大蔵委員会 第6号
- 発言数
- 157 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1990/06/14
会議録
○委員長(藤井孝男君) ただいまから大蔵委員会 を開会いたします。 証券取引法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。橋本大蔵大臣。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいま議題となりました証券取引法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 最近の我が国証券市場における株券等の売買の実情にかんがみ、証券市場の透明性を確保し、投資者保護を一層徹底する観点から株券等の大量保有の状況に関する開示制度を導入するとともに、証券市場の国際化の進展等に伴い、諸外国の制度との調和を図る等の観点から公開買い付け制度の見直し等を行うことが緊要となっております。 したがいまして、証券取引法を改正することとし、ここに本法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、株券等の大量保有の状況に関する開示制度、いわゆる五%ルールを導入することといたしております。これは、上場会社等の発行済み株式総数等の五%を超える株券等を実質的に保有することとなった場合及びその後株券等の保有割合に一%以上の変動が生じた場合には、五日以内に大蔵大臣に報告することを義務づけ、その違反に対しては刑事罰を科することとするものであります。 第二に、公開買い付け制度につきましては、事前届出制を廃止し、新聞公告の日に届出書を提出させることとするとともに、制度の対象範囲について、これまで発行済み株式総数等の一〇%以上を所有することとなる市場外の買い付けとされていたのを、五%ルールの導入に合わせて五%超に引き下げることといたしております。 以上のほか、外国証券規制当局が行う行政上の調査に関し要請があった場合には、関係人に対して報告または資料の提出を求めることができることとする等所要の改正を行うことといたしております。 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(藤井孝男君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○稲村稔夫君 ただいま審議をすることになりました証券取引法の一部を改正する法律案、この法律案に極めて密接な関連を持っておりますので、内容に入ります前に伺っておきたいと思うことがございます。 法務省おいでになっていますか。——けさのマスコミ関係は一斉に光進グループによる国際航業株式の買い占めにかかわる国際航業側の当時の役員四名が脱税の容疑で逮捕されたということを報じておりますけれども、これはどんな事件なのか、逮捕に至ったその経緯、事実関係というのを説明していただきたいと思います。
○説明員(松尾邦弘君) お答え申し上げます。 東京地方検察庁は、昨日、所得税法違反の事実で国税当局から告発がなされておりました国際航業株式会社の元取締役ら四名を逮捕いたしました。事案はいずれも株の売買に絡む所得を逋脱したものというものでございます。 検察におきましては、今後厳正公平な捜査を行いまして、適切に処理を行うものと考えております。 以上です。
○稲村稔夫君 この事件は、国税当局からの告発があって、そして所得税法違反ということでという御答弁でありましたが、マスコミの報道では政治家、あるいはその政治家本人ではなくても秘書等の名前が何人も挙がっているわけであります。こうした政治家あるいはその秘書、こうしたところの関連については捜査をしておられるんでしょうか、あるいはこれから捜査をされるんでしょうか、その辺をお聞かせいただければと思います。
○説明員(松尾邦弘君) 先生今お尋ねの事項につきましては、いずれも現在行っている捜査に関する事項でございますので、答弁はいたしかねるところでございます。
○稲村稔夫君 捜査の段階ですから答弁をされないというんですと、これ以上伺ってもなかなかお答えはいただけないと思うのでありますが、それでは、念を押すようで恐縮でありますけれども、マスコミ報道でいろいろと報じられているそういう事実については検察当局は御関心をお持ちになっておるんでしょうか。
○説明員(松尾邦弘君) 御指摘の新聞報道がいろいろなされておるわけですが、そうしたことは当然検察も承知していることだと思います。 ただ、この段階で検察が先生御指摘の事項につきまして関心を持っているのかいないのかにつきましても、それをお答えする立場にないわけでございます。
○稲村稔夫君 検察当局としては今の段階ではなかなか言いづらいところがあるのかもしれませんが、しかしこれは国民にとっても極めて重大な関心事であります。特にもう既にリクルート問題などで政治とこうした株の取引等とのかかわりというのが大きな問題になってきているわけでありますから、それだけに、今回のこの問題も徹底的に追及をされて、国民の前に明らかにされなければならない重大な課題だというふうに私は考えております。 これ以上伺ってもなかなかもうお答えはいただけないんだろうと思います。 そこで、今度は大蔵省の方に伺いたいと思います。 国税当局の告発によるということでありましたが、国税当局がこうした告発に至った経過、事実関係というのはどのようになっておりましょうか、御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(龍宝惟男君) 国際航業の元役職員等が逮捕されたということはただいま法務省の方からの御答弁があったとおりでございますけれども、私ども、査察調査の内容その他個別にわたる事項につきましては、従来から立場上お答えを差し控えさせていただくということで御理解を賜っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。 ただ、一般論として申し上げますと、私ども、査察調査をいたしましてこれを告発する場合には、例えば脱税の規模でありますとか、脱税の手段の悪質性、それから何といってもこれは刑事立証を必要とする事件になりますので証拠収集の状況等を総合勘案いたしまして、検察庁とも十分協議をいたしまして、告発の要否を決定しているところでございます。
○稲村稔夫君 答えられない部分は仕方がないと思いますけれども、どういう契機でこれをとらえられたかということもありますし、その告発に至った経過等については差し支えない範囲でもう少し聞かしていただいてもいいんじゃないですか。
○政府委員(龍宝惟男君) 再々一般論で恐縮でございますけれども、私ども査察といたしましては、やはり経済社会情勢の動きに注目をしながら大口、悪質な脱税事案を立件していくというところでやっているわけでございます。 先生も御高承のとおり、近年、株式取引が大変活発化いたしました。そういう中で、私どもといたしましても株式取引に絡む不正な脱税事案についての立件を相当数やってきているところでございますけれども、個別の事案につきましてどういうふうな経緯で事案の立件に至ったか、あるいは立件の内容等につきましては、大変恐縮でございますけれども、お答えをお許しいただきたいと思います。
○稲村稔夫君 新聞にいろいろと出ているところもあるわけですよね。私は、言えないことを無理に言えというふうに申し上げているのではありませんで、聞かしていただいて差し支えない範囲内で言っていただきたいというふうに言っているわけであります。一般論だけではこれは極めて抽象的であり、そしてまた私どもが事の本質を知るというためのきっかけにもならぬわけであります。もう少し答えられる範囲をはっきりさせて答えていただきたい。
○政府委員(龍宝惟男君) 再々で恐縮でございますけれども、国際航業の元役職員ら四名につきまして所得税法違反の疑いで立件をいたしまして、昨年の春、告発をいたしております。しかし、その内容につきましては、これから検事捜査も始まりますし、私ども立場上、お答えすることは差し控えさせていただくことをお許しいただきたいと思います。
○稲村稔夫君 私、こんなことを、苦情めいて申しわけないんだけれども、私が最初に経緯を聞かしてくださいと言ったときに、答えられない部分がある、それはもう承知して聞いておるんです。答えられない部分は、答えられないと言っていただいて結構です。ただ、例えば今のように、去年の春に告発をしたと。そうすると、その経緯の中の告発をした時点だけでも明らかになっておるわけでしょう。初めのときにそれを答えてもらえば、それで経緯の一点、一つを答えてもらったことになる。何回も何回も聞かなければ、去年の春に告発したという新聞にまで出ていることがここで答えてもらえないというのは、私はやっぱり問題だと思うんですよ。御答弁をいただくときは、その辺も十分に考えて御答弁をいただきたいというふうに思います。 そうすると、これは今は、脱税容疑というだけですか。
○政府委員(龍宝惟男君) 私ども税務の執行を預かっておりますので、私どもの立場としては所得税法違反、あるいは一般の場合には法人税法違反もございますけれども、そういう税法違反ということで査察事件を立件いたしまして、そして告発をするということでございます。したがいまして私どもの立場は、あくまでも税法が適正に適用されているかという観点のみから調査もいたしますし、また権限もその範囲に限られているものでございます。
○稲村稔夫君 国税局は税法の観点からだけというふうにお話がありました。それはそうかもしれません。 ということになりますと、新聞やその他マスコミ関係の報道によりますと、これはインサイダー取引という観点からかなり重要な問題だというふうにも思うわけでありますが、このインサイダー取引の観点から調査をしてこられましたか、あるいは調査はしていないんですか。調査をしてこられたとしたら、差し支えない範囲で明らかにできる点は明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(角谷正彦君) 御指摘の事案につきましては、私ども具体的な事実関係を承知いたしておりませんし、また現に捜査当局において捜査中の案件でございますので、何とも申し上げかねる点はあるわけでございます。 ただ、一般論として、インサイダー取引の関係について御質問がございましたのでその点についてお答えをさせていただきますと、平成元年四月から施行されました証取法のインサイダー取引の規定によりますと、一般的には、買い占めの対象とされている会社の役員が取締役会で決定いたしました防戦買い、こういった重要事実を知って当該会社の株式の売買をしたという場合には、インサイダー取引に該当する可能性が強いというふうに思います。 ただ、本件について伝えられるところでは、昭和六十二年ないし昭和六十三年ごろに起こった事案のようでございまして、インサイダー取引に係る刑事罰則規定というのは先ほど申しましたように平成元年の四月一日から施行されておるわけでございますので、仮にそういった事実があったとしましても、インサイダー取引規制の適用の対象となる法律が施行される前の話であるということでございます。 それからもう一つ、証取法百八十八条におきまして役員の自社株売買につきまして報告義務が課せられております、あるいは百八十九条では、役員が自社株を六カ月以内に短期売買いたしまして利益を得ている場合には会社は当該利益の返還を請求できるという規定があるわけでございます。なお、百八十九条の利益返還請求権というのは、利益の取得のあった日から二年以内に限られております。また、百八十八条の報告義務というのは昭和六十三年十月から施行されたものでございまして、これ以降の売買について対象とされるといったものになっているわけでございます。 いずれにいたしましても、この報告義務につきましても、この法が施行される前の話でございます。そういった意味では、私どもは本件について調査はいたしておりません。
○稲村稔夫君 本件については調査はしていないんですね。全然やっていない。今の局長の御答弁では私はどうも腑に落ちない、理解できないんであります。 現在のインサイダー取引についての罰則規定ができる前のことであるからという理由がどうも最大の理由のようでありますけれども、こういう事案というものがこれから先発生をする可能性というものは、私は今回の法改正とのかかわりの中でいきましてもまだまだあるというふうに心配をしているわけであります。 それで、当然私はこういう問題については、過去のことであっても積極的に調査をされてしかるべきだと思うんでありますけれども、特にマスコミ等では、一部の新聞ではありますけれども、かなり何回も何回も問題点を報じているわけでありますし、犯罪として立件できるかできないかということは別にいたしましても、こういう問題が徹底的に解明されなければならぬということになれば当然調査をしてしかるべきだと思うんですけれども、その辺のところはどういうふうにお考えになっているんでしょうか。
○政府委員(角谷正彦君) インサイダー取引については、最終的には刑事罰則によってその実効性が担保される、こういう仕組みになっているわけでございます。しかしながら、刑事罰則につきましては、先ほど申しましたように、平成元年四月一日から施行されたということでございまして、それ以前の行為につきましては、仮にそれに類する行為があったといたしましても、これを刑事罰則によって処罰することはできないわけでございます。そういった意味では、本件のような事案が今後仮に起こるといたしますと、これは当然のことながら私ども厳正な調査をし対応してまいる必要があろうかと思いますけれども、それ以前の行為につきまして調査するということにつきまして、いわば実益といいますか、そういったものが乏しいのではないかと考えられますので、こういった事案についての調査といったことについては、これは行わないことにしているということでございます。
○稲村稔夫君 調査は行わないことにしているということでありますね。 それじゃ、研究、検討というようなことはされましたか。
○政府委員(角谷正彦君) 先ほども申しましたように、一般論として、私ども、これは検察当局において捜査中でございますので正確な事実関係は承知いたしておりませんが、仮に法施行後の事案だと仮定いたしますとインサイダー取引に該当する可能性がかなり強い行為ではないかというふうに認識はいたしております。
○稲村稔夫君 インサイダー取引というのは、いろいろな手口でもってやられる。それはもう皆さんベテランなんですから、こんなことがあるだろうというようなことをいろいろな事案について想定されているものはあろうかと思います。しかし、やはり未然に防ぐという観点からいけば、具体的に出てきた事実というものはこれからの対応をしていくための極めて貴重な経験ということにもなるわけでありまして、そういう意味では独自な立場で十分に研究をされてしかるべきものだというふうに思うわけであります。これはこれから法案審議に当たって私が伺いたいことと関連をしておりますので、その辺のところ、心構えとしてはどうなんですか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(角谷正彦君) 法令の適用関係でございますから、具体的な事実関係を認定しそれを法律に当てはめて判断する必要があるわけでございまして、そういった意味では、具体的な事実関係について検察当局が捜査中でございますので私ども十分なことを承知いたしておりませんけれども、一般的な事案としては、私どもこういったケースについては十分勉強いたしまして今後の事案に備えていきたいというふうに考えているわけでございます。
○稲村稔夫君 これには相当金融機関が融資をしているというようなことも、それぞれマスコミの報じているところでは載っているわけであります。金融機関がこうした事件に積極的に金を出した——事件がわかっていて出したかどうかという問題はありますけれども、知らなかったといたしましても、買い占めのための経費、そしてまたその買い占めと絡んで防戦買いのためのと称している経費、そういった格好でかなり金融機関から融資が行われたんではないかということがそれぞれ報ぜられているわけでありますけれども、この辺のところは調査をされましたか。
○政府委員(龍宝惟男君) 税の立場からお答えを申し上げますと、先ほど申し上げましたように、株式取引がなされた場合に、その取引の資金の出どころがどこであるとか、あるいはその取引の背景がどんなことであったのかとか、そこは我々の調査の権限外でございまして、むしろそういう取引によって得られた所得が税法上適正に処理をされて申告をされているかどうかというところで私どもの調査がなされているのでありまして、今先生が御指摘の金融機関につきましては、背景としてはあったかもしれませんけれども、調査の直接の対象には私どもの調査の中ではなってございません。
○政府委員(角谷正彦君) いずれにいたしましても、株の買い集めそのものがいけないとか悪いということは別に証取法上は出てこないわけでございまして、株式の売買は原則として自由でございます。したがって、そういった株式の売買資金を融資するという行為自身も特段証取法上問題があるという行為ではございませんので、私どもそういった事情についての調査をしておりませんし、また調査する予定もございません。 ただ、今回御提案申し上げております五%ルール、これにおきましては、五%以上の株式を市場内で取得するようなケース、今回の国際航業に係る買い集めというのはまさにそういう事件に該当するわけでございますけれども、そういった場合におきましては、その株券の保有状況の報告の中の一部といたしまして、保有株券の数とか保有目的、最近の売買状況、あるいは資金の出所といったもの等についても報告を徴するということにいたしておりますので、今後はそういった問題につきましても法律を可決させていただいた段階においては報告義務が課せられる、こういったことになろうかというふうに考えております。
○稲村稔夫君 新聞には例えば、読みますよ、「防戦買いの資金は、国際航業に融資をしたがっていた金融機関から次々に借りた。十七の金融機関からの借り入れは、毎月約百億円ずつ増え」などというふうに、十七というような金融機関の数まで出ているんだけれども、国会の我々のところではそういうことを全然聞かしてもらえないんですか。
○政府委員(龍宝惟男君) 再々一般論の御答弁ばかりで大変恐縮でございますけれども、脱税調査の調査の内容につきましては、私どもお答えは差し控えさせていただきたいと思います。 それから、あくまでも一般論でございますけれども、その脱税の資金がどこからどうやって出てきて、またどういうふうに使われたかということは、脱税の所得を確定する段階でその調査の背景として必要になるかもしれませんけれども、私どもの目的それ自体は脱税額の所得を確定して告発をするところにあるということでございます。
○稲村稔夫君 伺っていながら疑問になったからこうちょっと広がっていったんですけれども、私はますます気になるんですよね。 だって、新聞報道では十七の金融機関から借り入れている、こう報ぜられているんですよ。僕は特定のどこどこの銀行からどれだけ借りてということを今聞いているんじゃないんです。少なくともこのぐらいの金融機関から借りていたということまで調査をしているだろうから、こういうふうに出てきたんじゃないかと思うんですよ。そのことを僕は聞いているんです。それも明らかにできないというんですか。
○政府委員(龍宝惟男君) 新聞報道でそういう事実が掲載をされているという事実は私どもも承知をしておりますけれども、税務調査の個別の内容にわたる事項につきましては、御答弁を差し控えさせていただくことでお許しを賜りたいと思います。
○稲村稔夫君 ここで時間ばっかりとってしまっても……。 内容について細かいことを一々聞かしてくれと言っているんじゃないんですよ。かなりの金融機関から融資をされていた、それが十七という数字まで具体的に出ているということであれば、アウトラインぐらいはここでもって明らかに言ってもらったって構わないじゃないですか、具体的な内容を聞いているんじゃないんだから。
○政府委員(龍宝惟男君) 私どもが個別の調査で把握いたしましたことについてはお答えを差し控えさせていただきたいわけでございますけれども、例えば、個別の企業がどこの銀行から幾ら借り入れをしているというようなことは、有価証券報告書その他に多分計上されているはずでございますので、その点は、私ども今手元には持っておりませんけれども、わかればお答えができると思います。 ただ、あくまでも税務調査の中で私どもが把握した事実につきましては、大変恐縮でございますけれども、お許しを賜りたいと思います。
○稲村稔夫君 言えないということと今わからないということ、これは別なんですよ。だから、変な言いわけをしないで、はっきりしたことを言ってください。言えないなら言えない、今わからないならわからない、そう言ってください。
○政府委員(龍宝惟男君) 税務調査の過程で私どもが知りました事実につきましては、恐縮でございますけれども、答弁をすることを差し控えさせていただきたいと思います。
○稲村稔夫君 何だい。そしたら、じゃどうしてこれ十七という数字が出るんですか。これはうそなんですか。勝手に書いたということですか。
○政府委員(龍宝惟男君) 一般論で恐縮でございますけれども、新聞にそういう報道がなされていることは私どもも承知をいたしておりますが、その新聞報道に当たりましてどういうふうな取材活動が行われ報道がなされたかということにつきましては私どもわかりませんし、また私どもが、再々で恐縮でございますけれども、税務調査の中で調べて知り得ましたこと、これはお答えを差し控えさせていただきたいと思うところでございます。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 両方の御議論を今聞きながら、私は、税務当局として税務調査の中で知り得た事実について報告ができないと言っている点は御理解がいただけると思います。 ただ、今証券局長にちょっと確認いたしましたところ、有価証券報告書の中には借入先は当然報告をされておるはずであります。そういたしますと、国際航業は上場会社でありますから、その有価証券報告書はチェックすることが可能でありますので、そこに掲載をされております借入先というものにつきましては調べて御報告をさせていただきます。
○稲村稔夫君 わかりました。大臣の御答弁で今の段階の大蔵省のあれはわかりました。 そこで今度は、もう時間が経過ばかりいたしますので、大臣にお考えを聞いて法案の内容の審議の方に入りたいというふうに思います。 いずれにいたしましても、これは今ここでは、所得税法違反という形での事件として捜査されている。そこの部分はこれから司直の手で明らかにされていくでしょうということで別に置いておきます。 ただ、この中でかなり政治家の介在などがいろいろと報ぜられております。それからもう一点は、銀行の融資ということが報ぜられております。この政治家の問題というのは、これは政治倫理の観点から極めて重要な問題として関心を持たなきゃならないと思うんです。それから銀行の融資の関係というのにつきましても、やはり金融機関の融資というのにはそれなりの、金融機関としての矜持というんでしょうか、そういうものがなければならぬのじゃないだろうか。今後の証券取引の上でやはりそういうモラルが確立していきませんと、こういう問題は後を絶たないということにもなってくるんじゃないだろうか。こんなふうにも思うわけであります。 その辺のところを今度のこの事件等を通じて大臣はどのようにお感じになっているでしょうか、これをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 現に昨日捜査が一つのステップを越えました段階のことでありますから、私どもの立場からいたしますと、税務としての調査の立場から、既に司直の手に移った事件として、具体的なことを申し上げることは控えなければならないと思います。そしてこれ自体については捜査の進展をまつということでありましょう。 ただ、一般的な論議として申し上げさせていただきますならば、いろいろな話がこの事件をめぐって飛び交っております。私どもとして信じたくないような話もありますし、一体事実がどうなのかということは多々あるわけであります。これは捜査の進展の中においておのずから明らかにされるべき点は明らかにされるであろうと思います。 ただ、今委員が御指摘になりました、企業の買収といった時点における金融機関の対応というものになりますと、私は、これは法に触れる行為はいけませんけれども、法に触れる行為でない限りにおいてこれを規制することはいかがなものか、率直にそういう感じがいたします。 むしろ、私はこうした証券取引その他自分で行ったことがありませんので実感がわかないのでありますけれども、例えばアメリカ等における敵対的買収を記録した文書などを読んでみますと、非常に信用度の低い債券の発行による調達あるいは買収対象企業の資産を担保として行う買収資金の集め方、非常に我々とすれば考えにくいような行動がとられておるようでありますし、また、被買収企業側も買収の進行中にグループの一部を分割することによって実質的価値を下げるとかさまざまな対抗手段がとられている。現実にそういう制度が進行している国もあるわけであります。 幸いに今まで日本の風土の中において敵対的買収といったものがほとんどありませんでしたので、今委員が御指摘になりましたような視点からの金融のモラルというものは論じられたことが恐らくなかったであろうと思いますが、こうした具体的な事例が出てまいりますと、こうした点についてもおのずから論議は集中するであろうと思います。そうした中で私は、果たして日本人のこの気候風土の中から欧米と同じような考え方が育つのか、あるいは日本なりの一つのモラルのようなものが生み出されてくるのか、今何とも私自身としては判断がつきません。 しかし、そうしたことを考えてまいりましても、やはり今回御審議をいただきますこの法律案を初めとして、法制度的に不備と言われることのない準備だけはしておかなければならない、そのように感じております。
○稲村稔夫君 大臣のおっしゃる意味もわかるわけであります。しかし、日本的風土というものを無視するわけにはいかないのは事実でありますが、同時に、大枠でいきまして金融機関の存在、あり方というようなものについては、これはもう高度に発達した資本主義国というのは共通をしたものを持っているわけであります。そういう中では、やはり共通をしたモラルというものが当然あるわけです。そして、それが我が国ではたまたま敵対的な買収というのが今まで余り問題になるほどのものがなかったという、そういうことの点から議論されなかったとしても、やはりこれから、仮に今回のこの法律が成立いたしましたとしても、こういうものが出てくる可能性というものを持っているというふうに私は思います。 それから、経済が発展をしておりますから非常に資金的規模が大きくなってきております。規模が大きくなっているだけに、一度事が起こったときにはかなり社会的に大きな問題になるというふうに思うわけであります。 ということになりますと、先ほど大臣が言われたように、法的規制をどういうふうに加えるかということ、これはいろいろあるかもしれませんが、しかし、そのモラルというものをやはり金融機関がきちっと生み出して新しいものに対応できるようなモラルをつくり出していっていただくということ、そのことは非常に重要なことだと思いますし、そういう意味で政府としての指導的な役割というものは重要なんではないだろうかというふうに考えるわけであります。その辺はぜひ腹に置きながら対応していただきたいというふうに思います。 時間ばかり経過いたしますので、あと具体的な内容に少し入らせていただきたいというふうに思います。 そこで、本一部改正案についてでありますが、この法律案は大きく分けて二つ、さらにちょっと附属して三つというのがポイントだろうと思います。その一つは五%ルールの導入であり、その二つは公開買い付け制度ということであろうと思います。そしてさらに海外との協力関係というような形で、大体三つの柱になっている、こんなふうに言えると思うわけであります。 そこで順次伺っていきたいのでありますが、まずこの制度は、私は今の国際航業問題、この事件を見れば見るほど実はチェック体制と法の運用いかんというようなことが、この法律を生かすというのも殺すというのも言ってみればそこのところが一番大きなかぎになっているんじゃないかというふうに思われるわけであります。 そこで、従来のことをちょっと振り返ってみますと、我が国で株式の買い占めが行われるというとき、大体その発行会社に高値で肩がわりさせることをねらいとしている、こんな場合も少なくないんじゃないかというふうに思うんですけれども、そういった場合に、保有目的を本当に正直に報告するだろうか、こんなふうにも思うんです。 例えば今の国際航業の問題ですが、さっき証券局長はこれで五%ルールをやればというお話がありましたけれども、この国際航業だってちゃんと言っていますよね。国際航業が社員を使って防戦買いをしていますと言われ、現在の申告制度でインサイダー取引がわかるから申告できるわけがないとかなんとかというようなことを言いながら、結局、子会社に分けたりいろいろ知人に名義を渡したり、随分ばらして、五%ルールにしたってその辺のところはひっかからないように幾らでもできるというようなことになるんじゃないでしょうかね。そして、こういうふうにして隠れて物をやる者は、私が隠れてこういうことをいたしましたという申告をするでしょうかね。 その辺のところがひとつ大きな疑問なんですけれども、どう考えておりますか。
○政府委員(角谷正彦君) 確かに、御指摘のように一般に買い集めを行っているようなケースにつきましては、市場において物すごくたくさん株を買うものですから、個別に単独の名前で買うと目立つといった事情もございまして、名義を分散したりあるいは幾つかの証券会社を経由したりして買っているケースが多いというふうに考えられます。ただ、こういった問題につきましても、証券取引所におきます売買状況の調査、手口といったものを具体的に調べますと、ある程度その動向を把握するということは可能でございます。 それから第二点といたしましては、買い占めする人の目的というのは、投資目的という場合もないわけではございませんが、通常一定限度以上の株式を取得するようなケースにつきましては、最終的には経営権を取得するか、あるいは先ほど委員から御指摘ありましたように高値で肩がわりを請求するというケースが現実にかなり多いわけでございますけれども、こういった具体的な行動を仮にとった場合には、やはり株をある程度まとめたところで共同でそういった請求をするということになるわけでございます。 したがいまして、そういった時点におきまして仮に五%ルールに基づきますところの報告を出していないということになりますと、これはやはり刑事罰則を科せられるといったことになるわけでございますので、そういった意味からいいますと、こういった事態を回避するためには報告書を提出しておかないと回避できないということになりますので、間接的な意味でそういった強制力は五%について働くものであるというふうに考えておるわけでございます。
○稲村稔夫君 そういうふうにお答えになるだろうとは思いましたが、しかし、そうするとどうなんですか、今度の国際航業の場合はまだ法律改正の前でありますから、先ほど何回も局長が言われたみたいに現行法の施行前ですからということにもなりますが、これは八七年の二月に転換社債を百億円発行した、そんなところから始まって光進グループの買い占めの問題と絡んでてくるわけでありますけれども、今のようにしてある程度知ることができると。このころだってもうインサイダーの問題はかなり問題だったと思うんですけれども、そうすると、もうこのあたりで既に掌握しておられたんですか、この光進の買い占めにかかわる問題というのは。
○政府委員(角谷正彦君) 光進そのものの買い占めに係る事案は、まだこの法律をつくる前の話でございますので、具体的にこの問題の買い占めそのものに関するそういった調査はいたしておりません。 ただ、一般的に申しまして、今後この法律を通していただいた後の段階におきましては、例えば転換社債とかワラントのような潜在的には株式たり得るものにつきましても、今後この五%の中に含めて報告をとるということにいたしております。したがいまして、そういった事案が今後仮に起こった場合におきまして、その五%ルールの報告を出していないといたしますと、転換社債なりワラントをいついかなる時期に取得したかといったことについてもさかのぼって調査して必要な罰則を科するということになろうかと思いますので、そういったことは今後は調査の対象になるというふうに考えているわけでございます。
○稲村稔夫君 その点はまた後でちょっと聞きたいところが出てきますけれども、今のことに関連して。 そうすると、グループで共同でもってというお話がありましたが、それを一定期間かけてやられた場合というのはなかなかわかりづらいということになりませんか。一斉にやられれば、それは確かにおかしいと思うでしょうけれども。
○政府委員(角谷正彦君) グループでやっている場合には、当然のことながら、共通の意思を持ってやらないとこれはばらばらでございますからグループということにならないわけでございますし、当然共同で議決権を行使する、あるいは処分権を行使するといった共同の意思があって初めてグループとしての構成要件が成り立つわけでございます。そういった意味では、合意の存在について判断するのはなかなか難しい点はありますけれども、先ほど申しましたように、一定の時点で五%以上の株をまとめまして買い取り請求とかあるいは経営権参加の請求があった時点におきまして、さかのぼった時点で、一体いつ合意が成立したのか、いつ買い占めの行為が行われたかといったことは調査する必要があるわけでございます。 確かに、どういった認定をするかということは事実認定に係る問題でございますので、必ずしも容易でない面はあろうかと思います。ただ、しかしながら、そういったことに備えまして、私どもといたしましては、例えば夫婦でございますとか親子会社でございますとか、保有者と一定の関係、当然に特別の関係が推定されるといったものにつきましては、これは当然のことながら共同保有者とみなすといったことも、この法律におきましてこういった脱法も防止できるようにしたいというように考えているわけでございます。 ただ、そういったもの以外のものについては、個別に認定した上でこの五%ルールに該当する時期その他を判断していく必要があろうかというふうに考えているわけでございます。
○稲村稔夫君 先ほど、大臣は証券取引、株の売買はおやりになってないんでというふうに伺いましたが、私もやったことがないので実感としてわからないところも随分あるんです。 ただ、その中で、ちょっと常識的に考えるんですが、例えば、私が一年間なら一年間、あるいは二年の先を考えて、そして今度の光進みたいなことをやりましょうというようなことでやったときには、なかなかつかみづらいということになるのじゃないですかね。グループとして一斉にみんな行動が起こってくれば、それはおかしいなと感ずるでしょう。だけど、かなり時間をかけて、その間にお互いにやり合って少しずつやっていったらばれないで済むというような方法というのが考えられちゃうんじゃないでしょうかね。
○政府委員(角谷正彦君) いついかなる時点でそういった合意が成立したかということについては、確かに事実認定の問題でございますから、その時点においてその事実に即して判断する必要があるとは思います。ただ、いずれにいたしましても、何か共同歩調をとって買い取り請求をするあるいは経営権参加の要求をするという時点では少なくとも合意があることは明らかでございますから、それにさかのぼるいつかの時点で合意があったことは間違いない。そういった意味で、その時点で報告がなければこれは明らかに五%ルールを逋脱したものとして刑事罰が科せられる、こういうことでございます。
○稲村稔夫君 どうも私が実感がないからわからないというところがあるんだろうと思いますが、しかし何か、やったらやれそうだなという感じもしないでもないんですね。 こういうふうに申し上げたのは、どうもまだこれでは十分ではないんじゃないだろうかなという危惧があって申し上げているわけであります。 そこでさらに、確かに罰則がつきました。一年以下の懲役または百万円以下の罰金ということでありますけれども、この程度では私はどうも実効性に疑問があるんですけれども、これはどうしてこの程度の刑事罰ということになったんですか。
○政府委員(角谷正彦君) 今回の改正案におきましては、五%ルールに係る報告書の不提出あるいは虚偽記載につきまして、御指摘のように一年以下の懲役または百万円以下の罰金ということにいたしているわけでございます。場合によってはこれらが併科されるということになっております。 こういった罰則、刑事罰の程度につきましては、これは証券取引法における他の刑事罰とのバランス、特に有価証券報告書の不提出、虚偽記載の場合の罰則が一年以下の懲役または百万円以下の罰金ということになっていることとのバランス等を考慮いたしまして、刑事法規全体を所管するところの法務省と御相談いたしまして決めたものでございます。
○稲村稔夫君 私は、非常に大きな金額でもって物が動いていくという中ですから、この程度の刑事罰というのは大したブレーキになるようなものにはならぬのじゃないだろうか、そういう心配をするわけであります。現にインサイダー取引の規制の場合には、現行法でいっても六カ月以内五十万円以下というのがあるにもかかわらず、我が国はインサイダー天国だなんてよそから言われたりするんです。事実がどの程度まで進んでいるのかわかりませんけれども、とにかくインサイダー取引というのは現実に行われているようであります。ということになってきますと、この程度だったら大したブレーキ役にはならぬのじゃないかと思うんですが、どうですか。
○政府委員(角谷正彦君) 確かに、アメリカなんかの例を見ますと、かなり罰則がきつい、あるいは最近さらに強化されるといった動きがあることは事実でございます。ただ、日本の場合におきましては、やはり他の刑事罰則とのバランスといったことも考慮する必要があるわけでございまして、そういった意味で法務省ともいろいろ御相談しながらこの程度が妥当ではないかという結論を得たものでございます。
○稲村稔夫君 そうすると、法務省に伺いますが、他の刑事罰とのバランスを欠くようなそういう刑事罰をつくるということは、法体系上問題がありますか。
○説明員(松尾邦弘君) 法務省では従来から法案の中で刑事罰につきましては担当省庁から御協議をいただいているわけでございますが、そうした際に、確かに先生のおっしゃいますように、まず我々として一番関心を払うところは全刑罰体系の中での位置づけでございます。 そうした判断をする上におきまして、例えば現在御審議をいただいております証券取引法でございますと、違反行為の重大性の程度とかあるいは証券取引法における他の罰則との均衡、こういったものも勘案いたしまして、どの程度のものにすべきかという点についての法務省の御意見を申し上げているということでございまして、今回の改正案の中の罰則につきましては、法務省としましても慎重な審議を経まして、刑罰体系、証券取引法のみならずほかの法律の罰則等も考慮いたしまして、均衡を欠くものではないというふうに考える次第でございます。
○稲村稔夫君 私がちょっと伺いたいのは、均衡を欠くものではないというのは、そうすると今度の場合でいけば、大蔵省の側がこの程度にしたいというもの、それが均衡を欠くか欠かないか、こういうふうに法務省の方は相談に乗るだけである、こういうことになるんでしょうか。私の聞きたいことの意味は、時代の進展とともに対応していくためには、例えばほかのところとの均衡ということよりも、犯罪が起こらないようにするということを重点に物を考えた対応ということで刑事罰の科し方というのが出てくる場合があるんじゃないだろうかなというふうにも思うものですから、その辺を伺いたいんです。
○説明員(松尾邦弘君) 確かに先生御指摘のとおりでございまして、罰則の審査を我々がする際には、単に主管省からのこういった程度の罰則を設けたいという意見で証券取引法の範囲内で考えるだけではなくて、先ほど申し上げましたが、ほかの法律との兼ね合い、それから今先生の御指摘のとおりやはり時代の流れとかそういったものも、罰則の程度、金額をどうするか、あるいは懲役刑を設けるのかどうかといったようなことも含めまして、時代の流れというのがございまして、そのときどきでやはり大分変わってきております。 そうしたことも含めて法務省では罰則の審査に当たっておりまして、今回の改正案におきます罰則もその結論であるというふうに御承知いただきたいと思っております。
○稲村稔夫君 それじゃ大蔵省と法務省と両方に伺いたいんですが、何億という利益を出したときに、百万円というのは高いんですか安いんですか。
○説明員(松尾邦弘君) どうも具体的な金額ということになるとなかなか申し上げにくいんですが、確かに先生のおっしゃいますように億と百万円ということでございますと、単位がまた違いますし、非常に乖離があるわけでございますが、直ちにある事案におきまして得た利益があるいはここに言う罰則の構成要件に該当する事案に係るものかどうかという判断等もございまして、今お尋ねでございますが、一概には申し上げられないということになろうかと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほどからの御論議を聞いておりまして、かつて麻薬、覚せい剤取締法の量刑を本院を含め与野党共同で論議をいたしましたときのことを今思い起こしております。当時私どもとしては、覚せい剤事案に対して量刑の引き上げを強く求めました。また同時に、実際の判決において厳しい判決を強く求めました。これは党派を超えての両院の意思であったと存じます。 しかし、今御論議にありましたように、他の法体系における量刑とのバランスというものが私どもの議論において越えがたい障壁として、随分長い時間かかりました。そういう意味では、私どもの感覚からいたしますと、その時点において多発している事案に対して積極的に量刑を引き上げていくことによって未然防止の効果もあるという気持ちは、確かにあるわけであります。しかし、法を主管しそれによって人を裁かなければならない立場としての論議という中には我々とはまた違う論議があり得るということを、当時嫌というほど私どもは感じました。今の御論議を聞いておりまして、しみじみそのときの議論を思い起こしております。
○稲村稔夫君 私がこのことを申し上げているのは、やっぱり私にも落とし場所が一つあるのでありまして、言ってみれば、今大臣の言われたそういう問題がありましょう。が同時に、これからの私たちの社会体制の中でそれこそフェアな取引がされていかなければ、諸外国からもつまはじきされてしまうということにもなっていく。その中での我々の体制というものをつくっていかなければならぬ。ということになりますと、チェック体制というもの、これはやはりかなり強力なものができてこなければならぬというふうにも思うわけでありまして、その辺のところが大変気になるのであります。今の五%条項を決めたのはいいんだけれどもというようなことにならないようにということを私は思うものですから、特に念押しをしているわけであります。 私の持ち時間は二時三十三分までなんだそうで、ここのところでうろうろしていると次へ進めなくなってしまいますので、途中でまたもとへ舞い戻るかもしれませんけれども、先へ進ませていただきたいと思います。 次に公開買い付け制度、いわゆるTOBの見直しについて伺いたいんであります。 まず、この見直しをすることによってどのようなことを期待しているのかということであります。こういうことをまず伺いますのは、これまでTOBというのは、現行法体系の中では我が国ではわずか三件だったというふうに伺っております。しかもそれはみんないわゆる友好的TOBであって、敵対的TOBは一件もなかったというふうに聞いているわけであります。じゃ、どうして制度としては一定程度そういうものが認められていたんだけれどもこれが活用されなかったのか、こういうことがやはり疑問になるわけであります。その辺のところ、従来はこうだ、こういうことが欠陥だったんだけれども、これを見直しすることによってこういう点で改善をされるからこうなるだろう、こんな見通しをお持ちなんだろうと思いますので、お聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(角谷正彦君) 御指摘のように公開買い付け制度を我が国が導入いたしましたのは昭和四十六年でございますけれども、これまで三件しか具体的事例はございません。昭和四十七年のベンディックス社、昭和五十年の沖縄電力、最近におきましては本年に入りましてオリックス市岡、この三件だけでございまして、いずれも友好的なTOBでございます。 これらにつきましては、必ずしも制度的な理由というよりは、むしろ我が国の社会風土が特に敵対的な買収につきましてなかなか好まれない雰囲気があるといったことや、また、企業買収を行う場合におきましても、あえて市場外において不特定多数を相手にして行うTOBという方法よりもむしろ市場内での取引、国際航業なんかがまさにそういう例でございますけれども、あるいは大株主相手の相対取引といったことによって対応することも可能であったといった状況が、その理由ではないかというように考えているわけでございます。 そこで、今回の法改正の趣旨でございますけれども、これは昭和四十六年にTOBを導入して以降二十年近く見直しを行ってこなかったわけでございますが、その間外国におきましても種々の制度改正が行われました。それとの比較で見ますと、最近我が国企業が海外においてかなり企業買収等を行っており、その実例との比較で考えてみますと、日本の現在の制度は諸外国、特に英米の制度と比べた場合におきましては、例えば事前届け出制を採用しているといったことなどに見られますように、外国の制度よりはかなり制度として制限的であるといった面が免れないわけでございます。そういった意味で諸外国、特に英米のTOB制度を参考にいたしまして、制度の国際的調和を図るといったことを目的として今回の改正を行ったものでございます。
○稲村稔夫君 法務省おいでになりましたね。もうお聞きすることありませんので、どうもありがとうございました。 そこで、ちょっと揚げ足を取るような聞き方をして申しわけありませんけれども、我が国の証券取引の習慣とか環境、そういうものがあるんだということをいろいろとおっしゃった。一方で今度は、諸外国の制度に合わせていこうというふうにおっしゃった。我が国の風土というものがあるというのと諸外国の制度と合わせるということ、何かちょっと矛盾するんじゃないですか。諸外国の制度に合わせていったって、我が国の風土がそれに合わなかったら制度はつくってもちっとも生きてこないということにならないんだろうか、そんな疑問が出るんですけれども。
○政府委員(角谷正彦君) 確かに社会的風土といったことだけから考えますと、制度を直したからといって直ちにTOBが活発になるかというと、必ずしもそうはならないのではないかということも考えられるわけでございます。しかしながら、一方におきまして、制度そのものが日本はかなり制限的であり、諸外国の方がかなり自由である、しかも日本の企業は諸外国に行って自由にM&Aというようなことを行っているといったことからいたしますと、制度的要因によりまして、外国の企業が日本の企業を買収するといったことが仮に起こった場合におきまして、制度的な摩擦といったことも考えられるわけでございます。そういった意味では、制度としてはきちんと国際的な調和をとれたものにしておく必要があるだろうというふうに考えておるわけでございます。 今申しましたように、確かに社会的風土の問題がありまして、法改正したら直ちにこれがふえるというふうには私どもは考えておりまセんけれども、ただ最近におきましては、産業構造を転換するとかあるいは企業のリストラクチャリングといったふうな風潮もございまして、企業買収の件数は我が国において着実に増加していることは事実でございます。そういった中におきましては、将来におきましてはこのTOBといった手法も有用なM&Aの手段として位置づけられることが可能になってくるだろうというふうに私ども考えるわけでございまして、そういった意味での環境整備といったこともあり得るというふうに考えております。
○稲村稔夫君 またちょっと揚げ足を取るみたいで申しわけないですが、足を取ってもひっくり返らないでしょう。大丈夫でしょう。 そういう環境整備、諸外国並みの環境整備をするとして、今度のこの法改正で買い付け期間について三十日から六十日に変えるというのがありますね。そうすると、アメリカはどうなっていますか。これは買い付け開始から二十日の営業日以上、ここは同じですが、そこから先は我が国の方は三十日から六十日。アメリカの方はそれはないわけでしょう。ここがそろっていないのはどうしてですか。
○政府委員(角谷正彦君) 買い付け期間につきましては、確かにアメリカは無制限ということになっております。しかしながら、イギリス等におきましては最長六十日ということになっているわけでございます。 買い付け期間に制限を設けるかどうかといった点につきましては、現在の日本のように十日以上二十日以内ということでは短過ぎることは事実でございます。かといって、これを無制限に買い付け期間を設定するということは、これはまた企業の方の安定とかあるいは株式取引に与える影響といった点から問題がないわけではない。そういった意味からいいますと、これはむしろイギリスの制度に合わせて最高六十日というふうに合わせる方が合理的ではないかというふうに考えました。アメリカは確かに御指摘のように無制限でございますけれども、私どもはその点につきましてはイギリスの制度をとったということでございます。
○稲村稔夫君 それは見解の相違ということになってくるんでしょうけれども、この際はここのところだけはイギリスの制度持ってこよう、こっちはアメリカの制度持ってこよう。いいところをとることは私は決して悪いとは言いませんけれども、だけれども、この買い付け期間の制限の問題については私は制限を外したって差し支えないんじゃないかというふうにも思います。それで、それこそイギリスの人たちは自分たちの習慣に合う制度になったんだけれども、アメリカの人がやるときはまだちょっと日本の方は制限がある、そんなふうに感ぜられるようなそんなものはなくした方がかえって全体にいいのではないだろうか、こんなふうにも思うんですけれども、制限をつけなかったら何か差し支えがありますか。
○政府委員(角谷正彦君) 買い付け期間を無制限にいたしますと、先ほど御説明申しましたように、対象会社としてはいつまでも不安定な状況が続く、それに伴って当該会社の株式の売買につきましてもかなり不安定な状態が続くといったことになりますので、これはやはり合理的な範囲内で最長の期間を設けた方がいいだろう、むしろイギリスの制度の方が合理的ではないだろうかというふうに考えたわけでございます。 ただ、例えばある企業に対しまして公開買い付けが行われた場合、その期間終了直前にさらによい条件で対抗のTOBをかけられるといったふうな場合には、それと競争するためにさらにこの買い付け期間の延長を行うといったことも、これは今回の法律で認めることにいたしております。そういたさなければ既存の公開買い付け者は何ら対抗措置がとり得ないままやられてしまうということになりますので、そういった競争条件の均衡といった点からもそういった措置をとることにしたわけでございまして、そういった意味では、合理的なものにつきましては六十日の期間をさらに延長することも可能な措置にしているわけでございます。そういった面からいいますと、今回の六十日にしつつそういった合理的なものについては延長も認めるという考え方は、私どもはかなり制度としては合理的なものであるというふうに考えているわけでございます。
○稲村稔夫君 ちょっと見解が違うというふうに言っておりましたのは、例えば八九年に日本企業がかかわったM&Aの地域別の件数というのを見ていきますと、欧州は百件、そして北米——アメリカ、カナダが二百件、アジア・大洋州関係が九十八件、あとはまあほんの少しずつありますね。これは野村総研の調査の数字です。ここで一つ特徴的なことは、欧州の企業買収のケースというのは、前年対比でいけば三・四倍になっていますね。そしてアメリカ、カナダの企業へのM&Aというのは二百件ですから、二一・二%増ということのようであります。そして我が国の企業の諸外国からの買収というのはたった十件でありますから、言ってみれば対前年で三件しかふえていない、こういう状況なわけですね。 そういたしますと、今局長の言われたことで、私がアメリカと合わせても差し支えないんじゃないかというふうに申し上げたのは、確かに欧州の方はうんとふえてはいるけれども、件数からいったらアメリカ、カナダというのは欧州の倍もあるわけです。それから日本企業の買収というのは、欧州側からは四件、アメリカからは五件という形になっていますね。これは、両方とも同じ。日本の企業が買収しづらいということなんでしょう。ということでいきますと、アメリカ、カナダが圧倒的に多いという形になるんですから、その辺のところに合わせても一向に差し支えないんじゃないですか。あなたは、不安定な状態がいつまでも続きます、こう言うけれども、じゃアメリカの企業というのはみんな不安定で困っているんですかということにもなってくるんですよね。
○政府委員(角谷正彦君) アメリカの場合におきましても、TOBを実察に行う場合には買い付け期間をいつまでというふうに決めてやるわけでございますから、無制限というわけではもちろんないわけでございます。ただ、法律上何日以内という期限が決まっていないわけですから、オファーする人間としてはかなり長期の期間を設定することも不可能ではないということでございますが、現実問題としてそんなに長い期間は行われていないわけでございます。そういったアメリカの実情とか、あるいは、制度といたしましてこれを無制限にするということは理論的には考えられないわけではないわけでございますけれども、ただ、余り無制限に非常に長い期間、例えば一年ということを設定いたしますと、これはその一年間企業にとって非常に不安定な状況が続くというわけでございますし、その間の株式の取引についてもそういった情勢を反映して不安定にならざるを得ないといったことから、やはり合理的期間を設定する必要があるだろうというのが私どもの判断だったわけでございます。 今委員の方でいろいろアメリカあるいはヨーロッパについてのM&Aの件数についてお話がございましたけれども、これは、買い付け期間が長いか短いかということよりは、むしろそれぞれの国におきますところのM&Aといったものが、産業構造の再編でございますとかリストラクチャリングでございますとか、あるいは企業の売買の慣行でございますとか、そういったふうないろんな関連において出てくるわけでございまして、買い付け期間が長いか短いかといったことによってそういう状況が左右されておるというふうには必ずしも私ども判断していないわけでございます。
○稲村稔夫君 これも、それでいつまでも議論をしているわけにもいきませんが、要は、私が申し上げたのは、買い付け期間が長いか短いかということを基準にして議論をしているというよりも、制度的に整合性をというふうに考えたときに、アメリカ、カナダの方が圧倒的に多いんだからアメリカ、カナダというものに全部そろえていった方がいいんじゃないですかという観点が強くありますので、そういうふうに理解をしていただきたいと思います。 そこで、それではTOBが進展をすることによって市場に与えるであろう影響をどういうふうに理解しておられるだろうかということについても伺いたいと思うんです。 TOBを宣言して公開で株主から株を買い付けるという習慣が今まで我が国には余りなかったということもありますが、それでも、とにかくそういうTOBをかけるということになりますと、これは市場での時価よりも高い価格をつけなければ株主は売らないということになるわけでしょう。そうすると、TOBは株価を引き上げるという要因になりませんか。
○政府委員(角谷正彦君) 現実にTOBをかけるケースについて見ますと、市場価格より高い価格をつけることによりまして一般の投資家から直接株を取得するということでございますので、株価につきましてはその買い付け価格まで上昇する要因になると思います。
○稲村稔夫君 ということになりますと、それはM&Aが行われるという情報を事前に入手できれば、そして先回りをして株を買っておけば絶対もうかる、こういうことにもなってくるわけで、そうすると、まさにインサイダー取引の土俵をつくるというふうなことになる危険性というのはありませんか。
○政府委員(角谷正彦君) 今申しましたように、TOBというのは、短期間で企業買収をし経営権を取得しようという手段ですから、高い価格をつけるわけでございます。市場価格よりかなり高い価格をつけて短期間に株を買い集めるという行為でございます。したがいまして、そういった情報を事前に入手して市場で先回りして買っておけば、これは確かに利益を得るということになります。そういった意味で、六十三年に御提案申し上げましたインサイダー取引規制におきましては、こういった情報も重要事実といたしましてインサイダー規制の取り締まり対象としているということでございます。 現に、アメリカなんかの例について見ますと、インサイダー取引の大きな部分がこのM&Aの情報を事前に取得する、そしてそれを先回りして市場で買うということによって行われているケースがかなり多いというふうに聞いております。
○稲村稔夫君 そうですね、だから、先ほど私が今度の国際航業事件も随分しつっこく聞いていますのも、そういうことがあるからです。転換社債を発行してということから始まったわけでありますけれども。 それで、あれでしょう、その前にも、例えば昭和六十三年の三協精機と新日鉄の業務提携の場合というのも、結局、業務提携にかかわっていた社員が三協精機の株を購入して高値で売り抜けたというようなことが具体的にあったけれども、これはまだ法があれする前だったということで、とうとうインサイダー取引と断定することはできなかったですね。 というようなことなどもありましたが、こういう事件を振り返っていくと、それぞれ、事前に情報をキャッチするということが物すごく魅力になるということになってきます。そういう魅力があるというだけに、それがまた投機的な感覚というものをさらに促進してしまうというようなことになるんじゃないだろうか。つまり、M&A関連株を買えというようなことでどんどんとそんなところへ投資家が走るというような形も考えられ得ると思うわけです。ですから、私がここで心配をいたしますのは、そうしたインサイダー取引というものに対する本当に厳しいチェック体制というものがどうしてもなければ、ここでこういう制度をつくってもまた抜けられて、むしろ逆に株式市場の投機化ということを促進してしまうというようなそんなことになっていくんじゃないかなというふうに思うんですけれども、その辺はどんなふうに考えておられますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほどからの御論議を聞きながら私の感じておりました点が、今、今度は委員から御質問の形で返ってきたわけでありますが、まさにそのインサイダー取引というものの規制がきちんと機能しておりませんと、委員が懸念をされたような問題が必ず生ずると思います。その意味におきましては、既に法律として決定をいただいておりますインサイダー取引規制というものがこれから先なお十分機能するようにしていかなければならないということが今後の私どもの務めである、そのように思います。
○稲村稔夫君 インサイダーに非常に重要な関心を持っての対応をしなきゃならぬという大臣の御答弁、それはそれなりに私も大事なことだと思います。なお、この点についてはまたさらに後でもう少し伺いたいと思うところがあります。 そこで、ついでのことでありますからもう一つ伺っておきたいんですが、アメリカあたりで盛んに問題になっておりますLBOと上場会社の対応の問題について、これは我が国でどんなふうになるだろうかというようなことをちょっと予想してごらんになったことがあるでしょうか。
○政府委員(角谷正彦君) LBO、レバレッジド・バイアウトというのは、買収される企業の資産を担保といたしまして、ジャンクボンドといったものを出したりあるいは銀行借り入れをするということによりましてTOBの資金調達を行うという手段でございます。これがかなりアメリカでは盛んに行われるようになっておりまして、最近ドレクセル・バーナムという会社が破綻いたしましたけれども、これはアメリカにおいてこういったLBOの手段を開発した最大の大手の証券会社でございます。そういったことがあるわけでございます。それがかなり行き過ぎたTOBの手段として使われているという批判があるわけでございます。 アメリカにおきましては、こういったLBOを規制すべきではないかといったふうなことから、こういった借り入れあるいは債券の発行に関しまして、例えば税法上の規制を強化する、損金算入を制限するといった形でのことが議会においていろいろ議論されているというふうに聞いているわけでございます。 ただ、我が国におきましては、現在の段階におきまして信用度の低いそういったジャンクボンドといったふうな起債の発行というのは認められておりません。そういったことから、我が国におきましては現にLBOという手段を使って企業買収を行うということは行われていない状況にあるわけでございまして、現時点におきまして私どもこれについてどうこう対応をする必要性はないものと考えているわけでございます。
○稲村稔夫君 LBOはそのほかいわば雇用者の方にもいろいろな問題を持ち込んでまいりますし、そういう意味では我が国に持ち込まれると大変な問題になってくるであろう、社会的な問題になってくるであろうというふうにも私は考えますので、その辺のところはやはりこれから我が国としてもきちっと対応しなければならない問題ではないかと思います。その点は問題を提起しておきたいと思います。 その次は、安定株主と称する形でいわゆる株式の持ち合い状態、この実態というのが日米構造協議でもやり玉に上がった問題の一つでもあると思うんですね。結局、アメリカの企業が日本の企業に対してM&Aをかけられない、その要因の一つにこういう安定株主と称して株の持ち合いがあるというようなことがあるんじゃないかというようなことで、アメリカ側からかなり言われているわけでありますけれども、この株式の持ち合いの現状というのはどんなふうになっていますか。
○政府委員(角谷正彦君) 株式持ち合いの現状というものにつきまして、大蔵省として正式に調査したものはございません。 ただ、TOBに対する対抗措置といたしましては、例えばアメリカあたりでは自社株取得などが法的に認められているわけでございますけれども、日本においては商法上そういうものは認められていないといったことなどもございまして、現実問題としまして、日本におきましては株主安定工作といったふうなことによりましてこれにかえているといった状況があるというふうに聞いているわけでございます。 ただ、この株式持ち合いにつきましては、確かに構造協議等でもいろいろ議論があるところでございますけれども、これを証券取引法上で規制するべきかどうかということになりますと、本来証券取引法といいますのは株式の円滑な流通といったものを目的としたものでございまして、独禁法その他で特段の何か別の政策目的があればともかく、だれがどの程度株を持つかということは基本的に自由なわけでございまして、こういったものを証券取引法等で規制することにはなじまない。現にアメリカにおいてもそういう制度になっているということを申し上げているわけでございます。
○稲村稔夫君 私は、TOBに対する防衛措置として企業がこうした安定株主を求めて、そして持ち合いというのを、これは公開開示制度ということで制度が欧米並みに今までの規制をさらに緩められた形になるということになってきますと、企業の方は逆に今度は防衛策の方を講ずるというふうなことになってくる。そうなると、これは私は、市場を育成していくという意味では逆の面が出てくることを恐れるわけであります。 つまり、株式の持ち合いの比率がどんどん大きくなっていって、そして市場に出回る浮動株の減少というのが起こってくるというようなことになってまいりますと、これはやっぱり株式市場の正常な育成という点では問題があるんじゃないでしょうか。特に我が国のでは法人所有化が進んでいって個人所有の割合が減るという傾向があると思うんですけれども、それだけに持ち合いの問題というのはこれからまたさらに摩擦の原因になっていくんじゃないかということを危惧するのでありますが、その辺はどうでしょうか。
○政府委員(角谷正彦君) 確かに委員御指摘のとおり、株式市場、特に取引所の市場が円滑に機能するためにはかなりの個人投資家が参加する厚みのある市場であるということが必要であると思います。そういった意味では、特定の少数の者が株式持ち合い等によりまして株を買い占め浮動株が少なくなるといったことは、取引所の機能のあり方といった面からいっても望ましくないことであるというように考えているわけでございます。 ただ、そういった意味で、東京証券取引所におきましても、上場するに当たりましては株主数あるいは少数特定者の持ち株比率、これが一定以下でなければならぬ、具体的には例えば大株主が所有するような、あるいはその関連会社が所有するような少数特定者の持ち株比率を原則として七〇%以下にするとか、あるいは規模に応じまして株主数は何千人以上でなきゃならないようにするとか、そういったルールを決めまして、それを下回るような企業につきましては上場を廃止する、これは一定の猶予期間がもちろんあるわけでございますけれども、廃止するといったふうな措置をとっておるわけでございまして、そういったことを通じまして個人株主の数あるいは浮動株の数といったものについて一定限度以上は確保したい、こういう政策をとっておるわけでございます。 これに加えまして、御指摘のような市場の機関化現象ということが進み過ぎますと、これまた市場におけるボラティリティーを高めるといったような問題もございます。そういった面から、個人株主を育成するという方策が非常に大事であるといった問題意識を証券界自身が持っておりまして、証券取引所あるいは証券業協会等におきまして、現在、鋭意個人投資家をふやす方策、そういった問題についていろいろ検討を開始しているといった状況にございます。 私どもといたしましても、そういった検討結果も見ながら、今後そういった方面での施策を充実していく必要があるだろうというふうに考えているわけでございます。
○稲村稔夫君 もう時間がなくなりましたから、あとまとめてお伺いしたいと思っております。 それは、先ほど来ずっと問題にしてまいりましたインサイダー取引、これは五%ルールが今度できるということの中で、店頭市場というのもこれも対象になるということで、これは私も評価ができる、そう思うんです。しかし、証券取引法の百九十条の二においては、インサイダー取引の対象から今度は店頭登録株を除外することになりますね。これは本来であれば、今回せっかく五%ルールをつくるんですから、その五%ルールに合わせて当然この店頭登録株も対象にしていいんではないかと思うんです。特に店頭市場には個人投資家の新規参入というのがふえているわけですから、一月に一億を超えるなどというふうにも言われるわけでありますから、そうすると当然取引規制の対象にすべきではないかというふうに思うんです。 それから、それにすぐ続いてのことでありますが、外国との協力問題というのがありますけれども、これは外国から、例えばアメリカからインサイダー等のあれについて情報の提供を求められるというようなことに対してどの程度のことがこたえられるんですかというようなことにもなってまいります。 私がこんなことを言いましたのは、インサイダーに対するチェック機能として我が国はアメリカのようにそれ専門のチェック体制というのが必ずしも十分じゃない。いや、比べたら、証券局の皆さんは一生懸命やっておられるけれども、かなり問題なんじゃないだろうか。インサイダーは今まで大蔵省の証券局でもってチェックしていたわけでしょう。今度の五%ルールについてのチェックもおたくでやらなきゃならないわけでしょう。一体おたくに何人いるんですか。そして、専門にこれにかかわる職員というのが何人ぐらいいるんですかということにもなってくるんですよ。 そういう中でアメリカから情報を求められる、それにこたえられるような情報が提供できるのかどうかという問題、同時に今度は、制度の違いの中からくる我が国での情報を提供できる限界、守秘義務とのかかわりだとかなんとかというようなものもあるでしょうが、そういったものをどう考えておられるのかということも伺いたいわけであります。 特に大臣には、私は、こんな状態で本当にチェックできるんでしょうか、むしろチェック体制というのはもっともっと強化をする、それこそ専門のチェック体制でもつくっていかなければ今のように大きく膨れ上がった市場に対応できないんじゃないだろうか、こんなふうにも考えておりますので、その辺の御見解を伺いたいというふうに思います。
○政府委員(角谷正彦君) 大臣がお答えする前に私の方から、まずお尋ねの事務的な点についてお答え申し上げたいと思います。 まず、インサイダー取引規制を店頭登録にも適用すべきではないかというお尋ねでございますが、インサイダー取引規制というのは売買取引に対する一般投資家の信頼といったものを確保するためにつくった制度でございます。そういった意味では、広く一般投資家が投資対象としている証券を対象とするということでございまして、まずその規制の対象といたしまして、現時点におきましては取引所取引の対象となっている株式等を対象にしているわけでございます。したがいまして、店頭銘柄につきましてはまだ取引は小さいとかというふうなこともございまして、現時点におきましてはこれはインサイダー取引規制の対象とはしていないという状況でございます。 ただ、御指摘のように、最近では店頭銘柄もだんだんふえてきてはおります。そういった状況もございますので、店頭市場におきますところの取引の状況、それからもう一つは市場監視体制をきちんとした上でこれをやらないと実効性が期し得ないといった問題もございます。そういった市場監視体制の整備、これは私どもももちろんでございますが、これを監督しておりますところの証券業協会におきましても十分な監視体制をとってもらう必要がある。こういった整備状況等も踏まえまして、今後前向きに検討していきたいというふうに考えているわけでございます。 それから国際協力によって調査する問題でございますけれども、これにつきましては、不公正取引に関する情報とか、あるいは相互に進出しておりますところの証券会社の財務状況でございますとか、あるいは有価証券報告書等のようなディスクロージャーに関する情報とか、いろいろなものが考えられるわけでございます。ただ、私どもの大蔵省というのは行政官庁でございまして、司法捜査権限を持っておりません。そういった意味から、今回の法案において御提案申し上げているのは、司法的な問題につきましては別途司法共助法という手続によってやっていただくことといたしまして、私どもといたしましては行政上の調査に対応してできる限りの調査協力はしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員から御指摘がありました問題点は、将来を考えますと私どもがいろいろな点から考えてみなければならない問題を含んでおります。 今局長は行政官庁としての限界の中でお答えを申し上げたわけでありますけれども、私は、一つ考えなければならないのは、証券行政というものも広い意味での金融行政の一つの柱でありますから、例えばアメリカのSECのようなものをつくりまして準司法的権限を持ちました場合には、逆に証券行政というものを金融行政の中から取り出して独自の位置づけをしなければならないということになるでありましょう。その場合に、果たして金融行政の運営の上からそういう仕組みがうまく機能するだろうかといった問題が生じはしないかという心配がございます。 しかし、そうしたことはこれから先も私どもは考えていかなければならないことでありますし、現実の市場の流れを見ていって、そういうものをつくる必要が生じないことを私は期待をいたしますけれども、監査体制、審査体制というものの充実強化というものは、そうした大きな問題とは別に、これからも心がけていかなければならない、そのように考えております。
○稲村稔夫君 終わります。
○和田教美君 仕手集団光進グループの株買い占めによる国際航業の乗っ取りをめぐって、国際航業の元経理担当役員ら四人が自社の株が買い占められていることに便乗して株の売買を行って合計九億円を脱税したとされる事件で、東京地検特捜部が昨夜脱税の疑いでこの四人を逮捕いたしました。この事件については既にいろいろと議論がされておりますけれども、私も二、三点お聞きしたいと思います。 まず、法務当局にお尋ねしたいんですが、事件は脱税容疑ということなんですけれども、国際航業株をめぐっては、政治家周辺への株や転換社債の譲渡、国際航業の旧経営陣による防戦買い、株価操作など各種の疑惑が取りざたされております。そして国民は、この逮捕をきっかけに、我が国としては最初の敵対的M&Aを舞台としたこの事件の真相にメスを入れていただきたいということを期待していると思っております。そこで、どれだけの決意を持って捜査当局はこれから臨まれるのか、まず法務当局のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(松尾邦弘君) 東京地方検察庁は、昨日、御指摘のように所得税法違反の事実で国際航業株式会社の元取締役ら四名を逮捕しております。検察におきましては、この所得税法違反の事実について今後捜査を遂げまして適正に処理するものと思っております。 また、先生お尋ねのこの国際航業株式会社の事件をめぐりましてさまざまな新聞報道がなされていることは、検察当局も承知していることと思います。ただ、それ以上に検察当局がこの問題に関しましていかなる関心を持っているかとか、あるいは持っていないとか、そういったことにつきましては、その事実の一環の所得税法違反の事実について現に捜査中でございますので、私からその点についてどうこうというような答弁を申し上げることは差し控えたいと思っております。
○和田教美君 この四人の逮捕は、東京国税局の査察、東京地検に対する所得税法違反の告発に基づくものでありますけれども、査察、告発に至るまでの国税庁の対応について国税庁当局から御報告を願いたい。 特に、今も申しましたように、自分の会社の株が買い占められているということを知りながら、それを利用してとにかく大もうけをしたということですから、非常に事件としては悪質だというふうに思うんですけれども、その辺についての査察の実態でもし参考になることがあれば同時に御報告をいただきたいと思います。
○政府委員(龍宝惟男君) 昨日東京地検が国際航業の元役職員ら四名を逮捕いたしました点は、今法務省からの御答弁にもございましたけれども、これらの者につきましては、私ども昨年春に東京地検に対して所得税法違反の疑いで告発をいたしているものでございます。 ただ、お尋ねの内容、どのような形でこの事件を取り上げまた告発に至ったかというのは、税務の調査の内容にわたりますのでお答えを差し控えさせていただきたいわけでございますけれども、一般論として申し上げますと、私どもは税の立場から、株取引による所得を免れていた場合にどこに税法違反があるかということの観点からこれは調査をいたしますので、その背景に、例えば先生から御指摘がありましたように自社株の関連でありますとかそういう問題ももちろん背景にございますけれども、私どもの調査の視点というのはあくまでも税法違反、所得逃れがどこにあるかという観点で調査をいたしているわけでございます。
○和田教美君 そうすると、やっぱりどうしてもこれは証券局長の分野になると思うんですけれども、この事件は政治家周辺への株あるいは転換社債の譲渡、防戦買い、株価操作など、証券行政の立場から見て非常に重大な関心を持たざるを得ない問題がたくさん含まれております。 今も指摘しましたように、所得税法違反の問題についても、自社株が買い占められていることに便乗して自分がもうけるというのは非常に悪質だというふうに思うんです。また、国際航業の旧経営陣による防戦買いは、子会社あるいは関連会社、こういうものを使って行ったということになっておりますけれども、本当にそうなのかどうか。国際航業自体が全く関係がなかったのかどうか。もしあったとすれば、商法の二百十条違反になるおそれがないかどうか。 それから、防戦買いという会社業務の重要事実を利用した株売買ですから、これは当然インサイダー取引だと思います。ただ、先ほどから答弁がありましたように、改正証取法の施行以前の問題ですから罪にはならないということかもしれませんけれども、しかし、今後の証券行政の重大な参考になると思うんですね。 それから転換社債の問題ですが、これも、この転換社債で、株の値上がりで買った政治家及び政治家周辺が一億円ぐらいもうかったという説もあるようなことで、果たしてこの転換社債の政治家などへのはめ込みというものが親引け禁止前なのか後なのか、その辺のところも疑問があるわけでございます。 いずれにしましても、先ほど言いましたように、我が国最初の敵対的M&Aをめぐる事件ですから、証券行政の立場からどういう点にこれから重点を置いて究明して、そしてどう行政に生かしていくか、その辺の見解を伺いたい、こう思います。
○政府委員(角谷正彦君) 御指摘の事案につきましては、先ほど申しましたように現に捜査当局で検討中の話でございますし、何分インサイダー取引等につきましては法律が施行される以前の話でございますので、私どもこれについて具体的な調査をいたしておりません。そういった前提で一般的なお答えをお許しいただきたいというふうに思うわけでございます。 まずインサイダー取引の問題でございますが、これは先ほどからお話し申しましたように、買い占めの対象とされた会社の役員が取締役会で決定した防戦買いという重要事実を知って、そしてその当該株式の売買をして利益を得たということで、明らかにインサイダー取引に一般的には該当するというふうに思います。ただ、先ほど申しましたように、この新聞報道に伝えられる限りにおきましては、この事案というのは昭和六十二年ないし六十三年の事案でございまして、この法律の刑事罰の施行というのは平成元年四月からでございますので、この法律の適用ということは考えられないというわけでございます。 と同時に、こういったことと関連いたしまして役員が自社株の売買といったことで利益を得るといったことにつきましても、これは会社の方が返還請求権を持つというふうな規定もあるわけでございます。少なくとも現在そういうものが起こりました場合には、そういった問題をはらんだ事案であるというふうに考えているわけでございます。 それから株価操作の問題でございますけれども、これにつきましては、東京証券取引所におきましてもかつて調査をした事例があるようでございます。現実に株価は、この買い占めによりまして、六十二年五月ごろまでは二千円ぐらいの水準の前後で推移していたわけでございますけれども、六月以後急上昇いたしまして、大体十月ごろには七千円というふうにピークに達しております。そういった株価が非常に急上昇したということもありまして、東証において株価操作等の実態がないかどうか調査したようでございますけれども、こういった問題につきましては、株価操作という事実があったという報告は私ども受けておりません。 ただ、この問題につきましても、私どもとしましては、株式の不公正な取引によりまして株価操作、そういった事案があれば、これは適切な対応をする必要があるといったことから、今後とも東証などとも密接に協力いたしながら常時この監視体制を強化してまいりたいというふうに考えているわけでございます。特に今年七月からは、私ども証券局におきまして証券取引審査室というのを設置いたしまして、従来この関係の人間が七名いたのを十名増員いたしまして十七名という体制でこういった株価監視等の体制を整備していくというところでございます。今後とも適切に対応してまいりたいというふうに考えております。 それから転換社債の問題でございますけれども、確かに国際航業が昭和六十二年二月に百億円の転換社債を発行したということは承知いたしております。ただ、御指摘のようにそういうものが政治家その他に回ったかどうか、こういった事実については私どもは承知いたしておりません。また、この国際航業の転換社債につきましては、発行枠百億円の一五%に相当する十五億円の部分が親引けによりまして販売されたというふうに主幹事証券から報告を受けておるわけでございますが、その親引けの先につきましては私どもは承知いたしていないわけでございます。 なお、この親引けにつきましては、昭和六十三年四月に原則禁止ということにいたしまして、さらに平成元年十二月からは証券局長通達によりまして全面的にほぼ原則禁止という措置をとっておりますので、今後はかかる事態は起こらないものというふうに考えているわけでございます。
○和田教美君 これは大蔵大臣、ちょっと突然の質問で恐縮ですけれども、今いろいろとこの問題についての議論をお聞きになっていて、大蔵行政として特にどういうことを、先ほどはインサイダー取引を厳重に取り締まっていくことが必要だというふうなことをおっしゃっておりましたけれども、それ以外にどういうふうな感想をお持ちかということが一つ。 それから政治家橋本として、こういうふうに今度の事件でも株だとか転換社債が相当政治家に流れて、そしてそれの買い戻しなどが行われていて、そして仕手戦による株の値上がりによって転換社債のもうけが、さっきも言いましたように一億円も政治家の懐に入ったというふうな報道もあるわけでございます。これはリクルート事件以来の問題ですけれども、安易に株だとか転換社債がそういうふうな形で政治家にはめ込まれるというふうな問題について、政治家の立場からも非常に自戒していかなければいかぬ問題だろうと思うんですね。その辺についてどういう御感想をお持ちか、ひとつお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 現に捜査が開始をされている状況の中で個別具体的な問題についてお答えをするのはいかがかと思いますが、一般的に申し上げさせていただきたいと思いますけれども、やはりこうした何か外から見ておりましてどろどろした話というのは本当に楽しいものではありません。殊にその中で、既に税法上の問題が提起をされ、その時点においては違法行為ではなかったかもしれませんが、現在の法基準からすれば当然問題となる例えば親引けの問題、御提起をいただきましたもの、あるいはインサイダー取引といったもの、ここしばらくの間にさまざまな問題点として提起をされて法改正を進めてまいりましたものが、皆この中から浮かび上がってくる。こうしたことは本当にうれしくないことでありますし、また今後あってはならないことであると思います。今後の捜査の進展の中から逆に今後我々が心がけるべき点が明らかな形で提起をされることを半ば期待し半ば恐れております。
○和田教美君 実は証取法の改正案の内容についても二、三お尋ねしたいと思っていたんですけれども、稲村さんが全部聞いちゃって私の聞くものがなくなっちゃったので、それは割愛をいたしまして、今話題になっております銀行、証券業務の見直し、いわゆる銀行、証券の相互乗り入れ、この問題について一、二お聞きしたいと思います。 この問題の検討を進めている証券取引審議会が六月中旬に同研究会の報告をまとめるということで、既に第二部会の中間報告案なるものが新聞にも発表されております。また同時に、金融制度調査会も同じような問題についての報告を出すということで、長年の懸案である業際問題についての結論もだんだん大詰めに近づいてきたという感じを持つわけでございます。さらに、この金融制度の改革についての大蔵省の基本指針なるものもあるというふうなことが先日新聞にも出ておりました。 これらを総合いたしますと、銀行、証券会社の相互参入方式は、銀行、証券とも子会社方式でやる、それが一点。しかし当面中小証券を保護するために銀行子会社の証券業務への参入は漸進的、段階的に行う。そして、その取り扱う分野もとりあえずは普通社債の引き受けなどに限って、株式売買のブローカー業務などはやらせない。それからまた、いわゆる子会社参入方式というものについては、平成元年の金融制度調査会の中間報告では、業態別子会社方式と特例法つまり投資銀行方式というのが併記されておりましたけれども、このうちでは前者の業態別子会社方式というものが有力である。こういうふうなことで各新聞の報道が全く一致しているわけでございます。 そこで、もちろんまだ証取審議会からの報告も出ていない段階でこういうふうに決まったというふうなことはあるいは大蔵省としては言えないかもしれないけれども、少なくとも流れとしてどういうふうになっておるのか。相互参入の方式は子会社方式である、それから、とりあえずは証券界に参入する銀行の子会社については株の取引などは認めない、こういうことでもう既に合意あるいは一致しているのか、その辺についての御見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員がはしなくも述べられましたように、第一部会、第二部会の報告は近日中に中間的な取りまとめの報告書が出されると承知をいたしております。それだけに、私も内容をつまびらかにいたしておりませんが、証券局長の方から現時点において申し上げられる範囲内の御答弁をさせていただきます。
○政府委員(角谷正彦君) 証券取引審議会の状況について御説明申し上げたいと思います。 証券取引審議会というのは、委員御指摘のいわゆる業際問題のみを扱っているというわけではございません。かなり幅広くいろんな点から資本市場に関する諸問題を扱っているわけでございまして、今大臣がお答え申しました基本問題研究会の第一部会におきましては、金融の証券化に対応した法制の整備といった問題について議論しております。第二部会におきましては我が国資本市場のあり方全般につきまして議論をしているといった状況で、それぞれこれらをまとめまして近く基本問題研究会にその報告が提出される、こういう予定でございます。 まだ報告が提出されておりませんので、余り具体的なことを申し上げるのはいかがかと思いますので、その点はお許しいただきたいと思いますけれども、我が国資本市場全体のあり方につきましては、効率性、国際性、健全性または安定性、こういった三つの基準に従いまして、運用面あるいは制度面それぞれにつきまして検討を行っております。 そこで、改善の方向といたしましては、第一には十分な競争が行われるように既存の諸制度、諸慣行で実情に合わなくなったものを見直していくべきではないかという方向づけ、第二点には、現在の証券取引法が制定後四十数年を経ているといったことから、最近の金融の証券化等いろんな環境の変化に対応いたしましてこういった制度の十分な見直しを図るべきではないか、こういった議論が行われているわけでございます。なお、第二部会におきましては、先生御指摘の業際問題についてのいわゆる証券業の担い手といった問題もあわせて議論されているという状況でございます。 そこで、御指摘の銀行、証券のいわゆる業際問題でございますけれども、銀行と証券による証券業務あるいは銀行業務への相互進出といった問題につきましては、金融の自由化とか証券化、こういったものが進展してきているという状況のもとで、新しい両方にまたがる新商品の開発でございますとか、あるいは競争を促進するという点でございますとか、あるいは国際的な調和といった面からは、意義があると考えられるわけでございます。他方におきまして、銀行が証券に参入する場合におきましては、利益相反の発生とか、あるいは競争条件の不均衡とか、銀行の経営の健全性の阻害といった弊害も予想されるわけでございまして、こういった問題への対応といった点も含めまして、引き続き関係者間でなお十分な検討を必要とするという状況にあるわけでございます。 今委員が御指摘のように、子会社方式といったことにつきましても、こういった弊害を防止する一つの方策として、例えばアメリカで行われていますように銀行に証券子会社の設立を認める、その間に厳正なファイアーウオールといったものを設けまして弊害を防止する方策が考えられるではないかということが一つの方策として審議会の中でかなりの議論が行われたことは事実でございますし、そういったことについても報告書で恐らく触れられるだろうというふうに思います。しかしながら、どういう措置をとれば弊害が十分に防止できるか、あるいはどういう措置をとれば相互参入に伴いますところの市場の混乱といったものを防止できるか、こういった問題につきましてはさらに引き続き検討する課題がかなりあるわけでございまして、これで物事がすべて決まっているというわけではございません。 特に御指摘になりましたところの株式のブローカー業務等に関する問題でございますけれども、一般的に申しまして、こういった相互参入が行われる場合におきましては、市場の安定性、市場の混乱といったことを防止する、そういった観点からいいますと、その参入の分野なりテンポといったものは漸進的あるいは段階的に行われる必要があるんではないかといったことが大きな議論になっておりました。その中で、なかんずく株式のブローカー業務につきましては、中小証券の経営、営業の主力であるといった問題でございますとか、あるいは銀行がこういったことを従来やってこなかったという歴史的経緯、こういったことを踏まえて特に慎重に対応すべきであるといった意見が出されたことは事実でございます。 ただ、こういった問題につきましては、今後、近日、基本問題研究会において十分な議論が行われる予定でございますので、その報告が正式に提出されるまでの間はこの程度の答弁で御勘弁いただきたいというふうに考えているわけでございます。
○和田教美君 何か回りくどい答弁でございましたけれども、まあ各報道がこれだけ一致しておるというふうなことから見て、今私が言ったような二点、つまり子会社方式、それから今局長も答弁されました、つまり当面は株式ブローカー業務は銀行の子会社の証券には扱わせないというようなことはもう決まっているというふうに私は思うんです。 その前提のもとにもう一つお聞きしたいんですけれども、銀行、証券の相互参入については都市銀行などが積極的でございます。ところがその反面、証券業界では、特に中小証券が今お話のあったように自由化という名の弱者切り捨てだというふうな反発をしているというふうな報道がございます。また信託銀行も、私の承知しているところでは、各業態が一挙に信託業務に参入してくれば草刈り場になると危機感を持っておるということでございます。 そこで、中小証券会社に銀行あるいは信託子会社の設立を仮に認めるといたしましても実際にそれをつくるような力があるのかどうか、また、地方銀行も子会社を設けてまで証券に参入する余力があるのかどうか、こういう点についてもいろいろ疑問視する声も出ておるわけでございます。また一方、株式を扱えない銀行の証券子会社というものがどこまで続くのか、国際的に問題がないのかというふうなことも問題になっております。それで結局、銀行、証券業の双方とも子会社をつくってまで参入するのは都市銀行だとかあるいは大証券、こういうものに限られるというふうな事態になれば結果的に金融の寡占化が進行するということにならないのかどうか。 これらの問題点についてはダイレクトにお答えにくいかもしれませんけれども、見解をお聞きしたいと思います。
○政府委員(角谷正彦君) これは私どものみならず金融機関の各業態間にわたる問題でございますので、まず私の方から証券取引審議会における議論についてお話し申し上げたいと思うわけでございます。 委員御指摘のように、この問題につきましては、いろんな業態、都市銀行、長信銀行、生保、信託、あるいは証券会社、証券会社の中でも大きな証券会社、中くらいの証券会社、小さな証券会社、いろいろあるわけでございますが、それぞれの立場からいろいろな議論が行われました。そういう意味では、確かにそういった問題につきまして部会全体が何か特定の方向で結論を得ているという状況にはないわけでございまして、御指摘の問題を含めましてかなりの程度今後の検討にゆだねられている分野が多いことは事実でございます。 したがいまして、今回の私どもの出します中間報告は、現時点におきますところのそういったいろんな議論というものを整理いたしまして、おおよその方向づけをするといった程度のものになるんではないか。今御指摘のようないろんな問題につきましては、今後、先ほど申しましたように、どういう方策をとれば参入に伴う弊害を十分に防止することが可能になるかとか、あるいは参入に伴いますところのいろいろな市場の混乱といったものをどうやって防止できるかといった観点等も含めまして、それぞれの金融各業態間の実情といったものも十分その段階においては考える必要があるわけでございまして、さらになお検討しなければならない課題であるというふうに認識しているわけでございます。
○和田教美君 私の時間なくなりましたから最後の一問ですけれども、この相互乗り入れ、相互参入の問題については大体いつごろまでに結論がつくのか、それが一つと、それから、仮にそういう乗り入れ方式をとった場合に外国からの銀行とか証券とかそういうものがかなり入ってくるのかどうか、その辺の見通しはどうでしょうか、その点をお聞きしたいと思います、
○政府委員(角谷正彦君) この点につきましては、私どもの証券取引審議会のみならず、金融制度調査会におきましても既に昨年五月に「新しい金融制度について」といった中間報告を出されておりまして、そういった意味でこれらについてもさらにいろいろ具体的な検討が継続されているという状況がございます。 証券取引審議会におきましても、先ほど申しましたように、かなり今後検討すべき課題が多いといったことから、さらに十分な議論を続けていく必要があるというふうに考えているわけでございまして、私どもは大蔵省全体としましてこの審議結果を踏まえて全体的な立場から適切に対応していく必要があると思いますけれども、スケジュール等につきまして現時点で確たることを申し上げることはなかなか困難であるという事情は御理解いただきたいというふうに思います。 それからもう一つ、外国の銀行あるいは証券会社の参入の問題でございますけれども、外国の銀行、証券会社の国内の証券業への参入といった問題について申し上げますと、外国銀行につきましては、その出資率が五〇%以下の海外証券現法の支店という形で、既に日本におきまして外国銀行系のものが二十九社証券現法を設立いたしております。そのほかに当然のことながら証券会社系のものが二十四社ございまして、合わせて既に外国の銀行あるいは証券会社系の証券現法が五十三社設立されておるわけでございます。また、外国の証券会社につきましても、米国系の証券会社が同様に海外銀行の現法の支店という形での我が国における銀行業務への参入を希望しているわけでございまして、これにつきましても現在銀行局において前向きに検討されているというふうに聞いているわけでございます。 そういう意味で、現在外国銀行、外国証券につきましては、現行制度の枠内で既にかなりの証券業務を行っているという実情にあるわけでございます。
○近藤忠孝君 TOBの改正理由でありますけれども、「証券市場の国際化の進展等に伴い、諸外国の制度との調和を図る等の観点から」ということであります。要するに、外国で行われていることが日本で行われていないから日本の企業はどんどん海外で買いまくっているじゃないかということがその理由でありますが、果たしてそれでいいのかどうか。企業買収戦争そのものについて私はもっと根本的に深く考える必要があるんじゃないか、こういう立場から質問をいたします。 まず、アメリカでの例えばLBOあるいはジャンクボンドの実態について、先ほど来答弁があったとおり、大臣も局長もこれは十分御承知だと思うんですね。大変不健全なやり方が横行していると思います。買収した企業を解体して売り払うための目的だけで買収するというこういったことは日常茶飯事だというんですが、大臣にお聞きしたいことは、このようなTOBやLBOなどの買収戦争がその国の経済にとって有益とお考えでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私はこれは、有益と見るか有益と見ないか、その見方一つであろうと思います。そういう企業買収活動が盛んに行われていることをもって非常に活発な経済の体制であるという言い方をしようと思えば、それもできるでありましょう。ただ、私は余り好きじゃありません。そして同時に、先ほど委員は述べられた中で日本の企業の海外における企業買収に触れられましたけれども、日本の企業が海外においてこうした行動を行っております場合に、敵対的買収によってその目的を達したということはない、その意味では国内における日本企業の風土というものがそのまま国際社会においても持ち出されている、私はそんな感じで見ております。
○近藤忠孝君 大臣は好きでないとおっしゃったけれども、私も、好きでない以上に大変不健全な、資本主義社会そのものが大変不健全に進んでいるんじゃないか、こういうぐあいに思うんです……
○国務大臣(橋本龍太郎君) そんなことないですよ。共産主義社会よりいいですよ。
○近藤忠孝君 いやいや、日本共産党は、ちょっと横へ行っちゃいますけれども、資本主義社会で活動する以上は、資本主義社会でも民主主義を進むんですよ。だから、橋本さんは頭がいいけれども、そこまで理解しないと総理大臣はちょっと遠いんじゃないか。これは余談でありますが、申し上げておきます。 それで、不健全の理由は、単なる株式交換から借入金のてこの利用へと戦術が変わることで、合併、買収がアメリカ経済全体に及ぼす影響が一段と大きくなっている、金融的操作と投機がアメリカ経済全体を覆うようになっている、こういう指摘がされております。買収した企業も買収された企業も借金づけになって、労働者の大量解雇というこういう事態も発生しておるわけです。 ですから、先ほど局長からも答弁がありましたけれども、アメリカでもこういう問題に気がつきまして、こうした敵対的な企業買収戦争に対しては一定の規制をしていこうということで、先ほど税法上のチェックの話がありましたけれども、例えばアメリカの上院、下院ではLBOのチェック、TOB乱用のチェック、こういった法案が相次いで提出されておりますね。それから州レベルでも随分たくさんありますが、省略いたします。イギリスでも同様の動きがある。カナダ、オーストラリア、フランスでも同様。となりますと、諸外国ではこういうTOBなどの弊害に気がついて、これにむしろ規制を加えていこうという、これが今の現状です。 こういうときに、逆に我が国で規制を緩和しようというのは、これはどういうわけでしょうか。
○政府委員(角谷正彦君) 確かに企業買収の手段としてのTOBということ自身は、企業買収自身が産業構造を再編成していくとか、あるいは企業がリストラクチャリングしていくとか、あるいは新規事業に進出するための一つの手段として、これは使い方によっては非常に有用な手段であろうというふうに思います。 ただ、御指摘のように一部アメリカで行われているような形で、例えばLBOというふうな手段を使いまして買収される企業を担保としてジャンクボンド、いわゆるくず債券と言っておりますけれども、そういったものを発行するということがまた市場面等においていろんな影響を及ぼし、あるいはいわば企業転がし的な風潮を助長している、こういった弊害もあることは事実でございます。 ただ、今回御提案申し上げておりますところの公開買い付け制度といったものは、公開会社である以上は株式の売買は本来自由なわけでございますけれども、そういったことについて一定のルールを課すことによりまして、つまり具体的に言いますと、届け出書を提出させ取引状況をはっきりとディスクローズさせるといったことによりまして株主の平等待遇の保障を図る、そういった投資家保護のためのルールをつくろうといったことでございます。 そういった意味で、私どもこの法律をつくるということは、別に企業買収を促進させようとかあるいはこれを禁止しよう、抑制しようとか、そういったことではなくて、むしろ企業買収の手段というものがあり得る、そしてTOBという手段を使う場合におきましてはこういったきちんとしたルールを図ることによりまして株主の平等待遇の確保あるいは投資家の保護を図っていこう、こういうものであるということを御理解いただきたいというふうに思うわけでございます。
○近藤忠孝君 私は、規制を緩和することが世界で起きていることに逆行するんじゃないかということを聞いておるんです。 特に私が問題意識を持っておりますのはアメリカで起きている事態、これは経営者が会社を食い物にする。例えば、元来経営者は会社のために働いているはずですが、そうじゃなくて、会社を乗っ取り、あるいは会社を切り売りし、あるいは会社を乗っ取られた側の者は逆にそれで巨額の年金を手に入れるなど会社から金をせしめる、これが横行しているわけですね。要するに株式会社の原理が逆立ちしたような現象が起きている。私は決して資本主義者じゃないけれども、逆の立場だけれども、これは民主主義の立場から放置できないと思うんです。 それからもう一つ、上場会社を乗っ取った後、非公開にする。要するに閉鎖的な私的会社にしちゃうなど、これは株式会社に死刑の宣告をするようなものです。こういう事態というものは、株式会社というシステムが時代に適合しなくなったということじゃないか。奥村さんが書いた「企業買収」という本によりますと、「株式会社が「死に至る病」に取りつかれた」という指摘がされておりますが、これについてどうお考えでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、東ヨーロッパ並びにソ連が志向している方向を考えますとき、どうも委員の御指摘とは方向は異なっておるように思います。
○近藤忠孝君 関係ないじゃないの。
○国務大臣(橋本龍太郎君) いや、関係ないことないです。 市場経済というものを考え、その中における株式会社の存在というものをお考えいただきますときに、私は株式会社というものが悪いと考えておりませんし、そして今御審議をいただいておりますこの法律案が目指すものは委員が述べられたのとは方向は違っておる、そう思います。
○近藤忠孝君 私は株式会社が悪いとは申しておりません。資本主義社会においては当然存在するもの、その株式会社が死に至る病に取りつかれているんじゃないかと逆に心配しているんです。 問題は、日本の場合、先ほど来議論のとおり、TOBの制度はありますが、実際余り行われていなかった。その理由というのは、株式の相互持ち合いあるいは第三者割り当て制度が行われているからであります。 そこで公取にお聞きしますけれども、こういう第三者割り当てと株式の相互持ち合い、これが元来禁止されている持ち株会社と同じ役割を果たしているんじゃないか。こういうことを通じて六大企業集団は日本経済をも支配する大きな力を持っている。公取の調査では、日本経済における総資産の二六・九五%、売上高の二五・二%を占めています、この六大企業集団の我が国経済に占めるウエートは依然として大きい、その影響力は引き続き無視できないという指摘がされておるわけです。この調査の中で、これを報告した公取の職員の文章でありますけれども、「企業集団の実態の把握に努めるとともに、その機能や役割について検討していく必要がある」としておりますが、どのように対処しようとしているのか、簡単に。
○説明員(伊東章二君) 公正取引委員会といたしましては、独占禁止法が事業支配力の過度の集中の防止をその目的の一つとしているということもございまして、従来から六大企業集団についてその実態を調査しているところでございます。 調査は、企業集団メンバー企業の結びつきの状況を中心に行ってきておるわけでございますが、株式所有等を通じました企業集団の結びつきは最近やや弱まっていると見られるわけでございまして、これは昭和五十二年の改正によりまして銀行等の持ち株制限が強化されたこと、あるいは大規模会社の株式保有総額の制限が新たに導入されたこと等によるものと考えているわけでございます。 しかしながら、御指摘のとおり、六大企業集団の我が国経済に占めるウエートは依然として大きく、またそれぞれの業種におきましていずれも有力な企業がメンバーとなっておるということから、公正取引委員会といたしましては、今後とも企業集団の実態の把握に努めるとともに、競争政策の観点からその機能や役割について検討していく必要があると考えているところでございます。
○近藤忠孝君 六月七日の日経新聞に「配当性向、一段と低下」と出ています。要するに、これは安定株主工作の結果として株式所有の法人化が進んで、企業系列化の進行と相まって経営者の権力が強まって、株主軽視が横行している。その結果、このように大変低い配当政策等、よく言われているとおり経営者あって一般株主なしという事態が発生しているわけであります。そういう経営者支配がまた一方で、下請企業に対する締めつけ、労働者に対する低賃金、長時間労働にあらわれている。その結果、大企業には膨大な内部留保が蓄積されて、それが問題になっている土地、株などジャパンマネーの巨大な流れをつくっているもとになっていると思うんです。これをそのまま放置していいのかどうか、これが一つです。 それからもう一つの観点は、株式所有の法人化が進んで個人株主がどんどん少なくなっている。先ほど局長は個人株主育成に努めたいと言っているけれども、今度TOBが日本に入ってさらに進みますと、その防衛対策上、もう本能的に株の持ち合い、第三者割り当て、これはもっともっと進みますよ。ということは、株所有の法人化が進むということです。株所有の法人化が進むということは、個人株主が少なくなってくる。ということは、一般株主の権利はますますなくなってくる。結局、株式会社の本質というのは、最終的な株の所有者は個人、自然人、それが究極ずっといってもいずれも結局は法人となりますと、これは我が日本においても、先ほど私はアメリカの事態を株式会社の死に取りつかれた病気と言いましたけれども、日本においても別な意味の株式制度そのものを根底から否定するような事態が進行するんじゃないか。これは私の立場から見てもゆゆしき事態である、こう思うんです。 その二点について、もう時間も余りありませんから端的にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 後で局長から補足をしてもらいますけれども、私は、配当をある程度抑えながら企業の内部留保を高めていく、それは結果としてそれぞれの株式の持つ価値を高めていくわけでありますから、それが必ずしも責められれことだとは思いません。むしろ、一時的な経営者の人気取りのような高配当を行うより、企業経営としては健全だと思います。 あとは事務方から補足してもらいます。
○政府委員(角谷正彦君) 今大臣からお答えいただいたわけでございますが、確かに最近におきますところの日本の配当性向というのは、御指摘のように三割をやや割っている水準になっております。これは一つは、企業が非常に最近収益が好調であり、増配はしておるものの、相対的に配当性向としては非常に低くなっている。 それに対しまして、アメリカ等におきましては配当性向が大体五割ぐらいの水準にあるといったことは事実でございます。このことにつきましては、今大臣からお答え申しましたように、アメリカなんかの場合におきましては、株主に対する配当という形での還元といったことを株主自身がかなり要求するという形で企業経営が行われている。先ほど御指摘ありましたように企業のゴールイングプライベート、非公開化が行われているということは、そういった株主のいろいろな要求によりまして四半期別の財務報告を求められるとか、短期的な利益によって非常に経営が左右されやすいという傾向があるために、そういった過度の干渉を防ぐためにゴールイングプライベートということで、株式会社を非公開化するというふうな動きにもつながってきている。背景に一つそういうことがあるわけでございます。 日本の場合におきましては、むしろ、ある程度配当性向は抑えつつも会社に内部留保することによってそれを将来の再投資に向けていく、設備投資に振り向けていくといった企業経営の実態がありまして、それがある意味では長期的な経営方針を支えるというメリットもあるわけでございます。そういった意味で一概にどちらがよくてどちらが悪いということは言えないわけでございます。 ただ、そうは言いましても、私どもといたしましては、株式の立場からいいますと、個人株主ができるだけ参加できるような厚みのある市場を形成していくことがやはり重要な課題であるという認識をしているわけでございまして、そういった意味から私どもといたしましては、配当につきましても本来は個々に企業の判断にゆだねられるべき話でございますけれども、発行体が増資等を行う場合には一定の配当性向を公約してもらうといったふうなことをやりまして、利益配分についても一定ルールのもとに株主還元を図っていくといったことを促進するなどによりまして、個人株主につきましても参加が容易になるようなそういった市場づくりを目指している、こういったことでございます。
○近藤忠孝君 時間が来たので、終わります。
○古川太三郎君 この法律はとにかく公正な取引を促進するという意味でのルールづくりだと思うんですけれども、それだけに大蔵省に届け出るというだけのことで本当にそれが実効が上がるのかどうかという懸念を大きく持っているわけなんです。そういう意味から、先ほどからも聞かれておりますけれども、アメリカのSECなんかと比べまして、調査のスタッフ並びに権限、そして罰則、それから一般の株主からの損害賠償の請求とかということの難易度、こういったものの比較を御説明いただきたい、こう思うんです。
○政府委員(角谷正彦君) ちょっと今資料がございませんので、概略を説明したいと思います。 アメリカの証券取引委員会、いわゆるSECと日本の証券局でございますが、やっている仕事につきましては、発行市場におけるディスクロージャーの問題あるいは株価監視、あるいは証券会社等の監督等、その内容において大体対象として取り上げている範囲には余り差がございません。 ただ、SECにつきましては、これは一種の行政委員会でございまして、準司法的な権能を持っているという意味では、確かに行政官庁である我が国の証券局よりはやや権限が広いといいますか、どちらかといえば、日本の公取委員会に近いような組織でございます。それに対しまして、私どもの証券局は純行政官庁でございまして、司法捜査権につきましては、警察でございますとか検察庁でございますとか、そういった捜査当局に依存している、こういうことでございます。 そこで、定員でございますけれども、SECは現在、一九九〇年の予算では二千四百五十一名ということになっております。それから大蔵省の証券局は、昨年の平成元年の予算におきましては本省と財務局を含めまして大体四百六十七名ということになっております。なお、平成二年の予算におきましては、本省あるいは財務局それぞれ十名ぐらいずつ増員していただいているということでございますので、これより二十名程度ふえるんではないかというふうに考えているわけでございます。そのうち不正取引の監視を行う職員でございますが、SECは同じ九〇年の時点で七百八十一名でございますが、大蔵省におきましては平成元年の段階におきまして百六十九名でございます。これにつきましても本年増員を図っているわけでございます。 他方、証券会社の数でございますが、日本においては免許制をとっておりますので、外国証券会社を含めまして全部で二百七十三社でございます。それに対しましてアメリカにおきましては、登録制ということで原則開業自由という考え方をとっておりますので、全体といたしまして登録業者の数は一九八八年現在で約一万二千ということでございまして、そういった意味ではかなりアメリカの方が証券会社の数が多いといった状況にございます。
○古川太三郎君 時間がないので私の方から意見を申し上げますけれども、先ほど大臣が、金融行政と別の検査体制をつくるのはいかがなものかというような考え方を申されましたけれども、やはり私はこれは大きな間違いだと思うんです。 まず、こういうものでフェアな取引が行われるということを担保するのには、別の機関が受け持つのが常識だろうと思うんです。産業界で公正な取引を行うのは独禁法でされております。その独禁法すら、大蔵省とか通産省の方々が集まって、本当にそれが検査権能を持つか。そういうことについて余り得意でない方が集まっておやりになっている。しかも、こういったことでの摘発が少ない。摘発しても、それはうやむやに終わってしまう。新聞で出るのがせいぜいなんで、犯罪までいくというのは非常に少なかった。こういったことがアメリカから私は注文をもらっているもとだと思うんですけれども、これはやっぱりアメリカから言われるとかいうんじゃなくて、日本の経済犯罪の倫理観の問題だと、私はこう思うわけなんです。 行政庁がこれを監督されるということであれば、いつまでたっても、大蔵省なら金融業者を保護されるし、通産省なら普通の生産業者を保護されるというような体制である以上は、同じようなところでチェックするのではこれはなし得ないだろうというのが、これが今までの事実だったと思うんです。こういったことだから日本は特殊体質だと言われるのであって、日本もやはりもう一度考え直して、このような法律をせっかくつくったならば、これに罰則がある以上はそれに違反すれば犯罪なんですから、犯罪ということであれば、これは第三者的な機関がしっかりとそれを担保していくというような方向づけをしない限り、本当に日本は特殊だと言われるだろうと思います。アメリカから言われたから少々こういう形をつくればそれでいいんだろうというような安易な考えでおられると、これは非常に間違ったものになっていくのではないか、こう思うわけです。 確かに、今までは日本は経済大国でもなかった。しかし、十年ぐらい前から大変な発展をした。それだけに世界からも注目されている。また今、東側というのが自由経済圏に入ってきた。それだけに自由経済圏そのものがもう東側に対する目的がなくなってきているわけですから、同じような土俵、同じような倫理観を持たない者とは取引するのは嫌だというような考え方をされた場合にまた慌てふためいて独禁法を強化するとか、あるいは罰則を強化するとか、あるいはスタッフを充実するとかいうようなことをやるというのは非常にみっともないことなんですね。私は日本自身の、日本の国民の選択でひとつ立派な法律につくっていってほしいという意味から申し上げるので、これは単なる金融行政だけの問題ではないというように申し上げたいと思うんですが、大蔵大臣の御意見はいかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほども申し上げましたように、私は、将来にわたって現在のままがいいと申し上げておるわけではありません。ただ、現実に広い意味での金融行政の中の大きな柱の一つである証券行政というものを完全に切り離して準司法機関の手にゆだねた場合に、果たしてそれがうまく機能するかどうかということは私は本当に不安を持っております。 と同時に、先ほど局長が御答弁申し上げましたように、我が国の場合、許可制をとっている中で証券業者の数は百をもって数えられる範囲でありますが、アメリカは万を超える証券業というものが存在しているわけであります。当然その取り締まりの体系、チェックの仕方、機構の大小というものに変化があるでありましょう。そして、私はそれよりも、インサイダー取引であれ親引け禁止であれ、また今回の五%ルールであれ、これらがきちんと維持されるようにむしろこれから努力をしていくことの中で将来を考えていくべきである、私はそう思います。 と同時に、もう一つの問題は、先ほど稲村委員に私はたまたま麻薬、覚せい剤取締法の例を申し上げたわけでありますが、実際に刑事罰を定めておりましても、それが司法の場において非常に軽い量刑しか認定されない、かつての覚せい剤犯罪というものにはまさにその辺が問題だったわけであります。そうしますと、法律がきちんと維持されその刑事罰が十分に機能するように司法の場で行使をしていただける状態にしていくことの方が、実効の上がりづらい量刑の上限を引き上げることよりもむしろ先行すべきではなかろうか、率直に私はそんな感じを持っております。 〔委員長退席、理事梶原清君着席〕 しかし、今委員が御指摘になりました御意見というものは、先刻来の各委員の御意見とあわせて、私どもがこの法律を運営していきます上で将来特に心がけなければならないポイントを御指示いただいている、私はそう理解をいたします。
○古川太三郎君 今大臣がおっしゃいましたけれども、司法の場で実効の上がる運営というようなことですが、しかし、こういう特殊な経済犯罪で最高の刑が三年以下だというような形になってきますと、詐欺をしても十年、それの三分の一にもならないんですね。先ほども例にありましたように、百万ほどの詐欺をしても、あるいは何億の詐欺をしても、これは一人がする場合ならば、普通の昔の形での詐欺ならば、十年もやられる。しかし、今の近代的な会社ぐるみの本当にだれが被害者だかわからないような形で非常に多くもうけるというような場合には、これは三年以下なんです。ということは、司法の場でそれを重くしろというのはこれは司法に立法をさすのと同じことなんで、本来ならばこういう犯罪は二十年だっていいわけなんです。それぐらいの感覚を経済人が持たない限りいけないと言うんですよ。 そういうような感覚を持つことによってこそ、日本の経済人が世界に堂々と伍していける経済人になれるんじゃないか。三年以下とかそういうようなみみっちい犯罪にせずに、むしろ二十年ぐらいにして、本当にこういった違反者はもう二度と経済活動ができないような形にしてほしいという意味で申し上げている次第でございます。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど法務当局から、今回の法律における刑事罰の上限設定というものにつきましての考え方が説明をされました。 個人的な気持ちから申しますならば、稲村委員、また委員が今御指摘になりましたような感じを私も決して持たないわけではありません。ただ、我が国の法制度の中における刑事罰のいわば判断と申しますものが現に存在いたします限りにおいて、私どもとしてその壁を逸脱するわけにはまいりません。しかし、私どもとして心してまいります。
○三治重信君 まず、今回の証券取引法の一部を改正する法律案は、証券取引審議会の答申、報告というんですか、に基づいて改正案が出されたということでございますが、中身は非常に現代的な問題を解決する案として私たちは賛成をいたします。 〔理事梶原清君退席、委員長着席〕 ただ問題は、株式の開示制度の問題にしても、公開買い付け制度の問題にしても、日本と先進国との慣習というんですか、慣行が非常に違っているんじゃないかというふうな感じでおるわけですが、この改正で本当に欧米から、日本の金融、証券に対する制度的な改正は文句がなくこれでいくというふうに考えられるか。また日本について制度的にはやられても、実際にこの両方、株券の開示制度はこれは一つの制度ですから文句ないわけですが、TOBの問題については日本の実際の株の、何というんですか、系列的な株の保有、安定株主制度というもので問題にならぬかどうか。問題というか、実際にそこに慣習がある限り、日本でTOBを、外国の企業が日本の株をやろうと思ってもできぬようになっているんじゃないかという問題は起きそうもないですか。
○政府委員(角谷正彦君) 先ほど御説明申しましたように、昭和四十六年に公開買い付け制度が導入されたわけでございますが、その後の利用は三件、しかも友好的なものだけにとどまっているといった状況にあるわけでございます。これは、確かに制度が諸外国に比べてやや制限的であったということもあるわけでございますが、むしろそれ以上に、御指摘のような我が国の社会風土におきまして、特に企業を大事にし従業員も企業を守りというふうな風土の中で、そういった敵対的買収が好まれないといったような状況が背景にあったというように考えているわけでございます。 ただ、今回のTOB制度の改正というものは、そもそもTOB制度を促進するとかあるいはこれを阻害するとかいうことではなくて、むしろ諸外国と制度的な調和を図りつつさらに投資家保護を徹底しよう、こういう趣旨でございます。そういった意味で、この制度改正を行うことは制度面での国際的調和に資するといった意味で、先般の日米構造協議におきましても中間報告の段階で、私どもそこで制度改正を行うということを宣明した段階で、アメリカ側からもこれを歓迎すると評価されたわけでございますけれども、そういった制度的な面での改正があったことに伴いまして直ちにそれじゃTOBが活発に行われるかということになると、必ずしもそういう事情にないかもしれないという感じはいたします。 しかしながら、最近におきましては、日本におきましても産業構造の転換がかなり促進しておりますし、企業のリストラクチャリングでございますとか、あるいは新規事業に対する進出といった場合におきまして、TOB以外の、例えばM&A、企業の買収とか合併とか提携とか、そういったものがどんどん進んでいるわけでございます。その中で、このTOB制度といったものが、将来におきましては我が国において有用な企業買収の手段として活用されることはあるであろうというふうに思います。
○三治重信君 TOB制度は明るい制度だから、この制度そのものは日本の国内でも問題ではないだろうと思うんですが、ただ問題は、TOBをやって、アメリカのように買収する相手の企業を信用の根拠にして金融をやるとか、買収したものをすぐ分割して販売するとかいうような企業そのものの破壊活動につながるような、もうけるためには企業そのものの社会的機能を無視したやり方とか、そういう問題について、先ほどの同僚議員の質問でも、アメリカでも一定の規制を考えている節もあるというようなことですが、そういう問題が今後起きないかどうかということをしっかりひとつ検討してもらいたいと思うんですよね。TOB制度そのものはいいけれども、これが反企業的な活動に使われるというのは、大臣もおっしゃったように、余り好ましいものとは考えないということだと思うんです。 それから、今もちょっと言ったんですが、これをやっていく上において、この日本企業の余りにも過剰的な株の持ち合い制度と安定株主制度というものを制限する必要は全然ないんですか。
○政府委員(角谷正彦君) 最初の御質問でございますが、TOB制度そのものについては確かに先ほど申し上げた意味もあるわけでございますが、これがアメリカの一部に見られますように非常に行き過ぎているという問題があれば、それはその段階におきましてやはり私ども何らかのことを考えざるを得ないことがあるかもしれません。ただ、現状におきましては、先ほど申しましたように我が国におきましてはまだ三件しかございませんし、ジャンクボンドのようなものも我が国においては現在発行されるような形のものとなっておらないといったふうなことでございますので、現時点におきまして、このTOBあるいはLBOといった問題について、何らかの対応を考えなきゃならない状況にあるということではないんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。 それから株式持ち合いの点でございますけれども、この点につきましては、例えばアメリカなんかにおきましては、企業買収に対抗する手段としまして、自社株取得を認めるとかあるいは複数議決権を認めるとか、いろんな制度的な手段が商法その他において認められているわけでございます。日本においては、そういったことが現在商法上認められていないといったことから、とかく株主安定工作といったことによりまして企業防衛を図ろうとする傾向があることは、それは間違いのない事実でございます。そういったことから企業買収をまた困難にしているといった状況が現実問題としてあるということは推察できるわけでございます。 しかしながら、株式持ち合いそのものが果たしていけないということになるのかどうか。例えばどういう面から株式持ち合いについて問題にするかといったことについて考えますと、少なくとも証券取引法の世界におきましては、株式自身の売買は原則として自由でございますし、だれがどのような形で株を持つかということにつきましては、現在証券取引法の保護貿易でございますところの市場における株式の安定的な流通あるいは発行市場の円滑な機能といったものからいいますと、これを証取法で規制するということは、証取法の目的とする保護貿易との関係でその規制になじまないんではないかというふうに思われるわけでございます。これは現にアメリカでもそうでございまして、証取法等におきましてそのような規制が行われているということはないわけでございます。 そういった意味で、仮に問題が起こるとしますと、例えば独禁法その他の問題におきまして排他的な企業慣行その他を調整する場合におきましてはそういった規制があり得ると思いますが、これについては独禁法上所要の規制が課せられておるといったことがございまして、株式持ち合いそのものを証券の世界において規制するということはなかなか難しい状況にある。したがって、証券取引の目的とする立法趣旨からいってもこれはなじまないんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
○三治重信君 こういうふうな株式の取引の自由化というんですか、の発展とともに、証券の急激な業務の発達によって、先ほども質問があったように金融業の再編成が行われようとしておるわけなんです。先ほどの御報告では審議中で結論の方向もまだ定かでないというふうなことでございますが、全体的に見て、そういう金融関係の銀行業務、証券業務、保険業務が相互に入り乱れるようなやり方というものがなぜ必要性を持って論ぜられてくるのか、またアメリカやヨーロッパでそういう問題がいつごろから現実に行われておって、制度的にもそういうことが完全に行われているのかどうか。 私はどうも金融関係というのは非常にがんじがらめな、金融関係でも、銀行は銀行、証券は証券、銀行のうちでも普通の預金を扱う都市銀は都市銀行とか、いろいろ業態を全部区別して統制をとってきたのが、それが急に相互入り乱れてやっていいというふうなことにどんどん話が進むと、それぞれの立場に立った企業の経営者にとってみれば、見通しを早くつけぬことには自分の経営の将来についての不安が来るんだろうと思うんです。そういう問題について、外国の進み方に日本も追随してやっていかなくちゃならぬ問題かどうか、どの程度の問題なんでしょうか。
○政府委員(角谷正彦君) 先ほど証券取引審議会の基本問題研究会についての状況をお話を申し上げましたが、そこでも申し上げましたように、御指摘のような銀行あるいは証券の相互の業務の参入問題といった問題の検討が行われているわけでございます。 こういった議論が行われる一つの背景でございますけれども、これは金融の証券化というふうなことなど、最近におきましては金融関係が非常に急速に変わってきておることに伴いまして、例えば銀行は、貸付金を企業に対して持っているような場合に、従来は満期まで保有しているというふうな状況でございましたが、途中で貸付債権を証券化してこれを流動化するといったいわゆる銀行業務のアンバンドリングと言われている現象も起こってきております。 それから、経済的機能から見ますと、例えばCPのように社債と全く類似したような金融のいろんな証券化関連商品というものができておりますし、不動産その他についても証券化という手法ができており、これら自身が株式、社債と極めて類似した商品が出てきているといった実態にございますし、それから、従来、外為業務につきましては銀行の機能の中核というふうに見られたわけでございますが、証券会社が行います資本取引につきましても外為業務が極めて重要になってきている、あるいは証券化の手法といたしまして信託といった機能を活用するといったような現象が出てきている。 そういうことによりまして、お互いの業務というのが相互に隣接といいますか、入り組んできている分野がかなり出てきていることは事実でございます。こういった中で銀行と証券が他方の業務に属する業務を相互に行うということは新しい商品開発を促進するとか、あるいは両市場間における競争を促進していくとか、あるいは国際的な調和といった面で意義があるんじゃないかというふうな点から、この議論が行われているわけでございます。 そこで、諸外国の例がどうなっているかといったことでございますけれども、既にヨーロッパ等におきましては、銀行と証券を同一組織で銀行が行うところのユニバーサルバンキング制度をとっておりますので、こういったことについての制度的な制約はございません。イギリスのように事実上分離しているところはかなりあるわけでございますが、制度的にはそれは相互に行えるような形になっているということでございます。アメリカにおきましては、日本の証券取引法自身がアメリカの証券法を倣ってつくられたという経緯もあるわけでございまして、グラス・スティーガル法といったふうな形で証券と銀行を分離する制度をとっております。日本の証券取引法六十五条というのは、まさにそれを受け継いだ形で戦後制定されたわけでございます。 そこで、どうしてそういうことになったかといいますと、銀行と証券を兼営するということに伴いまして、一九二九年の大不況のときの実例等をアメリカ等で調査した結果立法が行われたわけでございますけれども、例えば銀行と証券の両業務を兼営することに伴いまして一種の利益相反行為が起こるんではないかとか、あるいは銀行と証券、例えば銀行は、預金保険に守られて一つの公的な信用を裏づけされたという面におきまして、証券会社に比べましてやや優位な地位に立つといった意味での競争条件の不均衡が起こるんではないかという問題、あるいは証券業務を行うことによってリスクが増加した場合におきましては、大衆の預金を集めているところの銀行の健全性といった問題を阻害するんじゃないか、こういったふうな観点からいわゆる銀行、証券の分離制度というものがアメリカでとられまして、それを日本が導入したわけでございます。 今回そういった相互参入問題といったことを議論するに当たりましても、現在の証券取引法六十五条のもとで従来回避されてきましたこのような弊害が顕在化することによりまして資本市場が不安定になることがあっては困るといった観点から、先ほど申しましたように基本問題研究会におきましては、どのような方策をとれば参入に伴う弊害の発生が予防できるかどうか、有効に防止することができるかどうか、あるいはどのような方策をとれば参入に伴う市場の混乱が防止できるかどうか、そういった点を幅広くいろいろ議論をしている、そこがまさに議論のポイントになっているということでございます。
○下村泰君 私は株券というのを手にしたことが一度もありませんし、金融の専門家でもありません。この法案について大蔵省の方に御説明を受けただけで、まあこれでよろしかろう。何かほかに疑問点があるのかなと思ってここへ来ても、皆もう先の方が全部お尋ねになっちゃった。聞くことは何もなくなりました。したがいまして、私の守備範囲のことで伺いたいと思います。よろしくお願いします。 法務省の方は来ていらっしゃいますか。わざわざおいで願いましたが、すぐに終わりますから。 株券の表示といいますか、記載事項なんですが、視覚障害者の方々などへの配慮というのはどうなっているんでしょうかというのが一つと、今後何かそれに対する考えの余地がありますかどうか、この二つです。
○説明員(大谷禎男君) お答え申し上げます。 商法には、株券の記載事項について法定されております。その法定事項の主なものを申し上げますと、会社の商号とか会社が発行する株式の総数とか、あるいは株式の種類というような事柄を記載すべきものとされております。 御案内のように、商法は、会社をめぐります株主、債権者等の利害関係、これを公平に調整するということを目的とする法律でございますので、主として株主、債権者等の経済的な利害関係ということを念頭に置いて規定が設けられているわけでございます。したがいまして、委員御指摘のような視力に不自由なる方のための規定というものは、現在のところ設けられておりません。 また、商法の性格が今のようなものだといたしますと、委員の御指摘のような観点からの検討をするという場合には、また別の問題意識に基づく検討が必要ではないかというふうに考えております。
○下村泰君 将来に向かっては何か考えられるということですか。
○説明員(大谷禎男君) 突然の御指摘でございますからまだ確たることを申し上げることができませんが、商法という法律の範囲で考えるのは難しいのではないかと考えております。
○下村泰君 こうやって伺ってみますと、結局、国民全部いかなる人に対しても公平であるべきものが公平でないということが確実にあらわれてきたわけです。しかも、商法で取り扱えなければどうするかということになるわけであります。何のために法律というものがあるのか、あやしい感覚で私らは見なければならないということになります。 今度、報告書の情報開示が進むのは、これは大変いいことだと思いますけれども、目の不自由な方が公衆縦覧に行ったときにこれについても何か配慮がされているのかどうか。大臣は常々私の質問に対しても機会の公平ということをよくおっしゃいます。だれもが見れる読めるということでなければ、報告書の意味はないと思います。私たちにとりましても、点字文書というのはぶつぶつがあるけれども白紙に近い。ましてや視覚障害の方は、墨字ではもう白紙に近い。つまり、こんなものでは報告書を縦覧させる意味がないと思うんですけれども、何かお考えになりますか。
○政府委員(角谷正彦君) 証取法で提出を義務づけられております有価証券報報告など、ほかにも届け出書等いろいろございますけれども、開示書類というのは、この証取法に基づきまして、大蔵省と当該発行者の所在する財務局におきまして公衆縦覧させることにいたしておりますし、そのほか、それが上場会社の場合には証券取引所において、あるいは店頭登録会社の場合には証券業協会において、その写しを閲覧させるということになっているわけでございます。大蔵省本省で見ますと、年間約一万人を超える人が来られて閲覧されているわけでございます。 私どもは、必要なサービスといたしまして、例えば一部コピーしてほしいというような場合におきましては、これは有料でございますけれども、そういうサービスもさせていただいているわけでございます。それから、直接大蔵省や取引所に行かれることが非常に困難な方のためには、実は印刷局におきまして上場会社あるいは店頭登録会社ごとに別のそれぞれの有価証券報告書、(資料を示す)こういうものでございますけれども、これを市販しておりまして、千円ぐらいで売っておるわけでございます。そのほか、アナリストその他の方、経済的な専門分析機関がお使いになるということもございますので、そういった方に対しましては、開示内容をマイクロフィルム化いたしまして、これも(資料を示す)一部千円だそうでございますけれども、売っているということで、広くなるたけ一般の大衆の方が利用できるような体制をとっているというところでございます。
○下村泰君 次に私が聞こうと思ったことを既に局長は答えちゃった。つまり、車いすのような方々はどうするか、そういう方々に対する便宜をどうするのかということを次に伺おうと思ったんです。聞かないことまで答えてくれた。これは大変御丁寧で結構なことです。そのくらいのサービス精神があるならば、すべてのそういった方々に対しても何らかの心温まる方法があるのではないかと思いますので、よろしくひとつお願いをいたします。 これ、けさの新聞を拝見しますと、大蔵大臣が出生率、子供が産まれるのが少ないことに関して何かちょこっとおっしゃったことが取り上げられて、間違えられて、何か誤解されて大変頭にきているそうですけれども、別にその件ではないんですが、うっかり何か物を言うとひどい目に遭うということがよくわかるわけですけれども……。 これは、女性の方が聞いたらあるいは怒るかもわかりませんけれども、つまり経済というのは父親の性格、父性があります。福祉というのはどちらかというと母親の性格、母性というのがある。ところが最近どちらかというと、現代では経済にも母性が必要ですし、福祉にも父性が必要だと思います。障害を持った方々とともにいろんなことをやってきました私のような者がこの委員会にいることは、本当に場違いなんですね。社労委員会にいるといいんですけれども。ここにいるとさっぱり手足が出ない、亀の子だわしみたいな気持ちですけれども、今申し上げました意味での母性を備えた大蔵大臣と同席できたことは大変幸せ。 いや、別に照れなくてもいいですよ。この間の予算委員会でも大臣の御返事は大変よかった。障害を持った方々の間では、あのテレビを視聴していた方々は喜んでいらっしゃいます。私は持ち上げるときはちゃんと持ち上げますから。 ただ、私がこの委員会に入ったことによりまして、大蔵省は少しは変わってくれたなと思います。別に厚生省のちょうちん持ちでここへ来ているわけではありませんけれども、皆さん方が少しでもそういうふうに変わった感覚を持っていただければこれにこしたことはないと思います。これからもそういう視点でいろいろと質問させていただきますからよろしくお願いしますと申し上げたいんですが、今申し上げたことに関して一言大蔵大臣からお言葉をいただいて、時間は余っておりますが終わりにしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) どうお答えすればいいですか。
○下村泰君 これからも障害者の面倒を見てください、大蔵省として。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員が述べられましたような視点を大蔵官僚が忘れないように、大蔵大臣をやめましてからもよく私も目を光らせるようにいたします。
○下村泰君 大臣、総理大臣になったらなおさらのことですよ。 終わります。
○委員長(藤井孝男君) 以上で質疑は終局したものと認めます。 —————————————
○委員長(藤井孝男君) この際、委員の異動について御報告いたします。 ただいま大河原太一郎君及び斎藤栄三郎君が委員を辞任され、その補欠として鹿熊安正君及び成瀬守重君が選任されました。 —————————————
○委員長(藤井孝男君) それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、証券取引法の一部改正案に対して反対の討論を行います。 まず、公開買い付け制度の改正についてであります。 今回の改正は公開買い付けを、事前届け出制の廃止などによって規制を緩和し、一層容易に行えるようにするものであります。しかし、欧米、特に八〇年代にアメリカで吹きすさんだTOBのあらしは何をもたらしたでしょうか。アメリカを代表するような超大企業が、食うか食われるかの買収戦争に血道を上げた結果、企業は借金づけとなり、生産性は低落し、労働者は大量に解雇され、アメリカ経済を深刻な危機に陥れているのであります。 これらの反省から、アメリカを初め欧米諸国においては、行き過ぎたTOBに対し規制を強化していこうという動きが出ています。こういうときに我が国がこれを緩和するという方向は世界の流れに逆行しているので反対であります。 我が国においては、諸外国では例がない株式の相互持ち合いや第三者割り当てを利用した安定株主工作などによって、これまで企業の乗っ取りは余り行われなかったことは事実であります。しかし、あり余る企業の余剰資金、企業のリストラクチャリング、海外進出と多国籍企業化、エクイティーファイナンス、機関株主の行動変化など、状況を大きく変える要因も多くあります。既にアメリカの企業買収戦争では、LBOへの融資やジャンクボンドの購入に関して、ジャパンマネーが大きな役割を果たしていることは周知の事実であります。 しかし、買い占めのおそれが多くなればなるほど、一層株式の相互持ち合いを強め、安定株主工作に走るのが日本の企業の実態であります。この悪循環を断つためには、この我が国特有の株式の相互保有にこそメスが入れられるべきであります。タコがお互いの足を食い合うがごとき株式の相互保有は極めて不合理な事態でありますが、こうした相互保有によって、六大企業集団を初め少数の大企業グループが日本経済を支配しているのであります。こうした大企業による支配体制に規制を加え、経済民主主義を実現することが今日我が国の当面する大きな課題となっているのであります。これを追及すると同時に、TOBの緩和ではなく、これらに対する監視の強化こそすべきであります。 なお、本法案のうち、株式の大量保有の開示制度の導入については、個々の点では不十分な点もありますが、これまで不明朗であった仕手筋などによる株の買い占めと、それを会社に高値で買い取らせる行為や、株価の急騰落の原因となる大量保有の状況を明るみに出し、もって一般株主の保護を図ろうとするものであり、賛成できるものであります。 しかし、前述の理由から本法案について全体としては反対であることを表明し、討論といたします。
○委員長(藤井孝男君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 証券取引法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(藤井孝男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 久保君から発言を求められておりますので、これを許します。久保君。
○久保亘君 私は、ただいま可決されました証券取引法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブ及び税金党平和の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 証券取引法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。 一 有価証券取引の現状にかんがみ、今後とも、企業内容等の開示、株券等の大量保有状況、取引実態等重要な情報の公開制度の充実に努めること。 一 有価証券に係る内部者取引等不正取引の規制に当たっては、行政当局、証券取引所等関係者において具体的な規制内容について周知、明確化させることを含め未然防止体制の整備に万全を期するとともに、市場監視・検査体制の充実に努めること。また、証券取引の国際化等今後の取引の状況を踏まえ、罰則をも含め規制のあり方等について、常に検討を行うこと。 右決議する。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(藤井孝男君) ただいま久保君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(藤井孝男君) 全会一致と認めます。よって、久保君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、橋本大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。橋本大蔵大臣。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
○委員長(藤井孝男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤井孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(藤井孝男君) 次に、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律附則第三項の別に法律で定める日を定める法律案を議題といたします。 まず、提出者衆議院大蔵委員長衛藤征士郎君から趣旨説明を聴取いたします。衛藤征士郎君。
○衆議院議員(衛藤征士郎君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び概要を御説明申し上げます。 御承知のように、いわゆる出資法に規定されている貸金業者等の現行の貸付上限金利を年四〇・〇〇四%の本則金利へ移行する時期については、同法の一部改正法附則の規定により「この法律の施行の日から起算して五年を経過した昭和六十三年十一月一日以降において、資金需給の状況その他の経済・金融情勢、貸金業者の業務の実態等を勘案して検討を加え、速やかに定めるものとする。」とされております。 このような状況を踏まえ、衆議院大蔵委員会の各党派間で協議いたしました結果、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合の五党派間で所要の立法措置を講ずることについて合意に達し、その合意に基づき六月十三日の衆議院大蔵委員会において五党派より起草、提出されたのがこの法律案であります。 衆議院大蔵委員会におきましては、全会一致をもってこれを成案とし、同時に委員会提出の法律案とするに決したものであります。 なお、本日の衆議院本会議においても全会一致をもって可決されました。 以下、本法律案の概要を申し述べます。 いわゆる出資法に規定されている貸金業者等の現行の貸付上限金利を本則金利へ移行する時期について、同法の一部改正法附則の「別に法律で定める日」を、平成三年十月三十一日とし、その翌日から年四〇・〇〇四%の本則金利を適用することとするものであります。 また、電話担保金融につきましては、貸付金額が小額であることに加え、特別の初期費用を要すること等を考慮し、当分の間、現行の年五四・七五%の上限金利を据え置くこととするものであります。 なお、その電話担保金融の貸付限度額は、政令で定めることとしております。 以上が本法律案の趣旨及び概要であります。 何とぞ速やかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(藤井孝男君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 質疑、討論もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律附則第三項の別に法律で定める日を定める法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(藤井孝男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤井孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。本日はこれにて散会いたします。 午後四時九分散会