予算委員会 第2号
- 発言数
- 313 件
- 登壇者
- 36 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1990/03/23
会議録
○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を開会いたします。 この際、委員長より申し上げます。 昨年十月三十日の本委員会において、本岡昭次君から提出されましたリクルート事件に関連して政治的道義的責任を有すると思われる政治家についての捜査事項等を本委員会に報告することを求める動議の取り扱いにつき、理事会の協議を経ず、採決も行われないまま散会を宣告したことは遺憾でありました。 本委員長として、今後本委員会が円滑かつ公正に運営されるよう配慮してまいります。 ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 平成元年度一般会計補正予算、平成元年度特別会計補正予算、平成元年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して議題といたします。 ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) まず、理事会における協議決定事項について御報告いたします。 審査を行うのは本日二十三日及び二十六日の二日間とし、審査方式は総括審議方式とすること、質疑割り当て時間は総計二百十四分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党三十分、日本社会党・護憲共同九十六分、公明党・国民会議二十九分、日本共産党、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合それぞれ十五分、参議クラブ及び税金党平和の会それぞれ七分とすること、質疑順位及び質疑者等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上であります。 右、理事会の決定のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 平成元年度補正予算三案審査のため、本日、日本銀行総裁三重野康君及び日本電信電話株式会社代表取締役社長山口開生君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) それでは、これより順次質疑を行います。安恒良一君。
○安恒良一君 私は、補正予算の本論の審議に入る前に、今度の補正予算の審議が約十日間ぐらいおくれましたその理由と責任について総理にただしたいと思います。 自民党によります衆議院でのこの予算審議の空転に、総理はこの間何を指示され、補正の早期成立のためにどんな努力をし、どんな汗を流されましたか。総理の御見解をお聞きしたいのであります。
○国務大臣(海部俊樹君) 政府といたしましては、補正予算、これは一刻も早く成立させていただきたいという願いを持っておるものでございまして、既に二月二十八日に国会に提出をし、本補正予算に盛り込まれた措置が、いずれも国民生活の安定と向上を図り我が国の国際的責務を果たす上で早期に実施することが必要なものであるということから、一日も早い成立を強く念願しておったところでありますが、公党間で真剣な各種の話し合いが行われてきたところであり、このような公党間の御議論によって国会の日程が決まるということは議会制度にとって重要と考えておりましたことから、その状況を見守ってきたところでございます。
○安恒良一君 今の総理の答弁は、予算提出責任者は総理なんです。ですから、黙って聞いておりますと何かニュース解説のような総理の御答弁を大変私は遺憾に思います。 それはなぜか。政府は賃金の分割払いという失政を犯しているではないですか。また、災害復旧の補正やゼロ国債の利用等、地方自治体に与えた悪影響も重大であります。私は補正予算提出者としてのこの失政、失態の責任は総理にあると思いますが、総理はどのようにお考えになりますか。少なくとも総理としては、審議の冒頭、今のようなお答えではなくして、賃金の不払いを犯した失政等について公務員や国民におわびをし、許しを請う、こういう謙虚な態度があってしかるべきじゃないでしょうか、その点どうですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 公務員の皆さんに月一回で給与をお払いするという建前が貫けなくなり、政府としてはできるだけの努力をしたつもりでございましたが、分割ということに相なりました。この点につきましてはまことに遺憾なことであって、今後できる限りそういったことが起こらないようにしなければならないと反省はいたしております。そうして、同時に補正予算を一日も早く成立させていただきたい、このことをひたむきに願っております。
○安恒良一君 次に、私は小沢幹事長の新しい枠組み論は議会政治を破壊する危険があると思うのですが、総理はどうお考えになりますか。 それはなぜかというと、法律案と予算を一括処理し賛否を拘束するというのは、私は議院の審議権と議決権に対する不当な干渉で許すことはできません。実際はこの裏に隠された理由があったのではないでしょうか。それは、参議院では与野党が逆転をしている、予算は両院協議会の議を経て成立いたしますが、予算関連法案は憲法五十九条によって、参議院で否決をされた場合には衆議院では三分の二以上の多数の再議決が必要であります。それでは今の自民党では数が足りません。そこでこれを回避するために参議院での法案審議に縛りをかける、こういう底意が明白だと私は思います。 これは参議院に対して非礼であるばかりか、本院の法案審議権への不当な干渉で、言語道断であります。私はこのような与党幹事長のとった態度は絶対に許しがたいのでありますが、総理、この点についてのあなたの見解をお聞かせください。
○国務大臣(海部俊樹君) 最初にお答えしましたように、議会の運営というのはそれぞれの各党のお話し合いによって決められていくのが議会政治としてあるべき姿であると私は考えておりますので、その各党間のお話し合いを見守り、同時にまた、その間において補正予算のおくれによって多くの方々に御迷惑のかからないようできるだけ政府として最大の努力をしながら国会のお話し合いがつくことを見守ってまいりましたが、各党の幹事長・書記長会談の結果、審議が再開され、このような軌道に乗ってまいりましたこと、私は大変ありがたいことだと思って受けとめております。
○安恒良一君 私の質問に総理は全然答弁をされませんでした。 小沢さんがおとりになった措置というものが参議院軽視になるのではないか、議決権の軽視になるのではないかということを聞きましたが、重ねて私の質問にお答えください。
○国務大臣(海部俊樹君) 政府・与党の会議で幹事長や執行部の物の考え方も聞いてまいりましたけれども、決して参議院を軽視するとか、参議院の議決権を縛るという角度での議論ではなかったと思います。
○安恒良一君 小沢幹事長に支えられております総理ですから、この問題をこれ以上追及しても御無理なことだと思いますから、私は理解できないということだけを明確に申し上げておきます。 そこで総理は、施政方針演説の中で国民合意の政治を目指して全力を傾ける、こう言われました。あなたの考えは、今私が申しましたように衆参ではねじれ現象になっている、そこで仕方なく合意の政治をと言っておられるのですか。それとも議会制民主主義政治の基盤づくりのために言っておられるのですか。あなたの言われている合意の政治の真意をお聞かせください。
○国務大臣(海部俊樹君) 国会でいろいろ御議論をいただくということ、これは初めから数が多いから少ないからということだけで全部結論が出てしまうというのでは議会政治ではないと思いますので、いろいろな角度からのいろんな御議論があって、まあここまで歩み寄ればそれでいいなという、そういった合意が得られるようなことが国民のためにも一番ふさわしい議会のあり方ではないか、私はこう思っておるわけであります。 御指摘のように、衆議院と参議院は確かにいわゆるねじれ現象と呼ばれておることがありますけれども、だからといって、衆議院では法律が通る、参議院ではいつも通らないということが固定してしまったのでは、これは何のために議会政治があるのかわからなくなってしまいますので、十分お話し合いをいただきながらその中で合意が得られていくようにそういう努力をしなければならぬと基本的に考えておるところであります。
○安恒良一君 十分お話し合いをしながらと、こう言われますが、私は消費税法案の審議がその典型だったと思いますね。政府・与党は数の力に物を言わせて強行に次ぐ強行をやる、私はこのことが合意の政治ができない根本の原因であると思います。もちろん私は、野党にも反省すべき点が全くないとは申し上げません。しかし、どうも議会で議論と討論によってよりよい政策をつくる、よりよい予算をつくる、よりよい法律をつくる、こういう意識があなたたちには薄いのではないでしょうか。議会というのは政府が提出した法案を通過させればいい、その機関にすぎない、こういうことに私は受け取れてならないのであります。 そこで、総理が今言われている合意の政治は、これを議会の分野に当てはめますと、議会みずから手づくりで与野党話し合いの中で法律や予算をつくり上げていく、そういう政治をやっていきたい、こういうふうに受け取っていいでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のとおりだと思いますし、また私は、時々例を引かせていただくのは、このようないわゆるねじれ現象が始まった後においても、与野党の皆さんの御理解によって土地基本法というものも話し合いによって通過、成立させていただいた、これはこれからの運用によって国民生活のためにも大きな影響が出るものでございます。そういったようなことが議会として望ましいことであり、私もまたそういったお話し合いの努力を続けることによって前進し定着していくことが望ましい、こう思っておりますから、国民的合意を大切にしていきたい、こう言ったわけであります。
○安恒良一君 今私もねじれという言葉をわかりやすく使いましたが、国民には理解できないと思いますし、また国民の選択が参議院で多数を野党に与え、衆議院で与党に与えたということですから、お互いにそこの言葉を注意しながら話をしたいと思います。 そこで、私は合意の政治の前提条件について伺いたいんですが、今まで政府は国会に法案を出しますと、これはもう最善のものだ、こういうことの一点張りですね。私はやっぱりこの考え方をやめていただきたいと思うんです。今の時点で最善のものという答弁が返ってまいりますと、それはもう議会では修正には応じられない、こういう同意語に使われがちであります。ですから、あなたが言われるその合意の政治というのは、これからだったら、法案提出については例えばマイナー、次善のものであるとか、一つの考えである、こういう態度で与野党が話し合わなければいけないと思いますが、その点はどうですか。
○国務大臣(海部俊樹君) お言葉を返すようで恐縮ですけれども、政府が法案を国会へ出しますときには、その時点ではやっぱり政府としては最善を尽くしてこれがベストだと思ってお出しをしませんと、出す前から、初めからこれは最善じゃないなんと思ったのではこれは努力不足だとおしかりを受ける気がします。しかし、国会というところの国の唯一の立法機関だという憲法上の権威の高さ、地位の高さというものもこれはよく理解しておりますから、政府が最善だと思った法律も、先ほど例に引きましたようにいろいろ御議論を通じて修正して定着させ、国民のために成立させていくという例は多々あるわけでありますから、私は国会の機能、国会の権能というものはそういうさらにより高いところにあるものだというふうに受けとめさせていただきます。
○安恒良一君 お出しになるときに最善のものを出されるのは当たり前です。提出された後の扱い方の姿勢の問題として与野党で話し合いをするということでないと、そこでも最善のものだと言い切ると修正の話もできないでしょう。だから、それはマイナーということのお考えの中で国会の中で話し合いをしたらどうか、こう言っているんですが、どうですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のような考え方を私も持ってお答えを申し上げたつもりでございます。
○安恒良一君 次に、リクルート問題に係る政治改革について聞きますが、信頼の政治ということを総理は盛んに言われます。 そこで、総選挙を通じてリクルートに関与した中曽根元総理以下派閥の代表格の方々が当選を果たされました。海部総理は世に言うみそぎ、それから洗礼をどのように理解されますか。なりふり構わず当選さえすれば政治倫理規定に反する疑惑が持たれてもすべて帳消しという考えを正しい考えと思いますか。それとも、政治的道義的責任は当選のいかんにかかわらず残るとお考えでしょうか、お考えをお聞かせください。
○国務大臣(海部俊樹君) 選挙を行ってそれぞれのところで当選をされるということは、それぞれの地区の有権者との間で洗礼を受けるたった一つの方法だと思っております。ですから私は、政治家として洗礼を受けた、こう判断をいたします。 ただ、それですべて自由民主党は終わったというのかとおっしゃれば、そうではなくて、党は厳しい反省に立って政治改革を行っていこうと決意しております。政治改革をきちっと行うことが党としてのけじめになる、こう考えますし、また一人一人の政治家の道義的な社会的な責任というものはあくまでそれら個々の人々がみずからを戒めて行動されることに尽きる、私はこのように判断しております。
○安恒良一君 海部総理が、ロッキード事件に関与されたと言われる佐藤孝行代議士の入閣を最後まで拒まれました。リクルートの森元文部大臣の入閣拒否の点で、議員が選挙で何回当選を果たしてもそのことと政治倫理は別で、この倫理は非常に高い価値を持ち崇高な位置づけをしているというふうに私は見ておったのですが、間違いないでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 今回は内外のいろいろな諸問題を解決するために人材をお願いして組閣をしたわけでありまして、今おっしゃるようなことは私は結果としてそうなったということでございまして、だから初めからだめだというようなことではございませんでした。
○安恒良一君 まあ総理としては答えにくいのかもわかりませんけれども、あなたの組閣が非常に長引いた原因に、当時新聞がどのような報道をしたかというのはあなたは御承知のことだと思います。 そこで、私はこれに関連して聞きたいんですが、加藤六月氏は党の政調会長に起用されました。これはある派閥の後押しがあったことは事実でありますが、党の責任者なら構わないというふうに見えて、国民は何か割り切れないものを強く持ちました。そこで、この点についても総理の考え方を聞きたいんですが、議会制民主主義は政党政治だとも言われています。ですから、極端な言い方をしますと、政党の代表は政治倫理に違反しても何ら構わない、こういうふうに思われますが、この点についてあなたのお考えをお聞かせください。
○国務大臣(海部俊樹君) 政治倫理に反しても構わないとは決して考えておりません。 同時にまた、党の政調会長人事のときには、今日までの政調会における活動とか政策に対する物の考え方とか、そういったことを執行部と相談して決定になったわけであります。
○安恒良一君 これも答弁になっていませんが、時間の関係がありますから次に進めますが、あなたが任命した大臣の中に塚原労働大臣の名前や坂本官房長官の名前等が挙がっておりますが、特に深谷郵政相に対するリクルート社からの献金の事実が大きく報道されていることは総理、御承知だと思います。 そこで、総理にまず聞きたいんです。深谷氏を郵政大臣に任命する際にこの事実についてあなたは報告を受けられましたか。
○国務大臣(深谷隆司君) ただいまの総理に対する御質問は私にかかわることでありますから、私から発言をさせていただきたいと思います。 リクルート社と私とのかかわり合いについて先般申し上げたことと異なる報道が一部ありましたので、改めて詳しく事実関係の調査を行い、事実が判明いたしましたので、その結果について申し上げさせていただきたいと思います。 今まで申し上げていたことと異なる点については、私の舌足らず、あるいは不理解、事務方との行き違い等から生じたものであり、この点については率直におわびをいたしたいと思います。 六十年から六十三年七月までの約三年半でリクルート社等から受けた政治献金等は、パーティー券購入代も含めて、計千二百三十六万円でありました。また、数年前からリクルートの嘱託の職員が事務所の仕事を手伝ってくれておりましたが、六十三年の七月限りで同社を退社してもらいました。 以上、過般の私どもの申し上げていたことと異なる点について重ねておわびを申し上げて御報告いたします。
○安恒良一君 総理に私は聞いています。総理、あなたは郵政大臣を任命する際、この事実について報告を受けていましたかと聞いている。
○国務大臣(海部俊樹君) 任命時においては報告を受けておりませんでした。
○安恒良一君 私は、今深谷郵政大臣が言われたことについて大変な疑問を持ちます。私どもが新聞で知り得たり調査を進めておる中では、昭和五十五年から、あなたが労働省の政務次官であった時代からリクルート社とのつき合いが深まり、一昨年の十二月までに、つまりリクルート事件が大問題になった後も政治団体で定期的に献金を受け取っていた、こういうことがマスコミにも大きく指摘される。そして、続いてパーティー券や中元、お歳暮の名義で年間約四百万、合計二千万円以上受け取ったと大きく報道されているのであります。 でありますから、総理、今深谷さんが報告されたことと事実関係が違いますので、この点については、総理は任命した当時に報告は受け取ってなかったということですから調査をしてもらいたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○国務大臣(深谷隆司君) 私の事柄についてのお話でございますから申し上げますが、私の政治団体である南陽会というのがございますが、これはリクルート社から毎月二万円の会費が支払われていた団体でございます。これも六十三年の七月限りで打ち切ることにして同社には七月限りで退会していただきました。 なお、先方の手違いから十一月分までの会費の振り込みがなされていたことに後で気づいたものでありますから、七月以降の分についてはすべて返却をいたしております。なお、この返却は銀行振り込みであると報告を受けております。
○安恒良一君 委員長、あなたも私が指名した人を指名してくださいよ。私は総理に聞いているのに、あなたが言うから出てくるじゃないですか。公正な運営をやってください。
○国務大臣(海部俊樹君) 任命しますときには聞いていなかったんですが、その後、すべての閣僚に自主申告をしてくださいということを官房長官の方から指示をいたしておりまして、その結果自主申告がなされて、そして深谷さんの件は、本日私もいろいろと承って、ここで申し上げたいという本人の意向でございましたからここで本人が皆様に発表をした、こういうことでございます。
○安恒良一君 総理、私が言っているのは、本人が言われたのは結構ですけれども、私は、その事実関係が違うから、あなたとしては任命権者であるからこれを調査してくれますかと、こういうことを聞いているんですよ。
○国務大臣(海部俊樹君) 今発表の問題を、この内容をよく確かめました上で、私たちの決めておりますリクルート問題におけるけじめ案に照らして判断してまいります。
○安恒良一君 調査をしてほしいと言ったのは、今も言われたように、断っておったけれども先方の手違いで入っておったとか戻したとか、そんなことをたびたび言いながら大臣の座を去っていった人は何人もいるじゃないですか、私との論争なりいろんな同僚議員との論争で。 そこで、総理に言っているのは、調査をしてほしい。そしてそれは、きょう聞かれたそうですから、いつごろまでに御返事をいただけるのでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 四月の初めごろまでに判断したいと思いますから、それまでお待ちをいただきたいと思います。
○安恒良一君 私は早急にと言いたいんですが、四月の初めということですから、既に与野党で暫定予算の審議日が合意をされています、参議院は四月四日ということですから、これはこの暫定予算審議には間に合わせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○国務大臣(海部俊樹君) そのようにいたします。
○安恒良一君 それでは、それの審議に間に合うようにひとつあれをしていただきたいと思います。 次に、今度はあなた自身のことを聞かなきゃならぬことは大変残念でありますが、週刊文春に、あなた自身は、政治献金をあなたが証明されました以上に、あなたの言明はうそで、献金は二倍以上の二千数百万と報じられています。真相はどうなんでしょうか。 というのは、リクルートのみそぎ論は認められないと、あなたのとられた今日までの姿勢は非常に国民受けの姿勢をとられています。しかし、万が一あなた自身がリクルートの献金を隠していたということでありますと、これはゆゆしい事態です。 そこで、文春が間違っておるならば謝罪広告または告訴等、世間が納得する処置をとるべきだと存じますが、どうでしょうか。これをあいまいにしているようでは、リクルート問題では他人に厳しく自分に甘い、こういうことになります。見方によりますと、リクルート関係者に対して総理は権限を乱用したのではないか、こんな見方すら出てくることになりますので、この点はひとつ明確にここではっきりしていただきたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 私の政治資金にリクルート関係のものがあるということは、これはまだリクルートが社会的な問題を起こす以前のことではございましたけれども、通常の政治資金として受け取ったものがあったことは私は総裁選挙に立候補する前にこれは発表したとおりでございます。私の事務所でわかる限りのことを調べてあのような公表をさせていただきました。私は、今後みずからを厳しく戒めてやっていかなければならないと言い聞かせております。
○安恒良一君 私の質問にあなたは、そうすると週刊文春に報道されている事実は明確に否定をされたと今の答弁で私は受け取りますが、私は、それならば名誉棄損で謝罪広告を載せさせるとか告訴するとか、そういう措置をおとりになった方があなたの身の潔白を証明するためにいいんじゃないでしょうかということを提起していますが、お答えになりません。 それから、ここでお聞きしておきたいんですが、あなたは今明確に否定されました。もしも今後リクルート社からの新しい政治献金の事実が判明した場合は、あなたはどのような責任をとられますか。どのような身の処し方をされますか。このことを伺っておかなければなりません。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘の報道された金額というのは、私には全くわからない金額でございます。そして、私の事務所できちっと調べてすべて公表いたしておりますので、あれがすべてだったと私は考えております。 今後戒めてやっていくと申しましたが、私はそれぞれに対して自分の考え方を率直にここで述べたわけでありますから、私の今まで申し上げたこと、それはどうぞ御理解をいただきたいと思います。
○安恒良一君 今の答弁では理解できませんが、私は、新しい事実が出てまいった場合には、今までの方が処置をされたように、自分みずから身を処置するということになるということだけをひとつ申し上げておきたいと思います。 次に、金のかからない政治で伺いたい。 これも総理が盛んに施政演説の中で、金のかからない政治活動や政策中心の選挙をやる、こう言われていますが、具体的に何を考え、何を推し進めようとするのか、お考えを聞かせてください。
○国務大臣(海部俊樹君) 金のかからない選挙といいますのは、やはりお互い、お互いと言っちゃいけませんですね、自民党の我々から考えると、仲間に話を聞いても、年間経費が一億円近くかかるということを新人議員が公表もいたしました。また、野党の皆さんも、それぞれ政治活動にはお金がかかるので、いろいろな毎年の政治資金の届け出等も拝見させていただいても相当なお金がかかっておるわけであります。いい悪いは別にして、お金がこれだけかかるということはお金と政治との間にいろいろな疑惑を呼んだりすることが間々生まれてくる可能性もある。したがって、お金のかからない政治活動、お金のかからない選挙にしていかなきゃならぬということは、政治改革を行っていきます上で大きな一つのテーマであると私は考えております。それは選挙運動期間中のみならず日常の政治活動の面でも妥当することだと、このように考えます。
○安恒良一君 どうも総理、あなたが国会で言われることと現実に自民党でやっていることには大きな乖離があるんじゃないでしょうか。 例えば、今回の衆議院選挙で、自民党幹事長は三百億を財界や産業界から集められたと報じられています。また、各新聞が、企業ぐるみの選挙が目に余るものだということもしばしばこの選挙中に指摘をしています。 総理は、選挙中ないし総選挙に当たって、自民党や幹事長にどんな指示をされたのでしょうか。選挙が終わってから施政方針演説になると、金をかけない選挙にと、こういうふうに言われるんですが、あなたは具体的に選挙中にそのことの実行のためにどのようなことをされたのか、お聞かせを願いたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 選挙中、私自身はもう朝から晩まで一本のマイクを頼りに街頭演説で走り回っておりましたし、また候補者にも、今年二月一日から公職選挙法の一部改正案が成立しておりますから、金銭によって寄附行為あるいは買収活動と疑われるようなことをしてはいけない、そういった法律もできておるというようなことを一生懸命周知徹底しながら、お金のかからない選挙の実現に向けて努力をしてきたつもりでございます。
○安恒良一君 これまた私の言うことに全然的を外れた答弁で、大変不満です。どうもあなたはきれいごとだけを言われるということで、やや言行不一致というふうに私は今の答弁を聞いていると思わざるを得ません。これ以上この問題はあれですが、いま少し具体的に中身を聞かせてください、選挙中にあなたがどういうことをしたかという、それはどうですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 選挙中どういうことをしたかとおっしゃいますけれども、私はさきにも申し上げたように、マイクを頼りに一生懸命演説をやって回っておったということと、同時に、選挙にお金を余り使わないようにしていくためにはどうしたらいいかという選挙制度の改正も一生懸命考えておるということも率直に訴え続けてまいりました。
○安恒良一君 施政方針演説では言うが、具体的の選挙の前とか選挙中には、あなたは自民党に対しても候補者に対しても、そういうことは何もしなかったということをここで言われたというふうに私は思います。 そこで、補正予算について今度は入っていきたいと思います。 平成元年度の補正は、歳出の追加、既定経費の減額分を差し引きますと、純追加額五兆八千九百七十七億で、補正の規模としては前代未聞の大きさです。そして、こういうふうに規模が大きくなった最大の原因は、私は政府の税収の見誤りにあると思います。私は、税収を正確に見積もることは財政運営の第一歩であり、基本的条件であるというふうに言っても過言ではないと思います。 そこで、ここ数年間大きく狂っていることは大変な問題だと考えますが、まず六十二年度以降各年度の税収の当初予算額と決算額、さらに年度途中の減税を加えた場合の金額を明らかにしてもらいたい。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 六十二年度につきましては、当初予算額四十一兆一千九百四十億円、補正後予算額四十三兆八百七十億円、決算額四十六兆七千九百七十九億円でありまして、当初予算額と決算額の差額は五兆六千三十九億円。六十二年度には一兆八千三百億円の年度内減税が行われましたので、これを加えますと差額は七兆四千三百三十九億円となります。六十三年度につきましては、当初予算額四十五兆九百億円、補正後予算額四十八兆一千六十億円、決算額五十兆八千二百六十五億円でありまして、当初予算額と決算額の差額は五兆七千三百六十五億円。六十三年度には約二兆円の年度内減税が行われておりますので、これを加えますと、差額は七兆七千三百六十五億円となります。元年度につきましては、当初予算額に対し三兆二千百七十億円の増収を見込み、補正予算に計上させていただいたところであります。
○安恒良一君 一体どうしてこんなに税収見積もりが狂うのですか。しかも、今数字を読み上げてもらいますと、過小見積もりの一方方向に振れる理由を伺いたいのです。どうも私は、財政当局は過大見積もりの事後処理は厄介だが過小見積もりは問題がない、こういった考えがあるのではないかと心配するのです。私は、どちらも困ると言いたいのです。財政運営や適正な財源配分を乱す原因になると思いますから、この点について大蔵大臣のお考えをお聞かせください。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 結果として非常に大きな税収見積もりの誤りを生じましたことは、これはもうおわびを申し上げるしか言葉がございません。 ただ、委員よく御承知のように、実は六十一年度におきましてはそれほど大きな誤差は生じておりませんでした。ところが、六十年度にはむしろ補正で減額をいたしましたのに、なお実は赤字を生じた、歳入欠陥を生じたという状況がございました。そういう点から、経済全体の見方をある意味では手がたく見過ぎた結果、企業活動の好調その他の要因に支えられて大きな誤差を生じたということは、おわびを申し上げるほかにないと思います。
○安恒良一君 税収の誤差率について、六十一年度から元年度まで、補正段階、決算段階の数字を明らかにしてもらいたい。
○政府委員(尾崎護君) お答え申し上げます。 六十一年度でございますが、当初予算に対しまして決算額の誤差率を申し上げます。三・二%、六十二年度一三・六%、六十三年度一二・七%でございます。
○安恒良一君 質問に答えていない。税収の誤差率について、六十一年から元年度まで、補正段階、決算段階について明らかにしてもらいたいと僕は言ったんですよ。
○政府委員(尾崎護君) 失礼いたしました。ただいま決算段階を申し上げましたが、補正の段階を申し上げますと、六十一年度はマイナスの二・八%、六十二年度は四・六%、六十三年度は六・七%、元年度は六・三%でございます。
○安恒良一君 今、税の誤差率について言われましたが、国会でかつて竹下元大蔵大臣が一%の範囲はお許しをいただきたい、こう述べました。今の説明ではどの年度も一%をクリアしていませんが、この点はどう考えられますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 最初に私はおわびを申し上げましたけれども、例えば平成元年度におきまして、名目GNPや雇用者所得が当初見通しに対して上方修正されるなど、実体的な生産活動が予想を上回る好調であったといったようなことが誤差を生んだ原因と考えられると思います。 また同時に、六十一年度以降進行してまいりました株、土地、円高、原油、金利安と言われる、いわば三高二安とよく言われましたような、一時的な性格を有する要因というものが寄与しておった点も非常に大きかったと思います。今になりましてこうして申し上げれば、確かにこうした点に誤りの原因があったと考えておりますけれども、事前に見通すことがなかなか困難でありましたということについても御理解をいただきたいと思います。 いずれにしましても、今後ともに資料の収集あるいは推計方法につきまして、絶えず工夫を凝らすなどのより適正な見積もりを行うべき努力を続けてまいりたい、そのように考えております。
○安恒良一君 一%をクリアしていないだけではないんですね。六十二年、六十三年度は一三%前後の狂いですよ。今回の補正でも既に六・三%の誤差が出ていますね。私はこんな大きい狂いは許されないと思うんです。 さらに問題は、今度は補正で税収の増額を行ったにもかかわらず、決算段階でまたその補正を大きく超えた税収がある。その誤差率は六十一年度六・二%、六十二年度八・六%、六十三年度は五・七%となる。通常、次年度本予算編成と同時進行で補正が組まれていますね。ですから、大体組まれるのは十二月末だと、補正増は。そうしますと、年度末から三ないし四カ月しかない。いわゆる四分の一半期足らずの期間の税収見積もりが、竹下元大蔵大臣が国会で答弁した六倍も八倍もパーセンテージが間違う、これはちょっと問題じゃないですか。そこの点について、二つの点を指摘しましたが、答弁してください。
○国務大臣(橋本龍太郎君) でありますから、おわびをする以外にありませんと申し上げたわけでありまして、今後における推計に努力を重ねて、少しでもその誤差率を縮めるようにしたい、本当にそう思います。
○安恒良一君 それじゃ、近くのことを。今度、元年度の補正増収三兆二千百七十億というふうにこの委員会に出されていますが、これは自信がありますか。一部にはさらに一兆円前後の上乗せ税収が出るのではないかという見方がありますが、今我々は補正予算を審議しています、この補正と決算の誤差率を一%の範囲内におさめる自信がおありでしょうか。お答えください。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私はそれだけの自信はございません。ただ、自分の部下の仕事は全力を尽くしてくれたものと考えておりますので、少なくとも最善を尽くしてくれたことは信じております。
○安恒良一君 自信がないということですが、何%ぐらいになるんですか、それは。間違いないと言えますか。どちらですか。これはすぐ結果はわかることですから、本予算審議のときにあなたがまた頭を下げなきゃならぬことになる。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、何%間違うといった予測をするだけの自信を持っておりません。
○安恒良一君 それじゃ、この点は間もなく結果がわかることですから、私はもう何回もこのことを指摘しているんですから、そのたび頭だけ下げればいいということじゃないんですよね。やはり中身を変えていかなきゃだめだ。 そこで、その中身の問題の一つとして、私は、適正見積もりを困難にしている原因は、法人税収の年度所属区分を早急にもとに戻すべきではないか。すなわち、三月決算の法人の税収をいわば前年度の税収に取り込んだことが非常に税収の見通しを困難にし、狂いを大きくしていることは否めないのであります。ですから、この点について私は財政運営のあり方から早急に検討し、解決をすべきだと思いますが、この点はどう思いますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員から御指摘のありましたポイントは、財政制度審議会の報告でも指摘をされております事項でありまして、現行の年度所属区分というものが税収見積もりを非常に難しくしておりますことは否めない事実であります。ただ、直ちにこれを旧に戻して、かつてのようにしようと思いますと、その財源として現在の状況では再び特例公債の発行によらざるを得ない状況を現出しかねません。我々としては、特例公債に依存することだけは今後はどんなことがあっても避けたいと考えておりますので、今後の重要な課題であると認識をいたしており、例えばいろいろなチャンスを探りながらこれをもとに戻せる時期を模索したい、そのように考えております。
○安恒良一君 次に、補正予算の歳出についてただしたいんですが、今回の補正予算は、災害復旧、給与改善費、厚生年金給付の実施繰り上げ等、財政法二十九条に定める補正予算条件に沿った費目が計上されていますが、どうも費目の中にはこれではどうかなと首をかしげる費目もあります。補正予算編成の姿勢に大蔵大臣としては厳しさが欠けておったのではないでしょうか。その点はどうですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 平成元年度の補正予算におきましては、特例公債の減額、国債整理基金特別会計への繰り入れ、財政支出の繰り延べ等の特例的歳出削減措置への返済や返済見合い財源の確保など財政体質の改善を図るための措置を講ずると同時に、災害、給与改善、国際機関拠出、福祉、文化、農業、中小企業などにつきまして、最近の諸情勢の変化に適切に対応するため、国民生活上緊要な措置を講じてきたつもりであります。 これらの措置はいずれも法律などに基づく義務的経費や予算作成後に生じた事由に基づきまして特に緊要となった経費でありまして、私どもといたしましては、いずれも国民生活の安定を確保し我が国の国際的な責務を果たすために早期に実施することが必要不可欠なものであるということから、これらの財政需要に適切に対応できるように編成を行ったつもりであります。
○安恒良一君 補正予算の責任者としては今のように言わざるを得ないと思いますが、私は、審議する議会の立場からは幾つかの問題点があります。 そこで、総理に政治的な立場から伺いたいんですが、今度の予算は衆議院解散前の百十七国会に提案をされまして、審査未了、廃案になったものであります。そして、この補正がなぜ廃案になったかというのは、総選挙向けの利益誘導型であるとか、消費税見直しの自民党の考え方を後押しする費目が予算に計上されているとか、こういう野党の批判があったことは御承知だと思います。 ところが、今回の補正二号は表紙を張りかえただけで再提出されました。これは政府・与党のおごりの姿勢ではないでしょうか。あなたがおっしゃっている、野党との話し合いを提唱した総理として、少なくとも一号補正を見直した上で、しかも年度末三月、提案されたとき残りは二十日ぐらいしかなかったんです。そんなことを勘案して、政策的色彩の強い費目、これは分離する、こういうものの計上を分離する、これぐらいの配慮とリーダーシップがあってしかるべきではなかったかと思いますが、そうした視点を欠いていたと総理はお思いになりませんか。
○国務大臣(海部俊樹君) 補正予算を提案いたしましたときに、社会のいろいろな要請とか、あるいはまた国民生活の安定、向上のためにこれは必要なものだと考えてつくった補正予算でありましたから、選挙が終わりましてからも同じものをやはりお願いして成立させていただかなきゃならぬ、こういうことでございます。
○安恒良一君 総理の答弁は全く納得ができません。 私は、この補正予算の特徴は、基金、資金をたくさんつくって、例えば芸術文化振興基金五百億等、七つになっています。そして、この基金や資金の冠を読めば必要なものばかりと言えましょう。しかし、これらはいずれも大きな政策課題なんです。そこで、国会で本格的な議論を尽くし、その上に立って予算措置が行われるべきものだと思います。今、大蔵大臣は財政法二十九条を読み上げられましたが、私どもは、その二十九条の二つの点にこれは合致をしていない、このようにこの点では考えます。 そこで、私は率直なことを言って、基金とか資金、こういうことがいいかどうかは別にしても、例えば芸術文化の振興や農業、中小企業の活性化に努めることは大賛成です。しかし、年度末のこの時点で、補正という審議、時間的にもおのずから限られています、そういう予算の中に組み込むことが私は納得がいかないのであります。財政運営のけじめ、節度、こういった点からも私は納得できませんので、再度この点について総理、大蔵大臣の答弁を求めます。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 遺憾ながら、その点につきましては委員の御見解と私どもちょっと考え方を異にいたしております。 元年度補正予算におきまして行うこととしております基金造成のための出資などにつきましては、いずれも最近における諸情勢の変化に適切に対応するために特に緊要となった課題である、そして財政法二十九条に定められた補正の事由に十分合致するものと私は考えております。また、国が特定の事業に対して助成を行う場合におきまして、毎年度助成する、また特定年度において当該事業のための基金の造成に助成する、これは政策目的を実現する手法としての問題であろうと考えておりますが、こうした細かい問題点をも勘案いたしました上で、私どもとしては、それぞれに補正予算で設立をお認めいただく、あるいは基金への出資をお認めいただく——設立をと言いましたのはちょっと失礼いたしました。出資を認めていただけるものと、そう考えて御審議をお願い申し上げた次第であります。
○安恒良一君 私は、このような大きな政策的な課題は十分に政策の中身を議論した上で出資がされるべきだと言っているんですから、全く見解が違います。 そこで、環境庁、文部省、厚生省、農水省、通産省の各省にわたる基金、資金づくりは、例えば環境庁の場合で言うと地域環境保全基金、あと各省の中身は省略しますが、こういう基金づくりは、私は、行政簡素化それから行革の政府の方針に照らして、機構を拡大する、こういうことになるのではないかと思います。さらに、補助金行政に批判がありますから、これを巧妙にすり抜けるために監督官庁の周辺に別組織をつくって実質は同じやり方をねらっている、こういう批判もあります。また、資金や基金として出されてしまいますと、その後は国会で財政面のコントロールが外に出てしまいます。すなわち行政府で自由に運用ができることになります。 これでは国民の税金の使い方として問題があるとの声を聞きますが、以上これらの問題点を私は投げかけましたので、この点につきましては、厚生大臣、農水大臣それから総務庁長官、そして総理、大蔵大臣の答弁を求めます。
○国務大臣(津島雄二君) 安恒委員の私どもに対する御質問、二点あろうかと思います。 第一点は、いわゆる長寿社会福祉基金の設立に係るものでございますが、この点、社会福祉医療事業団に対して六百億の追加出資をお願いしておるわけでございますが、御案内のとおり、高齢者保健福祉推進十カ年戦略をこれから積極的に進めてまいりますために在宅福祉対策等の展開を図る必要がある、その前提条件といたしましてホームヘルパーの養成等の事業を早急に行わなければならない、そういうことでぜひとも緊急にお願いをしたいということでございます。 それからもう一点は、厚生保険特会に資金を設ける、そしてこれに一兆五千億の御投入をいただくということでございますが、御案内のとおり、老人保健制度の中で拠出金の加入者按分率を一〇〇%にするという改正が行われるわけでございまして、被用者保険の安定化が早急に望まれておるわけでございますから、そのための方策といたしまして、一兆五千億の資金を厚生保険特会の中に設けていただく。業務勘定の中にこれを設けるということについて御議論があるかと承っておりますけれども、私どもは、そういう形で設けていただき、その運用益七百五十億を被用者保険の安定のために活用させていただくことはまことに緊急であり、また時宜を得た方策であるとお願い申し上げておる次第でございます。
○国務大臣(山本富雄君) 安恒先生にお答えをいたします。 農山漁村振興基金につきましての御指摘でございますけれども、先生御承知のとおり、近年における農林漁業をめぐる厳しい情勢の中で、足腰の強い農業経営を育成するとともに、よく指摘をされております中山間地域を活性化する、こういうことを通じまして農山漁村の振興を図ることが緊要な課題だというふうに考えております。 このため、元年度補正予算により、農山漁村振興基金五百億円を造成いたしまして、その運用及び取り崩しによりまして、農業者等が今後五年間に農林公庫等から借り入れる一定の資金につきまして金利負担の軽減を行う、それによって農山漁村の活性化を緊急に図りたい、こう考えておるわけでございます。 この基金の管理、運用主体、これが問題だと、こういう指摘がございましたが、この事業を適正かつ円滑に行うことができる知識、経験を備えた既存の財団法人を予定しているところでございまして、行政改革の方向に反するものとは考えておりません。 以上でございます。
○国務大臣(塩崎潤君) 安恒委員、行政改革の見地から御質問があったように思うのでございますが、確かに私どもは時代の変化に応ずるために絶えず行政改革を今後とも進めていく必要はあると考えております。 ただし、今回の措置は特に新しい機構を拡大してつくったものと言うべきではないと思うところでございます。既存の特別会計その他の組織を活用していく、そしてその中で新しい時代のニーズに応ずるところの財政需要を適切かつ緊急に賄おう、こういうふうに予算計上しているものと認めるものでございまして、私どもは、これが行政改革あるいは行財政改革の精神に反するものとは考えてはおりません。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 国が基金の造成に要する経費を特殊法人に出資をいたす、また地方公共団体あるいは公益法人に補助するに当たって、その基金造成によりまして実施される特定の事業というものが国の政策目的にかなったものであり、また毎年度その特定の事業に対して助成するより特定年度において基金造成に対して助成を行う方が国の政策の効率的かつ安定的な執行に資するものであります場合、私は、その目的及び運用を厳しく精査した上でこうした基金を造成することは、政策上何ら問題のないものと考えております。 また、今総務庁長官からお答えがありましたように、今回の基金の創設の措置と申しますものが、新たな特別会計あるいは組織を設置する、組織するというものではございませんで、現にあります特別会計や組織を充実、活用するという方式をとっておるものでありますから、私は行政改革の趣旨に反することはない、そのように考えております。
○国務大臣(海部俊樹君) 元年度補正予算に御指摘のように幾つかの基金創設措置を講じておりますが、これは関係閣僚が既に詳しく申し上げましたように、最近における諸情勢の変化に適切に対応することによって国民生活の安定や向上を目指したものであり、その目的及び運用等について厳しく精査した上で予算に計上しているところであります。 なお、簡素にして効率的な行財政の確立を目指す行財政改革の考え方においても、社会経済情勢等の推移に即応した真に必要な施策は認めるものであり、行財政改革の趣旨に反することにはならない措置である、このように考えております。
○安恒良一君 私は、時間の関係上大臣をわざと何名かにしたんですが、ここでそういう言われ方をすると、ひとつこれは各大臣に答えてもらわなければなりませんが、新しく基金をつくったり出資金を創設したんじゃありませんか。今御答弁された以外のところも含めて、大臣、答えてください。環境庁、文部省、通産省等々。私は、この中には今さっきお答えになった大臣の中にも新しい基金をつくられたと思うんですが、今さっき皆さんは新しい基金をつくった覚えはないと、こう言っているんですが、全部答えてください、それなら。
○国務大臣(保利耕輔君) 文部省といたしましては、芸術文化振興基金を今度の補正予算でお願いいたしておるわけであります。 委員御承知のとおり、近年国民の文化に対する関心の高まりは非常に大きなものがございますけれども、昨年十二月、民間の芸術文化振興基金推進委員会から文化振興のために基金設立をぜひお願いしたいという提唱がございまして、そのため民間からも資金拠出をするという表明がございました。そしてさらに、政府に対して早期に基金設立と相当額の負担の御要請があったところでございます。既に元年度の経理で、民間におきましても資金拠出を行うことを予定している企業も多くあると承知をいたしております。 政府といたしましても、文化振興のために財政基盤整備の方策を検討しておったところでございますので、文化振興のこうした機運が民間に盛り上がってきたこの機会をとらえまして、元年度の補正予算で芸術文化振興基金の創設を行うことといたして審議をお願いいたしておるところでございます。 以上でございます。
○安恒良一君 新しい機関をつくったのかどうか、そういうことを聞いている。
○国務大臣(北川石松君) ただいま先生御指摘の基金の問題でございますが、これは地方自治体の条例によりまして基金をつくっていただき、これに政府が補助をすることになっておる問題でございます。 特に、窒素化合物による大気汚染、生活雑排水による水質汚濁等の都市生活公害が非常に多くなっておる、深刻化の様相を呈しておる次第でございまして、この点につきまして地方自治体とともどもにこの点を解決するために、環境庁といたしましては地方自治体にお願いをし、地方自治体の中でつくられた基金に対しましての補助をいたすものでございます。 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私の方は二つ基金がございますけれども、中小商業活性化基金、これは各県などに中小企業振興公社といったようなものがございまして、その中に設けるものでございまして、新しいものではございません。 また、いま一つは、地域産業活性化基金、これはテクノポリス開発機構というのがございますけれども、その中に設けるものでございます。
○安恒良一君 新しいんですか、その後の分は。
○国務大臣(武藤嘉文君) テクノポリス開発機構というのは従来既にあるわけでございます。その中に設けるわけでございます。
○安恒良一君 橋本大蔵大臣、今お聞きくださったように、あなたが新しいのは一つもないというのは、そうじゃないんです。あるんですよ、新しいのはね。ですから、これ以上時間をとってもしようがありませんから、その点はあなたの認識違いについて私は指摘をしておきます。 そこで、厚生保険特別会計に一兆五千億を繰り入れられることについて私はどうしても理解に苦しみます。隠れ借金を整理すること自体はいいことです、これは財政の健全化、財政体質の強化等の観点からだと。しかし、どうもこの一兆五千億というのは、一般会計が隠れ借金をしたときに確かに財政再建後は速やかに利子つきで返すと。ところが今度の補正では、利子つきではなくてひもつきで返されているわけですね。 もともと隠れ借金というのは、厚生保険特別会計の年金勘定へ一般会計が繰り入れるべきものを隠れ借金にしたわけですから、今回は厚生保険へ返りますが、なぜかこれが特別保険福祉事業資金に使われる。それがために法律改正まで出されていますね。何ゆえ借りたところに、すなわち年金勘定にどうして返さないのですか。この点は厚生大臣と大蔵大臣に答弁を求めます。
○国務大臣(津島雄二君) 安恒委員にお答えを申し上げます。 先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、老人保健制度の改正、特に加入者按分率の変更に伴って雇用者保険の安定が必要であるという要請を私どもは持っておるわけでございますが、その緊急の必要性に対処しまして、このたび財源が確保できるということで、今回のような厚生保険特会に資金をいただくという手法をとらせていただいたわけでございます。 それで、しからば委員が御指摘の、俗に言えば今お貸ししているものとの関係はどうかということでございますが、私どもはその関係、一兆四千億程度のものでございますけれども、この整理はさらに引き続き速やかにやっていただきたいということで大蔵大臣ともお話をしているところでございます。 したがいまして、私どもの要請している政策目的につきましては、今度の資金を計上していただくということは大変ありがたく、緊急の要請におこたえいただいているというふうに考えておるところでございます。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今厚生大臣からも御答弁がございましたけれども、厚生年金国庫負担金の過去の繰り延べ分の返済見合い財源、この一兆五千億円を用いまして厚生保険特別会計に資金を設けて、当分の間この資金の運用益を老人保健制度の基盤安定化の措置に対する財源として活用する、これは委員が御指摘のとおりであります。 でありますから、今回の措置は、これにより過去の繰り延べ分の返済が完了したという性格のものではございません。ただ、過去の繰り延べ分の返済見合い財源を確保したという意味合いにおいて返済に向けて一歩前進したものということであります。 繰り返しますけれども、今回の措置は、これにより過去の繰り延べ分の返済が完了したというものではございません。過去の繰り延べ分の返済見合い財源を厚生保険特別会計の中に確保したという意味合いで返済に向けて一歩前進したものと、そう御理解をいただきたいと存じます。
○安恒良一君 ますますわかりません。 その一兆五千億というのは、そうしたらどんな金ですか。私はこの説明を見る限り、いわゆる一兆五千億借りておったからこれを返す、一応厚生年金勘定に返すと、こういうことに承っているのでありますが、これは違うんですか。厚生保険会計に返すと。返したんじゃないんですか、そこをはっきりしてください。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 厚生保険特別会計に厚生年金国庫負担金の過去の繰り延べ分をお返しいたしますとすれば、委員が先ほど御指摘になりましたように、特定の業務勘定がございます。ですから、厚生保険特別会計にお返しをしたということはそのとおりでありますが、その意味では。しかし、厚生年金の国庫負担金の繰り延べの返済見合い財源として利子をつけて一兆五千億にいたしましたもの、これを活用させていただいて老人保健制度の基盤安定化のための措置に対する財源として活用をさせていただく。ですから、先ほど正確に申し上げましたように、過去の繰り延べ分の返済が完了したというものではございません。しかし、過去の繰り延べ分の返済見合い財源というものを厚生保険特別会計の中に確保したという意味合いにおいては、返済に向けて一歩前進したものと正確に申し上げたところであります。
○安恒良一君 ますます答弁がわかりません。私は時間節約の意味でできるだけ前に進めようとしましたが、それはやむを得ません。厚生保険特別会計の中身、それを全部ひとつ説明してください。そして、どこからどれだけ借りておって、今回はどう返したか、全部説明してください。わかりません。
○国務大臣(津島雄二君) 安恒委員にお答えを申し上げます。 詳細な数字については政府委員から補足をさせますが、私どもといたしましては、この問題につきましては、年金財政の運営に支障を来さないように、できるだけ速やかに返済を完了してほしいという立場であることは先ほど申し上げたとおりでございます。そういう前提で、数字については政府委員から御説明させていただきます。
○安恒良一君 仕組みと制度と数字。
○政府委員(土井豊君) 昭和六十一年度から平成元年度までの四年間でございますが、厚生保険特会の年金勘定に対する国庫負担金の繰り延べ特例措置、これにつきましては一兆三千四百八十億円の金額でございますけれども、繰り延べ措置が行われております。これは特会法十八条ノ十二の規定によりまして行っておりますけれども、この特例措置につきましては一般会計より年金勘定に繰り入れるべしという規定になっておりまして、したがいまして、この特例措置の返還というのは年金勘定にお金を入れるという形で完了するというのが法律の規定でございます。 今回の措置は、御案内のとおり、厚生保険特会の業務勘定に資金をつくるという内容のものでございますので、法律上、年金勘定への繰り延べは行われておりませんので、したがって、特例措置の返還はいまだなされていないというふうに理解をしております。
○安恒良一君 答えていない。厚生保険特別会計の仕組み、そして今言われたルート、そういうことを答えてください。どういう勘定があって、どこがどうなって、それがどういうふうになっているかということを聞いているんだ。人の質問をちゃんと聞いておってくれ。
○政府委員(土井豊君) 特会の仕組みでございますけれども、現在、健康勘定、年金勘定、児童手当勘定、業務勘定、それに平成二年度からは制度間調整勘定という五つの勘定がございます。今回の措置は、この業務勘定の中に資金をつくるという仕組みになっております。 なお、先ほど申し上げましたとおり、年金勘定と一般会計との関係におきまして国庫負担の特例繰り延べ措置が講じられているという中身でございます。
○安恒良一君 非常にわかりかねるんですが、どうも一兆五千億の金というのは、そうするとこれはこの勘定項目のどこに大蔵省は出したんですか。返したんですか。どうも返したんじゃない、出したと言われているんですが、その点大蔵大臣どうなりますか。
○政府委員(小粥正巳君) ただいまお尋ねの点でございますけれども、厚生年金の国庫負担金の繰り入れの特例措置、いわゆる繰り延べの残額が元年度末現在で一兆三千四百八十億円ございます。この点に着目をいたしまして、今後この繰り延べ措置を返済すべき場合には、この合計額にさらに今後返済の時期に合わせまして金利相当分を加えなければいけません。そこで、概算一兆五千億の資金を、先ほど来御説明がありましたように、この厚生保険特会の業務勘定に一兆五千億を資金として確保することにしたわけでございます。 先ほど大蔵大臣からも説明申し上げましたように、これは直ちに厚生年金勘定に返済をしたものではございません。ここで資金を確保するということによりまして、将来この資金を業務勘定から年金勘定にこの資金の額を限度として繰り入れすることができる、そういう規定でございますので、将来返済の場合には現在資金が置かれます予定の業務勘定から同特別会計の年金勘定に繰り入れが行われて初めて返済が完了する、そういうことでございます。したがいまして、今、返済のためのいわば財源を確保している、そういうお答えを申し上げたわけでございます。
○安恒良一君 厚生保険特別会計の業務勘定の中身を説明してください。
○政府委員(土井豊君) 業務勘定の中身でございますが、歳入といたしましては、一般会計からの繰り入れ、他勘定、これは健康勘定、年金勘定等からの繰り入れ、児童手当等からの繰り入れといったような歳入項目を計上しております。 歳出といたしましては、業務取扱費、それから施設整備費、保健施設費、福祉施設費、児童手当勘定への繰り入れ、こういったものを歳出科目としてやっております。 これに、今回のお願いをしている法律案におきまして資金をつくり、かつ資金の運用益を平成二年度以降支出をするというようなものをお願いしているところでございます。
○安恒良一君 いわゆる厚生保険特別会計の中の業務勘定とは主として事務費でしょう。あと若干あなたたちが施設とか保健とか福祉とかと言うけれども、本来この勘定項目から見ますと、いわゆる厚生保険特別会計の業務勘定としては主として私は事務費だと思いますが、その点どうですか。
○政府委員(土井豊君) 業務取扱費はおっしゃるとおり人件費その他の事務費でございますが、施設整備費、保健施設費等につきましては、例えて言いますと厚生年金のいろんな施設の施設整備費、厚生年金会館とかサンピアとかそういったものの建設費を計上しておりますし、また保健福祉施設費の中には成人病予防健診のための人間ドック、そういったもろもろの経費を計上しております。確かにおっしゃるとおり事務費的な要素もございますけれども、それと同時に各勘定間から金を繰り出しまして、今言ったような福祉施設事業も行うという性格だと理解をいたしております。
○安恒良一君 ますますわからなくなってきたんですが、これだけをやっておるわけにいきません、時間がありません。また改めてゆっくりやります。 どうも厚生省は、自分で厚生保険特会を持っているから、隠れ借金が返されたんじゃなくて、見せかけは返されたんだが、こんなものはどこでどう使ってもいい、こういう発想があるように思えてなりません。私は借りた金は借りた勘定に返すべきだと思いますし、あなたたちは今まで予算編成のために歴代厚生大臣が大蔵大臣に、年金の財源だから返せ返せと毎年言ってきたんじゃないですか。ところが今回は、ありがたい、賜りましたなんて、まあ橋本さんえらいのかどうか知りまんけれども、そんな言葉を使って一兆五千億を厚生年金の業務勘定に返すなどというやり方は全然理解できません。そして、今度はその業務勘定からそっくり全額を支出して保健福祉事業資金に充てると。これを聞いていると、年金財源というのは建前だけにすぎないんじゃないですか、年金財源というのは。私は非常にすっきりしませんし、厚生年金加入者もそんなことでは理解できませんよ。自分たちの貸しておった金を返してもらったんですから。それを勝手に大蔵省と厚生省の談合でこれを使うというのは何事ですか。この点について両大臣の見解をお聞きします。
○国務大臣(津島雄二君) 安恒委員に重ねてお答え申し上げます。 先ほどから申し上げておりますように、私どもは年金勘定について繰り延べられているものは返していただいていないというしっかりした立場にあるわけでございまして、これをお返しいただくときには過去の繰り延べ分の返済がしっかり行われるように、引き続きお願いをしてまいりたいと思っております。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど来申し上げておしかりを受けておりますけれども、今回の措置によりまして過去の繰り延べ分の返済が完了したと私も考えておりません。今後とも、厚生年金国庫負担の繰り延べの返済について、年金財政の運営に支障を来さないようにできるだけ早くお返しをするように、基本的な考え方の上に立って対処してまいりたいと思います。
○安恒良一君 一兆五千億あったらまず借りたところに返すのが先じゃないですか。何で返さないんですか。何で橋本さん返さないんですか。一兆五千億あるんでしょう。どうして返さないんですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど申し上げましたように、今回、一方では返済に対する御要請、一方では老人保健制度の基盤安定化についての御要請、その両方の御要請の中でこうした仕組みを工夫させていただいたということであります。
○安恒良一君 全くこれはあなたたちは財政法を無視して、適宜便宜にしかも勝手に大蔵省と厚生省の談合でこういうことがやられる。しかも、それに対する政策なら政策で十分な議論をした後に財政法に基づいてやるというんならわかるが、全く理解できません。この問題についてこれ以上やっても時間が足りませんから、また改めてやります。 そこで今度は、第二国立劇場の敷地購入費三百五十億が計上されていますが、これは元年度予算作成後に買うことが決まったのでしょうか、それとも三月三十一日の元年度中に払わないと、予定している敷地はどこかに転売されてしまいますか。
○国務大臣(保利耕輔君) 第二国立劇場につきましては、来年度からの建設に向けまして建設用地及びその周辺の環境条件の整備が前提でありますことから、国は周辺の地権者の協力を得まして特定街区を導入するということにいたしました。第二国立劇場、これは仮称でございますけれども、を含む街区全体を文化ゾーンとして一体的に整備することで協議をしてきたわけであります。 しかしながら、ようやく昨年末に至りまして、民間地権者との間で建築形態その他、文化施設の内容等について構想が具体的に昨年末決まったのであります。この結果、民間地権者から特定街区導入の早期実現に向けての強い御要請がございまして、劇場の設置主体でございます特殊法人国立劇場、これは現在の国立劇場でございますが、民間地権者と一体となりまして元年度中に東京都に対して特定街区に関する所要の申請手続を開始するということにいたしておるわけでございます。 したがいまして、第二国立劇場の用地を補正予算の中で組み込ませていただいたわけであります。
○安恒良一君 私の聞いたことに答弁してください。もう時間だけいたずらに過ぎます。私の聞いたことにちゃんと答弁してください。
○国務大臣(保利耕輔君) ただいま申し上げましたとおり、先生からの御指摘、もし買わなかったらどうなるかということでございますが、買わなければ特定街区の申請ができないということで白紙に戻る可能性がございます。
○委員長(林田悠紀夫君) 安恒良一君。
○安恒良一君 いや、私は立ちません、これは。 私が聞いたことはこういうことなんですよ。三月三十一日の元年度中に支払わないと、予定している敷地はどこかに転売されてしまいますかと聞いているんですよ。人の質問をよく聞いて答弁に立ってくれ。役人がつくったのをそのまま読むからそういうとになるんだよ。
○国務大臣(保利耕輔君) 極めて細かい問題になってまいります。大事な問題でございますが、政府委員から答弁をさせます。失礼いたします。
○政府委員(國分正明君) お答え申し上げます。 現在第二国立劇場を予定しております土地は、元通産省の工業試験場跡地でございまして、特別会計の財産になっているわけでございますので、本年の補正で購入しないといたしましても土地が他に転売されるという性格のものではございません。 ただ、大臣が先ほど申し上げましたように、昨年末に特定街区についての民間の地権者等の協議がようやく調いましたので、この機を外しますと第二国立劇場の建設の構想あるいはスケジュールというものに狂いが生ずる、こういうことで今般お願いしているわけでございます。
○委員長(林田悠紀夫君) この際、政府に申し上げます。 答弁は、質疑者の趣旨を体し、簡潔明瞭にお願いいたします。
○安恒良一君 極めて細かい問題だから答弁を事務局にさせますというのは取り消してください。失礼じゃないか、人の質問を細かいことを聞くとは何だ。
○国務大臣(保利耕輔君) 大変失礼をいたしました。ただいまの極めて細かい点であるという点につきましては取り消しをさせていただきます。大変重要な問題であると思います。
○安恒良一君 どうも私は納得ができません。 第二国立劇場の敷地の取得費用三百五十億は、現在政府が行っている予算編成時の概算要求基準の縛りの関係で文化庁予算に組めない、こういうところが本音じゃありませんか。文部大臣、大蔵大臣、答弁を求めます。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今文部大臣がお答えになりましたように、元年度中に特定街区の導入手続を開始することができなくなると、これまで国に協力してきた民間地権者の信頼を失うばかりではなく、特定街区実現の機運に水を差してしまう。そうなりますと今後の第二国立劇場の円滑な建設推進に重大な支障を生ずるおそれがあるというところから、私どもは補正予算にこれを計上する決断をしたわけでございまして、今委員が御指摘になりましたような視点を私どもは考えたわけではございません。
○国務大臣(保利耕輔君) ただいま大蔵大臣から御答弁申し上げましたとおりでございます。 私どもとしては、第二国立劇場をできるだけ早期に作成したい、こういう願望を持っておりますので、ぜひとも今年度の補正予算において処置をしていただいてこの実現方をお願いしたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○安恒良一君 それでは、文化庁の方から六十年度以降の予算額と投資的経費を言ってみてください。
○政府委員(遠山敦子君) 昭和六十年度以降の文化庁予算額とその中に占めます投資的経費の予算額はどのようになっておるかという御質問かと存じます。 昭和六十年度の文化庁予算額は三百六十三億余でございまして、うち投資的経費は百九億六千八百万円でございます。率にいたしますと三一%でございます。 六十一年度は、——順次申し上げてまいりますと時間がかかりますのでパーセントで申し上げて……
○安恒良一君 金額、金額を。
○政府委員(遠山敦子君) わかりました、では順次。 それでは、文化庁予算額は三百六十三億余でございます。うち投資的経費は百二億余でございます。 六十二年度は三百六十四億弱でございます。そして投資的経費は九十七億余でございます。 昭和六十三年度につきましては、三百七十八億の文化庁予算の中で投資的経費は百五億弱でございます。 平成元年度は、四百九億余の文化庁予算のうち投資的経費は百二十一億余でございます。
○安恒良一君 平成二年の予算は。
○政府委員(遠山敦子君) 平成二年度予算はこれから御審議いただくわけでございますけれども、文化庁予算の予算案に計上しております額は四百三十二億三千七百万円でございまして、うち投資的経費は百三十二億四千八百万円でございます。
○安恒良一君 予算額総額で、総理、大蔵大臣、お聞きのとおり毎年三百六十億から四百三十億ですよ。投資的経費も、今全部言ってもらったが、百億から百三十億でしょう。ですから、うまいことを言っておられますが、この文化庁予算では現在の概算要求基準で三百五十億を計上する手がない、はみ出してしまう。だから補正に回したことは明らかではありませんか。 文部大臣、どうですか。今ずらっと数字をそのために読んでもらったんだ。
○国務大臣(保利耕輔君) 数字につきましてはただいま文化庁次長から御報告を申し上げたとおりでございますが、この第二国立劇場は長い間の懸案事項でございまして、ようやくここで特定街区という処置が起こってまいりまして、それによりまして緊急に処置をすべき事項としてお願いをしたところでございます。
○安恒良一君 委員長の注意を聞いてください。 私が聞いているのは、こんな少ない予算の中で、本当に年度予算の中で組めるのですか組めないのですかと聞いているんですよ、あなた。何をあなた答えているんですか。
○国務大臣(保利耕輔君) シーリングの予算の中で、これだけの大きなお金を組み込むということはなかなか難しいのではないかと考えます。
○安恒良一君 正直に答えられましたね。シーリングでは組めないから補正予算ならいいだろうということでした。 これでは、これは完全にシーリングというのはしり抜けじゃありませんか。こういう財政運営があっていいんでしょうか。政府決定のシーリングというのはそんないいかげんなものですか。閣議決定がしり抜けになることについて総理、大蔵大臣、お認めですか。シーリングとの関係で答えてください。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 政府といたしましては、これまで各年度におきまして予算要求に先立って概算要求基準を設定し、これを出発点として各種の制度改革や徹底した歳出の削減合理化などを行うことによって予算編成を行ってまいった、これは委員が御指摘のとおりでございます。また、補正予算につきまして、これまでも、財政法第二十九条を踏まえて法律等に基づく義務的経費を補う場合、また予算作成後に生じた事由に基づいて特に緊要となった経費の支出を行う場合に編成をしてきたということでございます。今委員が御指摘でありますけれども、予算要求を行うに当たりまして設定をいたします概算要求基準と、予算作成後に生じた補正事由などに基づいて編成 をされる補正予算とは、それぞれの趣旨を踏まえ適切に運用されていくところでありまして、今後ともそれぞれの基本的考え方に立ち、適切な財政運営に努めてまいらなければならぬと考えております。
○国務大臣(海部俊樹君) 今後とも概算要求基準の設定、また補正予算の編成に当たっては、それぞれおのおのの持っております趣旨に沿って適切な財政運営に努めなければならないと考えます。
○安恒良一君 総理も全然私の言っている——シーリングがしり抜けになっていいのでしょうか、どうでしょうかと。総理、あなたは責任者でしょう。それを聞いているんですよ。もう一遍言ってください。
○国務大臣(海部俊樹君) それぞれの趣旨に沿ってとお答え申し上げましたけれども、シーリングを設定することによって財政再建をきちっとしていかなきゃならぬという政策目的を持ってシーリングは決めてまいったものでございますし、補正予算の編成に当たってはまたいろいろの趣旨によって行ってきたものであると、こういうことを申し上げたわけでございます。
○安恒良一君 平成二年度投資的経費が実は三百五十一億今度は組まれているわけですね、今予算として。これは前年度削られた国立劇場用地費の補正の見合いの計上じゃないかと思う。というのは、ずっと各年度読んでいただいたんですが、ここに来て平成二年度に急に大きく膨れ上がっています。これは偶然の一致なんですか。私は偶然の一致ではないと思うんですが。財政法十一条会計年度の規定に抵触すると思いますが、文部大臣どうですか。
○政府委員(國分正明君) 歳入予算の関係につきましては私どもちょっとお答えする立場にございませんが、先ほど来の二国の土地の計上等につきましては、大臣からお答え申し上げました理由に基づいて計上させていただいたものでございます。
○安恒良一君 答弁になっていない。答弁してくれよ。
○国務大臣(保利耕輔君) 第二国立劇場をできるだけ早く設置したいという国民的な願望を受けまして、そして協議が調って東京都に対してその特定街区の申請手続をしたいという緊要性がございましたものですから、この補正予算における処置をさせていただいたところでございます。
○安恒良一君 私の聞いていることとは全然かみ合わない、全然かみ合わないんです。もうちょっと官房長と二人で整理して答えてください。
○政府委員(遠山敦子君) 御質問に的確にお答えできるかどうかでございますけれども、投資的経費が平成二年度の予算案におきまして伸びている、その理由として土地購入費の絡みが出ているのではないかという御質問かと存じます。 先ほど申し上げました額、投資的経費百三十二億計上されているわけでございますが、その中身には文化財保存施設整備員でありますとか、国立の博物館等の施設費でありますとか、あるいは第二国立劇場の施設整備費等も含まれているわけでございますが、例えば平成元年度では第二国立劇場施設整備費二十八億でございましたけれども、来年度お願いしております予算案の中身ではこれが三十五億になるということでございまして、その推移は第二国立劇場建設のために必要な経費というふうに考えております。
○安恒良一君 私の聞いていることを逆さまに答えているの。私は、文部省の当初予算では、投資的経費の減額を調べてみたら、この三年間で、平成二年度が今私が挙げたように三百五十一億と大きいんですよ。六十三年度は二百九十七億、元年度は百六十八億なんです。ですから、こんなに、三百五十一億も削っているのは、いわゆる前年度投資的経費というのを、国立劇場用地を補正で組んだから、その見合いでたくさん今回は削られているんじゃないでしょうかと聞いているんですよ。ふえている話をしていません。
○政府委員(國分正明君) 質問を取り違えまして大変失礼申し上げました。 平成元年度予算と平成二年度予算との投資的経費の減の問題でございますが、手元に細部の資料は持ち合わせてございませんが、大きなものといたしまして、公立文教施設整備費というのがございます。小中学校の建物の経費でございます。これにつきましては、児童生徒数の減等によりましてここ数年来需要が減少いたしております。平成二年度におきましても、ちょっと正確な数字はございませんが、かなりな額の減を立てておりまして、それに基づくものでございまして、今回の土地購入等に関連してというものではございません。
○安恒良一君 どうも、文部省全体で調整するとしか言いようがないと思いますがね。私はもう少し正直に話した方がいいと思うんですよね。 大蔵省としては、国立第二劇場の用地三百五十億を、補正だからと、こういうことでこれを認めた。ところが、これはやっぱりしり抜けと言われたら困る。また、ほかの省からも文句を言われる。そこで今度は、文部省の投資的経費を今年度は三百五十億削って、そしてつじつまを合わせている。すなわち、閣議決定のシーリングを、しり抜けを堂々とやられたんじゃ閣議の権威もなくなりますし、また他省庁からも、そうか、それじゃこれから補正でどんどんどんどん組んでくれるなと、こうやられたら大変困る。こういうことだから今回はこういうことになった。これが数字だと思うんです。ですから私は本当に、こういう操作というのは財政法を破るもので、許されません。 そこでもう一度、今私が申し上げたことを聞いて、文部大臣、大蔵大臣の答弁を求めます。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先刻もお答えを申し上げましたけれども、これまで各年度におきまして、予算要求に先立っての概算要求基準を設定してまいった。そして、これを出発点として各種の制度改革や徹底した歳出の節減合理化を行ってまいった。これは委員が御指摘のとおりであります。同時に補正予算につきましては、これまでも財政法二十九条を踏まえて、法律等に基づく義務的経費を補う場合、また予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出を行う場合、こうした対応をしてまいりました。先ほど来、委員は国立劇場の問題につきまして元年度補正予算と平成二年度予算案とをいわばパラレルのような形で御論議をされたわけでありますけれども、私どもとしてはそういう考え方で査定をしたということではございません。
○国務大臣(保利耕輔君) ただいま大蔵大臣から御答弁がございましたように、本予算は本予算、そしてまた補正予算は補正予算の緊急性のある措置ということでさせていただいたものと思います。
○安恒良一君 それじゃこの問題を終わりまして、私は経済政策全体でお聞きをしたいんです。 時間の関係もありますから、日銀総裁、大分長く待っていただきました、日銀総裁に私は聞きたいと思いますが、日銀が二十日公定歩合を一%引き上げたにもかかわりませず円安に歯どめがかからないため、例えば二十二日の午前、東京金融資本市場等では、株式、円、債券がそろって急落しています。再びトリプル安に見舞われていますが、この利上げの効果と市場安定のための追加措置についてどのようにお考えか、お答えを願いたいと思います。
○参考人(三重野康君) 今委員が御指摘のとおり、二十日に一%の公定歩合を上げまして、次の日が休みでございましたので、昨日金融市場等は非常に落ちついてまいりまして、それにつれまして債券市場も落ちつきを取り戻してまいりましたが、為替市場と株式市場はお互いによくにらみ合いながら相当に荒れました。ただ、数字を簡単に申し上げますと、円は公定歩合を上げた日の終わり値が約百五十四円六十五銭、それで昨日は一時百五十五円四十五銭まで参りましたけれども、しまい値は百五十四円八十八銭でございました。きょうはやや落ちついておりまして、百五十四円七十五銭で始まりまして、今のところ私が出てまいりますときには百五十四円九十五銭でございま した。しかし、いまだに不安定な状態が続いております。 株も、今委員が御指摘のとおり、昨日は一時千八百円も下がりましたけれども、終わり値は九百何十円となりましたが、きょうは朝三百円ほど高うございました。その後上がったり下がったりしておりますが、私が出てまいりますときには九十円のアップでございました。しかし、いずれにしろまだ不安定な状態が続いております。 それで、これからのことでございますが、私どもは、日本の経済というのは先進国の中で最もバランスのとれた推移をたどっておりますので、これ以上どんどん円安になるといういわれはないと思っておりますので、今後のそういう投機による不規則な動きにつきましては、各国と協調して介入を続けてまいりたい、そういうふうに考えております。
○委員長(林田悠紀夫君) 安恒良一君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十四分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を再開いたします。 平成元年度補正予算三案を一括して議題といたします。 休憩前に引き続き、安恒良一君の質疑を行います。安恒君。
○安恒良一君 私は経済問題それから土地の問題等々たくさん質問をしたいことがありますが、同僚の山本君が関連質疑をしたいと、こういうことでありますから、まず関連をひとつよろしくお願いします。
○委員長(林田悠紀夫君) 関連質疑を許します。山本正和君。
○山本正和君 経済問題を中心に関連して質問をしたいのでありますけれども、日銀総裁、大変お忙しい御予定のようでございますから、最初に日銀総裁の御見解を二、三お聞きしておきたいと思うわけであります。 三重野総裁御就任以来国会の場で、また国民の皆さんに直接お答えになる立場というのは恐らく初めてじゃないかと思いますので、日本銀行の使命、それからその使命を遂行するための総裁の御決意をまずお伺いしておきたい、こう思います。
○参考人(三重野康君) 日本銀行の使命は二つございまして、通貨価値の維持と信用制度の保持、育成というふうに思います。この二つはだれが総裁になろうと変わりないわけでございますが、私もその使命達成に全力を尽くしたいと思っております。非常に変化の激しいときでそれをなし遂げるのは非常に困難を伴いますが、言い古された言葉ではございますが、通貨の番人、信用制度の番人に徹したい、こういうふうに考えております。
○山本正和君 この前からの経済界の混乱といいましょうか、大変大きな変動の中で、国民の中に、懸念しております声に、場合によっては我が国は本当にこのままで安定するんだろうか、インフレ時代が来るのではないか、こういうふうな不安も今や若干醸し出されております。そういうことについて通貨の番人としての総裁の御見解を承りたい。
○参考人(三重野康君) 委員御案内のとおり、最近の日本の物価は卸売物価、消費者物価ともに比較的安定した動きを続けておりまして、この基調が近い将来に崩れるおそれもまずないと思っております。ただ、先行きを考える場合に人手不足の深刻化、非常に高いマネーサプライの伸び、あるいは御高承のとおりの最近の円安傾向、こういったことを考えますとなかなか目が離せないというふうに思います。今回の公定歩合の引き上げもそういったものの物価の上昇を未然に防ぐ、そういった万全の措置をとりたいということと、それからもう一つは市場の安定ということをねらって引き上げたものでございますが、これがために物価の安定は引き続き保たれるだろう、その限り現在の内需中心の景気は続くのではないかと、私はこういうふうに考えております。
○山本正和君 実は我が国だけではなしに、アメリカでもあるいはヨーロッパ、特に東ヨーロッパの大変な改変に伴いまして、また東ドイツと西ドイツの新しい関係、そういう中で通貨問題をいろいろと心配される向きが多いかと思うわけであります。 この前、去る十二日に行われたBIS協議に御参加いただいたわけでありますけれども、その中でこの種の問題も恐らく議論されたんではないかと思いますし、国際通貨安定というふうなことにつきましての話し合い、あるいは今後の展望、さらには東ドイツ問題に端を発する今度の問題が国際経済あるいは通貨問題等いろいろかかわってまいりますし、我が国経済に対してもいろいろ影響を与えるんじゃないか、こう思いますが、その種の問題についての御見解を承っておきたいと思います。
○参考人(三重野康君) 先々週から先週にかけまして、日本銀行の総裁としては初めてでございますが、西独、イギリスそれからBISに出席いたしました。そのBISの会議の内容は言えないということになっておりますのでその点は御容赦願いますが、向こうのいろいろな人に会いましたので、一般的な印象ということで私のあれを申し述べたいと思います。 一つは、一九七〇年代に世界各国は非常なインフレでございまして、八〇年代にかけてようやくそれをコントロールできた。ごく最近また再びインフレの圧力が高まっておりますので、各国ともインフレのコントロールというのは非常に工夫、苦心をしているという感じを受けました。 それと関連いたしまして、為替の安定が非常に必要だという認識でございまして、マーケットではいわゆるG7の結束が非常に乱れているんじゃないかという見方もございますが、私はヨーロッパへ行って改めてG7の結束は非常にかたいということを印象づけられて帰ってまいりました。 それから、東西ドイツ並びに東ヨーロッパの問題は私も非常に関心を持っておりまして、皆さんにいろいろ聞いてみてまいりましたけれども、その展開が余りに急なものですから、どなたもこれから先の具体的な展開についてなかなか見通しを持っていない、そういう印象で帰ってまいりました。しかし、いずれにしろ東ドイツ、東ヨーロッパには多額の投資並びに資金需要がございまして、どの国の人もその供給先として日本を非常に期待している、そういう印象を受けて帰ってまいりました。
○山本正和君 日本銀行に対する国際的な大変大きな期待といいましょうか、これが今の国際社会の中にはある。またさらには我が国民も本当にインフレが起こったら大変だ、こういうふうな気持ちが強い中で、実は先日の公定歩合の引き上げもいろいろな意味での批判が出ております。遅きに失したんではないか、場合によってはこれは証券市場やあるいは政府当局からいろいろな働きかけの中で日銀が判断するのに大変だったんではないか、こういうような声もございます。また、場合によっては一週間前あるいは十日前にこのことをやっておったならばもう少し今の事態が避けられたんじゃないか、こういうような批判もあります。 これは財界、経済界、いろいろな批判があるわけでありますけれども、そういう中で私はぜひともきょう冒頭に申された日銀の使命、その確立のために何とかひとつ毅然とした主体性を持った日本銀行のあり方を要望しておきたいのでございますけれども、御所見を伺っておきたい。
○参考人(三重野康君) 今回の公定歩合の引き上げについていろいろの御批判があることは百も承知しております。また、そういった批判を謙虚に受けとめなければならないというふうにも思っております。 ただ、今回の場合は、市場の情勢のみで公定歩合を動かすわけにもまいりません。内外の経済情勢を総合的に判断してあの時期に決断した次第でございますが、今先生のおっしゃったとおり今後ともそういうつもりで日本銀行としての使命を果たしてまいりたい、かように考えます。
○山本正和君 総裁、どうもありがとうございました。これで総裁に対する質問を終わります。 それでは、大蔵大臣以下関係大臣にお伺いをしたいわけでありますが、ちょっとその前に、きょう何かNTTの方にスウェーデンの国王陛下が御視察にお見えになっていると、こういうふうな日程を聞いております。その中で山口社長に御出席いただいておるようでありますから、ちょっとNTT問題を先にお聞きいたしまして、その後大臣以下にお伺いしていきたい、こう思いますが、お見えですか、山口さん。 それじゃまず、NTTの経営が、株式公開をした当時あるいは民営化された当時、そういう状況で大変国民の間では期待が大きかったわけでありますけれども、今日の経営状況は一体当時と比較してどういうふうなことになっているのか、経営状況について承っておきたいと思います。
○参考人(山口開生君) お答えいたします。 私どもの経営状態につきましては、五年前に民営化になりまして、社員一同民営化の気持ちを肝に銘じまして大変活性化を進めてまいりました。業績等につきましても、初年度、二年度と私どもが予定した業績を上げてまいっております。現在第五年目に入りまして、間もなく三月末の決算が予定されておりますが、現在の見通しでは、私ども社員一同新しい気持ちで民営化の気持ちを引き継いでまいりましたし、昨年不幸にしましてリクルート問題等に関与したわけでありますが、その後社員一同立ち直りのために努力をしてまいりまして、三月末、まだ発表に至りませんけれども、私たちは予定あるいは予定以上の業績を上げることができると思っております。
○山本正和君 経営状況は大変いいように私も聞いております。これは社長以下全社員の皆さんの御苦労があったと思いますし、また資産についても大変何といいますか安定した状況にある、こう承っておりますが、それでよろしゅうございますか。
○参考人(山口開生君) そのとおりでございます。
○山本正和君 そこで、先日、電気通信審議会から郵政省に答申がされまして、NTTの問題についての意見が出されたわけでありますけれども、この答申については社長としてどういうふうな見解をお持ちか、この際伺っておきたいと思います。
○参考人(山口開生君) 先ほど電気通信審議会答申が出されました。それにつきましては、私ども実は昨年の中間答申のときにも一応考え方は申し上げてあるのでありますが、その中で特に大きな問題となっております、NTTを市内会社と市外会社の二社に分離するというふうに出ておりまして、私たちはこれは実質上のネットワークの分断でありまして、分離じゃなくて分割というふうに実は受けとめておるわけでありますが、国のインフラストラクチャーでありますネットワークの分断ということになりますと、これは国民、利用者の、あるいは株主の方はもとよりでありますが、社会経済あるいは国民生活に大変大きな影響を及ぼすのではないかというふうに考えております。 具体的に申し上げますと、ユーザーサービスが低下するのではないか、あるいはネットワーク全体の高度化、これは現在私どもが高度通信網を建設中でございますが、これに支障があるのではないか、あるいは研究開発につきまして、おかげさまでNTTの研究開発はまあまあ世界的にも認められているのではないかと思っておりますが、その研究開発の国際競争力が低下するのではないかというようなこと、あるいは株主の権利に対して影響が出てくるのではないかというようなことも懸念しておりまして、私どもとしては現在では選択さるべきではないというふうに考えて反対の意見を申し上げておるわけであります。 答申で御指摘されておりますその他の諸問題につきましては、合理化の徹底、あるいは料金の値下げ、サービスの多様化、研究開発の充実などについては鋭意努力を重ねてまいる所存でございます。また、料金認可制の弾力化とかエクイティーファイナンスの実施のために必要な措置につきましては引き続いて要望をしてまいっているところでございます。
○山本正和君 そういたしますと、ことしの決算見込み等も含めて、現体制のままでなお総力を挙げて取り組んでいけば会社の経営というものについては十分な展望に立ち得る、こういう御判断と承ってよろしゅうございますか。
○参考人(山口開生君) 実は先ほど、私ども今後五カ年間の中期計画というものを策定いたしまして、発表させていただきました。 それに従いますと、特に私どもはこれからの高度情報社会に向かって新しいサービス、新しい商品等を次々と開発していく予定でありまして、それによって収益を図っていきたいということ、あるいは全社員がさらに合理化、効率化を進めてまいりまして、その点からの経費の節約も図っていきたいということを見通しますと、これからの、少なくとも今時点で私どもが考えております計画というのは悪くないと思っております。
○山本正和君 そういう状況については、大体、NTTに関心を持っている方々、あるいは新しい情報産業下ではそういう評価がなされていると私は思うのでありますけれども、ところが株価が突然大変な下落をした。この株価下落の原因というものはどういうふうに分析されますか。
○参考人(山口開生君) 大変申しわけないんですが、私、株のことについて余り専門的知識を持っておりませんので素人の見方になると思いますが、全般的に株価が下がっておりまして、やはりその一つの大きな流れの中にあるんではないかとは思っておりますが、それに加えて最近私どもの経営形態のあり方の議論がされておりまして、そういった点が不透明だといったこともあるいはこれの一因かと思っております。
○山本正和君 おっしゃりにくいところも幾つかあろうかと思いますけれども、いずれにしても株価がこれだけ下落いたしますと、株主に対する会社の経営責任というふうなものが出てまいります。株主に対して一体この状況についてどういうふうに御説明をされるのか、その辺を承っておきたいと思います。
○参考人(山口開生君) お答えします。 私も日夜この問題につきましては頭を痛めておりまして、大変に株価が下がりまして株主の方々に申しわけないと思っておるわけでありますが、私としましては、先ほどから申し上げておりますように、結局基本はNTTの業績がいいか悪いかということで判断をしていただけるものだと思っております。したがいまして、先ほど申しましたように、私どもは、今後五カ年計画とかそういったものを通じてさらに業績を上げていく、国民の皆様に信頼されるサービスをしていくということによって業績が上がっていく、そうすれば株主の皆さん方にそれなりのお返しができる、こういうふうに考えておりまして、そのように全社員一同努力をしてまいりたいと存じております。
○山本正和君 今のおっしゃり方が当然経営者としての常識の御答弁だと思うのでありますが、正直言いまして、財界等からの声あるいは株主の中の声に、このままではどうにもならぬぞ、無償株の交付とか増資とか思い切ったことをしないことには株価は立ち直らないぞ、こういうふうな声もございます。そのことも含めて今後いろいろと御検討願いたいと思いますけれども、これはもちろん会社だけで、経営陣だけでやれることではございません。要するにそういうさまざまな思い切った形で株主に対して、ぜひ協力をしてほしい、どうかひとつ御安心ください、こういうことを社長としてこの場で、国民の皆さんが皆見ているわけです、株主の皆さんも大分おると思うんです、御安心くださいということをひとつ社長言えませんか、どうですか。
○参考人(山口開生君) 先ほど先生も御指摘いただきました、私もちょっと舌足らずでございまし たが、私どもとしましては、とにかくできる限りのことについて今検討しております。その中には、やはり私たちができることと、政府にお願いをしまして、制度とかそういったものを緩和していただきまして、そのことによって業績を上げ得るということもございまして、その点について現在鋭意お願いをしているところでありますし、そういうものがだんだん前進を見つつあると思っておりますので、私はこれから先は大いに頑張ってまいりたい、このように考えております。
○山本正和君 それでは、ひとつ、私がいろいろと御質問申し上げました趣旨も含めて、今後しっかり頑張っていただきますよう要望いたしまして、NTTに対する質問はこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。 それでは、大蔵大臣に今から経済問題を中心にお伺いしてまいりますが、その前に、本日の夕刻には渡米されるということをお聞きいたしました。その渡米の意義、大蔵大臣としてどういう課題を背負って、またどういう意気込みでお出かけになるのか、そのことをまず承っておきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 意気込みと言われましても、ごらんのとおりの私でありますから生地のままで行く以外にありません。ただ、従来から何回か電話でのやりとりはいたしてまいりましたけれども、ブレイディ財務長官と昨年のIMF・世銀総会の前にお目にかかりましてから実際にお会いしてお話をする機会がずっとありませんでした。そういう中で、今、大きく言いますなら世界経済全体の中で、日米両国の財政の責任者としてお互いに話し合わなければならないテーマは多々ございます。 そして、しばらく前まで私どもの中で論議をいたしてまいりましたものの中には、日本のIMFにおける順位の問題、関連する第九次増資の問題等々もございました。あるいは、現在進行中の問題として、欧州開発銀行に対する対応等もございましょう。しかし、昨今の為替の状況は本院におきましても先刻来御指摘を何回か受けておるところでありまして、こうした問題についても、いわば各国の協調体制、その枠組みが崩れていない中における今後の行動について、これは私の方からアメリカ側に対して協力を要請しなければならないこともございます。また、アメリカ側として私どもに対して従来から累積債務国に対する協力の問題等々幾つかのテーマがあったわけでありまして、恐らく非常にたまった話をそれぞれ時間のある限りぶつけ合うというような話になるのではなかろうか、そう考えております。 いずれにしても、我々として言わなければならないこと、また向こう側の見解をただしておきたいこと、腹蔵ない話し合いができることを期待いたしております。
○山本正和君 アメリカへ行っていろいろと主張していただきたい私どもとしての要望もございますが、ちょっとこれは後ほどへ回しまして、先ほどのNTT問題について、もう少し今度は大蔵省に見解を承っておきたいと思うんです。 まず、第一次以来の株価決定の経緯というものはどういうふうな形でなされたのか、価格決定についての経緯、それを御説明願いたいと思います。
○政府委員(大須敏生君) お答え申し上げます。 NTT株式の売却につきましては、NTTが我が国最大の企業でありその売却規模が極めて巨大なものであること、また国民の関心も高かったこと等から、売却方法の決定に際しましては各界有識者の御意見を聴取いたしまして十分議論を尽くした次第でございます。このため、これは大蔵大臣の研究機関でございます電電株式売却問題研究会、こういうものを開催いたしまして、こちらから電電株式売却に関する意見を六十一年の四月二十四日にちょうだいいたしました。また、これを受けまして国有財産中央審議会の答申で「日本電信電話株式会社の株式の処分について」、これを七月にいただいておりまして、これに基づきまして第一次売却についての検討を行ったところでございます。 その結果、六十一年度の第一次売却、これは全体で百九十五万株でございましたけれども、そのうちの一部の株式、二十万株でございますけれども、これについて一般競争入札を行い、残りの株式のうち値づけ株、これを十万、これは上場する際の値づけのために残しておきまして、それを除きました百六十五万株について国有財産中央審議会の答申を踏まえまして、加重平均落札価格をもって価格を決定したところでございます。具体的な価格は百十九万七千円でございます。そしてこの価格によりまして六十一年の十一月十七日から二十六日にかけまして証券会社を通じて売り出しを実施したところでございます。 以上でございます。
○山本正和君 それは第一次ですけれども、第二次の価格決定についてはどうですか。
○政府委員(大須敏生君) 第二次の価格につきましては、既にNTTの株が上場されておりましたので、株式市場で形成されるNTTの株価、これを基準として決定したところでございます。
○山本正和君 いずれにしても、どうでしょう、政府が株の売却によって得た総額、それと現在の時価、本日の午前、十二時で終わったわけですけれども、その差額、一体政府に入ったお金は幾らになりますか。
○政府委員(大須敏生君) 御案内のとおり前後三回にわたってNTTの株式を売却しておりますが、その売却額は、国に入りました金額は約十兆円でございます。 それからただいまお尋ねの本日の相場でございますけれども、これは午前中の終わり値が百十万円と承知しております。
○山本正和君 政府に仮に十兆が入っていると。しかし今の価格で売るとしたら、その差額からいうと大体四兆円ぐらいになっておりますが、どうですか。
○政府委員(大須敏生君) 売り出しました株数につきまして現在の株価を当てはめまして、他方、政府が収入にいたしましたところの金額で差し引きますと大体仰せのとおりの金額になるかと存じます。
○山本正和君 要するに、簡単に言えば今の株価に直すと政府は四兆円もうかって、国民といいますか、一般株主といいましょうか、株主は四兆円損した、こういうことになると普通は受けとめるんですけれども、それでよろしゅうございますか。
○政府委員(大須敏生君) 大変失礼な言い方かもしれませんけれども、機械的な計算をいたしますとそのような数字になるということを申し上げた次第でございます。
○山本正和君 そこで、もちろんまだ大蔵省が最大の大株主です。保有率六七%ぐらい。しかしその他三菱信託銀行以下いわゆる株主、大きな六万株以上の株主がおるわけですけれども、今度のこの暴落後もその持ち株の比率はまだ変わっていませんか。
○政府委員(大須敏生君) お尋ねはいわゆる機関投資家の保有株数が減少しておらぬか、こういうことでございますが、私どもその株主の詳細な要するに名義の推移というのを把握しているわけではございませんけれども、大体において当初いわゆる安定株主として保有された機関投資家の株数は減少しておらないように承知しております。
○山本正和君 そうすると、一部国民の間におかしいじゃないか、機関投資家が今度の株の暴落を通じてもうけたんじゃないかというふうな誤解があるんですけれども、そういうことはありませんね、よろしいですね。
○政府委員(大須敏生君) ただいま申し上げましたとおり、株主の異動につきまして私どもの方で正確に把握しているところではございませんけれども、一般に私どもが承知しております、例えば期末等におきますある機関投資家の保有株数については大きく減少しているということはございませんし、むしろ保有していることによって評価損をこうむっているというのが実情であるというふうに理解しております。
○山本正和君 要するに、安定株主としての任務はそのまま持っている、こういうふうに承ってよろしゅうございますか。
○政府委員(大須敏生君) 私どもの承知しておりますところはそのとおりであろうかと存じます。
○山本正和君 それではそういうことといたしまして、そこで最大株主の大蔵大臣として、NTTに対して一番大きな発言権を持っておられる立場から、今回の株価暴落について御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今私の立場におきまして株価の水準そのものについてコメントすることは、基本的に好ましいことではありません。 ただ、少なくとも私からこの場で申し上げられますことは、三月二日の電気通信審議会最終答申の発表の後におきまして、株式市場全体が確かに調整局面にあるとはいいながら、NTT株価はそのころの百二十九万円から大幅に下落をいたしております。そして、最近のNTT株価の推移を見ておりますと、昨年以降、NTTのあり方をめぐる論議などから市場に不透明感が存在しておりましたものがNTT株価の低迷する主要な原因であるということ、市場関係者などからほぼ例外なく述べられる意見であるということは承知をいたしておりました。 NTTというものが日本を代表する企業の一つでありますことから、今後、最終答申を電気通信審議会の方から郵政省がお受けになったわけでありますが、これを受けて政府部内で政府の考え方を取りまとめていく過程におきまして、このような不透明感が払拭され、株式に対する投資家の適正な評価が得られることを期待いたしております。 特にその場合に、私の立場で先日公式にも申し上げたところでありますが、これまで三次にわたります株式売却の結果、百六十万人以上の株主が現に存在しておられるわけであります。そして、株というものが市場のメカニズムの中で上下をするものであることはそのとおりでありますけれども、政府の行政的な行為あるいは行政的な判断によって国民の財産に傷をつけることがないように、この点につきましては、私は、NTTのあり方について政府としての方針を固めるに当たって十分考慮をしていただくべきことであると考えております。言いかえれば、既存の株主の方々に対してその納得と協力が得られるような内容とすることが必要不可欠な問題である、そのように理解をいたしております。
○山本正和君 大変重要な御発言でございます。ぜひとも大衆投資家の皆さんの納得が得られる形でNTTの問題についての議論はしていただきたい、特に政府部内では、そのことを私から特に強調してお願いしておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 直接的には電気通信行政のお立場で郵政大臣が責任をお持ちになるわけでありますけれども、いわば株主を代表する立場の私として、今申し上げたような考え方で政府部内における検討に対して論議を続けていきたい、そのように考えております。
○山本正和君 それでは、郵政大臣に同じことをお伺いするわけでありますけれども、まず今日の事態について監督官庁としての見解、それから審議会答申についての見解、この二つについて郵政大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(深谷隆司君) 順序は別になりますが、まず、電気通信審議会の答申について私の受けとめ方を申し上げさせていただきたい。 先生御案内のように、一言で言えば公正有効な競争をどのように創出して技術革新を進めていくか、これが答申のポイントだろうというふうにまず考えております。 現状はどうかということについては、電気通信市場がまだ十分に活性化していない。その活性化していない理由は、主としてNTTが巨大過ぎる、独占性があり過ぎる、あるいは特異な市場構造、独占的分野と競争的分野の一体的経営ということ等がある。したがって、これらを解消して十分な競争体制をつくっていけば料金も低廉化ができるであろう、あるいはサービスの高度化とか多様化を含めた国民へのサービスがより高められるであろうというような考え方をもとにいたしまして、具体的には、移動体通信業務を一両年内に分離させるとか、あるいは長距離通信業務を長距離通信回線のディジタル化が完了する平成七年度をめどに分離する等々といったような、そういう答申を出してこられたわけでございます。 この答申の内容につきましては、私どもは、NTTの立場も踏まえ、それから電気通信全体の発展のための考え方に立っていて適切な答申であった、そのように受けとめております。私どもといたしましては、この答申を踏まえて関係省庁と調整をしながら、政府としてはどのような方向をとろうかということをただいま検討中でございまして、今月以内に答えを出していきたい、そんなふうに考えております。 最初御指摘のございました株価の問題につきましては、これは株価というのはさまざまな要素で動くものでございまして、私どもが特別な発言をするということは、逆に株式市場に予断を与えるということになりますので差し控えたいと思っております。 ただ、最近の株価の低落は、基本的には金利高とか円安の動きを背景にしたものでございますけれども、NTTの再編成問題の取り扱いが定まっていないからそれが大きな一つの要素になっているという批判があることは承知をしております。しかし、そもそも電気通信審議会の答申というものは、競争条件を整備することによってNTTを活性化させる、あるいは効率化を図っていくということによって結果的には株主の利益にもかなうもの、こう考えられるわけでありまして、この点が必ずしも十分に理解されていないことを遺憾に思っている次第でございます。
○山本正和君 今の郵政大臣の答弁を聞いたらまた株価は下がりますよ。国民がやっぱり一番今心配しているのは、せっかくNTTが民営化された、そして国民が大変な期待を持って自分たちも株主になろうとして、百六十万株主ですよね、そういう国民が支持している今のNTTを何とかやっていこうというときにリクルートが起こった。これは全く政治的な問題ですよね。社員には何も責任はない、社長以下経営陣にも。そして必死になってこのリクルートの屈辱をはね返して頑張っているその瞬間に分割だと言われている。そんな会社をだれが信用しますか。だから、そういう判断が欠けているんです、電気通信審議会はね。私は今の大臣の答弁は納得できませんけれども、これは大臣は恐らくもうそれ以上言われぬだろうから、私から厳重にそのことを指摘しておいて、答弁は要りません。 ただ、私がここで申し上げておきたいのは、NTTというものは他の株と違う。これは明らかに日本の国民の信用問題ですよ、金融制度に対する、あるいは政府に対する。そんなものがあるんですよ。だから、そういうことを含めてこのNTTに対しては、特にこれは大蔵大臣が大株主としてNTTに対しては十分な政治的責任を持って対応したいと、こういうことをひとつこの場で言っておいていただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど申し上げましたように、電気通信政策としてのお立場はこれは私が容喙することではございませんけれども、少なくとも政府の責任において民間に株式を放出し、既に百六十万を超える株主が現におられます。その株主が株を取得されました時点においては分割といった事態を想定せられずにこの株を入手しておられるわけでありますから、この株主の方々の納得と御協力のいただける最終的な決断をするように私も全力を尽くします。
○山本正和君 それではNTT問題はこれで終わりまして、他の株の問題をまだやりたいのですけれども、余り時間がないようですから、株価の暴落の原因をいろいろ言われておりますけれども、私はちょっとここで懸念するのは、日本経済のファンダメンタルズに変化があったのじゃないかと、こういう議論があります。それがこの株価の下落につながっているという議論があるのですけれども、これについてのひとつ大蔵大臣の御見解、あるいは経済企画庁長官の御見解を承っておきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど日銀総裁がお述べになりましたけれども、私は少なくとも現在我が国の経済状態、ファンダメンタルズに変化があったという認識はいたしておりません。GNPで見た経済規模においては世界の経済の一割を超えるシェアを占めておる。そしてまた世界最大の純債権国でもあります。また、今日まで達成してまいりました我が国の経済力というものは、逆に申しますと、先進国の中では長い労働時間というものが存在をし、また土地問題あるいは内外価格差等、必ずしもその成果が国民一人一人の生活に生かされていると言えない部分があるわけでありますから、こうした部分に対してこれからも努力をする必要のある部分、言いかえれば育っていく分野をも我々は持っておるわけであります。国民生活のいわば質的な向上を図り得るチャンスを我々は現実に持っております。 こういう状況を考えてまいりましたときに、日本の経済というものは、なお内需を中心として底がたい持続的成長を続け得るそれだけのものを持っておりますし、物価の面におきましても現時点において心配をしなければならない兆候はございません。ただ、長い目で見ました場合の労働力需給の問題等、そうした視点があることは事実であり、日銀がインフレに対する予防的な措置の総仕上げとして今回の公定歩合の改定に踏み切られた点もその辺にあったろうと思います。 そうした中でありますから、決して注視をする必要がないとは私は申しませんけれども、我が国の経済のファンダメンタルズに支障はない、変化はない、現時点においてそう確信をいたしております。
○国務大臣(相沢英之君) ただいま大蔵大臣から御答弁がございましたように、我が国の経済は、その経済成長の面におきましてもいろんな要素をとりましても、そのファンダメンタルズにおいては決して従来とも変わりはない。平成二年度の経済の見通しにおきましても実質四%の経済成長を見込んでおりますけれども、現在の情勢からいいますと、まずこの四%の経済成長は間違いないのじゃないかというふうに思っております。 ただ、今大蔵大臣から御答弁がございましたように、非常に生活費が高いとかあるいは住宅事情が悪いとかいろいろな点におきまして、必ずしも生活の実態において世界第二の経済大国、あるいは所得水準からいきましても非常に第一級の位置にあるというような感じがしない。そういうところにつきまして、さらに世界の中における日本という経済計画を立てましたのもそういう考え方に基づくものでございまして、これからもファンダメンタルズにおいて変わりはないということでありますけれども、生活の実態においてそのような国民としての感覚を得られますような努力をいろんな面において続けていかなきゃならないと思っております。 内外の価格差の問題でございますとか、あるいはまた、申しましたような物価の、特に地価を中心とするところの物価の問題でありますとかいろいろ問題を抱えておりますけれども、そういう問題につきましても、アメリカ側から経済構造の問題として指摘されるまでもなく、我が国自体の問題としてこれを取り上げてさらに検討を進めて、政策を進めていかなきゃならないと、このように考えております。
○山本正和君 円のレートを大体どれぐらいに見て今の御判断になっておられるのか、その辺を大蔵大臣並びに経済企画庁長官、再度承りたいのですけれども。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これはお許しをいただきたいのであります。どういう御答弁を申し上げましても市場に対していろいろな影響を及ぼす種類の話でありまして、私からその点についての考え方を申し述べることはお許しをいただきたい。ただ、現在の為替市場について私は非常にいろいろな思いで注視をしておるということは事実であります。
○国務大臣(相沢英之君) 為替の問題につきましては、今大蔵大臣から御答弁がございましたように、私が今この場でどういうように考えるかということを申し上げるのは適当でないと思いますが、ただ、日銀総裁からも予算委員会等で答弁がございましたように、現在の状態はいささか経済の実体から見て円安に過ぎるのではないかと、このように判断をいたしております。
○山本正和君 FRBのジョンソン副議長、この人が八日にこちらへ来て、もっと円が安くなっても構わぬというようなことを言われている。また、きのうの株価暴落の後で、けさの七時のNHKニュースでアメリカの財務省ですか、なんかが発言していますね。百六十円ぐらい当たり前だと、こう言っているんですよね。そうすると、百六十円体制ということを想定して今お二人ともそれでも大丈夫と、こういうふうにお考えになっているのか、その辺を私はずばりお聞きしておきたい。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 非常にお答えのしにくい御質問でありますけれども、仮に委員が今お述べになりましたような為替レートになりましたとき、これは日本にとりましてもさまざまな問題を提起する数字でありましょうけれども、それは同時にアメリカにおきましても果たして望ましい数字であるかどうかには私は疑問を持ちます。
○国務大臣(相沢英之君) 私も新聞報道その他におきまして、アメリカ側は現在の為替レートはそれほど円安ではないかのごとき発言をしばしば耳にいたします。それはアメリカ側としてはアメリカ側の事情があるでございましょう、御判断があると思います。ただ、私としましては、先ほど申し上げましたように、現在の百五十四、五円というようなこの相場は、繰り返して申し上げますけれども、いささか彼我の経済の実体に即してみると円安に過ぎるのではないかと、このように考えております。
○山本正和君 それでは、円安、株安という今の大変な状況の中でもう一つ議論をされておる問題があります。 というのは、我が国の証券市場というのが国際的に通用するんだろうか、国際的に開かれているんだろうか。あるいは我が国の証券市場の特異性、さまざまな批判を受けている部分、このことがよく議論されているんですけれども、我が国の証券市場について問題点がどういうふうにあるのか、それをどういうふうに大蔵省としては受けとめておられるのか、お聞きしておきたいと思います。
○政府委員(角谷正彦君) 最近我が国の資本市場は特にここ十年間ぐらいの間に非常に発達いたしておりまして、特に株式の面におきましてはニューヨークとほぼ並ぶような世界最大の市場の一つになっているわけでございます。そういったことで、日本の証券市場の存在というものが社会の中でかなり大きな地位を占め、また世界的な意味でも役割をいろいろ果たしていかなきゃならない、こういった状況にあると思います。 その中で、我が国の証券市場というのは急速に拡大発展してきたということのために、やはり国際的な面におきまして、いわゆる市場の透明性とか公平性とかそういった面において、世界的な意味での国際的なハーモナイゼーションといった観点から直していかなきゃならぬ問題が非常に多いわけでございまして、そういった意味では、昨年来インサイダー取引の問題でございますとか、あるいは株式の公開制度の改善でございますとか、そういったことをいろいろ手を打っております。また、今国会におきましても、いわゆる公開買い付け制度、TOBの問題でございますとか、いわゆる買い占めに対する五%ルールの問題とか、そういった意味での制度のいろいろな問題について国際的な調和を図りつつ、市場の透明性あるいは公平性を高めるための努力をしていく必要があるというふうに思っているわけでございます。 全般的な状況は今申し上げたようなことでございまして、世界的な中でやはり我が国の市場としてあるべき姿、責任を果たしていくような市場としてこれを育成していく、こういうことが基本的な課題であるというふうに承知しております。
○山本正和君 取引所法の改正といいましょうか、証券行政にまつわるさまざまな法改正の動きがあるやに聞いているのですけれども、それはやっぱり国際的に対応し得るということを前提としての議論がされているのかどうか、その辺はいかがでございますか。
○政府委員(角谷正彦君) 御指摘のとおりでございまして、やはりこれだけ日本自身が世界最大の資本の余剰国ということでございますから、日本の資金というものが世界に対して果たす役割というのは非常に大きくなっております。そういった意味では、日本の市場自身が国際的なルールの中でかなり開かれた市場として形成されていくということが必要なわけでございまして、そういった意味ではいろんな面で今御指摘のような努力を今までもしてきておりますし、今後ともしていく必要がある、このように考えているわけでございます。
○山本正和君 そこで今度は、経済問題の中で私どうも不思議に思っているのは、大変日本が豊かであるとかいろんな議論がございます。ところが、国民生活にはちっともその実感がない。 そこで数字をお聞きしておきたいんですけれども、まず国民総資産、これは一体アメリカと比較して、あるいはヨーロッパと比較してどうなっているのか、ちょっとまずお聞きしておきたい。
○政府委員(篠沢恭助君) 数字の問題でございますので私の方からお答えをさせていただきますが、経済企画庁におきまして国民経済計算年報が出ておりますが、この数字で、一九八八年末の数字が五千九百九十三兆円という数字になっております。私どもの方でこれを年末レートを用いて単純にドル換算させていただきますと、一九八八年末の段階では百二十六円程度のレートになっておりますが、これで換算いたしますと四十七・六兆ドルということになります。この段階でのアメリカの資産というのは三十八・九兆ドルというふうに言われておりますので、日本の方がやや多い、一・二倍程度という数字になっております。
○山本正和君 確かに豊かなわけであります、見てみますと。ところが、住宅資産の比較もこれたしか出ておったと思うんですが、住宅資産の比較をちょっと言ってくれませんか。
○政府委員(田中努君) お答え申し上げます。 日本の住宅資産の一九八八年末におきます残高は百八十三兆円でございます。これに対しまして、アメリカの円に換算をいたしました住宅資産は五百三十六兆円でございます。
○山本正和君 こうして比較いたしますと、住宅が日本の国は本当に貧しい。また社会資本も、これはもう数字を出してもらう必要はありませんから言いますけれども、これはみんな周知の事実ですが、圧倒的に社会資本も悪い。ですから、我が国の経済の今後していかなきゃいけない課題というのはこの数字の上からも出てくると思うんですけれども、大蔵大臣、いかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員の御指摘になりましたような視点からも論議ができると思います。と同時に、平成二年度末の国債残高百六十四兆円という数字は、世界じゅうの債務国の債務総合計が約一兆一千億ドルと言われておりますから、今のレートで換算いたしますと、ほぼ日本の国債残高に匹敵する数字であります。言いかえれば、我が国は世界の債務国の全債務を合わせたと同じ国債残高を有しておるということも言えるわけでありまして、我々とすれば、この国債残高の累増をいかにして食いとめ、後の世代の負担を軽くしていくかという視点も財政を考えます場合に忘れてはならない視点であろう、そのように考えております。
○山本正和君 大蔵大臣はいつもそこでぱっとそらされるんだけれども、本当の話は、国債残高がこれだけあるというふうなことも全部含めて国全体で見た場合には日本はアメリカと比べて豊かかどうか、全体で見た場合ですよ。どうですか、ずばり言って。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、実感がないということは先ほども私は申し上げておるわけであります。そして、委員が御指摘になりました社会資本整備がなお立ちおくれておるという状況も私は決して否定をいたしておりません。ただ、やはりこれだけ巨額の国債残高の累増を食いとめ、後の世代の負担を軽くしなければならないという考えは、常に財政を考えます場合に我々が忘れてはならない視点であると考えております。その上で、年々の予算編成の中におきましてより緊要度の高いものから整備に努力をしてまいる、それは当然のことと私も思います。
○山本正和君 これは議論をすると時間がなくなりまして、私どものどうも得意なペースに引きずり込むことができませんから、議論しません。議論しませんけれども、これはどんなことを言っても、日本の国全体は豊かなんですよ、借金も含めて豊かなんです。国民は貧しいんですよ。これはもう大臣も先ほどから言っておられるから、そのことは間違いないでしょうということを私は言っているんです。それだけ、どうですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、政府も貧しいのであります、政府の財政も厳しいのであります。
○山本正和君 国全体。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 国全体は世界一のGNPを持つ国、これも先ほど申し上げたとおりでありますし、その豊かさの実感が国民にないということも私は先ほど来否定をいたしておりません。
○山本正和君 今大臣が大変いいことをおっしゃっておる。政府も貧しいんです。国民一人一人も貧しいんです。日本の国は豊かなんです。日本の国全体は豊かなんです。しかし、政府も貧しい、国民一人一人も貧しい。そうすると、何が悪いかといえば、これはやっぱりそれを直すのは政治だろうと思うんです。だから、政治の焦点はそこに向けなければいけないのではないかと私は思うんだけれども、それはどうですかと聞いているんです。
○国務大臣(橋本龍太郎君) その前に、今私世界一のGNPと申し上げたようであります。大変申しわけありません、世界の一割のGNP。つい、あんまり怖い御質問なものですから、緊張しまして言い間違えました。 そこで、今委員が御指摘になりました視点を私は全く否定いたしておりません。ただ、本院における従来からの御論議の中でも、その場合の重点を例えば社会資本整備に置かれる方、これは党派の関係は抜きにいたしまして、例えば社会保障分野における充実をより重視される方、あるいは教育投資、文化投資といった視点に重点を置かれる御議論、さまざまな御議論がございます。そうしてそういうものの中から共通項を引き出していくとすれば、例えばまさに人口構造の高齢化というものに対していかなる対策をとるかといった視点の問題意識もありましょう。ですから、私は委員の御指摘を全く否定するものではございません。ただ、そこに対するいわばアプローチの仕方にはその視点その視点によってさまざまな取り組みがあろうか、そう私は感じておるということを率直に申し上げたわけであります。
○山本正和君 資本主義の発祥の地であるイギリスは日本と比べて大変国が貧しい。ところが社会資本は圧倒的に豊かなんです。そして、これは総理が盛んに選挙のときに言われた、我が日本の国は市場原理を大切にして自由な市場原理の中でここへ来たんだ、こう盛んにおっしゃった。ところが、自由な市場原理ということの前提は政府が役割を果たさにゃいけない。野方図にどうぞというのでは自由な市場原理とはならない、弱肉強食になっちゃうんですよね。だから、自由な市場原理下における政府の役割とは何か、ちょっと一遍総理大臣、御所見を承りたい。
○国務大臣(海部俊樹君) 経済活動が自由に行われることを政府が余り規制をしたり方向づけたり誘導したりしないことが市場原理を育てていくための根本であると私は理解しております。
○山本正和君 ちょっとこれは、総理は文教は大変お強いんですが、またこれはいずれ議論をしていきたいと思います。自由な市場原理が成立するためには政府がアンパイアとしての役割、競争をさせる、企業なり個人なりのそのアンパイアの役割を政府が果たさなきゃいけないんですよ。競争原理のルールをつくらなきゃいけない。それが政府の役割なんです。これはまた後で議論いたしますけれども。 ですから、我が国政府がやっぱりやらなきゃいけないのは、今日の二十一世紀を迎えてアンパイアとしての役割、ルールづくり、市場原理の中の。それが余りにもおくれているという意味で外国からさまざまな批判を受けている。これはもう経済界のいろいろな論文、論調を見ても幾らでも出てくるわけです。私はそういうことをちょっと指摘しておきます。 そこでもう少し、時間がなくなってきたんですけれども、いかに我が国がおかしいかということを、私、実は去年我が参議院の与党の先輩議員二人と三人で行ったんです。そうしたらボストンで、これは総理が行かれた後ですよ、アメリカの一番大きな労働組合の、その地方の人ですけれども、三人ともやられたんです。日本の企業の収益はこうじゃないですかと。私ども数字をそんなに持っていませんけれども彼はみんな調べている。ところが労働者の賃上げはこれだけしかない、アメリカだったらストライキが起こりますよと。そして日本は生産性基準原理という言葉でもってずっと労働者の賃金が抑えられてきた。国民はちっとも豊かにならない。労働者の賃金が上がれば消費も活発になるし中小企業も潤うんですよ。住宅建設も盛んになってさまざまなものが出るんです。 ところが、圧倒的にこの十年間、労働者の賃金に生産性基準原理という財界の押しつけが、どっちかといったらこれは国民的な力関係の中で通ってしまった。だから、ヨーロッパへ行ってもアメリカへ行っても、日本の労働者も労働組合も資本家も軽べつされているんですよ。これは政府の数字がありますから企業収益と労働分配率と比較してみたらすぐわかる。ですから私がここで申し上げておきたいのは、これは議論になると余りよくないんですけれども、自由に競争をどうぞといえば力の強い者が勝つに決まっているんですよ。 そうじゃなしに、力の強い者にはハンディを与える。ハンディキャップをつけなければいけない、力の弱い者には。そういうことが何よりも大切だと。要するに、二十一世紀を展望して、これは今度の補正予算の中身もいろいろ問題があります、安恒議員からいろいろ指摘しましたように、財政を運営し政治をやっていく上にそういうことにやっぱり何としても目を向けていただきたいと私は思うんですけれども、その辺について総理、御見解はどうですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 先ほど答弁の中で申し落としましたが、自由に公平に平等に競争のできるルールづくり、あるいはそういった国のあり方をつくっていく、そのために邪魔をしておるような規制その他があったらこれは解除をして、創意工夫に任せて切瑳琢磨してもらうことが自由経済というものの大事なところではないだろうか、私はこう感じておるわけでございます。 そういった意味で、労働分配率の問題もお触れになりましたが、可処分所得をふやすということは、やはりそれは社会の底辺の活力を厚くしていくという意味で一つの大きなメリットのある施策であろうと思いますが、さりながら、生産性向上との間で調和のとれたものを見定めていかなければ社会のバランスが崩れるというところ等もございますので、これは年々のお話し合いによって労働分配率も決まっていくのが私は非常に望ましい姿であろう、こう思っております。
○山本正和君 時間がないので、実はもう少しこれは詰めて、本当は大蔵省なり経済企画庁なりの数字をもとにして、今度はどんなことがあっても経営者の皆さん、しっかり皆さんの会社で働いている人たちに月給を上げてくださいよということを皆さんから勧告してほしいと思ったんですけれども、これは全部政府の数字の中にあるんですよ。だけれども、ちょっと時間がないから、これまた後で資料を届けます。 次の問題、我が国法人の経済活動、これに絡んで少し質問しておきたいと思います。 今度法務省は商法改正をされようとしているやに聞くんですけれども、そのねらいはどういうことでしょうか。
○国務大臣(長谷川信君) 山本委員の今の商法改正に伴う御質疑にお答えを申し上げます。 今回の商法改正は、我が国の株式会社及び有限会社の大多数を占める小規模かつ閉鎖的な会社に対する商法等法規制が形骸化している実情にかんがみ、このような会社にも適合する法制度を整備するとともに、従業員、下請、債権者等の会社債権者保護のための措置を講ずるもののほか、会社資金調達の方法等を合理化することを目的といたすものであります。 なお、法制審議会の答申を尊重しつつ、関係方面との調整を図った上、四月上旬を目途にして改正法を国会に提出いたしたいと念願をいたしております。 以上であります。
○山本正和君 いずれにしても、今のままの制度はどうもおかしい、法人そのものの公益性といいますか、法人として認められたことに対するあり方に問題があるということでの改正だろうと思うんですね、簡単に言えば。今いろいろおっしゃったけれども。 そこで、ここで法人問題で少し数字で聞いておきたいんですけれども、利益計上法人と欠損法人の数。資本金一億円以下の企業、一億円以上、十億円以上、ちょっとそれ数字を出してくれませんか。
○政府委員(岡本吉司君) お答え申し上げます。 六十三年分の我々の会社標本調査の結果によりますと、稼働中の内国普通法人百八十五万社ございます。このうち利益計上法人は約半分の九十万社、それから欠損法人でございますが、これも九十五万社でございまして、ほぼ半分強ということでございます。 以上でございます。
○山本正和君 それじゃ、時間が余りありませんから私も詳しく聞きませんけれども、欠損法人というのは、寄附金、要するに損金として認められていない寄附金、損金も含めましょう、寄附金は一体どれぐらいになっていますか、欠損法人。
○政府委員(岡本吉司君) 欠損法人の中で、同じ年分でございますが、寄附金を支出した額は二百七十五億になってございます。
○山本正和君 使途不明金はどうですか。
○政府委員(岡本吉司君) これはちょっと規模別にはつかんでおらないわけでございますが、六十三事務年度におきまして我々が調査をしました一億円以上の法人でございますけれども、その調査結果を見てまいりますと、調査した法人の中で使途不明がありました法人が五百八十二法人、把握しました使途不明金の総額は四百五十一億ということになっております。
○山本正和君 今の数字だけでも随分問題があるというのはこれはもう大臣、皆さん、御理解願えると思うんですね。 私はこれは、法人問題、やはりきちんと国際社会にも法人とは何かという一つの常識があるわけですから、その常識に適合し得るようにしなければ、アメリカへ大蔵大臣が行かれても、あんたのところの法人というのはちょっとおかしいですと言われてこれはどうにも答弁できないでしょう、そう思うんです。 法人もやはりきちんと法人としてさまざまな待遇を受けているんですよ、個人と違って。個人企業と法人企業とは大変な違いがある。だから、法人企業は法人企業として責任をきちんとしなければいけない。その辺は、一番大きな大企業から始まってずっと持たなければいけない役割がある。その役割が、我が国は法人がやはりどうしても企業の利益中心という格好で運営されているところにヨーロッパやアメリカの法人との違いがあるんですよ。アメリカの法人は、これは自分たちの企業のプライド、私のところの会社はこういう会社ですというプライドを持っていろいろ経営しているんです。我が国はなかなかその辺が弱いんです。だから、法人問題をぜひ今後、これは法務省が担当になるのか大蔵省かどこかわかりませんけれども、十分にひとつ検討しておいていただきたいと思うんです。 時間がありませんので、土地問題に入ろうと思いますけれども、その土地問題は次の機会に回しまして最後に一点だけ聞いておきたい。 資産再評価という問題は今日の段階でどういうふうにお考えになっているかちょっと承っておきたい。
○政府委員(角谷正彦君) 企業会計制度の立場からいいますと、企業会計原則によりまして企業の財政状況あるいは経営成績を正確に把握するという目的でそういう制度ができているわけでございますけれども、この場合資産の価値というのは、いわば検証可能性といいますか、そういった観点から原則として当該資産の取得価額を原則とするということになっておりますし、あるいは損益計算におきましては経営の健全性あるいは保守主義の原則といった考え方からいわゆる含み益といいますか、未実現利益はこれを計上しないという扱いになっているわけでございます。これは、企業会計の考え方もございますし、税法あるいは商法においても同じような考え方がとられております。諸外国においてもこういう原則が広く受け入れられているところでございます。 そこで、資産再評価の問題でございますが、資産を再評価するということは簿価をいわば時価につけかえるということになるわけでございますけれども、これは企業会計の立場からいいますと、いわば未実現利益というものを財務諸表に反映させる、こういうことになるわけでございますが、こういった会計手法というのは、諸外国を含めましていわば公正妥当な会計原則という面から見ますと、なかなか難しい問題があるということは事実でございます。また、その実行上の観点からいいましても、例えば土地について仮にこれを時価に評価するとした場合に、固定資産税評価額の場合ですとこれはいかにも安過ぎるという問題がありますし、あるいは公示価格で評価するかといいますと、公示価格の地点というのはもう極めて限られているわけでございまして、したがって、これを評価するための手法といいますか、技術的な手法もなかなかこれは難しいといった問題があるわけでございまして、そういった意味で資産再評価ということを企業会計からこれを行うということは、制度的な問題としましても、実行上の問題としても非常に難しい問題があるわけでございます。 ただ、企業の含み損益といった情報というのは、投資情報としてはかなり必要な情報でございます。そういった意味で、私どもの証券取引法に基づきまして公開会社等に提出させております有価証券報告書におきましては、土地について申しますと、事業用の保有土地につきまして事業所別に面積とかあるいは所在地を記載させる、あるいは保有有価証券につきましては銘柄別に所有する数量を記載させるといったことでディスクローズさせるといったことで対応している、そういうのが現状でございます。
○山本正和君 どうもありがとうございました。これで終わります。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で安恒良一君の質疑は終了いたしました。(拍手)
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、下稲葉耕吉君の質疑を行います。下稲葉君。
○下稲葉耕吉君 私は当面の問題につきまして総理及び関係大臣にお伺いいたしたいと思いますが、きょうはテレビが入っておりますので、国民の皆様方にわかりやすいように簡明に御答弁いただきたいと思います。 まず、総理にお伺いいたしますが、今国会の施政方針演説の冒頭におきまして総理は、「内外の山積する諸問題を前に身の引き締まる思いでありますが、選挙の結果を謙虚に受けとめ、国民的合意を目指して全力を傾けてまいる決意であります。」、このようにおっしゃいました。 そこで、「選挙の結果を謙虚に受けとめ」ということでございますが、先般の選挙は、自民党にとりましては二百五十七の過半数を超えまして、二百八十六の安定多数になりました。片や社会党は、二けたでございましたが、百四十名近く飛躍的に議席を伸ばされたわけでございます。中道政党と言われておる公明党、民社党におきましては、共産党と同じように議席を減らされたわけでございます。三つのパターンがあるわけでございますが、「謙虚に受けとめ、」という総理の真意は果たしてどういうことでございましょうか。まず、お伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 昨年の参議院選挙の結果、自由民主党は厳しい審判を受けました。そして、今度の衆議院の総選挙のときには、再びあのような轍を踏んじゃならぬというので、みんなが力を合わせて国民の皆さんにお訴えをしてまいりました。しかし、消費税の問題につきましても率直に訴え、同時にまた外交問題、内政の問題、政治改革の問題等についても率直に訴えてまいりました。私は、そういう意味で衆議院で安定多数がいただけたということは有権者の皆さんの心強い御支持のあらわれであったと、こう受けとめますけれども、昨年の選挙の結果とことしの選挙の結果と私たちは謙虚にそれを言葉どおり受けとめまして、これからも十分各党の御理解、御協力をいただきながら内外の大問題に立ち向かっていかなければならないだろう、こういう心構えを申し述べたつもりでおります。
○下稲葉耕吉君 ただいま総理もお触れになりましたように、昨年の参議院選挙におきましては自民党が大敗を喫したわけでございます。御承知のとおりに、野党の総数と比べてみますと私ども自民党は過半数を割っているわけでございます。よくねじれ現象と言われますけれども、ねじるという言葉を辞書で引いてみますと、ひねるあるいはひねり曲げるというふうなことで書いてございまして、余り素直な言葉ではないと思いますが、いずれにいたしましても衆議院と参議院におきましては与野党の勢力が逆転しているのが現実でございます。私ども自民党といたしましては、できるだけ早くその逆転現象を従来の形に変えたい、このようには思いますけれども、ここしばらくこのような情勢が続くわけでございます。 そこで、参議院の選挙後既に八カ月たっているわけでございます。参議院におきましては、与野党の皆様、本当に実は苦労いたしております。対決から対話へ、対話から協調へという言葉は、言葉は大変易しゅうございますけれども、現実にはなかなか厳しいものがあるわけでございます。そのような中で、国会がややもすると国民にわかりにくい運営をしている、密室政治ではないかとかあるいは国対政治ではないか、こういうふうに言われているわけでございますけれども、今後私どもは委員会の場で堂々と主張をぶつけ合い、そういうふうな中から新しい政治の方向というふうなものを探し出していかなければならない、このように考え、また実践してまいるつもりでございます。 そういうふうな国会の勢力を背景にいたしまして、政府としてどのようなお気持ちで国会に対処しようとしておられるのか、総理からお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 委員おっしゃるように、国民の皆さんから見てわかりやすい議論をしていただく、そしてその御議論の中でなるべく歩み寄って問題を解決して前進させていっていただく、このことを心から期待するものでございます。 そして、ねじれ現象という言葉がいいのか悪いのか使わせていただきますけれども、衆議院と参議院とでいつも違った結論が出るんだということに定着してしまったのではこれはよくないと思いますので、それぞれのお立場における御理解とお話し合い、これを心から期待させていただきます。
○下稲葉耕吉君 財政の問題にちょっと触れたいと思いますが、元年度補正予算につきましては、金額的には大型でございまして約六兆円ということでございますが、そのうち三兆円近くがいわゆる隠れ公債の処理に充てられているというふうに理解いたしております。二年度予算におきましては、歴代内閣の悲願でございました、特例公債と申しますか、赤字公債からの脱却ということが十五年ぶりに実現いたそうとしているわけでございます。これは政府・自民党の長年にわたる血のにじむような努力と、国民の方々の本当に御理解と協力のもとに達成されようとしているわけでございます。しかしながら、先ほどもお話が出ましたように、公債残高は二年度末には百六十四兆円にもなろうとしている、あるいは国債費が実に十四兆円にもなるわけでございます。いずれも、先進国に比べてみますと一番悪い状態であるわけでございます。 国の財政というものは活力があり弾力がなければならぬわけでございまして、総理、大蔵大臣の財政運営についての御苦労もその辺にあろうと思うのでございますが、財政の現状に対する御認識と、将来の方向といいますか対処といいますか、その辺のところについてお承りいたしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 本委員会にも御協力をいただきながら、今委員から御指摘がございましたように、昭和五十年度以来十五年にわたって続きました特例公債依存体質というものから平成二年度予算でようやく脱却できるところまでこぎつけることができました。同時に、ひところは三割を超えると言われておりました公債依存度も八・四%にまで下げることができました。この間の国民の御協力にも心からお礼を申し上げなければなりません。 しかし同時に、今委員から御指摘がありましたように、平成二年度末には国債残高は百六十四兆円に達すると見込まれておりますし、なお累増の趨勢にございます。我々とすれば、この公債残高の累増をどこで食いとめ得るか、こうした点には極めて大きな努力をこれからも払わなければなりません。また、国債費の重圧というものはなお持続していくわけでありまして、財政支出の繰り延べや国鉄清算事業団長期債務の処理問題など隠れた赤字と言われておりましたものの処理もこれからまだ残されております。さらに、今後急速に進展をいたします人口の高齢化、また国際社会における我が国の責任の増大というものに財政は適切に対応していかなければならないわけであります。 こうした状況を考えてみますと、ようやく特例公債に依存しないで済むというところまではこぎつけましたものの、財政事情は依然として極めて厳しい状況の中に置かれておりまして、引き続き歳出を中心に財政全般を見直す努力は真剣に続けていかなければなりません。今後の中期的な財政運営につきましては、先般財政制度審議会の報告をちょうだいいたしましたが、これに沿いまして、私どもとしては、来るべき高齢化社会に多大の負担を残さず、再び特例公債に頼ることのない財政構造の確立を目指して全力を挙げて努力していきたいと、そのように考えており、本院における御協力をも切にお願い申し上げるところであります。
○下稲葉耕吉君 ただいま大蔵大臣から財政の現状とそれに対する対処の考え方について御意見を承ったわけでございますが、私は今の御意見が当然基本にあると思うんです。 ところが、今構造問題協議の中で社会資本の充実、公共投資の飛躍的な増大という要請が一方から非常に来ております。伝えられるところによりますと、GNP比何%とかいうそういうふうなパーセントすらマスコミに載っているような現状でございます。そういうふうな社会資本充実、飛躍的な増大という要請と財政の健全化という情勢のその辺の調整が、今後の政府の財政の運営の基本の大変難しいところだろうと思うのでございますが、大蔵大臣の御所見を承りたいと思うのでございます。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 現在、日米構造協議などにおきまして社会資本整備の充実がテーマになっておる、そうしたことが報道されておりますことも私もよく承知をいたしております。 我が国の社会資本の整備は、最近非常に急速に進んでまいったとは申しながら、まだ欧米先進国の水準に比べて達成率の低いものが相当あることもこれは事実でありまして、我々としてこの整備に全力を挙げなければならないこともまた間違いがありません。しかし同時に、公共投資のいわば伸び率というものをお考えいただきますと、欧米諸国に比べて近年我が国の公共投資に対するものは相当巨額なものになっておることもまた事実であります。そして、社会資本整備の充実といいますものは、他国から言われるまでもなく、これはお互い国民生活そのものの質の向上につながることでありますから、当然その充実を着実に図る必要があることも間違いがありません。しかし同時に、各年度の公共投資の水準というものはこれは我が国自身の問題であります。 もう一つの問題としてお考えをいただきたいのは、我が国の財政の中における公共事業のウエート、同時にその我が国の財政が経済の好不況に対する機敏な対応の武器として駆使するものの中に公共事業というものが現に存在をしておりますから、そうしますと我々としては、やはり毎年毎年の経済運営の中で弾力的に対応できる財政の武器は存続させなければなりません。 こうしたことを我々はいわば両にらみしながら経済運営に当たっていかなければならない。みずからその責任の重さを感じております。
○下稲葉耕吉君 それでは、今の問題とまた関連してまいりますけれども、先般行われました日米首脳会談についてお伺いいたしたいと思います。 私は、基本的には先進国の首脳の方々が随時気楽にお会いになりまして、その心と心の触れ合いを積み重ねていただくということはすばらしいことだと思うのでございます。そういうふうな対話が欠けましたために、過去の歴史の中では戦争の惨禍でございますとか、そういうふうな悲劇にまで発展したことは数多いわけでございます。ブッシュ大統領閣下あるいは海部総理大臣というふうな肩を張ったようなことではなくて、ジョージあるいはトシキというふうなことで言い合われまして、そういうふうな中で日米の大変大事な問題について気持ちを通じ合って、そしてそれぞれの責任で対処していただくということが基本的に大事だと思いますし、先般総理が急遽アメリカへ行かれまして日米首脳会談をなさいました。本当に御苦労さまでございましたと申し上げたいわけでございます。 まず、そのことを前提といたしましてお伺いいたしたいのでございますが、新聞の報道によりますと、会談のポイントといたしまして、「大統領は日米構造問題協議で首相の「政治的指示」を求め、四月の中間報告が意味のある報告となるよう要請。首相は「内閣の最重要課題」として取り組むことを約束。」こういうふうな報道がなされているのでございますが、そのような内容があったんだろうと思いますが、その内容と総理の決意をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 過日の日米首脳会談におきましては、話題にいたしましたテーマは非常に幅広く、国際情勢から地域問題から二国間関係から随分たくさんございましたが、今委員御指摘の日米構造協議の問題も当然話題になりました。 そのことにつきましては、個々の問題一つ一つについてどうしようこうしようという話し合いではなくて、日本とアメリカの間にございますいろいろな問題の中で、特に貿易のインバランスがこの数年非常に目立っておったということ、これを何とか不均衡を是正していきたい、そのためにお互いにどういう努力をしたらいいのか。同時にまた、日本とアメリカと両方からお互いに貿易のインバランスを是正するためにはどのようなことを相手国に望むというか議論をする。日本からは大きく言いますと七つに分けて項目を要求し、アメリカからは大ざっぱに言うと六つに分けた要求が来て、それぞれそれについて努力を重ねていって、結果として経済の構造をお互いに理解できるように、市場が開放されていくように、貿易インバランスがおさまっていくようにしようではないか。そういう目的で始まっておりました実務者レベルの協議が続いたんですけれども、どうしてもアメリカ側から見るとそれは十分に満足のいくような成果が上がっておらないという、そういった、言葉は悪いんですけれども、ちょっといら立ちのようなものが議会にある。 議会との間の話し合いの中でも、やはりこのお互いの構造協議でこれだけ進展をしたんだ、これだけ共通の基盤を持ってきたんだ、これだけインバランスは是正されてきたんだというようなことで話をしなければ、再び保護主義なんかが台頭してきては困る。自分は議会に起こりつつある保護主義と闘っておるんだ。そういった意味で、保護主義と闘うという面では日米両国政府ともにこれは共通の利益ではないか、こういう角度のお話もございましたし、また日本としてみれば、今やろうとしております問題は、前川レポート以来国民生活の質を高めていくためにはどうしたらいいか、そのためのいろいろな問題点が日米構造協議の中でも議論されたわけでありますから、真剣にこれに取り組むことは日本の生活の質を高めるためにも大いに役立つものである、私はこう理解をいたしまして、御指摘のように内閣では最重要課題として取り組ませていただいております。そういう状況です。
○下稲葉耕吉君 構造問題協議は、今政府の重要課題ということで、大変政府部内あるいは与党の中で苦労している段階でございます。きょうの段階で私はその内容にまで立ち入るつもりはございませんけれども、ただ、国民の多くの方々に、今一番問題になっている構造問題協議についてどういうふうな認識の仕方をしておられるか、私ども聞いて回ったわけでございます。ところが、口の悪い人は、聞くところによると、夜電話がブッシュさんから来て、総理がアメリカへ行って話をされて、何か重い荷物をしょって帰ってこられたようだというぐらいの認識なんですね。 私は、およそ政治の要諦というものは、国際的には平和と繁栄、国内的には秩序の維持と国民生活の質的向上、福祉の増進、これが我々政治家の仕事であろうと思うのでございます。いみじくも施政方針演説の中で総理は、「この協議は、我が国の国民生活の質の向上に寄与するとともに、米国の競争力強化にも資するものであり、両国間の協力関係の基礎を強化することに直結するものであります。」、このようにお述べになっておられるわけでございます。国民の方々にとって、この今問題になっている構造協議なるものがどういうふうな関係にあるのか。総理は国民生活の質的向上に資するとおっしゃっているけれども、どういうふうに資するのか。先ほど大蔵大臣は、社会資本の充実の点で、そういうふうなことがやはり国民生活の質の向上になるんだというふうに御答弁なさいました。私もそのとおりだと思います。 国民にこの構造問題協議の本質を訴え、そして国民の支持と協力を得る。そういうふうな中で各省の連絡調整あるいは関係団体の調整というものを私は進めるべきであると思うんです。国民の協力と理解、それがなければ本当の政治というのはできない、このように思うのでございますが、そういうふうな点からいいますと、構造問題協議についての政府の国民に対する訴えというのは聞いたことがない、と言うと私不勉強かもしれませんけれども、そのように思うのでございますが、総理、いかがでございましょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) おっしゃるとおりに、戦後日本が明るい社会、豊かな暮らしを手にすることができたのは、やっぱり日米関係の枠組みの中で平和を守り、同時にまた自由貿易、自由経済という経済の仕組みの中で貿易が伸びて、そしてこのような豊かな社会をつくることができたんだ。そこまではそれでよかったんですけれども、日本が非常に経済的に力がついてきましたがために、日米間の貿易インバランスが目立ってきて、今までは私たちはごく当たり前のことだと思って振る舞ってまいりましたことも、あるいは国内にあります仕組みも、何かこのごろでは日本は特殊な考え方の国ではないかとか、同じ自由と民主主義のルールを守っておると言いながらルールが違うのではないかとか、いろいろなことまで言われるようになってまいりました。 こういったことは極めて不幸なことでありますので、私は、自由世界で国民総生産、日米両方合わせると四割近くまでいく、また貿易においても非常に多くの部分を占めておるこういう国同士で、もっと両国の間のわだかまりがなくなるように、経済交流も心の交流も全部うまくいくようにしていかなければならぬというのは、これは非常に大切なことだと、こう思っておるんです。 国民の側から見たらどうだとおっしゃいますれば、例えば御議論に出ておった公共投資の整備にしても、それは住みよい環境をつくることになりましょうし、またいろいろ輸出、輸入の規制や枠をなるべく緩めていくことは、お互いに消費者にとってはどんなすばらしいものが入ってくるのか。今、内外価格差の調査ということも構造協議の中でやっておりますけれども、これは簡単に言うと、どうしたら比較的高いものがお互いに安くなる努力ができるかということでございましょう。ですから、そういったことで、一つ一つの努力の積み重ねがやはり国民生活を将来に向かって豊かにしていくということに役に立つ協議である、こういったことを私たちもできる限り御説明をさせていただいていこう、こう思います。
○下稲葉耕吉君 構造問題協議の中で、今貿易のインバランスの問題に触れられましたけれども、例えば大店法の問題にいたしましても独禁法の問題にいたしましても、そういうふうなものが仮にアメリカ側の主張どおりに我が国が対応をとったとしてどの程度影響力を与えられるかどうか、その辺のところは大変議論の存するところでございますが、きょうはその問題に触れませんで、次に参りたいと思います。 防衛庁にお伺いいたしたいと思いますが、防衛大学校の問題についてちょっと触れてみたいと思います。 最近五カ年問の防衛大学校の卒業生のいわゆる任官拒否者といいますか任官辞退者、ひとつ御答弁いただきたいと思います。
○政府委員(米山市郎君) 五カ年間について申し上げますと、昭和六十一年が二十二名でございます。六十二年が三十七名、六十三年が四十名、平成元年が五十八名、それから平成二年が六十名ということになっております。
○下稲葉耕吉君 防衛庁長官にお伺いいたしますが、このような事実を前提といたしまして防衛庁長官としての御見解をお承りいたしたいと思います。
○国務大臣(石川要三君) お答えいたします。 今政府委員から申されたような数を見まして私が感じましたことは、まず第一に、就任いたしましてまだ日も浅うございますけれども、意外に非常に多いということですね。これは実に私の大きなショックでございました。 御承知のとおり、防衛大学というのは将来の幹部を養成する大学でありますが、その卒業生が一四%ですか、そういう数が任官しないという数字は非常に多い、少なくともそういう感じがしたわけでありますが、その内容について担当者からいろいろと説明を聞いてみると、やはりある程度はなるほどなとうなずけたような面もございます。しかし、特に私が憂慮しているところは年々歳々ふえていくことですね。わずかではございますが漸増しているということは大変これはゆゆしい問題ではないかな、こういうふうに感じたわけでございます。 そこで、こういう問題をさらに改善するにはどうしたらいいか、冷静にその原因をまず調べ、そして対応策を立てていかなければいけないんじゃなかろうかな、こういうふうに思うわけであります。私なりに判断いたしますと、一つには、やはり入学した当時まだ十八歳でありますから、見方によれば人生の設計がまだ確たるものができない、こういう時期の入学生であるわけでありますから、ある程度、四年間たちましてのその答えがまた違ってくる、人生の自分の航路につきまして答えが変わってくるというのもやむを得ないかな。そしてまた、もう一方には民間の経済的な好況、特に人手不足ということが自衛官に任官するかどうかという判断におきましては大変大きな影響を与えることも一つであろう。しかし、最後に一番大きな原因というものは自衛官というもの、自衛隊というものの職業といいますか任務といいますか、そういうものに対する一つの誇りというもの、それからまた国民の自衛隊に対する位置づけ、尊敬の念、そういったようなものが私はかなりあると思うんです。 もうずっと以前の話でございますが、私は事実目の当たりにしたんですけれども、たまたま成人式の日に自衛官が成人式に招待されなかったというようなケースも一回ありました。そういうようなことから見て、一体国の大切な独立を守り、生命財産を守る任に当たる自衛官としてはこれでいいのかというふうな感じがしたわけでありますが、まさしくそういう国民全体からの自衛官に対する位置づけといいますか、そういうものが私は大きな問題ではなかろうかな。そういう中に本当に使命感、誇りというものがわいてくるんじゃなかろうか、そういうことも防衛大学の卒業生の中の任官拒否の問題に大きな関連がある、私はこのように認識をしておるわけであります。
○下稲葉耕吉君 今防衛庁長官からお話がございました点に私も大変同感する点が多いわけでございますが、自衛隊が憲法違反である、そういうふうに一部の人たちが思っている。憲法違反の自衛隊、その自衛隊員が国を守る気概が起こるかどうか、私は起こりっこないと思う。社会から冷たい目で見られておる。その人たちが自分の職場に生きがいを感じ、命をかけてやろうという気持ちは起きないだろうと思うんです。我々の国を守るのは日本国民全員が守るわけです。そういうふうな中で、自衛隊が中核となって頑張ってもらっているわけだと思うんです。私はそういうふうな形で国民が自衛隊を見る目、これはやはり理解を持ってもらわなくちゃならない。これは我々の責任でもあると思うんです。 それと同時に、今おっしゃいましたように、自衛隊そのもののステータスの問題がございます。いろいろ言われております。防衛庁を省にしたらいいじゃないか、あるいは統幕議長だとか幕僚長を認証官にしたらいいじゃないかとか、いろんな議論がございます。その議論は議論といたしまして、あるいは自衛隊をやめてからも、これは若年でおやめになる方が多いわけですから、それから後の将来について生活上の懸念がないとか、そういうふうにトータルとして温かい目で自衛隊を眺めていく、見詰めていく、そして国民が理解する、そのような自衛隊であれば、自衛官の一人一人も将来についての展望、生きがいというふうなものが出てくると思うのでございます。そういうふうな意味で、私どもも一生懸命頑張らなくちゃならないと思いますけれども、自衛隊の方々も長官を初め頑張っていただきたい、このように思います。 それに関連して、自衛隊の中をいろいろ見させていただきますと、いろんな意味で日本は今非常に経済的に裕福だと言われておりますが、宿舎にしろ装備にしろ非常に貧弱です。ああいうふうなところで苦労している方々も本当に大変だと思います。ひとつ大いに頑張っていただきたい、これだけ申し添えておきます。 次に、科学技術庁長官に一言お伺いいたしたいと思いますが、長官は御承知のとおり、電力、電気、約三割が原子力発電でございます。今我々の生活の中で三割、例えば二十四時間のうち三割といいますと七時間です。電気がつかないとか冷蔵庫が冷えないとか電車が動かないとか、そういうふうな生活は考えられないと思うんです。 そういうふうな中で、先般三月二十一日、福島原発につきまして、住民側の控訴が棄却されまして、原発の「設置許可は適法」である、「推進必要と異例意見」という新聞報道がなされました。反面、例えば青森におきます核燃料サイクル施設などに対する反対運動というふうなものがございます。 私は国民の中にはやはり原発に対する御理解の非常に少ない方も大勢いらっしゃるんじゃないかと思うんです。まだまだ政府は、このような問題についての何といいますか、国民に対する理解と協力を求める努力が足りないんじゃないだろうかというふうな気がしないでもございません。そういうふうな意味で、担当の科学技術庁長官の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(大島友治君) ただいままことに当を得た御質問をいただきまして、お答え申し上げたいと思います。 確かに資源の八割を海外から輸入、依存しているという我が国におきましては、今後とも電力の安定供給の確保を図っていくことが重要であるということは当然私も十分承知しておるところでございます。とりわけ原子力発電は、供給安定性というものですか、それから経済性、さらには環境影響等の面ですぐれておることは事実でありますが、ただ、我が国の主要なエネルギー源の一つとして、安全の確保を大前提にその開発利用を着実に推進していくことがこれは絶対に必要じゃないか、こういうふうに考えてはおります。また、ウラン資源の有効利用ということを図って、そうして原子力発電の供給安定性を高めるため核燃料サイクルの確立を図る、こういうことが非常に大事であるということは現実の問題として私も十分承知しておるところでございます。 そこで、そのためにというか、また原子力の開発利用を円滑に進めていくためには、国民の理解と協力がどうしてもこれは十分得られなきゃならないということは、ただいま御質問の中で言われたとおりでございます。 〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕 したがって、これらの問題を解決するためには、安全確保の実績を積み重ねることはもちろんでございますけれども、各地で開催される勉強会等への講師の派遣などの草の根的な広報、あるいは放射線に関するセミナー開催等の体験型の広報に重点を置きまして、適時的確でしかも懇切丁寧な広報活動を一層充実強化すると同時に、原子力の施設の立地地域のみならず全国的にこれを展開して、そして正しい認識の普及を図って、原子力に関する国民の理解と協力をぜひ私は進めてこの事業に御協力をいただきたい、こういうふうに考えて、ただいまの御質問に対して十分こたえられるように私も努めてまいりたいと、こう存じておるものでございます。
○下稲葉耕吉君 時間もございませんので、次の問題に入ります。 農政につきまして農水大臣にお伺いいたしたいと思います。 昨年の参議院選挙の政策論争の一つといたしまして農業政策の問題があったのは御承知のとおりでございます。日本の農家の方々は本当に今苦労をしておられると思うのでございます。水田も大方三割方減反なさった。外国からの食糧の輸入というのはできるだけ避けたい。牛肉・かんきつ類も頑張る頑張ると言っていたけれども、政府は次々にアメリカあるいは外国の言うなりになっているんじゃないか。要するに、農家の人たちが今一番不安に思っているのは、例えば米の自由化の問題にいたしましても、自由化しないしないと政府は言っている。国会の決議もある。しかし、果たして本当なんだろうか。一部の人たちは自由化賛成。貿易に従事している人、商業に従事している人、あるいは消費者の中でも自由化賛成論を主張される方々もあるわけでございます。 私は、今の農政にとって一番問題なのは、将来について、将来展望といいますか、はっきりしたビジョンが欠けていることじゃないだろうかと思うんです。兼業農家にいたしましても一種兼業、二種兼業いろいろございます。あるいは日本も北と南、あるいは平たん地、山間部、農業の事情というのはいろいろ違います。しかし、日本の農家の方々は非常に賢明でございます。将来ビジョンを国がはっきり示すことによっていかにしてそれに適応していこうか、自分たちの農業はいかにあるべきかということを十分お考えだ。そういうふうな中で、国民を初め農家の方々が協力して日本の農業というものをつくっていかなくちゃならない。そういうふうなところからいろいろな政策なりなんなり生まれてくるんじゃなかろうかと私は思うのでございます。 そういうふうな点につきまして、まず農水大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(山本富雄君) 私、農林水産大臣を拝命いたしましたときに、まあ総理から拝命したわけですけれども、とっさに頭に浮かんだのは「農は国の本」という言葉なんですね。これはもう小さいときから自然に農は国のもとと私の頭の中に入ってきたんです。ですから、その基本精神でいくべきだ、結局、農業者はもとよりでございますけれども、国民全体に農は国のもとだということがわかってもらえるような農政の展開が大事だ、こういうふうに思った次第であります。 その次は、今先生御指摘のとおり、いろいろ内外難しい状況がありまして、農業に従事している人は萎縮しちゃう、そして担い手を含めて将来展望がどうも暗くなる、これが一番問題なんだ。農業の将来は明るいんだ。日本の農業の将来はこういうことを積み重ねていけば必ず明るいんだ。これは「農産物の需要と生産の長期見通し」などという指針もあります。そういうことで、構造政策とかあるいは価格政策とかあるいは生産対策とか総合的にやっていけば、これは日本農業の将来というものは、国土が狭いとかいろんなハンディはあるにしても、それを裏返して特徴づければ日本農業の将来は明るい、こういうふうに考えていただくように農林水産省あるいは内閣が先頭を切ってやっていけば、私は必ず信頼をされる農政というものはそこに生まれてくると、こう考えておるんです。 また、政策の決定に当たりましては、いろいろな各般の状況を見ながらよりきめ細やかな配慮をしながら手順を踏みましてそして仕事を進めていく、十分情報を得ながら誤りのないように農政をステップ・バイ・ステップで進めていく、こういう考え方でやってまいりたい。御協力をお願いいたします。
○下稲葉耕吉君 農水省が中心になりまして、もっと毅然とした大きい農政についての柱といいますか、将来ビジョンというものを確立していただきたいと思います。 そこで、念のためにお伺いいたしておきますけれども、米の自由化はなさるんですか、なさらないんですか。
○国務大臣(山本富雄君) 今、農は国のもとだと、こういうふうに申し上げましたけれども、米は農の中心です。日本農政の中心はこれはもう米なんです。 〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕 ですから、日本国民の主食である、我が国農業の基幹であるお米である、こういう認識に立ちまして今までもやってきたし、これからもやってまいるということでございます。また、水田稲作というのは、これはお米をつくるだけじゃない。自然環境を保全する、あるいは農村というものの地域経済上非常に大きな役割を従来も担ってきたし、これからも担っていくということであります。 こういった米とかあるいは水田稲作の格別の重要性ということにかんがみて、衆議院でも参議院でも本会議において決議等をしていただいた、こういうこともございます。もうこれは全会一致で決議をされておるということを考えますと、国内の自給自足、こういう体制を今後とも基本的に貫いてまいりたい。 ちなみに申し上げますけれども、現在我が国の場合、生産者、それから生産者団体、行政、これが本当に一体になりまして血のにじむような思いをして三割減反というのを続けているわけなんです。本当に血のにじむようなことなんです。非常に厳しい生産調整を実施しております。ところが残念なことに、この生産調整をやってまいりましたけれども、どうも消費の減少というのがとまりませんで、需給のギャップが埋まらないということが一番頭が痛いわけであります。米を食べていただきましょうという運動を農水大臣が先頭を切ってやろうと今やっている最中です。アイ・ラブ・ライスというのを盛んにやっておりますか、先生もどうぞたくさん米を食べていただきたい。 しかし、米は過剰基調が続いておるということは御承知のとおりなんです。我が国の食糧自給率が大幅に低下していることも御承知のとおりなんです。ですから、このような状況を考えますと、お米を輸入するという状況には現在ないということをはっきり申し上げておきます。
○下稲葉耕吉君 確認のためにお伺いいたしたわけでございますが、私は若干裏の方から考えてみる必要もあるんじゃないかと思うんです。 今まで政府が、米の自由化反対だ、こうおっしゃる考え方の基礎には、やはり米そのものはちょっと特別なんだ、これは日本の風土であり、文化であり、伝統なんだというふうな御説明がございました。これもなるほどそうだと思うんです。 今度は裏から考えて、米の自由化をした場合にどうなるんだろうか。もちろん日本の農家の方々が大打撃を受けられるということはこれはもう自明の理でございます。しかし、それは日本だけの問題だろうか。米の種類は違いますけれども、特に途上国の方々は外国からお米を輸入して生活している国が非常に多うございます。もし日本が自由化したということになりますと必ず米の国際価格が上がることは間違いない、そういうふうな途上国の人たちが相当な影響を受けるだろうと思います。あるいはまた、自由に幾らでも米が自由化できるということになりますと、農業形態というものが輸出志向型の農業にだんだん変わっていく。そうしますと、自然環境の保全だとか何だかんだという問題とのかかわり合いにおきまして、化学肥料だとか農薬だとかそういうふうな残存農薬を持った食糧というものがあるいは大量に輸入されるおそれなしとしない、そういうふうな問題もあるんじゃなかろうか。そちらの方の角度からも十分研究する必要があるのではなかろうか、このように思うのでございます。 そこで、自然環境の問題に関連して御質問いたしたいと思うのでございますけれども、今日本国民の底辺のみならず世界の生活しておる人たちの中で非常に物すごい勢いで浸透しておりますのは食の安全ということでございます。昔はとにかく腹いっぱい食べられればいい、食糧が不足ですから。今や食糧事情というのが裕福になってきました。体のためにいい安全な食べ物は何だということにつきまして、家庭の主婦を初めとして非常に熱心にそういうふうな運動を追求しておられる。それが自然農法、いわゆる土つくりから始まるわけでございます。農薬だとか化学肥料を使わない土つくりから始まった安全な食糧、安全な農業、自然農法、有機農業というふうな形で今日本国内のみならず世界じゅうでどんどん発達している、こういうふうな実情でございます。 四十数年も前から我々の先人がこつこつと自然農法について研究なさって技術を上げる、そしてそういうふうな形で広めていかれる、こういうふうな方々もおられるわけでございまして、私は大変敬服いたしておるわけでございますが、おととしでございましたか、政府も有機農業対策室というものをおつくりいただきまして調査研究を始めておられます。私は、そういうふうな民間の努力もさることながら、そういうふうな人たちと一緒になって、あるいはさらに食糧の安全というふうなこと、それはとりもなおさず地球環境の保全なり環境保全の問題に直結する問題だと思うんです。 そういうふうな問題につきまして、農水省のお取り組みの状況と決意をお伺いできればありがたいと思います。
○国務大臣(山本富雄君) 先生かねて御主張の自然農法、有機農法、私は先輩の中西先生などからも大変うんちくを傾けた熱意のあるお話もつい先日お聞きをしたばかりでございます。これは今お話しのとおり、非常に大きく今機運が盛り上がっておるというふうに承知をしております。手づくりで、そして高品質な農産物をつくる、そしてまたそれが地域農業の振興のためにさらに役立つ、こういう幾つもの利点もあるわけでございます。農林水産省といたしましては従来も関心を持っていたそうでございますけれども、私は特にこの問題に関心を持ちまして、しっかり勉強していきたい、こういうふうに考えております。 それから、今先生からお話しのこの対策でございますけれども、平成元年度から有機農業問題についての担当部署、室を省内に設定いたしました。また、横の連絡網なども整備をいたしまして、体制の強化を図ったところでございます。また、有機農業問題につきまして、これに対応するためには有機農業の実態というものをまず把握しなきゃならないということで、その把握につきましてこれらの調べも今進めておるところでございます。六十三年度以降諸調査を実施してまいりまして、平成二年度におきましても有機農業の生産と流通の実態を把握するための調査を新たにさらに進めていく、それから栽培技術についての具体的な知見を得るための実証調査、これをさらに進めていくということでございますから、これは私は、有機農業問題、自然農業問題というのはまさに自然に進んでいくというふうに思っておるわけでございます。 これから先、国内のみならず諸外国の状況、栽培状況なども情報収集をいたしまして、そして関係諸団体に対する指導、調査あるいは調整などを行いながら国民のニーズにこたえていきたい、我が国有機農業の健全な発展が図られるように農林水産省としても前向きに努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○下稲葉耕吉君 農水大臣から大変お力強い御答弁をいただいたわけでございますが、率直に申し上げまして、私自身の認識では、農水省はまだまだ国民的なニーズにこたえるべく、そういうふうな態勢よりもちょっとおくれているような感じがいたすわけでございます。むしろ我々の国民的なニーズより一歩も二歩も先に行くような形で、これは大変な問題でございますし、また国際的にも大きな問題になる可能性のあることでもございますので、十分な御配慮をお願いいたしたいと思います。 それでは、次に参ります。 麻薬、覚せい剤と薬物問題についてお伺いいたしたいと思いますが、外務大臣にちょっとお伺いいたしますけれども、新聞の報道によりますと、先般の首脳会談でもこの問題が出たような報道がなされているわけでございますが、もしございましたらお願いいたしたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 先般行われましたパームスプリングスにおける日米首脳会談におきまして、日米両首脳間でグローバルな問題として、幾つかの環境問題とかあるいは麻薬問題という問題にこれから取り組んで、解決するために努力しなければならないというお話が出たことは事実でございます。
○下稲葉耕吉君 それでは、まず麻薬、覚せい剤問題について国内の問題でお伺いいたしたいと思いますが、警察庁にこのような薬物乱用の実態、検挙状況を御報告いただきたいと思います。
○政府委員(加美山利弘君) お答えいたします。 我が国における覚せい剤の乱用は昭和二十九年をピークにしまして激減しほぼ根絶状態にあったものが、昭和四十五年ころから再び増加しまして、また麻薬大麻事犯についても近年増加傾向にございます。平成元年中は最も乱用されている覚せい剤事犯の検挙人員が一万六千六百人余りで九年ぶりに二万人を下回ったものの、依然として高水準で推移しており、前年減少した押収量も二百十七キログラムと再び増加に転じております。これは過去四番目に多い押収量となっております。 これに加えて、欧米において蔓延しているコカイン事犯が急増し、検挙人員、押収量がともに史上最高を記録するとともに、ヘロイン大麻事犯の押収量もそれぞれ史上最高となるなど、乱用薬物の多様化傾向が顕著となっており、情勢は大変厳しいものがございます。 また、乱用者層も暴力団員だけでなく、少年、女性と一般市民層にまで徐々に浸透を深めており、さらに薬物乱用に起因する殺人、強盗などの凶悪な犯罪も後を絶たない状況にあるなど、極めて憂慮すべき事態となっております。 このため、警察としましては、暴力団等の薬物の供給組織及び末端乱用者の取り締まり、広報啓発活動を強力に行うとともに、また海外の捜査機関との連携を強めるなど、総合的な対策に努めているところでございます。今後さらに一層努力してまいる所存でございます。 以上でございます。
○下稲葉耕吉君 国家公安委員長に伺いますが、ただいま実態についての御報告がございました。国際的にも大変関心を持たれる事案でございますが、国家公安委員長としての御決意を承りたいと思います。
○国務大臣(奥田敬和君) 国家公安委員長としての決意表明の前に、下稲葉先生、先日の国連における麻薬に対する特別総会において、我が国代表として大変な決意演説表明でアピールしていただきまして、また日ごろこの麻薬対策全般に関して大変な多年の経験を生かされて御指導賜っていることに厚く敬意を表したいと思っております。 さて、私の認識においてこの麻薬薬物関係の問題というのは、我が国の民族の興亡をかけたくらいの重大な認識を持っております。今ほど政府委員も申しましたけれども、大変な蔓延というか、そういった形の中で若い青年をむしばみ、これが婦人層にまで及ぶというような実態にかんがみまして、我が国の治安を守る責任者としても、また治安の根幹にかかわる問題として厳重にこの問題に対しては対応してまいっております。現に、密売の組織、密売団、これは暴力団が中心でございますけれども、これらに対する対策は徹底してやっておる。引き続きやってまいりますし、また乱用者も非常にすそ野が広くなっておりますので、これらの取り締まりにも一層努力をしてまいりたいと思っております。 他方、これはもう国際的にも非常につながりのある問題ですし、先ほども先生御指摘のように、ブッシュ・アメリカ大統領が海部総理にも協力を求められたような事実経緯も含めまして、これは非常に国際的にお互いに深刻な悩みを持っておる共通問題として今後の国際協力も真剣にやってまいりますし、また私たちは西側のトップを走る先進国主要メンバーとしても、この問題に関しては技術も金も投入して国際協力の実を上げていかにゃいかぬと思っております。 他方、私、これは政治家としての個人的な考えにもなりますけれども、ルーツを断つためにはやっぱり弱小、貧乏な麻薬生産国、コロンビアとかあるいはミャンマー、もとのビルマですね、ラオスとかタイとかのそういった国に関するいわゆる技術的、民主的な援助も含めてルーツの対策もやって、国際協力の実を上げたいと思っておる次第でございます。
○下稲葉耕吉君 国家公安委員長から非常に高い見識と決意をお伺いいたしました。大いに頑張っていただきたいと思うのでございます。 今度は国際問題について伺いますが、麻薬関係について単一麻薬条約、向精神薬条約、それから今般新しく進められております麻薬新条約、三つの条約がございますが、外務省から、我が国の加盟の状態、特に調印、批准、その辺の状態を御報告いただきたいと思います。
○政府委員(赤尾信敏君) お答え申し上げます。 ただいま先生から御指摘のありました国連で採択されました三つの条約につきましては、まず第一に麻薬に関する単一条約でございますけれども、日本は既に一九六四年七月に締結いたしております。現在我が国を含め百二十七カ国が加盟しております。第二の向精神薬に関する条約につきましては、我が国は一九七一年十二月に署名済みでありますが、未締結であります。この条約の重要性にかんがみまして、ことしの国会で審議をいただくように今準備を進めております。第三の麻薬新条約につきましては、昨年の十二月十九日に署名を了しました。ただいきこの条約の取り扱いにつきまして政府内で鋭意検討をしているところでございます。
○下稲葉耕吉君 ただいま外務省から御説明がございましたように、三つの麻薬関係の条約のうち麻薬単一条約、これはもう批准を終わっておるわけでございますが、向精神薬条約につきましては、一九七一年十二月、日本はサインしておるわけでございますけれども、きょうただいままでまだ批准されていないわけでございまして、十八年以上たっている。そのような認識というのが日本国民あるいは関係者の中にも薄いんじゃないかと思うのです。そして、いわゆる麻薬新条約、これは麻薬及び向精神薬不正取引防止条約というのが正確な名前でございますが、これは一昨年の十二月、国連で採択されました。 先ほど国家公安委員長のお話がございましたが、私も先月、麻薬総会に出席させていただきましたが、私の演説の前にアメリカの国務長官が演説をなさいました。その際に、パフォーマンスなんですけれども、新条約の批准書を国連に寄託したという報告をなさいました。翌二月二十一日には東独が批准書を寄託いたしました。EC十二カ国の代表でアイルランドの代表が演説をなさいまして、アイルランドもことしじゅうに批准書を寄託できるように努力したい、こういうふうな発言がございました。問題は、日本の国内法の整備がいろいろ難しいというふうなことのために直ちに条約の批准ができないということであろうと思うのでございますが、ことしの七月のサミットでは当然この問題が出ることも明白でございますし、国際的なおくれをとるわけにはいかぬだろうと思うのでございます。 そこで、関係大臣にちょっとその辺の決意をお伺いいたしたいと思いますが、まず厚生大臣、それから法務大臣、それから大蔵大臣、それから官房長官は政府の対策本部長でございますので、官房長官までお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 近年、麻薬等の乱用が世界的に増大しておりまして、また我が国におきましても楽観できない状況にあるという点は、自治大臣からもお話があったとおりでございます。厚生省は、薬物の乱用を防止するという立場から、国民の健康を守るということで重大な関心を持っておるわけでございます。 先生御指摘の向精神薬の問題でございますが、御案内のとおり、麻薬に至らない程度の覚せい剤であるとか、あるいは睡眠薬、精神安定剤、こういうものが該当すると承っておりますけれども、覚せい剤につきましては国内的な法整備が一応できておりますが、残る睡眠剤、精神安定剤が対象になるということで、私どもこれが条約を批准するために必要な麻薬取締法等の一部改正法案を国会に提出する予定で準備に参画をしてまいりまして、積極的に準備を進め、できるだけ早く提出していただきたいという立場でございます。私の立場からもできるだけの努力をいたしたいと思っております。
○国務大臣(長谷川信君) 下稲葉先生がただいま御質問の麻薬に関する条約については、現在、外務、厚生両省において今国会における条約締結の承認等、麻薬取締法の改正を進めているものと承知をいたしております。法務省としても関係各省と全面的に積極的にこの麻薬撲滅について御協力申し上げ、成果を上げるように渾身の努力を払うつもりであります。以上であります。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ちょうど今、御意見を交えた御質問を伺いながら、安恒委員また田中正巳委員とともに、衆参の社会労働委員会共同して覚せい剤の量刑の引き上げを行ったときのことを思い起こしておりました。 私ども大蔵省の立場におきましては、二つのポイントがあろうかと思います。 一つは、大蔵省として税関における水際の麻薬取り締まりを強力に実施している立場からでありまして、特に近年はいわゆる白い粉対策と言われるものに対して、これを一層強化いたしております。平成元年度におきましても、これは余りうれしいことではありませんけれども、ヘロイン二十五キロ、またコカインについて十三・五キロという史上最高の押収量を記録いたしました。こうした点から見ますと、最近よく言われる日本が中間経由地としてルートの中にあるのではないかと言われるようなこともあり、第一線は一層積極的にこの取り締まりに従事をいたしております。 またもう一つは麻薬資金に関するマネーロンダリングの問題でありまして、この取り締まりにつきましては金融監督当局としても前向きに取り組んでまいる所存であります。 予算面におきましても、麻薬覚せい剤事犯の取り締まり、あるいは覚せい剤乱用の未然防止のための啓発活動など、関係省庁と御相談をしながら適切に対応いたしつつあります。非常に深刻な問題でありますだけに積極的に取り組んでまいりたい、今後もそのような姿勢で臨みます。
○国務大臣(坂本三十次君) ただいまの麻薬新条約、これを極力推進するということはまことに国際的にもタイムリーなことだと思っております。特に婦人層、青少年まで侵されそうになっておるというただいまの報告を聞いて、なおさらの感がいたします。 薬物乱用対策推進本部の私は本部長ということでございますが、十五省庁ばかり、ほとんど内閣総挙げの体制ということになっておりますが、これらの会議を活用いたしまして、新条約推進に向けて国内的な体制を固めて進めていきたい、そう思っております。
○下稲葉耕吉君 時間も参りましたのであと一問にいたしたいと思いますが、ヒューストン・サミットでは当然この問題が取り上げられるのではないかと思いますし、構造問題協議ではございませんけれども、関係省庁がたくさんございます。それまでに気持ちを合わせていただきまして、海部総理が胸を張って日本の立場を主張することができますように各省庁の御協力をお願いいたしたいと思います。 そこで、麻薬問題に関連いたしまして、ちょっと私調べてみました。国家公安委員長が個人的な見解だがということで、例えばビルマだとかペルーだとかボリビアだとか、あるいは黄金の三角地帯あるいは黄金の三日月地帯、あの辺が麻薬の生産国でございますね。そういうふうなところに対する経済協力というお話がございました。 今、日本のODAはアメリカに次いで世界の第二位でございます。百億ドル近い。ほとんど百億ドルでございます。ところが、麻薬に関するODAが幾ら出されているんだろう。恥ずかしい話ながらアメリカの百分の一です。私はもっともっとそういうふうな意味で麻薬に関するそういうふうなODAというのは幾ら伸ばしてもそれは国際的な批判あるいは国内的な批判を受けるはずがない、このように思うのでございます。そういうふうな面についても御努力をいただきたいと思いますが、最後に外務大臣の所見と総理の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 委員御指摘のODAによる麻薬の撲滅のための経済協力ということは極めて重要な問題であろうと思っております。 政府はかねて中南米またアジアにおける麻薬の捜査官等のセミナーを東京で開いてまいりましたけれども、一番根本的な問題は、麻薬を栽培している農民たちの所得を、代替作物を植えつけるこ とによって生活を向上させるというところにその原点があろうかと私どもは考えておりまして、そういう意味ではこれからそのような麻薬栽培地域の国家に対する、地域の開発のための経済協力を進めてまいりたい、このように考えております。
○国務大臣(海部俊樹君) 日米首脳会談のときにはもちろんのこと、またことしの一月の欧州の首脳との会談のときにも、地球的な問題として麻薬のことはテロ、環境問題とともに三つの協力をしなきゃならぬ重大問題だということがよく話題になりました。麻薬の問題に関しましては国際協力を進めていくということも極めて大切だと思いますので、真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
○下稲葉耕吉君 終わります。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で下稲葉耕吉君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、國弘正雄君の質疑を行います。國弘君。
○國弘正雄君 敬愛する三木元総理と同道して、最初の二回のサミットを初めとし、アメリカ、イギリス、スウェーデン、中国、その他同行させていただいた海部現総理とこういう形で相まみえることになりまして、私として多少の感慨なきを得ないわけであります。できるだけ率直に、何といいましょうか、日本のためによかれかしと思っているいわば同志としていろいろと伺って、そして率直なお答えをちょうだいしたいと思います。 まず最初は、これは選挙中の売り言葉に買い言葉みたいなものでありますからこれに多くの価値を置こうとは思いませんけれども、自民党さんは選挙中、ややもするとこういうことをおっしゃった。もし自民党が負けたら円も下がるし株も下がるし証券も下がることは必至である、こうおっしゃったわけですね。選挙の結果自民党は負けなかったわけです。ところが円も株も債券も下がってしまった。極めて今不透明な、八幡のやぶ知らずみたいなところに入り込んじゃっているわけで、将来の日本経済について大変な不安がたゆたっているわけですけれども、そういう状況について、総理、どのようにお考えですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 選挙中のいろいろな人々の意見につきましては、今静かに反省をいたしまして、ここであえて御議論を闘わせようとは思いませんが、最近の株、円の状況については非常に注目をし心配をしております。きょう大蔵大臣がアメリカへ参りますのもそのためでございますし、この間の首脳会談の席上でも私からそのことを提言しまして、日米のこういったときの協力こそが非常に大切だという、首脳会談でも協調の話し合いをしてきたところでございます。
○國弘正雄君 もう一つ選挙中の売り言葉、買い言葉にあえてこだわらせていただきたいんですが、社会党が勝ったら日米関係の悪化は必至であるということを何人の方もおっしゃったわけですね。私もこの耳で聞いたし、あるいは書き物で見たこともございました。ところが今、日米がややのっぴきならないところに差しかかっているんですけれども、これは歴代の自民党政権下においてのっぴきならないところに差しかかったわけでして、社会党が勝ったからではないわけでございます。 こんなことは当たり前のことだというふうに仰せになるだろうと思いますが、一つ二つ申し上げたいのは、最近社会党の参議院の新人議員の研修会が行われたんです。三十数人の新人が参加したわけですが、そのときに何を勉強のテーマに選ぼうかということで皆で意見を持ち寄ったんです。圧倒的に多数の人々が日米関係を勉強したいということで、実は日米関係を主たるテーマに研修会を開いたということがございます。また、御記憶だと思いますけれども、土井さんが委員長として最初に外遊をしたのは実はアメリカ合衆国に対してでありました。ほかの国ではなかったということも申し上げたい。それから、土井さんを見ておりますと、世界各国ですが、なかんずくアメリカの各界からの来訪者がもう引きも切らない現実でございます。実際スケジュールの調整に本当に困難を感じている。そのことが別に何を意味するわけではございませんけれども、社会党が勝ったら日米関係は絶対的に悪化するんだなどと御心配をひとつなさらないでいただきたい、御心配御無用に願いたいというふうに思います。 そこで、この間の総理の異例の訪米について伺いたいんですが、突然夜中にブッシュさんから電話がかかってきてそしてアメリカに旅立たれた。総理大臣も、それから大蔵大臣もきょうはアメリカへ行かれるようですけれども、よほど若くて生きのいい人でないとこれからはやっていけないなというふうな思いがするんですが、その電話をお受けになってそして異例の訪米をなすったときにどういうふうな感じを持たれたか。つまり、これはもう身の上の一大事となったというふうにお考えになったか、緊張に身を固められたか、いろいろあったと思いますけれども、そのあたりをちょっと伺いたいと思うんです。
○国務大臣(海部俊樹君) お言葉を返したくありませんけれども、社会党さんは長い間日米安保反対でございましたので、我々自民党の方から見れば、社会党とアメリカとは余りうまくいかぬのじゃないかと漠然と思っておったことはこれはやむを得なかったと思います。ただ最近は非常にお変わりになりつつあるようでもありますし、國弘さんまで社会党で御質問をいただく世の中でありますから私も今昔の思いに駆られながら聞いておるわけでありますけれども、党首討論会のときも土井委員長は、たしかアメリカとの関係を大切にしてアメリカへ訪問するんだということもおっしゃっておりましたので、どうかこういう大事なときでありますから、外交は、波打ち際までということにして、日本の将来のために、これは一自民党、一海部内閣との日米交渉ではございませんので、御理解と、知米派として御協力もあわせていただきたいとここでしっかりお願いをしておきます。 また、私とブッシュ大統領の電話のときの印象でありますが、初めてじゃなくて、マルタ会談に行かれる前にも電話は来ておりますし、その後のときもございましたので、時々電話でお話はさせていただいております。そして大統領からは、議題を決めずに、またできるだけ早く会おうというメッセージもことしのお正月にももらっておりました。そういうようなことがありましたので、選挙が終わりました四、五日後だったと思いますが、電話がかかってきまして、選挙に勝っておめでとう、議題を決めないで早く会いたいが都合はいつがいいかと、こういうお申し入れでした。そして、三日の日に西海岸まで行くから出てこられないかということでした。 私は日本の事情をよく知っていらっしゃるなと思って、施政演説を終わってすぐ出発すれば、アメリカで三日を一日首脳会談に当ててまたすぐ帰ってくれば間に合うという日程でありましたので、外交ルートを通じて御返事しますと言って電話は切りましたけれども、そのとき受けた印象は、やはり時代がこれだけ変わっておる。ヨーロッパの激動なんかを見ても、あるいは欧州やアメリカの首脳の頻繁な往来を見ましても、周到な準備と用意をしてからでないと首脳会談に臨めないというのではいささか時代におくれるのではないかという感じも率直にいたしましたし、また、突然なことではありますけれども、世界がこれだけ変わっておるときでありますから、異例なことでも決心して、思ったとおりのことを言い思ったとおりのことを聞いて、それが日米関係の前進に役立つならばいい、こう私は決心をしたわけであります。
○國弘正雄君 その御決心は実によくわかるんですが、ただその決心をなさったときに、何か世間から見ると、非常呼集をかけられて鞠躬如として御前に伺候する、そういうような形に野党やら、あのうるさい野党やら、というのは我々ですけれども、それからマスコミなどからいかにも従属的だと、何かこういうふうにしかられるのではないかというような、そんな思いがよぎられたかどうか。 それともむしろ、渡りに船と言うと大変これまた失礼ですけれども、ポスト海部をねらっている他の人々もたくさんおいでになる、その人に先駆けてアメリカに行っておくというのがむしろ望ましいというふうにお考えになったか。それは、余計なこととおっしゃいましたけれども、きのうかおとといのある自民党に非常に近い新聞に、日米構造協議というものが自民党内部の功名争いの種になっていると、こういうふうに書いてあった。そんなことがあるのかなと私は思って、あえて伺うわけでございます。
○国務大臣(海部俊樹君) 日米関係がこういう状況になってきた、不幸な状況に到達したということを解決するのに、私が最初に言ったように、これは一自民党とか一海部内閣ということではございません。日本の国とアメリカとの関係になりますから、功名争いとかなんとかいうことも全く念頭にはございません。それから、呼びつけられて行くとか重い荷物を背負いにいくとか、そんなことでもございません。私は全く日米関係が新しい時代に入ったんだなという気持ちは率直にいたしました。直接電話が来て、そこで相談をしてすぐに御返事しますということで話し合いができるのでありますから、そんな感じでございました。気負いも何もございません。
○國弘正雄君 実は私もまさにそうだっただろうと思いますし、その旨をあるところに書いたこともございますから、今の御質問はある種の修辞的疑問文としてお聞き願いたいのですけれども、ただここで何をお二人でお話しになったかなどということは伺おうと思いません。私もワシントンやロンドンでいわゆるトップのさしの会談の仲立ち役を幾つかやりましたし、やがてそういう内容は外に漏れてくるものだということも知っておりますし、ですから何をお話しになったかなどということを伺おうとは思いません。 一つだけ伺っておきたいのは、ブッシュさんの何というか口調とかあるいは表情というのが、何かこう非常にせっぱ詰まったものであったやに私はワシントンの方から聞いているわけなんですね。やや大げさに言う人は、ブッシュさんの方がむしろ、まあブッシュさんの名誉のためにこういう言葉を使うのはどうかと思いますけれども、低姿勢で懇願調であったと。これはホワイトハウスの中の人から私が聞いた話です。そういうことがあったというふうに理解をする。そして最高指導者お二人でございますから、恐らく政治家としてのお互いの哀歓のようなものを交わし合うという場もあったのじゃないだろうか。 それは具体的にどういうことかと申しますと、心をお互いに許し合った政治家同士が、うちも大変だ、おたくのところも大変だねというような話、特に日本の場合には、参議院がいわゆるねじれている。他方アメリカの場合には、いよいよ選挙が十一月に始まる。しかも上院においても下院においても野党の民主党が主導権をとっている。しかもこの野党優勢の形勢というのは改まりそうにない。しかも、上院及び下院の両方においてブッシュさんは絶えず攻められている。だから、おれもしんどいんだ、トシキおまえもそうだろうというような、それこそジョージ・トシキのそういう関係がお二人の間にもうできつつあるのではないかというふうに思う。 ですから、内容は一切伺う必要はありませんけれども、ブッシュさんの口調とか表情とか全体のトーンとか、そんなものが一体どんなものであったかということをちょっとお漏らしいただけませんか。
○国務大臣(海部俊樹君) ブッシュさんの表情とかブッシュさんのお話しぶりというのは、何というんでしょうか、私が最初の首脳会談でテータテートをしたときよりも何かこうぐっと近しいものを感ずるようになったと私は思っておりますが、はっきりおっしゃったことは、要するに日本とアメリカの間に今よくない空気が漂い始めておる、それはアメリカの議会にある、そしてそれはほっておくと保護主義が台頭してくる、自分は保護主義とは闘うんだということをそこは力強く言われて、保護主義と闘うことは日米両国にとってこれは共通のテーマではないか、だから日本も協力してほしい、そういう立場からのお話でございました。 私の方からも率直に、例えば全体の問題の中で、日米の協議というのは一方的ではいけないんですよ、日本からも七項目大きく分けて縛りをかけてありますけれども、七項目の要求を出しておる。それに従ってブッシュさんの方からは、言われたとおりに新しい貯蓄を奨励するための税制もつくった、財政赤字もこれだけ下げてきた、また副大統領クエールさんを長にして輸出競争力振興委員会もホワイトハウスにつくって輸出に力を入れておる、そういうようなこともおっしゃる。 だから私の方も、それは我が方もできるだけ努力して内需を振興して、前川レポートというものを忠実に守って、このごろどんどん輸入が増えてきたでしょう、残念ながら増えてくる率がアメリカ、ヨーロッパ、ASEAN諸国と見ると、ASEAN諸国からたくさん入ってくるので日米関係のインバランスは目に見えてはよくならないが、しかし五百億ドルの大台を割ったことも事実でしょうというようなことを言いますと、それはよくわかっておる、そういう努力をしてくれたことはよくわかっておるというようなやりとりもありました。でも、それを乗り越えて日米間のこの問題を片づけなきゃならぬから、構造協議はしっかりやろう。構造協議のみならず話し合いましたことは、二国間問題やグローバルの問題もともに話を、前後六時間ぐらいになりましたから、いろいろしたということでございます。
○國弘正雄君 ブッシュさんが議会における保護主義の台頭の可能性について非常に懸念しているというのは、私もよくわかるような気がするんです。と申しますのは、アメリカの議員さん、特に外交問題に直接関係のある上院議員の人たちの例えば公聴会その他における発言を見ておりますと、本当に何というのでしょうか余りにも無知に過ぎるのではないかという、これは強い言葉ですが、感じをしばしば持たされるわけですね。 例えばこの間も材木関係の公聴会で、ある議員が日本の住宅が高いのはアメリカ材を買わないからだなどというまことにもって無知な発言を行った。そして、そこに出てまいりました木材関係の可といいますか業者が、いやそうじゃありません、議員、日本の土地が高いからなんであって決して米材を買わないからではない、こうたしなめて満座の失笑を買ったというようなことがつい最近もありました。あるいはこれまた別のある上院議員ですが、対日赤字は何年でなくなるのかはっきり答えを出せと言って、証人の大学の経済学の先生に五年か十年かというような迫り方をして、これまた失笑を買ったというようなことがいろいろあるわけですね。 ですから、私はブッシュさんにしても議会対策というのは大変に頭の痛いことであろうし、その意味においてこれを放置しておくにおいてはあしき保護主義みたいなものが台頭する。しかも選挙はもうあと数カ月のうちに迫っているというようなことで焦慮しているというか、非常に苦慮しているということは容易に想像できるわけでございます。その意味においては、私は西高東低という言葉をもじれば、今までは米高日低であったものがむしろ日高米低である、日本の方が高くてアメリカの方が低いというような、そういうような感じすら出てきたわけで、だからこそ非常に慌ただしい形で海部総理に訪米を依頼するというようなことになったんだろうと思うんです。 そこで、この構造協議の問題について伺いたいんですけれども、まず最初に、この構造協議に入る前に、私はそれぞれの国の構造が違うからこそ貿易というか通商ということの意味があるのであって、ですから構造の違いというものは決して悪いことではない、むしろこれはもう通商というものの前提として必要な条件だというふうに思うんです。第二点は、ストラクチャー、構造というのはいわば一軒の家で申しますと柱とかはりのようなものであって、これをみだりに変更する、変えることは非常に難しい、そういうたぐいのものが私はストラクチャーだと思うんですね。そして第三点として、日本とアメリカとのいわば構造上の違いというのは非常に大きゅうございますから、ちょっとやそっとでこの両者の間の調整はこれは不可能だと私は考えているわけです。 そういうような前提の上で、しかし伺いたいことが一つあるのは、この構造協議という言葉なんですけれども、英語ではストラクチュラル・インペディメント・イニシアチブ、こう言っております。ところが、日本語ではこれが構造協議というふうに実にとげのないといいますか、毒を含まないと申しますか、非常に平板な言葉に訳されているわけですね。私はこの構造協議という訳、つまりストラクチュラル・インペディメント・イニシアチブという原語を構造協議と訳したのは、これは私は限りなく誤訳に近い訳だというふうに考えているわけですし、何かその背後に意図があったのではないかとすらげすの勘ぐりをしたくなるわけです。 なぜ私がこの問題にこだわるかといいますと、言葉というものは言うまでもなく意識を規定いたしますし、意識は次いで行動やらあるいはその対応を規定するわけでありますから、たかが誤訳されど誤訳という感じが私は非常に強いわけです。過去の日米関係を振り返ってみましても、言葉の問題が原因になって、いわば誤訳が問題になって日米関係で非常に深刻な事態が招来されたということが幾つもあるわけです。例えば近くは核の持ち込み、英語でイントロダクションと言いますけれども、この両者は似て非なるものであるということが言えますし、もう少し古くは敗戦直前の鈴木貫太郎当時総理が、ポツダム宣言に関連してこれを黙殺するというふうに言われた。その黙殺という言葉が英語でイグノアというふうに訳された。これは、黙殺というのは非常に含みのある言葉でありまして、イグノアではないと思うんですけれども、この鈴木貫太郎提督苦心の作が非常に心ない英語によって連合国に伝えられて、あるアメリカの研究者のごときはそれが広島、長崎の、あるいはそれがソ連の侵攻の一つの原因、失礼、朝鮮半島分割の一つの原因であったなどということを言う人もおる。ですから、私はたかが誤訳されど誤訳だというふうに思うんです。 特に私心配しますのは、さっき申し上げた言葉は意識を規定する、意識は行動を規定するということであれば、構造協議というような非常に何といいますか静的というか、ダイナミズムを欠く非常に簡単なルーチン的な訳を与えることによって、この問題は簡単に事務方レベルで対応できるんだ、処理が可能なんだというような、これは実に誤った印象を皆が持ってしまった。非常に安易な印象を持ってしまった。ところが、この構造協議、いわゆる構造協議というのはトップの政治的な強い意思とそれからリーダーシップというものがどうしても必要になるわけで、それを欠いた場合にはいわゆる構造協議というものはうまくいくはずがないというふうに思うわけです。 これはある方の発言ですが、この構造協議について、上に立って構造協議を押さえるたくあん石みたいなものがなければ、これは構造協議なんというのはうまくいかないんだということをおっしゃった。この方はほかならぬ金丸元副総理でありまして、さすが老巧だなとこう思うんですが、このたくあん石が一体あるのかないのかということを私は実は伺いたいわけなんです。 なぜそういうことを申し上げるかというと、今回の構造協議というのは私の見るところ、間違っているかもしれませんけれども、どうも正攻法ではない、まず第一に。正攻法というのは、いわゆる八五年九月のプラザ合意で始まる金融ないしは為替の調整というようなこと、あるいは八八年の包括通商法のいわゆる例のスーパー三〇一条に結実する部分別商品別のいわゆるMOSS協議、前者はマクロの立場、後者はミクロの立場に発するものでございますけれども、この二つは正攻法だと思うんですね。 ところが、SIIと呼ばれる構造協議というのはマクロでもないミクロでもない非常にあいまいなものでございますし、しかもさっき申し上げたように、一つの経済社会のいわば柱に当たるような部分を手直ししようというかなり何といいますか、冒険的というよりも何かかなり乱暴な議論だというふうに思うんです。 私自身は、アメリカの抱えておるこの問題の究極の解決というのは、やはりアメリカ産業界自身の供給力とそれから競争力を強化していくよりほかにないのであって、それ以外の手だては為替もうまく余り効果を示さなかったし、MOSS協議も余り効果を生まなかった。それで、やむを得ないで、言ってみれば正攻法でなくてけれんわざを使って、まあとったりみたいなものですな、そんなようなものを使って何とかこの問題を解決しようと、今アメリカが非常に焦っているという感じなんです。 随分長いおしゃべりをしたんですけれども、今の私のそういう構造協議観といいますか、構造協議に対する私の判断が大筋において正しいとおぼしめすか、あるいはいやそれはもう全然見当外れだというふうにお考えになるか、総理あるいは大蔵大臣の御所見をぜひ承りたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 私は、その真ん中辺じゃないかと、こう思っております。 といいますのは、二百数十項目にも及ぶ問題点をずっとあげつらって、随分細かいこともございます。私も初めから終わりまで全部ずっと目を通してみても、随分いろいろあるな、我々が何とも思わないようなことも向こうから見るとやっぱり構造問題として提起をされるんだな、これが文化の違いというものかなと妙に感心することもありますし、それから今まさにおっしゃったように、我々が指摘したアメリカ自身が輸出競争力を持ってもらうこと、アメリカの輸出がふえるということ、これが一番大事であって、日米間の貿易インバランスを直していくためにもアメリカから日本に対する輸出力がつくことだということについては、向こうもそれは全くそのとおりだというので、クエール副大統領が自分で議長になってその委員会を一生懸命やっておる。 そんなようなことでお互いに努力をしながら、そしてお互いに問題を指摘し合いながらやっておるわけでありますから、だから、企業の採算の区切り点でも日本は長期の目盛りでいく、アメリカは四分の一の三カ月ごとの決算でいく。そんなようなことで見ていきます違いは、お互いにそれまでなれ親しんできた制度、仕組みであったと思うんです。 そういったことを指摘し合いながら、指摘されながら、それでもなおかつ両方が合致するように努力しようと話を進めていくわけでありますから、これはむだなことではないと思って精力的にそれぞれの分野で取り組んでおりますが、だんだん話をしておりますと象徴的に煮え詰まってくるものは、おっしゃるように一省庁一実務者だけの話で片がつくレベルの問題ではございませんので、政府も政府都内に内閣官房に一つの調整機関をきちっとっくりまして、それから党の方にも、政府が外交問題でありますから一応の先頭の努力はさせてもらう、ただ協力はぜひしてほしいということで、体制はきちっと仕組みまして、今四月の中間評価に向けて鋭意作業を省庁の枠を乗り越えて努力をしておるというところでございます。
○國弘正雄君 この構造協議というのは、ある意味においては非常に大きな矛盾をいろいろ抱えていると思うんです。 その一つは、ガットというようないわゆる多国間主義から離れまして非常に性急ないわゆる結果志向というもの、これがその弊害だと思うんですけれども、を持つ二国間協議というものにどんどん傾斜していっている、二国間協議に収れんしていっているというところがある。しかし同時に、これはアメリカもそう言っているわけですけれども、ガット体制は維持したい、発展させたい、そして世界の平和と安定のために日本の貢献を非常に強く求めている。この二つのテーマというのは果たして両立し得るかどうか。何か片方でアクセルを吹かしながら他方でブレーキをかけているような気が私はしないでもないわけです。 しかし、そのことについてもうこれ以上議論をしても仕方がございませんのでもう一つだけ、私は、この構造協議というものをもたらした一つの大きな心理的な理由というのは、日米関係というものが世界の中において、アメリカの見る限り非常に大きな質的な変化を遂げているということだと思うんです。 これはどういうことかといいますと、アメリカにとりまして、今までは中国とかあるいはソビエトとか場合によってはドイツというようなものが主たる戦略の対象であったわけです。ところが、それが今や日本に取ってかわられつつある。つまり、日本を国際政治における一つの単独のプレーヤーとしてライバル視いたしまして、そして日本の経済やあるいは政治のあり方、さらには社会や文化のあり方にまで非常な目を向けて、厳しい目を向けて、そして自分自身のそれと比較対照するというような姿勢になりつつある。そして日本は、出ていく国際化には非常に熱心で成功をおさめてきたけれども、外のものを受け入れていく国際化、出ていく国際化対受け入れる国際化というふうに対比させるならば、この受け入れる国際化についてはもう日本はとんと不器用で不熱心でということで、今やアメリカ人が日本に対して疑惑と嫌悪のまなざしを向けつつあると言っても私は決して言い過ぎではないと思う。その背後にあるものがいわゆる日本異質論と呼ばれるものだと思いますし、この日本異質論という非常に不気味な存在が黒々と今の日米貿易摩擦あるいは例のSIIというものの下に横たわっているというふうに思うわけです。 そのように考えれば考えるほど、この構造協議というのは、繰り返しになりますけれども、事務方による対症療法的な扱いをはるかに超えたトップレベルにおける非常に高度の、しかも強靭な政治意思の発露が欠かせない。しかも、その政治意思の発露というのは、いわば文明論的な目配りとかあるいは歴史的な目配りというものが欠かせない、このように思うわけです。 そこで伺いたいのは、本当に政治が主導権を握った政治主導型の取り組みが可能であるかどうか、それに対して総理、どのような決意をお持ちであるかということを伺いたい。そして同時に、なぜいわゆる前川レポートが四年半にわたってたなざらしされていたと思われるか、そのあたりの理由についても御意見を承りたい、かように思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 構造協議問題は政治が主導しなければならぬというのは御指摘のとおりでありますし、また私も首脳会談を通じてそのことを肌で感じ取ってまいりました。また、実務者の皆さんの大変な努力もその都度報告を聞き、進展状況等も見ておりますけれども、やはり日米双方ともに言えることかと思いますが、実務者の与えられておる裁量範囲といいますか、そこに置かれておる立場というものもそれぞれ非常に厳しいものがあって、また優秀な官僚であればあるほど理路整然とそれらのことを守られますから、なかなか融合点や前進が見出しにくいという、それがアメリカ議会のいら立ちにもなってくるという結果になるのじゃないでしょうか。 私は今各省の大臣に、それぞれ私の受けてきた印象や物の考え方や個々別々のテーマについても率直に自分の意見を述べて、要請をしております。そして、いつか決断しなければならぬときは、これは内閣の責任において決断をしなければなりません。政治が行わなければならぬと思うのです。そういうときにはぜひ議会の方も、自由民主党のみならず野党の皆さんも御理解を賜って、御協力いただくように心からお願いを申し上げておきます。
○國弘正雄君 その際に省と省との間の障壁といいましょうか、ベルリンの壁は崩れたんですけれども、障壁はまだ崩れないで牢固として抜きがたく日本において存在をする。果たして障壁を越えられるだろうか。つまり、各省間の足並みの乱れが既に伝えられる。そして共同議長に選ばれた省とそうでなかった省との間に恨みつらみのようなものもどうやら存在するらしい。そして、さっき金丸さんのお言葉として引用した、いわゆるたくあん石みたいなものがまだ本当にでき上がっていない。そういったようなことで、果たして障壁というものを越えられるのかどうかということで多少の疑念がないわけではない。 また、これは大蔵大臣にお伺いしたいんですけれども、アメリカでは今回の紛争というのは日米紛争であると同時に、むしろアメリカ対日本の大蔵との闘いであるというようなそういう見方が、これはジャーナリズムにおいてですけれども、若干広がりつつあるわけです。大蔵大臣としてどのように思われるかということを伺いたい。 あわせて、さっき海部総理は二百三十項目をあげつらってとこう仰せになったんですが、まさにそのとおりでして、数え方によっては百五十ぐらいにおさまるかもしれませんけれども、いずれにしてもいろんなことを向こうが言ってきているわけです。それを大蔵大臣はたしかどこかで玉石混交だというふうに仰せになったと記憶するんですが、玉と石との仕分けが進んでいるのかどうなのか、優先順位がつきつつあるのかどうなのか。つまり、すぐできることと時間のかかること、できないことの区別とか、それからいわゆる慣習とか歴史的な体験とかに根差すものであってどうしようもない、それに対して省令ないしは法律というようなものを動かすことによってある程度まで対応ができるもの、そういう仕分け、区分けが十分に今行われつつあるのかどうなのか、つまり玉と石との仕分けについて伺いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員の御意見を承りながら、大変失礼な言い方でありますけれども、十分アメリカを御存じの國弘さんでもこういう御議論が時として出るのかなという感じを受けました。それはなぜかと申しますと、私はこの構造協議という訳語が適切であるかどうか、これを判断する能力は持ちません。そして、確かに私はアメリカ側の提供されたアイデアに対して玉石混交という評価をいたしました。これはくくり方によって本当に二百幾つという勘定もできます。百幾つという勘定もできます。非常に大きなテーマから非常に小さなテーマまで列記されておるわけでありますから。まさに私は玉石混交という印象を得ましたし、その中から玉を拾い出していき磨き上げる努力を今継続いたしております。 ただ、この問題を論議しながらいつも私は感じますことは、アメリカ側は非常にフランクに、日本側から提供したアイデアに対して関心を示すと非常に積極的にそれに乗ってくる。どうも日本側はまず被害者意識が先に立ってしまって、何かアメリカ側のアイデアを取り上げることがこけんにかかわるような感じで身構えてしまうときがありはしないか。そういうことは我々としてはどんなことがあっても避けなければならない、そう思い続けてまいりました。そして、むしろ例えば相当な痛みを伴うテーマでありましても、国民生活の質の向上という視点から見れば日本そのものがみずから努力すべきテーマというものもあるわけでありますから、これは我々自身の責任においてやり遂げていかなければならないもの、そのように考えております。 そして、今委員が大変御心配をいただいておりますけれども、恐らく私は他省庁も同様の状況だと思いますが、私の部屋で何遍も何遍も会議と言うよりも思い切った議論を闘わせておりますうちに、我々としてこういう答え方をすれば少なくともこの提案が生かせるのではないか、アイデアを日本の今後の国民生活の質の向上という視点から生かすことができるのではないか、そういうテーマも出てまいります。逆に我々として譲り得ないと思われるものも出てまいります。これはお互いのアイデアでありますから、双方ともにぶつけ合ったアイデアの中でお互いが相手側の提案の中から玉を拾い出す努力をしていく、その中に政治は責任を持ちながら行政とともにこの作業を進めておる、私はそう理解をいたしております。
○國弘正雄君 お言葉を返すようですけれども、私自身はそんな被害者意識を持っておりません、個人として。ただ、日本の人々あるいはマスコミ論調などを見ておりますと、今蔵相御指摘のような被害者意識という言葉であらわされ得るような感情があることは事実であります。ただし全く逆の感情もあるわけでして、今度のアメリカ主導のSIIというのは我々一般消費者にとって、あるいは一般の市民にとって大変にありがたいことだと。きのうですかおとといですか、タクシーの運転手さんとたまたま話をしておりましたら、もうアメリカががんがんやってほしいというようなことを言う人もいるぐらいですから。私はただ単に妙なナショナリズム、あしきナショナリズムが触発されるとか、あるいは被害者意識に身をかたくするということだけではないと思うんですね。 ただ、現実の問題として、日本のお役所のセクショナリズムと言わしていただきましょうか、それがこういうような外からの問題の際に払拭されるのかどうなのか、それがきしみを立てないでスムーズに機能し得るのかどうなのか、そのあたりに若干の懸念があるということだけはやはり申し上げなくちゃならないと思うんです。 この構造の問題についてこれは系列ということが一つの大きなテーマになっているんですが、系列ということを一つ例にとって、これはあくまで例としてお聞き願いたいんですけれども、例にとって、ちょっとこれは難しい面があるなと、こういう協議になじまないかもしれないなと思うようなことがございます。それは例えば、これは非常に瑣末な例で申しわけありませんけれども、例えば郊外の駅前の一杯飲み屋さんに行く、あるいはさりげない小料理屋さんに行く。ところが、そこでもしアサヒビールを出すとすると、絶対にキリンビールは飲めないというものです。そういうようないわゆる系列というものがそのレベルにまで牢固として存在をしている。 あるいは、アメリカの例えばフォードの自動車工場に参りましてそこの従業員の駐車場を見ますと、フォード車以外のクライスラーとかあるいはGMだとかあるいは外国車なんていうものは山ほど置いてある。ところが、日本の例えばトヨタの工場に行って従業員用の駐車場を見ておりますと、恐らくは日産の自動車を持ってきている人はいないと思うんですね。もしそんなことをするとすればもう恐らく仲間からも村八分にされるし、組合もそんな者は企業別組合でありますから擁護してくれないし、また会社の上役の覚えもめでたくなくなるだろう。いろんなことが出てくる。 だから、これは一つの瑣末な例でございますけれども、そういうような意味において、例えば系列問題などというのは果たして、何といいますか、こういう種類の協議、異文化間の交渉とか協議になじむものであるかどうか、私は議論なしとはしないということを申し上げたい。 それから、アメリカ人が一番苦情を申し立てることの一つは、なかなか日本の中に新入者として参入できないというようなことを申します。これは全くそのとおりでありまして、まさに恥ずかしいの一語に尽きるわけですけれども、例えば、日本の人でも、日本の社会に新参者としてうまく参入できるかどうかということを考えるわけです。 私この間、といってもかなり前ですが、京セラの稲盛さんにお会いしたときに、稲盛さんが鹿児島から出てこられた、そして人脈も何もない、もう裸一貫、彼の知恵といいますか、それで名をなした方ですけれども、何の紹介状もない、これという縁戚関係もない、知人もいない、そういったような人があれだけ懸命になって新しいものを工夫、開発、発明したわけですね。そして、それを持って日本のいわゆる並みいる大手のメーカーとかあるいはそういうものを使ってくれるユーザーのところを訪れたら、けんもほろろで全然受け付けてくれない。おまえどこの馬の骨だみたいな扱いをどこでも受けたというわけですね。これは日本人です。稲盛さんはれっきとした日本人ですけれども、日本の国内においてそういう扱いを受けた。 ところが、そこで彼は意を決してアメリカへ行くわけです。これまた紹介状も何もないところへ裸一貫乗り込むわけですね。テキサス・インスツルメンツに参りまして、そこで自分はこれこれしかじかこういう者だ、自分はこうこうこういうものをつくったんだ、悪いけれども自分のところの製品を一回見てくれないかと。喜んで会おうと言って会ってくれて、そして品物を見たあげくの果てに、稲盛さんの製品をテキサス・インスツルメンツが大量に買い上げる約束をしてくれた。その約束を見て、従来はけんもはろろだった日本メーカーやユーザーが手の平を返して稲盛さんのところに近づいてきた。 これは一つの例ですけれども、私は日本の社会においてある一つの領域に新入者が入っていくことは非常に難しいんだということを言わざるを得ない。私はそれを是としているわけではありません。非常に悲しいことだと思っているわけです。だけれども、そういう現実がある。そういうような現実というもの、これは社会的あるいは文化的な背景に根差した歴史的伝統にずぶぬれにぬれているそういったようなものを、例えば日米交渉というような場でうまく取り上げることができるんだろうかどうだろうかという懸念を持つということだけは申し上げておきたい。 そこで、今度は日本異質論というところに急ぎ進めさせていただきたいんですけれども、いわゆる異質論というものについて、総理よく御案内だと思いますが、どういったような印象をお持ちでございましょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) この間アメリカへ行きました夏の訪米のときに、ボストンへ行って日本異質論を書いた御本人やライシャワー先生以下十五人ぐらいの文化人の方に時間を区切らないでお話を聞く機会をつくりました。いろいろ聞いたんですけれども、日本異質論というのは、やはり我々が非常に何でもないことだ、例えば日本に中小企業というものがあってそれが下請関係にあって、そして部品の段階から親会社といろいろな話し合いをしておって、いい品質で自信の持てるものを出しておるというようなところに入り込もうと思っても、見本を持ってきただけでは入り込めなかったというような例も、たまたま今のお話と逆の話でアメリカ側から出たこともありました。 あるいは、もっと極端なことになりますと、何かグループで温泉へ行って一杯飲まないとそこの下請関係に入れないというのは間違っておるではないか。アメリカから来て随分日本の事情に詳しくなったお方が言われたことでもありました。 けれども、そんなお話をいろいろずっと聞いておりますと、やはり歴史と文化と伝統があって、特に太平洋という大きな海を真ん中に置いておりますと、ごく当たり前と思うこともお互いに通じないことがあるのだなということがしみじみとわかるわけであります。だからそれを異質だ、ルールが違うと決めてしまわないで、それを理解すること、そういった中へ溶け込んでいくためにはまず、すべては無理としても、どこからどう着手したらいいかということについて議論をし話をし、小さな窓口でもあげていくような努力をしていくことが相互理解につながっていくのではないだろうか、こんなことを非常に私は感じました。 したがいまして、議論の結果は、例えばJETプログラムとか、あるいは研究生、留学生の交流とかいうようなことをもっと活発にすることも大切なことであるけれども、貿易関係、経済関係では草の根輸出促進使節団のようなものをどんと送って、一カ月、二カ月地方の地域に入り込んで、どんなものが必要とされておるか、どんなものが貿易の品としてはいいかということをお互いに話し合って商品見本を交換してみるとか、いろいろそういった努力の積み重ねがこれからますます大切になってくるなということをしみじみと感じてまいりました。
○國弘正雄君 実は、総理がボストンにいらっしゃった七日後に私もボストンへ参りまして、いろいろお話を伺いました。私も幾つかの大学で話をする機会があったんですが、その中にはさっき仰せになったライシャワーさんその他知日派の人々、それからいわゆる日本異質論を展開している人々、その日本異質論を展開している四人のうちの三人の本を私は訳して世に問うておりますのでよく知っているわけですけれども、とにかくそういうところで日本について非常によく知っている人々がなお、日本というのはやっぱりどう考えてもちょっとてにをはが合わない、我々の考え方からいうとよくわからぬというようなことを言うわけですね。決して日本に無知な人じゃないんです。 それはある種の非常にハイレベルの日本異質論だと思うんです。例えば五五年以来政権交代が日本にはないというようなことは、彼らにとっては非常に異常なことに属するわけですね。これじゃ政治が形骸化するだろうし野党も無力化するだろう、こう言うわけです。もちろん私は政権交代がかくも長くなかったことは自民党のせいだと申し上げているんじゃありません。これは野党の無力さということのみずから責めるべきであります。しかし、いわゆる西側の成熟した民主主義諸国の中で政権交代が四十年の長きにわたって存在しなかった国というのは恐らく日本だけでありましょうし、他のいわゆる先進国というものを考えるならば、ソビエトとそれから南アフリカであるということが言えるだろうと思う。これはある種の皮肉でございますけれども、そういうことが言えるだろうと思うんですね。 あるいは、ちょっと差しさわりがあるかもしれませんけれども、日本の自民党所属の衆議院議員の四〇%近くが広い意味での世襲議員であられるというようなこと、これも彼らにしてみると非常にわかりにくいことの一つである。いいとか悪いとか言っているんじゃありません。我々とは違うなというふうに彼らが思っている。ある研究者は、これが日本の社会の一つの硬直化のあらわれでなければ幸いだ、彼は化石化現象というような言葉を使っているんですけれども、そのあらわれでなければ幸いだというふうなことを言い、権力の世襲が今世界の耳目を集めているどこかの国のことを余り日本は笑えないんじゃないかというようなことを言う人もありました。 あるいは、目を覆わんばかりのいわゆる金権選挙、それに伴う金権政治というようなことについても、いろいろと我々では理解できないということを言う人がおりました。 あるいは、日米関係、日米交渉に従事した人の中には、どうも日本では政治家と話をしてもらちが明かないというようなことを言う人がおりました。ほかのいわゆる先進諸国であれば政治家こそがまさに統治しそして君臨しているわけですけれども、どうも日本は政治家は君臨すれども統治せずだ、実際に日本を動かしているのはむしろ官僚機構だ、だから日本は民主主義じゃなくて官主主義だというようなことを言う人もいたわけですよ。 ですから、そういったような日本異質論というのはやっぱり今あるわけでして、特に経済に触発されて日本の政治のあり方とか、あるいは文化、社会のあり方、その中には歴史的なものも入るわけですけれども、そういったようなものに目を向けて、どうもあの人たちはおれたちとは違うという異質論が出てきている。その異質論というものと今回の構造協議というものは縦糸と横糸のような感じで存在をすると私は思っているので、これを解きほぐしていくのは本当に大変なことだ、そう容易なことではないというふうに思いますし、さっき総理も仰せになりましたけれども、我々もそういうようなことを少しでも解きほぐしていくために、微力ですけれどもやはり努力をしていかなければならないというふうに考えています。 もう時間がございませんので、最後に環境問題とそれから防災問題をまとめて伺いたいと思うんです。 国民の生命財産を守っていくのが政治の要諦であるということを総理もこの間おっしゃいましたし、全くそのとおりだと思うんですが、そういう国民の生命財産を守るという立場からいいますと、環境の問題とそれから地震対策の問題、防災の問題というのは、これは実に密接な関係があるわけであります。 詳しく申し上げる時間がもうありませんけれども、例えばブッシュ大統領は、みずからを環境の大統領として知られたいということで、環境保護局を環境省に格上げをし、閣僚レベルのポストにするというふうなことを言っております。あるいは木を植えるということについて、一年間に毎年十億本の植樹を提案するというようなことも言っております。詳しいことは申し上げる時間がございませんけれども、そういういわば地球環境の問題、そして身近な今度は公害の問題に両方とも目を向けて、政治が今変わろうとしている。そして、アメリカのフォーチュンという雑誌は、一九九〇年代は間違いなく地球の十年間、アース・デケードになるだろうと。現にアメリカのいろいろな企業あるいは研究機関あるいは政府諸機関は、環境問題について非常に熱心にこれを取り扱っているわけです。 さっき申し上げた大統領が木を植えようとこう言い出した植樹という問題について、既に我が方で、日本で大変な先覚者がおられて、昭和十三年二月にそういう運動を行っておられる。小学校林造成建議案というのがあったんですが、御存じでしょうか。——済みません、それでは結構です。 昭和十三年といいますと総理も私もちょうど小学校の一、二年のころだろうと思うんですね。これを提案した方がいらっしゃる。この提案した方は何を提案されたかというと、農林省が一町歩の国有林その他を全国五千の小学校にただで貸しまして、苗木も無料で提供して三千本の杉の木を植えさせた。これが最近の杉公害の原因かどうか知りませんけれども、今も亭々としてその杉の木が威容を誇っているわけです。子供たちに愛林植樹の思想を普及させるというのが一つの目的だったわけですが、その提案者は、総理ないしは官房長官ないしは環境庁長官にとっては大変にお懐かしい名前であろうと思うんです。一人は故松浦周太郎さんでありますし、いまお一人は現存される伊藤五郎さんでございます。 これはもう大変な先見性を持った営みである。昭和十三年というようなときにそんなことをやった人がいたんだと思うと、私は何か勇気づけられる気がするわけでございます。もちろん、たくさん木を植えますとアメリカやカナダとの競合の可能性もありますし、アメリカからの輸入が非常に伸びているということで問題もあるわけですけれども、しかし環境問題に対してもっとお互い力を払いそしてお金も使うようにいたしませんと、恐らくこの環境保全バスに我々は乗りおくれてしまうだろう。環境保全バスに乗りおくれるということは、新たな対西欧やあるいは対アジアやそして対米との貿易摩擦と言えるかどうかわかりませんが、ある種の摩擦を生み出すことに相なるだろう。私はそのように考え、この四月二十二日にはアースデーと呼ばれる地球環境保全を目的とした会合が全世界の百二十数カ国で開かれます。どうぞアースデーについても皆さん方が御関心をお持ち願えればまことに幸いであるということを申し上げたいと思います。 なお、防災の問題については、日本は地震国なんですね。ところが、地震予知対策に一年間何ぼお金を使っているとおぼしめしますか。六十二億円であります。たったの六十二億円であります。地震というのはもう必ずやってくる。ある専門家に言わせると、地球……
○委員長(林田悠紀夫君) 國弘君、時間が参ました。
○國弘正雄君 わかりました。 地下の平和は既に終わった、もういつあっておかしくないということでございますが、六十二億円という金額は余りにもみみっち過ぎはしないかということを最後に申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で國弘正雄君の質疑は終了いたしました。(拍手) 次回は来る二十六日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十五分散会