社会労働委員会 第5号
- 発言数
- 334 件
- 登壇者
- 34 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1990/06/01
会議録
○委員長(浜本万三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨五月三十一日、菅野壽君及び深田肇君が委員を辞任され、その補欠として堂本暁子君及び菅野久光君がそれぞれ選任されました。 —————————————
○委員長(浜本万三君) 去る五月二十五日、予算委員会から、六月一日の一日間、平成二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管、労働省所管及び環境衛生金融公庫について審査の委嘱がございました。 本委員会といたしましては、理事会で協議の結果、厚生省所管及び環境衛生金融公庫分を四時間四十分、労働省所管分を二時間三十分それぞれ審査することにいたしました。 —————————————
○委員長(浜本万三君) 平成二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管及び環境衛生金融公庫を議題といたします。 —————————————
○委員長(浜本万三君) まず、参考人の出席要求についてお諮りいたします。 本件審査中、環境衛生金融公庫の役職員を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(浜本万三君) 御異議ないと認めます。 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(浜本万三君) 予算の説明につきましては、厚生大臣から既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○堂本暁子君 私はきょうは女性の健康の問題として性、避妊、そして妊娠、出産について伺わせていただきたいと思っております。 数年前になりますけれども、新宿の駅の裏にやみ中絶専門の診療所があると聞いて、実はそこへ参りました。そうしますと、本当に若い高校生が肩をすり寄せるようにしてやってきて、しかし中に入るのは女の子だけでした。一人で来る女の子もいました。中に入って医師にも話を聞きましたが、ほとんど翌日は来ない、後大変悪い影響が体に残るのではないかというようなことも言っていました。そのときに、私は同性ですから思ったのですが、そういうことを女性が心と体で味わわなければならないという前に、やはり正しい性の知識とか教育とか避妊の方法とかを学んでいる必要があるのではないかというふうに思いました。以来、女の子たちというだけではなくて、女性の健康という視点からこの問題を考えたいと思っております。 まず、厚生省に伺いたいんですが、避妊の失敗とかそういったことの原因、それから望まない妊娠によって女性が受ける精神的、身体的な影響などについてお調べになったことが今までにございますでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 思春期の男女が避妊に失敗する原因の調査等について調査したことがあるのかというようなことを御指摘だと思うんでございますが、率直に申し上げますと、思春期のそういった男女が避妊に失敗する原因については調査はいたしておりません。事柄の性格上プライバシーの問題等々がございまして、なかなかいわゆる行政調査には非常になじみにくいんじゃないかというようなこと等で原因の調査は行ってないわけでございます。
○堂本暁子君 私も大変に難しいことだと思います。隠すことですし、簡単には調べられない。しかし何らかの方法がございましたら、行政調査にはなじまないかもしれませんけれども、民間への委託とかいろいろした上で、もし調べられることができればまた次の施策につなげることができるんではないか、そのように考えております。 それから次に、平成二年度の予算の中で避妊に、プロパーですけれども、予算がどのぐらいあるか。それから優生という言葉は私は好きではございませんが、今優生相談所というふうに一応優生保護法の中で呼んでいる優生相談所の予算についてどのぐらいあるか、お聞かせください。
○政府委員(古川貞二郎君) 先生の御指摘のような避妊等の対策につきましては、一つは市町村、もう一つは保健所、それから民間とこの三者によって事業が推進されているわけでございます。市町村につきましては、市町村母子保健事業の一環といたしまして受胎調節実地指導員を活用する等の方法によりまして家族計画に関する相談指導を行っているわけでございます。 予算ということでございますが、妊婦、乳児等保健相談事業それから家族計画指導事業、これ合わせまして、事業費ベースで十六億八千六百万、それから国庫補助ベースでいたしますと五億六千二百万、こういうふうな状況でございます。 それから保健所につきましてでございますが、保健所におきましては家族計画等相談事業といたしまして、新婚生活全般についての学習活動である新婚学級等の一環としての家族計画指導等を行っているところでございまして、これの予算としまして平成二年度予算で事業費ベースで二千七百九十二万四千円、国庫補助ベースでは千七十二万七千円、こういう状況でございます。 また、民間といいますか、社団法人日本家族計画協会におきましても、家族計画特別相談事業といたしまして、家族計画についての相談事業及び相談担当者の研修を行っている、こういう状況でございまして、その予算は八百二十八万九千円、国庫補助ベースも同じでございますが、そういう状況に相なっております。
○堂本暁子君 今伺ったように公的な予算、公的な施設での予算、保健所とか市町村、十六億ということですけれども、実際には最初におっしゃったように余り公的なところに子供たちは行かれません。それから結婚している女の人でも、さっき局長が言われたように秘め事と言われるような領域でなかなか行かれないわけです。今、外国なんかでは小さいクリニックのようなところがたくさんできているようですけれども、日本ではそういった相談業務というか、相談所というのはまだ大変立ちおくれているように思います。 一方で、性暴力とかどぎつい性描写、それは御説明するまでもなく嫌というほど私どもの目についておりまして、若い人の考え方とか、それから意識がどうしてもゆがんでしまったり、知らず知らずの間に間違った考え方をしているということともあると思います。こういったニーズの中で、何とか正しい知識、そしてつらい思いを特に女性がしなくて済むような施策をぜひ打ち立てていただきたいと思うのですが、大臣の御所見を伺えたらと存じます。
○国務大臣(津島雄二君) 次の時代の日本の国民をつくるのは、主としてと申しますか、まず健全な母親を育てるということであり、そういう意味では女性の役割は極めて大きいと思います。そういう立場から考えますと、受胎、出産ということについて、いろいろの意味で社会的に健全に若い娘さん方を育てていくことは大事であろうと思っておりますが、そういう問題について、今委員の御質問を承っておりまして、私どもはまず心がけなければならないのは、婦人の方々の御意見に耳を傾けると申しますか、もう少し、これまで以上に女性の意見に行政としても耳を傾けながらやってまいらなければならないというふうに今感じております。
○堂本暁子君 女性の意見を聞いていただきたい、それは本当に念願でございまして、とても理解してくださる男の方もいっぱいいらっしゃいますけれども、女性でないとわからないということも多々ございます。そういった女性の希望としては、保健所とか産婦人科、あるいは病院のようなところに相談できるところが設置されるといいなと思います。しかし、こういったところでは、なかなか経済的に若い女性は力がありませんし、相談をしても、逆に助産婦さんやなんかにとっては収入にならないという、ダブルになかなかそれが実現しないというようなことがあると思いますけれども、局長にこの点を伺いたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 先生御指摘のように、避妊とか妊娠、出産等につきましては、女性の健康を守る上で大変重要な問題であると、こういうふうに私どもも考えているわけでございます。特に、社会環境というものが大きく変化してくる中で、単に妊娠、出産という一時期に限定された対策ではなくて、生涯にわたる健康管理という観点から議論しなければいかぬ。特に御指摘のような若い女性、そういった方々については、先ほど申し上げたプライバシーの問題ですので、簡単に例えば医療機関とかそういったところに相談に行くというようなことはなかなか恥ずかしいとかというような問題がある。したがって、妊娠中絶なんかも、どうしても初診がおくれるとか、そういう巡回といいますか、病院にかかる頻度といいますか、そういったものも少ないという点では御指摘のとおりだと思います。ただ、いかにしてそういった相談を、いわばプライバシーを守りつつ気軽に相談を受けれる体制をどうつくるか、これは相当工夫が要る問題であろうというふうに考えておりまして、大臣からも御答弁がございましたが、私ども今後研究をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○堂本暁子君 ぜひお願いしたいのは、やはり大きい病院とか保健所、なかなか入りにくいという点がございます。ですから、民間の小さいクリニックとかそういうところで相談と、なおかつ避妊の実地指導、これができるようにしていただきたい。その点はいかがでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) ただいま申し上げましたように、問題の重要性というものはよくわかってございますし、先ほどちょっと申し上げた市町村等での受胎調節実地指導員等の活用ということも考えられますけれども、しかしそれは家庭に入っていくとかあるいは助産所でそれをやるとかというようなことであって、若い女性が気軽にというのはなかなかできにくいという問題だろうと思うのでございます。したがって、どういうふうな形で、今家族計画協会あたりにお願いしてそういったこともやっておるわけでございますが、全国的な問題、電話の問題、しかし電話だけでは解決つかない問題、本当にひざを突き合わせて相談を受けなきゃいかぬというような問題、そういった問題がございますので、今後の工夫といいますか、そういったことが必要でございますので、非常に重要な研究課題だというふうに認識さしていただき、検討してまいりたいと、かように考えております。
○堂本暁子君 ぜひ、時間もかかると思いますし、新しいことですので、特に人の問題は五年、十年、二十年かかるかもしれませんから、スタートがとても大事かと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 そして、一番問題はやはり言いにくいことを言うのですから、一時間、二時間、時には三時間も相談にかかります。そのときに経済的にどういうふうにそれを裏づけていくかということも一緒に御研究いただきたい。理念と方法だけではなくて、もう一つそこに何か、大臣おっしゃってくだすったように、将来への一つの展望としてそこももう一つ押さえていただけたらということを要望させていただきたいと思います。 そしてもう一つは、そういう相談所の機能よりももっと早く、今実際に避妊の問題としては具体的にいろいろ細かいことで進んでいないことがございます。そういった例えば避妊の用具とかそういったものも大変普及していないようですので、その辺は早急に手当てをしていただきたいというか、善処していただきたいというふうに思います。 最後に大臣に、心身の健康というのは大事な施策だと思います。人間性の回復のようなことだというふうに私は考えております。男女のそういった尊厳と申しますか、尊敬の中にある平等、その中で本当の性というのも豊かにあることだと思いますし、そういうことなしにそのひずみが、社会のひずみと申しますか、そういうものに将来なっていきかねない。その辺のところで長期展望を持ってこれが実現できるかどうか、もう一度だけ伺わせてください。
○国務大臣(津島雄二君) 女性の健康、そして健全な男女関係の上に立った明るい社会をつくっていく、そしてその結果として低下をしつつある出生率についてももう少し積極的な方向に変わって、活力のある福祉社会ができ上がっていくということが我々の念願するところでございますから、そういう意味で今御指摘のいろいろな点は十分に真剣に検討しなければならない課題であろうと思っております。 いろいろな御質問を総括いたしまして、私が感じておりますことは、第一に、先ほども申し上げましたように、女性の御意見をよく聞く何か仕組みをつくったらどうであろうかということでございます。それから二番目に、とかくこういう問題というのは何と申しますか、科学的な事実の究明が行われない、そのことからしっかりした対策がとられないということもございますので、先ほど政府委員から申し上げましたように、政府が直接乗り出してやる調査にはなじまないかもしれませんけれども、何がしかの専門的な方々のお力を得て信頼の置ける実態調査など考えてみたらどうであろうか、これが二番目の印象でございます。そして三つ目に、やはり相談と実地指導ということについて、今までもやってまいりましたけれども、これで十分かどうか、それもまた若い方々を中心に本当に相談に乗れるようなものでなければなりませんので、その点についても予算の確保とともに工夫をさせていただきたい。 以上、三点を申し上げる次第でございます。
○堂本暁子君 どうもありがとうございました。
○日下部禧代子君 きょうは環境衛生金融公庫の理事長さんがお見えになっていらっしゃるので、一つだけ御質問をさせていただきたいと思います。 環境衛生金融公庫の融資内容の改善についてお伺いいたします。 環境衛生金融公庫は、公衆衛生の向上、国民生活の安定に寄与すべく環境衛生関係営業に対する資金の融通を行ってこられました。ところで、前回昭和六十一年の法改正によって運転資金の貸付制度が導入されましたけれども、本年度予算におきまして運転資金についてはどのような改善が図られておりますでしょうか。お伺いいたします。
○参考人(山下眞臣君) お答え申し上げます。 環境衛生金融公庫の運転資金につきましては、御指摘のとおり昭和六十一年度に導入されたわけでございますが、その後昭和六十二年度に貸付期間を五年から特に必要があります場合には七年に延長する。それから、昭和六十三年度には貸し付けの限度額を二千七百万円から三千五百万円に引き上げるというような条件改善を行ってきたわけでございます。平成二年度予算案におきましては、設備資金の方の貸付限度額の大幅引き上げを図るというようなことを中心にいたしておりまして、運転資金につきまして格別の条件改善をいたしておらないわけでございますが、今後とも営業者の実態等を踏まえまして努力をいたしてまいりたいと考えておるところでございます。
○日下部禧代子君 大変お忙しい中をどうもありがとうございました。 次に、児童に対する給付の改善について、一点お尋ねしたいと思います。 先日、私母子家庭、母子世帯のお母様方の集いにお伺いすることがございました。そこでおっしゃいましたことが、児童に対する各種の社会保障給付を十八歳の誕生月までとしているけれども、その児童が高等学校在学中の場合は卒業まで給付するようにという、そういう要望を何度かしてまいりましたというお話がございました。 それで私、調べてみましたところ、一九七九年の国民年金法等一部改正案の採決に当たって国会で附帯決議がなされているわけでございます。そのことに関しまして、一九八六年四月十五日の参議院社会労働委員会で糸久議員が御質問なさいまして、当時の坂本児童家庭局長がこういう御答弁をなさっていらっしゃいます。「いろいろ今日まで検討をしておりますが、この実施については困難であるというのが結論でございます。」という、そういうことが議事録に載っているわけでございますが、どういう点でそれが困難なのか、どのような検討をなさったのか、その辺のところをまずお答えいただきたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 児童扶養手当の支給期限を満十八歳到達時から高校を卒業するまで延長したらどうかという御指摘でございまして、これは、先生先ほどお話がございましたように、前から問題になっている問題でございます。 どういう理由かという議論でございますが、それは一つは公的年金等、他の社会保障制度との均衡というものが一つあるわけでございます。これはすべて押しなべて同じような扱いになっているということが一つあるわけでございます。それから、いま一つは、中学校を卒業されたりしまして就職をしていられる児童がいらっしゃる。その方々は働いて自分で一生懸命頑張っておられる、その辺の均衡というようなこともある。だから、そういうような二つの理由でなかなかそれは横並びなり実態の面からいっても非常に難しい、いろいろ工夫しているわけですが難しい、こういうことでございます。 ただ、そうすれば、それじゃ非常にこれは福祉が行き届かないんじゃないかというふうな御議論もありますので、私どもとしては制度の筋論としてはこれは一つ崩せない。しかしながら、実情に何か沿うような方法がないものかというようなことで、高校在学中に児童が十八歳に達したことによって児童扶養手当の支給を受けることができなくなったというような場合につきましては、高校を卒業されるまでの間この児童扶養手当と同額の母子福祉貸付金という、これは修学資金の特例加算というものを設けまして、無利子で貸し付けるというようなことをいたしまして、筋論、制度論としてどうしてもカバーできない、クリアできないものについて、そういう実態的な配慮をしながら、少しでもそういった母子家庭の助けといいましょうか、実情に沿うような対策を講じている、こういう状況でございます。
○日下部禧代子君 今おっしゃいました母子福祉貸付金というのもやはり他のさまざまな申請と同じように、大変手続が面倒だというふうなことをそこの集いで私耳にいたしました。ですから、なかなか申請をする方は少ないということもそこで承ったわけでございますが、そういたしますと、一九七九年に国民年金法等一部改正案の採決のときにつけられました附帯決議というのを実践する、実行するというのは、いわゆる附帯決議に示された改善というのは、現行法のもとでは無理だと、法改正が必要だということに解釈してよろしいのでございましょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 高校を卒業するまで延長するかしないかといういわゆる内容、実態の問題が一つあるわけでございますが、非常に形式的に申し上げれば、今御指摘のような、もしそういうふうなことをやるということであれば、これは当然立法上の問題になるということでございます。
○日下部禧代子君 例えば高校在学中の場合に、卒業までということになった場合には、財政負担というのはかなり困難なものなのでございましょうか。その辺の財政問題について、一言お答えいただきたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) ただいま申し上げましたように、この制度を、今先生のような御議論というものにする場合には、他の公的年金との関係というものがあるわけでございますので、ひとりこの児童扶養手当だけをそういうふうなことにするのかしないのかというようなこと、それはなかなか難しい議論があるわけでございます。したがいまして、財政的な理由というようなことではございませんで、また御指摘のような財政的なことについての試算もいたしてございませんが、財政的な理由というのは、私は想像するのに、児童扶養手当だけに関して言えば、それほど多くの対象者がいらっしゃるわけではないと思うんですが、財政的な理由ということではなくて、先ほど申し上げましたように、他の公的年金制度の絡みの問題あるいは働いていらっしゃる方々との均衡という、どっちかといえば筋論の議論、そういう点からこれが実現がなかなか困難である。したがって、先ほどの繰り返しになりますが、母子福祉の貸付金に児童扶養手当と同じ額の特例加算を行うというようなことで、財政的にもそういった対応もしているということでございますので、単純に財政的な理由ということではございませんで、制度論としての問題というふうに私どもはとらえているわけでございます。 —————————————
○委員長(浜本万三君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、堂本暁子君が委員を辞任され、その補欠として菅野壽君が選任されました。 —————————————
○日下部禧代子君 この問題に関しましては、これで一応質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 では続きまして、残り時間三十分程度でございますので、余り系統立った御質問がちょっとできないと思いますので、前回、私、御質問申し上げましたことについて関連した質問を二、三させていただきたいというふうに思います。 まず最初に、これは質問というよりは確認させていただきたいということでございますが、前回、四月二十四日の社会労働委員会におきまして、私が一九九九年度における六十五歳以上の人口十万人当たりに対するホームヘルパーの数をお尋ねいたしました。その際、政府委員の方から約六百七十人程度になるというお答えをいただいたんでございますが、私が計算してみますと、かなり数字が違うように思いますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(岡光序治君) 間違った数字をどうも申し上げたようでございまして、まことに恐縮に存じております。六十五歳以上人口十万人当たりで十年後のホームヘルパー数十万人ということで計算をいたしますと四百七十人程度という数字になります。
○日下部禧代子君 わかりました。私が計算いたしましてもやはりそのくらいでございましたので、どうもありがとうございます。 ところで、今いただきましたこの四百六十九人、十万人当たりのホームヘルパーさんの割合、数といいますのは、国際比較をいたしますと、これは日本の数字の場合、十年後でございますが、国際比較、今現在、例えば一九八六年のスウェーデンの五千八十六人、それから一九八五年次におけるデンマークの四千六百七十五人、これ、いずれも政府御提出の資料によりますものでございますが、それらの国にははるかに及ばないにいたしましても、一九八五年次におけるイギリスの八百七十二人と比べましても約二分の一程度で、かなり低い水準というふうなことが言えると思うのでございます。 そのことはさておきまして、私、今使わせていただきました政府委員御提出の資料というのは、これは国際ホームヘルプ協議会という私的団体が一九八五年の五月の国際会議の際に作成したものでございますが、厚生省の作成なさいましたホームヘルパー数の国際比較というような資料はないのでございましょうか。
○政府委員(岡光序治君) どうも各国の社会的な背景が違っておりましたり、あるいは勤務形態が常勤とか非常勤とか、非常勤の国が多いようでございますが、そういった勤務形態等を統一的に基準をつくりまして、いわば横並びで比較できるような信頼性の高い調査がないものですから、どうしても自信を持って申し上げるような数字がないわけでございます。先生御指摘いただきましたように、一九八五年五月の国際ホームヘルプ協議会の会議報告で示されました資料が一つの目安になるだろうと思いまして、それを用いて参考までに数字を申し上げているところでございます。
○日下部禧代子君 確かに今お答えくださいましたように、国際比較というのは単純にはできないものだと思います。現に、私が持っておりますホームヘルパーの国際比較という数字と、それから政府委員室からお出しいただきましたのとは大分違うわけでございまして、それを見ましても、さまざまな条件が異なる国との比較というのは難しいということがわかります。しかしながら、やはり国際比較ということも、これは無視できないことなんじゃないか。前回、大臣あるいは政府委員の御答弁の中に、この国際比較ということに関してはかなり消極的である、今のような理由ということを含めてかなり消極的でいらっしゃるように承ったわけでございますが、確かに高齢化社会に対する対応というのも含めまして日本の国情に合った政策というのが必要だということは、これはもうどなたも否定なさるわけにはいかないと思います。 前回の大臣の御答弁の中に、高齢社会というのは日本の国民による日本の国民のための世界に類例のない大きな挑戦であるというお言葉がございました。確かにそのとおりだと思います。しかしながら、日本よりも早く人口の高齢化というものに挑戦した国々の知恵や経験ということを参考にするということも必要なんじゃないか。そういう、日本の国民による日本の国民のための挑戦の一つである施策づくりに当たって、その水準をどのあたりに置くのかというふうなことを考えますのも、他の国と比較してみるということもかなり大きな意味があるのではないかというふうに思うわけでございます。 ところで、十カ年戦略、ゴールドプランの大きな柱の一つである寝たきり老人ゼロ作戦につきまして、厚生省の厚生科学研究特別研究事業の「寝たきり老人の現状分析並びに諸外国との比較に関する研究」という国際比較が基礎資料としてかなり重要な役割を果たしたのではないかというふうに私は思っておりますが、そのことも含めまして御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 委員御指摘のとおり、福祉の問題を考えてまいります場合に、他の社会あるいはほかの国で貴重な経験があるわけでありますから、それも十分に参考にしなければならないわけでございます。そういう意味でホームヘルパーの数、人口割合というものが全く意味のないものとは考えません。確かに、老齢化が速く進んだ一部の先進国におきまして、非常にたくさんのホームヘルパーを養成をし、また活動させておられるということも事実であります。またそのことは、それなりに私はいいことであると思っております。 しからば、日本の場合どうかということを考えてみますと、私は二つの事情があると思うんでございますが、一つは、これは相対的にという意味でありますけれども、家庭で家族と同居しながら介護してもらいたい、あるいは老後の生活を送りたいという方々が多い、少なくともそういう希望を漏らされている方は多いわけでございます。そういう意味では、そういう家庭基盤というものが幸せな長寿社会を支えてくれるのであれば、それはそれなりにやっぱり大切にしなきゃいかぬのではないかと考えるわけでありますが、ただ、その一方で、何でもかんでも家庭でやりなさいとか、お嫁さんに負担をかけてということになってはいけない、家庭で支えることができないようなケースについては、公の手でいわゆる社会の親孝行というようなことをしなければならないというふうに考えております。いずれにしても、第一点は家庭の役割について、例えば西欧社会と日本とは伝統的にやや違うということを頭に置いておかなければならないわけであります。 それから、もう一つ私は注目しておりますのは、ホームヘルパーの仕事の領域の問題でありまして、領域と言うと言葉は悪いかもしれませんけれども、政府委員から折々御答弁申し上げておりますけれども、地域社会でホームヘルパーの方を家庭に呼ぶということについてためらう風潮もあったりいたしまして、質のよいホームヘルパーのマンパワーが育っていくのにこれまで若干マイナスの要因になっておりますね。社会全体が大いにホームヘルパーの方の仕事を評価しどんどん活用するという風潮が出てくると、仕事としても広がっていくし、また参加をしてくれる方々もふえていく。そういう角度から見ますと格段の努力をしなきゃいけないなと。 ですから、我々としてはホームヘルパーの方の仕事について高い評価を与えていただけるような普及活動もしなきゃならないし、また仕事そのものも質のいいもの、それから勤務条件も改善をしていってあげなきゃならないという問題があるわけでございまして、これまで十分にそういう社会の、何と申しますか機能が働いていない、ホームヘルパーをめぐる環境が整備されていないということから現実には今三万台の方々という状況になっているわけでございます。これを十万に持っていこうということ、委員のお立場から言われれば外国と比べて十万でも少ないじゃないかというお気持ちは理解できないわけではないのですけれども、この十万人を育てていくこと自体私どもは今の段階では相当努力しなきゃならないというふうに思っております。ですから、それはほかの国の例のようにたくさんの方がどんどん参加していただけるということがいいことかもしれないと思っておりますけれども、まず我々がやるべきことは目標として立てて、しかもその目標というのはかなり高い目標でございますから、これを実現するために全力を挙げてやっていくということが行政としての姿勢ではないだろうか、こういうふうに考えておるところでございます。
○日下部禧代子君 どうもありがとうございました。 今、大臣はホームヘルプサービスについておっしゃっていただいたわけでございますが、私はもう一つお尋ねしてみたいのは、国際比較についての資料というものをもう少し御用意いただきたいという御要望をしたいなということでございます。ホームヘルプサービスの比較、ホームヘルパーさんの数だけではなく、またホームヘルパーさんを含めました介護職員あるいはまた看護婦さんの看護職員、あるいはOT、PTなどのリハビリの専門職あるいは福祉施設あるいは福祉サービスの利用率、そういったことに関する国際比較の資料を、これからグローバルな時代でございます、やはり世界の中でどのような日本が位置づけかということは福祉の中でも位置づけておくことが必要だと思います。 私なんか国際会議に出ましたときには、そういう発想をしながら自分の国の資料を御報告申し上げるというふうな機会がたくさんございます。したがいまして、そういう国際比較に関する資料を御用意いただくというのは大変にさまざまな条件つきということがあると思いますが、御用意いただくという可能性に関して、前向きというと、これ政府答弁のお言葉になってしまいますけれども、どのように御対処いただけますでしょうか。その点、政府委員でも、どなたか。
○政府委員(加藤栄一君) いろいろと御要望もありますし、私どももやはり国際比較についてはその前提条件をはっきりと認識しながら、その数字自体が同質のものとしてひとり歩きしないように見るということが必要だと思いながら使うということであると意義のあることであると思っております。 そういうことで、国際比較も厚生行政、非常に範囲が広うございますから、いろんな面のものを用意しなければなりませんので、常に手元にあるということはとても難しいことでございますが、できるだけそういうものは私どもとしても準備をいたしたいと思います。そういうふうに努力をいたしたいと思いますし、また何かそういう御注文ございますれば、前広にお申しつけくださればその面でも努力をいたしたい、かように考えております。
○日下部禧代子君 ありがとうございます。 私、ECに加盟している国にいたものですから、その場合にはいつもさまざまな資料というのが、EC関係の国のものが全部並んだという中で自分のいる国を眺めているという習慣がついておりましたので、殊さらそのことを感じているのかもわかりませんが、これからどうぞよろしくお願いいたします。 次の質問に移りたいと思います。 やはり前回御質問させていただきましたときに、ホームヘルパーさん十万人体制になった場合に、寝たきり御老人に対して週四回ないし六回程度の利用が可能になるというお答えをいただいたわけでございます。寝たきり老人の問題はとても深刻であるということは確かでございますが、これからは痴呆性老人の問題というのがますます大きな課題になっていくだろうというふうに思います。政府の資料によりますと、一九八五年の在宅の痴呆性老人約五十九万人、将来推計で見ますと二〇〇〇年には約百十万人というふうに、私いただきました資料ではなっておりますが、それでよろしゅうございましょうか。
○政府委員(岡光序治君) おっしゃったような数字として推計をしております。
○日下部禧代子君 そういたしますと、在宅の百十万人の痴呆性老人に加えて、さらに入院あるいは福祉施設に入所なさっている方々もいらっしゃるわけでございますが、今回は在宅のということに限らせていただきます。そうしますと、この約百十万人の在宅の痴呆性の御老人がすべて介護を要する方々だということも言えないと思います。その中で大体何割ぐらいを介護を要する方々だというふうにみなしていらっしゃるのか。そしてさらにもう一つ、寝たきりと重複する割合というのはどのくらいと見ていらっしゃるでしょうか。それを両者合わせまして介護を必要とする数をどのぐらいに見積もっていらっしゃるのか、お伺いさせていただきます。
○政府委員(岡光序治君) 昭和六十年度で申し上げますと、痴呆性老人五十九万人程度というふうに考えておりまして、寝たきり老人との重複が十二万人くらいというふうにカウントしております。したがいまして、五十九万から十二万を引きますと四十七万人ぐらいが痴呆性老人というふうに、つまり寝たきり老人と重複しないという意味での痴呆性老人数というふうに把握をしております。 そのうちどの程度の方がいわゆる要介護なんだろうかということをいろいろ推計しておるのでありますが、私ども大体八〇%弱、七八%くらいが介護を要する方々ではないだろうかというふうに考えております。もちろんこの痴呆性老人として考えております御老人のうち、軽度の方もいらっしゃいますので、いわばその中から軽度の方を外して、そして要介護率も考えなきゃいけないだろう、そんなふうな発想で私ども推計をしておりますが、四十七万人の痴呆性老人のうち半分ぐらいがいわゆる中、高度の状態ではないだろうか、それに対して八〇%近くが介護を要するのではないだろうか、そんなふうな数字として把握をしております。
○日下部禧代子君 今これは一九八五年次の場合をお答えいただきましたけれども、二〇〇〇年のときの百十万人についてはいかがでございますか。
○政府委員(岡光序治君) 正確な推計もできませんものですから、昭和六十年当時のこういった状況を前提に将来の必要数というのをはじいているところでございます。
○日下部禧代子君 とすると、大体何人ぐらいということになりますでしょうか。
○政府委員(岡光序治君) 百万人を前提にいたしまして、そのうち中、高度の痴呆状態にあるというのを五〇%ぐらいに見込んでいますから、かつその八割ぐらいが要介護であろうということでありますので、ベースの数字としましては四十万人という数字になろうかと思います。かつ、その中からホームヘルパーの派遣を希望するかどうかというふうな数字もカウントしなきゃいけないと思います。そのほかに、寝たきり老人に対するホームヘルプサービスであるとか、ひとり暮らし老人とか、あるいは重度の身体障害者でホームヘルプを必要とするというふうなものを全体をカウントしまして、私ども必要数というんでしょうか、需要数を想定しているわけでございます。それはおおよそでございますが、五十万人程度になるのではないだろうかというふうに推計をしております。
○日下部禧代子君 百十万のうちの五十万人程度というふうなお言葉でございますか。
○政府委員(岡光序治君) その百十万というのは痴呆性老人というグループでありますので、そのほかのタイプの方も含めてという意味でございます。
○日下部禧代子君 その他のといいますと、先ほどおっしゃいました障害を持った方々ということでございますか。
○政府委員(岡光序治君) 寝たきり老人とか、それからひとり暮らし老人とか、それから重度の身体障害者とか、ホームヘルプを必要とする方も含めてという意味でございます。
○日下部禧代子君 今の数字ですと、これは痴呆性の老人の方々が在宅だけで百十万人という推計を出していらっしゃるわけでございますから、寝たきりも痴呆性の方々も、そして障害を持った方々もということで五十万というのは、かなり低いというふうに思いますが、いかがでございますか。
○政府委員(岡光序治君) 要するに、そういった対象のすべての方がホームヘルパーの派遣を希望なさるわけではございませんで、要するにまずベースの数字があって、それに対して必要な、要介護状態というもの、要介護状態になっているということを想定し、かつその上にホームヘルプサービスを希望するという、そういうことを想定しているわけでございます。 そういったことで、現在の希望状態を踏んまえまして、将来もう少しそれが伸びるであろうというふうな推計をしたりしまして、今申し上げましたようにトータルで約五十万人程度になるのではないだろうかというふうに判断をしているわけでございます。
○日下部禧代子君 私、もう一度確認させていただきますけれども、ホームヘルパーを必要とする方々ということの前に、痴呆性の老人の百十万人のうち、介護を要する方だけでは幾らぐらいというふうに見積もっていらっしゃいますか。
○政府委員(岡光序治君) 介護を要する状態にある人の割合というのを七八%程度ということでつかまえております。
○日下部禧代子君 大体、数で言うと、私ちょっと頭がすっとまいりませんので、済みません、何人ぐらいになりますか、百十万で。
○政府委員(岡光序治君) 百十万人でございますから、百十万人のうちの約八〇%ということで計算をしているわけでございます。
○日下部禧代子君 九十万人ぐらい——数出していただけますか、その数を。
○政府委員(岡光序治君) 百十万人のうちの中、高度の痴呆状態にある人が約五割ということでございますから五十五万人になります。そのうちの八割程度ということでございますので、四十四万人くらいという数字になろうかと思います。
○日下部禧代子君 はい、わかりました。 いわゆる介護を要する方、そして寝たきりとオーバーラッピングしない方々というのが四十四万人程度というふうにとらえてよろしゅうございますか。
○政府委員(岡光序治君) 大体そういうふうな数字として把握をしております。
○日下部禧代子君 それでは次に、今度はホームヘルパーさんを必要とする方々というのは、先ほど岡光さんもおっしゃいましたように、心身障害児者も、いわゆる障害を持った方々というのも含まれるわけでございますが、今在宅でホームヘルプサービスを利用している心身障害児者の数、あるいはもしそれがございませんでしたら、心身障害児者を対象としているホームヘルパーさんの数でも結構でございます、どのくらいでございますか。
○政府委員(岡光序治君) 重度の身体障害者の方々の数が百一万人というふうに把握をしております。
○日下部禧代子君 ホームヘルパーサービスを利用している方というふうに今伺いました。それでよろしいんですか。
○政府委員(岡光序治君) 要するに、在宅での重度の障害者の数でございまして、その方々にホームヘルプサービスが提供されるという、その対象数ということになります。
○日下部禧代子君 わかりました。 そうしますと、寝たきりのお年寄り、そして痴呆性のお年寄り、それにいわゆる心身障害児者を含めましてホームヘルパーを必要とする方々というのはかなりの数に上るのではないかと思うわけでございますが、そういうことを考えまして、将来の、いわゆる十年後におきまして、前回お答えいただきました寝たきりの御老人が週四、五回ホームヘルパー制度を利用できるということが言えるのでございましょうか。
○政府委員(岡光序治君) 私ども、繰り返しになりますが、寝たきり老人、それから寝たきり老人を除きます痴呆性老人、それからひとり暮らし老人、そういう方々を対象に、要介護状態になった方にホームヘルプサービスが必要だと思っております。それにプラスをしまして、重度の身体障害者の方々で、在宅で生活をされている人で介護を要する人、そういった人もホームヘルプの対象にならなければならないということで対象を把握しております。 それに対しまして、先ほど申し上げましたように、要介護状態にどの程度なっておるか、それからひとり暮らし老人の場合ですと、いわゆる病弱な状態にどの程度の方がなっているんだろうかというふうな、そういう身体状態を勘案しまして、それでホームヘルプサービスの対象数を限定して、その上にホームヘルパーの派遣を希望されておるという、その希望状態も勘案をして、総需要数として先ほど申し上げましたが、二〇〇〇年現在で五十万人程度になるであろうという推計をしているわけでございます。 それに対しまして、十万人のヘルパーさんで対応しようと。大体一人のヘルパーさんが一日三時間程度一人の人にサービスをするといたしまして、大体平均をいたしますと、一人のヘルパーさんで五人程度の方を対象にできるというふうに考えておりますので、そういったことを勘案いたしますと、先生おっしゃいましたように、在宅の寝たきり老人の場合には週四ないし六回は派遣できるであろう、そういう想定をしているわけでございます。
○日下部禧代子君 それでは、次の問題に移りたいと思います。 前回は、社会保障関係費に占める老人福祉サービス費の割合というのを伺いまして、約二・四%というふうにお答えをいただいたわけでございますが、今回は社会保障給付費について少しお尋ねしてみたいと思います。 特に、高齢者関係の社会保障給付費に限って見ますと、その構成費というのは年金が七七・六%、医療二〇・五%、福祉サービス一・九%、これでよろしゅうございますでしょうか。
○政府委員(加藤栄一君) 今の数字は六十二年度の数字だろうと思いますが、そのとおりでございます。
○日下部禧代子君 申しおくれて申しわけございません、昭和六十二年度でございます。 そういたしますと、この構成比を見ますと、年金と医療が九八%を占めております。福祉サービスは一・九%ということでございます。この一・九%をわずかと見るのかこんなにもと見るのか、これはそれぞれ違ってくるとは思いますけれども、私は医療、年金に偏り過ぎているのではないかという感じがいたします。これは福祉サービスが立ちおくれているということにはならないのでしょうか。一般的には非常に日本では福祉サービスがおくれているというふうなことがちまたでは言われておりますけれども、この数字からはそういうふうにはおとりにならないのでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 社会保障給付費をブレークダウンして見ることはそれなりに意味はあると思いますけれども、その数字の評価についてはやはりいろいろなことを考えなきゃいかぬ。特に日本の場合に医療保険が皆保険になっておりまして、これは私はいわゆる工業国、先進工業国の中でも少数派だと思います、完全な皆保険を持っているのは。そうなりますと、どうしても医療の給付というものは国費の比率が多くなってくる。それからまた、老齢化のスピードが非常に速いということであれば、これはまたふえていく。そういう社会的な要因もあるわけでございまして、日本の場合に医療、年金、それぞれしっかりした制度を構築したということから、老齢化と相まってそちらの方の何と申しますか給付がふえているという面は頭に置いて見なければならないと思います。 ですから、そちらと比べて老人福祉サービス給付費が少ないということだけで福祉全体を私は評価していただくとちょっと何というのか納得できないわけでありますが、ただ申し上げることができるのは、今後はここの分野、老人福祉サービスの分野でもっともっと努力をしなきゃならぬだろうと。現実に社会のニーズもそっちの方が大きいであろうという実態を踏まえますと、委員のおっしゃる点は当たっている面はあると思っております。ただ、これから例えばふやしていきましても、老齢化の比率が高いものですから、予算としてはどれが膨れていくかということは、これまた別問題でございまして、そういう意味でこの数字の推移だけからすぐに判断をしていただきたくないなということだけ申し上げておきます。
○日下部禧代子君 それでは、時間が本当に少なくなってしまいまして、もう一つだけ質問させていただきたいと思います。 やはり前回の委員会におきまして大臣、政府委員の御答弁の中に、そしてまたきょうの大臣のお言葉の中にもございましたけれども、日本の家族の問題が高齢者の問題と非常に密接な関係があるというふうにおっしゃいました。これはどこの国でも同じことでございます。ただ、家族のあり方がかなり違うということがございます。ヨーロッパにおきましても、親が病気のときにはみんな飛んでやってくるということにおいては変わりございません。むしろ、同居していない、別居している子供たちとの接触の頻度というのは、ある調査によりますと日本よりもかえって濃厚であるというふうな調査も出ているくらいでございますから、親子の情というのは、これは洋の東西を問わず変わりはないのではないかというふうに思います。 それはさておきましても、日本の高齢者の同居率というのは高いのは確かでございます。しかしながら、同居率の高さということがいわゆる介護能力の高さというのには必ずしもつながらないのではないかというふうに、私さまざまな調査結果などを見ましても思うわけでございます。また、日本の家族の形というのも急速に変わってきております。高齢化世帯の増加、それからひとり暮らし御老人の急増。一九八四年に七十五万人であったひとり暮らしの方たちが一九八七年には百二十万人、二〇二五年には三百八十万人になろうというふうな推計も出ております。また、老夫婦のみの世帯もどんどんふえてきております。平均世帯人員というのもだんだん小さくなっている。今平均世帯人員は四人を割っていると思います。都市部ではもう三人を割っているところも出ているわけでございます。 それに加えて女性の就業率の上昇、そういったことでいわゆる家族機能の脆弱化ということは否定できないと思います。さらに、後期老年層人口の増加ということもございまして、家族が家族で支え合うということでは、家族が共倒れになってしまうということもこれは目の当たりに見ることでございます。テレビや新聞の報道でもそういったケースを多々私たちは目にしているわけでございますが、まさに私的扶養の限界というのは明らかに来ているように思います。 それで、ことし、三月二十日の厚生省の発表なさいました老人保健施設経営等実態調査を見ましても、その入所者の内訳を見ますと、子のいる世帯という方たちが七〇・六%を占めて第一位なんです。そしてまた、寝たきりや痴呆性のお年寄りの介護に当たっている御家庭の苦労というのも大変なものがございます。 例えば全国社会福祉協議会が一九八七年に発表いたしました在宅痴呆性老人の介護家庭実態調査というのを見ましても、もういかに大変な御苦労をなさっているのかということがよくわかるわけでございます。本当に自分が自殺や心中を考えた、そしてまた家出も思い描いているなんてこともございます。四分の一の方たちが生活が苦しいと言っていらっしゃいます。しかも、介護者の八割が女性なんであります。そして、そのうちの三分の一が四十歳以上。六十歳以上も五分の一ということで、介護者の高齢化ということもどんどん進んでいる。そして、まさに女性の立場からいいますと、介護のためにお勤めをやめたという方が、この調査によりますと十人中四人もいらっしゃるということでございます。片方に雇用機会均等法というのがある。しかしながら、現実から見ると、女性が老親の、しかも日本の場合には息子夫婦との同居が多うございますから、自分の夫の両親、そしてまたその両親をみとるという、そういうことのために自分の人生を変えるという、自分の人生を選択できないということも出ております。 こういうことを考えますと、いわゆる日本型福祉ということの中において家族の位置づけというものを変えていかなければならないんじゃないか。公的サービスと家族についても、やはり大分変わってこなければならないんじゃないかなというふうに思うわけでございます。時間が過ぎてしまいましたが、御所見をいただくということの時間はなさそうでございますが……。
○国務大臣(津島雄二君) 今委員が御指摘になったいろいろな点は、すべて私どもも頭の中に入れておるわけでございまして、その反面にあるのがやっぱり在宅の介護がなお改善の余地があるということが事実としてあるわけですから、つまり家族ぐるみで介護をしているということについても限界があるとか、それから施設は子供さんのある方々がいっぱい入っているというのは、その裏にあるのは在宅介護が不十分だということがあるわけでありますから、したがって、今おっしゃった問題点に対処するについても、施設の介護とあわせて在宅介護を特段に強化をしていかなければならないという認識を私どもは持って取り組んでおるところでございます。御理解をいただきたいと思います。
○堀利和君 私どもにとって大変大きな問題であります国家公務員の点字受験の実施についてでございます。残念ながら人事院の見解では、本年、点字受験が実施できないような感触を受けておるわけですけれども、これにつきまして、私やはり重要な問題だろうと思っております。国際障害者年でも社会への「完全参加と平等」というテーマで今まさに実施されているわけですけれども、そういう社会に参加するためにも、参加の機会の平等というのはきちんと保障されなければならないと思います。 この問題をめぐりまして国会でも私以外の先生方に取り上げてもいただいているわけですけれども、三月二十六日に下村泰先生が質問された際、橋本大蔵大臣が大変名答弁といいますか、大変力づけられる答弁をいただきましたので、先般労働大臣にもお伺いしたんですが、もう一度読ませていただいて、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。大蔵大臣はこのように答弁されております。「今私はここで一番申し上げたいことは、」「何よりも社会そのものが、障害を持っておられる方々に対して、その障害を越えて挑戦する機会を公平に与えること、そしてそれを受け入れること、それが何よりも大切なことだと思います。」「障害者の方々にとって一番大きな問題として公平な競争のチャンスを社会が積極的に与えてくれること、」という大変すばらしい御答弁があるわけですけれども、厚生大臣としてひとつ御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 堀委員の御指摘の三月二十六日の委員会審議、私も参加をしておりまして橋本大蔵大臣の御答弁を聞いておりましたが、その前に私は答弁しております。下村委員の御質問の最初が、障害者に対する基本的な考え方を問われたんでありますが、私は、民主社会の質の高さは、ハンディキャップのある方々がどれだけ平等に参加できるかどうかで決まりますと、こういう御答弁を最初にしていると思います。 そのような意味で大蔵大臣と全く同じ認識を持っているわけでございますが、より具体的に申し上げますと、やはりノーマリゼーション、つまり社会には常に障害者の方あるいは高齢者の方々、そういう方々がおられるのが自然な姿であるということをすべての国民が理解をしてくれることが大事であろうと思います。それをみんなが理解いたしますと、公平な競争をしてもらおうという多くの方々の創意工夫が生まれてくるわけでございまして、私も担当大臣としてそのような方向に真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
○堀利和君 ありがとうございました。 それでは次に、ADAについてお伺いしたいと思います。 昨年の九月八日に上院を通過しまして、本年五月二十二日に下院を通過したADAなんですけれども、決議内容が二つの院で違うというように聞いておりまして、そういう点ではこの場で公式な見解を聞くというのもなかなか難しいかと思いますが、このADAについて厚生省の御見解をお伺いしたいと思います。
○政府委員(長尾立子君) 今お話がございましたアメリカのADA法案でございますが、この法律が成立をいたしますと、アメリカにおきます雇用や移動に関するアクセスの確保を通じまして障害者の方の社会参加が非常に大きく促進されるというふうに期待されるわけでございまして、大変喜ばしいことであると思います。私どもでも障害者の完全参加と平等という国際障害者年の理念、これは多くの各行政機関がこの理念のもとにいろいろな対策をやっていかなければならないということでございまして、心身障害者対策基本法、私どもの所管では身体障害者福祉法ということで、こういった方向に沿いまして努力をさせていただいておるわけでございます。 今ADAの法律の、私どもの立場で今後の課題と思っておりますことは、このアクセスの確保ということにつきまして大変画期的な法律であると思うわけでございます。こういったアクセスの確保、機会の均等ということの達成のためには、多くの方々の御理解と御協力ということが必要であると思いますので、その面につきましても心して仕事をやらせていただきたいと思っております。
○堀利和君 今御答弁にもありましたように、大変画期的な法律であると私も思っておりますので、直接我が国にそれが適用されるかどうか、アメリカと我が国との社会的ないろいろな事情、施策というのがございますので、そうそう簡単にはいかないと思いますけれども、そういう方向に沿った施策をぜひ厚生省としても御努力をお願いしたいと思います。 それで、ADA、アメリカンズ・ウイズ・ディスアビリティーズ・アクトということでございまして、我が国もこれをいわゆる日本語訳にいろいろの立場の方がされているわけでございます。例えば障害を持つアメリカ人法とか米国障害者差別禁止法あるいは障害者保護法というような形で訳されているわけですけれども、下院をちょうど通過しました折のニュースで、五月二十三日だったと思うんですが、新聞やテレビで障害者保護法というように報道されておりました。 私は、障害者保護法という場合、この保護、障害者の権利、保護あるいは養護するということは構わないと思うんですけれども、どうも障害者保護という表現はいささかどうもこのADAの趣旨からいってもどうかと思うんです。その辺のことについて厚生省はどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(長尾立子君) 私どもは、この法案につきましてはアメリカ障害者法という形で、いろいろな私どもの内部の資料でございますとか、皆さんとお話をするときに使わせていただいておるわけでございまして、今先生がおっしゃいました保護という言葉を使うということは私どもは考えておりません。 先ほども申し上げましたように、障害者対策の基本を考えますときに、障害者を保護とか援助の対象というような形ではなくて、社会に貢献していただける一員として社会参加できるような機会の提供と環境の整備ということが大切だというこの法律の趣旨を十分わきまえて仕事をやらせていただきたいと思います。
○堀利和君 次に、総務庁の行政監察局から身体障害者の福祉・雇用に関する調査というのが出されまして、これは労働省と厚生省における障害者の問題なんですけれども、その中でいろいろなことが指摘されておりました。ここは労働省ではございませんけれども、私ども以前から労働省には障害者の雇用率未達成企業名を公表してほしいと、これは法律でも未達成企業については公表できるとうたわれておりますから、そういった点でぜひ未達成企業名を公表してほしいと再三にわたって労働省に訴えてきたところですが、なかなか、伝家の宝刀というものは抜いたらおしまいだと、抜くぞ抜くぞと言い続ける中で雇用率を上げるということをずっと言われてきましたけれども、とうとうといいますか、この調査によって公表しなさいというところまでかなり強い調子で書かれておりました、これは労働省についてでございますけれども。 それで、厚生省の所管ということでは授産所の問題もその中に指摘されておりました。授産所というのは非常に大変なといいますか、大きな問題抱えておりまして、授産所の設置の精神からいいまして一般雇用につながるように努力しなければなりませんし、そういったための通過施設というのが本来の姿だと思うわけです。ところが、調査の中にもありましたように、入所者が次第に重度化しておるというために授産施設が本来の訓練の場から自活、就労の場としての役割に重点が移ってしまっているということでございます。そういう意味では本来の姿に戻すような運営といいますか、努力が必要だと思うんです。そういう点、現状の授産施設、今後どのような見通しあるいは将来図を持っておられるのかお伺いしたいと思います。
○政府委員(長尾立子君) 今先生がおっしゃった問題点、私どもも非常に大きな問題であるというふうに認識をいたしております。お話のように、身体障害者の授産施設は身体障害者で雇用が困難な方に必要な訓練を行うということでございまして、おっしゃるように通過施設という性格のものでございますけれども、障害者一般が最近重度化傾向にあるというような状況を背景といたしまして、訓練中心のものから福祉的就労の場へとその役割の重点が移ってきているということがあるように思われます。御承知のように、福祉的な就労という観点では私どもの体系の中でも身体障害者福祉工場という形の対策を始めておるわけでございますが、これにつきましては、その意味ではなかなか経営といいますか、運営について難しい問題があるというふうにも伺っております。 今回の総務庁の調査結果に基づきます改善意見の中で御指摘をいただいております公共職業安定所への連携が十分ではない、つまり雇用がつながるはずなのにそういうものが連携が十分ではないとか、適切な更生援護計画の策定ということが十分でないという御指摘は、これは制度の運営の上で基本的な問題というふうに認識をいたしておりまして、援産施設の入所者の自立を促進するために適切な更生援護計画を策定をいたしまして作業能力の向上を図るとともに、雇用につながると思われるものにつきましては、労働省とも十分御相談をしながら就職促進を図るということを考えてまいりたいと思っておりますし、こういう時期に応じて授産施設の内容についてもっと勉強をしろという御指摘かと思いますが、十分に受けとめさせていただきたいと思っております。
○堀利和君 厚生省が労働省と緊密な連携をとって、授産施設の入所者が一日も早く一般雇用につくようにしていただきたいということを強く要望したいと思います。 私自身思うに、授産所というのは、やはり今申しましたように、本来の姿からいえば訓練を受けて一般雇用に入っていくわけですけれども、実態はなかなかそうはなっておらないというのがございます。十年あるいは十五年授産所でいわば訓練を受けていてもなかなか一般雇用につながらない、言うなれば授産所でずっと働いているという姿になるわけですね。そうしますと、重度者であるがゆえにそこら辺は難しいと言われるでしょうが、三十になりあるいは四十になり、健常者でばりばりに世の中に出て働いている現役の方々からの比較でいえば、そういった三十代、四十代の大人がいわば訓練という形で、あるいはこういう言い方もおかしいんでしょうけれども、福祉という枠の中で大の大人が働いている、働かざるを得ない、こういうことは障害者の自立あるいはそういった精神というものに照らして望ましいかどうかということを非常に私は感じるわけですね。十代の学校を卒業した程度の若い人でありましたら、それは訓練であり福祉的な就労といいますか、そういうニュアンスで受けとめることもできるんですが、二十代、三十代あるいは四十代の者が十年あるいは十五年ずっと働いていて、しかしそれが社会的に一般雇用としてのそういった労働として認知されないまま訓練という形、これは非常に残念なことだなと私自身は思うわけですね。 そういう点で、本来の姿としては授産所から民間企業なりに出ていくということがまずこれは基本的なんですけれども、現実が授産所でそういうように長く働かざるを得ない障害者にとって、これはなかなか法制度上難しいことは重々承知なんですけれども、十年、十五年働いている三十代、四十代の障害者に対していつまでも訓練という形ではなくて、働く者の生活保障の立場から、あるいはそういったもろもろの権利の問題から、例えば労災が発生した場合に通常の労災保険が適用されるような形で、単に訓練生、訓練している入所者ということを越えて、何とか一般社会で働いている人たちと同じ権利が守られるといいますか、確立するような方策はないものだろうか。それによって三十代、四十代の大人が自信を持って働くことも可能だと思うんです。そういうことの生きていく姿ということも考えていただきたいと思うわけですね。授産所ですから、厚生省と労働省との関係の法制度の枠組みというのも確かにわかります。しかし、そこを何とか働く者の側で解決、見通しが立たないものかと思うわけですけれども、その点についての御意見をお伺いしたいと思うんですが。
○政府委員(長尾立子君) お話は大変ごもっともであると思います。おっしゃるように、基本的には障害者の方が適切な就労の場が確保できるような、障害の程度に応じていろいろな条件はあると思いますけれども、就労の場が確保できるような、そういった基本的な方向を労働省と十分御相談しながら、私どもの立場でも十分に考えていくということが基本であると思います。 そういった基本的な方向は別といたしまして、現実の授産施設において労働関係の法規の適用の問題についてのお尋ねでございますけれども、法律の基本的な建前が通過施設的なものということでございますので、一概にここで申し上げにくいことであると思いますが、御趣旨はよくわかりますので、労働省と十分相談をさせていただきたいと思います。
○堀利和君 よろしくお願い申し上げます。 それでは次に、ハンセン病患者の方々の問題についてお伺いしたいと思います。 差別、偏見というのは社会の、歴史の進歩の中で徐々に解決されていくわけですけれども、同時に社会の進歩の中で新たに差別や偏見というものも生まれてくるというように私は考えるわけです。したがいまして、社会が、歴史が進歩したから差別、偏見がそれにあわせてなくなっていくんだというように短絡的にといいますか、単純に考えることはできないのだろうというふうに私は認識しているわけです。そういう点では差別、偏見をなくすために一人一人が努力しなければなりませんし、そういった社会の土壌といいますか、そういう環境、社会そのものを差別が生まれないように変えていく、そういった日々の努力ということが必要なことだと思うんです。 ハンセン病患者の皆さんにつきましては、過去の誤った情報等により今なおいわれのない、あるいは全く考えられないほどの差別の中に置かれているというのが現状であるわけです。私自身、視覚障害者として長年生きてきたわけですけれども、この問題を取り上げる際、ハンセン病患者の方々ともいろいろお話ししたり、私なりにも勉強もさせていただいたんですけれども、私自身の言葉で話すことが残念ながら今の段階ではできませんでした。何とか訴えさせてもらいながらと思ったんですけれども、今の段階では私自身の言葉でハンセン病患者の皆さんの置かれている立場を語ることがどうしてもできませんでした。北条民雄の文学あるいは川端康成等も批評も含めていろいろなことが文学として書かれ、表現されているわけですけれども、しかしこういう場で私が仮にもある実態を訴えた場合に、非常に厳しいのは、そのことがかえって新たな偏見を生み出すかもしれないという、そういうおそれもございます。そういう点で、私はこの問題を取り上げるについてはハンセン病患者の方と御相談しながらきょうの質問をさせていただくことにしたわけでございます。 そこで、大臣は議員懇談会の一員であるというふうに伺っておりますし、私も議員懇談会の一員でもあるわけです。それで、既に大臣にはハンセン病患者の方々の議員懇談会を通しての陳情というのもなされておると思います。ただ、こうした場で大臣の御発言をぜひお願いしたいというのがハンセン病患者の皆さんの願いでもあります。私がもちろん質問する形ですけれども、先ほど言いましたように、私の言葉で質問するということについては非常に私は自信がございませんので、異例だと思いますし、問題があるかとは思いますけれども、ハンセン病患者の皆さんからぜひ私の言葉をといいますか、私の話すことを通して大臣に御発言をいただきたいということでしたので、問題があるかと思いますけれども、ハンセン病患者の皆さんの私に寄せてきた文章を読ませていただきながら、大臣の御発言をいただければと思います。 私たちハンセン病療養所の入所者は、高齢化とそれに伴う障害度がますます進みつつあります。 平成二年及び三年度以降の予算編成に当たりましては、昭和六十二年十月斎藤厚生大臣がお約束いただいた内容に沿って、医療の充実、介護の拡大、改善、職員の増員、施設整備の促進について津島厚生大臣も格段の御尽力と、将来にわたる御配慮を、堀利和議員の言葉をかりまして切にお願い申し上げる次第です。 ということを私のところに寄せていただきまして、大臣も大変御理解があるというふうに伺っております。ぜひハンセン患者の皆さんが将来にわたっても不安がないように、大変皆さん不安に思っておりますので、ぜひ御発言をいただきたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) ハンセン病の患者の皆様方の御訪問を先日大臣室にいただいたわけでありますが、そのときにも申し上げました。私の地元に国立療養所が一つございまして、私も時々お訪ねをしております。そして、何よりもうれしく思いますのは、その療養所の周囲の地域社会で昔とは随分変わって正しいハンセン病に対する知識が普及をしておるということを見ましてうれしく思っておるところでございます。 さて、大臣室においでになりましたときにも今委員の御指摘のような御質問がございました。昭和六十二年に斎藤大臣が、現在給付されている医療を初め生活など全般の諸待遇については将来にわたって維持継続させることに変わりなく、さらに一層の改善を図るべく努力していきますと、こういうお答えがございますが、これに変わりないかという御質問だと思います。私も全く同じ方針でやってまいりますし、後任の大臣にもこれは引き継いでいくつもりでございます。我々の不動の方針として受けとめていただいて結構でございます。
○堀利和君 どうもありがとうございました。 ハンセン病患者の皆さんも大臣の御発言に大変心強く思われるかと思うんです。高齢化が進んで療養所の入所者の方々の平均年齢も六十七歳程度というふうに聞いておりますし、高齢化の中で年々二百名から三百名の方が亡くなっていく。そういうことで、やはり将来に対する不安というのは大変大きいものがありますので、ぜひ厚生省としての努力をお願いしたいと思います。 ハンセン病患者の皆さんの差別の中に生きてきた重さということは非常に大変なものがあろうかと思うんです。だからといって、そこにとどまっていてはいけないとも私は思います。障害者の仲間たちでは、雑誌の名前にもありますけれども、「そよ風のように街に出よう」、そんなふうに生きてきたし、これからも生きていくつもりなんですね。そんなふうに障害を持っている人、持ってない人も、いろいろな人がともに生きていける社会をみずから努力してつくっていきたい、そんなふうに私自身も思っております。 次に、生活保護に関連した質問をさせていただきたいと思いますが、「資産保有者の生活保護上の取扱い」についてということで、近年大都市圏を中心にしまして地価高騰が目覚ましいわけでございます。生活保護受給者の中には土地、家を持っている方も当然おります。そういう点から、この資産の問題が注目されるといいますか、問題にされてきている状況だと認識しております。三月に厚生省としましても、これについての通知、通達といいますか、関連して各都道府県に対していろいろなことを施策といいますか、実態調査含めてですか、指示されたというふうに聞いておりますし、新聞にもその辺のところがまた載っておったと思います。 それで、私が資料請求しましていただいたものを読みまして、今年度中に調査票をつくるなりいろいろされているような形で進んでいるようなんですけれども、この辺のまず概要をお聞きしたいと思いますが。
○政府委員(長尾立子君) 生活保護法の原則ではその保有されておられる資産を活用するということを前提といたしまして、それで足らざる部分を保護の適用の対象としていくという考え方でございますので、被保護者の方が資産を保有されるということは原則としてはないわけでございますけれども、居住用の資産、お住まいになっております資産に限りまして近隣から見て適切なものを認めてきたわけでございます。しかしながら、今お話がございましたように、最近の事情から見まして土地、家屋を保有しない一般の納税者の方の御納得をいただけないような状況になっているのではないかということで会計検査院等から御指摘がございまして、どういう方向でこの問題の適切な処理をしたらいいかということを部内で、外部の方にも入っていただきました検討を続けてきたわけでございます。 今回各都道府県に対しまして私どもが申したことでございますが、まずある程度の検討を各都道府県にお願いをしてみたいということでございます。それで保有しております資産全体を問題にしていくということではございませんで、ある程度の規模、検討を要する素材といたしましては、保護の約十年分に相当するぐらいの価値のある資産というものにつきまして、当然今申しましたように居住用の土地、建物でございますが、こういうものにつきまして資産調査票を十二月ぐらいまでに整備をしていただきまして、各福祉事務所に処遇検討会を設置をしていただき、不動産鑑定士等の依頼をいたしまして、この中でいろいろな検討をしていただくということでございます。 こういったある程度の資産を持っている方につきまして、どういった方法が考えられるかということにつきまして御検討いただくわけでございますが、なかなかに解決の困難なケースもあるのではないかと思っております。また、そういったケースの実例を国の方に、私どもの方に御連絡をいただきましてマニュアルというものを私どもとしてはつくりたいと思っておるわけでございます。つくるに際しましては、当然各ブロック会議等で細目についての検討をいたしたいというふうに私どもとしては考えておるわけでございますが、平成三年の三月にこういった取り扱いマニュアルの作成を私どもとしてはいたしたいと思っておりまして、四月に実施要領の改正の通知をしたいと、こういうようなおおむね一年がかりの準備をして本格的な実施に取り組みたいと思っております。
○堀利和君 ただいまの答弁で私が少し気になりましたのは、実施は平成三年度ですか、来年の四月からだと思うんですね。それに際しての本年度はいろいろ調査、処遇検討会の設置等があるかと思うんですけれども、ただいまの答弁の中で不動産鑑定士の依頼ということも言われておりましたが、これは本年度のそういった調査票作成なり、検討する過程において鑑定士も加わるという御答弁でしょうか。
○政府委員(長尾立子君) 本格実施の場合の前に試行的なことをやらしていただきますので、そこの部分につきましては、今申し上げましたような、不動産鑑定士への御依頼ということも考えております。
○堀利和君 私はこの問題、きょうは時間もありませんので、九月に取り上げたいとは思っておりますけれども、深入りはきょうはやめまして指摘だけさせていただければ、不動産鑑定士の依頼、委嘱といいますかについてはかなり問題が今後生じてくるのではなかろうかと思っております。伺うところによりますと、本年度の調査、こういった作業については実施ではないから不動産鑑定士を含めた具体的な実地調査はしないというふうに伺っているんですね。つまり、保護台帳を点検して税務関係の方々の協力を得て行うと、つまりは福祉事務所等あるいは税務関係のいわば公の人たちの構成によって本年の準備をするんだというように伺っているわけですね。ところが、この準備の段階で不動産鑑定士が加わるということは私は大変大きな問題になろうかと思いますし、実施以降もこれは大きな問題だなというふうに感じております。その点のことだけきょうは御指摘させていただきたいと思います。 それで、この点について秋の臨時国会なりに取り上げさせていただきますけれども、私の聞くところによりますと、来年四月の実施以降における不動産鑑定士の何といいますか、委嘱における雇い入れといいますか、の費用ですね。これが生活保護運営対策費等に含まれているようにお聞きしているんですけれども、これが平成三年度の予算において国が全額持つというようなことが都道府県の担当の方に言われているかのように聞いてもおります。これは本年度においても不動産鑑定士に依頼ということですから、少し話が違ってきてしまうんですけれども、不動産鑑定士の全額費用を負担するということについてはどうなんでしょうか。
○政府委員(長尾立子君) 不動産鑑定士を依頼するということにつきましての問題点でございますが、確かにプライバシーの問題でございますとか、そういう御指摘になると思われます問題があることは十分承知をいたしております。その点につきましては、十分に留意をしなくてはいけないと思いますし、また不動産の鑑定評価に関する法律によりまして、鑑定士につきましては当然秘密を守る義務が法定化されておるわけでございまして、そういう意味の指導は徹底をさしていただきたいと思っております。 この費用でございますが、生活保護臨時安定運営対策補助金ということによって対応するつもりでおるわけでございまして、来年度の予算のことを私ども現在の段階で確定的に申し上げることははばかられるわけでございますが、こういった方向で同じように措置をしていきたいというふうに思っております。
○堀利和君 そのプライバシーの問題ですね、お触れになりましたけれども、私大きな問題だろうと思うんです。もちろん不動産鑑定士にもそういったいわば守秘義務というのはあるとは思うんですね。ただ、地番とか規模等、周辺の価格の動向を見るわけですから、不動産鑑定士が守秘義務を守ったからといっても、そういった調査といいますか、周辺との関係を見るわけですから、どうしてもそれは情報が漏れるわけですね。簡単に言ってしまえば地価高騰の中での地上げ屋の問題がありましたけれども、生活保護を受給しているだれだれさんがこういうような事情で土地を売りそうだと、売るかもしれないということが漏れないとも限らない。そうなれば極端な言い方ですけれども、地上げ屋が動くかもしれない。そういう点、非常に私は問題を感じるわけでございます。これは次の国会の場で、機会に取り上げたいと思います。 それで聞くところによりますと、今年度のこういったことに対して公文書によらず口頭で指示をするというようなことも伺っているんですけれども、その点はどうなんでしょうか。
○政府委員(長尾立子君) さっき申し上げましたように、こういった正式な指示ということになりますと、当然のことながら文書で責任の所在を明確にした形の文書の指示ということになるわけでございますが、現時点におきまして私どもはいろいろな意味で内部の検討を積み重ねてきた過程を、さらに地方の方をいわば巻き込んでといいますか、お願いして検討を次の段階にしてきたと、その結果といたしまして、明年度から本格実施ということを考えておりますので、ある意味でことしは準備の段階の範囲でございます。そういう形でございますので、こういう方向でという形の指示をいわば私の名前で出すという形をとっておらないわけでございまして、そういう意味の御理解はいただきたいと思います。
○堀利和君 私は、準備の段階だといっても非常に大きな問題だろうと思っています。 時間がもう来ましたので終わりにしますけれども、私はこの問題で資料を請求しました。そうしましたら、B4というんですか、大きい用紙に五枚いただいたんですね。これだけではなくて、まだスケジュール等のこともあるだろうということで言いましたところ、改めて二枚持ってきてもらいました。これはスケジュールなり連絡事項だから事務的なことであって大したことではございませんので、最初に持ってきませんでしたということなんですけれども、それが大した問題になるのかならないのかは私が判断することであって、ワンセットとして出すべきだと思うんですね。要するに一ページから七ページまであるうち四ページと六ページが抜けた形で私にまず手渡されました。しかもページのところはホワイトか何かで消してコピーして持ってきてあるわけですね。ページを隠してあるわけです。ですから、一ページから七ページが本来ワンセットなはずなのに四と六が抜けて、それを隠して、すべてページを隠してくるということは私は極めて遺憾だと思います。準備の段階であろうと、生活保護に関しては非常に大きな問題になるわけですから、資料を請求した場合にはきちんと、ページを隠したのかよくわかりませんけれども、とにかくきちんとした資料を出していただきたいということをお願いして、これは次の国会でも取り上げたいと思いますので、ぜひその辺はお願いしたいと思います。 以上で終わります。
○政府委員(長尾立子君) ただいま、私どもの方で御説明を申し上げるにつきまして、大変申しわけないことがあったというふうなお話でございます。気をつけさせていただきます。
○木暮山人君 お忙しい大臣にまことに恐縮でございますけれども、質問させていただきます。 厚生省の施策にはいろいろございますけれども、時間も相当短縮されておりますので、一つだけまとまった将来構想をお伺いしたいと思います。 それは国際協力の問題でございますが、我が国の海外援助の役割はますます大きくなってきているところでございます。開発途上国に対して保健福祉の分野での国際協力はまことに大切なことでございます。今特に地球の温暖化によるところのいわゆる南方特有の病原菌の北上、こういうものに対する対策というものを考えながらのいわゆる海外援助機構の整備ということを考えていかなければいけないと思います。 まず、南方にありますところの大変な伝染病といいますと、挙げられるものはデング熱、マラリア、ハンセン、こういうものが今の日本の国内においてはほぼ完全に抑止した現状にあります。しかし、この病原体が地球の温暖化と同時にどんどんどんどん日本の国に伝播してくるわけであります。そういうような観点から、特に開発途上国に対するところの保健、福祉、これに力を入れられる厚生省、特に医療技術の協力、そしてまたそういうものの抑止を含めた国際協力というものに対するところの御見解をひとつお伺いしたいと思うんでございます。 よろしくお願いします。
○政府委員(加藤栄一君) それでは私の方から、まず、現在どういうことをしているかということについてかいつまんで御説明申し上げます。 厚生省といたしましては、外務省あるいは国際協力事業団等の実施いたします国際協力に対して協力をするというほか、途上国からの保健医療、福祉分野の研修生の受け入れなど厚生省独自の国際協力をいたしております。またWHOの活動に対する協力なども、地球環境保全対策も含めまして積極的に進めさせていただいているところでございます。 具体的には、途上国の人づくりに資するために、東南アジア諸国等の福祉、薬事担当官などを対象といたします研修を実施しておりますし、また熱帯地域に有効な耐熱性ワクチンの開発など、途上国の自然、社会、経済条件等に即した国際協力のための技術開発も進めております。さらに途上国の研修生の受け入れ、特に国際協力のために医師、歯科医師の方を初めといたしまして、そういう専門家の方もお迎えをしております。また、これを進めるための中核施設といたしまして国立病院医療センターに国際医療協力研修センターの整備を進めるなど、各般にわたりまして努めております。
○木暮山人君 その問題につきまして、もう一つつき進んでお伺いしたいと思います。 いわゆるそういう受け入れ体制は非常にいいということでございますが、この六月からまた入国の査証というものが非常に厳しくなっていくということになりますと、それと今のおっしゃられたことの関係というのはちょっと、明快に御答弁ちょうだいしたいと思うんですが、いかがなものでございましょう。
○政府委員(加藤栄一君) 六月からの入管法改正等に関連いたしましては、いわゆる研修でありますとか、そういうものにつきましては従来どおりということで特に厳しくなってはおらないというふうに理解しております。
○木暮山人君 関連しまして、それはやはり法務局、それともう一つ文部省、それと外務省、この関連がまことに今総務審議官のおっしゃった話とは、実際問題としては難しくなっております。そこら辺をちゃんと、特にこういう問題についての目標達成のための明確な体系というものを確立しておいていただきたい、かように思うんでございますが、いかがなものでございましょう。
○政府委員(加藤栄一君) 特に私どもの方で扱っております保健医療関係の専門技術者の養成あるいは研修といったこと、あるいはその他会議等につきましては、事前にWHOあるいは国際協力事業団あるいは私どもが直接にやっております各種の研修会については、相手国政府から直接厚生省といったふうに連絡が来まして、そういう受け入れの証明等につきましても十分スピーディーに処理しておるところでございまして、そういう面では私どもも先生おっしゃるようにさらに今後とも留意してスピーディーな処理ができるように努めてまいりたいと思っております。
○木暮山人君 それはオフィシャルな感じのことをおっしゃっておりますか。それともプライベート、個人的な問題とかいろんなものを含めた上で、目標がこういうものだということについての御発言なんでございましょうか。あくまでもオフィシャルというような感じでございますか。
○政府委員(加藤栄一君) 私どもの方で所掌しております仕事と申しますのは、いわばオフィシャルと申しますか、そういう政府ないしは公的な機関が絡んでおるものであると思いますが、あるいは関連の団体等も含めまして私どもの方ではお世話をしているわけでございます。全く私人と私人との関係につきましてはちょっと私どもの方でも把握できないわけでございますが、今申し上げましたのは、そういう意味で国ないしは地方公共団体、さらに関連団体までということだと思います。
○木暮山人君 そういう感じでございますと、これはある現象が起きてからの対応になると思うんですね。結局やはりもう現象が起きてしまうときは、迷惑するのは日本の国内に何にもわからなくて政治を謳歌している安住した国民だと思うんでございます。そこにいろんな病原菌が入ってきて、いろんな病気が伝播し始めたら、これに対してそういうことでは私ちょっとまだ不行き届きな点があると思うんですね。それは、例えば国外のもう本当の僻地に変な病気が起きた、そういうものに対して研究したいというグループがいる。そういういわゆる日本の国是に沿った目標を持って研究したいというプライベートな人に対しても、やはり厚生省、文部省、外務省、法務局という横の関連をよくしていただきまして、何とかそういうものがスムーズに処理できますように、これはお願いでございまして、質問じゃございませんが、そちらもひとつお考え願いたい、かように思う次第でございます。 次に、もう一つ質問さしていただきたいと思いますが、現在、日本に外国からたくさんの就学生が入っております。これがいろいろと、まあアルバイトということでもないと思うんですが、どちらが主か従かわからないような状態で、堀先生等にお考えにならせるとかわいそうなお立場の人がたくさんいるわけです。それがまた、加えまして相当いろんな病気にむしばまれている、そして志半ばにして倒れていくと。しかし、その周辺にいる日本人もそれに罹患しないとも限らないというような状態でございますけれども、在日の外国人の特に結核患者の全国調査をなされたようでございます。しかし、これはどんな目的で調査することになったのか、またその動機等についてはどんなことで、将来はどういう方向でこれに対処しておいでになりますものか、そこら辺の御説明をちょうだいしたいと思います。
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。 在日外国人、特に日本語学校の生徒の中で結核患者が多いというようなことがいろいろ言われているわけでございますが、一般的に在日外国人の結核患者の全国調査に関するお尋ねでございますが、結核の専門家の方で、最近の新患者の発生はそういう外国から来られた方の方が多いんじゃないか、それが日本の新患者をふやしておる要因になっておるんじゃないかというような御指摘等がございますし、それに加えまして、そういう在日外国人、日本語学校、日本語の教育施設の就学生について東京都の方で健康診断をやりまして、他の学校健診の場合と比べますと結核罹患率が高いというような報告が出されたわけでございます。 そのような状態を踏まえまして、厚生省といたしましては、外国人の就学生の結核罹患率が高いということが我が国におきます結核対策上放置できない問題であるというぐあいに考えておりまして、平成元年の六月に在日外国人の結核登録患者の調査を実施いたしたところでございます。この結果で、公衆衛生審議会の結核予防部会にいろいろお諮りいたしまして、在日外国人対策専門委員会といいますものを設置いたしまして、この中でそういう外国人の結核対策についていろいろ検討していただいたところでございます。 中身といたしましては、この専門委員会の中で検討の結果、財団法人日本語教育振興協会によります認定校制度に基づきます日本語教育施設の健康診断が適正に実施されるように啓発普及を図ること、それから日本語教育施設の経営者等を通じまして、入学時に国民健康保険等に加入するよう啓発普及を図ること、それから英語以外の言葉で相談等が行えるような体制についても整備を図ることというような御結論をいただいているわけでございます。これらをいただきましたので、今後はこの意見に沿いまして就学生の結核対策を進めてまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
○木暮山人君 よろしくひとつお願い申し上げます。 まだ六分ばかり時間があるようでございますけれども、野呂政務次官にひとつ御所見をちょうだいしたいと思うことは、かなり前に新聞の調査等でいろいろがんのことについて調査があったようでございますが、やはり末期がんというものの苦しさからがんに対する認識、恐怖というものは大変でございます。しかし、昭和五十九年でございますか、がん対策十カ年戦略というものを立案されまして、それに予算をつけていろいろ厚生当局は御努力を重ねてきたわけでございます。しかし最近は、高齢者保健福祉推進十カ年戦略なんという、またもう少し枠組みの大きいものがここに出てまいりましたので、がん対策の十カ年戦略が何か先細りになるんではないかというふうな心配もされつつあるわけでございますが、がんの予防、治療、研究、そしてまた効果的ながんの対策、そしてまた徹底的な諸問題に対する対応というものが期待されるわけでございますが、そういう問題につきまして、政務次官のひとつ御所感をお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
○政府委員(野呂昭彦君) 今先生の方からがんの問題についてお尋ねをいただいたわけでありますけれども、もうこれは先生もよく御承知のとおり、がんというものは昭和五十六年、脳卒中を抜いて死亡原因の第一位となっております。しかしながら、全がんでは減少傾向等も見られるものの、部位のがんにおいては著しい増加をしておるものも中にある、こういうようなことでございまして、そういう状況の中で昭和五十八年にがんの十カ年戦略というものが始められたわけであります。実はちょうど半ばを過ぎまして、本年入れましてあと四年というものが残されておるものでございます。そういう中で今日まで、例えば胃とか肝がんの遺伝子の発見だとか、あるいはこれらの遺伝子が発がんに関与する機構の解明だとか、あるいは温熱療法の確立だとか、あるいは多くの発がん物質の同定、特定ですね、これを抑制する物質の同定、こういったものを行う等の着実な成果を一応見せてきておるというふうに私ども思っておるわけでございます。 しかし、特にがん対策につきましては、がんに対する正しい知識の普及だとか、あるいは医療施設の整備や専門技術者の養成、あるいは研究の充実、推進、こういったことが大事でございまして、今後とも十カ年総合戦略の成果を踏まえながら、がん自体の本態解明あるいは有効な治療法の確立などに努めてまいりたい、こう思っておりまして、特に私どもの認識としては、人口の高齢化に伴いましてがん対策は極めて重要な一環である、このように認識をいたしておりますので、どうぞ深い御理解をお願い申し上げる次第でございます。
○木暮山人君 どうもありがとうございました。
○委員長(浜本万三君) 本審査に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午後零時八分休憩 —————・————— 午後一時三分開会
○委員長(浜本万三君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。 午前に引き続き、平成二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管及び環境衛生金融公庫を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○木庭健太郎君 きょうはこの前も少しお聞きしましたけれども、将来の我が国の社会保障制度と国民負担率のあり方、これについて何点かお伺いしたいと思っております。 税と社会保障負担合わせた国民負担率、この対国民所得比は平成二年度で四〇%を超えるというようなことがほぼ確実と今見られております。今の現行の制度を前提といたしまして高齢化がピークを迎えることになります二〇二〇年ごろの国民負担率をどの程度になると厚生省では見込まれていらっしゃるのか、現時点での見解をぜひお聞かせ願いたい。 あわせて、政府として少なくとも二〇二〇年を展望した新たな推計を国会に提案する用意はないでしょうか。この点につきましては、大臣も出ておられましたけれども、参議院の予算委員会の中で、この問題を私たちの同僚議員が質問をいたしまして、大蔵大臣の答弁でございましたけれども、院の要請があれば見直しの労を惜しむものではないというようなことを大蔵大臣はおっしゃっておりましたが、厚生大臣としてぜひ積極的な答弁がいただけないかというのが第一点でございます。
○国務大臣(津島雄二君) 国民負担率の趨勢につきましては、昭和六十三年三月に、二十一世紀初頭における高齢化状況等及び社会保障の給付と負担の展望というものをお示しをいたしまして、二〇一〇年に向けての見通しをお示ししていることは委員御承知のとおりでございます、ちなみに、これによりますと、二〇一〇年に四四%から四七%という数字が掲げられておるわけでございます。 さて、二〇二〇年における国民負担率がどうなるかという点につきましては、政府全体の歳出のあり方また国債残高の水準等いろいろな要素で左右されるものであり、また社会経済の状況についても今余りはっきりした明確な見通しを立てることは難しいと考えられますので、見通しを算出するに至っていないわけでございます。 いずれにいたしましても、本格的な高齢化社会においても安定的に機能する社会保障制度をつくり上げていかなければなりませんから、負担の趨勢については絶えず念頭に入れると申しますか、視界に入れてやっていかなきゃならないことはそのとおりでございます。しかし、一方、二〇二〇年を展望した新たな推計を示せ、こうおっしゃられますと、今二〇二〇年という三十年先に向けて自信を持ってお示しできるには余りにも課題が多過ぎるというのが私の感じでございます。 先般、予算委員会で御議論がありましたときに、大蔵大臣のあの御答弁のすぐ後で私が申し上げておりますけれども、明確な推計ができるためにこそ社会保障制度の残された課題について御議論を積み上げ、給付と負担のあり方についてもう少し明確な国民のコンセンサスを得て制度の一層の安定化を図っていかなければならないでしょう、こういうことを私申し上げてございます。ですから、まずはそれを一生懸命させていただいて、そういうことの中からだんだんだんだん先に向けての数字がはじき出せるような状況がつくられていく、こういうのが私の今の認識でございます。
○木庭健太郎君 そのときもうちの同僚議員が言ったんだと思うんですけれども、確かに今言われたように、状況を整えていく面も大切でしょうけれども、逆にコンセンサスを得るためにこそそういった一つの方向を示すことも大事じゃないかというふうに私も感じるんです。 それはそれとしまして、今大臣がおっしゃいましたように、二〇一〇年の国民負担率の問題については昭和六十三年政府が資料を提出しております。この資料を見る限り二〇二〇年ということは何も触れてないんですけれども、あのまま推計していくとピーク時の二〇二〇年には五〇%を超えるんだろうというふうなことを、あの資料を見るだけでは何かそういうことが示唆されているんじゃないかというようなことを私は感じました。その一方で、先月の新行革審の最終答申でございますけれども、高齢化のピーク時の国民負担率は五〇%を下回ることを目標とするというような表現をいたしております。 先ほど言ったように、今年度既に四〇%を超えようとしている今の現状、それから今後の経済動向、複雑なものがあるかもしれませんけれども、それを考えた場合、いわゆる高齢化のピーク時の二〇二〇年、この時点では五〇%を下回るということはどうなのか。新行革審が言いました五〇%を下回るというこの数字に対する御認識をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 見通しを示してみんなで考えた方がいいんではないかという御指摘でございますけれども、そのためには誤解のないような見通しでなければいけないわけでございますね。数字がひとり歩きするというのはよくありがちなんですが、二〇一〇年に向けての、先ほど申し上げた推計を見ましても、国民負担率の推計、例えば租税負担率をどう見るか、あるいは社会保障関係の負担の増大をどう見るか、特に年金、医療についてどう見るかということについて、大変粗い推計でございましてね、例えば成長率がこれまでのトレンドと、趨勢と変わってきたという場合には、私は途端に狂ってしまう要素をはらんでおると思います。そういう意味で、今の推計自体がそういう、何と申しますか備考的な問題点、こういう点に留意しろ、こういう点に留意しろという問題点を頭に置いて読んでいきませんといけない。ましてさらにその十年先となりますと、私はかえって危険の方が増してくるんじゃないかという認識を持っているわけでございます。 御質問の後段の方で、いずれにしても、国民負担五〇%を上回らないようにという御要請が出ておる以上、今の二〇一〇年に四四%から四七まで、これは明らかに上がっていっているわけでありますから、これをそのまま伸ばせば危ないじゃないかという、その点はそのとおりでございますから、それだけに努力をしなければならない。国民負担が過重なものになって社会の活力を失わせてしまいますとかえってやりたいこともできなくなる、福祉にも十分な予算が配分できなくなるということもまた頭に置いておかなければならないということでございます。
○木庭健太郎君 今五〇%の問題、未満におさめるというのはなかなか厳しいというような大臣も御認識だと思います。 五月二十一日の記者会見で、これは厚生省の吉原次官だったと思いますけれども、年金や老人医療費の将来を考えるとなかなか難しい要素が多いというようなことを記者会見でもおっしゃっております。厚生省としてはどういうふうに未満ということを、抑えるための対策をとっていかれようとするのか、ぜひ見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 全体としての国民負担の目標水準は今申し上げたとおりでございますが、もう一つ我々がどうしてもやらなければならない仕事は、社会あるいは国民が求めております福祉の充実を図らなければならない。これも厚生省としては至上の命題でございます。そういう意味で、大変難しい仕事に取り組まざるを得ないわけでありますが、そのためにこそ私どもは給付と負担というもののあり方について絶えざる国民との間の対話が必要であろう。つまり一般的に申しますと、より多くのことをして差し上げるためには、また社会全体としてそれだけの負担を求めるということになるわけでありますから、一体どの程度の給付、そしてその給付をいただくためにはこの程度の負担は認容しようという国民のコンセンサスを得ていくことが大事だろうと思います。 非常に難しい仕事でありますけれども、辛抱強く一つ一つやっていく以外にはないであろうというふうに思っております。
○木庭健太郎君 今福祉の充実、それこそ厚生大臣が最も取り組むべき仕事だと私も思います。また、それは国民負担率、低ければ低いほどいいのはもうわかり切ったことでもあるんですけれども、ただ何か今の政府の議論を聞いていると、印象的に一番前面に押し出されてくるのが、国民負担率の上限引き下げがまず先にあって、それを前提にしてしまって、そのためであれば社会保障水準の切り下げが出てくるようなこともあり得るんじゃないかとか、またなかなか将来展望が見えてこない中で、そのときどきの財政事情で社会保障制度が左右されるんじゃないかな、そういう危惧も正直抱くようなときもあります。大臣おっしゃったとおり、社会保障そのものというのは重要な使命、機能というのがもちろんあるわけですから、それが優先されるべきだと思いますし、今おっしゃった国民の福祉を守る厚生大臣の立場からすれば、五〇%未満に抑えるということでなくて、まず必要な福祉水準にこだわっていく、それが基本であると思うんですけれども、その点いかがかなということと、いつも言われるんですが、私なかなか、何となくぼやっとはわかりますけれども、五〇%を超えるとすぐ言われるのが、経済社会の活力が急に失われるという表現が来るんですね。この点について、もしわかりやすい説明ができるならしてください。
○国務大臣(津島雄二君) 第一点でございますが、社会保障制度あるいは福祉の充実を第一に考えてやるべきであるというお考え、私は十分認識をしております。何といってもいい福祉制度、いい社会保障制度を構築するということが我々の第一の任務でございます。 ただ、先ほども申し上げましたように、国民負担の水準というのは国民の生活、それから福祉にも間接的には関連をしてまいりますから、そこを等閑視してやるわけにはいかない。それは適正な水準に抑えていくことが必要だという意味で無視できない課題であるというふうに受けとめているわけであります。 それから、五〇%くると別の世界に入るかのごとく問題にするのはどうかとおっしゃるのでありますが、五〇%負担率が超えると途端にというものではないと思います。ただ、一般的に申しまして、やはり国民総生産の半分以上を公的部門が支配してしまうということは、それなりに別の世界に入ると言われても仕方がないようなある水準ではないであろうか。これは何と申しますか、抽象論やっても仕方がないと思います。世界各国の例とかいろいろな我々の経験とかを積み重ねてみる以外にないわけですけれども、一般的に五〇%というのはこれは随分民間の部門を圧迫しちゃうなと。よく経済学者なんかは言うんですけれども、資源配分について一体どういうものかという議論は実際あるんだろうと思います。ですから、確たる理論的根拠をどうこうということでなくて、常識的な意味で今度の臨調最終答申で示されたあのラインというのは私どもは受けとめてもいいんではないだろうかというふうに考えております。
○木庭健太郎君 ちょっともう一つ、午前中もちょっと出ていました日本型福祉というやつですね。どういうやり方かというのはいつも御説明いただいていて大体理解しているつもりではございますけれども、ただよくわからないのは、この日本型福祉で最低限必要な保障を公的サービスで受けることができるのかどうかという点がよく見えないというのが、私を含めて国民の不安だと思っております。だから、そういった意味じゃ日本型福祉というのは具体的にどのレベルの保障をしてくれるのか、例えば医療分野ではこうだ、所得保障ではこうだ、福祉サービスの部門ではこうだというふうに、せめて私たちが必要としますミニマム水準といいますか、それは社会保障制度でカバーできるのかということを伺っておきたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 日本型福祉の最終的な姿がなかなか見えてこないというのは、ある意味では当然でございまして、老齢化のスピードがこんなに速い例というのは世界にそんなになかった。それから日本の社会では初めてでございますから、ある意味では未知への挑戦でございます。そういう意味で、我々自身の英知を働かせて、要はそれぞれの地域社会で、また日本の社会全体として国民に好ましいものとして受けとめてもらえる状況、社会保障制度、それから福祉の水準というものをこれからつくり上げていくものであろうと思っております。 そうは申しますものの、全く何にもないかといったら、そうではございませんで、例えば年金につきましては、これまでの、例えば先ほど申しました六十三年の長寿・福祉社会を実現するための基本的考えと目標の中で、年金についてはおおむね現在程度の給付水準を維持すると、そして公的年金制度の全体の一元化に向けてやっていくと、そして今の何と申しますか負担を過重なものにしないためには、支給開始年齢について見直しをしなければならないであろうというようなことは示されておるわけでございますし、それから医療保険の点につきましては、医療保険各制度の給付と負担の公平化、一元化に向けた措置を段階的に実施して、それで給付水準は八割程度を目標にして適正なものにすると、それぞれの制度について一応の目標を示している。それから、在宅介護等についてもゴールドプランというものをお示ししている。ですから、そういうものを目標に進みつつも、さらに適時適切に見直しもする、改善を加えるということで、結果として最終的に日本的福祉社会というのはこういうものだというのができ上がってくるんではないだろうかというふうに思っております。
○木庭健太郎君 もう一度ちょっと再確認なんですけれども、そうなると、せめてミニマム、最低水準というのをどこに置くかという問題あるんですが、少なくとも現行制度程度の社会保障は、日本型福祉社会であってもその一定レベル、現行レベルといいますか、これから変更あるにしても、最低水準は保障してくれるということですか、そこをちょっともう一回。
○国務大臣(津島雄二君) そのとおりでございまして、今程度ということでなくて、例えば長寿・福祉社会に対する対応などは、これは抜本的に充実をしたいというものを出しておるわけでございますし、それから年金についても一元化の方向で今よりも確固たるものをつくりたいと言っておるわけでありますから、そういうそれぞれの分野について私どもがお示ししているものをもう一度よく見て評価をしていただきたいと思います。
○木庭健太郎君 そうなると、また五〇%論とのあれになってくると思うんですよね。今言われた守っていくということと、五〇%という上限を見ていったときに、何か一つの矛盾が出てくるんじゃないかなという、正直言って思いがするんです。だから、ある意味では、厚生省としてはもう五〇%未満ということを言われて、それに努力していくけれども、本当に国民が必要なサービスをするためであれば、あるときには五〇%超えてもやむを得ないというような考えも持っていいんではないかなと思うんですけれども、その点大臣の考えをもう一回お伺いします。
○国務大臣(津島雄二君) 私はまだそういう段階ではないと思います。それは、現在の段階でも国民負担全体の中で租税負担の方が大きいわけでありますから、社会保障の方の負担の事情から全体がもうコントロールできないところまでいくという状況ではないと思います。そして租税負担とそれの配分という面で随分いろいろと工夫をしていく面もあると思います。だから是が非でもこれはやらなければならないし、また今からみんなで努力をしていけばできない問題ではないというふうに思っております。
○木庭健太郎君 私はなかなか難しいというような気もしているんです。できれば厚生省で五〇%に抑えるという考えをお持ちなら、そうやっていかなくちゃいけないのであれば、逆に言えば、今言われた日本が今からかつてない高齢社会を迎えようとしている、そういう体験をせざるを得ないわけですね、国民は。そうすると、二〇二〇年という一つのピークを目標にして、社会保障給付と将来の国民負担率についてもできるだけ具体的、そして詳細に明らかにしたようなわかりやすいビジョン、そういったものを作成して、負担の上限、そして社会保障制度の保障レベル、これはどうなるのかということを、ある意味じゃビジョンを提示した上で国民の選択にゆだねることが今大臣が真っ先にやることじゃないだろうかなと私は思えてならないんです。ぜひその点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 重ねてお答えをいたしますけれども、国民に選択を求めるときに、それこそ抽象的に五〇%以上いいですか、どうですかという聞き方をしたって国民はわからないんですよ。ですから、私どもは国民に選択を求めるというのは、それぞれの福祉の分野で、年金ではこういう給付を差し上げます、したがってこういう負担をしてください。医療保険ではこうですよと。それぞれの分野で中身のある、わかりやすい選択を求めていく、これが絶対必要でございますので、私はだから申し上げておるわけです。我々の仕事の一つ一つにはすべて国民の選択、国民のコンセンサスの形成というものを目指しての努力をやって、その努力を積み重ねていく中で、五〇%未満に国民負担全体として抑えるということがまだ十分可能性の中に入っているというのが私の認識でございます。
○木庭健太郎君 まだやりたいんですけれども、もう時間がこの分なくなりましたので、午前中も生活保護の不動産保有の問題が一点出ておりました。この制度来年からということでございますけれども、都市部を見ましたら、これわずかな土地でもすぐ最低生活費の十年分という基準は超えてしまうのが実態だとも思うんです。もちろん厚生省としても機械的な事務処理ではなくて、個々の実態に即した慎重な制度運用をやられるでしょうけれども、その点をぜひ確認しておきたいのと、例えばそういう不動産を活用する場合でも、公営住宅への優先入居などきめ細かな自立援助の配慮が必要だと思うんですけれども、その点だけちょっとお伺いします。
○政府委員(長尾立子君) 生活保護におきます資産活用の問題でございますが、今先生がおっしゃいましたように、保護を受けておられる方のいろいろな御事情、いろいろな周囲の御事情もあるわけでございますから、きめ細かな配慮ということが必要であるということは十分わきまえてやらしていただきたいと思っております。そういう趣旨で、福祉事務所におきます方向決定ということを慎重にしてほしいということが基本的な考え方であるわけでございます。 今具体的に御提案のございました公営住宅への入居の措置といった例をお示しになったわけでございますが、確かに今の問題になっております資産は居住用の土地、家屋の問題でございますので、これは確かにその方にとりまして生活の基盤でございますし、お年寄りでございますと、住みなれた地域社会から動いていくということは非常に大きな困難があるということは十分承知しておるわけでございます。したがいまして、例えばその地域に御利用いただけるような形の公営住宅があるというようなことがございますと、それは今先生おっしゃいましたように、その被保護者の方の御納得はいただけるということをもちろん前提といたしまして、そういったものの活用を十分に考えていきたいと思っております。
○木庭健太郎君 運輸省の方がお見えですので、鉄道の駅における障害者用のエレベーターの件をお伺いしたいと思います。もし調査されたことがございましたら、こういう障害者用のエレベーターがある駅というのは日本の全体の駅のうちどれくらいあるのか、そんな調査があれば教えてほしいんですけれども、またその数字に対する運輸省としての認識をぜひお伺いしたいと思います。
○説明員(齊藤孝雄君) お答え申し上げます。 御質問のエレベーターの設置状況につきまして、最近平成元年度末の数字がまとまったところでございますけれども、これによりますと、JRにつきましては百四駅、それから民鉄につきましては五十四駅、このようになっております。 この数字でございますけれども、例えばJRにつきましては、昭和五十年度で見ますと九駅でございますので、順次進んできておるということはございますけれども、一方で同じような身体障害者の方のための施設でございます誘導・警告ブロック、こういったものは例えばJRにつきましては千三百五駅と、あるいは民鉄は千百三十一駅というように整備が進んでおりまして、そのような数字と比べますと必ずしも十分な状況とは言えないと、このように認識しております。
○木庭健太郎君 障害者の方たちが自立するため、またそういうふうに行動するため、さっき厚生大臣もおっしゃっていましたけれども、ノーマリゼーションという立場からいえば、今一番重要なのはこういう公共輸送機関の設備だと思うんです。 実は、私の地元の福岡でも、福岡県の古賀町というところがありまして、そこに身障者用のエレベーターつけてほしい、これは駅が改修された際にやろうということで運動が起きたわけです。ところが、これは町の方は協力して外側から上がるエレベーターつけたのに、JRの方はつけられないということで、今一生懸命運動もなさっているんですけれども、せめてこういう駅が新しくできる場合とか改修される場合、こういった場合はぜひ福祉の面からも運輸省が積極的に私は取り組む必要があるだろうと、最初から全駅やれといってもそれは無理です。だから、例えばそういう新築、改修、そういう際から始めてはどうかと思うんですけれども、この見解をお伺いしたいと思います。
○説明員(齊藤孝雄君) 私ども運輸省といたしまして、身体障害者等の、いわゆる交通弱者の方々が社会活動を営む上で交通機関をできるだけ利用しやすくする、こういったことは重要な課題であると考えております。このため、従来から運輸省におきましては、公共ターミナルにおきます身体障害者用施設整備ガイドライン等々のガイドブック等を年々作成しておりまして、各交通事業者に対しまして、必要な施設の整備等につきまして配慮するよう指導してきているところでございます。 エレベーターの設置につきましては、先生の御指摘のとおり、特に既設駅の場合は駅舎の構造面とかスペース面、あるいは駅舎改造に伴います費用面の制約等々がございまして、短期間ではなかなか飛躍的な改善は困難であるわけでございますけれども、駅の新設とか改築等の機会は、そういう困難性がそれに比べますと低いわけでございますので、そのような駅の新築、改築等の機会にあわせまして整備を進めるよう指導してきておりまして、今後ともそのようなことで促進を図ってまいりたいと、このように考えております。
○木庭健太郎君 そこが運輸省の残念なところで、指導しているんですよね、一応話はしているんだけれども、だからといって運輸省さんとしてはまだ手伝ってないんですよね。だから先ほど私が指摘したように、形として地方公共団体は一生懸命そういう障害者の申し出があれば積極的に取り組んできちんとつける。ところが、JRになると、また民鉄になるとなかなかできない。これはもう本当に私も一回そこの駅に上がって寂しかったのは、高架の駅なんです。そうすると、外から来た人は車いすのままエレベーターに乗って高架の駅のところまで行けるんです。じゃ駅からホームにおりるためにどうすればいいか。階段があるわけですから、障害者の方たちは駅員に手伝ってもらったり、いろんな方に手伝ってもらわなきゃできないんです。 そういった意味では、私はこういう問題、地方公共団体はようやく取り組み始めたところございますし、もう御存じでしょうけれども、神奈川県では民営鉄道駅舎へのエレベーター設置について、市町村の申請に応じて補助するような制度も実際にできつつあります。そういった意味では運輸省としてもこうした、最初から全部やれとは言いませんけれども、先ほど言われた駅が新築とか改築とかになる場合、ぜひそういう補助制度みたいなものまで踏み込む必要があるだろうし、そこまでできないとおっしゃるなら、その前にまずモデルケースをぜひどこかで何かに取り組むとか、そういった運輸省としての姿勢を見せてほしいと思うんですけれども、一言お願いします。
○説明員(齊藤孝雄君) 施設整備に伴います費用負担の問題でございますけれども、まず一般論といたしましては、このような身体障害者の方とか、あるいは高齢者の方々のための施設整備につきましては、一般の利用者の利便の増進にもつながるということから基本的には利用者全体の御負担でお願いする、このようになっておりますけれども、同時に、国といたしましても、利用者全体に過重な負担をかけずに所要の施設整備が促進をされるように、例えば現在では開銀の民鉄融資対象工事の中に、そのような施設整備の工事につきましてもそれを含めてございますし、それからまた、一般的に鉄道の建設の際に補助制度が若干ございますけれども、そのような補助の際にはこのような施設もその対象になってございます。新しい補助制度をつくることはなかなか難しいわけでございますけれども、現在ありますようなこれらの助成措置によりまして、身体障害者等の交通弱者の方々が安全かつ身体的な負担の少ない方法で移動できる必要な施設の整備の促進に今後とも努めてまいりたい、このように考えております。
○木庭健太郎君 できれば私は、運輸省としてもそういう福祉という面で一生懸命乗車するときの問題については取り組んでいらっしゃいますけれども、こういう施設の面にそろそろ取り組む時期が来ているだろうと私は指摘しておきたいと思います。 大臣、お聞きになったとおりでなかなか厳しいんですね。こういうエレベーターの問題というのは、障害者の問題もございますけれども、運輸省はちょっとおっしゃいましたけれども、高齢化社会を迎えるときに、そういうエレベーターができて喜ばれるのは御老人なんですね。階段を上がるよりは、ああできてよかったというようなことを実際におっしゃっていましたし、そういう意味で、ぜひこういう問題についての厚生大臣として一言お伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 障害者の問題を考えますときに、いわゆるノーマリゼーション、つまり社会に障害者の方や高齢者の方々がいるのが自然である、そういう方がおられる社会をみんなでつくっていこうという方向で多くの方々に協力をいただくことが大事であろうと思っております。 そういう意味で、障害者の移動におけるハンディキャップの軽減ということは非常に重要な課題となっておりますので、厚生省は障害者の問題を解決するための先頭に立ってこれからも努力をしてまいりたいと思います。運輸省、それからいつも申し上げておりますけれども、住宅問題なんかでも建設省であるとか、関係のあるところにはみんな御協力をお願いしておるところであります。
○木庭健太郎君 ありがとうございます。
○沓脱タケ子君 それでは、最初に花粉症対策についてお伺いをしたい。 花粉症というのは一九四五年くらいまではほとんどなかったと言われております。一九六五年ごろから漸次ふえてまいったわけでございますが、ことしは特に花粉症が、杉花粉症が大変深刻で被害も極めて深刻でございました。医療機関に通院する患者は急増して、売薬も昨年の四倍も売れたと言われて報道されております。 東京都の調査によりますと、都民の一〇%が罹患をしている。これ、その割合で全国的に見ますと、約一千万人という人が何らかの被害を受けているということになるわけです。そういう点で考えますと、一つは国民の健康の問題、健康への影響で、社会活動参加への影響、医療費に対する影響等々、ちょっとこれはほっておけないのではなかろうかと思います。この事態について厚生省は患者がどのぐらいおるかというふうなことを推計をされておられますか。医療費もこの現象によってどのくらい影響があるかというふうなこと、こんなことはつかんでおられますか。
○政府委員(長谷川慧重君) 花粉症の患者数についてのどのくらいかというお尋ねでございますが、先生のお話ございましたように、東京都の調査によりましての推計があるということは承知いたしておりますけれども、全国ベースで患者数がどのくらいいるかという数の推計あるいは把握等はいたしておりません。したがいまして、医療費の関係についても試算等はいたしておりません。
○沓脱タケ子君 それで、まだつかんでないと思いますが、今後の対策どうなさいます。ちょっとほっとけないんじゃないですか。
○政府委員(長谷川慧重君) 花粉症を含めまして、国民の疾病予防という観点から厚生省いろいろやっているわけでございますが、この花粉症につきましては、六十年より予防、治療に関する研究といいますものを推進してまいっているところでございます。しかしながら、先生のお話ございましたように、ことし特に花粉症の患者さんが多いというようなこともございまして、いろいろ問題になっておりまして、本年度からは林野庁、環境庁、気象庁という三省庁との間におきまして連絡会議といいますものを設けまして、今後はこれらの省庁と緊密な連携を図りつつ花粉症の対策を進めてまいりたいというぐあいに思っているところでございます。
○沓脱タケ子君 本年度から関係各省庁連絡会議を持ってお進めになるということですね。考えてみたら、原因、実態把握だとか、あるいは予防や治療法の研究というのは厚生省ですが、原因究明ということになれば、ディーゼル車の排ガスも影響があるのではないかなどと言われておるという点もありますから、当然環境庁などもかみ込んでいただいて、これははっきりさせていくというふうなことが必要だと思うんです。 いずれにしても、国民生活に非常に影響します。恐らくここにおいでの皆さん方の中でも罹患をしておられる方々が何人かおられます。私どもの部屋でも秘書が一人かかってますし、秘書の奥さんがかかっているというふうにざらにあるわけです。それは影響しますよね。国民生活への影響、そして国民の健康に対する影響、ひいては医療費に対する影響等、非常に大きいわけでございますので、実態把握は極めて大事だと思いますけれども、東京都で既に五十八年度にちゃんと専門家による対策委員会を設置して、五十八年から平成元年十二月で一応のまとめ等までやっておられるわけで、東京都でやっているのに肝心の厚生省が何にもやってないと、何にもやってないわけじゃないけれども、四、五百万の研究費をちょろっと出しているというのでは、ちょっとお粗末過ぎると思いますが、そういう点で専門家による対策委員会の設置をやって、これしばらく続くそうですからね。二年や三年では終わらぬそうですね。専門家の意見によると、二十年続くか、三十年ぐらい続くんじゃないかと言われているわけですから、そういう対策をおとりいただく必要がありはしないかと思いますが、大臣の御見解を伺いたい。
○政府委員(長谷川慧重君) 各省庁がそれぞれの分野におきまして、その範囲内におきましていろんな調査研究等を行うわけでございます。厚生省におきましては、先生お話ございましたように、そういう花粉症の患者さんがどの程度おられるのかとか、あるいは有病率なり疾病症状等の把握をやらなきゃならないというぐあいに思っています。また、環境要因なり宿主要因なり、花粉の抗原性等からの発生原因の究明等、いろいろ調査研究を行うわけでございますが、そういう調査研究に当たりましては、それぞれ専門家の先生方にお入りいただいた研究班等で研究をやっているわけでございますので、そういうことで厚生省は専門家の御意見を聞きながら調査研究をやる。各省庁も同じような形で、それぞれの専門家の御意見を聞きながら調査研究をおやりになっていらっしゃるというぐあいに思いまして、そういうところで四省庁集まってお互いの連絡交換をやるということでございますので、現時点におきまして、四省庁またがった形での専門家会合ということにつきましては、ちょっと考えていないところでございます。
○沓脱タケ子君 時間がないから突いたり押したりしませんが、来年花粉が少なかったら結構ですけれども、ことしみたいにまたどんと来たら、一体厚生省何しているんだということになりかねないので、大臣、御感想だけ一言。
○国務大臣(津島雄二君) 委員に申し上げて恐縮ですが、私の家内も大変な花粉症でございまして、今お話を伺ってみて、なるほどこれだけの問題であるとすれば、少し御担当の方に強くお願いをするべきかなと今感じておるところでございます。一生懸命取り組むように申し伝えます。
○沓脱タケ子君 ぜひ事態の深刻さを考えていただいて対応していただきたいと思います。 余り時間がありませんので、次に、在留外国人の結核対策についてちょっと伺いたいと思っています。 同僚委員からも午前中に少し出ましたので、はしょって伺いたいと思いますが、在留外国人というのは、国際化と言われておる時代でございまして、随分ふえてまいっております。在日就学生と言われている方々は五万人ぐらいいるんですね。その結核その他の感染症対策というのは非常に大事だと思うんですね。厚生省の資料を拝見いたしますと、東京にある日本語学校九十二校に就学している学生のうち、一次健診受診者一万三千百十七人中、要治療者、これが五十七人、つまり発見率は〇・四三%です。この発見率の〇・四三%というのは、我が国の学校健診の発見率との比較をしてみますと、昭和六十二年の全国平均では〇・〇一%ですね。つまり、在日外国人の就学生の方は約四十倍の発見率になっているわけですね。出身者は結核患者の多いと言われているアジア諸国になっています。今後も就学生等が、在留外国人がどんどんふえることが確実だと思えるわけですから、我が国の公衆衛生上極めて憂慮されるべき問題があろうと思います。 そこで、朝もお答えになっておられましたが、そういう現状と対策について簡潔にちょっと先に伺っておきたい。
○政府委員(長谷川慧重君) 厚生省といたしましては、これまでにも医療費の公費負担なり、あるいは結核対策特別促進事業によります健康診断等を実施してまいっているところでございます。 しかしながら、先生お話ございましたように、いろいろ問題もあるわけでございますので、公衆衛生審議会の中でもいろいろ御議論いただいたところでございます。その結果、本年の五月に意見をいただいたところでございますが、その意見の中身といたしましては、財団法人日本語教育振興協会によります認定校制度に基づきます日本語教育施設の健康診断が適正に実施されるように啓発普及を図ること、それから、日本語教育施設の経営者等を通じ、入学時に国民健康保険等に加入するよう啓発普及を図ること、それから英語以外の言葉で相談等が行える体制についても整備を図ることという御意見をいただいたところでございます。 今後は、この意見を踏まえまして、就学生の結核対策を進めてまいりたいというぐあいに考えております。
○沓脱タケ子君 私は、今局長が言われました御報告、対策、対応ですね。この問題というのは、この方針の周知徹底を急速にさせるということが非常に今大事だなと思っているわけです。 なぜそのことを問題として重視をするかといいますと、もう御案内のように、在日外国人の就学生等が一番たくさん働いているのは飲食業ですね。飲食業、サービス業というのが一番多いわけですね。結核菌を排菌する患者さんが飲食業に従事をするというふうなことは常識で見ても極めて穏当でないわけです。感染の可能性というのが高いわけですからね。国内の飲食業の従業員はちゃんと健康診断やっているわけですからね。それがアルバイトに来ている人で感染性の患者が入っておってもわからないということであれば、これは伝染の可能性というのは極めて高いと思うんですね。 そこで、学生などに対してパンフレットとか宣伝物等を作成なさるようでございますけれども、私は確かに就学生の健康診断、そしてその機会に国民健康保険に入れるということ、おっしゃったように、同時に、我が国には医療扶助の制度があるんだ、あるいは生活保護の制度があるんだということも書いておく必要があると思うんです。だって外国人というのは、大体病気になって発見されても、出稼ぎ半分に就学に来るわけですからね。お金をたくさん持ってくる人というのはないわけですからね。そうすると、これは治療中断をするのは確実ですからかえって危険なわけで、そういう点を、健診結果やこの治療の状況の把握をしていくと同時に、その就学生の人たちに、日本ではこういう制度があるんだということを周知させられるように、そのパンフレット類にはひとつ明記をするようにぜひやってもらいたいものだと思うんですが、それはどうですか。
○政府委員(長尾立子君) お答えさせていただきます。 パンフレットの問題とちょっと外れるかと思いますが、生活保護の適用の問題ということでお答えをさせていただきたいと思うのでございますが、先生御承知のように、生活保護の適用関係につきましては、私どもはこういう原則でやらせていただいております。 生活保護は国民の皆様の税金で実施をされておる制度でございまして、適正な運営ということが基本的に要請されるものだと思っておるわけでございますが、外国人の生活保護適用につきましては、日本人と同様な形で生活をしておられる、まあ具体的には永住状態で日本に生活しておられるという方につきましては、全く日本人と差別をしないで同じような形で適用させていただいておりますが、今おっしゃいましたような就学生と、留学生という形の方々につきまして、生活保護がこの原則の上で適用できるかどうかということになりますと、大変微妙な問題があるかと思います。 原則的には、こういった就学生の方は学校へ行っておられるという形で日本に来られているわけでございますが、私ども日本人の生活保護の適用の中では、生活保護は本来その能力、資産をすべて活用してかつその上で生活ができないという方々につきまして適用をするという原則的な考え方をとっておりますので、例えば大学へ行っていらっしゃる方がアルバイトで生活に困られるという事態がありましても、私どもとしては、これは生活保護という形で適用していくのではなくて、まず現実には就労して働いていただくということを原則的には考えて運営をやっているわけでございまして、今御指摘のようなケースにつきまして、生活保護が無条件に適用できるという形のものではないというふうに理解をいたしておりますので、今おっしゃいましたように、それをパンフレットの方で書いていただくということにつきましては、ちょっと御遠慮させていただきたいと思っております。
○沓脱タケ子君 その生活保護の問題に重点を置いて私は御要請をするつもりではなかったので、大変に親切過ぎる御答弁をいただいて時間が割愛されたことを残念に思っております。 というのは、結核予防法で現に三十五条で入院している患者もおるわけですよ。だから言うているんで、現におるんだから、そういう制度があるんですよということを知らせてあげたらよろしいということを言っているわけです。生活保護が難しければ生活保護を書くのはよしたらよろしいけれども、生活保護も適用されている人もおります、現に。もうそれは論議しません。 そこで、時間がありませんので大臣に最後にお聞きをしたいんですが、こういう在日外国人の結核対策というのは非常に大事な問題だと考えるわけです。 一つは、これは就学生の場合は、さっき局長が言われたやり方で、その学校に就学をしている人の登録した分だけはチェックできるというシステムはつくる。しかし、それ以外の在日外国人だって随分おるわけです。それはどうするんだという問題になってくるわけでございますが、そこで考えられますのは、国際化時代における我が国のこの分野での責務という点を考えなくちゃならないんじゃないか。 といいますのは、結核に罹患している外国人の出身国というのはほとんどアジア諸国です。アジアはWHOの統計におきましても感染危険率、罹患率というのは非常に高くて、世界の患者の七〇%近くがアジアに集中しているわけですね。ここから就学生も来る、あるいは日本に働きにもおいでになる。いろんな形でお入りになってくるわけですから、これは考えなくちゃならない。WHOへ行っておられる事務局長の中嶋さん、一九九一年の総会では結核対策が提案をされるんだという御予定だそうです。結核対策のためにわざわざ厚生省から古知課長がWHOへ就任をされているということも聞いております。 そこで、私は国内対策をやると同時に、国際的な対策としてやる必要があるんじゃないか、ODAの問題に絡んで。ODAでたくさんお金を出して、いや公害の輸出だとか、いや十万人がダムに沈められるというような不評なようなことをやめて、結核の多発地域であるアジア諸国に、先進的な経験と技術水準を持っている日本が本当に積極的な援助をして、結核をアジア地域から撲滅をするという対策というのがまさに国際化時代にふさわしい任務ではなかろうかと思うんです。 こういう姿勢でひとつ厚生省としては対応されてはどうかと思いますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) きょうは沓脱委員と全く同じ意見でございます。東南アジア諸国を初めとして、世界で毎年八百万人も新しい結核患者が生まれている。発展途上国にこういう方々が多いという、またアジア地域に多い、御指摘のとおりでございます。 そこで、厚生省では国際協力事業団に協力いたしまして、ネパール等において実施しております結核対策に参画しているほか、アジアの結核多発地域の国々から研修生を受け入れたり、それから耐熱性のBCGワクチンを開発いたしましてWHOと連携して国際的な結核対策を推進してまいりたいと思います。 ODA全体の仕事の中で、保健医療分野は厚生省も大変力を入れてやっておりまして、私も政務次官をやっておりましたときに、例えばスリランカで厚生省の援助で建てた病院も見ております。一層力を入れてやってまいりたいと思います。
○乾晴美君 私大変大臣に対して失礼なんですけれども、先ほど沓脱委員へのお答えの中で、奥さんといいましょうか、妻と言うべきところを家内というふうにおっしゃいましたけれども、これは女性の立場からいいますと、男は外で仕事、女は家で、ということの中での家内だと思いますので、以後おっしゃるときには妻というようにおっしゃっていただきたいということを冒頭にお願いしておいてから質問に入らせていただきたいと思います。 平成元年度の厚生白書におきましては、「長寿社会における子ども・家庭・地域」と題して、二十一世紀を担う子供と家庭の問題を正面から取り上げておられるというわけなんですが、その中にあって、今日出生率は年々低下の一途をたどっているのではないか。女性が一生に産む子供の数も一・六六というところまで低下しているというわけなんですが、本年一月に発表されました、「これからの家庭と子育てに関する懇談会報告書」におきましても、「古代ローマの末期がそうであったように、未来を担う子どもが減少し、人々が未来に夢を持たなくなることは、文明が衰退する一つの前兆である」というように述べておるわけなんですけれども、この白書を見せていただきましても、国際的に見ましても、だんだんと出生率の低下傾向というのは先進諸国には共通の現象であるように思います。 けれども、イタリアとかのように我が国より低い水準でなお低下しているというところもあるわけなんですけれども、その一方で、フランスのように一・八程度の合計特殊出生率を維持している国があったり、それからスウェーデン、アメリカ、イギリス、西ドイツのように上昇傾向を見せておるところもあるわけです。ですから、わずかでもあるけれども上昇傾向にあるといった、こういった国々の要因をどのように分析されておいででしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(加藤栄一君) まだ各地に私ども参っていろいろと研究しているという段階ではございません。私どもといたしましては、特にスウェーデンなんかも最近目覚ましい出生率の回復状況もございますし、今後研究してまいりたいと考えております。
○乾晴美君 日本の出生率の減少をどのように分析されているか、そしてまた今一・六六なんですけれども、今後どうなっていくかという方向をどうお考えでしょうか。
○政府委員(加藤栄一君) 我が国におきます出生率低下の原因でございますが、やはり一つには我が国の晩婚化傾向といったものがかなり影響しているのではないかというふうに考えられます。またもう一つには、出産力調査等によりますと、現在出産年齢にあります夫婦の希望する希望子供数とそれから予定子供数とに差がございますが、こういったことにつきましては、出生を行いやすくする、そういう環境条件の整備というものに今後とも努めていかなければならないというふうに考えられます。
○乾晴美君 環境整備が大事だということで、そこでまた尋ねていきたいと思うんですが、白書を読ませていただきますと、女性の就労と出産・子育ての両立支援におきましては、きめ細かな保育サービスの提供に加えて、育児休業だとか、または再雇用制度の整備、企業の側からの、従業員が家族と一緒に過ごす機会を確保するための時間的、経済的配慮、両親が共同して子育てをすることが可能となるような環境づくりをどうこうというふうに非常に厚生省としては踏み込んだ提言まで入っているわけなんで、私といたしましては、これは労働省と厚生省とが非常に連携をうまくやってこれからいっていただけるんだなと、これ読ませていただいてうれしく思った箇所なんです。 そこで、育児保育ということについてなんですけれども、労働基準法では産後休暇というのは八週間になっておるわけですね。これに対して産休明け保育を行っている保育所というのは非常に少ないのではないかと思うんですね。全国で八週間済んだすぐから保育している保育所というのはどれぐらいありなさるんでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 結論を先に申し上げますと、委員の御指摘にぴったり合うような数字は今ございません。といいますのは、産休明け早々に乳児を保育所で受け入れるということにつきましては、乳児の身体的な問題、あるいは心理的、情緒的な問題、そういったものの発達という上から必ずしも好ましいことではないと、これは乳児保育を導入するに際しまして中央児童福祉審議会にいろいろとお願いをしておるわけですが、その中の意見具申の中にそういうことがございまして、そういった観点、専門家の御指摘もあると。それからまた、保護者の立場からいきましても、月齢の低い乳児については家庭において保育をしたい、こういうふうな御希望もあるというようなこともございまして、保育所における産休明けの保育のニーズについては把握をしてないのが、把握するということがむしろ困難であるという状況です。 ただし、ストレートではございませんけれども、昭和六十三年十月一日現在で保育所に入所しているゼロ歳児、一歳未満の子供さんは十一万七千人いらっしゃるわけですが、これらの子供さんについて入所時の月齢を見ますと、約三千二百人のお子さんが二カ月未満、つまり産後八週間未満で入所していると、こういう事実でございます。パーセンテージにしますともう三%弱ということになろうかと思います。
○乾晴美君 ということでして、これからまた育児休業法なんかも絡んでくるかと思いますけれども、やはりせっかく労働省と厚生省が力を合わせてすばらしい連携をとろうということですから、こういった雇用の実態と連動した保育制度の充実が急がれると私は思います。 その次は延長保育についてなんですけれども、徳島県の場合なんかでもほとんどの保育所は十八時までなんですね。男女機会均等法だとか、週休二日制とかということが行われておりますので、平日の勤務時間数が長くなっているわけですね。それにもう対応できてないのではないか。こういう状況の中でありましたら、フルタイムで働いているお母さんというのはもう二重保育だとか、または無認可の保育所とか、ベビーホテルとかといったようなところへ預けざるを得ないというような状態だと思うんですね。認可されている保育所に比べて設備が悪い、整っていない、そういった無認可のところだとか、ベビーホテルとかというところがいわゆる乳児保育だとか、延長だとか、夜間保育とかといった実質的な受け皿になっているんではないかと。こういうことで、延長保育についての現状とか対策をちょっと聞かしていただきたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 委員御指摘のように、保育所の開所あるいは閉所の時間、それはそれぞれの地域の実情に応じて、保護者の労働時間とかそういったところを考慮しながら運営されているところでございますが、御指摘のように一般的にはおおむね午後六時ごろまで保育が行われているというのが多うございます。保護者の勤務時間あるいは通勤時間等によりまして、午後六時を過ぎても引き続き保育を必要とするような地域の保育所につきましては、今先生の御指摘がそういうことでございますが、そういったことにつきましては、私どもとしてもそういう御要請にこたえるというようなことから、延長保育特別対策というものを実施しているところでございます。 特に、延長保育の特別対策を実施しておりますが、これは対象が二十人以上というようなことがございまして、なかなか実施が進まない、こういうようなこともございまして、平成元年にそれは六人以上も対象にしたいというようなこと等もございまして、私どもこういった延長保育の対策を地域の実情に応じて強く進めてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
○乾晴美君 強く進めてまいるという言葉に期待をかけて次の問題にいきたいと思うんですが、働くお母さん方にとって一番大きな悩みというのは子供が病気のときなんですね。私も二人の子供を育て終わったわけなんですけれども、私的なことで非常に恐縮なんですけれども、長女はわりかた健康でした。しかし次女がぜんそく持ちなんで、一応平常のときはどうってことないんですけれども、秋とか春とかの季節のほんのちょっとの期間のときだけ、何というか非常に苦しいという、呼吸が苦しくなったり発熱があったりということなんですね。そういう病気にかかったときだけ預かってもらえるような病時、病後保育所というようなことができますでしょうか。もし全国的にできておるのであれば知らせてほしいし、そこの医療体制はどうなっているか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 御指摘の問題は非常に私は難しい問題だと思っておるわけでございます。病気にかかられたお子さんについては、私どもは一義的にはこれはもう保育者の責任によって介護に当たるべきである、これはもう当然だと思うわけでございます。 ただ、今委員の御指摘のように、しかしどうしても働くこととの両立が難しい、何とかというようなことでございます。それを、病時の保育をしかし保育所で行うということにつきましては、私は軽い病気でございましても、やはり子供の場合は特に大きな病気に、緊急な状態に発展する可能性もある、そういうようなこと等もある。それからまた、保育所に来ておられる他の子供さんたちに対する影響というようなことも考えますと、私は率直なところ保育所で病時保育というようなものを云々するということは極めて困難であろう。 そこで、問題はやはり両親がそういった病気にかかられた子供さんの看護ができるような、いわゆる雇用環境、休暇制度の導入とか、休みやすいような雰囲気づくりという企業環境、労働環境の問題にもなろうかと思うのでございます。しかし、保育所で云々するということについては、先ほど申し上げたように私は極めて困難である。 実例として、私ども若干承知しておりますが、例えば病時保育という名でスタートしておりますのは、むしろ医院の中に医師とか保母さんとか看護婦さんを常駐させまして一つのスタッフをつくりまして、そういった方々はいわゆる保護者の方からお金をいただきまして、そして面倒を見る。つまり、保育というよりは医学的な管理のもとにお預かりをする。こういうようなことが一部の地域で、あるいは非常に熱心な医療機関、お医者さん等の主唱によって行われているということを若干は承知いたしておるわけでございます。 ただし、保育所については、繰り返しでございますが、非常に困難な、保育所でこういうものの対応というのは私は正直言ってやってはならないのではないかという気持ちがいたします。
○乾晴美君 ちょっと今の問題に絡むわけなんですけれども、私的な質問で失礼ですけれども、大臣は共稼ぎでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 私が一生懸命働いておるだけでございます。
○乾晴美君 ありがとうございます。 今、ここにお見えの政府委員の方々の中でも共働きという方、恐れ入りますけれどもちょっと手をお挙げいただけませんでしょうか。——ほとんどいらっしゃらない。まあこういう環境の中で手が挙げにくいということもあると思うんですけれども、共働きの中でもほとんど女性が子供にかかわっていると思うんですね。 そういうようにできませんとおっしゃいますけれども、私ももう何年か前なんですが、子供を育ててきまして非常に悲しいというかせつない思いがあるんです。 ちょっと実例を申し上げたいと思います。私の下の娘はぜんそくと申しましたけれども、三歳ぐらいのときだったでしょうかね、やっと三歳になるかならぬのころだったと思いますけれども、私が、元気なんですがたまに伏せっておりましたら、やってきまして、お母さんどうしたのと言うから、苦しいのよと。徳島県ではせこいと言うんですが、せこいのよと言ったら、ぽんぽんせこいんと言うから、違うと。頭と言ったら、そのもみじのような手を私のここへ置きまして、あら、お熱がある、あした休まないかぬかしらんと、こう言うわけです。これは、熱があるときはそういうように言わないかぬというふうに子供が思っているということは、常に私が彼女の頭の上に手を置いてそういうように言っておったということなんですね。ですから、私が勤めているときに、この子病気だけれども、またあす休まなきゃいけないか、行くべきかということを常に選択を迫られているんですね。 もう一度は、その子が三歳ちょっとぐらいだったと思いますけれども、また秋口にぜんそくになったわけです。長女は一年九カ月ぐらいしか変わりませんので、非常に物わかりといったってよくわからない。その長女をふろに入れて、次女は寝させてありました。長女をおふろから上げるときに、今次女の方は病気だから泣かしたらあかんのよ、お馬ちゃんパカパカしたらあかんのよと言い含めて出したわけですね。そうすると、やがてのことワーンと子供が泣いているんです。長女が泣かしたかなと思いますと、次女がおふろまでやってきまして、母ちゃんの学校の電話番号教えて、校長先生の電話番号教えてと言うんですね。校長先生の電話番号がどうしたの、学校の電話番号がどうしたの。私、学校で勤めていましたから、どうしたのと言うと、私がこんなに苦しくて熱が出ているのに、また母ちゃんあしたほっといて行くんだろう、だからよう休まれへんのだったら私が校長先生に頼んであげる、学校に休ませてもらうように言ってあげるからと三歳の子が言うんです。 本当にこういう体験をして勤めている人は幾らもいると思うんですよね。ですから、簡単にお役所としてやるべきでないんだとかというんでなくて、常に働いている多くの女性はこういうせつない思いをして勤めているんです。それもうちの子のようにぜんそくというような形であれば、もう病気もわかっていますし、一日か二日か一緒に寝とってくれたら、ちょっと見とってくれたらいいというようなこともあるわけなんですよね。 ですから、やはり予算の補助だとか医療機関とかというような連携体制を確立した上で、国でも病時、病後保育に対して取り組むべきときが来ているのではないかというように思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 私が先ほど申し上げたのは、全国で二万二、三千の保育所でそういう病時保育というか、今先生のおっしゃるような保育というものをやった方がいいのかどうかという見地から、私は今の保育所では難しいというふうなことを申し上げたわけでございます。 ただ、実情は大変私はよくわかるつもりでございます。問題は、私は本当に難しい職場の問題、あるいは子供さん、家庭の問題の、これはある意味で言うと、基本にかかわるような話だろうと思うんですね。といいますのは、やはり子供が病気になった、しかもそれは子供の場合には、先ほど申し上げたように、どんな重くなるかもわからないというような状況の中で、子供を置いて働きに行くことが——それはだれでもいいと思っているわけじゃない、行かざるを得ないから行かれるわけでしょうけれども、そういうようなつまりそれは五歳も六歳も七歳もずっとというんじゃないので、本当に小さいときの、そういったことがどうかという問題。 それからもう一つは、先ほど申し上げたような、いわゆるこれが有配偶の女子の方々も今はもう五〇%を超して働きに出ておられて社会に進出しておられるというような実情、それからまた、これからどんどんそういう方々がふえていくだろうという場合のいわゆる企業の、あるいは雇用の場での問題とか、あるいは先ほど申し上げた地域の医療機関の問題、地域的な問題とか、いろいろとその辺の問題を詰めていくと、私はそういうものが必要でないということで申し上げているわけじゃございませんが、保育行政ということでそれを受け入れることが本当にいいのかどうかということで難しい、しかし実情はそういった雇用環境なり地域の問題という形で解決していく事柄ではないかなと。しかし、私どももまた研究したいと思いますが、そんな感じがいたすということでございます。
○乾晴美君 この白書を読ましていただきまして、二十七ページに「女性の就労と出産・子育ての両立支援」だということを高らかにうたっているわけです。きちっとできているにもかかわらず実際には、現実には個々にわたってはまだまだ行き届いていないというのが現状だと思うんですね。 子供を産む数が一・六六からもっと下がっていくのではないかというように思いますのは、働く女性の環境をもっともっとよくしていかないと、子供を産みたくても産めない状況にあるのではないかと思うんですね。もっと本腰で女性の働く場の、ここに書き込んでくれてあることを実のあるものにしていただきたいというようなことで、時間が参りましたので終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○勝木健司君 前回予算委員会でも取り上げた問題でありますけれども、厚生年金の国庫負担の繰り延べについてお伺いいたしたいというふうに思います。 政府は厚生保険特別会計の業務勘定の中に厚生年金国庫負担繰り延べ措置の返済見合い財源の一兆五千億円を繰り入れて特別保健福祉事業資金を設置をしておりますが、この問題につきましては、予算委員会でも取り上げましたけれども、この厚生保険特別会計に資金を設ける「当分ノ間」とは一体いつまでなのかということ。そして、これについて老人保健制度のどのような改正内容を想定されておるのか、具体的にお示しをいただきたいというふうに思います。
○政府委員(岡光序治君) 先生御指摘のように、特別保健福祉事業は、平成二年度から加入者按分率が一〇〇%へ移行することに伴いまして当面の措置として講じたものでございます。この老人保健の問題は、今後の高齢化社会における最重要課題でございまして、引き続いて老人保健審議会の場等を通じて幅広く議論が行われるということを期待しておりまして、関係者の御意見を踏んまえた上で検討してまいりたいと考えております。検討がうまく進みまして、結論が得られるまでの間というふうに私ども認識をしております。 どのようなことを改正として考えておるかということでございますが、御承知おきのとおり、平成元年十二月に老人保健審議会から中間意見をいただいております。その中でいろいろ宿題がございますし、それとあわせて保健と医療と福祉を総合的に考えなきゃいかぬとか、あるいはヘルス事業、保健事業につきましてもう少し充実をさせなければいけないとか、いろんな課題もそれ以降出ておりますので、そういったものを幅広く検討していただくことになるのではないだろうか。いずれにしても、審議会で御相談をいただくことだろうと考えております。
○勝木健司君 大蔵省、何かありますか。
○説明員(斎藤徹郎君) 平成元年度の補正予算におきまして、厚生保険特別会計に設けられました一兆五千億円の資金につきましては、第一にこれが過去に行われてまいりました厚生年金国庫負担の繰り延べ措置の返済見合い財源としての性格を有していると、いずれは厚生年金の国庫負担の繰り延べの返済に充てられなければならないという性格のものであることに加えまして、この一兆五千億円の資金の運用益を活用いたしまして、平成二年度以降加入者按分率が一〇〇%になることに伴いまして被用者保険の負担増が生ずる、それに対しまして、この運用益を活用して新たな国庫補助制度を設ける。ただし、これは加入者按分率変更に伴う暫定的、激変緩和的な性格を有しているという両方の意味合いから、この資金は当分の間のものとして位置づけを行っているところでございます。
○勝木健司君 逆の立場で今度はお伺いしたいと思いますが、この特別保健福祉事業は、厚生年金保険事業の長期安定を確保するために必要があるときは厚生年金国庫負担の繰り延べの繰り戻しとみなして年金勘定に繰り入れることとされておりますが、この「厚生年金保険事業ノ長期的安定ヲ確保スル為必要アルトキ」というのは一体どういうときなのか、お示しをいただきたいというふうに思います。
○政府委員(土井豊君) 具体的な規定の仕方ではございませんが、この規定の趣旨は、厚生年金保険事業の財政の長期的な安定を図り、かつ年金制度に対する国民の信頼を確保するために必要がある場合というふうに考えております。したがいまして、その際には特別保健福祉事業の必要性等も総合勘案しまして、年金勘定に繰り入れを行うかどうかということを判断すべきものであるというふうに考えております。
○勝木健司君 大蔵省、いかがですか。
○説明員(斎藤徹郎君) この一兆五千億円の資金をいつ取り崩して厚生年金国庫負担の繰り延べの返済に充てるかというのを具体的に申し上げることは、事柄の性格上困難でございますけれども、いずれにしてもいつまでも繰り延べの返済を行わないということは適切なこととは考えられませんので、できるだけ早い機会に返済をする基本的な考え方で考えていきたいと思います。その際、同時に平成二年度に設けられました老人保健の基盤安定事業、サラリーマン保険に対する新たな国庫補助制度をいつまで存続させるかということとの兼ね合いも含めて検討してまいりたいと思います。
○勝木健司君 いろいろ言われておりますけれども、どうもはっきりいたしません。 厚生年金の保険事業、そしてまた老人保健事業の財政安定を総合的に判断することとなりますと、結局はあっちを立てるとこっちが立たないというようなことの繰り返しで、半永久的に返済されないまま終わってしまうんじゃないかというふうに大変不安を感じるわけであります。 厚生年金の国庫負担の繰り延べの返済についてはいつまでに、できるだけ早い時期とか早い機会とか、いずれはということでありますけれども、いつまでに完了させるのか、この際明確な時期を明らかにしていただきたいというふうに思います。
○政府委員(土井豊君) まことに恐縮でございますが、具体的な返済時期について今日の時点でお答えするということは、現実問題としてできません。私どもとしては、今後の年金財政の運営に支障を来すことがないように速やかに返済を完了すべきであるという基本的な立場に立って対処してまいりたいという考え方で臨んでおります。
○勝木健司君 大蔵省。
○説明員(斎藤徹郎君) 厚生年金国庫負担の繰り延べ措置につきましては、厳しい財政事情のもとで昭和五十七年度以降、何とか福祉の水準を維持すべくやむを得ずとられてきた措置でありまして、五十七年度から六十年度までの繰り延べ分につきましては、年金について再計算が行われた平成元年度の直近であります昭和六十三年度の補正予算において返済をしております。それから、それ以降の繰り延べ分でございますけれども、六十一年度から平成元年度までということで、これも引き続き繰り延べが行われてまいりましたが、平成二年度におきましては何とか繰り延べを行わないということで財政体質の健全化を図っております。 と同時に、平成元年度の補正予算におきまして一兆五千億円の資金を設けまして、これを将来における厚生年金国庫負担の繰り延べ措置の返済見合い財源ということで位置づけをしております。いつ厚生年金国庫負担の繰り延べ措置の返済を完了するかということは、具体的に申し上げることは困難でございますけれども、こうした返済見合い財源を設けたということで、この問題について一歩を進めたということで御理解を賜れればと存じます。
○勝木健司君 時間の関係で、次に進ませていただきます。 救急医療体制についてお伺いをいたしたいというふうに思います。 第二次交通戦争と言われております今日、交通事故の激増、そして高齢化の進展に伴いまして、救急隊による救急活動が年々ふえ続けておるわけであります。救命率の向上のためには病院に到着するまでの処置、いわゆるプレホスピタルケアの充実が必須であるというふうに思うわけでありますが、我が国の救急体制はこの面では諸外国に比べますとはるかにおくれているように思われます。 このおくれの原因としては、医師が救急車に同乗する体制が整っていないこと、また救急隊員のできる応急手当ての範囲が非常に制限されているということ等が挙げられておりますが、厚生省でも昨年度、救急医療体制検討会を設けられまして、こうした問題について検討を重ねているというふうに聞いておりますが、まず、これまでの審議状況、そして審議経過の概要についてお伺いしたいというふうに思います。
○政府委員(仲村英一君) 救急医療体制検討会でございますけれども、昨年の九月に設置をさせていただきまして、その後四回にわたり開催をさせていただいております。 内容的には、諸外国の救急医療の体制の検討でございますとか、国内の救急医療体制の問題点等につきまして関係者からヒアリングを行っておったり、あるいは実態調査も同時に実施しておるわけでございます。四回目の五月二十一日に、実は、本年度から具体的な審議に入るということから、その席上で、当面の課題でございます、今御指摘のあった部分でもございますけれども、現場の問題あるいは搬送途上の医療の確保の問題等についても検討すべきではないかという御意見が出まして、小委員会を設けて今後その方面からの検討をさせていただくということで、現在検討を急ぐように準備しておるところでございます。
○勝木健司君 東京消防庁の救急業務懇話会も先般、救急業務の範囲拡大について踏み込んだ答申を行っておりますが、救急車への医師の同乗システムの構築とかあるいは救急隊員の業務の拡大について、消防庁、厚生省、それぞれ見解をお伺いしたいというふうに思います。
○政府委員(仲村英一君) 救急医療は広く言いますと医療の一環としてとらえるべきだと考えますので、その国の資格制度でございますとか、医療制度全体の問題とか、そういうものに根差す部分が非常に大きいのではないかと考えるわけでございます。 先ほど御紹介いたしました救急医療体制検討会でも外国の事例等を御紹介いただいておりますが、かなり、何と申しましょうか、医療的な制度の差によって、アメリカのように、後ほど御質問があるかもしれませんが、救急隊員が特別な教育を受けてかなりの部分をおやりいただける国もございますし、やはり医療というのはお医者さんに任せるべきだという観点から、お医者さんが同乗するシステムというのをお考えになっている国も非常にあるわけでございまして、私どもも、その両面いろいろメリット、デメリットがあるのではないかということから、先ほど御紹介申し上げました小委員会でいろいろ検討をさせていただくということで考えてまいりたいと思うわけでございます。 先ほど出ました東京消防庁の御提言は御提言として私どもも受けとめるべきだと考えておりますが、その背景となります医療法規との関係でございますとか、事故があった場合の問題でございますとか、いろいろのことを考えながら検討を行うべきだと考えております。 ただし、今御指摘のプレメディカルケアと申しますか、その部分について改善すべき部分も私どもなりにあると考えておりますので、お医者さんの判断がどこまでそういうレベル、時期に到達するようになるべきかを工夫しながら、厚生省なりに検討をさせていただきたいと考えております。
○説明員(飯田志農夫君) 消防の救急は、年間約二百五十万人の傷病者を搬送して人命の救助をしているところでございますが、いわゆる救命率の向上ということが現下の急務でございます。 お話しのドクターカーの導入につきましては、昭和六十三年度に、医療関係機関等の専門家によります調査研究委員会を設けまして調査研究を行い、その報告におきましては、ドクターカーの導入に当たりましては、地域の実情を十分に勘案し、地域特性に即した運営を行うことが重要であるとされております。特に、地元医師会、医療機関等の協力を確保することが不可欠であると、こういうことでございますので、消防庁としてもこうした点を配慮して、効果的な運営が行われるよう今後とも指導してまいる考えであります。 いずれにしても、消防機関がドクターカーを導入することについて、二十四時間体制で出動可能な医師を確保することが現実には困難である等の事情がございます。これを全国一律的に展開することは限界があるわけでございます。消防庁としては、救命率を向上させる現実的な方策として、救急隊員の能力の向上による応急措置の高度化が図られるように努めてまいりたいと考えております。
○勝木健司君 救急車への医師の同乗は、既に西宮市でもその試みが今行われておるところでありまして、ぜひ早急に実現をしてほしいことでありますが、しかしながら、すべての救急車に医師が同乗するということは、マンパワーの面から、あるいはコスト、費用の問題、また後方の医療機関が手薄になるなどの問題があって、現実には確かに難しい問題もあろうかと思われます。 しかし、まずは消防署の救急指令室に医師が常駐することによって、救急車への医師の同乗が必要かどうかの判断を行っていくそういう判断業務、必要に応じて医師を派遣するようなシステムが必要ではないかというふうに思われますし、また軽症で医師の同乗が必要でないと判断された場合でも、搬送途上で容体が悪化する場合とか、あるいは自宅療養者で気管カニューレなどを装置していた者を搬送する場合など、現在の応急手当ての範囲を踏み越えた救急隊員の業務の拡大、そういうことが必要になってくるんじゃなかろうかというふうに思われます。アメリカ等ではパラメディックですか、これの養成とかあるいは救急医療士などの資格制度についても検討が必要な時期に来ておるんじゃないかというふうに思われますので、これについての考え方をお伺いしたいというふうに思います。
○説明員(飯田志農夫君) ドクターカーの運営は、救命率の向上を図る上で効果的な方策であると考えております。この方策の実現には、医師の常駐、出動の体制が医療機関の側で整備されることが不可欠でございますが、先ほど申し上げましたように、現実には二十四時間体制で出動可能な専門医師を確保することに限界があるということの事情もありまして、これを全国的に展開することには限界がある、地域の実情に応じて推進していくことが適当であると考えております。 そこで、さらに現実的な方策としては、救急隊員の能力の向上による応急措置の高度化が必要であると考えているわけでございます。救急隊員がアメリカのパラメディック並みの応急措置を行うことができるようにした場合には、これに対応した教育訓練が必要であると考えております。このためには、先日、厚生省との間で設けました救急対策連絡協議会において十分検討しつつ、具体的な内容については、消防庁長官の諮問機関であります救急業務研究会にも検討をお願いしたいと、このように考えておるわけでございます。
○勝木健司君 最後に、厚生大臣にお伺いしたいというふうに思いますが、ドクターカーの普及とかあるいは救急隊員の業務の拡大、こういう問題については、要はどちらかを選択するという問題じゃないんじゃないかということで、両者が車の両輪のごとく一体となって進めていくべき問題だろうというふうに思います。厚生省もドクターカーの普及とか、消防庁は救急隊員の業務の拡大とかを中心に対策を考えられておるというふうに、なかなか施策がかみ合っていないというような話も伺っておるわけでありますので、こういう問題に関しては、それぞれの地域で、市町村あるいは病院、診療所、消防署など関係機関の連帯と一体化というものが何よりも必要じゃないかというふうに思われます。 その意味では、厚生省と消防庁長官で、先ほどありましたように、救急対策連絡協議会が設けられたことは我々も評価できるものであります。ぜひこの問題をてこにして、厚生省と消防庁のより一層の連携をお願いしたいところでありますけれども、救急医療体制の充実につきまして、厚生大臣の御決意のほどをお伺いしたいというふうに思います。
○国務大臣(津島雄二君) 決意を申し述べますに当たって三つのことを申し上げておきたいと思います。 その第一は、委員は我が国の救急体制がかなり立ちおくれているという御指摘がございましたが、これまでにかなりの年月をかけて構成してまいりました第一次救急体制から第三次までの医療機関としての救急体制は、私は世界に誇るべきものであると思っております。昭和四十年代に大変強く指摘された患者のたらい回しというような問題はかなりもう解決をしたと思いますし、またアメリカの救急病院の現状については、今発売されておりますタイムに特集記事がありますが、これは大変なものであります。それを見ますと、我が国の救急病院の実態はかなりいいんではないかと、私はそういう認識を持っております。 二番目の点は、いわゆる搬送途上の問題が残っておる、これはそのとおりでございますが、ただ、地域性がございます。搬送途上の問題が起こってくるのは、やはり交通渋滞等、搬送に非常に時間がかかる大都市の問題と私は受けとめております。この問題についてこれから解決を図らなければならないんですが、それに関連して三つ目に救急隊員の方、つまり医師としての免許がない方々が一定の救急行為をされる場合に、私どもの方できちっと対応して差し上げないと万一の場合に医療事故の賠償責任の問題が出てまいりまして、これはもう大変深刻な問題でございます。しかも救急の患者さんというのは実は生死の境をさまよっている方が多いものですから、その危険性もまた大きいわけでございますね。 この三つのことを申し上げた上で決意を申し上げるわけでありますが、本院における御議論も承っておりまして、この問題を放置してはならないと私は判断をいたしまして、自治大臣と話し合った上でこの連絡協議会をつくることにいたしたわけであります。すなわちこの問題の解決のためには厚生省の方で、全体として医療事故が起こっても対応できるような医師の判断というものを現場にお届けをする、それは届ける方法はいろいろあるわけでありますから、その中でどういう方がどういうふうにどういう器具を使っておやりになるかという問題を次に検討していただくというようなことになるんだろうと思いますが、自治大臣からも私に強く御要請がありますから、事務当局を督励いたしましてできるだけ立派な結論を出したいというふうに決意をしております。
○勝木健司君 ありがとうございました。
○西川潔君 私は、本日は老人医療についてお伺いをいたします。 最近新聞によく載っておるんですけれども、老人保健制度の見直し、患者負担を定率制に、厚生省は老人保健の改革へ、というような記事をよく目にいたしますが、この見出しを読まれたお年寄りの皆さん方から、病院代がまた上がるのかというふうなお話をよくお伺いします。定額制が定率制になる、こういうふうに変わると聞いただけで、病院代が安うなるのか高くなるのかどっちですねんと、新聞を読んで大変我々は心配をしておる、不安な気持ちになるんですけれども、また一方お医者さんにお伺いしますと、定率制になったらひょっとしたら、そういうふうに心配をしていらっしゃるおじいちゃん、おばあちゃん方、例えば体の調子が悪い、病院に行くにも病院代がどれほど上がるやら下がるやらわからぬ、そのあたりが大変不安である、行くのをやめておこうかというような方々もひょっとしてふえるのではないかな。 しかし、本当に悪い人たちには来てもらわなきゃいけないわけですから、政府といたしましても、この老人保健法の改正をどういうふうに検討していかれるのか、いろいろ理由もあることでしょうが、きょうは今後どのようになるか、まず御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 老人保健制度のあり方につきましては、本院におきましても数次の御質問が出ておりますけれども、審議会で検討をいたしましたものの、関係者の間でなお最終的な結論を得るに至らず宿題ということになっておるわけでございます。そして、その間これをめぐる被用者保険であるとか国民健康保険であるとかの制度の安定化の措置をとっているというのが現状でございます。 さて、将来に向けてどのように安定させるかということは、これは大変難しい問題でございますけれども、医療費が増大をしていく、高齢者がふえてまいりますと、これはもうやむを得ない傾向なんですけれども、少しでもこれを有効に活用いたしまして、国民の皆様方に公平な医療サービスを施してあげるということを目指して、老人保健制度の安定の議論を再開しなければならないと私は思っております。まず本院におきまするいろいろな御議論を拝聴いたしまして、今後審議会の場を通じ幅広い観点から議論が行われることを期待をしておるところでございます。
○西川潔君 大変お年寄りの皆さん方、自己負担がふえるにいたしましても、減るにいたしましても、見直しの内容がどのように検討されるのかということが全くニュースソースとして入ってこないわけです。ですから、何かマスメディアを使っていただいて、徐々に皆さん方の不安を解消していただけるように何か手だてをしていただけないものかな、こういうふうに思うんですけれども、いかがなものでしょう。
○政府委員(岡光序治君) 先生御存じのとおり老人保健制度は健やかに老いるということを念頭に置いている制度でございます。そういう意味でこの制度を適切に運営をしていくということはとっても大切なことだと考えておりまして、常日ごろから国民の皆さん方の御理解を求めていくということが不可欠だと考えております。 見直しがどういうことになるのかということでございますが、今大臣からお話がありましたように、今後幅広く検討されていくということだろうと思っておりますので、そういったものがある程度固まりましたら、国民の皆様方にわかりやすく説明を申し上げるとか、PRをさせていただくとか、そういうことをさせていただきまして、誤解とか不安が生じないようにいろいろきめ細かな対応を心がけたいと考えております。
○西川潔君 ありがとうございました。 次に、ひとり暮らしのお年寄りのことについてお伺いしたいと思います。 これも寂しい言葉ですが、ひとり暮らし、僕は独居老人というよりはまだましかなと思うんですけれども、ひとり暮らしのお年寄りのことについて、現在元気でひとりでお暮らしになっている方々もたくさんおられますが、元気なひとり暮らしの方を念頭に置いた国のこれからの施策としてはどういうものがあるか。現場を回らせていただいて寝たきりは寝たきりの方々なりに幸せなお話を僕たちにもしてくださいます。また少し散歩のできるような方々、少しまた体の悪い方々、そういう方々はそれなりに幸せ感を感じておられるんですけれども、実は健常者の人というのは本当に想像できないような寂しさを僕たちにもよくお話しをしてくださるんですけれども、こういうひとり暮らしの方々をどういうふうに今後されていかれるのでしょう。
○政府委員(岡光序治君) まず、住みなれた地域で安心して生活を続けることができるようにということを考えておりまして、悩み事がまずあった場合には気軽に御相談をいただくようにということで、高齢者総合相談センター、いわゆるシルバー一一〇番をセットしているところでございます。先生の御質問もいただいたり、あるいはPRをしていただいておりますが、例の短縮電話井型の八〇八〇で全国共通の番号をセットしていただいたりしておりますが、そういうことでまず悩み事について気軽に御相談をいただく。それからひとりで生活ができない、日常生活上身の回りのお世話を願いたいというふうな方々もいらっしゃるわけでありますので、そういう方にはホームヘルパーを派遣を申し上げる。それからひとりで何か事故があったりしたときが大変でございますので、それで緊急通報装置をセットをしてあげる、そして迅速適切な対応が図れるようにするということを考えておるわけでございます。 それからやはり住まいの問題が大切でございますので、いわゆる自立した生活が継続できるように新しいタイプの老人ホームでありますケアハウスを整備したいと考えておりますのと、あるいはひとり暮らしのお年寄りを念頭に置いた、安心して生活ができるような住宅の確保ということを私ども進めたいと考えております。
○西川潔君 僕もシルバー一一〇番随分PRさせていただいておりますし、ひとつマンパワーというのですか、若い人たちに少しでもこういう高齢化社会のことを理解していただこうと思いまして、テレビ局の方にも日参をいたしまして、ひとつそういう人たちが夢を持っていただくようなドラマをぜひつくっていただきたいということで、今テレビ局にもお願いに参っておりますんですけれども、今後ひとり暮らしのお年寄りはふえていくと思うんですけれども、どうしても外部との接触が少なく、万一の不安を常に持っておられるわけです。 最近では郵政省の全逓岡山支部の組合の方々がボランティア活動として一声郵便、また東京では、小平市ですが、乳酸菌飲料のヤクルトさんがひとり暮らしのお年寄りに声をかける一声訪問事業、いろんなことをやっておられます。さらに、老人の給食サービス、入浴サービスなどの回数をふやしたり、新聞配達の方々の協力を得まして、その町全体でひとり暮らしのおじいちゃん、おばあちゃんを支えていく体制を、皆さん方力を合わせてやっていただいておるわけですが、国としてもそのような地域独自の事業への積極的な支援を僕はお願いしたいなと、こういうふうに思っておるんですけれども、いかがでしょう。
○政府委員(岡光序治君) 先生御指摘の事例につきましては、とてもすぐれたアイデアだというふうに聞かせていただきました。私どもとしましては、長寿社会福祉基金を設置していただいておりまして、七百億円の果実を活用して、今おっしゃいましたような事例なんぞも念頭に置きながら、地域の実情を踏まえた創意工夫をバックアップしていくようなシステムを組んで、地域地域でそういうモデル的な事業がなお盛んになるように、私どもなりに御支援をさしていただきたいと考えております。
○西川潔君 ありがとうございます。いろいろ勉強させていただきますと、市町村でもこういうホームヘルパーに対する、またお年寄りに対する給食の制度だとか、いろいろなことをまだやっておらないところがたくさんあるということを見たり聞いたりして、本当にびっくりいたしております。 次に、福祉機器についてお伺いしたいと思います。 現在、お年寄りを対象にした福祉機器は、いろいろ見せていただくんですけれども、厚生省は福祉機器については今後どのように取り組んでいかれるのでしょう。
○政府委員(岡光序治君) 私どもといたしましては、寝たきり老人やひとり暮らし老人の在宅での生活を支えるために、いろんな福祉機器の給付であるとか貸与を考えております。特に、平成二年度の予算では車いすとか歩行器もつけ加えていただきまして、自立した生活を送れるような支援をしたいというふうなことも考えておるわけでございます。そういった日常生活用具の給付事業のほかに、介護機器の購入等について、必要な費用につきまして低利融資を行うとか、そんなふうなこともあわせて行うことによって自立した生活が送れるように、そして必要な介護機器について今後ともお年寄りの生活の実情を念頭に置きながら、必要なものをプラスしていくような方向で対応したいというふうに考えております。
○西川潔君 ぜひよろしくお願いいたします。 それで、今給付と貸与というお話が出たんですけれども、今年度の予算に車いすと歩行器が追加されておるんですが、これ随分今まででも僕なんかもお願いしたかったんですけれども、この二つが追加された御説明を。
○政府委員(岡光序治君) いろんな場で御議論になっておりますが、私ども寝たきりのお年寄りをできるだけなくしていこうということを考えております。それはいわゆる病院のほかに自分のうちで生活をなさっている方についてもそういう方向を目指そうではないか、必要な介護の支援を申し上げるということのほかに、そういう日常生活をみずから送るという意味で、自立した生活を確保するという意味で車いすとか歩行器というのが効果があるんではないだろうか、そのように考えまして日常生活用具の中につけ加えた次第でございます。
○西川潔君 随分本当に助かるんです、現場で見せていただきますと。 ここでもう一つ、僕お願いしたいことがございます。現在お年寄り向けの福祉機器、たくさん種類はございますが、お一人お一人のニーズがそれぞれ違っていると思うんです。もちろんその人のニーズに合った用具がその制度の対象用具であれば、これは問題ないのですが、その人のニーズに合った用具が対象用具の中にない場合も実は少なくないのであります。そこで、高齢者の方がその状態に応じて、その方に合った福祉機器が使えるようにするために、福祉機器のレンタルサービスをきちんと育てていただき、また何かマークのようなものをつけていただいて、市場でお年寄りが安心して福祉機器を選べるようにしていただきたいなと、こういうふうに思います。 ゴールドプランにもマンパワーということで十万人という目標が出ておりますが、現場では随分高齢者の方々も介護なさっておられますし、人の力ではどうしようもないというようなことも多々ございます。そういうときにこの機器、機械の力というのは本当に現場では皆さん方に助かっているんですよというお話をよく聞きますので、この福祉機器に関するサービスをもっともっと今度は在宅の皆さん方、奥さんとか娘さんとかホームヘルパーさんとか、御本人はもとよりそういう方に知っていただくためにパンフレットをつくっていただくとか、役所の一画に展示場を少し狭いスペースでも結構ですからおつくりいただくとか、ニュースを聞くとすぐに主婦の方でも行って見てこれる、ああうちのおじいちゃん、おばあちゃんにはこういう機器がいいなというようなことの工夫をしていただければと思うんですけれども、大臣いかがなものでしょう。
○国務大臣(津島雄二君) これからの在宅福祉を考えます場合に、福祉機器の開発、普及が非常に大きな意味を持ってまいります。外国におきまする現場を見てまいりましても、福祉機器の開発が非常に進んでおります。この点ではやや我が国は立ちおくれているということを認めざるを得ない現状にありますが、そのためには委員御指摘のとおり、福祉機器を高齢者や身体障害者の方々の心身の状態に応じて適切に選ぶことができるようにしなければならない。そのためには、その使用期間ごとにそのときどきに合った機器を購入することが必要でございますから、レンタルサービスということは大変いいことでございまして、委員の御提案私どもも大変高く評価をいたしたいと思います。 厚生省としましても、今年度、質のよいレンタルサービスを育成するために行政指導のガイドラインを定めるとともに、これに適合するようなレンタル事業者に対して新たに社会福祉・医療事業団から低利融資を行うことといたしまして、今その規則改正を進めておるところでございます。また、利用者たるお年寄りが質のよいサービスを選択できるために、社団法人シルバーサービス振興会が実施するシルバーマーク制度を導入することといたしまして、優良な機器の開発を促進いたしたいと思っております。 一方、このサービスを利用する方々の方には、幅広く知っていただくために高齢者総合相談センターや在宅介護支援センターに介護機器の展示コーナーを設ける等の取り組みを積極的に行ってまいりましたし、これからも行ってまいりたいと思います。 いずれにいたしましても、介護機器がどんどん普及をするにつれて工夫をされて発達していくわけでありますから、マーケットを大きくしなきゃならないと思うんですね。そういう意味で、利用される方々がどんどん関心を持っていい福祉機器を探していただく、いいものが出てくれば、先ほど申し上げたようなシルバーマーク等を使って、これを普及するということがお互いに波及効果を持っていって、時間がたつにつれて立派な福祉機器の利用できる社会をつくり上げていきたいと思っております。
○西川潔君 現場の方々は大変期待しております。機械は冷たい感じですけれども、お使いになっている皆さん方は本当に温かく心に感じて幸せに思っていらっしゃいますので、今後ともよろしくお願いします。 これで終わります。
○菅野久光君 私は、きょう食品の安全の問題についてお尋ねをしたいと思います。 私、実はふだんは農林水産委員会に所属をしておりまして、きょうは出稼ぎということになるわけでありますが、農林水産省の重要な仕事というのは安全な食物を安定的に供給するということが最大の任務でありますけれども、どうも国内の自給率などが下がったり、特に近年食品の大量輸入というようなことがありまして、どうしても食品の安全ということ、これは私どもとしても重要な関心を持って、国民が安心して食べることができる、飲食できる、そういう状況というものをつくり上げていかなければならないというふうに考えておるわけです。 ところが、これがなかなか難しくて、輸出国側の食品行政だとか、あるいは食品添加物や農薬などに対する規制基準などが日本とは異なるわけですね。また、ポストハーベスト、いわゆる収穫後の農薬散布の農薬の残留基準、添加物とその使用基準、合成抗菌剤、放射能、ホルモン剤などのチェックと基準の設定、こういう本当に未解決な問題がたくさんあるわけです。そうした中で、食品の輸入のみがどんどん先行して入ってくるというような状況になっていて、いわば安全衛生監視行政が後手に回っているというのが私は現状ではないかというふうに思うわけです。とりわけ食品の安全の問題については、国内産にあって全くないわけではありませんけれども、特に外国産の、外国から輸入される食品についてはかなり問題があるというふうに私は承知をしておるわけです。 そこで、輸入食品の検査の問題でありますが、きょうは時間が余りありませんのでちょっと申し上げますと、まず、家畜や肉類の動物検疫ですね。これは農林水産省の動物検疫所、全国で二十二カ所あって百九十三名の者がこれに当たっている。ここで検疫して大丈夫だというものが、言えば厚生省の方の食品衛生監視員の方に回ってくるというような状況ですね。それから、野菜や果物、穀類の問題については同じく農林水産省の植物検疫所といいますか、これが百カ所で約六百七十名ぐらいの者がこれに従事をしているというような状況です。そこで問題があれば、例えば病虫害のことがわかればそこで薫蒸処理をされる。その薫蒸処理に回される件数は穀類で六割、豆類で七割、果物が八割、野菜は二割というような状況を経て、それから食品衛生監視員の方に回されてくるというようなことになってくるんで、農林水産省でやっているのは動物の関係でいえばいわば家畜伝染病予防法であって、人間の食物として安全かどうかということは別なんですね。それから、植物の場合には病虫害を予防するということが目的で、これも人間の食べ物で安全かどうかということは全く別で、それは厚生省の方の食品の関係の方でやる、こういうことになっているわけです。 そこで、食品検査についてどんな検査があるか。書類検査が八割ぐらいだというふうに聞いておりますが、あとそのほかにどのような検査をされておりますか。
○政府委員(目黒克己君) 御指摘のように、届け出をされました輸入食品につきましては、検査を要するものと要しないものというように振り分けをまずいたしまして、そのうち検査を要するものの中身を申しますと、いわゆる行政検査といったようなこと、あるいは指定検査機関で行うといったようなこと、あるいは輸出国側、相手国側の公的な検査機関の検査の証明書といったようなもの、そういうものが検査ということになるわけでございます。 あるいはまた、この検査の方法から申しますと、今先生がおっしゃいました残留農薬とかあるいは添加物とかあるいは抗菌性の物質あるいは乳製品などでございますが、細菌数等々、あるいは腐敗とか悪臭といったような感覚的なもののチェックといったようなことをいたしているのでございます。
○菅野久光君 そこで私、書類検査は約八割だというふうに申し上げましたが、あとの二割は現物検査ということになるわけですね。現物検査の中には自主検査も含まれているというふうに思いますが、その約二割の現物検査について十分検査されているというふうにお思いでしょうか。役所の立場としてはされていると言わなきゃ大変だということになるのかもしれませんが、現場の実態なども考えて、そこのところはひとつざっくばらんな話をしていただきたい、このように思うんです。
○政府委員(目黒克己君) 御指摘のように検疫所におきます検査が必要だと認められております検査については、いわゆる指定検査機関等を活用いたしましたものを含めまして適切な検査を行ってきたところでございます。なお、その検査のリストは全体として高まってきているところでございまして、私ども今後とも必要な検査が実施できるように努力をしてまいりたいと、このようなことを考えているのでございます。
○菅野久光君 食品添加物だとか残留農薬を調べる化学検査、それから大腸菌やサルモネラ菌などを調べる細菌検査ですね、こういったようなものはやっぱりある程度の施設も必要ですし、またそれなりの何というんですかね、機器も必要だというようなことなどもあって、この検査が思うようにいっていないのではないか、またいっていないやに私は聞いているんですが、それは私がそうじゃないかといっても、いや、そんなことはありませんと恐らく答弁されるんだろうと思うんですが、実態は局長が答弁されたような実態になっていないというふうに言わざるを得ないように認識をしております。 それはなっている、なっていないということをここでどうこうしようということではありませんが、私はそういう意味では現物検査について十分検査をされていないというようなことを前提にして、その中で、人が足りないということももちろんありますが、検査をするに必要な機器類、こういったような導入は十分なされておるでしょうか。
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の検査の機器でございますが、これは私ども検疫所におきましては、放射能の測定の機器とかあるいはいわゆる微量の物質の分析というものが進んでおりまして、そういうものに必要な分析機器、名前を挙げますと、ガスクロマトグラフあるいは分光光度計、高速液体クロマトグラフ、原子吸光光度計、ガスクロマトグラフ質量分析計等々といったようなものを全国に整備をいたしているのでございます。
○菅野久光君 全国に整備していると言いましても、例えばソウル・オリンピックで例のカナダのベン・ジョンソンがドーピングテストで薬物使用が検出されました。それを検出したのはあの日本製のガスクロマトマススペクトルという機械なんだそうですね。しかし、これは一台数億円するというような分析装置なんだそうでございますが、しかしこれでやると、本当にごく微量なものでも検出できる。これは何台ぐらい用意されているんでしょうか。
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の件は、最後に私が申し上げましたガスクロマトグラフ質量分析計二台が整備されているのでございます。
○菅野久光君 二台ということは、どことどこですか。
○政府委員(目黒克己君) 横浜と神戸でございます。
○菅野久光君 これは、外国からの食品輸入なんですが、横浜と神戸が大変多いことは私も知っております。それ以外にもっと多いところ、あるいは備えつけなければならないと思っているところがあるんじゃないですか。
○政府委員(目黒克己君) 輸入する食品の量から申しますと、次に行きますとやはり東京港ではなかろうか、このように思っているところでございます。
○菅野久光君 東京だとか成田とか、少なくとも本当は多いとか少ないとかということは関係なく、この種のものは人手が足りなかったら器械で補うということが私は必要だと思うんです。それがわずか二カ所にしか配置していないわけでしょう。それじゃ、ほかの方に入ったやつは全くその器械は使えないということになるわけですね。 そこでこの予算を見ますと、食品衛生対策費と輸入食品衛生対策費合わせましても、昨年度より九千二百万円ふえているだけです。食品衛生対策費は七千七百万円ふえて四億七千万、それから輸入食品衛生対策費は一千五百万ふえて二億四百万、こういう状況です。これじゃ、数億円するというこの機器を導入するということはできないと思うんですが、導入したいと思っても予算がないからできないということなのか、予算が予算なんだから仕方がないからこの程度で済まそうとしているのか、それはどちらでしょうか。
○政府委員(目黒克己君) 私どもこの検査を行ってまいります場合に、いわゆる検疫所自体が行っております検査と、このほかに先生御承知のように指定検査機関によります検査があるわけでございます。物によりまして、あるいは種類等によりましてその指定検査機関を活用しながら私ども対応いたしているところでございます。
○菅野久光君 じゃ、指定検査機関にはこのような機器が置かれているということですか。
○政府委員(目黒克己君) 指定検査機関の大きなところには置かれているというふうに私聞いているところでございます。
○菅野久光君 それは聞いているということだけであって、確認はしていないんですね。
○政府委員(目黒克己君) 今私ここで正確に承知しておりませんが、そのようなものがあると聞いておりますので、後刻確認して御報告申し上げたいと思っております。
○菅野久光君 自主検査というのは、本来行政がやらなければならないことをそういう民間の機関にゆだねていることなんですよね。ですから本当に、本来行政がやらなければならないような状況の中で、自主検査がなされているかどうかということもやっぱりきちっと把握をしてもらわなきゃならぬと思うんです。 先ほど、放射能の測定の機器の問題についてもお話がありましたが、これは八六年のチェルノブイリの事故当時、あれは国立衛生試験所にある一台だけだった。そして、それから二年たって、八八年の五月にゲルマニウム半導体検出器付ガンマ線分析装置、これが国立衛生試験所、それから東京、横浜、大阪、神戸、成田の検疫所に六台設置されたということですが、これは私もある本で読んだんですが、間違いございませんか。
○政府委員(目黒克己君) 今、放射能測定器は二十六台ございまして、大体の、すべての検疫所で整備をしているものでございます。なお、そのうち五台が先生御指摘の精密なものと、このように私ども整備をしているところでございます。
○菅野久光君 今はそうだけれども、あのチェルノブイリの事故があってから二年たって、先ほど言ったような五カ所の検疫所に配置された、設置したということですねということを聞いているんですよ。
○政府委員(目黒克己君) 現時点でそういうふうに私承知しておりますが、この二年間の間にどの時点で何台入ったかということ、正確に私今記憶いたしておりませんが、結果として今二十六台あるということで、当初、二年前には先生御指摘のようにそんなに十分なものがなかったのが、ある程度今十分なものになっているということでございまして、正確にこの二年間のいつの時期に何台ということは、今ちょっと手元にございませんので、また後ほど御報告したいと思います。
○菅野久光君 私が調べたところではそうなんで、それで、あのチェルノブイリの事故が四月にあって、その年のもう秋ぐらいからあの汚染地域からのものが日本の国に輸入されてきている、あるいはその前にもうあの灰が降ってきているんじゃないか。しかし、実際にそうやって設置されたのが八八年の五月にはわずか六台というようなふうに私受けとめておるものですから、それじゃそれまでの間は一体放射能の検査はどのようにされていたのかということを国民が思うのは当たり前だというふうに思うんですね。言ってみれば、器械の問題、放射能測定器の問題を含めて、やられていることが全部後手ではないかというふうに思うんです。 それは予算があるから、あるいはないからということがあるのかもしれない。しかし事国民の健康に影響する問題ですね。きょう、先ほどから私、朝からずっといろいろな質問をお聞きし、また答弁をお聞きしておりましたら、老人が健やかに老いるということに、バラ色の何かそういったようなものを我々がつくっていかなきゃならぬということで、大変いい質問をお聞きしましたが、今のような食品安全行政をやっていて、これから三十年、五十年たったときに、果たして健やかに老いるということになるのかどうか。発がん性の問題から、あるいは腎臓を痛めたり、あるいは催奇形性の問題だとか、さまざまの問題がこれらにあるわけですね。 そこで、私は前にも当時の中曽根総理にも言ったことがあるんですが、国を守るというのは、鉄砲や大砲をもって守るということだけが国を守ることではない。国土を守る、これは、例えば農林水産関係であれば、そういう畑や田んぼや森林の問題やなんかはまさに私は国土を守っているものだというふうに思うんです。今の安全食品、この問題については、まさに国民の健康を守る、その最大の問題ではないかというふうに思うんです。人間食べなきゃ生きていかれないわけですからね。それで私は、名前は厚生省であっても実質国民健康防衛省でなければならないというふうに思っているんですよ。 そのために、例えば食品衛生監視員ですけれども、この数も、私が国会に出たときからずっとこの問題を取り上げてやってまいりました。私が出た昭和五十八年には六十一人でした。そして順次六人だとかあるいは五人だとかということでふえて、ことしの予算を含めれば九十九人ということになるんだそうです。しかし、先ほど申し上げました植物防疫担当官、これは六百六十七人ということですね。動物検疫担当官というのは百九十三人。それから見て人間様の食品安全を担当する人が、今年度この予算が通ったら九十九人ということですね。私は余りにもちょっとひど過ぎるのではないかというふうに思うんです。防衛庁も定員があるけれども定員のとおりになっていないですね。定員よりも少ないんです。しかし、今、本当に国民のこういう健康の問題に、命の問題に直接かかわるこういったような問題については、総務庁でやっている公務員の定員の問題やなんかいろいろあろうと思うんですけれども、私は、もっとこれだけ大量の食品を外国から輸入するのであれば、そういう枠を超えて国民の要望にこたえるというか、国民が安心できるような体制にするべきではないかというふうに思って、私はずっと出てきたときからそのことを言い続けてまいりました。しかし、やっぱり思うようにいかないですね。わずかずつわずかずつ、本当に牛の歩みのような状況ではないかというふうに思うのです。 それから、私はこの人たちが働いているところへも行ってみました。検疫所の実態——局長行ってみましたか。もちろん、行かないということはないと思いますがね。狭いのですよ。いろんな器械を置いてやろうと思っても、今使っている器械を横に置かなければその器械を置いて仕事ができないのです。だから、検疫所をもっときちっとした建物、そういう場所を確保するというようなこと、あるいはもう相当ひどくなっている建物もありますから、そういうものを建てかえる、そういったような考え方はありますか。
○政府委員(目黒克己君) 私ども食品の輸入にかかわります検疫所といたしましては二十一カ所あるわけでございますが、これは空港もあれば海港もあるといったようなところで、またそれぞれの海港、空港の中には非常に大量に食品が入ってくるもの、あるいは特殊なものだけ入ってくるもの、あるいは飛行機だけで運んでくるものといったようないろんな種類があるのは事実でございます。私どもはそれぞれの海港、空港の輸入件数とか規模に応じてこれからもできるだけ人員あるいは施設設備等を充実するべく努力してまいりたい、このように思っているところでございます。
○菅野久光君 できるだけでなくて、どうしても私はやってもらいたいのですよ。できるだけなんということになればいつやってもらえるかわからない。いつやるかわからない。だから、もっと現場の実際に仕事をしている人たち、その人たちの意見というものを聞いて、そして、仕事のしやすいような状況にしてあげるということが大事なことだというふうに思うのですよ。我が国も防衛は専守防衛ですけれども、この国民健康防衛省は先手防衛でなければだめだと思う。そうですね。水際作戦といつも言われますね。国内に入ってしまったらだめなのですから。そういう体制が極めてないということです。 しかも、もういつも私も新聞見て、何か日本の厚生省から外国に、どこそこの産のものにはこういう危険な農薬あるいは食品添加物あるいはホルモンなどが使われていますよというような連絡を他国にしたということを私は見たことがないのですけれども、そういうことというのは今までありますか。
○政府委員(目黒克己君) これまで私どもそのようなものは承知していないのでございます。
○菅野久光君 そうですね。日本が発見して他国に連絡したということを私も新聞で見たことがありません。日本の国、僕は技術でも何でもすぐれていると思うのですよ。ですから、人員がいて、そして機器がきちっと整備されていれば私はその点はやれるのじゃないかというふうに思うんです。もう後手後手と言えば、そういう食品の安全というものについての厚生省の取り組みといいますか考え方が非常に甘いのではないかというふうに思うのです。 例えば、昨年のチリ産のブドウの問題についてもアメリカの食品医薬品局で三月二日にチリの現地の大使館で連絡を受け取った。そして三月七日には厚生省に外務省から連絡が来た。しかし、その時点では匿名の電話だというからおどかしか何かじゃないかということで余り取り合おうとしなかった。しかし、アメリカの食品医薬品局の検査の結果、シアンが入っていたということが十四日にわかって、それからの対応ということになった。また、八八年のオーストラリア産の抗生物質汚染牛肉のときも非常に対応が遅くて、もう既に一部が市場に出回ってしまったというようなことなどもあるわけですね。ですから、こういう問題について非常に鈍感といいますか、まさに対応がおくれているのではないかというふうに思うんです。 私は、農林水産委員会でも山本農林水産大臣に国務大臣としてぜひ食品衛生監視員の問題、これを含めた食品安全のためにひとつ最大の努力を尽くしてもらうように話をしましたが、今の私と局長とのやりとりを聞いていて、大臣どのようなお考えをお持ちでしょうか。できれば強い決意をひとつ述べていただきたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 国民の健康を守る、防衛するというのが厚生省の大きな役割の一つであり使命でございます。そういう私どもに対して強い叱責、そして御激励をいただきましてありがたいと思っております。 一言菅野委員にお願いを申し上げますが、現場をよくごらんになっていただいておわかりのとおり、私も現場の話を先日聞きましたけれども、現在の定員の中で担当の皆さん方は本当に一生懸命やっております。まずその点だけをひとつ御理解をいただきます。それでも著増する輸入量に対して監視体制としては不十分ではないか、またますますふえていくからますます問題が大きくなるではないかという御指摘、私も率直に受けとめさせていただきます。 そこで、今後の体制の強化のためには、従来の延長線上でなくて少し思い切ってやらせていただかなければならないなと私も今感じておるところでございまして、食品の監視体制全体を見直すということをこれから検討してまいりたいと思っております。
○菅野久光君 見直してしっかりやっていきたいという大臣の決意をお聞きいたしましたので、私も少し安心しておりますが、なおこれからも引き続きこの問題については重要な関心を払っていきたいというふうに思っております。 いろんな問題がありますけれども、今後の問題として表示の問題なんかもありますね。これは、例えばアメリカでできた小麦を韓国に持っていって、韓国でお菓子にして日本に輸入すれば、原産国は韓国ということだけしか記入されないわけですね。そういうようなことでは本当の原産国ということにならないのではないかというふうに思うのです。原産国、加工国も併記できるようにするとか、あるいは製造年月日の問題だとか、使われている食品添加物あるいは外国語の正確な翻訳をやるだとか、そういう表示のことなどもまだ十分になっておりませんし、先ほども一部申し上げましたが、検査基準、使用基準、残留農薬基準などを早急に設定をしていただかなければならないというふうに思います。 それから、食品輸入に対する関係行政機関の連携強化なども必要だと思うのですね。農林水産省やあるいは運輸省、労働省、通産省、そして港湾管理の自治体などとも十分この問題については連絡をしていかなければならないと思います。それから、先ほど申し上げました庁舎の問題、これはぜひ考えていただきたいというふうに思いますし、検査機器の充実、これも必要なものは金がかかったっていいじゃないですか。そのことで国民はだれも怒る人はいません。途中であったらこういうことこそ補正予算の中にぴしっと盛って私はやっていくべきだというふうに思います。そして、食品衛生監視員の増員の問題も、これもなってすぐ仕事に従事するというのは大変だというふうに思いますけれども、ぜひこういうことも考えていただきたいと思います。 とりわけ、これからは輸送の問題が、輸送が近代化されて、あの大きなコンテナの中に入ってきたら、もうコンテナのお話を聞きますと、コンテナのところを、ちょっと何というんですか、すぐ取れるところだけはいいものを入れて、中の方はちょっとまあというようなことなどもあるそうなんですね、中にはですよ。私は全部だとは思いません。しかし、あれを全部取り出して中の方を見るということになれば、これは積みおろしをするだけでも大変な手数になりますね。そういったようなものについてどうするのか。あるいは国際宅急便ですね、個人で輸入する場合には一切検査の対象にならないというふうに聞いておりますが、そういったような輸送技術が進歩したことからくる問題点にどう対応するのかというような問題などもあろうというふうに思います。 これらの問題に、ひとつ積極的に取り組んで、来年度の予算は、ことしの予算二つ合わせて六億七千四百万ということですけれども、これがもっと飛躍的に増大されて、本当に厚生省、本気で取り組んだなというような結果が得られることを期待して私の質問を終わりたいと思います。
○委員長(浜本万三君) 以上で、厚生省所管及び環境衛生金融公庫に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(浜本万三君) 次に、平成二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、労働省所管を議題といたします。 予算の説明につきましては、労働大臣から既に聴取しておりますので、これより直ちに質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○糸久八重子君 私は、派遣労働者問題についてお尋ねをしたいと思っております。 労働者派遣法は、一九八九年七月に附則第四項に規定いたしました施行後三年目の見直し時期を迎えたところでございます。その見直しをめぐる諸問題について、きょうはお伺いをしたいところでございます。 この三年間に人材派遣業は、OA化とかFA化といった技術革新の急速な進展、それから終身雇用にこだわらない労働者の増加、さらに人手不足の深刻化といった社会経済的変化を背景として、非常に急成長をしてきておるところでございますが、そこで、派遣事業の許可、それから届け出受理の事業所数がどのぐらいになっておるのか。それから、業界全体の売上高というのはどのくらいになっているのか。それから、派遣事業で働いた労働者数は大体推計でどのくらいなのかという数字をまず教えていただきたいと思います。
○政府委員(清水傳雄君) 平成二年六月一日現在で許可を受け、あるいは届け出をした事業所数は、一般労働者派遣事業千九百八事業所、特定労働者派遣事業八千五百九十四事業所、合計いたしまして一万五百二事業所となっております。 全体の売上高は、昭和六十三年度の事業報告の集計結果によりますと、年間総額で五千八百億円でございます。 また、派遣労働者数は、同じ事業報告による常用の派遣労働者と登録者の合計数で見ますと、昭和六十一年度が約十四万五千人、昭和六十二年度が二十六万八千人、昭和六十三年度が三十一万五千人となっております。
○糸久八重子君 本当に年々相当な勢いで急成長しているということがよくわかりましたが、適用対象業務十六のうち、事業所数の多いものというのはたくさんの派遣労働者が働いている事業所ということになるわけですが、大体、例えば一般の場合と特定の場合、どういうものが多いのでしょうか。
○説明員(戸苅利和君) 実は、許可あるいは届け出を受理いたしますときに、その事業所から事業計画を提出していただいているわけですけれども、それによりますと、一般労働者派遣事業、これは登録型を主とする派遣事業でございますけれども、これは政令の二号でございますが、事務用機器の操作の関係、これが先ほどの千九百八事業所のうち千五百四十七事業所、八割をちょっと超えております。それから、そのほか多いのが五号のファイリング、それから七号の財務処理、大体こういった事務処理関係の業務が多くなっております。 それから、常用労働者のみの派遣をいたしております特定労働者派遣事業でございますが、これは一番多いのが一号の情報処理関係の業務でございまして、これが八千五百九十四件のうち五千五百六件、六四%ほどを占めております。それから、そのほか多いのが二号、これは事務用機器操作でございますが、それから一号の二、これは機械設計関係でございますが、そういったところが多くなっております。
○糸久八重子君 労働省は、派遣労働者に関する労働条件管理等の状況調査というのを四月の二十七日に発表していらっしゃいますね。本調査の結果をどのように分析していらっしゃいますか。
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘の調査は、派遣法の見直しに合わせまして、派遣労働者の労働条件管理等の実態を把握するために、派遣元千八百五十一事業場、それから派遣先二千六百十四事業場、合計四千四百六十五事業場について調査を行ったものでございますが、その結果から見ますと、派遣労働者について、労働基準法等の適用関係について、現行制度を変更すべき必要はないと考えておりますが、制度の運用面におきましては、まず派遣元につきましては、労働契約締結に際して賃金についての書面による明示が十分になされていない、あるいは衛生管理者の選任、衛生委員会の設置等の安全衛生管理体制が整備されていない、一般健康診断やVDT作業にかかる健康診断等が実施されていない、就業規則について未作成のものや周知が十分行われていない等の点が見られました。また、派遣先につきましては、三六協定の範囲を超えて時間外労働を行わせているものがある等の問題がございました。 このため、労働基準局といたしましては、法制度の一層の周知徹底を図るとともに、労働基準法、労働安全衛生法等の遵守の徹底等について監督指導に努めてまいりたいと考えております。
○糸久八重子君 確かに私が見る限りでも、今おっしゃられたとおり派遣労働者に関する労働条件をめぐってさまざまな問題点が浮き彫りになっております。今おっしゃいましたとおり、特に雇用時の健康診断を実施していないというのが登録型の事業場で四八・二%もある。約半数がそういうことをしていないということなんですね。それから、作業内容変更時の安全衛生教育をしていないというのも五一・三%と半分以上ある。それから、VDTの健康診断について通達によって実施が必要な事業場で実施されていない、これが登録型も非登録型の事業場も七〇%を超えているという状況でありまして、私もこれを見て非常にびっくりしたわけですが、今非常に通り一遍のお答えをなさったわけですが、これらの問題について労働省は具体的にどうしようとしていらっしゃるのか、もう一度お伺いをさせてください。
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘のとおり一般の健康診断、これは法律で義務づけられているわけでございますけれども、それにつきましても雇い入れ時で二六・七%、それから定期の健康診断で九・五%の事業場が実施していないということがございます。また、VDT健康診断については、行政指導で実施を指導しているんでございますが、七二・一%が実施してないというような事情がございますので、こういった点につきましては、今後とも重点的に監督指導に努めてまいりたいというふうに考える次第でございます。
○糸久八重子君 重点的な監督指導、例えば通達を強めるとかそういうことですか。重点的な監督指導というのは具体的にはどういうことなんでしょうか。
○政府委員(野崎和昭君) 私どもでは毎年監督指導に当たりまして重点的な業種、職種等を決めまして、そういったところを重点に監督指導をいたすわけでございますけれども、そういった重点の事業場と申しますか職種と申しますかというものとして、この派遣労働者の労働条件の確保の問題を取り上げてまいりたいという趣旨でございます。
○糸久八重子君 特に登録型の派遣労働者に多くの問題が生じていることが労働組合のアンケートとか、それから派遣労働者の悩み一一〇番等からうかがわれるのです。派遣先があるときだけ派遣元と雇用関係が生ずる登録型派遣労働者というのは極めて不安定で無権利状況に置かれているという実態が私どもの調査でも明らかになっております。例えば派遣先の正社員の気に入らないというだけで派遣元から仕事をやれないと言われた、つまり解雇とか更新拒絶されたとかいう、そういう雇用不安が非常に多く寄せられているわけです。 日本事務処理サービス協会を事務局とした労働省の派遣事業研究会の一般労働者派遣事業の実態調査というのがございますね。それを拝見いたしますと、ほとんど切れ目なく働いている者が六〇%、それから年間を通じて切れ目なく働き続けたいとする者が六三・五%、それから一週間の勤務日数五日が一番多い、それから一日の所定拘束勤務時間は大体七時間から八時間が多い、それから残業は五〇%の者が時々ある、そのように報告をしておりますが、好きな時間働けるという登録型のキャッチフレーズはこの事実に反しているんじゃないんですか。その辺はいかがでしょうか。
○政府委員(清水傳雄君) 確かに登録型の派遣労働者は、好きなときに働けるといいますか、そういう基本的な就業ニーズに見合った業務の形態という性格のものであるわけでございますが、現実に派遣契約に基づきまして雇用され、就業していくというふうな場合に、根っこの派遣契約そのものに応じて働いていくというケースも御指摘のように多く、かなりの比重も占めているのではないかというふうに思われます。 もちろん、これは雇用契約をもととしてそういう就労の場に入っていくわけでございますし、そういう事柄の結果として出てくることではあろうかと思いますが、この登録型の派遣制度そのものの基本的な性格というのは、そうした労働者のニーズにも合った形態ということは言えるであろうというふうに思うわけでございます。
○糸久八重子君 やはり登録型の派遣労働者というのは、今の御答弁もちょっとはっきりしなかったんですが、非常に問題があると思うのですね。 もう一つあるんですね。フルタイムで期間の切れ目なく勤務しているから、健康保険や厚生年金や雇用保険にも加入して安定して働きたいと派遣元に申し出たところが、そんなこと言うんなら仕事はやらない、そう言われたと言うんですね。こういう派遣労働者に対する労災保険とか雇用保険とか社会保険の適用状況というのは一体どのようになっているのでしょうか。
○政府委員(清水傳雄君) まず、雇用保険の関係でございますが、派遣労働者に対する適用は、基本的な考え方といたしまして、従来から反復継続して派遣就業をする方々に対しては雇用保険を適用することといたしております。もちろん、一定の要件というふうな取り扱いの基準を明確にしつつそのような形を行っておるわけでございます。 登録型派遣労働者で雇用保険の被保険者となっている人たちの数は、私どもの集計によりますと平成元年度末現在で約四万二千人ということでございます。登録型という業務の性格上、短時間労働もございますればあるいは間断的な業務もある。それから、登録労働者御本人の意識面におきましても、自己負担が伴う形の保険の適用ということについてかなり消極的な方々もおいでになるということもございます。 しかし、そうは申しましても、雇用の安定、身分の安定ということのためにでき得る限り雇用保険の適用というものが適正に行われていくということが非常に重要なことでございますので、こうした形では登録型の派遣労働者の場合でも雇用保険が適用になるんだと、こうした要件、条件というものを事業主に対してさらに徹底を図りまして、雇用の安定ということへ向けての努力をいたしてまいりたいと思っておりますし、また事業主団体の方におきましても、こうした雇用状況の中でございますので、いわゆる登録型の労働者そのものをスタッフとして、要員として確保していくということも非常に大きな課題になるわけでございますので、そうした方向へ向けてできる限りの、事業主団体自身も研究をして適用促進に努める、そういう姿勢を持っておるところでございまして、そういう方向へ向けて指導をさらに積極的にいたしてまいりたいと思います。 なお、労災保険につきましても、労働基準法の労働者である限り適用があるわけでございます。 以上でございます。
○糸久八重子君 労働保険とか社会保険の適用要件について、派遣労働者の就業実態に応じたものとなるようにやはり見直していかなければいけないんじゃないかなと思うんですが、一定以上の登録とか就業期間のある派遣労働者に社会保険の適用を義務づけるということは考えられませんか。
○政府委員(清水傳雄君) こうした保険の適用につきましては、もちろんその保険制度の持っております本来の姿というふうなものに合った形の業務に対して適正に適用を行っていくということが本旨であろうかと思います。そしてまた、そうしたものに合っている以上は、いろんな難しい面があったにいたしましても、できる限り適用を図っていくということでなければならないと思うわけでございます。 この業務の形態というものが、先ほど申し上げましたように、労働時間や雇用期間が通常の労働者に比べて短い方々もかなりおられるわけでございます。断続的に就労をする場合も多いわけでございます。そうした非常に難しい中をできる限り適用の形に合ったふうな形で要件設定をして、そうしたものに事業主自身もよく研究をして適用というふうな形に乗れるような、そういう方向に指導をして適用拡大というふうなものを図っていくということが保険制度そのものの運用という面からいきましてとるべき形であろう、このように思っております。
○糸久八重子君 こういう問題は理想論だけでなくて、現実に推し進めていかなければいけないのではないかと思います。 現行法四条一項は、派遣適用対象業務を専門性、それから特別の雇用管理の必要のある業務と規定して、十六業種が指定されておりますが、この中にこの二つに該当するかどうか疑問のあるものがございます。それは、ファイリング業務と称して、一般事務が派遣労働に置きかえられつつあるということなのです。例えば銀行に派遣されている労働者から、一日に電話番ばかりさせられて、百本も電話の対応をさせられたとかいう事例がありまして、この状況は今金融業界とか商社ではすさまじい勢いで進行しておるようです。常用雇用を派遣で代替するということは禁止するという国会の附帯決議は尊重されるべきでありますし、それから専門分野に限って派遣を認めた趣旨を厳守させなければならないと思いますが、ここの部分は労働省はどう指導していらっしゃるんですか。
○政府委員(清水傳雄君) ファイリングの業務につきましては、これは単純労務というものでは決して本来ございません。本来総合的、系統的な分類基準に従いまして文書等の整理、保管を行うという、そうした専門的な業務であるべきはずでございます。 御指摘のように、実際にこれを拡大して解釈をして単純に文書を仕分けするというふうな、そうした業務に就業させているという事例が少なからず見られる。これはもう私どもといたしましても、問題として十分に認識をいたしておるわけでございますし、また、本来の業務の範囲を超えた業務処理を行わせているということ自体も問題であるというふうに思っております。このことにつきましては、派遣事業小委員会の報告書におきましても指摘がなされております。 私どもといたしましては、業務内容を定める政令を改めますと同時に、業務の範囲をより明確にするための解釈基準を各方面に示して適正な処理がなされるように改善を行ってまいりたいと、このように考えております。
○糸久八重子君 派遣の原型であります労働者供給事業、これは労働者保護に反する多くの側面を持っていたわけですね。中でも中間搾取であることから禁止をされてきたわけですが、派遣法の中には中間搾取を規制する規定が設けられていないわけです。そのためにコンピューターの職場なのですが、派遣先で払った金額の四分の一しか賃金として受け取っていないという例も聞いております。もっともこれは二重派遣だったそうですけれども。 そこで、これらの問題解決のために派遣料の明示とかピンはね制限条項というものは考えられないものなのでしょうか。
○政府委員(清水傳雄君) 労働者派遣法におきましては、派遣労働者の就業条件を明確化いたしまして、就業条件をめぐるトラブル防止のために一定の就業条件の内容をあらかじめ派遣労働者に明示するということは義務づけておるわけでございます。 ただ、今のお尋ねはいわゆる派遣料金というものと、それから労働者に支払われる賃金の関係の問題であろうかと思うわけでございまして、その差がこれがピンはねであるという性格のものではないというふうに思うわけでございます。派遣料金そのものは労働者派遣というサービスに対する対価という性格を持つものでございますし、一方、派遣労働者の賃金は派遣元と派遣労働者間で決定をされる、いずれも独自の立場からの市場原理に基づいて決定をされるわけでございます。そういった意味で両者直接の因果関係があるというものではないということになるわけでございまして、そうした派遣料金そのものを一種の取引上の情報というようなたぐいのものを派遣労働者に明示をするということを法律で強制をするということは、先ほど申し上げました就業条件の明示となじまない形のものじゃないか、このように存じます。 派遣料金そのものにつきましては、これはいろいろな要素が中に入り得るものでございまして、社会保険等の福利厚生もございますれば、派遣労働者を教育訓練をする、能力開発を行っていく、そういうコストもございますし、あるいはまた、例えば広告掲載等を含めました派遣労働者募集そのものに対するコストもございますし、また、派遣労働者そのものの雇用管理についてのコストもある。そういう諸要因によって派遣料金というのは成り立っておる性格のものであろうというふうに思います。この問題につきましては、労働者派遣事業小委員会におきましての制度見直しの過程でも議論がなされたところでございます。そうした状況の中で派遣労働者の賃金その他の労働条件の維持、向上ということも重要なことでございます。 したがいまして、派遣料金とそれから派遣労働者の賃金水準につきまして、定期的に調査をいたしまして、これを公表していく、こうした措置をとることが適当であろうと、小委員会の結論としてはそういうふうになっているとこでございます。
○糸久八重子君 マージン率そのものを法的に規制することは無理としても、いろいろと今おっしゃられたように確かにいろいろな要件で必要があるわけなんですけれども、しかし、派遣労働者への手数料の通知を義務づけすればトラブルの発生はかなりの程度は未然に防げるのじゃないかと思いますし、悪質な業者もかなりいると思われますので、そういう業者を淘汰することができるのじゃないかなとも考えるんですが、その辺のところはいかがでしょうか。
○政府委員(清水傳雄君) 今御提案いただきました手数料というものが派遣料金と派遣賃金との関係の中でどういう位置づけを持つのか、あるいは派遣料金とそれから労働者の賃金との差に相当するものであるのか、御指摘の意味が仮にそうだというふうに理解をいたしましても、ただいま私が申し上げましたようなことになろうかと思うわけでございまして、御指摘のような趣旨というふうなものをできるだけ現実の運用の中で反映さしていく方途といたしまして、先ほど申し上げましたように派遣料金と賃金水準、これがどういうふうな形で現実に一般的に行われているか、こうしたレベルの問題を私どもといたしまして定期的に調査をいたしまして、それを公表するということによって、派遣労働者そのものが派遣事業者と契約をする場合に、自分たちの業種のこういった賃金については大体相場はこういうものだな、こうしたことが明らかになるような措置をとってまいりたい、こういうことでございます。
○糸久八重子君 高齢化社会への移行に伴いまして老人介護の問題が非常に深刻化しているわけで、きょうも同僚議員から厚生関係の質問の中でたくさんこの問題が出ました。八七年の春に介護福祉士法が成立をいたしました。そしてその中で介護福祉士は、専門的知識及び技術を持って、身体上または精神上の障害などで日常生活に支障のある人たち、この人たちに対して入浴、排せつ、食事などの介護とその指導が仕事とされているわけです。 介護福祉士の分野は厚生省なんですけれども、そうなりますと、この介護福祉士という方たちは専門的知識を持っていらっしゃるわけですから、そういうことを考えますと現行法四条一項の専門性ということに該当する。そうしますと、在宅介護業務というのを派遣対象業務にすることについて、労働省はどういう御見解をお持ちなのでしょうか。
○政府委員(清水傳雄君) 御指摘の高齢化の中で老人介護ニーズが非常に高まる、またその中身も多様化する、このように考えております。そうしたものに対応できる介護労働力の需給システムの整備ということは非常に重要なことである。介護労働力の養成、確保と並びまして、こうしたシステムの一つとして労働者派遣の対象業務に在宅介護業務を加えることが適当である、私どもとしてはそういう考え方を持っているわけでございます。 また、最近増加をしつつございます民間の在宅介護サービス業者の実態を見ますと、いわゆる派遣形態に相当するようなものがかなり見受けられるのじゃないかというふうにも見られるわけでございますし、また介護を必要とする老人の方の症状でございますとか、家族の事情によりましては、そうした方々の指揮、命令に基づいてニーズにこたえたお世話をしていく、こうした派遣形態が適当な場合も多いのじゃないか、このようにも思うわけでございまして、また労働者という立場から見ましても、いわゆる職業紹介形式によるという形よりも派遣法の適用対象にしていくという形の方が能力アップなりあるいは保護というふうな面も図りやすいというふうに思います。 例えて申し上げますならば、現在の民営の看護婦さんの場合、いわゆる雇用保険とかそうしたものについての適用は非常に難しいわけでございますが、こうした派遣業務にする方がそうしたことを適用することが可能になる、こういったこともございます。この問題につきましては、小委員会におきましても、見直しの過程におきまして適用対象に加えるべきじゃないか、こうした強い御意見もあったわけでございますが、ただ検討すべき事項がかなり多岐にわたりまして、小委員会での結論を得るには至っておりませんが、引き続き大きな課題として小委員会で検討を進める、こういうことといたしておるわけでございまして、その御意見も伺いながら私どもといたしましても対応をいたしてまいりたい、このように思っております。
○糸久八重子君 制度の見直しを検討した中職審の小委員会ですが、そこでは大きな摩擦もなく定着をしたとして、現時点においては現行制度の法的枠組みを変更すべき状況にないという報告を出しておりますね。この報告を審議会に出して審議会待ちというような対応を恐らく労働省はするんじゃないかと思うのですが、制度発足以来今まで、ほんの一部の部分を出しましたけれども、やっぱりかなりの問題点があるわけですが、労働者派遣法の見直しの基本的な立場に立って大臣の御見解をお伺いして終わりにしたいと思います。
○国務大臣(塚原俊平君) ただいま先生御指摘のように、労働者の派遣事業制度の見直しにつきましては、昨年末、中央職業安定審議会の小委員会で御検討いただきまして、この三月に検討結果が取りまとめられました。この小委員会の報告では、やはりこれも御指摘いただきましたように、新しい需給システムとしては比較的定着をしている、現時点においては現行制度の法的枠組みを変更する必要は認められず、むしろただいま答弁いたしましたように、法の趣旨が生かされるように制度の運用の改善を図ることが重要であるとされまして、具体的な方策が提言をされました。私どもといたしましては、小委員会の報告に沿いまして、事業の適正な運営の確保や派遣労働者の雇用の安定、福祉の増進を図るためにまず制度の運用を改善いたしまして、その円滑な実施に努めてまいりたいと思いますが、本日の先生の御指摘等も十分に肝に銘じながら進めてまいりたいというふうに考えております。
○糸久八重子君 ありがとうございました。
○清水嘉与子君 私はまず労働者の労働災害の防止問題についてお伺いしたいと思います。 五月二十六日に東京の板橋におきまして第一化成工業が過酸化ベンゾイルの詰めかえ作業中に爆発事故を起こしました。そして二十六人の死傷者を出すという大惨事を起こしたわけでございます。 私もあの近くの地図をいささか知っているのでございますけれども、確かにかつては工場地帯であったというふうに思いますけれども、今はもう一般住宅がたくさんあるところでございまして、いわゆる都市の過密化の中で起きた災害ということで、大変人々に大きな不安を与えたというふうに思うんです。 報道によりますと、まだまだいろいろな法令違反が出てきているようでございます。過去にも数回小規模な事故を起こしているということでございますけれども、労働者の安全管理上非常に問題があったのではないかというふうに思うわけでございますが、今労働省といたしまして、この事件に対しましてどのように対応していらっしゃるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘の五月二十六日の東京都板橋区の第一化成工業の爆発火災に関しましては、御指摘のとおり労働者の方が八名が死亡いたしまして、十八名が重軽傷を負うという重大災害になりましたことはまことに遺憾に思っております。 〔委員長退席、理事糸久八重子君着席〕 労働省といたしましては、災害発生後直ちに東京労働基準局に災害対策本部を設置すると同時に、労働本省に特別調査団を設置しまして、現在災害原因の調査、再発防止対策の検討を行っているところでございます。また、当面の対策といたしまして、同種災害の防止のために過酸化ベンゾイルの製造事業場、第一化成を含めて全国に六事業場あるというふうに把握しておりますが、これに対しましては、緊急に監督指導を実施するとともに、関係の団体を通じまして過酸化ベンゾイルの使用事業場につきましても安全衛生管理状況について総点検の実施を要請したところでございます。 監督の過去の実施状況でございますが、第一化成工業に対しましては、所轄の池袋労働基準監督署において過去十年間に八回監督指導を実施しております。最近では本年の三月七日に同社工場内で粗製過酸化ベンゾイルが水洗いの不足により原料の苛性ソーダと反応して爆発し、建物の一部を破損するという事故が発生いたしましたので、翌日監督指導を実施し、同種災害の再発防止のために粗製過酸化ベンゾイルの水洗いを徹底する等の指導を行ったところでございます。 今回の事故の原因につきましては、現在特別調査団を中心に鋭意調査中でございますけれども、その結果労働安全衛生法違反等の事実が判明すれば厳正に対処したいと思っているところでございます。
○清水嘉与子君 これまでにも何度かチェックをされてたということでございますけれども、それでもついにこうした大きな事故が起きてしまったということは大変残念なことだというふうに思います。この事件の詳細につきましては、労働省におきましても、また警視庁ですとか、消防庁におきましても取り調べ中というふうに伺っておりますので、深くは伺うことができないと思いますけれども、労働省といたしましても、労働者の職場の安全を守るという立場だけでなくて、やはり地域の住民の方の健康を守るという立場からも、安全を守るという立場からも、危険物を取り扱っている企業が義務として安全管理に対する万全の措置をする、あるいはそこにお金を投資するのは当然のことだというふうに思いますので、原因がわかりましてから十分な行政指導をお願いしたいというふうに思いますし、また今おっしゃいました同種企業に対します安全総点検等またよろしくお願いしたいと思います。またさらに、犠牲になられました方々の災害補償の問題も残っていると思いますので、この辺につきましても、ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思います。 それから次でございますが、けさの新聞で労災によります死亡者が昨年同期に比べてふえているというような情報が伝えられております。この問題につきまして、もう少し詳しくお教えいただきたいというふうに思います。
○政府委員(野崎和昭君) 労働災害による死亡者でございますが、過去昭和四十年代前半におきましては年間六千人台の死亡災害が発生してたのでございますけれども、四十年代の後半から幸い減少に転じまして、現在まで基本的には減少傾向で二千人台にまで下がってきているわけでございます。しかしながら、昭和六十二年にわずかに増加するとともに、昭和六十三年には対前年比八・八%というかつてない大幅な増加、かつ二年連続の増加ということになりました。このため、平成元年に労働大臣にお願いいたしまして本部長になっていただきまして労働災害防止緊急対策を実施して対策の徹底を行ったわけでございます。その結果、幸いにも平成元年につきましては死亡者は二千四百十九人でございまして、前年に比して百三十人、五・一%の減ということで、二年連続の増加に歯どめをかけることができたわけでございます。 過去の傾向を見てみますと、死亡災害というのは景気の動向に非常に左右されまして、それと基本的には並行関係にあるというふうに言わざるを得ないと思いますけれども、景気がよくなれば死亡災害がふえるということでは安全対策の存在意義がございませんので、そういう景気のよくなったときこそ安全対策に力を入れて死亡災害をふやさないようにしようと、そういうかけ声でこれまでやってまいったんでございますが、今先生から御指摘ございましたように、平成二年に入りまして死亡災害が再び増加傾向を示すようになりまして、一月から四月における死亡者は七百三十五人でございまして、前年の同期に比較しますと七十一人、一〇・七%の増加という大変憂慮すべき状況になっております。内容的には建設業と交通事故によるものが多発している現状でございます。 したがいまして、労働省といたしましては、建設業、交通事故による死亡災害の防止を最重点に、何としてもことしにつきましても、前年よりも死亡災害をふやすことにならないように全力を挙げて努力してまいりたいと考えているところでございます。
○清水嘉与子君 今御指摘のように、建設業では景気の動向によって非常に死亡者がふえているというようなことがこの記事にも書いてございます。出来高が五十兆円前後であった昭和六十年、六十一年の死者が年間九百人台だったけれども、七十兆円前後になった一昨年には千人を超えたというふうなことで、人手不足から現場の監督者が足りない、それが事故の原因じゃないだろうかというようなことが書いてございます。建設業が常にほかの業種に比べて災害が多い、特に死亡災害が非常に多いということでございますけれども、この業界のこれからの公共事業、ますます人手が不足してまいると思いますし、またさらに、こうなりますと高齢者が入ってくるとか、あるいは未熟な労働者が災害に遭うという機会も多いのではないかということが大変心配されますが、建設業におきます労働災害の防止対策を労働省でやっておられるというふうに伺っておりますけれども、この点につきましてお伺いしたいと思います。
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘のとおり、建設業は死亡災害の四割を一業種で占めておりまして、その原因につきましてはいろいろとあるのでございますけれども、やはり一つには高所作業、高いところの仕事とか、その他要するに危険な作業が多いということが一つかと思います。もう一つは、先生よく御承知のとおり、建設業は重層下請で仕事をやりまして、下請業者が大勢入っていると。さらに専門工事業者も工事の進捗状況に応じましていろいろな業者が入るということで、そういった混在作業が多いことも大きな原因であるというふうに思っております。 したがいまして、労働省といたしましては、まず危険作業が多いという点につきましては、工事用機械設備の安全の確保、あるいは安全な作業の仕方の徹底、あるいは危険な作業につきましては作業主任者を置くようにさせまして、そういった関係法令を整備して、その遵守の徹底を図っているところでございます。また、いろんな労働者が混在をして災害がふえるという点につきましては、元請が中心となりまして下請と一体になって安全管理をすることが重要でございますので、元請の事業者に下請も含めた協議組織を設置すること、あるいは元請が作業場所を遵守すること等の義務を元請業者に義務づけているところでございます。 なお、いずれにせよことしに入りましてから建設業の死亡災害が非常に増加しておりますので、労働省といたしましては、七月が全国安全週間でございますが、その準備月間でございます六月に、労働大臣にもお願いいたしまして建設業界の首脳に直接自主的な安全活動の強化を要請していただくことを予定するとともに、全国一斉監督を実施する等あらゆる対策を講じて、何としてもこの死亡災害の増加に歯どめをかけたいというふうに思っているところでございます。
○清水嘉与子君 この労働災害を規模別に見てみますと、やはり中小企業が非常に災害の発生率が多い。百人未満の事業所で全体の八〇%が起きているというようなことを見ますと、中小企業対策というのがどうしても必要なんではないかというふうに思いますけれども、この辺につきましてはいかがでございましょうか。
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘のとおり、労働災害防止につきましては、建設業と中小企業が二大対策の重点といってよいかと思います。 中小企業で災害が多い原因を分析してみますと、やはり経営基盤の弱さとか人材がいないということで、一つには安全衛生管理体制が十分にできていないということ、もう一つは設備、機械の安全水準一つをとりましても不十分であるということ、そういったことが大きな原因になっていると思います。したがいまして、安全衛生管理体制の整備につきましては、昭和六十三年に労働安全衛生法を改正いたしまして、安全管理者の設置が義務づけられていない十人以上五十人未満の小規模事業場につきましても安全衛生推進者を選任するように義務づけたところでございます。そして、平成二年度予算におきまして、その安全衛生推進者になっていただく方を養成する意味で大企業の安全担当者を定年退職された方に必要な研修等を行いまして、そういう方に中小企業の安全衛生推進者として働いていただこうというシニア・セーフティ・リーダーと言っておりますが、そういう制度の予算も平成二年度予算に組み込んでいるわけでございます。 一方、設備等がどうしてもなかなか安全化できないという点につきましては、労働安全衛生融資制度とかあるいは中小企業共同安全衛生事業助成制度と言っておりますが、共同でいろいろな安全衛生事業を行うものに対する助成とか、そういった財政的な援助もいろいろと講じているところでございます。
○清水嘉与子君 労働省のお出しになっていらっしゃる資料を拝見いたしますと、かなりいろいろなことを幅広くやっていらっしゃるなというふうに拝見するわけなんですけれども、今ちょっとお触れにならなかったんでしょうか、中小企業の事業所に対して死亡災害等のそういう事故を起こしたところで「自ら的確な再発防止対策を立てることが困難と認められる中小規模事業場等に対し、国の費用負担により企業外の専門家による労働災害防止に係わる安全診断を実施する」というようなことが、これは局長の通達でございましょうか、出されているようでございますけれども、この「企業以外の専門家」というのはどういう方でございますでしょうか。
○説明員(草刈隆君) 一定の試験と経験のもとに大臣が認可した安全コンサルタントと称せられる方々でございまして、労働安全コンサルタントと労働衛生コンサルタントがございますが、委員御指摘の場合は安全コンサルタント等を活用した労働災害防止特別安全診断事業のことだと思います。
○清水嘉与子君 私も安全コンサルタントがどういう活躍をしているのかなということを直接には知らなかったわけですけれども、今ここでそういう制度があることを伺ったわけですが、これで拝見しますと、要するに「死亡災害等の重篤な災害が発生」して、そして「自ら的確な再発防止対策」ができないところというふうに書いてあるんですが、こういう事故を起こしてみずから再発防止対策が立てられないようなところに、そういう例えば危険物を扱わせておいていいのかなという気さえいたしますし、むしろ先ほどの例ではございませんけれども、何度も問題を起こしてチェックされているようなところにこそ、そういう事故が起こる前にこそこういう方々を活用する方がもっと有効なんじゃないだろうかなというふうに私も今伺いながら思った次第でございます。これは御参考までに、もう時間もありませんので、結構でございますが。 それから最後でございますけれども、今労働災害防止のためにいろいろな職種の方々が、労働安全法を見ますとたくさんの方々がここにかかわっていらっしゃる、安全管理者、安全衛生推進者、作業主任者、いろいろな方々がいらっしゃるわけでございます。何といってもこの方々が本当に意識を持って安全衛生、安全管理を推進しなければならないわけでございますが、まず、今度の六十三年度の法改正におきましても、この方々の教育ということを非常に重視してらっしゃると思うのですけれども、その辺はどんなふうに進めていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
○説明員(草刈隆君) 労働災害防止のためには、委員御指摘のとおり、企業の中で事前に作業全体が安全また健康に、有害なものとならないようなことをする仕組みが必要でございます。そういう意味で、機械設備の安全化を進める一方、それを扱う方々に対する安全衛生教育の適切な実施が不可欠でございますし、雇い入れ時の教育や危険、有害作業にかかわる特別教育などを義務づけております。また、そういう作業を管理する安全管理者に対する必要な教育を行っておりますが、それこそ技術革新の進展あるいは社会情勢の変化がございますので、そういった教育内容をより適切なものにするために新たな知識、技能を習得させ、また能力の向上を図ることとしまして、六十三年五月に安全衛生法の改正を行いまして、安全管理者等の能力向上のための教育について規定いたしました。また、平成元年五月に安全管理者等に対する能力向上教育の適切かつ有効な実施を図るための労働大臣の指針を公表しまして、この指針に基づき事業者に対して教育の実施、促進を指導しているところでございます。 また、委員御指摘のいろいろな職種のということでございますが、これは特にこれからの高齢化社会に向けて健康増進の方のマンパワーを養成しております。
○清水嘉与子君 最後に、ことしも「災害ゼロはみんなのねがい あなたのために 家族のために」というスローガンを掲げて全国安全週間を展開するというふうに伺っております。これがスローガンだけに終わることなく、本当に安全管理体制の万全を期して実行されますように、ぜひお願いをしたいと思いますし、この経済大国日本がやがて我が国の誇り得るべき安全管理体制をもって開発途上国等へも、ハードの面だけではなくて、こういったソフト面におきましても援助できる、国際的に貢献できるというようなことをやはり期待をしたいと思っておりますので、大臣、最後にこの点につきまして、一言お願いしたいと思います。それで質問を終わります。
○国務大臣(塚原俊平君) 労働災害、特に死亡災害はこれは本来絶対あってはならないものでありますが、本日の朝の報道等を委員御引用になりましたが、またふえているということで大変に心を痛めております。七月に全国安全週間がございますものですから、私自身も国会の中でお許しをいただける範囲でできる限り先頭に立ちまして、積極的に労働災害の防止対策というものを展開をし、各方面にお願いをしてまいりたいというふうに考えております。
○清水嘉与子君 ありがとうございました。
○木庭健太郎君 きょう六月一日は改正入管法の施行日でございます。ただ、施行前に新聞報道随分ありましたけれども、みずから不法残留を申し出る外国人が入管局に殺到するというような非常に混乱を生じております。 法務省、来ていただいておりますんで、これどう受けとめていらっしゃるか。これは改正の内容が不徹底じゃないかというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。
○説明員(町田幸雄君) 本年の初頭から若干数がふえてまいったわけでございますが、首都圏を管轄いたします東京入国管理局に本邦から退去強制を求めてくる外国人が若干ふえてまいりまして、その数が特に五月に入りまして急増いたしました。 確かに私どもから見ますと、今度の改正法では不法就労している外国人について変わったのは基本的に余りないわけなんです。主として変わったのは罰則の関係で言いますと、いわゆる不法就労助長罪というぐあいに通称言われております七十三条の二が新設され、つまり雇用主とかあるいはブローカー等についての罰則が加わっただけでございます。そういうようなことで、どうしたことかという感じがちょっとあったのは事実でございますが、しかしおいでになっている方々は私どもから見ますと退去をしていただくべき方々なので、ただ、その人たちに無用の混乱を起こさせないようになるべく円滑にということを心がけまして作業を進めております。 ただ、私どもから見ますといわば広報、今委員から御指摘がありましたように若干広報が足りなかったのかな、もし彼らが誤解に基づいて出てきたというのであれば広報が足りなかったのかな、そういう点については反省いたしております。
○木庭健太郎君 本当ちょっとひどかったような気もいたします。 それで、今おっしゃった七十三条の二の問題なんですけれども、これちょっと確認させていただきたいんです。助長した場合の罰則、これは要するに、具体的には例えば、不法就労と知って雇っていた使用者はすべて処罰されるかどうか、あとブローカーの点、もう一回確認させていただきたいのと、今指摘されているのは、新しい法律ができたために不法就労が潜在化というか奥に沈むんじゃないかという指摘もよくありますね。この点について、手短で結構でございますから、よろしくお願いします。
○説明員(町田幸雄君) 不法就労助長罪は、法律の文面どおり読みますと、一つは事業活動に関しまして、外国人を不法就労活動させたという行為ということで、まず一つ書いてありますから、委員が最初に御指摘になりました雇った人、これは当たるという形になることが多いと思います。 それから、外国人に不法就労活動をさせるために、これを自己の支配下に置いた行為とか、あるいは業として外国人に不法就労活動をさせる行為、またはその支配下に置くについてあっせんをした行為ということになっておりますので、ブローカーについても恐らく当たることが多いんではないかな、こう思います。 ただ、要するに私どもはこの法律をつくりました際、主としてどういうことを念頭に置いたのかと申しますと、いわゆる私どもの入管の立場からしますと、ブローカーが不法就労外国人問題で大きな問題である、我々の管理をかいくぐるためにこのブローカーが果たしている役割が非常に大きい、そういうことを考えておりましたので、そこでこういう人たちを取り締まる必要があることを重視したわけでございます。 そういうことから、いわゆる悪質なブローカーとかあるいは雇用主、そういったものを重点に置いて取り締まってほしい、そういう考えを持っておるわけです。それは国会の附帯決議とも我々の考え方は一致いたしておりまして、それに基づきまして私どもは、罰則は我々が所管しておりません、我々入管の職員は罰則の運用をできないわけですので、それで、管理しております警察あるいは検察庁等に対して、私どもはこういうふうな考え方をいたしておりますのでよろしくお願いしますというふうなことをいわば御説明したり、あるいはお願いしたりしている、そういう状況でございます。
○木庭健太郎君 ありがとうございます。その二点だけでございます。 今度は大臣の方に。単純労働者の外国人の受け入れ問題ですけれども、これは昭和四十二年、四十八年、五十一年、三回閣議で、一応口頭ですけれども、原則として受け入れないという方針が出ております。その理由は何かということを確認させていただきたいのと、また、この五十一年と現在では随分外国人労働者受け入れ問題の背景とか状況が私は違っていると思うんですけれども、変わってないと認識されているのかどうか、この方針はまだ堅持されていくのかなと、何か見直しみたいな話があるのかどうか、その点、まずお願いします。
○国務大臣(塚原俊平君) 御指摘のように、昭和四十二年と四十八年とそれから五十一年、さらに六十三年に雇用対策基本計画というのを閣議決定したわけですけれども、その際に労働大臣の方から発言をして了承をいただいております。いわゆる単純労働者の受け入れについては十分慎重に対応するという方針をとっております。 そのときの理由でございますが、高齢者や女子の雇用問題を初めとして国内雇用労働市場に及ぼす影響が大きく、さらに経済社会全般にわたりさまざまな問題を生ずるおそれが大きいからであるということが理由となっております。 現在の事情の変化等でございますが、担当局長の方からちょっと御答弁させていただきます。
○政府委員(清水傳雄君) 現在の方針を策定いたしましたのが昭和六十三年でございます。それ以降、例えば不法就労者の関係について言いますならば、摘発件数が昭和六十三年一万四千三百十四件、平成元年一万六千六百八件、引き続き増加傾向があるわけでございますし、また労働力需給の関係については中小企業を中心に人手不足感が広がり、また深まってきている、こういう状況であるわけでございます。 不法就労の急増という点につきましては、私ども労働行政の立場からという点からいたしましても、やはり国内労働市場、雇用構造の及ぼす影響というものを重視しなければならないわけでございまして、入管当局にも御協力しつつ厳正に対処していく。また人手不足の解消ということにつきましては、高年齢者の雇用就業機会の確保、地域対策の整備充実、あるいは人材確保に向けた雇用能力開発対策、こうしたところから労働力需給のミスマッチの改善を図るということを最重要課題として進めておるわけでございます。 方針の問題でございますが、こうした努力をまず行っていくべきことである。そういう努力なしに安易に外国人労働者に依存をするということになりますれば、労働市場を初めといたしまして経済社会全般にわたりまして長期的に影響が生ずる、こういう懸念を強く持っておるわけでございまして、いわゆる単純労働者の受け入れ問題につきましては今後とも十分に慎重に対応すべきである、こういう考え方でございます。 ただ、将来の問題といたしまして、いろいろ御指摘もあるわけでございますが、いわゆる国内労働力の供給制約、こうした可能性が非常に強い、こういう問題がございます。中期的な視点という点につきましてさらに検討を進めていくことが重要である、このように考えております。これまで予算委員会におきまして、労働大臣からも再三御答弁させていただきましたように、受け入れ問題のメリット、デメリット、そうしたものを多様な角度から十分慎重に検討、整理をしてまいりたい、こういう考え方でございます。
○木庭健太郎君 今言われたとおりのような状況だと思うんですけれども、ただ、現実としては、外国人の労働者の問題というのは現実の方が先行しているような気もいたします。 もうごらんになっているでしょうけれども、中小企業の経営者災害補償事業団、KSDですね、あれが行った最近の調査を見ましたら、中小零細企業では約七割が違法と知りながら不法就労者を雇っているという結果が出ておりました。雇わないともう倒産だというような話すら出ているのもまた一方では現実なんでございます。この調査結果を見られて大臣、どんなふうに感じられますか。
○国務大臣(塚原俊平君) これ拝見させていただいたんですが、中小企業におきます外国人労働者の現在の雇用の実態をうかがわせるものかなというような、そんな感じがいたしました。
○木庭健太郎君 先ほどもちょっとおっしゃっていましたけれども、ただ、この人手不足の問題というのは、不法就労者の問題というのは、これはいつも表裏一体で出てくることは、先ほども指摘もあったとおりなんです。何となく今の感じでいくとまだ取り締まり強化の方が先行してしまっているような気もするんですけれども、労働省としてこれからもっと早く対応していく方法がないのか、現時点で具体策みたいなものがあればお示し願えればと思うんです。
○政府委員(清水傳雄君) 今御質問の具体策ということの御趣旨は、不法就労問題に対応するということ、それからいわゆる人手不足対策……
○木庭健太郎君 前の方でいいですよ。
○政府委員(清水傳雄君) 不法就労問題でございますか。 この点につきましては、私ども昨年の七月に通達を全国各都道府県、公共職業安定所に出しました。それを基本として展開をいたしてまいっておるわけでございます。 ポイントは三点でございまして、第一点は、この問題についてはやはり日常から事業主の方々の正しい理解と協力というふうなものが何よりも必要であり、そういうことを通じての事業主に対するいわゆる指導というふうな形をもって不法就労の防止を図っていくということが基本ではないかというふうに考えております。日常的ないろいろな業種団体、事業主団体あるいは個別的なそうした説明会等の場を通じまして、そうしたことの理解をいただくようにやってまいっておるわけでございます。また、昨年の十一月にはその問題につきましてのキャンペーンの旬間を設けまして、集中的なキャンペーン活動も行ってまいりました。 それから二点目は、不法就労問題について適正に対応をしていくということでございまして、関係当局とも十分連携をとりつつ適正な対処を図っていく、こういう姿勢でやってまいっておるわけでございます。さらに、いわゆる適法で就労される方々も含めまして、私どもの行政機関の窓口に外国人労働者の方がおいでになる、こういうケースもあるわけでございまして、これにもまた適正に対応していかなければならない。もちろん外国人労働者でありますれば日本のいろんな国内関係の状況についても十分御承知じゃない。それから、そうした面の対応の仕方という点についても、私どもの職員につきましても適正に対処していくというふうな用意が必要である。 そういう意味合いにおきまして、マニュアル的なものも配付いたしまして、それから安定機関に外国人労働者の専門官を大都市地域に配置をいたしまして、そうしたことに対応できるような体制をとるというような三点を中心として現在まで行ってまいっております。 ちなみに、現在まで集団指導というふうな形で事業主の方々にいろいろと御説明を行ってまいりましたのも七百数十件に及んでおるところでございます。
○木庭健太郎君 もう一つ、今の制度上の問題でいつも言われるのが入国後のフォローアップ体制の問題でございます。入国の際に、入管法に定める在留資格に該当するかどうかがまず審査が行われますけれども、入国してしまえば、後は資格どおりに行動しておるかどうかチェックするような仕組みが現在ございません。まずこれをきちんとすることが大事だと思うのですけれども、このフォローアップ体制についてどういうふうにお考えになっているか、お聞かせください。
○政府委員(清水傳雄君) 現在の体制につきましては、基本的には入管法の施行という形で入管当局の方で担当をしていただいておる状況であるわけでございますし、いわゆる改正前の法律に基づきまして就労を適法な形でしておられる方々については、一定の把握が現実に行われているというふうに私どもとしては承知をいたしております。 労働省といたしましては、いわゆるフォローアップという点につきましては、やはり労働条件等が確保されるような分野からのフォローアップということが、現在の私どもの行政の仕組みの上では任務となってくるわけでございまして、そうした点につきましては、先ほど申しましたような基本的な通達を通じまして事業主に対する周知、指導を行うわけでございますが、今後におきましても、改正入管法の施行を契機といたしまして、より綿密なフォローアップが可能となりますよう安定所ごとに外国人雇用対策懇談会、事業主の方々によりますそういう懇談会の設置を進めるように指導いたしていくことにいたしておりますし、また、法務省との関係におきましても中央、地方を通じまして連絡協議会を持ちまして、情報交換を通じて対応してまいりたい、このように考えております。
○木庭健太郎君 そういうフォローアップの問題ともかかわるんですけれども、労働省がかつておっしゃっていました雇用許可制度、外国人を受け入れる際に経営者に対する雇用許可の問題なんですけれども、これはたしか検討されたと思うんですが、もう最近ニュースで出てこないものですから断念してしまったのかどうか伺いたいし、もしまだ検討をしていらっしゃるなら内容的にどこまで煮詰めていらっしゃるのか。また、もう一つは、もしやろうとするならいつごろまでにこれを導入するという目標で進められるのか、この点をお聞かせください。
○政府委員(清水傳雄君) 今の雇用許可制度という提言は昭和六十三年三月に学識経験者にお願いをいたしました外国人労働者問題研究会から提唱をされたものでございまして、ヨーロッパ諸国の労働許可制度を参考としつつ、海外からの外国人労働者を雇い入れようとする事業主に対しまして、一定の要件のもとでその雇用を許可する、こういう仕組みを主たる内容とするものでございます。 このことによりまして、事業主による外国人労働者の雇用というふうなものが適正な形で行われることが担保される、また、外国人労働者についても適正な労働力需給調整が可能になるというふうに見ておるわけでございますが、この制度の具体化という面につきましては、いろんな関係諸制度の整合性の問題、こういうことが一つの課題であるわけでございまして、そういう意味合いにおきまして、さらに六十三年十二月に学識経験者、労使の三者構成によります外国人労働者問題に関する調査検討のための懇談会というふうなものを、ある意味におけるコンセンサスづくりを図る観点からもお願いをしたわけでございますが、そこにおいてさらに引き続き検討するようと、こうした形での意見集約をされたところでございます。 私ども、外国人労働者の受け入れ範囲というものと、それから体制の整備というものは、ある意味においては車の両輪のような形で一体となって進められていくべきものではないかというふうに思っておるわけでございますが、いずれにいたしましても、この六月一日に入管法の施行がなされたわけでございまして、やはりその定着というふうなことが現時点におきます大きな課題であると思うわけでございまして、そうした面に私どもの分野からもできる限りの御協力をいたしながら、また、そうした施行状況も見守りながら、先ほど申し上げました中期的な問題というふうなものも踏まえつつ、さきに提言がありましたように引き続き検討という意見集約がなされていることを受けまして、さらに検討を進めてまいる、こういうふうな考え方でございます。
○木庭健太郎君 研修制度の問題も聞きたかったんですけれども、ちょっと時間が足りないようです。 一つ、これも確認したいんですけれども、外国人の不法就労者の対応ですね。労基署とか職安窓口で今いろんな形でつくっていらっしゃいまして、成果も上げていらっしゃるようなことも聞いているんですけれども、この場合、よく労働省の場合は入管当局に通報しないという措置をとっていらっしゃいますけれども、具体的に通報しないというのはどのような場合とられるのか、これだけちょっと教えてください。
○政府委員(野崎和昭君) 不法就労者につきましては、もともと法が予想してない状態でございますので、これに対する法律の適用関係は非常に難しいものがあるかと思います。また法律によって違うかと思いますけれども、労働基準法につきまして、仮にこの適用がないということになりますと賃金が払われないままに帰国させられる、あるいは災害があっても補償が受けられないということになりまして、そういうことを法が予想しているということは考えにくいと思いますので、労働基準法等の適用があるという考えに立ちまして、法違反等がございましたならば監督、指導によってそれを是正させているところでございます。 そして今御指摘の通報の件でございますが、入管法によりまして公務員につきましては通報義務がございますので、原則的には私どもも通報、基本的には通報する体制にあるわけでございますけれども、ただ個人的な権利の救済を求めて申告、相談がありました場合に、かつてはそれも通報の対象になるという考えでいたのでございますけれども、そういたしますと、そういう話が広まった結果、全く申告、相談等がなくなりまして、結局権利救済の道をふさいでしまうという状態も生じましたので、その後そういった個人的権利の救済を求めて申告、相談があった場合についてこれを直ちに通報するということはしないという取り扱いに改めたわけでございます。これは法務省の人権擁護局でも同じような取り扱いになっていると承知しております。 ただ、そうは言いましても、そういった不法就労の内容が悪質、重大な法違反に連なっているような場合あるいはその事業場で非常に多数の不法就労者が雇用されており、他の人についてもいろいろ問題が生ずるおそれがあるような場合、そういう場合には通報するという扱いでいたしております。ただ、通報の細部につきましては、今後改正入管法の施行という新しい事態も踏まえまして、法務当局とさらに細部を詰めているところでございます。
○木庭健太郎君 最後に大臣に。もうちょっと本当は論議したかったんですけれども、こういう日本の国際化とか労働環境の変化とか、また労働省にとっては深刻な人手不足の中ということで、外国人労働者の受け入れ問題というのはもう避けて通れない課題であるということは大臣も何回もおっしゃっているとおりだと思うんです。ただ、将来的に我が国がどんな職種で、どの程度まで外国人労働者を受け入れていいのかというのをそろそろもう検討する時期に来ているんじゃないかなというふうにも思いますし、また一方で将来展望を労働省が積極的に示すべきときではないかというふうに考えるんですけれども、大臣のお考えをお伺いして、終わりたいと思います。
○国務大臣(塚原俊平君) 外国人労働者問題につきましては再々御質問等いただきまして、どうしても日本の国の国内の雇用というものがいろいろな面でこれから拡大をしなければいけないというような状況にありますし、かつて昭和四十年代の前半にかなり外国人労働者受け入れるべしという声が強かったわけですが、結果的にはそれから十年たたないうちにレイオフの状態が出たということで、いろいろな形の見通しをつくっていかなくちゃいけないということもございます。また外国人労働者を入れるためのいろいろな形のもの、例えば二国間でいろいろなお話し合いをする、あるいはこちらにおいでいただいても劣悪な状況になってはいけませんから、それが決してないように、全く日本人と同じような形で待遇をされるような監視機関もつくっていかなくちゃいけないというような、いろんな面を考えていきましたときに、果たしてそういうような状況にまでなって外国人労働者の雇用がさらに雇用主の方から、事業主の方から期待されるかというような疑問点というものも出てまいると思います。またこれから先行きの経済見通しも大変に不透明な部分がございますし、こういう状況の中で非常に事業主の方も省力化を現在図っているということもございます。加えて、現在外国人労働者が、特に単純労働者を要求しておりますいわゆる三Kと言われる部署につきましては、いずれも日本の根幹をなす極めて大切な部分でございまして、ここが全員外国人になってしまうといったときに、日本の国全体に大きな危険性が及ぼされるんじゃないかということもありますし、またそこに、一番重要なところに対しての事業主側の就業環境というものの整備を怠るというようなことになってもこれも大変に大きな問題でございます。 今ちょっと思いつくままに言いましても、かなりのいろいろな問題があるわけでございますが、先生御指摘のようにやはりしっかりとした展望をして、どういう条件、どういう状況、どういう場合ならばというような、これは研究はしなければいけないわけでございまして、労働省内におきましても、そういう研究のグループをつくって現在も細かなディスカッション等を行っておりますけれども、そういう点につきましてはどんどん進めてまいりたいというふうに考えております。
○沓脱タケ子君 それでは、育児休業の法制化に関連をいたしましてお聞きをしたいと思います。 御存じのように、今働く女性にとりましては育児休業の制度化、この法制化というものは切実な願いになっております。昨年の百十六国会、参議院に寄せられましたこの種の請願が百九十四万人を超しておりました。ところで最近、各省庁関係の報告等でも育児休業制度の確立の必要性というものにつきまして指摘をするものが非常に目につくようになっております。例えば厚生省は、ことしの一月、これからの家庭と子育てに関する懇談会報告、人事院では昨年の二月でしたか、勤務時間問題研究会報告、労働省でも雇用政策研究会でも制度の確立等について報告をされているようでございます。時間がありませんから、内容には触れませんけれども、科学技術庁の資源調査会でもそういう問題が触れられておるということで見てまいりますと、各省庁関係の中でこの問題についての制度化の世論というのですか、そういう趨勢というのは非常に広がっているというふうに思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(塚原俊平君) 今先生の御指摘をいただきましたすべてにおいて認識しているわけではございませんが、社会全体に大変大きな広がりがあると思います。そのことはもう大変にすばらしいことだと認識をいたしております。
○沓脱タケ子君 それで、国際的に見てまいりますと、先進資本主義国、とりわけサミット七カ国のうちで法制化をしていないというのは日本とアメリカ、全くしてないというのは日本だけなのかな、日本とアメリカだけじゃないかと思うんです。アメリカだって六つの州が導入しておる。もちろん完全な形ではなくて、例えばカナダなんというのは十カ月余りだとか、あるいはイギリスでは七カ月余りという状況になっておりますけれども、西ドイツでは十二カ月とか、フランスでは三年を限度にとかいう形になって、いろいろでこぼこはありますけれども、大体制度化をしているのではないかと思うわけですね。これは異論がありますか。
○政府委員(佐藤ギン子君) 大変よく先生御研究いただいておりまして、アメリカは現在制度がほとんどございません。先ほど御指摘ございましたのは、多分産前産後の休暇に当たるようなものではないだろうかというふうに認識をいたしております。それから、イギリスの場合には育児休業という法律上は形にはなっておりませんで、子供が生まれた後二十九週以内なら復職する権利があるという形でございますが、おおむね御指摘のとおりだと理解いたしております。
○沓脱タケ子君 それで、総理は今国会の施政方針演説で「育児休業制度の確立などに向けて積極的に努力してまいります。」ということをお述べになられた。これは初めてですわ、施政方針演説でお述べになったのは。自民党の方でも法的整備も含めて実効ある措置を講じるというふうに言われておるようでございます。野党の側も当然でございまして、年来法制化について具体的に要求もし、今国会でも提案が既にやられているところでございます。 そういうふうに見てまいりますと、育児休業制度の法制化をしていく上での政治的な環境というのが大分整ってきたんではないのかなと思いますが、いかがでしょう。
○政府委員(佐藤ギン子君) 御指摘のように、社会の育児休業問題などについての御認識、非常に広まっております。それから、実際に出産、育児をしながら働き続ける女性ふえておりますので、私どもでも育児休業制度が普及していくということは非常に重要なことだというふうに認識をいたしております。 ただ、なかなかこれが企業の中で根づくのに時間がかかっておりまして、現在普及率が二割弱というような状況でございますので、私どもとしてはまず育児休業制度がより多くの企業で採用されるように努力していくということが制度の確立の近道だということで、現在普及に一生懸命力を注いでいるところでございます。
○沓脱タケ子君 私は今局長が言われた、現行制度で企業にもっと制度を採用するようにということで、一〇%余りを二〇%、三〇%になるようにということを待っているというのではなくて、各省庁からいろんな角度からの既に御意見が出てきている、与党・自民党の方でも何らかのことをやらなければということで御意見が出ている、野党はもちろんのことです。国民は非常にたくさんこぞって強い御要望が出ているという状況ですから、労働省としても既にもう検討すべき段階ではないのかなということを感じるわけでございます。そういう点では法制化を進めていく上で政治的な環境が十分整ってきているわけだから、その辺のところを踏まえて法制化の方向づけというものをぜひやっていただかなければならない段階へ来ているんじゃないかと思うんです。 わずか時間残っているようですから、もう少し敷衍いたしますと、例えば働く女性にとっては大変強い要求、今日御承知のように諸外国と比べて我が国の長時間超過密労働というのは格段でございます。そういう中で子育てをしながら仕事を十分やっていくということが大変困難になってきている。そういう状況の中で女性の労働者にとってはもう不可欠だというところへ、これは数年前とは条件違いますよ、要求の切迫さというのは。そういう状況になってきている。しかも、一方では何とかして女性の労働力を活用していきたい、こういう客観的な情勢。そういう状況の中なんですから、これは私、大臣にそういった客観情勢を含めてよくよく御検討いただいて法制化の方向づけをぜひ大臣の時代につくっていただきたいなと思うんです。 なぜそのことを申し上げるかといいますと、例えば人口問題だってそうなんですよ。きょうも前段での御質疑の中で同僚議員からも出ておりましたけれども、今日我が国では出生率が一・六人だというんでしょう。この間私たまたまスウェーデンの男女平等オンブズマンの方のお話を聞く機会がございまして、その間の資料を拝見いたしましたが、スウェーデンはかつてから大変出生率が低いという状況であったんだそうですけれども、今日では女性の八四%が仕事についておる。そういうふうな女性の職場進出がどんどん急速に飛躍をしたという背景というのは、子育てがお仕事をしていく上での障害にならないという段階の制度を国が設けた。制度の内容はいろいろその国によって違いますけれども、非常に手厚くその制度を設けたということになっております。そうなると女性の社会的進出が非常に積極的になるし、しかもそのことが女性の地位向上に当然つながりますし、しかも出生率も一・六人であったのが今日二・〇まで膨れ上がっている。 こういうことが報告をされておりましたけれども、そういったあらゆる面から考えましても、今労働省としては踏み切っていただかなければならない段階へ来ているんではないか。時間がありませんから詳しく申し上げられませんけれども、そういう点で大臣、そういった諸事情を勘案していただいて、やりますと一挙には言えないだろうと思いますけれども、そういった事情を踏まえて制度化の方向づけだけでもひとつ大臣の時代に筋道をつけていただくことができないだろうかなと、そういう御努力を御期待申し上げたいんですが、いかがでございましょう。
○国務大臣(塚原俊平君) 私自身も今下の方の子がやっと幼稚園の年中さんですから。まず育児の範囲というのが一つ問題になってくると思うんですけれども、ともかく母乳で育てることが一番いいと、それから母乳とミルクと折半がいいと、これはいろんな説がございます。それから、私どもの経験からいきますと、大体それが一年ぐらいで一つの段階が終了する。ただ、子供にとっては幼稚園に入るまでは母親と一緒にいた方がいい、あるいは小学校に入るまでは一緒にいた方がいい、あるいは父親か母親かどっちかが常についていた方がいいと、これはもういろんなまた議論の分かれるところになってくると思います。そうすると、一つはその育児休業制度ですし、もう一つはまた先生方から御指摘をいただいている再雇用の問題、この二つはこれからもう非常に重要な問題だと思います。 そういった状況の中で、ただいま御指摘をいただいたわけでございますが、労働省の方といたしましても、非常に熱心に現在勉強を、無論制度の確立は一生懸命努力をして、法制化につきましては大変熱心に勉強をしておる最中でございますので、でき得る限り私の在任中にお褒めをいただくような状況ができるようにできればいいなというふうに考えております。
○沓脱タケ子君 御意見伺いましたので、御努力を御期待申し上げたい。野党でそろってやれば参議院では法制化はすぐにできるわけですけれども、政治的な環境から言うたらそうもいかないわけで、そういう点で大臣の御努力に御期待を申し上げたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○国務大臣(塚原俊平君) この問題は与野党対立するような問題では、国会のこと、私今政府側ですからしかられますけれども、国会議員の立場で言えば当然のことでございます。みんなで一緒にというのが一番理想的だと思いますので、そういう面につきましても努力をいたしたいというふうに考えております。
○沓脱タケ子君 それじゃ終わります。
○乾晴美君 私はきょうは母性保護について質問させていただきたいと思います。 現在の産前産後休業のことなんですが、産前産後の期間が、産前六週間、産後八週間になっているような職場というか、労基法に基づいた職場は現在何%ぐらいありなさるだろうか、そしてまたそのとり方が産前産後を通算して前が少なければ後の方にたくさん休めるとかといったように、十四週としてなっているところはどれぐらいありなさるでしょうか。それから、産前産後別々に決めているところはどれぐらいだろうかというようなことについてお聞きしたいのと、もう一つは労基法の基準以下で規定しているようなところはないだろうか。例えば産前でしたら四十二日あるわけなんですが、四十一日以下になっているようなところ、それからまた産後で言いましたら五十六日あるわけですが、五十五日以下になっているようなところはありますでしょうか。ちょっとお知らせ願いたいと思います。
○政府委員(佐藤ギン子君) 労働省で昭和六十三年に調査をいたしました結果が一番新しいものでございます。 〔理事糸久八重子君退席、委員長着席〕 これで見ますと、まず十四週という形で与えているものは六・八%というふうになっております。それから、産前産後の休暇を別々に計算して与えておりますものが九一・八%でございまして、それぞれ法定の産前六週間、産後八週間以上与えているという形になっております。 違反いたしましたものを調査で見ますと、労働基準法の規定に違反いたしております、これは監督実施結果としてでございますけれども〇・〇%。これは調査を、定期監督を実施いたしたものが十六万二千六百五十九ある中で五でございますので〇・〇%ということになります。
○乾晴美君 それでは、その産前産後休んでいるときの休業補償というのがどうなっているのでしょうか。有給はどれぐらいあるか、全期間いただいているか、それとも健保といいますか、その給付だけなのか、それからまた給与とか賞与をカットしているところはあるだろうかということでちょっと聞かしてください。
○政府委員(佐藤ギン子君) まず、産前産後の休業中有給として取り扱っております事業所の割合は四一%でございます。それ以外の事業所につきましては、今御指摘ございましたように、健康保険の方から手当が出ているという形になっております。 大変恐れ入りますが、今最後の御質問につきましては、調査がないわけでございます。
○乾晴美君 多分そんなところはないのではないかというふうに思うんですが、実は徳島県の農協の場合なんでございますが、これはある農協の実例なんですけれども、徳島県は恐らくこういうところが随分あるだろうということで今質問させていただくわけです。 例えば、ある農協では就業規則の第三十八条には特別休暇の規定があり、別表によりますと産前六週間、産後八週間が特別休暇として認められているわけです。特別休暇にはこのほかに結婚休暇、忌引休暇、生理休暇などがあり、いずれも有給休暇とされて、いわゆるボーナスからのカットの対象にされていない。これは当たり前のことなんです。しかし、同じ特別休暇の扱いを受けながら産前産後の休暇だけは別扱いとしてカットの対象にされているわけです。ひどいことに、この産休をとった人は、A子さんとしておきますけれども、A子さんは冬のボーナスで賃金カットを十三万円強取られているわけなんです。こういう事実があるわけなんですね。非常にこれは大変なことではないかというように思うわけなんです。 賞与基準というのがありまして、この第六項の第三では、「年次有給休暇、特別休暇、公傷休暇及び生理休暇(三日まで)等は出勤扱いとする」となっているにもかかわらず、同じ第六項のところの第四では、「休職、出勤停止、産休及び生理休暇(四日目以降)は欠勤扱いとする」とわざわざ書いているわけなんです。 で、この彼女はそういうことが今までの先輩のことでわかっていますので産前はとってないです、ほとんど、ようとらなくて。産後だけに休んでいるんですね。法律というのは、使用者は産後八週間を超えない女子労働者を働かせてはいけないとなっているわけです。だから彼女は法を守ったわけなんですけれども、こういった法を守ったばかりに損をするようなシステムというのでは、本当にこの法の趣旨というか精神が生かされてないのではないだろうかとまず怒りを感じるわけなんです。しかも彼女は冬とったわけなんですけれども、冬と年度末というように単年度に二回以上ものカットをされているわけなんですね。今度のときはもちろん夏のボーナスにひっかかれば夏と年度末というようになっているわけなんです。 母性を守り、法を守り、子供を産み育てていくという重大な任務を遂行しながらどうしてこんなことが平然と行われているかということに怒りを感じているんですけれども、労働省の御見解を伺わせていただきたいと思います。
○政府委員(佐藤ギン子君) 先生御存じのとおり、産前産後の期間中の賃金の支払いにつきましては、労働基準法上は使用者に義務づけがされておらないわけでございます。労働協約や就業規則で定められることになっております。ボーナスももちろん賃金ということになるわけでございますが、月々の支払いにつきましては、先ほど申し上げましたように有給のものと、有給でない場合も健康保険からそれなりの手当が出ているということでございますので、それプラスボーナスといいますか、そういうものにつきましては、労働協約とか就業規則で労使で話し合ってどこまでにするかということは決めていただくべきものだというふうに思っております。 ただ、その取り扱いが女子に非常に著しく不利益を課すものだということになりますと、趣旨としては望ましくないというふうに考えております。
○乾晴美君 このカット額なんですけれども、夏の子と冬の子では差がつくんですね。なぜそんなことが起こるかといいますと、賃金カットの算出方法が要出勤日数分のボーナスの総支給額掛ける欠勤日数というふうになっておりますから、夏と冬のボーナスの支給額はどこの農協さんでも大分違うわけです。そして総額の大きい冬のボーナスの方のカット額が大きいというわけなんですが、どうしてもこの農協の例のように十万円を超えるようなカット額というのは余りにも大き過ぎるのではないかと思うんです。そして彼女は産前をとってないわけなんですから、もしこの人が産前産後の全期間、いわゆる十四週間をとりましたらボーナスの六割以上ものカットに達するわけですね。ここの農協ではないんですが、それにまだプラスして昇給までストップさせるという農協が徳島県内にあるわけなんですね。 産前産後休暇取得に伴う——夏の一時金であろうと冬の一時金であろうと賃金なんです、これは。もう給料生活者は給料をくれるとして計画立てて生活しているんですからね。年度末手当といったような賃金カットはもう全面的に廃止すべきであると思いますし、昇給ストップもだめというようにしていかないとだめだと私は思うわけです。ですから母性保護の見地から労働省の御見解をここら辺もう一度はっきり聞かせていただきたいと思います。
○政府委員(佐藤ギン子君) 今御指摘の例は非常に個別具体的なケースでございますので十分検討しなければならないと思います。 ただ、先ほども申し上げましたように、基準法上はその支払いを義務づけられておりませんので、私どもとしては労使で十分話し合って産前産後の休暇の趣旨に照らして、できる限り望ましい方向でそういう問題につきましても話し合いが行われるということは一般的には望ましいことではないかというふうに考えております。
○乾晴美君 強力な指導をしていただきたいと思うわけですね。賃金を支払うか支払わないかというのはいいんですけれども、カットするというのはひど過ぎるのではないかと思うんです。 ここの農協の場合、もう一つ給与支給基準には問題が二つあるんです。一つは、要出勤日数に四週六休制が取り入れられないで四週五休制に基づいて出しているということが一点と、もう一つは、子供を育てるときにはどうしても子供がむずかったり、それから病気のときは早く帰りたいということがあるんですが、遅刻、早退は五回で一回の欠勤扱いとなっておるんですね。これはきちんと時間で決めるべきでないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。——時間がありませんので、ちょっと一度徳島県全体に実態調査をして、農協の産前産後休暇がどうなっているかということをぜひにお調べしていただきたいと思います。 あと私残された時間五分しかありませんので、次の問題に行きたいと思うんですね。 今度は、妊婦の通勤緩和措置というのがあるんですが、これは労働契約とか就業規則で盛り込んでいるところがあるわけなんですが、実はこれも徳島県の場合なんですけれども、ここは公官庁なんですけれども、実際にとれなくて緩和をさしていただけなくて、今労使で問題になっているということで、私のところへ手紙やら資料をたくさん送っていただきました。 ここの公官庁は一九七二年からそういう緩和ができるというようにしているわけなんですけれども、局長さんがかわられたかどうか知りませんのですが、それまでは該当者は申請したら即日もしくは翌日承認されておった。それが今回、九月四日申請したA子さんに対して十日間もの実態調査をして九月十九日に至って不承認の旨の通知があった。 その理由を聞いてみたら、乗車時間が短いということで、バスに乗っている時間が短いと言うんですが、こちらの方は契約の中に時間契約というか、時間が短いとか長いとかということは触れてないじゃないかと言っているわけです。また、危険を感じるような乗車率ではないというように回答してきているんですが、ここのところでは一九七二年の十二月十八日の公用私信で、バスの場合でも上記の混雑程度に応じて取り扱うことにするんですけれども、車両構造の相違もあるので、一五〇%を下回る場合であっても差し支えないというようなことが今まで言われてきているわけなんですね。 それから、バスの便が何便かあるので、混雑しているのであれば、もう一つ後で帰れというような回答なんですが、帰って少しでも早く横になりたい人に、寒い中、次の便を待つということは何事だということでやっていたんですが、そのうちに彼女が切迫流産で危険があるということで、十月三十日から二週間の病休に入ってしまった。十一月十三日の病休明けにお医者さんの時差通勤が望ましいという診断書を添えて機会均等法の二十七条に基づき再申請をしたわけです。けれども、再度調査を行ったわけですね、当事者の方が。それと同時に、ここの支部の女性部も十三日から十八日の間ずっと調査してきたんですけれども、多い日には十六人も立っている状況だった。にもかかわらず二十日、本人に対して再び不承認が来た。 こういうようなことで非常に今困っている状況だということで、私の手元にそういうことが来ているわけなんですけれども、一度労働省のこの実態に対しての御見解を聞かせていただきたいと思います。
○政府委員(佐藤ギン子君) まず、一般的に私どもいたしておりますことを申し上げますと、基準法上は母性保護につきましては、産前産後の休業その他軽業務への転換等の規定があるわけでございますが、そのほかに私どもで母性健康管理指導基準というものをつくりまして、できる限り通勤等について、医師の御意見なども伺いながらということになると思いますけれども、通勤の緩和の措置その他考えるようにということで企業を指導いたしているわけでございますが、企業の方で個別にその実態に応じて緩和措置等をすることになっておるわけでございます。 今御指摘のものは大変細かくお話がございまして、私、実態を十分把握できたかどうか自信がないのでございますけれども、その企業で何らかの指針なり定めをされて、それに応じてやっておられる、そのことについて今該当の方の申請が認められないことが正当であるか不当であるかというお尋ねなのかと思いますが、その点につきましては、もう少し私も御本人とか事業所の言い分も聞かないとわからないのでございますけれども、一般論で申し上げますと、妊娠中の女性が産前の休暇に入るまでは母体の健康が維持できるような形で仕事が続けられることはもちろん重要なことでございますので、そういう観点で、今労使の間で何らかの協定なり何なりがあったのかと思いますけれども、それに基づいて行われていくことが望ましいと思います。
○乾晴美君 大変重要な問題でして、一分一秒というような、たった一回だけのために流産するということもありますので、労働大臣の所信表明の第三にはすばらしいことを書いてくださってあるわけです。ですから、これが本当に実のあるものになるように指導強化をよろしくお願いいたします。 どうもありがとうございました。
○西川潔君 よろしくお願いいたします。 まず、介護労働力のことについて御質問申し上げます。 急速に増大し、多様化していく老人介護のニーズに対応したサービスを十分に提供していくことは重要な課題だと思います。そのためには、家政婦の方や介護サービスに従事する人たちの養成、労働力を確保し、供給する体制の整備充実が必要ではないかと思います。中でも介護サービスに従事する人材の養成が最も重要なことではないでしょうか。 私、長野県の信濃毎日という新聞を読ませていただきました。「在宅福祉の充実へ増員 家庭奉仕員いま人気」という記事がございまして、県内市町村が家庭奉仕員の増員を進めているそうですけれども、この新聞を読みますと、昨年十一月、長野市が行った採用試験には四十人の採用枠に六十八人お越しになったそうです。十月に二十二人を採用した松本市には九十九人の方々が応募されたそうです。応募者の多い背景には、家庭奉仕員の身分がこれまでの嘱託や臨時職員から市町村や社会福祉協議会の正職員になれる場合が多くなってきております。社会的に意義のある仕事としての魅力に少しずつ皆さん方がいい意味で理解してくれていらっしゃるんではないかなと思います。一つの安定した職業として認められるといいなと思います。 人手不足人手不足と今騒がれておるんですけれども、このような大切な仕事に随分大学生の方々も応募されているようです。すばらしいことだと思います。せっかくのこの若い人たちの芽を生かして、そしてまた育てていただいて、バックアップ体制の充実、そして整備の対応策、安定化が私は望まれると思います。労働省としてのこの職種の人材の確保についてお考えを聞かせていただきたいと思います。
○政府委員(清水傳雄君) おっしゃるように介護ニーズが増大をし、また多様化をしております。それに応じた適切な人材の養成、確保、供給、このための体制整備は私どもといたしましても極めて重要な課題であると思っております。 労働省の担当分野におきまして、この分野を担当しておりますのはいわゆる家政婦さんでございます。現実の問題として、現時点においてはやはり介護の中心的な役割を果たしておられるものと私ども思うわけでございます。こうした家政婦さんの知識、技能を高めたり、あるいはただいまおっしゃいましたような介護分野へ働くことを希望される、そういう主婦の方々にも介護の技能を身につけていただく、そうした職業講習を実施いたしております。それからまた、そういう分野にぜひ参入をしたい、そういう方々を確保していくための介護労働力の、言うなれば供給拡大のための巡回説明会を全国各地で開催する、こうした形で介護労働力の供給体制の整備にも努めております。また、公共職業訓練施設の場におきましても、家政科でございますとか、あるいは福祉ヘルパー科、こうしたものを設置いたしまして、介護関連の職業訓練を実施いたしております。こうした形をさらに積極的に進めてまいりたいと思っております。
○西川潔君 ありがとうございました。本当によく、ここにいらっしゃる先生方、いろんな分野、いろんな方面から質問をなさって、いろいろやらなければいけないというような御注文をいただいて皆さん方も大変でしょうけれども、聞く方もなかなかいろんなことばかり、つらいんですけれども、ひとつよろしくお願いいたします。 次に、シルバー人材センターのことについてお伺いしたいと思います。休業制度の方は、もし時間があればまた後ほどお伺いしたいと思います。 シルバー人材センターについて、大臣の所信表明の中でもシルバー人材センターの拡充について述べられておりました。私も大変関心を持っております。いろいろなことを現場ではお年寄りの皆さん方にもお伺いするんですけれども、シルバー人材センターの現状についてお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(清水傳雄君) これはもう先生御承知のように、シルバー人材センターは高齢者の方々に対しましてそれぞれの地域社会の日常生活に密着をした臨時的な、あるいは短期的な仕事を組織的に把握いたしましてこれを提供する、こういう活動を行う団体でございます。平成元年度までに四百二十五団体が設置されておりまして、会員数は昭和六十三年度で約十八万人という状況になっております。 やっていただいている仕事の内容といたしましては、これはもうさまざまでございます。造園関係の仕事もございますれば、あるいは公共施設の管理もございますれば、いろいろな地域地域でアイデアも出していただいておりまして、現在一日当たりの月の平均就業日数は、昭和五十五年当時は三・〇日という状況でございましたが、六十三年度におきましては六・八日、こういうふうな形で伸びてきてまいっている、こうした状況でございます。
○西川潔君 シルバー人材センターの目的は生きがい就労ということが基本であるようですが、会員となられる方々の動機や目的はそれぞれ違うと思います。例えば、報酬を得ることを目的としている方々、また一方では福祉的要素に生きがいを求めることを目的としている方々、いろいろだと思いますが、それは多様性があっていいと思います。 臨時的や短期間の生きがい目的でなく、もう一歩幅を広げてはどうかと思うんですが、今後のシルバー人材センターについて、何かお考えがございましたらお伺いしたいと思うんです。
○政府委員(清水傳雄君) シルバー人材センター、いわゆる引退過程におられる高齢者の方々について、やはりフルタイムの仕事というのがなかなか現実のこういう人手不足の場におきましても確保がしにくい。しかしスポット的な仕事でありますならば、会社においても公共団体においても、あるいは個人の家庭におきましても出てくる。そうしたものを組織的に集めて、まとまりを持った形で提供をしていこう。まさにそれで、いわゆる自立、自助、共助、こういう三つの精神を基本にしてやっていただいております。 現在、かなり多様な形の仕事を開拓していく、高齢者の方々はアイデアが豊富でございます。特に関西のシルバー人材センターではいろいろアイデアを出していただいて、私ども日ごろ敬服をいたしておるわけでございますが、いろんな形、例えば観光案内でございますとかあるいは文化、史跡の資料の編さんでございますとか、率直に申しましてホワイトカラー向けのお仕事というふうなものはもっともっと研究して開発をしていかないと難しい面があるわけでございますが、特にそうしたものを十分に意を用いながら多様な仕事を受託できる、いろいろ各方面の活動分布状況というふうなものをお互いに知らせ合って、お互い参考としながら進めていただくようにお願いをしているところでございます。
○西川潔君 ありがとうございます。 そこで、今お話に出ましたんですけれども、ホワイトカラーの方々いろいろ難しい問題が多々ございますが、いろいろお話をお伺いいたしますと、中には本当に働く気持ちがあるのかなと、随分ぜいたくなお年寄りの方も実際にはいらっしゃいます。でも、一生懸命まじめに働きたいという方もいらっしゃいますので、ひとつそのあたりよろしくお願いいたします。 その一つのアイデアといいますか、シルバー人材センターというのは地域との連携だと思うんですけれども、シルバー人材センターの事業は主に公共あるいは民間から仕事の発注があって、その仕事をこなすのが多いようでございますが、シルバー人材センターがみずから事業を行い、直販店を営業しているところも随分ございます。例えば、おじいちゃん、おばあちゃんが家庭でつくった野菜とかお漬物とか民芸品とか工芸品とかいろいろございます。持ち寄ってその店で販売したり、今行われている業務もそこで注文を受ける。そして、その立地場所を例えば公設市場であるとか、そういうふうに提供することによって地域の住民が買い物の途中に奥様方が立ち寄れるようなシルバー人材センターショップのような、そういうふうなものをつくっていただけないかな、行政でこういうことを指導していただければ一つのまた新しい姿として全国にも普及していくんではないかなと、こういうふうに思うんですが、局長並びに最後にひとつ大臣にも感想をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(塚原俊平君) 今先生から一つのアイデアをお出しいただいて御指摘をいただきました。また職安局長の方からもいろいろなアイデアを集約して、さらに皆様方の経験を生かして地域社会に、国家に御貢献をいただきながら、なおかつ御健康も保っていただき、ある程度の余暇の資金もというような形のものがどんどんとれていけば、これが一番理想なわけでございまして、いろいろなことを精いっぱい勉強させていただきたいというふうに考えております。
○西川潔君 どうもありがとうございました。 このごろは報道によりますと寝たきりの人ばっかり、何か六十五歳、七十歳になると寝たきりの人ばっかりになるんではないかなというような恐ろしい報道ばっかりですけれども、お元気な方々が多くなるわけですから、どうぞひとつこういうお年寄りの方々がお仕事ができるような場所の提供をよろしくお願いいたしたいと思います。 これで終わります。
○委員長(浜本万三君) 以上で労働省所管に対する質疑は終了いたしました。 これにて平成二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管、労働省所管及び環境衛生金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(浜本万三君) 次に、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案及び中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。塚原労働大臣。
○国務大臣(塚原俊平君) ただいま議題となりました二法案につきまして、その提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。 まず、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。 労働者災害補償保険制度については、高齢化の進展等経済社会の変化等に的確に対応し、また、一層の公平、均衡を図る観点から、その改善について、かねてから労働者災害補償保険審議会において検討が行われてきたところであります。 同審議会における検討の結果、昨年十二月、当面講ずるべき措置について労使公益各側委員全員一致による建議をいただきました。 政府といたしましては、この建議を尊重し、法律改正を要する部分について改正案を作成し、これを労働者災害補償保険審議会及び社会保障制度審議会に諮問し、それぞれ了承する旨の答申をいただきましたので、ここに労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案として、提案いたした次第であります。 次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。 まず、労働者災害補償保険法関係の改正についてであります。 第一は、年金及び一時金たる保険給付のスライドについて、現在、賃金水準が六%を超えて変動した場合にはその変動率に応じて改定することとしておりますが、これを年度ごとに賃金水準の変動に応じて改定するいわゆる完全自動賃金スライド制とすることとしたことであります。 第二は、休業補償給付及び休業給付のスライドについて、現在、賃金水準が二〇%を超えて変動した場合にその変動率に応じて改定することとしておりますが、この賃金水準の変動幅の要件を一〇%に緩和するとともに、現在、事業場の規模、産業により異なる変動率の算定方式を、全規模、全産業の平均賃金を用いて一本化することとしたことであります。 第三は、療養開始後一年六カ月を経過した者に対する休業補償給付及び休業給付に係る給付基礎日額について、年金たる保険給付の例にならい、年齢階層ごとに最低限度額及び最高限度額を定めることとしたことであります。 次に、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律関係の改正について申し上げます。 現在、暫定任意適用事業とされている五人未満の労働者を使用する個人経営の農業の事業への労災保険の適用拡大を図るため、労災保険に特別加入している者が行う農業の事業に労働者が使用された場合、当該事業を強制適用事業とすることとしたことであります。 以上のほか、この法律案においては、その附則において以上の改正に伴う所要の経過措置を定めております。 なお、施行期日は、年金及び一時金のスライド制の改善につきましては平成二年八月一日、休業補償給付及び休業給付のスライド制の改善並びにこれらの給付の給付基礎日額への最低・最高限度額の導入につきましては同年十月一日、農業の事業への適用拡大につきましては平成三年四月一日としております。 次に、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案につきまして、申し上げます。 中小企業退職金共済法は、中小企業の労働者の福祉の増進と中小企業の振興に寄与することを目的として、昭和三十四年に制定されたものであります。 その後、本制度は着実に発展し、一般の退職金共済制度に加入している事業主の数は約三十六万、加入労働者数は約二百四十三万人に達しており、本制度は、中小企業の労働福祉対策の主要な柱の一つとなっております。 ところで、我が国における退職金制度の現状を見ますと、大企業ではあまねく普及を見ているものの、中小企業においてはその普及状況及び内容はいまだ必ずしも十分なものとは言いがたい実情にあります。 また、最近における経済社会情勢を見ると、賃金、退職金水準の上昇、短時間労働者の増加、金利情勢の変動、高齢化の進展等の変化が見られるところであります。 このため、このような本制度の経緯及び現状を踏まえ、経済社会情勢の変化に対応しつつ、長期的に安定した制度としてその一層の充実を図ることが必要となっております。 政府は、このような観点から、本制度について所要の改善を行うこととし、先般、中小企業退職金共済審議会に諮問し、その答申をいただきましたので、ここに中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。 第一は、掛金月額の最低額及び最高額の引き上げであります。 現行制度では、掛金月額の最低額は三千円、最高額は二万円となっておりますが、賃金、退職金水準の上昇等を勘案し、退職金給付水準の向上に資するため、掛金月額の最低額を四千円に、最高額を二万六千円にそれぞれ引き上げることとしております。 第二は、短時間労働被共済者に係る掛金月額の最低額の特例の設定であります。 現行制度では、短時間労働者が本制度に加入する場合にも通常の労働者と同様の掛金月額の範囲内から掛金月額を選択して加入することとされていますが、通常の労働者を前提として設定された掛金月額の最低額は高過ぎる場合があることから、短時間労働被共済者については掛金月額の最低額を二千円とし、その加入促進を図ることとしております。 第三は、付加退職金制度の導入であります。 現行制度では、退職金の額は、掛金月額及び掛金納付月数に応じて一定の金利の運用収入を前提として計算された現行法別表のみにより定まる額とされていますが、最近における金利情勢等のもとで、共済制度の安定を維持するため、退職金の額は、掛金月額及び掛金納付月数に応じて定まる基本退職金の額に金利の変動に応じて定まる付加退職金の額を加えた額とすることとしております。 第四は、分割支給制度の導入であります。 現行制度では、退職金は一時金として支払われることとされていますが、高齢化の進展の中で、老後生活の安定化に資するため、被共済者の請求により退職金を分割して支給することができるものとすることとしております。 この法律案の主たる改正内容は以上のとおりでありますが、この法律の附則におきましては、この法律の施行の際被共済者である労働者に関して、最低掛金月額までの掛金月額の引き上げについて一定の猶予期間を置くこと及び施行日前に加入した被共済者で施行日以後に退職した者に係る退職金の額は、掛金のうち施行日前における掛金月額の最高額を超える部分について新法により算定した額と、それ以外の部分について従前の算定方法により算定して得た額の合算額とすること等の経過措置を定めるとともに、そのほかこれらの改正が円滑に実施されるよう所要の経過措置を規定しております。 なお、この法律のうち掛金月額の最低額の引き上げに係る規定は平成三年十二月一日から、そのほかの規定は平成三年四月一日から施行することとしております。 以上、二法案の提案理由及びその内容につきまして御説明申し上げました。 何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(浜本万三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 両案に対する質疑は後日に譲ります。 —————————————
○委員長(浜本万三君) 次に、育児休業法案を議題といたします。 発議者糸久八重子君から趣旨説明を聴取いたします。糸久君。
○糸久八重子君 ただいま議題となりました育児休業法案につきまして、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合を代表いたしまして、提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 近年、女性の職場進出は目覚ましく、一九八九年には雇用されて働く女性の数は千七百四十八万人に達し、そのうち有配偶者が約六割を占めるに至っており、今後も乳幼児を持ちながら働く女性の増加が見込まれております。 しかし、働く女性の職場環境を見ますと、出産後も勤続する意思を持ちながら、育児のためにやむなく職場を離れなければならない例が多く見られ、一度離職すると再就職が難しく、また、不利な労働条件を余儀なくされる場合が多い実態にあります。この職業と家庭生活との調和の問題に対処するためには、延長保育、夜間保育、ゼロ歳児保育を行う保育施設の整備充実を図るとともに、育児休業制度を普及させることが不可欠となっております。 ヨーロッパ諸国では、多数の国において、早くから育児休業制度あるいは親休暇制度が立法化され、働く女性の人権と母子福祉、育児についての手厚い配慮がなされております。これに対し、我が国では、現在、公務員である女子教員、看護婦、保母等について、無給の育児休業が制度化されているのみで、極めて対象範囲が限られております。労働省の調査では、昨年の二月時点で、三十人以上規模の事業所で育児休業を実施している事業所は、わずかに一九・二%にすぎません。しかも、この数字は、現行法に基づく実施事業所を含んでいるものであり、その他の事業所では、さらに低いものとなっております。 一九八五年六月に、我が国が批准をした国連の女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約は、「子の養育には男女及び社会全体がともに責任を負うことが必要であることを認識する」と述べております。 また、ILOも、一九八一年に、男女労働者特に家族的責任を有する労働者の機会均等及び均等待遇に関する条約及び勧告を採択しており、その勧告では「両親のうちのいずれかは、出産休暇の直後の期間内に、雇用を放棄することなく、かつ、雇用から生ずる権利を保護された上、休暇(育児休暇)をとることができるべきである。」とうたっておりますが、現在、これらの理念が世界共通の認識となるに至っております。 しかるに、一九八五年六月、第百二回国会で成立をしたいわゆる男女雇用機会均等法は、その目的及び基本的理念において「職業生活と家庭生活の調和を図る」ことをうたいつつも、育児休業については、旧法の勤労婦人福祉法と変わらず、「事業主は、育児休業の実施その他の育児に関する便宜の供与を行うように努めなければならない。」との単なる努力規定にとどまっております。 かかる実情の中で、我が国においても、雇用を継続しながら、一定期間休業し、育児に専念できるように、女子労働者のみならず男子労働者も含めすべての労働者を対象とする所得保障を伴う育児休業制度を早急に法制化する必要があります。 これが、ここに育児休業法案を提出をする理由であります。この際、私は特に、一昨年五月に本院の国民生活に関する調査会が議長に提出をした報告書においても、「女子労働者のみならず男子労働者を含めたすべての労働者を対象とする育児休業制度の法制化」の必要性が主張されているほか、昨年十二月十四日に提出をされた人事院の勤務時間問題研究会報告書、さらにことし四月十日に提出をされた労働省の雇用政策研究会緊急報告書等においても、育児休業制度確立の必要性が強調されていることに、委員各位の御注意を喚起しておきたいと思います。 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。 まず第一に、この法律は、育児休業について最低の基準を定めて、子を養育する労働者に育児休業を保障するとともに、育児休業をする労働者に対して育児休業手当を支給することにより、その労働者の負担の軽減と継続的な雇用の促進とを図り、もって労働者の福祉の増進に資することを目的としております。 第二に、使用者は、父または母である労働者のいずれか一方が、その子が一歳に達するまで養育するための休業を請求したときは、その請求を拒むことができないこととしております。 第三に、育児休業をする労働者には、その期間中、賃金の六割相当額の育児休業手当を支給することとしております。育児休業手当の支給に必要な財源は、すべての労働者、事業主及び国が、それぞれ三分の一ずつ負担することとしております。 第四に、育児休業を理由とする不利益取り扱いの禁止を規定するとともに、使用者は、育児休業をした労働者には、休業終了後、原職または原職に相当する職に復帰させなければならないものとしております。 なお、この法律は、公務員を含めた全労働者に適用されるものであります。 また、この法律の施行期日は、啓蒙宣伝期間等を考慮して、一九九二年四月一日としておりますが、それまでには整備しておかなければならないものとして、別途すでに提出をしております育児休業手当特別会計法案のほか、義務教育事業等の公共部門の事業遂行に支障を生じさせないようにするための関係法律の整備等についても、追ってできるだけ早く提案する予定であることを申し添えておきたいと思います。 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(浜本万三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本案につきましては、既に設置されております育児休業制度検討小委員会において審議を進めていくことに理事会で合意いたしておりますので、同小委員会において育児休業制度等の全般的な調査検討とともに便宜本案の審議をしていただきたいと存じます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時五十六分散会