社会労働委員会 第2号
- 発言数
- 280 件
- 登壇者
- 30 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1990/04/24
会議録
○委員長(浜本万三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨二十三日、勝木健司君が委員を辞任され、その補欠として猪木寛至君が選任されました。 —————————————
○委員長(浜本万三君) 社会保障制度等に関する調査を議題とし、厚生行政の基本施策に関する件について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○堀利和君 一九九〇年のことしは、八七年に国連の第四十二回の総会で決議されました国際識字年の初年度、スタートの年に当たるわけでございます。識字といいますと、まだまだ耳なれない言葉でございますけれども、いわゆる文字を獲得するといいますか、読み書きのできるというようなことだと思います。それで、ユネスコの報告によりますと、世界で読み書き、文字が獲得できてないいわば非識字者が九億二千六百万人いると報告されています。アジアではそのうち六億六千六百万人いるということのようなんですね。 ただ、我が国の政府は、日本において識字問題はないというふうに言っております。義務教育が既に十分なされているために識字問題はないと言っているわけでございます。しかし、そういう中でも、現実はやはり識字問題があると私は思うわけです。六百学級を超える被差別部落の識字学級、また在日朝鮮、韓国人の識字学級あるいは夜間中学や日雇い労働者のための識字運動というのが現実にありまして、こういう方々のお話では恐らく日本で三百万人程度の非識字者が存在するというふうに言っております。こういう非識字者にとっては、社会生活を営む上で、情報あるいは文化から疎外されてしまって社会的な差別を受けてしまうということがあろうかと思うんですね。 ことしのこの国際識字年において私も障害者として、視覚障害者として非常に思うところがあるわけです。といいますのは、私は盲学校で点字という文字を学んできました。ですから、点字という文字を読む、書くという点では識字者なんですけれども、いわば一般の社会の中で生活しているというそういう環境の中では、どうしても活字の文章を中心にしていますから、途端に非識字者になってしまうんですね。そういう点で私自身にとってもこの国際識字年というのは非常に大きな意味を持ってくるわけでございます。 同時に、ことしは日本の点字ができてちょうど百周年にも当たるわけです。点字というのは一八二五年にフランスの盲人のルイ・ブライユという方がつくりまして、それから日本ではそれを参考にして一八九〇年に石川倉次という方が日本の点字を考案されたわけなんですね。その後、一九〇一年には官報で日本訓盲点字ということを公示しまして、点字が盲人の、視覚障害者の文字というふうになってきたわけです。そして、一九二五年には衆議院議員選挙法が改正されまして点字による投票が認められて、その三年後の二八年には初の点字投票が行われまして、このとき五千四百二十八票の点字投票があったわけなんですね。今から六十余年前に選挙で点字投票ができたということは私は非常に画期的なことだと思っているんですね。ただ、そのことに比べまして、今日は私たちの状況を見ましてもなかなか点字というものが社会的に受け入れられていないという、そういった問題があるわけです。 私自身の問題で言いましても、国会議員として十カ月ほどになるわけですけれども、首班指名の際にも記名投票、書くわけですけれども、二度行われた首班指名の際にも結局点字を読める国会職員がいないという一つの理由で点字投票が残念ながらできなかったわけですね。あるいは国家公務員の採用試験でも点字の受験、点字試験が認められていないという現実があるわけです。ですから、点字という文字を獲得していても、いわば活字文字、文章を中心にした一般社会の中では私たち視覚障害者はたちまち非識字者になってしまうという悲しい現実があるわけです。手話もやはり同じように話し言葉として聴覚障害者が自分たちの言葉として獲得していても、なかなか一般社会の中では通用しないという現実もあるんですね。そういうことでは私は少数者の文字であったり言葉がその社会の中でどのように受け入れられているかということが大変重要なことだと思うんです。そういうことが文化的な水準を示しますし、どれほどの豊かな社会であるかということのあかしでもあろうと思うんです。 大臣が所信表明演説の中で、長寿社会のことを指して明るい豊かな長寿・福祉社会ということも言われましたけれども、私は、明るい豊かな社会というのは、今私が申したように、少数者の立場というものをどれだけ社会が受け入れるかということだと思うんですね。いつも私は頭に浮かんでくるのは、国際障害者年で言われてきた、ある社会が幾らかの人たちを締め出した社会というのは非常にもろく弱い社会であるというふうに言われています。ですから、大臣が言われたように、明るい活力のある社会というのは、そういう少数者であったり幾らかの人たちを締め出さない、障害を持った人も持たない人も、年寄りも子供も、男も女もみんなが生き生きと暮らせる社会の実現だろうと思うんですね。そういう地域社会をつくることが本当の意味の福祉だろうと私は思っているわけです。 障害者の問題で少しその辺のところを考えてみますと、どうしても傾向としては障害の程度からいいますと重度の方であり、障害の種類といいますか、種別からいいますと身体障害者よりも知恵おくれの方々の方がどうしても施設の中で暮らさざるを得ない状況というのは現実にあると思うんですね。もちろん障害の程度とか障害の種類だけで機械的に言えるものではなくて、基本的には家族であり地域社会が一人の障害者をどれだけ受けとめることができるか、一緒に生きることができるかというこの活力といいますか、豊かさが基本的なことだと思うんです。 そこで、具体的に質問させていただきますけれども、現実に身体障害者よりも厳しい知恵おくれの方々、精神薄弱者と言われる方々、こういう方々の自立というものをどのようにお考えであるのか、そしてそのための手だてがどのようになされているのか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) お答えいたします。 精神薄弱者の方々の地域社会での自立の問題についてどのように考えるのか、また、どういう具体的な施策を講じているのかと、こういうふうな御質問であろうと思うわけでございます。 御指摘のように、精神薄弱者の方々につきましては、近年、障害のある方もない方もともに自立して暮らしていけるような社会をつくる、こういうような考え方が非常に浸透してきておるわけでございまして、これに対応した地域福祉対策の推進が大変重要であろうというふうに考えているわけでございます。 具体的に申し上げますと、私ども従来から、精神薄弱者の方々のいわゆるそれぞれのニーズに応じまして、通所の更生施設とかあるいは通所の授産施設、こういった対策を進めておるわけでございますが、それに加えまして精神薄弱者の方々の通勤寮、これは御案内のように、就労している精神薄弱者の方を職場に通勤しながら一定期間入所していただきまして、対人関係の調整とか余暇の活用あるいは健康管理等、独立、自活に必要な御指導を申し上げる、こういうふうな通勤寮の問題、あるいは精神薄弱者福祉ホームと申し上げまして、御案内のとおり、これも就労している方々が家庭環境とか住宅事情等の理由によりまして住居を求めていらっしゃる場合に、低額な料金で入居していただき社会参加の助長を図っていこう、こういうふうな事柄とか、あるいはグループホーム、これは元年度から認めたわけでございますが、精神薄弱者地域生活援助事業、グループホームという制度を実施してきているところでございます。 こういったことで、今後とも精神薄弱者の社会的な自立促進ということのために、それぞれの方々の多様なニーズといろいろな対応があるわけでございますので、そういった方々の多様なニーズに対応しまして各種の施策の充実を図っていく必要がある、またそういうことで努力してまいっているところでございます。
○堀利和君 今お話にありましたグループホームの件ですけれども、私は大変大きな役割を果たすものだというふうに思って高く評価しているんです。昨年度から百カ所がスタートしまして、今年度も予算においては百カ所加えられていくわけですけれども、このグループホームについては今後ともこういう形で促進されるかどうか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 御指摘のように、精神薄弱者のグループホームという事業は、平成元年度から百カ所認めたわけでございますが、地域の中でこれは大変好評といいましょうか非常に強い形で受け入れられまして、そういうことを踏まえまして、私ども平成二年度におきましてはこの百カ所を倍増しようということで二百カ所の要求をいたしておるわけでございます。二百カ所の要求をし、かつ予算折衝におきましては要求どおり二百カ所をお認めいただいている、これが予算書に今入っているわけでございます。 私ども、御案内のように、グループホーム事業というのは、地域の中で生活を送ることを可能にするための条件整備というような観点で、日常生活における援護等を行って、例えば金銭の管理とかあるいは健康管理あるいは生活のこととかというようなことを、グループの四人ぐらいの方々がマンションとかそういったところをお借りになって、そこで暮らしながらまた就労される、こういうようなことで大変大事な事業ではないか。今二百カ所を平成二年度に要求いたしておりますが、地域のいろいろな御要望を踏まえまして、これを私どもは大幅に今後とも拡充していきたい、こういうふうな考え方を持っているわけでございます。
○堀利和君 今後とも力強い推進をよろしくお願いしたいと思います。 私は、ここで精神薄弱者という用語について私なりの意見を述べて御見解を伺いたいと思うんですけれども、一言で言って私たちといいますか、感覚からいうと精神薄弱、つまり精神の薄弱という言い方、表現というのは非常に差別的な感じで受けとめるところがあるんですね。 私、つい先日イタリアの方で行われました障害者の国際会議に招かれまして行ってきたんですけれども、やはりイタリアでも障害者に対してどう呼んだらいいかということでいろいろ議論があるようなんです。障害者の一人が、ハンディキャップを持っている人というと何だかハンディキャップをかばんの中に詰めて歩いているような感じでよろしくないじゃないかという話もありまして、結局、どう呼ぼうが本当に障害者の人権、自立、差別のないという、こういうことが基本的な問題としてあるんで、呼び方はどうでもいいんじゃないかという意見もあるわけです。確かにそれは全くそのとおりなんですね。 〔委員長退席、理事小野清子君着席〕 しかし、実態がなかなか厳しい中で、さらに精神薄弱という言い方も、私はできれば何か別な言い方というのがあればなと思うんですね。これまでにも私も知恵おくれと言ってみたり、あるいはここ最近では精神遅滞者とか発達障害者という言い方もしていますけれども、なかなかうまいといいますか、私たちが納得するような言い方ができないんです。私も国会議員になるまでは、いろいろな仲間と運動をする中では知恵おくれという言い方をしてきたんですけれども、なかなか行政の何といいますか、中といいますか、国会に来ますと法律用語も含めて精神薄弱という言葉を使わざるを得ない、使ってしまうんですね。講演に行きまして知恵おくれの施設、精神薄弱者の施設ですけれどもと言いかえてしまうと、やはり皆さんから精神薄弱者という言葉はやめてもらいたいというふうに言われるんですね。 私は、あるお母さんとのお話の中で非常に悲しい思いもしたんです。我が子がいわゆる知恵おくれで施設に入っているわけなんですけれども、町から、高台の方に施設があるんですが、会いに行くときにタクシーで行って玄関まで行けないと言うんですね。途中でタクシーをおりて運転手に、この先、私がどこに行くかは黙っていてほしいと、小さな町ですとそういう会話というのが何となく広がるといいますか、ありますから、黙っていてほしいと言って途中でタクシーをおりて、歩いて知恵おくれの精神薄弱者と言われる人たちの施設に我が子に会いに行くんですね。こういう差別の実態というものもありますから、表現、言い方を変えたからといって根本的に解決するとは思いませんけれども、そういった一つの言い方も考えていかなければいけないなと思います。 どういうように厚生省として精神薄弱という言い方についての認識をしているか、お聞きしたいと思うんです。
○政府委員(古川貞二郎君) 御案内のように、精神薄弱という用語は、フィーブルマインディドネスという英語の日本語訳であるというふうに承知いたしているわけでございます。こういう精神薄弱という用語につきましては、全く御指摘のように各界でいろいろな議論があるわけでございます。外国でも、先生今お話しのように、英語圏におきましては精神遅滞を伴った人とか、あるいは発達障害というような言葉で言われるようなこともございますが、しかしいまひとつぴったりこないというような感じが正直なところではなかろうかと思うわけでございます。 私どもも、私も個人的にもこういった精神薄弱者の方々の非常にベテランの方々、長くこういったことに携わっている方々といろいろお話をする機会もあるわけでございます。何とかこれはしなきゃいかぬなというお気持ちの方々が強いわけでございますけれども、それであらわされる対象というものが全く同じかどうか、なかなかいい言葉がないなというのが実は事実でございまして、私ども今後ともこの用語の問題、これは先生おっしゃるように用語の問題だということではなくて、大変大事な心の問題でもあろうというふうにも思うわけでございますので、関係者の御意見等も聞きながら勉強してまいりたい、かように考えているわけでございます。
○国務大臣(津島雄二君) 堀委員のこれまでのお話をずっと伺いまして私の感じたことを一言申し述べさせていただきたいと思います。 ことしが点字制定百周年ということ、今お話があって思い出したわけでありますけれども、十一月の一日には記念切手が発行される予定であるというようなことも委員は御存じであろうと思います。こういう機会に私どもとして、視覚障害のある方々に対する思いを込めていろいろなことを考えなければならないという立場に立ってみますと、先ほど委員が仰せられた点字あるいは手話について担当大臣としてどれだけの理解があるかということを今考えながら、みずからそれを理解し使うことができないということに内心じくじたるものを感じたわけでございます。 私は本院の予算委員会でもお答えをいたしましたけれども、民主社会の成熟度というものはハンディのある方々にどの程度まで社会参加をさせられるかということで決まる、そういう考え方を私は持っておるわけでございまして、そのような意味で我々はさらに大きな努力を重ねなければならない。そうでないと、内外に誇れる日本の社会が実現できないのではないかというふうに思っております。 高齢者保健福祉推進十カ年戦略というものに今大変スポットライトが当てられておりますけれども、これは同時に、高齢者ばかりでなく障害のある方々に対しても細かく手を差し伸べて、一緒に社会を支えていこうではないかという運動にしなければならないと思っております。子供たちが絵をかくときに障害者の方も高齢者の方も自然にその絵の中に入ってくるという風景こそ日本のあるべき姿ではないであろうかと思います。 そのような意味で、今、精神薄弱者という用語について御指摘がございました。担当局長から用語について一層の工夫ができるかどうかという御答弁をいたしましたが、いかなる用語を工夫してみましても、やはり基本的には社会の何と申しますか、意識改革がない限りはそこに間違った差別意識が入ってくる心配がある、先ほど委員が御指摘のとおりであろうと思います。私どもは適切な用語を求めていくという努力に加えまして、そういう差別のない社会、この世に生をうけた方々はすべて社会が授かった財産として受けとめることができるような社会を実現していかなければならないと私は思っております。 所感の一端を述べさせていただきました。
○堀利和君 どうもありがとうございます。 それで、次は具体的ないろんな改善のことでお願いでございます。 精神薄弱者とあえて言ってしまいますけれども、精神薄弱者の方からあるいは親の方からいろいろ御要望があるんです。身体障害者は鉄道を利用する場合には割引がございますけれども、何とか知恵おくれの方々も同じように割引にはならないだろうか、してもらえないだろうかというのが非常に強いんですね。知恵おくれの方も一人で移動、旅行をするということは困難ですし、旅行するといっても本当に一年に一回できるかどうかという現状です。また、反対に親がどこか用があって出かける場合に、我が子を家に置いたまま出かけるということができないんです。そうしますと、連れていかざるを得ない。つまり、親の都合で知恵おくれの我が子を連れていくということからいいまして、何とか身体障害者と同じような割引制度ができないものかということなんですけれども、その辺いかがでしょうか。
○説明員(大辻嘉郎君) 運輸省の立場から御説明をいたしたいと思います。 現在、身体障害者の方々に対します運賃割引制度は、割引によります収入減少分を一般的に他の利用者の負担によって賄うことになってございます。運輸省といたしましては、本来このような社会福祉割引は基本的には公的な負担によりまして実施されるべきものだと、このように考えておるところでございます。 ところで、先般、長く懸案でございました内部障害者の方々に対します割引制度を実施いたしたところでございますが、これにつきましては、実は従来から身体障害者福祉法上特段の区別のない外部障害者の方々に対します運賃割引とのバランスの問題があったということ、これに加えましてJRの旅客鉄道各社が最近の経営状況の改善にかんがみまして、内部障害者に対する運賃割引を実施してもよろしいという旨の意向を表明したという事情がございまして、私どもも先般、事業者の負担により割引の実施をすることを認めたということでございます。 〔理事小野清子君退席、委員長着席〕 ところで、今、先生御指摘の精神薄弱の方々に対します運賃割引の実施、これにつきましては本来の原則どおり公的負担によりまして実施されるべきであるというふうに考えております。その際、社会福祉政策の一環として取り組まれるべき問題であろうかと、かように考えておるところでございます。
○堀利和君 次に、新幹線特急券の割引の件でお願いなんです。 私は田舎、実家が静岡県の清水市なんです。以前ですと在来線で急行というのが結構ありまして、それで帰ることができたんですけれども、今や新幹線時代になりまして在来線から新幹線を利用する方向に、JRといいますか、鉄道関係はどうも持っていっているような感じもしますし、同時に新幹線では車いす障害者のためのトイレがありますけれども、在来線にはないんです。そういうことから、これまで急行の介護者の割引がありましたけれども、これを大衆的な乗り物としての新幹線の特急券にまで拡大していただけないかどうかお伺いしたいんです。
○説明員(楠木行雄君) 運輸省の国鉄部の業務課長の楠木でございます。 御説明いたします。 ただいま運輸産業課長の方から先生の最初の御質問にお答えいたしましたように、私ども運輸省といたしましては、身体障害者割引等運賃の社会福祉割引は本来やはり基本的には公的負担によりまして実施されるべきものと考えております。 したがいまして、先生御指摘の新幹線の特急料金の割引などにつきましては原則どおり公的負担により実施すべきものでありまして、社会福祉政策の一環として取り組んでいくべきものと考えております。
○堀利和君 公的負担というお考えですね、ぜひ実施に移していただきたいと思います。 次に、これは恐らく財政的な問題ではないと思いますので何とか実現していただきたいんですが、私鉄で介護者と二人で乗る場合には、自動販売機で子供の切符を買って、そして身障手帳を見せて乗ることができるんです。しかし、JRの場合は介護者つきの割引を買うときには窓口に行かなければないんですね。そうしますと、例えば、東京とか大阪もそうなんですけれども、私鉄からJRに乗りかえて目的地に行く場合、私鉄の場合には券売機で買うことができるんですけれども、乗りかえのところに行くと、わざわざ階段をおりて遠回りをして一回表に出て窓口に行ってJRの切符を買わなければならないんですね。これは大変障害者にとっても負担になりますので、最初に乗る駅で、よく私鉄とJRの通しの切符もありますから、そこですべて買えるように、私鉄同様に窓口ではなくて、JRの方も券売機で子供料金で身障手帳を見せて乗れるようにぜひ改善していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○説明員(楠木行雄君) 御説明いたします。 先生御指摘の問題につきましては、運輸サービスの問題でありますので、基本的には鉄道事業者、すなわちJRの自主的な判断の問題であると考えておりますけれども、JRの自動券売機の小児用の乗車券を利用した身体障害者割引乗車券の発売につきましては、JRの路線網が私鉄に比べて複雑であること、遠距離利用があること等の事情からなかなか難しい問題であるというふうに考えております。 具体的には、第一に路線網が複雑でありまして、乗車する列車及び線区が変わるごとに車内で再三にわたり資格の確認を受けることが考えられます。また民鉄の場合、短距離利用が多いため券売機による乗車券購入で完結すると思われますけれども、JRの場合は遠距離利用がありますために、券売機で近距離乗車券を購入し、そのまま遠距離列車に乗車するケースも多く、車内での乗車変更及び着駅での精算が増加する等の問題が考えられるわけでございます。 以上でございます。
○堀利和君 次に、高速道路の身体障害者の割引の件でお伺いしたいんです。 鉄道利用の場合も、以前は福祉事務所に行って割引の用紙をもらって、それに記入して窓口で買うという手続をとっていたんですけれども、今では身障手帳を見せるだけで買えるわけですね。それで、高速道路の割引については今福祉事務所に行って、割引用紙をいただいて記入して、料金所で身障手帳と書いた割引用紙を渡してやるというふうになっていますけれども、これも簡素化していただいて、身障手帳を見せるだけで割引できるように、またそういった用紙をつくる紙なり印刷代を含めればそういうことが節約もできますし、その節約分は半額ではなくて多少とも全額割引に回すこともできると思うんですが、ぜひそういった簡素化をお願いしたいと思うんです。
○説明員(小野和日児君) ただいま先生御質問のように、高速道路等の有料道路用通行料金におきまして身体障害者割引の適用を受けるに当たりましては、料金所において身体障害者手帳の提示とともに割引証を提出していただいております。これは通行車両台数と徴収料金の照合のために必要な措置でございまして、確かに毎月毎月六十枚福祉事務所まで取りに行きますのは非常に手間でございますけれども、割引証の必要性をぜひ御理解いただき、御協力をいただきたいと考えております。
○堀利和君 次に、今問題になっておりますNTTの一〇四の有料化のことの中でお伺いしたいんです。 障害者の方から、特に視覚障害者の場合ですと電話帳が読めませんから、そういう観点から一〇四は無料化でお願いしたいという話があります。この方向で動いているというふうに聞いておりますけれども、実際に無料になる障害者の範囲というのはどういうふうになるんでしょうか。
○説明員(濱田弘二君) NTTでは電話番号案内、いわゆる一〇四番につきまして本年十二月の実施を目途といたしまして受益者負担の原則を一部導入いたしまして、費用負担の適正化を図るよう現在準備を進めておるところでございますが、先生御指摘のように、目の不自由な方など一定の方につきましては、電話番号の代替措置としての電話帳の利用が相当困難であるということを勘案いたしまして、引き続き番号案内料を無料とすることといたしておるところでございます。具体的には、視覚障害者の方とかあるいは肢体不自由の方で上肢に一定の障害をお持ちの方などにつきまして無料の取り扱いをすることにいたしておる、こういうことでございます。
○堀利和君 そうしますと、どういうふうに具体的に、いわば利用する障害者が視覚障害者であるとわかるのか、この辺の方法はどういうふうにされるのかお聞きしたいんですけれども。
○説明員(濱田弘二君) 無料取り扱いの人を特定するに当たりましては、その無料取り扱いに係る人たちやあるいは関係の行政機関に過度な負担とならないよう、それからまた事業体であるNTTにとりましてもその判定が客観的にかつ容易に行えるように、そういうふうにしてまいる必要があろうと考えておりますので、無料取り扱いの範囲に該当する人はすべて身体障害者手帳かあるいは戦傷病者手帳をお持ちの方ということで、そういうようなお持ちの方についてNTTの営業窓口なりあるいはまた郵送なりで所定の確認をさせていただいた上で無料の取り扱いに移る、そういうことで今作業を進めておるところでございます。
○堀利和君 これはいわば登録というんですか、名簿として入れるということですか。
○説明員(濱田弘二君) そのとおりでございまして、NTTの営業窓口などで所定のエントリーをしていただくことになります。
○堀利和君 聞くところによりますと、暗証番号も含めて、どういう障害で、等級でということをいわばNTTの方に登録するというふうに聞いているんですけれども、私はその場合、今や一〇四は全国ネットになっております関係から、障害者個人のそういった情報をNTTに提供するわけですね。NTTというのは決して公益事業じゃなくて、今やもう民間事業、民間会社ですから、そういう点で障害者個人のプライバシーの保護が果たして守られるかどうかちょっと心配なんですけれども、その点の対策はどのようにお考えでしょうか。
○説明員(濱田弘二君) 無料対象者の方の電話番号とかID番号などに関しまして個人情報をNTTで把握するということは、今回の施策を円滑に実施するために必要なものであると考えておりますけれども、これらの個人情報が適切に管理、保護される必要の重要性につきましては、先生の御指摘のとおりでございます。このためNTTでは、例えばそもそも把握する情報の範囲を必要最小限のものにするとか、それから先生お話しございましたけれども、一定の事項をデータベースにエントリーするわけでございますが、そのデータベースにエントリーできる機械、これを制限するとか、そういった形によりまして個人情報、プライバシーの保護の対策をNTTでも十分に配意しておるということでございます。 NTTは民間会社という御指摘がございましたけれども、電気通信事業法によりまして第一種電気通信事業者としての公共性を持った公益事業体でございますので、特にこの個人情報の問題についてはNTTにおいても相当な配慮の必要性を感じておるものというふうに私どもも受けとめておるところでございます。
○堀利和君 最後に、私たち視覚障害者にとって大変重要なことなんですけれども、はり、きゅう、あんま、マッサージの問題で質問させていただきます。 この四月から改正されたあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の法律が施行されたわけです。同時に、診療報酬点数表も改定されたわけですね。この件についてちょっと質問なんですけれども、理学療法料の改定のところです。その中で「医師又は理学療法士の監視下において、運動療法の経験を有する者が専従して運動療法を行ったとき」という文章があります。この「運動療法の経験を有する者」というのは具体的にどういう方なんでしょうか。
○政府委員(坂本龍彦君) ただいま御質問の「運動療法の経験を有する者」という人は、平成二年三月三十一日現在において、理学療法士、看護婦、あんまマッサージ指圧師、柔道整復師の免許を有している者であって、かつ同日において現に保険医療機関において運動療法に専従している者を言うと厚生省の通知で定めております。ここに定めておりますように、今申し上げました理学療法士、看護婦、あんまマッサージ指圧師、柔道整復師の免許を持っておる方で、平成二年三月三十一日現在で現に保険医療機関で運動療法という療法に実際に従事をしている方、こういうことになるわけでございます。
○堀利和君 一九八一年、昭和五十六年にもこの保険点数が改定されまして、このときマッサージが保険点数から実際消えて、私たちは大変心配し、中には病院をやめざるを得なくなったマッサージ師もいるわけなんです。今回の改定で理学療法士の監視下ということでマッサージ師の身分が理学療法士の下に置かれてしまうことが制度上といいますか、確立されてしまったということも含めて非常に不安に思っているんですけれども、この点数改定についてどのような評価、お考えでいらっしゃるんでしょうか。
○政府委員(坂本龍彦君) 最近やはり運動療法という療法が高齢化社会を迎えて非常に重要になってまいりますし、またそのケースもふえてくると考えられるわけでございます。 今後、この運動療法におきましては、実際にそれを実施する医療機関の診療報酬の点数等も改定をいたしていく必要もあろうかと思っておりますが、特に今回の改正におきましては運動療法の専従者加算というのを新設いたしたわけでございます。先ほど申し上げました、免許を持っている方で現に保険医療機関において運動療法に専従している方が運動療法において実際の業務に携わっておられる場合には、専従者加算として新たに保険点数の加算を新設いたしました。この新設とそれに伴うただいまの専従者としてのあんま、マッサージ師、指圧師というものを明確に規定するというようなことによりまして、ただいまお尋ねの診療報酬におけるあんま、マッサージ師、指圧師の業務の評価を確立する等、改善を図っているところでございます。
○堀利和君 もう時間が来ましたので終わりにしたいと思いますけれども、あんまに関する法律がこの四月から施行されて、その目的が資質向上であるわけです。私たちとしては、私たちの地位向上のために改正されたこのあんまに関する法律が、どうも私たちの立場から見ますと、保険点数改定においてますますマッサージ師に対しての位置づけが不安定になり、マッサージ師としての病院での身分もPTの監視下ということで明確にされてしまったことで、どうも法律改正の目的と矛盾するような感じを受けてしまうんですけれども、PTも高卒三年で、今度はあんま、マッサージの免許を取るにも高卒三年という修業年限になって同じ高卒ということになっていますから、そういう点で私たちとしては運動療法においても同等にやはり扱ってといいますか、考えていただきたいということもお願いしまして、終わりたいと思います。 どうもありがとうございました。
○日下部禧代子君 きょうは厚生行政の基本施策に関する件の御質問ということでございますが、その前に、消費者団体の多くの方々から提起をされました問題について一つ御質問させていただきます。 それは、食品の放射線照射問題についてでございます。 今、ジャガイモの発芽防止のために放射線を照射することが許可されておりますけれども、食品衛生法第十一条とその施行規則によりますと、照射ジャガイモの容器包装にはその旨表示しなければならないことになっております。しかし、実際にはその容器として段ボールに表示すればいいだけで、一般のお買い物をする消費者には全然わからないのでございますが、お買い物をする場合にだれでもわかるような小売段階で何か表示つきのビニール袋に入れるとか、そのような方法をとるべきではないかというお声が出ておりますが、この件に関していかがでございましょうか。
○政府委員(目黒克己君) 御指摘のジャガイモへの放射線照射につきましては、吸収線量の上限とかあるいは再照射の禁止等に関しまして基準は一応定めているわけでございます。そしてまた、先生の御指摘の件とも関連があるわけですが、動物実験等によって化学的な安全性を確認した上で私どもは食品衛生法で認めている、こういう先生御承知のとおりの状況でございます。私どもの食品衛生法の立場から申しますと、この再照射防止の観点から、つまり照射ジャガイモについて照射した旨の表示を義務づける、つまり一度照射したものにもう一度再照射が行われないというような観点から大きな流通段階のものに表示をしている、こういうような状況でございまして、私どもの方といたしましては、小売の段階で再照射をされるおそれがないということからその辺の必要性はないというような判断をずっといたしているところでございます。 しかしながら、先生の御指摘の点もございますので、この問題につきましては、今後の課題といたしまして実態等について研究してまいりたい、このように考えているところでございます。
○日下部禧代子君 お買い物をする主婦の方々にとっては大変にこれは心配だという声がとっても高まっておりますので、ぜひとも善処をお願いいたします。 それに関連いたしまして、今、実験の結果安全であるというふうなお言葉をいただきましたけれども、科学技術庁の一九七一年六月の放射線照射によるバレイショの発芽防止に関する研究成果報告によりますと、照射ジャガイモばかりを食べていた雌、これ雄は関係ないそうなんですけれども、雌のラットやマウスの体重増加の割合が少なく、また卵巣の重量にも変化が認められたということが伝えられておりますが、この事実を示すデータをお持ちでいらっしゃいましたら御提出をお願いしたいと思います。
○説明員(國谷実君) 先生御指摘のバレイショの放射線照射によります発芽防止に関します研究につきましては、科学技術庁の食品照射研究運営会議という会議で成果を取りまとめております。この中で毒性的な影響につきましては、有無につきましては別にいたしましても、変化のあるデータが出ておりますというのは御指摘のとおりでございます。 資料につきましては後日提出させていただきたいと思います。
○日下部禧代子君 これは雌だけで雄には関係ないというのも事実なんですか。
○説明員(國谷実君) 報告書に出ておりますいろいろなデータの中で有意な差として出ておりますのは、御指摘の雌のラットの体重増加の割合、それから卵巣の重量の変化、この二つが指摘されております。
○日下部禧代子君 今の結果に関する資料というのはどのくらいございまして、それはほとんど全部お持ちのものをお出しいただけるということでございましょうか。
○説明員(國谷実君) ただいまのバレイショの食品照射に関します研究の成果につきましては、先ほど申しましたように、食品照射研究運営会議というところで取りまとめておりまして、ここで報告書並びに資料集という形で取りまとめておりますので、これらにつきましては御提出さしていただきたいと思います。
○日下部禧代子君 消費者団体の皆様のお言葉によりますと、肝心な部分のデータが要求をしてもなかなか出していただけないというふうなことをたくさんの方々から伺っておりますけれども、その点に関しましては、今回できる限りの資料をお出しいただけるとお約束いただけますでしょうか。
○説明員(國谷実君) 資料につきましては、我々手元にある限りお出しさしていただきたいと思います。
○日下部禧代子君 よろしくお願いいたします。 それでは、食品の放射線照射問題につきましてはこれで一応終わらせていただきます。どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。 ところで、厚生行政の基本施策に関する問題に関しましての御質問に入らせていただきたいと思います。 厚生大臣は、厚生行政に大変御精通していらっしゃるばかりではなくて、福祉に関して大変に高い御見識をお持ちだというふうに承っております。それからまた、所信では国民福祉の増進をライフワークとして取り組んでいらっしゃったというお言葉を伺いまして、大変に期待をしているところでございます。 ところで、ことし三月の三日に総理府が一つの世論調査を発表いたしました。「高齢期のライフスタイル」というテーマでございます。これは御承知のとおりだと思います。その報告を見ますと、さまざまな設問がございますけれども、二〇二〇年ぐらいの将来の日本についてのまず設問がございました。将来の日本は「経済的に豊かで、社会が活力に満ちている」と思うかどうかという、そういう設問に対しまして、そう思うという方が二四・九%に対しまして、そうは思わないという方が五三・八%ということでございました。 それからまた、二〇二〇年ころの日本の社会につきまして「高齢者の活動の場が多く、いきいきと生活している」と思うと思われる方が二四%、そうは思わないという方が五五%いらっしゃいます。 さらに、二〇二〇年ころには「福祉が充実して、誰でも安心して暮らせるようになっている」と思うかという設問に対しまして、思うという方が一九・二%、思わないと思われる方が六一・四%と過半数を占めております。特に三十歳から三十九歳代の世代は「福祉が充実して、誰でも安心して暮らせるようになっている」とは思わないという方が七一%を占めておりました。これは海部総理がたびたびおっしゃいます「生涯いきいき、生涯しあわせ」、これは厚生大臣も所信の中に御引用なさいましたけれども、そのような社会のあり方とはかなりほど遠い、悲観的な見方を国民がしているということがここに出ているような気がいたします。 さらに、自分の高齢期について主に考えていることは何かという設問に対しまして、第一位が八一%を占めておりますが、「自分の健康や医療、介護に関すること」という答えであります。また、「政府や地方公共団体に対する要望」として、第一位を占めているのが医療、福祉対策でございまして、それは六九・六%というふうに出ております。また、今回の調査ではございませんが、同じく総理府の世論調査で、昨年、平成元年五月調査の国民生活に関する世論調査におきましても、政府に対する要望というのは、まず第一に社会保障、社会福祉の充実ということが挙げられております。 このような二つの世論調査の結果から見ますと、どうも日本の国民が老年期に非常に不安を持っているということが出ているというふうに解釈していいのじゃないか。そしてまたその原因は、病気になったり寝たきりになったり、あるいは老人性痴呆症になったときに一体どこでどのように安心して見てもらえるのか、介護してもらえるのかというふうな不安感というものがその大きな原因になっているというふうに私は読んだわけでございますが、大臣、その点に関しまして御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 日下部委員の御指摘の総理府の世論調査の内容を拝見いたしますと、やはり将来の老後に、そしてまた高齢社会に不安を感じておられるというのが率直な印象でございます。 その原因でございますけれども、日本の社会にとりましてこれほどの高齢社会というのは全く新しい世界でございまして、未知に対する不安というものは当然皆さんお持ちになるであろう。それからまた、高齢社会というもののイメージでございますが、これまでほかの国で日本よりもかなり高齢比率が高かったケースを見ますと、全体として、例えば成長率がどちらかといえば鈍化をする傾向であるとか、社会の活力が失われがちであるとかというイメージで受け取られる面が多かったということからこういう結果になっておるんではないであろうかと思います。 しかし、私どもが今努力しなければならないのは、日本の社会にとって全く新しい経験であり、それからまた高齢化のスピードからいいましても、世界に類例のない一つの大きな挑戦でございますけれども、この大きな挑戦を我々にとって意味のあるもの、実りの多いものにしなければならない。なぜならば、これに成功しなければ、私どもの次の世代は次の世紀において幸せな人生を送ることができないと思うわけでございます。これまで外国の例等いろいろ参考にする面もございますけれども、しかしせんじ詰めれば、これは我々日本の国民による日本の国民のための挑戦でございますから、我々があらゆる努力をして、これぞ我が国の活力のある長寿・福祉社会であるというものをつくり上げていかなければならないというふうに思ってございます。 後ほど御議論があるかと思いますけれども、そういう意味で高齢社会のあり方あるいは福祉のあり方について他国のいろいろな経験も参考にしなければなりませんが、最終的には日本のそれぞれの地域社会において最もふさわしい、いい制度をこれから我々が見つけ出し、定着をさせていくということが求められているんではないでしょうか。そしてまたそれを国民が求めている。国民がまだはっきりつかみ切れていないからこういう不安な気持ちに今覆われておるんではないかと思います。 そのような点から見ましても、このたび厚生省が関係者の御理解を得て打ち出させていただいた二十一世紀に向けてのゴールドプランというものは是が非でも国民の理解を得て成功させなければならない。また、この計画の成否のかぎは、計画の中身もさることながら、国民の意識改革を求めているということではないかと思う次第でございます。
○日下部禧代子君 どうもありがとうございました。 不安に関しましてのお考えよくわかりますが、もう一つ、医療福祉対策というものを政府や地方公共団体に対する要望の第一位として挙げられているわけでございますが、この辺のところに関しまして医療、福祉対策が、つまり公的な支えというものがまだまだ国民にとって十分だとは思われてない、安心できると思われていないというふうにはお考えではいらっしゃいませんでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 医療福祉対策につきまして、それからまた所得保障の柱でございます公的年金につきましてもこれまで多くの努力、そして制度の改善が積み重ねられてまいりましたが、まだ高齢社会に耐えられる、これで大丈夫だというところには到達していないと思います。そういう意味で、それぞれの面におきまして国民の御理解を得て改革を積み重ねていかなければならない、こういうふうに考えております。
○日下部禧代子君 どうもありがとうございました。 次に、租税と社会保険料を合わせたいわゆる国民所得に対する比率、つまり国民負担率は今現在何%でございましょうか。
○政府委員(加藤栄一君) 平成二年度の予算ベースでございまして、見積もりでございますが、四〇、四ということになっております。
○日下部禧代子君 どうもありがとうございました。 ことし四月十八日に臨時行政改革推進審議会、新行革審が最終答申を出しております。それによりますと、高齢化のピーク二〇二〇年ころにおいても国民負担率は五〇%を下回ることを目標とするというふうに出されております。この行革審の答申は、これから厚生省がお進めになろうとしていらっしゃいますさまざまな、厚生省の言葉をかりますと「飛躍的充実」というふうな言葉を使っていらっしゃいますが、その飛躍的充実を目指していらっしゃる在宅サービス、特に高齢者保健福祉推進十カ年戦略を初めとするさまざまな施策を遂行なさるのに影響がございますでしょうかということが一つの質問。 それからまた、「高福祉高負担型ではなく、公私の公担・協力を基礎とした活力ある福祉社会を目指す。」というふうにも行革審の答申には出ておりますが、一般的によく言われることですけれども、福祉が充実すると活力がなくなるというふうなこともよく聞きます。しかしながら、寝たきりの方がふえたりあるいはぼけの方が多いということも、これは活力のない不安に満ちた社会なんじゃないかなという気がいたしますけれども、この二つの質問にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 厚生省といたしまして、今委員御指摘のやや中期にわたる国民負担のあり方、見通しというものは絶えずそれなりに関心を払ってまいりました。これまで長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的な考え方と目標についていろいろと施策の充実を図ってまいりますとともに、例えば昭和六十三年の三月におきましては、二十一世紀初頭における高齢化状況等及び社会保障の給付と負担の展望というものを国会にもお示しをしてございます。そういう見通しと照らし合わせてみましても、平成二年度におきまして国民負担が全体として四〇%を超えるという見通しが出たことは、我々にとって大変関心を持たなければならない重要なポイントになるかと思います。 しかしながら、長寿・福祉社会を実現するためにそれなりの財政需要は必要になるわけでございますし、私どもの考え方を率直に申しますと、長寿社会を生き生きとし、また幸せな国民の実感を担保するために必要な施策はどんな障害があっても実現しなければならない、これはもう最優先の課題であろうと思います。 その一方で、それじゃトータルとしての国民負担はどこまで上がってもいいかというとそうではございませんので、やはり一定の水準を超えますと社会全体が活力を失ってしまう。活力を失いますと国民のお一人お一人に向けて差し上げたい福祉もできなくなってしまうという二律背反に我々はさらされるわけでございます。そういう意味で、今後の我々の課題は、一方において社会福祉、社会保障のために必要な施策は積極的に進めつつトータルとしての行政の効率、これは申し上げますが、福祉ばかりでなくして全体としての国民負担というのは行政の全般にわたる改革を行いまして国民負担が一定の水準を超えないようにするということをしていかなければならないと思います。 大変難しい課題でございますけれども、これはぜひともなし遂げなければならない、またなし遂げることはできるというふうに考えておるのが私の立場でございます。
○日下部禧代子君 五〇%を下回ることが実現できるというふうにおとりしてよろしゅうございますか。
○国務大臣(津島雄二君) 少なくとも六十三年にお示しいたしました国民負担の将来像におきましては、高齢化が最も進んだ状態でも五〇%に至らないところで賄えるという姿をお示ししておりまして、こういう姿を頭に置いてやっていかなけりゃならないであろうというふうに思っております。
○日下部禧代子君 それでは次の質問に移らせていただきます。 厚生省所管の一般会計予算の総額が十一兆五千六百五十二億円ということで、これよろしゅうございますか、間違いないかしら。
○政府委員(加藤栄一君) 間違いございません。
○日下部禧代子君 国の一般会計予算総額の一七・五%ということでもよろしゅうございますか。
○政府委員(加藤栄一君) そのとおりでございます。
○日下部禧代子君 では、この国の一般会計予算総額の一七・五%、前年は何%でございましたか。また、その前年がございましたらお教えいただきたいと思います。
○政府委員(加藤栄一君) 元年度におきましては一七・九でございます。
○日下部禧代子君 その前年も。その前の年。
○政府委員(加藤栄一君) 一八・二になります。
○日下部禧代子君 割合が減っていっているというふうに解釈してよろしゅうございますか。
○政府委員(加藤栄一君) 今おっしゃられました数字のとおりでございます。
○日下部禧代子君 それはどういうわけでございますか。どういうところがこういう割合が減ることになるんでしょうか。
○政府委員(加藤栄一君) 国の一般会計予算におきましては、国債費の増加分が六十三年度は一・六%、元年度が一・三%、二年度におきましては二二・五%というふうに全体の総枠はふえております。したがいまして、全体の枠の対比では社会保障関係費は相対的には若干減ってはおります。総額におきましては社会保障関係費は大幅に伸びておりまして、六十三年度の十兆三千八百四十五億から二年度の十一兆六千百四十八億までと、厚生省予算につきましては六十三年度の十兆三千二百十一億から、先ほどおっしゃいました十一兆五千六百五十二億に至るまで大幅に増額されているわけでございます。
○日下部禧代子君 どうもありがとうございました。 じゃ次に、社会保障関係費に占める老人福祉関係予算、つまり老人医療費、老人保護費、在宅老人対策費、それから福祉年金給付費を含めた老人福祉関係予算の割合はどのようになっておりますでしょうか。
○政府委員(岡光序治君) 老人の福祉関係予算でございますが、いわゆる老人ホームの運営費、それから在宅の福祉費、この二つを足し合わせますと二千七百六十四億円でございます。そのほかに老人ホーム等の施設整備費、これは全体の社会福祉施設整備費の中に入っておりますんですが、従来の実績からしますと約三百億、大体そういうふうに老人の福祉関係経費はなっております。
○日下部禧代子君 今お伺いいたしましたのは、社会保障関係費に占める老人福祉関係予算の割合をお伺いさせていただきました。
○国務大臣(津島雄二君) 政府委員から今の点をお答えいたします前に、先ほどの委員の御質問に対して補足してお答えいたしますが、厚生省の予算額のウエートというのは国債費の動向という要因を外して見なければならないわけでありますから、これは国債費と国債政策の動向によって全体が膨らんだり縮んだりいたします。そこで私どもは、一般会計予算に対する比率でとってみて、それが本当に配分可能な予算の中のウエートを示すという考え方を持っておるわけでありますが、それについて申しますと、平成二年度では三二・七%、元年度が三一・八%、昭和六十三年度が三一・三%、その前の年六十二年度が三〇・八%と、ここのところずっと比率は一貫して上がっておるということをまず私から申し上げさせていただきます。
○政府委員(岡光序治君) 先ほど申し上げました老人の福祉予算二千七百億が社会保障関係経費に占める割合は二・四%でございます。
○日下部禧代子君 私が今お尋ねいたしましたのは、社会保障関係費の中に占める老人福祉費、それも限定いたしまして老人医療費、老人保護費、在宅老人対策費、福祉年金給付費をいわゆる老人福祉関係予算というふうにとらえて御質問をさせていただいたんですけれども、その中で老人対策関係は二・四%というふうにとらえてよろしゅうございますか。
○政府委員(岡光序治君) 失礼いたしました。 私が申し上げましたのは、老人ホームの運営費、それから在宅老人福祉費の二千七百六十四億の社会保障関係費の中に占める割合を申し上げましたので、今御指摘のありました老人医療費、それから福祉年金費ですか……
○日下部禧代子君 老人医療費、老人保護費、在宅老人対策費、福祉年金給付費を入れたいわゆる老人福祉関係予算の割合でございます。
○政府委員(岡光序治君) 失礼いたしました。 手元に福祉年金の経費を持っておりませんので、ちょっと計算させていただきます。少しお時間をいただきたいと思います。
○日下部禧代子君 じゃ、別の質問をいたします。 それでは、老人福祉予算に占める在宅老人対策費の割合についてお伺いいたします。
○政府委員(岡光序治君) そのいわば割り算のベースになる分母の中には福祉年金の経費を入れてということでございましょうか。
○日下部禧代子君 もしなければお手元ので構いません。
○政府委員(岡光序治君) どうも申しわけありません。 私どもの方では、老人医療費それから老人ホームの運営費、在宅の老人福祉経費、それから老人ホームとか老人保健施設の施設整備費、老人保健事業費、こういったものを足し合わせまして、これを私どもは老人保健福祉関係予算と考えておりますが、合計で一兆五千億でございまして、その中で在宅福祉関係の経費が四百七十九億でございますので、一兆五千億に対します五百億でございますから約五%程度ということになると思います。
○日下部禧代子君 これは前年度はどのようになっておりますでしょうか。
○政府委員(岡光序治君) 前年度平成元年度では、老人保健福祉関係予算一兆三千六百八十九億に対しまして在宅福祉予算が三百四十四億でございますので、約二%強ということになろうかと思います。
○日下部禧代子君 いずれにいたしましても、非常に低いパーセンテージ、割合だというふうにとらえられますけれども、そのように解釈してよろしゅうございますでしょうか。
○政府委員(岡光序治君) 厚生省予算は、御存じのとおり、平成二年度ベースでは十一兆五千億でございますが、この中に年金それから医療費関係の予算が約七割強ございます。その年金及び医療関係経費を除きますと約三兆円でございますが、三兆円の中に占める先ほど申し上げました老人保健福祉関係予算という額は一兆円を超しているわけでございまして、そういった直接の関係のある経費と老人保健福祉関係経費とを比較いたしますと低くはないのではないだろうかな、こういうふうに考えております。
○日下部禧代子君 そういたしますと、高齢者保健福祉推進十カ年戦略というものは飛躍的に在宅サービスの充実を図るというふうにお述べになっていらっしゃいますけれども、それほど低くないけれどもここで飛躍的に伸ばしてみようというお考えなんでしょうか。
○政府委員(岡光序治君) おっしゃいますとおりでございまして、このいわゆるゴールドプランにおきましては、在宅福祉サービスに従来に増して重点を置こうではないかという発想にしているわけでございまして、例えばホームヘルパーの数につきましても、従来の増員と比較いたしますと相当大幅な増を考えようとしているわけでございまして、そういう意味では老人保健福祉関係予算の中で特に在宅福祉に重点を置く、こういう発想だというふうに考えております。
○日下部禧代子君 そうすると、我々の一般の感覚でいきますと、医療問題それから年金に対してはかなりの予算の配分はあっても在宅サービスというのは非常に今までおくれていた分野だと、これは寝たきりだとかあるいはぼけの御老人を介護している女性の多くの方々が肌で実感していることでございますが、その辺のところが今のお答えだと、そう充実していなくはなかったというふうなお答えでございますので、これは実感と大分違うところであるし、数字は自分のを持っておりますが、時間がないのでまたこれは別の機会に私の持っている数字で御質問させていただきたいと思います。 次に、本当に残りわずかな時間になってしまいましたけれども、今回のこの高齢者保健福祉推進十カ年戦略は六兆円の費用がかけられるというふうに承っておりますが、国の負担分はこのうちどのくらいでございましょうか。これ全部国が負担するのでしょうか。
○政府委員(加藤栄一君) 高齢者保健福祉推進十カ年戦略は三省庁の合意によりまして決定されておるわけでございますが、この内容は特に十カ年間の予算額を決めたものではございませんで、十カ年間の事業量の目標値を定めております。ただ御参考までに、十カ年間の総事業費につきまして厚生省として試算をすれば約六兆円強になる見込みである。これはそういう性質のものでございまして、確定的な数値と申しますか、それにつきましては、毎年度の予算編成の中でこの十カ年を目指しながら必要な事業量を確保していくということが基本でございます。 また、国会においてもその都度御審議をいただくということになるわけでございますが、初年度分の総事業費につきましては平成二年度に約三千億円、また補正におきまして社会福祉・医療事業団に対する追加出資を加えました約三千六百億円の総事業費でございまして、この中で国費が約千五百億円、地方の経費が約八百億円、その他の経費が約千三百億円と、こういう割合になっております。
○日下部禧代子君 その戦略の中で一番強調なさっていらっしゃいますのはホームヘルパーさんの増員、一九九九年までに十万人、それからショートステイを五万床に、それからデイサービスの施設を一万カ所にということがございますが、その数値をお出しになりました基準というのはどこに置かれていらっしゃるわけでございますか。
○政府委員(岡光序治君) まず、介護を要するお年寄りを現在六十万人程度というふうに想定をしておりますが、これが十年後百万人くらいになるであろうということを前提に考えております。そして、その方々につきまして心身状態にふさわしい場所で介護が受けられるようにということで必要な施設、それから病院、それから在宅というふうにその割り振りを考えております。そして、その在宅サービスの中でホームヘルパーにいろいろ手助けをいただきながら生活をするということから、その必要人員ということを算定いたしまして十万人ということを考えているわけでございます。その発想はこういったホームヘルパーによる介護サービスのほかにデイサービスを受けるとか、あるいは年に何回かはショートステイを利用するとか、それから看護婦による訪問看護なり指導を受けるとか、そういういろんな保健福祉サービスを総合的にミックスしながら受けて最も適切な処遇が受けられるようにと、こういう発想をしているわけでございます。
○日下部禧代子君 それでは、例えばホームヘルパーさんにいたしますと、今の高齢者、例えば一万人につき何人で、そしてこれが十年後高齢者、例えば一万人につき何人になるというふうな数字が出ていらっしゃるわけでございますか。
○政府委員(岡光序治君) 十万人対比の数字でございますが、現在の数が常勤換算で三万一千人程度でございまして、六十五歳以上人口十万人当たりで計算をいたしますと二百二十人相当になります。これが十年後の平成十二年、ホームヘルパーの数が十万人ということになりますが、六十五歳以上人口の方もふえてまいりますので、その際における十万人対比の数は約六百七十人程度ということになろうかと試算をしております。
○日下部禧代子君 どうもありがとうございました。 今お伺いいたしましたことはまだたくさんお伺いすることの中の一部でございましたけれども、ホームヘルパーさん、そしてあるいはショートステイ、それからデイサービスといういわゆる在宅三本柱と言われております施策につきまして、十年後にはいわゆるここに厚生省がお書きになっていらっしゃいますように、「誰もがどこでも、いつでも、的確で質の良いサービスを、安心して、気軽に受けることができるようなサービス供給体制」になっているというふうにお思いでしょうか。あるいはお出しになりました目標額というのは、これはこれで十分だというふうな目標額なんでしょうか、あるいは最低レベルだというふうな目標額でいらっしゃるんでしょうか、あるいはとりあえずという目標額でいらっしゃるのでしょうか。その辺のところをお伺いしたいわけでございますが、あわせて、例えば今十万人に対して六百七十人のホームヘルパーさんということになりますと、その基準は毎日ホームヘルパーさんが来ていただける方たちがずっとふえていくというふうな数字でございましょうか、あるいは週に何回かというのがこれが現在よりはふえていくというふうにとらえられた数値でいらっしゃいましょうか。
○政府委員(岡光序治君) 十万人体制になった場合のヘルパーを利用できる回数でございますが、私ども寝たきり老人に対しましては週四ないし六回程度ではなかろうかと思っております。繰り返しになりますが、ヘルパーさんだけで介護がカバーできるわけではございませんので、デイサービスを利用するとか訪問看護婦による看護サービスを受けるとか、そういったことをミックスいたしまして、それでふさわしい介護サービスがそれぞれ受けられる、要するにいろんなサービスをふさわしく提供することによって総合的にカバーができるというふうに考えております。
○日下部禧代子君 もう一つだけ質問させていただきます。 どなたも御承知のように、在宅福祉サービスを充実させるということの大前提には在宅の宅、つまり住宅が非常に大きな役割を占めるということはもう疑問のないところでございますが、この十カ年戦略をおつくりになりますときに、御検討なさいますときに大蔵大臣、自治大臣、そして厚生大臣というふうになっておりますが、建設大臣、つまり住宅の方の責任者でいらっしゃいます建設大臣との御検討の会はございませんでしたのでしょうか。あるいはまた、これからどのような建設省あるいは建設大臣との協力関係をお持ちでいらっしゃるのでしょうか。定期的な協議をなさいます協力機関というふうなものを設置なさっているのでございましょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 日下部委員の今までの御質問を総括いたしますと、要するに十カ年戦略をやったときに私どもが今国民にお約束しているようなサービスの水準に到達するかどうかということだと思います。 それで、先ほど政府委員からお答えいたしましたように、例えばホームヘルパーの派遣も週に四回から六回、それからまた時間も工夫しなきゃいかぬと思っておりますが、それにデイサービスが週に二回、それからショートステイはこれは一週間とかいう期間でありますが、二カ月に一回とか、こういうことを組み合わせてみますと、私どもは少なくともまあ水準には達する、お世話できるという姿を描いてやっておるわけであります。これを実現するために当然財政当局と、それから地方行政の御協力を得なければならないという意味で大蔵大臣、自治大臣と一緒に合意して発表いたしたわけでありますが、これが成功のためには、今も委員が御指摘のとおり、やはり国民的なレベルであらゆる行政面で御協力をいただかなければならないと思っております。住宅の問題はまさに重要な分野の一つでございますが、私どもは長寿社会対策関係閣僚会議というものを今設置いたしておりまして、内閣官房長官をかなめといたしまして関係大臣が全部集まって、ぜひともこの仕事を成功させようということで私からも積極的に御協力を求めてまいりたいと思っております。
○政府委員(岡光序治君) 住まいの確保ということについて特に申し上げますと、私ども建設省の関係部局と定期的な協議の場を持っております。そして、まず私どもの発想といたしましては、今まで暮らしていた自宅で介護を要するような状態になった場合にも、例えば車いすが使えるとか、そのほか手すりをつけるとか、そういうふうに体の状態にふさわしいような住宅改造をすることを手助けしようではないか。それからもう少し虚弱になった場合のことを考えまして、公営住宅をつくっていただいてそこに必要な介護をする、サービスをする人を派遣するということで、いわばケアつきの公営住宅を考えよう。それから私どもの厚生省の体系では、いわゆる軽費老人ホームの中に新しいタイプのものをつくり上げまして、自炊ができない程度の健康状態にある人について必要なサービスを提供しながら、そこで自立できる生活をするようにしていこう。それからそういう状態ではなくてもう少し身体上、精神上障害がある場合には特別養護老人ホームでお世話をしようというふうに、施設体系を考えまして、しかも住まいを確保するという発想で関係の省庁の関係部局とよく相談をさせていただいているところでございます。
○日下部禧代子君 さまざまな今お話を伺いましたけれども、特に建設基準というものを本当に高齢者あるいは障害者が安心して住めるようなそういう住宅がこれから建設される住宅を含めた公共の建物、そういったものにまで及ぶ建設基準をきちんと国としてお決めになるというふうなお考えはないでしょうか。そのことを質問させていただきまして終わらせていただきたいと思います。
○説明員(五十嵐健之君) お答え申し上げます。 先生おっしゃいます建設基準というのは、いま一十分理解しておりませんですが、私ども高齢化社会への対応というのは住宅行政にとりましても重要な課題と考えておりまして、先ほど厚生省の方からも御答弁ございましたように、公共住宅の中にケアつきの住宅を導入いたしますとか、あるいは構造設備上の関係で、将来高齢化したあるいは高齢者になられた方の生活に対応できるような住宅をつくるとか、できるだけ公庫融資等におきましてもあるいは公団住宅につきましても、二世代で住めるようなあるいは老人同居ができるような住宅をできるだけふやすようなというようなことでやっているわけでございます。できるだけそういった高齢化社会への対応といいますのは国民一人一人、私ども一人一人の問題だと考えておりますので、そういったことで積極的に対応していきたいと思っております。
○日下部禧代子君 時間が過ぎてしまいまして、どうもありがとうございました。
○深田肇君 済みません。私の方で時間を短縮しまして協力いたしますので御了承のほどをお願いいたしたいと思います。 そんなわけでございますので前置きを省略いたしますが、大臣、私は夏の参議院選挙までは一市民で外におったものでありますから、とっぴな質問をするかもわかりませんけれども御了承のほどをいただいておきたいと思います。 いろんなお話がありましたように、大臣の所信演説の中でも明らかなように、厚生の政務次官から衆議院の社労委員長を務められて、大変我々にとってはよき先輩であるし近い人だというふうに実は考えておりました。同時にまた、三月の二十八日、私どもの原水禁や労働組合の被爆者を中心としたメンバーを伴って浜本先生の紹介で大臣のところへ被爆者の援護法制定のことについて陳情に上がったこともあり、社労委員長浜本先生の前での第一回の所信ですから、当然被爆者に対する援護に関して、または援護法制定についてお話があるだろうと実は思っておりましたが、せんだっていただきました所信表明の要旨の中には一言もそれがないんで、忘れられたのか見捨てられたのかというふうに実は感じたことを率直に申し上げておきたいと思います。 大臣は大変心温かい方でありまして、個人的なことを申し上げますけれども、私の誕生日にまでお祝いをいただくようなお心持ちの方でいらっしゃるにもかかわらず、なぜこの被爆者のことをお忘れになったのかについてひとつ伺っておきたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 戦争は実に多くの被害、悲しい出来事を招来したわけでございますが、特に我が国につきましては、原爆の犠牲者を生じたということはこれは最大の悲劇であろうと思います。そのような意味で、委員長そして深田委員の御先導によりまして、被爆者の代表の方がわざわざ大臣室までおいでになられるということ自体、まあそう言ってしまえば残念なことだと思います。 そういう立場から被爆者の方々の援護の問題については、私もいろいろと心配をしておるわけでございますが、所信表明で特にそのことに触れなかった点については、やはりこれは少し不足があったかなと、今いささか残念に思っておるところでございます。次回もう一度機会がございましたら気をつけるようにいたします。
○深田肇君 率直なことを申し上げまして、また大臣の方から率直に御見解を賜りましてありがたいと思います。 そこで、多くをお話しすることはないんだと思いますけれども、被爆者が共通の今スローガンにしているように、四十五周年をこの八月六日、九日迎えるに当たって、彼らが今日まで大変な悲しみを背負いながら叫び続け、そして行動をしていることはもう御承知のとおりだというふうに思います。また同時に、いろんなことがありました戦後四十何年でありましたけれども、アメリカとソ連のトップの方も世界の動きの中で今や平和軍縮に向かって話し合いが進行しておりますし、核兵器の廃絶に向けて世界の世論が大きく動いているという、こういう状況でありますから、何としてもこの日本において被爆者に対する援護、そして具体的には援護法の制定をするべきだと実は考えているわけでございます。 同時にまた、もう大臣御承知のとおり、四十五年たつわけでありますから、生まれた方が四十五歳とすれば、二十の方が六十五歳であるし、七十五歳、八十歳というふうに高齢化が実に進むわけでありますから、陳情に来られる方のお年の高いことについて、実は驚くというよりは申しわけないといいますか、悲しみを感じるような状況があります。そしてその方がお帰りになってしばらくすると亡くなったとか、またそういうふうな新聞報道が出ることを見て、やはり高齢化の問題点について、実感としてこれしっかりお互いに感じているところでありますから、どうしても四十五周年と言われるこの年に原爆の被害者の援護法の制定を行う必要があるだろうと痛感を実はしているところであります。 同時にまた、御案内のとおり、昨年この参議院の社労委員会において可決をいたしましたし、十二月の十五日には本会議においても原子爆弾の被爆者等の援護法の制定を確認して衆議院にお回しをしたという経過もありますし、まあ人が称して言うことでありますけれども、まさに歴史的な事実がここにでき上がったのでありまして、いろんな意味における自民党さんとのもう少し意見の調整があればというふうにも感じますけれども、いずれにせよ、参議院一院においてではあっても確認をされ可決されたというこの状況を踏まえまして、何とかことしのうちにこれを仕上げていくことができればというふうに感じているような次第でございます。 以上、申し上げた上で具体的なことを一、二伺いながら、この機会でありますからお互いの理解をもっと深めたいというふうに思いますので、御了解を賜りたいというふうに思います。 大臣は、いわゆる被団協という組織、日本原水爆被害者団体協議会という組織でございますが、この組織及びこの組織が発行している機関紙「被団協」という新聞については御承知で読み合わせをいただいておりましょうか。恐らく薄いんだろうと思うんですね、認識が。
○国務大臣(津島雄二君) この広報紙につきましては、先般陳情でおいでになりましたときに、タイトルを確かめずに関係部分を読ませていただいたわけでありますが、その程度では不足であるという御指摘であれば不足していたかもしれません。
○深田肇君 大先輩に対して不足であるというようなことを申し上げるわけではありませんけれども、所管の大臣でいらっしゃいますから、被爆者が、お話が出ておりますように大変なお年寄りのメンバーが中心になって、今や二世の方も含めてでありますけれども、努力をして、ここに被団協の新聞もあるのでありますけれども、これは月一回ちゃんと定期発行をしておりまして、恐らく厚生省の皆さんは御存じだろうと思うし、前大臣はことしの年明けの第一号にはわざわざ年頭に当たってのあいさつ原稿まで送っておられますから、大臣みずから書かれたか厚生省のだれかメンバーが書かれたか別にして、知らないことはないんだろうと思いますが、実は私は直観したんですね、恐らく大臣の意識の中には被団協の存在やそして被団協の活動などについて認識は大変薄いんではないかと。その薄さがいろんな誤解を生じたり討論を深めることができなかったり、もっと言えば、当時少数であった参議院の場合では、今野党がそろっておるわけでありますけれども、少数野党の提案であるとかというような形で必ずしも自民党と討論がかみ合わなかったりということがあったんではないかというふうに思います。したがって、大臣、この機会にぜひひとつそのようなことについて関心をお持ちいただきまして、これから対処のほどをお願いいたしておきたいというふうに思うところでございます。 そういうふうに申し上げた上でちょっと一、二御紹介をいたしたいと思いますので、お耳をおかしいただきたいと思います。 被団協は略称で被団協と言いますが、いわゆる被爆の四十五周年で援護法の実現を目指そうというのを共通の、しかも最大のスローガンとして現在行っておりまして、彼らの使った言葉どおり申し上げますと、三点セットの運動をやろうと言います。三点というのは三つのことでありまして、三点セットの運動をやろうということで今日まで本当のわずかな期間でありますが、活動的なことを行っているわけでありまして、その中に衆参議員、国会議員の賛同署名をとろうというのが一つであります。それからもちろん国会へ請願するための請願署名をとろうということであります。それから三番目に、いわゆる地方自治体におけるこの援護法を制定するための促進決議をどんどん上げてもらおうと、この三つをぜひ実現しようということで、お年寄りの方々もそして二世の方々も全国の町で村で、そして東京へ出てきましたら衆参議員の先生方をお訪ねして署名をしているということをまず、御承知だと思いますけれども、この実績はある程度データとしてつかんでおられますか、大臣。——大臣がいいんだ、大臣が。もう大臣に知ってもらいたいんです、今は。
○国務大臣(津島雄二君) 後で答えます。
○深田肇君 そうですか。じゃ、恐らく大臣のところへまだ書類が上がってないんだろうと思いますから、データがあればちょっとお聞きいただいて、私どもが持っているデータとのずれがあるとこれまた困りますから、ちょっとお調べいただくとありがたいと思います。
○政府委員(長谷川慧重君) 私ども、国会の先生方が賛成署名をなさっていらっしゃるかどうかについて直接確認をする手だてはございませんけれども、被団協の新聞、私の方も大臣に上げてないのは大変申しわけないと思っておるわけでございますけれども、被団協の新聞等を私どももいただいておりまして、それによりまして国会の先生方の署名が現在どうなっておるか、あるいは地方自治体におきます決議の状況はどうなっておるかということにつきましては把握いたしておるところでございます。 国会の先生方におかれましては、自民党の先生も含めまして相当の数の先生方がこの援護法制定につきましての賛成署名をされておられるという実績等も把握いたしているところでございます。
○深田肇君 大臣、ちょっと細かいことを申し上げますから、お聞き取りいただきたいと思います。 今お話がありましたように、被団協が一つ一つ足を運んで署名をいただいているわけでありますから、そのデータがあるのでありますが、私の手元にあります四月二十三日現在ですから昨日の分ですね、一番新しいのを実は用意して、新聞よりもっと新しいんです。だから、恐らく局長、新聞ときょうの数字の間に、わずかの日にちの間にこれだけまた進んでいるんだというふうに積極的に受けとめてもらいたいためにあえて申し上げるのでありますが、衆議院は現在三百三十一名の先生方の賛同署名をもらっているんです。ちょっと恐縮です、前島さん、小野先生、自民党はそのうちで百七もらっているんです。ありがたいことだと思います。参議院は百六十八名いただいているんです。そういうふうに考えますと、衆議院では四月二十三日現在で六四・六%。ですから去年の暮れから比べると大分進みましたですね、六四・六%。参議院は六六・七%。ここまで衆参議員の先生方の署名をいただいているということをひとつ御理解いただきたいというふうに思います。 それから国会の請願署名の方は、一番新しいところで百八十二万八千三百十三が手続完了してもう出してあると、こういうことでありますね。もちろんどんどんと毎日のように署名が上がってきておりますが、出してあるのがこうだということですね。それから自治体の決議は千百十二です。いわゆる都道府県は十五ですね。それから市と区の方が二百八十、町が六百三十九、村が百七十八です。これは全体の数に対しましては三三・五%です。わずかもう数カ月でこれだけどんどんとやっているわけです。もう一遍言いますけれども、体の不自由な方でありお年を召された方が御本人の訴えを持っていわゆる町の議員さんのところへ足を運んで、そして手続を踏んで議会での促進決議を上げてもらっているというところをひとつ、これは本当に大事に考えなきゃいかぬのじゃないかというふうに思います。 時間がありませんから省略しているんですけれども、このスピードが大変なもんなんですね、大臣、スピードが。このスピードの大変さは何かということをお互いに考えてみる必要があるだろうというふうに思いますけれども、そこまで申し上げた上で、ちょっと大臣の御所見なり感想をいただく前に申し上げたいんだけれども、海部総理大臣、現総理大臣も署名されているんです。ところがこの方は、総理大臣になられてからは署名してないとおっしゃったというようなことがありますので、再度調べさせてもらったら、一九八六年、もちろん総理大臣になられる前に、文部大臣をやめられていわゆる一衆議院議員になられたときなんでしょうな、そのときかもしれないが、衆議院議員として署名をされていることはこれは間違いない。もうちゃんと御本人の筆跡だし、だれがもらったかということまで明らかになって新聞で公開されちゃったという事実まであります。今度の選挙で、まあいろんな方が、自民党で今言う百何名の方からいただいたわけでありますけれども、選挙中に宮澤喜一先生はわざわざ署名されているんですね。そしておれが当選したらやるよと、こうおっしゃっている。海部総理大臣も、総理大臣になる前の話なんだけれども、この援護法ができないと戦後は終わらないねという、こんなセリフまでいただいちゃっているんです。 だから、どうしてこの前の年末のときに自民党さんと我々野党の間で意見が一致できなかったかと私なんかは率直に外におった人間として感じますよ。中はいろんなことがあるんでしょうが、外におった人間、一市民として感じることは、これは私が感じるんだから被爆者はもっと感じている。被爆者を応援している人はもっと怒りを込めたり悲しみを持って今このことを感じているだろうというふうにお話を申し上げておきたいというふうに思います。参考ですが、青森の田澤先生も署名されていますからね。大臣がされていないのは残念でありますけれども。 以上、こういうふうに申し上げた上で、ちょっと大臣の所見や感想を聞かしてもらうとありがたいと思いますが。
○国務大臣(津島雄二君) 昨年の十二月に当院で野党提案の被爆者援護法案が可決されたこと、このことは委員御指摘のとおり大変重く受けとめております。それからまた、衆議院の同僚議員あるいは参議院の議員さん方が多数御署名に参加をしておられる事実も今承ったとおりでございまして、それぞれの院の方は原爆の被害と戦争に対するそれぞれの思いを込めて署名をされたんであろうと思います。 この法案につきまして、私どもとしてどうしてもクリアしなければならない問題が、戦争責任に基づく国家補償による遺族に対する補償という点でございまして、この点では原爆を受けられた方が本当にお気の毒で何とかして差し上げたいという気持ちは気持ちといたしまして、法律的な問題としてこの国家補償は、それではほかの形で戦災を受けられた方、私自身東京におりまして、非戦闘員でありながら焼夷弾の雨の下を走り回らなければならなかった、あるいは私の同じクラスメートで、見ている前で焼夷弾を受けて被害者になった方がいるというようなことを考えますと、一般戦災者に対する取り扱いとの権衡の問題というのは、これはやはりどうしてもクリアしなければならない問題であるということは申し上げなければならないと思います。 そういう意味で、政府としては現行の原爆二法を中心として、特に被爆者の方がどんどん高齢化していかれるということを念頭に置いて各種の施策を積極的に充実していって対処をしようというのが今の考え方でございます。
○深田肇君 その項目に入ってやる時間がもうありませんし、また別の機会があると思います。 ただ、今お話が出ましたように、衆参議員の先生やそれから自治体でどんどんと決議が上がってくるについては、簡単なものをぱっぱっとやって署名してもらっておるんじゃなくて、いわゆる被団協という組織は明確に次の四つの要求をきちんと明らかにしてそれでやっているんです。その中に、今大臣が指摘された国家補償の問題は一番最初の項目に挙がっているんですね。わかりやすく彼らがつくった文書を読みます。 再び被爆者をつくらないという決意を込めて原爆被害に対する国家補償を行うことを趣旨とするということが明確にあって、それで、いうところの受忍論との関係では困るんだと、私たち核戦争なり核被害を受けた者に対してはそれでは困るよということを明らかにして、そうですねと言って署名をいただいている。それから原爆でのいわゆる死没者、死んだ方々の遣族に対して弔慰金や年金を支給してくださいと、これは、死ぬということが最大の犠牲なんだからこれは頼みますよと、よろしい、マルと。被爆者のいわゆる健康管理と治療についての国の責任の問題。それから被爆者全員に対しての年金を支給する問題等々、障害者には加算をするとかありますが、などなどそういったことを明らかにして、今日までそれだけの速いスピードで先生方や各団体、機関においての署名があるんだということをひとつお考え合わせいただいて、別の機会に、お話がありましたような戦争責任と国家補償の問題や、いわゆる一般戦災者との問題などについては、意見の違うところは違うとして討論してクリアしようというんですから、どういう形でクリアするかについては少し院内においてお互いに討論をしたらいいだろうというふうに思います。 そこで、そういうことを申し上げた上で、もう何が何でも大臣の耳にどんどん入れてもらうために私はしゃべり続けますけれども、そういったような動きがあって、それで大臣が今言っていただきましたように、昨年の十二月に参議院において可決された。このことを踏まえて、今新しいこういう運動が起きています。「被爆者援護法実現・みんなのネットワーク」と言います。被爆者の援護法を実現するみんなのネットワークというのができまして、これ一月二十二日に結成されました。そんなものは何でもできるだろうとおっしゃるかもしれないし、思われるかもわかりませんが、前段申し上げたように、参議院での可決を踏まえて、四十五周年であるからどうしてもことしにということで、広島と長崎の市長を初めとして各界の代表五十二名の方が呼びかけたんですね。そして、それが今物すごい勢いでどんどんと毎日のごとくこれの実現のための国民的署名が国会請願として上がってきているということもぜひひとつ参考にしていただきまして、これからのことをぜひ進めるための参考にしてもらいたいと思います。 もちろん、その趣旨でも明確に書いてあるんですよ。ちょっと読み上げます。原爆の被害を国が償うことは、核兵器のない日本への道につながる被爆国民の共通の願いです。もう実に明快にして、国民はどんどんと一千万署名に向かって今署名が始まっていると、こういうふうに御理解いただきまして、時間の関係がありますから、私の一方的な話で終わりますけれども、参考にしていただいてこれからの行政に生かしていただくとありがたいというふうに思います。 いま一つ、これも言っておきたいんです。いろんな法律的な問題があるという御指摘がありましたが、四月十九日付で我々議員のところに日本弁護士連合会の方から文書が届いたんです。これがいわゆる被爆者援護法に関する第三次報告というものでありまして、恐らく厚生省なり大臣のお手元には行っているんだろうと思います。その中で弁護士の先生方や、弁護士のいわゆるこの連合会という組織は組織の決定として、日本弁護士連合会の決定として、この趣旨の実現のために格別の配慮をするようにと、こういうことが結びとして書かれているわけでありまして、この中もまた明確なんですね。いわゆる被爆者の言っていることと、被爆者の言ったことに対して署名をしたことと、そして弁護士が専門的に研究して、参議院で可決されたものと今まである現行二法と比べてみてどうなのかというところから、現行二法にはここが足らない、したがって今参議院で可決された援護法を寄り寄り進めるべきである、その実現をことしやりましょう、やるべきだということを法律家たちが集まって決めてくれているんです。 もちろん、そのほかに、申し上げたような大衆的なネットワークがあるということでありますから、これももうお約束の十二時が来ますから多くしゃべれぬのが残念でありますけれども、さすがに弁護士ですから理論的に法律的に現行法だとか国際法の関係を全部調べて、それでいわゆる戦争の責任をどこがとるべきだ、どこで国際法を適用すべきだということを全部調べてちゃんと書いて発表しておられる。それは認めないと、弁護士のひとりよがりで、こんなものは一つの意見かもわからぬがだめだと厚生省は言い切っちゃうのかどうか。参議院の決議もちょっと問題があるよと、また今いろんなことでこれからクリアせにゃいかぬことがあるとおっしゃった。それからもう一遍こういう方々の動きやこういう専門家の意見も取り上げることにならないんだろうかどうだろうかというふうに実は思っているところでありますので、いろいろ申し上げましたけれども、そういう意味合いの中で、ひとつ前段申し上げたような心温かい大臣が大臣でいらっしゃる間に、いずれにしましてもこの八月六日、九日に被爆の四十五周年を迎えるわけでありますから積極的な施策を、もっと言えば政治決断をおろしていただきますことをお願いいたしておきたいと思います。 いずれ、野党六会派相談いたしまして、昨年出したものを骨子とした原子爆弾の被害の援護法の法案を提出する用意を進めてまいりたいと思いますから、その際、ひとつ厚生大臣としての積極的な御協力なり討論への参加、御意見をお聞かせいただいて、お互いの納得できるものができ上がりますようにくれぐれもよろしくお願いをいたしておきたいと思います。大臣、いかがでしょうか。よろしくお願いします。
○国務大臣(津島雄二君) 原子爆弾の悲劇は二度と繰り返してはならない、これは我が国国民の悲願でもあり、また世界のすべての方々に訴えていかなければならないスローガンであろうと思います。また、原子爆弾の被害を受けられた方のこうむられた苦しみに対しましても、私どもの心からの何と申しますか、理解をお送りしなければならない、こういうふうに思ってございます。また、各界からのいろいろな御意見に対しても謙虚に耳を傾けなければならないのが我々の立場であろうと思います。 とにかく私どもとしましては、放射線による健康被害という他の戦争犠牲者に見られない特別の犠牲という点には十分着目いたしまして医療の給付等の各種の対策を行っているという現状でございますので、今後ともこのような立場から施策の充実に努めてまいりたいというふうに思っております。
○深田肇君 どうもありがとうございました。
○委員長(浜本万三君) 本調査に対する午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 午後零時一分休憩 —————・————— 午後一時一分開会
○委員長(浜本万三君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。 午前に引き続き、社会保障制度等に関する調査を議題とし、厚生行政の基本施策に関する件について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○木暮山人君 木暮でございます。 先般の厚生大臣の御所見、これに対しまして質問させていただきたいと思います。 先日は厚生大臣の非常に格調高い所信表明をお聞きいたしまして深く感銘いたしているところでございます。私も基本的に大臣のお考えに賛同するものでありますが、以下数点につきまして大臣にお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。 先日の所信表明で大臣もおっしゃっておられたように、二十一世紀まで十年しか残されていない現在の我が国の課題は、活力ある長寿・福祉社会の実現ということでありますが、本来長寿というものは祝うべきものであります。そして本格的な高齢化社会を迎える二十一世紀に向けて何か国民は漠然とした不安感を感じているのではないかと思うのであります。 そこで、大臣に本格的な高齢化社会と言われる二十一世紀をどうイメージなさっておいでになられるか、その哲学と申しますか、お考えをひとつお伺いさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○国務大臣(津島雄二君) 所信表明でも申し上げましたけれども、二十一世紀の超高齢社会を次の世代にとってもいい社会にして引き継いでいけるかどうか、活力のある長寿・福祉社会にできるかどうか、これが私どもにとっての最大の課題であろうと思います。そういう中で、高齢化のスピードが速い、そういう意味でも世界に例を見ないということを考え、不安になっておられる国民の方も多いと思います。 私どもといたしましては、今この段階でこれから十年間にどうしてもやらなければならないことをはっきりお示しいたしまして、それを着実に実現していくことによりまして国民の不安を取り除き、そしてその延長線上の向こうにある社会といえば、高齢者の方がそれぞれのお立場に立ちながら社会参加ができる、それからまた、介護が必要な方もそのニーズに応じて、施設の中でもあるいは在宅でも必要なサービスが受けられる、こういう姿を実現したいと思っておるところでございます。そのための障害はもとより大きいものがあると思いますけれども、何としてもこれはしなければならないと決意を固めておるところでございますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
○木暮山人君 どうもありがとうございました。まことに強い決意、これが将来の日本のためには相当大きく反映していくのではないかと思います。 次に、我が国の社会保障と社会福祉のあり方についてお伺いさせていただきたいと思います。 我が国はいわゆる日本型の福祉を目指しているわけでありますが、この日本型福祉の特徴の一つとして民間活力、自助努力ということが挙げられております。今日までの我が国の歩みは、国民の中流意識、このようなことを考えた場合、私は基本的には国なり地方公共団体等の公的責任において対応していくべきであり、その一方でこの民間活力、自助努力ということをどうしても取り入れていかざるを得ないと思います。しかし、民活、自助努力ということを余りにも強調し過ぎると、老後においての貧富の格差を生み出し、あるいは福祉を金で買うというようなことになるというような指摘もあり得るのでございますが、この日本型福祉ということにつきまして、大臣のお考えをひとつお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 委員御指摘のとおり、外国の事例をいろいろ見ましても、それぞれの国の社会に適した福祉の政策を進めておるわけでございます。我が国におきましては、やはり我が国の社会にふさわしいものをこれからつくり上げていかなければならないわけでありますが、その場合に基本的な考え方といたしましては、委員今申されましたように、国民の基礎的なニーズについては公的な施策をもってぜひとも対応しなければならない、少なくとも必要最小限のことはどうしても公の手でする。そして、これに加えて個人や民間の活力を活用できる部分についてはかなり自由濶達にその上に積み上げていただくということも、またこれはあってしかるべきことであろう、こういう考え方でございます。 しからば、どういうものが日本の社会にふさわしい福祉の姿かという点につきまして、私は特に二つのことを頭に置いておるのでありますが、その一つはやはりそれぞれの地域社会から発想しなければならない。中央で、デスクの上でプランを立てるということよりも、まずそれぞれの地域社会の工夫をしていただいたものが積み上げられていって全体として我が国の社会に最もふさわしいものになるという姿が必要であろう、こう思っております。 それから、もう一つ考えなければならないのは、家庭というものの姿でございまして、我が国におきましては、ほかの、特に欧米に比べまして家庭の占める位置が大きいと一般的に言われておりますし、また高齢者の方も家庭の中で子供と同居したいという希望を持っている方も多いわけでございます。ただ、しからば日本の家庭が今のような姿でこれから十年、二十年先まで維持されるかどうかについてもまたいろいろ御議論のあるところでございまして、この家庭の役割というものをしっかり見通しつつも、家庭の機能に頼れない部分については、これはもう必ず公的な手が差し伸べられる。そういう意味では社会的な孝行というような言葉をお使いになる方もありますけれども、そういうことも真剣に考えていかなければならないであろう、こういうふうに考えております。 いずれにいたしましても、全体として国民の気持ちが高齢社会に向けて参加をしていただく、そして意識改革を進めていただく、こういうことが成功への原動力になると思いますので、厚生省としても積極的に対応してまいりたいと思っております。
○木暮山人君 新しい認識というものを国民全体の責任において指導されていく、そしてまた今からの長寿社会に対して一人一人が対応する新しい意識づけ、これについてはまことに同感でございます。 それで次に、これに引き続きまして、それの具体的な、そしてまた将来における問題としましては、国民の負担率の問題でございますが、午前中も日下部委員よりも質問がありましたけれども、やはり将来の日本の、行革において支持されている五〇%という線があるわけでございますが、諸外国では現在でも既にスウェーデン、フランス等は六〇%ないしは七七%という負担率を持っております。しかし日本の事情、新しい型の社会福祉という中での負担率ということを考えてまいりますと、どうしても時代に即応するところの問題点をとらえていかなければいけないと思います。それにつきまして、将来非常に難しい問題でありますが、一応現業に立っておいでになりますところの厚生省及びその責任担当でありますところの大臣の考え方につきまして、ひとつぜひもう一度具体的にこの国民の負担率についての見通し等について御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 高齢化が進みます中で、福祉政策を中心といたしまして国民負担がふえていかざるを得ないということは事実でございます。特に、厚生省にとりまして長寿社会を構築していくために必要な予算はどうしても確保しなければならないとかたく決意をしておるところでございまして、いわゆるゴールドプランにつきましても、大蔵大臣、自治大臣と合意の上で発表させていただいていることは委員も御承知のとおりでございます。またこれに加えまして、所得保障の柱である年金制度であるとかあるいは医療保険の制度であるとかも安定的な基盤の上に確立をしなければならない。課題は大きいわけでございますけれども、こういう積極的な福祉政策を行いつつも、全体としての国民負担はやはり社会の活力を失わせない程度にとどめなければならないということは、これは当然のことであろうと思います。 このたびの政府への答申、いわゆるポスト臨調の報告書でうたわれておりますのもこの点であろうと思います。そのためには国政全体にわたる効率化を図って、全体としての負担を一定の限度におさめていくというわけでありますが、具体的にはどうするかということについては、私は絶えざる国民との間の対話が基本であろうと思っております。対話を通じまして公に提供できるサービス、給付とこれに対する国民の方の負担との間の合意を形成していくということが先決であろうと思います。
○木暮山人君 どうもありがとうございました。 具体的に、いわゆるゴールドプランについて質問させていただきたいと思いますけれども、先日の所信表明でも触れられました高齢者保健福祉推進十カ年戦略、高齢者社会の将来を見据えた計画的な事業であり、この戦略実現のために私も最大限の協力をいたしたいと考えております。そもそもこのプランは、消費税導入に関連し、社会福祉関係で施設の収容定員、在宅サービスにおけるホームヘルパーの数、ショートステイのベッド数その他の面ではっきりした目標を示したという点で、昭和六十三年のいわゆる福祉ビジョンに続くものであります。さらに、この計画は福祉ビジョン以上に目標を高くし、実施時期を早めている意味で、ビジョンを改善したと言えるのであります。このようなゴールドプランの意義と実行について、厚生省の御当局はどういう認識を持っておいでになりますか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) このゴールドプランが策定をされますまでの経緯については委員御指摘のとおりでございまして、税制改正に関連をして、我が国の福祉のあり方、高齢化社会に向けてのビジョンが問われておったわけでございます。私どもとしては、そういう経緯はございますけれども、高齢社会を目の前にいたしまして明確なビジョンを示すことは、これはもう厚生省の基本的な責務であるということから、六十三年に福祉ビジョンをお示しをし、そして今度はさらにそれを一層具体化し肉づけをし、また積極的に改めましてゴールドプランということにしたわけでございます。 これまでの当委員会における御議論でも申し上げましたとおり、これは高齢化社会に向かいます上でぜひとも必要な施策を集約したものでございますから、いろいろな障害があることは承知をしておりますが、ぜひとも実現をしなければならないとかたい決意を持っておることを申し述べさせていただきます。
○木暮山人君 どうもありがとうございました。 より掘り下げるという意味でもございますけれども、従事者の不足の問題がこれにはまつわると思います。十カ年戦略については、世上いろいろな意見が出されております。その中には確かに傾聴に値すると思うものもないわけではありませんが、主な問題の中から一、二政府の考えをお聞きいたしたいと思います。 その一つは、サービス従事者のことであります。この点では一見矛盾するかのような考えが出されています。すなわち、例えばホームヘルパーの数。十カ年戦略の目標程度では到底足りないという考え、一方あの目標を達成するのが容易でないという考え方があります。第一の戦略の目標でも不足という意見は諸外国の状況との比較等に基づくものと思われますが、私としてはこの種の国際比較は難しい問題があるのではないかという感じを持っております。勤務の態様、社会慣習、その他種々の要素の関係する事柄であると思いますが、事務当局はどう考えますか。また、具体的数字でこの件につきましてのひとつ御説明をお願いしたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) 国際比較につきましては、先生御指摘のとおりではないかなというふうに考えております。と申しますのは、まず家族と高齢者との関係でございますが、我が国におきましては、御指摘のとおり約六割の方が家族と同居している、それからいろいろアンケート調査をいたしましても、家族と一緒に住みたいという希望を持っていらっしゃる、そういうふうな状況があらわれております。これに対しまして、例えばデンマークのような北欧の諸国では同居率が一割程度でございまして、我が国と比較しますと極めて低い状況にございます。それと、そもそもひとりで暮らすというのが基本的な考え方のようでございまして、そのときに、自分で自分のことができなくなった場合に、外からいろんなサービス、ホームヘルプサービスを初めとしたそういうサービスを受けるというのが生活の基本になっているようでございまして、そこら辺のところは我が国と基本的に現在の段階では違うのではないかなという感じがいたしております。 それともう一つは、ヘルパーの方の勤務形態でございまして、諸外国では非常勤とか時間給のようなものが相当多いようでございまして、そういう意味で単純に比較するのはどうかなと、こういうふうに考えております。
○木暮山人君 次に、いろいろ人材の確保の問題、ホームヘルパーの問題とか、さらにいろんな社会保障制度審議会の問題等はございますけれども、総括いたしまして、時間もございませんもので、できるならば、これからどうしてもクリアしなきゃいけない問題がたくさんあると思いますけれども、簡単にそこら辺の御説明をちょうだいして、厚生大臣の所見を実現するための御認識をひとつ総括して説明していただきたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) まず、マンパワーにつきましては、質の向上を図りつつ量を確保するということが必要であろうと思っております。そういう意味で、研修制度を充実するとか、あるいは六十三年度に創設をしていただきました介護福祉士の制度を普及するとか、活用するとか、そういう質の向上につきましてまず考えなけりゃいけない。それから量につきましても、いわゆる処遇改善をするとかいう必要がございますが、そのほかにヘルパーの仕事が非常に社会的に高く評価されるべきものだというふうにイメージアップを図る必要があるだろう、こう思っておりまして、この仕事の意義のある点を大いにPRをしていくべきではないだろうか、こういうふうに思っております。 それからまた、勤務形態につきましても、市町村の職員ということのほかに、あるいは社会福祉協議会を活用するとか、あるいは特別養護老人ホーム等の既にそういう仕事に携わっている人のうちから必要な人について応援体制をしいていただいて、そこへ委託をするとか、いろんな就労形態、活用の形態を考えていかなければならないだろうと思っております。 大臣も申し上げておりますが、何しろこういう仕事が定着するためには国民全体の理解と意識改革が必要であろう、そう思っておりまして、そういう意味で、私どもは、市町村レベルにおける社会福祉協議会の活動を活性化するとか、あるいは今でき始めております福祉公社のようなものをどんどん広げていくとか、そういうことが必要ではないかなというふうに考えております。
○木暮山人君 どうもありがとうございました。 もう時間もございませんもので、最後に、高齢者の保健福祉推進の十カ年戦略。戦略ということになりますとこれに対する戦術があります。それでまた作戦と、いろいろな面で今から大きく臨機応変に対応をしていかなければいけないと思います。 そこで、単なる政党間の党利のためにこの本筋が曲げられることなく、ぜひとも厚生当局及び大臣の御認識をより強硬に実現の方向にひとつ進めていただきたいことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
○国務大臣(津島雄二君) 委員のお励まし、御指摘をありがたくちょうだいいたしますとともに、一言だけ申し上げておきますが、このゴールドプランを実現してまいりますために、このたび私どもとしては、老人福祉法等の改正を中心とする法律改正を当委員会にお願い申し上げる立場にございますので、またその制度改正の際におきましては有益な御提言をいただきたいと存じます。どうかよろしくお願い申し上げます。 —————————————
○委員長(浜本万三君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、猪木寛至君が委員を辞任され、その補欠として勝木健司君が選任されました。 —————————————
○木庭健太郎君 私も、まず最初に、所信に対する幾つかの御質問をしたいと思います。 午前中から審議になっておるんですけれども、とにかく今の現状を見たときに、やはりこれからの老後という問題を振り返ったときに、年金にしても果たして生活できるのかな、病気しても本当にきちんとした医療が受けられるか、また寝たきりになっても最低限の公的サービスを受けることができるか、正直言って国民の不安というのは尽きないというのが現状だと思います。そして、午前中も指摘があっておりましたけれども、国民が政府に何を今は一番望んでいるのか。それは社会保障、社会福祉の充実という点が挙げられております。 こういう社会保障の将来の姿ですけれども、政府は一応一昨年の福祉ビジョンの中で「国民の基礎的ニーズについては公的施策をもって対応し、国民福祉の基盤の充実を図る」と述べておりますし、今ずっと論議なされております十カ年戦略の中で、特に在宅福祉推進十カ年事業の基礎的考え方でも、「誰もがどこでも、いつでも、的確で質の良いサービスを、安心して、気軽に受けることができる」というようなことをおっしゃっております。こういったことを考えたとき、この言葉だけを信じるならば、国民のこれからの老後生活というのは少なくても医療、年金、福祉、この各分野においては最低限、ミニマムですね、そういう水準は公的施策で保障されるというふうに私たちが理解していいものかどうか、また国としては少なくともそういう方向を目指してこれから進められようとしているのか、その点を大事な問題ですので、まずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 高齢者保健福祉推進十カ年戦略との関連で厚生行政の基本的な考え方をお問いかけいただいておるわけでありますが、委員御指摘のとおり、私どもは超高齢社会を控えまして、国民の基礎的なニーズについては公の力でしっかりと対応するということを基本に考えておることは毎度申し上げているとおりでございます。この基礎的なニーズと申しますと、御指摘のとおり、所得保障の柱であります年金制度の確立、それから医療保険制度の基盤を安定化させるということと並びまして、現実の高齢者、そして障害者が二十一世紀の社会におきましても、「生涯いきいき、生涯幸せ」という総理の述べておられるような姿に対応できるように、決して社会の中から不幸な側に落ちていってしまうようなことのないように配慮をするということではなかろうかと思います。 今回厚生省が策定をいたしました十カ年戦略は、施設の整備から始まりまして、在宅サービスのあり方、そのためのホームヘルパー等の充実等、具体的な姿をお示ししておるわけでありますけれども、これが現実のものになれば、当委員会で私から毎度申し上げておりますように、まあまあ高齢者のための施策は整うのではないであろうか。具体的にまた御質問があればお示しいたしてもよろしいわけでございますが、少なくとも最小限の基礎的なニーズはこれで満たされるというのが我々の考え方でございます。要はこれを実現することが大事だというふうに今受けとめておるところでございます。
○木庭健太郎君 大臣そうおっしゃっていただきましたけれども、午前中も午後も新行革審の話が出ました。その新行革審の最終答申を見ておると、高齢のピーク時で五〇%未満ということをやっぱり言っていますし、少なくとも二十一世紀初頭で四〇%台半ばというようなことを言っている。これで一体できるのかどうかというのは本当に疑問でもありますし、またもう一つ言うならば、新行革審の答申を要約するなら、いわゆるこれは高福祉・高負担型でなくて、先ほども言っていましたけれども、自立自助、民間活力ということが非常に前面に押し出されている。福祉ビジョンは逆に基礎的ニーズは公的施策でと言う。福祉ビジョンをもうちょっと詳しく見ましたら、たしか多様な部分については民間活力の導入もということは言っているけれども、そういった部分と福祉が推し進めようとすることと、実際に新行革審答申が言っていることは矛盾点があるんじゃないかと思えてならないわけです。その辺についての大臣の所見をぜひお伺いしたいし、また少なくとも大臣としてみればそういう福祉社会、高齢化の社会に対応していこうとするときに、財政面から制約を受けながらまた落ち込むというようなことがあってはいけないと思うんですけれども、その決意も兼ねてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 委員御指摘のとおり、社会保障負担につきましては、高齢化が進むに並行いたしまして、逐次ふえていくことはやむを得ないところであろうと思います。そしてまた、我々といたしましては、必要な福祉施策を具体化する上で予算はぜひとも確保しなければならないと、こういう立場でございまして、積極的に対応してまいりたいと思っております。 そういう中で、このたび新行革審から出されました国民負担率を社会が活力を失わない程度にとどめるべしという考え方は、決して我々の考え方とは矛盾していないというふうに考えております。それは福祉ビジョンの中でも、福祉ビジョンに関連をいたしましてかつて国会で御議論がございました二十一世紀初頭における高齢化状況等及び社会保障の給付と負担の展望という中で、政府の方からお示ししております国民負担も、二〇一〇年で四七%程度という数字が示されてございますように、福祉ビジョンにおきましても、今回新行革審から示された国民負担の限度以内でこれができるはずだ、またしなければならないという考え方が基礎にあると思います。 国民負担は御案内のとおり、福祉ばかりでなく全体の政策に絡む問題でございますから、諸般の行政需要を効率化することによって全体としての国民負担を社会が活力を失わない限度にとどめるということはぜひとも維持をしていかなければならない要請であると思っております。この問題は、一般的、抽象的に議論するということでなくて、具体的に毎年毎年の予算を積み上げていってその目標に沿っていかなければならないというふうに私は受けとめておるところでございます。
○木庭健太郎君 まさに大臣が言われたとおり、福祉を論じるときは抽象的な概念じゃだめだということは言われるとおりだと思っております。その意味では、今回初めて十カ年戦略という形で、具体的数字を挙げながら大幅拡充という方針を厚生省が打ち出されたということは非常に評価をいたすのですけれども、私自身はこの在宅介護の問題で言いましたら、今までが元来おくれていたのであって、ようやくやり出したんじゃないかなというようなのが私自身が思っているところでございます。 実際今見てみれば、六十五歳以上人口でホームヘルプサービスを受けている人がどれくらいいるか、大体〇・五%前後だと言われています。これはもう何か週一、二回で三時間程度の派遣だというようなことも言われております。そういった意味では、仮に十万人になったとしても、今の制度が私は少しよくなる程度にしかならないのではないかなという危惧も抱きます。そういった意味では、これは私たち公明党が主張しているんですけれども、この十万人計画というのはもう少し前倒しするように努力すべきではないか。少なくとも七年、八年でやるような努力をぜひお願いしたいと思っておりますし、また、さらにふやす方向でやるべきだというふうに考えておりますけれども、この辺の御認識をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 高齢化社会の中で、高齢化が進展する中で、できるだけ早く国民が安心できるような体制をつくっていただきたいという意味では、今委員御指摘の、できるだけ早く前倒しでもこれを実現してほしいというお気持ちはよく理解できるところでございますが、私どもとしては着実にお約束したことは実現をするという立場から、せっかく大蔵大臣、自治大臣の合意を得て世に問うたこの案をとにかくお約束どおり実現するということが第一の目標であるというふうに考えております。
○木庭健太郎君 先ほど木暮委員の方からは、諸外国との比較は余り参考にならないとおっしゃいましたけれども、やはり福祉を見るときに各国との比較も私は大事だと思っております。その意味では、現在ヘルパーに限ってですけれども、ヘルパー数について諸外国との比較をぜひこの際お伺いしておきたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) 先生おっしゃいましたように、単純な比較はややどうかなと思いますが、あえて数字を出しますと、これは国際ホームヘルプ協議会という私的団体が一九八五年五月の会議の際にまとめたものでございまして、そういう意味では一つの目安として御理解をいただければありがたいと思っておりますが、その資料によりますと、スウェーデンでは常勤、非常勤、時間給という勤務形態を全部単純に合わせまして七万六千八百人。それから西ドイツでは常勤、非常勤合わせまして一万八千九百人程度。それからデンマークが、大部分が非常勤だそうでございますが、三万六千人でございます。日本は平成元年度予算上の人員、常勤換算でございますが、三万一千四百人、こういう状況になっております。
○木庭健太郎君 一応十万人当たりも、もしお調べなら教えていただけますか、十万人当たりのヘルパー数を。
○政府委員(岡光序治君) 我が国の三万一千四百人に対しまして、六十五歳以上人口十万人当たりで計算をいたしますと二百二十人相当になります。これにつきましては、スウェーデンの場合、今七万六千八百人と申し上げましたが、六十五歳以上人口の十万人当たりでは五千人相当になります。それから西ドイツの場合が二百十人、デンマークの場合が四千六百人相当と、こんな数字になります。
○木庭健太郎君 私は正直言ってまだ日本の現状は、単純比較できないとおっしゃるけれども、やはり十万人で二百人ですから、何人ですか、五百人に一人というような数にしかならない。十万人体制ができ上がったらどうなるかということについて、先ほど午前中御答弁があって、百五十人当たりに一人というような大体換算になるようなんですけれども、それでもかなり少ないというような印象を持っているんです。午前中も言われましたけれども、もう一回この十万人というのは何をもとにして出てきた目標数なのか、単純に切りがいいから、はい十万人と上げてきたのか、それともきちんとした積み上げがあって出てきた数字なのか、そこを明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) 積み上げ計算で十万人をはじいております。それはお年寄りの六十五歳以上人口の中で、介護を要する人たちがどのくらいであろうかということで従来の発生率を使いまして、要介護人口を出しております。その人々につきまして、病院とそれから老人保健施設とか、特別養護老人ホームとか、そういういわゆる施設のたぐいに入っている人と、それから在宅でサービスを受けている人と、そういうふうに三分類をいたしまして、その在宅でサービスを受ける人につきまして、先ほどもお話がありましたが、寝たきり老人で申し上げますと週大体四回ないし六回程度ヘルプサービスを受けるという前提で積み上げ計算をいたしまして、それで十万人という数をはじいております。
○木庭健太郎君 それならば、大臣に改めてお伺いしたいと思うんですけれども、このヘルパー十万人という数字は現実施策の中で種々の困難が伴うから、本当はまだまだ必要だと考えているけれども、とりあえず十カ年計画では十万人でやむを得ないというような考えで出されたものなのか、それとも我が国の社会保障制度が進むべき方向、哲学で大体この十万人でいいんじゃないかと考えていらっしゃるのか、どちらなのかを教えていただきたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 私も就任をいたしましてから、この十カ年戦略を具体的に肉づけをしてどういう姿になるだろうということをいろいろ部内で議論いたしてみました。その結果が今政府委員から御答弁いたしましたような姿でございます。例えばホームヘルパーの方が週四回から六回御訪問をする。これも工夫をいたしますと、例えば北欧の国でもそうであると思いますけれども、時間を限定して必要なときには何回かお邪魔をするというやり方とかいろいろなやり方を工夫して効率的にやっていく。このホームヘルパーの派遣にデイサービス、週に二回組み合わせる。その上にさらにショートステイで二月に一回ぐらい一週間施設で行き届いた介護を受ける。こういう組み合わせは今考えてみますとまずまずいいところではないかな、具体的にこういうことが本当に実現できれば大概の方には基本的なサービスが差し上げられるということになるのではないかというのが私の感じでございます。でございますから、そういう姿を早く実現する、しっかりと実現するということこそ我々の使命ではないであろうかと、こういうふうに受けとめております。
○木庭健太郎君 そうすると、先ほど聞いていましたら、たしか二〇一〇年がピーク時だというふうにおっしゃいましたけれども、そうなると、この十カ年戦略が終わったとき、大臣のお答えを聞いていますと、ほぼこれで姿としては整った。そうすると、二〇一〇年の時点でもこれだけの体制ができ上がっていればもういいんだ、一九九九年、ゴールドプランが終わった時点でもう在宅介護はこれで日本としてはすべて整ったというふうに受け取っていいんですか。
○国務大臣(津島雄二君) いや、そのように国民の皆様方に申し上げられれば私も一番うれしいんでありますけれども、これからの社会の推移を見なければなりませんけれども、恐らくまだまだ課題は残るんではないかと思っております。 しかし、いずれにしましても、十年間の目標をきちっと掲げてこれを実現すること、そして、実現された姿が少なくとも我々が描いてみればまずまずの姿だと、先ほど申し上げましたように、ホームヘルパーの派遣とかデイサービスとか、そういうものの組み合わせから見て基盤的なサービス提供はでき上がったと言えるのではないかというのが我々の考え方でございまして、それ以後のことはまた必要とあればそのときに工夫をしていかなければならないであろうと思います。
○木庭健太郎君 そう言われるのですけれども、私が今三十代の後半でございます。今一番こういう問題に不安を抱いているのは実は私たち三十歳代ですかね、ピークを迎える世代が本当に公的福祉でやってもらえるのか。もう極めてその辺が、高齢化社会が早く進むとかいろんな要素があるにしても、それ以上にビジョンが正直言って見えないわけです。一体日本としては、さっき言われたみたいに、百五十人について一人週四回か六回寝たきりのところに訪問できる、デイサービスは週二回だ、ショートステイは二カ月に一回。例えばこういう形を今後もずうっと推移させていくのが日本の福祉の基本的あり方だとおっしゃるならば、それに基づいて私たちは自分の生活を考えなくちゃいけない。確かに十年後までの具体的なものは出てきていても、将来じゃ例えば六十五歳以上人口百について一人のホームヘルパーは必ずつくりますよと、そういう何か基礎があってくれれば非常にわかりやすいのですけれども、逆にそういうものがなかなか見えないというところに不安があるんじゃないかなという気もするんです。そういった意味では大臣も早過ぎるとおっしゃるかもしれないけれども、いわゆるこの十カ年戦略以降その後のビジョンをどう考えていこうとされているのか、それをいつごろまでにつくっていこうかというようなことをもし御検討されているのか、その辺を一言お伺いしたいなと思います。
○国務大臣(津島雄二君) それから先のことについてもいずれ取り組まなければならないことは間違いないわけでありますけれども、私どもはまずこの十年間どうやってお約束どおりにやるかということ自体大変な仕事でございますから、まずこれに取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○木庭健太郎君 もちろんそれが一番大事なことでございますし、実現しないと将来の姿も見えませんし、実際そのとおりでございますけれども、ぜひそういった今の若年層に対してそれこそ高齢化社会を教えるためにも、厚生省としてぜひそういった方向のビジョンに早急に取りかかってほしいなという気もいたしております。 それで具体的問題で、おっしゃるとおりこれからこの十カ年戦略をやっていく上でいろんな問題点ございます。例えばホームヘルパーの問題ですけれども、ようやく今年度で四千三百人ということでございます。今まで毎年二千人程度、そしてこの目標の十万人にするためには数えていきますと大体毎年七千人というようなかなりの人数になる。大変なことだなと、御苦労もあるなと思います。そういった意味でまずこの七千人もの人数をどうやって確保しようとするのかということを、不安も随分あるようですから教えていただきたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) 大変な決意でこれは臨まなければならないと思っておりますが、幾つかの目標達成のための方策を考えたいと思っております。 一つは、ホームヘルパーの処遇を改善するということで、手当額の改善を引き続いて考えていくべきだろうと思っております。それから二つ目には、従来の市町村による実施ということのほかに社会福祉協議会への委託のほか、特別養護老人ホーム等へ委託をするとかそういう多様な供給体制を確保するということがもう一つ必要ではないかなと思っております。それから三つ目には、ヘルパーという仕事につきまして志望者が増大をいたしますように社会的な評価を向上するとかイメージアップを図るとか、国民的な理解を得るための積極的なPR活動が必要ではないかなと、こういうふうに考えております。 いずれにしましても、市町村においてこういった在宅福祉サービスが施設福祉サービスと一元的に提供されるということで今後仕事を進めて、住民の方々との間でいろいろと意思疎通、理解を得ながら幅広いすそ野をつくっていかなければならない。そういうことによってやっとこの人数が確保できるのではないだろうか、そんなふうに考えております。
○木庭健太郎君 その中で今言われたように確かに市町村が実施主体でございますし、そういった意味では市町村が実施をもっともっとしたいというような意欲を上げるためにも、一つは国庫負担率の問題があるんですけれども、この国庫負担の割合をさらに引き上げるようなこととか、そういったものも考えたらどうかなと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
○政府委員(岡光序治君) 先生御存じのとおりでございますが、ヘルパーの仕事の重要性にかんがみまして平成元年度において従来三分の一であったものを二分の一に引き上げたところでございます。この国庫補助率二分の一というのは、他の福祉施策、福祉施設の仕事であるとか、そういった仕事と比較をいたしますと、国、地方の役割分担という考え方から妥当な線ではないだろうかなと、こう考えております。補助率の話ではなくて、その補助の内容につきましていろいろと工夫改善を要するのではないだろうか、こう考えております。
○木庭健太郎君 そう言われると思ったんですけれども、生活保護並びでいくと四分の三なんですね。そういったやり方も本気でやるならばあるんじゃないかなと考えるんですけれども、これを検討する考えはないですか。
○政府委員(岡光序治君) 補助率につきましては今のところ御答弁申し上げた考え方でございますが、ヘルパーの仕事をより促進するという意味でいろいろ工夫が要るだろうと思っておりまして、私ども平成二年度の予算は御検討をお願いしておるわけでございますが、三年度以降いかにドライブをつけるかということでいろいろ工夫が要るのではないか、こう思っております。
○木庭健太郎君 もう一つ、手当のことを訴えようと思ったらそちらの方から手当額の改善というのが早々と出てまいりましたので、実際今言われるとおり、ヘルパーの方たち、介護型で年間二百四十三万円、家事型で百六十二万円ちょっとですね。そういった意味じゃ、本当に職務の重要性から見ると非常に低いというような意見もございました。それで、手当額の改善をなさるというお話がちょっと出ましたけれども、具体的に今年度も手当の額を変えていこうというお考えがあるんでしょうか。
○政府委員(岡光序治君) 平成二年度の予算におきましては、活動費について、現在の額三万六千円でございますが、これを五万円に引き上げたいということで要求をさせていただいております。引き続きまして、おっしゃいますように、処遇改善ということは考えていかなければなりませんので、他の職種とのバランスであるとか、そういった方向を踏んまえながら適切に対応していきたいと考えております。
○木庭健太郎君 それからもう一つ、ホームヘルパーが不足する中で、パートによるヘルパー派遣事業を積極的に推し進めて大きな成果を上げています、そういう自治体もございます。例えば宮崎県ですけれども、ここは公的ヘルパーが百八十六人に対してパートのヘルパーが約二百三十人にもなっている。そして、こうしたパートのヘルパーさんたちが何をやっているかといいましたら、特に公的ヘルパーができない夜間とか休日、そういったヘルパー業務もカバーしながらやっている。ただ、こういうパートのヘルパーをやっていらっしゃった方が実はこんな指摘をされています。やりがいのある仕事だけに長く続けたい。しかしパートのヘルパーは公的ヘルパーより実際の活動時間が長くても、夜間や休日の要請に応じても、あるのは時間給だけです。公的ヘルパーにある社会保険とか有給休暇とか退職金、ボーナスは全くありませんと、こんなことをおっしゃっております。 国が本気で七千人体制に持っていき、より充実させようとするならば、こうした自治体独自の取り組みになりますけれども、マンパワー確保という意味でいえば、こうしたパートの人たちにもぜひ身分保障を検討するとか、夜間の業務についての何か手助けができないのか、そういうことをぜひやっていただきたいし、それがこの十カ年戦略を実現する一つの方法になるとも思っております。その意味で、ぜひお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) 御指摘のとおりいろんな勤務形態があるわけでございまして、その身分保障のあり方について一律的に論ずるわけにはまいりませんが、それぞれの勤務形態に応じた適切な処遇改善の方法につきまして、先生御指摘のありました点も踏んまえて十分検討させていただきたいと思います。
○木庭健太郎君 それから在宅三本柱の一つになっておりますショートステイの問題についてお伺いいたします。 ショートステイの利用の仕方の問題でございます。現在は、多くの市町村の場合はショートステイを利用しようとするときは、窓口へまず住民票、健康保険証、所得証明書、とにかく書類だけでも大変で、事務手続の面から急な場合なんか特に利用ができないという訴えが多い現実がございます。先ほど本当にいつでもどこでも手軽にというようなことをおっしゃっているわけですから、こういう利用の促進をするために、事前に手続さえしておけば、利用したいときには例えば利用券のようなものを発行すればそれを提出するだけですぐ利用できる、そういうふうなやり方をぜひ推し進めたいと思うわけでございます。実際に、市町村の中ではそういったやり方をしているところもございますし、こういうふうにもっと手軽に使えるような方法をぜひ実施団体である市町村に対して厚生省の方から強力に指導していただいて、本当にやってよかった、できたけれども使えないというんじゃなくて、使いやすいようなシステムをつくっていただきたいと思うんですけれども、この点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) 御指摘のとおりでございまして、利用しやすい形をつくり上げていかなければならないと思っております。現在も私どもこのショートステイの実施要領の中で、直接市町村窓口に行かないで、デイサービスセンター等のサービス部門を経由して、いわば事務を代行するような格好で申請ができるという道も開いておりますが、おっしゃいました利用券方式というのもいろんな地域で行われ出しているようでございますし、そういうものも参考にしながら、かつ高齢者保健福祉推進十カ年戦略の中で触れておりますが、在宅介護支援センターというセンターをこしらえまして、サービスを必要としている人と市町村とをいかに結びつけるか、コーディネーターの役を果たしてもらおうと思っておりますが、そういうふうなセンターなんかの機能も十分活用しながら利用しやすい体制をつくっていきたいと考えております。
○木庭健太郎君 文部省の方に来ていただいておりますので、視点を変えて一つだけお伺いしたいと思います。 新しい時代の真の老人対策を生み出すかぎというのは、一つは若い世代にどれだけこういった高齢化ということに対する問題意識のすそ野を広げるかどうか、それが大きなポイントだと思っております。その土壌を耕すという意味からも、教育への取り組みというのは不可欠だと思います。国内で老人医療に取り組んでいた人たちの中で、学校教育の単位の中に老人介護実習を組み込むくらいの思い切った改革が必要だというふうなことを指摘、提唱されている方もいらっしゃいます。また、教育現場でのボランティア育成というのが盛んな欧米各国では、ボランティアの中で老人介護の実習を義務化して取り組んでいるところも実際にございます。我が国でも、長い人生を経験した老人から青年が学ぶというようなことも踏まえて、学校教育の中でこういう老人介護実習というのをカリキュラムに組み込めるのかどうか、そこまで踏み込めれば最高だと思いますけれども、そういったことも含めて義務化するようなことを検討する今時期に来ているんじゃないかと私は思っておるんですけれども、その辺のことについて一言お伺いしたいと思います。
○説明員(福島忠彦君) 先生御指摘のとおり、老人介護の問題は非常にこれから切実かつ重要な問題になってくると思いますし、教育の場におきましても当然これに配慮していかないといけない、そういうふうに考えております。新しい学習指導要領、これは学校教育の基準になるものでございますが、これが先般制定されまして、高等学校では家庭という教科・科目でございます。これは今まで女子だけ必修でございましたが、新しく男子も必修になりまして男女すべての生徒が家庭という科目を勉強するということになりまして、この科目の中で高齢者の生活と福祉という今までなかった項目を新設いたしまして、こういう問題につきまして実習だとか事例だとかを通じまして勉強を深めていくということを取り上げているわけでございます。 それから中学につきましては、高等学校ほどではございませんが、技術・家庭というこれも男子、女子すべて勉強する科目がございまして、この中で家庭生活という新しい領域、これは今までなかったわけでございますが、これを男女とも必修ということで、こういう問題も取り上げていきたいということでございまして、先生御指摘の趣旨を体してやっていきたいと思っております。
○木庭健太郎君 この件についてはぜひいろんな形での展開をお願いしたいと思います。 それから寝たきり老人ゼロ作戦に関連して一つお尋ねをいたします。こういう寝たきりとか痴呆性については、病院に入る前にまず予防策を充実させることというのがどなたもおっしゃることでございます。そのために、私たち公明党はIDカード、いわゆる健康手帳制度による生涯健康管理システムの確立というものを提唱いたしております。もちろんこの問題はプライバシーの保護というのが大前提でございますけれども、このカードを導入して、生まれたときから現在までの健康状態を管理しておけば、長期間の健康状態も把握でき、これらの予防もやりやすくなってまいります。小さな自治体の中には実際にこういったシステムを組み入れ始めたところもございます。そういった意味では、こういう制度をただ自治体に任せるんじゃなくて、正直申しますと、今、日本社会というのは非常に移動が激しいですし、一つの自治体ではなかなか対応できない問題でもあると思うんです。そういった意味ではぜひこういった制度、システムについても寝たきり老人ゼロ作戦を実現するために必要だと思いますし、この点についての大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。 先生お話ございましたように、長寿社会を明るく活力あるものとしていくためには、長い人生を健康に過ごせるということが基本でございます。このために、国民の生涯を通じた健康づくりといいますものをいろいろ推進いたしているところでございます。 国民がみずからの健康に関するデータをカード化して処理すればいろいろな点でメリットがあるのは先生の御指摘のとおりでございます。カードを用いて治療や健康管理に活用することについては既に一部の地域について実験的な事業が行われている段階にございます。しかしながら、カードにつきましては先生のお話にございましたように、プライバシーの問題あるいはシステムの費用負担の問題、カードなり端末機入力情報の標準化の問題等、まだ検討すべき課題が多くあるわけでございます。このために、すぐに自治体にどうこうということにつきましてはなかなか困難な問題があるわけでございますので、厚生省といたしましても、今後とも各方面の意見を聞きながら検討を進めてまいりたいというぐあいに考えておる次第でございます。
○木庭健太郎君 それとゼロ作戦に関連いたしまして、このゼロ作戦をやる中でもう一つのポイントになっているのが訪問看護制度、そういうものがあったと思うのです。それの充実が一つの重要なポイントだと思うんですけれども、ゼロ作戦の戦略からこの訪問看護制度というのが全くどこかに飛んでしまって出てきていないというのは、私としてはこれは大きな問題だと思っております。計画自体の実効性が疑われるようなことにもなりますし、どうして計画の中に盛り込まなかったのかということをお伺いしたい。 また、現在の訪問看護のモデル事業、たしか平成二年度で十五カ所実施だとお伺いしておりますけれども、今後どのような形で充実を考えていくつもりなのか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) いわゆるゴールドプランの中で考えましたのは、公共福祉サービスを念頭に置きまして、その公共福祉サービスをどのように展開をして社会基盤を整備をしていくかということをねらったわけでございます。 御指摘の訪問看護の制度はいわゆる医療サービスでございまして、経費で言えば医療費で払っているものでございまして、そういう意味でこのゴールドプランの中には直接は入れ込まなかったということで整理をしております。しかし、この訪問看護の制度は充実をする必要がございますので、例えば本年四月の診療報酬改定におきましてはこの訪問看護の点数を五割以上引き上げるとか、あるいは今までは看護婦しかできませんでしたが、准看護婦も訪問看護に従事できるようにするなど、相当大幅にその適用対象というんでしょうか、適用の内容を拡大をしたつもりでございます。 しかも、現場でどのように福祉サービスとこういう看護サービスとが結びつけられるのかということの御指摘がございましたが、訪問看護と在宅ケア総合推進事業で具体的に都市部とか農村部とかいろんなタイプを設定をいたしまして、実は試行錯誤しております。そういう試行錯誤をした中でどのような形で展開するのが最もふさわしいのかということを見出していきたいということで考えておりまして、現在進めておりますこの総合推進事業をいろいろ参考にしながら今後の展開に使っていきたいと、そう考えております。
○木庭健太郎君 ゼロ作戦の最後にお尋ねしますけれども、機能訓練の充実をして訓練を行う場所の確保としての市町村保健センターなどの活用、また機能訓練会場への送迎体制の確立を考えておられるようですけれども、そもそもセンターに専門のリハビリ要員、センターに限らずこういう機能訓練をやるところの場所に有資格者のリハビリ要員が現在配置できていないような現状だと私は思っております。 また、このような対策の中で本当に二十一世紀において寝たきり老人の新規発生をなくすことが可能なのか、それとも寝たきり老人の発生率が、今やっている施策がうまく進んでいけば現在の欧米並みに本当になると私たちは見込んでよいのかどうか、その辺の見解を最後にお伺いしたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) まずOT、PTのような有資格者を機能訓練会場にもっと置くべきではないかという御指摘でございますが、私どもはこの機能訓練会場においては本人とか家族が主体になりまして、毎日の生活の中で日常生活動作能力をどのように維持し回復をするかということをねらっているわけでございまして、そういう意味では常時そういう有資格者がおいでになる必要はないんじゃないか、必要に応じて専門家を呼んでいろいろ技術的な指導を受けるという体制でいいのではないだろうか、むしろ保健婦等が中心になってそういった機能訓練会場を動かしていくというのがふさわしいのではないかと考えておりますが、もちろん専門家の技術的なアドバイスは十分受けなければならないと思っております。 それから寝たきりゼロということが本当にできるのかということでございますが、私ども研究班をつくったりいたしまして、我が国のいわゆる長期の寝たきり状態にある人と、それから諸外国と比較をしてもらいましていろいろ研究をしていただいておりますが、どうしても余り理由のないところで我が国では寝たきりの率が多過ぎるのではないか、こういう指摘を受けております。 一方、具体的に病院あるいは地域でいろいろ在宅の活動であるとか、病院内におけるベッドからいかに寝たきり状態にある人を離すかということでいろんな実験的な試みがなされております。その実績からいたしますと、十分な配慮のもとに十分な体制を整えてやれば、ベッドから離して車いすの生活であるとか、あるいは車いすの生活を重ねることによって自分で歩けるようになるということが実績として出ております。諸外国との比較、それからそういう個別具体的な実績における例、そういったものを私ども念頭に置きましてこの寝たきりゼロ作戦を総合的に展開していけば何とか西欧並みには達成できるのではないだろうか、こういうふうに確信をし、その方向で努力をしたいと思っておるわけでございます。
○国務大臣(津島雄二君) 木庭委員にいろいろ要点を絞って御質問いただきましたので、最後に一言私から申し述べさせていただきたいと思います。 十カ年戦略を本当に実りのあるものにするためにはいろいろな障害、課題がございます。その中でもやはりマンパワーの確保ということが我々にとって難しい課題の一つであろうと思っておりますが、ホームヘルパーの方の待遇の問題等もそういうマンパワーをどうしても確保しなければならないという観点からこれから努力していかなきゃならぬだろうと思っております。それから勤務の形態も外国の例を見ますといろいろ工夫しておるようでございますから、そういうことも先ほど政府委員から御答弁ございましたけれども、いろいろ地域の実情に合うように工夫もしていかなければならないと思っております。 いずれにいたしましても、まずお約束をした十カ年戦略を具体化するということに全力を挙げたいと思っておりますが、そのために委員からも示唆に富んだお話がございましたが、これからもいろいろと御提案なり御示唆をいただければ大変ありがたいと思います。
○木庭健太郎君 ありがとうございました。
○沓脱タケ子君 それでは限られた時間でございますので端的に質問をしていきたいと思います。 滋賀県にあります高級老人ホームアクティバというのが倒産の危機に陥り、入居中の老人たちに大変大きな不安を与えました。このほかにもいろいろと情報を得ておりますけれども、事は極めて重大だと思うわけです。こういった有料高級老人ホームというのが倒産をしたら一体どういうことになるかということです。 アクティバの例を見てみますと、入居資格は終身入居制、入居時の一時金というのは千八百五十五万円から五千五百九十万円、平均して四千万前後です。百五十五室に百八十五人が入居をしているという状況でございます。ここが倒産の危機を知らされて、これはもう高齢者の皆さん方の怒りと驚きというのは大変大きい。入居者の要請書にはこう書いてあります。「私達入居者は、」「人生の最後の地を資産の全てを処分し大金を支払って、ここに求めたにもかかわらず、経営が悪化し、私達の預託した入居一時金が終身介護料相当分まで含めて、他に流用されているという信じがたい経営のズサンさと無責任さをしり心底からの怒りを禁じえない、私達入居者の被った不安と精神的苦痛は筆舌につくしがたいものがある。」、こう述べておられるわけでございます。 大臣、この高齢者たちの不安と打撃、怒り、本当におわかりになりますか。これは考え抜いて考え抜いた末についの住みかを求めてまいった高齢者の皆さん方がまさに人生の設計を根こそぎ崩されてしまうんですよね、こうなれば。そこで、まず大臣にこの認識について簡単にお伺いをしておきたいと思います。 余り細かいことを言わぬでいいですよ。時間が短いから、ごちゃごちゃ言うてもろたら困るので。大臣ね、そのついの住みかを求めてきた人が、倒産をされて、パーになったらどういうことになるか、こういうことについて、大臣がどういうふうな認識をお持ちになるかということをまず聞いておきたい。
○政府委員(岡光序治君) 事実関係を簡単に御報告をいたします。
○沓脱タケ子君 ちょっと、もうそれはいいです。時間がないんだからと言うてる。長くやれるんだったら詳しくやるんです。大臣、認識をお述べにならないんですね。大変ですよ、こんなこと。
○国務大臣(津島雄二君) ついの住みかを求めてお入りになった方が受けられた打撃は、私も人間である以上痛いほどわかります。しかし、事実については委員のお話だけではほかの委員の方はおわかりにならないということで答弁をさせたいと思っただけのことでございます。
○沓脱タケ子君 これは時間があれば詳しく私も論議をしたい。しかし、時間が限られているから簡単に申し上げているんです。 私は、実はこういうことにならないかという心配をしていた。なぜかというと、これは昭和六十三年の四月に本委員会に上程をされておりました社会福祉事業団法の改正の審議の際にいろいろと論議をいたしました。そして、民活のシルバーサービスを奨励して、株式会社に対してまで金を貸すというふうなやり方について私どもは反対をしてまいりました。株式会社といえば資本の論理でお年寄りが食い物にされるという心配が必ずあるんだ、こう言って指摘をしてまいったところでございます。当時厚生省当局者は、会議録を見てみますと、こう言ってますよ。シルバーサービスを健全に育成するために、一つは経営、料金を含めたガイドラインをつくって行政指導を徹底して行う、二つ目は、民間事業だから事業者間の自主規制、これを厳しくやらせる、この二本の柱でやっていきたい、こういって力説をされてきておったわけでございますが、今日一つ明らかになった事情を見ましても、当時私どもが指摘をし、心配をした民活方式の破綻というのがこういう形になってあらわれているんじゃないか。当時私は論議の中で申し上げましたが、厚生省が委託した研究調査機関では、資産活用による充実した老後保障などといって、子孫に美田を残さない、そういうことを言っておったわけでございますが、こんなことが一つのところで起こったって大問題なんだけれども、あっちでもこっちでも起こったら重大な社会問題になると思うんですよね。私はだからその一つを問題にしているんじゃなくて、非常に重大な問題だと思うので、これは明るく豊かな老後どころじゃないぞという点で問題を提起をしているわけでございます。 そこで、滋賀県のこのアクティバのようなケースが各地で起こると重大な社会問題になると思うので、二度と起こさないための対応策というのが極めて大事だと思いますので、その点についてはどうお考えになっておられるのか、それをまずお聞きをしておきたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) おっしゃるとおり、社会的な信頼を失わないようにしたいと考えております。アクティバのケースにつきましても、そういうずさんな経営をする経営者には交代をしていただきまして、現在新しい経営者が真剣に再建に取り組んでおりまして、入居している方々と十分なる対話をしながらその辺を進めているところでございます。誠意を持ってこの再建に当たりたいと思っております。 それから、ほかのケースにつきましてこういうことがあってはならないということで、私どもこの業者団体、全国有料老人ホーム協会というものをつくっておりますが、そういったところを通じましてより一層適切な指導をするということを考えているわけでございます。
○沓脱タケ子君 それだけですか。そういうことだとしたら、これは大問題なので、実際上は今は開設以後に届け出をしただけでだれでもやれるんですね。それだから問題になるので、行政による監督の不十分、行政上法律的にもっときちんとやらなかったらだめじゃないかというふうに思うんですけれども、その点についての強化策はお考えになっていないんですか。
○政府委員(岡光序治君) その点の強化策につきましては私どもいろいろ検討しておりまして、今政府内部で調整をしておりますが、その調整結果に基づきましてまた本院にお諮りをしたいと思っております。 また、入居一時金につきまして、これを確保するというんでしょうか、変な形で流用されたりすることがないように、そういう再保険であるとかあるいはそれを準備金として積み立てるようなこととか、いろいろ大きな金につきまして変な形で使われるということがないように、あるいはそういうものをシステムとして防ぐように、そんなことをまたあわせて考えております。
○沓脱タケ子君 これは時間がないので詳しく申し上げられないのは大変残念なんですけれども、例えばその届け出だって開設後一カ月以内に届け出をしたらいいということになっているでしょう、今。それでは困るんじゃないか。だから事前に届け出をするようにしなきゃならない、あるいは問題のあったケースについて知事なり大臣なりが当然の問題として改善命令なりあるいは勧告なり、勧告ではあかんのやな、改善命令をやって聞かなかったら罰則を科すとかあるいは立入調査をするとか、そういうことをきちんとやるべきだと思うのですけれども、その点はそういう方向での御見解はお持ちでないんですか。
○国務大臣(津島雄二君) 沓脱委員からいろいろ御指摘を受けておる点は私どもも非常に深刻な問題だということで取り組んでいることは当然のことでございます。今国会におきまして、法律改正を含めて当委員会でも御審議をいただくことになっておりますけれども、今御提示のいろいろな点、事前の届け出から始まりまして、今厚生大臣には十分な指揮監督権が与えられていないという問題もございますし、その辺の改善であるとか、それから基本的には今委員は不祥事故が起こったら罰則を科するとおっしゃいましたけれども、できることならまず起こらないことが大事でございまして、起こらないようにするためにはどうしたらいいかというようなことを政府委員は、例えばその保証であるとか保険であるとかいろいろなやり方があるわけですから、今検討しておるところでございます。委員のいろいろな御指摘でありますけれども、委員と同じ立場に立って一生懸命やっておるということは御理解をいただきたいと思います。
○沓脱タケ子君 それならそれと初めから言ったらいいんだ。部長はそう言わないじゃない。おかしいんだな、省内不一致ですよ。それで今大臣がおっしゃったように、これはもう対策を強化しないと、いざ事が起こったら本当に大問題だと思いますからね。その辺のことを特に強く申し上げておきたいと思うんです。特に今国会に法案を御提出になるんですか。まだ私ども伺っておらないですけれども、今国会にお出しになるんですか、ちょっとそれだけ聞いておきましょう。
○政府委員(岡光序治君) 今政府内部でどのような形にするか調整をしておりますが、でき得れば今国会に出したいと考えております。
○沓脱タケ子君 法案が出るんならそのときにまた詳しく伺いたいと思うんですが、その法案を作成中だと、御協議の最中だとおっしゃるから、それじゃそういう対応で具体的な問題が解決するんだろうかという点なんですね。 例えばこういうことですよ。管理料とか食費の値上げなんていうのは、これもう全く契約上チェックする方法がないんですね。ですから言われるように引き上げていく。これはしようがないようになっておるんですね。それで、ちょっとぐあいが悪いと文句を言うたら出ていけと言うのですね。そういうことを言われている施設もあるんです。出ていけと言われて出ていく人もあるんです、中には。私ども入手している資料では、一年おってもう我慢がならぬで出ていった人は、入居時に二千四十五万円払ったんだけど返還金は千五百七十四万円ということになる。それでも出ていける人はまだよいと言うんですよ。もう全財産をほうり込んで来てるんだから、出ていけと言われたら行くところがないからぽろぽろ泣いているというんですよ。そんな思いをして何が楽しく豊かな、明るく豊かな老後でありますか。そういうことなんで、こういう問題について解決ができるように一つはしてもらいたい。 もう一つは、火災だとか事故が起こった場合の入居者の自己責任問題というのがいろいろあるそうですね。こういった問題をすべてが自己責任になるというようなことにならないように、それからもう一つは終身利用権というのですか、終身介護料相当分というのですか、アクティバでは一人が八百八十万円だそうですけれども、これの財産保全というのが何もやられていない。アメリカあたりではこれはもう別会計で管理をするということが法制化されているんだそうですが、今度の法改正までやるというならそういった分の安全な財産保全の確保ができるかどうか、そういう点をひとつ考えてぜひやってもらいたいと思いますが、まずそれはどうでしょう。
○政府委員(岡光序治君) まず利用料の改定の関係でございますが、私ども指導では、入居契約書あるいは管理規定上、この利用料改定のルールを明らかにするようにということを指導しております。したがいまして有料老人ホームに入ろうというときには、これも利用者の方に私どもいろいろとお勧めしているわけでございますが、そういう状況を確認をして納得をした上で入っていただきたいということをまずお願いをしているわけでございます。いずれにしましても、ルールとしましては契約書あるいは管理規定上明らかにして、一方的なことのないようにという指導をしております。 それから火災の場合の火災保険の関係でございますが、これは有料老人ホームの設置者が加入するのは当然でございます。しかし、個人資産について入所者が任意に保険に加入するということはあり得るというふうに考えております。 それから一時金の関係の財産保全につきましては、先ほどもお答えを申し上げましたように、入居者が不利にならないように、そして変な形で流用なんかなされないようにそういうことについては十全の配慮をする必要があるということで検討いたしたいと思っております。
○沓脱タケ子君 法改正によってそれらの既に問題になっているところがトラブルの起こらないように十分法案の内容に盛り込んでもらいたい、そのことをお願いしておきます。 それから時間がありませんので、最後にお聞きをしたいのは税制上の問題なんです。大体四、五千万円払うということになりますと、退職金だけじゃ間に合わないんです。だから家屋敷を売り払ってそしてついの住みかということで求めていくわけですが、ところが税制上の買いかえの特例が適用されてない。一番気の毒な立場になると家屋敷みんな売り飛ばして新たなついの住みかへ移るわけですけれども、税制上の買いかえの特例というのが適用されていないのです。大変私は酷だなと思うんです。買いかえの特例というのは税制上の問題で一つの問題点になっておって難しい状況にはなりつつあるようですけれども、こういった点は対応を検討するべきではなかろうかと思いますが、これは大臣いかがでしょう。
○政府委員(岡光序治君) 先生御指摘のとおり税制改正によりまして昭和六十三年度から買いかえ特例の制度は原則的には廃止をされて非常に限定的な適用しかされていません。それで、今おっしゃったようなケースがいろいろございますのですが、私どもはそういう意味ではこの有料老人ホームというのはいわば利用権というんでしょうか、入居権を買って入るわけでございますので、住宅の取得の場合とは同列には論じられない難しい点もあろうかと思います。そういう意味で、この辺の方策について、むしろ入居者保護という観点からいろいろ工夫をすべきではないかな、こう考えております。
○沓脱タケ子君 いや、非常に難しいわけですね。利用権ということで建物、家を買うていくのと違うということで買いかえ特例が実施されていないということなんだけれども、しかしこれは厚生省あたりが本当にその実態を踏まえて御検討いただかなかったら、大体大蔵省はそんなものは考えませんわ。厚生省、対応何とか考えていくというようなことをお考えにならないですか。
○政府委員(岡光序治君) 繰り返しの答弁で恐縮でございますが、利用なさるときにまず十分納得をしてもらうということ。それから、納得の上でお入りになったときにそういう多額の金を払っているわけでございますので、その払った金がむだにならないようなそういうシステムについてはいろいろ考えたいと思っておりますが、税制上の問題としてこれを解決しろというふうに限定されますと非常に難しいのではないかと思っております。
○沓脱タケ子君 時間がありませんから、今そういう否定的な御答弁のようですけれども、考えてあげなかったら、だって家全部売って死ぬまで入るんですよ、そこへ、実際は。家として買うたんだったらその家はその人の名義になって残るけれども、亡くなったらその人の所有権というか、利用権がなくなる。だからといって、自分の家屋敷を売ったら二六%税金払わにゃならぬということになったら本当に気の毒だと思うんですね。これは老人対策を本気で考えていかれるという点では多面的なところを考えて対応していただかないといけないのではないかと思いますが、大臣あきませんか。
○国務大臣(津島雄二君) 居住用財産の買いかえの特例の制度は、実はこれが立案され施行されるときの私は担当官の一人でございました。それで、これが採用されますときに、当時の税制調査会の会長でありました東畑精一先生が、買いかえの特例というのは、考えてみるとだんだんと財力がついて大きい家を買いかえされる場合は全部救われる、ところが自分のようにだんだんだんだん退官して小さい家に買いかえていくと必ず課税になる、こういう問題があるんで非常に難しいなと言われたことを今でも覚えております。 買いかえの特例という制度は、いろいろな社会政策上の要素を考慮して導入されたものでございますが、最近の世の中の状況を踏まえて、基本的には廃止という方向が出ているものでございますから、委員の御指摘は御指摘といたしまして、検討はいたしますけれどもなかなか難しいということだけ申し上げておかなければいけないと思っております。
○乾晴美君 それでは、私は厚生大臣にお尋ねしたいと思います。 私、厚生省が女性の意見を十分に聞くことなく、公衆衛生審議会優生保護部会がただ一回の部会で、優生保護法の認めております妊娠中絶の時期を、現行の満二十四週未満から満二十二週未満に短縮する答申を得て、去る三月二十日に事務次官通達を出し、平成三年一月一日より実施しようとしていることについて強く疑問を抱いているものでございます。 特に、短縮の対象となる二十二から二十三週の中絶というのは、一九八八年の統計によりますと約二千件あると言われております。また、二十歳未満が二四・一%、それから二十から二十四歳は二九・六%と、十代及び二十代前半の女性が半数を超えています。この期間の中絶が非合法ということになりましたら、やみ中絶といいましょうか、自殺とか嬰児殺しなどということがふえていくのではないかというようなこと考えますし、さまざまな新しい問題が出てくるんではないかと、そういうふうに非常にいろんなことが懸念されているわけです。この問題は社会的な影響も非常に大きいだろうと思います。広く各種の対応が必要であることからも、本当に慎重の上に慎重を期すべきであるというように思うんですけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(長谷川慧重君) 大臣からお答えいただく前に、私の方から人工妊娠中絶にかかわります次官通知改正の経緯等について御説明申し上げたいと思います。 まず、先生御存じのとおり、人工妊娠中絶は、優生保護法におきまして、「胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期」、この時期に母体の健康の保護等一定の条件のもとに認められているところでございます。この「胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期」と申しますのは、医学的観点から決められている事柄でございまして、従来、その医学的基準を事務次官通知で示していたところでございます。近年の医学・医療の水準の向上によりまして、妊娠満二十四週未満でも胎児が生育している事例が見られておりますことから、公衆衛生審議会におきまして審議をお願いいたしまして、「胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期」の基準を妊娠満二十四週未満から妊娠満二十二週未満に変更することが適当であるという答申をいただいたところでございます。 それで、先生のお話ございましたように、事務次官通知は女性の意見も十分踏まえつつ慎重に審議されました公衆衛生審議会の答申に基づくものでございまして、そういう面で撤回する考えは持っていないところでございます。
○乾晴美君 その事例は何例ぐらいあるんでしょうか、二十二週で生命が保続されるというのは。
○政府委員(長谷川慧重君) 日本産婦人科学会におきまして、昭和六十三年の一年間、二十四施設におきます調査を行ったわけでございますが、二十三週未満の方々で十二名の方が出生がございます。その間におきまして二十三週に五例の出生がございまして、六カ月以上生存が一例あるということから、現行の二十四週未満内におきましても生存事例があるということで、満二十二週未満というぐあいに変更いたしたものでございます。それ以外にも、日本小児科学会の調査等におきましても、二十四週未満でも二十八日以上の生存事例があるということでございまして、そういう面で、現在の二十四週未満につきましてはいろいろ問題があるということで改正を行った次第でございます。
○乾晴美君 一例ということで心にとめておきたいと思います。またそれを来年の一月一日の実施というのがあるんですけれども、ちょっとこれ早急過ぎるので見送ってほしいと思うわけです。中絶というのは、避妊に失敗したときとか、非常にやむを得ない事情のときのぎりぎりの選択なんです、女性は。ですから、中絶を望んでおるという女性は一人もいません。 今お聞かせいただきましたように、中絶のできる時期については、胎児の生育例ということですけれども、それだけでは決定してほしくないんです。どちらかというと人権の尊重という立場から、当事者である女性の立場、社会的状況、そういうものを考慮して慎重にもっと審議をしてほしいと私は思うわけです。殊に中絶のように女性の健康や人生に深くかかわる法律とか政策について決定する場合は、当事者である女性の意見を十分に聞いたとおっしゃいましたけれども、私たちは聞いていただけてないと思っております。対応すべきであると思います。このように女性にかかわる重要な問題はもっと広く女性の声を聞くというのと同時に、国民の代表機関である国会の審議を経ることなく、一片のこういった事務次官通知によって実施されるということは極めて遺憾だと思います。もっと女性の声を反映するような審議の場とか、それから平成三年一月一日の実施を見送ってほしいという私の意見に対していかがでございましょうか。
○政府委員(長谷川慧重君) この件につきましては、実際に諮問する前の段階におきまして、公衆衛生審議会におきましていろんな意見交換等が行われまして、その場におきまして、現在の未熟児の出生におきましては、非常に早い時期の未熟児におきましては二十四週未満においても生育事例があるから、それをきちっと調べた上で現行の妊娠中絶の時期についての基準について見直しをすべきであるというような御意見が出されましたので、それを受けまして日本母性保護医協会等にいろいろ実態の調査をお願いいたしました経緯がございます。その調査の結果は先ほど申し上げましたような報告でございまして、いわゆる二十四週未満におきましても生育事例があるというようなことから、現行の妊娠中絶時期の判断につきましては、二十四週というところについては見直しの必要があるということの御意見がございましたので、公衆衛生審議会の方に諮問いたしまして御答申をいただいた次第でございます。 審議会の場におきましては、それに関しましていろいろな団体、先生お話ございましたように女性の団体からのいろんな要望、御意見等もございましたので、それらにつきましては各個別に全部審議会の場におきまして説明いたしまして、審議会でそういう意見を踏まえながら、現在の医学の進歩に応じて赤ちゃんの生育事例があるというようなことから、先ほど申し上げましたように優性保護法に書かれてございます生命を保続することのできない時期の基準といたしましては、二十四週未満を二十二週未満に変える必要がある。 それにあわせまして、審議会の答申の中におきましては、それに伴いまして、いろいろ先生からお話ございましたように、若い世代で非常に人工妊娠中絶をやるかやらないか迷っている世代等もあるわけでございますので、そういう面で人工妊娠中絶が行われないようにいろんな対策を講じるべきであるというような御意見も附帯意見として出されているわけでございますので、そういう面も含めまして、今後十分に人工妊娠中絶ができるだけ避けられるような、いわゆる性教育といいますか、そういうものについての教育につきましても、私ども関係のところとよく連携をとりながら対処してまいりたいというふうに思っている次第でございます。
○乾晴美君 よくわかりましたけれども、中期中絶をする女性の置かれた状況というのもよくもっと調査してほしいと思いますし、女性の健康という視点に立った避妊、中絶に関する情報、教育の徹底、それから性や体の専門の相談施設というようなものをまずつくって、そして望まない妊娠や中期中絶を減らすための対策を進めていくべきであるというように私も思います。ぜひにいろんな施設からやっていただきたいと思います。 次に、文部省の方にお尋ねしてみたいと思います。性にかかわることなんですけれども、社会、学校における男女を対象にした性教育を徹底させるためのどのような施策をすべきか、早急に促進していただきたいと考えているのですけれども、いかがでございましょうか。
○説明員(石川晋君) お答えいたします。 ただいまの先生の御質問でありますが、学校において、学校といっても小学校、中学校、高等学校とあるわけでありますが、学校生徒の発達段階に応じて、現在性に対する指導は教科で言えば保健体育あるいは家庭科、それからまた学校の教育活動の中には教科以外に道徳あるいは特別活動といった領域があるわけでありますが、今言ったような領域、活動、教科の中で総合的に性に関する指導は扱われているという現状でございます。 なお、簡単に幾つか例を申せば、例えば保健体育というような科目の中では、小学校においては思春期に起こる体の変化といったようなところから始まりまして、中学校では身体の発達、性的な発達等を含んで指導する、高等学校ではさらに性器官の機能かつ家族計画といったような指導が行われる、あるいは高等学校の家庭一般、これは男女共修でございますが、こういった中では母性の健康と生命の誕生といったような単元の中で母性保護の重要性、妊娠と分娩、その他そういったこと等に関する授業を行っているというような現状でございます。 なお、私どもといたしましては、教師用の性に関する指導の手引書等を出してきているところでありますが、今後とも各種講習会を通じてこのような指導の徹底を図ってまいりたいというふうに考えている次第であります。
○乾晴美君 性教育というのは、私はりっしんべんに生まれるということで、人間としてどう生きる心なのかということが性教育だと思っているんです。ですから妊娠がどうして起こるのかというような生理的なことだとか体のことも大事ですけれども、もっと精神的な面というか、生き方の面、いわゆる男女平等に立った視点で行われていかなきゃいけないと思っています。私も高校の教師ですし、保健体育の教師でしたものですから非常に力を入れてやらしていただきましたけれども、現状の社会や学校ではどれぐらいの性教育やられているかということを御認識いただいていますでしょうか。こういった「さらば、悲しみの性」、広島の河野美代子さんという方が非常にすばらしい本を出されていますし、また安達倭雅子さんが「電話の中の思春期」というようなことで現状の生々しい報告がたくさん出されておりますけれども、御認識いただいておりますでしょうか。
○説明員(石川晋君) ただいまの先生の御指摘でございますが、前段の問題につきましては、ただいまも保健体育、保健であるとか家庭科ということで紹介いたしたわけでありますけれども、先ほど申しました道徳あるいは特別活動というような分野もございまして、そちらの方では先生御指摘のように人間尊重と男女平等の精神、特に生命の尊重、こういったことを中心に指導してきているという現状でございます。 それから後段の件でございますが、個別のその書籍については知っているもの、知らないものございますが、高等学校あるいは中学校で大変問題になっているというか、子供たちが大変かわいそうな現状があるということも承知しておりますし、そういった問題については一斉に指導するいわば教科的な授業のあり方とともに、私どもの課題として、子供たちがそういった問題を抱えたときに的確に、それからすぐにと申しますか、安心して相談できるような、個別具体のケースについてアドバイスできるような、そういった体制づくりということについて今後とも検討し、何とか応じていく体制を考えていきたいというふうに考えているところであります。
○乾晴美君 あらゆる女性に対する差別の撤廃に関する条約というのがございますけれども、その中でも男女平等下に立った教育というか、そういう中でも性教育を今後一層強めていただきたいというようにお願いいたします。 次に、法務省の方にお尋ねしてみたいと思います。この答申の中では、個々の事例における時期の判定は医師によってされるものとしています。こういうことなんですけれども、刑法の堕胎罪は中絶した女性と医師に適用されているようになっておるわけです。中絶を犯罪とするこの堕胎罪は廃止すべきである、してほしいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○説明員(東條伸一郎君) 人工妊娠中絶それ自体は刑法に書いてあることではございませんで、刑法で言いますと堕胎罪ということでございますが、堕胎罪というのは御承知のとおり、胎児がどのように発育しているかその程度を問わず、要するに自然の分娩期に先立って母体外に人工的に胎児を出すことを堕胎というふうに申しておりまして、それを先生今御指摘のように刑法では原則として処罰するという体系をとっているわけでございます。堕胎罪の保護法益は第一にはやはり胎児の生命あるいは身体の安全、これから人間になっていくものの命を守るという観点から堕胎罪という法律ができているわけでございまして、それを直ちに廃止せよということは胎児の生命尊重の見地からいろいろと議論のあるところだろうと思います。 私どもとしてはかねてから一方では女性の自己決定権といいますか、産む産まないは女性の自由であるというような見地からのいろいろな御議論もあることも承知しておりまして、堕胎罪についてどのように今後立法政策を定めていくかということは私どもの一つの課題でございますが、刑法の全面改正の過程の中でもそれぞれの委員会で非常に真剣な議論がなされたところでございまして、一応答申をいただいている改正草案の中には、なお堕胎罪は存置すべきであるという御答申をいただいておりますが、いずれにいたしましても、問題は刑法全面改正の過程の中で慎重に考えていかなければならないと思っております。現段階で直ちに廃止するというようなことを申し上げる時期ではないと思います。
○乾晴美君 こういった中期の中絶の時期が狭められるということは、堕胎罪というものの適用の拡大にもつながっていくんではないか。先ほども申しましたように、こういった堕胎罪があるということで、やみ中絶だとか自殺だとかまた嬰児殺しというようなことにもつながっていくんではないかと心配いたしますし、第一妊娠というのは男と女で成立するものだと思うわけです。それを女性と医者だけに罪がかぶさっていくということが非常に、もっといい法律というか、いい方法はないものであるかというように考えた次第でございます。ありがとうございました。 それでは次に、厚生省にお尋ね申し上げます。先ほどから、午前中もそうなんですが、ゴールドプランについていろいろお話がありました。政府が高齢者保健福祉推進十カ年戦略を策定し、来るべき「高齢化社会を国民が健康で生きがいをもち安心して生涯を過ごせるような明るい活力のある長寿・福祉社会としなければならない。」として、今世紀中に実現を図るべき十カ年の目標を掲げられておるということなんですが、私もこれ自体は非常に評価させていただきたいというふうに思うんですけれども、先ほどから論じられておりましたように、問題はどう実行していくかということにあると思います。 例えば、一九八九年十二月三十一日付の読売の「九〇財政の針路」という記事の中に次のようなことが書かれていました。これは本文というか、新聞のままなんですけれども、「老人介護のためのホームヘルパーについてみると、年間の増員数は、今年度の四千三百人を除けば、これまで毎年二千人程度に過ぎなかった。しかし「十か年戦略」では、全国三万一千四百五人のホームヘルパーを十年間で十万人に増やす計画で、そのためには、毎年約七千人ずつの増員を続けていかなければならない。 仮に、人数が確保できても、「お年寄りの気持ちを理解し、心のこもった介護ができるような人を育てるのは容易でない。教育スタッフは、そのための設備は……。考えると頭が痛くなる」(都内の老人ホーム関係者)」という声も出ておりますし、また、「私の母は現在入院中。意識がなくなったり、戻ったりを繰り返している。お年寄りの問題は一般の人より実感として良くわかっているつもり」と橋本大蔵大臣もおっしゃっていると書かれております。 ホームヘルパー十万人は毎年どのようにして確保されていくのかという、この計画なんですけれども、年次計画を教えていただきたいと思います。ただ単に十カ年といっても、私たちはよくわかりませんので、その年次計画を教えていただきたい。そしてまた、お年寄りの心を理解できるホームヘルパーをどのようにお育てになるのかということをあわせてお答え願いたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) 十年間で十万人ということで想定をしているわけでございまして、現在三万人強おりますから、差し引き七万人、それで十年で割れば一カ年平均七千人という計算だろうと思いますが、私どもは毎年毎年の具体的な仕事の進捗状況を見ながら、そしてその目標を達成していくためにはどういうふうに展開していけばいいのか、地域における事業の展開の程度も考えながら、毎年度その事業量を整備していくというやり方が最も合理的また適切なんではないだろうかと思っております。おっしゃいますように七千人平均というのはもちろん念頭に置いておりますが、そういう意味で毎年毎年の事業の進捗状況、それから市町村における理解度や定着の度合い、そんなものも勘案しながら事業量を想定していきたいと考えております。 それから心のこもったそういう担当者をつくり上げていくのをどういうふうに考えておるのかということでございますが、都道府県によるヘルパーの研修教育、それから介護福祉士の制度がございますので、そういった人たちがリーダーになりまして、現場の人たちについていろんなアドバイスや指導を行う。そんなふうなことを中心に、そして現場でいろんないい事例を私ども具体的に皆さんにお示ししながら、かつ私どももそういうガイドラインとかノーハウをお示ししながら人づくりをしていきたいと考えております。
○乾晴美君 もっと具体的にお答えが欲しかったわけなんですけれども、進捗状況を見ながらということなんですが、大まかに大体これぐらいということがおありなさるだろうと思います。この問題はこれぐらいにおかせていただきたいと思います。 それでは次に、老人医療費の負担ということでお伺いしてみたいと思います。医療保険制度では、老人保健制度の抜本改革が私は必要であると思っています。福祉、社会保障というのは国の負担と責任を第一義的に考えていかなきゃいけないだろうと思うわけなんですが、老人医療費負担の推移を見てみますと、国庫負担というのが、昭和五十八年度では四四・九%、そして五十九年度は四三・九%、六十年度は四二・五%、六十一年度は四二・一%、六十二年度では三七・四%、平成元年度では三六・四%と、だんだんと負担率が減少してきています。 しかし、サラリーマンの被用者保険の拠出金の割合の方は昭和五十八年は三〇・七%でありました。しかしそれ以後、毎年ふえ続けて昭和六十三年度予算では三七・九%、それから平成元年度予算では三七・七%となってきておるわけです。そしてまた、老人医療費に占める患者の負担率も、昭和五十八年度は一・六%だったものが平成元年度予算では三・三%と二倍に膨れ上がっているわけです。これではもうサラリーマンもたまりませんし、お年寄りもたまりません。連合だとかまたは日経連、健保連というのが一緒になって主張しているように、現行の公費負担の三割を五割に引き上げてほしいと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(岡光序治君) 先生御存じのとおり、老人医療費の負担の状況ですが、まず老人御本人が一部負担をする。これは先生御存じのとおり、定額の一部負担でございまして、そういった一部負担をしていただく。その一部負担を除きました経費につきまして国、県、市町村で三割の公費負担をする。そして、残りの七割を各保険者から拠出をするという仕組みにしているわけでございます。 今、国庫負担が老人医療費に占める割合につきましておっしゃいましたが、老人医療の制度としましてはそういうことで三割公費負担ということでございますが、その拠出をする際に、国民健康保険も拠出をしておりまして、あるいは政府管掌健康保険も拠出をしておりますので、そういう国民健康保険の拠出金、政府管掌健康保険の拠出金の中にそれぞれの制度で国庫負担があるわけでございまして、その国庫負担をカウントして全体の医療費に占める割合を出した場合に今おっしゃったような推移になるわけでございますが、これは拠出金につきましていわゆる按分率が高くなることによって国民健康保険の方の拠出金が減り、被用者保険の方の拠出金がふえた。そのことによりまして、国民健康保険には二分の一の国庫負担が入っておりますから、それで全体として少し減りぎみになったということでございまして、結果としてそうなっている。つまり国民健康保険と被用者保険の方の、政府管掌健康保険を中心としたものの割合の差が国庫負担の数字に結果としてはねておるというふうに私どもは理解をしております。 いずれにしましても、老人医療費をどのように持ち合うか、国庫負担の割合、現在は三割のうちで二割を国庫負担をしておりますが、これをどういうふうに持ち合っていくのか、あるいは一部負担についてどうしていくのかということにつきましては、大変重要な問題でございます。老人保健審議会がこの担当の審議会でございますが、一年半ほどにわたりましていろいろ御審議をいただきましたが、なお詳細は煮詰まっておりません。そういったことも踏んまえまして、できるだけ早くこういう審議会の場等を通じましていろいろ御議論をいただきまして、その費用負担のあり方を定めていきたいというふうに考えております。
○乾晴美君 こうしてだんだんと老人医療費がふえ続けていくというように思うわけなんですが、もっと適正化を図っていくということが重要だと思うんですが、例えば人間ドックを健康保険の給付対象として、現役のときから病気の予防、早期発見に力を入れていくということは、結果として老人医療費の増加を抑えていくことにつながるという健全な対策だろうと考えるわけです。この人間ドックというのは、日帰りというのじゃなくて、宿泊して泊まり込みの本格的なものとして考えたらどうかと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(坂本龍彦君) 健康診断というのが病気の早期発見、早期治療に有効であるということは今さら申し上げるまでもないわけでございまして、今後の医療を考える上において健康診断というものをどのように仕組んでいくかというのが一つの大きな課題であろうと考えております。現在、健康保険を初めといたしまして各医療保険で、現実には被保険者あるいはその被扶養者の健康増進のためにいわゆる保健施設事業というものを実施しておりまして、その中でそれぞれ保険者が独自の判断あるいは被保険者等の意見、要望等を勘案いたしまして、現実に各種の健康診断事業を実施しております。 その中で人間ドックというのも一つのそういう事業でございます。いろいろとやり方はございますけれども、人間ドックの検診項目も相当詳細にわたるものから比較的簡易なものといろいろございますので、今後はこういった保健施設事業としてできるだけこれを充実していくことが望ましいと考えておるわけでございます。特に、医療保険の場合には病気になったときの医療給付というような法律上決められた給付というものもございますけれども、このように法律で義務化をすることにつきましては、その事業の内容の問題でありますとか、実施機関の整備とか、またやり方によっては相当な財源もかかりますので、それに対する被保険者の合意と、そういった多くの問題点があるわけでございますので、私どもは保険者の判断、それから被保険者のいろいろな意見、こういうものを十分に考えながら現在の保健施設事業の充実を図っていくということが最も望ましい姿ではないだろうかと考えておる次第でございます。
○乾晴美君 時間がございませんので次にいきたいと思うんですが、昨年末の年金改革の関連法案の成立の際に本委員会、この社会労働委員会の附帯決議で政府に検討の場を設けるということでございましたけれども、早急に実施してほしいと思うんですが、その時期についてお知らせいただきたいと思います。
○政府委員(水田努君) 御指摘の附帯決議は両院でいただいておりまして、私ども当然尊重してそういう政府に検討の場を設けなきゃならぬと、こう思っておる次第でございます。この附帯決議は平成二年度、平成三年度、平成四年度の三年間の暫定措置を見直すに当たっての検討の場を設ける、こういう趣旨でございますので、私どもは最低限初年度であります平成二年度の調整事業の実績が出た段階で検討の場を設けさしてもらうのが適当ではないかと、そのように考えておりますので、その時期を目指してどういう形で構成するかということについては関係各省とこれからよく調整してまいりたい、このように思っております。
○乾晴美君 もう一問だけお願いします。 厚生年金の国庫負担の繰り延べ分一兆五千億円の早期返済を求めたいと思うんですが、これ大蔵省と厚生省に御答弁願います。
○説明員(斎藤徹郎君) 厚生年金国庫負担の繰り延べにつきましては、先般成立いたしました厚生保険特別会計法の一部改正におきまして、厚生年金国庫負担金の過去の繰り延べ分の返済見合い財源一兆五千億円を用いることによりまして厚生保険特別会計に資金を設け、当分の間この資金の運用益を老人保健制度の基盤安定化のための措置に対する財源として活用する措置を講じたところでございます。この措置によりまして、先ほど御議論がございました老人医療費に対するサラリーマンあるいは法人、企業の負担増を緩和する、あわせて国民健康保険の財政対策を講じているわけでございます。したがいまして、この返済見合い財源を用意したということで先生がおっしゃっているような意味での返済が完了したわけではございませんけれども、見合い財源を確保したという意味合いにおいて返済に向けて一歩前進したということで御理解を賜りたいと思います。 今後とも厚生年金国庫負担の繰り延べの返済につきましては、年金財政の運営に支障を来しませんようできるだけ速やかに返済をするという基本的な考え方のもとに適切に対処してまいりたいと存じます。
○政府委員(土井豊君) 私どもといたしましては、年金の繰り延べ特例措置の返済問題につきましては、今後ともよく財政当局と協議をいたしまして速やかに返済が完了するように努力いたしたいと考えております。
○西川潔君 よろしくお願いいたします。 私は、老後を安心して暮らせるには所得の保障、また、医療の保障、そして住みよい住環境、住宅問題だと思います。うまく人生の計画をしておりましても、人生というのはなかなかうまくいかないもんです。 〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕 老人保健施設や特別養護老人ホームをいつも回らせていただきまして、施設面の違いはかなりはっきりと感じるものがあります。老人保健施設の意義、特別養護老人ホームの必要性はよくわかります。ゴールドプランでも両方合わせて現在十八万九千床なのが十年後には五十二万床にするということで、厚生省も大変だと思います。マンパワーと言われております十万人と言われるような計画もそうなんですけれども、今の世の中というのはそういうふうに発表しますと、本当にできるのか、実際にこういうことが計画として出ていてもやれるのかというような誹謗中傷的なことも多いんですけれども、我々回りましてそういう言葉もいただくんですが、そういうふうに考えずに、こういう計画が出たときにはみんなで一緒にこういう目的を持ってやりましょう、力合わせてやりましょうやというようなことを僕なんかはいつも講演でもお話をさせていただくんですけれども、これはしかし国民の期待というのは大なるものがありますので、頑張っていただきたいと思います。 ただ、最近は有料老人ホームの急速な伸び、ケアハウスの新設やシルバーハウジングの建設など老人福祉施設が大変複雑になってきております。この間も回りましたらあるおばあちゃんが、養護老人ホームと特別養護老人ホームの意味がやっぱりわからないという。潔さん、特別養護老人ホームというのは養護老人ホームより特別おいしい御飯が出るのかと、また特別なおふろがあるのかというぐらいの皆さん水準なわけですね。たくさんいいものができるのは僕たちはうれしいんですが、大変また複雑にも感じるわけでございます。それぞれ目的、入所基準はあるわけですが、昭和六十一年の四月に厚生省の高齢者対策企画推進本部の報告の中でも「老人保健施設の制度化後、その実施状況を踏まえ、高齢者の入所する施設の体系について更に検討を行う。」と述べておられます。老人保健施設の実態調査の結果も出ております。各施設の実情はかなり明らかになってきたと思いますが、今後の高齢化社会の施設のあり方、一つ一つわかりやすく私たちも地元で、また全国で説明をしなければいけませんので、厚生省はどのように考えておられるのかお伺いしたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) 先生御指摘のように、高齢者の置かれた状態に応じまして最も適切な施設をつくっていく、しかもそれを体系的につくっていこうではないかという基本的な考え方でございます。幾ら在宅サービスを整備しましても住まいがなくては何にもなりませんので、そういう意味で私どもは、まず自炊が可能な程度の健康状態にある方につきましては、公営住宅でしかも必要なケアがついたようないわゆる私どもはシルバーハウジングと称しておりますが、そういったものをつくっていく、それから自炊ができない程度の健康状態で何とか生活相談であるとかそれから緊急の場合の対応であるとか、そういったものを考えていわゆるケアハウスというものを考えているわけでございます。そして、それよりももっと介護を要する、身体上また精神上に著しい障害があって介護を要する状態になった場合には特別養護老人ホームに入っていただこうではないか、こういうことで考えているわけでございます。 なお、経済的な事由で自分で生活できないという人について養護老人ホームを考えているわけでございますし、それから非常に経済的には相当余裕のある人につきましては有料老人ホームで住まいを確保するというふうなことを体系として考えておりまして、いずれにしましても、最もお年寄りの置かれた状態にふさわしい施設が利用、活用できるように、私ども今後とも体系的に整備を進めていきたいと考えております。
○西川潔君 現場でお伺いするときには幾ら待ってもなかなか私の番が来ないというようなことで、いろいろこういうふうな方法を皆さん方も考えていただいていると思うんですけれども、ひとつよろしくお願いいたします。 次に、この施設の配置なんですけれども、ゴールドプランによりますと、施設の数についてはよくこれわかります。その施設が自分たちの住みなれた地域に果たして建てられるのか、特に大都市圏ではわからないです。潔さん、いろんなところに百五十とか百六十とか建ったとかということが新聞には載っているけれども、うちの近くではちょっとも見かけぬというような話をよく聞くんですけれども、近年地価の高騰で施設の整備にもなかなか困難な状況がございますし、これもよくわかるんですけれでも、例えば、僕ら素人考えですが、今ある各駅の上にお年寄りが住んでいただけるような住宅を建設していただけるとか、それからまた、これからは学校が随分空き室がふえるというようなことも聞いておりますので、何とかうまく併設をしていただくとか、例えば複合施設、小規模施設化などを進めることが大切である。東京では既に進んでおるということもお伺いしておりますが、これはただ東京だけの問題ではなく、大阪やとか名古屋、大都市においても共通の問題だと思います。 こうした方法の全国的な展開についてぜひ大臣からお話をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 在宅のお年寄りの介護と並びまして最大の急務がゴールドプランにおきましても施設の整備でございます。委員の御指摘のとおりでございますが、大都会で現場を見てまいりますと、土地問題と住宅問題なんですね。この問題にもう大きくかかわってきているという点は、委員の仰されたとおりでございます。 そこで、現実にこういう状態でどうしていくか。とりあえずしなければならないのは、公有地と公的な施設についてできるだけ高齢社会にふさわしいものに衣がえをしていただく、あるいはその一部を使わせていただくということでございまして、これが今申された複合施設ということでございます。 〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕 これを具体化するには、それぞれの地域の、それからそれぞれの行政機関の方が理解を示していただかなきゃならないわけですが、幸いに随分理解が行き届いてまいりまして、東京でも、中学校やそれから福祉施設同士の間の複合化ということも随分始まっておりますし、現実に始まっているもののほか計画もあると承っております。大阪市におきましても、特別養護老人ホームと老人保健施設、乳児院等の複合施設が四月から開所をいたしましたし、また幾つかの公的な複合施設の整備が進行していると言われております。また、神戸市においても特別養護老人ホームとシルバーハウジングとの複合施設の例があると言われておりますが、大都会における施設の整備を図るために積極的な工夫を進めていただくように指導もし、またほかの行政機関にお願いをしてまいりたいと思います。
○西川潔君 ありがとうございました。 次に、在宅福祉について一点お伺いしたいと思います。 いろいろこれも現場からの話をお伺いするんですが、在宅福祉、老人ホームに入るときには、いろいろ前にもお伺いしたんですけれども健康診断する、難しい書類がたくさん要ります。これを何とか一回一回提出するんではなしに、例えば昨年の四月からは山口県のショートステイの利用券方式、また本年度からは和歌山県で在宅サービスの利用券方式が導入されました。今まででしたら、ホームから帰ってまいりましても、次にお世話になるときにはまた検査をして、お年寄りの皆さん方、伝染病の検査だとか、無理に起こしてレントゲンの機械の前にとかと大変でございましたが、それは前にも厚生省の方にお話をお伺いして、そういうことは大丈夫ですよというお話はお伺いしたんですけれども、この利用券、何とかこういう方法、和歌山、山口県の方では行っておられますが、一年間免許証のようなこういうカードをいただきますと、次に利用するときには電話一本で、はい、今あいていますから、すぐに西川さんお越しください、津島さんお越しくださいということになるんですけれども、こういう方式について何かお考えをお持ちでしょうか。
○政府委員(岡光序治君) こういった在宅福祉サービスが定着普及をするということが必要でございますので、こういった利用券方式というのは非常に大きな示唆をしている、示唆を得ている。示唆を得た上で、私どもいろいろまたこれが悪用されるという指摘もありますものですから、そんなふうなことも踏んまえながら、どうやったらサービスを必要としている人が簡単な手続で、しかも必要に応じて利用されるようにということ、システムについていろいろ考えたいと思っております。
○西川潔君 厚生大臣、随分お金もかかることだとは思うんですけれども、この利用券方式というのを全面的にバックアップしていただきまして、何とか大臣がいらっしゃるときに進めていただくようなことにはならないものでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 現在の在宅福祉の問題点は、需要の喚起と申しますか、立派な福祉サービスがお宅まで、俗な言い方をすると出前で来てくれるんだということを案外知らない方もあるのでございますね。それでまた、そういう需要が起きてきませんと、先ほどから各委員から御指摘のヘルパーさんの働く場所も思ったとおり広がらないというようなことで、現在は在宅福祉サービスをどんどん普及をしていく段階だと思われます。 そういう意味で今、政府委員から、利用券というのは確かに使い方によってはいろいろ議論はあるんですけれども、しかし私は、基本的に利用券方式というのはいいと思っています。今はだからそういう工夫でもしていただいて、どんどん利用しやすいように、気軽にどこでも使っていただくということに重点を置いて進めていくべきであろう、恐らく事務方もそのつもりで、どちらかといえば積極的に対応しておると思いますが、利用券にとどまらず、それぞれの地域で、どこでもいつでも気軽にという考え方に沿って、御示唆をいただければ、こちらとしてもいいものであればどんどん応援をしていきたいという気持ちでございます。
○西川潔君 ぜひこれは本当にお願いいたしたいことでございますのでよろしくお願いいたします。 次に、障害年金のことについてお伺いしたいと思います。障害厚生年金の事後重症制度についてお伺いします。 昭和六十年の年金制度改正の際に事後重症制度も改正されておりますが、その経緯をお話しいただきたいと思います。
○政府委員(水田努君) 厚生年金は、けがの場合は症状固定、それから内部疾患の場合は、初診の日から一年半経過したところで、その状態で障害年金を認定するという形できていたわけでございますが、五十一年の改正で初めて事後重症という制度が導入されまして、初診日から五年以内であれば一年半経過しても事後重症によって救済をする、こういう形をとっているわけでございますが、今先生御指摘の六十年で大きな年金制度の改正があったわけでございまして、基礎年金の導入のもともとの原形になりました旧国民年金においては六十五歳までは事後重症を認める、こういう形に相なっておりましたので、その二階部分に相当する厚生年金についても六十五歳に至るまでは事後重症を認める、こういう形に改正をした次第でございます。
○西川潔君 実は局長、私も全く素人でございますので、お手紙を毎月八十通から百通ぐらいいただくんですけれども、それに一つ一つお返事は出させていただくんですが、その中で珍しいお手紙をいただきましたものですから、早口になりますが、ちょっと読ませていただきます。 私は昭和四十七年の三月頃建築会社の事務員をしておりました。ある時急に目の前に虫が飛ぶ様な病気になり、A医院に治療を受けに行きました。その後、目の状態がよくならず、書類が書きづらいので昭和四十七年に退社。その後、飲食業を自家営業しました。しかし、視力は少しずつ低下し、昭和五十四年にB病院に転院し、現在もその病院で治療を受けています。現在の視力では飲食業を営業しにくいので、平成元年四月に府立盲学校へマッサージを習うべく入学しました。 通学期間は二年です。その間無収入となるので、会社に勤めていた時の厚生年金の障害年金を生活費とするつもりでした。 障害厚生年金の申請は、元年の五月に書類を整えて社会保険庁に送りましたところ、現在通院している病院の診断書は提出してあったのですが、最初のA医院の診断書が必要だと通知が返ってきました。 そこで、早速A医院に出かけましたところ、当時のカルテが無いので診断書は書けないと言われ、自分の申し立による証明書をもらい提出しましたが、それでは確認ができないので障害厚生年金を受け取ることが出来ないと言われました。 つまり、初診日の昭和四十七年に厚生年金被保険者であった当時の障害が次第に悪くなり、障害等級に該当するようになったため障害厚生年金の申請に行ったところ、初診日に厚生年金被保険者であった証明、つまり医師の診断書などが必要であると言われたわけです。医師の診療記録は既に処分されていたため証明することができずに障害厚生年金を受給できなかったケースなんです。 そこで、僕がお伺いしたいのは、医師の診療記録の保存期間は五年とされております。この方のように障害のために仕事を変えたり、やめたりしなければいけないような場合は、五年以上前に初診日のあった障害についての証明は事実上難しいのではないかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(土井豊君) ただいまお話しの事後重症の認定の問題でございますが、初診日に厚生年金に入っていたか、国民年金に入っていたかということによって取り扱いが違うものですから、初診日を確認するために、カルテに基づいた医者の証明というものを基本的な資料として認定の基礎に置いております。ただ、お話のとおりカルテの保存期間が五年でございますので、それ以上に古い場合にはカルテがないというケースが現実にはございますが、その場合に私どもとしましては、健康保険の傷病手当金の記録でありますとか、病院の入院記録でありますとか、受診の受け付けでありますとか、あるいは交通事故なんかの場合には事故証明でありますとか、客観的だと思われるいろんな形の資料を出していただきまして、その上で判定をするというようなことにしておりまして、あくまで公正な審査を担保するに足りるような客観的な資料というものがないかということで具体のケースごとに当人といろいろ話をしているというのがこれまでの実際の事務の処理の仕方でございます。 今お話しのケースにつきましては、A病院が四十七年、それからB病院が五十四年ということで、いずれも相当古い時期でございますが、B病院の初診に関してはカルテがございまして、それに基づいて国民年金の障害基礎年金というものの手続につきましては既に完了したというふうに了知しておりますけれども、前者のA病院の関係につきましては、残念ながら客観的な資料というものがございませんので、その点については認定できないというような形で処理をしてきた経緯でございます。
○西川潔君 ありがとうございました。 随分お手紙をいただきまして皆さん方にも御迷惑をおかけして、僕もいい勉強をさせていただきました。本当に国民年金は掛けておかなければいけないなと、この方も大変喜んでおられました。 事後重症制度は昭和六十年の年金制度の大改正の際に、それまでの五年という期限を撤廃し、六十五歳になるまでに重症化すれば障害年金が給付されることになったわけですが、この事後重症制度の期限の撤廃は障害年金制度の大きな前進の一つであり、また皆さんが待ち望んでいたことであったわけですから本当に結構ですが、しかしカルテのない五年以上前の障害についても厳密な証明を求めていては事後重症の期限の撤廃の意味がないのではないかなと、素人考えですが、せっかくの制度改正なのですから、その趣旨を生かすことができるように何とか御配慮していただくような手だてがもう一つ突っ込んでないものでしょうか。
○国務大臣(津島雄二君) 委員御案内のとおり、障害年金もみんなの助け合いという保険制度方式で運営しておりますから、障害の原因となった事故がどの制度に加入している期間内に発生したかということを明らかにしないと制度に乗らないわけでございます。 初診日を明らかにする書類としてカルテに基づく医師の証明が最も信頼の置ける書類として取り扱われてきたということは政府委員からの御答弁のとおりでありますが、今後は公正な審査のできる範囲内でできる限り弾力的な運用を図るように担当の方に私から指示をすることにいたしたいと思います。具体的にどういうやり方があるかはまた担当の方でいろいろ工夫をしていただいて、公正な審査をしなきゃいけませんけれども、カルテがなけりゃどうしてもだめだというものでもないんではないかというふうに、検討させますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○西川潔君 どうぞひとつよろしくお願いいたします。 もう皆さん方のお仕事は本当に大変なお仕事だと理解しております。どうぞひとつよろしくお願いします。 それでは、終わります。
○委員長(浜本万三君) 本件に対する質疑は以上で終了いたします。 —————————————
○委員長(浜本万三君) 次に、食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。津島厚生大臣。
○国務大臣(津島雄二君) ただいま議題となりました食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 我が国におきましては、近年、国民の食生活の多様化や健康志向の高まりなどに伴い、食鳥肉の消費量が大幅に増加してきております。また一方で、食鳥の疾病罹患率も高くなってきており、こうした食鳥肉に起因する食中毒や疾病の発生を防止するため、食鳥肉の検査制度の創設が必要となってきております。 さらに近年、国際間の食鳥肉の輸出入も大幅に増加してきておりますが、今日主要先進国において、一羽ごとの食鳥の疾病検査制度が存在しないのは我が国のみであり、その早急な制度化が望まれております。 このため、食鳥肉等に起因する衛生上の危害を防止するため、食鳥処理の事業について、その事業を都道府県知事の許可制とする等必要な規制を行うとともに、食鳥検査の制度を設けることとし、この法律案を提出することとした次第であります。 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、この法律は、食鳥処理の事業について衛生上の見地から必要な規制を行うとともに、食鳥検査の制度を設けることにより、食鳥肉等に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もって公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とすることとしております。 第二に、食鳥処理業者は、一定の構造・設備基準に適合した食鳥処理場ごとに都道府県知事等の許可を受けなければならないものとし、その食鳥処理場ごとに、一定の資格を有する食鳥処理衛生管理者を置き、一定の衛生管理基準に従って食鳥処理等を行わなければならないこととしております。 第三に、食鳥処理業者は、処理を行うすべての食鳥等について、都道府県知事の行う食鳥検査を受けなければならないこととしております。 なお、食鳥処理業者のうち、処理羽数が一定の羽数以下の者については、食鳥処理衛生管理者に食鳥等の状況が一定の基準に適合することを確認させること等により、食鳥検査を要しないものとしております。 第四に、食鳥検査は、厚生大臣の指定する者に行わせることができることとしております。 以上のほか、食鳥肉を輸入する際に、輸出国の政府機関によって発行された安全性に係る証明書等の添付を義務づけるため、食品衛生法の改正を行うほか、所要の措置を講ずることとしております。 なお、この法律の施行期日は、平成三年四月一日からとしておりますが、食鳥処理衛生管理者の資格等に係る事項については公布の日から、また食鳥検査等に係る事項は平成四年四月一日からとしております。 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(浜本万三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○菅野壽君 食鳥処理規制、食鳥検査については、かねがね制度の整備が要請されていたと聞いておりますが、今回ようやく検査制度を設けるための法案が提出されるに至りました。これまで制度的に空白があったところに新しいシステムが導入されるわけでありますが、それだけに今回の法案がどういう内容か、公衆衛生の向上等にどういう効果を期待することができるか、吟味しなければならない点は種々あると思います。 そういう問題で、私は以下、検査体制の確立に絞って質疑を行いたいと存じます。 まず第一に、この法案の提出された背景はどういうものでございましたか、御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(目黒克己君) この法案の背景といたしましては、まず我が国の食鳥肉の生産量が近年大幅に増加をいたしまして、世界有数の生産国となっておりますが、公的な検査制度がなく、国際的に見て立ちおくれているということ。第二に、食鳥肉の消費量が大幅に増加する一方、食鳥の疾病罹患率も高く、カンピロバクター食中毒等、食鳥肉に起因いたします食中毒も発生していることから、疾病罹患の食鳥肉の排除、あるいは食中毒細菌汚染防止等、その安全性の確保が急務になってきたということ。三番目に、近年食鳥肉の輸入が増加しておりまして、これらの食鳥肉の安全性を確保するためには、国内におきます検査制度を創設して輸入食鳥肉への衛生証明書の添付を義務づけることが必要であること等がございます。 このような状況を踏まえまして、昭和六十年から食鳥検査制度検討委員会を設けまして、諸外国で行われております食鳥の公的検査の我が国におけるあり方等について検討を進めました結果、早急に検査制度を導入して食鳥肉の安全と衛生を確保すべきとの報告を昭和六十二年にいただきまして、それに基づいてこの法案を提出することとしたものでございます。
○菅野壽君 これまで長い間公的検査制度がなかったとの御説明でありますが、我が国の食鳥肉生産量は自由主義世界では第二位であります。検査制度がなく、国際的に見て大きく立ちおくれているために輸出もできなかったというふうに聞いておりますが、諸外国においては食鳥検査制度はどういう状態でございましたか。制度成立の時期、規制対象、検査員の要件、検査内容等その概要について教えていただきたいと思います。御説明願います。
○政府委員(目黒克己君) 諸外国の状況でございますが、欧米諸国を初め、ブラジル、それからタイ等、食鳥の主要生産国におきましては既に食鳥の公的検査制度が導入されておるのでございます。 まず、制度の成立の時期につきましては、一九五〇年代、米国、カナダ、ブラジルで制度がつくられております。一九七〇年代にはEC、英国等、それから一九八〇年代にタイ、ハンガリーというような状況でございます。 また、規制の対象につきましては、鶏、七面鳥、アヒルについてはすべての検査の実施国において対象といたしております。また、そのほか国によりガチョウ、あるいはホロホロ鳥等も対象となされているのでございます。 次に、検査の内容につきましては、獣医師を中心といたしました食肉検査官によりまして生体検査あるいは脱羽後の検査あるいは内臓摘出後の検査を行っているものでございまして、本法案によります食鳥検査とほぼ同様のものでございます。
○菅野壽君 諸外国はかなり早い時期から検査制度を設けている。これに比べて我が国では食鳥検査制度の整備がおくれた、その理由はどういうわけか。それから最近十八年間に食鶏の出荷件数は三億六千五百万件から八億四千五百万件に増加しておる。このような状況で、近年政府は、ただ業者の自主規制に任せてきたのか、最近制度整備に関してどのように努力していらしたか、それをお聞きします。
○政府委員(目黒克己君) 我が国におきまして、食鳥の大量の生産が行われるようになりましたのは昭和四十年以降でございます。それ以前は、どちらかと申しますと農家の庭先での小規模な飼育が中心でございました。したがいまして、食鳥の検査制度の必要性が相対的に乏しかったといったようなところでございます。その後、この生体の処理量が御指摘のように百万トンに達した昭和五十三年でございますが、食鳥処理加工指導要領を定めまして、食鳥処理業者に対しまして疾病罹患の食鳥肉を排除するための全部の羽数、全羽の自主検査を行うように指導いたしました。また同時に、都道府県の食品衛生監視員を対象に毎年講習会を開催するなどいたしてまいりまして、この疾病罹患の鳥の排除に努めてきたのでございます。しかしながら、食鳥の処理業が大規模化いたしまして、処理量が当時の二倍に達するということになってまいりまして、またその流通も広域化をしてまいりました。今日に至りましてはこの指導要領の実効も上がっていないのが現状でございました。このようなことから食鳥検査制度検討委員会の報告に基づきまして、食鳥検査制度を法制化する必要がある、このように考えて本法案を提出した次第でございます。
○菅野壽君 これまで全く公的検査をしていなかった食鳥について、鶏で見ますと約八億五千万羽を対象として一羽ごとに検査制度を実施することになりますと相当の検査量になると思われますが、どういう検査体制で行われますか、お伺いします。
○政府委員(目黒克己君) 御指摘のように年間八億五千万羽、施設の数にいたしまして約三千五百の施設が処理をいたしております。この法案では一羽ごとにこの検査をするわけですが、具体的には三十万羽を超えます食鳥処理場には都道府県等の食鳥検査員を派遣いたしまして、その監督のもとに食鳥処理場の食鳥処理衛生管理者、これを置きまして疾病の検査を実施するということでございます。この食鳥の検査は厚生大臣が指定いたします検査機関に都道府県あるいは市が検査の委任ができるということにいたしております。 また年間三十万羽以下の小規模の処理場でありまして都道府県の知事が認定した業者につきましては、食鳥処理衛生管理者に異常の有無を確認させまして都道府県等の検査員が巡回して指導することといたしておるのでございます。 また、この食鳥検査の対象となっております食鳥処理場は、先ほど申し上げましたように数があるわけでございますが、食鳥処理羽数全体の九五%が、約三百施設でこの対象となっているのでございます。
○菅野壽君 現在牛、豚等の検査を行っている屠畜検査員について見ますと、全く専任を置いていない県が十三県、兼務であって主に屠畜検査を行っている者を置いてない県が九カ県、このような状態で新たに食鳥検査員を確保することは容易でないと考えますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(目黒克己君) この食鳥の疾病検査につきましては、先ほど申し上げました食鳥衛生管理者の活用等によりまして必要な検査員、これは獣医師でございますが、この数が約三百名、各都道府県で平均いたしますと約三・八名程度でございます。また都道府県、市によりましては必要な獣医師の確保が困難な場合も考えられますので、指定検査機関の制度を導入いたしました。また、これらの措置を講ずることによりまして必要な検査員の確保は可能であろうと私どもは考えているところでございます。
○菅野壽君 年間処理数が三十万羽以下の事業所においては食鳥検査を要しないものとし、これらの業者は従業員である食鳥処理衛生管理者に異常の有無を確認させなければならないとされていますが、これではいわゆる自主検査でございますが、三十万羽で線を引いた根拠はどうしたことか。また、このような制度を設けた理由をお聞きします。
○政府委員(目黒克己君) 公的な食鳥の検査を免除いたしますこの食鳥検査の処理施設は一カ所当たり年間処理羽数が三十万羽以下というのを線を引いて考えているわけでございますが、これはこの小規模な食鳥処理場にありましては処理から小売まで比較的短時間であるということ、それから流通先も限定されているということ、それから食鳥一羽ずつ丁寧に手作業で屠殺、解体等をすることといったことから異常の発見というものがしやすいということを考慮したためでございます。また、これらの施設で一日当たりの処理羽数につきましては一千羽程度と考えておりまして、年間三百日稼働することといたしまして小規模の食鳥処理業者の規模を年間の処理羽数三十万羽以下というふうにしたところでございます。
○菅野壽君 法案のベースになっております食鳥検査制度検討委員会の報告によりますと、このような小規模処理業者の特例的な制度についてはどうも否定的であったようでございますが、すなわち昭和六十二年五月の同委員会の報告によりますと、「一定規模以上の施設に限定し公的検査を実施することについては、同じ食鳥肉で公的検査を受けたものとそうでないものが存在し、その結果、同じ食鳥肉として流通するものに衛生上の差が生ずるので、困難と考えられる」とされております。特にこの点について昭和六十一年の中間報告発表後、検査制度の基本となる検査対象について、「一定規模以上の施設に限定し公的検査を実施し、それ以外は自主検査とすること。」という意見が出されていましたが、検討委員会としてはこの意見に否定的な見解を明らかにしたものであります。厚生省は何ゆえ検討委員会の報告のとおりにしなかったのか、また自主検査となる小規模処理業者に対してどういう今後監督を行いますのか、お伺いいたします。
○政府委員(目黒克己君) 御指摘のとおりの記述がこの委員会の報告にございますが、またほかの場所で同じように小規模の食鳥処理施設については検査の方法、施設設備の基準等について十分配慮し、検査制度が円滑に施行されるようにすることというようなことも同時に記載されているのでございます。 これらの報告書に書いてございます指摘を踏まえまして検査制度のあり方を検討いたしました結果、小規模の食鳥処理業者に対しましては都道府県知事に対する報告、それから都道府県の検査員による巡回指導等、食鳥肉の安全と衛生の確保の措置を前提といたしまして食鳥処理衛生管理者に異常の有無の確認を行わせる、このような制度にしたわけでございます。
○菅野壽君 食鳥処理衛生管理者が脱羽後の検査、内臓摘出後の検査につきまして異常の有無を確認した場合に検査方法を簡略化できるものとされていますが、この管理者が処理施設の従業員であることを考えますと、適正な検査を確保するために妥当でございますかどうか、お伺いいたします。
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の食鳥検査員は、これは獣医さんでございますが、食鳥処理衛生管理者がこの業務を適正に行っているかどうかとか、あるいはそのようなことを常に監督をいたします。と同時に、みずからも食鳥処理衛生管理者による選別が行われた後、厳正なチェックをすることといたしておるのでございます。このほかに、この不適切な食鳥処理衛生管理者を解任することもできるというふうになっておりまして、検査の公正性は十分に確保できるというふうに私ども考えております。
○菅野壽君 今度の制度導入によりまして、検査の費用が国民の食生活の食品価格に上乗せされることが考えられますが、その点はどういうふうに考えられますか。
○政府委員(目黒克己君) この検査の手数料の額につきましては、実費を勘案いたしまして政令で上限を定めるということにいたしております。その範囲内で各都道府県の知事あるいは市長が実際の額を定める、このようなことにいたしております。 政令で定める額につきましては実費を調査する必要がございまして、現時点では算定することはできないんですが、おおむね一羽当たり数円の範囲にとどまるものと思われているのでございます。一羽のブロイラーが小売段階で幾らで販売されるかという計算は大変難しいんでございますが、おおよそ一羽当たり千円から千百円程度と考えられておりますので、消費者価格に与える影響は小さいと私どもは考えているのでございます。
○菅野壽君 このあたりでやや論点を変えてみたいと思いますが、既に規制の対象となっております牛、豚の場合と今回の食鳥の場合と検査上の主な相違点をお聞きしたいと思います。
○政府委員(目黒克己君) この法案はと畜場法との比較がされているわけでございますが、主な相違点を申し上げますと、まず、年間処理羽数が三十万羽以下の小規模食鳥処理業者につきましては、食鳥処理衛生管理者に異常の有無を確認させるようにしたということ。それから二番目に、食鳥処理業者に一定の資格を有する食鳥処理衛生管理者の設置を義務づけたこと。それから三番目に、指定検査機関を設けることとしたこと等でございます。 これらの点につきましては、まず最初の小規模な食鳥処理業者の扱いについてでございますが、この小規模な食鳥処理業者については、処理から小売まで先ほど申し上げましたように比較的短時間であるし、流通先も限定されているということ、あるいは丁寧に一羽ずつ処理することといったようなことから異常な食鳥屠体とか内臓等の発見がしやすいということで、衛生上の問題が少ないといったようなことを考慮したわけでございます。 二番目に、食鳥処理衛生管理者の設置ということにつきましては、食鳥処理場の衛生的管理とそれから食鳥肉の衛生的取り扱い等その衛生水準の維持向上を図るということ及びこの効率的な検査や異常の確認を行う必要があるということなどから、食鳥処理場ごとに衛生管理の責任者として一定の技能の経験を有する食鳥処理衛生管理者の設置を義務づけるようにしたということでございます。 また三番目に、指定検査機関を設けることとしたわけでございますが、これは検査のすべてを都道府県及び市の職員に行わせることとした場合には多数の人員増が必要でございます。その確保が困難な場合も予想されますことから、民間活力を活用するということが効果的であるということと、検査が獣医師による専門的な判断であることから、指定検査機関の監督を適正に行えば特段の問題は生じないということでございまして、このようなことから指定検査機関を設けることとしたわけでございます。 以上が主な相違点でございます。
○菅野壽君 全体の約四割が従業員十人以下、三割弱が従業員五人以下、このような小規模企業において制度導入によって施設等の負担は過大にならないんでしょうか。 また、本法施行に当たって、例えば中小企業金融等の面でどういう改善が行われる方針でございますか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(目黒克己君) 現在、この食鳥処理を営んでおります者は、食品衛生法に基づきます食肉処理業の許可を受けておりまして、その構造、設備も基準に適合しているものでございます。今回、食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律案に基づきまして許可がこちらへ移行することになるわけでございますが、構造、設備の基準につきましては、現行の基準をベースに処理規模に配慮した基準の設定を考えております。食鳥肉の安全性確保を前提としておりまして、小規模な処理業者には可能な限り経済的な過重な負担とならないようにしてまいることといたしております。 それから、食鳥検査法の円滑な実施を図るという観点から、食鳥処理業者に対する助成とか融資等につきましては関係省庁とも十分協議して対応してまいりたいと思っている次第でございます。
○菅野壽君 周知のとおり、輸入食品の件数は年々増大の一途をたどっております。これに対して厚生省はどういう方策を講じてきたか、また今後どのように対策を充実する方針でございますか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(目黒克己君) 輸入食品が非常に増大をいたしてきているわけでございますが、輸入食品の増大に対応いたしますために、私ども輸入食品の監視業務につきまして、全国二十一の検疫所におきまして八十九名の食品衛生監視員が食品衛生法に基づく監視に携わっておるのでございます。同法に違反するものにつきましては、廃棄あるいは積み戻し等の処分を行うなど輸入食品の安全性に努めているのでございます。 また、近年、輸入食品が急増いたしましたので、従来、検疫所において食品衛生監視員の増員とか検査機器の整備等の検査体制の充実強化といったようなものを行っているところでございます。平成元年におきましては食品衛生監視員九名の増員、それから効率的な監視を実施するための監視の窓口の設置、新設、それから高度の検査機器の整備等を行ってまいったところでございます。なお、平成二年度の予算案におきましては、食品衛生監視員の十名の増等を予定いたしておりまして、今後とも輸入食品の監視体制の充実を中心に安全性の確保に努力してまいる所存でございます。
○菅野壽君 最後に厚生大臣にお伺いしたいのでございますが、先般の所信表明で「生涯を通じた健康づくりや安全で快適な住みよい暮らし」を約束されました。厚生行政についてはベテランの大臣でいらっしゃいますから、本法案についても十分御承知のことと思いますが、この法案は検討委員会報告等にあらわれている公的検査制度の確立への有識者の要請をいわゆる民活路線に修正したものではないでしょうか。そこに大きな問題があるのではないか。この点についてお伺いいたしたいと思います。 また、先ほど来いろいろと御答弁されたところからも明らかになりましたとおり、今般の新制度の導入に当たり公的検査の部分が小さいこと、十分な検査体制の確保について大変な努力を要すること等、今後の政府の努力をどうされていくのかがこの制度が実効あるものになり得るかどうかの決め手となる、法施行に当たっての大臣の御方針を承りたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 食鳥は国民の食生活の重要な部分でございますが、国民に安全な食生活を送っていただくために、法改正を踏まえて大きな前進を図りたいというのが今度の法案の提案の理由、目的でございます。本法案が御採択いただければ、その施行に当たりましては、食鳥肉に起因する衛生上の危害の発生を防止するという法の目的に従いまして、食鳥検査員の確保等十分な検査体制を確立をいたしまして食鳥肉の安全性の確保を図り国民の御期待にこたえたいと思います。
○菅野壽君 終わります。
○木庭健太郎君 まず、この制度につきましては、もともとカンピロバクターの問題とか従前から指摘されていたわけですから、正直言いましてようやくできたか、遅かったなということを指摘しておきたいと思います。 それで、私どもは先般党の方で、どういうふうにしてこれを処理するのかということで三十万羽以上の処理をしております処理施設を実際に調査というか見さしていただきました。まず最初に鳥が生きたまま来て、金具で足を引っ張られて逆さまにつるされてわあっとベルトコンベヤーで運ばれ、あっという間に羽をむしられ、はっと気づいたら肉になっているという、何か見ていて食文化とは何かなということまで考えたくなるように、正直その後ちょっと鳥が食べられませんでした。それは別問題でございますけれども、とにかく一秒間で、見ていても数羽が目の前をざっざっと通り過ぎるわけですね。ああいう状態を見ていると、なかなか制度ができても厳正にやるためには難しい面もあるなということを正直言って感じました。 それ以上に、一番ちょっとこれ心配だったのは、大規模施設でも結局食鳥処理衛生管理者というのを置けるようになっております。これは言われているように、従業員がその管理者になるわけですね。そうなると、現場の方がおっしゃっていたんですけれども、数時間の間は自分で鳥肉を処理する、その業務をする、数時間は今度は管理者として鳥の処理されるのを検査する、そんなことになるということをちょっとおっしゃっていたものですから、そういう状況の中で公正さという問題がなかなかこれは難しいなということも感じました。 ですから、これからの問題ですけれども、管理者の資格を取らせるときにどれだけ厳正にやっていくのかというのが大きな問題でしょうし、また、講習会ももちろんやるとおっしゃっておりますけれども、資格を取るための講習会で終わるのじゃなくて、例えば講習会というのは管理者になった後も定期的にやるなり、何かそういういつもチェックできるような機関をやっておく必要があるというふうに私は感じたんですけれども、その点について御見解があればお伺いしたいと思います。
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の食鳥衛生管理者が処理場にいて実際に食鳥検査員とともに食鳥検査を行うという構成になっているわけですが、先ほども申し上げましたように、この食鳥検査員の方に非常に強い権限と申しましょうか監督権と申しましょうか、そういうものをつけているわけでございます。また同時に、立入検査等も行われるような制度にもなっているわけでございます。また、不誠実な、あるいは不適切な判断をするような食鳥処理衛生管理者は解任することができるといったようなことで、先ほど来申し上げましたような公正さを保つために十分な制度をつくり上げていくということでございます。 その根幹になりますもう一つの資格の問題あるいは講習会等の問題でございます。食鳥処理衛生管理者の方でございますが、食鳥処理衛生管理者の資格は、食鳥肉が疾病の罹患による異常があるかどうかというものを判別するだけの知識、能力を有する者、このように考えているのでございます。食鳥検査員の方は、これは獣医師さんでございます。したがいまして、この衛生管理者の方は一定の技能とか経験を有することを資格要件にしております。 この講習会の内容でございますけれども、食肉の安全を確保するということに視点がございますので、食鳥処理場や食鳥処理の衛生管理あるいは食鳥の異常の確認を行うために必要な最低限の事項について講習を行う、このようにいたしているのでございます。 また、先ほど申し上げましたように、立入検査とかあるいは非常に強い監督等もいたしますと同時に、資格取得後の再講習については私どもは今の時点では考えていないのでございますが、とりあえずは現行スタートをする時点で適正な講習会を行うことによって食肉の食鳥処理衛生管理者の拡充をするということにまず重点を置いてまいりたい、このように考えているところでございます。
○木庭健太郎君 厳正にしてそういうおかしなことがあれば処罰するというんじゃなくて、それじゃ後退した行政ですから、その人たちが本当に保たれるのかどうかというのを積極的に行政が働きかけていくのが私は筋だと思いますので、その辺もお願いしたいと思います。 それともう一つ、実際に行ってみまして、改造、いわゆるそういう処理ラインをつくるために私たちが見学したところは工場全体をやりかえていらっしゃいまして、工場全体やりかえるとどれぐらいかかるんですかと言いましたら、大体七億ぐらいかかると言うんですね。結構な額でございまして、処理ラインだけなら一億かからないというようなこともおっしゃっていました、それでも大きな額でもございますし、先ほどおっしゃっておりましたけれども、いわゆるこういう人たちの制度が変わることによる費用、そういった部分については一部を融資するなり、先ほど協議するとおっしゃっていましたので、ぜひそれはやっていただきたいということで要望しておきたいと思います。 もう一点、検討委員会の最終報告の中では、例の抗菌性物質など残留物質の問題について、そういうものが疑われるものについては抽出検査により検査を行うというような一項目がたしかあったと思います。今回の制度の中ではその部分が外されておりますし、食品衛生法上でやられるとおっしゃるんでしょうけれども、何かその辺ももう少し強化していただきたいということを思っているんですけれども、その点についてお願いします。
○政府委員(目黒克己君) 食鳥肉に残留をいたします抗菌性の物質等のいわゆる残留物質対策でございますが、牛や豚と同じように現行は食品衛生法で対応しているわけでございます。 今回の法案には盛り込まなかったのでございますが、検討委員会の報告では先生御指摘のように触れているわけでございますが、この重要性にかんがみまして、また食鳥肉の衛生確保の観点から私どももこの必要性、重要性は十分認識をいたしておるのでございます。今後農林水産省とも提携を密にいたしまして牛、豚等含めましてより実効性のある対策を検討してまいりたい、このように思っているところでございます。
○木庭健太郎君 先ほども質問があっておりますけれども、輸入食品の安全性チェックの問題でございます。先ほど御指摘あったように年々増加しておりますし、厚生省としても平成二年度十人の増員ということもおっしゃっております。ただ、大臣として、今後輸入食品の安全性チェックに対して消費者保護の立場からどういうふうな体制までもっていきたいというような御決意があれば、ぜひ一言お伺いしたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 現在、輸入食品につきましては全国二十一の検疫所で八十九名の食品衛生監視員が監視業務に当たっております。この監視体制を充実するために先ほどもお話しございましたが、昨年度は監視員を九名増員いたしまして、ことしはまた十名を今予算で増員をお願いをしておるところでございます。 今後とも輸入食品の増大等に応じて必要な食品衛生監視員の確保、検査機器の整備等食品の安全性確保に支障のないように万全を期してまいりたいと思います。
○木庭健太郎君 最後に一つ。ようやくこうやって食鳥肉の検査制度ができようとしているわけですけれども、もう一つ早急にやらなくちゃいけない問題が今一番指摘されておりますポストハーベスト農薬の問題でございます。例えばアメリカで今収穫後使われている五十八物質のうち二十二種の農薬は日本でまだ未登録で製造、販売を認めていないものでありますし、問題点が非常に多いように思います。厚生省ではこの問題については平成三年度中に残留基準値を決めるというふうな方針を伺っておるんですけれども、もう少しこれについても前倒しをするなり消費者保護の面からやっていく必要があるんじゃないかと思うんですけれども、このポストハーベストの問題についてお尋ねして、最後にいたします。
○政府委員(目黒克己君) 御指摘のポストハーベストでございますが、これは先生御承知のように、農産物の保存性を高めて、世界的な食糧の安定供給を確保するということで諸外国におきましてはポストハーベスト、収穫後に使用する農薬の使用が広く認められているのでございます。我が国ではほとんど使用はされておらないのでございます。このポストハーベストの農薬は、収穫の後に使用いたしますものですから、この残留量がおのずから高くなってくるわけでございます。 このために厚生省では、安全確保の観点から、先生今御指摘のように、平成元年度からポストハーベスト農薬対策といたしまして、輸入農産物における残留実態調査等を進めておるところでございます。また、輸入農産物のポストハーベスト農薬残留基準を整備していくということも考えておりまして、このスケジュールにつきましては、主として穀物等の主要農産物、これについては平成三年度を目途に基準の整備を進めてまいりたいと考えているのでございます。これは御指摘のとおりでございます。 ポストハーベストの農薬基準の設定でございますが、輸入農産物の残留実態を調査するとかあるいは安全情報の収集を行うとか、あるいはまた関係各国との協議、それからガット・スタンダード・コードに基づいた通報等々の手続も私ども必要なのでございます。 またソフトウエア等を含めました基準を支える検査方法等も開発していかなければならない、あるいは開発というとちょっと語弊がございますが、いろいろな学者がいろいろな方式等を使用しているわけでございますし、また国際的にもいろいろな基準があるわけでございまして、これらを総合的に勘案をいたして、私ども平成三年度を期して基準の整備を進めてまいりたいと、このように思っているところでございますので、どうもこの日時につきましては御理解を賜ればと思っておるのでございます。 いずれにいたしましても、私どもできるだけ急いでやりたいと、こういうことで頑張っておるのでございますが、今申し上げました事情がございまして、どうしても物理的な日時を要するという面を御理解いただければと思っておる次第でございます。
○沓脱タケ子君 食品の安全性に対する国民の関心というのは大変高まっているときであります。食鳥肉による食中毒の増加だとか、食鳥肉の抗菌性物質だとか残留農薬の検出、卵にまで検出されると言われているときでありますので、本来ならこれは十分な時間をとって審議する課題であろうと思うわけでございます。今回は大変限られた時間でございますので、私、問題として、本来ならやりたいと思うところでございますが、その一つは公的検査実施がこの法律によっていよいよやられるということになるわけでございますから、本来都道府県等が食鳥検査員の確保を困難だ、困難だと言うんではなくて、そのことを中心として検査の徹底を図るべきであると思うわけです。今回はまあ民間団体への委託という形で八億五千万羽の処理をやるんだとこういうわけですが、その点は国民の信頼性からいいますと、本来そういうことが考えられなければならないんではないかということ。 それからもう一つは、やはり検査料、先ほど数円だと言われておりましたけれども、検査手数料というのをできるだけ安くする、低額にして消費者に物価のはね返りの起こらないように、あるいは業者への影響を少なくすると、こういうことの配慮というのは極めて大事だと思います。 それから、この問題はせっかく法律をつくったけれども、その食鳥肉の検査と食品衛生の検査と二本立てになってくるわけですね。そういう点で輸入食品の激増というあたりが今日の問題点になりますので、食品衛生監視員の増員、これはもう各委員からも言われましたけれども、これは何としても思い切った増員と検査機器の整備、そして検疫所の監視体制の充実、これらは幾ら主張しても、強調してもし切れない問題であろうと思うわけでございます。 私、極めて限られた時間なので、これらの一つ一つについて御答弁をいただこうと思っておりません。したがって、問題になっております小規模処理業者に限って二、三お聞きをしておきたいと思うのです。関西では、この小規模処理業者、かしわ屋というのですね、町のかしわ屋さんなんです。こういう小規模処理業者の問題を考える場合に、二つの点を考える必要があろうと思うんです。一つは国民の食品の安全を守るということ、この立場を貫くということと、また一方では、そういう小規模の業者の経営を圧迫しないということ、この二本を同時に考えて推進をしていくという体制が必要であろうと思うわけでございます。 そこで、その両方をやっていくという場合に、食鳥処理管理者をこれらの小規模業者に置くわけですね。これに関して若干の問題点を提起して、弾力的な運用等も含めて食品の安全確保に資していただきたいなと思うわけです。 その一つは、小規模処理業者の三年以上の経験者に一定の時間、四十時間程度だと言われておりますが、講習時間を用いて資格を与えていくということのようですが、そういう町の業者から言わせますと、例えば一日八時間、五日間で四十時間としたら、すぽっととられるということになったら、これはもう業が成り立たない。こういう時間とか、あるいはやり方の運用については考えてもらいたいなという意見がありますよ。 もう一つは、せっかく資格を取った管理者の方が病気になって長期入院をする、あるいは運悪く亡くなるというようなことになったら、一年に一遍しか講習がなかったら次の講習を待つまで、家族の方あるいは従業員の方が資格を取るというのに取りに行けない。その間そうしたら業を閉めなければならないということになりかねない。そういうことにならないような運営、食の安全性を守るためにもないしょでやるというわけにいかぬわけですね。そういう点でのやり方については弾力的なやり方を考えていく必要があるだろうと思います。 それからもう一つ、新しい店を開くという場合に、せっかく場所は見つかった、しかし経験はあるけれども、資格は取っていない。一年先に講習があるというたら、せっかく店を借りて確保したけれども開けない、こういう場合も起こるというふうな問題もありますから、食の安全性を守るという立場と、同時にそういう小規模業者の経営に重大な圧迫を加えない弾力的な運用というのは極めて大事だと思いますが、そういった点について、これは業者とも、業者の意向等もくみ入れてやる必要があろうと思うんですが、その点についての御見解を伺っておきたいと思います。
○政府委員(目黒克己君) 御指摘のとおり、食鳥肉の安全性を確保するということと、それから中小の業者の経営上の問題ということの二つを私ども十分配慮しているわけでございます。特に、御指摘の食鳥処理衛生管理者の養成の点でございますが、一定の実務の経験と講習会の受講を要件としているわけでございます。その方法につきましては、御指摘のように、中小企業者の経営を圧迫するということがないように、地域ごとに開催するとか、あるいは開催の時期とか、あるいは開催回数、そういったようなことにつきましては関係の業界とも十分相談の上、実施してまいりたい、このように考えているのでございます。 また、御指摘の特に食鳥処理衛生管理者たる経営者が死亡とかあるいは長期入院した場合とか、あるいは新規に開業するといった場合におきましても、経営に困難を来すことがないように関係業界とも十分相談をした上で講習会を開催してまいりたい、十分に配慮を行ってまいりたい、このように考えているところでございます。
○沓脱タケ子君 時間ですから結構です。
○西川潔君 いろいろ先生方のお話をお伺いいたしまして、私は、一体食鳥の検査とはどんなことをするのか。皆さん専門家の方はお一人もいらっしゃらないと思います。どの段階で、いろいろ資料を読ましていただきましても、いろいろ書いてあるんですけれども、どういう内容の検査をするのか、取り出した後どういうふうにされるのか、我々がこれからはこれは安心できるなというふうな御説明をいただきたいのですが。
○政府委員(目黒克己君) 食鳥検査の具体的な内容、方法ということでございます。 まず食鳥の検査は、生体時、生きている鳥の検査と、それから脱羽後、羽をむしった後の食鳥屠体の検査、それから内臓摘出後における食鳥中抜き屠体及び内臓についての検査というのを行いまして、疾病の罹患しております食鳥等を確実に排除するという目的にいたしております。 具体的に申しますと、まず生体の検査、生きている鳥の検査でございますが、食鳥処理場の生きている鳥を置きます場所におきまして屠殺前に検査員が望診を行いまして、麻痺の症状があるとかあるいは下痢便が付着しているとか、そういうようなものを一羽ごとに検査をいたします。 次に、二番目に脱羽後の検査でございますが、食鳥を屠殺いたしまして、屠殺、放血をいたしまして脱羽した、羽を取った後一羽ごとに食鳥屠体の外部について検査をいたします。そして、皮膚の色が著しく暗色化しているとか著しくやせている等の異常を認めた場合には処理ラインから除きましてさらに精密な検査をするということになります。 さらに、内臓を摘出した後の検査でございますが、食鳥屠体の内臓を摘出いたしました後、一羽ごとにこの屠体の内側及び肝臓、心臓等の内臓について検査をいたしまして、肝臓が著しく肥大しているとか脾臓が著しく萎縮している等の異常が認められた場合には、処理ラインから除きましてさらに精密な検査を行う。このような具体的な手順で行っていくのでございます。
○西川潔君 ありがとうございました。よくわかるような気がするんですけれども、どうもこういうときは前に鳥を置いていただかないと……。ああ、そうでございますか、はい。 次に、重複するかもわかりませんが、今回の法案では年間処理数が三十万羽以下の中小の事業者に対しては自主検査を認めるとのことですけれども、中小の事業者にとっては食鳥処理衛生管理者を置くというのはなかなか大変なのではないでしょうか。沓脱先生もいろいろ細部にわたって御質問されておられましたが、もう一度お願いします。
○政府委員(目黒克己君) 食鳥の処理衛生管理者でございますが、要件を申し上げますと、獣医師それから大学の畜産学修了者等のほかに、小規模の食鳥処理業者に配慮をいたしまして、一定の実務経験を有する者で、厚生大臣の指定した講習会を受講した者もなれることといたしたのでございます。 講習会の内容でございますが、具体的に申しますと、食鳥肉の安全を確保するということから、食鳥処理場や食鳥処理の衛生管理あるいは先ほど御説明申し上げましたような食鳥の異常の確認を行うのに必要最低限の事項についてそれぞれ講習を行うのでございます。 なお、この講習の方法等につきましては、御指摘のように、中小の業者の経営を圧迫することのないように関係業界とも十分相談の上実施してまいりたい、このように思っているところでございます。
○西川潔君 それでは最後の質問にさしていただきます。 自由主義諸国の中で第二位の生産量を誇る我が国の食鳥に、これまで検査制度のなかったこと自体我々も本当に不思議に思うわけですが、これからは、これからのシーズン、安心してのれんをくぐって冷たいビールを片手に温かい焼き鳥をこのカンピロバクター食中毒などの心配なしにいただけるんでしょうか。最後に決めていただきたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 焼き鳥に象徴されますように、食鳥は大衆の食生活の大事な部分でございます。この大衆の皆様方に、遅きに失したと言われる現状でございますが、これからは安全で衛生的な食鳥肉の供給が保証されると言ってもらえるように末端行政までしっかり組み立てて頑張ってまいりたいと思います。よろしくお願いします。
○西川潔君 終わります。
○委員長(浜本万三君) 以上で本案に対する質疑は終局をいたしました。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(浜本万三君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、小野清子君から発言を求められておりますので、これを許します。小野君。
○小野清子君 私は、ただいま可決されました食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブの各派共同提案によります附帯決議案を提出をいたします。 案文を朗読いたします。 食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項につき、格段の努力を払うべきである。 一、食鳥肉等に起因する衛生上の危害の発生を防止するという法の目的にかんがみ、都道府県・保健所設置市における食鳥検査員の充足、食鳥処理衛生管理者の業務に対する監督の徹底、指定検査機関の充実等により、検査体制の確立に遺漏なきを期すること。 二、法の施行により、中小規模の食鳥処理業者の経済的な負担が過大とならないよう、融資その他の面で十分配慮すること。 三、近年における輸入食品の件数の大幅な増大等に対応し、食品衛生監視員、検査機器の整備等により、検疫所における輸入食品の監視体制の充実に努めること。 右決議する。 以上でございます。
○委員長(浜本万三君) ただいま小野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(浜本万三君) 全会一致と認めます。よって、小野君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、津島厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。津島厚生大臣。
○国務大臣(津島雄二君) ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
○委員長(浜本万三君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十九分散会