大蔵委員会 第2号
- 発言数
- 276 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1990/03/29
会議録
○委員長(藤井孝男君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る二十七日、櫻井規順君が委員を辞任され、その補欠として鈴木和美君が選任されました。 —————————————
○委員長(藤井孝男君) 所得税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案及び関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。橋本大蔵大臣。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案及び関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 まず、所得税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 政府は、最近における社会経済情勢にかんがみ、公的年金等控除額及び個人年金保険契約等に係る生命保険料控除額を引き上げる等の改正を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、公的年金等控除につきましては、年金受給者の税負担軽減の見地から、定額控除を年齢六十五歳以上の者にあっては八十万円から百万円に、年齢六十五歳未満の者にあっては四十万円から五十万円にそれぞれ引き上げる等の改正を行うことといたしております。 第二に、個人年金保険契約等に係る生命保険料控除につきましては、自助努力の奨励等の観点から、個人年金保険料については現行の生命保険料控除から除外して別に控除を認めることとし、その控除限度額を五千円から五万円に引き上げる改正を行うことといたしております。 その他、寡婦控除の適用要件である所得限度額を三百万円から五百万円に引き上げることとするほか、非居住者などが行う土地などの譲渡の対価について源泉徴収を行う等の措置を講ずることといたしております。 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 政府は、租税特別措置について、当面の政策的要請に対応するとの観点から、土地対策、住宅対策、輸入促進策等早急に実施すべき措置を講ずるほか、租税特別措置の整理合理化等を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、土地税制につきましては、超短期所有土地等に係る譲渡益重課制度等の適用期限を延長するほか、土地譲渡益重課制度の対象となる土地を事業用資産の買いかえ特例の適用対象資産から除外する等の措置を講ずることといたしております。 第二に、住宅取得促進税制につきましては、国民の持ち家取得を一層促進する見地から、税額控除期間を六年間に拡充する等の措置を講ずるとともに、その適用期限を二年延長することといたしております。 第三に、総合的な輸入促進策の一環として、製品輸入促進税制を創設することといたしております。 第四に、企業関係の租税特別措置等につきましては、平成二年度におきましても、政策目的と政策効果との観点から、既存の租税特別措置の整理合理化を図るなど必要な改正を行うことといたしております。 その他、特別国際金融取引勘定に係る利子の非課税、中小企業の貸倒引当金の特例、住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税額の計算の特例など適用期限の到来する特別措置について、その適用期限を延長するなどの措置を講ずることといたしております。 次に、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 政府は、最近における内外の経済情勢の変化に対応し、我が国の市場の一層の開放を図る等の見地から、関税率、戻税制度、減免税還付制度等について所要の改正を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。 第一は、関税率等の改正であります。 機械類を中心として工業製品関税の一千四品目の撤廃、四品目の引き下げを行うとともに、牛肉缶詰など農産物の輸入自由化に関連した関税上の措置を講ずるなど所要の改正を行うことといたしております。 第二は、戻税制度、減免税還付制度の改正であります。 輸入時と同一状態で再輸出される貨物に係る戻税制度を新設するとともに、関税の減免税還付制度について適用期限を延長するなど所要の改正を行うことといたしております。 以上のほか、平成二年三月末に適用期限の到来する暫定関税率についてその適用期限を延長するとともに、所要の規定の整備を図ることといたしております。 以上が所得税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案及び関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(藤井孝男君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 これより三案の質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○久保亘君 私は、租税特別措置法の一部を改正する法律案について質問をしたいと思います。 最初に、今橋本大蔵大臣が提案理由の御説明をなさったわけでありますが、その中に、政策目的と政策効果との観点から既存の租税特別措置の整理合理化を図る等必要な改正を行うことにした、こういうことでございますが、これは企業関係の租税特別措置についてということになっております。租税特別措置に関しては、全体にわたって非常に複雑なものとなっておりますが、政策目的と政策効果、特に租税の公平という立場から問題がどこにあるかということを根本的に見直す必要があるのではないか。 そういう政策目的や政策効果の観点から見直してここに提案をしたとなされておりますが、その改正を行う部分についてそう述べられるだけではなくて、租税特別措置の全般にわたってそういう検討を行う必要が生じてきているのではないか。特に今日、高齢化社会の問題や国際化時代の中でそういう必要が一層大きくなっていると思うんでありますが、租税特別措置法の制度全般にわたって、今言われた政策目的や政策効果というようなことに照らして、全体的な見直しを行う考えをお持ちになっているかどうかお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員が御指摘になりました租税特別措置の見直しというものは、私どもは不断に行うべき性格のものであると考えております。 租税特別措置は、今さら申し上げるまでもなく、税の公平、公正という原則の上に立ちながら特定の政策目的を遂行していくために採用する手段でありますから、その運用等につきましても常にチェックが必要であるということは委員が御指摘のとおりであります。そして、その政策目的が終了したものは当然廃止をいたしますとともに、そのまま継続をいたしております措置につきましてもその状況の変化に応じてそれが弾力的に運用されるべきものであることは御指摘のとおりでありまして、今委員の御指摘のような心構えを持ちながら毎年の見直しを行っておるところであります。
○久保亘君 それでは、租税特別措置に関してその政策効果というものがどういうふうに把握されるかということを具体的に私どもは報告をしていただきたいと思っているわけです。特別措置による減収額がどれだけになっているのか、それから政策効果がどのように測定できるのか、そういうものを具体的に国会に報告してもらって、私どもがそれに基づいて租税特別措置の見直しというような議論を深めなければならぬと思っておるのでありますが、この特別措置の効果の測定とか減収額の実態というようなものについて国会に正確な御報告をいただけるでしょうか。
○政府委員(尾崎護君) 租税特別措置によります減収額の試算は毎年資料として国会に提出いたしているところでございます。 効果につきましての御質問でございますが、その効果のとらえ方という問題でございますが、それぞれの租税特別措置はそれぞれ特定の政策効果をねらってとられているものでございますけれども、その測定の仕方は例えば減収額のように計数的にとらえられるという種類のものではございません。そのような形ではっきりと計数的、数量的に示せと言われますと、いろいろな要素が伴っているものでございますから、税の部分だけ取り出すということはなかなか難しい事情にあることは御理解を賜りたいと存じます。 ただ、その中におきまして、例えば国税庁におきます会社標本調査結果報告などによりまして、例えばストックとしてどのぐらいの積立金を持っているか、準備金を持っているかというようなことにつきましては実績をとらえることができます限りでとらえまして、法人企業の租税特別措置に関する調べというようなことで国会に提出させていただいているところでございます。
○久保亘君 それから、租税特別措置の一部改正の出し方というものは、今まで新規の措置それから改廃措置という部門といわゆる延長を必要とする日切れと称する部分とが一緒になって提案をされるということのために、国会の審議が十分に行われにくいという問題もございます。したがって、この租税特別措置法の改正等の提案に当たっては、これを区分して提案するということを国会審議を十分に尽くすという立場からもやっていただきたいと思うんでありますが、それはよろしゅうございますか。
○政府委員(尾崎護君) 私ども租税特別措置についてどのような扱いをしているかということをちょっと事務の面の御説明をさせていただきたいわけでございますが、政策税制でございますので、ちょうど予算要求の時期と大体時期を同じにいたしまして、各省庁からそれぞれ特定の政策目的のためにこのような税制上の措置を講じてほしいという要求が出てくるわけでございます。 新規あるいは延長等につきましては、そういう要求を受けまして各省との間で議論を重ねるということを行うわけでございますが、そこにはそれぞれの立場からどのような効果が考えられるかあるいはその所期の政策目的を達するためにはどのぐらいの年限が必要であるかというようなことをできる限りのことをそろえていただきまして、それをベースといたしまして議論を続けるというやり方をしているわけでございます。 租税特別措置でございますから、その特定の目的を達するインセンティブとして働くためにはむしろある特定の期間内にそれをやらないと有利な取り扱いがなされない、特定の期間を過ぎますとその有利な取り扱いが行われなくなりますというようなところが非常に実は誘因効果として力を持つわけでございまして、先ほど大臣から御答弁をいたしましたように不断の見直しをしておりますが、その一番いい機会は年数が切れるというときでございます。ちょうど期限が来たというところでこれをどうするかというのをまた根底に戻って議論ができるということができますので、その意味からも年限を切っておくということが非常に大切であり、また期限到来のときに議論を根底からやり直すということを続けていかなくてはいけないと思っております。ただし、年限が来なくても、私どもの方から、期限前ではあるけれどもいろいろの情勢を考えるともうやめてもいいのではないかというような提案をすることもございます。 そのような形で、租税特別措置の見直しが事務的には行われているわけでございますが、法律の形をとりましたときには、租税特別措置法という一本の法律の中で新規に新しい条文が加わるという形になりますとか、あるいは今までありました条文が削除になるということで廃止になるとか、あるいは年限を延ばす、あるいは例えば準備金の積立率を減らすというような見直しはその条文の改正という形になります。 したがいまして、一本の法律の中で新規分も見直し分も提案されるということになるわけでございますけれども、お手元にお届けしてございます、例えば租税特別措置によります影響額等の資料を提出いたしますときには、新規分でありますとか、あるいは見直し分でありますとか、あるいは法人分、個人分等に区分をいたしまして、できるだけ審議の御参考になるように工夫を凝らしているつもりでございますが、なおそのような点につきましては一層の努力を続けてまいりたいと存じます。
○久保亘君 やっぱりそこのところは国会で十分な審議ができるような法律の提出の仕方というものをやってもらわないと、どさくさに紛れて何もかも一緒に年度末で、ここでやらないと困るからということでまとめて出してやっていくというやり方は私は国会の審議権を尊重する立場ではない、こう思うのです。 それから、今主税局長は、特別措置には期限をつけなければいかぬ、こういう御説明だったかと思うのですが、租税特別措置の中に期限をつけていないものがございますか。
○政府委員(尾崎護君) 租税特別措置法すべてが当分の間の措置ということで、総体的に抽象的には期限が切られている形になっておりますが、個個の条文におきましてはっきりと何年何月何日までというように期限の切ってございますものとそうでないものとがございます。しかし、企業関係の特別措置等につきまして、特にインセンティブ効果を図るものにつきましては、期限を切っておくということがそれ自体が非常に重要な特別措置たるゆえんであろうかと存じまずので、できる限り期限を付すような方向で検討しているのが現状でございます。
○久保亘君 今あなたが言われたような考え方に立てば、租税特別措置に当分の間というくくり方はしてあっても期限が定められていないものが幾つもあります。こういうものについては、期限を明示してその期間に政策目的に沿う効果を上げさせる、そしてその効果を果たしたと思われるもの、あるいは政策効果をもう期待できないというようなものについては改廃を行っていくというようなことが適切に行われなければいけないのではないかと思うので、この期限をつけるということについて、今まで具体的に期限をつけられていない特別措置については、今後大蔵省として検討される、こういうふうに考えていいんですか。
○政府委員(尾崎護君) 期限の付されていないものにつきましても、例えばもうその目的は達している、あるいは情勢が変わったというようなものにつきましては、積極的に私どもから廃止または縮減の申し入れを各省庁にするように心がけておりますし、これから新たに設けられる租税特別措置等につきましては、最近の傾向は全くそのとおりなのでございますが、委員御指摘のとおり、期限をきちっとつけるという方向で考えていきたいと思っております。
○久保亘君 次に、円安の問題、為替安定に関して少しお尋ねしたいと思うのでありますが、第四次の公定歩合の引き上げや、先般ロサンゼルスで行われた橋本・ブレイディ会談が共同声明までお出しになったにもかかわらず、円安はさらに進行しつつありますが、この円安ドル高の事態をどう大蔵大臣としてはどのように受けとめておられますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 昨日の時点で、たまたま記者団から同様の感想を求められましたとき、私は半ばがっくりし半ば心配しながら事態を見守っているという言葉を使いました。これは、そのまま私の率直な感想でございます。 日銀の今回の公定歩合の引き上げにつきまして、日銀当局の説明としては、現実の金利に追随すると同時に、インフレ、物価上昇の未然防止という視点から、今回の公定歩合引き上げに踏み切ったもの、為替に対する影響というものは副次的な効果をねらうという説明がなされておりましたし、それ自体は私もそう認識をいたしております。 そして、日米蔵相会談の席上、私どもも、またアメリカのブレンディ財務長官も、現在の為替水準というものが双方の共通の懸念であること、言いかえれば双方の経済のファンダメンタルズを的確に反映したものとは言いがたいという認識において一致をいたし、アメリカ側からすれば、他のG7各国との一連の蔵相会議の中では行わなかった共同声明の発表にまで踏み切ったという状況の中で、必ずしもそれが効果を上げていると言いがたい状況については、私どもと同様の懸念を抱いておられるものと思われます。 市場は、さまざまな要因で動かれることでありますし、また思惑的な動きもあり、殊にソビエトとリトアニアの問題が発出いたしましてから、なお国際的にも他の通貨に比してドルが強いという状況が出ておることも事実でありますが、我々としてはこの為替の水準が日本経済の実態を反映した水準に一日も早く安定することを心から期待をし、願っておる、そういう状況でございます。
○久保亘君 ブレイディ財務長官は、橋本大蔵大臣の今の御主張に対して、合意というか、同じ理解、認識にお立ちになったんでしょうか。 そして、共同声明は具体的な今の円安ドル高の是正のための努力に関しては余り述べられていないのではないかということで、マスコミの論調などでも非常にそっけない共同声明だというのもありますし、そしてまた事実としてはこの共同声明が出された後、円安はさらに拍車がかかっている、これは別に共同声明が拍車をかけたとは申しませんけれども、そういう状況がある。このことでアメリカ側は本当に大蔵大臣と同じような認識に立って日米間の実勢に見合うようなものに是正しなければならぬという見解を表明され、具体的な約束をされているんでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 具体的な約束云々につきましては、この際申し上げることを控えさせていただきたいと思いまずけれども、円安が進行していきますことは、現在、日米両国の間におきまして貿易収支が一番非常に大きな緊張の原因となっておりますものが、一層悪化させる可能性を持っておることは委員御承知のとおりでありまして、これは米国にとっても好ましくない状態であるという認識は双方共通のものであります。 また、私も、今委員から御指摘になりましたようなさまざまな論評をマスコミのテレビの画面あるいは紙面で拝見をいたしました。ただ、私から申し上げられますことは、G7各国とアメリカの間には、それぞれの国においてそれぞれの大きな問題を抱えておられ、その蔵相会談が一連のものとして行われながら、それぞれの国との間には発出されなかった共同声明が、ここしばらくの為替市場における協力を含めた経済政策協調についてのコミットメントを再確認したということは、アメリカ側から見れば異例の行動であるということは御理解がいただけると思います。 これをどう理解されるか、これはまた受け取られる方々のお立場でいろいろな視点はおありでありましょうけれども、私から申し上げられることは、G7の各国との間で行われている蔵相会談の中で、日米間においてのみ為替市場における協力等に触れた共同声明が出されたということは、共通の認識を裏づけておるものと御理解をいただくのが一番素直な姿ではないか、そのように感じております。
○久保亘君 今大蔵大臣言われましたように、私も今のような円安の状況が進行していくということになれば、これは輸出の問題、内需拡大の問題、いろいろな面から考えて対外不均衡是正の上では壁をつくっていくようなものだ、こう思うんです。そういう意味では、ブレイディさんが今の為替の不安定な状況というものに対して共通の困るという考え方をお持ちになるのは当然だと思うのでありますけれども、しかし、それにもかかわらずアメリカ側が具体的にこの問題について市場介入や協調の問題について積極的な態度を示しているとは思えない。 今大蔵大臣は、約束についてはここで申し上げることを控えたいがというお話でありましたけれども、この今日の為替相場の状況を是正していくということについて、財務長官との間にはきちっとした是正に向かっての約束事というのが、中身をお聞かせいただかなくても結構ですが、おありになるんでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、具体的な行動等について申し上げることは市場にもいろいろな影響を及ぼすこととして避けるべきであろうと思います。しかし、たまたまけさのラジオのニュースを聞いておりますと、昨日はニューヨークにおいて介入が行われたという報道を行っておりました。これは私どもが確認すべきことでもありませんし、またどうこうすることではありませんけれども、事実問題として、けさのニュースにおいてそういう報道がなされておりましたということを御報告申し上げます。
○久保亘君 それから先はそれじゃ聞かないことにしましょう。 ところで、このようなやっぱり円安の状況、このままいくと百六十円を超えるのではないかという見方もあるぐらい円安の進行は続いているわけでありますが、これは日本経済にとってもさまざまな悪影響を及ぼしてくるのではないか。国民生活にとってもそういうことが考えられるわけでありますが、今日のこの状況というものを日本経済や国民生活の視点から見て憂慮すべき事態としてとらえられているとするならば、その辺についての政府、大蔵省の御見解も承っておきたいと思うんです。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員が御指摘のように、国際的な為替の動きの中におきまして主要通貨の中で円が弱含みで推移をしておりますということは事実でございます。しかし、通貨当局者としてこの分析を明らかにいたしますことは、市場への影響等も考えますと私としては控えさせていただくべきであろうと思います。
○久保亘君 それでは、今度四月七日にパリでG7が開かれると承っておるんでありますが、前回昨年の秋にG7が開かれたときが一ドル百四十五円のころであったと思います。今度このG7が開かれるときには、今の状況でありますと百六十円という状況下で開かれることになるんだろうと思うんでありますが、ここで日本政府として、日本側としてG7に当たって円の問題についてといいますか、為替問題についてどんな主張をされるおつもりですか。そしてまた、それについてどういう見通しを持って臨まれようとしているんですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先日、四月七日にパリでG7を開きたいという案内を受けとっておりますが、国会の御審議の日程等がまだはっきりいたしておらないこともありまして、私自身出席するともしないともまだ返事をいたしておらない状況でございます。 それを前提にしてお聞きをいただきたいと思うのでありますが、私は国会のお許しがいただければ今回のG7には出席すべきであろうと個人的には考えておりますし、その場合には世界経済の現状分析から始まりまして、特に、恐らく今回東欧問題等についての論議が相当大きな部分を占めるであろうと思います。しかし、同時にその中におきまして日本の立場として申すべきことは、インフレなき経済の持続的成長というものを維持、継続していくためにも、為替安定のための市場における協力や政策協調についての忌憚のない意見交換を行う必要があると考えております。 そのほかに、これはむしろ前回から持ち越しの懸案でありますが、IMFの第九次増資に関連し、日本の順位を引き上げる問題が残っておりまして、日本が第二位の出資国になるところまで先日のブレイディさんとの会談におきましても足並みをそろえていただくところまでまいりましたが、順位の変更に伴って、その結果順位の下がる国同士の調整が未定でありますためにこの第九次増資というものがまだ確定をいたしておりません。この問題等につきましても早急な結論が日本としても望まれるところでありまして、こうした一連の問題が論議の対象となると思います。 しかし、我が国としてはやはりインフレなき持続的な経済成長というものを維持するための為替安定のための市場における協力あるいは政策協調というものについての議論はいたしたい、そのように考えております。
○久保亘君 これから大蔵大臣、いろいろ出席をされておやりになることでしょうから余りここでお話しになるのは難しい問題もあると思いますが、今伺ったことについて私どもも十分また検討もしてみたいと思っております。 ところで、このG7に先立って日米構造協議の問題を決着させなければG7において日本側として主張がやりにくい、こういうような状況にありますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、その点は必ずしも——そうなっていればその方がいいことは間違いないと思います。しかし、先日行いましたブレイディさんとの会談におきましても、実は私どもの間の論議としては、構造協議に関連する部分よりも欧州情勢の分析から始まった欧州開銀の問題とかそうした問題の方がはるかに大きな時間を割く結果になりました状況から考えまして、必要条件とは私は考えておりません。
○久保亘君 アメリカ側はこのことに関して今の円とドルの関係についても、せっかく橋本・ブレイディ会談が行われたにもかかわらず共同声明は我々から見ると中身は具体性に非常に欠けるものとなっているというようなことは、認識では今の為替相場は非常に問題であるということで一致したとしても、アメリカ側にしてみればこれは日米構造協議の有力な材料になっていく、アメリカ側にとって非常に有利な材料になっていく、こういう見方もあると思うんです。 そういう中で、やはり日米構造協議の決着がG7の前提として求められておる。それで、今政府が非常にその結論を急がれておるということがあるのではないかという考え方も聞くわけですが、そういうことは全く関係がないということではないとおっしゃったんだけれども、大丈夫なことなんですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) もともと、実はG7の日程とはかかわりなく、この構造協議は中間報告に向けて日本側としても最大限の努力を傾けなければならない問題であります。そして、むしろG7の日程そのものは、実は当初欧州開銀の問題の進展がもっとスピードが速いという前提のもとに、四月七、八日ごろには欧州開銀の問題の結論が出るであろうという前提のもとに、四月の七日あるいは八日という日程が取りざたをされておりました。ところが、欧州開銀の問題がなお長引いておりまして、一たんその日程は白紙に戻った状況にあったわけであります。 先般来いろいろな場所でお尋ねをいただきましても、決まっておらないということを申し上げましたのは、まさに欧州開銀の問題からちょうどその機会にパリでやろうというお話があったものが、欧州開銀の問題がずれたために日程が一回ぶらぶらになってしまった。ところが欧州の、殊に両独統一を中心にした非常に激しい動きの中で、またにわかにG7の日程というものが浮上してきたという一連の状況でありまして、私はですから、構造協議の問題もある程度のその整理がついていればその方がやりやすいことは間違いないと思いますけれども、これが必要条件だとは本当に考えておりません。むしろ構造協議は構造協議として、G7の日程とはかかわりなしに四月の上旬に行われる協議と、それをベースにした中間報告の取りまとめに向けて我々は双方ともに全力を尽くさなければならない、そう考えております。
○久保亘君 この問題についてはまたいろいろ御意見を伺う機会を持ちたいと思っております。 次に、最近国土庁が発表されました全国の地価高騰の実情について、今日地方都市にまで地価の異常な高騰が広がっているこの要因と対応策について、国土庁はどういうふうにお考えですか。
○説明員(鈴木省三君) 今お話しのように、平成二年の地価公示につきましては、東京圏について全体として地価がやや上昇したものの、東京都、神奈川県ではほぼ横ばいで推移しておりまして、また、大阪圏で著しい地価上昇が見られる一方、名古屋圏でもかなりの地価上昇が見られております。さらに地方圏では、著しい地価上昇またはかなりの地価上昇を示した地方都市が見られましたが、それ以外では、やや上昇の兆しが見られる地域もあるものの、おおむね安定的に推移いたしております。 この原因でございますけれども、大阪圏におきます地価の上昇は東京圏と比較する割安感、それから大阪圏におきます新たな開発プロジェクトの進展等々によって地価上昇が見られたというふうに考えております。 今回の地価上昇に対しまして、これまでも総合土地対策要綱に従いまして監視区域制度の的確な運用、不動産業者、金融機関等への指導、税制上の措置等、各般の対策を推進してきたところでございます。さらに昨年末に土地基本法を制定したところでございますが、今後この法律に示されました土地についての基本理念や土地対策の展開方向に基づき需給両面にわたる各般の施策を強力に推進していくこととしております。 当面の具体的施策といたしましては、昨年末に開催されました土地対策関係閣僚会議において申し合わされました今後の土地対策の重点実施方針に従いまして、大都市地域における住宅、宅地供給の促進や、土地税制の総合的見直し等について特に重点的にその実施を図っていくことといたしております。
○久保亘君 結局、土地の利用とか需給の面からの対策と、それから地価の高騰をもたらしてくるような土地取引の規制、監視、こういう面からと両面の対応策が必要となってくるんだと思うんですが、今私どもが見ております限りでは非常に手のつけられないような状況が出てきてから何かやる、こういうことですべて後手に回っているという感じを受けるわけです。 ところで、今あなたは土地税制の問題とか不動産業を中心とする土地関連融資の問題とか、そういうものを言われたんですが、これは大蔵省にかかわってくる問題なんだけれども、この種の問題、特に土地税制にかかわる今日の地価高騰に対する対策、土地対策、こういうものは税制というのが重要な柱であるのか、税制面からする土地対策というのは補完的なものであるのか、それは国土庁はどう思っておりますか。
○説明員(鈴木省三君) 土地対策を強力に推進していく上で土地税制の果たす役割は非常に重要である、また社会的公平を図る観点からもそのあり方は十分検討されるべきであると考えております。 土地基本法におきましては、土地についての基本理念として土地の適正利用の推進、投機的取引の抑制、受益に応じた適正な負担を求めているところでございます。この基本理念にのっとり、土地税制のあり方について検討してまいりたいというふうに考えます。 この検討に当たりましては、税負担の公平の確保を図りつつ、土地の資産としての有利性を減殺し、土地利用計画等土地に関する施策を踏まえまして、土地について利用の側面が重視されるべくその取得、保有、譲渡等の各局面において適正な税負担を求めることが重要であるというふうに考えております。
○久保亘君 余りよくわからぬけれども、一つは声が聞こえないということと、それから何かえらくくどくど言われるからわからぬのだが、僕が聞いているのは、国土庁が土地対策の責任官庁として、今のこの状況というものを是正していくためには土地税制というのが非常に主要な役割を持っているという認識でおやりになっているかどうかということを聞いているわけです。
○説明員(鈴木省三君) 先生のおっしゃるとおり、土地税制の果たす役割は重要であるというふうに認識いたしております。
○久保亘君 それでは大蔵省にお聞きしたいんですが、二十七日に大蔵省は、不動産業に対する土地関連融資の総量規制に関する通達をお出しになったと報道されております。この実効をどの程度期待できるものと見たらいいのか。十七年前の同じような通達の効果というものをいろいろ言われておるようですが、そのときと今とでは金融の状況なども、全く違うとは言わぬけれども、非常に変化しているんですね。果たしてこの総量規制というものが効果を発揮できるのかどうか。これはどうお考えになっておりますか。
○政府委員(土田正顕君) 御説明を申し上げます。 委員がただいま御指摘になりましたように三月二十七日でございますか、不動産融資等に係ります新たな通達を発したわけでございます。そこで、この金融機関の土地関連融資につきましては、かねてから、これは現在の一連の措置は昭和六十一年四月ごろから始まるのでございますが、何回にもわたりまして通達を発出し、あるいは特別ヒアリングを実施するというようなことで投機的な土地取引等に係る融資を厳に排除するという指導をしてまいりました。その趣旨は、私どもは各金融機関に着実に浸透してきておるものと考えております。 ただ、これは既に御議論が出ましたような最近の地価動向を見ますと、やはり地価上昇の地方への波及傾向が一段と強まっておるというような状況もございますので、さらに金融面からも従来の措置に加えまして一歩踏み込んだ措置を講じる必要があると判断して通達を出したものでございます。 そこで、その中にはこれは委員御指摘のような不動産業向け融資につきまして一つの考え方を打ち出しておりまして、当面その増勢を総貸し出しの増勢以下に抑制するように金融機関に求めることといたしております。 そこで、この効果はどうかということでございますが、ただいま委員からもお話がございましたように、十七年前にこれと似たような措置を講じたことがございまして、そのときは三カ月、半年以後非常に顕著な効果を上げたという実績はございました。そのときと今とで状況は同じか違うかという御議論でございます。この点は、端的に申しまして、金融機関自体に対する私どもの指導の姿勢は変わっておりませんし、それから金融機関のまじめな受けとめ方も変わってはおらないと思います。 ただ、この金融市場の構造を見ますと、そのときと違う点は幾つかあるわけでございますが、その中で一つ私どもが注目しておりますのは、ノンバンクと通称されておりますけれども、そういう貸金業者の活動が非常に大きくなったということでございます。その貸金業者の主たる資金源は現在のところ金融機関からの融資、資金供給が主力でございますが、金融機関がそのような貸金業者に資金を供給し、その貸金業者から貸金業者の自己の判断のもとに融資を行う。その中にかなり土地関連融資があるのではないかという問題はございます。 ところで、この貸金業者に対しまする大蔵省の、金融行政当局の関係でございますが、貸金業者を管理する法律は貸金業の規制等に関する法律というのがございまして、これはかつて議員立法によりまして御制定いただいた法律でございます。その法律によりまして貸金業者と接触することはできるわけでございますが、この法律の「目的」にございますように、これは資金需要者の利益の保護を図るということを目的とする法律でございます。サラ金問題が大きく時代を反映しておった法律でございます。 そこでは、例えば貸し付け条件の掲示を義務づけるとか、誇大広告を禁止するとか、取り立て行為を規制するとか、その方面に主眼を置いた行為規制の立法の規定はございますけれども、私どもは例えば銀行なり証券会社に対しましていろいろその管理監督をするというような密度とは違った接触の程度にとどまっておるわけでございまして、私どもといたしましても、この貸金業者の全貌を把握しているとは言いかねるような状況でございます。この辺がひとつこの十七年前と今日とを比べますとかなり状況が違っているのではないかと思うわけでございます。
○久保亘君 今度きつい通達をお出しになった。それはそれで私は必要な措置であったろうと思いますが、しかし今までも八七年のころから自粛通達というのは何回も出ているんですね。それは銀行、金融機関にも非常に浸透したと今局長は言われましたけれども、その通達の趣旨は浸透したかもしれぬけれども、通達に基づいて規制が行われたかと言えば、そうはならなかったんじゃないですか。八九年末は、日銀の調査では融資総額が四百四十兆で前年比一〇・九%伸びている。その中で不動産業向けの融資が四十六兆九千億あって、こちらの方は一四%以上伸びておる。このことは、その自粛通達どおりにはいっていないということだと思うんです。 それから、ノンバンクに対しても審査を強化して、銀行が融資するときには審査を強化して、土地関連融資にそれが回っていくことに対する自粛を求めているわけです。しかし、ノンバンクにどの程度そういう形で融資が行われているのかというようなことは、銀行局としては実態を把握されておるんですか。今まで審査を強化しろという通達をされた。そして今度は報告対象の中にも二十七日の通達では加えられておりますね。そういう実態というものをどういうふうに把握されておりますか。
○政府委員(土田正顕君) 一つのお尋ねは、昭和で申しますと六十二年以来いろいろやっておるが、効果はあるか、こういうお尋ねでございますが、実は私どもはそれはそれなりに効果を上げたと思っておるわけでございまして、ただいま御指摘の全国銀行の不動産業向け貸し出しの残高の伸び率などを見ましても、昭和六十一年、六十二年ごろは二〇%台、三〇%台、対前年比でございますが、そういう高い伸び率を示したのでございます。そこで、昭和六十二年ごろから相当本腰を入れて指導に取りかかったわけでございまして、それは金融機関に着実に浸透しておったと思います。 そこで、その効果もあってと申し上げたいわけでございますが、昭和六十三年、例えば六月末のごときは、不動産業向け融資の伸び率は九・四%というところまで下がったわけでございます。しかし、その後なかなか全体の融資の伸びが堅調だということもあずかりますし、それからやはり好景気が長く続いておるというようなこともございますし、いろいろな原因があるかと思いますが、この不動産業向け融資の伸び率がまた多少高まる傾向にございまして、十二月末では一四・一%になっておるということは御指摘のとおりでございます。 ただ、私どもとしましては、これまでの何年かにわたる通達は、事実その効果を上げたという時期は少なくともあったわけでございますし、それから金融機関の土地融資に対する態度、それから審査管理体制、それは格段に強化されておるということは検査などを通じても印象として理解しておるところでございます。 次に、ノンバンクの審査を強化するということだが、その実態を把握しておるのかというお尋ねでございます。 ノンバンクたる貸金業者一般に対しましては、さきにお答え申し上げましたとおり、銀行などに対するような一般的な指導監督の権限がないという法律上の限界はございますけれども、従来から投機的な土地取引などに係る融資を厳に抑制するということで、金融機関に対しましてはノンバンクたる貸金業者一般への融資について十分審査を行うように指導する、それから思い切ってノンバンクの業界、主要な団体がございますが、それに対しても文書を発して要請するというようなことまで、いわば現在の制度上許される限界の範囲内でぎりぎりの努力はしておるわけでございます。 そこで、この実績を把握しておるかということでございますが、これは昨年十月にいわば一連の措置の強化を実施いたしましたときに、ノンバンクに対する金融機関の貸し出しの実績を求めるということで報告を徴求することにいたしました。それの現在まで判明しておりますところでございますが、一例を申し上げますと、大蔵省に報告がありましたもの、これは全部と申しますか、悉皆ではございませんで、一貸出先当たり一億円以上の貸し出しを対象として報告を求めたものでございます。 二つポイントを申しますと、平成元年十二月末の金融機関からの融資額の残高は六十八兆円というふうに集計をしております。それで、どのくらい伸びておるかというのがその次でございますが、これは実は三カ月ごとにとっておりまして、まだそのデータは三つしかございませんで、すなわち平成元年の六月、九月、十二月とこの三時点しか今のところ集計はできておりません。この平成元年の九月時点の三月に対します増減率は七%でございます。もし仮にこれを四乗いたしますと、年換算三一%ということになります。それが十二月には三カ月前に比して三・七%の増、仮にこれを四乗いたしますと年換算一五・六%というふうに、この限りではかなり伸び率は引き締まってきておる、下がっておるという実績は把握しております。
○久保亘君 時間がなくなりましたので、今の問題についてはいずれ今度の通達に関する実績のまた報告等をいただく機会に質問さしていただきたいと思っております。 今国土庁も言われたんですが、税制とか土地関連の融資とか、こういう問題に対する取り組みが今日の土地問題、地価高騰問題の決め手であるということだとするならば、大蔵省の役割は非常に大きいのではないか、こう思うんです。土地がいかなる投資よりも最も有利であるという状況がある限り今日の状態はなかなか改まらない。そのことは庶民の生活、特に住の面での生活を非常に圧迫することにもなるわけです。 それで、融資金利をはるかに上回る譲渡益を得られる、譲渡益の利益率というものが融資金利よりもはるかに大きいというこの状況というものを直していくためには、税制の面それから金融規制の面、こういう面で大蔵省は積極的な取り組みを求められているのではないか、こう思うんですが、今回出されております租税特別措置法の改正の中での土地に関する部門というのは、従来の超短期の問題、それから長期、短期の区分の問題をそのまま継続するということが中心であります。これでは対応できなかったから今日の状況が生まれてきているとも思うんですが、大蔵大臣に最後に時間がなくなりましたので税制の面からと金融の面からと、大蔵省がこれから積極的に土地対策に取り組むに当たっての考え方を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、今委員がお述べになりましたように、土地政策の中において金融あるいは税制が大きな役割を果たすことを決して否定するものではございません。 ただ、同時に申し上げたいことは、税制にいたしましても金融にいたしましても土地政策の中で重要な役割を果たすものではありますけれども、同時に、実はわき役だということであります。なぜなら、やはり土地に対しての基本理念が確立をしていないままに本来重要な役割を演じるわき役であるべきものが主役の立場に置かれたところに今日の問題がある、私はそういう認識をいたしております。 これは大変失礼でありますけれども、私は、やはり土地税制を活用して特定の政策目的に沿って個人や企業を誘導していこうという場合に、その望ましい土地利用のあり方というものについて基本理念あるいはそれに即応して講じられる関連の施策というものが整備されておりませんと、どうしてもその役割には限界があるということであります。 先ほど銀行局長から御答弁を申しましたように、金融としては既に一歩を先日踏み出したわけでありまして、この総量規制の中でそれだけの効果を発揮することを期待いたしておりますし、土地税制につきましても私どもは税制調査会において四月から本格的な御検討をいただくつもりでおりますし、総合的な検討をしていただくつもりであります。 その基本理念ということを申しましたのは、例えば東京の都心で、一つの例でありますけれども、平家の建物に住んでおられる、あるいはその平家の建物で御商売をしていらっしゃる方があるといたします。そのまま居住が続けられる、営業が続けられるように税は誘導をしていくべきなのか、それともその土地の高度利用ということから考えれば、あるいは建てかえのために、場合によっては再開発を進めるために住みかえもやむなしとするのか、その政策の基本がありませんと実は税の方向は確定できません。 非常に私どもが残念だと思っておりますのは、その基本理念が確定をしないままにいわばわき役であるべき税あるいは金融が主役の役を演じなければならなかったところに私は現在の土地問題の悲劇がある、率直に私はそういう感じがいたしております。 ただ、四月から税制調査会で御審議をいただきます場合に、これは総合的に御検討いただくわけでありますが、私は二つの視点から特に税制調査会での御検討を願いたいと思っておりまして、一つは、まさに持てる者と持たざる者との格差という視点からその資産課税としての適正なあり方、こういう視点と同時に、これは大変素朴な言い方ですけれども、とにかく大都市においてまじめに働いていればいつかは自分で家が持てるんだという国民の夢をかなえるための土地政策の中で、一体税はどういう役割を果たすべきなのか、そういう視点を、私は二つ自分としては提起をしながら税制調査会における御検討を願いたい、そのように考えております。
○前畑幸子君 私は相続税についてお聞きしようと思っておりますけれども、所得税法の一部を改正する中に、今度個人年金保険契約などの大幅な控除増額がありますので後でそれは聞きたいんですけれども、その前に、相続の基本であります問題として、私は三年半前まで実務に携わってまいりました税理士でございますので、いろいろな相続の場面に遭遇しながら疑問に思ってきたり考えたらどうかなと思ってきた問題がありますので、それを一度お聞きしたいなと思います。 民法の第九百四条の二というところに寄与分ということがあるんですけれども、ちょっと読ましていただきます。 共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加につき特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定によって算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。 という条文があるんですけれども、まず大まかな問題としまして、この議案が昭和五十二、三年ごろから討論されてきている、議案に上ってきていると思いますけれども、作成された際の社会的な事情といいますか、どうしたことからこういうものが起きたかを法務省の方にお聞きしたいと思います。
○説明員(岡光民雄君) お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、この民法九百四条の二の寄与分の制度は昭和五十五年の民法改正で導入されたものでございますが、その五十五年の前あたりから、家庭裁判所の遺産分割の審判実務の中におきまして、単純な機械的な均等分割という制度だけでは実質的な共同相続人間の公平が図られないということが指摘されてまいりまして、実質的な公平が確保されるような立法化を導入していただきたい、こういう要望が出されてまいりまして、これを受ける形で、五十五年の民法改正ということで導入された、こういうことでございます。
○前畑幸子君 兄弟の中でも三人も五人もおりますと、親に一生懸命尽くした者とか、全然知らん顔していても今は権利がありますので、それが平等に分割されるということですので、おもしろくないということでこういうものができてきたかと思いますけれども、私の当たってきた事例では、七十、八十の両親をみとって、そして御夫婦も五十代、六十代で、たまたま子供さんがなくて御主人が先に亡くなった場合に、お嫁さんの立場というものは、夫の相続権はあるんですけれどもそのしゅうとの相続権というものはないんですね。 ですから私は、このときのいきさつが、ちょっとまだ勉強不足で、資料を集めることはできませんでしたけれども、お嫁さんの立場をどうするかということはこのときにはのっていなかったわけでしょうか。
○説明員(岡光民雄君) 立法の過程で議論は少し出てきた経緯もございます。ただ、それは相続の根本理念の改正という問題にどうしても波及いたすものでございますので、ターゲットは共同相続人、既に相続人の資格がある者の中の分割の実質的合理性という点に絞りまして改正をしていただいた、こういう経緯でございまして、相続人という資格のない、今の御事例でございますと、しゅうととそれからそのせがれさんの奥さんという形、その相続関係がないところの相続の問題といいますか、実質的な財産分けの問題につきましてはこの改正では見送ったと、こういう経緯でございます。
○前畑幸子君 そうしますと、嫁というのは家の女と書きます。そういう言葉というのはよくないんですけれども、権利というものは全然認めてもらっていないというのが実情なんですね。 それで、それと同じように、例えば身寄りのないお年寄りをたまたまいろいろな宗教のつながりとか個人的なおつき合いの中から見て、そしてそのお年寄りが、僕の死んだ後は、子供もないしもう八十で、死ねば親もないわけですし、兄弟にも与えるつもりはないので、あなたにこの家屋敷は上げたいから私の死まで面倒を見てくれというようなケースもありまして、そこの場合は御子息、子供さんがお二人あったものですから、女の人をわざわざ養女にしまして相続を受け継いだのです。そういうことをこれから考えますと、子供さんが少ないあるいはない、兄弟も少ないという場合に、これからの社会の情勢を考えますと、そういうケースというのはどんどんふえてくるんではないかと思うんです。これからは結婚という関係をとらない男女のペアの生活も出てくるわけですけれども、これがこれからも多くなってくると思うんです。 お互いに働いて寄与し合って残した財産ですので、一方が亡くなった場合に、片方が籍が入っていないために何の権利もないということではなくて、この問題を、「共同相続人中」というのを共同相続人等というようなもう少し枠を広げられるというような物の考え方はできないものでしょうか。
○説明員(岡光民雄君) 規定が「共同相続人中」ということでございますので、形式的には広げられないのでございますけれども、例えば息子さんがおられて、そのお嫁さんが息子さんのいわば手足となってその息子さんのお父様の方の介護に当たったというときに、息子さんがここで言う共同相続人であって、その方の手足となって療養看護に奥様が努めたという形で息子さんの方へ寄与分が加えられて、それを通して実際にお手伝いをしてくださった息子さんの奥さんの方へ財産が実質的に行く、こういう解釈は可能であろうかと思っております。 それから、相続人が全くおらない場合に、別な条文で、民法九百五十八条の三というもので特別縁故者に相続財産が行くというルートも一応は用意されておりますので、現行法の中でもある程度先生御指摘のような要請にこたえ得ることが、限界はありましょうけれども、可能ではなかろうか、かように考えておるところでございます。
○前畑幸子君 お嫁さんの場合は、そういうふうになれば、子供さんがなくて、そんな主人が先に死ぬということは考えられないのですけれども、これからは世代も近くなる、年も近くなる、そういうことも考えておかなきゃいけないと思いますけれども、養子縁組という形で入ればいいと思いますし、また逆に男の人が女の方に来る場合には婿養子縁組をしておけばそこで権利はあるわけです。 ですから、そういう場合はそういうことでいけると思いますけれども、自分の子供よりも他人の子供でも自分の事業と自分の生活に大変寄与してくれたという者に対する恩典が今全然ないわけなんです。それは、私は深く深く考えますと、これからの高齢化社会に向かってとか、それから事業継承の問題でも、先ほどありました小さなお店をやっていても子供が引き継いでくれないという事例があるわけです。一人娘さんですと、その方がサラリーマンと結婚して例えば外国へ行ってしまっている。ところが、まんじゅう屋をやっていて、その職人にどうしてもこの店を継いでいかせたいというような、中小企業、零細企業においては自分の働いてきた生きざまを残していきたいという中小企業が私の周りにあるわけです。 ところが、跡を継いでくれないということで、六十過ぎますともうやる気はなくなってくるということなんですけれども、そういうときに、こういう大きい意味で、その親族間の了解が得られるならば、こういう人たちに事業継承も含め、自分の老後も見てもらうということも含めて何がしかの恩典があるということが、これからの社会で血だけが相続をしていくということではなくて、この解釈を拡大解釈というか、もう少し広げてみていかれるというお気持ちはないでしょうか。
○説明員(岡光民雄君) 重要な問題でございますし、これからの社会の変化に対応していくというテーマがございますので十分勉強してまいりたい、かように思っておるところでございます。
○前畑幸子君 私としては、私は相続人がおりますから多少少しでも残せば、喜ぶか喜ばないか、当然の顔して持っていくでしょうけれども、できるならばもう少しいい形で相続というものがしたいなと思います。 例えば、男性三人の子供さんを立派に育てられて、大学も卒業させて一流のところへお勤めさせても、もう相続財産というのは当然にもらえるものという権利があるわけですので、みんな親を捨ててしまって、ほかってしまって全然見てくれなくて、そして八十キロ近い大きな体の中気になられた御主人を老妻がもう本当に命がけになって見ているという状況があるのです。そういう福祉ということももっともっとやっていただかなきゃいけないのですけれども、そうした中で、お金で人の心を買うということはいけないのですけれども、お前たちに血があるからといって上げるのではないよということによって、福祉というものに少しでもこれが、自分で自分を見てもらうという、自分の財産で自分を見てもらうという、嫌なことなんですけれども、国に税金を払うのか、またそういうところに寄附するとか、そういうことによって自分の老後を守りたいという方もあるんですね。 それから、例えば宗教を同じにする方なんかは特にそういう考えがあるようですし、それから自分が全然使えない、子供も全然使う予定のない沼地だとか、それから昔ウナギを飼っていた池だとか、そういうところの相続なんとというのはだれも継がないというような状況もありまして、だったらそのウナギを養殖していく人たちがそれをいただくとか、それからもう一つ、最近聞いた話では養老院を個人で経営していらっしゃる方が、息子や娘はそういうものをしていきたくない、ところがその経営者は自分の意思として、それをどうしても継いでいってもらいたいというときに、相続財産として子供が引き継がなきゃならないんですね。 そうしますと、どうしてもそんな大きなものを処分して買っていただくか、何かの形でしないと、相続しても自分の思うように使えない土地、建物をもらっても仕方がない。じゃ、売らしていただかなきゃならないという問題があるということだそうですけれども、そういうことも含めて福祉対策とか、いろいろな意味でそういうことが考えられてはどうかと思います。これは、今一遍に言うことじゃないんですけれども、問題の提起として、今後の問題として、時代を見通した一つの問題提起ではないかなという気がして考えていたものですから、この際ちょっと相続税ということとは関係ないんですけれども、お願いしておこうと思います。 そしてまた、遺贈とかそういうときに、二割加算でそれは相続できるということもありますけれども、兄弟間でそれは法定相続人の中で認められなければなかなか難しいことですので、この中にもう少し拡大解釈をとれるようにしていただけると、そういう問題がクリアできるんではないかなという気がしましたのでちょっとお願いしました。 それでは次に、所得税法の一部を改正する法律案の提案の第二のところに、個人年金保険契約等に係る生命保険料控除についてありますけれども、そのことについてちょっとお聞きしたいと思います。 今度、ありがたいことに自助努力の奨励という観点からということで、国の公的年金だけでは自分の老後は守れない、御自分でも一生懸命年金をためて老後に備えてくださいということだと思いますけれども、今までの五千円が一挙に五万円になったわけですから十万円という、普通の生命保険と年金保険で十万円という控除になったわけなんですね。それはありがたいことなんですけれども、税制面から見ますと、公的年金については大変税金の面でも優遇されておりまして、ことしから特に分離されて一時所得になったわけなんですけれども、私的な年金の方はまだなかなか税制面について優遇というか、どんなことを税制として考えておみえになるか、大まかなことをお聞きしたいと思います。
○政府委員(福井博夫君) 個人年金につきまして、現状の取り扱いということにつきまして、私の方から御説明をさしていただきたいというふうに思います。 ただいま御指摘いただきました個人年金ということでございますので、郵便年金契約あるいは生命保険契約等に基づきまして年金を受け取るということになるわけでございます。 そこで、これに関連いたします現在の課税関係をということでございますけれども、まず第一点といたしまして、こういう個人年金を受け取ったということになりました場合、これは毎年受け取るということになるわけでございますけれども、この受け取る所得ということに対しましては、これは雑所得であるという現状の取り扱いになっておりまして、この毎年受け取られる所得に対しましては、雑所得として所得税が課されるということになっております。 ただ、この点につきましては、その給付の原因が身体の障害に起因して給付が行われる、身体の障害があったことによりまして年金が毎年支払われるというような契約になっておるということになりました場合には、その契約内容を点検させていただくことになりますけれども、そういう認定ができました場合には、これは法律上の非課税規定がございますので、そのような年金に対しましては、ただいま申しました所得税は課されない、つまり非課税とされる、こういう取り扱いになるわけでございます。 ただ、これ以外に、ただいま所得税の課税を御説明申し上げましたけれども、これ以外に相続税とそれから贈与税が課税される場合がございます。その点につきましてちょっと補足して御説明を申し上げたいというふうに思います。 そこで、まず第一点に贈与税でございますけれども、これは考え方といたしまして、何か年金給付事由が発生した場合でございますが、年金の給付を受ける方と、それからそれまで年金の保険料でございます、これを負担しておられた方とが異なる場合がある。例えば典型的には御主人が保険料を掛けまして、何かそこで保険の給付事由が発生した場合には、その年金をお子様が受け取るというような形で契約がなされている。現に保険上の事故が発生したということによりましてそのお子様が年金を受け取るということになりました場合には、ただいま申しましたように保険料を払った方と、それから受け取る方が異なるわけでございますので、その場合の、平たく言いますと一種の給付権といったようなものが、あるいは逆に言いますと受給権でございますけれども、そういったものが年金の保険料を負担された方から実際に受け取る方に贈与されたということがそこで発生するという認定になりますので、その段階で贈与税課税ということが行われることになっております。 さらに、その場合のもう一つのケースということにあるいはなろうかと思いますけれども、その場合に、実際に保険料の負担者が死亡された。そしてまた、死亡されることによって年金が支払われていく。例えば一番典型的には、御主人が保険料を払っておられまして、御主人が亡くなられたということによりまして例えばお子様なりあるいは奥様なりが年金を受給されるということになる場合でございますけれども、そういう場合には死亡ということに伴いますので、これはそういった年金の受給権といったようなものはいわゆる相続財産の中に加算されるという形によりまして相続税が課される、こういうような法的な仕組みになっておるわけでございます。 なお、しばしばちょっと問題になりますので補足して御説明させていただきますけれども、先ほど申しました贈与の場合、実際に先ほどの例で御主人が保険料を毎月例えば払っている、こういう払っている段階では、念のためでございますけれども贈与税課税はございません。ただいま申しましたように、何らかの保険上の事故が発生いたしまして、そこで受給権が発生する、そういう事故が発生したその時点で、先ほど申しました贈与税が課される、こういうことになっておるわけでございます。 なお、最後にこの贈与税、それから相続税のことを申し上げましたので、それに伴いまして私ども国税庁の方で問題になりますのは、これはいつも問題になるわけでございますけれども、そういった相続税あるいは贈与税に当たりまして、そういった受給権といったものの評価、課税上の評価をどうするかという作業もまた私どもいたさなければいけないわけでございますけれども、この評価につきましては法律上の規定がございまして、一定の計算方式によりまして評価をするという扱いになっておるところでございます。 例えばその年金が有期定期年金であるといったような場合には、期間中に受けることができる年金総額と法律上期間に応じて定められている一定の割合といったものを乗じまして、先ほど来申し上げております年金の受給権を評価いたしまして、その評価額に対しまして、先ほど申しました贈与税がかかったり、あるいはその評価額が相続遺産に加算されていく、こういうような関係になるわけでございます。 大体私どもの方で現状取り扱っております個人年金に関係いたします課税関係の取り扱いというのは、以上のとおりでございます。
○前畑幸子君 それは私も大体わかるんですけれども、保険の受け取り方が契約の初めのときに申し出て、一時金でいただくかそれとも年金制でいただくかということを選択するようになっていると思うんですね。一時でいただく場合には、今おっしゃったように契約者が、そして被保険者が生存中に満期が来た場合にはそれは妻への贈与になりますね。そして、亡くなって給付権ができた場合には相続物件に入れるということで、これは去年度からですか、二百五十万が五百万になって大変ふえたわけですね。それはいいんです。 ところが、夫婦保険とかそれから年金制でもらうというお申し出をしてある場合には十年なり年金でいただきますね、毎年。そうした場合に、これ今贈与の場合もわかります、同じですから相続の場合を申し上げますけれども、相続になって、相続財産として受給権というものを今おっしゃった七割、六割という評価減をしていただいて申告しておりますね。申告しておるにもかかわらず翌年から年金で何がしかの保険をいただきますと、今の話で雑所得で申告をして源泉がとられるというのは私はちょっと納得がいかないような気がするんですが、その辺はどういうふうにとらえたらいいんでしょうか。
○政府委員(福井博夫君) 御質問の趣旨、御指摘、ある意味でまことにそのとおりでございまして、先ほど来申し上げておりますように、保険上の事故が発生しまして、受給権がそのとき例えば奥様が手に入れられる、受け取られるということでありますと、その受給権を評価しまして、それが相続税財産に加算され、一定の方式によりましてそれを含めて相続税が課税されるという段階が一つそこであるわけでございます。 ところが、さらにまたただいま御指摘いただきましたように、そういう相続税課税が済みまして、いよいよ翌年からその給付権に基づきまして年金をその奥様が受け取っていかれるという場合には、冒頭御説明しましたようにその受け取られる年金に対しまして雑所得課税がされていく、こういう形になっておるわけでございます。 これは二つの課税というふうに考えるのかどうか、これは現行制度の考え方がございますのでちょっと私どもの方からコメントは差し控えさしていただきますけれども、私ども運用しております立場からこれを見ました場合に、必ずしも二重の課税といったような仕組みではないんではなかろうかというような受けとめ方をいたしておるところでございます。 といいますのは、一つの財産権といったものに対しまして相続税あるいは贈与税といったものが課されていく。これはある意味で私ども一つの財産権に対する課税であろうというふうに考えておるわけでございます。それに対しまして、今度は財産権に基づきまして一定の例えば所得が発生してくるということになりました場合には、法律の仕組みといたしましてこれは所得課税ということになっていくと、こういう仕組みで現在税制、税法というものがつくられておるというふうに理解をいたしておるわけでございます。そういった体系からいきまして、こういった取り扱いといったものも理解ができるのではなかろうかというふうに理解をいたしておるところでございます。
○前畑幸子君 おっしゃることはわからないでもないんですけれども、受給権利の評価額というものを相続で受けているんですね。その掛金をしてきたのは御主人で、その受給権利を相続の対象にして相続権利を妻は受けているんですね。そこで相続税を払っているんですね。だから、それを今度十年に分けていただくだけなんです。そこでは要するに、利息とか経済アップとか、そういうものの多少の加算は来ることはわかるんですけれども、その辺が私は、今まで源泉が取られてきておりますので、確定申告をしなければならないということがどうしても腑に落ちないんですね。 これちょっと勉強さしていただきたいんですけれども、相続は受給権を相続したのであって、そして所得税は受給額に対して払えということ。一般市民にとっては権利イコール貨幣価値で考えますと受給額であって、権利と金額というものがどういうふうに違うようにとらえたらいいかということ、ちょっと私、理解できないような気がするんですけれども、その辺説明していただけませんか。
○政府委員(福井博夫君) 権利と受給額をどういうふうに考えるのかということでございますけれども、これはなかなか理論的に御説明するという立場でもございませんので、そういう件につきましてはちょっとコメントを差し控えさせていただきますけれども、私ども実際上こういう非常に多数の課税処理を実は行ってきておるわけでございます。 しばしば私どもが経験いたしますのは、例えば著作権のようなものがございまして、御主人が持っておられた著作権といったようなものが御主人の死亡に伴いまして相続される。一つの無体財産権といったようなものでございます。その場合には、著作権のようなものがやはり一定の評価方式、これは評価の方式が通達上定まっておるわけでございますけれども、その著作権といったものを評価いたしまして、その評価された価額が相続財産に加算されまして相続税の課税を受ける、こういうことになるわけでございます。ところが、その著作権に基づきましてまたその後、年々印税なりなんなりが入ってくるというふうな場面が考えられるわけでございまして、そういった印税に対しましては、またそれで所得税の課税が行われるというふうなこともございます。 それからまた、しばしばありますけれども、例えば建物とか預貯金なんかを贈与されますと、当然その建物を評価し、あるいは預貯金、現金であればその金額でございますけれども、評価しまして贈与あるいは相続税を課すわけでございますけれども、その建物から今度はまた次に何らかの不動産所得のようなものが発生してきたということになりますと、そういったまた不動産所得に対しましては所得税課税が行われていく。 結局、理論的に御説明するというのもなかなかちょっと私の立場からは無理でございますけれども、現実にこういう課税処理を行っておりますと、こういう形で財産権の課税、それに伴います所得の課税といったものがこういうふうに行われておりまして、全体として私ども取り扱っている姿から見まして、それなりにちょっと理屈があるといったらあれでございますけれども、バランスがとれるといいますか、そういった感覚で実際執行しておるということでございます。
○前畑幸子君 今おっしゃったのは地上権及び著作権の評価とか、それから定期預金に関する権利の評価という給付事由が発生したものに対する評価減とか、そういうものはわかるんですけれども、保険金を年金で受け取る場合、生命保険というのはいいんですけれども、夫が被保険者で保険料も負担していたわけですから、その保険金を妻が受け取った場合には相続権、要するに受給権というものは今の定期預金に対する権利の評価というところで評価減をして申告をしているんです。 今おっしゃった地上権とか印税だとかいうものは、その権利を引き継ぐことによってそれから以降新しく妻に収益が入ってくるんですからそれは納得できるんですけれども、この生命保険、年金という個人年金に関しては夫が現金で払っていったものの権利を引き継いで、その後その金額に利息とか経済効率を掛けていただくのであって、その利息とかそういうものに対して課税されるのは納得いくんですけれども、単純に考えていただくと、夫が掛けていった保険料を妻が相続したんですから、それを十年に分けていただくんですから、私はそこでまた所得税が課税されるということがどうしてもちょっと納得がいかないんですね。 私ずっといろいろ探しましたんですけれども、私どもの名古屋の竹下重人さんが、「民・商法と税務判断」というところで同じ疑問を出していらっしゃるんです。「相続税に関する問題点」というところで、ちょっと最後のところだけ読ましていただきますけれども 年金について、一定の評価方法によって評価した額を相続税の課税価格とするのは、将来の収益を課税対象から除外するという趣旨であろうし、年金支払いの際、所得税を源泉徴収するのは、現実の所得に対する課税であるが、上述の例でみれば、妻が受ける年金のうち、夫の死亡後六年間に支払われる部分については、相続税と所得税が重複して課税されていることになる。立法上検討すべき問題である。 ということを立派な先生が書いていらっしゃるので、私の疑問はここで見つけたわけなんですけれども、ここで重複の懸念があるんじゃないんでしょうか。どう思われますですか。
○政府委員(尾崎護君) 先ほど来直税部長からるる御説明申し上げているところでございますが、感覚的には委員の御質問の感じはよくわかるわけでございますけれども、やはりよく課税ベースとして資産、消費、所得というものが代表的にあるわけでございまして、それを基準として課税が行われるわけでございます。したがいまして、その資産の取得ということを課税ベースとしております相続税の話と、それから発生する所得の所得税の話とは全く違う観点からの税でございまして、そこには税としての重複はないというように私どもは考えております。 先生おっしゃいましたように、例えばマンションならマンションを相続する。そこから、そこで相続税がかかる。そのマンションから家賃が生ずる。この家賃に不動産収入として所得税がかかるということが起こるわけでございますが、そういう例と比べますと、 〔委員長退席、理事梶原清君着席〕 委員の御指摘の例はむしろ元本そのものを分けて受け取っているだけだと、こういう感じがなさるということだと思いますけれども、しかしそのとき発生いたします所得の計算に当たりましては、いわば元本部分、前に払い込みました保険料部分は差し引きまして、その差額のところだけ、受け取りの年金分と前に払いました保険料分を差し引いた差額のところだけが所得として計算されるわけでございますから、そこでいわば元本に当たるところは清算されているというようにお考えいただいたらいかがかと存じます。 ただ基本的には、財産課税という、財産に対する課税という視点と、それからその後の所得課税というのはやはり別のものとしてお考えいただきたいと存ずる次第でございます。
○前畑幸子君 まあ欲が深いかもしれませんけれども、私はちょっと納得ができないんですね。 それで、生命保険協会、生命保険相談室とか、それから第一生命の教育資料課というようなところへ問い合わせてみたんですけれども、担当の税理士さんのお答えですのでありきたりのまあ国税局のおっしゃることと同じことなんですけれども、こういうことは私はちょっと問題があるんじゃないか。今これから夫婦年金とか自分の自助努力で年金をお掛けなさいという以上、私はちょっとそういうふうだったら余りいい個人年金保険ではないんじゃないかということをPRせざるを得ないんではないかという気がするんですね。 だから保険会社に、私は一遍いろいろなところにこの問題の勉強会をさしていただこうと思っておりますけれども、きょうきちっとお答えを出していただくつもりはありませんけれども、掛けるときには五万円、これふやしていただいて大変ありがたいんで、それは感謝します。遅きに失したという気もいたしますけれども、今度受け取るとき十年後ですので、今みんなセールスの奥さんたちは大変いい税制で、税で五万円余分に引けるし楽だからねと、税制でいいようなことを言うということになると問題がありますので、きちっとその辺を対処しておかなければいけないと思います。 また大蔵省の方におかれましても、私の疑問は単純なのかもしれませんけれども、主人が掛けていってくれた保険金、その権利は相続財産に入れて相続税を払わしていただきました。そして十年かかって一回でもらってもいいんですけれども、一回でもらってしまえばそれまでだったんですね。それを一遍にもらってもむだ遣いしてしまうといかぬので、十年の年金という形で何がしかの金利をつけてもらってもらえるならばということで十年でもらおうとした場合に所得税がかかるというのはちょっと納得ができない制度ではないかと思いますので、そうなったら一時でもらいなさいという指導を納税者にしなければならないんではないかなという気が単純にするんですけれども、もう一度私ももう少し詳しく勉強さしていただきたいと思いますので、また後でお教えいただきたいと思います。 それから三番目に、有名なる名古屋市名東区という、昔は猪高村といいまして、それから猪高町になりました。ということは、イノシシが走るような山だったんですけれども、高速道路が走り地下鉄が走って、今じゃ住宅でも三百万は出さないとまあまあのところがないと言われる名東区、名古屋の東の外れなんです。一昨年配偶者の控除が二千万に上がりました。十年間待ちに待ったこの大幅なアップですので、先回私も代表質問の中でも申し上げたんですけれども、楽しみにして配偶者の権利を使わせようと思いまして、あちらにもこちらにも声をかけて翌年を待ったんですね。そうしましたところが、路線価が五割から六割アップしてしまっておりまして、一千万の控除額のアップというのは何ら追いつかないという数字で、してやられたなという気がいたしたんです。 この路線価を今さらどうこう言うつもりはないですけれども、この路線価の決められ方をちょっと教えていただきたいと思います。
○政府委員(福井博夫君) 相続税の関係の、路線価の決定の仕組みにつきまして御説明を申し上げたいと思います。 先生御存じのとおり、相続税におきます財産の価額ということにつきましては相続税法第二十二条の規定がございまして、相続財産取得のときにおける時価により評価すると、こういう規定になっておるわけでございます。 〔理事梶原清君退席、委員長着席〕 ところが、実際上私ども課税を進めておりますところにおきまして、この土地の時価といったものが一体どういうものなんだろうかということがなかなか簡単には決まらないという実情があるわけでございます。土地でございますので、そう頻繁に売買されているというわけでもございませんので、なかなかこの時価というものが決まらないという点がございます。私どもといたしましては納税者の皆様方の参考に供するとともに、課税の公平を期すという観点から、ただいま御指摘いただきました路線価といったものを発表して納税者の皆さん方に供しておると、こういうことになっておるわけでございます。 そこで、お尋ねの仕組みということでございますので、その点につきましてちょっと御説明をさせていただきます。 この路線価は、大体最終的に各税務署の方で供覧といいますか、一般に公開されますのがその年の春になるわけでございますけれども、この作業は実は前の年から始まっておるわけでございます。その前年の七月一日現在における地価動向といったものをベースにして作業をいたすわけでございます。つまり前年の七月一日現在におきまして地価公示価格がどうであったか。この地価公示価格はその前年の一月一日を基準といたしまして、春早々に発表されておりますので、ただいま申し上げました七月一日ということになりますと、その時点でタイムラグの調整は必要でございますけれども、地価公示価格というものがわかるわけでございます。そういうものが一つ。それからさらには、売買実例価額といったものの調査も七月一日時点で行います。さらにまた、不動産鑑定士といったような専門家のいろいろな意見を聴取いたしまして、そういった意見なども総合いたしまして評価額を決めるということにしておるわけでございます。 ただ、それが評価のベースになるわけでございますけれども、実際に土地の売買というものにつきましては相当に大きな値幅があるわけでございます。それからまた、この評価は冒頭申し上げましたように相続税の評価であるということでございまして、この評価に従いまして納税者の方では納税しなければならない、納税に伴いましてその土地を場合によってはどうしても処分しなきゃならないといったようなケースもあるわけでございます。その場合に、なかなか土地といいますのはそう簡単に売れるものではない、しかし一方で納税期限は迫ってくるといったような事情もございますので、往々にして一種の売り急ぎ、買いたたきといいますか、そういった現象が発生してくるといったようなことも考慮いたしまして、そういう課税上の特性といった観点からこの評価は少しかた目に評価をする、少し低目に評価をするのが妥当であろうというような考え方に立っております。 したがいまして、先ほど申しました七月一日現在での地価公示価格、売買実例価額及び専門家意見に基づきまして評定した価格に対しまして、大体七〇%程度をめどとして評価をいたしておるということにしておるわけでございます。したがいまして、そういう作業を進めてまいりまして、全国的には宅地だけでも標準地点といたしまして約十二万点、その他農地もございますので十七万点ぐらいになろうかと思いますけれども、そういう標準地点の作業を進めまして、ただいまのような仕組みで評価を進めて、それを路線価として発表するということになっておるわけでございます。 繰り返しますけれども、したがいまして、結局前年四月一日時点における公示価格がやりはベースとなりまして、そのベースに対しまして、大ざっぱに申しまして大体七割ぐらいのところをめどにこの路線価を決定いたしておるということでございます。
○前畑幸子君 よくわかりましたけれども、もう一つ固定資産税評価額というのがあると思うんです。これは二月、三月に閲覧というんですか縦覧に行って、自分のところはことしはどのぐらいの評価になったかということが見れるわけですね。 見に行ったついでにちょっと上下、よその方も見てこれる。正式には見ることはできないと思いますけれども見ることができる。御近所の人と一緒に行けば、あそこが幾らなのにうちはこんなふうだというその差が見られるわけなんですけれども、この路線価というのはできてきたものを見るわけですので、あそこがこれぐらいなのにどうしてここがこうなんだという不満を言うところは一切ないわけです。それはおたくの方から言わせれば、今言う七〇%ぐらいに下げてあるんだから、その中で調整がついているから問題ないのじゃないかという問題もあると思いますけれども、固定資産税でもそれは言えることでして、不服審判を申し立てる機会というものはこれには全然ないわけでしょうか。
○政府委員(福井博夫君) 路線価というものでございますけれども、これは一般に冊子にいたしまして供覧に供しておるわけでございます。こういうものをつくりまして納税者の皆様方に見ていただくといいますのは、先ほど申しましたように、なかなか土地の価格というものがわかりにくいという事情がございますので、そういう納税者の便利、それからまた私ども課税上の立場からいきますと、課税の公平を期すといった観点からそういう情報を納税者の方々に提供しておる、こういうものが路線価であるというふうに考えられるわけでございます。 したがいまして、こういった路線価の性格から申しまして、これはいわゆる国税に関する法律に基づく処分といったような性質のものでございませんので、例えば異議申し立てでありますとか、あるいは不服審判でありますとか、そういったことに関連しまして法律上の規定があるわけでございますが、この路線価というものの性格にかんがみまして、そういった意味での不服申し立ての対象になるといった性格のものではないというふうに私どもは考えておるわけでございます。 しかしながら、これは一つの情報として提供されておるわけでございまして、実際に納税者の皆様方が納税をされまして、それがこの路線価というものに必ずしも納得されないという形で納税をされました場合に、今度は私どもといたしましては課税上の処分がその後行われるわけでございます。こういうことになりました場合には、国税に関する法律に基づく処分ということに当たりますので、その段階で異議申し立てなりなんなりそういった不服審査制度の上に乗っかっていく、そういうものであろうというふうに考えておるところでございます。
○前畑幸子君 固定資産税の場合は、他人との比較ができて、そして多少異議を言う機会が与えられているんですけれども、この路線価というのは、相続とか贈与とか、そういう事例が発生して、そしてそこで自分の土地は間口が狭過ぎるとか奥行きが長いからとか、いろいろな評価減をしていただくわけですから、既に七割引いてあるところでまたいろいろな評価ができるわけですから、それは仕方がないとは思いますけれども、人間というのは、自分だけが引いてもらうのはそれは勝手がいいんですけれども、あそこはこれだけなのにどうしてここがという、他人との比較をしたがるんです、納税者というのは。自分のところは幾ら下げてもらっても、間口が狭いとか道路がついていないとか、いろいろ下げていただいていることはわかっているんですけれども、他人との比較をしたがるんです。 だから、そういう場合に、結局事例がお互いに発生しない限りはそういうことができない今の路線価の方は状況であるというのは、固定資産税と同じにはならないということはわかりますけれども、そういう路線価を発表する以上は、それに対する事例が発生するのは何年先かわかりませんわけですので、そのままどんどん上がってしまうわけですので、どこかで異議を言うことによって翌年の路線価を決めるときの一つのサゼスチョンになるような機会が与えられる機会があったらなという気がいたします。 お願いばかりでございますけれども、二番目の生命保険のところはどうしても私の素人としての考えでも納得できませんので、またお教えをしていただきたいと思います。ありがとうございました。
○委員長(藤井孝男君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。 午前十一時五十九分休憩 —————・————— 午後一時三十一分開会
○委員長(藤井孝男君) ただいまから大蔵委員会を再会いたします。 所得税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案及び関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○村田誠醇君 私は、製品輸入促進税制を中心に質問させていただきます。ただ、これと一カ所外れるところがありますので、それだけを先に質問させていただきます。 原子力の発電施設解体準備金について、この準備金の金額の枠が一基当たり三百億円というふうに聞いて、これはよくわからないのですが、そのうちの八五%を税額控除する、こういうふうに聞いておりますけれども、こういう理解でいいのかどうか。それから、この額は原子炉を解体する費用だけを対象としているのかどうか。ちょっとその辺をお聞きしたい。大蔵と通産、順番にやってもらいたい。
○説明員(森本修君) 御質問の第一点でございますが、三百億と申しますのは原子力百十万キロワット級でございますと、その分に相当する見積費用が大体一基当たり三百億ということでございます。それで、八五%といいますのは、そのうちの、この三百億の八五%につきまして、それを限度として毎年発電量に応じて準備金を積み立てる、こういうことでございます。 それから、第二点目の御質問でございますが、三百億の中には、見積費用の中には解体をする費用だけではございませんで、その事前の放射能の除染であるとか、あるいは解体によって出てまいりました廃棄物、これは放射性のものもございますし、一般廃棄物もございまするけれども、その放射性廃棄物につきましてはサイト内で保管するための費用、それからそれ以外の一般廃棄物については廃棄場に処分する費用、これを含めてございます。
○村田誠醇君 私も知らなかったんですが、日本原子力研究所の試験研究用の原子炉が現在解体作業を進めているということでございますが、実際に解体にかかっている金額が百億、研究開発費を入れて二百億使っている。この状況から見ると一基百億、さっき聞いた百万キロワットアワーの原子炉を解体するのには三百億では足りないんじゃないかという意見があるんですが、その点はどうですか。
○説明員(森本修君) 原研のJPDR、試験研究用のあれでございまするけれども、これにつきましては、最初の試験研究炉でございまして、一般の発電用原子炉とはちょっと違う構造になっておるということと、それから、この解体によっていろいろな研究をしながら進めていくということもございまして、一般の解体よりはいろいろな格好での研究費的な支出が多くなっておるということでございます。今、百十万キロワット・三百億円と申しましたのは、六十年度の六十年七月に私どもの総合エネルギー調査会の原子力部会で標準的な工程を定めまして、それによって見積もりをした額でございまして、大体その程度であろうというふうに考えております。
○村田誠醇君 このJPDRは約九万キロワットぐらいで、商業用の原発に比べたら大体十分の一以下の発電量ということですね。これが解体したときに出てきている現在の放射性廃棄物が約四千トンと言われておるわけですね。そうすると、百万キロワット程度になると単純に計算してもこの十倍は出てくるだろう。今のお話ですと、解体コストの中には放射性廃棄物を、ドラム缶だか何かわかりませんが、入れて保管をしておく費用までだという答弁ですけれども、保管しておくだけじゃなくてこれは当然処分をしなきゃいけないと思うんですね。その処分の費用あるいは処分する方法、場所、こういうのは研究しているのかどうか、ちょっとお聞きしたい。
○説明員(森本修君) 処分費用については含めておりません。というのは、これにつきましては、具体的に処分の基準というものを今原子力安全委員会で検討をいたしておりますんで、それの検討の結果によて処分費用の見積もりが決まってくるということでございます。
○村田誠醇君 処分する場所とかそういうのはまだ決まっていないんですか。
○説明員(森本修君) そういうことでございますんで、処分の基準が決まってまいりました後に処分施設の構造とかが定まってまいりますので、具体的な地点はまだ決まっておりません。
○村田誠醇君 当然そのコストは発電をした電力会社が負担する、こういうことでいいんですよね、その処分に関するコストが決まってくれば。当然、今私が言った三百億の範囲内でおさまらなければ枠を広げなきゃいけない。それとも、この処分の費用については別途、全然違う、自治体なり国が負担する方式を考えておるんですか。その辺はまだ決まっていないんですか。
○説明員(森本修君) 処分費用につきましては、今申し上げましたように、処分の中身あるいは処分方法が決まった後で決まってまいる話でございまして、この三百億の話とは別のことで考えることになると思います。
○村田誠醇君 わかりました。ただ、原子炉を解体するだけじゃなくて、解体した後出てくる放射性を持った廃棄物、当然このコストを入れて計算をしてもらわないと原発が有利であるか悪いかということは出てこないと思いますけれども、それは今回質問をする主題でございませんので、ありがとうございました。 本題であります製品輸入促進税制の方に入らせていただきます。 それで、経企庁の方にお聞きしたいんでございますが、八九年度の国際収支は、輸入がある程度伸びている、その一方で輸出が伸び悩む、この結果として黒字が減った、一つの黒字が減った、こういうことでございますが、輸入通関ベースで見ると、石油製品とか半導体電子部品とか事務用機器とか繊維、自動車がかなりふえているということでございます。その点について、八九年度の国際収支、概略で結構です、簡単で結構ですが、どのような見方をしているのか、ちょっと御説明をいただきたいと思う。
○説明員(小峰隆夫君) 八九年度の国際収支でございますが、政府といたしましては、経常収支で六百十億ドル程度の黒字になるという見込みを出しております。ただ八九年の後半以降、日本の黒字は大変順調に減少しておりまして、この政府見通し程度の黒字は十分達成できる状況になっております。通関の細かい品目別につきましては特に積み上げを行っておりませんので、全体の状況は以上のようなところでございます。
○村田誠醇君 それではちょっとお聞きしたいんですけれども、日本の出超額全体に対して占める対米の出超額の割合、これが八六年から八八年は大体六〇%であったと報道されておりますけれども、去年、八九年はこれの比重が上がって七〇%台になっている。特に対米貿易関係がかなり悪化している。この理由を、何か新聞報道等によりますと、中国関係の取引が減ったために相対として対米関係の比重が上回った、こういうふうに聞いておりますけれども、それはそのとおりでしょうか。
○説明員(小峰隆夫君) 確かに先生御指摘のように、結果的に日本の黒字に占める対米黒字の比重というのはかなり高いものになってございます。これは御指摘ございましたように、日本の黒字が全体としては最近順調に減っているんですけれども、中国向けの輸出の減少でありますとか、それから石油価格の上昇でありますとか、それから最近アジア地域から製品輸入が大変ふえている、こういったところで黒字が主に減少しておりまして、対米の黒字が全対に比べれば減少幅がそれほど大きくないというところから、アメリカ向けの黒字の比重が高まっているということでございます。
○村田誠醇君 わかりました。 それじゃ、本年の二月二十八日に決まりました九〇年度の政府の経済見通しについて若干お聞きしたいんですが、貿易黒字の見込み額、これが七百八十億ドル、経常段階での黒字が五百六十億ドル、対前年度比でそれぞれ三十億ドルあるいは五十億ドルの減という目標を立てておられますけれども、これでよろしいんでしょうか。
○説明員(小峰隆夫君) 平成二年度の政府見通しの数字につきましては、ただいま先生御指摘のとおりでございます。
○村田誠醇君 それでは、もう一点それに伴ってお聞きしたいんですが、貿易黒字の減少見込み額というんですか、これが三十億ドルということはいろいろな前提条件もあると思うんですが、政府の各種の施策を合計して、結果として大体三十億ドル減になればいい、そういう見通しでよろしいんでしょうか。
○説明員(小峰隆夫君) この政府の見通しは、政府の経済見通しに示されておりますような経済が全体として内需中心の成長を続ける、それから輸入拡大等に向けての政策努力を行う、こういったいろいろな条件を織り込んだ上でつくったものでございます。
○村田誠醇君 最近の円安傾向、それから企業の設備投資の増加等の条件から、日本政府が考えているような製品輸入がふえるんではなくて、輸出ドライブがかかって逆に輸出が伸びるんではないかと一方で指摘されております。こういう意見に対しての経企庁の御意見はどうなんでしょうか。
○説明員(小峰隆夫君) 御指摘のように、このところ円安ぎみで推移しておりますが、円安になりますと従来よりも輸出が有利になるということは確かでございますが、円安以降大分時間が経過しておりますけれども、これまでのところは特に輸出が数量面で伸びを高めるという動きは見られておりません。ただ、そういった輸出が今後ふえるのではないかという懸念をする御指摘の点も確かにございますので、この点につきましては十分注意して今後の推移を見ていきたいというふうに考えております。
○村田誠醇君 同じ質問でございますが、大蔵大臣にお聞きしたいと思います。これは新聞報道で読んだわけでございますが、アメリカのマコーマック国務次官は日本の設備増強の動きが将来輸出拡大につながるということでかなり強い懸念を表明したと。これは円安と同時にこの設備増強、まあこの時点ではそんなに円安ではないと思うんですけれども、日本の設備増強の動きに対して、また輸出ドライブがかかるんではないかという懸念をかなり表明しているんですけれども、この点については大蔵大臣は個人的にはどういうふうな御見解をお持ちなんでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私はその発言を報道で見ましただけで、その真偽を承知しておるわけではありませんけれども、仮にそういう懸念を述べられたということ等は抜きにして、一般論として申し上げたいと思うのであります。 今、日本の経済というものが内需を中心にした安定的な経済成長を続けておることは委員が御承知のとおりであります。そして、今経済企画庁の方に御質問になりましたような為替の状況等を踏まえながら、おかげさまで現時点において物価は平静に推移しておる状態であります。それには、先般の日本銀行の公定歩合引き上げの決断というものの中に、インフレの予防、物価引き上げに対する予防措置という意味合いが強調されておりましたような視点も当然生きておるでありましょう。そうした中で日本の経済そのものの今状況を考えてみますと、私は設備投資も含めて順調な発展を遂げていくという基調に変わりはないと考えております。 その上で、我々はやはり内需中心の経済成長というものを考えていかなければならないわけでありますし、国際社会の中で、一ころの集中豪雨的な輸出というものに対していかに批判が厳しかったかということを考えますと、それぞれの企業、それぞれの産業界自身がおのずからそうした点についての自制心は働かせていくでありましょうし、またそうした指導を関係省庁においても当然のことながらなされると考えておりまして、そうした御批判が出ることに対しては残念だという一言をもって御返事をさせていただきたい気持ちであります。
○村田誠醇君 それでは、まずこの新しい施策を行うには当然理由があると思います。もちろん対外的な約束とか製品輸入をふやさなきゃいけない。そういう理由のほかに、日本向けに商品をつくったりなんかすると非常にコストがかかる。その部分の埋め合わせをするという理由がついているみたいでございますが、通産省に、これは促進税制を創設する必要性というんですか理由、単に製品を輸入すればいいというそういうことじゃなくて、どういう理由でこの制度を新設するのかひとつお聞きをしたいと思います。
○説明員(庄野敏臣君) 我が国の経常収支の黒字は、先ほど企画庁の方からもございましたが、縮小傾向にあるものの依然として大幅でございます。このような大幅な経常収支黒字の継続は、我が国の経済運営並びに世界経済の調和ある発展という観点から見て決して好ましいものではないと考えております。したがいまして、我が国としては経常収支黒字削減のためにも引き続き内需主導型の経済運営、構造調整の進展、推進、さらには一層の輸入拡大ということに努めていく必要があるわけでございますが、その一環として特に製品輸入の拡大が各国からも要請されております。 こういう観点から、製品輸入促進税制の創設を行おうとするものでございますが、特にこの税制というのは、輸入拡大に伴いまして先生も御指摘ございましたいろいろの品質上の問題がある、あるいはアフターサービスのケアをしなければならない等々の問題がございまして、これら問題の解決に伴いますコストなりあるいはリスクなり、そういうものを業種業態に応じてきめ細かく補てんすることを通じまして、要するにさらなる輸入拡大インセンティブをふやすわけでございます。これによりまして輸入拡大のいわば潮流といったものを定着させたい、こういう考え方のもとに私どもお願い申し上げている次第でございます。
○村田誠醇君 大蔵省にお聞きしたいんですが、日本の輸入というのは大半が商社を経由して輸入されておるわけですね。そうすると、こういう税制度を導入すると特定の商社やあるいは輸入代理店だけに税制上の優遇が行われる、つまり表現がいいか悪いか、大企業優遇の税制度じゃないか、こういう批判があるんですが、この点についての検討は大蔵省はどういうふうになさっているんでしょうか。
○政府委員(尾崎護君) 政策税制の一つとして検討したわけでございます。先ほど通産省から御説明申し上げましたとおり、いろいろな我が国の置かれております環境を考慮いたしまして、輸入を促進し輸入をふやすその潮流を確かなものにしていきたいということでこういう政策をとったわけでございまして、確かに輸入でございますから商社に関連する部分もございますし、製造業者が直接輸入をするという部分もございます。それぞれについて施策をとっておりますけれども、政策目的が輸入の促進ということでございますから、それは大きな商社によって行われた輸入であれ、あるいは中小企業で行われた輸入であれ、一定の基準を満たすような輸入をした場合は政策目的の達成に貢献するものとして制度の適用を認める、そのように考えたわけでございます。
○村田誠醇君 それでは、この促進税制を導入したときに出てくる輸入拡大効果、これドルベースで通産なり大蔵なりはどの程度年間ベースで拡大するのか。それも、できるんであれば卸・小売、製造業と二つに制度が分かれていますのでこれに分けて、こちら側が大体幾らぐらいというふうに提示していただけますでしょうか。
○説明員(庄野敏臣君) お尋ねの効果につきましてでございますが、私どもは今回輸入の拡大をやっていこうという決意をいたしておりますが、このお願い申し上げている税制のほかにも関税の撤廃なりあるいはまた輸入拡大のための予算措置の大幅な拡充などをお願い申し上げております。そのほかにも財政投融資の拡充等々ございます。いわゆるこういう総合的な輸入拡大策をパッケージとして実施していくつもりでございます。 このような施策の具体的効果というものにつきましては、先生も御案内のとおりでございますけれども、今後の経済情勢なり、あるいは輸出国側の輸出努力、私どもの輸入拡大努力と先方の輸出国の輸出拡大努力といったことにも左右されるわけでございます。しかし、我が国としては可能な限りこうした輸出国側の努力と協調を図りながら最大の効果が上がるように方策を講じていくことにしております。したがいまして、私どもといたしましては、このようないろんな方策を講じていくことによって、これが支えとなっていきまして相当の効果が生じまして輸入拡大の潮流を定着させていくものと考えております。製品輸入につきまして言えば、今後とも一割ないし二割程度の着実な伸びが見込めるものと考えております。 一言ちょっとつけ加えさせていただきたいと思いますけれども、これまでも製品輸入というのはおおむね総輸入の伸びを上回って推移してまいっております。九〇年度も、先ほどの政府見通しで数字が出ましたけれども、総輸入が約一一%ぐらいの伸びを見込んでおりますけれども、製品輸入は先ほど申し上げましたようないろんな施策を講ずることによってこれを上回るような伸びが確保されるものと考えております。 なお、最後に、先生お尋ねの業種別につきましては、私どもはマクロ的に見通しをしておりますので、そういう業種別内訳は持ち合わせておりません。 以上でございます。
○村田誠醇君 大蔵省はどういう見解を持っておられますか。
○政府委員(尾崎護君) 私どもの方で輸入促進税制の減収額の見込みを立てたわけでございますけれども、その見込みを立てる際には、御質問にございました卸・小売業者につきましては全体の三割程度、それから残りの七割が製造業者でございますが、その製造業者のうち四割程度が税額控除を選択するであろう、六割が割り増し控除を選択するであろうというようなことを見込みまして減収額の計算をいたしております。
○村田誠醇君 通産省ははっきりとした拡大効果、これだけ上がるということをあるいは政策目標としても明示できていないのに、どうして大蔵省はそれから出てくる税収の減収というものが計算できるんですか。頭の数字が両者の間では一致しているんですか。
○政府委員(尾崎護君) 先ほど通産省から概略の御説明がございましたが、製品輸入はそのほかの全体の輸入より多目に輸入があるというようなことを前提にいたしまして、また輸入額が一、二割とおっしゃいましたが、また一兆円程度というようにも見込んでおりまして、そのぐらいの増があるということを前提にしまして、先ほど申しましたように、卸・小売業者、それから製造業者それぞれ割り振りまして、それぞれの制度を適用させまして、そして減収見込み額を計算しているわけでございます。
○村田誠醇君 先ほどの午前中の質問の中に、こういう税制度が持つ政策的な誘導効果ということであれば、これだけの効果があるからこれだけの費用、コスト、まける。まける方の数字は出ているけれども、入ってくる方の数字が明示できないというのはおかしいんじゃないですか。 別に、これは確実にこれだけやりますということじゃなくても、大体こういう施策をとればどのぐらい製品輸入がふえるはずだと、あるいはふえてもいいはずだという前提条件が当然通産なり大蔵なりにはあると思うんですね。全体の伸びの一割とか何とかって、そんなことはそれは全体の問題です。この税制度を導入したらこれに伴ってどれだけふえるんですか、あるいはふえると見込んでいるんですかと聞いているんです。できるかどうかと聞いているんじゃないですよ。見込み額としてどのぐらい積算しているんですかと聞いているんです。
○説明員(庄野敏臣君) 先ほど私が申し上げましたのは、全体の効果といたしまして総合的なパッケージとして総合的に輸入拡大を図っていく。そのことにより全体の総輸入よりも製品輸入が多く伸びを期待しているということを申し上げさしていただきました。 なおまた、お尋ねでございますけれども、対象製品の平成元年度の輸入は約六兆円程度と見込まれておりますけれども、二年度の場合はおおむね増分として約一兆円ほどを見込んでおります。これは先ほど一、二割程度と申し上げましたけれども、一割台の後半という感じの数字でございます。 以上でございます。
○村田誠醇君 この輸入促進税制についてトヨタなり日産の社長なりが大変いいことであるというコメントを発表なさっていますね。 通産省の方に大変御足労いただきまして、各自動車メーカー及び電機メーカーの輸入協調プログラム、それぞれの名称は別でございますが、まあ日産自動車だ、トヨタ自動車だを含めまして各社ずっと出していただきまして、それは事前に通産の方にもお渡しをしてあると思うんですね。この自動車メーカーと電機メーカーが今後輸入を増大しようという目標を立てた、この目標の金額が合計幾らぐらいになっているんですか。通産からいただいていますから、そちらの方でも集計が出ていると思うんですけれども。
○説明員(庄野敏臣君) 先生からいただきました自動車それから電機の輸入増強計画につきまして、いただいております数字によりますと、自動車に関しては、一九八八年三千六百億円強、一九九二年では一兆円強、増加分としては六千七百億円程度、電機産業につきましては、一九八八年で四千三百億円強、一九九三年になっておりますが、六千四百億円強という数字になっています。
○村田誠醇君 これは私が出したんじゃなくて、通産省が各業界をまとめたのかあるいは集めた資料から私は表をつくっただけでございますけれども、この各社、自動車メーカーと電機メーカーの輸入拡大の目標の数字、実績じゃありませんよ、これだけ輸入したいと言っている額を足しただけで、プラスしただけで通産省が予定している一兆円という数字は出てくるんですよね。 つまり私が言いたいのは、こういう税制度を導入しなくても各社の輸入促進をしようという意思を足せばこの程度の金額は出てくるんじゃないですか。もっと逆の言い方をすれば、この税制度を導入するんであればもっと輸入額がふえなければ、自動車と電機だけでこの数字なんですから実際にはもっと出るということになるんじゃないですか、その辺はどうなんですか。
○説明員(庄野敏臣君) ただいまの先生のお話でございますが、自動車や電機産業等の企業が輸入拡大の計画を策定しているということを私どもも承知しておりますけれども、これは通産省として従来から輸入拡大を要請していることを受けまして、各企業が現下の厳しい国際情勢を踏まえて昨年の秋以来自主的に策定したものでございます。 これらの計画は、今後輸入拡大を進めていく上で有意義なことであると考えますけれども、一方で、現実問題として輸入品については品質面とか供給面とか往々にして問題がございます。民間である私企業がこれらの輸入品について輸入あるいは消費を拡大するに際しては相当な覚悟と決断が不可決でございますが、これら企業が輸入を拡大するためには何らかの政策決定が必要だと私ども思っております。 なお、現在、これらの目標がいかように将来推移していくのかということについては確かに各社の努力目標的な性格を有していると思いますけれども、他方において、現実の輸入というのが今後の経済情勢なり、各社の置かれた経営状況なり、あるいはさらには現実に行います各社の輸入拡大努力、こういったものに大きく左右されるわけでございますので、結果としてどれだけこの計画が達成され得るか確たる見通しというのは今のところ立てがたい、かように考えております。
○村田誠醇君 大蔵省にお聞きしたいんですが、この税制の適用になるのは日本の会社が海外に投資をした、そしてつくり上げられた俗に言う日系子会社あるいは関連会社の生産物もこの対象になるのか。 もう一点、日本の企業から生産を委託して日本のブランド名でつくってください、それを輸入する、これも多分含まれるんだろうと思うんですけれども、この二つとも入るんだろうと思うんですけれども、その点確認をしたい。
○政府委員(尾崎護君) お説のとおり両方とも輸入に入ります。
○村田誠醇君 そうしますと、通産省が把握しております自動車産業なり電機産業がこの目標額どおりに仮に前提として輸入が増強してきたときに、税制度でまけられる分というんですか、輸入促進税制で税額控除をされる金額が、先ほどちょっと四割が税額控除で六割が割り増し償却をとるだろうと大蔵省は予測していますけれども、全額税額控除をとったら一九九二年、三年後ですね、自動車産業だけで約一兆三百八十三億円の目標額、増加額が六千四百十四億と計算して、税額控除される金額は幾らぐらいになりますか。まあいろんな前提条件があると思いますけれども、大体どのくらいの見込みになるんですか。
○説明員(庄野敏臣君) 今の先生の御質問にお答えしたいと思いますが、私どもは先ほど申し上げましたように各社の努力目標的な性格で今後どうなるか確たる見通しを持つのは困難であると申し上げました。 その問題のほかに、これら企業の輸入拡大計画というのは、およそあらゆる製品等を輸入の対象として計画作成していると聞いておりますし、例えばワインでございますとか、ゼリーとか、そういう農産物も入っております。それから有関税の繊維製品等も入っております。したがいまして、要するに、今回の税制の対象品目に限定されていないということが一点。それから、仮に試算しようとしても、自分で輸入するのか既に輸入された品目を国内で調達するかこれがまた不分明でございますし、かつ一社でやるのか、グループ全体でやるということもあるやに聞いております。 あるいはまた、先生も御指摘のように、税額控除を選択しようとしているのか割り増し償却を選択しようとしているのか、あるいは、細かなことで恐縮でございますが、何年後の目標ということでございますので各年一体どれだけ輸入していくのかとか、基準輸入額との関係はどうかとかいった、いろんな不確定要因がございますんで、これらを基礎に計算をするということは非常に現実とは相当乖離するということだけ御理解いただければと存じます。
○村田誠醇君 だから、私は大蔵省にこれがすべて対象になると言っているわけじゃないですよ。いろんな前提条件があるでしょうけれどもと言っている。 今言ったように中身も違うでしょうし、対前年度比本当に一〇%ふえている商品があるのかないのか、いろんな条件はあるでしょう。しかし、そういう前提条件をやっていけば計算は何もできないわけです。実際にやってみなきゃわからない。しかし、これがすべて対象になるんだという前提になったら幾らぐらいの税額控除になるか、これはそろばんだからはじいたら大体出てくるはずです。それで大体どのくらいになるんですかと聞いている。 もっと単純にいけば、大蔵省が見込んでいる初年度六百五十億という税額の減収額よりも、あるいは平年度八百七十億と見込んでいるこの額よりもかなりいくのか、あるいはこの額のうちかなりのウエートを占めるんではないかと見られるわけです。これはやってみなきゃわからないし、前提条件、今通産の方が言われたようにいろんな条件がありますので簡単にできませんと、そのとおりだと思います。だけれども私の質問は、こういう各社のまず出ている数字がすべてこの税制度の適用になるものだと仮定すればどのくらいいくんですかと聞いている。仮定の話です。
○政府委員(尾崎護君) 一九九二年という数字をおっしゃったと思いますが、私どもの減収額試算は平成二年度ベースで一年分についてだけ行われているわけでございまして、それが多年度にわたりますと、先生御承知のとおり、基準年度に対しまして一割以上伸びている場合にしか適用がないわけでございますから、そこの割り振り方等によりまして違いも出てこようかと思います。六千四百億とおっしゃいましたか、そのうちの平成二年度分、初年度分がどれだけであるかというような仮定を置いていただきましたら計算をさしていただきたいと思います。
○村田誠醇君 それじゃ、これは三年度分ですから、基準が八八年度で目標が九二年度ですから、三年度分ですから三分の一ずつ割ったらどのぐらいになるんですか、均等に伸びていくという計算をすれば。
○説明員(庄野敏臣君) 先生のあえて計算しなさいということなのでございますけれども、これはいろんな前提に相なります。くどいんでお許しいただきたいんでございますけれども、すべてが計画どおりである、あるいはすべてが輸入対象製品に該当するとか、すべてが自分で輸入するとか一社で輸入するとか、すべてが税額控除を選択するとか、すべてが毎年均等に伸びるとか等々の前提を置かないといけませんが、それを無視して極めてラフに計算してみますと、先生の作成されました資料によれば税制の適用額というのは約八十億円とか百億円とか相なります。 ただ、先ほど来申し上げましたように、新聞によりますと、ワインとかシロップとか農産物も多く含まれておりますようですし、もっともっと先生に御理解いただきたいと思いますのは、総輸入の半分が製品輸入でございます。その製品輸入のまたそのうちの半分、四分の一が今回我々がお願い申し上げている税制対象の品目なんでございます。したがって、企業が輸入しようとするのは全輸入なのかもしれませんし、対象製品以外の製品輸入かもしれません。したがって、仮に半分になりますと二分の一以下になりますし、それから既に輸入された製品を使うと、これまた間接輸入ということに相なりまして、この税額控除の対象から除外されます。いろんなそういう数字の性格のものであるということをぜひとも御理解いただきたいと思います。 以上でございます。
○村田誠醇君 余り時間もありませんから、二、三意見だけ言っておきますけれども、これは通産省はそれぞれ企業が勝手につくっているんだというような表現をなさっていますけれども、通産省から要請を受けて各社が数字を出しているんです、これは答弁要りません。 その目標数字だけで見ても、自動車は八八年度を基準にすれば、九二年度までに六千七百億プラスしようと。これはドルベースで一ドル百四十円で自動車メーカーは計算していますから、四十八億ドルふえるというんです、自動車メーカーだけで。ふやそうという意気込みなんですね。電機はもうちょっと長く九四年度まで、合計額で一兆三千三百二十億円ふやそうという計画なんです。これも一ドル百四十円で計算すりゃ九十五億ドルの増額です。 そうすると、自動車と電機だけの合計で、これは何買ったっていいですよ、ワイン買おうが洋服買おうがいいですよ、合計で百四十三億ドル目標数字として増加させようという目標値を出しているんです。この二つの業界だけでね。円ベースでいけば二兆二十億になります。各社が、上場企業がやる、もしくは輸出を中心とする上位五十社、これがもっと輸入努力すればもっともっとこんな金額はふえてくるはずですよ。経企庁がさっき言った三十億ドルなんという目標値は軽くクリアできるんじゃないですか。ただ、それはやってみなきゃわからない、確かにそのとおりだと思います。 ただ、私がここで大蔵大臣に確認をしておきたいのは、これだけまず自動車メーカーと電機メーカーの業界だけで輸入目標値を、まあ八割達成するのかどうか、いろいろ条件はあります。かなりの金額にいく。また、前提条件もいろいろあるでしょう。そこのところに税額控除の選択をしたら、私が先ほど言ったように、この税制度は特定の大企業だけが優遇される税制になりませんかということを心配しているわけです。もちろんそうでないように期待します。 そこで、大蔵大臣に聞きたい。この税制度を導入するときに、先ほど午前中の質問の中にも、スクラップ・アンド・ビルドをいろいろやるんですよ、政策は見直していくんですよ、三年後に見直すんですよ、こういうことを言われました。確かに、この税制度を導入するに際して、中小企業等の海外市場の開拓準備金を廃止しました。そしてこちらの制度を導入しました。これはそれで結構でしょう。 それでは、この施策が三年後にまたこの大蔵委員会で論議の対象になるときに、今のような通産省の一体効果がどのぐらいあったのか、全体のグロスの中でよくわかりません、こういう表現をされても困るし、大蔵省の方からも税額が一体幾らこの税制度のためにマイナスになったのか。しかしマイナスになったのはこれだけだけれども、プラス効果としてこれだけの効果が出たんだから政策としては立派な政策だったということが提示できるように、数字をきちんと提示してこの委員会でそれが政策を続けることの是非に役に立つ資料をぜひ統計として出せるように、数字を出せるようにしてこの制度を運営していただきたいんですが、大臣の見解をお聞きします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) この輸入促進税制そのものが、委員が御承知のように先ほどからまた御論議をしておられますように、本来公平、公正というものを原則とするべき税制の上に輸入拡大という政策目的のために立てられたものでありますから、その効果が仮にないとすれば当然その寿命は終わるわけでありますし、またその役割は十分果たしたとなればこれが終了することも当然のことでありましょう。そうしたこともありまして、原則三年という時限を切って御審議をお願い申し上げているわけであります。 先ほどからの議論でもいろいろ御批判をいただいておりますけれども、確かに私は輸入拡大効果というものを具体的な計数で評価するというのはなかなかいろんな難しい問題はあるんだろうなという感じはいたします。殊に輸入動向というものが、今後の我が国の経済情勢だけではなく逆に輸出国側の努力などによっても左右されるということを考えますと、なかなか困難な点があるということは事実問題否定はできないだろうと思います。しかし、そうしたことを頭の中に置きながら、どうすれば今委員の御指摘になりましたような視点にもこたえられるような、納税者の負担でありますとか、あるいは行政コストなどの関係を加えた検討ができるかを十分勉強させていただきたいと思います。
○村田誠醇君 ぜひ実現をしていただきたいと思います。 それから、余り時間もありません。公取の方も来ていただいているんですが、ちょっと質問を急ぎますけれども、この税制度で我々が一番危惧いたしますのは、日本の、今例に挙げた電機、自動車、自分のところの子会社、海外の子会社からの製品を輸入する、もちろん一部外国のものもあります。しかし、大半が自分のところの子会社間同士の取引なんです。 これは通産省の中で海外事業活動の動向調査というのをやられておられる。このデータを見ると、八八年度では日本の輸入総額の五%、金額にすると約一兆二千億円程度の金額が日本の親会社と子会社との取引だと。この自動車なり電機の数字がこれに加わってくる、あるいは輸入促進税制でもっと海外の子会社との取引が活発になってくれば、この数字が五%じゃなくて一〇%、一五%いくということになるわけです。 〔委員長退退席、理事梶原清君着席〕 そうしますと、今アメリカからいろいろ言われております批判が、日本国内における系列取引ということで排除されているんだという批判が片一方にあるとすれば、その批判をそのまま国際貿易取引の中に日本が経済大国で取引額が多くなるといっても、中身を広げてみれば、日本企業の親会社と子会社の取引が全体の一割以上占めるなんていう数値が出てくると、これはまた輸入がふえただけじゃなくて新たな国際摩擦が発生するんじゃないかと思うわけです。これは危惧かもしれません。通産省は、この税制をやったときに一体逆輸入で日系の子会社から入ってくる数字等を予測したらどのくらいの比率を占めるようになるものか予想しているんですか。
○説明員(庄野敏臣君) 今先生が御指摘になりました数字はおっしゃるとおりでございます。いわゆる逆輸入の比率ということだろうと存じますが、ただ、一言だけ先生に申し上げさしていただきたいのは、この総輸入の五%を占めるというこの数字は平成元年の私どもの調査でございますが、日本側が出資した比率が一〇%以上のものと、かなり広範なものということを含めて入れてございます。したがって、世上よく言われる一〇〇%とかあるいは五〇%以上という会社からのものではございません。これが第一点でございます。 それから第二点は、これはいわゆるそういう逆輸入につきましても輸入には変わりございません。かてて加えまして、このような海外進出ということ自体、進出先国の収支改善あるいは雇用の創出というふうに立派に寄与いたしておりますし、現に進出先国からも歓迎されております。アメリカにおきましても、直接投資とかそういうことについては現地の雇用にも寄与するということでアリメカでも歓迎されているわけでございます。したがいまして、私どもとしては、いわゆる逆輸入につきましてもこれを特段区別して取り扱う必要はないと考えている次第でございます。
○村田誠醇君 もうかなり時間がなくなってまいりましたので、二、三別の質問をさしていただきます。 これはつい最近の新聞に載っていたんですが、電力会社が使う変圧器のアライド社製の変圧器を日本の電力会社が話し合って不買行動をとっているということでアリメカから批判されているということが新聞に載っておりましたが、これに対して公取はどんなような御見解なのか。 それともう一つ、この税制度が導入されて企業に税額控除等の利益がいく、これだけでは本来の目的じゃないわけです。製品が下がって消費者にプラスにならなければ本来の意味を持たないはずなんですが、日本の中にはいろいろな規制等がありましてなかなか値段が下がらない、あるいは輸入総代理店制度があって値段が下がらない等々がある。これは経済同友会の石原会長も競争原理を働かせるために各種の規制は撤廃すべきであるということを言っておりますけれども、これに対して公正取引委員会の方の見解はどんなものを持っておられるのか。特に輸入総代理店制度等をどんなふうな調査研究をなさっているのか、ちょっとお聞かせを願いたいと思います。
○説明員(高橋祥次君) お答え申し上げます。 第一点のアライド社の話につきましては、この件については私ども直接お答えする立場にはないわけでありますが、もし問題があるということであれば、それは厳正に調査をした上で対処をするということになろうかというように思います。 〔理事梶原清君退席、委員長着席〕 それから、第二の輸入総代理店等を含めたお話でございますが、輸入総代理店につきましてはいろいろな機能もあるわけでございます。ただ、一方におきまして、やはり独占性ということから、その価格政策あるいは並行輸入といったような問題も指摘されているのは事実でございます。そこで、こうした問題につきまして、私どもとしては広い立場から実態を調査してこれにいかに対処をしようかということでいろいろと検討をしているということでございます。
○村田誠醇君 最後に、要するに製品を輸入しても流通慣行なり、先ほど言いましたように各種規制等でなかなか思うように売れない、こういう制度が幾つもあると思うんです。特に大蔵の管轄でいきますと、酒なんかは典型的に、輸入はいいけれども売る方の小売店には免許制度があってなかなかこれを緩めない。何か最近は緩めるという方針があるらしいんですが、それと同じようにたばこも同じだと思うんですね。外国産のものを入れている。国内のものもある。だけれども、売るお店は限定してしまっている。そうすると競争原理がそこで働かないのではないかと思うわけです。特に、大蔵の主管でございますこの酒とたばこの出店規制というんですか、免許規制、これは今後どういうふうに運用なさっていくか、規制緩和をされるのか、概略で結構ですからお教え願いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員が御指摘になりましたような見解が世上ありますことを私自身よく承知をいたしております。また、それぞれの規制につきまして、今後検討をされその状況が変わるものも当然出てまいりましょう。多少今外交的な問題もあり、具体的な引用は控えさせていただきたいと思いますが、状況の変わるものもあろうかと存じます。 ただ同時に、一点逆に、私はたまたま党におりましたとき、行政改革の責任者として専売公社の民営化の素案づくりをいたしました。その際に、非常に問題になり、与野党からむしろ大変強い御意思をもって私がまとめようとしておりましたときに御要請がありましたものは、例えば一つは塩についての専売制度の存続、国内の製塩業の自立までの間これを残すこと、同時に小売店指定というものを維持していくこと、これが正式に例えば文書でとかいうことではございませんけれども、案をつくっておりました当時に大変強く各党から御要請をいただいたところでありました。私は、そうしたこともやはり現実の問題として御認識をいただきたいと存じます。
○本岡昭次君 法案の質問に入る前に、NTT分割問題について一、二伺っておきます。 NTTからの市外部門分離は、三月二日電気通信審議会が最終答申として打ち出し、九五年度に分割を実現するとの政府方針策定の方向で郵政省が大蔵省などと話し合いを進めてきたという経過があります。その中で大蔵省は、NTT株価への影響、あるいはまたこれからJTとかあるいはJRの株の放出等への影響をいろいろ勘案してNTT分割に反対し、その決着がつかず、今後三年程度話し合った上で結論を出すことになったというふうな意味の報道がけさの新聞の中で見られるのでございますが、この問題について大臣に伺いたいのであります。 私は、大蔵委員という立場で考えてみるときに、株価の不安定感あるいは不透明感というものを払拭するために大蔵大臣がいろいろ努力しておられること、これはこれなりに評価もしたいし、当然大蔵大臣としてそうあるべきだというふうに私は思います。 それで、この分割問題を三年後に先送りをするということは、いよいよ株問題についての不安定感とか不透明感をさらに拡大していくことに結果としてなるわけですから、この三月末で、分割はしないというそういう結論を明確にして、この問題の決着をやはり図るべきであるというふうに私は思うんですが、大蔵大臣いかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 昨日、私は閣議においてこの問題を提起いたしましたと同時に、その発言を踏まえまして記者会見で次のように申しました。 全部を申し上げるつもりはございませんけれども、問題のポイントとしては、大蔵省の立場は、NTTの分割問題につきまして、国民のためにNTT株式を管理する立場、また株式の売却当事者としての立場、こうしたものから重大な関心を持っておるところでありまして、これまでもこうした立場から意見を申し述べてきたところでありますけれども、昨日の段階におきましても分割後の収支見通しなど判断の基本に係る資料すら不明確であり、また、株主保護の問題などにつきましても実効ある手順と方法が何ら提案されておりませんでした。 私は、NTT分割のような重大問題につきましては、いずれにしてもNTT当事者として、また株主などの納得と協力が得られなければこれを実施し得ないことが明らかなのでありますから、また特にNTT株というものが国民共有の財産であるということから考えてみましても、こうした重大な影響を及ぼす問題につきまして広く国民の理解を得なければなりません。ところが、そうした問題点につき私どもが指摘をいたしましても実効ある方針が示されないままに今日までまいりました。そういう状況の中で分割の方向を政府として決定することは私としては承服しがたい。これが私の発言の趣旨でありました。 そして、閣議の席上、官房長官に対し、十分お考えをいただきたいということを申し上げましたところ、両省間でなお話し合えということになり、事務当局が今鋭意折衝をいたしております。しかし、まだその内容が固まる状況にはございません。 一部報道におきましてその三年というような話は私も散見いたしましたけれども、私のところにはまだそういう提案というものは届いておりませんし、仮に三年後まで結論を先延ばしということでありますならば、御指摘どおり、私は株主の動揺そして株式市場に与える影響等を考えますときには一層混乱を大きくするばかりだと思っております。できるだけ早くこれは結論を出さなければならない問題でありまして、私としては今申し上げましたような気持ちの中でこれからも議論をしてまいりたい、そして少しでも早く結論を出すように努力をしたい、そのように考えております。
○本岡昭次君 しかし、事態は切迫しているわけでありまして、きょうが二十九日、三十、三十一と残すところ三日間でありまして、できるだけ早くといっても結局三月末までに先延ばしというふうなことの結論になるのか、もうそこで決着をつけるのかというこの二者択一ではないかと思うし、先延ばしして議論するといっても、分割するということを前提にした議論をすれば、これはますます混乱をするわけですから、私は大蔵大臣として三月末にもう決着をつけるということの方向でやっぱり対処をしていただくのが一番いいんではないかというふうにも思うんですが、再度ひとつ、先延ばしじゃなくて、ここで結論をつけなさいという方向での僕は大蔵大臣の主張をさらに強めていただきたいという点についてはいかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変申しわけありません。少し寝不足が続いておりまして、閣議の日取りを間違えまして、昨日と申し上げたようでありますが一昨日の閣議で申し述べたことであります。 私も、委員が提起をされましたように、三月三十一日の時点においてきちんとした結論が出せればそれがベストだと思います。ただ、その結論を私が納得するためには、今申し上げましたような視点でのきちんとしたものがなければなりません。 株式というものは、これは市場原理によって値段が動くものではありますけれども、少なくとも政府の意思において、あるいは行政行為において国民の資産に傷をつけることがあってはなりません。こうした点において納得がいかない結論であるならば、私としては三月三十一日を過ぎましても、なお承服せずという論議を続けなければならない、そう思っております。
○本岡昭次君 ここは逓信委員会ではありませんのでその程度にいたしておきます。 それでは、所得税法の一部を改正する法律案について質問いたします。 公的年金等に対する課税において控除額が引き上げられています。この問題に関連して、我が国の年金課税を一定の政策目的に基づき統一された整合性のあるものに整備する必要があるという観点から若干質問をしてまいりたいと思います。 まず最初に、昭和六十二年度に年金所得を、給与所得から雑所得の中の年金所得として課税することに改正された点について伺っておきます。 この改正によって三百万前後の年金受給者から数多くの私は苦情と抗議を受けました。つまり雑所得になったことによって給与所得額が高くなり、その結果年金の所得税、地方税が増税、さらに国民健康保険料の掛金が増額となった。その上に三%の消費税である。どれだけ年寄りをいじめたらいいのかということでありまして、私がやったわけではないわけでありますが、大変困った状態でありましたが、いま一度こうした抗議にこたえる意味で、六十二年度の改正目的を説明しておいていただきたいと思います。
○政府委員(尾崎護君) 六十二年の九月に年金課税につきまして抜本的な見直しをしたわけでございますが、それまでの制度は給与所得ということで扱われておりまして、まず老年者年金特別控除というものを引く。これが当時七十八万円でございました。その引いた後に給与所得控除、サラリーマンと同じような給与所得控除を適用するというやり方でございました。しかしながら、年金収入が確かに、そのもとを尋ねますと、かつての勤務関係に起因するというものが大部分であることは事実でございますけれども、やはり給与所得控除というものが勤務関係に基づきまして、いわば経費の概算控除というような意味合いも兼ね備えておることを考えてみますと、既に勤務関係を終えられておられる年金所得につきまして同じように給与所得控除を適用するというのは果たしていかがなものであろうか。それから、別に老年者控除というものがあるわけでございますけれども、むしろその老年者という点に着目して控除を考えていくのであればこれは年金所得だけに限らないわけでございまして、広く適用されるわけでございますが、そういう意味ではむしろこの老年者控除の方を充実したらどうかということでございました。 老年者年金特別控除と給与所得控除の両方の適用というのをまとめまして、公的年金等控除という控除制度をつくりました。給与所得から切り離しまして雑所得の方に移しまして、ただしこの年金につきましては公的年金等控除という非常に充実した控除を行うということにいたしました。その内容は、現行制度になるわけでございますが、八十万円の定額控除を行います。定額控除後の年金収入につきまして、三百六十万円まで二五%、その倍の七百二十万円のところの部分、三百六十万から七百二十万円までの部分は一五%、七百二十万を超えるところは五%というような定率控除を設けました。しかも最低保障額として少なくも百二十万円の控除は認めるというような制度にいたしまして、大変充実したわけでございます。 それから先ほど申しましたように、年金所得に限らず老年者について適用される控除の充実が大切だということで、従来の二十五万円から倍増いたしまして五十万円という控除を設けたわけでございます。今回お願いしておりますのはこのうちの定額控除、先ほど八十万円、これは六十五歳以上の方でございますが、それを百万円にするということ、それから六十五歳未満の方には定額控除四十万円でございますが、これを五十万円に引き上げるということ、それとあわせまして最低保障、先ほど百二十万円と申しましたが、これは六十五歳以上の方でありまして、それを百四十万円に引き上げ、六十五歳未満の方は六十万から七十万にする、そういうような制度に改めたわけでございます。つまり全体といたしまして制度をある意味ではきちっとまとめますと同時に、その所得発生の原因からいいまして給与所得と切り離したということでございます。
○本岡昭次君 いや、私はそういう抗議がどんどん寄せられたという部分があったので、一体その改正は何であったのかということを尋ねたわけで、公的年金の控除をどうのこうのと聞いたわけじゃないんです。とにかく、あのときの改正によって一時期三百万前後の年金受給者が増税になったという事実は間違いないんです。だから、そこのところを言ってもらいたかったんです。もうよろしい、そこでやっているとほかに質問したいことができませんから。 それで、私はこの年金所得を今あなたがおっしゃったように給与所得から切り離したことによりまして、いわゆる考え方として給与の一部を年金負担金としてある時期積み立てていく、そしてその処分が給付されるときまで延長されるというこの単純な積み立て方式による年金給付という考え方がやっぱりこのことによって改められていくんではないかという、ある意味では前進的にこの問題を私はとらまえたんです。 そこで、税調の報告でも拠出金については当然加入の社会保険制度の適用の結果としての強制的に徴収されたものであることに加えて、現行の社会保険制度が付加制度に接近しつつあり、受益者負担的な色彩が希薄化しているというふうに、こう述べているわけなんですね。受益者負担的な色彩が希薄化している、付加制度に接近していると、こう言っているんです。だから、私は、拠出金はある意味では自分の給与を積み立てるということから社会保障税というふうなところに近づき、また給付金も自分の積み立てたものをもらうというところから、これは社会保障給付というふうな性格にこれも変わっていきつつあるというふうに税調も認識しつつあるんではないかというふうに私は思っているんです。 したがって、少なくとも今後この公的年金の給付に対する課税という問題は、課税控除をどんどんと上げていくということじゃなくて、せめて基礎年金からでも順次非課税にしていくという方針を持っていくことがむしろ現状に対して妥当ではないかというふうに私は考えるんですが、大蔵大臣いかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は今本岡委員の述べられました考え方が成立しないと申し上げるつもりはありません。しかし、やはり私は公的年金受給者の総数が、例えば障害年金などもともと非課税の方々を除きまして、延べ約二千万人程度おられます。そうしますと、そのうちの一割程度、それでも二百万人という方、これが納税者であるわけでありまして、実際上は相当高額の年金になる、あるいは他の所得との合算によって課税最低限を相当程度超えられるという方も相当数あるということを考えますと、やはり公的年金に対しての応分の負担を求めるべきであるという考え方は間違っているとは思いません。 そうしたことを考えてまいります上でもう一つの問題は、原資となります掛金そのものが拠出時に社会保険料控除の対象になっているといったことも考えあわせました場合に、やはり非課税という発想は適当ではない、私はそういう感じがいたします。
○本岡昭次君 次に、改正案にあります公的年金等控除額の引き上げそのものについて伺います。 公的年金等の受給者の課税最低限の推移を見ますと、昭和六十二年、六十三年の税制改正において課税最低限がかなり高い水準になった。今回またこれが引き上げられようということであります。夫婦二人の世帯で見ますと、受給者が六十五歳未満、配偶者が七十歳未満の場合は二百万九千円となり、受給者が六十五歳以上、配偶者が七十歳未満の場合は三百二十一万八千円となり、受給者が六十五歳以上、配偶者が七十歳以上の場合は三百三十六万円というふうに上がっているわけです。これに対して給与所得者の課税最低限は、夫婦と子供二人の平均四人家族の場合に三百十九万八千円、夫婦二人のみの場合は百九十二万八千円、このように拠出する世代と受給する世代間の課税最低限の水準の格差が開いていく、こういうことを見てくると、公的年金のみの受給者課税最低限の引き上げをどんどんやっていくということがどのような政策目的を持って行われていこうとしているのかというその意図を伺っておきたいと思います。
○政府委員(尾崎護君) 公的年金が経済的稼得能力の減退する局面にある老齢者の生計手段の一助として社会保険制度から給付される、こういう性格を考慮いたしまして、公的年金受給者に対する配慮を一層充実したいということで今回お願いしているわけでございます。
○本岡昭次君 そうおっしゃるでしょう。 それで、今回の改正により初年度四百億円、平年度三百四十億円の減収ということになるわけで、一方はそれは減税と、こうなるんでしょう。しかし問題は、今回の改正によって影響を受ける受給者はどれほどいるのかという問題になってくるわけなんです。厚生年金受給者を例にとってみますと、昭和六十三年度の社会保険庁事業年報によると、受給者の合計は六百九十四万五千八百九人であり、そのうち年金額が三百万円以上の受給者は二万三千六百八十三人、〇・三%にすぎないわけなんでありますね。 だから要するに、控除額を上げていく、そしてもはや三百万円以下の人は税金をかけなくてもいいというところへ来て、さらにそれを四百万円、五百万円の人のところにどんどんと上積みをしていくという、そのことの意味は一体何なのかということを私は尋ねたいということなんです。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今政府委員が数字をチェックしております間に私の感じを申し述べさせていただきますと、先ほど局長から申し上げましたような考え方のもとにこの制度をスタートさせ、そして今確かに委員がお述べになりましたように、我が国の年金制度が発足してから日が浅いためにまだ一人ずつの受給者の受取額はそう高い水準まで来ていない、そうしたケースは多々あると思います。しかし、これから先加入期間はどんどん延びてまいります。新たに発生する受給者は加入期間が延びていきますから、年金額は皆ふえていきます。そうしたことを考えていきます場合に、税制上やはり稼得能力の減退していく世代に対しての配慮というものは私はあってしかるべきものだと思っております。
○本岡昭次君 そこで、もう一つその立場で質問しておくんですが、消費税というものが逆累進性を持っていることによって年金生活者のところに非常にしわ寄せを与えている、非常に厳しい経済的な打撃を与えているという問題をしばしば私たちが政府に対して質問をするときに、政府からの答弁は、それは歳出面とかいろんな政策面でそういうものは補っていきます、こういうふうにおっしゃるわけです。そして、大臣もそういう意味のことをおっしゃるし、尾崎局長も「租税研究」の今月号、平成二年度税制改革の要綱というのを読ましていただくと、そこのところに、今回の年金課税に対する最低限の引き上げというのも、ある意味ではそういうふうに年金生活者の方が消費税で困っているということに対しての何らかの答えを出すことであります、こういうふうにおっしゃっているわけです。 しかし現実を見てみると、先ほど私が言いましたように、今回の改正によって所得税の負担軽減を受ける人は、公的年金収入四百万円の層の人が六万九千百七十円から五万五千七十円となって一万四千百円軽減され、五百万円の年金受給者の層が一万五千九百八十円の税金がさらにこれは減額になるというふうなことで、結局年金三百万円以下の方というのは何にも影響がないということなんです。ところが、消費税に対して最も厳しい状況になるのはやっぱり年金が年間百万円台とかあるいは二百万円台の人たちのところに三%という消費税の影響がもろにくるわけでありまして、今回の年金の控除の引き上げというふうなものは消費税そのものに対して最も厳しい状態にあるべき人のところに対しては何の影響もないということで、ある意味では尾崎局長が今度は引き上げたら消費税の対策になるでしょうと言いますが、これは何にもない、私はごまかしだと思うんです。 そしてまた、これ以上どんどんと年金所得の課税控除を引き上げていくということは、年金生活者間における税制の垂直的公平というものを損なうことになる、こういうふうに私は思うんです。そしてまた、消費税に対する矛盾を解消するための解決策にもならないんではないかという見方をするんです。私はこれは引き上げということに反対しておるんじゃないんですよ。そういうことになるではないか。そういう見方もできるではないか。だから、消費税に対する対策としては当たらないし、また課税の控除をただ引き上げていくことが年金生活者全体に対して、ああよかったよかったということにはなりませんよということを私は申し上げたいんです。いかがですか、大臣。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は実は大変不勉強でありまして、尾崎局長の論文を読んでおりません。後ほどちょっと見せてもらおうと思います。 ただ、今年金という制度の中で消費税との影響を論議されるといたしますならば、私はむしろその影響というものは物価スライドによって対応されているという答えを申し上げたいと思うのであります。消費税の施行後、その影響を受けとめて物価が上昇した部分、それをベースにして物価スライドは行われるわけでありますから、年金の実質価値は維持されている、私はそう思っております。
○本岡昭次君 ちょっときょうは意見だけ聞かしていただいて、また改めて討議をやっていきたいと思うんです。 それから、それでは次に年金制度間の税制上の格差の是正という問題をお聞きしておきたいと思うんです。企業年金というのがありますが、厚生年金基金と適格年金基金というものがありますが、その中で厚生年金基金の拠出金は社会保険料控除となり、適格年金基金の場合その拠出金が生命保険控除というふうに、なぜ従業員、労働者という同じ立場で、入った会社の規模によってこの企業年金を受けるときの掛金にそういう差が出るのか。 あるいはまた、年金の積立金の運用に当たって、大きな厚生年金基金をつくるところは給付の水準の二・七倍以上になったときに初めて特別法人税の一%を課すとなっておりますが、この適格年金の場合は積立金の中から従業員の掛金相当分を除いたものに頭から一%という特別法人税をかけるという仕組みですね。やっぱりこの点も適格年金に対して非常に厳しいですね。 厚生年金基金と適格年金というのが企業規模にあって、そしてその掛金とか積み立ての運用の段階で適格年金という中小企業を中心にしたところになぜこういう厳しい状況があるのかというところが私はわからないんですが、なぜこれを同じようにしないんですか。
○政府委員(尾崎護君) まず、社会保険料控除がなぜ適格年金について適用にならないかという方からお答え申し上げたいと存じますが、適格退職年金制度におきます従業員負担の掛金というのがございますけれども、しかしそれは事業主負担だけによる年金額以上の退職年金の給付を受けたいとお考えになっている従業員の方々が、それぞれ自分が希望する方が任意に支払うということになっているわけでございまして、厚生年金のようにいわば強制的に必ず支払うという種類のものではございません。任意性の強いものでございますので、公的な社会保険制度から外れているわけでございます。 それから積立金でございますけれども、適格退職年金と申しますのが、企業が任意に導入する私的な企業年金制度でございまして、そのうち一定の要件を満たすものにつきまして適格退職年金と呼んでいるわけでございますけれども、これは事業主の方が一部負担をするわけでございます。その事業主が掛金を払いましたときに、事業としてはそれを損金に算入することができる、つまり法人税がかからない、損金として落とすことができるわけでございます。 そうしますと、例えば給与でございますと企業が損金として落とせますが、その給与は今度は従業員のところで所得税で課税になります。この掛金の場合には企業が掛けてそこで損金として落ちますが、従業員のところにそれは給与分として課税することがございません。損金として法人税の段階で落ちたままの状況で積み立てられていくわけでございます。それが、従業員が年金を受け取るという段階のところで、初めてそこに所得税の課税の問題が出てくるわけでございまして、その間いわば繰り延べがある。所得税の課税が行われますのが非常におくれるということでございますので、その遅延利息相当額の分を負担していただくという考え方に立っているわけでございます。 厚生年金基金につきましては、特別法人税の課税上、一定の非課税枠というのが委員御指摘のようにあるわけでございますけれども、厚生年金基金は先ほど掛金のところで申し上げましたように、いわば公的年金性が強いわけでございまして、公的年金と混合した性格である。それから、その運営等に行政庁がしっかり監督をしているという、そういう特殊性がある。そのような点から、一定の非課税枠を設けるということになっているわけでございます。
○本岡昭次君 また改めて今のことを私は議論をしていきたいと思うんです。やっぱり、高齢化社会に向かって公的年金、それから私的年金、個人年金、あるいは行政庁がかんでいるからとかかんでいないとか、こうしてそこにいろんな格差を設けていくということが、国民が自助努力も含めて高齢化社会に立ち向かっていこうということに対して、本当に適合性があるのかどうかということを、大蔵省はやっぱり考えなきゃいかぬ時期が来ておると思うんですが、今はそういうことだということで理解をしておいて、改めてまた論議させていただきます。 そして、それに関連することで、年金と退職一時金課税との不均衡という問題があるということを言われているんですが、あるんですか、ないんですか。
○政府委員(尾崎護君) 御質問の意味は、企業が行う年金制度につきまして、退職者が年金として受け取るか、あるいはまとめて一時金として支給を受けるかという、その際の課税の取り扱いだと思いますが、退職所得として一時金で受け取りますといわゆる退職所得控除が認められまして、これは最初の二十年につきましては一年当たり四十万円、二十年を超えますと一年につき七十万円ということになっているわけでございますけれども、それを控除いたしまして、さらにその残額の二分の一だけが課税所得となるわけでございます。 それに対しまして、退職者が年金という形で支給を受けますと、先ほど申し上げました公的年金等控除しか控除されないということになるわけでございますが、これは、いわゆる所得税、累進課税をとっておりますので、まとめて受け取りますと累進の高いところで課税をされる、そうしますと年金として受け取った場合と比べまして一時に受け取った方が大変きついことになるわけでございまして、その累進税率の適用を緩和するということから二分の一課税という制度をとっているわけであります。年金の方は、それを分けていただくものですから、毎年毎年平準化して累進の低いところで課税されていくというところがございますので、両者のバランスというのは大体とれているのではないかというように私ども考えている次第でございます。
○本岡昭次君 じゃ不均衡はないというんですね、税制上の。現状ではないというふうに大蔵省はここではっきりおっしゃるわけですね。
○政府委員(尾崎護君) 私どもは、個別の事情によりまして一時金で受け取った場合とそれから年金で受け取った場合とどちらが有利になるかということについていろいろ考え方はあろうと思いますけれども、課税方式として議論をした場合にはそこはバランスがとれているというように考えております。
○本岡昭次君 そのほか、この国民年金基金というのがこれ来年度から発足するようなんですが、これ一口五千円から最高十五口ということで、一人当たり六万八千円まで掛けてもこれは社会保険料控除が認められる、夫婦であれば十三万六千円ということで、一年間で百六十三万二千円が非課税の所得として貯蓄ができて、しかもその利子に対して税金もかからぬ、こういうことを一方で認めておいて何でだ、という議論もあるわけで、いろんな年金の各仕組みの中での税制というものが必ずしも統一されていない、整然として整合性のあるものになっていないということはやっぱり現状に照らしてあると思うんですよ。だから、私は、この問題をきちっと整理をして大蔵省と討論をこれからやっていきたい。きょうはそのスタートとしていろいろな点で質問さしていただいたというふうに御理解をいただきたいと思います。 それで、次に関税定率法の一部改正の問題について伺います。 まず、密輸事犯というものが最近非常に多く新聞で取り上げられているわけですが、その問題と税関職員の増員問題等について質問をしておきます。 毎年、関税定率法改正の際に麻薬問題というのが論議されて、そして、それを水際で防止するためには税関職員の増員が必要ではないかという論議があるわけです。最近我が国においてもこの麻薬、覚せい剤等の摘発がふえて、それも大口化し、またその手口も極めて巧妙になって、それに対応する税関職員も大変だろうと思うんですね。 麻薬密輸白書を見ると平成元年度においてヘロインやコカインの押収量が顕著に増加していますが、これはアメリカのブッシュ政権が取り締まりを強化したことによって、新たなターゲットとして我が国がねらわれているのではないかというふうなことも書いてあります。したがって、今後これらの密輸事犯というものが増加するものと思われるわけですが、水際での摘発体制というものが現在のままで十分なのかどうなのかという点について、大蔵省の認識を伺っておきたいと思います。
○政府委員(瀧島義光君) 麻薬問題の重要性というものは、現在ただいまにおける現象としては小さいと思いますが、潜在的には大変大きな問題を潜めていると思います。昨年の六月、アメリカの関税庁長官、この人は七年ほど長官として君臨した人でありますけれども、その人がやめるに当たって世界の関税局長、関税庁長官に手紙を出しました。その中で、アメリカはもう麻薬に汚染されてしまった、これをもとに戻すのは不可能に近い、日本がそういう国にならないように今から十二分の注意をするように、事前の予防ということも困難であるけれども、一たん汚染されたものをもとに戻すよりはやさしいから、最大限の努力をするように、ということを書いてきたわけであります。 言われるまでもなく、私どもは、麻薬対策というものは我が税関に課せられた非常に大きな使命だと考えています。我が国での麻薬の消費量はまだ少ないと思いますが、これは原則としてすべて海外からやってきている。したがって、水際における取り締まりというものが極めて重要であります。 私ども、限られた定員の中で麻薬に重点的に対処するということで、人員の重点的な投入ということもやっておりますし、そのほか機械、これはコンドルと称する非常に大型の機械でありますが、そういうものを入れる、あるいは麻薬犬を活用する等々ということでできるだけのことはやっておりますし、今後もそうした心構えで対処していきたいと考えております。
○本岡昭次君 昨年度の予算定員では、消費税の導入もありまして税関職員の定数は二百名増、ただし定員削減分がございますからネットの増は百五十五名となっていますが、近来にない増員が行われて私たちもよかったと喜んだわけです。しかし、平成二年度ではマイナス十一人ということで十一人の減になりました。こういうことでございます。 毎年の附帯決議において中長期的展望に立った定員増というものがうたわれ、大蔵大臣も附帯決議に対して、それを配意していきますというふうにおっしゃっていただいております。当局に聞くと、その効果が出ているんだとおっしゃるわけでありますけれども、しかし今の状況で見れば、年年増加する密輸問題に対応するような中長期的な定員増という問題がまだなかなか具体化してきませんし、さらにこれから、三年後ですか、我が国唯一の二十四時間運用空港である関西国際空港の第一期分が開港する予定にもなっている。また、成田の第二期工事というふうなものも今いろいろと具体化しつつある中で、やはり中長期的観点に立った定員の増という問題をきちっと立てて、そしていろいろ想定される問題に対応すべきであるということを私は思うわけですが、大臣の決意を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大蔵大臣に就任しまして所管事項の説明を受けましたとき、一番私がしまったと思ったのはこの税関職員の定員の問題でありました。行革をある程度進めてきた中で、こうしたところに落とし穴があったということに、本当に就任した後に所管事項の説明を受けたときに気づいた次第でありまして、この点は大変恥じております。 ただ、問題は、国全体として国民が政府に求められておりますものがより簡素にして効率的な政府という視点であることから、総定員法のもとに毎年年次計画による定員削減が行われ、本年におきましても三千名を超える純定員の縮減が行われております中で、本院また衆議院におきます附帯決議というものでいわば十一名の減で食いとめることができた、いわゆる総定員法の定率削減の部分よりは押し戻せたというだけでも私は効果は本当にあったと思っておりまして、お礼を申し上げたいと思います。と同時に、今後、私自身がこの職を離れましても気をつけていきたいそうした問題の一つである、今そのように認識をいたしております。
○本岡昭次君 ことしも附帯決議のところでこの定員増問題をうたわせていただきますが、国際化という状況の中で、税関職員の増員問題とあわせて待遇問題とか、あるいは専門職としてのさまざまな力を身につけるための内部の体制、あるいは組織上の問題等々についても十分対応をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 それでは次に、再輸出貨物に係る戻し税制度の創設問題について伺っておきます。 本制度の創設の必要性あるいは輸入拡大に資するという効果の点で、必ずしも私は理解のできないところがあるわけであります。例えば、このような制度が今までなかったことにより輸入業者がどれだけの不便をこうむり、そのためにどれだけの輸入拡大が阻害されたのかという点がよくわかりませんし、本制度を創設することにどのような効果が期待されるのか、ひとつ簡潔に承っておきたいと思います。
○政府委員(瀧島義光君) 関税という税の性質はいろいろな学説がありますが、一番有力な説として通行税的な税であるというのがあります。つまり、日本という国境を越えて物が入ってくるそのときに払う通行料、これが関税であるという説であります。この説に忠実に従いますと、一たん日本に入ったものが再びまた外国に出ていくという場合に、前の通行料を戻せと言ってもそれは聞こえないという結論になるわけであります。 さはさりながら、いろいろ気の毒な場合があるということで、例外も既に設けられております。例えば外国から取り寄せた品物が約束と違った品物であったとしますと、それを外国に送り返す。その場合、輸入の際に払った関税は払い戻すことになっております。それから、日本に物が入ってきますが、しばし滞在して外国に再び返っていく。例えば展覧会に陳列する絵が入ってくる、あるいは日本の工場で修繕をして、修繕が終わったら返っていくというような場合には、あらかじめもう返っていくことが予定されておりますから、最初から関税はいただかないという制度があります。 そうしたことを考えますと、日本に物を新たに売りに出かけていこう、しかし売れないかもしれない。そうしたときに、売れなくてまた再びアメリカその他に返っていくときに、最初の関税ぐらいは返してもらえるということにすれば、日本へのアクセスがそれだけ容易になるというふうに考えられます。 我が国を取り巻く国際経済情勢は大変厳しいわけでありまして、その中で市場アクセスの改善のためにいろいろな手を打たなければいけないという考えでおりましたところ、こういうことはやはりやればプラスの効果があるであろうというふうに私ども考えた次第であります。
○本岡昭次君 私はちょっと別な考えを持つんですね。今おっしゃったように、委託販売契約や見込み輸入によって輸入された貨物が売れ残った場合に、返すときにその関税を返してもらうという、何か大変輸入業者への過保護的な措置ではないかというふうに思えてならぬのです。企業にとってみれば、ある貨物を輸入してどれだけ消費されるか、販売できるかということは、それはそのことがその企業の生命そのものであって、いわばマーケティングリサーチというんですか、市場の調査をやって、そして売れるから輸入する、売れるから輸出してくる、こういうことになろうと思うんです。それが本当に企業戦略上の最も基本のところだと思うんです。 ところがそこで、先ほどおっしゃったように、見込み輸入したけれどもうまくいかなかった、思ったほど商品が売れなかった。そしたら再輸出する際に関税の還付が受けられるというふうなそういうことは、何か輸入業者の立場だけを非常に重んじたやり方で、果たしてそういうことが正当性を持ち得るものなのかなというふうに私たち素人は思うんですが、それはどうですか。
○政府委員(瀧島義光君) 日本に進出していこうか行くまいか迷っている企業に、このような制度が迷わずに出ていくという方向での決心を固めさせるそういうプラスの効果、これはその輸入業者に直接的には恩典が及ぶのかもしれませんけれども、やはりそれが最終的には日本の消費者に及ぶというふうに私どもは考えます。 ちょっと身近な体験で、こんなことを申し上げていいのかどうかわかりませんけれども、こういう経験をしたことがあります。 それは、今入っておりませんが、私はスポーツクラブに昔入っていたことがあります。一年たつと一年分の料金を前払いする。五月にその期限が来たわけでありますが、私はそのころ地方転勤になりそうな予感がしていたものですから、一年分払い込むと損をする、一カ月しか使えないということで、万一転勤になったら残りの分は返してくれるかあるいは東京に再び帰ってきてから期間を延長してくれるかと聞きましたところ、それはよろしいと言ってくれたわけです。もし、そういう待遇をしてくれなければ私はそのスポーツクラブに入らなかった。それはスポーツクラブにとってもそういうことをすることによってお客がふえましたし、私のメリットもふえた。相互の利益になったわけです。 この関税の今度の戻し税も全く同じような性格のものだと思います。これは形の上では恩典のように見えますけれども、一たん入ってきたものが出ていく。往復とってみれば結局日本に入ってこなかったことですから、それについて関税を払って戻してゼロにするというのはそれほど大きな恩典とは考えなくてもいいんじゃないかと考えますが、いかがでしょうか。
○本岡昭次君 楽しい議論ですから、また時間があったらゆっくりさせていただきます。あなたの話も一理あるということは認めます。それでその話はまた別の機会にできればやらせていただきます。 工業製品の関税の撤廃、それから関税引き下げというのが今回の関税定率法の一番重要な部分のようです。それで、我が国市場の一層の開放を図るために機械類を中心に千四品目の関税の撤廃、四品目の関税率の引き下げということになっています。これは国際社会に貢献する我が国の立場からは国内産業へのいろいろな配意ということを考えながらも当然やるべきことだというふうに私もこれは肯定的に受けとめたいんですが、先ほどもあなたが消費者の立場ということでお話しになりました。関税を撤廃するということは、市場アクセスの改善によって我が国とりわけ国民にとっても何かメリットがあるのかというその問題を考えてみたいんですが、何か今日の日米間の構造協議の問題も、この消費者という立場、生活者という立場、それがどうなんだということが絶えず問い直されているわけなんです。 それで、今回の関税の撤廃のところを見てみても、一体我が国の消費者のところにどういうメリットが来るのかなということを考えてみたとしますと、例えば関税無税化の一つに冷蔵庫あるいは瞬間ガス湯沸かし器などの電気製品があるわけですが、それぞれの関税率は現在冷蔵庫が二・九%、湯沸かし器が四・八%というふうになっているわけであります。また、寝室用の木製家具が二・四%というふうに、私が取り上げたのは主として一般庶民が購入する対象として適当なものを選んだのであります。これが関税ゼロになる。二・九%、四・八%あるいは二・四%というものがゼロになる。そうすると、こうした輸入の冷蔵庫や湯沸かし器、木製家具を消費者が購入するという段階で、関税が四%下がった、あるいは二・九%下がったということが消費者の側に価格として影響するようなことになるのかならないのかという点を聞いておきたいんです。
○政府委員(瀧島義光君) 商品の値段はいろいろなものによって影響を受けるわけであります。そもそもの仕入れ値段、それから輸入の場合ですと為替レート、それから関税、いろいろなものが影響をいたします。 関税が下がった場合、これは基本的には販売価格を下げる要因である、これは否定できないと思います。現実にこれを関税率引き下げ幅と同じ幅だけ下げることになるかどうか、これは他の要因がありますから一概に言えないわけでありますが、その辺をきちんと消費者に還元するようにという観点から見ましたときに、方法は原理的には二つあると思います。 一つは、政府が極めて厳しく監視をするということであろうと思います。もう一つは、まさにマーケットメカニズムが十分に機能するようにマーケットのあり方を整えるということであろうと思います。私は、前者の、政府が監視するというのは非常に効率が悪いと思います。したがいまして、とるならば後者の道であろうかと思います。これにつきましては、先ほど村田委員の御議論にありましたように、公正取引委員会その他つかさつかさで市場機能が十分発揮できるようにという仕事をやっていただくということが正道であろうかと考えております。
○本岡昭次君 日米構造協議の中でアメリカが、日本の消費者の問題、消費者の問題と盛んにこうやるわけです、消費者は何をしているんだということですよ。それを考えるときに、消費者がそれでは例えばこの関税の問題でも、先ほど言ったように、外国から輸入される湯沸かし器は四・八%関税が下がりましたよ、あるいはまた冷蔵庫は二・九%下がりましたよという情報なんというのはほとんど私は入手できないのじゃないかというふうに思うんです。私たちは調べて初めてなるほどそうかなというふうにわかるわけで、政府の資料だってそこまで、何ですか千四品目について全部我々に資料を出せるわけにもいかないわけですからね。 だから、私は消費者がみずからの消費生活ということの中で、物価が安定し、そしてそれができるだけ競争原理が働いて低い方へ向いていくということはこれは極めて大事なことで、そのことの一端は消費者運動が担っていると言ってもいいと思うんです。しかし、その消費者運動というものを高めていくという場合に、情報の提供がなければわからぬわけでしょう。だから、こうした問題の一つの情報の提供としてやっぱりその生活関連用品というものの関税がそれだけ低くなったという、例えば個別物品税から消費税にかわったときに、個別物品税のときは何ぼで消費税が何ぼになりましたよといって皆が商品をそういう目で見ると同じような仕組みそのものを、大蔵省がやるのかどこがやるのか知りませんけれども、やっぱり政府として消費者にそういう情報を提供するということがなければいけないんじゃないかというふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(瀧島義光君) 私どもといたしましては、つまり関税を担当しております関税局としては、非常に大きな改正をお願いしていると考えておりますけれども、新聞にはそれほど大きく報道されない、テレビにも報道されない。甚だ残念であります。 きょうこういう議論が行われるということ、これは大変私どもとしてはうれしいことでありまして、大いに機会をとらえて宣伝をしていきたいと思いますが、ただ、例えば関税率が三%下がったときに、アメリカからの輸入製品で、その品物はまだ日本でよく知られていない、三%を利用して例えば広告を出す。そうしてその品物を買う人がふえてくればそれに応じてまた値段が下がっていく。消費者に還元する道は紆余曲折いろいろな道があると思いますので、直ちに三%下がらなければけしからぬということは言えないと思いますけれども、とにかくこれをやって、あとは競争原理を少しでも高めるということをつかさつかさでやっていただくということを希望して私の答弁にさせていただきます。
○本岡昭次君 大蔵大臣が帰ってこられましたので、日米構造協議の消費者という場合に、僕は消費者は本当に責任があると思うんですが、情報がなければこれは何もできないわけだから、先ほどちょっとここで笑いながら話が出ておりましたが、消費税のときに大蔵大臣のにこにこ笑った顔を私は何遍も見せてもらったわけで、だからああいうふうに、物価問題に対してこういう関税というものが、今おっしゃるように、それは一つの物差しになるんだということですから、影響をしていく、やっぱりそういうときに、情報として具体的に知らせる方法を大蔵省として考えていくべきだと思うんですよ。いかがです、大蔵大臣。
○国務大臣(橋本龍太郎君) まず第一に、私からは消費税広報を認めていただきましてありがとうございました。 と同時に、今こちらに戻りまして御意見を伺いながら、確かに私たちが考えるべきことだなと思います。そして、むしろ内閣広報等にも相談をしながら、どういう形で知っていただく機会を持つか、私も内閣の広報官の方と相談をしてみたい、そのように思います。
○本岡昭次君 最後に、麻薬犬の問題を質問いたします。 前回の大蔵委員会で視察に行きましたときに、大阪国際空港で麻薬犬が麻薬の入った段ボールを見つけているのを実際私たちも見せていただきましたが、あれがどれほど麻薬が輸入されてくる状況を水際で防止するのに役立つのかよくわかりません。しかしこの間、ある資料に、世界の麻薬犬がどれほどいるかという頭数の書いてある資料があったんですが、日本は現在二十頭の麻薬犬がいるというんですね。アメリカは二百頭、西ドイツは五百頭というふうに、日本と同じような工業先進国、ある意味では麻薬というものに関連する状況が非常に強いであろうと思われる国にはかなりの麻薬犬がいるわけです。 日本は島国で周囲が海だからという事情もあるのかもしれませんが、麻薬犬というものの数が多いから必ずしも麻薬問題について真剣である、少ないからそれをいいかげんにしていると言うつもりはございませんが、この麻薬犬の育成問題、これをどう考えているのか。麻薬犬というのが少ないからか、それを扱う人がいないからか、必要がないからか。どうなんですか。
○政府委員(瀧島義光君) 麻薬犬の数につきまして、今、本岡委員二十頭という数字を示されました。実は既にこれは二十二頭にふえております。平成二年度中に二頭さらに追加する予定でございます。これは、すべての犬が鼻がきくというわけじゃなくて、非常に多くの犬の中から適性のある犬を選ぶということで急にふやすことはできない。しかも訓練もしなければいけない。また麻薬犬を扱う人の訓練も必要であるということで、急にふやすことはできないわけでありますけれども、私ども今後計画的に、着実にふやしていきたい、こう考えております。
○本岡昭次君 終わります。
○峯山昭範君 きょうは非常に短い時間でございますので端的にお伺いしたいと思います。政務次官の山岡さんも今お帰りになりましたので早速お伺いしたいと思っております。 きょうは、実は年金の問題とか社会保障の問題についてちょっと掘り下げてお伺いしたいと思っております。大蔵大臣はもともと社会保障関係は専門家でございますからそういう点からもお伺いをしたいと思っております。 実は今回の個人年金の保険料控除が大幅に引き上げになった、これは私どもはかねがねからこの点については主張してまいりました。今回これ五千円から五万円に十倍という引き上げがあったわけでございますが、この背景について簡単に御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは、簡単にと申されますならば、高齢化社会の進展を踏まえて、老後生活安定のための自助努力の奨励及び老後生活に対する相互扶助の一層の推進を図るという観点から行うことにいたしました、というのが一番端的なお答えだろうと思います。
○峯山昭範君 昭和六十三年の税制改革の十二月の審議のときに、今大臣が言ったことを私は言いまして、大蔵省に個人年金の保険料の控除を引き上げろと言ったわけですよ。私は大臣と同じことを言った。そしたら国税庁長官が、そういうわけにはいかぬといって断わられた、拒否された。それはどういうわけですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) その当時、私は大蔵省とかかわりのない立場におりましたので、どういう趣旨からそういうお答えを申し上げたのかわかりません。あるいは峯山委員の御質問を機に事務方が勉強をし、その御主張を是と信じて、今回こういう措置に踏み切ったのかとも思います。
○峯山昭範君 いや、ですから私は時間が短いから端的に申し上げているわけでございますが、決しておかしなことを言っているわけじゃありません。私の会議録を読んでみますと、「個人年金保険料の控除の引き上げ問題であります。これは大蔵とのかかわりもあると思いますが、」ということで、そのときは厚生大臣と国税庁長官と両方においでいただいて質問したわけです。それで、現在の個人年金の控除額というのは五千円です、この五千円を少なくとも二倍ぐらいに引き上げたらどうか、こういうふうに私は考えておりますけれどもいかがですかと、こう聞いたわけです。決しておかしな質問じゃないと私は思うんですよ。それに対しまして、「現時点でこれを拡充していくということは、他の金融資産なり貯蓄形態とのバランス等から見ると問題が多い」、だからいかぬといって断わられたわけです。決して間違ったことじゃない。そのとおり読んでいるわけですよ。 山岡さん、あなたは実はこの問題についての専門家でございますが、あなたはいかが思いますか、これ。
○政府委員(山岡賢次君) 個人年金については、多くの国民の皆様が大変関心を持っていらっしゃることでございますが、しかし個人年金のみならず、年金全体が日本国の大きな今問題になっているわけでございまして、そういう意味では各所からそれぞれの立場、意見は言っておりますが、最終的には年金問題、こういうふうに行き着くわけでございまして、大蔵省の見解といたしましても、年金全体を一緒に、あるいは全体の整合性が合うように見ながら検討していきたいと、こういうスタンスでずっといるわけでございます。そういうことで、一部の年金についての主張についてそこだけを取り上げるわけにはいかないと、こういう見解であるわけでございます。 しかし、個人年金については、いかにも五千円というのは少ない、委員のおっしゃるような御意見も強い、こういうことで、今回年金全体を考える中において五千円から五万円と、こういうふうにさせていただいてお願いを申し上げているわけでございます。
○峯山昭範君 私は、あえて山岡さんに御答弁いただきましたのは、あの消費税国会のときに山岡先生の御高説を随分承りました。したがって私はお伺いしているわけでございますが、個人年金の控除を引き上げろということはかねがね我々は主張してきたわけです。それが突然十倍にも引き上げられた。我々は、少なくとも一遍に十倍なんてだめだから、二倍ぐらいからしてもらいたいといって主張して一生懸命やっているのに、いろんな理屈をつけてだめだと言っておきながら、なぜそれじゃ引き上げたかということについては、山岡さんが随分運動されたということで新聞にすごく報道されております。 これは山岡さんは、新聞報道によりますと、二十倍という話をされたと報道されているわけです。私が言っているんじゃありません。ところが、それはなぜかというと、去年の年末に衆議院選挙を前にして、いわゆる生保業界の票が欲しかったんだ、こう新聞に書いてある。これは山岡さんがそういう業界の出身であることは私は百も承知であります。私どもは、この点は当然それなりに問題が残っているということだけは指摘をしておきたいと思います。 そこで大臣、社会保障と個人年金とのかかわりでお伺いをしたいと私は思うのであります。 といいますのは、大臣は私どもの消費税の国会のときに、私どもはこれからの社会保障のあり方について随分議論をしました。議論したというより、我々が自民党の皆さん方から問い詰められたわけです。そんな中で、私はこれからの社会保障はどうあるべきかということで答弁をさせていただきました。そのときに、大臣も覚えていらっしゃると思いますが、これからの社会保障というのは非常に重大な転機に差しかかっている。これからの社会保障というのは、スウェーデンを中心にしたいわゆる北欧型の高福祉、高負担の方向へ行くのか、あるいは自助努力というようないわゆるアメリカ型に行くのか、これはどちらに行くかはこれから国民の皆さん方の御選択をいただかなければならない、こういう答弁を随分させていただきました。 そうしましたら、大臣は私の答弁のすぐ直後に立たれまして、峯山さんは北欧型、アメリカ型とおっしゃるけれども、その間に日本型というのがあってもいいのと違うかと、こうおっしゃった。ということは、いまだに日本の行く末は決まってないというふうに、僕は北欧型にしようかアメリカ型にしようか、どっちか分岐点に差しかかっているんだと言ったら、大臣は日本型とおっしゃったわけですから、ということはまだ日本の行く末はどうなるか決まっていないんだろう、私はそのときにそう思ったわけです。 そこで、私は年金の問題となぜ関係があるかといいますと、要するに日本は、それじゃ自助努力というふうなアメリカ型の方向に決まったのか、社会保障のあり方が。自助努力というような、社会保障の方向がアメリカ型に行くということが決まって、そしてそれに基づいて個人年金の控除も自助努力という方向に、全部同じ方向にきちっと筋が通っていくならいい。全体の方向も決まらないのに、年金のこれだけ自助努力と何ぼ言ったって、これは筋が全然通らないわけでありまして、そういうようなのはやはり国が大綱として、社会保障はこれからこういうふうに持っていくんだという方向を決めて、その上で、要するに個人年金の控除についてはこうしましょう、生命保険についてはもう大分満杯になってきた、これからのいわゆる商品としては個人年金の方が魅力がある。それが五千円じゃとても間に合わない。だからやはりもう少し控除額を引き上げよう、これならそれなりに筋が通っているわけですけれども、社会保障全体の方向がまだはっきり決まっていないように私は思うわけです。 そういうふうな意味で、こういうようなことをするというのはちょっと私自身得心がいかないというのか、ばちっと落ちるところがまだないわけですけれども、こういうところについては大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、ちょうど予算編成時で落ちついて新聞等も見ておりませんでしたので、今引用をされましたような内容の報道というものに接しておりません。 また、当時、山岡政務次官は、党の税制調査会のメンバーとして税制改革に努力をしていただいたお一人でありました。私はそうした立場から自由民主党の税制調査会委員のお一人としての山岡さんにはその御労苦に対して感謝をいたしております。 そこで、今税制国会における御論議を踏まえて御意見をちょうだいしたわけでありますが、私は今委員がお述べになりましたように、まだ我が国の社会保障の方向づけというものに確たる方向は出ていないと考えております。本院における御論議の中でも、例えば従属人口についての見方でありますとか、基本的な部分で論議を続けてまいりました部分を多数持っております。 さらにまた、私個人が考えてみましても、日本の家族制度というものは一体どういう方向にいくんだろう。その方向づけの中で、我々は一体所得保障中心の社会保障体系を組むべきなのか、あるいは医療保障にウエートを置いた体系を組むべきなのか、さらには、仮に親御さんと同居する形態が今後ともに残っていくとした場合には、家庭内における婦人の労力を削減するという視点からの、苦労を減らすという視点からの公共福祉サービスが必要になりますし、また親と別居の形態がふえていき、高齢者世帯が続出していくと考えれば、それに向いた公共福祉サービスのあり方を検討しなければならない。 そうした点では、私は委員が御提起になりましたアメリカ型、北欧型という分け方とはまた別途に、日本の伝統的な家族制度というものがある程度存続する中で今後の社会保障の体系を考えるべきなのか、あるいは老親同居の傾向が薄れていく方向の中で、高齢者世帯というものに対する対策を中心に考えなければならないのかによって、その比重の置き方はおのずから異なってくる部分があると思います。そして、それを補完する意味で、また税制におきましても変化が生じる必要があるでありましょう。 そういう視点から、私は北欧型、アメリカ型という一つの体系にくくり出すのとはまた違った視点で、私は日本型の社会保障形態というものを模索しなければならないのではないか、本当にそう考えております。そして、その意味においての結論は私はまだ出し切れておりません。
○峯山昭範君 今大臣がお述べになっていただきました前段の部分というのは、これはこれからの国会論議の中で深めていかなければなりませんけれども、大変私は大事な問題であると思っております。日本の政府としてこれからの社会保障のあり方の方向というのをこれから十分検討していただいて、何らかの方法を決めなくちゃならないという点についてはそういうことですね。
○国務大臣(橋本龍太郎君) そのように私は考えております。
○峯山昭範君 そうおっしゃっていただくとこれはまた大議論になるわけでございまして、要するにこれからの日本がどういうふうな福祉型社会をつくるか、そういうふうな方向がはっきり決まらないのに、要するに先々のお金を徴収するというような、あるいは消費税の問題も含めてそうです。そういうようなことになってくると、これは大問題だという問題があるわけです、実際問題として。そこで、きょうは消費税の問題は棚上げにします。 そこで、私がなぜこんなことを言うかといいますと、いろいろと問題があるわけです。政府は、我々国民にはどちらの方向へいくということは決めていない、こうおっしゃっておりますけれども、例えば昭和六十三年のOECDにおける藤本厚生大臣の演説がありますね。あの演説を読んでみますと、明らかにあれは自立自助ということを中心に演説をしていらっしゃいます。あのときの状況が新聞で報道されておりますけれども、藤本さんが演説を終わって段からおりてくると、アメリカとイギリスの議員は物すごく拍手をして迎えるけれども、スウェーデンとか北欧三国の皆さん方は、何だ日本という国は、こういう態度で、一体どうなっているんだというふうな状態であったというふうな報道があるわけです。これは、その後議論になっていまして、そのことはそのとおりなわけです。 そうしますと、そこでも日本はアメリカ型の方向へ進み始めた。国は、いわゆる高福祉、高負担じゃなしに、やはり何らかの方法で、いわゆる自立自助という点に相当力点を置いて進み始めた、そういうふうに今考えざるを得ないわけです。今回の個人年金の問題もそうではないかなと私は感じるわけです。この点はいかがでしょう。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 自立自助というのは、私は北欧型の社会保障制度の中においてもその基盤をなしておるものだと考えておりまして、その自立自助ということが問題になるとは考えておりません。むしろ、今お述べになりましたような視点からもう一つ私の感じを申し上げますならば、昭和四十年代の半ばぐらいから日本の社会保障、社会福祉に対する意識というものの中に、国民の中で大きな変化が生じ始めているんじゃないでしょうか。 私どもちょうどその時代に社会労働委員会におりまして、当時の発想というものは、例えば障害を持つ方々に対しましてもあるいはお年寄りに対しましても施設をつくるということが非常にいいことなんだ、大きな施設をつくることがその方々に幸せなんだという施設入所というものに非常にウエートを置いた考え方というものが存在しておりました。その後、大施設主義というものはやはり肌に触れるものが乏しくなったりいろいろな問題が生じて、むしろぬくもりを感じ合える範囲の規模の施設というものが求められるようになりました。そして、それがもう一つ今変わってきている、在宅福祉というものに国民の関心は非常に大きく移ってきているのではないかという感じが私はいたします。 しかし、その根底は、やはり自立自助というものはシステムのいかんを問わず私は根本にあるべきものだと思っております。
○峯山昭範君 これは大臣、今議論をすれば切りがありませんが、確かに四十年代の福祉というのは、大臣がおっしゃるように施設とかそういうものをつくればいいという考え方が多かった。それじゃ日本はそれをつくったのかというとつくらなかった。 これは既に皆さん方御存じのとおり、朝日新聞でもずっと連載されまして、スウェーデンやストックホルムの社会保障施設との比較が連載で相当報道されました。私どもそれをずっと読ませていただきましたけれども、日本の施設というのは余りにも貧弱過ぎます。だから、そういう面では、大臣は施設をつくった、あるいは大施設をつくって入所することがとおっしゃっていますが、日本の施設なんというものはつくったうちに入らないぐらいお粗末なものでありまして、現実にそういうふうな比較対照したいわゆる日本の施設というのは余りにも内容的にも乏しいし、とてもじゃないけれどもそこへ住んでおれないというような状況です。したがって、そういうようなところから意識が変化してきて、確かに人間としてのぬくもりとか在宅福祉を大事にする、そういうふうな方向へなってきたという、そこはわかるわけです。我々もそういう方向へ変わってきたなというふうなことも感じております。 したがいまして、社会保障のあり方というのは、そういう点を十分考えながらこれからやっていかなくてはいけないということも十分承知をいたしておりますし、我が党としましても、そういうふうな二十一世紀トータルプランというふうなものをつくりまして随分やってまいりました。 もう時間がありませんので端的に申し上げますが、この「社会保障給付費、社会保障負担、国庫負担の推計」というので、昭和六十三年に大蔵省と厚生省で私どもにいわゆる二十一世紀までのプランを示したということで出した資料が実際にあるわけですね。それで、これは現在の社会保障のやり方をずっと毎年続けていくと二十一世紀にはどうなるかという資料であるということも、これは大臣もおっしゃっておりますし、御存じのとおりであります。 そこで、大臣、これはちょっと大変な問題になってくると私が思っておりますのは、先般からいわゆる財政審で社会保障費をふやす方向に関する答申とか、それから社会保障政策の展望、こういうふうないろんな答申が出されておりまして、それによりますと、いわゆる二十一世紀までに五〇%を下回るという答申、これは何回かいろんなところで出ておりますが、五〇%を下回ってもらいたいという答申が出ておるわけですね。 ところが実際問題として、これは大蔵省からいただいた資料によりますと、昭和六十三年度に社会保障負担というのが一一・一%、そしてこれは昭和の計算でいきますと、七十五年に一四%から一四カ二分の一%という数字が掲上されていたわけであります。ところが、現在の税制改革で進めていきますと、平成二年度で一二・一%になったわけです。これは昭和でいきますと、六十五年で一二・一%になりました。六十三年から六十五年の二年間で一一・一から一二・一と一%ふえたわけですね。二年間で一%ふえました。 そういうことを計算していきますと、この大蔵省の推計によりますと、昭和七十五年、これから十年先です、十年先に一四%から一四・五%と推計しておるわけですね。そういきますと、とてもじゃないけれども、十年で二%の増加で抑えられるかということになりますと、これはとても無理と私は思うわけです。これは二%ずつ、二年で二%ふえるという計算でいきますと一七%になるわけですね。そういう点からいきましても、これはもう社会保障のこういう点については非常に大きな問題になりつつあります。 それからもう一つ、これはもう時間がございませんのでまとめて申し上げますと、財政審の答申の中で、この大蔵省からいただきました資料八ページの終わりの方に、「国民負担が上昇せざるを得ない場合であっても、その負担の求め方としては、租税負担よりは受益と負担の関係が明確な社会保障負担を重視すべきである」というふうな答申になっているわけです。ということは、結局今私どもが非常に心配しておりますのは、それぞれの地元へ帰って皆さん方のいろんな御意見を聞いておりますと、税金も高いけれども、健康保険とか社会保険とかいう掛金が非常に高い、何とかならないかという要望が非常に強いわけですね。 また、どこかで受益者負担ですからやっていただくにいたしましても、非常に私はこの点は、これは相当考えなくてはいけない問題でありますし、先ほど大臣が答弁でもおっしゃっていただきましたように、これからの日本の方向というのを、どうしてもどこかで何らかの方法で、いわゆる自立自助の考え方の中身は多少食い違っているかも知りませんが、私はやっぱり自分でできる人は自分でやっていただくということも大事でしょうし、また、どうしようもない人たちに対しての国の援助ということもあるわけですから、これからの方向というのをやっぱりきちっとしていただく必要があるんじゃないか、こういうふうに考えているわけであります。 財政審なんかの答申を見ておりますと、受益者負担ということでいきますと、また弱い人たちにたくさんの負担を押しつけられる、そういうふうになるわけです。 ですから、これは健康保険とかこういうふうな保険料につきましては、いろいろ調べてみますと、累進的な負担というのは大体全体の五〇%ぐらいですね。所得割が五〇%、受益者負担の分が五〇%というふうな割合に今なっているようでありますが、そういう点も含めまして、これからのいわゆる高齢化社会における社会保障のあり方というのは非常に重要でありまして、そういう点を踏まえてこういうふうな、例えば金融保険関係の控除の問題もそういうふうな国の政策全体とやっぱりきちっと比べて、比較対照しながらそういう方針を決めてこれからの方向を決めていかないといわゆる整合性がなくなってくる、そう思うんです。 そういうふうな意味で私は、単発的に選挙の前にといったらおかしいですけれども、急に決めるなんていうことはやめて、きょうは余り詳しく私は申し上げませんでしたが、新聞には相当えげつないことが書いてあるわけです。そういうことがないようにしていただいて、これからの社会保障のあり方というのはがっちり足を地につけてやっていかないといけないのではないか、こういうふうに感じたものですから、きょうは短い時間でしたけれども申し上げたわけでございまして、最後に大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は大変いい御指摘をいただいたと思います。そして同時に、これから先、いろいろな場においてこうした御論議が世間に報道等を通じて伝えられることによって、国民の中に将来に向けての考え方がある程度固まっていくことができれば、我々は社会保障政策全体につきましても、またそれと対応する税制にいたしましても、またおのずから新たな視点で考えることができると思います。 本日の御指摘には私は非常に敬意を表します。
○和田教美君 私は、関税定率法及び関税暫定措置法の一部改正案、それから当面の大蔵行政の二、三の問題点について御質問をしたいと思います。 まず、政府の放出価格を割ったまま低迷を続けているNTT株価の問題について大蔵大臣の御見解をお聞きしたいわけでございます。NTT株価は、二十八日の終わり値は一株百十三万円で、最も高い放出価格だった八七年十一月の第二次売り出し価格二百五十五万円の半分以下、三年前の八七年一月の第一次放出価格百十九万七千円をも下回っております。今までNTT株を売らずに持っていた庶民はすべて損をしているという形になっておるわけでございます。去年、九月末現在の総株主数は百六十一万人。しかしその中で個人株主が百五十八万人いるんです。その中でも一株か二株かを買っている零細な個人株主が圧倒的に多いと私は思います。 確かに株は上がったり下がったりするものですから、あくまで損得は投資家の責任だという見解がございます。民間の株の場合にはそういう理屈も通用すると思うんですけれども、先ほど大臣みずからお触れになりましたように、NTT株のような場合には政府の政策や行政によってかなり株価が左右されるという株の場合でございますから、そうは言っていられないと私は思います。政府保有株売り出しの当事者である大蔵省としては、やはりそれなりの責任を感じてしかるべきだと私は思います。 特に大衆投資家の保護という立場から大蔵大臣はこの事態をどうお考えになっておるか、御見解をお聞きしたいわけです。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほども御答弁を申し上げましたように、私どもこのNTT株の売却の当事者であり、また現にそのNTT株を保管している責任者の立場として現在の状況に非常に深刻な憂慮をいたしております。 今、委員が御指摘になりましたように、三月二日の電気通信審議会の最終答申の時点におきましてNTT株式は下がったとはいいながら百二十九万円でありまして、それが百十三万円、現在、十六万円下がっておるわけであります。そうしてその原因は私は、いろんなことが当然あるでしょうけれども、市場関係者等から出てくる意見というものは、昨年以降NTTのあり方をめぐる論議などから市場に不透明感が存在している、これがNTT株の株価低迷の主たる原因ということは皆さんから御指摘を受けてまいりました。そうしたことに憂慮をしながら、今日までも私どもとしての意見を申し述べて政府部内における少しでも早い対応を考えてまいったところであります。 本日の時点におきまして、電気通信審議会の答申にどう対応するかということについてまだ政府としての方針が決定しておらない状況であります。しかし私は先ほども申し上げましたように、本来株というものが市場原理によって上下する性質のものではありますけれども、政府の行政行為あるいはその他の行動におきまして国民の資産に傷をつけることがあってはならない。そうした視点からこれからも努力をしてまいりたい、そのように考えております。
○和田教美君 NTT株の問題は、一つは先ほど私が言いましたように大衆投資家で初めてNTT株を買った、しかも一株、二株を抽せんでためていったというふうなやり方ですね。こういうところに一つの問題があるわけで、それだけに、とにかくこういう人たちは非常に政府を恨んでいるというか、NTTを恨んでいるというか、そういう傾向が非常に見えるわけですね。 そういう問題についてもっと深刻に考える必要があるということと、さらに財政という考え方からしてもNTT株の売却益は公共投資に使っておるわけですね。この原資が、今のような低迷状態では放出もできないというふうなことでかれてくるという問題が一つあります。さらに来年にはJRの株の分売といいますか、これも始めるというふうなことで運輸省が動き出しておるという報道もあるわけでございまして、そういう意味では、このNTT株の問題というのは非常に大きな政治的な意味があると私は思うんですけれども、何か今大蔵大臣のお触れになりました当面のこの分割問題ですね、NTTの分割問題にはっきりした結論をつけるということ以外に、何か株価そのもののてこ入れというふうなことについて大蔵省としてお考えが必要ではないかとも思うんですけれども、その点はいかがでございますか。
○政府委員(大須敏生君) 事務当局よりお答えさしていただきます。 ただいまの点は、株主優遇策というようなことを株価てこ入れのために考えるべきであろうというようなお話であろうかと存じます。確かにそういう声があることは承知しておるわけでございますが、これは民営化された株式会社としてのNTTの経営者の判断が先行する問題でございます。その経営者の判断のもとで無償増資その他の株主優遇策がとられることについて私どもは非常に関心を有しているところでございますけれども、基本的にはNTTの経営者がお決めになる問題でございます。
○和田教美君 しかし、私が見る限りNTTの経営者がこの株主保護、特に大衆株主保護ということについて格段の何か配慮をしているというふうな気配は一向に見えないわけですね。その点について、これはNTTの問題だというふうな形でほうりっ放しでおくということが大蔵省の証券行政として果たしていいのかという疑問が私はわいてくるわけですが、その辺についてさらに御見解をお伺いしたい。
○政府委員(大須敏生君) 御承知のとおりNTTは公益事業の一種でございます。そこで、NTTを実際に所管しております郵政省の電気通信局がこれを監督しているわけでございますけれども、問題は公益事業としての、公益性、利用者にとってそれが便利である、使いやすいという問題と、それから株主の利益、それをいかに調和さしていくかという問題ではないかと存じます。 これまでのNTTの経験を踏まえて考えますと、利益が生じた場合にこれを極力料金引き下げの形で利用者に還元するというような行政指導が比較的濃厚に行われていたような形跡もございます。ただ、それについてはこのような株価低迷を招いた新しい状況のもとにおきましていかに考えたらいいかということは私どもも非常に重大な関心を有しているところでございまして、ただいまNTTの経営のあり方問題を議論している過程におきまして、そういう問題提起は郵政御当局に対して行っておるところでございます。そうして、その話し合いをしている最中でございます。
○和田教美君 もう一つ大蔵大臣にお聞きしたいんですけれども、先ほど大蔵大臣はこのNTTの分割問題についての閣議における発言、閣議で分割反対を表明したというお話と、それに関連する記者会見の内容も詳しく御説明になりました。そしてまた、今はこの最近の株価の低迷の主たる原因は分割問題にあるということもお述べになったわけでございますけれども、結局そうすると大蔵省の態度としては、一部の新聞の報道にあるように三年ぐらいとにかく結論を先送りするというふうなことではなくて、この際はっきりもうNTTの分割はしないということで結論をつけてほしいということであるのかどうか。もしその結論を先延ばしというふうなことになると、株価の低迷という状態がさらに悪くなる可能性もあるということも私は事実だと思うので、その辺についての御見解を聞きたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど私が申し上げましたように、確かに電気通信審議会という審議会の権威あるいは電気通信行政を主管されるという立場から、郵政省として・のお考えはそれはそれで一つ存在するのであろうと思います。 しかし、私は、やはり何といいましても分割後の収支の見通しなど判断の基本にかかわる資料が不明確な状態、また株主保護の問題などにつきましても実効のある手順と方法が何ら提案されない状態で、これについて分割を承服するということはできません。 同時に、今委員が御指摘になりましたように、私は実はそういう提案が私の手元に届いておりませんので詳細を存じませんけれども、仮に何年か先まで結論を引き延ばすということでありますならば、その間国民の資産に傷のついた状態が継続する、市場における不明朗感というものは存続するということでありますから、私はそういうことはすべきではないと思います。 その三月三十一日という日限までに我々としては全力を尽くして努力をしてまいりたい、政府部内における調整に全力を尽くしてまいりたい、そのように考えておりますし、一昨日の閣議におきましても、そうした視点から官房長官に対しても調整の御努力を願うように私はお願いをしたところであります。
○和田教美君 事務当局にお伺いしたいんですけれども、電気通信審議会が出した分割の答申案によりますと、九五年をめどに長距離と市内の二つに分割する、こういうことでございますね。この分割案によりますと、NTT株主は自動的に市内会社の株主になる。これは一株一株で市内会社の株主になる。そして、長距離会社の資本金はしかしその半分か、つまり市内会社の、これは親会社になるわけですから、その半分かまたは三分の一、または四分の一になる見込みだというふうな新聞報道がございます。その場合、市内株一株を持っている株主は、長距離会社の株は〇・二五から〇・五株ぐらいの端株が交付されることになるというふうなことも報道されております。 そうなると、郵政当局が言っているんだろうと思うんですけれども、端株は特例を認めて取引所に上場させるようにする、それならば時価で売買できる、したがって株式の財産的価値は全体的に減少しない、こういうふうに答申も言っております。しかし、実際にそうなるんでしょうか。現在の株主はなるほどその市内会社の株は一株もらうけれども、しかし、流通性に乏しい端株と実質的にはNTTの利益の源泉である長距離部分を分離した市内会社の株を保有する、こういうことになるわけですね。それが一つのやっぱり先行き不安の原因にもなっていると思うんですけれども、それで果たして個人投資家が満足するかどうか、その辺はどう判断されておりますか。
○政府委員(大須敏生君) ただいま御指摘ございましたように、電通審の答申におきましては、市外会社をNTTから分離いたしまして、その分離したいわば会社とNTTとの関係を資本的にも人的にも断ち切る、いわゆる分割に持っていくということでございまして、その過程で一たん市外会社はNTTの子会社として設立するわけでございますが、その設立いたしました子会社である市外会社の株式を今のNTTの株主に一定割合で分ける、こういうことでございます。ただ、分割の具体的な資産比率等が明らかでございませんので、今委員御指摘いただきましたように、二対一になるか三対一になるか、そういうような、いずれにせよ一株に満たない株が一株に対して交付されるということになると思われるところでございます。 その場合に、いわゆる一株の単位に満たない端株でございますけれども、これは株式市場で取引されているいわゆる流通性がその時点で付与されておりませんし、また会社の経営に参画する議決権が存在しないということは、それは事実でございます。 それから、流通性に関連いたしまして、ただいま御指摘のございました上場の可能性の点でございます。これは証券局長からあるいはお答えすべきことであろうと存じますけれども、いずれにせよこれから具体案を見て検討することでございますが、現状の証券取引所におきます上場基準等から見まして、必ずしも即郵政省の案で御指摘のような流動性、流通性を与えることができるのかどうか、現時点ではやや問題があるのではないかというふうに私どもは考えておるところでございます。 したがいまして、御指摘のような点で今のような、現存の会社をただ分ける、分けた場合に、その分の子会社の株式を無償交付すれば株主の権利は保護されるではないかというような答申の分析に対しましては、これから検討することではございますけれども、ただいま指摘いたしましたような疑問点も幾つかあるということは事実でございます。
○和田教美君 現在のNTT法で外国人の株式取得は禁止されておりますね、これを開放するとか、例えば分割に伴う無償交付というような形ではなくて、一般の形の無償交付、無償増資ですね、そういう形で株主の要望にこたえるというふうな道、そういういろんなことがこれから考えられると思うんですが、先ほどの答弁ではそれはNTTがやることだというお話でございましたけれども、そういうことについても大蔵省としても多少検討はされておるんですか。
○政府委員(大須敏生君) 最初の、外国人保有規制の撤廃の問題でございます。これについては私どもも非常に関心を持っているところでございまして、現に外国人投資家等の間に、規制を緩和してNTT株式投資を行い得る道を開いてほしいと、そういう声があることは承知しております。 それから、外国人保有規制の緩和がもしなされるならば、市場の拡大や経営の効率化につながると、そういう面でNTTの株価あるいはNTT自体にとってプラスではないか、こういうふうに考えているところでございます。 ところが、今般発表されました電気通信審議会の最終答申でございますと、分割後の市外会社、新しく分離され、分割するその市外会社の方につきましては、それは外国人保有規制は撤廃することとなっておりますけれども、NTTがいわば存続する形で残りますところの市内会社については外国人保有規制を残すという見解が示されているところでございます。私どもはこれに対して、今大臣が御答弁になっておられますような、NTTのあり方についての政府としての方針を取りまとめていく過程において、その点は調整する必要がある問題の一つとして認識しているところでございます。 それから第二点の無償増資の点でございますが、無償増資につきましては先ほど私が株主優遇策について申し上げたとおりでございまして、基本的にはNTTの経営判断の問題でございますが、その経営判断の問題が一つ公益事業という制約のもとで、おっしゃるような範囲でなかなか株主に目が行き届かないという点が今回の株価低落の一つの原因となっているという見方がもしできるとすれば、それについては私どもとしても重大な関心を持っているというところは事実でございまして、現にただいまのNTTの経営のあり方をめぐる政府部内の議論においてはそのような点を問題点として指摘しているところでございます。 〔委員長退席、理事梶原清君着席〕
○和田教美君 先ほども触れましたように、NTT株の政府売却益の一部をこれまでも公共投資、つまり社会資本整備事業に使ってきたわけですけれども、NTT株式の株価が今のような低迷状態だとすると、これ以上売却をするということは非常に困難だというふうに思います。 そこで、平成三年度以降について、NTT株式売却収入がない以上はいわゆる売却益を活用する社会資本整備事業というものは停止するという必要が起こってくるのかどうか。それともまだ余裕があるというふうにお考えなのか。日米構造協議の問題もございますし、この社会資本整備事業をやめてしまうということは非常に難しいだろうと思うんで、大蔵省は別の財源も場合によっては再検討するというふうなことも言っておられるということでございますけれども、その辺についてのお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは本来事務方から御答弁を申し上げた方が正確かもしれませんが、便宜、局長の答弁を補足する部分がございますので、私からあわせてお答えをさせていただきたいと思います。 まず、今御指摘になりました株式売却を見合わせた場合の問題につきまして、そうなりました場合の財政事情は極めてより厳しいものになるわけでありますけれども、今後、考えてまいりますと、やはりNTT株の売却益を使って社会資本整備を行うという手法につきまして、本制度が目指した地域の発展、開発等の目標が図られるように留意しながらそれぞれの年度におきまして予算編成過程で対応していくべき問題だと思います。 それと、今局長から株式の価値の問題から外国人株主に対する株の開放問題を御答弁申し上げましたけれども、電電公社を経営形態を変更してNTTに移行させる過程におきまして、いろいろな場面で、通信の機密保持という問題があり、こうした点から外国人株主への株式の公開ということについて非常に慎重な御議論がありましたことを私としては想起しておいていただきたい、そのように考えております。政府としての最終判断をいたします場合に、この外国人株主に対する株式の開放という問題になりますと、母法との関係、そして通信機密という観点からの別種の議論が生じる、この点だけは御理解いただきたいと思います。
○和田教美君 次に、証券市場における裁定取引という問題についてお答えを願いたいと思います。 最近の、この二十二日の暴落によって、一時東証平均株価は三万円を割るという場面もあったわけでございますけれども、その急落の原因の一つとして、現物と先物の裁定取引というものが余計下げ幅を大きくしたというふうな意見が出ておるわけでございます。 裁定取引とは、言うまでもなく株価先物指数と現物指数との価格差を利用して利ざやを取る取引方法でありまして、私自身これを全面的に否定するつもりはございません。機関投資家にとっては、やはりこの先物取引は現物取引の重要なリスクヘッジの手段であるということも私は認めるわけでございます。しかし同時に、注目しなければならないのは、先物市場に参加する条件からいって機関投資家の利益のための存在になっているんではないかという点なんですね。 そうすると、リスクヘッジの手段を持たない零細個人投資家は常に相場の乱高下の被害者になるということもあり得るわけでございまして、そういうことから見て、この先物市場あるいは裁定取引というのも始めてしばらくたっておるわけですからいろいろな教訓を証券局としてもお持ちだろうと思うんですけれども、どういうふうな見解をお持ちになっておるかお答えを願いたい。
○政府委員(角谷正彦君) 今委員御指摘のように、裁定取引というのは先物取引と現物取引の間の価格差を利用して行われる取引でございまして、これは昭和六十三年の九月以降、いわば機関投資家等に対しまして価格変動に対するリスクヘッジ手段を提供するといったことを目的の一つとして、あるいは我が国の資本市場が世界の中で遜色のないような品ぞろえをしなきゃいかぬといったことから、先物取引市場を導入してつくったといったことに伴って起こってきたことでございます。 この裁定取引というものが株価にいろんな意味で影響を与えるいろんな要因の一つであることは事実でございますけれども、ただ、株価というのは一般に企業の業績でございますとか財務内容とか金利とか、あるいは為替とかいういろんな環境によって左右されるわけでございまして、そういった意味では裁定取引が最近における株価の変動の一つの原因であるとは思いますけれども、それが最も大きな原因であるということは必ずしも言えないんではないかというふうに考えているわけでございます。 そこで、先物裁定取引が株価に与える影響がどうかといった問題でございますが、先物取引というのは、これは基本的には今申しましたようにリスクヘッジの手段といったことでございますので、現物市場の株価形成を緩和する場合もあります、あるいは場合によっては、状況によりましては株価の乱高下の原因になるということもありまして、一概に裁定取引が株価の変動幅を大きくするということは必ずしも言えないわけでございます。そういった意味では、先物取引導入によりまして機関投資家のみが利益を得、小口投資家が一方的被害を受ける、こういった状況には必ずしもならないんではないかというふうに考えているわけでございます。
○和田教美君 もう一つ、先物取引市場というのはどうも我々素人には動きが非常にわかりにくいわけです。市場関係者にも余りよくわからないと言う人もあるぐらいでございまして、何といいますか、透明性というのをもう少し強くする必要があるんではないかというふうに私は思う。 例えば、裁定取引の残高のディスクロージャーですとか、機関投資家の先物持ち高規制などとかいろいろ意見もありますが、現物・先物一体管理という点も含めて先物市場の今後のあり方についての考え方をお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(角谷正彦君) 御指摘のように、先物市場とかあるいはこれを利用いたしましたところの裁定取引というのはいわゆる新しい手法でございまして、米国等におきましてはかなり頻繁に行われているわけでございますが、我が国におきましては導入後まだ日が浅いといったこともありまして、一般投資家あるいは証券会社の中でも中小証券等におきましてはこういった理解がなかなか難しい面があるといったことは御指摘のとおりだというふうに思っております。 そういった意味では、まず先物取引につきまして十分な知識といいますか、そういったものを得ていただく必要があるといったことで、例えば私どもといたしましても証券会社の外務員に対しまして一般投資家にきちんとした説明ができるように資格制度といったものについて改善を行うということにいたしたわけでございまして、これらを通じましてまず一般投資家に対して正しい知識とかあるいは先物取引を利用できるような十分な経験といったものもこれらを通じて普及といいますか、いろいろ基本から教えていくといったことが必要であるというふうに考えておるわけでございます。 また、御指摘のように、裁定取引がどの程度行われているかといったことが非常にわからないといったことはやっぱり市場に対する一種の不安心理といいますか、を招くということもございますので、三月におけるいろんな経験にかんがみまして、私どもといたしましては先物取引の状況をディスクローズすることによりまして投資家に対しまして適切な市場情報を提供することが必要であろうという観点から、証券取引所とも相談しながら情報開示の方法を現在検討しているといったところでございます。 なお、機関投資家に対しまして一律に何といいますか、いわば量的な形で一種の持ち高といいますか、そういったものを規制するといったことは、これは現実問題としてなかなか困難ではないかというふうに考えておるわけでございます。
○和田教美君 時間もございませんので、関税関係の問題について一、二お尋ねいたします。 今回の法律改正によりまして、機械類を中心とした工業製品の関税率の引き下げ、これが四品目、それから撤廃、これが千四品目、この二つが行われるわけですけれども、その結果、先進諸外国と比べて日本の関税負担率は一体高いのか低いのか、どの辺の水準にあるのか、ひとつお聞かせ願いたい。簡単で結構でございます。
○政府委員(瀧島義光君) 関税負担率の議論をいたしますときに使われます関税負担率という概念は、分母に総輸入額をとり分子に関税収入額をとる、その比率でございます。この比率で見てみますと、これは一九八七年の実績でございますが、日本が三・四、アメリカが三・九、ECが四・〇、既にこの段階で我が国は欧米に比べて若干低い水準でございますが、今回の措置がとられることによりこの三・四が三・一%程度にまで低下すると私どもは計算しております。
○和田教美君 それは高いんですか低いんですか。
○政府委員(瀧島義光君) 低いわけでございます。
○和田教美君 最低ですか、一番低いんですね。
○政府委員(瀧島義光君) はい、そうでございます。
○和田教美君 今回の関税撤廃等によって、工業製品に占める無税化比率、これは品目ベースで二三%が四一%、八割もふえるというふうに聞いております。本来この関税という制度は、やはり国内産業保護という観点がかなりあると思うのですけれども、工業製品についてもそういう観点は余り必要ないということになるのか、それとも、いや、そうではなくてやはりこの国内産業の保護という関税の役割は必要なんだけれども、今のような市場解放の要求、日米貿易摩擦というふうな状況から、できるだけ今は安くすると、こういう考え方でやっておられるのか。つまり、この関税政策上どう位置づけておるのかという問題について、御見解をお聞きしたい。
○政府委員(瀧島義光君) 現在ウルグアイ・ラウンドでお互いに相手の国に対し要求を出し合う、またそれぞれが自主的に引き下げのオファーを行うという形で、何と申しましょうか、お互いに引き下げるという形での交渉が行われているわけでありますが、その中におきまして今回我が国がとろうとしております措置は、自主的一方的な撤廃ないし引き下げでございます。これは、日本を取り巻きます国際貿易情勢が、非常に厳しくなっているという中におきまして、我が国市場へのアクセスを少しでも改善する、これが自由貿易体制の維持強化に役立つ等々の配慮に出るものでございます。 ただ、その際、あくまでもこれが自主的一方的にとられる措置でございますから、諸外国の関心あるいは我が国の消費者の関心に加えまして、我が国産業の競争力というところも考慮して、大きな影響が出ないような品目を選んで、千四品目プラス、千四品目は撤廃、あとは引き下げが四品目でございますが、そういった結果になったわけでございます。今鉱工業製品の全体の品目数が五千七百五ございますが、既に無税になっておりますものが千三百、有税がしたがいまして四千四百、四千四百の中でゼロあるいは引き下げの対象にしますものが千八でございますから、なお相当のものが有税として残るわけでございます。これは委員御指摘のとおり、保護関税としての機能をそれなりに果たしている。今回の措置をもって、その保護関税の機能がなくなるというものではないと考えております。
○和田教美君 時間がなくなりましたから最後の質問でございますけれども、先ほどもこの麻薬取り締まりの強化という問題についての質問がございました。私はこの麻薬対策というのは非常に重要な問題になってきていると思います。現に二月の二十日には、ニューヨークで国連麻薬特別総会というものも開かれて、そこでいろいろ議論がされたということもあるわけでございまして、先ほどの答弁だと、まだ日本への汚染度は、アメリカなどに比べるとそれほどじゃないというふうな話もあったけれども、アメリカの取り締まりが強化されると、結局ターゲットを日本に向けてくるという可能性、急速にこの問題が重大化してくるということは十分考えておかなければならないというふうに思うのですね。 私はその問題でなくて、先ほどは麻薬そのものの取り締まりということの質問でございましたけれども、もう一つ麻薬取引資金、これをどう規制していくかという問題も今重大な問題になっております。これはいわゆるマネーロンダリングと言うんだそうですね。つまり不正資金の浄化という手口が最近いろいろなところで行われておる。つまり麻薬で稼いだ金を口座から口座へ移しかえてきれいにしちゃうと。こういうことについての対策をとらなきゃいかぬということが盛んに叫ばれておるわけでございます。そして、さきの国連特別総会の席上、アメリカもこの麻薬新条約を批准するということを表明しましたね。この新条約の中にはそういうマネーロンダリングの問題も含まれておるわけでございます。そして、その他、もうヨーロッパの国々もどんどんこれは批准して、そういう法律整備も行われておるというふうに聞いております。 それに対して日本は、条約については署名はしたけれども、批准の準備は余り整っていないんではないかというふうに思うんですね。しかし、こういう麻薬取引資金面のような取り締まりという問題は、国際的な協調ということが非常に重要な問題になってくると思うのですね。日本だけゆっくり法律整備をやっているというようなことでは間に合わなくなるのではないかというふうに思うので、早急にマネーロンダリングの防止法の制定も必要になってくるのではないかというふうに私は考えるわけです。 その場合に、例えば金融機関に対する預金口座への捜査をやりやすくするとか、口座開設時の本人確認を認めるとか、いろんなことが考えられますけれども、それ一つとってもなかなか大変な問題だと思うのですが、大蔵省としてどの程度この問題について検討を進めておるか、そしてまた、その法律制定という問題について大体どのくらいのめどで考えておるか、その辺のところをお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(土田正顕君) 大蔵省の所管する限りにおいて申し上げますが、ただいま委員の御指摘になりましたようなマネーロンダリング問題、これへの対応は麻薬問題に悩む諸国からいわば麻薬対策の最終的な決め手であると期待されておるところでございます。 そこで、我が国といたしましても、この国際的な協力体制にできる限り協力しつつ関係省庁、これはかなり多数に上ると思うのでございますが、その関係省庁とともに大蔵省といたしまして積極的に取り組んでいく所存でございます。 現在の金融関係の検討の状況について申し上げますと、昨年のアルシュ・サミットの結論を踏まえましてマネーロンダリングの取り締まりに関する金融活動作業グループが設置されまして、それで我が国もこのグループに参加して積極的に議論をしてまいったところでございます。この作業グループは昨年九月以降討議を行いまして、本年二月一応そのグループの報告書を完成させた段階でございます。 ところで、今後の防止対策でございますが、ただいま委員がお触れになりました捜査手続の整備とか、それから預金の名義人というか、本人の確認とか、それらはいずれも今後の検討における大きな論点になるものと予想されます。 〔理事梶原清君退席、委員長着席〕 そのようなものをしかしどのような法律なり、ないしは法律によらず行政指導なり、自主規制なり、いろいろな方法も考えられるわけでございますが、どのような体制を組み、またどのような内容の法律をつくるかということはこれはこの麻薬新条約の今後の批准とも絡む問題でございまして、関係省庁で今後協議をすべき問題であると考えております。
○近藤忠孝君 法案に則してまず製品輸入促進税制から質問いたします。 これを創設すると聞きましたが、果たしてこんな税制があったのか、聞いたことがないと思ったんです。こういう税制は世界に類例がありますか。
○政府委員(尾崎護君) 主要先進諸国について調べてみましたが、その例はないと思います。
○近藤忠孝君 いいですよ。画期的な税制を導入するということですが、この画期的なというのはいいんじゃなくて、先ほど村田委員の質問にもあったとおりに悪い意味で大変画期的な税制であると思うわけであります。それでそんなものを、要するに先ほどもあった大企業優遇じゃないか、約八百七十億減税になるというけれども、その相当部分が大企業のところへ入る、利益になる。そんなものをなぜ今あえて創設しようというような、よほどのことがなきゃこんな画期的な税制を導入するはずがないと思うんですが、そのよほどのことを具体的にひとつ御説明いただきたいと思います。
○政府委員(尾崎護君) 我が国の経常収支の黒字は現在縮小傾向にございます。しかし我が国の経済運営の上から、あるいは世界経済の調和ある発展というような観点から見ましてもなお日本の経常収支の黒字は非常に高い水準にあり、このままにあることは望ましいことではないというように考えられます。したがいまして、経常収支の黒字削減のためにあらゆる点から努力をしていくというのは、現下最も大切な政策の一つであるというように考えられますので、税制の上におきましても、製品輸入の拡大に資するために製品輸入促進税制の創設を行うということにしたわけでございます。 これは、政策目的は製品輸入の促進でございまして、その目的を達するということが大切でございます。企業の大小によってどのような影響を受けるかという問題もあるかもしれませんが、ねらいとする政策のポイントは製品輸入の促進であるということをぜひ御理解いただきたいと存じます。
○近藤忠孝君 その黒字減らしですが、八九年の経常黒字は五百六十九億ドル、対前年二八・五%減、ピークの八七年に比べますと三五%減ですね。一月の国際収支統計の速報によりますと六億三千六百万ドルの赤字に転じておるわけであります。八九年度の経常収支の黒字幅は、政府見通しの、先ほども話がありましたけれども、六百十億ドルを下回って五百億ドルを割る可能性も出てきたんではないか、こういう指摘もされておりますが、この辺はどうですか。
○政府委員(千野忠男君) 委員御指摘のとおり、経常収支の額が近年減ってきておりまして、最近その傾向がかなり顕著になってきておることは事実でございます。ただ最近の、一月とかその前の十二月とかいうような一時的な数字で全体を推しはかることは必ずしもできない、こう思っております。
○近藤忠孝君 一時的かどうかはまた後で議論します。 経常収支黒字の対GNP比の問題をお聞きしますが、これはむしろ経企庁ですね。ピーク時の八六年度の四・六%から八九年度政府見通し、これは二・二%になっていますし、九〇年度は一・九%に低下する見通しだということです。 経企庁にお聞きしますが、経企庁も九〇年の一月から三月以降も二%未満で推移すると見ておるんじゃないでしょうか。経企庁は黒字減少の流れは定着したと判断しているんじゃないかと思うんですが、その点はどうですか。
○説明員(小峰隆夫君) 最近、御指摘のように日本の経常収支の黒字は順調に減少しておりますが、ただ、これにはアメリカ向けの自動車輸出が減少しておりますことですとか中国向けの輸出が減っていること、それから最近やや石油価格が上昇ぎみである、こういった一時的な要因もございますので、必ずしもこういった傾向がずっと続くというふうには考えておりませんので、もう少し注意深く今後の流れを見ていく必要があるというふうに考えております。 それから、経常収支のGNP比率につきましても、これは政府見通しでは一・九%という数字を見込んでおりますので、来年度その程度の見通しを今のところ特に変えるというようなことはございません。
○近藤忠孝君 日本の黒字が大きいと申しますけれども、何しろずうたいが大きいんだから大きいのは当たり前ですね。そういう意味では、正確に見るには対GNP比で見るのだと思うんです。その対GNP比で一%台あるいは二%台というのは、これは国際的にも適正とされる水準じゃないのかと思うんですが、どうですか。
○説明員(小峰隆夫君) これは、経常収支の黒字をどういう指標で判断するかという点につきましては、いろいろ議論があるかと思います。必ずしも経常収支の黒字のGNP比率がまあ何%ぐらいが適正であるかという点につきましては、そのときどきの諸外国との関係ですとか経済情勢等を見て判断すべき問題だと思いますので、特にどの程度が適正かという判断はなかなか難しいのではないかというふうに考えております。
○近藤忠孝君 最近、西ドイツの経常黒字はGNP対比で五%以上ですね。それに比べますと、日本の姿は黒字の規模そのものとしては海外からも批判されなくなりつつある。これは経企庁が言っているという報道があるんです。問題はそれが一時的かどうかという問題なので、最近の黒字の圧縮が軌道に乗ってきた原因は何かということをちょっと議論してみたいと思います。 先ほど一時的なものだと、だから二月以降は黒字に戻るだろうというような趣旨の発言でありましたけれども、黒字が圧縮した原因は私は三つあると思うんですよ。一つは輸出産業の構造的な変化。これは、最近四カ月連続して対前年同期の水準を割り込むなど頭打ちになってきている、その構造的変化が起きてきていますね。というのは、八五年秋以降の円高基調の定着で国内の生産コストが上昇したために、ここ一、二年の間に自動車、家電などが相次いで海外現地生産に乗り出したということ。それから国内景気の影響も大きくて、輸出余力がかなり低下している。例えば鉄鋼などです。それから政府の輸出自粛圧力、それからNIESの追い上げなどもきいているという輸出産業の構造的な変化、これが一つあると思います。 それからもう一つは輸入の変化。これは、八七年から三年連続して二けたの増加を示しておるのは、原材料から製品類に輸入の中心が移ってきていることもありますね。そして、製品類の比率が八九年で五〇%を超えたというこういう輸入の変化にもあると思います。 それから貿易外収支、これは海外旅行ブームで赤字が八九年で百九十三億ドル。これは前年比で二二%増。要するに、貿易黒字の四分の一はこの赤字で消えていくという、こういう状況がありますと、これはいずれも一時的なものじゃないですよ。これは中長期的な要因です。となると、この要因、私が指摘した三つの立場からの観点、これが当分変わる状況はないでしょう。したがって、今後も順調に黒字減少傾向が続くんだと思うんです。それについての経企庁の判断、そして大蔵大臣、なのになぜ輸入促進税制なのかということであります。
○説明員(小峰隆夫君) 御指摘のように、最近経常収支の黒字が順調に減少しております背景にはいろいろな要因が考えられると思いますけれども、確かに企業の輸出行動等も大分変わっておりますし、製品輸入を中心に輸入も安定的に拡大しているという基調的な変化があるということは事実だと思います。ただ、それに加えまして、先ほど申し上げましたように、石油価格の問題ですとか海外景気のスローダウンですとか、それから中国向け輸出の減少ですとか、こういった一時的な要因もかなりこれに上乗せされて影響を及ぼしているというところではないかというふうに判断しておるわけでございます。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど来の御論議を聞きながら、ちょうど私が学校を出まして紡績会社に入りましたころは、輸出が奨励され、綿紡績の私どもとしてはその製品をできるだけ輸出することによって輸出証明書をもらい、それによって原綿を手当てしていた時代から、本当に大きな変わりだとしみじみ思います。と同時に、委員が御指摘になっておりましたようなさまざまな問題点は含みながらも、税の公平公正という原則の上に立って政策的に輸入を拡大しなければならない現在の情勢がそのままこの税制の上に反映されていると、私はそのように理解をいたしております。
○近藤忠孝君 私が指摘したように、黒字の圧縮が軌道に乗ってきたのは構造的なものが主な要因であるということはやはり認めておるんですね。そういう中で最近の円と株価の急落が起きているんじゃないでしょうか。今製品輸入比率でも、さっき言ったとおり既に五〇%に達していますね。政府は輸入大国になると言うんですが、一体こういう状況になっているのにどういう状況を目指しているのか。 さっきも話があったとおり関税率は世界最低であったのがさらにそいつを低くしていくという、こういう状況が一つありますね。そこにもう一つ、世界で画期的な製品輸入促進税率となりますと、そういう状況の中でむしろ輸入がさらに促進されて黒字がどんどん減っていきますと円が急落する状況が起きるんじゃないのか、そういうことがないと断言できるのか。先ほど橋本さんは円安についての感想を聞かれて、半ばがっくり半ば心配しながら。そうしたら、がっくりどころか腰を抜かすようなことが起きる可能性だってやっぱりあるんじゃないか。そうなった場合でもそいつをさらに促進するんですかね、この税制は。そうなった場合にどう対処するのか、どう責任をとるのか、これはやっぱり大臣の責任の問題です、こんな税制出しているんだから。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 久保委員に御指摘を受けました時間帯から今までの間に円のレートは二円ほど戻っております。
○近藤忠孝君 戻ってもまた逆に下がることだってあるわけで、そこへまたこの税制ができたら一体どうなるのかというそういう状況でありまして、腰を抜かさぬように。また、そういうふうになった場合にやっぱり責任も、こういう法案を出す以上私はしっかり銘記すべきだと思います。 先ほど大臣の方から輸出促進の話がありましたね。かつて六〇年代に輸出促進税制を相次いで導入しました。輸出市場開拓準備金などたくさんありましたですね。その結果どうだったのか。その結果輸出がふえて大幅貿易黒字となって、今またこういう問題が起きているわけで、私は輸出促進税制などを大いに導入したことについては反省があっていいんじゃないか。要するに税制をゆがめた、そして世界から非難を受けるような輸出大国になった。そうしたら今度は逆に輸出がふえ過ぎたというので反対に輸入促進という名目で新たな特別措置をつくるというのでは、これは過去の経験、教訓が全然生かされてないんじゃないかと思うんですが、大臣どうですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変失礼でありますが、私は委員と見解を異にいたします。 租税特別措置というものが、先刻来も御論議を申し上げておりますように税の公平、公正という基本原則の上に立って特定の政策目的に沿ってつくられ、またその目的が達せられて廃止をされるものであります以上、かつて戦後の復興期における日本が輸出によって外貨を獲得しなければならなかった状況という、私は委員が仰せられたような状況であったとは考えておりません。と同様に、今日日本が輸入を拡大しながら内需を振興しつつ経済成長を遂げていくべき状況にあることもまた事実でありまして、時代によってこうしたものは変化をするもの、私はそう思います。
○近藤忠孝君 時代によって変化すると言うけれど、私は今回のこの政策目的は必ず失敗すると予言をしておきます。 問題は、この製品輸入促進税制が税の公平を損なう、と同時に、先ほども村田委員の指摘があったように大企業に大変優遇という結果になることは明らかなんですね。先ほど自動車関係での輸入をふやしていく話がありましたです。九二年度には今の二・八倍の一兆円以上にしようという計画ですね。どれほどそれによって自動車関係企業が減税になるのかという話についてどうも通産からははっきりしない話があった。でも、大体八十から百億円という話が出ました。これはほぼ私の計算とも一致します。というのは、要するに、八八年の輸入総額が自動車関係で三千六百億、そいつが一兆円以上になるということは六千数百億円ですね。それは単純に五%を掛けりゃいいんですよ。そうしますと、約三百三十億、これは三年間でしょうけれども。年間約八十から百億、自動車にこれだけ恩恵がいくんです。 製造業をほかで見てみますと、例えば東芝で見てみます。これも新聞報道にありますけれども、九二年までに製品、部品の輸入を倍増して二千億円に引き上げる計画を持っている。となりますと、約一千億円増額しますと、これも単純に五%を掛けますと、五十億円の減税、一企業ですよ。商社の場合で見てみますと、住友商事で見てみます。八九年度輸入成約高は二兆五千百十九億円。このうち約一兆円が輸入促進対象であると見ていいと思います。それが一割増加すると、その二割の準備金が積めるということになる。すると、二百億円積めますね。そうすると、大体減税額は地方税合わせてざっと百億円、一企業です。こういう計算が出てくるとなれば これはもう八百七十億の減収見込み額の相当部分をこういう大企業がいわばその恩恵を受けていく。 要するに、恩恵を受ける中心は大企業で、黒字減らしの名目によって大企業のための減税を行うということ。これは今の私のこの計算で明らかでないでしょうか。細かくやればいろいろとあるかもしれぬけど、大ざっぱに計算すればそういうことになるんです。どうですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員が大ざっぱにと言われましたので、私はもう一つ大ざっぱな答えで申し上げたいと思うのでありますが、なぜ例えばイギリスはあれだけ熱心に日産自動車を誘致しようとしたのでありましょうか。今、委員が御指摘になりましたようなケースといえども、相手国にとりましては輸出であります。しかも、現地においての雇用創出があります。国際的に見て、こうした行動を私は委員のようなとらえ方から論議をするのはいささか視点が違うと思っております。
○近藤忠孝君 私の指摘した事実に対してまともに答えないでイギリスの例を出されましてもちょっと……
○国務大臣(橋本龍太郎君) いや、大ざっぱと言われたから、私も無理やり大ざっぱ……
○近藤忠孝君 余り大ざっぱ過ぎますよ。
○国務大臣(橋本龍太郎君) じゃ細かく答えさせます。
○政府委員(尾崎護君) 先ほど通産省の方から八十億ないし百億という御答弁を申し上げましたときに、前提としてその出ております数字が全部この輸入促進措置税制の対象となるものであるという仮定を置きまして、しかもその増加額が基準に合っているかどうか、一切そういうことを捨象いたしまして、仮にただ数字を計算してみればということを一生懸命説明していたわけでございます。 私もそれを聞いておりましたが、恐らく、そういう数字のひとり歩きを心配したんだろうと思うわけでございます。もし、本当にこれが特定の企業、あるいは特定の業種に対する影響額というように委員がおとりになられたのであれば、それは非常に全く仮定を置いた、ある意味では正確な効果の測定という点からいいますと大変問題のある数字である、それを先ほど申し述べたんだということをちょっと追加させていただきたいと思います。
○近藤忠孝君 じゃ、八百七十億の減収見込みはどういうことで出てきたんですか。まあそれはよろしいわ、時間がないから。次に行きます。 先ほど大臣が海外進出の話をしました。この製品輸入促進税制の恩恵を受けるのは、これは海外の日本系企業の日本向け輸出が対象になると、これさっき話がありましたね。現に東芝の輸入拡大計画というのがありますが、その中で輸入拡大の中心になるのは東芝の海外工場からの製品輸入。これはっきり書いてあるんです。今大企業の海外直接投資が盛んですよね。その自社の海外工場からの輸入をふやしていこうと、これは大きな傾向です。要するに、それが減税になるんだからね。この分野がこの大減税の対象になる。となりますと、輸入促進税制というのは、こういう海外進出企業に対する減税措置という効果を持ちます。となりますと、輸入促進税制転じて海外進出促進税制、さらに大きく申しますと日本経済空洞化促進税制と、私に言わせればね、そういうことになりませんか。
○政府委員(尾崎護君) 私どもの計算は、個別の企業ごとに見ているわけではございませんで、再三申し上げておりますがマクロで計算をいたしております。 結果だけ申し上げますと、卸・小売業につきましては減収額平年度百七十億円、それから製造業者について適用を認められます税額控除と割り増し償却の選択適用につきましては七百億円の減収額と見ているわけでございますが、そのもととなりますものは六十三年の製品輸入額をもとにいたしましてその増加額を推計した額でございます。増加額で約一兆円ということを通産省が申しておりましたが、そのようなものをもとにして計算をしているわけでございます。
○近藤忠孝君 私が先ほど指摘した個別企業の減税額、そのままぴたり当たるとは思いません。それは増減があるでしょうけれどもそんなに遠くないものだということを私は申し上げて、次に入ります。 こうして見ていますと、やっぱり恩恵を受けるのがこういう大企業、しかも海外へ進出して進出先から輸入をする、そういったところにかなり中心がいってしまう。なぜこんなものを導入するんだろうかとなりますと、これは海部総理が就任後初めて訪米しましてブッシュ大統領と会いましたね。そのときの約束で、輸入大国になる、それから税制、予算などいろんな面で側面から対策を講じるという対米公約をした、これは報道があります。となりますと、まさしく税制での対策、この約束の履行がこの製品輸入税制だったんじゃないだろうか。となりますと、日本の国の税制の具体的項目まで国民の頭越しにアメリカの大統領と約束を交わすというようなことは、私は主権国家としては大変問題があると思うんですが、どうですか、海部さん自身じゃありませんけれども、大蔵大臣。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、いろいろな議論というものが組み立て得るものであるといういい勉強を今しつつあります。 我が国の経常収支の黒字幅は縮小傾向にありますけれども、なお大きい。そして、そのためにも内需を中心にし日本の経済を育てていかなければならない、その中で輸入を拡大していかなければならないという、今我々の置かれた立場の中での選択肢を私どもは御提案を申し上げ御審議を願っておるわけでありまして、私は海部総理ではございませんので首脳会談でどういう話があったのかは存じませんけれども、さようなことは恐らく総理御本人にお確かめになれば、とんでもないとお答えをするだろうと思います。
○近藤忠孝君 大臣にとっては唐突もない意見に聞こえるかもしれませんけれども、案外こういったものが現実化する可能性もありますから、ひとつ御参考にしていただきたいと思っております。 今、総理のことだとおっしゃったんで、今度は大臣自身のことについて、最近のことです。 公共投資についての構造協議がありますね。これをめぐって自民党の経済調整特別調査会が二十八日午前、公共投資の拡大をテーマに会合を開いた。出席者の中からは、公共事業など投資部門の伸び率をゼロに抑えてきた政府方針の撤廃を強く求める意見が出た。これに対して橋本さんがこういう発言をしているというんですね。「撤廃は米側も要求しやすい内容であることは承知している。しかし、今は党内での議論にとどめておいてほしい」ということを言った。「四月の中間評価には盛り込まないものの、公共投資のゼロシーリングを再検討し、拡大を図る考えがあることを示唆した」という報道があります。これについてコメントしてほしいと思うんです。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変不正確な記事である、そのように思います。これは党の中のことでありますから、一々御報告をする必要もないかもしれませんが、私が申しておりますことは、外交交渉の途中においてその交渉に影響を与えるような発言は慎んでいただきたいということを申し上げたのであります。
○近藤忠孝君 じゃ、そうお聞きしておきましょう。 次に、この製品輸入促進税制も含め同種の特別措置がたくさんあります。エネルギー環境変化対応投資促進税制、原子力発電施設解体準備金制度、電波有効利用設備の特別償却制度などなど。私は、これらの税制はいずれもこの製品輸入促進税制と同じような側面、結局大企業に恩恵がいくんじゃないかと思うんです。それについて具体的にはもう議論しません。 そして、要するにこれは法人税の課税範囲の縮小を図るもの、そういう意味じゃ共通をしていますね。これは政府の課税ベースは拡大していくという約束に反するんじゃないかと思うんです。というのは、これは経過がありまして、一昨年の税制抜本改革のときに法人税の税率が大幅に引き下げられました。この四月からは三七・五%になります。これに対して大変批判があったのに対して、当時大蔵省が出した税制改革の骨格では、課税の適正化として一兆二千億円が計上されて、これは大蔵省の説明ですと、税制改革期間中における課税ベースの拡大などによる増収見込み三千億円を含むということであります。 この点について税制特別委員会で議論をされました。これに対して当時の主税局長の答弁では、課税ベースについては引当金の整理などで三千億円ぐらいの増収を出すという答弁があります。当時の竹下総理もこの点について、ただいま水野局長から答えたとおりです、この二、三年ということがまさに年度改正の中で、しかるべき方向が提示されるであろうと思うと。しかるべき方向というのはここに挙げられたものも含め、むしろ法人税の課税ベースを拡大していくという、そういう方向を示したものだと思うんですが、今回のこの法案はむしろこれを縮小していく、従来の答弁にこれは逆行するんじゃないかと思うんですが、この点どうですか。
○政府委員(尾崎護君) 課税ベースを拡大して、そのかわりに法人税率をできるだけ下げていくというのが最近の国際的な法人税制上の潮流でございまして、今回の抜本的税制改革におきましても、いわばその流れに乗った改革を試みているわけでございます。しかしながら、また地方税等をあわせて考えてみますと、日本の法人税の実効税率はいまだに主要諸外国と比べて高い水準にあるということも言えようかと思います。 したがいまして、委員御指摘のとおり課税ベースを広げることによって税率を下げていくという方向は今後とも望ましい方向ではないかというように私どもも考えますが、しかし、そういう一般的な法人税の仕組みとは別に、そういう話とは別に、特定の政策目的を達成するためにそういう基本的な流れから少し離れたことをしても、ある特定の政策目的を達成しましょうというのが政策税制であり企業租税特別措置でありますから、そういうところは基本的な流れと相反する面のあることはもちろん当然のことであります。いわばそれを承知の上で特定の政策目的を達成したいというのが今回の考え方でございます。
○近藤忠孝君 従来そういった理由でどんどん特別措置がふえていってしまって、それが批判されたんでやっぱり縮小していくという議論があったと思うんですね。 それをまた別の角度から見てみますと、租税特別措置による法人税の減収、これは交際費課税を除きます、その減収額と、その減収額の法人税収に対する比率はどうなっているかというんで、これは資料をもらいました。 それによりますと、六十一年で見てみますと、減収額が四千六十億円、次の年に四千五百五十億円、六十三年が四千五百七十億円、平成元年度が五千七十億円、二年度が五千六百四十億円とずっとふえておるんですよ。 問題なのはこの比率です。法人税収に対する比率についてたしか六十一年三・二、それが翌年三・八になったけれども、六十三年三・三、昨年度は二・八と減ってきたんです。ところが、二年度は二・九。逆になっちゃいますね。額はふえていくわ率もふえていくと。私は、減らしていく減らしていくというこの基調が、ここで額並びに比率がふえたということで政府の方針が変わったんじゃないか、ずっと答弁してきた課税ベースを広げていくというこの方針を放棄したものじゃないかと、こう思わざるを得ないんですが、いかがでしょうか。それに対して答弁をいただくのと、それから、もう時間がないから最後に、通産に若干質問をしておきます。 関税問題については、一挙に一千四品目もの撤廃を行うというのはこれまた前代未聞ですし、これが製品輸入促進税制とワンパッケージだということで、私は二重三重の問題があるということ、これは問題の指摘だけです。 それで、時間の関係で皮革、革靴の関税割り当て、TQ、一次税率枠の基準数量拡大についてだけ質問します。 法案では、TQ、一次税率枠の基準数量を拡大しています。革靴で見ると、枠拡大のテンポは早まっている。TQ創設のときに、これは衆議院の大蔵委員会において我が党の正森委員が質問したのに対して、こういう答弁をしています。「市場アクセスの改善」と「同和対策地域の基幹産業と言ってもいいような産業分野の将来の地位を確保するという、この両方をにらみながら、いわばまた裂きにならないように対応していく」という答弁があったんですが、しかし今回の法案のようにこの枠を順次ふやすというのは、まさに市場アクセスの方だけをにらんだものであって、文字どおりまた裂きになっているんじゃないか。私は、この枠拡大を再考すべきじゃないかということ。 それぞれ御答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。
○政府委員(尾崎護君) 前半の御質問にお答え申し上げます。 確かに租税特別措置によります減収額は御指摘のとおりふえておりますが、これはもととなります法人所得の増、それから法人税収の増があるわけでございまして、仕掛けとしては同じものであってもそこに入れてやる法人税の額がふえている、その関係でございます。 したがいまして、法人税収との比率で見ますと、これまた御指摘のとおり、比率はだんだん下がっている。例えば私の手元の資料では、昭和四十七年には特別措置による減収額が法人税収の九%あったわけでございます。その時代におきましても減収額は二千三百三十一億というようなことでありまして、現在の五千六百四十億に比べますと、はるかに小さかった。しかし比率は九%だった。今は五千六百四十といっても、比率は二・九である。去年と比べて確かに〇・一だけふえておりますけれども、全体の流れをごらんいただきたいと思うのでございますが、着実にそれを減らしてきているわけでございます。ちょっと年度間でぎくしゃくを生ずるといたしましても、私どもこのような租税特別措置はできるだけ減らしていくという従来の努力を続けていく点においては何ら差異はございません。
○説明員(島田豊彦君) 委員御指摘のとおり、一次税率の枠の拡大につきましては、六十一年の答弁でも当時の浜岡局長が申し上げましたとおり、一つは市場アクセスの改善の諸外国からの要求、もう一つは国内産業の実情というものを十分勘案した上で行うということで現在も運用をしております。 幸いなことに内需が堅調なこともありまして、国内の靴生産につきましては六十一年度当初のTQが開始された当時に比べましても三%ぐらい生産がふえているという状況がございまして、片や外国からの市場アクセス改善要求が強いという状況を考えまして、現在大体四百十二万足で国内業界にもほぼ問題ないんではなかろうかということで今回のお願いを申し上げている次第でございます。
○近藤忠孝君 ちょうど時間ですから終わります。
○古川太大三郎君 もう大分時間も遅くなってきましたので、皆さんお疲れだと思います。できるだけ簡単にやっていきたいと思います。 まず、この租税特別措置法の問題ですが、その中の製品輸入の促進税制、これの目的とかそういったものはよくわかりました。しかし、本当にその目的が達せられるのか、効果があるんだろうかという点については、多くの疑問があるわけです。通産省からいただきました過去五年間の製品輸入及びその増加率というものを見てみますと、昭和六十年度はマイナス一・一、六十一年度はプラスの三一%、六十二年度は二五%増、そして六十三年度は三九%増と、毎年増加しております。元年度の増加率は確かに今までの増加率よりも非常に低い一五%だという数字も出ております。しかし、これはほうっておいても二〇%や先ほどおっしゃっているそのぐらいの増加率はあるんです。 去年が本当に少なかったと言われるのは、こういう税制ができるんじゃないかということで秋ごろから輸入をストップしているところが相当あるんではないか。だから、この税法が通ればどっとふやせるというところで待機している分が相当あるんじゃないか、こう思われるわけです。本当にこれは効果が出るのは、効果というのは黒字減らしですけれども、二、三年というのが私は常識だろう、一気にふえるというのは。後はとまってしまうんじゃないかという考え方も持っているんですが、そのあたりはどうお考えでしょうか。
○説明員(庄野敏臣君) 最近五年間の製品の輸入伸び率を先生御指摘でございました。ほぼそのとおりの伸びを示しております。ただ、私ども最近危惧しておりますのは、最近の円安ということもございまして、今後製品輸入の伸び率はあるいは一層の鈍化が危惧されるところでございます。したがいまして、私ども今回お願い申し上げている製品輸入促進税制を初め、いろいろな総合的な輸入拡大策、これによりまして今後とも一層の輸入拡大がなされるよう、そういう潮流を定着させるようぜひとも今回の措置をお願い申し上げたいと考えている次第でございます。
○古川太三郎君 この税制の中には、部品とかあるいは機械類が相当含まれておりますけれども、そういう輸入が増加した分、先ほどもお話がありましたが、輸出の増加に転嫁されるんじゃないか。これは、黒字というのは、マクロで考えれば、とにかく日本の国民の貯蓄、それから投資あるいは消費、そういったものを引いたものが黒字だと私は考えるんですけれども、この製品輸入は、とにかく日本には入れても、部品であればまたそれに加工し、また機械であればICなんかの付加価値をつけて、いい商品として必ず輸出に回るんではないかというように考えるんですけれども、そのあたりはどうお考えになっていますか。
○説明員(庄野敏臣君) お答えいたします。 先生御指摘の、部品を輸入し、それが輸出競争力の強化なりにつながるんじゃないかという御指摘かと存じますが、私どもこれはなぜ輸入拡大をこのような措置でお願い申し上げているかと申しますと、輸入品を使う場合に、国産品と比べて使い勝手その他は全く違うようでございます。例えば品質上の問題がございましょう、あるいはアフターサービス等のコストの問題がございます。あるいはそのまま使って、一たん動かして機械がストップしたりする可能性もなしといたしません。そういうコストやリスクを補てんするということを今回この措置によってお願い申し上げているわけでございます。 したがいまして、この税制というのは輸入品が国産品より上回りますところのコストの補てんを通じて輸入品が国産品の代替となっていくことを期待している次第でございます。したがいまして、結果として輸出増加を招くんではないかというようなことでは必ずしもないと考えている次第でございます。
○古川太三郎君 先ほどもこの税制は世界に類例もなしと、またこれはアメリカからも余り歓迎されている税制ではないように聞いておりますけれども、その点はいかがですか。
○説明員(庄野敏臣君) 確かに米国側からこういう措置をつくるべきではないかというようなことがSIIその他であったということはございません。これは私どもが世界の中に置かれた環境を踏まえて、こういう輸入拡大をやる必要があるということを決断して、今回お願いしているわけです。 他方、先生お尋ねの米国側の評価はいかにということでございますが、総理も御訪米されました。それから、引き続き私どもの通産大臣も訪米いたしております。その際の米国側の首脳からは高い評価を受けている次第でございます。SII協議の場でも私どもは、やはり私どもとして輸入拡大を努力していくということを申し上げておりますが、これはやはり相手国側の輸出努力もこれまた必要でございます。そういう輸出努力をアメリカ側にも厳しく要請いたしておりまして、これを受けまして、先般モスバッカー長官が来日されたときにも、我々の輸入拡大努力と先方の輸出拡大努力をジョイントでやっていこうというアグリーメントも持っている次第でございます。
○古川太三郎君 アメリカからの評価は、ちょっと名前を忘れてしまったんですけれども、とにかくそういう税制をおやりになっても余り大したことにはならないというようなコメントを新聞で読んだ覚えがございます。それよりもトヨタとか日産あるいは松下電器の社長さん、こういった方がこれは非常にいい税法だというように大賛成をされていた。また新聞では、この税制をつくるときに大蔵省自体も猛反対されたように聞いておりますけれども、いかがですか。
○政府委員(尾崎護君) 本件に限らず何らかの政策要請がございましたときには、いろいろと議論を展開し、縦から横から斜めから検討をしていくというのが私どもの常でございまして、いろいろの疑問点を通産省と議論をしたということはもちろんございます。しかし結論として、やはりこのようなことをするのが現在適当であるという結論に達したわけでございます。
○古川太三郎君 その結論はいいんですけれども、現に出ていますから、余り反対していると、こういったものはまた野党につけ込まれるということでもう反対なさらなかったというように聞いております。大蔵省はもともとそういうものであれば、これは税制をいじるんではなくて、中小企業を対象とした輸入資金の低利融資、そういう制度を活用したらどうだということを通産省に言われたことはございませんか。
○政府委員(尾崎護君) 議論の途中であるいはそういう融資ではどうかというようなことも申したかもしれません。考えつくこと、疑問に思えることすべてをさらけ出しまして、テーブルに乗せて検討するというのが私どものやり方でございます。
○古川太三郎君 通産省にお聞きしますが、この輸入製品との競争にさらされる企業ですね。恐らく関税ゼロ製品ですから競争も強いだろうと思うんですけれども、日本にあるそういう輸入製品と競争しなければならないような業種、こういったところからの不公平だ、あるいはそういう中立ではないじゃないか、これは不満だというような声は聞かれませんでしたか。
○説明員(庄野敏臣君) お尋ねの件でございますけれども、先生も御指摘のように、この税制におきましては関税ゼロ品目ということを対象としておりまして、例えば競争力を失い、輸入急増に直面しているような品目は大体有関税品目となっております。そういう意味で本税制の対象となっておりません。したがいまして、例えば繊維でございますとか、そういうものについては対象となっておりませんので、国内産業あるいは中小企業といったものが打撃を受けるということがないような配慮になっております。現に、そういうことは困るという業種は私どものところに今のところ来ているということはございません。 もう一つ申し上げさしていただきたいのは、今回例えば中小企業にとりましても、何もそういう御懸念ばかりではなくて、中間材とか機械とか御使用になる方、業界、中小企業の方々が多数ございます。これについては、やはりこれはメリットとして利する面がございますので、その点は一言申し添えさしていただきたいと存じます。
○古川太三郎君 今中間材とかそういったものもあると言われることであれば、先ほどの質問に戻りますけれども、とにかく輸出も増加せざるを得ないんじゃないでしょうか。そういう点はいかがですか。
○説明員(庄野敏臣君) そこのところにつきましては、これはこの税制の基本的な考え方でございますけれども、やはり輸入品を使うときの使い勝手の違いというものを考えまして、コストとかリスクがかかってくるということを申し上げまして、その分が何も新たに、何らコストがなくてそれに上回って何かもらえるという措置じゃないので、輸出競争力の強化ということにはつながりにくいということを申し上げた次第でございます。
○古川太三郎君 そういうことはないだろう、しかし、そういう懸念はあると先ほども何か答弁にあったように聞きますけれども、それはいいですね。
○説明員(庄野敏臣君) 繰り返しになって恐縮でございますが、コスト、リスクの補てんということでございますので、輸出競争力の強化と、そういう輸入された部品その他を使えば輸出競争力がいやが上にも増してくるということじゃないということを申し上げている次第でございます。
○古川太三郎君 じゃ供給する側の業者間の競争もないだろうということですので、消費者には一体どのような利益が出るんですか。それは税制を利用する以上その恩恵が国民に還元されなきゃならぬ、こう思うんですけれども、そのあたりの配慮はどのようにされておるのか。
○説明員(庄野敏臣君) これは個人に直接その税制上の恩恵を与えるというものではございません。しかし、しかしと申しますか、これは輸入の拡大をねらった措置でございますが、この措置によりまして、多様な商品が輸入されてくるということと新たに事業の参入といったものが期待されます。 一言申し上げさしていただきたいのは、私どもアンケートをとってみたのでございますけれども、中小企業者の方々が、例えば流通業の方々にとりましても、新規に輸入関係を扱いたいという希望を申し上げておられる方が、小売で二七%、卸で四六%、そういう希望を持っておられる方が非常に多うございます。したがいまして、そういうニューカマーと申しますか、そういう方々も非常に増加することが予想されますので、その結果、競争の促進ということを通じまして流通の合理化なり、あるいは価格の引き下げといったものが促進されてくるのであろうと考えております。これが消費者の利益につながっていくのではないかと存じます。
○古川太三郎君 消費者の利益と言われなければ、これはまた正直ですけれども、消費者の利益につながるとおっしゃるのであれば、円高時の差益還元があれほどまでに騒がれながらどこかに消えてしまったという問題もございますし、そういったことを踏まえて今おっしゃっていることですか。
○説明員(庄野敏臣君) この税制によりまして当然、私申し上げたのは、消費者の利益にもつながっていくということを申し上げたわけですが、これだけで事足れりということではなくて、私どもとしては消費者が輸入拡大のメリットを肌で敏感に感じ取って反応していただけるように配慮したいと思っております。 例えば、別途御案内のとおり、内外価格差是正本部をつくっていろんな措置を講じておりますし、かつまた我々としても消費者にそういう情報を普及させるという見地から、各県に経済国際化センターをつくったり、あるいは消費者が肌で触れ得るような機会を設ける見地から総合輸入促進のためのパイロット事業というものを予算的にもお願い申し上げております。こういういろんな場で消費者がそういうメリットを受け得るような措置をあわせ講じておるわけでございます。 一言だけ追加させていただければ、企画庁でも八九年物価レポートというのを取りまとめられておるのでございますけれども、この中でも輸入の拡大についていろんな物価の面でのメリットを分析してございます。例えば、物価が総体的に引き下がるということなど、物価の安定に寄与しているということが述べられております。
○古川太三郎君 私の持ち時間は本当にわずかなものですので、端的に答えていただければ結構です。 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、この輸入促進税制というのは、確かに輸入はふえるかもしれません。しかし、それを本当に日本の国内で使わなければ何の意味もないでしょう。そういう点についての考え方はどうなんですか。
○説明員(庄野敏臣君) そのとおり、私ども国内における輸入の拡大、すなわち消費ということを目的として輸入拡大のためのいろんな促進措置をお願いしている次第でございます。
○古川太三郎君 もしそういったことの本当に気持ちがあるならば、独禁法の改正をして強化する、またそういう流通の方にも非常に風穴をあけてしまうというようなぐらいの考え方をされる方がもっともっと輸入は促進される。 これはまあ製品ではないですけれども、かつての灯油訴訟なんかも、いろいろのことで円高差益を出さないばかりかやみカルテルまで結んで裁判ざたになったこともございます。日本の業者と言っては悪いんですけれども、日本の企業は外国から比べれば独禁法に違反してもそれを恥と思っていないんです。また通産省は、恐らく今まではそれをまあまあで済ましてきた、こういう状況があると思うんです。これは先進国であるならば、独禁法に違反したならば、これは詐欺を起こしたあるいは窃盗をした、そういう犯罪になるような倫理観を持っているはずなんです。 そういったものをむしろ私は日本がしっかりとやって、世界で適用するような理屈をされる方が輸入はどんどんと大きくなるし、またその商品も安く消費者に手に入る、こう思うんですけれども、独禁法の改正すらなかなかできていないという部分もございます。本当に日本の企業が倫理観を持つかどうか、そういった点はどうなんですか。
○説明員(庄野敏臣君) 今先生が御指摘の、流通合理化なりあるいは規制緩和なりあるいは独禁法の適正な運用のそういう必要性について私どもとして否定するつもりは全くございません。同時に申し上げさせていただきたいのは、そういうことを推進していくと同時に、やはりこういう税制措置を通じて即効的な輸入拡大というものを求めていくということもまたこれは必要だろうと思います。つまり、両々相まって我が国として輸入の拡大を図っていくということが必要ではないかと感じておる次第でございます。
○古川太三郎君 これは大変思いつきで恐縮ですけれども、こういう輸入促進税制をやっても消費者にはほとんど利益がない、これはもう円高差益のことでもおわかりだと思います。また、日本のいろいろ流通経路からしても、なかなかそれが消費者に還元しにくい。また、そうして黒字を減らすということであれば、日本の消費者が本当にそれを使う、それを再生産してまた輸出しちゃいけない、本当にエンドユーザーが使うという税制でないとおかしいんですね。 これは今私の思いつきですけれども、輸入製品であるならば消費税はつけてもいいですけれども、そこで買った人は消費税の倍返しをしていただくように、例えば三%なら六%を税務署で返還してもらうというような制度を考えれば、直に消費者にも利益が出るし、また輸入製品も日本で消化される。そういうような方法での税制はどうなんですか。
○政府委員(尾崎護君) 輸入に消費税をかけるというのはいわゆる国境税調整ということでございまして……
○古川太三郎君 消費税をかけるんじゃなくて、その倍をもらう、消費者に。
○政府委員(尾崎護君) はい、現在かけているわけでございますが、それはいわゆる国境税調整というやり方でございまして、逆に輸出にはかけないわけでございます。輸出の税は全部水際で落として外国へやる、その外国の消費税がかかる、日本も、輸入品はそもそも課税をしまして、日本の国内で生産されたものにも消費税がかかりますから、そこでイコールフッティングになるというやり方をしているわけでございます。 この国境税調整というのは国際的に確立しているやり方でございまして、それに例外をつくるということは好ましいこととは思いません。
○古川太三郎君 いずれにしても、私は通産省がよくこういうことをお考えになって、前は輸出のために促進税制をされた、本当にその裏返しだけだ、発想そのものが非常に貧困だ、もっともっと消費者にも利益があるような考え方を努力してつくっていただきたかったという意味で今申し上げた次第です。 しかし、こういう特殊なことをやっておりますと、日本特殊論がまた勢いを私はつけてくるんじゃないか、世界から日本を見れば、これは管理貿易だというように非難される部分だってあるんじゃないか。通産省が動けば日本企業の輸入行動に影響を与えるというようなことが世界や皆さん、アメリカもそういったことを思うようになれば非常に苦しい立場に置かれるんではないか。例えば外国産の半導体の二〇%マーケットシェア問題、こういったことから考えても、こういう税制をいじってまで輸入を促進する理屈が立つんだろうか。こう思うんですけれども、そのあたりの見解を伺いたいと思います。
○説明員(庄野敏臣君) いわゆる管理貿易論というのが出てきているということについては、私ども非常に残念なことだと思っております。戦後の自由貿易体制のもので最大の恩恵を受けてきたのはやっぱり我が国でございますし、したがって、我が国としては市場メカニズムを最大限に活用して貿易の拡大均衡ということが一番大切なことであろうと思います。 したがって、やっぱり基本としては私ども内需主導型の経済運営というものを引き続きやる。今般のお願いしております総合輸入拡大策を推進して、いわゆるハンディキャップを是正しながら市場メカニズムを最大限活用していくということで、輸入拡大を通じた貿易の拡大均衡ということで黒字是正を図っていくということが肝要だと思います。この点は先生が今るるお述べになりました精神と全く同じではないかと考えておる次第でございます。
○古川太三郎君 それでは、大蔵省にお聞きしたいと思います。 税は公平であり中立でなければならないという趣旨からすれば、こういう輸入促進税制は例外の分野に入るだろう、こう思うんですけれども、これはやっぱり先ほどからも議論になっておりますように極力避けるべきだ、こう思います。そういう意味から、今のような説明ですと、なかなか賛成に回るわけにいかないというような部分もございますので、本当に政策的に必要だという部分をもっともっと国民にアピールなさる方がいいだろう、こう思います。 そこで、こういった租税特別措置法の中で減収額の試算が出ておりました。大体一兆二千億、こう言われておりますけれども、交際費のプラスがありますから、実質では二兆円の租税特別措置法の減額だろう、こう私は見ております。これは国民の目から見れば、新聞なんかに発表されますと一兆二千億だと。それと政策的なものがあるから、またちょっと見れば個人的なものもあるからそのくらいはしょうがないだろうという声もありますけれども、実質では二兆円だということもやっぱりはっきりと言っていただきたい、これが一つ。 いま一つは、こういう例外のものではなくて、先ほどもちょっとお話が出たかもしれませんけれども、外国税額控除制度だとかあるいは法人間配当益金不算入だとか、これは法人を実体だと考えた場合ですけれども、こういう本来ならばかけなければならない部分の税を非常に低くしている、課税ベースを低くしているというような制度、こういったもので本来ならば幾ら税収があるかとか、あるいはそういったものがあるからこれだけ税収の減額がある、こういったことも一緒に新聞発表するなりしていただけないものか、こう思うんですけれども、いかがですか。
○政府委員(尾崎護君) 大蔵委員会提出資料といたしましても、内訳を詳しく提出してございますが、御指摘のとおり二兆一千二百十億円というのが減収の総額でございまして、交際費の課税の特例の八千九百十億円で、これはプラス部分がございますから、差し引き一兆二千三百億円ということになっております。これは一兆二千三百億円の方だけではなくて、交際費の課税からあるいは二兆一千二百十億円という総額につきましても新聞発表いたしております。
○古川太三郎君 いや、私が申し上げるのはそういう特別措置法というものではなくて、税そのものに組み入れられている配当益金不算入、そういったものを申し上げているわけなんです。例えばの話、今までそういったものには課税されなかった。平成元年度は一〇%分について課税をされたということでございますから、その一〇%はどのぐらいの金額になったのか、実績をお聞かせいただければありがたいと思います。
○政府委員(尾崎護君) 平成元年度分の実績はまだちょっとわからないわけでございますが……
○古川太三郎君 見込みで結構です。当初と現在の見込みでも。
○政府委員(尾崎護君) 現在はちょっとわからないんでございますが、当初でよろしゅうございますか。
○古川太三郎君 はい。
○政府委員(尾崎護君) 申しわけございません。ちょっと平成元年の当初の細かい資料を持っておりませんので後ほど御連絡をさせていただきます。
○古川太三郎君 もう時間も来ましたので、最後に一つだけ通産省の方にお聞きしたいと思いますが、この減収額の八百七十億とありますけれども、これらの業態別にどのように分けられているのか。あるいは業種別にはどういう振り分けができるのか。八百七十億の試算の中での振り分けをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(尾崎護君) 八百七十億の減収額につきまして、先ほど申しましたように卸・小売業、それから製造業の中で税額控除を受けるもの、それから償却をするものというような区分で、マクロで推計いたしておりまして、業種別と私ども考えておりますのは、製造と卸・小売というそれだけの大きな分け方で計算をしているわけでございます。
○古川太三郎君 大小は区別はないですか。
○政府委員(尾崎護君) ございません。
○古川太三郎君 終わります。
○委員長(藤井孝男君) 三案に対する本日の質疑はこの程度といたします。 明日は午前十時に委員会を開会することとし、これにて散会いたします。 午後五時四十八分散会