文教委員会 第8号
- 発言数
- 139 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1990/06/26
会議録
○委員長(柳川覺治君) ただいまから文教委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨二十五日、森山眞弓君が委員を辞任され、その補欠として野村五男君が選任されました。 —————————————
○委員長(柳川覺治君) 生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○粕谷照美君 本法律案は、先週の木曜日、そしてきのうの参考人、そしてきょうという審議の状況になっておりますが、私は、審議をしていけばいくほど、皆さんの質問を伺えば伺うほど、やっぱりこの法律には大変な問題がある、まだまだ国民の中にはきちんとした納得がいかない部分がある、したがってもっと慎重に審議をしていくべきである、こういう考え方を持っているわけでありますが、日程も協議されたことでありますので、主題の中に入っていきます。 大臣の御出席なかったきのうの参考人の質疑討論の中で、川崎市の教育委員会の社会教育部社会教育主事、現場の方でございますけれども、北條参考人が大変いいことを言っていらっしゃいました。「民間で行われる教育事業(カルチャーセンター等)と公的な社会教育は理論においても実際の行政においても、厳然と区別されていたものであり、その連携ならば各地で追求されてきたが、渾然一体となって生涯学習を行うことは現場に混乱をもたらすものである。また、営利との問題も派生してくる。」、こういうことを言っていらっしやるわけですね。私は、現場で長い間社会教育に当たってきた方のこの発言というのは非常に重いものだというように受けとめているということをまず御理解いただきたいと思っております。 さて、その中で、民間活力の導入ということに関連をいたしまして、民間教育事業、教育の民間活力の導入、これは一体どういうことなのかということに関連をいたしまして、民間教育振興協会についてお伺いをいたします。 まず、この団体、協会といいますか、これはどのような組織になっておりますでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) 今お尋ねの民間教育振興協会でございますが、これは、民間の教育事業の水準の維持向上と自主的な規制を図るということを主要な目的といたしまして、平成元年の四月に任意団体として発足いたしました。その会員は学習塾の関係者が五割を超えますけれども、その他四割強につきましては、書道あるいは手工芸といったようなおけいこごとの塾等によって構成されております。 この民間教育振興協会から去る四月の半ばに公益法人としての設立の許可申請が出されているというのが実態でございます。
○粕谷照美君 会長は中島元文部大臣でございますね。そして副会長が栄光ゼミナール塾長ですね。学習塾の塾長さんが副会長になっておる、間違いありませんか。
○政府委員(横瀬庄次君) 会長は、先生おっしゃいましたとおり中島衆議院議員でございます。それから副会長は、この申請書によりますと、栄光教育研究所の田中さんという方でございます。
○粕谷照美君 局長は五〇%学習塾だ、こう言われましたけれども、私の調べでは五〇%を上回って学習塾が参加をしているのではないか、こういうふうに思います。まあ五〇%であろうと五十何%であろうと大したことありませんが、学習塾が入っている。通産省認可に全国学習塾協会というのがありますね、そこに入らない学習塾がこちらの方に入ってきているんだと思いますけれども、この学習塾主体の民間教育振興協会を文部省が法人として認めようという考え方があるのではないかと思いますが、申請は上がっておりますけれども、あるんですね。
○政府委員(横瀬庄次君) この民間教育振興協会からの法人申請は、先ほど申しましたように四月の半ばに出されております。 現在その内容について、事業内容でありますとか、あるいは管理運営体制とか、あるいはこの事業の目的でありますとか、そういった事柄につきまして文部省内の関係各課におきまして慎重に検討しているというのが現段階でございます。
○粕谷照美君 学習塾を法人として文部省が認める、公認をするということは、学習塾の教育内容についても認める、こういうふうになりますでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) 現在その公益法人の申請がございましたので、その点につきましていろいろとあらゆる部面から検討しているところでございますが、その中には学習塾の位置づけといいますか、そういうこと、あるいはおけいこごと塾と学習塾の違いとか、あるいは関連とか、そういうようなことも含めましてあらゆる部面について慎重に検討しているということでございます。
○粕谷照美君 学習塾について検討しているのは何もこの四月に申請されてからじゃないでしょう。ずっと前からこの学習塾のことが問題になっていて、家庭教師の派遣なども含めて学校教育に与える影響などというのは非常に大きな社会的な課題になっていることは文部省は十分承知だと思うんですね。四月から五月、六月ともう二カ月慎重に審議して、まだ結論が出ないというのは一体何ですか。私はそういうふうに思います。 ところで、この学習塾問題について前の石橋文部大臣は、これは教育の場において咲いたあだ花だとかいう何かロマンチックな表現をされておりましたけれども、文部大臣はこの学習塾というものをどのようにお考えでしょうか。 私は、初めて予算委員になったときに、文部省では、というよりも学習指導要領で、小学校の一年生に入るときにまあ一から十ぐらいまでの数がわかればよろしい、自分の名前が読めて自分の字が書ければよろしいというぐらいの子供が学校に入ってきて、学校教育の中で字を覚えていくのか数字を覚えていくのか、この辺どうでしょうという、こういう質問を今の総理であります海部文部大臣にいたしましたら、海部文部大臣は、公的にはそのとおりであります、しかし親になりますとそういうわけにはいきませんというような話をなさったことを今でも忘れることはできないわけでありますが、学習塾についての文部大臣のお考えを伺います。
○国務大臣(保利耕輔君) 私自身実は学習塾に行ったことがありませんし、あるいは家庭教師というのについたということもないものですから、自分自身の経験ではよくわかりません。 しかし、一般に言われておりますように、親が子供をどういうふうに教育していくかというのは、親の教育権としてはこれは認められることだろうと思います。したがいまして、親御さんが自分の子供さんを教育する場合に、学校の先生と連絡をとりながら、もし少しおくれているなという場合には、特別に先生に来ていただくなりして勉強させるというところまでは私はあることだなと思っております。それがやや組織化されてきたものがどうも学習塾のような気がいたしております。 そういう位置づけで学習塾というのを考えておりますが、しかし私は、やはり学校教育というものは何のためにあるのかということはきちんと考えていかなければならないことだと思いますし、とりわけ義務教育において基礎・基本をしっかり教えるんだということをいつの場合でも申し上げている立場から申し上げれば、学校教育の中できちんとこの社会に生活をしていくための基礎・基本は習っていくべきことである、こういうふうに考えております。
○粕谷照美君 一月三十日に出されました「生涯学習の基盤整備について」の答申ですね、この答申を出すまでには随分いろいろな議論があったと思われるわけでございますけれども、中教審では学習塾の問題をどのように扱っておりましたですか。
○政府委員(佐藤次郎君) 中教審におきます審議状況についてお答えをいたします。 中央教育審議会におきましては、「民間教育事業の支援の在り方」ということにつきまして文部大臣から審議事項として審議をお願いいたしたわけでございますが、その際に民間教育事業についてどう考えたかということでございますが、いわゆるカルチャーセンターということを念頭に置いてこの「民間教育事業の支援の在り方」というのをまとめたわけでございます。その中にはいわゆる学習塾ということは含まれていないというふうに私は承知をいたしております。
○粕谷照美君 そうしますと、学習塾は中教審の中では考えていない、逆に言えば生涯学習の基盤整備に当たって学習塾は中に入らない、こう理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(佐藤次郎君) ただいま申し上げましたように、中教審の今回の「生涯学習基盤の整備について」につきましては、文部大臣が具体的な審議事項をお示しして審議をお願いしたところでございます。その中に「民間教育事業の支援の在り方」というものがございまして、そういう観点から中教審としてはこの問題を検討いたしたわけでございます。その中には学習塾というのは含まれていない、こういうことでございます。
○粕谷照美君 そういたしますと、例えばもしもこれを文部省が法人として認める、認めたその法人が生涯学習のこの計画の中に入っていくということはないですね、今の御答弁で言えば。どうでしょう。
○政府委員(佐藤次郎君) これはあくまでも中教審の審議の状況につきまして事務局を担当している私といたしまして申し上げていることでございますので、中教審の審議の中では、学習塾の問題は、先ほど申し上げましたような「民間教育事業の支援の在り方」の審議の中ではそういう扱いにされていた、こういうことでございます。
○粕谷照美君 答申の中でそういうふうになったということは明確になりましたから、私はそのことで納得をいたします。 この民間教育振興協会の主体が学習塾である、半数が学習塾である、私は半数以上だというふうに思っておりますが。この団体を既に文部省は認可しますという約束をしているんじゃないんですか。
○政府委員(横瀬庄次君) まず、学習塾関係者の割合でございますが、現在申請の段階で五六%でございます。 それで、今先生お話しのようなそういう公益法人化につきまして、文部省がそういう態度を表明したり決めたりというようなことはございません。現在慎重に検討中でございます。
○粕谷照美君 そうしますと、五月二十四日、民間教育振興協会事務局長近藤正隆さんのお名前で「設立記念パーティ延期のお知らせ」という文書が会員各位に出されているわけであります。いろいろありますから短い部分だけ取り上げますけれども、「そこで今国会開会中の社団認可は、かなり困難な状態となってまいりました。」、国会がうるさいから、多分まあこれは認可するわけにいかないだろうという分析だと思うんです。 その次に、「勿論、本会の社団化は確実ですので、その点の心配は全くありません」、こういうふうに言っています。そして、「九月頃まで延期し、充分な準備をして、素晴らしいパーティにしようと考えております。」、こういうことを言っているんですよ。約束しているんじゃないんですか。
○政府委員(横瀬庄次君) そういったような申請者側の動きというものについては私は承知をしておりませんし、それは申請者側のある意味での一つの見通しでございましょうが、私どもとしては決してこの法人化について決めるというようなことはいたしておりません。慎重に検討中でございます。
○粕谷照美君 わからないですね、それは。全然わかりませんですね。だって、こういうこともまた書いてあるんですよ。これは日にちがちょっと入っていないんですけれども——文部省は資料よこせよこせと言ったって、何にも出してこない。本当に資料を出さないんですね。まあ口がかたいというか、守秘義務があるというか何か知らぬけれども、社会党で要求して出してきたものは「目的」と「事業」のこれだけですよ。認可申請を出しているんですから、認可申請を出すからにはいろんなものがついて出ていると思うんですけれども、そういうものもちゃんと出してください。 例えばもう一枚の文書の中には、「本年三月二十六日に行なわれました文部省主管課長会議におきまして、本会社団化の第二次審査が無事終了した。そして平成二年四月十六日、設立総会を霞が関ビル三十三階で開くに至った。」、こういう経過報告も書いてあるんですね。主管課長会議のもう第二次審査が無事に終わったというんですよ。約束しているんじゃないですか。
○政府委員(横瀬庄次君) 今のおっしゃいました主管課長会議と申しますのは、文部省の中にいわゆる連絡課長級で構成されました民法法人の審査会がございまして、その審査会のことではないかというふうに思います。これは法人の形式的な面といいますか、資産面でありますとか、法人の役員面でありますとか、いろいろな基準があるわけでございますけれども、そういうことについて形式的な審査をする、そういう役目の組織でございまして、その点については仰せのとおり一応その形式的な資格は有するものとして認められているところではございます。しかし、この業務等々につきましては、これは各主管局といいますか、関係のある局課が慎重にあらゆる面から検討する、そういう手続が必要でございまして、現在その中で慎重に検討している、こういうことでございます。
○粕谷照美君 私は、それではもう少し詳しく、三十分しか質問時間がありませんので簡単にやりますけれども、この協会の事業計画の中からお伺いします。 「生涯学習のための地域人材バンク設置構想」、こういうのがあるんですね。知識、資格、特技、技能、こういうものを持った人々を登録して講師として活用したい、これはどうですか。
○政府委員(横瀬庄次君) 確かにそういう「生涯学習のための地域人材バンク設置構想の確立」というのがその平成二年度の事業計画の中に一つ入っております。この民間教育振興協会は民間の教育事業の水準の維持向上ということを目的にしておりますので、そういった一般的な意味から申し上げますと、こういうような講師の活用というような方策というのは一応この目的の中に入った事業計画じゃないかとは思っております。ただ、こういう詳細につきましては、なお現在検討中でございますので、こういったことも含めましていろいろと詳細にわたって検討していかなきゃいけないというふうに考えております。
○粕谷照美君 まだあるんですね。こういう人材バンク、それはカルチャーなどにはいろいろあるでしょう、何かの特技を持った先生をお呼びしたい、どこにいい先生がいらっしゃるかなんというのはあると思いますけれども、学習塾のデータをこのようにやるということについていかがお考えですかということを私は質問したつもりです。言葉が足りませんでした。
○政府委員(横瀬庄次君) この表現の中では、またさっき申し上げましたように、この団体の構成員の一応四割強はおけいこごと塾等の会員でもございますので、これは特に学習塾と限っているわけじゃないというふうに思います。 それから、学習塾につきましては、これは先ほど申しましたように、学習塾の位置づけ等々から公益法人ということについて検討する際には、その辺から改めて問い直していかなければならないことでございますので、そういった点に関連する問題として考えております。
○粕谷照美君 もしもこれが認可されたといたしましても、私は学習塾に関するデータベースなどは入力すべきではないというふうに思いますけれども、その点はいかがですか。
○政府委員(横瀬庄次君) それが公益性を持つのかどうかという点を含めて検討しなきゃいけない問題だというふうに思います。この計画の表現だけでは、それがどういうことを意味するのか、まだはっきりしない点もございますので、そういった点も詰めていかなきゃならないというふうに思います。
○粕谷照美君 局長のところまでまだ届いていないんでしょうかね。「生涯学習に関係する団体及び関係諸機関との連絡協調」、これが事業計画の中にありまして、例えば「文部省及び社会教育諸団体が主催する「生涯学習フェスティバル」への参加」、文部省主催のことに参加をするという権利を持つ。「文部省並びに関係諸機関との懇談会」、何ですか懇談会というのは。「及びシンポジウムの開催」、シンポジウムのテーマはいろいろあるでしょうけれども、パネラーに教育委員会あるいは学校からも出てもらいますよ。学習塾そのものが計画をしなくても、こういうものを隠れみのにして学習塾が堂々とこういうことをやろうということについて、じゃ局長はどのようなことをお考えですか。
○政府委員(横瀬庄次君) この民間教育振興協会は、先ほどから申し上げていますように、単に学習塾だけではないわけでございます。それから、会員の中には教材会社というのも団体として一応入っておりまして、そういったものも含めまして民間の教育事業の水準向上というようなことでいろいろな事業が組まれているというふうに思います。 ただ、ここに挙がっております事業計画そのものは、これは団体のいわば主観的な事業計画でございまして、これをまさに審査しているわけでございまして、これを文部省が既に認めているというようなスタンスで考えているわけではございません。これはあくまでも団体の一つの申請内容であるというふうに御理解いただきたいと思います。
○粕谷照美君 いろいろあるんですけれども、とにかく「国民の基礎的学力を高めるための制度の研究」、基礎的学力を高める制度の研究をこういうところがやるとすれば、もう学校教育なんというのは必要ないですね。これは否定をされているというように思いませんか。
○政府委員(横瀬庄次君) こういう点につきましても、先ほど来申し上げておりますように、この民間教育振興協会の中で、申請の上でそういう一つの希望といいますか、意欲といいますか、そういうやりたいということで挙がってきていることでございまして、それを公益性の立場からいろいろと現在審査をしているという段階でございます。 教育制度、学校制度の研究というのを民間の立場で研究するということはあり得ることだと思いますけれども、それが全体の目的とどういうふうにつながっていくのかというのは、これから十分検討していかなきゃならない問題だというふうに思っております。
○粕谷照美君 同じくこちらの出した文書に、今私が申し上げたことで言えば、「漢字の読み書き検定の調査」などというのが挙がっているんですね。また、算数の足し算、引き算、割り算、掛け算、こういうようなものに対する検定の調査なんていうものもこういう団体がやろうとしている。こういう文書が出ているんですよ、資料が。文部省はありませんありませんなんて言うけれども。 それから、「社会保険制度、共済制度の必要性、可能性に対する調査研究」。学習塾の中で働く人たちが、本当にもう残酷な労働条件の中で働かされている。私のところにはいっぱい資料が来ておりますが、そういう問題をこれから研究しようというような団体を文部省が社団法人として認めるということは、私は絶対にあってはいけないと思うんですよ。大体、労働基準法違反のようなものを認可するなんていうことは許されない、こういうふうに思っております。 ところが、「今後の展望」というのがまたここにありまして、その中に、「今回文部省では学習塾も含めて社団法人化を許可してくださった。」と断定しているんです。「その際規制等は一切なかった」、こういうふうにも断定しております。「自主的に倫理綱領を作成し、自ら衿を正し、教育機関としての公益性を主張する必要がある。さもないと灘中事件のように、子供が可哀想な結果になる。」、これはもう学習塾のやってきたそのことをそのまま書いてあるんだと思うんですね。 それで、倫理綱領などというものを見ますと、誇大広告はやめましょう、「日本一」だ、「全国一」だ、「No1」なんていうようなことをやってはいけませんとか、あるいは「完全」だとか「一〇〇%」、「絶対」などというような完璧を意味する用語は使用しない、こういうことが倫理綱領の中にあるんですね。どういうことになっているんですかね。それから、「教室運営を」、だから多分学習塾の教室運営ということに私はとるんですけれども、「教室運営を教材・教具の販売のための役務としては利用しない。」、もうこのあたりから私は、だんだん大変問題があるなということがにおってくると思うんですね。教材についても「市販教材の場合、著作権、奥付、価格等に関して、世間から十分な信頼を得るように」しよう、こういうふうなことを倫理綱領として出しているんですね。いかに今までいいかげんなことをしてきたかということを反省しての倫理綱領だというふうに思うわけであります。 そしてさらに、どういうことですか、これ。社団法人として「不整の事実を発見したときは、これを理事会、総会又は文部大臣に報告すること。」、こういうことを書いているんですね。幾ら社団法人としても、私は文部大臣にこんなことを報告するというのは異常なことだというふうに思うわけであります。 ところが、同じ学習塾に通産省認可の社団法人がありながら、文部省というのはこれまた違うんですね。もうマークもつくっているんですね、認可されたものとしてちゃんとつくっています、日本教育新聞に出ているんですから。「文部省許可 社団法人 民間教育振興協会」、こういうマークまでつくりまして、文部省がオーケーと言えばぱっと出るようになっていました。そして、何よりももう文部省の認可はありがたい、今度いろんなところを回って、「入会しないと文部省が認めてくれないかもしれない、といって入会をすすめて下さい」と総会で最後に田中さんという栄光ゼミナールの塾長さんがごあいさつをしているんですね。 今度地域へおりていきましたら一体どういうことが行われるか。私は、きのう参考人としておいでになったあの川崎の北條さんの言葉が忘れられません。大変なことですよ。何かリクルートのにおいがぷんぷんとこのごろしてくるような気がしてなりません。文部省は十分に気をつけていただきたい、こういうふうに思いますけれども、文部大臣のお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(保利耕輔君) この民間教育振興協会の認可の問題につきましては、まだ私のところまで上がってきておりません。いろいろとしかし、お話を国会の中でも伺っております。 そうした中で考えられますことは、申請者には申請者の論理があろうかと思いますが、私どもは、やはり学校教育で基礎・基本を教えていくということが中心になって物事は考えていくべきことであろうと思いますし、さらに国会でのこうしたいろいろな御論議、あるいは中教審の答申、そういったものをいろいろ参考にさせていただきながら、慎重に対処すべき問題だと考えております。
○政府委員(横瀬庄次君) 先ほどこの協会が社団法人として認可されたかのようなそういう動きをされているというお話がございました。私どももそれにつきましては二、三気がついたところがございまして、それについては厳重にその申請者に対して抗議をしてございます。 それから、この点についての一つの考え方として、今お挙げになりました自粛といいますか、自主的な形で健全化の方向にいろいろと行動をするということについて、果たしてどの程度それが有効なものかというのも一つの検討課題として考えなければいけないというふうに思います。 それと、この団体は何と申しましても学習塾だけではございませんので、おけいこごと塾というのが会員として入ってくる、それがどういうふうな形で今後行動していくのか、その点は十分にひとつ慎重に検討していかなければならない、そんなふうに私は思っております。
○粕谷照美君 私は最後に意見を申し上げます。 民間で行われる教育事業と学校教育というのは、理論的にも、そしてまた行政的にも厳然として区別があるんだということだけはきちんととらまえて対処をしていただきたい。 以上をもって私の質問を終わります。
○小林正君 初めに、この生涯学習振興関係の法律の問題とは若干違う視点で、きのうそしてきょうの新聞に出ておりました記事を読みまして、これは国の問題で考えると、やっぱりここでいろいろ考えるのが一番適切ではないのかなというふうに思いまして、急遽お伺いをしようと考えたわけでございます。そういう意味で、このきのうきょうの報道について、これから改善をされるという期待感を持っている多くの人たちもおられるかというふうに思いますので、答弁についてはぜひ慎重な答弁をお願いしたいというふうに思うわけでございます。 けさの朝日新聞の天声人語の欄に、きのうの報道もあったんですけれども、 大阪朝鮮高級学校は、在日朝鮮人生徒が通っている高校だ。そのバレーボール部が、初めて、地元の高体連(全国高等学校体育連盟)主催の春季大会に出場を認められた。ところが途中で、今後は参加を見合わせてくれ、と言われる。 今後の大会への出場を断る通知が来たのは、一次予選を勝ち抜いた直後だった。念願の大会参加を認められ、喜んでいた生徒たちには、打撃だったに違いない。朝鮮語を漢字に直したユニホームを新調し、試合の組み合わせ表が出来上がった時には歓声を上げていた、というのに。 それで、その断られた理由が、 「朝鮮高級学校が高体連に加盟できぬことに途中で気づいた」ためと説明された。高体連には、学校教育法第一条に定める「学校」しか加盟できないが、同校はそれに当たらず、各種学校だ、というのである。 これは単純ミスだということでこういう扱いになったという経過が述べられておりまして、現場の先生方の感想としては、何で出られないのか、おかしいじゃないかというのが大方の皆さんのお考えのようでございます。それで、 組織を運営する側にはそれなりの理由やきまりがあろう。だが、日本で生まれ育ち、同じスポーツをしている生徒たちに、一緒にプレーできぬ、と断らねばならないのは残念なこと。「なんで出られへんのんか」。先生たちの疑問は素朴で健全だ。組織の考えは硬直化していないか。規則は変えられる。 こういうふうに述べております。 各種学校でもよい、日本に住むいろいろな人々が参加する競技の機会を作ろうではないか。高校生だった王貞治さんに、日本国籍でないというので国体出場を断念させた事件を思い出した。後年、その王さんが記録を達成すると国民栄誉賞を贈る。勝手で、失礼で、無定見なスポーツ行政だ。 こういうふうに述べているわけであります。 私は、恐らく高体連という立場でこういうふうに締め出しを食ってしまうというのは、各種学校扱いとしてということの理由ではあろうと思いますけれども、実際に同じ日本の社会で生まれ育って、しかも今日、国際化という大きな情勢の中でこうしたことが行われている。そしてスポーツの国際交流も大変今盛んになってきているこの中で、学校教育法第一条を唯一の盾にして締め出してよいのかという思いがするわけであります。 そういう点で、今後こうした事態に対して、これは単にバレーボールだけじゃないというふうに思います、これからシーズンを迎えます夏の高校野球にいたしましてもサッカーにしても、高体連の主催するさまざまなスポーツが全部そういうふうにシャットアウトされているという実態の中で、今後これをどういうふうに検討されるのか。前向きで、できるだけ早い機会に解決ができるようなお答えをまずいただきたいと思うんですが、文部大臣並びに体育局長からお答えをいただければと思います。
○政府委員(前畑安宏君) 今先生るる御説明ございましたように、問題は全国高等学校体育連盟が主催をいたします全国高等学校総合体育大会の参加資格の問題でございまして、第一義的にはそれぞれの団体が主催する大会の参加資格をどのように定めるかというのは、事スポーツの世界でもありますので、それぞれの団体の自主的な判断に任せるというのが基本的には私どもの立場であります。 そういう点で考えますと、この大会は高等学校教育の一環として高等学校生徒に広くスポーツ実践の機会を与える、こういう趣旨で開催をするものでありますし、また加盟団体が、先ほど先生も御指摘になりましたように、本連盟は全国都道府県高等学校体育連盟をもって組織する、こういうものでありますから、現在の取り扱い方については、いろいろ御意見もあろうと思いますが、それなりに筋の通った扱いであると考えております。 なお、御指摘ございました新聞記事で、「日本で生まれ育ち、同じスポーツをしている生徒たちに、一緒にプレーできぬ、」というくだりがございましたが、高体連加盟校とそうでない学校とが相互に体育大会といいますか対外試合をやるということを高体連は禁じておるものではございません。そういうことで、現在のところ私どもではこのことについて積極的に関与する気持ちはございません。
○国務大臣(保利耕輔君) これは高体連内部の扱いの問題でございますので、私どもの方から余りいろいろと差し出がましく言うのはどうかと思いますが、気持ちとしてはよくわかる問題であろうかと思います。
○小林正君 そういうお答えをいただきますと、何か期待を持ってこれからと考えている皆さん方に大変失望感を与える結果になるんで、どうしようかなと思ったんですけれども、やっぱり案の定そういう紋切り型のお答えしかいただけないというのは、今日の情勢というものをどういうふうに——文部省自身がいわゆる国際化ということの中で述べておられることと、具体的に現場段階で既に日常的な交流が行われている実態というものを踏まえて、行政的にどういうふうな指導がされるかという課題として考えてみますと、もう一歩踏み込んだ形の御検討をいただけませんか。 せっかく国際社会の一員としての日本の立場というようなことが言われる中にあって、そしてまた今回盧泰愚大統領が訪日をされて、過去の歴史の問題等も含めましていろいろ論議のあった経過があります。その時代背景の中でこうしたことが起こっているわけですから、このことについて今のような御答弁では大変残念な気がするわけであります。さらに一歩踏み込んだ御検討なり御指導をいただけないか、再度質問いたします。
○政府委員(前畑安宏君) 国際化ということについては私どもも十分認識をしておるつもりでありまして、先般来この国会でも御議論がございました国民体育大会における外国籍選手の参加問題につきましても、日本体育協会とも協議をしながら、一定の制約の中ではございますが、外国籍選手の国体参加について前向きの改善を図ったところであります。いろんな大会がございまして、それぞれの大会の趣旨に従って参加資格というのは決められるべきものと考えております。 繰り返しになりますが、高等学校の集まりである高体連ということでありますので、高等学校という範囲に限定することはそれなりに筋の通った考え方であろう、このように考えております。
○小林正君 そういうお答えにとどまるというのは、私は文部省がこの間それぞれのスポーツ団体等との関連、あるいは御指導という面も含めましていうと、そこに一線を画されるという理由はないように思うんですけれども、あえてそういうお答えになっているわけです。今後ぜひこの問題については、今イタリアでサッカーのワールドカップの大会が行われていて、スポーツの技術の向上で日本のその面における問題も指摘をされているわけですけれども、そういうスポーツ交流というのが、同じ日本の中で、各種学校という位置づけはされているけれども、とにかくいろんな国の子供たちが日本の社会の中で暮らしをしていて、そしてその中でいろんなスポーツ交流が行われているという現場段階の実態があるわけですから、そのことについて規則は変えられないのかどうなのかということにかかわって、ぜひ今後の課題として御検討を強く要請しておきたいと思います。 本論に入りますけれども、前回の質問に引き続きまして、生涯学習の問題について幾つかお尋ねをしたいというふうに思います。 七〇年代以降のOECDの教育政策の主流となりましたリカレント教育、神奈川で進められておりますのは「リカレント学習システム」という言い方をしているわけでありますが、このことについてお伺いをしたいというふうに思います。 私は、生涯学習については、基本的には生涯にわたる学習の権利の公的保障でなければならないというふうに思っております。生涯のそれぞれのライフステージにおいて、生きるための知識、技術と生きがい、これを公的に保障するためのおぜん立てではないかというふうに思っております。その意味で生活に密着した切実さというものがあるわけであります。そうした観点から「まなびピア」、生涯学習フェスティバルのようなイベント志向には疑問を抱かざるを得ないわけであります。硬派の文部省として教育基本法のいう人格の完成を目指す生涯学習の目的論に立って、ターゲットを絞って推進すべきではないかというふうに思うんですけれども、お考えを承りたいというふうに思います。 ちなみに神奈川の段階では、昭和六十三年度に「神奈川におけるリカレント学習システムに関する有識者調査」というものが行われまして、それに基づいて提言がされているわけです。基本的には「一度社会に出た人の系統的な学習を可能にし、教育と労働と余暇の柔軟な組み合わせにより新しいライフスタイルの創造につながるリカレント型の学習システムの整備が重要」だという認識からスタートをしておりまして、今日の国民のいわゆるライフスタイルの問題からいたしまして、 人生八十年時代の到来により、生涯生活時間は約七十万時間となり、人生五十年時代と比較して約二十三万時間の増加となっている。一方、心の豊かさが重視される中で、生きがいの創造や自己実現への志向が強まり、それを可能にする学習機会等の需要が高まっている。 この増加した生涯生活時間の有効な活用や様々な学習機会の整備は、個人にとって、また社会にとって重要な課題となっている。 今日、人生五十年時代の「教育—労働—余暇」という単線型の人生から、仕事・学業等の拘束時間、拘束時間以外の個人の裁量で自由に使える自由時間をバランスよく配分し、教育と労働と余暇を柔軟に組合わせて生きがいの創造や自己実現につながる複線型の人生への組替えを可能にする社会の仕組みを作り出す必要がある。 こういうふうに述べておりまして、具体的に「リカレント学習をめぐる現状と課題」、とか、「学習者を受入れる側の現状と課題」というようなことで、学校式教育というものが結果として社会人の生涯学習へのアクセスを非常に阻害する要因になっているというような問題とか、あるいは「学習者を送り出す側の現状と課題」として、長時間労働という問題で、年間総労働時間が二千百時間を超えている、欧米に比べると二百ないし五百時間も長いというような指摘をして、これを促進する上での阻害要因というふうに位置づけております。 そして、こういうような具体的でかつテーマを絞った形でリカレント学習システムというものをつくり上げようということで、実はこの三月に中間報告が出されて、秋に提言としてまとめられる、こういう手だてのようでございます。各県段階でもこうした取り組みがそれぞれに進められているわけですが、どうもこの法案との関係で見ますと、「まなびピア」フェスティバルというものが、ちょっとイベントを求めてプラスワンの運動のような一つの印象を与えているわけです。 お聞きしますと、これは今後の生涯学習へのオリエンテーションだというようなお話でございましたが、私としては、もっと目的を絞って、OECDが進めているような形で、生涯学習については文部省としてはリカレント学習システムというものの整備をするんだという方向づけの中でいくべきだ、こういうふうに考えるわけですけれども、その問題についてどのようにお考えか、承りたいと思います。
○政府委員(横瀬庄次君) まず、先生のお挙げになりました「神奈川におけるリカレント学習システムの整備について」、これは中間報告だということでございますが、についてでございますが、これは、今お話しになりましたように、六十三年の九月以来審議を行ってきて、この三月に中間報告が出され、そして秋までに最終的な提言がまとまる、そういうような予定であると伺っております。 内容を私も拝見いたしました。都道府県の立場からいろいろと御検討なさいまして、課題といたしまして、例えば学校への社会人入学受け入れ促進あるいはリカレソト学習についての啓発の推進、学習等に関する情報提供、相談体制の整備充実、それから女性、高齢者等の学習促進のための条件の整備、それから学習成果の公的評価認定の仕組みの検討というようなことが挙がっておりまして、また週休二日制の拡大でありますとか、あるいは教育訓練休暇の制度の拡充でありますとかということも述べられておりまして、私どもの課題認識と非常に近いところにあるというふうに思います。その実現の戦略につきましても、大変現実性の高いものというふうに評価をしております。 県や市町村や民間が連携協力いたしまして、教育と労働と余暇の柔軟な組み合わせによって新しいライフスタイルを創造していくというような試みを挙げておられますけれども、それについても大変斬新でありまして、今秋の最終提言をぜひ期待したいというふうに思います。 こういったことについての各都道府県の動きでございますけれども、都道府県の中にはかなりの数の都道府県が生涯学習振興計画というようなものをつくっておられまして、その中にはリカレント教育のシステムに触れたものもかなりございます。平成二年の六月一日現在におきまして、そういった生涯学習のための基本構想あるいは計画を出しておられる都道府県は十二都県ございます。こういう都道府県において策定されておりますいろんな計画につきましては、私どもも十分それにつきまして耳を傾けまして、あるいはよく読ませていただきまして、それらの中で国レベルの施策とも関連させるべき点があるもの、あるいは全国的に奨励すべきものというようなものにつきましては、その普及につきまして予算化を図るなどの積極的な姿勢で臨んでいきたいというふうに思います。 それから、生涯学習フェスティバルについてお触れになりました。ただいま申し上げました生涯学習のいろいろなシステムあるいはその基本計画につきましては、これはこの法案の各段階における審議会等において十分その審議事項として重要なものであるというふうに思いますし、大いに関連を持っておるというふうに思います。生涯学習フェスティバルは、それとは一応関係は薄いものでございまして、先ほどおっしゃいましたように文部省が生涯学習局を新設いたしました際に、生涯学習についての啓発を主眼とする一つの国民的な祭典といたしまして各県持ち回りの形で年一度開催するというようなことを考えておりまして、人々の生涯学習への関心の高まりを助長し、そして生涯学習に対する人々の機運の醸成を図りたいというのがその趣旨でございます。 それで、生涯学習フェスティバルというものは、したがいまして、手軽に楽しめるというような事業から専門的で高度な事業まで多様で幅広い内容のものといたしまして、第一回は千葉市の幕張メッセにおいて文部省、千葉県、千葉市等の主催によって開催いたしました。それでこれは大変好評でございまして、子供から高齢者まで二十四万四千人の方々が二日間の間に来場されまして、いろいろと生涯学習に親しんでいただく、あるいは興味や関心に応じて満足していただくというようなことでございました。 来場者の中でも三十代、四十代の方々が全体の四割以上を占めておりましたし、それから全体の半数以上が働く方々でございまして、そういった幅の広い方々に生涯学習への興味や関心を高めていただいたという効果はあったというふうに思います。本年度は京都府において開催するということになっておりますけれども、実体的な施策の充実はもちろん大変大切でございまして、大いに頑張っていかなければなりませんけれども、このような生涯学習の機運の醸成を図るという意味で、こういう企画事業もあってもよいのではないかと私は思っております。
○小林正君 オリエンテーションという位置づけの中でこうしたことが行われていくことが、結果として、フェスティバルが一つの生涯学習そのもので、それが流行していくようなスタイルになっていってはまずいというふうに思うんです。あくまでも学習というのは、それぞれの地域社会の中で人々が生きるための知識と、そして技術と、そして何よりも生きる目的である生きがいというものをどうつくり出すことができるかというところにかかわって学習という意味があるというふうに思います。そのこととかかわって、あたかもそういう「まなびピア」フェスティバル的なものが生涯学習だというような形で、全国各地でそういうものが模倣されていくような事態については、私は本来の生涯学習の持っている趣旨、目的に反するんじゃないかというふうに思うわけです。今局長の御答弁もございましたが、そういうものをやりながら、実質的な生涯学習についての裏づけをきちんとやっていくんだということを何よりも重要視してやっていただきたい、こういうふうに考えるわけであります。 そこで、生きる知識や技術との関係でいいますと、やっぱり九〇年代というのは高度情報化社会という状況の中にありまして、この生涯学習とニューメディアとの関係についてお伺いをしておきたいというふうに思います。 昭和六十二年の四月二十八日に社会教育審議会の教育メディア分科会の報告の前文に、メディアとの関連において生涯学習とかかわりの深い主な教育課題として五点を挙げておるわけでありますが、そのうち「第三」の課題に限って、法案が想定している問題意識とかかわって御質問をさせていただきたいというふうに思います。 その中で、 情報化は、社会のあらゆる分野に浸透しており、その進展の速度も従来以上に速くなっている。これからの社会では、メディアをいかに有効に活用するかが極めて重要になる。すなわち、学習の道具としてのメディアの特質や操作法、情報源への接近法などを理解し、メディアの利用方法を身につける必要がある。また、情報を主体的に取捨選択し、判断する能力、自ら情報を創造し、発信する能力を身につけることが重要となる。 という指摘をしております。国際識字年という年でもありますけれども、かつて、その識字率の低さが文盲という言い方で言われた時期がございました。そうした中でいいますと、コンピューター言語というものを理解しないというのが社会参加への極めて大きなハンディキャップになると言われるような時代に今私たちは入ってきているわけであります。そういう点から考えてみますと、ここで指摘をしている課題というのは、先ほど申し上げました学習が生きるための知識と技術を身につけるということからいたしますと、このニューメディア技術の習得というのは大変大きな今後の問題になるというふうに思うわけです。そういうことをこの報告は指摘をしているということであります。 そして、「第二章 生涯学習を支える教育情報システムの形成」のうち「社会教育」の分野でのメディアとのかかわりにつきましては、 生涯学習を援助する上で、社会教育は重要な役割を果たす。人々がいつでもどこでも学習できる体制を整備するために、今後、メディアとの関連で特に重視しなければならない視点に、個人学習への対応、学習時間や場所の柔軟化、学習情報の整備などがある。 として、そのうち、 家庭は、生涯学習の原点であり、新たな時代を主体的に生きぬく能力、意欲、個性を培う基盤である。 家庭における生涯学習の可能性は、メディアの利用によってますます大きくなる。今後、生活を豊かにするための文化情報の提供、家族成員の学習要求に応じた原資料の提供、家庭教育や地域の学習機会等に関する二次情報の提供などが重要になると思われる。 というふうに指摘をして、さらに「地域の教育情報システムの形成」については、 その第一は、地域の教育機能の活性化という視点である。生涯学習のための条件整備は、人々が生活を営む地域を基盤として行わなければならない。地域には、既に人々の学習を援助する種々の資源が配置されているが、これらに新たなメディアの導入などの観点も加え、地域の教育機能を総合的に見直す必要がある。 と指摘をして、「情報源」とか「利用者」とか「利用場所」、「情報の水準及び内容」、「情報の対象」「情報の形態」「情報の伝達方法」等々、詳細にここでは述べているわけであります。 この間、進められている平成元年度の生涯学習活動重点地域整備計画策定事業の中でこのニューメディアという問題がどのように扱われ、今日どういうふうになっているのか、その辺についてお伺いをしておきたいと思います。
○政府委員(横瀬庄次君) お尋ねの生涯学習活動重点地域整備計画策定事業でございますが、これは平成元年度から全国八府県において調査研究をお願いをしているところでございますが、この研究はいわゆる日常生活圏域において教育、文化、スポーツ活動の中核となる施設を有機的に整備した地域を設置するための調査研究ということになっておりまして、端的に申しますと、各都道府県において日常生活圏域においてそうしたいわば総合的な生涯学習活動が行われるような地域を地域的な設定をして、具体的に計画が立てられるかどうかということについて調査研究をお願いしたものでございまして、施設の整備というものを対象としない本法案の地域生涯学習振興基本構想とはちょっと違う部門のところがございます。 それで、現在それにつきまして八府県においていろいろと研究がされているわけでございますが、例えば愛媛県の場合について申し上げますと、松山市と砥部町の一部を対象といたしましていろいろな施設、生涯学習センター建設の準備をする、あるいは総合運動場や青年の家といったような施設が集中しているというようなところでございますが、ここにおいていろいろと県民のさまざまなニーズに対応し得るような、そういう活動の拠点としての充実をいかに図っていくかというような研究が進められております。 その中に、自治体広報あるいはCATVなどの活用によるPRとか、そういうことによる学習活動の広がりだとか、そういうようなことが検討されている方策の例として挙がっているものもございます。それから、この愛媛県のこの地区におきましては、生涯学習情報提供システムというのを私どもやっておりますが、それをこの中に導入するというのもその事業の中に含まれているわけでございます。
○小林正君 生涯学習振興法案が論議される経過の中で申し上げますと、臨教審の第二次そして最終答申、その中では、いわゆる生涯教育と言っていたのを生涯学習という学ぶ側の主体を大事にするという積極的な側面が一つ位置づけられながら、中教審答申の中で、前段粕谷委員から御指摘をしたような問題も含めまして、これもまた特にリカレント学習システムをどうつくり上げるかという課題についても、学び手側の条件を整える社会体制をどうつくるかといったような視点も含めまして重要な提起がされていたというふうに思います。 そして、今申し上げました高度情報化社会の中におけるニューメディアと学習者との関係というものを考えてみましても、今後生き抜く力の中でこれがいかに重要な位置づけになってくるかということが問われているわけでございまして、言ってみれば、いろいろな提言がされて、その積み重ね、集積の上にこの法案ができたというふうに考えてみますと、余りにもこの法案自体がそうした多くの期待というものを表現する法案になっていないということを極めて遺憾に思うわけでございます。そういう点で、私としては本法案には反対せざるを得ません。 そして、何よりも欠けておりますのは、これも再々申し上げておりますように、第一条の中に理念なり目的というものが述べられていないということでございます。御答弁を承っておりますと、理念、目的がない理由として、ニーズにこたえるという状況の問題を前面に出されて、そしてこれはそのための第一歩なんだということを述べられているわけです。私は、これは第一歩なのかもしれないけれども、どちらへ歩み出す第一歩なのかということが何よりも重要な問題でありまして、理念、目的がなければ方向性というものがないわけですから、そこが一番大事じゃないかというふうに思います。航海に例えて言えば、羅針盤のない船が航海に乗り出すといったような危険性があるというふうに言わざるを得ません。このことについて最後に文部大臣の御見解をお伺いして私の質問を終わります。
○国務大臣(保利耕輔君) この法案を御提出を申し上げました理由は、再三御答弁を申し上げているとおり高齢化社会等を通じて学習に対する需要が増大してきている、そういう社会背景の中で、その機会をできるだけ早くできるところからやっていこうではないかということで御提案を申し上げております。その法案の第一条に「目的」ということで書いてございますが、先ごろの当委員会におきます委員からのお話の中でも、とりあえずではないかというお話がございました。 まさにとりあえずといえばとりあえずということになるかもしれませんけれども、学習に対するニーズが強まってきている、一刻も早くこれを具体的な形であらわしていかなければならないという中教審の御答申等も踏まえまして、こうした法案を準備をさせていただきました。 さらに、今後の生涯学習についてのいろいろな基本的な討論等につきましては、各方面の専門家等を集めた生涯学習審議会の中で十分御論議をしていただかなければなりませんが、同時にこれは国会等におきましてもさらに御論議を深めていただきますことを私も期待をいたしております。
○高木健太郎君 三回にわたる委員会におけるいろいろの質疑あるいは参考人の御意見等からいろいろ問題点が挙げられておりまして、私もそれは大変重要なことであると思いますが、もう既に文部大臣初め文部省当局はそのことについては十分お考えになっていることと思いますので、もし時間があれば一番最後にそれをお尋ねいたします。 生涯学習に対する国民のニーズが非常に高まっている、それに対応してこういう生涯学習の機会を与えてやろう、あるいはその情報を提供しよう、こういう試みは私は大変いいことだと思うわけです。 最初にまずお伺いしたいのは、そのニーズにこたえるためには各種の機関がこれに手をかさなければならないと思うわけですが、特に考えられるのは高等教育機関の国民に対する開放、現在もある程度行われておりますが、こういう生涯学習の機関ができますと、その要請は非常に高まってくるんじゃないかと思いますが、大学とかその他の開放はどうされるおつもりですか。そういう開放を今まで以上にするおつもりはございますか。
○政府委員(横瀬庄次君) 生涯学習の振興といった場合に、最もその中で大事な点の一つは、学校教育を社会人に開放する、社会人の入学に向けて大学の制度をいろいろ弾力化していくということだと思います。これについてはいろいろと努力が払われてきておりまして、社会人入学枠を設定するとか、あるいは聴講生や研究生の制度につきましても単位を与えるというような制度的な柔軟化を行うとか、あるいは放送大学もこれまたまさにそのためのものでもございますし、そういった意味の大学の正規の学生を受け入れるためのいろいろな工夫というのが一方で盛んに行われております。 それからもう一方では、今先生のおっしゃいました大学の開放、大学の公開講座といったような地域への開放というのが一つあります。この生涯学習における学校の役割の一つとして、施設を開放するというのと、それから機能を開放する、それがまあ公開講座あるいは高等学校の開放講座と言われるものであります。 こういったことにつきましても、非常に地域にとって身近な学習の場として大事なことだということで年々増加をさせておりまして、例えば十年前でございますが、昭和五十四年度、国公私を通じまして大学数において二百一大学、講座数におきまして千百八十一講座、受講者数で約十一万人でございましたものが、六十三年度には大学数において三百七十、それから講座数におきまして二千八百、受講者数におきまして三十七万人というふうに、受講者数で言えば三・五倍に近くなるほどの拡大をしておりまして、年々住民の学習需要というものも高まっておりまして、大変盛況を呈しているということでございます。
○高木健太郎君 私は、それは非常に結構なことだと思います。そうあるべきでないかとも思うわけです。 しかし、これは文部大臣もよく聞いていただきたいんですけれども、大学そのものは大学本来の使命を持っておりまして、教育及び研究というものに対して全力を挙げている、そういう状態でございますが、これは大学だけではございませんけれども、教育機関の定員というのは毎年減らされているわけでございます。この前もお話ししましたように、研究者あるいは教育者の手足となるような技官とかそういうものの数が減っている、あるいは一・一・二の講座であるところに、今度は、講師というものも、置けるところもある置けないところもある、もう置けなくなる状態である。しかも予算は、他の省庁の予算の増大に比べましては文部省の予算は非常に伸びが悪い、あるいは施設もだんだん老朽化している。病院なんかでも、私立の大学は非常に立派になっているけれども、国立の病院は非常に貧弱であって、建て直さなきゃならぬ。そういう状態にありまして、施設もそれから働く人たちの方も、圧迫というわけではありませんけれども、非常に窮屈になっている。 そこにこういう生涯学習が出て、自分は教えてあげたいとは思っておりましても、実はそのために研究、教育の時間がそがれていく、あるいはその準備のために時間がそがれる。これは例えば非常にそういうことがお好きな教官もおられまして、テレビにも出る、あるいはその他の講演会にも引っぱりだこになるといいますと、その人は遂にそういう研究の場から離れて評論家になってしまう。こういう例も数多く見られるわけでありまして、外国人の学者が日本の大学を見学しましたときに、もう日本の大学はだめじゃないか、基礎研究においてはもう低下する一方じゃないかと。だから、一般的なことはできますけれども、さらに深く進んでいこうとする研究はだんだん低下していく、こういうことを私は非常に心配するわけでございまして、そのための手当てというものは何かお考えでございますか。
○政府委員(横瀬庄次君) 私どもにおきまして、大学等におきます公開講座あるいは専修学校や高等学校の開放講座の開設につきましては、講師に対する謝金とかその他の助成措置を講じておりまして、そういったことに携わる先生たちの負担を招くことのないように努力をしているところでございます。特に国立学校につきましては、国立学校特別会計のうちで、その公開講座に係る部分につきましては私ども生涯学習局で担当しておりまして、年々その拡充に今努力をしている、それがかなり大きな増勢に結びついているというふうに思っております。 先生が今御指摘のように、各国立大学が公開講座を開設する、そしてそれを継続していくに当たりましては、恐らく大変な御苦労があるというふうに思います。それに報いて差し上げるためにも、この公開講座に対する予算につきましてさらにその拡充に努力をしなきゃいけないというふうに思います。現在のところ、いろいろと御苦労はあると思いますけれども、あくまでもこれは大学の自主的な御判断のもとでやっていただいているわけでもございますし、大学側から、特に公開講座によっていろいろと支障を生ずるところまでいっているという話はまだお聞きをしたことはございませんけれども、しかしそういうふうにならないように、それからさらに公開講座等が拡充していきますように、私どもとしては十分その予算面について配慮していきたい、というふうに思っております。
○国務大臣(保利耕輔君) 大学の公開、例えば公開講座でありますとか、そういった手だてにつきましては、ただいま局長から御答弁を申し上げたとおりでございます。 しかし、本来大学が持っております役割、教育研究でありますとか、各種の研究、その他大事な学術を高度化させていくという非常に大きな役割が大学にはあることは私もよく承知をいたしております。 過日、学士院の学士院賞授賞式がございましたけれども、そこで受賞されました方々の研究内容を見てみますというと、非常に高度な研究をしていただいておるわけでございますが、恩賜賞をおとりになった方がたまたまコロンビア大学におられる方であったというようなこともあり、こうした高度の研究がもっと幅広く、そしてより深く行われていく体制というのがやはり大学に求められる一つの側面であるなと。公開をしていかなければならないと同時に、そうした深みを増していくということが、我々はやはり留意をしてこれから努力していく一つの目標でもあろうかと、このように認識をいたしております。
○高木健太郎君 生涯学習から大分離れてしまいましたけれども、今大臣がお話しになりましたように、コロンビア大学で勉強して学士院賞の恩賜賞をもらわれた。あるいはノーベル賞をもらった江崎さんにしましても、そういう非常に大きな成果が上がったというのは、日本の大学の中で起こったということが少ないんです。外国の研究室に行って、そこで成果を上げられている。だから、それに専念できる、あるいはその設備なり人員がそろっている、そういうところでしか学問というのは育っていかないと私は思うんです。 だから、この生涯学習で、一方において公開講座とか国民のニーズにこたえることは非常に大事ですけれども、そのもとになる方が手薄では困る。だから、いわゆる予算面でいろいろ手当てをしますという局長のお話でございますが、予算面ではないんです、人間がもうだめなんです。一・一・二という一つの講座でどれぐらいのことができるかということなんです。例えば、一つのアメリカの講座でございますと、教授がそこにもう十四、五人もいるというわけです。技官にしても非常に大勢の人がそこにおられる。あるいはその下の仕事をする人もたくさんおられて、非常に豊かに何の煩わしさもなく勉強ができる。そういう立場に置いておかないというと、研究というのは育っていかない。そのために、同じ頭の人が向こうの大学に行くとそういう立派な仕事ができるけれども、日本に戻ってきてはなかなかそういう仕事が育っていかない。 こういうことがあるのではないかと思いますので、生涯学習をお進めになる前に、あるいは生涯学習を進めるとともに、そういう大学の定員あるいは研究者の待遇というものを、金銭的な待遇ではなくて時間的な待遇というものを十分お考えになる、あるいはその定員をふやす、人間をふやす、マンパワーの方を考える、こうでないと、だんだん大学というものは低落する、あるいは知識のもとが欠けていく。それでは決して国民のためのニーズに沿わなくなっていく、いわゆる常識的なことしか言えない、そういうことになっては私は困ると思いますので、余りこれに時間を割いておれませんけれども、ひとつぜひお考えをいただきたいと思います。 もう一つは、「学習の成果の評価」というのがこの法案の中にございますけれども、それはどういうことをおやりになるのでございますか。
○政府委員(横瀬庄次君) 「学習の成果の評価」ということがこの法案の第三条一項第二号の事業の中に載っているわけでございます。この「学習の成果の評価」と申します意味は、学習者の学習意欲を高めて、その学習への励みを与えるというのが一つあろうかと思います。それからもう一つは、やはりその学習成果が客観的に評価されて、それが社会で生かされるということから言いますと、学習者の側からそれを言えば、学習者が学習成果を生かしていろいろな社会参加や活動を行うことを促進する、そういう意味で重要でございまして、そういったことがいわゆる生涯学習の一つの目標でございます学習成果が客観的かつ多元的に評価認定されることによって、学歴偏重の社会的な風潮の是正に資する、そういう形のものにつながっていく、そういう非常に大事なものでございます。 〔委員長退席、理事田沢智治君着席〕 ただ、その評価ということがいつも無制限によろしいかどうかということについてはいろいろな御意見がございまして、先ごろの中教審の答申の中にも、評価認定の仕組みについてはどのような範囲を評価の対象にするか、評価の水準はどの程度のものにするかというような課題があって、引き続き検討するということになっておりまして、一月三十日の答申の中で、この部分だけさらに引き続き継続審議の中に対象になっているわけでございまして、そういったいろいろな難しい点がありますので、その点につきまして今後中教審の審議経過を踏まえて、全体としての評価のあり方についてさらに検討を進めていきたいと、そういうふうに思っている次第でございます。
○高木健太郎君 その学んだ成果がどこかで出てくるということは、学ぶ人にとっても非常に喜びでございますし、また教えた側にとっても、成果が上がったということは大変うれしいことで、お互いに励みになるいいことだと思うんです。 ただ、評価というものを妙にいたしますというと、それはかえって悪い結果を招くんじゃないかということを心配したのでお聞きしているわけでございますが、御存じのように私は医学部の出でございますが、医学博士というものがあるわけです。現在は博士というのがたくさんできているわけでございますが、昭和四十一、二年のころでございましたか、ちょうど大学紛争がございまして、その中の学生の一つの要求として、いわゆる学位取得を破棄する、取らないと、そういう運動が起こりまして、四十一、二年の卒業の学生は学位というものを全然排除しておるわけです。だから、ほとんどの学生が学位をもらってない。 その理由は、学位を与える方に権限がだんだん移っていきまして、論文そのもののよしあしというよりも、その与える方の権限が非常に強くなって、そこにうまくやりさえすれば——うまくやるというのはいろいろの裏のことがありまして、それをうまくやれば学位が取れる、そういうことであってはいけないんじゃないか。 あるいはまた医学部の学生の大部分は医師になるわけですけれども、その医師の医療にとって学位というのはどれだけの価値があるか。ところがその学位を持っているか持っていないかによりまして、病院の勤務をするときに、その勤務の待遇が違ってくる。こういうふうに、もともとは医学を十分に勉強してください、それで大いに勉強する、君はよくやったということで評価の上で学位をあげたものが、学位そのものが目的になって、そうしてそれがいわゆる社会的な地位、社会的な待遇というものにだんだん変わっていく。そして、それを与える権限を持つ教授会なり教授が非常に大きな権限をその学生に対して持つ。こういうふうに悪い面がだんだん出てきた。それが批判されたのが、私は四十一、二年の学位辞退の問題であろうと思うわけです。 現在ではこの評価というものはたくさんございまして、例えば産婦人科には指定医というのがあるわけですね。あるいは各学会にそれぞれいろいろの専門医というのができてしまって、医師というものであればよいのが、その上にこれの専門医、これの専門医。専門医になりますと非常に待遇が違ってくるというようなことで、いわゆる評価がされたために、それが社会的待遇というものにつながり、一方では何か陰の部分がそこに大きく広がっていく、そういうことになりがちでございます。 一般的に言いますと、こういうことを申し上げると少しまずいかもしれませんけれども、よくお花だとかお茶だとか、そういうものには段がずっとあるわけですね。私、最近聞きましたのでは、例えば漢方というものは大変大きく国民の需要がございます。そうすると、漢方というものをやるための何かそこに一つ漢方の専門医、あるいはまた薬局の方では漢方を扱う薬局にそういう専門の薬局ができる。そうすると、何回講習会に出てこられたとか、あるいはそこで講演をした者、そういう者は師範、これくらいだったらば範士、それから教士、それから錬士、まるで剣道みたいな段がついているわけです。 これはいわゆる一種の学歴といいますか、そういうものに取ってかわることになりまして、学びたい、あるいは学ぶ喜びというものが本当の学問の出発点であるのに、実はそういう評価を得るため、そういう証書を得るため、あるいは履歴、資格認定。まあ証書というものを将来お出しになるかどうか、そういうこともあろうと思いますが、そういうものをもらうための一種の学問、あるいは学習ということになっていく危険性も一方ではあるということをこれは十分お考えになっておかないというと、今度は民間で出す認定それから生涯学習と。教育委員会の方から出されるのか出されないのか、どういう名前でお出しになるかわかりませんが、そういうものを出す。そうなると、一種のそれが学歴になる。学歴によって人間がそこで幾つかに分けられる、こういうことを助長するということになるおそれがあるのではないか、これは私の杞憂にすぎないとは思いますけれども、十分その点をお考えをいただきたいと思いますが、局長並びに大臣はどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) 学習成果の評価というものが、学習者の学習への奨励という意味と、それから社会の評価を得るための一つの基準になるというような点で非常に有益なもの、あるいは促進すべきものという面がございますが、今先生がおっしゃいましたように、逆にそれが行き過ぎれば新たに学歴を生むあるいは資格を生むというような批判や御意見もございますので、先ほども申しましたように、そういった今議論の中で、いかに適切な評価というものがあるべきかという点につきまして中教審の議論が進んでおりますので、この点十分に踏まえながら今後検討してまいりたいと思います。 〔理事田沢智治君退席、委員長着席〕
○国務大臣(保利耕輔君) 先生御指摘のように、学習に対する評価というのが進み過ぎますと、いわゆる資格社会みたいな形になってくる可能性がある。私自身外国で生活をしておりましたときに、その外国が持っておりましたのがやはり資格社会でございました。非常にきめ細かく資格が分類をされているがために、かえって仕事に硬直性が出てきてしまうというようないろいろな欠陥もございました。したがいまして、生涯学習社会というものがイコール資格社会になるということについては、私自身はいささか疑念を持っております。 しかし、勉強したことに対しては、これはあなたはこういうことを勉強したということの成果が欲しいというお気持ちもあろうかと思います。したがって、その両面、非常に難しいところでございますが、そのすり合わせをこれからつくっていただきます審議会あるいは中教審、そういったところでよく御論議をしていただいて、資格社会だけでいいのかどうかということについて、やはり私は論議をお願いをしたい、こういうふうに思っております。 いずれにいたしましても、生涯学習社会におきましては、私自身は人間の人格とそして能力、人格を高め、そして能力を磨いていくということにあろうかと思います。そして、その評価ということが、人格でありますとか、あるいは教養というようなものに対してどういう評価ができるのか、これは私は非常に難しい問題だと思いますけれども、あわせてそういったところについても御論議を願いたいと思っております。
○高木健太郎君 もう時間がございませんから、今大臣がおっしゃいましたように、いわゆる余り資格をつけて、それが社会に出たときの待遇あるいは地位、そういうものに成りかわっていかないように、地位に影響を及ぼさないように、しかも学ぶ喜びのあかしとしてそれをもらえる、これはどうしたらよいかということは、私も成案はございませんけれども、今までこれは大変大きな弊害があるわけですね、お金が動くということもございます。そういうことを十分御考慮いただいてこの法律を運用していただければ大変ありがたいと思います。 以上で質問を終わります。
○高崎裕子君 先日の委員会に続いて質問をいたします。 生涯学習審議会についてお聞きしますが、これまでの社会教育審議会と今回の生涯学習審議会との違いはどこにありますか。
○政府委員(横瀬庄次君) 法案の第十条に生涯学習審議会のことが定められているわけでございますが、調査審議事項とそれから関係行政機関の長との関係及び任命方法について相違があるわけでございます。 まず、調査審議事項につきましては、生涯学習審議会におきましては、現在の社会教育審議会の調査審議事項に加えまして、生涯学習の振興のための施策の推進体制の整備に関するこの法律案の規定によって審議会の権限に属するとされている事項と、それから学校教育、社会教育及び文化の振興に関して生涯学習に資するための施策に関する重要事項、これを調査審議する事項というのが加わったという点が違います。 それから二番目に、関係行政機関の長との関係からいいますと、新たに加わった事項につきまして、文部大臣だけでなく他の関係行政機関の長に対しても建議を行うことができるということと、それから資料の提出等必要な協力を求めることができるということにされているという点が異なるわけでございます。 三番目に、任命方法でございますが、これは生涯学習の振興という広い立場になりまして、国民生活に密接なかかわりがある、あるいは各関係行政機関の施策との連携協力が必要だというようなことから、生涯学習審議会の委員の任命に当たりましては、内閣の承認を経て文部大臣が任命するということにされているという点が社会教育審議会で文部大臣が単に任命するという点と違う点でございます。
○高崎裕子君 今の御答弁では法律上の位置づけについての御説明は非常にわかりにくいと思うんですけれども、生涯学習審議会が社会教育審議会と違うのは、中央教育審議会と同様に、これは法定された審議会である、審議会の委員は文部大臣が内閣の承認を経て任命するようになっているわけです。しかも、生涯学習審議会は、学校教育、社会教育及び文化の振興に関し、生涯学習に資するための施策に関する重要事項について調査審議する、そして、これらに関し必要と認める事項を文部大臣または関係行政機関の長に建議することができるという非常に大きな権限を持っているわけです。他の省庁にまで建議できるというのは、これは中教審にもない極めて重大な権限だと思われるわけです。 そこでお尋ねしますが、この審議会では社会教育法の改正ということも調査審議するのでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) 現在の社会教育審議会の機能というものがこの生涯学習審議会の中にいわばそっくり吸収されておりますので、現在の社会教育審議会の機能がそのままこの生涯学習審議会の中で行われるわけでございます。 ただいまお尋ねの社会教育法の改正でございますが、社会教育法を改正する際に社会教育審議会の議論をいろいろと経るというのは通常考えられることでございますし、これまでも行っているところでございます。したがいまして、その部分につきましては、この生涯学習審議会の中の従来の社会教育審議会の行う機能の部分、これは一応社会教育分科審議会というのをこの審議会の中に置く予定にしてございますが、その分科審議会の中の議論の対象になるというふうに考えております。
○高崎裕子君 社会教育法の改正が審議されることもあり得るということで伺ってよろしいわけですね。——うなずいておられるのでそうということで。 横瀬局長は、学園書房というところが出している「学園随筆」という本がありますが、ここで、「生涯学習の方向と問題点」と題して対談をされています。これは中教審の答申を受けての対談なんですが、この中で局長は、「これから社会教育をどうしたらいいのかといった場合には、やっぱり生涯学習という観点から見て社会教育は変わっていかなきゃいけないんですね。変えていかなきゃいけない。その変える重点というのを明確にして、」「社会教育を変えていくということを見せていかないと、社会教育は生涯学習の一分野であるということがなかなか現実的に理解していただけないわけですね。」と、こう述べておられます。生涯学習という観点から社会教育を変えていくと明確に述べているわけです。ですから、社会教育法を変えるということが当然構想されているというふうに伺ってよろしいわけですね。
○政府委員(横瀬庄次君) 私は、生涯学習というその行政は、生涯学習という観点、つまり国民一人一人が生涯にわたって学習活動を行う、それについて、それが実現するように、適切な評価が加わるように、そういうふうに実現するように行っていくのが生涯学習の振興であるというふうに考えているわけでございますが、その生涯学習の振興という観点から見まして社会教育を見た場合に、社会教育は生涯学習の中の一つの学習の機会を与える重要な領域でございます。 生涯学習という国民の生涯にわたっての学習のあり方、あるいは国全体、各教育機関同士の相互の連携の中での社会教育のあり方、その辺から見て、今後社会の進展なりあるいは時代の推移なりから見て、どの点に重点を入れていったらいいのか、国民はどの点に強い学習需要なり学習の意向を持っているのか、そういうことを踏まえながら重点なり方向なりを考えていくというのが生涯学習行政の大きな役割じゃないかというふうに思っている次第でございます。そういう意味で社会教育に対して、あるいは学校教育に対しても同様でございますけれども、社会教育に対してある方向づけを考えていく、そして実際にそれが行われるのは社会教育法なり社会教育の中で行う、そういう関係に立つんだというふうに思っております。 したがいまして、生涯学習という面から社会教育の重点というものは考えていかなきゃいけないというふうに思いますけれども、社会教育法自体をどうこうするというようなことは、これは社会教育の行政の中で行う、こういうふうな区別をしているつもりでございます。
○高崎裕子君 この問題は大変大切な問題だと思うわけで、ここは特に大臣にお尋ねしたいと思います。 私は先日の委員会でも、北海道の社会教育に携わっておられる現場の関係者の方々のお話として、この法案ができることによって、地域住民に密着した市町村教育委員会を主体とした社会教育から、都道府県の知事部局や国主導の社会教育へと変えられてしまう、そして、今まで苦労して築き上げてきた社会教育そのものが変質あるいは後退させられてしまうのではないかという大変な危惧を持っておられることを申し上げました。そして、これは北海道だけではなく多くの関係者の方が危惧もされており、昨日の参考人の方もその点大変な問題を含んでいるということの意見も表明されました。 そこで大臣にお尋ねいたしますが、社会教育法は絶対変えない、守っていく、このことを約束していただけますか。いかがでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) 生涯学習の振興、ただいまその振興についての基盤整備についての法案をお願いしているわけでございますが、そういう生涯学習の基盤整備という観点と密接な関連を持って社会教育法を改正するという導因は私は何もないというふうに思います。社会教育法を改正するということが仮にあるならば、それはそれなりのそちらの方の領域の必要性から出てくるものであって、この法案との関係において行われるということはないというふうに思っております。
○国務大臣(保利耕輔君) 社会教育の分野は今広く行われておりますし、委員御指摘のように、北海道においてもきちんとした姿で行われております。その分野はその分野として、社会教育法の精神にのっとって今後とも進められていくことを期待をいたしております。
○高崎裕子君 社会教育法をしっかり守っていただきたいということを強く要望して、次に、この審議会では、学校教育に関する問題についても調査、審議するということになるのでしょうか。 それから、臨教審は学校中心の考え方を改め、生涯学習体系への移行を主軸とする教育体系の総合的再編成というものを打ち出していますが、この審議会でこうしたことについて調査、審議するのでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) 生涯学習というものが、先ほど申しましたように、社会教育、学校教育、文化活動その他の活動についての包含をしている領域でございますので、その観点から、先ほど社会教育について申し上げましたように、学校教育についても、今後の進むべき重点あるいはその相互の教育機関、学習機関同士の連携協力の関係、そういうものが議論されていくということになると思います。 それから、生涯学習に関する重要事項について審議をすることでございますので、その生涯学習全体の今後のあり方についていろいろ議論されるというのは当然であるというふうに思います。
○高崎裕子君 今いろいろ言われたわけですけれども、生涯学習審議会というのは、学校教育、家庭教育、社会教育、そして労働者教育など、生涯学習という非常に広範な分野、いわば教育全般について調査、審議をする、必要とあれば文部大臣を初め関係する各省庁に建議することもできるという非常に大きな権限を持った審議会と位置づけられています。場合によっては、学校教育を初め教育制度全体の再編成につながるそういう非常に重要な審議会にもなるわけです。ですから、この問題はもっと時間をじっくりかけて審議する必要があると思います。 時間の関係で触れることはできませんでしたが、地区指定の問題についても、国民が生涯にわたって学習する機会があまねく求められる状況に対応するというのであれば、公民館が全国で一万七千五百カ所ほど設置もされている。こういう既存の施設や体制、職員等々を充実させれば、これはもう実現できるわけで、地区を指定して施策を集中しなければならないという必然性も全くないわけで、いろいろと重大な問題が含まれている法案であるという問題点を指摘して、質問を終わりたいと思います。
○笹野貞子君 時間がありませんのでどこまでお聞きできるかわかりませんけれども、法案について二、三お尋ねをしたいというふうに思います。 この法律案を見ますと、読めば読むほどだんだんわかりにくくなってきまして、この間大臣が、この次つくるときは易しい法律をつくるというふうにおっしゃっていただきましたので、この次までやむを得ず我慢しながら読むことにいたしますけれども、その第五条を見ますと、民間事業者の能力を活用しなければこの基本構想ができないかのように受けとめられるわけですけれども、つまりこの五条というのは、民間事業者の能力を活用しなければ認めないということなんですね。
○政府委員(横瀬庄次君) 都道府県がその住民に対して生涯学習の機会を総合的に提供する施策を行おうとする場合には、公的事業のみによって行う場合と、公的事業に加えて民間事業も活用する行き方、二つあるわけでございますが、この法案はその民間事業の能力の活用を規定しているということで、都道府県が行ってきた公的事業のみによる事業を制限するということじゃ決してないわけでございますが、この法案の方法は民間事業を活用するということを内容としているものでございますので、この法案の五条から九条までの制度の適用を受ける場合には、これは民間事業者が加わるということが前提でございます。
○笹野貞子君 それでは、民間事業が入らなければ、公的なものにはこの構想は認可をしないということですね。
○政府委員(横瀬庄次君) この五条から九条までの制度の法律的な効果は、結局民間事業者が基金法人の基金に対して支出をした場合に、それについて税制上の特例が受けられるということが効果でございます。ですから、民間事業者が人りませんとその効果が生まれませんので、結局民間事業者がこの中に加わっているというのがこの制度の前提になると思います。
○笹野貞子君 そうしますと、民間事業者が入ると税制上の控除がある、だからこの法律の設立の趣旨があるということは、民間事業者が入らなかった前に、公的なもののネットワークはつくったことがあるんですか。
○政府委員(横瀬庄次君) この五条から九条までの地域生涯学習振興構想というのは、その構想を生む前の特定の地区というところに事業を集めるわけでございますが、その事業を集める前提といたしまして、公的な施設が集積している、公的な施設がその地区に集まっているということを一応制度の前提といたしまして、そこに総合的な学習活動の提供をしよう、そういう事業を興そう、こういうところからこの計画、構想が始まっているわけでございます。したがいまして、その以前に公的な施設がまずつくられているというのがこれを構想する前提となるイメージでございます。
○笹野貞子君 私も新米ですから、できるだけレディーを振る舞おうとして頑張っているわけですけれども、大臣のお話を聞くと、語尾がイエスかノーか非常にわかりやすいんですけれども、局長がお話をすると、わかっているものでもわからなくなってしまって、非常に困るんです。もっと簡単にイエスかノーかをはっきり言っていただければいいんです。 今の私の質問は、今までに公的機関のネットワークをつくったことがあるかというふうに質問しているわけですから、イエスかノーで答えてください。
○政府委員(横瀬庄次君) 公的なものが集中している地域というのは随分たくさんございます。各市町村、都道府県等におきまして集中しているという事業がかなり行われているという実績はございます。
○笹野貞子君 これ以上追及していると時間がありませんから、問題を変えます。 民間事業を構想に入れますと、もちろんその受講料というんでしょうか、もっと大きく言うならばこれにかかる教育費というのは要るわけですけれども、きのうの参考人のこの法律に賛成の山本先生という方の意見を聞いても、つまりこの受講料とかそういうものに国がかかわることはかえっていけないんだ、そういうものはかえって自由にした方がいいという御意見がありました。 そこでお尋ねしますけれども、つまりこの法律ができて民間とそういうふうに組んで、利益を追求しどんどんと授業料、受講料と言うんでしょうかね、上げた場合にはどうなさいますか。
○政府委員(横瀬庄次君) この構想において対象となります民間事業者は、これはスポーツ、文化等の学習機会の提供に当たる事業者に限られるわけでございまして、大規模な施設等の整備に関係するような不動産業とかあるいは建設業、リゾート産業というようなものとは異なりまして、カルチャーセンターとか劇団だとか、あるいはスイミングクラブ、バッティングセンターというようなものが該当するわけでございます。したがって、ここでいう生涯学習の機会の提供に当たるものというのは、国民のそういう学習に寄与することを目的とする民間事業者が適正な料金をもって良質の学習機会の提供を目指すということを対象としているわけでございます。 これらにつきまして、暴利のそしりを受けるというような、国民に必要以上の高い負担を強いることがないように、国は承認あるいは承認基準の策定の段階でかかわるわけでございます。 それから、構想の作成主体でございます都道府県は、計画の策定あるいは実際の運営で適正な利益をもって良質な学習の機会の提供を図るという趣旨を徹底するわけでございますし、それから基金を運営する法人を監督しているわけでございますので、その監督する権限によって大いに関与をするということになるわけでございます。 市町村も、都道府県と連携協力をし、あるいは協議を受けたりするということで関与をするというわけで、国、都道府県、市町村がそれぞれ民間事業者の事業につきましていろいろと関与をしていくという中で、今のような御懸念につきましてはチェックしていくことができるというふうに考えておるものでございます。
○笹野貞子君 適正で内容のあるものをチェックするというのは、具体的にだれがどこでどういうふうにチェックしますか。この法律の中でどこにその条文がありますか。
○政府委員(横瀬庄次君) ただいまそのことを申し上げたつもりなんでございますけれども、まず国は第五条の第四項のところで承認をするということになっておりますので、ここでかかわってくる。 それから、都道府県は第五条の第一項で計画の策定をし、そして第八条のところで都道府県はその計画を実施するわけでございますから、その運営のところで大いにかかわる。それから、これは第五条第二項の第四号のところで基金法人をつくるということになっておりますけれども、この基金法人の監督者は当然都道府県でございますので、都道府県がその法人を監督する権限によってかかわるということでございます。 それから、市町村はこれは第五条の第三項のところで関係市町村に協議をするという規定がございますが、こういう協議を受けていくという中でかかわっていく、こんなような説明を先ほど申し上げたつもりでございます。
○笹野貞子君 今の御説明を聞くと、私はこの条文を読む限りそういうふうな意味にはとれないですけれども、そういうどちらにでも解釈できるような法律というのは非常に危険だと思うんですけれども、いかがなものでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) 私の説明が大変滑らかじゃなくて申しわけございません。私は、今申し上げた条項の中で、制度的にもそういう不当なことが行われることについてのチェック体制というのができているというふうに理解をしております。
○笹野貞子君 いろんなことを聞きたいんですけれども時間がありませんので。 次に、この法律ができて民間事業者と構想をつくるというんですけれども、この生涯学習というものの文部省がやるところと民間がやるところの区別を簡単に言ってください。何をどういうふうに分担するんでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) これは生涯学習における官民の役割分担ということだと思いますけれども、必ずしも明確になっているわけではございませんが、民間の方は、やはり創意工夫によって国民の学習需要に敏感に適時適切に対応した多様な学習機会を提供するということであろうと思います。 特に国は、先ほどから申し上げておりますように、そういった国民の自発的な意思に基づく生涯学習の動向をよく見きわめながら、生涯学習の振興にいろいろと支援をしていく、条件整備をしていくというようなことが主な役割になっていくというふうに思います。
○笹野貞子君 今のをお聞きしますと、それでは文部省は創意工夫はないわけですね。何にもなしでただ民間を監視し、つまり金は出さないけれども口は出すと、こういうことですか。
○政府委員(横瀬庄次君) 全く正反対でございまして、先ほど申し上げましたように全く正反対でございまして、ただ私が申し上げたのは、市町村とか都道府県について言及しておりませんでしたので、市町村とかあるいは都道府県がいろいろな公的な学習機会を提供する、国も国立大学を持っているわけでございますので、そういった役割をもちろん持つわけでございますが、先ほど申しましたのはそれを端的に申し上げたつもりでございます。
○笹野貞子君 今まである国がやっているいろんなそういう施設というのを、文部省が創意工夫をして、それでもっとよくするという発想はないんですか。
○政府委員(横瀬庄次君) 国がその創意工夫を発揮するということを別に否定しているわけじゃございません。もちろんそのとおりでございます。
○笹野貞子君 そして、審議会のことをお尋ねしますけれども、十四にわたる省庁にこの審議会が建議するということですね。ですから、文部省以外にもこの生涯学習審議会ができたときは建議するんですけれども、今までに文部省がどこかの省に建議したことがありますか。
○政府委員(横瀬庄次君) 建議ができる審議会というのは、法律によって、あるいは政令の場合もありますけれども、法律、政令によって決まっておりまして、文部省の場合は他の省庁に建議をするという、そういう前例が余りないように思います。あるいは正確にはあるのかもしれませんが、私ちょっとその辺はつまびらかにしておりません。この生涯学習審議会が建議権を持つというのは、文部省の中にできる審議会としてはかなり特別なことでございます。
○笹野貞子君 やっぱりこういう重大なことは、局長、知りませんというんじやなくて、これから十四省庁にわたって建議するわけですから、今まで建議したことが通ったか通らないかということは、やっぱり調べておく必要があるというふうに思いますね。 そこで、大臣どうでしょう、この法律ができて十四省庁にわたって建議するわけですけれども、大臣、これ建議したら、みんなそのとおりにやってくれるというふうに自信ありますか。
○国務大臣(保利耕輔君) 生涯教育というのは、前々から御答弁申し上げておりますとおり大変広範多岐にわたるものでございまして、それだけに十四省庁と関連を持つものでございます。そこで、建議の前に、生涯学習審議会の中にできるだけ十四省庁全部、どうなるかわかりませんけれども、からのいわゆる専門家に入っていただいて、そしてそこの中で全体の関係をどういうふうに生涯学習社会をつくり上げていくかという御論議をしていただく。御論議をしていただいただけではこれは実効が上がりませんから、御論議の出た結果というものを各省庁に建議をしていくというようなことが考えられるかと思います。 先生の御専門のいろいろな問題について、例えば厚生省との間でいろいろな話をする、そして、こういうふうにしていくべきだというような結論が出たら、それはやはり厚生省にきちんとつないでいただくということが必要だという意味でございます。それが各省庁いろいろございますから、審議会から、そして審議会で出た結論を今度は各省庁に建議をしていくという形でつながっていこうかと思います。
○笹野貞子君 余り一生懸命して質問の時間をオーバーして申しわけありません。 私としては、この法律を出すに当たってもそうですけれども、やっぱり教育というのは本当に一国に対しては重大なものですから、文部大臣、ひとつこれから国家百年の計として頑張っていただきたいということをお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
○小西博行君 昨日は四人の参考人に来ていただきまして、現実にそれぞれの担当の立場からいろいろ御意見を伺いまして、確かに局長が答弁なさるよりもかなり詳しく、しかも具体的にお話がありましたので、私自身としては理解度が相当深まったというふうに考えております。 ただ、そのときに思いましたのは、都道府県によって相当やっぱりレベルが違うのかなと、しかも担当者の方がそれぞれ違いますね。生涯学校というのをもう具体的にやっておられる方もいらっしゃった、富山の人ですね。それからいわゆる教育委員会の担当の部門の方もいらっしゃった。そういうことで、立場が違いますと、不安な面も相当私はおありではないかなと、そのように思いました。 当初この法案をもらったときに、その定義であるとかあるいはその具体的な中身について、もうちょっと親切な中身があったらもっとわかりやすいかなという感じで、質問の中でだんだんその定義というのは、こういう意味で具体的な定義とか理念というのは書いてないんだと、つまり地方の自主性というものを重んじているからそうなんだと、こういうようなお話がありましたが、そういう部分についてもかなりの面について、やっぱり親切に何か書類に出して書いた方がわかりやすいんじゃないかなというのが率直な気持ちであります。 私は、その中で、社会教育の専門の皆さん方、大変御苦労されて戦後今日までやってきたというそういう方々が、今度の生涯教育というこの法案が通りますと、自分たちの立場は一体どうなるんだろうか、うっかりすると自分たちの機能というのが抹殺されてしまうんじゃないかな、あるいはその存在感というのが非常に小さくなっていくんじゃないか、そういうような懸念もやっぱりあるんではないか。 そこで、やはりこの生涯学習というのは、それ以外のいろいろな分野がこれから教育上必要になってきた、そういうことで再三にわたって答弁を願っているんですが、そういうお互いの、これは社会教育だけではなくて、既成の民間のこういう研修のセンターらしきものもたくさんあると思うんで、その辺のところを全国のいろいろな都道府県あるいは市町村、こういう単位をよく調べて、そしてそれぞれの立場でどういうような具体的なものを進めてもらったらいいと。もっと率直に言いますと、社会教育その他が完全にやっておられるところというのは、別にそれ以外にプラスする部分はありませんねということもあるいはあるんではないかな、そういう感じがして承っておるんですが、そういう考え方はどうなんでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) この法案の成立によって、従来からの社会教育が縮小するとか、あるいは疎外するというようなことは絶対にないということでお願いをしているわけでございます。生涯学習という観点から社会教育、学校教育、文化というものがそれぞれの観点で進められるということを目指す、そういう基盤について法定することをお願いしているものでございます。そういった意味で、生涯学習時代を迎えまして社会教育は教育の分野の大きな柱の一つになる、ますますそれが大きくなっていくということで、私どもも振興に努めていかなきゃならないというふうに考えております。
○小西博行君 大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(保利耕輔君) この法案は、いろいろと御答弁しておりますとおり、民間活力を生涯学習の方の分野へ入れていただくというような意味をもちまして、とりあえずの御提案ということで法案を出させていただいたわけでございます。したがいまして、今各地で行われておりますいろいろな生涯学習にまつわる教育事業等にさらに加えて、そういう学習の機会をさらに多くするという意味でこの法案を提出させていただいておりますので、プラスアルファはありましてもマイナスアルファはないというふうに私は理解をいたしております。
○小西博行君 これも大変皆さん方の論議の中心になったわけですが、この法案を十分に審議する時間が欲しいというのは、これは事実だったと思いますね。衆議院、参議院ということで、いつも参議院は会期末になりますとこのような状況がもう連続で続くわけでありまして、私は生涯教育というのは将来にとって非常に大切だし、一発出したらそれでもう解決という問題ではないと思いますね。これから先、世の中の変動にかかわりまして、どんどん新しいものを企画していかなきやなかなか追いつかないだろう、そのように私も思っておりますので、この期間を、法案を出すときにはもう少し事前によくちゃんとされまして、少なくとも国会の担当の委員ぐらいは十分中身を知り尽くした上での議論というのが正当なやり方ではないか、その点は私自身も大変不満なんですが、その点はいかがですか。これから先はどうなんですか。
○国務大臣(保利耕輔君) 本日が百二十日の国会の最終日でございますが、国会の運営等につきましては国会の中でお決めをいただいております。したがいまして、私の方からこの運営の問題について申し上げられる立場ではないと私は理解をいたしておりますが、しかし御指摘のように十分な時間をとって審議をするというのが通常な姿であるということは、私自身もそのように思っております。
○小西博行君 もう最後にいたしますが、法案というのは確かに非常に読みにくいし、そして解釈がいろいろな形でできる。これは法案の特徴だし、今局長が答えられたようなああいう答え方で十分それは通過できるんだろうと思うんですが、しかし現実はそうではなくて、もう少し中身を精査されて、そして皆さんが心配しているというのはここだというのは大体おわかりなんだから、そこだけは明確に私はすべきじゃないかと思う。そうは言いましても、法案そのものですから、全部それを詳細に書くわけにはいかない、それはよくわかります。だからこそ余計に事例という形ででも具体案を出して、そしてそれを皆さんに知らしめる。 法案そのものは私も賛成だからこれは通さなきゃいかぬと思っておりますけれども、具体的にこの法案が通ったら各地域とのコミュニケーションをもっとわかりやすい言葉で私はやっていただきたい。しかもその実情というものを十分調査した上でないと非常に問題が起こるんではないか、せっかく今までやってくれた方々ですからね。そういう方々を十分やっぱり重んじて、その調整をうまくやってもらいたい、そのことを最後に、これは要望ですけれども、お願いを申し上げまして質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(保利耕輔君) 御指摘の点についてはごもっともでございます。十分に留意して対処したいと存じます。
○委員長(柳川覺治君) 以上で本日申し出のございました質疑はすべて終了いたしました。 高崎君から発言を求められておりますので、これを許します。高崎君。
○高崎裕子君 本法案は生涯学習という教育全体にかかわる重要な内容を持っており、国民の教育を受ける権利にかかわる重大な法案です。したがって十分に慎重審議をすべきものだと考えます。 しかし、この法案の審議は参考人質疑を除いてわずか二日間、時間にして九時間しか行っていません。衆議院では参考人質疑を除いて三日間、十五時間の質疑が行われていることから見ても、余りにも少ない審議時間と言わざるを得ません。質疑の中で明らかにされなければならない問題もたくさん残っています。 したがいまして、こういう状況で審議を打ち消ることには反対の意思を表明いたします。
○委員長(柳川覺治君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 それではこれより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○会田長栄君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律に反対の立場で討論を行います。 本法律案は、国の説明にもありますように臨教審、中教審の答申を踏まえてつくられたはずであります。したがって、本法律案には、臨教審や中教審が強く指摘していた科学技術の高度化、情報化の進展、産業構造・就業構造の変化、さらには本格的高齢化社会の到来などの急激な社会変化に伴って高まっている国民の学習要求にこたえるための施策が盛り込まれなければなりません。あわせて学歴偏重社会の是正、学校以外の学習成果も正当に評価される社会の建設、高齢者が豊かで充実した人生を送れる社会の建設を目指すものであったはずであります。 しかるに本法案は、こうした諸課題に何らこたえることなく、単に民間活力の導入に終始しております。私は、本法案が生涯学習事業者の振興に関する法律案であるなら、事の是非は別としても、それなりの体系を持つものと考えますが、本法律案が生涯学習の振興のための第一歩を踏み出すものとの国の説明に大きな疑問を抱かざるを得ないのであります。 本法律案は、当初は臨教審、中教審の答申を踏まえ、生涯学習の体系を示す法律案となるはずであったと伝え聞いております。事実、一九八八年に文部省内で作成されたと言われる法律原案は、生涯学習の定義から始まる立派なものであったと聞きます。今次の法案作成におきましても、四月十五日付で閣議決定の予定であったものは本法案よりまだましなものでありました。しかるに実際に提出された本法案は、その後の十六省庁にまたがる調整と自民党内の調整の末、実に残念な姿になってしまったのであります。 私は、本法律案が当初に予定した生涯学習の体系を示す法案ではなく、単なる生涯学習事業者振興法案になってしまった時点で、この法律案の作成は中断すべきであり、関係者は改めてさらに周到な準備と十分な努力を払い、国民の理解が得られる法案として次の機会を待つべきであったと考えるものであります。本法律案が教育を利権の巣としかねない姿で提出されたことを極めて遺憾に思う次第であります。 さて、本法律案の最大の欠陥は生涯学習の定義がないことであります。この点について文部省は、生涯学習は今や国民の常識であり、定義をするまでもないと答弁されました。しかし、民主主義の社会と言われる今日ですら、民主主義の理解は国民の中でさまざまであります。まして、生涯学習の概念が国民すべてに共通であるなどと考えることはできないのであり、そのことは本委員会における本法案の審議を通じましても明らかになったものと思います。 生涯学習は、一九六〇年代にユネスコで問題提起され、以来ユネスコ、ILO、OECDなどでさまざまに議論されてきました。この論議を通じて明らかにされてきた生涯学習の理解で最も重要な点は、どの国においても学習することは国民の権利であるという点であります。生涯にわたって学び続けることは国民の権利であり、そのための体制整備を行うことは国や自治体の責務であると思うからであります。 こうした国際的な生涯学習の理解に立てば、生涯学習の振興を目的とする法律案に定める定義は明白であります。ところが国は、さきの本委員会の答弁においても国民の学習権を認めようとはしておりません。国民の学習権を認めない立場からは、どうしたら国民の学習権を保障するか、すなわち働き中毒と言われる日本の勤労者に学習のゆとりを保障するか、学校五日制の時代を目前に子供たちの学習環境をどう整備するか、家庭介護で一歩も家を出られない人々の学習機会を保障するにはどうしたらよいか、高齢者の学習意欲にどうこたえるかなど、国や自治体の責務という発想は出てこないのであります。 私は、生涯学習の振興を図る法律には、このように国民の学習権と国や自治体の責務を明確にすべきであると考えます。その上で、ILOの教育有給休暇の勧告の早期批准と国内法整備、勤労時間の短縮、週休二日制の定着、家庭介護の負担からの解放、学歴社会を変革するための官民の努力、とりわけ省庁の雇用政策の抜本的改革などが不可欠であると考える次第であります。 にもかかわらず本法律案では、こうした点は労働行政や厚生行政に関して、別に講じられる施策と相まつ存在にすぎません。生涯学習の本質的な部分は完全にスポイルされてしまっているのであります。このような法律案に生涯学習の名前を冠することは到底容認できないところであります。 次に、生涯学習と社会教育の関係についてであります。国の答弁は、生涯学習の主要な部分は学校教育、社会教育、文化であるというものであります。生涯学習がもしそういうものであるなら、その主要な部分は今日までの文部省行政でできるものということになり、改めて生涯学習を云々する必要はないものであります。 また国は、社会教育は組織された教育であり、生涯学習には学習塾の教育を除く個人レベルでの学習が含まれると答弁しています。しかし、図書館や博物館などが社会教育法に明記されているように、本来、社会教育には個人レベルの学習も含むものであります。したがって、国が従来の行政において個人レベルの学習をバックアップする体制が弱かった、今後はそうした分野も大事にしていきたいとするなら、本法律案には個人が行う自発的な学習に対して国がいかなる援助ができるのかが具体的に提起されるべきであります。残念ながら、本法律案にはこのような具体的提起は全く認められません。 最後に、ユネスコは義務教育の無償提供を宣言し、中等教育の無償化を促進すべきだと勧告し、高等教育ですら無償化に向けて努力されるべきであるとしている点について言及いたします。こうした国際的な教育権保障の流れの中に生涯学習を位置づけるなら、生涯学習も可能な限り経済的負担を負うことなく行われることが目指されねばなりません。このことは、私がさきに指摘したように、障害者の学習の保障、高齢者の学習の保障等を考えるなら、これが国や自治体の施策として無償でまたは廉価で提供されることでなければならないのは当然のことであります。 にもかかわらず本法律案が提起しているのは民間活力の導入であります。私は民間活力を無視せよと言っているのではありません。初の生涯学習の法律なら、まずもって国や自治体が国民に無償であるいは廉価で提供できる学習機会は何かこそが提案されるべきものであると言っているのであります。こうしたことには全く言及されず、民間活力、民間教育事業者についてのみ言及される法律が生涯学習の法律であるというのでは、全く残念と言わざるを得ないのであります。 最近、将来の職業や社会的身分に関し、教育コストによる再生産の構造が生まれていると言われ始めておりますが、本法案はそれを生涯学習にまで拡大することになっているのではないでしょうか。私はそのような構造を到底容認できないものであります。 本法律案に関しては、まだまだ指摘しなければならない欠陥が数多くあります。このような法案は速やかに撤回し、真に国民が熱望する生涯学習振興法案が提案されるべきであります。このことを強く指摘して私の反対討論を終わります。
○田沢智治君 私は、自由民主党を代表して、生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案につきまして賛成の討論を行います。 明治五年、学制が発布され、我が国の近代的学校教育制度はスタートしたのであります。自来百十余年、我が国は学校中心に教育制度が整備され、その拡充発展こそが我が国の経済力の伸長、文化の発展のもとになったことは何人といえども認めるところであります。 しかし、著しく進む国際化、情報化、高齢化、技術革新といった大きな社会変化の中にあって、二十一世紀に向けて我が国が創造的で活力ある発展をさらになし遂げていくためには、現在のような学校教育中心主義では限界があることは事実であると思われます。すなわち、日進月歩の社会変化の中では、学校教育で得られた知識、技術といった能力は一生涯を通して通用する時代ではないことは周知のとおりであります。 こうした観点から、国民のニーズにこたえて学習の機会を生涯にわたって保障することは重要なことであり、生涯学習の推進体制を整備する本法律案を成立させることが時宜に適した適切な措置であると確信するものであります。 以下、法案に即して基本的な賛成の理由を申し述べたいと思います。 まず、生涯学習の振興で最も重要な視点は、学習者の自発性・自主性を尊重することと、ニーズに即した多様な学習機会を提供することの二点に尽きると思います。まず、学習者の自発性・自主性の尊重については、本法案は、第二条においてその原則を明確に規定するとともに、生涯学習に関するソフト面、すなわち学習の中身については何らの規定を設けず、都道府県や市町村の自主性を尊重する仕組みをとっているのであります。 また、国民の学習需要に応じた多様な学習機会の確保については、民間活力の導入を図ることとしております。現在のようにカルチャーセンターを初めとして多種多様な教育内容が民開事業者によって提供されている実態を考えると、地方公共団体のみでは提供できない分野も、民間の創意工夫によって学習機会の拡充強化に大いに資すると思うのであります。 最後に、生涯学習社会を今後拡充整備していくためには、従来の学校教育、社会教育あるいは他省庁関係の職業能力の開発向上施策、社会福祉の観点からの施策との連携協力の推進、生涯学習振興のための大幅な予算の拡充等が不可欠であります。本法律案に対する国民の熱い期待にこたえるためにも、以上の諸点について多大の努力を政府に要望して賛成討論といたします。
○高崎裕子君 私は、日本共産党を代表し、生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案に反対の立場から討論を行います。 本法案に反対する理由の第一は、学習推進体制の中央集権化が図られており、国民の学習活動が上から統制される懸念があることです。 本法案では、生涯学習施策について国が望ましい基準や承認基準など基本的政策方針を決め、それに沿って都道府県中心で施策が展開されることになっています。特に基本構想については都道府県が作成しますが、文部大臣、通産大臣が承認権を持っています。承認するときあるいは承認基準を決めるときには、生涯学習審議会や産業構造審議会あるいは関係行政機関の意見を踏まえる仕組みとなっています。これでは、学習の内容や方法までが国、都道府県の意向に左右されることになります。 現行社会教育法では行政のかかわりは住民に最も身近な市町村が中心となる市町村主義がとられ、住民参加の制度もあります。しかし、本法案ではこの市町村主義から国、都道府県主導の推進体制へと大きく転換し、住民参加の保障は規定されていません。また、基本構想の作成主体も都道府県であり、教育行政の一般行政からの独立性も、法律上確保されていません。このように本法案は、不当な支配を禁じ国民の学習活動に対するノーコントロールを原則とした教育基本法、社会教育法の精神の空洞化に通じるものです。政府与党の自民党幹事長と四役が、教育における国の指導権限強化を重要課題として打ち出したことも、その懸念を裏づけています。 この法案に反対する第二の理由は、民活導入を基本とする施策の中で、行政による条件整備責任など公共的役割の後退を招く危険です。 本法案では地域生涯学習振興基本構想について、民間事業者の能力活用を前提条件としています。国民の学習権を保障するための条件整備などで行政が果たすべき公的責任は全くうたわれていません。臨調行革の民活路線が公共的役割の切り捨てと一体であったように、これは、国、地方公共団体が果たすべき公的役割を民間産業が行う営利事業に肩がわりさせるものです。 文部大臣とともに通産大臣が基本構想の承認権を持ち、産業構造審議会の意見を聞かなければならないという仕組みなどは、教育施策というよりむしろ産業政策、地域活性化政策という性格を示しています。国民の学習要求をいわばもうけの対象と見ている点で教育基本法の精神とも相入れないものです。こうした中で民活導入を立法上義務化することは、学習に関する国民の意向よりは民間産業の要求が優先される結果を招きかねません。また、特定地区を指定して施策を集中するやり方では、いつでもどこでも気軽に学習に励みたい、こういう国民の切実な要求にあまねくこたえることはできません。 反対の第三の理由は、以上指摘した問題点の根本をなす問題ですが、国民の生涯にわたる学習権を保障する上で、どういう理念に立ち、どういう基本方針で臨むべきかが全く欠落していることです。 生涯学習という概念に関する初めての立法化であるにもかかわらず、そこに生涯学習の理念も定義も明記されていません。その結果、行政による恣意的解釈と運用を許すものとなっていることは極めて重大です。政府は本法案の背景に教育基本法があると繰り返し答弁をしましたが、さきに見たように本法案の内容はその精神に背くものです。本法案によって教育基本法の原則から逸脱した教育行政の変質、再編が進められる危惧をぬぐえません。 以上の理由から、本法案は廃案に付されるべきものであることを表明して、私の討論を終わります。
○委員長(柳川覺治君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(柳川覺治君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(柳川覺治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 高木君から発言を求められておりますので、これを許します。高木君。
○高木健太郎君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案に対する附帯決議(案) 政府及び関係者は、次の事項について特段の配慮を行うべきである。 一 生涯学習体系への整備については、教育基本法の精神にのっとり行うものであり、当法律のみによって達成されるものではなく、政府は今後とも社会の進展を配慮して、生涯学習を振興するための基本的な法整備に努めること。 二 政府は、国民の自発的な学習に資するために、各省庁の協力が不可欠であることにかんがみ、各省庁の生涯学習にかかわる事業については、十分な連携・協力を図り、効率的に推進できるようにすること。 三 勤労者を中心に要求の高い職業能力の開発及び向上にかかわる施策の充実については、高等教育の一層の開放を図ることが不可欠であり、その期待にこたえるように努力すること。 また、有給教育・訓練休暇制度の一層の拡充を図り、法的な整備に努力するとともに、女性の学習機会の増大のための措置を講ずること。 四 生涯学習社会への移行を図るため、学校教育においては、自主的に学習する態度を育成することができるように教育課程の改善に努めること。 五 学習の成果を評価することについては、国及び都道府県は、学歴偏重の弊害を改める立場からの検討を行うこと。 六 民間教育事業の活用については、その創意工夫を生かすよう留意する一方、利益追求の弊害が生じないようにするとともに、学習者の経済的負担が増すことのないように配慮すること。 七 地域生涯学習振興基本構想の策定に当たっては、教育委員会と知事部局との関係を定めた地方教育行政の組織及び運営に関する法律の趣旨にのっとって行うこと。 八 地域生涯学習振興基本構想に該当しない地域、特に過疎地域に対する生涯学習の機会の提供については十分留意し、その振興を図ること。 右決議する。 以上でございます。
○委員長(柳川覺治君) ただいま高木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(柳川覺治君) 多数と認めます。よって、高木君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、保利文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。保利文部大臣。
○国務大臣(保利耕輔君) 法案を御可決いただき、まことにありがとうございました。 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。
○委員長(柳川覺治君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(柳川覺治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(柳川覺治君) これより請願の審査を行います。 第四七号高校四十人学級の早期実現と私学助成の大幅増額に関する請願外二百六十九件を議題といたします。 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(柳川覺治君) 速記を起こしてください。 それでは、第二一一号過疎地域私立高等学校に対する特別補助の継続及び充実に関する請願外五件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第四七号高校四十人学級の早期実現と私学助成の大幅増額に関する請願外二百六十三件は保留と決定することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(柳川覺治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(柳川覺治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(柳川覺治君) 学校教育法の一部を改正する法律案、学校教育法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案、女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案、以上三案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(柳川覺治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(柳川覺治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(柳川覺治君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。 教育、文化及び学術に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(柳川覺治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(柳川覺治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(柳川覺治君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。 閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(柳川覺治君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 暫時休憩いたします。 午後零時三十七分休憩 —————・————— 午後二時十六分開会
○委員長(下稲葉耕吉君) ただいまから文教委員会を再開いたします。 この際、一言ごあいさつを申し上げます。 私、このたび文教委員長に選任されました下稲葉耕吉でございます。 国政の基本でございます教育並びに学術、文化を担当する当委員会の使命は極めて重く、委員長としてその職責の重大さを痛感している次第でございます。皆様方の御指導、御鞭撻を賜りまして、公正かつ円満な運営を行ってまいりたいと思います。 何とぞよろしくお願いいたします。(拍手) —————————————
○委員長(下稲葉耕吉君) 委員の異動について御報告いたします。 本日、石井一二君及び狩野明男君が委員を辞任され、その補欠として私、下稲葉耕吉及び仲川幸男君が選任されました。 —————————————
○委員長(下稲葉耕吉君) 柳川前委員長から発言を求められておりますので、これを許します。柳川君。
○柳川覺治君 一言ごあいさつを申し上げます。 委員長在任中はおかげをもちまして大過なくその職責を果たすことができました。ひとえに皆様方の御指導、御協力に対して心からの感謝を申し上げる次第でございます。 そしてなお、今後も当委員会に残させていただくことになりました。引き続き御指導を賜りたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。 ありがとうございました。(拍手) —————————————
○委員長(下稲葉耕吉君) 理事の辞任についてお諮りいたします。 田沢智治君及び山本正和君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(下稲葉耕吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(下稲葉耕吉君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に柳川覺治君、小林正君を指名いたします。(拍手) 本日はこれにて散会いたします。 午後二時二十分散会