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118回国会参議院1990/03/26

大蔵委員会 第1号

発言数
131
登壇者
14
会派数
7
開催日
1990/03/26

会議録

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る五日、山岡賢次君が委員を辞任され、その補欠として石井一二君が選任されました。  また、去る六日、石井一二君が委員を辞任され、その補欠として斎藤栄三郎君が選任されました。  また、本日、鈴木和美君が委員を辞任され、その補欠として櫻井規順君が選任されました。     —————————————

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に田辺哲夫君を指名いたします。(拍手)     —————————————

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても租税及び金融等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) 次に、租税及び金融等に関する調査を議題とし、財政及び金融等の基本施策について橋本大蔵大臣から所信を聴取いたします。橋本大蔵大臣。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 先般、再び大蔵大臣を拝命いたしました。  内外ともに解決すべき課題が多い中、引き続き財政金融政策の運営の任に当たることとなり、その責任の重大さを改めて痛感いたしております。  今後とも政策運営に遺漏なきよう全力を尽くしてまいる所存でありますので、よろしく御指導をお願いいたします。  今後における財政金融政策の基本的な考え方につきましては、先般の財政演説において所信を申し述べたところでありますが、本委員会において重ねて所信の一端を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。  まず、最近の内外経済情勢について申し述べます。  現在、我が国経済は、物価が安定する中で、内需を中心とした自律的拡大を続けております。設備投資は増勢を続けており、個人消費も堅調に推移するなど、民間需要は順調に拡大しております一方、労働力需給等注視を要する点も存在しております。対外面では、不均衡の是正は着実に進んでおります。  国際経済情勢を見ますと、先進国においては、物価安定に努力が払われる中、持続的な経済成長が続いております。主要国の対外不均衡は、改善の努力が行われているものの、依然、大幅であり、これを背景として、保護主義的な動きにはなお根強いものがあります。また、累積債務問題につきましては、前進が見られるものの、依然、深刻な状態にあります。さらに、最近における東欧の民主化、自由化の動きが世界経済に与える影響については、十分注視する必要があるものと考えます。  私は、今後の財政金融政策の運営に当たり、我が国を取り巻く状況を踏まえ、以下に申し述べる諸課題に取り組んでまいります。  第一の課題は、内需を中心としたインフレなき持続的成長を確保していくことであります。  このような見地から、平成二年度予算につきましては、長年の懸案であった特例公債依存体質からの脱却を実現するなど、財政改革をさらに推進するとの考え方のもとに編成いたしました。  金融政策につきましては、先般、公定歩合が引き上げられたところでありますが、今後とも、内外経済動向などを注視しつつ、適切かつ機動的な運営に努めてまいりたいと考えております。また、最近の地価動向などにかんがみ、土地関連融資について引き続き厳正な指導に努める所存であります。  持続的な経済成長を確保する上で、為替相場及び金融資本市場の安定が重要であることは申し上げるまでもありません。今後とも、主要国との政策協調及び為替市場における協力を通じ、為替相場の安定を図るとともに、金融資本市場の動向を十分注視し、その安定を期してまいりたいと存じます。  第二の課題は、財政改革を引き続き強力に推進することであります。  各般にわたる改革努力の結果、平成二年度予算においては、特例公債依存体質からの脱却を実現するなど、我が国財政の健全化に向けて大きな歩みを進めることができました。  しかしながら、特例公債依存体質からの脱却は財政改革の第一段階にすぎないのであります。国債残高は平成二年度末には百六十四兆円にも達する勢いであり、国債費が歳出予算の二割を超えて他の政策的経費を圧迫するなど、我が国財政は依然として厳しい状況にあります。また、国鉄清算事業団長期債務の処理問題なども残されております。  将来の我が国の安定と発展にとって、財政の対応力の回復を図ることは緊要の課題であります。  今後の中期的な財政運営につきましては、財政制度審議会の報告に沿って、来るべき高齢化社会に多大の負担を残さず、再び特例公債に頼ることのない財政構造の確立を目指して、公債依存度の引き下げなどにより、国債残高が累増しないような財政体質をつくり上げることに全力を傾けてまいる所存であります。  第三の課題は、新しい税制の一層の定着を図ることであります。  御承知のように、先般の抜本的税制改革は、それまでの税制が持っていたさまざまなゆがみやサラリーマン層を中心とする重税感を是正するとともに、高齢化の進展を踏まえ安定的な税体系を確立することを目的として行われたものであります。  このうち昨年四月に導入された消費税は、その後の経済動向や円滑な申告・納税等の状況を見ましても、着実に日々の生活に溶け込んできております。一方、消費税に対しましては、国民各層からさまざまな御意見や御指摘をいただいたところでありますが、それらをすべて検討の対象とし、現時点で最善と確信する消費税の見直しを行うことといたしました。  具体的には、逆進性の緩和や社会政策的な配慮という見地から、すべての飲食料品について小売段階を非課税とするとともに、卸売段階までの税率はこれまでの半分の一・五%といたしております。また、人の生命にかかわる出産費、火葬・埋葬料を非課税とするほか、住宅家賃や入学金、身体障害者用物品なども非課税といたしております。さらに、年金生活者のために、一層の所得税及び住民税の減税を実施することといたしております。  また、消費者の立場から御指摘をいただいた制度上の問題点について、中間申告・納付回数の増加など現時点においてできる限りの措置を講ずるほか、事業者免税点制度などについては、消費税の申告・納付が一巡する本年五月までの間は実態把握を行い、これらの制度をどう見直すか十分検討の上提示することといたしております。  さらに、消費税収のうち国分について福祉に優先して充てる趣旨を法律で明らかにするとともに、歳出の分野においても、高齢化に対応した公共福祉サービスの充実などを推進することといたしております。  税制は、国民生活や経済取引などに深く関連するものであり、現実の社会経済情勢や生活実感から離れたものとならないよう努めていかなければなりません。このような観点から、消費税についても見直すこととしたところでありますが、執行面における努力も相まって、消費税は日々の国民生活に一層溶け込んでいくものと確信いたしております。  なお、土地税制につきましては、土地基本法の趣旨に沿った関係制度の整備状況を踏まえつつ、土地に対する負担の適正化、土地政策の推進の見地から、その総合的な見直しに取り組んでまいる所存であります。  第四の課題は、調和ある対外経済関係の形成に努めることであります。  昨年七月の日米首脳による共同発表を受け、日米構造協議が行われておりますが、我が国としては、構造調整は国民生活の質の向上につながるとの観点からも、我が国みずからの課題として積極的に取り組むべきものと考えております。  ウルグアイ・ラウンドにつきましては、本年末の交渉期限に向け、交渉を積極的に推進してまいりたいと考えております。  関税制度につきましては、市場アクセスの一層の改善を図るとの観点から、平成二年度において、機械類の関税の原則撤廃を含む工業製品関税の撤廃・引き下げなどの改正を行うことといたしております。  経済協力につきましては、開発途上国の自助努力を支援するため、政府開発援助の着実な拡充に努めております。  累積債務問題につきましては、国際的な合意を得て進められている新債務戦略を我が国としても積極的に支持し、所要の協力を行っていく考えであります。  さらに、最近の東欧の民主化・自由化の大きな流れの中で、これら諸国への支援が大きな課題となっておりますが、我が国としても、西側主要国の一員としてふさわしい協力を行うとの考え方から、ポーランド、ハンガリーに対する積極的な支援策を表明したところであります。  第五の課題は、金融資本市場の自由化、国際化を着実に進めていくことであります。  これまでにも、預金金利の自由化、外国金融関係のアクセスの拡大などの措置を逐次講じ、短期金融市場、国債の発行、流通市場、先物市場の整備拡充などに努めてまいりました。証券取引につきましては、内外の信頼をさらに深め、取引の公正性、市場の透明性を高めるため、内部者取引規制の整備など所要の措置を講じてまいったところでありますが、これに加え、株式等の大量の保有状況に関する情報の開示制度の導入及び公開買い付け制度の改善を図るため所要の法案を今国会に提出し、御審議をお願いいたしたいと考えております。  さらに、今後の我が国の金融制度のあり方、資本市場のあり方及び保険事業のあり方などにつきましては、関係各審議会において鋭意審議が進められているところであります。  次に、平成二年度予算の大要について御説明いたします。  平成二年度予算は、真に必要な財政需要に適切に対応しつつ、財政改革の第一段階である特例公債依存体質からの脱却を実現するとともに、公債依存度の引き下げを図るため、さらに歳出の徹底した見直し、合理化に取り組むことなどにより公債発行額を可能な限り縮減することとして編成いたしました。  歳出面につきましては、一般歳出の規模は、三十五兆三千七百三十一億円となっており、また、国債費は、定率繰り入れを実施することとし、十四兆二千八百八十六億円となっております。これらに、地方交付税交付金等を加えた一般会計予算規模は、六十六兆二千三百六十八億円となっております。  次に、歳入面におきましては、平成二年度の税制改正として、消費税の見直しのほか、土地税制に係る所要の改正、製品輸入促進税制の創設、租税特別措置の整理合理化などを行うことといたしております。  公債発行予定額は、前年度当初予算より一兆五千百七十八億円減額し五兆五千九百三十二億円となっております。これはすべて建設公債であり、特例公債の発行はいたしません。なお、借換債を含めた公債の総発行予定額は、二十三兆四千八百九億円となります。  財政投融資計画につきましては、住宅・社会資本の整備、国際協力の推進などの政策的要請にこたえ、資金の重点的、効率的な配分に努めており、その規模は三十四兆五千七百二十四億円、このうち資金運用事業を除いた一般財投の規模は二十七兆六千二百二十四億円となっております。  次に、平成元年度補正予算について申し述べます。  平成元年度補正予算につきましては、地方交付税交付金、国債整理基金特別会計への繰り入れ、災害復旧等事業費、給与改善費、厚生保険特別会計への繰り入れ、住宅金融公庫交付金等、日本国有鉄道清算事業団補助金など特に緊要となった事項について措置を講じております。  平成元年度一般会計補正後予算の総額は、当初予算に対し、歳入歳出とも五兆八千九百七十七億円増加して、六十六兆三千百十九億円となっております。  以上、財政金融政策に関する私の所信の一端を申し述べました。  本国会に提出し御審議をお願いすることを予定しております大蔵省関係の法律案は、平成二年度予算に関連するもの八件、平成元年度補正予算に関連するもの一件、その他一件、合計十件でありますが、このうち九件につきましては、本委員会において御審議をお願いすることになると存じます。今後、提出法律案の内容について、逐次、御説明することとなりますが、何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) 以上で所信の聴取は終わりました。     —————————————

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) この際、山岡大蔵政務次官及び尾身大蔵政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。山岡政務次官。

山岡賢次自由民主党大蔵政務次官

○政府委員(山岡賢次君) 先般大蔵政務次官を拝命いたしました山岡賢次でございます。  職責の重大さをひしひしと痛感いたしております。微力ながら全力を傾けて職務の遂行に当たる所存でございますので、委員各位の御指導と御叱正をよろしくお願いを申し上げます。(拍手)

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) 尾身政務次官。

尾身幸次自由民主党大蔵政務次官

○政府委員(尾身幸次君) 先般、図らずも大蔵政務次官を拝命いたしました尾身幸次でございます。  厳しい財政情勢の折から、その職責の重大さを自覚し、誠心誠意職務の遂行に当たる所存でございます。よろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。(拍手)     —————————————

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) 次に、厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。橋本大蔵大臣。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいま議題となりました厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  平成二年度以降、老人保健医療に係る加入者按分率が一〇〇%に移行することを踏まえ、健康保険組合等被用者保険について、今後における老人保健制度の基盤安定化の措置を講じる必要があります。  このため、本法律案は、平成元年度補正予算において厚生保険特別会計に一般会計からの繰入金により資金を設置し、その運用益を老人保健制度の基盤安定化の措置に充てることができるようにするとともに、この資金を過去における厚生年金保険国庫負担繰り延べ措置についての将来の返済のために用いることができるよう、所要の法的措置を講じようというものであります。  以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、厚生保険特別会計業務勘定に、当分の間、特別保健福祉事業資金を設置することといたしております。  第二に、この資金の運用益を用いて、老人保健拠出金の負担が重くなっている被用者保険への対策等の老人保健制度の基盤安定化の措置を行うこととしております。  第三に、厚生年金保険事業の長期的安定を確保するため、業務勘定から年金勘定に資金の額を限度として繰り入れができることとし、繰り入れが行われた場合は、その金額の範囲で、一般会計から年金勘定に対する厚生年金保険国庫負担繰り延べ措置についての返済が行われたものとみなすこととしております。  以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 この法律案の審議に入る前に、若干関係しますので、急遽でございますが、厚生省の担当の方に御出席をいただいておりますので、そちらの質問から先にやらさせていただきます。  先般、新聞の報道によりますと、保険財政を安定化するために、あるいは健保組合の老人保健の保険負担を軽くするために、それに協力をしてくれる厚生関係の議員に健康保険組合の協議会が持っている被保険者の名簿約一万人分を総選挙の名簿使用に使わせたという新聞報道がされております。大変重大なことだと思っておりますが、これに対する厚生省の見解をまずお聞きしたいと思います。

真野章厚生省保険局保険課長

○説明員(真野章君) 一昨日の二十四日に一部報道がなされましたが、東京地区総合健康保険組合協議会、東総協と言っておりますが、そういう協議会がございます。そこから名簿が出たという報道でございますが、本日その東総協の関係者から事実関係について事情を聴取いたしました。  その結果を申し上げますと、被保険者の名簿は先生協議会の方に保存しているとおっしゃられましたが、協議会の方には持っておりませんで、各健康保険組合が当然のことながら被保険者名簿を持っております。その被保険者の名簿には収入、家族の状況が収載されておるわけでございますが、公表されました部分はその被保険者名簿のうちの住所、それから氏名、これを抜き書きいたしました別のリストをつくった、そしてそれを関係の候補者の方々にお届けをしたということでございまして、被保険者名簿そのものが提出をされた、いろんなプライバシーにかかわりますものが収載されております被保険者名簿そのものが提出をされたということではないようでございます。  そうは言いましても、氏名、住所だけとは言いましても、健保組合の本来の目的のほかに使用されるということは好ましいとは言えませんので、本日関係者を呼びまして厳重に注意をいたしております。今後とも被保険者のプライバシーに十分留意するよう注意をしていきたいというふうに思っております。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 問題は、住所と氏名だけを渡したからいいんだということじゃないと思うんです。二つあるんです。選挙に使うべきものでない住所と名簿がまず渡されたということです。それも社労の関係の議員にしか出してない。はっきり言えば社会党の議員も入っているそうですよ、この新聞報道によれば。だから我々はいいというわけじゃないんですよ。全議員に出したんじゃないんですよ。特定の議員だけに渡している。厚生省が呼んで注意した、注意だけじゃ済まないんじゃないですか。もっとこれ以上の処分をするつもりはないんですか。

真野章厚生省保険局保険課長

○説明員(真野章君) 確かに被保険者名簿、氏名、住所だけといいましても、健康保険の組合の事業運営のためにつくっております名簿でございますので、それ以外の目的のために使われるということにつきましては大変適切さを欠いたことであるというふうに思っております。  したがいまして、本日関係者を呼びまして厳重に注意をいたしたわけでございまして、今後ともさらに、今後こういうことがないように厳しく指導してまいりたいというふうに思っております。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 それじゃ聞きますけれども、厚生省から健康保険組合に対して「健康保険組合事業運営基準」として通達が出ているはずですよ。その「基本的態度」のところを前文をちょっと読みますよ。健康保険組合は、法律上の公法人としての特別な権能を与えられている、国の行う健康保険事業を代行しているんだと、こういうことを厚生省は認識しているわけでしょう、通達に書いているんですから。その公法人であり、国にかわって健康保険事業を行っている団体が、選挙のために特定の人たちのプラスになるようなことを平気で行って、そしてそれに対してただ注意だけですよというんであれば、はっきり言えば今度はすべての選挙のときあるいは総選挙の際にこのような名簿が使われても、関係者だけ呼んで厳重注意しましたで厚生省は済ませるんですか。

真野章厚生省保険局保険課長

○説明員(真野章君) 確かに健康保険組合は、政府が行います政府管掌の健康保険にかわりまして独立した公法人として健康保険事業を運営していただく法人でありまして、健康保険法に基づきます公法人でございますので、先生おっしゃるとおりでございますが、今回の事態はその健康保険組合が行ったということではございませんで、確かに健康保険組合が持っております被保険者の名簿を、業務を担当しております常務理事がその健康保険組合の事業以外のものに使ったということにつきましては大変まことに遺憾なことであるというふうに思っておりますが、公法人たる健康保険組合がそういうことを行ったということではないというふうに私ども思っております。  したがいまして、そういうことを行いました個人を、常務理事を本日呼びまして、厳しく注意をしたということでございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 何かおかしなこと言っているんですよね。  同じ通達の中に「執行機関」という項目がありますでしょう。その中には「理事は、組合の執行機関であつて、合議により事務執行をすることが原則」だと、そして公務の執行者でしょう、「公務の執行者としての責任を自覚して」行えと、こう書いてあるわけでしょう。個人がやりました、ただ呼びまして注意しました、それじゃ済まないでしょう。  それともう一つ、これは今最近のほとんどの健保組合が電算処理をしていますよね。これに対する基準も厚生省の方で通達で出しているはずですよ。そのときにはデータの保管だとか入出力された原票の処理だとか、業者に委託するときには秘密が漏えいしないようにということまできちんと書いてあるでしょう。その管理責任者をするのが常務理事ですよとはっきり書いてあるわけですよ。  その常務理事が今回こんなことを平気でやっている。そして、厚生省としてはそれをただ注意、これで済ませるつもりなんですか。いわば国の機関でいけば社会保険事務所の所長がこの行為を行ったのと同じことでしょう。違うんですか、厚生省の方。

真野章厚生省保険局保険課長

○説明員(真野章君) 確かに常務理事が健康保険組合の業務を行います場合の実質上の責任者であるということは、先生おっしゃるとおりでございます。しかしながら、健康保険組合におきましてもその常務理事が事業運営を行う場合に、事業運営基準にのっとって行わなければならないというのは当然でございますし、その事業運営基準の中にも、被保険者の秘密の保持ということも私ども指導をいたしております。しかしながら、今回このような事態が生じたわけでございますが、その直接担当いたしました常務理事を呼びまして厳しく指導をいたしまして、今後ともこのようなことのないようにさらに監督を厳しくしていきたいというふうに思っております。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 注意だけじゃこれは済まないと思うんですよ。ただ、これでこの問題だけで押し問答していてもしようがありません。ただ、二度とこういうことが起こらないように。それと同時に、ここの東京地区総合健康保険組合協議会に加盟している健保組合が全部名簿を出したんじゃなくて、このうちの幾つかが出したということですから、実態をきちんと把握して、それぞれの健保組合の常務理事をきちっと呼んで、そして厚生省としての対応をすると同時に、二度とこういうことが起こらないようにきちんとしないとこれは大変な問題が出る。まず、これだけをきちっとくぎを刺しておきます。  それと同時にもう一つ、老人医療保険の負担が大きくなってこういうことをせざるを得なくなったんだということをこの協議会の会長は弁明しておりますけれども、それについて一つ聞きたいんですが、たしか六十年の四月だったと思いますが、健康保険組合の設立の基準を緩和する、千名から七百名に下げる、こういう方針を厚生省は出しておるわけですが、片一方で老人保健の医療費の負担がふえてきている、組合の赤字がふえてくる。しかし、片一方で設立基準を緩めてそしてどんどん設立させる。負担がたえられない部分まで出てくるんだろうと思うんですね。ですから、我々が考えるとするなら、基準を上げて老人保健の負担にたえられるような財政規模にするためには、千人じゃなくて千五百人に認可基準を引き上げるというのが本則だと思うんですけれども、それについてはどういうふうにお考えですか。

真野章厚生省保険局保険課長

○説明員(真野章君) 健康保険組合の規模につきましては、私ども政管健保というように非常に大きい保険者であるよりも、健康保険組合というような小規模の集団できめ細かな保険事業が行われるということが今後の健保制度の運営上望ましい。いわば健康保険組合をできるだけ多く設立をいたしまして、そういうきめ細かい保険事業が行われるようにしたいというふうに考えておりまして、先生御指摘のとおり昭和六十年の四月に健康保険組合の設立に関する基準を緩和いたしております。しかし、その緩和をいたしましたのは今申し上げましたようにできるだけきめ細かな保険事業を健康保険組合に期待をしているからでございます。  ただ、七百人に引き下げまして、じゃ、七百人以上の企業は全部健保組合をつくらせるのかというと、そういうことではございませんで、当然のことながら設立の認可に当たりましては被保険者の規模以外に標準報酬の状況がどういう状況であるかとか、その医療費の支出の状況がどういう状況であるかというのを勘案をいたしまして、十分健康保険組合として事業運営が成り立っていくというのを見きわめた上で認可を行っておりまして、認可基準が緩いから非常に赤字になっているとか、そういうことではないと思っておりまして、そういう健康保険組合が運用が円滑に行われるような状況にあれば認可をいたしているというところでございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 あんまり時間をとってもと思いますけれども、繰り返し念を押さしていただきますけれども、片一方で老人保健の医療費の負担金がふえてくるというのは厚生省も言っているわけでございますから、その負担にたえられるような健保組合、既存の人たちがたえられないからこういう名簿を使って何とかしてほしいということを言っているわけですからね。そのことについてもきちんと指導していただくのと、もう一度繰り返しますけれども、これはあくまでも、国の行政で言えば社会保険事務所の所長が行ったような行為でございますので、その点についてだけ、厳しく関係者を呼んで、本来でしたら処分する、解雇されても文句が出ないくらいなこれは違反をやったんだと私は思っているわけで、それについては厳しくひとつ受けとめていただきたいということでございます。ただ、急に呼びましたので、まことにお忙しいところ申しわけありませんけれども、これで厚生省の方は結構でございます。  続きまして、本題の厚生保険特別会計の方の審議に入らせていただきます。  大蔵大臣にお聞きしたいんですけれども、老人医療費の分を含めまして加入者按分率を一〇〇%にするということは既に法律に基づいて平成二年度においてはこれを行うということがもう決まっているわけでございまして、そういう意味でいけば、健保組合の拠出金がふえる、負担金がふえるというのは論理的には当然のことでございます。ですから、別途の法律的な措置をとらない限り負担がふえるのは当たり前でございまして、今回このような非常に不正常な形でその負担金を出す、まあ出すのかどうなのか、ちょっとよくわからない面もありますけれども、そういう点では法律を直して行うというのが本来のやり方ではないかと思うんですけれども、その点についての御見解を伺いたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 老人保健法の改正を行われるかどうかは、本来私がお答えをするべきことなのかどうか、厚生大臣がお答えになるべきことではなかろうかという感じもいたします。ただ、今便宜私から、私の知る限りについてお答えを申し上げますならば、老人保健審議会がさまざまな御論議をされた中において、例えば一部負担のあり方その他、最終的には御意見が出なかった部分があったのではないか、私はそんな記憶をいたしております。  そうした中において、法改正というところまで厚生省が踏み切れない中において、しかし今委員が御指摘になりましたように、按分率の移行というものは既に既定方針として定められていたということから、恐らく私は老人保健制度に対する基盤安定化について、財政当局としての私どもに厚生省からの御相談があったものと、そのように理解をいたしております。  その一方で、私どもといたしましては厚生年金保険における国庫負担繰り延べ措置をいたしておりましたものをできるだけ早くお返しをしなければならないという思いもございました。そうしたことから、いわば二つの目的をあわせてこうした措置を考えさせていただいたということでございます。  ですから、実は本院におきましても予算委員会等で御論議がございまして、これはそれでは繰り延べたものを正式に厚生保険特別会計に返したことになるのかという御指摘をいただきましたときに、その措置が完了したとは私も思っておりません。ただ、将来における返済見合い財源を厚生保険特別会計の中にお納めをして、将来お返しのできる財源を用意した上で一方の基盤安定化の措置にいわばその利益を使わせていただく、運用益を使わせていただくという方法を講じた、そう私はお答えを申し上げてまいりました。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 老人保健法の加入者按分率、これが平成二年度から変わった、そうすると国保が老人保健法に基づいて拠出する金額は約一千二百億円減少する。それに伴って国庫負担が約六百二十億ぐらい軽減される。その分だけ被用者保険、つまり健康保険組合が負担することがふえるでしょう。だったら、このお金はどうしてこちらのこんな会計で出さなくて、今度はもっと一般会計で減少した分出さなかったんですか。その辺についてちょっとお聞きしたい。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 委員御指摘のとおり、六十一年度老人保健法の改正で、平成二年度以降加入者按分率一〇〇%とするということでございます。その結果、国民健康保険については拠出金が大幅に緩和される。いわば老人加入率の高い国民健康保険グループがその分受益をするわけでございますが、反面この拠出金につきまして国から約二分の一の国庫補助をいたしております。その反射的利益と申しますか、そういった関係で国庫負担も約半分は減少されます。さらに政管健保というグループは拠出金のふえるグループでございますが、この拠出金につきましては、増加した分、その一六・四%は国庫負担の増加になろうということで、差し引き五百九十億余りの国庫としての財源の減が見込まれます。  ただ、この金をそのまま一般会計でどういうふうに措置をするかということでございますが、一方、国民健康保険につきましても種々改革の要がございまして、別途保険基盤の安定事業等に国庫負担を行う等の措置を講じております。こうしたことによりまして、老人保健の加入者按分率の一〇〇%移行、あるいは今回の御提案申し上げております国民健康保険の改革等を通じまして、老人保健制度の安定的な運営をやっていこう、加えてこの加入者按分率一〇〇%に移行することによりまして、出し手側の被用者保険側につきまして大変負担が激増するグループもあるということでございますので、その激変緩和措置を講ずる、その際にやはり安定的な財源として今回お願いしております一兆五千億円の資金を創設いたしまして、その運用益を活用さしていただく、こういうことでございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 この保険基盤安定事業、これはちょっと先の話ですけれども、二年度予算にも計上されておりますよね。新規の施策ではないんでしょうか。その点について。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 今回お願いしておりますこの法律によりまして、平成元年度補正予算で資金造成をいたします。その運用益の活用につきましては、平成二年度から特別会計の歳入歳出をもちまして措置をしていくという関係でございまして、具体的に予算書上歳出が立てられるのは平成二年度からでございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 それでは次に、これは十九条で「当分ノ間」ということが書いてありますが、これはひとつ確認したいんですが、この事業そのものが「当分ノ間」だという意味ではなくて、この保健福祉事業を行う経理の部分が「当分ノ間」やる、こういうふうに理解していいんですね。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 「当分ノ間」ということでございますが、この事業につきまして、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、一つは年金財政の安定化を損なわないように、できるだけ速やかに過去の繰り延べ分について返済する必要がある。一方、この激変緩和措置につきまして、いわば暫定的な措置であるという位置づけがなされようと思います。  ただ、どれだけの期間この措置を行うかにつきましては、本制度の定着状況あるいは年金財政の状況等々にかんがみまして総合的に判断すべきものと思います。そういう意味で、この法律をもちまして「当分ノ間」の事業ということを位置づけたわけでございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 そうすると、老人保健法の改正をしたり、あるいは別途の法律をつくったらこの厚生保険特別会計に基づくところの経営基盤の安定事業というのは廃止する、こういうことですか。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 将来老人保健法の制度の見直しというものがどういう形でなされるかによると思います。基本的には、私ども現行制度のもとにおきまして、この制度をもって対処いたしたいということでありまして、将来いかなる措置が講じられるかというところは将来の老人保健法の改革の内容いかんであろうと思います。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 この法律案を読みますと、一般会計からこの会計に予算の限度をもって繰り入れることができる、必要があれば繰り入れることができると書いてあるんです。ということは、恒久的に一般会計から必要であればどんどんとこの会計に入れられる、こういう制度が保証されているということは、仮に年金勘定にこのお金を全部返したとしても、制度として入り口が残っている以上この行政施策は続けることができるということじゃないんですか、違うんですか。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 現行のこの法律におきまして、今回一兆五千億円のほか、必要があるときには資金の積み増しをすることができるという規定を置いております。これは将来の年金の国庫負担の繰り延べの返済見合い財源を用いておりますが、返済に当たっての十分な資金が確保できているかどうか、あるいは老人保健のこの安定化の事業について、必要がありましたらまたその事業に対する資金の手当て等々も必要になろうかということで、念のために規定が置かれているということでございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 念のためにあるんですか。不思議ですね。これで見る限り、明らかに恒久的な措置として、制度として残すということが前提条件に読めるんですがね。その辺は違うんですか。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 厚生保険特別会計の附則にかような規定を置いているということは、これは当分の間の措置だという位置づけで附則で措置をしているというところから見ましても、恒久的な措置ではございません。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 だから、繰り返し聞いているんですよ。「当分ノ間」というのは、この行政施策が当分の間行うということなのか、この行政施策をするに際して経理区分は当分の間この法律に基づく経理をしますよと言っているのか。この法律を読む限りは経理区分だけが当分の間行うと書いてあるように読めるんですがね。違うんですか。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 特別会計法でございますので、経理的な観点から規定が置かれておりますが、本来この事業そのものが当分の間の事業であるということでございますので、その事業がなくなりますと当然この条項も、すべて附則で書かれた当分の間の措置も削除されるという関係になろうかと思います。  したがいまして、あくまでも事業そのものの位置づけをどうするかということによりまして、将来この勘定のあり方等も検討されるべきものと考えております。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 そうすると、他の法律や制度ができ上がればこの法律は改正をしてこの特別会計の経理区分は廃止する、こういうふうに理解していいんですね。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 先ほど来御説明申し上げておりますように、その改正の内容いかんだろうと思います。この措置が必要ないというような改革が行われた場合には当然廃止されるでありましょうし、あるいはさらに続行すべきだといった場合に年金の繰り延べ措置に対する返済をどうするかとか、そういった観点からさらに論議がされる性格のものでありまして、いずれにしても恒久措置として位置づけられるものではないということでございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 法律的には何か恒久的な制度みたいに書いてありますけれども、ほかの質問に移らさせていただきます。  まず、この施策は一兆五千億積んだ金の運用益を使う、運用益を充てる、こう書いてあるんです。補正予算案を読んで見ますと、元年度に金額として計上されているのが四十四億、二年度の予算に組まれていますのが八百十億組まれておるんです。しかし、使用されるのは七百五十億というふうになっております。しかも、昨今の金利の引き上げですから、二年度はもうちょっとこれより多くの運用益が出るはずです。  それでは、ここから質問です。老人保健法の医療費の負担の割合は、今予算案では七百五十億と書いてありますが、この運用益の範囲内で予算措置さえつければ使えるんですか。七百五十億を超えて予算措置をつければ使用可能だ、こういうことですか、その点聞きたい。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 私ども、当面平成二年度におきまして特別保健福祉事業に充てる金額といたしましては七百五十億円を予定しておりまして、歳出歳入両予算におきまして七百五十億円の平成二年度特別会計予算で経理をさせていただいております。平成元年度にこの資金造成をいたします関係上、平成元年度の予算におきましては三月十二日、これはもう一つのめどでありますが、から三十一日までの期間の利息として四十四億円を予定しておりますが、これについては平成元年度において歳出面での措置を講ずるということは予定しておりません。  いずれにいたしましても、金融情勢によりまして運用利息そのものが変動してまいります。その際、変動した場合には七百五十億円を上回る運用収入がありますればこれは資金の充実に充てるということでありまして、一兆五千億の資金がさらに充実をされてくるということになろうかと考えております。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 ですから、七百五十億使えるという予算を補正するなり修正するなりして金額をふやすことができるんですかと言っているんです。資金に充当して充実させるかどうかという判断、それは別途決めればいいことですけれども、可能性の問題として、この運用益の範囲内で予算措置さえすれば使途が可能なんですかと聞いている。つまり、健康保険組合の方でもっと欲しい、もっと負担してもらわなければ困ると言えば約百億近い金が出てくるわけですね。それは可能なんですかと聞いているんです。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 現行の制度そのままにしておけば資金の充実になるということを御説明申し上げました。さらに運用収入の増加が確実になればこれは予算の問題でありますから、新たに補正予算なり国会の御議決を経まして措置を講ずるならば、それは不可能なことではございません。  ただ、私ども、この資金の安定的な運用あるいは歳出面からの将来の安定的な財源措置等を考えますと、平成二年度においては七百五十億で十分可能である。さらに資金の充実ということは、年金の返済財源あるいはこの老人保健の福祉事業、どちらに将来その財源として使い得るかというところはまた判断の余地があろうと思います。そういった場合、この制度が定着してまいりますと、次の予算編成段階におきましてその資金の使用等についてさらに論議を交わされるのではないかというふうに考えております。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 それじゃ実際的なことを一点お聞きしたいんですね。これは、一兆五千億を予算措置して、七百五十億、ここで予算では約八百十億計上されています、この運用益がついてくるのが、聞きましたら九月と三月ということですよね。その間は元本というか元金しかないわけですよ。だから、四月一日から使おうとすれば、元金を食うのか借り入れを起こすかしない限り使用はできないと思うんですけれども、予算書を見ても、支払い利息等についての計上はされておりません。これは、利子がついて運用益が具体的にこの会計に入って初めて使う、こういう前提で組んでいるんですか。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 基本的には委員御指摘のとおりであります。これは一つの補助金でございますから、その交付時期等々につきましてこれから具体的に検討をなされるべきものでございますが、運用益について実現がなされた段階において初めてその交付が可能になるというふうな関係に相なっております。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 それと、さきに厚生保険特会から借りておった金を補正予算で返しました。今回また補正予算でこれを返した。前回返したときは年金勘定に全額返していながら、今回だけこういう措置をとった。これはもう一度伺いますが、何か特別な理由があったということなんですか。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 今回の予算編成におきまして二つの大きな要請がございました。  一つは、厚生年金の過去の繰り延べ分の返済財源を確保するということ、もう一つは老人保健につきまして平成二年から加入者按分率が一〇〇%になる、これに対して老人保健の基盤安定化の措置を講ずる必要がある。この二つの要請を実現するために、今回お願いいたしましたような法律の形になりました。年金勘定にそのまま返済をしたわけではございません。  厚生保険特別会計の業務勘定に返済見合い財源を確保いたしまして、その運用益を活用させていただくということで、返済財源につきましては一歩前進、財源を確保したということ、それから緊急の課題である老人保健に対して基盤安定化の措置を講じられた、こういうことでございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 老人保健法に基づく医療費を被用者保険間で負担する、これはいいと思うのですね、ある意味においては。  もしこういう制度をするのであれば、医療費を負担する、あるいは徴収している保険関係で調整を図る、老人医療費だけじゃなくてすべての医療費で負担を図る、こういうのが当たり前だと思うのですよ。つまり、自賠責保険にしても労災保険にしても医療費を払っている保険においては同じなわけです。  なぜこの被用者保険間だけで調整をするのですか。自賠責や労災保険は調整しないのですか。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 今回の措置は、いわば一般の健康保険あるいは国民健康保険も含めた職務外の原因による疾病に対する保険であります。一種の損害賠償保険であります自賠責あるいは労災保険、これは職務上の事故に対する保険でありまして、これは全額事業主負担の保険であります。こういった保険とは全く性格を異にするものでありまして、こうしたものを含めて、老人保健制度の費用について按分して負担するということはなじまないんじゃないかと思います。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 ただいま業務保険と言われましたね。しかし、自賠責保険、多分御存じだと思うんですね。医療費百二十万を頭打ちにして、それ以上かかったやつは国民健康保険なりそれぞれの被用者保険の方にツケが回っているはずですよ。労災保険だって労災先行させるか、あるいは労災の決着がつくまで先に健康保険使わしてくれとかということはあるはずです。どうして調整できないんですか、その点について。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 制度はおのずからそれぞれ役割がございます。労災保険の事故について健康保険で支払うということはあり得ません。もしそういうことがありましたら、恐らくその適用の誤りであろうかと思います。  それから、自賠責につきまして、損害保険でございますから、原因者が負担をすべき、あるいは訴訟によって解決すべき分野でありまして、原因者が明らかになっているこういったものを健康保険の体系で処理をされるということはあり得ません。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 じゃ、限度を超えた自賠責の部分、百二十万を超えた自賠責の部分と、それから今問題になっている若年者のオートバイによる自損事故、これは間違いなく健康保険から、もしくは被用者保険から支払われておるはずですよ、自賠責じゃないですよ、これは。不法行為を行って、バイクで自損事故を起こして、その費用はだれが負担するか、健康保険で負担しているんじゃないですか。調整されて当たり前のはずだと思いますよ。  それからもう一つ、死傷病だけにこの保険が使われるといいますけれども、業務災害で第三者行為によっても健康保険でも求償できるはずですよ。したがって、第三者の不法行為についても一たん支払うというシステムにはなっているはずですよ。だから、保険間同士で調整できるんじゃないですか。しかも自賠責や労災保険は多額の黒字を計上しているじゃないですか。黒字を計上しているところとの調整ができないというのは私にはちょっとよくわからないんですけれども、そういう検討はなさったことないんですか。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 自賠責の問題あるいは労災の事故についてその原因関係あるいは責任関係が明らかでないときに健康保険で仮払いをするということは、これは十分あり得ます。  しかし、そういったところが、原因関係が明らかになれば、各制度間におきまして求償権を行使する。これはもう先生御指摘のとおりであります。それと、実態的にこの医療費をだれが負担するかという保険制度の間のおのおのの役割というのは違っておりますから、最終的な負担は先ほど来申し上げたとおりでありまして、したがいまして、そうした性格の保険と一般の健康保険との間の財政調整というのはなじまないということでございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 それではお聞きしたいんですけれども、厚生保険特別会計、会計のその目的を被保険者に対する療養の給付、要するに保険勘定、年金給付、年金勘定、それから被用者年金制度の費用負担の調整に関するやり方で調整勘定、児童手当法に基づく児童手当勘定。明らかに制度の違うやつを違う勘定に入れて処理しているわけでしょう。今のあなたの説明でいけば、保険関係だって違う違うと、こういう目的があって違う違うと言いながらどうして年金の勘定とこの特別の関係、会計勘定が同じものだと言えるのか。こちらに入れたから、こちらの金は将来返すからいいんだというそういう説明は成り立たないと思うんですけれども、その点はどうですか。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 勘定の独立については御指摘のとおりであります。  したがいまして、今回業務勘定に繰り入れたということは、年金勘定に繰り入れておりませんから、年金の過去の繰り延べ分について返済を行ったという関係にないということは先ほど来御説明しているとおりであります。ただ、将来年金の繰り延べ分についての返済財源がそこに確保されたということであります。それと各勘定というのはそれぞれ独立した考え方に立ちまして、いわば独立した特別会計と考えていただいて結構だと思います。この勘定はそれぞれその役割というのがございまして、おのずからその役割の中で仕事をしていただく、特別の経理をし区分をして収支を明らかにすると、そういう使命を持っておりまして、先ほど来申し上げているのもそういう趣旨でございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 それでは特別な勘定を起こしたらいいと思うんですけれども、予算書見てもたった一枚の資金増減表という形で処理している。しかもそれは業務勘定の中に入っているものですから、あなたの説明でいけば業務勘定とこの勘定は明らかに違うんだから別途独立した勘定を設けていいと思うんですけれども、その点はどうなんですか。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) この特別資金を設置する際に考えましたのは、一つは現在この厚生保険特別会計の業務勘定におきまして健康保険関係の福祉事業、保険福祉事業が行われております。その保険福祉事業に対する特別な事業として位置づけ、特別保険福祉事業というものを新たに創設をさせていただいた。その際、業務勘定で資金の創設が可能であるということで業務勘定に置かせていただきました。その歳出歳入につきましては業務勘定に計上いたしまして国会の御審議をお願いしていると、こういう関係でございまして、必ずしも新たな勘定が必要がない、さらに他のものと混同するというおそれもないということで、法制局等とも相談いたしましてこのような措置を講じさせていただいたという次第であります。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 それでは時間もありませんので、次の質問に移らさせていただきますが、国がこれから返さなければいけない、俗な言葉で言う隠れ借金、その中に政管健保の国庫補助の繰り入れの特例で約四千六百億残っていますね。保険財政を安定化させるのであればこっちの金を先に返すということが当たり前だと思うんですが、その点はどうなんですか。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 御指摘の政管健保に対する繰り入れの特例措置というものが存在いたします。これが約四千六百三十九億円でございますが、このものに充てるか、あるいは年金の返済財源に充てるかということでございますが、私どもとしましては、年金は長期財政設計に基づいて今財政の設計がされております。片方の政管健保につきましては、いわば短期保険でありまして、これは将来この保険財政が非常に困難になった時点、あるいはそういう場合に財政的な措置を講ずれば間に合うのではないかということで、今回この返済の財源の確保措置の対象にはいたさなかったということでございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 この質問に入る前に、いろいろ大蔵省の方にお願いをいたしまして隠れ借金なるものの一覧をいただきました。紙を二回にわたりましていただきまして、そのうち二枚目が来たときに、前回と違いまして政管健保の棚上げ債務として一兆四千五百五十六億というのが提示されてまいりました。今までこんな数字が出てこなかったんですが、一体大蔵省が言っているところの、俗な言葉で言う隠れ借金とはどういう定義に基づいたものが隠れ借金なのか、きちんとしていただきたい。  資料の中に突然一兆四千億余りの借金がございますなんというのが出てきたんでは審議がなかなか難しい点が出てまいります。一体隠れ借金とはどういう点を指して言っているのか、きちんと説明をいただきたい。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 御指摘の点は、恐らく元年度予算関係で予算委員会に提出した際、五十七年度以降の各年度で行った特例的歳出削減措置、これに政管健保のかつての棚上げ債務等が入ってないんじゃないかという御指摘だろうと思います。  前回御提出いたしましたときには、財政再建の途上、いろんな知恵あるいは中長期的な視点から国庫負担の平準化等を図った、こういった創意工夫を出されたもの等々があるではないか。その措置についての御要求でありまして、そうしたものになったと存じます。  政管健保の棚上げ債務については、御承知のように昭和四十八年度改正のときに棚上げをしたものでございます。今回委員にお示しした資料の中にそれが入っているのはどういう関係かと申しますと、先般、財政制度審議会で今後の財政のあり方等について種々御論議をいただいたときに、政管健保のかつての棚上げ債務につきましても、その性格等から見て、将来この返済問題について真剣に考えろという御指摘をいただいたものですから、その額をさらに追加して私どもとして整理したという関係でございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 私が聞いているのは、隠れ借金とはどういう基準、例えば法律なら法律のどこに基づいて、こういう意味だからこの計上されている分があるんですよと、一番、二番、三番とわざわざ違って番号を振ってあるのは何か別の意味があるんじゃないんですか、法律上の区分があるから振ってあるんじゃないんですかと、こういうことを聞いているんです。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 御指摘のように特例的歳出削減措置というのは種々ございます。私ども隠れ借金という定義そのものをかくかくしかじかというものは持ち合わせておりません。ただ、これまで講じてまいりました、まあ隠れ公債と申しますか、それに類するものとしては、委員御指摘のように、例えば国民年金の国庫負担の平準化措置のように、中長期的な観点から制度、施策がバランスのとれたものに、国庫負担の安定化を図ろうというような措置、あるいはそのときどきの運営に支障を生じない範囲でやむを得ざるものとしてとられた措置等々がございます。その性格は、これは区々でありまして、一概に特定の概念を持ちまして定義できるものではないかと存じます。  ただ、平成元年度補正予算におきましては、平成二年度から特例公債の依存体質脱却を目前に控えているということで、これまでの財政再建努力の過程で講じざるを得なかった特例的歳出削減措置について、それぞれの制度、施策をめぐる状況やこれまでの考え方を踏まえまして、返済や返済財源の確保等を図ったということでございます。  個々のものにつきまして必要ありましたらまた御答弁申し上げますが、すべてその性格がそれぞれ異なっているというところで、一概にこれを一つの概念で統一をし、それを合計して幾らというふうに整理するには必ずしもなじまないんではないかというふうに考えております。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 そうすると、私一年生議員でございますので極めてわかりづらいのですが、ここに出てくる隠れ借金と俗に呼ばれるものは、一体この予算書のどこを見たらそういう金額がきちんと出てくるものなんですか。私さんざっぱらひっくり返して見たんですけれども、こういう項目で載ってないもんですからわからないんですけれども、一体どこら辺を見たらいいのか、ちょっと教えていただけませんか。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 委員お持ちの資料は「今後処理を要する措置」という縦長の表であろうかと思うんですが、例えばその中に例示をされている「後年度の処理方法が法律で定められている措置」という中を見てまいりますと、「国民年金特別会計への国庫負担金の繰入れの平準化」、これはいわば国民年金の国庫負担が、当初無拠出の国庫負担だけの福祉年金がその大宗を占めていたということで、初めのころに大変な国庫負担が生じてくる、それを平準化していこうということで講じられた措置であります。したがいまして、法律にその具体的な平準化の額等が明示をされておりまして、予算書上は毎年国民年金国庫負担として必要な額を、その法律に基づいた額を計上するということに相なっております。  その他、「地方財政対策の改革による交付税特会借入金」とございますが、これは地方財政改革がとられました年に交付税特別会計の借入金を一般会計で肩がわりをした、これは国債整理基金におきましてその債務を承継いたしまして、年々それは、まだ元本の返済は始まっておりませんが、支払い利息が予算書上出てくるという関係でございます。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 大蔵大臣にお聞きしたいんですが、その後年度の処理方法が法律で決められている借金、これは概算ですけれども約八兆三千億ぐらいある。これを極端な言い方をしますと、本来払うべき年度に払っていればこんなのは出てこないわけですから、払えなかったということは、逆の言い方からすれば、特例国債をその分出さなかった、こういうことですよね。支出はあるにもかかわらず歳入がなかったから払えなかった。ということは、まだこれだけの分赤字財政であるということなんです。  したがって、こういうことで考えれば、平成二年度特例国債を出さないといったって、先送りしている部分があるから出さなくて済むんであって、これを出すということになれば特例国債を出さざるを得なくなる。そういう意味ではまだ赤字体質であるということははっきりしていると思うんですが、それについての御見解を。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 今までいろいろな場所で私が御答弁を申し上げてまいりましたときにも、赤字公債依存体質脱却というその目標は達成したけれども、あるいはするけれども、なお隠れ公債あるいは隠れ借金と言われるものが多々あります、こういうものを返済していかなければなりません。そのほかに国鉄清算事業団の長期債務、これが資産処分等が終わりました後に国民負担として処理しなければならなくなるものもございます。こういうものを全部返済をし切らなければなりませんということを繰り返し申し上げてまいりました。委員が御指摘になるその視点は、私はそのとおりだと思います。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 それでは、ちょっと二、三別の質問をさせていただきます。  これも大蔵大臣にお聞きしたいんですが、昨年の暮れに平成二年度予算を編成なさったとき、本院でも繰り返し大臣は言われておりましたし、総理の答弁にも自然増収がこれだけ上がってきているのは三高二安だと大臣は言っておられます、土地高、株高、円高だと。しかし、その十二月の時点よりも現在時点でいけば、これは逆の振れ方をしている。土地はちょっと上がっていますけれども、債券を含めてのトリプル安だと。それと同時に原油高であり、金利高になってきた、こういう前提条件がかなり食い違ってきている。  これは一時的なものなのか構造的なものなのか、判断によっても対応が違うと思うのですけれども、問題は構造的である、しばらく続くんだということであれば、果たして去年の暮れに組んだ平成二年度の予算の税収の見積もりが狂うのではないか。狂うというのは上にじゃなくて下に狂うのじゃないかと私は思うのですが、その点についてはどういうふうにお考えになっていますか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに、今委員が御指摘になりましたように、昨年来、私どもは、その三高二安という要因が多年度にわたり、あるいは恒久的に続くものではないということを繰り返して御説明を申し上げてまいりました。そして、今確かに現在の局面を見ますと、為替の円安傾向、また公定歩合の実勢金利追随での先日の引き上げといった報道がございますし、一時期ちょっと原油が高値に振れましたものはまた多少もとへ戻っておりますけれども、株式相場の不安定といった問題が生じておることは私は否定をいたしません。  ただ同時に、これもしばしば申し上げておることでありますし、たまたま本日参議院の、本院の予算委員会に日銀総裁が参考人として出席されましたとき、どなたでありましたかの御質問に答えられて、同様の部分に対し、日本経済のファンダメンタルズは非常にしっかりしている。ただ、確かに質的に要因の流れが変化をしてきているということは否定しないけれども、昨年来のいわば総仕上げ、インフレ予防のための総仕上げとも言うべき先般の公定歩合の変更というものが、これは即効性のあるものではないがやがて効いてくる、そうしたものの中で落ちつきを確実に取り戻すという見通しを述べておられましたけれども、私も基本的な認識というものは同様の考え方であると思っております。  平成二年度の税収見積もりにつきまして、政府として見積もり時点における最善の努力を積み重ね、利用可能な資料を使ってまいりましたその内容においては、私は今日の時点において変更する必要はない、むしろ先行きに対して我々は注意しながら経済運営に当たっていかなければなりませんけれども、基本的には問題はないものと、そのように理解をいたしております。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 時間がなくなってきましたので、最後に二点ほど大蔵大臣にお聞きしたいんですが、一点は、二年度予算の税収もかなり見込める、大丈夫だと、こういうことでございますならば、この税収が好調なときに税収の年度間所属区分を変える必要性が、今変えておけば一番混乱が起こらないと思うんですけれども、そして税収の見積もりが狂わなくて済む。この年度間所属区分の変更をするつもりがあるのかないのか、これがまず第一点。  それから、これは先週の金曜日に、大蔵省の担当の方に、質問しますからぜひ大臣にお答えいただきたいということでお願いをしておきましたが、日本の金利が上がりまして、だんだん日米の金利差が縮小してきた。そうすると、ジャパンマネーと呼ばれていた金がアメリカ国債に約三分の一ほど投入されていると俗に言われております。このジャパンマネーが日本に還流してきてアメリカにおける、アメリカ国債における日本の資金の割合が下がってくる。  こういうことになると、大臣がせっかく行かれていろいろ話をしても新たなる日米の摩擦、もしくは経済的な混乱というのが起こるのではないか、あるいはその可能性が非常に強いんではないか。したがって、何らかの対策なり考えはお持ちだろうと思うんですけれども、その点について御見解がありましたらひとつお聞きをして、質問を終わらせていただきます。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) まず第一点の御指摘につきましては、私も委員の御指摘と同様な気持ちがないわけではありません。ただ、同時に今委員が御指摘になりましたように、仮に例えば平成二年度に区分変更を行うということになりますと、これは確実に私はまだ、赤字公債をもう一度その部分発行しなければならないような状態に追い込まれるような感じがいたします。そして、これから先やはり注意をしながら、御指摘の方向にいつの日か必ず私は戻していくべきときが来ると考えておりますけれども、今回その御意見に従うだけの私には度胸はありません。  それから二番目の問題でありますけれども、確かに日米間の金利格差は縮小傾向にあるとはいいながら、なお相当な開きがございます。そして米国市場からの月々の証券取得には随分さまざまな動きがございます。私は、むしろ今投資家の投資の性向というものが非常にリスキーな動きをしておるという感じが否めません。言いかえれば、非常に思惑によって動く部分が大きいという点での不安を今までしばしば表明をしてまいりました。しかしその点を焼き直して考えてみますと、投資家の米ドル債券の購入というものにつきまして、金利動向ばかりではなく為替動向あるいは債券の換金性などさまざまな要因によってこれが動いておるという感じがいたします。  そうなりますと、一概に日米の金利差の縮小、縮小といいましてもまだ一・五ポイント以上の開きがあるわけでありますから、そうした部分のみの影響によって変化が生ずるという感じは私は持っておりません。

村田誠醇日本社会党・護憲共同

○村田誠醇君 終わります。

和田教美公明党・国民会議

○和田教美君 大蔵大臣、ロサンゼルス、トンボ返り御苦労さまです。トンボ返りの御苦労さまついでに一つだけブレイディ財務長官との会談についてお聞きしたいと思います。  日米蔵相会談の共同声明では、「為替市場における協力を含め、経済政策協調についての両国のコミットメントを再確認した。」というふうな表現がございます。これは報道によりますと、日本側が共同声明を出すように要請をして、結局円の相場の安定をさせるための一助にするためにこの共同声明を出したというふうに我々は受け取るわけなんですね。  ところが、実際の相場の動きはきょうの東京外国為替市場の円相場はまた下げて、一時は円が急落して三年二カ月ぶりの安値の一時百五十六円四十銭になったというふうなことでございます。株は確かにきょうは多少反騰しておりますけれども、円についてはどうも共同声明の効果はさっぱりなかったということになるわけです。  それで、大蔵大臣は記者会見で、現在の円相場が経済実態以上の円安ドル高であるということについて日米の認識が一致したというふうな趣旨のことを語ったというふうに報道されております。しかし、本当にそうなのかどうか。相場が示しておるところは、どうもここに食い違いがあるんじゃないかというふうな見方が強いというふうな報道もあるわけなんですね。  それから、今後アメリカがさらにドル高円安になった場合に積極的に介入をするのか、協調介入をするのかどうか、その点についての確認もされてきたのかどうか、この点についてのひとつ御報告を願いたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) まず第一点でありますけれども、アメリカ側が比較的消極的であり、その中で共同声明に踏み切ったということはそのとおりでございます。これは、大蔵委員会でありますので、多少の説明をお許しいただきたいと存じますが、この問題についての共同声明の発出について私の方から提起をいたしましたとき、アメリカ側の反応は二点でありました。  一つは、先般来ブレイディ・アメリカ財務長官自身がG7各国の大蔵大臣と次々に協議を進めておられます。そうした中で、各国それぞれにアメリカとの間に問題をお持ちであり、そのうちの幾つかの国々とは相当深い議論もされたようでありますが、そうした場合においても御要望があっても共同声明というものにはアメリカとして踏み切らずにきた。ここで日本の要請に応じて、日本との間だけに共同声明を出すということがG7各国の中の協調体制を考える上で得策かどうか、これがアメリカ側の反応の第一点でありました。  もう一点は、これは私もちょっと説明に大変苦慮いたしましたけれども、ブレイディ財務長官自身がブラックマンデーの後の市場の処理の責任者を務められたということでありまして、ブレイディ長官のいろんなお考えのベースには、ブラックマンデーのときの対応というものが非常に強く残っておられました。そうしますと、ブラックマンデーのときは非常に大きな株式相場の下落に対して、為替の変動はほとんどなかった。そして、証券市場にあった資金は、そのままシフトして債券市場に動いた。ですから、債券市場は非常に好転をした。それだけにトリプル安という原因がどうしても自分に理解できない。自分のなかなか理解できない中での為替市場について、為替の相場について日本との間に共同声明を出すということについてなかなか踏み切れない。これも一つのブレイディ長官が逡巡された原因でありました。  こうした点も議論の上でこの共同声明に踏み切ったということでありまして、これは受け取られる方によってその重みがどうとられるかは別として、アメリカ側とすれば非常に異例の対応をしたということでありましょう。  そして、同時にその中で双方の論議として一致いたしましたことは、少なくともやはり両国経済のファンダメンタルズというものを反映した相場であってほしい。これは具体的な為替水準について私どもが云々することは避けなければならないことでありますけれども、それが投機的な思惑等で振り回されるという状態は決して好ましいものではない。そして、そういった意味での為替市場の一層の安定を図るということについて両国の間の見解は間違いなく一致をしたと私は考えております。  そして、共同介入が積極的に行われるかどうかということは、これはその場面その場面におけるその当事者の判断によって市場に対応すべきことでありますから、これも具体的に私が云々をすることは避けるべきであろうと思いますけれども、日米両国間における協調体制とその枠組みというものは崩れていない、私はそう考えております。

和田教美公明党・国民会議

○和田教美君 もっとその問題を議論したいんですが、時間がごく限られておりますので本題の厚生保険特別会計法の一部改正案について、二、三問題点をお聞きしたいと思います。  この一部改正案の骨子は、平成元年度補正予算案で厚生保険特別会計の業務勘定に一般会計から一兆五千億円を繰り入れる。そして、これを特別保健福祉事業資金として設置をして、この資金の運用益で負担が増大する健康保険組合などのいわゆる被用者保険への助成を行う。そしてまた、この一兆五千億円というのは同時に厚生年金国庫負担繰り延べ措置、つまり国の隠れ借金の返済分に見合うものだと、こういう趣旨だと思います。  大蔵大臣は先ほどの答弁で、この年金国庫負担繰り延べ分の返済がこれで完了したということは言わない、しかしそのための返済資金を用意したというふうにおっしゃったわけでございますけれども、なぜこういう、この資金というふうなものつくってやらなければいけないのか。いっそのこと、一般会計から年金勘定にすっと返済すれば一番国民にはわかりやすいわけなんですけれども、なぜこういうややこしい、回りくどいやり方をするのかというのが素人にはどうしてもわからないと思います。それで、ひとつその点の御説明を願いたい。  厚生年金の加入者は、本来自分の年金勘定の運用をすべき資金が何かほかの目的のためのものに使われているというふうなことで、大変釈然としないものがあるんではないかと思いますが、いかがですか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) これは、どうも制度の話として私がお答えを申し上げるのが適切かどうかよくわかりませんが、こういう方法を採用いたしましたその原因には二つの問題がございます。  一つは、元年度補正予算において、二年度の特例公債依存体質脱却というものを目前に控えておりますところから、これまでの財政再建努力の過程で講じざるを得なかった特例的な歳出削減措置について、返済やあるいは返済見合い財源の確保など、できるだけ財政体質の改善を図る必要を私どもは持っておりました。  一方では、厚生省の方で老人保健審議会に老人保健のあり方について御論議をお願いしておられたわけでありますが、年末になりましてから老人保健の基盤安定化の財政基盤を整備することが必要だという御意見とともに、例えば一部負担の問題その他の問題が後に全部譲られてしまい、その中で我々は平成二年度の予算編成に対応する局面を迎えた。そして一方においては返済という目標を抱え、一方においては老人保健の基盤安定化のための財政基盤の確保という目標を抱え、この二つの政策接点のぎりぎりの選択の中からこういう方式を採用せざるを得なかった、これがそのとおりの話であります。

和田教美公明党・国民会議

○和田教美君 厚生省の方はいらっしゃいますか。——この特別保健福祉事業資金の運用益で老人保健制度の基盤安定化に役立てるというふうなやり方は、こういう手当は一体今後どのくらい続けていくというお考えなのか、続けなきゃいかぬのか。当分の間という話が先ほどの論議に出ておりましたけれども、大蔵省はさっぱりその当分の間はどのくらいだということは言わないわけですが、どうでございますか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) まさに当面の措置としてこの措置をお願いをしておるわけでございますが、先ほど大臣からもお話がありましたように、私ども老人保健制度のあり方につきまして老人保健審議会で一年半ほどにわたりましてずっと御検討をお願いしていたわけでございます。  特に、制度の長期的安定を図るためには、医療費のむだを排して効率的な医療の提供を図るとか、あるいは一部負担をどういうふうに持つかとか、あるいは公費負担をどのように拡充していくのかとか、そういった特に費用面のあり方につきましてなかなか意見が一致しなかったわけでございます。

和田教美公明党・国民会議

○和田教美君 いや、もう詳しい説明はいいですから。どのくらいと考えておるか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) そういうことで、要するに非常に重大なる懸案が残っているわけでございまして、その懸案につきましてこれから引き続きまして老人保健審議会やあるいは国会の場においていろいろ幅広い観点から御議論をいただく、こういうふうに期待をしておるわけでございます。  そういった御議論でいろいろ皆様方の関係者のコンセンサスを得て、どう老人保健を持っていくかということを見きわめなきゃならぬわけでございますが、そういうことができるまでの間というふうに私どもは考えております。

和田教美公明党・国民会議

○和田教美君 そうすると、この老人保健福祉事業というのが終了したと、これは大蔵省に聞きたいんですけれども、同資金は取り崩して業務勘定から年金勘定に必ず繰り入れるというふうに解釈していいんですか。  それというのも、厚生保険特会の年金勘定には現在七十兆円ぐらいの資金を抱えておって、さしあたり返済が急務ではないという解釈も成り立つかもしれませんので、この資金の運用益をもって新たな事業を行う財源に使うということもあり得るんではないかというふうな見方があるわけですが、この点はいかがですか。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 今御提案申し上げております制度は、一兆五千億円の資金に対する運用益を老人保健の基盤安定化事業に使わしていただくということでありまして、仮にその使命が終わりますれば、年金財政から速やかな繰り延べ措置に対する返済措置の要求がございますので、業務勘定から年金勘定への繰り入れというような形をとらしていただくというのが現行の制度でございます。  委員御指摘のように、将来どういう財政事情が生ずるかというようなことでございますが、それは現行の御提案申し上げている制度はそういうことを想定していないということでございます。

和田教美公明党・国民会議

○和田教美君 時間が参りましたので二点ばかり質問いたしますからお答え願いたい。  一つは、今審議している特別保健福祉事業資金のほかに今度の補正予算案では芸術文化振興基金、農山漁村振興基金、地域産業活性化基金など六つの基金が創設されることになっております。中には自民党の総選挙対策だなんて言う人もあるわけですが、いずれにしても最近資金だとか基金という名の新設がどうも目につくように思うんです。資金と基金とは一体どういうふうに違うのか。  それから、これは大蔵省に聞きたいんですけれども、最近の資金、基金の設置というものは傾向としてふえているのかどうか、それと、国の資金、基金は全部でどのぐらいあるのか。これをひとつ御報告を願いたい。  それからもう一点は、私はやたらに基金をつくって、そして何か余った金をプールするというようなやり方には余り賛成できないわけでございます。また、行革審の最終答申でも、特殊法人の新設に当たってはスクラップ・アンド・ビルドの原則を厳守するようにというふうに言っております。これはやっぱり資金、基金についてもある程度そういう考え方が必要ではないかというふうに思うわけでございまして、とりあえず金が余ったから、金の使い道がないから、残しておくと野党から減税だとかなんとかと騒がれるから、とにかく資金にぶち込んでおけというふうな考え方があるのではないか、その辺のところはどうかということをお聞きして私の質問を終わります。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) まず第一点の基金と資金の違いでございますが、基金とは特殊法人、地方公共団体、公益法人が特定の目的、用途に充てるためにその法人の一般の現金と区分して保有し、運用される金銭でございます。これに対して資金とは、国が特定の目的、用途に充てるために一会計年度に消費し尽くすことを予定せず、一定の現金を保有するというものでございまして、資金につきましては財政法第四十四条で「国は、法律を以て定める場合に限り、特別の資金を保有することができる。」というふうになっております。  基金については、必ずしも法律上の根拠を必要とするわけではございませんが、基金の設置については国がいろんな形で助成する場合がございます。例えば特殊法人に対する出資という形になりましたら、予算をもって国会の議決を経ると同時に、出資に対しては一定の法律をもって規制をするという関係になっております。  それから、御指摘の基金、資金の乱立は望ましくないということはもう御指摘のとおりでありまして、今私ども御提案申し上げている基金、資金につきましては、その目的あるいは効率的な使用の観点から必要であるということで御提案申し上げておりますが、行政改革の観点からいたずらに基金、資金の乱立は望ましくないというのは一般論としては御指摘のとおりだと思います。  それから、基金、資金の数でございますが、資金につきましては、これは国の制度でございますので法律をもって定められておりまして、これは十三個ございます。いわゆる資金的資金と申し上げまして、現在御提案を申し上げている資金等はその資金の運用益を活用するものでございますが、そのほかに例えば為替の管理資金のような日々売買をするために必要な資金とかいろんな目的等がございまして、合計十三個ございます。  それから、基金につきましては、これはその設置形態は種々でございまして、特殊法人に対する出資という形態をとりまして、それに出資金の運用の一方法として基金を創設するというものがございます。これは今国会でも幾つかのものについて法律でお願いをしておるところであります。  そのほか地方公共団体の設置する基金というのがございます。公共団体自身が持っているものでございますが、これに対する国との関係では補助という格好で出てまいるものがございます。そのほか民法公益法人に対する資金造成補助というものがございまして、実はこの数え方というのは非常に一定の前提を置いて割り切って考えなきゃいかぬと思うんですが、例えば今御提案を申し上げて、補正予算でお願いしております地域環境基金のようなものは、各都道府県に設置をされるとか、各地方公共団体に設置をされる、それをどう勘定していくかということによりますが、そういうものも一つとして勘定いたしますと、大体私ども今概算で計算いたしますと、七十ちょっと数があるのではないかというふうに考えております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 法案に関して若干の基本的な問題を質問いたします。  まず第一は、一応特例公債発行ゼロにこぎつけた今日、隠れ借金の一部であるこの厚生年金国庫負担金繰り延べ分ですね、この返済は直ちに行うべきではなかったのか。一応厚生保険特会に繰り入れたといいましても、業務勘定に繰り入れて資金として運用するのでは、年金勘定としましては事実上形を変えた新たな繰り延べじゃないか、こういう批判にはどうこたえますか。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 御質問の趣旨は、その運用益を新たに借用するという形ではないかということですが、運用益につきましては、将来返済の際に厚生保険特別会計の年金勘定にそれも含めまして返済をするということでありまして、新たな形を変えた繰り延べ措置という関係にはございません。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 しかし、実際はどう見てもそうなんですね。  それから次の問題は、今、和田委員も触れましたけれども、元来、加入者按分率一〇〇%移行に伴う各被用者保険の負担増加の緩和措置は一般会計で見るべきものだと思うんです。現に橋本大蔵大臣も予算の大蔵原案内示直前の段階では、一般会計から国庫負担六百億出すという案を厚生大臣に示しましたよね。ところが、途中で変わって、一般会計はわずかに百五十億、大部分が、今問題になっている七百五十億はこの運用益ということは、この一兆五千億円をこういう流用するやり方というのは財政の私物化につながっていくんじゃないのかと思うんです。  国が助成を要するものの費用は、本来一般会計から支出すべき当然の予算費目ですね。どうして一般費目でやらなかったんですか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) まず第一点は、財政の私物化という御批判でありますけれども、私物でない証明に本院の御審議を得ております。また、予算編成の過程におきましてはさまざまなお互いの意見の交わし合いはあるわけでありまして、あくまでもでき上がりました予算をもって国会に御審議をお願いを申し上げております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 私はこれ承認すべきでないと思うので反対をしますけれども、そのときどきの勝手都合であっちへやったりこっちへやったりするんじゃなくて、元来これは一般会計でやっぱり見るべき筋のものだと思います。  次の問題は、そもそも問題のもとをつくった老人保健制度の加入者按分率一〇〇%移行の問題は、突き詰めてみると国庫負担の削減をねらった措置じゃないかと思うんですね。これは老人保健法の改正前の昭和六十一年度段階で按分率は四四・七%、これを今回一〇〇%にしますと、トータルで三千二百八十三億円の国庫負担削減になります。九〇%を一〇〇%にするだけでも約六百四十六億円の国庫負担の削減になる。まさに問題の根本は、国庫負担を減らすための措置が生み出した各被用者保険の負担増加を国が一般会計で助成しないで、元来返すべきものを返さないでこの助成のために流用するという、結局これ国の責任逃れを意味するんじゃないか、こういう批判にはどう答えますか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) 端的にお答えを申し上げるなら、責任逃れはいたしておりません。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 随分短い答弁ですけれども、そういう批判があるということをひとつしかと胸に置いていただきたいと思います。  各被用者保険のうち、組合健保、共済組合の負担増加は合わせて八百十一億、これに対する助成額は六百九億円で、約七五%になります。これに在宅ケアの推進などに対する助成も合わせますと六百五十九億円、約八一%助成することになるんです。他方、政管健保の負担増加は四百五十一億円、これに対する助成額は七十五億円、こっちは一七%です。片方は八一%、片方は一七%。どうしてこういう助成額のアンバランスが出たのか。これ余り簡単だとわからないから、わかるように説明してください。

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) 小村次長、簡潔明瞭にお答えください。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 今回の助成の内容でございますが、一つは、各被用者保険の持ち出し額について老人保健につきまして介護的な色彩が強いということで一律に配分する部分が一つございます。さらにもう一つは、老人保健の拠出金の負担が非常に重くなる保険につきましてその財政力に応じて傾斜配分をしよう、この二つの方法をもってやっております。その結果、現在の老人保健への拠出金はいわば標準報酬、所得等を勘案して出すものではございませんで、加入者の頭割りで出している、そういったところを是正するために老人保健への拠出金の財源率、これは所得を反映した、所得と標準報酬と拠出金との関係でございますが、財源率が被用者保険の最も基本的な制度である政管健保を超えるものについて重点的に補助をするという形をとらせていただいた結果、このような結果になったということでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 財政能力その他ということでありますけれども、ただ、政管健保は老人保健への拠出金増加に伴って保険料を現行八・三%から八・四%に上げるんです。これによる国民の負担増加は約五百億円に上る。要するに、これだけの保険料負担を新たに強いている政管健保に対してわずか一七%の助成にとどめている、これは一体どういうわけなのか。これをわかるように説明してください。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 健康保険組合の中にも負担の激増するものがございまして、もちろん財政力の豊かなところに対しては補助をいたさない、傾斜配分のところの対象にはならない。しかしながら、例えば、子供さんが多くて所得が比較的低いグループ、このグループにつきましては拠出金のみが多くなってくるということに対して政管健保よりもさらに影響が大きいということで、標準報酬等を勘案した傾斜配分の部分も設けたという次第でございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 その点、五百億もの新たな負担増をいわば強いる。それに対して、その政管健保に対してわずか一七%という、これはどう見ても、また他のつり合い等を見ましても納得できないんですが、これを説明してください。    〔委員長退席、理事梶原清君着席〕

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 先ほど来申し上げておりますように、被用者保険の最も基本的な制度である政管健保よりもさらに負担の激増をする、あるいは所得を勘案して負担の増加が大きいという保険者に対して助成をしようというもの、その結果でございまして、いわば政管健保は昨今大変堅調に推移をしているということも反面言えるのと同時に、政管健保につきましては、基本的にはその給付について一六・四%の国庫補助が別途なされているというような関係も勘案していただきたいというふうに考えております。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 時間が来ましたので質問はやめますけれども、突き詰めて言いますと、結局はこれは国庫負担を減らすための措置と見ざるを得ないんです、詳しくは申しませんけれども。だから、基本的にはやはり国庫負担の抜本的な増額が必要であるということを申し上げて、質問を終わります。

古川太三郎連合参議院

○古川太三郎君 これは資金というお話でしたけれども、資金といえば、その目的によってその資金需要が多くなった場合にこの一兆五千億で足りるんですか、それともその足らない部分についてはまた一般予算からそれを要求なさるおつもりですか。そのあたりはいかがですか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) 予算要求というお話でございますので私からお答えをさせていただきます。  要するに、これからの老人医療費の展開などを考えますと、そういう問題も一つの問題として考えられますが、今回の措置といいますのは、当面の一〇〇%への按分率移行に伴う暫定的な措置というふうに考えているわけでございまして、当面における対応の程度としては、この特別保健福祉事業では七百五十億で十分ではないだろうか、こんなふうに考えているわけでございます。

古川太三郎連合参議院

○古川太三郎君 七百五十億で十分だとすれば、補正予算で七百五十億を組めば足ることじゃないんですか。わざわざ基金までつくる必要はないと思うんですけれども、その点はいかがですか。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 先ほど来御説明を申し上げているとおりでありますが、私どもとしましては厚生保険国庫負担と返済財源を確保しなけりゃならぬ。平成二年度特例公債依存体質からの脱却を目前に控えてこうした特例的な措置について返済または返済財源を確保するという一つの要請と、さらに現在の最も要望の強い老人保健制度について、その基盤安定事業が非常に政策的な要求として強く出てまいりました。この二つの要請を満たすためにぎりぎりの接点としてかような制度を創設をして御審議をお願いしているということでございます。

古川太三郎連合参議院

○古川太三郎君 そのお話はもう前から何回も聞いてよくわかっておるのですが、とにかく補正予算でそれを組まなけりゃならないということについてのお伺いをしているわけなので、本来ならば七百五十億で足るのだということであれば、私はわざわざ基金をつくる必要はないと、こう見るのですけれども、その点について明確にお答えを願いたいのです。財政法を一たん曲げてしまうと非常に危ないことになるということが基本である。よろしくお願いします。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 御指摘のように、毎年度予算をもって補助を出すというのも一つの方法として考えられると思います。ただ、今回厚生年金に対する返済財源の確保と同時に、将来にわたって老人保健の基盤安定化事業についてある程度の見通せる安定的な財源措置というのが関係方面から強い要望がなされた。この二つの御要請にこたえるためにこのような措置をとらさせていただいたということでございます。

古川太三郎連合参議院

○古川太三郎君 七百五十億という補正予算を組むということについて、本来ならばその補正予算で済むこと、毎年一般予算を組んでいけばいいこと。それが資金というような性格とよく合致するわけなんですけれども、基金なら別ですけれども。  国が借金をしている、それをそのままにして、なおかつその利息はまた別個支払わなきゃならないものですから、それをしながらわざわざ資金に入れておかなきゃならぬ、そしてその返済にもなっていないということについて一般の人は非常に疑問に思うんですけれども、そのあたりをいま少し聞かしていただけませんか。

小村武大蔵省主計局次長

○政府委員(小村武君) 御疑念は、厚生保険特別会計の年金勘定に本来帰属する運用益を別途老人保健基盤安定事業に流用してしまうのではないかという御指摘ではないかと思うんですが、今回お願いしておりますのは、そういうことをしているわけではございません。厚生年金に対する繰り延べ措置の返済に当たっては運用利息も含めて将来お返しをする。今回資金造成をいたしましたのは、一兆五千億というほぼ厚生年金の返済財源に見合う額でございますが、その運用益を活用する。厚生年金の返済額は一兆五千億円よりも少ない、予算ベースで約一兆三千億余りでございますが、やや余裕を持って組んでおることと、それから将来の返済に当たっては、その年金の運用益については、その分はお返しをするという形になっております。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 時間がないそうですから一点だけにしておきます。  この保険特別会計で一兆五千億を返したやつを、いえば流用ですわね。しかし、こういうことは本当に予算がないときならそれは非常に合理的でもっともらしくわかるのですが、    〔理事梶原清君退席、委員長着席〕 今までのずっと同僚の質問と同じように、これだけ補正予算で大盤振る舞いして財源が十分あるのに、老人保健法の関係だけこういうふうな非常な財源の二重利用というような考え方が、僕は非常に間違っていると思うんですよね。  殊にこの一点だけを言いたいんですが、いいか悪いかは別として、消費税という将来福祉財源にするというふうにまで言っているやつに、福祉財源として最もいいやつじゃないか、それをわざわざこんなことをしてほかのところへは一般財源を使ってこういうことをやるということについて、みんなが非常に不信感を持っているだろうと思うんです。  殊に、大蔵大臣のきょうの所信表明演説でも、消費税収のうち国分について福祉に優先して充てる趣旨を法律で定めると。法律で定めることを意図するぐらいなら、こういうようなことこそ初めからきちんと消費税がこの分で入っているのだから、こうやって逐次消費税を福祉に使わしてもらいますというと、非常に素直に我々もみんな、何というんですか、あるいは必要かもしれぬという納得も一部にはできると思うんですが、これはどうも大蔵省の筆先で自分たちの都合のいいような予算にやってしまって、大義名分とか国の福祉目的とかそういうようなことについての配慮は、僕は非常に足らなんだからこういうふうにいろいろ問題が起きると思うんですよ。  だから、いずれこういう問題は早く解消してやってもらいたいと思うんですが、大蔵大臣、一つだけ答えてください。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) あえて私も論争をいたすつもりはございません。結論のみ申し上げますと、過去の繰り延べ分の具体的な返済について、今後の国の財政状況、また今回の資金を活用して行われる特別保健福祉事業の必要性等を考えながら、年金財政の運営に支障を来さないように気をつけてまいるつもりであります。

下村泰参院クラブ

○下村泰君 大変何かせっぱ詰まった時間のあんばいなようであります。  今回のこの法改正を私なりにまとめまして、一つは財政全体の問題、二つ目は年金の問題、これは昨年暮れやりました。そして三つ目が老人保健、老人医療の問題、これはまさにさきに大蔵、厚生、自治の三大臣の合意の上で具体化されました「高齢者保健福祉推進十か年戦略」、いわゆるゴールドプランと政府が呼んでおられるもの、これと大変密接な関係があると思います。  そこで、今回の法改正の措置が「当分ノ間」と法案要綱にも明記されているように、臨時緊急なものだということで、老人保健、老人医療の抜本改革、これを前提としたものだと理解していいものでしょうか。厚生省、簡単に答えてください。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) おっしゃるように、本格的な老人保健制度の改正を行いたいと思っておりますので、それをそれまでの間私どもは考えております。

下村泰参院クラブ

○下村泰君 それで、このゴールドプラン達成のためなんですけれども、総事業費が六兆円と厚生省、これ見積もっておるようですけれども、その負担割りはどうなっていますか、簡単に。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) 六兆円のうち国と地方で持つことになっておりますが、ほぼ国が二兆円台の半ば、それから地方が二兆円強というふうな負担割合になっております。

下村泰参院クラブ

○下村泰君 まだたくさんあるんですけれども、飛ばします。  その裏づけとなる財源の問題なんですが、単年度主義の予算編成の中で、大蔵省はどうしてこれを実現させていくのか、その決意をちょっとお聞かせください。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) これは毎年度の予算編成過程で最大限の努力を払って、今後十年間にこの目標を達成するという意思を表明いたします。

下村泰参院クラブ

○下村泰君 ひとつ大臣、つけ加えておきたいんですけれども、昨年暮れの税制改革の折、平成元年十二月十一日です。このプランがまだ具体的に固まる前に大蔵大臣にお尋ねしました。そのときに「別」という言葉を使われています。  無論これについて我々は全力を尽くすわけでありますが、福祉の社会はそれで終了というわけではございません。ですから、例えば各種の障害に苦しまれる方々への対策といったようなものは、このお申し入れの趣旨とは別に政府として予算編成の中において十分検討していかなければならない課題であると、そのような受けとめをいたしております。 こういうふうにお答えくださっているんですが、この言葉をお忘れなく、くれぐれもよろしくお願いしたいと思いますが、御決意はいかがでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) この十カ年戦略を達成するだけで高齢化社会に対する備えが全部終了するわけではもちろんありません。各種の障害に苦しまれる方々に対する対応等当然のこととして努力をしてまいります。

下村泰参院クラブ

○下村泰君 太平洋を横断してお帰りになってお疲れのようですから、これ以上やると虐待になりますからこれでおしまいにしておきます。

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) これにて質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、厚生保険特別会計法の一部改正案に反対の討論を行います。  老人保険の加入者按分率一〇〇%移行に伴う各被用者保険の負担増加に対する助成それ自体は組合健保などの負担を緩和する側面があります。しかしながら、政府は厚生年金国庫負担繰り延べ分については、これまでの予算委員会などで、昭和六十五年度の特例公債依存体質を脱却した後にできるだけ速やかに繰り戻しに着手したいなどと再三にわたって答弁してきました。それならば、来年度の予算案で一応特例公債発行ゼロにこぎつけた今日、直ちに隠れ借金の一部である厚生年金国庫負担繰り延べ分の返済を行うべきであります。しかるに今回の措置は、当然返すべきものを返さないでそれを他の目的に流用し、その運用益を一般会計で負担すべき予算項目に充当するものであり、形を変えた新たな繰り延べにほかならず、原則的に見て問題があります。  また、向こう当分の間一般会計では安定的に財源が確保できないという口実も、現在一般会計で消費税の収入を全部除外しても、その他の租税・印紙収入だけで五十兆円を超える歳入が見込まれており、社会保障を重視する姿勢さえあればその範囲で十分優先的に確保できる性質のものであります。例えば、軍事費や大企業補助金など国民にとって不要不急の予算を大幅に削減すればこの程度の予算の確保は一般会計で十分できるのであります。  さらに、問題の本元をつくった老人保健の加入者按分率一〇〇%の問題にしても、まさにこの措置が国庫負担削減をねらったものであることは明らかであります。例えば、老人保健法改正前の昭和六十一年度の段階での按分率四四・七%を今回の一〇〇%にするとトータルで約三千二百八十三億円の国庫負担削減になり、九〇%から一〇〇%移行でも約六百四十六億円の国庫負担削減になることを見ても明らかです。したがって、国庫負担を減らすための措置が生み出した各被用者保険の負担増加については国が一般会計から別途助成して負担緩和を図るべきなのであります。それを、今回の措置のように、返すべきものも返さないでその助成のために当分の間流用するやり方は、財政の私物化につながり、国の責任逃れ以外の何物でもないのであります。これが反対理由の第一であります。  第二は、今回の措置は、国庫負担を削減しながら労働者と地方自治体の負担増加で国民健康保険財政の危機を一時的に緩和しようという政府の施策に対する国民の批判、不満をかわすための対策であり、政管健保など被用者保険への助成も、例えば政管健保の保険料が現行八・三%から八・四%に引き上げられることで約五百億円の負担増加を国民に転嫁することになることを見ても明らかなように、保険料引き上げをやめることにはつながらないのであります。国庫負担の抜本的な増加による制度の安定化が必要であります。  以上で本案に対する反対討論を終わります。

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  久保亘君から発言を求められておりますので、これを許します。久保君。

久保亘日本社会党・護憲共同

○久保亘君 私は、ただいま可決されました厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案に対しまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブ及び税金党平和の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 補正予算を編成するに当たっては、財政法の趣旨に従い、今後とも引き続き適正に行うように努めること。  一 過去における厚生年金保険国庫負担繰延べ措置については、積立金運用収入の減額分を含め、財政事情の許すかぎり可及的速やかに返済することに努め、もって厚生年金保険事業の長期的安定を図ること。  一 老人保健医療に係る加入者按分率が引き上げられることに伴う健康保険組合等被用者保険の老人保健拠出金の負担増が、これら被用者保険の保険料率の急激な引上げや保険事業運営に支障をもたらすことのないよう、適切に対処するとともに、老人福祉、保健及び医療の各般にわたり、老人保健制度の長期的安定化に努めること。  一 高齢化社会の進展に伴って、国民に過大な負担をもたらすことのないよう長期的な展望に立って、社会保障制度をより安定的に機能させることに努めるとともに、その一層の充実を図ること。   右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) ただいま久保君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) 多数と認めます。よって、久保君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、橋本大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。橋本大蔵大臣。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと思います。

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤井孝男自由民主党

○委員長(藤井孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後九時三十四分散会

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