農林水産委員会 第10号
- 発言数
- 218 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1990/06/19
会議録
○委員長(仲川幸男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○菅野久光君 あす二十日、麦価についての米審が開かれるということでありますので、本日は麦の問題を中心に質問をいたします。食べ物にとって一番大事なことは安全性の問題でありますので、初めにこの問題について御質問を申し上げたいと思います。 本年の一月から三月にかけて、横浜国立大学の環境科学研究センターが、食品の安全性を監視する市民団体であります日本子孫基金の依頼で、アメリカ、イギリス、オーストラリアと、それから東京のスーパーで無差別に購入した小麦粉四十六品について残留農薬をチェックした。その結果、すべての国で計二十八品から有機燐系農薬のスミチオン、レルダン、マラソンが検出されたというようなことが報道されました。有機燐系農薬は、その急性中毒や記憶力の減退、言語機能の低下など、神経系の後遺症が報告されておる物質でございます。日本農村医学会でも、動物実験による生体への影響が証明されているというものでありますが、日本では、このポストハーベスト農薬を原則的に禁止してきたので残留農薬をチェックする必要が薄かった。だから、例えばアメリカで使われている農薬は約千種ある、ところが我が国の検査体制は、わずか二十六農薬について五十三農産物の残留農薬基準値を設けているだけという状態であります。 農作物が国内産だけで賄えた時代はそれでよかったかもしれませんが、検査体制が整わないうちに、急速にふえる輸入農産物について野放し状態になっていることはまことに憂慮にたえないわけでございます。厚生省は来年をめどに、主要農産物の規制基準値の作成作業を行っているやに聞いておりますが、その進捗状況はどのようになっているのか。また、来年の何月をめどに進めているのか、そのことをまずお尋ねいたしたいと思います。
○説明員(内山壽紀君) お答えいたします。 農産物の保存性を高め、それから世界的な食糧の安定的供給を確保するため、諸外国におきましては農薬の収穫後使用が広く認められておりますが、我が国では先生が申されたように、そのような使用はほとんど行われてございません。収穫後に農薬を使用する場合、その残留量はおのずから高くなりまして、このため厚生省では、安全性確保の観点から、平成元年度より収穫後使用農薬衛生対策としまして輸入農産物における残留実態調査等を現在進めておりまして、穀物等主要農産物につきましては、平成三年度を目途に基準の整備を進めてまいる考えでございます。この際に、輸入相手先国と十分な協議をする必要がございますので、何月ということは申しわけございませんけれども、一応平成三年度を目途に基準をつくりたいという考えでございます。
○菅野久光君 何月ということは言わないが、できるだけ早くということでひとつ努力をしてもらいたいというふうに思います。整備にはあと十年かかるというような報道もあるわけでありますが、もっと早める必要があるのではないかというふうに思うんですが、この点はいかがですか。
○説明員(内山壽紀君) 収穫後使用農薬の安全性確保対策は、厚生省としましても重要な対策として考えておりまして、残留実態の調査結果等に基づき基準整備を行っていく考えでございます。 具体的な方策としましては、穀物等主要農産物については、先ほど申し上げましたように、平成三年度を目途に基準の整備を予定しておりますが、他の農産物につきましては輸入実態の動向等を踏まえまして、輸入農産物安全性確保の観点から残留基準の整備を効率的に進めてまいりたいという考えでございます。
○菅野久光君 これを早くに進めるという場合には、例えば人員の問題などを含めて整備しなければならないことがいろいろあるのじゃないかというふうに思うんですが、そういう点について、厚生省としてどのように考えておられるか、それをお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(目黒克己君) 御指摘のポストハーベスト農薬の件に関しましては、先ほどお答え申し上げましたような現状にあるわけでございますが、これからどのような体制で臨むかということにつきましては、私ども、先ほど来申し上げておりますように、できるだけ早く平成三年度の分についてまず取り組むということでございまして、それが終わり次第、逐次次のものに移ってまいりたい、このように現在のところ考えているところでございます。
○菅野久光君 この残留農薬の問題は、急性毒性が出なければ直ちに、何というんですかね、対応に取り組まないというのがあるんですね。ちょうど交通信号機と私は同じだと思うんです。事故があって、そこで死亡事故が起きたときにはすぐそこに交通信号機がつくんですが、けがの程度ではなかなかつかないということですね。 私は、この残留農薬の問題、長期にわたって摂取されるだけに非常に健康に大きく影響するものです。しかも、確かに含まれている量は微量かもしれませんが、石川北里大学医学部教授のお話ですと、「微量に摂取した場合の方が、かえって免疫機構に障害を与えるとする化学過敏症を挙げ、摂取量だけによる安全性の論議に疑問を投げかけている。」というようなお話もあるようでございます。 ですから、急性毒性が出ないからといってこのことをゆるがせにするわけにはいかない問題だというふうに思うんです。とりわけ外国産の小麦粉からは多くの残留農薬が出ているわけでありますから、そういう点での検疫体制などを含めた、厚生省としての取り組みをこの機会にまた強く申し上げておきたいというふうに思いますし、食物を生産する立場での農林水産省、国務大臣としての山本大臣も食物の安全性の問題については、値段が高かろうが何しようが、とにかく安全でなけりゃだめなんですから、政府としても特段のひとつ努力をしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(浜口義曠君) ただいま先生から、輸入麦の安全性対策についてのお話がございました。これに関連いたしまして厚生省お答え申し上げたわけでございますが、食糧庁といたしましても、小麦は国が一元的に輸入を行っているという実態にあるわけでございます。食品衛生法により基準が定められている七品目の農薬はもちろんでございますが、それ以外の農薬、先生今お話しになりましたマラチオン、フェニトロチオン等々の、その他の十品目につきましても、現在あります基準が、FAOとWHOのいわゆる国際基準でございますけれども、これを準用いたしまして、入港船の全船につきまして、サンプルを抽出しての農薬残留の検査を行って万全を期しているところでございます。 先生御指摘のとおり、穀物の安全性についての重要性にかんがみまして、今後とも本問題は食品の安全性にかかわるものであることでもありますし、さらに消費者の関心が極めて強いため、消費者が安心できるように、十分手を尽くして実施してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○菅野久光君 いつも私は、食品の安全のことで、目黒局長忙しいところ出席していただいておりますが、国民が安心して食料を摂取することができるようなそういう方策をとることは、まさに国の責任の問題でもあるというふうに思いますので、なお一層ひとつ努力をしていただきたいということを強く要請申し上げておきたいと思います。 次に、このまま麦の問題に入ります。 本年産麦の政府買い入れ価格でございますが、いよいよあす米審を開いて決めるというようなことになっております。農業者は低コスト生産と良品質麦、これをつくるために真剣に取り組んでいる、そういう状況を十分に認識して国内産麦の振興を基本に、現行水準を下回らないよう適正に決定すべきだというふうに思いますが、麦の政府買い入れ価格決定に向けての、政府の基本方針をまずお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(浜口義曠君) 先生御指摘のように、麦でございますが、これは私からちょうちょう申し上げる必要もないぐらいに、この麦につきましては土地利用作物の基幹でございます。また、特に水田農業確立対策の中の大きな一環になっているわけでございまして、その制度につきましては、適正な価格を決めていくということが極めて重要なことだというふうに考えているところでございます。 この麦の価格に関連いたしましては、既に六十三年に、法律を改正いたしまして、御審議を賜りまして従来のパリティ方式というものにかえまして、今回一つの方向を出させていただいているわけでございます。平成二年の麦の政府の買い入れにつきましては、この食糧管理法の規定に基づきまして、生産費その他の生産条件、需要、供給の動向、物価その他の経済事情を参酌いたしまして、これも先生御指摘の、生産性の向上と品質の改善に資するよう配慮して決定をしてまいるという段階でございます。この点につきましては、昨日、生産費の昨年の調査が出たばかりでございまして、現在これに基づきまして、先ほど触れました食管制度に基づく新しい算定方式、六十三年から実施しておりますが、それに基づきまして現在作業をしているところでございます。 この具体的なやり方につきましては、麦作に取り組む農家の意欲に及ぼす影響にも配慮しながら、内外価格差の縮小の必要性にかんがみまして、生産性の向上を価格に的確に反映させるために、主産地の平均規模以上の規模層の生産費に基づいて基本となる価格を算定する、さらに基本となる価格と前年の格差が大幅に生ずる場合には、政府買い入れ価格としての連続性等の観点から経過措置を講ずる、そういう段取りを置きまして算定するという従来の方針がございます。米価審議会の小委員会で御議論を賜り、米価審議会から答申を受けたこの算定方式に基づきまして、今回出ました統計調査部の数字等を前提にいたしまして計算し、的確に価格を決定していく考えでございます。
○菅野久光君 米価も麦価も同じでありますけれども、いつも言うことでありますが、生産性の向上を図るということは非常に大事なことなんだが、一生懸命努力して生産性を上げたそのことが、生産者に返ってこないということがいつも言われるわけであります。 昭和六十二年九月の本委員会で、食管法改正案に対する附帯決議をつけましたが、その中でも、「生産性向上の反映については、農家への還元にも十分配慮して行うこと。」という決議をつけました。しかし、今申し上げましたように、生産性向上分の農家への還元というものが本当に余りなされていない。今回の価格決定においても、何かこの点が十分なされないのではないかというふうに私は危惧せざるを得ません。私も国会に出て七年たつわけでありますが、いろんな法案について附帯決議をつけますけれども、その附帯決議の重みということについてどのように考えておられるのか。何か附帯決議は附帯決議として、政府は政府としてというような考え方がその中にありはしないかというふうに思われる節があるんですけれども、その点についてどのようにお考えですか。
○政府委員(浜口義曠君) ただいま先生御指摘のように、米価、麦価等々価格対策におきましての問題につきましては、生産性の向上をどういうふうに配分するかというところが最大の問題だろうというように思います。 まず、先生御指摘のような、当委員会におきます附帯決議でございますが、当然のことながら私ども、本院の、本委員会の附帯決議の趣旨というものを十分体して対応してまいりたいというふうに考えておりますし、さらに戻りますけれども、農家の方々が、それこそ最大限の努力をされまして生産性の向上をなさる、そういうものにつきましては、いわば別の言葉で言いますと、国民の納得する価格でというような水準の問題に関連をいたしまして、一部のものは当然のことながら、その価格に適切に反映するという形で消費者の方に還元をしていかなければいけない。他方、これも先生御指摘のとおりでございますが、農家の方々が十分御努力をなされたことの成果というものを生産者の方々に還元するということも、ゆめおろそかにしてはならないというふうに考えているところでございます。先ほどこの麦価におきましては、行政価格の連続性等々から経過措置をということを申し上げましたが、そういうものの中に先生御指摘の農家への還元の問題、あわせて生産者への還元というものも考慮しながら、十分考えていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
○菅野久光君 十分配慮が、何か国民の納得するという、国民はできるだけ安く、農家は何とか生産性が維持できるように高くということで、なかなかここのところは難しいところだと思うんですが、適切なということが、いつも生産者にしわ寄せされるような形でなされているのではないかというふうに私は思いますので、そういう面では生産者の苦労がわかるだけにいつも、何というのか、残念な思いをしております。 また、品質格差とその等級間格差についても、これも附帯決議で、品質格差については、「良品質麦の開発普及の実情等にも十分配慮した運用を行うこと。」、というふうに決議をしているわけでありますが、六十二年産以降格差は拡大の一途をたどっているわけです。そんな点でもやはこの附帯決議というものの重みといいますか、そういうことについて私は疑問に思わざるを得ない。そういう意味では私は、政府自体の姿勢をしっかりここでたださなければならないというふうに思っておりますが、品質格差や等級間格差に対する政府の見解をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(浜口義曠君) 今の先生御指摘の、銘柄間あるいは等級間格差の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、前回の、食管法の改正に導入されました算定方式といったようなものから、良品質麦への生産誘導に資するという観点がございます。銘柄間格差につきましては、昭和六十二年度から導入いたしまして、六十三年、元年産と拡大をしているわけでございます。他方、等級間格差につきましては昭和六十二年以降拡大をしてきている、先生の御指摘のとおりでございます。このような価格政策によりまして、品質評価の高い品位の麦の作付面積が現実に拡大をしております。一等麦の比率も徐々にではございますが改善をされているところでございます。そういった実績を反映いたしまして、先生御指摘の趣旨に沿い、今回の点については十分検討をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○菅野久光君 麦の問題、まだ続くんですが、きのうからきょうにかけて、朝鮮民主主義人民共和国籍船の問題がいろいろ報道されておりまして、水産庁長官も大分忙しいようでありますので、一、二お伺いをしておきたいと思います。 多数の日本人漁船員を乗せた北朝鮮船籍と見られる漁船十二隻、これがソ連に拿捕されてから本日でちょうど一カ月になります。けさの報道によりますと、ソ連政府は日本人乗組員をソ連で裁判にかけない、乗組員の帰還先は自由意思によって決定するというようなことを日本側に伝えてきたということのようであります。今ちょうど、北海道の横路知事も訪ソ中で、この問題について、早期に漁船員が日本へ帰ることのできるように要請していることが伝えられておりますが、この点についてどのように把握しておられるのか、お伺いいたします。
○政府委員(京谷昭夫君) 御指摘のような問題が発生をしておりますこと、お話しのとおりでございます。かねがね、大臣からもいろいろな機会に申し上げておりますように、事の真相究明、これも急ぐ必要はありますけれども、まずは日本人乗組員の安全確保と早期帰国を目指して最大限の努力を払っていくという基本方針のもとに、外務省ともどもに努力を続けておるところでございます。 モスクワ、ナホトカ、それから東京という舞台で、外交ルートを通じて我が方の意向をソ連側に申し入れておるわけでございまして、現在連行先の、ナホトカの北朝鮮船籍の船にまだいわば事実上勾留をされておるという状態でございます。まず、日本側の領事とできるだけ早く面会をさしてくれ、その上で早期釈放を図って、日本側に直接帰国できるような決定をしてくれということを強く繰り返しソ連側に要請しておるわけでございますが、基本的に私どもの認識として、こういった我が方の要請について、ソ連側は肯定的に対応をしているというふうに考えておりますが、残念ながらナホトカの日本総領事館員の面会について、船を支配しております北朝鮮側がこれを拒否しておる、こういう状況と認識をしております。ソ連側に日本側の言い分を実現すべく、最大限の努力を現在頼んでおるところでありますけれども、この要請に対応して昨日、モスクワの外交ルートを通じまして、三点の情報について我が方に先方の見解を伝えてきております。 その第一点は、日本人乗組員をソ連で裁判にかける意図はソ連として持っていない、これが第一点であります。それから第二点が、乗組員の帰還先は本人の自由意思によって決められる、これが第二点であります。それから第三点でありますが、一部の報道に伝えられておりますウォンヤン十一号及び十二号については、釈放されて直接北朝鮮に回航するというふうな話があったわけでございますが、これについては、日本国の領事館員との面会が行われる前にナホトカを出港させるようなことはソ連側としてはしない、この三点をとりあえず我が方に、外交ルートを通じて連絡をしてきております。 いずれにしましても、本件については、私ども、外務省とも協力しながら乗組員の面会、早期釈放ということを図るために、引き続きソ連側に申し入れ接触をしていくという方針でございます。
○菅野久光君 近々、日本人乗組員の安全については、とりあえず何か解決のめどがつきそうだということで、大変私は結構なことだ、そのように思います。しかし、この問題はこれで終わったわけではない、それはもう私が申し上げるまでもありません。司直の手でいろいろやられていることはそれはそれとしながら、水産庁として再びこのようなことが起きないような手だてを、原因を究明しながらどうとるのかということについては、ひとつなお一層努力をしてもらいたいというふうに思います。この問題についてはまたいずれ機会を改めてというふうに思います。 それでは引き続いて、麦の問題についてお尋ねをいたします。 新聞報道によりますと、十四日に一九九〇年産の小麦、大麦、裸麦の生産者価格について、北海道などの麦の主産地の生産費をもとに基本価格を算定する、九〇年産の基本麦価は現行価格より九・五%前後引き下げになることを農林水産省、大蔵省両省が明らかにしたということが載っておりますが、これは間違いございませんか。
○政府委員(浜口義曠君) ただいまの報道でございますが、農林水産省あるいは大蔵省で発表したものではございません。 先ほども申し上げましたように、昨日の段階で統計情報部の生産費が、昨年度分がわかったわけでございまして、それに基づきまして現在鋭意作業中でございます。新聞等で報道されました部分等につきましては、まだそういう作業が行われていない時点をとらまえての記事だろうというふうに思っておりまして、具体的にまだ、私どもその数字を固めている段階ではございません。
○菅野久光君 質問項目がたくさんあるものですから、できるだけ簡潔にひとつ答えていただきたいと思います。麦価算定に当たっていろんな要素があるわけですけれども、そのことについてお尋ねをいたしたいと思います。 まず、自家労働の評価の問題でございますが、これは農村雇用賃金ということで麦価の場合にはやられるわけですね。どうして製造業五人以上の賃金ということにならないのか、その点についてお伺いをいたします。
○政府委員(浜口義曠君) 先生御指摘のとおり、この労働費につきましては、間接統制下にある麦の政府買い入れ価格の性格から、評価がえを行って所得付与を行うことは適当でないと考えておりまして、麦価算定に当たりましては第二次生産費を用いていること等、その面におきます所得付与的部分等が価格に織り込められておりまして、麦作農家の所得確保にも配慮した形になっているというふうに考えているところでございます。 なお、それは直接的なお答えでございますけれども、先ほど来お話を申し上げておりますように、これにつきましては法律改正後、米価審議会におきまして時間をかけての御議論を賜った、いわゆる算定方式に対する御答申というのをいただいているわけでございます。その答申で二年間やってまいりまして、ことしは三年目になるわけでございますが、一つのルールといったようなことから、その御答申に提起された方式を踏襲するというのが適当ではないかというふうに考えているところでございます。
○菅野久光君 適当ではないかというふうに言われますが、私は適当ではないというふうに思うんです。それは、米価だとか乳価については、製造業五人以上の賃金を採用しているんです。なぜ麦だけ農村雇用賃金なのか。これは調べてみますと、全国製造業五人以上の賃金と比べてみますと、六十一年では実に五百二十五円の格差があるんです。六十二年で五百三十四円、六十三年で五百一円の格差がある。これだけ低い賃金で見ているということなんですよ。 ですから、どのぐらいの時間麦作にかかっているかわかりませんが、例えば年間二千時間としたら百万ここで労働賃金だけで低く見るということになっていくわけです。しかも、同じ農業の仕事をしていながら、米価や乳価については農村雇用賃金じゃない、製造業五人以上の賃金でやっているわけですね。なぜ同じ農作業をしながら違うものを用いなければならないのか、ここのところについて私はどうしても納得できないんです。やっぱり価格を低くするためには何かを低くしなければならない。そのためにあえてこういうことをやっているのではないかというふうに私は思わざるを得ません。そのことは、そういうふうに私の思いを申し上げておきます。 次に、物財費、労働費は、本年の物価や労賃の上昇見通しを織り込んで算定すべきだというふうに思うんですが、それはいかがでしょうか。
○政府委員(浜口義曠君) 先ほど先生は、労働費の問題につきましてお話があったわけでございます。 これは、米価あるいは麦価との比較等々から先生御指摘になっているところでございますが、麦価及び米価につきましてそれぞれの方式というものがなされてきておりまして、特に例えば今の御指摘の関連で申し上げますと、米価の場合にはとっておりませんものにつきまして、麦価についてはとっているとか、そういったようなそれぞれ固有の算定方式というものがあります。そういうものの中で、一つの先ほど申し上げておりますのは、この算定要素に関連をいたします米価審議会の御議論、そういったものにつきまして六十三年提起がなされまして、それに基づくルールに基づいて、現在算定をしているということでございまして、例えば地代についてどうするかとか、そういったことにつきましても、この答申の方向に基づきましてこの二年間やってまいりまして、そういうルールの上でやるのが適当であろうということを申し上げたところでございます。 ですから、それぞれの算定要素のとり方におきまして、先生御指摘のとおり他の算定の場合と違う点もございますが、トータルとして見ました場合に、それぞれの算定方式の歴史といいますか、あるいはその考え方というものに基づいているというふうに我々は理解しているわけでございます。
○菅野久光君 やっぱり、基本的には生産費を補償するということが、農産物価格を決めるときに非常に大事なことではないかというふうに思うんですよ。それが、あるところでは全産業の五人以上の賃金だとか、ある品目については農村雇用賃金だとかというふうに別々に考えるところが、私はどうしてもおかしいのではないか。ここのところは論議をしてもどこまで行っても平行線かもしれませんが、しかし社会一般的に考えてみたら、やっぱりおかしいことはおかしい、そういうふうに言わざるを得ません。 物財費の関係も、政府の九〇年経済見通しによる消費者物価の上昇率というのは一・六%ある、これはどう見られるのか。それから。労働賃金の問題ですが、これも九〇年春闘における労賃上昇率は、推定値でありますが五・九五%ということになっている。こういうものはことしの麦価の算定に当たって考慮されますか、されませんか、いかがですか。
○政府委員(浜口義曠君) 繰り返すようでございますけれども、この生産者麦価の算定方式につきましては、六十二年産まではいわゆるパリティ方式でやっていたわけでございます、先生御案内のとおりでございます。昭和二十五年から二十六年当時の価格を農業パリティ指数で伸ばしたということを基準にしていたわけでございます。しかしながら、生産性の向上が価格に反映されないというようなことから、昭和六十二年の九月に食管法を改正していただきまして、麦価におきましての生産性の向上、品質の改善というような課題に対応する方式にさしていただいたわけでございます。先生御指摘のように、いわゆる米価の場合における生産者補償方式というものに対応するに、いわば生産費補償方式とも呼ばれるべき状況になっております。 そういうものの中で、過ぐる、統計情報部から出されましたデータに対しまして、それに加工いたしまして、三年間の変動等々を前提にいたしまして、主産地における平均規模以上の第二次生産費を用いるというスタイル、そういう方式をとらしていただいておるわけでございまして、この六十三年から、この答申の趣旨を踏まえた算定を行ってきたところでございます。そういう意味で、先ほど御提起の問題につきましては、農業パリティというものにおきます、現在、昨年度の統計情報部からの数字が出ましたけれども、それの加工、それから三年間の平均をとるという作業をして、価格といったもののベースを出さなければならないというふうに考えているところでございまして、その間の米価との、これまでの生産費補償方式との対比等からの御提起につきましては、この点を御理解賜りたいというふうに思っているところでございます。
○菅野久光君 これは、乳価のときにも申し上げたんですけれども、いつでも農産物の価格を算定する基礎となるべきデータは前年度のデータなんです。それによって今年度のをやるわけです。だから、いつも一年おくれなんですよ。一年おくれなんです、データそのものが。何というんですかな、農産物の価格そのものは、一年おくれの価格でその年度が決められるというふうになるわけでしょう、実質的には。だから、今までずっとそういう方式でやってきましたということはわかっておりますが、それじゃ、農業者の所得というものが上がらないのは私は当然ではないかというふうに思うんです。やっぱりこういうような春闘が一応終わった、そうした段階なども含めて若干のやっぱりそういうものも取り入れていかなければ、都市との所得の均衡ということが農業基本法の中に言われているわけですけれども、それが果たせないのじゃないでしょうか、今のような状況でいけば、そう思うんですが、どうですか。
○政府委員(浜口義曠君) 今の、先生の御提起の点につきまして一言だけお答えいたしますと、確かにベースとなります統計情報部のデータというのは、最近発表されましたものは昨年のものでございます。それを、先ほど来申し上げておりますように、結論的に簡単に申し上げますと、物価修正するわけでございます。その場合にもう一つ、麦の場合におきましては変動等々がございますので、昨年のデータと合わせまして、その前二年間なり三年間のデータをとりまして、その平均をとるということを申し上げたわけであります。そういう意味で、それを現時点、現価といいますか、ことしの二年の麦価の決定をいたすデータといたしましては、現時点の平成二年までの物価修正をいたしまして三年間の部分をそろえるという作業をいたします。そういう意味で、先生御指摘のところで、確かに現データ、数字は統計情報部におきましては昨年度以前でございますけれども、今回私どもが行おうとする数字は、もちろん現在の時点で修正したものを使わなければならないというふうに思っておるところでございます。
○菅野久光君 修正したそういうデータでやるから、私が心配しているようなことは全くないとは言わないけれどもそれなりに配慮をしている、簡単に言えばそういうことですね。しかし、果たしてそうなのかなというふうに率直に言って思わざるを得ません。 次に、企画管理労働費の問題でありますが、これも米価や保証乳価では入っているんですが、麦価算定には入っていませんね、なぜでしょうか。
○政府委員(浜口義曠君) これも、先ほどのことに尽きるわけでございますけれども、直截的に申し上げますと、麦の政府買い入れ価格のものにつきましては、間接統制下の最低保証価格としての性格上、生産費に織り込まれていない企画管理労働を価格に算入することは適当ではないというふうな考え方に立つものでございます。直接的には、先ほど来申しておりますように、いわゆる麦には麦の方式というもので算定させていただいてきているわけでございますが、これにつきましては、いわば生産費方式と呼ばれるもので、それぞれの算定要素につきましてこれまでのルール、特にまた米価審議会で御議論を賜りました方式に基づきまして算定をさせていただいているということでございます。 以上のように、麦価におきましては、間接統制下の最低保証価格としての性格から、この企画管理労働を算入していないということでございます。
○菅野久光君 しかし、麦価の問題については、調べてみますと、転作で約三分の一、畑作で三分の一、水田裏作で三分の一というような状況です。これはもう水田の減反とのかかわりも非常に大きいわけで、作物をつくるのに、米は企画管理労働費は見ます、麦は見ません、これも何か一般常識的に言えばおかしいのではないとかいうふうに思うんです。ところが、いろいろ調べてみましたら、実際麦の場合には調査していないんですね、統計情報部で。調査していないのは企画管理労働費、それから租税公課負担、米価や乳価はちゃんと調査をしているんです、それから集荷運搬費、この三つについては統計情報部で調査をしていないんですね。初めからもう必要ではないということで調査をさせていないのかどうなのか、その辺はいかがでしょうか。
○政府委員(浜口義曠君) 御指摘の集荷運搬費につきましては、これも先ほど申し上げましたように、生産者麦価につきましては、間接統制下のもとでの最低保証価格としての性格から原価性に問題があるために、生産費に織り込まれていない集荷運搬費を価格に算入していないということでございまして、先生御指摘のとおり、この集荷運搬費は生産費に織り込まれておりません、調査をしておりません。
○菅野久光君 生産費の要素なんですから、つくったものはどこかに運ばなかったらこれは売れないわけでしょう。だから、当然それは経費としてかかるのじゃないでしょうか。租税公課負担費だってそうだと思うんですよ。そういうもろもろの経費をやって、そして何ぼかと決めるならいいんですが、ほかの方でやっておって全然調査もしていないということは私はおかしいんじゃないか。これは米とか乳価とは違うものだから、必要ないからさせていないんだと、端的に言えばそういうことですね。しかし、これは今後の麦価算定に当たっては今言ったこの三つの問題ですね、やっぱり調査をしてどのぐらいかかるのかなということぐらいはきちっとしておく必要があるのじゃないでしょうか、どうですか。
○政府委員(浜口義曠君) 租税公課の問題につきましては、先ほど先生御指摘でございますけれども、租税公課の諸負担のうち、明確に区分されるものについて、例えば農業水利事業に係る賦課金等は水利費として個別の生産費目の中に含まれておりますが、明確に区分し得ないその他の租税負担につきましては、生産過程において生ずるところの、コストとしての原価性に問題があることから生産費に含まれておりません。現在の調査においては含まれておりません。 なお、先生御指摘の点も十分検討していかなければならない問題と考えておりますけれども、今までの点におきまして、米価のルールでは対応にしていないものを現在例えば、第二次生産費等々一つ申し上げますと、それを対応にしているという、それぞれの生産費補償方式あるいは生産費方式と呼ぶべきものかもしれませんが、それぞれの算定方式の固有の問題としてのこれまでのルールみたいなものがあるわけでございます。そういったものに基づきまして、長短それぞれあるという御指摘がございますけれども、歴史的あるいはそれぞれの技術上の観点から、統計情報部で公表されました数字への対応の仕方が異なっておる点につきましては、御理解を賜りたいというふうに思っているところでございます。
○菅野久光君 今お話しがありましたけれども、固有のルールという、それはいつまでもそのことに固執する必要はないのじゃないかというふうに思うんです。ですから、一般社会常識的にどうもこれはおかしい。片方はやっているのに片方は見ていないというような、そういうことはやっぱりおかしいんじゃないかと思いますので、この点はぜひひとつ検討してもらいたいということを強く要望しておきます。 もう一つ、十アール当たりの平均収量の算定なんですが、全国の収穫量実績を用いておりまして、実態と算定値との乖離があるわけですが、これはなぜそのようになるのか、お尋ねいたします。
○政府委員(浜口義曠君) 先生御指摘の点については、全国の統計情報部が出しております第二次生産費を用いるべきではないかということに関連する問題だというふうに思います。 この点につきましては、算定関係につきまして申し上げましたように、米価審議会で御議論をいただきまして、今回のいわば生産費方式といたして出されている部分につきましては、この麦の生産性の向上あるいは良品質への移行といったようなもの、その課題に対応すべく、主産地の平均以上の規模の農家の生産費をとるというルールを提起されておりまして、そういうルールに基づいているわけでございます。端的に申し上げまして、全国的に見て生産性の平均に比べて低いものにつきましては除外をいたしまして算定をするということにしておりまして、そういう生産性の向上とかあるいは品質向上ということの点から、そのような考え方に基づきまして対応さしていただいているところでございます。
○菅野久光君 平均収量の問題で、全国の平均は、言えば豊作年といいますか、成績のいいところの平均なんですね。だから、それよりも低いところは大変な収量の差があるわけです。例えば、昭和六十一年でいきますと、政府の方の収量算定値から見ますと、全国小麦の収量が五十九キロ低いわけです、農家の方の収量が。それから六十二年では百八キロ少ないんですよ。六十三年で七十五キロ。三年の平均では八十一キロ、約一俵半農家の方が少なく見られているわけです。そういう算定になるんだから、だから麦価はどんどん引き下げられるのは私は当然だというふうに思うんです。これは余りにもひど過ぎるのじゃないかというふうに思うんですよ。そこのところをしっかりひとつやってもらいたいと思います。 私の持ち時間が五十五分までで、あと時間がなくなってしまいましたが、六十一年から四年連続引き下げられた。この四年連続引き下げで千四百九十五円、一三・五%引き下げられているわけですね。今年やれば五年連続ということになってしまいます。先ほど申し上げましたように、いろんな面で、移送費の問題なんかもこれも大きな問題です。トン当たり四千百円の移送費の問題は、これはもう率にすれば現行麦価の二・五六%を農家自身が負担しなきゃならぬという問題なんかもあります。こういう負担軽減の問題などもしっかりやってもらいたいというふうに思うんです。 それから、農家の負担軽減ということからいけば、土地改良費の軽減、これなどについていろいろ国会でも問題になって政府としてもこの問題に取り組んでおられますが、率直に言って圃場分は仕方がない、圃場分は農家が負担するのは当然と言えば当然かもしれませんが、それ以外の公共事業費的な部分については国が負担をする、そういう要求が非常に強いわけでありますが、そういったようなものを含めて構造改善局としてどのような施策を持っておられるか、また考えておられるか、お伺いをいたしたいと思います。
○政府委員(片桐久雄君) 土地改良事業につきましては、その公共性の程度に応じまして適切な国庫負担補助を行っているわけでございますけれども、事業によります利益が個別の農家に帰するという点もありますので、受益農家にも応分の負担をしていただくことが基本になっているわけでございます。しかし、実態的には先生御指摘のように、非常に公益性の強い施設、例えば基幹的なダムとかそれから大規模な用排水路とか農道とか、そういうものにつきましては、その機能の公益性の高さにかんがみまして、国とか地方公共団体の負担で事業が実施されている場合が多くて、農家には負担をさせてないという場合が多いというふうに承知いたしております。 また、平成二年度の措置といたしまして、地方公共団体の負担につきまして土地改良事業の公益性を考慮して、地方財政措置が、自治省の方でいろいろ検討をしていただいているというふうに聞いている次第でございます。 〔委員長退席、理事北修二君着席〕 それからまた、従来の農家の負担につきましても、いろいろその負担の軽減のための対策といたしまして、特に平成二年度からは、そのための総合償還対策というものも新たに実施することとしている次第でございます。
○菅野久光君 時間が来ましたので終わります。
○谷本巍君 前回、自主流通米価格形成の場の問題について、食糧庁長官からいろいろお話を伺いました。きょうは、ことしの政府決定米価に関連する事項と、それからもう一つは価格形成の場、ことしはどんな段取りで進められつつあるのか、その状况について承りたいと存じます。 その前に、大臣に米市場開放問題について所信を承りたいのであります。御承知のように、米の市場開放そしてまた食管問題については、財界の皆さんが対外的にも対内的にも自由化の考え方を示されてきました。例えば、昭和四十一年における経団連、そして経済同友会が示した食管問題についての提言がその一つでありましょう。極めて残念なことでありますが、食管崩しは財界の皆さんの提言のテンポと、現時点で見る限り大体同じようなテンポで進んでいると言わざるを得ません。前回の質問でも指摘しましたように、価格形成の場、運用次第によっては市場開放の受け皿化する可能性なしとしないということも申し上げておいたところであります。こうした状况に加えて、新聞報道によりますというと、最近一部政党の首脳の皆さんが、本院の米の市場開放反対の決議と異なる見解を示されたやに伺っているところであります。 そこで、冒頭に大臣に伺いたいと存じますのは、米市場開放問題について従来示してこられた所信、変わりないのかどうか、その辺について承りたいと存じます。
○国務大臣(山本富雄君) 変わりございません。
○谷本巍君 続いて、ことしの米価決定に関連する事項について若干伺っていきたいと存じます。 〔理事北修二君退席、委員長着席〕 まず初めに、政府米と自主流通米の比率をどうしていくのかということについて承りたいと存じます。御承知のように、昨年産米での自主流通米対政府米の割合は、七一対二九という状況になってきております。昨年産米における政府米は、百六十五万トンであったわけであります。これも古米の持ち越し量があったので救われたようなものでありました。そういう状況であったら、自県産米で必要なだけの標準米をつくれないといったような県も出たことは、長官も御承知かと存じます。この問題がなぜ必要かといいますというと、こんな調子では食管制度を維持していくことはできません。そういう意味で極めて重大だということを私は強調したいのでありますが、先日、私の質問に対して長官は、食管法の言う需給と価格の安定を行っていく上で、政府米は大体四割程度を頭に置いていかなければならぬというふうにおっしゃいました。ことしの政府米の集荷見込み二百十万トンということになっておるわけでありまして、四割に遠く及ばない状況であります。 状況でありますが、そこで伺いたいのは次の二点であります。 第一点は、作付段階で食糧庁がまとめた数字によると、百五十万トンと言われておりますが、果たして二百十万トンの確保は可能なのかどうか、これが第一点。それから二点目に伺いたいのは、昨年の政府米の需要が、二百二十九万トンと食糧庁の事務当局から伺っております。ところが、計画によりますというと二百十万トンでありますから、果たして二百十万トン確保されたとしても必要にしてかつ十分なだけの需要を満たすことができるのかどうか、以上の二点について初めに伺っておきたいと存じます。
○政府委員(浜口義曠君) 簡単に、まず数字の点について申し上げますと、先ほど百六十五万トンというのは集荷の数字でございます。それで、先生御指摘の在庫の問題と、やはり十分両方考えた上で対応しなきゃいけないというふうに思っております。 ただ、御指摘のように、今まず御質問のところ簡単に答えますと、昨年度末といいますか、三月に農林水産省といたしまして二年産の政府米を二百十万トン集荷したい、集荷するという基本計画を掲げさしていただいておりますが、現在これにつきまして田植えが終わったところ、もちろんこれからというところもございましょうけれども、そういうものにつきまして十分これからそれぞれの系統組織ともお話し合いをして、この数字の確保を目指していきたいというふうに思っております。一つは、先生御指摘のように、なかなか難しかろうという点は私も否定するものではございません。 ただ、こういう計画ではございますので、新たに十分、各県のそれぞれの経済事情について指導力を発揮していただいております都道府県、さらには市町村といったような方々にもお話をし、もちろん主体になるのは系統組織でございますが、そういった方々とも御相談をしながら、この実現方に努力をしてまいりたいというのが第一点でございます。 それから、四割の問題につきましては、実は前回も先生御指摘のように、今回の報告書、三割から四割というふうな文言がございますが、私は昨年の先生の御質問に対して、四割程度ということは、食管の上からいって一つのバランスとして重要な数字であろうということで、このおおむねの政府米と自主流通米の比率は四割を目指すべきだろうというふうに考えております。そうしますと、現在御指摘の二百十万トンというのは、まだそれにぴったりではございません。ただ、私どもといたしましては、これまでの流通研以来の御答申あるいは農政審議会の御報告、そういったようなものから私も四割程度というものを頭に置きまして、実態の集荷、それから在庫の数字、そういったものを見ながらこの数字を基準といたしまして対応し、食管の運営を心がけていかなければならないというふうに考えておるものでございます。
○谷本巍君 すっきりした答弁をいただけないのが極めて残念でありますが、続いて伺いたいと存じますのが、なぜ自主流通米が予測以上にふえ、そして政府米が激減してしまったのか。なぜそうなったのかについて、長官がどのようにお考えになっているかについて承りたいのであります。 御承知のように、昭和六十年産米の場合で見てみますというと、四百三十三万トンですね。ところが、その四年後の平成元年というので見ますと百六十五万トン、言うなれば地すべり的変動と言っていいわけでありまして、こうした状況がなぜ起きたのか、ひとつ簡潔に伺いたいのです。詳しくは結構でありますから、簡潔に伺いたいのです。
○政府委員(浜口義曠君) 簡潔に、三点に絞って申し上げます。 もちろんほかにもいろいろございましょうけれども、第一点目は、消費者の方々の良質米志向あるいは新米志向が進んだということだろうと思います。第二点目は、やはり良質米への農家の方々が品種転換を意欲的におやりになったということの証査だろうというふうに思います。第三点目は、良質米奨励金などの自主流通助成の交付が行われていることといったことによりまして、政府米と自主流通米の生産者の手取り額が増大したといいますか、そういったことによるものだろうというふうに思います。
○谷本巍君 良質米志向、品種転換ということで申し上げますというと、こうした状況というのは以前からあったわけでありまして、地すべり的変動をもたらした主要な要件と言っていいのかどうか、私には疑問があるのです。それよりもむしろ大きな問題としましては、長官が言われた三つ目の自主流通米奨励金ですね。自主流通米奨励金と長官は言われたが、問題はそれだけじゃないのでありまして、むしろ自主流通米と政府米との大きな値開きが生じた、その主要な要因は一体何かといいますというと、生産者米価の連続的引き下げ、それによって自主流通米と政府米との大きな値開きが生じてきた。そのために、農家の側としては、より自主流通米をつくらなきゃならぬという状況になってきた。この点については農家手取りの点でも、あるいは集荷あるいはまた卸、小売の手取りの状況でいっても、政府米よりも自主流通米の方がメリットが大きい、こういう価格関係が生じたということがむしろ私は主要な要因ではなかったかと思うのです。その点いかがでしょうか。
○政府委員(浜口義曠君) 二点ございますが、最初の第一点につきましては、先生御指摘のとおり、前からあったということもございます。ただ、ここへ参りまして、そういう動きがこの数年間とりましてやはり加速された実態にあったということも否めないというふうに思います。 それから第二点目は、私は良質米奨励金など、等ということを申し上げたつもりでございますが、結論するところ、政府米と自主流通米の価額が、ある品種につきまして拡大をしたということによるものということも事実、それも大きいというふうに思っております。政府米の価格の引き下げというのを二年にわたりまして行われておりますけれども、例えば昨年において据え置きといったようなことにおきましても、自主流通米が、先ほどの二点の理由によりましてより多く値段が格付された、そういうことによるものだろうというふうに思います。
○谷本巍君 もう一度伺いますが、良質米志向、品種転換、これが加速化されたというけれども、これを加速化した主たる要因というのは、自主流通米と政府米との値開きということですね、違いますか。
○政府委員(浜口義曠君) 価格の面での値開きは、先ほど三番目ということで私も申し上げているわけでございますが、最初の二点もそれぞれの各地におきまして良質米をつくろう運動とか、そういったようなことで加速された要因だというふうに思っております。
○谷本巍君 そこで、続いて伺いたいと思いますのは、政府にもっと米が集まるようにしていくのには、価格条件、これを是正していかなきゃならぬことは言うまでもないわけでありますが、同時にもう一つの問題としては、先ほど長官が言われた集荷の面ですね、その辺の工夫も必要であろうということは言うまでもなかろうと思うのです。最近、私も新聞で実は知ったのでありますけれども、全農の関係者が語った言葉として伝えられておりますのは、自主流通米の原点に戻れというような意味合いで、政府米と自主流通米の役割をこの際、もう一度明確にする必要があるのではないかということを述べながら、例えば自主流通米については一等を原則とし、一、二類米の一部、それから政府米については三類米以下が今のところは中心でありますが、二類米も加えることができるような、そういうような再整理をしてみてはどうかといったような考え方が新聞では示されておりました。それからまた、米の生産県で見てみますと、自県産米の消費という点では、良質米生産地の場合には、よそから米を買ってきて、そして県内で消費するといったような状況等々も生まれておるわけでありますが、そうした点の再検討などをやってはどうなのかといったような意見等も出ておるわけであります。こうした点は自主流通米制度の基本にかかわる問題でありますので、大臣がどのようにお考えになっておるか、見解を承りたいのです。
○政府委員(浜口義曠君) 谷本先生御指摘のように、政府管理米の中でバランスのよい自主流通米と政府米の比率を維持することが、やはり一番大事だというふうに思っております。それで、先生が新聞等の報道ということで、系統組織の中でいろいろな運動が行われているという御指摘がございますけれども、それは率直に申し上げまして、十分私ども把握をしている問題ではございません。この問題は、あくまでも先ほど三点申し上げましたことを前提にいたしまして、いろいろな意味で各地域地域で、極端に九十何%の自主流通米の県もありますし、それからまだ半分といったところの県もございます。そういったものの中で、地域地域で何らかの知恵を絞って、やはり先ほどのようなバランスをやるということを模索していかなければできない問題だと思っておりまして、これについての言うなれば大きな抜本的な対策というよりは、総合戦力でやっていかなきゃいけないというふうに考えているわけでございます。 まず基本は、やはり政府米と自主流通米の、先生が御指摘のような使命に立ち返りまして、それでそれぞれ納得のいく形で、農家の方々が集荷に応じていただくというのが基本だと、これこそが言うなれば一番のベースではないかと思っております。極端なことで目的をつけて強引にやるということは厳に戒めなければいけない、納得ずくで、そういう実態に応じた比率を確保していただくというのが王道だというふうに思っているところでございます。
○谷本巍君 そうした問題検討も大事なことは言うまでもなかろうと思いますが、やっぱり問題は政府米価の水準がどうなるかということに私はかかってくると思うのです。 ところで、政府米価のあり方については、昨年来、長官から政府米価については下支え価格という表現が出てきておるわけでありますが、この下支え価格というのは、定義で言いますというとどういうことなのか承りたいのです。
○政府委員(浜口義曠君) この政府米の下支え価格等につきましては、昨年来私の口から申し上げてまいっておりますが、いわば具体的な法律条項で、そういうものがあるといったようなものではございません。食管制度におきましては、食管法上のもとで、予約限度数量の範囲であれば生産者の希望する数量を政府に売り渡すことが可能であるわけでございます。農家の側として見れば、政府に売り渡すことが可能であるわけでございますが、農家は政府米として出荷いたしますれば政府買い入れ価格で売り渡すことができるという、それが確保されているわけでございまして、政府米の価格が米全体の価格の下支えの役割を果たすという意味で、先ほど来三番目の点という形で、自主流通米と政府米の価格差といったようなもので御議論がありましたけれども、そういうものをやや比喩的に申し上げた点でございます。繰り返して申し上げますれば、政府米の買い入れ価格が米全体の価格の下支えの役割を果たしている、果たすことになるだろうということでございます。
○谷本巍君 ちょっと長官、聞こえない部分もありましてよくわからないんですが、もう一度おっしゃっていただけますか、結論的な部分を。
○政府委員(浜口義曠君) 繰り返すようでございますが、農家にありましては、政府米として出荷をいたしますれば、当然のことでございますけれども、政府買い入れ価格で売り渡すことができるわけでございます。政府米の買い入れ価格が米全体の価格の下支え的な役割を果たすという意味で使わさせていただいております。
○谷本巍君 そうしますと、これ麦と同じようなことですな。麦の場合で言いますというと、一道六県の生産費の高いところの生産費をとって、なおかつその平均どころじゃなくて、平均以上のやつをとってその平均で出すという、極めて奇妙な生産費方式なるものが出されておるわけでありますが、結局どの程度の水準で支えてやりますかというその物差しはないわけですね。
○政府委員(浜口義曠君) ただいま先生が、麦との関連で御指摘でございましたが、そういう意味ではございませんで、あくまでも政府管掌米、政府が管理しておりますものの中で、政府米と自主流通米の関係から下支えという言葉を使わせていただいたということでございます。 食管につきましては、米につきましては先ほど来御議論がございましたが、生産費補償方式という形でこの下支えの価格の水準を明確にしております。そういう意味で、あくまでもこれは、自主流通米と政府米の大きな分野であります二つの政府管掌米の関係について言わせていただいているわけでございまして、現に政府米価格が一つの下支え価格になっている。その上に、自主流通米価格が形成をされているということを述べたわけでございます。
○谷本巍君 そうしますというと、どの程度の水準を補償しますというやつがないわけでありますから、だがしかし、そこのところは一定の水準を示すべきなのではないでしょうか。いかがでしょうか。
○政府委員(浜口義曠君) ただいまお話を申し上げましたように、政府米価格、これは米価審議会の御審議によりまして決定をさせていただいているわけでございますが、これにつきましては、先生御案内のように、生産費及び所得補償方式というルールできているわけでございます。そういう意味におきましては、一定の水準といったものが明確にされているというふうに考えておるわけであります。
○谷本巍君 そうしますと、自主流通米の価格形成の場というのを前提として言いますというと、従来は政府が生産費・所得補償方式といいますけれども、中身は生産費補償ですよ、生産費水準ですよ。これに対して自主流通米はつくりにくさや単収の低さ等々を加味して上積み価格で決まってきた。ところが、これからは価格形成の場で実現された需給価格、これをまず前提に置く、そして政府米は下支え価格として一定の水準のものが出されてくる、こういう関係になって変わっていくわけですね。
○政府委員(浜口義曠君) 今の点におきましては、現在の価格形成の場と現在の協議会方式においての関係は、基本的にないというふうに考えます。今回の価格形成の場は、前回以来何度も申し上げておりますように、自主流通米のスタート以来二十年をけみしまして、大きくなりました自主流通米につきまして、現在の協議会方式の値決め方式、それをより健全なものにするということで御提案になったというのが、この趣旨であろうというふうに思っておりまして、本質的に今までの協議会方式の値決めから変質したものではない。 特に、政府米と自主流通米の二本立てで歩くということについては、繰り返し申し上げておりますように、今回の御答申の精神、農政審議会の精神以来、食管制度の基本を堅持するという前提に行われるものでございますので、その点を御理解いただければと思います。
○谷本巍君 さてそれで、ことしの米価問題に移らせてもらいたいのでありますけれども、御承知のように、米価審議会の米価算定小委員会が出しました一・五ヘクタール以上平均生産費、これでしばらくやって、その後は五ヘクタール以上に移るというやつですね。これは、昨年の米価決定の際に、農家の反発でお蔵入りになったというような経過がありました。ことしはどういう算式になさるのか、食糧庁検討されておると思うのでありますが、ことしの場合は労賃も上がってきておりますし、それからまた、低金利時代から利子の方が今度は高くなるといったような状況等々が生まれてきておるわけでありまして、どう見ましても下げ要因というのは極めて少ない。上げ要因の方が強いというふうに常識的には判断できるところであります。 ところが、この下支え価格という話が出てきましたから、どうやらまた下げられるのじゃないのかというような不安が農家サイドに大きいわけでありますが、その点いかがなのでしょうか。
○政府委員(浜口義曠君) 今年度米価につきましての御質問でございますが、先生御指摘のように、米価委員会で提起されました算定方式に基づきまして、昨年の米価は政府案におきまして二・五五%値下げということで諮問をさしていただき、その新算定方式のもとで、諸般の情勢を勘案して据え置きとなったことでございます。これに関連をいたしまして、現在算定方式についての検討をしろと、検討をするという方向に基づきまして、食糧庁の事務当局において現在この算定方式について検討中でございます。これにつきましてはまだ成案を得ておりませんので、そういった算定方式の案を決定いたしまして、十分米価審議会におきまして御議論の結果、これに基づいての本年度の米価が算定されるという段取りになるわけでございます。 そういう状況に立っておりますので、現時点におきまして具体的な水準がどうだといったような点について、私の方から申し上げることは差し控えさせていただければと思っております。
○谷本巍君 ことしの政府買い入れ米価が下げられるということになりますというと、自主流通米との値開きは一層大きくなる可能性が極めて強いわけであります。作柄いかんによっては、Bランク米がどうなるだろうといったような問題等々もありますけれども、政府米価が下がるというようなことになりますと、値開きは一層大きくなると見ておかなければなりません。そうなりますと、一層政府に米が集まらなくなっていくという可能性が強いわけでありまして、その辺いかがでしょうか。
○政府委員(浜口義曠君) ただいまの点につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、まだ具体的水準を私ども持っているわけではございません。そういった意味において、今後政府買い入れ価格の点につきましては、先ほど申し上げましたように、検討の結果一つの算定方式というものをお諮りしながら御相談をしていくという段取りの前に立っておりますので、そういう点を御理解いただければと思います。
○谷本巍君 それから、この際申し上げておきたいのでありますが、自主流通米がふえてきた主要な要因の一つに自主流通米奨励金、これがあったことを長官から言われました。どうやらこれが、自主流通米がふえて政府米が減ってきた主たる要因の一つだということになりますというと、ことしは自主流通米奨励金が削減されていくのではないかという感じがするのであります。既に、一部マスコミ等も自主流通米の奨励金を削れといったような論調を展開しております。しかし、農家のサイドからしますと、自主流通米奨励金は、もう既に米価そのものということになっておるのですね。それにもう一つの問題は、つくりにくさや作柄の不安定、そうした問題はもう大体解消されて単収も安定してきたというふうに新聞論調もそう述べながら、自主流通米奨励金に大なたを振るえといったようなことを言っておるわけでありますが、実態はそういう甘いものじゃありません。 この間も長官に申し上げましたが、最近の水田の地力の衰え、著しいものがあります。そしてまた、ここ数年は天候がよかったけれども、この気候がどういうふうに変動していくかわからないということであります。前回の質問の際には、長官は地域輪作農法や有機農法を組みながら日本的営農、これを伸ばしていって地力回復を図っていきたいやの話がございましたけれども、どだい米価が下げられるという状況の中で、そういう努力ができるのかどうなのか、これはもう私から申し上げるまでもなかろうと存じます。そういう点等も加味して、自主流通米奨励金の扱いについては慎重を期していただきたいということをこの際、長官に要望しておきたいのです。いかがですか。
○政府委員(浜口義曠君) 先生御質問の点につきましては、先生御紹介になりましたように、二つの案があることは事実でございます。私ども、十分そういった御意見を踏まえまして慎重に対応さしていただきたい、そういう考えでございます。これまでも、何度もそういう点についてお答えしたとおりでございますが、以上申し上げておきます。
○谷本巍君 次に、政府米価の問題と規模拡大との絡みの問題について若干伺いたいのであります。 政府米価を下げていくということは、規模拡大を一層困難にしていくのではないのかというのが私の見方であります。生産者米価が上がっている時代で申し上げますというと、農家には規模拡大の意欲が強かった。でありますから、規模拡大も一定程度進んできたということであります。ところが、米価が下がる時代に入りますと、まあまあ自主流通米地帯は別としましても、非銘柄米地帯の場合で見てみますというと規模拡大が思うように進まない、こういう印象を私は村歩きの中から感じてきておるのであります。工業の世界と農業の世界はそこが違うのですね。工業の世界の場合には弱肉強食でもって、低コストのものはどんどんつぶれていって生産の集中化が行われていくことになっていくのでありますけれども、農業生産の場合はそこのところが違うというふうに見ておいてよかろうと存じます。 そういう状況の中で、政府米価が一方的に下げられていきますというと、一層規模拡大が困難になってくるというふうに見ておかなければなりません。でありますから、規模拡大との関連というのも十分踏まえて米価決定に当たっていただきたいということをこの際、長官に要望しておきたいのです。いかがでしょう。
○政府委員(浜口義曠君) この政府米価につきまして、先ほど来申し上げておりますように、算定方式に基づきましてさらに米価審議会にお諮りをして決めていくという段階でございます。まだ一つの、先生おっしゃったような方向というものを私どもはっきり言っているわけではございませんし、現実にデータ等々から、これから考える問題でございます。 規模拡大と生産費の関連といったようなものにつきましては、これは十分また別の観点からも考えていかなければいけませんし、それの影響度合いというものも別の観点から議論しなきゃいけないと思いますけれども、現時点におきまして私ども、その水準についての方向を出していないわけでございますので、その点を御了解いただければというふうに思っております。
○谷本巍君 さらにまた、生産調整との絡みの問題が出てまいります。昨年の場合、ことしからの減反後期対策、生産調整の後期対策ですね、それをやる際に、例えば北海道などでは、これ以上生産調整の面積が上積みされるならば返上せざるを得ないといったような声が大変強く起こりました。同時に、こういう問題はひとり北海道だけではないのでありまして、内地で見てみましても三ヘクタール前後の層、とりわけ非銘柄米地帯で兼業機会の少ない地域などで見てみますというと、これ以上政府米価が下がってしまうというと生産調整やりようがありません、もうバンザイせざるを得ませんといったような声が非常に高くなってきておるわけであります。 そんなふうに見てみますというと、前回の質問の際に食糧庁長官は、価格形成の場は生産調整を前提に、そのもとでの価格形成の場だというふうにおっしゃいましたね。そしてまた、一方米価についてはそれぞれの品種、産地、銘柄別の値開きというのが出てくるだろう。言うなれば、値開きがかなり大きくなっていくのではないのかというふうに一般的に見られておるわけであります。こんな状況の中で、下支え価格の部分が下げられるような状況になっていきますというと、生産調整もやりようがないという地域がかなり出てくる、そういう階層がかなり出てくるというふうに思われるわけでありまして、その点についても十分な配慮をしながら、米価の原案づくりに当たっていただきたいということをお願い申し上げておきたいわけです。
○政府委員(浜口義曠君) 前回御質問の点は、生産調整と価格形成の場の御議論でございました。 この点につきましては、比喩的に申し上げまして大きな変動、米の需給等々につきましては第一義的に生産調整が行うものである。そういったものの中で価格形成の場というのは、政府米と自主流通米といったような食管制度の供給の中で、一方の自主流通米についての値決めの対応であるということを申し上げまして、生産調整が逆な意味で影響を受けることはないということをまず単純に申し上げたわけでございます。 この点につきましては、お話しの点は政府米価の点でございますが、今申し上げました自主流通米との関連等々、先ほども申し上げましたように、政府米価を決めているわけではございませんが、十分先生の御提起の問題についても考慮を払いながら考えるべき問題であろうというふうに思います。また、全体の経済情勢といったようなものの中で考えていくべき問題だということも、先生の御提起の点については十分承りまして、その点について総合的に考えていくべき問題だろうというふうに考えているところでございます。
○谷本巍君 同じ質問でありますが、今食糧庁長官と私とのやりとりを松山農蚕園芸局長お聞きになっておったと思いますが、ひとつあなたの考え方を聞かせていただきたい。
○政府委員(松山光治君) ことしの米価をどう決めるか、まさに今食糧庁長官において大変御苦労いただいておるところでございますので、私からとやかく申し上げるのはちょっと避けたいというふうに思っておりますけれども、生産担当部局の立場から、一般的な日本の米価水準というのをどう考えるかという点で、ちょっとお答えをさせていただきたいと思うわけでございます。 御案内のように、日本の米価水準についてはいろんな観点からの御議論がございますけれども、そのうち非常にいろんな形で議論の対象になりますのが内外価格差の問題、これがまず一つあるわけでございます。やはり内外価格差問題につきましての国民的な関心の高さということを頭に置きましたときに、農業サイドといたしまして、生産サイドとしてできるだけの合理化努力をするのは、これは当然というふうに私は思っておりますけれども、日本の稲作条件が、特に土地条件の点におきまして諸外国と格段の相違があるといったようなことを頭に置きましたときに、諸外国並みの価格にするというのは生産当局としてもなかなか難しい話だというふうに思っておるわけでございます。 したがいまして、一定の合理化努力を前提にいたしながら、日本の稲作農業の健全な発展ということを考えるといたしますれば、やはり将来の日本の稲作の担い手にとっての生産費なりあるいは所得を償っていくという、そういった価格形成あるいはそれを可能にする仕組みといったようなものは、これは何とか維持したいというふうに思いますし、またそういうことにつきましての国民の幅広い理解と支持をひとつ求めたい。またそれを求めるためには、やはり農業・生産サイドとして格段の合理化努力を必要とするだろう、このように考えております。
○谷本巍君 ことしの、政府決定米価と関連しての質問は以上で終わりたいと思いますが、その点との関連事項のもう一つの点について、大臣に所見を承りたいのであります。 といいますのは、既に米価審議会が前に、一・五ヘクタール以上平均生産費による米価算式の報告なるものを出しました際に、そういう算式でやっていくということを前提とした場合、中山間の農業をどうするかということが米価算定小委員会でも大きな議論になりました。中山間の生産コストを賄うことができるような米価にはならぬということになっていくことは歴然でありますから、したがいまして、中山間部地域対策については、別途にやってほしいということを新算式とセットで実は米価審議会は、大臣に対して報告を出したといったような経過がありました。そんな経過もあったせいか、ことしの農林水産省の予算を見てみますというと、中山間農業についての、言うなれば重点的な施策なるものが生まれてまいりました。しかし、中身を見てみますというと、お金を貸してやるから皆さん一生懸命やりなさいという融資政策が基本になっておるのでありまして、これだけでは、今の中山間部の過疎化状況に歯どめをかけるということにはなってまいりません。 そうしてみるならば、例えばECなどに見られるような、平衡交付金給付制度のような思い切った所得政策などをやらないと、これは中山間農業というのはもちません。そういう点で、ひとつ中山間条件不利地対策について、一層抜本的な施策を強めていただきたいということをあわせて大臣に要望しておきたいのでありますが、いかがでございましょうか。——大臣に聞いているんです。
○政府委員(鶴岡俊彦君) ちょっとその前に説明させていただきます。 今委員御指摘のように、先ほどの、公庫法の改正によりまして、中山間対策関係のいろいろな資金を補正予算関連でつくっていただいたわけでございますけれども、それ以外に、中山間地域問題は、昨年の特別国会以来いろいろ御論議があったわけでございまして、先日成立しました平成二年度予算の中におきましても、農業、林業を通じます小回りのきいた基盤整備事業、これにつきましては、採択条件を従来の団体営事業より以上に緩和し、あるいは補助率につきましても従来の事業より高い補助率を適用する事業仕組みをつくらせていただいたわけです。 それからまた、構造改善事業につきましても、従来の構造改善事業は予算編成の過程の中で、補助率等につきましては、基幹部分は二分の一でございますけれども、それ以外の部分につきましては、いろんな補助率についての格差を設けて現在までやってきたわけでございますけれども、中山間地域につきましては、構造改善事業の対象となるものにつきましても、全額二分の一の補助率で事業を実施するというようなことで、中山間地域の不利な条件を改善するための施策を講じたわけでございまして、そういうことで、諸般の施策を講じているということを大臣がお答えする前に、ちょっと説明させていただいたわけでございます。
○国務大臣(山本富雄君) せっかくのお尋ねですからお答え申し上げます。 今御指摘のとおり、七月四日の米価審議会の答申の附帯意見の中で、特に中山間地に対して触れておりまして、これが非常に重要だというふうなことを意見として明記してある。それを受けて、今官房長からも答弁ございましたが、例の補正予算のときにも、この中山間地の問題を含めて基金の造成などもお願いをした、また今年度の予算を先般成立させていただきましたが、これらについてもさまざまな施策を講じておる。認識といたしましては、中山間地域の活性化を図る、そして活力のある地域社会を維持していくということがもう国策として非常に大事だ、また農政の一つの大きな課題でもあり柱でもあると、こういう認識を持っておるわけでございます。 今後とも、各地域地域の実情に即しまして、地域の皆さん方あるいは出先の方々、関係県市町村などとも連絡をとりながら、特色のある地域資源を生かしながら農林水産業の振興のために、各般の施策を中山間地について、農村漁村を問わず強力に進めてまいりたい、こう考えております。
○谷本巍君 最後に、自主流通米価格形成の場について若干質問させていただきたいのであります。 時間がなくなってしまいまして、多くの質問ができなくなってしまったことを極めて残念に思いますが、伺いたいと思いますのは、ことしから発足をするというお話でありますけれども、売り手の関係がどういうふうに決まりつつあるのか、ないしは決まったのか、この点について伺いたいのであります。 御承知のように、売り手については原則として県経済連というお話でありました。これに対して、前回の質問でも、私はその考え方でいきますというと、系統共販の否定になるのではないかということを申し上げました。これに対して、食糧庁長官のお答えは、健全な形で行われるべきは、県の産地、品種、銘柄を中心に行うことに依拠しているわけで、共販体制を否定していることには何らならないというお答えでありました。県内流通米なら、これは共販否定にはならないのです。ところが御承知のように、自主流通米の場合、特に優良な銘柄産地の場合でしたらほとんどが県外流通なんですね。県外流通ということは、県内共販から今度は三段階の全部が、農協共販の命のような状況になってくるわけでありますけれども、そこのところが全面的に切られるということになってきますと、これは文字どおり系統共販の否定ということになってきます。 でありますから、例えば売り手を決める際の物差しとして広域流通銘柄米は県経済連、こういうふうな仕分けでやっていきますと、これは系統共販の全面否定になってしまいます。でありますから、その辺のところは十分考えた上でやっていかなければならないと思うのですが、この辺はいかがでありましょうか、長官。
○政府委員(浜口義曠君) 今回の、価格形成の場の一つの重要な点は、ただいま先生が御提起になったところでございます。これについては、検討会においても十分御議論があったところでございまして、一つの方向として、原則、例外といった方針が出されたというわけでございます。現在のところ、集荷団体あるいはそれを含めまして、関係者と議論を進める段階にそろそろ来ているだろうというふうに思っておりまして、私どもは、現実の米という重要なものに関連をする新しい流通秩序、そういったことについて十分納得のいく御議論をしながら、この実現に向けてまいりたいというふうに思っております。この点については、先ほど来申し上げておりますように、長年の議論の上で平成二年から実施するということでございますので、そういったことから、検討会の報告等を関係者と十分話し合いをして実施してまいりたいというふうに考えるところであります。
○谷本巍君 それからもう一つの大事な問題は、運営主体の問題です。私は前回、政府管理でいくというならば、これはもう特殊法人が一番いいのじゃないかということを長官に申しげました。長官は、一つの考えとして公益法人ということを言っておられました。公益法人を仮にとるとしても、財団法人と社団法人ではこれまた性格が違ってまいります。問題は運営主体をどうつくるのか。 それと同時に、もう一つの問題として出てくるのが省政令で価格形成の場、これをどういうふうに運営していくのか。不確定な部分がいっぱいあるわけでありますから、それを省政令の中で決めていかなきゃしょうがないということになるのだろうと思います。現行食管は、取り扱い上は事実上、部分管理的状況にありますけれども、食管法上適切でないものは、政府は監督権も発動できるし、取引をやめさすことだってできるような仕組みになっておるわけでありまして、その意味では全量管理と言うこともできるわけでありますけれども、価格形成の場がひとり歩きされてしまったのでは妙なものに変質されていく可能性が多いわけでありまして、そういう意味では省政令がどのようにつくられていくのか、ここのところは、私どもが一番関心の強いところなのであります。 残念ながら、今国会はもう間もなく終わろうとしております。そうしたことについてお聞きする機会は、恐らくこの国会の場ではないのではないかというふうに思うのでありますが、ともかくも肝心な点が決まっていないので、論議ができないといった残念さが強く感じられるところでありますので、省令、政令を決める前に、私どもの意見も聞いていただくことができるような機会なども設けていただきたいということをこの際、ひとつ要望しておきたいのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(浜口義曠君) 一つの方向づけといたしまして検討報告が出ておりますけれども、毎回この席でも申し上げておりますように、やはり関係者の十分な御納得をいただきながら、立派なルール、健全なルールをつくっていかなきゃいけない使命があるわけでございます。もちろんこのルールといたしまして、当然検討の結果、政省令の変更というのはあり得るというふうに思っております。具体的にどういう形でなされるかというのはまだ成案を得ておりません。十分関係者との御相談をしながら納得のいく形でいきたいというふうに考えておりますので、その点御了解をいただければというふうに思っておるところでございます。
○谷本巍君 ありがとうございました。
○委員長(仲川幸男君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩をいたします。 午前十一時五十分休憩 —————・————— 午後一時三十一分開会
○委員長(仲川幸男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○細谷昭雄君 私は、地元の大潟村の営農方針をめぐる諸問題についてお伺いしたいと思います。 御承知のとおり、八郎潟という大変秋田県でも美しい湖があったわけでございます。琵琶湖に次ぐ日本第二の湖でありまして、あの湖の中には、広さはもう東京二十三区が大体すっぽり入るという大きさでございました。私ども、子供のころは大変な魚の宝庫でございまして、ワカサギ、シラウオ、ハゼ、フナそしてシジミ、こういったものがたくさんとれまして秋田県における全漁獲量の四一%を占めておった、こういう大変私たちにとっては忘れがたい湖であります。 これが、御案内のとおり食糧不足という観点から、昭和二十七年に八郎潟の干拓事務所といいますか、つくられまして、そして昭和三十二年に着工をし、大変な国費、大体私たちは八百五十二億七千百万円と聞いております、当時のお金で。二十年間という長い歳月をかけまして干拓をいたしました。そして、最初は第七次くらいまでの入植、九百戸ぐらいの入植を予定しておったようでございますが、不幸なことに途中で米の過剰という時期に遭遇いたしまして、第一次から四次まで、途中で中断しまして、最終的には第五次入植という形で結局五百八十四戸の入植にとどまったわけでございます。その後、例えばダムの、何といいますか、引っ越し、移転という皆さん方を入れたりしまして五百八十九戸だったんですが、一戸途中で転落いたしまして、現在五百八十八戸という入植になっておるわけであります。 問題はこの大潟村が、いろんな経緯がございますけれども、この三月十四日に、今までの水田全部の十五ヘクタールを水田としては認めておられなかったんですが、これがようやく、いろんな皆さん方の努力によって十五ヘクタールを全部水田というふうにみなされたわけでございます。 そこで、大臣に最初にお聞きしたいと思うんですが、この八郎潟はいわゆる大潟村という新しい村に生まれ変わりました。今言いましたようなたくさんの国費、国民の血税でございます。しかも、あの風光明媚な、秋田県にとっては大変魚その他我々にとっては懐かしい湖でありましたが、これを干拓して新しい村をつくった、当然これは理念があったと思うんですね、いわゆるモデル農村という大きな目標というのがあったはずでございます。そこで、この大潟村建設に関しまして一体その理念は何であったのか、改めてこれはしっかりこの際、大臣からもお聞きしたいと思いますし、その理念が今果たしてどこまで到達されておるのかということも検証しなければならないというふうに思うわけでございます。そういう点で、きょうは大潟村全体について取り上げてみたいと思いますので、最初に大臣からその理念について、そしてその理念の到達度がどうであるのかという点について率直にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(山本富雄君) 細谷先生のふるさとでもございます八郎潟、やはり原点に返れという言葉がありますけれども、時々振り返る必要もあり、曲がり角に来た場合には原点を見直す必要がある、こういう御趣旨での質問であろうと思うんです。 この八郎潟の干拓は、農地及び農村施設の整備を行う、そして生産性及び所得水準の高い農業経営を創設して、新農村という言葉が今どうかわかりませんけれども、当時模範的な新農村をつくりたい、これは三十年くらい前になるわけでありますが、そういう燃えるような気持ちといいますか理念を持って、国もそうですしそして現地の人もそうですし、そういう理念でこれを始めた、こういうことだろうと思います。
○細谷昭雄君 そういう高い理想というのを掲げたはずなんですが、残念ながらこれは、私は本当にそこまでいっておらない、むしろ逆のいろんな問題があるというふうに思うわけでございまして、だんだんにこの点では触れていきたいと思いますが、深刻な、謙虚な反省というのが必要じゃないのかというふうに思っております。 そこで、先ほどちょっと触れましたが、ことしの三月十四日付で、秋田県は新営農方針というのを出しまして、農林水産省もそれをお認めになりまして、今までは全部の水田十五ヘクタールを水田と認めておられませんでしたが、ようやくそれが十五ヘクタールの全面水田というふうに認められたわけであります。私は、この決定というのは大変時期を逸したな、こういうふうに思っております。と申しますのは、昭和五十九年でありましたが、五十九年の十一月に、私自身衆議院の農林水産委員会で、ぜひこれは今直ちにあの住民の、入植の皆さん方の意向、全面的なこれはもう全村挙げての要望でありましたので、これはやるべきであるということを当時山村大臣でございました、山村大臣のときに強く要請をしたんですが、あれから六年たってようやくせんだってこれが実現をした、私はやっぱり遅きに失したと思うんですよ。やっぱり政治決断というのは非常にタイミングが難しいと思うんです。ずるずるといったこの六年間の間に大潟村がどう変わっていったのか、この点を考えますと本当に残念だなというふうに思うんです。しかし山村大臣が、何代かの大臣がやり得なかったこと、これをちょうど大臣がかわった段階で決断をしてくださいました。その点については、私は大いに敬意を表する次第でございます。 さて、この営農方針の変更はありましたけれども、残念ながらこれの状況を見ますと大変な状況になっておるわけであります。何がそう大変なのかといいますと、ここに、これは農林水産省や県自体に出しました村の、そして各農協を初め各団体の要望書というのがあります。この要望書を見ますと、いろんなことがありますが、「後期対策のスタートに当たり」、後期対策のスタートですから、これはことしです。このスタートに当たり、「私たちは、連帯して、少なくとも七割の農家の参加を責任を持って指導し、確保します」、だから何とか早く「十五ヘクタールを水田として取扱い、秋田県内一般農家並みの転作率とされたい」、各層から出ておるわけです。 これによって皆さん方が決断したと思うんですけれども、残念ながら状況としては極めてよくない。もう七割どころか、むしろ全面作付をする人方がむしろふえるのじゃないかなというふうな懸念さえも出ておる状況でございます。ですから、せっかくこうした決断というものが、その後実効が上がっているのかどうか、上がると思うのかどうか、この点についてひとつお伺いしたいと思うわけでございます。
○政府委員(松山光治君) 大潟村の、転作の実施状況についてのお尋ねかと思いますので、私の方からお答えさせていただきたいと思います。 昨年の実施でございますけれども、昨年当初の段階では、過半数を上回ります三百五十戸余りの農家から転作等の実施計画がございましたけれども、残念ながらその実績はこれを下回りまして、二百七十六戸にとどまったところでございます。今先生からお話のございましたように、今回の措置、とにかく秋田県とかあるいは関係の生産者団体の方から、大潟村の全農家が、全国の農家が実施しております生産調整の輪に加わることができるような条件整備としてこういうことを認めてほしい、こういう要望がございまして、それを受けて私どもとしても踏み切ったところでございます。 そういう状況の中で、ことしの転作の実施見込みがどうかということでございますけれども、御案内のように、転作等実施計画の取りまとめの期限が六月末ということで、現在なお進行中でございまして、正式の報告をまだ受けるには至っておらぬわけでございますが、秋田県から聞きました現段階の状況といたしましては、五月末の段階で、転作等の実施計画を提出いたしました農家が過半数に達しておるということでございます。今先生の方からちょっと引用のございました要請書の関係からいきますと、まだ残念と言わざるを得ない状況ではございますけれども、前年の実績に比べれば一定の前進が見られたのではないだろうかというふうに考えておるところでございます。 現在も、県なり大潟村あるいは生産者団体等、それぞれの立場で転作協力のための粘り強い説得指導が行われておるところでございますし、各般の面にわたっての指導がこれからなお引き続き行われるというふうに聞いておるところでございます。ひとつ大潟村の農家の皆さんには、とにかく全国の農家の輪に加わってほしいという全国的な要請に、ひとつこたえるように格別の理解を求めたいものだ、このように考えております。
○細谷昭雄君 全く私もそう思うんです。非常に心配する事態というものが進行しているのじゃないかというふうに思うんです。といいますのは、今局長もお話がありましたが、ことしの六月十五日現在、これは農協から私、資料としていただいたんですが、いわゆる転作等の実施計画書を提出した戸数は、去年三百五十四戸、その中で今お話のありました二百二十八戸しか実施できなかった。ことしは計画書を出したのが二百九十一戸だというんですよ。三百五十四戸からさらに六十何戸減っているということなんです。そうしていきますと、実績はどうだかというと二百七十六戸よりもさらに減るのじゃないかなということを心配するんです。これは非常に私は深刻な事態になってきているというふうに思いまして、本当に我々も含めまして真剣に取り組まなくちゃいけないというふうな認識を新たにしておるところであります。 次に、大潟村の農家経済の実情について触れてみたいと思うわけであります。これは、大潟村の農家というのは一般の全国農家の耕作反別からしますと十七倍というふうに言われております。十七倍もあったら、もう大概びっくりするんじゃないかというふうに思いがちですけれども、内容的に見ますとなかなか問題があるんです、これは。専業大型農家であればあるだけに、もう一般の農家にないいろんな悩みや問題点があるようであります。私も、農協の資料を見てみましたが、こういう問題があるんですね。例えば農家負債の問題。農家負債の問題一つとらえますと、秋田県全県の農家の昭和六十二年度負債は、平均して二百三十万二千円であります。それに対して大潟村農家の一戸平均の負債というのは、九百四十二万二千円ということであります。十七倍も広いんですから三倍ぐらいの負債は当然じゃないかといえば当然なんですけれども、非常にばらつきがあるんです、ばらつきが。そういう点で一例を挙げますとこういう点であります。私は、このように大潟の農家というのはたくさん問題を含んでおると思うんですが、去年は十二・五ヘクタールという認知しかなかった。ことしは十五ヘクタール。去年とことしは全然つくる面積が違うわけでありますので、試算をしてみた場合、どの程度に違うのか私どももやってみました。これは試算でございまして、当然これは正確かどうか、なかなか問題が出るところでありますけれども、一応統計的に昭和六十三年しか統計出ておりませんから、六十三年の指標を使いまして、そして平成元年、去年は、水田面積は七・五七ヘクタール、転作が六・一七ヘクタール。ことしはそれに対して十・四五ヘクタールの水田、水稲作付、それから転作が三・二九ヘクタール、そしてずっと奨励金とかそういうのを、全部指標を六十三年統一しまして計算してみました。その結果を見ますと平成元年、統計はまだ出ているわけじゃない、推計ですよ。千四十五万九千円、これは平成元年度の所得の試算でございます。平成二年はそれに比べまして千二百三十六万九千円というふうになって約二百五十万ほど多くなる予定と、こういうことなんです。確かに水田をふやしたということによって、少なくとも二百万から三百万ぐらいの幅の増収に、いわゆる所得の増につながるという点で大きくは評価していいんじゃないか、この措置というのは。そういうふうに思いますが、一方、これも試算でございますが、全面作付した人としない人とどう違うのかという点でもこれは試算をしてみました。指標は同じなんです。そうしていきますと、十五ヘクタール全部つくれますとどのくらいになるのかというと、千七百四十七万七千円になるわけであります、千七百四十七万七千円。したがって、ことしちゃんと転作をした人と比べましてもその差は約五百万近くあるということなんです。何といいますか、全面作付した人は尋常一様ではなかなか戻ってこないという問題がこの点でも明らかだと思うんです。ですから大変難しい問題だ、こういうふうに思うんですね。 農林水産省は、私のこういう試算に対しまして、恐らく農林水産省でもやったと思うんです。もしおやりになったとすればその試算の状況をお知らせ願いたいと思います。
○政府委員(片桐久雄君) 私どももいろいろ資料を集めまして検討いたしましたし、それからまた県の方ともいろいろ打ち合わせをいたしまして検討をした次第でございます。 検討の内容について申し上げますと、平成元年度の所得が約一千万円ということは先生御指摘のとおりでございます。転作実施農家の所得でございます。平成二年度について十五ヘクタール全面水田認知、それから転作率二七・四%という前提を置きまして、しかもまたいろんな農産物の価格、収量、そういうものは平成元年度と同じものであるというような前提で計算いたしますと、農家の所得は二割程度増加するのではなかろうかというふうに考えている次第でございます。 ただ、先生御指摘の全面水田作付、転作を行わないで全面水田作付を行った場合の所得でございますけれども、先生御指摘の千七百万というのはいわゆる粗収入といいますか、それからいろいろ経営全体に対する間接経費とかなんかを引きますと、その場合の農家所得というのは千三百六十万何がしぐらいのものではなかろうか。ですから、平成二年度で見れば転作をやった農家とやらない農家で百三十万前後の差ができるのではなかろうかというふうに見ている次第でございます。
○細谷昭雄君 私の全面作付の方の計算、間違っておりました。やっぱり千三百六十六万七千円です。そのとおりです。おおよそこの試算は一致しておるようでございますので、こういうふうにだんだん接近はしてきました。今まで五百万違っておりましたから、五百万。それがこういう二百万以内に接近してきたという点をとらえまして、今後何としてもこれは、もう一度スタートラインについていただきたい、こんなふうに考えておるところでございます。 そこで、お伺いしたいと思うんですが、これからの営農指導の問題なんです。これからの営農指導の問題で大変な問題があるわけでありますけれども、先ほどありましたように、昭和五十九年の村長選挙のときからこれは村を挙げての要望であったんです。十五ヘクタールを全部水田に認めてほしいということは。これは対立候補も同じことを言ったんです。したがって、最大公約数でありました。ようやくスタートラインに私はついたと思うんです。この機を逃さないでしっかりした営農指導をやらなくちゃいけないというふうに思うんです。 そこでお聞きしたいと思いますのは、何としてもこの一番大事な点は、行政の責任というのをきちっとしていただきたいということなんです。私は、今のままでいきますと、大臣がお話ししましたように、理念として新しいモデル農村をつくる。もう日本にどこにもないような理想郷をつくる、こういう理念というのはずたずたに崩れまして、むしろ日本政府の政策責任を問われるということになりかねないんですよ。今もう全く残念な状態に私はなっていると思うんです。 しかも、政府は政府でいろいろやっているけれどもなかなか効果が上がらないので、地元、地元というふうに、ともすれば地元にその要請なり要望を強くする。村は村で、何とか農林水産省やってくれというふうな言い方をするんです。県も同様なんです。みんな今は責任の所在がはっきりしない、私はそう思うんです。やっぱり行政の責任というのは一番大きいものなんですよ、これは。しかも、多大の国費を使いそして国民と住民に、入植者に責任を負うのはやっぱり政府でなくちゃいけないと思うんです。その点を明確にしていただきたいと思うんですよ。この点はもう逃げることじゃなくて、やっぱり農林水産省はきちっと前向きにそれに対処していただきたいと思うんです。 そして、私はこの際に提案したいと思うんです。もうこのままいったら大変ですから、このスタートラインにつくというこの時点で、農林水産省は今までも窓口は設けておりました。菊池参事官がその窓口になっております。しかし、今度は後に引けないという問題だと思うんです。ですから、農林水産省としては、何としても大潟対策について、営農指導のプロジェクトチームを私は設けるべきだというふうに思うんですよ。そして、本当に責任を分担する。国は国、これだけの仕事は私の方でやります、そのかわりこの部分は県でやってください、村の仕事はここですよというきちっとした責任分担をもうはっきりさせるべきなんです。私はそういうふうに思うんですね。その点について、私の提案も含めまして大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思うんです。
○国務大臣(山本富雄君) 今お話しの国と県と地元、これは三位一体でなくちゃならないということは、もう先生の御指摘のとおりであります。 特に、農林水産省の中では、大潟村の営農問題一つ考えてみても構造改善局、局長きょう来ておりますが構造改善局、それから農蚕園芸局、松山局長おりますが、それから食糧庁等関係の局も非常に多いということなので、構造改善局の担当参事官を中心といたしまして三局庁の担当官による、今プロジェクトチームというお話がございました。実質的にプロジェクトチームを構成して現在まで対応してきた。しかし、特に御指摘がございましたので、両局長、それから食糧庁長官にも、私からもよくお話をいたしまして、さらにこの機能を高めるようにしっかりやれ、こういう指示などをもう一度したいというふうに考えております。
○細谷昭雄君 ぜひ実のある、しかも機動性を持ったそういうチームにしていただきたいと思うんですよ。形式的な、ただ応対ということではだめだと思うんです。ぜひとも、もう後に引かれないということを十分に自覚をしてその責任をきちっとしていただきたい。県や村についてのお考えを本当はお聞かせ願いたいと思ったんです。その分担がしっかりしてないから、不明確だからやっぱり逃げておるというふうにしか見えないんです。そのこともあわせて大臣にもお願いしたいと思うんです。 それで、細かい点でございますけれども、実はこれは細かい点だけれども一番難しい点。第一に不正規流通米対策です。不正規流通米対策、これは何としてももうやらなければならないと思うんです。カントリーエレベーターというのがございます。大潟村カントリーエレベーター公社がございまして、全村の米をそこへ運んで脱穀をし、乾燥しそして販売するという仕組みなんです。村自体でつくっているんですね。ところが、昭和六十年来、そこへ持っていく米がどんどん少なくなっているんです、残念ながら。そうして、現在この資料によりましても、もう残念ながら、今カントリーエレベーターの利用率というのは半分に減っているんです。六万トン入るべきカントリーエレベーターが大ざっぱに言うと半分しか入らない。その三万トンが確実にどこかの民間の、つまり入植者のどこかの乾燥場なり精米所に運ばれて、全国にいわば不正規流通米として出回っているということなんです。これは大変なことなんです。 私が非常に心配する点は、農家個々の責任を問うんじゃないけれども、事実、今米が過剰ぎみになりまして、やみ米になる。早く出した人はいいんですが、遅く出した、今持っている人方はどんどん買いたたかれているんです、やみ米。全体の米の値段をいわば引き下げるという作用をすることは確実であります。恐らく出るに出れない、こういう状況の中で非常に困っている農家もあるのじゃないかというふうに私自身推測しておるわけであります。このような不正規流通米をこのまま放置しておりますと重大な結果を招くというふうに思うわけでありますが、これへの対策が一つ。それからもう一つは、何としても今後大事な点は、麦とそれから大豆、この転作作物の収量の問題と収入である値段の問題なんです。この対策をどうするのかという点。それからもう一つ大事な点は、これは田畑複合経営、しかも家族経営だと思うんですね、家族経営。このような基本的な、いわゆる大潟農業の基本的な姿というのを崩さないためにどういうふうな指導をするのか。この三点が問われると思うんです。時間がございませんので、極めて簡潔にこの三点についてひとつ御答弁願いたいと思います。
○政府委員(浜口義曠君) 最初の不正規流通米対策でございますが、この点につきましては、先生も御指摘のように、この点極めて重要な問題でございます。米穀の流通秩序の維持に重大な影響を与えるばかりではございませんで、食糧管理制度そのものに対する国民の不信を招くことから、行政はもちろん、生産者、集出荷、販売業者等関係者が一体となってその対策に従事してきたところでございます。 具体的に申し上げますと、第一に、県食糧事務所、農業団体、集荷団体が一体となって不正規流通米防止のキャンペーンを行った。それから第二は、流通関係でございますが、米の卸、小売業者に対しても不正規流通米に関与しないように指導を行ったこと。それから第三は、関係省庁にお願いをいたしまして、宅急便等運送業者に対して不正規流通米を取り扱わないよう要請を行うこと等でございました。この点につきましては、先生現場にいらっしゃることからよく御存じだと思いますが、国民各層の支持のもとで粘り強くかつ長期にわたり実施するということから、徐々にではございますが、効果を発揮しているというふうに我々見ておるわけでございます。 この点につきましては、さらに不正規流通米という裏の対策ということとあわせまして、正規に流通する、正規に出荷をする、正規に集荷をするという点を十分徹底をいたしまして、所期の目的を達成するよう努力したいと思います。
○政府委員(松山光治君) 麦、大豆の扱いの問題でございますが、大潟村でも重要な転作作物でございます。もちろん麦、大豆の全体としての収益を上げていくということのためには、やはりいいものを能率的にきちっとやっていくということが基本になるわけでございますが、そういう意味からいたしますと、大潟村の場合には、御案内のように六十アールの圃場というふうなことでかなり機械化に適するという、そういう条件を持っておるのでありますが、同時に干拓地でもございまして透水性が劣る。あるいは余りにもちょっと大きい圃場なものですから、降雨直後の排水条件がもう一つという面もございます。そういうことからいたしますと、麦にいたしましても大豆にいたしましても、畑作物として湿害に弱い面がございますから、そういう意味での土壌条件の改良といいましょうか、排水対策、これは営農上の排水対策も含めましてその辺のところに重点を置いたこれからの推進、指導が必要になってくるんのやなかろうか、このように考えておる次第でございます。
○政府委員(片桐久雄君) 大潟村の五百八十一戸の農家、家族経営が行われているわけでございますけれども、今後の営農指導の考え方でございますが、大潟村の村民が一体となりまして、全国の生産調整の輪に加わっていただいて、それでまたモデル農村として周辺地域の模範となるような、そういう生産性の高い複合経営が確立されることが重要であるというふうに考えている次第でございます。 私どもといたしましては、秋田県それから大潟村ともども、こういう基本的な方針に基づきまして営農技術指導、それからまた転作に関する指導、そういうものを推進していきたい。また、大潟村当局におきましては、県の指導を受けて村内の合意形成等を図り、営農の確立に努力していただきたいというふうに考えている次第でございます。
○細谷昭雄君 この営農指導の問題をこれで打ち切りますけれども、大臣ぜひとも、非常にもう国民が注視している、やっぱり政策的にこれはどこへいくのかということを注目していると思うんですよ。このままいったら完全に日本政府は政策の失敗をしたというふうに言われてしまうと思うんです。そういう意味で、だれの責任でもない、やっぱり国家の責任、政府の責任という点を十二分に厳しく反省していただきまして、ぜひとも今局長の皆さん方からお話があったとおり、本気で、逃げないでひとつ行政指導をしていただきたいと強く要請を申し上げたいと思いますし、責任の分担という点で、もっともっと明確にしていただきたいということを要望したいと思います。 次に、時間がございませんが、八郎潟の残存湖の問題をめぐる環境問題について、三点についてお伺いしたいと思います。 一つは、八郎湖という名前なんですが、八郎湖技術検討委員会なるものが六月一日に初会合を持ちまして、浄化対策に乗り出すというふうに新聞に報道されております。それほどひどくなっているということなんですね。八郎潟というのは、大潟村というのは大体干拓したところなんですから、あそこに六本の川が入っているんです。その川が流れていくところがないんですよ、もうふさいじゃっているんですから。したがって、私は余りよくわかりませんが、COD基準が倍以上になっている、つとにこれはもう指摘されておるわけであります。これ以上黙っておったら、もうあそこの水は腐れてしまうということなんです。したがって、これを環境庁はどういうふうに考えておるのか、その対策をお伺いしたいということ。 もう一つは、八郎潟の周辺町村で、これは昭和五十二年に農林水産省から用地を払い下げしてもらいました。もちろん買ったわけですけれども、ここにパブリック型ゴルフ場を建設するということを決めておるわけであります。そしてそれを民間に貸す、貸して経営するということなんですね、これに要綱がございます。自分の用地に何をつくろうがそれはいいわけですけれども、問題は、このように大変環境が破壊されておる、水質が汚染されておるという中に、このような市町村段階の団体がこういうふうにつくるということを農林水産省は大体御存じなのかどうか。そして、このゴルフ場をつくることによって、なお一層水質汚染が心配されるという状況でございます。その点で、環境庁はゴルフ場をつくることに対してどういう懸念を持っておるのかということをきちっとこれはお示し願いたい。 三番目、このゴルフ場をつくることによって反対運動が起きております。その反対運動は野鳥の会なのであります。なぜかといいますと、この隣接地に、昭和何年でしたか、非常に熱心な日本野鳥の会が、オオセッカという保護鳥がここにすんでおりまして、この保護鳥の生育場所を買ったわけです、環境庁が。そこのところに隣接して六十ヘクタールのゴルフ場をつくるというんですね。そうすると、当然これはもう農薬の問題だとかそれから水の問題、乾燥してくるということからオオセッカが生息を破壊されてしまうだろうということで反対運動が起きております。このオオセッカについては、私去年環境庁にそのことを指摘いたしまして、至急県と連絡をとってその対策をとってもらいたいというふうに要求いたしました。その結果がどうなっておるのかということ、その三点についてお伺いしたいと思います。
○説明員(小澤三宜君) まず第一点についてお答え申し上げます。 八郎湖につきましては、有機性汚濁の代表的な指標でありますCODというものがございますけれども、その環境基準がA類型ということで、三ミリグラム・パー・リッターということで定められておるわけでございます。昭和六十三年度の水質でございますが、そのCODの七五%値で九ミリグラム・パー・リッターということで、環境基準の三倍程度という非常に汚れた状況にあるということは先生の御指摘のとおりでございます。八郎湖の水質保全対策につきまして秋田県におかれましては、専門的、技術的な検討を行うということで、本年の四月に八郎湖技術検討委員会というものを設置し、六月一日に初会合があったというふうに承知しております。この検討委員会のメンバーといたしまして、環境庁の国立公害研究所からも水質土壌環境部の室長が参加しておるわけでございます。今後とも、この八郎湖の水質浄化ということで技術的にいろいろな問題も出てこようかと思いますけれども、指導なり助言なりというようなことで、環境庁といたしましても御協力してまいりたいというぐあいに考えております。
○説明員(細田敏昭君) 御説明いたします。 ゴルフ場の建設に当たりましては、各地方自治体におきまして関係する個別法の手続あるいは各自治体の条例等に基づきまして、環境アセスメントといったようなことを通じまして、環境保全の観点から検討がなされているものでございます。水質汚濁の防止につきましても、この検討過程で各自治体におきまして検討がなされているというふうに考えております。このうち、最近論議のございます農薬によります水質汚濁の防止につきましては、登録農薬を適正に使用する、あるいは可能な範囲で使用量を削減するといったことについて指導が徹底される必要があると考えております。これらの指導の実効を期する上で農薬の実態把握にまず努めてもらう。その結果に基づきまして必要に応じて、随時ゴルフ場等に対して適切な改善措置を求めるということが肝要かと思います。 私どもといたしましては、去る五月の二十四日付をもちまして、県に対しましてゴルフ場使用農薬に係る暫定指導指針を通知したところでございます。今後はこの指針に基づきまして、県が地域の実情に応じまして適切にゴルフ場を指導するということによりまして、ゴルフ場からの、農薬の流出に起因する水質汚濁の未然防止が図られますよう努めてまいりたいと思っております。
○説明員(菊地邦雄君) 野鳥保護の関係につきまして御説明いたします。 現在、私ども具体的なゴルフ場の構想というのを承知いたしておりませんが、新聞等であるいは地元の方から伺っております範囲でお答えいたしますと、昭和五十二年の三月に、国設大潟草原鳥獣保護区というのを指定いたしておりますが、それに近接したところに計画がされておるようでございます。なかなかその具体的なことがわかりませんので、影響等について申し上げるのは甚だ難しいわけでございますけれども、保護区であるか否かということにかかわらず、オオセッカを中心とする草原性の野鳥が数多く生息しておるということでありますので、その生息そのものが、植生等が変化すれば野鳥の生息には影響なしとはいえないというふうには考えております。 ただ、具体的に私どもといたしましても、直接保護区あるいはその特別保護地区というところの内部の問題でございますと対応可能でございますが、隣接ということではなかなか対応が難しゅうございまして、現在秋田県の担当課とともに話し合いをし、事態の進捗を見守りながら、現在その対応にどうしたらいいかという点について注意を払っておるという段階でございます。
○細谷昭雄君 今の、野鳥の問題については私、去年もう指摘した点なんですよ。県とどういう連絡をしているのかということをお聞きしているんです。
○説明員(菊地邦雄君) この問題につきましては県の自然保護課が担当でございますが、私どもと、野鳥の生息にどういう影響を与えるかという点について、県の方に現地の調査を依頼するとかあるいはその報告を得るというようなことで打ち合わせは進めております。
○細谷昭雄君 まことにもう、何といいますか、まだるっこい話なんですね。もう去年の十一月に言ったことがまだきちんとした回答を持っていない、まだ打ち合わせですか、そのうち死んだらどうします。もう環境というのはそういうものだと思うんですよ。まことにその点で対応が遅過ぎる、私はこんなふうな気がいたします。ひとつ要望としましてぜひもっと、打てば響くようなそういう対策というのを環境庁としては考えてほしいというように思います。 それからもう一つは、ゴルフ場の指導指針を出したというふうにおっしゃいましたが、きのうのニュースによりますと、埼玉県では環境庁の基準の何倍ですか、大変なもっと厳しい基準を設定したというふうに聞いております。そんなふうにしますと、どうも環境庁の基準というのは甘いんじゃないかなという、私素人でわかりませんけれども、そんな気がするんです。何としても、今大変第一に環境というものが考えられておる時代ですので、ぜひとも環境庁からは、やっぱりもうちょっときつい指導というのをやっていただきたいと思いますし、金がなくてそうなっているのか私もよくわかりませんけれども、ぜひともその点でひとつ奮起をしていただきたいというように思います。そのことを要望いたしまして質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○一井淳治君 私は、森林あるいは国有林野の問題について質問をさせていただきたいと存じます。 森林の果たす公益的機能、空気の清浄化、水源の涵養、国土保全等、最近では地球環境保全の役割の重要性ということが言われております。聞かずもがなの質問ではございますけれども、この森林の果たす公益的機能に対してどのような御所見をお持ちか、まず大臣にお伺いいたしたいと存じます。
○国務大臣(山本富雄君) お答えいたします。 今先生お触れになりましたとおり、森林は木材生産のみならず、国土保全あるいは水資源の涵養あるいは保健休養の場等々、公益的な機能を有しておるということは申し上げるまでもありません。また、先般の総理府の「森林と生活に関する世論調査」、これは私も注意をして見せていただきましたが、国民の森林に対する関心度が日々高い、こういうことだと思います。いわゆる水と緑に対する国民の関心が非常に高まっているということでございますので、今申し上げたような観点から仕事を進めなければならないというふうに覚悟を新たにいたしております。 また、これもお触れになりましたが、最近各所、各場面で地球の温暖化とかあるいは熱帯林の減少など、いわゆる地球環境問題への対応ということが国際的な課題になっております。このような地球環境保全の観点からも、森林が非常に重要だということも申し上げるまでもないと思います。今後、林政の展開に当たりましては、このような森林の果たす重要な役割を踏まえまして、国民の要請に対応した多様な森林の整備等各般の施策をなお一層推進してまいりたい、こういうふうに考えております。
○一井淳治君 また、聞かずもがなの質問を重ねて大変失礼でございますけれども、国有林野事業を進める場合におきましても、ただいま大臣から御説明がありました公益機能の果たす重要性というものを考えながら、この機能を十分に発揮させていくことが必要ではないかと思いますけれども、その点はいかがでございましょうか。
○政府委員(甕滋君) ただいま大臣から申し上げましたように、森林の公益的な機能に対する重要性がますます高まっておるわけでございます。その中で、国有林は我が国の森林面積の、御承知のように約三割を占めておりまして、またその大部分が脊梁山脈に位置しているということもございまして、国土保全でございますとか水資源の涵養でございますとか、自然環境等々の面で果たす役割は極めて大きいというふうに考えております。 したがいまして、今後の国有林野事業の運営に当たりましても、こういった公益的な機能を一層発揮させるということが重要でございまして、例えば国有林の五割を占める保安林の適正な管理、あるいは国民の要請に対応した多様な森林整備の推進、さらに森林生態系保護地域の設定等といった自然保護への配慮というふうに、各般の取り組みを強めていく必要があると考えております。
○一井淳治君 現在、国有林野会計は大変な赤字でございまして、経営の健全化ということが急務となっておるわけでございます。現行の改善計画は六十二年の七月に立てられておるわけでございますが、平成元年度までに、経営改善に必要な基礎的条件を整備する、そして平成九年度までに収支均衡状態を達成するということでございますけれども、現在のままではとてもこの見込みは達成できない。この財政再建は、現在のままでは不可能ではなかろうかという見通しが正しいのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。最近、総務庁の行政監察が出ておりますけれども、それを見ましても、平成九年には累積債務が三兆三千億円に拡大するのではないかというふうに言われておりますけれども、その点はいかがでございましょうか。
○政府委員(甕滋君) 国有林野事業の経営の問題でございますが、ただいま御指摘ございましたように、六十二年七月に改訂・強化されました改善計画によりまして、平成五年度までに、経営改善に必要な基礎的条件の整備を図る、また平成九年度までに収支均衡を達成するということを目標にいたしまして、現在自主的改善努力を尽くしながら所要の財政措置も講じてきておるところでございます。 しかしながら、収穫量につきましては、過去の大量伐採による影響もございますし、近年の自然保護の要請が高まっているということから減少せざるを得ないといった事情がございます。また、林野あるいは土地の売り払いにつきましても、従来の手法では大幅な拡大は難しくなっているということもございます。また、現在要員調整の過程にあるわけでありますが、支出削減に限度があるという事情がございます。また加えて、その間の借入金の増大と、これに伴う利子償還金の増大というふうに財政事情が困難の度を加えておるわけでございまして、このまま推移しますと収支均衡の見通しは厳しい状況にあるというふうに認識をしております。
○一井淳治君 まさか、赤字をこのままほったらかしておいて赤字がふえるのに任せておくというわけにはとてもいかないと思います。強力な対策が必要ではなかろうかと思いますが、その点はいかがでございましょうか。
○政府委員(甕滋君) 国有林野事業の債務残高は、平成元年度には二兆円を超える見込みということになっておりますし、また今後につきましても、ただいま申し上げましたようなもろもろの条件から見まして、さらに厳しいものになると見通されるところでございます。そういった中で、今後ますます重要となる国有林野事業の使命を十分に達成していく上で、これを何とかしていく必要があるということでございまして、早急に健全な経営を確立することが重要であるというふうに考えておるところでございます。現在、累積債務対策も含めまして、総括的対応策について林政審議会の場で検討を行っているところでございまして、この結果を踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。
○一井淳治君 経営の健全化ということが非常に大事なことでありまして、これは実現していかねばならないと思いますけれども、しかし忘れてならないことは、森林の公益的機能を国有林野が十分に将来とも発揮させていくという視点を忘れてはならないことであるというふうに思います。何でもかんでも、赤字を解消すればいいんだというふうな方向でいきますと、国有林野がせっかく現在豊かな緑があるわけですけれども、これが台なしになったり、公益機能を将来発揮できなくなってしまうというおそれもあるわけでございます。そういった意味で、経営の健全化を目指す過程においては、必ず森林の公益機能を将来とも十分に発揮させるということを忘れないで、そういう方向に立った上で経営の健全化を進めていただくということが必要であろうと思いますけれども、この点はいかがでございましょうか。
○政府委員(甕滋君) 国有林野事業につきましては、もともと先ほど申し上げましたような公益的な機能を高度発揮する、また林産物の安定供給、さらには農山村地域の振興といった重要な使命を果たしておるわけでございまして、現在のように森林林業に対する国民の期待が高まっている中で、この使命を十全に果たしていくことが要請されているというふうに思います。また、そのためにも早急に経営の健全性を確立することが必要だということでもございます。このため、ただいま申し上げました林政審議会における総括的対応策の中におきましても、御指摘の点も含めまして今後的確な検討を行ってまいりたいと考えております。
○一井淳治君 先ほどの行革審の答申の中でも、私は、この行革審の答申が必ずしもできばえがよいとは思いませんけれども、国有林野の役割を適切に果たすことができるようにという条項が入っておったと思います。将来の国有林を保全していくという、この公益的機能を十分に発揮できるように保全していくという観点を忘れないで経営の健全化を目指していただきたい、このように要望申し上げたいと思います。 そして、経営の健全化のためには、最近の財政状況から見まして、一般会計からの繰り入れというものを飛躍的に拡大していく以外に道がないのではないかというふうに思うわけでございます。公益的機能というのは、すぐにもうけにつながらないわけでありまして、国有林野の面積を見ますと、国定公園とか保安林とか、そういったものが六〇%を占めておる。そして四〇%の経済林の方も、今お話がございましたように、簡単に伐採ができるような木が余りないというふうな状況でございますし、また過去の歴史を見ましても相当もうかった時代もありますが、そういったときには、公益的な事業をみずからの財政で実施したりあるいは一般会計に入れてあげるというふうな歴史もあるわけでございまして、この際は、一般会計から相当多額の金額を導入する以外に財政の健全化の方向はないというふうに思うわけでございますけれども、その点はいかがでございましょうか。
○政府委員(甕滋君) 一般会計からの繰り入れについてお触れになったわけでございますが、現在も改善計画に基づきまして、自主的な改善努力を尽くしながら、その造林あるいは林道整備等に要する経費の一部について、一般会計からの繰り入れを行っておるわけでございます。本年度の予算におきましても、これらの財政措置の拡充を図ることにしております。また、治山事業については、すべて一般会計の負担として実施をしておるという状況でございます。今後どうするかといった点での御指摘の件につきましては、ただいま申し上げました林政審議会の場における総括的対応策の一環として、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。
○一井淳治君 林政審議会の審議ありと。ですから、余り事前に先走った応答はできないということであろうというふうに思いますけれども、しかし一般会計から繰り入れる以外に、ほかに方法がないのじゃないかというふうに思うわけでございまして、それが林政審議会の委員の方々の共通の認識ではなかろうか。今やもうほかに方法はないということで、これはもう当たり前の常識ではないだろうかというふうに思うわけでございます。 ですから、審議会にかかっておるから、あるいは将来かかるからその問題はちょっと論じられないという態度ではどうかと思います。審議会が隠れみのとは言いませんけれども、現実にこの審議会で一たん決まってしまいますと、後はもうこの審議会の方針をもうやみくもに実行していくだけになってしまいまして、この審議会の論議が出る前に、やはりこの重要な論点につきましては、国会や委員会で審議がなされる必要があるのではなかろうかというふうに思います。予算委員会でも、この問題については何度もこの質問はなされておるんですけれども、結局その林政審議会のということで、どこかに立ち消えになってしまうという経過があるわけでございますけれども、一般会計から入れないとどうにもこうにもならないということはだれが見ても当たり前の常識でございます。 六十三年度の収支を見ましても、五千七百億円ぐらいの収入のうち二千七百億円、大体五〇%近くが借入金でございますし、それから林産物収入は三分の一ぐらいでありまして、将来この林産物収入がふえるはずはございませんし、また土地を売るとしても余り大した金額の増加も認められない。そうすると、この半分の借入金に頼ってやっているという現実は、将来ともそう動かしていくわけにはいかない、これはもうだれが見ても当たり前のことでありまして、こういうふうな常識に立てば、一般会計からの繰り入れという問題をこの委員会でざっくばらんに論議してもいいんじゃないかというふうに思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
○政府委員(甕滋君) 現在、国有林野事業の置かれている状況を踏まえまして、林政審議会で経営全体に及ぶ検討をせっかくお願いしておるところでございます。そういった中におきましては、当然先生ただいまお述べになりましたようないろいろの観点等も論点としては議論され、また今後論議の中にも出てまいろうかと思うわけでございます。また、私どもとしましては、そういった審議会で検討をしておる最中の問題でもございますし、またしかし、こういった今日ただいまのような場におきます御意見等々も十分踏まえまして、さらに検討させていただきたいと考えておるところでございます。
○一井淳治君 先ほど、改善計画が予定どおり進行しない理由として資源の制約がある、伐採量も減少していく見込みである。それから造林や林道に相当の経費がかかるけれども、借金をしていかなければならない。そして、要員規模が大きい。それから、第四番目に償還金や金利の問題を言われましたけれども、そういった状態が、これはもうどれを見ましてもがんじがらめで現在すぐ急速に変動するわけにはいかないとなれば、これは無利子の金を持ってくる以外にないわけで、無利子の金を持ってくるとすれば一般会計から繰り入れる以外にないわけでございます。 そういったことで、もう少し当たり前のことはもう当たり前としてはっきり言う、そして積極的にこの再建をみんなの力で考えていくという立場でないとますます深みに陥っていくんじゃないかという心配をいたします。ですから、余り詳しい内容に立ち入るわけじゃないわけですから、一般会計からの繰り入れの問題について、もう少しお考えを聞かせていただきたいというふうに思うわけですが、大臣にお伺いいたします。
○政府委員(甕滋君) ただいま一般会計からの繰り入れの問題、またコストの安い無利子のという表現でおっしゃいましたような資金の調達等の問題がございましたが、これまで国有林野事業におきましては、必要な資金については財投からこれを調達いたしまして、またその金利負担を全体として軽減するために退職金の利子補給でございますとか、さらには借りかえ資金に対する利子補給でございますとか、そういった措置を講じまして利子負担の軽減に努めておる、こういう状況がございます。 今後、その一般会計の資金をどのように導入するのかといった問題提起でございますが、私どももそういった問題意識としてはもろもろの問題意識を持ちながら、国有林野事業実施に当たっての適切な費用負担のあり方といった問題は、国有林野事業の経営の健全性を図るといった経営全体の問題として、さらに検討をしていく必要があろうと考えておるところでございます。
○一井淳治君 現在のところ、一般会計からは繰り入れられておるわけでございますけれども、今御説明のとおりでございますが、総額が三・何%というぐらいでありまして、これでは間拍子に合わないと思いますので、やはり一般会計からの繰り入れを大胆に、正々堂々といろんな場所で論じてもらいたいというふうに思うわけでございます。大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(山本富雄君) 今先生と甕長官との間でかなりやりとりがございましたが、これはまさに先生のお話しのように言わずもがななんですけれども、今までのいろんな経過がございまして、またそれからこのままでいいというふうに我々一人も考えておらない、何とか立て直ししなければならない。これはもう政府・与党、野党を超えてということも、私は予算委員会を通じましても幾度も申し上げてきたところでございます。 ただ、今甕長官からも話しましたが、一般会計から全然入ってないわけじゃございませんで、今のお話しのような形でその都度繰り入れを行っておるという状況でございます。にもかかわらず、さまざまな要因が重なりまして今日の赤字の状態を招いた。そこで、これを解決するために今林政審にも精力的にやっていただいております。また、我々もさまざまな角度から、問題意識を持ちながら何とか成案を得たいということでございまして、その作業は日々行っておるということでございます。 ただ、経営健全化ということになりますと自助努力も十分すべきであるというふうな声も一方では非常に強くございまして、その点等も考えつつ、ある成案を目指しておる。もちろん、これは国会の先生方にもよく相談をしながら進めてまいりたいというふうなことでございますので、ぜひ御理解を賜りたいと思っております。
○一井淳治君 現在の債務残高ですが、その内訳が、ほとんどが造林や林道の費用と見ることができるのではないかと思いますが、その点はいかがでございましょうか。
○政府委員(甕滋君) 現在の債務残高、六十三年度末ではっきりしておりますのが一兆八千八百七十六億円という現状でございますが、御指摘にございますように、その大部分は造林あるいは林道等の基盤整備にかかるものでございます。比率で申しますと九四%程度になろうかと思います。
○一井淳治君 造林とか林道というものは公共投資ではなかろうか、森林の公益的機能を発揮するための公共投資であるというふうに私は思うわけでございます。これは、赤字国債ではなくて建設国債に当たるというふうに思うわけで、やはり一般会計で賄うべきである。仮にそうできない場合にも、民間で工事する場合は平均五〇%ぐらいの助成を一般会計からしているわけです。ですから、最低造林や林道の費用については、五〇%はやはり一般会計から出してもらわなくてはもうどうにもならないと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
○政府委員(甕滋君) ただいま私ども特別措置法に基づきまして、造林、林道事業について、これは五十三年度から一般会計の繰り入れを開始しまして、以後逐次繰り入れ対象となる事業施設費の範囲を拡大してきたところでございます。これを今後どうするか、民有林並みというお話もございましたけれども、国有林野事業を実施するに当たりまして、今後どういった適切な費用負担のあり方にするかという点につきましては、先ほどお答えしましたように、経営全体の見地からの検討も必要になるわけでございまして、総括的対応策の一環として、御指摘の点も含めて検討を深めたいと考えておるわけでございます。
○一井淳治君 経営全体の検討も必要だと思いますけれども、しかし造林、林道というものは毎年やっていかなくてはいけないわけですから、これはもう総合的検討ではごまかせないんじゃなかろうかと思います。ぜひとも今申し上げた点を検討いただきたいと思います。 それから、もう一つは金利負担の問題でございますけれども、幾つかの資料を調べておりましたら、成長率の速い杉の人工林について収益率が一・七%である、よく見て森林の国有林の収益率は二%どまりだということが書いてございました。ところが最近の、特に平成二年度の予算を見ますと金利負担が六・三%ぐらいにたしかなっておったというふうに思うわけでございますが、これは間違いかもしれませんけれども、大体それに近い金額になってくると思います。そんなことでは、金利負担だけで国有林野財政は倒産してしまうということが言えると思います。そういった意味で、この金利負担の問題もありますので、ぜひとも積極的に一般会計からの繰り入れを検討いただきたいと思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
○政府委員(甕滋君) 林業の造林利回りについての数字は、ただいまお話しございましたような試算が現実になされておるかと思います。また、国有林のこれまでの債務残高にかかわる平均利率は六・三%というのが現状でございます。借入金利そのものにつきましては、借入金がその事業費の全部に充てられておるという実態ではございませんから、その金利と投資全体の利回りをそのまま比較することについてはいかがかという点もございますけれども、金利負担を緩和するといった点におきましては、先ほどもちょっと触れましたけれども、退職手当借入金の利子補給に続きまして、六十二年度からは造林、林道等にかかる借入金の借りかえの利子補給を行うというようなことで、全般的な金利負担の軽減を図っておるわけでございます。 こういった問題を踏まえて、今後どうするかといった点につきましては、繰り返しで恐縮でございますけれども、現在の総括的対応策の中で検討を深めて結論を得てまいりたいと思います。
○一井淳治君 財政内容を見ましても、支出が五千数百億円、そして長期借入金利子が一千百億円ということで、大体支出の二割が金利の支払いというふうになっているわけで、これでは自転車操業といいますか、だんだん雪だるま式に赤字が拡大していく、累積債務が毎年一千億円ずつふえていくということになってしまわざるを得ないと思いますので、今の申し上げた点を十分に御検討をお願いしたいと存じます。 それから、次は国有林野の木に対する手入れでございますけれども、もう少し手入れをしていただかないと将来伐採する時期が来ても木が高く売れないんじゃないか。ゆがんでいる木だとか節ばかりの木であるとか、雑木に圧倒されておる林とかいうことがありまして、もう少し除伐、間伐、枝打ち等の手入れをしておかないと、せっかくの木が本当に二束三文で売らざるを得なくなるのじゃないかという心配がございますけれども、その点はいかがでございましょうか。
○政府委員(甕滋君) 国有林の手入れについて、これを将来に備えて十分行っていかなければならないといった御指摘はそのとおりだと思います。私どもも、森林施業を行うに当たりましては、造林地の成育状況等、現地の実態を把握いたしまして、それに必要な技術に基づく判断から、適期適作業というふうに努力をしておるところでございます。したがって、一般的に非常に国有林の森林の状況が悪い、こういうことはないと申し上げておきたいわけですが、御指摘のように一部心配なものがある、こういう御注意に対しては、そういうことがないように努力をしてまいりたいと思います。
○一井淳治君 ただいまの国有林に対する御見解とはちょっと違うんですが、またここまでは言いたくはないんですけれども、山を歩いて国有林と民有林の区別というものが大体できるわけです。民有林は大体手入れがよくできている、国有林は雑然として全く手入れができていないということで、民有林と国有林は一目してわかるということがかなり言われているというふうに思うわけです。ですから私は、例えば非常に交通の頻繁な、人がよく通る道筋のよく見られる国有林についてはちょっと手入れをしなきゃ困るのじゃないか。あれ何しとるんだろうかといって国民から批判を受けるのじゃないか。それから、ところどころは模範的な手入れをして、本来からいえばこういう手入れをするんですというモデル地区でもつくってやっていかないと、だんだんと全体というのが低下するんじゃないかという心配をいたしますけれども、いかがでございましょうか。
○政府委員(甕滋君) ただいまお話にございました道路沿いなどの目立ったところにおきましても、十分手入れが行われていないのではないか、こういう御指摘でございますけれども、これは私は、一般的にそうだということではないと思うわけであります。しかし、その御指摘のような箇所があるとすれば、その箇所に即して必要な事業の実行を行っていかなければいけない、またそういうふうに心がけなければならない、このように考えるところでございます。また、良好な成績をちゃんとおさめて今後の森林造成を行っていく、こういう一般的な技術の向上、森林整備水準の向上といったものを目指す上で、そのモデルとなる森林につきましては、現在施業の指標林あるいは展示林という形で設定をいたしまして、例えば研修の場としてそれを活用する、また森林造成の技術の普及、定着に資するというようなことはいたしておるわけでございます。 ちなみに、施業指標林は全国で四百九十カ所、約六千ヘクタール、展示林は百十三カ所、約八百ヘクタール、こういう現状でございます。
○一井淳治君 先ほど、総理府の世論調査の御紹介もございました。それから森林の復活を求めるということで私どもも昨年は八百万の署名を集めるとか、あるいは千四百の自治体の意見採択を得たというふうなこともございました。また、最近の予算委員会の中で、大蔵大臣もかなりこの森林の問題につきましては理解を示されたというふうに思います。そういった時期でございますので、どうか今申し上げましたように、一般会計から大幅な財源を確保されながら、国有林野の公益的機能を十分発揮できるような再建対策をおつくりいただくよう要望して、次の質問に移らせていただきます。 次は、森林組合で働いておられます作業班員のことでございますけれども、森林や林業の復活再生のためにはあるいはこの山村の活性化のためには、森林で働く人たちの労働条件の確保ということが非常に大事であろうというふうに思います。ともかく減少の一途をたどっている人たちを何とか山に引きつけておく必要があるというふうに思います。そのためには、森林組合と作業班員との間の雇用関係でございますけれども、はっきりした雇用契約があるのかどうかはっきりわからないような場合もありますし、とにかく雇用関係の近代化ということが非常に必要ではないかというふうに思います。林野庁の御所見をお伺いしたいと思います。
○政府委員(甕滋君) ただいま御指摘のように、森林組合というものは地域林業の担い手として重要な役割を果たしておるわけでございます。また、今後ともこれを育成していくというのが私どもの方針でございます。現在、森林組合が千七百四十六組合ございますが、その中で千三百五十四組合がいわゆる作業班を持っておりまして、約五万二千名の作業班員が就業をしております。こうした作業班につきまして、ただいま御指摘のような雇用関係の問題についてでございますが、普通一般には、森林組合と直接的な雇用関係にあるという姿にあることは言うまでもございませんが、中には作業班が請負なりで作業を実施しまして、はっきりした雇用関係がない例もないではないと聞いております。こうした作業班の雇用関係をきちんとはっきりしたものにすることはもちろん必要なことでございますし、私ども、このような点も含めまして森林組合の円滑、適正な業務運営については、県による検査等を通じまして指導に努めているところでございます。
○一井淳治君 今後、その雇用関係の近代化を進めるように努力をお願いしたいと思いますけれども、そういった中で、社会保険に強制加入と思われるんだけれども、加入しておられない人も相当おられるようでございますので、社会保険に加入できる場合には加入できるように御指導いただきたい、これが第一点でございます。第二点目は、社会保険に入れるような作業料金を保証してもらわなければ加入できませんので、国有林の作業を請け負わせる場合には相当の料金を積算するようにお願いしたい。 この二点でございますけれども、簡単にお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(甕滋君) 森林組合作業班について社会保険の加入状況を見ますと、労災保険は九五%になっておりますけれども、雇用保険、健康保険などについて見ますと、それぞれ四六%、一三%という率にとどまっております。今後林業労働力の確保が大事であるといった観点からいたしまして、御指摘のように、これは森林組合に限りませんで、一般に林業事業体におきます林業の作業員の社会保険への加入促進ということは必要な、重要な課題であるというふうに思っております。そのため、私どももその助成事業の中で置かれております指導員の活動あるいは県の行う組合検査等を通じて、そういった加入促進を指導しておるところでございます。 また、次にお触れになりました国有林野事業におきまして請負事業の発注に当たって、またそういったことを促進すべきであるという点についてでございますが、その発注いたします際の積算に当たりましては、実は現在では労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険等につきましては、関係法令に基づく事業主負担金を積算に含めているところでございます。また、現実にその請負事業体が社会保険への加入をしていかなければならないという観点から、加入促進につきましては通達をもって積極的な指導を行っておるところでございます。具体的にも申し上げてよろしゅうございますが、省略いたします。
○一井淳治君 時間が参りましたので、あと二点要望さしていただきまして質問を終わりたいと思います。 この森林林業の活性化のためには、そこで働く人たちの方と同時に、林道、作業道の基盤整備を進める必要があるということを痛感いたしております。これを進めていただきたいと思います。もう一つは、林業の機械化でございます。相当思い切った機械化を進めていただく必要があるというふうに思います。 二点を要望いたしまして私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○鎌田要人君 私からは、当面の農政の緊急かつ基本的な課題について若干お伺いを申し上げたいと存じます。 あらかじめ御通告を申し上げておきましたが、米を中心とする農産物の自由化問題をめぐりますウルグアイ・ラウンドの動向についてであります。去る十六日の各新聞の夕刊は、一斉にジュネーブのそれぞれの駐在員の報告と報道としまして、輸入制限措置、これを高率の関税に置きかえる関税化を柱として素案をまとめる方向が確定的となった、これに強く反対し食糧安全保障を旗印に米市場開放を拒否してきた日本政府は瀬戸際に立たされているとか、日本の孤立化がさらに鮮明となった、こういった記事が乱れ飛んでおります。この報道によりまして、かなり生産農家を初め各方面に与えた衝撃は大きいものがあるようでございますが、この点につきまして、農林水産大臣とされましてどう受けとめられ、どのようなお考えで今後対処していこうとされるのか、まず基本的な点につきましてお伺いを申し上げたいのでございます。
○政府委員(川合淳二君) 六月の交渉の中でのお話でございますので、まず私の方からその内容について少し御説明させていただきたいと思います。 今お話がありました関税化の点でございますが、御承知のとおり、アメリカの提案はすべての非関税措置、例えば輸入制限、数量制限あるいはウエーバーに基づく措置、それからECの可変課徴金などをすべて関税相当率に転換して、十年間でこの関税をゼロまたはそれに近い水準に低減するという案でございます。これにつきましては米国のほか、いわゆる輸出国グループでございますケアンズ・グループがこの提案を支持しているわけでございます。 一方、今お話がございましたECでございますが、ECは、この提案につきましておおむね三つの条件をつけて関税化も検討し得ると言っております。これはいわゆるリバランシングという言葉で言っておりますけれども、関税の再調整、それからアメリカなどのやっております不足払いの補助金を関税に転換すること、それからもう一つ、関税化の要素として固定要素と補正要素を用いるということを言っております。これにつきまして、今回の交渉でECは丁寧にこのECの関税化の考え方を説明しておりますけれども、私ども、出席した者の感じといたしましては内容がいま一つ明確になっていないというふうに言っております。 ただ、条件をつけながら関税化も検討し得ると言っておりますので、ただいま御指摘のような新聞の状況になったかと思いますが、どうもアメリカの言っている関税化とECの言っている関税化の間には非常に大きな隔たりがあるのではないか。言いかえますと、ECの関税化というのは、今の可変課徴金と余り変わらないことを言っているのではないかというような感じも持っておりまして、新聞の報道はいろいろございますけれども、今のところ私どもといたしましては、同じ関税化と言いながら、その内容について歩み寄りが見られたというふうにはまだ把握してないところでございます。
○鎌田要人君 この関税化に関連いたしまして、若干技術的に教えていただきたいんですが、私ども素人で考えましても、この内外価格差を関税率に置きかえるという場合に、国内価格ももとよりでありますが、比較される国際価格の問題、国内価格でもそうでありますが、為替レートが変わればたちまち変わってくる、何か新聞報道で、これで計算すると六十三年産米でありますか、で計算をすると日本の米の関税率は七〇〇%になるということがありまして、ところが、農水省の方で明くる年、平成元年を試算されますと、円安になっておりますからたちまちそれが六三〇ぐらいに落ちてしまう、もともとそういう非常にフラクチュエーションの大きいものが、こういった一国の食糧の未来を左右するような大きな問題の物差しとして使うのにたえ得るものであろうか、こういう基本的な疑問を持つ次第でございます。 また、例えば年による豊凶というのは、もう今日環境問題でも象徴されますように、ほとんど毎年アメリカの干ばつあるいはヨーロッパの寒波、日本国内におきましても冷夏、ことしもエルニーニョイベントがまた発生するのではないか、いろんなことが言われておるわけでありまして、そういった気象条件あるいは国際的な紛争、こういったこと等でも価格というものが変動をする、こういうことが考えられるわけでございます。 何よりも、これは東京大学の今村教授の受け売りでございますが、アメリカやECみたいにどんどん食糧を輸出しておる国でとられておる保護措置、こういったものは、例えば輸出補助金をつけてどんどん輸出をやる。こういった国でとられておる保護措置と、日本のように地球上で最大の農産物の輸入国に今や転落をして、国民が必要とする二千六百キロカロリーの四九%しか自給ができない、こういう日本の場合でとっておる保護措置というのは、何といってもこれは大事な農業をどう生き延びさしていくか、そういう観点から生産性を上げあるいは販路を拡大し、国民の嗜好に応じたきめの細かい農産物をつくっていく、こういう保護措置との間には、今村教授の表現をもってすれば、アメリカ、ECは攻撃的な保護措置である、日本の場合にはいわば受け身のといいますか、防御的な保護措置である。その保護措置を表現は汚うございますが、みそもくそも一緒にして一律に、そういう非常に計算上問題のある関税化率ということで置きかえるということは、これは大いにもっと議論を詰めなければならぬところがあるのじゃないか。 それからもう一つお伺いいたしたいと思いますのは、例えば国内価格の形成の過程にございますところの不足払いとか、あるいは価格差補給金でございますとか、あるいはさらには一般的な補助としての基盤整備、この基盤整備の補助金も何かカットしろというふうなことを言っていると伺っておるわけでありますが、そういったいわゆる数量制限あるいは可変課徴金以外の国内価格の形成の過程で助成、交付されておる補助金、これの扱いについてはどういう段階になっておるのでありますか、その点教えていただきたいと存じます。
○政府委員(川合淳二君) 今お話がございましたように、関税化の考え方は、その技術的な点をとらえましてもかなり非現実的と申しますか、問題があると思っております。今も御指摘ございましたけれども、農産物の豊凶あるいはそれに伴います国際価格の変動、それから為替レートの問題、さらに品質問題などを考えてみますと、これをどういうふうに扱うかというのはかなり問題があろうかと思います。ある意味でこうしたものをすべて計量化していくということでございますので、そうした点がかなり捨象されていくというようなことが問題として指摘されるのではないかと思っております。 特に、この点につきましては、先ほど御説明いたしました補正要素をというようなところで、この点を考えたらどうかというようなECの説明がございます。これも内容必ずしも明確ではございませんが、そういう点にECも気がついているということだろうとは思いますが、そんなことからこの関税化の考え方そのものは非常に問題があるというのが私どもの考え方でございまして、私どもといたしましては、基礎的食糧の問題、それからガットの十一条二項(C)という、輸入制限品目にかかわる規定によります問題などの数量規制の問題につきましては、とてもこの関税化というものは採用することは難しい、困難であるという立場に立ちまして、御承知のような日本の提案を行い、それに基づく主張をしているわけでございます。 それから、もう一つの国内保護措置の問題でございますが、これにつきましても、御指摘のように日本は輸入国の立場でございます。その上、農業の持っております特殊性とか農業の果たす多様な役割というものがあるわけでございますので、こういう国内の、各般の支持措置を撤廃するということにつきましては応じられないという立場でございます。現在の、この交渉におきます国内支持政策につきます進捗でございますが、許容されるもの、要するに国内支持として許容されるもの、それからガット上一定の期日のもとにおいてそれを削減の対象にすべきもの、それから禁止されるべきものというような三分類に分け、それぞれ規制を加えていこうというような議論が行われております。今御指摘がありました、例えば土地改良がどうなるかとか、価格支持がどうなるかというようなことを具体的にそろそろ議論する、そういう段階になっております。 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、先ほども申しましたような輸入国という立場、それから先ほども御指摘がございました、世界最大の純輸入国というような状況になっているということを踏まえまして対応していかなければいけないというふうに考えておるところでございます。
○鎌田要人君 今いろいろ伺いまして、やはり国際協調ということもこれは大事でございましょうが、食糧という問題はやはり私どもの時代だけでなくて、我々の子々孫々の時代に至るまでの問題でございまして、今はこの地球上は総体的に食糧が過剰で、日本は経済大国ということで金さえ出せば何でも買ってこれる、こういうことで、学者、評論家あるいはマスコミ等の報道でも何か非常に危険な、将来を私どもが考えます場合に、本当に真剣に考えているんだろうかと思うような農政、農業批判というものがありますことはまことに残念でございます。 このような中で、私どもが一歩対応を間違うということになりますと、これは本当に一国の将来という点から見ても取り返しのつかないことになる。この点におきましてこのウルグアイ・ラウンド、いろいろ大臣初め皆様方御苦労も多いと思うわけでございますが、我々の子孫のためにひとつ全力を挙げて頑張っていただきますように、私どもも、また国会の立場で全力を挙げてこれはバックアップを申し上げながら、ひとつ全国民的なコンセンサスのもとでこれを進めていかなければならないと痛感をいたしておる次第でございます。 そこで次に、今度は例の二年前、一九八八年の二月二日のガット総会におきまして、いわゆる十二品目、これにつきましてのパネル裁定に当たりまして、日本はでん粉、乳製品につきましては自由化ができないという留保をつけまして、私ども、実はでん粉生産県の鹿児島といたしましては、本当に土下座したいぐらいの気持ちで感謝を申し上げた次第であります。御案内のとおり、日本国内のでん粉全体の三分の二が北海道のジャガイモからできるでん粉、馬でん、三分の一がサツマイモからできますいわゆる甘でん、カンショからつくりますので甘でんでございますが、この鹿児島の場合のでん粉で例を申し上げますと、御案内のとおり台風常襲地帯ということでございますし、うっかり申しますと魚の名前かと言われるんですが、シラス、ボラ、コラ、アカホヤ、こういったいわゆる特殊土壌、こういう中でできる作物は、結局カンショ、鹿児島ではカライモと申しておりますが、そういうものしかできない。十五万戸の農家の半分がこのカライモをつくっておるわけでございまして、その大部分はでん粉に行っておる。 そういうことでありますから、カンショの粗収入とそれからでん粉工場のでん粉の収入で合わせて五百億、これが鹿児島の半分の農家のあるいは農村の大きな収入でございます。そういう特殊事情もございまして、このでん粉につきましては、いわゆるトウモロコシとの抱き合わせで今日まで露命をつないでおるわけでございます。 ところが、米の問題等がこうなってまいりますと、私ども、地場の立場から申しますというと、せっかくあれでいわば逃げ切った、言葉は適当でございませんが、逃げ切ったのがまた米の問題につれて浮上してきてこれも血祭りに上げられるのじゃないか、こういった非常な不安というものがございます。そこで、いわゆる十二品目、正確には十三品目と申しておるようでございますが、この十三品目の取り扱いというのにつきましては、現在どういうお考えで、どういう形で取り組んでおられるのでございましょうか。特に、でん粉に焦点を置いてお答えいただければありがたいと思います。
○政府委員(川合淳二君) でん粉につきましては、今御説明ございましたように、南九州あるいは北海道の主要作物でございます。御指摘ございましたように、土壌条件からも芋以外の作物への転換が困難である、あるいは輪作体系の中の基幹作物であるというようなことで、地域の畑作農業の安定経営を図る上で欠かせない重要作物であるというふうに認識しております。そういう観点からでん粉の輸入制限を行ってきているわけでございますが、今お話がございましたように、一昨年のガットの理事会でパネル裁定が採択されたわけでございます。この裁定につきましては、我が国はその解釈に異議があるという立場を明確に表明しております。 そうしたこともございまして、今ウルグアイ・ラウンドの交渉におきましては、輸入数量制限の禁止の例外を規定しております、先ほど来申し上げております、十一条二項(C)という条文の適用要件をもう少し貿易実態に即して明確化するように、機動的に運用できるようなふうにすべきだということを提案いたしまして、この数量制限の存続を主張しているところでございます。この提案につきましてはいろいろ議論が今後なされていくことと存じますが、粘り強く我が国の考え方を主張いたしまして関係国の理解を得られるように努力をしていきたいと思っております。
○鎌田要人君 ただいまも申しましたように、でん粉あるいは乳製品、さらに含めましての十三品目の問題も、これまたそれぞれの地域地域にとりまして緊急欠くべからざる問題でございまして、これにつきましても、さらにこれまでの主張の上に立って十分なるひとつ成果を上げていただきますように、今後の御奮闘をお祈り申し上げる次第でございます。 そこで、時間が迫りましたので最後に一、二点申し上げまして、大臣の御決意をお伺いいたしたいのでございます。 このように最近におきまして、牛肉・オレンジの自由化あるいは相次ぎます自由化という中、国内におきましては農産物の需給の不均衡という問題がございます。そういった中でこの自由化の問題、これは単に農だけでございませんで、漁業でもそうでございますし林業でもそうでございますが、特に農業におきまして自由化等をめぐる問題、こういったもので影響を受けますのはいずれも農業主産県。農業主産県というのはどういうわけでか、我が国では今過疎後進地域になっておるわけでございまして、本来ならば緑豊かな、もっともっと人が住まなければならないところでございますが、交通基盤を初めいろいろの社会資本の整備あるいは情報、産業の一極集中、こういったことで非常な地方は疲弊をいたしておる。 そういう中で農水省におかれましても、ことしにおきましては例えば中山間地域の振興でありますとか、あるいは活性化のための農業構造改善事業を面目を新たにして進められるとか、あるいはこれまでの基盤整備あるいはバイオテクノロジー等の新技術の導入、後継者の育成、いろいろの施策を打ち出しておられます。 私は、これだけやはり農業攻勢と申しますか、農業、農政批判があります中で次々に難問が出てきておる、そうしますというと、若い人たちが前途に勇気と自信と希望を持って農業に携わる、農村に携わるという人が残念ながら少なくなってまいります。マスコミにおいても何か農業の前途が暗い、こういったような感じ、あるいはまた一般的にも一極集中ということが進んでおります中で、若い人たちが農村から去っていくということは、まことにこれは我々の未来にとってもゆゆしい一大事でございます。若い人たちがやはり農村、農業に希望を持って、勇気を持って、自信を持って頑張ってくれるための方法というものを今にして講じないと、これは本当に大変なことになるという気がするわけでございます。 その意味におきましても、自由化の問題というものに対して我々がもう少しやはり言うべきことは言い、はっきり民族の将来の食糧問題ということを考えながら、安易な国際分業論ということにくみすることなく、ひとつ国民全体の合意の上でこの問題について取り組んでまいらなければならない。そういった意味での国民に対する正確な情報の提供、あるいはこれをくるめまして一億総ぐるみでのやはり共通の認識、問題意識を持つための、何と申しますか、大いに議論をし合う、そういった機会というものを持ってまいらなければならないのじゃないか。それとあわせまして、やはり農村に後継者がとどまるための基盤整備でございますとか、あるいは規模の拡大でございますとか、やはり農業は知識集約的な産業、とにかく気象学から土壌あるいは最近のコンピューターに至るまであらゆる方面の知識というものを持ち、それを束ねて技術と経営で立派な農業というものが私はこれから展開できる、それだけの素地というものを日本の農業、農村は持っておると思うわけでございます。 そのような面で、今こそ守りの農業、ただ攻められっ放しの農業じゃなくて、攻めの農業に展開をするために、農水大臣先頭に立たれまして、ひとつ全国の津々浦々の町村の若者と語り合いながらあすの展望を切り開いていかれるべきではないだろうか、こういう気持ちでいっぱいでございます。どうかひとつ大臣の率直な御意見をお伺いできればありがたいと思います。それをもって私の質問を終わります。
○国務大臣(山本富雄君) 非常にうんちくの深い、しかも見識の高いお話をるるいただきまして、本当に目が覚めるといいますか、目からうろこが落ちるというふうな気持ちでいっぱいであります。私は不敏でございまして、一夜漬けの勉強を今毎日続けておりますけれども、農業関係の本その他を一生懸命読んだり、関係者のお話を聞けば聞くほど農は国のもとであるということは間違いがない。これはもう百年の先を向いてもそのことが言えるんだと、もちろん二十一世紀に向かって日本の農政というものが日本の国の全産業、国運を支えるものだ、こういう認識を日々強くしておるわけでございます。 その場合に、今先生のおっしゃるとおり、越えなくちゃならない山がたくさんある。山また山だと思いますけれども、しかしこれ、山を越えるのは人間が越えるわけでありまして、お互いが気持ちをそろえながら一山一山を越えて次の農業の展望を開いていこう、こういうさなかでございますが、そういう観点から外を見ると、ウルグアイ・ラウンド問題、もうかねがね当然の主張を我が国としては農業問題を初めとして続けてきた、なぜわかっていただけないのかな。これからいよいよ、まさに正念場に入るわけでございますから、私も満を持して言うべきことは言う、やるべきことはもちろんやってきたわけだから。その結果、今先生のおっしゃったとおり、牛肉・オレンジ、来年自由化すれば、あとは十三品目という極めて日本の国としては大事なものが残った。加えて米でありますから、これは従来の歴史的な経過からしても、あるいはアメリカであれヨーロッパであれ、どこの国であれ食糧を守るということが国是の中心になってきたんですから、ひとり日本だけの問題じゃないんだと。日本のエゴでも何でもない。これが国際協調に反するはずがないというふうに私はかたく思っているわけでございます。 例えば、先生のおっしゃった補助金一つ取り上げましても、輸出補助金と国内の補助金じゃもう全然それは違うわけでありまして、悪いのは私は輸出補助金だと思っております。国内の補助金というものは、特に日本の場合を考えてみれば、これはもう日本の農業を守るというよりは農村を守るための地域開発のいわゆる投資なんだと。公共投資という言葉が先ほど出ましたけれども、まさに公共投資だというふうに私は考えておりますので、それは補助金一つ取り上げても認識論を十分闘かわせなくちゃいけないなと思っております。 それから、米の問題につきましていろんな発言が相次いでおります。おりますけれども、日本がかねがね、少なくとも去年の十二月にウルグアイ・ラウンドに整理をして提案し、ことしまたそれを確認しながら今日まで来ておりますが、私は、提案を見れば見るほど日本の主張がこの地球全体の農業の将来というものをきちんと示している一つの大きな主張だと、正しい主張だというふうに思っておりますので、この主張を通すことは日本を守ることになり、地球を守ることになるというふうに私は考えておる。 しかも、今先生が最後にお触れになったこれから先の担い手、後継者の皆さんのことを考えますときに、世の中変わってきましたから農業の形態も変わらざるを得ないので、ただ人数がどうこうということだけで私は論じてはならないと思いますが、しかし、農業後継者が激減していくというふうな状態は、これは何としても憂慮にたえないわけでございますから、そのことを考えた場合に、若い人が恐らく今度のウルグアイ・ラウンド交渉など、あるいは我々農業関係者、国会議員あるいは農林省、農林大臣、どういう姿勢で行くんだろうということを皆さんが毎日見ているに違いがないと思う。 したがって、我々がおかしな態度をとれば、そのことだけが一方では国益にも反しますけれども、一方では若い人たちが、ああやっぱり農業はだめなんだ、特に日本の農業はだめなんだ、こういうことをその場で思い決めてしまうのじゃないかという心配もしておるんです。ウルグアイ・ラウンドで堂々と日本の立場を主張しながら、日本の農業というものはかくあるべしと、そして国内対策はこういうふうにしているんですよということを内外に向かって鮮明にすることが、我々の使命だというふうに考えておりますので、どうかひとつこれから先も、ぜひ御鞭撻を願いたい、こう思っております。
○刈田貞子君 私は、午前中質疑がございました麦価の問題について少し質問をさせていただきたいと思います。 先ほど、同僚委員の中から算定基準の問題についていろいろ質疑がありましたので、私は、生産者と実需者との間でどんな交渉が今進んでいるのか、そのことについて話をしたいと思いますけれども、基本的には基準契約数量がどんな形になっていくのかという問題が一点。 〔委員長退席、理事北修二君着席〕 それから新しく導入される産地選好の取り扱いについてどういうふうに考えればいいのか、また農水省はどんな御指導をなさっておられるのか、この二点についてまず最初にお伺いします。
○政府委員(浜口義曠君) 先生御指摘の問題は、現在の麦管理改善対策の中の問題だろうと思います。基準契約数量におきましては、生産者と実需者の間で自主的に麦の流通契約を締結するように現在の制度のもとで行っておりまして、これは十分当事者同士がお話し合いをしていただくということがまず前提になっているわけでございます。 もう一つ、現在懸案中の平成三年度以降の麦改善対策におきまして、現在流通契約の当事者であります生産者団体と実需者の間で話し合いが行われております。この中で、いわゆる産地選好といった言葉で議論されておりますが、この点につきましては、前年度、平成二年度から契約数量の中に需要側の要望みたいなものを入れていこうということで両当事者の間の話のスタートが切られたわけでございますが、現在それぞれの立場が大きく食い違っておりまして、話し合いがまだまとまっていないというふうに聞いているところでございます。 この内容等につきましては、やはり考え方のスタートとしては、優良の品種についての産地選好という考え方は十分今後議論していかなければならないテーマだと思いますけれども、これについては、その具体的な方法についての両当事者の間がまだ一致しておりませんし、さらに科学的な方法といったものをもう少し追求していかなければいけない分野があるのじゃないか、やり方について、もう少し科学的な方法といったものが編み出されねばならないものであろうというふうに私ども考えております。そういう意味で、一方では生産者、実需者相互間の理解のもとに、良質米の生産流通を推進しようという点については、十分その導入の方式というものも考えていかなければいけませんけれども、特定産地の切り捨て、あるいは麦作農家の意欲をそぐようなことがあってはならないということで、十分当事者間の話し合いを見守りながら適正な指導をしていかなければならないというふうに考えているところでございます。
○刈田貞子君 今の、事前協議での話のことですけれども、実需者の側からは、これは六十二年で七十五万六千トン、元年が八十五万トン、二年が八十五万トンで、三年産ではこれよりも一割方削減をすべきであるというような話が進んでいるやに情報として聞いているわけですけれども、この辺のところも含めて、やっぱり基準数量の設定の仕方いかんによってはそこからはみ出たものについて、いわゆる目的数量というんですか、それについて抑えて、そしてそれからはみ出たものについては、これを政府が買い上げるのかどうなのかというような問題もありますけれども、現在のルールでいけば、政府は無制限買い入れということになっているわけですから、それに対してはやはり財政的負担も伴うということで、政府が農業団体に対して、目標生産量の範囲内にその基準契約数量をおさめるべきであるというような指導をしているやのことを新聞で読んだんですが、そういたしますと、これは本来の、現行の麦に関する無制限買い入れ制度というようなこととは矛盾するのではありませんか。
○政府委員(浜口義曠君) 御指摘のとおり、現行の食管法第四条ノ二に定めるところによりますと、政府は、麦については売り渡しの申し込みがあれば無制限に買い入れるという建前、建前といいますか法律の規定になっているわけでございます。そういう形で間接統制というのが行われているわけでございますけれども、一方、国内産の麦については具体的な品質の問題であるとか、あるいは流通問題等厳しい状況がございまして、こういった制度を前提にいたしましての生産者側と実需者側との間で需要の安定を図るという観点から、基準数量を設けるなどの取り決めを行うという話し合いのルールが行われておるわけでございます。 したがいまして、この法律の建前とそういう実情とをどういうふうにマッチをさせていくかということで、もちろん両当事者の自発的な話し合いが一番重要でございますので、食糧庁としては、この合意のもとでより円滑な流通が図られるという実体的なものの確保を目指して指導を行っていく必要があろうと思います。もちろん、法律の建前、法律の考え方というものがきちっとしているわけでございますので、それにもとるようなことはしてはなりませんけれども、より現実的な対応の仕方として、現実の両当事者の話し合いを見守りたい、こういう考えでございます。
○刈田貞子君 見守るということであるのならばそれもいいんでしょうけれども、むしろはみ出たものについてまでそれをフォローしていく。つまり、農民がつくったものですから買い上げていくような立場を私はやっぱり農水省はとるべきであろうというふうに思います。 さっき、価格算定基準についての、諸要因についての質疑を聞いておりましたけれども、大体新算定方式のいわゆる激減緩和策も本年で終わるわけですから、したがって一道六県ですかの、いわゆる主要生産地の麦を中心にした価格が大体基準になって考えられていくとすれば、価格政策の面でも、私はいわゆる優良生産地でない部分のところの分が切り捨てられていくのじゃないか、こんなふうな思いを持ちますし、今数量の問題で考えるならば、いわゆる基準契約数量なるものを暗黙のうちに、ここに限定を加えるというようなことになれば、数量でまた落とされるというようなことにもなりかねないわけでありまして、私は、この麦生産農家のやっぱり立場を考えるならば、その辺のところをもっと勘案していかなければならないのではないかというふうに思います。 再生産を期するというような考え方、あるいは生産性向上を生産者に還元していくというようなことはうたい文句としてあるんだけれども、結果はなかなかそういうふうになっていかないという実情があることを考えますと、本年、今四%とか五%とか、さまざまな情報が飛び交っておりますけれども、明日どんな諮問をなさるのか私もよくはわかりませんが、万が一引き下げというようなことにでもなれば五年連続の引き下げの中で、麦の生産農家はどんな思いになるんだろうかということを考えておる者の一人でございます。 もう一つは、今局長くしくも言われました品質面での云々という話をなさいましたんですが、国内産麦が品質面でいろいろ言われていることは、私も当委員会におりまして前々から聞いておりますし、現地等の話もしてきたことがございます。この品質のいわゆる問題のことでございますけれども、ことしの閣議を通った「農産物の需要と生産の長期見通し」、これを見ますと、麦に関して言えば、長期見通しは平準年で見ると八十六万トンというような形のものを設定しているんだけれども、 〔理事北修二君退席、委員長着席〕 その品質面の問題をクリアすること、それからもう一つが、やはり午前中言われておりましたコストの問題ですね、これをクリアするならば生産拡大の方向に向くというようなことが、たしか長期見通しに載っていると思うんです。その数量は九十三万トンから百二十五万トンまでを想定しておられるわけですね。 そこで伺いますのは、この国内産麦の品質の問題でございますけれども、この問題についてはどんな取り組みを今までしてこられたか。そしてまた、今後その麦の生産を振興していくために国内産麦に対してどんな改良をしていこうとなさるのか。この点についてお聞きをしたいと思います。
○政府委員(浜口義曠君) 昭和四十八年を一つのボトムといたしまして、日本の麦はかなり低迷をしておりましたけれども、その後量的にも拡大をしてまいったわけでございます。水田農業確立対策、その前の水田再編、昭和五十三年ぐらいから量が多くなってまいりまして、その中で量とあわせて質の問題が出てまいりました。昭和六十三年に法律改正をしていただいたときに、現在の生産費方式に相並びまして、「麦作の生産性の向上及び麦の品質の改善に資するように配慮する」ことということがうたわれてまいったわけでございます。そういった前提におきまして、具体的な麦価の算定については主産県の生産費を基礎といたしまして、個別の銘柄に着手したものではございませんが、良品質麦への誘導といったものも行われてまいりまして、例えば具体的には九州のアサカゼコムギ、そういったものがほかのニシカゼコムギといったものにかわっていくといったような形で、DランクのものがBランクへかわっていくという生産誘導が行われてまいっております。 これに関連いたしましては、もちろん地域の農家の方々の品種改良の御努力といったようなことも関連をするところでございますが、技術会議あるいは農蚕園芸局等々の生産対策とあわせまして、価格の誘導が行われましてより品質のいいものに農家の方々がかえていく。もちろん、これは単なる切り捨てといったようなものじゃございませんで、品種の改良という視点に従いまして高品質のものが追求されているという実情にあります。先ほど、先生がお読みいただきましたような長期目標におきましても、そういったことを前提にして、現行の基準年よりも拡大をするということを見通しの中に掲げているところでございます。
○政府委員(松山光治君) 麦は、これからの、我が国の土地利用型農業を考えていく上で非常に重要な作物であるわけでありますが、食糧庁長官からもお話のございましたように、これからの生産拡大を考えていく上で重視すべき点が二つございまして、一つはコストの問題、もう一つは品質の改善の問題でございまして、そういう要素を織り込んで、今お話のございましたような、長期見通しでは幅を持った見通しをやっておるわけでございます。 品質問題への取り組みというお尋ねでございますが、関係者、特に需要者の要望をよく見ますと、まずいい麦をという品質そのものの問題と、それからまとまった単位で、かつ均質の麦をという、そういう要望がやはり品質問題のポイントかなというふうに思っております。 そこで、これまでの取り組みでございますけれども、品質改良等を通じまして良質でめんに適します品質といたしまして、御案内のチホクコムギでございますとか、ニシカゼコムギでございますとかといったようなものが既に普及に移されております。また、今現在、各地域農試におきましてさらに良品種の有望系統も育成されつつあるわけでございます。 それから、製めん適性等の評価が中位ランク以上にございます銘柄区分の、I、IIに概当いたします品種の作付面積比率、これも銘柄格差の導入等を契機にいたしましてかなり拡大してございます。六十年産で全体の五〇%でございましたものが、二年産では全体の八割に達する見込みに相なっております。また、まとまりある、あるいは品質の均一のものをという要望との関係からいきますと、共同乾燥調製をどういうふうに進めるかというのも一つのポイントでございますが、そういうものの対象になりましたものが、五十五年当時は全体の約三分の一でございましたけれども、最近では六割を超える。あるいはまた、ばら検査というのも重要な点になるのですけれども、そういうばら取り扱いになっておりますものが、五十五年当時では二割を切ってございましたけれども、元年では六割近くふえておる、こういう状況があるわけであります。 私どもとしては、こういう今までの取り組み実績を踏まえながら、一つは加工適性の高い優良品種の早期育成とその普及を図るということ。それから栽培面でも、やはり適正なたんぱく含量といたしますための成比基準の設定等に工夫を凝らすということ。それから、乾燥調製施設なりばら保管出荷施設の整備によりまして、集出荷単位の大型化と産地としての品質の均一化を図っていく、あるいは地域間等のブレンドといったようなものもやはりこれから進めにやいかぬというふうに思っておりますが、そういうことを通じまして日本の麦に対する実需者の評価を着実に高めていきたい、このように考えておる次第でございます。
○刈田貞子君 加工適性の高い麦、私は、いろいろ勉強するとオーストラリアの麦がかなり評価が高いんですね。そのオーストラリア産に近づける努力をというようなことがいろいろなものに書いてあったり聞いたりしますので、もうちょっと私も麦の勉強をしてみたいと思うんです。 時間がありませんので、実はいろいろ今長期見通し等も踏まえてコストの低減、それから品種の改良等、そして麦生産を少なくとも上昇気味の農産物として、今後しっかり力を入れて政策として進めていきたいというお話なんだろうと思うんだけれども、しかしなかなかこれは難しいんじゃないかなと思えなくはないわけです。農家なんかでは、稲作の転作作物としては最優良の作物として見ておるわけでございますし、そういう面では努力もしてきているんだろうと思うんですけれども、私は大変いろいろな厳しさがあろうと思います。 長期見通しを見ながら一つ顕著な変化を見ましたので、これを今の麦の問題とあわせて私お伺いしてみたいのは、本年一月十九日に閣議を通った農業基本法に基づくこの長期見通しの中で、初めて登場してきた花卉について、お花についてこれは長期見通しの中で初めて登場してきたんです。かなり将来展望がある、こういうことで長期見通しに載ってきた作物でございますので、ちょっとお伺いをしたいなというふうに思うのは万々が一農家が、大変に優良な稲の転作作物としての麦に執着していた、しかしいろいろ厳しい条件が重なってきそうだというようなことで花卉栽培、これについて、転作作物としてこれを考える場合にこれは有効な手段でしょうか、いかがでしょうか。地域によってそれから花卉の品種によって、あらゆる条件が全部違うわけですからこれは一律に言えるものではありませんけれども、一般論としてはどうなんでしょうか。
○政府委員(松山光治君) 需要の伸びておる数少ない農産物の一つが花でございまして、私ども大いに希望を持ちながらこの問題に取り組んでおるつもりでございます。今お話しのございましたように、水田農業確立対策の推進におきましても転作対象作物の一つとして十分考えられる作物だと思いますけれども、ただ、やはり花の問題はかなり技術の要る問題でもございますから、そういう意味では地域の特性を生かして、いろんな条件整備を考えながら着実に進めていっていただく必要はあるだろうし、またそういった努力を我々としてはできるだけ支援していきたい、このように考えておる次第でございます。
○刈田貞子君 この間、当委員会で花博を視察させていただきまして、私は、大きくなったら何になるのかと言われるときに、お花屋さんになりますと小さなときからそう言っていた者の一人でございますので、大変夢多き一日を過ごしてきたわけですが、しかしいろいろ見てまいりますに、この花卉栽培というのは非常に課題が多いというのもあわせて勉強してきたつもりです。 時間がたくさんないので生産段階の問題から行きますと、やっぱり同一品種を同一規格で一定量を定期的に出荷というのがなかなか難しい。それにはやっぱり生産規模の集約というんでしょうか、団地化というんでしょうか、そういうものがまず整わなければならないだろうというふうに思います。しかしそれをやらなければ、今度は逆に受け手の側の市場も整備できないし大きくならないという、これが両方相まってできていかなければならないものだろうと思うんです。私も花卉栽培地を相当歩いております。自分なりの研究もしておりますけれども、これはかなりのバックアップと指導が行き渡らないと難しいなということを思っております。 まず、その生産地の方における団地化とか産地の集約化、こういうことをするに当たってやっぱり一番問題なのは、私が伺っているところでは、その一枚の田んぼを花の畑に転換するというようなものの融資というのは割合簡単にできるんです。ところが、大規模な形のものをつくり上げていくというものに対する融資策というのは難しいというのを現地から聞いてきているのね。局長、首ひねっているけれどもいいですから、それは金融措置をちゃんとしっかりしてください、こういうこと、そういう環境を整えなきゃいけないというのが私が感じているところの一番大事な一つの条件なんです。もっと正確に言いますと、伊豆半島の静岡県河津で、温泉の地熱を使ってのカーネーションの栽培地がずっとつながっていますね。あそこはかなり歴史がある。すぐそばに峰温泉という東洋一のお湯が吹き出しているにもかかわらず、その地熱を引っ張ってくるだけの施設ができないわけ。だから、結局農家はみんな化石燃料をたいて、それでフレームをつくってその中でつくっているという初歩的なことをやって、ずっと何年いっても同じ状況になっている。どうしてあそこの温泉の地熱が引っ張ってこられないのというと、そのやっぱり施設整備費がとてもじゃないけれども大変なんですよ。 そういう、これは全くの一事例ですけれども、一事例。私はそういうのを見ながら、かなり金融的な措置をしていかなければこの集団化、団地化というのは進まないんじゃないかなというふうに思う。一方で企業が大きな資本でこの花の栽培というのを今大きに熱い目で見ているわけ。花博でも商談コーナーなんというのがもう既にできていて、成立しているか成立していないかわかりませんけれども、他産業が入ってきてこの花卉栽培をやっている。私は、土のことを一番よく知っている農家に花をつくってもらいたい、こういう希望を持っておりますものですから、その辺のところで、花をつくる環境をこうやってつくっていきますというのをひとつ御答弁をお願いします。
○政府委員(松山光治君) 先生今御指摘ございましたように、やはりまだ日本の花の産地は零細なものが多うございますので、地域の立地条件を最大限に生かしながら多様な消費者ニーズにこたえ得るようにまとまった産地づくりをしていく、非常に重要な点だというふうに考えております。そのための措置といたしまして、新品種の開発・導入あるいは優良な種苗の供給といったような面のほかに、今お話しのございましたような栽培施設の整備の問題は非常に重要だというふうに考えております。 お話しのございました融資の点につきましては、これは融資限度枠という問題はございますけれども、一つには農業改良資金の無利子のお金を使えるという制度もございますし、それから農業近代化資金の助成の対象にもなっておるわけであります。 なお、今ちょっと例の出ました地熱水の利用といったようなことにつきましては、省エネルギー施設ということでむしろ補助の対象にも実はしておるわけでございまして、今どうということでそういうことになっているのか、ちょっとよく事情を調べてみなければわかりませんけれども、一応施策としてはそういうふうな形の体系にはなっておる。また、現地の話もよく聞きながら対応していきたいというふうに考えております。
○刈田貞子君 最後になりますが、今度は市場の方の側ですね。これは九月に、大田の東洋一市場と言われるものが開設されることについて、私も大変関心を持っております者の一人でございますが、やっぱりその市場を大きくしていく、これもまた農家が安心して生産していく、それから出荷できる、こういう問題にもつながりますので、この大田市場の問題を一つ例にとりながら今後やはり市場を確かなものにしていく、それからまた価格の安定化を図っていく。これは非常に大事なことだというふうに思いますし、あわせて今度、これは農協さんが中心になって情報のシステム化も図られるようでございますから、そういうものが完備していきますと、この花卉栽培に関する環境というのは整ってくるだろうと思う。私は、ぜひこういうものに対する指導をしっかりしていっていただきたいな、こういうふうに思うのが一つです。 それから、大臣に最後にお話お伺いしたいのは、ことしの花と緑の博覧会、これは国民の間に花をより根づかせる、生活の中に根づかせていくための大きなPRも意味していたというふうに思います。けれども、あれが行われたことで、見てきてよくわかるんですが、海外からのやっぱり出展がすごく多くなったということで、花の輸入窓口を物すごく大きく開いたということにもつながっているのじゃないかというふうに思うんですね。国内産の花卉栽培をしっかりとこれから保護していくためにも数々の私は施策が必要だろうというふうに思いますので、この花博に関する大臣の御見解をお伺いして私、質問を終わります。
○政府委員(松山光治君) 大臣からの御答弁に先立ちまして、事務的に、市場問題について若干御説明さしていただきたいと思います。 花卉の需要の増大に伴いまして当然流通が広域化するわけでございますし、大量化するわけでございます。そういう状況を踏まえながら適正な価格形成を図っていく、あるいは円滑な流通を確保していく、こういうことで昭和四十八年に花を卸売市場の取扱品目に追加いたしまして、以来計画的な市場の整備を進めてきておるところでございます。現状といたしましては、中央卸売市場で十六、地方卸売市場で二百三十七の市場が花卉を取り扱うところとなっておるわけでございまして、卸売市場の経由率八割を上回るというふうに推計されておる状況にございます。御指摘のございました大田市場の整備も今着々と進めておる、こういうことでございます。ただ、花につきましては、水産物なり青果物に比べますと、比較的小規模な地方市場を通じるものが多いわけでございます。なお、市場の整備を図っていく必要性は非常に高いというふうに考えております。 市場整備に伴いましては、統合する人の調整の問題でございますとか、市場の土地の確保の問題でございますとか、いろんな克服すべき問題はあるわけでございますけれども、地域の実情に即しながら地方公共団体ともよく相談してその計画的な整備に努めていきたい、これが私どもの基本的な考え方でございます。
○国務大臣(山本富雄君) 先ほど来、先生から花の話が出まして、花の話が出るとほっとするんです。ちょっと胸が膨らむ思いがするわけですけれども、花博ですね、これは建設省と我が省と共管をいたしまして、花の担当大臣は建設大臣、しかし出品物はほとんど全部が農水省関係、こういうことで私ども非常に期待もし注目もしておる。おかげさまで一部乗り物の問題などありましたけれども、入場者は非常に伸びておる。国民の間に花志向というものが大きく夢のごとく膨らんできておる。入場人員からもそういうことがわかる、こういうことでございます。これを契機にいたしまして、ぜひ国民生活の創造、それからこれを支える花斉産業というものを健全に発展をさせたい、これを両方結びつけまして花卉の普及、促進はもちろんですけれども、産業としての先ほど来先生の御指摘の花卉産業というものを盛り上げていく契機にしていきたい。 実は私、花博へ参りましたときに、大阪府の知事さんが現地に私を案内しながら、このすぐ近くというか、でかい飛行場ができるわけですね、関西空港という。それと相まってよそからも花をたくさん持ってきてそしてどんどん出す。こういう話をしていましたんで、知事さんに外国の花もいいけれども、日本の花、これをやらなきゃいけませんな、それが先ですと、こういう話などもいたしました。まさに先生の御指摘のとおり、もちろん世界各国からたくさん花を入れる、日本国民のためにもいいことだと思いますけれども、しかし国内の花の産業をまずは振興させるというふうなことに私ども重点を置いて積極的にやってまいりたい、こう考えております。
○猪熊重二君 大臣が花の話は非常に好きだと、よろしいとおっしゃったんですが、私はちょっと花じゃなくてとげのある話でまことに恐縮でございますが、農水省の所管の財団法人に対する許可の問題に関連してお伺いします。 去る六月一日の毎日新聞及び六月七日の朝日新聞の報道によれば、昭和六十年十一月十三日、農水省の所管の財団法人として許可された某財団の人事に関して、六十一年三月二十八日、担当の農水省の構造改善事業課長と右財団の理事とが話し合いをした際に、課長の方から農水省の元職員三人を財団に受け入れてくれということを強く要求し、その結果四日後の昭和六十一年四月一日、農水省の前日退職した三人が、役員ないし職員として右財団に勤務することとなったというふうな報道がなされております。細かいことを言っていると時間がありませんので、この報道は大筋において事実でありますか。
○政府委員(片桐久雄君) 先生御指摘の、新聞報道に関する財団法人への農林水産省職員の受け入れにつきましては、財団の役員の方から三名を受け入れたいという要請がありまして、そこで農林水産省として三名の人選を行い、六十一年の三月末に当該職員に退職してもらう準備を進めていたところ、その後退職間際の同年三月中旬になりまして、財団の一部の役員から二名しか受け入れられないというような話が持ち込まれておったわけでございます。当時の担当課長といたしましては、退職予定日を三日後に控えた時点で、なお財団の対応が明確でなかったということで極めて困った立場に追い込まれ、財団側とやりとりをしている中で大筋において報道されているような趣旨の発言があったというふうに聞いております。
○猪熊重二君 朝日新聞の記事によれば、その際、当事者の会話がテープにとられていたということで、そのテープによる会話内容の一部が記事になっています。この記事の内容も大筋において事実でしょうか。
○政府委員(片桐久雄君) 先ほど答弁いたしましたように、当時の担当課長が極めて困った立場に追い込まれて、財団の理事側とやりとりをしている中で、大筋において報道されているような趣旨の発言があったというふうに聞いております。
○猪熊重二君 これは、もう昭和六十一年のことですから、四年前のことで古いんですけれども、私はこのやりとりの言葉の中に、農水省の役人がどのように国の政治なり、自分たちの立場というものを考えているかということが如実にあらわれていると思うんです。まず課長の発言として、「私が(この財団を)つくったんだ。私が許可したんだ。」というふうな発言がある。この発言に対して、大臣どのようなお考えをお持ちになりますか。
○国務大臣(山本富雄君) 先ほども、片桐構造改善局長からお答えがございましたけれども、本件につきましては財団側と農林水産省とのやりとりの中で、話の内容が従来の経緯とは異なっていたこともあり、担当課長がまことに不適切な発言をしたものと承知をしております。いずれにいたしましても、発言自体は法人を監督する公務員としては適切でなかったというふうに考えております。
○猪熊重二君 私が許可したんだと言うけれども、民法に基づいて、法人の設立に関し主務官庁が許可をするということの意味を一体この課長さんはどう考えているんだろうか。農水省として、農水省所管の公益法人に対する、財団法人、社団法人を含めて、この公益法人の設立許可ということの意味をどのように把握しておられるんですか。
○政府委員(片桐久雄君) 農林水産業の振興のために、公益的活動を実施していくということは極めて重要であると考えております。農林水産省といたしましては、公益性についての審査を行った上で適当と認めるものにつきまして、公益法人としての設立を許可している次第でございます。
○猪熊重二君 要するに、公益法人に対する法人格付与のための公平な立場における許可ということを考えれば、私がつくったんだとか私が許可したんだとか、こんな発言が出てくる余地は全くないと私は思うんです。さらに課長の発言として、人事を受け入れないなら当該財団法人を取り消さなければならない、本省の課長というのはそのぐらいの力はありますからね、取り消しといえばそれで終わりだというふうな言葉がある。この発言に対する大臣の所見を伺いたい。
○政府委員(鶴岡俊彦君) ちょっと民法の関係がありますので、私の方からお答えさせていただきたいと思います。 公益法人の設立許可の取り消しは、もう先生御案内のとおりに民法第七十一条の規定により、法人が設立目的以外の事業を行った場合とか、設立許可の際に付された条件または主務官庁の監督上の命令に違反した場合等々、法律で規定されている場合でございます。このお話のような、今質問にあったようなケースは取り消しの事由にはならないわけでございまして、いろんな経過の中での発言とはいえ、やっぱり不適切であったというふうに承知しております。
○猪熊重二君 法律で、財団法人の取り消しの要件というのは決めてあるわけです、今官房長官お話しになったように。それを農水省の職員を三月三十一日にやめさせて、そして四月一日から採用しろと。それができないんならば財団法人を取り消さなきゃならぬという、法律的にこういうことができないというのはそれは言われなくてもわかっていますが、この発想がどこから出てくるかという問題なんです。公益法人というものを農水省の何かつくったり壊したり自由にできるというふうに考えているんじゃなかろうか。財団の役員として天下りを承知せぬから財団の設立を取り消すというふうなことについて、大臣どうお考えになりますか。
○政府委員(鶴岡俊彦君) 法人の設立許可は、必要な条件を付する場合は条件つきとなりますけれども、今回のような人事案件を条件にできるものではございません。当然、先ほど答弁申し上げましたように、取り消しの要件に該当するものではないわけでございまして、いろんな事情があったにせよ発言内容は不適切であった。やっぱり公務員としての職制を踏まえた対応が必要であったのではなかろうかというふうに承知しております。
○猪熊重二君 大臣も、この新聞報道はもちろんごらんになったろうと思いますが、この新聞報道に関して、六月十四日付の朝日新聞にこの報道に関連しての投書が載っております。まず、この投書をお読みになりましたか、いかがですか。
○国務大臣(山本富雄君) 読みました。
○猪熊重二君 その投書の中に、「その恫喝(どうかつ)的内容といい、品のない言葉遣いといい、これではうわさに聞く暴力団事務所でのやり取りと、そっくりだ。」と。「これはどうやらたまたま露見した氷山の一角に過ぎないらしい。」というふうな記述があります。この投書者のこのような感想に対する大臣の所見はいかがですか。
○政府委員(鶴岡俊彦君) 公益法人の指導、監督につきましては、それぞれの法人の事業目的が十分に達成し得るよう、農林水産省といたしましても誠実に行政の推進に努めているところであります。本件は、先ほど来お答えさしていただいていますとおり、財団法人の設立に伴う人事案件のやりとりの中でのいわば異例に属する問題であるというふうに承知しています。私どもあくまで誠実公平に行政を進めておるわけでございます。
○猪熊重二君 私は、テープの内容を全部ここで読むことはしませんけれども、全部読んでみればまことにこの投書者が言うように、もう恫喝的内容、要するにおどしの言葉であり品のない言葉であって、しかも自分の持ってもいない権限を振り回して財団理事者に圧力をかけている。しかも、私が非常に心配するのは、朝日新聞のテープの記事を読んだ国民が、ほとんどの国民が今投書者が言ったように役人天国というか、役人は何を考えているんだろうか、役人の平均的な感覚であり行動基準だと、こういうふうに思うだろうと思うんです。それともこの投書者のような考え方は特殊な考え方だと思われますか。
○国務大臣(山本富雄君) 農林水産省といたしましては、農林水産業と関連産業の振興を図るとともに、農山漁村の活性化に資するため、広く農山漁村に居住する方々や都市住民の皆さんを含め開かれた役所としての業務を遂行するよう努力をしている、こういうふうに考えております。 このような立場から我が省の職員は、日ごろその職務に全力を挙げて取り組んでいると考えておりますので、今先生がこの発言、投書の内容について、農水省の役人の平均的感覚かと、こういうお話でございますが、これはもうごくまことに遺憾な例であるというふうに申し上げさしていただきまして、ぜひ私が今申し上げたような立場で職員が一生懸命やっております、これが大部分の職員でございますということを御理解賜りたいと思っております。
○猪熊重二君 その投書によれば、さらに皮肉に、こういうことを投書者は述べているんです。「私はうかつにも、公務員に与えられたさまざまな地位や特権は「国民全体への奉仕」のためのものだとばかり思っていた。」と。要するに皮肉なんです。公務員に与えられたさまざまな地位や特権は国民全体へ奉仕するためのものである。それは憲法十五条にあれ憲法前文にあれ、明確に書かれている。大臣はこの問題に関して、まず省内的には何らかの意思表示をされたんでしょうか。
○国務大臣(山本富雄君) 当人に対しまして、事務次官から行政の推進に当たっては、言動に十分留意するよう厳重に注意をいたさしたところでございます。
○猪熊重二君 さらに、この投書者に代表されるような、国民の農水省に対する不信感あるいは農水行政に対する不信にまで至りかねないような問題について、どのような処置あるいは方法をとろうとお考えでしょうか。
○国務大臣(山本富雄君) 先生から御指摘をいただくまでもなく、まことにこれは遺憾なことであった、私自身も次官にも厳重に申し上げておきました。同時に、先ほど来汗をかきながら弁明をしておるわけでございますが、大部分の職員は懸命に内外の非常に厳しい農政に対応しているということにつきまして、先生にお答えする形で国民の皆様に理解を求めておる、こういうことでございますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思っております。
○猪熊重二君 私は、先ほども申し上げましたように、この問題はちょっと古い問題だし個人にかかわる問題でもあるから、本来は余り適切ではないと思ったんです。しかし、この課長さんがこのような発言をすることの本質的な、根本的な原因がどこにあるかという問題なんです。これは、農水省の公益法人に対する組織的な取り扱いの欠陥にあると私は思うんです。もう少しはっきり申し上げれば、本来民間のボランティア的であるべき公益法人を農水省の行政補完的なあるいは下請的な機能とさせようという、公益法人操作に根本的な原因があると私は思うんです。この課長さんが、このような発言をしたその場の状況はいろいろある。しかし、本質的な、根本的な原因はどこにあると大臣はお考えになりますか。
○政府委員(鶴岡俊彦君) 先ほど来お答えしていますとおり、財団に派遣する職員の退職予定日を三日後に控えた時点で、なおその辺がはっきりしなかったという極めて困った立場に追い込まれた結果の発言でございますけれども、発言自体適切でなかったと考えております。 それで、先ほど先生御指摘のように、私どもやっぱり公務員は国民全体に対する奉仕者という立場から、その職責を果たす必要があろうかと思っております。また、そういうことから、公益法人の認可、設立許可につきましても、恣意に渡らないように、各省庁を構成員とする公益法人監督事務連絡協議会による公益法人の設立許可基準及び指導監督許可基準等がございまして、それに基づいて、適正な、公平な取り扱いに努めてきたところでございまして、今後とも、そういう方向でこういう遺憾な御指摘がないように、公正、適正な指導に努めてまいりたいというふうに考えております。
○国務大臣(山本富雄君) 今官房長からも申し上げたとおりでございまして、例えば退職予定日を三日後に控えた時点で云々、こういうふうなことは私どもの方にも報告がございました。しかし、そんなことは理屈にならない、この行為自体が問題なんだ発言自体が問題なんだ、あるいは先生の御指摘のとおり、そういう態度が問題なんだという話もいたしました。 いずれにいたしましても、国民の奉仕者である公務員でございます。行政に携わる者はそれぞれの立場において、みずからの職責を十二分に自覚して、厳正、公平に、そして温かく行政を推進する役目があるということをこの際お互いに銘記をしなければならない、また役所の皆さんにはそういうふうに申し上げておるところでございます。
○猪熊重二君 時間がありませんので、私の方から申し上げたいと思います。・ 農水省の方からいろいろ資料をちょうだいいたしました。平成元年における農水省所管の公益法人についての数字を申し上げてみたいと思います。 公益法人の総数は四百七十五団体、このうち補助金を農水省が交付している団体が百二団体、比率にすると二一%になります。要するに、農水省が所管している公益法人四百七十五のうち百二、パーセントにして二一%に補助金が出ているんです。これだけの団体に補助金を出しているから、何となしに自分が銭を出して自分の子分みたいな感覚になっていくのじゃなかろうかと私は思うんです。それから元職員、役人がどのぐらい公益法人に再就職しているか。元職員についてはわからぬとおっしゃる。ただ現在、公益法人に役員として在籍している団体は五十四団体。そうすると総数に対して一一%。これだけの団体に農水省の役人がその団体の理事長、理事というふうな役員で入っている。しかもこの公益法人のうち、補助金を出してしかも役員に天下っている団体が二十四団体ある。このような公益法人のあり方に対する日常の感覚が、公益法人というものがどういうものであるかということについての農水省の役人の感覚をずらすのではなかろうかと私は思います。 このような行政補完的な、行政の下請的な公益法人のありようというものは、本来国会がすべての行政監察をするべきである、する権能があるし義務がある。ところが、実際の農水業務を公益法人が行っているということになると、それに対する国会の監督権、行政監察権は及ばない。そこで、実際の行政が行われているというふうなことは、国民主権原理から考えても、議会制民主主義から考えても甚だ不適切な状況だと私は思うんです。ただしこれについては、農水省としてもいろいろ御反論はあるし、現在の複雑な行政ではこうやっていかなければしょうがないのだという、いろんな言い分もおありなことはわかっているんですが、ともかく少し考えてみなきゃならぬ問題だろう。私も考えますので、大臣も考えていただきたいということで質問を終わります。
○政府委員(鶴岡俊彦君) 公益法人に関係するいろんな数値につきましては、今先生御指摘のとおりでございます。ただ私どもは、公益法人への補助金は、農林水産業とその関連産業の振興や農林漁家の福祉の向上を図るため交付しているものであります。また、公益法人による農林水産省前職員の受け入れは、これらの者の有する専門的知識や経験を活用して適切な事業運営を行うため、公益法人の自由意思に基づいて実施されているものというように承知いたしております。 農林水産省といたしましては、今後とも公益法人指導監督連絡会議等の決定、申し合わせ事項等に基づきまして、公益法人に対する適正な指導監督を行っていきたいと思っております。また、補助金等の支出につきましては、国会の御議論、決定を踏まえまして、補助条件を通じた指導でありますとか、あるいはその後におきます会計検査院の検査等を通じまして適正公正にやっていきたいというふうに考えております。
○猪熊重二君 ありがとうございました。
○林紀子君 私は、今までの論議の中でも何人かの委員の方が米の輸入自由化の問題について質問をなさいましたが、米の輸入自由化問題を私も質問させていただきます。 五月二十九日の当委員会で私は、アメリカのヤイター農務長官から抗議の書簡がきのうの午後届いたという大臣の答弁を受けまして、ヤイター農務長官に返書を出すのか、出すとすればいつまでに出すのかということをお伺いいたしました。そこで、私は本日、いつ出すのかということを伺いたいと思いましたが、けさの記者会見で既に大臣の方から、ヤイター農務長官に返書を出したということを発表なさったということを伺いましたので、これはもう既に出されたわけですね。また、その内容、基本的な立場、要点について御返事をいただきたいと思います。
○国務大臣(山本富雄君) いわゆるヤイター書簡、これのいきさつは、この前の委員会でも先生からお話がございました。それでその後、届きましてそれを十分吟味させていただきました。そして、いろいろ検討させていただいた上、けさ私が署名をいたしまして、山本富雄という毛筆で署名をして手紙を出した。今ごろどの辺にいっておりますか、いずれにいたしましても書簡をけさ、私の署名のもとに発送をした、返事を出した、こういうことでございます。 これは、この前のときもちょっと申し上げたかもしれませんし、あるいは記者の皆さんからも、けさ内容はということでございましたが、あくまでも私信でありまして、これは東洋の礼儀によれば、親展というものはその人対その人のものである。公表すべきものではないというふうに私は考えておりますので、手紙の中身は公表できない。しかし、こういう趣旨のものを書いたということだけは申し上げられるので、申し上げたいと思います。こういうことで記者の皆さんに私が書いた手紙の趣旨について申し上げた、それを申し上げたいと思います。 これは、率直に我が国の基本的な立場、米問題に対しましてこれをじゅんじゅんと書いたつもりでございます。それで、一つは過去の自由化の過程におきまして、我が国の農業は重大な打撃を受けた。さらに牛肉・オレンジの自由化が間近に迫っている状況のもとで、日本の農民にとって米の市場開放問題は極めて重大な問題であるということ。それから国内自給を求める国会決議が全会一致をもってなされておる、この国会決議を尊重しなければならないということ。それから米の貿易問題につきましては、ウルグアイ・ラウンドにおいて各国の困難な農業問題、制度について議論を行う段階においては討議をする。これは従来言い続けてきたこととしてきたけれども、米のような基礎的食糧については特別の配慮を必要とするんだということの主張も従来かねがねしてきたのであって、今このことを言い出したわけではありませんということ。 それから、ウルグアイ・ラウンドの農業問題の重要性、これは特に報道等によりますと、農業問題で日本がある程度譲歩をしないとウルグアイ・ラウンドが成功しない云々などという報道がされておりますが、その農業問題の重要性は十分認識しております。しておりますけれども、私としては今まで申し上げたような幾つかの経過を踏まえて、日本の農業や農村を崩壊に導くような決定は到底できません、こういうふうに書かせていただいた。じゅんじゅん綿々と書いたつもりであります。
○林紀子君 農水大臣の気持ちが伝わるような中身だと思うわけですし、私たち日本共産党は、六月の十四日に、海部総理大臣あてに、九〇年産生産者米麦価等に関する申し入れの文書というのを山本農水大臣に手渡しました。その中でも、ヤイター書簡は、日本に対する露骨な内政干渉であるとともに、米自由化への挑戦であり、断固とした抗議をすることという申し入れを行ったわけですが、この申し入れにもおこたえいただいたわけで、ヤイター農務長官に返書を出されたということは大変よかったことだと思うわけです。 しかし大臣は、慎重冷静に検討してこの返書を出されるということだったわけですが、この検討をしている間にアメリカはどういうことをやってきたか。アメリカのアマコスト駐日大使は、六月の七日に政務次官会議で講演して、日本の米だけを例外とは認められないと述べ、日本が米市場の開放に踏み切るように強く求めております。また、アメリカ農務省のクラウダー次官は、日本経済新聞の記者に対しまして、米の一部輸入問題をめぐる日本の対応については、期待したほど前向きでないと不満を表明したということですし、サミットで新ラウンドの推進を確認した後、七月のガット貿易交渉委員会で改革の素案をまとめ、年内には合意できると見ている。事務手続を経て、一九九二年から米輸入を開始できるはずだ。こんなことを言っているということです。 大臣が、お返事にはOECDの理事会の様子などを見た上で返書を出すということでしたので、私といたしましては、六月早々にでもこのお手紙というのが出されるのではないかと思っておりましたけれども、もうちょっと早ければ、アメリカもこちらの態度を見ているわけですので、もうちょっと早ければという率直な感想を申し上げておきたいと思います。 次に、最近一部のマスコミや一部政党が、また竹下元総理からも部分的な米の輸入自由化を容認するような発言が続いております。特にマスコミはあたかも米の部分自由化、部分開放はさして大きな影響がないかのように描き出そうとしておりますが、とんでもないことだと思うわけです。 私ども日本共産党は、国会議員団、十三日に米の輸入自由化阻止・食管制度改悪反対・米価対策委員会というものを設置いたしました。そして、十五日から十六日にかけて全国調査の第一弾として米どころの宮城県に入りまして、県や農協中央会、県経済連、そのほか古川市、豊里町などの農協幹部の方々、農協の青年部や婦人部の方々、生産農民の方々などと広く懇談しまして、米の輸入自由化に対する見解、万一自由化された場合の予想される影響、生産者米価、特に良質米奨励金引き下げは困るというお話とか、自主流通米の取引所設置、これは米どころの宮城でも絶対反対だ、こういう要望、意見が多数寄せられました。 そしてこの中で、特に農協の青年部の方々がおっしゃっていたわけですけれども、この方たちは、三十代の二ヘクタールから受委託も含めまして十三ヘクタールぐらいまでの水田を耕作している、本当に今農業後継者がなかなかいないという中で本当に頑張っている若い人たちなわけですが、この方たちが言っていることは、たとえ十万トンにしろ輸入自由化されたら、それが即減反という形ではね返ってくるのは目に見えている。今減反というのはもうこれ以上できないような状況になっているその中で、さらに減反をしろということはもう米づくりをするなというのと同じに受け取らざるを得ない。農業をするその意欲そのものが失われてしまう。数少ない農業後継者、しかもこの規模からいいますと、今農水省が一番模範的なというような状況になっている中核農家と言われている人たちだと思うわけですが、こういう人たちが一部輸入自由化されても、もう自分たちは米づくりにかける熱意というのが急速に失われてしまう、米づくりはもうできない。こういうことを切々と訴えていらっしゃいました。そのことに、本当に私は胸をえぐられる思いでした。 先ほど農水大臣も、農業後継者というのは農業関係者、私たちが特にどういうふうに動くのか毎日見ているんだということをおっしゃいましたけれども、このように、今マスコミが部分輸入自由化に対して、殊さらその影響を過小評価するような形でキャンペーンを張るような状況の中で、米の輸入自由化をしないというその中には、部分的な輸入自由化もしない、一部の米輸入自由化もしない、先ほど来御質問がありましたけれども、再度この点お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(山本富雄君) 主食用米と加工用米は一体の生産体系となっておりまして、加工用米といえども輸入を認めることは日本の米生産、流通全体に重大な影響を及ぼすものと考えております。したがって、米は、主食用はもとよりでございますが、加工用米につきましても国内産で自給するというふうな基本的な態度で対処してまいりたい、こう考えております。
○林紀子君 また、きょうの農業新聞にも紹介されておりましたけれども、部分的な輸入によって地域経済に与える影響は、全中の研究でも、一〇%の市場開放で二十七万人が失業する、こういう結果が出たという報告が行われております。今、米の輸入自由化を阻止するには、輸入自由化圧力になっているウルグアイ・ラウンドでの米問題を協議から除外すること、これが最も確実な道だと思うわけです。先ほども、日本の輸入自由化をしないということは日本のエゴでも何でもない、日本を守る、地球を守ることなんだという御答弁がありましたけれども、この最も確実な道であるウルグアイ・ラウンドでの米問題協議を議題から除外する、このことを要求いたしまして、次の質問に移らせていただきます。 六月一日の当委員会で、私は他用途利用米の主食転用問題に関してお伺いいたしましたが、それと関連してもう一度お伺いしたいと思います。 一九八八年産米の他用途利用米二十万トンを八六年産の政府古々米と交換、他用途利用米を主食用に回していたわけですが、そのうちササニシキなどAランク米二万六千トンについて、およそ六億八千三百万円の差益が生まれた。宮城県経済連の一億八千八百万円を最高に、全農から、二次集荷団体である三十一の経済連などに支払われたということが食糧庁長官から明らかにされました。そして長官は、八九年産米の交換も含めこの差益を生産農民に返すなど、適切に処理するよう全農を指導する、こういうお約束をしてくださったわけです。 昨年十月三十一日現在の「米需給均衡化緊急対策費の最終支出実績」という資料が全農から出ておりますが、この資料によりますと、八六年産米の政府米と八八年産他用途利用米の交換による販売対策費は、全体で二十九億二千百万円の損失となっている。さらに五万五千トン余りの政府古々米を直接販売することによって十三億二千三百万円余りの損失、合計で四十二億四千三百万円余りの損失となっている。こういう数字を私は見ているわけですけれども、なぜ六億八千万円余りの差益を出しながら、一方でこのような膨大な金額の新たな損失が生じたのか。八八年産米の他用途利用米を八六年産の政府古々米と交換して主食用に回したことによる、この財務内容というのをわかりやすく明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(浜口義曠君) 指定法人であります全農が、昭和六十三年十月に行った昭和六十一年産政府米と六十三年産他用途米との交換に要した経費は、全農の報告によりますと、ただいま先生が御指摘の二十九億二千万円であります。この中に、先生御指摘の六億八千万が入っているわけでございます。 繰り返しますと、この交換に要した経費の中には、主食用に充てられた六十三年産他用途利用米の一部、Aランク米が当初販売価格として予定していた政府売り渡し価格水準を相当上回る価格で販売できたので、指定法人が生産者の公平を確保する観点に立って、当該他用途利用米の二次集荷業者に還付した六億七千万円、全収れん分を含めますと六億八千万円が含まれているわけでございます。ただいま先生がおっしゃったのは、六億の差額がありながらということでございましたけれども、これは、先ほどは六月の初旬にお答えしました私の文言でございますけれども、この先生御指摘の二十九億二千万円に入っている金額でございます。 なお先生は、このほかに政府から買い受けた六十一年産米の販売に要した経費、この経費は売買差額でありますとか、金利、倉敷でございます。この金額十三億二千三百万円がありまして、その両者を合計いたしますと四十二億円という数字になるわけでございます。
○林紀子君 この六億八千三百万円、これは全農だけではありませんけれども、それを含めて四十二億四千三百万円余りの損失となっている。これは他用途利用米と政府米の交換によって全農などの生産団体、ひいては生産農民が犠牲になっている。これが背負わされているということじゃないかと思うわけですが、国や食糧庁は、これに対してどういう責任をとったのかということも伺いたいと思います。
○政府委員(浜口義曠君) 政府米と他用途利用米の交換の問題でございますけれども、当時持ち越し在庫の急増に対しまして、指定法人たる全農が実施計画をしておりました調整保管の問題があるわけでございます。これが、予定どおりできなかったことのかわりといたしまして、この他用途米と政府米の交換ということが行われたというものでございます。したがいまして、その交換に伴う指定法人の、今の金額等を含めての支出でございますが、基本的には、指定法人が自主流通米の調整保管を行う経費に充てるために、六十一年、六十二年にわたって生産者団体等拠出していた資金から補てんをされたということでございます。
○林紀子君 そうしましたら、この全農が出した損失の四十二億四千三百万円というのは、政府が補てんをしたということになるわけですね。
○政府委員(浜口義曠君) 今申し上げましたように、全農が生産者団体から拠出していた資金から補てん経費を出したということでございます。
○林紀子君 それから、この六億八千万円の差益分ですけれども、生産農民に返すなど適切に処理するよう指導するというお返事をいただいたわけですが、私が、先ほど申し上げました宮城県などに実際に行ってお話を伺ってみますと、単協の部分では組合長さんもよくわからないわけですね、これについて。そして、災害対策費というのが来たけれどもあれではないかとか、それから良質米奨励金の不足分が十一月ごろに入ったけれどもそれではないかとか、いろいろ質問を私はされてまた困ってしまったわけなんですけれども、適切に処理するように指導するというところで、単協のところまできちんと、こういう性格のお金なんだということがわかるように指導していただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
○政府委員(浜口義曠君) 先生から、前回同様のお話がございました。その当時の例の六億のお金は、繰り返すようでございますが、既に先ほど申し上げましたとおり、全農から各単協、各経済連に支払われた数字ということで申したわけでございますが、そのときの御提起になられた先生のお話に基づきまして、十分そういうことがお金を配ったところの人たちにわかるように指導するようにしております。提起されてから、私ども、全農に対してそういう話をしたところでございます。
○林紀子君 この他用途利用米ですけれども、農民は冷害で主食用すら満足に出荷できないときも、米輸入を許さないためだと言われて六十キロ当たり約九千六百円、生産費を償わないような低米価で応じてきたわけです。宮城の農家の方々に聞きますと、農協に新米を出荷しても他用途利用米にはマル他という判こは押さないというんですね。そして、農協の倉庫から出すときに、政府の古々米との交換対象になった他用途利用米についてはマル目の判こを押す。交換対象外となった本来の他用途利用米の部分についてはマル他という判こをそのときに押すんだ、こういう話も聞いたわけです。そして、現在五十万トン近い他用途利用米のうち、その半数近くが主食用に回されている。指定法人である全農は、本来他用途利用米価格、およそ六十キロ当たり九千六百円で販売されるはずであった八八年産米の他用途利用米を主食用価格、政府米なら一万七千円、自主流通米ならおよそ二万二千円で卸売業者に販売している。 こういうのを見ましたら、生産農民が怒るのも当たり前ではないかと思うわけです。こうした他用途利用米の主食転用というのはやめるべきではないかと思うわけです。宮城県の場合、この交換に遭って六十キロ当たりおよそ二千四百四十八円、ただいまお話のありましたその差益というのが出ているわけですけれども、実際には六十キロ当たりおよそ九千六百円で出荷している。ですから、この二千四百四十八円の差金を加えましても一万二千円で主食用として政府米を出荷している。こういう新たな米価を生み出しているのではないかと思うわけです。生産者米価の大幅な引き下げ以外の何物でもないと思うわけです。減反を強制的に押しつけるばかりか、生産者米価を買いたたく他用途利用米制度は廃止して、ゆとりある米の備蓄計画のもとに減反面積を緩和するとともに、政府古米というのは値引きして加工用の米に回すべきだということを改めて要求いたします。 最後に私は、麦の品種改良についてお伺いしたいと思います。 麦は、稲に次ぐ主要作物として利用されており、生産性の比較的高い数少ない冬作物であり、穀物自給率の向上、地域農業の振興などから生産の拡大というのが強く望まれている作物です。農水省では国立の農業試験場、また都道府県に委託した指定試験地で品種の開発を進めているということを伺っておりますけれども、収穫時の雨による被害を防ぐことや、また夏作物との組み合わせなどから一層の早熟化、わせ化と雨の被害による抵抗性を強める、こういうことを要請したいと思うわけです。特に東北地方では、稲の裏作として麦の栽培が可能になるように、五月の下旬に収穫できる麦の品種があったらというのが大変強い要望ですが、こういう品種改良というのは今進められているのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
○政府委員(西尾敏彦君) 先生、今お話にありましたように、麦の品種改良は国の研究機関とそれから都道府県の指定試験地を中心に進めておりまして、その品種改良の目的は、もちろん品質の向上、ASW並みに相当するような良品質の麦をつくるということ、さらにはまたもちろん、安定多収であるということのほかに、一層のわせ化というのは私ども一番大きな目標にして研究を進めているところでございます。その結果、近年ではわせでかつ品質の大変すぐれている小麦の品種としまして、例えば九州ではシロガネコムギ、ニシカゼコムギ、それから昨年出ましたダイチノミノリというような品種ができておりますし、中部日本地方ではシラネコムギ、さらにはまたフクホコムギというような品種が出ているところであります。 ただ、我が国は先生お話ありましたように、稲麦の二毛作というのを前提にして麦をつくっております。こういうのは世界の麦の生産地の中では大変特殊な例でございます。日本とか韓国だとか、一部のアジアの国だけがそういう二毛作を中心に研究をやっております。日本の麦は大変わせでございます、本来。だから、日本の麦というのは世界全体の麦の中では大変わせに偏っているわけであります。例えば例をイギリスにとりますと、イギリスの麦というのは十月にまきまして八月に収穫をする。ほとんど一年かかって栽培をする、こういうのが前提でございます。例えば福岡県では十一月にまいて六月に収穫する。だから、イギリスでは例えば三百日以上もかかるというのに比べまして、日本の福岡県では二百日ぐらいで麦を栽培する。それから水戸のあたり、宮城あたりになりますと二百二十日から二百四十日ということでありまして、いずれにしましても、世界の麦の中では日本の麦というのはもうずっとわせの方に偏っているわけであります。 ただ、そういうものをもっともっとわせ化するというのは、これは先生の御指摘のとおりでございまして、育種屋も常日ごろそういうふうに思ってわせ化の研究を進めております。ただ、収穫が例えば五月中ということになりますと、花が咲くのはそれより四十五日ぐらい早くなければいけないわけです。それからまた、それが抽薹する、麦が立ち上がるのはまたそれより三十日から四十五日早くなければいけないということになりまして、もう二月から三月に立ち上がった麦ができないと困るということになります。麦は立ち上がれば立ち上がるほど凍害、寒さに弱くなるわけです。したがいまして、余りわせ化を図りますと凍霜害に遭うということがございます。凍霜害を避けながら、かつわせにするというのが麦の研究者の一番の悩みなわけでありますけれども、そういうものを目指して現在品種改良を進めているところであります。 そういうことで、最近はバイテクなどという技術ができておりますので、そういうものを利用してもっと何か寒さに強い、低温に強くてかつわせの品種というものの品種改良を進めてまいりたいというふうに考えておるところであります。
○林紀子君 終わります。
○井上哲夫君 私は、三重県の長島町と桑名市の間の長良川河口で巨大なせきが建設されつつありますが、 〔委員長退席、理事北修二君着席〕 このせきの建設と地元の漁師の多くがなりわいを立てておりますシジミ、シラウオ等の漁業の関連、せきの建設による影響がどの程度あるかについて、本日はお尋ねをしたいと思います。 先ほど、細谷議員が八郎潟、八郎湖の干拓の中で実は天然資源のシラウオやあるいはボラ、スズキ、ワカサギ、さらに魚介類、こういうものの非常に資源の保全が思わしくない、こういう観点で少しお尋ねになりましたが、実は、水産庁の長官もよく御存じだと思うんですが、桑名市、長島町ではまさに今、長良川河口ぜきというそのものの建設をめぐって、反対を叫ぶ人や、心配をしながら様子を見守る人やあるいはかたずをのんでその成り行きを見守っている人等がたくさんおります。本来桑名市というと皆さん御存じのとおり、桑名の殿様が非常に愛好した焼きハマグリ、徳川家康が非常に愛好して桑名藩は代々献上したと言われるシラウオ、こういうものが非常にこの地、特に長良川の良質の水と汽水域と言われる天与の水域の中でとれたものなんですが、それが現在では桑名のつくだ煮、しぐれ煮ということで、日本各地に特産品として多くの愛好者を得ているところであります。 浮世絵の安藤広重も七里ノ渡などを絵にしたり、あるいは松尾芭蕉はこの桑名市に足跡を残してそこでシラウオの句を残しておるわけです。非常に川柳に造詣の深い委員長の前で私が言うのはちょっと恥ずかしいんですが、委員長おりませんか……。 歳時記を見ますとこんな記載があります。シラウオというのはほんの小さな白い魚で、腹のところが透き通っておるということで多くの歌にもつづられておるということですが、食べ方としては生のまま食べたりあるいは卵とじにしたり、さらには吸い物に入れたり、空揚げにしたりということで大変珍重されている魚でして、桑名の赤須賀漁協というところでは毎年シラウオをとるわけですが、浜場でキロ八千円、しぐれ煮にするとキロ四万円という、いわば山の幸のマツタケにも匹敵するような珍重品になっております。芭蕉は「野ざらし紀行」で、この地に及んで、「あけぼのや白魚白きこと一寸」という有名な句を残して、そして浜地蔵の竜安寺というところには句碑さえ残されております。 そこで、前置きは長くなりましたが、実はこの長良川河口ぜきの建設をめぐっては、水資源公団と建設省が主に進めてみえるわけで、利水、治水の観点からの御説明を受けておるわけですが、この河口ぜきの建設でシジミ、特に桑名市の海岸沿いでのヤマトシジミは、ほとんど絶滅に近くなるのではないかという心配を漁民たちはしております。そして、そのことは漁業補償で締結をされておるということでございますが、私が調べてみますと、利根川の河口ぜきでヤマトシジミの漁業補償がなされた、しかし、その後河口ぜきの建設でやはり次々に予想に反してシジミがとれなくなって何度も漁業補償がその後もなされておる、これはもう事実であるわけです。 そういう観点からいいますと、ヤマトシジミについて、単に地元の赤須賀漁協と水資源公団の間で補償がなされているという一事をもって、それで事足れるということにはならないのではないか。加えてシラウオについて申しますと、地元の漁師の人たちは、せきができることによって淡水と海水のまざり合う汽水域が当然なくなることから、シラウオ漁はもうできなくなるだろう。できなくなることで、例えば漁民は補償をもらっていると言いますが、しぐれ煮をたくさんの店が桑名市ではやっておって、桑名のしぐれ煮の一番珍重、代表的な人寄せパンダ的なシラウオのしぐれ煮はもうなくなる。特に桑名では「地白魚紅梅煮」という店が、そのことを看板にやっている店も多いわけです。 そこで、シジミの漁獲の変化、シラウオの絶滅の点はいかがに考えてみえるか。これは桑名市のしぐれやさんを私も先週のぞいたんですが、中には長良川河口ぜき反対のパンフレットを店先に置いておるわけです。思想的云々というよりももうこの先商売どうなるんだろうか、輸入品の魚介物ですべてつくっていかなければならなくなるだろうか、そういう心配をしているというそのことを申し添えまして、まずお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(京谷昭夫君) 長良川河口ぜきの建設をめぐりまして、漁業との関連でいろいろ御議論があることは私どもも承知をしております。 ただいま先生から河口ぜきの周辺部、主として下流部にありますシラウオあるいはシジミについてのお尋ねでございますが、河口ぜき、御承知のとおり六十三年の三月に一応着工をしておるわけでございます。それ以前の状態から既に一定のこれら資源の消長があるわけでございます。まず私ども、県から報告を徴したところによりますと、シラウオにつきましては着工時の五年前、五十九年の漁獲量が十二・五トン、それから漸減をしてきておりまして、六十三年で一・六トンという減少を見せておるわけでございますが、この原因というのは、御承知のとおり揖斐川との合流部からさらに下流の、現在の名四国道の上下流部分の長島町側の地域にあります干潟が、いろいろな開発が進行してだんだん減少をしてきた。これが非常に、何といいますか、産卵場所として一定の機能を果たしてきたわけですが、これが急激に減少してきておる。それからもう一つは、周辺からのいろんな影響を受けて水質がかなり悪化をしておる。こういう現象を背景にしてただいま申し上げたような資源状況になっておる、こういうふうな認識を持っておるわけであります。 それから、シジミにつきましては、生産量で見ますと大体年によって少しの消長はございますけれども、五十九年で約五千百トン、それから六十三年で六千百トンという生産量が示されておりまして、まあまあ環境条件についていろんな変化はありますけれども、一応再生産が確保されておる、こういう認識を持っておるわけでございます。 こういう状態が今後、この河口ぜきの建設との関連でどういう見通しが得られるかという問題でございますが、まずシラウオにつきましては、そう大きな影響、このせきの設置によるいわばダイレクトな因果関係ということは余り考えられず、むしろ先ほど申し上げました産卵場所であります干潟の状況がどうなっていくか、それからまた水質がどうなっていくかというふうな問題との絡みで考えていかなければいけない問題であろう。それからシジミにつきましては、これも二通りあるわけですが、御指摘のヤマトシジミ、確かに汽水域に繁殖をするものでありますから、せきの上流が淡水化されますとその部分については、ヤマトシジミの生産量というのはかなり影響を受ける。ただ、淡水化することによりましてマシジミの生産が非常に増加をしてくるというふうな見通しでございまして、総体としては現在のレベルというものがそう大きな影響はないのではないか。 いずれにしても、漁獲量に対する影響については、当然のことでございますが、建設主体と関係漁業者の間で損失補償というふうなことで話し合いが進められておりますので、その帰趨をまた、私どもとしても見守ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○井上哲夫君 今の答弁で、少し私も気になることがあるのでもう一回尋ねたいと思うんですが、シラウオについて、最近漁獲高が減少ぎみであるということでございますが、ことしの漁獲は非常に豊漁でありました。地元の漁民はことしはよくとれたと。シラウオの漁獲高については前々から愛知県の密漁に何度も遭って、三重県側では大変密漁の被害が多いんだ、その密漁をする人は名前もわかっているんだけれども、なぜか取り締まりが緩いということを言っておる人の声も聞いておるわけです。 シラウオ自身は、実は今御答弁の中に出ましたような干潟、地元ではヨシ山と呼んでおりますがが、アシの草その他が生えておる干潟ですが、ここで産卵をするという場合に、問題になっておりますせきの河口のみならず上流にも豊富なヨシ山があるわけで、むしろシラウオについて言えば、このヨシ山のなくなることにも影響を受けるのではないか。つまり、河口のせきの下のみには限らないということを地元の人は言っております。 〔理事北修二君退席、委員長着席〕 もう一つには、地盤沈下が激しくて、だんだんシラウオの上ってくる地点が必ずしも昔のように河口の入り口ではなかったというようなことを漁民は言っておるわけです。 そこで、シラウオについて、水産庁の方で特に河口ぜきとシラウオの関係の調査といいますか、そういうことをなされたことがあるのか、あるいはないという場合に今後なされるおつもりがあるかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
○政府委員(京谷昭夫君) シラウオの産卵場になります干潟、先生おっしゃる、地元でヨシ山と称しているものでありますが、これが今回の河口ぜきの建設に伴いまして河道の、何といいますか、修正がございますので、一部直接工事によって影響を受けるのがあるようでございますけれども、私ども承知している限りでは、長良川、揖斐川の境界の中州等はほぼ現状のとおり維持をされるということでございますので、この工事自体、工事といいますか、工事なりあるいは河口ぜきの建設自体が非常にダイレクトな形で、シラウオの再生産に影響を与えるというふうな意味での懸念というのはさほど大きくないのではないかというふうに関係者から、県あるいは建設省、水資源開発公団等から私ども聞いておるわけでございます。 このシラウオを対象にしたこの地域での漁業、御承知のとおり、三重県知事が許可をしております小型底びき網漁業の対象魚種でございます。大変小規模なものでございますが。したがいまして、この漁業の問題については、第一義的には三重県知事が処理をしていただくべきものというふうに考えておりまして、私ども従来、この部分のシラウオ資源について直接立ち入って調査をしたことはございませんけれども、県からの報告等によって適宜県の御相談を承るつもりでございますし、また今後につきましても、現時点では私ども、直接このシラウオ問題についての資源調査に私どもが介入をしていくという予定はございません。いずれにしましても、許可権者であります知事と十分連携をとりまして、必要なお手伝いがあるとすればまた県とよく相談をしてまいりたいというふうに考えております。
○井上哲夫君 ヤマトシジミのことについてもう一点だけお尋ねをいたしますが、先ほどの御答弁で、上流にはいわゆるマシジミがむしろふえるというふうなお答えですが、利根川の河川、河口ぜきのその後の水産物の実態について書いてある本を読みますと、なかなか河口ぜきがつくられたことから水が濁ってくるというふうなことで、マシジミもそれほどふえるものではない、むしろヤマトシジミは非常に大きな打撃を受けてしまうんだという記載があります。 私は、いつもこの河口ぜきの問題、最近首を突っ込みまして不思議に思うのは、利根川では一八・五キロのところに河口ぜきをつくってあるわけです。ところが、長良川の今回問題になっている河口ぜきは実に河口部分、海と接するところからわずか五・四キロのところに巨大な全長六百六十一メートルのせきをつくる。そうしますと、五・四キロのせきの上流でもこれまでヤマトシジミは大量にとれておったわけです。大体河口から十五、六キロの浅瀬に至るまで、長良川ではヤマトシジミの豊富な場所でありまして、つまり汽水域はそこまで達していたということでありましょうが、そういう意味でヤマトシジミが非常に大きな打撃を受けると裏腹に、マシジミが本当にたくさんとれるのか。もっとも地元の人はマシジミよりヤマトシジミの方がはるかに味もよくて商品価値も高い、こういうふうなことは言っておりますが、それはさておき、その点でいかがでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) ただいま利根川の例を引用してのお話でございますが、利根川についての詳しい資料、私、今手元にございませんけれども、確かに利根川全体としてのシジミの生産量が、最近五年程度の消長を見ますと停滞ぎみであるということは事実でございます、総量として。恐らくこの中に入っておりますシジミの種類について、条件変化によって若干の品種交代も起こっているであろうと考えております。この例が、長良川河口ぜきの場合にどのように出てくるかということについては、私が先ほど申し上げましたように、一定の条件変化によって品種交代が進むであろうということを申し上げたところでございますが、量的にも一定の影響があり得る、そのことを前提にして、恐らく事業主体と関係事業者の間での損失補償に関する話し合いが進められているというふうに認識をしておるわけでございます。 いずれにしましても、今のところ私ども、県の方から水産庁として一定の援助を求められている状況ではございませんけれども、県からまたいろいろ情報をとるなり、あるいはまた県の御意向を伺って必要な連携体制というものを私どもとしても考えていきたいというふうに思っておるところでございます。
○井上哲夫君 赤須賀漁協という地元の漁業協同組合ですが、大体二百七十名の組合員がおりましてほとんど漁業一本やり、専業の今どき珍しい組合なんですけれども、この赤須賀漁協はもうお金を返してでもせきはつくらぬでほしい、そういう泣き言とも言えることを現在申しておるわけですけれども、私は利根川の河口ぜきのその後の実態を調べてみますと、何度も何度もせきをつくった後で、被害を受ける漁協と補償交渉を繰り返すということが長良川の河口ぜきで起こらないように願っておるものなんです。 そこで、大臣にお尋ねをいたしたいと思うんですが、大臣も恐らく、突然長良川河口ぜきの話が出ましてびっくり仰天をさせましたことをおわび申し上げますが、先ほど細谷委員の話のときにも出ましたように、こういう大きな河川の改修、しかもそれは水資源公団がやるということは、農林水産省も一肌脱いでいるわけでございまして、そういう場合に、計画が進んだ、いろんな環境アセスメントと言うべきものも済んだ、さあ予算もついて着工だというときでも、本当を言うと、いつも原点に返るというかあるいは後を時々振り返ってこれでよいのかな、取り返しのつかないようなことになりはしないかという、そういうことを繰り返して進めていっていただきたい。 その観点から申し上げますと、現在、長良川の河口ぜきの建設をめぐっては、私も十三日に災害対策委員会で国土庁の方に御質問したんですが、治水対策上も何となく説明が完全に納得できるようなものでなかった、あるいは疑問が非常に残ってしまったというふうなことで、治水の面でも今そういう問題になっているというときに、今度は非常に長良川という川のウ飼いでも有名でありますが、その川の下流の水産資源の保全という観点から十分原点に返るあるいは振り返るというような、そういう視点で考えていただく余地があるかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(山本富雄君) この長良川の河口ぜきの問題はお聞きをいたしました。それで今、るる先生からシジミのこととかシラウオのこととか、芭蕉の俳句まで聞かしていただきましてあれですけれども、やっぱりこの問題に関しましては施行者ですね、公団ということになりますか、公団と地元側、それからまた漁業関係者、これらと十分話し合いが必要だと。事前にももちろんしたんでしょう、それから現在もしているでしょうしこれからもしなくちゃならない。我が方は、今水産庁長官とも話しましたけれども、漁業者あるいは今漁協が模範的な漁協だという話も聞きましたけれども、漁協の皆さんの切なる願いもあるようですから、それらを十分踏まえまして、県側とかあるいは施行者側とか、またできる範囲でお話し合いはいたしたい、こういうふうに考えております。
○井上哲夫君 終わります。
○星野朋市君 最後でございますので、やや明るい問題で締めくくりたいと思っております。 そこで、日本のリンゴの生産についてお尋ねをいたしますけれども、昨年度日本のリンゴの生産はどのぐらいでございましたでしょうか。また、価格はどんな形で推移をしておりますでしょうか。
○政府委員(松山光治君) リンゴの生産量でございますけれども、近年の動きといたしましては、栽培面積がほぼ横ばいで推移いたします中で、矮化栽培の増加等によります単収の増もございまして、生産量といたしましては微増傾向で推移いたしております。平成元年産では百四万五千トンというのが統計情報部の発表でございます。 価格でございますけれども、東京都の中央卸売市場の平均卸売価格で見ますと、ここ二、三年二百五十円前後で、キログラム当たりでございますが、推移しておったわけでございます。平成元年産は比較的品質がよかったということもあるんだろうと思いますが、対前年比一六%高の二百八十五円キログラム当たりということで、比較的好調というふうに見ております。
○星野朋市君 農林水産統計によりますと、リンゴは百万トンという大台ながら比較的堅実に生産量が伸びている品種なんでございますね。過去三年の統計を見てみますと、着実に伸びたのはイチゴと露地栽培のメロン、二品種だけなんです。一方、需要の方を見てみますと、ミカンは生産地のみならず全国的な需要がある。ところがリンゴは、不思議なことに生産地消費が多くて、せいぜい関東ですね。関西それから四国、九州の消費量がまだそれらに比べて比較的少ない。そんな跛行現象があるわけです。そうすると、これはそこら辺を伸ばしていけばまだまだ需要は伸びると私は思っておりまして、それでどうしてこんな問題を取り上げたかといいますと、実は、リンゴは比較的生産量が多くて、しかも着実に伸びるであろうというようなこと。それからもう一つは、四月一日からリンゴ果汁の自由化が行われました。その問題がございます。 それから、これまた私事にわたって非常に恐縮なんですが、私民間におりましたときに、実はJICAの農業投融資資金、これを借りまして、南米のベネズエラのラ・ペニータというところで日本式のリンゴ栽培、熱帯高地における試験事業というのを実はやりまして、これは農水省の海外協力課からも御援助いただきました。それで植えつけをしまして昨年三年目で、ふじ、むつでほぼ日本と同じ大きさのものを栽培し試験的にできまして、実は昨年、ベネズエラの大統領にそれを献上したわけです。大統領夫人はぜひそこを見たいと言うんですけれども、試験事業だから待てと。ことしから来年にかけて、要するにわんさとなったところを見てもらおう、こういうことで今まだ見学をとめさせているわけです。 そんなことがございまして、リンゴに関心を持っておったんですけれども、リンゴ事業が比較的うまくいっているということを私なりに整理してみますと、一つは、ふじ、むつというもう世界に冠たる品種を持っておった。それからもう一つは台木、これが矮化性のM26%とかM9とか、開発はイギリスでされたものですけれども、そういうものが導入されて、これは農作業の老齢化対策、それから農薬散布の省力化に非常に役立ったということもあって台木の転換が行われて、まさしく今一番いい状態、若返りの状態になっている、こういうこともあっただろうと思います。それからもう一つは、リンゴの栽培事業については補助育成策というのは余りとられないで、全く自由農経営が行われていた、こう思うわけです。もう一つは、品種が非常によかったために、自由化問題については青果そのものは少しも恐れないわけですね。 私なりに整理してみますとこの四点だったと思うんですけれども、そういう中で、実は果汁の自由化が行われてきた。昨年度は、何か輸入枠八千トンに対して非常に需要の伸びが大きかったために緊急輸入一万トン、こういうような輸入枠の増大が行われたようですけれども、本当に自由化されて、これからリンゴ栽培農家にとっては非常に大きな問題だと思うんですが、輸入果汁の見通しですね、それに対する日本の対策、ここら辺についてお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(松山光治君) 先生には、リンゴ問題について大変深い御理解をいただいておって感謝しておるところでございますが、今リンゴ果汁の自由化の問題と関連いたしました御質問でございます。 ことしの四月に自由化をいたしたところでございますけれども、四月の輸入実績しかまだわかっておりません。濃度が不明でございますので単純な比較がなかなか難しいんでございますが、一応対前年同月比で単純に比較をいたしてみますと、約七倍という急増を一応示しておるわけであります。 ただ、今後ともそういうふうな傾向が持続するかどうかということにつきまして、私どもも大分心配しましてそういう意味では関係者の意見を徴しておるところでございますが、御案内のように、我が国のリンゴ果汁消費の過半を占めております混濁果汁、これは輸入物に比べまして国産物が相当品質的にすぐれておるということでございます。したがいまして、その国産果汁へのニーズは相当強い。したがって、今後ともこういう輸入果汁の急増が続くということは考えられないというのが関係者の一般的な意見でございまして、四月はまさに自由化のときの一時的な動きではないかというふうな感じでございます。そういうふうなことから、国産の果汁関係者は、さらに果汁の高品質あるいは低コスト化を進めるということで、現状の二十数万トン程度という加工仕向け量を何とかして確保したい、こういう意向も非常に強いわけでございます。 私どもの今の需要見通しでございますが、ことしの三月に発表いたしました西暦二〇〇〇年を目標年度とした果樹農業振興基本方針、ここではリンゴの需要量、青果につきましては人口増程度、果汁につきましては天然果汁の需要増を想定いたしまして、全体では一三・五%増の百十六万五千トン、このうち国内生産量といたしまして百十万トン余のものを確保する、こういう見通しに相なっておるし、この見通しの実現に向かって各般の努力を重ねなければいかぬだろう、このように考えておるところでございます。 そういう需給見通しと自由化という状態を踏まえながら、私どもの施策の展開の考え方でございますけれども、やはり国際競争に耐え得るような産地の体質強化を図ることが基本である。幾つかの面で国内対策を進めておるところでございますが、一つは原料用の果実の価格安定対策でございます。これまでやっておりました豊凶変動に伴います価格差補てんに加えまして、リンゴ果汁の自由化に伴いまして価格低価が万が一起こったときのそれを補てんするという、こういう趣旨の特別補てん事業を六十三年度から六年間実施するということにしてございます。また、果汁工場の設備の近代化も重要な課題でございますので、品質向上のための搾汁等の施設整備につきましては、これは助成の対象にしてございますし、かつまた工場全体の近代化、合理化のための特別の資金を先般法律でお認めいただいた、こういうことに相なっておるわけであります。 生産流通面の対策といたしましては、園地改良なりあるいは作業道、集出荷施設等の整備に対する助成ということで補助制度も拡充いたしておるところでありますし、かつまた資金面では農業改良資金を拡充いたしまして、矮化栽培でございますとかあるいは省力用機械の導入等の資金種目の追加もいたしておるところであります。また、改植農家に対しましては、低利、三%でございますが、経営維持安定資金を融通するといったような措置も講じてございます。同時に、パイを大きくするという意味では内外の需要拡大の問題がございます。そういう意味で広報宣伝なり市場調査、消費啓発といったようなことで、国内なり海外の市場開発の問題についての助成も進めていく、こういうことでございます。 いずれにいたしましても、厳しい状況には間違いないわけでございますが、やはり農家の方にも頑張っていただいて一定の生産を確保していく、そういう努力を我々もできるだけ支援していきたい、このように考えておる次第でございます。
○星野朋市君 そういう中で、実は六月十日の朝日新聞に「「国営リンゴ園」赤信号 造成面積、計画の一割」という記事が出ました。実はこれは、事実は調べてみましてもそのとおりなんですが、その原因であるとかそういうことに関しましては、ここに書かれてある事実とそれから実際とは多少私違っているように思いますので、この問題については特に触れませんけれども、要するに国営の農地事業という問題は、先ほど私が申し上げました四つの中の一つにもありますように、余り国自身が関与しない方がいいんじゃないか。それで国営土地改良事業制度の再編整理という平成元年度の事項がございまして、この中に国営農地開発事業の廃止と国営農地再編パイロット事業の創設、こういう概要がございます。こういうことはもう極力推し進めていただきたい、これは要望でございます。これは質問ではございませんで要望でございますので、よろしくお願いしたい。 最後は、私の質問の恒例でございますけれども、実はリンゴの新技術の件です。先ほど私は、日本には冠たるふじとむつという二つの種類があって、特にふじというのは、アメリカのニューヨーク・タイムズにも載った記事だと思うんですけれども、リンゴが日本に渡ってきたのは実はアメリカからであるけれども、やがてアメリカのリンゴは日本産のふじに席巻されるであろうという予測記事が出たぐらいでございますね。実際にロサンゼルスの効外のかなり高級マーケットでアメリカ産のふじ、これが日本ほどすっきりした形ではないんですけれども、アメリカ産のデリシャス系のものに比べて倍ぐらいの値段で売られておる、しかも非常に需要があるというような実態を見ております。 ただ、いろいろ私どもが話し合ってみますと、今日本のふじ、むつというのは実は余りにも甘み志向で、しかもでか過ぎるというんですね。外国では非常にこれはいいわけですけれども、日本のこれからの需要について見ると、さてふじというのはもうかなり限界じゃないか、ポストふじを考えるべきじゃないかという御意見もあるわけです。紅玉を懐かしむ人も随分出ております。ということでポストふじの決め手がございましたらお知らせいただきたい。
○政府委員(西尾敏彦君) ただいま先生からお話がありましたように、日本のリンゴのほぼ五〇%がふじでございます。ふじは私どもの果樹試験場の盛岡支場でつくった品種でございまして、現在でもこんな太い原母樹がまだ生えておりますので、一遍ごらんいただきたいと思うわけでございます。
○星野朋市君 見ました。
○政府委員(西尾敏彦君) そうでございますか。 そういうことでございますけれども、それ以外にもっと、わせからおくてまでの品種の改良というのを私ども努力をしているところであります。ただ、先生今お話がありましたように、日本のリンゴはやや大粒でございます。私どもの育種の目標としては、大体二百五十グラムから三百グラムぐらいの中玉という言い方をしているのですけれども、そういうもので甘みと酸味が適当にまざっているということで、甘みでは大体一三から一五%の糖度、それから酸味では〇・四から〇・八ぐらいの酸味というのを標準にして育種をしているところであります。そのほかに、もちろん果汁が豊富であるというようなこと、さらに肉質が緻密であるというようなことを育種目標としているわけでありまして、最近では、あかねでありますとか、はつあきなどという品種を育成しておりますし、ふじにかわる有望な品種としては五十九年にできましたひめかみという品種がございます。さらに、一番新しい品種で、きざしという品種ができておりまして、これはやや小粒でございまして、ふじに比べてやや酸味が強いということで、先生のおっしゃるような品種でございますけれども、そういう品種があした公表されるはずでございます。 そんなことで、今後とも品種改良には努めてまいりたいというふうに思っております。
○星野朋市君 極めていいお話を聞きましたので、ここで質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○委員長(仲川幸男君) 本調査に関する質疑はこの程度といたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時四十四分散会