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118回国会参議院1990/06/12

文教委員会 第5号

発言数
242
登壇者
15
会派数
6
開催日
1990/06/12

会議録

柳川覺治自由民主党

○委員長(柳川覺治君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 国立学校設置法の一部を改正する法律案は、三つに大体分かれていると思います。  まず最初に、北陸先端科学技術大学院大学の問題について伺います。  この大学をつくるに当たって、非常に地元の期待というものは大きいと思うわけでありますが、五月二十日の日経新聞に石川県企画開発部次長の村隆夫さんという方がレポートを寄せておられます。  その中で、石川県としては科学技術の振興の重要性を非常に県民にアピールをしなければならないという立場で、まず北陸先端科学技術大学院大学を誘致をする。二番目に、それだけでは足りないので、既にもうこういう手はずをしているということで、国家レベルの先端科学技術との交流ということで、石川県つくば科学技術情報センター、こういうものをつくばにもうつくっているわけであります。また、それだけではまだ足りない、海外にも出ていかなければならないということで、国際的な科学技術交流を目標として、アメリカのノースウエスタン大学に石川ハイテクサテライトセンターを設置をして、もうこれも動き始めていると。  基盤整備もこれは重大だ、環境整備も非常に大きな影響を与えるから、これもまたしっかりしなければならない。こういう観点に立って今地元で頑張っているんだけれども、地元負担が非常に大きいと。そしてまた、環境整備をするために民間の研究所を誘致をしなければならないということで、県の条例をつくったと。大体最高十億円、投資額の二割を限度とする、このような条例をつくって期待をしているということがあるわけです。  私は、この石川県の並み並みならぬ熱意に敬意を表するのでございますけれども、この大学の目的を達成するためには、やっぱり研究組織、施設設備、これを整備することが非常に重要だと思うのでありますし、また、教育は人であります。人材を確保するには、どうしても全国的な力でもって集めていかなければならないと思うんですが、提案を見ますと、入学定員は平成四年で情報科学研究科百二十五人、平成五年になりますと材料科学研究科百二十五人のハイレベルの学生を受け入れるわけでありますから、これを教育をする人たちを集めるということは容易なことではないと思うわけであります。  文部省としてはこのような実態に対して、どういう対応をされようとしておりますでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) この大学院の教育研究の内容を考慮しまして、各分野について総合的、体系的な教育研究が組織的に行えるよう、研究科ごとに基幹講座十七講座、客員講座三講座の計二十講座で教員組織を編制することといたしております。  なお、附属の教育研究施設を三つばかりつくるという構想も持っておりますが、この附属の教育研究施設にも所要の教員を配置するというふうにしているわけでございます。  これらの講座等を担当する教員につきましては、流動性と多様性を確保するという観点から、国公私立大学はもとより、民間の第一線の研究者を採用するということなど、広く各界からすぐれた教員を登用したいという構想でございます。その際に、各大学や民間研究所等との有機的な連携、協力を図るための客員講座の活用、それから若手研究者の積極的登用、一定の年限を設けて異動するなど、既設大学の教員との人事交流の運用上のルールを確立することにも十分配慮したいというふうにしているところでございます。  なお、個々の教員の採用につきましては、大学が設置された後に大学の自主的な判断に基づいて選考されるものでございますが、先生御指摘のとおり、かなり優秀な教員を確保しなければならない事情にあるわけでございます。そういうこともございまして、創設準備委員のメンバーにも、先端科学技術分野に係る教育研究実績の高い関係大学、東京工大、東大、東北大学、筑波大学、あるいは大阪大学、北海道大学、金沢大学等の関係者にも創設準備委員のメンバーにもなっていただいておりまして、これらの大学等の協力も得ながら各界から教員を確保したい、そういうように大学として考えているところでございます。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 石川県ではそのことについてどういうことを考えているかといいますと、とにかく人材が大事だということで一生懸命に頑張って、地縁、血縁を利用して人を集めている、石川県出身というようなことで協力を得ているが、ぜひ広く人材の交流が可能な制度、そういうシステムというものを国でやってもらいたいと。今の局長の説明で大体わかりましたけれども、考えているということと現実にできるということは全然別のことだというふうに思いますので、本当に力を入れてやっていただかなければならないのではないか、そうしなければ地元の期待も裏切られるのではないか、こういうふうに思うわけであります。  また、地方のハンディとして、とにかく筑波研究学園都市へは乗りかえ時間を含めて六時間かかると。これはもう大変な時間的なロスでありますね。こういう面についても、やっぱりアクセスの手段の整備をやっていただかなければならないというようなことも希望しているということは文部省の耳に入っておりますでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 筑波研究学園都市とのアクセスの問題につきましては、まことに恐縮でございますが、私どもちょっと耳にしておりません。ただ幸いに、辰口という本大学院を設置する場所が小松飛行場とも近い、それから金沢市とは車で三十分ぐらいのところで、道路の状況は非常にいいということで、小松飛行場及び金沢市からのアクセスは非常に恵まれておるというふうに私ども理解いたしております。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 私、新潟出身ですけれども、新潟の長岡に技術科学大学がありますね。東京からおいでいただくには、あそこは一時間半で新幹線で来るわけですね。確かに飛行機だったらぱっと行ったり来たり大丈夫だという説明もございますけれども、しかし飛行機というのはまた相当お金もかかりますし、飛行機が出るまでにまた時間もかかるんですね。そういうことも含めまして、文部省は教育のことだけ考えていればいいということではなしに、その辺のところも、また旅費の問題なども含めて、十分な御配慮をいただきたいということを地元が言っているわけでありますから、念頭に入れていただきたいと思います。  さて、この新しい大学院大学、いろいろ問題がありますけれども、東大の先端技術研究センター教授の大須賀節雄さんという方が、やっぱり新聞紙上に論文を発表しておられます。科学技術の研究を健全に発展させる上で大学の役割は極めて大きいと考えるけれども、日本の大学は弱体化をしているのではないか、研究の主力が企業に移ろうとしているのではないか、学生の側からは大学院離れが進行しているのではないか、こういうことを言っていらっしゃるわけであります。前々から叫ばれてきていることでもございますけれども、この点について、日本の大学の現状を文部省はどのように見ておられますか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 大須賀君というのは私、高等学校のときからの友達で、直接私も大須賀教授からそういう苦情を言われたことがございます。  確かに最近の、特に国立の大学院における施設設備が必ずしも十分ではないというようなこともございます。同時に、民間企業が単に応用研究だけではなくて、基礎研究から開発していかなければなかなか独創的な技術が開発できないということで、基礎研究に重点を置いてきておるということも事実でございます。  それからさらに、大学の教官とそれから民間企業体との給料の差というのもこれまた歴然とございまして、そういうことで、比較的優秀な人たちが大学院に残らず、あるいは大学院の博士課程に進まないで民間企業体に行っておるという傾向があることは事実でございまして、大学関係者は、このままで推移すると国立大学は二十年ぐらいたつと人材の空洞化が起きるんじゃないかというようなことを、よく大須賀教授などから聞かされているわけでございます。  御承知のとおり伝統的に我が国の戦後の大学院は、学部の上に大学院ができておるということもございまして、かつ大学院のスケールと申しますか規模が比較的小さい、大学院の学生の規模が小さいということもありまして、教官それから施設設備も学部と共用というようなことが多いわけでございます。そういう観点から、大学院をつくった場合に、専任の教官あるいは専属の施設設備というものを整備していかなければいけないだろうというような観点で、現在その大学院の整備充実方策について大学審議会に御検討いただいている最中でございます。  それと同時に、大学院に進学した優秀な人材が安心して大学院で学業に励めるという仕組みもつくらなければいけないだろうということで、単に育英資金の充実だけではなくて、例えばティーチング・アシスタント・システムと申しますか、教授の手助けをして学部学生を教える、あるいはリサーチ・アソシエート、研究助手として教授の手足となって働く、そのかわり応分のペイをするというような、そういう制度も取り込んでこなければいけないだろうというふうに考えておりますし、さらに昭和六十二年からスタートさせました日本学術振興会の特別研究員制度についても充実していかなければいけないだろうというふうに考えております。  この辺の問題点につきましては、現在日本学術会議及び先ほど申し上げました大学審議会でも御検討いただいている最中でございまして、その検討結果を待って、若い優秀な人材が我が国の大学院に進んでもらえる方策を適切に立ててまいりたいというふうに考えているところでございます。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 随分そのことが言われて長くたっていて、そして審議が随分長いことかかっていて、まだそれに歯どめがかかっていないところがやっぱり問題なんだろうというふうに思っているわけであります。  例えば、名古屋大学の月尾教授がやっぱり新聞に論文を発表していらっしゃるわけですが、これを見まして、これは大変なことだなと思うんですけれども、一九八六年の世界の大学の評価をしたグアマン・リポート、これの中にある東大の評価は百五十位以内に入らない、百五十位よりも外れているという評価がなされている。また、イギリスの科学雑誌であります有名なネイチャーというのがありますけれども、そこには、東大も京大も、欧米の著名な大学と比較をすれば、世界水準で高度に評価される、いわゆる卓越した研究拠点たり得ないと、こう断定をしているということが載っておりました。  また、中曽根首相当時に提案をされて、科学者のオリンピックと言われるあのヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム。欧州共同体委員会が組織した科学者グループがこのプロジェクトに参加をするのに当たって、こういうことを言っているわけですね。「日本の大学は、基礎研究分野で卓越していないし、プログラムを維持するのに必要な科学者数も不足している」、こう断定しているというのであります。  せっかく日本が提唱して集まっていただく方々にこのような批判をされているということは、大変なことだというふうに考えているわけですが、科学技術庁の出しました科学技術白書を見ますと、そんなことはない、日本の科学技術は非常にすぐれているんだと、こういうことを言っているわけでありますけれども、文部省としては、今局長の御説明されましたいろいろなことを具体的に、例えば予算の上でこうなったとか、組織の上でこうしたとかというようなことが今度の九〇年度の予算編成の中で見られますでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 例えば、一般的な研究費で申し上げますと、教官当たり校費あるいは教官旅費等につきましては、ここ八年間ばかり単価を抑えられておりましたが、平成二年度の予算におきましては、その単価を若干ではありますが引き上げたところでございます。  それから科学研究費、科研費につきましても、苦しい財政状況ではありますけれども、毎年これを引き上げてきておりますし、平成二年度におきましても引き上げを図ったところでございます。  それから、大学院最先端設備費というすぐれた研究を行っておる大学院に最先端設備を整備する予算につきましても、前年度より若干ではありますがふやしまして、二十八億円計上しているところでございます。  それから、その他大変財政状況が苦しいのでありますが、先端科学技術関係の例えば学科の増設あるいは学科の改組等を国立大学全般にわたって行ってきておりますし、それから、私学に対しましても大型の大学院最先端設備の補助金も充実してきているわけでございます。  総合的に、非常にわずかではありますが、私ども少しずつ前進をしてきているつもりでございますが、何せ財政状況が大変厳しいということもございまして、その前進の仕方がほんのわずかだということは、まことに残念に思っているところでございます。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 文部大臣にお伺いをいたします。  まあ文部省予算もシーリングをかけられまして、なかなか——局長が本当に恐縮しながら財政事情も厳しい厳しいなんて言いながら説明をしているわけでありますけれども、本当に科学技術を振興させていかなければならないという国民的コンセンサスはあると思うんですよね。しかし、そのあり方については、やっぱりいろいろ問題があると思います。  例えば、すばらしい科学技術とみんなが認めたとしても、その成果のところはよろしいんですけれども、後始末がちゃんとできていないではないか。原子力発電所にしましても、捨てる場所についての科学技術というのは一体どうなっているのか。そういうところに本当に目が行っているのかどうなのか。フロンの問題にしてもそうです。地球環境を侵すようなことについて、科学者は一体どのようなことをやっているのかというような批判もいろいろあるわけでありまして、私はそのようなことも含めながら、科学技術に対する文部大臣のお考えも伺いたいと思うわけです。  もう一つ、経団連の調査、これは平成元年の六月なんですけれども、「理科系学生の資質に対する企業の評価」——企業の評価ですから、そのままことにそのとおりということにはならないと思いますけれども、日本の理科系学生は勤勉さでは、十分高い、ほぼ満足しているというのが八三%、協調性は八〇%なんです。そして、国際感覚はどうかといえば五三%。専門知識はどうかといったら四九・七%しか評価をしていない。だから、まじめだ、非常に協調性があるということはいいんですけれども、国際感覚はまあ平均的よりはちょっといいかな、専門知識になったら半分以下になっている。こんな評価では、私は学校を卒業したという意味がないのではないかというふうに思います。  そしてまた主体性はどうかといえば、二五・八%が十分高いと言っておりますが、やや不十分、かなり不十分というのが七四%です。非常に主体性がない。それから説得力、これは勉強が十分でないというようなことも含まれるのかもしれませんが、二八・五%が十分だと、しかし七一%の企業が、やや不十分あるいはかなり不十分だと、こう評価をしているわけです。創造性に至っては、いいというのが三一・二%、不十分だというのが六八%。チャレンジ精神は、三二%がほぼ満足だ、かなり不十分だというのが六七%で、学生に対する評価というのは非常に厳しいと思うんです。だから、学生自体の学ぼうとする意欲、学んできた大学における勉強の仕方について、大学教育のあり方が問われているのではないかと思うわけであります。  文部大臣は、そのようないろいろな評価なども含めて科学技術に対する教育についてどのような考え方をお持ちか、コメントをお伺いしたいと思います。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○国務大臣(保利耕輔君) 科学技術につきましては、これは日本が将来とも高めていかなければならない重要なテーマだと私も考えております。  たまたま昨日、学士院賞の授賞式がございました。恩賜賞をおとりになった方もお一人いらっしゃるわけですが、十四名の方々にお会いをいたしましていろんなお話を伺わせていただきました。その中で感じましたことは、私たちがもう全然知らないようなことを大変こつこつと勉強しておられる。そしてそれが、場合によっては人類を救うであろうと思われるような貴重な研究をしておられるというお話を直接聞かせていただきました。そういったことが日本でも行われているわけでございますが、先生御指摘のようにまだ層が薄いのかな、もっとこれの幅を広げていく、もっと厚くしていくということがやっぱり必要なんじゃないかということは、きのうの賞をおとりになった方方との懇談でも私は感じたわけでございます。  ちょっと時間が長くなりますけれども、一例を申し上げますならば、アフリカでありますとか中南米におきまして、いわゆるオンコセルカ病という風土病があります。これは一種の小さい虫が入ることによって目が見えなくなってしまうという病気でございますが、これに対する処置を考えられた研究がございました。こういったものを見ておりましても、大変価値の高い研究だなと、こう思ったわけでございます。  そこで、科学技術に関する大学での教育が少々足りていないのではないか、あるいは不十分ではないか、企業の方々がそういうふうにお感じになっていらっしゃるとすれば、まことに残念ではございますが、一面の現実としてとらえていかなきゃならないのかなと思います。したがって、今後とも大学の中で、より一層すぐに役立つような立派な学生を教育していくことが必要だと思いますが、現在の企業の中での科学技術というものはかなり進歩しておりますものですから、したがって、四年間の学校生活だけではとてもそのレベルに到達をしない、やはり企業に入ってからのいろいろな研究、勉強というものがどうしても必要だというような感じを私自身持っております。  私も機械技術の関係の会社に二十年以上勤めておりましたものですから、そうしたところでの技術者のあり方というようなものもよくこの目で見ておりまして、先生御指摘のようなところがやはり多少あるかなと思いますけれども、企業に入ってからの技術者としての勉強を、私は皆さん科学者としてそれぞれしっかりやっておられると思います。そういった素地をきちんと大学の中でつくっていかなければならないと思いますし、またそうした大学の中のいろいろな勉強を高度化し、さらに活性化していくために、今大学審議会の中でいろいろ御議論をいただいておるわけであります。  大学設置基準の大綱化でありますとか、あるいは自己評価システム確立とか、あるいは大学院の整備充実とかいうようなことを今御論議いただいております。こういう御論議を踏まえまして、私ども先々の大学教育のあり方をしっかり考えていきたいと思っております。科学技術の振興については十分に努力をしてまいりたいと思います。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 それでは、二つ目の柱でもあります東京工業大学について質問をいたします。  法律の内容そのものには賛成でございます。学部を一つふやすというのでありますし、編制がえをするわけでありますから、それには賛成なんですが、この東京工業大学のスーパーコンピューター調達の問題に関連をいたしまして一つお伺いいたします。  国立大学あるいは研究機関におけるこのスーパーコンピューターの調達の原則というのは、一体どういうふうになっておりますでしょうか。

川村恒明文部省学術国際局長

○政府委員(川村恒明君) スーパーコンピューターの調達の問題でございますけれども、スーパーコンピューターというのは、御承知のとおりに、非常に大量、高速に大規模な計算を処理するという特色を持った装置でございます。したがいまして、例えば数値計算でございますとかシミュレーションなんかで非常に大規模な計算を大量に処理する必要がある研究、そういった研究を処理するという目的で導入をするということでございます。  スーパーコンピューターというのは、御承知のとおり大変高額な機器でもございますから、私どもはそういう場合にでも、特定の大学だけで使うんではなくて、できるだけ共同で使うようにしてもらいたいということでございます。したがいまして、現在国立大学関係で十六台ほどスーパーコンピューターが入っておりますけれども、主として大型計算機センター、これは全国共同利用の施設でございまして、特定の大学につけておりますけれども全国の研究者が共同して使えるようにする、そういった大型計算機センターといったようなところにこれを置いていくということでございます。ただ、大学によって、特定の大学で非常にそういった計算量の多い大学あるいはそういう研究所、共同利用機関がございますから、そういったところには、それぞれの大学なり共同利用機関の特性に応じてスーパーコンピューターを配置するということでございます。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 調達までの大体の日程というようなものも私は持っておりますが、今そのことに触れません。とにかく、スーパーコンピューターが大学あるいは国立の研究機関などに入れられるとき、アカデミックディスカウントといって大変な割引きをするわけですね。ひどいのになると八〇%ぐらい割引きをして納入させられるというようなことが業界の新聞などに出ておりますけれども、このことがまた日米摩擦を呼んでいるわけですね。このスーパーコンピューターは、アメリカにとっては三〇一条のターゲットになっている。その辺のところを文部省としてはどう考えて、どのように対処をしようとしておられますか。

國分正明文部大臣官房長

○政府委員(國分正明君) 御指摘のように、国立大学に限らず特に公的機関におきますスーパーコンピューターの調達価格につきましては、メーカー間で激しい競争があるわけでございますが、そのほかいろいろな要因が重なりました結果、御指摘のように相当程度の値引きがなされているという実態があるわけでございます。これらの点について先般アメリカからいろいろな注文もついたという経緯があるわけでございますが、私どもといたしましても、やはり一般常識に照らして過度の値引きが行われるということは決して望ましいことではないわけでございまして、その是正を図る必要があるというふうに考えたわけでございます。  先般来の日米スーパーコンピューター専門家会合での合意も踏まえまして、スーパーコンピューター導入手続を全面改定いたしまして、市場における価格調査に当たりましては、できるだけ民間分野における類似の使用形態にあるシステムの取引実例価格を調査する、あるいはまたそれを予算要求や予定価格の基礎とするということにいたしておりまして、これによりましてより適正な契約を今後やってまいりたいというふうに考えております。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 一般常識に外れるような入札購入実態があったということを逆に言うと私は認められたのではないか、だからこういうふうにしなさいという指導がなされているのではないかというふうに思っているわけでありますけれども、一九八八年に東工大がCDCスーパーコンピューターを購入いたしましたね。これの購入経緯をお話しいただけませんか。

川村恒明文部省学術国際局長

○政府委員(川村恒明君) 御指摘がございましたように、昭和六十二年度の補正予算の際に東京工業大学にスーパーコンピューターを導入したわけでございます。  東京工業大学はその大学の性格上、理工学関係の分野での最先端の研究を実施している大学でございます。したがいまして、例えば最近では地球物理でございますとか流体力学でございますとか、そういったところで非常に大型の研究プロジェクトがふえてまいりまして、そういったものを進めるためには、どうしても先ほど申しましたような数値計算でございますとかシミュレーションなどの非常に大規模の計算を大量高速に処理をしなければならないということで、かねてから東工大ではそういうことの処理ができるスーパーコンピューターを導入したいという御要望が非常に強かったわけでございます。  そういうことが昭和六十年代にございましたが、昭和六十二年度に補正予算のことが起こりまして、当時緊急経済対策ということで補正予算を組もう。我が国としては内需を中心とした景気の積極的な拡大を図るとともに、対外不均衡の是正でございますとか調和のある対外経済関係の形成に努めるといったようなことで、例えば輸入の拡大で外国製品の導入を行う等の一連の緊急経済対策が講じられたわけでございます。  まあそういうことに際会をいたしまして、東工大ではかねてからそういう大型のスーパーコンピューターを導入したいという御希望がございましたので、そういう希望を勘案して御指摘のございましたような大型のコンピューターを導入した、こういうことでございます。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 今の説明は少し何か大事な部分が抜けているんじゃないですか。例えば、東工大がスーパーコンピューターが欲しかった、それは当然の話だと思いますよね。そしてどのようにしてそれを自分の学校で購入する、あるいはレンタルするかということの対策を練っているというのは当然の話でありますけれども、これは日米摩擦の問題に絡まりまして政治的に導入が決着をしたと、こういう事実があるのではないですか。それで、日本の企業はその入札に参加することがもうできなかったというものではないのですか。

川村恒明文部省学術国際局長

○政府委員(川村恒明君) ただいま御説明申し上げましたように、この六十二年度の補正予算というものが、緊急経済対策という観点から講ぜられたわけでございます。その緊急経済対策は、先ほど申しましたように、内需の拡大と同時に対外不均衡の是正、調和ある内外経済関係の形成に努めるといった観点で予算措置が講じられたわけでございますけれども、ただそのコンピューターの導入に当たりましては、これはあくまでも一般公開入札でございますから、内外無差別でございます。この経済対策におきまして、同時に、今後ともコンピューターの導入については内外無差別、手続透明という考え方でいこうという考え方も示されているわけでございますが、そういう原則を改めて紙に書くまでもなく、その導入に当たりましては内外無差別でございますから、東京工業大学で希望する一定の仕様を出しまして、その仕様に該当する機器、応札をしてまいりました中で最低価格の機械、これがこのCDCのETA10である、こういうことでございます。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 三十億円近い国民の税金ですから、余りいいかげんなことをやってもらっては困るわけでありますが、もともとこのETA10というのは、アメリカでも納入実績が少なく、計算テストの結果も公表されなかったいわくつきのものであるということが業界紙に載っているわけですね。納入期間も二カ月おくれた。本格始動は一年おくれになった。現在でも故障が多くて満足な運転実績も上げていない等々のことが書かれているんですが、そういうことはありませんか。

川村恒明文部省学術国際局長

○政府委員(川村恒明君) 御指摘のCDCという会社がつくっておりますのはETA10という機械でございますけれども、このコンピューターは他のメーカーの機械と若干性格といいますかその特徴を異にしておりまして、若干専門的で恐縮でございますが、これはまあ我々CPUと言っておりますが、中央演算装置、つまりその中心になる機械が八台ある。通常の機械はCPUが一台ないし二台でございまして、一台のCPUで計算した結果を次のCPUに回してそれをつなぎ計算をしていく、こういう処理をするわけでございますが、このETA10というのは、そういう中央演算装置が八台同時に処理をできるようになっている。もちろん分割して運用もできますが、同時処理もできるという形で、通常の機械、そういったほかのメーカーの装置とは若干性格を異にしているという特徴のある機械でございます。  まあそういった点で、ほかの機械と比べてみた場合にその処理能力がどうかというようなことがございますけれども、私どもとしては、先ほど申しました大量の計算をできるだけ早く処理をするには、こういう機械が適当であろうということで導入したわけでございます。  現にその導入当初におきましてやはり初期的なトラブルがございました。今お話がございましたように、納入が若干おくれたということもございますが、これは全くの技術的な理由で納入がおくれたということでございまして、実際入りましたのが六十三年の五月でございます。その後、初期的ないろいろなテストを繰り返して、六十三年の十二月から使用を開始しているわけでございますけれども、その後はその使用時間も次第に増加しているという状況でございます。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 その後は次第にと言いますけれども、もう二年たっているんでしょう。入ったときからもうちゃんと完全に始動してもらわなきゃ困るわけですよ。二十七億円も出しておいて。そういう点で、非常な疑問が提起をされているということを、十分文部省は頭の中に入れておいてほしいと、こう思うわけですが、大体この一括購入というのは余りないんじゃないんですか。

川村恒明文部省学術国際局長

○政府委員(川村恒明君) ちょっと前段の稼働状況でございますけれども、先ほど申しましたように、実際に機械が使用を開始したのは六十三年の十二月でございますから、二年足らず、実質一年半ぐらいでございます。  最初のうちは、非常にユーザーの方、研究者の方にもふなれがございましたし、そういう機械に特有の初期的なトラブルもございましたから、稼働時間数が少のうございました。最初のうちは、まあ月に百六十時間程度という稼働でございまして、これは確かにほかのコンピューターから見ると多い時間数ではございませんが、最近では、月でとりますと平均四百時間でございます。月四百時間というのは、単純に日曜日もなくて三十日で割りますと、一日十三時間動いているということでございますから、まあコンピューターの稼働状況としては、そんなに悪い状況ではないというふうに思っています。  それから、導入に当たって一括かどうかというお話がございました。現在、先ほど申し上げましたようにスーパーコンピューターは、全部で、国立大学は十六台導入してございます。通常の場合は四年程度のレンタル契約ということになりますけれども、買い取り方式というのもございまして、この東工大の装置は一括の、いわゆる買い取り方式で導入したと、こういうことでございます。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 買い取り方式で買ったというのは、数字を見ればわかるんですよ。  大学やこういう研究所などにおいては、そういうふうに買い取りの方がいいのか。例えばファックスにしましても、あるいはコンピューターや普通のワープロなんかにいたしましても、次々と新しい機械が出てきますから、普通の人たちだって、あるいは事務所においてだってレンタルをやる方が多いわけですよね。そのレンタルと一括購入とどちらが有利であると、あるいは大学の研究に非常に貢献をするというように文部省としては考えているのかということを伺いたい。

川村恒明文部省学術国際局長

○政府委員(川村恒明君) 失礼をいたしました。  大変これは難しい問題でございまして、両方の方式がございます。一括買い取りの場合には、例えばその年度の財政負担が非常に大きいといった財政的な理由があるわけでございますけれども、一応そのことをおきまして、ユーザーの側から見た場合にどちらがいいのかということになるわけでございますが、必ずしもそれはどちらがいいということは言えない。  つまり、レンタル方式の場合でございますと、現在コンピューターはせいぜい三年か四年である。でございますから、レンタルといっても、実は三年ないし四年分割で購入しているのと同じ形になるわけでございます。しかし、レンタルでございますから、そのレンタル期間が切れた場合に新しい機種を導入をするということを次の問題として当然考えなくちゃならないということになるわけでございます。レンタル期間が切れればそれでおしまいということになりますから。ただ、その場合に、今御指摘のように、やはり日進月歩でございまして、どうしても次の機械はまたさらに一段と高価な性能のいいものと、こういうふうになる傾向もあるわけでございます。  買い取りの場合は、一応それは全く買い取ってしまうわけでございますから、それぞれの事情に応じたことができますし、また買い取りでございますから、全くこれは大学側の機械になるわけでございますから、研究者にとって使いやすいようにいろんな手を加えることができるというようなことがございまして、必ずしもどちらが有利であるということを一概に決めることはなかなか困難であろうというふうに思っております。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 そうしますと、この東工大の場合は、政治的配慮によって一括購入することができたが、その他の学校におきましては、大体予算の関係もこれあり、レンタル、リースと、こういうことでやっていると、こんな理解でよろしいんですか。

川村恒明文部省学術国際局長

○政府委員(川村恒明君) 先ほど申しましたように、この導入に当たりましては、これは当初予算でなくて補正予算で計上したということがございます。それで、その補正予算は、先ほど申しましたように緊急経済対策ということで、輸入の拡大、市場アクセスの改善を図る、総額十億ドル程度の政府調達による追加的な外国製品の導入を行うため補正予算において所要の臨時異例の財政措置を講ずるというようなことで進められたわけでございます。  そういった事情がございますから、そのコンピューター自体について、どっちがいいかということについては、どちらでも可能であるということでございますから、財政事情が許せば買い取りをするということもこれは当然のことではなかろうかというふうに思っております。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 時間の配分の関係で、私はこの問題はこれでやめますけれども、しかし大学側の自主性は、機械の購入、スーパーコンピューターに限らずやっぱり尊重するべきであろう、政治的な圧力でアメリカの会社のものを買わなければならないんだなどという前提のもとでやってはいけないのではないか、こういうことを感じているわけであります。首を振っていますから、そんなことはありませんというのでしょうけれども、でも国民はそんなふうに思っていませんですよね。  それで、ちょっとまた別の話に入りますけれども、文部省の統計要覧を見てまいりました。最近大学における教員数の中で、「うち女」と、こうわざわざ「うち女」を数字を出して統計をとっているわけでありますが、昭和三十年からもう確実に女性の教員の数がふえております。この女性の教員の数がふえることと同時に、三十年からですから、もう三十五年もたってまいりますと、いろいろな問題が出てきている。そのいろいろな問題の中で、何が最近大きな問題になっているかといいますと、結婚前の姓を、自分はレポート出すときに、論文を出すときにずっと使ってきたんです、生徒にもそういう名前で教えてきたんだから、そのまま使わせてもらいたいという要求が強まっていることでございます。  特に、図書館情報大学の関口礼子さんがその通称使用を訴えて裁判に持ち込んだということは、これはもう有名な話ですから何も言うことはないわけですけれども、結婚するのに当たって、どちらか一方が自分の今までの姓を捨てなければならないという、こういう法律を持っているのは先進国では日本だけですね。  大臣なんかフランスにいらっしゃったけれども、フランスなんかそんなことないですね。昔の姓のまんまでよろしいわけでしょう。大学の先生になって、こうやって自分のこの姓を失ってしまうということは、もう自分自身がなくなってしまうような感じがすると、こういうふうにお考えになっていらっしゃる方が非常に多いわけです。これは何も大学に限りません。国立大学、私立大学、大学に関係のないその他の民間企業でも、やっぱりそのままの昔の姓を使いたいという女性がふえてきております。  私のところにも手紙が来ているんですよ、自分の姓を喪失、なくするということが、もういかに自分自身がなくなるような思いをするかというので、とてももう悩んでいらっしゃる。そして、日本の国の制度から言えば、もう全然そういうことは考えられないという男性の頭のかたさもこれありまして、また文部省の指導なんかもこれありまして、もう周囲と一つ一つぶつかる。そのぶっかっていくことに耐えかねて、もう心身ともにすり減って、そして離婚をするというのがあるわけですね。具体的に御本人からのお手紙もいただいておりますが、そういう問題があるわけでございます。  法務省来ておられますか。——ちょっと伺いますけれども、法務省では夫婦別姓について本格的検討に入ったというニュースが流れておりますけれども、何か法制審でもって夫婦別姓を本格的に検討するというようなことの動きがありますでしょうか。

岡光民雄法務省民事局参事官

○説明員(岡光民雄君) お答え申し上げます。  この夫婦別姓の問題を取り上げるといたしますと、私どもの法務大臣の諮問機関であります法制審議会というところの中に置かれております民法部会の中の身分法小委員会と言っておりますけれども、そこで扱うことになっております。  今御指摘の報道の件は、いずれそういうテーマも取り上げられることがあるのではないかとうちの内部の者がプレスに説明したことが、そういうふうに取り上げられたというふうに聞いておりまして、身分法小委員会につきましては、特別養子の改正問題を六十二年に上げまして、そのとき以来活動を停止しておりますので、現時点では身分法小委員会というものは休会中でございます。ですから、その報道は多少ミスリーディングというふうになろうかと思います。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 しかし、ジュリストの九百三十六号を見ますと、加藤一郎さんが、取り上げる可能性がある問題だと、こういうことを発言をしていらっしゃるわけですよね。  今までの国会の審議なんかを見ましても、国会の答弁も随分法務省は変わってきていますね。今最高裁に行っていらっしゃる香川さんなんという方は我が党の佐々木静子さんの質問に対して、「国民の仮に女性の方の一割がそうしたいということになりますれば、これはやっぱり無視できない数字だと思う」と、女性の一割がそう思えば無視できない数字だということを言っていらっしゃる。これは一九七六年です。それから四年たった一九八〇年、衆議院で稲葉誠一さんが質問をしておりますが、その答弁は、「国民感情がどうかということを十分見きわめる必要があります」と、非常に国民世論というものを重要に考えていらっしゃる。  それから五年たちまして国連婦人の十年の中間年の一九八五年、民社党の抜山さんの質問に対して、「理論的には十分成り立ち得る」、「夫婦別姓を」法制審議会は「ナンセンス」とは言っていませんと、こういうふうに答弁しております。また一九八六年、翌年ですね。久保田真苗氏の質問に対して、「社会全体のコンセンサスが得られるということになれば」そういうことは「可能だ」というふうに、だんだん答弁が違ってきているわけですね。そして一九八七年、千種さんという方が、「ある程度まで声が大きくなったものは法制審議会でも取り上げて検討していただく」、こういうふうに言っているんですよ。  じゃあ、声が大きくなっているかなっていないかというところが問題なんだろうと思いますけれども、総理府の調査によりましても、やっぱり大きな変化が出ていると思います。一割を超えている人たちが認める方がよいと、はっきり数字の上で政府の調査の上で出ているわけですから、これは法務省の答弁から言えば、もう検討どころの話じゃなくて、本当に早急にこの対策を講じなければならない数字だというふうに思っております。  また、練馬区が婦人問題意識調査をやった。その調査の中では、もう女性の五三%がこれはもう賛成だと肯定しているわけですね。五三%ですよ、非常に大きい。もっとも男性は嫌らしいけれども、三八%がそれでも賛成しているんです。男性も数字の上では三八%が賛成をしているんです。それから東京の弁護士会、ここでは夫婦別姓を認めようと、こういうことを弁護士会として進言をしておりますね。  大きく情勢が変わってきていますよ。法務省としては法制審にこれは当然検討するように諮問すべきだというふうに思いますけれども、どうですか。

岡光民雄法務省民事局参事官

○説明員(岡光民雄君) 今先生御指摘のように、従前とは大分動きが変わってまいりまして、そういう声が強くなってきておるということは私ども承知しておるつもりでございます。国会の方に請願も出ておりますし、先生今御紹介いただきました弁護士会の方からも意見書も出ております。裁判になったり、それからマスコミでいろいろな方が取り上げたりしていることも承知しております。  それで、どういった緊急性があるかということでございますけれども、六十二年の一月に特別養子の問題について法制審の民法部会の身分法小委員会というところで一応の結論を出した後、先ほど御紹介いたしましたように、身分法小委員会の活動は停止しておるわけでございますが、今の別姓の問題に限らず身分法の改正の問題というのも幾つかございまして、そういった改正のテーマを取り上げるようにという要望も来ておりますので、そう遠くない時期にこういった身分法の小委員会を再開いたしまして、そこでいろいろなテーマを検討していかなくちゃいけないだろう、こういうふうに考えておるところでございます。  そこでどういったテーマが取り上げられるかということでございますけれども、テーマの決定というのは、慣例によりまして事務当局で決めるというよりも、身分法の小委員会の委員の方々に決めていただく、こういう慣例でやってきております。そういうことで、どうなるかわかりませんけれども、国民的関心の高いテーマとか、やはりいろいろ世間で言われているようなテーマというのは、おのずとそういったところのテーマの候補として上がってくるだろう、こういうふうに思っておりますので、そういった過程を通してこの問題も取り上げられる一つの有力な候補であろう、こういうふうに考えておるところでございます。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 有力な候補であるということの答弁をいただきましたので、私はまあまあまた前進があったかな、こう思うわけですけれども、そう遠くないと言ったって、いつごろというふうに理解したらよろしいんですか。

岡光民雄法務省民事局参事官

○説明員(岡光民雄君) 非常に答えにくい御質問でございますけれども、まあ本年度中ぐらいなことを考えております。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 また去年みたいに、年末ごろになってやりましてなんということになっては困るわけですから、夏が終わったら秋ぐらいには、気候のよい時期にやっぱり審議をするということで、法務省としては頑張っていただきたい。どうも御苦労さまでございました。  夫婦別姓の問題は文部省そのものがやれる問題ではありませんので、国立大学あるいは私立大学に働く女性たちの問題として取り上げていただきたいと思うのですが、ことしの三月二十三日の読売に、酒井はるみさんという夫婦別姓を二十年続けている茨城大学の助教授の方の実例が出ておりました。「論点」というところに出ていますから、お名前は公表して構わないというふうに思うわけです。  私がいただきましたお手紙の中にも、三十年それを続けてきて、本当にくたくたになっているというお話がありまして、もう離婚届を出しましたという方が二人です。入籍を延ばしています、結婚したんだけれども黙っています、こういう方がお一人です。それから離婚を考えていますと、これ以上耐えられませんという方がお一人います。そしていろいろのことを書いて、もう「この遺恨は」といって、遺恨になっているんですね。この遺恨はという言葉を使っていらっしゃる。本当に大変なことだというふうに思うんですね。  これはもう文部大臣御存じだと思いますけれども、昔は庶民は名字なんかなかったですよね。熊さんと玉さんが一緒になればそれでよかったわけですけれども、明治の三年に法律ができた。そのころできた法律に参加をする弁護士なんというのは女性はいませんでしたし、もともと選挙権なんていうのも女性は持っていませんでしたからね。だから、上の方で男の人たちが決めたのがそれがもう法律なんですよね。ところが、明治九年になって太政官布告というのが出された。結婚しても女は昔の姓を使いなさい、こういうふうになっている。だからあのころは夫婦別姓だったんじゃないんですか。それが三十一年になって、女が姓を捨てなきゃならなくなった。男が捨てる場合は、婿さんに行って小ぬか三合云々というような言葉が出てくるぐらい男にすれば姓を捨てることは屈辱なんですね。女にとっては屈辱でも何でもない、当たり前のことだという法律ができてきた。それからたしか戦後だったと思いますね、片方に必ず行かなきゃならないというのは。そういう歴史をずっと考えてみますと、今女の人たちがそういう意識を持ってきたということは大変なことなんだなと。私なんか大正十三年生まれの昔者ですから、もう昔の法律でしか物を考えていませんけれども、新しい人たちというのはそういう感覚を持っているんだということを胸に痛いほど感じたわけであります。  お若い文部大臣、この辺はどんなふうなお考えをお持ちですか。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○国務大臣(保利耕輔君) 私もやや年をとっているのかなという感じはしております。実は夫婦別姓というお話は承っておりましたが、自分のものとして感じたことはまだないんでございます。ただ、私も年ごろの娘が二人おりますので、いずれこの二人の娘を嫁にやらなければならない。そうすると、嫁に行ってしまえば別姓になるであろう。そうすると、自分のうちを継ぐ者はいないのかなという、やや寂しい気持ちがいたします。そこら辺はやっぱり年をとっているのかなと思いますけれども、新しいいろいろな御要望、動きがあるというふうにとらえさせていただいて、自分でも少し勉強してみようと思います。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 嫁にやるなんておっしゃらないで、結婚するというふうにやっぱりお若い大臣ですから、私は変えていただきたいと思うんです。この委員会で家内という言葉を訂正された大臣の感覚を私はとてもフレッシュなものに思っているものですから。今の嫁にやるというのは、現実的にはそうだと思いますけれども、本当は取り消された方がいいんではないかというふうに思っているわけです。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○国務大臣(保利耕輔君) ちょっと古いものですから、嫁にやるという言葉を使ってしまいました。感想的に申し上げれば、そういうふうな感じを私も率直に言ってしないわけではないわけでございます、父親でございますので。しかし、一般論として、女性と男性が結婚をするということであれば、それはもう結婚する、結婚しなければならない、あるいはしてもらいたいというふうに訂正させていただくことはやぶさかではありませんが、しかし私自身の気持ちとしてはやっぱり、ああ行っちゃうのかなという、そういう感じを実は持っておるわけでございまして、そこのところは親として正直に申し上げさせていただきます。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 私もそうだというふうに思います。  それで文部省に伺いたいんですけれども、文部省は、私立大学の生先の中に随分旧姓をそのまま使っていらっしゃる方がいるんですけれども、そういうことに対して何か大学に指導していますか、そういうものを使わせちゃいけないよ、戸籍名でちゃんとやりなさいよというような。どうでしょう。

國分正明文部大臣官房長

○政府委員(國分正明君) 特に私立大学で女性の氏名について、こうでなければならないという指導はいたしておりません。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 通称を使ってはいけないという法律はないと思うんで、通称を使ってはいけないという指導はしていないというのは正しいと思うんですけれども、しかし私立大学の方では、逆に言うと、このごろ変わってきているんですね。今まで割と自由だったのに、大変厳しくなってきているわけです。女性の教員に対する態度が変わってきているんですね。  その一つに、数年に一回文部省の監査がある。監査のときに、そこにある名前が通称と戸籍名であったときに、どうもごまかしているんじゃないかというようなことの指摘が行われて疑われる、疑われると補助金が減らされるのではないか、こういうおそれを私大の側で持っているのではないかと思われるような言動が、通称を使っていらっしゃる方々に次々と事務当局あるいは学長あるいは学部長というような形で行われているんですが、そんなことはありませんですね。どうでしょう。

國分正明文部大臣官房長

○政府委員(國分正明君) 確かに、私学助成などで毎年、例えば会計検査院などから教員数と実態と違うというような指摘を間々受けるわけでございますので、その点については、例えば水増しというようなことがあってはならないわけでございますので、恐らく監査等に当たっては、その点について誤りがないように点検し、場合によっては指導するということはあろうかと思いますけれども、ただいまおっしゃるような意味合いでの指導ということはいたしたことはないというふうに思っております。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 そうですね、もしそんなことで言ったとしたら、文部省のいじめになるわけですからね。それは絶対にやらないでいただきたい。大学の主体性をやっぱり生かしていくという今の官房長の御答弁だというふうに思うわけですね。  私大でよくて国立ではだめだというのは、一体どういうことですか。

國分正明文部大臣官房長

○政府委員(國分正明君) 国立と申しますよりも公務員ということでございまして、現在、国家公務員あるいは地方公務員を通じてでございますけれども、特段政府全体として氏名の表示について、特に旧姓の名のり方等について、かくあるべしというような統一的な申し合わせ、あるいは物差しというものがあるわけではないわけでございます。しかし、やはり公務員の場合につきましては、公務員としての公の関係における氏名の表示、例えば任免の関係でございますとか、あるいは給与などの人事関係書類というものにつきましては、やはり現在戸籍というのが我が国において国民の身分関係を公証する唯一の制度であるというようなことから、公務員としての公の関係における氏名の表示については、戸籍によることを原則とせざるを得ないというふうに考えているわけでございます。ただ、それはただいま申し上げたような意味合いでございまして、例えば国立大学の教員などの場合、論文を書くとかいろいろさまざまな活動があるわけでございまして、それらについてはそういう取り扱いをする必要はないであろうというような考え方でございますが、最終的には現在の実態で申しますと、そういう考え方に基づいた上で、個々具体の運用は各大学が御判断になっている、こういうことでございます。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 そうすると、大分、大学によって対応が違ってきますね、具体の問題については大学にゆだねているということは。  文部省の指導によるのか大学のあれによるんでしょうか、研究者番号登録というのがありますが、これは戸籍名を書いて括弧通称、これを入れてもよろしいと、こういうふうに指導がされたと聞いております。文教委員会で遺伝研に行ったときにも、大学の一覧表が並んで、お名前があって、私質問したんですけれども、括弧何とかというのが女性の教員のところにだけくっついていた。どちらがどうなんだということの質問をした覚えがあるわけですけれども、戸籍名括弧通称ということは、これは文部省としてはよろしいんですか。

川村恒明文部省学術国際局長

○政府委員(川村恒明君) 今お尋ねの件は、科研費の申請のお話かと思いますけれども、科学研究費の補助金で、その補助金事務を処理する場合に、研究者登録をしているわけでございます。その際に、これは科研費補助金を交付するかどうかということの資料に使うわけでございますけれども、そういった研究業績にかかわる場合、研究者としてのこれまでのキャリアを考えた場合に、知名度が非常に高い方の申請かどうかということは、一つのやっぱり判断材料になりますから、通称名等も括弧書きで書いていただくということもそれは差し支えないであろうということでございます。  ただ、実際の事務処理から申し上げますと、科研費の対象となります方は大体十五万人ほどおられまして、事務処理上は私どもは研究者番号で数字で処理をしてしまうわけでございますから、本人が戸籍名を書いてこられるのか通称名を書いてこられるのかということは、申請の受理に当たっては実際はほとんど意味がないことになるわけでございますが、ただ審査に当たってのそういう研究者としての知名度ということは、これはやはり審査の一つの要素でございますから、そういった意味で今のような取り扱いをしている、こういうことでございます。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 戸籍名でなくてもよろしいと、いわゆる通称、自分の名前と彼女たちは呼んでいますけれども、自分の名前でやってもいいというようなことは、具体的に先ほどお話しになったようなことだけでしょうか。  例えば授業の実施、学生の指導、執筆、学内外施設の利用、こんなようなものはいかがですか。

國分正明文部大臣官房長

○政府委員(國分正明君) この問題については、私どもも各大学の実情というものを現時点でつぶさに承知しているわけではございません。したがいまして、先ほど申し上げました一般的な考え方のもとに、個々具体については各大学にお任せしているという実情でございます。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 関口さんが裁判で争っておりますので、いずれ詳しい問題はその辺のところでも明らかになるんではないかと思うんですが、私は、裁判なんかやらなくても、文部省としては十分にやれることがたくさんあるというふうに思うんですね。それで、教育の中身というのは、これは戸籍名でなければいけない、これは通称はいけないというふうなことはちょっとおかしいんではないかと思うんですね。  例えばこういうことがあるわけですよ。学生の指導、これは戸籍名でなくてもよろしいと。しかし、学生の退学だとかあるいは入学許可だとか修了だとか、そういうところにはお名前を書いて判を押さなきゃならない。そのときに通称名ではなぜいけないんですか。授業はそれでやってもよろしくて、どうしてそういうことができないのですか、こういうことが出てくるんじゃないですか。  それから研究発表、論文などは通称名でよろしい。今そういう論文なんというのは、国内だけじゃなくて、コンピューターなどに乗ってもう世界を駆け回るわけですよね。そのときに大学に電話などがある。そんな人いませんと、戸籍名でなければ、いませんという返事が出てくる。あなたは詐欺師じゃないかなどという電話が海外からもかかってくるなどというようなことがありまして、非常に人格を傷つけられている人たちもいるわけですよ。  だから、その辺のところをもうちょっと明確にしていただいた方がいいのかな、各大学で自主性を持った方がいいのかなということについてはどうでしょうね。私は、文部省はもうちょっとおおらかに物を考えるように指導した方がいいんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょう。

國分正明文部大臣官房長

○政府委員(國分正明君) この問題につきましては、冒頭に申し上げましたように、公務員関係におきます一つの取り扱いの問題でございまして、全体の取り扱いとして政府全体あるいは地方公務員全体についての現在統一的な考え方あるいは物差しというのはないわけでございますので、基本的に文部省限りでこの問題に対応するということはなかなか難しいということでございます。  ただ、そうはいいましても、現実にいろいろな問題が出てきているわけでございますので、私どもとしては一般的な考え方を申し上げて、あとは大学、と申しましてもいろんな大学があり、また状況も違うと思いますので、私どもで一律にあれはいい、これは悪いということは少なくとも現時点では言いにくいということで、各大学で御判断いただいているということでございます。  なお、訴訟になっております図書館情報大学のケースにつきましては、現に個別の問題で争われている点でもございますので、個別のことがいいか悪いかというのは、まさに争っている点でございますので、コメントは差し控えさせていただきますが、若干経緯を申しますと、やはり当該御本人から、自分が旧姓、通称を使いたいという申し出を大学にいたしまして、大学で一応いろいろな検討をいたしまして、一つのガイドラインと申しますか、ここは戸籍名でお願いしたい、ここは通称でも構いませんというような一つの基準をつくったようでございます。その基準自体をまた個別に争われているというケースでございますので、私どもの今の立場において、これがいい悪いと言うのは、ちょっと差し控えさしていただきたいと思います。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 私も裁判になってますから、そういうことだろうというふうに思いますけれども、しかし、その基準も見せていただいたんですよね。私自身も納得がいかない部分がありますから、やっぱりもうちょっと文部省も調べていただきたいと思うんですよね。  それとあわせまして、この関口さんが昭和六十二年度の非常勤講師料と交通費、これを請求をしたところが、戸籍名の国庫金送金通知書で郵送されてきたために常陽銀行が払うことを拒否をしているというんですね。関口さんは関口の名前で採用されているわけですよね。私は関口でやりたいと言って採用されているわけでしょう。採用されて六十二年から非常勤講師で働いた。その働いた講師料と交通費が出ないというのは、これはどういうもんですかね、労働法から考えてみましても。

國分正明文部大臣官房長

○政府委員(國分正明君) ちょっと具体のケースになりますと、私どももただいま承知しておりませんが、恐らく採用は戸籍名である渡邉禮子という発令で採用されているであろうというふうに思います。  それから、またこれも先ほど申し上げましたけれども、給与の支払い関係につきましても戸籍名で行われているということは承知をしておりますが、現実に銀行での取り扱いがどうなっておるかということについては、ちょっと今承知しておりません。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 これ大変な問題だと思うんですよね。労働したのに金が払われないなんということは、国立の大学であってはならないことだと思うんですよね。これは、もう国としては払ったんです、銀行が支払いを拒否しているんですよと、こういう言い方もできるのかもしれませんけれども、本人であるということが確認をされれば、この支払いができるというようなことをやれるのではないかと思いますが、どうですか。

國分正明文部大臣官房長

○政府委員(國分正明君) この辺になりますと、私ども答弁能力があるかどうか、いわゆる債権債務の関係における債権者、債務者というものの確認の問題であろうというふうに思うわけでございますけれども、ちょっと具体のケースを少し調べてみないと、私どもの立場で何とも申し上げようもないというのが率直なところでございます。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 具体のケースを今申し上げましたので、調べていただきまして、何がネックになっているのか善処をしていただきたいと思いますね。それで、研究費ももらえないで、自分はこのように立てかえているんだというようなことが記事なんぞに載っておりますと、何かおかしいなという感じを国民が持つと思うんですね。そういう意味で具体的にそのことはやっていただきたいと思います。  それで、民間なんかでもたくさん通称を使わせているところがあるんですよね。ソニーだとかあるいは富士ゼロックスだとか丸井だとか。結婚しまして籍を入れましても、籍を入れましたと言って届けるけれども、通称でやりますと言えば、そのまんま通称でずっと通していけるところもあるわけです。ところが、子供が生まれますと、どっちの籍にするかなんというようなことがあって、またいろいろな問題も出てくるわけでありますけれども、たしか朝日新聞なんかでも、新聞記者の方なんか署名入りで記事書いていらっしゃいますからね、突如として結婚したから何々と変わるわけにいきませんので、そういうことについては、労働組合の青年婦人部でもって申し入れをして直ったというふうなこともありますので、国としてもこの辺のところは考えていく必要がある。文部省には女性のそういうキャリアの人たちが多いわけでありますから、努力をする必要があるんではないかなと思うんですね。  人事院に聞いたんですよね。人事院としてはそんなこともう考えたこともありません、採用なんかするときにそんなこと考えたこともありませんって、こういう答弁なんですけれども、もう考えたことがないでは済まない時代になっているというふうに思います。いかがですか。

國分正明文部大臣官房長

○政府委員(國分正明君) 文部省限りで解決できる問題ではないと思いますけれども、文部省といたしましても、ただいま先生のお話しのようなことについて、十分検討していかなければならないなというふうに感じております。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 最後に文部大臣にお伺いしますけれども、こういうことを言っているのは非常にわがままだとか、あるいはキャリアウーマンだけだろうとか、何かそういうお感じをお持ちでしょうか。自分の持って生まれた名前を大事にしたい、それはもう自分自身なんだというふうに思っている女性が出始めてきている。離婚してまで、そうやって——一緒に住んでいるんですよ、形式的なペーパー離婚はしますけれども。夫との間も非常にうまくいっていると。そういうような人たちが出てきているということについての感想ね。また、古いかもしれないなんておっしゃるかもしれないけれども、文部大臣としては、本当に一万人を超す教員がいるんですから、どういうふうにお考えになるか伺って、質問を終わりたいと思います。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○国務大臣(保利耕輔君) きょうの先生のお話を伺って、改めて認識を新たにしたところでございます。大変いろいろと問題があるのだなと思いました。  同時にまた、日本の戸籍法というものがあるわけですが、これについて、先ほど法務省からもお話がありました身分法小委員会というようなものが出て、その場で専門的にいろいろ御検討されるというお話がございましたけれども、そういった検討の動向などを私たちもよく注視しながら、あわせて先生御指摘のように、女性の権利と申しますか、あるいは、いわゆる通称あるいは前の姓のままでいろいろ仕事をするということについては、十分研究をしていかなければならない、このように考えている次第でございます。

粕谷照美日本社会党・護憲共同

○粕谷照美君 ありがとうございました。終わります。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 初めに粕谷委員からも冒頭提起されました大学院問題を少しお尋ねしておいて、後は一般調査の部分で文化財関係のことに入っていきたいと思います。そして、法案に関する問題につきましては、また午後もう少し詳しく詰めて質問したいと思っております。  実は、きのうの日経新聞ですけれども、内外学生センターの理事長の大門さんという方が夕刊の「あすへの話題」というところに、「大学院の充実を」、こういうことでちょっとお書きになっています。  友人の息子が就職するから保証人になってほしいと。その子は東大の修士課程を修了して、そして大変優秀で大学からも嘱望されておる。なぜ博士課程へ行かぬのだと、こう聞いたら、正直言って本人は将来大学教授になりたいと思って勉強しておったんだけれども、企業へ行ってみると、研究設備、建物、予算、待遇、もう問題にならない。本当に自分が勉強しようと思ったら、どうも東京大学の施設設備で、また研究予算の中でやるよりも、企業に行ってやった方が自分の力が伸びると思って企業を選んだんだ、こういう話が出ているんです。  こういうふうなことは急に今、きのうきょう言われたんじゃない。実は私のかつて高等学校で教えた生徒が、東大の工学部を出て修士課程まで終わって、ある大きな企業の研究所へ行ってコンピューターのソフトウエアの開発をやった。第一世代の開発を全部やったわけですけれども、その子もそういうことを言っていたんです、このごろの東京大学では自分の勉強はできないと。こういうふうな実態について、まず大臣、どういうふうなお考えでございますか。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○国務大臣(保利耕輔君) 先ほども粕谷先生の御質問にちょっとお答えをしたところでございますが、やはり企業において学校を卒業してからの勉強というのはかなりやられておりますし、実際また、ある意味では合目的的と申しますか、そういった研究が企業に入ってから相当やられておるということは私も承知をいたしております。しかし、大学での勉強がやはり社会にすぐに役立つようにこれからは努力をしていかなければならない点だと、このように考えております。企業での勉強のありさま、研究のありさまというのは、先生が御指摘なさったことは私もちょっと否定できないと思います。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 そして、日本の科学技術の水準なりあるいはいろんな学問の水準なりを言う場合、決して日本は諸外国と比べて劣っていないということをよく言うわけですね。ところが、実は対外摩擦の一つにもなっているのが、日本はいわゆる基礎科学の分野の研究が非常に手薄い、外国が基礎科学の部分で一生懸命やったやつを、盗んでいってとは言わぬけれども、取り入れて、そしてその応用の部分でどんどんやっていく。要するに、売れる品物をつくるための技術は大変進んでおる。だから、本当に日本人というのは悪い意味の商人国家だと、こういうふうなイメージが外国にあるんです。その一番根本は、こういう大学において、もうまさに今は大変な科学技術の発達する時代ですから、それを生む基礎の部分に対する研究が十分に保障されていない、あるいは不十分である、こういうふうなところにいろんな問題があるように私は思えて仕方がないわけなんです。  それで、そういうことをずっと見ていきますと、野口英世博士が勉強されたロックフェラー・ユニバーシティーですか、あそこなんか、教官が二人に博士課程の学生が一人とか、研究員がまだその博士課程の学生よりももっとたくさんおる、そういう中で共同研究をばんばんやっている。しかも、その教官という者の中には、例のノーベル賞を受賞した方が十数人もおる、そういう体制になっているんですね。我が国でなぜそういうことができないのだろうか、その辺の原因を大臣はどういうふうにお考えでございますか。

川村恒明文部省学術国際局長

○政府委員(川村恒明君) 基礎研究についてのお尋ねでございますけれども、大学の使命が教育研究、特に基礎的な学術研究をするということが大きな使命になっております。  先ほど来政府委員からも御答弁がございますように、学術研究の振興につきましていろんな施策、例えばその研究を担う若手を中心とする研究者の育成でございますとか、あるいは科学研究費を中心とするいろんな研究基盤の整備ということについて文部省として従来から非常に努力をしているわけでございます。  今、日本の大学について、どうしてそういう基礎研究、充実した環境ができないのかというお尋ねがございました。これは先ほどの御質問にもございましたけれども、例えば日本の大学が世界の大学ランキングで並べてみると何位にも入っていないというふうなお話があるわけでございます。その大学というものが、これは現在大学審議会や学術審議会でも御審議をいただいておりますけれども、いろんな性格のものがあっていいだろう、つまり多様化ということが一つの考え方でございます。大学の中にそういういわゆるリサーチユニバーシティーと申しましょうか、研究志向あるいは研究重点大学というものも一方にあっていいであろうし、あるいはすぐれた人材を数多く育てるということを中心とする大学もあっていいであろうというような、大学と一口に申しましてもいろんな機能があって、そういう分化というものが世界の大学では割と進んでいるわけでございます。  私どもがアメリカの大学について若干調べてみますと、アメリカの大学というのは一口で言いまして三千五百ぐらいあるわけでございますけれども、公的な研究費の配分を見ると、大体上位の六十位までの大学で主要な研究費の大体四分の三は使っているということでございますから、逆に言うと三千五百の大学のそれ以外の部分というのは、むしろ研究大学というよりも教育大学という色彩が強いのかなというふうに思うわけでございます。大学というものをそうやって、これは研究中心の大学、研究でもこれは先端科学のこの部門をやる、あるいは別の部門をやるといったような専門分化をしていくということ、どこまでそれを政策として認めていくのか、プッシュするのかというのは非常に大きな問題でございます。  一方におきましては大学のそういう性格づけというものは、大学の自治と申しましょうか、大学自身の御判断というものを尊重していかなきゃならない。そういうものを基本としながら、しかしこれから、先ほど来お話がございますような基礎研究というものを日本はさらに充実をし、世界に貢献をしていくというためには、やはりそういった一つの政策的な方向づけも必要ではないかというふうな感じがいたしております。その辺、実は学術審議会等でもかねてから御議論がございまして、これから二十一世紀にかけての学術振興の基本方策ということにつきまして近くまた改めて抜本的に御審議をお願いしようかというふうに考えているところでございます。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○国務大臣(保利耕輔君) 基礎研究がやはり日本では不足をしておるのではないか、あるいは基礎研究の分野では弱いのではないかという先生の御指摘、私もそういうふうに感じます。それは私なりにちょっと感想的に申し上げさせていただきますと、やはり日本の民族性というものが多少影響しているようなところがあるのではないかという、これは私見でございますが持っております。  それは、日本は御承知のとおり明治の時代までは大体農耕国家でありまして、八割が農家の方々であった。そうすると、農業の特質というのは、大体やはり前の年にやった繰り返しを何遍も何遍もやっていくということでございますので、改良はあり得ても、全く水平的に横の思考で別のことをやり始めるということはないというふうに考えてよろしいのではないかと思います。それが大体日本人の特性になってきているものですから、新しいことへの取り組みの意欲というのが、やはり諸外国の方々に比べて低かったのではないかなということを私は感じております。もちろん例外もございますから、一律にそれを断言するわけにはいきませんが、一般論として言えばそういうことがあるのではないか。  ところで、ノーベル賞をたくさんとっておりますアメリカにおきましては、御承知のとおりフロンティア精神というものがあって、新しい分野へ新しい分野へと入っていくという、そういう民族性が二百年以上の歴史の中で培われてきておる。したがって大空へ舞い上がっていくというようなああいう発想も行われた。いわゆる発想の自由さというようなことで、民族性の差異が若干あるのではないかと思っております。  これから日本が国際社会で技術の分野、基礎科学の分野で貢献をしていかなければならないということを考えますと、そこら辺の発想の自由さを持つ教育というのがこれから求められていくんだなということを、大変恐縮でございますが、私は個人的には感じておる次第であります。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 私は、今の大臣のお考えもごもっともだというふうに思うわけでありますが、ただ、これは予算委員会でもちょっと私は言ったんですけれども、日本の大学の財政の基盤、それがヨーロッパやアメリカと随分違っているんですね。国の予算の振り向け方、重点の置き方、これとも相まちますけれども、外国は個人や企業が大学に寄附をする、その寄附の行為が税制上も、さらに世の中の仕組みの上からも非常に容易になっている。ところが我が国は、そういうところを一定の制限をしてしまうんですよね、大蔵省が全部金が欲しいものだからね。そんな問題も一つあります。  それからもう一つ言いますと、日本の国を守るということの一番根本は、私は学問だと思うんですね。その学問に対して、何といいましょうか、非常に冷ややかな国の政策だという感じがする。学問の、特に一番厳しい二十一世紀を迎えていくというそういう分野に対する施策が、財政面から見た場合に非常に少ないような気がいたします。  先ほど言いました内外学生センターの理事長さんもこういうことを言っているんです。「大学院の教育研究環境の整備を、ODAや防衛予算と同じように国の安全保障の一つとして取りあげるほどの思いきった発想が」必要だと。恐らくこれみんなそう思うと思うんですね。なぜできないかというのがやっぱり政府の責任だろう。これは文部大臣だけでないと私は思うんです、総理大臣も含めて政府がここに目をつけて、ぴちんと国の重点施策としてやっていかなきゃいけないという問題が残っておるように思えてならないんです。  ちょっとこれで、私お昼から今度は大学院のあり方あるいは今度の北陸にできます大学の問題も絡めまして、我が国全体の中で大体大学院というものをどういうふうに位置づけすべきか、さらには将来展望をどう見るべきか、また二十一世紀を迎えて大変な環境問題等も含めて、その中でどうあるべきかというようなことについて、また後ほど御質問いたしますが、ちょっと中断いたしまして文化財関係で質問していきたいと思います。  文化財、これは我が国ばかりでなしにどこの国でも、単にその国の財産というよりも人類の財産という意味で非常に重要な意義を持って、そして我々だけでなしに我々の子孫に対してもずっと残していくという意味から、大変大切に扱われる、またその文化財をきちっと認めていくについても、十分な準備のもとにこれが行われていくのが普通だろうというふうに思いますが、そのことについては大臣、御見解よろしゅうございましょうか。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○国務大臣(保利耕輔君) いずれの国においても、その民族が持ってきたあるいは培ってきた文化のその蓄積を大事にしているということは、私もよく承知をいたしております。日本におきましても、また長い歴史でございますから、いろいろな文化財があろうかと思います。そういうものを大事にしていかなければならないということは、私もそのように考えております。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 そこで、私は実は、この前ある人が百十五億円もするような絵を買ったとか、会社が五十何億円の絵を買ったとかいうふうなことで、予算委員会で質問等もいたしましたけれども、私が心配するのは、こういう文化財というものが利潤の対象として扱われる、あるいは自分の資産として、文化財に指定されたものは値打ちがぐんと上がって、今まで何もなかったのが指定されたために大変な値打ちになったというふうなことで、もしもそういう目でこのことが見られたら大変だと、こういうことを私心配するわけなんです。  そういう意味で、実は去年の重要文化財に指定された日本刀五振りの問題ですね、これはどういう経過でもって決定されたのか、まずこの辺をちょっとお伺いしたい思います。

遠山敦子文化庁次長

○政府委員(遠山敦子君) 上古刀につきまして指定をした経緯でございますけれども、上古刀につきましての調査研究成果をもとにいたしまして、十分な内部検討を行いまして指定の提案をまず決定いたしました。そして、平成元年三月十日に文化財保護審議会に諮問をいたしました。  文化財保護審議会における調査審議は、その専門的事項を調査審議させるために専門調査会を置いているわけでございますが、この件につきましては、第一専門調査会工芸品部会で調査を実施していただいたところでございます。  この第一専門調査会での調査審議は、平成元年三月十六日に専門委員九名に刀剣の専門家であります二人の臨時専門委員を加えた十一名で調査審議をいたしました。  この調査会では、これまでの研究成果の総合的な評価あるいはその上古刀の実見など、慎重に調査審議をいたしたところであります。  そして、伝来につきまして補充調査を行うために保留をすることについての意見もあったわけでございますけれども、調査審議の結果、その上古刀につきましては奈良時代から平安時代にかけての上古刀であるとの評価が得られまして、伝来については不詳という形ではありますけれども、第一専門調査会出席委員の全員一致で重要文化財指定相当と議決されたところでございます。  文化財保護審議会は、この専門調査会におきます審議結果の報告を受けまして、指定を可とするという議決を行いまして、この旨の答申を三月二十五日に行ったものでございます。そして、このことについての指定の告示を六月にいたしたという経過でございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 常任の委員十人の中には、刀剣専門家の方はお見えにならない。これはよろしゅうございますね。

遠山敦子文化庁次長

○政府委員(遠山敦子君) 委員の中にはいないわけでございますが、臨時の専門委員を委託して任命いたしております。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 そこで、臨時の委員をお選びになって、それはもちろん刀剣についての随分の見識をお持ちの方だろうと私は思いますが、候補者は何人の中から選ばれたんですか。

遠山敦子文化庁次長

○政府委員(遠山敦子君) 臨時専門委員につきましては、先生御指摘のとおり、特別の専門の事項を調査審議するため必要によって任命するわけでございますので、学識経験のある人のうちから文化庁長官が任命するものでございます。その上古刀の調査審議のためには、数名刀剣に関する専門家がいるわけでございますが、その数名の中から選んだわけでございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 新聞報道で、選ばれた方が、私は上古刀の専門家じゃないので断った、ところが他に適当な人がないからぜひと、こう頼まれたと。これはもちろん刀剣についてはかなり見識をお持ちの方なんで、それはひょっとしたら謙譲の精神でおっしゃったかもしれませんが、その方がこの新聞紙の報道では、刀剣の勉強をする専門の自分の先生に相談に行ったら、君はこういう上古刀については詳しくないから断ったらどうだと、こう言われた、ところが、それはもう審議会が終わった後だったものだから、自分では断れなかったというようなことを言われておるんですけれども、そういうことをこの臨時委員の方が言われたとしたら、大変恥ずかしいというか心配になるんですが、そういう事実はあったんでしょうか。

遠山敦子文化庁次長

○政府委員(遠山敦子君) 今回臨時専門委員を依頼いたしました方がお二人ございます。お一人は刀剣を数多く所蔵しておられまして、刀剣に関するすぐれた展覧会を数多く開催しておられます美術館の副館長の要職にありまして、日本刀全般にわたるすぐれた研究者でありまして、日本を代表する刀剣研究者のお一人でございます。  また、もうお一人は、人間国宝に認定された刀匠でありまして、冶金学にも造詣が深く、上古刀の復元あるいは上古刀の地金に関する自然科学的研究を長年にわたって行ってこられたすぐれた実績を有する方でございます。  今先生がおっしゃいました件につきまして新聞報道がなされたこともありまして、私どもの方でその専門委員を臨時にお願いいたしました方に問い合わせてみましたところ、委員就任は強制されたわけではなく、自分の意思で受諾したものであるというふうに明確に答えられております。その意味では、私どもはきちっと確認をしているところでございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 刀剣の代表的な専門家がいろいろとお見えですけれども、そういう方々の中で、今度のこの五振りはどうも上古刀ではないんじゃないかと、こういう意見が出ているというふうに報道されているわけです。  そうすると、こういう専門家の中からお二人の方が臨時委員として選ばれて、他の常任委員の方は刀剣については専門家ではない。その中で審議をされて決まった。その決まった後、今度は他の刀剣の専門家たちから、おかしいじゃないか、あれはどうも上古刀じゃないぞというふうな異論が出た。そういうふうなことが出た場合には、文化庁としては、そういう異論を一体どう扱いますか。

遠山敦子文化庁次長

○政府委員(遠山敦子君) 異論が出た際にどうするかという御質問にお答えいたします前に、この刀剣のことにつきまして真偽の話がございました。現在の刀剣研究では、刀剣のよしあしの評価でありますとか製作年代の確定といいますものは、様式、姿、形などでございますけれども、様式や製作方法などを総合的に判断して行う方法が確立しているところでございます。  今回指定いたしました上古刀は、この方法によりまして奈良時代から平安時代のものと確認されているところでございます。形は上古刀の特徴であります直刀でありまして、鍛えは板目の肌が重複してあらわれておりまして、地斑でありますとか地景というふうなものが明確に出ているわけでございまして、これらは上古刀特有のものでございまして、平安時代以降に製作された日本刀には見られない特質というふうに聞いております。  このような判断のもとに専門家の御審議も経て指定をしたところでございますが、それに対して異論が出たときに一体どうかというお話でございます。私どもといたしましては、今回の指定につきましては十分な調査、審議を経た上で指定をしたものというふうに考えております。しかしながら、異論が出ましたときには、これは大変大事な国の財産でございますので、その疑義について意見を承るということについてはやぶさかではないところでございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 正倉院御物の中に上古刀がありますですね。この正倉院御物の上古刀を常に見ておられる方が、どうもこれはおかしいと、こういうふうなことを言っているということが伝えられている。  そしてまた、もう一つやっぱり疑惑でどうもおかしいなというふうな感じをみんなが持つのは、この刀は一体どこから出てきたんだということを、普通は、少なくともその重文の指定をするという段階では確かめてからやる。ところが、それについては確かめることができなかったんだということでもって、その審議会の場で、やっぱり伝来をきちっとすべきじゃないかと、こういう意見があったにもかかわらず、それはちょっとできませんということでもって、とにかく品物は間違いないから御承認を願いますと、こういうことを言ったと、その場に加わった審議委員の皆さんもそういうことを言っておられる。これは一人や二人じゃなしに、かなり審議委員の多数の方が、伝来についてはこれはやっぱりもうちょっとちゃんとやってから決めた方がいいじゃないかと主張したのだけれども、いや物が間違いないですからどうぞ御承認をと、こう言ったというふうなことが言われているんだけれども、その辺の問題はどうですか。  一つは、正倉院の御物を扱っておられる専門家の方がこれはどうもおかしいと言っているということですね。  それからもう一つは、伝来、要するにその刀はどこにあって、だれがどういうふうに保管をしておって、どこでこれが世の中に明らかになったのだというその経緯がはっきりしない。それは、やっぱり今のままではぐあいが悪いから、もう少し調べてはどうだと言ったにもかかわらず、いやこの品物は間違いありませんからどうぞひとつ御決定をと、こういうふうに審議会で決められたのだということ。審議委員の多くの人が、ちょっとおかしいんだけれども、恐らく役所が提案する以上は、かなりいろいろなものを調べた結果なんだろうと思って私どもも認めたと、こういうふうなことを言われております。そうすると、これは国民から見ると、一体我々の日本文化というものはだれがどういうふうにこれを守っていくんだろうかという不信の気持ちしか生まなくなっているんですね。  その二点についてはどういうふうな見解でございますか。

遠山敦子文化庁次長

○政府委員(遠山敦子君) 正倉院御物をよく見ておられる方という意味がちょっとわからない面もございますけれども、砥当たりが正倉院のものと異なって室町時代の模造ではないかというふうにおっしゃっている方がいるということは聞いております。しかしながら現在の刀剣学では、砥当たりといいますものは刀剣の材料あるいは製作方法によっても異なるものでございまして、刀剣の時代の判定には客観的な基準にはなり得ないというふうにされているようでございます。砥当たりのみずからそういうことについておっしゃった方自身の論文においても、そのことは発表しておられるというふうに承っております。  次に、伝来についてでございますけれども、その上古刀は昭和三十年代以降に世間に知られるようになってまいっておりまして、刀剣研究者の間で大変関心を呼びまして、以来これら刀剣の研究者によって調査が行われたところでございます。その上古刀の伝来につきましても、文化庁あるいは他の刀剣研究者の間では、上古刀が神社の宝物として伝世している例が多いところから、どこの神社に伝世していたかに関心が集中してまいったところでございます。これは島根県の出雲地方が有力視されまして調査が行われてきたわけでございますけれども、これまでの調査では確証は得られていないところでございます。  文化庁の調査官も、昭和四十年代以降、ある刀剣愛好家が持っておられたわけですけれども、その刀剣愛好家からの聞き取り、あるいは伝来が推測された島根県出雲地方の古い神社などに再三調査を実施したのでありますけれども、いずれの調査でも不明であったわけでございます。指定前の調査といたしましては、慎重にできる限りのことをやったわけでございます。そのように慎重に対処したものと考えているわけでございます。  指定に関しまして伝来の持つ意味といいますのは、文化財の歴史的あるいは文化的な価値に関する資料ではありますけれども、指定する物件の中には伝来がある程度以上はわからないというものが常にあるわけでございます。つまり、指定に当たりましてはそのもの自体の価値ということに着目をして指定をするということでございます。もちろん、伝来についてできる限りの調査をするということは専門家にとって当然の責務ではございますけれども、このケースにつきましては指定前の段階まではできる限りの調査をしたものと考えております。  最近、新聞社の調査によりまして、指定調査の段階で判明していた広島県在住の刀剣愛好家までの伝来が、その刀剣愛好家にその上古刀を持ち込んだ人物が判明したと報道されました。私どもも初めてそのことを知ったわけでございまして、直ちに確認の調査をいたしましたけれども、文化庁もその後の調査でそのような事実であるということを確認いたしております。いずれにいたしましても、もの伝来につきまして一人さかのぼることはできたわけでございますけれども、それ以上にわたって伝来の詳しいことがわかったわけではないわけでございます。ただ、伝来の問題につきましては、今後とも従来の伝来不明のものと同様に調査はいたしたいというふうに考えております。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 前の方の問題もありますが、後ろの方の問題が私は大変気にかかるわけですね。というのは、この品物はこれは福島県の方が五振り手に入れられた。ところがその五振り手に入れた経過というのは、広島県から来たと。広島県の人は、ひとつ手に入れた経過は聞かないでくれ、どうにもぐあいが悪いからということでストップになっておったということで、審議会ではそこまでの伝来の話は確認をしてあった、こういうことですね。だから、広島から福島に来て、そして福島にこれだけある。しかもこれは一定の展示もした。みんなにそれを見てもらった。そういう品物だから、この五振りは間違いないということで、指定のこの審議会の場所にこれがかけられて、重文の指定を受けたということなんですね。  ところが、その後に、広島県の人が、私が手に入れたことについて、その先はもう聞かぬでくれと言っておったところが、その先の人が新しくあらわれた。この事実は文化庁は御承知でございますか。

遠山敦子文化庁次長

○政府委員(遠山敦子君) 先ほど申し上げましたように、その点についての事実確認をいたしまして、指定直前にわかっていた刀剣愛好家のさらに一人前の方までは確認をいたしております。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 そこで、大変私が心配するのは、福島県と広島県がこの刀の交換をするときに、かなり高額の値段がつくじゃつかぬじゃというような話があったんだけれども、広島県の方の希望で、ある刀を一つ私は欲しいんだ、その刀が手に入るならあなたのところに上げましょうということで、その刀を福島の方が手に入れて、一千万円で買ったと言ったのかな、値段はちょっとはっきりしませんけれども、お金を相当出して刀を手に入れて広島県の方からその五振りをもらった。  広島県の方の話では、初めは一振りを持ってきて、その最初の一振りは二百万か三百万で買った、そうしたらその後次から次へと出てきて五振りになった。その五振りを福島に持っていって、そして福島でもってこれが展示されて重文に指定された。  ところが、その広島県の愛好家の方が手に入れた先の人というのは、かつて刀剣ブローカー云々の問題で刑事訴追を受けた人であった。こういうことになっているんだけれども、その事実は御承知ですか。

遠山敦子文化庁次長

○政府委員(遠山敦子君) 最近わかりましたその刀匠の方が、広島県在住の刀匠であるということ、そのことについては確認をいたしております。  それから五振り同時に指定したということについての御疑問でございますけれども、福島県在住の刀剣愛好家の方、これは現在指定の五振りをお持ちの方でございますけれども、多数の上古刀を所有しておられます。結果的にその同一所有者の五振りを指定したということでございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 時間が参りましたので、また昼からも質問したいと思いますけれども、要は私が心配しておるのは、伝来がわからないことも確かにあると思うんですね、文化財指定に当たって。しかし、わからないことがあるにしても、その伝来について新しい事実が出たという場合には、新しい事実に基づいてもう一遍精密な調査が行われるべきだろう。こういうことを思っているものだから、今のところをちょっとしつこく聞いたわけです。  それからもう一つ心配しているのは、審議委員会の方々が、常任委員の方はその場で初めて刀剣五振りの審査を提案をされて、その場で決定された。そのときに、刀剣については素人だけれども、やっぱり伝来が大切じゃないかということをかなりおっしゃった。だけれども、間違いないものですからと言う事務当局、あるいは専門委員の方お二人がいい刀ですということをおっしゃったというようなことの中で、まあそれならばということで、これは行政の大変な責任の中で決定がなされたような印象があるわけですね。その辺のことがやっぱりもう少し明確に、この審議については、こういう経過でありました、そしてどうか国民の皆さん御安心くださいというような形でひとつ昼からはきちんとした答弁をしていただきますように要望いたしまして、午前の方はこれで質問を終わります。

柳川覺治自由民主党

○委員長(柳川覺治君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      —————・—————    午後一時開会

柳川覺治自由民主党

○委員長(柳川覺治君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 午前中に引き続きまして、もう少し刀の問題を質問しておきたいと思います。  先ほど言いました伝来の件ですが、この伝来について、教えてくれなかったといいましょうか、要するに文化庁当局が伝来を調査をしようとした、ところが、広島県のこれを所有されている方が、その出所についてはひとつ勘弁してほしいということで、教えてくれなかったと、こういうことを言っていると。これはもう間違いなかったんですね、その審議の段階では。だから、その後新しくこれは出てきたと。その新しく出てきた人から、初めて今度は広島県の方が、入手について、一遍に五振り入手したんじゃなしに、順番に入手してきたんだということをおっしゃったということでよろしゅうございますか。

遠山敦子文化庁次長

○政府委員(遠山敦子君) 私どもが聞き及んでいる範囲ではそのとおりでございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 そこで、実は刀剣登録証というやつがあるわけですよね。ですから当然、審議会のときにはその刀剣登録証はあったんだろうと思いますが、それは間違いありませんか。

遠山敦子文化庁次長

○政府委員(遠山敦子君) 間違いございません。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 そうすると、登録証があって、これが大分古いんですが、昭和三十四年のものと三十八年のものと、そしてまた昭和四十六年のものと、こういうふうに大分この刀剣登録された日付が違っておる。となると、当然そのときに届け出書を出すわけですから、届け出書に基づいてこれはもう——例えば私がAさんならAさんという人から刀を手に入れたとすると、このAさんの名前を言わずにその届け出をして登録するということは不可能なんだと思うんですが、その辺はどうですか。

遠山敦子文化庁次長

○政府委員(遠山敦子君) 登録の件でございますけれども、銃砲刀剣類所持等取締法というのがございまして、そこで登録についての規定がございます。「銃砲又は刀剣類の所有者で」「登録を受けようとするものは」「登録の申請をしなければならない。」ということでございまして、所有者が自分が所有者であるということについての登録をすればいいというふうに規定ではなってございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 届け出書と両方要るわけでしょう、ちょっとそこがわからないんだけれども。

遠山敦子文化庁次長

○政府委員(遠山敦子君) 突然のお尋ねでちょっと詳しく調べておりませんでしたけれども、新発見のものにつきましては届け出書を添えて登録するということでございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 そこで、広島県の段階でこれを見てみますと、この刀が違法登録になっている。要するに文化庁からこのことについて広島県の刀剣所有家の方のところに行かれて、その方が入手した先の話を聞かれて、わかったと。ところがそのときに、上古刀研究家の文書が出回っておって、この刀のことはもう広島県内では皆知っておった。そしてまた、この登録された場合に、どういう格好になっているかというと、この持ち込まれた五振りを自分や縁者の名義で登録した、こうなっている。これはもう時効になっていますけれどもね。いずれもこれは銃刀法に違反する行為です。  そうすると、銃刀法に違反する行為によって登録されている刀を、それがたまたま広島県から福島県に変わったということによって、そのことがわからぬうちに、今度は福島県ではそういうものではないものとして文化庁の審議にかけた、そして重文の指定を受けたということになってしまう。そうすると、国民にとっては非常に不思議な気がするわけですね。  例えば私は三重県ですが、三重県なら三重県で何か重要文化財が出たとしたら、三重県にとっては大変うれしいわけですよね。三重県で出たんだということでね。そして、それを文化庁にお願いして重文の指定をしていただきたい。もう三重県の郷土史にとっても大変うれしいことです。なぜその広島の人たちは、広島から福島へ持っていって福島から出てきたものとして登録されているのを黙っているのか、これがどうもみんなが、疑惑といいましょうかね、なぜそうなったんだろうというような話になっている。  となると、ここから後は憶測で物を言ったらいけませんけれども、広島で出たが、その広島で出たその出所を、その刀剣所有家の方が、その先から手に入れた事実についてこれをはっきりしたくなかったんじゃないかというような話になってしまう。そういう疑惑がそのままで現在国の重要文化財として指定されたままになっている、こういうことで果たしていいんだろうかというのが私の率直な気持ちなんですね。  だから、午前中の問題に引き続いて私がここで文化庁の方に私なりの意見も含めてお聞きしたいのは、まず一つは、この臨時委員を選任するに当たって、これはお二人とも東京都内に住んでおられない方ですよね。遠いところの人をわざわざ連れてきた。わざわざと言ったらおかしいですよ、たまたまその人が選考対象になったのだろうけれども。東京都内にも、例えば国立博物館なり、あるいは東京都に刀剣の展示館もある、専門家もおる、そういう人でなしに、わざわざ遠いところの人を連れてきた、これはなぜなんだろうかというような問題。  それから、古代刀と言えば、はっきりみんながこれはもうだれが見ても第一人者と思っている人がおる。そういう人にはほとんどこの指定の最終段階では相談もなければいろんなものを見せもしないで、そのまま十二人の刀剣については余り専門じゃない方々の前に出して、遠いところから二人の臨時専門委員を連れてきて、そしてひとつ承認をしてくれ、いい物ですから間違いありませんと。そして、審議委員の人が、伝来についてもう少しはっきりせぬと困る、猶予したらどうだろうかと、こういうことを言っておられる方が多かったにもかかわらず、本日この場で御決定をいただきたい、こういう経過になっておるわけですね。  どうもそこのところが、これが国民一般の間にいくとしたら、重要文化財の指定というものはそんな形で行われるのかしらんという大変な心配が生まれるわけですよね。その辺の問題については文化庁としてどうお考えですか。また、もし今後対応されるならばどう対応されるおつもりか、その辺ひとつお聞かせいただきたい。

遠山敦子文化庁次長

○政府委員(遠山敦子君) 二点の御質問でございますけれども、その前に銃砲刀剣類登録に違反しているのではないかというお尋ねでございますが、私どもの手元の資料では、これはきちんと広島で登録されたものでございまして、法律違反のものではないというふうに考えております。  御質問の第一点は委員の選任についてでございますけれども、なぜわざわざ遠いところから選んだかという御質問ではございますけれども、臨時専門委員の選任につきましては、その案件の調査審議にふさわしい専門家を選ぶという必要があるわけでございます。そのようなことのために、午前中もお答えいたしましたけれども、数名の候補者の中から、研究実績がしっかりしていること、そして人格的にも信頼できる人であることなどの全体的な適正さを考慮いたしまして判断したわけでございます。それは、距離が遠いとか都内におられるとかということではなくて、本来、委員を選任するという視点に立っての選任であったというふうに考えておるわけでございます。  それから、上古刀の専門家の意見を聞かなかったというお尋ねでございますけれども、午前中にも御答弁申し上げましたように、この件につきまして文化財保護審議会に提案するまでの間に、調査官を中心といたしまして文化庁の内部でも美術工芸品についての専門家がいろいろ内部的に調査をいたしました。また、それ以外にも広く研究者たちの研究成果も踏まえておりますし、また展覧会等に出品をしたりいたしまして、今、先生がおっしゃっておられる方も、多分その展覧会で刀を見ておられまして、その展覧会の後に文化庁の担当者に対しまして、これは上古刀としてしっかりしたものであるというふうにも言われたというふうにも聞いております。  つまり、この件につきまして臨時専門委員の専門家としての意見を尊重したということでございますが、上古刀のその他の専門家のいろんな反応も全く無視したということではないというふうに考えてございます。  ただ、先生の御指摘もございまして、このようなことについて文化庁といたしましては、重要文化財の指定というふうな非常に大事なことにつきましては、誠心誠意きちんと調査研究をいたしまして、その成果を踏まえて指定をするということは今後とも続けてまいりたいと思います。ただ、それに関しまして疑念が出された場合には、それに対しまして十分対処をしていく必要があるというふうに考えております。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 そうすると、刀剣の専門家と呼ばれる方々の名前がいろいろ挙がっております。特にこういうふうなことで今日まで私自身もこれをずっとこう見ていくと、重文指定についてはきちんとされているんだなということですっきりしていかなければ、どうも心配なわけなんですね。  私は、ここでもう一遍ちょっとくどいようにお尋ねしたいんですけれども、臨時審査員になられたお二人の方以外に、まだあと代表的な専門家と、こういうふうに言っておられる方、大体刀剣愛好家の方々も知っておられる名前、また国自身もかつていろいろと仕事を委嘱された方々、国立博物館に所属しておられたり、あるいはその中で重要な仕事をされておられた方もあるわけですね。もう一遍この問題について十分その方々に全部意見を聞くとか、こういう手順はお踏みになるのかならないのか、そこはどうですか。もう一遍皆さん方に寄ってもらって意見を聞くということは、それはおやりになるのかならないのか、その辺はどうですか。

遠山敦子文化庁次長

○政府委員(遠山敦子君) 重要文化財の指定というふうな非常に大事な仕事でございますので、指定自体に誤りはないと思いますけれども、疑念を持たれた方の御意見を聞くということは検討してみたいと思います。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 検討するということで、検討の結果やっぱり必要ないと、こういうふうなことになるとまた逆に疑惑が生まれますので、その辺は十分にひとつ含めて、今の次長の言葉をそういうふうに私は受け取りますから、そういうふうに対応していただきたいと思います。  それともう一つ、伝来の問題ですね。ここもやっぱりきちんとしていただきたい。これは別に審議委員の方の手を煩わさなくても、文化庁自身が役所としての責任を持って調査しなきゃいけない内容なんですけれども、伝来についての再調査はおやりになることはできますね。

遠山敦子文化庁次長

○政府委員(遠山敦子君) 午前中もお答えいたしましたように、伝来につきましても、さかのぼれるところまでさかのぼるということはいたしてみたいと思います。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 それじゃひとつそういう結果が出ましたら、ぜひまた御報告をいただきたいと思いますし、二十六日まで国会がありまして、その間にまだ文教委員会もたびたび開かれますから、できましたらそれぐらいまでに御報告をいただけるとありがたいと、こういう希望を私の方から申し上げておきます。  それじゃどうも文化庁ありがとうございました。  次に、大学院問題にもとへ戻りますが、今回提案されているこの北陸先端科学技術大学院大学、これは大学の形態としては独立大学院の形態になるかと思うんですけれども、そう解釈してよろしいですか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) そのとおりでございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 そうすると、現在独立大学院は、これを含めて幾つになりますか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 総合研究大学院大学、国立大学でございますが、これが一つ、これを含めまして国立大学二つ、それから私立大学で国際大学というのが新潟県にございますが、これを含めまして全国で三つでございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 それじゃ、連合大学院の状況は今どうなっておりますか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 農学部を中心とします連合大学院が全国で五つでございます。予定は六ブロックの予定でございますが、五つまでできております。それから獣医学部を中心とします連合大学院大学が二つできております。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 そこで、連合大学院と独立大学院というふうな形で、今からそれぞれまだ数もふえるでしょうし、内容の充実を図られるということになろうかと思いますが、この連合大学院と独立大学院の今後の展望について、どういうふうな考え方お持ちでございますか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 独立大学院大学につきましては、具体的に現在計画を私ども持っておりますのは、奈良の先端科学技術大学院大学でございます。これは関西文化学術研究都市に設置することを予定いたしておりますが、こちらは先端科学技術分野の情報科学とバイオサイエンスの二研究科を設置するということで現在構想を練っているところでございます。  その後、これ以外に先端科学技術大学院、独立大学院については現在のところ具体的な構想は私ども持っておりません。今後さらに先端科学技術分野が進展してまいりまして、その他の分野にまでこれらの独立大学院大学をつくる必要が生ずるという事態になりましたときに、既につくりましたこの北陸大学院大学あるいは奈良大学院大学に研究科を増設するという形で対処するのか、それともブロックを別にいたしまして他のブロックに新たに独立大学院大学を創設するという形で対処するのかという点につきましては、そういう事態になったときに、財政状況等を踏まえまして総合的に判断しなければならない問題じゃないかというふうに思っております。  それから連合大学院大学につきましては、あと農学を一ブロックにつくりますと農学については完成でございます。獣医は全国的に西と東ということで二つを当初から予定しておりましたので、今のところ獣医の連合大学院については一応計画どおり終わっておるということでございます。  その他、例えば水産関係等の連合大学院をつくったらどうかというような動きもございますが、これらは地域的な問題等もございまして、今後の検討課題になろうかと思いますが、具体的な計画の段階には至っておりません。  それから、その他の分野で連合大学院構想というのは考えられるかという問題もございますが、今のところその他の分野で連合大学院構想というのを計画あるいは大学で検討しておるというような状況下にはございません。  以上でございます。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 大学審議会等でいろいろとこの種の問題を御検討いただいておるというふうに私も聞いておりますが、我が国の大学制度は独立大学院の設置によって大きく変わる一つの今転機を迎えておるんじゃないかというふうに私は思うわけです。そこで、独立大学院の任務といいますか役割、それから連合大学院の役割、それから従来の大学の役割、そしてその間における人的配置の問題、私はその辺に非常に難しい問題があるように思うわけであります。  そこで、大学審議会の中でも随分審議されているかと思うんですけれども、独立大学院の場合はどちらかといったら研究分野が中心になってくる。そこで、例えばリカレントする者にも対応できるようにする。連合大学院の方はどっちかといったら教育の分野、プロフェッショナルなものを育てていく。そういうふうな役割に分かれてきはせぬかとちょっと心配するんですけれども、その辺の問題はどういうふうにお考えでございますか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 独立大学院につきましても、社会人を大体入学定員の三割ぐらい受け入れたいという構想でございまして、そして実践的な総合的なカリキュラムを設定して教育を行っていくという考え方でございますので、必ずしも研究者養成ということにウエートを置いて教育研究が展開されるものではないというふうに私ども理解はいたしております。  それから連合大学院、農学の連合大学院なんかも見てまいりますと、これは人的な問題もございまして、一つの大学で農学のドクターコースをつくるとすると、どうしても全分野にわたって教官が得られない。それならば各国立大学の農学部からそれぞれすぐれた先生に集まっていただいて、そして連合でドクターコースをつくれば、ほぼ農学の全部の分野をカバーできるというようなこともありまして連合大学院構想というものが発足したわけでございます。これもまた実践中心教育あるいは専門知識を持った職業人を養成するという分野のことにも力を入れておりますが、同時にそれぞれの農学部の後継者を養成するという側面も持っておりますので、必ずしも連合大学院が教育を中心にプロフェッショナルな職業人を養成するということに重点を置くというふうにはならないのではないか、私はそういう感じを持っております。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 いずれにしても大学院の役割というのは研究と教育と両面それぞれ持っているということでございますので、研究をしようと思ったら、ちょっと連合大学院じゃぐあいが悪いんだという印象を与えないような格好での今後のあり方というものをぜひお考えいただきたい、こう思います。  そこで、大学の問題で今大変難しいのは、大学院の前期といいましょうか、修士課程が終わった者で博士課程に行く者の数が大変少ない、特にアメリカと比較すると大変少ないというふうな状況でございますけれども、その原因はどういうふうにお考えでございますか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 大変難しい御質問でございます。  最近は工学部なぞはむしろたくさんの人が修士課程に進むわけでございますけれども、そんなに修士課程に進むんだから博士課程には相当進むのではないかというふうに見られるわけですが、しかし博士課程の段階に行きますと、ぐっと定員充足率が少なくなっておるというのが実情でございます。  これはどこに原因があるかというのは大変難しいんですが、一つには、やはり企業の方の採用形態といいますか、企業の方も修士課程までの学生はむしろ学部卒業生よりも企業としては非常に役に立つというようなことで求人活動を行うわけですが、博士課程まで卒業した人は、直ちに企業で十分活用できるようなそういうような場も少ないということもあるんではないかと思いますが、全般的に言えば、博士課程まで進む方は、その後民間会社に進むという人よりも、大学の教授になる、あるいは研究者として各種の国立の研究所等に進むということを目的に大学院のドクターコースに進む方が圧倒的に多いということになりますと、今度大学あるいは研究所の求人のキャパシティーがございますので、そういうこともあって、我が国ではドクターコースに進む人が少ないんではないかというふうに考えております。  アメリカやイギリスはむしろドクターコースでも専門的な職業人を養成するんだ、それと同時に研究者も養成するんだという両方の目的を明確に持っておりまして、ドクターコースに進む方が全部研究者志向ではありませんで、プロフェッショナルな職業人になるという人もかなりドクターコースに進んでおりますし、そのドクターコースを卒業した人をまた企業なども受け入れておるという実情がございます。そういうこともございまして、外国と比較すると我が国のドクターコースの進学率が非常に小さくなっているんじゃないかというふうに思っております。  これからの我が国のドクターコースは、単に研究者だけを養成するということだけではなくて、高度に専門的知識を有する職業人も養成するんだというそういう目的で、大学院教育、ドクターコースの教育研究をやっていっていただきたいというふうに私どもも期待いたしておりますし、同時に企業の方も、これは鶏が先か卵が先かになりますけれども、そういう人材がドクターコースから育ってくれば、また企業の方も受け入れるということになるのではないかと思います。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 アメリカのことが今局長からお話がございましたけれども、アメリカの状況は大変我が国と違う。その我が国と違う一番根っこの部分、それが私はいつも気にかかるわけなんです。  アメリカの場合は、大学の普通の学部を出たら、例えば専門の何か一つ名前がありますが、そこから今度は全然違うところへでも行けるわけです。大学院というのは普通の大学を出た者がかなり自由に移動していく。我が国の場合は、例えば東京大学なら、法学部を出た者がその法学専攻の大学院生になる。これはもう確固として固まっておるわけですね。ところが、それが全然違う商学部であろうと経済学部であろうと、もっと言えば理科の卒業の連中であろうと法学の大学院にも入れる。その辺が我が国と全然違うわけですね。ですから、非常にオープンになっている中での大学院がある。  しかも大学院の卒業生が我が国と比べて圧倒的に多い。ちょっと何倍かという数字は忘れましたけれども、大変な数ですね。そうすると、修士の卒業の資格を得た人がその道へ入っていくかといったら、必ずしもそうでもない。この前、三、四年前までおった中日ドラゴンズの何とかいう野球の選手がマスターだった。あるいはこう言ったらおかしいんですけれども、我々政治家の中で修士課程を卒業した人が何人おるかといったら、大変少ないんですよね。  ところがアメリカの場合は、もう修士なんてざらにおって、博士もどんどんおる。ですから、大学で専攻したということが、そのままずばり自分の就職とか職業生活に直結する分野というものもありますけれども、それが非常に融通のきく社会の仕組みになっている。その辺の問題がありますから、私は一概に比較はできないと思いますけれども、我が国の今修士から博士になっていく人あるいは修士へ進む人の数の問題というのは、そういう仕組みの問題と関係があるように思えて私はならない。  日本の国が二十一世紀に活性化していこう、さらにもっと発展していこうとするならば、今のような学部の閉鎖性といいましょうか、場合によっては、今度は大学院に入ったら担当教授のうちの、今はそんなこと余りありませんけれども、下男と言ったらしかられますけれども、それぐらいの気持ちで先生につかなきゃいけない。また、今度は博士課程に行ったらもっと、先生の論文の助手、論文の下書き、そんなこともしっかりやらされる。徒弟教育みたいな教育になっている。そういうふうな学部もないでもなかろう。まだ残っているわけですね。  だから、そういう今の我が国の大学院のあり方、大学のあり方、それから修士という格付の意味、博士というものの格付の意味、そういうものを含めて、一番根っこの部分にある問題が、今の我が国の大学の学士から修士へ、修士から博士へと、こう行くその素直な流れをとめているように私は思えてならないんですね。  それをどうしたらいいかといったら、どんなにこれは教育界だけで頑張っても、どうにも手も足も出ない。じゃ企業の方はどうするかといったら、大体企業の方が非常に税制から何から優遇されていますから、中で設備投資がどんどんできる。研究施設なんかどんどんできる。そうすると大学に負けぬような立派なもの、というより大学なんか問題にならぬようなものをどんどんつくっていく。となると、いよいよ我が国の大学というものは影が薄い存在になっていく。  企業の方は、優秀な人はもう何なら大学の学部だけで早く来てください、そして我が社の研究に貢献してくれというような格好になっていったら、私は日本の教育の将来は大変心配なものになりはせぬかと思うんですね。ですから、アメリカの場合は、企業が教育や研究にお金を出すという場合に、本当に出しっ放しなわけです。そんなにひもをつけない。もちろん、ひもをつけるというのもありますけどね。そんなことも含めて、これは文部大臣、ぜひそういう産業界というものとの話し合いを教育の責任者として文部省はもっとやっていただかなきゃいけないというふうに思うんですが、その辺についてのお考えはいかがでございますか。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○国務大臣(保利耕輔君) 産業界の皆さんと時々意見を交換することがございますが、そうしたいわゆる高度のサイエンスの分野で勉強してきた人材をできるだけ供給する体制をつくってほしいと、こういう御要望をいただいております。まさにそれはそのとおりだと思いますし、また、大学における研究者がみずからそこでいろいろと後輩を指導していくことによって、またその層が厚くなってくるというようないろいろな関係がございます。その辺を注意深く私どもとしてはリードしていかなければならないんじゃないかと、こういうふうに考えます。先生の御指摘のとおりだと思います。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 私は少なくとも博士課程で学ぶ学生というか、研究者と言ってもいいんですが、その人たちに対して、今国からは育英会の奨学金が月に八万三千円、あるいは学術振興会の特別研究員になれば十三万一千円ですか、こういうものが出ているわけです。別にロックフェラーという名前を出す必要ないですけれども、それこそもっと基金をつくって、日本の大学で修士なりあるいは博士なりで学ぶ者に対しては、その基金でもってゆっくり勉強しなさいというふうな制度をつくって、その間本当に学問に専念できるという体制にしていかなければだめなんじゃないだろうか。  そしてまた、そういうことで出た人は、今度はそれだけの社会的待遇をきちんと与えていく。アメリカの産業別の学士、修士、博士それぞれの各界に入った月収の比較がありますけれども、それを見ると、明らかに博士が一番高いです。それから修士、学士と、こうなっている。特に教育の場合、教育界に入りますと修士がまたどんと高いんですよ。私がそんなこと言うとしかられますが、大学院大学賛成とか言ったというようなあれになって。それは別にしまして、要するに高い学歴の者に対してはその学歴のものを保障するという、そういう仕組みというものが私は必要だろうというふうに思うんですね。だから、そういうことに対してもやっぱり取り組んでいかなければ、本当の意味での高等教育の普及というものがなかなか難しいんじゃないか。  今は昔のように清貧に甘んじて象牙の塔に閉じこもって勉強すりゃいいという時代じゃないというふうに少なくとも思うものですから、今後の課題として十分文部省の中でもお考えの中に入れておいていただきたい。これをひとつお願いしておきたいと思います。  それから、時間がなくなってまいりましたが、塩川文部大臣のときに日本の国で初めて生物資源学部というのができた。この生物資源学部というのは、これは世界でたしかアメリカで一つか二つ、イギリスで一つ。我が国ではこれが初めてできた。この生物資源学部ができたときに、塩川文部大臣に、こういうすばらしい名前の学部をつくった、文部省は新しい時代に対応していろんなことを考えているんでしょうという質問をいたしました。なかなか大臣にはいい答弁をしてもらった。これが今からの我が国にとって大変必要なことであるという趣旨のお話をしている。また局長も、当時の阿部局長は、「食糧、天然資源及び木材などの衣食住にわたる生活に必要な生物資源。それから二番目には、森林とか田園地帯の緑の資源のように、人間と共存しながら保水、酸素供給、観光、休養の場等となる環境資源。そしてまた三番目には、これらの有用生物を育成する母体である土壌、水、大気等の自然資源」、こういうふうなものを対象とする大変二十一世紀にふさわしい学部であるということを言っているんですね。  そのとき私は、これは当然そうなれば、もっと専門的に、要するに環境問題からあるいはバイオ問題から先端技術まで全部含めて、それも環境は地球環境全体の中での生物資源の問題も全部入ってまいりますから、大変なことになる。となると、これは学問のうんのうをきわめる、そういうものも必要になってくるんじゃないかということを思っておった。ところが、昔の農学部と水産学部を合併いたしまして、予算も余りふえていないような気がいたしますし、どうもあのとき塩川文部大臣が答弁されて、そして高等教育局長がお話しされたことからの発展がないような感じがしてならないんですけれども、その後の発展の状況についてはどういうふうなお考えでございますか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 三重大学の生物資源学部は、もう先生御承知のとおりに、農学部と水産学部を発展的に改組、統合したものでございます。学部設置に伴う施設の整備は、六十三年度から平成二年度まで行っておりますし、さらに二期の施設整備計画として平成四年度から整備を行うという計画を持っております。それから設備の整備につきましても、六十三年度から平成三年度までの整備計画と、それから特別設備費等につきましては六十二年度から平成元年度まで一億六千万ばかりの予算を配分いたしまして整備を続けてきたところでございます。  農学部、水産学部を統合したとき、大講座制等をつくって改組いたしまして、先生が今御指摘になりました環境問題までを含んだ幅広い教育研究を行っていくということで、そういう姿勢で今日まで学部教育あるいは修士レベルの教育を行ってきているというふうに私ども理解いたしております。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 学生たちの間で、名前が変わったということから大変空気が変わってまいりまして、そしていろんな新しいサークル等も生まれてきている。それから、いわゆる生物資源という観点からのさまざまな自主的な勉強等も進められているような状況になってきているわけです。そして両学部が合併するときに、将来構想についていろんな話し合いがありまして、そのときに文部省の方も、これは将来きちんとした大学——きちんとした大学と言ったらおかしいんですけれども、学問のうんのうをきわめるという意味で、大学院等の設置も含めて検討していこう、こういうふうなニュアンスの中でこれが話し合いが進められておったというふうに私は受けとめておるわけです。局長うなずいておみえでございますから、その辺の話し合いについては御承知だろうというふうに思います。  私がここで申し上げておきたいのは、アメリカの場合でもそれからヨーロッパの場合でもそうだと思うんですけれども、例えば農学部とか水産学部とかいうふうなものが、どちらかといったら国のセンターにあるよりはむしろローカルな部分にいろいろ配置されている。それとあわせて地形的にもその地域を生かしていろいろと研究施設等もつくられるというふうな状況が多いように私は思うんです。  生物資源学部つくるときに私がここでも質問をいたしまして意見を申し上げたのは、黒潮が一番日本列島に近接する地域であって、しかも南北二百キロメートルの直線で、大変緯度も変わってくる。雪が降るところもあれば、夏は暖かくてというふうなさまざまな生物条件がある、山もある、平野もある、湾もある、太平洋もある、そういうふうなことを含めて、本当にここに来たらその種の問題が徹底的に勉強できるものにしてほしいということだったのですけれども、ひとつそういういろんなことも含めまして、ぜひとも塩川文部大臣がお話しになったようなことをさらに発展させるということで、この際もう一遍保利大臣から、そういう世界で三つしかないような大学ならば、その大学の発展のために十分考えましょう、こういう御答弁をいただきたいのでございますが、いかがでございますか。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○国務大臣(保利耕輔君) 生物資源学という学問は大変大事だと思いますし、私も長いこと農林関係をやってまいりまして、いろいろな場でそういうことの重要性というのを討議をしてまいりました。かかる意味において、生物資源学部のこれからの発展というのは、どうしても将来の日本列島をきちんとした形で維持をしていく、あるいは世界にまたその成果を示していくというような意味において大変大事だと思いますから、十分に力を入れてまいりたいと思います。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 私は、本法案に関連して、まず今後の高等教育のあるべき改革について伺いたいのでございます。  今日の我が国は、社会の高度化、経済構造の変化によって高等教育の大衆化が進み、学術研究の著しい進展に対応した高等教育の改革を推進することが重要な責務であると考えるのでございます。  そこで、文部大臣は、我が国の高等教育がこれまで果たしてきた役割をどのように評価し、今後、二十一世紀に向けてどのような方向で進むべきかについての所信があるかと存じますので、まずお伺いをいたしたいと存じます。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○国務大臣(保利耕輔君) 現在までに日本において高等教育が果たしてきた役割は、いろいろ御意見はありますけれども、やはりそれなりの成果を上げてきている、ある意味では大きな成果を上げてきていると思います。今日、日本がこれだけの高度成長を遂げてまいりましたのも、一つはきちんとした高等教育を受けた人たちが頑張ってくれたという、その成果であろうかと、そういうふうに考えております。  さらに、今度この高等教育の内容をいろいろと高度化をしていかなければならない、あるいは多様化をしていかなければならないという時代の要請がありますが、そういう時代の要請に向かって私どもさらにその内容を充実していくように努力をさせていただきたいと存じております。  同時に、その問題等については、大学のあり方に関連をいたしまして大学審議会の中で種々討議がなされております。そうした二十一世紀に向けてのその審議会での討議のありさま等を十分に参考にさせていただいて、立派な高等教育が今後ともできていくように我々も努力をしてまいりたいと思っております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 特に私は、資源の少ない我が国にとって、やはり人的資源の活用というものによって今日の経済大国を形成してきたことを思い起こすとするならば、特に高等教育が果たした今日までの役割というものがいかに大切であるか、そういうものに思いをはせたときに、今日のこれだけの経済成長を位置づけ、さらに世界の平和と人類福祉に貢献できる日本をどのように国際化していくかということを考えたときに、教育の重要性というものに思いをいたさなければならないのではないだろうかと、こう思います。  我が国の十八歳人口を考えてみますと、平成四年度でピークになりまして後、急減期に向かう。文部省もその対策としていろいろのことをなされてきたことは私も評価をいたすのでありますが、昨年度四十万人、今年度四十三万人の大学受験者の不合格が出たということを考えたとき、過去の高等教育の合格率は昭和四十七年度では七五%、平成元年度では六四%と年々低下している現状であります。入学定員を適正規模に急増期において位置づけることは、国力を培養する大きなエネルギー源になると私は思っております。  文部省では急増急減対策として、当初八万六千人の恒常的、臨時的定員増を計画してきたようでありますが、その後の新志願者率の向上や私立大学の適正定員の確立によって、当初の急増対策では来年度の大学受験の不合格者がふえるのではないだろうか、私はやはり四十数万人という人間が大学教育を受けられないというようなこの現状をこのまま放置していいかということについては、非常に疑念を持ちます。  このような現状をどのように救済し、大学教育を受けたいという者の多くの人たちをそれぞれ収容でき得るような具体的対策をどのように考えておるのか、その辺のところをまず聞かしていただきたいと存じます。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 先生も今御指摘になりましたとおりに、十八歳人口が平成四年の二百五万をピークといたしまして、その後二十一世紀初頭までの八年間の間に百五十万まで減少し、さらに数年間で百三十万人台になるという急増急減というそういう人口動態を頭に入れまして、文部省としましては昭和六十一年から七年間、昭和六十七年、平成四年までの七年間の高等教育計画を立てたわけでございます。  そのとき、先生今御指摘のとおり、この間に八万六千人の大学入学定員を増加すればいいだろうというまず計画を立てました。これは昭和五十八年から計画に着手したわけですが、昭和五十八年の三六・四%、三六・五%ぐらいの進学率は平成四年度のピークでも確保できるだろうという計画でございました。これは昭和六十三年度までに既にその計画を達成いたしました。ただ、急減いたしますので、八万六千のうち四万四千人は期間を限った定員増、言いかえれば臨時的定員で、十八歳人口が減少するにつれてその定員は削減する、そういう措置でこれに臨んできたわけでございます。  先生御指摘のとおりに、五十八年から過去十年間の高等教育の志願率というのは四五%程度でございました。ところが、六十一年から数年間の間にこれが四八・五%、三・五ポイントも上昇したということ。それから、今先生も御指摘になりましたけれども、いわゆる私立大学の定員超過率というのは一・三六が五十八年度の状況でございまして、この計画期間中は十八歳人口が伸びるであろう、したがって私学の定員超過率は大体一・三六ぐらいでいくんではないかという見通しでございましたが、これが一・二八に改善されてきたというようなこともございまして、六十三年度で計画は達成されたのでありますけれども、現実に平成元年度の状況を見ますと、四十万人の大学に行けなかった人が生じたという事態になったわけでございます。  そういうことを踏まえまして、私ども臨時定員を含めて平成四年度まで、計画を既に達成いたしましたが、計画数を超えてなお整備していく必要があるだろうということで、今整備を続けているわけでございます。  さらに、本年の三月には、臨時定員の増募を認可する場合の条件も緩和いたしまして、私学が臨時定員の増を申請しやすいように改正したところでございますし、国立大学につきましても、私ども来年度、与えられた条件の中でできる限り学生の定員増を図っていくということで努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 今の局長の話を聞くと、来年度は不合格者が四十三万以上にはならぬ、そういうように理解していいんですか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 平成元年度の不合格者が四十万、本年度は、先生先ほど四十三万というふうに御指摘になりましたが、本年度の最終的な数字は出ておりませんが、恐らく私どもも先生が御指摘になったような数字ぐらいになるんじゃないかというふうに予想いたしております。来年度どのぐらいになるのかというのは、非常に難しいんですが、私立大学の定員増の申請の状況などを勘案しなければ一概に予想はできませんけれども、極力私どもとしましても不合格者が少なくなるような、そういう努力はいろいろしてまいりたいというふうに考えております。数字として平成二年度と同じぐらいになるかどうかということについては、ちょっと予想が立ちにくいという状況でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 それはまあ理解できますけれども、やはり人的な資源を開発していくということが日本の生命線であるという一つの認識、日本をもっと豊かにするということは、人間的豊かさと人間的頭脳が世界の平和と人類の福祉に貢献できる公共性の高い人格養成をする高等教育に学ぶ学生を育てていくことであり、これはもう文部省の大変大きな仕事だろうと思うんですね。そういう意味では、一人でも多くそういう機会を与えていくという施策を勇敢にやっていくということが日本の財産をふやすことでありますので、ひとつ本腰を入れて努力してもらいたいと、こう思います。  そこで、文部省が策定した急増急減対策は、定員増の総数では先ほどの話のように、一二九・四%と計画を上回っているということは評価できると思うんです。しかし、その計画のうち、地域別の定員増計画で見ると、新潟、長野、山梨、静岡の甲信越静地域で五〇・一%、計画の半分きり達していない。それに比して滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山という近畿地区では一九七・三%と倍近い達成率になっている。地域的に見ると、計画を達成していない地域が十三地域中七地域もある。なぜこのように地域的な偏りが出たのか、その理由をお聞かせいただきたい。  また、文部省は、全体で総数が達成されれば計画は達成されたと見ないと思うけれども、その辺のところをどう考えるのか。地域によっては半分ぐらいきり達成していないところも、定員増の申請が出れば認めていこうとする考えを持っているのかどうなのか、その辺のところの地域差というものを是正するにはどういうような具体的な施策を考えているか、お聞かせをいただきたいと思います。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 確かに先生御指摘のような数字が出ているわけでございます。六十一年からの高等教育計画を作成する段階で地域別の整備目途を設定する場合に、地域別の十八歳人口の推移でやりますと、近畿、東京が相当の整備目標になってしまうわけでございます。そこで、過去の整備の実績等を踏まえつつ、高等教育への進学率や自県内入学者の低い地域についてはこれらを高めようということで、特に高い整備目途を設定することによって当該地域の整備が進むよう誘導を図ってきたものでございます。  しかしながら、国立大学はもちろんそういうことはございませんが、私立大学の方の認可申請の立場から見ますと、どうしても経営的に学生が集まりやすい立地のところに大学が集中しやすい傾向にあることは先生御承知のとおりでございます。そういうこともございまして、結果的にやや予想数字よりも高目に誘導しようと思って数字を設定したということと、それから私学がそれらの地域に余り進出していかなかった、定員増の申請がなかったというようなこと等が重なり合いまして、地域別の整備状況について計画に若干格差が出たということは御指摘のとおりでございます。  ただ、地域別の学生集中度や収容率につきましては、これは大都会地と郡部と申しますか地方と比較いたしますと、かなり地域差が縮小している傾向にあることは事実でございます。私どもも、こういう縮小していく傾向の芽を大事にして、これからも是正のためのいろんな施策を考えてまいりたいというふうに考えております。  それから、これらの地域において私学が新たに設置申請をしてきた場合にどう対応するのかということでございますが、私どもとしましては、経営上の問題がなければ、仮に十八歳人口が減少する時期においても積極的に対応してまいりたいというふうに考えておりますが、同時に、先ほど申し上げましたとおりに平成四年のピークを過ぎますと急激に十八歳人口が減少するというこの厳しい事態も十分頭に描いて高等教育政策を考えていかなければならないわけでして、そういうことも踏まえながら、一方収容率の低い地域においてそういう申請があれば、積極的に対応してまいりたいというふうに考えております。  なお、平成五年度から二十一世紀初頭の西暦二〇〇〇年までを目途にした高等教育計画につきましては、現在大学審議会の高等教育計画部会で御審議をいただいておりまして、来年の春ぐらいまでにはその新しい高等教育計画が答申をいただけるのではないかというふうに期待いたしております。その高等教育計画をもとに、先生が御指摘になった点を踏まえつつ適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 私は、企業は人なりとよく言われるが、国家も人なりと言えると思うんです。我が国が二十一世紀に向けて一層の発展をし、世界に貢献していくためには、国民一人一人の不断の努力、こういうものも必要ですし、そのために優秀な人材の輩出が強く求められなければならない。今年度も四十三万人と言われる不合格者が出たということ、高等教育を受けたくても受けられない人が出ることが、今後もこのまま放置されていくと予測されるのではないだろうか。多くの国民に高等教育の門戸を開放して、現役学生ばかりじゃなくして一般人や社会人がいつでも教育を受けられるような適切な措置を図っていくということがこれからの日本をさらに発展させるにはなくてはならない条件であろうか、こう思うんです。  生涯学習というものに力を入れようとしている文部省の施策には私は大変共感をし、こういうものも含めて日本人の教育水準を高めていくということが、国際的に通用する良識ある人材になる日本人をつくるという意味においては大変価値があろうかと思います。そういう意味で、局長の今までの答弁の中で、前向きに検討したいということについて私は敬意を表したいと思います。  文部省はさきに坂元高等教育局長名で「大学の設置等の認可申請に係る書類の様式及び提出部数の一部を改正する告示の施行について」という通知を出しておりますが、報道によりますと、この通知は私立大学の臨時的定員を恒常的定員の二倍まで認めるというように報道されております。ところが本文を読んでみると、「これまで期間を付して入学定員を増加する場合に課していた定員増数についての制限についても、その取扱いを緩和したところであります」と書いてあるだけであって、二倍まで認めるという言葉はどこにも出ていない。この通知は本当に報道されているような内容を持っているのかどうか、これ大変私学の人たちは迷っている。迷うようなことは文章の中ではやらぬ方がいいし、そういう報道をされたとするならば、違うなら違うというはっきりした見解を出してもらいたいと思います。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 先ほど申し上げましたとおりに、昭和六十三年度で計画を達成したという段階で、臨時定員増を認める場合の人数の基準というものを少し厳しくしたわけでございます。例えば、恒常的定員の規模の小さいところは五割程度、規模の大きいところは三割程度ぐらいを限度とするというようなことに、これは昭和六十二年の改正でしたが、改めたわけでございます。ところが、先ほど申し上げましたような事情もございますので、先般、大学設置審議会の審査方針を変えていただきまして、「期間を付した収容定員の増加を認める限度については、特に制限を設けないが、教育に支障を来すことのないよう、個々の事情を慎重に審査するものとする。」という、そういうややわかりにくい表現でございますが、こういう表現にしてもらったわけでございます。  この趣旨は、昭和六十一年に計画がスタートしたときの審査方針と同じ審査方針でございまして、特に制限は設けないけれども、教育に支障を来すことのないよう個々の事情を考慮して判断するということで、実際に取り扱ってきた取り扱いは、二倍までは認めようということで、昭和六十一年、六十二年と臨時定員の扱い方を取り扱ってきたわけでございます。したがいまして私どもとしましては、制限はつけませんけれども、目標といいますか、目安としては大体二倍までは臨時定員増の枠を認めるということで大学設置・学校法人審議会で臨時定員の審査をしていくものだというふうに考えているわけでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 二倍まで条件が整うならば認めるという認識なんだということは理解いたしました。  ところで、本年の六月八日の日本経済新聞の報道によると、国立大学の六十一年度からの恒常増方針は八千二百人と記載しているが、現在までのところ二千七百人しか達成していない、こういう記事があるが、事実でしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 先ほど申し上げました高等教育計画を策定した段階で、臨時定員増につきましては国立大学の目標は大体八千六百人だったと思います。八千六百人という一応のめどの数字は計画の中に率で盛り込んだんですが、臨時的定員増の大体五分の一ぐらいは国立で行うという目標は作成いたしましたが、恒常的定員増につきましては、計画の中では、国立がどのぐらい持つ、それから私立がどのぐらい持つという国公私立ごとの持ち分というものは数字は決めておりません。したがいまして、八千二百であるけれども、八千二百の計画に対して二千数百しか恒常的定員はふやしてないという前半は、そういう計画がなかったわけでございます。ただ、後半の数字は大体そのぐらいの数字でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 結局八万六千急増期対策でふやすということの中で、私立に大変比重をかけて、私学の教育条件をさらに悪くしつつも、私学は国家社会のために受け入れなきゃならぬという次元で受け入れて、国立の方は余り受け入れたくないから受け入れないんだというような、そういうような認識を私たちは持ちます。逆に、私学に負担を余りかけては申しわけないので国立はこれだけ持ちますよといって、やはり国と公私の関係のバランスというものが日本のバランスをとる要因になるんだから、私はやはり文部省もその辺のところをよく考えて、みずからも努力をしていくという姿勢を出すということが、これからの私学行政を円満にやっていく、あるいは日本の教育というものを正常化していく、信頼度を増していくには、そういう努力の跡を見せてもらいたいと思うんです。  また、急増期から急減期になった場合、私学はかなりの数の生徒を抱えておる、急減期になったからといって先生を首にするというわけにはいかぬ。施設をふやしたけれども、それを維持するにはどうするかという問題もあるわけですが、そういうものに対してやはり文部省としては、急増期に貢献した私学に対しては、それなりのやはり財政的次元の中で援助を考えつつ正常なる形に戻るまで支援しますよというような姿勢をとるべきではないかと思うんですが、文部大臣いかがですか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 確かに十八歳人口が急減いたします平成五年度からどういう事態になるのかということは、私どももちょっと予想ができないんですが、ちなみに昭和四十五年から五十五年、一九七〇年代にアメリカが十八歳人口が急激に減少するという事態を迎えたわけでございまして、その前にアメリカの教育学者などが、アメリカの大学冬の時代到来というような観測記事あるいは論文等を発表していたわけでございます。ところが現実問題として、十八歳人口が急激に減少するにもかかわらず、アメリカの大学で、つぶれたと言っちゃ恐縮ですが、つぶれた大学は余りなかった。むしろそれは経営努力をほとんど行わなくて、つぶれるべくしてつぶれた大学だというふうに日本のアメリカの大学事情に詳しい学者が著書に書いて発表いたしております。  先ほど先生御指摘のとおりに、これから生涯学習に向けて大学の教育研究機能をもっと社会に開いていかなければならない。その場合に、社会人の受け入れももっと積極的にやっていかなければいけないでしょうし、それから今大学審議会でパートタイムスチューデント制度、これはアメリカなんかはかなりの人数いるんですが、これは特定の科目だけしか大学で受講しない、あるいは幾つかの設定されたコースの科目しか受講しないというような学生を認める道もこれから開いていかなければならないというふうに考えております。  それから夜間の大学院がかなり、つい最近は筑波大学、法政大学あるいは青山学院などで大学院を社会人相手にやり出したわけですが、これが何十倍の競争率でたくさんの社会人をそこで引き受けているというような状況等を加味しますと、大学は単に十八歳から二十二歳までの人口層ではなくて、かなり幅広い人口層を抱え込む、そういう道も制度的にも開かなければいけませんし、我が国の生涯学習に国民の意欲も非常に進んでいるということから見ると、門戸を開けばそういう人たちが大学で受講する数もふえていくんではないかというようなことも考えられるわけでございます。  それともう一つは、現在四八・五%と申し上げましたが、大学志願率はもう少し上がっていくんではないかという気がいたします。それで、十八歳人口は減少しますけれども、大学志願率の増、それから私学における定員超過率をさらに改善していく、それから社会人などを受け入れる道も開くというような努力をしていくことによりまして、十八歳人口が急減する段階においても私学の経営が何とかやっていけるというような予想も全く立たないわけでもないわけであります。  それから先生が御指摘になりました、そういう段階において国として私学にどういう対応をすべきかということも含めまして、現在先ほど御説明しました大学審議会の高等教育計画部会で御審議をお願いしている段階でございまして、その審議結果をまって適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○国務大臣(保利耕輔君) 今局長から御答弁を申し上げましたとおりでございますが、ここあと二、三年はやはり不合格者数等がふえる、少なくとも横ばいぐらいであってほしいと思いますが、多少ふえる傾向がございます。その後は平成五年度からは十八歳人口が急激に減少してまいります状況を受けまして、その減少と、それから今局長が言っておりました志願率の上昇とが見合いの形になるのかな、志願率が多少上がっても、やはり人口の減少の方が勝つような感じがいたします。  そうなってきますと、先々いろいろなことが考えられますけれども、今局長が述べましたように、一つは生涯学習の場を提供するという形になってこようかと思います。私どものところでも既に、国立の大学が一般市民に公開講座等を設けるような形で大変人気を博しておりますが、これはやはり高齢化社会を迎えて皆さんが勉強したいというお気持ちが強くなってきたそのあらわれだろうと思いますし、こういったものにやはり的確に対応していくという方向づけが一つあろうかと思います。  もう一つは、留学生の問題でございますが、今私どものところでは大体三万人ぐらいが留学生ということで位置づけられておりますが、将来計画としては留学生十万人計画というのを持っております。大学の入学者数が七十万であるということを考えますと、十万というウエートはかなりのものがあろうかと思います。  そうした方向へ向かって整備の努力をしていく。それによって将来の十八歳人口減少に備えていく。経営的に言えば備えていくんでしょうけれども、そういうふうに変貌していくであろう。その変貌の姿を的確にとらえて、これに対処していく方策を考えていくというのが私どもの任務だと、このように考えております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 まあ一生懸命急増期に貢献したならば、急減期でいろいろな問題が出た場合、わしゃ知らぬよと言わないように、文部省はそれなりの手当てをきちっとするということをひとつお願いしたいと思います。  そこで、今度は法案の中身に入りますけれども、東京工業大学に生命理工学部を設置する内容が含まれている。これは先端科学技術分野である生命科学、バイオテクノロジーの分野の著しい進展に対応するために設置するものであると私たちは理解しております。  そこで、東京工業大学生命理工学部は、生命科学、バイオテクノロジーの分野に関する総合的な教育研究を行う我が国初めての学部であると私は思うのでございますが、生物または生体という言葉を用いずに、生命理工学部との名称を冠した趣旨と概要を、余り時間がないので要点だけお知らせいただきたいと思うんですが。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 東京工業大学の生命理工学部は、生命現象の総合的な解明と応用を目指す学際領域である生命理工学の教育研究を推進しようとするもので、その内容を最も適切にあらわす学部の名称としまして生命理工学部としたものでございます。  生物、生体というのは物として扱う場合の名称でありますが、物とそれからその物の持つ機能を集合体として扱う場合には、広く生命としてとらえた方が的確な表現ではないかということで、生命理工学部という名称にしたものでございます。言いかえれば、生命科学というのは、現在理学部で行っております生命科学——生命の機能、機構を遺伝子、たんぱく質等の分子レベル、細胞レベルで解明する学問分野と、それから工学部で行っておりますバイオテクノロジー関係の学科、生命科学を応用して生物の機能を利用したり模倣したりすることによって生産に結びつける技術に関する学問分野、これらを総合的に生命理工学部で教育研究を行うという趣旨で創設したものでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 私は、これ文部省はよう許可したなと思います。大体難しい名前持っていくと、そんなものはないと言って受け入れないのが文部省なんですね。しかし、今回生命理工学部という固有名詞を使うということは、これはやっぱり世界的次元の中で、地球も生き物なるがゆえに、この地球をみんなが大事にしなきゃならぬという生命一体的な次元での新たなる二十一世紀の展望を学際的次元でとらえるということで、私は大事なことだと思うんですよ。そういう意味で、非常に私はいいと思う。  しかし、この生命理工学部の卒業生の進路はどういうふうに考えているんですか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 私どもとしましては、バイオ技術による医薬品等の合成開発あるいは新ホルモン等の生産というようなことで、医薬品工業に進む方もかなりいるんではないか。それからバイオ技術による診断装置の開発で、医療機器工業に進む人、それからバイオ技術による常温常圧下での化学反応の促進技術、生体内での省エネ、省資源、無公害の反応システムの模倣ということで化学工業に進む人、あるいは生物の浄化機能の模倣による汚水処理、大気汚染処理方法の確立ということで環境関連企業に進むであろう、あるいは酵素、微生物の固定化等による生物機能を利用した有用物質の製造ということで食品産業、それから生体高分子やこれを模倣した物資を利用した生物素子、バイオチップの開発を行うということで電気機器産業、あるいはバイオ技術による高効率精錬法の開発、利用ということで鉱工業に進むというほか、大学等の教育あるいは研究に従事する、そういう形で進路を定める者もいるだろうということで、産業界の需要というのは非常に高いものがありますので、今私が申し上げたようなところにほとんどが進んでいくんではないかというふうに考えております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 非常に私は内容的にはすばらしいものだと思う。人間生活が高度化すれば高度化するほど、それを支えていく具体的なやはり科学防衛、学問の防衛というものが人間社会にとって必要だと思うんです。今の話を聞くと、バイオテクノロジー等も扱うということですが、バイオテクノロジーには遺伝子操作がつきものです。東京工業大学には昭和六十一年から既にバイオテクノロジー、バイオサイエンス関係の学科が存在し、研究が盛んに行われていると聞いております。例えば、土の中で六週間で分解する無公害のバイオプラスチックを生産・分解する微生物の研究、また、硫化水素や硫化メチルといった悪臭のもとを好んで食べる微生物を利用してし尿処理場の脱臭装置を開発しているなど、マスコミ等で大変報道されております。  こうした報道で知る限りは、東京工業大学においては、特に微生物の研究が盛んに行われているという印象を受けております。大腸菌の遺伝子を操作することによって、人間にとって有益なインシュリンをつくり出すことができるなど、バイオテクノロジーの発展は人間にとってますます重要な意味を持つのではないか。大変そういう分野の開発というものは人間の将来にとって非常に有益なるものをもたらすと期待できるような、すばらしい学際だと私は思っております。  一方、このような微生物にも命があるわけでございますので、新しい生物をつくり出すことによって、現存する自然界の秩序や人間生命の尊厳にかかわる問題に及ぶおそれはないとは言えないと思うのでございます。そこで、これらの研究開発にかかわる研究者等には、高い倫理観というものが求められなければならない、ここに大きな今後の課題があると思うんです。  軍拡競争によって世界というものは大いなる変貌を来し、また軍縮への道を歩まなければ人類は共存できないという認識のもとに軍縮に走っております。しかし、軍拡を支えてきたのはだれかといえば科学者です。軍縮を支えるのも科学者です。なるがゆえに、生命工学的なものを、あるいは人間の生命にかかわる重要な開発をする研究者というものには、人類の平和と繁栄の中でのしっかりした倫理観というものをどっかできちっと教えないと、私は、平和なる世界は確立しない。  そういう意味では、一方において先端のバイオテクノロジーなり生命科学というものを追求する傍ら、そういうものを学び、そういうものを生み出す科学者なり研究者には、それなりの高い倫理観というものを教育していかなきゃならない。そういう教育をしていく教育機関は、倫理観というものをしっかり持たしていくような教育課程というものを他の学部なり他を専攻する大学の学生よりももっと強く求められると思うんです。その辺のところをどういうふうにとらえ、どういうふうな物の見方、考え方でこの学校の学部を運営していこうとするのか、お聞かせをいただきたいと思います。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 通常一般的な大学は、その種の教育というのは大学の四年間の教育課程全体の中で展開しておりまして、特に一般教育の哲学なぞの科目で教育しているわけですが、この東京工業大学の生命理工学部におきましては、卒業する間際の四年生の段階で生命倫理学という科目を設定いたしまして、そしてちゃんとした授業で改めて学生に教育を行うという、そういう計画を持っております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 私はそこがポイントだと思うんです。これからの高等教育の基本は——人を殺すようなことはやらないと科学者がぴしゃっとすれば、変な戦争は起きっこないんです。やっぱり国益を優先し、権力というものに追従するから、どんどこどんどこ人を殺すものをつくることが勲章のごとく一世を風靡するという中で、世界は間違えてしまった。二十一世紀というものはそうあってはならないわけですね。そうあってはならない。ですから、そういう倫理観というものをこれからの高等教育を通してきちっと人間の魂の中に位置づけるという仕事、これが重大な私は国家がやるべきことだと思う。平和国家日本とするならば、平和国家日本は二度と再び戦争しないと言うのだから、そういう平和人、平和科学者というものの根性をきちっと位置づける学問的教育機関というものを確立するということが大事だろうと思うんです。  そういう意味で、日本学術会議の「生命科学と生命工学特別委員会」は、昭和六十三年七月十五日に「生命科学の研究と教育の推進方策について」という報告を出しております。その中で、「生命科学の研究、教育に直接携わる人々はもちろん、非常に多くの、極めて広い分野、立場の人々」に対して、「生命の尊厳、人間及び人間社会について考える機会をつくること」を内容の一部として研修すべきであるということを提言しております。私は、この内容は非常に大事だと思うんです。今後、生命工学的なもの、生命科学的なものが、日本ばかりじゃなくして人類の幸せを保障する上において大切な学問の分野になると思う。それなるがゆえに、こういうような提言に対して、具体的に倫理規定なり倫理観というものをどのような制度の中で位置づけていくか。文部省としてこういう提言に対してどう受けとめ、どのように具体的対応をしていくのか、考えがあれば伺いたいと思います。

川村恒明文部省学術国際局長

○政府委員(川村恒明君) ただいま大変重要な御指摘いただきました。生命科学というものはこれからの大きな発展の可能性を持っているだけに、今御指摘のような点は、これに携わる研究者が最も心得べき大切なことであろうと思います。  ただいま御指摘のございました、この学術会議などで言われております具体の問題として、例えばこういうバイオサイエンス関係の研修をやってはどうかというようなことでございますけれども、これにつきましては従来からこういうふうな御提言もございますので、筑波大学でございますとかあるいは岡崎にございます国立の共同研究機構の基礎生物学研究所等でそういったバイオサイエンスのトレーニングコースを実際に開設をいたしておりまして、そこでは遺伝子操作でございますとか物理学的測定などの生命科学の先端的な基礎技術の習得をする。主として大学の研究者が中心でございますけれども、そういったことを中心に、今御指摘のような点の研修コースを開いておるというようなことがございます。  それから、先ほど来るる御指摘をいただいておりますように、この生命科学への対応ということを考えるときに、もちろんそれは御指摘のような研究者の倫理観と申しましょうか良心と申しましょうか、そういうものが基礎となるべきことは当然でございますけれども、同時に個々の具体の研究を進める際に、その進め方について一定の共通理解のもとにおける自主規制というものがやっぱり要るんだろうと思います。そういったガイドライン的なものを研究者の合意を取りつけながらつくり、それをみんなして守っていくということが生命科学を進める際のやはり基本的なルールではないか。  御案内のとおりに、とりあえず今進んでおります遺伝子組みかえの問題でございますれば、その遺伝子組みかえの組みかえDNAに関する実験指針というものを、文部省ではもうかねて十年ぐらい前からつくっておりまして、累次改訂をしておりますけれども、そんな大学等におきます組みかえDNA実験の実験指針というものをつくりまして、これをもって自主規制的なガイドラインとして研究者がお互いにそれを守りながら、それをルールとして研究を進める、そういったやはり慎重な対応をしていかなきゃいけないと思います。  これから、組みかえDNAだけではございませんで、生命科学はいろんな分野に広がってまいりますから、そういった部面ごとにやはり必要に応じてそういった措置を講じていくことが必要であろうというふうに思っております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 その辺のところを私は一番心配するんです。核の恐怖というものの中で、二十世紀はこれはもうしてはならないという合意の方向で大国が進み、世界の世論はそういう方向性を支持していこうとする。二十一世紀はやはり生命科学の私は夜明けだと思うんです。生命科学の夜明けというものは、人間をより発展させるには大変有益な目に見えない世界が到来してくるわけですよ。目に見えない世界なるがゆえに、人間がよっぽどしっかりした倫理観を持たないと、これまた大変な災いに転ずるんじゃないかという心配がありますので、せめて日本の学問の府は、きちっとした倫理観を持って、世界に貢献していくのが日本ですよと言えるようなしっかりしたものを私はつくってもらいたいということを要望いたしますが、文部大臣の所見があれば伺いたいと思います。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○国務大臣(保利耕輔君) これからますます生命科学が発達をしてまいると思います。そういったときに、先生御指摘のように、倫理的な面で各学者がそれぞれ立派な良識を持つということが必要だと思います。今、局長から御説明をいたしましたとおり、東京工業大学においては、四年時、社会に出る前にその倫理の問題についてよく勉強していただくというような制度を組み込んでおりますが、そういうようなことが今後各場所において必要になってくるだろうと思います。  やはり人類のためになるような学問であってほしいと思いますから、そういった点については私どもも今後十分に留意をしてまいりたいと思っておりますし、これから先の学問のあり方を示唆する一つの重要なものである、私はそのように認識をいたしております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 文部大臣の決意を聞きまして私も安堵します。どうかそういう方向でしっかりと守ってください。  もう時間がございませんので、北陸先端科学技術大学院大学について二、三お伺いしますが、この創設は私は非常にすばらしいことだと思うんです。文部省も最近なかなかいいことを一つ一つ積み上げてきているなということを私も認識いたしますが、この北陸先端科学技術大学院大学の創設の趣旨について大臣に伺いたいし、またこの大学院大学ができることによって、我が国の科学技術の振興に対してどのような貢献をなすものと考えているのか。また、我が国の二十一世紀の科学技術の振興を担う人材を育成する場としてふさわしいものであるか、その構想を聞かしてもらいたいと存じます。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○国務大臣(保利耕輔君) このたび北陸先端科学技術大学院大学をつくることにいたしましたのは、近年非常に進展をいたしております情報科学あるいは材料科学、そういった分野での先端技術の基礎研究を行う。あわせて高度の研究者そして技術者を組織的に養成をしていく。あるいは一たん社会に出て働いておられる方々の再教育をするというようなことを目指してつくろうとするものでございます。そして、そういう目的のもとにこれをつくることによって、日本の科学技術の水準を高めてまいりたいと思っておりますし、さらにはまた地方の発展にもこれは寄与していかなければならないと思っております。我が国の先端科学技術が発展することを祈ってこういうものができたと、このように理解をいたしております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 昨年の十一月二十七日の朝日新聞の夕刊を見ますと、科学技術庁が、民間の研究開発投資は東京圏に偏在しているものの、大学の活動によっては北海道でも活性化する可能性が秘められていると報告し、テクノポリスや研究学園都市構想などの科学技術を柱にした地域振興策が各地で進められているという内容を報道しております。大学院大学ができると、その周辺に企業の研究所が集まってくるということ、大学院大学を地方につくれば民間の研究開発投資もそれに伴って地方に分散されることになったとすると、このことは日本の産業発展が都市部に集中しているという弊害を排して全国的にバランスよく発展することに寄与するものと私は考えるんですが、一極集中けしからぬという理屈はあるにしても、やはりこの学術的研究集団と企業というものが一つの集団となって各地方にそういう中核体ができたとするならば、私はやはり均衡のとれた日本の発展というものを一つ一つ具体化していく上において大変貢献できるものであると思うんです。  ですから、産業が産業だけ走っていってもだめだし、研究は研究だけ走っていったってだめだし、そういう意味では官、学、産というものが一体的に連携をとって地方の活性化に努力していくという一つのモデルケースにもしこれがなるとするならば、これからの日本の均衡のとれた開発計画というものが、物ばかり生産するところに富が集中するということだけではなくして、やはり知的分野を通して地域の住民がより高度化し、より豊かなる社会生活ができるような活性化現象を具体的に効果としてもたらすような大きなモデルケースになることを私は望んでおるのでございますが、文部大臣としては、今回のこの大学院大学をつくる結果の中で、そういうような効果が出てくることについてどうお考えになられているか、お聞かせをいただきたいと存じます。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○国務大臣(保利耕輔君) 大学が都会に集中し過ぎるといういろいろ御批判をたくさんいただいておるわけですが、そういう中にありましてこのたびの大学院大学の設立は、地域の活性化に大いに貢献するものだと私どもも考えておりまして、先生の御指摘のとおりでございます。それで、これをモデルケースとしてというお話が先生からもございましたが、こういうような形のものをやはり展開をしていくことが必要だろうと思っております。  この北陸の大学院大学の場合には、大学等の高等教育機関がある程度ある、それからさらに、周囲に先端科学技術に関連した分野の企業がある程度存在をしておる、さらにはまた、地元の協力体制があったというようなことが石川県のこの地域につくられた一つの理由になっておりますが、そういう条件を満たすようなところというのはまだ日本各地にたくさんあると思います。そういうようなところへの展開というのは、将来の問題としてやはり念頭に入れておくべきものだと思っております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 局長にお聞きしますが、特に石川県の地場産業と科学技術大学院大学の研究内容とに何らかの関連があれば、説明をいただきたいと思うんです。  また、一般的に大学や研究機関が地元に与える影響、言いかえれば、国立大学が地元に対して果たすべき役割をどのようなものと考えているのか。米国では多くの大学が産業界と共同で先端技術の研究開発のためのリサーチパーク、研究開発団地などをつくって活動していると聞いております。北陸先端科学技術大学院大学はこのようなリサーチパーク的なものを念頭に置いてつくったものであるか、お聞かせをいただきたいと存じます。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 石川県は、今大臣からお答えしましたとおりに高等教育機関が地方にしてはかなり多く集積しているという利点が一つございまして、さらに御承知のとおりに、石川県は繊維、染色、陶磁器、漆器等の材料科学関連の伝統的地場産業のほかに、近年は半導体やコンピューターソフトウエア等の情報関連産業の立地もかなり進んできております。そういう意味で、本大学の修了者がこれらの地域の産業の担い手として活躍することが期待されるほか、これらの企業等の研究者、技術者の再教育や共同研究の推進等の面で本大学院大学がかなり地域に貢献していくんではないかというふうに私ども期待をいたしております。  一般に、国立大学が地域の教育研究の拠点として人材養成や共同研究等を通じて果たす役割は極めて重要であると私どもも考えておりまして、毎年、最近数年間、かなりの国立大学に地域民間との共同研究センターというものを設置してきておりますが、本大学につきましても、広く社会に開かれた大学院として地域社会との連携を深めることといたしたいというふうに考えております。このような意味でも、本大学周辺に関連の研究所等が立地し、先生が今御指摘になりましたいわゆるリサーチパーク的なものが形成されてくることが望ましいというふうに考えております。  石川県におきましても、石川県における先端産業等の立地の促進に関する条例を制定いたしまして、本大学周辺地域に研究施設等の誘致を進め、先端的な研究開発拠点の形成を図ることとしているわけでございます。私どもとしましても、本大学院大学を中心にこの地域におけるリサーチパークが形成されていくことを期待し、かつまたその期待どおりになるように充実を図ってまいりたいというふうに考えております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 最後に文部大臣にお聞きいたしたいんですが、日本がこれまで発展してきた要因は科学技術の発展によるところが大きいと思うんです。しかしながら、日本の卓越した技術はその多くが応用分野のものであって、基礎分野については先ほど山本先生が申されましたように、外国のものを流用してきた感がないとも言えない、こう批判されております。日本が発展途上の段階であった時代はそれでも許されたと思うんですが、今や日本は世界に冠たる立場になっておる。これからは世界をリードし、世界の発展に寄与する番ではないかと私は思っております。とするならば、応用分野にとどまらず、不得意とされる基礎分野の研究についても大いに力を入れなければ私はならないと思う。  その中で我が国の研究費を考察すると、アメリカは大体年間二十六兆一千億円を研究費に使っておる。日本はわずか九兆八千億円、要するに十兆円足らずです。そのうちアメリカは半分以上が国が出している。日本は七〇%は産業界が出して、大学は一三%きり出していない。こういうように十兆円の中でも物すごく民間に頼っている。そんなようなことでは私はやはり日本の科学技術の健全な発展というのはできないと思う。逆に言うと、基礎研究というものは文部省が引き受けて十カ年計画ぐらい立てて、しっかりした研究者を養成していくようなそういう計画を策定するということも、国家百年の大計をつくる上においてやらなきゃならぬ文部省の仕事だろうと思うんですが、いかがでございますか。

川村恒明文部省学術国際局長

○政府委員(川村恒明君) 基礎研究を充実すべきということ、それからその研究費の充実に思い切った措置をとるべきということ、いずれも極めて適切な御指摘でございます。  基礎研究につきましては、従来基礎研究と応用研究というものが、あたかも別々に独立したものとしてございましたけれども、最近、基礎研究における新しい知見の開発がすなわち応用技術開発に非常に短い時間で結びついていくという非常に特徴的なことがございまして、そんな関係で、基礎研究の充実というものが大学のみならず産業界等においても非常に重要な課題になってきております。  そこで、その基礎的な研究の部分で新しい知見を開くということは、結局独創性とか創造性の問題でございます。そういうものについて取り組んでいくのは、やはりこれは大学の基本的な使命でございまして、大学での独創性ということをこれからさらにきっちりとして進めていかなければならないのは御指摘のとおりだと思っております。  そのために、例えば若手の研究者の育成でございますとか、いろいろな施策を講じておるわけでございますけれども、今後ともさらに努力をしてまいりたいと思っておりますし、その中でやっぱり一番大切なことは研究費の問題でございます。今御指摘がございましたように、日本も国全体としての研究費は大変多いわけでございますけれども、民間の負担する部分が大変多いわけでございまして、公費負担の部分がそれほど多くない。最もベースになる部分での研究を他に束縛されることなく自由濶達に進めていくためには、やはりその基盤となる研究費を充実をし、それをしかも公費の形で充実をしていくことが必要ではないか。  将来計画を持って進めというお話がございました。私どもとしては、かねてから学術研究の振興につきましては、学術審議会でそういう基本施策についての建議をいただいて、これを進めていくという措置をとっておりますが、これから二十一世紀に向けての大学における学術研究の一層の推進を図るために、近くまたそういうことで抜本的な施策の検討ということをこれから審議会にお願いしたいというふうに思っておるわけでございます。その辺、御指摘の点を踏まえ十分な対応を図ってまいりたいと思っております。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○国務大臣(保利耕輔君) 基礎科学を研究するために十カ年計画というようなものを策定したらいかがかと、貴重な御意見として受けとめて、私どもも真剣に検討し努力をしたいと、こう思っております。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 午前中から委員の皆さん方の貴重な御意見を伺っておりまして、私も大体同じようなことを考えておったので、オーバーラップするところが大分あると思いますが、質問の要項には書いておきませんことで気のついたことを、まず最初に忘れないうちにひとつ申し上げておきたいと思います。  大学院をつくったりあるいは学部を新設したりというように研究者を収容する機関が多くなる、あるいは立派な機械を買っていただける、あるいは研究費をたくさん回していただける、これは非常に結構なことだと思うんですけれども、何か私はひっかかるものがある。  というのは何だろうと考えてみますと、研究費もアメリカは日本の倍ぐらいあるかもしれませんけれども、人口割にすれば、余り日本も変わらないかなりの研究費をもらっているんだろうと思うんですね。また、なかなか施設もいいし、設備も立派なものをこのごろそろえていただけるようになりました。それじゃ何が悪いんだろうか。外国の人が日本の大学の研究室を見に来ますと、日本の大学の研究室は疲弊しているということを言っておりまして、これは前の日本学術会議の会長の久保さんも私にそんなことを話しておりました。  私も大学の研究室に長くおった者でございますけれども、何となく元気がない、独創的なはつらつとしたものがない、チャレンジ精神が余りない、どこか固まってしまっておる。何だろうと、こう思っておりますと、いろいろ理由はございますし、これが恐らくこれから学部を新設する、あるいは大学院大学をつくるということに御参考になるだろうと思いますので、文部大臣にもお聞きいただきたいと思います。  それは、日本の科学研究費というのは、ボスが取るとか、その配分の仕方とか、これはいろいろ昔から言われておりまして、随分改良もされてきたわけでございますけれども、リジッドであるということですね。使い道が非常にリジッドであって、これは何費に使う、これは何費に使うというふうに、非常にかた苦しくできておる。また、日本の国家予算と同じように、その年にもらったものはその年にどうでもこうでも使わなきゃならないとか、要するにその研究費に弾力性がないということなんです。アメリカの学者やドイツの学者なんかに会って聞きますというと、彼らはグラントをたくさん方々からもらっておりまして、その金で外国人の若い学者を呼ぶこともできるわけですね。それで二年か三年かはその教授のもとで勉強しておりまして、日本に帰ってくる学者もたくさんおると思います。あるいはそれで立派になった学者もいるわけでございます。そんなことは日本ではちょっとできないわけですね。学術振興会とかその他によってそういう研究者を呼んでいただくということしかないわけですが、なかなか自分の思うときに思うようにそれが呼べない。要するに大学の教授というものは、与えられた研究費によっては、自分はこの人と一緒に共同研究したいという人をちょっと今のところ自由には呼べないわけなんです。何年か前から契約しておって、そしてその人がやっとこっちへやってくる、この手続がなかなか大変でございまして、競争も激しくって、学術振興会にお百度を踏まなきゃいかぬというようなことになっておりまして、彼と今協力したいというときにそれができない。それはアメリカの学者と違って、そういうグラント、その教授が自由になる金というものを持たないということであろうかと思うんです。  また、現在一つの講座は一・一・二と決まっておりまして、このほかに技術者という名前ではないんでしょうけれども、一人かあるいは二人の人を、多いところでは二人で少ないところは一人しかおりませんが、いわゆる教務員という形で雇っているわけなんですけれども、その技術員の数が外国のいわゆる理工系の研究室に比べて格段に少ないわけなんです。そこで、この前も私予算委員会か何かで申し上げたと思うんですけれども、研究者みずからが動物のえさをやる。日曜日もそこへえさをやりにいかなきゃならぬ。また、死体ができたらば、その死体をどこかへ捨てにいかなきゃならぬ、あるいは動物屋と交渉しなきゃならぬ、あるいは麻酔も自分で打たなきゃならぬというように、動物の世話、あるいは機械が壊れたときにはその機械の壊れたものを自分でやる。  いわゆる研究者というのは一・一・二おるわけです。助手も研究しますから、最小限四人おるわけですが、この四人に対して一人しか技術者がいない、あるいはせいぜい二人だというんですね。そのうちの一人はお掃除、あるいは教授についてタイピストあるいは秘書的なことをやる。その秘書も、もともと基礎の教授には秘書なんてのはいないわけですね。そういうふうな、いわゆるその下になってというか、協力して働く技術者あるいはタイピストあるいはセクレタリー、こういう人の数が極端に少ないということですね。  そのために頭はあっても手足がない。こういうことがいわゆる弾力性を欠くといいますか、リジッドになってしまった。それが科学の実験といいますか、そういう研究を推進するのに非常に大きな障害になっているように思います。私、昔九大におりましたけれども、九大におったときにはまさにそういうお手伝いの人が少なくて、新潟に移りましたときに小使に非常に有用な人がおりまして、その人は麻酔も打ってくれる、毛もそってくれて、私は行ってメスを持って切ればいい、こういう状況にありまして、私は新潟で、研究者としては恵まれたところに来たということをそのときにひしひしと感じたわけです。  どうかひとつ今後、もう少し教授なりそういうものを信頼して、そのグラントを与えたならば、それをもう少し自由に、人件費にも使える、一年なら一年この人を雇うからそれに使える、あるいはセクレタリーを雇える、あるいは外国から人を呼んで共同研究をする。これ、何かもう少し自由にならないかな、それがあったら随分今の研究は進捗するんじゃないかなと、こういうふうに思います。  これはなかなか、逆に考えると、何悪いことするかわからぬからそれはできないということもあるでしょうし、会計上はそれはできないということもあるでしょうけれども、研究というのは、もともとそういう自由を与えられたもとでしかできないものを、何か官僚的にリジッドに縛りつけておいて、その中でやれということは、なかなか私は研究が進捗しない一つの理由になっておるんじゃないか。これについて大臣のお考えがあればひとつお聞きしたいと思うんです。あるいは局長でも結構です。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○国務大臣(保利耕輔君) 先生の貴重な御経験を踏まえてのいろいろなお話でございます。緊張して承らせていただきました。  確かに研究費の使い方が硬直的にしか使えないというような御指摘でございますが、会計というようなことから考えますと、そういうことがあるのかなという感じを私自身も持っております。学問の自由ということと厳密な会計原則というものの間に挟まった非常に難しい問題だと思っております。  しかしながら、最近はそれが大分昔と違って——昔というのはどのくらい昔かわかりませんが、以前と比べて幾らか弾力さが出てきたというようなお話も聞いておりますので、その辺の変化の状況等については局長からまた補足して御説明をさせたいと存じます。  いずれにしても、貴重な研究費でございますから、そしてまた国立大学等においてはこれは貴重な税金を使ってやるわけですから、会計というのはあくまでも厳密にやらなければならない。しかしながら、学問は自由でなければならない。この問題は今後のまたテーマとして、私どもも十分留意して研究しなければいけない問題だと思っております。

川村恒明文部省学術国際局長

○政府委員(川村恒明君) ただいまの研究費のことにつきまして若干補足させていただきたいと存じますが、基本的に外国との比較であろうと思いますけれども、日本の研究費の使い方が非常にリジッドであるという御指摘がございました。これは今大臣から御答弁申し上げましたように、純粋の国費を使うという場合に、それはやはり国民の税金でございますから、会計法上のきちっとした手続をとらなければならないという一方の制約があるわけでございます。  ただ、もう一つさかのぼって考えてみると、外国の場合と我が国の場合に、研究費の成り立ちが若干違う。今先生からはしなくも御指摘いただきましたように、外国の場合にはグラントというものを外から持ってくるわけでございます。日本の場合に、そういう外から研究費を受け入れるということが従前余りなかったわけでございます。しかし最近、研究費につきまして、一方において国費としてきちんと保障されるところの教官当たり積算校費といったものと、あるいは国費でも研究業績によって配分する科学研究費補助金というものがございます。それ以外にさらに財源の多様化ということで、民間との共同研究等の形で民間等からいろんな形で研究費が大学の方に入ってくるようにいたしました。  従前からそれはこういう席でも、できるだけそういう研究費が受け入れやすいようにするべきという御指摘がございました。現在、そういう形で奨学給付金等の形で入っております研究費というものは相当の額になっております。この奨学給付金につきましては、使い方として今先生御指摘がございましたような、それは形式として一たん国庫歳入になりますけれども、その給付目的に即してそれぞれの研究室なり教授が弾力的に使う。それを例えばファンド式に積み立てましてそれを年次的に使用するということも結構であるというような形で、かなりの点は弾力化を進めているわけでございます。  その国費としての研究費の場合と、国費以外から入ってくる研究費の場合に若干そういうふうな差をつけながら、全体として今御指摘がございましたような研究費の弾力性というものはふやしていきたい。  それで国費の場合でも、科学研究費の補助金でございますけれども、この補助金につきましても、国費でございまして、予算は単年度主義でございますけれども、研究計画によって、やはりそれは三年かかったり、ものによっては五年というものがございます。そういうものは、一応毎年度申請はしてもらいますが、三年なり五年計画というものを最初の採択の際にそれを決めて、事実上は三年間ないし五年間の研究を保障するというような措置も講じているわけでございます。  そんなことで、御指摘がございましたようなかたさというものは、できるだけそれぞれの研究者の自主的な判断が生かされるような形にしてまいるように今後とも努力をしてまいりたいと思っております。  なお、研究補助者の問題につきましては、御指摘のようなことで、これはまた国家公務員の全体の定員の抑制という問題と絡んでまいるわけでございまして、大変困難な問題だと思っております。  ただ、最近の研究が非常に大型化し、組織化されるという傾向がございまして、一つのグループ研究的な形で研究が進められる。その中で、研究者というものを全体としてどの程度の厚みのある層としてとらえていくのか。そこの研究者あるいは研究補助者という人たちを、例えばそれを現実の形として助手でありますとか、先ほど来御議論がございます大学院の博士課程の学生というものを考えるのか、あるいは日本学術振興会の特別研究員という形でそういうものをやっていくのか。そこはいろんな研究活動の大型化とか組織化に対応した考え方を整理していく必要があるんじゃなかろうかというふうに思っております。  全体としての国家公務員の定員の問題ということは、これは大学に限らず公務員全体の問題でございますから、そのことはそのこととして受けとめてまいらなければなりませんけれども、できるだけそれが研究活動に対して変な形でしわ寄せにならないように、さらに努力をしてまいりたいと思っております。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 大変理解のあるお返事をいただいたわけですけれども、国費は国民のタックスでございますから、それに間違いがあってはいけないので、これはやむを得ないところもあると思います。  一つは、外からのいろんな補助があるでしょうけれども、それをある教室の教授と企業との間だけに許しますと、何か変な癒着ができて、いつか問題がありましたように、会社の女性の人を出向させる形で自分が私設秘書をつくっている。そして、もう会社に対してはいろいろ利益を与える、こういうことになると思うので、京都大学がやっているように、中間に何か財団みたいなものを大学の中でつくって、そして大学に対して協力を求めたいということで企業からいろいろな申し出があるときには、教授に直接行かないで、その財団を通してそこへ奨励金なり補助金を企業が出す。その財団から改めて教授の方へ金を渡す。それはだれから来ているということじゃなしに、こういうことをやってくれというふうに頼む。何かそういうふうにしないと、外からのお金でも随分妙なことが起こり得る可能性があるんじゃないか。  いずれにしましても、人間は総定員法で決まっているわ、だんだん削られていくわ、そして外国人との協力研究もできないわというように、非常にリジッドな形の会計の中では、私は日本の科学は、これから幾らこういう先端科学大学院とかそういうものをおつくりになりましても、一・一・二で何ができるかというような感じもするわけなんですね。そういう点をひとつお考えいただきたいということが一つ。  もう一つは、これはもう例えば生命理工学部というのができますと、そこへ学部長というのをおつくりになるでしょうが、その学部長は兼任なんですね。何%ぐらいいわゆる何かもらうか知りませんけれども。しかし学部長をやると、このごろはやたらと民主化ということで会議が多いわけなんです。東京あたりに住んでおられる教授の先生あるいは学部長の先生は、文部省と限らず科学技術庁とかあっちの方から、おい何とか審議会、何とか審議会、そちらの方じゃ一月に一回だからと思われるかもしれませんが、やっぱりそれのちゃんとした準備もしなければ、いいころかげんな答申になるでしょうし。  そうすると、その学部長は、自分はこういう仕事をしたいと思って、教官としてやりたいと思っても、時間がなくなってきちゃう。それで落ちついて自分が考える暇がなくなってしまう。こういうことになると、一種の行政官みたいになっちゃいまして、学者としては国家がつぶしてしまうんです。これじゃ本当の学問というものが育っていかないんじゃないか。だからして、まず、そういう一緒になって働く手足の人を何とかして工夫してやる。あるいは学部長とかあるいは委員長とか、そういうものに対しての負荷をできるだけ減らしてあげる。あるいは専任にしてもいいんですけれども、専任は絶対してくれないわけですよね。ただ一〇%か二〇%の何かを上げて、それでやれというわけなんです。  やってみると、それはおわかりでしょうけれども、並み大抵のことじゃないんですね。一時間の講義をするのに十時間ぐらいのやっぱり勉強をしなければ学生に対して満足のいくような講義もできない。あるいは研究しようと思っても、やはりいろんな文献を集めてそれを読まなければ、そしてその準備をしなければできない。それを、何月何日にはどこだ、何月何日には何ミーティングだというようなことでは、落ちついてとても勉強できるような雰囲気にはない。  そこが私、外国人をして、先ほど粕谷さんもあるいは山本さんも言われたかと思いますけれども、日本の基礎科学というものはどうも外国から見て余り芳しくないと、こういう批判が出てくるもとになっているんじゃないか。こういう意味で、ぜひもう少し手足をふやすか、何か仕事の分担をうまく決めて、そして、ゆっくりというか落ちついて勉強のできるような大学にしてあげなければ、今後の基礎科学の進展というものはやっぱり寂しいものじゃないかなという私は感想を持っております。  特に、生命科学の生命理工学部ですか、あるいは今度は先端技術の方なんですけれども、技術者の数が総定員法で縛られているとするならば、少なくとも技術者を例えば一つの講座に一人あるいは一人半ということになれば、それを少しまとめて、そして技術者の一つのちゃんとセクションをつくって、その人たちがそのセクションの長のもとにいろんな修行もし勉強もし、そして各教室に行くという、教室に所属させないでセクションをつくられたらどうかな。それはちょうど動物飼育室というのを各大学につくっていただいたんですけれども、大変あれでよくなったと思いますけれども、同じようなそういうワークショップのセクションをおつくりになると、人間が少なくて、しかもお互いの連絡もとれ、なれた仕事もできるんじゃないか。こういうこともひとつお考えをいただきたいと思います。  まあこれ、私注文ばかりしておりますけれども、もし後で御感想があればコメントをいただきたいと思います。  いわゆる生命理工学部の創設に当たりまして、先ほど田沢委員から大変高邁な御意見を承りまして、私も本当に感銘を深くしているわけでございます。  まず、文部大臣にお聞きいたしますけれども、私も七年か八年、これで脳死とか臓器移植というふうな医療に携わっておりまして、脳死臨調がことしの二月ですかできましたけれども、二年先じゃなきゃ結論が出ないと、そういう状況になっております。和田さんが札幌医大で心臓移植をやりましてから、ほとんどもう二十年たっておるわけですね。それでもなお日本では結論が出ないという状態になっておりまして、医者の中にも脳死に反対という人もございますし、もちろん社会的な合意がまだ得られておらないわけです。  あるいはまた、冷凍受精卵というのがありまして、ある夫婦が冷凍受精卵をどこかに保存してもらっております間にその夫婦が離婚した。離婚しましたら、御主人の方は、その冷凍受精卵はもう廃棄してくれ、奥さんの方はそれは私のものだから廃棄しては困ると、それが裁判になっているというようなこともございまして、いわゆる生命倫理といいますか、そういういろんな問題がこれからも起こってくることであろうと思います。  また、胎児の状態でいろいろのDNAをさわるとか、あるいは心臓の手術をするとかいうように、胎児のときにいろんな操作を人間が加えられるようになってきているわけです。いわば生命の人間操作時代というような時代がそこまで来ておるし、もうある程度踏み込んでいる。  そういう状況でございまして、東工大に生命理工学部ができたということは非常に基礎的なことでございまして、普通の一般生物、人間以外の生物を取り扱われることが多いと思いますけれども、そこで得られた基礎知識というものは、必ず人間にはね返ってくるわけです。これは先ほど田沢委員がおっしゃったとおりでございます。  まず、こういう状況になってきた、いわゆる脳死とかいろいろな問題で、生命倫理の問題が非常に問題になってきたというその根本原因は何であるとお考えでございましょうか。

川村恒明文部省学術国際局長

○政府委員(川村恒明君) 大変難しい御指摘でございますけれども、こういう事態がなぜ起こったかということでございます。  基本的には人類の英知によってもたらされた科学の進歩というものがそのバックにあるわけでございます。新しい学問研究というものは、真理の探究を目指して無限の荒野を開いていくわけでございますから、その発展とともにいろんなそこに新しい局面が生まれてくるわけでございます。そのこと自体につきましては、それについての積極あるいは消極的な評価ということではなくて、事実として存在するわけですけれども、同時に、今御指摘がございましたようなそのことが、それを開発した研究者の主観的な意図とは別な形で使われるという可能性が出てくるというところに問題があるんだろうということでございます。  でございますから、先ほど来田沢委員からそれに携わる研究者の良心の問題、心の問題ということが何よりも大切ではないかという御指摘がございました。そのことにすべて尽きるわけですけれども、まああえて言えば、その研究者の心を支えるものというものが、これが西欧的なバックグラウンドのある社会でございますと、例えばそこに宗教といったものがきちっと入っているわけでございますけれども、特に我が国の場合、そういった西欧的な伝統的な宗教観というものは必ずしも深くはないわけでございます。逆に言えば、それだけ非常に人々の価値観が多様で、いろんな形の価値観が存在する社会であるだけに、そういった倫理的なと申しましょうか、価値判断的なバックボーンが入りづらいというところがあるのかもしれません。そこに問題が生ずる基本的な原因があるのではないかということでございます。  しかし、そういうバックボーンが入りづらいからそれはしなくていいんだと、こういうことではないんで、結局はそういう研究者の良識なり良心の問題というものを、単に基本的な概念としてだけじゃなくて、具体のものにしていくというやっぱり努力が要るであろう。それを具体的にあらわすのはどういうことかと言えば、例えば先ほど申し上げましたけれども、組みかえDNAで言えば、その組みかえDNAの研究者が、共同で共通理解のもとに一定の自主規制のガイドラインをつくる、そういう具体の形でこれを進めていく。そういう形でそれぞれの研究に応じて自主規制的なガイドライン的なものをつくっていくということが日本の場合に最も適当な対応ではなかろうか。  今先生は、最近の先端的な医療技術の発展に伴ういろんな社会的な重要な問題を御指摘になりましたが、学問の世界ではさらに基礎的なところで、今の組みかえDNAの問題でございますとか、さらに細胞融合の問題でございますとか、それからこれから進む問題としてはヒトゲノムと申しましょうか、ヒューマン・ゲノム・プログラムと言っておりますけれども、人間の遺伝情報を全部読み取ってしまおうというようなものもこれから進もうとしているわけでございますから、そういった細胞融合なりヒトゲノムなりあるいは遺伝子の組みかえなり、そういったそれぞれの場面に応じたやはり研究者の間の合意に基づく一つのガイドライン的なものをきちんと整備し、その共通のルールの上で研究を進めていくということが何よりも必要ではなかろうかというふうに思っております。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 研究者の合意のもとにそういうガイドラインをつくるということに賛成なんですけれども、脳死が人間の死であるかどうかということにつきまして、もう五年ぐらいやっているわけですね。五年ぐらいやっておるけれども、学者の間でも合意ができない、ガイドラインさえうまくできない、そういう状況にあるのが現在の日本だと思うんです。  ただ、今局長の言われたことは確かにそのとおりでございまして、ガイドラインができればそれにこしたことはない。しかし、これは東工大だけでつくってもだめでありまして、全体に通ずるようなガイドラインじゃなきゃいけないし、規制でなければいけない。こういうふうになってきますと、単に理工学部だけで生命倫理の講座を、あるいは講義を一般教養か何かでおやりになるおつもりだと思いますけれども、じゃだれがそれを教えるか、それに共通なものがあるのかというと、生命とか死について共通の認識がない人たちがばらばらに各個に教えるということは、生死という一番重要な問題に対してばらばらの認識を人間が持つということになりまして、ガイドラインにはならぬわけですね。だから、どこかでこれを何とかしなきゃならない。  局長言われたように、ドイツであるとかあるいは英国であるとか、欧州国家では、いわゆるキリスト教とかイスラム教がありまして、そういう一つのおきてというものがあって、これに背いてはいけないということがきちっとしているわけです。日本の宗教というのはかなり自由でありまして、特に死だとか生命というようなものを直接は扱わないで、それはかなたの方へやっている。後生大事に自分は阿弥陀さんのもとに行くというふうに考える宗教でありまして、死に直接面と向かって、いわゆる直視して死の問題を解決しようというような気持ちは日本人には少ない。どちらかといえば死はタブー視している。ところが、もうタブー視できないような状況に現在の日本はなってきているんじゃないか。特にこういう生命の理工学部というのをつくろうとするならば、何かそういう共通の認識というものを国民の間に芽生えさせおかなければならないんじゃないかなと私は考えるわけであります。  そこで、今現在日本で、例えば上智大学とか、ある特殊の大学の一、二でしょうけれども、そういうところに生命あるいは死というものについての、講座ではありませんでしょうけれども、セミナーなんかがよく開かれているわけですね。しかし、日本の医学部はもちろん、他の学部におきましても生命倫理の講座というようなものはないわけなんです。アメリカではもう随分たくさんございますし、外国にもたくさんある。また、小中学校の教科の中にも生と死というような問題を取り扱っているということでございます。  私、調べてみますというと、日本にもあることはあります。私非常に立派だと思うんですけれども、高等学校の教科書の中に教育出版というところの「最新倫理」というものがありまして、それに「生命と倫理」というのがありまして、いわゆる脳死も書いてあれば体外受精のことも書いてある。そして、その中にちゃんと「倫理的価値にうらうちされた正しい知識を追求し、その知識を個人と社会の福祉のために行使する方途を探求しなければならない。」とか、その中身を読みますと、私が何もしゃべらぬでいいぐらい立派に書いてあるわけです。ところが、これが必修ではないわけなんです。この高等学校の教科書一つだけでありまして、ほかにはないわけなんです。  小学校、中学校ではあることはあります。あることはあるけれども、生命の尊重ということが書いてあるだけでして、私は病気した、苦しかった、お母さんがいろいろ介抱してくれた、それで自分は助かった、ああ命は大事にしなきゃいかぬ、だからこれからは健康に気をつけましょう、そういうふうなやり方なんですね。だから生命を直接見てはおりません。  ドイツでは「死の教育書」というのがございまして、こういう写真が載っているわけです。これは、おじいさんが初めは失禁をするようになった、そこへお孫さんが新聞紙を敷いてあげる。もう少ししたらば、だんだん年寄りが軽くなってきて、その軽くなってきたのをお孫さんが抱いてベッドへ移す。そのときに、おじいちゃんは死ぬんじゃないかな、こう思う。そうして最後は、娘さんやお孫さんに囲まれてそのおじいちゃんが亡くなっていくということを絵入りで書いてあるわけです。  ここで私、もうずっと前から何回も申し上げたことなんですけれども、現在、医学が進歩したといいますか、とにかくICUに入っちゃって死に目には会えない。大体都会では病院で死ぬ人が七、八〇%いるんじゃないかと思います。だからして都会の子供さんは、ICUの中には入れませんからして、亡くなりましたと言われたときにちょっと見るというだけで、亡くなっていく過程をこのおじいちゃんを世話したひ孫や孫のようには見ないわけなんです。それは外国でもそういうことが少しずつありまして、いわゆる身近に死を見ないということのために人間性のどこかが欠落する、そういうことがあるのじゃないかということを上智大学のデーケンさんなんかは言っているわけです。  ドイツでは、向こうは宗教学というのがあるんですね。宗教学の中に、必修の単元としてトート・ウント・レーベン、いわゆる死と生というのが必修科目になっております。日本では宗教というものは教えることはできないようになっておりますけれども、それならばこそ、何かこれにかわる生と死をどこかで教えておくことが大事じゃないか。  生命理工学部に入った学生ということだけではないんですね。実際私たちは、先ほど田沢委員も言われましたように、原爆をつくったり、放射能でいろいろ汚したり、あるいは水も汚す、あるいは空気も汚す。現在、科学が進歩したために、我我は非常にそれによって恩恵は受けておりますけれども、一方において地球はこれで大丈夫かなという不安を持つような状況にまで科学は進んでいるわけですし、また、人間が人間を操作するような時代にもうなっているわけなんです。  何とかしてここで人間自身が、宗教でないとすれば、そのほかに、これは道徳と言うとまた語弊がありますけれども、我々が心得ていなきゃならない心棒になるもの、我々の心の支えになるもの、そういうものを若いときから教えておく必要があるんじゃないか。これはだれにでもあるんですね。生命を扱うからそうじゃなくて、理工学部に行きまして原爆をつくる人というのはどうもぐあい悪いでしょう。そういうことがございますので、科学が進歩すればするほどなおさら、そういう生命倫理というのは日本人全体が知っておるべき事柄になってきているんじゃないか。こういう意味で、小中学校あるいは高等学校に必修科目として、こういう生と死の問題をぜひ取り上げていただくように私はお願いをしたいわけでございます。  こういう話があるわけです。それで、それはとかく倫理より政治の問題になってしまうわけなんです。ある政治家が、これは名前は書いてございませんが、ある人とお会いになって、そしてたばこをすぱすぱ吸っておられる。その人は、相手がお医者さんだったものですから、何かやっぱり気がとがめたんでしょう、「なにしろ私の選挙地盤は葉煙草の生産地でして……、葉煙草に代わる収入を選挙民に与えるものが見つかるまでは、選挙民の生活のために、私は禁煙するわけには参りません」と、こういうふうに言ったと書いてあるんですね。これはちょっと笑い話ですけれども、私も吸いますけれども、何か選挙民のためにたばこを吸うというのもおかしな話じゃないかなというふうに思います。  こんなことがございまして、私が文部大臣にお願いしたいのは、今言いましたように、義務教育の時代から、あるいはもっと子供のときから、人間が死に直面しなくなりましたので、そういう意味では、どこか義務教育の中に必須科目として生と死のことについて真剣に考えるような時期を与えるということが私は非常に重要でないかと思いますので、その点をひとつお訴えしたい、こう思うわけです。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○政府委員(菱村幸彦君) ただいま御指摘のお話はもっともでございます。学校教育では、全体を通じて生命の尊重ということは繰り返し指導要領でも言っておりますし、いろいろ各種の指導書などもつくっているわけでございますが、生命の尊重ということは、逆に言いますと、死を十分意識することによってそれが深く認識されるわけでございます。これはもう御指摘のように、公教育では宗教に関する教育というのはやらないことになっております。ただ、宗教的情操というようなことはもちろんその背景にあるわけでございますが、こうした生命とか死という問題は、ある意味では宗教と深くかかわっている問題でございますので、そこに公立学校におきますこうした問題の指導の難しさというものはあろうかと思います。  しかし、今回の学習指導要領の改訂でも特に問題になりましたのは、命のとうとさ、それを教えるときに、人間の力ではどうしようもない、はかり知れない人間の力を超えるものに対して気づかせる、そしてそれに畏敬の念を持たせるというようなことを教えるべきではないかということで、教育課程審議会の答申にもそれが入っております。  そういうことで、今回の新しい指導要領では、とりわけ生命を尊重する態度ないしは生命を尊重するということを教えることになっているわけでありますが、これは単に知識の理解だけでは十分ではないと思います。学校教育はとかく知識を与える場になるわけでございますが、命とか人間を超えるものに対する一つの直観的な認識とか、そういうものに対しましては、やはり体験というものが不可欠であろうと思います。そこにまた学校教育で指導する難しさがあるわけでございますが、私どもはそれでも何とか学校教育の中でこうしたことが教えられないだろうかということで、生命をとうとぶ心を育てる指導というのを小学校、中学校両方とも指導書をつくっております。  その中では、生命を生物としてとらえるだけではなくて、それをかけがえのないものとして慈しみ、何物にもかえがたいものとして尊重する心を養うということで、各種の事例を挙げているわけでございますが、小学生は小学生なりに、中学生は中学生なりのいろいろな指導教材を掲げております。このような生命をとうとぶ心を育てるというような指導におきましては、やはりその指導事例としては、例えば亡き友を思うとか、天国の父からの手紙とかという死を一つの教材にした指導事例なども掲げておりまして、いろいろ学校教育でも教育実践の場の工夫も凝らしながら、こうした問題を何とか子供たちに認識させることができないだろうかという努力はしているつもりでございますが、御指摘のように必ずしも十分ではないかもしれません。  なお、子供たちはもちろん発達段階がございますから、先ほど御指摘いただきました記述、こうしたものは高校段階にふさわしい教材であろうと思います。したがいまして、小学生は小学生なりに、中学生は中学生なりに、そして高校になりましたら生命倫理と申しますか、哲学的な思考を交えたこうした問題へのアプローチというようなことになるんだろうと思います。いずれにしましても、現在特別の教科は設けておりませんけれども、例えば国語の中でもそういう教材を入れる、それから理科の中では当然動植物に対する指導の中でそういう問題を扱っていく、さらには特別活動の中で、そして何よりも道徳教育の中でこうした問題を学校教育全体を挙げて今後とも一生懸命やっていきたいと思っているところでございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 ひとつぜひ力を入れてやっていただきたいと思います。  確かに指導要領の中には生命の尊厳ということは各学年にいろんなところで出てくることを私は見ておるんですけれども、ただ尊厳と言ったって、それだけじゃいけない。やっぱり死というものをはっきり見つめさせなければ本当のことはわからないというふうに思いますから、やり方についても、あるいは教科の指導についても、そういうところをひとつ十分注意して教えていただきたいと、こういうふうに思います。  いずれここでまた審議されるんでしょうけれども、いわゆる生涯学習というのを今度おやりになるということで結構なことなんです。今全国で十四かそこらもうできているということなんですけれども、三重県の生涯学習の中に、死への準備教育というものを取り上げているわけでございます。担当の県教委の生涯学習課は、正直言って指針を見て驚いた、どう手をつけていいかこれから検討したいというように言っております。しかし、これはぜひ大事なことで、やっていただきたいと思うんです。  さて先ほども、各大学で、おのおの先生が自分でちょっと勉強したことを言うということになると、ガイドラインにはならない。生涯教育としましても、いろんなところで生涯教育が行われるわけですから、そこでいろんなことを言われるというと、かえって妙なことになる。そうすると、それにある程度のガイドライン、もちろん幅を持たすことは大事ですけれども、これでなきゃならぬということはないんですけれども、プリンシプルはここだと、それに幅を広げていろんな説明がされるというような、何かガイドラインをつくるなり、それをつくるための研究をするなり、討議をするなり、情報を集めるなり、そういうことをするところが私はどうしても必要になってくるんじゃないかと思う。そうでなきゃばらばらになりまして、今の脳死と臓器移植みたいになるわけです。勝手なことを勝手におのおのやっている。それで結局私、臨調で何か結論が出ましても、今度は、ある大学では、いやそれは私のところはそういう意味ではやりません、こちらではそれをやります、いろいろになりまして、そうすると、死というものの判定から、死のあり方からばらばらのものができてしまうんじゃないかなということも私は心配をしておるわけです。  この際私は、ここに生命の理工学部をおつくりになると同じ熱意を持って、ひとつ国立の生命倫理研究所というようなものを、それに似たものでもいいですが、とにかく総合的に、あるいはまとめてそこで研究し、もう生命倫理学会というのはできておりますからして、学会と一緒になって、あるいは外国のそういうバイオエシックスの人たちと一緒になって、あるいはまた外国のいろんな大学の講座と連絡をとり合って、そうしてユニバーサルなコンセプトですね、死に対するコンセプトをこの際研究していく、あるいはつくっていくということが大事じゃないか。そうでなければ、ばらばらなことになってしまうんじゃないかなというふうにも思うわけでして、私はこの際文部大臣に、国立の生命倫理研究所というようなものの設立をぜひひとつ心にとめていただきたい、こういうふうにお願いをしたいわけですが、文部大臣のひとつ御感想をお聞きしたいと思います。

川村恒明文部省学術国際局長

○政府委員(川村恒明君) 結局、生命倫理の問題につきまして、やはり社会的な合意をつくっていくということがすべての基本ではなかろうか。今先生は大変それは難しいことじゃないか、いつまでたっても、五年たってもそういうふうな社会的な、あるいは研究者間の合意ができないという御指摘でございましたけれども、例えば脳死の問題でも、ともかく脳死臨調が動き出したというようなこともございます。難しい問題ですけれども、この社会に住んでいる国民が、社会人としてともかく社会的な合意をつくっていくという努力をしなければ、やはりこの問題はなかなか解決はできないのではなかろうかと思っております。  今御指摘がございました生命倫理の研究所をつくるべきだ、そういうふうな社会的な合意をつくっていくためのいろんな材料を集める、そういった意味でこの生命倫理に関する総合的な研究を進めるべきだということであろうかと思っております。事柄の性格として、この生命倫理の研究というのは、大変に幅の広い学際的な研究、非常に多分野の研究者が集まって、それぞれの立場からこの問題に取り組むということでございますから、一つの独立をした固定的な組織としての研究所というのがいいのかどうか、ここは少しこの研究を進める際の目的等も絡めて十分に議論をしなければならないのかと思っております。  御指摘がございましたように、既にバイオエシックスの学会もできてはおりまして、これも一つじゃなくて二つぐらいあるのかと思っておりますが、私どもは、現在、科学研究費の補助金でもってそういう学際的な研究の準備に取りかかろう、これは幅の広い研究者の集合体でございますから、むしろ見えざる研究所と申しましょうか、研究者のネットワークという形で進めていくのが当面最も適当ではなかろうかと思っておりますけれども、ともかくそんな形でこの生命倫理に関するそういった社会的な合意をつくるための基本の部分としての研究の推進には、今後とも大いに努力をしてまいりたいというふうに思っております。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 それじゃ、もう少し時間がございますので。  例の大学の進学率のことですけれども、四十数万人の浪人ができた。これは、できることはわかっておったんでしょうか。いつごろからわかったんでしょうか。二倍に定員をふやすというようなことを今になってやるようになった、そのいきさつはどうなんですか。もしも、わかっておったのにやらなくて、今急に二倍というようなことは、余りいい行政ではないと思うんですけれども、どうお考えですか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 先ほど申し上げましたとおりに、昭和六十一年から平成四年度までの高等教育計画を策定した段階で、計画でございますので、いろんな数字の前提を置いたわけでございます。先ほども御説明申し上げましたとおりに、志願率については、過去十年間の傾向を見ると、大体四五%で安定的に定着しているというので、大体四五%の志願率を見ればいいであろう。それから、私学の定員超過率につきましては、先ほど申し上げましたとおりに、大体一・三六で数字をはじいていっていいだろうというような前提を置いて数字をはじいたわけでございます。  ところが、志願率につきましては、先ほども御説明しましたとおりに、三年ぐらいの間に三・五ポイントも予想が狂って、十年間安定的に四五%だったのが、三年間で急に四八・五%に上がってしまった。ここの上がったところの数字のずれというのが大体六万人ぐらいでございます。それから、私学の定員超過率が一・三六から現実には一・二八に改善された。言いかえれば八%改善されたわけで、私学の恒常的定員というのが大体四十二万でございますので、これの数字のずれというのが三万五千ぐらいございます。そういう意味で、私どもが置いた前提の狂いが出入りで十万人ばかりございまして、そういうような関係で不合格者が私どもの予想以上にふえたということでございます。  そういうことで、先ほど来御説明しているような措置を講じて、現在、平成三年度あるいは平成四年度の十八歳人口の増大に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 時間がありませんから、私、自分の言いたいことだけ言っておきますけれども、人口が確かに急増した、ベビーブームが来た。しかし、大学の志願率といいますもの、そういうものは必ずしも人口だけによらない。経済状況も関係があるでしょう。あるいは女子と男子で、女子の志願者がふえるということもあったんじゃないかなと思いますし、あるいは少し中年の方が大学に入ってみようというので改めて入ってくる人もあるでしょう。そういういわゆる進学適齢の人口だけを見ないで、大学志願率というのはいろいろなファクターがあるんだ、このファクターを十分に研究しておかれないと、今度は急に減少するというときに、これに対応ができないのではないか。あるいは、経済がどう変わったらどう変わるということをもう少し統計的にこれは勉強しておく必要があるんじゃないかな、こう思います。  それから、もう一つ私が申し上げておきたいのは、とにかく去年は百二十四万七千ぐらいの出生数でございましたが、もっと落ちていくんじゃないかと思いますね。国全体としての子供の数がだんだん減って、二〇〇四年と言われていた、いわゆる老人人口と若年者との数が等しくなってくる年が早まり、そうなってくると国の将来が危ないというようなことをいろいろ言われておりまして、厚生省は心配をしておるわけでしょうけれども、文部省として何かこれに打つ手というものは考えておられますか。私、厚生省だけの問題ではないと思うんですね。これ、何かお考えでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 人口減少、出生率の低下に対してどう対応していくかというのは、確かに先生御指摘のとおり、厚生省だけの問題ではなく、二十一世紀に向けてこれから活力ある日本をつくっていくために、政府全体として対応しなきゃならない重大な問題であるという認識は私どもも持っておりますが、では具体的に文部省はどういうことを考えておるのかということになりますと、大変恐縮でございますが、重大な問題であるという認識だけを持っておるということで、具体的にどうしようかというのは、今私どもは特に具体的策はございません。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 もう時間がなくなりましたからあれですが、一つの話として、例えば産休の休暇の日数を延ばすとか、あるいは各学校に育児室を整備するとか、そうやって産んでも心配なく働けるようにしてあげるというようなことも一つの方法じゃないかなと思います。いわゆる職場改善というようなこともあるし、それから勤務状況の改善というようなこともあるだろう、そういう意味で私申し上げたわけなんですが、ひとつそれもお考えいただきたいと思います。  もう一つは、これで二倍ぐらいに大学の定員をふやされる。そういう学生が今度卒業してくるのが四、五年先になるわけですが、これの就職は大丈夫でしょうかしら。そのさばけ口というのはお考えでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 今の経済状況がどういうように変化していくかというのは、なかなか見定めができないわけでございますが、ただ、最近における社会の求人需要等を見ますと、何とか大学、短大を修了した卒業生は、出口のところで民間企業等に吸収されていくんではないかというふうな期待を私ども持っておりますが、同時に、常に経済の動向を見守りながら適切な就職指導をするようにということにつきましては、各大学に指導を続けてまいりたいというふうに考えております。

高木健太郎公明党・国民会議

○高木健太郎君 最後になりますが、浪人がふえるということも、これ余り好ましいことじゃない。せっかく体の丈夫な人が四十万人も遊んでいる。まあ遊んでいるんじゃないですが、塾に行っているというようなことも余り好ましいことじゃありません。ありませんが、今度卒業しても職がなくて失業率がふえてきたというようなことになると、本当の意味の社会不安になってくるわけです。だから、これ二倍にふやして何とかして今の浪人を救おうという気持ちはいいんですけれども、その後のことも十分考えてやらなければ、そのときになって、不景気になった、これはやむを得ません、計算ができませんでしたじゃ済まないような状況にいくんじゃないか。これ、ひとつ統計的あるいは大学審議会あたりで十分な審議を尽くしておいていただきたい、こういうようなことをお願いして、ちょっと時間が超過しましたけれども、私の質問を終わりたいと思います。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 それでは北陸先端科学技術大学院大学についてお尋ねいたします。  この法案の審議に当たり、この大学の創設準備室または準備委員会がまとめたものがないのかどうかということで、文部省に対しては再三にわたってお願いしたんですけれども、お願いしてお願いして、やっと最近いただいたのが創設準備委員会がまとめたこれです。「北陸先端科学技術大学院大学の構想の概要について」、これは平成二年三月というふうになっていますけれども、この冊子をいただいております。  創設準備室あるいは準備委員会が出したものはこれだけなのか、このほかにはないのか、そしてまた、これが最終的なものなのかについてお尋ねいたします。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 北陸先端科学技術大学院大学の創設準備室がこういう冊子のような形でまとめて出したのは、私どもこれが初めてであるというふうに承知いたしております。それで、さらに検討を続けまして、本年の九月ごろまでに最終的な構想をまとめたいと考えているというふうに聞いております。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 この冊子以外にはないというお話でしたけれども、実は、準備室あるいは準備委員会で出したものの中に、私は石川県の方に直接いただいたんですけれども、昨年十月にこの「先端科学技術大学院(石川)(仮称)の構想」というパンフがあるわけなんですね。  昭和六十二年の六月にこの先端科学技術大学院の構想を具体化するために、学識経験者らで構成する先端科学技術大学院構想調査に関する調査研究協力者会議というものを発足させて、その六月以来十分検討されているわけなんですけれども、この大学がどのような内容でつくられていくのかということが十分明らかにされなければ、本来はそれについて審議ができないということになるかと思うんですけれども、その点をまず指摘しておきたいと思います。  最終的にこの大学院大学の構想がまとまるのはいつごろになりますでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) この創設準備室の「概要」そのものは、恐らく中身は変わらないと思います。むしろ、さらにこれを具体的に肉づけしていくというような形で、最終的に本年の九月ごろにこれを肉づけしたものが出されるというふうに私ども承知いたしております。  それから、今先生が御指摘になりましたパンフレットについては私どもも承知いたしております。ただ、こういうような形でまとめたのはこれが初めてだという意味で、これが初めてだというふうに申し上げたわけでございます。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 これでやりとりをすると時間がなくなりますけれども、経過的なものも含めてすべて資料になるものを出していただかないと審議をすることはできないのではないかということで、再三にわたってお願いもしてきたわけなので、それについてはやっぱりあるわけですから、それを出していただきたいと、そういうふうに思うわけです。  この大学院大学の構想については、肉づけで基本的には変わらないということですので、既に出されている構想について具体的にお尋ねしていきたいんですけれども、まず寄附講座についてお伺いいたします。  創設準備委員会では、寄附講座として一研究科に五講座、二研究科で十講座ということで検討されているということでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 先生がさっき御指摘になりましたそのパンフレットをつくった昨年の十月の段階で、仮に寄附講座を受け入れるとすれば、それぞれの研究科でこのような分野の寄附講座が考えられるんじゃないかというようなことで、予想できる寄附講座として五つずつ挙げておるというふうに私ども理解いたしております。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 その五つずつ十講座ということは、現在も十講座というふうに予定されているということなんでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 寄附講座というのは、御承知のとおりに民間からの申し出があって、そして当該大学が自主的にそれを受け入れるかどうかを決めて、そして最終的に寄附講座の数が決まっていくわけでございます。したがって、昨年の十月の段階で考えられるものは、仮に寄附講座がこんな分野に五つずつぐらいあればという希望的な観測を含めて、十講座というようなものをパンフレットに載せたというふうに私ども聞いております。  したがって、今の段階でこれがどう変わっていくのかというのは、現実に大学ができ上がって、民間企業からの申し入れがあった後に確定されていくものだというふうに私ども考えております。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 そうであればさらにお尋ねしたいんですが、寄附講座は大学とそして企業との話し合いで具体的に決まっていくということですけれども、企業からの申し入れがあれば、大学側では積極的に受け入れるというふうに受けとめてよろしいんでしょうか。企業からの申し出があれば、何講座でもどんどん受け入れていくというふうに受けとめてよろしいんでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 先生もお読みになったと思いますが、この「概要」の中にも、寄附講座についても受け入れるというような概要になっております。  では、企業から申し入れがあれば幾つでも受け入れるのかという御質問でございますが、おのずからそれは物理的にも限度があるわけでございます。大学の収容のキャパシティーやなんかもあるわけでございますし、研究室等とかいろいろ物理的にも限度があるわけでございますので、おのずから数字が決まっていくんじゃないかと思いますが、いずれにしましても最終的には大学が創設されまして教官組織がある程度でき上がって、そしてその段階で判断されるというふうに私ども思っております。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 今のお話では、キャパシティーがある限りは受け入れるということのようですが、何度も言いますが、昨年の十月の準備室のパンフを見ますと、当面寄附講座としては十講座を挙げているけれども、寄附講座は、「これらのほかにも積極的に受け入れるようにします。」と、こう具体的に書いてあるわけですね。これは、言ってみれば申し出があればどんどん受け入れるというふうに読み取れるわけなんですけれども、そうではないんでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) さっき私が、キャパシティーにもおのずから限界があるでしょうと申し上げましたのは、当然私ども限られた予算の中で、それでもなおこの先端科学技術大学院大学の所期の目的が達成できるように施設設備を充実していきたいというふうに考えておりますけれども、それもおのずから限られた財政の中での整備でございます。したがって、大学のキャパシティーとしてはおのずから限界があるわけでございます。そういう意味で限界があるわけで、じゃその限界までどんどん寄附講座を受け入れるのかどうかということにつきましては、これは最終的に大学ができて、大学の教官組織がある程度でき上がった段階で判断する問題ではないかというふうに考えております。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 今の答弁ではちょっと納得できないんです。限界はあるけれども、許される限りは受け入れるというお考えでいるというふうに確認させてもらってよろしいわけですね。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 再三申し上げますが、どの程度の数の寄附講座を受け入れるかどうかということは、最終的には、まずこの大学自身が自主的に決める問題でありまして、文部省が今の段階で、キャパシティーがあれば幾らでもこの大学で受け入れるんではないでしょうかとか、あるいは十ぐらいでやめるんでしょうとか、あるいは十二、三ぐらいが限界なんじゃないでしょうかということは言えないということを申し上げているわけでございます。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 石川県の方では、この大学院ができる辰口町に百八十ヘクタールの用地を用意しているわけで、この中に大学院の分はわずか二十ヘクタールくらいなんですけれども、この百八十ヘクタールの中にいろんな企業の研究所や研修所などを誘致する計画が進んでいるわけです。そうなると、こうした企業の寄附講座が十講座にとどまらず、どんどんできるということは客観的に見ても明らかではないかと思うわけですね。  後でも触れますけれども、この大学の支援財団設立準備委員会ができているわけですが、この財団では五講座分を持とうという話がもう既に出ているわけです。そのためには一体幾ら集めたらいいのか、一億や二億というはした金ではないんだろうなという、そういう生臭い話まで出ていて、私は現地の方に直接伺ってまいりました。  そこでお尋ねいたしますが、現在国立大学に置かれている寄附講座は十大学十九件と聞いておりますが、一講座当たりの企業の出資額はどれぐらいになっていますでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 先生も今御指摘のとおり、現在国立大学で、寄附講座については十大学十九件、それから寄附研究部門については三大学に十件開設されております。  寄附金額については、分野あるいは設置期間等に応じてそれぞれまちまちではございますが、平均しますと一講座及び一研究部門当たりの寄附総額は約一億円であり、一年当たりでは大体三千万円ぐらいとなっています。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 寄附講座について、多いところでは企業からの出資額は一億数千万というふうになっています。例えば筑波大学に開設されているこれは企業の冠講座の典型なんですけれども、山一証券ファイナンス寄附講座、これは教育研究内容が金融分析、財務管理というもので、山一証券の企業目的に沿った教育研究とともに人材育成の場となっているわけです。そして、山一証券からは一億二千五百万円の寄附を受けているわけです。このような実績を踏まえて考えるならば、この大学院の場合、十講座とすると企業からの寄附は平均で考えても十億円くらいにはなるわけですね。しかも大学院では、これ以上にまあ一応積極的に受け入れるということがパンフにも書かれている。この大学の年間の経常経費は、衆議院の審議の中でも明らかになりましたが、大体五十億円ぐらいになるというふうに伺っております。これから見ると、この大学が企業に依存する割合というのが異常に大きいというふうに思われるわけですが、こういう大学がほかにあるでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) ランニングコストが五十億で、十講座で平均すれば十億というのはそのとおりでございます。  先ほどの山一証券のファイナンスというのは東京大学の経済学部というふうに私ども——あ、筑波大学にもあります。失礼しました、あります。東京大学にも同じような寄附講座がございます。  ちなみに、東京大学の先端科学技術研究センター、これは駒場にあるやつでございますが、東京大学の共同利用施設でございますけれども、全体で七つの寄附研究部門を持っております。そういう意味からいえば、この北陸先端科学技術大学院大学が十の寄附講座なぞを受け入れるというのは、先端科学技術研究センターの例から見て、その例がないというものではないんじゃないかというふうに考えております。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 例はなくはないにしても、経常経費が五十億円の中で十億円になるというのは異常だということを指摘して、次の質問に移りたいと思うんです。  「北陸先端科学技術大学院大学の構想の概要について」という冊子の中で、「寄附講座の開設、民間等からの受託研究、奨学寄附金の受入れ、後援財団の組織化等により、民間資金その他の多様な資金の導入を図る。」というところがございます。この後援財団については、既に石川を初め北陸地方の有力財界人が委員となって、北陸先端科学技術大学院大学支援財団設立準備委員会が昨年十月に発足しています。この財団では、当面三十億円を目標に基金を造成することにしているわけですが、これも石川県の方に直接私が伺ったところでは、基金は三十億は当面であって、百億円集めるという話も出ていた、また北陸地方に限らず県内に支店を置いている企業など、もう全国的に呼びかけるんだと、そこまで話がいっているとも聞かされました。そのために準備委員会としてもきれいなパンフを出していると。この点から見てもこの大学院の性格がはっきりとあらわれていると思うんです。  そこで念のためにお伺いしますが、この「概要について」の中で言う「その他の多様な資金」というのはどういうことなのでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 先ほどちょっと私、数字を勘違いしていましたので訂正させていただきますが、寄附講座の平均の寄附の額はそれぞれ一件総額で一億円でございます。これは大体三年間ぐらいの期間でございますので、一年間の平均にいたしますと三千万円でございます。したがって、年間で申し上げますと、十講座でその寄附講座に伴う寄附というのは三億円でございます。この点は数字を訂正さしていただきます。  それから、私どもとしましては、それだけ北陸先端科学技術大学院大学が地域から期待されておるという一つのあらわれじゃないかと思っておりますが、「その他の多様な資金」とは、例えば国の機関や公庫、公団等政府関係機関、地方公共団体からの受託研究、共同研究などの導入でございます。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 次に、この大学院の教員についてお伺いします。  準備委員会のパンフでは、「教員は、広く各界から人材を登用する」、「民間の第一線の研究者を採用する」とありますが、具体的にはどういうところから教員を採用するのでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 北陸先端科学技術大学院の教員組織は、高い水準とそれから幅の広さを確保しながら活発な教育研究を展開したいというようなことで、柔軟な教育研究体制を整備することとしているわけでございます。そういうような観点から、教員については、流動性と多様性を確保する観点から、国公立大学だけではなくて民間の第一線の研究者を採用したいということを考えているようでありますが、ただ現実に教官組織については、大学が設置された後に具体的にいろいろ民間会社あるいは大学の関係者に働きかけていく問題でございますので、今の段階でどういう民間会社や民間研究所からこの大学に教員として来ていただけるかどうかということは、必ずしも明確ではございません。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 大学ができてから具体的なところは煮詰まっていくということはあっても、こういう大学をつくりますということを審議するときに、具体的な中身がわからないと、いいのか悪いのかということがやはり国民にとっても判断できないということで質問を続けているわけなんですけれども、この大学院では、「民間の第一線の研究者」というところがあるんですけれども、これは研究いちずの民間の研究者で、教育歴がなくても教員として採用するということもあり得るのか、それから民間からの研究者をどのぐらい採用するのか、その点はいかがでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 大学院設置基準の中で、大学院の教官は、大学における教育歴がなくとも、研究歴があって、そして教育能力もあるというふうに認定できれば教官として採用できるというような教員資格になっております。そういう意味で、ある研究者が候補に挙がれば、この大学院大学の人事担当の教授クラスが具体的にその人が適任であるかどうかを最終的に判断するであろうというふうに考えております。  それから、この大学は二十講座、寄附講座以外は二十講座考えておりますが、そのうちの十七講座は固定的な講座と申しますか基幹的な講座で、三講座を客員部門で賄いたい。この客員部門で賄いたいというのは、そこの部分の講座は、可動的と申しますか、ある一定の期間が来た場合には別の客員講座に変えられるような可動的な講座にしたいということで客員講座にするわけですが、主としてそこの部分に民間からの研究者を教官として受け入れたいという意向を持っているようでございます。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 企業の研究者、技術者を受け入れる場合、企業が例えば三年も継続して出せない、後期課程の場合に出せないという場合に、研究者が、必要な期間だけ大学院にいて、目的を果たしたら企業に戻る、さらにまた必要になったら大学院に来るというようなこともできるのでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) これは具体的な手順といたしましては、大学と企業と、それからもちろん本人もいるわけですが、その人たちの話し合いで決まるんではないか。言いかえれば、大学としては、ここの講座のこの教授、助教授のポストは少なくとも五年はいてもらいたい、三年では短い、いわんや二年では短いということで、企業側あるいは本人と話がつかなければその方はあきらめざるを得ない。言いかえれば、大学はほかに人を求めるということになるんじゃないかと思います。ただ、大学としては、教育研究あるいは学生の指導等に三年で十分だ、ぜひ来てもらいたいというような場合には、三年でもいいからどうぞ来ていただきたいということになるんじゃないか。それは最終的には大学の判断それから企業との話し合いで決まるんじゃないかというふうに思っております。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 三年でも出せないという場合にいかがでしょうかということでお尋ねしたんですが、時間の関係がありますので。  これも石川県の直接かかわった方から伺った話ですが、この大学の特色は社会に開かれた大学である、だから企業の必要に応じて大学を利用できることも検討されたというふうにおっしゃっていて、具体的な中身としてこの期間の問題にも触れられているということを指摘しておきたいと思います。  次に、衆議院で教員の任期制が問題になったわけですが、その際文部省は、「今の段階でこの大学が任期制をとろうとしても」教特法などを含めて「制度的にとてもとれるような制度にはなっておりません。」、そう答弁されておりますが、念のために確認したいんですが、創設準備委員会では教員の任期制については一切検討されていないというふうに伺ってよろしいでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 私が衆議院でお答えしたんですけれども、今の制度の中で教員の任期制をとるということはまず制度上不可能でございます。ただ、運用上の問題として、例えば今申し上げましたとおりに、五年間に限って民間から教授あるいは助教授等に任用されて、五年に限って大学の教官になってもいいというような方もおられましょうし、あるいはある国立大学の教官であっても、その五年間に限って北陸先端科学技術大学院の教授に転任しても差し支えないという方もおられると思います。  そういう意味でこの大学の人事を活発化するという意味では、運用上、そういう形で五年のサイクルであるいは四年のサイクルで、ある民間会社からあるいはある国立大学から来るというようなことはあり得るんではないか。これはあくまで運用上の問題でありますし、本人の同意を得てやることでありまして、強制的に帰任させるというのとちょっと性格が違う問題だと思います。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 制度としては考えられないというお話ですが、これも創設準備委員会では、任期制について今すぐどうするかということは別としても、五年くらいで、教員の研究を評価して、場合によっては勧告もするということが検討されたと、これも関係者から伺っているわけなんです。  そこで、放送大学のことと関連して任期制の問題でお尋ねしたいんですけれども、放送大学では五年という任期制がとられているわけです。そこでは極めて運用が理不尽に行われているということで、これはもう文部省も既に御存じだと思いますが、深谷昌志さんたち三名に対して再任拒否事件と言えるものが起こったわけです。この人たちの再任審査をしない理由として学長は、例えば懇親会に出席する率が低い、要するに人づき合いが悪くて、専攻でも浮いている、飲めなくても酒席で学ぶことは多いはずである、また、卒業論文をあなたのもとで書く学生が多いため学内で反感を買っているなどの理由を挙げているわけです。こんな評価で結局再任をしなかったというのがこの事件なんですけれども、結局任期制を導入すれば、こういう放送大学のような恣意的な人事がまかり通るという危険性も出てくるわけで、文部省はこの場でこの大学院大学について任期制は将来ともとらないというふうに言明できますでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) この大学院大学だけの問題ではなくて、国立大学の教官人事につきましては、余りにも硬直的ではないか、あるいはもうちょっと活性化すべきではないかという御批判も一部にあることは事実であります。  ただ、大学教員の任期制の問題というのは、我が国の雇用慣行——これは法律上の問題じゃありませんが、雇用慣行や現行公務員の身分制度とも関連する事柄でもあり、かつまた大学教官の人事というのは、ある意味では大学自治の基本に触れる問題でもあるわけであります。そういう意味で、仮に今後国立大学教官について、これは法律改正を前提にではございますけれども、任期制を導入すべきではないかというような仮に審議を行うとしても、今私が申し上げましたような公務員制度、社会慣行あるいは大学自治の基本にも触れる問題でもありますので、慎重に検討する必要があるだろうというふうに思っております。  この問題は、大学審議会でもこれから先審議するということにもなるかもしれませんが、その場合も、基本的な姿勢は私が今申し上げました姿勢で慎重に検討していかなければならない問題だと。したがって、この結論を得て法律改正をしない限り、この大学院大学で任期制を導入するなどということはとても法制上不可能であるというふうに申し上げておきたいと思います。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 もう時間ですので終わりますが、最後に、この大学院は社会に開かれた大学と言いますが、結局その内容は民間からの資金をどんどん導入する、教員も民間から受け入れるということで、これまでの大学院とは異なったことが考えられているわけで、そういう点で極めて問題が多いということを指摘して、質問を終わりたいと思います。    〔委員長退席、理事田沢智治君着席〕     —————————————

田沢智治自由民主党

○理事(田沢智治君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、木宮和彦君が委員を辞任され、その補欠として木暮山人君が選任されました。     —————————————

笹野貞子連合参議院

○笹野貞子君 午前中の粕谷委員の女性の氏の問題についての討論は、私は大変これから女子教育をする上でも重大な問題だというふうに思いますので、一言触れさせていただきたいと思います。  先日、韓国の盧泰愚大統領が来られまして、この氏の問題について意見を述べられたことは皆様方御存じだと思います。いかに名前を奪われた韓国の方々は悲しい思いをしたかということは、これは私たちは本当にまじめに考えなければなりません。しかし、女性が名前を奪われることに対して非常に嫌だということを言いますと、男性は何か笑いで片づけてしまうというのは、私にとっては大変不謹慎な態度だというふうに思います。自分の妻の名前を自分にすることはこれは夫婦の御自由ですから構いませんけれども、他人の夫婦のことについてまで名前を強制的にするということは、非常にこれは憲法に保障された十三条の個人の尊厳というものを傷つけるわけですから、やはりこのような法律があるということに対しては、私たち女性はこれからいろんな面でその不合理を指摘しなければなりません。  私は、ちなみに生まれて育つところからずっと自分の名前で呼ばれているわけですから、骨の髄まで自分の固有名詞というのはしみついているわけで、ある日突然名前を変えろといっても、これは変える方にしてみると大変な苦痛です。また、固有名詞というのは、その固有名詞と同時に内容、そして形、いろんなものが一緒に付随しているわけですから、名前だけ別にあるわけではありません。ミカンというものはある日突然リンゴと言えといっても、ミカンという固有名詞は、その色、形、中の味まで一緒に想像するわけです。  そういう面では、これから女子教育というものを真剣に考える上で、この問題は私も逐一出していきたいというふうに思いますし、私も生まれてずっと私の名前は変えませんし、変えるつもりはありません。ですから、こういう女性がどんどんふえているということを必ずしっかりと覚えておいていただきたいというふうに思います。  続いて、質問に移らせていただきます。  大学の学部の編制あるいは新しい学部の設置、そして短大を廃止して四年制にするというこの法律ですけれども、予算づけが私にはちょっと理解ができません。例えば東京工大の場合には、ことしは二百二十五万円、北陸先端科学では一億、そして茨城の短大と山口工業短大の場合には今年度はゼロということですけれども、茨城短大の場合にはこれは平成五年度からですので、もちろんことしがゼロということはわかりますけれども、短大を廃止して大学にするということは、どのぐらいの予算をつまり成立のときに見込んでいるのでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 茨城、山口両短大とも併設短大を発展的に解消しまして、工学部の主として夜間に授業を行うコースとして展開するわけでございます。  この転換に伴いまして、茨城大学は四年間で学生総定員は二百十人の増、教官定員は三十七人の増、その他の職員定員は十二人の増となっております。山口大学でも同様に百四十人、教官定員で四十四人、その他の職員定員で十四人の増となっております。  それから設備費につきましては、総額で茨城大学三億五千万円、山口大学三億八千万円が措置されることとなっております。施設については、今のところ既存の施設をそのまま使用するということでございます。

笹野貞子連合参議院

○笹野貞子君 私は、新しい科学技術についてそれに見合う学校に学部を編制したり、あるいは短大を解消して四年制にするというこの法律案そのものには反対するわけではありませんが、こういう工業短大が普通の大学になるときには三億という予算がすっとつく、そしてこういうことに対しては何ら異議なくスムーズにいくわけですが、私が前のときも一生懸命力説したように、看護教育に対してはなかなか話が進まない。これだけ重大だ、これだけ今時代が要請しているんだと言うにもかかわらず進まないというのは、私にしてみたらいかにも不思議な感じがいたします。  そこで、お尋ねをいたしますけれども、六十二年度に厚生省から、これからの看護教育のあるべき姿ということで報告書が出されております。その中に、養成所であるものは短大に昇格し、短大であるものは四年制大学に昇格させるのがこれからの看護教育のあるべき姿であるというふうに言っておりますが、この間もあったように、文部省がやっている看護教育と厚生省がやっている看護教育の内容というのは、その一人当たりの経費を見ても、厚生省は三分の一から二分の一という非常に低い教育内容になっております。  そこで、お尋ねしますけれども、六十二年度から平成二年度まで、看護教育に対して、養成所であるならば短大に昇格する、短大であるならば四年制に昇格するというそういう検討がなされていますか。そしてなされているとするならば、何校なされていますか。そしてそれに対する予算づけはどのように考えておられますか、お尋ねいたします。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 六十二年から平成二年までの間に国立大学で短期大学を創設いたしましたのは、六十二年に徳島大学に開設し六十三年受け入れ、三重大学が六十三年十月に開設して平成元年四月に学生受け入れ、それから秋田大学が平成元年十月に開設して平成二年の四月学生受け入れということで、この三校の大学附属病院の附属施設としての専修学校を短期大学に切りかえたのでございます。    〔理事田沢智治君退席、委員長着席〕

笹野貞子連合参議院

○笹野貞子君 質問に漏れておりますね。短大を四年制に昇格するのはどのようになっていますか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 失礼いたしました。  平成元年度に東京医科歯科大学の看護学校を廃止いたしまして、東京医科歯科大学の医学部の保健学科に改組いたしました。そういう例が一つございます。

笹野貞子連合参議院

○笹野貞子君 その他の大学を見ますと、もう一年に二校とか一年に何校も格上げされておりますけれども、看護教育については、今お聞きしたように三年間でやっと一つという、そういう状況です。これは、私は非常に看護教育というか女性に対する教育に余り力を入れてないというふうに受けとめてもやむを得ないんじゃないかと思いますけれども、文部大臣はいかがでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) この前の御質問でもお答えいたしましたが、現段階では専修学校のままで附属病院の附属施設としてそのままになっておるものもございます。私ども、これらの専修学校を逐次、年次計画で短期大学に切りかえていくということに最重点的な課題として取り組んで今日まで来ているわけでございます。さらに、大学の四年制の学部の段階での看護婦養成、看護婦のための四年生大学をどういう形で充実していくかということにつきましては、それぞれ各大学の検討の熟度等と、それから財政状況等を加味しながら、これからの検討課題であろうというふうに考えております。

笹野貞子連合参議院

○笹野貞子君 今局長は看護婦の養成という言葉を使われますけれども、この間は大臣が、看護学というのは医学と並んで重大だという御発言をしておるわけですから、この看護婦の養成というのは、いかにも看護学を想定していない発言だというふうに思いますけれども、いかがですか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 失礼しました。むしろ大学の四年制の学部におきましては、看護婦の養成という言葉よりも、今先生が御指摘になりましたように、看護学を教育研究するそういう部門というふうにお答えした方が、より正確であるし、ベターだと思います。

笹野貞子連合参議院

○笹野貞子君 この問題は、私はこれからも続けていろいろとやりたいというふうに思います。きょうこの問題に突っ込みますと時間がなくなりますので、次の問題に移らせていただきますけれども、お忘れないようにひとつお願いをいたします。  続きまして、高等教育の問題についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。  今、日本の高等教育というのは、大学、大学院のお話がるるありましたけれども、この高等教育という教育のあり方の理想とは一体何だろうかということで、ひとつ現実を分析してみたいというふうに思います。  今、地方から来て東京で勉強し、下宿やアパートで暮らしている人の必要な平均の年間費用は二百十三万円と言われております。こういうふうに子供を東京にやって勉強させるために、親は平均年収の二一%にも当たる百七十一万六千八百円を支払いしているというのが統計で出されております。このごろの学生はぜいたくして遊んでいるという声もありますし、そういう人もいるでしょう。しかし、現実問題としては、まじめに勉強している人は大変そういう点では経済的に切り詰めながら勉強しております。  昭和六十一年に行われました二年前の調査を見ますと、日本の物価は〇・八%上昇していますが、学費は一〇・一%上昇し、日常生活費は三・八%上昇しておる。そうするならば、この学費の一〇・一%というのはいかにも突出した高い値上げなわけですね。これは文部省が分析した資料ですけれども、私学になりますと、もっとこのパーセントは開くだろうというふうに思います。つまり、こういう学費の値上げに対して、文部省は今までどのような対応をとっておられますでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) まず、私立大学につきましては、私ども大変苦しい財政状況の中で、私学助成というのは毎年経常部門経費といたしまして、概算要求基準の段階から対前年度比一〇%削減という枠組みの中でいろいろと文部省の予算を工夫いたしまして、最終的な予算編成の段階では、それを若干ではありますがここ数年増額してきているところでございます。  あと、国立大学の授業料につきましては、国立学校特別会計の自己収入部分を充実させる等、あるいは私学とのバランス、社会的な状況等総合的な判断をいたしまして、一年置きに若干ずつ値上げをして今日まで来ているわけでございます。そういう意味で、私立大学の授業料の値上げは極力私ども抑制するようにというふうに指導はいたしておりますけれども、実際の人件費の増傾向等から私立大学もやむを得ず毎年三%ずつぐらい値上げをしてきているというのが実情でございます。

笹野貞子連合参議院

○笹野貞子君 やむを得ずという言葉をあんまり軽々しく使ってはいけないんじゃないか。できるだけこの問題については学費を上げないような方策をいろんなところで私は講ずべきじゃないかというふうに思います。  そこで、私はちょっと根本的に触れてみたいことがあるんですけれども、昔は末は博士か大臣かという言葉がありまして、私の子供のときなんかもそういう言葉を使われたものです。そういう点でも博士か大臣になるというのは特殊な人で、保利文部大臣なんかは特殊な方なんでしょうけれども、大学で勉強するなんというのは、もうこれは大変特殊な人なんだという考え方がありました。しかし、現状を見ますと、高校を卒業すると四八%、約半分が高等教育を志願し、その中で三六・八%が現実に進学しているわけですけれども、こういう現状を見ますと、もう現在の日本では特殊な人が高等教育を受けるというのではなくて、もうたくさんの人が高等教育を受けたいと言っているわけです。  こういう高等教育を受けるということは、先ほどの御議論の中でも田沢委員なんかは、国家は人なりというふうに非常に名言をおっしゃっているわけで、国家としては高等教育をするということは、これはもう国家の資本なんだという考え方が定着しております。こういうときに、親のお金がなければ、いかに能力ややる気があっても現実問題としては高等教育を受けられないという、何か高等教育を受けるか受けないかというのは親の資産にかかってしまっているという現状、これを私は非常に憂えているわけですけれども、こういう重大な国家百年の計を語るときに、本人の能力じゃなくて親の資産にかかるというこの現状に対して、文部省としては国家百年の計としてどのように考えているでしょうか。大臣のお考えを聞きたいと思います。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○国務大臣(保利耕輔君) 教育費が小さいときから随分かかっているという感じは、率直にそのことは認めざるを得ないと思います。そこで、文部省としてはできることはいろいろやってきたわけですが、今局長から御答弁申し上げました私学助成をできるだけ頑張ってとっていくということが一つの方策でもありましたが、もう一つは、育英事業をかなりの規模でやらせていただいております。平成二年度の予算では貸与人員を二千八百人ほどふやしておりまして、現在事業費が千七百五十億。さらに四十五万人の奨学生に奨学金を貸与しているという現状がございます。  国としてやっていくことはそういうようなことを一生懸命やっておりますが、そのほかやっていかなければならないことはいろいろとあると思いますので、私どもも十分留意をしながらいろいろな方策を、予算に限りある中ですから、なかなか十分御満足のいただけるというようなことはできませんけれども、教育の重要性にかんがみ努力をしていかなければならない問題ではないか、このように思っております。

笹野貞子連合参議院

○笹野貞子君 先ほどから日本の高等教育が疲弊しているということで、いろんな委員の方がそれを憂え、何とかしなければならないんだという御意見がありましたけれども、その根本をしっかりと正さなければ、ますます諸外国におくれていってしまうのではないかというふうに私は大変憂えております。  そこで、授業料をもう一度見てみますと、国立大学の授業料は二年ごとにコンスタントに上がっているわけですね。一年置きに上がっております。昭和五十五年と六十三年とを比べてみますと、消費者物価の指数が五十五年を一〇〇としますと、六十三年度は一一六・二%に対して、授業料の方を見ますと、六十三年度は一六六・七%というふうに、五十五年と六十三年度の比較を見ると、もう二倍に近づく勢いで上がっております。  そこで私は非常に不審に思うのですけれども、授業料というのはどういう算定基準で決め、なぜ二年ごとに上げていくのでしょうか。それも決まったようにコンスタントに二年ごとに上がっていく。この授業料についてひとつお聞きしたいんです。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 私立大学の授業料ですと、これは比較的簡単——簡単と申しますとあれですが、単純に物が言えるわけでございます。一年間の経常的経費があって、そして経常的支出があって、それに収入としては国からの補助金、あるいは通常考えられる寄附金、その他資産収入等を算定いたしまして、結局残った部分を授業料に転嫁してやっていかなければ赤字になりますので、おのずから授業料というのは、施設、教育を受けるに必要なサービス料、サービスを提供してもらったものの反対給付として授業料を取られるというのが明確になっておるわけですが、国立大学の授業料はその点が必ずしも明確でございませんで、今現在国立大学特別会計の総額予算が約二兆円でございます。一兆九千数百億でございますが、約二兆円のうち、授業料あるいはその他の手数料等学生から得る収入というのは約二千億、一〇%でございます。あと自己収入というのが七千億ぐらいありまして、国から来るいわゆる一般会計からの繰り入れが一兆一千億ぐらいでございます。  そういう中で、じゃ国立大学の授業料は一体どういう形にあるのが一番適切なのかというのは、私どもも必ずしもこれが一番適切であるというのは言えないわけでありますが、従来から国立大学の授業料の改定に当たりましては、私立大学の授業料の水準あるいは社会経済情勢の変化等を総合的に勘案して決めるというやり方しかないということで、ここ数年間の傾向でありますが、二年に一回授業料の改定を行ってきているというわけでございます。

笹野貞子連合参議院

○笹野貞子君 今お聞きしますと、何か私は不安になってしまいました。局長のお話は、算定としては確たるものはないとおっしゃるわけで、それじゃ文部省は学生の授業料を決めるのに何かどんぶり勘定でやっていて、つまりこれだけ教育費がかかって、親は大変で、また親にお金がない人は教育が受けられないという現状が起きているにもかかわらず、そのようなのんきなことで授業料を算定するというのは、私は非常にびっくり仰天をいたしております。  この点につきましては、私も予算をしっかりまだ研究しておりませんので、次回はこの点をしっかりと研究いたしまして、私もこの算定基準がいかにあいまいかということを証明いたしたいと思います。  そこで、本当にいろんなことを聞きたいんですけれども、先ほど大臣が奨学資金のお話をされました。きょうは奨学資金の問題まで話を進めますと到底時間がありませんので、これはペンディングにしておきまして、この次にこれを必ず看護教育とともにまたやらせていただきますので、最後に一つだけお聞きをいたしたいと思います。  今、確たる基準もないのに授業料は上がっていく、こういうふうにおっしゃいましたですね。これは私は本当に不思議なことだというふうに思います。ところが、私学の方は、これは自分で賄うわけですから、やむを得ず授業料を上げることになっています。ところが、初めのうちは国立大学と私学の授業料というのは随分差がありました。私学というのは高くて国立は安いんだ、こういう考えですけれども、このごろだんだん国立大学の授業料が高くなりまして、今やまさに二分の一まで追いつくことになりました。  この間の予算委員会で——この間かちょっと忘れました、済みません。大蔵省は、私学との格差を埋めるために国立大学の授業料を上げるんだと、このように御答弁をなさっているわけですね。私学との格差を是正するというその点に関しては私も賛成です。しかし、どうも発想がおかしいんじゃないか。私学が上げるから国立も上げる、私学が上がるとまた上がる、こういうことは学生無視で、本来であるならば、国立を上げないために私学をいかに援助して下げるか、下げる方に基準を合わせなければいけないのに、上がる方に基準を合わせるというのは、これはいかにも本末転倒の議論じゃないですか。その点はいかがお考えですか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 私先ほど、明確な基準がないのはまことに恐縮でございまして、総合的に勘案して上げますというふうに申し上げましたが、そのときに、私立大学との授業料水準、その格差を埋めるという意味ではございませんで、ただ私立大学の授業料がどの程度であるかというようなことも参考にしながら、あるいは社会経済情勢の変化等を総合的に勘案して今日まで少しずつ上げてきているというふうにお答え申し上げました。  大蔵省がどういうふうに答えたかわかりませんが、私どもも、私立大学と国立の格差を埋めるということではございませんけれども、私立大学の授業料の水準もある程度横目で見ながら授業料を考えていくということはしております。

笹野貞子連合参議院

○笹野貞子君 時間がないので申しわけありませんけれども、文部省というのは、これはやっぱり国家百年の計として教育をいかに開かれたものにするか、能力のある人に高い教育を受けさせるかということに努力するために私はある省じゃないかなというふうに思うので、私学に合わせて国立の授業料も横目で見ながら上げていくというのは、何かそんなことだったら文部省がなくてもできるんじゃないかなというような気がいたします。  やはり教育をしやすいような、そして授業料をいかに抑えるかという、その御努力のほどを、大臣にちょっと所見をお伺いしたいと思います。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○国務大臣(保利耕輔君) 教育はできるだけ安く提供できればこれにこしたことはございません。そういう観点から国庫がかなりの支出をしておるということは事実でございますし、それがまた現実でもあると思います。先ほど局長から御答弁した数字をちょっとここへ書きましたけれども、授業料収入が二千億である、そしてこれは病院等の収入と思いますが、七千億が自己収入になっておる。そして、一兆一千億というものが一般会計から特別会計へ入れて支出をされておるという状態でございます。したがいまして、この二千億をうんと圧縮していくかどうか、あるいは一兆一千億というものの繰り入れをもっとふやしていくか、これが我々に課せられた課題でございますが、御承知のように国にもお台所がございまして、なかなかお財布も豊かではないというような状態の中でぎりぎり毎年努力をいたしておるわけでございますから、その努力についてはひとつお認めをいただきたいと思います。  しかし、それでは不十分だということで、もっとこれをふやしていくべきだということになりますと、ほかの費目との関係その他を考えながらやはりこういった問題については努力をしていかなきゃならぬ、こういうふうに思っております。

笹野貞子連合参議院

○笹野貞子君 終わります。

小西博行民社党・スポーツ・国民連合

○小西博行君 きょうもラストバッターになりまして、午前中からずっと皆さんの御意見をお伺いしておりますと、ほとんど質問通告の半分以上皆さんが大体同質問をされましたので、前半は二、三点今度の法案につきまして質問をさせていただき、後半は独自なものを考えておりますので、それを申し上げて質問にかえたいというふうに思います。  まず、先ほどから議論になっておりますが、高等教育、特に大学教育という分野に絞ってみまして、私はヨーロッパあたりの大学を見まして大変違うなという感じがするわけです。スイスにいたしましても、恐らくスウェーデンにいたしましても、進学率そのものは非常に少ない。いわゆる大学へ進学するというのはパーセンテージでは非常に少ない。先ほどから質問にありますように、日本は非常に進学率が高い。だからといって、じゃ日本の学生そのものが学究的な領域で将来研究者として生きていけるかといいますと、そうではないと。ある意味では教育全体が非常に幅が広くなってきた。したがって、卒業して、特に自分の専門を生かして就職をして社会のためになるというよりは、いろんな体験を通じて新しい分野に職を求めていく、こういうようなのが日本の一つの特徴ではないかと思います。しかし、そうはいっても全部がそうではないわけでありまして、やっぱり学究的な先ほどのいろんな基礎技術あるいは基礎科学、そういう分野で世界的な学者として活動している人も大勢いらっしゃる。こういう二面性が日本の大学の機能としてあるんではないかな、そのように私は感じさせていただきました。したがってこれからはそういう分野で、どれがどうだということは言えないまでも、やっぱり基礎研究を進めていくということについては、文部省は相当思い切っていろんな施策をとっていかなきゃいけない、そのように私も思います。  まず、質問をさせていただきたいんですが、臨調の行政改革の方針というのが出ておりまして、昭和五十九年に国家行政組織法が改正された。そのときに、大学院の設置については政令事項ということにされております。それに対して、学部についてはその内容を国民に示すという立場から法的事項というような形でやられております。今度の東京工大の二つを一つにするという、名称は変わったわけでありますが、中身はほとんど同じということを説明で受けておるわけです。  そういうような、学部の場合でも、中身はほとんど変わらないというのは、行革の立場からいいましても大学の内部である程度議論して、そしてそれはいいじゃないかということになれば、ある程度自主性を持たして、大学の中でやるとか、あるいはせめて政令事項でそれは処理していいと、私はそのように思うんですが、わざわざこれから先も恐らくこういう場合には一々国会にかけて、そして議論をしてという、大変これは時間のかかることでありますし、各大学でもそういうふうにしたいと思う大学が相当あるのではないか、しかし、一々国会へこのような形でということになりますと、非常におっくうである。そういう問題もあるいはありはしないのかなという感じがいたしておりまして、その辺に対しての考え方をまずお伺いしたいと思います。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 臨調の答申に基づきまして、国の設置する附属機関等につきましてなるべく政令等におろすべきではないかというようなそういう議論が政府部内で行われたのは、先生御指摘のとおりでございます。  私どもも文部省部内でいろいろ検討をいたしました。その際に、私どもとしましては、国立大学というのが国民の教育機関として広く国民に利用されておる、国民の生活にある意味では重要な関係を持つ機関であるということ、それから教育の機会均等の確保という要請から、地方などはむしろ国立大学が地方の高等教育の重要な機能を持っておるというようなこともございまして、国立学校設置法において大学の名称と位置は当然設置法で規定すべきであるという結論にまずなったわけでございます。  ついては、文部省内で学部についてはどうするのかなということを議論したわけでございます。当時、私、担当の大学課長であったわけですが、そこの結論としましては、学校教育法の五十三条におきまして「大学には、学部を置くことを常例とする。」と規定されているわけでございます。大学にはまず常例として学部があるんだということ、それから伝統的に、我が国の総合大学もそうでありますが、学部を中心にしてまず単科大学ができ、それから総合大学に発展してきたというようなこと等も考えますと、学部は大学の教育研究の基本的な組織であるから、これもやはり大学の名称、位置とあわせて法律事項として法律に書き、その都度国会の御審議を仰ぐべきではないかという結論になりまして、学部まで国立学校設置法で規定することにしたわけでございます。  したがいまして、確かに先生御指摘のとおり、今回の東工大学の生命理工学部は既存の二つの学部を発展的に一つに統合する。もちろんこれは、統合することによって教育課程やなんかは従来、理学部、工学部でやっておりましたが、基礎分野の基礎の科目というのはがらっと変えまして生命理工学部共通のカリキュラムをつくるわけでございますけれども、それにしましても、形式的には二つの学部のそれぞれの学科が一緒になって四つの学科が一つの学部をつくるだけではないかという御指摘もごもっともではございますけれども、これも学部を新たにつくるという法律上の形式はそういうことでございますので、今回こういう形で国立学校設置法の一部改正の一部としまして国会の御審議をお願いしているところでございます。

小西博行民社党・スポーツ・国民連合

○小西博行君 長々と答弁してもらっても、一つも変わってない中身なんだから。これから研究するとか、そうあった方が大学としてはいいんじゃないですかとか、そういう意見を聞いたんであって、ただ今までやってきたことの経過報告ばかり聞いたって、さっぱり前へ進まない。ただもう時間がだんだん少なくなってくる。  したがって、次の問題に移りますけれども、ことしの大学受験というのは新方式でやったわけですね。その結果のいろんな細かい分析というものはこれから恐らくやられるのじゃないかと思うんですが、経済の都市集中というのがよく言われるんですね。ところが、大学もだんだん首都圏に集まりまして、そして地方の例えば国立大学というのは地盤沈下というのが前々から言われているんですね。そういうような大きな問題をこれから文部省、特に大臣はどのように考えて、地方の大学の発展というか、そういうものに貢献しようとしているのか。  この間、留学生問題で、国費留学の場合は地方の国立へ配分していくという話だったと思うんですが、それだけではとても人数は埋まらないと思うんです。最近の状態というのはひどいものがあるんじゃないか。東京へ集まると、それだけ生活費がかかってしまう、親の負担も当然大変なわけですね。そういう意味で、これから先、地方の大学、特に国立大学、これをどのような形で挽回していくような考え方があるのか、それをお聞きしたい。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○国務大臣(保利耕輔君) 地方の大学を、やはり基本的には教育内容の充実をし、そして魅力のある地方大学にしていくということが我々に課せられた責務だと思います。そして魅力のある大学にして、そこへ入学希望者にできるだけ集まっていただくというような施策を、やはり知恵を出しながら考えていくということが、これから我々に課せられた責務だと、そのように考えておるわけであります。

小西博行民社党・スポーツ・国民連合

○小西博行君 そこが大分違うんじゃないですか。大学の魅力といっても、入るまでなかなかわかりませんし、むしろアルバイトがしやすいとか、あるいは東京へ寄れば遊ぶところがいっぱいあるとか、若者の条件というものがたくさんあるんではないかなと思います。その辺も十分分析しないで、大学の中身さえよくなれば地方へ皆さん学生が集まるというだけではどうも解決できないんじゃないか、そういう要素があるように私は思うんですが、そういうのはございませんか。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○国務大臣(保利耕輔君) それはまさに同感でございます。そしてそれは単に大学だけの問題というよりも、むしろ地方の自治体の問題でもあろうかと思います。そして、魅力のある都市づくりをしながら若者が定着するような町づくりをしていくということが、また自治体の皆様が考えておられることだと思います。若い学生がたくさんいることによって町が活性化して生き生きとした町づくりがそれによってできる。そこに大学がある、そして大学にそういう学生さんが集まることによってその地方が活性化してくる、こういった道をとらなきゃいけないんですけれども、しかし現実には、やはり東京に対してのいろいろな投資が行われ、さらに東京あるいは大阪が魅力のある都市にどんどんなっていく。競争すると、どうも地方よりも東京や大阪の大都市圏の方がスピードが速いというような矛盾点というものは感じております。  しかしながら、私はやがて東京でも人口が過密状態になって、住みにくいなという形になり、さらに環境問題等いろいろあって、将来はやはり日本の地方というのがもう一回見直されてくる。そのときの準備のためのいわゆる活性化というものを、地方自治体あるいは住民の皆さん全部の方々がそれぞれ努力をし頑張る中で達成をしていかなきゃならない問題ではないか、こんなふうに考えております。

小西博行民社党・スポーツ・国民連合

○小西博行君 これは文部省だけの問題ではないんですけれども、四全総というのがございますね。そして東京一極集中じゃなくて、できるだけ地方の方をいろんな意味で活性化しなきゃいけないとかいうことで、例のテクノポリス構想とか、いろいろ産学官の一体化とか、あるいは中央官庁の地方分散、産業を移転しろというようないろんな対策を各省庁でやっているわけですが、依然としてなかなか地方に行かない。したがって、子供さんが勉強しようと思っても、親も含めて、やっぱり首都圏に子供さんがどんどん出ていく。そういうことになりますと、大学といいましてもこれは相当の人数ですから、財政的に非常に地方というのは困るわけです。  つまり、例えば広島県の場合ですと、広島県で高等学校を卒業して、そしてそれが広島県の大学へそれぞれ行かれ、そして卒業して広島県の事業所へ勤めるというのは、ある意味では地方が求めるところでしょう。ところが、県によりましたら、もうほとんど東京とか大阪という、そういう大都市圏へ集中してしまう。もちろん就職は、そういう都会が物すごく就職先が多いわけですから、どうしてもそこで働く。  ちなみに、先ほど先生が言われていましたけれども、東京で、私学で、しかも飯つきの下宿をして年間大体二百万ちょっとかかるという実績が出ていますね。大体百五十万ぐらいが平均だというんですね。そのぐらいの金が常時落ちていくというような、いわゆる大学生が落とすお金の問題も含めて、そういう問題が私はあるんではないかと思う。滋賀なんというのは一番何か極端な数字が出ているんですね。  私もデータを一応持っておるわけです。これを見てみますと、このままではどうなのかなと。東京なんかというのは、これはすごいものでして、大学入学者のうち東京出身が約六万、ところが試験を受けて各大学に入るのが十二万五千、その中で国立とか公立というのは非常に少ないですね、大体一割ぐらい。そういうような状況になっていますから、こういうものを試算するだけで、すぐ年間七百億以上ぐらいの金が落ちる。そういうような形になる。ところが、滋賀なんかだと全部出てまいりますから、恐らくそういうものはほとんど落ちないだろうと思います。一生懸命に地方で親が働いたものが全部東京へ行く、大阪へ行く、あるいは京都へ行くという形になりますね。そういう意味でこれを見ますと、やっぱり東京というのは断然で二〇八%ぐらい、つまり自分たちで卒業するその倍ぐらいがよそから集まってくる。そして京都もすごいですね、笹野先生のところ。二四一%というように、やっぱり日本全国から京都を中心にして大学生が集まってくる、こういう格好になっておりますね。  先ほど田沢議員の方からもあったかと思うんですが、国立の方は少し人数をふやして来年に対応しなきゃいけないとか、あるいは四年に対応するというようなことが言われておるんですけれども、なかなかそのぐらいでは、国立だけではどうしてもこれは解決できない。私学はそれをもう先鞭をつけて一生懸命やっている。国の方は何だかんだ言いながら偏差値問題その他でこれがなかなか解決できない、こういう問題があったわけです。  これから具体的にどのようにして地方のそういう国立大学がますます発展できるような体制に持っていこうとしているのか、この点をひとつしかとお聞きしたいと思います。

坂元弘直文部省高等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 大変難しい問題でありますけれども、結局国立大学の関係者自身も十分自覚を持たなきゃいけないんではないか、国立大学だから手をこまねいておっても優秀な学生が集まるという時代ではないんじゃないかという気がいたします。そういう意味からいいますと、もっとそれぞれの大学が特色のある教育を本当に学内で検討をして展開していく。そのことについて東京の私学などでは、積極的にそれぞれの教官がどういう研究をやっておるかというようなものを入学案内に写真入りで配っておるというような私学もかなりございます。  地方の国立大学もやはり地方の受験生に対して、うちの大学はこういう教官がそれぞれこういう研究あるいは教育をやっておるということを明確にまあ消費者と申しますか、その大学を受けようとする受験生に知らせるという努力も必要なんではないか。そういう意味からいいますと、もう少し各国立大学、これは国立大学に限りませんけれども、地方に比較的多いという意味では各国立大学が多様な教育カリキュラムが組めるような仕組みを制度的に保障してやるということも必要なんではないかということで、現在大学設置基準の大綱化なども検討しているところでございます。  それと、もう一方、そういう努力をしてもなお、先ほど来先生が指摘されます都会地の持つ若い人たちに対する魅力というのはなかなか捨てがたい。とにかく東京へ出てくれば、文化に接しようと思えば、博物館から劇場から一切合財全部ある。あるいは安い、今風で言えばナウい店が結構ある。地方の都市だとそういうものがない。そして、しかも新幹線とかいろんな交通の便が発達いたしまして、相対的には地方と東京の距離が短くなっておるというような状況下にありますので、今言ったような努力だけではなかなか解消はできないでしょうけれども、そういう努力を地方大学もしなきゃいけないだろうというふうに思っております。あわせて私ども文部省としましても、地方の国立大学を充実させるために地方の国立大学の整備を重点的に図っていく施策も講じなきゃいけないだろうというふうに思っております。

小西博行民社党・スポーツ・国民連合

○小西博行君 ちょっと早いようですがもうやめますけれども、例えば私広島県出身なものだからちょっとデータをとってみたんですけれども、六十三年度に広島県内の高校から一万三千三百二十九名というのが卒業なんですね。その中で九千四百九十二名、これが大学受験をいたします。そして高校を卒業して広島で各大学へ入るというのは四千七百七十七。だから九千四百の中で四千八百ぐらいが広島です、広島には大学がたくさんありますから。しかしその中で広島大学というのは三百四十八名なんですね。約四千八百名の中で約三百四十八名、これが広島大学の全員です。そうなりますと、これもう七・三%ということになるんですね。この九千四百の中で四千八百というのも実は問題でして、これを計算いたします。月に十万は必ず学生が使うわけです。そういたしますと、大体これが年間に四十六億円よそへ流れるということです。この発想は例の出雲市長の岩國さんも何か雑誌に書いていました。特に島根というところは大変なところですね。そういう意味で、大学の数も非常に少ないので、ほとんどよそへ出ていってしまう。すべての行政というものがそういう格好になってしまうということで、地域の中で独創性を持ってどんどんやって、経済も政治もというんですけれども、現実問題はこの大学が示しているような形にだんだんなっているんじゃないか。教育環境というのは静かで非常に学究的でいいじゃないかと言うんですけれども、現実は先ほど局長も申されたように東京の魅力には追いつかないというようなことがずっと続いております。私はこれは文部省が大いに努力をして、本当の教育とは一体何かという面も含めてやっぱりイニシアをとっていかないと、よそごとのようなことを言っていたんでは、とてもとてもこれは解消できないだろうと、そのように思いまして、この問題、まあ問題点はたくさんありまして何時間でも議論できることだと思うんですが、以上で終わりますけれども、そういうことに対して文部大臣、ひとつ思い切って何かの施策をとってもらいたいということを申し上げて、終わりたいと思います。  何か文部大臣一言言ってください。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○国務大臣(保利耕輔君) 地方の大学の充実の問題はまさによそごとではなく、私のところでもその問題は持っておりますので、十分に私自身の問題としてでもこの問題に真剣に取り組んでまいりたいと思います。

小西博行民社党・スポーツ・国民連合

○小西博行君 終わります。

柳川覺治自由民主党

○委員長(柳川覺治君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柳川覺治自由民主党

○委員長(柳川覺治君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 私は、日本共産党を代表して、この国立学校設置法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  東京工業大学生命理工学部の設置、茨城大学工業短期大学部及び山口大学工業短期大学部の廃止については賛成です。しかし、今回の法案の最大の眼目である北陸先端科学技術大学院大学の創設については反対です。したがって、法案全体としては反対をせざるを得ないわけです。  先端科学技術大学院の最大の特徴は財界に開かれた大学院であるということです。  この大学院は、特定企業の寄附によって開設される寄附講座を積極的に受け入れることをうたっており、創設準備委員会では、既に十講座もの寄附講座が検討されています。寄附講座は特定企業からの資金提供で教官の給与、教育研究費等を賄うという、いわば企業による講座の買い取りというべき内容となっています。そこでは、大学の建物、研究施設を使用して特定企業のための人材養成、研究が行われることになります。  また、同大学院の若手研究者の育成、産学官交流事業等をバックアップするために、北陸経済連合会を中心に大学院支援財団設立の準備も進められています。このように、この大学院では寄附講座の開設や後援財団の組織化など、民間資金の積極的導入が計画されていますが、民間からの資金提供を前提として人材育成、教育研究が進められることになれば、特定企業、財界の要求を入れた管理運営が行われ、学問の自由、大学の自治が形骸化する危険性があります。  さらに、この大学院が教員の任期制導入など国立大学教官の流動化策の突破口となる危惧さえあります。  以上のように、今回の先端科学技術大学院大学の設置は、真理探究と国民のための教育研究の推進という大学の本来的任務に反し、財界とりわけ特定企業に奉仕する大学院設立を認めることになり、反対であることを指摘して討論を終わります。

柳川覺治自由民主党

○委員長(柳川覺治君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柳川覺治自由民主党

○委員長(柳川覺治君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  国立学校設置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

柳川覺治自由民主党

○委員長(柳川覺治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  山本君から発言を求められておりますので、これを許します。山本君。

山本正和日本社会党・護憲共同

○山本正和君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     国立学校設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び関係者は、次の事項について特段の配慮を行うべきである。  一、北陸先端科学技術大学院大学については、その目的を達成するための教育・研究組織及び施設・設備等の整備に努めること。また、新構想大学院の管理運営に当たっては、大学の理念を尊重し、その教育・研究の目的が十分生かされるように努めること。  二、高等教育に対する新たな時代の要請に基づき、大学、大学院の教育・研究体制のより一層の充実を図るため、財政措置を含め必要な諸条件の整備に努めること。  三、大学院学生及び大学院博士課程修了者の現状にかんがみ、大学院学生について若手研究者としての処遇、位置付けについて検討を行うとともに、奨学金や日本学術振興会の特別研究員制度の拡充を図り、また、学位授与の円滑化を図るための積極的な施策を講ずること。  四、大学、大学院の新増設及び改組に当たっては、大学の意向や地域社会の要請を勘案するとともに、現在進行しつつある大学入学者の急増とその後の急減に適切に対応するための必要な諸条件の整備に努めること。  五、大学入学者選抜の在り方については、受験生の立場に配慮しつつ、一層の改善のために最大の努力をすること。また、社会人の大学、大学院への積極的な受入れに必要な諸条件の整備に努めること。   右決議する。  以上でございます。

柳川覺治自由民主党

○委員長(柳川覺治君) ただいま山本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

柳川覺治自由民主党

○委員長(柳川覺治君) 多数と認めます。よって、山本君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、保利文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。保利文部大臣。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○国務大臣(保利耕輔君) 国立学校設置法の一部を改正する法律案を御可決いただきまして、ありがとうございました。ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

柳川覺治自由民主党

○委員長(柳川覺治君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柳川覺治自由民主党

○委員長(柳川覺治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十分散会

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