農林水産委員会 第7号
- 発言数
- 197 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1990/05/29
会議録
○委員長(仲川幸男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨二十八日、橋本孝一郎君が委員を辞任され、その補欠として三治重信君が選任されました。 —————————————
○委員長(仲川幸男君) 水産業協同組合法の一部を改正する法律案、海洋水産資源開発促進法の一部を改正する法律案、以上両案を便宜一括して議題といたします。 両案につきましては、既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○菅野久光君 法案の審議に入る前に、今大変な問題になっております北朝鮮籍船による違法操業といいますか、そういうことで拿捕されたというようなことがありますが、新聞の見出しなどは偽装操業だとかいろんなことが言われております。何が一体本当なのかということはなかなかわからないんですね。それで、今の段階であの事件について水産庁として把握されていることについてまず簡潔にお知らせいただきたい、このように思います。
○政府委員(京谷昭夫君) ただいま御指摘をいただきましたソ連によります北朝鮮漁船の拿捕問題、またこれに関連をして、この拿捕された北朝鮮フラッグの漁船に日本人船員が乗船をしておったというふうな情報、報道が伝えられておるわけでございますが、私どもが現時点で確認をしている状況、ごく大ざっぱに申し上げますと、一つにはソ連側に支配されておる関係漁船というのは十二隻であるというソ連側からの通報を受けております。ソ連側の認識として、これらの船はいずれも北朝鮮のフラッグを掲揚し、船の標示も北朝鮮の船の標示をしておる。それで、そのことについて、特段ソ連側が疑問を持っておるというふうな情報は得ておりません。 それともう一つは、この十二隻の北朝鮮フラッグの漁船には、相当数の日本人が乗っておるという事実もソ連側から通報をされております。具体的に、その人数なり氏名等についてはまだ通報されておりませんけれども、外交ルートを通じましてその確認を現在急いでおる、こういう状況でございます。いずれにしましても私どもとしては、現時点でともかく日本人が乗船しているとすれば、これらの方々、現実にソ連の支配下のもとに現在置かれておるわけでございます。その安全確認を急ぐと同時に、無事な、何といいますか、日本側への引き渡しについて可能な努力を最大限してまいりたいというふうに考えておるわけであります。 それから、国内をめぐる問題でございますが、実はソ連側からただいま通報を受けております北朝鮮籍の標示あるいはフラッグを使用している船というものが、日本から違法に貸し出されたものではないかという国内法違反の嫌疑が生じております。このことをめぐりまして、国内法違反という問題でございますと、やはり単なる調査ということではなくて、ある程度刑事手続も踏まえた捜査を行う必要があるという判断のもとに、海上保安庁当局が捜査に着手をしておる状况でございます。 これに対して私どもとしても、私どもの得ております情報については随時海上保安庁側に提供し、全面的にこの捜査活動に協力をしていく、こういう態勢でいるところでありますが、その国内事情の詳細につきましては、御承知のとおり既に捜査に着手されておりますので、ひとつ御勘弁をいただきたいと思うわけでございますが、いずれにしても捜査のさらなる進展あるいはまた終結等のタイミングを見て、事実関係というものを当然捜査結果として公表されるでありましょうし、またそれを補足する意味で私どもの事実認識を申し上げる時期があろうかと、かように考えておるわけでございます。
○菅野久光君 海上保安庁によって捜査をしている、その中身の問題は、今の段階で言えないということについてはわかりますが、この問題にかかわって、水産庁自体の中にいろんな問題があったのではないかということが報道関係などによって指摘されております。そういう点からいって、こうした形での密漁が行われていたというそういううわさがかなりあったそうでありますけれども、水産庁はこのようなうわさを知っていたのかどうか、その点についてはいかがですか。
○政府委員(京谷昭夫君) 今回の案件について、一部報道に、事前に水産庁は知って暗黙のうちにこれを了解しておったのではないかというふうな記事が登載されておりますが、主としてこれは、今回の捜査対象になっている人物のお話を踏まえて多分書かれている記事ではないかと私ども考えておるわけでございます。我々は、このような動きについての情報は得ておりますけれども、このような活動は国内法の手続を踏まなければ実行不可能であるということは明確に申し上げておるわけでございまして、実はそういった意思疎通は、北海道庁とそれから水産庁の担当者レベルでのやりとりがありまして、北海道庁からその捜査対象になっている人物にも、その意向は伝わっておるというふうに私ども認識をしております。 特にまた、このような国交のない北朝鮮を対象としたこの種の活動、そしてまた漁業内容によりましては、既存の日本の漁業者との大変難しい利害調整を要する問題でありますから、本当に、適法にこれを行うとすれば、水産庁のハイレベルへの相談というのは当然あってしかるべきでありますけれども、全くその痕跡はないわけであります。北海道庁の担当者を通じまして、我が方の担当者との間で、いわば本質的な問題じゃないことについてある種の意思疎通があったことは事実でございますけれども、これに対して我が方の担当者からは、明確に国内法上の許可は与えられることはないであろうということが意思表示されておるというふうに私どもは理解をしているわけであります。
○菅野久光君 合弁事業について水産庁に打診をしたというようなこと、それから釧路の漁業会社によると、水産庁には契約書のコピーが届けてあるというようなことなども言われているわけです。そんなことなどからいえば、もっと厳しくそういうことは絶対やっちゃいけない、やってはならないことなんだという、そういう指導が水産庁からあったのかどうか。何か新聞報道によりますと、いいとも言えない、だめだともまた言えないような問題だというようなことで非常にあいまいな態度だったと。だから、やってもいいだろうというようなことで出漁をしていったのではないかというふうに私は推測せざるを得ないわけです。その辺の水産庁としてのきちっとした指導といいますか態度といいますか、このようなコピーが届けられたり、水産庁に打診があった段階でそういうことがなされたのかどうか、その辺についてはいかがでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) 捜査が開始されてから捜査の対象になっている方が、いろいろなみずからの見解を申し述べておるようでございますが、それにまつわる事実関係については、これまた捜査の対象になり得るアクションでございます。この場で、私どもなりに掌握をしている細かな経過について申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、そもそも北海道庁の担当者と水産庁の担当者レベルで、意思疎通、連絡が行われた問題は、このような合弁事業の可否についての問題ではございません。このような契約を前提にしたような漁業を展開するために、国内法上必要とされる許可の前提になる漁船の登録が可能であるかどうか、漁船法上の登録手続が可能であるかということについての打診でございまして、そのことについてはその時点で、担当者レベルで国内法上の手続がなければそういう登録はできないというふうな応答があったようでございます。 その際に参考資料として、北朝鮮側と捜査対象になっている人物が代表して結んだ契約書の写しを入手しておるようでございますが、これは、国内法手続が当然進まなければ実行ができる話ではないということで、黙殺をしておったというふうな状況であると私は認識をしております。したがって、あり得ない話であるという認識のままに事態の推移を見たというふうに私どもは認識をしております。 細かい事実については捜査とも関連しますので差し控えますが、私どもとして、この問題について了解をしたとか黙認をしたという事実は全くないと認識をしておるわけでございます。
○菅野久光君 水産庁は、黙認をしただとか暗黙の承諾を与えたなどというようなことはないということですが、受けとめ方としては、何かそれらのようなことが漁業者たちにとっては受けとめられたということ、ここら辺のところは食い違いがありますからここでどっちが本当なんだということは、私は今この段階では申し上げませんが、本日の新聞などでも、二十二日の午後に、「「おたくの船は、北朝鮮の指導船として、沖に行っているか」と尋ねてきた。それを認めると「連絡がつけば、日本に帰るよう伝えてほしい。いま帰れば、違反にはならない」と要請した」というようなことが書かれているわけであります。こういったいいとも言えないとかだめとも言えないというような対応の問題だとか、それから今、私が新聞記事を読み上げたようなそういったこと等については、今の段階ではそういうことはなかったと言い切れるのか、既にこれらのことについては水産庁内部の問題としても把握をしておられるのか、その辺はいかがでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) 一部新聞に報道されておるような捜査対象になっている人物のお話、あるいはまたそれに基づく記事についての事実関係、私なりに下部から話を聞いております。したがって、私がそういう報告を聞いている限りでは、少なくとも黙認あるいは了解というふうな事実は全くないというふうに考えております。その具体的な理由等々については、先ほども申し上げましたように、現在捜査段階でございますので、必要がありますれば私ども捜査当局にこの辺の事情の情報はよく伝えてまいりたいというふうに考えております。 また、内部問題としてそのときどきの応答のしぶりについていろいろ御批判があろうかと思いますけれども、これはまた捜査の進展、終結を見て、私どもも事実掌握に努めますけれども、その結果を見てまた改めて批判されるべきところは批判されなければならないし、また我が方としても内部的に正すべきは正していきたいというふうに思っておりますが、現時点では、まずはできるだけ早く事実関係を掌握するということであろうかと思っております。私が報告を聞いた限りでは、少なくとも暗黙の了解とかあるいは了解というふうな事実は全くないというふうに申し上げられると思っておる次第でございます。
○菅野久光君 全くないというふうに今の段階で言い切れるのかどうか。それは、内部でどのような調査をされたのかわかりませんが、そういうふうにはっきり言い切れるのかなというような感じが率直に言って私にないわけではありませんが、いずれにしろこの問題は非常に重大な問題だというふうに私は思うんです。 したがって、このようなことが再び起きない、再発防止のためにも一体真相は何だったのか、事実は何だったのかというそのことの解明をこれは急がなくちゃいけないというふうに思うんです。その全容解明についてできるだけ早くやっていただいて、再びこんなことを起こしちゃいけない。しかも、このサケ・マスの問題は国際規制の中で行われている問題ですね。しかも、この漁船を貸したという人たちのほとんどは漁業協同組合にも入っていない人たちがいるわけですよ。ですから、北洋にこのサケ・マスの問題で行かれる人たちが、本当に大丈夫なんだろうかということで大変不安を抱いているというふうに思うんです。そんな問題をはらんでいるだけに全容解明についてはひとつ全力を挙げて取り組んで、再びこのようなことが起きないようにしていただきたいと思うんですが、事件について今の段階で、大臣の感想的なものでもあればひとつお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(山本富雄君) 最後に、先生から出ましたかかる事件が再び起きないように、そのことが非常に大事だと、こういう御指摘はまさに私もそのとおりだと思っております。 それからまた、まだこの事件の全貌が把握をされておりませんので、ここで私からコメントできませんけれども、しかしこのような事態が起きたということはまことに遺憾なことだというふうにも思っております。 水産庁長官からるる答弁がございましたが、長官と私の間でもこの件についてけさまでいろいろやりとりがございまして、中身は申し上げませんけれども、おおむね先生が御心配なすっているようなことを含めまして、私と長官の間でやりとりがあった。一つは、これは国際的な大きな問題に影響を与える、あるいはまた来年以降の遠洋漁業の問題について、サケ・マスなどについてあるいは底びき網問題などについても大きな問題を与える、そういう点でも十分これは考えなくちゃならないのじゃないか。事件の解明は解明だと、これは徹底的にやるべきだと。しかし、そういう影響がこれらによって出てくることを十分配慮して対応する必要があろうということ。 それから、今拿捕されている日本人、漁船員、船員の問題もありますから、このことも極めて心配だということなども十分話し合いをいたしました。今先生から水産庁の内部で云々というお話もございまして、その点も私率直に水産庁長官と話し合いをいたしました。これは先生、法に違反して船の扱いをすることなど、水産庁の職員あるいは北海道の職員がオーケーをするはずはないのでありまして、その点は私は信じております。ただお役人でございますから、法の解釈といいますか、扱いについて非常に律儀にやっている、そして俗に言う政治的な言い方ややり方はやらない、またそのことはいいことなんですけれども、そんなこと。 それから、これは私の感じですけれども、やっぱり行政に血もあってもいい、涙もあってもいい。これは先生もいつもおっしゃることなんですけれども、そういう点で違法を許すわけにはいきませんけれども、いろんな言い分についてはお互い現場にいれば話し合いも時にあるのではないか。そのことが合法化していいことにはならないわけですけれども、そういうことも含めましてしっかり水産庁長官、事実確認をしなさい、事件は事件として解明をせよ、それから水産庁内部の問題あるいは北海道庁との問題、関係組合あるいは会社との問題も今後の問題があるんだからしっかりやれということを特にけさ注意をしたばかりでございます。 以上です。
○菅野久光君 いろいろな配慮の中で、大臣も大変苦労なさっているというふうに思いますが、少なくともやっぱり国民からいささかの疑惑も持たれるようなことのないように、水産庁としてもひとつしっかり対応してもらいたいというふうなことを申し上げて、この件については終わりたいと思います。 法案の方に入りますが、初めに海洋水産資源開発促進法の改正案に関連して、資源管理の問題についてお尋ねをしたいと思います。 まず、どうして資源管理協定制度が必要になったのか、そのことを御説明いただきたいと思います。
○政府委員(京谷昭夫君) ただいま御審議をいただいております海洋水産資源開発促進法の中で、一つの大きな課題として資源管理協定制度というものをつくることを予定しておるわけでございます。この発想の根本になっておりますのは、御承知のとおり国際的な二百海里体制の定着で、我が方のいわば遠洋漁業が大変縮小を余儀なくされておる。また、周辺水域の水産資源の状態につきましても、御承知のとおり底魚類を中心にしてやや資源の劣化傾向が見られる、こういう状況下で改めて周辺水域の大事さと申しますか、重要性というものを見直す必要がある。その場合にやはり水産資源というのは、再生産が可能で成長する生物資源ではあるけれども、漁獲の仕方が限度を超すと、この再生産メカニズムというものがうまくいかなくなるというふうなことにこれからなお一層、何といいますか、努力をしていく必要があるというふうに考えておるわけでございます。 もちろん、こういった観点から漁業法あるいは水産資源保護法に基づく公的な規制措置が種々あるわけでございますけれども、やや公的な規制措置については機動的な対応がなかなかしにくいというふうな性格もございますので、いわばこれと並行して水域なり、地域の実情に応じてきめ細かく機動的な、いわば資源管理のための努力というものが必要ではないか。そのために関係漁業者あるいは漁業団体の自主的な御努力で、実情に応じた自主的な規制措置というものを進めていただくということも一つの重要な方策ではないか、こう考えてこの制度の創設を意図しておる次第でございます。
○菅野久光君 水産資源が全国的に減ってきていることは皆さんがよくわかっていることですね。私の地元の北海道でも重要な資源が減ってきて、漁業者が悲鳴を上げているというような状況にあります。しかし、何とか資源を守らなきゃいかぬということで、その自主的な規制も進めているという地域もあります。このような現象は本来私は起こり得ないと思うんですが、今漁業法だとか、水産資源保護法だとかあるいは都道府県の漁業調整規則ですね、こういったようなものが厳格に守られていれば、このようなことは私は起きないのではないかというふうに思うんです。 例えば、漁船、漁業の許可だとかあるいは漁業権の免許に当たって、水産資源の保護、培養などの必要があると認めるときは、必要があればそれらを取り消したり制限したりすることが可能なんです。したがって、行政がこれらの法律を本当に適正に使用していれば、運用していたら、不可抗力的な自然現象や外国漁船による乱獲を別にすれば、資源が減ることは起こり得ないというふうに思うんです。だから、水産資源の問題でそれが減ったということは、ある面でいけばこれだけの法律あるいは規則などがある中で減ってきたわけですから、それらの運用が適切でなかったのではないかというふうに思わざるを得ない。言えば行政の責任ではないかというふうに思うんです。 そんなことを考えていきますと、今後許可制度や免許制度は、資源管理型漁業の実現のために厳格に運用すべきではないかというふうに思うんです。せっかく法律だとかあるいは規則をつくっても、それが厳格に運用されていなければこのようなことが起きるわけですね。そういうことについて、大臣及び水産庁長官はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(山本富雄君) 今先生の御指摘のとおり、近年底魚類を中心にいたしまして非常に調子が悪い、悪化傾向にあるということは私どももよく認識をしております。ただ、今先生のお話で行政責任の話が出ました。もちろん、行政はすべてについて責任を負わなきゃなりませんけれども、ただこれは、法の運用の問題だけであったかどうかということになりますと、非常に最近技術が進歩いたしまして過剰な漁獲努力とでもいいましょうかね、非常に進歩の結果そういう状態が起こってきた、あるいはまた漁場がいろんな原因によって汚染されて、そのことが魚が減ることにつながっていったということなど、言うならばいろんな原因が総合的に重複をしてこういうことになりつつあると。もちろん法の運用は適正を期さなきゃなりませんし、きちんと守ってもらわなくちゃいかぬと思っておりますが、すべてが行政責任であるというふうに言い切るのはいかがなものかなという感じもいたしております。 いずれにいたしましても、従来の法律を含めまして、また今回の水産二法、これらにつきましても魚類を守りさらに育てふやしていこう、こういうことにあるわけでございますから、そこで資源管理協定制度の創設ということなどもお願いをしているわけでございまして、これらの運用を通じて魚類の保護育成ということにできるだけ努めてまいりたい、こう考えております。
○菅野久光君 すべてが行政責任だというようなことは、私もすべてがということでは言わない。いわゆる別な要因から資源が減ってきているというものもありますけれどもね。どっちかというと、何か厳格な運用というものに欠けていたのではないかということを申し上げておきたいというふうに思うんです。私は、この資源管理協定制度についてはないよりはましだと、こう言ってはまことにせっかくつくられた農林水産省に対しては悪いんですが、せいぜい一歩前進といった程度の評価しか率直に言って与えられないわけです。 確かに、漁業者みずから資源を保護しようとする動きに行政が手をかすということは悪いことではない。しかし、この協定を結ぶことのできるところは、言ってはなんですけれども、多分資源にも経営にもまだかなりゆとりのある、多少自主規制をしても何とか経営上しのいでいけるところが中心になるのではないかというふうに思うんです。逆に言えば、経営に大きな影響が出ない程度の自主規制で資源を守ろうと、こういうところが中心になるのではないかというふうに思うんです。そうしてそういうところは既に自主規制を行っていて、この法律ができればこれまでの規制の内容を協定という形に改めるだけといったことになるのではないかというふうに思うんですが、それはいかがでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) 今回予定をしておりますこの自主的な資源管理協定制度、実態的な運用がお話しございますように、資源なり経営にゆとりがある場合の方がつくりやすいということは確かに御指摘のとおりだと思います。 ただ、やはり長期的に沿岸漁業の資源の再生産を確保して経営の安定を図るために、多少資源なり経営について負担のかかるような形で自主協定をつくっていかないと、そういう資源再生産メカニズムの保持は非常に難しい場合が多うございますので、それに伴ういわば負担についてどういう我慢ができるか、あるいはまた公的な援助策としてどういうことができるかということとも非常にかかわり合いが出てくることを私ども認識をしております。一部既に、そういった考え方で資源管理漁業への誘導策のための援助策を若干今までもやっております。これをさらに継続、拡充するようなことも含めてこの制度というものが定着し、実効性を持つような方向に育成していくように、私どもとしてもよく努力をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○菅野久光君 今緊急に資源管理を必要としているところは、このような協定をお互い同士で結ぶことなどはとんでもないといったところが多いのではないかというふうに思うんです。そのようなところでは、資源量に比較して余りにも漁船隻数などの漁獲努力量が過大になり過ぎて、減船だとか休漁、漁船の小型化といった荒療治をしない限り事態の改善は望むべくもないというようなところだというふうに思うんです。ところが、このようなところでは、既にもう経営の悪化が進んで漁業者間の利害も鋭く対立している、手の打ちようがないといったところが多いのではないかというふうに思うんです。 私の地元の北海道で、もともとこの資源が減少傾向にあったところに、北洋漁場から締め出された沖合底びき船が北海道の沖で操業依存度を強めたことなどから、ここ数年来許容漁獲量をはるかに上回る漁獲が続けられています。その結果、許容漁獲量自体が年々減少して、このまま放置すればもう再生産の確保もおぼつかない状況になって、これは沿岸と沖合の漁業者間の対立が大変激しくなったわけです。 そのために北海道庁は、昭和六十三年に資源管理のための素案を打ち出しました。これをもとに漁業者団体が沖合底びき船の小型化、底びき禁止ラインの見直し、網目規制、体長制限、資源保護区の設定、禁止魚種の設定などについて意見を出し合いました。しかし、このほどようやく一部の短期的な措置が実施に移されることになったものの、船の小型化など、肝心の中長期対策は今でも実施のめどが立っていません。このように、緊急に本格的な資源管理を必要としているところほど実際にはそれを実行するのが大変難しいわけです。 そこで、沿岸と沖合の間で話がこじれているような場合には、大臣許可漁業について責任を持つ水産庁が、資源保護の立場に立ってもっと積極的に調整に加わってもよいのではないかというふうに思います。また、協定締結のための援助措置を講じてもよいのではないか。こうした姿勢を水産庁が見せれば、資源保護と資源管理協定締結の機運もさらに盛り上がっていくものというふうに思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) ただいま先生から御指摘ございましたように、北海道周辺水域で沖合底びき網漁業と各種の沿岸漁業の間で、双方の操業の問題をめぐって大変いろんな難しい問題があること、私どもよく承知をしています。道庁が間に入りましていろいろ御検討をいただいており、一部については結論が得られるが、中長期的な課題も多々残されるというふうな状況、私どもも報告を聞いております。実はそういう問題をはらんだ問題について、公的な規制でなかなか強制力を持った介入をしていくということは大変利害調整が難しいだけに、私ども大変一方的に公的な規制をやっていくということについては限界があるのではないか、こういう点も実は感じておるわけでございます。 同じ漁業者として、仲間同士でひざ詰めの話をしていくということが一つあれば、大変これが将来の公的規制に向けても一つのよすがになり得るのではないかということで、こういった自主管理協定制度というのに期待を込めておるわけでございますけれども、もちろん私ども、さればといってそういう自主的な資源管理協定の設定に当たって、全くそっぽを向いておるというつもりはございません。おっしゃるように、必要に応じまして関係都道府県ともどもに協定締結のために必要な行政指導、あるいはまた特にいろいろな判断のもとになります資源状況の科学的なデータ等の提供等は、当然私どもあるいは都道府県の資源研究部門とともどもに、資料提供等の協力をしていくということが必要ではなかろうかと考えております。 また、具体的な漁業者間の話し合いを進めるための土俵づくりのために、行政的に何かお手伝いをすることが必要であれば当然そのことも考えていかなければいけないと思います。 また、先ほども御指摘になりましたが、いわば自主協定によって経営上の痛みが発生する場合が多いわけでございます。これに対する手当てをどのようにしていくかということについては、御承知のとおり、従来から特定漁業生産構造再編推進事業というふうなことで、事実上ある特定の漁業についての構造再編を進めるための手法もあるわけでございますので、これらとの組み合わせ等を通じていろいろなお手伝いをしながら、自主的な資源管理協定というものが定着をするように、さらに努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
○菅野久光君 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、幾ら法律をつくっても、それをどう積極的に運営していくのか、運用していくのかということが、その法律が生きた法律になるのか死んだ法律になってしまうのかということになるわけです。そういう点で、せっかくつくるわけですから、この法律が効果的に運用できるように、そういった意味での積極的な水産庁としての取り組み、それを私はこの機会に要望しておきたいというふうに思います。 それで、この資源管理に一番有効なのは、漁獲努力量を減らすための減船や休漁だというふうに思います。ところが現在、資源保護のために自主的に減船や休漁をしても、救済のための交付金というのを政府は出さないわけですね。出すのは国際規制の場合だけです。自主減船の場合には、共補償のための農林漁業金融公庫資金の融資、そしてそれに伴う利子補給、廃船のためのスクラップ補助などがあるだけです。 私の北海道では、北洋の底びき船の話で、その船主は減船に当たってもちろん救済金は交付されたが、それまでにたまった借金を返すのにはもう到底足りない。家屋敷も手放してとうとう夜逃げをしたという話はあちこちにあるわけです。国際規制による救済金を交付されていてすらこのようなことですから、漁業経営が苦しくなっている中で、救済金の交付されない自主減船や休漁しろというのはどだい無理だというふうに思うんです。そのことは、私よりも水産庁自身が一番よく知っておられることではないかというふうに思います。 だから、この自主減船が進まずに資源は減っていく一方なわけです。このままでは、資源管理型漁業の推進は名ばかりで実効が上がらない。気がついたときには沿岸にも沖合にも魚がほとんどいなくなってしまうというようなことになりかねないわけです。私は、これまでも機会あるごとに自主減船や自主休漁にも交付金を交付すべきだというふうに思って申し上げてきましたが、その財源は、巨額に上るようになった輸入水産物の関税の一部を充てれば済むのではないかというふうに思いまして、全漁連などの漁業者団体でもほぼ似たような計画を検討しているというふうに聞いております。 私は、昨年の十一月にサケ・マス減船問題で質問した際に、京谷長官に、あなたは畜産局長のときに牛肉の自由化対策財源として牛肉関税を確保した実績を持っているのだから、今度は水産物関税で減船補償の財源をつくってもらいたいと質問をいたしました。しかしそのとき長官は、牛肉と水産物は状況や背景が違うからその考えはないと、もう軽く突っ放されてしまいました。本当につれないなというふうに思ったんです。これを聞いた漁業者はさぞがっかりしたのではないかというふうに思います。その後、国際漁業については減船補償が昨年十二月の閣議了解で一応制度化されました。しかし、この制度は対象が国際規制によるものに限られるということですね。 ところで、その国際規制による減船と自主減船をなぜそんなに差別するのか。やめる点では全く違いがないのではないかというふうに思うんです。資源保護という点からいっても、一方が国際的に貢献するということであれば、もう一方は、この自主減船が国内的に貢献するということで何も違いがないのではないかというふうに思うんです。農業でも、米を減反すれば減反補償金が出る、経営を移譲すれば農業者年金も出ます。自主減船や休漁に救済金を出しても何もおかしくないのではないかというふうに思うんです。参議院出身の大臣にぜひとも一肌脱いでもらいたい。京谷長官も木で鼻をくくったような答弁ではなくて、今回は、この発足した減船補償制度を自主減船や自主休漁も対象とする制度に変えます、財源は輸入水産物の関税からつくりますと、そう答えてはどうでしょうか。そうすれば漁業者も、さすがに京谷さんは事務次官候補だと感心して、あなたの評判がさらに高まるに違いないと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(山本富雄君) 京谷さんの名前が出ましたけれども、私から謹んで答弁いたしますが、先生のお気持ちとお言葉、御指摘はもっともだなと思うところもあるんですけれども、どうもいい答弁がなかなかできそうもないんです、最初からおわびして恐縮でございますが。 今御指摘のとおり、前段の自主減船の場合の面倒見、これは今さら申し上げるまでもないんですけれども、やむを得ず減船をさせる、国際規制の強化とか国際協定などによって現行の隻数が維持できなくなったという判定のもとに、ある意味では強制的にといいましょうか、やむを得ず減船させる、こういうものに対して国が講ずる措置がこの再編対策の措置だと。これはもう言わずもがなでございます。 今それに対して自主減船も国内対策として、沿岸対策として必要じゃないかというふうな御指摘もございまして、なるほどそのとおりだなと思う面もありますけれども、なかなかこの考え方が難しくて、魚価が低迷したあるいは資源の状況の悪化で漁業経営が悪化した、こういうことで業界が自主的にやるという場合には、まさに中小企業その他でもいろいろ使われますけれども、自助努力で、そのときそのときの判断でやっていただく以外に今のところ方途はないのじゃないか。大変冷たいような言い方で恐縮でございますけれども、自主減船と再編対策による減船の場合とはおのずから考え方が違うというふうに私どもは考えております。しかしさりとて、それじゃ自主減船の方々もどんどん勝手に減らせばいいやというふうなことではいかがなものかと思いますので、それこそ金融措置、その他できる限りのことはさせていただくというふうに考えておるわけでございます。 それから、今の後段の関税の話、これまた御承知のとおりだと思いますけれども、これは一般財源で使用されて、その中から我が方が水産関係に対して相当多額なものを総合的に、先生数字をよく御承知だと思いますけれども、年々歳々大蔵省に腕まくりでお願いをして予算獲得をしてきた。私は、この数字をずっと見てまいりましたけれども、数字を対比して並べるまでもありませんが、相当の額をとってきたというふうなことを考え、また財政制度の基本ということを考えますと、水産物で取ったものはそのまま税で返せ、こういうことができれば大変結構なんですけれども、それは現状ではなかなかできないし、また数字で見る限り、水産物で取った数字の相当倍数のものを我々としては水産関係予算としていただいてこれを皆さんのために使わせていただいておる、こういう認識でございます。 決して血も涙もないわけじゃございませんので、(「大臣がそんな答弁じゃ水産庁長官もいい答弁ができない、そんなこと言われちゃ。」と呼ぶ者あり)いやいや、鬼の京谷じゃなくて、最近は仏の京谷ですから。一生懸命やっていますから。
○菅野久光君 毎回毎回、いつも大蔵に頭を下げていろいろ苦労なさっていることは私もよく知っております。余りそういう苦労をしなくてもいいような、そういう制度をぜひつくるべきではないかというのがまた私の気持ちの中にもあるわけで、今度のやはり資源管理ということについて、最初に言いましたけれども、やはり漁獲努力量を減らすための減船や休漁、これが一番資源を管理するという面では有効的なものなんですね。それが、自主減船には出されないというようなことで国際規制の関係しかだめだと、こういったようなことではなかなか進まないのじゃないかなというふうに思うんです。 例えば水産加工業の問題なんかについても、やはりこういったようなことが私は言えると思うのです。この水産加工業というのは、地先水面で漁獲された魚介類が、生鮮で販売できなかった場合に有効利用するために始まったのが水産加工のこれは歴史ですね。現在でもそのほとんどは中小企業であって、従業員数が十人未満の業者が約六割に及んでいる。この水産加工業の経営体質を強化することが緊急の課題となっている。 これはもう一つの、水産業協同組合法との関係なんですが、財源という面では今のやっと共通するものですからちょっと奇異に思われるかもしれませんが、そういう関係で申し上げますと昭和六十年代に入って、アメリカは自国二百海里水域内資源の付加価値を向上することを目指して水産加工業の振興を図ったために、アメリカの水産加工業の国際競争力は我が国を既に追い抜いたと指摘する専門家もいるほどになりました。そのときに、いろいろ水産加工業などについて出された基金があるんですが、SKファンドというのを水産庁長官御存じでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) 詳しくは存じませんけれども、そのような制度がアメリカにあることは承知をしております。
○菅野久光君 このSKファンドというのは、一九八一年ごろにアメリカの議員が立法した基金で、サルトンストール議員とケネディ議員の頭文字をとったSKファンドという、漁業振興のための基金なんですね。これはアメリカの水産物の輸入関税の三〇%を水産振興に使ってよろしい。それは研究でもよいし魚食普及のための活動でもいい、何に使ってもいいということになっている。そのことによって、アメリカの水産加工業は飛躍的に発展してきたというそういうことがあります。アメリカでこれができるわけですから、日本で、それは水産で大蔵からたくさん金をもらってきているから、今この関税を基金にしてなんというようなことはできないようなお話を先ほど大臣なさいましたけれども、私はやはり一点、こういったような財源を持つということが大事ではないかなというふうに思うんです。 国際化、国際化ということを盛んに農林水産省が言いますけれども、この国際化ということをどうも外国からの農林水産物の輸入を増加させて我が国の食糧自給率を引き下げる、これに何か国際化という言葉が使われているというふうに私は思うんです。この水産物の輸入関税をアメリカがこういう形で使って、自国の水産業の発展のためにやっているということなどをもっと我々も見習うところはやっぱり見習う、そのことが国際化ではないかというふうに思うんですが、そういったような例があってもどうしても我が国はできないというのかどうか、その辺はいかがでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) 重ねてのこの特定財源の問題でございますが、アメリカでこのSKファンドと称される制度を持っておること、御指摘のとおりでございますが、これも実は一九九〇年の状況を見ますと、私どもの情報では、特定財源を使ってファンド造成されている額は、たかだか九十三億円というふうな状況であると承知をしております。しかもまた、使われる内容についてお話しがあったわけでございますが、いろいろな研究関係の経費、それから需要拡大のための経費等々にこれが充当されるということで、細かい点、私どもも不勉強でまだ承知をしておりませんけれども、どうもこの種の施策については、既に私ども一般財源からそれなりの配分を受けて、平成二年度についても、現在御審議をいただいております予算の中に織り込んで確保をしておるつもりでございます。 大変恐縮でございますが、牛肉について輸入関税を特定財源化した経緯の背景には、基本的には、自由化前に畜産振興事業団が牛肉の一元的な輸入の窓口として相当の売買差益を既に得ていた、それでそのことをもとにして各般の対策が行われていたという状態があって、自由化後においてはその状態をさらに維持するということも含めて、子牛に対する不足払い制度とリンクした形で特定財源化が行われておるという経過があるわけでございまして、どうも水産物について、その関税収入を特定財源とするということについては、私どもそういった経過のないことから見て必ずしも適当ではないのではないか。一般的には、関税収入というのは一般財源として収納された上で全体の財政運営の中で配分をされて使用されるべきものと、こういう全体的な建て前に沿って対応することが現実的ではなかろうか、このように考えておるところでございます。
○菅野久光君 年間一兆円を超すこの水産物の輸入と、アメリカの輸入の状況とは明らかに額においては相当な違いがあるということだというふうに思いますが、私はこの問題については、これからもあきらめないでひとつ追及をしていきたいというふうに思いますので、そういうふうに答弁したからもう考える必要はないんだというようなことではなくて、何とか研究できるものであれば研究をして、安心してこの水産政策が実行できるように、一回一回大蔵の顔をうかがいながらやらなきゃならぬようなことにならないように、ぜひ考えてもらいたいということを私はきょうも重ねてこれは申し上げておきたいというふうに思います。 時間も余りありませんので、答弁の方も簡潔にお願いいたしたいんですが、韓国船の対策なんです。 六十二年十月の日韓政府間の取り決めで、オッタートロール禁止ライン外への撤退が続いているわけですけれども、しかし北海道では、本当に無謀きわまる操業が続いて漁具被害が大きくなってきています。私も、この韓国漁船の問題についてはもう何度かこの委員会で質問をいたしましたが、特にこの資源管理の問題に絡んで、資源を管理するために漁業者間でせっかく規制をして大事にしているところに、この韓国船が入ってきて目の前でとっていってしまうわけです。しかも、八百トンとか一千トンとかという大きな船です。もう本当に漁業者の人たちのことを思いやると、私は本当にいても立ってもおられないような気持ちでありますが、まさにトンビに油揚げをさらわれるというような状況です。だから、我々は国内で幾ら資源管理の問題を論じても、特に北海道でこの韓国船、北海道だけじゃない、もう今日本の各地でこういう問題があるわけですが、そういう資源管理の観点からいっても、韓国船に対する規制の問題というのは非常に重要な問題だというふうに思います。 そういう意味で、何とかこの二百海里法を適用させるということが一番有効なわけですけれども、しかし、実際の適用までには韓国との間で時間がかかるのではないかというふうに思います。そんな点で、当面我が国が取り締まり権を持つような資源管理水域を設定することが必要ではないか。そのことによって漁業秩序を守らせる、そして日本の沿海の資源管理をしていくというようなことが必要ではないかというふうに思うんですが、その点についていかがでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) 現在、御審議をいただいておりますこの新しい資源管理協定制度を本当に実効性あらしめるために、まず日本近海で行う外国漁船の操業を適正化する必要があるのじゃないか、私どもまさに基本的にはそう考えておるわけでございます。 御承知のとおり日本近海で操業する、北海道水域、西日本水域についてでございますが、韓国がございます。これについては日韓の漁業協定に基づいて、御指摘のとおり自主規制の合意も取りつけながら、双方の適正操業の確保に努めておるわけでございます。シーズンによって若干の差はございますが、いろいろ違反操業問題といった事態も起こるわけでございます。御指摘ございましたように、二百海里体制をとれないか、あるいはまた難しければ何らかの方法でこの適正操業を確保する方法を考えるべきではないかということ、私どももよくそういった漁業者の要望を聞いております。 当面の問題として、来年の末まで自主規制に関する合意が有効でございますので、この枠組みの中でその遵守を通じて適正操業を確保することが適当であろう。またさらに、長期的には先生の御指摘の問題を含めて、これは何せ相手のあることですので、先方の意向も踏まえながら必要な交渉をしていかなければいけないことでありますけれども、どういう枠組みがあるのかということについてよく我々自身も検討しながら、先方の意向も踏まえた枠組みづくりについての検討を進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○菅野久光君 とにかく考えているうちに時間がどんどん過ぎてしまいますので、早急にぜひ対策を立ててもらいたいということを強く要望しておきます。 次に密漁の防止対策でありますが、最近密漁が大変手口も、何といいましょうかね、プロ化し、集団化したようなことになって大型化してきております。言うまでもないことでありますが、この密漁は漁業者が大きな経済的犠牲を払いながら行っている資源管理の成果を根こそぎさらっていってしまうようなものですね。最近は暴力団なども絡んでくる。そして、高速艇を使ったり、告訴するとお礼参りをしたりするなど大変悪質化しています。海上保安庁、水産庁、都道府県、警察などの取り締まり機関による専門的、集中的な取り締まりが必要なわけですが、現実には漁業者が期待するほどの成果を上げていません。何とかこれらの関係する機関によって、取り締まり体制を飛躍的に強化をしてもらいたいというのが浜の人たちの強い願いなんですが、この点についてはいかがでしょう。
○政府委員(京谷昭夫君) いわゆる密漁問題というのは、まあまあ大ざっぱに言いまして漁業者がいわば目の前の魚をとり逃がすことが惜しくてついついやってしまうというケースと、それから非漁業者が非常に暴力的な手段を用いながらやるということで、後者のケースについてはそう多くはないと思いますけれども、地域的には先生御承知のとおり、根室水域あたりでいわゆる特攻船と言われるような形態で、全くの非漁業者が、これはまあ主として日本の水域を越えた部分を対象に活動があるようでありますけれども、そういったふらちな事態が起こっていることを私ども承知もしております。 ただ、漁業者の中におけるいろいろなこういった行為防止のためには、基本的には漁業サイドの監視機構というものが一定の効果を持つということがありまして、水産庁、都道府県知事の取り締まり指導、さらにまた関係漁業団体の内部努力としてのいろいろな体制整備ということで、漁業者内部でのそういった密漁防止策を講じていくわけでございますが、漁業者以外のそういう暴力的な手段を持った者については、率直に申し上げまして私どもサイドの漁業取り締まりではなかなか撲滅することが難しいという実態にあると言わざるを得ません。私どもとしては、海上保安庁なりあるいは警察当局と連絡を密にしながら、そちらの力を相当程度かりた形で、そういった形での密漁防止対策についてはお願いをしていかなければいけないというふうに考えておるところでございます。
○菅野久光君 漁業者だけで海上保安庁とかあるいは警察の密漁対策をやるということはなかなか難しいわけですね。ですから、全国的にこういったような状況のひどいところについてひとつ調べて、やっぱり水産庁として海上保安庁なり警察などと連絡をとって密漁防止のために水産庁も一生懸命やっているんだという、そういう姿をぜひ見せていただいて、実効の上がるようにしてもらいたいというふうに思うんです。 こんな状況で、今もちょっとお話ありましたが、なかなか公的な機関だけでもこれは難しいんですね。それでもうやむを得ず、全国かなりの県で漁業者が自分たちで密漁監視をするようになってきております。ところが、この密漁監視員は先ほども言ったように暴力団なども絡んでいるということから危険が大きい。しかし、それにもかかわらず身分保障があいまいで、知事が任命しているところもあるようですが、自主的にやっているにすぎないところも多いわけです。鳥獣保護員ですらしっかりした身分保障があるわけですから、密漁監視員があいまいというのは非常に気の毒だ。逆に言えばおかしいのではないかというふうに思うんです。密漁の監視は今や重要な資源管理の一つになってきているものでありますから、漁業法を改正して、せめて鳥獣保護員並みに都道府県の非常勤職員として一定の権限を与えるべきだというふうに思うんですが、この点についてはいかがでしょう。
○政府委員(京谷昭夫君) お話しございましたように、水産庁あるいは各都道府県、さらには海上保安庁、警察を含めたいわゆる取り締まり行政が一定の限界があるということで、密漁監視員というような形で地域によりましては生産者の皆さん方のお手をかりて、指導に近い末端の見張り、監視をしておるという事例がございますが、この形態というのは非常にまちまちでございます。まさに生産者団体等の自主的な発意で行われておりまして、現在全県的にこれが組織化されているというのは十県に満たないという状況でございます。 〔委員長退席、理事大浜方栄君着席〕 また、置かれております監視員の性質も、漁協の職員でありますとかあるいは漁協の方からお願いをした漁業者の方であるというふうな状態、職務の内容も地域によって相当違うというふうな実態にあるわけでございまして、現状ではどうも法制化というふうな形で一律にこれを制度化するというのは非常に難しいと私ども思っております。 ただ、そういった自発的な活動についていろいろ御援助を申し上げるようなことも必要になってきておるということで、漁業者団体のいろいろなそういった密漁監視活動を助成するために、小型の監視船の導入とかそういうものについての助成措置を若干準備して実行をしておる、こういう状況でございます。 それからまた、こういう形での密漁監視員の皆さん方の身分保障といいますか、安全問題ですが、私どもやはり漁業者内部で違反を見張り、必要な指導をしていくということに主体を置くべきであって、漁業者以外の方が非常に暴力的な方法で介入してくるような場合については、できるだけ行政サイドの取り締まり機構が前面に出てこれに対処すべきではなかろうかというふうに思う次第でございます。
○菅野久光君 暴力団的なものはそれを司法当局にというようなことですが、なかなかそこのところの見分けというのはつかないわけですよ。ですから、鳥獣保護員でさえもやはりきちっとなっているんですから、せっかく資源管理について水産庁も頑張っていこうというのであれば、ぜひやっぱりここのところは考えてもらわないとならないのではないかというふうに思うんです。一生懸命努力しながら資源管理をやっていて、それがよそから来てわっと持っていかれてしまう。そのために自衛をするその人たちに対して、やはり何らかの対応策というものをこれからも考えていかなければ、司法当局の手だけでは到底できない。できないからこそ今自分たちでやっているわけですから、そういう人たちに対しても十分な手当てをするように、この点についても強く要求をしておきます。 次に、水産業協同組合の関係でございますが、時間もありませんのでちょっとはしょって二、三お伺いをいたします。 一つは、栽培漁業のための稚魚放流の問題でありますが、種苗生産をしてそれを放流するための政府の補助割合、これを何か引き下げようというような動きがあるやに聞いております。受益者負担、これを増額させようということなのかもしれませんが、しかし我が国周辺水域の資源を維持、増殖することが公共の利益になることを踏まえて、種苗を放流するための費用に対する政府の補助割合を逆に引き上げるべきではないかというふうに思うんですが、この点についての考え方をお伺いいたします。
○政府委員(京谷昭夫君) 栽培漁業の推進に当たっての基本的な役割分担として、私どもは、国は基本的な技術開発を担当する、それから都道府県は応用的な技術開発ないしは種苗の生産、配付を行う。それから、その種苗を受けて放流するのは関係漁業者ないしは漁業者団体であるというふうな大まかな役割分担を考えておるわけでございますが、末端の種苗放流につきましては、一定の経済効果といいますか、利益というものがあるわけでございまして、その見合いにおいて相応の受益者負担をしていくことはやはり必要ではなかろうかと思うわけでございます。 また、この種苗自体の品質がよくなるとか、あるいは放流効果というものがより的確に把握をされるようになってくるということになりますと、当然そういう効果の上昇に伴う負担能力というものが変わっていき得ると思いますので、その辺で今後長期的に見た場合には、それぞれの負担率のあり方についていろいろ議論をするということはあり得ることだと思いますが、すぐさまどうこうするというふうな話はまだ私どもとしても考えておりません。いずれにしましても、基本的にただいま申し上げましたような役割分担を踏まえて、かなり定着をしてきている魚種もございますけれども、未開拓分野についても新しい技術の開発を進め、応用化し、実用化していくというプロセスをさらに進めていきたい、このように考えております。
○菅野久光君 受益者負担というのはわかりますが、少なくとも今よりも補助率を引き下げるなどというようなことは、今漁家の置かれている苦しい状況を考えれば絶対これはやるべきではないということを強く申し上げておきます。 次に、漁協の合併の問題でありますが、かなり以前からこれは推進されておりますけれども、いまだに注目すべき成果は上がっていないように思います。このために、合併を推進する際に障害となっている原因を究明して、その原因を取り除いていくことが必要であるというふうに考えます。どのようなことが漁協の合併を推進するに際しての障害となっているのか、その障害を取り除くためにどのような対策を講じておられるのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(京谷昭夫君) 漁協の合併問題、大変大きな課題になっておりまするし、累次合併助成法の延長について御審議を賜り、それぞれ成立後、合併の進捗に向けて努力をしてきておるわけでございますが、なかなか進捗状況が思わしくないこと御指摘のとおりでございます。 私ども、この漁協合併についての主要な要因としては、一つには漁協特有の現象といたしまして、御承知のとおり漁業権という権利を直接漁協が持っている場合が多うございます。その漁業権の行使をめぐりまして、いわば漁業権の行使主体として地域的な広がりが広がると何となく損をするのではないかというふうな感じがするわけです。 〔理事大浜方栄君退席、委員長着席〕 それからまた御承知のとおり、これはいろいろ御議論があるわけでございますけれども、漁協間の何といいますか、経営格差というものが非常に大きい。みんな押しなべて零細なわけでありますけれども、地域間でかなり経営格差があるというふうなことがあって合併しにくいというふうな問題があろうかと認識をいたしております。そういった悪条件下でありますけれども、漁協系統組織の方でも数次にわたって延長措置を御了解いただいております合併助成措置を踏まえて、合併のための努力をしておるわけでございますが、率直に申し上げまして、なかなか言われるほど早急にこの合併を進めていくことは難しい一面があることは否定できないわけであります。そこで、大変そういった意味でスケールメリットの確保が求められる信用事業について、いわば事業統合というふうな仕組みというものを、今回の水協法改正の中に織り込ませていただいておるということをひとつ御理解いただきたいと思います。
○菅野久光君 漁協は非常に零細な漁協がたくさんあるから、だからそれを合併して力をつけていこうということなんですが、さまざまな問題があろうと思います。 今漁業権の問題についてあるいは経営格差の問題について長官言われましたが、漁協合併助成法によって合併した漁協に対しては課税が軽減されるというようなことが知られていない部分も何かあるやに聞いております。そうであれば、それはやっぱり宣伝しなきゃならぬでしょうし、また助成法によって、合併以前の漁協の組合員だけで漁業権を行使する特例があることが知られていないのであれば、それもやっぱり知らせてやらなきゃならない。さらに、助成法による漁業権についての特例では不安ならば、漁業権の行使を合併以前のままで固定することを検討してもよいのではないかというふうに思います。 また、合併によって合併以前からの施設が廃止されるのではないかという不安があるのであれば、合併後も施設は廃止しないことを条件とすべきではないか。また、合併による役職員の解雇が不安ならば、役職員を解雇しないことを条件とすべきではないか。さまざまな細かい問題があるわけです。組合員同士の意思疎通が不十分になることが不安であれば、合併後も意思疎通に特に配慮するだとかあるいは黒字漁協が赤字漁協と合併したがらないならば、政府が赤字漁協の経営を救済するための何らかの措置を講ずるべきではないか。また、漁協の合併によって営漁地区が沿岸沿いに長くなって経営効率が改善に役立たないということであれば、農協等との業務関係を強化する、こんなことなども検討すべきではないか。 幾つかの問題が障害となってなかなか合併が進まないというようなことになっておるわけでありますから、今私が幾つかの問題、八つばかりですか、ちょっと申し上げましたが、これらの問題についてはぜひ検討して合併を推進していかなければ、信用事業の合併もそれも進んでいかないのではないかというふうに思いますので、この点については私の方から提言をしておきたいというふうに思います。 時間がないので次に進みますが、漁協の指導事業として組合員に対する経営だとか技術の指導、それから種苗、放流等水産動植物の繁殖保護、漁場利用の調整等を行っているわけですが、資源管理型漁業を推進する等のために漁協の指導事業への期待は大変高まっております。しかし、指導事業を担当する職員数の一漁協当たりの平均は〇・六人ということです。また、約四分の三の漁協で指導担当部署や指導担当職員が置かれていない。指導事業を拡充するための対策を早急に講ずる必要があるというふうに思うんですが、政府のお考えを聞きたいと思います。
○政府委員(京谷昭夫君) 漁協は、御承知のとおり購買、販売等の経済事業のほか、御指摘のとおり各般の指導事業もその重要な任務といたしておるわけでございます。しかし、残念ながら経済事業を中心に構築される経営基盤が大変劣弱であるということもございまして、この指導事業に振り向ける財源、人員等について果たして十分かということになりますと、ただいま御指摘ありましたように改善努力をしなければならないという実情にあることを率直に申し上げて、私ども認識をしております。基本的に、漁協自体の経営規模が先ほど来お話に出ておりますように零細であるということのほかに、またそういった問題を克服して経営基盤を、信用事業、経済事業を含んだ全体の経済力というものをつけて、その余裕なり、あるいはまた人員確保の上で指導事業の強化を図っていくことが必要であろうと思っておりますが、私ども単に漁協経営の上でそれが大変大切であるということのほかに、やっぱり組合員の経営指導等という問題もあるわけでございます。 そういった観点で、私ども系統でいろいろそういう条件づくりをする一つの大きな要素として、そういった指導事業に当たる専任職員の質の向上でありますとか、あるいはまた増員等について漁協自体の努力を要請するためにも組織基盤なり経営基盤の強化を図っていくことが、やはり基本的に重要ではないかというふうに存じておる次第でございます。
○菅野久光君 終わります。
○三上隆雄君 それでは、菅野委員から水産二法についての質問が大分なされましたので、私は一般的漁業の問題について質問をいたしたい、こう思います。 なおその前に、当面緊急的な課題として、アメリカのヤイター農務長官が先般日米構造協議に伴って、米の市場開放について執拗に迫ってきておることは周知の事実でございます。一部新聞報道によりますと、我が信頼する日本の山本農水大臣の一連のその批判が、発言が内政干渉であるという発言をされて、私ども大変これは立派な我が農水大臣であるなということに、むしろ敬服、敬意を表する次第であります。しかしながら、米国の正式な書簡が来てないという大臣の答弁も一部ではあるわけでありまして、その辺の真意はどうなのか。その書簡が正式に来ておるのか、もし来ておるならばその書簡の内容をこの権威ある委員会で公表をいただきたい、こう思うわけですが、その点についてお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(山本富雄君) いわゆるヤイター書簡、先日来予算委員会その他でも随分言われたんでございますが、ヤイターさんの書簡を山本あてに親書の形で出したと、こういう話があって久しいんですけれども、私のところへきのうの午前中までは届いておらなかった、午後の時点でやっと参りました。したがって、ヤイター書簡は着いたと、こういうことでございます。 それからなおせっかくの、先生からヤイター書簡が来たとすればその内容を公表せよということですけれども、これは親書として参っておりますから公表すべきものではないというふうに私は思っております。ただ、申し上げられることは、親書というのは本当は日本流でいえば、親展、御直披ということですから本人あてによこす、それがきのうの午後届いた、こういう事実経過ですけれども、出したと言われるときにかなりアメリカの方から新聞、テレビ、マスコミ等でこういう内容のものを出したんだ、こういうのが随分前広に言われたんですね。先生ごらんになったかと思うんですけれども、それらの報道等によるものにほぼ近いということだけは申し上げられると思います。
○三上隆雄君 そもそも批判のやりとりといいますか、それが起きている原因は、一粒たりとも輸入をしないというこの表現が、私はこういうお互い不信を買う言動が起きてくるようなそういう状況になっていると思うわけであります。さきの委員会でも私若干申し上げましたけれども、一粒たりとも入れないというこの表現を大臣初め関係者があらゆる機会にこれを訂正すべきだと、こう思うんです。少なくとも七、八万トンは入っているわけでありますから、これ以上は入れないという表現に変えなければ私は国内外において批判が出るだろうと、こう思うわけでありますからその辺に留意されて御発言をいただきたい、こう思います。 なお、ただいまその書簡を公表できないと言われておりますけれども、もう少し詳しく、この趣旨のことは入っていますよと。そしてまた、それに対する返書をする考えがあるのか、するとすればどの程度のことを返書として出すのか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(山本富雄君) 今の一粒たりとも云々というのは、この間も先生とここで論議をしたわけですけれども、私は就任以来あの発言はいい言葉ではない、物事を正しく認識して表現されている言葉ではないということを言い続けてきたんです。それはすなわち、その表現によると、日本の市場が米を初めとしていかにも閉鎖的だということを象徴的にあらわしている言葉だということが一つ。もう一つは、今先生が御指摘の、既に五万トンからのものが入っているわけでありますから、それは一粒たりとも米は入れないということは的確でないという二つの意味合いで、この言葉は私は使いたくない。以後私は使っておりません。 それから、ヤイターの書簡の問題で重ねてのお話でございますが、繰り返すようですけれども、信書というものは、これは東洋人、日本人あるいは世界全体そうだと思うんですけれども、個人から個人にあてた文書でございまして、それがどういう格好でリークされたかわかりませんが、かなり早々とアメリカの報道機関を通じて日本のマスコミなどにもリークをされている、私はこれはいかがなものかなというふうに思っておりました。しかし、私どもは礼儀は守るべきだというふうに思っておりますので、その中身、全文についての公開は差し控えさしていただきたい。ただ、今申し上げたとおりかねて報道等で漏らされておるような、あのようなほぼ内容であるということは今申し上げたとおりでございます。
○三上隆雄君 なかなか信書のやりとり、そういう国際的なおつき合い等々の事情もあって表明できないとすれば、それはその事情は認めるにしても、やはり担当農水大臣として今までの姿勢を貫いてほしいと、私こう思うんです。申すまでもなく、その前提にある条件としては、先進諸国では最低の自給率、反対に輸入大国でありますからその辺の事情、諸外国も認めておるわけでありますから毅然とした態度でそれに対処していただきたい。 以上、要望申し上げておきます。 それでは次に、水産問題に入りたいと思います。先ほど言ったように、水産二法については同僚議員が詳しく質問しましたしまた今後もあると思いますので、全般的な漁業の問題について質問させていただきます。 実は先般、私の選挙区であります青森県の八戸市、八戸市というのは、いわば水産を主としてもちろん新産業都市としての産業面での開発はありますけれども、水産産業が市の経済の大宗をなしている地帯であります。そこの水産関連三団体、いわゆる漁連、水産加工連、魚市場が共同主催で、八戸の漁業を守る危機突破大会が開催されたわけであります。いわばこれは日本の漁業界の一つの縮図ではなかろうかと、こう思うわけであります。底びき網、まき網、流し網、イカ釣り漁業、そして流通加工、商工業界、そしてまた乗組員家族、すべての漁業、水産業に携わるいわば地域挙げての大会であったわけでありまして、それぞれの提案と決議がなされたわけであります。 それは、強力な漁業外交による漁場の確保であるという一つの決議、そしてまたその外交の中で秩序ある輸入体制の確立ではなかろうかと私は思うわけであります。そしてまた、あわせて沿岸漁業の振興と資源管理対策であり、いわゆる育てる漁業への対策の強化であると思うわけであります。そしてもう一つは、漁業再建に向けての資金対策とそして労働力確保の諸対策であったわけであります。 まず、そこで大臣にお伺いいたしますけれども、いわゆる漁業外交の中で、海外漁場を確保する問題について質問したいと思います。 我が国の遠洋漁業は、一九七七年に世界の海洋秩序が新しく二百海里体制として定着したことにより、アメリカ水域を初めとして、ソ連水域、南太平洋の豪州など、主要な漁場からの撤退に次ぐ撤退を重ねて現在に至っているわけであります。そのありさまは、二百海里元年と言われた一九七七年の北洋漁業等二十三業種九百八十四隻の減船を皮切りに、一九八七年までの十一年間に、母船式サケ・マス漁業、中型サケ・マス漁業、イカ釣り漁業、カニ漁業、以西底びき網漁業、南方トロール漁業、遠洋カツオ・マグロ漁業、母船式捕鯨業、大型捕鯨業、遠洋底びき網漁業、いわゆる北転船でありますけれども、カニ・ツブ・エビ漁業、近海カツオ・マグロ漁業、母船式底びき網漁業などなど、漁業交渉の結果、漁獲量が減らされるか操業が不可能になってやむなく減船せざるを得なくなったその漁船の隻数は、合計して二千百六隻にも上り、このために職場を失うことになったいわゆる離職対象乗組員は二万三千百四十九人に及んでいるわけであります。 このため遠洋漁業の生産量は、一九七三年には三百九十八万トンあったものが、一昨年の一九八八年には二百二十四万トンと半減に近い四四%も減少しているわけであります。そして今また、ソ連は一九九二年にサケ・マスの沖取りを禁止すると主張していて、関係漁業者は不安の中に操業を行っている状況であります。捕鯨船も、南氷洋の母船式捕鯨や大型捕鯨は既に中止されまして、現在は調査捕鯨を行っているのみで、そして世界的な規模での流し網禁止の主張はついに国連決議にまで持ち込まれている状況であります。こうした遠洋漁業が当面している事実関係を並べてみますと、漁業者ならずとも、国民は一様に一体日本の漁業はどうなるのかといった不安を覚えるわけであります。 私は、やはりいろいろと国際的に困難な状況はあると思いますけれども、各水域ごとに沿岸国の実情に適応しながら漁業協力を行うなど、遠洋漁業を適正規模で維持していくためのケース・バイ・ケースの政策を樹立して、その上で強力な漁業外交を展開しそして漁場の確保を図っていくべきだと考えるわけでありますが、政府はこうした難問を抱える我が国の遠洋漁業についてどのようにされるのか。 まず大臣に、遠洋漁業に対する大臣の現状認識と将来展望についてお伺いをいたしたいと思います。
○政府委員(京谷昭夫君) ただいま、我が国の各種の遠洋漁業がこれまでたどってきた経過、今日当面している問題についてのお話があったわけでございます。お話の中にもございましたように、昭和五十三年にいわゆる二百海里体制というものが大体世界的に定着をしてきたわけでございます。そのひな形として、まだ効力は発生をしておりませんけれども、国連海洋法条約起草案というような成文化された条約案がございまして、これがいわばそういった二百海里体制を表現している条約案として今日存在をしておるわけでございます。 その中で言われて確認をされております新しい国際的な漁業秩序と申しますのは、やはり沿岸の、大体国によって若干の考え方の相違はございますけれども、沿岸から二百海里の水域については沿岸国がその中にある漁業資源を第一次的に管理するという、いわば資源支配体制でございます。それから同時に、遡河性魚類、サケ・マスがそのたぐいでございますが、遡河性魚類は、その生まれた母川を所管する国が第一次的な資源支配力を持つ、この二つの内容が大変大ざっぱに言った二百海里体制秩序の概要であるわけでございます。 実は、この二百海里体制がしかれてから今日まで十年余りたっておるわけでございますけれども、この過程で、この新しい国際秩序を利用するという各沿岸国の姿勢にも大変大きな変化があるわけでございます。最も端的な例は、アメリカのいわば二百海里水域について、我が国は相当量の底魚類を中心にしました割り当てを受けて我が国の遠洋漁業を展開しておったわけでございますが、アメリカが自国の産業育成のために自国の資源を扱うという方針を大変強く打ち出してきまして、今日アメリカ水域における日本に対する漁獲割り当てはゼロとなっております。わずかに合弁形態で、洋上買魚という形態で日本の加工船が操業をするという道がわずかながら残されておる状況でございます。 それから、北洋漁業のもう一つの柱でございますソ連二百海里水域内の操業につきましても、御承知のとおり、やはり沿岸国たるソ連が、自国資源は自国の需要に優先して充てるという考え方を貫徹してきておりまして、毎年の漁業交渉を重ねておりますけれども、順次割り当て量が減少をしてきておる、こういう状況でございます。 それから、北洋漁業のもう一つの大きな柱でありますサケ・マス漁業につきましては、お話ございましたように、今日二百海里外で、つまり公海上でサケ・マスを外国にとらせてくれる例というものは、ソ連産のサケ・マスについて日本に一定量をとらせるという例が唯一の例であります。我が国自身は、我が国で生産されたサケ・マスを外国にとらせるということは許容しておりません。いわばそういう状態の中で、極めて例外的な措置として認められてきた我が国漁船による公海上のソ連産サケ・マスの漁獲について、御承知のとおり、お話にもございましたように、一九九二年以降はこれをやめるというソ連の大変強い方針が示され、それを背景にしてことしのサケ・マス交渉も大変厳しい状況になっておるわけでございます。 それからまた、お話の中にもありましたけれども、実はこの二百海里体制の考え方とはやや異質の問題としまして、一つは捕鯨問題がございます。これは御承知のとおり、国際捕鯨取締条約に基づく多国間協議を通じて、鯨資源の保存と合理的な利用ということを目的に組織されたわけでございますが、最近の動きというものを見ますと大変大きな対立が生じております。伝統的な捕鯨国であります日本、ノルウェー、アイスランドそれからソ連等々につきましても若干足並みの乱れが生じておりますけれども、そういった捕鯨国の行う捕鯨は全部やめるべきだというふうな意見が多数派を占めておりまして、御承知のとおり、商業捕鯨モラトリアムがしかれておる状況でございます。これを我が方としても一応認めて、資源の再評価の上に立ってこのモラトリアムの解除をすべく科学的なデータの集積を行うことにし、その一環として南氷洋における調査捕鯨を継続しておる、こういう状況でございます。これもその継続をめぐって大変大きな論議が国際的にあるわけでございます。 それからまた、もう一つは、新しいごく最近の動きといたしまして、昨年の暮れに国連総会で成立を見ました流し網漁業の規制に関する国際論議が大変かまびすしくなっておるわけでございます。これは、流し網そのものの漁法が大変資源略奪的ではないかというふうな問題、そしてまた、流し網という漁法のやむを得ざる副作用でございますけれども、目的にした魚種以外の水産物なり海産哺乳動物を捕獲するというふうなことをめぐりまして、これを禁止ないし規制すべきであるという動きが強化されております。 そういったいろいろな動きの中で、私ども関係国との間で個別に協議をすべきものは協議をし、また多国間の会議において我が方の立場を説明して、私どもの権益確保に努めておるわけでございますけれども、全体の流れとして見ますと、先生から御指摘ございましたように、漸次縮小の傾向をたどっておることは事実でございます。ある程度国際情勢の変化なりあるいは漁業そのものについての考え方の変化というものもありますけれども、お話ございましたように、科学的なデータを踏まえながら国際理解を深めて遠洋漁業の漁場確保に引き続き努力をしたいと思いますけれども、やはり縮小を余儀なくされる場面もあり得るということで、昨年十二月に国際漁業再編対策という閣議了解を行いまして、その再編整備に伴う国内措置の仕組み等を確立しておる。こういう状況で、いわば外に対して交渉していくと同時に、再編整備を余儀なくされる場合も想定をした国内措置の仕組みを準備して私ども政策運営に当たっておる、こういう状況であります。 大変冗長になりましたけれども、御指摘された遠洋漁業の内容に即しましてお話しを申し上げた次第でございます。
○委員長(仲川幸男君) 午前の質疑はこの程度とし、午後零時四十分まで休憩いたします。 午前十一時五十分休憩 —————・————— 午後零時四十三分開会
○委員長(仲川幸男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、水産業協同組合法の一部を改正する法律案、海洋水産資源開発促進法の一部を改正する法律案、以上両案を便宜一括議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○三上隆雄君 先ほど、前段の質問で包括的に質問をしたところ、京谷長官から大変詳しく御答弁がございましたので、通告とは若干順序を変えまして質問を続けてまいりたい、こう思います。 最近の米ソ接近という事態に伴って北西太平洋における漁業は、米ソ両超大国によって管理され、我が国の北洋漁業は不当に排除されておると言っても過言ではない状況になっております。このような兆候はないのかどうか。例えばソ連が、我が国が現在行っているサケ・マスの沖取りについて一九九二年に禁止をすると主張しているが、その意図を探ってみると、どうも日本漁船を追い払って韓国漁船など日本以外の外国漁船に沖取りをさせまして、韓国側はそのサケ・マスを日本に輸出してくるという事態が想定されるわけでありまして、そうした場合に、漁民感情としてこれは甚だおもしろくないわけでありますから、そのような事態を何としても回避しなきゃならぬし、それについての大臣のお考えをいただきたいと思います。
○政府委員(京谷昭夫君) 北太平洋の漁場利用をめぐって、アメリカとソ連の間のある種の協調活動といいますか、これが深化しているのではないかという先生の御指摘でございますが、私どももそのような認識を持っております。御承知のとおり、ソ連のいわばペレストロイカ体制が緒につきました昭和六十二年の夏以降、米ソ間での漁業協議がございまして、六十三年五月に米ソ包括漁業協定が調印をされております。この協定に基づきまして米ソ二国間の漁業協議が今日まで進められておりまして、サケ・マス漁業問題、それからベーリング公海のスケトウダラ資源の問題、それからまた、先ほどのお話の中に出てきました北太平洋公海上におけるイカ流し網漁業の問題等々について、双方の意見交換が行われておるという情報を私どもも得ております。 ただ、今先生の御指摘になりましたソ連産サケ・マスについて、ソ連が一九九二年以降日本漁船によるいわば沖取りを停止するという方針を我が方にも示しておるわけでございますが、日本漁船による漁獲にかえて御指摘のような第三国に沖取りをさせるというふうな動きは、少なくとも私どもの得ている情報ではあり得ないことである。やはり全面的にサケ・マスの沖取りについては、先ほどの御質疑でも申し上げましたとおり、二百海里体制秩序の中に組み込まれております、いわゆる遡河性魚類についての母川国主義を完全に貫徹をしていくという考え方のもとに主張されているのではないか、こういう感触を私どもとしては持っておりまして、日本を排除して、第三国によるサケ・マスの沖取りという事態はちょっと考えられないというふうに私ども認識をしております。
○三上隆雄君 ただいま長官から、私の認識と相通ずるものがあるという御回答がありましたけれども、我が国の漁業に対するこうした不当な差別、排除に対して、政府は毅然とした態度で我が国の漁業を守るべきである、こう思うわけであります。そしてまた水産物の輸入禁止をするなど、対抗法というか対抗策というか、それを持つべきだと考えますけれども、その具体的な考え方はないですか。
○政府委員(京谷昭夫君) ただいまのお話の中で、我が国漁業について差別的な対応が行われるというお話がございましたが、現在ソ連なりアメリカとの間での漁業関係を通じて、確かに日本の漁獲量が縮減ないし廃絶をするという事態が起こっていますけれども、この動きは日本だけに差別的に行われておるわけではないわけであります。いわばそれぞれ沿岸国の国内漁業と外国から入ってくる漁業との間である種の差別といいますか、まさに二百海里体制秩序の中で自国船優先という原則を貫徹し、その結果として日本を含むすべての外国が排除をされておる、あるいは縮小を余儀なくされておる、こういうことでございまして、少なくともソ連、アメリカとの関係で見る限りでは、私どもなかなか日本だけが不当に差別されているという断定は難しいという認識を持っております。 したがいまして、そういった事例をもとにしまして何らかの対抗措置という場合に、少なくとも米ソとの関係で、差別的な取り扱いをベースにした対抗措置というものを考えることは大変難しいのではないかということを私どもとして考えておるわけでございます。 また具体的には、その対抗措置の内容としまして、いわば我が方の二百海里水域については、私ども若干の例外はございますけれども、基本的には外国漁船の操業を極力排除、規制をするという、まさに二百海里体制に対応した構えをとっておりまして、そういう措置以上に、例えば水産物輸入の制限、禁止というふうな論議もあったこと私どもよく承知をしておりまするし、そういう議論もあったわけでございますが、御承知のとおり現在ウルグアイ・ラウンド等を通じまして、輸入の制限、禁止措置についてはできるだけこれを貿易障害として排除していこうという国際的な潮流になっておるわけでございます。単に、漁業上のある種の差別待遇を理由にした国境障壁を設けることは、ガット上も許されていない措置でありますので、御指摘のような対抗措置について、輸入制限や禁止といった内容を伴う対抗措置をとるということについては、私ども慎重でなければならないというふうに考えておるところでございます。
○三上隆雄君 ただいまのお答えで大変難しい状況にあるということはわかりますけれども、どうぞひとつ、日本の漁業を守るという意味で慎重に、しかも積極的な対応をしていただきたいと、こう思うわけであります。 それでは次に、イカ流し網、大目流し網、それからサケ・マス流し網、いわば漁法についての考え方を若干ただしてみたいと、こう思います。 先ほど長官からいろいろお答えがありましたけれども、海鳥や海産哺乳動物の混獲をするところから、先ほど言ったそういう漁法が禁止され、あるいは禁止されようとしている状況にあるわけでありますけれども、それが国連の決議にまでエスカレートしている。これは単なるエコロジストの主張ばかりではないわけでありますけれども、これを許すことによって、何かエコロジストの言うことによりますと、あたかもアフリカの象の密猟でもするようなそういう批判さえするわけであります。その辺についての、それを否定すれば、今の漁法を否定することは日本の漁業そのものを否定するという、そういう感じがするわけでありますけれども、それに対する考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(京谷昭夫君) 御指摘のとおり、先ほども申し上げましたけれども、我が国の漁業の一つとしまして、イカ流し網漁業あるいは大目流し網漁業、サケ・マス流し網漁業と言われるいわゆる流し網漁業についての国際批判が現在大変強まっております。一つは、先ほども触れましたけれども、遡河性魚類の母川国主義を貫徹するための手段としてサケ・マス流し網漁業を否定しようという背景が一つあるわけでございますが、そのほかに、この流し網漁業の実情というものがいろんな副作用を伴うというふうな、いわばエコロジストの議論があること私ども承知をしております。ただ、イカ流し網漁業というのはえさを必要としないということで、比較的コストの安い漁業であって、その使い方いかんによって経済漁法として成り立ち得るものだと。副作用を防ぐために、網の長さなりあるいは使用の仕方についていろいろな工夫を凝らすことによって、エコロジストの主張する点を十分防圧できるような操業の仕方というのは可能ではないかということで、いろいろな操業データ等を踏まえて国際的な理解を得るべく努力をしているところでございます。 ただ、これについては現実問題として非常に強い否定的関心を持った国が多いこと事実でございます。したがって国連の決議も、我々もいろいろな意見調整をしながら、ひとつの妥協の上で決議案というものが成立を見たわけでございますが、これらを踏まえて実は現在大目流し網漁業、それから北太平洋で展開をしておりますイカ流し網漁業の双方につきましては、アメリカ、カナダといわば三国間の協議を行いまして、昨年からでございますけれども、一定のフレーム、操業の仕方について一定の条件をつけてこれを実行していく。それからまた、そこで展開される操業の実態なり、混獲の実態について、それぞれの国からオブザーバーを提供して実態把握に努めるということで、去年に続きまして一九九〇年の操業条件については一応のフレームをつくり上げまして、これに従って実行をしていくという状況に相なっております。 一応国連決議では一九九二年までにこのいわば流し網漁業の、何といいますか、弊害除去について十分な説明がなされなければモラトリアムを実施するという内容で決められておりますので、その壁を乗り越えるための科学的データの集成なり、あるいはまた関心国との個別協議を今後私ども精力的に続けてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○三上隆雄君 ただいま積極的なお答えが出ましたので、ひとつより効果的な結果が出るような方法で御努力を願いたい、こう思います。 それでは次に、減船対象者に対する救済措置について質問したいと、こう思います。もろもろの漁業交渉の結果、漁獲量が減らされ減船を余儀なくされた場合、政府はこうした減船対象者に対してどのような救済措置をとってきたのか。 仄聞するところによりますと、一九七七、八年には、当時の減船対象者に対しては救済のための政府交付金が手厚くされたわけでありますけれども、それ以後の減船対象者については、同種の残存漁業者が減船して廃業していく減船対象者の補償を負担するいわゆる共補償方式がとられているわけでありまして、政府は一部交付金を認めながらも、大部分は共補償に必要な額の融資と利子補給を行うことが中心であって、その補償金の負担が残存漁業者の経営を極端に圧迫している。また、そうした借金で共補償を負担した漁業者が漁業交渉の結果、翌年にはそうした借金を抱えたまま今度はみずからが減船対象者になる。あたかも二重の遭難のような実態があるわけでありまして、その辺を水産庁長官はどう考えるのか。 また現在、母船式サケ・マス漁業の減船が問題になっておりますけれども、その救済措置についての具体的な策があったらお示しをいただきたいと思います。
○政府委員(京谷昭夫君) 国際関係に由来をしまして減船等のいわば対象漁業の再編整備という事態が、これまでもしばしば起こっておったわけでございますが、実は昨年の十二月に、サケ・マス漁業を初めとする国際漁業の状況にかんがみまして、具体的な事態に応じて必要な再編整備をできるだけ計画的に進めるために国際漁業再編対策というものを閣議了解で決めております。 それで、この閣議了解に基づきまして、平成元年度におきまして既に撤退を余儀なくされております北洋はえ縄・刺し網漁業、それから東部ベーリングのツブ漁業につきまして、この国際漁業再編対策の対象として所要の減船対策を講ずることにしまして、所要の予算措置ということで平成元年度予算の補正をお認めいただいたわけでございます。現在これの実行に当たっておるわけでございます。 それから、サケ・マス漁業につきましては、御承知のとおり四月末までソ連との間で漁業協議が進められたわけでございますが、先ほど来いろいろ御議論がございましたように、ソ連の姿勢が大変厳しいと、そういう状況下でこの北洋サケ・マス漁業、いろんな種類があるわけでございますが、これについてもやはり再編整備の方針というものをはっきりさせておいた方がいいと、そうしないと、決着をした日ソ協議の結果、出漁も円滑に体制整備ができないということで、四月の末にこの国際漁業再編対策に基づく減船者に対する救済措置の骨格というものを決めて公表をしております。 この中で、先生御指摘のように、一部過去の減船の際に行った共補償の返済残高について、はっきりしているものについて今回の救済措置の対象としてカバーをしていくということで、実は全体としていろいろな漁業種類にまたがっておりますためにやや煩雑になりますので、要すればまた資料をお届けしたいと思いますが、基本的には平成元年度で漁業をやめる者、それから平成二年度、今年度限りでやめる者、それから来年度の漁でやめる者、この三段階別にやや逓減方式による救済措置の内容を決めております。 それ以降については漁業者のリスクでやっていただきたい、こういう考え方のもとに骨格を決めまして、漁業種類ごと、減船時期別ごとの救済措置の内容を決めておりますが、このうち母船式サケ・マス漁業とそれから太平洋中型のサケ・マス漁業につきましては、過去の減船の際に行った共補償にかかわる農林漁業金融公庫の融費につきまして、償還残高について今回の補償措置でカバーをしていく、こういう措置を織り込んでいるところでございます。
○三上隆雄君 与えられた時間が少なくなりましたので、最後に水産物の輸入と価格の問題について触れたいと思います。 長官も八戸出身でありますし、よく八戸の実態御存じだと思いますけれども、八戸の水揚げ量の七、八割がイカで占められているわけでありまして、イカの町八戸とさえ言われるわけでありますが、ずうっとシーズンを追って価格の推移を見ますと、近海物と遠洋物、どちらかというと近海物というのは総菜用、遠洋物というのは加工品ということになりますけれども、その価格の格差が、豊漁、不漁のその関係によって近海物のいわゆる総菜ものの価格の乱高下が激しいわけでありまして、その安定策がないものかどうか、それについて積極的な安定策をお示しいただければと、こう思います。
○政府委員(京谷昭夫君) イカの産地でございます八戸の状況を、私もそれなりにいろいろお話を聞いております。最近、近海のスルメイカが非常に豊漁であったと、それからまた、ニュージーランドあるいはフォークランド周辺で行われております海外イカ釣り漁業も比較的漁が好調であったということもございまして、御指摘のとおり、やや国内の需給状況を見ますと供給過剰の状態になっておりまして、相当の余剰在庫が存在をしておるという状況でございました。そのために、やはり基本はマーケットの状況に応じて適正な生産を行っていくということが肝要であろうということで、実は本年度、一九九〇年の漁の開始に当たりまして、関係漁業者の間で、やはり一定の供給についてのいわば抑制努力をしていただくということの話し合いをしていただきまして、一応その目標に向かって現在御努力を願っておるところでございます。 ただ幸か不幸か、ごく最近の状況を申しますと、海外漁場、先ほど申し上げましたニュージーランド周辺及びフォークランド周辺におけるイカ釣り漁業が、大変資源状況の変動もございまして平年に比べてかなり漁獲量が落ちております。そういう状況もございまして、このイカの価格についても若干回復の兆しが見られる、在庫も多少はけ始めておる、こういう状況がございます。いずれにしましても、こういった状況を踏まえながら、先ほど申し上げました生産者による抑制努力というものが、それなりの効果を上げるように、さらに指導してまいりたいと思っております。 また、これが輸入の問題についてもお話しございました。御承知のとおり、モンゴウイカを除くイカについてはIQ制度のもとに置かれておるわけでございますけれども、この輸入が国内市場の大変大きな圧迫材料になっているというふうには私ども実は考えておりません。非常に固定的に抑制運用をしてきておるつもりでございます。したがいまして、生産者段階でいろいろ御相談を願ったわけでございますが、流通業者あるいは輸入業者を含めた形で、全体の需給状態の均衡回復のために、いろいろどういう努力をすべきかというふうな相談を今後引き続きしていただきまして、需要の拡大を図りながら、また生産をマーケットの状態にうまく対応させる努力をしながら、全体としての需給回復が早く実現されるように、関係者全体の努力を要請するような機会を持ちたいというふうに考えておるところでございます。
○三上隆雄君 長官、大変どうも大臣とも御答弁をいただいてありがとうございます。 実は、漁業問題もやはり基本的には農業問題と同じでありまして、その地域経済全体が漁業の振興なくしてはあり得ない。農業もまた、農山村もその振興なくして地域の経済の発展もないわけでありますから、どうぞひとつ漁民が喜んで就業できるような、そういう体制を総合的に判断、構築されまして対応されますことをお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○一井淳治君 私は、瀬戸内海の汚染の問題からまず質問をさせていただきたいと思います。 内海が汚染される原因は、これは多方面にわたっておるわけでございますけれども、現実に漁民が大変な被害を受けておるわけでございまして、水産庁としても積極的に漁業資源を守るということで、いろいろ対策なり対応をお願いしたいわけでございますけれども、どのような状況でございましょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) 水産資源の再生産を維持していく上で、魚の再生産メカニズムが働きます海洋あるいは内水面等の水質、その他の環境条件が良好に保持されていくということが大変大きな課題であろうかと思います。いろいろな産業の発展なり生活の態様の変化によりまして、排出物が大変多種多様になってきておる中で、あるいはまた海洋における往来の頻繁化によりまして油等による汚染が進むという実情があるわけでございますが、水質汚濁防止法等々の関連法令の適切な運用等を通じまして、漁業を営むための環境が一定のレベルに保持されるよう、私どもとしても努力をしていく必要があるというふうに考えておるところでございます。
○一井淳治君 水産庁は直接汚染の問題に対応する官庁ではございませんので、すぐさまどうこう言うことはできないとは思うんですけれども、しかし何といいましても、漁民の立場を守るのが水産庁でございますし、沿岸漁民は、地先の水面については所有権に類似するだけの強力な利用権というのを持っておるわけでございまして、漁業権が現実に侵害されておる、所有権の侵害と同じようなことが水の汚染によって起こっておるわけでございますので、みずからは汚染対策はできないにしても、他の省庁に働きかけるなどして積極的に汚染対策、漁場を汚染から守るということについても、一層頑張っていただきたいというふうに思うわけでございます。 北朝鮮の船に日本人が乗っておって、それがソ連につかまるとかいろんな問題が次から次に起こりましてお忙しいのはわかるんですけれども、やはり旧来からの漁場を守っていくということは非常に大事だと思いますので、より積極的に他の省庁に働きかける等をして頑張っていただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) お説のとおり、漁業、特に沿岸漁業の振興を図る上で良好な漁場環境を確保していくことが大変重要な課題であることは、私どももよく認識をしております。直接水質問題等に関連をする諸制度が、私ども直接掌握をしておるわけではございませんけれども、従来からそれらの諸制度の適切な運用について強く働きかけ、また関係省庁のいろいろなお力添えもいただいておるわけでございます。また、我が方自体としまして、例えば水質汚濁に伴って発生する赤潮の発生に対処して、その予防技術の開発でありますとかそれの応用でありますとか、さらにまた漁業者自身による漁場の清掃事業等々によりまして、いわば漁業サイドでも、漁場環境の保全のための努力を続けるというふうな施策をいろいろ織りまぜて実行しまして、みずから行うべきは行う、そしてまた、他の関係する方々のお力をかりるべきものはいろいろお願いをして力をかりるという組み合わせで努力をしてきたつもりでございまするし、これからもまたその充実強化に努めてまいりたいというふうに思っております。
○一井淳治君 次に、粗暴な漁民に対する対策ということについて質問をいたします。 大部分の漁民の方は、これはもうもちろんまじめに業務に精励されておりまして、漁業の発展のためにお尽くしくださっているわけですけれども、中には、暴行や脅迫を用いて漁場を独占をしたり、あるいは船着き場に勝手に桟橋をつくってほかの漁民の利用を妨げたり、あるいは海岸に廃船を放置して海岸を汚すような、近辺の漁民の漁獲を低下させ、そして海上や漁港や海岸の秩序を紊乱する不良な漁業者もおるわけでございますけれども、こういったものに対する対策というのも非常に必要ではないか。特に、漁業というのは海上で漁民同士が協力し合うということも必要でございますので、そういうことが必要ではないかと思いますけれども、現在の法体制からすればどういうふうな対応があるのか、そのあたりからまずお聞きしたいと思います。
○政府委員(京谷昭夫君) そう一般的な例ではございませんが、ただいま先生から御指摘がございましたように、漁業者内部で、いろいろ経営状況なり資源状況が厳しくなっているという事情も背景にして、大変先鋭な利害対立が生じまして、一部暴力行為も働くというふうな事例は私どもも耳にしております。 具体的に、岡山県でもそのような事案があるやに聞いておりますが、総体として申し上げますと、沿岸漁業の取り締まりは基本的には各都道府県が担当してやっておるわけでございます。必要に応じまして国のサイドも御協力を申し上げるわけでございますけれども、そのような暴力事案については、やはり漁業取り締まりという形ではなかなか手が行き届かないということも間々あるわけでございまして、極力状況に応じて海上保安庁なり警察の方と連絡をとって対処していくことも必要ではなかろうか。また、漁民組織自体の中で、これもまた限度はあろうかと思いますけれども、御本人の自覚を促すための周辺からの説得ということも大変大切な仕事ではなかろうかというふうに思う次第でございます。
○一井淳治君 漁業法の六十五条に基づいて条例を都道府県がつくることができる、漁業調整についての、都道府県が条例ができるということになっております。私は余り詳しく調べてなくて非常に不確かなんですけれども、都道府県によっては、今申し上げたような関係での漁業調整についての条項が入っておるようにも聞いておるわけでございますけれども、都道府県の条例で対応するということは可能なんでしょうか、どうでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) 各都道府県が条例で決めております漁業調整規則におきましては、一般的に、知事が行いました許可について一定の欠格条件があれば許可を取り消すことができる旨の規定があるのが通例でございます。ケース・バイ・ケースでこの欠格条件に該当するかどうかは判断していかなければいけないと思いますけれども、やはり直接的に漁業を継続することが不適当であるという判断をするためには大変慎重な判断をしなければいけませんので、簡単にこの規定が働くとは思いませんけれども、実情に応じて的確に対処していかなければいけないであろうというふうに考えておるところでございます。
○一井淳治君 よその省庁の事例を引くというのは必ずしも適切でないかもしれませんけれども、建設省の関係でいいますと、昭和六十二年に建設業法の改正が行われまして、そのときに行われましたのは、不良、不適格建設業者の排除、これは粗暴なあるいは建設業法を守らないような不適格な建設業者をなくしていくということを積極的に取り上げまして、この施策は現在も継続しているわけでございますけれども、余りひどい漁民を放置しておりますと善良な漁民が困ってしまう。これは今長官も言われたとおり、職業選択の自由とも非常にかかわりがありまして、極めて慎重に取り扱わなければならない案件であるということは十分に理解できるわけですけれども、漁法あるいは漁業の許可というのは県知事ができるわけですから、そういったふうな粗暴な漁民を継続して許可しておくということは、その部落に限らず遠方の部落の漁民にまで大変迷惑を及ぼす、健全な漁業の発展を阻害しているということが言えると思いますので、そういうふうな事例をお聞きになった場合には、今後は適切に御指導いただきたいというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) 各県が決めております漁業調整規則に基づく許可の取り消し問題については、なかなか一般論では律し切れない点もあろうかと思います。具体的な案件に即してできるだけ適切な判断がなされることが望ましいとしか言いようがないわけでございますが、個別案件として関係都道府県で大変困窮をする事例もあろうかと思います。よくまた、必要に応じて我々も相談にあずかりまして、事態の改善につながるようなことを御協力申し上げていきたいというふうに思う次第でございます。
○一井淳治君 今長官からは、取り消しという積極的な方法についての言葉があったわけでございますけれども、取り消しはかなり困難かもしれませんが、更新という時点での御指導を願いたいというふうに思うわけでございます。 次に、漁業の後継者対策について質問をさせていただきますけれども、漁業士という制度をおつくりになりまして、漁業の後継者対策として非常に私は有意義であるというふうに考えますけれども、制度だけはできておるのだけれどもこれが十分に活用できていない。特に私ども思いますのは、後継者に当たる若い人たちが、よその積極的に意欲を持ち希望を持ってやろうというそういうような若い漁民の人たちと経験や研究の交流を持つ、これが非常に将来の漁業の振興のために大切ではなかろうかというふうに思うわけでございますが、残念ながら経験交流の会議への出席旅費などは一切助成されていないわけでございます。よその省庁のことばかり申し上げて悪いんですけれども、出席の旅費を出したらいけないということはないわけですから、ぜひともその点の御配慮をお願いしたいというふうに思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) お話しございましたように、漁業後継者対策の一環といたしまして、昭和六十一年から中核的な漁業者育成のために漁業士の制度を私ども創設して、関係都道府県なり漁業団体の協力を得ながらこういった漁業士の皆さん方の活動を期待、助長をしておるわけでございます。 現在この漁業士の皆さん方の活動については、全国レベルでの研究、技術交流を主体にしました研究集会を開催するに当たりまして若干の助成を行っておるわけでございますが、助成の内容については、いろいろこの仕事を担当する団体の財政事情なり、あるいはまた参加される皆さん方の状況等踏まえて検討していく必要があると思いますけれども、なかなか現下の財政事情から見て単純に助成内容を手厚くするということは難しいと思います。いずれにしましても、この後継者対策として漁業士制度の果たす役割というものを十分認識をしながら、どのような助成が有効であるか、効果的であるかということを十分検討して対処してまいりたいと思います。
○一井淳治君 長官もおっしゃるとおり、難しいというのは、これはもう私どももわかった上での質問でございます。来年度の予算要求の時期がだんだんと接近してまいりますけれども、ぜひともこれをお忘れなきように御配慮をお願いしたいというふうに要望申し上げたいと存じます。 次に、海洋水産資源開発促進法、今回の改正でございますと、認定された資源管理協定に対しては参加のあっせんあるいは漁業法等による措置というものが可能になりまして、かなり強力な行政の介入ということも行われるようになるわけでございますけれども、漁業者間あるいはその団体間のコンセンサスが十分に得られないまま、特定の漁業者の数の力とか、あるいは政治力を利用した形で資源管理協定が認定されるのではないかというおそれを感ずるわけでございますけれども、その点はいかがでございましょうか。そういうことはないとは思うんですけれども、お尋ねする次第でございます。
○国務大臣(山本富雄君) 今先生御指摘の点でございますけれども、今度の法改正後、資源管理協定、これは、一つは自主的な資源管理を有効かつ適切に行うためのガイドラインである基本方針に適合していること、二つは不当に差別的でないこと、三つは関係法令に違反しないこと、特にこの二に「不当に差別的でないこと。」、こういうふうにはっきりうたっておるわけでございますけれども、こういう要件が満たされなければ認定はしないということにはっきりしてございます。したがって御心配の向きもございましょうが、私どもはそういうことのないように、実際の運用に当たりましても適切に指導してまいりたいというふうに思っております。
○一井淳治君 力の強い者や声の大きい者が弱い者の操業を圧迫することがないようにお願いしたいわけでございます。例えば、先ほどもちょっと質問の中に出てまいりましたけれども、沿岸漁業者の立場とそれから沖合漁業者の立場を見ますと、数量からいきますと、人数や団体の数からいきますと沿岸漁業者が圧倒的に多くて沖合漁業者は少数でございます。そうすると多数決などでいかれますと、沖合漁業者は圧倒的な少数ですから圧迫されはしないだろうかという不安を持つわけでございますけれども、漁獲量からいきますと沖合漁業者が相当多いわけでありまして、船員さんとかあるいは加工業者とか関係する向きは非常に多いわけでございます。そういったことで、漁民の面での少数者が排他的に締め出されはしないだろうかという心配を非常に強く持つわけでございます。 今回の改正によりますと、政令で定める基準あるいは等々、政令も出てくるわけでございますけれども、政令の内容等を含めましてどういうふうな御方針なのか、もう少し具体的に御説明賜れば幸いでございます。
○政府委員(京谷昭夫君) 先生御指摘の問題については、ただいま大臣から御答弁申し上げたようなことで、実質的に支障の生ずるような事態はないであろうと私ども考えております。 御指摘ございましたように、漁業種類ごとに多少事情が違いまして、その利害関係の対立の条件は地域によっても違いますけれども、いろいろな状況があるわけでございます。必要がある場合には行政庁も情報提供なりあるいはまた必要な、何といいますか、事実上のあっせん行為等の形で参画をして、できるだけ不公平が生ずることのないような努力をしていきたい。具体的に認定をする際の基準として、この協定に参加している人数がそれぞれの関係する漁業の種類ごとに相当程度参加をしておるとか、あるいはまた団体が構成員になっている場合におきましても、その団体の占める関係水域におけるウエートというものが、ある程度のシェアを持っておるというふうな条件が満たされた場合に認定をするというふうなことを考えておりまして、決して一部の方々が差別的に不当な待遇、差別を受けるというふうなことのないように慎重を期して制度の運用に当たってまいる所存でございます。
○一井淳治君 今回の改正の十二条の三の四号には、「政令で定める基準」というのが出てまいりますが、これについてはどのような基準を、詳しくは結構なんですけれども、今申し上げましたような公平を図るという趣旨のことも入ってくるんでございましょうか。あるいはこれまでの既得権といいますか、これまでの営業やいろんな地域等々、産業の状況なども含めてということをこの政令では加味していただけるようになるんでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) 御指摘のように、資源管理協定の認定をする場合の要件が、十二条の三の一項の一号から三号に述べられておりまして、さらにこれを補完するために四号の規定があるわけでございます。そこで「政令で定める基準」とありますが、私どもこの本文の方に書いてございますように「不当に差別的でない」ということをうたっているほかに、この政令の基準といたしまして、この協定の対象になる漁業種類について、その関係する水域でその漁業を営む者が、一定の割合以上この協定に参加しているかどうかということも判断基準として考慮をしていくつもりでございますので、そういった意味で、特定漁業についての不当差別を防止するためのチェックをしていくということができるというふうに思っております。
○一井淳治君 次に、漁協の経営内容に関して質問いたしますけれども、聞くところによりますと、漁業協同組合は六〇%余りの組合がいわゆる固定化した債権を持っておる。それから四漁協に一漁協の割合で一億円を超えるような欠損金を平均抱えておられるということをお聞きするわけでございますけれども、この不良債権と申しましょうか、固定債権、あるいは資産内容の実情はどういうふうなことになっておるんでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) 漁協の経営状況を推しはかる一つの指標として、固定化債権の状況なり欠損金の状況がどうなっているかということが言われるわけですが、昭和六十二年度末現在で、私ども沿海地区及び業種別の漁協を対象にして調査をしたところによりますと、全体の漁協のうち四四%の漁協が平均で一億四千五百万円程度の固定化債権を持っておる。それからまた、欠損金につきましては約二六%に当たる漁協が平均六千百万円という規模の欠損金を有しておるという状況になっております。
○一井淳治君 漁協は余り規模が大きくないわけでございますけれども、そういったことは大変な事態ではないかと思うんです。この不良債権が発生した原因は何でございましょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) いろいろ御論議いただいておりますように、沿岸漁業も最近においては資源の悪化等々大変厳しい状況にあるわけでございます。また、さかのぼって恐縮でございますけれども、漁業の最も重要な生産資材の一つになります油、石油価格が過去二回にわたって大変大きな変動をした時期がございます。そういった漁業を取り巻く条件変化の中で、過去において相当多額の負債を組合員が抱えて、その融資を漁協系統が担ったというふうな背景がございます。漁業種類にあるいは地域によって相当差はありますけれども、一般的にはそういった事情を背景にしまして、資金の回転が大変固定化しておるとか欠損金が発生するというふうな事態が起こっておるものと思っております。そういう状況に対応して、その時期時期に応じて所要の資金繰りの改善のための融資措置を講じてきているところでございます。
○一井淳治君 貸し付けをする場合には、回収が可能であるという前提で貸し付けをするのがこれは当たり前といいますか、常識だというふうに思うんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。回収が可能だということを考えないで漁協の場合は貸しているんですか、どうなんですか。実際のところはどうなんでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) 資金の貸し付けに当たりましては、当然その回収可能性について一定の判断のもとにその可能性を確保して貸し付け業務が行われておる、これが基本であろうかと思います。 ただ、実態論で申しまして、漁業協同組合ないしはその基盤になっております漁村社会が比較的狭い地域単位で構成をされておりまして、何といいますか、相互扶助関係というものは大変緊密でございます。したがいまして、ややもするとその貸し付け態度についていろいろ配慮をするというふうな度合も多いのではないかと思いますけれども、ただそれにしても、それのみが要因になってこういった事態が起こっているということではなくて、やはり貸し付け時には予想し得なかったような経営条件の変化でありますとか、資源条件の変化というものが直接的な要因になって、漁協のこの貸し付け業務が非常に困窮をしておるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○一井淳治君 例えば、この不良債権、固定債権の発生した原因というのは漁業が非常に不安定な仕事であるという、それからまた漁業社会の特殊性ということも私ども十分にこれは認識してかからねばならないとは思いますけれども、しかしそれが余り度を過ぎますと無責任な貸し付けになってしまって、国民の税金にまで影響してくるわけでありまして、やはり貸し付けをする場合には、その担当者の責任ということが非常に大事ではなかろうかというふうに思うわけでございます。 民間であれば、そういうような不良貸し付けをすれば当然その役員の方は責任をとる、これが民間の通常でございますけれども、漁協の場合はそれをそのまま持っていったらいけないと私は思いますが、しかしどうなんでしょうか、役員の責任ということは全然かつて問われたことがないような状況なんですか。それとも、余りひどい場合には責任をとることになっているんでしょうか、その辺はどうなんでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) この漁協系統における貸付業務の適正な実施については、組合に対する常例検査あるいはまた関係職員の研修等々を通じて、これを確保するための努力を私どもは指導をしているところでございます。 ただ、漁業自身が大変厳しい状況にあるということで、先ほど申し上げたような条件下で予想し得なかった固定化の事態が生じているという場合もありまするし、また不正行為によって不当貸し付けが行われるというふうな場合も間々あるわけでございます。全体としての漁業の経営条件の改善に向けての努力をしていくことが基本であろうかと思いますが、貸付業務自体の適正運営のために、私どもさらに一層の努力をしていきたいと思いまするし、また特に、貸付業務を含む全体の信用事業そのものが、一定のスケールメリットを持って展開されていかないと事業が今後生き残れないというふうな問題もございますので、さらに今回の制度改正の中で、信用事業の統合というふうな仕組みも導入をしておりますので、そういった改善措置を織り込みながら、順次この漁協の貸付業務の適正化に向けてさらなる努力をしてまいりたいと考えております。
○一井淳治君 今後、債権譲渡等が行われる中で不良債権の検討が行われると思いますけれども、そういった場合に、担当した役員の責任という問題についても適切な御指導をいただきたいと要望いたしておきます。 それから、将来信用事業だけの債権譲渡を行うということでございますけれども、その場合には、不良債権については適切に切り捨てるとか再評価を行うとか、厳重になさるんでしょうか、どうでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) 一般論として、漁協の持っております債権については、何といいますか、その不良度合いといいますか、良好度といいますか、そういうものによって分類をしておるわけでございますけれども、まず大変健全な債権から、それから非常に回収に困難を来す評価を受けるようなもの、それも不可能であるということになれば、御承知のとおり貸倒引当金等によって償却をするということで処理をしておるわけでございますが、御指摘のございました信用事業の統合等に際しまして、譲り渡し組合の債権について、いわば譲り渡し時点で譲り受ける組合に移譲すべきものについてはできるだけ健全なものを持っていく、それから健全度の低いものについてはむしろ譲り渡し組合に残存をしたままで債権管理をしていく。それで、これに対して譲り渡し組合の債権管理の適正化を図ると同時に、その組合の資金管理を適切にするための助成をしていくということの方が適当ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
○一井淳治君 最後に、回転出資金の制度に関連して質問いたしますけれども、今回の説明をいただきますと、この回転出資金というのは損失てん補に充て得るんだということが書かれておるわけです。これを見ますと、漁協の財政内容が非常に悪くて、回転出資金はどっちにせよこの損失てん補に充てられるんだということが見え見えみたいな感じがするわけです。 その考えをさらに推し進めますと、そもそも剰余金の配当がおかしいんじゃないか。非常に欠損で、実質的には赤字であるのに剰余金の配当をやっておるのじゃないかというふうな心配にまで発展していくわけですけれども、どの程度の割合の漁協がどの程度の配当をしているのか、その点と、もう一つは剰余金の配当について、健全な資産内容でないのに、形だけ健全な形にして剰余金の配当をしているのじゃないかという、その二点についてお答えをいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
○政府委員(京谷昭夫君) 今回の水産業協同組合法改正におきまして回転出資金制度を導入しておるわけでございます。これはいろいろ申し上げておりますように、漁業協同組合の経営基盤強化というために、事実上自己資本として機能するような回転出資金を導入することが、一つの手段として有効ではなかろうかという観点で導入をしておりまして、この制度は、実は農業協同組合、森林組合についても許容されている制度でございます。その立法例に倣って実は導入してみようということでお願いをしているものでございます。法文上、損失補てんにも取り崩せるという規定を設けておりますけれども、決してこれのみを目的にしておるものではなくて、その他の経済事業の原資としていわば利子のつかないお金として活用をする、そこがむしろ主体でございまして、いわば例外的なものとして損失補てん財源としても使える道を一応許しておくということでございます。 ただ、この回転出資金について、配当との兼ね合いでいろいろ問題をお述べになったわけでございますけれども、確かに事業利用分量配当との間でどういう割り振りをするかということは、そういう問題あると思いますけれども、やはり組合の事情なり組合員の意向に沿って、適切な対応をして選択をしていくことが必要であろう、適当であろうというふうに考えております。 また、この剰余金の配当の状況でございますけれども、六十三年度の実績で申し上げますと、漁協数で五百二組合、全体の約二四%に当たります、におきまして一組合平均で五百三十九万八千円の出資配当が行われております。それから事業利用分量配当につきましては、全体で三百九十四組合、総数の約一八%の組合におきまして一組合平均約一千二十八万円余の事業利用分量配当が行われておるという実態でございます。
○刈田貞子君 大臣、あした五月三十日は国が定めた消費者の日でございまして、農水省がお持ちの消費者の部屋で今遊漁者の展示をなさっておられまして、私行ってきました。大変に褒めてさしあげようと思いまして、本来大臣がPRすべきだと思うんですけれども、遊漁者に対して資源を大切にというPRを消費者の部屋で一生懸命やっているんです。 それで、私がちょっとだけ御紹介いたしますけれども、たくさん各県がお持ちになりまして、小さい魚は海に返しましょうというようなこととか体長の規則まで、各県ごとによくこんな小さいパンフレットまでつくって全部並べてありますので、本来、大臣、水産庁長官がこういうのも宣伝なさると大変よろしいんでございますけれども、私が御紹介いたしておきますが、各県及び遊漁者団体、大変に資源確保に努力をしておられるということを見てまいりました。 ただ、一番よかったと思うのはこれなんですね。これは岩手県、これでね、やっぱり小さな魚、海へ帰してやりましょうと、よくわかりやすく書いてございまして、やさしく魚とつき合おうとか、資源を大切にとかいういろんな表現も各県ごとに全部ありますけど、これが一番気に入りまして、しかも海で汚した缶、瓶、くずを全部これに入れて持ち帰らせるという岩手県のこれは大変よろしく思いましたので、あわせて御紹介を申し上げておきます。たまたまこういう水産二法を審議するに当たって、タイムリーないい時期にこうした漁業とそれから遊漁とがいい関係で海の資源を守っていこうと、こういうことをPRしていらしたのでございますから、大臣も行ってしっかりと見てきてください。
○国務大臣(山本富雄君) お礼を申し上げなくちゃなりませんので、本当に適切ないいPRをしていただいてありがとうございました。本来私から、先生のおっしゃるとおり、ここにいらっしゃる農林水産委員会の先生方に今のをお見せして、ぜひ見に行っていただきたいと言うべきところを有力な先生から言っていただき、本当にありがとうございました。水産庁長官はもちろんよく知っているんですけれども、私はちょっと忙しさに取り紛れましてまだ行っておりませんが、必ずできるだけ早い機会に行きまして、しっかり見てまいります。 本当にありがとうございました。
○刈田貞子君 スライドなどを使って大変にわかりやすく解説をしておられるようですから、ぜひいらしてください。 私は、たくさん時間持っておりませんので、まず水協法の一部改正のところで、漁業協同組合が新たに行うことができる事業ということを一部お尋ねしたいと思うんですが、今の遊漁船業あるいはまた海釣り施設等をつくる以外に、シーフードレストランとか水産物の直販店を設けるというようなことですね。こういうことができるというふうに今度書かれておりますけれども、実は一昨年でございましたか、整備されましたリゾート法との関係の方からこうしたことを私ちょっと見てみたいと思って、いろいろ資料を取り寄せてみました。 現在、我が国のリゾート構想に基づいた基本計画がかなりの件数であるわけでございますけれども、その中で相当数のものが海岸線を使ったリゾート構想が大変に進んでおるわけでございまして、具体的な施設等におきましては、今の漁協に新たに設けられる事業としてのシーフードレストラン、海上レストランとかあるいは釣り公園であるとか、あるいはマリーナはもちろんでございますけれども、こうしたものが全部大きな構想の中にありまして、例えば京都府の丹後リゾート構想というようなものでは、特定地域で十二万八千ヘクタールというような大規模なものでございまして、そしてそれはまるっきり海岸地区を使う。釣り公園とそれから海上レストランを主に開発していくということが計画の中にあるようでございますけれども、実は漁業協同組合がレストランを出すと言うて、今までもできていたんですけれども、今度いろいろ違ってくるわけでしょう。 そういうふうな構想とこうした大規模なリゾート構想とがどこでどういう形でドッキングしていくのか、こういう構想の中に漁業協同組合が入っていくことを想定してこういう事業の道をさらに開いたのか、その辺のところをまずお伺いしたい。
○政府委員(京谷昭夫君) ただいま先生から御指摘ございましたように、いわゆるリゾート整備法に基づいて各県でつくられております整備構想、基本構想でございますが、現在まで承認を受けたものが二十一地域でございます。この中で海あるいは湖、いわば水面に面しましていろいろな構想が具体化されておる地域が十二地域含まれておるわけでございます。かように、何といいますか、海洋性のレクリエーションでありますとか、あるいはまた新鮮な水産物に対する多様なニーズが生じておるという状況があるわけでございますが、私ども今回水産業協同組合法の改正により、漁協のこういった問題に関連する事業内容として、御指摘のとおり遊漁船業でありますとか海釣り施設の設置でありますとか、そういう漁場の総合利用に関する事業を新たに付加しております。 それからまた、お話ございましたように、シーフードレストランあるいは水産物の直売所みたいなもので、組合員のための生産したものを売ることが本来の目的でございますが、その際の員外利用制限を若干緩和しまして、もう少し消費者ニーズに対応した仕事ができるようにしたいということを考えておりますが、このような考え方には、先ほど先生から御指摘のございましたリゾート整備法で予定されているようなものに、ダイレクトに入れていこうというふうなことを必ずしも考えておるわけではございません。 要するに、我々を取り巻く状況というものが、水産自体も非常に変わってきておりますけれども、水産を取り巻く周りの状況も変わってきておる。まさにリゾート整備構想というようなものが、先ほど申し上げたような内容で各県でつくられている時代の流れになっておるわけでございますので、もちろんこの中に含まれて実現される部分もあろうかと思いますけれども、より小規模な形で各地域地域の状況に応じて新たな業務が展開される可能性というものを十分持っているのではないか。こういう判断のもと、まずそのことが漁協にとってもプラスであるし、また御利用いただく国民の皆さんにもいろんな、新たなサービスを提供することができるのではないか、こういう観点で制度改正をお願いしておる次第でございまして、このリゾート構想にダイレクトに結びつくことではございませんけれども、こういう需要が非常に増大をしておるということに着目した私どもの制度改正であることは事実でございます。
○刈田貞子君 今回、漁協の方に認められている事業内容と、それからリゾート法等に基づいて出てくる大きな事業とをやっぱり考えておるとみえて、私が歩いた漁協は相当優秀なところばかりを歩いたはずなんですけれども、それでもなおかつやっぱりそうした大資本等が出てきて、いろいろなことを始めた場合にはという危惧の念を現場で持っていたことは確かでございますので、そこら辺がいい関係になっていけば非常にいいなというふうに思ったのが歩いてきての実感です。 それから、今度水産資源の法律の方で、私一つお伺いしたいのは、それは今の話と関係があるからお伺いするんですが、今回のいわゆる協定締結の当事者の範囲の問題でございますけれども、これが今回は漁業者及び漁業団体というふうに今特定しているわけですね。ですけれども、今も申し上げたように、こうした海洋レジャーというようなものを中心にしたものがどんどん出てくる、あるいはまた先ほど申し上げたように、遊漁者がふえているから、あのような遊漁業者団体もああいうふうに一生懸命資源の問題等にも気を使っているというようなことがあって、海というのはひとりもう漁業者やそれから漁業団体だけのものではないことは、今長官自身も言われたとおりでございますね。そうすると、今回協定の当事者にその漁業者及び漁業団体だけを特定したことの私は意味合いについて、改めてお尋ねしておかなきゃいけないというふうに思います。
○政府委員(京谷昭夫君) 御指摘のとおり、今回御審議をいただいております資源管理協定の締結の主体としては、漁業者、漁協、漁連等の単体を規定しておるのみでございまして、遊漁者や遊漁船業者を明定していないことは事実でございます。これは、漁業者と遊漁者なり遊漁船業者との間の関係については、むしろ海面利用をめぐる問題としていろいろ調整する問題が多いのではないか。とすれば、沿岸漁業整備開発法に基づく漁場利用協定制度というふうなものを活用する道の方が適当じゃないかな、こういう考え方が一つございます。 ただ、現実に遊漁者や遊漁船業者が単に海面利用での調整ということじゃなくて、資源利用のあり方ということまで踏み込んで漁業者との間で調整をした方がいいというふうな場合も十分考えられるわけでございます。その際に、私どもとして、この資源管理協定の締結主体として、これらの人々を特に排除するものではないというふうに理解をしておるわけでございまして、ある程度の弾力性を持って、状況によっては遊漁者、遊漁船業者が、この新しく創設をする資源管理協定の中に入ってくることを私ども排除すべきじゃないと考えておりまして、そのような方針で運用していこうというふうに思っております。
○刈田貞子君 そうすると、沿岸漁業整備法に基づいていわゆる漁場の利用協定を結ぶわけですよね。そのことと、今回の資源管理協定を結ぶ、その協定との中身が相反するというか、整合性がないというようなことはあり得ないわけですね。
○政府委員(京谷昭夫君) さよう考えております。
○刈田貞子君 それから、私今の資源管理法の続きで実はお伺いをするんですが、先ほど同僚の委員から、協定の認定に関する問題について御質問ございまして、私も同じところを実は通告してあったわけですけれども、さっきの話をすっかり聞いておりますと、そうすると、認定を受けた協定と受けない協定とではどこがどう違ってきますか。
○政府委員(京谷昭夫君) これも、私ども行政庁の認定に資源管理協定をかかわらしめておるわけでございますが、協定自体の効力というものは、まず当事者間で合意をして成立するものだと考えております。それで、その中で行政庁の認定があったものについては法律上これを明定しておりますが、いわばアウトサイダーになっている関係者がいる場合に、そのアウトサイダーを入れ込むためのあっせんを必要に応じて行政庁はやっていきましょう、これが一点でございます。 それから第二点では、実は認定を受けた資源管理協定に漁協が締結者となる場合に、漁協の内部の意思決定をする際に、多少簡便な手続で漁協の意思決定をしていただいて結構ですよという道を開いたのが第二点でございます。 それからまた、協定の内容いかんによりましてはより権力的に関与する度合いの強い漁業法あるいは水産資源保護法による、いわば公的な規制措置があるわけでございますが、これ自体を協定の内容に応じて少し直してくれというふうなお話を受け入れましょうということを、何といいますか、認定を受けた協定の効果をより定着し、実効性あらしめるために行政上の措置として、法律上の措置として今申し上げた三点のようなことを考えていく、いわばそういう道が認定された者には認められるという構成になっておるわけでございます。
○刈田貞子君 私は、ちょっとあれでわからないんで伺うんですが、そうしますと漁業法に基づいてできている漁業調整委員会というのがありますね。この漁業調整委員会なるものがする仕事の中身とはどんなふうなかかわりがあるんでしょう。
○政府委員(京谷昭夫君) 漁業調整委員会も、お話しのとおり漁業法の規定に基づきまして、いわば漁業活動について一定の規制を加える権限を持っておるわけでございます。ただ、具体的には都道府県知事の命令でこれが実行されていくわけでございますが、非常に権力的な規制であるということもございまして、現実に発動する規制内容を決め、またそれを発動していくということについて非常に判断に時間がかかるというふうな問題、それからまた利害関係が大変錯綜している場合が多うございまして、当事者の言い分が時と場合によりけりでありますけれども、自分の立場を非常に強く主張して、なかなか妥協する場面をつくり出すのに時間がかかったり厄介であるというふうな問題があることも事実でございます。 また、説得するためにより正確な科学的データの集積等もせにゃいかぬというふうなことがございまして、非常に資源状態に応じて弾力的かつ迅速な対応をしていく上で、そういう公的機関が直接介入するよりも関係する漁業者がむしろ、まあまあ手っ取り早くと言っては恐縮でございますけれども、一応こうやっていこうということで約束を弾力的にして、弾力的、自主的にやっていくことが適切だと思われる場合が大変多うございまするし、むしろそういう話し合いというものをこれから各地域で展開をさせていくことが、逆に言いますと、公的規制の有効性というものを確保する上でも大変有益ではないかというふうに思っておるわけでございます。 具体的に、そういった現場での生産者同士での自主的な話し合いの動きというものは、ことしの漁業白書でも、御報告をさせていただいておりますけれども、萌芽的な形態が各地に見られておるわけでございまして、そういった現象をとらえてその自主的な話し合いによる協定制度というものを制度としてぜひこの際つくってみたい、こういうことで御審議を賜っておる次第でございます。
○刈田貞子君 よくわかりましたけれども、そこまでやっぱり資源問題等の協定について、何と言うんでしょうか、 〔委員長退席、理事北修二君着席〕 積極的に行政もかかわってこられるということであれば、やっぱりその効果というか目的をクリアするためには、さっきから長官自身も言われておるように、そういう負担を伴うものであるというふうにおっしゃっておられまして、当然先ほどの菅野委員のような論議が私たちにもあるわけでございますね。やはり大なり小なり資源を保護するという立場には、漁業者にとって負担を伴うものであるということは、私もぜひこの際お訴えしておかなければいけないというふうに思いますと同時に、そういうことも踏まえて、強力なやはり指導と申しましょうかあるいはまた助言と申しましょうか、そういうものを進めていかなければならぬのじゃないかというふうに思いますので、このことを一点申し上げておきます。 そして、お伺いしたいこと実はたくさんあるんですけれども、時間がございませんので、私が実はずっと回らしていただいてきた地域は西の方でございますが、先ほど来韓国船の日韓漁業協定の問題が出ておりました。そして、特に、百三十五度以西でしょうか、百三十五度以西の二百海里水域でない地域のところではかなり神経質になっておりまして、そして自分たちはお互いに協定を結び合って資源を確保していこうじゃないかと、だけれども、自分たちが痛い思いをして資源確保に努力している目の前でやはり他国船が操業しているのを見る気持ちがわかりますか、こんなふうなところまで言われたわけでございます。 そこで、私お伺いしたいのは、それからまた要望なんですけれども、毎年一年に一度日韓漁業協定に基づいて共同委員会が設けられておりますでしょう。そして、そこではかなりのことが私は話し合われているというふうに思うんです。そういうふうなことをぜひ当委員会にも、ことしはどんなことが話し合われたのかというようなこと、水産関係新聞で要約したものを読むようなことがございますけれども、ぜひそういうことを当委員会にもやはり報告をなさるべきではないかというふうに私は思って、これは要望でございますのでいたしておきます。 そして、ことし三月二十九日から三十一日まででしたか、共同委員会が聞かれる以前に長崎で資源専門家会議が開かれましたね。そのときに、いわゆる共同規制水域でしょうか、あの中の資源問題について論議がされたはずなんです。それで、我が国と韓国との間の資源問題に関する認識というものがどんなコンセンサスができていたのか、このことについて御答弁いただいて、私質問を終わります。
○政府委員(京谷昭夫君) 日韓双方の漁業問題については、御指摘のとおり日韓漁業協定に基づいて合同委員会を設けて、毎年定例会議等を行っております。その状況につきましては、委員会の方にも適宜報告をするようにという御指摘でございます。私どもうかつな点があったかと思いますが、今後御趣旨を踏まえて所要の報告をさしていただきたいと思います。 それから、ただいま最後にお触れになりました資源評価の問題でございますが、御承知のとおり共同規制水域、実はこの協定に基づいて設けられております科学者レベルにおける資源協議でございますが、御指摘のとおり共同規制水域、これはむしろ我が方の漁船が出かけていって操業をしております先方の近海水域に引かれている水域でございますが、そこにおける浮き魚、底魚類の資源についての討議が行われておるわけでございます。共同水域の資源評価をするために、単にその部分だけではなくて、それを取り巻く調査対象水域というものも含めて調査対象にして論議をしておるわけでございますが、結論として申し上げますと、その水域における資源状況の評価について双方に大きな見解の差異はなかったと承知をしております。 大変大ざっぱでございますけれども、浮き魚資源については大体横ばい状態、それから底魚類についてはそう悪化しているわけではないけれども、よく気をつけていかなければいかぬというふうな点で、基本的に見解の一致があったというふうに報告を受けております。
○猪熊重二君 水産二法について順次お伺いします。なお、午前中ほかの委員会へ行っておりまして、ほかの先生方の御質問を聞いておりませんので、あるいはダブって失礼するかもしれませんがお許しいただきたいと思います。 最初に、水産業協同組合法の改正についてお伺いします。 この十一条一項六号が今般改正されるわけですが、改正される前のというか現行法についてまず最初にお伺いしたいと思います。現行法の六号の立法趣旨、内容、これはどういうことでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) 現行法の十一条一項六号、「水産動植物の繁殖保護その他漁場の利用に関する施設」ということでございますが、私どもの理解といたしましては、組合員のために、即物的に申し上げますと、船だまり、船揚げ場等の施設あるいは水産動植物の繁殖保護のための漁場の清掃でありますとか種苗の放流、それからみずから持っております漁業権の管理等々の仕事を指した規定であるというふうに理解をしております。
○猪熊重二君 そうすると、今回改正しようという括弧内で追加された文言がございます。この括弧内に追加された文言と改正前の現行の文言とはどこがどういうふうに違うんでしょうか、ほとんど差異がないように思いますが。
○政府委員(京谷昭夫君) 実は、現行法の十一条一項六号でございますが、水協法を制定した当時の状況から見まして、この「水産動植物の繁殖保護」というふうな言葉が使われておりますように、結局漁場の利用に関する施設ということは、いわば漁業内部の利用というふうに限定的に解されてきたものと私ども理解をしておるわけでございますが、今日、漁業あるいは漁業を取り巻く諸情勢の変化に伴って、そういう伝統的な考え方を若干拡張することが適当かつ必要ではないかという判断をいたしておるわけでございます。 したがいまして、伝統的なそういう考え方を若干拡充をするという意味で、新しい十一条一項六号におきましては、本文部分については同じ言葉を使いながら括弧書きで、御承知のとおり「(漁場の安定的な利用関係の確保のための組合員の労働力を利用して行う漁場の総合的な利用を促進するものを含む。)」という観念のいわば追加を明確にしたわけでございます。 さすれば、その際にいかなる観念の拡充をしたかということについて私どもの理解では、海洋性のレクリエーションによります漁場の利用、具体的には遊漁でありますとかダイビングといったような漁業以外の漁場利用を含む。かつまた、漁業の中でも大変いろんな漁業種類が展開をされておるわけでございますけれども、そういった多種多様な漁業と、ただいま申し上げましたような漁場の利用を伴うような諸活動を総合的に利用していく仕事、それを無制限に認めるのではなくて、あくまで組合員の労働力を利用して行うという範囲に限定をしてやっていこうということで、観念の整理を、本文上は同じ言葉を使って定義をしておりますけれども、括弧を付加することによって、従来の伝統的な考え方を若干拡充したというふうに御理解を賜りたいと思うわけでございます。
○猪熊重二君 結局、今の説明を聞いていると、括弧内の中で括弧の外と違うところは、「組合員の労働力を利用して」という文言が、これは別の文言が入っております。しかし、現行法においても「漁場の利用」という言葉があって、括弧内の改正法においても「安定的な利用」だとか「総合的な利用」だとか、「安定的」だとか「総合的」だという文言をつけ加えることによって、遊漁業だとかあるいは魚を釣るための桟橋だとか、こんなものがこの文言の中のどこから読めるんですか。
○政府委員(京谷昭夫君) 私どもは、この括弧の中で説明をしております言葉によって、ただいま申し上げましたように、広い意味での漁場の利用なりあるいは総合的な利用として海洋性レクリエーション需要の増大に対応して、漁業協同組合の仕事としてふさわしい遊漁あるいはダイビング等々の施設が含まれるというふうに私どもとして理解をしておるわけでございます。 この内容について、そのときどきの情勢によってどう考えていくかというふうな問題はあろうかと思いますけれども、必要がありますれば、そういった点については私ども法律の施行、通達の中でより明確な指導をしていくつもりでございます。
○猪熊重二君 もう少し簡潔に答弁をお願いします、時間が少ないんだから。 要するに私が申し上げたいのは、こういう文言を書いて、全然この文言から中身がわからない。こういう法律をつくってもらっては困るということなんです。要するに、こういう抽象的な文言があって、それの解釈、内容が全部行政庁の一方的な、裁量的な判断に任されるとしたら法文としての意味がほとんどなくなる、こう思います。 時間がありませんから、次に同じ法文の十九条の二についてお伺いします。 〔理事北修二君退席、委員長着席〕 回転出資金制度ということですが、この回転出資金制度によって出資者が新しい義務を負担することになりますか、どうですか。
○政府委員(京谷昭夫君) 御質問の趣旨、あるいは私取り違えておれば御容赦をいただきたいと思うわけでございますが、回転出資金制度は、私どもの考え方といたしましては、事業利用分量配当に充当、配分された剰余金の全部または一部を組合に対して出資という形で、五年間いわば預けるという形で組合が資金調達をすることを通じて、これを原資に組合の経営基盤を強化し諸般の活動の資金に充てる、あるいは場合によっては欠損金の補てんに充てるということでございまして、新たな権利・義務関係を一定の手続を経て、組合と組合員の間に発生させるという効果を持つ規定であると考えております。
○猪熊重二君 大体出資金という制度は、これだけ出すけれども、これだけが限度額、有限責任、これが出資金の出資という制度の根本のはずなんです。ところが、今回回転出資金というふうなことで、さらに追加出資みたいなことを多数決で決めるということになった場合、それに反対する立場の人はどういうことになりますか。
○政府委員(京谷昭夫君) この回転出資金を実現する手続としまして、法律上、そもそも回転出資金制度なるものを当該組合が採用するかどうかという議決が一つあるわけでございますが、その議決については通常よりも厳しい特別議決の手続を要することにしております。 それからそのことを前提にして、現実に剰余金が発生をし、それを事業利用分量配当で配分をした後において、その全部または一部を回転出資金として提供するかどうかということについては、通常手続による過半数によって、これを毎年その都度決定をしていくという手順を経て実現すべきものというふうに規定をしておるわけでございます。したがいまして、私どもはそういう水協法上非常に重い、この制度を採用するかどうかについて大変重い決定手続を規定しておりますので、先生御指摘の問題があるわけでございますが、他の立法例から見ても決して均衡を欠くものではない。農協及び森林組合員の場合についても同じような規定ぶりになっておると理解をしております。
○猪熊重二君 この十九条の二には「五年を限り、」と書いてあります。「五年を限り、」というのは、五年以内ということですか、五年間ということですか。その点が一つと、同じ改正法の五十七条の二によると、五年を経過しない前においても「当該期間内に、総会において払い戻すべき旨の議決をしたとき」は払い戻す、こう書いてありますが、そうすると、十九条の二で「五年を限り、」といったこの趣旨と、五十七条の二で、五年以内でも当該期間内に払い戻すことができるという規定と、この両方のバランスはどういうことになりますか。
○政府委員(京谷昭夫君) 「五年を限り、」という規定のしぶりは、これを限度としてということでございますので、以内という理解でございます。そのように理解すれば後の方の規定との平仄が合うのではないかと思います。
○猪熊重二君 では次に、海洋水産資源開発促進法についてお伺いします。やはり改正部分についてお伺いします。 十二条の二に言う「漁業者団体等」という、この団体等という中にはどういうものが含まれますか。
○政府委員(京谷昭夫君) 海洋水産資源開発促進法の改正後の十二条の二による漁業者団体でございますが、私どもの理解としては、法人格の有無にかかわらず、水産動植物の採捕を業として行う者の組織する団体、具体的には漁業協同組合あるいはその連合会、その他漁業者の任意団体という形を予定しております。
○猪熊重二君 同じ条文の中で「海洋水産資源の自主的な管理」という言葉が新設されるわけですが、この場合の「海洋水産資源」は、公的にもしくは私的に、財産法上見たときにどのような性質の財物ということになりますか。
○政府委員(京谷昭夫君) 海洋水産資源の財産法上の性格ということでございますが、大変大ざっぱで恐縮でございますが、二つの形態があるというふうに私ども理解をしております。 一つは養殖業というふうな形で、いろいろな施設によって囲まれた一定の区域内で飼養する人の、何といいますか、実質占有状態のもとで飼育されているもの、そういうものについては所有権の対象として認められるものがあるのではないか。その場合を除きまして、一般にいわば自然状態に近い形で存在をしておりますものについては無主物である。したがって、それは先占の原則に従って捕獲行為によって所有権が確定をする、こういうふうに理解をしておるわけでございます。
○猪熊重二君 無主物を自主的に管理するというけれども、無主物を自主的に管理するということはどういうことを意味しているんですか。そして、それの対世的な効果はどう考えておられるんですか。
○政府委員(京谷昭夫君) 御指摘のとおり、資源そのものがいわば生の状態で存在をする場合に、無主物の状態であることは私申し上げたとおりでありますが、これは漁業という生産活動を通じて、先占の原則に従ってそれぞれの漁業者の所有に帰属する可能性を持った資源でございます。 それで、最終的には漁獲、漁業という活動を通じて個人所有権に帰属する可能性を持った資源が、自然のメカニズムの中で、そういう漁獲行為によって過度に減少したりいなくなったりするということのないように、自然の再生産メカニズムを維持するために漁法の制限でありますとか漁業活動の時間の制限でありますとか、そういうことを決めていくことが、この協定に基づく管理の形態として考えておるわけでございまして、無主物であっても、それが今申し上げましたような論理を通じて漁業という生産活動を安定させ、振興させていく上で必要なものとして御理解をいただけるのではないかと思う次第でございます。
○猪熊重二君 対世的な効果については。
○政府委員(京谷昭夫君) 失礼しました。ちょっと聞き漏らした点があろうかと思います。
○猪熊重二君 要するに、管理ということの世の中に対する対世的な効果はどう考えておるんですか。
○政府委員(京谷昭夫君) これは、管理について先ほど申し上げましたような考え方によって、水産資源の再生産メカニズムを良好な状態で維持するためにいわば一定の管理行為をするわけですが、それはあくまで約束をした同士の間の関係でございまして、これに参加しない者について特別に法的な拘束力はないというふうに考えております。
○猪熊重二君 改正の十二条の四について、二項の「あつせん」についてお伺いします。 「あつせん」というのはどの程度のことを考えておられるのか。そして、その「あつせん」の内容について規範的にはどのようなことを考えておられるのか。簡単に答えてください。
○政府委員(京谷昭夫君) 「あつせん」という言葉、先生十分御承知のとおり、ある者とその相手方との交渉が円滑に進められるように第三者が介入をして世話をするというもので、特別それ自体が両者に対して拘束力を持つものではないわけでございますが、ここに規定しております「あつせん」の法的効果というものもその域を出るものではないと考えておるわけでございます。事実上の行為でございます。
○猪熊重二君 次に、十二条の六の新設規定についてお伺いします。 「漁業法等による措置」という項目で、「認定資源管理協定に参加している漁業者団体等は、」「農林水産大臣又は都道府県知事に対し、」「海洋水産資源の利用の合理化を図るための措置であつて認定資源管理協定の目的を達成するために必要なものを講ずべきことを求めることができる。」と、こう書いてあります。この申し出の性質はどういうものでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) 法律でこのような手続を書きましたことは、事実上行われるいわゆる陳情というものではなくて、認定を受けた漁業管理協定に参画している漁業者が、いわば行政庁に対する要求として、事実上の行為としてこういう申し出ができるという道を開いたものであります。これも法律上の特別の効果を持つというものではございませんけれども、いわゆる事実上の陳情なんかよりはより強い意味を持ったものではなかろうかというふうに理解をしております。
○猪熊重二君 そうすると、行政庁に対する権利としての申し立て権を付与し、これに対し行政庁が特別に応答せなきゃならぬというふうな意味でのものではないと、こういう趣旨だとすると、第二項で農林水産大臣または都道府県知事のなすべきことが書いてありますが、これは本来このような申し出があろうとなかろうと、漁業法において現行の三十四条、六十五条、六十六条等において既に大臣、知事がなすべきこととされている、法定されていることとほとんど同じで重複するんじゃありませんか。
○政府委員(京谷昭夫君) 実際の制度運営の実態から見まして、いろいろな場合が想定されるわけでございますけれども、ここに書いてあることから、当然に認定を受けた協定の締結者から申し出る内容と、既にとられている公的措置が一致するというふうには私ども考えておりません。 ギャップがある場合に申し出が当然出てくるわけでございますから、一致していればそもそも協定を結ぶということ自体が起こり得ないことでございますし、その間に若干のギャップがある場合に申し出の実質的な意味があり、これを受けて、行政庁が行政措置の内容について改善を加えるという行為をみずから判断していくということになろうかと思います。
○猪熊重二君 最後の問題で、結局、この大臣または知事の措置の中に、その二項の最後に「その他の適切な措置を講ずる」と、こう書いてあります。しかし、現行の漁業法、先ほど申し上げた三十四条、六十五条、六十六条等には大臣もしくは知事のなすべき行為が個別的、具体的に列挙されているんです。このような列挙されている行為とは別個に、「その他の適切な措置」というものを何らの内容限定なしになすことができる、こういうことになるんでしょうか。そうしたら、今申し上げた現行漁業法上の行為とどういう関係になりますか。簡単に述べてください、時間がありません。
○政府委員(京谷昭夫君) 実態的に、私どもこの大臣あるいは知事による公的措置と実質的な協定との関係で予想している事態というのは、公的規制よりもやや上乗せ的なものを自主協定制度で実行していく。その定着度を見て、必要があればそれを公的規制に置きかえて規制を保持していく、こういう事態があり得るのではないか。そういう場合を想定しまして、このような申し出による公的規制のいわば連動規定を、検討規定を設けた、こういう意図でございます。
○猪熊重二君 終わります。
○林紀子君 私は、まず法案の質問に先立ちまして、米の市場開放問題について一問お伺いしたいと思います。 山本農水大臣あてに、アメリカのヤイター農務長官から抗議の書簡がきのうの午後届いたということは、午前中のお答えにありました。内容は新聞報道にほぼ同じだということでしたので、私も新聞報道を改めて見ましたけれども、このヤイター農務長官の書簡全文というものが、二十一日の日に時事の配信でワシントンから配信されているわけです。この内容を見ますと、「あなたの発言を聞くと、日本はラウンドを通じ、米市場を開放する用意がないようだ。」、「日本は米市場を絶対に自由化しないと言明しているが、これは日本政府がラウンドを通じ行ってきた約束に反する。」、「日本への内政干渉と非難され、私は個人的に怒っているし、深く苦慮している。」、こういう激しい言葉が書き連ねられているわけです。親書といいながら一週間も前にアメリカで発表しているという、こういうやり方といい、それから大変激しい言葉を書き連ねているこの内容といい、まさにいたけだかだという印象を本当にぬぐうことはできないわけです。こういうことに対しまして、ぜひ毅然とした態度を農水大臣示していただきたいと思います。 そこでこれに対して、ヤイター農務長官に返書を出すお考えがあるのか、あるとすればどういう内容になるのか、基本的なところで結構です。そして、出すとすればいつまでに出すのか。その辺、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(山本富雄君) まだ関係者と相談もしておりませんけれども、私自身としては返書は出したい、こういうふうに考えております。またその返書のタイミングですけれども、これはOECDがこれから閣僚理事会が始まるところで、きのう外務、通産両大臣、それから今夜経企庁長官が向こうへ行くというふうなことになっております。この理事会などの様子も見きわめた上で、慎重、冷静に内容を検討した上で返書を出したい、こういうふうに考えております。 返書の内容につきましては、出すときに十分考えるつもりでおりますけれども、従来私どもはステップ・バイ・ステップといいましょうか、きちんと昨年以来日本の主張というものを積み上げてまいりましたので、その日本の立場をしっかり申し述べたい、こう考えております。
○林紀子君 次に、ソ連に拿捕された北朝鮮籍の漁船に日本人漁船員が多数いた事件についてお聞きしたいと思います。 今回の事件の全容解明はもちろんですが、また午前中の御答弁の中でかかる事件が起こらないようにという大臣からの意思の表明もありましたけれども、北洋漁場の操業規制が年々厳しくなる中で、このような密漁、不法操業がふえていくということが考えられるわけです。どのような取り締まり対策を講じているのか、水産庁お聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(京谷昭夫君) 漁業を適切に維持していくためには、法律に従い、またもちろんでありますけれども、国際条約を守っていくことが当然のことでございます。したがいまして、それぞれ漁業種類によって分担がございますけれども、漁業取り締まり権を直接持っております私どもと、それから都道府県が取り締まり、あるいはまた指導監督の第一次的な任に当たっておりますけれども、これもまた先ほど来いろいろ御論議ありましたように、海上保安庁あるいは警察のお力も得て全体として取り締まりの徹底を図っておる次第でございます。
○林紀子君 それでは、法案に関して質問させていただきます。 今回の改正では、信用事業全部をほかの漁協や県の連合会などに譲渡できることとされております。一方、漁協合併助成法に基づく漁協の合併も、四次の延長により、一九八八年度から一九九三年度までに原則一市町村一漁協、五年間に二百件七百組合を目標としています。もし漁協の合併が計画どおり推進されましたら、信用事業の統合という新たな改正は必要ないのではないかと思うわけです。 そこでお聞きいたしますが、一九八八年度の四次延長以降、これまでの実績はわずか五件二十組合となっておりますけれども、漁協合併推進対策の状況というのはどうなっておりますでしょうか。県段階での漁協合併推進協議会の設置、それから担当者はどうなっているか、合併基本計画の策定状況、合併目標数などについて御報告いただきたいと思います。
○政府委員(京谷昭夫君) 漁協の合併については、いろいろ合併助成法の延長等のお手も煩わしておるわけでございますが、必ずしも順調な進展を見ておりません。 ただ、これの推進に当たる体制につきましてお尋ねでございますので、その状況を概略申し上げますと、地方段階では、県段階、市町村段階、地元段階の三段階で協議体制の設立が行われております。県段階で協議会がつくられておりますのは二十九道府県でございます。市町村段階の地区協議会は十一県の二十五地区で設置をされております。参加組合数は百六組合であります。地元段階の地区合併研究会は、八県三十六地区で設置され百七十組合が参加をしておるという状況でございます。それから担当者の配置状況でございますが、二十六の県段階の漁業協同組合連合会において専任職員六名、兼任職員七十一名、合計七十七名が配置されておりますほか、全漁連において兼務ではございますが三名の担当者を設置しておるという状況でございます。 それから、合併を進める際の基本計画でございますが、現在関係する三十九の都道府県のうちで、現実にこの基本計画が策定されておるものは二十都道府県であるというふうに認識をしております。
○林紀子君 推進状況を見ますと、五カ年計画のうち、既に三年目に入っておりますのに極めておくれている状況だと思います。当時の水産庁長官は、漁協合併助成法の四次延長の際、本委員会で、目標は非常に大きな数字だが、何とかお互い汗をかいてそういう方向に邁進したいと決意を述べました。また全漁連では四次延長の際、これまで推進体制及びその機能が明確でなかったとの反省に立ち、系統各段階に推進協議会を設置するほか、全漁連に推進対策室を設置して啓蒙普及活動を推進するなどの体制、機能を整備するとしております。しかし、漁協の合併が思うように進んでいない原因は、こうした推進対策上のおくれにあるのではないかと思います。 水産庁が一九八七年に聞き取り調査をしたところによりますと、漁協の合併の阻害要因として、第一に、組合役員の合併に対する意欲の弱さを挙げておりますし、また漁協合併の推進策として組合役員に対する漁協合併意識の啓蒙を挙げております。今回の改正による信用事業の統合に当たっても、こうした反省の上に立って上から押しつけるというのではなく、自主的な統合を援助する立場から、予算上の支援措置に加えまして実情に合った指導が求められていると思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) たび重なる漁協合併助成法の延長の都度、それぞれ新たな決意でこの問題に対処してきたつもりでございますが、なかなか目に見えた成果が実現されていないこと、まことに遺憾でございます。御指摘の点をよく踏まえまして、特に役員関係者の啓蒙、指導等が大変大切であることを我々も痛感をしております。系統自体の努力、あるいはまた系統関係者の自覚を求め、かつまた我々としても有効な、何といいますか、合併の助成方策についていろいろ工夫をしていく必要があると考えておるわけでございます。 なお、そういう基本姿勢を維持しつつも、今回漁協の信用事業を取り巻く大変厳しい情勢変化を踏まえて、基本的には合併が望ましいわけでありますけれども、その進捗を待っていては信用事業の経営基盤強化ということが必ずしも的確に進みがたいということもございますので、信用事業のいわば部門統合という御提案を申し上げておりますので、その辺の事情についてもひとつ御理解を賜りたいと思います。
○林紀子君 水産庁では一九八五年度から、信用事業を実施している漁協について、総合的、計画的に整備強化を図ることを目的に、漁協信用事業整備強化対策として利息の減免のための利子補給措置などを行ってきました。しかし、この対策は一九八九年度で終了し、今年度から次期対策として、信用事業の統合を推進するために漁協信用事業基盤強化緊急事業を始めることとしています。 しかし、漁協の財務体質の改善といいますのは、単に信用事業の統合だけで解決されるものではないと思います。現に、山形県のように県段階で漁協が一本化しているところもありますけれども、財務体質というのは必ずしもうまくいっていないというお話も聞いております。不振に陥っている漁協経営を再建し、漁民の経営、暮らしを守るために、漁業用資材価格の大幅引き下げやまた超長期無利子の負債整理資金の創設など、合併の阻害条件を除去する国の援助対策、これをもっと強めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) 系統信用事業のいろいろな抱えている問題を解決するために、個々の末端の組合員の営む漁業経営の不振の事態というものを改善するために、いろいろな努力が必要であるということは、基本的に私どもも必要で有効な方法であり、それが一つの基本方向であるということで、かねがねそういう効果を持った各種の緊急融資制度の運営でありますとか、あるいはまた個々の漁業生産活動を活性化するための各種の助成措置を展開しておるわけでございます。もちろんそういったこととあわせて、漁協の信用事業の管理、運営体制というものをもう少しさらに効率化をするとか、あるいは信用事業の統合等を通じて、スケールメリットを発揮するような事業運営を可能にするような体制整備も、また重要な課題であると思うわけでございます。 したがって、今回水協法の改正の中に、そういった漁協の信用事業の統合にかかわる規定を整備しようということでございますが、このことは、決して御指摘のございました組合員たる個々の漁業者の経営体質の強化というものなしに、信用事業の統合だけで漁協の経営基盤強化ができると思っておるわけではございません。両々相まって所期の効果を確保するように努力していくことが当然必要であろうと考えております。
○林紀子君 次に、無秩序な輸入水産物の増加に関して質問させていただきます。 一九八二年に一兆円を超えた水産物の輸入は、一九八九年には一兆四千五百億円に達し、同年の我が国漁業総生産額二兆七千二百二十億円の五三%、半分以上に上っているわけです。輸入相手先ではアメリカが約一八%で一番多くなっております。漁業白書では、「国内の需給動向に即した秩序ある輸入を図っていくことが重要となっている。」と述べておりますけれども、秩序ある輸入のためにどのような施策を講じていこうとしているのでしょうか。 輸入割り当て制度、IQ品目では、農産物十三品目のうち水産物が八品目残っておりますが、ガット協議、特にウルグアイ・ラウンドなどでの話し合いとの関係でますます自由化されるのではないかという懸念もあるわけですが、この辺はいかがでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) 我が国における水産物の需給と輸入関係について、ひとつこの際説明をさせていただきたいわけでございますが、相当の水産物輸入、数量面、金額面であることは事実でございます。ただ、現実の輸入の内容を見ますと、国内生産で充足のできないエビ、カニ、マグロ等々不足品目がその主体をなしておりまして、国内の需給につきまして、この輸入が大変大きな撹乱要素になっておるという認識は、基本的に私ども持っておらないわけでございます。 いずれにしましても、そういった認識でありますけれども、一部の魚種について需給が変動しまして大変困難な状況が見られるということも事実でございます。私ども、基本的には生産段階から加工、流通、末端の消費に至るいわゆる川上から川下に至る関係者が、需給の状況なり将来展望について共通の認識を持ってそれぞれの活動を進めていくということが基本的に重要であると考えております。したがいまして、そういった需給上問題のありそうなものについては、そういった関係者が一堂に会して需給の現状なり将来見通しについて論議をし、共通の認識を持ってそれぞれの分野で活動していくように誘導していくことが、基本的に重要であると考えておるわけであります。 また、一部の多獲性大衆魚について、IQ品目が残っておることは御指摘のとおりでございます。品目の数え方については関税分類をいかにとるかによって変動しますので、数はともかく一部あることは事実でございます。このIQ制度の問題についても、御承知のとおり今時のウルグアイ・ラウンドにおきまして、全体として関税以外の手段による国境保護措置というものをできるだけ軽減しようという方向で論議が進んでおるわけでございます。水産物についても、そういった論議の対象として当然参画をしていくこととなるわけでございますが、具体的には今後の論議の推移を見て、私どもとしても検討を深めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○林紀子君 ますます今後増加が予想される輸入水産物を抑えて、国内水産物の生産体制を確立していかない限り資源管理型漁業というのは育っていかない、日本の漁民というのを守ることはできないということを指摘いたしまして、きょうは厚生省にも来ていただいておりますので、次の質問に移らせていただきます。 輸入水産物の増加は消費者にとっても大変重大な問題です。農水省が全国の主婦を対象に行った「輸入食品の利用について」というアンケート調査でも、輸入食品についてどういうところに問題があるかと聞いたところ、「安全性の面で不安がある」と答えた人は八二・三%と最も多かったのです。 昨年、輸入の養殖ウナギやエビの残留抗生物質の汚染が問題となりました。厚生省では現在、輸入水産物についてどのような検査を実施しているのか。外国から情報が入ってくれば対応するけれどもそれまでは何もしない、野放しの状態ではないのかと心配されます。養殖の水産物の輸入が増加する中で、今後どのように取り組んでいくのか、お答えいただきたいと思います。
○説明員(難波江君) お答え申し上げます。 輸入養殖魚介類につきましては、従来から必要に応じまして抗菌性物質とか貝毒等につきまして輸入時に検査を行いまして、その安全性の確保を図っているところでございます。特に先生御指摘のように、養殖ウナギ、エビ等につきましては、輸出国における抗菌性物質の使用実態あるいは規制の状況等について情報収集を行いますほか、さらに輸入時におきましては、これらの物質の残留につきましてモニタリング検査を行い、問題がある場合には輸出国との協議を通じて問題解決のための対策を求めるとともに、輸入時における監視の強化を図っているところでございます。 輸入魚介類の安全確保につきましては、輸出国における対策が極めて重要であるということから、今後とも輸出国における各種情報の入手に努める一方、輸出国に対しましても安全な養殖魚介類を輸出するような体制整備を求めていくこととしているところでございます。また、輸入時におけるモニタリング検査を充実させる等、輸入養殖魚介類の安全確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○林紀子君 最後に、大臣にお聞きしたいと思います。 政府は、昨年の消費者保護会議で増大する輸入食品に関し、監視員、検査機器の整備など監視体制の一層の充実に努め、安全性の確保を図ることを決定しております。しかし今、日米構造協議の中で、アメリカから輸入手続の簡素化、迅速化の名のもとにこういうことに対しての大きな圧力が加えられておりますけれども、国民に安全な食糧を供給する立場から輸入食料品の安全について、さらに対策を強めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(山本富雄君) 国民に安全な食糧をしかも安定的に供給していくということは、まさに農政の最大の柱だと、こういうふうに私ども心得ております。そのために、農産物の国際需給が中長期的には不安定な要因も抱えておるということにも十分留意いたしまして、今後とも、一つはできる限り生産性の高い国内の体制をつくっていく。同時に、輸入の関係等の適切な組み合わせを図りながら、国民の皆様、消費者の皆様に納得していただけるような食糧の安定供給に努めていく。また、不測の事態にもいつでも対応できるように食糧の供給力の確保に努めていきたい、こういうふうに考えております。 この場合にいろんな措置が必要でございますけれども、国内生産につきましては、農薬取締法等の関係法令の適切な運用あるいは安全な農産物の生産、こういうことに十分配意をしながら、今御指摘のような輸入食品を含む食品の安全性を確保するということのために、厚生省その他関係所管庁とも十分連絡をとりながら安全な食糧の提供ということに配意してまいりたい、こう考えております。
○井上哲夫君 まず一番最初に、同僚の議員がお尋ねになりましたが、重複をしない範囲でお尋ねをいたします。 いわゆる北朝鮮のサケ・マス漁船団の拿捕事件に関してでございますが、先ほどの菅野委員の質問に対して、長官の方から乗組員の安全の確認といいますか、そういう点も今一生懸命情報収集をしている、こういう趣旨の御答弁があったと思いますが、新聞報道を見ますと、百四十名ぐらいに上るというような具体的な数字も出ておるようでありまして、例えばその百四十名の乗組員が今どういうふうな形でどこに向かって、そして裁判を受ける対象になっているのかどうか。さらに水産庁からというよりも、北海道の道庁からあるいは別の機関から、そういう情報収集なりあるいは乗組員の安全性の確認をあわせて具体的な関係者の派遣を考えるとか、そういう点の今水産庁でお考えになっている範囲をできればお聞かせ願いたいと思うんです。
○政府委員(京谷昭夫君) 報道されております、いわゆるソ連側に拿捕されております北朝鮮フラッグの漁船に、日本人乗組員が相当数いるのではないかという問題をめぐりまして、大変御心配をおかけしておりますことを遺憾に存ずる次第でございます。 大臣からもけさほど御答弁申し上げたわけでございますが、とりあえず私ども、この問題に巻き込まれております日本人乗組員の安全確保に万全を期すべく関係省庁と、外務省でございますが、最大限努力をしておるわけでございます。実は、外交ルートを通じましてソ連側に対して、どのような状況になっているのかその実態をお知らせ願いたいということで申し入れをしておりますが、まだ先方からの最終回答は来ておりません。 と申しますのは、まだ私ども確認しておりませんが、事件が発生をいたしましてから洋上を移動しておりまして、何せ連絡が非常にとりにくいという状態がございまして、モスクワにおきますソ連側の情報もなかなか確定ベースのものが返事がもらえない、こういう状況でございます。また、国内の方の情報で、実は乗組員のリスト作成に私どもは努力をしておるわけでございますが、通常正規の許可を持っている漁船でありますと関係者から直ちに反応が起こるわけでございますが、今回についてはそういった反応が大変鈍うございます。私どもの活動で集めたものもありますが、まだ完全なものになっていない状況でございます。できるだけ早くそれをまとめると同時に、ソ連側の情報を得て取り扱いの見通しについて先方の意向を確かめて、必要があれば所要の申し入れをする等の活動を粘り強くこれからしていきたいと思っております。
○井上哲夫君 今のお答えが、きょうまでの段階の最大のものだと私も理解をするわけですが、実際に今回の事件では、長官がおっしゃるように国際法上の影響とかいろんな兼ね合いがある、しかも注目されておるという環境の中にあるわけですが、これは当然国内法上の違反でもあるということになれば、海上保安庁を中心として、いわゆる関係会社なり船主の方に調査もなされておるということからいいまして、乗組員が予想される寄港地に、例えば外務省なりの担当官を派遣するような手はずなんかは、そこまでは考えていないということでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) 寄港地がどこになるのかもまだ最終確定情報、私ちょっときょう一日ここにいることもございまして接しておりません。具体的に実態把握なり、あるいはまたソ連側との連絡の緊密化のために、先生からお話のありましたような問題も含めまして、実は外交ルートを通じて先方の意向打診をしておるところでございまして、先方の意向もあろうかと思いますので、一義的にここで私申し上げるわけにはいきませんけれども、いずれにしても先生の御提起されたような問題も含めて先方へ接触を図っておると承知をしております。
○井上哲夫君 次に、これも三上委員が既に質問をされた事項になるわけでございますが、この北洋のサケ・マス漁業に関する減船、それに伴う救済措置の件で先ほど長官の方のお答えもいただいたわけですが、この減船に伴う救済費の交付金というんですか、私余りまだ十分理解が行き届かないわけですが、その問題で新聞の報道にありますように、減船対象の乗組員がどのような救済をどこから受けられるのだろうか。そういう問題で、例えば訓練費あるいは退職金に値するものですか、そういうものというのはこの交付金の中に当然入っておる、そしてそれは船のケース、いろんなケースによって状況がさまざまになってくるかと思うんですが、そういう乗組員に対する船を離れることに伴う、何といいますか、補償といいますか手当て、それについての具体的にどういう配慮がなされているか、お尋ねをしたいと思います。
○政府委員(京谷昭夫君) 先般御指摘のとおり、北洋サケ・マス漁業について、国際漁業再編対策を進めていくことにして、そのうち減船者に対する救済措置の骨子というものを四月末に決定して公表じておるところでございます。こういうふうな一連の動きの中で、サケ・マス漁業に雇用されて従事をする漁船員の方々の問題につきましては二つの問題があろうかと思っております。 一つは、実は出漁すべく、引き続いて減船をする船主との間で雇用契約を結んでおったけれども、結局出漁できなくなったと、そのことに伴って出漁を断念するまでの間、雇用をつないだその間における給料がどうなるかという問題、それからまた、出漁を断念することに伴って退職をするという事態が起こり得るわけでございますが、その際の退職手当の問題があろうかと思います。このいわば雇用継続期間中の給料の支払いなりあるいは退職手当の問題につきましては、減船をする船主と雇用をされている漁船員の間で話し合われ決済がされるべきものというふうに考えておりますが、これに伴う船主の負担については、ただいま申し上げました、四月末に決定をしました減船漁業者に対する救済措置の中に織り込まれておるというふうに私どもは理解をしております。それが第一の問題であります。 それから第二の問題としては、現実に今申し上げましたような経過を踏んで、漁業からの離職者が発生した場合に、その求職活動が円滑に進められなければならないという問題があるわけでございます。これも実は、昨年十二月に決めました閣議了解の中にはっきりと規定をしておるわけでございますけれども、こういった事態が現実化した場合には、御承知のとおり国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法、俗称漁臨法と呼んでおりますけれども、この法律に基づきまして職業訓練あるいは就職指導、職業転換給付金の支給等の措置が講じられることになるわけでございますが、その実務につきましては、運輸省あるいは労働省が担当をして実行していくことになると思います。今回のケースについての具体的なプログラムはまだこれからであろうかと思いますけれども、これらの措置も今後事態がさらに整理をされていくに従いまして、当然検討をしていかなければいけない課題であろうというふうに考えておるところでございます。
○井上哲夫君 今の点で、漁臨法という略称で申されましたが、これは農林水産省だけの問題ではないということでございますので、私もこれ以上お尋ねは避けますが、十分配慮はする覚悟であると、こういうふうに承ってよろしいわけですね。農水省としても漁船員のいわゆる求職に関しては、いかがでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) 先ほども申し上げましたとおり、この問題については直接的な窓口、運輸省でございます。私ども起こっている事態の具体的内容等々については十分運輸省にも御連絡を申し上げ、所要の対策が円滑に進められるよう最大限の協力をしていきたい、かように考えておるところでございます。
○井上哲夫君 次に、話は飛んでまことに恐縮ですが、一井委員がやはりお尋ねになられましたが、今回の水協法の改正の中で信用事業だけでもスケールメリットが出るように統合を促進したい、こういうことで先ほど長官からいわゆる健全な債務といいますか、そういうものは移譲、新しいところに移しても、非常に固定化負債といいますかあるいは損金等は残して、なるべくなら速やかな統合ができるように側面援助をしたいんだと、こういうお答えをいただいたわけですが、この場合、いわゆるスケールメリットの半分は出ると思うんですが、あとの半分、ソフトといいますか人員等の配置なり、そういう点はどのように見通しを持ってみえるんでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) 信用事業の統合等を通じまして、スケールメリットを確保したいわば経営基盤を整備をするということが、今後の漁協経営にとって大変重要な課題であるということは御指摘のとおりでございます。その際に、当然のことではございますけれども、統合された信用事業の運営に当たる人員をどのように配置をしていくかということも、当然課題になることは容易に予想されるところでございます。ただ、具体的にそれがどういう形になっていくかというのは、これから各地域でこの制度をどう活用していくかという様子を見ないと私わからないと思いますが、一定の合理化の必要が出てくる場合というのはあり得るとは思いますけれども、実は信用事業の統合をした上でも、末端でのサービスをかなりきめ細かくやっていく必要も一方では残るであろう。 端的に申しますと、信用事業を譲り渡した組合の方が、譲り受けを受けた組合のいわば委託でありますとかあるいは支店機能を事実上実行するとか、そういうふうな形で末端サービスをすぐさま引き揚げるというふうな事態というのは非常に来にくいのではなかろうか。そういう制約下での合理化でございますので、もちろん信用事業統合のメリットというものを実現していかなければいけないわけでありますから、若干の摩擦はあり得ると思いますけれども、そういった末端サービスの確保ということも考えますと、この合理化にも一定のやっぱり限度があるのかなと、こういう印象で実は私ども考えておるところでございます。
○井上哲夫君 そうすると、今のお話ですが、例えば水産庁の方ではガイドラインといいますか、そういうものも考えなければいけないというようなところまで今のところ来ているのか、そこまでは少し介入のし過ぎというような抑制のところに踏みとどまっておられるのか、その辺はいかがでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) この信用事業の部門統合構想というのは、もちろん私どもがいわば机上プランとして考えているばかりではなくて、漁協系統自体が、合併が停滞する中で非常に整理を急がれる信用事業の合理化という事態に対応して、大変熱意を持ってこの問題に取り組む姿勢を見せております。したがいまして、かつまた地域によりまして、大変その統合のスケールなり、あるいはまた統合後の業務運営についてのいろんな形態というものが大変流動的でありまして、なかなか一律の画一的な、何といいますか、統合の基準みたいなものを私どもの方から余り誘導的な格好で出すのもいかがなものであろうかと、実は内心思っております。 よくまた、漁協系統がどういうふうな考え方でこの問題に取り組んでいくのか、その際に行政としてどのような介入をしていくのか、よく関係者とも相談をしながら、双方の努力で制度改正の効果というものが十分に実現できるように、よく相談をしてまいりたいというふうに考えております。
○井上哲夫君 次に、海洋水産資源開発促進法の改正の件でお尋ねをいたしますが、今回の改正は、御説明を伺いますと、海洋水産資源開発センターの業務の飛躍的な拡充といいますか、それを一つの目玉にしておるように伺っておるわけです。この海洋水産資源開発センターの、当然その業務の拡充を予定しておるということになれば、その組織といいますか、内容を大きく拡大させることが前提になっているのではないかと推察をするわけですが、現在の要員といいますか、そして今後どういうところを重点的にふやしていくのか、その点について御説明をいただければと思います。
○政府委員(京谷昭夫君) 今回の海洋水産資源開発促進法の一部改正の中で、お話しございますように、海洋水産資源開発センターの業務の拡大という問題がございます。現在この開発センターの役職員の構成を申し上げますと、役員六名、うち三名が常勤でございます。それに職員二十八名という体制で行われておりますけれども、最近の開発センターの業務の遂行状況から見まして、今回新たに法律改正によって付加される業務を取り込みましても、既往の業務のうち一部縮小部分もございます。また、業務運営上のいろんな工夫をしまして、組織、人員の上で、できれば現状維持のもとでその任務を遂行していくことが適当ではなかろうかなと、こういうふうに考えております。
○井上哲夫君 そうしますと今の御説明では、業務の飛躍的な拡大、拡充を現有勢力のままでやりたい、こういうことでございますが、それができれば一番いいわけなんですが、特に調査をされるというときに、現有勢力でやるということは委託調査が飛躍的にふえる、こういう趣旨でございますか。
○政府委員(京谷昭夫君) この開発センターの業務の状況を申し上げますと、主として公海、あるいはまた外国の二百海里を対象にした漁業調査というものがかなりのウエートを従来持ってきたわけでございますが、これは御承知のとおり、先ほど来申し上げております国際状況の変化ということもございまして、そういった局面での業務は若干縮小の傾向をたどっております。 また一方、周辺漁場の重要性というものが大変大事になってきて、そこにおいて未利用のままになっている資源の開発なり、あるいはまた新しい形態での資源利用の仕方といいますか、漁業のあり方というものについて新たな観点で調査業務をやっていく必要があるということで、今回一部業務の拡大をお願いしたいと思っておるわけでございますが、これらの状況を総合的に勘案しますと、おっしゃるように若干委託部分がふえるという可能性はあろうかと思いますけれども、総体としては、従来の規模が、漸進的な格好で拡大していくというふうなテンポで業務量の推移を見込んでいくことが適当ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
○井上哲夫君 なかなか今回のこの開発促進法の改正は、今の水産業界の窮状といいますか、そういうところからいえばこれを一つのてこにしてやらなきゃいかぬと、こういうことでありますが、実際にお話を聞いていると、今のような長官のお話を伺うと本当にそれで大丈夫かなと、もう少し大胆な組織なり中身について思い切って、例えば民間のそういうところを取り込んででも大胆にセンターの事業を拡大していくというようなことがなければ、将来、せっかくの法律の改正も仏つくって魂入れずというようなことになりかねないという懸念を持っているわけですが、その点どうか少しでも内容の充実に持っていくようにお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
○喜屋武眞榮君 私は、尊敬申し上げ期待を申し上げております農水大臣に率直に御見解をまず承りたいと存じます。 と申しますのは、あと十年すれば二十一世紀になるわけでありますが、二十世紀における地球上の人類は、主として陸上で生産される産物を食べて生きてきた。もちろん海産物も食べておりますが。ところが、二十一世紀は主として海産物に頼っていく宿命を持っておる、こう私は聞いております。してみれば、沖縄という土地は、面積からすると日本本土の百分の一以下である。ところが、領土という観点からしますと、いわゆる二百海里を基準にするならば、まさに沖縄は日本本土の二倍以上になると私はとらえております。このことなんです。ならば、沖縄における海産資源というものがいかに国民生活にとって、人類の生活にとって重大な意義を持つかということが当然考えられます。 そこで大臣、この私の基本的な考え方に対してはどう大臣はお考えでしょうか、まずそのことを。
○国務大臣(山本富雄君) 先生から御指摘の、資源管理型漁業、これを確立せよ、そして沖縄の事例を引かれてのお話でございますけれども、従来から漁業者、漁業団体による資源管理の自主的な取り組み、これを促進するために沿岸漁業者による資源管理方法等の検討のための協議組織を育成することとか、あるいは地域の漁業者団体の自主的な話し合いによる合理的な地域営漁計画づくり、こういうことを助成して今日に至ったということでございます。 〔委員長退席、理事北修二君着席〕 今回の法改正の中で、特に資源管理協定制度がけさ来いろいろ言われておりますが、これらを発足させて、そしてさらに、今先生が御指摘のとおりもっと強力にやれということ等の御指摘をずっとお聞きしたわけでございますから、実情に即しまして必要があれば、さらに強力な推進方も考えていかなければならない、そういう感想を持ったわけでございます。
○喜屋武眞榮君 現実の問題といたしましても、北方漁業から締め出された我が国は、海産物の漁を求めて南へ南へと沖縄近海に南下しておることも御存じだと思います。このことを私は重大視いたしております。してみれば、私のお願いしたい、また考えていただきたい一つは、沖縄は我が国で唯一亜熱帯海域に属する地域である、日本における唯一の亜熱帯地域の海域である。この海域では栄養塩類が乏しいと言われておる、そして飼料となるプランクトンが少ないがために魚介類の種類は多いが資源量は少ないんだ、こう評価されております。 ところで最近、栽培漁業で周辺水域資源を増殖しようという動きがございます。パヤオの問題もその一つでしょう。昭和五十九年から本部町の県営栽培漁業センター、ここにおきましてはハマフエフキダイあるいはミナミクロダイ、こういった種苗生産が行われております。また昭和六十年、石垣市では国営栽培漁業センターが設置され、クロマグロ、カンパチ等の栽培漁業技術開発が行われております。 そこで政府は、沖縄を栽培漁業の一大センターとするものであり、沖縄での栽培漁業の発展に力を入れてもらうということが、もちろん沖縄のためでもありますが、このことが一億二千万の食糧資源の栽培基地であると、陸上の農業もそのように私は理解しております。国が技術と予算さえ注げば、年がら年じゅう生産の基地となる優位な条件を備えておるのが、沖縄の特性だと私は認識しております。そういう見解に立って、沖縄での栽培漁業の発展にさらに一層力を入れてもらいたい、またもらわなければいけない、こう思っておりますが、いかがでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) ただいま沖縄における栽培漁業の状況についてお話があったわけでございます。 お話しのとおり、私どもも、自然条件的に見て大変広大な水域を持つ地域でございますが、残念ながら栄養塩類等の賦存状況あるいはプランクトンの状況から見ますと、必ずしも優位ではない条件もあるわけでございますが、いろいろな栽培漁業に関する技術開発も進めながら、一つの栽培漁業を展開すべき地域として注目をしておるところでございます。国営の栽培漁業センターの事業所を八重山に置いて、亜熱帯海域の漁介類を対象にした基礎的な技術開発を推進しておりまするし、また沖縄県が設置をしました栽培漁業センターに施設整備の助成を行いまして、種苗の量産なり放流に関する技術開発を進めておるわけでございます。 〔理事北修二君退席、委員長着席〕 今後とも、与えられております自然条件というものを踏まえながら、多少時間のかかる問題もあろうかと思いますが、技術開発を着実に進めながら、何が適しているか、どういう方法が効率的な生産に結びつくかという点について研究なり工夫を進めまして、栽培漁業の定着振興に努めたいと思いますが、国の努力もさることながら、沖縄県当局あるいは漁業団体、漁業生産者、皆さん方のお力添えもいただいて、御趣旨に沿った努力を私どもとしても進めてまいりたいというふうに考える次第でございます。
○喜屋武眞榮君 沖縄は、見方によっては日本のけつでありまた孤島である。そして、資源の乏しい島であるという、過去においてはそういった見方が多分にあったんです。ところが、今日では地球的な発想、アジア的な発想、日本のかなめという立場から発想の転換をするならば、沖縄の陸あるいは海をどのように発想の転換として日本の政策に位置づけるかということが、最も大事であると私は自信を持って申し上げたいと思うのであります。 残念ながら戦争の犠牲は、いまだに県民所得は七五%、失業率は常に全国の二倍以上、こういう状態において、基地被害のもとであえいでおるというこの現状を国が正しく認識してもらわなければ、これは沖縄の平和と豊かさにもつながるが、それはそのまま日本の平和と豊かさにつながるその原点であると私は信じております。いわゆる宝の島は平和のメッカであり、文化のメッカであり資源の豊富なメッカである。この沖縄を国政の上から、特に農政の上からどのようにとらえていくかということが実に私は重大な問題であると、こう思われてなりません。 そこで、次に移りたいと思うのですが、先ほど申し上げましたとおり、我が国で唯一の亜熱帯海域に属するという、ところがこの海の海域では栄養塩類が乏しいと科学者は言っております。それで、餌料となるプランクトンが少ないために、魚介類の種類は多いが資源量は今のところ少ないと。最近栽培漁業で周辺水域資源をふやしていこうと、こういった見解に立って、国の認識の上に立って昭和五十九年本部町の県営栽培漁業センター、繰り返すようでありますが、そこではハマフエフキダイ、ミナミクロダイを中心として今種苗生産が行われております。それから、昭和六十年には石垣市において国営栽培漁業センターと位置づけてクロマグロ、カンパチ等、栽培漁業技術開発が目下行われつつある、これは緒についたばかりでまだまだこれからというところであります。 そこで、政府は沖縄を本当に栽培漁業の一大センターとするつもりで沖縄での栽培漁業の発展に力を入れていただけるかどうか、おざなりの、素通りの水産政策ではなく、本当にその気になって大事にしていただくならば沖縄は豊かになるでしょう。同時に、それは日本も豊かになること間違いないでしょう。こういう国際的な規模、アジア的な規模、基本的な立場に立って国民生活を豊かにしていく、こういう夢と希望を常に抱いて国にも心を込めてお願いもし、訴えもし、時には抗議もいたしておる次第であります。どうかひとつ、まだ沖縄の現状は国の本当の姿勢からしますと差別と犠牲がまだまだ振りかかっておるということを、早くこの犠牲を取り除いていただかなければいけない、この差別感を徹底的に払拭してもらわなければ沖縄は浮かばれない、そのことが日本にとっても不幸である、こう私は心から思われてなりません。 以上申し上げまして失礼ですけれども、大臣のコメント、長官のまた御決意を承って私の質問を終わります。
○国務大臣(山本富雄君) いつも先生、お話を聞いておりますと、郷土沖縄を思う気持ちが本当にあふれておりまして、それがまた国政の一つの大きな柱にならなくちゃならないというふうなことで、きょうは水産関係の立場、今回の法律の問題を踏まえての御質問であり、御指摘であったと、十分拝聴したわけでございまして、具体的なこの施策の問題、今のセンターの問題等につきましてはまた長官から答弁をいたさせます。
○政府委員(京谷昭夫君) 重ねての沖縄における栽培漁業についての重点推進の点につきまして、歴史的な背景等も踏まえたお話をよく伺わせていただきました。 国営の栽培漁業センター、全国で十四カ所あるわけでございますが、まさにその一つが沖縄地域、石垣市八重山に置かれておるわけでございます。いろいろな自然条件の制約もございますけれども、御指摘の御趣旨を踏まえて、このセンターを中心にし、県あるいは関係漁業者の協力も得て、御趣旨に沿った栽培漁業の推進に私どもも全力を払ってまいりたいと、かように考える次第でございます。
○星野朋市君 この際でございますので、水産物の流通についてお尋ねしたいと思います。 かねて、私は農水産物については生産者価格とそれから消費者価格の間に余りにも差があり過ぎる、これはもう流通の問題であると考えております。漁業白書によっても魚価の非常に安い魚類については流通経費が非常に高くかかっている、物によっては七割もあるというような指摘がございます。 私は、先週予算委員会の公聴会におきまして、大店法、大店法と騒いでいるけれども、大型店舗の経営者が今ひそかに恐れているのは何かというと、次の問題は通信販売とそれから宅配業者によるシステム化された産地直売である、こういう指摘をしたんですけれども、逆に言えば、大店の経営者の恐れているこういうことを逆手にとって流通の近代化を図るべきだと私は思っています。水産庁は流通問題についてどうお考えでしょうか。
○政府委員(京谷昭夫君) 先生御承知のとおり、我々の食生活の中で水産物、非常に多種多様な利用の仕方が定着をしてきておるわけでございますが、御承知のとおり伝統的な魚食民族として水産物に対する需要には大変根強いものがあるわけでございます。ただ、水産物の特色として、いろいろ大きいもの小さいもの取りまぜて漁獲される、末端流通あるいは末端の消費に移る過程でそれの仕分け業務が大変難しいという問題が一つあります。それからまた、鮮度が非常に重視をされる商品でありまして、流通過程におきましてその鮮度保持について大変リスクを伴うというふうな性格がございまして、いわば先ほど先生御指摘ございましたように、ことし発表しました漁業白書において明らかにしておりますように、魚の元値の多寡にかかわらず流通経費が余り変わらないというふうな実情があるために、末端価格に占める流通経費の割合が安い魚では非常に高く見えるというふうな現象があるわけでございます。 もちろん、流通構造そのものを直すという課題もあるわけでございますけれども、やはり一定の流通コストがかかることはどうしても避けられないことでありまするし、また保存技術の向上等によってリスクを少なくして、事実上の流通経費の縮減を図るというふうな努力もしておるわけでございます。また、流通構造として流通過程のショートカットという問題も当然あるわけでございまして、ただいま御指摘のような店頭販売から宅配というふうな形での流通機構の変化という動きにも的確に対応しながら、需要の確保を図りながらより安く、より高品質の魚の供給体制というものを構築していくことが大変重要な課題であるというふうに考えております。
○星野朋市君 次に、水産技術の点についてお尋ねをいたします。 水産庁の技術予算は、平成二年度において三十九億円余りと承っておりますけれども、わずか四十億円程度ということで、今後の日本を取り巻く水産物資源の厳しさからいっていかにも少な過ぎはしないだろうかという感を持たれるわけです。これは、先ほど喜屋武先生も御指摘になりましたように、これからは世界的に魚類のたんぱく資源、そういうものが増加する、それから公海上の漁業の禁止がますます厳しくなる、そういうような傾向にあるわけです。そういう意味でいわゆるつくり育てる漁業、こういうことはそう短時間でできるものとは思われません。そのために、予算だけ講ずればいいというものではございませんけれども、水産技術の確立というのはできるだけ早い機会にそれを行うべきだろうと私は考えております。 また、水産技術については日本は世界に冠たるものでございまして、私が知っている範囲内では、日本以外で栽培技術として確立したのは台湾におけるいわゆるブラックタイガーだけだろうと思います。そういうことを考えましてこれから水産技術の確立、それから養殖技術については、むしろ海外に積極的にこれを技術供与しまして海外からの資源確保に当たる、こういう施策が必要ではないかと思います。例えば卑近な例で申しますと、ロサンゼルスの沖合に有力なアワビの産地がございましたけれども、日本のすし屋がロサンゼルスに大量に進出したためにたちまちアワビ資源が枯渇をしてしまった、こういうような例がございます。そういうことで、日本の冠たる水産技術というものを積極的に海外に供与する方針が必要だろうと思っております。 そういう観点から申しまして、今日本の水産技術の最先端技術、こういうものについてお聞かせ願えればありがたいと思うんでございます。例えば三倍体アユ、かなりずうたいがでかくなって、しかも川を下らないで川にとどまってしまう、こういうような魚が出ております。いわゆる海水魚については三倍体技術というものはどの程度進んでおるのか、またどんな種類があるのか。これは一つのこれからの重要な養殖技術の決め手になると思いますが、その点お聞かせ願えればありがたい。
○政府委員(京谷昭夫君) 水産業をめぐる技術開発問題について広範なお尋ねがあったわけでございます。今後の周辺水域を中心にしたいわゆるつくり育てる漁業という施策の方向から見ましても、新技術の開発普及ということが大変大きな課題であると私どもも認識をしております。関係予算等、この新技術開発に関連する予算としてまだ不足しているではないかというふうな御指摘もございますけれども、実は御指摘の実事業費約三十九億円ということでございますが、これに関連をした施設整備あるいは組織運営として別途約百十四億円近い金額も使いながら、総体として試験研究なりあるいは技術の実用化のための各種の予算を計上、実施をしておることをひとつぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。 また、我が国で開発した養殖あるいはふ化放流技術を積極的に、対外的に協力の形態も含めて海外に出してはどうかというふうなことがございます。既に実用化段階に入ったそういう技術については、合弁事業あるいは経済協力事業の一環として海外に出しておる例がございますけれども、これの本格的な海外への定着化の問題については大変難しい問題が一つございます。 それは、先生御承知のとおり、国内で行われる栽培漁業あるいはふ化放流事業に対するブーメラン効果について、大変心配する向きもなきにしもあらずでございます。また特に、このブーメラン効果ということになりますのは、技術移転先でのマーケットからあふれたものが、またこちらに向かって戻ってくるというふうな問題がございまして、その辺の調整をどう考えていくかというふうな課題もにらみながら、おっしゃるようないわば世界最先端を行く我が国の水産新技術の活用方については、関係者ともよく相談をしながら有効に活用されるように心がけていくつもりでございます。 また、最先端技術の一環として三倍体の技術開発状况についてのお尋ねがございました。お話にありましたように、ニジマス、アユ、ヤマメといったような川魚類についてはほぼこの三倍体、非常に体の大きい魚種についての三倍体の造出技術の開発が進んでおりまして、特にニジマスについてはほぼ実用化段階に入っているのではないか、こういう理解をしております。また、御指摘のとおり海産養殖魚についてややおくれをとっておるわけでございますが、各道県の水産試験場等とも協力をして技術開発をしております。大変まだ部分的ではございますが、マダイ、ヒラメ、ギンザケといったようなものについては、実験室レベルでこれが一応作出できるような技術開発段階になっておると言えるわけでございます。 一つには、これからのステップとしてそういった海産養殖魚の三倍体造作出について、これを大量生産技術として定着をするための技術改良が必要である。また同時に、こういう生産物が出た場合に、品質等について市場評価が十分に得られるものかどうかということについても吟味をしていく必要があると考えておりまして、それらの点に配慮もしながら、残された技術的課題に取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○星野朋市君 大臣、大変お忙しいようなんで最後に簡単にお尋ねいたしますけれども、先般牛乳の学校給食の件で、私行政というのは、制度、それから法律、こういうものをつくった後、最後まで見きわめていくことが行政の一番の目的であろうと、こういうふうに申し上げましたんですが、今回も法律改正だけでは十分と言えないと私は思っております。今後の日本の水産業の振興について、大臣の御所見を伺えれば幸いと思います。
○国務大臣(山本富雄君) まさに先生の御指摘のとおりでございまして、先般も今お話しの牛乳問答でもその話がございました。今回も、この法律改正で万全だというふうには私ども考えておりません。もちろんこの法律を改正するのは、時代に合わせて我が国の水産業を振興させようということのためにやるわけでございますけれども、この法律改正を契機にいたしまして各種政策を、いろんな政策を総合的にやっていかなきゃならないというふうなことでございます。 基本的な認識を一言だけ申し上げますが、とにかく最近の漁業の情勢というのは今さら申し上げるまでもありませんけれども、国際的な漁業規制とかあるいは底魚類を中心にいたしました資源が年々再々減ってきている、悪化しているあるいは我が国の漁村の活力が低下している、さまざまな原因がありまして水産業全体が非常に厳しい状況にあるというふうなまず認識を持って新しい、再構築といいましょうか、仕事にとりかかっていこう、こういうことでございます。 そこで、今後この厳しい状態の中で漁業の健全な発展と水産物の安定的な供給を図っていくためには、海洋水産資源の合理的な利用を推進するとともに、水産業協同組合、やっぱり組合が、けさ以来各先生からも御指摘がございましたけれども、農協と例えば比較をいたしましても水産業の協同組合というのは多くは規模が小さい、零細だということ等がございまして、どうしても経営基盤を強化して、そして魚をとるあるいはつくり育てるという母体を強くしていかなくちゃいかぬのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。 その意味で、今回の海洋水産資源開発促進法及び水産業協同組合法を改正しよう。そして、漁業者には自主的な資源管理の取り組みの助長及び組合の体質強化などによってこの厳しい時代に対応していこう。繰り返すようでございますけれども、法律改正をやったからもう先々万全だと、こう思うのは全くの早計でございますから、さらに先ほど喜屋武先生にも申し上げたんでございますが、これを改正して実施に移し、さらに運用を図り、総合施策を展開しながら必要があればいろんなことをさらに加えていきたい、こういうふうに考えておることを申し上げておきたいと思います。
○星野朋市君 質問を終わります。 —————————————
○委員長(仲川幸男君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、初村滝一郎君及び熊谷太三郎君が委員を辞任され、その補欠として木暮山人君及び藤田雄山君が選任されました。 —————————————
○委員長(仲川幸男君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(仲川幸男君) 御異議ないと認めます。 これより両案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べください。——別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(仲川幸男君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより順次採決を行います。 まず、水産業協同組合法の一部を改正する法律案について採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(仲川幸男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 大浜君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。大浜君。
○大浜方栄君 私は、ただいま可決されました水産業協同組合法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブ、税金党平和の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 水産業協同組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 近年、我が国水産業をめぐる情勢は、国際規制の著しい強化、周辺漁場における資源状況の悪化、魚価の低迷等極めて厳しいものがある。このような状況の中で、水産業協同組合の多くは、経営規模の零細性、取り扱い事業量の減少、不良債権の増大、金融自由化の急速な進展等さまざまな課題を抱えている。 よって、政府は、水産業協同組合の体質強化及び機能の充実を図る観点に立って、水産業協同組合制度のあり方につき、さらに検討を進めるとともに、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。 一 組合の経営基盤を強化するため、組合の自主的な取り組みを基本としつつ、組合の合併をさらに強力に推進すること。 二 漁場利用に関する事業の拡充及び販売事業に係る員外利用制限の緩和を行うに当たっては、組合の立地条件等を十分に考慮して、慎重に取り組むよう指導すること。 三 組合の信用事業に関する事業範囲の拡充については、組合員への融資等の組合の本来業務に支障が生ずることのないよう適切に指導すること。 四 信用事業の統合及び信漁連による直営化に当たっては、その円滑化のために必要な援助を行うとともに、譲渡する組合の組合員の利便を損うことのないよう、また、職員の雇用に不安が生ずることのないよう指導すること。 五 大規模法人や非漁業者が組合員となることにより、組合の運営に混乱の生ずることのないよう協同組合原則に基づく民主的な運営の確保につき適切な指導を行うこと。 六 回転出資金制度の導入に当たっては、組合員の意向を十分に尊重するよう指導すること。 七 優秀な人材を確保するため、組合職員の給与等の労働条件の改善につき適切に指導すること。 右決議する。以上でございます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(仲川幸男君) ただいまの大浜君提出の附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(仲川幸男君) 全会一致と認めます。よって、大浜君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、山本農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。山本農林水産大臣。
○国務大臣(山本富雄君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上善処するよう努力してまいりたいと存じます。
○委員長(仲川幸男君) 次に、海洋水産資源開発促進法の一部を改正する法律案について採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(仲川幸男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 井上君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。井上君。
○井上哲夫君 私は、ただいま可決されました海洋水産資源開発促進法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブ、税金党平和の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 海洋水産資源開発促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 近年、国際漁場において我が国漁業に対する制約が著しく強化され、これに伴って、我が国周辺漁場で操業する沿岸・沖合漁業への期待が高まっているものの、この水域の資源条件は総じて悪化傾向を強めており、このため、資源管理型漁業の推進が緊急の課題となっている。 よって、政府は、漁業法、水産資源保護法等による資源管理に遺憾なきを期するとともに、本法の施行に当たり、次の事項の実現に努めるべきである。 一 資源管理協定制度の導入に当たっては、アウトサイダーに対する参加のあっ旋はもとより、協定の締結についても積極的に指導するとともに、必要な援助措置を講じ、あわせて、協定の目的達成のため、漁業法又は水産資源保護法に基づく採捕制限等の措置を適切に講ずること。 二 広域的資源管理の必要性が高まっている実態にかんがみ、外国漁船を含めて、我が国周辺漁場における資源管理体制及び漁業秩序の確立に努めること。 三 海洋水産資源開発センターの行う新たな調査業務については、その重要性にかんがみ、必要な援助を行うこと。 四 水産資源を適正に管理し、漁業生産の維持増大を図るには、資源管理型漁業の確立が不可欠であるため、それに必要な漁業法、水産資源保護法等の関係法制の一層の整備、資源量、許容漁獲量等を把握するための調査研究の強化、漁業生産構造再編のための援助等に努めること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(仲川幸男君) ただいまの井上君提出の附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(仲川幸男君) 全会一致と認めます。よって、井上君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、山本農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。山本農林水産大臣。
○国務大臣(山本富雄君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、慎重に対処してまいる所存でございます。
○委員長(仲川幸男君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(仲川幸男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします 午後四時十五分散会