社会労働委員会育児休業制度検討小委員会 第1号
- 発言数
- 7 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1990/06/22
会議録
○小委員長(小野清子君) ただいまから社会労働委員会育児休業制度検討小委員会を開会いたします。 育児休業に関する件について、清水嘉与子君、糸久八重子君及び沓脱タケ子君から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。まず、清水君。
○清水嘉与子君 私は、この育児休業制度に関します自民党の取り組みについて発言させていただきたいと存じます。 昨年の十一月に政務調査会労働部会に育児休業問題等検討小委員会、委員長堀内光雄先生を選任いたしまして、現状と問題につきまして検討を続けてまいりました。そして、平成二年の一月になりまして、育児休業問題の検討を進めるに当たっての基本的な考え方、中間的取りまとめをまとめました。 その基本的考え方の要旨は、育児休業制度は働く婦人が能力と経験を生かせる環境づくりと親子の触れ合いによる子どもの健やかな発育を促すという点で今後必要不可欠な制度であるという認識のもとに、育児休業制度を確立し、育児のために職場をやめた人の再雇用制度の普及促進、育児をしながら働く人の勤務時間等の配慮等について法的整備を含め実効ある措置を講ずる必要があること、ただしこれらの措置を検討するに当たっては、女性や企業のニーズを踏まえるとともに、特に中小企業については、その実態にも配慮すべきことというものでございます。 なお、同委員会ではあわせて介護休業制度についても取り上げまして、前向きの方向で検討すべきことを意見としてまとめております。 総選挙が終わりまして、大変残念なことながら、委員長でありました堀内先生が議席を失われましたものですから、この委員会を改組いたしまして、平成二年四月に改めて育児休業問題等検討小委員会を発足させました。今度の委員長は、前労働大臣福島譲二先生でございます。 中間まとめに示されました線に沿いまして、経営者団体あるいは労働団体あるいは婦人団体、あるいは御自分で育児休業あるいは介護休暇をおとりになった方々、こういった方々の御意見をお伺いいたしまして、育児休業問題あるいは介護休業あるいは女子再雇用問題等につきまして検討を続けてまいりました。そして現状の問題点を明らかにする作業を続けているところでございます。 こういう問題等につきまして、どちらかといえば慎重な御発言をされるのが経営者側であろうかと思いますが、経営者の側からは、労働省が育児休業制度普及促進対策を講じているにもかかわらず、昭和六十三年の育児休業制度普及率は一九・二%にすぎず、現時点で法制化することは時期尚早であり、各職場の実態に最もふさわしい形の育児休業を実施するためには、各労使間の話し合いの上に進めた方がいいんじゃないかというような御判断が示されました。 しかし、これに対しまして、自民党といたしましては、育児休業制度につきましては、与野党ともに可及的速やかに実現すべき政策課題として取り組むという基本的方向において一致していることを説明いたしまして、経営者側の理解を求めたところでございます。 最近の出生率の低下傾向に対する総合的施策の中でも育児休業制度は重要な役割を果たすものでございまして、自民党といたしましても、当面公務員、民間労働者、双方の分野での制度普及を図りつつ、法制化に向けて前向きに取り組んでいくことといたしております。 以上、御報告を終わります。(拍手)
○小委員長(小野清子君) 次に、糸久君。
○糸久八重子君 それでは、私どもの提出をしております育児休業法案に関しまして若干御説明を申し上げさせていただきます。 この法律案につきましては、お手元にお配りしてございます要綱に沿いまして、やや詳しく御説明申し上げたいと存じます。 なお、この法律案は、昨年十一月に四会派が提出いたしましたものと基本的に同じ内容のものではございますが、一つに、育児休業請求権に関する規定をより明確なものとしたこと、二つに、一歳未満の子が二人以上ある場合は父母ともに育児休業をとることができるとした、いわゆる双子特例規定を見送ったこと、三つに、育児休業手当に関する規定について、雇用保険法、労働者災害補償保険法、児童手当法等の類似の法律の規定を参考にして整理充実したこと、その他、条文の整理や規定の充実を図っておりまして、この点につき、まず、委員各位の御了解をいただいておきたいと存じます。 さて、法律案の内容についてでありますが、その第一は、この法律の目的及び適用関係等についてであります。 その一として、この法律は、育児休業について最低の基準を定めて、子を養育する労働者に育児休業を保障するとともに、育児休業をする労働者に対して育児休業手当を支給すること、この二つの制度を設けることにより、労働者の負担の軽減と継続的な雇用の促進とを図り、もって労働者の福祉の増進に資することを目的とすることといたしております。 その二として、この法律において「労働者」、「使用者」または「賃金」とは、それぞれ労働基準法第九条から第十一条までに規定する労働者、使用者または賃金をいうことといたしております。 その三として、この法律は、一月以内の期間を定めて雇用される労働者については適用しないことといたしております。本法律は、原則として公務員を含む男女全労働者に適用されるものでありますが、後ほど触れますように、労働者が育児休業請求日から一月以内に育児休業をすることは必ずしも保障されていないこと、かつ、掛金負担があることを考慮して講じた措置であります。 第二は、育児休業についてであります。 その一は、育児休業の請求権についてでありますが、父または母である労働者は、その子が一歳に達する日までの期間を限度として、共働きであって他の一方が育児休業をする期間及び他の一方が家事専従等である期間、この二つの期間を除く期間について、その子を養育するための休業、すなわち育児休業を請求することができ、使用者はこの請求を拒んではならないことといたしております。 ただし、労働者は他の一方が家事専従等の場合であっても、その者が病気等やむを得ない事由によりその子を養育することのできない期間及び産後八週間、産前六週間、多胎妊娠の場合は十週間でございますが、これらの期間については、育児休業を請求することができることといたしております。 要するに、父または母のいずれか一方は、一歳に満たない子の養育に専念でるように措置いたしておるわけであります。 その二は、育児休業の請求手続等についてでありますが、育児休業の請求は、一の期間を定めてしなければならず、特別の事情があるときを除き、一回に限ること、また、使用者は、労働者が特別の事情がないにもかかわらず育児休業を始めようとする日からさかのぼって一月以内の日に育児休業の請求をした場合には、育児休業の始まる日を育児休業の請求のあった日から一月以内の日で労働者の請求に係る日よりも後の日とすることができることといたしております。 後段は、要するに、労働者に育児休業を権利として認める一方、労働者が育児休業請求権を行使するのに対応して、使用者において必要な労働力の確保その他の処置を講じられるよう、一カ月の調整期間を設けることといたしておるわけであります。 その三は、育児休業の期間の変更についてでありますが、労働者は、今し方その一として御説明いたしましたこの法律における育児休業の対象期間の範囲内で、育児休業の期間の延長を請求することができ、使用者はこの請求を拒んではならないこと、ただし、使用者は、労働者が特別の事情がないにもかかわらず延長されない場合に終期となる日からさかのぼって一月以内の日に延長の請求をした場合には、その請求を拒むことができることといたしております。また、労働者は、育児休業の期間の短縮を請求することができ、使用者はこの請求を拒んではならないことといたしております。 その四は、育児休業の終了についてでありますが、育児休業は、育児休業中の労働者が産前の休業を始めたとき、もしくは出産したとき、育児をしていた子が死亡したとき、その子を養育しなくなったとき、または他の一方が家事専従等になったときは、当然に終了するものであり、その旨明記することといたしております。 その五は、法律違反の契約についてでありますが、この法律で定める基準に達しない育児休業について定める労働契約は、その部分については無効とすること、この場合において、無効となった部分は、この法律に定める基準によることといたしております。 その六は、不利益取り扱いの禁止及び原職復帰についてでありますが、使用者は、育児休業を理由として、労働者に対し、解雇その他不利益な取り扱いをしてはならないこと、また、使用者は、育児休業を理由として、育児休業の期間中に前段の例外として労働者を配置がえした場合には、育児休業の終了の日の翌日までに、原職または原職に相当する職に復帰させなければならないことといたしております。 なお、後段の場合で育児休業の終了の日の翌日までに、原職または原職に相当する職に復帰させなかったときは、前段の不利益取り扱いに当たるものとして処罰されることになっております。 その七は、育児休業の期間についての取り扱いについてであります。まず、使用者は、勤続期間に基づいて昇給、退職手当等を算定する定めをする場合において、育児休業をした労働者が業務に復帰したときは、育児休業の期間の少なくとも二分の一に相当する期間を引き続き勤務したものとみなして取り扱わなければならないこと、ただし、年次有給休暇の出勤率の算定に当たっては、この期間は出勤したものとみなすことといたしております。 さらに、使用者は、育児休業をした労働者が業務に復帰した場合における賃金、配置、昇進等に関する処遇について、同一の事業場における同種の労働者との均衡を失することのないよう適切な配慮を行わなければならないことといたしております。 その八は、監督関係についてであります。労働基準監督署長及び労働基準監督官は、労働省令で定めるところにより、この法律のうち育児休業に関する部分の実施に関する事務をつかさどること、また、労働基準監督官は、この法律のうち育児休業に関する部分の規定に違反する罪について、刑事訴訟法の規定による司法警察員の職務を行うこととするとともに、労働基準監督官等に、この法律のうち育児休業に関する部分の実施に必要な範囲内において、報告徴収等及び立入検査の権限を認めることといたしております。 その九は、労働者の申告についてであります。労働者は、使用者にこの法律のうち育児休業に関する部分の規定に違反する事実があるときは、その事実を都道府県労働基準局長、労働基準監督署長または労働基準監督官に申告することができること、また、使用者は、この申告をしたことを理由として、労働者に対し、解雇その他不利益な取り扱いをしてはならないことといたしております。 なお、船員及び公務員に係る監督等については、船員労務官制度、人事院制度、人事委員会制度等のこれらの者に関する現行制度を基本的に維持することといたしております。 さて、第三は、育児休業手当についてであります。 その一は、育児休業手当の支給要件等についてでありますが、政府は、労働者が第二の一による育児休業をする場合は、その育児休業をする期間について、育児休業手当を支給することといたしております。 その二は、資格の認定についてでありますが、手当の支給を受けようとする者は、労働省令で定めるところにより、その受給資格について、公共職業安定所長の認定を受けなければならないことといたしております。 その三は、手当の日額及び支給方法等についてであります。手当の日額は、労働基準法第十二条に規定する平均賃金に相当する額、すなわち賃金日額の百分の六十に相当する額とし、具体的には労働大臣が定める手当日額表により、一月に一回支給することといたしております。また、労働者が育児休業の期間中に賃金を受ける場合の手当については、その賃金の一日当たりの金額が賃金日額未満であるときは賃金日額からその一日当たり金額を控除した額の百分の六十に相当する額を支給し、その賃金の一日当たりの金額が賃金日額以上であるときは支給しないことといたしております。 その四は、返還命令等についてであります。不正行為により手当の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した手当の全部または一部の返還を命ずることができ、また、当該不正行為により支給を受けた手当の額に相当する額以下の金額の納付を命ずることができることといたしております。さらにまた、不正受給の場合において、事業主が偽りの報告をしたためその手当が支給されたものであるときは、政府は、その事業主に対し、その手当の支給を受けた者と連帯して、手当の返還または納付をすることを命ぜられた金額の納付をすることを命ずることができることといたしております。 その五は、費用の負担についてであります。手当の支給に要する費用は、その三分の二に相当する額を労働者及び事業主がそれぞれ半額ずつ負担する掛金をもって充て、その三分の一に相当する額を国庫が負担することといたしております。また、国庫は、毎年度、予算の範囲内で、手当に関する事務の執行に要する費用を負担することといたしております。 その六は、掛金の額及び徴収等についてであります。政府は、事業主から掛金を徴収するものとし、事業主は、掛金を納付する義務を負うものとすること、政府が徴収すべき掛金の額は、毎年度、事業主がその雇用する労働者に支払う賃金の総額、すなわち賃金総額に、手当の支給に要する費用の予想総額の三分の二を賃金の予想総額で除して得た割合を基準として労働大臣が定める掛金率を乗じて得た額とすることといたしております。 また、掛金その他この法律の規定による徴収金の徴収の具体的な方法については、労働保険の保険料の徴収の例によることといたしております。 その七は、報告の徴収等についてであります。労働大臣または公共職業安定所長に、この法律のうち育児休業手当に関する部分の実施に必要な範囲内において、報告徴収等及び立入検査の権限を認めることといたしております。 育児休業手当については、以上のほか、未支給の手当の取り扱い、手当の支給の制限、手当の受給権の保護、手当に対する公課の禁止、手当支給に係る事情の変更の届け出等について、雇用保険法、児童手当法等の類似の法律の規定を参考に規定いたしております。 さて、第四は、罰則についてであります。 第二の一に違反して育児休業の請求を拒んだ者、第二の三に違反して育児休業の期間の延長または短縮の請求を拒んだ者、第二の六または第二の九に違反して育児休業をしたことまたは労働基準監督官等に申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取り扱いをした者に対し、所要の罰則を設けることといたしております。 そして第五、その他所要の規定として、この法律の施行期日を平成四年四月一日とし、現行の義務教育諸学校等の女子教育職員及び医療施設、社会福祉施設等の看護婦、保母等の育児休業に関する法律は廃止することとするほか、関係法律について所要の規定の整備等を行うことといたしております。 なお、この法律の施行に要する費用は、国庫負担分として平年度約四百四十億円の見込みであります。また、育児休業手当に関する経理については、別途提案しております育児休業手当特別会計法によることといたしております。 以上、育児休業法案につきまして、やや詳しく御説明させていただきましたが、最後に一言申し上げさせていただきます。 西欧諸国のように、我が国においても育児休業制度を確立する必要があるということについては、今や国民的なコンセンサスが形成されていると言っても過言ではありません。ただいま御説明いたしましたいわゆる四党共同法案は、提出四会派に加え、参院クラブ外の御賛同をいただき、本院の過半数に近い百二十の賛成者を得ているものでありまして、発議者といたしましては、早期にその可決、成立を期待するものでありますが、同時に、今か今かと待ち望む全国の労働者の切実な願いにこたえる意味からも、一刻も早く育児休業の法制化を実現するため、その内容についての他の会派の委員からの積極的、建設的な御意見に耳を傾けたいと存じます。 委員各位におかれましては、まず育児休業法制化の必要性について御確認をいただく中で、本法律案に対する積極的、建設的な御意見をちょうだいし、そして他の会派の独自の法律案を具体的にお示しいただいて、よりよい法制度を全会一致実現できることとなりますよう、格別の御理解、御協力をお願いいたしますとともに、小委員長におかれては、ぜひともそのように取り計らっていただけますようにお願いを申し上げまして、私の発言を終わらせていただきます。 ありがとうございました。(拍手)
○小委員長(小野清子君) 次に、沓脱君。
○沓脱タケ子君 お手元に日本共産党の育児休業法案要綱をお配り申し上げております。 私はまず、本小委員会が設置され、熱心な審議がされていることに敬意を表します。 御承知のように、働く女性は千七百四十九万人、全労働者の三七・四%に上り、日本経済を支える大きな力となっています。その七割近くが既婚者である現在、安心して子供を産み、育てられる環境づくりが強く求められております。したがって、保育所や学童保育の充実とともに、育児休業制度の確立は働く女性の切実な願いです。 私は、機会あるごとにこの問題を取り上げてまいりましたし、今月一日の社会労働委員会におきましても、育児休業法を早急に法制化するようにただしたところであります。最近、厚生省や人事院など各省庁が相次いで育児休業制度の確立が必要との報告書を出しておりますし、海部首相も初めて施政方針演説で確立の努力を表明されるなど、育児休業制度確立への環境は十分整ってきており、早急な法制化が求められています。 現行の育児休業制度は、働く女性の強い要求と運動で一九七五年につくられました。しかしその法律の対象は、国公立の女子教員、看護婦、保母に限られており、圧倒的多数の民間労働者や一般の公務員は取り残されたままになっています。育児休業制度をすべての職種に広げてほしいという要求は本当に切実でございます。 このことを前提とし、我が党の見解を申し述べます。御参考のために、我が党の育児休業法案要綱をお手元にお配りを申し上げておりますので、あわせてごらんください。 この法案要綱の特徴ですが、現行の育児休業法の給付は、共済掛金の労働者負担分を補うにすぎないのですが、我が党の提案では、この現行水準を引き上げて、三割にすることにしています。財源は、国と企業の負担です。日本共産党が、休業中の給付水準を決定するに当たって重視いたしましたのは、育児休業制度の性格です。育児休業制度は、本人の意思に反して生活の道を断たれる失業や病気、出産の休業のように他に選択の余地のない休業とは異なりますから、これらの休業の保障の水準である六割を適用するのは、全労働者の合意を尊重する立場から無理があると考えたわけでございます。特に、保育所に乳児を預けて働き続けている労働者家庭は現実に四万、五万円と高額の保育料を支払っているのですから、これとの整合性も考慮する必要があります。 育児休業制度を実施している諸外国の給付水準も調べてみましたが、フランスなどは無給ですし、手当のあるイタリアやオーストラリアは賃金の二ないし三割の水準となっています。 あわせて、労働者が育児休業制度を権利として、安心してとれるようにしているのが特徴です。休業後は原職に復帰できること、また、労働者が休業することによって他の労働者の負担がふえないよう、代替要員の確保についても明記している点です。 一方、育児休業をとるかどうかは本人の選択にゆだねられています。 以上が、我が党の政策、法案要綱の内容であります。私は本委員会で、今後とも十分な審議の上、できるだけ早期に育児休業法制化が実現するように希望することを表明いたしまして、我が党の見解といたします。
○小委員長(小野清子君) 以上で御発言は終わりました。 本日の発言を承り、小委員長といたしましては、各会派とも育児休業の法制化の必要性を述べておられますので、本小委員会としては、さらに審議を行い、実りある結論を得るよう努めてまいりたいと存じます。今後の小委員会の運営につきましては、小委員各位の御協力を心からお願いをいたします。 本日はこの程度にし、これにて散会をいたします。 午前十時五十八分散会