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118回国会参議院1990/04/24

大蔵委員会 第4号

発言数
76
登壇者
11
会派数
5
開催日
1990/04/24

会議録

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  取引所税法案の審査のため、本日、日本銀行理事福井俊彦君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) 取引所税法案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。橋本大蔵大臣。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいま議題となりました取引所税法案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、最近における先物取引等の実情にかんがみ、取引所税の課税対象及び税率を見直すとともに、納税方法を特別徴収方式に改める等所要の規定の整備合理化を図るため、取引所税法を改正することとし、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、取引所税の課税対象は、取引所の市場における先物取引及びオプション取引とし、その税率は、先物取引については万分の〇・一とし、オプション取引については万分の一としております。  第二に、取引所税の納税義務者は、取引所の会員とし、その納税方法は、取引所が取引の際に、取引所の会員から徴収し納付する、いわゆる特別徴収によることとしております。  なお、この法律の施行に当たり、いわゆる日本円・米ドル通貨先物取引及び日本円短期金利先物取引等については所要の経過措置を設けております。  以上が、取引所税法案の提案の理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

稲村稔夫日本社会党・護憲共同

○稲村稔夫君 取引所税法の全面的な改正ということで本日の審議になったわけでありますが、大臣は、衆議院の予算委員会が開会されておりますから、本来でありますと休んでいなければならないところを審議のためにこうして御出席をいただいているわけであります。大変御苦労さまでございます。  そこで、この取引所税法案の内容に入ります前にいろいろと関連がございますので幾つかの点を確認させていただきたい、あるいは御答弁をいただきたい、こう思っておりますことがございますので、そこからひとつお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。  その一点は、我が国経済の国際的位置づけということについてであります。どのように政府の方が認識しておられるのか、私の方ももう少し理解を深めたい、こんなふうに思うわけであります。  きのうの東京市場、夜、最後の円相場が一ドル百五十七円五十五銭ということだったようでありますが、ここしばらくの動向を見ている限りでは、かつて一直線に下落を続けてきた円安の傾向というのもちょっと一服しているのかな、こういう感じになるわけであります。流れがとまったかに見えるわけであります。しかし、市場関係者の中には、またこれがもう一度百六十円台に突入をするんではないだろうか、ここまで落ちるんではないだろうかという心配をする向きもあるようでありますし、また、百五十円の後半から百六十円までの間を行ったり来たりというのがこれから続いていくんではないだろうかというような見方も、どうもそちらの方が一般的のようでありますが、という見方があるようであります。いずれにいたしましても、かつて一ドル百三十円台であったことを見てまいりますとその差は非常に大きい、こんなことになるわけであります。  そうすると、大体この百五十五円から六十円の間を行ったり来たりするようなところが、言ってみれば我が国経済の実力をあらわすというんでしょうか、力相応というのでしょうか、そういうようなことになると判断をしてよろしいのでしょうかということでございます。  そこで、改めて、大臣はG7に参加をされましていろいろと御苦労なさったわけでありますが、このG7の合意についてどういうものだったかということを少し確認をさせていただきたい、そう思うんです。  G7での円安の認識といいますのは、これは為替レートの水準についてのことだったんだろうか、それとも円安のスピードといいますか、それが問題だったんであろうか、それによって見解が分かれてくるというところにもなるわけであります。その辺のところはどうだったのでしょうか。「為替市場における協力を含め、経済政策協調についてのコミットメントを再確認した。」というくだりについて認識をきちっとしておきたい、こんなふうにも思いますので、その辺お答えをいただきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変微妙な点を含むお尋ねでありまして、具体的な為替相場の水準につきましてはコメントはお許しをいただきたいと存じます。  しかし、客観的に見た日本経済に対する評価と申しますならば、私は一つ例を挙げて御判断をいただきたいと思うのであります。  先般欧州開発銀行の論議が行われております中において、払い込み通貨としてECU、ドルと円、この三つが対象として合意をされたわけであります。委員御承知のように、世界銀行あるいはアジア開発銀行の払い込みは交換性を持つ通貨は皆認められておるわけでありますが、現在の世界経済の実態の中からヨーロッパ共通通貨としてのECU、ドル、そして円、この三つが払い込み通貨として決定をされたということは、私はやはり一つの客観的な円というものの持つ国際的なウエートを評価したものと、そのように受けとめております。  しかし、そういう状況とは全く別の問題として、本年に入りましてから我が国の株式市場、債券市場とともに為替市場も非常に大きな乱高下を繰り返し、現在の水準に参りました。そして、そのいわば進行過程においてG7は行われたわけでございます。  委員は、水準かあるいはと、こういうお尋ねでありますけれども、この声明の中に書かれておりますように、「世界の金融市場の展開、特に円の他の通貨に対する下落について、また、その世界的な調整過程に対する望ましからざる結果について議論」という文脈を考えますときに、いずれか一方を想定してその意味を特定されるよりも、双方の意味を含めているとお考えをいただく方がより実態に合うのではなかろうか。セブンの合意と申しますものの重みから見まして、私はそう御理解をいただく方がより正確ではなかろうか、そのように考えております。  と同時に、このG7が行われます前、市場等におきましても協調体制の乱れが心配され論議をされ、あるいは共同声明すら出ないのではないかという想定がされました状況の中で各国の協調体制というものが再確認をされたという意味合いについて私は御評価をいただきたい、そのように考えております。

稲村稔夫日本社会党・護憲共同

○稲村稔夫君 私がこんな水準なんだろうかというような聞き方をしてなかなかお答えが難しいところもあろうかと思ったんですが、G7の合意以降についての欧州各国の中央銀行の市場への介入姿勢というようなものを見てまいりますと、どうも水準ということよりもスピードの方が問題になっていたのかな、急速に落ちていくということについての方が問題になっていたのかな、こんな受け取り方をしたものですから伺ったわけであります。  両者であるという今のお答えなんでありますが、そういたしますと、ちょっとまだだめ押し、再確認みたいで恐縮でありますけれども、仮に市場にある懸念のようにまた百六十円台に落ち込んでいくというようなことがあった場合には、これは今の合意に基づいた行動を起こしていただけるというふうに我々としては受け取っていていいんでしょうか。この辺はどんな御感触でしょうか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 市場の大きな変動に対しましてとり得る手法には幾つかの方途が考えられます。そしてその中にはまさに日銀の専管事項としてお考えをいただくべき手法もございますし、また財政当局の立場として考えなければならないこともあろうかと存じます。  ただ、いずれにいたしましても、G7当時における為替水準、これは現在もそう大きな変わりはなくその幅におるわけでありますけれども、その幅というものは日本の経済のファンダメンタルズを的確に反映したものとは言いがたいという判断から、セブンの各国のこの共同声明に結びついていったわけでありまして、私どもとしては、より日本経済の実態に即した水準に安定してくれることを期待をいたしております。

稲村稔夫日本社会党・護憲共同

○稲村稔夫君 このことをお伺いをいたしましたのは、これから取引所税法案を審議するに当たりまして特に証券取引、株価の問題というのが大きくかかわってくると思うからであります。  株価についてもいわば為替レートの上下と大体我が国の場合は軌を一にした形で騰落が起こっているように思うわけでありますけれども、こうした株価の関係というのは、為替レートとの関係という点で見ていったときに何か因果関係がそこにはある、こんなふうにも言えるのではないかと思います。  学者によりましては、これは実質対外純資産の水準というのが一番問題なんだということをおっしゃる方もあるわけでありますけれども、しかし、その辺ちょっと私の方の理解が十分でないかもしれませんが、実質対外純資産の水準、つまりこれが減っていくということが為替レート、株価というものに関係してくるということになりますと、国内の好況が続いて設備投資等国内に資本が還流するというか、資本が国内に投下をされる、そういう形になってまいりますと、そうすると、何か為替レートの方が下がってきてそしてまた株価が下がるというようなこんな図式、理解になってしまうとこれまたいろいろと問題があるのかなとも思うんですけれども、こうした株価の低落の要因というものについては政府はどのように受けとめておられるんでしょうか。

角谷正彦大蔵省証券局長

○政府委員(角谷正彦君) 株価といいますのは、先生御指摘の為替の問題、金利の問題のほかにも、例えば企業業績でございますとか、あるいは株式の需給関係でございますとか、いろんな要因によって決定されるわけでございまして、一律に申し上げるのはなかなか難しいわけでございます。  確かに昭和五十七年以降非常に株価が上昇いたしました。これは日本経済の景気回復を反映した企業業績というものが一つ背景にあったわけでございますが、それ以外にも、円高とか原油安とかあるいは金利低下とか、そういったふうな、いわゆるトリプルメリットと言われているそういったものをはやして株価が上がったといった現象がございました。逆に本年に入りましてから株価が下落しておりますのは、今のちょうど反対側にあります金利上昇、あるいは為替の円安、原油もひところより高くなっている、こういったことが一つの背景にあることは間違いないとは思います。  しかし、ただ、今申しましたように、株価といいますのはいろいろな需給関係でございますとか、あるいは企業業績でございますとか、そういった面によって規定される面も非常に大きいわけでございますので、為替の動向と株価の動向というものが常に相関して動いているわけではない、このように考えているわけでございます。

稲村稔夫日本社会党・護憲共同

○稲村稔夫君 そういたしますと、八六年、八七年あたりの株価の急騰がありましたね、このときをどう見るかということも関係があるんですけれども、これは言ってみれば、国内景気の方から言えば、余り、何というんですか、八六年段階でありますとむしろ金融政策としていろいろとてこ入れが積極的にされていた時期というふうに言われるわけであります。そうすると、こうした金融政策と為替レートとのかかわりという形と同時に、金融政策によって株価というものも非常に大きく影響を受ける、こんなことにもなるということなんでしょうか。  そういたしますと、これからの株式市場とのかかわりで金融政策というものは非常に重視をしなければならないものであるということになるんですが、これが私がこれから聞いていきたいと思うことの中の、特に市場の秩序というんでしょうか、そんなことを考えていきますときにちょっと参考に伺っておきたいと思いますので、確認をさせていただきたいと思います。

角谷正彦大蔵省証券局長

○政府委員(角谷正彦君) 株価の形成要因はいろいろありますけれども、その中で金融情勢というのは一つの大きなファクターであることは間違いない事実として一般に認められているものだと考えております。資金の需給関係から言いますと、金融が緩和しているといったふうなことは、これはやはり、株であれ土地であれそういったところに金が回っていく一つの要因であったということは広く指摘されているところでございますし、それから資産運用という面から見ますと、やはり金利の水準というものと株価の水準というものは、株価がこれから上昇するかあるいは下落するか、こういった見込みというものとはかなり密接な関係があるわけでございます。  そういった意味では、委員御指摘のように、金融情勢というものは資金の需給、あるいは金利の要因、そういった両面を含めまして株価形成の一つの大きな要因であることは間違いない事実であろうというふうに考えております。

稲村稔夫日本社会党・護憲共同

○稲村稔夫君 次に、税について、政府は課税の原則をどのように考えておられるかという点であります。  ちょっと抽象的で恐縮でしたが、例えば所得に対して適切な課税がなされているとしたならば、その上に担税能力に着目をした課税が行われる、こういうことになると、担税能力があるという特定の人々の税負担が大きくなって、国民的な視野から言えば平等性に欠けることになるのではないか、公正、中立という面から問題はないかというような意見も出てくるわけです。これは、お断りをしておきますけれども、私自身はむしろ担税能力というものに注目したものをというのを考えることは当然であるというふうに思っておりますけれども、今の公正、中立、こういう観点からいうと問題があるのではないかという意見に対してはどのようにお考えでしょうか。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 先般の抜本的税制改革に当たりまして税制改革法が設けられましたが、そこで税制改革の基本理念といたしましてただいま御指摘のような税負担の公平、それから税制の経済に対する中立性、それからもう一つは税制の簡素化ということが挙げられていたわけでございます。この公平とか中立とか、それぞれ税制を組み立てていく上で大変重要なことでございますけれども、それぞれの理念の間にまたトレードオフの関係があることも事実なのであります。  御指摘ございましたように、所得を中心にいたしまして担税力に応じた累進課税というようなことを非常に徹底してまいりますと税を負担している人と負担していない人の差が非常に大きくなるというような面で、また別の問題が出てくる。  そこで、最近一般に考えられておりますのは、いわゆるタックスミックスということでございまして、いろいろな特色を持った税を組み合わせて税制を組み立てていく。負担能力に応じて、しかも累進課税が可能な所得に対して担税力を求める方法、それからむしろ一般的に得た所得を使うという段階で担税力を見出して課税をしていく消費に対する課税、それからもう一つは所得、消費と離れてどの程度の資産能力を持っているかということを基準といたしましすいわゆる資産課税、その三つの考え方を組み合わせていくということが現在一般に考えられている税制でございます。  何か一つの税、単一の税をもって税制を組み立てるということは複雑な現代の社会においては非常に難しい話でございまして、そこで、それぞれの税の特色を上手に組み合わせてよりよい税制にしていこうという努力が行われているわけでございます。

稲村稔夫日本社会党・護憲共同

○稲村稔夫君 それで、今局長の御答弁でさきに行われた税制改革について触れられたわけでありますが、この税制改革について私は二つほど伺っておきたいというふうに思っているわけです。  その一つは、いわゆる税制改革後も金余り現象という状況というものが続いておりまして、いろんな格差が拡大をしているというのは事実だと思うんです。経済企画庁がさきに発表いたしました八七年度の県民経済計算によりましても地域間の格差というのが非常に大きく拡大をしてきている、こういうことであります。さらにまた同じ地域の中でもいろいろな形で格差、例えば貧富の格差などということで拡大をしているというようなことが指摘をされたりしているわけであります。これは経済企画庁の調査だけではなしに、一般的にそういうことが指摘をされているわけであります。  ということでありますと、税制改革が行われたにもかかわらずそうした格差が拡大していっているというのは一体どういうわけなんだろうというふうにも思うわけであります。何も税制だけですべてがということにはならないのは当然でありますけれども、逆に税制改革がそうした格差拡大の一端を担っていては困る、税制がその一端を担っていては困る、こんなふうにも思うわけであります。  私どもは税制改革の中でいわゆる不公平税制の是正ということの徹底化ということも随分主張してきたわけでありますけれども、何かその辺の不徹底さがこうした格差の拡大ということにつながっているのではないか、こんなふうに思われてならないんでありますが、この辺はどのように受けとめておられますか。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 所得の格差あるいは資産の格差ということを考えてみますと、そのような格差の是正に税制を利用していくということはもちろん大変大切な問題ではございますけれども、基本的にはそのような格差をもたらす、あるいは格差を縮小するというような経済の動きがあるわけでございまして、そこにどこまで税制が介入して格差是正を図るかという問題であるというように考えております。  我が国の場合、戦後の急速な経済発展の中で他国と比べまして所得の格差が急速になくなってまいりまして、世界で一、二を争うような経済大国となりましてからは、そこで割合に安定した状況にはございますけれども、急速な戦後の経済成長下で格差是正が非常に進んだという特色を持っているわけでございます。  今現在の状況を見ましても、他の先進国と比べましてやはり所得格差の少ない国に属していることは事実であろうと思います。  むしろ最近におきましては、急速な土地の値上がりあるいは株価の上昇等を背景といたしまして資産格差が非常に開いているのではないかということが問題になっているわけでございます。それからもう一つは、御指摘のように地域格差、一極集中というような問題もあろうかと思います。  私ども、税制の問題を考えてまいります場合に、それらのことを視点に入れながらやはり検討していくべきだと考えておりまして、先般の抜本的税制改正の際にもそこは十分に配慮しながら新しい税制を築き上げていく努力をしたつもりでございます。今日におきましても、資産格差の問題あるいは地域的な格差の問題を背景にいたしまして、税制調査会に土地税制の小委員会をつくりまして、そこで議論を始めていただいているところでございまして、そこにおきましても御指摘のような点は十分に御議論をちょうだいいたしたいと考えております。

稲村稔夫日本社会党・護憲共同

○稲村稔夫君 私、やはりこうした格差拡大というのは、今局長の答弁のように、戦後の発展の流れの中で欧米各国と比べて格差が非常に少ない、そういう状況をつくってきていたという点、これはあろうかと思います。しかし、今の状況というものは、それが資産格差とか一極集中のせいだとかいろいろと言われますけれども、それがそれぞれ単独で原因になっているわけではない。いろいろと相互に影響し合ってなっているわけであります。こういう状況が続いていけば格差がこれからますます拡大をしていくということで、やはりこれは私は非常に重要な問題だというふうに思うんです。この点は、税制改革だけで全部とめられるということではないわけでありますけれども、しかし、その重要な一端を担う税制としてやはり根本的に考えていかなきゃならない、そんな課題なんではないだろうか、こんなふうにも思っております。  そのことはそれまでにいたしまして、次にもう一つ、税制改革の法律が成立いたしましたときに、衆議院で総合課税への移行及び納税者番号制度導入についての委員会修正がされて通っているわけであります。それからもう既に一年半ばかりを経過することになりますけれども、これについては政府はどのような取り組みを今しておられるんでしょうか。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 昭和六十二年の所得税法等の一部を改正する法律におきまして、例の利子課税との関連で、法律の施行後五年を経過した場合において見直しを行うということになっております。また、六十三年の税制改正におきましては、株式の譲渡益課税につきまして同じく利子課税の見直しの時期に見直しを行うということになっておりますが、その際に総合課税への移行問題、あるいは納税者番号制度の導入問題、そういうことをもあわせて考えるということになっております。  五年後というと平成四年ということになりますが、その時期を視野に入れながら、税制調査会におきましても平成元年の答申におきましてこの納税者番号制度の問題を御答申をいただいておりまして、それを受けまして政府部内で税務等行政分野における共通番号制度に関する関係省庁連絡検討会議というものを設けまして、平成元年の二月十五日に関係省庁の申し合わせでそのようなものを設置いたしまして、今勉強をしているところでございます。  この納税者番号制度の問題は、御承知のとおり、総合課税というものを実施していく上では所得の把握のための体制整備として不可欠のものであるというように言われているわけでございますけれども、我が国にとりましてはなじみのない制度でございますし、また技術的に非常に複雑な側面を有しておりますし、国民生活にも非常に影響するところ大きいということでございまして、税制調査会の指摘といたしましては、制度の前提となるこの番号をどうするかということについて幅広い視点から検討を行うようにということが一点、もう一つはよく言われますプライバシーの問題、それから制度を導入いたしますといろいろ番号を記入したり番号を使用しなくてはいけない、そういうような手続について国民が受忍しなければならないような煩わしさとか費用、それらの点について国民の理解と合意が必要であるということが言われておりまして、そのような点を考えながら目下政府部内において勉強会を進めているところでございます。

稲村稔夫日本社会党・護憲共同

○稲村稔夫君 私どもも、消費税廃止法案の提起をいたしましたときにも、これからの課題としていろいろ、特に国民に不利益をもたらさないように十分に配慮をしながらこの点は検討しなきゃならないという観点からの提起もしてきているわけでありますけれども、問題は、やはり税についてはきちっと所得で把握をしていくということで課税に伴っての問題点というものが一番公平が期されるということになるのではないか、こんなふうに思っておりますので、やはりそうした適切な適正な方針というものを政府の方も早急に御検討をしていただきたい、こう思うわけであります。  時間がどんどんと経過してまいりますから、次へ移らせていただきたいと思います。  財投債の発行について伺っておきたいと思います。  この十八日に新行革審が最終答申を出されたわけでありますが、この中に「金融・財政環境の変化などにより従来の原資のみでは財投原資の確保が不十分となる場合に備えて、例えば財投債の発行など新たな補完的な資金調達方法の導入を検討する。」というくだりがあるわけであります。これは高金利時代に預けられました定額貯金の預けがえの問題など、いわゆる金融自由化時代に対応した財投原資のあり方、こういった金融面での配慮というのもあるかと思われます。  それで、ちょっとそこのところで伺っておきたいんですが、郵便貯金の預けがえ状況というのはどうなっておりましょうか、大蔵省の把握をしておるところをお聞かせをいただけたらと思います。  また、金融自由化時代に即応した財投原資について政府としては具体的にどのような考え方をしておられますか、お聞かせをいただきたいと思います。

大須敏生大蔵省理財局長

○政府委員(大須敏生君) 最初のお尋ねの八%の高金利の定額郵貯の預けかえ状況でございますけれども、具体的な詳細な数字は後ほど御説明申し上げますが、私ども郵政省から聞いて把握しておる範囲では、預けかえが比較的順調に行われておりまして、当初考えられあるいは予想しておった郵貯からの流出というものよりはるかに少ない流出額にとどまっておるということでございまして、郵政当局はさらに満額預けかえということを期して努力をする、こういう方針と伺っております。  それから財投債のことでございますけれども、委員御指摘のとおり、今回の新行革審最終答申にそれがうたわれているところでございますけれども、その部分は、財政投融資制度全般につきまして「今後とも、社会経済情勢や国民のニーズの変化に弾力的に対応しつつ、その機能を活用する。」ということがまずうたわれておるところでございまして、その活用のため、そういうものとの連関のもとに「金融・財政環境の変化などにより従来の原資のみでは財投原資の確保が不十分となる場合に備えて、例えば財投債の発行など新たな補完的な資金調達方法の導入を検討する。」、こういうことでございます。  御指摘のように金融環境の変化というような問題がその視野に入っていることは確かでございますけれども、それはあくまで今財投の原資となっております郵便貯金、あるいは年金、簡保資金、そういったものの公的資金でございますが、その統合管理・運用による資金調達のみでは原資が不十分になる場合に備えて、あくまで現行の預託義務を前提としながら、例えば財投債という手段で追加的、補完的に資金調達を行ったらどうであろうか、そういうことを政府に対して検討するよう御指示になっているところでございまして、現時点におきましてただいま御指摘のような郵貯の動向等を踏まえ直ちに具体的にそういう措置を講ずると、こういう状況ではございません。  そういうことでございますから、財投債の具体的な中身につきまして具体的な検討を今進めているということではございません。

稲村稔夫日本社会党・護憲共同

○稲村稔夫君 一時間というのはすぐたっていってしまいまして、準備したものがなかなかいかないうちに時間が過ぎていくので、飛ばす形になりまして、通告してありました方には大変申しわけない、お許しをいただきたいと思います。  いずれにいたしましても、財投債については今当面考えていないという意味のことを言われたと思います。私は少し意地の悪い見方をするのかもしれませんけれども、結局一般会計からは、特例公債の新規発行を脱却したとはいっても国債残高も約百六十四兆円というようなことが見込まれるという問題などもあって、この辺のところが大きな問題だということは大臣も予算委員会でも強調しておられたところであります。  ということになりますと、特に今、日米構造協議等でアメリカから公共投資の大幅な拡大みたいなものが強く要請される、こんなことになってまいりますと、一般会計が厳しい状況にありますし、NTT株の例の売却益運用の方法も今の状況の中ではそう将来もずっと続けてというふうには考えられない厳しいものがありましょう。ということになりますと、財投融資の拡大ということで、結局その財源の一つということで政府の方も模索しておられるんじゃないだろうかななどという勘ぐりもするわけであります。  いずれにいたしましても、これもやはりそうはいいましても最終的には国の借金というものになっていくわけでありますから、十分その辺は留意もしながら検討していただきたい、こんなふうに要望をしておきたいと思います。  そして、取引所税そのものの方に入っていきたいというふうに思います。  このたびの改正案によると、課税対象が拡大をされまして、かわりに税率が引き下げられるということになったのでありますが、オプション取引を万分の一ということにいたしまして、既に万分の一の課税がなされておりました現物先物、それから新たに課税対象とされる通貨先物であるとか指数等先物というのが万分の〇・一という税率になりました。この税率にした根拠、これをお伺いしたいのであります。  まずその点をお答えいただきたいと思います。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 御指摘のように、オプション取引につきましては万分の一という税率、その他の先物取引につきましては万分の〇・一という税率、これは一律にいたしたわけでございます。  オプション取引が万分の一になっておりますのは、実は課税標準に差がございまして、いわゆるオプション料というものを課税標準にしているわけでございます。それに対しまして先物取引の課税標準は約定金額でございますから、そのバランスを考えましてオプション取引を万分の一という税率にしたわけでございまして、基本的な考え方としては一律の税率に改めたということでございます。  なぜ万分の〇・一かということでございますが、現在国債の先物取引が万分の〇・一という税率で行われておりまして、この取引所税を考えます上で他の国とのバランス、他の国にも市場があるわけでございますからそこへ例えば逃げていってしまうというようなことが起きないように税率を考えていかなくてはいけないわけでございますけれども、万分の〇・一という税率で国債の先物市場が非常に発展をしてきておりまして、それを勘案いたしますと、今回、金融の先物取引でございますとか、証券の指数取引でございますとか、オプションでございますとか、いろいろ取引対象を広げていくに際しましてこの国債の先物取引の税率で統一するということといたしたわけでございます。

稲村稔夫日本社会党・護憲共同

○稲村稔夫君 私は、一つは、今度のこの対象の拡大というのが担税能力に着目をしているということであれば、それこそ今まで万分の一ということでやってきたわけでありますから、そうすると、それを何も十分の一に下げる必要もないのではないだろうか。むしろ、先ほどのオプションの方は万分の一と言われた分で、そうすればオプションの方をもう少し引き上げるということだって考えたっていいんではないですかというふうに思うんですね。  担税能力に着目したのかどうかということもあるわけでありますけれども、私は国民全体の立場から見れば担税能力に着目をするということが非常に大事なんじゃないだろうか、こんなふうにも思うわけなのでありますが、どうして十分の一に下げなきゃならなかったか、そこのところがやっぱりどうもすとんといかぬわけであります。その担税能力ということは今度の拡大の方向の中にはないんですか。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 取引所税法は明治からの長い歴史を持っているわけでございますが、確かに御指摘のようにかつては取引によりまして税率に差を設けるという方法がとられておりました。その場合には、むしろ取引の波が大きいといいますか、価格差が大きい、いわば投機性が強い、そういうものについて高い税率を適用するという考え方がとられておったわけでございます。  今回は、まさに片仮名で書かれている法律を全面的に書き改めるというようなことで非常に内容的には大きな改正であるわけでございますけれども、考え方といたしましては、取引所税というのは、特定の法律に基づいて公の場として開設された取引所というものがあり、その取引所を利用して先物取引を約定する行為、そういう行為の背後に担税力を見つける、そういう一種のいわゆる流通税でございますが、ある意味では取引所利用税的な要素があるわけでございますけれども、そういうことで新しくこの取引所税を組み立てているわけでございます。  そうしますと、その同じ公の市場におきまして先物取引として行われるものは同じように考える。いずれもリスクヘッジというような機能を持ちまして価格の安定化に役立っているわけでございますから、それが商品でありましょうと、金融の先物取引でありましょうと、証券でありましょうと、同じように考えた方がいいんじゃないか。先ほど先生御指摘の中立的という考え方でございますけれども、そういう考えに基づきまして、しかも国際的に見て無理のない税率というように思われます国債で実績のある万分の〇・一という数字をとったわけでございます。  ちょっと私の申し上げ方が不十分であったのかと思いますけれども、そういう万分の〇・一の方に、課税標準の相違ということを勘案いたしましてオプション取引に対する税率を万分の一という形で、むしろオプションの方を合わせたということでございます。

稲村稔夫日本社会党・護憲共同

○稲村稔夫君 どうもよくまだわからないところがありますね。オプションの方を合わせたとおっしゃられたけれども、取引の中からいけばオプションというのは課税対象になる部分はまだ金額的にはそう大きなものじゃないんじゃないかなというふうに思うんですけれども。  そのことはさておきまして、今御答弁の中でたまたま流通税という言葉だとか国際的にという話が出ましたんで、この際政府の見解をやはり聞いておきたいと思うのであります。  消費税廃止法案を出しましたときのあの税特では、私どもの方から流通、サービスにも適正な課税ができるものは検討するという提起があったということで、随分政府・与党の委員の先生方からは攻め立てられたという感じがするわけであります。そのときに、特に、流通に課税をするというのはよその国にありますかというようなことまで随分きつく指摘をされました。峯山委員が答弁者として取引所税法などがありますというようなことも言われたんですけれども、なかなか納得をしていただけなかったというような経過などもあるわけであります。  そのときに政府の方からは、流通に課税をするということ、あるいは国際的にというようなことについての見解はなかったように思いますが、この際ひとつ伺っておきたいと思います。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 税制再改革基本法案等におきまして、例えばサービス、流通等に対する課税あるいは物品流通に対する課税というようなことを検討するということとされておりまして、流通の課税の問題が出てきているわけでございますけれども、現行の税制といたしましていわゆる流通税と言われておりますのは、有価証券取引税、それからこの取引所税、さらに印紙税でございますとか登録免許税も流通課税と私ども考えているわけでございます。  ただ、野党の御提案に言われておりますものが一体どういう流通課税を考えておられるのかということは、これから御検討ということでございますのではっきりしないわけでございまして、私どもそのお考えになっておられるものが他国に例のあるものなのか例のないものなのかということもちょっとわかりかねますし、政府としてコメントをさせていただくというのは難しい段階であろうかというように存じております。

稲村稔夫日本社会党・護憲共同

○稲村稔夫君 いや、今私の聞きましたのは、流通に課税するということができますかという聞き方をされまして、そして、流通に課税をするということが諸外国に例がありますかというようなことでいろいろ追及をされたということで、これは私も議事録を見ながら、確かめさせていただきながら、今伺ったわけであります。  そのことはそこまでにさせていただいて、こういう取引所税という、今度拡大をすることを含めまして、こういう形態の税というのは諸外国にあるんですか。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) これとぴったり一致するという税はないと思います。主要先進国には少なくもないと思います。  ただ、ことしのアメリカの大統領の教書におきましてやや似たものが、税という名前ではありませんが、フィーという形、手数料という形で提案されているようでございます。  我が国の場合は非常に特殊な歴史がございまして、取引所というのは、物の本によりますと、江戸時代、徳川時代にヨーロッパの諸国と比べてまことに劣らない発展をしていたのでございまして、主として米の相場取引であったわけでございますけれども、そのほかに大阪を中心として油と金の取引——金の取引と言うのは変なんですけれども、これが非常に大きかったわけです。余計なことを申し上げて恐縮ですが、大阪は銀本位で江戸が金本位だったものですから、大阪と江戸との間でいわば一種の為替レートができていたわけでございます。  そういうような過去を持っておりまして、先物取引も米を中心に非常に進んでいたわけでございますが、明治に入りましてそこに欧米の制度を取り入れようとしたわけでございますが……

稲村稔夫日本社会党・護憲共同

○稲村稔夫君 いいですよ、そんな細かいところは。歴史的なことはいいです。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) そのときに結局欧米の制度がそのまま入りませんで、我が国の古来の制度が残っているような状況にあります。  そういう特殊な背景がございまして、明治の初めから取引所税というのが行われているわけでございます。

稲村稔夫日本社会党・護憲共同

○稲村稔夫君 本当に時間がなくなりまして、きょうは日銀の方からも御出席をいただきました。私は、これから、特に株式市場でいろいろ心配をしておられる向きなどもありますので、ぜひそこの辺を伺っておきたいと思ってきょう御出席をいただきました。法案の審議と非常に密接な関係がありますのでということでありますが、そこで、ちょっとはしょった形で日銀の御見解を伺っておきたいと思います。  今、端的な表現をさせていただきますならば、第五次公定歩合の引き上げというのが行われるのではないかなどというささやきが少し聞こえるわけであります。この公定歩合の引き上げというのは、先ほどもちょっと私質問いたしましたけれども、金融政策というものが非常に大きく株式市場には影響するわけであります。この辺のところが非常に心配をされておる。それは今度の法案とのかかわりということで直接的ではありませんけれども、特に市場関係者の中にある懸念として今確めておきたいと思うわけであります。  ついでで大変恐縮でありますけれども、公定歩合の引き上げという問題は、インフレとの関連というのがどうしても切り離して考えられないのではないかというふうに思いますので、その辺のところも少し見解も含めましてお聞かせをいただければありがたいと思います。

福井俊彦日本銀行理事

○参考人(福井俊彦君) お答えを申し上げます。  先生のお尋ねの中で後段の部分から最初にお答えをさせていただきたいと思いますが、日本銀行が金融政策を運営しております場合に最大の目下ねらいとしておりますところは、物価の安定基調を確保する、それを前提といたしまして内需を中心とする経済の拡大基調というものをより確かにしていく、そういうところにございます。  したがいまして、先生御指摘のとおり、物価の状況がどうなっているか、日本銀行がどう見ているかということは非常に大事なポイントになるわけでございますが、つい最近出ました物価指数で申し上げますと、国内の卸売物価指数で一番新しい四月の上旬の数字がございまして、これの前年比上昇率が〇・七%という数字が出ました。去年の四月以降消費税が導入されまして、物価指数というのがその影響で少しかさ上げされた状況がちょうど一年間続いたわけでございます。  その影響がはけた後の四月以降の物価指数というのを私ども非常に注目しておりまして、最初に出てまいりました上旬の数字が今申し上げましたように〇・七%ということで、引き続き我が国の物価は安定した状況が続いているというのが私どもの基本的な判断でございます。  ただ、過去一年余りの経済の推移というのを見ておりますと、先生御承知のとおり、景気は非常に堅調に推移しておりまして、その中でやはり財貨サービスに対する需給はどうしてもタイトな方向に動いております。それからもろもろのコスト上昇が潜在的な物価上昇圧力として伏在しているとか、それから為替円安の影響というものもやはり十分考慮しておかなければいけない、こういう状況がございます。  したがいまして、金融政策面からの対象といたしましては、そうしたもろもろの潜在的な物価上昇圧力というのはあくまで封じ込めて好ましい物価環境を維持するということでございますので、早目早目に予防的な手を打つということがどうしても重要なポイントになると考えました。昨年の五月以降最近の三月に至りますまで合計四回金利の引き上げ措置を実施してきておりますが、いずれも同じねらいでございまして、潜在的な物価圧力の存在をにらみながらそれを顕在化させない、いわば予防的な利上げということでやってきたわけでございます。  現在は、四回の利上げの結果といたしまして金利水準はかなり高いところにきているというのが私どもの判断でございます。  一ころのように、一獲千金と申しますか、キャピタルゲインねらいでいわゆる期待収益率の非常に高い取引機会というのは世の中からかなり一掃された現状におきましては、そう異常に高い期待収益率を望み得るような取引動機のものは少なくなっているわけで、いわば通常の状況で期待できる収益率と今の金利水準との関係から見て金利水準は相当高いところに来ているだろう。そういう意味で、過去四回の利上げをもちましていわゆる予防的な利上げはかなり総仕上げの状況に達しているんではないかというふうに見ているわけでございます。  年初来、先生も御承知のとおり、債券の市場とか株式の市場、そのほか各種の金融資本市場がかなり激しい動きを示しました。これにはいろいろ複雑な要因も絡んでおりますけれども、私どもの見させていただいております限りにおきましては、やはり金利水準の引き上がったことによるもろもろの市場条件の調整ということがかなりの要素であったと思います。つまり、今の新しい金利水準にさや寄せして市場の状況が整ってきたプロセスと見える部分が非常に多いわけでございまして、今日以降はこうした新しい金利水準、そして新しい市場の諸条件というものが今後の実体経済とかあるいは物価動向にどういう影響を及ぼすか、これはまさにじっくり見きわめどころということでございます。私どもは当分今の金利水準がもたらす経済及び物価への影響を冷静に見きわめていきたい。  したがいまして、先生、市場の中に追加的利上げという話があるという御指摘でございましたけれども、私どもは当分そうした考えはないという状況でございます。

稲村稔夫日本社会党・護憲共同

○稲村稔夫君 ありがとうございました。  それで、もう時間が来てしまったわけであります。私が伺いたいと思って用意をいたしましたことは随分あったのでありますけれども、結局時間配分がうまくいきませんで皆積み残した形になってしまいました。  いずれにいたしましても、私どもは、この取引所税法案で今度新たなところに拡大をされるということについては、これはいいことだというふうに思います。担税能力に着目をするということは非常に大事なことだと思います。がしかし、同時にまた、株式市場の近代化、それから国際的な関連というようなものを考えながらいろいろと手直しをしていかなきゃならない問題もいっぱいこれから出てくるのではないか、こんなふうに思うわけであります。  もうあと一問を聞くだけの時間もなくなってしまいましたから、これで私は終わりたいと思います。  きょうは日銀の方にわざわざ来ていただきまして、一回だけしか伺えませんで申しわけありませんでした。  終わります。

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) 午後五時まで休憩いたします。    午後一時二分休憩      —————・—————    午後五時十二分開会

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  取引所税法案を議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

和田教美公明党・国民会議

○和田教美君 私の質問時間は十七分でございますので、答弁は簡潔にお願いします。  今回の取引所税法案ですけれども、有価証券指数先物などの指数等先物取引、それから通貨先物、オプション取引を新たに課税対象にしておりまして、課税ベースの拡大を行っております。一方、既に課税しております株式先物、商品先物については税率の引き下げを行うことになっております。その結果、税収は平成二年度、四百六十億円が改正後でも四百七十億円と、わずか十億円ふえる計算になっておりまして、税収増が目的だとは考えられません。    〔委員長退席、理事梶原清君着席〕  そこでお尋ねしたいんですけれども、この取引所税法の全面改正というのは一体何を基準として立案され、課税ベースの拡大や税率の調整を行ったのかということです。  また、取引所税は流通税の一つですけれども、このほかにも証券関係では有価証券取引税というのが流通税として存在をいたしております。ところが、この有取税の方は六十三年十二月の税制改正で税率引き下げを行っております。  そういうことも関連して、その基準というものを一体どう考えておるのか、お答えを願いたいと思います。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 現行の取引所税は大変古い税法でございまして、現代の取引の実態と離れているところがあるわけでございます。法律自体が片仮名で書かれているような法律でございまして、したがいまして他の税法とのバランスを考えて、例えば特別徴収制度を取り入れるとかいろいろ全面的な見直しをしたわけでございます。その中におきまして、基本的に近時先物取引の世界が非常に広がってまいりまして、証券、株、それから商品というものにとどまらず、御指摘のようにオプション取引など広く広がってまいりました。それをすべて、取引所における取引すべてを取り入れることを考えたわけでございます。  そのように実態に合わせると同時に、税率のあり方でございますが、取引の国際性というようなものも考えまして、現行の取引所税の対象となっております国債の先物取引、これが万分の〇・一という非常に薄い税率でございますが、それがいろいろ議論のあった国債の先物取引に対して課されまして、その後支障もなく国債の先物取引が非常に発展してきているという事情を勘案しまして、税率といたしましてはそこに合わせたわけでございます。  旧来は価格の振れに応じまして税率を定めるというような思想がとられていたわけでございますが、先物取引のヘッジ機能というところに着目いたしましてすべて同じような税率で考えるということにいたしました。  一方、有価証券取引税につきましても御指摘のように六十三年十二月に税率の引き下げを行っているわけでございますが、これは従来原則非課税とされておりました有価証券の譲渡益に対する課税が六十三年十二月の税制改正で新たに行われることになりました。  そのような事情も勘案いたしまして税率の引き下げを図ったところでございます。

和田教美公明党・国民会議

○和田教美君 取引所税は、他の先進諸国には存在しません。また、有価証券取引税についても、米国のニューヨーク州では既に一九八一年十月に廃止、また西独でも一九九一年から撤廃する方向にあると聞いております。  政府は、従来、税制改革に当たっては税制の国際性ということを強調いたしておりましたが、今回の法案は、税率は引き下げるが課税ベースは拡大するというものであって、税制の国際性という観点から見ると整合性に欠けるんではないかという見方がございます。私自身は担税力に着目して課税するという意味でこの法案に賛成ですけれども、税制の国際性という観点からどういうふうに考えるか御説明を願いたい。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 取引所税は明治以来我が国で行われているわけでございますが、取引所におきます取引が大変長い伝統を持っております我が国におきましては取引所における先物取引について旧来からもいろいろな考え方がございました。  先ほども少し申し上げましたが、明治に入りまして外国の制度をそのまま取り入れようとした法律はすべて実務の世界では動かなかった。結局、我が国の実態に合わせて現行の取引所税法ができているという状況にございます。そういう我が国の社会の物の考え方と申しますか、そういうようなことを考えまして、先物取引に対する課税というのが我が国においてはやはり必要なのではないかと考えた次第でございます。  その一方、御指摘の国際的な観点がございまして、他の諸国におきましても取引所におきます取引がございますから、そちらの方に取引がすべて流れるというようなことになってもこれはやはり問題でございますので、これまでの取引所税法の適用対象になっておりました国債の先物取引におきまして実はそういう心配があったわけでございますが、万分の〇・一という税率を適用いたしましたところ支障なくそれで発展をしたという実績がございますので、国際的な配慮ということから実績のある国債の先物取引の税率に合わせたということでございます。  我が国におきますいわば伝統的な考え方と国際的な見地、双方を考えまして、お願い申し上げておりますような案にしたわけでございます。

和田教美公明党・国民会議

○和田教美君 米ドル短期金利先物、通貨先物については二年間の税負担の軽減、それから課税延期の経過措置がとられております。  これらの先物取引については、課税による影響を云々する以前の問題として、金融先物といいますか、こういうものが非常に不振だという問題点があります。東京と同一時間帯にシンガポールの市場が開設されておりまして、しかも日本よりも十五分早く始まって二時間五十分後に終わることや、シンガポールとシカゴでは相互決済制度が導入されている、また日本の場合には取引を電話でやっているというふうなことも聞いておりまして、どうも東京市場は余り投資家にとって魅力がないというふうな指摘もあるわけで、いただいた資料を見ましても取引金額はどんどん先細りの傾向を示しておる。  東京金融先物取引所はまだ開設して間がないわけですけれども、何かてこ入れをしないと経営が難しいんではないかとさえ心配されるわけでございますけれども、今後これらの先物取引が順調に発展していくという見通しはあるのか、またこの税の負担の軽減とか課税延期という二年間の期限が到来したときにこの経過措置はどうするのか、お尋ねいたします。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 初めに、東京金融先物市場の活動状況について簡単に御説明申し上げます。  ただいま委員御指摘のとおり、東京金融先物取引所におきまして三つの商品の取引をやっておりますうちで、日本円短期金利先物、これはそこそこに成功しておると思いますが、他の二つ、米ドル短期金利先物及び日本円・米ドル通貨先物の二つの取引はいわば低迷をしております。その背景としてシンガポールとの競合があるのではないかという御指摘もございましたが、確かにその一面も否定はいたしませんが、それだけですべての原因を説明できるわけではないと思っております。  いずれにいたしましても、東京金融先物取引所においては、さらに新商品の上場とか、それから取引時間の延長、さらに今委員から御指摘がありました電話取引につきましては可及的速やかな機会にシステム取引へ移行するなど取引の活性化策を検討しておりますと承っておりまして、これらの施策がおいおい実施されまして、東京金融先物市場が今後順調に発展していくことを私どもとしては期待しておるわけでございます。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) ただいま銀行局長からお話がございましたような振興策が今後とられることになっております。二年先、課税にたえ得るように育ってくれるものと期待しておるところでございます。

和田教美公明党・国民会議

○和田教美君 時間がございませんので、次に移ります。    〔理事梶原清君退席、委員長着席〕  銀行局長にお尋ねしますが、我が国の定期預金の完全自由化が一九九三年十月に実現する見通しだという新聞報道がございますが、これはそのとおりですか。  それから、これについて大蔵省が初めに想定した自由化スケジュールは完全自由金利商品である大口定期預金の預け入れ最低金額について今の一千万円からゼロにまで段階的に引き下げるという案だったと思うんですけれども、こうした直線的な自由化は中小金融機関の経営を圧迫する心配があるということから中口の定期預金を設けるなどの経過措置を盛り込むことにしたというふうに報道されております。この問題は五月下旬の日米金融協議でも説明して早期自由化を要求する米側の理解を求めたいというふうに言われておりますけれども、現在の検討状況を御説明願いたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 預金金利の自由化、これは大口のものから順次段階的かつ着実に推進するという方向で年来やっておるわけでございます。  ここで、ただいま委員の御指摘のございました定期預金につきまして申しますと、現状は昨年十月以来一千万円以上のものは大口定期預金として完全に自由金利、それから一千万円未満のものは現在のところ百万円以上の部分につきまして民間金融機関と郵便貯金と共通の小口MMCを導入しておるわけでございます。  そこで、今後の自由化の進め方でございますが、私ども究極的には定期預金金利を皮切りにいたしまして諸外国と同様に預金金利の自由化を推進する、そしてこれによって金融機関相互の競争を促進し金融の一層の効率化を図る、あわせて預金者にも現在以上に報いることになるという姿を目指しておるわけではございますが、そのために各業態から自由化の具体案を聴取したり、それから別途学者の方々に委嘱をいたしまして金融問題研究会という場を設けまして御検討をお願いしておるという状況でございますが、私どもとして自由化の具体案をこれで固めたという事実は全くございません。  新聞にいろいろ出ておりますのは、これは推測でございますが、個別業態の中でいろいろ検討中のものが披露されたものであろうと想像をしております。  しかし、いずれにいたしましても、私どもはそういう自由化の推進をいろいろと今後研究してまいりたいと思っておるわけでございます。  そこで、それにつきまして、中小金融機関の経営を圧迫する心配があるから中口預金を設けるのではないかというお尋ねでございますが、この辺も今後具体案を進めるときに一つの検討をすべき案ではあろうと思っておりますけれども、まだその具体的なイメージを固めるに至ってはおりません。

和田教美公明党・国民会議

○和田教美君 時間がなくなりましたので郵政省への質問は割愛させていただいて、もう一つ、最近信用金庫の中に普銀転換の意向を示すものがあって大分もめたりいたしておりますが、今後の金利自由化時代における中小金融機関の経営は大変厳しいものがあると思われます。  そこで、大蔵省としては、仮に九三年に定期預金の完全自由化というものが行われるというふうな状況だとすれば、それを機会に合併や普銀転換の促進を今後図っていくという方針なのか、中小企業の立場に十分配慮していくというお考えなのか、銀行局長でも結構ですが、できれば大臣の御見解を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。

土田正顕大蔵省銀行局長

○政府委員(土田正顕君) 八千代信用金庫のお話がまず出されましたので、それにつきまして私どもの方から御説明申し上げますが、新聞紙上に伝えられております八千代信用金庫の普通銀行転換の希望というのは、現在のところ、所管の関東財務局に対して可能であれば普銀に転換したいという意向の表明があったということは報告を受けておりますが、まだ正式な転換申請に至ったということではございません。  そこで、それ以上一般論的なコメントをすべき段階ではないと思いますが、強いて申しますならば、各中小企業を対象にします金融機関はそれぞれ長年の間に営業基盤を培ってきておるわけでございまして、それが自由化の進展に伴ってじりじりといろいろと影響を受けるということは考えられますけれども、他方、みずからの経営の効率化の努力とかそれから運用面での工夫とかによりまして、例えば自由化に伴う預金コストの上昇の影響をある程度吸収し、ないしは転嫁できるという余地もこれはかなり工夫次第によってはあるんではないかということでございます。したがいまして、このような金利の自由化の推進というものが直ちに全面的に合併とか転換とかいうような問題につながり、またその問題に訴えなければ解決できないというような事態になるというふうには私どもは全く考えておらない次第でございます。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、こうした問題は風評で論議をするわけにはまいりませんから、具体的にそうしたものが出てまいりました場合には合併転換法の趣旨を踏まえながら金融全体を十分考えて対応したい、そう思っております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 まず、先物取引に関する基本的な問題について大臣の見解をお聞きします。  株価指数先物取引の規模は三百四十兆円、国債の先物は一千八百九十七兆円、いずれも片道、八九年です。いずれも世界一の規模だと、これは衆議院で確認されました。東京金融先物取引所の主力商品であるユーロ円先物はどうかと申しますと、取引が昨年の六月に開始されてまだ一年もたっていませんが、日を追うごとに取引がふえております。この三月は過去最高、片道で百十万枚を超えるわけでありまして、この分でいけば年間で一千万枚、金額にすると一千兆円に上ることは確実だと思うんです。これもそう遠くない時期に世界一になることは明らかだと思います。そうなると、我が国は短期間のうちにシカゴを抜いて文字どおり世界先物王国ということになる。そういう社会が望しいと大臣はお考えでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今後、我が国の先物市場が創設されましたその所期の目的に沿って機能を発揮し健全な発展を遂げていくことは望ましいことであり、そう努めたいと思います。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 私は、この税制に関して申しますと、これは我が国の伝統ある税制だと思うんです。他国に例がないと言いますけれども、しかし、これは投機抑制という考え方からこういった課税方式が支持されてきたからだと私は思うんです。そうだとすると、今巨大なジャパンマネーの流れが極めて投機的な方向に流れている、そして日本経済が投機的な動きを強めているこういうときこそ、この取引所税がその機能を発揮してしかるべき役割を果たすことが必要だと思うんです。だから、そういう意味ではこの税制をもっと大きく位置づけるべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 御指摘のように、先物取引に対する考え方といたしまして一種のばくち性のようなものがある。これを望ましくないとする考え方は、古くから商品取引が発展いたしました我が国において常にありました意見でございます。明治に入りましてもそのような考え方がとられまして、御指摘のとおりに取引所税という形で古くから先物取引に課税をされてきているわけでございます。  しかし、昨今の状況を考えますと、価格変動リスクをヘッジする機能としての先物取引、これは非常に有用なものでありますし、いわば価格のフラクチュエーションを逆に抑えるという要素もあるわけでございまして、世界的に各種の先物取引が行われてきている、こういう情勢でございます。  そこで、先物取引に対します我が国の古くからの社会の感覚といいますか、そういうものと、それから国際的な情勢、ヘッジ機能、そういうようなことを勘案いたしまして薄く万分の〇・一ということで一律に課税するという考え方を取り入れたわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 ヘッジということをよく強調するんですが、私は現物よりも先物の方が投機性が強いと思うんです。この点は二年前にも宮澤さんと議論してきたところであります。  この先物に関する課税のあり方は、同じ流通税であり証券の現物取引に対する課税である有価証券取引税とのバランスを考える必要があると思うんです。仮に金融・証券業界が要求するように先物取引に対して課税しないことにすると、現物には課税するがそれより投機性が強い先物は非課税ということになって、アンバランスが生ずることになると思うんです。となりますと、市場に対して中立ではなくなって税制が投機を助長することになると思うが、どうか。  そして、この有価証券取引税とのバランスを考えた場合には、九〇年度歳入においては有価証券取引税の税収が一兆二千億円、それに対して取引の規模が大きくて投機性の高い先物に対する取引税の税収はたったの四百七十億円、したがってバランスを欠くんじゃないかと思うんですが、この面はいかがですか。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 取引所税の課税対象でございます先物取引は、原則として現物の授受を予定しないわけでありまして、差金の授受によって決済される取引でございます。そして、その機能といたしましては現物市場において取得した有価証券等の価格変動リスクをヘッジするということを主たる目的としている取引でございまして、現物取引とは全く性格を異にするものでございます。したがいまして、現物取引に対します税率と先物取引に対する税率を単純に比較いたしまして税率を決定するということはなかなか難しいことではないか。それぞれの機能に合わせて考えていかなくてはいけないと存ずる次第でございます。  特に先物取引の場合、他国の市場との関係等もございまして、外国の市場でヘッジするということもできるわけでございますから、国際的なそういう取引に撹乱要因とならないことも非常に大切なことでございますので、実績のある国際証券先物取引に適用されている税率、それを用いて先物取引の税率としているわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 外国の例がさっきから出ていますけれども、アメリカの場合には現物にも先物にも課税していないのでそれなりのバランスがあると思うんです。それから、フランス、西ドイツ、イギリス、これは現物の取引に課税される一方で、それよりも投機的な取引である先物に対しては課税されていない。となりますと、これはやっぱりバランスはとれていないと思いますね。この点については二年前に宮澤大蔵大臣も、そういう点の議論があったときに、「恐らく各国の主税局長の人がどっちかといえば取れれば取りたいと考えているのは、職業上私は無理がないと思う」、こうおっしゃいまして、私どもとかなり共通の認識があると思うんですが、この点橋本さんも、金融・証券業界などの非課税要求をはねのけた、これは私評価します。いいことは褒めます。  ただ、その後がよくないんで、率直に言って税率は引き下げ過ぎたと思うんですね。もっとバランスよく課税する。諸外国に対してはもっと自信を持って——我が国は一番それは一貫しているんですよ。むしろ我が国の税制を手本にせいというくらいの姿勢があっていいと思うんですが、そういう立場からこの税制をこれから維持強化していくという、そういう姿勢を示していただきたいと思うんですが、どうですか。褒めたんですから、ひとついい答弁を……

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 何となくこの法律案に御賛成がいただけるのかなという期待をしながら拝聴いたしておりました。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 私は、下げ過ぎたのはいかぬと言って、その点は強く批判をしているところであります。  有価証券取引税と取引所税はいずれも流通税として、一方は現物の有価証券取引に対して、他方は先物に対して、それぞれ流通の背後にある担税力を認めて課税しているという点はさっきから議論がありました。有価証券取引や先物取引の規模は近年急速に伸びて、既に巨額な規模に達しているわけですから、私はこの二つの税の税収に占める比率は当然大幅にふえてしかるべきだと思うんです。十年前はわずか一%足らずだったのが、六十一年には両方合わせて三・二%、六十二年は三・七%、六十三年には四・一%になっている。ところが、この間、有価証券取引税の税率を下げたために今年度では二・一%とダウンしている。これじゃやっぱり取引規模に合った税制じゃないんじゃないか、取引規模の増大に対して税収がはるかにおくれをとっているんじゃないか、こういう立場から反省してみたことはありませんか。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 有価証券取引税の税率を下げましたのは、他面におきまして有価証券譲渡益、従来非課税となっておりましたものを新たに課税をするという制度を取り入れたわけでございますが、それとのバランスで有価証券取引税が下がっているわけでございまして、有価証券の取引に対する税と有価証券の取引から発生する所得に対する税をあわせて考えていただきますと、そこはやはりバランスのとれていることであろうと思います。特に有価証券取引税、我が国の場合、他国と比べて高いというところがありましたものですから、その辺も勘案して下げたわけでございます。  しかしながら、このようないわゆる流通税の類は間接税の中で消費に対する税を補完するものとしてやはり重要性を有すると私どもは考えておる次第でございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 時間が来たので、やめます。

古川太三郎連合参議院

○古川太三郎君 現物との比較ですけれども、これは有価証券に限ってのお尋ねですが、先物は万分の〇・一となっていますけれども、現物の場合はどのぐらいになっているんでしょうか。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 現物の税率でございますか。

古川太三郎連合参議院

○古川太三郎君 はい。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 有価証券取引税の税率は二種類に分かれておりまして、第一種と申しまして証券会社を譲り渡し者とするものにかけられます税率でございますが、株式等につきましては万分の十二、転換社債等につきましては万分の六、その他の公社債等が万分の一となっております。それ以外の譲渡、それを第二種と言っておりますが、株式等につきましては万分の三十、転換社債等につきましては万分の十六、その他の公社債等は万分の三ということになっています。

古川太三郎連合参議院

○古川太三郎君 今の近藤委員のお話ですけれども、先物と現物との税の比率が随分違う。もう百倍も違ってくるというような区別をするのは、先ほどからもお話はありましたけれども、なぜそれほどまでに区別しなければならないのか。むしろ近藤委員がおっしゃったように、これは投機的なものも相当に含まれる。ヘッジの部分はよくわかりますけれども、それにしても十倍じゃなくて百倍以上と税率が違ってくるというのは一体どういう意味なのか、そのことをもう少し説明していただきたいと思います。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) いわば投機性というようなことも勘案いたしまして取引所の先物取引に税負担を求めるという伝統的な考え方と、それから広く国際的に行われております先物取引とのバランスということを考えたわけでございますが、国債先物取引が比較的最近昭和六十年代に入りましてから行われまして、そのときにどの程度の税負担がよろしいのかという議論がございまして、万分の〇・一ということでスタートいたしました。その結果、順調に国債の先物取引の発展を害することなく過ぎてきておりますので、一つの基準としてその税率によったということでございます。  現物の取引であります有価証券取引税の税率とのバランスというような考え方は、ちょっと税の性格が違いますので、そのようには考えていないわけでございます。

古川太三郎連合参議院

○古川太三郎君 先物であっても六十二年度までは相当高率な税率でありましたけれども、六十三年度の税改正から万分の〇・一、これは地方債とか社債の件ですけれども、本来ならば万分の一で進んできたものをなぜわざわざ万分の〇・一まで下げなければならないのか。国債証券では初めから万分の〇・一ということでありました。しかし、六十二年度の株式の先物では万分の一というような形で、むしろ遅く出た先物でも万分の一にしていたわけなんです。そして現在まできたわけなんですが、それをわざわざ〇・一まで下げなきゃならぬのか。  国際的な比較というようなこともおっしゃいますけれども、税制は日本の考え方を一応骨格として推し進めていいんではないか。今までもそういうことで税を取ってきたという意味では、日本の考え方がもう少し浸透してもいいんじゃないかというような気もするんですけれども、その辺についてはいかがですか。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 伝統的な考え方としては委員の御指摘のとおりの考え方がとられていたわけでございまして、価格の変動の大きいもの、したがって投機性の大きいものに大きな税負担を求めるということであったわけでございます。現行の取引所税法はそういう体系でできておりますので、株式の先物取引、株先五〇につきましても御指摘のとおりの税率を適用していたわけでございますが、今回全面的に取引所税法を見直すに当たりましてはリスクヘッジ機能というところに重きを置きました。その結果、取引の対象となりますものが株であろうと商品であろうと、あるいはその他の有価証券でありましょうと指数のようなものでありましょうと、リスクヘッジ機能としては同じではないかということで、同一の税率を適用するというようにそこは考え方を改めたわけでございます。

古川太三郎連合参議院

○古川太三郎君 リスクヘッジについては、これは株のことですけれども、例えば信用取引をしますね。そのときに五%以上の利益が出た場合、これは信用で売ってしまえばその売価のパーセンテージで余分の税金を払わされますが、わざわざ現物にかえて売れば、これは個人所得の場合ですけれども、余分の税金がかからないというのが事実ですね。そういうことがございますでしょう。そういうことになれば、個人の場合はこれはちょっと別ですけれども、せっかくもうけたお金に、現実お金をつぎ込まない限りは税金が安くならないという不公平が生じるわけなんですね。同じ機会を与えられながら、一方は現物にすれば安く、現実にお金がない人はせっかくもうけても信用のままであれば余分の税金を払わされるということの不公平があるんですが、どのようにお考えですか。

尾崎護大蔵省主税局長

○政府委員(尾崎護君) 株式の売買をいたしまして現物で決済いたしました場合、その取得価格が幾らであったとかそういう計算をいたしまして、そこに本来の譲渡による所得が出てくるわけでございますが、そこが手続上大変であるということで、御承知のように五%という平均的な利益率を用いまして、それに二〇%の所得税率を乗じて取引高の一%で課税をしているわけでございます。  御指摘の信用取引で差金の決済をいたしますと、差金の決済そのものが実は所得そのものになるわけでございます。そこで概算率を使うようなことをしなくても、その所得額を用いてそれに二〇%という税率を適用すればよろしいわけでございますので、そこが基本的に違うところでございます。そのために、委員御指摘のようにあるいは差が出てくることもあろうかと思いますが、考え方といたしましては、差金決済の場合にはそこで所得が確定する、したがいましていわば申告分離の場合と同じように二〇%の税率で税額を計算するという考え方でございます。

古川太三郎連合参議院

○古川太三郎君 いや、私はそういったことを聞いているのじゃなくて、現実にはお金がある人はもうかったときにはそのお金でなおさらもうかる。お金が少ない人は、どうしても信用決済しかできないんですよね。そういう意味での不公平はどういうふうに考えているんですか。

角谷正彦大蔵省証券局長

○政府委員(角谷正彦君) お金があるとかないとかということとは直接関係ないわけでございますが、信用取引について決済いたす場合には二つの方法がございます。  一つは、今御指摘のように差金を収受することで決済する方法でございます。もう一つは現物を引き取る方法でございますが、現物を引き取るというのは、これは例えば信用取引をやって損が出てきたケースでありましても、信用取引は借金をして金利を払ってやっておりますから、むしろそれを清算いたしまして、売買購入代金を払いまして、そして例えば中長期的に株を保有してみようと、こういう場合も起こり得るわけでございます。  そういった意味では、お金があるなしではなくて、差金決済収受における方法と現物決済の方法と二つあるわけでございまして、税の面では、主税局長が申しましたように、差金決済を行いますとそこで収益が確定いたしますので、差益の二割について課税される。ただ、現物を引き取りました場合には、これは短期的に売る場合もございましょうし、中長期的に保有して後から売る場合もございましょうから、これはやはり源泉分離の一%、こういう選択になってくるんだろうと思います。したがって、そういう意味では、金のあるなしではなくて、そういった決済方法が二つあることに伴う課税の相違であろうというふうに理解しているわけでございます。

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) 以上で質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、取引所税法案に対する反対の討論を行います。  第一に、金融先物取引に対して課税することは当然のことでありますが、税率、実施時期ともに極めて手ぬるいという点であります。今回金融先物取引を課税対象に取り入れる際、指標とされるべき税率は、少なくとも投機性などの観点から類似の商品で既に課税されている株先五〇や商品先物に適用されている万分の一という税率であった。にもかかわらず、その十分の一の万分の〇・一という税率とされ、とりわけユーロ円先物は経過措置としてさらにその十分の一の税率とされたのであります。  課税時期についても、旧取引所税法の規定に従えば取引が開始されると同時に課税されるべきものを何度も課税延期され、やっと今年の十月から課税するというもので、取引が開始されてから二年もの猶予期間が保障されており、通貨先物などはさらに二年間猶予されるというものであります。  今回改正による取引所税の税収は四百七十億円が見込まれておりますが、新先物商品に課税してなかった六十三年度税収は六百三十九億円であり、これに比べてもその七割程度の税収でしかなく、いかに今度の課税がなまぬるいかを物語るものであります。  第二に、金融・証券業界は、先物に対する課税は世界に例がなく課税されると我が国資本市場の国際競争力に影響すると言って取引所税の撤廃を強く要求しておりますが、我が国の先物市場は発足してまだわずかしかたっていないけれども、既に先物王国シカゴを追い抜き世界一の規模に達しており、わずかな課税によって取引が打撃を受けるなどの心配は杞憂であります。むしろ日本経済の投機化が懸念される今日こそ、これら金融取引に適切な課税がなされなければなりません。  また有価証券の現物の取引に課せられている有価証券取引税とのバランスも適切に考慮されなければなりません。  第三に、商品先物に対する税率は今回十分の一に引き下げられますが、さきの税制改革による引き下げを加えるとこの一、二年の間に二十五分の一という大幅引き下げとなります。商品先物取引が投機化しつつある今日、このような大幅減税を正当化する何の理由もありません。  以上、要するに今回の取引所税の改正は、総額何千兆円という天文学的な取引の世界に対して万分の〇・一などという顕微鏡的な課税を行うようなもので、全く不十分であることを指摘し、反対の討論といたします。

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  取引所税法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十四分散会

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