えるような意思を持っておりませんし、またその能力も持たない自衛力の整備であるということも、これはよく説明をしていきたいと思います。

立木洋日本共産党

○立木洋君 問題は、幾らあなたが軍事大国にはならないと言っても、現実にこれほどふやしてきている軍事状態を外国から見て脅城だと感じ懸念を持っているという事実が現にアジアにあるわけです。さらにこの軍事費をふやそうという方向が今アメリカから要求されてきているわけです。まさに大変な事態だ。その点に関連して、まさにこれまで軍事費を増大してきたと世界的にも注目される状態になっているわけです。これは、やはりあなたが先ほど否定された日米安保体制の結果によってアメリカから要求されて軍事費をふやしてきたんじゃないんですか。もう一遍、首相。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) みずからの国をみずからの力でもって守るということは、今の現代の世界情勢の中で日本だけが独自で日本の力でということは今日までの経緯の中で非常に困難な状況が続いておりましたから、日米安保条約の抑止力に頼ったりして平和を守ってきたんだということは申し上げたとおりでありまして、平和時における基盤的な防衛力というものをきちっと議論して考えて自主的にそれを整備していこう、あくまでそれは専守防衛であり、憲法やあるいは文民統制の原則のもとで行ってきた日本の自主的な努力であったと私は考えております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 盛んにあなたは自主的だ自主的だと言いますけれども、一九八二年三月に行われたアメリカのアジア・太平洋小委員会の公聴会の中でウエスト米国務次官補が証言しているんですが、その証言によると、日本は今まで防衛費のふやし方、この率がまだ十分ではない、もっとふやせといって国務長官さらに国防長官から公然としかも強硬に批判されたというふうに証言が記録をされております。  また、御承知のように、一九八一年以降——当時は自民党でも大変なろうばいをされました。つまり、アメリカからシーレーン防衛をやれ、洋上防空をやれ、大変だということで鈴木元総理がやめるという事態にまでなった。その後、中曽根さんが登場して結局シーレーン防衛そして洋上防空を受け入れますと。このときのことについて一九九〇年代の日米関係に関するアメリカの報告の中では、カーター政権が一九八〇年に、そしてレーガン政権もまた日本に対して北西太平洋におけるソ連の軍事力増強に対抗するのに役立つ軍備増強を求めた。繰り返し求めたわけです。それに対して、同様に引き続いてこの報告の中で、日本の対応はレーガン政権の防衛と戦略援助に回す提案に忠実に従ってきた、これが実際のことじゃないんですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) いろいろの御意見や考え方が立場や視点を別にするとあるものだなというのが実感でありまして、私は何度聞かれても、アメリカの高官が何と言おうと、どこのどなたが何と言おうと、日本は平和時におけるみずからの国の安全と平和を維持していくための節度ある防衛力の整備を行い続けてきた。その過程において安保ただ乗り論とかもっと努力をしろとかいろいろな意見があったことは否定はいたしませんけれども、いろいろな状況を総合的に判断しながら自主的な防衛努力を続けてきたものである、私はそう思っておるんです。これは私の意見でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 あなたはあくまで自主的にというふうに繰り返していますけれども、それは大変な間違いだ。アメリカから要求されてふやしてきている。そして、あなたはアメリカの戦略との関係がないように言うけれども、それは全く誤りである。現実にアメリカの戦略に組み込まれて動かなければならない状態になってきている。  一九八八年十二月二十二日、シュルツ国務長官とカールッチ国防長官が連名で行った米議会への報告書の中で、私が事前に指摘をしました成功物語というところを引用してください。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) 先生御指摘になりました報告書は八八年の十二月に議会に提出されておりますけれども、その中でこういう形で日本に言及がございます。  議会は、政府とともに、日本に対して一千海里までのシーレーンの防衛のためのより大きな責任と役割を負担するよう奨励した。日本がこの増大した役割を引き受けたことは、バードンシェアリングの成功例であり、米軍を太平洋地域における他の重要な任務に転用することを可能にするものである。  こういう記述があると承知しております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 今引用されましたように、あなたがどのようにおっしゃろうと、日本がアメリカの要求に基づいて軍備をふやしたということは、アメリカが世界的に行う戦略に役に立っているということが軍備的に証明されているわけです。  もう一つ外務省当局にお尋ねしますが、アメリカの一九九〇会計年度の国防予算権限法九百十三条の中の第二項に、アメリカの議会の要求として(3)の(a)でどういうふうに述べているか述べてください。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) 先生が御指摘の、アメリカの国防予算授権法の九百十三条の二項でございますけれども、二項は議会の意向ということで(3)の(a)の科に次のような記述がございます。  一九九二年までにODA及び防衛費を合計した支出の対GNP比がおおむねNATO諸国の平均値になるよう、これらの経費を増大する。  以上でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 その項目で示している要求額を概算しますと幾らになりますか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○政府委員(松浦晃一郎君) この条項が言及しておりますNATOの諸国の平均値ということでございますけれども、アメリカをき除きますNATO諸国の平均値、防衛費及びODAを足したものの平均の比率は三・八%でございまして、これが具体的な数字でどのくらいになりますか、ちょっと私今数字を持っておりませんけれども、日本の現在の平均値が、このアメリカの条項に従って計算いたしますと約一・三一%でございます。ですから、現在の大体三倍弱ということになろうかと思います。

立木洋日本共産党

○立木洋君 アメリカの議会が出している数字というのは、日本の防衛費とODA、今は四兆一千五百九十三億円これが国防費、八千百七十五億円これがODA、合わせると約五兆円近くになる。これの三倍以上ということになると十五兆円以上、これがアメリカの議会の要求として出されている金額です。これをやるかやらないかという問題は別として、そういう金額がアメリカの議会で出されている。  その議会で出されているアメリカの要求金額に基づいて、先ほど私が指摘しましたように、アメリカはアジア・太平洋戦略の枠組みの中で日本に対して領域防衛能力を向上させ、一千海里の海上交通防衛能力を高めるよう促すということを指摘してきているわけです。今、日本が問題にしています、防衛庁が問題にしているOTHレーダー、それから長距離早期警戒機、空中給油機、それからイージス艦の追加、これらの問題が全部該当することになるんですが、どのように検討されていますか。

石川要三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(石川要三君) 次期防の中でどういうふうにこれを考えていくかというお尋ねだと思いますが、まだそういう段階ではございません。再三当委員会の中でも言われたと思いますけれども、八月になるか九月になるか、概算要求の時期と合わさりますけれども、そういう中でこれからの次期防というものを検討していくわけでございまして、まだ大臣の私の段階には一切そういうことは上ってまいっておりません。  したがって、これから国際情勢その他の財政事情、そういうようなものを勘案しながら次期防は策定していく。もちろんそれは政府全体でつくるわけでありますが、所管の防衛庁としてはそのような準備をこれからしていく、こういうわけでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 三倍以上にも上る軍事費、ODAの増加というのを一九九二年までにやるようにというのがアメリカの議会の要求内容です。既にその問題は念頭に置いて、アメリカ政府も議会にその旨の回答を今私が指摘したような内容として出されている。大変な軍備増強を今後進めていくように引き続いてアメリカ側は要求してくる。重大な事態になるわけです。ですから、私は現在のアジアの日本に対する懸念の問題を考慮に入れても、世界の動きを考えても、こうした事態に対して軍備を削減していく明確な方向をとるべきだ。  現在、この軍事費をふやしていく保証として消費税を安定化させるなどということはとんでもないことです。軍備を増強するという状態をやめるならば、先ほど来問題になっている健康保険の本人の一部負担にしても、老人医療費の無料化の問題にしても、障害者の施設の拡充の問題にしても、これは実現できるわけです。軍事費を削減するということ、日米安保体制から脱却するということを厳しく重ねて指摘をして、次に行きます。  次に、ソ連の対外政策の問題についてお尋ねをします。  ソ連が社会主義を立て直せということでペレストロイカをやって進行してきていることは御承知のとおりです。もちろん、この中では軍縮の問題などあるいは複数政党制の導入など、私たちが主張してきている点から見ても当然の問題もあります。しかし、依然として社会主義のこういう状態の中で、ソ連が他民族に対する大国主義的な誤りを犯していると私たちは見ているわけです。ソ連の他民族の主権に対する、他国の領土を占有しているという状態が依然としてあるわけですが、海部首相はこれについてどういうふうにお考えでしょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(海部俊樹君) 条約局長から具体的な問題についてはお答えをさせますけれども、ソ連がペレストロイカといっていろいろ変わりつつあるということ、新思考外交というのをとり始めているというその変わり目については私も承知はいたしております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 スターリンの他民族に対する大国主義的な姿勢の誤りという問題は千島問題にかかわりがあるんです。この千島問題という問題の根本には、ソ連が参戦の条件になったヤルタ秘密協定、これは千島列島をソ連に引き渡すべきだということになった点に問題があるわけです。この大国間の取り決めが、戦後処理の原則となったいわゆる領土不拡大の原則に反するものであるということは明白であります。我々はこのヤルタ協定を受けてサンフランシスコ平和条約の二条(c)項で千島列島の権利、権原と請求権の放棄を決めたことは戦後処理の重大な誤りだと考えますが、首相はいかがでしょうか。

福田博外務省条約局長

○政府委員(福田博君) 今の御発言、大分いろんなことが入っておりましたのでどれをお答えしようかと今考えておったわけでございますが、最後の御質問は千島列島の放棄に関するサンフランシスコ平和条約第二条(c)項を結んだことは間違いであったということをおっしゃったんではないかと思いますが、私ども、御承知のとおり、我が国はサンフランシスコ平和条約第二条(c)項により千島列島についてはすべての権利、権原及び請求権を放棄しており、同条項を一方的に破棄して千島列島の返還を求めるといったことはなし得ないわけでございます。  当時千島列島の放棄をしたことについては、当時の状況からしてやむを得なかった措置であると考えるとともに、我が国はこのような代償を払ってようやく我が国の完全な主権と国際社会の一員としての地位を回復することができ、今日の繁栄と平和国家としての名誉ある地位を築くことができたということを十分認識する必要があると思います。

立木洋日本共産党

○立木洋君 南千島というのは一度も外国の領土になったことのない日本の固有の領土ですよね。北千島も何も外国から侵略だとか略奪をして取り上げた領土ではないわけです。平和的に日本に帰属することになった領土です。これは戦後処理の原則から見てどうしてこれを放棄するという必要があったんでしょうか。

都甲岳洋外務省欧亜局長

○政府委員(都甲岳洋君) 先生の御指摘の千島列島十八島につきましては、一八七五年の樺太千島交換条約によりまして合法的に平和的に我が国の領土になったところでございますので先生御指摘のとおりでございますが、なお、戦後の厳しい状況におきまして我が国といたしましては、先ほど条約局長が御説明申し上げましたとおり、我が国として戦後の処理の一環としてそのような状況を受け入れざるを得ない状況にあったということもまた客観的な事実だろうというふうに私どもは考えております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 戦後処理の原則では、明確にされていますように、他国の領土を取り上げることはしない、そしてその他の膨張を求めないということが、大西洋憲章やカイロ宣言そしてポツダム宣言で明確になっているわけですね。だからこそ、私たちはその戦後処理の誤りを正して領土の返還を求めている。ところが、それをあなた方が誤ったんですから、その誤りを正すということによって領土の返還を明確にするということが必要ではないんでしょうか、どうなんです。総理。

都甲岳洋外務省欧亜局長

○政府委員(都甲岳洋君) 先生御指摘のように、領土不拡大原則というものはカイロ宣言の中において明確に規定されている状況でございます。  他方、戦後の処理におきましては、厳しい現実に従っての処理ということもまた必要とされた客観的な事実があるということでございますので、この双方を勘案した上でのサンフランシスコ平和条約の受諾というのは、我が国の決断といたしましては、当時の状況に照らしまして私どもとしてはこれは過ちであるというふうに決めつけるわけにはいかない状況にあったというふうに考えております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それなら、領土返還を要求する根拠がないんじゃないですか。

福田博外務省条約局長

○政府委員(福田博君) 北方四島のことであれば、これは歴史的にも法律的にも我が国の固有の領土であることについては全く異論がないわけであって、これは常日ごろ一貫して我が国が平和裏に返還されるべきことをソ連に要求してきていることでございます。  今先ほど先生の御質問にありましたのは、千島列島あるいは樺太というところをおっしゃったわけですが、これは我が国がサンフランシスコ平和条約第二条(c)項で「放棄する。」ということを約束したわけでございまして、それの帰属については私どもは言うべき立場にないわけでございますが、これは先ほど申し上げたような事情によってそういうことをしたということでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 南千島にしても北千島にしても、吉田首相が明確に発言していますように、千島列島として放棄したんじゃないですか。

都甲岳洋外務省欧亜局長

○政府委員(都甲岳洋君) 日本政府といたしましては、この千島列島の中に我が国の固有の領土である北方四島は含まれていないということは歴史的にも法律的にも厳然たる事実であるということを一貫して主張してきていることは、先生御承知のとおりでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 私はそんなことは承知してないですよ、そんな一貫して主張してきたなんて。  大体一九五一年のサンフランシスコ条約の中で、ダレスだって明確にこの千島列島の人口について述べています、北千島も南千島も含めて人口を述べている。アメリカ側だって何も南千島は別のものだと、北千島と分けて述べてはいません。そうして、吉田首相が述べた受諾の演説の中でも明確に千島南部の二島、国後、択捉と、こういうふうに述べています。得撫以北の北千島諸島というふうに述べており、北千島と南千島と区別していますが、国後、択捉は千島ではないということを述べてはいません。  問題は、北にしても南にしても日本が外国から略奪した領土だというようなソ連側の主張があったから、それに吉田首相は反論しただけなんです。このような態度をとっていたからこそ、この問題が検討された国会の中で、条約にある千島列島の範囲については北千島と南千島両者を含むということを条約局長が言ってきたじゃないですか。こういう点をあいまいにして、そして明確な誤りを正すことなく状況の雰囲気の中で千島列島を返せと言ったって、これは解決ができない。誤った根拠、虚構の上に領土の問題の解決は成り立たないんだということを私はこの際に改めて厳しく指摘をしておきたいと思います。海部首相、外務大臣一言ずつ述べてください。

福田博外務省条約局長

○政府委員(福田博君) かつて条約局長の私の先輩の方がお一人、若干誤解を招く発言を一回されたことは事実でございます。しかし、その後政府の統一見解でそのことははっきりときちんと我が国の立場は表明されておりますし、かつ先ほど先生がおっしゃいましたアメリカにつきましても、年はちょっと忘れましたが、たしか撃墜事件か何かがあったとき以降だと思いますが、一九五七年以降アメリカが常日ごろ北方四島は歴史的にも法律的にも我が国の固有の領土であるということを主張していることは御承知のとおりで、これは国民全部がよく知っていることだと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) たしか、年度は明確でないかもわかりませんが、私の記憶に間違いがなければ一九五六年の日ソ首脳会談において二島の返還をソ連側が認めたという事実は動かしがたいものであると私は認識をしております。

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 以上で立木洋君の質疑は終了いたしました。(拍手)  明日は午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗