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118回国会参議院1990/06/19

社会労働委員会 第9号

発言数
267
登壇者
20
会派数
6
開催日
1990/06/19

会議録

糸久八重子日本社会党・護憲共同

○理事(糸久八重子君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  原子爆弾被爆者等援護法案を議題といたします。  発議者山本正和君から趣旨説明を聴取いたします。山本正和君。

山本正和日本社会党・護憲共同

○委員以外の議員(山本正和君) 私は、ただいま議題となりました原子爆弾被爆者等援護法案につきまして、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブを代表いたしまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  昭和二十年八月六日、続いて九日、広島、長崎に投下された人類史上初の原子爆弾は、一瞬にして両市を焦土と化し、三十万人余の生命を奪ったのであります。この原爆による被害は、普通の爆弾と異なり、放射能と熱線と爆風の複合的な効果により、大量無差別に破壊、殺傷するものであるだけに、その非人道性ははかり知れないものがあります。たとえ一命を取りとめた人たちも、この世の出来事とは思われない焦熱地獄を身をもって体験し、生涯消えることのない傷跡と原爆後遺症に苦しみ、一層健康破壊が進む中で年老い、貧困や孤独に悩まされながら、今日までようやく生き延びてきているのであります。これらのことは、昭和六十二年六月に発表された政府の原爆被爆者実態調査(生存者調査)、本年の五月に発表された同死没者調査等においても明らかであります。  しかし、国は、被爆から四十五周年を迎えようとしている今日に至るまで、原爆で亡くなられた方々や、その遺族に対し全く弔意すらあらわさないばかりか、特段の生活援助もしておりません。ここに現行二法の最大の欠陥が指摘できるのであります。  国家補償に基づく援護法を求める国民の不満は、なぜ軍人軍属など軍関係者のみを援護し、原爆の犠牲者を差別して処遇するのか、戦時諸法制から見て全く納得がいかないという点にあります。本法案提出に当たり、私はこの際、まず国家補償法の必要性について明らかにいたしたいと思います。  国家補償の原則に立つ援護法が必要な第一の理由は、アメリカの原爆投下は国際法で禁止された毒ガス、生物化学兵器以上の非人道的兵器による無差別爆撃であって、国際法違反の犯罪行為であるということです。したがって、サンフランシスコ講和条約で日本が対米請求権を放棄したとすれば、その請求権を放棄した日本国政府に対し国家補償を要求する権利が当然存在するのであります。しかも、原爆投下を誘発したのは、日本国政府が起こした戦争なのであります。我々が、この史上初の核爆発の熱線と爆風、そして放射能によるはかり知れない人命、健康の被害に目をつぶることは、被爆国としての日本が恒久平和を口にする資格なしと言わなければなりません。  第二の理由は、この人類史上未曾有の惨禍をもたらした太平洋戦争を開始し、また終結することの権限と責任が日本国政府にあったことが明白であるからであります。特にサイパン、沖縄陥落後の本土空襲、本土決戦の段階では、旧国家総動員法は言うまでもなく、旧防空法や国民義勇隊による動員体制の強化に見られるように、ほとんどすべての国民が国家権力によってその任務につくことを強制されていたことは紛れもない事実であります。政府は、援護法の制定については、国を挙げての戦争による犠牲は、一般の犠牲としてすべての国民がひとしく受忍しなければならないという、原爆被爆者対策基本問題懇談会の、いわゆる戦争被害受忍論を盾にこれを否定しておりますが、原爆被害が人として到底受忍できない被害であることは、何よりも被爆者が置かれている現状が雄弁に物語っているのであります。  また、一般の戦災者とのバランス論についても、国民皆兵状態をつくり出した当時の戦時諸法制からすれば、戦争被害の救済を国との間の身分関係によって差別する政府のやり方は全く根拠のないことであり、そのすべてを救済するというのが国としての正しい施策であるべきであります。同じ大戦の敗戦国である西ドイツは、いち早く幅広い救済を行っているのであります。  太平洋戦争を体験している年代も数少なくなり、ややもすれば戦争の悲惨さは忘れ去られようとしている現状にありますが、被爆者にとって援護法が制定されることにより初めて戦後が終わるのであります。  私たちは、以上のような理由から、全被爆者とその遺族に対し、戦争被害の中でも、特に特別な犠牲である放射能被害の特殊性を十分考慮しつつ、現行の軍属、準軍属に対する援護法に準じて、原爆被爆者等援護法案を提案することといたしたのであります。  以下、本法律案の概要を御説明申し上げます。  まず第一は、健康管理及び医療の給付であります。健康管理のため年間に定期二回、臨時二回の一般検査、精密検査を行うとともに、被爆者の負傷または疾病について医療の給付を行い、その医療費は、七十歳未満の被爆者については、現行法どおりとするとともに、老人被爆者については、老人保健法の規定にかかわらず、地方自治体負担を国の特例的負担といたしました。  第二は、医療手当及び介護手当の支給であります。医療手当については、認定疾病医療を受けている者に対し月額八万円を支給することとし、また、日常生活に介護を必要とする者には、月額十万円の範囲内で介護手当を支給し、家族介護についても給付するよう措置したのであります。  第三は、被爆二世または三世に対する措置であります。被爆者の子または孫で希望者には健康診断の機会を与え、原子爆弾の傷害作用に起因する疾病として政令で定めるものにかかっている旨の認定を受けた者に対しては、健康診断、医療の給付及び医療手当、介護手当の支給を行うことにしたのであります。  第四は、被爆という特殊な被害に着眼した国家補償として、被爆者年金を支給することであります。全被爆者に対して、政令で定める障害の程度に応じて、年額最低三十六万円から最高七百三十万四千八百円までの範囲内で年金を支給し、年金額は恩給法と同じ、いわゆる総合勘案方式による改定を行うものとしております。  第五は、特別給付金の支給であります。本来ならば死没者の遺族に対して弔意をあらわすため弔慰金及び遺族年金を支給すべきでありますが、当面の措置として、百二十万円の特別給付金とし、十年以内に償還すべき記名国債をもって交付することにいたしました。  第六は、被爆者が死亡した場合、二十万円の葬祭料をその葬祭を行う者に対して支給することにしたのであります。  第七は、被爆者が健康診断や治療のため旅客会社を利用する場合には、本人及びその介護者の運賃は無料とすることにいたしました。  第八は、高年齢被爆者、小頭症その他の保護を必要とする被爆者のため、国立原子爆弾被爆者保護施設を設置し、国の負担で保護すること、被爆者のための相談所を都道府県が設置し、国は施設の設置、運営の補助をすることにいたしました。  第九は、厚生大臣の諮問機関として、原爆被爆者等援護審議会を設け、その審議会に被爆者の代表を委員に加えることにしたのであります。  第十は、放射線影響研究所の法的な位置づけを明確にするとともに、必要な助成を行うことといたしました。  第十一は、日本に居住する外国人に対しても本法を適用することにしたのであります。  なお、この法律の施行は、平成三年四月一日であります。  以上が、この法律案の提案の理由及び内容であります。  被爆後既に四十五周年を迎えようとしている今日、老齢化する被爆者や遺族にもう残された時間はありません。被爆者団体の調査によれば、再び原爆による犠牲者を出すなという原水爆禁止の全国民の熱き願いにこたえる形で、援護法賛同署名は、参議院議員の三分の二を超え、衆議院でも三分の二に迫ろうとしております。  こうした事実を踏まえ、何とぞ慎重に御審議の上、速やかに可決されるようお願い申し上げます。  以上であります。

糸久八重子日本社会党・護憲共同

○理事(糸久八重子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。     —————————————

糸久八重子日本社会党・護憲共同

○理事(糸久八重子君) 次に、老人福祉法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。津島厚生大臣。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) ただいま議題となりました老人福祉法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  二十一世紀を十年後に控え、人口の高齢化が急速に進行する今日、国民が健康で生きがいを持ち安心して生涯を過ごせるような明るい活力のある長寿・福祉社会をつくり上げていくことは、我が国の当面する最大の課題となっております。  また、国民の生活水準の全般的な向上、核家族化及び都市化の進行に伴う家族及び地域社会の扶養機能の低下、生活の質や精神的な豊かさへの国民意識の志向等社会福祉を取り巻く環境は大きく変化しており、これに応じてきめ細かな福祉行政を展開することが求められてきております。  こうした状況を踏まえ、高齢者、身体障害者等の福祉の一層の増進を図るため、在宅福祉サービスと施設福祉サービスとを地域の実情に応じて一元的かつ計画的に実施する体制づくりを進めることとし、この法律案を提出した次第であります。  なお、この法律案により改正しようとする法律は、老人福祉法、身体障害者福祉法、精神薄弱者福祉法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法、社会福祉事業法、老人保健法及び社会福祉・医療事業団法の八法律であります。  以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、特別養護老人ホーム等及び身体障害者更生援護施設への入所決定等の事務の町村への移譲であります。住民に最も身近な市町村において、在宅福祉サービス及び施設福祉サービスが一元的に提供されるようにするため、老人及び身体障害者について、現在町村部において都道府県が老人福祉法または身体障害者福祉法に基づいて実施している施設への入所決定等の事務を町村に移譲することとしております。また、市町村は、要介護老人及び身体障害者がその心身の状況、環境等に応じて最も適切な処遇が受けられるよう在宅福祉サービス及び施設福祉サービスの総合的な実施に努めることとするものであります。  第二は、在宅福祉サービスの推進であります。市町村は、居宅を訪問し介護を行うホームヘルプ事業、日帰りの介護サービスを提供するデイサービス事業、特別養護老人ホーム等の施設に短期滞在を行うショートステイ事業等の在宅福祉サービスの積極的な推進に努めることとするものであります。  第三は、老人保健福祉計画の策定であります。老人福祉法に基づく福祉の措置及び老人保健法に基づく機能訓練、訪問指導等について、市町村においてはその実施に関する計画を、都道府県においてはその実施に必要な体制の確保に関する計画を策定することとしております。  第四は、地方公共団体の福祉の事務の再編であります。老人及び身体障害者に対する施設への入所決定等の事務を町村に移譲することに伴い、都道府県及び市町村の事務並びに福祉事務所の事務を再編するものであります。  第五は、社会福祉事業の追加等であります。在宅福祉サービスの提供体制を整備するため、老人福祉法、身体障害者福祉法等に定める在宅福祉サービスを社会福祉事業に追加するとともに、精神薄弱者福祉ホーム、精神薄弱者通勤寮、視聴覚障害者情報提供施設を経営する事業等を社会福祉事業に位置づけるものであります。  第六は、社会福祉協議会及び共同募金の活動の推進であります。地域における民間の福祉活動の推進を図るため、共同募金の配分規制の緩和等を行うとともに、市町村及び指定都市の区の社会福祉協議会は社会福祉を目的とする事業の企画及び実施に努めることとするものであります。  第七は、社会福祉・医療事業団における基金の設置であります。高齢者、身体障害者の在宅福祉の充実と生きがい対策の推進等を図るため、社会福祉・医療事業団に基金を設け、民間の創意工夫を生かしたきめ細かな在宅福祉事業に対する支援を行うこととするものであります。  以上のほか、身体障害者更生援護施設への入所決定等の事務の町村への移譲に伴う身体障害者更生相談所の市町村に対する技術的支援等の実施、精神薄弱者福祉行政における大都市特例の設定、有料老人ホームの設置について事前届け出とすること等の改正を行うこととしております。  なお、この法律の施行期日は、平成三年一月一日としておりますが、社会福祉・医療事業団に基金を設置する事項等は公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から、社会福祉協議会及び共同募金に関する事項等については平成三年四月一日から、特別養護老人ホーム等及び身体障害者更生援護施設への入所決定等の事務の町村への移譲、都道府県の福祉事務所等の事務の再編並びに老人保健福祉計画の策定に関する事項については平成五年四月一日から施行することとしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

糸久八重子日本社会党・護憲共同

○理事(糸久八重子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 昨日本会議で質問いたしました項目を中心にしてもう少し詳しくお尋ねさせていただきたいというふうに思いますので、どうぞ御協力くださいますようにお願いいたします。  まず最初に、利用者主権ということを申し上げました。つまり、サービスを利用する立場から見ますと問題点が変わって見えるのではないかというふうなことを申し上げましたが、本当にサービスを利用する立場からどのように、例えば老人ホームについて、中に入所なさっている方の立場から見るとどういう問題があるのかということから最初入らせていただきたいと思います。  そこで、まず特別養護老人ホームの個室あるいは二人部屋、四人部屋というふうにこれを、例えば個室は何%ぐらいかということについてまずお尋ねしたいと思います。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) まず、特別養護老人ホームでございますが、一人部屋が全体で五・九%、それから二人部屋が一四・九%、三ないし四人部屋が六四・二%、五人以上が一五%となっております。それから養護老人ホームでは、一人部屋が一五・四、二人部屋が六〇・四、これ合わせまして七五・八でございますが、三ないし四人部屋が二三・二、五人以上が一・〇。それから軽費老人ホームにつきましては、一人部屋が九一・一、二人部屋が八・九%、このような状況になっております。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 特別養護老人ホームを見ますと、一人部屋は五・九%ということでございますけれども、これは非常に割合として小さいというふうに思うのですけれども、どのようにお考えでいらっしゃいましょうか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) 先生御承知のとおり、特別養護老人ホームにお入りをいただくお年寄りは常時の介護を必要とするお年寄りというふうに限定をしております。そういうことでございますので、その人たちにつきましては、一つはお年寄りの持っておる孤独感であるとか、あるいは日常のコミュニケーションが不足をするのではないかとか、あるいは現実には非常に限られた社会資源の中で手厚い介護を必要としているわけでございますので、そういう意味でどういった対応が必要であるかとか、あるいは現在約二万人の待機者がいると言われておりますが、そういう状況の中で絶対量が不足しているわけでございますので、そういったもろもろの事情を勘案しますと、必ずしも個室化ということにこだわっておってはならないのではないだろうか。つまり、繰り返しになりますが、処遇上の観点から個室化というのがいいのかどうかという議論と、それから絶対量が不足をしておるという中でそこまでもっていけないという現実的な事情と両方の事情が相まっているわけでございます。  私ども指導方針としましては、特に最近では痴呆性のお年寄りなんかも特別養護老人ホームに入っておいでになる数が割とふえておりますし、それから介助を要するお年寄りの中でも特に重篤になってくる、特別の介護を必要とするという方がいらっしゃいますので、大体定員の二割程度は個室を持つように、こういうふうな指導をしております。  そういうふうな対応でございまして、必要な部分については個室化を進めるけれども、それ以外についてはむしろ三ないし四人部屋を整備するという方向の方がふさわしいのではないだろうかというふうに現在考えております。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 今定員の二割程度を個室というふうなお考えがあるというふうに承りましたけれども、それは主に痴呆性のお年寄りのためだというふうにもお伺いいたしましたが、これは痴呆性のお年寄りをある意味では隔離してしまうというふうな意味にもとられている場合もございますが、いかがでございましょうか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) 痴呆性のお年寄りと、それから非常にお世話をするのに重篤になりまして特別の介護が必要だという、いわば二種類のタイプを考えて個室化が必要だろうと思っております。  痴呆性のお年寄りについての個室化の問題については、要するに異常行動なんかがありまして、複数の人が同じ部屋にその人と入っておるという場合にほかのお年寄りに対してえらい迷惑をかける、こういうことが想定されるわけでありますので、そういうケースのお年寄りに対して個室を用意していこうではないかという発想でございます。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 迷惑をかけるからというのは確かにそうでございますけれども、何か発想が少し私なんかの考えるのとはちょっとなじまないような気がいたします。  その問題はその問題といたしまして、個室の問題、また別の観点からとらえさせていただきます。  私、よく老人ホームの寮母さんなんかのお話を承りますと、こういうお話がございます。特別養護老人ホームでおむつをかえに寮母さんが行ったときによく腕だとか足だとかをお年寄りからつねられてしまうというのですね。初め一体どういうことなのかとわからなかったそうなんですけれども、その方たちは御自分が、もちろんカーテンはしてあるかもわかりませんけれども、カーテンのしてない三人部屋あるいは四人部屋というのもあるそうでございまして、そういうところで、赤ちゃんではない大人が人の目の届くところでおしめをかえてもらうというその屈辱感、だけれどもそれを口に出して言うこともできないし、そしてつねる以外のもっと大きな暴力を振るうにはもう体力がなさ過ぎているということで、せめて自分の気持ちをお世話になっている寮母さんをつねるという行為であらわしているということがわかったときに、自分は胸の詰まる思いがしたというふうなお話を承ったことがございます。自己主張のできないお年寄りの気持ちが痛いように伝わってきて私思わずもらい泣きをしてしまったことがございます。  ところで、保谷市にある東京老人ホームが都内の特別養護老人ホームの二十施設における処遇実態調査報告書というのを五月に出されました。それを見ておりますと、起床時間が決まっている施設が二十施設のうちの十七、個人の家具を持ち込めるという施設が二十のうち十二施設、それから御自分の今までホームに入るまで持って身近に置いていらした例えば鏡台だとか本箱だとかそういったものを持ち込むことを認めている施設は、例えばいす、本箱ですと二十施設のうち五つの施設、鏡台四施設ということで、電話は全く認められていないというような結果が出ております。東京都内の百四十を超える特別養護老人ホームの中でも特に質のよい施設というのを選んで二十施設ということで調査をなさったということでございますけれども、御自分の長い人生の中で愛着を持っていらっしゃった持ち物を自分のそばに置けないということのつらさ、家族からも離れてしまう、そして自分の思い出のある持ち物からも離されてしまう、そのお気持ちというのは余りにもせつないのではないかなというふうに思うわけでございます。  老人ホームが収容の場ではなく生活の場であるというふうに言われてから既に久しいわけでございますが、人間はだれでもひとりになりたいときがあると思います。自分一人の部屋もなく、そして自分の思い出の持ち物も持ち込めない、そういう状態の中で自分の一人部屋がないということはプライバシーが守られないということだろうし、自分のプライドも保たれない、自由がない。プライバシーが守られ、プライドが保たれ、自由があるというそのことこそが私は生きているあかしだというふうに思うのでございますが、大臣、どのようにお考えでいらっしゃいましょうか。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 今おっしゃった人間のプライド、自由、プライバシー、その点はそのとおりだと思います。その点をもし非常に重視するのならば、私は在宅で十分な介護を受けられるということも一つの選択肢ではなかろうか。我々が今度在宅の介護についてこれだけ熱心に取り組んでいるのは、自分たちの思い出のある居宅において、そしてできるのならば近所の方々と誇りのあるおつき合いをしながら元気で送っていただきたいということでございますから、基本的には委員のおっしゃるところと変わるところはないと思います。  ただ、特別養護老人ホームの機能については、これはそれなりの社会的な機能を果たしていかなければならないわけであります。ですから、お一人お一人の多岐にわたる御要望を全部満たすというのは、これはどこの国でもどこの社会でも限度がある、その限度の中でできるだけのことをやろう、こういうことを申し上げておるわけでございます。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 今大臣がおっしゃいましたように、確かにプライバシー、それから自由、そしてプライドということを守るために在宅サービスがスタートするということは本当に私も賛成でございます。だったらば、やはり同じお年寄りでありましたら在宅でいらっしゃれない方もあるわけでございます。そして、今までは在宅サービスの不十分さというのがあって、施設にお入りにならざるを得なかったという方たちもいらっしゃいます。そうした場合に、施設にいらっしゃる方も、同じお年寄りでいらっしゃいましたらば、在宅でいらっしゃる方と同じようなプライバシー、プライド、自由ということが保たれるべきではないでしょうか。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 一般論から申し上げますと、委員のおっしゃっていることは実は反論のできない立派なことをおっしゃっているわけでありますけれども、ただ、特別養護老人ホームというのはどういう機能を求められているのか。要するに、常時重い介護を受けなければならないということでお入りになっているわけでございますから、まず、何といいましてもそういう介護の必要にこたえていくという施設の機能ということも無視できないわけでございます。  それから、私も地元でたくさんの特別養護老人ホームと御縁がありますし、それこそしょっちゅうお訪ねをしております。そういうことの中で、先ほど政府委員から申し上げましたように、個室というとかえって全体として見てうまくないなという御意見の方が多いんです。これ、現実なんです。ですから、その点もひとつよく実態をいろいろ委員も見ていただきまして、現状について改善する必要、余地があれば、もちろん政府としても改善するにやぶさかではありませんけれども、私は現在のところこの姿が全体としてのニーズに一番こたえているんではないだろうか。ただ、三人とか四人とかいう今の体制をすべてよしと考えているものではないということは政府委員からお答えしたとおりでございます。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 ただいま大臣は、特別養護老人ホームの機能のことを考えなければならないというふうにおっしゃいましたが、日本の老人ホームというのは、皆様御承知のように特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホームというふうに、大きく分けますと機能によって三つに分けられております。機能によって分けられているのをお年寄りの立場からいいますと、いわゆる健康条件あるいは経済条件ということで、お年寄りがそれぞれ違ったホームにお入りになるということでございます。  ところで、養護と特別養護の場合ですと、これはいわゆる行政権による措置でございますから、お年寄りが御自分で施設を、ここに行きたいというふうにお選びになるという権利がないわけでございます。ところが一方、軽費の場合ですとこれは個人契約という形になりますから、お年寄りが選択権を持つということになるわけでございます。同じ日本の老人ホームの体系の中でこのように身体的あるいは経済的な条件によって、片方では選択権があり、片方では選択権を持たないということは、これはどのようにおとらえでいらっしゃいましょうか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) まさに特別養護老人ホームというのは常時の介護が必要な方を対象に、そういった方々をお世話するにふさわしい施設、設備、それから常時の人員配置を行って、そのような人たちを受け入れる格好をとっているわけでございますし、それから養護老人ホームにつきましても、一部介助が必要でかつ経済的な理由を伴うような方々を対象にということで、対象を限定しているわけでございます。それはそういう対象のお年寄りの心身状況、それからその人を取り巻いておる家族なり家庭の環境等を総合的に判定をして、必要な状況を認定の上でふさわしい施設にお入りをいただくという決定をしているわけでございまして、これはお年寄りを社会的に面倒を見るということの一環として、そういう市町村の判断というものを前提にしているわけでございます。  一方で、軽費老人ホームというのはいわば自由度が高いわけでございまして、特に今回私ども考えておりますケアハウスというのは、必要なケアをつけておこうということでございますから、要するに、個室を前提にしまして毎日の食事のサービスであるとか、緊急時の対応の体制を整えておくということを前提にしまして、むしろ個室における個人生活を基本にしていこうではないか、そういうところを選ぶかどうかというのは、やはり所得の能力の問題もございますし、そういう身体状態にあるということと、そういうことを総合的に自分の方から判断をして利用するという格好にしているわけであります。  先生のおっしゃいますように、世の中の傾向としましては、行政が心要性を判定して入所を決定するという方向ではなくて、むしろ利用する側が自分のそういう必要性を考えた上で、自分の判断で利用をしていくという利用型に切りかえるべきじゃないかという御議論もあるわけでございまして、そういった御議論にこたえるものとしては、今申し上げましたようなケアハウスというのがこれからのタイプとしてはふさわしいのではないだろうかなという一面も持っておると考えております。  このケアハウスの場合には、今申し上げましたように、個人の居室における生活を基本にしておりますが、仮に虚弱化をされた場合には、むしろ外部から必要な在宅福祉サービスを取り入れて、そしてその軽費老人ホームでの、ケアハウスでの生活がずっと続けられるように考えていこうではないか、そういう発想もしているわけでございます。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 実際に老人ホームの中ではこのようなことが起きているそうなんです。  というのは、養護あるいは特別養護老人ホームというのにお入りになる方々の条件というのは、特に特別養護老人ホームの場合ですと、身体の条件でございますね。ADLなどを基本にいたしまして、測定、判断がなされるわけでございますが、例えば養護老人ホームにお入りになっていらした方で、御夫婦で入られたという方、ところが、人間の老化とか体が病気になるとか、そういったことは御夫婦一緒になるということはほとんどあり得ないわけでございます。配偶者の一方の方だけがいわゆるもうADLを初めとする判定基準でどうしても養護にはいられない、特別養護老人ホームにお入りにならざるを得ないというふうな状況になった場合には、これは非常に、私実際にはこういうことなさってはいないとは思うんですけれども、御夫婦別れを事実上しなければならないということだって起きる可能性があります。あるいは、夫婦ではなくてもひとりだけということ、単身ということを考えましても、養護に長いこと入っていらして、ところがだんだん人間というのは体が弱ってまいります、年をとると。そして、特別養護老人ホームに入らなければならないというふうな、そういう身体上の条件になられます。そうした場合に、老人ホームの寮母さんたちがつらい思いをなさるのは、住みなれたこのホームにいさせてくれといって家出をなさる御老人とか、寮母さんに泣いてすがる御老人だとか、そういうケースがいっぱいあって、本当に自分たちとしては、規則は規則だからというふうに頭では割り切っても、心では割り切れないというお話をよく伺うわけでございます。  人間というのは、特にお年寄りにとってあちらこちら渡り歩くということは非常につらいと思います。若い人ですと、それは新しい冒険というふうなことで、新しいところに住むということも一つの楽しみになるのかもわかりません。しかしながら、お年寄りというのは過去に対しての愛着というものの中で、過去の中の思い出の中で生きていらっしゃるわけでございます。やっとその養護老人ホームの方でお友達もできたし、そして職員の方とも親しくなれたという、そういう中で今度また新しいところについの住みかを求めて移られる、自分が移るというのではなくて移されるということです。そういたしますと、こういう状況というのを老人ホームのある施設長さんは、渡り鳥のようだと、お年寄りが渡り鳥のようになって行かなきゃならないのはとってもつらいということをおっしゃっていました。  そしてまた、特養の職員の方のお話なんかによく出てくるんですけれども、一生懸命になって寝たきりで入っていらしたお年寄りを、リハビリとかさまざまな手厚い介護をして歩けるように元気になった。そうすると、今度はその入所判定基準でいくと、この方は特養にいらっしゃるような状況ではない、特養にいらっしゃるには健康過ぎる。先ほどの機能ということでいいますと、健康過ぎる方のいる場所ではないそうでございまして、そうなりますと、お年寄りというのはついの住みかを求めながらも求められないで渡り鳥のように何カ所かを渡り歩かなきゃならない。こういういわば分類収容という、そういうふうな老人ホームの体系というのは、先進国の中でほとんどもう今は見られなくなっているわけでございます。こういう分類収容型のホームの体系というものを変えるというふうな、そういう御計画はございませんでしょうか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) まず、お話の養護老人ホームの中での高齢化なり重度化への対応でございますが、おっしゃいますように、養護老人ホームに入っていらっしゃる方でも、だんだん高齢になってきて体のぐあいが悪くなるとか、そういうケースの方が多いわけでございます。そういったことを勘案しまして、今の一般の養護老人ホームの職員配置基準では、そういう重度化が進んだような人のお世話ができかねますので、したがいまして、住所を移さないでその施設でずっと面倒を見るという発想をした場合に、病弱者介護加算ということで職員を加配をいたしまして、引き続いて養護老人ホームでの生活が何とか送れるようにという特別の配慮をしております。あわせて養護老人ホームについては個室化を進めておりまして、先生御指摘のような自分の思い出のあるような品物も運び込めるようなふうに緊急的に個室化を進めているところでございます。  それから、ずっとその施設におられないかということでございますが、やはり特別養護老人ホームは特別養護老人ホームとしての機能があるわけでございますので、今おっしゃいましたようなケースのように、リハビリテーション等をやって元気になられたという場合には、むしろ自分のお家があれば自分のお家に帰っていただいて、そこで必要な介護の支援なり援助を得ながら自分で生活をしていくというのが基本ではないんだろうか。もし住居がないということであれば、それにふさわしい住居を確保する。公営住宅であるとか、あるいは先ほど申し上げましたようなケアハウスであるとか、そういったところで自立した、自分で何とか生活できるようなことをお送りいただけるようにシステムを組んでいく。その方がよほど私どもとしては個人の生活にも合っていると思いますし、それから社会資源のサイドから見た場合でも、効率よく運営ができていくんじゃないだろうか、そのように考えております。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 よく入院なさったお年寄りが、お家へ帰ってきてみると、自分のお部屋がお孫さんにとられてしまって、なぜおばあちゃん帰ってきたというふうなことを言われたというふうなことで泣いていらっしゃるようなお年寄りによく会うわけでございますが、ついの住みかがないがゆえに老人ホームにお入りになったという方が多いわけでございます。  次の質問に移らさせていただきます。  ところで、老人ホームの場合には、これはいわゆる福祉施設でございますということで、老人ホーム、特別養護老人ホームも含めまして、医療の問題になりますと、これは医療施設へということになるというふうになっているわけでございますが、例えばお年寄りの病気というのは長いわけでございます。ですが、入院なさって三カ月以上たつともとのホームにはベッドがなくなるというふうなことも聞いておりますが、これは事実でございましょうか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) 現在の運営方針では三月というのを一つの区切りにしております。つまり、特別養護老人ホームにお入りいただいて体のぐあいが悪くなって入院をされた、そしてそれが三月以上になるという場合には、いわゆる特別養護老人ホーム入所の状況を取り消すというんでしょうか、そういう扱いにしております。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 そのことは、御自分のお家に何らかの理由でいらっしゃれない、いることができなかった方なのにもかかわらずホームにまた戻ってこられないということは、大変な問題ではないかというふうにも思います。  それでは次の質問に移ります。  ところで、全国老人ホーム基礎調査というのがございまして、これは全国社会福祉協議会が行ったものでございます。一九八七年の七月に実施したものの報告書が八八年十月に出ておりますが、それを見ますと、この調査の前月に受診したことのある者のパーセンテージが出ております。特別養護老人ホームで八八・二%、養護で八〇・六%、盲養護で八四・七%、軽費A型で七五・九%、これは軽費も含めまして約もう八割。特養になりますと、約九割近くの方々が何らかの形で受診をしていらっしゃって、つまりこのことはほとんどが御病人でいらっしゃるというふうにも言っていいんじゃないかなというふうに思います。ほとんど御病人の方々がいらっしゃる特別養護老人ホームでございますから、容体がいつ急変するかわからないというふうな虚弱な御老人たちが特養に入っていらっしゃるわけでございます。そういった状況の中で、これは医療施設ではないからということは言っていられないのではないか。  そこで、これは同じ調査の中に出ておりますが、常時夜看護婦さんがいる施設というのはわずか三・一%しかないんです。この点についてはどのようにお考えでいらっしゃいますか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) 先生御存じのとおり、虚弱な人が多いわけでございますので、特別養護老人ホームの運営に当たりましては、一般的には常勤の医師なり非常勤の医師を配置するということになっておりますし、それから入院治療が必要な場合も出てまいりますから、そういう場合に備えて協力病院を確保しておくようにということを指導しているわけでございます。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 でも、病院から夜中に来てくださるというふうなことも難しいことの方が多いんじゃないかと思いますし、どうしてもホームの中にお医者さんがいらっしゃらない場合であっても、看護婦さんがいてくださればという思いはお年寄りにとっても強いのではないかと思いますけれども、この辺の人員配置を変えるというふうな、そういう御配慮は今お考えではございませんでしょうか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) 現在の特別養護老人ホームの職員配置基準では、例えば五十人規模の場合に看護婦さんを二人置く、百人の場合には三人置くという配置基準になっておりまして、夜間の問題になりますと、その辺が微妙になるケースもあろうかと思いますが、職員配置基準上はそのような専門職を配置することになっておりますので、通常のケースにおいては必要な対応が図られておるというふうに理解をしております。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 お年寄りが一番容体が変わるというのは夜間ということ、これは私たち一応常識で知っているわけでございますが、夜間に看護婦さんがわずか、規則がどうであれ、実際にはこの調査によりますと三・一%しかいないと、これ全国調査でございます。ですから、この辺の事実からスタートして、何らかの対応を考えていただきたいなというふうに思うわけでございますが。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) それは現実的な対応ということで、いわば医療の救急体制との絡みにもなってくると思います。したがいまして、先ほど御答弁申し上げましたが、協力病院のようなものをつくっておいて、よく連携をするようにと言っておりますので、そういう夜間において緊急的な事態が生じた場合のそういうケースも想定をしまして、地元における救急体制との調整、協力関係というのを事前に成立させておくということが、ホームの運営に当たってはぜひ必要だということになると思います。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 夜間の看護婦さんの体制ということも含めまして、寝たきりをなくす、寝たきりゼロ作戦というのは、本当に私御趣旨大賛成でございます。在宅で、と同時にまた施設ケアの中で、先ほど岡光部長お答えくださいましたように、特別養護老人ホームで元気になって、そしておうちに戻っていく、そのことは本当に望ましいことだというふうに思います。  しかしながら、現在施設の中では、医療体制といいますか、看護婦さんの問題だけではなくて、実際に現在の職員配置でございますと、手厚い介護というのを施設でなさるには非常に難しいのが現状でございます。ですから、おむつも何度もかえてさしあげたいというふうにお思いになる職員の方々のお気持ちはあっても、肉体的に疲れてしまうというふうなことで実際には、先ほども数を挙げましたけれども、朝起きるということの起床時間も決まってしまっている。それはもっともっと職員の手がたくさんあれば、お好きなときに起きて、お好きなときにお食事を召し上がれということが言えるということをおっしゃっておりましたけれども、現在の施設、特に特別養護老人ホームにおける職員の配置基準というのはもう少し考えられる余地はないのでしょうか。実際に夜勤明けでお休みになる方もあるわけですから、定員百人の特養におきましても実働は大体十五人以内というのが実際でございます。夜間になりますと本当に五人以下というのが実際でございます。  そうなりますと、何年か前に特別養護老人ホームで火事が起きました。ああいうときなどは本当にもう少しのマンパワーがそこに夜間に配置されていたらば、あれほどの悲劇にはならなかったのではないかというふうなお声もたくさん耳にしたわけでございますが、職員の配置基準というものをもう少し豊かにするというふうなお考えは今のところないわけでございましょうか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) お年寄りの処遇を高める、それからまた働いていらっしゃる方々の働く環境をよくするということは常に必要でございます。そういう観点から、内容点検は常に行っておるつもりでございます。それで、必要性があれば私ども職員配置基準をより見直すということはやぶさかではございませんが、直ちに今どういうふうに対応するかということについてはいろいろと検討させていただきたいと思います。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 それでは、早い時期に御検討をお急ぎくださいまして、実施なさっていただくことをお願いいたしまして、次の質問に移らせていただきます。  これもやはり利用者の視点ということの続きでございますが、非常に最近ではさまざまな福祉サービスのメニューというのは出そろってきているように思います。しかしながら、実際にいろいろな調査を見ますと、サービスを利用なさっている割合というのは比較的といいますか、案外少ない場合が多いんですね。その理由というのが、福祉サービスは申請主義でございますので、自分が届け出なければならない、そしてそこから初めてサービスが利用できるという形になっております。申請主義でございまして、届け出に行くということは自分がどこに行けばいいかということがまず問題になります。行ってみると今度は窓口がいっぱいあり過ぎるということがございます。そしてまた手続が複雑であるというふうな問題がございます。  例えば、これは東京のある区役所の中での「高齢者のための事業」というこれはリーフレットでございますけれども、それを見ておりましても、非常にたくさん心遣いのあるサービスのリストでございますけれども、担当窓口というのがまず社会保険事務所、国民年金課、税務署、税務課、高齢者福祉課、都住宅局、住宅推進課、高齢者センター、区社会福祉協議会、職業安定所、高齢者センター、都労働経済局、各授産場、高齢者事業団、保健課、保健所、都養育院というふうに、読み上げていけばまだまだございます。そのようにさまざまに担当窓口が分かれているわけでございます。どこに行けばいいのかというのも非常にわかりにくいわけです。手続というのも大変に複雑である。  この手続のことに関しまして、私は昨年の十一月二十八日本委員会で御質問と御要望をさせていただきまして、これは身体障害者のガイドヘルパーの件でございました。早速ことしの四月でございましたか、社会局の更生課長の御通知で手続が簡素化されました。本当に私うれしくってきょうはそのことをまずお礼を申し上げたいと思います。おかげで電話だけでも申し込みができる、そしてまた、家族調査の項もなくなったということでございます。大変な御配慮いただきまして本当にありがとうございました。  さて、高齢者のさまざまな窓口がたくさんあるというふうなことを今申し上げましたけれども、こういう窓口を一本化し、そしてまた他の高齢者の手続、あるいは高齢者だけではなくてさまざまなこういった手続をもう少し簡素化するとか、一元化するとか、今回は在宅サービスと福祉サービス、そういったことの一元化ということが大きな法改正の眼目ではございますが、こういった一元化、簡素化ということも厚生省どのように御指導なさっていらっしゃるんでございましょうか。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 今先生から御指摘がございましたように、住民の方のこういったサービスにつきましてのこちらの受け取り部分について、サービスという観点から非常に欠けているのではないかという御指摘は、大変私どもにとって耳の痛い話であると思っております。おっしゃるとおりこういったさまざまな福祉サービスを用意をいたしましても、それを利用していただかなければ意味がないわけでございますから、その意味で利用手続の簡素化、それから多くの方にそういったサービスの内容を知っていただくということにつきまして、いろんな工夫をしなくちゃいけないということはもう御指摘のとおりだと思っております。  ただ、今先生がお話しになりましたように、福祉のサービスの中にはその部分の専門家がお相手をいたしませんと適切な受け答えができない、例えば年金の相談といったようなものはそういうことになるかと思いますが、そういう部分もあるわけでございます。そういう意味では非常に身近にそういった相談がどこで例えば受けられるかとか、この点についてはどういうような手続をすればいいのかとか、身近な相談というものをまず充実していくということが必要ではないかと思います。従来からその点につきましては、非常に古い制度でございますが民生委員の制度でございますとか、それから今お話がございました市町村の社会福祉協議会の中にそういった相談を受け付けるものがありますとか、いろんなことをやっておるわけでございますが、確かにいろんな意味で宣伝不足と申しますか、皆様にお知らせするということについての努力が足らないという御指摘、ごもっともだと思います。  そういう意味で、まずサービス自体の手続の簡素化、これは今御指摘もありましたように、いろいろこれから手続の簡素化を進めなくちゃならない部分もあると思いますし、また私どもの相談の手近さということについていろんな意味の工夫をしていきたいと思っております。これは確かに例えば大都市におきますと電話相談というような、そういう形が一番現実的ではないかと思いますし、またもっと違う状況の中でございますと、今申し上げましたような民生委員の方ですとか、そういう対人的な相談ということがもっとよろしいのかと思います。それから地域によってそれはさまざまな対応があるのではないかと思いますが、ぜひこういった法律改正をいたしました趣旨が、今先生おっしゃいましたように、福祉をもっと身近なものにしたいということでございますので、それをもう少し現実化していくということにつきましていろんな方のお知恵をかりながら工夫をさせていただきたいと思います。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 ぜひともガイドヘルパーのときのように、本当に速やかに実施に移していただければ非常にうれしく思います。そのことをお願いしておきます。  ところで、私昨日御質問させていただきました二番目の自立の問題でございますが、そのことに関係いたしまして、今回の法改正におきましては、老人福祉法のみならず身体障害者福祉法というのも改正になったわけでございますが、そこで身体障害者福祉法の「法の目的」という第一条、現行の場合ですと「この法律は、身体障害者の更生を援助し、その更生のために必要な保護を行い、もつて身体障害者の生活の安定に寄与する等その福祉の増進を図ることを目的とする。」というのが、今回の改正案では「この法律は、身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、身体障害者を援助し、及び必要に応じて保護し、もつて身体障害者の福祉の増進を図ることを目的とする。」というふうになっております。そしてまた第三条では「国及び地方公共団体は、前条に規定する理念が具現されるように配慮して、身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するための援助と必要な保護(以下「更生援護」という。)を総合的に実施するように努めなければならない。」というふうになっておりますが、そこで、確かに「自立と社会経済活動への参加」ということは、これは大変に望ましいことだというふうにも私思います。障害を持った方々がどんどん社会活動をなさり、そして経済活動をなさるということは、まさにこれはもっともっと促進していかなければならない日本でおくれている面でございます。しかしながら、生まれたときからのあるいは幼いときからの障害を持った方、例えば脳性麻痺の方々の場合ですと、いわゆる「経済活動」というふうにそのことが「自立」ということの前提というふうな形に置かれてしまいますと、生活を安定させるだけの経済的な活動あるいは就業というふうなことは非常に困難でございます。そうした方々にとって現行の「生活の安定」というその言葉が削られたということは、非常に危機感を覚えられるのも無理からぬことではないかというふうに思うわけでございますが、この観点から御説明を承りたいというふうに思います。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 今回の身体障害者福祉法の第一条の目的の改正についてのお尋ねでございますが、今回の改正の身体障害者の国際障害者年の理念でございます「平等と参加」というものをこの新しい法律の改正の中で表現をしたいという考え方から、今回の改正によりまして「身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、身体障害者を援助し、及び必要に応じて保護し、もつて身体障害者の福祉の増進を図ることを目的とする。」と、こういうような表現に改めることとしたわけでございます。  この際、「生活の安定に寄与する」という例示をなくしておりますが、この例示は「自立と社会経済活動への参加」の中に含まれるものと私どもは解しております。今おっしゃいましたように、「社会経済活動への参加」といいます言葉の中には、社会生活を営む上でのさまざまな活動に対する幅広いかかわりを実現をするということの意味でございまして、今先生がおっしゃいましたように、非常に重い障害をお持ちの方も含めましてすべての障害者が経済的な意味での生産活動に参加しなければならないと、こういう趣旨ではございません。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 それは非常に「社会経済活動への参加」ということが条項の中に入れられたということの意味は大きいわけでございますが、それと同時に今申し上げましたような、どのように努力をなさってもなかなか生産活動つまり御自分で職業生活というのは不可能な方々がいらっしゃるわけでございます。そうした方々にとってはこの「生活の安定」という言葉が、つまりいわゆる所得保障ということでございますが、そのことが御自分の就職、職業活動をしなければ自立ができないというふうなことではなく、所得保障というものがきちんとそういった方々にも安定して保障されるのだという、そういう確実なあかしが欲しいのではないか、そのことがなければ大変な不安というものが募るのではないかというのは私もお察しがつくわけでございますが、その点もう少し御説明をいただけませんでしょうか。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 「生活の安定に寄与する」という現行の法律のものを、今申し上げましたように非常に包括的に表現をいたしたわけでございますが、当然のことながら国、地方公共団体及び国民の責務の中に、こういったいろんな保護をしなければならないということの中には、例えばこの法律の中にございます療護施設を設けまして、その中で障害者の方の保護をしていくというような体系も当然に入ってくるということでございます。  具体的に今先生おっしゃいました所得保障という目的の件に関しましては、この法律は身体障害者福祉法といういわば福祉の体系上の法律でございますので、所得保障は全体としての障害者対策の中では例えば年金の障害者基礎年金でございますとか、それからその他の諸手当等のいろいろなものと複合いたしまして障害者の対策というものは行われておるわけでございまして、そういうものをすべてひっくるめまして国及び地方公共団体はそういった障害者の福祉のために尽くさなければならないという理念を明らかにしているものと理解いたしております。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 御趣旨はわかるわけでございますが、経済活動が実際になかなかできない方々の立場からすると、「自立と社会経済活動への参加」というふうにうたわれますと、何か肩身の狭い思いをなさるのも事実だというふうに思います。  そういった観点から、今おっしゃいましたような御趣旨が本当に「生活の安定」ということを除去したということは、私が申し上げましたようなそういう意味ではないというふうにお答えをいただいたわけでございますから、そのことが実際の場においてきちんと保障されるということをお願いいたしまして、多分この問題は堀委員も御質問になるのではないかというふうに思いますので、引き続いて御討論いただければというふうに思います。  ところで、今療護施設というお話がございましたが、身体障害者の療護施設というのが昨日いただきました資料によりますと、昭和六十三年十月一日現在で全国に百九十四施設あるというふうに承りました。ところで、都道府県別に拝見いたしますと大変に百九十四施設が偏在しているというふうに私には受けとめられたわけでございます。例えば一番多いところで北海道でございまして十一施設、ところが東京は三施設でございます。そして福岡は八施設ございます。鹿児島が九施設というふうになっておりますが、北と南の端の方が非常に多いんですけれども、この偏在はどういうふうなことを意味するのでございましょうか。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 療護施設についてのお問い合わせでございますが、福祉施設全体を通じまして、正直申し上げまして、地域による格差というのは大なり小なりあるように思います。療護施設の場合に、今おっしゃいましたような地域差があります理由といたしましては、この施設のいわば制度化自身が他の施設に比べますと時期的には非常におくれております。それからこういった施設に対します地方公共団体の取り組みが、正直に申し上げましてやや少しおくれておるということがあるかと思いまして、ある意味では、整備の進んでおります過程にあるということが一つの原因ではないかと思います。  御承知のように、現在の社会福祉施設の整備の状況から見ますと、こういった療護施設の増設の御希望は非常に多うございまして、今後こういった不足地域におきまして整備が進んでいくのではないかということを私どもとしては期待をいたしております。  おっしゃいますように、こういったものが余り大きな地域差があるということは望ましいことではございませんので、そういうことのないような指導といいますか、ことはやらしていただきたいと思っております。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 特に、脳性麻痺のような方々が親から自立をなさるという、そのためには生活訓練の場である療護施設の存在というのは非常に大きな意味を持っていると思うんですね。もう突然養護学校から実社会に出て行く場合に、例えば切符を買うことから何から突然そういう生活訓練を経てない方が出て行くというのは大変な困難がございます。こういう生活訓練の場がそれこそ身近にあって親から自立した生活ができるというふうな、そういった場と機会を提供するということの意味は非常に障害者の特に脳性麻痺のような方々の自立ということにとって大きな意味を持っているんじゃないかなというふうに思います。  ところで、今地域偏在のことを申し上げましたけれども、東京が三、そして横浜の場合には一カ所しかないんですね。こういう都会に少ない。それは今御答弁ございましたように、その取り組みの時期の問題ということがございましょうが、もう一つ、大都市ですと土地の問題もあるんじゃないかなというふうに思うわけでございます。東京、横浜のような都市におきますと、今どなたも御承知のように、大変に土地代が高うございます。そこで、施設というのは土地がまず第一でございます。その用地をいかにして確保するのかというふうなことが大きな問題なのでございますけれども、一応この療護施設は五十名が設置基準といいましょうか、認可の定員が五十名ということがございます。このような大都市の中では五十名の施設というのはかなりの土地代、用地代を必要といたします。したがいまして、認可の定員というのをもう少し規模の小さい場合をお認めになる、つまり設置基準というものを五十人以下に下げるという特例というものをお認めになるというふうなことはお考えの中にはないでしょうか。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 施設の規模を現在五十人としておりまして、これを前提として施設全体の運営のためのいろいろな基準、職員の配置でございますとか、それからいろんな施設の整備の問題でございますとか、そういうものを前提に組み立てておるわけでございます。これを三十人に引き下げて、用地の高い部分について何らかの対応をしてはどうかということでございますが、これは単に定員を下げるという部分にのみお答えをさせていただきますと、ちょっと社会福祉施設全体に絡む、施設はいろんな施設がございますが、その場合に小さな規模の施設を認めていくかどうかということになっていきますと、正直申し上げまして、こういった療護施設のような夜勤というものを考慮しなければならない施設の体系の中では、施設の規模が少なくなりますと相対的には非常に苦しい状況がございまして、なかなか社会福祉施設の規模を小さくするということにつきましては、正直申しまして、効率性といいますか、効率性という言葉は余り適切ではないかと思いますけれども、非常に問題が大きいわけでございます。  確かに一方におきまして、御指摘になりましたように、施設ができにくいというもう一方の難点がございまして、そこをどういうふうに解決をしたらいいかということが私どもとしても悩みでございますが、一つの解決の方法といたしましては、療護施設を独立に設けるという形ではなくて、例えば重度の身体障害者更生施設に療護施設を併設をするという場合には、親施設のいろいろな機能が利用できますので、そういう場合には最低三十人という形を昨年度から始めてみたわけでございます。  それから、用地の問題でございますが、これは確かに今の首都圏のような土地の高騰しています状況の中で土地を購入しなくてはならないということになりますと、相当な負担を社会福祉法人側が負うわけでございますので、地上権といった利用権で土地をそういう形で確保することができるならばそれを認めるということを特例的にやっております。  御承知のように、療護施設の大部分は公立でございませんで社会福祉法人立でございますので、社会福祉法人にそれでは土地を補助できるかとなりますと、これは土地というのは永久資産でございますので、なかなか公費でそういう形のものをするというのは困難ではないかという気がいたしております。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 何らかの御努力をなさっていらっしゃるということがわかりましたが、併設といいましてもたまたまその施設が、土地がそのそばにあったという場合にのみこれは可能になることでございまして、原則的には身近なところでそしてアットホームな生活ができるとなると、小規模であるというふうなことは、これはもう前提条件ではないかというふうに思います。この点をもっと御考慮に入れられて、何らかの措置を講じていただければというふうに思います。  この点に関しまして、特別養護老人ホームについても大都市では用地確保というのは大変でございます。もう各自治体も本当に大変な思いをしているようでございますが、規模を小さくするというふうなお考えはございませんでしょうか。何か離れ島とか何かに関してはそういう特例をお設けになっていらっしゃるように承っておりますけれども、大都市ではいかがでございましょうか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) 先生今おっしゃいましたように、離島とか僻地では三十名という特例を置いておりますが、都市部につきましては、今社会局長が身体障害者の施設の関係でお話を申し上げましたが、大体それと同じように考えておりまして、三十名定員の場合でも土地を見つけなければならないわけでございます。その程度の土地であれば例えばほかのものと合築をしたりしてうまく複合化できないかということを試行しておりまして、今のところは夜勤体制なんかを考えた場合には直ちに三十名定員も認めていこうという、そこまでは踏み切れておらないような状況でございます。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 この際、身近でという非常にすばらしい理念というものが今度の法改正の一番大きな基本になっております。そういうことを考えますと、先ほど大臣もおっしゃっていただきましたように、プライバシーあるいはプライド、自由というふうなことも、在宅サービスを重視するということの大きな前提であるというふうにおっしゃっていただきました。そういった観点からも、小さな規模で自分の身近に、家族の身近にそういう施設があるというふうなことももう一歩進んで具体的に御努力を願えませんでしょうか、大臣、いかがでございましょうか。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) ただいまの療護施設等につきまして、地域のニーズに応じ、また利用者、すなわち障害者の御本人の利用しやすいように工夫をしていけと、そのことはもうそのとおりでございまして、これからも積極的に努力することをお約束したいと思います。  それで、先ほどからずっと委員の御質問を承っておりまして、私もこの前のところでちょっとお答えしようかなと思ったんですけれども、この段階でちょっと申し上げさせていただいてよろしいでしょうか。——  利用者本位ということを強く御指摘になった。それはそのとおりでございますが、私どもが利用者本位で行政を進めていくという場合に、一番重視しているのは選択の幅を広げてあげるということでございますね。先ほど委員は特別養護老人ホームの現場におけるいろんな話に焦点を合わせて御指摘になりました。それはそれなりにある角度から問題を浮き彫りにされているんですけれども、トータルで考えますと、ある地域における例えば高齢者なら高齢者の方が住みなれた在宅で引き続き介護を受けながらされるのか、それからあるいは体が悪くなって病院にお入りになるのか、あるいは老人保健施設にお入りになるのか、あるいは特別養護老人施設にお入りになるのか、そういう選択の幅が広げられ、そしてかなり苦労なしに選択できるということが第一だと思うのでございます。  一方、それじゃ行政の側、地域行政の立場から何が大事かというと、そういう選択の幅を広げていただくと同時に、それぞれの地域で計画的に進めていく。例えば特別養護老人ホームは充足しているけれども、例えばもうちょっと積極的なキュアが必要な、医療サービスの必要な方にとって老人保健施設がないとかいうようなことはぐあいが悪いから、そういう方にはそういうタイプの施設をつくってあげる。それから在宅の方が心配のないようにすると同時に、さっき委員がおっしゃった特別養護老人ホームなり老人保健施設から元気になってお帰りになるという場合に、部屋がないというような社会的な入居、入院ということを防止するということも必要だと。つまり、そういう地域における計画的な進め方をしなければならない。そういう意味では、今まで選択の幅を広げるといういろんな努力もしてまいりましたし、それから今度の法律も地域社会で計画的にやってください、町村長さんという地域社会では一番責任の重い、それこそ住民の審判を受けるような立場にある方々が自分たちの問題として取り組んでくださいというお願いをし、それを国としては全面的にバックアップいたします、こういうことでございますから、全体としては、委員の御指摘の利用者の立場に沿った改革を私どもは進めてきているというふうに思っております。  最後に一言。特別養護老人ホームにおける医療サービスが不十分だという点を御指摘になりましたが、これは特養ホームばかりでなくて、先ほど政府委員も申し上げましたが、在宅の方についても問題が残っております。ですから、そういう意味にとらえたい。例えば夜、突然ぐあいが悪くなるというのは、これは特別養護老人ホームばかりでなくて在宅の方にも起こり得るわけですね。そういう方に対して適切に医療サービスが届くようにするためには、今度は医療のサイドからもっと努力をしなきゃならぬと思っております。  以上、今まで感じていたことをここでまとめて申させていただきました。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 どうもありがとうございました。最後の御視点、医療の問題というのは本当にそうだというふうに思っております。そのことに関しましてはもう少し後でまた御質問させていただきたいと思います。この問題は一応ここで終わらせていただきまして、次の問題に移らせていただきたいというふうに思います。  私が御質問を昨日させていただきましたが、大変にきつい言葉で申し上げてしまいましたけれども、在宅福祉サービスと施設サービスというものを比較した場合のコスト論で在宅サービスの方が安くつくからというふうなことはよもやないでしょうねというふうなことを、きつい言葉で大変失礼なことを申し上げたと思いますけれども、よくこういう議論は学者の仲間ではいろんな試算をしてはなされるわけでございまして、ついそのときの癖が出たのかもわかりません。お許しくださいますように。  しかしながら、在宅福祉と施設福祉のコストというのも、一つの事業をなさいますにもコストの問題は避けて通れないものでございますので、厚生省、自治省で全くの考慮に入れなかったということはないのではないかというふうに思うわけでございますが、そういう試算というものがございますのでしょうか、あるいはこれからやってみようとお思いなんでしょうか、そういうものは全く必要はないというふうにお考えでいらっしゃるのでしょうか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) 老人の場合に、施設でお世話をする場合と、在宅で生活をなさっている方にいろいろな居宅における支援を申し上げるというのと、そのコストを比較してみるというのは私ども事例的にはいろいろやってみてはおります。例えば十カ年戦略でもって平成十二年にどのような姿になるのかということで、在宅の場合にホームヘルパー週に何回とか、ショートステイどのくらい入れるだろうかというモデル的なケースを何度も御答弁させていただいておりますが、そういった場合に一体どのぐらい事業費がかかるかとか、そういう試算は私ども一応はしております。しかしそれはモデルでございますので、トータルで考えた場合に施設が安上がりか在宅が安上がりか、そういう議論というのは余りふさわしくないのではないだろうか。ただいま大臣が御答弁申し上げましたように、主体はサービスを受けようとするお年寄りの方にあるわけでございまして、どういうことを利用するかというのはお年寄りの主体性で御判断なさるわけでございます。私ども安いか高いかという発想ではなくて、お年寄り主体にいかにサービスをお届けするか、サービスを提供するかということを考えなきゃいかぬのじゃないか、そういうことを発想しているわけでございます。  一般論で申し上げましたら、在宅の場合には、例えば家族がいろいろお世話をなさるその経費は全然カウントされていませんし、あるいは光熱水費であるとか生活費もカウントされていませんから、ただ、ホームヘルパーとかデイサービスとか、そういったようないわゆる在宅福祉サービスを利用する場合の事業費がどのぐらいかという試算をしているわけでございまして、そういう意味で私ども施設福祉と比べまして在宅福祉が一律に安上がりであるなんというようなことは絶対考えておりませんので、個々のケースに応じて必要なサービスが届くようにということを念頭に、全体として施設にどのぐらい入られるか、在宅でどのぐらい生活をされているか、そういうことを想定した上でトータルのコストがどうなるのかというのをはじいているところでございます。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 お答えをいただきまして大変に安心いたしました。お年寄りの主体性ということを重んじて、お年寄りが選べるという施策をもちろんやっていただくことが望ましいわけでございます。  しかしながら、コスト計算というのは、安いか高いかというそういう目的は除いたとしましても、試算ということをやってみることは一つの計画を立てるには前提の条件になるのではないか、どちらが安い高いというふうな言葉ではなくでございます。客観点に政策というものを立てるときには、そういうコストが幾らかかるのかということを抜きにして政策というものは立てられないというふうに思います。したがいまして、そういった意味での試算というのはこれからもなさっていらっしゃいますでしょうか、安上がりかとかいうことではなくでございます。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) ただいま申し上げましたように、どのぐらいそれに関係する事業費がかかっておるかという試算はしております。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 それでは、その試算がございましたら、後でぜひとも資料として御提出いただければというふうに思います。お願いいたします。  次に、市町村の財源問題というのは権限の移譲ということで市町村にとっては非常に大きな問題であることはどなたもが御指摘なさっていることでございますが、厚生省と自治省と大蔵省とで協議をなさっていらっしゃるということでございますが、これまでどのような具体的な協議がなされてまいったわけでございましょうか。そして、どのような手当てといいましょうか、がなされるであろうというふうなことが具体的に決められているのでしょうか。そういう点についてお尋ねしたいと思います。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 今回の法律改正によりまして入所の決定事務が町村に移譲をされます。それから在宅サービスについて各町村が今後さらに積極的に実施をしていただくということになるわけでございますが、この件についての財政的な裏づけはどうなっているかというお尋ねかと思います。  今回の法律で御提案申し上げておりますように、入所決定権の移譲は平成五年よりということにいたしておるわけでございます。従来、福祉事務所が措置、こういった決定事務をいたしておりました際に負担をいたしておりました県の負担分が町村の負担分という形に変更になるわけでございまして、国の負担分は変更はございませんが、この点につきましては、地方交付税上の対応ということが原則的な形でございますので、この方向で対応するということで三省話し合いをいたしたわけでございます。  当然のことでございますが、これは平成五年度の予算措置にかかわることでございますので、この間までに具体的な内容につきましては三省で十分協議をさせていただくということになっておりますが、地方に過重な負担をかけないという形で関係省庁と十分私どもは協議をしてまいりたいと思っておるわけでございます。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 これは御承知のように、地方自治体で社会福祉財政というのは特に民生費ということになるわけでございますけれども、いわゆる補助金の削減が行われたのが一九八五年からでございますが、これを一九八四年から八七年で市町村あるいは都道府県への国庫支出金というものの減少率を見てみますと、市町村では二二・二%のマイナスであるし、都道府県では一一・八%も国庫支出金がマイナスであるというふうな数字も出ております。人口十万未満の小都市ですと、国庫支出金は二九%マイナスになっているのに対して、老人福祉費というのは一七%増大しているというふうな数字も出ているわけでございますが、もう既に町村に、さまざまな措置権の移譲の前にこれほど町村にとっては国庫支出金が減少しているという、その上にさらに町村でまた負担をしなければならないというふうなことになるわけでございますが、今私が申し上げました国庫支出金の減少、それに反して町村における老人福祉費の増大、このことに関してどのようにお受けとめでいらっしゃいましょうか。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) これは、今先生お話しのは、福祉関係法律におきまして従来国庫補助率が八割でございましたこういった入所に伴います費用につきまして、補助率の変更を行ったことに伴う国庫支出金の減をお話しになっておられるのかと思います。  この補助率の変更でございますが、今補助率の変更のみを御指摘になったように思いますけれども、今回の法律もある意味でそういう基本方向に沿っておるわけでございますが、地方がこういった福祉の仕事の中で地方独自の権限、地方独自の責任を持って実施をしていく体制というのが、地方自治という全体の大きな流れの中で方向ではないかという御指摘を関係方面からいただいたわけでございまして、いわば入所の決定権自体を、団体委任事務と申しますか、国が指示をする仕事ではなくて地方自身の仕事という形に位置づけを変えまして、仕事の全体の体系を変えた上で補助率の変更をいたしたわけでございます。  これに伴う地方の財源対策でございますが、これは私からお答えするのはいかがかと思いますが、全体として、たばこ税でございましたか、そうした形で地方財源の新たな対応をした上でこういう形の変更を行ったというふうに理解をいたしておるわけでございます。  全体といたしまして、老人がふえる、その他の福祉需要も大きな変更がございまして、福祉の経費そのものも国全体といたしまして増大をいたしておるわけでございますが、その中でお互いがどういう役割を担っていくかという基本線につきましては、私どもとしてはもちろん財源問題について十分地方財政全体として考慮していかなくてはならないことは当然でございますが、やはり地方が主体性を持ってこういった福祉の仕事をやっていただくような、これは現在の大きな流れの中ではそういうふうに考えていくべきものと私どもは思っております。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 ただいまの地方が今主体性を持って独自の政策、そしてそれを実施するということが望ましいというのは、全くそうだと思うんですけれども、現実では市町村が積極的にサービスを増進すればするほど超過負担になるというのが現状のようでございます。例えばこれは家庭奉仕員制度でございますが、大阪のある市では五千七百万円かかった、そのうちの八五%は超過負担である。それからまた群馬県の場合ですと、約四割が市町村の超過負担になっているというふうな具体的な事実が出ているわけでございます。ですから、主体的に市町村が事業を進めれば進めるほど市町村の超過負担がふえるという、これはなぜでございますか、なぜこうなっておるわけでございますか。その仕組みを御説明いただきたいと思います。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) 家庭奉仕員のお話でございますので、それについて御答弁申し上げますが、先生御存じのとおり、ホームヘルパーの国庫補助の仕組みは、介護型と家事援助型というふうに分けまして手当でセットをしているわけでございます。といいますのは、ホームヘルプサービスの提供のあり方につきましては、常勤の職員で配置をされているところもありますし、非常勤の職員を置かれているところもある、それから社会福祉協議会というふうな外部に委託をされているケースであるとか、あるいは特別養護老人ホームというふうな専門的な人を抱えているところに委託をするケースであるとか、そういういろんなタイプがあるわけでございまして、そういうタイプを総じてこのホームヘルプサービスを進めるという観点から、国の補助をしようということで補助制度が決まっているわけでございますが、その補助の仕方としては手当という格好をとっているわけです。  そういう意味で、例えば今、事例で挙げられましたようなケースは、常勤で抱えておる人に対して今の手当額と比べた場合に、常勤の方々に払う給与と手当額と比較したら相当差が生じておるということで、そういう差分についての議論であろうというふうに考えております。  私どもこれにつきましては、補助の姿としては今後とも手当という格好で補助単価を構成していくというのがふさわしいであろうとは考えておりますが、ヘルパーのどういう体制を整えてサービスをしていくかということについてはいろいろ検討していかなきゃいけないと思っております。したがってその体制については複数考えざるを得ないと思いますが、その体制ごとに適切な処遇を講じていくんだという発想で内容改善をより進めなければいけないだろう、そんなふうに考えております。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 同じ質問を、自治省の方が来ていらっしゃいますか、自治省の方にお尋ねいたします。

香山充弘自治省財政局調整室長

○説明員(香山充弘君) 地方団体が国庫補助を受けて行います事業につきましては、その事業を実施するのに十分な国庫補助金というのが確保される必要があろうと考えております。そういった意味で、自治省はこれまで関係省庁と協力をいたしまして実態調査等を経て、国庫補助負担基準の改善に努めてまいっておるわけでございまして、御指摘のような事例につきましても、なお地方団体の事情等をお聞きした上で対処してまいりたいと考えております。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 これは補助金の仕組みに問題があるのではないかなというふうに思います。補助金はどういうふうな形で計算されるのかということについて、自治省からお答えをいただきたいと思います。

香山充弘自治省財政局調整室長

○説明員(香山充弘君) 適切なお答えかどうかわかりませんけれども、一般的に国庫補助金は、補助対象額というのを決めまして、それに対しまして一定の補助率を掛ける。補助対象額というのは単価と数量それぞれに基準が定められておる。それに従って計算がされるようになっておるというふうに承知いたしております。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 補助額が決まるというのは、例えば国の補助が二分の一であるとか三分の一であるとか四分の一ということがよく言われますけれども、これは総事業費と、いわゆる今おっしゃった対象経費というのがございまして、総事業費と対象経費と比べますと、この対象経費というのは、もう実際に扱った費用のうち国が指定しているものでございますけれども、どちらの方が額が大きいかというと、ほとんどの場合、対象経費よりも総事業費の方が多いわけでございます。ところが、私たち一般の人の考えですと、多い方を国が補助してくれるだろうと思うわけです。しかしながら、実際は少ない方の対象経費の二分の一だとか三分の一が補助になるということでございまして、その辺に、やればやるほど自治体に負担が多くなると。そうすると、やっぱり自治体としてはやる気をなくしちゃう。財政が豊かな市だとやりましょうと、そしてまた住民の非常にお声がどんどん上がってくるような市ですと、頑張らねばならないというふうなことになってくる。補助金の仕組みというものに、私たちの庶民の考えるような、多い方を国が補助してくれるんではないかという、そういう発想を取り入れることはできないんでしょうか。

香山充弘自治省財政局調整室長

○説明員(香山充弘君) 委員御指摘の点は私どもお気持ちとしては大変よくわかるわけでございますけれども、現実に事業を行いますそれぞれの団体においてはいろいろそれぞれの事情がございまして、同じような面積、同じような単価で事業を実施するわけではございません。率直に申し上げまして、その中にはやや全国水準から見るとぜいたくと思われる、そういうような部分が含まれるということもあり得ると思います。そういった意味で国の方としては、全国を通じてこのくらいの水準が一応充足されておればよかろうと、こういう面積であるとか単価を決めて算定をする。そういったものが実際の実事業費と乖離を生ずるということはあり得ることだろうと思います。  ただ、自治省のスタンスといたしましては、そういう形で決められる国の基準というのが、やっぱりその事業を全国的に見てやるのにどうしても必要な範囲はカバーしていなくちゃいけない、そういうスタンスでございまして、そういった観点から、各省庁に対しまして、補助金の算定基準の是正等につきまして逐年要望して改善をしていただいてきておるということでございます。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 これで午前中の質問を終わってよろしゅうございますか。——どうもありがとうございました。

糸久八重子日本社会党・護憲共同

○理事(糸久八重子君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、十二時四十分まで休憩をいたします。    午前十一時五十分休憩      —————・—————    午後零時四十一分開会    〔理事糸久八重子君委員長席に着く〕

糸久八重子日本社会党・護憲共同

○理事(糸久八重子君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、老人福祉法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 午前中に続きまして、御質問させていただきます。  午前中に補助金についてお尋ねをさせていただきました。引き続き補助金についてもう少しお伺いさせていただきたいと思います。  先ほど総事業費と対象経費、いわゆる国の基準額の問題をお尋ねをしたわけでございますけれども、その国の基準額の算出根拠というのはどういうものなのでございましょうか。例えば人口とかあるいは人口の高齢化の割合とか、何か、どういうものが算出根拠になっているのでございましょうか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) ホームヘルパーの手当につきましては、これまでその内容改善を、業務内容とかその必要性とかを勘案しまして改善してまいりました。先生御存じのとおり、平成元年度に従来は一本でございましたのを介護中心型あるいは家事援助中心型というふうに二本立てにいたしまして、これからは特に居宅における介護の支援ということが重点になるであろうということで、その業務内容に着目をして、介護については特にその充実が必要であるということで、介護中心型の方の手当を平成元年度は二百三十六万二千円というふうに引き上げ、平成二年度についてもそれぞれその内容改善を図るというふうなことを考えておるわけでございます。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 自治省にお伺いしたいんですけれども、この問題は。国のいわゆる基準額の算出根拠です。

香山充弘自治省財政局調整室長

○説明員(香山充弘君) 今厚生省の方から御説明があったとおりと承知いたしております。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 例えばいわゆる健康診査におきましても、がんの検診というのを見ますと、乳がんの検診費が集団ですと七百三十七円、保健所でやると四百六十九円というのは、どういうふうな算出根拠なんですか。自治省の方に。

香山充弘自治省財政局調整室長

○説明員(香山充弘君) 私ども直接所管をいたしておりませんので、具体的な内容については承知いたしておりません。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 そうしましたらば、施設のことに関して、これもやはり自治省では関係ないのでしょうか。例えば市町村の保健センターの場合、基準単価でございますけれども、一平方メートル当たりが十五万七千円なんですね。今、一平方メートル十五万七千円で我が家をおつくりになるとバラックみたいになってしまうのじゃないかなというふうに思うんですけれども、これは北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川、長野、京都、大阪、兵庫、奈良、沖縄という形で基準単価表が一つのグループになっているわけですね。そういうふうな基準というのは、自治省、どのように今お考えでございましょうか。

香山充弘自治省財政局調整室長

○説明員(香山充弘君) 所管の方の厚生省の方にお尋ねいただけたらと存じます。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 これは、私は自治省にお答えいただきたいんですけれども。

香山充弘自治省財政局調整室長

○説明員(香山充弘君) 私どもはたくさんございまして、全部の補助金についてすべて内容をつまびらかにしない面がございます。ただ、先ほどお答えいたしましたとおりに、超過負担があるというような御指摘が多い事業につきましては、私どもの方で毎年幾つか事業を選びまして所管の省庁と大蔵省、それから我々と、関係省庁によって共同実態調査をする、そういったことを経て、この基準が十分なものであるかどうか、そういったことを判定するという仕事をさせていただいておる次第でございまして、そのように御理解賜りたいと存じます。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 例えば今、申し上げました市町村の保健センターの一平方メートルの単価が十五万七千円というのが、そういった手順を経られて妥当だというふうにお考えでいらっしゃるんですか。

香山充弘自治省財政局調整室長

○説明員(香山充弘君) ただいま御指摘にありました保健センター等について申しますと、例えば昭和六十三年度に単価の改定が行われるといったような改善もなされておりまして、現時点におきまして所管の省の方からそういうふうな基準が妥当であるというふうに私ども承っておりまして、私どもも現時点ではそれ以上のお答えの申しようがないということでございます。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 この算出根拠に対しまして実際に自治体で補助金の事務に当たっている方々というのは非常に困っていらっしゃるわけです。これは情報公開ということの意味も含めまして、基準額、どのような算出根拠があるのかというのはきちっと明らかにするという義務があるのではないかと思いますが、自治省、いかがでしょうか。

香山充弘自治省財政局調整室長

○説明員(香山充弘君) たびたびお答え申し上げまして恐縮でございますけれども、補助金の所管の省庁において対応のことについては御検討いただくべき問題であると考えております。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 わかりました。しかしながら、実際に仕事をしている人たちがなぜなのかというふうな疑問を解くためにも、つまりこれからも地域、町村というふうな私たち住民にとってとても身近なところで、本当にそこに従事していらっしゃる方たちがやる気を出すためにも、算出基準というのが何だかわけがわからないけれども、国がこう言ってきたんだから、その基準に合わせてといって一生懸命に計算なさっている、そういう状態を見ておりますと、算出基準というのは明らかにするという、そのような御意思がこれからおありになるかどうかということだけを聞かせていただきまして、この質問は一応終わります。

香山充弘自治省財政局調整室長

○説明員(香山充弘君) 私ども個別の補助金について運用の実態等はすべて承知いたしておるわけでございませんので、誤りがありますと後ほど訂正させていただきたいと思いますけれども、それぞれの補助金を所管しております省庁におきまして、必要に応じまして補助要綱といったものを制定しておられまして、その中で、単価でありますとか面積等の基準が一応示されておるというふうに私どもは承知いたしております。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 例えば、先ほどちょっと申し上げましたがん検診の費用などというのも、そうすると厚生省の方だということになるわけですか。

香山充弘自治省財政局調整室長

○説明員(香山充弘君) 仰せのとおりでございます。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 一応その問題につきましては、ぜひとも明らかにしてほしいということを要望いたしまして、次の質問をいたします。  ところで、先ほども土地の問題を申し上げましたけれども、これから在宅サービスということになりますけれども、施設がなければデイサービス、それからショートステイにいたしましても事業ができないわけでございます。在宅サービス中心といいましても施設をつくる必要がございます。ところが、大都市の、先ほどの午前中申し上げましたように、用地確保というのは非常に難しゅうございます。したがいまして、補助金ということも地域特性ということを考慮して土地購入費に対する補助金制度というものを考えるというふうなことは、自治省お考えでないでしょうか。大蔵省にもお伺いいたします。

香山充弘自治省財政局調整室長

○説明員(香山充弘君) 私ども施設を整備する場合に、用地費の負担というのが地方財政にとって大きな問題になっておるということは承知いたしておりますけれども、基本的にこの問題につきましては、その施設と関連する行政について所管しておられる省庁におきまして、第一義的な御検討をいただくべき問題であると考えております。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 それでは、土地に対する補助金制度ということは自治省としては全く考えていないということでございますか。

香山充弘自治省財政局調整室長

○説明員(香山充弘君) 御質問の趣旨に沿うお答えになっておるかどうか自信がございませんけれども、例えば保育所でありますと、保育所を整備するための用地費の補助金がさらに必要であるかどうかというのは、保育所を所管しておられる省庁において検討をしていただくのが筋ではなかろうかと、こういう趣旨でお答え申し上げておる次第でございます。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 これ以上お尋ねしてもなかなかいいお答えが出てこないように思いますので、次の問題に移ります。  補助金に関しましてもう一つだけ申し上げてみますと、補助金の申請というのが大変多種多様で複雑のように聞いております。例えば補助金の事務というのを、まず自治体では歳入予算、それから事業計算書を出して、交付申請書を出して、また何か変更があったら変更申請書を出して、そして国から交付決定通知書が来て、そして今度実績報告書を出して、それから交付額の確定通知書が国から来ます。そして決算があって、監査があって、こういうふうなさまざまな複雑な手続を、いわゆる今回の法案の一元化、簡素化というふうなことでとらえてみますと、申請手続というのをもう少し簡素化するというふうなお考えは自治省にはございませんでしょうか。

香山充弘自治省財政局調整室長

○説明員(香山充弘君) 国庫補助金に関します事務手続の簡素化というのは大変重要な問題でございまして、これまでも行革審あるいは行政監理委員会等の答申あるいは地方制度調査会等でもたびたび提言がなされておりまして、自治省におきましても毎年度予算編成時期に文書で各省庁に申し入れを行っておりまして、少しずつ改善がなされておるというふうに考えております。今後とも財政資金を効率的に使う、そういった観点から事務の簡素化が一層進みますよう私どもできるだけの努力をいたしてまいりたいと考えております。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 それでは、ぜひとも御努力をお願いしたいというふうに思います。  ところで、次の問題に移りたいと思います。お金の話から全然違う話になってしまいますけれども、午前中に少しお話し申し上げまして、大臣のお言葉もございましたけれども、福祉と医療との連携というのは非常に大きな問題であろうというふうに思います。さまざまな連携、包括的なネットワークが重要ではございますが、とりわけ医療と福祉との連携ということは、在宅サービスを効果あらしめるためには重要だというふうに思います。なぜならば、医療的なフォローアップ体制というものができていない限りにおきまして、例えば入院してリハビリでかなりよくなったとしてもまた戻ってくる、逆戻りという、そういうふうなことが繰り返されるということは、まさに社会的経費がかさむということにつながるわけであります。  その連携の問題につきまして、都道府県レベルではサービス調整会議、あるいは市町村ではサービス調整チームというのをおつくりになっているというふうに聞きますけれども、この部分において特に医療との連携では具体的にどのようなことが今行われて、そしてまたこれから御計画があるのでございましょうか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) 先生今お話をなさいましたように、保健と医療と福祉の連携を図るという意味で都道府県に高齢者サービス調整推進会議、それから市町村に高齢者サービス調整推進チームをつくっているわけでございます。  この状況でございますが、まず、都道府県では全都道府県でこの会議を置いてもらっておりますが、市町村においては全市町村の約九割ということで、まだ置いていない市町村もあります。特に、都市部においてはどうも設置率が悪いようでございまして、そういう意味では私ども一元的に総合的なサービスを提供してもらうように、やはり関係者が随時よく集まって住民のニーズにどう対応するのかという、そういう相談をするなり、それから実践活動をしてもらわなきゃならぬわけでございまして、そういう意味で本来行われるべき総合調整というんでしょうか、相互の連係プレーがどうも不十分な点があるので、その点は非常に心配をしておるところでございまして、もっとこの辺は本来ねらっておるようなことで進めていただきたいというふうに考えております。  なお、こういう一般的なことではどうも足らない部分がございますので、モデル事業としましてヘルスの方の保健と福祉とを連携さしていこうじゃないかということで訪問看護等在宅ケア総合推進事業というのをモデル事業でやっておりますが、数としましては全国で十五の市町村というふうに数が少のうございますが、そういうところの連携のモデルケースを一つ前提に置きながら、そこでのいろんな教訓を全国の市町村に及ぼしていきたい、そういうことも私ども試みているところでございます。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 特に在宅の医療サービスの問題で訪問看護婦さんの問題というのはとても重要ではないかというふうに思います。  広島県の御調町というところで、医療それから福祉、さまざまなネットワークを大変にきちんとつくりまして、そして寝たきりを減らしたという、そういう実例がございますけれども、そこでの報告書などを拝見いたしますと、訪問看護というのが医療と福祉の接点であるというふうに述べられております。  ところで、日本の場合には訪問看護婦さんと、それから病院などの施設で働いていらっしゃる看護婦さんとの割合はどのくらいになっておりますでしょうか、ヨーロッパでは大体半々かあるいは四対六というぐらい、訪問看護婦さんというのは看護婦さんの半分を占めているようでございますけれども。

仲村英一厚生省健康政策局長

○政府委員(仲村英一君) 訪問看護婦というサービスの形態が我が国ではまだまだ、今の答弁にもございましたように、定着していないということもございまして、訪問看護を専門におやりになっている看護婦さんというのは私どもとしては非常に少ないというふうに考えております。  ただ、市町村に保健婦さんがおられますし、その方たちは家庭訪問などをされておりますが、保健婦さんの数で言いますと、もし御必要なら後で正確な数を申し上げたいと思いますが、一万人以上の保健婦さんが市町村にはおられますけれども、訪問看護事業専従という形では私ども今統計がないというのが実態でございまして、そういう意味から申し上げますと、ヨーロッパとおっしゃいましたけれども、国によってヨーロッパでもいろいろだとは思いますが、我が国の場合に訪問看護事業はこれから伸ばしていくべき重要な分野の一つというふうに考えておるところでございます。

日下部禧代子日本社会党・護憲共同

○日下部禧代子君 実際に在宅の方々というのは酸素療法だとかIVHさえも在宅でやっているという方たちで、例えば経管栄養だとか排尿もチューブだとか、体じゅうチューブだらけの方たちが今在宅でずっといらっしゃるわけです。そうしますと、老健法では訪問指導というのがございますけれども、寝たきりのお年寄りを抱えていらっしゃる家庭では訪問介護を実践してくださる方を非常に望んでいるという、その辺のところをぜひ御考慮いただきたいなというふうに思います。  時間が来てしまったようでございますが、最後に大臣のお言葉をいただきたいと思います。  私、いろいろと昨日からお尋ねをしてまいりましたけれども、理念といたしまして、今回の法改正がまさにノーマライゼーション、あるいは自治と分権というふうな観点から、本当に実効あるものになればすばらしいことになるのではないか、そういう思いを込めまして、しかしながら、前提条件としてもろもろのことを満たさなければそうではないという、その思いを込めまして質問をさせていただいたわけでございますので、ぜひとも大臣の御決意のほどをお伺いさせていただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 大変御熱心な御質疑いただきまして、私どもも参考になった点がございます。  委員の御質問の中で浮き彫りにされてまいりましたが、今回の法改正、それからいわゆる十カ年戦略あわせまして、私どもは地域福祉のネットワークづくりがこれから始められるというふうに思っております。それが日本の、世界に誇れると私は思っておりますが、所得保障、つまり年金制度と、それから国民皆保険という医療保険の制度と並んで、これから三つ目の柱としてしっかりとつくり上げていかなければならないと決意をしておるところでございます。そのような福祉のネットワークづくりのために、いろいろな御提言をいただきましたが、一つ一つ大切に問題点を取り上げさせていただきまして、地域の実情に合った福祉をつくり上げてまいりたい。それが結果として日本型の福祉になるのであろう。発想方法はあくまでも地域の実情に即したものを育てていくという立場に立って進めてまいりたいと思います。  なお、残された問題として、やはり在宅介護が進められる、福祉のネットワークが進められる中で、医療の側からこれをさらに充実をしていくという課題があるかと思います。その点は私どももこれからの課題であるというふうに素直に受けとめておりますが、その方向での見るべき努力も地域によってはあらわれておりまして、例えば老人保健施設の方々が真剣に、老人保健施設から退院をして自宅にお帰りになる方のために、これから介護をされる御家族の方を含めて、退院前に介護の仕方についてワンセットのトレーニングをしてさしあげて、それでお帰りになるというようなやり方は、その場面では医療と介護の一種の接点になるであろう。もう一方、地域の医師会におかれては、医師会ぐるみで地域の医療サービスを充実をするということを積極的に取り上げられ始めておりますので、両々相まって医療の点も充実をしていかなければならない。  それから、マンパワーの確保につきましては、御指摘のとおり、これから相当の努力をしていかなければならない、こういうふうに全体を総括させていただきました。  一生懸命努力してまいりますので、御理解をいただきたいと思います。

堀利和日本社会党・護憲共同

○堀利和君 きょうも相変わらず障害者の問題を中心に質問させていただきたいと思います。  今回の法改正が大改革なのか中改革なのか、いろいろ評価があろうかと思います。きょうは事前の質問通告に若干それた質問もすることもあるかと思うんです。私も、きょう勉強させていただくつもりで質問させていただきます。  今回の法改正における身体障害者福祉法の問題について取り上げますけれども、来るべき二十一世紀を障害のある人もない人もともに明るく暮らす、真に豊かな長寿・福祉社会を目指すということは私も大賛成でございます。こういう社会が一日も早く来るように、私どもあるいは厚生省も一緒になって努力しなければいけないなということをつくづく感じるわけでございます。  そこで、どうも身体障害者福祉法が今回国会で取り上げられて変わるということを知っている方々の中に、私たちの町、村での障害者施策がどうなっていくのかと心配される方もいるんですね。しかし、感じるところでは、ADAが最近下院で通りましてからADAについての関心が非常に高まっている反面、この身体障害者福祉法が変わることを知らないという方もまたいると思うんです。この法改正をやっておられる関係事務当局、厚生省として率直にこの法改正に当たって障害者たちがどんな反応をしているか、まずお聞きしたいと思います。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 今回、八本の法律を一括いたしまして改正をお願いをいたしておるわけでございますが、これは福祉の分野での老人福祉対策、身体障害者福祉対策、それから児童福祉対策、主なこの三つの分野が現在の社会経済諸情勢の大きな変革の中で新しい方向としてどういう方向を持つべきかということをテーマに、関係の三審議会が合同でこの問題についての御検討をほぼ三年にわたってお願いをいたしたわけでございます。  今申し上げましたように、身体障害者の福祉の分野では、私どもの身体障害者福祉審議会の先生方が御参加をいただきまして御議論をしていただいたわけでございますが、その過程で、最も身短な地方公共団体である市町村がこういった福祉の担い手として中心的な役割を果たしていただくような、そういう方向へ福祉全体の体系を方向づけてはどうかということを基本とする御意見をいただいたというふうに私どもは理解をいたしております。  この基本的な御意見に沿いまして、身体障害者福祉法の改正案を私どもの部内で検討をいたしました上で、また改めて身体障害者福祉審議会の先生方にお集まりをいただきまして、ここで御審議をいただいたわけでございます。身体障害者福祉審議会は、身体障害者の福祉に関する学識経験者の先生方とあわせまして障害者各団体の代表の方も御参加をいただいておりますので、今先生から御質問の、障害者の皆様がこの法案全体としてこの問題について御審議をいただき、御意見をいただいたものと私どもは理解をいたしておるわけでございますが、その際、御提案を申し上げ、御審議をいただきました過程では、基本的な方向については皆様方の御賛成をいただいたというふうに私どもは承知をいたしております。  具体的な法案の内容に入りました段階で、また各個別の団体の皆様といろいろな意味でお話し会いをし、御意見を伺ってまいったわけでございますが、今回の法律の中では、こういった基本的な地方公共団体への権限を移す、在宅サービスを重視するということ以外に、身体障害者の関係の皆様のさまざまな施設でございますとか、更生相談所の機能を高めていく問題でございますとか、そういう部分の改正を行ったわけでございますが、この点につきましても、今まで希望していた方向が認められたということで御了解をいただき、御賛成をいただいたというふうに承知をいたしております。

堀利和日本社会党・護憲共同

○堀利和君 私は、きょうは本当は勉強させていただくつもりで、身体障害者福祉法を改めてここで基本的に考えてみたいと思う次第でございます。  そこで、身体障害者福祉法のこの身体障害ないしは身体障害者という言葉が、用語が、我が国の法律においていつどういう形で、どういう法律で出てきたのか、あらわれてきたのか、これについてちょっとお聞きしたいと思います。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 身体障害者という用語でございますが、一九〇六年の廃兵院法、これは初めは傷兵——傷を受けた傷兵院法という名称であったようでございますが、その法律におきまして身体の損傷や機能低下を示す用語としてショウガイという言葉——これは漢字ではいしへんの障碍でございますけれども、現在の障害者という害の字がいしへんの碍でございますが、これで用いられております。  また、一九一六年の工場法の施行令に「身體障害」という名前が出てくるわけでございますが、この場合は、初めはシンタイショウガイのショウの字が、今度はショウの方でございますが、傷の方のショウという字になっておったようでございまして、その後これが現在の障害者という名前になっておりますので、身体障害者という現在の言葉のままの用語が使われたのは、この工場法施行令ということが言えるかと思います。

堀利和日本社会党・護憲共同

○堀利和君 私も勉強させていただく中で、当時は確かに身体障害者という場合にもいろいろな字の書き方がございました。現在の書き方もありますし、ガイの場合には局長が説明されたようにいしへんがあったり、いろいろあったわけです。  それで、一つ私が関心を持つのは、この工場法に出てくる「身體障害ヲ存スル」というこの言葉なんですけれども、これは労働省の方に、工場法というのはどういう法律なのか、どういう目的の法律なのかお聞きしたいと思います。

坂根俊孝労働省労働基準局労災管理課長

○説明員(坂根俊孝君) 工場法といいますのは、年少者及び女子を保護し、熟練工を養成することによりまして我が国の工業の発達を図ることを目的にしまして、明治四十四年に制定されたものでございます。  その中身は、年少者及び女子の労働時間や休日、工場等における安全衛生、職工の業務上負傷、疾病についての扶助、官吏による工場の監督等々を規定しているものでございます。  この工場法でございますが、労働者の労働条件について規定しているという点で、現行の労働基準法と共通する面もあるわけでございますが、その適用が常時十人以上の職工を使用する工場等に限定されている点、あるいは年少者及び女子の保護、あるいは災害の扶助についての規定が中心でございまして、労働条件全般にわたる規定ではないというような点から、労働基準法とは異なる面もあるというふうに見られるわけでございます。

堀利和日本社会党・護憲共同

○堀利和君 私は、この工場法施行令に出てきます「身體障害ヲ存スル」というところに着目しているわけです。この法律が労働基準法を若干備えつつ、基本的には現在の労災保険法の前身といいますか、そういうものだというふうにも私は理解しているわけですけれども、工場法における身体障害を存する者といいますか、身体障害というのがどんなふうな意味で、位置づけで扱われていたのか、御説明願いたいと思います。

坂根俊孝労働省労働基準局労災管理課長

○説明員(坂根俊孝君) 御指摘の工場法施行令七条でございますが、「職工ノ負傷又ハ疾病治癒シタル時ニ於テ左ノ各號ノ一ニ該當スル程度ノ身體障害ヲ存スルトキハ」云々というふうに出てまいりまして、そういうことで七条には身体障害という言葉が出てくるわけでございますが、その意味は、この規定ぶりから見まして、現行労働基準法七十七条に規定する障害と同様、業務上の負傷または疾病が治癒した時点で身体に障害が残ったときのその障害をいうものというふうに考えるわけでございます。

堀利和日本社会党・護憲共同

○堀利和君 ということで、工場法の施行令が、大正十一年だったと思いますけれども、改正されて現在の身体障害等級表の十四級までになったというふうに私は理解しておりますが、こういう形でいわば身体障害ないしは身体障害者という用語なり考え方が労災法等に含めて貫かれているように思うわけです。私はそういう点からこの身体障害という用語、言葉が主には労働行政において使われてきたのではなかろうかというふうに思うわけです。  そういう視点から見て、身体障害者といいますか、これについての意味というのは、幼いころからあるいは生まれながらにしていわゆる身体障害者というよりは、今申しましたように労働行政において使われてきたということから、いわゆる生産現場にいて、けがあるいは病気をする、こういう形の中途の障害者を意味しているんだろうと思うんですね。つまり、生産に従事していた者が負傷あるいは疾病により労働能力が失われるというか、減失した状態にある者というような規定といいますか、概念で、身体障害あるいは身体障害者という言葉が労働行政において使われてきたように、大正時代からずっと、思いますけれども、この点についての御見解はどうなんでしょうか。

坂根俊孝労働省労働基準局労災管理課長

○説明員(坂根俊孝君) 先ほどの工場法の施行令の規定は、基準法に受け継がれまして、またそれは労災保険法の十五条の障害補償給付というものに受け継がれているわけでございますが、この障害補償給付につきましては、例えば障害等級一級から三級というものはおおむね労働に復帰できない状態にあるものについての給付でございますので、障害補償給付というのは労働に復帰できた後に支払うとか、そういうことは必ずしも言えない。言いかえますと、労働に復帰できるか否か、そういうことと障害補償とは直接は関係がないんではないかというふうに理解しているわけでございます。

堀利和日本社会党・護憲共同

○堀利和君 復帰できるかどうかということはもちろんありますけれども、その前に、生産現場、生産活動に参加していたということから認識してよろしいんでしょうか、理解して。

坂根俊孝労働省労働基準局労災管理課長

○説明員(坂根俊孝君) 経緯的にいいますと、工場といいますか、業務に関連して傷害をこうむって後に後遺症が残っている、そういう状態を身体障害というふうに最初定義づけてきた、経緯的にはそういうことかと思います。

堀利和日本社会党・護憲共同

○堀利和君 そこで、戦後、昭和二十四年、一九四九年に身体障害者福祉法が施行されていくんですけれども、この場合の身体障害者福祉法と命名する場合のこの身体障害者というのは、その時点でどういう経緯といいますか、どこからこの用語を引っ張り出してきたといいますか、用いたのか、お聞きしたいんですが。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 二十四年に身体障害者福祉法ができましたときに、身体障害者という言葉をどこの方からということでございますが、実は御承知のように、身体障害者という言葉自体、肢体不自由それから感覚機能障害、そういうさまざまな障害全体を持つ者として概念をするということで身体障害者というふうにまとめたものというふうに理解をいたしております。  先ほど来、工場法の中にそういうような言葉があったということを御質問がございましたが、その工場法の方にあったことをストレートにこちらの方でそのままこの名称にしたというふうには私どもは承知しておらないわけでございます。

堀利和日本社会党・護憲共同

○堀利和君 確かにそうだと思うんですね。私の少ない知識と勉強で調べた中に、昭和二十三年三月二十三日、厚生省内部で傷痍者保護対策中央委員会というのが開かれて、そこで社会局の大山課長という方がこういう発言をしているんですね。「一般の傷痍者が多數存在するので、これを放置することは單に本人の困窮の問題に止らず、國家的にも生産復興の見地から損失となる」ということを発言しているわけです。ですから、この法律が成立した時点をさかのぼる、成立する過程、検討に入った時点では確かに身体障害者という用語は使われていなかったと見てもいいと思うんです。つまり、傷痍者という言葉がこの時点で使われているんですね。この辺質問の通告余りしていなかったんですけれども、傷痍者というのは、これどういう意味で解釈されるんでしょうか。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 一つには、戦後のこの時期におきまして国の大きな課題といたしましては、戦争の結果、戦争に出られて傷を受けられた多くの障害者の方がおられたわけでございまして、その方々に対する対策というものが緊急の大きな課題としてございましたので、障害者対策の中でそういった戦争による傷を受けられたいわゆ中でそういった戦争による傷を受けられたいわゆる戦傷者と申しますか、そういう方々のことを意識したものというふうに理解いたしております。

堀利和日本社会党・護憲共同

○堀利和君 私が指摘したかったのはそこなんですね。片や労働行政で使われた身体障害、つまり、いわゆる健常者として、労働者として職場で働いていた人がけがや病気で障害を負って生産というところから離れるといいますか、こういう一つの規定があると思うんですね。ただいま局長が説明されたように、傷痍者というのも、いわゆる傷痍軍人というふうにも言われますけれども、まさに国のために戦争に行って、そして傷つき、あるいは病気でいわゆる障害を負う、つまり労働行政に使われたと同じように健常者であって、そもそもお国のためなり、あるいはもちろん自分の生活というのはありますが、工場で働くということ、そこからけがをするなり病気でもって撤退といいますか、障害を負うという意味で傷痍者というのもあることから見れば、どうも身障福祉法ができてくる過程を見ても、労働行政なりあるいは戦争で傷つくなり含めても、もとより健常者が、いわゆる今でいえば障害を負った者を基準にしていたんじゃないだろうか。そのためにこの大山課長という方の言葉もあえて「一般の傷痍者」ということで、その傷痍者を広げたと思うんですね、「一般の」とつけたということは。基準は局長が言われたように傷痍者があって、それからさらに一般という言葉をつけたと思うんです。  そういうことで、身体障害者福祉法の生まれといいますかルーツを私なりに勉強していきますと、そういった規定が色濃くあったと思うんです。それが今日の今の段階でどういうことかというのは、また後ほどお話しさせていただきながら質問もさせていただきますけれども、ということからいいまして、身体障害者福祉法というのはそもそも職業自立に向けた更生法の形としてその当時あったというふうに理解してよろしいでしょうか。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 福祉関係の法律の中では児童福祉法がこの身体障害者福祉法より前に制定をしておるわけでございますが、その中では障害を持たれた子供さんのための対策というものが児童福祉施設という形で既に入っておるわけでございまして、障害者全体の対策の中で児童の部分につきましては、今先生おっしゃったような職業のためのというよりも、障害を持つ子供さんが本来の子供さんらしい生活を確保できるような福祉の対策を既にその時期に児童福祉法の中で考えていたということは申し上げられるのではないかと思います。  これに対しまして、身体障害者福祉法は、いわば成人の障害者の福祉法という形で制定を見たわけでございまして、制定をされました時点におきましては、先ほど申し上げました戦争による障害者の方が大きな社会的な問題として緊急の課題であったわけでございまして、そういう障害者の方々の社会への復帰ということが全体の施策の中で中心的な役割をその時点において果たしていたということは御指摘のとおりだと思っております。もちろん現時点におきましては、その後四十年の年月があるわけでございまして、身体障害者福祉法自体もさまざまなその後の情勢に応じた内容の変革をしてきたというふうに私どもは思っておるわけでございます。

堀利和日本社会党・護憲共同

○堀利和君 確かに身体障害者福祉法ができて四十年を経て、厚生省としては更生という概念を広げ、障害者の生活援助ということで変わってきておりますし、そこの努力というのは大変高く私も評価しております。四十二年の改正でも「生活の安定に寄与する」という文言を入れた形での生活援助へ向けた法改正がなされてきております。そういうことでは成立当時とはある程度さま変わりしてきたというふうには思います。  昭和五十九年、前回の改正のときにおいてみても第二条の見出しは「更生への努力」ということから「自立への努力」というふうに変わりましたし、「機会の確保」ということで二項が新たにつけ加えられたということを見てもそのとおりだと思うんですね。  そこで、またお聞きしたいんですが、「自立」という意味ですね、つまり第二条における「自立への努力」の「自立」ですね、この第二条における「自立」という意味をお聞きしたいんですけれども、これは私の読み方が間違いでなければ、社会経済活動に参加することというように理解できるんですけれども、どうでしょうか。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 「自立」という言葉は、私どもとしては非常に広い意味で考えておるわけでございます。通常の意味の自立とはやや少し幅が広いかと思いますが、障害を持つ方々が社会の中で障害を持っておられることを特にいわばハンディキャップとしてでなく、社会の一員として生活できるような、そういう社会というのが私たちの理想とすべき社会であると思います。そういう意味の理念からいいますと、ここで申しております「自立」はいろいろな、さまざまな障害の段階があるわけでございますが、そのそれぞれの方が社会の一員として自覚をされて、御自分がその社会へどんな形でも、それはその方々によってさまざまな形のものがあると思うのでございますが、社会への参加の努力をしていただくというそのこと自体が非常に広い意味で自立だと私どもは考えております。

堀利和日本社会党・護憲共同

○堀利和君 いろいろ御説明されたんですけれども、どういうふうに説明されても、この第二条を読むと、つまり二項あるわけですね。最初の「自立への努力」、これは最初の部分だと思うんです。そして「機会の確保」、これは前回の改正でつけられた第二項のことだと思うんですね。そして「障害を克服し、その有する能力を活用することにより、」、ここまでは障害者自身の努力なんですね。それによって、どういうことかというと「社会経済活動に参加する」と、これが「自立」というように私は理解するんですね。  法律の文章というのは本当に難しくて、私たちなかなか理解しにくいんですけれども、私はそのように理解した上で第一条を見ますと、その同じ意味の、「自立と社会経済活動への参加」と二つ並列しているんですね。どうも同じことが繰り返されているというふうに理解するんですけれども、どうでしょうか。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 現行の二条、これは現在の改正もそのままでございますが、「自ら進んでその障害を克服し、その有する能力を活用することにより、社会経済活動に参加することができるように努めなければならない。」、こういうふうな表現をとっておるわけでございますが、いわば第一条はこの法律の目的ということでございまして、こういったすべての障害者に対するこの二条の呼びかけを受けたわけでございまして、「その有する能力を活用することにより、社会経済活動」ですから、それはその方々によってその能力というのはさまざまであると思うのでございますが、そのさまざまな能力を力いっぱい活用していただくということが自立というふうに理解をさせていただきたいと思います。

堀利和日本社会党・護憲共同

○堀利和君 さまざまな能力を障害者個人が力いっぱい活用する、これが自立であるというふうに理解しますと、さまざまな活動というのが、「自立」というその後にかかってくるわけですか、「社会経済活動」に。さまざまな活動というのは社会経済という規定というふうに見ていいのでしょうか。それとも、理念の部分の第二条第二項の方にかかるのでしょうか。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) ちょっと御質問の趣旨を取り違えておるかと思いますが、「自立と社会経済活動への参加を促進するため、」とございまして、これは社会経済活動への身体障害者の参加ということと身体障害者の自立ということを二つ並べまして、このために援助、必要に応じて保護するということをもって「その福祉の増進を図る」というふうにお読みいただきたいと思うわけでございます。

堀利和日本社会党・護憲共同

○堀利和君 私は、あらゆる活動への参加、そのために障害者自身がもちろん努力して、みずから有する能力なりを活用してやるということが自立ということであれば、そういういわば文脈の説明といいますか、自立ということで目的の第一条の部分でいいのではないだろうかと思うわけですね。社会経済活動といいますと、私たちといいますか、障害者がこういう条文を読んだときに、経済活動と読みますと、どうしても生産活動を含んだ経済活動というふうに理解してしまうといいますか、せざるを得ないんですね。  私が冒頭から、身体障害あるいは障害者の用語についての規定、概念についてただしたのも、つまり、そもそも身体障害あるいは身体障害者というものが労働行政の中から出てきたものと、いわゆる傷痍軍人といいますか、傷痍者という、戦争なりに行って負傷したというところから出てきている、それの流れから身体障害者福祉法というものが今日まであるというふうに認識しますと、そういうところから「自立と社会経済」というこの「経済」というのがどうしてもそこにひっかかってしまうんですね。もう少しその「経済」という意味がどういう意味なのか改めてお聞きしたいんですが。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 社会経済活動への参加、「社会経済活動」の「経済」とは何かということでございますが、その中には、今お話がございました職業といいますか、生産活動に従事されるということはもちろん当然入っておると私どもも思います。しかし、障害者の方、これはさまざまな障害をお持ちの方、その程度においてもさまざまな方がおられるわけでございますし、それから現実の社会の中にはそういった方々が働く意思と能力を持たれても現実にはなかなかその機会が得られないということも不幸にしてあるわけでございまして、すべての障害者の方が必ず生産活動に従事しなくてはいけないという趣旨ではないというふうに考えております。

堀利和日本社会党・護憲共同

○堀利和君 これ以上言ってもすれ違いにもなろうかと思うんですが、先ほど言いましたADA、米国障害者法とかいろいろ訳し方がありますけれども、これは障害者自身を保護するというよりは、障害者が一人の市民として生きるために社会がその障壁を取り除くというのが趣旨だろうと思うんですね。法律の題名も日本の法律と違いまして、差別を禁止する、総合的なところで差別を禁止するんだということも文面でありますけれども、そういう趣旨がADAだと思うんです。  そこで、当初、身体障害者福祉法が成立する時点では、狭い意味での職業自立、職業更生ということがあったと思いますが、その中から昭和四十二年に「生活の安定に寄与する」という文言が入って、ここから一つの大きな飛躍が、いい意味で飛躍したと思うんですね。ただ、そのときの問題で今大変気になるのは、つまり、改正法においてもその第一条の目的、第二条の理念を実現するために昭和四十二年以前までの第三条の条文にこういうのがありました。「国、地方公共団体及び国民は、身体障害者に対して、その障害のゆえをもつて不当な差別的取扱をしてはならない。」、これは非常に私はすばらしい文章だと思うんです。お願いとしては、こういう一項を入れてほしいんですね、第三条の一項に。  なぜ、それじゃこれが消えたかというと、私も確かなものは持っていないんですけれども、これまで、つまり昭和四十二年までは職業更生法としての色合いが強かったわけです。ですから、障害者はみずからの障害を克服し、能力を発揮して職業自立しなさい、職業更生をやりなさいと。これに対して妨げることはいけません、差別はしてはいけません、そういうものは取り除きなさい、障害者個人の職業に向けた自立能力が発揮できるようにしなさいということだったんですね。これに対して、「生活の安定に寄与する」ということが入ってきたことによって改めてといいますか、そこで国の、あるいは地方公共団体の責任、責務というのが私は出てきたと思うんですね。ですから、それまでは差別をしないように、そういう邪魔をしないように、障壁を除くようにということで、後は障害者自身が職業自立に向けて更生としてやりなさいということだったことに対して、生活の援助もするんだ、それが国として、地方公共団体としての責任であるということが一歩踏み出されたことによって、四十二年以前のこの「差別的取扱をしてはならない。」というのが消えたと思うんです。  私は、そのいきさつは、そういうふうに理解しているんですけれども、こういうすばらしい条文をここでまたもう一度第三条の一項あるいは二項でもいいですけれども、やはり入れてほしいなと思うんですよ。生活の援助を国あるいは地方公共団体の義務ということで、責務として位置づけたことも、これは評価しますけれども、障壁を取り除く、差別という取り扱いをしてはならないということも、今の現状の我々多くの障害者が置かれている立場からすると、生活する中では差別と感じてしまうところが多いわけです。ですから、そういった差別的な取り扱いがなくなったというふうには思わないんですね。そういう点で、これも通告していないからなになんですけれども、御見解を伺いたい。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 今先生のお話のございました、地方公共団体等が差別的取り扱いをしてはならないという禁止の規定を改めたことについてどのようにそのとき考えていたのかというお問い合わせかと思います。  昭和四十二年の、私どもがこの法律を改正いたしました際に、事務次官名でここの趣旨の説明をいたしておりますが、その際は今先生がおっしゃったと同じことを言っておりまして、つまりこの差別の規定を改めたということは、差別をしていいということではもちろんなくて、国、地方公共団体が、単に差別をしないというような消極的な姿勢で身体障害者行政をするのではなくて、積極的なものとして身体障害者の行政に取り組まなくてはいけないという積極的な姿勢としてこの規定をこういうふうに改めたということを言っておりまして、そういう意味では積極的な姿勢のような書き方をしたという点はぜひ御理解をいただきたいと思います。

堀利和日本社会党・護憲共同

○堀利和君 確かに、昭和四十二年の改正では、国あるいは地方公共団体の責務ということで一歩踏み出したことは理解しますし、わかります。それまでの職業自立に向けた更生という狭い枠から安定した生活を援助するという、これは私確かに重要ですばらしいと思うんですね。差別的な取り扱いをしないということが果たして、私は局長と見解を異にしますけれども、消極的なことではないと私は思います。現実に障害者が地域社会なり一人の市民として生きていく中では、さまざまな障壁があるわけです。それを差別と言うのか、それはもう差別とは言わないというのか、これもまた見解が分かれると思いますけれども、現実に偏見とか差別意識というのはあるわけです。差別が本当になくなったのであれば、そういった文章は余分なものになりますけれども、かつそういうことからいって、決して私は差別的な取り扱いをしないというのは消極的なものではなくて、積極的なものとして理解しなきゃいけないだろうと思うんです。  たびたびアメリカの例を出しますし、アメリカはアメリカのことで、日本とそういう意味では直接輸入というか持ってくるような事情は違うんだと言われるかもしれませんけれども、障壁を取り除く、やはり障壁というのは差別だと思うんです。そういう点で、この差別的な取り扱いという条項、条文、これを今またよみがえらせたいと思うんですよ。それが非常に大切なことだろう、これをやったからといって不都合なことはないし、生活援助に向けた国の責務あるいは地方公共団体の責務が軽んぜられるということではないと思うんですね。もう一度、ちょっと御見解をお伺いいたします。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 先生のお言葉でございますが、やはり私どもとしては、今の規定の仕方自体が差別をしてはならないということだけでございますと、それだけをすることが国、地方公共団体の責務ではもちろんないと思いますし、それも含めました意味で総体として国、地方公共団体が身体障害者の福祉の問題について積極的な取り組みをしなくちゃいけないという現在の規定は、すべての意味を含めた包括的なものではないかというふうに私どもは思います。  今先生お話しの差別の問題でございますが、なかなか現実の社会においてはいろいろ障害者の方がつらい思いをされておるということ、まことに私どもも理解できるわけでございまして、このことは一般の方はもっと理解をしていただくように、私どもの方の社会参加促進事業費等で、例えば町づくりの問題でございますとか、一般的な啓蒙の問題でございますとか、それから身体障害者のスポーツ大会の実施でございますとか、さまざまな形で国民の皆様に広くこの問題を訴えかけるようなそういう事業を、私どももまた地方公共団体もぜひ積極的に今後ともやっていきたいと思っております。

堀利和日本社会党・護憲共同

○堀利和君 差別的な取り扱いをしないということは、言いかえればアメリカ社会のように自助型社会で、つまり障壁、差別を取り除いて、あとは障害者自身が生きるも死ぬもあなたの力、意欲次第ですよという、そういう視点で見れば、差別だけは取り除こう、障壁だけは取り除こうというのは、消極的に見えるかもしれませんけれども、生活の安定、豊かな生活を送るための援助をすると同時に、具体的に障害者が生きていく上で、身障福祉法の、厚生省の枠からちょっと外れますけれども、町に出るということ自体、車いすで駅に行って電車に乗るということは大変なことなんですよね。これは設備がそこまでいっていないから移動の自由を援助しますということではなくて、私は障害者に対してこれは差別だと思うんですよ。この取り扱いの条項を入れたからといって生活援助に対しての責務を一歩でも引いてほしいなんていうことは、私は思っていないんです。それはそういうような認識のもとでやっていいんじゃないかと思うんですけれども、大臣に、その点お言葉をちょっといただきたいんですが。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 今、堀委員と政府委員の質疑をずっと聞いておりまして、一つ私自身勉強になりましたのは、身障福祉法をめぐって歴史的な変化が起こっておる、その中で基本的な理念と申しますか考え方がだんだん熟してきて、そして最後には完全参加と平等という、あるいはノーマリゼーションというところに到達をしたんだなと、それまでには随分日本においても長い道のりがあったなということをつくづく感じたわけでございます。  そこで、委員の御質問に即して申し上げますと、今の身障福祉法は、何としてもやはり完全参加と平等という、今我々が確かにつかんだその理念を基本として解釈をしなければならない。そういう立場に立つのであれば、我々の社会というのは障害者の方もあるいは高齢者の方もおられるのが普通だと。おられるその方々が我々と同じように市民生活としての自由をできるだけ享受していただくのは当然だと。そういう理念に立ってこれを解釈いたしますと、現行の法の目的、例えば身障者の自立あるいは社会経済活動への参加とか、こういうことの中には当然差別をしてはいかぬということがはっきり入っていると私は読まなければならないと思っております。またそういう意味でこの法律の改正案を今提案させていただいておると考えておるところでございます。そういう意味で、委員の御指摘の御趣旨は、四十二年以前の条項、やはりその趣旨は今でも脈々として生きておる。それがもう少し積極的な意味で生かされていかなければならないというふうにぜひとも御理解をいただきたいと思います。私のこの考え方が議事録に残るということも、それは一つの意味のあることであるというふうに考えていただきたいと思います。

堀利和日本社会党・護憲共同

○堀利和君 大変力強いお言葉でございますが、議事録に残るだけでは私としてはやはり不満足なんですね。今こそ、この四十二年以前の、差別的な取り扱いをしてはならないという条項がぜひ欲しいなといいますか、確かに四十年間身体障害者福祉法が脈々と流れてきた中でいろいろ概念も広がり、ノーマライゼーションの理念も打ち立てられてきたわけですから、大臣おっしゃるように当然そういうノーマライゼーションと言うんであれば、差別的な取り扱いなんというのはもってのほかだ、そういう意味なんだということもわかるんですけれども、これ以上言っても見解の相違といいますか、時間がありませんから、きょうはこの差別的な取り扱いの条項については終わりますが、また機会を得て、障害者が日々生きている中で、差別と実感する視点から生活を見直した中でこういった条項をむしろ積極的な意味で取り上げていただきたいなというように思います。  それで、今回の改正では更生という言葉が大分消えてきたんですね。更生という概念が今申しましたように広がってもきましたから、自立と社会経済参加ということで大分かつての狭い意味とは広がりましたから、以前に比べて問題はないんですけれども、第三条に出てくる「更生援護」という言葉なんですが、更生援護という規定、概念も広くなっていますけれども、リハビリテーションを厚生省が更生というふうに訳された経緯を見ても、リハビリテーションというのがそもそも宗教における破門の取り消しというところから始まって、そして犯罪者の更生、社会復帰という形でかなり使われて、そのイメージが今なおある程度あると思うんですが、そういう点からいっても厚生省の努力で概念自体はかなり広がってはきたけれども、やはりまだ、言葉じりをつかむわけではないんですが、第三条の「更生援護」の「更生」あるいは「更生施設」等が改正法の中に入っておりますので、この点についても将来御検討願いたいと思うんですけれども、どうでしょうか。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 五十九年の法改正のときに「更生」という言葉について早急に改めろという附帯決議をいただいております。今回の改正に当たりまして実はこういった「更生」という言葉をできる限り改めたいということで内部で検討をいたしたわけでございます。それで「更生」という言葉を今回自立と経済活動への参加というような表現に置きかえたわけでございますが、ただ、「更生援護」とか「更生施設」という言葉の方につきましては、それ自体が慣用的にずっと使われてきておりまして、その用語を改めますことを、ほかの用語として何か適切なものがあるかということを中でない知恵を絞ったわけでございますけれども、適当なものがなくて置きかえができなかったということでございます。  実は、いろんな方に何かいい言葉はないだろうか、それから審議会で御審議いただきましたときに、そういう御意見ももちろんございまして、その御意見も伺ったわけでございますが、いい案が、適当な言葉が出てこなかったというようなこともございましてこのままになっておるということでございます。確かに御指摘のことを私どもも十分宿題として胸にとめておきまして、もう少し勉強させていただきまして、見直しを検討していきたいと思っております。

堀利和日本社会党・護憲共同

○堀利和君 今回の改正でも「更生」という言葉が削除されて、そういった「更生援護」という形でわずかに残ってしまってはおるんですけれども、御検討願えるということで大変うれしく思っております。  「更生」という言葉が削除されたことについて一言言わせてもらいたいんですけれども、昭和二十六年のときの改正において第四条の身体障害者の定義のところで「職業能力が損傷されている」というのがなくなって現行法の形になっているんですね。「職業能力が損傷」ということは、その当時の職業更生法であるがゆえにそういう言葉がついていたものがいわば削除されたんですけれども、それはそれで結構なんですが、そのときに事務次官通達によって出されたんですけれども、ただし書きがあるんですね。「但し、このことは」、つまり能力損傷の削除した部分ですね、「但し、このことは本法の対象について、なんら実質的な変更をもたらすものではない。」というふうに書いてあるんですね。つまり、そこの部分は削除したけれども、実質的な取り扱いについては全く変更するものでないんですよ、実質は変わらないんですよということで通達なさっているんですね。  ですから、「更生」という言葉が削除された今回の改正に当たって、いや実質はまだまだそういうものが生きるんですよというような通達は出すことはないと思いますけれども、決して出さないようにお願いしたいと思います。  身障福祉法についてはひとまず終わりにして、もう一点お聞きしたいんですけれども、老人ホームなり療護施設の規模の問題ですけれども、用地、土地が高くなったためになかなか五十人基準の規模の施設がつくりにくいという話があるようですが、私は五十人規模の施設をつくるための広い用地が得にくいから小規模にした土地でいいんだという考え方は余り望ましいとは思っていないんですね。というのは、少しでも安い土地だったらというふうに客観的にはありますよ、コスト面というのは。しかしコストを安くすればやりやすいんだということだけでいってしまうと、むしろ小規模施設になればなるほど今度は人的配置からいって運営費の問題でコスト高になるからということで踏み切れない。老人保健福祉部長さんが言われていましたけれども、施設の総合的な組み合わせの中で老人ホームをつくるにしても、夜間の勤務ということを考えるとなかなか難しい、踏み切れないんだということがあるわけで、確かにそういう点で小さな狭い土地なら購入しやすいんだろうといっても運営費が高くなる。コストの問題からいうと、結局五十人規模がせいぜいだろうというふうになってしまうんですけれども、私は基本的に通常の同年齢の人たちが暮らす、そういう暮らし方を施設に入所している障害者も可能な限りそういう生活を送ることができるようにしなければいけないし、してほしいと思うんです。そのためには、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、土地が高かろうが施設というものは小規模にしていって、町の中に自然に建っているといいますかね、地域の人たちと同じように暮らせるような開かれた施設、できる限りそのためには小規模にしていく、そういう基本的な考え方が重要だと思うんですけれども、その点についての御見解をお伺いしたいんです。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 障害者の方が地域社会の中で、今先生はいろんな方と開かれた生活をとおっしゃいましたけれども、そういう生活が保障できるような対策というのは確かに今後の我々の大きな課題だと思っております。それは施設という形をもう少し越えた広い形で考えていかなくてはいけないと思いますし、従来の施設をある程度は離れたような形で、相当障害の重い方でもそういう地域社会の中で生活していただけるような手当てというものをいろんな多角的な方向から考えていかなくてはいけないのではないかと思います。それは、例えば施設を中核にいたしまして、そこの施設がいろいろな意味でサービスの出前をするという形で地域の生活をしておられる障害者の生活を支えていくような、そういったいろんな方向というのが考えられるんじゃないかと思っておりまして、この点はいろいろな工夫をさせていただきたいと思っておりますし、真剣に勉強いたしております。

堀利和日本社会党・護憲共同

○堀利和君 確かに一人一人の障害者が選択できるようにメニューを広げていくということは大変重要なことなんですが、それによって地域に密着したグループ、いわゆる知恵おくれの方で言えばグループホームとか、身体障害者にとっても福祉ホームというのがありますけれども、そういうところに入れた、選択できた障害者はいいんですが、選択できなくて結局は何十人という規模の大きい施設に入らなければならない障害者が現実に存在するわけです。ですから、トータルに見れば確かにあそこもあります、ここもあります、こういうところもありますということで、障害者の意思に基づいて、選択に基づいてどこに行くということが、客観的に見ればそういうふうになっているんですけれども、私が言いたいのは、そういう中でもいわゆる重度とされていて、重度の方は結局身体障害者福祉ホームに入れず、規模の大きい施設に入らざるを得ないとなった個人、この個人は幾らほかにメニューがあろうが大きな施設で暮らすしかないということを考えれば、できる限り施設というのは市民が通常暮らすような暮らし方をそこで努力していただきたいなということもお願いしたいと思うんです。  そろそろ時間が多分来たと思うんですけれども、また話は少しがらりと変わりますが、シルバー産業の推進ということで一言だけお聞きしてみたいと思うんです。有料老人ホームの規制の問題ですけれども、これはどういうような規制といいますか規定があるんでしょうか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) 今回の法律改正で有料老人ホーム関係でお願いをしておりますのは、法律の規制を強化をしたいということでございます。  一つは、事業内容につきましてあらかじめチェックできるように、現行の事後届け出制を事前届け出制に改める。それから二つ目には、問題のある有料老人ホームに対しましては、指導権限を強化をするということで、知事による勧告を知事及び厚生大臣による改善命令というふうに強化をしたいということが二点目でございます。それから三点目には、民間の団体を指定いたしまして、適切な情報提供をする、それから利用者等からの苦情処理に当たる。そういうことによりまして、入居者の保護とか、有料老人ホームの仕事がより健全に発展するように役立つ組織づくりをしたい、こういうことでございます。  要するに、民間業者が自主的にやるわけでございますが、入居者の保護ということを考えまして、安心して入居がし続けられるということを確保するために必要な規制の強化を図りたいというのが今回の改正の趣旨でございます。

堀利和日本社会党・護憲共同

○堀利和君 お年寄りが入る老人ホームですので。  もう一つ別に、赤ん坊といいますか、子供が入るベビーホテルが民間で現実にありますけれども、これについての規制はどうなっているのかお伺いしたいんですが。

古川貞二郎科学技術庁原子力局原子力研究推進調整官

○政府委員(古川貞二郎君) いわゆるベビーホテルというものは、無認可の児童福祉施設でございまして、これについては児童福祉法の五十九条というところがございまして、行政庁は、施設に対し報告を求めまたは施設に立入調査もしくは質問することができる、それとともに、児童福祉審議会の意見を聞いて事業の停止または施設の閉鎖を命ずることができる、こういうふうな公的な規制がかかっているわけでございます。

堀利和日本社会党・護憲共同

○堀利和君 私、大臣に最後にお伺いしたいのは、民間活力といいますか、民間に委託することというのは今後出てくると思うんですよね。社会福祉事業法のこの改正の中で。具体的に言えばベビーホテルの場合には、問題があったときに自治体は閉鎖までの権限を持っているんですね。ところが有料老人ホームの場合には、勧告とかいろいろ規制はありますけれども、この停止、閉鎖する権限というのがないんですけれども、もう一度、有料老人ホームについて今後自治体の権限を強化する、閉鎖する権限がどうなるか、お願いかたがたお伺いしたいんです。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 有料老人ホームは、多くの方々のついの住みかになるわけでございますから、万が一にもそこでふぐあいが起きて、そしてお年寄りが寄る辺もなしに、また行き先不安なまま閉鎖になるということがあってはならないと思います。そういう意味で規制の強化は当然必要でございますけれども、我々が留意しなければならないのは事前に、未然に防ぐということでございまして、そういう意味で今回の規制の強化ができ上がっていると思います。決して今の閉鎖の命令がないということが、我々の本当の意味の事故を防止するということをいささかでも緩めているということではございません。そういうことはあってはならないということで対処してまいりたいと思います。

糸久八重子日本社会党・護憲共同

○理事(糸久八重子君) 時間が参りましたので、まとめてください。

堀利和日本社会党・護憲共同

○堀利和君 一言で。質問ではございません。  今後、民間委託、民間活力という中では、やはり自治体のそういった権限を強化するということが、自治を強化するということが私は必要だと思います。そういう点を十分御理解いただいて、今後の福祉行政を豊かに進めていただければと思います。  以上で終わります。

前島英三郎自由民主党

○前島英三郎君 政府与党にはなかなか割り当ての時間が少のうございますが、大変重要法案でございますので、きょうは清水委員と一緒に分けまして十分、二十分という短い時間でいろいろただしてまいりたいと思います。  今回の法律改正案が国会に提出されましてから今日まで、非常に多くの福祉関係団体や障害者自身の皆さんから、法改正の成立促進の陳情や要請をいただきました。それだけ皆さんにとって今回の法改正に期待するところが大きいと受けとめられているわけでもございます。恐らく二十一世紀を目前にした一九九〇年代という新しい年代の、地域に密着した新しい、より望ましい福祉のあり方が示され、その輪郭がそこに見え始めたからだと私も思うわけであります。しかし、今回に限らず法律をつくるとか法律を改正するとかというようなことは、それだけで実態が変化するわけではありません。新しい法律に基づきまして行政や国民が現実に行動を開始することによって、初めてその目的が姿をあらわすものだというふうに思うわけであります。  その点今回は、特に改正後の実行努力がより一層重要であるということが言えると思うんです。地域地域で質の高い福祉を保障できるようにするためには、マンパワーの養成とかあるいはその確保を初めとして、短時間ではできない、そしてまた恐らくは未経験の多くの仕事が待っているのではないかというような気がいたします。ですが、法案成立促進の要請活動をされた皆さんは、そうした多くの課題を自分たちも参加してつくり上げていきたい、自分たちも参加しようと望んでおられる言葉をたびたび私は耳にいたしました。だれかがやってくれるのではない、自分たちがやるんだ。これこそ二十一世紀につながる新しい息吹と考えなければならないと私は思うわけであります。  こうした息吹にこたえまして、ひとつ厚生大臣のまず決意をお伺いしたいと思います。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 今回の法改正に当たりまして、多くの関係者の御理解と御関心をいただきましたことに感謝をいたしております。  福祉社会は、政府及び地方公共団体の各種の施策のみならず、ボランティア活動など国民各層の社会連帯に基づく活動が地域において有機的効率的に結びついて初めて実現できるものと理解をしております。政府としては、本改正案の円滑な施行に最大限の努力を払い、新たな福祉施策の展開に全力を挙げる所存でございますが、御指摘のとおり、地方公共団体や福祉関係者など国民各層による御協力をいただくことにより、より一層改正案の趣旨を生かし、明るい長寿社会、福祉社会が実現できるものと考えておりますので、法施行につきましても皆様方の御協力をお願いを申し上げます。

前島英三郎自由民主党

○前島英三郎君 次に、今回の法改正の中で身体障害者福祉法の一部改正も含まれておりますが、その中で懸案だった第一条、法の目的につきましても手が入れられまして改正することになりました。このことは日下部委員、堀委員からもいろんな意見のやりとりがありましたが、またこれにつきましても若干混乱している部分もあるかと思いますので、私も端的にただしておきたいと思います。  昭和五十九年の同法改正の際に、「更生」という語を用いた規定を見直すべきではないかという議論をいたしました。当時は残念ながら適当な表現が見出せず、結局附帯決議でその後の検討を求めるにとどまったわけであります。今局長がそう答えられましたね。こうした経過を踏まえて、今回「更生」という規定をなくして「自立と社会経済活動への参加」という表現に変えることとしているわけであります。  ところが、その第一条の後段にあった「生活の安定に寄与する等その」という語句がなくなっているために、法案の成立促進を働きかけている障害者の方々の間にも微妙な波紋を投げかけておるわけであります。条文をよく読みますと、単に「更生」という語句を「自立と社会経済活動への参加」と置きかえたというのではなく、援助し保護する対象が以前の条文ではどこまでも「更生」であったのが、改正案では障害者そのものであるというふうに文脈も改めようとしておるわけでありますが、それと同時に厳格に意味をたどればこうなるということのほかに、これから新しい地域福祉を築いていこうというのでありますと、法律の条文は全国どこに行ってもすぐに同じ理解に立つことができるというわかりやすさといいますか、親切さ、そういう意味の強調ということも必要であろうと今私は思っているわけです。その点若干配慮が足りなかったという点では皆さんの間にも波風が立ったということに対しましては、私たちも与党の一員として反省しなければならない気がするわけでありますが、このあたりのことも含めて、その意味する内容をこの際きちんと述べていただきたいと思います。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 身体障害者福祉法の目的を明らかにしております第一条についてでございますが、完全参加と平等の理念に沿いまして昭和五十九年の身体障害者福祉法改正に際して国会の附帯決議等で指摘された幅広い障害者福祉の考え方に立脚したものとするために、「身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進する」という新たな幅広い目的に書き改めたものでございます。現行の規定に例示として示されております「生活の安定に寄与する」という文言は、今回新たに規定した「自立と社会経済活動への参加」の中に当然含まれるものでありますので、例示が示されていないからといって、これまでの考え方をいささかも後退させるものではないことをはっきりお答えさせていただきます。

前島英三郎自由民主党

○前島英三郎君 どうもありがとうございました。  とすれば、その条文に盛り込ませましたその意味、内容を地方公共団体やあるいはまた国民の皆さんに対しまして十分な理解が得られるようあらゆる手だてを講じて努力する必要があろうかと思います。そういう意味ではこれからの福祉というのは当然また負担という問題もそれに絡み合って私たちは二十一世紀を迎えなければならないと思うんですが、やはり我々障害を持っている一人一人の今日までの身障福祉法を基盤とした運動の経過の中で、それぞれが大変努力をし、そしてまた完全参加と平等という国連のこの哲学に沿った形を何とかなし遂げたい、こういう思いでありますから、私はこの福祉法を新たな起点として障害者も自立をする、そしてすべての人々がまさしく法のもとに平等である、完全に参加する、そしてまた平等な社会をつくっていくように二十一世紀は持っていかなければならないというふうに思います。ぜひその辺を含めまして、これからひとつ各地方公共団体の皆さん方にもあわせてイニシアチブがそこに移ってまいりますので、周知徹底の方を心からお願いをし、もし御意見があれば承りまして、清水委員にバトンタッチしたいと思います。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) この法律が成立いたしました後、施行通知などあらゆる機会をとらえまして、身体障害者の完全参加と平等、ノーマリゼーションの理念というものの周知徹底を図ってまいりたいと存じますので、委員各位の御協力もお願いを申し上げます。

前島英三郎自由民主党

○前島英三郎君 どうもありがとうございました。

清水嘉与子自由民主党

○清水嘉与子君 与えられた時間が大変短うございますので、私は老人福祉法の改正に伴う、またゴールドプラン推進に伴うマンパワーの問題に絞りまして質問をさせていただきたいと存じます。  昨日の読売新聞の夕刊でございましたけれども、看護婦の需給計画の見直しということを厚生省が取り上げてやっていると、そしてプロジェクトチームをつくって、特にその中でゴールドプラン推進のための看護婦の分についてはこの需給計画を見直ししなきゃならないというようなことが報じられておりましたが、それにつきまして厚生省はどのくらいまで進めていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。

仲村英一厚生省健康政策局長

○政府委員(仲村英一君) 昨晩のあの記事につきましては、私ども直接お答えしておりませんのでコメントを申し上げるわけにまいりませんけれども、現在の看護職員の需給見通しをつくりました後に高齢者保健福祉推進十カ年戦略が出てまいりましたので、それは新たな需要増要因ということで私ども考えておりますが、そのゴールドプランの進捗状況等をあわせ見ながら今後の方向をいろいろ検討してまいりたいという立場でおるところでございます。

清水嘉与子自由民主党

○清水嘉与子君 看護婦の問題につきましては、大変深刻な不足の問題が生じているわけでございますが、その大きな原因は医療計画に伴いましてかけ込み増床があったと、それに伴っての非常に深刻な看護婦不足があるということでございまして、緊急対策をまずしなければならない。しかし基本的に看護婦を不足にしておく条件というのもあるわけでございますので、根本的な改正もしていかなければならないという点があると思います。私も我が党におきまして看護問題を改善するために今鋭意検討中でございまして、ごく近いうちにその結果をまとめて緊急対策あるいは今後の対策という形で出させていただきたいと思っておりますので、ぜひ厚生省におきましても、やがてこの計画のつくり直し、あるいは確保対策の推進というようなことで積極的にお取り上げいただきたいというふうに思っている次第でございます。  次に、ゴールドプランにありますマンパワーといいますと、ホームヘルパーがどうしても出てくるわけでございまして、これを十万人にするということでございますが、この計画を推進するに当たりまして、今実績を見せていただいているわけでございますが、予算に対しまして実績がどうも追いついていかないんじゃないだろうかというその食い違いがございます。この原因はどういうところにあるのでございましょうか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) いろいろ考えられると思っておりますが、まず一つは、ホームヘルパーの介護技術とか保健、医療との連携といったサービスの質という点からやや疑問を投げかけられているのではないだろうか、それからもう一つは、市町村の取り組みとかサービスに関する情報提供が不足をしているのではないだろうか、それからもう一点、ちょっと観点が違いますが、利用する家庭のサイドにおきまして他人に家の中を見られるのが嫌だというふうな利用意識の点で問題があるんじゃないだろうか、こんなふうに私ども原因分析をしております。  こういったことに対しましては、私どもは在宅福祉サービスをぴしっと施設福祉サービスと連携を保った格好で明確に位置づける、それから市町村においても積極的な実施に努めるというふうな位置づけと、それから市町村側の姿勢とをぴしっと確立をして臨むべきではないだろうかと考えて、今回の法改正でもその辺を盛り込ませていただいたところでございます。

清水嘉与子自由民主党

○清水嘉与子君 このたびの法改正によりまして在宅福祉サービスを実質推進してほしいものだというふうに期待をしているところでございます。また、この十万人のホームヘルパーがたとえ確保されました時点におきましても、諸外国に比べますとまだまだ福祉を担当いたしますマンパワーは不足ではないかというふうに考えます。厚生省の計画を拝見いたしましても、これですべての人に在宅福祉サービスをカバーしようということではないわけでございまして、シルバーサービスの活用ということもうたわれているわけでございますが、今少しずつシルバーサービスで介護サービス等を始められているようでございますけれども、実際問題としてシルバーですと、どうしても同じサービスをしても利用料金が高くなるとかいうようなこともございます。こういう中で、シルバーサービスをどういうふうにして進めていくのかというようなことにつきまして、健全な育成をしていかなきゃいけないと思いますが、どんな具体的な支援をしていこうとしておられるのか、その辺りについてお伺いしたいと思います。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) おっしゃいますように、まず公私の役割分担を明確にしておく必要があると思います。それで、必要な基礎的サービスにつきましては、公的責任できちっと提供されなければならないと思いますが、高齢者やその家族が選択をして多様なサービスを求めたいということでありましたら、そういう部分につきましては、民間事業者によるサービスが対応してもよろしいのではないだろうかというふうに考えております。そういう場合のシルバーサービスにつきましては、良質なサービスが提供されるということが必要でございますので、その良質性の確保ということで私どもはガイドラインを示しまして、それに基づいてやってもらうように行政指導をする。それから事業者におきましては、団体を組織化していただきまして、仲間うちで事業の健全発展のための自主的な取り組みをしてもらう。それから優良な事業者に対しましては公的融資を行ってそのバックアップをしようではないか、こういうふうな施策を展開しておるところでございます。

清水嘉与子自由民主党

○清水嘉与子君 対人サービスですとどうしても事故の問題、安全性の問題、こういう問題が絡んでまいります。ぜひこれを進めるに当たりましても、個人が何か事故が起きたときの保険というんでしょうか、そういうことにつきましても十分御配慮をいただきたいというふうに思っております。  次に、在宅ケアを進めるときに保健、医療、福祉の連携が大切だというふうによく言われます。保健、医療、福祉の連携を目指して行われたはずでございます訪問看護等在宅推進モデル事業というのがもうこれで二年行われまして、その成果が出たというふうに思いますが、その評価をどういうふうにされておられますか、お伺いしたいと思います。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) 六十三年度から全国十一市町でモデル的に行いまして、二年間ということでやりました。私どもは、そのときにタイプとしまして、都市型、農村型、それから第三セクターなどの民活型、それから地域病院中心型というふうにいろいろタイプに分けてそのモデル事業を展開いたしました。うまくいっているところとそう成果の上がってないところとまちまちでございましたが、もう一度これをやろうということで実は平成二年度におきまして改めて十五カ所指定をしまして拡大をしたところでございまして、もう少しそういういろんなモデル、試みをやらせていただいて、その中からいろんな成果をくみ上げて全国に普及をさせていきたいと考えております。

清水嘉与子自由民主党

○清水嘉与子君 今度は十五カ所ということでございますけれども、これまで続けてきた十一カ所の事業はそのまま引き継ぐというか、やりたいというところが多うございましょうか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) どうも要望を聞いてみますと、やりたいというところが相当あるようでございまして、その辺は関係の市町とよく相談をして要望がありますればもう少し続けていただくということもあわせ考えたいと思います。

清水嘉与子自由民主党

○清水嘉与子君 みんなが要望が高いということを伺って安心をしたところでございまして、十五カ所ではまだまだ少ないんですけれども、いろんな形のものがあると思います。一律にすることは確かに難しいことでございますので、できるだけこれを広めていただくようにしていただきたいというふうに思います。  先ほど大臣からも御指摘がございましたけれども、保健、医療、福祉サービス、このたびの老人福祉法の改正によりまして保健と福祉サービスは市町村で一元化されるということではございますけれども、一番欠けている医療サービスがそこに今ドッキングがなかなかできないという問題でございます。実際に家庭にいる方から考えてみれば、医療のサービスでも保健のサービスでも、福祉のサービスでも決める必要はないわけでございまして、今はする方の立場からはっきり仕分けをしてしまっているだけのことであるというふうに思いますが、私も医療サービスをもう少ししていかないと保健サービスも福祉サービスもともに質が上がっていかないんじゃないだろうかというふうに思っております。  今、医療サービスといたしましては、医療機関からの退院患者に対する訪問看護が行われているわけでございまして、これは診療報酬も次第に上がってきたところを見ますと、これを重視しているという方向であろうというふうに思いますが、もう少し適正な評価をいただきませんと、なかなか病院で看護婦を置いて訪問看護を業としましょうというところまではいかないのではないかというふうに思いますので、それもあわせてお願いをしたいと思います。ただ、それだけでなくて、それは医療機関から行うのはあくまでも退院患者が中心になりますが、そうでなくて、家庭にいらして医療サービスを受けたい方、あるいは病院にいて、家庭でどうしても最後を送りたいというような方、こういう方々への医療サービスというものを何か形をつくっていただきたいというふうに思っているわけでございます。  私の知っている看護婦でも、みずから開業訪問看護婦として医師にも大変支えられ、そして患者さんからも喜ばれて、かつ自分自身大変生き生きとして訪問看護活動をしている人がおります。そして仲間がだんだんふえようとしております。しかし今はこれは何も支えがございませんから、当然患者さんから直接お金をちょうだいしてやっているということでございまして、これも非常に要望が高いというふうに伺っております。こういうものに対しましても、何とか支援をしていただくような形ができないだろうか。医療保険の延長としてするのか、あるいは例えば十カ年戦略のような中で思い切ってするのか、そこら辺もあると思いますけれども、この辺いかがでございましょうか。

仲村英一厚生省健康政策局長

○政府委員(仲村英一君) 訪問看護の問題の御指摘でございますが、私ども施設収容という形も必要な場合も多いわけでございますが、同時に患者さんのクォリティー・オブ・ライフ等を考えます際に、在宅で医療が推進されることが望ましいケースも多々あると考えております。その際中心となりますのは、訪問看護というのがその支えになる大きな柱の部分だろうと考えておりますので、私どももこのような在宅医療の推進事業について医療の質の保障の問題を含めて訪問看護をどのようにしていったらいいかということで、今年度から実は新しいモデル事業といたしまして在宅医療推進事業というのを予算をお決めいただいたわけでございまして、こういうことで保健所十ばかりでございますけれども、モデル事業として実施をして訪問指導をやったり御相談にあずかったりするというふうな新しい試みと申しますか、その中からその地域地域に合った類型の在宅医療推進の形というのも生み出されるのではないかということで三年間の予定で事業をすることも考えております。あるいは現在、先ほど大臣からもお答えがございましたが、地区医師会が非常に熱心にそのような動きをされておる地域もございますので、そういう在宅医療を活発におやりになっている医師会が保健所とタイアップしてサービスの調整でございますとか、そういう問題を保健所の方もお手伝いできるような協力的な予算も獲得したという背景もございます。  それから、ただいま老人保健福祉部長からもお答えいたしましたような訪問看護についても、さらにいろいろの条件を考えながら、言ってみれば走りながら考えるような形ではございますけれども、新しいあるいはその地域に定着しやすい形の訪問看護あるいは在宅医療の推進というのは御説のとおり非常に重要だと考えておりますし、今後も私どもさらに力を入れてまいりたいと思っております。

清水嘉与子自由民主党

○清水嘉与子君 ありがとうございました。  訪問看護を進めるなんというふうになりますと、また、看護婦が一体今足りないのにどうなのかというようなことが出てくると思います。しかし、今本当に足りないと言われていますのは、医療機関の中でむしろ三交代をして働く看護婦が足りないということが多いわけでございまして、看護婦も大体六十歳ぐらい、五十八歳から六十歳で定年になりましてやめるわけでございますが、まだまだ若い、そして自分の磨いてきた技術を本当にさびさせたくないというような元気な看護婦がたくさんおります。そして、今まで病院の中ではなかなかできなかった患者さんとの触れ合いが直接その訪問看護でできて、このことに非常に生きがいを持つというような人もたくさんふえておりますので、私はマンパワーに関してはそんなに、その仕組みさえうまくできればおしかりをいただくことはないんじゃないだろうかというふうに思っておりますので、むしろそういうやる気のある看護婦たちを活用するという仕組みをぜひおつくりいただきたいなというふうに思っているわけでございます。  それから、最後になりますけれども、今のように保健、医療、福祉サービスの連携、これはもう当然必要になってくるわけでございまして、それぞれの職種がそれぞれ専門性を高めながらチームワークを図るということが大事なのでございますけれども、実際問題として言うはやすく行うはかたしでございまして、例えば今ますます連携が必要と言いながら現場の中で何かうまくいかない、摩擦が起きているような雰囲気を私は感じてならないのでございます。  例えば、それはどういうことかといいますと、ことし新しく介護福祉士の方々が学校から卒業して就職されました。大変今まで資格がなかった方々がこういうふうに新しい資格をお持ちになって生き生きと働いていらっしゃること、大変すばらしいことだと思いますし、しかもその方々が社会福祉士四年、介護福祉士二年という形で位置づけられたことはよかったなというふうに私も思っております。ただ、この方々が、医療の場で働いている准看護婦よりはもう内容的に充実した教育を受けながら、業務の範囲としては准看よりずっと狭い領域しかできない。そして、もしこの方々が福祉施設ではなくて病院のような施設に働くようなことがありますれば、当然働いていただく分野はあるのですけれども、実際にはそれは診療報酬の中では単なる助手にしかすぎないというような問題もございます。そして、介護福祉士を雇おうと思っている人たちから話を聞きますと、准看よりは処遇もよくしなきゃいけないんじゃないだろうかというようなことを言われます。  そういたしますと、せっかく資格を取りましたのに病院に行ったら無資格者だ。また、准看の方々は、自分たちの方がずっと仕事ができるのに処遇が悪いというような非常に摩擦がありまして、これから現場の中で、これは医療機関だけでないと思います。これから地域の中でもそんな問題が一緒に働く場合に出てくると思いますし、看護婦の場合でしたらある程度防げると思いますけれども、しかし、これから介護の方々が非常に多く働くであろう福祉施設なんかを考えますと、そこで働いている看護職というのはどうも看護婦よりも准看護婦の方が多いというようなことがございまして、そういう問題からして看護婦の定着が悪い、やめてしまうというようなことにもつながっていくのではないかというふうにも考えられます。  つまり、一緒に働いている方々の教育制度が全く違ってくる。こちらは一方は一般教育にのっとった教育、こちらの方では高卒三年を基盤にした医師の指示のもとに働くというふうに位置づけられた医療職というような形の中での問題が出てきているのではないかというふうに思います。同じような分野で働く職種が、ある一定のところを共通にして、あとは少し相乗りでもできるような制度にでもいたしませんと、将来のマンパワーを確保するのに非常に問題があるのではないかというふうに思うわけでございますが、その辺を厚生省の所管の保健、医療、福祉に働く方々の教育のあり方というものを全体的に見直していただくことはできないだろうかというふうに思いますが、大臣、最後にいかがでございましょうか。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 高齢化社会を迎えまして、在宅の患者や要介護老人に対して適切に保健、医療サービスを提供するという立場から、看護職を中心としてマンパワーの確保がまことに重要になると思います。現場に精通したお立場から適切に問題点を御指摘いただいて、私どもも参考にさせていただきたいと思います。  まず、看護職の需給でございますけれども、先ほど政府委員からお答えいたしましたように、全体としての計画がございますけれども、新たな十カ年戦略を今後進めていく上で、そしてまた、介護と医療、特に地域における在宅医療サービスをもっと充実するという要請が高まってまいりますと、私の感じでは恐らく見直ししなきゃいかぬだろう。その場合には積極的にこれに対応してまいりたい。先ほど委員がおっしゃいましたような党の方からまたいろいろアドバイスをいただく、案の御提案をいただくということも大変ありがたいと思っております。しかし、基本的にはこれから人材を育てていかなきゃならぬ、医療の高度化に対応しなきゃならない、こういうことで大学、短大で看護婦の養成を積極的に行っていただかなければならないわけでありますが、現在全国で八十三課程の大学、短大において看護婦の養成が行われておりますが、今後その増設を働きかけてまいりまして、看護職員の資質の向上に努めてまいりたいと思います。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 それでは、質問をさせていただきますが、最初に、厚生省が発表されている福祉ゴールドプランというのが大変ゴールドらしく出ているわけでありますけれども、これに関連の深いことがございますので、ちょっとそれを紹介したいと思うんです。  これは、一九八六年に総理府広報室で長寿社会に関する世論調査というのを行っております。それを見ますと、まず、国民大衆は長寿社会に対してどんなイメージを持っているか。まず、豊かと思うかどうかということでありますが、豊かな未来をというのがイメージでありますから、何となく考えているんだろうと思うんですが、豊かというのが三七・八%、貧しいのが二四・三%、三八%と二四%、つまり国民は平均して長寿社会とは豊かな社会だと、こういうイメージを持っているということであります。ところで暗い社会か明るいかという調査でありますが、明るいというのが二七%、暗いというのが三四%であります。それから活気がある社会かどうかということについて、活気があるというのが二三%、活気がないというのが四二%であります。  これを集約いたしますと、国民は将来の我が国の長寿社会は豊かであろうと多分期待をしながら考えているのは暗い活気のない社会である。これに対して厚生省はゴールドプランで光を輝かそうとしているのかなと実は考えたわけであります。年齢別で、時間もあれですからおもしろそうなところを紹介さしていただきますと、暗いかどうかということについては、二十歳、三十歳代、つまり四十歳未満の方では暗いというふうなパーセントが大きいんですね。それから活気があるかないかというのは、これも活気のない方が若年層というか四十歳未満の方が四十歳以上に対して多い。つまり、若い人は、豊かな社会を、これは大体同じなんですね、豊かな社会をイメージしながら活気がなくて暗いと思う。四十歳以上の人は、多分、これは私が言うんですが、自分たちが築いてきた社会だ、私たちは明るく活気がある、そういう社会を期待している、これは期待だろうと思うんです。こういうことで、これは我が国の未来福祉を考えるときに、このイメージというのは多分ある意味の影響力を持っている。つまり、精神的な意味で国民がどういう期待をするのかというのは非常に重要なことだろう、こんなふうに思うんです。  これに関連いたしまして、去る六月九日に厚生省が人口統計を発表いたしました。これは各社が大変大きく取り上げておりまして、どなたもきっと見られて、何となく不安になったんでないかということであります。見出しを申し上げますと、「女性一人の平均出産数 戦後最低の一・五七人」。これは、女性一人が平均一・五七ということは、夫婦ですから二以上でないと人口は維持できないということでありますから、未婚の人も入れると二・一くらいということのようでありますから、一・五七というのは、合計特殊出生率は人口が減少するのではないかということを推定させるわけです。もちろん、これも変動がございますから、必ずしも一・五七を、現在そうだから将来そうだというわけではないと思います。事実、厚生省人口問題研究所もそういう推定で、下がって上がると見ているわけでありますが、しかし、この一・五七というのは、人口問題研究所の推定した三段階の一番多く見た場合の真ん中、一番低く見た場合の一番低いよりもさらに下がっていたということがある意味では問題だろう、こう思うわけです。  それから、でっかい見出しで、「産業活動停滞も」と、こう書いてあるんですね。そうすると、やっぱり暗くて活気のないそういう社会かと。それならゴールドプランは生きていくんだろうかということが気になるわけでございまして、これに対して出生率の低下ということ、そしてそれにかかわってくる福祉ということを念頭に置いて、これにどのように対策をしたらいいのか、厚生大臣のコメントが新聞に載っていましたけれども、どうでしょう、大臣、お考えを述べていただきたい。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 高齢化社会をどういうふうにイメージするか、先生のいろいろな御指摘、私はもっともだと思います。今大部分の方に伺うと、何となく不安だというのが本当の気持ちだと思います。私どもみんなそうだと思います。これはまあ未知への挑戦でございますし、それから後ほど御議論出ると思うんでありますが、生産年齢とそれから養われる年齢層、つまり高齢者と子供と両方合わせて計算すると、委員御存じのとおり、戦前の方が生産年齢比率は低いんですね。それはなぜかというと、子供さんがうんと多かったんです。昭和五年前後はもうずっとですから、そういう意味では生産年齢の方はたくさんの方を抱えていたけれども、子供さんがたくさんあるそういう社会というのは決して暗くならないんですね。なぜかといえば、将来に対して一種の何というか希望を持っているから子供さんが生まれるということもあるんじゃないかと思います。ですから、御指摘のとおり一・五七まで落ちたということは、出生率が落ちたということばかりでなくて、社会全体の心理状態が本当に深く深くかかわっているんだなという意味で私は危機感を持っているわけであります。  それから、殊に女の方の結婚年齢がどんどんどんどん上がってきちゃった、そのこと自体はとやかく言う問題ではないんですけれども、それが結婚生活に対する積極的な評価がなくなってきて、働いていた方がいいということでなってしまうんだとすると、これは考えなきゃいかんなという気もするわけであります。  いずれにいたしましても、合計特殊出生率がもう下がる一方だというこの傾向に対して何か考えなきゃならぬということは、同時にまた高齢化社会、未知の世界に対して明るいイメージを持っていただくようにするには、何かが不足しているんだろうな。それに取り組む一つの私どもの努力がゴールドプランである。委員が未来を輝かしたいためにゴールドプランを出したとおっしゃればそのとおりでありたいというふうに考えております。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 願わくば金でありまして、メッキでないように。はげるといけませんから、はげないようにと期待をするわけでございますけれども、人口問題というのはかなり重要なポイントでございまして、大臣は、人口問題に触れているような触れてないようなコメントが新聞に載っておりました。私は触れているんだと思って見ました。つまり、我が国の人口は現状維持をしていった方がいいと思うのか、少しぐらい下がっていってもいいというのか、少しは上がった方がいいというのか、これは大臣、学問的に申し上げているんじゃないので、イメージ的にでも結構でございますから、どうぞひとつ無責任発言だということで私聞きますから、どちらでしょうか。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) さように聞かれれば、今の一・五七という水準はこれはいかにも低過ぎる。  ちょっと蛇足を申し上げてよろしいでしょうか。昨日、アイルランドの保健大臣の訪問を受けまして、日本の長寿社会についてよく勉強してこられたようで、アイルランドよりもはるかに長いと言っておられた。この出生率の話をしましたらびっくりしまして、アイルランドは上がってきていると言うんですね。日本は一・五七というのはそれは驚くべき低い水準だ。北欧の方にも言われるんでは、いろいろな意味を含めて我々も、もうちょっと女の方々に子供を持っていただけるような、あるいは若いカップルに子供を持っていただけるような社会環境をつくらなきゃいかぬなときのう痛感をいたしたところであります。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 大臣、なかなかどこもすきがないような御答弁でございまして、だんだん私の言うことはなくなりそうでございます。  アイルランドだから愛してるランドなのかもしれませんが、ジパングの国はどうなるのかということがございますが、我が国にもDINKSとかという、私もよくわからなかったんですが、ダブルインカムですか、そういう世代、希望者がふえてきた。ただし、どうもマスコミのPRの方が非常に大きいんじゃないかなと思うんですね。  人口問題研究所の統計を質問のために慌てて少し勉強してみましたら、私は未婚率が上がっているのかと思ったら、皆婚、みんなが結婚するという慣行は依然として変わりがない、こういうことになっていますね。ですから、その延長上にあると私も思います。ただ、晩婚化傾向が出ている。晩婚であると、子供を産もうと思っているうちに年をとり過ぎたと、産む生理的なチャンスも減るかもしれませんし、そういう意味で子供を産む予定に達しないうちにやめたというか、そういうことで出生率が減ってきた。つまり晩婚化が問題で、未婚がふえたんじゃないんですね。未婚というと女性の希望だろうと僕は思うので、男性の魅力がなくなってきたのかと思ってひそかに心配をしておりましたが、人口問題研究所のデータを読みまして、なるほどと思って御紹介をさしていただいたわけでございます。  しかし、人口問題というのは、これは非常に問題でありまして、昭和五十九年かな、神戸で人口問題のASEANの会議がございまして、私、国会議員になって初めて出席をさせていただいて、自来、人口問題は私のパートの一つだと、大学時代も講義しておりましたし、ほとんど出させてもらっていますが、今思い出しますと、昭和五十九年だったと思うんですね、神戸であって、それからジャカルタかなんかへ行ったんです。そのとき、ゼミナーみたいなもので私も座長までさせられて戸惑ったんですけれども、東南アジアは日本をお手本に、日本に追いつけということであったんです。私は、あなた方は日本の生産力だけ見ている、日本は今、老齢化、高齢化、エイジングというところで今突き当たって、ここをどう打開しようかと今考えているところなんで、あなた方日本のままやってきたら同じような壁にぶつかりますよということを私は自分の意見として言っておきましたんです。そのときはすべてのASEANの国は人口を減少しようとしておった。今はどうですか、マレーシアはダブルインカムじゃありませんが、ダブルポピュレーションというのを国策に掲げていますから、今ASEANの人口問題はマレーシアだけはまあ本当にまれなんではないかと思うんですが、外れているんですね。そういう状況なんです。  しかし、御承知のように、公害というのは、公害の原因は人口ですから、人がふえるから着物も、食べる物も、住居も、エネルギーも、すべてが多く必要なんですね。文明の度合いが進んだからだけではないんですね、人口が公害発生の原因でございますから。だから、いたずらに我が国の生産力だけを考えているわけにはいかない、人口の問題もどうなるのか、いろんなことがひっかかってくると思うんです。  そこで、しばしば日本型福祉社会というのが言われているわけですね。厚生省も先頭に立って言っておられるようでございますが、日本型福祉社会という、日本型というのは何だろうかと思うんですが、非常に端的に説明していただくとどんなことなんでしょうか、大臣。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 福祉の型については、トータルで福祉のための負担がどうであるかという議論を余り不用意にやれない面がございますね。例えば医療保険はいいが、その所得保障に問題があるとか、国によって違いますので、委員御専門でいらっしゃるから後でしかられないように、まずそういう条件をつけた上で申し上げますが、全体として申し上げますと、医療、年金、それから家族給付、老人介護など、公共部門で集中的に実施する。その結果として、国民負担は高い方にいく傾向があるというのが北欧型だと言われておると思います。また一方で、年金、老人、障害者に対する医療や公的扶助の一定の部分以外は基本的には民間に任せるというアメリカ型、これは例えば国民所得統計上のいわゆる移転所得が先進国では一番低いという形にあらわれている。  この二つのタイプを念頭に置きながら、これから西欧並みの高齢社会に駆け足で十年間で駆け上がっていくときに、やはりお決めになるのは日本の国民だと思います。負担と給付の関係はどうでございましょうということを絶えず絶えず承りながらいくという、その結果としてでき上がってくるものであろうけれども、今の我々の考え方としては、国民負担が五〇%を超えるような社会は活力を失ってしまって、福祉そのものの維持もなかなか厄介になってしまうんではないか。であるから、そこはヨーロッパの幾つかの国のようなところにはいけないであろう。しかし、また一方では、アメリカよりも例えば今年金でもしっかりしたものを持っておりますし、それから国民皆保険という立派な医療保障を持っておりますから、これを大切にしながら、今御提案をしております地域地域の福祉というものを組み立てていけば、そしてこれがうまく組み立てられていったときには何か独特の、先ほど挙げた二つの類型のいずれでもない福祉社会ができ上がっているのではないか。それがそれぞれの地域のニーズにこたえられているような、及第点を国民からいただけるようなものでなければならない、こういうふうに考えておるところでございます。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 今、大臣言われた中で私も大変賛成だと思うことの一つは、我が国が福祉のレベルを今のような状況に持ち込む前に、まず国民皆保険があったと、これは私は先進国として大変立派なことであった、こう思うんです。ですから国民皆保険をベースにして、我が国はそれにどういう付加をしているのかということなんだなと思っておったんですが、大臣もそのようなお話をされたようでございます。だからその点は厚生省なかなかしっかりやっておられる、こう思うんです。全部というわけにいきませんから、また後でそれはちょっと注文させていただきます。  そこで、先ほどの国民のイメージ、なぜそういう豊かだけれども、暗くて活気のない将来をイメージしているのかということに対して、私なりの分析をちょっと申し上げてみたいと思うんです。これは厚生省と論戦をしておりますと、時間を大変食うことだと思いますし、多勢に無勢ということもありますので、勝手に私の意見をまず言わしていただきたいと思います。  我が国の高齢化は未曾有のスピードで進んでいる。これは確かに新聞にも高齢化社会急ピッチとあります。これは事実ですね。これはちゃんと統計をとりながら年代別で見ていったら急ピッチである、これはもう確かであります。即高齢化人口だけがぐんぐん伸びていくと思うから、暗いとか活気がないということになるのでありまして、高齢化人口が総人口に占める比、これを見るとどうなっているかといいますと、高齢化人口六十五歳以上という今までの三段階分割で、年齢三分割で今見ているんでありますけれども、六十五歳以上人口が総人口に占める割合は一九八七年、一〇・九%です。ところが、フランスは一九八五年、二年前で一二・八、西独一四・七、英国一五・〇、スウェーデンは一七・九、日本から見ると二、三年前の統計でございますけれども、それは北欧等の二年前よりもまだ少ないということであります。それが一つであります。  それから、人口問題研究所の日本の推計を見ますと、一九九〇年一一・九、これは推計ですから若干の狂いがあると思います。二〇〇〇年で一六・三、二〇一〇年で二〇。これを見てみますと、スウェーデンが一九八五年で一七・九、我が国が二〇〇〇年で一六・三。だから、日本の方が二〇〇〇年になっても一九八五年のスウェーデンよりもまだ少ないということが言えるわけであります。したがいまして、老齢化スピードが急ピッチであるということがイコール老人だけがふえていくということになってはいないということになるわけであります。ここが一つのポイントであろうと思うんですね。  それから、よく生産人口分の老人で、何人が何人を養うんだというのがあります。例えば一九八七年は七人に一人の老人を養う、二〇〇〇年になると四人に一人だ、これは大変だと。だから、若い人ほど暗くて活気がないイメージになるわけであります。ですから、本当なんだろうか、つまり、生産年齢人口というのは、全国民の総収入、GNPというのは生産されているわけですが、それにタッチしているのが生産年齢人口でありますから、生産年齢人口が全人口の何%であるかということでいいわけで、老人だけを割ってみる必要はないと思うんです。  老人がふえていった、だから生産年齢人口が同じであればどんどん扶養老人がふえていくというけれども、扶養というのは本人も食って寝て家に住んでいるわけだし、子供も扶養しているわけでありますから、生産年齢人口が全人口に占める割合を見てみますとほとんど六〇%なんですね。これは非常に古い昔からなんです。百年昔ぐらいから我が国の生産年齢人口はすべて約六〇%なんですね。もちろん最高六九・五というのが、一九九〇年がそうなりそうだという予測がありますけれども、しかし六〇%台であることはほとんど変わりがないということがございます。老人を生産年齢人口で割ってPRをされるから老人ばかりふえて、穀つぶしだけがふえていくといううば捨て山を想定させるわけでありますから、これはPR上いかがなものかと私は思っているわけです。  三番目を申し上げます。生産年齢人口は今十五歳から六十四歳までになっています。中学生で金の卵ともてはやされたのは大変昔の話でありまして、今はまずまず十五歳以上の生産年齢人口としての加算は非常に寄与が少ないと思います。高等学校でもそうであります、九五%が高校に行くんですから。だから、十八歳未満はまず問題にならないと見るのが本当でしょう。そして、実際に六十歳以上で働いている人というのを見ましても、かなりなパーセントがあります。パートタイムでしょうけれどもあるわけです。  だから、実情に近いのが五歳ずつ滑らせて、二十歳から六十九歳というあたりが本当の意味の生産年齢人口ではないかということでありますが、これは今までどおり十五歳から六十四歳でも二十歳から六十九歳でも五年の違いがあるだけです。つまり、全人口の中でここにあった山が五年こっちへ動くだけであります。そしてこれが全人口を扶養しているわけでありますから、その意味で生産年齢人口に変わりがないということが私は一つのポイントであろうと思うんです。  これも人口問題研究所の推計を御紹介いたしますと、生産年齢人口十五歳から六十四歳まで、それから二十歳から六十九歳と滑らして、そして従属人口というそれ以下の年齢と以上の年齢を足したものを分子にしたその指数を見てみますと、これは現在から将来にかけて生産年齢人口を動かしてもほとんど変わりがないということが書いてありますね。事実付表を見るとそういうふうになっています。なるほどそうなんだろうと思うんです。  つまり、生産年齢人口を六十四歳までと区切って六十五歳以上を老人に入れて、そして暗いイメージをまた演出したのではないか、こういう私は危惧を持っているわけでございます。しかも生産年齢人口というのは——おしんというのは何年の人だったか忘れましたけれども、あれ昭和の初めですか、おしんは十歳で労働生産年齢補助員になっているわけですからね。だから今とは違うんですよ。あのころの生産年齢人口というのは上は、老齢者は少なかったんでしょうね。私のおじいさんなんか四十歳代で隠居していますから、隠居してても目を光らせていたようでありますけれども。しかし、子供の方は子守に出るのというのは小学校も行くか行かないでというのがあったわけですね。だから、生産年齢人口の考え方というのは大正から昭和、現在に至るまで十五歳から六十四歳というのは大変おかしな話であります。しかし、国際的な比較ではそうしないと比較ができないんだろう。つまり、生産年齢を含んだこれだけの人口がどれくらいかという程度の割合のことになるのじゃないかと思うんです。  そしてもう一つ重要な点は、老人人口を生産年齢人口で割っているということに対する反論でありますけれども、重要な問題は労働時間の短縮であります。労働時間がなぜ短縮されたか。これは組合員が運動したからかち取ったものじゃないはずなんです。生産性が非常に上がったから、これに対して余剰は労働を少し切り詰めてもいい、操業短縮が起きた、不景気のためではなかった、こう思うんです。そして現在もまだ働き過ぎだと言われているじゃありませんか。ですから生産性が上がった、生産年齢人口は同じだと物すごく豊かになるわけです。だからイメージは絶対豊かなはずなんです。そしてなぜ暗いのか、これを私はさっきから問題にしているわけであります。  ですから私たちは、私ももう老年人口に入っておりますけれども、若干口も達者で無事に務めさせていただいておりますけれども、頭もぼけちゃ困るので、後で痴呆の話はきつく質問をさせていただきます、ぼけないようにと。  ついでに思い出したので、今笑う人がおるものですからちょっと申し上げますと、頭がぼけないことの大事なポイントの一つは、何でも珍しがるというか興味を持って勉強する。私たちは興味を持とうが持つまいが、質問が迫ってきますと勉強させられるわけです。しかも多勢に無勢なんだから、専門家集団の高級官僚がおられてこっちは一人でやろうというんですから、これはやっぱりよっぽど勉強しないといけません。ですから、細胞も一つで動くのではなくて一つを三倍ぐらい働かさないといかぬものですから、ぼけている暇がない。つまり政治家というのはその意味ではぼけないんじゃないかなと思うんです。だから、その点で頭に刺激を与えるというのは大事なんですから、いや笑っていただくのもやっぱり大事なんです、刺激が入っているんですよ。聞いておられるからなるほどと思われて、あるいはおかしいと思っているかもしれません。だけどもそういうことがあるわけであります。  何だか話が飛んじゃいまして、どこへ行ったのかわかんなくなっちゃったけれども、私は高齢化指数をさっきのイメージに反論したくて言っているのでありまして、富と繁栄のシンボルというか指標だと言っています。そうだと思うんです、富と繁栄の一つのあらわれ。だけども、もう一つ忘れちゃいけないのは医療です。高齢化というのは、病気にならないんじゃないでしょうが、予防するとか治すとかということで医療が入っているから高齢化になっているんですね、ここにお医者さんおられますけれども。医療というのが高齢化社会に対して重要なんです。そして、先ほど話しておられましたが、たくさん子供を産むことが明るい未来をイメージさせるということでありますけれども、一方では、一人っ子では死んだらどうしよう、そういうことがありますので、たくさん産んで、たくさん死んでも残るのがいる、こういうことであったと思うんです。私の子供のころは十二人産むとゴールドですよ。親が表彰されたんですから。十一人でシルバー、十人だとカッパーとかって。金、銀、銅というのが何かあったんですよ。そういう時代がありました。だから、そういう時代は多産であったが多死だったわけであります。今は医療が進歩いたしましたので、非常に向上しましたので、このごろ連日テレビでも医療のことが、今注目を集めているようでありますが。  ですから、高齢化指数というのは富と繁栄とそして医療の一つの水準を示すものだ、こういうふうに私は思っているんです。決して貧困の指標ではない。暗いとか活気のない、そういうイメージをさせるものではない、私はこう思って、大臣にひとつこれについてのコメントを伺いたいと思うんです。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) ただいまの先生のお話、そのとおりであればいいなと思いながら聞かさせていただきましたが、若干そのとおりであればいいと思いつつも私の理性を曇らせる幾つかの点を申し上げますと、第一点は、これはもう委員御承知のとおり、日本とほかの先進工業国との高齢化比率、二〇一〇年でとればまだ大したことはないとおっしゃいますけれども、そこから先まだいきまして、ピークが二〇二〇年には今の計算でいきますと世界最高の水準にいく。それまでの期間がまことに短い。スウェーデンをさっき例にとられましたけれども、スウェーデンが七%から一四%いくのに実に八十五年かかかっている。それを日本は二十五年で駆け上がった。これは特殊な要因でございますね。だから、駆け上がっても息が切れなければいいわけなのでございますが、息が切れるかもしれないという最大の要因は私は医療費だと思います。  先ほど委員が御指摘の点は実は私も気がついておりまして、いわゆる高齢化比率というものを年齢によってとって見ると違うだろうと。生産年齢と、それから何と申しますか、養っていただく年齢との比率から申しますと、従属年齢と比べますと、戦前の方が高い。これは先ほど申し上げました。子供さんがたくさんいた。私の生まれたころは今よりそういう意味では数少ない人がよりたくさんの人を養っていたと言えないことはない。しかし、圧倒的に子供が多い。それで、十四歳までの子供さんと六十五歳以上の方の医療費を今比べると十倍なんです。ですから、六十五歳でとりましても子供さんより十倍あるというこの事実は否定することのできない事実でございますから、それが支えられると申しますか、サポートできれば先生のおっしゃるような明るい姿になるわけですが、どうも国民の多くはそうではなさそうだと思っておられるのが残念でございます。  私は本当に明るくなれるとすれば、最後に挙げられた産業構造の変化、それに伴う雇用状況の変化にあると思うのでありますが、これまで工業化が進む過程で何と申しましても工場労働というものを基本とする産業構造であった。それがだんだんと人間の持っているいろいろな意味の知恵、これが高い付加価置を生んでくるというようになれば、例えば今委員がおっしゃったように七十まででも、あるいは七十過ぎても高桑委員のように明晰な頭脳を持っておられる方は、相当の付加価値を発揮していただける。私はもしそうなれば案外世界に例を見ない活力のある日本社会が生まれる可能性がそこにあるなと実はひそかに思っておるわけでありますけれども、これがまだ一般の認識にならないのはいろいろな理由がある。そして何をおいても高齢化に伴う社会環境がまだ厳しいということだと思います。それが現実にありますと、どういうふうに説明をしてみても、難しくなるかな、厳しい社会になるかなという認識が多数を占めるのではないだろうか、何とかこれを変えていきたいという気持ちを持っているわけでございます。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 今の大臣の御意見、私も感服しながら承らせていただきました。厳しいかなというのは厚生省に立って予算のとり方が厳しいかなというふうに括弧書きで承ったわけでございますけれども、もう一言今のにつけ加えさせていただいて、次の質問に入りたいと思いますが、昔私たちが子供のときに聞かされたのは、余り長生きをするとうば捨て山へ連れていかれる、置いてこられる、こういうのはおとぎ話ではなくて本当の話であったわけですね。そのころは労働生産性に寄与しない老人はもう要らない、こういう時代があったわけで、大変老人にとって厳しい時代がその昔ありました。これはもうハード一本やりでソフトのない時代だったと思う。  ところが、次第に現代になりますとソフトの時代がやってきた。そのソフトの時代には知識と経験、こういったものが非常に尊重される。したがって、たまたま生き残った老人は、その知識、経験を尊重されて尊敬された。大変老人にとってはいいひとときが、一時代があったと私は思います。しかし現在はどうでしょうか。平均寿命七十五歳、男性。女は八十一歳かな。この時代は今までのイメージで言うと老人が尊敬される人は余りにも多過ぎる、つまりすべての人が通過する一つのステップにすぎなくなった。そうなりますと、近代工業化の中で老人が尊敬されるという価値観が変わったわけだ。ですから、新しく老人はどこへ行くんだろうかというような、老人にとって本来暗いイメージが出てくるのではないのかな、私はそれを思うのです。その意味でゴールドプランは老人に希望を与えるようなものであってほしい、これが私の希望でございます。  この辺でイントロダクションは終わりまして、次の質問に移らせていただきますが、ゴールドプランという十カ年戦略についてまず承らせていただきますけれども、この財政規模、それから年次計画等について簡単に説明をしていただきたいと思います。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) まず、平成十二年までの十年間で大まかな計算でございますが、総事業費を約六兆円強というふうに見込んでおります。それから年次計画の関係でございますが、事業の進捗状況等を勘案しながら毎年度の予算編成で具体的にその事業量を設定をしていくということで、このゴールドプランは十カ年間の目標を掲げるということにして毎年の予算の勝負で決めようと、こういう発想でございます。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 毎年毎年というのは少し細切れ過ぎないか。私たちも毎年と言われると来年がわからぬという話になっちまいますから、そうじゃなくて大まかに前期とか中期とか後期とか、例えば三段階ぐらいに分けての一つの大まかな見通しみたいなもので目標を設定できないのかと思うんですが、いかがでしょうか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) あらかじめの年次計画を作成するというのは非常に難しゅうございますんですが、先生おっしゃいますように、ある程度進行したところでもう一回振り返ってみる、それからまた展望してみるという、そういう節目節目の検証は必ず必要であろうと考えております。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 そうでないと何せ終点の十カ年目のやつが出ているわけですから、それがあるのに途中がないというのは何だかおかしいんじゃないか、こう思って承ったわけでありますが、その計画終了時、今から十年後、二十一世紀に入るところでありますが、その福祉水準というのはどういうことになるのか。代表的な福祉施設ケアだとかヘルパーだとか、そういったことについての大まかな計画終了時の水準を教えていただきたいと思います。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) ホームヘルパーについて申し上げますと、六十三年度の実績で申し上げますと、ヘルパー数が二万五千八百六十人でございますが、これを十一年度は十万人に持っていきたいということでございます。六十五歳以上人口十万人当たりでこれを見てまいりますと、六十三年度の実績ベースの二万五千八百六十人に対しましては百八十八人、それから十一年度の十万人に対しましては十万人当たりで四百六十九人というふうに推計をしております。  それから、特別養護老人ホームについて申し上げますと、六十三年十月一日の実績ベースで特別養護老人ホームの全体のベッド数が十四万四千六百七十三床でございますが、これを目標達成二十四万床に持っていきたいということでございます。これで十万人当たりのこのベッド数が幾らになるのかということでございますが、六十三年十月の実績ベースでは千四十九床、これに対しまして十一年度末の数字が千百二十五床、こういうふうに推計をしております。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 今のお話聞きますと、二万五千が十万人になるとかというと大変すばらしくふえたように見えるのでありますけれども、我が国の六十五歳以上の三段階区分で今計算を厚生省も出しておられるわけですから、六十五歳以上人口で比率を見てみますと、一九九〇年の我が国の六十五歳以上人口は千二百四十六万人、私の計算でありますけれども、二〇〇〇年で二千百三十三万人になる。そうすると、六十五歳以上の人口だけのふえ方は一・七倍になります。同じように一九九〇年から二〇〇〇年までの十年間でのふえ方を見ますと、ホームヘルパーで四・六倍、施設ケアで一・五倍と、数字の上だけで見ますとそうなりますので、私は単なる二万五千が十万になったということではなくて、人口がふえているということによる比率を考えると実際の数字だけで判断ができないのではないか、こう思っているわけです。  特に、先ほどのスウェーデンと比べますと、例えばホームヘルパーで十万人当たり我が国は十年後四百六十何人かと今言われたと思いますけれども、五百人ですね、大ざっぱに。スウェーデンは現在で十万人当たりホームヘルパーが五千八十六というふうに出ておりますので、十分の一ですよね。やはりゴールドプランでなくてカッパープラン、もうちょっと下かな、そうじゃないかなと今思っているわけでありますが、これについて何かコメントございますか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) スウェーデンのホームヘルパーの数は、おっしゃいますように常勤、非常勤、時間給を含めまして今御指摘のような数字になっておる。これに対しまして日本は先ほど実績ベースで申し上げましたが、六十三年度実績で二万五千八百六十人ということでございまして、人口対比で見た場合には我が国の場合少ないわけでございますが、国々で調べますとどうも西ドイツと我が国が割と似たような水準にあるのじゃないかなというふうには思っております。  それともう一つ申し上げたいのは、どうもそれぞれの国でホームヘルパーの利用についての考え方がまず違っているようでございます。スウェーデンなんかは、もう要するに家族に頼らないで外部からの人の手助けによるという考え方、それから社会の様式というんでしょうか、生活の様式というんでしょうか、そういうものがセットされているようでございますが、日本の場合には先ほども御質問にお答えしましたが、利用するサイドにもなかなか抵抗感もございますし、それから実際行われるサービスにつきましても、質の面でやや信頼感に欠けるような点も否定できないところがございまして、そういうところでそれぞれの国、単純に比較するわけにはいかないんじゃないだろうか、そういうふうに思っております。  私どもは在宅対策がこれからより重要になるであろう。そのときにはホームヘルパーの仕事というのがメーンになってくるんじゃないだろうかということで、これまでとは概念を変えまして居宅において生活をする、そして必要な介護サービスをするんだというやや専門性を重視するような方向でホームヘルパーの仕事を位置づけてその育成を図り定着化を図りたいと、そんなふうに考えているわけでございます。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 イントロダクションが長かったものだから、時間が少し狭められてまいりましたが、若干通告をしている質問の中でピックアップして聞きたいと思います。  次は、医療と福祉なんですが、私はこの福祉十カ年計画を見て思ったのは、福祉サイド、福祉と名を打っているんですけれども保健福祉なんですから、その中で医療の視点が非常に薄いのではないかと思うんです。大臣がさっき触れられたけれども、医療費がこれ以上かかっちゃ困るとおっしゃったか、問題だとおっしゃったか忘れましたけれども、そうじゃなかったようでありますが、医療費が高いという話が何か耳にひっかかったのですけれどもね。その意味では医療の観点が少し薄いんじゃないかなと思うんです。  フローチャートで情報システムというのがありました。私はあれに関心を持ったのです。つまりどのように対応していくかというときに、迅速に情報を出し指示ができて行動がとれるというアクションが一番問題になるときに、情報システムでありますが、あれを見ると何か伝票を持っていくみたいな部分があったと思うんですね。例えば情報システムというのは今や常識的にコンピューターだと思うんです。末端があってぱっといく、その返事が返ってくる。手紙で翌日配達されるんじゃ遅いと思うんですが、これはどういうふうに考えておられましょうか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) 先生おっしゃいましたのは、十カ年戦略の中でお示ししております脳卒中情報システム事業じゃないだろうかと思いますが、十カ年戦略の中で、要するに医療の関係では寝たきりをゼロにしようじゃないか、寝たきりゼロというのを考えております。寝たきり原因の中で脳卒中が非常に日本はウエートが高うございますので、まず脳卒中に関係をしまして、できるだけ脳卒中を防いでいこうという発想で、必要情報を病院から保健所経由で市町村にもらおう、その情報提供のネットワーク化を図りたいというのがこの事業でございます。要するに、脳卒中で入院をした医療機関から、入院時それから退院のめどが立った時点で市町村に必要な情報を提供してもらおう。おたくの管内のどこどこにこういう人が退院をしていきます、病状はこんなことでございますというふうなことをまず情報としてもらいまして、それで市町村は、じゃその人が家庭で生活を送れるためにはどういうバックアップ、支援をすればいいのかという必要なニーズが図れるように、そのスタート時点で必要な情報をもらいたいというようなシステムでございます。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 いや、私がいただいた連絡票を見ますと、例えば医療機関、保健所、市町村、そして末端、こうなっているんですが、例えば医療機関から保健所へ連絡票などというのがあるんですね。常識的にはそれを持っていって出すというやつだというふうに思うんですが、私はこれはもう行きも帰りも、上から下へも、下から上へも、全部コンピューター化されていかないと非常に時間食うと思うんですよ。今例えばファクス電話でぱっと行くわけですから、非常に正確に数字からすべて把握されるので、そういうことで人手、マンパワーも倹約できるだろうし、コンピューターをセットするのだと。それにしては予算が少ないんじゃないかと、私は予算を見ていてそう思ったんです。いかがですか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) 医療機関と市町村の間の連絡は電話ファクスで行います。そして必要な情報は各保健所のコンピューターに入れておいて、先生御指摘のような最新鋭の手段でいろいろ情報交換をしたいというシステムにしております。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 そうであればいいんですけれども、それにしちゃ何か予算が少ないのじゃないかと思ったので、せっかく買い入れるのに、最新鋭とおっしゃったけれども、数年前の最新鋭では困るわけで、いいものを入れていただいた方がいいと思うんです。  時間の都合もありますので、もう一つ先へ進めさしてもらいますが、寝たきりというのが問題で、これは医療の問題でもあるわけですね。介護の問題でもあるし、退院後のアフターケアがどんなに重要であるかということもあります。その寝たきりの出現率、それから痴呆性老人の老人人口に占める出現率というのはどれくらいでしょうか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) 寝たきり老人の出現率でございますが、昭和六十年時点で、寝たきり老人数は約六十万人でございまして、六十五歳以上人口に占めるこの六十万人の割合は約五%でございます。それで別途東京都で調査をしておりまして、在宅居住者の寝たきり状態が調査してございますが、それが四・一%という数字がございます。  それから痴呆の数字でございますが、やはり昭和六十年時点で痴呆性の老人は、これは入院をされている方も含んででございますが、在宅と入院とで合わせまして八十万と推計されておりまして、その当時の六十五歳以上人口で割り算をいたしますと約六%になります。ただし、これは二十万人ほどが入院をされておりますので、それを外した在宅の痴呆性老人のみで計算をいたしますと約五%という数字で把握をしております。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 そこで、先ほど刺激が少ないとぼけるというお話もちょっといたしましたが、私も正確なデータをもって申し上げているんじゃありませんけれども、寝たきりになると、もちろん機能も衰えるから寿命も縮むかもしれませんが、もう一つはぼける確率も高くなるんだろうと思うんです。そのデータがはっきりいたしませんが、常識的にそう思っております。ですから、寝たきりをなるべくゼロにするという、厚生省は非常にいい、大事なところにポイントを置いておられる。これは私はもうぜひしっかりやってもらいたいと思います。  痴呆性老人の研究のことなんですけれども、よくわからないという原因不明のはあれですが、脳の変性が起きるようなアルツハイマーの痴呆というのはどれぐらい、約二割でしたかね、あるというふうに何かで見たと思うんですね。男で二割、女で三五%ですね。女性が多いんですね、これは。しかし、アルツハイマーであると、ひょっとしたら予防的治療というのを考えられないかなと思うんです。その意味で痴呆性老人の治療研究、予防的治療研究、予防研究、こういった段階があろうかと思うんですが、これについて現状はどんなふうになっていますか。

長谷川慧重厚生省保健医療局長

○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。  厚生省におきましては、六十三年度より痴呆疾患対策調査研究事業というものにつきまして、先生お話しございましたように、アルツハイマーを含みます痴呆疾患の疫学的調査なり病態の解明、治療薬の評価等の研究を進めているところでございます。平成二年度からはこれは長寿科学総合研究の一環ということで長寿科学の中へ取り込みまして、さらに研究の推進を図ってまいりたいというぐあいに考えております。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 時間の関係で少しはしょって申しわけありませんが、大臣にひとつ、寝たきりというのは社会的入院も含まれてくるようになりますので、長くなりますとね、その意味でどうしても寝たきりをなくするということが大事だ、こう私も思っておりますが、その施策をしっかりやってもらいたい。大臣の御見解を承りたい。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 寝たきりの状況は御当人にとりましてもまことにぐあいの悪い生活の状況でございますばかりでなく、介護する御家族を初め周りの方にも大変重い困難を伴う可能性がございます。このため、十カ年戦略の中で寝たきり老人ゼロ作戦を柱として位置づけまして、寝たきり防止に向けて、これは総合的な対策が必要でございますから、保健、医療、福祉の諸施策を総合的に展開してまいりたいと思います。また、寝たきりにならない社会をつくるには、これはもう一朝一夕に実現するものではございませんので、高齢者お一人お一人も含めて常時国民に対する意識啓発を図ってまいりたいと思います。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 大臣にたびたび立っていただくのは申しわけありませんけれども、その次の質問は大臣に全部答えていただきたいなと今思ったわけであります。  町村への権限移譲につきまして、一つは、国が地方に責任を転嫁しようとしているのではないか。これは、先ほど大臣は地域の特殊性、特殊性と言われましたけれども、特殊性に名をかりた責任転嫁ではないかということが一つあります。同時に、この移譲につきまして費用の負担の変更がございます。今までは国が半分、それから県が半分。ところが市町村の場合は、国が半分、市が四分の一ですか、残った要するに半分を半分ずつ、町村が半分と。ですから町村は改めて費用負担が出る。いただいた資料によりますと、その町村の負担は四百三十三億ということになっておりますが、これに対して、大臣、いかなる手当てをなさるおつもりでおられるのかということを伺いたいなと思います。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 入所措置権等が地方へ移譲されるということに伴いまして、国の責任はどうなるのかという御質問でございますが、法律上もはっきり書いてございますように、国は地方公共団体とともに、老人の福祉を増進する責務を有し、またこのたび定められたいろいろな仕事について、はっきりと責任を負うことにされておるわけでございます。  今回の改正は、こういう国の責務を明らかにしつつ、具体的な実施に当たりまして、住民が最も身近な市町村でそれぞれの方の心身の状況や置かれている環境に応じて、在宅介護、施設による介護等、それを適切に選んでいただける、行政の側から言えば、適切に提供できる体制をつくるということでございますから、国と地方と協力をしつつ立派に仕上げてまいりたいと思います。  その場合の財源はいかんということでございますが、もちろん地方におきまして新しく付加される財政負担については、国としてもしっかりと対応をする。そのゆえにゴールドプランは私の方と大蔵大臣、自治大臣の合意のもとに発表されているわけでございます。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 ありがとうございました。  それでは、マンパワーのこと、要するにマンパワーが一番大事だろうと思うんですが、ホームヘルパー等の育成と確保についてどのように考えておられるか承りたいと思います。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) まず、処遇の改善をしていかなければいけないと思っておりますのと、それから仕事をする場合の就労形態につきまして、その地域の実情をよく勘案した上で適切な就労形態をとっていく。それからまたチームを組みまして、ヘルパーさんが仕事のしやすいようなチーム編成をする。それから社会的な評価を高めていただきまして、この仕事に大いに参画をするという、そういう気持ちになってもらうようにしていく必要があるのではないか、そういうふうに考えているところでございます。  それから育成という面では、やはり質を高めなきゃいけないと思いますので、研修を大いにしていかなければいけないと思いますし、そういう意味では介護福祉士の制度なんかもうまく活用してまいりたいと考えております。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 今の介護福祉士のお話が出ましたが、社会福祉士、介護福祉士というのがあるわけですけれども、その養成にはどんな制度があるのか、そしてどれくらいの定員で養成をしようとしているのか、需給見込みなどはどんなふうでしょうか、ちょっと簡単に承りたいと思います。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 社会福祉士、介護福祉士の資格でございますが、これは制度ができまして法律が施行されましてからようやく二年になったばかりでございます。その意味では、この両制度の資格制度が社会的に定着するにはある程度の時間が必要ではないかというふうに考えておりますので、需給の見通しといった将来の確たる方向づけについては、現在の状況では立てにくい状況にあるということは御理解をいただきたいと思っております。  現在までの状況につきましてでございますが、介護福祉士につきましては、養成施設が平成二年の四月開校分までの状況におきまして、全国で百一校の開校が見込まれておりまして、そういう意味では皆さんがこういった養成施設に対する開設の意欲は大変高いものと承知をいたしております。  また、介護福祉士の資格のもう一方の取得の方法でございます試験でございますが、現在のところ二回目までの試験を終わりまして、これに合格をいたしました者が二千七百十一人という状況でございます。先生御指摘のとおり、今後のこういった福祉の対策の中ではマンパワーの質、量ともの充実ということは大変大きな課題だと思っておりまして、私どもはこういった介護福祉士等の養成につきましては意を用いていきたいと思っております。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 在宅介護の問題が非常に大きなウエートを占めるようになると思いますけれども、そのときの家族介護、これについてきのうの本会議で公明党の木庭委員の質問がございまして、介護休暇を家族に、担当者にやるかどうかということで、労働大臣からは私は前向きの御答弁があったように頭にそれを受け取ったんですが、労働省おいでになっていただいていますね、いかがでしょうか、有給介護休暇について。

堀内光子労働省婦人局婦人福祉課長

○説明員(堀内光子君) 先生御指摘の介護休業制度につきましては、人口の高齢化、それから核家族化、女子の就業増加が進展する中で、老親等家族の介護の負担というものは労働者にとって大変大きな問題となってきているというふうに認識しております。したがいまして、今後介護休業制度の必要性は高くなるものというふうに考えられるところから、同制度の普及促進を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 しっかりお願いしたいと思います。  では、もう時間がなくなってきましたので、まとめて、まとめると大臣ということになってしまいますが、済みませんが、お願いをしたいと思います。  介護休暇に関連をしまして、介護手当というのが出るのか出ないのか、ホームヘルパーでなく家族がやるんだから介護手当はどうか。それから障害の場合は障害加算が年金に加算されるわけですから、こういう寝たきりのような場合にも、障害加算のような考え方で年金のかさ上げができないものか、大変細かいことで、もしあれでしたら政府委員の方でもよろしいですけれども。  もう一つは、ショートステイの期間を一週間ぐらいと言われておりますけれども、家庭の事情によりましてはもうちょっと長い方がいいとか、最長でも一カ月ぐらいまでとか、いろいろ希望があるようでありますけれども、そういうことを考えられるのかどうか。それからきのうの質問にもあったんですが、ショートステイの手続上の問題があるので、あらかじめ利用券のようなものを発行できないかというふうなことがございましたが、ひとつその辺まとめてか、あるいは分担していただきまして御返事していただきたいと思います。

水田努厚生省年金局長

○政府委員(水田努君) 年金の中に介護加算を取り入れることができないかどうかと、この問題について、率直に申し上げて非常に無理ではないかと思っております。理由は幾つかございます。  一つは、公的年金の財政が将来容易ならざるものがあるということでございます。三十年後、五十年後、二つ大きな山が来ます。三十年後につきましては、先生御指摘の六十五歳までの雇用と、働く意思のある婦人の雇用の確保で、ある程度今回再計算と大きなそごを来さないで越せると思いますが、五十年後につきましては、出生率の回復がないと年金財政にとって極めて深刻になってまいると私ども受けとめております。  それから二番目の点は障害年金というのは入院していても在宅であろうと、所得が高くても低くても保険制度というのは画一的に行う金銭給付でございまして、在宅、しかもいろんなニーズに対応した対応というのはむしろ一般的な施策の中で考える方がよりなじみやすいんではないかな、その他いろいろ問題がございますが、年金制度の中で取り上げるということは非常に困難であると考えております。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) まず、介護手当の創設の問題でございますが、昨日も本会議でお答えをいたしたのでございますけれども、家族による扶養が一般的に行われている我が国の状況の中で、介護手当というものがどういうふうな位置づけになるのかという問題、それからまたその効果がどのように及んでいくかという検討を要する基本的な問題がございますので、慎重に検討すべきではないかと思います。  当面、私どもの考え方は、在宅で現実にお年寄りの介護を行っておられる家庭に具体的な支援をしていくためにはまず何が必要か、必要な在宅福祉サービスが受けられるようにしたいということで、高齢者保健福祉推進十カ年戦略に明らかにしているところを具体化するのに全力をまず挙げさせていただきたいと思います。  それから、ショートステイの期間をもう少し弾力的に考えてもらいたいという点は、これはもともと寝たきりのお年寄りなどを介護される御家族の負担を軽減し、御本人や家族の福祉の向上を図る上で極めて重要なものでございますので、私どもも力を入れて整備していきたいと思います。そういう意味で、利用期間は原則七日間とされておりますけれども、これは御本人や利用者の周囲の事情により必要な期間に幅があっても当然であろう。もう一日と言われるのを、いや七日だということは言う必要ない。具体的に、適切にそれはお考えになっていいんではないだろうか。喜んでいただけるし、また地域のニーズにこたえられる範囲内では弾力的に考えていただいて結構だと思います。  それから、ショートステイの事務手続を簡素化してもらいたい、利用券などの方法も考えたらどうかという御提案は、私は具体的な御提案として大変評価をいたしております。ショートステイの利用を大いに普及することが必要であると思いますので、今後在宅介護支援センターを通じて在宅福祉サービスの適用を図るというのは基本でございますが、地域の実情に応じて利用券方式などいろいろな工夫をやっていただいて結構であるというふうに考えております。

高桑栄松公明党・国民会議

○高桑栄松君 ありがとうございました。終わります。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それでは、質問をさせていただきます。  実に長い間お年寄りが苦悩に満ちて放置をされていたり、また家族の犠牲と負担にゆだねられてまいりました在宅介護、また在宅福祉が初めて法制化をされるということでありまして、その点では老人福祉あるいは障害者福祉にとって当然の措置だと考えるわけでございます。  そこで、やるからには本当に国民の期待にこたえられるものにぜひするべきだと思うんです。とりわけ臨調行革以来この分野、従来の福祉分野での公的責任というのが随分ずたずたと切られてきたという印象というか、具体的に切られてまいりました。片や福祉の分野におきましては、シルバー産業の育成などという問題がありましたから、こういう中で本当に国民の期待にこたえられるようにするためには、思い切った施策というのが必要ではないかと思うんです。  まず第一に、大臣にお聞かせをいただきたいと思いますのは、いわゆる十カ年戦略を進めていく上で、国の責任の明確化とこれを本当に全国的にやり得る財源の裏打ち、これが非常に大事であろうと思うわけでございます。そういう点で、今回市町村に権限移譲がなされる、大臣の御説明のように、一番身近な市町村に権限がいくんだから一番ぐあいがよいということになるわけですけれども、形の上では。全国各市町村が本当に国にかわって住民のニーズに基づいて期待にこたえられる制度がやれるかどうかというのは、一にかかって国が責任を持ち、これを全国どこでもやり得るだけの財源的な、財政的な裏打ち、これが何よりも大事だと思いますが、そういう点についてまず大臣の御見解を伺っておきたいと思います。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 委員が御指摘の今回の法改正で、国と地方と両方で仕事をやるのだけれども、いささかも国の責任において後退はないであろうなという点はいささかもあってはならないと思っております。  法律的にも、委員通読していただければおわかりのとおり、はっきり国は責務を負うと書いてございますし、例えばいわゆる在宅介護の仕事でも法律上は居宅生活支援事業と言ってございまして、この居宅生活支援事業をきちっと国民に提供しなさいというのを国の責務として言われているわけでありますから、その辺はいささかも疑問はないと思います。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それで、やりとりをしたいんですけれども、時間の都合がありますから、私は財政的な裏打ちが大事だと申し上げたのを具体的に申し上げたいと思うんです。  といいますのは、今度の在宅介護が法制化されるという点で非常に大事だと思いますが、在宅福祉の三事業というのが本当に全国的にきちんとやられるためにはどうなるのかなというふうに思うんですよ。全国各市町村があまねくやれるだけの財源的な裏打ちというのがきちんとやられるかどうか、これが各御質問の中にも出てまいっておりますが、非常に心配だと思うんです。  なぜそういうことを申し上げるかといいますと、現在やっている水準をはるかに超えて十分やるのかどうかということを心配するからなんです。現状これはいろんなところをちょっと調べてみましたけれども、ホームヘルプの事業にいたしましても、デイサービスにしても、ショートステイにいたしましても、それを実施している市町村の超過負担というのが非常に多いですね。これは大阪の中都市、大体人口四十万前後の都市の具体的な数字を見てまいりましたけれども、例えば家庭奉仕員派遣事業の六十三年度の実績を見てまいりますと、総事業費を一〇〇といたしまして、市の負担というのは四分の一を含めて超過負担を含めますと高槻という町では七八・四%、枚方では八五・二%、したがって超過負担は非常に高いわけですが、時間の都合がありますから数字は言いません。デイサービスの事業ではどうなるかといいますと、同じくこれは総事業費を一〇〇といたしまして、国分の補助金を除きまして市単独の事務負担の四分の一と超過負担を含めて、これは枚方の場合に五七・五%、高槻の場合には七三・五%ということになっています。ショートステイの事業は、これはそれぞれの施設にかなりおんぶをされますので、ここでは大体四四・一%ないし三一・八%という水準になっています。  したがって、このところが本当に財源的な裏打ちがなければ、せっかく法制化されても実効が上がらないのではないかということを心配をするから申し上げたわけでございますが、その点はどうですか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) 円滑な実施ということのためには補助単価が必要なものがきちっと設定されるということはぜひとも必要でございまして、従来からそういう意味では補助単価の改善には努めてきております。  ホームヘルパーが非常に難しゅうございますのは、いろんなタイプのものがございまして、市町村の直営のものから、それからほかのところへ委託するものから、市町村の直営の場合にも常勤から非常勤からいろんなタイプがございまして、そういうものを実はひっくるめて補助単価を設定している。ところが、現実と比較しますと、そういった現実の姿とは補助単価の間に乖離があるというのが今おっしゃるような相当のいわゆる超過負担というんでしょうか、自治体持ち出し分が出てきているという実態になっているんじゃないかと思います。  そういう意味で私どもは、ホームヘルパーのこれからの仕事の進め方につきましていろんなタイプが出てくるのを考えて、どういうタイプがその市町村で一番定着しやすいんだろうかというので複数のタイプを考えまして、それぞれのタイプに応じた処遇改善というのを図っていかなければならないだろう、そんなふうにまず考えております。  それから、ショートステイとかデイサービスにつきましては、デイサービスにつきましても平成元年度から三種類に分けまして、特に重介護型については従来の運営費のおおむね五割増しというふうに単価アップを図ったところでございまして、やはり仕事がどんどん進んでいかなきゃいけないということを考えて、特にショートステイよりもデイサービスの定着状況が悪うございますので、その辺は重点を置いて内容改善をしていかなきゃいけないだろうと考えております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 念のためにお聞きをしたいんですが、例えばデイサービスですね。今の国の基準、大体中都市でやっているのはB型、Bタイプというやつ。Bタイプといったら、国の基準は千五百万なんですね。その半分を補助している。ところが、Bタイプのところでデイサービスを一日に十五人受け入れるということになりますと、どれだけの人が要るか。これは私が具体的に調べたところでは常勤三人と非常勤の方五人が要るというんですね。そうなりますと、人件費にも足らないわけですよ、千五百万では。そういう問題を本当に具体的に改善をするのかどうか。  それから、ヘルパーの問題のところはちょっと別に伺おうと思っているんですが、そこを本当に解決しなかったら、財政力のある市町村は住民のニーズもあるから進める、金のないところはやらぬということになるんですね。そうなりますと、市町村のアンバランス、特に住民が住まう場所によってサービスに格差ができるというふうなことが起こるわけですから、せっかく十カ年ゴールドプランをおつくりになったわけですから、実効あらしめるためにはそこが大事だと思うんですが、基準はデイサービスにいたしましても、ホームヘルパーにいたしましても、見直すということでございますか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) デイサービスは、ただいまも申し上げましたが、なかなか定着が進んでいないわけでございまして、相当てこ入れが要るだろうと思っています。しかも、これは市町村がみずからデイサービスセンターを設定する場合と、それからしかるべき施設、例えば特養なんかに委託をする場合と、大きく分けまして二通りございますが、委託をする場合にはかなりそういう意味では委託先の既存のマンパワーに頼っていた点もあるんだろうと思います。そういうことで、これからの実施状況を踏んまえながら、それがより進むように内容改善を図っていかなきゃいけないと思います。ヘルパーの手当てにつきましては、先ほども御答弁申し上げましたが、そういういろんな勤務形態を前提にして、それにふさわしい改善を進めていかなければいけないと思っております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 ヘルパーの問題に入るとちょっとそれるんで、後で別に聞きたいんですが、今回の十カ年戦略でホームヘルパーは十万人にする、それからショートステイは平成十一年までに五万床ですか、そしてデイサービスは一万カ所ですね。一万カ所といったら、大体中学校区に一つでしょう。私千五百万と言ったのは、これは枚方の具体例ですが、枚方では市がセンターをつくってやっているんです。だから、物すごく住民のニーズが高い。だから、もう働く人が休めなくてしんどいという状況になっているわけです。うまくやればそうなるんですよね。こういうふうな十カ年計画を本当にやるためには、財政の裏打ちなしにできないんです。  せっかくの十カ年計画だから、私はぜひ大臣に考えてほしいなと思っていますのは、自分の住んでいる町の財政力によってサービスの違いが起こるというようなことはあっちゃならぬと思うんですね。だって、もっと簡単にわかる話は、義務教育ならどんな大都市の中だってどんな山間僻地だってきちんとサービスは受けられるわけですからね。そういう体制をとるかどうかということが住民の望むニーズに対応する非常に大事な道だと思いますが、その辺は大蔵大臣やあるいは自治大臣と三大臣のお話し合いをなさったようでございますけれども、そこまでいくのかどうかという点をはっきりさせておいていただきたいなと思うんです。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 市町村によってサービスのばらつきがあってはならない、おっしゃるとおりでございまして、国としてお約束をした一定の水準の福祉サービスは全国津々浦々どこにでもお届けをする責任を負っておると思います。そのために必要な地方財政上の配慮は、自治大臣、大蔵大臣ときちっと話をいたしまして、万全を期するつもりでございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それで、ヘルパーの問題ですね。処遇を変えようと考えているというお話でございますが、そこで、私も調べてみて驚いたんだけれども、一つの市でも社協に委託した分があり、その市の直営の職員がおり、あるいは非常勤、パートの方がおり、労働時間も八時間の方がおり六時間の方がおり、あるいは四時間の方がおるという、非常にばらつきのあることは事実です。私は、今回の十カ年戦略を本当に成功させるためには、原則として常勤職員として設置するということが基礎になければ、それで足りない分をパートで補うというんなら話がわかりますが、初めからいろいろなのがあるからいろいろでいいんだという形では、この分野の仕事というのは成功できないんじゃないかというふうに考えますが、その点はどうですか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) まず、現在のヘルパーさんの働きぶりを見てみますと、例えばお年寄りなりその家庭の生活上の諸問題について相談とか調整が必要になってくる、あるいは保健、医療という関連分野に関する相談への対応とかそういう保健、医療関係者へのつなぎとか、こういうことが不可欠なんでございますが、実はヘルパーさん一人にこれが任されている格好になっております。これじゃヘルパーさんも悩んで悩み抜いて結局何も出てこないという格好になりますので、したがって、私どもは基本的にそういう関係の人たち、保健婦さんや場合によってはソーシャルワーカーとか、そういう人たちとチームを組んで対応する必要があるんじゃないだろうかというのをまず基本に考えておるわけでございます。そういうチームを組んで考えてはまいりますが、しかしどういう格好で勤務形態を設定するのかというのは市町村の判断ではないだろうか。  そういうことで、先ほども申し上げましたが、どのような勤務形態が定着していくかというのは、私どもももちろん知恵を出しますが、市町村でも実践し、かつ知恵を出してもらって、そこの中からいろんな形態が定着していくんだと思うんです。その定着した姿を財政的にバックアップをしていく、こういうことで対応するのが一番穏当なのではないだろうかと考えております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 私の問いに答えてもらってないわけですが。  ばらばらしているという状態というのは、そのヘルパーさんたちがどういう思いをしているかというのを、私これはたまたま大阪の社協に委託されているヘルパーさんの仕事の状況を自分で皆書いているんですね、それを拝見しましたけれども、大阪市の社協というのは六時間なんですね。六時間で対象者は二時間ずつ。昼御飯食べる暇がないというんですね。二時間で仕事が済まない。せめて八時間にしてもらったら、二ケース行っても、移動するのを自分の自転車で走っておるのやから、車で移動させてあげてないんですよ。とことこ歩いていければよろしいけれども、歩いていける距離じゃない、自分の自転車で走って歩いているわけです。行ったら、そのお年寄りならお年寄りを病院へ連れていく、病院へ通院介護をやり薬をもらってきて、帰りに食事の材料を買うてきて炊事をしてあげ、そして洗濯やあるいは掃除をしてあげる。それで洗濯物をする暇がないから袋へ入れてセンターまで持って帰ってもう自分の勤務時間が済んでからそれを洗ってあげる、そういう仕事をしているんですよね。  そういう人たちが言っておりますのは、非常勤パートだということで、例えばどういう要求が出ているかといったら、夏期手当や年末手当をもうちょっとまともに正職員と同じように、準じて出してほしい、交通費も全額支給してほしい、健康保険にも加入させてほしい。これは大阪市と違いますけれども、堺のヘルパーの人ですが、退職金制度も入れてほしい、年次有給休暇も欲しい、健康診断の内容を改めて公務災害の補償にも入れてほしい、労災にも入れてほしいということですがな。  そういう要求が出ているということを知っていただいて、十カ年戦略で本当に実効を上げるためにはヘルパーを常勤職員として採用するという制度を厚生省が踏み切らなければ、地方自治体はなかなか踏み切れない。そして常勤職員として踏み切る上で、大体金の出し方けちらぬとちゃんと雇えるだけの補助金をきちんと出す、二分の一や言わぬと従来どおり八割でも出して、ちょびっと足したら何とかいけるというところへいけば、山の中だってやれるかもわからない。その辺が非常に大事だと思いますが、どうもそれは言いにくいらしくて老人福祉部長も話をぴゅうとそらすんだけれども、ネットワークの話はまた話が別ですねん。今私が申し上げているのはヘルパーの問題言うているんですね。その辺はきちんとしてもらわないと、十カ年戦略言うてもほど遠いですよ。どうですか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) この人手不足の中で十万人を確保するというのは大変なことでございまして、そういう意味では私どもは、先生の御主張ではありますが、多様な勤務形態を考えざるを得ないんじゃないだろうか、こう考えております。そういう意味では一律的に私どもが何か指示をするというのはふさわしくないだろうと考えております。  まず、活動費につきましては、必要な車は何とか確保するように、平成三年度の予算要求の問題として私ども考えなきゃいけないだろうと思っております。  それから、負担率につきまして、八割にという話ですが、これはまあ一回整理のついた話でございますし、二分の一であってもその裏負担をきちっと交付税で面倒見る仕組みにしておりますので、裏負担の問題としては交付税で対応するということで手当てができているというふうに理解をしております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 例えば公的ヘルパーを今派遣しておられるのはA階層、B階層、つまり生保世帯と住民税非課税世帯ですね、厚生省の御指導の範囲は。それは大体皆無料でやっていますわな。C階層、D階層、E階層、Fは云々とこうなっているんだけれども、C階層二百円でD階層三百五十円、E階層五百円、F階層六百五十円というふうに時間給が決められているんですね。  こういうことをやられて、御利用がどういう状態になっているのかなと思って調べてみました。そしたら、A、B階層は十分不十分はあってもそれぞれの市町村に見合うだけの方々、見合うというか、そこそこの数字がヘルプされていますわ。A階層は大阪市を除きまして、大阪府下の資料です、A階層が六千二百四十一件になっています。B階層が千百四十三件。C階層からお金が要るというところでは、何と大阪市を除きまして衛星都市全体で十四件、それからD階層は十八件、E階層が十二件ということになっている。つまり有料化、一時間に二百円、三百五十円ということになるわけですけれども、そういうものがなかなか払えない階層なんですね。だから頼めないということになっているので、こんなもの本当は無料なら無料にするとか、ランクづけというようなことはやめたらどうですか。税金はちゃんと所得に応じてランクつけて払うているんですから、もう一遍ホームヘルパーにまでランクつけてD階層は三百五十円というのはけったいな話です。その辺はどうですか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) 先生御指摘のように昭和五十七年からこの所得要件を撤廃したわけでございまして、それまではいわゆる所得税非課税世帯だけだったわけでございますが、五十七年から世帯対象を拡大いたしました。そのときに、社会的に見て公平という見地から所得税の課税世帯につきましては、負担能力に応じて費用負担をしていただくということで、御紹介がありましたように、前年の所得税額に応じまして階層を区分して二百円から六百五十円というふうに、それぞれ階層ごとに利用者負担額をいただいておる格好にしています。ヘルパーの費用というのは国庫補助で手当て額が行われているわけでございますから、負担の公平ということを考えた場合には、所得能力がある人については、その能力に応じて費用負担をしていただくというのはむしろ当然ではないだろうかと思っております。  なお、私どもの内部で把握をしております資料では、派遣世帯のうちで課税世帯の割合は、例えば六十二年と六十三年度を比べますと、六十二年よりも六十三年度の方が課税世帯の割合がふえておるということで、私どもはこれはむしろ、今申し上げましたように五十七年から始まったことなんで、次第次第に所得階層にもこのヘルパーの制度が定着をしていっているんじゃないだろうかというふうに私どもなりに把握をしております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 私はこんなのやめたらいいのになと思うんですわ。どうしても取らないかぬというんなら、ランクをつけぬでも、一定の金額にすればいいと思う。だってそうでなかったら、十カ年戦略で十万人ヘルパーが来るという段階になったらどないします。これみんな対象者はその市町村の職員が、今だったら福祉事務所ですね、それ決めるのでしょう。勝手に行かれへぬのです。ちゃんと市町村が決めるんでしょう、このランクづけは。これは変わらぬのでしょうね。いかがですか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) それは制度としては変わりませんが、運用の仕方はいろいろ工夫があると思います。既に行われていますように、まず適用して、それから所得状況を把握するとか、そこのところは運用には妙があるわけでございまして、その心配は要らない、乗り越えることはできるだろうと思っています。社会的に見て、公平の見地から見ますと、相当の所得のある人と余り前年所得税がない人と比べて同じ料金だというのも、公平バランスからするといろいろ意見が出てくるところではないかなという感じがいたします。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 こんなところへランクをつけていくと、民間ヘルパー事業が若干広がってきていますね。大阪の業者も少し調べてみましたけれども、ここら辺では看護専門職のサービスなら一時間三千円ですが、付き添い的サービス、そういうヘルプサービスだと最低が千円、ほぼ平均が一時間千五百円。そういうふうになっておるわけでございまして、本当に老人介護あるいは身障者介護、在宅介護の実を上げようと思うならば、この辺は、うんと所得の高い方は民間のさまざまなサービスもあろうと思いますから、御利用になるのはよろしいと思いますけれども、一般的に老人在宅介護あるいは身障者在宅介護というものを本当に定着させようと思えば、公的サービスというものが基礎にならないとだめじゃないかという点で、私はこんなランクづけはやめた方がいいなと思ったわけでございます。  余りもう時間がなさそうなので、もう一つは施設入所サービスの問題があるんですね。これは同僚議員からも大変詳しく御質問もありましたから多くを申し上げません。しかし、在宅サービスを手厚くしていくと同じ水準で施設サービスも定数や措置費を考えていかないといろいろ問題が多過ぎます。非常に単純な話をしますと、お年寄りというのはトイレの回数多いわけでしょう。特養ホームなんかで、朝になったらもう同じ時間になって、たくさんないらしいね、ワンフロアに。だっと並んでいるというんだね。余り並んでぐあいが悪いからいうておしめにするとか。まあそういうことになったら何のために福祉対策をやっているのかわからぬということになりかねないので、その辺はぜひ職員数の配置あるいは措置費の水準というものを考えるべきだと思うんです。  個別問題で一つ言っておきますが、今は、特養に入っている人が病気が悪くなってどこか近くの病院へ入院する、三カ月を過ぎると前のベッドへ帰れないらしいね、もうだれかが入ってしまって。そうしたら行くところないんですわ。そういうことで、最近では病気が治らないままでも三カ月になると慌てて飛んで帰らないかぬということになっている。事実あるんです。そういうことは何とか弾力的な運用をなさる必要があるのではないかと思います。いかがでしょう。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) おっしゃいますように、入院とかその他の事由によりまして、特別養護老人ホーム以外の場所で生活する時間が三月以上にわたることが明らかになりましたら、その入所措置が廃止されるという扱いにしています。おっしゃいますように、かなりまだ入所待機者がいるということで、結局空きベッドが生じないように、一定の期間あけばそこへ入れるということを考えているわけでございます。  緊急的に私ども待機者の解消ということで整備をしたいと思っておりますのと、それから先生御指摘ありましたが、措置を廃止をされた人で再び措置が必要になったという場合には、もちろんベッドがあいていないと何ともなりませんが、本人の入所の緊急性等を勘案して再措置というのは私ども道としては開いているつもりでございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 これはもう当たり前で、五日や一週間おくれたからいうて部屋ありませんて、そうでなくてもお年寄りは人間関係が大事なんでしょう、実際。いや、緊急やったらどこぞへまたつくりますといったって、知らぬところへほうり込まれたら、それでもう悲観して命が縮むかもわからぬ。もっと弾力的に考えてもらいたいと思うんです。  それから、ちょっと私、父子世帯問題を聞いておきたいなと思ったら、今度の法改正で父子世帯に対しても対応をされるらしいですが、これは非常に難しい問題ですね。現に枚方ではやっておられるんですが、父子世帯というところは、近所の奥さんが、あそこの家気の毒やから、子供かわいそうやから思って手伝いに行っても、何ぞ関係があるんと違うかと疑われるんで、もう行ってあげたいのはやまやまでも行けない。そういう状況を判断して的確な対応をするということが非常に大事です、制度としていよいよ発足するわけですから。これは念のために申し上げておきます。  もう時間がありませんので、最後に私、やっぱりマンパワーの問題だと思うんですね。この人手不足のときに、十カ年戦略いうて十万人のヘルパーというんだけれども、ヘルパーだけと違うんですね。社会福祉事業に努力をしてくださっている人たちというのは非常に大事だと思うんです。本当にヘルパーさんを初めすべての職種の人たちの処遇を考えませんと、そこの処遇がうまくいかないために十カ年戦略は破綻するかもわからない。  だって現状はどうかといいますと、これは八九年ですから、去年の賃金の水準を見て驚きました。高卒で通常の全産業の給与の比較をしてみますと、マイナス三万八千四百円です。それから大卒ではマイナス五万二千八百円、短大卒でマイナス二万八千四百円。女子では大学卒はマイナス二万二千三百円、短大卒でマイナス八千六百円という状況なんです。  だから、どういうことが起こっているかと思って、私これたまたま大阪府立大学の社会福祉学部の卒業予定者、卒業者の就職状況を調べてみたんです。社会福祉学部ですよ、そこの卒業生が六十二年度三月の卒業生は四十六名中二十名が、これがしかも医療、福祉、それから公務員、これを含めて何と二人に一人、四三%です。六十三年度を見たら卒業者五十七名中十八名です。三一・五八%、三人に一人はわざわざ社会福祉学部で学んでこの分野で大いに能力を発揮してもらわなくちゃならない方々が銀行や商社、その他の産業に就職をするという事態が起こっている。そのことはマンパワーを確保していくという点では処遇をきちんと一般産業並み、あるいは一般産業よりよくしなきゃいかぬのじゃないですか。三Kと言うていますよ、大学の卒業生、福祉学部の人たちが。汚い、きつい、危険、三Kだと。だから敬遠するんだということが現実に言われている。その状態では十カ年戦略が成功しない。私はヘルパーについても何とかきちんと常勤体制でやりなさいということを言うたのはそういうことなんです。その辺のことについて、お考えがありましたらひとつお答えをいただきたいと思います。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 今度の十カ年計画は、もとより我が国の福祉を困難にならしめる可能性のある最大の問題はマンパワーの問題であろうと思います。委員御指摘のとおりであろうと思います。学校を出た方が本来学んだところへ行かないというのは、例えば保母さんとか、それから場合によっては看護婦さん、準看護婦さんなんかについてすら言われるような御時世になってきております。今、人が少ないという、完全雇用状態でございますからあれでございますが、いずれにいたしましても処遇については十分考えていかなければならないと思っております。ただ、処遇と申しましても多様な勤務体系に応じたものを考えていくということが肝要であろうと思います。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 もう時間ですから終わります、残念ですけれども。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 我が国の三千三百の市町村の中には、山村、離島などの過疎地から大都市までそれぞれ非常に異なった条件の中で仕事をしていると思います。今回の法案で福祉サービスの充実という方向はわかりましたけれども、一体どんなサービスがどの程度利用できるのかということについては明らかにされていないと思います。したがって、すべての国民に対して特別養護老人ホームなどの施設福祉やヘルパーやデイサービスなどの在宅サービスについて一定の福祉サービスの水準を保障していくためには、何らかのミニマムの基準を設定すべきではないだろうかと思うのですけれども、いかがでございましょうか。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 確かに市町村の財政事情さまざまでございますし、その置かれました社会経済的な状況または地理的な状況、さまざまであろうと思います。したがいまして、私どもとしては、市町村がそれぞれの地域の中で特色を生かしながら福祉の内容を充実していただきたいという気持ちを持っておるわけでございます。実は、今回の全体の体系の中では老人、これはすべての町村の福祉の課題の中で最も共通するものであると思いますが、老人の福祉問題につきまして、老人保健、福祉計画というものを各町村の中で策定をしていただきたいということを法定化いたしたわけでございます。  ミニマムはどういう形で設定するのかという御質問でございますが、ミニマムの設定というのはなかなかに現実には難しいかと思うのでございますが、ある程度のマニュアルというものを私どもとしてはつくりまして、各市町村におきますそういった計画の内容につきまして、ミニマムということではないかとは思いますが、一定のレベルが確保できるようなそういう方向づけを考えておるわけでございます。  その他の福祉の部分でございますが、今回の社会福祉事業法の中で、市町村がこの福祉について計画的な実施をしていただきたいという旨の規定を置いております。これは法律上義務化をしておりませんが、ほかの福祉の分野につきましても、各市町村が御自分の社会経済的な状況を十分踏まえた上で御自身の福祉の一つの目標を持っていただきたいと、こういうことで法律化をしておるわけでございまして、この点につきましても、私どもとしてどういうような形のものが、これは幾つかのタイプが出てくるのではないかと思いますけれども、市町村の福祉の水準が地域によって余り著しい格差の生じることのないような技術的な意味の指導はさせていただきたいと思っております。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 ぜひによろしくお願いしたいと思います。  次に、すべての事業について言えることだと思うのですけれども、財政基盤の脆弱な自治体では何もできないということですから、どんどん取り残されていくのだろうと思うのです。そうなれば、先ほど同僚委員も申しましたけれども、市町村によって住民の受ける恩恵の格差は広がってくると私も思います。国がせっかく福祉予算を増額しても活用できない団体だとか市町村があれば、住民には何のプラスにもならないのではないかと思います。特に、人員とか財政力などの行財政の基盤の弱い過疎地、そこの市町村については一般の市町村以上の手厚いいわゆる国の支援措置がなされなければ福祉の充実についても容易ではないと思うわけです。先ほど大臣の方からも、国が地方財政への配慮は十分にしていくんだというふうにおっしゃいましたけれども、過疎地などの市町村についてどのようなきめ細かな支援措置というのが講じていかれるわけでしょうか。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 今回の全体の財政措置でございますが、政府全体といたしましてこの財政措置については検討していかなければならないものと思っております。私どもは、いわば国が直接負担します部分につきましての予算措置をするわけでございますが、地方財政全体といたしましては、関係省庁と十分御相談をいたしまして、今おっしゃいました財政基盤の弱い過疎地などがこの福祉の目標を達成することができるような、そういう対応が十分できるよう十分政府部内で相談をしてまいりたいと思います。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 このように過疎地の市町村があるという一方で、東京などのような大都市では土地問題があって特別養護老人ホームなどの施設の整備がほとんどできていないというような午前中の日下部委員からも御指摘があったと思います。デイサービスとかショートステイについても、そのサービスの拠点となる特別養護老人ホームや老人保健施設の整備が進んでいかなければ在宅福祉サービスの充実はないだろうというように私も思います。大都市の特別養護老人ホームなどの整備については今後どのような方策を講じておいきになるか、伺わせていただきたいと思います。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) 大都市部でのそういう関係の施設の確保は極めて重大な問題だと認識しております。土地の確保の問題につきましては、従来から一般原則の例外をつくっておりまして、一般原則は、要するに施設用地は自己所有ということになっておるわけでございますが、大都市の場合には地上権などの利用権の設定で十分ですということにしておりますのと、用地の取得費につきまして社会福祉・医療事業団の低利融資の対象にするというふうなことを従来やっております。なお、こういった関係施設の設置を促進する必要がございますので、公有地の活用とか民有地の借り上げとか他の施設との複合化とか、こういった積極的な工夫を各地方団体で進めるようにお勧めをしておるところでございます。  それから、私どもは特に老人保健施設につきましても、大幅な整備が必要であるというふうに考えておりますので、平成二年度の補助金の中で、大都市部の整備につきましては特別な配慮をする、単価を少し上げるというふうなことで配慮をしておりますのとあわせまして、病床の転換をするということで、既存の病院の病床転換を図るという、その促進型の補助制度を重点的に行うというようなこともあわせ行っているところでございます。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 それでは次に、在宅サービスについてお伺いしたいと思うんですけれども、在宅介護というのはどれぐらいの症状の方まで介護することなんでしょうか。最後まで自宅で介護する、もうみとっていくというところまでのことなんでしょうか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) いろんなケースがあろうかと思いますが、私どもは原則的に考えておりますのは、お年寄りが今まで住みなれたところで住みたい、親しくつき合っている人とずっとつき合いをしながら生活をしたい、その希望というものを満たしてあげるようにしたいということを考えているわけでございます。  イメージとしましては、在宅で生活が可能な御本人の状況あるいは家族の状況であれば、そこに必要な居宅介護を支援するということでございますし、どうしても自分の家でそういうことが対応できないということであれば、必要な施設を利用していただくなり入所をしていただくということが必要だと考えております。ですから、それはそれぞれの家庭における介護力ということと、それから外部からの支援体制との関係等で非常に微妙になってくるということだと思いますが、最後まで家庭で面倒を見よというふうに強制するようなつもりは決してございません。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 今回の法改正では、在宅福祉サービスの推進ということで重点に挙げられていると思います。この在宅福祉で求められているサービスとは、具体的にどのようなものがあるとお考えなのでしょうか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) まず、相談ができるということが一つ必要だと思っております。そういう意味で相談窓口を開設する、従来からシルバー一一〇番というふうなものを開いて総合的な相談体制をしいておりますが、それとあわせまして、市町村が公的福祉サービスを提供しますが、その市町村とそれぞれの老人なり老人を支えておる家族との間のコーディネートをするという、在宅介護支援センターというふうなものを置いて、いずれにしても、その市町村と必要とする人たちとを結びつけるということが必要だと思っております。その上で、在宅での生活が送られるような環境であれば、その必要性を判定しまして、いわゆる在宅三本柱、ホームヘルパーであるとかデイサービスであるとかショートステイとか、こういったことをやるほかに、日常生活用具の給付をするというふうなことも考えていきたいというのがいわゆる在宅介護のサービスの内容でございます。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 ナショナルセンターの連合が昨年の六月に組合員四千人を対象にしたアンケート調査があるわけですが、在宅介護サービスで求められるものの第一位には緊急時の対応ができる体制というのが挙げられております。これは在宅介護の場合には、何かあったときの連絡だとか、先ほどおっしゃいましたけれども、相談窓口だとか、また医療とか介護の受け入れ体制などを求めているんだろうなと思います。この緊急時の対応というものについては行政レベルでどの程度整備されているのでしょうか。在宅福祉サービスを重点的に推進していくということであれば、当然こういうことは考えなければいけない、対応しなきゃいけないと思っておりますけれども、いかがでしょうか。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) 従来はひとり暮らし老人に重点を置きまして、緊急通報装置であるというようなものを日常生活用具で給付をして、ひとりで暮らされているときにも何かあったときにはぱっと連絡ができるようなということを考えておりますが、先生御指摘のように寝たきり老人を在宅で介護されている場合にも、そういったお年寄りが急変をしたというときにどっかで相談ができる体制というのは必ず必要だと思っております。それは本日のこの委員会での御議論でもございましたように、地域全体で寝たきり老人をお世話するという発想が必要だと思いますので、これからそういう組織づくりを必要とすると思いますが、とりあえず私どもの今回の対応では、在宅介護支援センターを身近に整備をしまして、二十四時間相談できるような体制に持っていきたいというふうに考えております。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 同じく連合の調査では、緊急時の対応体制ということに次いで、第二位では三四・五%の人が介護手当の支給というのを挙げられておるわけです。女性の社会進出が今日これだけ進んできますと、在宅介護は何といっても女性にしわ寄せされるのではないかと思うわけです。その場合、共働きであれば女性は仕事をやめるか、または長期休暇をとらざるを得ないわけなんですね。そうなってくると収入はなくなるし、支出はそれ以上になってくるということで、負担を軽減するためにも公的な介護手当の制度ということの創設が大切だと思います。先ほど大臣の御答弁の中にも、位置づけが難しいと、現実にそういう介護を行っている人たちがもっと必要なものへのサービスを考えているんだというようなお答えだったんですけれども、それこそ公的責任と役割を果たすというような主張に結びついていくので、自助努力のみにゆだねることなく、積極的に公的責任を全うするために、こういった公的な介護手当の制度というのを私も創設してほしい、すべきであると思いますけれども、再度お伺いさせていただきます。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 介護手当の問題についてまず申し上げますが、私は介護を必要とする御家庭への国の責任に線を引いて申し上げているわけではないわけでございまして、要するに介護手当というものが本当にどういうふうに機能するかということを考えてみた場合に、どこの御家庭でもほとんどそういう状況にあるということであれば、一体介護手当というものがどういうものになっちゃうのかなと。それで非常に広く皆さん方同じ事情にあるときに差し上げた場合にどういう効果をもたらすのかという点について慎重に検討する必要があるから、国の制度として今にわかに取り上げる段階ではないということなんでございまして、むしろ実際介護の必要な方にまだやってさしあげなければならない具体的な措置が余りにもたくさんあるものですから、まずそれに専心取り組ませていただきたい、こういうことを申し上げた次第であります。御理解をいただきたいと思います。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 先ほどのアンケートの第三位なんですけれども、家事援助サービスというのが第三位に挙がってきておるわけです。これは労働省の方にお尋ねしたいと思うわけなんですが、在宅介護の場合、妻とかまた嫁とか、あるいは娘というのが面倒を見るという概念があるというのは御存じのことだろうと思います。共働きの場合の女性の家事労働時間というのは三時間三十一分というのに対して、男性の場合はわずか八分という調査があるわけです。この厳しい現実を乗り越えていくには社会とか企業が現実を正しく認識して真の男女平等に向けて大胆な発想の転換が求められると思うんですけれども、しかしこれも大変難しいわけです。それに介護を要する病人を抱えてくると女性の負担というのはもうどんなか御想像できますでしょうか。ちょっとここでお答えいただきたいと思います。

堀内光子労働省婦人局婦人福祉課長

○説明員(堀内光子君) 今先生御指摘ございましたとおり、女性の方でいわゆる共働きと申しますか、その方たちの生活時間を見ますと、男性の方に比べまして家事に費やしている時間が多いという調査結果は私どもの方も承知いたしております。そういうことで、先生御承知のことと思いますが、昭和六十一年から施行されております男女雇用機会均等法は、女性が職業生活と家庭生活の調和を図りつつ就業をするということを書いているわけでございまして、従来育児という問題は、大変女性が仕事をする場合に大きな問題であるというようなことが出ておりましたし、そういうことの中で育児休業制度の普及促進をいたしておりましたが、現在高齢化社会の中、それから核家族化ということの中で介護を行っております労働者にとりまして介護という問題が大きな負担になってきつつあるということを私どもの方も認識いたしているところでございます。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 女性に非常に負担がかかってくるということでこの三位が出てきたと思います。最も日常的に必要な家事援助サービスが欲しいということだっただろうと思います。  また、連合の調査で恐縮なんですけれども、生活福祉調査の中でも老親、老いた両親の扶養について、最後まで自宅で介護したいというようにしている人は、男性では三一・九%なんです、女性は二二・七%と、やはり九・二%も低くなっておるわけです。自宅でできないので施設で介護という人は、男性が一〇・三%、それに対して女性は二〇・四%と高くなっておるわけですね。このように在宅介護については女性に期待がかかる一方、現実にはその負担が極めて重いということで女性の側では悲観的な考えを持っているということがよくわかると思うんですね。  今回の大きなねらいである在宅福祉の推進というのは、このような女性の負担を軽減するものでなきゃならぬと思うんですが、労働省の方、いかがでしょうか。

堀内光子労働省婦人局婦人福祉課長

○説明員(堀内光子君) 先生御指摘のように、家庭生活の中で大きな問題を抱えた場合には労働者の方が大変な御負担を持っているというのは御指摘のとおりでございます。  今御指摘にございました介護という問題、私どもの方で調査等を見ましても、女性の方が現実には物理的に介護なさっているという実態にあるわけでございます。そういった中で女性の方がいろいろな家庭生活を果たしつつ職業生活との調和が図れるような措置を今後とも私ども推進してまいりたい、かように思っているところでございます。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 よくわかっていただいているんだと思いますけれども、寝たきりの介護というのはそれこそ大変なものなんです。私も母が四年、五年と寝ましたものですから介護したわけなんですけれども、それこそ排便の世話からシーツの交換から、寝巻きなどの着がえから、ふろに入れるとかというようなことで非常に大変なんです。その場で長いこと寝さしておきますと畳が腐ってくるというようなこともありまして、寝ているところを移動させていかなきゃいけないというようなこともあるわけなんで、それはもう女性だけが大変なんです。先ほど介護休暇については、そういう要求があるだろうから前向きに考えていかなければならないというような御答弁もございましたけれども、介護休暇についても女性だけでなく男性にも認めるような制度をより一層の普及拡大を図るべきだと思うんですが、行政としての取り組みはいかがでございましょうか。

堀内光子労働省婦人局婦人福祉課長

○説明員(堀内光子君) 先生の御指摘のございました介護休業制度につきましては、介護休業制度の必要性は今後高くなるものというふうに考えておりますので、この制度の普及促進を図ってまいる所存でございます。  なお、現在民間企業で実際に実施しております介護休業制度の労働者に対する適用を見ますと、ほとんどの企業が男女共通の制度としてこの制度を適用しているという実態にあることをつけ加えさせていただきます。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 また連合の組合員に対しての調査で、年とった両親の世話をする可能性がありますかということに関して、五二・九%、現在世話をしているというのは一五・八%、合わせますと六八・七%で、約七割の人たちが介護しなきゃいけないな、可能性があるなと思っているわけです。そして、親の介護が必要になった場合の対処方法では、寝たきりの場合で、症状が重くなったら施設で介護する、自宅でできないので施設で介護してほしいというのを合わせますとこれまた六八・三%であって、最後まで自宅で介護したいとする人の二倍から三倍になっておるわけですね。今後寝たきり老人だとか痴呆性老人の要介護老人が増加するという中で、在宅の介護、それを絶対にうまくやっていく、満足できるようにしていくというためには、十カ年戦略の目標ではこのニーズに果たしてこたえられるんかなどうかなと、もっともっと充実していく施策をしていかなきゃいけないなというように思います。  この十カ年戦略のことなんですけれども、今度は厚生省にお尋ねするわけなんですが、高齢者に対する保健、福祉サービスの充実がうたわれているわけなんですけれども、これからの我が国の福祉の充実のためには身体障害者、精神薄弱者、それから児童、母子等についても十カ年戦略を策定してその充実を進めるべきであると考えるわけです。今回の十カ年戦略については身体障害者、精神薄弱者、児童、母子等いわゆる六法案といいましょうか関連八法案でしょうか、に対する福祉も盛り込んだ総合的な十カ年戦略を改めて策定すべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) これからの我が国の福祉を向上強化させるためには高齢者にとどまらず身体障害者、精神薄弱者、児童、母子等の問題についても同じように積極的に取り組むべしと、そのとおりであろうと思います。そういう観点から今御提案を申し上げております法案は関係の八法案、八法律について必要な改善を加えようというものでございますが、今私どもが心がけておりますのは、それぞれの地域社会で福祉が行き渡るような細かいネットワークをつくり上げたいということでございます。ですから、御議論いただいている在宅介護支援センターは、まさに在宅介護の支援であるという意味において身体障害者の方にもそのほかの方にも、高齢者ばかりでなくてそのまま使えるシステムをつくろうということでございますから、まずこれをしっかりとつくらせていただきまして、その間、身障者その他の方々についても施策を充実してまいりたいと思います。今そういうふうに進めさしていただきたいと思います。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 ホームヘルパー十万人ということで老人だけでも大変かなということなんですが、すべての人にすばらしい介護ができるようにということでよろしくお願いしたいと思います。  次に、地域住民の参加問題についてなんですけれども、今回の改正案では住民に身近な市町村で福祉行政を進めていくということは先ほどからずっと強調されているわけなんですが、地域における福祉を推進して安心して暮らせる社会をつくっていくというためには地域住民が老人福祉計画の策定に積極的に参加していくということが大変重要なことだろうと思うわけなんですが、国の示すガイドラインにどうこの考え方を盛り込んでいかれるのか。そしてまた、社会福祉事業法に「基本理念」と「地域等への配慮」の規定が追加されておりますけれども、これはどのような考え方に立ったものなのか。  また、もう一つついでに言いますと、サラリーマンも含めて地域住民が自主的に参加する福祉活動を推進していくためには、どのような施策を講じておいでるのか、具体的に示していただきたいと思います。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) 老人保健、福祉計画につきましては、国がガイドラインを示すことにしておりますが、計画の策定に当たりましては、先生御指摘のように地域住民の意向を反映していくということは、地域のニーズを把握する観点から基本的な事項と考えておりますので、ガイドラインの中で配慮すべき事項として位置づけていきたいと思います。  それから、社会福祉事業法で、そのほかの対象者についてもあわせまして計画的に取り組んでいけということでございますが、私ども、それぞれの市町村、都道府県においてそういう幅広い福祉計画というのを考えておいでのはずでございますので、この老人保健、福祉計画との整合性を保ちながら、全体的な福祉の仕事を計画的に進めていただきたいと考えております。  なお、最後に触れられましたサラリーマンが地域参加するということでございますが、一つの方策としましては、社会福祉協議会を特に活性化をしたいということを今度の法律で考えておりますし、それからいわゆる福祉公社というふうなものもこれから育てていきたいと考えておりますので、そういう参加の場というものもいろいろ考えながら、余裕のある時間にはそういう福祉活動、ボランティア活動にも御参画いただけるような組織化、それから情報の提供、そんなふうなことに努めてまいりたいと思います。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 今社会福祉協議会の問題が出ましたので、まだちょっと時間がありますので、通告いたしておりませんけれどもお願いしたいと思います。  市町村社会福祉協議会に、今新たに社会福祉を目的とする事業の企画、そして実施が加えられていますけれども、今なぜこの社会福祉協議会の事業拡大なんでしょうか。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 今回の全体の法律改正の中で、我々の住んでおります地域を福祉の意味でさまざまな形で充実したサービスのネットワークができるようなものに変えていきたいと、こういうことが全体の考え方の基礎にあるわけでございますが、その意味では地域の中にありますさまざまな団体、これは民間の団体がほとんどだと思いますけれども、さまざまな団体の方がこういった地域の福祉への参加をしていただくということが大変重要だと思っております。社会福祉協議会は、本来的には社会福祉事業を行う方々、それから住民の方々が、こういった福祉の問題についてお互い協議しながら、その地域の福祉を充実するための活動をしていただくための団体でございますが、現在の法律の規定の上では、市町村の社会福祉協議会自身が何か具体的な事業をするということについてやや支障があるような形になっております。  私どもは、この改正の検討をいたしました際に、いろんな地域の社会福祉協議会の御意見を聞いたわけでございますが、そこで具体的には、例えばホームヘルプサービス的なことをやる場合、それからボランティア活動というようなものをもっと積極的にやっていく活動をやる場合に、社協自身が何か事業をやっているということが非常に事業の活発化のために役立つのではないか。ですから、社協自身が何か事業をやることが、必ずやらなくちゃいけないという意味ではなくて、やることができるということもひとつ考えてもらったらどうかという御意見がございました。私どもはこれは一つの御意見として大変もっともな御意見ではないかという気がいたしましたので、このことをこの法律改正の中に入れたわけでございます。もちろん当然市町村の中で、先ほどお話がございましたように、自分のところの地域の福祉がどうあるべきかということを皆さんで集まっていただきまして検討していただくわけでございますから、その中で社協はひとつこういうような活動をというふうに出てまいりましたときに受けとめることができるようにと、こういう趣旨でございます。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 それでは最後にもう一つだけ、社協のことについて聞かしていただきたいんですけれども、今回の法改正で新たに第二種というふうに位置づけられた事業は幾つかありますね。それは幾つなのでしょうか。それでまた、その理由は何なのでしょうか。聞かしていただいて、終わらせていただきたいと思います。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 幾つと言われまして、急にでございますので、ちょっと数を正確に申し上げられないかと思いますが、概略申し上げます。  今回、在宅福祉サービスを法律上きちんと位置づけたいということでございますために、それを全体として位置づけたいということが非常に大きな改正でございます。そういう意味では第二種の社会福祉事業につきましての改正部分が多いわけでございますが、老人福祉法、身体障害者福祉法、児童福祉法等によるこの場合の居宅介護の事業、デイサービス事業、短期入所事業、いわゆる在宅三事業でございますが、これを追加いたしました。これが一番大きい事業かと思います。  それから、第一種の社会福祉事業の中に、精神薄弱者福祉法にいう精神薄弱者通勤寮、精神薄弱者福祉ホーム、これを追加いたしております。  それから、これはいわば従来のものの中でやや概念的に入っておるかどうかわからなかったという意味で明文化をいたしましたものが、精神薄弱者福祉法にいう地域生活援助事業、いわゆるグループホームでございます。それから名称変更をいたしましたものが身体障害者福祉法にいう点字図書館、点字出版施設、これを視聴覚障害者情報提供施設というふうに名称を改めまして、耳の御不自由な方のためのこういった情報提供施設も読み込めるような形のものにいたしておるわけでございます。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 ちょっと数字。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 申しわけございません。数は後で申し上げます。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 どうもありがとうございました。

西川潔参院クラブ

○西川潔君 どうぞよろしくお願いいたします。  これまで審議をお伺いしておりますと、今回提出された十カ年戦略にどれぐらい必要であるかというふうに僕はとらえてお話を聞かせていただきました。早朝より本当に御苦労さんでございますが、縦、横、斜め、本当に広く深く投網をかけるような質問ばっかりございましたんですが、お伺いしておりまして、十年、十五年、二十年たったら一体どういうふうな国になるのかな。  ここで、まず厚生大臣にお伺いしたいんですけれども、具体的に今後どういう段階でもって十カ年戦略の達成をされるのか、お伺いしたいと思います。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 十カ年戦略を実現していくこれからのステップということでございますけれども、毎度お答えをしておりますように、年々の予算編成を通じまして着実に事業を広げ、予算を確保してやっていく。その間地域の方では地域の福祉サービスの仕上げのための努力をしていただく。そして、平成五年度以降ますます市町村が自信を持って地域の福祉サービスの先導役を務めていただくと同時に、国はこれに必要な予算とガイドラインをお示しする。こういうことになっているわけでございまして、十年という長い年月をかけて目標を示したわけでありますが、今からこういうステップでこういうふうにと申し上げるよりも、やはり歩きながら真剣に考えていくと、そして努力を一つ一つ積み重ねていくということの方が今は大事ではないであろうかと、余り国の方から出発点からシナリオを書き切ってしまわない方がいいんじゃないかというのが私の考え方でございます。

西川潔参院クラブ

○西川潔君 この十カ年戦略によりますと、きょうもいろいろ質問が出たわけですが、在宅介護支援センターを全国に、いろいろ読ませていただきますと一万カ所おつくりになるというふうに言っておられるんですが、この中には幾ら見ても出てこないわけですが、自宅でお年寄りの世話をする家族の苦労、毎度申し上げますが我が家にも三人おります。もう二十三年生活をしておりますが、子を持って知る親のありがたみで、本当に親孝行できることは幸せです。幸せを感じるんですが、なかなか元気でございますので、いろいろ嫁しゅうととか、そして病気になったり寝たきりになりますと、先ほど乾先生もおっしゃっておられますが、何でこない長生きするのかいなあというふうに思いたくなるときも本当に多々ございます。こうして十カ年戦略、いろいろ出ておりますが、こういうことも、幾らこうして我々書類をいただきましても、ちゃんと支援をしていただく、先ほど部長さんもおっしゃっておられましたが、二十四時間体制でこれからはやっていかなければいけないんだというふうにおっしゃっておられました。ということは、二十四時間いつでも相談に応じてもらえるというところをつくってもらわなければいけないわけです。  そして、私は気になりましたので、この在宅介護支援センターという質問をさせていただくわけですが、大変重要なポストであると思いますので、一日も早くつくっていただきたいんです。ところが、在宅福祉サービスを重視しておられるはずのこの法律案を拝見させていただきますと、ホームヘルパー、デイサービス、ショートステイ、すごく大きな扱い、これはわかるんですけれども、この在宅介護支援センターというものも、これをぜひこの三つと同じぐらいのところに何とか置いていただけないかな、一万カ所もつくるものが一行も出てこないということは大変私は心配しておるのですが、いかがなものでしょう。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) ちょっと法律の書き方が非常に技術的になっておりまして、お見落としになったのではないかと思いますが、改正の老人福祉法第六条の二という改正後の条文での規定で、「介護支援相談」という規定を置いております。市町村は、在宅の老人及びその家族について特に専門性を必要とする相談指導を老人デイサービスセンター等において行うことができるなり、あるいは市町村以外の者の設置するこれらの施設に委託することができるということで、条文上は整備をしているつもりでございまして、この規定で今まで御説明をしておりますいわゆる在宅介護支援センターを動かしていきたい、これがそれを表現しているものであるというふうに理解をしております。

西川潔参院クラブ

○西川潔君 そうでございますか。なるべく今お答えいただきましたようなことで進めていただきますと本当にうれしゅうございます。まず二万人ももう待っておられるとか、そして、この前予算委員会で総理にも質問させていただきますと、やはり老後は家内に見てもらう、娘に見てもらうというふうにおっしゃっておられました。おうちで世話をしておられる皆さん方は、役所の前の広報板のところまで一々見に行くというようなことはなかなかできないものですから。  そこで、先ほど来出ておりますいわゆるシルバー一一〇番でお尋ねをしたいのですが、各都道府県で相談窓口を設けておられます。私もかねがねこのシルバー一一〇番は住民に密着した行政の大変すばらしいサービスであると思います。及ばずながらですが、先日もこのポスターが、老後八〇八〇、シルバーデイサービス、ショートステイ、ホームヘルパー、そういうふうなポスターができたということをお伺いして、大阪の朝日放送というところでございますが、朝六時から福祉の番組をやらせてもらっておりますが、そういうところでPRをさせていただきましたら、大変な効果がございまして、たくさんの方々からお便りをいただいたり、そしてお電話をいただいたんですけれども、なかなか今言いましたように、現在までは行けるものではございません。  政府の方でも本当にすばらしいポスターをつくっていただいたと僕は感謝いたしておるんです。でも、このシルバー一一〇番について今回の法律案では、大変大事なことですが、どのように位置づけられておられるのかな、そして事務所で手分けして、また大阪へ帰ったときにはいろんなところへ電話をさせてもらうんですけれども、まだ全国的に普及してないというか、窓口の方も理解をしていらっしゃらないという方々もおられるようですが、ぜひお伺いしたいと思います。

岡光序治厚生大臣官房老人保健福祉部長

○政府委員(岡光序治君) 先生には本当にいろんな場でこのシルバー二〇番を初め老人福祉の仕事に御協力をいただいておりまして、改めて感謝を申し上げる次第でございます。  今御指摘のこのシルバー一一〇番、この法律でどう位置づけているのかということでございますが、これは要するにお年寄りなりその家族の方に対しまして各種の相談をするということでございますので、いわば一般的な相談事業でございます。したがって、これは当然都道府県なり市町村が行う仕事であるということでございますので、改めて法律にそういうことを書く必要はないのではないかというので明文の規定は置かなかったところでございます。  なお、先生御指摘のように、このシルバー一一〇番の活動状況を見ますと、なおなお考えなければいけない、改めなければならないところがあると思いますので、相談体制をより充実するなり、それからお年寄りなりお年寄りを抱えている家族の方々にそういうものがあるんだと、あるいは気軽に相談できるんだということにつきまして、十分これからも努めてまいりたいと思っております。

西川潔参院クラブ

○西川潔君 そういうふうに感謝の気持ちをいただくとうれしゅうございます、厚生省の偉い方にいつもPRをしていただいてと。僕もPRは一生懸命させていただきますので、いろいろ勉強して資料を集めて真心で質問をさせていただいておりますので、偉い立場の方ですから、質問をさせていただいた分は後で実行に移していただきますようにひとつよろしくお願いしたいと思います。  重要政策で載ってないということは、書かれてないということは、我々素人にいたしますと、余り大切なことではないのかな、また大切に思っていらっしゃらないのではないかなというふうに心配をするわけですが、もう一つ上の方にお伺いしたいと思いますが、大臣、いかがでございましょう。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) シルバー一一〇番は、大変西川委員の御協力をいただいて反響が大きいということで私どもも喜ばせていただいております。この制度の一層の充実を図って御期待にこたえたいという点は今政府委員から申し上げたとおりでございますが、こういう相談体制のPRというのは、法律に規定がされているかないかは別として、一番大事なところでございます。  それで、ちょうど先ほどの在宅介護支援センターについても実は申し上げたいわけでありますが、大変わかりにくい形で法律には入っておりますが、私は今度のゴールドプランのあれがかぎだと思っております。委員御指摘のとおりで、あそこがかなめであると。  それで、どういうふうにイメージしていただくかといいますと、西川委員はPRの専門家ですから、私が地元でどう言っているかといいますと、全国に一万カ所つくるから大体中学校区に一カ所できるんですよと。これは何をやるかというと、基本的に福祉をお宅にお届けする出前、福祉の出前をするんですと。その出前をするときに、例えばおそば屋さんでもおすし屋さんでも電話をかけるでしょう、だから出前をしてもらうときには皆さん方が安心して電話がかけられる場所が必要でしょう、そうだ、それが在宅介護支援センターです、それで学区に一カ所ぐらいつくるんですよ、こう言いますと、ははあ、なるほど困ったときには電話をすればいいんだな、そこには二十四時間いますよ、こういうふうに今PRしておりまして、そこまで申し上げると、なるほどそことの接触が今度のゴールドプランの一番の、何と申しますかかぎだなというのはわかっていただけると思います。  今回こうやって法律をお認めいただき、また予算が実行に移されます場合に地域ごとに支援センターができ上がってまいりますから、その場合にはどうか委員も実情を見ていただきまして、そして非常に大きなお力持っておられるわけですから、今のシルバー一一〇番同様この支援センターについてもどうかPRしていただきたいと思います。こちらも御期待にこたえるようにつくり上げてまいりたいと思います。

西川潔参院クラブ

○西川潔君 何かこっちに座るより僕は厚生省の方へ座った方がいいのかなと、そんな気持ちがいたしますのですけれども、とにかく本当に他意はございませんので、どんなことでもおっしゃっていただければ一生懸命にまじめにはやらせていただきます。ただ、今大臣もかなめであるとおっしゃったんですけれども、それならもう少し大きく表現してほしかったなというふうに思うのであります。  それでは次に、福祉サービスの実施体制のことについてお伺いしたいと思います。今回この市町村を福祉サービス提供の主役にしようと、大変本当にこれはすばらしいことだと思います。お金等の問題、人材の問題、諸先生方からいろいろもう質問がございましたので、私は絞ってお伺いしたいと思うんですけれども、これは本当に成功すれば大変すばらしいことです。実際問題といたしましては、各市町村からどのような質のサービスを受けられるかということなのではないでしょうかと、こういうふうに思うわけですけれども、これまでの審議で特に小規模の町村について都道府県の福祉事務所を中心としたバックアップの内容についてはお伺いいたしました。  そこで、僕が伺いたいのは、例えば大阪市という大都市があります。その周りにベッドタウンが広がっておるわけですね。地域については広い地域としての調整がどうなるかです。このあたりがもう一つ僕なんかは把握できないんですが、たまたまどの市に住んでいるかということだけで受ける福祉のサービスの内容が随分これは違ってくると思います。大阪を例えば回らしていただきましたら、松原市というようなところはすばらしいところなんです。僕が今あっ、気分が悪くなったと言うと、隣の例えばお向かいの民生委員の方が訪ねて、潔さんどこが悪いと言って、いやちょっと調子が悪いと言いますと、看護婦さんに、お医者さんに、ショートステイに、そして老人ホームにというふうに、もう三百六十度右からであろうが左からであろうが、一瞬のうちに連絡が行くというようなすばらしいところです。ああいう町が全国にできればいいなというふうに思うんですが、そこで受けるサービスが大変不公平になるんではないかなと僕は思います。  大阪府の場合は面積のほとんどが市部で、町村部は大阪府の端の方にしかないわけです。府の福祉事務所も三カ所しかありません。このような場合、各市においても福祉サービスの質を全体として確保するために、府や府の福祉事務所がどのような役割を果たすことになるかということをしっかりとひとつお伺いしたいと思います。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 今御指摘のように、福祉のサービスが地域の実情に応じてきめ細かく提供される必要がありますが、その格差があってはならないというのは御指摘のとおりだと思っております。このため改正法案におきまして、都道府県は市町村相互間の連絡調整や情報提供等の必要な援助、それから市町村老人保健、福祉計画策定に際しての技術的な助言、この二つを行うということとなっております。こういった仕事につきましては、実際問題といたしましては都道府県はその管理に属しております福祉事務所に委任をいたしまして行うということを想定いたしておるわけでございますが、確かに大阪府のような、市部が中央に集中しておりまして都道府県の福祉事務所が存在をしないというような地域におきましては、都道府県つまり大阪の場合には府自身がその判断によりまして連絡調整に当たるということを期待いたしたいと思っております。

西川潔参院クラブ

○西川潔君 ありがとうございました。  本当にここでいろいろとお話をお伺いして、こうして質問をさせていただいて、そしてまた答弁をいただくわけなんですけれども、現場は本当に大変でございまして、年をとっていらっしゃる皆さん方に将来何が心配と、こういうふうにしてお伺いしますと、やっぱり潔さん、命や、健康やというけれども、やっぱりお金や。まずお金、蓄えがなかったら健康であってもまた楽しくない、うれしくない。ですから、あとは健康ですね、そして医療、そして住宅だそうです。おじいちゃんやおばあちゃん方はそう言います。  先ほど来狭い住宅で、やっとおばあちゃん、おじいちゃんが老人ホームに行ったから、そしてまた帰ってくる、帰ってこないでもいいのにと。帰ってきたら私の勉強部屋がなくなるというようなことで帰りたくない。でも、老人ホームにおったら寂しい。空気がいいところで御飯もおいしいし、なかなかいいところだけれども、潔さん、すぐにちょっとお家に帰るといっても、バスも電車も走ってない。しょっちゅうここのマイクロバスを出してくれと言ったところで出してくれるわけでもありませんし、ときどき息子が訪ねてきてくれるというような話も聞くんです。  先日もこんな話を聞いたんです。毎月毎月おばあちゃんのところに息子がお金を取りに、一万円か二万円、暖かいホットドッグみたいなお金をお年寄りはよく出すんですけれども、うちの親なんかでも、一万円貸してくれというたら、あれなぜ年寄りというのは後ろ向いてしまうんですかね。後ろ向いて、出すまでに随分長くかかるんです。それでぬくい一万円貸してもらうんですけれども。そのベッドへ毎月一万円取りに来る。施設の事務所の人が見ていらっしゃる。二、三カ月たつと周囲の部屋の人からいろいろ問題やと、あの行為は問題であるということで事務所へ皆さんが行かれて、ああいうことはやめさせにゃ何々さんのおばあちゃんがかわいそうだというようなお話があったんです。そして、事務所の人に言ってもらった、あれはやめてくださいと。帰りに息子が玄関でつかまって、随分しかられたそうです。それを息子さんが今度はおばあちゃんにお話ししたそうでございます、自分の母親に。こうして怒られたから、これからはお金はいいよと言いますと、この母親が今度は事務所の人を怒りまして、あんたら何ということを言うのや、これは実はあんたらから見ていると、私に小遣いをせびりに来ているように見えているかもしれぬけれども、月に一回息子が会いに来てくれることがどれだけうれしいか。余裕のあるお金を渡して、そして孫や嫁におみやげを買って帰ってやってくれといって毎月小遣いを渡しておるんですね。ですから、一概にそういう姿を、行為を見たからといって攻撃ばっかりはできない。  現場へ行きますと、いろいろな問題があります。おばあちゃん同士は大変仲がいいのですが、なぜおじいちゃん同士というのは余り仲がよくないんでしょうかね。男の人というのは本当に暗いです。陰気な人が多いです。女性同士は助け合って洗濯物をたたんだり、こぼしたら助けてあげたり、いろいろそういう姿を見ておりますと、女性を見習わなければいけないなと。将来年とったら、自分は男ですが、おばあちゃんになりたいなというような気持ちにもなります。  どうぞそういう人たちが少しでも、在宅はもちろんのことですけれども、施設にいらっしゃる皆さん方もひとつ幸せに一歩でも二歩でも近づけるような、生きててよかったなと思うようなゴールドプランをよろしくお願いいたします。  今度は話題を変えて、この中身を見せていただきますと、母子、父子家庭のことについてちょっとお伺いしたいと思います。  今回の改正法案の中に、母子及び寡婦福祉法の改正案が入っておりますが、この中で母子、寡婦ヘルパー事業を今回法定化する理由、そしてそのメリットについてお伺いしたいと思います。

古川貞二郎科学技術庁原子力局原子力研究推進調整官

○政府委員(古川貞二郎君) 母子、寡婦のヘルパー事業につきましては、この母子家庭あるいは寡婦の方々の自立の支援というような施策として前から重視してきたわけでございますけれども、そういうものをさらに充実させ、促進しよう、こういうことで法的な位置を与えるといいましょうか、法律上の位置づけを行ったということでございます。  今委員御指摘の、それじゃどういうメリットがあるのかということでございますけれども、ヘルパー事業を今度社会福祉事業として認めるわけでございますので、そうすると、こういった事業をほとんど都道府県の母子福祉団体が中心になって実施していただいているわけでございますが、こういう母子福祉団体は現在は公益法人であるわけなんです。財団でございますが、これが社会福祉法人として認められるということになりまして、社会福祉法人として社会福祉事業を実施していくというようなことでの意欲と、それからもう一つは財団、公益法人と社会福祉法人では税制上の大きな有利不利というか、優遇といいましょうか、社会福祉法人の方が有利になっておりますので、そういった面も含めまして、私ども今回の法定化によりましてこういった事業が非常に伸びていくんではないか、こういうふうに思っているわけでございます。

西川潔参院クラブ

○西川潔君 すばらしいことだと思います。私もよく母子大会に参加させていただきます。最近は母子の大会に参りますと、時々お父さんもお越しになっておられます。そういうところでもまた少しずつお話をお伺いしまして、ちょっちょっと手張に書いて帰ってきたりもするんですけれども、どんなことが一番困りますかと大阪で聞きますと、やっぱり潔さん、それは父親やろ、年ごろの娘と一緒に住んでいるというとき困ると。ついつい狭い住宅ですと、おふろに入るときなんかお父ちゃんあっち向いといてとか、隣の部屋へ行ってくれとか、また今度はお母さんが多感な年ごろの息子と一緒に生活していらっしゃる。そしてまた一番大変なのは炊事、洗濯、掃除だそうでございます。  そういうことでいろんなお話をお伺いするんですけれども、母子家庭については特別に法律まであるわけですけれども、いわゆる父子家庭についてもいろいろ大変なんです。私、実は身近に父子家庭のお友達がいるわけで、どういうことが一番困るというと、遅くなったら帰ってくるなと言われるそうです。息子がもう眠たい、学校もあるわけですから。そしてまた家事のことが大変だと。ですから、父子家庭の場合、今大体母子家庭に比べたら八分の一ぐらいでございますか、約八分の一ぐらいだと思います。今後父子家庭の場合、法律上どのようになさっていかれるのかというのをお伺いしたいと思います。

古川貞二郎科学技術庁原子力局原子力研究推進調整官

○政府委員(古川貞二郎君) 母子家庭につきましては、今先生お話しのように、児童扶養手当等の所得保障の問題とかあるいは母子及び寡婦福祉法という自立促進のための法律があるわけでございますが、父子家庭についてはそれがないわけでございます。理由は、父子家庭につきましては奥さんと離別するあるいは死別することによって所得が非常に一時的に下がるというようなことが余り一般的にはないと。これは調査の結果でもある程度出ているわけですが、そういったこととか、あるいは所得上の経済的には困らないというようなこと等で、自立促進というような法体系はないわけでございますけれども、今先生おっしゃったように父子家庭で一番困っているのはやはり家事とか育児、こういった面で一番お困りのようでございますので、私どもは、法律上の体系はございませんけれども、育児、家事の面でこれまでの問題としてはいろんな対応を講じてきたわけでございます。  ちなみに申し上げますと、育児面での問題につきましては、児童相談所とか福祉事務所、これは家庭児童相談室というのがございますが、そういったところでのいわゆる相談の体制の問題とか、あるいは保育所に優先的に入所させましょうというようなこととか、そういったものをやっておりまして、さらに平成二年度、ことしから、予算上の措置でございますけれども、養護施設等に短期間預かるショートステイ事業というものを始めようというようなことで考えているわけでございます。また一方で家事の面につきましては、今度のホームヘルパーについては予算上は五十七年の十月から実施してきてございます。  そういったことで、先ほどちょっと、父子家庭に対する介護人の派遣というのは非常に難しい問題がございます。母子福祉団体で派遣される方々は女性が行かれるわけですので、そういった点で例えばいろいろと難しい問題があるわけでございますが、それでも昭和六十三年度の実績で見ますと千件を超えております。全国的にそういったホームヘルパーを父子家庭が御利用なさったケースはもう千件を超えているという実績で、非常にそれが浸透してきているわけでございます。実際上派遣する場合には、例えば輪番制で考えていくとか、あるいは児童委員というような方々にも話をして、その方々にもこういう家庭には私が行きますよとかというようなことを父子家庭の近所におられる児童委員にもお願いしていくとかというようなことでの対応をしていきたいと、こう考えております。  ちょっといろいろ申し上げましたが、法的には今回いわゆるホームヘルパーとして法的に位置づけるというのでございます。ただ、予算的には先ほど申し上げたようなことで、いろいろな対応を行っているというような状況でございます。

西川潔参院クラブ

○西川潔君 先ほど沓脱先生もおっしゃっておられましたが、奥様がお手伝いに参りましても何かひょっとしたら怪しいんではないかというようなことがあると思います。  この前お話しさせていただいたときに僕は、ですから母子家庭の方と父子家庭の方が結婚したらどうですねと。そうやったらうまいこといきますよと。そういう本当に心ある紹介所ができたらいいですねと言うけれども、そうやな、潔さん、それはいいアイデアやなと言うけれども、そういやそれもまた難しいわと、わしも年やしな、年の方も、若い方ももちろんいらっしゃるんですけれども、大変な問題だと思います。  また、今のような法律が確立しますと皆さん方大変喜ばれると思います。確かに母親だけで子供を育てる場合と父親だけでと、うちの家内も母子家庭なんですけれども、特にうちなんかはお父さんがアメリカでお母さんが日本という、特にお母さんに聞いたら難しかったというふうにおっしゃっておりましたですが。うちは西田先生と一緒で家内が京都でございますけれども、(「わし、よう知っとる」と呼ぶ者あり)よう知ってまんね。余りよう知られると何か心配のような気もいたしますんですけれども。ありがとうございます。  やはり本当に母親の手で育ててもらうというのと、父親の手で育てるというのは本当に難しいと思います。母親なかなか厳しく、我が家でもそうです、育てるんですけれども、父親というのはどうしても本当に隅々までというんですか、子供の気持ちを酌んでやるというようなところも愛情面では大変難しゅうございます。  そういうような場合は、また違った意味でさまざまな双方苦労があると思うんですけれども、母子家庭の皆さん方は、また改めて質問さしていただくといたしまして、最後に厚生大臣に、父子家庭の福祉、今後の施策についてのお考えを伺って、終わりたいと思います。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○国務大臣(津島雄二君) 父子家庭の問題、私どももし仮にそういう立場に置かれたらどうだろうなと考えますと、本当に深刻だと思います。先進国の例を見ますと、日本ではそうあってもらいたくないんですけれども、父子家庭というのがかなりふえて映画の材料になったりしておるわけでありますが、父子家庭の問題として、政府委員が御答弁しましたように、所得については総体的に問題は少ないということ、そうかもしれないけれども、私は必ずしもそうでもないケースもあるだろう。そして新聞等で報道されるところでは奥様と別れた、あるいは何らかの形で家庭から奥さんが消えてしまって、思い余って子供さんを巻き込んで不幸なことになるというようなケースもある。そういうことを考えますと、私は決して等閑視できない問題であろうと思います。  当面の御家庭の問題、子供さんの保育等々の問題については、先ほどから政府委員から御答弁のありましたように、介護人の派遣であるとか、保育所への優先入所であるとか、あるいは必要な場合には子供さんの施設等への短期間お入りになるショートステイの事業であるとか、いろいろ工夫もしておりますけれども、今後ともよく実情を把握いたしまして、父子家庭の福祉の向上には努力してまいりたいと思います。

西川潔参院クラブ

○西川潔君 終わります。

長尾立子厚生省社会局長

○政府委員(長尾立子君) 先ほど乾先生から御質問がありました社会福祉事業に追加するものの数について先ほどお答えを逃しまして失礼をいたしました。  第一種の方につきましては二事業でございます。第二種社会福祉事業の追加は十八でございますので、合わせまして二十事業は追加でございます。どうも失礼いたしました。

糸久八重子日本社会党・護憲共同

○理事(糸久八重子君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十一分散会

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