商工委員会 第4号
- 発言数
- 203 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1990/06/05
会議録
○委員長(倉田寛之君) ただいまから商工委員会を開会いたします。 工業所有権に関する手続等の特例に関する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○庄司中君 工業所有権に関する手続の問題について質問をいたします。 工業所有権問題につきまして、昭和五十九年、西暦で言いますと八四年になりますが、それ以降の国会で幾つかの修正なり審議なりが行われております。そういう点で、八四年以降の国会の附帯決議――この委員会の附帯決議、大蔵の附帯決議をずっと通して見ますと、一貫して共通している問題は、どうして人材を確保するかという問題です。そしてもう一つは、待遇の改善をやはりやっていかなきゃならないということが、ずっと附帯決議を見まして、かなり共通の問題として出てきているということがあります。 もちろん、特許とか新案というものは、最終的には個人が判断するものでありますから、いわばかなり専門的な判断力を必要とする。そういうことからしますと、やはり制度の中心にあるのは人の問題ということになるだろうと思います。ところが八〇年以降、ずっと定員とか実人員の経過を眺めてみますと、どうも特許庁の人員がふえていない。ほかと比べてみますと、例えば中小企業庁であるとか資源エネルギー庁であるとか、あるいは本省であるとかに比較しましても、やはり特許庁の人員増というのは、少ないというよりも、実人員を見ますと非常に減っているということであります。 特許の問題とか新案の問題というのは我が国だけの問題ではない。我が国にとってこれは大変な問題でありますけれども、我が国だけの問題じゃなくて、国際的にももう既に大きな問題になっておりまして、ごく最近の日米経済協議でも、五年の間に審査の短縮を図るという約束を実はしているわけであります。それ以外にも、例えばアメリカの外交委員会であるとかヨーロッパからの、審査がおくれるのは審査官が少ないからだと、こういう指摘もあるわけでありますけれども、この間には行財政の改革もあったと思いますけれども、単に短期の問題じゃなくて、比較的長期に見ても、ほかの部門と比較しても、どうしてこういうふうな状態になっているのか、その辺をお伺いをしたいと思います。
○政府委員(吉田文毅君) 先生御指摘のとおり、特許庁の定員は一九八〇年度末の二千三百六十七人をピークといたしまして、その後八年間にわたって減少をしていたことは事実でございます。昨年度来ようやく定員は増加に転じております。このような事態になりましたことは、厳しい行財政改革の状況の中で政府として大変厳しい定員削減計画が実施をされまして、特許庁の定員についてもその削減を余儀なくされたということでございます。 特許庁としましては、出願件数の急増等に見られますように、特許に関する行政需要が増大しているという実態を踏まえまして、これまでも定員削減を最小限に抑えるという努力をしてまいったところでございます。 一方、近時、我が国の特許審査遅延問題に対しましては、ただいま先生御指摘のとおり、米国等から大変厳しい注文を受けているところでございまして、審査要処理期間の短縮を図るべく行政需要の実態を関係方面に詳しく説明して理解を求めつつ対応してまいっているところでございますが、昨年度来の定員増の傾向を今後とも継続させていただきまして、定員問題につきましては積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えています。 もちろん、定員問題だけではなく、ペーパーレス計画の推進や民間能力の活用によりますサーチ外注問題等につきましても積極的に取り組みまして総合的、体系的な施策のもとにこの審査遅延問題の解消を図ってまいりたいというふうに考えております。
○庄司中君 私が聞いておりますのは、行財政改革がありましたから、その影響というものは全部のセクションの方にかかってきている。ところが、私の手元にある統計を見ますと、通産省の中にもばらつきがあるじゃないか、このばらつきは一体どうしたんだということを聞いているわけです。
○政府委員(吉田文毅君) 例えば一昨年度におきますココム問題の際の定員増というように、その都度その都度行政需要の大変強いセクション等には定員増が認められるというようなことになっておりまして、この定員増と予定をされましている定員の削減、これとの相対関係によりまして、場合によりましては定員が増になる局等もございますし、私どものところにおきましては、昨年度来行政需要が大変強いということと、審査におきまして定員問題が特許庁にとって大変重要な問題であるという御理解がようやく関係方面に行き渡りまして、昨年度以来定員は増加に転じているということでございます。常時マイナスがかかるという中にありまして、特段の理由によりまして定員増を認めていただきますとようやくそれがプラスになるというような仕組みの中で、現在行財政改革が遂行されているわけでございます。
○庄司中君 今答弁があったわけでありますけれども、すべての統計にあらわれておりますように、特許に対する行政需要というのは今ふえてきたんじゃなくて、恐らく八〇年代あたりからずっとふえてきているわけであります。だから、行政需要がふえたのにかかわらず、つまり人をもって対応しなきゃならないという性格を持っているものでありますから、結論としては、やっぱり政府の、何といいますか、ある意味ではこの部門に対する過小評価があった、あるいは特許庁自身が必ずしも十分な努力をしていなかったんじゃないか。こういうふうに思われますけれども、その点のいわば評価の部分についてはどういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(吉田文毅君) もちろん、各省あるいは通産省内におきましても各局各庁をながめますと、先生御指摘のとおりに、ある段階におきましてはプラスになっているところもありますれば、ベースとして入っておりますマイナスの波をかわし切れないでいる、結果としてマイナスの記録になっているというようなところもあるわけでございます。私どもの諸先輩も大変な努力をいたしまして、かなり大きな数字で毎年マイナスがかかってくるわけでございますが、このマイナスを最小限にとどめるように努力をしてきていたというふうに認識しておりますが、最近の工業所有権行政を取り巻く情勢の厳しさにかんがみまして、最近ようやくそれが全体としてプラスに転じるということが認められ始めたということでございます。
○庄司中君 審査官あるいは審判官の問題といいますのは審査期間の問題に関係してくる。この審査期間というのは、国内的な条件だけじゃなくて、今や国際的な条件になっているわけであります。日米構造協議でもああいう約束をしているわけでありますから。つまり、こういうところで問題を起こさない、これがスムーズに移行できるようにするということはこれからも配慮していただきたいということであります。もちろん審査の短縮という問題は人の問題だけじゃないだろうと思います。人の問題はかなり重要なポイントになりますけれども、それ以外の総合的な対策、ペーパーレス計画もまさにそうであります。今度の法律改正もまさにその一環でありまして、ある意味では画期的なことであるというふうに私も評価をしております。 ただ、やはり何といいましても専門的な高度の判断業務、判定をしなきゃならぬということがありますので、人材の確保という点あるいはそれを導き出すための待遇の改善ということではこれからやっていかなきゃならないわけでありますけれども、人材を確保する上での情勢というのは御存じのように非常に厳しくなっておりますね。今や人手不足がもう一般化しているという問題があります。そして、人手不足が一般化しているだけではなくて、いわば職業の選好が変わってきている。どこどこへ就職したい、どこどこへ就職したくないという選好がかなり明確になってきておりますね。 例えば理工系の学生が製造業を選ばない、そして金融・保険業、つまりサービス業に移行していく。これはもう製造業の経営者自身もかなり危機感を持っております。いわばそういう社会的な背景がありますと製造業に人が来ない、優秀な人材が集まってこないということになりますと、民間では一番大きな問題になりますのはやっぱり研究開発の部分であります。ここに人が来なければ非常に困るわけです、勝負は実はここにあるわけでありますから。同時に、これは特許庁の審査官とか審判官に大きな影響を持ってくるんじゃないだろうかということは当然考えられます。 既に国の研究機関におきましてもやっぱり人材ということが非常に大きな問題になりつつあるということが明らかになっております。だから、特許庁の審査官とか審判官を確保するためには一般的な流れじゃなくて特別な対策が必要になるだろうというふうに思います。まさに手続の面で今度は大きな変革が起こるわけであります。そしてまた、特許に対する需要というものはこれからもふえていくだろう。質を変えて抑えなきゃなりませんけれども、ふえていくだろうということになりますと、人材確保の面で社会的な風潮はこうなっておりますから特段の努力が要る、努力だけではなくて特別の対策が要るんじゃないだろうか、こういうふうに思いますけれども、どういうふうにお考えですか。
○政府委員(吉田文毅君) 御指摘のとおり、特許庁にとりまして人の問題は大変重要な問題でございます。数量的にも重要でございますし、質的にも重要だというふうに認識をしております。また、最近の求人の情勢が大変厳しいという点につきましても同じような見解を私は持たせていただいております。 こういう中にありまして優秀な人材の確保を図るというために、私どももいろいろ工夫をさせていただいております。例えば東大、東工大、名大等に工業所有権の講座がございますが、そういうところへ講師として職員を派遣いたしまして、あわせまして工業所有権問題のPRをやらさせていただくとか、あるいはいろいろな新聞社等のシンポジウムにも積極的に出かけまして講師役をやらせていただきまして、工業所有権問題の重要性について訴えるというようなことをかなり組織的にやらさせていただいております。 また基本的には、職員の処遇の改善の問題ということが新たな職員を獲得するにつきましては大変重要であるという認識も持たせていただいておりまして、私どもはそのような線に沿いましても過去数年間かなりの努力をさせていただきまして、それなりの実績を上げさせていただいているというふうに考えております。 このような私どもなりの努力の結果、本年度におきましては国家公務員のI種の試験合格者の中から七十七名に上る審査官補の新規の採用が実現したところでございます。この七十七という数字は、昨年度、一昨年度が四十名台であったということに比べるとかなり大きな数字でございますが、今後ともこのような努力をさらに拡充するということによりまして、人材の確保に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
○庄司中君 人材の確保とそれからその確保のための処遇の改善ということは非常に大きい問題だろう。特許庁のこういう制度にとっては大きい問題ですから、これは単に今の問題だけじゃなくて、ある意味では中長期に考えて対策を打っていく、幾つかの布石を打つとか具体的な対策を打つとか、その対策を大きくしていくとか、こういうことはやっていっていただきたいということを申し上げまして、次の問題に移ります。 次の問題は、出願が非常にふえているという問題であります。国際的に見ましても、既に資料で明らかになっておりますように、例えば審査官がアメリカと比べてもヨーロッパと比べても日本は少ない。しかし出願数は圧倒的に多い、つまり世界の特許出願数の四〇%に達する。そうしますと、一人当たりの処理件数というのはやっぱり猛烈に多くなってこざるを得ない、こういうふうになりますね。 問題は、特に八〇年代後半にこの出願増加の傾向が出てまいっております。その増加の傾向が資 料にも明らかになっておりますように、大手企業の出願数が物すごく膨らんできているということがあるわけであります。大手企業の出願数が急速に膨らんで、庁としては上位百社に対して厳選主義を要請しているという話も承っておりますけれども、つまり出願数が増加した要因といいますか、単なる要請じゃなくて、要請をするためにもなぜ出願数がふえたかという根元の要因分析をやらなきゃこれは対策は出てきません。一般的にお願いしますでは、これはまずいわけであります。庁としてはこの出願数がふえた要因、これは一般的に技術の高度化と複雑化だけではいかぬわけですね、これはもう全部の傾向でありますから。一般的な傾向としましてそういうことはありますけれども、その具体的な要因分析、増加の要因分析というものをやっているのかどうか、その辺を確かめたいと思います。
○政府委員(吉田文毅君) 我が国におきます特許・実用新案の出願件数でございますが、一九七一年に約二十三万件であったわけでございますが、これが八七年におきましては、この年はこれまでのピークの年でございますが、五十四万件というふうに増加をしております。御指摘のとおり特に八〇年代に入りまして出願件数は急増しているところでございます。 私ども、この原因といたしましては、まず第一に我が国におきます技術水準の向上、第二に研究開発投資の急増、第三に工業所有権保護意識の高まり、これらの要因を反映してふえているというふうに考えております。
○庄司中君 第一の要因と第二の投資の問題、この二つの問題についてはある意味では一般的な傾向ですね。私が仄聞するところによりますと、第三の要因というものが非常に大きい、つまり知的所有権に対する評価が非常にふえている。そして、これに対する対策というものは、例えば企業におきましては特別の課を置くとかあるいは室を置くとかということを一斉にやってまいりました。これは八〇年代後半の傾向でしょうか、アメリカと日本のトラブルが顕在化をしたあたりから企業としてはそういう対策をやってきたところだと思います。 第三の要因は、これをどういうふうに誘導をしていくのかということがかなり大きい恐らく課題だろう。ふえたのを見ますとやっぱり大手企業が多いわけですから、大手企業の取り組み方が変わってきたという要因が非常に大きいわけですから、これについてどういうふうな対策を打っていくのか。つまり、長官がおっしゃられた第三の要因に対して具体的にどういう対策を打つのか。第一、第二は、これは一般的な傾向でありますからこれはこれでわかるわけでありますけれども、その辺を教えていただきたいと思います。
○政府委員(吉田文毅君) 私どもとしましては、この工業所有権の保護意識の高まり、これはある面では大変いいことであるというふうに感じておりますが、御指摘のように、余りの高まりの結果、本来特許権等で保護しなくてもいいような権利の卵まであえて出願をするというようなことになりますと、私どもの能力のキャパシティーを超えるというようなことにもなりかねないということで、昭和六十年度以降、企業上位百社に対しまして、AP六〇あるいはAP八〇と呼ばさしていただいておりますが、出願、審査請求の厳選化ということをお願いしているわけでございます。 あわせまして、今法案審議をお願いしておりますペーパーレスシステム、このシステムの構築に伴いまして、総合データベースでございますとか、あるいはFタームでございますとか、いろいろなシステムが構築されつつございます、あるいは構築されております。これらの特許情報は、企業等にとりましては技術を今後開発する場合に大変重要な指針にもなりますし、また新たに出願ないし審査請求をする場合に、先行している技術としてどういうものがあるのか、果たして自分の出願しようとしているものが権利となり得るのかというようなことを確認する際の重要な指針にもなり得るわけでございますが、特許庁がペーパーレス計画の中で構築をしておりますこのような各種のシステムあるいは情報につきまして、これを民間に提供するというようなことも現にやらさしていただいております。 さらに、企業等にとりましては、いわゆる防衛出願と呼んでおりますが、あえて権利をみずからとらないまでも、それを公開することによりまして人様も権利をとらなくなるということで、一応の目的は達し得るというレベルの技術につきましては、これを出願することにかえまして、例えば発明協会で出しております公開技報という雑誌がございますが、このような雑誌の中で公開をするということによりまして出願に実質的にかえるというようなことをやっていただきたいということもお願いをしているところでございます。
○庄司中君 つまり、特許の量の問題と質の問題ということ、この二つをやっぱり考えていかなければ――だから量がふえたからどうのこうのじゃなくて、むしろ質の面を重視していくというお話があったわけでありますけれども、質の面の重視ということになりますと、例えばよく各国の比較をされます技術貿易、つまり日本の力がどのくらい国際的にあるのかという問題です。 これを一番新しい科学技術白書で見てみますと、やっぱり依然として日本は低いですね。ちょっと数字を挙げてみますと、輸入に対する輸出の割合ということになっていますが、そうしますと、輸入が多いわけですから〇・三四ということになります。つまり日本は、輸入に対して輸出は三分の一という計算です。同じように、これはアメリカは昔からダントツです。六倍輸出の方が多いということですよね、六・六四ということになっています。大体均衡がとれていますのがイギリスです。これはおもしろいですね、少し低下傾向ですけれども、イギリスが大体輸出入のバランスがとれています。フランスが〇・五六、西ドイツが〇・四九ということで、この技術貿易を見ていますと、世評とは反対に、つまり質の面では恐らく日本の技術というのは買われているのかなという感じがいたします。 こういう点で長官は、特許のレベル、立場から見まして、こういう技術貿易のいわばある種の不均衡でありますけれども、日本は非常におくれている。これは世評とかなり違うんじゃないか。量と質、つまり質の面から見たら一体どうなんだろうということについて、どんな評価をお持ちになっていますか、ちょっとお聞きをします。
○政府委員(吉田文毅君) 数字は先生御指摘のとおりだと思っております。 しかし、先生御指摘の数字は、日本について申し上げますと、ストックベーシスとフローベーシスと合わせた数字でございまして、例えば昔契約をしまして、それに基づきまして長期間にわたってロイヤリティーを支払っているというようなものがベースに入っているわけでございます。一方、フローベーシスで毎年毎年新規契約をしているものについて眺めますと、これも同じく総務庁の統計局の数字でございますが、昭和四十七年から昭和六十一年に至るまでの間、日本はフローベーシスでは黒字に転じております。六十二年にまたちょっと引っ込んでおりますので、まあどういう事態があったのか細かい実態は存じ上げませんが、昔は先生言われたとおりであったわけでございますが、最近は大分様子が変わってきているというふうには感じます。 それから、私どもに出願される新規に開発された技術と、それから契約ベースでやっている技術との間には若干のタイムラグもあるであろうというふうに感じております。私は、先ほど三つの理由を挙げまして、これが出願増の原因であるという御説明をさせていただきましたが、その中の第一の理由でございます技術水準が上がったという点は、私どもは出願されてまいります特許の内容から見てそのような判断をしている次第でございます。 例示で申し上げますと、例えばバイオ、例えばレーザー、例えばコンピューターに半導体、さらにオフィスオートメーションと、このようないわ ゆるハイテク分野の出願というものが、過去十年ぐらいの数値をとりますと平均的な出願の伸びを大変大きく上回ります。十年間で五倍、あるいは場合によりましては六倍近い数値になっているというようなことから見まして、日本の出願の中身がいわゆるハイテク分野にかなりの程度にシフトしつつあるというようなことは言えるというふうな認識のもとに、技術水準のレベルアップも出願増の一因でございますという説明をさせていただいた次第でございます。
○庄司中君 非常によくわかりました。ストックとフローを分けますと、確かにフローの面ではそういう傾向があるかなという感じもいたします。その数字以上に私たちは日本の技術水準にもう少し楽観的になっていいのかなという感じがいたします。 さて、次の問題に入ります前に、さっき長官が防衛出願という話をされました。私が知っている範囲では、IBMの特許に対する対応というのは大体そうだというふうに聞いております。例えばIBMは非常に質の高い技術については特許を取るけれども、そこに至らないような、あるいは一つの企業戦略としてそれ以外の技術についてはオープンにして公開をしている。そして後の人は、もう公開をされましたから特許が取れない、つまり新規性がなくなるわけですね。特許に対してこういう行動をとっているということを聞いております。私たちの側から見ますと、例えば技術移転を考える場合に、つまり特許にしないで、保護を受けないで、むしろあるレベルの技術は公開をして一般化してしまう、これは技術移転を考える場合にはいいんじゃないだろうかというふうに思いますけれども、防衛出願、つまり何にしても公開されなきゃなりませんよね。公開の手段を非常に拡大して、そしてIBMのような行動をとることはいいんじゃないだろうか。技術移転の面から考えましてそんなふうに思いますけれども、どんなふうな評価をされていますか。
○政府委員(吉田文毅君) IBMにおきましては、年間約二千四百件の技術をIBMのテクニカル・ディスクロージャー・ブレティンという雑誌で公開をしております。それでは、特許を取る件数というのはどのくらいかといいますと、私ども、アメリカのデータなものでございますから、アメリカにおきましては出願の数字ではなく権利化した場合の数字というものが世に明らかにされておりますが、IBMなどの優良企業の場合にはその数字はほとんど一致をするというふうに思われますので、その数字を引用さしていただきますと約六百件でございます。権利化するものの約四倍の技術を雑誌によりまして公開をしているというのが、IBMが近時点とっておりますポリシーであるというふうに考えます。逆に見ますと、出願の可能性のある新しい技術を、特許性あるいは事業性というような判断基準のもとで十分評価を行いまして、出願を厳選してまいっておるというようにも解釈できるのではないかというふうに考えます。 一方、我が国の出願構造を分析いたしますと、先ほど申し上げましたように、あえて特許を取る必要のないレベルの発明であるにもかかわらず、例えば自社としては特許権を取得して独占するほどの発明ではないが、しかしほかの社がこれを権利化すると自社で実施が困難になるというような思いからこれを出願されるものが相当数含まれております。過去に私どもが行いましたアンケート調査によりますと、このような出願は全体の出願の約二割に達するのではないかというふうに考えております。 このような防衛出願につきましては、公知のものとしてほかの社の権利化を防止すればその目的は達し得るわけでございます。そのような発明は、先ほど御紹介を申し上げました発明協会の公開技報あたりに載っけていただきますと、私どもはこの雑誌に載っけられたものにつきましては、本年度予算を通させていただきますと、その予算に基づきましてこれを特許庁のデータの中に織り込むということをやるつもりでございます。また、企業等にもこの雑誌の御活用などを、もちろんこの雑誌に限らず自社でIBMのようにそういう雑誌を発行していただいてもいいわけでございますし、現に日本の企業の中にもそういうコード・オブ・ビヘービアをとっておられるところもございます。それで私どもは、そういうケースでない場合にはどうぞ発明協会の雑誌を御利用くださいませと、こういうことをお勧め申し上げているわけでございます。 最近の数字をチェックいたしますと、この公開技報の掲載件数でございますが、八八年に一万六千件掲載をされていたわけでございますが、八九年にはこの一万六千件が二万一千件へと増加をしてまいっておりまして、私どものお願いが少しずつ浸透しつつあるのかなというふうに感じております。 先生御指摘のIBMのポリシーというものは、現状私どもの置かれております状況に照らしますと、大変ありがたい立派な考え方であるというふうに認識をしております。
○庄司中君 私も大体そんなふうに考えております。そのためにはやっぱり公開性を確保していく、つまり特許は取らないけれどもこれを一般化してスムーズに公開をする。それには公開の分野が非常に広くないとこれはだめでありますから、そういう点でこれからの行政レベルではその公開性をどういうふうに強めていくか。そうすれば技術移転ができますから、トータルとしての日本全体の技術のレベルも上がっていくだろうというふうに思いますので、特に公開性を確保する、その強化を行政レベルでこれから続けていただきたいということをお願いをしまして、次の問題に移りたいと思います。 次の問題は知的所有権で、工業所有権だけじゃありませんで知的所有権全体が今世界で大きな問題になっている。これは一番端的な例では、大臣がよく指摘されますガットでの対応ですね。それからもう一つは、例の世界知的所有権機関、これは国連の機関でございます。それのクラブ15、つまり先進国のクラブでございますけれども、クラブ15の方は、来年の中ごろでしょうか、これを通じて条約化を考えているという報道がございました。ガットの問題はこれはもう年末には片をつけなきゃいけないという問題です。 そもそもガットというのは、やっぱり物の貿易だというふうに思いますけれども、知的所有権の問題が非常に大きくなってまいりまして、サービスとかこういう問題も取り扱うというふうになってきました。報道によりますと、何か別な機関をつくって、つまり一般のガット、これは連動しておりますけれども、ある程度切り離してこの問題を考えていくというふうな報道がございます。大体この問題は、やっぱり経済が国際化してきますと、どうしても特許なんかについての制度が各国ばらばらじゃいけませんから、これを調和していくとかそろえていくとかということと、統一化していくということはもう不可避なことでありまして、これは経済の国際化の場合にはどうしても必要だ。そして、それをやってまた国際化を促すという作用があるわけでありますけれども、私が心配をしておりますのは、例えばアメリカの行動でございます。 アメリカの行動は八〇年代の中ごろからでしょうか、つまりアメリカの経済が少し怪しくなってきた、特に製造業が怪しくなってきて相対的な地位が低まったところから特別に知的所有権の問題の声が大きくなってきた。ところが、国際的な統一された制度がありませんから、これを二国間協議で、ある意味では二国問協議でやりますと力関係が反映しますから、例えば韓国であるとか方々やってきましたよね、保護をやっぱりつくれということでやってきました。そうなりますと、二国間協議で保護を強制をしますと、途上国なんかそうでありますけれども、いわば技術の転移が難しくなってくるという問題があると思います。当然途上国ではアメリカのこういう行動とか、先進国が固まって途上国に何かを押しつけるというような 印象を持っているようでありますけれども、これから日本の一つの大きな役割として、どういうふうに途上国に技術の転移をやっていくだろうか。技術というのは御承知のとおり大変な問題でありまして、これは資金よりも大きい問題、つまり技術には合理的な思考がついておりますから、合理的な思考がつきますと例えば文化まで変えていくというふうなことが起こり得るわけであります。 そういう点では、この世界的な協議、もう既にいろいろな報道がされておりますけれども、まず途上国への技術転移の問題、これを視点に挙げて、現在どういうふうな状況になっているか、あるいはその視点から見て日本はどういう役割を果たし、また果たそうとしているのか。この辺は、話が長くなってきますので、特に長官は得意の分野ですから聞かせたいだろうと思いますけれども、余り時間がなくなってきましたので、的確にひとつ要領よくきちんとお答え願いたい。
○政府委員(吉田文毅君) 簡潔に申し上げたいと思います。 御指摘のとおり、私どもも、発展途上国が工業所有権制度の整備あるいはその運用の整備を図るということは、技術の転移さらに自国内の技術開発等にとりまして大変重要である、言いかえますと経済発展の基盤を形成するということにもなろうかというふうに考えております。もちろん、先生御指摘のWIPOやあるいはガットにおきますハーモナイゼーションにおきましても、途上国がある程度の理解を示すということは大変重要であろうと思っております。 したがいまして、あらゆる機会を通じまして、私どもは、発展途上国の方々に対しましては工業所有権制度の経済発展にとっての有意義性ということにつきましてお話を申し上げておりますとともに、途上国の方々を招聘し、工業所有権制度を勉強していただく、あるいは特許庁の方から各国に専門の職員を派遣申し上げまして、例えばサーチの仕方でございますとか、あるいは情報化のあり方等についてお教えをする、さらに途上国の依頼によりましてサーチ自身を我が国でやって差し上げまして、英文のレポートを提出する等いろいろな活動を行ってまいっております。なかんずく昭和六十二年度からはWIPOにジャパンファンドというファンドを設けさせていただきまして、アジア・太平洋地域の発展途上国が特許制度等の整備を行えるようにということで有効に活用させていただいております。 その一環といたしまして、本年一月には東京でラウンドテーブルと称しまして、アジア関係国等の特許庁の長官等を御招聘申し上げまして、工業所有権制度の利用の仕方というような点につきましてシンポジウム的なことを行ってまいっております。このようにいろいろな面におきまして途上国のまず理解を求めるというようなことから始めさせていただいているというのが現状でございます。
○庄司中君 私が特に聞きたかったのはこういうことなんです。つまり、特許もそうですけれども、技術というのは保護をしなければもう外へ出さないわけですね、途上国でも同じだと思う。ある意味ではアメリカの行動というのはやっぱりそうだと思います。つまり、知的所有権というのはお金になる、だからこれを相手国が勝手に使われちゃ困る、だから保護をしてもらいたいというのが一つのアメリカの行動だろうと思います。先進国は共通してやっぱりそういう期待を持っているだろうと思います。ですから、世界知的所有権機関の中でもクラブ15ができる必然性はあるわけであります。何かまとめようとするとやっぱり途上国と話が通らない。だから、先進国だけでとにかくやっぱり集まって一つの条約なり何なりをつくろう。これは必然だろうと思います。当然だろうと思います。 ところが、途上国からしますと、もうこの技術を使いたいと思っても、これが特許だと金を払わなきゃ使えないということになります。保護ががんじがらめになりますと、今度は技術の転移を難しくしていくという問題があるだろうというふうに思います。だから、先進国は保護をしなきゃ出さないよということ、がんじがらめになったそのものは受け取れないよというふうに途上国はなるだろうと思います。 それぞれニーズがありますよね、全然逆方向のニーズがありますから、これをそれぞれまとめ上げていく、そしてこれを全体として統一していく、調和をしていく、途上国を絶対排除しない、つまり技術帝国主義をやらないというふうに考えていかなければならない。ですから、長官がさっきこれこれをやっていらっしゃるということは非常に結構でありますし、私もそれも伺っておりますけれども、むしろ今必要なことは出す方と受ける側とそれをどういうふうにシステムにしてまとめていくのか、そして調和をとっていくのか。特にやっぱり途上国への技術の転移を考えてやっていく場合にはそれはどんな仕組みになるのか、日本はそのためにどんな努力をしているのかということを聞きたかったわけです。
○政府委員(吉田文毅君) 例示的で恐縮でございますが、例えば現在ガットにおいて議論をしております紛争処理の問題でございますとか、あるいは強制実施権の問題でございます。これらの問題はなかんずく発展途上国と先進国との間で大変議論の割れている、いろいろな議論のあり得る分野でございます。 これらにつきましては、例えば紛争処理について御紹介申し上げますと、先ほど御指摘のありましたような某国の二国間での交渉あるいはさらに一方的な措置を講ずるというようなことは、私どもは国際経済の健全な発展のためによくないというふうに考えております。したがいまして、工業所有権問題等につきまして紛争が生じましても、それは多国間の協議の場において合理的に処理をされるという必要がある、それによりまして発展途上国も初めて安心をしましてその多国間の場の協議に参加をすることができるようになるというようなことではなかろうかと思っております。また、強固なる権利を付与するということに一方的に走ってしまいますと、その結果といたしまして、強制実施権というのは権利者の意に沿わない場合でも実施は一定の条件のもとで認めるという仕組みでございますから、この仕組みと抵触をしてくるということになりまして、そういう大変な権利を設定されるのであるならば、また強制実施権もないということであるならば、この国際的なフレームワークにはとても参加できないというようなことにもなりかねないわけでございます。 私ども日本といたしましては、このようなかなりセンシティブな問題につきまして、これまで日本経済が発展途上国的なところから年数をかけまして成長をしてきたというような経験にも照らしまして、発展途上国と先進国との間に立ちましていろいろ積極的な調和のための提案をさせていただいてまいっております。それなりに両サイドから耳を傾けさせていただいているというふうに認識をしております。
○庄司中君 話を伺いまして、アメリカ型の接近じゃなくてむしろ途上国を考えてその調和を図る、先進国との調和を図っていくという態度をこれからも続けていただきたいというふうに思います。 時間が来ましたので、今まで申し上げましたのは、いわばペーパーレス制度というのはこれですべて解決できない、ほかの条件をやはり考えていかないと、つまり総合的に考えていかないと制度としてはうまく機能しないということで申し上げていたわけでありますから、時間の許す限り、今度は法律の問題について、かなり細かくなりますけれども何点か質問をしたいというふうに思います。 一つは、今度の法律案を見ていますと工業所有権が四つございます。主として、今度の法律案というのは特許と実用新案の二つが主体になっています。そうしますと、素人で考えられますのは、例えばオンラインに意匠を乗せるあるいは商標を乗せるということは、まず色の点で乗らないんじゃないかというふうな私たちは感じを持ちます けれども、しかしこの手続が四つを対象にしていますから、やがてはこれは乗せる考えがあるのかな、第一条にそうなっておりますから乗せる考えがあるんだろうというふうに思います。 そうしますと、乗せる考えはもう明らかにあるでしょうけれども、乗せるについてのこれからの見通しといいますか、こういうことをしていかなきゃならない、そのときは当然法律の改正になるでありましょうけれども、法律を改正するというふうな一連のそういうことはお考えになっていらっしゃいますか。
○政府委員(吉田文毅君) この法律案の趣旨でございますが、第一条にもございますとおり特許法、実用新案法、意匠法、商標法、いわゆる工業所有権四法でございますが、これの手続の特例を定めるということでございまして、基本的には特許法と実用新案法の特例が中心となっております。 意匠法、商標法の関係でございますが、今回の法案におきましても、登録料の納付の際予納制度の利用が可能になる、あるいは意匠原簿、商標原簿のオンラインによる閲覧が可能になるというような特例を決め得ることとなっております。 一方、意匠、商標についてのオンライン出願等でございますが、私どもとしては可能な限り早期に電子出願の受け付けを開始すべく庁内で鋭意検討を行っているところでございます。御指摘のようなカラーハーフトーンにまつわります技術的な問題といったような課題もございます。このような課題を解決した上で、現在御審議を賜っておりますこの法律案の改正をお願いいたしまして、本格的な適用対象に取り込んでいくというようなことを考えている次第でございます。
○庄司中君 意匠や商標がオンライン化できる状態になったその時点はその時点でまた法律改正を予定をするということですね。そういうふうに理解していいわけですね。
○政府委員(吉田文毅君) そのとおりでございます。
○庄司中君 次の問題に移りたいと思います。 このペーパーレス計画というのはかなり画期的であります。そして、その効果というのが期待をされているわけであります。私も衆議院の商工委員会の審議の議事録も読ませていただきましたけれども、それを読んでいますと、例えば審査では検索、書類整備で八十五分間短縮するという数字を出しております。後のところで、この八十五分というのは高分子分野であるというお話もあったようでありますけれども、事実この審査のレベルで、つまり検索あるいは書類の整備で八十五分というのは、高分子分野だけじゃなくて、全体として審査の段階でやはりどの程度の短縮が図られますか。
○政府委員(吉田文毅君) 大変難しい御質問でございます。Fタームの高分子の分野におきまして審査の際に八十五分間カットできる。これはその高分子の分野につきましてFタームの開発が既に行われておりますので、私どもその経験値に照らしまして実測いたしたというようなことで申し上げ得た数字でございます。 全体といたしましては、事務処理の効率化が図り得ます。例えばでございますが、従来発送にある程度の時間を要していたのが極めて簡単にできるようになるとか、あるいは審査におきましても、Fタームはまだ開発途上でございまして、現在全体の開発を終了すべく努力をしておりまして、分野によりましてはこの八十五分という時間がかなりばらつくのではないかというふうにも感じております。また、このシステムができますと、最初にちょっと御説明申し上げたところでございますが、でき上がりました総合データベースあるいはFターム等を民間に提供するということを考えておりまして、それによりまして民間の方で出願あるいは審査請求等を絞っておいでになるというようなことも期待されるわけでございます。 世界で例のないシステムでございますので、なかなかトータルでどのくらいのカットになるのかということが言いづらいところでございまして、私ども、全体としてどうだと言われますと、いろいろ現在このシステムの開発を予定しているようなところ、あるいは日米の交渉の関係等いろいろ考えまして、ちょっと言いよどむということを御理解賜れれば大変幸いでございます。
○庄司中君 国際的な関係で言いにくいということでありますけれども、高分子分野の八十五分というところを恐らく全体のこの計画を出す以上、特許庁としてどのくらい短縮するかというのはある程度シミュレーションをやられたと思いますけれども、それが言えないということでは非常に残念ですけれども、一つのめどとして、その審査八十五分というのは、これは実測ですね、こんなところで考えていていいんですか。明言はできないけれども、一つのめどとしてこうですよというふうに見ていていいですか。
○政府委員(吉田文毅君) もちろん、高分子分野につきましては、そうほかの分野とかけ離れた差異がない分野であろうという前提で数字を申し上げさせていただいているわけでございますが、間違いのないように再度説明させていただきたいのでございますが、大きなシステムの中で審査に関連いたしまして先行技術をサーチするという分野に限って申し上げましてこの八十五分という数字でございます。このシステムは、いろいろほかの分野におきましても効率的な効果をもたらすというふうに私ども考えています。
○庄司中君 わかりました。 ただ、今度の法律を見ていますと新しく要約書の提出というのがありましたね。要約書の提出ということになりますと、要約書をオープンにする場合に審査官がチェックするんじゃないだろうかというふうに思いますけれども、その辺はどうですか。そして、今までなかった仕事がまたふえてくるということになりますと、これは一つのまた遅延要因になつていくんじゃないだろうかというふうに思いますけれども、そんなことはないですか。
○政府委員(吉田文毅君) 済みません。私、今正確な数字を覚えていないのでございますが、現在お願いをしております予算案の中で要約を担当することとなります調査員の増員をお願い申し上げていまして、ある程度の数、これは事務的には大蔵省に査定をいただいておるということでございます。 もちろん要約が出されますと特許庁でチェックをされるということでございます。――ただいま数字が入手できましたが、六十名の調査員の増員を現在の予算案の中でお願い申し上げております。
○庄司中君 わかりました。 それからもう一つ、手続の電子化が行われますと、何といいますか出願の手段ですね、オンラインを使うとかFDを使うとか、書面を使うとかという出願の形式といいますか、その構成をある程度予測しませんと恐らくシステムを構築することはできないだろう。 衆議院での議論を聞いていますと、オンラインが三五%、これはスタートのときにFDが四五%、紙が二〇%というふうに何かなっておりますけれども、将来ともオンラインがふえてFDが減り紙が減るというのはもう当然だろうというふうに思いますけれども、紙の減り方が半年後にたしか三分の二というふうなお話でしたね。減り方について大体こういうふうに予測をしていらっしゃるのかということですね、その辺はどうですか、出願の形式。
○政府委員(吉田文毅君) 御指摘のとおり、受け付け開始の当初におきましてはオンライン三五%、FD四五%、紙が二〇%というふうに調査の結果私どもは認識をしておりますが、その後でございますが、これはちょっとお許しいただきたいんでございますが、私ども受け付け開始時期の設定を特許庁内におきまして勝手にやや早い時期から受け付け開始ができるということで考えておりまして、それを前提にいたしまして来年の四月時点でどのような状態になるかという調査をいたしたものですから二月ほどずれておりますが、もう ちょっと早くから受け付け開始ができると仮定をいたしますと、来年四月時点で調査の結果ではオンラインが七一%、FDが二三%、紙が六%ということで紙が急速に減っていく。しかし、そのままゼロの方に限りなく近づくということではございませんで、六%の後はほぼ横ばいでいくのかなというふうな認識を持っております。――済みません。ちょっと訂正…… 受け付け開始半年後の数字で申し上げまして、先ほどの数字と違う数字で恐縮でございますが、オンライン四二%、FD四五%、書面一三%でございます。半年後でございます。それから平成六年の四月まで徐々に徐々に減ってまいりまして、私、年数を取り違えて大変失礼いたしましたが、先ほど申し上げた数字は平成六年の四月の時点の数字でございます。七一%、二三%、六%という数字でございます。
○庄司中君 さっきの長官の、六%に下がったらもうこれが限りなくゼロにはいかない、これは大体横ばい状態だということだろうというふうに思いますけれども、二〇%が六%に紙が減っていくというふうになっていきますと、例えば今度の法案の中では指定情報処理機関というのをつくりますね、このデータエントリーをやってもらうわけでありますけれども、急速に紙が減っていきますと、ここのところの仕事がなくなりませんか。つくったんだけれども仕事がなくなる、しかも急速に減っていくということになりますとこれはどういうことになりますか、企業にとってはこれは大変なことですが。
○政府委員(吉田文毅君) おっしゃるとおり紙出願の電子化に伴う業務は減っていくことになろうかと思いますが、今回、アウトプットと私ども考えておりますが、公報の発行等も電子化をされる、あるいは特許庁内にはいろいろな電子ファイルも構築をされるというようなことから、いろいろな種類の情報サービスということを新たにやり得るような状態になるというふうに考えておりまして、この指定情報処理機関につきましても私どもは別の業務がいろいろ出てくる、これは指定内容とは離れるかと思いますが、いろいろな業務が出てくるということを感じておりまして、その点はそう心配をしなくても団体として維持することはできるんじゃなかろうかというふうに考えております。
○庄司中君 もう時間がなくなりましたので少し急がしてもらいます。 一つは、これはもう方々で議論をされていることでありますけれども、全く新しい制度が入る、手続の面で、オンラインとかFDとか入ってくるということになりますと、これはもうどこの場合でもそうですけれども、今までの仕組みと違う仕組みが入った場合にそこにある種のやっぱり混乱が起こるといいますか、混乱が起こるというよりもプラスになるところとマイナスになるところがどうしても出てくるということがあるわけです。もうどんな制度でも方式を変えますとこれは起こり得るわけです。一つの制度がうまく動いていく、そして安定をしていくためには、このマイナス要因をできるだけうまく処理していくということが必要だろうというふうに思います。そういう点では、例えばマイナス要因といいますのは主として中小とか個人とかそういうところに出てまいると思いますけれども、マイナス要因はまず時間であるとか、あるいは費用であるとか、あるいは技術的な対応であるとかというところにあると思いますけれども、これは費用だけに絞りまして、例えば今度の新しい制度に入りまして実際負担面でどこの部分にどんな形で、そしてどの程度つまり負担増が起こるのか。制度をやる以上はある程度見当をつける、ある程度押さえておかなきゃ、これはもうやみくもにやるわけじゃないわけでありますから、その辺について恐らく押さえてあると思いますが、こんなふうな事態が起こり得る。その負担のところだけで結構ですから、ちょっと話してもらいたいと思います。
○政府委員(吉田文毅君) 新しい機器の購入を行いましたり、あるいはソフトウエアの購入を行いましたり、あるいはISDN、DDXという通信網と契約をする、敷設をするというようなこと、さらに、現在紙でありますと郵送料がございますが、この郵送料が通信料に変わるでございますとか、いろいろな面で変化があるということは、先生の御指摘のとおりでございます。 網羅的に申し上げるのは大変難しいわけでございますが、例えばで恐縮でございますが、オンライン用の端末でございます。これは中身といたしましてはワークステーションとイメージスキャナー、磁気カードリーダーというようなものがこの中身となってまいりますし、また出願用のソフトも必要になるということでございます。さらに、ISDN、ディジタルパケット網を敷設するというようなことが必要でございますが、この場合におきまして、ハード等を買い取り方式で考えますと、五百万から六百万程度でございます。これをリースにいたしますと、月に十五万程度というふうに計算をしております。さらに、回線を新設する場合に、ISDNでは八万円、ディジタルパケット網では十四万円程度の経費が必要になろうかというふうに考えております。 一方、ワープロを活用いたしまして、ワープロによりFDを使い出願をするというケースでございますが、これはすべてのワープロというわけにはいきません。ある種のワープロでございますが、これらにつきましては、ソフトウエアを新たに用意する必要がございまして、このソフトウエア代は二万円から六万円というふうに考えております。ちなみに、利用いたしますFDそのものは数百円のものでございます。 また、通信費でございますが、現在、紙の出願をいたします場合には、全国共通に五百三十五円ほどかかるわけでございます。これをFDで出願いたしますと六百十円ほどになると思います。さらにこれをオンラインで出願をするということになりますと、一件の通信コストといたしましては、都内では十円でございますが、遠方の地域、例えば札幌で百九十円というようなコストになろうかと思います。
○庄司中君 私が方々で聞く話の中に、これはもう衆議院でも議論になりましたけれども、データエントリーの費用ですね、これが一万二千円ぐらいを考えているという話がありましたけれども、これはやっぱり負担になりませんか。純増になりませんか。
○政府委員(吉田文毅君) 現在の紙出願の場合におきましても約三分の一の方々はワープロ等を外注して紙を用意して出願されているということでございますが、その際の経費は図面等を除きまして本文の部分で約一万七千円から二万円のコストをかけておられるようでございます。したがいまして、私ども今回の新しいシステムにおきまして紙出願の方々の経費が一万二千円ということになりますと、これは現在、町のワープロ屋さんなどへ外注する場合に比べても格段安いコストでやれるようになるのではないかというふうに感じております。
○庄司中君 こういうケースがあるというふうに聞きましたね。例えば、これは弁理士さんじゃなくて、むしろユーザーの希望が大きくて、できれば出願を昔のような色の濃いタイプにしたいとか、あるいはそういう希望が非常に強い。ですから、今度の新しい制度になっても、書面を特許庁へ持ってきてそしてそれをFD化するというだけじゃなくて、むしろやっぱりタイプをして、ユーザーはタイプを持っているんですね、今度はそれをFD化するということになりますと、タイプ化するというところがなくならないということになりますね。そうすると、一万二千円が純増になっていくんだというふうなことが、つまり中小の部分、個人の部分ではかなりあるというふうな話を聞いておりますけれども。ですから、長官が言うように、三分の一の人たちがワープロで外注しているんだから、その外注はつまり一万二千円に変わるんだからかえって安くなるという話と実態のところとは少し違うんじゃないだろうかというふうに思いますけれども。
○政府委員(吉田文毅君) 二点お答え申し上げたいと思うんです。 一点は、手書きでお持ちになってもこれは電子化できます。したがいまして、手書きはあらかじめそれを私がこの場でお勧めするわけにはいきません、タイプの方が読みやすうございますので。お勧めはできませんが、そういうことにさせていただきたいと思っております。 それからもう一点は、きれいに電子化ができまして特許庁のファイルにそれが入りました後、それをプリントアウトいたしまして実費でサービスを申し上げるということもできます。 このように考えますと、いろいろなやり方がございますので、御迷惑を最小限に食いとめることはできるんじゃないかというふうに思います。
○庄司中君 前に文字で見たいのか、あるいは後でコピーで見るのかという問題だろうというふうに思いますけれども、これはやっぱりユーザーとの関係でこれからも多少問題になるだろうというふうに思います。 それから、機器を購入する場合に、大体五、六百万円かかるわけですね、実際オンラインするためには。そういう点から見ますと、やっぱり支援措置というものは、新しく今度は制度が変わって買わなきゃいけない、買った方がいいということになるわけでありますけれども、支援措置が既に出ておりますけれども、今の支援措置をこれ以上強化をするというお考えはないわけですか。ずっと出ていますよね、相談員制度であるとか、モデルルームであるとか、それから共同事業所であるとか、いろいろあります。
○政府委員(吉田文毅君) 衆議院の審議の際に私どもは支援措置の内容について明らかにさせていただいたところでございます。これをごらんいただきますと、金融、税制措置に始まりまして、さらに信用保証と、私ども考え得るあらゆる措置を網羅して支援措置を構築させていただいたというつもりでございます。また予算面におきましても、現在御審議をお願いしております予算の中で五億七千万円ほどの金額でございますが、共同利用端末の設置でございますとか、モデルルームの設置、さらに百六十人にも上ります指導員制度、さらに相談員制度というふうにいろいろと御用意申し上げております。この措置はこれからも継続的に御利用いただけるような措置でございますが、その推移を私ども眺めさせていただきたいというふうに思っております。
○庄司中君 細かいことですけれども、例えば指導員制度というのがありますね、百六十人でしたか。これは全部弁理士さんですね。弁理士さん以外の人が指導員になるということはないんですね。その辺どうですか。
○政府委員(吉田文毅君) 現在、出願の約八〇%が弁理士さん経由で行われているという実態に照らしますと、私ども弁理士さんに限るつもりはございませんが、実質的にこの百六十人の方々は出願に要する機器を整備してお使いになっておられる方であるということから、結果として弁理士さんが数多くこの百六十人の中に入られるというふうに考えております。
○庄司中君 事態の推移を見て検討したいということでありますから、それはそれに譲りたいと思いますけれども、例えば税制ですね、税制の支援対策というのが一つはございますけれども、これはペーパーレスのためというよりも、今まで行ってきたものですね。それをここに書いてあるわけですね。そういうふうに受け取りますけれども。
○政府委員(吉田文毅君) 御指摘のとおり、この二つの税制は、今利用し得るということで現在あるものでございますが、条件がちょうどぴたりとはまりますので、大いに御活用いただきたいと思っている制度でございます。
○庄司中君 わかりました。ただ、この特許庁の案内を見ますと、何か今度ペーパーレスのために特別につくったような印象を受けますので、今まであるのを利用できるというふうに、これをはっきりしていただきたいと思います。 それから、衆議院の議論を読ましていただきまして私わからなかったのは、例えば最初は書面で出願をして、そして日付をとって、後でこれをFDに差しかえることは、何か先願主義の建前からこれはだめだというお話がありますけれども、どう考えてもこれは先願主義と矛盾しないんじゃないですか。そういうサービスぐらいはやったっていいんじゃないだろうかというふうに思います。細かい話ですけれども、先願主義というものが出ましたので、特に指摘をしたいと思います。
○政府委員(吉田文毅君) 先願主義は、御存じのとおり、最初に出された文字面を前提にいたしまして審査をするし、競合する案件との仕分け、優劣も決めさせていただくということでございます。したがいまして、最初に紙が出願されまして、追ってディスクが出されるというようなことになりますと、そのディスクの内容と紙の内容が果たして同じものであるのかどうかというような点につきまして、だれかの責任とだれかの費用負担におきましてこれをさばかない限り、紙ではなくて後で出されたディスクで日付をお与えするというようなことにならざるを得ないわけでございます。したがいまして、紙の出願日、これを優先日として確定をさせていただくというためには、やはり紙に書いてある内容を私どもは出願内容としてとらえさしていただくということが必要なわけでございます。
○庄司中君 時間が参りましたのでこれでやめたいというふうに思いますけれども、大臣が特に御承知のように、ガットの場だとか、あるいはさっきも答弁がありましたように、世界知的所有権機関のクラブ15で検討を進めている。これからのやっぱり日本のあり方としまして、何といいますか、アジアの中の日本でございます、つまり途上国へ技術を援助していく、技術の移転も促進をしていく、先進国であってもこの立場はあくまでも貫いていく、むしろそっちの方にやはり重点を置いて問題を見ていく、これが大きな観点から必要だろうというふうに思います。この点で、改めて質問の最後に、大臣から基本的な問題についてお考えがあったら示していただきたい。
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほどもお話のございましたように、ガットの今度のウルグアイ・ラウンドにおきましても、TRIPの関係で何とかうまくこれをまとめていかなきゃいけないのでございますが、一方先進国の中には、やはり知的所有権を保護したいという大変強い気持ちがございます。一方開発途上国からは、何とかその知的所有権を自分の方へなるべくうまく移転をしてもらいたいという気持ちがあるわけでございます。 私、四極通商会議のときにも主張をいたしましたのは、やはりウルグアイ・ラウンドを成功させるためには、何としても開発途上国がこれに協力をしてもらわなければ決してウルグアイ・ラウンドというのは成功しないんだと、先進国だけでこれはうまくいくはずはないんだから、極力開発途上国に協力をしてもらえるような方向でいかなきゃいけない、TRIPについても同じことではないかということを主張したわけでございます。 日本といたしましては、今お話しのとおり、先進国ではございますけれども、やはりアジアの一員であることには間違いございませんし、その意味においては開発途上国との間においては他の先進国よりはやはり何か近い関係に私はあるのではないか。そういう点を考えて、この知的所有権につきましても、例えば特許の期限の問題などもアメリカなどよりはもう少し短くしたらいいんじゃないかというような主張もいたしておるわけでございまして、何とかその辺で少しでも開発途上国に日本が理解を示しておったというような気持ちを持っていただけるような形でウルグアイ・ラウンドのTRIPの関係もまとめていきたいと、こう考えておるわけでございます。
○庄司中君 終わります。
○福間知之君 同僚議員の質問に続きまして、補足的にお聞きをしたいと思います。 まず私は、今実現を見ようとしているところのペーパーレスシステムにつきましては、出願受け付け等の事務処理からその後の審査、審判、さら には情報サービスに至るまで、いわゆるオンラインなどを使用して実施をするという、まさに世界に例を見ないシステムだと承知をしておりますが、そうした意味で、来るべきコンピューター社会の中で、一つのトップランナー的な画期的なシステムでもあろうかと存ずるわけであります。 私は、当委員会でかつて、昭和五十八年でございましたでしょうか、今の新庁舎を含めて約十年がかりで二千億円の巨費を投じてこのシステム構築に向かうんだという壮大な計画が提起されて審議をさしていただいたことを思い起こし、若干感慨を持って今回の法案提出を見守ってきた一人でございますが、このシステムから得られるところの社会のメリットというものをわかりやすくまずはお聞きをしたい。それからまた、これだけの例のない広範囲な、しかもまたいささか複雑なまでのシステムを維持し運用していく上での安全性というものが私は極めて重要だと思っているんですけれども、まずその二点について所見を伺いたい。
○政府委員(吉田文毅君) まず、本システムのメリットでございます。先ほどちょっとお話は申し上げましたが、このメリットにつきまして私どもは大きく言いまして四つの分野でメリットがあるというふうに考えております。 まず第一の分野は、工業所有権の審査期間の短縮でございます。 先ほど御議論がございましたように、先行技術の調査等を中心にいたしまして、あらゆる資料が電子化されファイル化されるということによりまして、先行技術のサーチあるいは審査資料の整備、再編成というような点でこれを容易にすることが可能になるというようなことから、高分子の分野におきまして、サーチに限りますが、既に八十五分の短縮ということを実測さしていただいておりますが、審査期間の短縮にまず役に立つということが言えようかと思っております。 それから第二点は、工業所有権情報サービスの拡充でございます。 特許情報は最先端の技術情報でございますし、また技術開発の底辺を支えているものでございます。このような情報を幅広く国民に対しまして提供することができるようになるわけでございまして、ぺーパーレス計画によって構築をされますファイルあるいはデータベースを遠隔地からの閲覧等、いろいろな提供の形態を通じましてサービスの拡充を図らせていただくことができると思います。例えばCD―ROMで公報が発行されるというようなことになりますと、このCD―ROMを活用いたしまして、弁理士事務所あるいは企業内等におきましては、発明者の名称あるいは発明の分類による分野等をキーワードに使いまして、いろいろな調査等も簡便にできるようになろうかというふうに考えております。 それから、三番目に事務処理の効率化でございます。 まず、特許庁の外からは遠隔地からのオンライン閲覧というものが可能になりますし、従来出願番号の受け取りというのはある程度時間を待たなければできなかったわけでございますが、出願番号あるいは受領書は即時に受領が可能になりますし、また各種の証明書の申請手続につきましても副本が要らなくなる等簡便化が図り得るようになろうかと思います。さらに、特許庁内におきまして、従来出願されました紙を包袋と称しまして、一つの袋に入れまして、これをいろいろな人が同時に使おうとして、どこにその包袋があるのかというようなことをやって利用していたわけでございますが、今回これが電子ファイル化されるということになりますと、多人数の職員が一つの案件につきまして同時にアクセスをすることが可能になるというような便宜も期待ができるわけでございます。それから、従来からある手続でございますが、住所、名称等の変更などにつきましても、一括して処理が行えるようになりますし、バーコードの利用等によりまして本人の確認等も容易になるというようなメリットもあろうかと思っております。 さらに、大きな四番目でございますが、国際的な工業所有権情報交流等の協力の推進がしやすくなるという点を御指摘できようかと思っております。諸外国との特許情報の交流には標準化等いろいろな課題は残されております。しかし、特許情報を電子化することによりまして、技術情報の国際交流がさらに進展すると同時に、発展途上国への技術援助にも資することが可能になるのではないかというふうに考えております。 以上でございます。
○福間知之君 今御説明があったとおりではないかと思いますが、二番目の質問に対する御答弁が欠落しておりますけれども、要するにそれだけの広範囲な、しかも念の入ったサービスが可能になる。これもまさにコンピューターのもたらす恩恵だと思うんです。 大型のコンピューターを庁内に大体六台入れると聞いています。それに接続する端末が千台、さらにまたLANがそれにつながってまいりますので、かなり大きな仕掛けになるわけですね、システムになるわけです。確かに、そのことによりまして、資料によると、明治十八年以来百四年間に出願された特許・実用新案公報及び諸外国の公報など、三千万件が蓄積されるなどと言われているんですね。あるいは若干のそごがあるかもしれませんが、素人が聞いて大変なことだな、こういうふうに思うわけであります。とても人手だけではこなし切れない仕事をやろうということでありますから、すばらしいことには違いない。まして、また国際的な交流まで格段に促進されるということであります。 その場合に私は、その発想、構想は非常に結構なんだけれども、安全対策大丈夫なのかなと実は心配するんですね。特に特許・実用新案などの申請というのはかなり秘密事項というものを扱うわけでございますので、それを機械にゆだねるという、今までのペーパーシステムから大きく機械システムに変えるわけですから、そこに今言うところの危険がないのかどうか。停電一つとっても、機械の故障一つとっても、十分これは常識的に考えられることですが、そういう場合のバックアップシステムその他はどうなんだと。銀行のオンラインの事故に見るまでもありません。その点、当局はもちろん考えておられると思うんですけれども、今の時点で考えられている中身はどうですか。
○政府委員(吉田文毅君) 大変失礼いたしました。第二点目を落としてしまいました。 お尋ねのセキュリティー対策でございます。電源の問題を例示されましたので、まず電源からお答え申し上げたいと思いますが、電源につきましては、もちろん通常は普通の電源を使っているわけでございますが、その普通の電源に異常が生じました場合には無停電電源装置というものを使います。これはバッテリーにより操作をされるものでございます。直ちに稼働いたします。それからさらに、この無停電電源装置に異常が生じますといいますか、回復に時間がかかり過ぎるというような場合におきましては自家発、これがさらにバックアップをするというような仕組みで考えております。 それからさらに、ハッカー、ウイルス対策でございます。このような問題点につきましては、システム設計上、いろいろな対策を講じさせていただいております。極めて詳細に申し上げるということをいたしますと、万一のセキュリティーの低下にもつながりかねないということから、部分的な御紹介で御容赦をいただきたいと思いますが、六点ほど御説明を申し上げたいと思います。 まず第一点でございますが、これは通常IDコードあるいはパスワードの盗難ということによって生ずる障害でございます。 このような障害への対策といたしましては、外部から特許庁のシステムへアクセスをする際に、回線を接続する時点で四種の番号が同一であるということが特許庁で確認をされない限り回線が接続をしない仕組みになっております。四種の番号と申しますと、まず電話局の回線管理番号でござ います。これは普通端末から打ち込もうにも打ち込めない代物でございまして、回線をつないだときに自動的に回線から発せられる管理番号でございます。それから二つ目に、申請人の端末番号でございまして、これも特定の端末を届け出られた際に与えられる番号でございます。それから三つ目に、申請人の識別番号と呼ばれているいわゆるIDコードでございます。 〔委員長退席、理事中曽根弘文君着席〕 それから四番目に、パスワード、暗証番号でございます。通常盗まれると言われておりますのはこの識別番号なりパスワードでございますが、このシステムの場合にはこのようなものをたとえ盗んだといたしましても、それだけでは特許庁へのアクセスはできないという仕組みになっております。 それから、タッピングの問題でございます。タッピングと申しますのは盗聴でございます。回線より分岐装置を使いまして、その回線に送られている信号を解読しようと、それによりましてデータを不正に入手しようというような場合でございますが、特許庁と電話局、あるいは電話局相互間におきまして非常に複雑な回線網、さらにそれを包むパイプ、それにはガスが入っているとか、いろいろなことがございまして、これを実行するということは事実上不可能でございますし、またタッピングにつきましては刑事罰もございます。 三番目に、不正プログラムの進入対策でございます。 これはいわゆるウイルス対策と呼ばれているものでございます。特許庁のシステムでは、外部から入ってきます情報はすべてこれをデータとして扱う。データとプログラムと二つに分けて考えますと、これはデータとして扱うということでございまして、プログラムとして扱いませんので、いろいろないたずら的な命令を受け入れて情報を出すというようなことのないような仕組みにさせていただいております。また、随所にバッチシステムを織り込んでおります。重要なシステムファイルへ直接外部からアクセスができないようにバッチシステムを織り込むことによりまして、重要なファイルの記録の守秘性を高めるということをやらさせていただいております。 四番目に、不正のプログラムの開発についての開発業者の対応でございます。 このシステムの開発に当たりましては、まず第一に開発の環境管理を厳重に行っております。ホスト別にソフトウエアの管理が厳重に行われておりまして、また開発担当者自身を管理するソフト機能によりまして、不適格者によるプログラムファイルあるいはシステムファイルへの侵入でございますとか、改ざんの防止を図っております。 また、製品管理でございますが、ウイルスが万一プログラム中に混入をしたといたしましても、プログラム規模のチェックやあるいは単体試験、結合試験、総合試験等の試験によりまして品質管理のチェックを行っておりまして、その発見は随時可能でございます。また、開発担当者につきましても、開発段階のプログラムにつきまして開発者の管理を厳重に行っております。 また、第五に機器についてでございますが、受け付けホストはホットスタンバイ方式をとっておりますし、ファイルは二重に御用意を申し上げております。電源の問題は先ほど触れさしていただきましたが、この電源問題も含めまして万一のトラブルに対しまして万全の対策を講じてあると申し上げてよろしいかと思っております。 最後に、同一の端末を複数の者が利用し得るという場合でございます。 このような場合に端末を使用し得る者は、あらかじめ管理者によりまして限定をされております。それで、その旨特許庁への届け出を行った者に限りまして、端末の管理者の管理のもとにこの当該端末を使うというような仕組みを考えております。 〔理事中曽根弘文君退席、委員長着席〕 以上、セキュリティー問題につきまして、私ども最大限の工夫をさせていただいているというふうに認識をしております。以上でございます。
○福間知之君 かなり詳しい御説明がございました。セキュリティーに関することですから結構かと思うんですが、アメリカの国防総省のペンタゴンでもウイルス、ハッカーによって危険にさらされているわけでございますので、今の御説明は、もちろんNTTなどとも相談され、システム構築の過程で既に実行に移されていると思うんですけれども、ぜひこれは一遍実証試験が、私が勝手にやるとかいうようなやり方で知った者同士でやっちゃいけませんので、やっぱり必要だと思うんですね。それは「ドッキリカメラ」じゃないけれども、おもしろ半分でやってもいいんですけれども、やっぱり必要があると思う。全く構築に関知してない人がやる必要があるんじゃないか、そんなことを感じております。これはまたこの委員会の場じゃなくて、いろいろと研究をしていく必要があるんじゃないかと思ってますので、付言をしておきたいと思います。 次に、先ほど冒頭にお聞きしましたペーパーレスシステム化への取り組みに関しまして、欧米の諸国においてはこういうシステムは現在存在してないように思うんですが、我が国の今回の施策がどういうふうなインパクトを与えるだろうかということを含めて、見通しがあればお聞かせ願いたいと思うんです。
○政府委員(吉田文毅君) 諸外国におきましては、アメリカ特許商標庁あるいは欧州特許庁を含めまして、私どもが現在実行しようとしておりますような入り口から出口に至ります一貫したペーパーレスシステムというものはいまだ実用化される段階には至っておりません。しかし、特許公報のデータベース化あるいは高度のコンピューターの検索システム、電子化されました公報の発行システムの構築など、いろいろの個別の事務処理につきましてコンピューター化は大変進展をしております。 また、特筆すべきことだと思いますが、米国におきましては、本年十月一日からバイオ関係の出願につきましては、願書とあわせてDNAの配列情報を入力いたしましたフロッピーディスクの提出を出願人に義務化するというようなことが考えられております。 日本のペーパーレスシステムのように、電子出願を含みます出願から公報発行まで一貫したシステムの構築につきましては、各国は非常に強い関心を寄せておりまして、我が国が得ました経験に基づいて、欧州特許庁、米国特許商標庁などが電子出願の技術的課題の解決に向けまして、現在真剣に研究を行っているというのが現状でございます。
○福間知之君 いわゆるWIPOなどにおきまして、特許制度のハーモナイゼーションが国家的なレベルで議論されております。発展途上国も含めて、将来はそのハーモナイゼーションというのは単なる情緒的なものじゃなくて、やはり今のシステムを国際的にも交流し合うというところまでぜひいきたいと考えているのかどうなのか。各国の姿勢はいかがですか。
○政府委員(吉田文毅君) 御質問のような国際的なペーパーレスシステムのネットワーク化という問題でございますが、まず第一に、各庁が作成いたしました特許公報類のデータベースの相互交換を行うということが先決ではなかろうかというふうに私どもは考えております。このために日本の特許庁、欧州特許庁、米国の特許商標庁の三極の自動化計画の成果でございます電子化されました特許情報を相互に交換するための標準化作業というものが行われまして、既に合意に達しておりまして、各庁が電子化しました特許公報類の交換が現在順調に行われているところでございます。 また、WIPOの会合におきましても、電子化されました特許情報の交換を行うために三極で定めました標準がWIPO標準として採用されまして、現在この標準に基づきまして電子化されました特許情報を世界的な規模で交換するためのプロジェクトの設置が検討されているというような状 況にございます。さらに、三極におきましては、将来行われるであろう新しいデータフォーマットによります交換を可能とします標準の検討にも既に着手をしております。 次に、各庁が開発をいたしました検索データベースの交換でございますが、これも順調に進展をしております。例えばヨーロッパ特許庁が開発をいたしましたECLA、INVE等の高度の検索データベースも日本特許庁に提供されておりまして、今年度から利用可能になるという状態でございますし、また将来的には各庁が構築いたしましたいろいろな種類の検索システム相互間のネットワーク化も検討すべき課題となるというふうに感じております。最終的には各庁の電子出願のネットワーク化も考えられるわけでございますが、これを実現するためには電子出願の標準の設定、標準に基づく機器の開発、電子出願用の国際通信ネットワークの整備などが必要になろうかと思っております。 このように多くの技術的課題を解決しなければならないわけでございますので、当面実現することは難しいものと思われますが、将来に向けまして我が国も鋭意その実現に向かって努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○福間知之君 国際的な特許に関する会合は、回数としてもあるいはまた中身の種類においても近年かなりふえておるんですか。回数何回とは聞きませんけれども、全く我々わからないんですけれども、どうですか。
○政府委員(吉田文毅君) 工業所有権関係につきましては、世界知的所有権機関(WIPO)の場を中心といたしまして、いろいろな会合が持たれております。 主要なものを挙げますと、パリ条約の改正のための会合あるいはハーモナイゼーションのための会合、さらにただいま御紹介を申し上げました情報の交流促進のための会合等いろいろございます。さらに、ハーモナイゼージョンに絡みましてクラブ15でございますとかガットでございますとか、さらに、私ども三極と大それた名前をつけていて恐縮でございますが、日米欧間におきましては五十八年度から毎年三極間の情報交換の会合をやっておりまして、ハーモナイゼーションあるいはただいま御紹介申し上げました情報交流につきましても大変密な会合がいろいろなレベルで行われるということでございまして、私どもこの傾向はさらに今後発展をしていくのではないかというふうに感じている次第でございます。
○福間知之君 だろうと私も推察をいたしておりましたけれども、なかんずく我が国の特許申請の世界最大の国ということもこれあり、やっぱり積極的な役割をこれからは果たしていかなければならぬだろう、そういうふうに思います。せっかくひとつ当局の努力を要請しておきたいと思います。 次に、財政的な裏づけに関しましてお聞きをしたいと思うんですけれども、これらのシステムの整備や受け皿になる庁舎の建屋その他膨大な資金がかかったことと考えられるんですけれども、どういう予算からどれくらいのお金がどの程度の期間に支出をされたのか。また、今後におきましてさらに安定性を持った財政基盤が確立されることが必要と思いますが、いかが対処されようとしているのか、お聞きをしておきます。
○政府委員(吉田文毅君) これまでのところペーパーレス計画に関しましては、特許特別会計創設時の昭和五十九年度から昭和六十三年度までの間に二百六十三億円の支出をしてまいりました。さらに、平成元年度、二年度の予算を加えますと、この二百六十三億という数字は五百七十四億円ということになります。また、同じく昭和五十九年度から六十三年度までの期間の特許特別会計の歳出は二千一億円でございまして、一方、歳入が二千七十八億円ということでございます。この特許特別会計は、特許等の審査等、工業所有権に関します事務処理を遂行するための財政基盤でございまして、今後におきましても従前と同様、その目的を達し得るよう収支相償の考え方にのっとりまして私どもこの特別会計を運営してまいりたいというふうに考えております。
○福間知之君 今申されたような財政の特会における収入支出という状況はわかりました。 その一方で、これから出願人等のペーパーレスに対応するための負担というものが必要になるわけでございますが、既に何遍も衆議院の段階でもお話があったように、オンライン出願する者は少なくとも五、六百万円ものオンライン関連機器を必要とするとか、あるいはまた長官が答弁されている中でもワープロやパソコン等は数十万円あるいはまた既存のワープロのコンバージョンソフトで二万円から六万円、こういうふうな負担のめどの話もあるわけでございます。そういう末端のこれを利用する方々の支援策として、先ほども金融面の支援などおっしゃいましたけれども、これは本当にきめ細かく考えていっていただきたい、こう思うわけであります。 かなり割安なしかも汎用度の高いというか、利用度の高いハードを開発して提供を早めるということも必要でございます。そのための関係業界への指導もぜひ必要だと思われるのでございますけれども、全体として利用される弁理士その他の方々への配慮は、具体的には今問題がいろいろ上がってきていると思うんですが、長官の手元にそういうものを吸い上げて、単に金融上どうのこうの、抽象的じゃなくて、対応策を考えつつあると思うんですけれども、いかがですか。
○政府委員(吉田文毅君) 御指摘のとおり、いろいろな機器あるいはソフトの開発等により現に電子出願が可能となるように手当てをさせていただいている最中でございますが、その際最終的なユーザーの御要望というものは私ども大変大事であるというふうに認識をしておりまして、従来も既にユーザーニーズにつきましては、これをメーカーにつなぐというようなこともさせていただいております。 具体的に申し上げますと、例えば電子出願の関連機能につきまして、各種のフォーマットでのFDの入出力機能の問題でございますとか、あるいはJIS一〇等以外の外字のチェック――外字を使うワープロがかなりあるわけでございますので、この外字のチェックでございますとかあるいは外字の存在場所の表示でございますとか、外字のサーチでございますとか、その修正機能を持たせるというような指導もさせていただいておりますし、処理速度の向上でございますとか、あるいは直接特許庁との関係であります機能以外の機能につきましても、付加的な機能といたしましてJAPIOのパトリス端末としての利用の可能性を探索する。さらに、CD―ROM公報への対応も可能となるような機能を付加する等、いろいろな点で現在指導を行っているところでございます。 また、これまでにおきましても、特許関連の機能といたしましては、汎用コンピューターの特許管理システムとの接続の問題でございますとか、あるいは特許管理システムを搭載する問題でございますとか、あるいは一般的な機能といたしましても、光ディスクのファイリングシステム、機械翻訳システム、財務会計システム、これらはもう全く一般的な機能でございますが、こういうものの充実という点につきましても指導させていただいているところでございます。 先生御指摘のように、低廉あるいは利用の可能性の高いという点に注意を払っているつもりでございます。
○福間知之君 昼が来ましたので終わりますけれども、今詳細に御説明がありましたが、零細な弁理士事務所等がほとんどFD出願をするだろうと思うんですね。その場合、今手持ちのパソコン、ワープロでは物の用に立たない、JIS一〇とかJIS四〇とかいうものとコンバートを考えなきゃならぬというふうなことのように聞いているんですけれども、余り専門的なことは別にしまして、長官のおっしゃったようないろんな配慮があるんでしょうが、シンプルにそういう方々が乗ってこれるようなやっぱり配慮が必要だと、こう思いますので、その点を特に強調しておきたいと思 うんです。 以上、昼までの質問は終わります。
○委員長(倉田寛之君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時三十分まで休憩いたします。 午後零時二分休憩 ─────・───── 午後二時三十分開会
○委員長(倉田寛之君) ただいまから商工委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○福間知之君 書面出願に関連して若干お尋ねをしたいと思います。 提出法案が特例法というネーミングになっているのは立法技術上のことでありまして、四法をそれぞれ一部改正した場合と法律効果は同じではないかと思うのですが、法律に必ずしも習熟をしていない一般の出願人から見ますと、やはり従来の書面出願というものが基本であって、今回の法律案で電子出願が新たに認められると思っている人がかなり存在をしているのじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。 また、従来不要であった書面記載事項の磁気ディスクへの請求行為とかデータエントリー費の納付につきまして十分に周知徹底が図られないで混乱を招くというふうな心配が考えられますが、いかがですか。
○政府委員(吉田文毅君) 先生御指摘のように、今回の制度改正はかなり大きな制度改正でございます。したがいまして、私どももこの法律上の手当てを考え始めて以来、いろいろな場を通じまして周知徹底を図ってまいったわけでございます。法律的な形式につきましても、おっしゃるとおり、今後は特許法と特例法、この両方を手続する際には見る必要が生ずるわけでございます。しかし、このようなことは現在の四法の体制のもとにおきましても、お互いに準用し合っている等、いろいろ他の法律を見なければ最終的には全体が完結しないというような状況にはあるわけでございます。 したがいまして私どもは、この点も含めまして従来から、例えば昨年におきます四十七都道府県におきますPRを初めといたしまして、弁理士会、特許協会等を通じまして周知徹底を図っているつもりでございますが、なお法の施行までには十分時間もございますので、今後におきましてもその努力をさらに倍加してまいりたいというふうに考えております。
○福間知之君 習熟をしてもらってのみ込んでもらうということがやっぱりこの法を施行する上での大前提になりますので、それはせっかく御努力をいただかねばならぬと思います。 次に、データエントリーの費用に関しまして、この法律が施行された場合に、従来の書面手続を行った方々はデータエントリー費用の納付が必要となるわけですけれども、この価格は、衆議院の商工委員会におきましては、標準的なケースでほぼ一万二千円程度という大臣答弁があったようですけれども、果たしてこれはどういう根拠で算定をしたものなんでしょうか。いろいろ雑多な印刷物を取り扱い、かつどちらかといえば小規模で営業している町中の代書店の相場を考慮するのではなくて、出願関連文書のみを多量かつOCRなどを駆使して規模の利益を上げることのできる処理機関のいわばコストに見合う適切な実費として、極力安くするということが必要だと思うわけですけれども、どのようにお考えですか。
○政府委員(吉田文毅君) データエントリーの料金につきましては、法律案の成立後に詳細な検討を重ねまして決定してまいりたいというふうに考えております。現時点におきまして考えてみますと、データエントリーの経費につきましては、その業務量、これに要する機器の量、さらに職員の数、スペースの規模等、これらを総合的に勘案いたしまして、できるだけ低廉なものとなるように試算をいたしまして、平均的な出願につきましては何とか一万二千円前後におさまるのではないかというふうに考えているわけでございます。 その前提といたしまして、OCRの使用でございますとか規模の利益でございますとか、その業務に習熟した人たちが専業化するというようなことも前提に置かせていただいているということは、先生御指摘のとおりでございます。
○福間知之君 次に、特許庁における職員の増加あるいはまた待遇の改善に関連してお聞きをします。 新しいこのシステムが構築されましても、特許を付与するか否かという判断業務、係争事件の処理あるいはオンライン業務を支える上での事務処理のため、相応の職員数が必要なことは言うまでもありません。通産省の本省あるいはエネルギー庁、中小企業庁等は、ここ十年余りの定員がふえているのに比べまして、特許庁は実は減ってきたというふうな事情があるんじゃございませんか。先ほど質問の中にも出てましたように、システムを運用していく場合に要約書の採用等によって職員の負担が増加するというふうなことも十分考えられるわけでございますが、人員の確保という点については具体的に一つの計画というものをお持ち合わせでございますか。
○政府委員(吉田文毅君) 昭和五十五年度以来、特許庁の定員が減少の傾向にございまして、昨年度八年ぶりに増加に転じたということは午前中申し上げたとおりでございます。この増加と申しますのはネットで増加という意味でございます。ただいま先生から、本省の方と比べて増員の数が少ないんじゃないかというような御指摘もございましたが、例えば本年度の現在私どもが期待をしております査定の結果ベースで申し上げますと、私どもの特許庁におきましてはネットでプラスになると思いますが、本省の方は各局あるいは各庁すべてトータルをいたしましても残念ながら削減の方が増員を上回るというような事態にございます。 しかし、基本的に考えまして、特許行政のベースは人でございます。したがいまして、理解業務あるいは判断業務を行いますのは、ペーパーレス計画ができましても人に頼るということでございまして、現在の審査処理の促進の必要性ということを考えますと、今後とも中期的に特許庁といたしましては審査官を中心に増員をいたしてまいりたいというふうに考えております。
○福間知之君 システムの導入によってすべて諸業務が時間的に短縮されていく、こういう効果をもたらすわけであります。今のお話のように、判断するのは審査官――審査官というのは学歴も一定のレベル以上要求されるわけですし、さらにはまた専門的な知識というものが求められるわけでございます。特許庁長官は、衆議院でも、判断は機械では今のところ不可能で、審査官がしたがって重要な役割を果たす、大学で特許講座を開くなど努力して所要の人数を確保することに努力をされてきた、大学で講座なんか開いて確保するのに努力してこられた、昭和五十五年の九百五人が六十三年に八百五十三人になったと、こういうこと述べておられます。昨年度から少し風向きも変わって、人員をふやすという方向に向かってきている。これは先ほどの説明によって裏づけられているんでしょうか。 技術革新に伴って出願内容がより高度化する、あるいはコンピューター化されて高度の業務がさらに要求されてくるわけでございますが、業務の円滑な推進のために、どうしても人数と同時に待遇というか処遇条件、処遇の改善が重要ではないかと思うのであります。これはもう今回の法案の審議にかかわらず、かねて特許庁の一つの問題として重々指摘もされてきたことでございますが、長官がさらに明確な一つの決断をしていただかなければなりません。同時に、それは武藤大臣が就任期間中の大きな仕事の一つとして、このシステムの導入と全く不即不離で人員の増と処遇改善というものは考えていただかなければならない、そ ういうふうに思うわけで、特に御所見を求めたいと思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) 先生の御指摘のとおりでありまして、せっかくこのようなペーパーレスの改正案を通していただきましても、やはり実際は審査をする能力、判断する能力というのは人でございますから、その意味において審査官の増員というのは、今御指摘いただいているとおり大変重要な問題だと受けとめております。 今お話がございましたように、定員の問題は昨年度、また今予算を御審議いただいておりますが、平成二年度の予算が成立をいたしますと、同じように三十人ずつふえるわけでございますが、平成三年度以降におきましても、ちょうど今構造協議の問題を日米間でいろいろと議論いたしておるわけでございますけれども、その中で米国からも思い切った審査官増員をしろという要望も来ておるわけでございますし、その辺もひとつ大いにこちらは少し外圧も利用させていただきまして、来年度の定員増の場合には思い切った増員をするように努力をしたいと思います。 また、今御指摘の処遇の改善につきましても、これは定数改定の面で、例えば専行の五級ですが先任上席審査官、これが元年度では二十九人、それからこの平成二年度では四十三人というような形で増加をさせていただいておりますし、また行政職の関係でも五級、六級、七級のあたりを中心として定数増を図っているというようなことでございまして、今後もその辺を中心として思い切って処遇の改善に向けて努力をしていきたい。 この間、これはたまたま省内で次官からも今度の定員の問題につきましては、いろいろ大蔵省、総務庁とやらなきゃいけないので、ぜひともその点については私にも積極的にひとつ取り組んでほしいという要請も役所の中から私は受けておりますので、思い切った形で平成三年度においては、それこそ平成元年度あるいは平成二年度を相当上回る形で定員の関係も定数改定の問題も実現をできるように努力をしたいと考えておる次第でございます。
○福間知之君 時間がありませんので、これ以上申しませんが、アメリカやヨーロッパに比べて、絶対的にと言ってもいいほど我が国の定数は少ない、こういうふうに言われているわけです。アメリカやヨーロッパはそれでもかなり仕事がきついと言われているんですけれども、だとすると我が国の場合は、職員の皆さんの大変な過重労働で仕事が支えられてきているというふうにも考えます。 衆議院で長官は、欧米とは違って、総合的な施策をいろんな部門部門の実態に即して考えていかなきゃいかぬというふうにおっしゃいましたけれども、具体的にはどういう点を言われているんですか。
○政府委員(吉田文毅君) 私どもが現在行っております総合的かつ体系的な施策、これは審査処理を促進いたしますために、定員の問題、ペーパーレスの問題、さらにサーチ外注の問題、また審査調査員制度というのを本年度予算案が認められますと発足させるということも考えておりますし、また一方におきまして、これらの特許庁側における施策に加えまして、出願者等のサイドにおきましても、審査あるいは出願の厳選の要請、また公開技法の活用等、いろいろな施策をそれぞれの分野で最大限活用さしていただくということで考えさしていただいているところでございます。
○福間知之君 では、次に移ります。 指定機関に関しましてお伺いをします。 情報処理機関の創設、指定調査機関の創設、こういうふうになっておりますが、この両機関の業務が公正かつ的確に遂行されるよう万全の措置をとる必要があると思いますが、具体的にどのようにやっていかれるお心づもりですか。
○政府委員(吉田文毅君) この法案上の指定機関の役職員につきましては、法律上特許庁職員と同様の守秘義務が課されるという構成になっております。また、業務の公正性の確保につきましても、役職員の構成、指定業務以外に行っているほかの業務との関係、さらに業務規程等、いろいろな観点からチェックが働く仕組みになっておりまして、必要に応じまして所要の命令を出すこともできる仕組みとなっております。 このように、守秘義務や公正性の確保につきましては、法律上所要の規定が整備されているところでございますが、実際の運用に当たりましても、いやしくも審査等の内容に悪影響を及ぼすことがないように厳格な監督に努めてまいりたいというふうに考えております。
○福間知之君 特許の出願または実用新案登録出願の審査に必要な調査のうち、いわゆる先行技術調査をFタームシステム及びデータベースを用いて行わせることができる、わかりやすくこれを説明してください。
○政府委員(吉田文毅君) ある出願が行われますと、その出願が既に公知公用となっているような出願に対しまして、新規性あるいは進歩性があるかどうかというような判断が、その案件に対しまして特許権を付与することができるかどうかの判断の大変重要な部分を占めるわけでございます。 我が国におきましては、現在四千二百万件に上ります先行技術を集めたデータ集がございます。このような膨大なデータが、その出願案件に対しまして新規性、進歩性に疑問を投げかけさせるほどの技術であるかどうかということを見るわけでございますが、これを従来はペーパーをめくりまして探していたわけでございますが、現にそのような膨大な先行技術群でございますので、このペーパー方式では限界に達しているということでございます。したがいまして、これらの先行する技術の特徴をコンピューターにそれぞれの案件ごとに入れまして、コンピューター処理によりましてある特定の案件との関係を即座にチェックできるような仕組みを開発いたしまして、これを私どもファイル・フォーミング・ターム、俗にFタームと呼んでおります。したがいまして、今後は案件の内容を理解した上で簡単な論理式を使いまして、定型的に先行技術とその出願された案件との相互関係をチェックすることができるようになりました。この定型的な処理が可能になったということを踏まえまして、先行技術調査の一部を外注するというようなことを考えておるところでございます。
○福間知之君 なかなか専門的で頭に入らないんですよね。難しい話でございまして、まあこれはある程度専門家に任す以外にはないと思うんですけれども、今のお話でもそれほど重要な仕事を指定機関でやっていただくわけですから、当然本庁の職員並みの規律と守秘義務などは特に大事かと、こういうふうに思いますのでお聞きをしたわけでございます。 次に、外注に関する問題についてお聞きしますが、このシステム導入に伴いまして、先ほども触れましたように、大型コンピューターを六基活用するとか、端末千台以上を活用するとか言われているわけですが、問題は、その運用管理というものが果たしてどこが当たってどうなるのかというのが一つの重要なポイントじゃないか、こういうふうに思います。そしてその場合に、公開前の情報にアクセスする可能性があるんじゃないか、ないのかという問題が一つであります。先ほどの話でセキュリティーの面では大丈夫なのかということが一つ考えられるわけです。さらに、書面の電子化あるいは先行技術調査やホストコンピューター管理について外注されることになるんでしょうけれども、単に審査の処理を外注化してしまうということのないように留意すべきじゃないかと考えるんですが、その点はいかがですか。
○政府委員(吉田文毅君) 運行管理会社に対しまして業務の委託を行うということを考えておりますが、その際、その運行管理会社の従業員の人たちが機密性のあるデータにつきまして、これを見て業務を行うというようなことのないように今後の契約をやっていく上で十分中身を吟味をしてまいりたいというふうに考えております。
○福間知之君 大型コンピューターの運行管理の業務委託には秘密保持の法的な措置があるんで しょうか、民事契約でやっていくのでしょうか。いかがですか、どちらですか。
○政府委員(吉田文毅君) 運行管理会社につきましては、守秘性のあるデータにつきましてこれを見て業務を行うというような内容の業務を外注するつもりがございませんので、運行管理会社につきましてはその従業員に対しまして守秘義務をかけるというような法的措置を考えているわけではございません。
○福間知之君 公開前の出願を含めて、未公開データのコンピーター処理は外注で実施するということではないのですか。
○政府委員(吉田文毅君) 運行管理会社の問題とサーチ外注の調査機関の問題と二つございますので、二つに仕分けをしながらお答え申し上げたいと思います。 運行管理会社と申しますのは、特許庁の内部におきまして、私どものCPU六台を初めとするシステムの運行に当たるわけでございますが、この会社の従業員につきましては、今御説明申し上げましたように、機密性のあるデータを見て業務を行うということがないということで、契約によってすべての義務を担保させていきたいというふうに考えております。 一方、サーチ外注でございますが、このサーチ外注の際には、いまだ公開をされていない案件につきましても外注してサーチをしていただくということに将来はなりますので、この点につきましては、この特例法に基づきまして、守秘義務をかけさせていただくというような構成にさせていただいているところでございます。
○福間知之君 次に、情報サービスに関連してお聞きをします。 今回の電子出願の普及あるいは支援関連経費として平成二年度予算に五億七千万円余りが計上されておりますが、各種の相談事業や共同利用機器の整備が行われるわけでございますので、各通産局やその他の関係機関でも総合資料データベースにアクセスできるような情報サービスが行われるわけであります。これらをPRすることはもちろんでございますけれども、情報を出願人がうまく活用して出願の厳選につながるようになれば一層メリットが大きいと考えられるのでありますが、この点はどのようにお考えでございましょうか。
○政府委員(吉田文毅君) 私ども現在のペーパーレスシステムの中で幾つかのデータベースを構築するという努力をしているところでございまして、その中の例えば総合データベースにつきましては既にデータの構築を終わりまして、それを拡充しつつ御指摘の通産局四カ所あるいは本庁におきます資料館におきまして、端末を通じまして電子化されたデータを見ることができるように既になっております。 また、先ほど難しいと言っておしかりを受けたFタームでございますが、このFタームにつきましても現在構築の途上にございますが、既に一部は利用可能な状況になっておりまして、この部分につきましては部分部分ではございますが、既に外に出しまして利用に供している部分もございますし、それを今後拡充させていただくということを考えております。 したがいまして今後は、御指摘のように、先行技術についてのサーチ、調査を民間の出願者あるいは代理人の方々が私どものシステムを活用しながら行うということが可能になりまして、審査請求あるいは出願の厳選化につながり得るという期待を抱いている次第でございます。
○福間知之君 時間が参りましたので終わりますが、いろいろ詳しい御説明もたくさんお聞きしましたけれども、近く一遍特許庁の現場を委員長以下有志でもって見学に参る予定でございますので、きょうの御答弁が本当かうそか、しかと確かめることにしたいという要望を申し上げて、終わります。
○三木忠雄君 衆議院でもあるいはまた参議院でも同僚議員から法案の中身で具体的にいろいろ細かく質問されておりますので、なるべく重複を避けて質問したいと思っております。 何といっても今一番大きな問題になっている日米構造協議の中で、特許制度の問題に関してやはり知的所有権等も含めましていろいろこれから大きな話題になってくるであろう、こう私は推測をいたすわけでございまして、こういう問題から一、二いろいろお聞きをしたいと思うんですが、特許制度の問題につきまして日米構造協議で中間報告の中にやはり何点か指摘されている問題点があろうと思うんです。この点について日本側の考え方はどうなのか、まずお答えいただきたいと思います。
○政府委員(吉田文毅君) 日米構造協議におきましては米側から三点指摘を受けております。第一点は、先ほど来御議論いただいております審査遅延問題でございます。第二点、第三点は、私どもは制度論につながる問題であるというふうに認識をしておりますが、一つが付与前異議と申しておりますが、審査の過程におきまして第三者からの異議申し立てを受けるという現行法の仕組みでございます。この点につきましては、そうでなくても審査に時間を要しているのに、審査の途中で異議申し立てを受けるということになるとますます審査に時間がかかることになるのではないかとか、あるいは日本の企業はシステマチックに異議の申し立てを行っている、けしからぬというような指摘を米側はしているわけでございます。また一方におきまして、第三点でございますが、日本のクレーム解釈は非常に狭い解釈になっている。大きな範囲の特許が一発でなかなかとれない仕組みになっているし、日本の審査官も狭いクレームを好むというような指摘も受けております。 私ども、第一点の審査遅延問題につきましては、先ほど来御説明申し上げておりますように、総合的、体系的な施策をもちまして、米側あるいは欧州側が単に定員の増というだけで対処しているのに対しまして、もっと緻密に対処をしておりますということで現在理解を求めつつあるわけでございます。この点につきましては、四月の中間報告におきまして、五年以内に日本の審査要処理期間を国際的に見て遜色のないものとするという文章を入れさしていただいたところでございます。 なお、第二点、第三点、これはいずれも私どもは制度論であるというふうに考えております。制度論につきましては、現在ガット・ウルグアイ・ラウンドあるいはWIPOのハーモナイゼーションの場におきまして議論をされております。このような制度論につきましては、日米だけで詰めるのではなくて多角的にコンセンサスを得る必要があるということで、米側の理解も得まして、これらの点についてはマルチの場で議論をしようというようなことになっている次第でございます。
○三木忠雄君 この遅延問題ですね、五年以内で解決する。国際比較の問題を考えますと、審査官の問題だとか定員の問題だとか、これは日米欧の関係から考えた場合にどういうふうな国際比較ができるんですか。この点でやはり審査面の遅延だけの問題なのか、あるいは定員面で少ないから遅延しているのだという構造協議の中の議論なのか。何が議論になっているのか。
○政府委員(吉田文毅君) 御指摘の点につきまして数字を比較させていただきたいと思うのでございます。 一九八八年の数字でございますが、米国におきましては千五百四十一人の審査官がおります。欧州特許庁におきましては千三百二人の審査官でございます。一方我が国の審査官の定員は、この時点で八百五十三人でございます。 一方、出願件数でございますが、この点につきましては八八年で、日本だけは年度でございますが、五十万八千件でございます。アメリカにおきましては十四万八千件余りでございますし、また欧州特許庁におきましては五万二千件余りでございます。したがいまして、審査官一人当たりの出願件数について見ますと、圧倒的に日本が多いわけでございます。 一方、処理状況でございますが、日本におきましては審査官一人当たり二百三十九件の処理を八 八年度に行っております。アメリカにおきましては約九十三件、欧州特許庁におきましては約五十一件ということになっておりまして、日本の審査官の五年間あるいは年度間に行います審査の量というのは圧倒的に多いわけでございますが、何せ審査請求件数あるいは出願件数と定員との関係におきまして私どもの審査要処理期間というものが他の二つの庁に比べまして長いということになっておりまして、現在三十七カ月というような状況にございます。ちなみに欧州特許庁におきましては三十カ月でございますし、米国特許商標庁におきましては十八カ月というのが最近の数字であるというふうに認識をしております。
○三木忠雄君 そうしますと、アメリカが十八カ月、日本が三十七カ月ですか、今のデータからいくと。出願件数が日本では相当多いわけでしょう。これを人員を一挙に日本はふやせといったって、これはやっぱり行政改革だとか財政の関係もあるだろうし、いろいろある。そのためにもペーパーレスの計画もいろいろ組まれているんだろうと用いますけれども、これの隔たりの穴埋めは米側は理解されるんですか。あるいは日米欧の関係ですね、処理がおくれている問題。ペーパーレスの今回のこの法案の処理をする、あるいはいろんな装置を考える、あるいはそれの周辺の施策を考える、こうなった場合に、果たして米側はそれで納得をするのかどうか。この点についてはどういう感触を持っていますか。
○政府委員(吉田文毅君) その点につきまして米側は、ペーパーレスは結構である、しかしペーパーレスについてはまだ十分彼らは理解をしていない面がございまして、量をさばくのに役に立つのか、あるいは質の向上を図るのに役に立つのか、ペーパーレスについて彼らは今検討しているというような状況にございます。審査調査員制度でございますとか、サーチ外注でございますとか、私どもが講じております総合的な対策は、はっきりした数字の裏打ちのあるものもございますし、そうでないものもございます。間接的に、例えばペーパーレスによります総合データベースあるいはFタームの利用による出願あるいは審査請求の質の向上というような問題につきましてはなかなか数値化することも難しいわけでございますが、そのような点、私どもは米側にしかと説明させていただいておりまして、向こうもその点につきましては、研究させてくれ、そうかなと言いつつ、定員問題、これが重要ではないかというような指摘をしているというのが現状でございます。
○三木忠雄君 定員だけいろいろ議論してみましても、国の制度が違うわけだし、それだけで解決できるあるいは溝が埋まるというような問題に私はなかなかなりづらいんだろうと思うんですね。最近のアメリカとの間の特許権の問題で紛争事件が二、三起こっていますね。三菱電機とフュージョン社ですか、何件か起こっているこの事例については、日本の制度の運用面の問題でいろいろいら立っているのか、三〇一条アモルファスの問題がいろいろ却下されましたね、ヒルズさんがやらなくなった。こういう問題の陰にはやはり運用面が理解されていなかったのかされていたのか。どういうところに問題があったのか。あるいは特許紛争の成り行きというのはどういうふうに通産省は見ているのか。この点についての御意見。
○政府委員(吉田文毅君) 私ども、個別紛争と政府間の紛争、この間に三つのジャンルがあるのではないかというふうに考えております。 第一のジャンルにおきましては、個別企業同士が訴訟等によりまして紛争の解決を図っているというジャンルだと思います。 第二のものは、個別ケースにつきまして米国政府がいろいろな理由をつけまして我が国政府に対しまして何とかしろと言ってくるたぐいでございまして、例えば特許を取得いたしますのに大変日本では制度運用上時間がかかる。したがって、本来与えられるべき特許の期間がかなりの程度に減少してしまっている。ついては、この件について何とかならないのか、期間をもうちょっと伸ばせないのかというようなことを言ってきた場合もございます。 それから三つ目のジャンルにおきましては、制度運用そのものを個別紛争に根差しまして変えたらどうだということを言ってくる場合でございまして、先ほどちょっと御紹介をさせていただきました付与前に異議申し立てを認めるということによって、審査期間がさらに伸びているんだから付与前異議制度をやめたらどうかというようなたぐいのものでございます。 極めて乱暴に整理をいたしますとそのようなグルーピングができるのではないかというふうに感じております。 私どもといたしましては、個別企業間の紛争につきましてはあくまで個別企業間で解決すべきものである、政府が介入をすべきものではない。また、我が国の特許制度等の制度及び運用は極めて公正な仕組みになっていて、特定の企業あるいは国内の企業等にフェーバーを与えるような仕組みには一切なってないし、運用上もしかとそのような運用をしていますという説明をさせていただいております。 また、第三のジャンルに属するものにつきましては、現在マルチの場においていろいろ議論になっているではないか、いずれの項目もマルチの場で現在出ている議論の項目に当たるではないか、ついては、そのような場における議論を通じてお互いに理解を深めるなり改善を図るなりしようという対応をさせていただくと同時に、米国側におきましても制度運用上いろいろな問題が言われているということで、私どもはマルチの場における議論におきまして、この先発明主義を初めといたします米国の制度運用論につきましても純粋に制度運用論として強い御指摘をして議論を現在させていただいておるところでございます。
○三木忠雄君 アメリカと日本の特許の申請のやり方、日本はこれ日本語でなければ申請を受け付けないんでしょう。アメリカは母国語であればいいという感じで何か申請の仕方が違うんでしょう。そこらの間の問題もいろいろあるんじゃないですか。その点はいかがですか。
○政府委員(吉田文毅君) 御指摘のとおりでございまして、我が国におきましては日本語の受け付けというのが特許法上の扱いでございます。母国語で受け付けるというのが世界の大勢ではございますが、例えば米国、フランスにおきましては外国語の受け付けを認めております。アメリカの場合でございますが、二カ月以内に翻訳文を出すということにはなっておりますが、一義的には外国語を受け付ける。 どうしてそういう差異があるのかという御下問かと思いますが、米国におきましては特に最近時点におきまして、まあプロパテント時代と言われておりますが、権利者の保護を強化する、先ほど大臣もちょっとおっしゃっておられましたが、私どもは適切なる保護を行うというのがうたい文句でございますが、米国におきましては保護の強化ということになっております。米国におきます原語出願の問題もこのような権利者の保護強化というような発想と関係があるのではないかというふうに思っております。国際化の一環としてどこまでこういう御議論におつき合いができるのか、私ども現在慎重に検討しておりますが、国際的に見ましても両論存在をしているところでございます。
○三木忠雄君 一九九二年にECが統合されます。これから知的所有権の問題が非常に大きな問題になってくるだろうと私は個人的に想像しているわけです。アメリカも今特許申請が、日本側の企業や日本側からも相当な特許申請が多いわけですね。そういう問題に対するアメリカの権利保護という問題が非常に厳格になってくるのではないかと、こう私は想像するんです。どうなんでしょうか、国際化の時代に日本だけが受け付け方法が違う、まあ他の国によってもいろいろ違う点があるでしょうけれども、これはやはり国際的に統一しなければならない方向の方が強いんじゃないか と私は個人的に思うんです。この点について特許庁長官でも通産大臣でもいいから、御意見があれば。
○政府委員(吉田文毅君) 現在の国際的な考え方は、原語による出願のかわりに、日本なら日本に日本語で出願をしまして、それから十二カ月の猶予期間を置きまして、その間に例えば米国に出願をしたい者は英語に翻訳いたしまして、日本に出願した日付をもって米国に出願をしたこととなる。これがパリ条約の大原則でございまして、あるいは特許協力条約という別の体系もございますが、これも二十カ月ないし三十カ月の猶予期間があるわけでございます。そのような条約上の仕組みによりまして出願者の権利の保護を適切に図るというような考え方であるというふうに私認識をしておりまして、日本法の考え方もその考え方に沿っているわけでございます。 で、この考え方によりますと、例えば原語で出願をされましてそのまま公開公報に出ましても国民は読める方も読めない方もいると思いますので概して困るという、その第三者の利益と出願者等の利益をこれらの条約においてはバランスをとっているというふうに私ども認識しております。したがいまして、今後国際的な議論がどちらの流れが太い流れになっていくかということも見きわめる必要があろうかと思いますが、現在のところは両論ある。米国が原語出願についてはかなりこだわっているということを御報告させていただくことによりまして御理解を賜れればと思います。
○三木忠雄君 まあこの問題はここで議論してもあれでしょうけれども、国際的な流れの中でやっぱり日本は対処していかなきゃならない方向になるんじゃないか。ECでも何か九カ国ぐらいがまとまっているという話もありますし、先進国の状況というのはやっぱりそういう方向に流れていくだろうと、私はそう考えますので、これは研究を専門官が皆やられるわけですからよく研究されて、やはり国際化の中でおくれをとらないような同一基準で物を考えられるという形にしていきませんと、こういう工業所有権の問題は非常にいろんな問題点があると思うんです。 ここで商標登録とか意匠登録、こういう問題についてこの法案には入っていませんね。したがって、このぺーパーレスはやるけれども、意匠登録であるとかそういう普通の登録問題ですね、こういう問題は国際規格の中で――私は差し支えがあるのでちょっと差し控えたいと思っていますが、ある日本の企業がシンガポールである会社の商標登録をした。ところが、既にそういう名前をとってしまっている。それは専門家がいるのかマニアがいるのか、そのとった方はまあ有名な人なんですけれどもね。そうすると、国際条約にその地域は加盟していないわけです。日本がやっぱり意匠登録だ、商標登録だというものを一本しておれば、これは国際的に全部通用するというような話を私は伺っているわけです。したがって、意匠登録だとかそういう問題についての国際条約上、日本は登録制度を推進していく方向になっていくのか、あるいはこの意匠登録の問題をどういうふうに考えていくのか。ここらの点についての特許庁の見解を伺っておきたいと思います。
○政府委員(吉田文毅君) ただいま御指摘の商標の国際登録の問題でございます。商標の国際登録の制度といたしましては標章――標章という場合には商標とサービスマークと両方含めて標章と呼んでおりますが、標章の国際登録に関するマドリード協定というのがございまして、一八九一年に締結をされておりまして、主としてヨーロッパの十九カ国を初めといたしまして全部で二十九カ国が現在加入をしているわけでございます。この協定の内容でございますが、出願人が本国で登録をある標章についてされて、さらにそれを国際事務局に国際登録をいたしますと、その標章は他の加盟国においても保護されるというような内容になっております。 しかし、そのようにするためには、自己の標章につきましてあらかじめ本国で登録を受けることが必要でございますが、本国で登録を受けますには審査国と無審査国がございまして、日本の場合には審査国になっておりまして、この条約に入っている国は大体無審査国が多いわけでございますが、まあ審査国の方が時間がかかりますので不利になるというような問題が一つございます。 また、もう一つの問題でございますが、国際登録がなされますと、その効果を認めるか否かにつきまして各加盟国がその登録されたものを審査することができます。しかし、その審査の期間は一年以内にするということになっておりまして、かなり短い期間に審査をしなきゃいかぬということになっておりまして、この点におきましても審査主義の国におきましては負担を感じるところでございます。 こういう状況であったのでございますが、最近に至りましてこのマドリード協定に対しまして議定書が別途採択をされておりまして、この議定書によりますと、出願人は自己の標章につきまして、本国で登録を受けていなくても本国で出願さえしていれば国際登録が受けられる、あるいは国際登録の効果を否認するには、一年以内と先ほど申し上げましたが、この一年が十八カ月以内でいいとか、若干緩和をされてまいっております。 このような状況にございますが、いずれにいたしましても審査国と無審査国の問題というような問題がございますので、私どもはいまだこの協定に加入をしていない、他の先進国の動向をも見守りながら慎重に検討さしていただいているところでございます。
○三木忠雄君 これはまあ慎重に研究もいいんですけれどもね、日本の企業は国際化でどんどんどんどん出ていく、こういう中にあって、何か意匠登録とか商標登録の問題が、未審査国というんですか、やはりそういうところで何か訴訟問題が起こったり、国際的に名の通用している企業は海外でそういう名前が使えないというような形になって、非常に不自然な問題じゃないかと私は考えるんですけれども、したがって慎重に検討もいいんですけれども、日本がどういう方向でその問題を処理していくかということを、やはりある程度早目に結論を出さなければ企業側はやっぱり大変だろう、こういうふうに思うんです。マニアじゃないけれども、商標登録じゃないけれども、そういう日本でもやはり先願主義ですから、早く何でも登録しておけばわしはその名前は全部使えるんだとか、そういうふうな考え方で国際化の中でやっていくような状況になれば余り芳しくないのではないか、こういう私は懸念をいたしますので、そういう話を伺ったこともございますので、これはやはりよく検討されて、早目に結論を出された方がいいんじゃないか、こういうふうに思いますので、意見だけ申し上げておきたいと思います。 それから、先ほどのこの特許制度の日米構造協議の中で、米国上院における特許制度改善を求める附帯決議十六項目、これちょっと私も読みまして、やはりこれは日本が改善すべき問題という問題で、特許庁は極端にスタッフが不足であるとか、先ほども申されておったけれども、審査官は、単一で狭いクレーム、特許請求の範囲を好むとか、こういう誤解されている問題が、いろいろな点があるんじゃないか。やはりそういう問題に対して、まあ国会議員同士でいろいろ話し合えば一番いい問題かもしれませんけれども、政府間で、こういう議会が提出した附帯決議等の問題について、やはりアメリカ政府に対して理解を求めさせる、あるいは理解をさせる、こういう努力はされてますか。
○政府委員(吉田文毅君) 米国の要請に基づいてではございますが、日米貿易委員会の中の知的所有権作業部会という場におきまして、これらの問題を中心にいろいろな議論がなされております。 アメリカからの要請に対しまして、私どもは、運用問題については日米バイで議論をすることは結構である、しかし、制度論中心にはマルチの場で、多国間の場において結論をだしていく必要があるんではないかという方針で基本的には対処をさしていただいておりまして、米国も最終的にはこのような我が国の立場を理解しているという状 況でございます。制度論は多国間の場で、運用問題は日米で協議というようなことで、この貿易委員会の場、さらに構造協議の場などにおきまして、現在これらの点について、誤解を晴らす必要のあるような点については誤解を晴らすし、理解を深めてもらう必要のあるような点については理解を求めるというようなことに加えまして、米国側の種々の問題点についても強い指摘を行わしていただいているというのが現状でございます。
○三木忠雄君 その米国側の指摘に――指摘はアメリカ側からいろいろ来るんだけれども、日本側が、アメリカの特許制度についていろいろな問題点を言うというのはあるんですか。構造協議の中で何か日本側がアメリカの特許制度についてこうだああだという意見は申し述べたことはあるんですか。
○政府委員(吉田文毅君) 米側の問題点は主として制度論に絡む問題が多いわけでございますので、私どもが米側に強い指摘をし、改善を求めているということの多くは、多国間のガット、WIPO、クラブ15というような場で行われておりますが、例えば差別的な運用につながりやすい、あるいは制度的にもはっきりそうなっている先発明主義、これは世界の大勢である先願主義に改めてもらう必要があるということですとか、あるいは出願後十八カ月で公開をするということに日本や多くのヨーロッパの国の制度ではなっておりますが、この公開制度は米国にございませんが、この公開制度をとる必要がある。 何となれば、どういう技術が特許庁の審査にかかっているかわからないままに非常に長期間が経過いたしまして、既に技術としては陳腐化をしているようなものが、ある日突如として権利を付与されまして世の中に浮上してくるということで周辺に大変迷惑をかけるというようなこともございます。このような点でございますとか、特許の期間は出願から二十年というシーリングがある場合が多いわけでございますが、米国におきましてはこのようなシーリングがございません。これも今例示に使わしていただきましたような、ある日突如というようなことにつながりかねない制度でございますので、このような点の改善など、主として多国間の場におきまして改善を求めているところでございます。
○三木忠雄君 これからハイテク技術の問題で、この知的所有権、工業所有権の問題でいろんな恐らく紛争というような問題が起こってくるだろう、こういう点を非常に懸念するわけです。この点はまた別の機会にいろいろ伺います。 今回のこの法案の中身の何点かちょっと伺っておきたいんですけれども、特許庁、五十九年からペーパーレスを開始したわけですね。これの十年計画の中で、千四百億ですか千八百億ですかつぎ込んでやるという計画の中で、今日までの状況というのは大体予定どおりのコースで来ているんですか。まずこの問題について。
○政府委員(吉田文毅君) 五十九年度よりペーパーレス計画をスタートさせていただいておりまして、現在までのところ電子事務処理システムの開発、さらにFターム検索システムの開発及びもう既に利用さしていただいております、内外で利用さしていただいてますが、この点。さらに総合資料データベースの構築でございますとか、これも既に四つの通産局やあるいは本庁におきまして照会サービスを開始させていただいておりますが、このような点が既にシステムとして完成し、あるいは部分的に完成し、利用も始まっているというような点でございまして、今回電子出願を始めさせていただくに際しまして法改正を要するという判断のもとに、この特例法の御審議をお願い申し上げているところでございます。
○三木忠雄君 それで、特許特別会計ですね、これは出願とかいろんな手数料の問題があるんでしょうけれども、この十年間ペーパーレスをやることによって特別会計が赤字になるような心配はないんですか、その点についてどうですか。
○政府委員(吉田文毅君) 五十九年度にペーパーレス計画が開始されまして以来六十三年度までの間に、特許特別会計の歳出は二千一億円でございます。一方、その間の歳入は二千七十八億円ということで、私どもは、特別会計でございますがゆえに、特に収支相償の原則にのっとりまして運用をしてまいっているところでございます。今後につきましても、この大原則をそんたくいたしまして運用させていただきたいというふうに考えております。
○三木忠雄君 このペーパーレスの今度の導入、これによって赤字が出るというような心配はない。それからあと、十年計画の末までの間に、やはり出願者が負担増を迫られるような問題が予想されることといえば何でしょうか。
○政府委員(吉田文毅君) 私ども二つの要因があると思っております。 心配をしろという御質問の趣旨でございますので心配をさせていただきますと、一つは歳出増要因になるかどうかという問題でございますが、先ほど来御説明申し上げております審査処理促進策、これも経費を要するものが中に多々ございます。これが今後どうなっていくかという問題が一つでございます。もう一つは歳入要因の方でございますが、歳入変動要因といたしましては、出願あるいは審査請求件数の今後の動向というようなものが歳入変動要因になろうかと思っております。これらの要因を見ながら、収支相償原則でこの特別会計の運用を今後ともやってまいりたいというふうに考えております。
○三木忠雄君 まあ先々の転ばぬ先のつえじゃありませんけれども、十年、これから平成五年までですか、最終年度が。そうしますと歳入の変動というのはやっぱり出願の問題、それから審査請求、これらの問題が実際に料金値上げとかそういうふうな方向にいかなくても、あるいは件数はどの程度予測して収支相償になっていくのか。その予測は大体どういうふうな考え方をもっていらっしゃいますか。余りそこまで細かくやってなかったら結構です。
○政府委員(吉田文毅君) 先ほど来御説明している中に、AP六〇でございますとかAP八〇と、出願あるいは審査請求に当たりまして厳選化をお願いするというようなことも入っておりまして、特にこのAP八〇と申しますのは六十三年度からスタートした新たな審査請求等の厳選の要請でございますが、このように現在施策内容も動いていると申しますか、新たに始まったようなものもございまして、実はその数値の予測というのが大変難しいというのが現状でございまして、私ども歳入変動要因と歳出の方と両方をにらみながら慎重な運営をさせていただきたいというふうに考えております。
○三木忠雄君 この特別会計というのは予測できないようなことがいろいろ出てくる。黒字になっている特別会計もたくさんあるでしょうけれども、随分国民が負担をするというか出願者に負担になってくるとかいう、こういう負担がやはりどうしても多くなってくるだろう。こういう点をこれから見通して合理化するのか、あるいはどういう点を歳出面でカットしていける要素があるのか、こういう点を特許庁長官としてどう分析をされているのか、しつこいようですけれども、その点についてお聞かせ願いたいと思うんです。
○政府委員(吉田文毅君) 私どももかねがね歳出につきましては、これをできるだけ軽いものにする。歳入につきましては、予測できない面も多いわけでございます。施策の影響を受ける面も多うございます。先生御指摘のとおり、今後中長期的にこのシステムの構築でございますとか、あるいはさらに審査処理の促進というような大きな施策の効果を上げていく必要があるわけでございますので、それの裏打ちとなりますこの特許特別会計につきましても、特段の注意をもって運営をさせていただければと思っております。
○三木忠雄君 じゃ、その程度にしておきましょう。 それで、今度の改正法案の中で非常に準備期間が少ないというか、恐らくきょう法案審議され て、参議院の委員会で例えば可決されると本会議でこれは通るでしょう。そうすると、実際の施行は大体いつごろと考えていらっしゃるんですか。まあ十月とか十二月とかおっしゃっていますけれども。
○政府委員(吉田文毅君) 審査の遅延を改善するということが我が国にとりまして現在喫緊の課題であるわけでございます。また、国際的にもこの審査遅延問題は批判の的になっております。 特に米国におきましては、昨年に引き続きまして本年の四月におきましても、日本をスペシャル三〇一の監視国という位置づけを一方的に行って、我が国の審査遅延の改善の努力を厳しく注視をしているというのが現状でございます。こういう状況のもとで、我が国といたしましては電子出願を初めとしますペーパーレス計画の推進を審査処理促進策の大きな柱として位置づけまして、対外的にもこの旨の説明をさせていただいているところであります。 電子出願の受け付け開始時期につきましては、日米構造協議等、多くの国際会議の場におきまして繰り返し一九九〇年というふうに明言をさせていただいております。これ自身おしかりを受けるおそれがあるわけでございますが、したがいましてこの九〇年実施ということがおくれますと、ガットのTRIPでございますとかWIPOでございますとか、我が国の審査遅延につきましていろいろな強い意見の出ております国際的な場におきまして欧米諸国の批判が強まるという心配がございますし、また米国の強い反発も懸念されるというところでございます。 一方、オンラインの端末機やあるいはFD手続のためのコンバージョンソフトウエアの開発、販売も進んでおりまして、着々と電子出願開始のための環境が整備されつつございます。出願人の方々におかれましても、年内の電子出願の受け付け開始を前提にいたしまして具体的な準備を進めているところでありまして、受け付け時期がそれ以上おくれることになりますと、機器等の整備を進めております出願人等の方々の期待にもこたえられないというようなことにもなりかねないと思っております。 私どもは、衆議院の審議の際に大臣からちょっと申し上げたところでございますが、この法律が順調に成立をさせていただけましたら、十二月の初め、一日あたりの出願が妥当なのではないかというふうに現時点で考えております。
○三木忠雄君 十二月上旬になりますと、恐らく周知期間等の問題はこれは十分だろうというお考えのもとにやっていらっしゃるんだろうと思うんですけれども、開発機器の問題だとかあるいはこの法律案、ちょっと目を通してみますと、これは政省令が非常に多いですね。特例法といえばこんなに政省令が多いのかなという感じをいたすわけです。したがって、これは恐らく関連業界も戸惑っているんじゃないか。そこらの問題の調整でいつごろまでの間にこの政省令を――法案が通らないと正直言って皆さん方もこうだと発表できないだろうとは思いますけれども、やはり政省令が関連業界の人たちの納得のいくような方向で早く煮詰まるようなことが大事だと思うんです。法律が通っちゃうと政省令は政府側の言い分のとおりぼんぼん決めちゃう、関係業界がある意味では無視される、こういうふうなことにならないように、これはお互いが仕事をしていかなきゃならない問題ですから、法律が通るとどうしてもやはりこれがひとり歩きするという感じになってまいりますので、この政省令の問題について、今回特にこんなに多かったというのは何か特例があるんですか。
○政府委員(吉田文毅君) 電子出願手続を定める特例法ということで、法律事項に加えまして例えばどういう項目の申請をしてもらうかというような手続的な、技術的、事務的な事項が多いということで、政省令への委任というのが先生のお目にとまったんだろうと思っております。 一方、特許協会あるいは弁理士会などの関係者でございますが、これらの関係者との間におきましては、政省令の制定の際に十分御説明もしますし、また十分言い分に耳もかすというようなことでやってまいりたいというふうに考えております。
○三木忠雄君 十二月の一日か上旬かそこらに施行するとなれば、政省令は大体いつごろまでにつくり上げる予定ですか。
○政府委員(吉田文毅君) 私ども、これから三カ月で政省令を完璧なものにさせていただきまして、あと三カ月を周知徹底の期間に充てたいというふうに考えております。もちろん、事項によりましては既に現在でも、例えばFDの有効性について特許庁でテストをして差し上げる、あるいはきちんとオンライン出願手続が行えるかどうか、現にラインをつなぎまして出願人の方々とテストを行うというようなことはもう既に始める準備もできておりますし、一部は既に始めております。
○三木忠雄君 一点だけこの政省令の中で聞いておきたいのですが、第七条の趣旨というのは大体端的に言ってどういうことなんですか、ちょっと簡単に説明していただけますか。
○政府委員(吉田文毅君) 現在、特許法におきましては紙出願が行われるということになっております。紙出願を行う際に今後は電子化という問題がございまして、特許庁では紙ではなくて電子ファイルですべてのデータを処理するということにさせていただこうと思っているものでございますから、紙出願が今後行われました場合に、それをいずれかの責任と負担におきまして電子化をする、そういう必要があるわけでございます。第七条はこの関係の条文でございます。
○三木忠雄君 そうしますと、この第七条の「通商産業省令で定めるところにより、求めなければならない。」という、この「求めなければならない」ということは何を指しているんですか。これは「求めなければならない」というと、何か強制的なような感じに受け取れるんですけれども、この「求めなければならない」ということはどういうふうな趣旨なのか、その点御説明願いたい。
○政府委員(吉田文毅君) 第七条でございますが、もうちょっと先生お読みになられた部分の前にさかのぼらせていただきますと、「磁気ディスクに記録すべきことを、」期間内に「省令で定めるところにより、求めなければならない。」ということで、この求める対象は磁気ディスクに記録すべきことでございます。
○三木忠雄君 そうしますと、紙出願した場合はだめだということですね。
○政府委員(吉田文毅君) 紙出願につきましては現行の特許法に規定がされております。私どもは、この特例法が成立した暁におきましても、紙出願のなされた日付をもって優先日として扱わせていただき、また紙出願の内容をもって出願内容として扱わせていただく。この点におきましては現行法の運用と何ら変わるところではございません。 ただ、紙のままでございますと私どもの電子ファイルに記録が入りませんので、それを紙の内容を電子化することを求めるということをこの七条によって期待申し上げておるところでございます。
○三木忠雄君 それから、その二項の「特許庁長官は、前項の政令で定める手続が同項の規定による方式に違反しているとき」、この「方式」というのはどういうふうなことを意味しているんですか。何を意味しているんですか。
○政府委員(吉田文毅君) これは前項第一項の「通商産業省令で定めるところにより」、この方式でございます。求め方でございます。
○三木忠雄君 これはまだ公布していないから政省令も言えないでしょうけれども、この通商産業省令はどういう考え方を持っているんですか、この点をちょっとお聞かせ願いたい。まだ本当は省令の中身に入れないですか。
○政府委員(吉田文毅君) 「省令で定めるところにより」と申しますのは、極めて形式的な申請書の様式などとなっております。
○三木忠雄君 一番の心配は、各弁理士の皆さん方も、この法改正、今までの特許法がある、特例法になる、これが法改正されてやはり省令、政令という問題がこれから煮詰まってくるでしょう。これが非常に理解がしづらいというか、あるいはお互いに意思の疎通を図ってもらわないとこの法案の施行までの間にいろんな混乱が起こるだろう。こういう点について私たちは非常に危惧をするわけでありまして、根本的に電子出願のやり方については私たちは賛成であります。早くやるべきだろうということはもう我々は十分わかっているわけであります。ある意味じゃアメリカから比べれば、新しい方式だというけれども、その他の部門でアメリカの方はコンピューターとかいろんな面で早く電子技術を導入しておったんじゃないか。電子出願の問題は日本が早いかもしれませんけれども、特許の出願、申請等についてはいろんな面では欧米の方がある意味じゃ進んでいる点もあったんじゃないかという感じが私もするんです。 その点について特許庁の方もいろいろ異論もあるかもしれませんけれども、やはり弁理士の方々あるいは出願するサイドに立ったいろんな意見をよく聞いて、この法律の施行にどうか誤りのないように期していただきたいということを要請して、私の質問を終わりたいと思うんです。
○市川正一君 本日は私、法案そのものについて実は十数項目の質疑を用意していました。先ほどから伺いまして、言うならば吉田長官のワンマンショーのような御奮闘ぶりでありまして、お疲れでございましょうから、どうぞ簡潔に短く、この十数項目の質問が無事に終わりますように、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。 最初に、この法案を制定する趣旨について確認をいたしたいのであります。 最近のエレクトロニクスや通信技術など科学技術の発展の成果を工業所有権の手続にも取り入れる、そして現行特許法及び実用新案法がその諸手続を書面によって行うことを原則にはしているが、例外的にオンラインシステムやフロッピーディスクを使って諸手続ができるようにするものと理解いたしておりますが、間違いございませんか。
○政府委員(吉田文毅君) せっかくのお言葉でございますので、私、はいと申し上げたいところでございますが、ちょっとひっかかりますのは、紙が原則であって電子が例外であるという趣旨に受け取らせていただいたわけでございますが、その点だけでございます。私どもは紙も電子手続も同等のものというふうに認識をしております。
○市川正一君 現行のものは書類によるのが原則だということは、これは間違いない。で、新しく加わって同列、同等といいますか、そういうものだという御認識ですね。 じゃ、そのことを少し置いておいて中に入っていきたいと思うんですが、そこでオンラインによる受け付けの締め切り時間でありますが、午後五時なんでしょうか六時なんでしょうか。七時だとか八時だとか、そこらの時間帯に設定した根拠をちょっとお知らせ願いたい。
○政府委員(吉田文毅君) 私ども現在検討しておりますのは、オンラインの受け付け時間につきましては、月曜日から金曜日までにありましては午後八時までにするという点を検討させていただいておるところでございます。理由といたしましては、いろいろ調査をさせていただいたわけでございますが、八時まで延長するということになりますと実態的に九六%の出願がカバーできるというような実態に着眼いたしまして、そのような検討をさせていただいております。
○市川正一君 いわゆるペーパーレスシステムの導入で、出願関係の手続、特許情報サービスなどいろんなサービスがオンラインで受けられるように、こう受け取るんですが、この法律が施行時からそういうすべてのサービスが受けられるか。それとも、施行時点では出願だけであって、そのほかは状況を見ながらということになるのか、だとすれば、そのサービスが受けられるタイムスケジュールはどうなのか。まあ、えらい欲張った質問ですが、できるだけ簡潔に承りたい。
○政府委員(吉田文毅君) 御趣旨、正確に理解させていただいておるとしますと、まず出願が電子で行われます。十八カ月たちますとこれが公開をされます。したがいまして、公開をする際の公報、これが電子手続と関連してまいります。さらに審査を行いまして公告公報が出ます。そうしますと初めて公告公報上に電子化の影響が出てくるというふうにタイムシリーズ的に考えさせていただいております。
○市川正一君 大体全容がのみ込めてまいりました。 そこで、冒頭御質問いたしましたように、特許及び実用新案の出願はなるほど書面とオンラインとフロッピーと、三つの方法で出願できることになりました。これもようわかりました。ところが、書面による出願についてのみデータエントリー費用を負担することになっておる。特許法の原則に基づいて書面で出願している者に何で特別の費用負担を強いるのかという疑問がわいてくるんですが、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(吉田文毅君) 電子出願が開始される本年末というようなタイミングで考えさしていただきますと、既に変換用のソフトあるいはワープロ、さらにオンラインで言いますとオンライン用の端末とそれに必要なソフトウエアというようなものは十分市場に出回っていると思います。どなたでも活用できるんじゃないかという状態になっていると思います。 また一方におきまして、この費用、これを出願人の方々あるいはそれを代理しておられる方々が負担しないという事態を考えますと、いずれかの者が負担をいたしませんとペーパー出願の内容が電子化されません。それではどういう負担の形態があり得るかと申しますと、国が負担をするというようなことが考えられるわけでございますが、この国の会計は先ほど来御説明申し上げましたように特別会計でございます。特別会計でございますので、出願人等の方々が負担をされているわけでございます。したがいまして、電子出願をなさっておられる方と電子出願でない紙出願の方としかこの会計をしょっておられる方はおられないわけでございます。したがいまして、紙出願の方々が負担をしないとなりますと、電子出願をされておられる方々はみずからの電子出願のための経費と、紙出願をされる方々のための経費と、二重に負担をするというようなことになるわけでございまして、これは公平の原則にもとるのではないかというふうに感じる次第でございます。
○市川正一君 さっき長官は私の質問にひっかかられたようですが、私も今の答弁に二つの点でひっかかります。一つは、どなたでもというふうにおっしゃった点と、もう一つは負担の公平論であります。私は言いたいんですが、それは逆立ちした考え方じゃないんでしょうかと。 コンピューター化は、確かに今回の措置によって負担を強いられることになるであろう個人の発明家、あるいは中小企業や小規模な弁理士の方、こういう方から何も頼んでそうしてくれと言うたわけやないんです。言うならば、この人たちは、私たちは今までどおりで結構です。何も困っていませんと、こうおっしゃると思うんです。因っているのはだれかというたら、滞貨の山でその任務が果たせない、責任が果たせない特許庁なんです、一番困っている、悩んでいるのは。そこで解決策として、ペーパーレス計画という事務機械化を進めてこられた。それはそれなりにわかるんです。そうしますと、その費用は特許庁の責任で負担するのが当然だし、また次の質問で申しますが、オンラインやFDで出願する方こそこの経費を負担するのが、言うならば負担の公平になるんじゃないですか。
○政府委員(吉田文毅君) 負担の点でございますが、特許庁が負担するというと大変聞こえがよろしいわけでございますが、特許庁のお預かりしております特別会計は、先ほど申し上げましたように、電子出願をされる方あるいは紙出願をされておられる方、こういう方々が手数料としてあるい は登録料等としてお払いいただいたものでございます。したがいまして、一般会計と異なりまして特別会計であるということから、負担の対象者が限定されているという点をぜひ御理解を賜りたいというふうに思います。 〔委員長退席、理事中曽根弘文君着席〕
○市川正一君 私は事実に基づいてただしたいんですよ。膨大な仕事が特許庁のところへ来ます。一体だれが持ってくるのかという実態は長官が一番よく御存じだと思うんです。というのは、未処理出願の増大や審査期間の長期化の根本原因は、電機とか自動車、そういう大企業の、あえて言葉を選ばずに言うならば、野放図な出願姿勢にある。そしてまた、それを容認してきた姿勢にもあるということを私は率直に言わざるを得ぬのです。 おととしの三月に出された特許行政問題懇談会中間報告、もう御承知のとおりです。ここでは出願数は出願上位十社で全出願の約二七%、最も多く出願している企業は約二万二千件も出願しており、上位百社で過半数を超える約五六%を占めている。 〔理事中曽根弘文君退席、委員長着席〕 これは私が言うのと違うんです。ここの報告書がそうなっている。また上位百社の占める割合は近年増大傾向にあるというふうに述べておるんです。 ところで、我が国の公告率、これは説明いたしません。欧米諸国と比較するとどうなっているのか、またこうした出願上位企業の公告率はどうなっているのか、お聞かせ願いたい。
○政府委員(吉田文毅君) 御指摘のように、上位百社の出願、これは過半数を超えるものでございます。 それから、公告率でございますが、日本全体で見ますと出願公告率は三割をちょっと超えるということで、欧米の公告率に比べますと低いというのが現状でございます。
○市川正一君 さらに、この中間報告は、相対的に低い出願上位企業の公告率、こう言うております。つまり、相対的にという前提があるにしても、出願上位の大企業がこれも言葉を選ばずに言うならば、玉石混交の出願を行って、これはセーフでしょうか。特許庁を先行技術の調査機関にしていく。別の言い方をすれば、そういう大企業の特許部の下請機関のように扱っていく、これが私は特許行政をゆがめている原因やとあえて言いたいんです。こういう出願上位企業の責任を明確にすることこそ、長官が力説される公正の原理に合致するんじゃないでしょうか。
○政府委員(吉田文毅君) その辺の事情を正確に申し述べさせていただきたいと思います。 日本の技術水準の向上あるいは研究開発投資の急増、さらに工業所有権を重視する企業戦略等を反映いたしまして、八〇年以降、特許・実用新案の出願件数が急増しております。特に、出願上位百社の伸びは著しく、八五年の出願で見ますと出願全体の五六%を占めるに至っているということは先生御指摘のとおりでございます。しかし、このような出願の内容について見ますと、審査を経て合格をするものは、審査請求されたものの約半分、玉石混交という言葉もあながち否定はできないというように確かに思います。その原因の一つといたしまして、出願上位企業の特許管理が必ずしも十分でない、あるいは出願審査請求をする際に、十分な事前調査を行っていなかったのではないかというような点につきましては、第百二国会、これは八五年の国会でございますが、御指摘のあったように、事実でございます。 例えば、八五年に特許の審査請求期間が終了いたしました七八年に出願されたものの審査の合格率を見ますと、これは上位百社外が五二%、上位百社は同じ五二%でございますが、四捨五入の関係で上位百社の方がわずかに低いというようなことにその時点ではなっております。八〇年以降、審査が長期化してまいりまして、これは、特許庁の審査能力を上回る大量の審査請求がなされたというようなことでございまして、この中にも、先ほど申し上げました事前の調査が十分でないというようなものも入っていたというふうに思います。 お聞きいただきたいのはこれから先の話でございまして、このような状況にかんがみまして、特許庁では企業におきます特許管理を充実してほしい、出願等を量から質へ転換してほしいというようなことをお願いしておりまして、企業におきます技術開発の効率化あるいは特許庁におきます迅速な権利付与を推進するというようなことを目的といたしまして、出願等の適正化施策を実施しているところであります。百二国会以降、出願上位百社に対しまして見ますと、審査されたものの合格率であります審査請求公告率が六〇%以上になるように具体的な目標を定めまして、審査請求を厳選する企業特許管理行動計画策定と実施を要請したところであります。 また、八八年度からはこれをさらに一層強化いたしまして、欧米並みの審査請求公告率であります八〇%を目指すように、重点的な審査請求計画を百社等の十分な協力と理解を得まして推進させていただいております。その効果も十分上がっているところでございまして、これを数字で申し上げたいというふうに思いますが、このような目標に対しまして、まず出願件数、これは減少してまいっております。八七年の五十四万件をピークにいたしまして、二年連続して出願件数は減っておりまして、八九年には五十・五万件になっております。AP対象百社のみで見ますと、二十九・五万件から二十六・三万件というふうに三万二千件の減少となっております。 また、審査請求率も低減をしてまいっております。六四・四%、これは七八年の数字でございますが、これは五三%へ特許につきましては減ってまいっております。これはAP(アクションプログラム)の対象百社以外と比較いたしますと、極めて著しい減少でございます。また公告率も上がってまいっております。 このように、私どもの改善の要請はしっかりした効果を既にあらわしているというのが現状でございますので、ぜひこの点正確に御理解を賜りたいと思います。
○市川正一君 じっと我慢して承りました。時は進みますので。 私も十分承知しておりますよ。AP六〇とかAP八〇とか、そういう取り組みをなさっていることは承知しています。その上で言うておるんです。数字を挙げられましたけれども、改善のテンポは極めて遅いんです。 それで、さっき言いましたように、どんどん来るわけですね。結局私は、提案でありますが、特許庁としてそういうところへの責任のとらせ方というものをやっぱり今考えるべきだ。例えば出願上位企業の公告率を企業名とともに発表する。今いい方は発表されておるけれども、混乱の原因をつくっている低い方の企業名も出すべきだと思うんです。そして、出願の手数料についても、一件当たりの基本的な料金を決めておいて、出願数が多くなるほど累進的に高い係数を掛けて計算をするとか、あるいは公告率が高くなればなるほど低減する係数を掛けて補正する体系にするとか、そして出願人の前年の実績で算出するとか、こういう方法はコンピューターを使えばできると思うんです。 私は、いずれにしても、今日の処理体制の混乱の原因をつくっている出願上位企業に対して、それにふさわしい費用負担を課していく、そしてコンピューター化の経費を賄って、そして出願数の少ない個人の発明家や中小企業への負担はなくすということは私は可能だと思うんです。 これは答弁を求めるとまた食われてしまいますので、そういう提案があるんだということはひとつのみ込んでいただいた上で、私は、データエントリー費用というのは、そういう出願上位大企業に負担させるべきであるということを大前提にしつつ、以下よく聞いていただきたいんですが、万歩譲って個人の発明家や零細な中小企業あるいは弁理士などの負担を求めるとしても、それはいわばできるだけ少なくする。言うならば実費負担といいますか、何がしかの負担を求める、そういう 考え方にする必要が今強く求められているんじゃないか。あえて具体的な金額は申しませんが、例えばですよ、五千円未満でできるだけ低い金額にしていく。そういうふうなことがあっていいと思うんですが、長官の御姿勢を承りたい。
○政府委員(吉田文毅君) データエントリーの料金につきましては、法律案の成立後に詳細な検討を重ねまして決定すべき性質のものであります。現時点におきまして具体的に数字を申し上げることはなかなか難しいわけでございますが、データエントリーの業務量あるいはこれに要する機器、さらに職員の数、所要のスペースの規模等を総合的に勘案させていただきまして、最大限低廉なものとなりますように努めてまいりたいというふうに考えております。
○市川正一君 ぶちまけた話、私はこの第七条を削除という修正案を検討してきたんです。これはもうここだけの話、ここだけと言うても……。まあしてきたんです。しかし、今の長官の答弁を多として、その積極的姿勢を見守りたい、見詰めていきたい、大臣もいらっしゃることですから、ということで質問を進めさしていただきたいと思います。 そこで、特許庁は的確な事務分析や業務分析というのは非常に大事だけれども、これはなかなかやっぱり困難に遭遇している。例えば今回特許法と実用新案法を改正して、出願には要約書の提出を義務づけておりますが、要約書はその発明の内容を的確に要約した質の高いものでなければならない。それにこたえるためには審査官にも相当の負担増になることは避けられぬと思うんです。 そこで、これは私、武藤通産大臣に伺いたいのでありますが、この審査期間短縮のかなめになるのは審査官とその仕事をバックアップする事務官の増員であると思うんです。また、待遇の改善であると思います。 懇談会の中間報告でも「審査の基本は「人」であり、いかに審査の周辺業務の機械化が進められたとしても、最終的な特許性の判断は審査官しかなしえない。」、「審査官等の定員について、これを行財政改革の枠内で一律に取り扱うことは必ずしも適当ではなく、国としてもその大幅増員に最大限の努力を払う必要がある。」と、こう述べておりますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほど今の先生の御質問にお答えするのと同じようなことをお答えしたわけでございますけれども、正直、今お話しのとおりで、やはり幾らこの期間を短縮しようといたしましても、ペーパーレスで幾らやろうといったってそれは限界がございまして、やはり審査官の判断能力がより向上していく、またそのためには審査官が増員をしていかなければならないというのは当然な話だと思います。 そこで、従来いわゆる行財政改革の一環として定員が削減されてまいりまして、特許庁の関係もその範疇にあったわけでございます。しかし、平成元年度からこの平成二年度、今御審議いただいている予算の中にも含まれておりますが、少なくとも三十名という人数が多いか少ないか、これは別といたしまして、少なくとも従来とは違ってそういう増員の方向に来ておるわけでございます。 それから、いわゆる定数是正の関係をもちまして、処遇改善もいわゆる重点的に行ってきているところでございます。たまたま日米構造協議の中でもっと思い切ってふやせというのがアメリカからの要求として出ておることも事実でございまして、外圧を利用して日本の行政をやることがいいか悪いかは別といたしましても、いいところはこれは使ったらいいだろうと思いますから、平成三年度の予算の要求の中における定員の問題につきましては、ひとつ思い切った増員を図れるように私として努力をしていきたいと、こう考えておるわけでございます。
○市川正一君 時間が迫ってまいりましたので、あと二問だけお許しを願いたいと思うんですが、今の要員の問題ともかかわりますので伺いたいんですが、特許庁のホストコンピューターの運行を受託する運行会社に秘密保持義務が法定されておるわけでありますが、そもそも秘密にかかわる部分は事務官の増員で責任を持って対応すべきであると考えます。安易に委託することに問題があるのでありますから。運行業務には下請や派遣労働者が携わることもあり得る。その場合、非公開の技術情報が蓄積されているコンピューターを扱う業務でありますから、法的な秘密保持義務を考慮する必要があると思うんですが、この点は、長官、いかがでしょうか。
○政府委員(吉田文毅君) 運行会社の職員に対しましては、刑罰をもって保護すべき発明等に関する秘密を知り得ないような業務のみを行わせるというふうに考えております。 具体的には、運行会社の職員にはホストコンピューター、光ディスクユニット等の機器の操作にかかわる業務を行わせることを検討しておりまして、その内容につきましては今後具体的に検討いたしまして契約を締結していくことになろうかと思いますが、いずれにいたしましても未公開の発明の内容にかかわるデータを見て取り扱うような業務ではなくて、したがいまして公務員と同様の秘密保持義務を課する必要はないというふうに認識をしております。
○市川正一君 もう一問でありますが、今のことからしても特許庁の要員の問題が浮上してまいりますが、未公開の出願についても指定調査機関にサーチを委託するというように伺っておりますが、緊急避難的な措置としてこれを認めるにしても、サーチ業務は本来特許性の判断と密接不可分の問題であります。本来特許庁の審査官が行うべきものであると考えますが、こういう点からも大臣から先ほど積極的答弁として要員の問題がございましたが、長官からもそれにかかわって積極的御答弁をお願いしたいと思います。質問の要点はこの指定調査機関のサーチの問題でありますが、この点いかがでしょうか。
○政府委員(吉田文毅君) 先行技術調査の外注、これをサーチ外注と呼んでおりますが、審査業務のうち、Fターム検索システムの利用によりまして定型的に実施することが可能となりました国内文献に関する先行技術調査を外注するというふうに考えておるところでございます。 このサーチ外注は審査官の行います先行技術調査の下調査として位置づけられるものでありまして、審査官は、審査を行うに当たりまして、必要に応じて独自の先行技術調査を行っておりまして、サーチと審査を分離するものではございません。したがいまして、審査業務を統一的に審査官が実施をするという従来からの審査の枠組みを変更するものではありませんし、今後もそのようなことを考えておるわけではございません。
○市川正一君 人をふやすんでしょう。
○政府委員(吉田文毅君) しかし、定員の問題につきましては、先ほど大臣がるる述べられましたように、私ども最大限努力をさせていただきまして、継続的に定員増を図ってまいりたいというふうに考えております。
○市川正一君 残念ながら、終わります。
○池田治君 先日、特許庁を見学させていただきまして、技術開発の進展が目覚ましいものがあって驚いておる次第でございます。高分子結合とか超電導体とか、私のような理科系の知識の薄い文科系の者には皆目わからないような高水準のものを取り扱っておられるのに敬意を表しておる次第でございまして、私、個人的にはコンプレックスを感じて帰った次第でございますが、我が国にとりましては、これは科学水準の向上ということで大変喜ばしい次第であると思っております。 もともと日本では、物権とか債権、土地建物の所有権の確保という点の手続は十分確立されておりましたけれども、知的所有権に対する確立というのはやや先進国と比べて立ちおくれていたのが事実であったろうと思う次第でございます。ウルグアイ・ラウンドでは知的所有権をどう整理していくかという新しいルールづくりが展開されているようでございますが、我が国としてもこの時期をとらえてこの知的所有権の確立とその手続過程の迅速化等を図っていくべき時期に来ていると思 うのであります。 そこで、ウルグアイ・ラウンドでの知的所有権の交渉の現状そして問題点、今後の見通しなどはどうか。先ほど大臣は開発途上国と先進国との間のことをお述べになりましたけれども、先進国同士の間でもかなりの問題があるんじゃないかと思いますので、この点について一言大臣の御所見をお受けします。
○国務大臣(武藤嘉文君) いろいろアメリカと日本との間においては、先ほど長官からも答弁がございましたように制度の面でも違った点もございますし、特に知的所有権におきましてもアメリカの保護主義的な動きもございますから、私どもとしてはあくまでこれはマルチの中で、多国間の中でこういうものは行われていくべきであるということでアメリカにも反省を求めておるわけでございます。先般、私も出席をいたしました四極貿易大臣会議におきましては、このTRIPの関係につきましては相当お互いに前進をした方向であるという感じを私はその会議では受けて帰ったわけでございまして、少なくとも一応前進をしておるということは言えるのではなかろうか。 今後とも、日本の国内の整備をしなきゃならない点もございますが、同時にまた開発途上国の意見、またそういう先進国の中でも直していくべきところをお互いに指摘をしながら、何としてでも十二月の最終的なウルグアイ・ラウンドの終結目標に向けては合意が見られるように努力をしていきたい、こう考えておるわけでございますし、今の見通しとしては私は明るい見通しがあるのではなかろうか、こう考えておるわけでございます。
○池田治君 現状と見通しはわかりましたが、問題点がやや足りなかったように思いますが、もう少し詳しくお願いします。
○政府委員(堤富男君) 大臣のお話を若干補完させていただきますと、先生のお話では先進国間での意見の相違があるかという御質問かと思いますが、先進国間では基本的には特許権と知的所有権の問題についてはおおよそ考え方は一致しておるわけでございます。強いて申し上げますと、どういう問題を取り上げるかという問題の取り上げ方とか、あるいは手続面で、御存じのように英米法的な、裁判手続で証拠書類等を大変集めてやるケースとそうでないケースというのがございますが、おおよそ先進国間では意見の一致はかなり見られるというふうに申し上げた方が大きな間違いはないかと思っております。
○池田治君 時間もありませんので次へ移ります。 ウルグアイ・ラウンドで知的所有権交渉が行われようとしているこの時期に、我が国が世界初の電子出願を開始しようとしていることには世界に誇るべき点もあると思われるのでございますが、しかしながら、現在の書面手続から電子手続に変わるには機器の整備、扱う者の習熟、かなりの準備期間が必要と思われます。この点、法律案の施行時期について本年十二月一日という衆議院の答弁があったようでございますが、弁理士さんを初めとした関係者の間ではもっと十分な準備期間を欲しいという意見もございます。どうして十二月一日という期限を切ってお急ぎになるのか、この点もお尋ねをします。
○政府委員(吉田文毅君) 二つ問題があると思っております。 一つは審査の遅延問題でございまして、この問題の解決は我が国にとりまして喫緊の課題でございます。諸外国からも批判を受けているところでございまして、なかんずく米国におきましてはスペシャル三〇一を踏まえました監視国の一つとて我が国を特定してまいっているというような状態でございます。こうした状態のもとで、我が国といたしましては審査処理促進策の一環といたしましてこのペーパーレス計画を推進しているわけでございますが、この電子出願の受け付けの開始時期につきましては、日米構造協議等、多くの国際会議の場におきまして私どももいろいろ外圧との関係もございまして、一九九〇年にこの電子出願の受け付けを始めるというようなことを説明してまいっております。この点、本年内の出願開始がおくれるというような事態になりますと、ガットあるいはWIPO等の国際的な場におきまして我が国に対します欧米諸国の批判が強まると同時に、特に米国の強い反発が懸念されるわけでございます。 また一方、国内的に見ますと、現在既にいろいろなメーカー等がハード、ソフトの供給を行っておりまして、ユーザーの方でもこれらの機器、ソフト等を利用いたしまして電子出願を開始する準備を始めております。私どもとしては、具体的な準備に入っておりますこれらユーザーの方々の期待にもこたえなきゃいかぬというふうに考えておりますし、なかんずく全体としての審査処理促進策に沿うことでございますので、一日も早い出願開始ということを期待させていただいておりまして、所要の政省令の整備あるいは周知徹底の期間ということを考えまして十二月一日ではどうだろうかというふうに大臣もお答えさせていただいたところでございます。
○池田治君 十二月一日がどうだろうかという程度でしたら、まだ延びるかもわかりませんということですか。
○政府委員(吉田文毅君) 私どもとしましては一日も早い出願開始ということを考えておりまして、政省令の制定等に三カ月、さらに周知徹底期間に三カ月ということを考えまして、十二月一日の法施行ということを考えている次第でございます。
○池田治君 確かに我が国の審査期間は長くて三年か四年かかる。アメリカは一年か一年六カ月ぐらいで審査期間が終わる。こういうこともよくお話を承っておりますが、アメリカが日本を監視国の一つにしてねらうなら今立派な特許庁の建物を見せて、あの施設を見せて、ああいうものはアメリカにはないじゃないかというようなことを言えば少しアメリカも信用してくれると思うんです。ですから、ウルグアイに行く前にアメリカの人を全部招待してあそこを一遍見させて、それからウルグアイ・ラウンドへ臨まれると通産大臣も大きな顔ができるんじゃなかろうかと思っておりますが、通産大臣、そういう手続なんかまではお考えになっていませんか。
○政府委員(吉田文毅君) 実は現在、アメリカの特許商標庁の長官が知的財産研究所のシンポジウムに出席するため参っておりまして、本日の午後でございますが、あの建物を見ていただいていると思います。彼にはよくよくペーパーレスシステムについて説明するように関係者に依頼をして私この場に参っております。もちろん、大臣におかれましても、特許庁の諸設備、建物も含めましペーパーレスシステム等いろいろ整備が進んでいるという実態を踏まえられまして、ガットTRIP等で御活躍を期待している次第でございます。
○池田治君 よくわかりました。そうすると、アメリカも既に見学しておるということならば慌てる必要もないかと思いますけれども、私としましては何もペーパーレス化に反対する意思はございません。ですが、法律案が成立すると導入される電子出願システムは、特許庁だけでなくて、出願人との関係が出てまいります。 そこで、出願人サイドの対応がうまくいかなければこれはもう成功できないわけでございます。特に出願の大部分を行っているのは日本の弁理士事務所でありまして、特許事務所の出願への対応が今から重要な問題になってこようと思いますが、この事務所のOA化はどの程度進んでいるか、今の状況のもとで十二月一日に制度を施行しても支障はないか、この点お伺いします。
○政府委員(吉田文毅君) 本年の二月に特許庁が実施をいたしましたアンケートの調査結果によりますと、特許事務所の九七%がワープロまたはパソコンを保有しておりまして、その平均台数は一事務所当たり五台というようなことになっております。また、同じ調査結果によりますと、オフィスオートメーションの関係の投資金額、これは過去三年間の平均で一事務所当たり年間約九十二万円でございましたが、今後三年間をとりますと平 均で年間約百二十万円というように結果はなっております。この調査結果によりますと、電子出願の受け付けの開始時には特許事務所のうち七割以上、その半年程度経過後には九割以上が電子出願に対応するものとの積極的な姿勢が認められるところでございまして、私どもは特許事務所は電子出願にスムーズに対応していただけるものというふうに考えております。 また、アンケートに答えました特許事務所のうち六六%の事務所はJIS変換可能となるワープロを保有しているというような結果も出ております。
○池田治君 残りの三四%がこれまた問題であろうかと思いますが、特許事務所といっても大組織で百人以上の弁理士さんを抱えて行っておるところと、個人経営などのいわば零細なところとがございまして、その零細なところを保護していかなければ、大事務所だけの統計をとられてもこれは当たらないように私は存じております。 そこで、零細な特許事務所や中小企業等でも電子出願の制度に取り残されることのないよう特許庁としてはどんな対策か配慮をなされておりますか、お尋ねします。
○政府委員(吉田文毅君) 私どもも電子出願の普及を図るためには中小企業あるいは個人の方々の普及支援策、これが大変大事であるというふうに考えております。そのため積極的な支援策を考えておりまして、今後この法案あるいは平成二年度の予算案の成立を受けまして、指導員百六十人を予定しております電子出願指導員制度、あるいは沖縄を含みます全国九カ所のモデルルームの運営、さらにモデルルーム設置地域以外の全国三十八カ所におきます電子出願の相談事業の開始、また全国四十七カ所、これは各都道府県ということでございますが、共同利用端末の設置、またオンラインのリハーサル等いろいろな支援普及策を考えさしていただいているところでございます。 また、一方におきまして機器やソフトの購入というようなことも必要になるわけでございますので、税制金融上の措置といたしまして個人事業者あるいは中小企業者であります出願人には、電子出願機器の導入に当たりまして、金融面の助成、この中には関係中小企業金融機関、さらに設備近代化資金貸し付け等の金融措置に加えまして税制上の特例なども御用意させていただいておりまして、先ほどおしかりを受けましたが、この税制面は大変有効に機能すると私ども思っておりますが、このような施策によりまして円滑な電子出願への対応が個人、中小企業者の方々にも可能であるというふうに認識をさせていただいております。
○池田治君 出願人側の対応が重要であるということについてはよくわかりましたけれども、特許庁の側でも今までの書面出願だけの取り扱いから、今度は電子出願ということになりますと人員の増加や質の向上、財政面の体制も整えておく必要があるかと考えますが、今特許庁の職員は高度な専門的知識、経験が求められる工業所有権を預かる重責を担っておるのでありますから、これに応じた処遇をしなくちゃならないと思っておりますが、まずその専門員の待遇はどのようなことで行われるおつもりでございますか。
○政府委員(吉田文毅君) 特許・実用新案の審査官につきましては専門行政職という給与表が適用されております。私どもそれぞれのランクごとに重点的に手当てをする必要のある定数につきまして、その改定を人事院との間で交渉するというやり方で処遇の確保を図らせていただいております。一方、審査官ではなく行政職の方々につきましても、それぞれの節目節目ごとに改定の必要性が生ずるわけでございます。先ほど大臣の御説明申し上げましたように、近年におきましては行政(一)の五級、六級、七級を重点的に改定の対象とするということでやらさせていただいてまいっております。今後とも審査系、事務系それぞれの節目に当たりますクラスを中心に処遇の改善を図ってまいりたいというふうに考えております。
○池田治君 待遇改善は後でも一言触れたいと思いますが、このペーパーレス化に伴って、職員の業務が端末画面を眺めたりキーボードをたたいたりする単純労働ではあるけれども、一日じゅうやっていると目を悪くするんじゃないか、視力を喪失するんじゃないかと、そういう心配をしておりますが、部屋の照明とか休憩時間とかその他労働環境等の労働条件の整備といいますか改善といいますか、これらも御配慮になっておりますか。
○政府委員(吉田文毅君) 御指摘のとおり、VDTの作業に従事いたします職員の健康問題への配慮、これは大変重要な問題でございます。特許庁としましては、既に六十二年の七月に人事院通知等を踏まえましてVDT作業に従事する職員に係る環境管理、作業管理及び健康管理の指針を策定いたしまして、現在この指針に基づきまして、例えば照明、防音施設等の整備でございますとか作業時間の調整、健康診断や健康安全教育の実施など所要の対策を講じているところでございます。また、この旨職員に周知徹底を図ってまいっておりますが、今後ともこの指針に基づきまして関係職員の健康管理につきましては万全を期してまいりたいというふうに考えております。
○池田治君 十分労働条件の改善をしてください。 次に、コンピューター化が進んだといっても、技術の内容を把握したり判断を下すのは審査官の業務であると思いますが、審査官というのがまたこれ自分たちにはわからない先端技術を取り扱うこととなるので、高度な専門的知識、経験が求められておりますが、この点については、技術の内容が高度化、専門化していくことが予想される中で優秀な審査官の確保が必要になってきますが、特許庁ではどういうことで審査官を採用なさるのか、具体的にどのように取り組んでおられるのかをお尋ねします。
○政府委員(吉田文毅君) 私ども国家公務員試験のⅠ種合格者を対象として採用を行わさせていただいているわけでございますが、それにいたしましても、各省あるいは民間企業との綱の引き合いによりまして優秀な審査官の確保に努力をせざるを得ないという状況にございます。 御指摘のとおり、数あるいは質ともに十分な審査官を確保するということが私どもの行政の円滑な展開にとって不可欠でございます。そのため、私どもとしましては、優秀な人材をできるだけ多く確保すべく、大学の工業所有権講座に特許庁の職員を講師として派遣したり、あるいは各種の新聞社等のシンポジウムに呼ばれた場合に出かけまして、工業所有権行政の重要性についてのPRを行うなり、また先ほど来御議論のございます処遇改善に最大限の努力をさせていただくなりいろいろなことをやらさせていただいておりまして、幸い本年度におきましては、従来にも増して数多くの優秀な審査官、具体的には七十七名でございますが、確保させていただいたところでございます。今後ともこのような活動を強化させていただきまして優秀な審査官の確保に努めてまいりたいと存じます。
○池田治君 七十七名確保されたことは結構でございますが、アメリカでも二百人、三百人と確保されるそうですが、転職が多いらしいんですな。一遍審査官になってもすぐに大会社に引き抜かれるとかほかの研究者になるとか、日本でもそういうことになればそういう現象がやがてくるんじゃなかろうかと思います。そのためにはやっぱり給与改善をして民間会社の研究所以上の待遇をするとか、国立大学の教授、助教授に比類するものを与えないと定着性がなくなってくるんじゃなかろうかと、こう考えますが、給与の面で大体国立病院のドクター、そして大学の助教授、民間会社の研究所の同年輩の人たちと、こういう人と比較なさったことはございますか。
○政府委員(吉田文毅君) 大変申しわけございませんが、現在具体的なデータを手元に持っておりません。私どももいろいろなところとの比較で人を採用させていただくわけでございますから、採用させていただいた職員の処遇の改善につきまし ては、最大限の改善努力をさせていただきたいというふうに存じております。大変申しわけありません。
○池田治君 私がなぜそうやかましく言うかといいますと、特許業務のかなめの一角が崩れたり見過ごしたりした場合には、これは莫大な損害を与えることになってしまいまして、これは大変な問題になると思うんです。それだけに、審査官の審査というものは丁寧な緻密な細緻な判断をしていただかなければ、国際化するに従ってどうにもならないという、一つの間違いがあってもそうなってくると思うんです。十分その点は注意していただきたいと思います。 それで最後に、特許庁、随分もう給料の比較もしないようなけちったことを言いますが、財政基盤は特許特別会計というところから出るわけですね。これが最近赤字傾向にあるとも聞いていますが、そうでないと言う人もありますけれども、どちらが本当なのかお聞かせ願います。
○政府委員(吉田文毅君) 特許特別会計につきましては、収支相償の原則に基づきまして運営をさせていただいてまいっております。現在までのところ特別会計が開設されました五十九年度から六十三年度までの間に歳出が二千一億円、歳入が同期間に二千七十八億円ということで黒字を維持させていただいております。今後ともその収支相償の原則のもとにきちんとした運営をさせていただきたいと思います。
○池田治君 私は、時間が来ましたのでこれで終わりますが、ひとつよろしくお願いします。
○今泉隆雄君 私は、いつも七番目か八番目なので、質問がダブってみたりしてなくなってしまう場合も多いんですけれども、きょうも七つばかり質問を考えてきましたけれども、ほとんどがダブっていますので、残った二つばかりをちょっと簡単にお聞きしたいと思います。 先ほどエレベーターの中で長官とお会いしましたらば、長官が一番最初に覚えられた歌がピンキーとキラーズだったというふうにお聞きしまして、非常に光栄なんですが、実はなぜかと申しますと、ピンキーとキラーズは商標の問題と意匠の問題で非常にお世話になりまして、いろいろと利益も上げさせていただいた記憶もありまして、そういう点でも非常に感謝しておりますが、これはやはり一つの知的所有権だと思うんですね。それで、先ほどからやはりウルグアイ・ラウンドそのほかで世界的に知的所有権の問題というのが非常に問題になっている。この商工委員会でもその知的所有権の問題というのは非常に問題になっております。 この間も私がDAT、つまりディジタル・オーディオ・テープレコーダーの問題での知的所有権の問題でいろいろ御質問したんですが、世界的にそれだけ論議されている中でまだ日本の通産省の中では、この間パリから大臣がお帰りになったその日だったので余り突っ込んでお聞きできなかったんですけれども、通産省の中の考え方として、もうDATをすぐ話し合いなしに発売してしまうというような現実がある以上、まだ不十分じゃないかというふうに私は考えるんですが、その辺大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) DATの問題につきましては、私もいろいろ今勉強させていただいているのでございますけれども、正直、これは著作権の問題が非常に絡んできているんじゃないかと思うんですね。通産省というよりはどちらかといえばこれは文部省の関係じゃないかと思うんでございますけれども、通産省といたしまして、やはりいろいろの生産分野の各企業がそれぞれこの技術革新の時代に努力をされて、より消費者の皆さんのためにプラスになるようなという機械あるいはその他のものを生産をすることに対して、それを抑えるということもこれはできないだろうと思いますね。ところが、そこから生まれてくるものは場合によるとひょっとしたら著作権を侵害するかもしれないような部門のものもある。DATが私はその一つの例ではなかろうかと。実際問題、そこからどんどんどんどん一つの、例えばテープを入れたらそれで幾らでもどんどんできてくるというようなことになっていくと、著作権というのは果たして守られるかどうか、こういうことが心配されるわけでございます。 通産省でこの間何か通達を出したのは、一世代までは認めるというのが国際レコード協会でそういうことになったというので、国際的なハーモナイゼーションの中からいけばやっぱりこれも一つの方法だろうということで通達を出したと思うんでございますけれども、しかしそれも、一世代でとまるのかといえば、機械はとめるんだそうですが、じゃそのテープを親のものをたくさんの子にやったらどうなるかという問題が一方出てくるわけでございます。その辺のところはなかなかこれは通産省としては難しいので、これはもうやっぱり文部省の方で著作権の問題でそこをどうしていくかという問題をやはり早急に詰めていかなきゃならない問題ではなかろうかな、ちょっと通産省の範疇としては非常に難しいところではないかな、こう私は考えておるわけでございます。
○今泉隆雄君 ありがとうございました。また今度文部省関係の方にも来ていただいて、ちょっとその問題も詰めたいと思います。 もう一つの質問は、これは非常に細かい問題で、先ほど池田委員からも出ましたけれども、審査官の問題として出ましたけれども、いわゆる指定機関というのがここにたくさんこの法案の中に出ておりますけれども、その指定機関というのは、通常公務員の天下り先みたいなことが今までかつて多かったり、いろんなことを一時悪口を言われたことなんかもあるんじゃないかと思うんですけれども、今言われております情報処理機関であるとか調査機関、そういう外部機関を活用されるということなんですけれども、そういうところにはどういう人材の求め方をなさるのか。また、その人材を求められることにおいて特許庁は関与なさるのかどうか、それをお聞きしたいと思います。
○政府委員(吉田文毅君) 私ども指定をいたしますにはそれぞれの機関の申請を審査させていただきまして指定を行う。その審査基準も法定させていただいておるわけでございますが、その際所要の技術能力等を有する職員がそれらの機関で備わっているかどうかというような点も含めまして審査をさせていただくということになろうかと思います。 で、指定調査機関の方で申し上げますと、調査に当たりますにはかなりの技術レベルを持っておられる方々でないといけないということになります。コンピューターを使うとはいえ、論理式を組み立てまして出願の内容を理解した上でサーチを行うということでございますので、そういう方々をいろいろな企業の現役あるいはOBの中から求めるようなことを現在同種の業務を行っているような機関ではやっておられるというふうに認識をしております。 一方の指定情報処理機関の方でございますが、この機関におきましては、紙で出願された内容を電子化するということでございまして、まあOCR等を駆使したりあるいはキーパンチをしたり、エラーを見つけ出す作業をしたりということで、まあどちらかといいますと印刷技術あるいはタイプ技術等に類する技能を有する方々を求めるのではないかというふうに考えております。こちらの方につきましても、今後の問題でございますので、所要の職員をそろえた機関を指定させていただくというふうに考えております。
○今泉隆雄君 わかりました。 あと聞きたかった質問は全部市川先生が聞いてしまいましたので、質問を終わります。
○委員長(倉田寛之君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 工業所有権に関する手続等の特例に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(倉田寛之君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 福間知之君から発言を求められておりますので、これを許します。福間君。
○福間知之君 私は、ただいま可決されました工業所有権に関する手続等の特例に関する法律案に対し、自由民主等、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合及び参院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 工業所有権に関する手続等の特例に関する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一、ペーパーレスシステム化への移行に当たっては、出願人等関係者に対して電子化に伴う新たな手続方法についての周知徹底を図るため、法施行日まで所要の期間を確保すること。 二、電子出願の導入に際し、低廉かつ利用度の高いJIS文書規格適合機種等の開発、普及について、積極的に関係業界を指導するとともに、利用者の意見が反映されるよう努めること。 三、中小企業、小規模弁理士事務所等の経済的負担の軽減を図るため、書面による出願に要する費用の低減に努めること。 四、審査要処理期間の短縮化及び事務処理効率化を図るため、審査官、審判官及び事務官等必要な人員の確保及び待遇改善に努めること。 五、ペーパーレスシステムの安全対策に、万全を期すること。 六、特許庁の業務の外注化に当たっては、適切に対処するとともに、指定情報処理機関及び指定調査機関の業務の公正、的確な遂行並びに電子計算機運行管理会社における関係業務の円滑な実施に万全を期すること。 七、工業所有権情報サービス・システムについては、その内容、利用方法について十分周知を図るとともに、それらが出願等の適正化に資するよう関係機関を指導すること。 八、現在協議が行なわれている国際的な特許制度の調和の進展に積極的に協力しつつも、我が国の主張がその成果に十分反映されるよう努めること。 右、決議する。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(倉田寛之君) ただいま福間君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(倉田寛之君) 全会一致と認めます。よって、福間君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、武藤通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。武藤通商産業大臣。
○国務大臣(武藤嘉文君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して、本法案の適切な実施に努めてまいる所存であります。
○委員長(倉田寛之君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(倉田寛之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(倉田寛之君) 次に、地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。武藤通商産業大臣。
○国務大臣(武藤嘉文君) 地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。 地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律は、一昨年制定され、現在これまでに承認を受けた十二の地域において、研究所やソフトウエア業等産業の頭脳部分たる特定事業の集積に向けての事業が着実に進められつつあるところであります。しかしながら、諸機能の東京一極集中の傾向は依然として進行しており、東京と地方圏との格差の拡大はますます深刻化しております。このような状況に対応して、過度集積地域たる東京都区部からの移転を特に促進するための措置を新たに講ずるため、本法律案を提案した次第であります。 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。 第一に、地域振興整備公団の業務として、特定事業の集積の程度が特に著しく高い地域、すなわち過度集積地域から承認集積促進地域へ特定事業に係る事業所等を移転する者に対し、その移転に関し必要な資金の貸付けを行う業務を追加することといたします。 第二に、国は、特定事業に係る事業所等の過度集積地域から承認集積促進地域への移転の促進について特別の配慮をするものとする旨を規定することといたします。 以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。 何とぞ慎重御審議の上、御賛同下さいますようお願い申し上げます。
○委員長(倉田寛之君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本案に対する質疑は後日行うこととし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時四分散会