文教委員会 第6号
- 発言数
- 299 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1990/06/21
会議録
○委員長(柳川覺治君) ただいまから文教委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る十三日、木暮山人君が委員を辞任され、その補欠として木宮和彦君が選任されました。 —————————————
○委員長(柳川覺治君) 生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案を議題といたします。 政府から趣旨説明を聴取いたします。保利文部大臣。
○国務大臣(保利耕輔君) このたび、政府から提出いたしました生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 国際化、情報化、高齢化など大きな変化の中にあって、二十一世紀に向かい、我が国が創造的で活力のある社会を築いていくには、学習に関する国民の自発的意思を尊重するよう配慮するとともに、国民の多様化、高度化した学習に対する需要に対応し、生涯にわたる学習が円滑に行われるよう、国及び地方公共団体を通じて生涯学習の振興のための体制の整備を図ることが必要となっております。 今回の法律案は、中央教育審議会の答申の提言を受け、生涯学習の振興のための施策の推進体制及び地域における生涯学習に係る機会の整備を図るために、国及び地方公共団体を通じて必要な措置を定めることをその内容といたしております。 今回の法律案の概要は、次のとおりでございます。 第一は、生涯学習の振興に資するための都道府県の体制の整備についてであります。今日、生涯学習の振興を図るためには、都道府県における学校教育及び社会教育に関する学習並びに文化活動の機会について、(一)これらの機会に関する情報を収集し、整理し、及び提供すること、(二)住民の学習に対する需要及び学習の成果の評価に関し、調査研究を行うこと、(三)地域の実情に即した学習の方法の開発を行うこと、(四)住民の学習に関する指導者及び助言者に対する研修を行うこと、(五)地域における学校教育、社会教育及び文化に関する機関及び団体に対し、これらの機関及び団体相互の連携に関し、照会及び相談に応じ、並びに助言その他の援助を行うこと、などの事業を推進するための体制を整備することが求められてきております。このため、都道府県の教育委員会は、これらの事業を相互に連携させつつ推進するために必要な体制の整備を図りつつ、一体的かつ効果的に実施するよう努めるものとし、これら体制の整備に関し、文部大臣が望ましい基準を策定することといたしております。 第二は、地域生涯学習振興基本構想についてであります。都道府県は、交通条件及び社会的自然的条件等から見て生涯学習に係る機会の総合的な提供を行うことが相当と認められる特定の地区において、当該地区及びその周辺の相当程度広範囲の地域における住民の生涯学習の振興に資するため、社会教育に係る学習及び文化活動その他の生涯学習に資する諸活動の多様な機会の総合的な提供を民間事業者の能力を活用しつつ行うことに関する基本的な構想を作成し、文部大臣及び通商産業大臣の承認を申請することができることとし、必要な事項を定めることといたしております。さらに、基本構想の円滑な実施を促進するための文部大臣及び通商産業大臣の必要な援助について定めるとともに、民間事業者の能力の活用のために、民間事業者に対する資金の融通の円滑化その他の業務を行う基金を設け、基金に対する負担金について損金算入の特例の適用があるものといたしております。 第三は、生涯学習審議会についてであります。生涯学習の振興のための施策の推進体制の整備のために、文部省に生涯学習審議会を置くこととしております。生涯学習審議会は、文部大臣が内閣の承認を経て任命する二十七人以内の委員で組織することとし、この法律及び社会教育法の規定によりその権限に属させられた事項を調査審議するほか、文部大臣の諮問に応じ、学校教育、社会教育及び文化の振興に関し、生涯学習に資するための施策に関する重要事項及び社会教育一般等に関する事項を調査審議することといたしております。さらに、生涯学習に資するための施策に関する重要事項に関し必要と認める事項を文部大臣または関係行政機関の長に建議し、関係行政機関の長に対し、資料の提出、その他必要な協力を求めることができることといたしております。 また、都道府県に、都道府県生涯学習審議会を条例で置くことができることとし、都道府県の教育委員会または知事の諮問に応じ、生涯学習に資するための施策の総合的な推進に関する重要事項を調査審議するとともに、これらの事項に関し必要と認める事項を都道府県の教育委員会または知事に建議することができることといたしております。 なお、市町村については、生涯学習の振興に資するため、関係機関及び関係団体等との連携協力体制の整備に努めるものとすることとしております。 第四に、関係法律の改正等所要の規定の整備を行うことといたしております。 以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要でございます。 何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いを申し上げます。
○委員長(柳川覺治君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 それでは、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○山本正和君 この生涯学習の大変長い名前の法律案でございますが、やっぱり生涯学習という言葉が出ますので、国民各界各層でも、いろんな何といいましょうか、疑問といいましょうか、また問題意識といいましょうか、そういうものがかなり出ております。衆議院でもいろんな議論があったようでございますけれども、まず私は生涯学習という言葉ですね、このことについて大臣はどういうふうな受けとめ方をされておられるか、そういうことをお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(保利耕輔君) 生涯学習という言葉は大変広い意味を含んでいるように思います。人間がこの世に生をうけて、まずお母さん、お父さんからの家庭教育がある。さらに学校へ進むようになってからは学校教育がある。並行して家庭教育も行われておるわけでありますが。さらに卒業した後、あるいは卒業する前からもあるかもしれませんが、いわゆるいろいろな文化活動があります。さらに社会教育というような分野があります。 そうした一連の教育を受けていく、そういうものを生涯を通じて受けるということが生涯学習であるというふうに私は考えておりますけれども、その意味するところはまた非常にいろいろな意味がございまして、生涯学習をすることによって人間の能力と、さらに人格を高めていく。そして、そうした高められた能力あるいは磨かれた人格というようなものが正しく社会に評価をされていかなければならない、こういう社会をつくり上げていくということが生涯学習の一つの目的でもあろうかと思います。 生涯学習の言葉の定義そのものは、生涯学習とは、基本的には国民一人一人が生涯にわたって行う学習活動のことである。これはやや字引的な定義になろうかと思いますが、その言葉の裏にあります背景、そして理念というものは、今私が申し上げたようなことであろうかと、このように考えております。
○山本正和君 私も高等学校の教員として長い間教育の仕事をやってまいりました。そういう意味から、教育という概念、それから学習という概念、これはかなりいろんな立場によってこの概念の違いというものが議論もよくされるわけです。そして、生涯ということ、この文字をそのまま読みますと、これは生きている限り、生ある限り、こういうのが生涯と言ってもいいんですね。生涯学習、これは生涯教育である。ですから文部省の中に生涯学習局というものを設置した。そういう意味からいいますと、単に法律的な意味で法律用語としていろいろと解釈するということ以外に、生涯学習というその概念が一般国民といいましょうか、あるいは普遍的に人間に対して与える意味というもの、これは非常に大きな深いものである、こういうことを私は思うんですね。 ですから、今の大臣のお話を聞いておりまして、大臣はいろいろとお考えがあって言っていることはよくわかるわけですけれでも、専門的な立場で、局長、これはどういうふうに考えておられるのか、一遍事務当局としての見解をこの際聞いておきたいと思います。
○国務大臣(保利耕輔君) 先ほどの私の答弁の中でちょっと抜けていたことがございますので、恐縮ですが補足をさせていただきたいと思います。 学習という中には、自発性というのがやはりあろうかと思います。そのことを申し上げるのをちょっと忘れておりました。 それから、今のお話に関連をいたしますと、私自身、教育と学習というのは少し言葉のニュアンスが違うなと思っております。これは衆議院の方でもお答えを申し上げたところでございますが、その下に者という字をつけてみると一層よくわかるのではないか、教育者あるいは学習者。これは教育者は教え育てる者であり、さらに学習者は学び習う者である。やや与える方と受ける方という感じがあるのではないか、私はそのように感じております。
○政府委員(横瀬庄次君) 私からこの法案において用いられている文言の意味につきまして私どもの考え方を申し上げたいと思いますが、まず生涯学習という文言でございますが、この法律において用いられているあり方につきましては、私どもは基本的には国民一人一人が生涯にわたって行う学習活動のことであるというふうに考えております。これは先ほど大臣が申し上げたとおりでございます。こういうような意味での生涯学習という用語は広く一般的に用いられるところでございまして、立法技術上も、特にこの法案についてそういう定義規定を設けるという必要はないというふうに考えまして、特に定義規定は設けなかったわけでもございます。 また、反対の意味でございますけれども、生涯学習というものが、先ほど大臣から申しましたように、自発的に学習を行うという形でこれから実体が形成されていく。まだ我が国の場合、生涯学習ということについてはほんの緒についたばかりでございますので、これから実体が形成されていくというようなことでございますので、国がある程度法律で固定した定義を行いますと、それは今後そういう本来自由であるべき個人の学習活動について制約をかけるものというふうに受け取られるおそれもあるということから、特に定義は置かなかったということでございます。 それから、生涯学習と生涯教育の違いでございますけれども、これは最初にこの違いについて我が国で触れましたのは昭和五十六年の中教審答申でございまして、このときの題名は「生涯教育について」ということでございます。 それで、このときに中教審が初めて生涯学習という言葉を公にいたしました。この意味といたしまして、「人々は、自己の充実・啓発や生活の向上のため、適切かつ豊かな学習の機会を求めている。これらの学習は、各人が自発的意思に基づいて行うことを基本とするものであり、必要に応じ、自己に適した手段・方法は、これを自ら選んで、生涯を通じて行うものである。その意味では、これを生涯学習と呼ぶのがふさわしい。」、こういうことでございます。 そして、「この生涯学習のために、自ら学習する意欲と能力を養い、社会の様々な教育機能を相互の関連性を考慮しつつ総合的に整備・充実しようとするのが生涯教育の考え方である。」というふうにいたしまして、この中教審では、学習者の立場から生涯学習、そしてこの学習者に対して学習環境を整備していく、そういう立場から生涯教育というような使い方をしてございます。私どもの理解としてはそういうことでございます。
○山本正和君 教員になる場合に、教育学をかなりみんな勉強をしておられるわけですね。そして、教育学の観点からさまざまな議論をしていって、そして子供の指導に当たる。ですから、そのときに教育学というものの十分な自分の理解というものがあるのとないのとによって、例えば教科の学習をするについても、いろいろと教師と生徒の関係というものに変わった態様が生まれてくる。 これは外国では、いわゆる我が国の文部省に相当する教育行政、その専門家の人は教育学をかなり深く履修しているわけです。そして、その教育学の履修の上に教育行政というものが行われるという国がかなりあるわけですね。私は文部省の中で役所の皆さんが教育学を勉強していないとは言いませんけれども、もう少し専門的に教育学の観点から言葉を使うについても、もっと厳密な使い方があっていいんじゃないかということをちょっと思ったものですから、今大臣と局長にお伺いしたわけです。 私どもが子供と接していろいろと生きていくという中で、子供自身が持っている力、それを引き出す作用、生きていこうとする子供の力を引き出そうとするその営みを教育というふうに私どもは普通考えるんですね。引き出す、あるいは耕すと言ってもいいんですけれども、そういうふうなことをよく言う。 学習というのは、これは人間が本来的に持っている生きていく力ですね。生きていこうとすれば、いやでも応でも毎日毎日いろんな経験を積み重ねます。毎日毎日の知識を吸収していきますね。そういう中で、自分自身が赤ちゃんとしてこの世に生をうけてから、そしていよいよ生を終わるまで、その間の自分の人生の総蓄積、その過程における営みを学習と称する。これは私どもはそういうふうに言うわけですね。だから、子供に接する場合には、子供は、我々が教えようとしている事柄と外れていようと外れていまいと、それは学習の中の一つの過程である。教育というのは、その中で伸びていこうとする力をいろいろと引き出してやったり、あるいはいろんな形での力を加えたり、さまざまなことがあって行われる営みが教育なんですね。 生涯学習という言葉を使うのは大変そういう意味では難しい要素があるだろうと思う。ですから、ユネスコだとか国際機関でも、この生涯学習という言葉を使うのについて、各国の言葉が全部違いますから、いろんな意味でこれについては議論が生まれている、こういうことだというふうに私は思うんですね。ですから、生涯学習という言葉を文部省としてお使いになるときには、教育学的な観点からの意味づけ、これはもう十分にお考えになっているというふうに私は承知しておきたいんですけれども、そういう立場に立って生涯学習という言葉をお使いになっていると、こういうことでよろしゅうございますか。
○政府委員(横瀬庄次君) 生涯学習という言葉の意味につきましては先ほど申し上げたとおりでございまして、これはその後臨教審におきましても、それから今般一月三十日の「生涯学習の基盤整備について」の答申におきます中教審におきましても、その過程におきましてその意味、理念等につきましていろいろな議論が行われておりますので、私どももそれに沿って承知をしている次第でございます。 今度の一月三十日の中教審の答申の中で、生涯学習の考え方について特に三点ほど留意すべき事項を挙げておりますけれども、その最後の項目、第三項目に、生涯学習は、学校や社会の中で意図的な、あるいは組織的な学習活動として行われているものだけではなくて、人々のスポーツ活動、文化活動、趣味、レクリエーション、ボランティア活動というようなものの中でも行われるものだということが特に触れてございまして、いわゆる教育として与えるものが意図的に行われているもの以外に、学習というのは、もう少し広い対象といいますか、みずから自発的に、相手が特に意図的に行うものでなくても、そこから学んでいく場合があるということをここで特に強調しておりますので、そんな考え方で私どもも理解しておるところでございます。
○山本正和君 日本国憲法それから教育基本法、こういう中で国の役割あるいは公共団体の役割として教育についてはさまざまな規定がございます。すなわち、憲法なり教育基本法なりでいうところの国の役割という中で、教育というものをやっぱり国がいろいろとやっていかなきゃいけない、これは当然あってしかるべきなんですね。ところが、学習というものに対して、これは国といえどもなかなか介入できない。こうあるべきだとか、こういうふうな形をしていこうとかいうことは、国としてはなかなか言い得ないものだろう、こう思うんです。 これは教育学というか、自分自身が、例えば学校の教師じゃなくてもいいんです、自分の子供に接してもそうだと私は思うんですよ。要するに教育ということは、これは他から与える作用ですから、いろいろな形に出てまいりますし、それに対しては国がいろいろとかかわらざるを得ない、これはあると思うんですね。学習という部分はそうじゃない。例えばその国の国家意思と全然離れた形で人間が生きていても、その人間は学習しているということが言い得る。ですから、学習という問題を議論するときに、そういう意味で非常に難しい、場合によっては哲学的な内容を含めた議論がなければいけない、こういうことを私は思うんですね。 そこで、文部省が言う生涯学習というのは、私は狭い意味の、要するに人間が生きとし生きている限りいろんなものを学び習おうとしていくそういう営みですね。それに対して国が教育の分野でかかわろうとする分野をここでは狭い意味で生涯学習というふうに言っている、こういうふうに理解せざるを得ないんですけれども、そこはどうですか。
○政府委員(横瀬庄次君) 生涯学習という言葉そのものは学習者に立った言葉でございまして、これは行政的な方向を示すものじゃありませんが、生涯学習の振興の理念ということになりますと、これが行政的な方向を示すことになるわけでございます。 文部省といたしまして、生涯学習振興の理念というものについてどう考えているかということを申しますと、基本的には、人々が生涯の各時期において自発的意思に基づいて適時適切に学習を行うことができ、かつその成果が適正に評価されるような社会を目指すことであるというふうに考えております。したがいまして本法案は、生涯学習の基盤を整備することが当面する重要な課題であるという認識に立ちまして、生涯学習の振興の推進体制の整備等々につきまして御提案を申し上げているわけでございます。 要するに人々が生涯学習を行うのについて、その環境を整備するといいますか、そういう全体の推進体制の仕掛けをつくっていくというのが国及び地方公共団体の仕事であって、あくまでもそれについては、国民の学習に関する自発的意思を尊重するようにというのが法案の第二条にも特に明記してございますけれども、そういった配慮事項を十分考えつつ、どういうふうに生涯学習社会が構成されていくか、それについてのいわば条件整備といいますか、環境整備といいますか、基盤の整備というようなものをどう考えていくかというのが公の任務である、そんなふうに考えております。
○山本正和君 ちょっと話がかみ合ってないんですよ。私はこう思うんです。教育という営み、これは国なりあるいは公共団体なり、あるいは親なりあるいは先に人生に生をうけた者、これは後から生まれた者に対して、あるいは国民全体に対して、いろいろな意味での教育という営みは、これはあるべき姿とかなんとかいうことが議論されるし、イメージもされ得るものだというふうに思うんですね。 ところが、人間がその生涯、学習という営みをするということについては、あるべき姿とか、こういう方向に持っていくとかいうふうなことは本来不可能だと思う。しかし、その生涯学習をしようとすることに対して、それを援助する、あるいは生涯学習をするについて、それにさまざまな手助けをするといいましょうか機会を与えるとか、そういうことは可能だけれども、あるべき姿というものを想定して、生涯学習というのはこんなものだというのを想定しておいて、それはこういうふうにいくんだということによって、これをつくる、あれをつくる、こうするんだということは不可能だろうと私は思うんですね。 これは十六省庁の間で大変議論があったとかなんとかいうふうなことを私は聞きますけれども、要するに人間が生きていれば、日本の国の中に生きておればさまざまな活動をします。活動をすれば、国が行政機関をいろいろ配置しているように、それこそ大蔵省からあるいは公正取引委員会から、いろんな機関がありますよね。人間が生きていくときには、それらの機関にいやが応でもかかわらざるを得ないんですね。かかわらざるを得ない中で本人がどんどん学習をしていくんです。そのことを教育という分野から、これはこうである、ああであるというふうにしてまとめようとしても、これは不可能なんです。 ですから、例えば労働省は労働者の技術教育、労働者教育、あるいは通産省なら通産省は中小企業の経営者に対するさまざまな教育、これはそれぞれの中でやるわけですよね。各省庁には、それぞれの人間が生きていく中で勉強していく、学んでいくことに対していろんな条件を与えていくということがそこで生まれるんですね。では、その生まれるものが何と呼ばれるかというと、それもやっぱり生涯学習なんですよ。その生涯学習というものをやはりどっかでもって束ねようとするということを発想するならば、これは到底不可能である、できるはずがない。 だから、今度の法案が生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備と、こういうふうに難しい大変長い文章になっている理由は、すなわち生涯学習の本質からいって、簡単に生涯学習の振興のための法律、こういうふうになかなか出しにくい。せめてこういう表現ならば生涯学習という言葉を使ってもいいんじゃないかという大変苦しい中から生まれた法律案というふうに私は読み取って質問しているんですけれども、そういうふうに受け取ってよろしいか。
○政府委員(横瀬庄次君) 生涯学習というものについては、まさに先生がおっしゃいますように国民が自発的に行うものであって、それはそのまま尊重していく、そして機会の整備等々を図っていくことによって国民の生涯学習を支援するというときに、そういう学習の機会というものをどういうふうにつくっていったらいいかというその基礎は、これは国民の学習ニーズにある、学習需要そのものにあるという立場でございます。 したがいまして、国民の生涯学習の方向というものを国が決めていくとか地方公共団体が決めていくということじゃ決してなくて、それは国民の自発的意思に基づいて、それぞれがどういう学習ニーズを持っているか、どういう学習をしたいかということを基礎に置いて、その学習機会の整備あるいは先生が今おっしゃいました支援体制というようなものをつくっていこう。つくっていくその全体の方向をどういうふうに押さえていくかとか、あるいは国民と学習機関の間をどうつないでいくかとか、あるいは学習機関同士がどういうふうに連携していくかというようなことは、これは生涯学習という観点からの行政がどうしても必要になってまいりますので、そういう基盤をつくろうというのがこの法律の考え方でございます。 したがいまして、大体、今先生がおっしゃった趣旨に基づいて、私どももそういう方向で推進体制を整備する必要性を理解しているものでございます。
○山本正和君 私は三重県で退職教職員互助会の理事長をしております。私はことし六十三になりますけれども、八十何歳の人まで全部互助会の会員としてさまざまな会合を持っております。そうすると、幾つになっても人間は学びたい、生きている限り学びたいという要求があるんですね。退職された教職員の人たちの一人一人にとっては、自分が生きていて、それで例えば孫と会うこと、あるいは朝新聞を読むこと、一緒に会合へ出ていろんな話をすること、後輩が訪ねてきて学校時代の話をいろいろすること、そういうようにその人たちがそれぞれずっと生きていく中で、自分自身のまだまだ見識が足りなかった、もっと学ばなきゃいけないことがたくさんあった、もっと学びたいということを言っておられる。そういう人たちが学びたいという意欲を持っているそのこと。 まあ今のはお年寄りの場合ですけれども、今度は赤ちゃんが生まれてどんどん成長していく、成長していく中で、本当に子供は好奇心に満ちて、熱いものにもさわってみるとか、そういう人間が生きていく活動ですね。それで職業生活に入ります。例えば今病院の看護婦さんは大変な激しい労働の中で、十分な機会も与えられない中で一生懸命働いている。そこで看護婦という仕事をしながら、さまざまな自分の知識を身につけていく。またそれと同時に個人として、恋愛もし結婚もし子供も産むんですね。その中で人間として成長していく。 そういうふうに、人間が生きている限り、生きているということに伴って、自分が学びたい、習熟したい、そしてそのためにいろんなものを自分で要求する、その営み全体が生涯学習だというように私は思うんですね。 そういう生涯学習に対してこの法律の意図するものは、できるだけそういう生涯学習をしようと思う人に対してチャンスを与えてあげよう、あるいは何とか生涯学習し得る条件を与えてあげよう、こういうものがこの法案の根底であるはずなんだろうというふうに私は思うんですけれども、もう一遍聞きますが、それでいいですね。
○政府委員(横瀬庄次君) この法案で三つの政策を盛り込んでお願いをしておるわけでございますが、この生涯学習というものについては、まず個々の国民はみずからの意思に従って自発的に学習をしていく、一人一人が生涯にわたって学習活動を行っていく、これが生涯学習。これに対して、学習の機会というものが現実にはいろいろとあるわけでございます。学校教育、社会教育、文化活動その他文部省以外の省庁でも行っている施策あるいは企業の中でも、社会の中にはいろいろと学習機会があるわけでございますが、その学習機会について、一つは全体の学習機会の方向づけといいますか、学習者が自発的に活動していくときに、その学習者の学習ニーズというのはどちらの方向にあるかということについての一つの重点といいますか、そういうものを考えていく必要がある。それから、この生涯学習というもののもともとの考え方の中に水平的統合という言葉がありますけれども、学習の機会同士でいろんな連携協力をしていった方が学習者の要求に合っていくことが多いということから、その学習機会同士の連携協力をさせるということ。 それから、今先生がおっしゃいましたように、そういう学習機会とそれからその学習者の間を結びつけて、最も学習者にとって望ましい学習機会にアクセスできるようにしてあげるというようなこと。そういうような働きというものを、まず一つは、都道府県の教育委員会が行いますこの法案の第三条関係の教育委員会の生涯学習推進事業体制といいますか、そういう形で、情報の提供でありますとか、あるいは地域の中での学習機会同士の連携協力の促進でありますとか、あるいは指導者、助言者の研修でありますとか、そういうようなことを地域の中でやっていこうという体制をつくろうというのが一つ。 それから、従来余り行われておりませんでした総合的な学習機会の提供というものの機会をつくろうということ。 それから第三番目に、生涯学習審議会あるいは都道府県の生涯学習審議会あるいは市町村の連携協力体制というものをつくって、そこで先ほど申しました国民の学習需要というものがどちらの方向に向いているのか、これからの進め方をどうするのか、あるいはそれぞれの学習機会同士の連携協力体制をこれからどうやっていくのかというような一つの方向づけといいますか、そういう調査審議機関をつくろう。 この三つのことによりまして、我が国の生涯学習推進対策、最初の法律でございますが、まず当面実現すべき基盤といたしまして、そういう体制を整えていったらどうかというふうに考えたのがこの今回の法案でございます。
○山本正和君 どうもかみ合わないんですよね。この法律の中で具体的に今やろうとすることは何ですかということは、今局長のおっしゃったとおりなんですね。今の大体三つの問題を中心にこの法案では用意しておりますということなんですよね。ところが、生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備という概念は、この三つだけじゃないでしょう、本当からいえば。この三つは、整備のうちのこれとこれとこれをとにかく当面やりたいと、こういうふうな法案の内容でしょう。 ですから、生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備という概念からいえば、その概念のうちのこれは一部である、その一部のところを今局長さんは一生懸命説明しているんだけれども、私は生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備とは何かということを今聞いているんだから、ちょっとそこのところ、これでもう全部一〇〇%ですか。生涯学習の振興のための施策の推進体制の整備は、それではこの法案によって全部できますか。私は一部だろうと思って聞いておるんだけれども、これで全部ですか。そこはどうですか。
○国務大臣(保利耕輔君) 先生の御指摘いただいておることは私はよくわかります。学習という概念は自発的なものであって、そしてある意味で言いますと、個人の自由というものがその裏にやっぱりあろうかと思います。例えば、博物館に行こうとか、あるいは図書館に行って本を読もうとか、あるいは映画館に行っていい映画を見ようとか、あるいは自分は水泳ができないから水泳を習おうとか、あるいは旅行してみたいとかというようなものがすべてやっぱり個人の自発的な気持ちであり、そのどれを選択するかというのは個人の自由に私は属すると思うのでございます。そういう意味で、生涯学習はこうあらねばならないとか、あるいはこういう方向でいくべきだとかということを規定するものではなくて、その選択はやはり個人の自由に属すべきものだと私は思っておるわけでございます。 そういう意味で、今先生の御質問を承っておりまして、この法案との関連ではいかがかというお話でございますが、これはまさにその一部の、できるだけそういう生涯学習をしようという自発的意思を満たすための一つの手段を提供してあげよう、場を提供しよう。それも、しかしこの法律で準備する場というのは、先生御指摘のように全部ではない。まず、とにかく中教審でも言っておりますとおり、できるものからやりなさい、こういう御指示でございますので、いろいろ各省とも調整をさせていただいた上で、こういう法案を準備させていただいたわけであります。 しかし、一つ重要な事項がありますのは、審議会というのが入っております。その審議会の中で、これから国民がどういう希望を持つだろうか、そういうものに対してどういうふうな準備をしていくべきであろうかというようなことを調査、審議する場というのが審議会だと私は考えております。 以上でございますので、先生からお話のありましたように、全部かと言われれば、私は今のところは残念ながら全部ではなかった、しかしそれは各省庁との連携のもとにやがて総合的なものにしていかなければならない、そういうふうに感じております。
○山本正和君 まずそのところが今の大臣の御答弁でかなりはっきりしたと私は思うんですね。この法案に対する一つの国民の間にある疑問の出発点は、この生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律、こういう非常に長い法律は、生涯学習という名前を使っての法律としては初めての法律になるわけですね。だから、一体国は生涯学習というものをどう考えているんだということについての非常に大きな懸念が生まれてきておる、そこからさまざまな問題が出てくる、これを私は指摘したかったので、まずこのことをお尋ねしたわけです。 今の大臣のお話で、生涯学習とは本来個人が、それぞれ生きとし生けるものが生きている中においてさまざまな活動をしていく、その中でいろいろな要求を持っていく、生きるためにさまざまのものを学びたいという要求を持っていく、そういう生涯学習というものに対して、この法案ではせめてこれだけのことをまず提供しましょうかと、こういう内容である、こういうふうに大臣はおっしゃったと思うのですけれども、もう一遍繰り返しますが、それでよろしゅうございますか。
○国務大臣(保利耕輔君) そのとおりで結構でございます。
○山本正和君 それで大分明確になりましたから、今度は法案の中身に入りまして、少し確認をしておきたいと思うんです。 まず、法律案そのものよりも審議のために出していただきました生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案の要綱というのがありますね、政府の方から出していただきましたね。その要項で、「第一 目的」、「第二 施策における配慮等」、「第三 生涯学習の振興に資するための都道府県の体制の整備等」、こういうふうにずっと第一、第二、第三、第四と出ておりますね、これは今お手元にございますか。この方が法案よりもわかりやすいと思うので、どうですか、ありますか。
○政府委員(横瀬庄次君) よろしゅうございます。それをお使いになって結構でございます。
○山本正和君 ありますね。 第二のところで、「国及び地方公共団体は、この法律に規定する生涯学習の振興のための施策を実施するに当たっては、学習に関する国民の自発的意思を尊重するよう配慮するとともに、」、これは一番大切な部分ですね。そして、そこの次が「職業能力の開発及び向上、社会福祉等に関し生涯学習に資するための別に講じられる施策と相まって、」と、こうなっています。ですから、この部分は外す、こういうことですね。要するに今度考えている生涯学習の振興のための施策の整備、この中では、「職業能力の開発及び向上、社会福祉等に関し生涯学習に資するための別に講じられる施策」、これは別ですね、外しますよ、こうなっているんだけれども、これでいいですか。法文上もそういうふうになってきているんだけれども。
○政府委員(横瀬庄次君) 今先生が御指摘になりました部分でございますが、むしろそういう解釈でなくて、その後に「別に講じられる施策と相まって、」というふうになっていますね。この「相まって、効果的にこれを行うよう努める」という方が、どうするかというこの法律の方向は、そちらの方にあるわけでございます。 ちょっと御説明いたしますが、まず、この第二条の最初のところでございますが、国及び地方公共団体は、「この法律に規定する生涯学習の振興のための施策」というふうに限定しているわけでございます。この法律に規定する施策と申しますのは、おおむね大きく分けて三つのことでございますが、先ほどから大臣が申しましたように、国民の生涯学習のための施策というのはこれ以外にも数多くあるわけでございます。ですから、その法案による施策とは別の法体系による生涯学習に資するための施策があるということを明確にした、それはこの三つ以外にたくさんあるということを明確にした。その代表的な例といたしまして職業能力の開発と向上、社会福祉というものを挙げまして……
○山本正和君 もうちょっと簡単にやってください。
○政府委員(横瀬庄次君) はい。それとの間の連携ということを配慮事項として強調したということでございます。
○山本正和君 それでは条文でいきますよ。 第二条をちょっと読んでください。「この法律に規定する生涯学習の振興のための施策を実施するに当たっては、学習に関する国民の自発的意思を尊重するよう配慮するとともに、」、そこにぽつが打ってある。そして、「職業能力の開発及び向上、社会福祉等に関し生涯学習に資するための別に講じられる施策と相まって、」、「別に講じられる施策と相まって」となっているんです。だから、これは別に講ずるわけです。 別にだれが講ずるかといったら、私はどうもこの文章を読むと、労働省関係と厚生省関係は外しますと、労働省がさまざまな施策をやります、厚生省がさまざまな施策をやります、その施策というものを見て、それは今講じられている、それと我が方が今からこれをやろうとしていますと、これと「相まって」と、こうなってくれば、要するにそっちの方の施策の責任者は役所で言えば労働省であり厚生省である、というふうになる。これはここで別に講じるわけですね。こっちは別に講じられる。我が方はこう考えていると。 しかし、「相まって」ですから、これは一応もちろん協議やなんかするでしょう。しかし、施策の責任者は少なくともこれを見ると文部省じゃなくなるんですよ。ここで言う審議会でもなければ、この基本構想の概念から外れてくるというふうに読めるんだけれども、それで間違いないでしょう。そう読まなければ、また厚生省や労働省がばんばん言ってきますよ、ちょっとそれを確認しておきます。
○政府委員(横瀬庄次君) この法律に規定しております生涯学習に対する施策、具体的に言えば先ほどの三つでございます。それとは別だというのはそのとおりでございます。ですから、それと相まってやっていこうということでございますから、労働省や厚生省の施策は生涯学習ということからは外れているわけではないけれども、本法の施策とは別の法体系によって行う、先ほどの施策に関してはでございますが、ということでございます。
○山本正和君 余り難しく議論していくとかえってわかりにくくなりますから、簡単にわかりやすく言えば、この法案に基づいて今からさまざまなことをやるわけです。文部省の役割も明示されている、それから審議会の役割も明示されている、都道府県の役割も明示されている、それぞれがいろんなことをやっていかなければいけないわけです。 この法律が通ればそういうことでやっていくんだけれども、しかし、その法律と別個にほかの——今私が例に出したのは厚生省であり労働省ですけれども、実はあと自治省もある。警察は警察で生涯学習をやっていますと言うんですよ。国土庁は国土庁で生涯学習をやっていますと言うんです。生涯学習というのは私が言いましたように、本来人間が生きている限り行う人間の営みなんですから、さまざまにある。そのあることに対応してそれぞれの省庁がいろいろ行う、あるいは民間が勝手に行う、個人でもいろいろやるわけです。企業もやっている。 そういうふうにいろいろあるんですけれども、ここで特に引っ張り出して「職業能力の開発及び向上、社会福祉等に関し生涯学習に資するための別に講じられる施策」と言っているのは、これは要するにこの法案で考えているところのさまざまな施策というものは、当然関連はするけれども、相談はするけれども、講じる主体はこの法律ではないんですね。そこだけは明確にしておいてくださいよ。
○政府委員(横瀬庄次君) 大体そのとおりでございます。この法律に決められている施策とは別の法体系で行われるものということでございます。
○山本正和君 それで大分すっきりしてきたんですけれども、その次に私がこれを読んでいって心配したのは都道府県なんですよね。「第三条及び第四条関係」と書いてあるんです、要項の方では。法律の方がかえって政府の方は答えやすいかな。第三条の一項三号、「地域の実情に即した学習の方法の開発を行うこと。」、こういうのがありますね。この「学習」というのも生涯学習の概念ですよね。これはいいですね。となると、「地域の実情に即した学習」というのは、さまざまな問題がありますけれども、その開発をではだれがやるんだと言ったら、ここに「都道府県の教育委員会」と書いてあるんです。ところが、教育委員会以外に知事部局にはさまざまな部局があるわけですよね。それぞれのものがそれぞれやっぱり、その県なら県の県民生活のあらゆる分野にわたっていろんな行政を行っている。となると、それぞれの場所で生涯学習がやられているわけですね。ところが、そこでこれを特段に取り上げて「地域の実情に即した学習の方法の開発」となりますと、さまざまなことが地域で行われている、それを要するに都道府県の教育委員会は一括して、例えば民生部がやっている、農林部がやっている、商工労働部がやっている、そういういろんなものがやっているやつを、地域として見た場合には都道府県教育委員会がこれについてはその開発を行う、こういうふうに読み取れるんですけれども、それでいいですか。
○政府委員(横瀬庄次君) これは第三条の第一号のところに、「学校教育及び社会教育に係る学習」とございまして、その下に括弧して、「以下この項において「学習」という。」というふうになっております。その学習という意味でございますので、法律的に申し上げれば、地域の実情に即した学習」という意味は、地域の実情に即した学校教育及び社会教育に係る学習という意味になります。ですから、法律上の効果といたしましては、都道府県教育委員会が行います所掌事務は学校教育及び社会教育でございますので、教育委員会の所掌事務の中の部分に限るということになるわけでございます。
○山本正和君 そうすると、この文章と中身とが違ってくるんですよね。普通読みますと、今度は法律案の方を見てくださいよ。法律案第三条第三号、「地域の実情に即した学習の方法の開発を行うこと。」と、これについては第三条の前文で「都道府県の教育委員会は、生涯学習の振興に資するため、おおむね次の各号に掲げる事業について、これらを相互に連携させつつ推進するために必要な体制の整備を図りつつ、これらを一体的かつ効果的に実施するよう努めるものとする。」と。実施の権限は教育委員会ですね、ここからいくと。ですから、実施の権限を持った教育委員会が学習の方法の開発を行うわけです。 私はこれは、本当は私個人としては賛成なんですよ。本来はそうあるべきだと思うんですね。というのは、教育委員会という制度は、これは教育基本法、地教行法から来て、もっと私は教育委員会にさまざまな、何といいますか、私は権限という言葉は好きじゃないけれども、さまざまな分野に対して責任を持たせなきゃいけない問題がたくさんあろう、こう思いますから。ところが、こんなことをもし言ったら、今度は地方へ行ったら大もめにもめてしまって、正直言いますけれども、教育委員会というのは金もない、予算送付権もない、しかもその人事たるや、県段階で言いますと、各部局の中ではどっちかといったら劣位に立つ。部長会議では発言権も弱いんですよ。 その教育委員会が何かやろうとしたら、おまえのところは何を言っているんだと、こう噴き出されたらだめなんですよ。だから、本当にこれをやるんなら私賛成ですよ。ですから、この法案で私が一番心配するのは、教育という分野における学習、それと生涯学習という概念、これとの、これが非常に難しいんですけれども、主体性を持って取り組むのはだれが取り組むんだということが、この法案の中でなかなか明確になっていない。混乱が出てくるんじゃないか。 私はそういうふうに読めたんだけれども、今の局長の話では、いやこれは教育委員会の所管に係る部分だけですと、こう今おっしゃったから、私はそう言ったんです。教育委員会の部分に係ったことだけやるなら、従来の社会教育をやっているのと一緒ですよね。現在のところはそうなってしまう。しかし、生涯学習という意味で広げていこうというなら、違ってくるはずなんです。 だから、今度は民生部やほかの部が何か言ってきても、そんなことはだめです、法律でちゃんとこのとおり、これは教育の一環として私どもは生涯学習というものをこういうふうな形でとらまえていますから、あなたのところは私の言うことを聞きなさいと、こう言えるのか、言えないのか、それはどうですか。
○政府委員(横瀬庄次君) これは、先ほど申しましたように、都道府県教育委員会の生涯学習の振興に資するための事業でございますので、この法文上の所掌範囲というのは教育委員会の所掌範囲に限っているわけでございますが、ただ、この第二項のところに、「前項に規定する事業を行うに当たっては、」いろいろな「機関及び団体との連携に努める」ということが書かれておりまして、こういう規定によりまして、広がりについても一応できる形をとって、なるべく教育委員会としては広い学習の機会あるいは学習の方法の開発ということについて取り組むように、そういう方向を出しているつもりでございます。 それから、この第三号の「学習方法の開発」と申しますのは、実はその前の第二号のところに「住民の学習に対する需要」に関し「調査研究を行う」というのがありまして、それを受けている私どもとしてはつもりでございます。住民の学習需要がいろいろある、その需要に対してそれではどういうプログラムを用意したらいいのかというようなことについて、都道府県教育委員会がそういう任務に当ったらどうだろうかと、こういうような気持ちでございます。
○山本正和君 場合によっては教育基本法を改正しなきゃいけないぐらいの内容なんですよね。第一号、「学校教育及び社会教育に係る学習並びに文化活動の機会に関する情報を収集し、整理し、及び提供すること。」、これは明らかに教育委員会の所掌事務ですよね。それで、教育基本法なり、あるいは学校教育法なり社会教育法なりという法文の中でこれはきちっとやれるんですよね。 しかし、その次の「住民の学習に対する需要及び学習の成果の評価」とか、この「住民の学習」、この「学習」というのは生涯学習という概念だというならば、大変広い意味になるんですね。碁を打ちたいというのも生涯学習ですよ。カラオケを歌いたいというのも生涯学習、極端に言ったら酒を上手に飲みたい、これも生涯学習ですよ。二日酔いしないように飲みたいというのも生涯学習ですよ。 だから生涯学習という概念は非常に広いんですよね。その広い分野に対して二号と三号は及ぶように読み取れるんです。なぜ読み取れるかといったら、はっきり教育委員会の権限に属する事項、教育基本法から流れて教育法の体系の中にうたわれるということがここの第一号にあるから、それで二号、三号と続きますから、これはもっと広がってくる。そうすると、教育委員会もこの辺までいよいよ力をつけてきたかと、こういうことも思うわけですよね、文章としては。だからその辺の問題については、これは今もし局長の言うような意味ならば、誤解のないように、これは説明するときにどうするのかやっていかなきゃいけないという課題があると思う。そのことを私は指摘しておきます。 じゃ次に行きます。時間がちょっと……。これだったら、もっと二時間ぐらいもらうとよかったんですけれども、時間がありません。 その次に行きますが、地域生涯学習振興基本構想、第五条ですね。ここで、「都道府県は、当該都道府県内の特定の地区において、」、以下ずっと進んでいって、そしてここでもまた教育委員会なり文部省の所管と言われている部分とそうじゃない部分とが一緒に出てくるんですね。「社会教育に係る学習及び文化活動」、そこまではいいんですよね。そこまでははっきり文部省なり教育委員会の所管です。ところがその次に、「その他の生涯学習に資する諸活動の多様な機会の総合的な提供」、これはもう文部省の権限以外のやつがたくさんあります。文部省全くあずかり知らぬところがたくさんあるんですね。「その他の生涯学習に資する諸活動」というのはべらぼうなものですからね。「多様な機会の総合的な提供を民間事業者の能力を活用しつつ行うことに関する基本的な構想」、こういうふうに書いてある。そうすると、今度はここに書いてあるのは教育委員会でもなければ文部省でもありません、都道府県なんですね。 都道府県はそうすると、今度は教育委員会の所管事項も、そうじゃない他のいろんな幅広い分野も全部都道府県はやれることになる。そうしたら、地教行法でうたわれているように教育行政の最高責任は教育委員会であるけれども、その権能はどこへ消えていくんだ。教育委員会はもうすっかり、はい知事さんどうぞ、県でやればもう何も文句言えなくなるというふうにこれは読もうとすれば読み取れるんですけれども、それについての解釈はいかがですか。
○政府委員(横瀬庄次君) その点につきまして、ここにございます「社会教育及び文化活動」に関しましては、これは教育委員会が所掌するものでございます。おっしゃいますように、「その他」というものがありました場合には、それは教育委員会外ということになります。ですから、ここでの地域生涯学習振興構想というものは、都道府県においては主に教育委員会所管の部分が多いと思いますけれども、中にはそうでない内容のものも含まれることになります。 その場合には、教育委員会と知事部局とが共管をする形になりまして、それでその共管する全体の窓口とかあるいは総括をするとかいうようなことについては、これは事務の合理化、能率化の意味から、教育委員会か知事部局かどちらかの部局に統一的に置かれるということは当然予想されるわけでございますけれども、あくまでも所管の内容はそれぞれの部局にあるわけでございまして、社会教育及び文化活動について、教育委員会の権能が知事の方に行ってしまうとか、あるいは知事が教育に介入するとかというようなことはこの法文上起こらないということになると思います。それから、十分そのことは注意をしていかなきゃならぬということで、私どもとしては指導していきたいというふうに思います。
○山本正和君 この第五条をそのまま素直に読みますと、要するに従来の教育委員会が責任を持ってやっていかなきゃいけない社会教育だとか文化活動、それが都道府県のところに直轄してしまう、あるいは直轄しなくても都道府県の下に教育委員会は位置づけられる。都道府県があって教育委員会があって、例えば民生部があって、あるいは労働部があってと、こういうふうな格好で、これを全部統括するのが都道府県と、こうなっておる。ところが、教育基本法なり憲法から流れてくる教育の行政の体系というものは、都道府県から独立した教育行政についての最高の責任は都道府県教育委員会であると、こうなっているはずなんですよね。下じゃないはずです。 国家行政組織法では内閣総理大臣のもとに文部大臣がありますよ。しかし、都道府県では都道府県知事と教育委員会は別なんですよ。議会で並ぶときも、大体知事はこっち側に並んで、都道府県教育長はそっちに並んで、真ん中に議長がおるんですよね。ですから、都道府県教育委員会というものが知事の下にこれは隷属しておるのかと、こういうふうにこの文章からいくと読み取れてしまうんだけれども、そうじゃないならないと、決してそんなことありません、教育委員会はその県の教育行政の最高責任者としての立場は明確でございますと、ここのところをひとつはっきりきょうの段階で答弁できますか。
○政府委員(横瀬庄次君) 教育に関する事務につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律によって教育委員会の所掌になっているわけでございまして、そのことはこの法案によって何ら変動を及ぼすものではございません。ここに書いてございます都道府県と申しますのも、これは教育委員会も知事も含めた概念でございまして、都道府県の中で、教育及び文化に関する事務につきましては、これは当然その教育委員会が所掌する、こういう前提でございます。
○山本正和君 ここでは局長はそういうふうに行政的なお答えしかできないと思います。大臣の方から政治的な意味でちょっと私お聞きしておきたいんですけれども、要するに地域生涯学習振興基本構想というものを策定するについて、この第五条以下の規定があるわけですね。そして、この第五条以下の規定の中には、教育委員会という言葉はただの一つも出てこないんですね。そして、その教育委員会の明らかに権限に属すべきものである社会教育とか文化活動という言葉は出てくるんですよね。 ですから、この第五条でこういうふうな表現になっているけれども、これは大臣から明確にお答えしておいていただければ誤解を招かないという意味で私は言うんですけれども、第五条の地域生涯学習振興基本構想においても、従来から言われてきている教育委員会制度ですね、あるいは教育基本法、地教行法、こういう教育委員会が持っている本来の権限、教育についてのその県の行政の最高責任者としての権限、これに関する事柄については、教育委員会の議を経なければこの基本構想というものは成立しない、こういうことで確認してよろしゅうございますか。
○国務大臣(保利耕輔君) 教育委員会の立場につきましては先生御指摘のとおりだと思います。そして、私なりにこの第五条を見て考えておりますが、これは「都道府県」が文部大臣あるいは通産大臣の「承認を申請することができる。」というところに主文があろうかと思います。したがいまして、申請者が都道府県であるということでありまして、その中においてどういうふうな議論がなされるかというのは、教育委員会の立場を尊重しつつ、いろいろな意見が総合されて申請が行われるものと、私はそのように解釈をいたしております。
○山本正和君 じゃ、今のひとつの大臣の御答弁を十分、この法案を仮に実行に移すについても、解釈するについても、いろんな形で周知徹底していただくように要請をしておきます。 それから、その次に大変国民が奇異の念を感じているのは、生涯教育の問題というのはあらゆる分野にかかわる、しかしながら生涯学習振興基本構想について、仮に文部大臣だけならまだ話はわかるんですね、生涯学習というものを教育という観点からとらまえようとしているなということはわかる。突然通産大臣だけがぽっと挙がってくる。なぜ自治大臣は挙がらないんだ、なぜ労働大臣は挙がらない、なぜ厚生大臣は挙がらない、こういうことになってくるんですけれども、そういう意味で、なぜ通産大臣が文部大臣と同じような形で「文部大臣及び通商産業大臣は」と、こういうふうに常になるのか。その理由をちょっとまず——これは衆議院である程度議論していますから、理由はもうきょうはやめます、時間がありませんからね。 通産省、来ていただいていますか。おりますね。 次に移る前に、通産省がこの法律において果たし得る役割ですね、これをちょっと通産省の方から説明を先に聞いておきたいと思います。
○説明員(桑田始君) 地域生涯学習振興基本構想は、公的施設が行います生涯学習機会の提供を一層推進するということとともに、民間事業者の能力も活用して、スポーツとか文化活動などの多種多様な生涯学習の機会を提供するということを目的とされております。 通産省としましては、民間事業者の方々がその創意工夫で人々の学習需要に柔軟に対応されて、いろいろな学習機会を提供されているということにかんがみまして、こうした民間の事業者の能力が効果的に活用されれば、生涯学習の機会がさらにより厚みとか深みを持つことになるんじゃないかということで、文部省と協力しながら取り組んでまいりたいということでございます。文部省は教育文化の振興の観点から、私どもは民間事業者の能力を活用するという観点から取り組まさせていただきます。 こうした観点から、本構想におきましては、この構想推進のための支援業務を行います民法法人を設けることとされておりますし、私ども通産省といたしましても、この構想の円滑な実施のために、地域におきます民間事業者の組織で全国で約三千三百カ所余りの市町村におきます地域コミュニティーの核である商工会議所、商工会にも必要な場合協力を要請いたしまして、地域に密着した生涯学習の機会を提供できるようなことを支援してまいりたいというふうに思っておりますし、さらには既存の税制、中小公庫等の財政投融資の積極的な活用ということにも努めてまいりたいというふうに思っております。
○山本正和君 通産省どうもありがとうございました。じゃ通産省結構です。 私は、この法案の体裁の中で、結局今の説明にあるように、通商産業大臣という言葉が出てくるのは、民間活力をこの中に入れていきたいという文章に伴って通商産業大臣というのが入って来たと思うんですね。ところが、そういうことからいいますと、例えば勤労者教育ということで言えば本当は労働省の問題が出てくる。それから、地方自治体が本来持っている地方自治体そのものの生涯教育の権能というのはたくさんあります。そういうことから言えば自治省も出てくる。マスメディアで言ったら今度は郵政省も出てくる。緑の教育ということになると今度は農水省も出てくる。それから海だとか自然環境となると環境庁も出てくる。ですから、生涯学習という概念は大変広くて、非常にさまざまな問題を抱えていると思うんですね。 したがって、本日文部省がここに提起されている、きょうも大臣からありました趣旨説明の内容等をお聞きしておっても、生涯学習という概念については、今からもっともっとやっていかなきゃいけないさまざまな課題がある、大変幅広い内容を包含している。しかし、当面生涯学習がさまざまに行われている部分について、とにかくやり得るものは何かということでの、緊急避難という言葉は余りよくないですけれども、とにかく今から何かやっていかなきゃということについては議論もしなきゃいけないだろう。そうすると審議会も要るだろう。 あるいはこれも誤解かもしれませんが、よく言われることに、リゾート構想に文部省は乗りおくれるなということから特定地域というものが出てきたというふうな誤解さえある、ひょっとしたら正解かもしれませんけれども。そういうさまざまな問題があるだけに、私どもとこの間ずっと議論いたしまして、公明党の生涯学習構想プランというものを私読ましてもらった。なかなかすばらしいですね。それから、中教審の中に出てきている生涯構想プランというものもなかなか本格的な議論になる。文部省の、これはどうも表には出なかったけれども、生涯学習に対してさまざまな議論をしたというその議論の内容等を聞いても、なかなかすばらしいものがあるんです。 となると、本当は生涯学習という問題については、何としてももう一遍きちんとしたものをつくっていかなきゃいけない、こういうものが背後にあるだろうと私は思うんですね。当面これは出したけれども、本来的に言えば生涯学習というものについては、もっともっと議論しなきゃいけない問題がたくさんある、もっともっと国民全体の中で合意を得られるためにさまざまな取り組まなきゃいけない問題がある。こういうことを文部省はお考えの上で、当面これだけはとにかくやむを得ずということでお出しになったと、こういうふうに理解をしておきたいんですけれども、その理解で大臣、よろしゅうございますか。
○国務大臣(保利耕輔君) まさに先生御指摘のとおりでございますが、そしてこれは参議院の本会議におきましても海部総理から、先導的役割を果たす法案であるという御説明がありました。
○山本正和君 その先導という言葉がちょっとまずい。とりあえずならいいんだけれどもね。
○国務大臣(保利耕輔君) まあ先導になりますか、事実はそういうことがございましたが、含みといたしましては、意味するところはやはり先生おっしゃるように、とりあえずということになるのかもしれません。しかし、生涯学習という概念そのものは、きょう先生からいろいろ御指摘をいただきましたように、極めて広い意味を含んでおりますし、また教育の中でも非常に重要な意味を持った言葉でございますから、それの審議については、今後とも審議会の中、あるいは文部省の中でも十分に論議をしていかなければなりませんし、また国会の場でもいろいろ御審議を賜ることだろうと思っております。
○山本正和君 私これで終わります。
○会田長栄君 よろしくお願いします。 ただいま提案されております法案というのは、中央教育審議会の答申を受けて提案をされたと承知しております。しかし、でき上がって今審議中の法案を見ますと、その内容、これは中教審の答申の趣旨からいって、何とも距離があるように見受けられます。 そこで、第一にお伺いしたいのは、この法案を原案として作成した段階の文部省の重要な四本の柱というのは何でございましたでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) この法案につきましては、御承知のように本年一月三十日の中教審の「生涯学習の基盤整備について」という答申の提言の中から、法律によって実現すべき御提言を盛り込んだものでございます。 したがいまして、この答申の中で触れられております事項は大きく申しまして五つございました。国、都道府県、市町村における生涯学習の推進体制、それから地域における生涯学習推進のための都道府県に設けられる中心的な機関、それから大学、短大等の生涯学習センター、それから生涯学習活動重点地域、それと民間教育各事業に対する支援のあり方という、この五つの事項が中教審答申の具体的な御提言でございましたが、そのうちこの法案に盛り込んでおります三つの事項について法律化することが適当であるというふうに考えたのは当初からでございまして、これは数え方によりますけれども、大きく三つの事項をこの法案に盛り込んでございますが、この考え方については当初から変わりはございません。
○会田長栄君 それでは具体的にお伺いいたします。 まず一つは、生涯学習の原案をまとめる法案作成過程で関係した省庁はどことどこでありますか、お聞きいたします。
○政府委員(横瀬庄次君) 法案を文部省で原案を作成いたしますと、その後これは全省庁に照会をするわけでございます。まあそういう意味では全省庁と協議をするわけでございますが、そのうち十四省庁と内容についていろいろ協議をしたという経過がございます。
○会田長栄君 関係のない省庁はどこですか。
○政府委員(横瀬庄次君) たしか全部で二十一か二かございますんですが、そのうち十四でございますので、七省庁か八省庁は関係がなかったということでございます。
○会田長栄君 生涯学習と言うから私はここから入ったんです。二十一世紀を展望したら生涯学習というのはまことに重要であるという趣旨を述べてこの法案審議に入っているわけでありまして、それであるならば、この生涯学習に関係している省庁はどことどこか、逆に言えば関係のない省はどこですかと、こうお聞きしたわけでありますから、七つございますというなら七つでございますと、こう言ってくれればいいんです。 ついででございますから、名称もお聞かせください。
○政府委員(横瀬庄次君) 協議を実質的に行いました省庁は警察庁、総務庁、北海道開発庁、経済企画庁、科学技術庁、環境庁、沖縄開発庁、国土庁、大蔵省、厚生省、農林水産省、運輸省、郵政省、労働省、建設省、自治省、これだけでございます。
○会田長栄君 それでは、この提起されている法案に直接関係して、載せられている関係省庁はどことどこでございますか。
○政府委員(横瀬庄次君) 第五条から第九条までの地域生涯学習振興基本構想につきまして、主務大臣を文部大臣及び通産大臣としております。それから第六条の承認基準のところに、これは一つの例示のような形でございますけれども、「文部大臣及び通産大臣は、承認基準を定めるに当たっては、あらかじめ、自治大臣その他関係行政機関の長に協議する」ということが出ておりまして、自治大臣の名前が載っております。
○会田長栄君 そこで、まことに重要なことがこの法案提起の際に述べられておりますけれども、この法案からいうと、重視されているのは文部、通産、自治で、その他は関係省庁という形で述べられております。 しかし、先ほど我が党の山本委員から御質問してお答えあったとおり、この生涯教育は国を挙げて、政府挙げてやるということを閣議で決定されているはずでございます。にもかかわらず、当初文部省が考えた生涯教育というものと今提起されている法案の内容を見ますと、重要な部分というのがどうも傾斜をしている。したがって、マスコミなどにも言われているとおり、今提起されている生涯教育云々の法案は片肺飛行ではないかということを中央教育審議会の委員すら表明をしているということを言われております。この点についてどうお考えでありますか、文部大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(保利耕輔君) 多くの省庁にまたがっての生涯学習にかかわる問題でございます。これは先ほど山本委員にもお答えを申し上げたところでございますが、まず山本委員の御発言をそのまま引用させていただければ、とりあえずという形での法案提出であるということでございますので、生涯学習という概念でありますとか、あるいはこれからやっていくべき施策でありますとかいうようなことは、先ほども申し上げましたとおり、これから各場所でいろいろと検討をしていかなければなりません。 この法案にも載っておりますように、文部大臣のもとに審議会をつくることになっておりますが、この審議会にはいろいろな分野の専門家を入れさせていただいて、そして各般からの御論議を賜る中で生涯学習というものの考え方というものをつくり上げていかなければならない、こういうふうに私は理解をしておりますし、またそのように進めてまいりたいと思っております。
○会田長栄君 私が率直に聞きたいのは、要するに文部省が生涯教育というものを最重要課題として取り組んだときに、関係省庁との協議も綿密にできないままこの法案を提起してきたというのは、余りにも重要な課題であるだけに、急ぎ過ぎたのではないか、もっともっと慎重に内部連携をして協力をして仕上げるべき法案ではなかったのかということをお聞きしたいわけです。大臣の所見を伺います。
○国務大臣(保利耕輔君) 十分に審議をし、そして事前調整を行って法案を出せというお話は、私自身もよくわかるわけであります。 私どもといたしましては、中教審の答申の中で、生涯学習に関する基盤の整備をできるだけ急ぐべきであるというもう一つの御要請もありましたものですから、各省庁との協議を経てこのような形の法案を出させていただいたわけでございます。したがいまして、今後生涯学習という概念あるいはいろいろな施策について、なお論議を進めていかなければならないということは、私自身も強く感じております。法案を提出させていただいた背景はそういうことであります。
○会田長栄君 実は、この生涯教育の考え方というのは、三十五年前にユネスコを中心として国際的に宣言をされた問題でありますから、一刻も早く整備をしなければならないという気持ちはわかります。しかし、どうしてもここでお答え願いたいのは、なぜこれほど重要な生涯学習の振興という問題に対して法律を策定するのに、理念、そして目標、それから関係省庁との連携を含めまして生涯教育の振興策や具体的な方針というのも提起できなかったのか、こう思う次第であります。この点についてお答え願います。
○政府委員(横瀬庄次君) 今御質問の生涯学習ということについての定義をなぜしなかったのかということにつきましては、先ほど山本先生にもお答えいたしましたけれども、まず、その生涯学習という文言につきまして、この法律について用いられている関係から申しますと、私どもは基本的には国民一人一人が生涯にわたって行う学習活動のことであるというふうに考えているわけでございます。このような意味での生涯学習という用語は広く一般に用いられているところでもございまして、また、立法技術上も本法案の場合に、特にその定義規定を設ける必要はないというふうに考えられたということでございます。 それからもう一つは、生涯学習というものはこれから我が国においては本格的に振興が始まるわけでございまして、国民が自主的に学習を行うという形で実体が形成されていくというものでございまして、国がそこで法律で定義規定を置くというようなことになりますと、本来自由であるべき個人の学習活動に対して制約をかけると受け取られるおそれもあるということから、あえて定義を行わなかったというのが生涯学習についてでございます。 それから、生涯学習の振興の理念というものにつきましては、基本的には私どもは、人々が生涯の各時期において自発的な意思に基づいて適時適切に学習を行うことができ、かつその成果が適正に評価されるような社会を目指すということになるというふうに考えております。 それで本法案は、先ほど大臣から申し上げておりますように、生涯学習の基盤を整備することが当面する最も重要な課題であるという認識に立ちまして、生涯学習の推進体制の整備といういわば最小限度の施策を規定するという方向で臨んだものでございます。これからこの生涯学習は、この基盤の上で国民の自発的な学習が行われていく中で実体が形成されていくわけでございますので、生涯学習の振興の理念という形でも規定はしなかったというのがその背景でございます。 ただ、第二条におきまして、国及び地方公共団体がこの法律に規定する施策を行うに当たり、特に留意しなければならない事項といたしまして、「学習に関する国民の自発的意思を尊重するよう配慮する」ということを明らかにいたしまして、学習者の視点に立った理念に基づいて生涯学習の振興が行われるようにということを明確にいたしたものでございます。
○会田長栄君 次に移ります。 生涯学習への移行に伴って国民が要望していることについてのアンケート調査というのは数多く行われております。そういう中にあって、国民の大多数がこれが生涯学習の課題であるというようなことで提起されていることを把握していれば、お答え願いたいと思います。
○政府委員(横瀬庄次君) 生涯学習に対する国民の要請というものは三つほどございまして、一つは自由時間の増大でありますとか、所得水準の向上あるいは高齢化、高学歴化というような社会の変化を反映いたしまして、非常に学習自体あるいは学習に生きがいを求める、あるいは学習に充足感を求めるというような、そういう要請が高まっているということでございます。非常にその変化が急激に進んでいるために、それに対する対応が早急に必要であるというようなことがいろいろな調査の上でも出てきているかと思います。 それからもう一つは、いわゆるリカレント教育ということに関連してでございますが、最近の科学技術の進展ということに伴いまして、いわゆる職業上あるいは生活上の知識、技術というものが急激に陳腐化してしまう。したがって、絶えずそれについて知識、技術を更新していく必要があるというようなことに対する要請でございまして、そういういわば職業上あるいは生活上の知識、技術の追求ということに対する生涯学習の要請というのが二番目の要請でございます。 それから三番目に、いわゆる学歴社会、学校に対する過度の偏重といいますか、また学校の自己完結的な考え方に対する反省ということから、学歴社会というものを是正しなければいけない。そのためには、いつでも、どういう時点でも学習ができて、かつその学習の成果について適正に評価されるような、そういう社会が目指されなければならない。そういった意味からの生涯学習の要請でございます。 こういったようなことが、国民の間から起こっている我が国における生涯学習に対する要請であろうというふうに理解しております。
○会田長栄君 勤労国民の要望というものを要約すれば今説明されたようなことでありますが、私どもが把握しているのは、何といっても学歴偏重社会の是正の問題が第一である。第二の問題は有給教育休暇制度の確立の問題である。第三の問題は完全週休二日制と学校五日制の確立の問題であります。第四は学習機会の地域格差の是正だという御意見が出ております。第五に女性の生涯学習の機会を保障する保育体制の確立、こういう声も実に大きい、こう把握しているところでございます。 したがいまして、この学歴偏重社会の是正、有給教育休暇制度の確立あるいは完全週休二日制・学校五日制の問題あるいは学習機会の地域格差の是正の問題あるいは女性の生涯学習の機会を保障する保育体制の問題など含めまして、関連する各省庁が現状としてどのようになっているか、お伺いいたします。
○政府委員(横瀬庄次君) 有給教育休暇制度の問題あるいは週休二日制の問題等々につきましては、関係省庁と、このような生涯学習の振興につきまして法案をお願いいたしまして、そしてそれについての基盤整備を図る、こういうような時期、機会におきまして、これまでも十分連携をしてきたつもりでございますけれども、いよいよその点についての重要性が増してきたということで、これから一層その連携協力に努めていきたいというふうに私どもとしては考えております。 それから、学習機会の地域間格差の問題につきましては、私どもも、これは教育の公共性の見地から学習機会の地域間格差ということが生じないように努めてきておりますし、公民館等あるいは公立文教施設の計画的な整備あるいは社会教育主事の派遣への補助等々、地域間格差についての解消施策をいろいろと講じてきているところでございますけれども、文化、スポーツその他多様な学習機会について、どうしても大都市に集中しがちでございまして、地域間の格差というものがどうしても否定はできない部分があるというふうに認識をしております。したがいましてこれから、今回の法案をお願いしております機会を一つのきっかけといたしまして、これらの従来の施策をいよいよ充実に努めなければならないというふうに考えております。 また今回の法案におきましても、例えば都道府県の教育委員会が学習についての情報を収集、提供するというような体制に努めるとか、あるいは地域生涯学習振興基本構想等につきましても、大都市以外の地域においても民間事業者の行います学習機会を含めた総合的な学習の機会の提供について促進をしようというようなことでございまして、これ自体地域間格差の是正のためにとろうとする施策の一つでございますけれども、そういったようなことも含めて地域間格差の是正に留意をしていかなければならないというふうに思っております。
○会田長栄君 それでは関連をして、厚生省、労働省、農水省にお伺いいたします。
○説明員(辻哲夫君) 私ども厚生省として生涯学習に関連いたします施策の状況について御説明申し上げたいと思います。 長寿社会対策大綱におきましても生涯教育の振興ということが位置づけられておりまして、私どもその振興というものは極めて重要な課題だと考えておりまして、それに関連することといたしまして、厚生省といたしましては、従来から、例えば老人を対象とした老人クラブ活動とか、あるいは高齢者の生きがいと健康づくり推進事業、あるいはボランティア活動の推進、あるいは母親を対象とした保健所で行う母親学級あるいは児童の健全育成に資するための映画や演劇の推薦といったような関連する事項をさまざま施策として所管させていただいております。 これらの施策は、いわば社会福祉の向上等を図るという観点から行っておりまして、今回の法案の第二条に規定されておりますように、この法案に基づく生涯学習の振興のための施策と、今申しました社会福祉の向上等といった観点から行う施策が、それぞれの所掌に基づきまして推進される中で、相まって効果的に行えるように、私どもといたしましても積極的に文部省と連携させていただきたいと考えております。
○説明員(小島迪彦君) 週休二日制の問題につきましては、私所管外でございますけれども、労働省では週休二日制の普及等について一生懸命努力しているところでございます。 それから、私の所管でございますが、労働省では生涯職業能力開発ということで施策を進めております。これは、法律も職業能力開発促進法という法律がございまして、労働者の生活の向上あるいは職業生活の安定を図るためにいろいろな能力を向上しようということでやっているものでございます。 具体的な内容といたしましては、いろいろ職業訓練校を初めとする施設を設けるとか、あるいは企業に対してその従業員に対する能力開発を大いにやっていただく、あるいは労働者個人に対しましても大いにやっていただこうということで、いろいろな助成措置等を講じておるところでございます。 先ほどの有給教育訓練休暇というものも、その中の一つといたしまして、有給教育訓練休暇制度を設けました企業に対しましては、助成措置を講ずるというようなことで進めているところでございます。
○説明員(鈴木信毅君) 農林水産省の関連する施策について御説明申し上げます。 農林水産省におきましては、農林水産業の振興あるいは農山漁家の福祉の向上といった観点から、農林漁業者の能力の開発、向上といったことを含めまして生涯学習の振興に資する各般の施策を実施しているところでございます。 例えば農林水産業に関する普及事業というのがございますが、その中で、農業者に対して普及員が技術、経営等の指導を行う。あるいは各県に農業者大学校というのがございますが、農村青年の実践的な研修教育を行う。あるいは農村青少年の就農促進のためのいろんな指導を行う、さらにまた農村婦人の学習活動の助長であるとか、あるいは高齢者の方々の知識、技術等を生かした活動の助長とか、いろいろ農林漁業者のニーズに応じましてそれぞれいろんな対策を講じているところでございます。 このような農林漁業あるいは農山漁家の福祉の向上を図るという意味で、生涯学習の振興は非常に重要なことではないかと私どもも考えております。そういう意味で、農林水産省としましても、関係省庁とよく連携して、これからも強力に推進してまいりたい、そんなふうに考えているわけでございます。
○会田長栄君 今お答えいただきましたが、厚生省、労働省、農水省、聞いていまして、生涯教育はまことに重要であります、これからも関係省庁と相提携して強く進めていきたいということを申されました。 だとすれば、なぜ今度の法案提出に際して、ただいま提案されている法律案の中に主役として登場しなかったのか、その最大の課題は何であったのか、お聞きしたいと思います。これは今お答えいただきました関係省庁の方にお願いします。
○説明員(辻哲夫君) 私ども先ほど御説明いたしましたことは、社会福祉の向上等といった厚生省の任務に基づく所掌として行わせていただいております。したがいまして、文部省の任務あるいは所掌として行われます生涯学習というものとそれぞれ所掌が異なりますので、私どもといたしましては、私どもの所掌に基づき行わさせていただく施策と積極的に連携することによって生涯学習に資するように努めてまいりたいと考えております。
○説明員(小島迪彦君) 労働省といたしましても、この法案を協議にかけましていろいろ詰めたわけでございます。その結果、この法案に盛り込んでございます内容は、一般の国民に対する生涯学習の振興のための施策及び推進体制の整備あるいは地域における生涯学習に係る機会の整備を図るということでございまして、我々労働省でやっておりますのは、現に働いている労働者あるいはこれから職業につこうという方々等いわゆる労働者のための施策ということで、しかも現実にいろいろな施設を設けたり、助成措置を講じたりしてございます。そういう面で観点が違う、内容的に重ならないということでございますので、一応そういう面で主管といいますか、中に入っていることがないわけでございます。 ただ、これから労働省がいろいろ施策を進めてまいります点でいろいろ関係ございますし、特にこれからホワイトカラー層の能力開発を進めるとかいう面におきまして非常に関係がございます。そういう面では文部省とよく連携をとって、お互いに協力し合ってやっていくのが本当ではないかというふうに考えております。
○説明員(鈴木信毅君) 農林水産省におきましても、先ほど御説明申し上げましたように、農林水産業の振興あるいは農山漁家の福祉の向上といった農水省の任務、所掌の面から大いに進めたいということで考えているところでございます。ただ、先ほども他の両省からございましたように、非常に関連するところが多うございますので、よく連携をとって進めてまいりたい、そのように思っております。
○会田長栄君 それでは次に、総理府が平成元年三月に実は生涯教育振興策について世論調査をしました。この世論調査をした結果が発表されているのは御承知だと思います。 一例を挙げると、生涯学習の振興策は何といっても第一位は公民館などによる講座の充実だという結果が出ております。第二位は公立の社会教育文化施設を充実させることだという要望が出ております。これは今日まで社会教育の分野で各市町村、自治体が果たしてきた役割の非常に成果があらわれつつあることの証左であります。同時に、その期待が大きくなってきていることも事実であります。 こういう関連から申し上げますと、今度の法案の過程と成立した場合に、今日までの社会教育に地域住民が期待しているものとの間に考え方のギャップが出てくるのではないかという気がしてなりません。そのようなことについての所見があったら聞かせていただきます。
○政府委員(横瀬庄次君) 本法案に盛り込まれております施策のうちで、第三条に規定いたします生涯学習推進のための事業体制、それから第五条以下に規定しております地域生涯学習振興基本構想につきましては、いずれも都道府県を主体とする施策でございますけれども、これは例えば一番最初の生涯学習推進事業体制につきましては、学習情報を提供するでありますとか、あるいは管内の機関や団体の連携促進をするというように、ある程度対象地域が広域でないと事業効果が上がらない事業でありますとか、あるいは各種の研修あるいは調査研究などのように、実施主体にある程度相当の専門的な人材が確保されなければ事業が困難であるというようなものが内容になっておりまして、そうした事業の性格上、都道府県段階の事業とすることが適切であると考えたわけでございます。 それから地域生涯学習振興基本構想につきましても、いわば日常生活圏を単位に生涯学習機会の総合的な提供が行われるということをねらいとした制度でございますので、単一の市町村域を超えた事業内容になるということから事業主体を都道府県にしたということでございます。そういった意味で、内容から見ましてそれぞれ都道府県段階の事業とすることが適切であるというふうに考えたものでございまして、市町村の役割を軽視したということでは決してないわけでございます。 それで、今おっしゃられましたように、生涯学習の振興において学習者に最も身近な立場にありますのは市町村でございまして、その市町村が最も重要な役割を果たすことは、それはもう例えば義務教育とかあるいは公民館の実施主体が市町村になっているというところから見ても当然のことでございます。したがいまして、今の二つ挙げました施策につきましても、それぞれ市町村との連携を十分図るような趣旨の内容を規定してございますし、そうした趣旨に立ちまして、都道府県がこの法律に基づく施策を行う場合は、当然その市町村との連携を十分に視野に置いて実施しなければならないというのは当然でございまして、そのような方向でまた十分指導もしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○会田長栄君 それでは次に移ります。 民間業者のどのような事業が生涯学習の振興策の範囲に入るのでしょうか、お伺いいたします。
○政府委員(横瀬庄次君) 本法案の第五条から第九条までの地域生涯学習振興基本構想につきましては、先生御指摘のように民間事業者の能力を活用するということを大きな眼目にしてございますが、その場合の民間事業者、これは当然住民に学習機会を提供する事業者ということを想定しているわけでございます。 具体的には、例えばの例でございますけれども、カルチャーセンターあるいはミュージックスクール、劇場、それから公演のプロデュース業、それから劇団、オーケストラ、それからスポーツの練習場、その他動物園とか植物園というようなものも考えられるというふうに思っております。大体そんなような具体的なイメージを想定いたしましてこの構想について計画したものでございます。
○会田長栄君 それでは、民間教育事業の活用について文部省が留意すべき点は一体何であると押さえていますか。
○政府委員(横瀬庄次君) 民間事業者の能力を活用するということによって、いわゆる民間の創意工夫といいますか、非常に弾力的な考え方によりまして、住民の学習需要に非常に柔軟に適時適切に対応する、そういうノーハウについて、それを活用しようという趣旨でございますので、教育、文化、スポーツに関するそういう振興について熱意のある民間事業者というものを当然想定しなければいけないというふうに考えております。 それから、民間事業者の場合には、適正な料金ということが当然考えられるわけでございます。住民がその機会についていろいろと活用する場合に、それが不当に高いものになるというようなことにならないように、いろいろとこれも十分に留意をしなければいけないというふうに考えております。 大都市に集中しがちな高度、多様な学習機会を地方において整備しようということでございますので、そういった諸点について十分に留意をし、この構想が具体化するに当たりましては、承認等の際に十分な指導をするということが必要であると考えております。
○会田長栄君 これは、後期中等教育の多様化の問題が議論されて、各都道府県が専門学校や専修学校を認可する、こういう傾向に今もなっております。しかし、この中で、総務庁から勧告が出ていて、どうも看板倒れの学校がある、設置基準に適合しないような学校は改めさせなければいけないというような勧告も出ている状況に実はあります。しかし、それ以降も御承知のとおりなかなかその看板だけの専修学校、専門学校というものが多くなっていて、父母や子供たちが大変悩んでいることも事実であり、被害を受けていることも事実であります。 今度の民間業者の活用は、なるほど先ほど答弁されたように、能力を活用するとか、あるいは住民の負担を軽減していくとか、いいことを答えていただきましたが、今最も心配しているのは、民間業者の活用と相まって、いわゆる学習者の経済的負担というのが出てくるのではないのかという問題と、民間業者の利益誘導のいわゆる生涯学習の場になるのではないかという懸念というのが非常に大きいわけであります。 この点につきまして、そういう心配は御無用でございますというのであれば、ひとつその見解をお聞かせいただきたい。
○政府委員(横瀬庄次君) この地域生涯学習振興基本構想制度は、大都市に集中しております民間事業者の事業というものを、ぜひそれ以外の地域にも振興ができるようにということで、そういう機会が与えられるようにというようなねらいでもってこの制度を考えたわけでございます。 したがいましてこれについては、都道府県あるいは市町村がこの構想に参画するということ、それからこの地域については、いわゆる基金法人でございますが、民間事業者の活動についてそれを援助、振興するようなそういう民法法人を設置いたしまして、これは都道府県、市町村も共同で出資をするいわば第三セクターのような形でつくられる法人ができるということ。そういうように都道府県、市町村及びそういった法人のいわば支援によって民間事業者の事業というものが行われるという形になりますので、そういった意味では、民間事業者に対する一つの援助といいますか、それから主務大臣の文部、通産両大臣のいろいろな意味での援助規定というものもこの法案の中に規定されておりますので、そういったことからこの事業が盛り上げられるということで、不当な料金でなければできないような、そういう事業にはならないというふうに考えているのが一つでございます。 それから、これはやはり承認制度というものを一応とっているわけでございますし、承認基準というものもつくられるわけでございますので、そういった中で、この民間事業者の不当な行動といいますか、そういうおそれのないように、そういう指導を十分にしていくような形での承認あるいは承認基準の策定ということに留意していかなければならないというふうに考えているところでございます。
○会田長栄君 民間業者の、指定する業者と指定しない業者があるとおっしゃったんですか、今のお答えの中で。
○政府委員(横瀬庄次君) この地域構想の中に入ってまいります民間事業者というのは、当然特定されるわけでございますので、その特定される段階で、都道府県あるいは市町村の十分な関与といいますか、そういうことによって不当なことが行われないように留意をするということでございます。
○会田長栄君 それではもう一つ確かめておきます。 指定された民間業者の利潤追求の場としないということは、文部省の基本的考え方であると受けとめて結構でございますか。
○政府委員(横瀬庄次君) 民間事業者の能力の活用ということで、通常でしたらば全く自然な状態ではなかなか事業ができないようなところに、都道府県あるいは市町村あるいは支援法人というような形で、あるいは主務大臣の援助というような形でそれを実現しようとするわけでございますので、利潤追求というような目的で、そういう主観的な目的でこの中に入ってくるということは考えられないことだというふうに考えております。
○会田長栄君 私が先ほど申し上げたのは、後期中等教育の多様化と関連をして、専門学校、専修学校というのが大変全国的に設立されました。しかし、看板倒れで、入学してみたら全く子供の期待や親の期待に反するような学校がたくさん出てまいりました。そのために総務庁から勧告も出ています。しかし、一向になかなか改まらないということでございますから、今度の場合も、民間業者を活用すると言っても、やはり企業でありますから、利潤追求というのはどうしたって出てくるのではないかと危惧の念を持っているわけでありまして、文部省が今お答えいただいたように、利潤追求の弊害というものについては極力そういうことのないようにしていく考えであるということをお聞きしましたから、それで結構でございますが、大変留意をしなければならない問題であるということを私は意見として持っています。 それでは次に移ります。 民間教育振興協会というものとこの法律と関連をいたしまして質問いたします。 実は昨年十二月八日、民間教育振興協会の代表と、この民間教育振興協会の社団法人化をめぐりまして文部省が主管課長会議をやりまして、社団法人化することで予備折衝もパス、第二次審査もパス、そして四月十六日に設立総会が開かれたということを私は聞いております。このことに関連をして、文部大臣、御承知ですか。
○国務大臣(保利耕輔君) 民間教育振興協会があり、さらに雑誌といいますか、等を出しておりますことは承知をいたしております。 しかしながら、設立総会その他については、私は存じておりません。
○会田長栄君 もちろん私はそのことを知っているだろうと思いましたが、これと関連をいたしまして、この民間教育振興協会が社団法人化を認可される以前に、既に総会の席上において事業計画方針というのを決定しておりますね。それも御承知でしょう。
○政府委員(横瀬庄次君) 私は、民間教育振興協会がことしの四月にそういう設立総会を開いたということは承知しております。それで、そういう設立総会というようなものを開いた場合には、通常、事業計画とかそういうものは当然決めることでもあります。それから認可申請をする場合には、その前に設立総会を開くというのが通常の例でございます。
○会田長栄君 私はその手続上のことはわかります。しかしこの総会の事業計画で決定されていることは、この今提起されている生涯教育の振興のための基盤整備に関する法律、この法律と関連をいたしまして、既に民間教育振興協会が事業計画として文部省から承認を了解されたものとして、文部省社会教育諸団体と民間教育振興協会が一体となって生涯教育を進めるような内容を決定しているやに聞いているんです。そういうことはございませんか。
○政府委員(横瀬庄次君) 私はそういった事実については存じません。
○会田長栄君 知らない——知らないんではやむを得ません。 それではその次にお聞きいたします。 これは私、現物がありますから。そのように記述されております。よくよく見てみたら、生涯教育に熱心だった元文部大臣の中島さんが会長をやっているということもわかりました。したがいまして私がここで問題にしたいのは、今、生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案というものが六月二十日に文部大臣から本会議で趣旨説明があって、今その議案が付託されて文教委員会で審議をしておる。 そういう審議の過程の以前に、既に今日まで文部省との間に何回かの折衝をして、社団法人化もこれでよし、パスだと。しかし待ちなさいよ、今生涯教育に関係する法案が国会に提起されているという文書までつけているわけでありますけれども、率直に言いまして、その事業計画を見ますと、既にこの民間教育振興協会が文部省から許可を受けることが一〇〇%確実なような宣伝をしながらやっているということについては、私は国会軽視ではないかと思うから聞いているんです。予備折衝は結構であります。しかし、国会審議のさなかに、一団体がそういうことを確実に表現をして、事業計画として成立されたものとして決めているということについては、私はこれは簡単にわかりましたとは言えないという意見を持っております。 したがいまして、この件につきまして、法案審議の最中でありますけれども、ぜひその事実を調査して、私が指摘したような状況であれば、これは法案審議に関係してまいりますから、ぜひ見解を明らかにした上で対応してもらいたい、こう思います。いかがでございますか。
○政府委員(横瀬庄次君) 民間教育振興協会につきましては、ただいま先生がお話しのように、公益法人としての設立の許可申請が出されているところでございまして、それについては文部省内の関係局間におきまして慎重に検討しているところでございます。 それで、今お話しのようなことにつきましては、私もその内容については十分承知をしておりません。そういうことも含めまして、十分に慎重に調査をして検討したいというふうに思う次第でございます。
○会田長栄君 私は知りません。あるいはこれから調査してみますと、こういうことでございますけれども、委員長、一番気になるのは、今せっかく生涯学習という大事な問題の法案が提起されて、ここで成立させるかあるいはどうするか、大変審議の最中なんでございます。したがって、既に民間教育振興協会がみずからの総会で、さも先取りをして文部省と事業計画を決めたようなことがあるとすれば、これはゆゆしき問題だと私は思うから尋ねているんですよ。あってならないことなんですね。どうでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) 私、その内容についてよくわかりませんけれども、ただ、今先生がおっしゃるように文部省と何らかの形で相談をした上でやったというようなことでは絶対ないというふうに思います。しかし、その点については、事実を私は存じませんので、十分に調査をさせていただきまして、慎重に対処させていただきたいというふうに思います。
○会田長栄君 絶対ないということを信じて私の質問は終わりますから、どうぞ後で誤解されるようなことのないように指導、助言方をよろしくお願いしておきますし、調査もよろしくお願いして、私の質問は終わります。
○委員長(柳川覺治君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 午後零時八分休憩 —————・————— 午後一時開会
○委員長(柳川覺治君) ただいまから文教委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○小林正君 最初に山本委員、会田委員から御質問がございまして、若干重複する部分もあろうかと思いますが、できるだけニュアンスを変えて御質問したいというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。 初めに、法案策定に至る経過と、結果としてでき上がった法案との関係についてお尋ねしたいと思います。 五月十一日付の各紙は、「理念欠く生涯学習法案」とか「生涯学習「民活」で推進」などの見出しでこの法案について報じております。臨教審第二次、そして最終答申に基づき本年一月中教審答申が出された経過からいたしますと、受験競争の過熱など学歴社会の弊害是正、学校中心の考え方からの脱却を図るため、生涯学習体系への移行が大切だとの認識からスタートしたのではなかったかと思います。 衆議院の文教委員会において横瀬局長は、国民一人一人が充実した人生を目指して生涯にわたって学習活動を行うものだと理解している、この考えは既に一般国民に定着しており、この解釈に立って提案している生涯学習振興法案を運用していけば支障が生じないと考え、特に生涯学習の定義はうたわなかった、こういう答弁をされております。 昭和六十三年九月に発表されました総理府の生涯学習に関する世論調査によりますと、生涯学習に対する意識調査の項のうち、「生涯学習、生涯教育」の言葉の周知度については、聞いたことがあると答えた者が五八%、ないと答えた者が四二%となっています。調査時点よりは今の方が進んでいるとは思いますが、一般にはなじんでいるとは言いがたい状況じゃないかと思います。 私は、この法案が生涯学習に関する初めての法律であることからしても、まず経過を踏まえた教育法としての理念、哲学が示されなければならなかったんじゃないかというふうに思いますし、きちんとした定義づけがされなければ混乱の原因ともなるのではないかと懸念するわけであります。 そこでお伺いしますが、これまでの経過及び総理府調査の結果からすれば、なお国民的合意形成を図るための時間的なゆとりと、より総合的なものにするための調整と、もろもろの制約をどうするかといった課題もあり、この時点での提案は生煮え、時期尚早と言わざるを得ません。本院としては慎重審議すべきものと思います。文部省として引き続き検討していくという考え方はございませんでしょうか、まずその点についてお伺いいたします。
○政府委員(横瀬庄次君) この法案につきましては、今先生がおっしゃいましたように、臨教審の答申以来、その具体化について、生涯学習局が一昨年の七月に発足いたしまして以来検討してきたわけでございますが、その具体化につきまして昨年四月の中央教育審議会にお諮りをいたしまして、本年一月三十日に「生涯学習の基盤整備について」という答申をいただいたわけでございます。 この答申に提言されております五つの事項のうち、三つの事項につきまして法律で実現すべきものと考えまして、この答申にもございますように、当面これはぜひ早急に我が国の国及び地方公共団体を通じての推進体制等の整備のために必要なものというふうに考えて御提案を申し上げたものでございます。当面可能なものについてぜひとも早急に実現をさしていただきまして、その上で、国民の生涯学習がいろんな形で形成をされていきますその段階で、またいろいろと検討していきたいというふうに考えておりまして、当面ぜひこの基盤整備についてお願いをしたい、こういう趣旨でございます。
○小林正君 先ほど山本委員の御質問に対するお答えでも、それから衆議院段階での局長の御答弁等を考えてみましても、私はやっぱり初めてつくる、そして文部省として新規法案としては六十一年以来の新しい法律提案だというふうに思いますけれども、そういう生涯学習法案として、生涯学習というものを最も中心的に扱う文部省の立場から、これについて一体どういう基本的なスタンス、立場で提起しているのかという、そのことがやはり国民の理解を得られないというような状況は、大変不幸な事態だと言わざるを得ないわけであります。 したがって、やはり理念、哲学というものについて文部省が何か出すべきだ。生涯学習というのは望洋として何か国境のないようなもので、それに形をつけることは立ち入った考え方だと言わんばかりの先ほどの御答弁だったというふうに思うんです。しかし、文部省として責任を持って示す生涯学習とは何なのかということについては、やっぱり言わざるを得ないんじゃないかというふうに思うわけです。それが欠けているというのは、やはり私としては非常に残念だと言わざるを得ません。 それから、経過的に言いますと、一月に答申が出されて、閣議決定が五月十一日、それから衆議院で趣旨説明が行われて、今日までの経過考えますと、非常に短い審議時間ということも事実で、非常に駆け足でこの法案が参議院に上ってきて、二十六日会期末が決定をしている今日の状況を考えますと、非常にこれでいいのかな、まだ相当生煮えだし、きょうの審議の中でのやりとりでも、まだかなりの疑問点を残しながらの状況があるというふうに思うわけです。そういう点を考えますと、やはりこれはもう少し慎重審議をしていくべきではないかな、このように思います。 今、衆議院段階でやっております消費税廃止、見直しの両論を見て、この間の経過を見てみましても、やはり意思決定のプロセスというものが大事にされない形の中で、何かせっかちに事を決めていった場合に、必ず後でそのことのリアクションが起きてくる一つの事例だと思うわけです。そういう点を考えますと、きのうの海部首相の答弁なり、きょうの文部大臣の御答弁等を伺ってみましても、先導的にという趣旨だとは思いますけれども、そのことを私たちとして懸念するのは、これがボタンのかけ違いになっては大変なことになるということであります。 文部省から提起されますさまざまな法案は、今までの経過で極めて不幸な過去がございまして、対決法案的に国民教育の重要な課題についてそれが国会の場で修羅場になったという経過も多いわけですけれども、生涯学習といったような概念が国民全体から期得をされる中で、これが手続的な問題、そして内容的に生煮えの状況の中で出されることによって、賛成、反対に分かれていく、国論を二分するような形にしていくということについては、やはり行政当局としては最大の配慮を払って避けていくべきではないか、このように思うわけであります。このことについて文部大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(保利耕輔君) 先ほども山本委員の御質問にお答えを申し上げたところでございますが、この法案は生煮えであるということにつきましては、私どもは政府の中でいろいろと討議をいたしまして、そしてこの法案へこぎつけまして提出をさせていただいたものでございます。政府部内におきましては十分論議をいたしたところでございます。そのように御了解をいただきたいと思います。 そこで、この法案は五月十一日というときに提出をさせていただいたわけでございますが、その背景にありますものは、やはり生涯学習と申しますか、社会教育と申しますか、国民が勉強したいというニーズが非常に高まってきているということが背景にございます。そして、同時に中央教育審議会から、できるだけ早くそうした生涯学習をやっていく基盤の整備を行うべきであるという御答申をいただき、それをできるだけ早く具現化していかなければならないという一つの御要請もありましたものですから、私ども慎重に政府部内でいろいろと論議をいたしまして、こうした法案にまとめ上げ、御提出を申し上げた次第でございます。 先ほどの山本委員のお話では、とりあえず出したのではないかというお話がございまして、私もそれをそのとおりですと申し上げましたが、私どもの方では先導的という言葉を使っておりますが、そういった性格は否めないものだと思います。 今後、この生涯学習という問題について十分御論議をしていただかなければなりませんし、そのためには各方面の専門家にもぜひお集まりをいただかなければならない。そういう意味で、この法案の一つの重要な柱として生涯学習に関する審議会を設けるというようなことも規定をしてあるところでございます。そういった趣旨をお酌み取りをいただきまして、何とぞ御審議の上、御可決をいただきますようにお願いを申し上げます。
○小林正君 最初に臨教審が首相の直属の諮問機関として設置をされて、そして生涯学習という用語が使われるようになりましたね。そして、それが最終答申でもうたわれて、これはだから政府全体として取り組むということの中で臨教審がそういう答申を出したわけですが、それを受けとめたのが中教審で、文部省が主体になってと、こうなってきますと、きのうの本会議で森委員が質問をされておりましたけれども、やはり審議会等の設置についても、生涯学習の概念が非常に広いということからすれば、もう少し幅の広いものにした方がより国民の多様なニーズにこたえ得る条件が整うのではないかということを私どもとしては期待をしていたんです。 先ほどの山本委員の、それぞれの方からの引き算をやっていきますと、じゃ一体文部省としては何をやるのかというと、かなりスリムになってしまって、言葉として竜頭蛇尾という言い方がいいのか、大山鳴動してネズミ一匹と言ったらいいのかわかりませんけれども、そういうようなものになってしまうのではないかという懸念が一つ。 それからもう一つは、果たしてそうなんだろうか。というのは、社会教育の立場の皆さん、市町村の皆さん等の御意見を承っておりますと、ネズミ一匹どころの騒ぎではなくて、今後に大変重大な影響をもたらすという危機感を持っていらっしゃる方々もおります。だから、竜頭蛇尾なんという表現では済まされないなという気もしているわけですけれども、そういうことからいたしますと、臨教審、中教審、文部省主体というふうになっていった生涯学習のこの流れについて、文部大臣としてどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(保利耕輔君) 生涯学習というのは非常に広い考え方でございますので、各省いろいろ教育的な事業をやっております。そうしたことで、国民の生涯学習全体をとらえるという立場からは、臨教審のペースでこれを振興していくべきであるという御結論は出されたと思います。 ただ、教育というような形で私ども文部省がいろいろ行政を預からせていただいているわけですが、やはり文部省が中心となっていろいろな取りまとめをしていくのがいいのではないかという流れがこの法案に結びついてきておる。したがって、文部大臣のもとに審議会をつくるという流れになってきている、私はそういうふうに了解をいたしております。 ただ、ここで申し上げておかなければならないことは、その審議会ができたからこれは文部省の管轄下の仕事だけの審議会にする、そういうことではなくて、もっと幅広い形での専門家を集めて、そして各省にまたがる問題についても幅広く御議論をいただく場としての審議会にしていかなければならないし、そうするつもりでございます。
○小林正君 それでは少し視点を変えて御質問していきたいというふうに思います。 第一条「目的」に関して、今指摘したように教育法としては当然のことながら憲法の精神にのっとった教育基本法との関連が明記されなければならないというふうに思うわけです。社会教育法第一条にも、「教育基本法の精神に則り、」と明記されていますが、法案ではいきなり「国民が生涯にわたって学習する機会があまねく求められている状況」という、いわゆる状況からスタートしている。八五年のユネスコの学習権宣言の立場からも、やはり国民の学習権保障という位置づけをするべきだというふうに思うんですが、これを通して読んでみて、これが果たして教育法なのかという教育学者の御指摘もあるわけですけれども、まず第一に、この法律案と教育基本法との関係をどのようにお考えなのか、承りたいと思います。
○政府委員(横瀬庄次君) 本法案におきます生涯学習の振興のための施策というものは、学校教育、社会教育、文化活動というものにおきます学習を中心に行われるものでございますので、それらにつきましては当然に教育基本法に基づいて行われるべきものだというふうに私どもは考えております。 教育基本法の第二条の前段のところの、「教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。」という趣旨は、教育が国民の生涯にわたって、学校だけでなくてあらゆる場所において行われるべきことを示しておりますが、生涯学習の振興を図ることを目的といたします本法案の実施に当たりましては、こういうような教育基本法の精神を尊重していくべきことは当然でありまして、そのような認識をしてございます。
○小林正君 教育学者の中では、これは整備法的な性格を持っていると。したがって本来生涯学習基本法あるいは振興法、こういったようなものとして提起をされるというふうに私たちも考えておったんですけれども、これが整備法という形で出されてきている。それが一体なぜそうなったんだろうかということをいろいろ検討してみまして、一つは、第一条「目的」のところに教育基本法のことが触れられていない。今局長の御答弁では、第二条を踏まえてというお話もございましたけれども、当然のことながら、それが社会教育法第一条に明定されているような形で、生涯学習という大変大きな名前をつけているわけですから、うたわれてしかるべきではなかったのかという気がするんです。 今の御答弁を承ってみましても、これが基本法あるいは振興法ということであれば、当然教育基本法との関係が明確に出てくる。しかし整備の法律だ、こういうことになりますと、その部分にあえて定義や理念をうたわなかったのは、基本法との整合性なり、それに立ち入らないということへの配慮からなのかといったような指摘もされているわけなんですね。その辺のところはいかがでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) 生涯学習の振興といいますか、生涯学習の学習の機会と申しますのは、先ほど申しましたように具体的に学校教育とか社会教育とか文化活動等において提供されているわけでございまして、その振興に関しては、これは当然教育基本法がかぶってくるといいますか、に基づいて行われる、踏まえて行われる、そういう関係にございます。 ところで、生涯学習の一つの基盤としての行政的な機能といたしまして、この生涯学習の振興のための推進体制というものの機能を考えてみますと、それは生涯学習の観点からの学校教育とか社会教育、それぞれの学習機会を提供している分野に対して、生涯学習の振興の観点からいろいろな重点を考えたり、あるいは方向づけを考えたり、国民の学習需要に即してどういうふうなところに力を入れるべきかというようなことを考えたりするそういう機能、それから生涯学習の奨励とかあるいは学習者が最も適した学習機会にアクセスすることができるような、そういう学習情報の提供を行うようなこと、そういう学習者に対する支援機能というようなものが、生涯学習の推進をするという観点からは必要になってくるわけでございまして、それの基盤としてどういうふうにあったらよいのかという観点から基盤について審議をし、具体的に提言をしたのが今回の中教審の基盤整備の答申であったというふうに考えるわけでございます。 したがいまして、教育基本法というものは、個々の教育の機会の中に当然踏まえて行われるべきだ、その上に、支援体制としてどういう基盤をつくって推進していくかというふうに考えていく、そういう構造になっていると私どもは理解をして、御提案を申し上げている次第でございます。
○小林正君 だから、今のような御答弁であれば、当然のこととして第一条「目的」のところに、今後生涯学習の振興の歩む道筋というものを、教育基本法にのっとってということがなぜ入ってはいけなかったのか。そこまでおっしゃるんでしたら、入れてしかるべきじゃないんでしょうか。私は、あらゆる教育法というのは全部教育基本法に淵源していると思いますので、それとの関係はどうですか。
○政府委員(横瀬庄次君) これは、立法の際の立法技術上の問題といいますか、そう言ってしまうとまた少し問題を変えてしまうかもしれませんけれども、実際の法律の例を見てみますと、文部省の教育について制定されている法律はたくさんございますが、その中で教育基本法ということを挙げているのは、先ほどの社会教育法と数例ございますけれども、全部ではないわけでございます。 したがいまして、先ほど申しましたように、この背景として、学習の機会というのがあり、それについて教育基本法がかぶっているけれども、それのさらに基盤を定めるそういう目的の法律であるということもあって、すべてがすべて教育基本法を引いているということではないということもありまして、こういう法文になったというふうに考えております。その教育基本法を踏まえて個々の学習機会が振興されるというのは、これは当然であるという認識のもとでございます。
○小林正君 この問題を余り深く追及するつもりもないんですけれども、社会教育法の第一条でそれが述べられておりまして、そして文部省は社会教育局を生涯学習局として、これを筆頭局にしたということですよね。ということからすると、社会教育法、かつての言ってみれば成人教育の分野まで含んだそうしたことをやっている法律の中に、教育法として、第一条に教育基本法にのっとりということが明定されているんであれば、社会教育局がなくなって生涯学習局ができて、今度生涯学習法案がそこから提起をされたら、私は社会教育法との関連も後で伺いたいとは思っていますけれども、生涯学習の法律の第一条に、今後の課題も含めてその道筋を、教育基本法にのっとりとなぜうたえないのか。今の御説明では、当然第二条に基づいてというお話があるわけですから、当然そのことがあってしかるべきじゃないんでしょうかという点を御指摘をしておきたいと思います。 そして次に、第二条において「学習に関する国民の自発的意思を尊重するよう配慮するとともに、」、このように述べているわけですね。この「配慮」という表現が、法体系上、教育基本法に発出するいわゆる基本的人権として、生涯にわたる学習権を保障するためというふうにすべきだというふうに思っているんですけれども、このことについて御答弁いただきたいと思っています。配慮ではなく保障ではないのか、配慮事項なのかどうかということですね。
○政府委員(横瀬庄次君) 今お挙げになりました学習権という言葉は、まだ我が国おいては、権利の内容というか、そういうものについての特定も大変難しいことでもございますし、権利という意味で使われるということがまだ普遍的には行われておりませんので、それについてはそれを使用することは困難なことでございます。 今の国民の自発的意思を尊重するということについての配慮ということでございますが、これは、第二条全体がいわばこの法律全体を考えていく際についての総則になっておりまして、それについて、全体の中でどういうふうな重点をかけていくかということについて規定しているところでございまして、それを配慮という言葉、これは全体を強制的に規制するということではございませんけれども、しかもその法律の総則で規定するということについての重みをかけているという意味で使われております。こういう配慮事項を規定するという例もいろんな法律の用例の中で使われていることでございますが、それに倣った意味もございますけれども、私どもとしては全体の施策に対するウエートといたしまして、配慮するという言葉が適当であるというふうに考えた次第でございます。
○小林正君 学習権ということではなくても、憲法、教育基本法で言えば、国民がひとしく教育を受ける権利というようなものが法上明定されているわけですから、教育を受ける権利、つまり学習者の立場からすれば、まさに学習権ですよね。そして、ユネスコの学習権宣言もそのような立場からこれを述べているわけですから、我が国としてそのことについて、まだそういう言葉を使うのにはなじまないという段階ではないんじゃないか、こういうふうに思います。したがって、この点も本来的にこれは配慮ではなくて保障というものでなければ、これから積極的に自発的にみずから学習していくということを促す上でどうなのかなという懸念を持つところでございます。 それから、二条の後段の部分については、また後の質問の項目で触れたいというふうに思います。 次に三条関係で、社会教育法五条の市町村の事務として従来市町村主義が貫かれてきた社会教育の経緯と今度の法案の都道府県の事務との関係について、市町村段階における社会教育関係者は強い懸念を持っておりますので、この関係についてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(横瀬庄次君) 社会教育法は第五条と第六条とございまして、第五条の方が市町村教育委員会についての事務を定めたものでございます。それと、第六条の方には都道府県教育委員会の事務として市町村の教育委員会と共通なものと、それから都道府県教育委員会に固有なものとを決めているわけでございまして、私どもといたしましては、社会教育法のこういう考え方というのは、より身近な事務について市町村がまず実施するのが適切であるということはもちろんでございますけれども、と同時に、全体の市町村の上にあってといいますか、市町村よりも広い立場にあってそれを連絡調整するべき都道府県の事務というものが相まって、両方で社会教育の事務を行うことを規定しているというふうに私どもとしては社会教育法について考えております。 ところで、私どもの今度の法案の事業でございますが、先ほども御答弁申し上げましたように、第三条の事業、生涯学習を推進する事務の体制をとるという、そういう都道府県教育委員会の事業、それから第五条から第九条までの地域生涯学習振興基本構想、これらにつきましては、確かに都道府県が中心になっての事務になっておりますけれども、これにつきましては、先ほど申しましたように、一定の広さが事業の効果的な運営のために必要であるということ、あるいは実施主体がある程度の専門的な人材を確保していなければやりにくいというようなこと、あるいは地域生涯学習振興構想につきましては、その対象領域がある程度の規模を有するものであることを前提としている、こういうような事業の性格上、都道府県でやった方が適切であるという意味で、本法案の二つの事業については、そういう立場で都道府県にしているわけでございまして、決して市町村を軽視しているわけではないわけでございます。 それで、それぞれの法案の各条項におきまして、関係市町村と十分協議連携協力をしてこういう事業を果たすべきことを明定してございますし、それから法案の第十二条には市町村における生涯学習の基盤整備につきまして連携協力体制の整備ということが決めてございますように、この基盤整備についての特定のこの二つの事業がたまたま都道府県であるということを除きましては、市町村についても十分配慮をして市町村との連携を前提にしてこの事業が進められるようにというようなシステムをとっているわけであることをどうか御理解いただきたいと思います。
○小林正君 社会教育でのいわゆる成人教育として進められてきた経緯を考えてみますと、非常に地域生活圏といいますか、そういう身近なところで学習できるという学習者側に立った条件整備というものが、結果として市町村主義という形で積み上げられてきた、こういうふうに思うのです。 ところが今回の法案の性格からいって、都道府県というより、広域的なところからとらえた地域の見方というようなことから、このことが市町村が非常に軽視をされているような印象を持って受けとめられている要因だというふうに思うんですけれども、私はやっぱり学習者の立場に立ったときに、これは文部行政全般について前回の六月一日の文教委員会でも申し上げましたけれども、基本的にやはり地域生活圏の中からその問題について積み上がっていくいわゆるボトムアップ方式の中でこれはとらえられるべきではないのか。 文部行政はともすればトップダウン方式であり過ぎたのではないかということも御指摘をしてきましたけれども、今回の法案の組み立て自身も、そういう意味で言うと、もっと市町村にウエートを置いた形での対応というものがやはり今日的には大事じゃないかなという気がするわけです。そういう意味におきまして、都道府県に審議会を置くとか、それからこの構想の中の一定の位置づけがあることを否定するわけじゃありませんけれども、市町村の位置づけということを、もっとそうした視点に立ってやっていく必要があるんじゃないか。そのことが欠けているがゆえに、第一線の社会教育関係者等から、この法案についていろいろな指摘がされているわけですから、そのことについてもう一度御答弁いただきたいと思います。
○政府委員(横瀬庄次君) この法案に盛り込まれております基盤整備に関連する施策についての趣旨は先ほども申し上げたとおりでございますが、市町村におきます特に社会教育の振興について、これからの生涯学習時代におきましてさらに振興に尽力し、その拡大を図っていくということについての必要性はいよいよ増していくわけでございますので、この際、こういう法案を御審議いただいている機会におきまして、ぜひ市町村におきます社会教育の振興について今後とも力を入れていきたいということを申し上げたいと思います。
○小林正君 次に第四条関係なんですけれども、第四条に関しては、法案策定の経過からいたしますと、「望ましい基準」というものについて、これは衆議院の段階でもこの第四条は削除すべきではないかという質問もされているわけでありますが、私が仄聞するところによりますと、これは日本教育新聞その他でも、中教審の答申が求めていたのは、生涯学習センターの設立というのがこの部分に本来位置づいていた。したがって、この望ましい基準というものは、センターの基準、言ってみればハードの基準だったんではないかという指摘がされております。ハードが消えてソフト面での基準になったということになりますと、具体的な中身の問題になるわけですから大変問題だと思うわけです。そういうことだと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) これは第四条の規定にございますように、「文部大臣は、」「都道府県の教育委員会が行う前条第一項に規定する体制の整備に関し望ましい基準を定める」というふうになっておりまして、この「望ましい基準」にかかりますのは「体制の整備」ということに関するものでございます。今おっしゃいましたソフトといいますと、中の事業の内容というようなことになろうかと思いますが、そうではなくて、これは体制ということになりますので、体制というのは施設あるいは組織、機構というものを含むわけでございます。 それで、私どもとしては、先ほどの御指摘のように、中教審答申の段階では生涯学習推進センターという固有の名称のついた施設を一つの標準として考えていたわけでございますが、これは地方に対する行政改革といいますか、国の関与をできるだけなくそうということから、具体的な固有名詞の生涯学習センターという名称について明記ができなかったということがございまして、それで第三条の規定は、都道府県教育委員会が「相互に連携させつつ推進するために必要な体制の整備」という形であらわしているわけでございます。 したがいまして、この都道府県の事業の最も典型的な姿というのは、やはり生涯学習推進センターというような一つの施設をつくりまして、これらの第三条の第一号から第六号までの各号に掲げた事業について集中的に処理をする、そういうことを一応標準的には考えていきたいというふうに考えるわけでございます。 この望ましい基準というのは、それに関する望ましい基準ということでございまして、あくまでも都道府県の教育委員会を拘束するものではなく、都道府県がこれから整備しようとする際の内容的な参考にするためのものであるという気持ちで、体制についての内部組織でありますとか、あるいは職員の資質の向上に関することでありますとか、そういうような内容を予定しているものでございます。ただし、これにつきましては第四条の第二項にございますように、あらかじめ生涯学習審議会の意見を聞いて定めるということになっておりますので、そういう手続を経ることになりますので、ただいま申し上げましたのは私どもの予想といいますか、私ども事務的に考えていることでございますが、そういうことでぜひ都道府県の参考的な基準にしようということでお願いしておるものでございます。
○小林正君 時間が余りありませんから。 行革でセンターが消えたということのようでありますけれども、やはりこれが中教審の大きな目玉であったということからいたしますと、問題であろうというふうに思います。 次に、五条から九条に関してなんですけれども、このことについては四全総関連法と文言と構成がほぼ重なっているという指摘がされております。 これは、昨年国土庁から出された「地域からみた生涯学習」という本がございます。これ立派な本なんですが、これに生涯学習関係が非常に網羅的に、国土庁大都市圏整備局編ということで出ておりまして、この中では実に明快に四全総と生涯学習を関連づけているわけであります。生涯学習のすべてがこの本には網羅されておりまして、生涯学習に対する各省庁の関心の高さといいますか、それをあらわしていると受けとめているわけでございます。 この法案の中心をなす五条—九条が、一部から四全総実施法の生涯学習版だと言われるゆえんというのもやはりこういうところにあるんじゃないかというように思うわけでございます。果たしてこの法案が教育法なのかという違和感といいますか、あるいは四全総関連法とのアナロジー、類似性というところから教育法らしからぬという印象を与えているんじゃないかというふうに思うわけでございます。そういう点で、この法案と四全総との関連についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(横瀬庄次君) いわゆる四全総が多極分散型国土の実現を目指して策定された国土計画法であるということでございますが、その中に確かに生涯学習社会の実現ということも一つの重要な課題として置かれているようでございますが、それはいわば地域づくりといいますか、地域の活性化あるいは地域振興という立場からの一つの方策として示されているというふうに私どもは理解しております。 それに対しまして本法案の基本構想と申しますのは、これは法案の中にございますように、地域の住民に多様な学習機会を総合的に提供するということによりまして住民の学習に資することを目的とするということでございまして、今申し上げました四全総の方の地域自体の活性化あるいは地域振興というような、そういう目的を持ったものではないということでございます。 それから、もう一つ四全総関係と違いますのは、本法案の方は、これは今申しました多様な学習機会の提供という、そういう事業を対象とした法案でございまして、いわゆる施設、ハード面についての整備については対象としていないという点で、その点につきましても、この四全総関係の地域振興立法とは対象を異にしている。したがいまして、目的、対象を異にしているものだということで御理解をいただきたいと思います。
○小林正君 この問題についても、やはりいわゆるリゾート法とのアナロジーの問題も指摘をされておりますし、そういったような類似性が指摘をされるような法案になっているということ、そのことの背景にあるものは一つだという視点からそういう指摘がされているということを御指摘をしておきたいというふうに思います。 これは、先ほど山本委員からも御質問がございましたが、生涯学習基本構想の作成主体が都道府県になっておりまして、このことについての教育委員会との関係がどうなるのか、そして教育行政の独自性の否定にこれがつながらないのかどうかという点も指摘をされております。このことについてもお伺いをしたいと思いますし、さらに特定地域を指定することによって大都市や過疎地域はこの構想から除外されることになって、教育基本法第二条の精神とそぐわないのではないかという指摘もありますが、この点についてはいかがでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) この基本構想の上におきます都道府県の解釈につきましては、先ほど午前中の御質問の中で大臣からもいろいろ御答弁申し上げたわけでございますが、申請者としての都道府県という立場で書いてございまして、その機関としての知事とかあるいは教育委員会というふうになっているわけではございませんで、教育委員会の所管事項については教育委員会が責任を持つということについては、何らこの法律によってそういう建前、そういう制度を否定するものではない、変更するものではないということをぜひ御理解いただきたいと思います。そういう所掌事務の中でそれぞれ振興基本構想についての事務が行われる、そういうことでございます。 それから、基本構想の過疎地域についての問題でございますけれども、これは基本構想は各県一つというふうに限るというようなつもりで想定されているのではございませんで、広い県とか、あるいは人口の多い県では複数つくるということを予想してございまして、私どもとしては最終的には全国をあまねくカバーすることができるようなふうに持っていきたいというのが目標でございます。基本構想の中で第五条の第四項第一号のところに書いてございますけれども、中核となる市町村は交通が便利なことが必要であるということになっております。したがって、過疎地域からもできるだけこういうところに通いやすいような、そういう場所に特定地区が設定されるようにしてほしいということでございまして、そういった点についても十分考慮された上でこの基本構想が策定され、承認申請されるということを期待しているわけでございます。 もともとこの基本構想は、教育や文化の多様な機会というものを一極に集中することなしに、逆にできるだけ地方、大都市以外の地域にも拡散するようにという方向での一つの方策として策定されたものでございましたので、そのような方向で運用されることを強く期待しており、また必要があればいろいろ指導していきたいというふうに思います。
○小林正君 時間が余りありませんので簡潔に御答弁をいただきたいと思います。 次に、先ほどの第二条の後段の部分に関してですけれども、中教審答申の中で、生涯学習の基盤整備の必要のうち、第三項において、「特に今後は、産業構造や就業構造などの急激な変化に対応して勤労者の生涯学習の必要性が高まっていることから、その職業能力開発や多様な学習を促進することが重要な課題となると考えられる。このため、各企業等における教育・訓練を充実することや労働時間の短縮、有給教育・訓練休暇制度の普及などにより、勤労者が学習活動に参加しやすい諸条件を整備することが望まれる。」と、こう述べているわけであります。私はこれは極めて重要な指摘だというふうに思います。 先日、連合——日本労働組合総連合会が平成二、三年度の「政策・制度要求と提言」を決定しているわけですが、教育政策のうち、「勤労者の生涯学習と文化の創造」の項で「生涯学習推進のための「三者構成委員会」の設置」というのを提起をしております。この中で、「社会経済の変化の中で、勤労者の一生を通じた学習システムを形成するため、政(文部省、労働省、通産省、厚生省等)・労・使の「三者構成委員会」を設置すること。」ということが述べられているわけであります。 このことについて文部大臣として、これを実現するためのイニシアチブをとるお考えがあるかどうか、文部大臣からお伺いします。
○国務大臣(保利耕輔君) 生涯学習の視点に立ちました整合性のある施策を推進していきますために生涯学習審議会というのを設置することといたしておるわけでございます。その場で、いわゆるリカレント教育のあり方についても御審議をいただくということにいたしております。 御提案の三者構成委員会でございますが、これも職業人のいわゆるリカレント教育の推進のためのものと承知をいたしておるわけでございます。この法案で御提案申し上げております生涯学習審議会は、リカレント教育のあり方等についても今申し上げましたとおり審議をしていただく予定でございます。したがいまして、同じようなことをやっていく機関として審議会を設けさせていただくというのがこの法案の趣旨でございますから、御提案の趣旨に沿ったような形の審議会になっていくのではないか、私はそのように期待をいたしております。
○小林正君 さらに連合はこの提言の四項で、「有給教育訓練休暇の制度化」ということで、「ILO第一四〇号条約(一九七四年第五十九回ILO総会採択、有給教育休暇条約)を早期に批准し、有給教育訓練休暇を制度化すること。」という提起もしているところでございます。 労働省の昭和六十年の民間教育訓練実態調査によりますと、有給訓練休暇の付与の状況は、常用労働者三十人以上の事業所数の八%程度と低い結果になっております。五年間の経過がありますから、この数字がどこまでいっているかちょっと把握をしておりませんけれども、そういう状況であります。 また、さきの総理府の調査では、学習活動を行わない理由として、六七%が仕事や家事が忙しくて時間がとれないことを挙げています。 私は、生涯学習振興に当たって、その基盤整備のうち、学習する側の問題解決が大変大きな課題だと思います。第二条後段で、「別に講じられる施策と相まって、」、つまり、それとは一線を画すという姿勢なのかどうか。先ほど山本委員の御質問でのお答えもございましたけれども、その辺について生涯学習を中心的に進める文部省としてどうお考えか、これは文部大臣にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(横瀬庄次君) 有給教育訓練休暇というものが、職業人としての資質向上、あるいはその職業に関する教育訓練を受ける労働者に対して与えられる休暇として大変大きな役割を果たしているというふうに認識しております。 先ほどの第二条の「別に講じられる施策」とございますが、それはその施策の中にこの労働省の施策が入るということではございまして、したがいまして、この規定によって、それと相まって効果的に行われるという配慮事項が加わるわけでございますが、労働省におきましてはこの有給教育訓練休暇制度の定着と促進を図るためのいろいろな助成を行っているというのは先ほど委員が御指摘のとおりでございまして、今後、生涯学習の施策を円滑に実施していく上に、特にリカレント教育を推進していく上には大変重要な条件でございますので、この法律の規定、第二条にございますように、今後、労働省とも連絡連携を一層強めて進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○小林正君 時間がなくなりましたので、最後に、文部省の生涯学習に対する基本的な立場というものを余り広角的に広げないで、むしろ文部省の守備範囲の中で、しかも国民全体にいわゆる生涯学習——学習というのはやはり生きる力をつけること、そして生きるための技術と知識を得ながら、生きる目的である生きがいというものが与えられるようなものとして主体的に学習をしていくんだということを保障していくための文部省の施策であってほしい、こういうように思います。 そういう点からしますと、今御答弁にありましたリカレント教育ですね、これを相当重点的に、今後、文部省所管のそれぞれの学校もあるわけでありますから、そうしたことを十分活用して、基本的に生涯学習というものが公共性と非営利性という大きな原則のもとに実施されますように強く要請いたしまして、私の質問を終わります。
○西岡瑠璃子君 私は、昨年十二月に当時の石橋文部大臣に対しまして生涯学習振興法案につきまして目的と背景をお尋ねいたしました。 きょうは午前中、そして先ほどまで各委員の皆様方が総論の部分についてお尋ねをされましたので、私はただいまから具体的に生涯学習の基盤となるべき体制整備に関して質問をさせていただきたいと思います。 本法案では、都道府県の生涯学習推進体制の整備や地域基本構想の作成、生涯学習審議会の設置などについて規定をされています。お伺いしたいのは、大学が生涯学習に関して果たすべき役割については大きなものがあると思うのですけれども、少なくとも私はマイナーだとは思いたくないのですけれども、これが触れられていないですね。大学の自治との関係もあるためと思うのですけれども、その理由についてまず最初に伺っておきたいと思います。
○政府委員(横瀬庄次君) この法案は、先ほどから申し上げておりますように、中央教育審議会の一月三十日の答申「生涯学習の基盤整備について」をもとにいたしまして策定したものでございます。この中央教育審議会の生涯学習の基盤整備の答申におきましては、地域における生涯学習推進の中心的機関として「大学・短大等の生涯学習センターについて」の提言がございます。大学・短大におきましては、今後、生涯学習機関としての役割を視野に入れて、体系的、継続的な講座の実施、あるいは大学・短大等における学習機会に関する情報の提供、学習相談、あるいは社会人を対象とした取り組みをより積極的に行う体制というようなことの生涯学習センターを開設することを期待するというふうに述べられております。 ただ、これにつきましては、ただいま委員がお述べになりましたように、あくまでも大学・短大等の自主的な判断によって開設するということが必要でございますし、それから今後の地域社会との密接な連携というようなことにつきましても、その場合に大学・短大の自主性が十分尊重される必要があるということは重ねて述べられておりまして、そういった意味で、大学、短大それぞれの自主性を尊重するということから、ある程度画一的に法定化するということをしなかったというのは、その理由によるものでございます。
○西岡瑠璃子君 大学の施設設備等物的な条件、そして教員など人的条件、いずれを見ましても、大学は生涯学習施設としては最高のものを持っていると思われますので、その教育機能や施設を社会に完全に還元、開放して地域のニーズにこたえていかなければならないと考えるわけでございます。 そこで、私は大学における社会人の受け入れの状況をお伺いしたいと存じます。 昨年四月に筑波大学で専ら夜間に授業を行う社会人向けの修士課程の大学院が誕生しています。教育研究科カウンセリング専攻と経営・政策科学研究科経営システム科学専攻の二つで行われておりますけれども、非常に好評で応募者も定員を十四倍も超すほど押し寄せたと聞いております。さらに今年度は、経営・政策科学研究科企業法学専攻も開設されたということでございます。 社会人が大学院で研究能力を高めることが有意義なことは今さら言うまでもありませんけれども、受け入れる大学側、教える教員の側にとりましても、社会の第一線で活躍をしている人たちの知識、技術、教養などに接することができ、一種の知的刺激となり、大学院の教育研究のレベルアップに資すると思われます。大学院の社会人入学の重要性、意義について文部大臣の御見解をお伺いしたいと存じます。
○国務大臣(保利耕輔君) 先生御指摘のとおり、従来から社会人の大学への受け入れについては努力をしてまいっております。また、今後ともこの努力は積み重ねていかなければならないと思っております。私どもも社会人受け入れの体制を整えるべくいろいろと努力を重ねてまいりたい、このように思っているわけでございます。 具体的に現在、大学がどういう形で受け入れているかの状況については、委員からも御指摘がございましたけれども、さらに詳細について高等教育局長から説明をさせていただきます。
○政府委員(坂元弘直君) 社会人を大学に受け入れる体制と仕組みといたしましては、夜間学部あるいは通信教育を行う学部などのほかに、さらに国立大学における昼夜開講制の実施、あるいは放送大学の設置等の施策を推進してきているほかに、入学試験段階で社会人を別枠に選抜するという方法、あるいは大学院レベルにおきましても、今先生が御指摘のとおりの施策を講じてきておるわけでございます。 ちなみに、各大学の入学選抜において、社会人に対して入学上の特別な配慮を行っておる数字を平成元年度のレベルで申し上げますと、学部段階で実施大学が九十三、学部数百三十九学部で、入学者数が約二千百二十一人というふうになっております。ちなみに、この数字を昭和六十年と比較いたしますと、昭和六十年の段階では五十一大学七十六学部、入学者千三百九十人ということでございまして、御承知のとおりにちょうど十八歳人口が伸びてくる過程ではありますけれども、社会人に対して別枠で入学者選抜を行うという数字も着実に伸びてきているところでございます。 短大レベルで申し上げますと、短大も六十年では五十校でございましたが、元年度は百十二校ということで、二倍以上の別枠の選抜をしているところでございます。 それから大学院レベルにつきましては、実施大学、研究科数は五十三大学、六十三研究科でございまして、入学者数は千八百二十七人でございます。 それから昼夜開講制等、学部、大学院ともにいろいろな工夫を凝らしてきているわけでございます。私どもとしては、今後ともこれらの施策を充実していきたいというふうに考えておりますが、特に平成五年度以降になりますと十八歳人口が急減いたしますので、相当社会人枠を別枠で各大学がセットいたしまして、社会人を受け入れるということに力を注いでいくんではないかというふうに思っております。 ただ問題は、先ほどほかの先生からも御質問がありましたが、社会人が大学でリカレント教育を受けるその条件、社会的な条件整備の方もまた重要な課題であろうと思います。いずれにしましても、方向としては、私どもとしましても努力はいたしますし、社会人の受け入れの枠というものは今後ふえていくだろうというふうに私ども予想いたしております。
○西岡瑠璃子君 社会人が入学しやすいように選抜方法においても、研究計画書の提出、面接、小論文などの工夫がなされていると聞いております。 合格者のうち、社会人とそうでない方の比率はどの程度になっていますでしょうか。さらに、合格者の年齢構成、男女比率についてもお聞きをしたいと思います。
○政府委員(坂元弘直君) 合格者総数で申し上げますと、短大それから大学を含めまして約七十万人でございます。七十万人の中の、平成元年度レベルで申し上げますと、大学で二千百二十一名、短大レベルで千八百数十名、合計約四千人でございますので、パーセンテージでいうと極めて低いと言わざるを得ないんではないかと思っております。
○西岡瑠璃子君 筑波大学で夜間の修士課程を設けて二年目に入ったわけでありますけれども、大学側、学生側それぞれにおきまして、いろいろな問題点あるいは解決すべき課題などが浮き彫りになってきているのではないかと考えられます。大学院への社会人の積極的な受け入れの立場から、どのような指摘が行われているか明らかにしていただきたいと存じます。
○政府委員(坂元弘直君) 先生御指摘のように、平成元年度からスタートいたしまして二年目に入ったところでございます。まだ具体的に私どもの方に夜間の大学院が持つ問題点等についてのいろいろな情報が、まことに恐縮でございますが、入ってまいりませんが、私どもとしましては、筑波大学の大学院の教育研究の実施の状況を十分見守っていきたい、必要な改善については改善を加えてまいりたいというふうに考えております。
○西岡瑠璃子君 大学側、教員側、学生側にアンケート調査などを行ってみてはいかがでしょうか。実態調査を行ったことがありますでしょうか。
○政府委員(坂元弘直君) 今も申し上げましたとおりに、スタートしてまだ一年の実績しかありませんので、先生の御指摘のようなことにつきましては、もう少し何年かの推移を見てから私ども十分調査をして、改善策あるいは改善すべき点がありましたらば対応してまいりたいというふうに考えております。先生の御提言は十分私ども頭に置いて、これからの筑波大学の夜間の大学院の教育状況の推移を見守ってまいりたいというふうに考えております。
○西岡瑠璃子君 今後前向きに御検討いただくというふうに受けとめさせていただくわけでございますけれども、筑波大学大学院のパイオニアとしての役割に注目をいたしますとともに、その労に報いるためにも調査を行うべきではないかと私は考えます。調査結果が今後の大学院における社会人の受け入れの拡充にも資すると思われますし、他の大学の大学院の参考にもなると思うので、ぜひ実施をしていただきたいと思います。 筑波大学のように専ら夜間において教育を行う修士課程は、国立大学ではほかに例がないということから、拡充がぜひとも必要だと考えますが、今後、拡充のための何か具体策をお考えでしょうか。
○政府委員(坂元弘直君) 国立大学で専ら夜間だけを行うという大学院大学としては筑波大学しかございませんが、昼夜開講制という形で夜間に学生を受け入れて大学院教育を行っておる大学もかなりございます。国立大学で申し上げますと、三十二大学、三十研究科、百二十九専攻が昼夜開講制という形で夜間に授業を行ったり昼間に授業を行ったりいたしております。このうち、専ら夜間だけ授業を行っておるという大学院も幾つかございます。 そういう意味では、私どもとしましては、一応、こういう形での昼夜開講制という昼間と夜間の授業を併設するというやり方と、それから筑波大学のような専ら夜間だけの大学院を実施するという二つの方法があろうかと思いますが、専ら夜間だけの大学院ということになりますと、どうしても立地条件が勤労者を相当たくさん抱えておるという立地条件には限りがあるわけでありますが、私どもも今後とも専ら夜間に行う筑波大学方式、あるいは昼夜開講制両方含めまして、拡充には努力してまいりたいというふうに考えております。
○西岡瑠璃子君 四月二十八日の日本経済新聞によりますと、筑波大学の大学院でも社会人の受け入れによって経費が相当かさんでいるようでございます。すなわち、多様な学生に適切に対応するため、数学や電算関係の講座で準備コースを設置するなど、入学前や夏休みの期間を利用いたしまして基礎学力のレベルアップを図る必要があるということ。また本来の授業におきましても、社会人学生の興味に応じて多様な科目、プログラムを用意するためということでございます。どの程度一般の大学よりも経費がかかるのかを明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(坂元弘直君) ちょっと数字は私ども詳細には現在ここに持ってきておりませんが、そういう一般の大学より経費が必要となるということにもかんがみまして、私ども教育研究特別経費という経費を予算化いたしておりまして、その経費の配分に当たっては、昼夜開講制等に伴う経費増につきましては、各大学の要望に応じて配慮しているところでございます。
○西岡瑠璃子君 不明ということでございますけれども、私は、これはやはり正確に調査をすべきものだと思っております。大学院が社会人を受け入れるとこのように経費がかかるというわけでございますから、積算校費等で十分な配慮が必要だと思われます。今後の拡充策といったものをもう少し具体的に伺わせていただきたいと思います。
○政府委員(坂元弘直君) 具体的な、どこの大学にどういうものをということは、それぞれ国立大学自身が、第一次的にはこういう試みを行いたいということを学内でコンセンサスを得て、それから私どもの方を通じまして大蔵省に概算要求をするという、そういう運びになるものでございますので、具体的にどこどこの大学でこういう構想があるということは、ちょっとここでは言う段階ではないわけでございますが、私どもとしましては、先ほど来御説明しておりますとおりに、大学で十分構想を練って私どもの方にそういう要望があったものについては、積極的にこれを取り上げまして具体化していきたいというふうに考えております。 それから、社会人をさらにいろいろな形で大学に受け入れるという方法といたしまして、現在大学審議会でも審議をいただいておりますが、一つは、例えば大学を一たん出てまた大学の学部に入っていく場合には、三年次に入る学士入学という制度がございます。そういう意味で、三年次に編入学定員を大幅に設定できるような大学設置基準の改正が必要なんではないかということ。あるいは社会人の方々の中にも、全科履修ではなくて、一部の科目だけぜひとりたい、あるいは数個の科目だけぜひとりたいという社会人もいるわけでございますので、履修形態を弾力化して、一部の科目あるいはコースで科目を受けるというような学生も正規の学生の一つの形態として受け入れる方途についても検討いたしております。 それから短期大学あるいは高等専門学校の卒業生で、社会に出て、さらに今申し上げましたような学部に入ってまいりまして、一部の科目だけとる、あるいはコースの科目だけとって、ある一定のまとまりがあった場合にそれを学士、学部卒業者として認定するという仕組みなどについても現在検討しております。 したがいまして、先ほど申し上げましたとおりに、夜間、昼夜開講制あるいは夜間大学院の充実、あるいは社会人の受け入れ枠の拡充ということのほかに、新たに弾力的な履修形態についても現在その方策について御審議いただいておりますので、その結論が出ましたら、私ども適切にそれに対応して制度化してまいりたいというふうに考えております。
○西岡瑠璃子君 筑波大学の大学院のように、専ら夜間において教育を行う私立大学の修士課程を把握なさっていらっしゃいますか。
○政府委員(坂元弘直君) 青山学院大学が本年の四月から青山のあの地区で修士課程をスタートさせておりますし、それから法政大学が、これはもうちょっと前からでございますが、人文科系の学部をスタートさせておるというふうに承知いたしております。
○西岡瑠璃子君 専ら夜間において教育を行う大学院の場合、教員の負担過重、そして労働過重が心配されるわけですけれども、勤務体制、教員の組織、配置などがどういうふうになっているか、示していただきたいと思います。国立、私立、いずれの場合もお願いしたいと思います。
○政府委員(坂元弘直君) 国立の場合は、ちょっと数字は持っておりませんが、専ら夜間の大学院を開設するということに伴う必要な教員数は予算で措置をいたしております。私立大学の場合も、これも大学院設置基準に基づく教員の増を図りませんと大学の認可が受けられませんので、これも必要な教員の増を行った上で実施していると思いますが、ただ具体的に、昼間の先生も当然夜間の授業を持っておると思いますが、どういうような勤務時間の割り振りをして、どういう形で勤務時間の管理をやっておるのかということの詳細については、ちょっとここに資料を持ってきておりませんので、その点についてはお答えできないことをおわびいたしたいと思います。
○西岡瑠璃子君 夜間の大学院生のための教務事務、そして図書館利用、厚生関係などの体制はどうなっているのか、お聞きしたいと思います。これも国立と私立大の場合を示していただきたいと思います。
○政府委員(坂元弘直君) 図書館の利用につきましては、夜間大体何時ごろまで開設するかというのは、それぞれ大学によってまちまちでございます。七時あるいは八時ごろまで勤務時間の割り振りのあれで開設している大学もありますし、もう五時ぐらいで閉めてしまう大学もございます。ただ、夜遅くまでやっておる大学につきましては、当然のこととして夜間の大学院生も利用できる。それから、夜間の大学院生でも正規の学生でございますので、当然のこととして、仮に昼間、余裕の時間があって図書館を利用したいという場合には、これは利用できるようになっております。
○西岡瑠璃子君 それでは、私学の場合はどのような助成が現在行われているのか、国立大学の社会人積極的受け入れの施策に関連して、今後の拡充方法をお伺いしたいと思います。
○政府委員(野崎弘君) 私立大学、短期大学等におきます社会人の受け入れについてでございますけれども、社会人を特別の入学者選抜により受け入れているというような場合につきましては、従来から私立大学等経常費補助金の配分に当たりまして、その受け入れ数等を勘案しまして一般補助の上にさらに上乗せをしている特別補助という形でこれを実施しているわけでございます。 現在補助金の確定しております昭和六十三年度において申し上げますと、七十一の私立大学等に対しまして五千四百六十七万円の特別補助を行っております。なお、社会人が多く入っております特に夜間部に対しましても今のような形の特別補助を行っておりまして、これも六十三年度で申し上げますと、九十五件五億九千四百万ほどの補助金を出しております。
○西岡瑠璃子君 その額は社会人一人当たり約五万円ぐらいに相当するんでしょうか。
○政府委員(野崎弘君) 社会人の大学受け入れに関連いたしますと、受け入れ学生数によっていろいろランクをつけておりまして、一人から九人までの場合が五十万、それから十人から十九人まで受け入れている場合には百万円というようなことで、ランクをつけながら補助金を算定しております。
○西岡瑠璃子君 先ほど大学院設置基準十四条に基づいた昼夜開講等の大学院の数を国公私立別にお伺いしたと思うんですけれども、大学院設置基準第十四条に基づいて教育方法の特例を行っている大学の教育態様もさまざまあると思われるわけですが、昼夜開講、土曜日開講など、どのように分類できるでしょうか、実態をお示しいただきたいと思います。
○政府委員(坂元弘直君) ちょっと今先生御質問になりました土曜日とかどうとかという種分けは、実態はつかんではおりません。例えば修士課程ですと、修業年限二年のうち一年間を特例で夜間に行う、あるいは修業年限二年のうち全期間を夜間で行うというような種分けについては現在私どもつかんでおりますが、土曜日授業をするかしないかというのは、それぞれの大学によって違っておりますので、ちょっとその土曜日の開設事情については、恐縮ですがつかんではおりません。
○西岡瑠璃子君 現在社会人で大学院に入学している人は、研究心が旺盛で、そして努力家であり、また近くに大学院があるとか、多くの条件をクリアできている人に限られているのだと思われるわけですけれども、午前中会田委員からも質問がございましたように、今後一層の拡充を図っていくためには、有給教育休暇制度の創設あるいは男女平等を視点に据えて女性のための保育施設の完備なども不可欠だと思うわけですけれども、今後関係省庁とも話し合って制度化に努力をすべきではないかと思います。 五月十八日の読売新聞によりますと、文部省はハイテク技術者などを大学院等で再教育するシステムを推進するため、調査研究協力者会議を設置し、その方途を検討すると出ております。そのメンバー、審議の状況、今後のスケジュールはどうなっているでしょうか。
○政府委員(坂元弘直君) 突然の御質問ですので、メンバーについてはちょっと持ってきておりませんが、これは高等教育局、私のところで調査会を開かせていただいているんですが、十数人のうち大半、七割ぐらいが国公私立の大学の関係者、それから三割ぐらいが民間の技術者あるいは人事担当者などでございます。 私どもは、今、特に最先端関係のリカレント教育を大学でやるとすれば、一体どういうことが社会から要請されておるのか、あるいは大学で持っている今の人的組織等で十分対応できるのかどうか、さらにはカリキュラムがどういうものがいいのかというようなことにつきまして御検討をお願いしているわけでございますが、私どもとしましては、本年度中、来年の春ぐらいまでには一応のおまとめを取りまとめていただきたいということでお願いをしているところでございます。
○西岡瑠璃子君 それでは東京大学ですけれども、同大学の先端科学技術研究センターに新設する工学系研究科先端科学技術大専攻の構想を持っておりまして、そこでは修士課程修了後に最短一年で博士号が取れるという社会人向けの短期修了理工系大学院を考えていると報道されております。 その構想の内容と東大の準備状況、それに対する文部省の対応を伺っておきたいと思います。
○政府委員(坂元弘直君) 東大の先端研の構想につきましては、現在先端研自身でもいろいろと構想を練っているところでありますし、同時にその構想について私どもの方に事務的にいろいろと相談に来ておるという段階でございます。したがって、その構想が果たして今度の例えば概算要求時点までにまとまるのか、それとも構想の熟度が来年の夏ぐらいまで待たなきゃまとまらないのか、ちょっと今のところ予想がつかない段階でございます。 先端研と別に、東京大学では法学研究科がむしろ社会人を積極的に受け入れて、そしていわゆる研究者養成という意味での法律の大学院修士課程ではなくて、高度の法律知識を持った実践的なそういう法学研究科を設置して社会人の要望を受け入れたいという構想を持っておりまして、これも現在、法学研究科で私どもと一緒になってその構想を熟させている、検討の最中でございます。
○西岡瑠璃子君 それじゃ次に、大学学部の社会人入学について少しお尋ねしていきたいと思います。 社会人特別選抜を実施している大学数、学部数、受験者、入学者の数を、国公私立別にその推移もあわせてお示しいただきたいと思います。
○政府委員(坂元弘直君) 先ほどもちょっとお答えいたしましたけれども、国立大学で申し上げますと、昭和六十年度が十一大学十一学部でございまして、入学者数は百二十四人でございます。平成元年度では十九大学二十六学部で二百六十二人の入学者でございます。公立大学が六十年度は一大学一学部で九人の入学者でございますが、平成元年度は八大学十学部で百三十人の入学者でございます。私立大学が六十年度三十九大学六十四学部で千二百五十七人の入学者でございましたが、平成元年度は六十六大学百三学部で千七百二十九人の受け入れ数でございます。 〔委員長退席、理事田沢智治君着席〕 トータルで申し上げますと、昭和六十年度が五十一大学七十六学部、千三百九十人、平成元年度は九十三大学百三十九学部、二千百二十一人でございます。ちなみに、入学志願者につきましては、平成元年度だけで申し上げますと、三千八百六十五人の志願者がございました。そのうち合格者数は二千二百八十八人でございます。さらに、実際に入学手続をとった者が先ほど申し上げました二千百二十一人で、百六十人ぐらいの方は入学を辞退している、そういう数字でございます。
○西岡瑠璃子君 お聞きをいたしておりますと、このような数で生涯学習を標榜するには余りにも少な過ぎる数字だと思うわけですけれども、文部大臣としてはどのように評価をされていらっしゃるんでしょうか。
○国務大臣(保利耕輔君) 社会人が大学に行って勉強するいわゆるリカレント教育がまだ十分行き渡っていないという段階でございますが、今後さらにこれが行き渡るように私たちは努力をしていかなければならない、このように感じております。率直に申し上げさせていただきます。
○西岡瑠璃子君 私立大学では平成元年度において、先ほど言われたように六十六大学百三学部が社会人特別選抜を実施しておりますし、千八百人近くも入学しているということであります。国立と比べてこの数字をどのように評価されますか。
○政府委員(坂元弘直君) ちょうど国立が二百六十、私立が千七百でございます。これまた私どもの努力の足りないのを言いわけする、イクスキューズする意味ではございませんが、ただ、学生数で単純に比較いたしますと、私立は国立の入学者数の約四倍ぐらいございます。もちろん単純に、ですから、そういう意味では千七百と二百六十人の比較はできないんですが、私どもとしましては、今後とも国立大学の社会人入学枠の設定の拡充については、各大学に指導をし、努力をしてまいりたいというふうに考えております。 ただ、現在は、私立大学も先ほど御説明申し上げましたとおりに、十八歳人口の増加の圧力が非常に大きいわけでございます。ただ、平成五年度以降、この圧力が急速に七、八年間で減少するということになりますと、もっと端的に申し上げますと、より積極的に社会人の枠をセットしなければなかなか経営上も問題があるだろうというようなこともございまして、私どもはさっき先生が御指摘になったいろんな社会的な条件も整備されなきゃならないと思います。雇用条件とか勤務条件とかそういういろんなことを整備しなきゃいけないと思いますが、同時に、傾向とすれば平成五年度以降間違いなく社会人入学はふえていくであろう、そう言っても差し支えないんじゃないかと思いますが、私どもも積極的に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○西岡瑠璃子君 ちょっと時間が足りませんので、少し飛ばしてまいります。 先ほど冒頭のところで、昼夜開講制のことについて少しお聞きいたしました。現在、短期大学部の改組という形で設置しているわけですけれども、今後もその方向で行くのでしょうか。また、新たに昼夜開講制の学部設置のお考えがありますでしょうか。
○政府委員(坂元弘直君) 今のところ、国立でなお短期大学部を持っておる大学がございますし、それから夜間部を持っておる大学がございます。まず第一段階としては、現在の国立大学の短期大学部を、大学の中のいろいろな検討結果をまって、昼夜開講制に切りかえる、あるいは夜間部を持っておる大学について昼夜開講制に切りかえていく、そういう努力を続けていきたいというふうに今の段階では考えております。 それが終わった段階で、これまた各大学の検討結果にもよるわけですが、さらに新たに昼夜開講制というものが必要であるという大学の判断、それから私どもも、それもそのとおりだという大学の判断に納得できれば、検討をしていく課題であろうかというふうに考えております。
○西岡瑠璃子君 ここで、大学の公開講座のことについてお聞きしたいと思います。 私の地元の国立高知大学におきましても公開講座は大変好評を博しておりますけれども、開設のたびに赤字が出て大学が補てんをしなければならないような制度では、一層の拡充を望むべくもございません。各大学が公開講座を開設した場合、国はどのような補助をなさっていますか。その仕組みと助成額をお示しいただきたいと思います。
○政府委員(横瀬庄次君) 国立の大学が公開講座を開設する場合には、国立学校特別会計予算の中で公開講座実施経費といたしまして、例えば平成二年度予算におきましては千百二十八講座分三億七千百万円余りを計上しておりまして、所要の経費を各大学に配分しているところでございます。これは平成元年度と比べますと、平成元年度が八百二十八講座分二億七千万円余りということでございまして、前年度に比べまして平成二年度は、三百講座分一億円余りの増額をしているところでございまして、最近大変、今先生おっしゃいましたように公開講座に対する受講熱というのが高まっておりますので、それを反映いたしましてそのような手当てをしているところでございます。 それから、私立大学等におきましては、従来から私立大学等の経常費補助金を配分する際の一般補助に上乗せする形で特別補助を実施しております。これが昭和六十三年度におきましては、百二十七の私立大学、短期大学に対して、対前年度二千八百万円増程度の一億五千百四十万円の特別補助を行ったというような実績になっております。 今後とも社会の要請に対応した公開講座の増設等について十分配慮していきたいというふうに考えております。
○西岡瑠璃子君 私は、全額国庫負担を実現するべきだと考えます。そして、私立大学の場合も、公開講座の所要経費の二分の一以下の補助でしかありません。公開講座を行えば行うほど私学の持ち出しが多くなるのでは、公開講座の抜本的拡充は望めないと思います。私学の苦しい財政状況ともあわせ考えると、公開講座に対する私学助成の一層の拡充が必要だと思われます。 最後に、全国でも高齢化が顕著に進む私の県、高知県におきましても、高知県生涯学習推進計画が本年三月に策定されております。これに対し、生涯学習の組織化のもとに自由な構想が阻害されることのないように、あくまでも主体は県民であることを認識しながら推進をしなければならないというふうに思うわけでございます。いわんや、文部、通産両大臣の定める承認基準に縛られることがあってはならないということを最後に申し上げて、この項の質問を終わらせていただきまして、次に移ります。 次に、国立スポーツ科学センターに関連して質問をしたいと思います。 まず初めに、生涯スポーツの振興策についてお伺いいたします。 八五年に国立競技場と日本学校健康会が統合されますときに、国会におきまして国立総合体育研修センターの必要性について、当時の松永文部大臣、文部省関係者が統合の一つのメリットとして推進していくということを答えて、約束をしておられました。それは体育の基礎的実践的研究でありますとか、さまざまな項目を並べておられるわけでありますけれども、まさに生涯学習という見地からこの研究研修センターの必要性が十分あるのではないかと思われます。 また、それに先立ちまして、八一年に調査費が計上され、八二年に研究研修センター懇談会が設置され、八三年八月二十九日にその答申が出されたわけですけれども、そのときの内容とその後の経過を説明してください。
○政府委員(前畑安宏君) 今御指摘がございました最初の私どもが検討してまいりましたときの構想と申しますのは、いわば体育局の行政の全体にわたりまして、これをバックアップするような研究研修センターということで構想をいたしたわけであります。 研究の内容につきましても、競技力の向上に関するもの、さらには生涯スポーツに関するもの、保健体育の教育に関するもの、またいろんな施設設備、用具のあり方に関するもの、またスポーツ安全に関するもの、こういったものをそのときどきのいわば行政的課題にこたえて研究をしていくという構えにいたしておりました。 また、研修の内容につきましても、学校体育、社会体育、さらにはいわゆる学校保健の分野、また学校給食の分野という幅広い職員の方の研修をやろうというようなことで、先ほど申し上げましたように、文部省体育局の行政全般をバックアップするようなものとして構想したわけであります。したがって、その設置主体につきましても、これを国の機関またこれに準ずるものとして構想をしてまいっておったわけであります。 しかしながら、その後、そういったふうなかなり幅広い構想でありましたがために、御指摘ございましたように五十六年から調査費がつけられまして、六十二年までいろんな調査をやってまいりましたが、はかばかしい進展を見ないままでありました。 この間、御案内と思いますが、六十一年の九月にソウルにおけるアジア大会が行われて、我が国が余りはかばかしい成績を上げ得なかったということもありまして、総理の臨時教育審議会における第三次答申であるとか、あるいは日本体育協会がナショナルトレーニングセンター構想を発表したり、また、六十三年の三月には、総理のところに置かれました懇談会で主として競技スポーツに的を絞ったそういった研究センターを設置すべきではないかという提言も行われたわけであります。 そこで、いわば文部省主体で検討してまいりましたそういった構想を、そういった幅広い各般の方々の御意見を承りながら新たに構想の再検討を行いまして、現在私どもが持っております構想は、主として競技スポーツに的を絞って、科学的なトレーニングであるとか、あるいはスポーツに関する医科学の研究であるとか、そういったものを主体とした施設を建設をいたしたいということで、現在基本設計に間もなく着手をしようと、こういう段階に至っているわけでございます。
○西岡瑠璃子君 今伺いますと、国立スポーツ科学センターの事業内容というのが、文部省監督下の日本体育協会、日体協あるいは競技団体を統括している日本オリンピック委員会、JOCの事業である選手強化に近いわけですね。明らかに日本体育・学校健康センターの目的とは相違するではありませんか。 ですから、私が今言いたいのは、国立スポーツ科学センター設置の経緯及び内容はどうなってきたのかということです。つまり、東京教育大跡地に予定していたはずが、この北区にある国立西が丘競技場に設置するという方針になぜ突然変わったかということなんです。それをお聞きしたいと思います。
○政府委員(前畑安宏君) 日本体育・学校健康センターの法律によりますと、このセンターは、体育の振興を図るためにその設置する体育施設の適切かつ効率的な運営を行うというのが目的の一つに入っております。また、その事業内容といたしましても、その設置する体育施設及び附属施設を運営し、これを利用いたしまして体育の振興のため必要な業務を行うというのが業務内容に規定をいたしておりますので、決してそれから外れるものではないというふうに考えております。 なお、土地のことについてお尋ねがございましたが、御指摘のように、当初は渋谷区西原にございます東京教育大学の体育学部の跡地というものを想定しておりましたが、そのときには先ほど申し上げたように国の機関というものを主体に置いて、文部省の体育局の行政と裏腹になるような国の機関というものを想定いたしておりましたが、その後の行財政改革等の客観的な情勢を踏まえて考えますと、なかなか国の機関を新たにつくるということが困難であるということから、日本体育・学校健康センターの施設にするということに構想を改めたわけでございます。 そうなりますと、これも御案内かと思いますが、現在の日本体育・学校健康センターは、安全部、給食部、そして本部が別々のところにもございますし、また競技場施設につきましても霞ケ丘、そして代々木、さらに西が丘というふうに分散をして、かなりその管理運営に問題があるわけで、本部の統合庁舎の建設ということも具体の検討課題になっております。そういう状況からいたしますと、さらに新しいブランチをつくるということについて一つの問題がある。 それから、いま一つはその土地の状況でございますが、これも御案内かと思いますが、現在の時点で考えますと、進入路が極めて狭隘であるとか、あるいは用地の中に大きな段差があるとかいうことで、実際上着手するにはかなり問題があるということもございます。 さらに、これは国の会計のシステムでありますが、日本体育・学校健康センターでそこに施設をつくるということになりますと、その土地を国の一般会計——現在その土地を持っておりますのは特別会計でございますので、一般会計でその用地を取得するということになりますが、公示価格で二百五十億、時価で四百億と言われておりまして、これを具体に現在の概算要求のシステムからいたしますと、四百億に達する土地を取得するということは大変困難な課題でありますので、先ほど先生御指摘になりましたが、現に日本体育・学校健康センターが所有しております土地に建設をするということに変更いたした次第であります。
○西岡瑠璃子君 時間がありませんので、私申し上げるんですけれども、今伺いますと、頂点に立つ一握りのスポーツマンを対象にした科学センターになぜならなければならないのですか。もっと広く国民のための研究研修センターとして、もっと言わせていただくと実践的な国民の生涯スポーツをより一層振興する場として今必要じゃないかということです。 土地の利活用という観点からすれば、スポーツ施設が不足している東京都内の体育施設をあえてつぶしてまで設置するよりも、渋谷区西原の遊休地を利用する方が理にかなっていると思われます。一たんできている施設設備を廃止することは経済的にも損失が大きいではありませんか。教育大跡地の渋谷区西原の土地は、八〇年の国有財産中央審議会でその土地の使用についての基本構想を一応決定しております。八二年二月の国有財産関東地方審議会において、研究研修センターへの土地利用について答申を受けて、決定していたのではなかったかということです。 現に、今いる利用者に対する配慮を棚上げにして、民間施設ならまだしも、公共施設が初めの趣旨を簡単に変更して地域住民から取り上げるのは私は許せないことだと思うわけです。こういうのを朝令暮改と言う。朝令暮改もいいところだと思います。どうしてもだめなら、代替施設を考えるべきだし、とにかく今回のこの案は何としても再考してほしいということを私は強く申し上げておきたいと思います。
○政府委員(前畑安宏君) 御指摘ございましたけれども、私どもがここで研究をしようとしておりますことは、もちろん中心的には現在の競技力向上というところに焦点を置いて、これをスポーツ医学、スポーツ科学というものを結集して研究をしたい、トレーニングをしたいと考えておりますが、その研究の成果というものはもちろん生涯スポーツの関係の方々にも及ぶわけでございます。 なお、ちょっと申し上げさせていただきますと、西が丘を取得いたしましてこれを完成させましたのが昭和四十七年でございました。ちょうど昭和四十四年の時点で私どもの調査がございますが、このときには公共スポーツ施設というのは全国で約一万でございました。昭和六十年の調査というのを見ますと約六万ということになっておりまして、この間における各地域における自治体の御努力もあり、また私どもも、いささかではございますが補助金を計上して施設の整備を進めておりますが、かように各方面において施設の整備が進んでいるという状況がございます。 基本的に西が丘の施設は、当時の状況を勘案をいたしまして、地域住民に開放するための施設としてはどういうものが適当であるかという一つのモデルを提示したわけでございまして、ただいま申し上げましたような施設整備状況からいたしますと、これはもはや現在の時点で考えれば一つの役割を果たしたのではないか。なお、二十年を経過いたしまして、施設もかなり老朽化をいたしておりまして、さらに手を加える必要もあるというのが現在の状況であります。
○西岡瑠璃子君 最後に。 そのスポーツ科学センターは、私はナショナルトレーニングセンターと言えるのかどうかと思うわけですね。そういう大規模な非常に大きい意味の構想のナショナルトレーニングセンターとしてのスポーツ科学センターを、今まで長い間利用してきた住民を追い出してまでつくるというならば、私はもっともっと広大な土地、東京一極集中という観点に立たないで、もっと広いところへ持っていけばいいんじゃないかと思うのです。何としてもそれはやっていただかなくてはならないと思います。生涯スポーツ、生涯学習の観点にももとる今回の文部省の行為を私は非常に残念だと思いますし、何としても再考していただきたい、そのことを強くお願いしておきます。文部大臣、お考えをお聞かせください。
○政府委員(前畑安宏君) 国の施設を設置、経営いたしますときには、私どもは国としての行政目的ということを考えなければならないと思っているわけでございます。もとより、その施設ができますときには、この施設の設置者として予定いたしております日本体育・学校健康センター、さらには競技団体とも十分協議をいたしまして、その施設を使っていないときには地元に開放するということは考えなければなりません。 その施設の中には、体育館であるとか、あるいはシンクロのプールであるとか、さらに柔道、ボクシング、レスリング、フェンシング、ウエートリフティング、体操といったような施設もつくることにいたしておりますので、今競技団体と話をしております段階では、施設の開放はもとより、そういった施設を利用して地元の方々を糾合したスポーツクラブ等も組織をできないか、そして一流の選手がそういったスポーツクラブにおいて指導に当たるというようなことも十分考えたい、このように計画をいたしておるところであります。この点についての御理解を賜りたいと思います。
○西岡瑠璃子君 文部大臣、お考えをお聞かせください。
○国務大臣(保利耕輔君) 西が丘の問題につきましては、ただいま体育局長から御答弁を申し上げましたのが文部省としての立場でございます。これはぜひ御理解を賜りたいと思います。 〔理事田沢智治君退席、委員長着席〕 しかしながら、生涯スポーツの振興につきましては、これは地方公共団体等を中心にしてしっかり取り組んでいただかなければなりませんが、文部省としても各種の補助金を出す等いろいろな対策を講じまして、生涯スポーツの振興については努力をしてまいりたいと思っております。 以上です。
○西岡瑠璃子君 これで終わります。よろしくお願いいたします。
○針生雄吉君 生涯学習振興法案に関連して質問を行います。 十億あるいは十二億と言われる中国国民の敬愛を現在でも集めております卓越した指導者であった周恩来総理の生涯学習に関する言葉に、生ある限り学び続けよ、老いても学び続けよ、またあるいは、学びゆくことこそ進歩の原動力であるという言葉がございます。 生涯学習、生涯教育の必要性につきましては、一九六〇年代に欧米で主張された人間の向上につながる学ぶ欲求を最大限に保障しようという考え方、それにつながる考え方といたしまして、我が公明党といたしましても、教育は人間の生涯にわたる自己開発であるという考え方から、結党以来二十六年間にわたって一貫して生涯学習の重要性を指摘してきたところでございます。 近年、御承知のように人生八十年時代を迎えまして、余暇時間の増大、転職をする機会の増加、あるいは定年後の期間の延長、高齢化社会、高学歴社会化などの条件から、ますます生涯学習のニーズが高まってきているわけでございます。こういった流れというものは、民間のカルチャーセンターとか、ただいまお話のありました大学の各種公開講座の受講者数が毎年増加しているというようなことからも明らかな流れであるわけであります。 こうした時代の流れを受けて、我が党といたしましては、自治体レベルでの生涯学習推進センター設置を促進する一方、だれでも学べる大学として放送大学の設置をいち早く提唱いたしまして、放送大学は八五年に開校にこぎつけまして、平成元年三月に第一回の卒業生を出し、ことしの平成二年の三月までには千二百七人の卒業生、教養学士を生んだわけでございます。 我が党といたしましては、八七年の七月には党の教育改革推進本部が長寿社会に対応した、だれでもいつでもどこでもどこからでもという、そういう環境整備を目指して十項目の具体的な提案を発表いたしました。また、それとともに、ばらばらな行政でいろいろな弊害がありましたそういう弊害を解消するために、ぜひ生涯教育推進法を制定するように求めているところでございました。 さらに、八九年一月の我が党の二十一世紀トータルプランでも、生涯学習社会の建設を七つの大きな改革の柱の一つとして位置づけ、推進を図ってきておるところでございます。その中におきまして我が党が一貫して主張してきましたことは、人間そのものに焦点を当てて、生命尊厳と自然への畏敬、そして生きることの大切さを踏まえた個性的でたくましい人格形成を図る人間教育を生涯学習の柱に置くということであります。 今回、文部省も八八年七月の生涯学習局設置に続きまして、このたびの生涯学習振興法案を国会に御提出になったわけでございますけれども、我が党といたしましても年来の主張が国民的合意を得たものと評価をするわけでございます。 とは申しましても、生涯学習社会の建設は緒についたばかりでございまして、この法案の内容ともどもに課題は山積しております。先ほど申しました国民に好評を博している放送大学にいたしましても、東京タワーからの電波の届く関東エリアのみでありますし、早期に全国ネットワークの必要性が求められておるというように、いろいろな問題点も山積しているわけでございます。 先ほどからいろいろと各委員から指摘があって、文部省の御当局からも回答のあったところでございますけれども、例えば生涯教育にかかわる省庁が文部省だけではなくて、厚生、農水、労働、総務、環境と各省庁にまたがっている、そのために効果的な推進に難しい面があるのではないか、あるいは言葉は悪いですけれども縄張り争いというものが起こってくるのではないかというような心配もあるわけでございます。 こういう十六省庁にまたがるとも言われる施策を総合的に講ずるというためだけでも、その責任官庁をはっきりさせる意味だけからでも、生涯学習の理念あるいは定義づけが必要ではないか。こういう意味におきまして二十一世紀の教育改革を目指す基本法、そういうものをさらに国民的合意を得るために時間をかけて論議をすべきである、そういうふうに主張いたします。 午前中の質疑にもありましたとおり、その国民的な合意を目指して審議会あるいは国会でも今後いろいろと論議が続けられるということでございますので、その点はぜひとも忘れないようにしていただきたい。先ほどからもお話しがありましたように、なぜそんなに急ぐのかというそういう素朴な疑問もあるわけでございまして、そういう疑問の裏に含まれている疑念というものに対する明確なる結果というものも示していく必要があると思います。 まず何といいましても、生涯学習体系への整備につきましては、教育基本法の精神にのっとって行われるべきである、それは当然でございまして、この教育基本法の精神がどれだけ——もちろん教育基本法の精神というものは日本国憲法の精神にのっとっておるわけでございますけれども、そういう観点から言えば、生涯教育の全国民的な合意の上での実施というものが今回のこの法律のみによって達成されるものではないわけであります。繰り返すようでございますけれども、今後とも社会の進展を配慮して生涯学習を振興するための基本的な法整備に努めるべきことを第一番目に政府に求めるものであります。 教育基本法ということを申し上げましたけれども、その教育基本法に、「宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は、教育上これを尊重しなければならない。」という第九条の一項がございます。これからの本格的な高齢化社会の到来を目前にいたしまして、もう既に高齢社会と言ってもいいわけでございますけれども、そういう時代におきましてお年寄りの生きがいをどうするかということが極めて大きな社会的課題となってきておりますけれども、まさにこのお年寄りの生きがいという問題は生涯学習推進の一つの大きなテーマであるということは否定できないことであろうと思います。 また、生きがい論というものは、突き詰めていけば、そのお一人お一人の人生観の問題であり、生き死に、死生観あるいは生死観といいますか、そういうものにかかわる問題であります。生きる、死ぬ、すなわち生命活動、生活、ひいては生命観にかかわる問題でもあると思うのであります。生涯学習の目的として、生きがいをしっかりとお与えをする、その生きがいを求めていくときにはどうしても、お年寄りのみならずであると思いますけれども、その根底に生命について、またそれから演繹されます宗教についての確かな視点がなければならないと思うのであります。 私も昭和六十一年まで産婦人科の医者として、ごく当たり前の病院の勤務の医者をしておりましたけれども、生まれる人、亡くなる方、いろいろいらっしゃるわけでございますし、そういう方に接してきたわけでございますけれども、生まれるときのお子さんはまだ意識が余りきちっと確立されていませんけれども、亡くなるときに、その人生のいざというときに学習の効果というものが出てくる。人生の総仕上げとしての最終段階である死というものを迎えたときに、その人がその生涯において自分の人生観、ひいて言えば宗教観というものをどう学習してきたかということが、そのいざというときに出てくるなということを痛感をしております。 この老人の生きがいをどうするかということに関しまして、非常に難しい面もあると思いますけれども、生涯教育の中でお年寄りに対する宗教教育、憲法の絡みもあるわけでございますけれども、どこまで可能なのかということが今後の課題であると思います。例えば生きがいの学習は宗教の学習ということも避けるわけにはいかないわけでありますけれども、その援助が宗派的な宣伝であってはならないわけであります。そういう点もございますけれども、宗教教育の問題にかかわるさまざまな情報を用意して学習者に提供して、学習者自身がこれを自己選択をして自分の生きがい感を強めるそういう機会として利用するということは必要であろう、そういう用意は必要ではないかなというふうにも思うわけであります。 こういう話が出たついでと言うと非常に申しわけないんでございますけれども、文部大臣に、生涯学習体系における宗教、生命観の位置づけ、そういったもの、あるいはもし差し支えなければで結構でございますけれども、大臣御自身の生命観、宗教観ということについて御教授を賜れば幸いと思います。
○国務大臣(保利耕輔君) うまくお答えができるかどうか、私自身正直申して自信がございません。しかし、私は今御引用になりました教育基本法の第九条の宗教に対する配慮、寛容の態度、そういったものはこれは大変基本的に大事なことだと思いますし、また憲法におきましては信教の自由を保障しておるというこの日本の社会でありますから、そういった観点に立ってやはりこうした生涯学習についても進めていかなければならないと思います。 その生死観あるいは人生観というものについてのお話がございましたけれども、やはり人間は必ずいつかは命が絶えるときがあるわけでございますから、それに対してどういう準備をするかということは、人間としてどなたも皆多かれ少なかれ考えていらっしゃることではないかと私自身も思います。 私は父親と母親がおりましたが、両方のその宗教観というのは多少違っておったところがあると思います。父親の宗教観の場合には、かなり宗教そのものを勉強いたしまして、そしてやはり自分自身は最終的には宗教によって救われていくんだという気持ちを持っておったようでございます。それで晩年は、その精神の上に立って仕事をしておったということを、私は自身ではよくわかりませんけれども、人様からそのように伺っております。また著作等においてもそういったことがあらわれているように思います。 ところが母親の場合には、どちらかというと理性的と言ってはなんですが、理の方がまさる人だったように思います。したがいまして、亡くなる直前まで余り宗教のことについて口にしたことはございませんでした。しかし、亡くなる寸前に、やはり宗教のことについて考えておったという節がございます。 そうしたように、人によってさまざまな人生観あるいは宗教観というものは違うものでございますから、それを一概に規定して、これはこうでなげればならぬということを言ってはならぬというのが、これが信教の自由だとまた思います。 しかしながら、人間いかにして安らかな死を迎えるかというのは、人生にとっての一つの大きなテーマでありますし、私自身も、もうそろそろそれを考える年代にもなってきたように思います。そのようなつもりでまた仕事にも打ち込んでいかなきゃならぬと思っておりますが、そういう覚悟をしながら頑張っていかなきゃならぬと思っております。 お答えにもなりませんが、お許しをいただきまして、宗教関係は、高齢化社会をこれから迎えるわけですから、非常に大事なテーマの一つとして私どももよく研究をしていかなきゃならないことだと思います。
○針生雄吉君 ありがとうございました。 大臣の御両親のお話が出たついでに、私の母は八十五歳でまだ生きております。その母は非常に楽観的な人生観、宗教観を持っておりまして、死ぬということは、くたびれたら休んで次の日元気になるのと同じことだということで、くたびれるまで生きていましょうということで生きておりますけれども、その母が、当参議院の大先輩である市川房枝先生が御存命のときに、仙台という地方の都市におりましたけれども、そこでいろいろ市川先生の御薫陶を受けて、婦人問題について、あるいは地方自治について、憲法について、いわゆるそういうような勉強をしてまいりました。いわば彼女自身、母親自身の生涯教育の一プロセスがそこにあったと思うのであります。その後、年をとりまして、国際育友会関係、ユネスコ関係のお仕事をお手伝いしたり、地域のボランティア活動をやったり、あるいは墨絵をやったりろうけつ染をやったり、そういう生涯学習的なことを繰り返しました。 戦争中は、もちろんそういう意味においては軍国主義的な教育、生涯学習をやってきただろうかもわかりませんけれども、そういういろいろな生涯学習をやってきた人生の総仕上げとしてそういう宗教観に達したということは、我々息子どもとしても非常に安心をしているわけでありますけれども、そういった宗教観というもの、それぞれお一人お一人の立場による違いはあると思いますけれども、やはりそれはお年寄りだから必要だというのではなくて、お一人お一人の人生を通じてそういう宗教観、生命観についても学んでいくというのも生涯教育の非常に大きな柱ではないかなというふうに、私は今大臣のお話をお伺いしながら思ったわけでございます。ありがとうございました。 次に、生涯学習体系への移行のその目指す大きなねらいの一つとして、従来から言われておりますことは、ともすると強制的で画一的で閉鎖的だと言われる学校から脱皮して、一人一人の自発性、自主性と独立を重んずる学習体系への脱皮を図ることにあるということが言われておるわけであります。これは広くとらえますと、官僚主義と言われる政府の体質をぬぐい去る努力が求められるというところであります。言うまでもなく、生涯学習の主役は国民大衆でありますので、国民不在の主導権争いなどというものがあっては、国民的課題であるところの生涯教育の発展が泣くわけであります。国民の自発的な学習の援助に徹するためには、各省庁間の協力が不可欠であるわけでございますし、その連帯、協力を図って効率的に推進できるような体制というものをつくるように努めるべきであると思います。 この各省庁間の協力ということにつきまして、国には生涯学習審議会が設置されるわけでございますが、それとともに都道府県の地域生涯学習基本構想の承認に際するいろいろな問題というものも関連して出てくるわけでございますが、その連絡調整機関、そういう働きというものに文部省がどのような態度で取り組もうとしているか、その見解を伺いたいと思います。
○政府委員(横瀬庄次君) 今、先生御指摘のとおり、人々の行う学習というものは大変幅広いものがございまして、したがいまして、生涯学習の振興のための施策としてもいろいろ多種多様なものがございまして、事実多くの省庁がかかわっているわけでございます。六十三年度版の文教白書には、十一省庁四十六事業が関係事業として取り上げられているというほどに多くの省庁がかかわっているわけでございます。 先ほど先生がお挙げになりましたように、文部省に生涯学習審議会を置く。文部省の任務は、学校教育、社会教育、学術及び文化の振興及び普及を図ることということになっております。したがいまして、各省庁の生涯学習施策の調整を行うという権限そのものを有しているわけではございませんけれども、ただ、生涯学習の振興のためには、その学習の機会の提供の中心はやはり学校教育、社会教育、文化でございまして、その振興について極めて重要でございまして、そのためにその中心である文部省に生涯学習審議会を置こうということでございます。 この審議会は、法案の第十条にございますように、学校教育、社会教育、文化の振興について学習者の立場から生涯学習に資するための施策に関する重要事項を調査審議する。それと同時に、調査審議事項について特に関連性の強い事項があった場合には、他省庁の所掌に属する事項につきましても議論する。必要があれば文部大臣のほか関係行政機関の長に建議できるということにしているわけでございまして、こういう審議会の活用によりまして、できるだけ文部省と各省庁の連携が密にいくように努力をしていきたいと思います。 それからそのほかに、それ以外のことにつきましても連携を十分に留意していく必要があるわけでございまして、私どもといたしましてはこれを機会にいたしまして、いわゆる縦割り行政と言われる弊害が国民の行う学習に支障が生ずることを厳に慎むように、私どもとしては各省庁の連携を強めていきたいというふうに思います。 それから、先ほどお挙げになりました生涯学習振興基本構想の円滑な実施につきましても、それぞれ法案には規定がございますけれども、各省庁間の連携というものを十分に図って、先生が今お挙げになりましたような縦割り行政の批判ということを受けないように、連携を密にしていきたいということでございます。
○針生雄吉君 各省庁のまとめ役として、しっかりその使命を果たしていただきたい。 次に、学校教育と、あるいは学校での学習と生涯学習との関連に関しまして質疑をしたいと思います。 学校教育との関連を棚上げして生涯学習を考えるわけにはまいらないのは当然であると思います。教育改革論議の中から今回の生涯学習体系への移行という構想が打ち出されたわけでありますけれども、そのもう一つの差し迫った大きなねらいというものは、無意味な受験競争や学歴偏重社会を是正しようという、そういうねらいがあったわけです。十五や十八というそういううら若い年ごろから人生コースをあらかた決められてしまうような、そういう受験体制を打破しなければならない。学校教育というものは、あくまでも勉強のやり直しがきく緩やかで柔軟な教育というものがその中に含まれていてもいいのではないか。つまり、後で身につけた学力や能力を職業社会でも正当に評価される世の中にする、それが生涯学習に課せられたもう一つの課題であるはずであります。 少し回りくどいことを申し上げましたけれども、要するに学校教育をどうするかということが生涯学習推進のかなめであると思うのであります。落ちこぼれを防ぐという、そういうための施策も必要であると思います。先生と生徒との間で、その先生の手の温かみが、先生の体温が伝わるような、そういう人間的な教育が必要でありますし、そういう環境条件というものを整えていかなければならない。そして心の通った人間的な触れ合いの中での教育というものが行われなければならない。 落ちこぼれということで申し上げれば、高校生になってもアルファベットを書けない生徒がいるんです。九九ができない高校生もいるという。そういう落ちこぼれの高校生の発生する原因としては、御本人の病気による場合もあるでありましょうけれども、やはり小学校、中学校において基礎学力をきちっと教えていなかった、あるいは教えることができなかった。四十人学級、四十五人学級、そういう人数の多いクラスでは、一斉指導といいますか、そういう画一的な指導が中心になるために、手が差し伸べられないという、そういう問題もありましょうし、あるいは子供を囲む、生徒さんを囲む人間関係が非常に希薄になっているという核家族の問題であるとか、人と人とのつながりがないというような社会状況ということもあると思いますけれども、そういう基礎的な素質の開発、あるいはそういうものをドリルをするというような、そういう教育環境をつくっていかなければならないだろうというふうに思います。そういう学校教育が含んでおります問題点を是正するということ。 もう一点は、学校教育と生涯学習との関連の中で、学校教育の施設を生涯学習のために開放する。そういう行き方というものは、今までの社会教育の中にも当然あったわけでありますけれども、そのために先生方の、社会教育あるいは生涯学習のお手伝いをするためのマンパワーとしての援助要請に対する負担であるとか、あるいはその他施設の開放につながる学校教育へのしわ寄せというようなものがあってはいけないと思うのであります。特に中小都市、町村においては生涯学習の場としては、現在ある学校教育施設の利用しかないのが実情でございましょうし、夜間の利用、建物の立体化に伴ういろいろな諸経費の増加とか、あるいは社会教育指導員として学校の先生方は二重の活動を強いられることになるわけでありますけれども、そのためには文教予算を拡大して教員の枠を拡大しなければならないというような、そういう文教予算の充実ということも必要であろうと思うのであります。 こういう点に関しまして政府の所見と、こうしますという確約をひとつお願いをしたいと思います。
○政府委員(菱村幸彦君) 前半先生からいろいろ御指摘のありました点につきまして答弁を申し上げます。 まず、学校教育の問題は、御指摘がございましたように現在いろいろな課題を抱えていると存じます。例えば先生も御指摘になりましたけれども、受験競争の問題、特に受験過熱の中での子供たちの状況の問題、さらには学校に対する不適応と申しますか、落ちこぼれとおっしゃいましたけれども、学校の授業についていけない子供たち、ないしはなじめない子供たち、不適応を起こしている子供たちの問題、さらには偏差値輪切りと言われますような非常に画一化した、硬直化したような教育の状況の問題等、いろいろ確かにございます。私どもはこれらの課題に対しまして真剣に取り組んでいかなければならないと考えているわけでございます。 受験の問題等につきましては、これは選抜のあり方の問題もございます。その選抜のあり方につきましても、高校選抜につきましては都道府県を中心にいろいろな改革を図っていただいているところでございます。また、個性ある学校がそれぞれできまして、その中から子供たちの本当に適性に合う学校を選んでいくというようなことも大事であろうと思います。したがいまして、高校教育を、偏差値輪切りの序列化とよく言われますけれども、そうした状況ではなくて、それぞれの学校が個性のある高等学校になっていく、それを子供たちが自分の特性に応じて選択をしていくというようなことが大切であろうと思います。今中央教育審議会で高校の改革の問題につきましていろいろ御審議をいただいておりますので、その答申がまとまりましたら、それに基づきまして高等学校教育の改革を図っていきたい、このように考えております。 また、これからの生涯学習社会を考えるに当たりまして、学校教育ではどうしたらいいかというお話でございますが、私どもとしましては、やはり生涯にわたってみずから学ぼうとする意欲や態度、能力、そういうものを育てることが学校教育の役割であるというふうに考えております。今回の新しい学習指導要領でもこの点は特に重視をしておりまして、学校教育が生涯学習の基盤を養うという観点に立ちまして、まず学校では基礎・基本をしっかり身につけさせよう。先ほどABCも書けない、九九もできない高校生の御指摘がございましたが、とにかく学校教育、とりわけ義務教育においては基礎・基本をしっかりと身につけさせるようにする。そしてもう一つは自己教育力と申しますか、みずから生涯にわたって学んでいく力というものを学校においてしっかりと養っていきたいと、このように考えているところでございます。 そのためには、体験的な学習とか問題解決的な学習というものの充実を図りまして、社会の変化に主体的に対応できるような教育を実現していきたいということで、今回の新しい学習指導要領が改訂されたわけでございます。私どもは、この新しい学習指導要領が学校の実践の場において定着していきまして、教育が変わっていくということを目指して努力してまいりたいと存じます。
○政府委員(横瀬庄次君) 後段の、地域に対する学校開放のことについて御答弁申し上げます。 生涯学習における学校の役割の一つといたしまして、学校における教育研究の成果あるいはその施設を開放するということは、地域における生涯学習にとって大変大事なことでございます。学校の図書館あるいは体育施設の開放、あるいは大学、短大、高専の公開講座、それから高等学校の開放講座というのが、こうした観点から地域と学校を直接結びつける、そして学校を単に青少年向けの教育機関としてとらえるだけじゃなくて、成人も含めた地域の人々の生涯学習のために最も身近な学習の場として、それから地域の中心的な場として積極的に活用するということが重要であるということでございます。 それで、現在の状況でございますけれども、例えば大学の図書館につきましては全大学の九五%で開放しておりますし、それから体育施設につきましては全大学の八〇%が開放しているというようなデータもございます。それから、大学の公開講座の開設状況でございますけれども、これも、例えば全大学で言えば、四分の三に当たる大学で三十七万人という方々が受講したというようなデータになっております。このように、地域に対する学校開放というものは最近盛んに行っているわけでございます。 そこで、それに対する職員の負担の軽減といいますか、あるいは助成についてのお尋ねでございますけれども、例えば文部省におきまして、学校体育施設の開放に当たっては、管理指導員に対する謝金を助成している。それから、大学等における公開講座については、先ほどお尋ねがございましたが、それについての助成あるいは負担をしているわけでございますし、それから専修学校、高等学校の開放講座の開設につきましても、講師に対する謝金その他の助成措置を行っているということでございまして、開放事業に携わる教員等の負担がふえないように、それから学校が地域における最も身近な学習の場として積極的に活用されるようにということで配慮をしているということでございます。 これにつきましては、さらに今後その情勢を見まして、大変増勢にあるという事情にかんがみまして、さらに拡充の努力をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
○針生雄吉君 ありがとうございました。 一般論といたしまして、我が国の各家庭で支出している教育費、いろいろあると思いますけれども、その中で親が子供にかけているお金、教育のためにかけているお金というものは恐らく世界一であろうというふうに言われております。そういう各家庭の教育費が非常にかさんでいる時代において、さらに生涯学習に際していろいろな金がかかるようになるというような状況が出現したのでは困るというふうに多くの市民の方々は思っているわけであります。今回の振興法の中にも民間活力の活用ということがうたわれております。振興基本構想の策定に際しまして民活の利用というものが特記されておりまして、先ほども議論がありましたように、地域進出の民間事業者への融資の円滑化、税制上の優遇化というものが盛り込まれているわけでありますが、こういう民活の参入に際しても、そういう民間活力のために混乱が生じたり、利用されっぱなしになるというようなことのないようにしていかなければならないと思うのであります。 もちろんバラエティーに富んで質の高い学習あるいはスポーツの機会を用意するという、そういう民間業者のよさまで否定する気はございませんけれども、そういう意味において、今まで自治体が中心になって社会教育を営々と築いてきたという歴史があるわけでございますけれども、その努力が報われないような、あるいは民間業者への肩がわりにつながりかねない、そういうようなことのないようにしていただきたい。 それとともに、そういった民間におんぶをすることなく公的な学びの場の確保に力を入れる必要があるのではないかということ。先ほどのお話と同じになると思いますけれども、そういう民間活力の利用に際しまして、逆にそういった力の乱発あるいは逆に利用されるということのないようなそういう態度で運営をしていただきたいということを御要望いたします。それについての見解がありますればお願いいたします。
○政府委員(横瀬庄次君) ただいまのお話は、地域生涯学習振興基本構想に関してでございますが、民間事業者によります教育、スポーツ、文化事業というものにつきまして、これはその創意工夫によりまして非常に魅力的な多様な学習機会を提供しているという実情がございまして、それを大都市部以外の地域においても多様な生涯学習機会の総合的な提供の中に含めて行うことができるような一つの有効な方策として制度化いたしましたのが本法案におきます地域生涯学習振興基本構想でございます。したがいまして、この方策によって生涯学習の振興を図る場合の原則とするということじゃ決してございませんで、つまり生涯学習の振興を原則として民間事業者に任せよう、そういう趣旨では決してございません。一つの方策として制度化したということでございます。 したがいまして、従来から国あるいは地方公共団体が社会教育等を通じて行ってまいりました生涯学習関連の施策の重要性というものは、今後ますます重要になりこそすれ、この構想の制度化によって変わっていくというものじゃ決してございません。従来から行われてまいりました各種の公的な学習機会というものは、今後ますます振興されなければならないということで、私どもの責務もますますふえていくということを痛感しておるところでございます。 それから、先ほど御答弁申しましたが、この地域生涯学習振興構想における民間事業者の提供される学習機会について、それが不当な支出増にならないように適正な価格の範囲内におさまるように、そういう指導につきましては、都道府県あるいは市町村の関与というものもこの中にあるわけでございますし、それから各種の援助措置、それから税制上の軽減措置というものもあるわけでございますので、そういった全体の中で適正な料金体系の中におさまるように、私どもとしては十分その辺についても留意をしていきたい、このように考えておるところでございます。
○針生雄吉君 私どもが心配することの一つは、その地域生涯学習振興地区として承認された地区の民間業者が、お墨つきをもらうために、あるいは許認可の獲得をめぐって何かうわさされるような政官民の癒着というようなことが起こってはいけない。と申しますのは、この法案が国民の皆様に示されてから私のところに二件ほど、こういうことがあってはいけないという、本当に期せずして同じ専修学校の開設、運営に関してあったことのようでございますけれども、そういう二件の国民の皆様の声が届けられました。 私も専修学校というのは余り認識がなかったんでございますけれども、手元のもので調べればすぐわかるわけでございますけれども、昭和五十年の学校教育法の一部改正によって各種学校から分離独立して誕生した。修業年限は一年以上、授業時間数が年間八百時間以上、常時四十名以上、そういうクラスを編制して、いろいろな分野の勉強をするということでございます。 その専修学校の実態というものが、現在非常に専修学校ばやりである。専修学校は金がもうかる。なぜ金がもうかるかというと、大学受験の基礎学力がないけれども金のある人が専修学校に集まっている。お金があるという言葉は非常に申しわけないですけれども、まあ一部の専修学校——全部がそうではないと思いますけれども、入学金と前期授業料などを合わせますと大体六十万円ぐらい一回で納めるんだそうです。それでも志願者があふれているという。つまり、余り試験が厳しくないので人気があるということ。 その経営の内容についても、ワンマン理事長さんがいて、施設とかスタッフが不足ぎみであっても、まあ頑張れということでやられる。もちろん生徒さんのためでもない。経営手腕がすぐれているんだという見方もあるでしょうけれども、やはり教育を食い物にしている例の一つと言わざるを得ない。あるいは公的補助金の使い道も不透明であるというような、そういう話が私のところに参りました。 この専修学校にしても、多くの専修学校は、国民の多様な要望を満たすために各人のライフステージにおける職業とか実生活に役立たせよう、自主的、自発的な学習に対応できる教育機能を持つ制度、機関としてスタートし、期得されているわけでございますけれども、やはりそういう非常にもうかるということから、専修学校の許認可に関してとかくのうわさがある。まあうわさだけでありますので物を言うことは控えますけれども。時間があればもっと調べたいと思ったんですけれども、調べ始めると命がないぞなんて言われることもあるかもわかりませんので。 もしそういうことがつながりがあるとすると、生涯学習振興法を何で急いでいるのかという国民の疑いの根底といたしましては、何か急がなければならないような癒着があるのではないかというような考えを持たざるを得なくなる。これは質疑通告にはなかったんでありますけれども、もしそんなことはないんだ、あるいはそういうことのないようにしたいとか、そういう私の疑問、いや、私の疑問と申しますのは国民の方々の疑問でごますので、そういう国民の皆様方の疑問に答えたいというお気持ちがあれば、ぜひ御答弁をお願いしたいと思います。
○政府委員(横瀬庄次君) 専修学校の改善につきましては、昭和六十二年の一月に、いろいろと一部の専修学校の生徒募集広告の誇大とか、あるいは不適切な入学状況というようなものが指摘されまして、それについて改善を図るということで、専修学校教育の改善に関する調査研究協力者会議というものを、これは六十二年の六月まで文部省に置いたわけでございます。 その結論といたしまして、例えば広告表示の適正化を図るために専修学校が自主規制を行うとか、あるいは専修学校に関する適切な進路指導資料を作成するとかというようないろいろな提言がなされました。特に、専修学校の自主規制については一番効果があるのではないかということで、これは専修学校の団体に対しましていろいろ指導いたしました。現在までのところ六ブロックにつきまして自主規制が制定されておりまして、残りが二ブロックになっておりますけれども、これも本年じゅうには自主規制の制定について決議がなされるという見込みがあるわけでございます。ぜひとも専修学校の適切な運営とそれから進路指導あるいは広告規制ということについての適正化を、こういったことで図ってまいりたいというふうに思います。 それから、それに関連いたしました今回の地域生涯学習振興基本構想についてでございますが、これは民間事業者に対して補助金というようなものを援助するというものではなくて、先ほど申しましたように税制上の優遇策、損金算入の特例というような特別措置によってこういう事業を興しやすくしようということをやっているわけでございますが、そういたしますと、実際にその軽減される民間事業者というのは、まず基金にその民間事業者が支出をいたしまして、そしてその損金算入の特例を受けるということになります。それから民間事業者というのは、この場合この地区において実際に教育、スポーツ、文化についての事業を行うものでございますので、そういった意味で行政がある優遇をするとかというような仕組みにはなっていないわけでございます。 したがいまして、官民の癒着といいますか、そういうようなおそれというものはこの構想からはまず考えられないというふうに思いますけれども、少なくともそういう懸念が起こることのないように十分留意をしていきたいというふうに思います。
○針生雄吉君 ありがとうございました。そういう疑惑が生じないようにしていただきたいと思います。 次に、地方分権に基づく生涯学習ということに関連いたしまして質問をいたしたいと思います。 これまた多くの人々が心配していますのは、何らかの国家統制的なそういう力が働いて、せっかくできてきた住民本位の地方分権、地方自治を尊重したそういう生涯学習の流れというものが阻害されるのではないかということを心配する声が多いわけでございます。つまり、地方自治体が生涯学習を推進する主体者であり、あるいは支援の主役であるという考え方を持っている自治体の関係者というものも多いわけです。そういう張り切っていらっしゃる方が多いわけでございますが、そういう意味におきまして文部省その他の中央官庁は、管理的色彩を強めるということがないように、監督をするというようなそういう姿勢ではなく、自治体の自発的意思に任せるという、そういう基本的な態度をぜひ貫いていただきたいというふうに思います。 そういう流れというものの中におきまして、私も認識不足できちっと余り認識しておらなかったわけでありますけれども、各地方自治体における知事部局と教育委員会部門との役割というものはどういう関係にあるのか、そういったことについてわかりやすく解説的にひとつ教えていただきたいと思います。教育委員会の役割と知事部局の社会教育の役割という点について、簡単で結構でございますので。
○政府委員(横瀬庄次君) 都道府県におきます知事部局と教育委員会、特に教育委員会の所掌事務につきましては、具体的に地方教育行政の組織及び運営に関する法律という法律がございまして、その中でその分担が決まっているわけでございます。教育に関する事務のうち、地方公共団体の長の所掌に属するものといたしましては、大学に関すること、それから私立学校に関すること、それから教育財産を取得し、処分すること、それから教育委員会に関する契約を結ぶこと、それと予算に関することです。その五点につきまして長の職務権限ということになっていまして、それ以外の教育、文化、学術に関する事務につきましては教育委員会が執行するという、大体そういう仕分けになっているわけでございます。
○針生雄吉君 そういう役務分担というのがあるわけでございましょうが、ある地方の知事部局に属する方が、こういう考えを持っているんだけれどもどうだろうかという、つまり知事部局としてそういうことができるかどうかということを聞いてもらいたいという要望があったので教えていただきたいと思うんですけれども、ある地方都市の試みといたしまして、今まだ全国ネットにはなっておりませんけれども、放送大学が非常に豊富な教授陣と豊富な内容で手軽に放送大学が利用できるような状況にある。そういうときにその地方都市といたしましても、その地方の各大学のいろいろな教授とか助教授のスタッフを利用いたしまして、利用と言うと申しわけないですけれども、御協力をいただいて、住民の方々が放送大学を聞きながら勉強して、そして、例えば放送大学の規定で言えば、四十二時間のうち何十単位とかスクーリングがありますね、そういったスクーリングを地域の大学の先生にお願いをして、そしてその地方の○○という市であれば、そこのカリキュラムを卒業した人々に○○市のコミュニティーカレッジ卒業というような、そういう御褒美を上げるというような、そういうシステムを知事部局として考えてやれる可能性はあるのかどうかということを聞いてもらいたいという話がありました。そういう試みが可能なのかどうかということ。 それから、冒頭にも触れましたけれども、放送大学がこれからいよいよ全国ネットワーク、あるいは海外に行っている邦人子弟の教育の面までも活用できるんでないかという話もあります。しかし、いい面ばかりではなくて、放送大学に金をかけるよりは通信システムや夜間システムのそういった教育学習手段に金を投じた方が人材の育成という面においては教育効果があるのではないかというような、そういう話も一部あるわけでございますけれども、放送大学の現状と今後の構想に関しまして、その抱負といいますか、そういった二つのことを含めまして当局の御意見をお伺いしたい。また、最後に大臣の所見も伺いたいと思います。
○政府委員(横瀬庄次君) ただいまの前段の方のお尋ねの件でございますが、それは結局、放送大学の放送教材等を使いまして、それでその地域の社会教育に役立てようと、こういうことだと思います。そういった事例というのは幾つかございまして、例えば青森県の三沢市とかあるいは富山県、これは富山県立の施設でございますが、県立の生涯学習カレッジというようなところで現実にそういうことを行っております。 今のお尋ねの所掌の関係でございますが、これはやはり社会教育ということになると思いますので、御相談なさいまして、教育委員会の社会教育事業として行うのが適当だというふうに、ここではそういうふうに思います。 〔委員長退席、理事田沢智治君着席〕 それから、放送大学の全国的な拡充の問題でございますが、御承知のように、現在のところは南関東地区と、それから群馬県、その他多少CATVの部分がございますけれども、関東地域、大体その周辺に限られているわけでございますが、これを、昨年卒業者も出したということで、そろそろその放送圏といいますか放送領域といいますか、を拡大することを考えたらどうかというような課題になってきていると思います。 問題は二つございまして、一つは放送網をどういうふうに整備するかということ、それからもう一つは単位、スクーリング等に必要ないわゆる学習センターをどのように置いていくか、この二つの問題はいずれも大変大きな問題でございまして、その辺について現在のところは、かなり長期的な展望ではございますけれども、できるだけ早く可能になるようにということで、内部で検討しているところでございます。これも大いに努力をしてまいりたいと私どもは考えております。
○国務大臣(保利耕輔君) 放送大学は、生涯学習体制の整備の点から大変大事な一つの要素だと思います。そういう意味で、今局長から御答弁申し上げましたように、放送網の整備でありますとか、あるいは学習センターの整備でありますとか、そういうことを鋭意検討し、できるだけ早くこれが全国で見られるように、勉強できるように整備をしていくことがこれから我々に課せられた課題の大きなものの一つであるというふうに認識をいたしております。
○針生雄吉君 ありがとうございました。 冒頭の私の八十五歳の母親の話ではございませんけれども、どうしても明治時代の富国強兵のそういう国家的な政策による統制というのもありましたし、あの暗い戦争中の国家総動員法の時代、そういうときにうちのおふくろなどは国防婦人会などに属して、きっと防空ずきんをかぶって、いろいろな国家的な方針に基づく生涯学習のひとときを過ごしたはずでありますし、また、戦後の民主化の時代におきましては、地方自治についてのいろいろな希望を持ちながら生涯学習、政治学習をやってきたはずであります。あるいはこれからも、うちのおふくろのことであれですけれども、人生の総仕上げとして、いかに死んでいったらいいかということを一生懸命今学習しているところでございます。 いずれの局面をとりましても、やはり学習をしながら批判的な目を養いながらも自分自身を確立していく、そして、その根底には人間らしい生命尊厳の考え方というものを中心にして学習をしていかなければならないということを、しみじみと私どもは感じているわけでございます。今後とも公明党は、生涯学習のよりよい完成を求めて国民的な世論を結集し、その先頭に立って頑張っていきたいと思っております。 本当にありがとうございました。
○高崎裕子君 きょうは、本案についての一回目の質問ですので、法案の内容に即してお尋ねしたいと思います。 まず、地域生涯学習振興基本構想についてお尋ねしますが、ここに出てくる民間事業者の定義ですけれども、この法案でいう民間事業者とは一体何をいうのでしょうか。そして、民間事業者には商社や不動産業者、銀行、予備校なども入るのでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) ここでいう民間事業者と申しますのは、この地域生涯学習振興基本構想の中において行われます特定の地域の中で教育、文化、スポーツ等々の生涯学習の機会を提供する事業を行っている民間事業者という意味でございます。 具体的には、例でございますけれども、カルチャーセンター、卓球場、劇場、スイミングクラブ、バッティングセンター、オーケストラというようなものが考えられるというふうに思います。したがいまして建設業でありますとか不動産業とか、そういうものは、もちろんその業者が特に教育、文化、スポーツの事業を実際に行うという場合もないわけではございませんので、そういう場合を除いて、一般的に申しまして建設業者というような事業者を予想しているものではございません。 それから、学習塾、予備校につきましては、これは中央教育審議会等で議論をいたしました際には、民間教育事業者というものには学習塾は含まれないというような了解がされていたところでございますけれども。したがいまして、本来これを実際にやりますのは都道府県が主体となって行われるわけでございますので、具体的に判断することではございますけれども、文部省といたしましては、こういう法案のこの全体の趣旨にかんがみまして、学習塾をこの施策、この事業の対象にするということは一般的に言って適切ではないというふうに考えております。 それから予備校につきましても同様でございまして、主体といたしまして社会教育、文化というものをこの事業の対象としているということもございまして、予備校をこの構想の対象としては大変考えにくい話だというふうに考えております。
○高崎裕子君 商社、銀行についてはお答えになっておりませんが、含まれないというふうに伺ってよろしいですか。
○政府委員(横瀬庄次君) これも同様でございまして、一般的に商社、銀行が対象にはならないというふうに考えております。
○高崎裕子君 そうすると、今二十兆円産業と言われる学習、文化、スポーツ分野、これに関連する事業であればすべて含まれるというふうに理解してよろしいわけですね。そして、商社、不動産業などが本来の業務と違ってこの文化、スポーツ分野等の事業をやる、あるいは別会社をつくる、系列会社で行うという場合はすべて含まれるというふうに理解してよろしいですね。
○政府委員(横瀬庄次君) この地域において教育、文化、スポーツ事業を行う民間事業者ということでございますので、そういったことに含まれるものについて対象になるということでございます。特別な場合がないと言い切れるわけではありませんので、お挙げになった例につきましても、一応制度的には含まれるというふうに解釈してよろしいと思います。
○高崎裕子君 そこで、この基本構想は、「民間事業者の能力を活用しつつ行うことに関する基本的な構想」と、こう法文上規定されております。これは民間事業者の参画は任意ではなく、民間事業者の参画を前提としているのではないでしょうか。したがって、この法律でやろうとすれば、民間事業者の参画はこの基本構想にあっては義務ではないかというふうに思うんですけれども、いかがですか。
○政府委員(横瀬庄次君) 都道府県が住民に対して生涯学習の機会を総合的に提供する施策を行おうとするときに、その方法として公的事業によって行うやり方と民間事業も活用していくやり方の二つが基本的には考えられます。 それで、この法案は民間事業者の能力の活用ということを前提にいたしまして、そして法律的な効果として、その民間事業者が基金に対しての支出をした場合に損金算入の特例を認めるという、そういう効果を挙げておりますので、これは今申し上げた民間事業を活用する行き方の方に入るわけでございまして、そういう意味でこの制度の前提が民間事業者の活用である。したがいまして、そういう意味では民間事業者の参画というものがこの制度の必要的な要件と、こういうふうに理解しております。
○高崎裕子君 つまり、この法律でやろうとすれば必要なものであるということですが、民間事業者の能力活用は、今御答弁ありましたように法文上にも書かれているわけです。 ところが、それに対して行政の任務ということについては全く書かれていないということで、基本構想において肝心の公共的役割がどう果たされるべきかということについて触れられていない。再三にわたって教育基本法をベースにしておられるという答弁ですけれども、そうであるなら、条件整備についての行政の公的責任こそ明確にされるべきだと、そう考えるわけです。 実際、社会教育法の第三条を見ますと、国及び地自治体の任務、条件整備に努めなければならないということが明記されているわけで、なぜこの法案についてはそれがないのかということについてお尋ねいたします。
○政府委員(横瀬庄次君) この地域生涯学習振興基本構想は、ただいまも少し御説明いたしましたように、社会教育、文化、その他生涯学習に資する学習機会の総合的な提供、そういうような総合的な、一つの種類だけではなくて総合的な学習機会というものについての機会といいますか地域を設定しよう、そういうことをねらいとしているものでございます。ですから、これは単純に社会教育だけでもなければ文化だけでもない、そういう意味で総合的な提供ということになるわけでございます。 これは、そのうちで、今申し上げましたように民間事業者の能力を活用するという方策をこの中に、その多様な提供の中に民間事業者の行います事業を含めるという、そういう機会を提供する一つの方策として特別に税制上の優遇策も含めて設定したというのがこの五条から九条までの規定の意味でございます。それは、その方策によって今後社会教育に取ってかわるとか、あるいは社会教育をやめてといいますか、制約をして、そしてこちらの方を先行する、そういうことでは決してございません。 社会教育の事業というものは、当然社会教育法にのっとってこれから行っていく。またこれまで以上に私どもとしては、この機会に生涯学習時代という今後の状況を勘案して、これからますます発展させなければいけない。そういう社会教育の振興ということは、これは全く、これまでどころじゃなく、これまで以上、これまでに増して振興しなければいけない、そういう認識でございまして、それとこの地域振興構想というものは全く別のことでございまして、むしろ、加えてこういう方策がとれる、そういう意味合いで御理解いただきたいというふうに思います。
○高崎裕子君 今私が質問したのは、社会教育を軽視しているのではないかという趣旨の質問ではなくて、社会教育法でも条件整備等国及び自治体の責務について当然のこととして規定がある。しかし、なぜこれについてはそれがないのかということを私はお尋ねしているので、総合的なものについて書かれているのでというお話ですけれども、それでは行政の責任がないということの理由にはならないんで、生涯学習という、言ってみれば初めての法案をつくろうというときに、行政の責任が全く触れられていないということこそ問題で、それこそまず法律あってということで、拙速過ぎるということがこの点からも明らかになるわけで、なぜ行政の公的責任が明確にされていないのか、その点明快に答弁いただきたいと思います。
○政府委員(横瀬庄次君) この地域生涯学習基本構想の第八条のところに、都道府県並びに文部大臣、通産大臣の、あるいは第五項には文部、通産、それに関係行政機関の長、関係地方公共団体についての協力義務でありますとか、あるいは援助、指導についての規定というものが具体的に規定されておりまして、そういう意味でこの基本構想の実施について行政側がいろんな意味で援助、指導するということについての規定といいますか、制度になっているというふうに私は理解いたします。
○高崎裕子君 条件整備という場合には、物的なものと人的なもの、それについてどうするかということが明確になって初めて条件整備の最低のものだというふうに理解しているわけですから、その答弁では全く民活だけが強調されて行政の責任が考えられていないと言わざるを得ないと思うんです。民活を強調するということによって、これは国民の学習権を保障するための行政が果たすべき条件整備の責任はもう棚に上げられている、民活で肩がわりさせるんだという考え方の反映だと言わざるを得ないと、そう思うんです。 実際、この十年間の予算を見ても、臨調行革路線のもとで公立社会教育施設などの充実費というのは八〇年度の百六十七億円から七十九億円と大幅に削減もされている。それから公民館の建設を見ましても、四百四十館から百四十四館と大きく後退しているという事実があることを指摘して質問を続けたいと思います。 「民間事業者の能力を活用しつつ」とあえて法文上明記していますが、これによって民間事業者の立場を非常に強いものにしているということがうかがわれるわけです。この法案は、先ほど来出ていますけれども民間事業者の参画が前提条件である。だとすれば都道府県及び特定地区の指定を受けたい自治体というのは、基本構想づくりに当たって、おのずと住民の意思よりは企業の意向を優先するということにならないのか大変危惧されるところですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) この法案の第五条の第二項のところに基本構想に掲げる事項というのを定めることになっていますが、その中の三号のところに、いわゆる民間事業者についての規定があるわけでございます。ここにございますように、「総合的な提供を行うべき生涯学習に係る機会」の種類の中に「民間事業者により提供されるものを含む。」というふうになっておりまして、当然この基本構想の策定の前提には、民間事業者だけではなくて、その都道府県ないしは市町村が行うべき公的な生涯学習に関する機会の設定につきましても、これは当然その前提として置かれているわけでございます。 したがいまして、単に民間事業者のことだけでこの基本構想が設定されるわけでは決してございませんで、それだからこそ都道府県が関係市町村と十分協議をして、そしてこれは当然住民の期待にこたえるそういう機会を提供するという観点に立って策定するものであると私どもは考えております。
○高崎裕子君 私は決して根拠なくして懸念しているわけではないんですね。きょうは傍聴席にも社会教育にかかわる方々それから教育にかかわる方々がたくさん心配でお見えになっているんですけれども、リゾート法をめぐる事態がまさにこのことを教えていると思うんです。 本法案の基本構想にかかわる規定というのは、リゾート法の法的仕組みと極めて類似をしているわけです。都道府県がリゾート基本構想を作成する、そしてそれは所管大臣の承認を受ける、その基本構想は特定地域を対象として、しかも民間事業者の能力を活用したものでなければならない。仕組みにおいてもほぼ同じ、そしてその規定上使われている言葉さえほとんど同じということで大変驚いてもいるわけですけれども、このリゾート法に関して言うと、特定地域を指定し民活導入を義務づける、基本構想を作成する、承認を受けるというその過程でどのような事態が生じたかについては、リゾート法のその開発の実態について研究されている佐藤誠さんが岩波新書の「リゾート列島」という本の中でこう書かれています。「特定地域の民活熟度が、承認されるか否かを決めるわけである。各県の企業誘致競争が一斉にスタートし、各市町村の受入れ競争熱は一気に盛り上がった。」「企画担当者は一斉にリゾート企業参りを行った。四七都道府県、三三〇〇もの自治体が押し合いへしあいで突進するわけだから、ものすごい競り合い効果が生じ、水面下での暗闘・死闘が始まった。「リゾートとは何か」など、誰も関心がないし、そんな悠長なことを考えていたらはじき飛ばされるので、突撃しながら考えよう、とりあえず用地を押さえ企業進出の水路をあけようというのが実態であった。」、こう書かれています。 今、生涯学習ブームと言われるような状態がある中で、幾らそうではない、リゾート法とは言葉は似ているけれども違いますというふうに否定されても、似たような企業誘致熱が生ずる可能性というのは十分あるわけで、その結果、教育基本法の精神など考えていたらはじき飛ばされるというようなことになったら、これは大変重大だというふうに思うんです。そうならないという保証はどこにもないのではないでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) この法案の地域生涯学習振興基本構想、第五条から第九条までに規定する制度につきまして、これは民間事業者の能力を活用するという理由は、これはスポーツ、文化あるいは教育の各分野においてさらに高度あるいは多様な学習機会を幅広く用意しようというものでございまして、ますます多様化する国民の学習ニーズに適切にこたえていくための民間事業者の能力の国民の要望に沿う形での活用というふうに考えまして、公的な事業と民間事業がそれぞれ長所を生かしながら、それぞれ補完をし合いながら学習機会の提供を推進していく、そういうことをねらいにしているわけでございます。 本構想においてその対象となります民間事業者というものは、いわゆるリゾート産業のような不動産業とか建設業というようなものとは異なりまして、先ほど挙げましたカルチャーセンターとかあるいはバッティングセンターとかスポーツ、文化の学習機会の提供に当たる事業者でございます。生涯学習の機会の提供に当たるということで、そういう国民の学習に寄与することを目的とする業者に限られるのは当然でございまして、営利のみ、営利を追求するという形での業者は、これは午前中も申しましたように、構想の作成あるいは承認の段階で排除されるというふうに考えております。 それから、これも既にお答えしたことでございますけれども、今回の民間事業者の能力の活用のための方策は、これは民間事業者に対して補助金等の公費支出を行う、そういうことで援助するということではなくて、民間事業が成り立つような需要を形成するために、その学習機会を求める人々が集まりやすい状況をつくるということを一方でやり、一方では税の特別措置を設けることによって民間事業者が新たな事業を起こしやすいようにする、そういう制度でございまして、リゾート法のような特定地域振興立法とは、目的も違いますし、そのあり方も異なっているということを御理解いただきたいと思います。
○高崎裕子君 そうならない願いを持っておられるという気持ちはわかりますけれども、今の御答弁では全くそうならないという保証は出てこないというふうに思うんですね。企業である以上、これはもう営利を目的としているわけですから、営利が対象と考えられないということはちょっと納得できないと言わざるを得ないと思うんです。結局、国民の学習活動を営利事業の対象として見ているのが本法案だと言わざるを得ない、そう思います。そうなると、教育基本法の精神とこれはもう全く根本が違ってくる。しかも、産業構造審議会が関与してくるということですから、産業構造、産業振興政策との整合性も当然これは求められてくるわけで、そうなると、これはもう教育の条理ではなく、まさに資本の論理が入ってくるということで、教育基本法によるんだと幾ら言葉で答弁されても、国民は決して納得をしないということを重ねて申し上げて、次の質問に移りたいと思います。 社会教育法作成に当たって寺中作雄、当時の文部省社会教育課長が、「社会教育法解説」、これは昭和二十四年七月のものですが、その中で次のように書いておられます。「社会教育は社会の中にある教育であり、生活の中にある教育であり、家庭、職場、団体等人間の至るところ起居、勤務、衣食等についてまわる教育なのであるから、法制では規制しきれない教育活動の分野であって、下手にこれを法制のわく内に閉じこめることは、自由を生命とする社会教育を却って圧殺する結果となることを恐れるのである。」として、「大きく国民の自由をもたらすために、自由を阻む方面に拘束を加えて、自由なる部分の発展と奨励とを策することも法制化の一の使命である。」「社会教育の自由の獲得のために、社会教育法は生れたのである」、こう述べられているんですね。そこで、この社会教育法の立法趣旨をこのように今も考えてよろしいでしょうか。 また、昭和二十四年の五月七日、本委員会での社会教育局長の説明でも、元来社会教育は、国民相互の間に行われる自主的な自己教育活動でありまして、政府並びに地方官庁は、その活動が自主的、活発的となって、国民教養水準が高まるよう側面より助長奨励する役割を持つものでありまして、いわば政府や地方官庁は、国民のためのよいサービスの機関となることを期せんとするものである、こうも述べられています。今日もそのように解釈してよろしいでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) 社会教育法につきましては、その第一条に「目的」がございまして、そして第三条に「国及び地方公共団体の任務」、それから第四条には「国の地方公共団体に対する援助」というような総則的な規定がございます。それで、その中で、例えば国、地方公共団体は、この法律等により、「社会教育の奨励に必要な施設の設置及び運営」等の方法によって、「すべての国民があらゆる機会、あらゆる場所を利用して、自ら実際生活に即する文化的教養を高め得るような環境を醸成するように努めなければならない。」というような規定が置かれておりまして、国民の自発的な活動について、それを醸成するというような方向が規定されているというふうに私ども思っております。 ただいまおっしゃられましたような解説につきましては、そういう解説はあると思いますけれども、それはその当時の担当者の方の意見でございまして、それがそのまま現在そっくりの状態で残っているかどうかについては、ちょっと判断ができかねるところがございます。
○高崎裕子君 今の答弁は大変重大な答弁だと思います。そのような解説書に書かれている、それが今も文部省として基本的にこの立法趣旨と理解していいのかどうかという質問で、それは当時のものというふうに言われるのでは、これは大変な答弁だと思います。いかがですか。
○政府委員(横瀬庄次君) 今申し上げたように、社会教育法は、国及び地方公共団体の責務を定めている、それから学習者の自発的な意思というものと尊重して国民が学習を自由に行うことを奨励しているという、そういう点についてはそのとおりだというふうに思っております。
○高崎裕子君 また、だからこそ不必要な拘束や干渉にわたるような規定を設けることは避けたのだというふうにも続けて言っておられるんですけれども、この法案の生涯学習の定義については、衆議院の文教委員会でも大変問題になりました。この点については、生涯学習は家庭教育、学校教育、社会教育、文化活動など広く包括するものだという統一見解が説明されたわけですけれども、そしてこの法文上にも国民の自発的意思の尊重ということが述べられています。そうであるなら、社会教育法の立法趣旨にもなっている自発的活動を行政が側面から援助をするという立場をとらなければならないと思うわけですが、この点いかがでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) 私どもの考えておりま生涯学習の振興の理念につきましては、これは基本的に、人々が生涯の各時期において自発的意思に基づいて適時適切に学習を行うことができ、かつその成果が適正に評価されるような社会を目指すことであるというふうに考えているわけでございます。そして、その自発的意思の尊重につきましては、今仰せになりましたように、第二条に施策における配慮の規定を設けまして、そして、国及び地方公共団体が施策を行うに当たって特に留意しなければならない事項として、自発的意思の尊重ということを明らかにいたしまして、学習者の視点に立った理念に基づいて生涯学習の振興が行われるべきことを明確にしたわけでございまして、その国民の自発的な意思によって行われる生涯学習について、それが可能になるような、そしてその成果が適正に評価されるようなそういう社会を目指すという、私どももそういう理念として考えているところでございまして、そのように理解していただければというふうに思います。
○高崎裕子君 現行の社会教育法、教育基本法の基本的な視点というのは、国は条件整備はするけれども、教育内容に干渉しないということをうたっているわけですけれども、本法案というのは国が本来行ってはならないことが規定されていると言わざるを得ないと思うんです。都道府県によるこの基本構想の是非についてはともかくとして、なぜ承認ということに文部大臣、通産大臣、この両者の承認が必要なのか。まして教育の分野に通産大臣ということはどういうことなんでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) この承認制度につきましては、この制度の法律的な効果が最終的に税制の特例措置に関係することであるという法律的な効果を持つことにより、その全体の構想というものをどこかの形で公認をしなければいけないということから生まれている制度でもございます。 それから、文部大臣と通産大臣が共管しているという理由は、これはこの基本構想につきまして、先ほどから申し上げておりますように、民間事業者の、教育、文化、スポーツその他の生涯学習の機会を提供する総合的な事業というものに対して、文部大臣は教育、文化、スポーツの内容面について所掌しておりますし、それから通産大臣は民間事業者の活用の面から所掌しているという観点から主務大臣になる、そういうことでございます。そのように理解をしていただきたいと思います。
○高崎裕子君 この承認に当たっては、五条第五項で書かれていますが、関係行政機関の長に協議し、文部大臣は生涯学習審議会、通産大臣は産業構造審議会にそれぞれ聞かなければならないとなっています。なぜこのように多重的に聞かなければならないのかというのがわからないのですが、それぞれ承認に当たって意見が違ったという場合、承認されないということになるんでしょうか。また、意見が違った場合には文部大臣の意見が優先するというふうに伺ってよろしいでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) この構想に関しましては、文部、通産両省が共管という立場になるわけでございまして、共管と申しましたら、協力しながらそれぞれの判断を行うということでございます。承認する場合におきましても承認基準を定める場合におきましても、それは別々に行うのではなくて、両者合意の上で共同の行為として行うということでございます。
○高崎裕子君 意見が違った場合にどうなるのでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) これは、今申し上げましたように両者合意の上で共同の行為として行うということでございますので、合意に向けて誠心誠意協議をするということになろうかと思います。 〔理事田沢智治君退席、委員長着席〕
○高崎裕子君 それでは、次に承認基準に関連してお尋ねしますが、その基準に適合するものとして五項目定めています。この基準というのは法文が極めて簡単で、何を言っているかほとんどわからないという状態なんですけれども、具体的にどのような内容になっているのでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) 承認基準につきましては第六条第一項の各号に掲げてあるわけでございます。 第一号の「生涯学習に係る機会の総合的な提供に関する基本的な事項」、これにつきましては、地域の現状あるいは学習の需要から見まして、当該地区における生涯学習の機会の方針等について、それが適切なものかどうかを判断する、そういう事項になろうかと思います。 それから次の第五条一項に規定する「地区の設定に関する基本的な事項」、これは、地区の概要あるいは面積、交通機関の状況、周辺地域の人口規模等が適切であるかどうかを判断するための事項でございます。 それから第三号、「総合的な提供を行うべき生涯学習に係る機会の種類及び内容に関する基本的な事項」、これは、幼児から高齢者にわたる適切な学習機会が提供されることになっているかどうか、それから民間事業者の特性を生かした事業について、公的事業との役割分担の中で適切な学習機会を提供することになっているかどうか、そういうようなことを判断する事項ということになろうかと思います。 第四号の「生涯学習に係る機会の総合的な提供に必要な事業に関する基本的な事項」、これにつきましては、民間事業者に対する資金の融通の円滑化その他、この地区において行われます生涯学習振興のために必要な業務についての、法人でございますが、その法人についての業務が適切に行われるかどうかを判断するための事項ということになろうかと思います。 第五号、「生涯学習に係る機会の総合的な提供に際し配慮すべき重要事項」、これは、地域関係者から成る協議会を設けるというようなことを予定しておりまして、そういうことなど地区内の各事業の円滑な実施のための連絡連携協力体制というものが適切に行われるような配慮がなされているかどうか、そういうことを判断するための事項を含めたいというふうに考えているものでございます。 以上、概要でございますが、あくまでも承認基準でございまして大綱的なものでございまして、細かいところまで定めるつもりはございません。
○高崎裕子君 国が示した基準に合致しなければ承認しないということはあるのでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) これは第五条の第四項のところに承認をする場合のことが定められておりますけれども、これによって明らかなように、第三号のところにありますように、その承認基準に「適合するもの」ということになっておりますので、それに適合しない場合というのも当然法律的、制度的には考えられるところでございます。
○高崎裕子君 承認しない場合もあり得るということになると、これは大変な内容になってくると思うのですが、第六条の一項の三号では、これは教育内容に関する基本的事項ということになるわけですから、そこが行う教育の内容まで含まれているということになって、結局この基準に基づく承認ということは、社会教育法が最も排除した教育への国家による干渉、介入そのものにつながるという指摘がなされて、そこが最も危惧もされているところなんです。家庭教育、社会教育、学校教育への介入そのものになるということで、地方自治体の自主性をないがしろにする国家統制そのものになるということが大変危惧されているという問題点を指摘して、ちょっと時間の関係で最後の質問に移りたいと思います。 この法律では教育委員会を含めて市町村の任務、事業についてほとんど触れられていないのですが、それはなぜでしょうか。市町村はこの法律で何をやるのか。基本構想策定の都道府県の単なる協議の対象にしか位置づけられていないわけで、そうすると下請機関にされてしまうのではないかという問題点があるわけですけれども、その点いかがでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) この法案に盛り込まれております施策のうちで、これは再三御説明してきているところでございますけれども、第三条に規定する生涯学習推進のための都道府県教育委員会の事業体制、それから第五条以下のただいまの地域生涯学習振興基本構想、これにつきましては都道府県を主体とする事業ではございません。しかし、例えば第三条の方の事業体制につきましては、学習情報の提供でありますとか、あるいは機関、団体の連携促進というようなものは、市町村の地域を超えたある程度広い広域な地域でなければ事業効果が上がらないというふうに思われますし、それから各種の調査研究あるいは指導者の研修などにつきましては、実施主体に相当の専門的な人材が確保されなければならないというような内容になっておりまして、そういう事業の性格上、都道府県段階の事業とすることが適当であるというふうに考えたわけでございます。 それから地域生涯学習振興基本構想、これも一市町村の域を超える地域というものを通常は考えるわけでございます。日常生活圏を単位にするわけでございますので、そういうことからいって都道府県を主体にするのがよろしいということでございまして、どの施策にいたしましても特に市町村の役割を軽視するということで考えるということでは決してございませんし、また都道府県を主体にするということを初めから考えたわけではなくて、そういう事業の内容から考えて都道府県段階の事業とすることが適切であるという判断をしているわけでございます。それにつきまして、その市町村が非常に重要な役割を果たすことはもう論をまたないところでございまして、市町村との連携とかあるいは均衡を図る趣旨の内容の規定というものは、それぞれについて置いているわけでございます。 それから第十二条には、「市町村は、生涯学習の振興に資するため、関係機関及び関係団体等との連携協力体制の整備に努めるものとする。」という規定を置きまして、市町村の生涯学習の推進体制についてもその規定をしているところでございます。
○高崎裕子君 市町村をないがしろにしていないというふうにおっしゃるわけですけれども、実際には国がもう既に生涯学習ということで旗振りをされている。もうそれで生涯学習でなければ夜も明けないというような状態で、実際に私ども現場の方のお話を伺ってきたんですけれども、現場では社会教育という言葉がもう使えない、社会教育という言葉を使うと白眼視される、生涯教育と言いなさいというふうな状態にさえなっていると大変嘆かれて、またその状況を危惧されているわけですね。 社会教育が生涯学習ということで、住民にとっては一番身近な市町村の教育委員会から知事部局に移っている。教育と言いながら、教育委員会主体とならなくなっている。現に北海道では、生涯学習推進本部の構成は、本部長が知事です。そして副本部長には警察本部長、警察が入っているという状態で、教育とは考えられないという体制になっているということを指摘せざるを得ないと思うんですね。 そしてまた、北海道に置戸町というところがあるんですが、ここは社会教育に非常に力を入れています。社会教育法が公布されるその前の年の昭和二十三年に、既に公民館条例を制定している。社会教育の計画を策定するに当たっては、町づくりの究極の目標は、町民一人一人が心からこの町に住んでよかったと感ずる、そんな町をつくることであり、その実現のために町民の英知と力を結集する。図書館活動、公民館活動、そして町の産業を考える生産教育の中軸に社会教育を据えている。この活動を推進する体制のトップに教育長を据えて成功している。市町村単位で住民が参加する市町村の自主的な教育活動が保障されてこそ、このようなすばらしい活動ができるというふうに、私は非常にすばらしい活動だと感激して帰ってもきたんです。 この法案では、市町村の自主的な教育活動を援助し、発展させるという考え方が見られないわけです。社会教育が大きく後退するのではないかという点が本当に危惧されるんですけれども、その点いかがでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) この法案は、生涯学習の国と地方公共団体における推進体制等について整備を図ろうとするものでございます。その生涯学習の振興に従いまして、社会教育というものがこれからますます発展していかなきゃならないことは先ほどから申し上げているとおりでございまして、そういう意味で、社会教育の振興になりこそすれ、これが社会教育の衰退といいますか、そういうものになっていくとは全く考えもしないことでございます。社会教育の振興についても私は所管をしてございますが、これからも大いに努力をしていきたい、そういう気持ちでございます。
○高崎裕子君 時間ですのできょうの質問はこれで終わりますが、社会教育あるいは生涯学習審議会の関係については次回に質問したいと思います。 最後に委員長に御要望したいんですけれども、生涯学習の振興というのは国民一人一人にとって非常に重大な内容を持つ法案だということが一層明らかになったと思うんです。そこで、衆議院の質問時間にこだわらずに十分な審議時間を各党に保障し、会期末ということで質疑を打ち切るというようなことがないように強く要望をしまして、質問を終わりたいと思います。
○小西博行君 笹野先生の前にやらさせていただきます。お許しください。 きょう午前中から生涯学習について同僚の議員の皆さん方の御意見を聞き、また私なりに研究もしてみましたが、何か非常に漠然とした感じで、なかなかイメージがつかめないというのが私の感じであります。 ただ、私自身が、随分前でありますけれども、広島という地方の中で、各産業界の人が集まって、いろいろ経営工学の分野、特に品質管理であるとか、あるいはコストコントロール、原価管理あるいはコンピューターシステム——ちょうど企業がそういうような学問的なものを導入しなければやっていけないような非常に厳しい競争の時点がございまして、その時代に、例えば商工会議所主催によります財界の人たちの勉強会あるいは県の工業試験場による企業診断、そういうようなのが幾つもありました。 これは生産性本部を中心にしてやる場合もありますし、そういうところへ私自身が講師で参りまして、いろいろ今申し上げたような学問的なものについて、あるいは産業に非常にプラスになる部分について講演をさせていただいたり、あるいは実習をしたりということをずっとやってきた思いがあるわけです。広島県内で大体百五十社ぐらいの企業診断をずっとやってまいりました。そういう意味で、私がやっていたのが実は生涯教育の一環だったのかなと、そういうような感じで実はいたわけであります。非常にそれではわかりやすい。 ところが、この法案の中には、午前中も質疑がありましたように、学校教育というのがまたその中に入っている。いわゆる社会教育とかいうこととは別に学校教育というのが入っている。そのために教育基本法というものが明確に入っている。こういうことになりますから、非常に教育の領域が幅広い。したがって、イメージがなかなかわいてきにくいという感じは恐らくどなたもしているんではないかなと思います。何でそのように幅広く欲深い形にこの法案をつくり上げたのか、その辺をまずお伺いしたいと思います。
○政府委員(横瀬庄次君) 生涯学習と申しますのは、国民一人一人が生涯にわたって学習活動を行う、そしてその学習活動を行うに際しましては、いろいろな学習の機会を活用して行われることが多いだろうというふうに思います。 そこで、学習機会を与える分野と申しますのが、それが学校教育、社会教育が最も代表的なもの、それに文化活動、その他いろいろな文部省以外のところで所掌しております施策についても、いろんな形で学習の機会を与えるという形にはなってくるわけでございますので、そういうさまざまな機会が考えられるわけで、それを包括的に、人間の一生を通じてその機会がどのように配置されていくか、あるいは地域的に学習の機会同士がどうやって連携していくか、どうやって連携していけば効果が上がっていくか、そういうような観点、いわゆる垂直的な統合と水平的な統合というようなことをユネスコなんかでは言っているわけでございますが、そういう連携といいますか、全体の体系といいますか、体系づけるというような作用を考えていくのが、これが生涯学習の考え方ということでございます。 したがいまして、範囲的に申し上げれば、学校教育、社会教育、文化活動、その他およそ教育活動に関係のある分野についてはすべてを包含するような、そういう分野であるということでございます。
○小西博行君 そこで、産学協同というのをさっきちょっと申し上げたと思うんですね。これは恐らく広島県だけでなくて、全国で産業の分野の方、そして各大学の先生方、そういう人が集まりまして、特にテクノポリス構想があるような県というのは特別に密接な関係が私はあるんじゃないかと思いますね。そうでなくても産学官というので、何かにつけて大学側にぜひ協力してもらいたいというようなことで、私どもも何回も出るわけであります。 広島には国立の広島大学がございまして、ここにも実は経営工学あるいは機械工学という分野がありまして、できるだけ優秀な先生に出てもらいたいというようなことを折衝いたしましても、時間制約がありますね。文部省で一週間に何時間、何回というような制約がございまして、それ以上はもう出られない。したがいまして、相当無理も言ったわけでありますが、むしろ文部省が介入しない方が地域の中でのお互いの協力関係というのは私はスムーズにいっているんじゃないかなという感じがしているんですね。そういうことを文部省にいかがでしょうかと言ったら、それはだめだ、ちゃんとこういう法律で決めているから、それ以上は行ったらだめよと、恐らくそういう格好になりはしないかなというのが私の実感です。これは、今言ったのは産業の分野です。 それから、実は江田島に自衛隊の術科学校というのがあります。昔の兵学校の跡に、術科学校といいまして、高校卒あるいは大学卒の方々を一年間研修します。そこで私は実は二年ほどアルバイトで教官をしたことがあります。これはどういう教官かといいますと、自衛隊の方々というのは割合定年が早いわけでございます。階級によって全部年齢が違います。十年ぐらい前は佐官クラス、つまり一佐、二佐、三佐、こういうクラスですけれども、定年が五十一歳だったと思います。その五十一歳になる一年前に、言葉は悪いんですが、しゃば教育を一年間、ありとあらゆる専門分野の人が行って教える。つまり、今まで全然知らなかった一般の俗世間について知ってもらおうというので。 だからそのときに、私でしたら経営工学の分野で入っていって教える。あるいは法律関係人もいるし、労働組合の話ももちろんするわけです。経理もやります、営業もやります。これは佐官クラスの場合ですけれども、そういう分野を一年間教育をして、それで就職をしていくわけですね。だから私は、これは産業以外でも恐らく、各官公庁でどのぐらいやっているか知りませんが、そういう分野でも、生涯学習というんですか、教育というんでしょうか、こういうものは必ずやっているんではないか、各県で調べてみたら、恐らく相当な数があるんじゃないかなと思います。 そういう意味で、私が今質問したいのは、そういう産業との関係です。産業との関係というのは、必要に応じて相当やっていると思います。それは企業体ですから、利益を上げなきゃいかぬのだから、管理技術だとかあるいは専門技術がおくれたのでは間に合わないわけですから、大学であろうがどこであろうが、中央の大学からでも立派な先生を呼んで、そこで金をかけて研修をやっている、こう思うんです。ただ、さっき申し上げた学校教育的な分野、こういう分野は少ないんではないかな、こう私は思いますので、その分野については一体どうなのかなと。 それからもう一つは、特にこういう生涯教育でやってもらいたいというのが何点かあるわけです。例えば、この間大臣にも御質問申し上げたような文化財の問題ですね。一般の市民、県民の皆さんというのは、展覧会があると、それを見る機会があります。しかし、具体的にその修復だとか何かということについてはわからないわけですね。それで、文化財が果たしてどの程度大切なものかというようなことについても、恐らくほとんど知らないで展覧会を見ておられると思うんですね。そういう日本の非常に大切な宝であるこの文化財、広島県であれば広島県の宮島にはこういうものがあるんだ、歴史的にはこうだというようなことについて生涯教育の一環としてやるというのは、私は非常にいいことではないかと思います。 それからもう一点は、国際日本と言うんですけれども、国際感覚とかあるいはマナーというのは、県民の皆さん一人一人が身につけることがなかなかできていないんではないか。世界の情勢は今こうなんだという、そういうような話を皆さんにしてもらえるようなもし場があったらいいなと、このように私は率直に感じているわけなんですが、そういう分野は、この法案を見ますと、美術というようなことで書いておりますね。伝統工芸なんかも入るのかもわかりません。それで、指定の地域なんかを見ますと、愛媛県の砥部焼というのがあるんですが、そこの砥部というのが入っていますよね、ここへ。これは茨城とか石川、福井という中に、この愛媛県という中の砥部、松山市がありますね。恐らくこれは焼き物の関係をやられるのかなという感じでちょっとおるんですよね。 あとはこれを見ると、スポーツ関係が非常に多いんですよね。だから、そういう意味で、この中身も何か具体的に、生涯教育というのは地域によってもちろん違いますし、地域の中でこれをぜひやりましょうという自主性は大事だと思います。しかし、大体どういうものかというそのイメージがどうもわいてこないので、恐らく委員の皆さん方も、一体どういうことなのかなと思いながらこの法案の審議をしていると思うんですね。その辺の形をもう少し明確にしてもらえませんか、イメージを。
○政府委員(横瀬庄次君) ただいまの御質問は、この法案の五条以下の生涯学習振興地域の特定地域についての具体的なイメージをということだと思います。 この地域につきましては、都道府県が教育、文化、スポーツといったような公的な施設が集積しているような管内の特定の地区におきまして、その周辺住民の生涯学習のために、例えばカルチャーセンターの講座でございますとかスポーツ教室あるいはスポーツイベントの開催、あるいは音楽会、展覧会、講演会といったような高度で多様な学習の機会を総合的に提供するという事業を市町村のみならず民間事業者の参加を得つつ行おう、行うことを奨励しようという制度でございまして、そのために民間事業者による事業の振興のための基金法人を設けることにしているわけでございます。 この基金法人は、民間事業者の事業に対する債務保証などの資金の融通の円滑化のための事業、業務というのがありますが、そのほかにも例えば、この地区についての事業の企画、研究でありますとか、あるいは事業のPR、情報誌の発行でありますとか、あるいはこの地区の中で働きます従業員の研修、そういうようなものもこの基金法人が業務として行うというようなことにしてございます。それで、都道府県がこういう具体的な構想を立てまして、文部、通産両大臣に申請した場合には、この企画あるいは実施面でもって両大臣がいろいろな援助を行うとともに、この基金法人の基金に充てるために参加した民間事業者が負担金を支出した場合には、損金算入の特例を適用いたしまして税制上の優遇を行う、そういうことで制度的にこの事業が計画的、継続的に進められるように対処していく、こういう制度でございます。 もう少しこの具体的な活動について、一つの例でございますけれども申し上げるといたしますと、例えば公民館とか図書館とか博物館といったような社会教育施設、あるいは体育館、プール、テニスコートといったような体育施設、あるいは野外活動センターとか動物園とか、あるいはコンサートホールというようなものがある地区があったとして、その中で、行政側、市町村、公的な事業と、それから民間事業者の互いにその長所を生かしながら多種多様な学習の機会が提供されている。そこに周辺から親子連れとか、あるいは友人同士の人たちが集まってきて、いろいろな形で、例えばスポーツ教室で学習したり、あるいはカルチャーセンターで学んだり、あるいは動物園等の観察をしたりというような、そういう教育、文化、スポーツのいろいろな学習活動が行われる。そういういろいろなニーズに応じて学習できるような地区というものを今盛んにさせようというのがこの基本構想、非常に砕いて申し上げて、そういうことを期待しているものでございます。
○小西博行君 大臣、イメージがわいてきましたか——何か私は余りわいてこない。確かにどこかで聞いたことのあるような言葉ではあるんですけれども、なるほどいいもんだなというあれがわいてこないんですよね。 この法案の中を見ますと、やっぱり生きがいを求める学習というのが一つですね。それから、職業等に生かせるような学習。職業ということになりますと、さっき私がいろいろやってきましたようなことが一つに入るんじゃないかと思うんですね。 それからもう一つは、生きがいというものが入っているでしょう。生きがい。この辺をどのように整理するかなという感じがして、大臣、何か御意見ございませんでしょうか。 生きがいのある学習、みずから喜び勇んでやることですから、学校教育みたいに一々当てられて、試験してという教育じゃないでしょう。だから、みずから興味がなかったら全然学習にならないだろうと思うんです。そういう意味で、みずから生きがいを持つような学習というのは一体どういうものがあるんだろうか。教え方によっても随分違うだろうと思うんですね。何かイメージがちょっとわかないので、お願いします。
○国務大臣(保利耕輔君) その人その人の考え方で、あるいは感じ方で違うと思いますので、一概に言えないんだろうと思いますけれども。つまり、美術館に行って絵を見たいと思う方と、博物館に行って古い物を見たいと思う方といろいろいらっしゃるように、人間千差万別であるように思います。それは単に美術館、博物館だけの問題ではなくて、勉強する内容その他でも個人によって願望というものは違うだろうと思います。そうした多種多様のいろいろな願望を全部かなえるということはなかなか難しいことではあろうかと思います。しかし、市町村ないしは県の中にこういうものがありますよというものを整理して情報提供して差し上げるというようなことは、生涯学習を振興していく上で非常に重要な部分だと思うわけでございます。 先生おっしゃいますように、この抽象的な法文の中からイメージを引き出すことはなかなか難しいのでございますけれども、私としては、例えばスイミングクラブのようなもので運動をする、あるいはゴルフの練習場もあるいはその一つかもしれない、あるいは英語会話を勉強する場所、そういうようなものをイメージしながら、どうして今までそういうものがなかった地帯につくっていくことができるかというようなことを真剣に考え、とりあえずできるものからやっていこうということで御提案を申し上げたのがこの法案であるというふうに認識をいたしております。
○小西博行君 大臣はカラオケが好きかどうか私もちょっとわからないんですが、カラオケの現象というのは、私がつぶさに見ておりますと、カラオケでマイクを離さないというのは、もともと上手な人じゃないんですね。例えば芸大の声楽科出たような人というのは、もう上手なのが当たり前ですから、みんなが拍手しても当たり前だという概念なんですね。ところが、下手だと自分が思っているのがつい歌うと、相手の上手さもあって拍手をしてくれる。それでいつの間にか一番歌がうまいという感じになりまして、人間の動機づけというのは何かそういう部分に案外潜んでいるんじゃないかと思うんですね。 だから、割合知らないうちに世の中を通過してしまうというのが多いんではないか。そう思いまして、日本の教育というのはそう意味で果たしてそのような教育になっているのかどうだろうか。例えば試験というのは、いい高等学校へ行かなきゃいけない、いい大学に行かなきゃいけないという前提で一生懸命に物を暗記していくということです。余り余裕もないです。その中で本当に勉強というのは楽しいというふうに理解する人が何人いるんだろうかなと思うんですね。 私は大学で十二年ほど教えておりましたが、入ったときには非常に成績の悪い子が、だんだん興味を持っていきなり勉強するという現象がありますね。それは私はやはり褒め方だとかタイミングだと思うんですね。だから、そういうものをうまく地方の中で、生涯教育の中で、焼き物やるんだ、さっきスイミングクラブとおっしゃったけれども、そういうものでも、やはり楽しくやらないと、恐らくこれは成功しないだろうというふうに思います。 私自身も、実はスキンダイビングといって潜るやつですね、海深く潜る。五十メーターぐらい潜ります。これは現在、国家試験がありません。そして、各地方のいろいろなそういうダイビングセンターみたいなものがありまして、そこで資格をもらうわけです。その団体の資格をもらうんですね。職業ということになりますと、ダイビングは労働省が管理しているわけです。ところが最近になりまして、文部省もぜひともそれをやりたいという動きがあるでしょう。御存じですか。なぜかといったら、スポーツというのが入っているからなんです。運輸省の方も、何かうちもだ、建設省は護岸工事をやっているから、うちじゃないかと。こういうふうになりまして、そういう店をやっている連中は困っているわけですね。 現実はそのような格好にあるいはなりはしないのかなと。だから大変失礼なんだけれども、さっきちょっと申し上げたように、文部省がやらなければうまく成功するんじゃないか。さっき言ったように、教育というのは非常にたががきついですからね。余りおもしろくないような生涯教育になったらいかぬなという私は心配しているわけなんですね。私は、物事に興味を持ってやるというのは、そういうところに実は原点があるような気がして。ですから、その辺を文部省の皆さん方がよく御理解をした上で、地元といろいろ折衝して、いい形にしていただけるんなら、これはもう大賛成なんですけれども、案外つぶしてしまうような努力を一生懸命やられる人が中にはおりはしないか。 それから、そういうセンターをつくったら、天下りにまた行きはせぬかと、ちょっとそういう心配がありまして、その点は大丈夫でしょうかね。
○政府委員(横瀬庄次君) 学習に対して一つの生きがいを覚える、充足感を覚えるというようなことは最近の傾向としてかなり出ておりまして、例えば高齢者の学習需要というのも、例えば源氏物語なら源氏物語の一編を鑑賞するというだけではなくて、もっと体系的に全体を研究するというようなことについて没頭をして生きがいを感ずるというような、そういう学習に対する充足感といいますか、そういうようなものもかなり最近は出ております。いわば本格化志向といいますか、そういう需要に対応するために、都道府県、市町村というものが、かなり講座や学級というものも、本格的な大学の先生たちと連携をとって、そして講師も立派な方を呼んで体系的な学習のコースを広げていく、そういうような方向は確かに最近出ていると思います。 先ほどの、この事業につきまして実際に行います場合に、批判を受けるようなそういうようなことのないように、それはもう十分に留意をしていかなきゃいけないというふうに思っております。
○小西博行君 ちょっと早目にやめようと思って焦っているんですが、放送大学、これにちょっと入ってみたいと思うんです。 放送大学は、もう御存じのとおり、今関東一円でやっております。ちょうど今の宮地理事長さんが大学局長のときだったと思うんです。委員長もあのときに文部省でおられたと思うんですね。 放送大学で一番私どもが心配したのは、大学教授がテレビによって講義するわけですが、本当におもしろい講義ができるんだろうかと。普通の講義というのはむだが非常に多いわけですから、結構例を挙げながら楽しくやれるんですが、テレビの画像で全国一円にということになりますと非常に心配になりまして、かたいかたい授業になりはしないかという感じが一つありました。あれも実は生涯教育の一環というのがありまして、そして全科履習しますと教養の方で大学卒の単位を取れる、大学卒の認定がある、あるいは単位の互換性がある。まさにこれは学校教育という形で非常に皆さんが期待したと思うんです。 私は、あのときにも、早く衛星を打ち上げて、かえって東京だとか関東というのはいっぱい教育の機会があるわけで、そうじゃないところがむしろ大事なんですね。そのときに文部省の方もそういうようにおっしゃったんです。大学のないところ、交通の事情の非常に悪いところ、そういうところでテレビを見て勉強できるんですよというようなお話だったんですね。ところが、衛星がうまく上がって、文部省のいわゆる放送権の獲得が、平成九年ぐらいには何とかいけそうだということですね。 私は、さっきの学校教育という面でいけば、放送大学が、衛星を打ち上げて全国に流れる、そして各地方には大学がある、そこでスクーリングをやっていくという、この体制をとれば、学校教育というのは相当徹底できるんではないか、特に勉強したい人は。資格を取らない人というのは、ちゃんと選科履習というのがあるわけですから、それでも構わない。だから、この問題がずっと延び延びにおくれてしまっている、そこに生涯教育の一つの大きな問題点がありはしないかなという感じがしているんですよね。これがうまくできておりましたら、各地域にそういうセンターがもう既にあるわけですから、それは大学のどこかの教室を借りてもいいわけでしょう。だから、そういうところにちゃんとできておるわけですから、その講義以外のもの、例えばさっきの砥部焼なら砥部焼というものを焼く方法についてであれば、そこの方に来ていただければ幾らでも講義ができる。実習もできる。こういう格好に、プラスアルファで大変大きな成果を上げるんではないかなという感じがするんですね。これはもっと徹底的にやってもらえぬでしょうかね。 放送大学も早くやるやると言いながら、ずうっとおくれてしまっている。最近ではビデオで何カ所かやるような、広島も何かそれに挙がっているようなんですが、ビデオを中心にして学習をやってみよう、こういうような話もありますが。あれもこれもいっぱいあるよりは、何かすかっとした整理されたものの方が私は非常にやりやすいんではないか、こう思うんですが、その辺の見通しはどうでしょうか。
○政府委員(横瀬庄次君) ただいまお挙げになりましたビデオ学習センターでございますけれども、これは対象地域の拡大ということを本格的にやるまでにはまだ時間がかかるわけでございますので、それまでの間、何もしないということではなくて、その放送地域以外の地域におきましても、豊富にあります放送大学の持っておりますビデオ・オーディオテープを中心とした教材をぜひ活用したい、そして放送地域以外の地域においてもそういう学習の機会を提供したいということで、今お話しになりましたように、昨年度広島大学の御協力を得ましてそういうビデオ・オーディオテープの視聴を主体とした放送大学の教育についての試行実験をいたしたわけでございます。 その結果は、応募者が定員の二倍以上になるというふうに、非常に放送大学に対するそういう期待が大きいということもうかがわせたものになっておりまして、その実験結果を受けまして、本年度北海道、広島、福岡、沖縄の四地区に、それぞれの国立大学の協力を得ましてビデオ学習センターというものを設けまして、その中で、ビデオ教材、二百八十八課目ございますが、を活用いたしまして、そのセンターの中で視聴する学生に単位を与える。選科履修生あるいは科目履修生ということに限られはしますけれども、受け入れまして履修をさせまして、そして単位の認定試験も実施をして、合格者には単位を認定する、そういう制度を十月から発足させる予定にしてございます。 ということで、こういうビデオ学習センター、それぞれの国立大学というか、大学の協力を得ながら設置をしていかなきゃいけないわけでございますが、そういうものをできるだけ拡充をいたしまして、それで、先ほど申しました放送網の整備あるいは学習センターの整備というものが全国に拡大していく際には必要になってくるわけでございますので、その学習センターの基礎にしていくというようなことを考えていきたいというふうに思っております。
○小西博行君 広島の場合は、何か応募が二倍以上というようなことなんですけれども、関東一円のやつは大体応募といったって今八割ぐらいしか埋まらない。ちょっと人気が悪いんですね。これは時間がないから言ってしまいますけれども、何で人気が悪いのか。当初は非常によかったのでしょう。考えてみたら、あれは教養なんですよ、先生にはなれないんです。一般教養の資格なんですね。そうでしょう。例えば会計士になろうと思ったら、その単位は別ですね。国家試験を受けるので、なろうと思ったら別にやるわけですね。 当時はこういうことがあったんですね。例えば税理士の資格を取りたいとか、そういう人たちというのは二年間の専門学校があるわけですね。それと一緒になると、反対されるし迷惑をかけるということで、余り影響を与えないような教養ということだけに絞ったんですね。それが私はやっぱり目的が非常に不明確になってきた、それで恐らく聴講生あるいは学生という数が減ってきているんじゃないかなと、そんな感じもちょっといたしまして、これから先放送大学も一般の皆さんのニーズをやっぱり早くキャッチしてやらなきゃいけないだろうと思いますよ。ただずっとそればかりをやっているんだから、そのままですということじゃなしで、時代のニーズに合ったやり方をしていかなきゃいけない。 どちらかといったら文部省は非常にテンポが遅いですね。時代の感覚の中で一番遅いんじゃないでしょうか。それはいろんな仕事の役目柄しようがない部分はありますけれども、テンポが非常に遅いです。もう放送大学つくるときのあの勢いというのは、宮地さんももちろんそうですが、きょう審議官の井上さんも来ておられますが、非常に熱心で、何としてもこれやらなければというようなことで、大臣、すごかったんですよ。毎日日参して、何とかやりますと言って。でき上がったら、もう宮地さんそこの理事長になって行きまして、それでどうなっているんやと言ったら、まあやっていますということでしょう。 私はそうじゃなくて、もう忘れてしまったんじゃ困ると思うんですね。こういう法案を出すのは結構だけれども、もう現実にたくさんの金を投じて今ある意味では実験をやっているわけですね。だから、それは早く全国へ流して、本来の目的を達成できるようにしてもらいたいんです。そのことだけ申し上げて終わりたいと思います。
○笹野貞子君 小西委員、順番を狂わせまして先にやっていただきまして、大変ありがとうございました。 大臣に私がどこかでサボっていたんだというふうに思われるとちょっと困りますので、一言だけおくれたことを弁解いたしますと、選挙制度審議会に各政党が意見を述べに行くという、そういうことで、ちょうどきょう私の番が回って参りまして行ってまいりました。本来ならば時間がもっと早かったんですけれども、どうやら私たちの会派の言葉遣い、意見の言い方が大変ほかの政党と違ってわかりやすくおもしろかったということで、質問が非常にどんどん来まして、時間がおくれてしまいました。 私が今なぜこんな余計なことを言うかというと、言葉遣いがわかりやすくて大変おもしろかったという評価をいただいたここをきょうは述べさせていただきたいというふうに思ったからです。 というのは、私もこの生涯学習というのは大変重大ですし、考えてみますと私も随分婦人の学習のためにいろんなところを回って歩きましたし、また、今いらっしゃいませんけれども森山委員がその仕事についているときには、一緒に婦人学習でもってお仕事をしたこともあります。そういう意味で、大変この生涯学習というものに興味を持ち、これはいい法律だというふうに思っておりました。そしてでき上がった法律を見たんですけれども……。 一つ私はこれから大臣にお伺いいたしますけれども、大臣は皆さんから若いというふうに言われて、文部省はこれから一生懸命やるだろうということで大変人気があります。私も若い大臣だからこれから日本の教育の将来を担うためには、すばらしいことをやってもらうだろうというふうに思っております。しかも大臣はフランスに長いこといらっしゃっている。というのは、フランスというのは非常に美しい言葉を持ち、わかりやすい表現——このわかりやすくて美しい言葉というのは、フランスではその人の人格の一端に入れられるということを聞いております。 ところが、この法律を見ますと、私はこれを理解するのに非常に困難でして、文部省からわざわざ来ていただきまして一々聞いて、ああなるほどそういう意味ですか、あ、そういう意味ですかということで、やっと理解いたしました。こんな審議時間が短いときに、こんなわかりにくい文章で、何を言っているかさっぱりわからないのですね。 そこで大臣、文部省がつくったこの法律のこの文章は、大臣としてはこれで御満足で、わかりやすくて、きれいで、文部省としては世界に恥じない文章だというふうにお考えですか。
○国務大臣(保利耕輔君) 法律の文章というのは時として非常に難解、わかりにくいものでございます。私も実は生涯学習の振興のための法案を読んでみまして、一回読んですぱっとのみ込めるかと言われれば、私もなかなかそうはいかなかったんですが、しかし、これは何回も何回も赤線を引きながら読んでみますというと、なるほど味わい深い文章だと思いました。 そしてまた、この文章につきましては、内閣法制局におきまして一生懸命審議をしていただいて、これでいいであろうということで練りに練って出させていただいたわけでございます。 私も、これは例えば前の経験で申し上げますと、日本語を英語に直すときに、何が主語であって何を述語に持っていくかということを常に考えさせられるわけですが、ちなみにこの文章を、第一条で主語は何で述語が何であるかなというのを検討してみました。先生からも御指摘をいただきました。 読んでみますというと、これは私の解釈でございますが、この第一条の主語は「この法律は、」であると思います。そして、述語は何かというと、「生涯学習の振興に寄与することを目的とする。」、これが述語であるように思います。したがいまして、これをつなげて読みますと、この法律は、生涯学習の振興に寄与することを目的とするというふうに読めてくるわけでございます。中にいろいろとあんこみたいなものが入っておりまして、あんこと言ってはちょっと済みませんが、そのあんこの内容というのを分析してみますというと、なかなか味のある文章だと、こういうふうに読んだわけでございます。 しかし、法律というものは本来なかなかわかりにくいこともありますし、私もEC本部が書きました英文のいろいろな文章を見てみますというと、幾ら読んでもさっぱりわからないというのがやっぱりございました。これは世界的な傾向ということが言えるかもしれませんけれども、今後やはり法律をつくる場合には、のみ込みやすい文章にしていかなければならないなということは感じております。
○笹野貞子君 大臣がわかっていただけると話がスムーズにいくんですけれども、やっぱり文部省というのは、日本の文化、芸術、教育の最先端を示すわけですから、文部省がつくった法律はやっぱり美しく、わかりやすく、大変すばらしい文章だというようにならなければ、みんなが読んでもわからないような文章をつくるのが文部省だという、そこら辺からやっぱり文部省の認識が私は非常に問われていくというふうに思います。 特に生涯学習というのは、学生じゃなくて一般の社会の方、そしてこれから勉強したいというそういう方、一般の人を対象にする法律ですから、読んだらすぐだれでもわかるという、そういう文章に意欲的に取り組むという、そういう文部省こそが日本の新しい教育を担っていけるというふうに思いますが、いかがでしょうか、大臣。
○国務大臣(保利耕輔君) 日本は法治国家でございますし、おのずと法律の文章というのはそれなりに制約があろうかと思います。しかし、先生御指摘のようなわかりやすい文章にできるだけしていくということは、我々が心がけなければならないことだということは私も同感でございます。
○笹野貞子君 よく、金閣寺はだれがつくりましたかというと、大工さんなどという言葉がありますけれども、この法律はだれがつくったのですかというと、法制局というふうに答えますけれども、今度から文部省はそういう感覚をやめて、この次の法律を文部省がおつくりになるときには、わざわざ説明を聞かなくても一度でわかるような、そういう法律をぜひともつくっていただきますことをここで改めてお願いをいたしまして、もしわかりづらい法律にするのでしたら、一年ぐらい前に原稿をいただけば私たちもじっくりと見ますけれども、たったこんな短い審議の中で、こんなわかりづらい法律というのは私は非常に遺憾に感じております。この次には、どうぞ文部省がこの悪い、よらしむべしという今までの法律の悪い習慣を率先してやめていただきたいというふうに思います。 それでは次に移らしていただきます。私は途中で抜けてしまいまして他の委員さんの御質問を聞きそびれましたので、重複する箇所がありましたら大変申しわけございませんが、御勘弁いただきたいというふうに思います。 さて、この生涯学習の法律を読ませていただくと、本当に何が何だかさっぱりわからなくて、何を言いたくて、どこを守備範囲にして何をしたいのか本当にわかりづらいんですが、私が生涯学習とは何だろうということで、河合隼雄さんという、大変この方は教育に熱心な方で、その方が生涯学習とは何かということを書いたものがありますので、それを参考に読みますと、本当にすばらしいなというふうに思いました。その中で、るるあるのですけれども、きょう私はこの箇所だけピックアップしましてお尋ねをしようと思ったのですが、生涯学習というと、これはだれしも人生ずっと新しい知識、新しい技術を導入して、生きがいのある人生を送るんだ、先ほどからどなたかもそうおっしゃっていらっしゃいました。 そして、いつまでも進歩し、元気で自分の能力を磨いていくのだというふうに言うわけですが、しかし、人間の一生というのは、先ほど針生先生がちょっと死に触れられて、その後聞きそびれて本当に申しわけないのですけれども、人間というのは必ず能力が落ち、体力が落ち、そして最後は老人となって死ぬわけです。嫌ですね、本当に。 ですから、生涯学習というのは、いかにすばらしい生き方をするかという、そういう半面と同時に、だんだん学習をして積み重ねていくことによって、いかに生きるかというプロセスを経て、最後にはいかにすばらしい死に方をするかという死の学習というものをこの生涯学習の中に入れなければ、老人はだんだん体力が衰え、能力が衰え、目も見えなくなるということになって、生涯学習が能力開発、すばらしい技術ということだけでやっていくならば、今の小学生や中学生の学生の落ちこぼれという表現があるとするならば、老人の落ちこぼれという言葉が出てきてしまう時代になってくるということを書いてます。これは私はすばらしいことだと思うんです。 さて、この生涯学習の法律をつくるときに、いかに生きるかということは、わかりました、るる書いていました。しかし、いかにすばらしい死を迎える学習をするかというのは、その中に入れてお考えになっておりましたか。
○政府委員(横瀬庄次君) 生涯学習、生ある限り学習をするということでございますが、その生の最後のところというのも一つの生のあるうちの非常に大きな関心事であるわけでございます。ですから、生涯学習という学習する範囲といいますか、対象というものが、今おっしゃいました死ということも、またいかに死ぬかという内容についても含んでいるものであろうとは思います。
○笹野貞子君 含んでいるとするならば、民間活用するときに、こういう講座はどこにあるのか、もし具体的にありましたらお教えください。
○政府委員(横瀬庄次君) いろいろな講座が社会教育あるいはその他の活動を通じまして全国でたくさん行われておるわけでございますが、具体的にどういうところでどのようなことが行われておるかは私、ちょっとつまびらかにいたしませんので、具体的に挙げるということはちょっとできかねるものでございます。
○笹野貞子君 具体的に挙げれないということは、調べなかったというふうに受け取ってよろしいんですか。
○政府委員(横瀬庄次君) 全体としての調査というか、実際に全国で細かくどういう講座が行われておるかという調査は、今のところ行われておりませんので、そういうことについての把握はできてないということでございます。
○笹野貞子君 不思議に思うんですけれども、やっぱりこれだけ重大な生涯学習というものに国民全体が興味を持ち、みんなこの法律のすばらしいでき上がりを待っているときに、そういう実態調査もせずに、とにかくつくっちゃえ、後は何かやっちゃえと、こういう乱暴な発想から出ておるんですか。
○政府委員(横瀬庄次君) 細かい講座のそれぞれのコースの内容までは把握はできてないということでございまして、大体どういうような概要になって行われておるかということについては、いろいろな各種の調査がございますので、例えば生涯学習に関する世論調査なんかもそうでございますし、それから生涯学習に関する機会の調査というのもなされておりますので、そういう概要については承知をしておりますけれども、ただいまのお話のいかに死ぬかというようなことについては、ちょっと特殊な問題でもございますし、そこまでの詳細な内容は承知してない、こういうことでございます。
○笹野貞子君 特殊とおっしゃると、私はまた首をかしげたくなるのです。スイミングとかテニスなんというのは、これはある一部の中の特殊なんですね。でも、死というのはみんな死ぬんですから、特殊じゃないでしょう。特殊ですか。
○政府委員(横瀬庄次君) もちろん死というものは普遍的なものであると思いますけれども、それについて学習をするという考え方は、それはまだこの社会では特殊といいますか、それほど例があるものではないのじゃないでしょうか。
○笹野貞子君 それでは、この生涯学習というこの法律は、それを中に入れてなかったというふうにとっていいんですか。
○政府委員(横瀬庄次君) この生涯学習の基盤整備というものを考える場合に、具体的にどういう実態にあるかということまで承知をして、そしてその上で考えるという性質のものじゃないというように思いますので、およそ生涯学習というものを一応観念的にとらえて、そしてそれから考えていくわけでございますから、最初に申し上げましたように、およそその学習の対象にいかに死ぬかというようなことが入っている、含まれるということはあろうかと思いますけれども、ですからそういう意味で、生涯学習の推進を考えるときに、その対象になっていたかどうかとおっしゃられれば、それは入っていたというふうに言っていいと思いますけれども、具体的にどういう実態にあるかは承知をしていないと、こういうことでございます。
○笹野貞子君 わかりやすい日本語で言っていただけると本当にありがたいんですけれども、正直に言って何を言っているのか本当にわからないんです。入ってたというのか入ってないというのか、調べてなかったのか調べたのか。やはり大変重大なことですから、大臣のように正直にやはり答えていただかなければいけないと思います。 もしこの問題が入ってなかったとするならば、これは重大な私はこの調査のミスだというふうに思います。どこの民間企業でも、どう生きるかという、元気でお金を持ってやるところの講座は非常に多いと思いますけれども、そうじゃない講座というのは民間がやるはずがありません。ですから、そういう意味では、私は大変この法律というのは危険な部分がいっぱいあるなということを痛感をいたしております。であるならば、民間がやらなければ今度は文部省の出番なんですね。ですから、これからは無責任な御回答じゃなくて、文部省としていかにこの問題に取り組むかということをしっかり御回答願いたいと思います。そのためにも私は難しいことを言いません。やろうと思ったらすぐできる問題をこれから幾つかお聞きいたしますので、お答えいただきたいというふうに思います。 さて、いかに人間は美しい死を迎え、安心する死を迎えるかというためには、何といっても医療と看護という問題になります。ですから、そういう点ではこの生涯学習というのは、まあ医療の方は大変日本は進んで、そして量的にも質的にもすばらしいというふうに評価はいたしますが、問題は、私がこの間から一生懸命にわめき散らしております看護教育の問題にやっぱり立ち入らざるを得ません。いかに安心してすばらしい死を迎えるかというのは、まさに看護教育の出番になるわけです。ですからこの法律をつくるに当たって、先ほど社会人入学の話が出てまいりましたけれども、これから高齢化社会ですから、住民のニーズという言葉がありましたけれども、今住民のニーズが高いんです。看護教育、看護学に対して高いわけですけれども、どのような配慮、どのような措置をとっておりますか。
○政府委員(坂元弘直君) これも何回も先生にお答えして満足いただいていない感じでございますが、私どもとしましては、まず看護婦の需給見通しにつきましては、厚生省で昨年五月に看護婦の需給見通しについて発表がございました。 厚生省発表のその需給見通しの中の文章によりますと、看護婦の需要の増大、いいかえれば看護婦の不足というのは、病床数の増、複数夜勤体制の普及、労働時間の短縮、老人保健施設の整備等種々の要因によって生じたものであるというふうに述べております。そのことについては私どももそのとおりだというふうに理解をいたしております。 厚生省の看護職員需給見通しによりますと、昭和六十三年度には看護職員は全国で約六万五千人不足しているが、今後、一たん退職した方に再び復職していただくというようないろいろな施策等を講じて、そして新卒就業者については毎年少なくとも四百人程度養成力を増強するというような見通しを立てているわけでございます。 私どもとしましては、このような厚生省の需給見通しを踏まえまして、厚生省とも十分連絡をとりつつ、昭和六十年代、鋭意私どもが所管します短大等の増設に国公私立含めて努めてまいりまして、毎年大体大学、短大の看護学あるいは看護婦養成の規模としましては四百人、これはもちろん厚生省指定の看護婦養成施設を含めた数字でございますが、全体として四百人のうち文部省が所管するところは大体毎年平均しますと三百三十人ぐらい増員してきて今日まで努力してきているわけでございます。この前も御説明申し上げましたが、現在専修学校のままで大学の附属の看護婦養成学校として看護婦養成を行っているところがまだ二つ、岐阜大学と広島大学の二つございます。これらの二つの大学につきましては、逐次短期大学等に切りかえる努力をしてまいりたいというふうに考えております。 それから、既に短期大学に専修学校から切りかえた大学の中にも、その短期大学をさらに発展的に解消と申しますか、スクラップするといいますか、それを改組いたしまして、学部レベルの看護学の教育を行う、そういうことを検討している大学もございます。私どもは、今後これらの大学の検討結果をも十分まちまして、適切に対応をしてまいりたいというふうに考えております。
○笹野貞子君 局長にるる御説明いただいたんですけれども、ちょっと私内心怒っているんですね。なぜかといいますと、その今のお答えは、この法律が出る前に私がお聞きをして同じような答えをいただきました。もう時期的に、私が聞いていたときと、この法律が出た今とは違いますね。ですから、私は質問で、この法律が出て生涯学習としてどのような見通しを持っているのかということを聞いているわけですから、かみ合いませんね。 それは以前、この法律が出ようと出まいとそういうことをやるというふうにおっしゃったわけですから、この生涯学習をやったときに、私は今看護婦さんの生涯学習をしたいというそういう希望に対してどうするかということを聞いているわけですから、同じことを時間がもったいないですから、言わないでください。
○政府委員(坂元弘直君) 看護婦さんの生涯教育につきましては、私どもも従来から努めているところでございます。特に、例えば医師を含めました生涯教育の問題でございますが、医師、歯科医師を職務としている人が改めて大学に入ってくる、あるいは大学院に入ってくるというのは極めてまれじゃなかろうかと思いますが、私どもとしましては、医師、歯科医師を、既に開業している、あるいは病院に勤務しておる勤務医を含めまして研修する意味で、平成元年度から地域の医師、歯科医師を国立大学附属病院に受け入れまして、指導教官の指導のもとに、病棟回診、症例検討会へ参加していただくなどの研修を行っているところでございます。 本年度、平成二年度も続けてその事業を行っておりますが、六月一日現在で、私の記憶ですと、四百十九人を国立大学の附属病院等に研修生として受け入れているところでございます。 それから看護婦等医療技術関係の職種に従事している者には、さらに高度な知識、技術を身につける等の趣旨から、文部省といたしましても、あるいは各国立大学で個別的にそれぞれいろいろな研修を行っているところでございますし、それから一般的には厚生省でかなり看護婦さんの再教育といいますか、研修事業は展開しているところでございます。
○笹野貞子君 そんな説明では私はなかなか納得をいたしません。今需給見通しの話が出ましたけれども、平成二年度の需給見通しを見ますと、五万五千八百人新卒をして、やめる人が四万三千六百人おります。ですから非常に看護婦さんがやめるという、このやめる理由。 厚生省はいらっしゃいますでしょうか。このやめる理由の分析をちょっと教えていただけますか。
○説明員(矢野正子君) やめる理由につきましては、女性の職業である関係もありまして、結婚、育児、それから家庭内に介護する人が出たりというような事情、それからまた一部は、夜勤という仕事がありますので、その条件が合わないとか、そういうことで離職するというのが主なものでございます。
○笹野貞子君 厚生省は非常に認識不足だということがこれでわかりました。私は日本看護協会に行きまして、この数字の分析をお願いしましたところ、この分析の中に、進学をするためにやめるというのが約四・八%いるそうです。看護婦さんがもっと高度な教育を身につけたい、あるいはもっと進学したいという場合にはやめざるを得ない。だからやめて受験をし、そして落ちるとまた挑戦する、こういうことがこのやめる理由の中に相当入っているんだということを聞きました。厚生省はその理由は御存じですか。
○説明員(矢野正子君) 今お話がありました離職につきまして私が申し上げましたのは、進学というのはちょっと度外視して申し上げましたけれども、進学の数につきましては、これは保健婦、助産婦、それからもう一つ看護婦につきましては二年課程という課程がございますので、そちらの数が大体数にいたしまして二万ほどございますので、そういうので、やめるというか、看護婦、准看護婦になってからすぐ入るとか、そういうことを含めました数でございますけれども、そういう側面からも分析すればそのような数になろうかと思います。
○笹野貞子君 いずれにしても大変な数が進学するためにやめるという現実、これはきっちり押さえておかなければ話が前へ進みません。 そこで、今の看護教育の中では大変学校制度に隘路があるんですね。例えば准看護婦を卒業した人が正規の大学に入ろうと思っても入れません。ですから、今度は短大の二年コースを受けなきゃいけません。短大の二年コースを受けて、それで大学に入ろうと思ってもまた入れません。こういう矛盾をはらんだ看護教育がある一方、生涯学習として看護教育をしたいという場合には、この生涯学習の中でそれをどのように対処しますか。これは文部省にお聞きします。
○政府委員(坂元弘直君) むしろそれは生涯教育ということよりも、学校制度の問題そのものじゃないかと思います。例えば中学校を卒業して二年課程の養成所に入って、そして卒業して准看護婦の資格を得たという人がいたとしますが、その人に大学あるいは短期大学の入学資格を与えられるのかどうかというような具体的な問題で考えてみますと、現在の大学の入学資格というのは、高等学校卒業者またはこれと同等以上の学力があると認められる者に与えられることになっております。したがって、修業年限二年課程のこれらの養成学校の修了者には大学入学資格が認められてないという、そういう仕組みになっております。現実にこれらの養成学校に通いながら高等学校の定時制の課程または通信制の課程に在学する生徒が、都道府県教育委員会が指定する技能教育施設で教育を受けている場合に、一定の条件のもとに当該教育施設における学習を、その高等学校における教科の一部の履修とみなすことができるという技能連携制度がございます。 そういうことで、養成学校に通いながら定時制課程に学んでいる、そして技能連携で二分の一まで卒業に必要な単位を養成学校の単位を認定して、高等学校の単位として取得できるような仕組みがございまして、現在、准看護婦養成施設でこの技能連携制度によって技能教育施設として指定されているものが全国で百ございます。こういうような仕組みの中で高等学校の卒業資格を得ていくという道があるんではないかというふうに考えているところでございます。
○笹野貞子君 今の細かいことは、時間がありませんから、後からまた私はこれはずっと続けてやりますから、どうぞ御安心して——これで質問は終わりじゃありませんから、また聞きます。 時間がありませんから、そういう細かいことは別にいたしまして、この法律を見ると、したいときしたい人がどこでもと、こういうことなんですね。そうすると、勉強したいと思ったときには、したいという基盤整備をしなきゃいけないということなわけですから、つまり、それは制度とかそんなことよりも、この法律を看護教育というものの中に当てはめるならば、今のこの隘路になっている妙な学校のそういうのを、まず一番先に体制を整えるということの方が急務ではありませんか。大臣、いかがでしょう。
○政府委員(坂元弘直君) これは看護教育に限らず一般的に、例えばの話ですが、中学を卒業して二年課程の調理師学校に通っておったと。二年修了したけれども、やはりもう一度さらに大学でも行って勉強しなければ一流のコックになれないのかなというようなことで大学に行きたいという希望がある人も、今の学校制度の中ではそれが無理であるという仕組みになっているわけでございます。 これは看護婦さんの生涯教育のためにどうとかという問題よりも、学校制度そのものをさらにどういう形で柔軟化するのかというような問題でございまして、生涯教育のために常に教育の場を与えるといいましても、学校教育にはおのずから入学資格等があるわけでございますので、その点はやっぱり限界があるんじゃないかと思っております。
○笹野貞子君 そうすると、この法律を見ますと、本当にもうバラ色ですね。したいときしたいところでだれでもという。これは看護教育にとってはうそだったわけですか。
○政府委員(坂元弘直君) だれでもがその希望するときに勉強ができる、そういう仕組みをつくるというのは、もちろん学校教育という体系の中で、その場合にはおのずからさっき私が申し上げましたような一定の入学資格等の条件はあるわけですが、それで、その場合に社会人入学やなんかを広げていく努力をするということも私どもも従来から努めているところですが、同時に、単に学校教育だけではなくて、社会教育の分野でもいろいろとそういう人が実質的な勉強ができるような、そういう仕組みなり施設なりを用意していくということではないかと思いますが。
○笹野貞子君 では、看護教育にどういう用意がありますか。
○政府委員(坂元弘直君) 先ほど申し上げましたような、例えば技能連携ということで提携をして、養成学校に通いながら高等学校の資格を取得するとかという道、養成学校に入っていて、二年間の間の教育の成果が高等学校と同じように評価される、そういう仕組みは今用意されているわけでございます。
○笹野貞子君 今用意されているというのは、いつまでに用意が完了するんですか。
○政府委員(坂元弘直君) 私が申し上げました今用意されておるというのは、今既にそういう制度がありますということを申し上げたわけです。
○笹野貞子君 私が今言いたいのは、つまり看護教育をもう一度やり直そうというと、入れない学制の仕組みが現実にあるということが一つ。それから看護婦さんを長くやっても、やったその経歴の恩典が何もないというその教育のあり方が一つなんです。これはまたいずれ時間があるときにやりますけれども、つまり、この矛盾をなくしない限り、看護婦さんがいかに生涯学習としてもっと質の高い高度なものをと言っても、現実にできない。そうするならば、いかに豊かな死を迎えようと言っても、一体だれがどこでその講座を開き、だれがどのようにして生涯学習のニーズにこたえるかという問題になります。ですから、私は今看護教育のことをやっておりますけれども、この法律と全く無関係ではないと思います。これはもう大変な急務です。 そこでお尋ねをいたしますけれども、先ほどから十四省庁にわたる各省庁がこの生涯学習に、この法律に関係があると言っておりますが、私がこの間から看護教育については非常に矛盾している、厚生省と文部省の間で非常に矛盾があるんだと、もう口を酸っぱくして言っているわけです。それでも直らないし、直そうとしないのに、どうして十四省庁もの省庁の間で、文部大臣、みんな協力しますか。
○国務大臣(保利耕輔君) 現実には、縦割り行政というのは、まことに残念ながら現在日本の仕組みの中では生きておると思います。また、それは本来は望ましいことではございませんけれども、しかし責務分担ということをきちんとやる官庁ですから、どうしてもそういう性質を帯びてくるようになるんだろうと思います。しかしながら、やはり政治というのは国民のためにあるんだということを考えるならば、そこら辺の連携をきちんとしたものにしていくのが我々政治家の仕事である、こういうふうに思うわけでございます。 この法案におきましても、十四の省庁が関係をいたしておりますが、この法律をつくり上げていただきまして、生涯学習に関する審議会等を設けていただく場合には、そういった各方面の専門家にお集まりをいただいて、学校制度が持ついろいろな矛盾点、そういったことについても十分御論議をいただく、こういうふうに私ども考えております。
○笹野貞子君 文部省に生涯学習審議会ですか、というのが設置されるわけですけれども、私はやっぱりこういう審議会というのは、余り好きじゃないんですね。この法律を文部省が出したら、やっぱり文部大臣が責任を持って各省庁と話し合うべきで、その審議会にゆだねるというのは、文部大臣の力がないからと違いますか。
○国務大臣(保利耕輔君) ある意味ではそうかもしれません。しかし、やはりその道にたけた専門家の御意見をいろいろと伺っていくということは、また意味のないことではないと思います。そういう意味で、最終的に判断をし責任を持つのはもちろん文部省でありますが、その文部省がそうした判断を行う場合に、いろいろな方々の御意見を伺ってきちんとした判断をさせていただくという参考のためにこの審議会を設けさせていただいておるわけであります。
○笹野貞子君 参考のためにというならば、大変私はうれしいです。 やっぱり教育の問題、特にこういう生涯学習という重大な法律をつくったときには、やっぱり文部省が新しい世の中をつくるようなすばらしい知恵をおのずから切磋琢磨してやっていただかないで、何か自分たちができないからほかに責任を転嫁するかのような、そういう姿勢というのは私は余り好きではありません。大変これから新しいことをやるわけですから、若くて非常にまじめで国際性のある文部大臣は、この法律の実現に向かってしっかりと頑張っていただきたいというふうに思います。 しかし、この法律は余りにも雑過ぎまして、ほとんど具体性がない。今看護教育のことをお聞きいたしましても、何ら新しい試みもなければ、ただ古いことを繰り返しているというそういうことでは、非常に私は心もとなく思います。そういう点では、私も生涯学習には大変に大賛成をしたい。そのために、もっとわかりやすく、そしてみんながこの法律を読んだら希望で胸を膨らませるような、そういう法律にしていただきたいというふうに思います。 以上で終わります。
○委員長(柳川覺治君) 本日の質疑はこの程度といたします。 —————————————
○委員長(柳川覺治君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(柳川覺治君) 御異議ないと認めます。 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(柳川覺治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(柳川覺治君) 次に、学校教育法の一部を改正する法律案を議題とし、発議者山本正和君から趣旨説明を聴取いたします。山本君。
○山本正和君 ただいま議題となりました学校教育法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 学校には、校長、教頭、教諭、養護教諭、学校事務職員のほか、学校栄養職員、司書、給食調理員、用務員、警備員など各種の職員が配置されており、これらの職員が一体となって活動しなければ、学校教育の目的を十分に達成することはできません。これらの職種のうち、特に養護教諭及び学校事務職員につきましては、その職務の重要性にかんがみ、小中学校及び盲・聾・養護学校には原則として置かなければならないことを学校教育法に定めているのであります。 学校教育法が制定された当時の事情によって、未設置の根拠となる経過規定や例外規定が付されたのでありますが、同法制定から四十年余が経過した今日においてもなお、これらの規定が削除されないため、養護教諭及び学校事務職員の全校配置は実現されていないのであります。すなわち、平成元年度における公立小中学校の平均配置率を見ますと、養護教諭が九一・三%、定数上八五・五%、学校事務職員が九二・九%、定数上九〇・一%となっております。 また、昭和五十五年度から発足いたしました第五次学級編制及び教職員定数改善十二年計画は、平成二年度で十一年を経過しようとしておりますが、この間の養護教諭の措置教は、全体計画の五千百二十二名に対し、二千八百三十名、進捗率五五・三%という配置にとどまっています。さらに、学校事務職員の場合は全体計画の六千三百九十二名に対し、二千五百五十四名、進捗率四〇・〇%という配置状況になっております。 そこで、養護教諭と学校事務職員の職務の重要性と全校配置の必要性につきまして御説明申し上げます。 まず第一に、養護教諭について申し上げます。 御承知のように、養護教諭は児童生徒の保健、安全に関する管理と指導という極めて重要な職務を行っております。特に近年、社会、経済等の急激な変化に伴う生活環境の悪化と入試準備教育の過熱を背景として、心臓、腎臓疾患を初めとして、情緒障害の増加、さらには骨折の多発など子供の健康、体力について極めて憂うべき状況が生じており、養護教諭の役割の重要性が一段と高まっているのであります。その結果、父母や学校関係者から子供の生命と健康を守るために養護教諭の必置を求める声がますます強まっております。この要請にこたえるため、各都道府県は、標準定数法の定める定員を上回って養護教諭を配置せざるを得ないばかりか、相当数の養護教諭が複数校の勤務を強いられる事態を生じ、子供の健康管理を十分に行えないだけでなく、養護教諭自身の過労など人権にかかわる問題まで生ずるに至っております。また、近年、健康診断の機能的検査を初め、保健室を訪れる子供たちの精神的な相談相手としての勤務に加えて、学校事故の多発が、その事務処理等養護教諭の職務の過重を招来していることも見逃せないところであります。 次に留意すべき問題は、学校教育法第二十八条第十二項で、特別の事情のあるときは、養護教諭にかえて養護助教諭を置くことができる旨の規定が置かれていることであります。子供の生命と健康に直接にかかわる職種であることから、専門職としての資格を持った養護教諭を早急に配置することが急務であると考えられるのであります。ちなみに、平成元年度における養護教諭の採用者千百九十七人に対して、資格を持った受験者は七千四百一人であり、また昭和六十三年度に資格を取得した者は四千三百十九人に及んでおり、養護教諭の必置について養成面からの問題は解消しております。 次に、高等学校及び高等部のみを置く盲・聾・養護学校の養護教諭については、学校教育法上任意設置の建前となっておりますが、すべての高等学校等に養護教諭を配置する必要性のあることは、小中学校と同様であります。また、このことは、高等学校における養護教諭が全日制の課程と定時制の課程の兼務を余儀なくされて、労働過重になっている事態を解決するためにも必要な措置であります。 第二に、学校事務職員について申し上げます。 学校事務職員の職務には、まず文書、統計、給与、福利厚生、学校予算執行事務などがあり、また直接子供にかかわる事務としては、教材教具、施設設備、就学奨励及び転出入などに関する事務、さらには地域の父母にかかわるPTAの諸活動への援助など、極めて多方面にわたっております。 さらに、これらの複雑多岐にわたる学校事務を適正に行うためには、学校教育の理念、教育内容、教育行政の仕組み及び子供の学習環境に関する知識を習得する必要があるなど、一般行政事務とは別の意味での専門性が要請されており、学校事務職員は教員の教育活動と相まって学校運営を有機的、一体的に進めるために極めて重要な役割を果たしているのであります。特に、近年における学校教育の役割の増大等による学校運営の複雑困難化に伴って、学校事務職員には速やかな校内、地域及び教育行政機関との連絡調整機能が要求され、その職務は複雑かつ高度化が一層進みつつあります。さらにまた、学校事務職員も、日々子供たちと親しく接する存在でありますから、子供への深い愛情の持ち主であることが教員と同様に必要であることも見逃せないところであります。 その上、修学旅行、遠足、キャンプ等の付き添いはもとより、今日の教育の現状及び子供の要求もあり、部活動、クラブ活動、生活指導等を担当せざるを得ない実態がふえています。 次に、学校事務職員の置かれていない学校は主として小規模校でありますが、学校事務すなわち学校運営に必要な業務の種類は学校規模と関係なく同様であります。したがって、小規模校においては、少数の教員が多くの校務を分掌せざるを得ない上に学校事務を分担しているのであります。そのため、教育活動や学校事務の処理に支障を生ずるなど学校教育の正常な運営が阻害されているのが実情であります。 なお、各都道府県が標準定数法の定める定員を上回って学校事務職員を配置していることにも、その必要性があらわれております。 以上述べました理由から、養護教諭及び学校事務職員の全校必置を速やかに実現しなければならないものと考え、本改正案を提出した次第であります。 なお、政府が昭和六十年度以降予算編成に当たって、学校事務職員等の給与費を国庫負担の対象から除外しようといたしましたことは極めて遺憾であります。義務教育費国庫負担制度は義務教育無償の原則に基づく国と地方を通ずる行財政制度の基本であり、国は常にその拡充に努力し、国民の期待にこたえる責務があります。今後ともこの制度の後退は絶対に許されないものであることを強く主張しておきたいと思います。 最後に、養護教諭の必置制を実現するためには、養成機関の内容の充実、養護教諭の地位、処遇の改善等が極めて重要であることを付言しておきたいと存じます。 次に、改正案の内容について申し上げます。 第一は、高等学校及び高等部のみを置く盲・聾・養護学校に置かなければならない職員として養護教諭を加えることとしております。 第二に、小・中・高等学校及び高等部のみを置く盲・聾・養護学校に養護教諭を置かないことができる期間を平成四年三月三十一日までの間としております。 第三に、平成四年四月一日以降、養護教諭にかえて養護助教諭を置くことはできないこととしております。 第四に、義務教育諸学校に学校事務職員を置かないことができる期間を平成四年三月三十一日までの間としております。 以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。 何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。 —————————————
○委員長(柳川覺治君) 次に、学校教育法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案を議題とし、発議者小林正君から趣旨説明を聴取いたします。小林君。
○小林正君 ただいま議題となりました学校教育法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案について、その提案の理由と内容の概要を御説明申し上げます。 本法律案は、盲学校、聾学校及び養護学校の寄宿舎における寮母の教育上の役割の重要性にかんがみ、その専門性を確立し、もって障害児教育の一層の充実を図ろうとするものであります。 平成元年度において、全国の盲・聾・養護学校九百三十八校中三百十四校に寄宿舎が設置され、一万二千七百九十五名の子供たちがそこで生活しております。そして、四千七百三十七名の寮母がこれらの子供たちの生活指導を初めとした教育に当たっているのであります。 障害児教育においては、教科等に関する指導のほかに、基礎的な生活習慣と社会的自立の基礎を育成するための生活指導が極めて重要であります。また、これが教科指導を支える基礎でもあります。この生活指導が成果を上げるためには、在校時における教職員の指導だけでは不十分であり、寄宿舎または家庭において、これらの教職員と十分な連携と協力のもとに一貫した教育が行われる必要があります。特に、寄宿舎においては、子供たちの生活全面にわたる指導に当たる寮母が、子供の特徴はもちろん、その背景となる家庭環境等についても把握するとともに、教職員から子供の成長発達の過程や具体的な指導の方針について密接な連絡を受けて、子供の指導に当たることが必要であります。また、寮母が寄宿舎における生活指導の中で感じた問題、意見等が積極的に教職員に提供され、学校生活に生かされることが重要であります。このように、教職員と寮母が協力して子供の教育に当たって初めて子供の全面的な成長発達が期待されるのであります。なお、こうした経験、知識が教職員や寮母から障害児の父母に提供され、家庭における指導に役立てられることもまた極めて重要であります。 このように、寮母は、単に子供の生活の世話に従事するものではなく、子供の成長発達に直接かかわる極めて重要な役割を果たしているため、教育専門職として位置づけられるべきものであります。また、寮母がこうした職務を十分に果たすためには、障害児教育及び教職に関する専門的知識と識見を持っていることが必要であることは当然であります。 しかしながら、現状は障害児教育における寄宿舎及び寮母の重要性が十分に認識されるに至っておりません。すなわち、現行の学校教育法においても、寮母の職務について「寄宿舎における児童、生徒又は幼児の養育に従事する」こととされており、寄宿舎における寮母の教育上の役割を十分に反映した定めとはなっておりません。また、寮母の名称も必ずしも適切でないばかりでなく、近年における男性の寮母がふえつつある現状から見ても実態に合わなくなっております。さらに、その重要な教育上の役割にもかかわらず、寮母については教育職員免許法に基づく免許制度がなく、教育上の職務にふさわしい専門性が確立されるに至っておりません。 このような現状を改善するためには、寮母の制度を教育専門職にふさわしい寄宿舎教諭の制度に改めるとともに、その資質の保持と向上を図るために教育職員免許法による免許制度を新たに設けることが必要であると考えるものであります。 次に、本法律案の内容について申し上げます。 第一に、寄宿舎を設ける盲・聾・養護学校に置く寮母の制度を寄宿舎教諭の制度に改めるとともに、その職務について寄宿舎における児童、生徒または幼児の教育をつかさどることとしております。 なお、寄宿舎教諭がつかさどる教育には、これに必要な世話を含むこととしております。 第二に、特別の事情があるときは、寄宿舎教諭にかえて寄宿舎助教諭を置くことができることとしております。 第三に、普通免許状に寄宿舎教諭の免許状を、臨時免許状に寄宿舎助教諭の免許状を新設することとしております。 寄宿舎教諭の普通免許状は、専修免許状、一種免許状及び二種免許状の三種類とし、それぞれ大学院修士課程修了程度、大学卒業程度及び短期大学卒業程度を基礎資格とし、特殊教育及び教職に関する専門教育科目につき所定の単位を修得した者に授与することとしております。また、盲学校、聾学校または養護学校の教諭の普通免許状を有する者にも授与することとしております。 なお、教育職員検定によって寄宿舎教諭免許状を授与する場合についても、所要の規定を設けております。 第四に、この法律は公布の日から施行することとしておりますが、現に寮母である者は、寄宿舎助教諭となり、十五年の間、引き続きその職務を行うことができることとするとともに、当分の間、特別の事情がない場合においても、この寄宿舎助教諭をもって寄宿舎教諭にかえることができることとしております。 また、これらの寄宿舎助教諭に対して、教育職員検定により寄宿舎教諭の普通免許状を授与する場合における特例措置についても定めております。 その他関係法律に所要の規定の整備を行っております。 以上が本法律案の提案の理由と内容の概要であります。 何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。 —————————————
○委員長(柳川覺治君) 次に、女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、発議者森暢子君から趣旨説明を聴取いたします。森君。
○森暢子君 ただいま議題となりました女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 学校教育がその目的を達成するためには、児童生徒の教科・生活指導のほか、財務・会計、学習・生活環境の整備、子供の健康・安全と福祉などにかかわる活動が一体として機能しなければなりません。そのため学校には、いろいろな職種の教職員が配置され、その協同による有機的な運営が期待されているのであります。 しかし、児童生徒の教育に直接従事する教育職員以外の職員の重要性・必要性については、必ずしも十分に認識されるに至っていないのが現状であります。特に学校教育法上、必要なときに置くことができる職員として規定されている技術職員はもとより、その職名及び職務内容が明定されるに至っていないその他の職員、すなわち学校給食調理員、用務員、警備員、学校図書館司書、養護職員等の職務内容の確立と地位・待遇の保障が極めて不十分と言わなければなりません。申すまでもなくこれらの職員は、日々子供たちと親しく接しながら、教材の維持・管理、学校給食の実施、環境の整備・保全、学校図書館の運営、学校保健の活動など、学校における児童生徒の学習・生活に密接にかかわる重要な職務に従事しております。したがって、子供たちに与える教育的影響も大きなものがあります。ちなみに、これらの職員は、平成元年度において国公私立の小中高等学校、盲・聾・養護学校、幼稚園等に約十三万四千人配置されており、そのうち約八万五千人が女子職員であります。 しかるに、昭和三十年に本法が制定されて以来、昭和三十九年には実習助手を、昭和五十三年には学校事務職員及び学校栄養職員をそれぞれ法の適用対象に加える改正が行われ、今日では前述の職員のみが産休代替教職員制度の適用対象外に置かれているのであります。 この結果、これら職種の職員は、多くの場合、各学校に一名程度しか配置されていない実態から、産前産後の休暇を十分にとることができず、無理な勤務を行わざるを得ない状況に追い込まれているのであります。また、これら職員が産休で休みますと、他の教職員へのしわ寄せ、学校給食内容の低下、教育環境の整備・保全がおろそかになるなど、学校運営上もさまざまな障害を生じているところであります。さらに、同一職場におけるこのような不均衡・不平等な取り扱いは学校の一体的運営を阻害するばかりでなく、人材の確保、積極的な職務態度の維持等の障害ともなりかねないところであります。 したがって、このような不合理な実情を改め、かつ、母体及び乳児の保護と正常な学校運営を確保するため、これらの職員を本法の適用の対象に加える改正案を提出した次第であります。 次に改正案の内容としましては、女子教職員の出産に際しての補助教職員の臨時的任用制度の適用範囲を拡大するため、小・中・高等学校、盲・聾・養護学校、幼稚園等に常時勤務する女子教職員のうち、政令で定める職員を加え、これらの学校等で働くすべての女子教職員を適用の対象とすることを目指そうとするものであります。 なお、この法律の実施につきましては、その準備期間の必要性を考慮して、公布の日から起算して三月を経過した日から施行することにしております。 以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。 何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。
○委員長(柳川覺治君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時十七分散会