地方行政委員会 第4号
- 発言数
- 273 件
- 登壇者
- 34 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1990/06/01
会議録
○委員長(渡辺四郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る四月二十七日、谷本巍君が委員を辞任され、その補欠として岩本久人君が選任されました。 また、去る五月八日、森暢子君が委員を辞任され、その補欠として栗村和夫君が選任されました。 ─────────────
○委員長(渡辺四郎君) 去る五月二十五日、予算委員会から、六月一日の一日間、平成二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち警察庁、自治省所管及び公営企業金融公庫について審査の委嘱がありました。 この際、本件を議題といたします。 本件に関する説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○岩本久人君 まず、自治大臣にお伺いいたしますが、去る四月二十六日に、選挙制度及び政治資金制度の改革についての答申というものが出されました。今や我が国におけるこの問題は最重要テーマだと全国民が注目をしていることと思って おります。私もこの問題につきましては、従来からとても大切な問題だという認識がございますので、積極的に参画をしていきたいと思っておるんですが、まず、この問題に対する担当大臣としての決意をお願いしたいと思います。
○国務大臣(奥田敬和君) 第八次の選挙制度審議会の答申をいただいたことは今お話しのとおりでございますけれども、この答申は、昨年の六月から約十カ月以上かかって広く有識者を集めて行われた答申でございます。リクルート事件を契機にいたしまして、国民の間にも政治改革をやるべしとの声が高まりました。また、今日の選挙制度を含めまして政治資金のあり方、こういった形で今日の政治不信をいかに払拭するかということで大変な御苦労をいただいた結晶が答申にあらわれてきていると思っております。政党本位、政策本位、お金のかからない選挙がいかにしたら実現できるか、こういったこと等を中心にされましていただいた答申でございますので、私としてはこの趣旨、内容を最大限尊重いたしまして、とはいえ、この選挙制度を含む問題というのは政治家の身分に関することでもございますし、もっと大きく言えば政党の運命にも関する問題でもございますので、各党各派の御意見にもよく耳を傾けながら何かと成案に至るまでにこぎつけたいということで、私としても、海部総理ではありませんけれども、不退転の決意で命運をかけてこの問題に取り組みたいと思っておるわけであります。
○岩本久人君 自治大臣のすべてをかけて不退転の決意で取り組むという大変力強いお言葉をいただきまして、私も積極的に私の意見も勇気を持って出していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ところで、この答申は、国政選挙、なかんずく衆議院の選挙制度というものを中心に置かれているわけですが、政治改革、選挙制度の改革ということは、このことだけでなくて、実は全国の地方選挙制度のことについてもやはり避けて通れない問題だと私は思っております。それできょうは、限られた時間でありますので、特に全国四十七都道府県の県議会議員の選挙区の問題を中心に私の意見を申し上げながら、大臣及び自治省としての考え方を伺いたいと思うんです。 と申しますのは、実は私は、島根県におきまして過去三回県会議員の選挙を戦ってまいりました。昨年の参議院選挙、ことしの衆議院選挙あるいは一昨年の知事選挙といったような全県一区を対象とした選挙では、それは選挙ごとに違いますけれども、大まかに言えば、有権者四十万のうち二十万プラスアルファ一万のところで大体保革差が分かれているわけですよ。これは調べてもらえばすぐわかることです。知事選挙でも自民党公認対他の候補者が一万五千票の差です。参議院選挙ではたまたま私が勝ちましたけれども、衆議院でも自民党対他の政党といえば三対二になっている状態。つまり全県一区の選挙区で選挙をしてみれば、一人一人の有権者の意思というものは拮抗していてそう大した差はないというのが過去十数回の選挙の結果だということが客観的に言えると思うんです。 しかし、私自身体験をした過去三回の県会議員の選挙でもそうですけれども、県会議員の選挙の結果はどうなっているか。自民党三十五対他の野党が六というのが過去十回の平均です。それはなぜそうなるのか。ひとえに県会議員の選挙区が小選挙区になっているからということなんです。島根県の場合で言うと、二十一の県会議員の選挙区のうちの十一が一名区なんです。私は過去この問題を島根県会の中で、一番最初は昭和五十五年に取り上げまして、五十五年、五十七年、それから途中で一回やって、最後は六十二年に取り上げまして、五回ほど県会の中で取り上げました。知事も、私の主張には何ら反論できない、こう言っておるわけです。けれども、何せ条例で決めることだから、議員の皆さん方の判断に第一義的にはゆだねないとそれ以上踏み込んで言うわけにはなかなかまいらないということで現在までずっと来ている、こういうことなんです。 しかし、考えてみると、国政選挙における政治改革がなかなか進まないように、その問題を取り上げたその時期に絶対多数を占めている会派に不利益をもたらすかもしれないというものに、その会派が当然のことながら賛成するわけがないということを考えてみた場合、この問題は、憲法の精神にのっとって現在ある公職選挙法というものが持つ制度としての欠陥があるのではないか、あるいはもっともっと補完をしなければならないものがあるのではないかというふうに思いまして、特にこの問題を取り上げるわけです。 ちなみに、隣の鳥取県は一名区の選挙区はゼロなんです。だから結果はごらんのようにいわゆる保革差というのがそうないんです。蛇足ながらそのことを申し上げて、この問題について今から約一時間ほど入りたいと思います。 まず、一人区の現状について自治省に伺いますが、その前提として県議会議員の選挙区、その区割りというものは何に基づいてなされているのでありましょうか、伺います。
○政府委員(浅野大三郎君) 県議会議員の選挙区につきましては、公職選挙法でその基準を定めておりますが、その公職選挙法の基準に基づきましてそれぞれの都道府県の条例で定めておるわけでございます。その場合の基準と申しますのは、郡市を単位とするというのが基準でございます。ただ、これにはいろんな例外的な規定等もございますけれども、基本的にはそういうことでございます。
○岩本久人君 では、その郡市というものはいつ制定されたものでしょうか。
○政府委員(浅野大三郎君) この郡市によって区分するという基準の考え方でございますが、公職選挙法そのものは昭和二十五年に制定されておりまして、もとよりそのときからそういう基準を持っておるわけですが、もっとさかのぼりますと、これは戦前におきましては、今とは若干違った中身になるかもしれませんが、府県制におきましてそういう県会議員の選挙のことも決められておったわけでございます。最初に府県制が定められましたときから郡市によるという基準をとっておるところでございます。
○岩本久人君 具体的には何年ですか。
○政府委員(浅野大三郎君) 府県制が制定されましたのは、たしか明治二十三年であったかと思います。
○岩本久人君 明治二十三年制定ということですから、ことし議会制度発足百周年ということですから、原則的には、百年前に決まった市と郡というものを基準に置いて現在の県会議員の選挙区が区割りされておるということでございます。そのことをまずひとつ確認をしておいて、次に入ります。 では、全国の県会議員の全選挙区のうち、いわゆる一人区というのは幾らあって、それは何%に当たるか、お伺いいたします。
○政府委員(浅野大三郎君) お尋ねは、選挙区の数でとらえて一体どれぐらいの割合かということと思いますので、これは議員数でとらえた場合とはもちろん違うわけでございますが、そういうふうに選挙区の数でとらえました場合に、全国の一人区というのが五百十九ございます。それで、全体の選挙区の数に対する割合は四二・一%であるということでございます。
○岩本久人君 全体の数は。
○政府委員(浅野大三郎君) 全体の選挙区の数は千二百三十四でございます。
○岩本久人君 ただいまの答弁でいくと、全国の全県会議員の選挙区が千二百三十四。そのうち五百十九ということで実に四二・一%というような高い率の一人区が存在する。文字どおりこれこそ小選挙区制の最たるものだと思うんですが、そのうち一人区が最も多い県はどこで、最も少ない県はどこでしょうか。
○政府委員(浅野大三郎君) 選挙区数で見て一人区の割合が多いというふうにとらえまして、最も多いのは岡山県でございます。これは選挙区の数が二十五ございますが、そのうち十八選挙区が一 人区ということになっております。それから、最も少ない方でございますが、鳥取県は一人区はございません。これが最も少ないというかゼロである、こういうことでございます。
○岩本久人君 では、一人区が県内の全選挙区のうち五割を超えるところ、具体的な県名を挙げてお願いします。
○政府委員(浅野大三郎君) これは必ずしも率の高い方からということではないので恐縮でございますけれども、埼玉県が五三・一%でございます。新潟県が六〇%でございます。岐阜県が六七・七%でございます。愛知県が五〇・八%でございます。兵庫県が六〇・九%でございます。島根県が五二・四%でございます。ただいま申しました岡山県が七二%でございます。広島県が五一・五%でございます。愛媛県が五二・二%でございます。福岡県が五一・一%。大分県が五六・五%。五割を超えるということで計算いたしますと、以上のような状況でございます。
○岩本久人君 以上、十一県が超える、こういうことでございますね。それを確認して、次に進みます。 なぜこのように一人区が多いかということの原因の一つに、私は、公選法の十五条四項、つまりその後あるいはそのとき他の自治体が割り込んでいるために飛び地になっている、それをそのまま認めるというような、選挙区が次々と細分化されていく、こういうことがあろうかと思うんです。そこで、十五条四項にはどのようなことが書いてあるか、その趣旨は何か、そしてその分割、飛び地を認める理由についてまずお伺いいたします。
○政府委員(浅野大三郎君) 公職選挙法の十五条の第四項の規定でございますが、「一の郡の区域が他の郡市の区域により二以上の区域に分断されている場合における前三項の規定の適用」、このまま読んだのではちょっと御説明になりませんのでそこは飛ばしまして、場合においては、「当該各区域又はそれらの区域を合せた区域を郡の区域とみなすことができる。一の郡の区域が他の郡市の区域により分断されてはいないが地勢及び交通上これに類似する状況にあるときも、また同様とする。」、こういうことが書いてございます。 冒頭お答え申し上げましたように、もともと郡市を単位とするというのが大原則でございますが、たまたま町村合併等が大規模に行われまして、そういうことが大きな原因になったと思いますけれども、郡でありましても、その間に市ができてしまったために郡の区域が二つに離れ離れになってしまったとか、そういうようなことが起こりまして、一体それをどういうふうに選挙区制として考えたらいいかということが、昭和三十年ちょっと後のことでしょうが、いろいろ議論になったようでございます。そのときにいろいろ御研究になった上で、ある程度選挙区の区域というものが一つのまとまりというようなことも考えながら、先ほど申し上げましたような十五条第四項の規定を設けることになったというふうに理解いたしております。
○岩本久人君 ここで私は一つの例を申し上げたいと思うんです。冒頭申し上げたように、私はこの問題に十年間一生懸命取り組んでおりますのでそれなりに研究したつもりでありますが、私の調査でいけば、島根県の簸川郡の選挙区、竹下元総理の斐伊川の一番河口のところの郡でありますが、この簸川郡は人口が五万八千人の郡であります。これが今の十五条の四の規定に基づいて三つに分断をされております。そして、分断されたその地域地域が一万数千人ずつなんですが、中には二万を超えるところも一カ所、斐川町というのがありますが、それがそれぞれ分割をされて一人区の選挙区として存在しているわけです。いわゆる原則である郡全体を一選挙区ということでなくて、今の十五条の四の規定で三つに分かれたということなのでありましょう。しかし、それは車で十分から大体三十分以内で往復できるところなんです。だから、だれが見てもこれは郡としての一体性というものを否定する者はいないと思うんです。このことは、私がこの十年間県会で取り上げたときにも知事も認めていることでございます。 そこで私は、この「逐条解説 公職選挙法」という本、「自治省選挙部」、名前が金で彫り込んでありますが、「選挙課長田中宗孝 管理課長谷合靖夫」、こう書いてあります。大変失礼ですが、田中宗孝さんと谷合靖夫さんがおられたらちょっと自己紹介をお願いしたいんです。
○政府委員(浅野大三郎君) 担当の課長は確かに現在の選挙課長であり、現在の管理課長でありますけれども、ちょっと今この席におらないようでございますが、それぞれ現在も選挙制度あるいは選挙の管理、執行ということについて一つのセクションの責任者としてやっております。
○岩本久人君 私は、事前にこの二人の課長さんに来ておいてもらいたいと言っておったんですよ。何で来ないんですか、その理由を聞きたいんです。
○政府委員(浅野大三郎君) それは私が十分趣旨をのみ込んでいなかったということではないかと思って、その点につきましては申しわけないと思います。今すぐ来るように連絡をいたします。
○岩本久人君 それでは、続けます。 この八十八ページにこう書いてある。十五条の四、それの(ア)に、 いわゆる飛地をなしている郡の区域について、この取り扱いをするかどうか、この取り扱いをする場合において、いかなる区域をもつて郡の区域とみなすこととするかを当該都道府県において決定するに当たつては、当該郡の区域が他の郡市の区域によって分断されておりながら、なお郡としての一体性を保有しているかどうかを考慮すべきである。 こう書いてある。これをもっとわかりやすく説明してください。
○政府委員(浅野大三郎君) ただいまの点でございますけれども、これは例えば、ある郡の区域が、普通は市の区域によって分断されていることが多いと思いますが、五つぐらいに分断されているといたしまして、仮にそれをA、B、C、D、Eというふうに申し上げますと、先ほどの公職選挙法十五条四項で、AからEまでをまとめて選挙区とするほか、A、B、Cごと、あるいはそれらを組み合わせたものについて選挙区を設定することもできるというふうに書いてあるわけでございますけれども、この解説は、そういう組み合わせをつくる場合には、やはり一体性があるかどうかというようなことは一つの大事な要素であるということを書いておるものでございます。
○岩本久人君 これを書かれたときにあなたが決裁されているかどうかはわからぬですが、私はそれは若干違うと思うんです。またそれは詳しく聞きますけれども。 いずれにしても、飛び地の選挙区を合わせて一つの選挙区にする。つまり一郡一選挙区という十五条の四項の原則に近づけるという努力をするというときの一つの考え方、一つの考え方というよりかこれが大多数のかなり大きなウエートを持つ条件だと、私はそのように思っておるわけです。だから、この基本的な考え方に基づいて全国の郡が飛び地になったときの選挙区はほとんどが合区になっているわけです。ちなみに中国五県では、一つの郡が飛び地になってそれぞれが一つの選挙区となっているところはほかにないと私は思っておりますが、そのことについてのみ答えてください。
○政府委員(浅野大三郎君) 中国地方につきましてはただいま御指摘のようなことであろうと思っています。
○岩本久人君 ということは、やはり憲法の基本的な理念である国民主権という考え方、そして議会制民主主義というものを追求するための手段である公職選挙法という法律、その理念から考えてみて、できるだけ住民多数の意思が一つ一つの選挙には反映されるべきである、その考え方に立脚して私はそうなっているとこう思うのです。そう思った場合、簸川郡は一体性がだれが見てもあるわけだから、そして中国五県にほかにはそういう 例はないわけだから、当然一つの選挙区として今後執行するべきではないか、このように思っているわけです。 島根県知事も、私が過去十年間にわたって五回やった質問の中で、私の主張そのものについては大変な理解を示しておったのですが、そのことについてはどのように思われますか、お伺いします。
○政府委員(浅野大三郎君) ただいまのお話では、当時の知事さんもそれに理解を示しておられたというようなことでございます。一つの御見識として知事さんもお認めなすったのではないだろうかというふうに思います。
○岩本久人君 そこで、さっき私が言った県会議員選挙のあるべき姿から見て、私はこの簸川郡の選挙区、中国五県に他にない選挙区については、飛び地の三カ所がそれぞれの選挙区ということに今なっているわけでありますが、これを一郡合わせて三名区の選挙区にするということをした方がさっき私が言った理念にも非常に合致する、こう思うわけでありますが、その方が私は好ましいとこう思っておるのですが、その点についてどう思われますか、この法律の精神から言って。
○政府委員(浅野大三郎君) 公職選挙法は、大原則は郡市によって選挙区をつくるということを決めておりますから、そういうところも踏まえてのひとつの御見識をお示しになったものだというふうに思います。 ただ、私自身が具体の問題につきましてなかなか判断を申し上げることは困難な面があるということはひとつ御理解をいただきたいと思います。
○岩本久人君 公職選挙法という法律、これの解釈がまちまちであるということはあってはならないことですと私は思うのです。原則は市と郡だということで、ほかのところではそうなっているにかかわらず、ここだけはこういうふうに三つに分かれて小選挙区になっている、その結果はどういうことになるか。その地域の中において限られた小さい小さい地域の中で一人しか出られないということですから、オーバーに言えば二分の一未満の死に票がすべて存在をするという形に現在はなっておるわけであります。そういったことを考えた場合、自治省として、原則はこうなっておりますよ、そして郡として一体性があるというそのときには合区を考えていく方が好ましいというこの逐条解説等から見て現状はいかがなものかといったような法律解釈上の指導を当該自治体とか、あるいは地方議会の団体に示すということは上級官庁としての自治省の責務であろう、このように思いますが、その点について基本的な見解を大臣にお伺いしたいんです。
○国務大臣(奥田敬和君) 私は、今先生が示されているその公職選挙法の細部についてはまだ勉強しておりませんけれども、先ほどからの御論議の経過を聞いておりますと、明治二十三年以来、昭和二十五年の公選法実施以来郡市をもって県会議員の選挙区は決められるべきであるという原則はあります。しかし、また任意に、任意という言葉は当てはまりませんかもしれませんけれども、事情によってはそういった形で分区もしくは合区のこともできるというような形で決められておるように今お聞きしておったわけでありますけれども、原則は原則、しかし地域事情によってこういうことも可能ですよという形が必ず附則かなんかの形で示されておるはずだと思うんです。法律というのはもう画一的な大宗を決めると同時に、そういった場合の例えば町村合併によって郡市併合みたような形の中で飛び地ができる場合も想定した上で、地域住民が一体何を望んでいるか、地域事情に明るい人たちによってある程度これは分区もやむを得ないなといったときには、分区のそういった形も法的には残されておるのではなかろうかと思うわけでございますけれども、選挙部長に答えさせていただきます。
○政府委員(浅野大三郎君) 法律解釈の問題につきましては、私ども法律を所管する立場でございますから、これはできるだけ明確になるようにそういう解釈をすべき責務はあると思います。ただいまの問題につきましては、まさに公職選挙法が両方の選択を認めておるという形に法律がなっておるということではございます。
○委員長(渡辺四郎君) ちょっと岩本委員、さっき呼びました田中選挙課長と谷合管理課長がお見えになりました。
○岩本久人君 それじゃ、両課長さん、自己紹介をお願いいたします、私は初めてなもので。
○説明員(田中宗孝君) 田中選挙課長でございます。
○説明員(谷合靖夫君) 谷合管理課長でございます。
○岩本久人君 それじゃ両課長さん、わざわざおいでいただきましてありがとうございました。 あなた方の責任で書かれたこの逐条解説のことで先ほどから自治大臣、それから選挙部長さんともやりとりをしておりますので、原則として部長さんがお答えのようですが、執筆された責任者であるあなた方としてはそれは違うということがあったらどうぞ御自由に発言してください。そのことをまずお願いしておきます。 ところで、十五条の四の解釈の問題について、今自治大臣も申されましたが、だれが考えてみても原則は郡と市である、しかし法的に許されている範囲内が分割ということである、そのことについては私もそれは認める立場ではあります。しかし、私が申し上げたいのは、さっきから何回も同じことを言って恐縮ですが、高度に発達した我が日本の民主政治、それをより高い目標に向かって追求する、そのためには憲法で定める国民主権という考え方、そしてそれに基づく公職選挙法という手続上の決まりはできるだけ原則に近づく努力を執行の任に当たる者としてすることが求められているのではないかというふうに私は思うわけです。その意味からいえば、法的に違法ではないから許されるというような考え方であっては決してならないと思う。同じような状況にありながら、中国五県で、一つの郡を二つあるいは三つに分割をして、そしてその分割された一つ一つを一つの選挙区としているところは他にない、このように私は思っているわけですが、私の考え方が間違いかどうか選挙部長にお伺いしたい。
○政府委員(浅野大三郎君) 公職選挙法という法律でいろんな選挙に関する制度を決めておるわけでございまして、そこにある原則というものを尊重していくということは私は大事なことであると思っております。
○岩本久人君 原則に近づける努力は必要だということでありますので、私はこの問題はきょうはこの辺でおきたいと思います。くれぐれも申し上げますが、それぞれの県議会独自でそのような努力を期待しても絶対に近づけることにならないという状況認識こそはしておいてもらいたい。だからこそ、法律の解釈に少しでも疑いがあれば、理念的にもやはり行政官庁として適切な指導を勇気を持ってやってもらうということを特に要望しておきたいと思います。 そこで、いわゆる死に票というものを少しでも少なくするために、公選法十五条の法体系の整備が必要だと私は思っています。それは第二項です。つまり一人当たり人口、それの二分の一を切ったときには合区としなければならない。これは強制合区という義務的なことになっておるわけですから、それは問題ないんです。問題は、任意の合区になっている二分の一を少しでも超えておればどうぞ御自由にということですね。それを私がさっきから言ったことに基づいて、もっともっと積極的な努力が望まれると思うのですが、先ほど言ったようなことでそれは期待できない。そうなってくると、ここのところを二分の一じゃなくて、例えば東京の都議会議員選挙でも一票の格差の問題で裁判になっておりますように、一一倍を超えて二・五倍、三倍になる格差というものが今後生じない。計数整理として、十五条の二項の二分の一じゃなくて、例えば三分の二というふうに改正をしたらどうか、このように思いますが、その点についてのお考えを伺いたいと思います。
○政府委員(浅野大三郎君) いわゆる強制合区の規定でございますが、これは御案内のとおり昭和三十三年の改正で設けられたものでございます。現在は二分の一、つまり県全体の平均人口の半分よりも小さくなるような選挙区は隣接の選挙区と一緒にする、こういう規定が置いてあるわけです。それをただいまの御提案は例えば三分の二ということでございます。どういう意味合いを持ってくるか私なりに考えてみました場合に、二分の一としておりますと下の方が二分の一、そして上がもしさらに二分の一であれば〇・五と一・五でございますからそこは三倍になるじゃないかと、ところが、もし三分の二という基準を設ければ、下の方は三分の二、上の方が仮に三分の四とした場合に二倍におさまるんではないか、あるいはこういうようなことから格差が縮まるんではないか。上は特にお触れになっておりませんから、あるいは上の方は余計な話かもしれませんが、とにかく低い方を上げることによって格差が縮まる方向に作用するんではないか、こういう御趣旨ではないかと理解するわけでございます。 実は、三十三年改正のときにもいろいろ検討はされたようでございますけれども、強制合区という形で強制するものですから、一般に理解されるのは半分ぐらいではなかろうかというようなことで今の法律ができておるというふうに聞いております。それと選挙区というものをどう考えるかということでございますけれども、ある程度地域代表的なところはあるんだろうと思うわけでございまして、合区をするということは、ある選挙区が実はなくなってしまうことでもございますものですから、そこを一体どう考えたらいいんだろうかなというようなこともいろいろ検討してみなければいかぬのじゃないだろうかという気がいたしております。
○岩本久人君 選挙部長、合区すればその地域の選挙区はなくなるという意味のことを今言われたけれども、それは全然違いますよ。私が今ここで一言一言言っているのは、十年間一生懸命研究して言っているわけですから真剣に答えてもらわなければ。合区したらそこの選挙区は有権者がなくなるわけですか、そうじゃないわけでしょう。どういう意味でそう言われたんですか、合区すればそこの選挙区がなくなるというのは。
○政府委員(浅野大三郎君) それはとらえ方の問題かもしれません。そこに住んでおられる方がなくなるわけでももちろんございません。ただ、今まで一つの独立した選挙区となっていたものがほかの選挙区と一緒になるという意味におきまして、今まで独立の選挙区としてあったものが独立の選挙区としては存在しなくなるという意味で申し上げたわけでございます。
○岩本久人君 さっきから私が言っておることからすればそれは次元が低いわね。 ところで、私が最も理想的だと思う一人区が全然ない鳥取県の選挙区、どういう経過でこれは一人区はゼロなんですか、せっかくですからお伺いいたします。
○政府委員(浅野大三郎君) 公職選挙法には選挙区設定の基準が決められておるわけでございますが、鳥取県の場合は基準どおりにおやりになって、その結果一人区が出ないということであろうかと思います。それで、一人区が出たり出なかったりという一つの原因は人口の地域配分がどうなっているかということとかなり密接に絡むと思うのでございます。鳥取の場合はそういう状況になっておったということではないかと思っております。
○岩本久人君 私は隣の県ですからその辺の事情を知っておるんですが、鳥取県からは代々自治大臣が出ておるんですね、石破さんからこの間は坂野さんでしたか、そういうようなことも作用しておるのかなと思って、現在の自治大臣の選挙区を見たら、やっぱりさすがです。十四選挙区のうち一人区は一選挙区しかないですよ、これは私はさすがと思いますけれども。 そこで、自治大臣にお伺いしたいんですが、さっき言われたように、十五条の本則、原則は郡と市になっているんですね。その郡が決められたのは明治二十三年、百年前ですよ。百年前に決められた郡という一つの行政区を現在の日本の政治を根本のところで支える県会議員の選挙区の区割りにしておる、それを原則にしておるということは一体どういうことなのか。確かに昔は郡役所とか郡庁とかというのがありましたね、私らの小学校の頃にしても。今は郡というのは日常生活あるいは行政的にもほとんど実体がないですよ。そういう百年前に決められたものをもとに現在の全国の県会議員選挙の区割りがなされているということについての、私はこれはおかしいと思うんですが、基本的な見解を自治大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(奥田敬和君) まあ歴史的な沿革もあることでございますから軽々には言えませんけれども、やはり戦後の町村合併等々によってお話しのような飛び地の形態ができて、いわゆる郡としての一体性を欠いておるところでも名前だけが郡に残っておるというような地域もありますし、それでむしろ飛び地したところの隣の例えば町と一緒になって選挙をすれば非常に合理的になる場合もあるでしょう。 ところが、この法律が一つの何というか邪魔になって、郡市でなければ県会議員選出ができないというような形の中で、本当に先ほどからお話を聞いておると郡としての一体性を考えるのならば、たとえ飛び地になっていてもこの三つの町や市が一緒になっての選挙区で定数もきちんとした形がいいんじゃなかろうかなとも他方思い、また飛び地になったことによって今までの一体性が阻害されて、それぞれの地域代表がもうあいつと選挙区が一緒になるなら嫌だとかというような形の中での地域事情も踏まえて、やっぱり何か不合理な分区になっておるというような実態もあり、私としては非常にその判断に苦しみます。 ただ、郡市単位で来たという歴史的な沿革を考えるのならば、それらにできるだけ近づいて無理のないような形であってほしい。しかし、どうしてもこれがだめだということになれば、別な選択もまたお互いに考えてやっていくべきであろう、こんなちょっと自分でも何を言っておるかわからないような返事になりました。
○岩本久人君 大臣、あと五、六分ぐらいしかないから一言ほど聞きたいんです。 私が聞いたのはそう聞いてないんです。百年前に決められた郡という行政区域、そういう実体のない郡というものをもとに現在の全国の選挙区が決められているということ、そのこと自体をどう思われるか、こう聞いただけです。一言でお願いします。
○国務大臣(奥田敬和君) まあ沿革もあることですけれども、市町村自体が単独の自治体の根っこでございますから、こういった形は、県があり市町村がある、その中間に二階に郡があるという形の今観念になっておりますけれども、私はそれらは皆さんの合意によって——そういう形がいつまでも残っていくということは私は好ましいことと思っておりません。
○岩本久人君 では、時間がありませんので次へ進みますが、四月二十六日に受けられたあの答申、今後基本的にはどのように進めていかれるのか、大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(奥田敬和君) これは答申を尊重しながら成案を得たいという気持ちはもう今言ったように胸いっぱいでございますけれども、何分にもこういう重要なことでございますので、各党各派の御意見に謙虚に耳を傾けながら何とか接点がなかろうか。今日の中選挙区制度はもういろいろな意味において何としても政策、政党本位に変えなきゃいかぬという国民の非常に大きな期待もあることでございますから、答申を尊重してできるだけ早い時期に成案を得たいという気持ちでおります。
○岩本久人君 政治改革、選挙制度を改革するという国民の期待があることは私も承知しておりますが、小選挙区ということについての国民の期待はないということを先ほどから私がるる協調したことでまず御理解を得ておきたい、これをまず調しておきます。 せっかくの機会でありますので、一部マスコミでいろいろ流れておりますが、区割り作業を現在自治省でやっておられるということなんですが、それは実際やっておられるのかどうか、どういう作業が今進んでおるのか、まず聞きたい。
○政府委員(浅野大三郎君) 区割りの問題でございますが、これは選挙制度審議会の答申において、早急に検討して成案を得る、こうなっております。そういうことを踏まえまして、先般選挙制度審議会の総会におきまして、答申に書いてある基準で事務局の方で事務的に作業をやってみるように、こういうような話でございました。私ども事務局を担当させていただくわけでございますが、いろんな基礎的な資料、そういうものを今整えつつ、これから事務的に可能な範囲でいろんな作業をやってみよう、これからそういうことを進めていこう、こういうところでございます。
○岩本久人君 その作業が済むのはいつごろですか。
○政府委員(浅野大三郎君) 今の時点で確定的に、例えば三カ月で済むであろうとか二カ月でできるであろうとか、なかなか確定的に今の段階では申し上げられないわけでございます。と申しますのは、資料をいろいろ整え始めた段階でございます。実際にそういうものを使っていろんな作業をやってみませんとスケジュール的な検討は今の段階では申し上げにくいということを御理解いただきたいと用います。
○岩本久人君 時間がありませんので、この問題は一応以上でおきたいと思いますが、区割り作業なんというものは私はとても事務的にどうこうなるものではないと思いますので、できるだけ早く返上されたらいい、こう思っておりますが、これは余談ですが、一応つけ加えておきます。 次に、国会決議に基づくいわゆる定数是正の問題について大臣は基本的にどのようなお考えを持っておられますか、お伺いしたいんです。
○国務大臣(奥田敬和君) 国会決議に基づく定数是正の問題のことでございますけれども、これはもう私も議員として、事柄の性格上非常に重大な意義を持っておりますし、またこの問題に関しては、国会決議で示された線に沿って各党で十分協議して、一日も早く実施すべきものであろうという気持ちでおります。
○岩本久人君 あと二分しかありませんので、次の点に入りますが、警察庁に伺います。 少年法の問題であります。具体的には少年法四十一条、四十二条の問題ですが、実は大変多感な時期にある、また大変複雑な社会環境の中で揺れ動く少年の健全な育成、発展を図ることは大変難しいことだということを私は日常の生活の中で肌で感じておるんです。その意味でここの少年法四十一条、四十二条の問題というのは大変重要な意味を持つと思うんですが、それぞれの第一線の現場では、それぞれの所轄の県警本部とか警察署長段階における判断として非常に重要な問題として、罪を犯した少年たちの簡易送致の問題があるんです。 そこで、この簡易送致制度とは何か、このことが第一線現場で十分徹底していない向きがあるが、その点をどのように評価しておるのか。 また、犯罪捜査規範というのがありまして、具体的にこの場合はこうだこうだということになっておるわけですが、その犯罪捜査規範とはどういう決まりなのか、またこれの徹底方についてはどういう場を通じてどのようになされているか、このことをお聞きいたしまして、ちょうど時間になりましたので質問を終わりたいと思います。
○政府委員(加美山利弘君) お答えいたします。 御案内のとおり、少年事件におきましては極めて軽微な事件、再犯のおそれもないというものにつきまして簡易送致という手続を行うこととしております。 この簡易送致の手続の徹底という問題でございますが、現在の簡易送致は昭和四十四年に最高裁、それから最高検察庁、警察庁の三者協議による基準に基づいて各都道府県が具体的基準を定めてやっているわけでございますが、この制度の趣旨をよく踏まえてこの運営の適正化を図るよう指導しているところでございます。会議等の機会、あるいはいろいろ教養等の機会がございますが、そういう機会を通じて徹底を図っているということでございます。 二番目の犯罪捜査規範についてでございますが、犯罪捜査規範は昭和三十二年に定められました国家公安委員会規則でございまして、警察官が犯罪の捜査を行うに当たって守るべき心構え、捜査の方法、手続その他捜査に関し必要な事項を定めたものでございまして、犯罪捜査をする上に非常に大事な実務的な決まりが規定してございます。これにつきましても、いろんな機会を通じましてその趣旨を守り、適正な、少年ばかりではございませんが、犯罪捜査が行われるよう指導しているところでございます。
○篠崎年子君 けさのニュースによりますと、ニュースで「ニュースのことば」という解説がありますけれども、その中で終末時計が一時は地球の終末の三分前に針が進められていたけれども、今十分前に戻された、これは核の問題、米ソの融和によって核軍縮が進められてきて核の脅威が少し下がってきているのではないかということで、三分前が十分前に戻されていったということで大変喜ばしいことだと思っております。 一方、地球環境の破壊ということにつきましては、ますますその破壊が進められていっているのではないかということで、その針が先へ先へと進められていっているかと用います。特にその中で問題になりますのは、やはり化石燃料を筆頭にした膨大な量のエネルギーの消費ということがこれを大きく進めている一つの原因になっているのではないかと思います。このことにつきましては、特に森林資源というものが、これは長い間かかって育てられてきました人類の生存を支える大変大切なものですが、各地でこれが破壊されている。中でも日本は東南アジア、南米の森を買っていて、森林破壊の元凶のように言われているという状況でございますが、こういうことについて通告いたしておりませんでしたが、大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。御感想をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(奥田敬和君) 今御指摘のありましたように、米ソ首脳のいわゆる核を中心にする軍縮協議が大変うまく進んでおるようで、これはこれなりに世界の平和にとっては非常に大切な喜ばしいニュースだと思っております。しかし、今委員が御指摘になった今日まさに今振りかかっている問題は、地球の温暖化にもつながってきて地球環境が破壊されてきておるという現状は、これはもう毎日、日々刻々それが増大しているという現状に一番大きな憂いを抱いております。これは日本国民ばかりじゃなくて、本当に全地球的な大事な課題でもあるという厳しい認識に立っております。したがって、今日のエネルギー消費で生活が豊かになり便利になるということも結構でございますけれども、他方、そういった形の中でのいわゆる炭酸ガス等々でこういった気候環境にまで大きな影響をもたらしてきて、最後にはこの地球の人類あるいは生態系破壊にまでつながっていくという形は、私たちとしては今立ち上がらなければ大変だなという厳しい認識を持っております。
○篠崎年子君 どうもありがとうございました。 東京都のごみの量が一九八九年には五百万トンでありました。東京ドーム十五杯分になる、こういうふうに言われておりますが、これは今東京都に限って言いますと、九五年度までもたせられるだろうと言っておりました最終処分場というものは来年度にはもういっぱいになるのではないかということで、特にこのごみの減量作戦といいましょうか、そういうことが今大切なことだと言われております。特にその中でも、いろんな種類のごみがあるかと思いますが、再生できるものを再生に回すことによってその減量を図ることができるのではないだろうかということで、例えば民間会社などではオフィスのコピー用紙について再生 紙を利用する、そういうところが増加してきているようだと報道されておりますが、一方、役所の方ではこのことについてどういうふうに対処されているのでしょうか。まず、自治省の方からお尋ねしたいと思います。
○政府委員(芦尾長司君) お話しございましたように、再生紙の利用を促進するということは、ごみを減量化し、また省資源、省エネルギーにつながるということはもう当然でございまして、そういうことで森林資源の保護、地球環境の保全に大きく貢献するものと私どもも認識をいたしております。 それで、私ども自治省自身といたしましてもそうでございますが、特に再生紙の利用につきましては地方公共団体に対しまして、やはり再生紙の利用の促進を図っていかなければならないといったようなこともございまして、関係省庁の連絡会議等もございましてそこで申し合わせも行っておるわけでございますが、それを受けまして再生紙の利用促進について地方公共団体にいろいろ連絡もし通知もいたしております。地方団体の方でも既に先導的にこういうものに取り組んでおるところも大分出てきておるわけでございますけれども、地方団体そのものも大分、後で厚生省の方からもお話があるかもしれませんけれども、進んできておるところでございます。
○説明員(坂本弘道君) ただいま先生お話しございました東京ドームでいきますと、全国で昭和六十三年度百三十杯分ということでございまして、前の年に比べますと五杯もふえておる、こういう非常なごみのふえ方ということが問題になっております。 その大きな原因ということを見ますと、今のは家庭のごみ、事業所のごみでございますが、やはり何といいましてもOA化が進むということに伴います紙ごみということでございまして、そういうことから紙ごみを何とか減らさにゃいかぬということを我々も考えておりまして、ただいま自治省の方からお答えございましたですが、私どもの方で都道府県の清掃部局を通じまして昨年の十二月末の状況というのを調査した結果によりますと、再生紙を使用しているのは二十六都道府県、百八十一市町村に上っておりました。それで、今現在、ことしの四月一日現在の都道府県、市町村における再生紙の使用状況について集計を行っておりますのですが、ほとんどの都道府県において再生紙が使用開始されておる。ただいまも自治省の方からお話しございましたが、そういう状況でございまして、市町村の方につきましても順次使用がふえてきておる、こういう状態でございます。 また、政府といたしましても、今自治省からお話しございましたが、平成二年、本年の三月二十九日の地球環境保全に関する関係閣僚会議幹事会だとか、それから省エネルギー・省資源対策推進会議というふうなところで古紙の使用促進等について申し合わせをしておるわけです。厚生省もこの四月一日から事務用紙なんかは全面的に再生紙に切りかえましたし、厚生白書もこれ再生紙で発行しておるような状態でございます。 都市部を中心とするごみの急増でございますが、紙ごみの増加によるところが大きいということで、その原因の一つとして古紙の需要がもう一つ旺盛でないというふうなことで古紙の回収だとか再利用が低迷していることも考えられますので、ことしの三月に地方自治体、それから経団連を初めとする二十団体にもこの再生紙をひとつお使いくださいと、こういう推進する要請をしたところでございます。 今後ともこの古紙の回収、再生紙の使用等によりましてごみを何とか減らしていきたい、資源化をしていきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
○篠崎年子君 今のような方法で、できるだけ実効が上がるように御努力いただきたいと思いますが、今お話を聞きますと全国の都道府県の中で二十六、百八十市町村が再生紙に踏み切っているということですが、やはりこの場合に一番問題になりますのは、紙を出しましてそれを収集して再生するときに、どうしてもコストが高くなるんじゃないかというふうなことで、その点で足踏みをするということがあるのではないかと思います。それともう一つは、これはもう各小さな市町村、またその下の町内会単位で子供たちがよく廃品回収をいたします。ところが古紙の値段が高くなってきているときにはよく回収業者も協力をしてくれるのですが、これが非常に値段が下がってまいりました場合には各町内になかなかやってきてくれないというところがあるわけなんです。そういったような流れ、上がったり下がったりすること、これをずっと一律にしていかないとこの方法がなかなか定着をしないんじゃないかと思いますけれども、こういうことについて何か対策の方法があるでしょうか。
○説明員(坂本弘道君) 私どもの方といたしましては、なるべくごみを減らすということで古紙の回収もお願いしておるわけでございますが、確かに今先生おっしゃいましたように、新聞紙一つにしましても値段が上がったり下がったりということがございまして、ちり紙交換の方も値段が下がったときにはなかなか取りに来ないというようなこともございます。この辺はごみとして出ますと、それをまた燃やして埋めるというようなことになりますとお金がかかるということからいきますと、そういう廃棄物の処理ということも含めて考えるような社会づくりといいますか、そういうものが必要じゃないかと思われますが、今の段階では私どもの方で古紙回収についてどうするというのはちょっと難しい問題でございまして、今後の検討課題じゃないかと、かように考えておる段階でございます。
○篠崎年子君 次にお尋ねいたします。 昭和四十五年に廃棄物の処理及び清掃に関する法律が制定されまして、その第一条の目的には、「この法律は、廃棄物を適正に処理し、及び生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。」、申し上げるまでもないことですけれども、こういうふうに書かれております。この法律では廃棄物を一般廃棄物と産業廃棄物に分けて規定しているようですけれども、その視点にやはり再利用、リサイクル、こういうことが欠けているんではないだろうかと思うわけです。 そこで、今こういうように世の中変わってまいりまして、地球環境を守るという点から考えても資源を大切にしなければならないということがありますので、今後、この法律を変えるという考え方の中にそういう視点を入れていくということは考えられないでしょうか。
○説明員(坂本弘道君) 近年ごみが急増しているということから、厚生省は昨年の十二月、都道府県に対してごみの減量、再資源化を推進するよう通知したり、それからまた、本年二月には市町村に対してごみの再資源化の方法だとか関連施設の整備を含めた再資源化計画を策定するよう指導なんかしておるわけでございます。 資源回収の方法としてはいろいろございますが、品目ごとにどうするかというようなことを引き続いて検討せなければいかぬということもございます。また、地域住民への啓発だとか自治体のごみ処理事業に対するリサイクル推進等も指導していくということでございますが、法律の中でどうするかということにつきましては、これから審議会等もございますし、そちらの動き等も含めて今後どういうふうにやっていくかということはその中でまた御検討いただくというふうに考えております。
○篠崎年子君 こういう問題につきましては、私たちの毎日の生活の中にかかわってくることですので、小さいときからの教育が特に大切ではないかと思うわけです。この点につきましては指導要領の改訂などによりまして、五年生の社会科の中に、特にこのごみの再資源の活用ということについて取り上げられていると思いますが、各地域によりましては特にこのごみの減量ということについて、あるいは再資源の活用ということについ て、副読本などを出しているところもあるかと聞いておりますけれども、おたくの方で把握をしていらっしゃらないでしょうか。
○説明員(坂本弘道君) 確かにごみの問題といいますのは教育の問題でもある、おっしゃるとおりだと思われます。 今先生おっしゃいましたような副読本につきましては、例えばうちにも小学生の坊主がおりますが、小学校四年かの副読本としてそういうものをもらってきておりまして、きょうはどこへ行くのだというと、ごみの焼却場を見に行くのだというようなことをやっておりますし、確かにそれも全国一律にというわけじゃございませんが、地域地域によってそういうことをやっていただいておるということで、そういうことからいきますと住民に対する啓発、特に子供さんが育っていく段階でやはりごみについてもいろいろ認識した社会というものをつくっていただくということから、厚生省といたしましても啓発活動を含めたごみの排出抑制、再資源化計画等を市町村の中でひとつお願いしたいというようなことで、いろんな教育につきましても市町村の中でひとついろいろやってくださいというお願いをしていこうかとは思っております。
○篠崎年子君 また、企業等につきましても、製品をつくる段階から売り渡す段階において、あるいは最終的な処理の段階まで責任をどうするかということについて、やはり企業側もこれから考えていかなければならない問題じゃないかと思うわけです。例えば回収して再使用できるもの、瓶とか缶とかあるいは紙類のパック類とか、そういうことについてはこれから先十分考えていかなければならないし、今までのようにそれはもうあっちの責任だ、こっちの責任だといって回すことなく、やはり企業も国の政策と一体となってやっていかなければならないと思うわけです。 そこで、同じ法律の第四条の三項の中に、「国は、廃棄物の処理に関する技術開発の推進を図るとともに、市町村及び都道府県に対し、」「技術的及び財政的援助を与えることに努めなければならない。」、こういうふうに国の責務が規定されているようです。それから考えますと、各市町村あるいは企業に対する国のこれから先の責任が非常に大きくなると思いますが、このことについての御決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(坂本弘道君) まず最初に、企業とのかかわりという点でございますが、確かに生活水準の向上だとか製造、加工、販売等諸活動が拡大されておるというようなことから排出される廃棄物が大変量も多くなるし種類も多様化してきておる、こういう現状でございます。 それを一般の市民の人たちがお買いになって、後は廃棄物として出てくるわけでございますが、市町村が行う一般廃棄物処理事業として非常に困難なものも出てくるわけです。非常に重たいものとかかさばって大きいものだとか、中にはちょっと危ないなというようなものとか、こういうものについてどうするかというようなことで、厚生省ではガイドラインというのをつくりまして、ちょっと長いんですが、「事業者による製品等の廃棄物処理困難性自己評価のためのガイドライン」、自己評価をしていただこうということでこういうものをつくりまして、各企業にこれをお持ちいただいて、ひとつ物をつくる段階で廃棄物になったときにはどうなるかというようなこともお考えいただいておつくりください、こういう指導はしてきておるわけでございます。 それからまた、先ほどからもお話ししておりますが、近年のごみの急増というふうなことから、厚生省は昨年の十二月に、経団連を初めとする生産、流通等の関係三十六団体に対しまして、ごみの減量化と再資源化の推進について要請を行っておるわけでございます。今後ともごみの減量化をより効率的に推進するというための方策については、事業者責任のあり方も含めて今後とも引き続いて検討してまいりたいということでございます。 それから第二点目の財政的援助等々につきましては、これは我々厚生省といたしまして廃棄物行政をやらせていただくあれからいきますと、今まではどちらかといいますと出てきたごみをなるべく早く集めて、焼くなりして量を減らし、衛生面でも問題のないようにして、それで埋める。これはやはり廃棄物行政の基本でございますから、そういうことにつきましては予算を計上いたしておりまして、平成二年度も総額で国費七百八十一億円余りを今予定しております。そんなことでそっちの方はまた積極的に進めていきたい、かように考えております。
○篠崎年子君 五月二十四日の日経新聞に、厚生省では九一年度から二〇〇〇年までの十カ年にわたって「廃棄物処理21世紀計画」というものをスタートさせるという記事が出ておりましたけれども、このことについてお考えのあらましを御説明いただきたいと思います。
○説明員(坂本弘道君) この十カ年計画につきましては、ただいま経済企画庁等を中心におまとめいただいておる段階でございまして、新聞の方に出たのは私どもの方で出したというわけじゃございませんので、その数字等については申し上げるというわけにはまいりませんが、基本的な考え方をちょっと申し上げますと、廃棄物の処理ということにつきましては、資源化等の減量化が一つ、それから焼却等の減量化、それから埋め立て、この三本柱を基本として対応しておりますが、いずれも施設の整備ということが大変重要でございます。これまでの計画的整備もそういう観点で図ってきたということでございます。 今後の廃棄物処理施設整備についての考え方でございますが、まずごみの排出量を可能な限り抑制した上で、排出されたごみについては焼却、資源化等により減量処理して最終処分量を減らしながら必要な埋立地、最終処分場を確保するとともに、地域の住民の人たちに親しまれるような廃棄物処理施設を整備するという考え方に沿って生活排水の処理施設、これはし尿の方も含めてでございますが、計画的整備に積極的に取り組んでいきたい、こういうことでございます。
○篠崎年子君 そういうことでこれから先十分に計画を煮詰められると思いますけれども、今ごみの排出規制ということ、あるいは減量ということについてこれから努力をしていきたいということです。 先日、これもまた新聞で見たことですが、千葉県の松戸市で、あそこはいろんなおもしろい名前の課をおつくりになるようですけれども、今度はごみを減らす課というのを四月につくられたようですが、今までの予想では毎年大体七・五%ぐらいずつごみがふえていっている、ところがこのごみを減らす課をつくって調べてみたら、四月の不燃ごみが前年同月比で〇・八%減量されていたということで、一カ月だけで効果を云々するということはできないかもしれませんが、一つの目印になってきているのではないかと思うわけですね。 そこで、ここはどういうふうなことをしているかということはわかりませんけれども、とにかく国民の一人一人が努力をすると同時に、やはり行政にかかわっている皆さんの方が力を入れていけばこの減量化というのは進むんじゃないかと思います。このことについてはいかがでしょう、さっきのお答えと重なるかもしれませんが。
○説明員(坂本弘道君) ただいま千葉県の松戸市の例を出していただきました。これはごみを減らす課だったかと記憶しておりますが、先日課長さんがお見えになりまして、いろいろお話ししますと、どんなことをやるのというふうなお話を聞きましたら、例えばスーパーへ行ったときにいろんなビニールの買い物袋をくれるけれども、これをもらわないで、何枚かスタンプ押したらそれで何円か引くとか、何かいろんなおもしろいことを言っておられました。松戸市というのは、前にすぐやる課というのをおつくりになって立派なことをやっておられるんだから、今度はまたこれ全国の市町村が見ていますよ、だからひとつそういう面で一生懸命やってください、厚生省も応援しま すから、どういう応援の仕方ができるかわからぬけれども、応援しますからひとつしっかりやってくださいと。 それで、先日新聞を拝見しますと確かに今おっしゃったようなことが出ておりまして、やっぱりごみを減らすということは大事なことだ。もったいないということもございますから、そういうことも含めて市民の人に御理解いただく。特にこの松戸市なんというのはなかなか埋立地が確保できないところでして、そうやって何とか減らしていって、使えるものは使う形にしていかないと、今後とも大変困った事態になるんじゃないかということで、私たちも応援したい、かように考えております。
○篠崎年子君 大変細かなことになりますけれども、今ちょっと買い物のビニール袋の話が出ておりまして、やっぱりそれと同時に、スーパーなどで使っております発泡スチロールのお皿がありますね。ああいうことについても、やはりあれを意識的に減らすことによってごみの減量ということができるんじゃないだろうかと思います。 私、地元におりますときに生活学校をいたしておりましたけれども、やはりその中で、買い物に行くときには袋を持って行きましょうとか、あるいは発泡スチロールのお皿に入っているものはできるならばそこでお返しをしていって中身だけもらって帰りましょうとかということによって減量を図るというようなことが、各地の生活学校、主婦の集まりでございますけれども、そういったようなことで考えられていたということで、やはり国民に対するPRとそれから松戸市のように行政が力をかす、両々相まっていってその効果が上がっていくんじゃないかと思いますので、これからも御努力をお願いしたいと思います。 なお、これはまた別の機会に触れていきたいと思いますけれども、割りばしの問題がよく取りざたされておりまして、このことについては特に木材の資源ということ、森林資源ということから考えて、みんなでおはしを持って回ろうじゃないか。そういうことで、今おはし袋をつくったり、はし箱をハンドバックに入れたりということもやっておりますので、これはつけ足して、そういうことを少しずつでも努力をしながらやはりこの大切な資源を守っていかなければならないと思うわけでございます。 次に、生活排水、下水道の問題についてお尋ねいたしたいと思います。 今の国会に提出されております水質汚濁防止法等改正案では、生活排水対策を行政と住民に求めております。特に住民個々の責務を公害規制法の中に織り込むという形になっているようですけれども、これは大変重要なことだと思いますが、しかし現実に住民の立場からしますと、生活排水、中でも台所やあるいはふろ場から出る生活難排水について、自分たちが環境を汚染しているということの意識がまだ薄いのではないか、最近では随分新聞等に書かれましたので、捨てるときに注意をしていかなければならないということにはなっているようですけれども、じゃ具体的に雑排水を汚濁から守るために個々の家庭でどういうふうにしたらいいのかということについては、まだPRあるいは啓発といいますか、そういうことが少ないのではないかと思いますが、この点についてどういうふうに指導されていこうとしているのか、お尋ねいたします。
○説明員(坂本弘道君) ただいまの水質汚濁防止法の改正につきましては、これは環境庁の方で今担当していただいておりますし、我々もいろいろ相談は受けておる段階でございます。 厚生省といたしまして、生活排水も廃棄物の中の一つとしていろいろやっておるわけでございますが、生活排水対策の推進ということに当たりましては、今先生おっしゃいました住民の理解のもとに地域の地理的条件だとか財政的な状況とか、こういうものをいろいろ考えまして、その地域に最も適した施設を選定して計画的に進めていくのが肝心であるんじゃないかと、かように考えております。全国一律にどうというわけじゃなくて、やっぱり地域に即していろんなきめ細かなことをやっていく必要があるんじゃないか、こういうことでございます。 そういうようなことから、厚生省におきましては、市町村が定めます一般廃棄物処理計画というのがございますが、その中におきまして、住民に対する広報、啓発活動を含めまして、生活排水に関し、処理の目標だとか、施設整備の計画等を定めるよう指導はしておるところでございます。 今後とも、厚生省といたしまして、生活排水対策についての住民に対するPRについて、環境衛生週間というのがございますが、こういうようなときだとか、それから浄化槽の日、合併浄化槽、厚生省で今盛んに進めております、いわゆるし尿だけじゃなくて、家庭の台所から出る水だとか、それからおふろの水だとか、そういうものも含めて一緒に処理して川をきれいにしよう、湖をきれいにしよう、こういう合併浄化槽、これのための浄化槽の日などの行事を活用することによりまして、今後ともこれは積極的に進めてまいりたいと、かように考えております。
○篠崎年子君 そこで、さらに住民に対する啓発啓蒙ですけれども、消費税のときに、大蔵省は三億円をかけて新聞に大きな広告を出されました。テレビを使われたと思いますけれども、やはりこれから先はそういうふうにテレビを通して国民に訴えていくということが一番早道ではないだろうか。そういうところにお金をかけるということによって資源が再利用されれば経費の節減にもなるかと思います。そういう気持ちでこれから頑張っていただきたいと思います。 次に、生活排水対策の施設として一番基本になりますのは、何と申しましても下水道の整備かと思います。下水道の普及率は八九年度で四〇%ですか、ところが二〇〇〇年までには普及率を七〇%にしたい、こういうことが報道されております。今現在は大体一年間で一%ぐらいずつ伸びておりますので、二〇〇〇年までということになりますと、あと十年しかありません。その中で七〇%に伸ばしたいとすれば、どういう方策をとって七〇%に伸ばしていこうとしているのか、そのスケジュールについて御説明いただきたいと思います。
○説明員(仲津真治君) 下水道の整備の状況でございますが、先生御指摘のとおり、昭和六十三年度末で処理人口の普及率で見まして四〇%でございます。最近普及率の拡大がやや上回ってまいりまして、年率二%近いもので伸びておるということでございますが、それにしても二〇〇〇年に私どもとしては七割という普及率に持っていきたいと考えておりますので、これは大変難しい課題でございます。 この考え方が出ておりますのは、国土建設の長期構想というものを建設省で打ち出しておりまして、そこで処理人口の普及率を七割ぐらいまで持っていきたいと、こういうことを申し上げているわけでございます。この目標を達成するためにはやはり一番大きな課題になりますのは、中小市町村における下水道の普及の課題ではないかと。そういうところでは下水道の普及はそもそも低い、あるいはほとんど未着手になっているところ、未着手のところが大体二千ほどございますけれども、そういったところがこれから大きな課題になってくるんではないかと見ております。 そこで、この中小市町村への下水道の普及の促進のためにどうしたらいいかということになってくるわけでございますが、こういう市町村は一般的に財政力、それから執行体制等で弱いところが多いという課題がございますので、これを支援、補完して整備を促進していくという方策について今検討を進めているところでございます。
○篠崎年子君 中小市町村で今大変財政的に困難を来すので下水道の施設はなかなかつくりにくい。これは各市町村が大変悲鳴を上げているところでございまして、財政的な負担をするということでは国としてどんな方法をとろうとしていらっしゃるんですか。
○説明員(仲津真治君) 下水道整備につきましては、まず建設段階におきまして大きなお金がかかるわけでございますが、国としては非常に下水道の重要性にかんがみまして、また、ナショナルミニマムを達成するという観点から国庫補助金を投入してございます。また、その国庫補助金の裏と申しますかは地方の方で負担していただいてやっていたわけでございますが、それにつきましては関係省庁、自治省等の御協力を得まして大幅な起債措置を認めていただいております。また、その起債の償還に当たりましては交付税によって措置したということで、国の方ではいるんな面で手厚い手当てを講じまして下水道の整備の促進を図っているところでございます。
○篠崎年子君 国庫補助率の方ですけれども、今現在がどのくらいで、どういうふうに伸ばしていこうとしていらっしゃるんでしょうか。
○説明員(仲津真治君) 下水道の総事業費は、平成二年度御提案申し上げている予算では二兆三千億ほどとなってございますが、そのうち国庫補助金は約八千億でございます。非常に厳しい財政事情にございましたので、ここしばらく国庫補助金など伸びてございませんけれども、これから大いに伸ばしていかにゃいかぬということで、これから大いに私ども検討し、また折衝してまいりたいと考えております。
○篠崎年子君 それでは次にお尋ねいたします。 こういったように下水道が大変普及度が遅いということで、その補完措置としてコミュニティープラントあるいは農業集落排水施設とか、あるいは合併処理浄化槽などが整備を進められておるようですけれども、この点についてはそれぞれどのような状況なのかお答えいただきたいと思います。
○説明員(坂本弘道君) ただいまお話しございましたこのコミュニティープラントというのは、いわゆる各家庭の排水を集めまして、それを一挙に、ちっちゃな下水道みたいなものでございますけれども、そういう形のものでございますし、それから合併処理浄化槽というのは、先ほど申し上げましたいわゆるおふろだとか台所も一緒に、これは個人の家庭なり、それから一つのアパートなんかもございますが、そういうようなところで使っているのは合併浄化槽、いずれもこれ地域の環境保全といいますか、それと河川の浄化ということで進めにゃいかぬということでございまして、その実績でございますが、国庫補助により整備されましたコミュニティープラントと、それからもう一つ生活排水処理施設といいまして、台所から出てくるとか、おふろの水だけを集めたようなそういう施設整備もやっておりまして、こういうものを含めますと、平成元年度末における施設数というのはコミュニティープラントが二百七十四施設、生活排水処理施設が二十施設、こうなっております。 平成二年度の予算だとか今後の見通しでございますが、コミュニティープラント、それから生活排水処理施設の平成二年度予算、まだ今御審議いただいておるところでございますけれども、コミプラが八億三千六百万余り、それから生活排水処理施設には一億八千六百万余り、こんな形で予算額を予定しておりまして、これらの施設の整備についても今後とも精力的にその推進を図っていこう、こういうふうに考えておる段階でございます。
○篠崎年子君 次に、下水道のことにつきまして、先日総理府の官房広報室から下水道に関する世論調査というのが発表されております。下水道は町づくりに必要かという設問に対しまして、七二・七%が必要不可欠だと。そして、できれば必要であるということが二三・九%、合わせますと九六・六%が下水道の必要性を訴えているわけです。このことから考えましても、下水道の普及ということについては国民的な合意が得られているわけですから、国の施策の中に重点的に取り組んでいっていただきたいということを要望しておきます。 次に、下水道に関する行政監察結果の報告書が総務庁の行政監察局から出ているわけですけれども、その中で、下水道と下水道類似施設、先ほどのコミュニティープラントとか農業集落排水施設とか合併処理浄化槽等だと思いますけれども、そういったものの重要性が挙げられております。 ところが、下水道事業計画区域に近接して整備された下水道類似施設の中には、整備後、下水道事業計画区域の拡大変更に伴って下水道事業計画区域の中に取り込まれたものが二十二施設、あるいは取り込みが予定されているものもあるけれども、逆に下水道事業計画区域が過大で予定期間内での下水道整備が困難になっているものもある。そういうことですけれども、この中で、特に同じ地域が、建設省の進めている公共下水道のいわゆる下水道マップと、それから農水省が中心になって進めております集排マップ、この中に両方ダブって記入されている例が十八市町村で七十二カ所見られた、そういうことが書かれております。 こういうことにつきましては、計画的にいいましても、そこの地域の人々にとりましても大変迷惑な話だと思うわけで、こういう点について調整が進められていかなければならないと思いますが、その点についていかがでございましょうか。
○説明員(仲津真治君) お尋ねの点でございますが、下水道は、法律に基づきまして下水道が普及いたしましたら接続しなければならない、また水洗化しなければならない、そういう法律上の義務を生ずる、また水質が法令で担保されたそういう施設でございますけれども、そういうものをどう進めていくかということにつきまして下水道整備構想エリアマップ、通称下水道マップと申し上げておりますが、というものをつくってございます。これは地域の自然的、社会的条件というものを勘案いたしまして、下水道などの集合処理を行うことが効率的な区域、それから、これは下水道のようなそういうものではなくて個別にやるのが適当である、散在型の集落はそういうものになると思いますが、そういったものを選び出しまして、下水道などの整備を計画的かつ効率的に進めていくためのマスタープランというものとしてこの下水道マップをつくってございます。これは建設省が地方公共団体を指導いたしましてその策定を促進しているところでございます。 また、お尋ねの集排マップ、これがございます。これとの重複というものが現実にあるということが指摘されておりまして、これにつきましては、事業の実施に際しましてそれぞれの事業の目的、それから採択基準、そういったものを踏まえまして、下水道担当部局と集排の担当部局間で調整を行っていただきまして、実際上にうまくまいりますよう地方公共団体を指導している、そういう状況でございます。
○篠崎年子君 次に、離島問題についてお尋ねいたしたいと思います。 去る五月二十四日に長崎市におきまして全国離島振興協議会通常総会が開かれました。私も地元でございますのでその開会式に出席をいたしましたが、離島振興対策における離島振興法の果たした役割というものは高く評価できる、こういうことが皆さんの御意見でございました。確かに振興法が制定された昭和二十八年から離島振興が本格化してきたということは皆さん御承知のとおりでございます。 同法は十年間の時限立法でしたが、その後三度にわたって延長されまして、平成四年度で期限切れを迎えることになります。ところが、本年を含めてまだ三年間残っているとはいうものの、やはり離島振興についてはまだまだ問題が残っているのではないかと思いますが、離島振興計画の今までの実績についてどのように評価していらっしゃるのかお尋ねしたいと思います。
○説明員(吉田博君) 現在の離島振興計画は、御案内のように昭和五十八年度に始まりまして平成四年度までの計画でございます。 この計画の中身でございますが、後進性の除去、それから離島の経済力の培養、島民生活の安定、福祉の向上ということが主要な内容になっております。この計画に則しまして、同時に毎年度 関係都県知事の意見を聞きまして、基盤整備あるいは産業振興というものを進めてきております。そういうことで離島の人々に大いに役立っている、このように考えております。
○篠崎年子君 私は長崎県の場合を考えてみますと、長崎県というところは離島の数では国内トップでして、七十九市町村のうち二十八が離島というところでございます。特に離島振興関係について見ますと、確かに今までの二十八年から六十三年度までの間に全国の約三〇%の投資額が長崎県に注がれているということで、これは敬意を表したいと思いますが、しかし県の人口調査等で見てみましても、五十年の国調で離島関係の指定地域では人口が二十六万二千九百八十五人、五十五年の国調では二十四万九千三百九十人、あるいは六十年が二十三万六千八百八十二人というようにやはり減少状況が続いているわけです。 これは全国的に見ても大体ほぼ同じような傾向にあるのではないかと思いますが、そう考えてまいりますと、離島対策についてはさらに十分な力を注いでいかなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
○説明員(吉田博君) 先ほど着実に進めてまいりました、こういうふうに申し上げました。確かに本土との間のギャップといいますか、格差は縮小をいたしておりますが、本土の平均値との比較という観点から見ますとまだ追いついていないものも多いわけでございます。 それと同時に、今御指摘がございましたように人口の高齢化といいますか、離島で人口の減少と同時に高齢化というものが急速に進んでおります。それから漁業等の産業におきましても後継者難であるというようなことがございますし、そういうことからいいますと活力ある社会の維持ということが非常に困難でございます。そういう課題がございますので、今後も離島振興対策を積極的に進めていく必要があろう、このように考えております。
○篠崎年子君 次に、離島振興の中で特に重要な問題の一つは、離島と本土との間の足の確保であります。とりわけ航空路線の整備はもう必要不可欠な重要な条件だと思っております。先日の通常総会で都道府県支部から出されました二十七の提出議題のうちでも八本が航空路線に関するものでありました。現在、離島航路に就航している会社は日本エアシステム社など七社と言われておりますが、それぞれの会社の経営を見てみますと、黒字基調だとは言われておりますが、まだ離島航路につきましては不採算路線が少なくないのではないだろうか。また、中には関係市町村からの補助金で補てんをして赤字をしのいでいる、そういうこともあるようでございますけれども、こういうことについて全国的な状況、あるいは長崎県の状況、路線に対する国の考え方ということについてお尋ねいたしたいと思います。
○説明員(荒井正吾君) お答え申し上げます。 今先生おっしゃいましたように、全国の離島の航空路線は七社で運営しておりまして、五十一路線ございます。輸送人員は、六十三年度実績でいきますと三百六十五万人運んでおりまして、全国の航空路線の利用者の約七%弱でございます。かなり利用していただいておりますが、一線ごとで比較しますと大体平均七万人乗っておられる路線でございます。一日で二百人の平均でございます。ただ、非常に多い、例えば那覇—石垣のように年間六十三万人も御利用いただいている路線もある一方、年間数千人と、一日にいたしますと十人から二十人という路線もある状況でございます。離島航空路線の状況を一般的に言いますと、小さな飛行機を使っておりますので効率は悪うございます。収益性も一般に悪うございますが、お客様がある程度恒常的に乗っていただければ何とかもつ路線もあるわけでございます。 会社の収支は、先ほどの七社の収支を見ますと何とかいろいろ工夫をされて経営を維持されておりますので、企業全体をとりますと、七社のうち赤字になっておりますのは琉球エアーコミューターと言います那覇から二路線を持っております会社が約二千万円ほど赤字でございまして、そのほかの六社は何とか黒字を維持されておるということでございます。 長くなりまして恐縮でございますが、長崎の路線につきましては先生の方がよく御存じでございますが、合計十路線が県内で運航されております。第三セクターの長崎航空は五路線、それから全国にいろいろ路線を持っておりますエアーニッポンが五路線でございます。長崎全体といたしましては、約七十万人利用されております……
○篠崎年子君 済みません。時間がなくなりそうなので、そこはちょっと省いてくださって結構です。 次に移りたいと思います。先ほどもお話がありましたように、例えば一つの路線で一日に十人か二十人といったような小さな路線ということで考えてまいりますと、大変そこは赤字になるんでしょうが、逆にまたその地域の人にとりましてはその路線が自分たちの命綱だということで非常にこれは大切な路線だと思うわけです。 そこで、そういった欠損を穴埋めするために国庫補助の制度というのが必要になるんじゃないだろうかと思います。例えば海上輸送の離島航路につきましては、既に離島航路整備法というのができております。そして、欠損補助の制度が確立しているようですけれども、同様な趣旨に沿って、例えば離島空路整備法、そういったようなことは考えられないでしょうか。
○説明員(荒井正吾君) 離島の航空路線の維持は大変難しいわけでございますが、欠損ということで直ちに補助しますと、これは運輸省の考え方といたしまして、いろいろ赤字路線の欠損を埋めてきてさらに経営の効率が悪くなるという他の分野での経験をしておりますので、一般的には欠損補助というのは直ちに認めることをしておらない、基本的な方向といたしましてそういう考えに立っております。企業としていろいろ維持される努力に対しまして、地方、国がいろいろ支援を講じるということを考えていきたいという方向でございます。例えば、着陸料を免除いたしましたり、地方の固定資産税を免除していただきましたり、あるいは乗員の確保にいろいろ奔走いたしましたり、そういうことを繰り返しておる状況でございます。
○篠崎年子君 それでは次に、身障者の問題についてお尋ねいたしたいと思います。 身障者のことにつきましては、例えば昭和四十八年から五十年まで身体障害者福祉モデル都市、あるいは障害者福祉都市、障害者の住みよいまちづくりというふうに言葉がずっと変わってまいりまして、今年度からは、住みよい福祉のまちづくり事業と名称が変えられてきているようですけれども、このことにつきまして、特に障害者の住みよいまちづくりから住みよい福祉のまちづくりと変わって、どこのところが一番変わったのか、それをお尋ねしたいと思います。
○説明員(福山嘉照君) お答えいたします。 住みよい福祉のまちづくりの沿革につきましては、先生がお話しのとおりでございますので省かせていただきます。 平成二年度から予算案で計上しておりますのはどこが違ったかというお話でございますが、私どもは、今までの町づくり事業というのは身体障害者を中心に考えてまいったわけでございますが、今回から、障害者の方々が明るく暮らせる社会こそがお年寄りなどを含めすべての方々にとって住みよい社会であるという見地から、事業名を住みよい福祉のまちづくりと改めますとともに、今まで対象を五万人以上の市町村としておりましたものを三万人以上に改めまして、その実施期間を二年から三年間に延長するなど、その一層の拡充を図ったところでございます。 この住みよい福祉のまちづくりの事業内容につきましては、障害者や高齢者等が積極的に社会に参加し、安心して生活できるようにするための生活環境改善を中心とする各種事業を総合的に実施するものでありまして、具体的な事業の選択は、実施主体であります市町村が障害者自身の参加を得て地域の実情に即して行っていくものであります。 以上であります。
○篠崎年子君 今お話がありましたように、これから先の住みよい福祉のまちづくりでは、特に障害者だけでなくてお年寄りの皆さんも含めて、社会を明るくしよう、住みよい社会をつくろうということで、今私そのことを申し上げようかと思ったわけですが、身障者の問題というのは、これから先高齢化社会になってまいりますと、特にお年寄りは、社会的にどういうふうに楽に暮らせるか、安心して町を歩けるか、そういうことと大きくつながってくると思いますので、ぜひ力を入れてやっていただきたいと思います。 ところで、この身障者の場合に、一口に身障者と申しましてもいろんな方々がいらっしゃるわけですが、中でも車いすの生活者の場合、この方々が町へ出かけていこうとすると、あっちこっちに大きな隘路があるということが言われております。私の知り合いの者に車いすの生活をしている人がいるんですけれども、やはり第一に困りますのは、まず十年ほど前まではトイレで困っていたが、最近はトイレも整備されて使いやすくなってきた。あるいはデパートなどでも入り口の段差がなくなって入りやすくなってきた、こう言っておりますけれども、公共施設の中で段差があるものが非常に多いわけです。 こういうことについてはこれから大いに改築、改善をしていっていただきたいと思いますが、中でも困りますのは、道路を横断しようとするときに、横断歩道がありますところはいいんですけれども、ずっと横断歩道がないところで、歩道橋を渡っていきたいと思いますが、歩道橋は絶対に渡れない。この歩道橋の整備を何とかしてもらえないだろうかということが言われておりました。本年二月十五日の朝日新聞の報道によりますと、川崎市川崎区の宮前歩道橋が身障者用エレベーターを備えた歩道橋になる、二月十五日に本日着工だということが出ておりまして、これは九二年四月完成の予定だということでした。再来年ですね。そういうふうなことは全国でも初めてだということですけれども、こういうことを契機に各地域で歩道橋へエレベーターを、こういうことが考えられないかと思いますが、いかがでしょうか。
○説明員(藤田忠夫君) お答えします。 現在、我が国で平均寿命が急速に延びてまいりまして急速な高齢化社会に突入しつつある、それからまた身障者の方も増加傾向にございまして、今後これらの方々が社会活動に参加される機会が非常にふえるということは私どもも十分認識しておりまして、道路サイドにおきましても、今後高齢者の方や身障者の方の利用を配慮した快適な歩行空間の確保を考える必要があるというふうに思っております。 これらの利用者に配慮しました、例えばエレベーターつきの横断歩道橋の設置に当たりましては、設置予定箇所の近くにおきます高齢者それから身体障害者の方の利用の頻度の高い施設、例えば市役所とか区役所、病院、老人センター、こういうものの立地状況とか需要の動向等を勘案しまして、かつ地元の公共団体の方とも管理の方法等につきまして十分御相談をしまして、必要に応じて設置してまいるように考えてまいりたいと思います。
○篠崎年子君 そういうようにこれから進めていただきたいと思いますが、あわせまして、身障者の方々で、例えば今寄宿舎つきの福祉工場に勤めている方々の中には、六十歳の定年を迎えて工場をやめていかなければならない、工場をやめるということになりますと、同時に寮も出ていかなければならないということになります。そうしますと、単身の方々が入れない公営住宅が多いわけですけれども、さらに身障者の方々になってまいりますと、施設との関係からなかなか行くところが見つからない。そこで、定年を迎えて自分たちは一体どうしたらいいだろうかと悩み苦しんでいる方々がかなりの数あるのではないだろうか、このことについて、これから先の公営住宅を建設する場合に、そこの中に一棟は身障者が入れるような部屋をつくるべきじゃないかと思いますが、この点についてのお考えはいかがでしょうか。
○説明員(梅野捷一郎君) お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘の高齢者あるいは身障者に対する公営住宅の対応でございますけれども、一点は入居の問題で、通常の場合には公営住宅は原則として家族といいますか、二人以上の世帯、そういう方々を対象に進めてきたわけでございますけれども、高齢者あるいは身障者の方につきましては単身でも入居ができるように措置をいたしております。また、入居に当たりましてもできるだけ優先的に御入居いただくというようなことに努力をしているわけでございます。また、これにあわせまして、いろいろなそういう方々が使いやすい住宅にしてお住まいをいただくということでございまして、全体の中でそういう対象の高齢者あるいは身障者にお使いいただけるという設備面その他も加えた上で受けていくということで各地域で現在努力をしているところでございます。
○篠崎年子君 ありがとうございました。そういう御努力をお願いいたします。終わります。
○委員長(渡辺四郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午後零時三分休憩 ─────・───── 午後一時二分開会
○委員長(渡辺四郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、平成二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち警察庁、自治省所管及び公営企業金融公庫を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○栗村和夫君 一時間許されておりますので、大体質問のガイドラインの説明から入りますが、自治省に向けて三点、おおむね四十分前後、警察庁に向けて一点、おおむね二十分前後、そういう配分でいきたいと思います。そして、余り今まで話題にならない点をテーマとして取り上げてみました。 第一点。これは事務方の説明でいいんですが、いわゆるふるさと創生一億円事業のおおむね総括ができたと思いますが、その中でちょっと私たちが見てもこれはと首をかしげるような奇抜なアイデアの実行もありましたけれども、これはすばらしいアイデアだったとか、極めて注目に値したとか、あるいは一石を投じたとか、そういうものの若干の例示を挙げながら総括したものの御報告をお願いします。
○政府委員(芦尾長司君) ふるさと創生一億円事業を御支援賜りまして、厚く御礼を申し上げる次第でございます。 この自ら考え自ら行う地域づくり事業でございますが、全国の市町村におきまして本当に熱心な取り組みがなされております。その個々の事業につきましてそれぞれいろんな論評もなされております。大方は御好評をいただいておると思っておるわけでございますが、それぞれがやはりその地域の住民の意見というものを十分に踏まえて推進をされておるということでございますので、それぞれその地域にとっては意義のあるものであろうというふうに私どもは考えておるわけでございまして、地域の住民の立場に立っていろんなものを考えてもらわなければならないということがまず第一点に言えると思うわけでございます。 そこで、各地で取り組まれております一億円事業の内容でございますけれども、見てみますと、一つは地域のイメージアップを図っていこう、イメージづくりをしていこうといったような事業、それから、何といいましても、地域おこしは人材の問題でございますから人材の育成を図っていこう、さらには地域の特性を生かした伝統文化を引き継いでいこう、そしてまたそれを活用していこう、さらには産業や観光の振興を図っていこうといったように、本当に多岐にわたっておるわけでございます。 そこで、今具体的にどういうような仕事が目を引くかということでございます。 人材育成ということ一つを取り上げてみましても、例えば地域におきましては、ふるさと創生の仕掛け人塾をつくっていこうではないかということで、青少年を集めた塾をつくって、そこで地域リーダーを育成していく、そういう講座を開いていこうではないか、そういったようなことが行われております。それから、特に農業後継者の育成事業というのが非常に大切であるということでございまして、農業後継者に海外の状況も研修させようではないかといったような仕事も見られるわけでございます。 それからもう一つは、やはりその地域の経済の活性化を図っていこうではないかということで、地域の資源を活用いたしました特産品を開発いたしまして、それの販路を開発していこうではないかといったようなことも行われております。また、過疎の市町村が共同して広域的に観光事業に取り組もうではないかといったような仕事も見られるわけでございます。 それからもう一つ、今申し上げました地域文化の振興ということでございますが、郷土にゆかりのある偉人といいますか、そういう人物をテーマにいたしまして、ハード面で資料館を整備する、さらにはそういう方々を顕彰いたしまして、例えば文学賞をつくっていこうといったような顕彰事業を実施しておる、そういったような活躍が見られますし、それから郷土に残されております芸能、そういうものもほうっておきますと廃れてしまいますが、そういう後継者を育成していこう。さらには地域の自然資源というもの、きれいな山とか川、さらには花とか昆虫とか鳥、そういったようなものを大切にしていこうではないか、そういったような地域の特性を生かして多岐にわたる個性豊かな地域づくりへの取り組みがなされておるところでございます。
○栗村和夫君 おおよそ人間のやること、それからどんな組織体でも組織体として機能することに試行錯誤が伴わないということはないと思う。試行錯誤というのは後で歴史的に検証する以外にないんです。ですから、このふるさと創生事業も毀誉褒貶さまざまです。何だ一億円のばらまきは悪平等でないかとかありますが、これは私は基本的に評価する立場なんです。自治省がみずから殻を破ってきた。つまり余り借金するなよとか健全財政とかラスパイレス指数、こういうことで頭を押さえつけるような印象を私たちは自治体を預かりながら持ってきましたが、そこから脱皮していったという意味では自治省自身の変革でもあった、こう思います。 そういう視点で評価をし、さらにリーディングプロジェクト、これも何カ所かでやりました。それから、町づくり特別対策事業もありました。約束したルールに基づいた起債の償還の面倒を見てやるからいいだろうというだけでなしに、その後相当規模の大きなリーディングプロジェクトなどがありまして、当初の計画と異なって悪戦苦闘しているとか散見されますけれども、アフターケアもやっぱりきちんと目を注いでこれからやっていかれることを希望しますが、その辺について、自治体の百花繚乱ですが、こういうことについて自治大臣の御見解、抱負などがあらば伺いたいと思います。
○国務大臣(奥田敬和君) 百花繚乱という形容をしていただきましたけれども、自治省としての願いは、もう各自治体が本当にそれぞれの画一的な町づくりじゃなくて、個性を持った形でそれぞれの地域の伝統文化も生かして、そして魅力のある町づくりをやってほしいというのが願いで、こういったふるさと創生も一億円事業ということで、まあ御批判もあるわけですけれども、梶山元大臣のときにこの種をまいていただいたわけであります。ふるさと創生は竹下内閣の代名詞のように言われるようなことになってまいりました。私の前任者である渡部大臣も、こういった一億円事業にとどまらないで、これを起爆剤にしてうんともう伸ばそうということで、具体的にはいろいろな広域圏の構想も、基金構想も生かして一兆円くらいの資金規模にこれを膨らましていただいてきたわけであります。今や、ふるさと創生事業は一兆円構想のもとに推進されていくということになったわけでありますが、私の時代には何としてもこれらのいいところを生かして花を咲かせてみたいと思っておるわけであります。 今政府委員から話しましたように、全国の三千余の自治体ではいろいろなアイデアを出しました。皆さんから見れば何だこんなことにという批判のあった面もあります。いろいろな形がありますけれども、しかし私も現地を幾つか視察してまいって、これはいいことをしたなと思っています。本当にそれぞれの自治体の長のみならず市民、町民が参加してアイデアを募って今までの議員さんやそういった小さな形じゃなくて、もう市民参加、町民参加のアイデアの中から一つを選んでやろうという形の中で、本当に自分たちの町、自分たちの村、自分たちの市という形のすばらしい郷土愛に燃えた企画が幾つか出てまいりました。 そして、その中の事例でも、現地視察を経た結果、そのうちのわずかな現地視察ですけれども、将来これを核にしてうんとよくなるという自信を私も持たされた町が幾つもございました。そういったことから思いますと、まさに九〇年代は地方の時代だ、したがって地方の個々の自治体が本当にそういった意識に燃えてやっていただければ、この日本列島も単なる同じ顔ばかりの町、村、市じゃなくて、みんなそれぞれの特徴を持った、個性を持った町になって再生してくれるだろうという大きな期待感を持って、この事業だけは何としても先生方の御協力のもとに、今後ともこれは大きく育てていくべき、自治省としての中核的な柱にしていかにゃいかぬというくらいの気持ちでおります。
○栗村和夫君 抱負のほどはわかりました。大いに頑張って、大臣の陣頭指揮でやるような気構えでひとつ取り組んでみてほしい、こう思います。それから、息の長い仕事ですから、余り慌てないでやられるということも重要なことですから、批判の意見にもやっぱり耳を傾けるというところがありませんと、反面教師を忘れますとひとりよがりになりますから、その辺のことを意見を述べて、これは終わります。 次に、市区町村長の立会演説会、これは旧公職選挙法によりますと、都道府県会議員あるいは政令都市の市会議員それから市町村長、これは任意に条例をつくれば立会演説会をやれる、こういうことになっていましたが、昭和五十八年の秋の第百臨時国会において、国会も都道府県知事の義務的立会演説会も廃止する、今日的意味がなくなったということが大ざっぱな理由のようですが、そして事のついでに任意制の立会演説会も廃止になりました。これは私は誤りだと思う、こういう物の認識は。 そこで、どこで一体突破口を開いてこれを国民的論争の課題にしたらいいのかと思いながら、ある新聞の「論壇」に投書の形で意見を発表した後、ちょっと非公式ですが、浅野選挙部長とお近づきもありましたからいろいろその間の経緯のことを伺い、そのうち国会に出てきましたのでさらにこれを調べてみますと、全野党の反対の中で自民党が単独でこの改正案を通した。なるほど当時の新自由クラブは自民党と同じ歩調ですから単独採決ということではないんですが、実質的単独採決ですね。しかも審議の時間が短かった。こういう中で国対レベルの話では政党間さまざまな話が出たこともある程度仄聞はしておりますけれども、任意制の立会演説会は条例をつくればやれるんです。やりたくないところはやらなくってもいいわけですから、これほど民主的な開催の手だてというものは法律的になかろう、こういうふうに思います。それを本法でもって一刀両断にそれもやめてしまうというのはどう見ても納得がいきま せん。 したがって、その間各地方選挙、特に市区町村長の選挙のときに立会演説会を開けという市民の要望があって、そして開きようにも開く方法がなかなかつかない。だから、事前に主催者団体が候補予定者を呼んで話を聞くとか、これも立会演説会の形になってはまずいとか、あるいは個人演説会を同じ場所で同じ日、時間を三十分ずらしてセットして立会演説会らしきものを工夫してみても、これもなかなかうまくいかぬ、こういうことであります。そういう地方選挙の実態です。 率直に言って、国会議員それから都道府県知事の選挙のことは、サクラの動員合戦になるとか、それからテレビも使えるんでなかろうかとか、いろんなことがありますが、これはちょっとおくとして、市区町村の選挙は立会演説会があってしかるべきものだ、極めて積極的な意味がある、地域民主主義の拡充のためにも。そういう信念です。それは私が実際に一つの自治体を長いこと預かってきましたし、その立場で、町村会長その他などもやった経験から全国的なネットワークの中で情報もある程度知っていますし、そういう実態について大臣はどういうような認識をしていらっしゃるのか、これは国政レベルはいいですから地方自治体の選挙、特に首長の選挙、それについてちょっと率直な御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(奥田敬和君) 先生が六十三年の十月ですか、朝日新聞の「論壇」で、当時まだ町長さん時代の形で寄せられたこの論文を拝見いたしました。本当に、今御主張のとおり、地方の草の根民主主義といいますか、そうした地域住民に最も近い形の首長選挙あたりになぜ立ち会いができないのかという御指摘は私も同感いたします。 ですけれども、沿革から申しますと、私も知らなかったんですけれども、これはその土地土地の地区の条例でやれるんじゃないかということで疑問に思ったわけですけれども、本体の公選法で立会演説を禁止したということで、地方自治体にももちろん制度上の一つの根幹、根っこがなくなっちゃったわけですから、今はもう任意でやるという形もこれはいけない。要するに法の根っこをなくしちゃって、それでまことに申しわけないと思っているんです。 立会演説は確かに私も経験してまいりました、もう何回もやってきましたから。ある人にとっては立会演説は物すごく活気があっておもしろいのですけれども、これは選挙区制度の批判にもなりますけれども、中選挙区制度は御存じのとおり複数立候補で、しかも自民党の場合同じ選挙区から二人も三人も立つという形で、立会演説をやってもサクラが、今先生もいみじくもサクラという言葉を使われましたから、全くそのとおりサクラなんです。もう自分の後援者がこっちの演説のときにはいっぱい来ていて、そして終わるとざあっと引き揚げちゃって、次々本当につくられた形の立会演説になって、しかも時には大げんかになるとかというような、本当に耳を傾けて政策を聞くのか政党本位の選挙かということになると全くていをなさない形で形骸化してしまって、これはおもしろくない。 そういうことと同時に、テレビがちょうど普及してきたということもあって、ある程度公正な形で選挙民に自分の公約を訴えるという形が、国会の場合だとテレビをある程度利用できますからいいわけですけれども、これは本当に地方の町長さんや村長さんを決められるようなときには、まさにそういった形で下手なデマ、中傷合戦で、そういう機会がないばかりに困られる方もいるだろうな。地区の住民にとってもそういう形があったら、これは余りたくさんの選挙じゃありませんから、大体二人か三人の選挙戦でしょうから、そういった形では国会議員選挙のときのような弊害というのは比較的おさまっている形でうまく、運営次第ではとてもいい、先生が言われる草の根民主主義をまさに地方自治体選挙から持ち出していくという点においては本当に大事なことだなと思っております。 しかし、今私としては、これは制度自体が廃止されているので任意のものも認めるわけにいかないのじゃないかというようなことを聞きますと、これはやっぱり先生の御意見を入れてこれらの面の復活をやるときには国会、各政党でこの問題を一遍話し合っていただきまして、地方の末端にまでこういった御迷惑をかけているという形は何とか変えていく方法がないかな、またお互いに相談してみる大事なことじゃないかなと思うんです。
○栗村和夫君 総括的な大臣のお答えで、極めてとは言いませんが、お気持ちはよくわかりました。それなら浅野さん、ひとつ事務方工夫してみてくださいよ。私も、法制局まで聞く段階でありませんので、調査室などを通じて経緯、発議の内容も調べました。 そこで、国政レベルの選挙と都道府県知事の選挙、この義務制のやつは、確かにお話しあるように、首長ですから選挙管理委員会まで形式上直接指揮はしませんけれども、実際は指揮しているようなものですね、環境どうする、手落ちかないようにということで。これはもう末端は大変なことですから、選挙管理委員会の働きというのは。ですから、選挙管理委員会が嫌気差してくるとか面倒がるとかという気持ちも状況もわかるんです。 しかし、市区町村の選挙はちょっと別ですね。横浜とか大政令都市ならどうかわかりませんけれども、十万や二十万の市なんといったって、これは町村と同じことですから、そこでは大方、泡沫候補が立たない限りは甲か乙か丙か、ABCか、この程度の中で選択するわけですから、私もちょっと法制上は素人なんですが、これは欠番になっていますから、百六十条の二を生かせば、前の方の準用規定の根っこの方がなくなっているということ、これも大臣のお話しのことはよく理解できますから、何か条例をつくれば立会演説会をやってもいい、こういうふうに簡潔に考えてみてください。 小選挙区比例並立制度も重要ですけれども、それがごちゃごちゃしていて、こういう来年の統一地方選挙を前にして、できれば来年の統一地方選挙で条例化すれば、それは十二月の議会あたりが一番いいと思う。政党間でもいろいろ幹部の人にお話しして、私たちも努力してみますけれども、これはちょっと要望とお願いをしておきます。 以上で終わります。
○政府委員(浅野大三郎君) 大臣から各政党でのお話もというようなお答えがあったわけでございますが、若干私の方からちょっと法律問題を簡単に申し上げさせていただきたいと思いますが、もともと公営制というものがあって、公営制が適用されないけれども任意にやってもよろしいという形で制度がつくられておりましたものですから、それで公営という考え方に立ちます場合に、果たしてもとになる公営がなくて任意公営だけというのが成り立つのかなどうかなというのが、実は私どもも法律論をやるときに一番気になるところでございまして、いろいろ研究はしてみたいと思いますが、そういうところに問題があるということでございますので、ちょっと補足的に説明させていただいたわけであります。
○栗村和夫君 そこで、浅野部長さん、それはわかるんですね。わかるんですが、簡単に住民が常識的にわかるような話で法律をつくってほしいと思うんですよ。それはそこの自治体で議会も大多数がよしとして、立会演説会をこの町では何カ所かでやるぞ、こういうことになり、そういう条例さえつくればやってもいい。ところが、その道まで封じられてしまったわけですから、そういうような、新たな法律ということになるのかどうかわかりませんが、ひとつそこは知恵を絞って、地方自治体のとりでの自治省ですから、頑張ってみていただきたいと思います。 それでは次は、ちょっと質問するのにどうかなとも思いましたんですが、北方領土の返還問題とそれから各地方自治体、特に北方漁業などの北転船、その他いろいろな漁業問題を抱えているところ、ひとり北海道のみならず、このことについてひとつ大臣の御見解と、自治大臣として北方領土に対して積極的な発言をしてもいいだろう、こういうような考えを私は持っておりますので、最初は二、三ちょっと質問して、意見を開陳して、御見解を伺いたい、こう思います。 北方領土返還宮城県民会議あるいは何々県民会議というのが全国至るところにあると思います。宮城県の場合は県会議長がその会長をやっていまして、御承知のように北方領土返還というものは右から左まで民族的、国民的合意なんだと、こういうふうに思います。そういう中で、特にさまざまな返還のスローガンを掲げている団体、車が押し寄せて、奉加帳を持ってきてという忌まわしいケースも随分あった時期がございました。そういうものの中で一番集大成するのは、自治体がどんな形でか参加している団体が一番いいだろうとこういうことに、私も社会党ですからそのサイドの運動にも積極的に入っていましたし、特に自治体の首長としては宮城県民会議の構成メンバーの主要な部分に入って、根室の視察とか、こういうことにも実際参加をしてみました。やはり荒涼たるオホーツク海ないし日本海のあそこを見て、なぜこの島を返してよこさぬだろうと、だれでも現地に行けばそう思いますね。 そういう県民会議で、特に自治体が自治体の人格として参加しているということはないと思いますけれども、県会議長が会長になっておるとか責任者になっておるとか、そういうある程度公的な肩書きを持った人が構成している、そういうものが全国の四十七都道府県の中に網羅されているものか、あるいはどの程度結成されているのか、これを掌握されていたらちょっと教えていただきたいと思います。
○政府委員(森繁一君) 今お話しございました北方領土の返還を目的といたしまして全国的な規模で結成されております団体というのは、先ほど委員御指摘の例えば北方領土返還宮城県民会議の例のごとく、北方領土返還要求運動都道府県民会議というのが四十七都道府県すべてに一応設けられております。この中には行政機関も構成団体の一員に入っておるわけでございますが、なかんずくこの四十七の県民会議のうち県議会の議長さんが会長をお務めになっておる、こういうところが二十県ございます。
○栗村和夫君 それじゃ、大体網羅されているわけですね。政治的な背景は、政府・与党の自民党というサイドが多いんですけれども、そんなことはもう今は問題でありませんで、やはりそういうセクトを外して、国内のこれは民族的、国民的課題ですから、大いにこれからも私どもはやっていきたいと、こう思います。 そこで、最近出版された本に「マグニィフィセント・ライ」という、日本語に訳すれば「壮大なる嘘」という直訳になって、文学の型式でいえばフィクションかノンフィクションかの間の物語のような感じの本で、相当話題をまき散らしております。私も、この出版記念会に臨みましたが、相当偉い人たちが、政官界あるいは防衛庁筋からも見えていまして、割と異色な出版記念会だったんですが、その中で、歯舞、色丹でなく国後、択捉のでっかい方の島二つ、もし返還ということになったら日本はどう対応するのかとか、そういう仮定のことを一つの物語のテーマにしているわけですが、金丸さんの発言といい、あるいはあれよあれよと変化をしているゴルバチョフのペレストロイカ、そして今米ソの首脳会談、韓国の大統領までゴルバチョフ大統領に会う状況、まさに予断を許さないような国際政局の大転換が今なされていると思うんです。 しかも申し上げるまでもなく、ヤルタ会談で、我々からいえば密約のようなものだとこういうことになるんですが、アメリカを中心にした連合軍とソ連のスターリンとの間で、北方領土をやるから対日戦争に参加しろとこういうことになった歴史的経緯もあります。 そうしますと、外交というものは、一方的に我々がこう思うからこうやれということだけで、原則の主張だけで済まない場合が出てくるのではなかろうか。それから金丸さんほどの政治家がああいう発言をしているというのは、いろんな状況が陰の方であるのかどうかわかりませんが、それに今紹介した本、こういうものを見ますと、にわかに私は北方領土返還問題というものは具体的な選択を、四島一括かあるいは場合によっては二島かとか、そういうことを含めて弾力的に対応して決断しなければいかぬ時期が迫っていると思うんですね。そのとき、領海の線引きその他含めて、とにかく日本の漁民にすれば、最近のソ連による北朝鮮魚船の拿捕事件その他あるように、自治大臣としてもこれは外務省任せだとかあるいは農水省任せだということではなしに、北海道の自治体あるいは沿岸漁業を抱えている日本の自治体、そういうものを代弁するという姿勢からも相当重要な決断のときには参画をする。閣議で決まるとか、総理大臣の決断とか、いろいろなっていくと思いますが、北方領土問題の極めて緊迫化している状況に自治大臣としてどういう心構えでいらっしゃるのか。その辺のところを、今申し上げました地方自治体を守り預かる立場から、あるいはその自治体の関係住民の漁業を守り発展させる立場から、非常に難しい問題ではありますが、概括的な抱負あるいは決意あるいは心構えといいますか、それについてちょっと披瀝をしていただければと思います。
○国務大臣(奥田敬和君) これは大変きょうの御質問の中で重要な問題を含んでいると同時に、私としても余り軽々に発言できない内容を持っておる御質問だと思います。 北方領土は、歴史的にも国際法上ももう先生の御意見と一緒で、全国民的な合意が得られておると思います。固有領土であるということ、そして四島一括して返還をしてもらうのは当然だという形は、これはもう国会の決議とか国民合意という以上に、民族悲願であると同時にこれはもうまさに全国民的な合意を得ておる問題であります。したがって四島は一括返還さるべきものであるというこの基本的な方向については、私も、議員としてもまた一日本人としてもまた閣僚の一員としても、これはもう全く変わらない線であるということであります。 ただここで言いたいのは、これは私は別に今外交を担当しているわけじゃありませんけれども、私個人が考える形においてです。我々はもう北方四島の一括返還、これは一歩も譲らない、しかし現実を直視した場合に、現実に四島はソ連に実効支配をされておるという事実、また法的には歯舞、色丹は既に根室の市の一部でもありますし、もう国後、択捉は北海道に参入されておる。そういった形の矛盾が現実にあるわけであります。 そして今日の日ソ情勢、それを踏まえて考えた場合に、金丸さんの発言を今引用されましたけれども、あれは金丸発言は必ずしも新聞で報道されたことが真意を尽くされておらなかったようであります。金丸さんももちろん北方四島一括返還論者であります。ただ、ソ連は既に解決済みの問題であるということでこれを一蹴しておる。そういった形で日ソの話し合いの糸口が、もしスタート台で、ソ連がとりあえず日ソ間の話し合いに入る前に二島を返して、あとの二島の問題について話し合いのベースに乗るということなら、これを入り口論として持ってくるならそれに応じてやっていいじゃないか、そして結果的には四島返還という話になればそれでいいじゃないかという、まあある意味において体がど真ん中へ入るときに、片足と体の半分は入ったんだからあとはほっといても体は入るよというような、そういった論法で物をおっしゃった形が非常に誤解されて、四島一括返還でなくて二島返還でもいいじゃないかというような形に受け取られて、誤解を招いたということを聞いております。したがってこの四島に関する基本的な姿勢は一つも変わりません。 ただ、このままにしておいていいのかどうか、このままの状態で日ソ間が硬直した姿勢をお互いにとり続けておっていいんだろうか、もう政経不可分、そして四島一括返還にならない限り一切平和条約はもちろんのこと、友好的な政治経済のベースが構築されないということになる場合に、我が国はそれでは不幸なんじゃないかなという見方もあっていいんじゃないかと思うんです。 現にサケ・マス漁業交渉一つをとってみても、もう沖取りは禁止される方向にある。ことしだって去年よりももう数千トン減らされて一万一千トンくらいで余儀なくされて、しかも減船問題が起きてきておるという現状、補償金というか、そういった形だけはたくさん払わされるという、こういった繰り返しの中にある日ソの現実がこれでいいのかという形になった場合の論議とはおのずから別個だと思っております。
○栗村和夫君 よくわかりました。 いずれにしても、テーマとして余りにも大き過ぎますが、アメリカが一枚加わらない限り解決の糸口がつけられるものじゃありませんので、しかし状況が物すごく急速に変わってきておりますから、それに自治大臣としてのお立場でも、シビアな眼をじっと注ぎながら、現実対応を二段構え三段構えで、どうして漁民の権益を守っていくかとか、そういう立場でもひとつ大いに関心を持って御奮闘いただきたい、こう思います。 次に、警察庁ですが、私の質問したいのは人事管理に関することであります。 最初に、最近、自衛隊の応募者が物すごく少なくなっている、婦人自衛官をその穴埋めに相当募集している、こういうのがニュース、テレビの特集などで組まれております。私もその窓口で自衛官の募集をしていたことの経験もありますので大変なのは知っているんです。つまり簡単に言えば、窮屈で、制服着て、何か自由に遊べなくて、若者がそれだから嫌だなというようなことが心理としてあるわけですね。 そこで、最初に警察官というか警察庁というか、応募の最近の状況ですね、多いか少ないか、そういうことについてちょっと御報告をお願いします。
○政府委員(仁平圀雄君) 昭和六十一年以降の応募者数についてお答えしたいと思います。 昭和六十一年は七万五千四百人、昭和六十二年は八万一千九百人、昭和六十三年は六万六千七百人、平成元年、昨年でございますが、五万七千人となっておりまして、ここ二年ばかりは毎年一万人ぐらいずつ減少しているという状況でございます。
○栗村和夫君 公務員の志望者も多くなったり少なくなったりですから、単純な制服、また職場を嫌がるというだけじゃなかろうと思いますけれども、やっぱり警察庁にすれば寂しい感じがされますか。——そうですね。 そこでその次に、伊藤永之介という農民作家がおりました。戦前は金子洋文などと一緒にプロレタリア文学から入った人なんですが、戦後は農民作家で、しかも晩年は警察物の一連のシリーズで隠れたベストセラーになっている。その作品が大分映画にもなりました。「警察日記」、「新警察日記」それから「駐在所日記」は上下、「署長日記」ですか、ずっと亡くなるまで一連の警察物を書いている。それが絶筆になりまして、私も好きな作家でしたからほとんど目を通しまして、非常にほのぼのとした人情物語のような、駐在所と村民の交流とかあるいは一線の警察官と住民の交流とか、その間、法の番人として悩むところでございますね。私は警察というのはそうあるべきだ、民衆警察とか民主警察というものの精神的な心構えはそういうふうにあるべきだと思うんですね。 そういう点で昇任試験について、私は外から眺めていたんですが、少し形式的過ぎやしないかなと思うところがあるんですね。例えば剣道の達人であっても、試験が悪ければ最後やっと部長で終わってしまうとか警部にもなれないとか、そういう人たちも知っていますし、いろんなケースがあります。ところが、人間の人格、才能というものは記憶力がよければいいというものでなくて、情熱とか勇気とか創造力とか感性とか統率力というものは記憶力とはまた別な側面がありますね。新規の採用試験のときは試験がやはりベースになるのはやむを得ませんが、昇任試験などはもう少し総合的な人格を認めて登用していく、こういうことがあっていいのではないか、これはおか目八目で外から眺めていて感じたことです。 私も長いこと一つの組織体を預かって人事をやってみますと、なるほどこいつは酒飲んでマージャンばかりやってしようのないやつだなと、こう思いますね。ところが、意外にそういう職員が部下の統率力があったりする。それから稟議書をうそ字も書かない、極めて端正な文字で書く、すきのない文章で、その接客の態度も極めて紳士的だと思っても全然部下に信用のないというのがやはりあるんですね。総合的な人格というものは、私はそういうことで非常に悩んだ時期ございまして、ですからその昇任試験など少し、何というか、伊藤永之介の「署長日記」ではありませんが、ああいう雰囲気の人間的な触れ合いというか、そういうものが署の中、警察の組織体の中にもあり、そんなことで対応をされたらどうなのかなと。その辺は十分そうしているのかどうか、ちょっと率直に伺わせてください。
○政府委員(仁平圀雄君) 警察における昇任制度につきましては、従来からいろいろ問題もございましたので改善に努めてきたところでございます。特に昨年十一月には改善実施要綱というものを策定いたしまして、全国の警察に対しまして抜本的な改善方を指示したところでございます。 主なる改善点を申し上げますと、一つは、今もちょっと御指摘ございましたが、従来の試験昇任制と並行いたしまして、勤務成績が優秀で、人格識見に富み、幹部としての適性を有する者につきましては試験によらないで昇任させるという、私どもは選抜昇任制と称しておりますが、こういった制度を新しく導入することにいたしました。これが一つの改正点であります。 それからもう一つは、そう言いましても警察におきまして試験昇任制を全部なくしてしまうというわけにもまいりませんので、この試験昇任制につきましても、実務能力とか平素の勤務成績等々を一段と重視するように改めたところでございまして、そういうことによりまして、本当に勤務意欲に満ちあふれた、実務能力のある人格識見に富む警察幹部を登用していくように努力しておるところでございます。
○栗村和夫君 そこで、もう少し突っ込んでお聞きしますが、人事というのは非常に主観的なものですよね。ですから、任命権者のそのときの気持ちの作用で人の一生を台なしにしたり、あるいはあのやろう虫が好かないから少し干しておけとか、こういうことがありますね。これは避けがたいことだと思うんです。それだけにやはり総合的な内部判断をされて、何というか、過ちのない総合した人格が極めてこのポストに値するとか、そういうことでこれからも大いに警察官が伸び伸びと希望を持ってやれるような昇任体制、管理体制をやっていただきたいなと、こういうふうに希望をしておきます。 そこで、関連して質問ですが、例えば剣道をやるとか柔道をやるとか、ほかにさまざまな空手とかありますが、そういうことを専門にやって、余り昇任とかポストを考えなくても警視にもなっていくとか、そういう人事管理体制というのはとられているのですか、警察の場合。
○政府委員(仁平圀雄君) 柔剣道等術科につきましては、やはりそれなりの配慮をいたしておるわけでございます。 ただ、柔剣道の名選手が必ずしも警察署長として勤まるというわけではございませんので、おのずからそこには昇任試験等の中で限界がございます。大きな府県の場合におきましては、柔剣道等のすぐれた選手につきましては、これを途中で身分を切りかえまして師範というような形で処遇しているところでございます。
○栗村和夫君 それじゃもうちょっとなんですが、つまりひとり警察に限らずどんな組織体でも、生き生きとしたすばらしい若者がそれを求めて入ってくる、こういうことがその組織体の未来を占うものだと、こう思いますね。時代が変わっていますから、これは人をふやして勤務のローテーションをうまくやらないとそういう余裕のある時間がとれないと思いますが、週休二日制の時代に間違いなく突入し始めておりますね。今公務員の場合は、国家公務員から始まって都道府県、市町村というぐあいですが、特に現場、特にみんなが休むときに忙しい警察とか郵便局とか鉄道とか、あるいは自治体でも水道とか、こういうところはなかなか勤務のローテーションの組み方が難しいんですが、その辺については相当工夫しながら、つまり週休二日制が来れば警察官になっても十分休めるのだぞとか、あるいは振りかえで休みがとれるぞとか、そういうことについては相当研究されていますか。
○政府委員(仁平圀雄君) 警察官の採用に絡みまして、やはり警察における勤務制とか処遇とか大変重要な問題になってきているわけでございます。 そこで、実は、本年二月に警察庁に都道府県警察における総合的人材確保方策推進検討委員会というものを設置いたしまして、この中で採用の問題から採用後の教育の問題、さらには処遇の問題等について幅広く総合的な検討を進めているわけでございます。その中に今先生御指摘の勤務制の問題とか休日の消化といいますか、取得の問題等ございまして、おっしゃるような方向で具体的に目下検討しているところでございます。 例えば、捜査本部などを設置いたしますと、捜査員は当初の段階においてはほとんど休めないわけでございます。したがいまして、事件が解決したような場合におきましてはその後まとめてとらせるとか、そういった方法につきまして個々具体的に検討を進めているところでございます。
○栗村和夫君 最後ですが、若い人だけじゃなしに、例えば署長なんかにしても、署長というのはその地域の名士ですから、町村長だの駅長だのと同じように渉外の役なんですね。だから一年に一遍ぐらいちょっとみんなで、サミットというのは何も世界にだけあるわけじゃなくて、その地域社会に皆あるわけですね。きょうはどこか視察して、高校の校長、郵便局長、町長が幹事のもとで出ていって、一杯飲んで次の日解散しましょうというと、署長はあけられないようになっている。次長がきちんと座っていれば署長は一晩ぐらいあけてもいいように思うんですが、なかなか難しいということが調べてみてわかりましたが、多少そういうことも将来検討されてみたらどうか。これは外から見た提言であります。 そこで、国家公安委員長である大臣に伺いますが、今言ったように、人事管理を極めて人間的に伸びやかに、しかも特に若者に希望を持たせるというようなことは非常に重要だと思うんです。この点についてひとつ御見解があれば伺わせていただいて、終わります。
○国務大臣(奥田敬和君) 先ほどの都下に信頼が厚くてしかも実務経験においても立派な人で、だけれども試験になると余りいい成績がとれぬという方たちに対する形は確かにここ二、三年の間改正されてきておることは事実であります。私も頭でっかちで青白くて、人気もなくて、ただ試験だけ受かっていって調子よくなっていくようなやつは大嫌いでありますから、その点は国家公安委員長になったときに一番先に正しました。そういった面は順次改善されて、そして経験があって部下に信頼の厚いそういった人たちには、それは警部ぐらいまでは経験とそういった人間性によって指揮官としての価値ありという形でいく方向になっていることは事実でございます。 しかし、さっきも警務局長が言いましたように、時には命もかけなければいけませんし、組織で動く警察の本旨に照らして、それ以上だんだん上に行くときにはそれだけでもだめで、あらゆる法的な知識にも万般通じた、しかも人格者で統率力、信頼感というものが備わった者じゃなきゃならぬということは御理解いただけると思います。 ただ、今最後に言われました地域のサミットで、署長を連れて一杯飲んで一晩泊まるというのは、一杯飲む程度まではいいとしても、うちをあけたりする、常に連絡組織の長であるという形においての責任は重大でありますから、そういう点においては温泉旅行なんかに同行することは、私としても、相当のことは許してもいい方ですけれども、これはやっぱりだめでございます。
○栗村和夫君 終わります。ありがうございました。
○常松克安君 過日、五月二十五日、自治大臣並びに厚生大臣の深い決断によりまして救急対策連絡協議会をつくっていただきまして、何はともあれ、なかんずく自治大臣の政治的な決断に対して心から敬意を表します。よって、まず協議会につきましてその趣旨、構成、協議事項、内容について、このメンバーであります厚生省大臣官房清水審議官にお伺いいたします。
○政府委員(清水康之君) お答えをいたします。 先般、救急医療、救急業務につきまして厚生省、自治省消防庁が十分に連携をとって整合性のある総合的な施策を展開するという角度から、かねてからいろいろ指摘をされ、また事務的にも担当家レベルではいろいろ相談もしておったわけでございますけれども、先般厚生大臣、自治大臣、両大臣の御指示を受けまして、御指摘のとおり救急対策連絡協議会を設けまして、救急医療、救急業務をめぐる諸問題について相互の連絡をより密接にしながらよりよい救急医療体制あるいは救急業務の一層の向上を目指して努力をするということになったわけでございます。 構成メンバーは厚生省側が三人、消防庁側が三人でございまして、厚生省側は健康政策担当の大臣官房審議官、それから健康政策局の指導課長、医事課長でございます。消防庁側は消防庁審議官、総務課長、救急救助課長でございます。 以上でございます。
○常松克安君 当面の諸問題についてと連絡協議事項について四つほど具体的に挙げられていらっしゃるわけであのます。その点についてお伺いいたします。
○政府委員(清水康之君) 協議事項につきましては、まず、基本的には救急医療体制あるいは救急業務体制の基本的な仕組みの問題がございます。二番目には、高度な救急医療に対応する体制という問題があります。そして三番目に、現場や患者の搬送途上における医療、応急手当てのあり方というふうな問題等でございますけれども、私どもは率直に申し上げましてこのうちの三番目、現場あるいは患者搬送途上における応急手当てのあり方というふうな問題について、現在大変世間の関心も高まっておりますし、また委員の御指摘もございますので、この点をまず緊急課題として取り上げて率直な意見交換を行い、よりよい体制の確立に努力したい、こう思っております。
○常松克安君 今お話しいただきましたように、当面の諸問題、中でもこれからその論議を盛り上げていきます中においてなぜ救急隊員が十分な応急処置をし得ないのか。我が国における救命率、社会復帰率を少なくとも欧米並みにするためには、そのなし得る範囲を拡大すべきではないかといった世論かと感じて質問に立ったわけでありますが、こういうふうな協議事項の中に患者搬送途上における医療救急処置のあり方といった抽象的な表現になっておりますが、もう一歩それを突っ込んで、この協議会においては救急隊員の応急処置の範囲の拡大、その問題が論議を当然されるかと認識いたしますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(清水康之君) 去る五月二十五日に第一回の会合をやったわけでございますけれども、当然のことながらその第一回の会合ではこれまでのいろんな問題についての情報、意見の交換を行いまして、そして特に現場あるいは搬送途上における適切な医療の提供というふうな目標に向けて十分連絡調整を行いながら進めていこう、こういうことに合意したわけでございます。 そして、その中ではおっしゃるとおり、特に先般東京消防庁の方からいろんな東京消防庁の懇話会の御提言もあったというふうなこともございまして、どのような資格を持っている者であれば、あるいはどのような教育を受けた者であればどこまでの応急手当てが可能なのか、そういう問題が非常に緊急の課題であるというふうに理解しております。 あわせて、私どもの大臣もよく申し上げておりますが、医師の判断を適切に現場にお届けするシステムの確立も必要だ、そういうような事柄をこれから協議を通じて、また御案内のとおり厚生省にも、あるいは消防庁の方にもいろんな検討会、研究会がございます、そこの研究の状況等もにらみながら具体化を進めてまいりたい、こういうことでございます。
○常松克安君 大体同じような趣旨について、今度は立場は違いまして消防庁の小川審議官の方からお一言。
○説明員(小川善次郎君) 救急隊員の行う応急処置の範囲の拡大についての御質問だと思いますが、救急現場及び患者搬送途上におきます応急処置のあり方について協議するということになっておりますので、救急隊員の行います応急処置の範囲の拡大についての検討という事項は協議事項の中に含まれているというふうに考えております。
○常松克安君 いろいろ審議官の方からお話しいただいておりましたが、せんだっての予算委員会で私も質問申しあげましたところ、消防庁長官の方からは、救急業務研究会を早急に開催し、救急隊員による応急処置の範囲拡大及び救急隊員の教育訓練のあり方並びに教育機関のあり方等について諮問を行う、こういうふうな非常に救急元年のスタートと大宣言を、決意を披露いただいたわけでありますが、今のことにあわせての御決意のほどをお願いいたします。並びに後ほど大臣の方から一言添えていただけますれば結構かと存じます。
○政府委員(木村仁君) 救急業務研究会は既に存在する研究会でありますが、昭和五十九年以来しばらく休んでおりまして、もっとインフォーマルな形で懇話会を続けてきたところでございます。この段階で救急業務研究会を再開していただくわけでございますが、これは救急隊員の行う応急処置の範囲の拡大、それに対応する教育訓練、教育機関のあり方、あるいは医療機関との関係のあり方等について研究をしていただき、一方救急対策連絡協議会で協議をしながら協議したことを反映させ、また研究されたことを反映させながら協議を進め、できるだけ早く結論を得たいというふうに考えているわけでございます。
○国務大臣(奥田敬和君) 本委員会、また予算委員会を通じまして常松先生が本当に人命尊重の立場から、各国の例も引用され、救急業務のあり方について、また救急医療の範囲拡大についてなすべき方向を示唆されました。そういったことが実って今日の厚生大臣、自治大臣との間での話し合いも進捗し、役所の業務にしてはすばらしいスピードでこういった権威のある協議会設置にまで持ってこられて、しかも熱心にこの問題について両省が話し合えるという機会にまで来たということを本当に心から私もお礼を言いたい気持ちでいっぱいでございます。しっかりやろうと思っております。
○常松克安君 特に清水審議官に身を伏してお願いを申し上げておきます。なかなか救急隊員の問題は出たり入ったり、あるいは角が立ったり引いたり、医師法との関係だとか、医療という字がつきますと非常に難しい面がございます。つきましては、いろいろのお医者さんの立場あるいは専門家の立場、これを峠を一つ二つ越えていただかなければならない。やっと玄関口に立った。あと一つの扉が片っ方あくあかぬは清水審議官のこの問題への取り組みにすべてかかっている、かようにひとつ認識いたしますので、本日よりまた改めての決意に立っていただきたい。そして、このスケジュールを見ますと月一回程度と。この程度がくせ者でございまして、忙しいからやれぬと言ってみたり、あっちの方へちょっとお伺いに行きました、あっちの方がむくれてその席に着かぬと言っておりますとか、こういうふうなことにならぬように、ひとつ厚生省全力を挙げてこの問題にお取り組みを願いたい、このように申し上げておきます。 第二点目は、交通事故の問題に移ります。 まず一つは、過日、交通戦争とまで言って撲滅への意志を述べられました。しかし、一万一千に及ぶような今日の実態の上からいきまして、もはや今までどおりのあり方では対応し切れないのではないかと判断され、警察庁は去る二月二十四日から三月九日まで小池登一交通局高速道路課長以下三名を調査団として先進国西ドイツに派遣をし、その実態、対策というものを視察に出かけられたと聞いております。この視察の目的、視察の結果日本の交通施策等に参考になるシステムがあったか、この辺についてお伺いいたします。
○政府委員(関根謙一君) 今回の視察の目的及び結果でございますが、目的は、西ドイツが高度な自動車技術を背景として自動車の安全対策等事故防止対策が最も進んでいる国の一つでありますところから、そこでいろいろ調査をいたしまして我が国の交通安全対策をより一層効果的に推進するための基礎資料を得たいということで視察団を出したところでございます。 その結果でございますが、三点ほど注目すべき基礎資料が得られたと考えております。 第一点目は、交通事故に関する調査が総合的に行われているという点でございます。我が国の場合には事故調査、事故分析は主として運転者に対する責任追求というような観点から行われがちでございますが、西ドイツでは従来から道路環境でございますとか自動車の構造でございますとか乗員の損傷状況等に関する多角的な事故調査を実施しているということでございました。 それから二点目は、交通安全対策を総合的に推進するための体制が充実をしているという点でございます。西ドイツではドイツ交通安全評議会という団体が核となりまして、ここに官民いろいろな団体が所属をして総合的に交通安全対策を講じているということでございます。 それから三点目は、救急医療体制の充実という占でございます。ドクターカーでありますとかヘリコプターを利用した救急医療体制の整備に大変力を入れて大きな成果を上げていると聞いております。 以上三点、私どもの交通安全対策につきましても十分に参考になるものと考えております。
○常松克安君 改めて私もこの交通事故撲滅、ゼロへの挑戦として、残された五年間全力を挙げて取り組んでまいりたい、このように思っているわけでございます。よって、きょうは細かくは問うてまいりませんので、非常に各省庁にまたがっております関係上、これより二十一世紀に向けてこれをどういうふうに推し図っていくか、こういうことを角度を変えてお知らせ願いたいと存じます。 次に、交通事故対策の限界と申しますか、最近の交通事故の現状は年々自動車が加速度的にふえ、特に乗車中の死者が全死者の三八・四%を占め、過去十年間で最高となっている、いうなれば欧米型に向いているのではないか。事故状況は進展していると言われております。このような欧米型の交通事故増加に対処するためには従来の取り締まりを中心とする施策ではもはや限界に来ていると言う人も数多くございます。この点について警察庁としてはどのように御認識していらっしゃるかお伺いしたい。
○政府委員(関根謙一君) 先生御指摘のように、ここ一、二年、自動車乗車中の事故死者数の比率が増加する傾向にございます。特にことしに入りましてから、先生御指摘の昨年の三八・四%を上回る比率で自動車乗車中の方が亡くなっております。 そこで、私どもの対策といたしまして、従来のように取り締まりを中心とするものからドライバーの方々にそのモラルや資質を向上してもらうことでありますとか、それから交通管制センターや駐車誘導システム等を整備いたしまして、ドライバーの方々がルールを守りやすいような環境をつくっていきたいということを考えております。 さらに、事故分析という点で、先ほども申し上げましたが、私どもこれから車の構造でありますとか、道路構造等もあわせて総合的な事故調査、事故分析を行いまして、関係省庁にその結果をお知らせするといたしまして、警察のみならず関係機関、団体一体となって対策を講ずることができるような仕組みを考えたいと考えております。 さらに、救急体制がこれから整備されることが期待されるところでございますが、あわせまして運転者教育の段階でも応急手当てについての教育の充実を図ってまいりたいと考えております。
○常松克安君 次に参ります。 調査団の西ドイツ派遣は、これまでの取り締まりを重点にした交通対策では限界があることに警察庁は気づかれ、従来人に重点を置いた事故原因究明を行ってきたのを改めて、ここでその報告内容を今承りますと車の構造、日本車と何か欧米車の構造に差がある。NHKの画像を通してそれを国民全員に告発するという形でぶつけてきた。確かにその実験例を見ておりますと、何てまあ日本の業界というのはよそに売るときには丈夫な車を売っておいて、日本の中における車はそんな弱いものだろうか、一瞬不安を持つような者の心理をかき立てました。あるいはまた、道路の管理等例えばベルギーだとか、ここのところにおきましては電柱、ガードレール、これを鉄製じゃなくしてビニール製の化学製品を用いてクッション、激突した場合に抜く、こういうふうなことの具体例というものが一つ一つ積み重ねられておられる。そういう意味におきまして、車の構造、道路の管理等総合的な交通事故対策への分析へと、交通安全対策の転換の第一歩として行われたものであるという見方がございます。実際これはそのとおりなのかどうなのか確認をいたします。
○説明員(樋口忠夫君) お答えいたします。 自動車の安全性につきましては、構造装置で比較いたしますと、一部外国車には御指摘のように交通事故の実態等を踏まえて強化されている部分等もございまして、厳密な比較は難しいところでございますが、当省で調べた結果によりますと、例えば排気量、車両重量等がほぼ等しい車同士で比較した場合におきましては、安全性に係る構造装置におきましてはおおむね同等であろうというふうに考えておるところでございます。 ところで、運輸省といたしましては現下の厳しい交通事故状況を踏まえまして、去る三月交通事故非常事態宣言下における当面の道路交通安全対策の推進についての行動計画を定めまして、その中で車両構造あるいは整備管理、連行管理等について検討推進を図っているところでございます。特に、ただいま先生から御指摘をいただきました安全な自動車の構造のあり方に関しましては、業界団体であります日本自動車工業会に対して自動車の構造装置の安全性に係る研究開発を強化し、一層安全な自動車の供給に努めること、あるいは自動車ユーザーの要望に応じまして安全性の一層の向上にかかわる装置を備えた車両を提供し得る、そういった体制を整備すること等を要請したところでございます。 今後とも先生御指摘の趣旨を踏まえまして、安全基準の拡充強化、事故調査解析の充実、さらに安全対策に関する研究開発の推進等を通じまして、より安全な自動車が提供されますよう自動車製作者を指導してまいりたいと考えております。
○常松克安君 道路管理はいいですか。どなたか答えていただける方はいませんか。
○説明員(藤田忠夫君) お答えします。 交通安全の確保を図る上で道路交通環境を充実整備するということは極めて重要な課題であるということは十分認識しておりまして、建設省としましては、新しい道路をつくるときには、例えば市街地内では歩車道を分離したような道路、それから一方十分安全に配慮した自動車専用の高速道路の整備をする、そんなようなことを基本的に行っておるところでございますが、さらに既存の道路につきましては、交通安全施設等整備五カ年計画に基づきまして事業を行っておりまして、防護柵、道路標識などの安全施設の整備を進めておりますとともに、歩道の設置、交差点の改良等、それから道路の局部改良などの道路・構造の改良についても積極的に取り組んでおります。 先ほどお話しございました電柱、ガードレールのビニール製のそういう敷設ということでございますが、私その件に関してはちょっと存じておりませんが、交通安全に役立つものであれば、今後そういう情報も得まして研究してまいりたいと思っております。
○常松克安君 最初から申し上げておりますように、これより五年間取り組むとして、きょうはおとなしくおっしゃったこと全部お聞かせ願っておきます。しかし、そういうことではなくして、これからこうするんじゃなく、今までそういうふうな欠落があったために人命にこんなにつながってんですぞという指摘を具体例をもってこれから取り組んでいきますから、そのつもりで、対応の答弁内容をよく分析させていただきます。 また、今度は警察庁の方に申します。 小池課長さんの報告を全部精読させていただきました。非常に的確に報告書はついていらっしゃいます。さすがです。 ただ、ここで各省庁いろいろの割り振りになっているものを——何でもアメリカがいい、西ドイツがいいという観念は私は持っておりません、日本は日本らしいもの。ただ、行政がこの問題は少しスピードが立ちおくれている。例えば相当大きな権利を持って学者が入り、業界も入り、警察庁も入り、運輸省も入った、まあ西ドイツにおいては総合的なそういうシステム、交通事故撲滅なら撲滅の具体的なものをつくり上げて、十年間それを積み重ねてきているわけであります。これより警察庁としては、それは総務庁が窓口ですんや、事務負担はこっちですんや、これはあっちですよ、それわかります。わかりますが、それを統合した、少なくとも交通事故というものを、その過失ABを問うてきただけ、これを今回もう少し大きな人命尊重という立場において体制づくりというもののお考えをがしっとしていただけないか。 といいますのは、行政というものは何もかも一から百まで、日本を支えていたのは皆さんの優秀な組織で、官僚の皆さんが支えてきていらっしゃるんです、自負してください。しかし、例えばアメリカは一九六〇年代、交通事故で五万人死亡しております。そのときに運輸省は何をきちっと提言したか。調査した結果、それは一九六六年に事故による死傷者は、現在社会に軽視された疾病、交通事故死という概念じゃないんです、ここなんです。人の命をベースに置いた考え、視点、こういうふうな中にトータル的なものの対策をどうするか。こういうふうな考え。 そういう意味で今の死亡が、厚生省の数値と警察庁の数値とは違います。少なくとも交通事故による死亡は一カ月間、よって死亡を出すというふうなところの、言うならこういうふうな発想の転換、そういうふうな視点というものがやはりここに基本的になくちゃならないと思って私は問いかけております。いかがでしょうか。
○政府委員(関根謙一君) 私どもも事故過失者の責任追求という視点にとどまらず、生命、身体の安全の確保という点に最大限の力を置いて従来も施策を講じてきたところでございます。 しかしながら、先生御指摘のように、現在、総務庁を中心として各省庁が協力して、さらに民間団体の参加を得つつ総合的な対策を講じているところでございますが、これをさらに一元的に仕組みを変えるということにつきましては、従来のいきさつもありなかなか簡単にはいかないようにも思います。しかしながら、何とか努力をいたしまして総合的な施策が十分に発揮できるようなそういう仕組みをということで関係省庁にも御相談を申し上げたいと存じます。
○常松克安君 最後は国家公安委員長にお伺いいたします。 今本当に言い尽くせないところ、急ぎ過ぎて論理的でなかったところもございましょうが、交通事故死、この問題についての努力を今日まで積み重ねてこられたことは敬意を表するに値するものが多々ございます。しかし、もはやその枠を乗り越えたところに時代が我々に対して挑戦をしかけてきておるようなことであります。例えて申しますと、交通事故の安全対策として事故原因を分析するにとどまらず、分析した各種データを情報公開し、運転手に事故を起こさないような注意を喚起することが必要であります。今までの日本の交通行政では、事故原因の分析はほとんど行われず、ましてや事故原因を運転手に情報公開するという発想はなかったんであります。 例えば車の構造が原因で事故が起きた場合には運輸省がその情報を握り、自動車業界には流すが一般国民には公開しないという業界寄りの行政をとってきたではありませんか。また、道路の管理については建設省、運転手の運転行為については警察庁、死亡原因については病院や生命保険会社がそれぞれ情報を握り、縦割り行政が行われてきたのであります。そのような従来の業界寄りの交通安全対策、縦割り行政に問題がなかったのかとふと心に疑問をわかすわけであります。そういうふうなこと一つとしても十年も二十年も前から、ベンツも行く、事故が起こったらそこへ車をつくっている会社が行ってそして事故を、言うなら少なくとも生産者という立場の流れではなくして、生活者あるいは消費者、そういう立場に立っての人命を基準にした総合的な交通対策を行っていかなきゃならない、かようにしみじみとこの窓口に立たされて思うわけであります。 後日また一点一点事細かに事例を挙げてこれを追及してまいりますから、今のところ、今申し上げました議論を通して公安委員長としての御決意をお伺いさせていただきます。
○国務大臣(奥田敬和君) 先生の御指摘のように行政の対応が立ちおくれたということは率直に認め、反省をいたしております。何せあっと思う間に自動で動く車が二輪車も含めて五千七百万台、四つ車で軽自動車を含めて五千七百万台という最も過密な車社会に突入した。それに対して果たして自分たちは行政側の対応がそれじゃうまくいっていたかというと、本当に残念ながら今の御指摘のような厳しい状況であります。ですけれども、先生の御指摘されたいわゆる情報の公開によって、事故原因の追及によってそれがお互いの健全な車社会をつくっていくために少しでも前進して一人でも多くの人命が救われるなら我々はこれに向かって邁進しなきゃならぬわけであります。交通安全の新五カ年計画も明年を起点に発足するわけでございますし、本委員会でまた御審議願わなきゃいかぬ道交法改正等々も含めまして、一挙にはいかなくても、何とかしてこういった車社会が今後とも生活の利便をもたらすと同時に、安全、快適とまではいかなくてもそれを常に目標にしていく社会を私たちは構築していかにゃいかぬという使命があるわけでございますから、ひとつまた先生の厳しい御鞭撻、厳しい御意見の中から行政側に何かいいヒントを与えていただいて、そういった方向で努力させていただきたいと願っております。
○諫山博君 手話通訳者の職業病、頸肩腕障害について質問します。 まず厚生省ですけれども、我が国には聴覚音声言語機能障害者、いわゆる聾唖者が現在何名おられますか。昭和五十六年の国会答弁では三十一万七千となっていますけれども、一番新しい数字を説明してください。
○説明員(福山嘉照君) お答えいたします。 一番新しい調査、これは昭和六十二年二月の身体障害者実態調査でございますけれども、その結果によれば十八歳以上の聴覚音声言語障害者の数は三十五万四千人となっております。
○諫山博君 この中で手話通訳を要する者と要しない者を分類できますか。
○説明員(福山嘉照君) この中で、身体障害者の障害等級が一級から六級までございますが、その障害等級が一級から三級までの十六万一千人が手話通訳サービスの対象となり得ると考えております。
○諫山博君 現在、手話通訳者は我が国に何名いますか。
○説明員(福山嘉照君) 厚生省が行っております社会参加促進事業、これはメニュー事業でございますが、その一つとして昭和四十五年から実施されております手話奉仕員養成事業等で養成された現在活躍中の手話奉仕員は約三万人と推定しております。
○諫山博君 昭和六十一年の答弁では登録済みの手話通訳者が二万五千人となっていますけれども、ふえたわけですね。その中で専門的用語も駆使できる人が職安に千二百名委嘱されているというのが昭和六十一年の答弁です。この数は今どうなっていますか。
○説明員(福山嘉照君) はっきりした数字は持ち合わせておりませんけれども、私ども、手話をある程度やられる方が先ほど申しましたように約三万人、その中である程度世の中で手話通訳が可能な方、これが約二千人、それでかなり高度の手話通訳をやるという方がそのうちの約三百人程度ではないかということを考えております。
○諫山博君 昭和五十六年の国会答弁では、都道府県なり政令都市にどのくらいの手話通訳者が配置されているかということが議論されていますけれども、この数字がわかりますか。
○説明員(福山嘉照君) 約三百人ということで記憶しております。
○諫山博君 昭和五十六年が二百八十一人ですから、やはりこれもふえているわけです。その中で常勤者が何名で、非常勤者が何名かわかりますか。
○説明員(福山嘉照君) 当時常勤者が約三割ということで承知しております。
○諫山博君 自治省に質問します。 手話通訳者の大部分というのは地方自治体で働いています。この中には常勤者もいるし、嘱託者もいます。どれだけの手話通訳者が地方自治体で働いているかわかりますか。
○政府委員(滝実君) 私どもそのような調査を今までしたことがございませんので、残念ながら数字としては把握いたしておりません。
○諫山博君 私は、自治省がこの数を把握していないというのは非常に怠慢だと思います。 これは障害者団体がいろいろ苦労しながら調査していますけれども、実例を挙げますと、大阪府下の二十四市で正職員が十四名、嘱託職員が十六名、奉仕員が三百八十二名です。そのほかに、大阪ろうあ会館で大阪府の委託が正職員一名、大阪市の委託で正職員四名、これは地方自治体で働いているんですよ。京都を調べてみますと、京都府で正職員が一名、京都府下の十二市町では正職員が十三名、嘱託職員が三名、奉仕員が百三十六名。こういう数字は自治省では把握をしていませんか。
○政府委員(滝実君) 私どもとしては特にそういうような数字を把握いたしておりません。
○諫山博君 後で触れますけれども、私はこれは非常に遺憾な状態だと用います。地方自治体で手話通訳者が何名働いているのか、その雇用形態はどうなっているか、こういう問題について自治省が今まで関心を示さなかったということは重大です。 そこで、職業病の問題に入りますけれども、昨年の十一月十三日にNHKのテレビが手話通訳者の職業病という問題を特集しました。この中で、取材に当たった斉藤記者が次のように語っています。 大阪の四条畷市に勤める内野和弘さんは、市役所でただ一人の専任の手話通訳者です。手話通訳の助けを必要とする耳の不自由な人たちから依頼があれば市内のどこにでも駆けつけます。依頼の内容も、保健所や学校、それに病院に一緒についていってほしい、あるいは会議や集会で通訳をしてほしいなどさまざまです。こうした依頼の数は年間八百件前後にも上ります。市内の耳の不自由な人たちにとって内野さんは最も頼りになる存在です。そんな内野さんが体の不調を感じ始めたのは四年前からでした。 自治省にお聞きしますけれども、地方自治体で手話通訳者がこういう勤務をしていることは全然知らないんですか。
○政府委員(滝実君) こういう点につきましては、私どもは経験からいっても、あるいは厚生省等からの情報その他によってそういうような勤務状況もあるということは幾分かは承知をいたしております。
○諫山博君 斉藤記者は、内野さんが四年前から体の不調を感じ始めたと説明していますけれども、これに続いて内野さんの談話が出てきます。内野さんの肩書は四条畷市専任手話通訳者、嘱託職員、こうなっています。「今午前中ですから、元気ですけど、昼から、また夕方、疲れてくると体がしびれたり、重くて動きにくく、晩御飯のときお箸をにぎれなくて落としてしまう。寝るとき腕の辺が鉛のように重くて、なかなか寝づらい、そういう状態があります。」これはNHKを通じて全国に放映された内容です。 厚生省、手話通訳者にこういう病気が出ているということは承知していましたか。
○説明員(福山嘉照君) 厚生省といたしましては、頸肩腕障害につきましては、先生お話しのように、ある程度の情報を得ているというのは、障害者の方々また手話通訳者の方々からそういうお話は伺っておったところでございます。 ただ、この頸肩腕障害につきまして学術的に研究をなされた論文、これはもう御案内かと思いますが、滋賀医科大学の垰田先生の専任手話通訳業務に発症した頸肩腕障害の一例という論文が一つしかございません。そんなところで、私どもの方としてはなお今後いろいろ勉強をさせていただかなければならないというふうに考えておる次第でございます。
○諫山博君 NHKのテレビをもう少し紹介します。斉藤記者の談話として「全通研、全国手話通訳問題研究会が手話通訳者の健康状態を調べた。回答を寄せた四十三人の手話通訳者のうち、八〇%の人が頸肩腕障害に似たさまざまな体の不調を訴えている。」。 これで関係者が大変驚いて相当広範囲な手話通訳者の健康調査を行っています。健康調査を行った人は、全通研・手話通訳者の頸肩腕障害調査研究プロジェクトチーム、これには今厚生省から言われた垰田先生も参加しておられます。そしてことしの四月七日に手話通訳者の健康調査中間報告というのを発表しました。厚生省はごらんになりましたか。
○説明員(福山嘉照君) 大変残念でございますが、まだ読んでおりません。
○諫山博君 労働省はどうですか、知っていますか。
○説明員(松村明仁君) 今御指摘の資料についてはまだ拝見しておりません。
○諫山博君 手話通訳者の頸肩腕障害というのは最近大変問題になってきたことです。この問題で一番豊富な資料を持っているのは私は障害者団体だと思います。続いて滋賀医科大学ですね。このアンケート調査でどういう結論が出ているのか、厚生省も労働省も御存じないそうですから少し説明します。 調査対象は、近畿二府四県で手話通訳を業務として行う可能性のある者すべて。対象は百五十六名、回答を寄せた者は百四十五人、内訳は男性四十一人、女性百四人です。まず、自覚症状の訴え率。肩が凝る、だるい八五・五%、首が凝る、だるい五五・一一%、手指がしびれる一五・二%、手指が震える一一・七%。これは平均ですけれども、週五日以上勤務している人の場合にはこの率がずっと高くなります。肩が凝る、だるいというのが九四・六%、首が凝る、だるいが七〇・〇%。つまり手話通訳の時間が長い人はずっとこの症状が高くなっているということです。日常生活にどういう不便なり苦痛を与えているか。この問題では布団の上げおろしがつらい二三・四%、髪を解くのがつらい一三・八%、タオルをかたく絞れない一一・七%。 さまざまな項目がありますけれども、若干だけを紹介しますと、読み取り通訳疲労時の症状訴え率、肩や首や腕が痛くなる二一・四%、腕や指が動かなくなる三・四%。そのほか非常にさまざまなデータが出てきますけれども、この中間報告を受けて次のような総合判断が示されています。十人に四人が不健康を訴えている。不健康は広範に及び深刻な実態になっている。これがプロジェクトチームの行ったアンケート調査の結論です。こういう結果は厚生省、労働省聞いていませんか。
○説明員(福山嘉照君) 伺っておりません。
○諫山博君 労働省は。
○説明員(松村明仁君) 伺っておりません。
○諫山博君 自治省はどうですか。
○政府委員(滝実君) 私どもは聞いておりません。
○諫山博君 私から見れば非常に怠慢だし驚くべきことだと思います。というのは、手話通訳者の頸肩腕障害というのは、かつて公式に問題になったことがあるんです。 昭和五十八年四月七日に、札幌労働基準監督署長が手話通訳者の頸肩腕障害を職業病として認定しました。この診断書は頸肩腕障害第三度と。そして、認定のときに使われた診断書では、藤堂祐史郎という医師が次のような記載をしています。肩、背部、頸部、腰部など広範な筋肉の凝り、痛みを感じ、吐き気、胃のむかつき、不眠、頭痛、手掌発汗増多などの自律神経症状とともに悪化していき、作業がほとんど継続が不可能な状態となった。結論、本症例が頸肩腕障害であり、手話通訳業務がその原因であることは明らかである。こういう認定がされている。これを認定したのは労働基準監督署長です。こういう認定がされ、こういう診断書が出されていることは、厚生省、労働省は承知していますか。
○説明員(福山嘉照君) その事実は承知しております。
○諫山博君 労働省はどうですか。
○説明員(内田勝久君) 先生御指摘の方につきましては、私ども業務上と認定しておりまして、承知しております。
○諫山博君 これはもう公式に手話通訳者が頸肩腕障害の公傷と認定された過去の事件です。ですから、これから始まったというのじゃなくて、実はこういう問題が既にあったんだということを前提にしながら、今問題になっている事件について質問します。 大村洋子という人が、大津の労働基準監督署に、手話通訳による頸肩腕障害を公傷として認めるように申し立てしています。この人は、昭和五十七年からずっと今日まで、主として手話通訳をしてきた人です。職場は、滋賀県庁の障害福祉課に嘱託として雇われたこともあります。社団法人滋賀県身体障害者福祉協会に勤務したこともあります。大津市役所にアルバイトとして勤務したこともあります。そして、昭和六十二年四月から社団法人滋賀県ろうあ協会に勤務しています。 この人は、次のような症状を訴えています。これは座談会での発言ですけれども。「読みとりをやっても、足先からも、指先からも、口までも全部しびれてきました。それからだんだんひどくなってきて、講座の最中にも全然腕が動かないとか、立てないとか、いろいろつづきました。」。さらに、一昨年の八月九日に病院に行って、頸肩腕障害の診断がおりておりますけれども、「そのころ、指は全部グウになって開かない。自分で助けてやらないと指が開かない。腕が自力であげられない。読みとりをしている最中に指先、手足両方ともしびれてきた。しびれがだんだん上ってきて、口にくる。ロレツが廻らなくなる。」、こういう症状を自分で訴えておられます。 これには滋賀県の膳所診療所の今村医師の診断書がついています。さらに、非常に詳細な意見書も添付されております。これは両方とも大津労働基準監督署に出されています。病気としてはどういう症状が述べられているかというと、「本例は、後頭部、頸部、肩甲帯、上腕、前腕、手及び指の全体にわたり、コリ、シビレ、イタミなど相当強度に訴え、また、同部位に筋硬結、圧痛、放散痛を認めることにより、頸肩腕障害と診断できる。」。病名は頸肩腕障害だと。 そこで、この病気と業務との因果関係はどうなっているかという問題について、「自覚症状及び他覚所見は、上肢帯筋群の継続的な疲労状態の存在を示しており、手話通訳業務による正確で定型的な反復動作、とりわけ間違いを許さない通訳業務という精神的緊張状態、且つ胸を張り肘を中空に保持した状態での上肢反復動作が、頸肩腕部諸筋の筋疲労の蓄積を招いたものと判断される。」。「本件の業務起因性は業務経過からみても明らかである。」。「既往歴……本件症状とは何の関係もない。」。これは診断書及び医師の意見書のほんの一部ですけれども、こういう診断が行われ、本人がこういう症状を訴えている。しかも、本人のお母さんからも、本人の勤務状態について文書が出されている。 ところが、労働基準監督署は、今なお認定をしていないということで、地元では大変怒っていました。どうも労働省が圧力を加えているらしい、これが申立人及び支援団体の人たちの率直な見解です。この事件の審理はどうなっていますか。
○説明員(内田勝久君) お答え申し上げます。 先生御指摘の大村さんにつきましては、大津労働基準監督署に請求書が出されておりまして、ほぼ事実関係の調査等を終了いたしました。私ども早急に結論を出したいというふうに考えておりまして、でき得れば六月中にも結論を出すように努力をいたしたいというふうに思っております。
○諫山博君 速やかに結論を出すという点は私も大賛成です。この診断書をもう少しつけ加えますと、これは今村医師だけの結論ではないということが付記されております。例えば「九月十日に上京病院労災職業病科姫野医師、九月二十一日には大津市民病院神経内科相井医師にも診療を依頼しているが、いずれも頸肩腕障害を支持する診断を得ている。以上の諸点により、本件は手話通訳業務に起因する頸肩腕障害である。」、ここまで詳細に書かれていまして、これに反する医学的な見解は全く示されていないはずです。こういう診断になっていること、これに反する医学的な見解が示されていないことは御存じですか。
○説明員(内田勝久君) 私ども、先生が御指摘の医証等につきましてもちょうだいいたしているところでございまして、それらを十分検討の上、早急に結論を出させていただきたいというふうに思っております。
○諫山博君 私はこの質問をするに当たりまして、自治省行政局公務員部給与課監修の「公務災害四〇〇例とその解説」という非常にぶ厚い本を読んできました。この中に大変いいことが書かれているんですよ。どういう場合に公務起因性が認められるのか、「あの公務に従事していなかったならば、その災害は発生しなかったであろう」、これがわかりやすく言った公務起因性だというわけですね。そうすると、事柄は極めて明白ですから、この問題について一日も早く申立人の苦痛をなくしてやるという措置をとることを要望いたしまして、次の問題に移ります。 手話通訳者というのは地方自治体で働いている人が多いんですけれども、身分が非常に不安定です。例えば本来机の上の仕事を持っている人がたまたま手話通訳ができるというので、おまけみたいな形で手話通訳の仕事をさせられている。そのことによって本来の机の上の仕事が軽減されているかというと、ほとんどの場合そうではない。そういう勤務状態が自治体で正職員として働いている人の場合にも共通しているようです。そのために残業時間が非常に長い、手話通訳ができるばかりにほかの地方公務員よりか大変苦労が多い、しかも経済的には恵まれていない、これが正職員として地方自治体に働いている人の仕事です。しかし、この人は正職員ですからまだいい方です。相当の人たちが非常に身分の不安定な嘱託職員、いつやめさせられるかわからないというような状態、そういう状態だということは自治省はつかんでおられますか。
○政府委員(滝実君) いろんな形態があるということは承知をいたしております。
○諫山博君 確かにいろんな形態がありますけれども、一般の地方公務員に比べて非常に身分が不安定だ、そういう傾向は御承知ですか。
○政府委員(滝実君) 身分が不安定だというのはどういうことでとらえておっしゃるのか、いろんな問題があるだろうと思いますけれども、今先生がおっしゃるように、一般の福祉課の職員が手話を取得して、手話をしながら一般の仕事もするという形態もございますし、また先生の御指摘のように、正規職員として、一般職員として手話を専門にやっている方もおいでになるでしょうし、あるいはここからが不安定だということになるのかもしれませんけれども、嘱託職員として手話を専門におやりになるという方もおいでになるわけですね。 嘱託職員の中でも常勤的な嘱託職員と非常勤的な嘱託職員、こういうような形態がございます。またそうではなくて、地方団体の中にはボランティアとして登録しておいて、必要に応じて登録されたボランティアを必要な箇所に派遣をする、こういうような仕事もさせていただいている、こういうようなこともございますので、いわば先生のおっしゃるような一般職員として採用されている以外を不安定だというならば、そういうようないわば正規職員でない手話活動をされる方が相当数地方団体を通じて活躍されておるということは、私どもも承知をいたしております。
○諫山博君 私は、初めに昭和五十六年の国会答弁を引用しましたけれども、手話通訳者というのは、地方自治体で働いている人が多い。その場合に、二百八十一名のうちの常勤者は四十八名で、非常勤者が二百三十三名だと。このことを身分が安定していないというふうに言ったわけです。 そこで、自治大臣にお聞きします。手話通訳者が現在の社会で極めて重要な、いわば聾唖者にとっては生活のつえというような役割を果たしておられることは否定されないと思います。そして、この手話通訳者の仕事が大半地方自治体なんです。ところが、どうも自治省はそういう状態に余り関心を示さなかったし、実態をつかもうともされなかった。国際障害年で、これほど障害者問題が議論されているときですから、主たる雇用者である自治体に責任を持つ自治大臣が、手話通訳者がどのくらい自治体に配置されているのか、どういう仕事をしているか、雇用形態とか労働時間はどうなっているのかということをできる限り調査していただきたい、そして、それなりの施策を検討していただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(奥田敬和君) 手話通訳者が聾唖者にとっては本当に大事なお仕事であり、また手話通訳に従事されている人たちというのは心の優しい人で、思いやりのある人がそういった手話なんかを覚えられるのだと思います。そういった意味において手話通訳に従事されている皆さんのお仕事の大切さというものは十分認識いたします。 私の郷里の金沢でも、常勤嘱託ですけれども、手話通訳をなさる方が窓口においでて、大変これが喜ばれておることも聞いておりますし、また二、三の都市では、それに見習ってできるだけそういった形での、常勤か非常勤かは別として、そういう人をあっせんしてもらえないかというような相談を受けるときがあります。そういった意味では、先生の御指摘のように大切なお仕事であると尊敬もいたします。 しかしながら、実態が相当ばらついておるようですから、今常勤の職員が片手間に仕事をさせられるという形もあるようですし、また、ボランティアの人で臨時的に雇われるというか、そういったお仕事の形態で頑張っておられる人もおるようですから、一概に言えませんけれども、地方自治体にとっては大変大事な仕事でもございますし、また自治体でどういった形で、常勤、非常勤、そういった形態も含めて、何人くらいおいでになるのかなという形の実態については把握するように指示いたします。 先ほどからお聞きしておったんですけれども、頸肩腕症が手話通訳と直結しておるのかどうかということについては、先生はいろいろな例症を挙げてお話しされておったから否定する材料は持っていませんけれども、医学的にどういう形の定説になってきておるのか、肩が凝るだけではこれは我々でも肩が凝るのですから、ただ手話通訳という仕事の実態を見ていますと、私たちはテレビで横でやっておられる方たちを見ると相当重労働だということは認識いたしますが、その点についてはまたせっかく先生の御指摘でもございますし、勉強させていただきたいと思います。
○諫山博君 私は滋賀医大に行きまして垰田先生にお会いしました。相当長時間手話通訳と頸肩腕障害の関係について聞いたのですけれども、私は手話通訳というのは上肢を動かす大変な仕事だろうということは認識していましたけれども、一つは口がしびれるというのですね。それは相手方の口に呼吸を合わせながら手話通訳をやるから口がしびれて動かなくなるというのが私の気づかなかった問題です。もう一つは、手話通訳をずっとやっていますと、例えばテープレコーダーで日本語を聞くと通訳をしていないでも通訳をしている場合と同じような作用が起きて、垰田先生は放電するという言葉を使っていましたけれども、そういう状況になるというのですよ。ですから、専門的に言えば頸肩腕障害にならない方がおかしいということだそうです。これは私が勉強してきたばかりの問題です。 今手話通訳者が強く求められているのは、手話通訳というのを専門的な職業として認知してもらいたい、やはりこれは非常に重要な専門職ですから、そういう立場から身分の保障もしてもらいたいし、労働時間についてもやはり何らかのマニュアルをつくってもらいたいという希望が強く出ております。大臣、いかがでしょう。
○政府委員(滝実君) 手話通訳に関する基本的な点につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げたわけでございますけれども、問題は実際のその当該団体における手話通訳の活躍の形態、そういうような点にこの問題は最終的には帰着していくのではなかろうか、こういうふうに思われるわけでございます。全くのフル活動でこの手話通訳という方々に活躍してもらっている団体もあるでしょうし、それからごく短時間派遣という格好で活躍してもらう場合もあるでしょうし、要するにその当該団体と手話通訳の活躍の場、そういうものとのかかわり合いの問題においてこういう問題が相当程度左右されてくるのではなかろうかという感じがいたします。それによって当然のことながら勤務の形態も変わってくるという問題があろうかと思います。 ただ、先生のおっしゃるように、この問題は過去にも二、三例公務災害という格好で地方公務員の場合でも審査請求が出た点を私ども承知をしているわけでございますけれども、余り今までこの種の問題が認識されていなかったということもこれあり、おっしゃるように勤務の態様、こういった点についてはやはり速やかに検討していくべきものはあろうかと思います。
○諫山博君 こういう新しい職業病というのは、医学的な学術論文が先にあってそれから事態が進むのじゃないのですよ。新しい職業病が社会に発生をしてそれからさまざまな医学的な研究も行われる。例えば水俣病の医学的な分析を見ても明らかです。水俣病でさまざまな被害者が出た、初めのころはなかなかこの原因がつかめなかった、しかし医学的にこれがずっと追跡されていったというのです。この手話通訳の職業病というのは学術的な論文が余り出ていないのは当たり前だと思うのですよ。そのはしりをなしているのが滋賀医大だし、それから障害者団体のアンケート調査ですね。そういうふうに理解してもらいたいと思います。 そこで人事院おられますね。こういう職業病が発生しないためにはどうすればいいのか。一つはこういう仕事の時間を制限することだと。国家公務員に適用される人事院規則では、例えばせん孔、タイプ等の打鍵作業については作業の従事時間が制限されております。時間を短く節約するために簡単に私が申し上げますと、タイプ等の作業は一日三百分以内だ、連続して行う作業時間は一回につき六十分を超えない、一斉に十分以上十五分以内の打鍵作業に従事しない時間を設ける、こういう打鍵作業についての作業の時間が規制されていると思いますけれども、間違いありませんか。
○説明員(中島幸子君) 間違いございません。
○諫山博君 これが正式に決まったのは昭和六十二年のようですけれども、その後新しい労災、新しい職業病が社会で問題になり始めて、その都度それに即応した作業時間なり健康診断の規定を決めてきたと思います。例えばチェーンソーの使用によって白ろう病が発生する、そのためにチェーンソーの使用時間について人事院の規則で規制する、あるいはVDTという新しい作業が始まりまして、これについても勤務時間を規制するということが行われていますけれども、概略説明してください。
○説明員(中島幸子君) お答え申し上げます。 まず、チェーンソーの方から申し上げますが、チェーンソーの作業につきましては、人事院規則一〇—四職員の保健及び安全保持という規則でございますが、その規則で各省庁の長がこれらの継続作業につきまして制限の措置を講じなければならないということを規定しております。そして、その具体的な基準といたしまして通達を出しておりまして、この総長が定めました通達では、作業の従事時間、それから作業環境等の管理という二つの基準を決めております。 従事時間につきましては、まず、一日の実働作業時間は二時間以内とすること。二番目に、一週間の作業従事日数は五日以内とすること。三番目に、一月の作業従事時間数は四十時間以内とすること。それから四番目に、連続作業時間は一回につき十分を超えないようにし、連続作業日数は三日を超えない日数とすること。それから五番目に、作業時間の中途に十分以上十五分以内のチェーンソーを使用しない時間を設けること。六番目に、配置前及び六月につき少なくとも一回特別に健康診断を実施すること。こういうような基準を設けております。
○諫山博君 VDTは結構です。
○説明員(中島幸子君) はい。 もう一つ、作業環境等につきましても同様に基準がございまして、寒冷等による影響を防止し、局所振動の身体への伝播を軽減するために防寒服とか防振服とかそういうものを着用するというような基準もあわせて設けております。
○諫山博君 労働省に質問します。 キーパンチャーの作業管理について昭和三十九年に同じような指導がされています。それから、昭和六十年の十二月二十日付でVDT作業のための労働衛生上の指針というのが出て、中身はもう結構ですけれども、労働時間について詳細な規制が行われているということは間違いありませんか。
○説明員(松村明仁君) 今委員御指摘のように、労働時間に関する指針を出しまして指導をしておるところでございます。
○諫山博君 手話通訳についてこういう作業時間の規制がありますか、労働省。
○説明員(松村明仁君) 現在のところはございません。
○諫山博君 現に大津の労働基準監督署で問題になっている頸肩腕障害を職業病として認定する、これが今一つの緊急な課題ですけれども、同時に、こういう問題が起きないような予防措置を講じなければなりません。現にキーパンチャーとかVDT作業とか、チェーンソー作業については社会的に問題になって、その都度一定の作業時間の規制が行われたわけです。私が手話通訳者の労働実態を調べてもらいたい、どういう職業病が生じているかも政府として調査してもらいたいと要望したのはこういう対策も講じてもらうためです。現に障害者団体の調査によりますと、圧倒的な多数が業務起因性のある頸肩腕障害を訴えている。 そして、労働時間についてもほかの職種とほとんど変わらない、むしろ手話通訳ができるということによって長い労働時間を強いられている。どうしてもこれう行政の力で規制すべきだと思いますけれども、これは大きな方針ですから大臣の方に答弁を求めます。
○政府委員(滝実君) この問題は先生の御指摘のような点もあろうかと思いますので、私どもは厚生省あるいは労働省ともよく相談しながら、今後こういうような問題の起きないようにそういう点につきましてよく相談しながら研究をし、必要であれば今おっしゃったような方向で私どもとしても努力をしてみたい、かように考えております。
○諫山博君 自治大臣に聞きますけれども、今私が幾つか例を挙げたように、例えばタイプとか筆耕とか速記とかいろんな仕事については連続して一時間以上やってはだめだ、この一時間の間に十分ないし十五分ぐらいの休憩時間を与えなければならない、一日の時間は三百分以内だ、こういう規制がされているんです。そして、これは一たんそういう規制が決まっておしまいではなくて、新しい職業病が出てきそうになるとその都度、後追いにはなりますけれども新しい基準が決まっているわけです。現在、職業病として問題になりながら全く基準が決まっていないのが手話通訳だと思います。手話通訳の職業病が多発して、それから対策を立てるのではもう間に合わないわけです。現にこういう問題が起こっていますから、やはり手話通訳者を一番たくさん雇用している自治体などでこの問題の音頭をとったらどうかと思いますけれども、いかがでしょう。
○国務大臣(奥田敬和君) これは一義的にはやっぱり厚生省なり労働省が担当さるべき問題だと思いますけれども、手話通訳を専門職として自治体は恐らくそんなたくさん雇っていない実情だと思うんです。だから、先生のはまず第一番に手話通訳者を専門職として自治体に雇えと、そんな御質問とはまた違うわけですね。
○諫山博君 雇われていますよ、たくさん。
○国務大臣(奥田敬和君) そうですか。 私の知っている限りにおいては、常勤嘱託のような形で、身分は確かに不安定な立場で、ボランティアを半分交えたような形でやっておられるような例は知っておりますけれども、専門職として既にたくさん自治体が雇用しているということでございますから、その形においては身分は当然保障されていくべきであろうと思っております。 ただ、手話通訳者の頸肩腕症、これは職業病として認定すべきであるという形で言われても、それはとても私は今御返事するだけの知識も持っておりませんし、また、果たして頸肩腕症が手話通訳に直結する職業病であるかということになると、これまたなおさら今先生の御質問にこうするとお答えする自信はとてもございません。ですけれども、そういう実態がおありになるという例証を挙げての御質問でございますから、それからのことを念頭に入れながら、自治体の中で専門職として雇用している実態はどれくらいあるのかということお把握からまず努めたいと思っております。
○諫山博君 私はこの質問に当たりまして、国会の速記士のことを調べたんです。ところが、国会というのは大変先見の明があったんだなと感心しました。昭和二十四年に八名の専門の医師がチームをつくりまして共同調査をしているんです。そして、「国会速記作業の実態及び作業強度に関する調査報告」という二十三ページにわたる相当長い報告書を出しております。この中で、やはり職業病との関係、速記の時間は一回は十分が限度だと、あるいは一日に三回か四回ぐらいしかやっちゃいかぬ。これは昭和二十四年に、職業病というような言葉がなかったころ、日本の国会がこういうことをやっているというのに私は大変感心しました。こういうことを手話通訳についてもやってもらいたいというのが私の要望です。 とにかく障害者対策推進本部が障害者対策に関する長期計画というのを発表していますけれども、これはなかなかいいことが書いてある。手話通訳の制度化を図る、手話等身体障害者関連奉仕員に関する施策の充実を図る、なかなかいいことが書いてあるんですけれども、この立場を貫く限りぜひ私の要望にこたえてもらいたいということです。これは答弁要りません。 次に、消防庁おられますね。板橋で工場が爆発しましたね。私は直後に現場を見に行きました。見に行って驚いたんですよ。あんな住宅の密集しているところにこんな危険な工場があったのかという驚きが一つ。もう一つは、幸い爆発はしませんでしたけれども、五千キロぐらいの危険物があの火災の現場に貯蓄されていたんですね。あれに引火しておったらあの周辺は壊滅したんじゃないですか。私はあの実態を見て、正直言ってぞっとしました。ところで、あの発火の原因は何だったんですか。
○政府委員(木村仁君) 発火の原因につきましては、現在東京消防庁及び警視庁が現地調査によって調査をしている段階でございまして、まだ明確には発火の原因が確定されておりません。 ただ、発火いたしました製造上の状況としては、四名の従業員が、これはいずれも亡くなられておりますが、過酸化ベンゾイル三十キログラム入りのファイバー缶からプラスチック製ひしゃくでビニール袋に五キロずつ小分けしていたものと推定されておりましたので、その間に手違いがあったのではないかと言われております。
○諫山博君 どのぐらいの分量が爆発しましたか。
○政府委員(木村仁君) それは私どもはまだ承知しておりません。調査中だと存じます。
○諫山博君 あの場所に五千キロの過酸化ベンゾイルが貯蔵されていた。幸いこれは爆発しませんでしたけれども、あれは違法状態なんでしょう、どうじすか。
○政府委員(木村仁君) その点も現在調査中でございますが、違法の貯蔵があったらしいということは私どもも聞き及んでおります。しかし、どれくらい、どこに貯蔵されていたかというのはまだ確定されてはおりません。
○諫山博君 あの工場は直前に似たような事故を起こして操業停止になっていますね。それにもかかわらずこういう違法状態が放置されていた、これはどうしてですか。
○政府委員(木村仁君) ただいま御指摘の事故は、本年三月七日の事故でございまして、これは過酸化ベンゾイル製造工程において生成いたしました過酸化ベンゾイルと原料の寄性ソーダ残存物とがまじりまして爆発をいたしておりまして、過酸化ベンゾイル約百キログラムが焼失し、工場外壁八平方メートル、窓ガラス二枚が損傷いたしましたほか、洗浄槽等が焼失したものでございまして、死傷者はこのときはありませんでした。 消防署は直ちにその内容を調査し、文書で警告を発しまして、幾つかの措置を命じ、その措置の報告を受け、現場を確認して再び製造に入っている、こういうふうに聞いております。その間相当の時日、三月七日から四月の始めまで工場は休止しております。それが終わって確認をした後の事態でございますので、注意はしていたと思いますが、事故までさらに詳しい検査をしたかどうかということは存じておりません。
○諫山博君 あの工場でこういう危険な品物を製造し、貯蔵しているということを周囲の住民は知っていましたか。
○政府委員(木村仁君) この工場は戦争時代からあったもののようでございまして、その後マンション等住宅ができております。地域は工場専用地域でございますから、それほど住宅が建てられるわけではないと理解しますが、建っておることは事実でございます。同時に、数年来からそういう危険を周りの方が知っておられますので工場移転等がしばしば話題になり、現在もその計画が進行中であると聞いております。
○諫山博君 過酸化ベンゾイルが大変危険なものだ、それが五千キロも貯蔵されている、こういうことは周囲の住民にはわかっていましたか。あの焼けた建物から二、三十メートルのところに大きなマンションがあるでしょう。周囲の人がこういうことを知っていたのかなというのが私は疑問でしようがないんです。
○政府委員(木村仁君) そのことは周囲の人は御存じで、だから早く移転をせよというような意見が出てきておったということは承知しておりますが、何キロ、どのような状態で貯蔵されていたかということは、消防署等が調査中のことでございまして、恐らく周囲の人は詳しくは御存じなかったと存じます。
○諫山博君 私は長崎屋の火災のときも現場に行って、どこに問題があったかいろいろ調べてきて、そしてスプリンクラーをもっと小さいところでも設置すべきだ、基準を変えるべきだということを要求しましたけれども、ようやく最近になってそういう措置がとられているという話を聞きました。事故が起きてこういう措置をとるじゃ間に合わないんですね。ああいう人口密集地帯にこういう危険な工場が置かれて、現に違法な貯蔵が行われている、そこであわてて総点検をするということのようですけれども、それじゃ遅いんじゃないですか。総点検をするそうですけれども、なぜ事故が起きる前からそういうことを積極的にやらないんでしょうか。
○政府委員(木村仁君) 全国の消防機関は、それぞれその能力の及ぶ限り査察等によって点検をしているわけでございます。事故が起きましたから一斉点検をやりますが、それは一斉点検をやらないというのもいかがかと思って、まずやるようにお願いをしております。
○高井和伸君 自治省にお尋ねします。 話をがらりと変えまして、平成二年度の予算編成に当たって、ある意味では通俗的な言葉で言えば、大蔵に要求してそれが実現できなかった、そして今でも残念に思っているような項目はあるんでしょうか。予算編成のダイナミックスを少し聞かせてください。
○政府委員(小林実君) 御承知のように、自治省の予算は、一般会計で言いますと交付税がほとんどでございまして、御質問の趣旨は、それらを除いたいわゆる自治本省あるいは消防庁の予算のことかと思いますので、それにつきましてお答えをいたしたいと思います。 御承知のとおり、平成二年度の予算の概算要求に当たりましては、昨年の七月十一日に閣議了解がございまして、経常経費につきましては一〇%マイナスシーリングという概算要求基準が設定されたわけでございます。こういう厳しい財政のもとで私どもは自治本省、消防庁の予算といたしましては、消防庁の補助金、それから明るい選挙の推進に必要な経費、それから基地が所在する市町村等に対する基地交付金調整交付金、この三つにつきまして重点を置いて予算要求をさせていただきました。 消防関係予算につきましては、九年ぶりに元年度予算と比較いたしまして二億七千万増の百三十九億七千万の予算がついております。これは要求額に比較いたしまして三千万弱でございまして、ほぼ要求どおりでございます。 それから明るい選挙の推進に必要な経費につきましては、平成元年度は八億一千四百万でございましたが、要求では約倍額要求いたしまして、これもほぼ満額でございまして、倍増の十六億二千八百万がついておるわけでございます。 基地交付金調整交付金につきましては、平成元年度に十億増額になっておりますので、前年同額二百六十一億五千万をつけてもらっているわけでございまして、そういうことで厳しい状況ではございますが、予算の執行に支障のない額は確保できたというふうに思っておるところでございます。
○高井和伸君 続きまして、固定資産税を中心にお尋ねいたします。 自治省所管の私どものいただく書類の上からは直接固定資産税、地方税ですから、幾ら平成二年度で税収があるのかわかりませんので、そこらはどのような積み上げをしておられるのか、本省レベルではどうやって掌握しておられるのかをお尋ねしたいと思います。
○政府委員(湯浅利夫君) 固定資産税の税収見積もりにつきましては、基本的にはこのそれぞれの地方税の税目が地方財政計画の地方税の総体の見積もりの基礎になるわけでございまして、そういう意味で私どもがいろいろな資料を使いまして国税の収入見積もりと調整をとりながら、また将来の経済の見通し等を勘案しながら見積もりを立てるわけでございます。 ただいま御指摘の固定資産税につきましては、課税対象が土地、家屋、それから償却資産と三つに分かれておりますので、その三つの資産ごとにそれぞれの年度の課税標準額をもとにいたしまして、過去の実績とか、あるいは今後の経済動向などを見込みまして当該年度の課税標準額を求めまして、それに過去の実績から求めました徴収率などを乗じて徴収見込み額を算出いたします。それから従来からの滞納分がございますので、その滞納の繰越分について収入に見込まれる分、それから改正法によります増減というものも計算をいたしまして最終的な額を求めるということになるわけでございます。税率は標準税率を使いまして計算をするということにしております。その結果、平成二年度の土地、家屋、償却資産合わせました固定資産税の収入見込み額は五兆八千八百八十七億円ということになっております。
○高井和伸君 恐れ入りますが、今の五兆八千八百八十七億円の土地、家屋、償却資産別におわかりでしょうか。
○政府委員(湯浅利夫君) 土地が二兆三千三百六億円、家屋が二兆二千九百七億円、それから償却資産が一兆二千六百七十四億円、こういう格好になっております。
○高井和伸君 こういう話を聞きながら後でいろいろお尋ねしたいので、前提事実としてお尋ねしているわけでございますが、償却資産はかなりの税収見積もりになりますけれども、主にどんな物件が対象になっているんでしょう、具体的に、イメージ的に。
○政府委員(湯浅利夫君) 償却資産は、これは企業が生産活動その他を行う場合に必要な償却資産について課税をするというものでございますので、工場設備、あるいは事務と申しますか本社機能のようなところでございますと事務用品等が対象になるわけでございます。主としてそういうことで、生産施設と申しますか、そういうようなものが主体になろうかと思っております。
○高井和伸君 税収見積もりの積み上げの段階におきまして、今の三つの要素ごとに課税標準額の累計がわかっておるというようなお話でございました。これはそれぞれの課税物件を評価されているその課税標準額を全部単純に足し算をやって出す数字というふうに了解してよろしいんでしょうか。
○政府委員(湯浅利夫君) 毎年度各自治体から課税実績の統計資料等をいただきまして、これを合算いたしまして先ほど申しましたようないろいろな調整を行うということでございますので、それぞれの資産ごとの課税標準額というものを私どもはつかんでやっているわけでございます。
○高井和伸君 固定資産税においてはいろいろ課税における例外的な、特例的な措置が行われて、結果的に今のような税収見積もりがあるというふうに了解しておりますけれども、今ここで見ます土地の税収見積もりが二兆三千億円余り、家屋がやはり二兆二千九百億円というわけで、大体似た数字になっている。昨今の土地の高騰などの関係からいうと、単純に言って家に対する課税が非常に重いという印象が非常にあるわけですね。土地を持っていることは安くて、家を持っていることが高くつくというような、固定資産税だけでその世界でやれば見られるわけでございますが、こういうふうな数字になる。標準的に言うと五十坪の土地に三十坪ぐらいの家が建っている、こう考えた場合、それが税収のレベルで、固定資産税でいうとこのようにほぼ同じ、パラレルになっている というのは、易しく簡単に解読するとどういうふうになるんでしょうか。
○政府委員(湯浅利夫君) 土地と家屋の場合の課税の基本的な考え方の違いは、土地の場合は、特に宅地の場合には御案内のとおり、二百平米未満の土地につきましては四分の一という特例がございますし、またそれ以上の住宅用地についても二分の一の特例ということがございまして、これが税額ベースで約一兆四千億近くになろうかと思いますので、こういうものを加味いたしますと土地に対する固定資産税の方が本来は金額的には多いわけでございますが、その分がそういう特別な措置によって税収としてははね返ってきていないという問題が一つございます。 それから建物と土地の場合には、土地の場合にはこれは建物と違いまして、年がたつにつれて通常の場合にはだんだんと値段が上がってくる、今の場合ですとどこの地域におきましても土地の値段が下がるということは比較的まれだということでございますが、家屋の場合にはこれは建てたその瞬間から価値がだんだん減ってくるというようなこともございますので、こういうようなものを加味して総体といたしましては今申しましたようにほぼ同額でございますが、その資産ごとに家屋が多い場合あるいは土地か多い場合、いろいろケースがあるわけでございます。
○高井和伸君 今おっしゃった住居が建っている土地は四分の一だとか二分の一というような減免措置がなされているから土地の課税が安くなっているんだ、簡単に言うとそういうお話だったんだろうと思います。しかしながら、一般的に人間が考える場合、住む家に対して税金をかけるのは、むしろ売ったときの値段のことから考えると逆であって、家に対する特例措置が先にまずありき、こう考えるべきじゃないかと思うんですが、課税の一般原理に反するかどうか、その点いかがでしょうか。
○政府委員(湯浅利夫君) 固定資産税の性格からいきますと、住宅の家屋も、それから一般の企業が使っている建物も同じ基準で評価をして同じ基準で課税をお願いする、また土地の場合につきましても、住宅用地であろうが企業が使っている用地であろうが、これは同じように評価をして税負担をお願いするというのが基本的な考え方ではないかと思うわけでございます。 そういうことが基本ではございますけれども、先ほど申しましたように、土地についてはやはり住宅政策の観点から四分の一とかあるいは二分の一の特例を設けざるを得なかったというようなことでございますし、建物につきましては本来建築するためにどのくらいの経費がかかるかということを前提にして、それから建てられた年数を、だんだんと価値が減っていく分を評価額から減らしていくというような形で考えていくわけでございますので、今の固定資産税の考え方からいけばやはりそういうやり方しかないのじゃないかなという感じでございます。
○高井和伸君 不動産の取引の実際を申し上げますと、古い建物はただ同然でもう土地の値段だけで売買する、建物を壊すのも面倒だから持っていってくれというような話でして、土地が新しかったり古かったりというようなことはほとんど売買の対象においては興味が示されていないわけですね。今のようなお話があるからこそ、土地がおかしくなって値段が高くなってしまっている元凶の一つがこういった固定資産税における土地に対する課税標準の特例というものにあるんじゃないかとまあ一応思うわけですよ。 思うことはそれでいいとしまして、私の聞きたいのは、非常にこの固定資産税の税制がシンプルじゃなくて複雑怪奇、全くわけのわからぬ、ただ役場へ行って固定資産税の評価証明を持ってくれば数字が載っているということにおいてははっきりしておりますけれども、今のようなことで建物と土地が同じような税収の対象になっているということは生活人間の立場からいうととてもちょっと理解しにくい。特に投下資本を回収するというか、物を売ってその土地に投下したものを回収するときに、土地は爆発的というか圧倒的な値打ちが回収できるわけですね。そうするとこの固定資産税というのはどういうものに賦課することを一般的に通念的に当局はお考えになっておられるんでしょうか。
○政府委員(湯浅利夫君) 固定資産税の基本的な考え方は、御案内のとおり、資産がそこにあるということと、それから市町村あるいは地方の行政サービスとの間に一定の受益関係があるということに着目いたしまして、その資産を継続して持つということを前提にして税の負担をお願いする。その場合に、やはり資産価値に応じて税を負担していただくということがこの固定資産税の基本的な考え方であるわけでございます。 したがいまして、今お話しのように、建物は古くなってしまって、土地は古くなるということはございませんから、実際に古くなった家屋をつけて土地を売買した場合には家屋の価値はほとんどなくて土地の価値だけで売買価格が形成されるということは、これは取引の通念上はおっしゃるとおりなのかもしれませんけれども、家屋が乗っている以上はそれについて行政サービスを受けているという点は変わりないわけでございますので、この辺に着目して固定資産税としては課税をするということでございます。 しかし、現実にかなりの年のたった建物というのはもう固定資産税も非常に金額は少なくなってきております。もう圧倒的に土地の固定資産税の方が多くなってきているということでございまして、個々の不動産を見る場合には、相当古くなった家屋についてはむしろ家屋はほとんど課税されず土地だけの固定資産税になっているというのが実態ではないかと思うわけでございます。
○高井和伸君 お言葉を返すようですが、わりかしそうではないんです。築十二年で川崎市の四十六坪の土地の上にある、土地が二万三千円で家屋が七万八百円ぐらいの課税がなされている。三倍ぐらいですね、築十二年で。まあ通常の敷地に見合う建物が建っている、こういうふうに考えていただければいいと思いますが、新築の場合においては、八王子で六十五坪で二万一千五百円ぐらいの土地の課税に対して家屋は十四万六千円、七倍ぐらい。そして築二十四年ぐらいになりますと、世田谷で四十三坪ぐらいで土地が四万九千円、家屋は一万九千円ということで、これで二・五対一ぐらいの比率になって、ようやくおっしゃるようなことになっているんですが、少なくとも十年、十五年ぐらいまでの間では家屋の方が圧倒的に高い課税額になっているという事実がございます。 私が言いたいのは、そういう実態は、土地がある、建物がある、そのためにそこに人が住む、人が住んでおれば地方行政の受益を受けるから払うんだと、こういうことになることも別に否定する立場じゃございませんけれども、この固定資産税の先ほど言われた五兆八千億余りの数字は地方財政の中ではどのぐらいの比率を占めるんでしょうか。
○政府委員(湯浅利夫君) 平成二年度の地方税の総体の収入見込み額は約三十兆でございます。三十兆のうち市町村税が十六兆ぐらいになろうかと思います。十六兆のうちの五兆ということでございますから、市町村の税収に占めるウエートは約三分の一ぐらいということで、市町村税ではほかにもう一つの税目としての住民税、住民税と固定資産税のこの二つの税目でほとんどのウエートを占めるという格好になっております。
○高井和伸君 わかりました。 再評価が固定資産税について、標準額について三年ごとに行われる、平成三年度については行われる時期だと。そのとおりだと思いますが、この再評価するとき適正な時価というような概念が使われていて、他方では大臣が告示した固定資産税評価基準というのがあって、さらに諮問機関的な審議会として中央固定資産評価審議会というのがある。そういった中でまた平成三年の数字ができ上がっていくんだろうと思うんです。 過去の歴史を私なりに調べてみますと、余りストレートに時価を標準額にセットしてしまうと大変な税額になってしまって混乱が生ずるというようなことで、昭和三十九年だとか四十五年には激変緩和措置がとられたということで、非常に何だかわけのわからぬような税制の仕組みになってきてしまっていて、税収が幾らかということについてはわかるけれども、理論の整合性だとか、例えばこれから土地税制を何かいじくる、いじくるという言い方はおかしいのですが、土地税制を変えて土地の高騰を抑えようというときに、このような仕組みでは行政当局として大変やりにくい、そういう仕組みになっているんじゃないかと、こう思うわけでございますが、その点について、大臣でも結構ですが、ひとつお答えください。
○国務大臣(奥田敬和君) 来年確かに見直し期に入るわけですが、これは率直に申し上げますけれども、固定資産税は、数字的な形はとても私からお答えできませんから、後で税務局長からまたお答えさせることにして、ともかく基本理念は、やはり市町村財政にとっては住民税とこの固定資産税だけが基幹的な税収のもとでございますけれども、はっきり言うとこれは保有を前提にして長く住んでいってほしいというような税の建前がございますから、決して追い出し税になっちゃいけない性格を持っております。それで、土地政策上この税を余り期待価格や土地の近所での売買価格、実勢に応じた形でがんがんやっていくということになると、これは今言われたように、大変な地方税の収入にはなるかもしれませんけれども、これは全くある意味においては追い出し税になってしまうという懸念もございます。そういった意味ではこれは政策税ではない、政策的にあれする税制ではないと、こう認識しております。 それでもなおかつ適正、均衡というものは当然評価の基準でございますけれども、土地税制の中で土地政策にこれをうんとやって、今日の土地に対する不平不満をこの税によってどうせい、均一化しろというような形は、とても私はなじんじゃいかないんだと思っております。むしろ、法人に対する土地特別保有とかそういったいろいろな形の中でこのことは解消されるべきものであって、固定資産税は、薄く広くというわけじゃないですけれども、ある意味においては保有を前提にした、そして長く保有していただくと同時に長く住んでいただく、そしてなおかつ、市町村の自治体サービスの受益に対応する一つのサービスの対価であるという形に考えております。
○高井和伸君 今のお話についてさして異議があるわけではございませんが、ただ技術的な問題としまして、今は評価額の方を変えておりまして、税額を変えないということでいろいろ無理が出ているんだろうと思うんですね。私が前にも地方行政委員会で質問したはずでございますけれども、公的土地評価が実価のほかに三つぐらいあると、そういったのが日本の政治ないし行政の効率を非常に悪くしている原因だろうと思うわけです。 法律は毎年国会で改正して数字だけを改正すればいいんじゃないかと、それに見合う税収をおおよそ出しておいて、税額を出しておいて、税率を逆算すれば出てくるわけですから。そういった発想の転換を今後ともやっていただかないと、日本もまた、アメリカの日米構造協議じゃありませんけれども、日本の政治の仕組みとして、行政の仕組みとして、非常にプロしかわからないというか、専門家しか固定資産税の枠組みがわからない、中身がわからないというような非常にまずい現象があって、やっぱり国民というのはそんなに細かいことまで知っているほどの暇がないという立場から、もっと単純にわかりやすく、評価額にどれだけぶっかければ固定資産税が出ると、どれだけの税額を欲しいのかということは、もうそれは先ほどの大臣のお話のとおりですから。余り複雑なことになり過ぎているこの現状をぜひとも改める方向でやっていただきたい、このように私は思うわけです。 それで、昨今の土地税制の見直しというようなことで政府税調もおやりでございますので、そこらのあたりで、私が申し上げたような点も含めて、固定資産税の枠組み、仕組みについての将来展望はおありなのでしょうか、お尋ねいたします。
○政府委員(湯浅利夫君) 固定資産税の今の御指摘は、主として土地の問題になろうかと思います。 土地の評価については、御指摘のように地価公示の価格と相続税の評価額とそれから固定資産税の評価額という同じ土地に三つの価格を公的評価でやっているではないかという御指摘がかねてからございます。これを一元化するということが制度の建前からいけば非常に単純化していいわけでございますけれども、私どもは今すぐにこういう問題について一元化することが非常に難しいという理由として幾つかの点を前々から申し上げておるわけでございます。 その一つは、やはりこの固定資産税の土地の評価額というものは、先ほど大臣からもお話しのとおり、継続して保有してそこで使用収益をするということを前提にして税負担を毎年お願いをするということになりますと、将来の期待利益でございますとか、あるいは投機的な要素というものを排除して評価をしてまいりませんと、これは税負担が非常に過重になってしまうという問題がどうしても出てくるのではないか。地価公示を見てみますと、特定のところでは二年か三年でもう二倍にも三倍にもなるというようなところがあるわけでございまして、それは果たして本当の地価を反映しているものだろうか、やはり非常に投機的な要素で動いているというふうに考えざるを得ない要素というものがあるんじゃないかというふうに考えるわけでございまして、そこの差というものは固定資産税の評価においてはどうしても勘案しなければならない問題ではないかという感じかするわけでございます。 さらに、地価公示との関係からいいますと、固定資産の評価額は三年に一回の評価でございますが、地価公示では毎年毎年、しかも地点の数は地価公示は全国一万七千点でございますが、固定資産税の総筆数は一億六千万筆というような膨大な数でございまして、これを一元的にやるというのは、一体どうやって具体的に技術的にやるかという問題もございます。 そういうこともございまして、現在、特に今のような地価高騰期に地価公示の価格と合わせるということが一体どういう形でできるのかということを私どもは考えるわけでございまして、先般の土地基本法の御審議におきましても公的土地評価というものを一元化すべきだという議論がございましたけれども、私どもは今すぐにそういうことはとてもできない話でございまして、よく各評価間の均衡というものを頭に入れながらこの評価をやっていきたい、こういうことで御理解をいただいたところでございます。 今後ともこの評価の問題につきましては、住民の皆さんにわかりやすいような、そういうことをこれからも志さなきゃならないわけでございますが、そのためにこの次の評価がえからは、一度にすべてはちょっと無理でございますが、基準地等の一部の路線価も公開をいたしまして、そして地域ごとの評価の均衡化というものにも努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○高井和伸君 もう時間がありませんので、警察庁の皆さんには済みませんでした。 あと一言、今のようなことをおっしゃいましたけれども、それはそれで、やっぱりもう少しわかりやすい行政をやっていただくためには、いろんな困難があろうかと思いますけれども、古い話になれば豊臣秀吉が天下をとったらすぐやったのは検地である。いろんな面で行政の基盤を確立するという意味から、一部の人だけがわかるんじゃなくて、住民、住民税との関係もありますから住民という言葉を使いますけれども、住民が納得するような仕組みを早くつくっていただきたい。住民が自分の住んでいる土地と隣の土地と、自分の家と隣の家と、さらに農地と隣にある東京都内の農地の固定資産税額を知ったときに、その愕然たる姿、顔つきが思い浮かばれるわけでございます。やっぱりいろんな面で税制に対する信頼度という のはそういう仕組みからくることでございまして、先ほど申されたような個々の障害事由はそんなに大した障害事由じゃなくて、要はやる気じゃなかろうかというふうに考えております。ぜひともよろしくお願いします。 以上です。
○秋山肇君 私はリゾート関連で質問をさせていただきます。 以前は、自治体の地域振興策といいますと大分県の一村一品運動が有名でありましたし、ふるさと創生が始まりまして各自治体において地域づくり、町おこしが盛んになってきました。ところで、自治省としては地域振興にはどのような姿勢で取り組んでいくつもりでしょうか。
○政府委員(芦尾長司君) 東京一極集中が激化する中で、地域振興の重要性とかそのために地方公共団体が果たすべき役割というのはますます増大してきておるものと認識をいたしております。 その地域振興の方策でございますけれども、単に工場を誘致するといったようなものばかりではなくて、むしろそれぞれの地域の特性を生かしながら多様で個性豊かな地域づくりを進めていく、そういう方向に今なりつつあると思います。大分県の一村一品運動というのもその流れの中の一つの先駆者であったと考えておるわけでございます。 今お話を承りましたが、ふるさと創生一億円事業というものも、このような地域づくりを全国各地域において地域みずからの手で行っていく、そういうことの大きな契機となったというふうに私どもは考えておるわけでございまして、自治省といたしましてはこれらをさらに発展させていきますために、平成二年度におきましては、大臣の方からもたびたびお話がございますが、一兆円を超える事業規模でふるさと創生関連の支援策というものを展開いたしまして、地域振興施策の一層の拡充を図ってまいりたいというふうに存じております。
○秋山肇君 ところで、地域活性化施策として展開されておりますのにリゾート開発があります。余暇需要の増大に対応するとともに、民間活力を利用して内需拡大、地域振興を図ろうという意図によって進められていると思います。 私も行ったことがあるというか、関連があるんですが、北海道占冠村のトマムというところがあります。これは石勝線という新しい線ができたんでこのトマムが開発されたんですが、ここは寒冷地で生産性の高い農業がじり貧の上、ダムなどの大型事業がなくなったため人口流出が続き、最盛期には四千人以上いたのが八一年には一千四百三十二人、道内というか、日本で最低に落ち込んだとたしか私は覚えておるんですが、それが観光会社の誘致といいますか、お互いがここで話ができて、従業員の雇用、それに伴うUターン等でことし三月末には千七百七十一人まで戻ってきました。村の財政もかなり好転しており、誘致前の八二年度で法人村民税が二百五十一万円、八九年度見込みで五千百六十五万円と二十倍増、固定資産税は二千三百六十六万円から二億五千九百三十三万円とはね上がって潤っているわけです。誘致に際しましても、村は税金を一切まけない、公共施設をつくらないと協定していたこともあり、ほとんど懐を痛めておらず、このようにうまく誘致に成功し、過疎地対策として効果が上がっているというふうに私は思うんです。 今の高井先生の質問とちょっとあれですが、やはり固定資産税がしっかり村の税収として入ってくるということが大事だというふうに思うんですが、この点についていかがでしょうか。
○政府委員(芦尾長司君) おっしゃいましたように、占冠村でございますけれども、御指摘のとおりに人口が増加し、また経済活動もリゾート開発によりまして増加してきておるということは伺っておるわけでございます。この占冠でございますけれども、五十五年四月に、地元の村や北海道から成ります占冠リゾート開発協議会といったようなものも発足させまして、そして先般はリゾート法でございますか、北海道富良野・大雪リゾート地域整備構想というものを樹立いたしまして、国の承認を受けておる、こういう状態になっておるわけでございます。 そういう意味では、リゾート開発としては非常に活発に行われておるということでございます。今もお話しございましたが、そういうことで税収等もふえてきておるわけでございます。さらには雇用の増加といったようなことも重要な要素でございますが、そういうことで人口も増加してきておるというふうにも思うわけでございます。いずれにいたしましても、そういうリゾート開発によりまして波及効果が及び、その地域経済の活性化が図られるということが非常に重要であるというふうに認識をいたしております。
○秋山肇君 それで、固定資産税の評価を見ますと、これはちょっと通告してないですけれども、土地はほとんどただみたいですよ。建物はしっかりした百メーター以上の高層ビルとかいろいろなものが建っていますから、そういう意味では、今前の質問に何で建物が高いのかということがありましたけれども、やはり建物はどこで建ててもそう変わらないから、目いっぱい、評価はその建築のときの最初のスタートの時点、個人住宅は別として、こういうものは高いところで見ておいた方が地域振興になると思うんですが、この点いかがですか。
○政府委員(芦尾長司君) 今おっしゃいましたように、固定資産税は、ひところは私どものデータでも三千五百万ぐらいのものが二億六千万ぐらいに上がってきておるわけでございます。観点は違うとは思いますが、リゾート開発を進めるに当たりまして、やはりそういう施設整備につきましては、それ相当の規模のもので整備していくことが非常に重要であるということは、私ども経験上ちょっとそういう感じがするわけでございます。 ある意味では、余り小規模な安上がりのリゾート整備ではなかなか人も集まらないといいますか、集客能力がなくなるということがあるとは思うわけでございます。そういう意味で、この地域に私どもではちょっと想像できないようなあれだけ大規模な施設開発が行われまして、こういう結果になっておると思うわけでございますが、それがまず一つの大きな集客能力を持ったなというふうには思っておるわけでございます。
○秋山肇君 今度逆に、沖縄にうちの事務所の者をやったんですが、開発申請のラッシュの村が、村のもう一角の機能が麻痺寸前になっているというのが沖縄の恩納村だと思うんですね。ここはもう当初は村経済の重要な柱としてリゾートを位置づけ、十五年以上も受け入れ一方だったわけですが、このところのリゾートブームで開発にさらに拍車がかかったわけですね。住宅地の値段が上がったところが北海道とちょっと違うんで、三・三平方メートル当たり七万から十万ぐらいだったのが、いいところなら百万円という声もあるというくらい土地が値上がりしてきてしまっているということです。 調査をした際に、村で一番高い地上十五階、高さ四十五メーターのマンションが仕上げに入っておりまして、完成すると百五十四室、収容人数五百人以上ということで、この地区の世帯数人口に匹敵するものでした。もちろんこのマンションの買い主も三分の一程度は東京を初めとする県外で、部屋の七割は投資用と聞いております。近所の住民の人は、周囲の地価上昇で固定資産税も上がる、生活排水、ごみ処理等生活に不安を感じておりました。この村ではリゾート施設の無秩序な進出を抑えるための条例の準備をしているとのことでしたが、このことから見ても、リゾートとはいえ、行き過ぎた無秩序な開発による弊害が地域振興と表裏一体の関係になってしまったというふうに思います。 このように、リゾート開発を行っている自治体でいろいろ問題が出てきていると思いますが、自治省は把握をされておりますでしょうか。
○政府委員(芦尾長司君) 今沖縄恩納村のお話を承ったと思うわけでございますが、私どもまだ新聞情報で伺っておるところでございまして、個別に伺っておるわけではございませんが、恩納村自身も、今おっしゃいましたように、そういうリゾート開発といいますか、リゾートの進出によりまして大分人口もふえ、財政力も豊かになってきたという過程ではあったようでございますが、そこで、ここにきましてそれが急激なためにそういう状況が起こっておるということのようでございますが、いずれにいたしましても、リゾート地域を整備するに当たりましては、総合的な計画のもとでやってまいらなければならない、居住機能との調和も図ってまいらなければならない、地価との関係にも配慮してまいらなければならないということでございますが、これは実はこのリゾート法といいますか、リゾート法での総合保養地域整備に関する基本方針でございますが、その方針の中ではそういうものを前提にいたしておるわけでございます。 実は沖縄は、現在この基本構想の作成に向けて基礎調査が進められておりまして、恩納村を含めましてのそういう地域を基本構想を作成するということで今協議もいたしておる最中でもあるわけではございますが、いずれにいたしましても、そういう過程でいろんな状況もまた把握もしていきたいと思っておりますけれども、個別に具体的に各地域でどういう状況になっておるかというのを私どもでは逐一把握しておるわけではございません。
○秋山肇君 今リゾートの問題でどこも同じようなことをやる。北海道でいえばスキー場をつくる。大臣のところの辺にもあるでしょうが、温泉、ゴルフ場というのがもうどこでもセットになっているようなことでしょう。それで、固定資産税の問題、高井先生からも話がありましたけれども、沖縄の場合、こう地価がこんなに高くなっていますけれども、土地を売った金でみんなすごい家をつくるわけですね。そうすると、その評価というのは先ほどの説明にあったとおりで、ですから私の知っている、例えばつくば市、この前も委員会で質問した中に出たと思いますが、つくば市あたりでも土地の固定資産税評価よりも家の方が高い。家で三十万、五十万ぐらい取られている家が、みんなずっと農家の家があるんです。畑が何町歩あっても十万か二十万しかならないというような、これがリゾート地でもそういうことになってくると何のためのリゾート開発かというふうに思うんですが、この点どうですか。
○政府委員(芦尾長司君) リゾート開発は、これは基本理念としては、やはりそこに住む住民の方々の福祉向上を図っていくんだということを基本に据えてそれは進めなければならないだろうということはあると思うわけでございます。そういう過程の中で、今のような地価が上がり税が上がってくるといったようなことが起こってくるわけではございますけれども、そのこと自体は地域の発展につれてある程度やむを得ない部分もあるだろうと思うわけでございますが、そこのスピードが急速になり過ぎるということが一つ大きな問題になるだろうと思うわけであります。そのあたりをどういうふうに地方団体としてはリーダーシップを発揮してやっていくかということは非常に難しい問題ではあろうかと思いますが、しかし今そういうものをクリアしながらリゾート地域の整備というものの有効性というものは生かしていく必要があるだろうと思うわけでございます。
○秋山肇君 今の自宅を建てかえる問題というのは行政側の指導というわけにはいかない、住民の皆さん方の自覚にまつ以外にないと思うんですね。 それで、リゾートブームに私も水を差すつもりはありませんけれども、リゾートというのは一見華やかに見えますね。だけれども、初期投資というのはある程度まとまった、北海道トマムにしても一千億以上の金を入れているわけですから、やっぱり二百億、三百億ぐらいの金は最初に入れないと採算ベースに乗っていかない。また、それが乗るというのはかなり長くかかるんだと思うんですね。さらに、好況、不況の波によってレジャーですから左右されるというふうに思うので、自治体の自主財源強化の方向に逆行してしまうということもあるんじゃないかなというふうに思うんです。 リゾート開発をきっかけに地域活性、今のお答えにもちょっと入っていましたけれども、自治体の主要施策としてのリゾートだけというのでは長い将来見通したときに不安が残ると思うんですが、この点どうでしょうか。
○政府委員(芦尾長司君) リゾート地域の整備が地域振興の重要な戦略の一つであるということはもう間違いないと思います。そこで、そういうリゾートの整備ということでございますが、やはりこれはその地域の総合的な振興策の中でどのような役割を持たせていくのかということが重要になってくるんじゃないかと思います。それぞれの地域に置かれた条件とか実情に合わせて、各地域でこれは主体的に判断をしていかなければならないだろうというふうに思います。 リゾート法におきましても、そういうことは十分に注意するようにということの中で、リゾートの整備を総合的な地域づくりの一環として位置づけておるわけでございますが、これはどの地域の場合にも同じではないかなというふうに思います。
○秋山肇君 リゾート開発によって雇用、生産の誘発、税収、この三つが主だと思うんですね。実際地元が思っているほどの恩恵をもたらしていないのではないかというのが先ほどの例に引いた恩納村の場合、リゾートホテルの従業員は、正職員は地元以外からの人、臨時職員が地元からという形が多く、その間にかなりの賃金格差もある。地元では不満の種となっているという声も聞かれました。また、リゾート施設を誘致したため、社会資本の整備、維持が市町村財政を圧迫することにもなりかねません。沖縄の場合は慢性的な水不足に悩まされており、その確保が大変なことになっております。 このように、リゾート開発が地域振興にどれだけ効果をもたらすかという点について疑問が多くあるんですが、この点いかがですか。
○政府委員(芦尾長司君) 委員が最初にお触れいただきましたが、近年における国民の自由時間の増大、また生活様式の多様化といったようなことで、自然との触れ合い、健康の増進、地域間交流等に対するニーズというものが高まってまいりますので、リゾート地域の整備というものが今後の地域振興の中で大きな役割を果たすということは間違いないと思うわけでございます。 そこで、今お話もございましたが、この地域振興への効果を生み出すために、例えば今のお話にもございますが、ホテル等が立地をいたしまして、まず雇用の場が確保されるわけでございます。最初は、確かにそういう意味ではホテル経営のノーハウといいますか、管理職といいますか、そういう方々は、沖縄の場合には本土の方から出てくる場合が多いかもしれないわけでございますが、しかし、それだけまた地元における雇用拡大が図られたわけでございますが、それを核にいたしまして、やはり人材育成といいますかそういうものが大切になってくるんだろう。そういうことを通じてだんだん地元の方々も管理職になっていくとか、そういうことで雇用の場を確保していく、グレードを高くしていくといいますか、そういうことが非常に重要になってくるのではないかなと。やはりそのためには若干の時間はかかるだろうと思いますけれども、それは間違っていない方向じゃないかなと思うわけでございます。 いずれにいたしましても、そういうそれぞれの地域に置かれた諸条件というものは十分に考慮いたしまして、リゾート地域の整備というものを総合的な地域づくりの中に位置づけて、地方団体もリーダーシップを発揮いたしまして計画的に進めていくことが大切だなという気がいたします。
○秋山肇君 今水の問題はお答えなかったけれども、沖縄は慢性水不足ですからこの辺が大変なことになるんじゃないかなというふうに心配をしているんです。 国土の均衡ある発展を考えた場合、リゾートを含め地域の振興施策を図ることは、国、地方を通じて重要課題であることは言うまでもないと思います。やはり目先の利益、目新しさだけに惑わされることなく、地道でもいいから着実に地域住民のためになる地域振興施策に取り組んでほしいと思いますが、大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(奥田敬和君) 私はリゾートはとても大事だと思いますけれども、何か今のやつを見ているとばかの一つ覚えのようにゴルフ場とホテルさえ建てればリゾートだと思っているような、そんな勘違いをしておるところが随分多いような気がしてしようがないんです。 今も占冠と恩納村の例を挙げてのお話でしたけれども、占冠の場合に成功したのは、あの広大な大自然に本当にすばらしいのっぽビルみたいなのを建てて、若者志向を呼びながら、しかも大自然の中であれできる、施設は近代的だけれども自然が全部残っている。だから、これはもうある意味においては都会っ子が全くリラックスできるし、まさにリゾートにふさわしい成功の原因があると思うんです。 恩納村の場合も昔はよかったんです。私も恩納はよく知っていますけれども、恩納のあそこに伊武部という部落があるんですよ。恩納の伊武部へ行ったときにいつも思っていたんですけれども、ここは将来すごいリゾートになるなと。しかし、それはあくまでも地域のある程度の自然を残しながら、しかもきれいな海というものをうまく活用しながら、ある程度の規模で自然をまず大事にしていく、それが大事なのに、もうあんなもの林立しちゃえばそれはだれも——だれもと言っちゃ沖縄の今大事な観光の目玉になっているようですからそんなこと言いませんけれども、これはちょっとお互いに考えなきゃいかぬなと。自分の持てる自然と文化とか史跡とか、そういった形を共存して大事にしながら、それでそこの時代の志向に合うべきものを探索していく。 要するに今リゾートブームで乱立していますけれども、私は知恵のないところは必ず負けると思います。広大な国家投資、自治省も含めて自治団体に迷惑かけないように指導していかなきゃいかぬ。だから余り政府が陣頭に立ってリゾートブームをあおって、そしてそういうやつに民間が出ていって損するのはいいですよ。——いや、いいということはないけれども……
○秋山肇君 経営ですから。
○国務大臣(奥田敬和君) それはそうですけれども、これはやっぱり指導する立場の社会資本整備も含めてやらなきゃいけない。国がそれに対して口を出し、お金も出すという以上は、そこのところの知恵までもう少し手助けもし指導もしてあげにゃ大変なことになるんじゃないかなと。民間活力も大事ですし、と同時に行政のサイドに立つ者も、ただやるというからお金を出したという形じゃ後で責任が済まぬような気がいたして深刻に思います。
○秋山肇君 第三セクターについて質問しようと思ったんですけれども、時間が中途半端ですからこれで質問を終わります。
○委員長(渡辺四郎君) これをもって平成二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち警察庁、自治省所管及び公営企業金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(渡辺四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十分散会