P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
118回国会参議院1990/04/25

産業・資源エネルギーに関する調査会 第4号

発言数
89
登壇者
14
会派数
7
開催日
1990/04/25

会議録

及川一夫日本社会党・護憲共同

○理事(及川一夫君) ただいまから産業・資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。  小山会長から会長辞任の申し出がございましたので、私が暫時会長の職務を行います。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る二十一日、三上隆雄君が委員を辞任され、その補欠として対馬孝且君が選任されました。  また、昨二十四日、西岡瑠璃子君が委員を辞任され、その補欠として田英夫君が選任されました。     ─────────────

及川一夫日本社会党・護憲共同

○理事(及川一夫君) 次に、会長の辞任の件についてお諮りいたします。  小山会長から、文書をもって、都合により会長を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

及川一夫日本社会党・護憲共同

○理事(及川一夫君) 御異議ないと認めます。よって、辞任を許可することに決定いたしました。  これより会長の補欠選任を行います。  つきましては、選任の方法はいかがいたしましょうか。

大木浩自由民主党

○大木浩君 私は、会長に田英夫君を推薦することの動議を提出いたします。

及川一夫日本社会党・護憲共同

○理事(及川一夫君) ただいまの大木君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

及川一夫日本社会党・護憲共同

○理事(及川一夫君) 御異議ないと認めます。よって、会長に田英夫君が選任されました。(拍手)     ─────────────    〔田英夫君会長席に着く〕

田英夫日本社会党・護憲共同

○会長(田英夫君) 一言ごあいさつを申し上げます。  ただいま皆様方の御推挙によりまして、私が本調査会の会長の重責を担うことになりました。微力ではございますが、理事並びに委員皆様方の格別の御協力、御指導のもとに本調査会を運営してまいりたいと存じます。  どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)  この際、小山前会長から発言を求められておりますので、これを許します。小山一平君。

小山一平各派に属しない議員

○小山一平君 発言の機会をいただきましてありがとうございます。一言御礼のごあいさつを述べさせていただきます。  昨年の八月七日以来九カ月たっているわけでございますが、本来三カ年をもって任務を全うしなければいけないはずでございますのに、思いもよらない事態となりまして会長の辞任願いを提出した次第でございます。この短い九カ月ではございましたけれども、理事の皆さん、委員の皆さん、あるいは事務当局各位の大変な御支援と御協力をいただいてまいりましたことをこの席から厚く御礼を申し上げたいと思います。  現在の多難な情勢下にありまして、本調査会に課せられた使命はますます重要なものがあると思います。  今後とも田会長のもとで皆様方が御活躍されますように御期待を申し上げますとともに、皆様方の御健勝をお祈りいたしまして御礼のごあいさつといたします。どうもありがとうございました。(拍手)

田英夫日本社会党・護憲共同

○会長(田英夫君) 午前の会議はこれまでとし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午前九時二十四分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会

田英夫日本社会党・護憲共同

○会長(田英夫君) ただいまから産業・資源エネルギーに関する調査会を再開いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  本日、小山一平君が委員を辞任され、その補欠として西岡瑠璃子君が選任されました。     ─────────────

田英夫日本社会党・護憲共同

○会長(田英夫君) 産業・資源エネルギーに関する調査を議題とし、我が国農業の直面する課題と対応に関する件について、参考人から御意見を聴取いたします。  本日は、お手元に配付した参考人名簿のとおり、千葉大学法経学部教授唯是康彦君、東京大学農学部教授今村奈良臣君並びに日本放送協会解説委員加倉井弘君に御出席をいただいております。  この際、参考人に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本調査会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  参考人の皆様から、我が国農業の直面する課題と対応について忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。  議事の進め方といたしましては、皆様方からそれぞれ二十分程度御意見をお述べいただいた後、委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、唯是参考人からお願いいたします。

唯是康彦千葉大学法経学部教授

○参考人(唯是康彦君) 千葉大学の唯是でございます。座ったまま発言させていただきます。よろしくお願いいたします。  私の意見は、お手元に配付いたしました「「わが国農業の直面する課題と対応」に関するメモ」というところに箇条書きしてございます。我が国農業の直面する課題はいろいろございますけれども、何と申しましても日米の経済摩擦絡みの農業交渉、これが最大だと思いましたので、それをきょうはテーマとして私の意見を述べさせていただきたいと思います。  それにはまず前提がございまして、一国が国際社会で行動する場合にはその属する国際グループのルールに従わなくてはいけない、これは一つの前提でございます。もちろん、国際ルールといえども欠陥はございます。人間のやることですから欠陥があるわけですけれども、それに対して対応する場合にはそのグループを脱退するか、あるいはグループにとどまるならばそのルールの改善に努力をする、いずれかでなければいけない、こういう立場をとります。  さて、問題を農産物貿易に限定いたしますと、ガット規約が一応国際ルールであるというふうにここでは考えます。これ自体もいろいろ問題ございますけれども、当面これを一つの国際ルールと考えていきたいと思います。  きょう呼ばれたのは、恐らく私は自由化論者の代表であり、今村先生は保護論者であり、加倉井先生はその中立だという仕組みで立てられたと思いますけれども、今一〇〇%即時自由化しろと言う人は非常に少ないだろうと思いますし、逆に完全自給を実現するということを考えている人も少ないでしょうし、単純にそれを足して二で割るということもできないわけで、これはむしろショーとして、見せ物としてこういう一つの構造をつくってやるのはそれはそれでおもしろいでしょうけれども、やはり農業問題を真剣に考える場合はそういう既成概念というものはひとつお持ちにならないでそれぞれ話を聞いていただきたいと思います。  その場合に往々にして混乱に陥ることは、ある一つの事実がありまして、その事実だけはひとつ確認しておきたい、こういうふうに思います。そこで、私はここに挙げましたaからgまでの事実は認めているという立場でお話ししますので、その点ひとつ御了承いただきたいと思います。  まず、昭和三十九年、東京オリンピックの年から国際収支が改善いたしまして日本はIMF八条国になり、ガット十一条国に自動的に移行したわけですから、この時点からまず市場開放努力というものは義務づけられたと考えます。  二番目に、その結果、鋭意農林水産物の自由化は進められました。自給率が非常に低下し、またそのために食糧の安全保障や生態系の維持というものが心配になっている、この点についても私は異論はありません。むしろ、食糧の安全保障という言葉は恐らく私が一番最初に使ったんだろうと。昭和四十七年に「安全保障としての食糧」という論文を書いたことがございまして、それ以来この言葉が使われるようになったので、むしろ私は自由化をある面で主張しますけれども、食糧の安全保障に対しての先駆者であるというぐらいに自負しております。  三番目に、我が国の農業就業構造は非常に高齢化しまして、したがって、それはもちろん農業保護そのものもありますけれども、高齢者対策といいますか、そういう社会福祉的な政策を非常に持っておりまして、これはこれでやはり重要なことであろうというふうに私は考えております。  四番目といたしまして、日米経済摩擦絡みで農業貿易交渉が行われているわけですけれども、日本側の農産物の市場開放が十分行われたとしてもアメリカの膨大な赤字がそれによって解消するものではない、これは事実ですから、これもまた事実として確認したいと思います。  五番目に、農業保護政策は経済発展の過程で不可避的なものであると思います。ですから、先進国であればどの国もやはり農業保護を維持している、今日まで温存している、これも事実なので、アメリカが農業は自由化しているなどということはございませんので、その点も確認しておきたいと思います。  六番目に、とはいいながら先進国の農業保護というのはいろいろ問題を起こしている。通常、財政負担ということをよく言いますけれども、そのほかにECとアメリカのような補助金つき輸出の泥沼化といいますか、そういう状態も発生しますし、先進国が保護をして安い農産物を世界市場にほうり出しますと価格が暴落しますから、開発途上国の農業はつぶれてしまう、それでは開発途上国の開発ができないという問題もございます。等々いろいろ問題がありますし、また農業保護自体が国内の農業を劣弱化しているという面もあるわけです。ですから、やはり長期的にはこの方向というのは改めていかなきゃいけないだろう。これはOECDでもサミットでも先進国が集まって確認していることですから、これもやはり事実としてお考えいただきたい。  といって、現在の農業の極めて先進的なあり方というのがいいかどうか、これは大きな問題で、いわゆる農業の工業化ですけれども、安全性の問題や環境破壊あるいは資源問題という観点からこのままでいいということはないんでして、やはり何らかの形で農法の転換を求めなきゃいけない、これもまた事実として確認いただきたいと思います。  ですから、こういう事実の中には、例えば自由化を言うのであれば、言わなくてもいいような例えば農業の工業化を否定するとか、あるいは日米の経済摩擦の赤字の解消にならぬとか、あるいは日本の保護政策が福祉政策として大事だとか、あるいは安全保障や生態系の維持も守らなきゃいかぬ、こういうふうなことは自由化論者としては普通言わないんですけれども、私はそんなことは毛頭ございません。これはもう十分重要な問題として考えておりますので、これからの御質問にはそういった点も考慮の上でしていただきたいと思います。  大体以上のことを踏まえまして、当面二つの問題点をお話ししたいと思います。一つは既に終わったオレンジ・牛肉自由化決定の問題、それから現在進行中の米市場開放に関する問題、この二点について私の私見を述べさせていただきます。  オレンジ・牛肉に関しては、これは終わったことですから私のこれに対する評価ということになります。  まず、オレンジ・牛肉はガットの規約で言う残存輸入制限品目ですから、これは日本が十一条国に移行してからはやはり自由化義務を持っているわけですから、早晩自由化の対応を迫られる、これはもう非常にはっきりしていたことなんですね。この点は、後に指摘しますように、どうも日本国内ではしっかりした認識がなかったんではないかというふうに私は考えます。この弱点をアメリカはついてきた、それは非合法であると。したがって、日本は国際ルール、ガットにとどまってそのルールの中で動こうとしますと、これは最初から勝ち目はなかったというふうに私は思います。  そういう状況にもかかわらず、これに対する一つの反対運動を起こした。絶対自由化させない、おれの目の黒いうちはそんなことはさせぬといったようなことを指導的な立場の方がいろいろおっしゃったんですけれども、こういう態度というのはやはり私は非常に問題ではないか。つまり、そ れはガットルールに違反をするということを堂々と言っているんであって、それであればなぜあなたはガットから脱退しないのかという反論ができますし、そういう気がなければ、まずガットの中にとどまって、そのルールの改定をやってオレンジ・牛肉の自由化を防ぐという対応があってしかるべきなのに、何も対応しないでただ反対運動をやや狂信的にやっていったということは、これは非常に私は残念なことであった。  このことによって、やはり日本というのは国際的には国際ルールを守らない国だということになりますし、また生産者にとっては、指導者が絶対自由化させないと言っているんですから、それを信じて経営計画を立てたにもかかわらず、突如として土壇場で自由化に転換してしまった。これは非常に生産者にとっては不満といいますか、情けない話だったと思いますね。現地を回って私はいろいろそういう人たちから苦情を聞きました。そんなわけですから、本当はもっとちゃんとした方向、それを立てた上での運動をしてくださった方が生産者自身のためにも最終的には役立ったんじゃないか、こんなふうに考えております。  私は、昭和五十七年、この前の日米交渉の段階で段階的自由化というのを提案したんです。一度に自由化ということはできませんから、輸入の枠を徐々に広げて、そして自由化しても大丈夫だという国内状態になったときに自由化を宣言すればいいじゃないか。そうしますと十分生産者には対応の時間がありますし、またアメリカにとっては、いずれ自由化するという一つの日本の姿勢を示したわけですから、妥協案としては大変いい案であろうと思ったんですが、これは関係者から猛烈な反対を受けまして、それ自体は採用されなかったんですけれども、来年から自由化が決まり、それに向けて輸入枠を段階的に広げているわけですから、その限りにおいては私の提案どおりになったのではないか。私は、自分のことですから当然ですけれども、私の提案を受け入れていただければもっと円滑に事が運んだのではなかろうかなという感じがいたします。  ただ、私がこの段階的自由化を提案したときに一つ大きな問題になったのは、牛肉やオレンジに対する消費の見通しですね、需要見通しです。私は専門が計量経済学なものですから、シミュレーションモデルをつくっていろいろやって一応出したんですけれども、その結果は、自由化反対を唱える人からも自由化に賛成する人からも、両派から非常に非難を受けました。もっと自由化すれば値段が安くなるという考え、私はそれほど大量に入ってこないんじゃないかということで、そこには大きなギャップがございました。それはもちろん大量に入ることになりますと値段が暴落して消費者は喜ぶでしょうけれども、生産者は恐慌を来すわけですね。ですから、極端な自由化賛成と極端な自由化反対へと走っていく一つの原因になったんだろうと思います。この見通し自体は、今日輸入の枠を広げてみて多くの方が御確認いただいていると思いますけれども、大体私の見通しどおり、そんなに大きな輸入になりそうはないという見通しになってきております。  オレンジにつきましては、例えば十二万トンから十四万トンへ枠を広げても、その二万トンの増は消化できないですね。結局業者はこの割り当てを返上するという形になりました。これは、日本の果物の消費構造というのは非常に多様化しているんですね。欧米に比べ物にならないぐらい多様化しているんです。その中でオレンジだけ入れたからといってそんなに食べられるものじゃないんですね。ですから私は、オレンジはせいぜい十六万トンで頭打ちだろう、為替レートが非常に安くなっても二十万トンという見通しを立てたんですけれども、当時の人たちは五十万トン入る、百万トン入るとべらぼうな話をおっしゃるんで、これはとても話にならなかった。ただ、ミカンが非常に消費が落ちたという事実はあるんです。それで、オレンジを輸入したためにミカンの消費が落ちたと、こういうロジックになっているんですけれども、数字をよくごらんになると、そうとは必ずしも言えない。  つまり、例えばオレンジを十二万トン入れたという時点でどういうことが起きているかといいますと、昭和五十年に約三百五十万トンぐらいのミカンの生産・消費が、昭和六十年になりますとこれが二百五十万トンです。百万トン減るんですね。オレンジ十二万トン入れて温州ミカンが百万トン減ったらこれはおかしいですよ。それは一つの理由かもしれないけれども、温州ミカンが百万トン減る背景はもっと別なところにあったと、こういうふうに考えるべきだと思います。それを、よく実態を見ないで、単純に結びつけて反対運動を起こす、これはやはり今後十分注意していただきたいなという感じがいたします。  牛肉につきましても、例えば日本の牛肉の値段はオーストラリアの五倍だ、こういう議論がある。そうすると、自由化すれば牛肉の値段は五分の一になる。消費者は喜ぶでしょうし、生産者は絶対反対するでしょうね。当たり前ですよ。ところが、その中には品質格差という問題がありまして、霜降りはそんなに簡単にオーストラリアのグラスフェッド、牧草ででき上がった肉と代替できるものじゃないわけです。ですから、そういう品質格差の問題を考えれば決してそんな単純な議論にはならないはずなんです。もちろん輸入をすれば値段は下がりますけれども、霜降りの、あるいは和牛の値段の低下というものはグラスフェッドの値段まで落ちるということはないわけですね。その辺の見通しというのは非常に悪かったんじゃないかと思います。今日、牛肉の枠を広げてみて、和牛の値段はなかなか下がらない、輸入牛肉は量をふやすとどんどん下がっていってしまう、こういう事態が出てきて初めてそういう事実に気づくんですね。いずれも、結局日本の食糧の消費構造は欧米とは違うんですよ。そこのところを同じに考えて非常に単純な見通しを立てたというところに一つ大きな問題があったと私は判断しています。  ですから、日本の食生活の構造は欧米とは非常に違っている。どちらが正しいかということは言えない。こういうことは頭ではわかっているんですけれども、具体的にオレンジ・牛肉という問題になってくると結びつかないんですね。そこら辺がやはり今後この問題を考えていく上で十分注意しなけりゃいけない事態ではないか、こんなふうに考えます。  次に、お米の問題に移りますけれども、私の持ち時間が大分減ってまいりましたので、時間が来ましたら後に回させていただきます。  お米につきましては、これは国家貿易品目ということにガットの規約でなっておりますので、当面自由化する義務はないわけですね。つまり、日本のお米の輸入制限というのは合法的なんです。ここのところは大変オレンジ・牛肉とは違うんですね。オレンジ・牛肉は残存輸入制限品目ですから、ガットの規約に照らしてこれは非合法なんです。だからこそアメリカ政府自身が日本の政府にその開放を迫った。言うことを聞かなければガットに訴えてクロの裁定をとる、そしてそのクロの裁定を踏まえてスーパー三〇一条を適用しよう、こういうロジックでくるわけです。これは仕方ないですよね、これでこられても。  ところが、お米についてはそんなことはないんですよ。ですからアメリカ政府も直接日本に交渉できない。したがってRMA、民間機関に提訴させて、それを踏まえて日本に市場開放を迫ってくる。日本が断れば、これは合法的ですからアメリカ政府としてもどうもできませんから、結局二度のRMAの提訴も却下せざるを得なかった、こういうことですね。ですから、この問題については日本は何も自由化反対と言う心要はないんです。自分たちは合法的なことをしているということを主張すべきであって、ここで自由化反対ということを言えば牛肉・オレンジと同じ線にお米を考えていることになる。これはガットの規約にとっては全然違う話ですよ。  それを、オレンジ・牛肉の次は米だと、こういうことを言って大騒ぎをする、これは全く醜態だと思います。知らない外国では、ああそうか、牛肉・ オレンジと同じように日本は米についても非合法なことをやっている、そして後ろめたいからそうやってめちゃくちゃな反対をしていると、これまた非常に国際的な信用を落とすことをやっているわけです。こういうことをして一体何の得があるんだろうと私は思うんです。これは、この問題が出た当初から幾ら言っても多くの人は聞いてくれないんです。もう先入観なんでしょうかね。そういうふうな形でこれについて間違った対応をしてきた、こういうふうに私は考えます。これはやはりこれから改めるべきだというふうに思っております。  ただしかし、ミニマムアクセスの問題がある。最低輸入量というものは必要ではないか、こういうことになります。このミニマムアクセスの議論というのはガットの規約を読んでみてもよくわからないんですけれども、やはり輸入制限があったとしても相当量の輸入はすべきだという一つの姿勢をとっているんです。ところが、なぜ輸入制限を許すかというと、例えばお米について言えば、国内で生産調整をやっている、したがって生産調整をやっているときに自由化されては国内の生産が混乱しますから、そこで輸入制限を認めているわけですね。そうであれば、ミニマムアクセスというものはあくまでも生産調整との関連の中で考えるべき問題だと思います。  このミニマムアクセスの議論には二つあって、現在日本では、お米のおせんべいとかあるいはピラフのような加工調製品、調理品、こういったものは自由化していますから入ってきている。これは消費量のまだ一%以下、〇・六%か〇・七%ぐらいです。そういう輸入ですけれども、これは加工品だから、お米というのは生の形で入るものではない、だからミニマムアクセスは加工品ではなくて生の原形のままの米の輸入でなきゃいかぬという議論があるんです。  しかし、私は、生産調整ということを考えた場合には、結局加工品、調理品であっても最終的には原料を使っているわけですから、それだけ国内の生産量にダメージを与えるわけです。ですから、加工品で入れていても調理品で入れていても、これはやはりミニマムアクセスを充当しているというふうに考えたいんです。現在もう入れているわけですから、日本は合法的なことをやっているんですね。これについても別に後ろめたいことはないわけですから堂々としていればいいのであって、それをあえて一粒も入れないということになるとミニマムアクセスの規約を破ることになりますから、むしろガット規約違反という極めて危険な状態に追い込むことになるんですね。こういうことも言う必要はないんです。日本は何一つ悪いことをしていないじゃないかということをまず第一に強調すべきであって、ミニマムアクセスをするのしないの、そういうことを議論する前に、もうしているんですから、そのことをまず言うべきである。  じゃ、どのぐらい入れたらいいか。これはガットの規約に何も書いてありません。そこでまた三%がいいとか一〇%がいいとか五%がいいとかという議論をしますけれども、私は全くくだらないと思うんです。なぜかというと、これは生産調整との絡みの中でミニマムアクセスというものを許すんですから、そんな簡単にパーセントを決められるものじゃないはずなんです。そのときどきの状況の中でこれは決定すべき問題であろう。現在はこれでいいんです。それ以上のことをあえて騒ぐ必要は全くない。こういった意味で、これを騒ぐとかえって国際的には何か日本は非常に後ろめたいことをやって、非合法なことをやって、それで騒いでいるというふうに逆の評価を受けますし、国内では生産者を浮き足立たせて、先祖伝来非常にいい稲作をつくり上げてきたのにそれを放棄させてしまう、非常にマイナスの効果を生んでいると私は思うのです。こういう態度はぜひやめるべきである、こういうふうに思うんです。  ただ、現在ガットでウルグアイ・ラウンド交渉が行われ、九〇年代の世界の貿易のあり方がいろいろ議論されています。その中で確かにお米の自由化ということは問題になっている。しかし、これはアメリカのウエーバー条項やECの可変課徴金などとともに、ガットの例外規定を相当長期間かけて撤廃しようじゃないかという議論なんであって、今すぐ決まるものじゃないんです。仮に決まるとしても恐らく二十一世紀初頭の問題ですよ。これから十年以上、二十年、そういうオーダーで考えるべき問題だし、特に日本の場合は急速な経済成長の中で農業というものの変革を迫られていて非常に苦しい立場にある。やはり食糧の安全保障、生態系の維持、その他いろんな問題を解決しながら国際化をしていかなきゃいけないわけですから、できるだけお米の自由化の問題については私は時間を延ばした方がいいと思います。  自由化しないということではない。ガットに入っている限り、十一条に自由化原則があるんですから、日本はそれに対して前向きに取り組みましょう、こういう姿勢は失うべきじゃない。それを失ったらこれはガットを脱退する以外にないですね。ですから、とどまる限りはそういう姿勢を保つけれども、その自由化の時期というものは、これは食糧外交によってできるだけ延ばすべきである。またミニマムアクセスについても、できるだけこれは少量にとどめるべきだと。そういう中で国内の体制整備を進めていく、これがやはり日本の食糧戦略であろうと思います。  そこで、あとお米を基礎食糧とする政府側の対応等の問題がありますけれども、私だけしゃべっているわけにいきません。もう二十分ちょっと超えましたので、基礎食糧の問題あるいはその他お米を今後どうするかという問題は質問の中でお答えすることにいたしまして、一応私の基調報告は終わらせていただきます。  ありがとうございました。

田英夫日本社会党・護憲共同

○会長(田英夫君) どうもありがとうございました。  次に、今村参考人にお願いいたします。

今村奈良臣東京大学農学部教授

○参考人(今村奈良臣君) 今村でございます。  私のレジュメは「日本の米をめぐる基本問題」という形で大分大量の紙数を使ってありますけれども、実はついせんだって四月四日に、日本農業経済学会という農業問題、食糧問題を議論する学会があるんですけれども、それの年次大会がありまして、ことしは日本、韓国、中国、タイ、インドネシアという五カ国代表が出まして国際的なシンポジウムというのを行いました。そのときに私が日本代表という形で報告しまして、米をめぐる問題を以上の五カ国で議論したわけです。そのときの私の報告原稿、一カ月足らずの間にそう考え方は変わらないものですから、ちょっとデータその他がいろいろ入っておりますけれども、これをもとに報告をさせていただきたいと思います。  ただいま唯是先生の方から米、それから牛肉・オレンジをめぐって、いわゆる農業貿易をめぐる国際的な問題と展望についてお述べになられましたけれども、私は唯是先生のお考えに基本的に賛成でございます。非常に原則的な点をつかれておりまして、基本的には賛成でございます。ただ、我が国農業の直面する課題と対応に関する件という本日のテーマに同じことをしゃべってもいたし方がございませんので、私は産業として、特に稲作、あるいは水田農業と広く言った方がいいかと思いますが、日本の基本的な農業である水田農業の産業としての確立の方向、一体どういうことが問題なのか、あるいはそのための方策はどうあるべきであるかということについて中心的に述べてみたいと思います。  私のレジュメ、これはページ数が打っていないんですが、終わりから八ページ目だと思いますが、第五章で「水田農業の構造改革」というタイトルで出ております、そこのところを要約しながらこれから話してみたいと思います。  水田農業、もちろん稲作だけでございませんで、水田を基盤にした麦あるいは大豆といった、広く言えば土地利用型農業とも言われますけれども、その水田農業の構造的な改革という問題はもうかれこれ三十年近くにわたって政策提起がされ、今日まで至っているわけなんですが、いかんせん日 本農業の今日の姿は、統計的に見る限り非常にまだ零細な農業構造を持っております。  こういう中で、結論的に言いますと、今日の日本農業をめぐる最大の問題は、農業を継ごうとする若い経営者たちが非常に少なくなってきていること。それから、農業就業者の年齢構成を見ると非常に高齢化あるいは老齢化しつつあること。このために、十年先を予測した場合には、予測数字については政府も最近発表いたしましたけれども、非常に将来危ういという問題を抱えておるように思います。海外からの農産物輸入等のいわゆる外圧によって日本農業が非常に衰退していくというより先に、日本農業の中から衰退していく可能性の方が私は大きいというふうに危惧しております。そのために一体どういうふうな方向をとらなくちゃならないのか、これがきょうこれから述べたい基本的な考え方でございます。  現状については、例えば表の一あるいは表の二というふうなところで、経営規模的にあるいは農家経済的にいかに零細な農業経営、農家が広範に存在するか。とりわけ稲作農業においては非常に零細な農家が広範に存在するという実態をその統計数字はあらわしております。  この点につきましては、るる説明いたしませんけれども、今日もし稲作と裏作で麦をやり大豆などをやってやるならば、普通私ども農家の皆さんといろいろ話していまして、実感として農業だけで家計を維持できていくということになると、これは土地の生産性その他によって違いますけれども、少なくとも四ヘクタールないしは五ヘクタール以上なければやっていけない、農業経営として自立できない。そういうラインを引いてみますと、五ヘクタール以上の農家あるいは四ヘクタール以上の農家は、その統計にありますように非常に微々たるものでございます。  将来の展望、例えば需給の長期見通しというのをせんだって閣議決定いたしまして公表されましたけれども、二枚はぐっていただきまして、中核農家の経営規模と経営面積シェアの展望、表三の(2)というのがございますけれども、これなどを見ましても、稲作主業経営、稲作を主として経営していくのが、相当努力したとしても、将来十年先に、紀元二〇〇〇年に八ヘクタールぐらいに何とかならないかと。これは相当な願望を込めたデータなんですけれども、都府県で八ヘクタール程度、北海道で十一ヘクタール程度というふうなことが一つの予測数字として出されております。  この予測数字はともかくとして、これまでなぜ日本で農業経営の規模拡大が進まずに自立可能な経営ができなかったかというのは、私、五つぐらいの前提条件が満たされなかったというところにあるだろうと思います。  五つというのは、まず地価、それから地代、まあ小作料と言いかえてもいいんですが、それと労賃、賃金ですね、それに耕地の分散状況、それから水田の持つ生産装置機能という五つがうまくそろうならば、もちろんほかの条件も要りますけれども、これが制約条件になっているというふうに考えております。  例えば、アメリカのカリフォルニアの稲作経営がいいかどうかという価値判断はちょっとおきまして、実態としてあれだけ大規模な機械化稲作農業が可能になっている。もちろんアメリカを単に将来のモデルにするつもりはございませんけれども、アメリカのカリフォルニアの稲作農業を一つの姿として考えた場合には、地価という点で見ると、日本は非常に高いのに対して、アメリカは土地純収益というふうなものと比べてみますと非常に低い。地代についても、日本は非常に高いのに対してアメリカは低い。賃金水準について言えば、日本もアメリカも非常に高い。それに対して耕地分散はどうかというと、日本は非常に大きいがアメリカは非常に小さい。小さいというよりも農場制が基本的に確立している。それから水田の持つ生産装置機能について見ると、アメリカは非常に高いのに対して日本はいいところで中程度、全体として見るとなお低い水準にある、こういうことになってまいります。  これは、国際シンポジウムをやった折の報告を整理してみますと、例えば韓国においては、地価が非常に高い、地代も高い、賃金水準は中程度、耕地分散は非常に大きい、それから水田の持つ生産装置機能は非常に低い。こういう条件の中で韓国でも零細な規模の経営が広範に存在して、効率的な稲作経営がなかなか成立しないということが報告されておりましたけれども、今の五つの前提条件を当てはめてみますと日本以上に条件が悪い、こういうことになっております。  いろいろほかの国についてもこれは検討できるわけですけれども、今度視点を変えて、日本の中でも例えば非常にすぐれた農業経営、これは個別の農業経営においてもそうですし、営農集団とか農業法人とか、つまりグループファーミングと一般的に言っていいと思いますが、集団営農の形態であれ個別経営の形態であれ、非常にすぐれた稲作経営が出ている地帯は、地価は高くても地代水準が非常に低い、賃金水準はもちろん全国的に高いわけですが、耕地の分散が非常に小さい、生産装置機能が非常に高いといったような、つまり稲作経営の発展条件を制約する条件がかなり改善されているということが見てとれます。これは事例的には幾つも調査事例がございますけれども、今言ったような物差しを当ててみると、日本の中においても稲作経営の構造改革が進まない地帯と進む地帯というのが非常に分かれております。日本全体が進まないわけでは決してないわけです。  そういう観点から見ますと、政策的に何が動かせるのか、何を政策的にてこ入れするならば日本の水田農業の構造改革、つまり将来にわたってかなりしっかりした日本農業を支える生産力の主体が出てくるかということになりますと、一つはやはり地価の問題でございます。しかし、地価を動かすというのは政策的に非常に困難だろうと思います。今日、農業政策的には、例えば農用地利用増進法というふうな形で、自作地の売買によって規模拡大するという手法ではなくて、水田の賃貸借、利用権設定という方法で規模拡大、農地流動化を図ろうというのが基本的路線になっております。  そういう中で、小作料水準をいかに引き下げていくか。引き下げる手段、方法はいろいろあると思いますけれども、一言でいえば小作料水準をいかに引き下げていくか。あるいは耕地分散を、分散錯圃と言われているように分散度合いが非常に日本は高いんですけれども、これを団地化、集団化しながら、言うならば最も望ましいのは農場制なんですが、こういう方向へいかに農地の集団的利用、水田の集団的利用ということを可能にするような施策を講じるか。あるいはさらに、水田の持つ生産装置機能、例えば圃場条件の改善、あるいは用水条件、排水条件などの改善、あるいは農道の整備といったさまざまなことがございますけれども、水田の持つ生産装置機能をいかに高めるかという点は政策的に動かせるし、これまでもある程度はやられてきたわけです。今言った日本農業の構造改革にとって制約条件となっているのを政策的にいかに改善していくか、これが農業政策のとるべき課題だろうと思います。  そういう前提条件を改善しながら、特にこれから将来を担っていく若い青年たちがいかに農業を選好し、選択し、新しい水田農業の経営者として成長していくか、これが最大の課題だろうというふうに考えております。とりわけ日本農業の将来を考えた場合、先ほど唯是先生が時間がないので省略されたように思いますが、唯是先生の最後のところに水田をいかに、米ではなく水田をいかに維持すべきかというふうなことを言われております。非常に象徴的な言い方なんですが、私これ賛成でございます。  と申しますのは、ちょっと余談になってしまいますけれども、一九九一年の八月二十二日から二十九日にかけまして国際農業経済学会議日本大会というのを東京でいたします。私、今その事実上の責任者でございますが、これには世界八十二カ国から、食糧、農業問題についてのオピニオンリーダーが恐らく海外から五百人、日本から合わせて千五百人ぐらい参集してかなり大々的に食 糧、農業問題の現状と展望について討論する会議を開く予定で今努力しているわけですが、それについてはまたここにおいでの先生方初めいろいろ御協力、御援助いただきたいと、こう考えております。  その大会のメーンテーマがサステイナブル・アグリカルチュラル・デベロプメントというテーマでございます。サステイナブルというのは、最近非常に使われるようになった言葉なんですけれども、直訳しますと持続的農業発展、こういうことでございます。サステイナブルというのは持続的あるいは支える、こういう意味なんです。それから副題がザ・ロール・オブ・インターナショナル・コオペレーションというのでございます。私どもが翻訳して大会テーマに日本語として設定したのは、「人と自然を活かす農業発展」、こういうメーンテーマにしました。それで、サブテーマが「真の国際協力をめざして」というテーマでございます。このサステイナブル・アグリカルチャーという問題は、実はアメリカ側が強い希望で提案してまいりました。こういう経緯がございます。  なぜそういうことなのかといいますと、今日御承知のようにアメリカでは一九八五年農業法、正確には食糧安全保障法なんですが、この有効期限が九月で切れます。そのために現在精力的にアメリカの議会では一九九〇年農業法の制定に向けて今討論の最中でございます。その討論の資料その他を私拝見しておりますと、従来の農業法に加えて幾つか大きい問題が提起されております。環境問題あるいは農村開発の問題、農村貧困問題、それから土壌保全問題、資源維持問題等々といったようなことが議論されておりますが、その中の一つの大きい柱としてローインプット・サステイナブル・アグリカルチャー、こういうテーマが出されております。つまり、今までのように化学肥料や農薬というのを大量にぶち込んで生産性を上げるというふうなアメリカ農業の行き方がいいのかどうなのかというふうな問題提起がなされております。  アメリカではそういう議論がなされるとともに、今度南アジアあるいはアフリカにおきましては、農地の砂漠化の問題、あるいは熱帯雨林を開発して農地化してもかえって環境を悪化させるというふうなことで食糧生産に長い目では結びつかないといったような広い意味での環境問題が今日議論されております。そういう中でサステイナブル・アグリカルチュラル・デベロプメントというのは非常に時宜を得た、それから二十一世紀を見通した場合の非常に適切なテーマだと私どもは考えております。  そういう中で、国際農業経済学会の副会長が、アメリカのコーネル大学教授のスタントンというんですが、先日参りましてるる私どもの日本の組織委員会と議論をした折に彼らが言うには、日本の水田農業が最もサステイナブルである、つまり持続的な性格を持っているんだ、環境破壊的ではない、こういうことを言っておりました。ただし、今日日本の農業経営のシステムが本当にサステイナブルになっているかどうかということについては疑問がある、これをどういうふうに改革していくか、つまり経営主体がしっかりしたのがいるかどうか、また農薬や化学肥料を大量にぶち込みながらの稲作農業ではないかというふうなことを含めて、本来日本が持っていた水田農業のサステイナビリティーというのをもう少しシステムとしても変えていくことに日本は直面しているんではないか、こういう議論を私どもといたしました。  そういうことも含めて、日本の水田の持っているサステイナビリティーについて、十分これは歴史的な蓄積として水田はあるわけですが、そういう上になおかつ新しい形の、一言で言えば生き生きとした稲作中心の経営ができていくようなシステムをやはり考えていかなくちゃならない。それが一言で言いますと水田農業の構造改革の基本的な大きな路線ではないかと思います。そのためにも、今日制約条件となっておるものをいかに政策的に改善しあるいは除去し、新しい方向へ向かえるように政策体系あるいは農政のシステムをつくり上げていくか、これが当面する課題であるし、今後の展望を与えることになるんではないかというふうに考えております。  あと、データ的にさまざま述べるべき点ございますけれども、時間が来たようですので、総論としては以上のようなことで終わりたいと思います。

田英夫日本社会党・護憲共同

○会長(田英夫君) どうもありがとうございました。  次に、加倉井参考人にお願いをいたします。

加倉井弘日本放送協会解説委員

○参考人(加倉井弘君) 加倉井でございます。よろしくお願いします。  私のメモというのが一枚で大変短いんでありますけれども、私テレビ、ラジオの出身でありますので、わかりやすい話しかできません。    〔会長退席、理事及川一夫君着席〕 わかりやすく書くと大体一ページでいいんじゃないかと思いまして、こういうふうに書いております。  私の考える国際化の扱いというのは、基本的には、もう言い古されておりますが、譲るべきものは譲り、守るべきものは守るということであります。ただ、これを国民の前で明らかに議論できないのが困ったことでありまして、何を守るか、何を譲るべきかということを言い出した途端にいろんな不協和音が出てくるというふうなことがありまして、国民の合意がなかなかできないということが大変困ったことであります。しかし、原則は間違いなくこれしかないのではないかと私は思っております。譲るべきものは譲りというのは、日本が自由主義社会で自由主義経済の利益を最も受けている、恩恵を最も受けている国だからであります。それから守るべきものは守るというのは、やはり食糧を扱う農業あるいは農産物みたいなものは、基本的にはある一定の部分は守らなければならないというふうに考えるからであります。これは、非常に単純に言いますと安全保障の原理ということで考えてもよろしいんじゃないかと思います。  これから前半でその安全保障の話をちょっとしまして、後半でここに書いてある提言のようなものまで一気に話をさせていただきたいと思います。  安全保障のことを我々年寄りがぜひ考えてやらなければならないんじゃないかと実は私は思っております。それはどうしてかといいますと、今の若い人は食糧不足というものが何たるものかということがわからない。それがどれぐらい怖いものかということがわからないのであります。    〔理事及川一夫君退席、会長着席〕 食欲というものは、あれは感覚でありまして、感覚の体験がないということは、つまり酔っぱらったことのない人に酔いとは何ぞやということを説くようなもので、本当にわからないんですね、若い人は。  例えば、瀬戸内寂聴さんという作家の方とお話ししたことがございますけれども、彼女は叡山で修行をいたしまして、実際にある位を持っている方ですけれども、この人の修行の中に絶食というのがあったそうです。絶食して修行をしているときに食べ物のにおいがすると、あれだけ男まさりの強い意志を持った、しかも叡山の修行に耐え抜いた方が、体がそちらへ動いていってしまうそうですね、食べ物のにおいのする方へ。幾ら自分を抑えつけても体が自然に動いていくそうです。こういう怖さみたいなものを今の若い人は知っていないものですから、我々がこれを考えてやらなければいけないんじゃないか。  あるいは、貧しさ、飢えというものが非常に人間を残酷にします。こういうようなものも我々は太平洋戦争を記憶しておりますからある程度知っておるんですが、例えばNHKの取材班がアフリカへ行ってあの飢えに苦しんでいる子供たちを撮りました。あそこで実際に聞いてみると、あの子供たちの親は何を食べているか、あの食べ物のないときにだれが一番食べるかというと、親が先に食べるんですね。我々は子供が先に食べるだろう、子供を我々は愛しているからなんて考えています がとんでもない間違いなんです。本当に飢えに困ったら人間というものは自分の子供の食べる物をとって食べるんです。そういう怖さを知らない人間が今我々の後に続いているわけですから、これはやっぱり我々が十分食糧の安全というものを考えてやらなきゃいけないんじゃないかと私は思っております。  それからもう一つは、若い人は食糧を工業品と同じように考えてしまうんですね。これは笑い話ですけれども、ある大学生が鶏卵を詰めてスーパーで売っているあれを見まして、どうやってあの黄身をうまく真ん中に入れるんだろうなと言ったそうですね。つまり、同じ形をしたものがずらっと並んでいるから、生物の試験をやればこれは鶏の卵だと書くんでしょうが、しかしあれは工業品だと思っているんですね、頭の中で何となく、いつも身の回りにあるのは工業製品だから。  これはまた非常に危険でして、どう危険かといいますと、食糧というのは安定的にいつも供給されなければならない、これは我々から言うと当たり前のことのように感じるんですが、違うんですよね。つまり工業品というのは、なくても例えば三日後か四日後か一カ月後かに来ればそれで済むんですね、欲望は満たされる。しかし食糧というのは、一カ月後に来たって、死んだ後まくら元へ食糧を積み上げたって食べられないわけですから。そういうことはやっぱり国家の基本的な方策として十分に考えてやらなければいけないんじゃないかというふうに思っているわけであります。  我々は太平洋戦争というのを記憶しておりまして深刻な食糧不足というものを経験しておりますけれども、あのウィンストン・チャーチルの「第二次大戦回顧録」の中でも、彼は英雄ですけれども、彼が一番怖かったのは何のことはない、いわゆるバトル・オブ・ブリテンとかそういう戦争ではないというんですね。彼が書いているのは、一番怖かったのはUボートに囲まれたということなんです。つまり食糧と弾薬が来るか来ないか、その数字が一番怖かったというようなことを彼は言っております、つまり閉ざされたということ。イギリスと日本と海に囲まれているところは似ていますが、そういうことがある。後でもっと詳しく言いますが。  それから、海上の安全というのは自明の理ではないということがあります。これは一番新しい例を見ますと、例のイラン・イラク戦争のペルシャ湾の交通封鎖というのがありますが、もう一つ皆さんがお忘れになっているのは、例えばベトナムの難民が、ボートピープルとして抜け出したあの罪のない人たちがいかに略奪と暴行を受けたか。これは海賊行為ですけれどもね。これは最後のところでは国連が海賊抑止計画というのをやりましておさまってきたんですが、それにしてもあれだけの人間が残らず被害を受けた。ああいうものが実際にあるんだということ、それをやはり考えなきゃならないと思います。  それから、こちらに経済の先生がいらっしゃるのに恐縮でありますけれども、経済の理論で考えている世界というのは、やはり実際の世界とは少しばかり違うと思います。基本的には経済というのは他の条件にして等しければということで話を始めるわけですけれども、他の条件がどんどん変わっていく。例えば今ドイツの通貨統一が七月二日に決まったというふうなことになっているわけですね。世の中どんどん変わっていく。そうすると、他の条件にして等しければということで打ち出した話というのは、どうもやはりもうちょっと余裕を持って考えなきゃいけないんじゃないかという気がします。  例えば、はっきり言いまして国際分業論というのは、海上の自由な交通というものを大前提にしていると思います。同時に、労働とか土地とかいうものが自由に移動するということを前提にしていると思いますが、実際の世界でそんなことはあり得ないわけですね。日本でこれだけ人がいないと言っていても、外国から人は入らないんですから、それが実態なわけですから、そういうことが大変難しいということであります。  それから、今までの日本の政治の中で、譲るべきものは譲り守るべきものは守るというこの原則が実は徹底しませんで、どうなったかといいますと、例えばアメリカとの間でガット提訴に持ち込まれた十二品目というものがあります。この中にはフルーツピューレというのがあるんですね。皆さん、国民にフルーツピューレは守らなければ日本の国民は危ないんだと言えますか。フルーツピューレを守るということが日本の国益であると言えますか。やはり言えないと思うんですね。私は、ですから日本というものは結果的には譲るべきものを譲り守るべきものを守ったんじゃなくて、守れるものは全部守った、仕方がないから譲れるものは全部譲ったというのが実は事実だったんじゃないかと思います。それでは国民に納得が得られるかというと、私は非常に弱いというような気がいたします。  国際分業論からいいますと、例えばECというものはカナダやオーストラリアや、それこそ南アフリカから食糧を持ってくればそれで済むはずですが、しかしそれにもかかわらずイギリスはきちんと自給をしている。穀物の自給率は一一〇%をたしかこの前超えておりました。日本の穀物の自給率は三二%です。  ついでにちょっと遊びを入れますが、お米百グラムのカロリーというものは、この前栄養成分の分析表を見ましたら牛肉百グラムより熱量が高いんですね。つまり穀物というものはいかに大事なものかというのがこの話で一つだけわかるような気もいたします。  それから、先ほどちょっと言いかけましたが、一たん緩急あればというと、すぐに皆さんは、あるいは日本の国民は戦争と考えて、戦争はもうないんだというふうにお考えになる。そんな方が私も含めて非常に多いような気がいたします。そうではありませんで、例えばドゴールが食糧の自給なしに国家の独立はあり得ないと言ったような意味は、戦争ももちろん大変なことですが、戦争だけではございませんで、例えば今私の頭の中にあるのは経済制裁というものです、つまりある国に対して。まあこんな話からした方がいいかもしれません。クラウゼビッツという人が、戦争とは国家意志を暴力で他の国に強制することであると戦争を定義しましたけれども、何も戦争だけではないんですね、よその国に自分の国の意志を押しつけるということは。その一つの手段はやはり経済制裁ということがある。しかもこれは国際政治の中で始終今使われているわけです。  そういうことで、日本の国が今もし恐れるべきことがあったら、穀物を自給するとか食糧の基礎的な部分は自給すべきだという安全保障の概念というものがあったら、いざ何かがあったらという意味は経済制裁を考えたら最もわかりやすいんではないかというふうに私は思います。それでなくても日本が世界各国に嫌われているのは皆さん御承知のとおりでありますし、そういうこともありまして、日本が直面する危険は多分戦争でではなくて、経済制裁に下手をすると巻き込まれるというようなことではないでしょうか。そして、自主独立を国家として貫くためには、例えば食糧のように、つくれるのにつくらない、まあ石油はないんですから仕方がありませんが、食糧はつくれるのにつくるかつくらないかということでいえば、私はつくるべきである、そして基礎的な部分はやはり守るべきであるというふうに考えております。長くなりましたが、これが安全保障の話であります。  またレジュメに返りまして、過去の教訓として日本が例えば米を自由化したらどうなるかということの一つのわかりやすい例は、私は、日本が昭和三十年代に木材、丸太を自由化して関税をゼロにしたというあの教訓があると思います。自由競争を取り入れるということはある意味で日本の国のその産業を強くするという要素があるんですが、実はこの丸太の自由化で日本の国で何が起こったか。日本の木材産業はちっとも強くも何ともならなかった。日本の山は荒れほうだいに荒れまして、松枯れ病で枯れた松が、外から見ても見えません けれども、あの緑の中に山ほど死体のように横たわっているんです。それが結局、日本が丸太を自由化し関税をゼロに引き下げた結果として目の前に出ている。あれを見たら、やはり米を自由化すべきであるとそう安易には言えないんじゃないかと思います。ただし、それは十万トンとか三十万トンとか、そういったものを入れるか入れないかという議論とはまた話は別であります。  それからオレンジ・牛肉の自由化のお話でありますが、オレンジ自由化に関連するに、日本の温州ミカンの価格の低落というのは、唯是先生もおっしゃっていたように、これは経済ですから自由化の影響はあるに決まっていますが自由化の基本的な結果ではなくて、あれは間違いなく生産過剰の結果だ、あるいは他の日本の果物が非常に成長してきたその結果だというふうに思います。今でも思い出しますが、昭和四十年代に統計見ましたときに、温州ミカンの一時間当たりの労働報酬というものが、そのとき最高であったお米のさらにはるか上だったというのを記憶しております。それで結果的に何が起こったかというと、日本じゅうがそのミカンの高収益性に気をとられてミカンを植えた。九州の山の中を切り開いて木を植え、あるいは和歌山県や静岡県のような昔からのミカンの産地は水田をつぶして木を植えました。その結果が一斉に出てきたのがこの価格暴落にはね返ったのであって、これは自由化の直接の結果ではないというふうに思います。  私が守るべきものは守るということでイメージしているものは二つありまして、一つは米であります。米についてはもう多くは申しません。もう一つは牛乳であります。世界の先進各国みんな自分の国の酪農なり牛乳生産を保護しております。私はこれをキャッチフレーズ的に、なぜ牛乳を守るかということで言いますと、米が大人の主食だったら牛乳は赤ん坊の主食であるというふうに言うのが一番わかりやすいように思います。日本人の平均寿命が延びた理由は、年寄りが死なないということだけではございませんで、赤ん坊が長生きしているということであります。  個人的な話になって恐縮ですが、私の姉は二歳のときに重症の消化不良で死んだそうです。そのとき、重症の消化不良になった赤ん坊に何を食べさせたかというと、昔は重湯だったんですよ。お米をやわらかく煮たものしかなかったんです。多分今だったら私の姉は重症消化不良を今の育児ミルクで見事に乗り切ったんではないか、生きていられたんではないかというふうに思います。個人的な話で恐縮でした。  私は、牛乳は守っていくべきだと思いますし、それは牛乳だけでなくて牛肉の生産にもつながる。牛というものは豚や鶏と全く違うところがありまして、それは人間が食べても消化できない草、つまり人間が捨てる草を食べて人間の食べられるものにしてくれるという経済動物だからであります。  長くなりますので省略しながらいきますが、産業の中で農業をどう位置づけるかということで言いますと、私は一つには、食料供給システムの生産額九十兆円、これはことしの農業白書に出てきますが、その中での農家の生産している部分のシェアを増していく。つまりもっと具体的に言いますと、農協が加工するというのもありますし、あるところまで販売までするというようなことで農家の取り分をふやしていくという点が一つあるように思います。  私、いつも農村へ行って思うんですが、農村が貧しくて厳しくてという話ばかりしている。一方、テレビの画面を見たらどうなるかというと、テレビの画面はコマーシャルからグルメ番組から料理番組、全部食べ物で彩られているわけですね。テレビのあの食料がいっぱいの世界と、農村でおれたちは苦しいという世界と余りにも分離し過ぎているんじゃないか。これを何とかなるべく一体化する、あるいは食品供給の中の農家への分け前をふやしていくということが私は必要なように思います。  それから、基礎的な食糧というのは保護のもとで生産すべきだ。しかし、これはコストを下げなくていいとかそういう話では全くありません。詳しいことはまた御質問があればお話しします。そういう基礎的食糧は保護し、開放的な競争的な農業は併存させるというのが私は望ましいと思います。  それから、よく農家が少なくて困るというお話を農家自身の口からも言われます。しかし、私は少数精鋭主義の農業があるべきだと思います。明治維新が起こったときに日本人の中で農家の占める割合は恐らく八割ぐらいいたんだと思いますね。それが日本の現代の姿になってきた。この傾向は流れとしては変わらないんだろうと。したがいまして、やはりこれからの農業というのは少数精鋭が担う時代が来ているんだ、いろんな共同体的な制約があるのはわかっていますけれども、そうではないかと思います。  今後のあるべき姿は、あと二分半でお話ししますけれども、一つは技術革新あるいは技術的な、つまり日本が国際的に競争できる要素、これは土地ではとてもかないませんので、やはり技術とか労働とか資本とかで勝負しなきゃならない。そういう意味では、実は日本の技術水準というのはそんなにすばらしいものではございません。米の単収などでも既に世界に追い抜かれておりますし、例えば家畜の生産能力、これは遺伝子のすばらしさということに言いかえてもいいですが、そういうものははるかにおくれをとっているというのが実は現実だということをお考えいただきたい。  それから、備蓄というのは私は必要だと思います。日本が米を守ると言うと、そんなものは備蓄したらいいじゃないかとよく言われますけれども、やはり備蓄というものも、一億二千万人もいてしかも世界でも有数の豊かな国が備蓄を考えないでただ漫然と物をつくっている、そんなことは危ない。あるいは備蓄をするぐらいの余裕はあっていいんじゃないかというふうに私は思います。  農業についていろいろ改革が進んでおりますが、残念ながら一つだけやってないような要素があるように思います。それは農協という農業者の団体ですね、これをやはりなるべくいいものにしていかないと日本の農業というのは終局的にはよくならないんではないか。すばらしい農協があります。私もいろいろあちこちで見ますが、なかなかその数が少ない。そういう時代ですので、何とかこの農業者の団体をよくする、それが日本の農業をよくすることになる、それが国際競争力を増すことにもつながっていくんだというふうに思います。  それから、環境に配慮した農業の時代、これが来るということも当然でしょう。  規模拡大ということを農家に言うのなら、やはり土地というものの所有なり貸借なりというものをきちんと考えてやって、規模拡大が本当に現実のものになるように考えてやらなければやはりそれは不十分ではないかというふうに思います。  時間が来ましたので、あとは御質問の時間になりまして、一応私の発言を終わらせていただきます。

田英夫日本社会党・護憲共同

○会長(田英夫君) どうもありがとうございました。  以上で参考人からの御意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。

西野康雄日本社会党・護憲共同

○西野康雄君 きょうは参考人の先生方に非常にいいお話を聞かせていただきまして、ありがとうございます。日本社会党の西野康雄です。  唯是先生、私も農業読本で育った人間でございます。農業経済学と農業生産学をやってまいりました。  日本の農業政策を考えたときに、まず唯是先生にお伺いしたいんですが、キッシンジャーが言った、食糧は戦略物資である。例えばアフガニスタンにソ連が侵攻したときにカーターがどういうふうなやり方をしたのかといったときに、まずソビエトに対して食糧の輸出をとめる、そういうふうなことがあったかと思います。日本の農業政策に 食糧は戦略物資であるという、そういうふうな大きな枠の考え方というのが全く欠如していたように思うんですけれども、唯是先生はどうお考えでしょうか。

唯是康彦千葉大学法経学部教授

○参考人(唯是康彦君) 食糧を戦略物資というふうに考えていいかどうかというのは非常に問題なんですね。  と申しますのは、カーターがソ連のアフガン侵攻に対して一つの制裁措置として千七百万トン、あれは二千五百万トンをソ連と契約していまして、そのうち八百万トンはどういう事態があってもソ連に送らなければいけないという条項がありますので、差額千七百万トンをとめたんですね。そのとき大変ソ連に大きなショックを与えました。余りそのショックについて評価がないんですけれども、私は相当大きかったと思います。  一つは、ソ連というのはアメリカから入れた農産物をすべて自国で消費するかどうか、その辺のルートはよくわからないんですけれども、衛星諸国にも自国の生産物とあわせて供給している面があるんですね。したがって、穀物千七百万トンをストップさせられたということは、やはりソ連及び東欧の特に畜産物、えさが制限されましたので畜産物の供給に非常に大きな影響を与えました。時あたかもオーストラリアで干ばつがございまして牛肉の生産が落ちたんですね。そのために世界的に牛肉の値段が上がってしまった。それで結局必要以上に、必要以上というか必要に迫られて肉の供給を抑制する、ないしは価格を上げるという政策にソ連、東欧は踏み切らざるを得なかったわけですね。それで、それに対するストライキが起きたようです。詳しいことはよくわからないんですけれども、ソ連でも起きているようです。その典型的なのがポーランドですね。ポーランドのあの「連帯」絡みの政変というのは引き金はやはり食糧デモであり、その食糧デモというのは畜産物、特に牛肉の価格引き上げであり、その背景にはやっぱりアメリカの穀物の輸出停止があったと思います。ですからその点について、効果がなかったという評価が非常に多いんですけれども、私はそういう評価をしていません。  ただし、アメリカもその後非常に困るんですね。千七百万トン過剰ができてしまう。それがちょうどあのカーター、レーガンの大統領選挙のときにぶつかりましたので、それで慌ててカーターは中国と穀物契約を結んでそれの解消を図るんですけれども、そうはなかなか簡単には解消できなかった。  もう一つは、ソ連も非常に困った。アルゼンチンと今度はかなり高い値段で決めて、後でソ連もまた困るんですけれども、とにかくあれはびっくりしたですね。アルゼンチンは小麦の価格を四割ぐらい上げたはずですね、あのとき。それで大増産でこたえた。そうすると世界的に過剰になっちゃったんですよ。だから、結局アメリカはやっぱり最終的には過剰農産物の問題に陥ってしまった。  ですから、食糧というものを戦略物資として利用するということがいいか悪いかという問題はなお検討を要する、まず第一に。もろ刃の剣なんですね。相手も傷つけるけれども自分も傷ついちゃう。石油もそういうところあるんですけれども、石油と食糧の違うところは、やっぱり生産地が石油の場合は非常に局限されて、食糧はどこでもできるんですね。それから石油ですと、なくなったからといって今のシステムですとそう簡単に切りかえできないですが、食糧は、パン食べられなければ御飯食べるとか芋食べるとかいろいろ切りかえがその場でできるとか、いろいろなところで増産ができるとか、そういう供給サイドの面がやっぱり食糧の方が割とフレキシブルですね。もう一つ、消費の面は、消費というよりも在庫の面、石油は割ともつんですよ、そのまま置いておけば。食糧は保管するのに物すごい金がかかります、ほっとけば品質が下がりますしね。  ですから、石油と食糧、石油も結局ああいうことをやって、長い目で見ればまた過剰生産に陥ったりして苦しむんですけれども、期間が長いから何だかよくわからない。わからないけれども、食糧の場合は短期間にだめだという結果が出ちゃうんですよね。ですからその点は、私は、戦略物資という考えは日本の政策には欠落していたと思いますけれども、それを入れるべきかどうかということは、これはもっと学問的に評価し直す必要があると思いますね。  ただ、先ほどから皆さんおっしゃるように、食糧の安全保障対策のいうものは、食糧が戦略物資に使われなくても、どういうことで輸出が途絶されるかわかりませんので、そんなことに対する対策というものはとっておかなければいけない。だから、日本の場合は恐らくネガティブな意味で戦略物資としての考え方、それが食糧の安全保障という概念であろうと思います。先ほど言いましたように、これは本当のことを言いますと私が一番最初に使った言葉なんです。そんなことで、食糧の安全保障というのは、日本の場合は食糧を戦略物資と考える一つの対応、ネガティブな面ですね。

西野康雄日本社会党・護憲共同

○西野康雄君 本当に私自身も食糧安保論を考えたときに、ガソリンは輸入しているじゃないか、だから食糧だけ守っても仕方がないんだ、そういうふうな論議が随分と交わされている中で、いつもキッシンジャーの例を出したりしながら、食糧というのは戦略なんだ、戦略物資なんだというふうな考え方を出して、食糧安保論に対してもう一つ補強みたいなことも考えておったわけですけれども、米が輸入自由化されてもアメリカにおいて貿易赤字は改善されません。経済摩擦においても微々たるものです。それでもなおかつ米を輸入自由化せよというアメリカの真のねらいというのはどこにあるんでしょうか。  アメリカのトウモロコシ畑が随分とこのごろ連作障害等で米に、稲作にかわってきております。カリフォルニアのインディカタイプからジャポニカタイプに米がかわってきて、今後アメリカは米という付加価値の高いものにどんどん切りかわっていくんじゃないか。そんな可能性があって、その可能性の中で日本に米の自由化を求めているんではないか、そういうふうにも私自身考えるんですけれども、お三人の参考人の先生方にアメリカの真のねらいというものをどうお考えなのか、まず唯是先生からお伺いをしたいと思います。

唯是康彦千葉大学法経学部教授

○参考人(唯是康彦君) まず、アメリカが米問題を取り上げたのは昭和六十一年九月ですね、RMAが提訴してきたのは。あのときはアメリカは百万トン過剰米を持っていたわけです。それはなぜかというと、一つはイラン革命の結果で、イランというのはアメリカの非常に大きな米の輸出先なんです。それがイラン革命の結果買わなくなった。もう一つは、タイが低米価政策を展開して輸出競争に負けた。そのほか、インドとかインドネシアで緑の革命が成功して米が増産されたというようなことがあって、百万トンほど余っちゃった。ですから、その百万トンを処理したいというのがRMAの直接のねらいですね。おととしですか、ギャバートと会ってちょっと話したですけれども。  アメリカというのは、大体オレンジも牛肉もみんなそうですよ。ブラジルとかフロリダのジュース用のオレンジができたのでカリフォルニアは余っちゃった、日本で何とか処理しようとか、牛肉も、鳥肉の方にダイエットで移って余ったので日本で処理しようとか、直接民間ベースはそういうレベルの話なんですね。  ですから、一昨年あたり世界的に米が不作になると、余りそっちのプレッシャーはなくなっています。ジャポニカに切りかえるといったって、やっぱり温度的な制約とか水の問題がありますから、そんなに米は増産できないです。だから、切りかえてジャポニカで日本に売って、日本市場を開発すればどのぐらい増産できるか、余り僕はアメリカの増産について期待してないですけれども、しかし、とにかくそういうインテンションがあることはあるでしょうね。  それよりもむしろ、政府レベルで考えているのはEC対策だと思うんですよ。御存じのようにECは共通農業政策で完全にアメリカと対立してい るわけです。このウルグアイ・ラウンドで何をねらっているかというと、要するにアメリカはECの共通農業政策というか可変課徴金をたたき壊して自分たちの市場にしたいわけですよ。ECはとにかく絶対それはさせたくない。少なくとも九二年の統合があるまではそんなことはできないですよね。ですから、その攻防なんです。そうすると、日本というのはその中で非常にECに近い条件を持っていますから、日本がECに回られるとアメリカは非常に困るんです。だから、僕は回ればいいと思っているんです。何か特別また日本独特の提案なんかして、ECと提携すればおもしろいんですけれども。  とにかく、それで何をやったかというと、第一回は、六十一年九月にウルグアイで理事会を非公式に行って、翌年からウルグアイ・ラウンドの交渉に入ろうという、そういうことをやった年にRMAにうまく提訴させて大騒ぎさせて、それから今度はおととしの十二月にモントリオールのウルグアイ・ラウンドの中間会議があったときに、その年の九月にまたRMAに日本の市場開放を訴えさせたでしょう。あれは、その都度日本を米について追い込んで、そして日本だけの問題に限定しているように見せているんです。そうすると、日本はつらいから、名前は言わなくてもいいんだけれども日本の高官が、六十三年の十月にイスラマバードで閣僚会議か何かあったときに、日本は米の問題については、自由化するかしないかは別として、前向きに取り組む、決してガットから逃げるものではない、そういう発言をした。その直後、僕は向こうのUSTRのガット担当官と会って話したら、喜んでいた。あれでもういいんだ、あの言葉でいいんだと。それで日本というのはもう完全にECと提携しないだろうという見通しなんですね。  だから、日本はモントリオールの会議であんなことをやったり、レーガン大統領の竹下首相への親書が出たりして、米はもうモントリオールで自由化だというような形で大騒ぎしていたけれども、そうじゃないんですよ。アメリカのねらいは、米の問題で日本を孤立させて、そしてECと直に交渉したかったというのが本当のねらいですよね。これからもそうですよ。だから僕は裏をかく方がおもしろいと思うんですけれども、どうですか。  そんなことです。

西野康雄日本社会党・護憲共同

○西野康雄君 今村先生はどうでしょうか。

今村奈良臣東京大学農学部教授

○参考人(今村奈良臣君) 一つは、アメリカの米というのはアメリカ農業にとっては〇・五ないし〇・七%産業なんです、御承知のように。農地面積とか農家戸数で言えば〇・五%です。生産額で言えば〇・六から〇・七%ぐらいですから、日本で言えばコンニャクみたいなものです。意外と日本もコンニャクは強いですね、政治家が。ちょっと語弊があるから余り変な意味にとらないでください。アメリカも、米というのはそんな小さいにもかかわらず政治力は非常に強いんです。不思議なくらい強いんです。だから、僕もいろいろアメリカへ行ったときに、例えば中西部へ行って農民なりイリノイ州の農務長官に会っても、あんな米のことなんて全然関係ないよ、我々にしてみれば日本は小麦、大豆、トウモロコシというのは大得意様で、そんなつまらぬことというのが多いんです。しかし、米は非常に政治力が強いというようなことがございまして、それはやはり有力政治家がいるというようなことが一つあるでしょう。  もう一つは、その〇・五%産業にかかわる財政負担が非常に多かったんです。最高限度額が二十万ドル、一農場当たり。これは五万ドルに下げますけれども、しかし底抜けにやっていたときはその財政負担が生産額に対して非常に多かった。こういうのをどういうふうに処理するかというような問題が一番内部としてはあるわけですね。だから外部にそれを出す、こういうのが一つあると思います。  それから、いま一つは、やはりタイに国際市場で負けたということがあります。そのためにマーケティングローンシステムみたいなものをつくる。これがまた財政負担を呼び起こすというふうな悪循環になりまして、その上で、先ほど唯是さんが言われたように、局面局面でいろいろ状況は変わりますけれども、基本的には過剰問題をどう処理するかという問題が出てきます。それを結局一つのネタにしてウルグアイ・ラウンドを、先ほどEC対策というふうに唯是先生が言われたのとほとんど同じ認識を私も持っているんですけれども、そういう方向でアメリカの米の対日本政策というのは非常にシビアに出てくる、こういうことではないかと思っております。

西野康雄日本社会党・護憲共同

○西野康雄君 加倉井先生はどうでしょうか。

加倉井弘日本放送協会解説委員

○参考人(加倉井弘君) この前、RMAとライスカウンシルの代表が幕張メッセに来まして、私も話を聞いてまいりました。私の考えでは、RMAの強さというのは、一つには、百年以上前にできたアメリカでも最古の団体の一つでありまして、今の政権と密接なかかわりがあるというその政治的な関係の強さであります。  もう一つ、経済的な力で言いますと、RMAの準会員にコンチネンタル・グレーンとかルイ・ドレフュスとかいう名立たる多国籍企業、穀物商社がついている。これは経済的な力があるという意味であります。  最後に、動機ですが、私は、一番大きいのはやはりアメリカの米が三〇%もの減反をしていたということだと思います。日本だけでありませんで、減反を強いるということは極めてつらいことでありますが、それをあえてせざるを得なかった、これが動機になっておると思います。

西野康雄日本社会党・護憲共同

○西野康雄君 加倉井参考人にお伺いをしたいと思うんですが、先ほどイギリスのお話が出てまいりました。たしか一九五〇年代ぐらいまではイギリスも日本と同じかさらにそれ以下だったと思います、食糧自給率が三〇%ぐらいだったと思うんですが、今お述べになったように一一〇%から一二〇%、小麦は輸出国にまでなってきました。イギリスは食糧を自給しなければならないんだという、そういう基本的な考え方というんですか、どこからどのように変わってきたのだろうか。日本の今の農業政策に参考になる点とすればこの点だということがありましたら、お伺いをしたいと思います。

加倉井弘日本放送協会解説委員

○参考人(加倉井弘君) ヨーロッパ諸国というのは、国際交渉あるいは外交という意味で非常にタフな人たちで、一方の手で手を握りながら片方の手で短剣を振りかざす、これは比喩ですけれども、そういうことを平気でやってきた人たちです。彼らはやはり基本的には、先ほど私が申し上げましたように、国家の自主独立を阻害するような要因はなるべく避けて、自分の国を強くする、強いということは何たるかということを実は彼らはよく知っていてやっているというふうに思います。ですから、食糧の安全保障という言葉を使ってもいいんですが、国の自主独立を守るためにできるだけのことはするというヨーロッパ社会に前からある基本的な理念がそういう行動をとらせたのだろうと思います。  ただ、御承知のようにイギリスの農業というのは規模拡大を物すごくやりまして、それで今の自給率を達成したのであって、あれは昔のままの規模で穀物の、例えば小麦の生産を達成したのではないということも我々は参考として考えるべきだと思います。

西野康雄日本社会党・護憲共同

○西野康雄君 唯是先生には、米のところのjとkですね、米が現在の日本にとって基礎食糧であるかどうか疑問であるということと、食糧の安全保障や生態系の維持のため基礎食糧とするのは米ではなくて水田である、水田維持を検討すべきである、こういうふうなところが時間切れであったかと思いますが、まず、米が現在の日本にとって基礎食糧であるかどうか疑問であるという根拠と、そしてkの項目の水田維持を検討すべきであるということの具体的な部分をお述べいただければと思います。

唯是康彦千葉大学法経学部教授

○参考人(唯是康彦君) 先ほどは時間切れで大変失礼をいたしました。  まず、政府が基礎食糧という概念をガットの規 約を修正して導入しようというのは、私の一番に挙げました前提からして、大変妥当な姿勢であろうと私は思います。ガットにとどまる限りは、そのルールを守るか、不満のある場合はそれを改正する、これがやはり国際社会に生きる国のあり方だと思いますので、この思想は大変結構であると私は評価します。ただし、米が基礎食糧だと言うことは私はどうもおかしいなという意見です。これは日本人が聞くと、何となく心情的に米は基礎食糧だと思うんです。それから外人も、恐らく日本の事情はよく知りませんから、それはそうだろうと思います。  ところが、安全保障絡みで米を基礎食糧と言うなら、輸入がとまったときに、じゃ米でもって日本が生きていけるのか。ところがこれは、総カロリーのうち現在お米の割合というのは二七%ぐらいですか、三〇%を割っているんですよ。そうすると、総カロリーの二七%しか確保できなかったならば、それは我々死んでしまうわけですね。ですから、安全保障としての機能を現時点の米の水準で固定してそれを自給するんだということは何の意味もない。そんなことで安全保障ができるというのは論理的にはおかしいんですね、実際を見れば。だからそういうレベルで物を言っているのは間違いじゃないだろうか。そのほかに、お米というのは、農業所得についても今や三割割ってしまいましたし、また家計費に占める割合というのはもう二%ぐらいです。ですから、米の日本社会における基礎というのは一体何なんだという疑問が数字を見ると出てくるんです。  ですから、心情的にもわかりますし、外人は余計日本のことがわからないからそれで通るかもしれませんけれども、実態に即して言うなら、米が基礎だということを言うべきじゃないんじゃないか。それを言うなら、やはりカロリーの多くを占める畜産物だって基礎食糧ですし、ほかのもろもろのものも基礎食糧じゃないか。畜産はえさを輸入しているじゃないかと言われますと、先ほどおっしゃったように、米をつくるのだってやはり石油を輸入して肥料や農薬をつくっているじゃないか、こういうことで同じことになっちゃうわけですね。農家の所得に占める割合にしたってもう米と同じぐらい畜産物は大きなシェアを持ってますし、果樹も園芸も大きな割合を持っているんですね。ですから、日本がそういう生産構造、消費構造が非常に多様化した中で米だけを取り上げて基礎と言うことはおかしいじゃないかというのがこの問題に対する私の考えです。  ただ、言おうとする意味はわかるんですね。食糧が全面的にとまったときに頼りになるのは国土資源だけなんですね。そうすると、国土資源でできるものは何かというと、米を中心として麦、雑穀、芋、豆、野菜、近海魚といったようなものです。古典的な日本食の原料ですね。その中核にお米があるわけです。ですから、最悪の事態が発生したときに、ということは食糧が全面的にとまったときに日本は現在の食糧水準、食生活は維持できない。食生活を昔の形態に戻しちゃって、その中で国土資源でできるものはこれは供給できるわけですから、そういう形態に持っていかないといけない。  そうしますと、大事なのは現在の米の自給ではなくて水田の確保なんですね。もちろん畑も重要ですしその他、海も重要ですけれども、やはり農地の半分を水田が占めてますから、しかもそれは非常に日本の生態系にも合致した一つの生産スタイルですから、水田をやはり大切にしていくということが一番重要なんじゃないか。安全保障の面からも生態系の面からいっても重要なんじゃないか。  そうしますと、そのために水田を一体どうやって維持したらいいか。ところが、お米の消費拡大運動というのをやりますけれども残念ながら年々落ちてますよ。これは、昭和三十七年に一人一年間百十八・四キログラムあったのが、もう七十キロ割りかかっているわけですね。もっと減りますね、このまま。ですから、精神性のある話で米を大切にしろということはよくわかるけれども、このように生活が多様化した中で米の消費拡大というのは実際は無理なんですよ、はっきり言って。  だから、そういう中で米を基礎食糧にしてその完全自給を守っていてはどんどん日本の安全保障というものは停滞し、衰退し、日本の生態系は破壊されていくわけですよね。だから、何も外国向けにそういう感情に訴えるようなことを言う必要はないんで、やはり日本が一体どうやったら安全保障、生態系が維持できるかということを基本に考えるべきであって、そのときに米を基礎食糧と言うのはおかしいんです。それよりも、やはりその基本になる水田というものをいかにして守っていくかということが大切なんですね。  それで、そのためには、ここで今村先生と私の話はドッキングしていくんですね。前半の国際問題については今村先生は私と同意見だとおっしゃって、後半のところは私は今村先生と同意見なんで、何のために自由化、保護で対立した形で出てきたかわからなくなるんですけれども、時間が長くなりますので、後半についてはそういうことで今村先生と同じ意見だということです。

西野康雄日本社会党・護憲共同

○西野康雄君 では、今村参考人に続きをお願いします。

今村奈良臣東京大学農学部教授

○参考人(今村奈良臣君) ただいま西野議員からの御質問のこと、今お手元に資料をお配りしていただいているんですけれども、この資料はごく最近私が「飢餓と飽食の構造」という本を書いたその中の一部なんでございますが、データとしてはFAOの食糧需給表、フード・バランス・シートによってカロリーでいろいろの食べ物を表示したものなんです。  この表で言わんとすることは、一人一日当たりですが、世界で最低の供給カロリー量しかないガーナが千七百六十九キロカロリーなんですね。多いのは、東ドイツとかアイルランドなんというのは非常に多くて三千七百ぐらいあるわけなんです。このくらい差があるんです。倍以上差があるということは御承知のことだと思いますが。  それで、基礎的食糧の問題に入るんですが、唯是さんが今言われたように、日本は左側の一番下にありますが、米というのが二七%を切っているように思うんですね。要するに穀物で米と小麦と、あと雑穀が若干ありますけれども、米は供給カロリーではこの程度のことになっておるんです。もちろんこの表で欧米諸国とは随分食べ物の摂取構造が違うということはよくおわかりになると思いますし、それから基礎的食糧ということになると、いわゆる先進国ではなくて途上国、例えば一番端的なのはバングラデシュなどなんですが、こういう国はもう八割ぐらいが米、これが基礎的食糧と言えるんですね。逆に欧米先進諸国、フランスなどを見ると何が基礎的食糧か実はわからなくなるんです。これはやっぱり考えてみていただきたいと思います。アメリカにおいてもそうなんですね。肉と言うべきか、穀物と言うか、砂糖・ハチみつと言うべきか、本当にこれ困ってしまうんです。  つまり、国際社会で基礎的食糧という概念を使うときには、いわゆるかぎ括弧つきの日本は米、水田だというふうなことで言えるんですけれども、そういうイメージ、バックグラウンドがあって言えるんですけれども、一般的にこういう表で見ますと非常に困ってしまうわけなんですよね。そのことをちょっと傍証したかったんです。  そういう上に立って言うならば、例えば農業貿易交渉ですね、非貿易的関心事項の中でさっき言ったサステイナブル、サステイナビリティーだとか環境問題というようなことを言いながら、これはECが非常にそのことを言っているわけですね。例えばローインプット、つまり投入量を、農薬や化学肥料を引き下げて収量も二〇%下げるような農家に対しては補助金を逆にやりますよ、それで過剰問題を解消しながら環境を維持もし、安定的に食糧の国民的な供給もやります、安全性も追求します、こういうことをねらいとするのは理があるわけです。  だから、基礎的食糧という問題を一応日本人向けには言っても、国際的にはもう少し違った角度からその問題にアプローチして、そして問題提起 をする、こういうことが必要ではないかというふうに思っております。

西野康雄日本社会党・護憲共同

○西野康雄君 基礎食糧と言っても、外国と日本との認識の違いというのは本当によくわかりました。  最後に、加倉井参考人にお伺いをいたします。  農協の改革ということを言われておりました。私も、農協というのが農家の味方であるのか果たしてどうなのか、高い肥料だとか飼料だとかを押しつけたり、そういうふうなことも考え合わせますと、本当に味方なのかどうなのかというところをかねがね疑問に思っている点です。あるべき農協の姿というものをお述べいただいて私の質疑を終えさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

加倉井弘日本放送協会解説委員

○参考人(加倉井弘君) 昭和三十七、八年ころですか、農協が非常に経営が苦しくて倒産というようなことになっていたときに、私は、農協をつぶしたら農民もつぶれるんだ、農協をつぶすべきじゃないということを一生懸命主張したんですけれども、ただ、これだけ経済が熟成した中で農協というものがいかにうまくやっていくのが難しいかということは、はっきりあると思います。  非常に単純なわかりやすい言い方をしますと、農協がもし多数決原理でやるとしたら、農協の運営というのは第二種兼業農家、つまり多数の理念で動かされるというふうになってしまうわけで、その場合に専業農家の立場というのが、もちろん恩恵を受ける場合もあるけれども、場合によると利害が衝突する場合もある。それは具体的に我々はいろいろ聞いております。農協の方が我々に、特に若い方が訴えるというようなことがございまして、聞いております。  例えば今一郡が一農協になるというような農協合併が進んでいる中では、これの経営というのは非常に大変で、農協の組合長というのはそれこそガソリンスタンドもやらなきゃならない、スーパーもやらなきゃならない、銀行の支店長のような仕事もやるスーパーマンでなければならないんで、これはむしろ無理だと思って専門家を雇う。まあ非常に極端な言い方をしますと、ある程度経営と所有の分離みたいなことをやって有能な人材をどんどん使っていかないと、一郡一農協の時代に組合長が運営をうまくやっていくというのは難しいんじゃないかというふうに思います。例えば、法制度の改正でえさ工場なんかを実際にやれるようになりましたね。ですから、そういう時代にふさわしい農協というものになるべきであるというふうに思います。

西野康雄日本社会党・護憲共同

○西野康雄君 ありがとうございました。  これで私の質疑を終えさせていただきます。

田英夫日本社会党・護憲共同

○会長(田英夫君) ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕

田英夫日本社会党・護憲共同

○会長(田英夫君) 速記を起こしてください。

狩野明男自由民主党

○狩野明男君 自民党の狩野明男でございます。  先ほど来、参考人の諸先生方には大所高所から大変貴重なお話をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。  私は茨城県であります。茨城県は北海道を除いては全国一の農業生産県でありまして、各地歩くたびにこの農業問題にいろんなところでぶつかって、非常に疑問に思ったり、いろいろ考えさせられるところがたくさんあるわけであります。そういう中で、私の質問は次元の低い質問かもしれませんが、順次諸先生方に質問をさせていただきたいと思います。  先ほど来の食糧の問題でありますけれども、私は、国家安全保障の条件というのは経済力であり自衛力であり食糧の自給力であると思っております。そして、そういう中でやはり米というのは、カロリーから考えると基礎食糧ではないというお話でありますけれども、何といっても穀物の中で我が国において自給できるのは米だけである。大豆も現在は九八%外国から輸入している、さらに小麦も大体そのぐらい外国から輸入している、さらに飼料においては大体九九%ぐらい外国からの輸入に頼っている、そういうような現況を見ますとき、やはり米は我が国の基礎食糧ではないか、このように私は考えているわけでございます。  そこで、牛肉・オレンジに続いて、今回ガット・ウルグアイ・ラウンドで米の自由化の問題が非常に叫ばれているわけであります。そういう中で、我が国だけが自由化しないからということで何か悪者のような感じで受け取られているけれども、先ほどの唯是先生のお話によりますと、米は国家貿易品目であるからガット規約に従えば自由化する心要はないというきちっとしたお話をいただきまして、大変心強く思っておるわけであります。これから何回か政府間の交渉があろうかと思いますが、その政府の交渉の方法とか態度とか、どういうところに今交渉していく段階で我が国として問題があるか、いろいろ唯是先生としてお考えがあろうかと思います。そういうことで、自分が農林大臣だったらばこういうふうに言うんだというような何か示唆をしていただきたいことが一つです。  もう一つ、日本農業の長期展望を持たなければならないということをもう少し具体的にお教えいただきたい。特に、農業の人口、これが激減している。これに対して、このようにすればといいますか、どういう対策といいますか、そういうものをしていったらいいかとか、そういうもう少し具体的な御示唆をいただけたらありがたいと思います。

唯是康彦千葉大学法経学部教授

○参考人(唯是康彦君) まず、お米の基礎食糧論争はいいですね。先ほど私も今村先生もお話ししましたし、ムードとしてはわかるんですね。感情としてはもうおっしゃるとおりなんですけれども、それを客観的に表現した場合には、どうしても水田という言葉と組み合わせないと意味がないだろうというふうに思いますし、その点ではよろしゅうございますね。  それから、農水大臣には絶対なりたくないですから、その点誤解のないようにしていただきたいんですけれども、先ほども指摘しましたように、国家貿易品目として当面自由化する必要ないんですね。ただ、ガットというのは十一条で自由化原則をうたっていますから、その状態をいつまでも続けるという保証はないんです。ただ、国で生産調整をして、その結果貿易を専門的に国が管理しなきゃならないという状況の場合、これは国家貿易品目であって輸入制限は認められるわけですね。現在それは事務局にこちらから出して、加盟国からその点について特別反対ないわけですから、これは承認されたと考えていいですね。  それで、先ほどもちょっと触れましたように、アメリカではウエーバー条項ですね、あれは二十五条、今の国家貿易品目は規約十七条です。それから二十五条というのはウエーバー条項で、アメリカは十四品目自由化しなくてもいいというお墨つきをもらっているんです。第二次世界大戦中、それから戦後の食糧難、アメリカは増産をやってこれを救済した。世界に平和が戻ってくると全体に過剰になりますので、アメリカは生産調整せざるを得ない。そういう品目について自由化を強要するということはできないという観点から、ガット加盟国の三分の二以上の賛同を得て、アメリカの十四品目について自由化免除ということになっているんですね。  あるいはECの場合は、共通農業政策というもので域内でやはり価格支持政策に類したことをやっていますから、その状況の中で自由化してしまいますと、これは崩壊しますわね。そこで、ガットの十一条の自由化原則をうたった中で、自由化しなきゃいけないんだけれども、輸入制限しちゃいかぬのだけれども、関税と課徴金はかけてもいいということになっているんですね。あれは関税と課徴金は認められている。関税と課徴金以外の輸入制限はしちゃいかぬということになっていますから、それを裏返すと関税と課徴金はかけてもいい。それをさらに可変課徴金ですね。域外の状況はいろいろ変化しますから、それに応じて課徴金を変動させて域内に入ってこないようにするわけですね。ですからちょっと脱法行為に近いような気がしますけれども、とにかくガット規約に基 づいているということで、可変課徴金制度でできるだけ輸入を抑制しているわけですね。  ですから、日本ばかりじゃなくて、ガットは自由化原則だけれども、先進国はそういう例外規定というのをみんな持っているわけですよ。ですから、その限りにおいてすべて合法的だ。日本の米が非合法だったら、アメリカのウエーバーもECの課徴金も非合法ですよね。  しかし、これは各国いろんな見解があるわけですね。アメリカは可変課徴金は違反だと、こう言って絶えずECを攻撃しています。それから、ECはアメリカのウエーバーももうそろそろやめたらどうだということで、これまた攻撃しているんですね。そういった同じレベルの問題だと僕は思っているんです、日本の米の問題は。  ですから、お互いに言ってもいいですよ、世界にはまだ統一した権力機関がないんですから。ですから、一応ああいうルールをつくっておいて、国際ルールを守ると私は言いましたけれども、一つの統一した強力な権力がないわけですから、そのルールを自分の都合のいいように解釈してこれでいいんだと言えばいいんですね、今の世界の状況というのは。そのレベルのルールを守らなきゃいかぬということ。だから、オレンジ・牛肉のように、残存輸入制限品目で明らかに非合法なのに、それをしないというふうなああいう反応はすべきじゃないと思うんですね。そのルールに合わせて、自由化やむを得ないんだけれども、どうやって日本の国内の農業を有利に持っていくかという、そういう工夫をするのがこれからの僕は農業政策だと思うんですね。国際化時代の農業保護主義というのは、僕はそういうものだと思うんですよ、ただそれを無視したような形じゃなくて。だから、そういった点ではECの可変課徴金なんというのは、ずるいけれどもうまいですよ。合法的だと、解釈によってはどうにでもなるようなことをやっているわけですね。  そういう国際社会の中の問題ですから、私は、あくまでもまず第一に日本の米の輸入制限というものは合法的だということをもう相手が嫌になるぐらい言うべきなんだ。ECとアメリカはお互いにそれ言い合っているんです。それで、この前ドイツから来たボン大学の先生と話したら、アメリカもそろそろあきらめかかっているんじゃないかと、何かそんなことを言っていましたね。ですから、そのぐらいの粘り強さがあっていいんですね。ところがやっていることは、何も自由化しなくてもいいのに自由化反対というようなことを今からわめいて、その上、オレンジ・牛肉と米は違うのに、オレンジ・牛肉の次は米だというような、明らかに国際ルールを全然理解していないような反応を国を挙げてやるわけでしょう。これはちょっと困るというのか、恥ずかしいんですね、別の言い方をすると。世界の状況からすると要するに主張したやつの勝ちなんです、ルールにのっとる限り。主張を強くやったやつの勝ちですから、日本がああいう反応をしたら、ああやっぱり日本は間違ったことをやっているんだ、あの国は非合法なことを平気でやって国際ルールを踏みにじる国だと、こういう印象を持つでしょう。  国内だって、みんな知らないですからね。ああやっぱり日本はだめなんだなと。米をつくっている農民なんていったら、もうただでさえ財政負担とか何かで攻撃されているのに、そんなにまずい、悪いことをしているんだったらこれはそろそろやめなきゃいけないかなというような感じでみんな浮き足立っていくんですね。さっきも先生おっしゃったように、やはり米ですよね、米の基盤になる水田ですよね、日本のよりどころは。そういうものを担っている人たちにそういう気持ちを与えることは、僕は政治的には大失敗だと思いますね。だから、そういうことは絶対やらない。日本は正しいんだということを、そのルールの許す限りは頑張ることがまず第一条件です。  ミニマムアクセスの問題にしても、一粒たりとも入れないなんてことを言わないで、今現に入れているんですからそれでいいんですよ。何が悪いんだということで開き直ればいいでしょう。それを一粒も入れないと言っちゃったら、今入れているのをそれじゃどうするんだという話に戻ってくるわけですし、それからミニマムアクセスはやはり規約にあるわけですから、それ本当に実行して今入れているのをとめちゃったら規約違反ですよね。それこそガットに得たり賢しとアメリカは訴えて、クロの裁定とって、それに基づいて三〇一条適用ということだってやってくるわけですよ。ですから僕は、そういう態度自体がまず基本的に間違っているから何とかやめてほしい。もうとにかく相手がうんざりするぐらい自分の合法性を言うんです。  この前、農務省に行ってガットの担当官と話したときに、あなたのところだってウエーバーがあるじゃないかという話をしたんですね。そしたら、ウエーバーというのは、あれはアメリカがガットに入るときの条件だった、それを否定するんだったらアメリカはガットを脱退すると言うんです。自分は個人の意見として言うけれども、それはアメリカの気持ちだと、こう言うわけですね。そのぐらいの覚悟でアメリカは臨んでいるんですよ。ECだってそうだと思うんです。日本はなぜあんな腰砕けみたいな変な態度をとらなきゃならないか、意味が全くわからない。テレビや新聞を見るたびにしゃくにさわってしょうがないんです。何をやっているんだということなんですね。そのぐらいのやっぱり自信と見識を持ってほしいというのが第一ですよ。ですから、今後ともそれを貫く。これはもう粘り勝ちなんです。  だけれども、そのときに大事なことは、やはり国際社会の一員として生きていくんですから、自由化に対して決して後ろ向きでないということをやはり同時に示すべきなんです。ガットに入っている限りは、自由化原則というのがあって、これは最優先の原則ですね。ですから、ウルグアイ・ラウンドで今の日本の国家貿易品目や、あるいはアメリカのウエーバーやECの可変課徴金を撤廃しようというような話が起きている。日本の米だけじゃないです。アメリカ側のその担当官も、日本の国家貿易品目やECの可変課徴金を撤廃するなアメリカもウエーバーを撤廃してもいいと。だけれども、ECは盛んに攻撃していますから、どうしてアメリカだけがそんなことをしなきゃいかぬのか、それなら脱退すると、こういうことを言いますよ。日本だってそのぐらい言ったっていいんですよ、脱退する必要はありませんけれども。  ただ、ECは長い目でやはり農業保護というのは削減すべきだということは常に言っているんです。これはOECDでもサミットでも、あるいはガットの場でも言っています。ですから、日本はやっぱり国際社会の一員としてそういう姿勢は崩しちゃいけないと思うんですね。それと合法性とをうまく使い分ける。これがやっぱり外交というものだと思うんです。食糧外交という言葉があれば、それはそういうふうにやるべきだと思うんですね。  ところで、展望ですけれども、その一番大きな問題は、先生もおっしゃったように農業就業人口が激減していくだろう。これは当たり前なんです。もう半分以上が六十歳以上です。高齢化してますから、もうあと数年ですね、あと五年ぐらいたつかどうか、その間に急激に高齢者というのは引退していきますね。そうすると、ちょうど逆三角形ですからね、農業の就業構造というのは。若い世代ほど就業者が少なくなる。これは、高度経済成長の結果若い人たちが都市や工場に働きに行って、あるいは中堅層が兼業で出ていって、そのまま固定していくわけです。還流するということはあるけれども、非常にわずかです。そうすると、逆ピラミッドの形というのは崩れないですから、上の方の広いところがずっとなくなっていったら、それは突如として減りますね。  これはもう先生も御存じでしょうけれども、東北とか北陸とか九州とか回ると、とにかくみんな地元の人は言いますね。特に地方自治体、市町村の人たちは非常に危機感を持っていますよ。ですからそれはもう大変な問題なんですけれども、これは私はやはり避けられないだろうと思います ね、この問題は。つまり、後継者の問題とかいろいろな手を打っても全体としての構造はもう避けられない、やはり激減してしまうだろう。  ただ、激減していく中の一つのメリットは、農業の生産基盤さえ一定に保っていけば一人当たりの規模というものは拡大していくわけですよ。そうすると、それだけ効率の高い一つの農業ができるという可能性はある。  それで、規模拡大というとすぐ反発するんですね、農業関係者は。だけど、日本の場合規模拡大であるかどうかは問題なんですね。規模拡大で生態系が壊れたの何のかのという話はアメリカのような百ヘクタール以上ですよ、農家が。日本のはせいぜいこれから規模拡大したって二十ヘクタール、三十ヘクタールというレベルです。ECと同じぐらいのレベルですよ。むしろ今のように兼業形態を維持しながらの三反とか五反とかという形態は僕は非常に危険だと思う。これは高齢者がやって、しかも労働力を節約しなきゃならないですから非常に農薬とか化学肥料を大量に使うんです。効率の悪い機械も使いますね。ですから零細経営なんですよ。僕は決して適正規模だとは思わないです、今の零細経営は。むしろ零細経営は生態系を壊していくんじゃないか。食品公害を増していくんじゃないか。ですから、日本の農業のあり方として、その点はもっと真剣に考えるべきだ。それがむしろ二十ヘクタール、三十ヘクタールになったら、それだけ輪作体系が導入できるんですよ。  米は大事だけれども、米は減っていくんです。この事実も、いろんなことをこの十年間農政でやったけれどもだめなんです。米の消費拡大運動と言ったって、言っている人自身がそんなに食べてないですよ、はっきり言って。昔、戦前は大体一日に六ぜんから九ぜん食べていたでしょう。今はもう二ぜんから、まあ四ぜんは食べてないですよ農家でも。それで昔に戻れといったら、二ぜん食べている人は、六ぜんだとあと四ぜん食べるんでよ、毎日三百六十五日。もう聞いただけで胸がいっぱいになりますよね。だから、言うべくして行いがたいことを頭だけで言ったって実効性ないんです。  それはそれでやったらいいんです。米の消費の仕方を、いろいろ伝統的なものあるいは新しいものを開発してその普及に努めることはいいんですけれども、減っていくという多様化の中のこの状況というのは僕は防げないと思う。そうすると、米だけ守っていればどんどん減っていっちゃうし、増産すれば過剰になるし、そして過剰になれば減反して、むしろ水田は崩壊していきますよ。ですから、こういう形態をいつまでも続けていったらこれはもう大変なことになる。  だから、むしろ規模拡大というチャンスがこれから来ますから、さっき私が食糧外交でできるだけ引き延ばせと言ったのはそういうことなんです。そういうチャンスがやがて来ますから、そのときまで引き延ばして国内を充実するという体制を早くとっていく。そして、お米のほかに野菜だとかいろんなものを入れた一つの輪作体系を技術的にも、それから土地改良も要りますね、そういうようなことを絡めて確立していくということがこれからの日本の農政の急務なんです。そうしますと、農薬とか化学肥料使わなくてもはるかによくなっていくんです、輪作そのものがもう有機農法に近くなっていきますからね。  さらに、さっきも今村さんおっしゃったように、今のような工業化した農業をやめて低投入農業の方に誘導していくというのは大切ですけれども、今の時点でも相当それは今の零細の薬品づけの農業よりはずっとよくなっていくと僕は思っているんです。そういうふうにまた誘導すべきです。  そうなってきますと、やはり土地改良というのは非常に大きな問題なんですね。かんがいばかりじゃなくて排水をしなければ、米だけつくるならかんがいだけでいいけれども、排水をして乾田化しなきゃ畑作にはいかないんです。畑作と米作を輪作体系に入れてしまうと、米そのものの消費が減っても水田は維持できるわけです。だからそのためには排水工事をやらなければいけない。これはパイプラインを使ってコストを安くやる仕方はありますので、これは大いに研究してそういったことは進めたらいい。それは金はかかりますよ。だけど僕は、すぐ財政負担だから農政をやめろ、農業保護をやめろと言うのは反対なんで、金をかけていいものができるんだったらやったらいいんです。  ところが今のは、金をかけて、それで結局過剰になって減反して水田を壊して、また生産者にはやる気をなくさせて、要するに金をかければかけるほど悪い農業にしていく。だから僕はやめろと言っているんです。いいものをつくるんだったら僕は金をかけていいと思うし、それを国民に訴えて、そのぐらいの合意はとっていいんです、それこそ食糧の安全保障なり生態系の維持なりそういうことを訴えて。今の状態でやったらよくならないわけですね。だけど、やがてあと数年したらよくなる可能性は出てきますから、それに向けて今から準備していく。  金をかけるということは日本だけのためじゃないんですよ。今、台湾というのは近代化によって一人当たりの米の消費が猛烈に減ってきています。日本の昭和五十年代に入ってきていますね。韓国はまだ高いですけれども、都市はずっと減り出しています。これからASEANなどずっと経済開発が進みますと米の消費というのは全般的に減ってきますね。そうすると、アジアのモンスーン地帯の米作、米食地帯の米の消費がどんどん減ってくるということは、膨大な休耕田がアジアのモンスーン地帯にできるということですよ。これはじゃ一体どうやって利用したらいいかという、これはもう全人類的な課題になっていくわけでしょう。やはり米作先進国としての日本が、少し金をかけてもいいから、それに対する対策というものをまず確立しておく。これはもう日本の問題じゃないです。米作地帯全体の問題だし、ひいては人類の問題ですよ。それこそ人類の安全保障の問題であり、生態系の維持の問題ですね。  やはり僕は、そのぐらいの長期展望というか雄大な構想を持ってこの農業問題には取り組むべきだし、もうすぐそういう状況を実現する時代がやってくる。土地の所有者は非常に多いんですね、昔は大地主に多数の零細な小作人がいましたけれども、今は零細な土地所有者に非常に少数の小作人にだんだん変わってきていますから。地価も、その理論でいくとやっぱり下がる可能性があるんです、供給が多くなって需要が少なくなりますからね。ですから、今の状況は逆転するかもしれません。  それから、これで高齢者が死んでいきますと、地方が過疎化していきますから、そうするとその過疎化対策に対しても、どうやってこの農業を体系化していくかというのは、これはもう日本の社会構造の問題でもあるわけですね。  ですから、そういう何か雄大な構想の中ですべてをやってほしい、これが私の長期展望で、それなら金をかけていいじゃないか、何が悪いんだということなんです。

狩野明男自由民主党

○狩野明男君 それでは、次に今村先生に聞きたいんですけれども、後継者不足という問題が今ありますが、我が国の農業の形態を考えますと、なかなかやりたくても新規参入ができない。都会の人でも農業をやりたいなという方がすぐ入れない。アメリカなんかは土地を買ってすればすぐあしたから農業ができる。アメリカ農業などは土地というのはあくまでも生産手段である。我が国の場合には土地というのは、生産手段というのもありますけれども、もちろん先祖代々伝わっている資産的なものだというようなことでなかなか新規参入ができない。したがって土地の売買もできない、規模拡大もできない。そこで、前に農地の流動化を図るためにいろんな制度ができました。それが現在のところ余り進んでないんですね。これをもう少し進めて、もう少し規模拡大ができるような方法はないものだろうかどうかということが一つであります。  それと、農村でも、山村はどんどん過疎化に なっていく。そうでない地域はほとんどお勤めに出て兼業農家が多くなってきているわけですね。特に過疎地帯なんかは都市部へみんな若い人たちが移動しています。そうしますと、それに伴って非常に問題なのは、地方の各都市が、都市というか町というか、町へ行きますと、農家が今忙しいから町が暇なんだ、農家がことしは冷害で景気悪いからどうなんだという、地方都市といいますか、そういう町の経済の活性化にも非常に影響がある。  それからまた、農家というのはある意味においていろんな建築土木などの潜在労働力でもあるわけであります。そういう中で、先ほどからのお話によるともっと構造的ないろんな問題でそういうことになっているんでしょうけれども、幾つか問題があるかと思うんです。それは、一つは産業構造的なもの、もう一つは収入、農家所得の問題とか、それからもっと基本的な、基本的人権の問題で、いわゆる嫁さんが来ないというような問題とか、その他いろいろあろうかと思うんです。何とかそういうものを解決してほしいというのが、我々地元をはいつくばりながら歩いている人間として、いろんな個々の問題に非常にぶつかるわけなんです。そういう意味において、何か先生にお教えいただけたら大変ありがたいと思うんですが。

今村奈良臣東京大学農学部教授

○参考人(今村奈良臣君) 随分いろいろの問題があって、農林大臣なら何か答弁みたいになるんですが。  一つ、最初は後継者が減っていっているということなんですが、後継者後継者って皆さんよく言われるんですが、私、三種類意味があるんだと思うんですね。一つは家の後継者、第二番目が農業経営者の後継者ですね、経営の後継者、それから三番目が地域のリーダーの後継者、この三種類があるんです、後継者って本当の意味は。  家の後継者は大体いるんです。いなければ農家戸数が農業センサスのたびごとにどんどん減るはずなんですけれども、家の後継者はいるんです。まあ具体的には兼業農家、勤めが主で適当に農業を土、日やるといったようなタイプが主なんでしょうけれども、家の後継者はいるんです。いなければもっと農家戸数はどんどん減るはずなのに減らない。  ところが、経営者の後継者がいないんです、経営者たるべき人が。その経営者たるべき人が水田農業あるいは稲作農業には非常に少ないんです。花だとかキノコだとか野菜だとかハウスだとか、こういったものには非常にいるんです。なぜかということをやっぱり考えなくてはならぬと思うんです。  それは、ある意味じゃ自分の持っている技術や能力をフルに発揮できるところにはいるんです。経営者としてのいろいろの創意工夫をやれて、それで能力を発揮して自分の経営も拡大発展できる。ところが、稲作というのはある意味じゃ技術革新とか新しい技術というのはもうほとんど開発されて、今のレベルではもうないんですね。同時に今度もう一つの問題は、経営者として能力を振るうだけの規模がなかなかないわけなんです。兼業で土、日やっておけばよろしいというのが最も適合的かもしれないんですけれども、それだったらいずれやっぱり力としては衰退していくしかないだろうと思うんです。これはほかの産業を見てもやはりそういうことが言えるだろうと思うんです、比較してみると。  そのときに、経営者能力を発揮できるような規模のものをつくるにはどうしたらいいかというと、やはり農地の売り買いによって集積するということはほとんど不可能ですし、農業収益の点から見ても、地価が高いですからそれはほとんど容易じゃないわけですね。これはもう現実問題として不可能だと、こう考えているんです。もちろん北海道だとか九州だとかいう地価の安いところは売買による流動化もありますけれども、私は基本的には貸借による流動化しか方向としてはないだろうと思うんです。つまり、所有権と利用権を分離して利用権を集積していく、こういう方向しかないだろうと思うんです。その方向は、零細地主ですね、先ほど唯是さんもちょっとおっしゃっていました零細所有・大経営というふうな方向しか活路は見出せないだろうと思うんです。  その土地集積をするための、つまり農地の権利と利用システムを調整していくようなシステムが必要になってくるわけです。これは単に法律だけでは、今日利用増進法ありますけれども、具体的にはどういうふうな農家をどういうふうに団地として、一筆一筆じゃこれだめなんですね、機械が大体動きませんから。データ的にはさっき皆さんに差し上げた論文にありますけれども、今の日本では大体八ヘクタールぐらいまではずっと生産性が上がりコストも下がっていくわけですが、それ以上になるとまた生産性下がっていくんですね。つまり、カーブで描くとL字型のカーブになっていくんです。本来ならそうじゃないはずなんです。スケールメリットが、規模が大きくなるほど農業においても通常は実現できるはずなんですけれども、L字型カーブを描くんです。ということは何が一番大きい原因かというと、耕地の分散、水田の分散が非常に非効率になってくることに原因しているわけです。だとするならば、団地として集団利用地を集積するシステムをどうつくり上げていくか。もう時間がございませんから細かくは申し上げませんが、これは私がいろいろのところで説いていることでございます。  いま一つ、新規参入ということにかかわりますけれども、新規参入の可能性は今日では障壁は以前に比べれば非常になくなってまいりました。ただ、この問題をちょっと時間いただいて説明したいのは、今アメリカの話が出ましたけれども、私アメリカへ行って一年間いる間に農場を一生懸命訪ねたんです、机で一生懸命計算したりはやめましてね、向こうへ行ってないとできないものですから。アメリカの農場あるいは農地の親から息子への相続といいましょうか、継承についての調査を大分エネルギッシュにやりました。アメリカでは親から子供が農場を買うんです、基本的に。日本はおおむね長男に今日でも無償で譲ります。民法規定は均分相続なんですけれども、次男とか娘にはちょっと家を建ててやる程度で事実上判をつかして、長子一括相続というのが非常に多いんです。その場合は無償ですが、アメリカの場合は親から買うんです。もちろん即金で買う金はありませんから、分割払いだから契約して買います。それから、農場で一緒に働いていた場合はディスカウントして、税金対策その他ありまして、いろいろ手練手管やって割と市場評価額よりも安く息子に譲っていくわけです、ただし本気で農業経営者になりたい息子に。つまり農地を買うてでも、農場を買うてでもやる意欲と熱意がある者に対して農場が譲られていくんです。だから、そういう意味では自分で農業経営者になることをアメリカでは選択しているんです。ここが一番強いところです。  日本は、選択してないんです、一度も。親から言われて、しゃあない、嫌だ嫌だといってやってきたわけなんですね。相続慣行が日本が悪くてアメリカがいいって私言っていません。これはそういう価値判断の対象じゃないんです、歴史的な相続慣行など。しかし、アメリカの持っているいいところはやっぱり考え方を取り入れていったらいいと思うんですね。つまり自分で選択しているんです、農業経営者になることを。いろいろの職業が選択し得る中で農業経営者を選択しているんです。だからこれは、百姓ほどつまらぬものはないとか農業ほどつまらぬものはないと絶対アメリカ人は言わないんです、アメリカの農家は。ところが、日本は子供の前で、農業ほどつまらぬものはない、百姓ほどつまらぬものはないといつも言っているじゃないですか。それだったらとっととやめていったらいい。それはちょっと言い過ぎなんですけれども、本当にそう思うんです。絶対言わないんです。言った途端にアメリカではやめていくわけですよ。そうでしょう、自分のそういう立場として選択したんですから。ここのところが日本は非常に違っているんです。  ただし、私このごろ非常に農村へ行って感じる ことは、Uターンしてきた青年は、これは相当の力量あるんです。それから熱意もあるんです。なぜかといったら、Uターンということは職業の選択を、農業経営者になる選択をやり直したわけです。これは簡単に、おれは農業だめだからやめていくとはもう言えないわけですね、まあやめていってもいいんですけれども。ここは自分で選択したという強さがあるんです。親から言われてかもしれないけれども、しかし少なくとも自分で選択し直しているわけです。こういう人をどういうふうにつくっていくかということについて、それはまあ後継者育成問題とかかわるんですけれども、今まで農政も、あるいはいろいろの団体も、それから国会の皆さん方も、そういう観点から説かれたのを聞いたことがないんです。あるいは私が勉強不足で、皆さんやられているかもしれませんが、そこのところが非常に重要なんです。  農業基本法以来、自立経営育成政策と言ってきたけれども、あれは結局、本当に本気で農業経営をやっていく人に農地を集めるということは選別になるわけですね。行政選別というのは日本ではできないんです、農村の中では、それから農村の実態の中でも。それから政策的にも、行政の公平性という点からだれがすぐれていてだれがだめだということは言えないわけです。だから選別政策ということはタブーだったわけです、農業政策上。それで市場原理で、つまり生産性が高くて収益性の高いのが低いのをどんどん吸収合併していく、これなら結構であると。これはもう経済の論理である。だけど、日本は家産としての土地ですから、そう簡単には動かなかったわけですね。先ほど狩野議員も言われたように、アメリカでは生産手段という考え方が非常に強いものですから、自分が使えなくなった、ペンペン草が生えるようになったらすぐ貸したり売ったりするものですから、アメリカの農地は流動が非常に高いんです。日本は、ペンペン草が生えても家産というのはお墓と一緒みたいに守って隣の人に絶対貸さない、こういう発想が強いんです。そこのところをどう動かしていくかというのはやっぱり指導者としての知恵というんでしょうか、本当のそこのところが非常に難しいと思うんです、外国と比べてみて。そこのところをいわば政策としてどういうふうに、行政選別ということは必ず反発を受けます。だから、行政選別じゃないけれども、何か新しい経営の後継者をどうつくっていくか、こういうシステムを、さっき言った農地利用調整システムをしっかりつくりながらやってもらいたいと思うんです。  そこのところで問題になるのは、本当にそういうしっかりした、個別経営でも大規模経営なり、それから集団経営でも、いろいろのタイプがありますけれども、しっかりそういうのが育っているところは農協が農地の利用調整活動を本当に突っ込んでやっているところなんです。これはもう間違いなくそうなんです。  農地保有合理化法人というのが昭和四十五年の農地法改正でできました。あれは農協にも資格は得られるように法律上はなっているんですが、農水省は行政的にずっと許可、認可を制限してきていたんですが、昨年からずっと農協にもやらせるようになりました、私随分それをこれまで主張してきましたけれども。どの農協でも一括して一遍にどれでもやらせるということをしないで、やっぱり一定の条件で本気でやるところから実績が上がるように認可していったらいいという、そういう方式で今日やってきていますけれども、農地保有合理化法人の資格を持てば農地の利用はかなりのことができるわけです。そういうことをひとつ考えていただきたい。  だから、法律はあるんですけれども、それをどういうふうに運用し、運用するシステムを具体的にどうやっていくか。それとさっき言ったようなどういう経営者をつくり上げていくか、このことを考えないと将来の日本農業は非常に危ういんじゃないか、こういうふうに考えております。  ちょっと時間が長過ぎたというので、これで終わらせていただきます。

狩野明男自由民主党

○狩野明男君 ありがとうございました。  私の持ち時間これまでなものですから、加倉井参考人にお聞きする時間がありません。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 きょうはお忙しいところを貴重な御意見を賜りましてありがとうございます。公明党の白浜と申します。  随分お話が出ましたんで多少重複いたしますが、まず唯是先生にお伺いしたいんです。  先ほど米に関する外交の確信ある御指導を賜りまして、貴重な御意見でございました。しかし、今月の二十二日にある新聞にウルグアイ・ラウンドについてちょっと記事が載りまして、この記事によりますと、先生は自由化の問題は早くて二十一世紀初頭だとお述べになっておりますが、具体的にアメリカとECの話し合いが非常に進んでおりまして、ヨーロッパの課徴金もやめよう、すべて関税一本でやっていこう、その関税も十年で全廃していこう、こういうひそかな話し合いがあるという報道、これ新聞で私見ただけなんですけれども、どうなんでしょうか、お見通しをお伺いしたいんです。

唯是康彦千葉大学法経学部教授

○参考人(唯是康彦君) それはアメリカの考えですね。つまり、いろんな輸入制限をまず関税にしてしまう。つまり、輸入制限の事態を認めるんですよ。したがって、輸入制限していると、例えば自由化すれば百万トン入るのに輸入制限のために十万トンしか入ってない。ですから、その十万トンしか入らないような関税にまず置きかえるということなんですね。それは膨大なことになるでしょうね、日本の米なんか。そして、全部そういうふうにしておいて、それからそれを段階的に崩していきましょうというのはアメリカの提案。ですから、今おっしゃった新聞記事というものはあくまでもアメリカの提案であるというふうに考えていいと思いますね。  それで、アメリカは、特に九〇年に農業法を新しく決めなきゃなりませんね。そうしますと、国内ではやっぱり、先ほど私も言ったし、皆さん先生方おっしゃったように、米を初めいろんな補助をしているんですよ、保護をしているわけです。ですから、アメリカの農業法、政府の農業法としてはその保護をできるだけ削減したいということがありますね。それで、そのことに対して農民側が反対するのはこれは当たり前なんです。かなり強い反対があるわけですね、アメリカの国内でも。そうすると、そのウルグアイ・ラウンドのところでそういう決定をして十年以内にそれを解消するんだという取りつけをしておくと、九〇年の農業法は非常に決めやすいわけですよ。だから、アメリカの方が非常に焦っているのはそれが理由なんですね。九〇年農業法を成立させたい。できるだけ保護削減の方向で整理していきたい。そのためには国内の農業団体の反対を抑えておく。そのためにはウルグアイ・ラウンドでの話し合いをお墨つきにしてやりたい。これがアメリカの内部に向けての戦略ですね。  ECについては、その話し合いができているというのは、僕は今まで聞いたことがありません。一部の人たちの、まあECの中もいろいろです。ECの中は、イギリスとオランダは自由化なんですよ。それから、フランスと西ドイツは保護主義なんです。分裂しているんですね。ですから、ECの意見というのはどこの部分を言っているのかというのは非常に大きな問題。イギリス、オランダの発想は恐らくアメリカに近いのかもしれないですね。ですから、その辺はちょっと割り引いて読まれた方がいいので、ECとしてはやはり期限は決めたくない。特に九二年の統合がありますから、それまで農業問題でそんなはっきりしたことを約束するはずがないと僕は思いますね。そうするとまとまらなくなりますもの、内部の問題が。ですから、ECとすれば、姿勢としては先ほどから言うように自由化しますという態勢をとって、そしてやはり期限はできるだけ延ばしたい。最初十年というのはアメリカの意見なんです。ECがそんな時間では決まらないと言ったら、今度は十五年と言った。ところが、ECの方はまたさらにそれをあいまいにしたんで、また十年に戻したんですよアメリカは。  ECの方はどういうことを考えているかといいますと、保護の制度を数量化しようという、これはOECDで開発したPSEとかCSEとかという方式があるんですけれども、保護のレベルを、例えば市場開放したら問題がこれだけだと、実際に国内はこれだけで、さらにそのバックにいろんな補助金がついているというようなことで、それを数量化して、そして各国比較しようという意見を出しているわけですね。  それで、これがどうもよくわからないんですけれども、それもまたいろいろ問題があるんです、学問的には。それで、ガットでいろいろ議論をして、AMSという方式にしようというふうに今ECは提案しているわけです。それは、僕がいろいろ調べる限りではよくわけのわからないメソッドなんですね。どうもそういうことを言いながら延ばしているんだろうと。つまり、保護削減には前向きですよと。そのためにはまずその保護の程度を数量化しなきゃいけない。そのための方法を考えなきゃいけない。それで方法について議論をやっているわけですね。すると、時間はどんどんたってしまう。  アメリカの方は、確かに関税一本化というのは非常に実践的な、保護の程度を数量化しようと思ったら僕はこれ一番実用的だと思いますよ、いろんな議論抜きにして。実際にやってみて、十万トンしか入らないように関税をどんどん上げていけばいいんですからね。そうすると、その関税の高さが保護の程度であって、これはアメリカの提案の方が僕は非常に実用的な提案だと思うんですけれども、たしかECはそれは認めていないはずです。全く新しい方式を、方法論ばかりの議論をやっているんです。ですから、僕はあれは時間稼ぎだと思いますね。  そういうことで、これはそんなに決まらないと思いますね。ECでは、さっきのアルバッハというボン大学の先生と私が話をしたときも、とてもそんなつもりはない、アメリカの言うことに同調すべきでないと。アメリカはパートリー・ギブアップだなどというようなことを言っていましたけれどもね。だから、私の知っている情報ではそういうことはない。ただ、ECの中は分裂している。アメリカはそれをついているんだと。イギリス・オランダ派とフランス・西独派と二つに分裂していますから、その間隙をついて交渉を進めていることは事実ですね。それがどういうふうに展開するか、これはちょっとわかりません。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 もう一点お伺いしたいんですけれども、先ほど少しお話があったのですが、食糧安保、生態系の維持ということで米よりも水田の維持が大事だ、こういうお話でございますが、今までの経過を見ましても当たり前の話なんですけれども、そういった面で米をやっぱり保護しなきゃならないということはあります。しかしコスト面で随分違う。どんどん保護する、そうすると保護をし過ぎると育たない。ですから、水田維持という意味でどういう助成という、いわゆるあり方ですね、今までと違ったような考えがあるのか、お考えがあればお伺いしたいんです。

唯是康彦千葉大学法経学部教授

○参考人(唯是康彦君) 僕は別に、今のままでいいと思っているんですよ。今の農政の食糧管理制度で米価を支持してそれで保っているわけですね。先ほど言いましたように特に米作農家は高齢者が多いですから、高齢者自体はその労働力というのはほかに使えないんです。農業だからこそ七十、八十でも働けるわけですね。ですから、今の農業というのは高齢者にとっては生きがい農業なんですよ。合理化の立場からいったらこれを全部撤去して、そしてさっき今村先生おっしゃったやる気のある人を育ててそれにやらせたらいいんですけれども、またそれが経済学的にはできないことではないんですね。兼業農家というのは大体兼業収入だけで都市と近い水準の所得を守っていますから、その上に農業所得をオンすると二割ぐらいアップになってしまう、農家レベルでは。ですから、高齢者の農業就業者を引退させたって構わないと言うことはできるんですね。  ですから、経済合理主義からいったらそのとおりなんですけれども、じゃ高齢者の生きがいというものは一体どうするんだという問題が残ってきて、これはやはり無視できないと思う。政治的には無視できない、経済学的には無視しますけれども。だから僕は、これは米価政策でなくて米寿政策やっているんだと言っているんですけれども、それでいいんだと。これを別な形でやろうと思ったら猛烈に金がかかるんです。ですから、この状態のまま次第に高齢者が引退していくわけですね。それとともに先ほど今村先生がおっしゃったような形での整備を他方で進めていって、次第に生産費が下がりますからね。  この前計算したのですが、水田の経営面積は今平均して一ヘクタールないです。仮に今の生産費を半分にしようと思うと、全国平均ですけれども十五ヘクタールにしなきゃいかぬという一つの試算をやってみたんです。水田作付は今大体二百二十万ヘクタールぐらいですから、十五ヘクタールで割ったら十五万戸の農家ぐらいで今程度の米の生産ができるわけでしょう。米の生産は今三百五十万戸の就業者がいますし、お米を売って生活している人だけでも二百五十万戸ぐらいいますから、それが十五万でいいということになったら、それは冗談じゃないですよ、大混乱でしょう。  ですから、今のやり方で僕はいいと思う。そしてそんなに長い時間かからないです、これは時間的に。就業人口の予測を見ると猛烈に減りますよ。二十一世紀の初めには今の八分の一ぐらい、百万を割ります。ですから、これから起きる十年間の変化の中で、さっき僕は今村さんと同じ意見なんですけれども、合理化をぐっと進めていくという、それでいいんです。  ただ、いけないと言っているのはそういう観点からでなくて、何かどこまでも今の保護を維持するというような姿勢とか、さっきの国際的に対しても何かめちゃくちゃな、ルールを無視したような対応をするとか、やっていることは非常にうまいことをやるのは、僕も農水省にいましたから、そう変なことはしてないのはよく知っているんです。ただ、スタンスが非常にまずいんです。スタンスさえ上手にすれば、これでいいんです。余計なことをする必要は全くないとこの問題については思っているんです。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 それでは次に、関連して伺いたいんですけれども、今村先生もそうでございますが、規模の拡大ということが非常に大事な要素なんですけれども、今までも土地改良とかいろいろ言われているわけですがなかなか進まない。いわゆる集団的利用というのをどうしていくかという新しいシステムをつくらなきゃならないということなんですけれども、例えば具体的な方法が要ると思うんです、要するにどうしていくかということで。僕らは素人ですから余り詳しくわかりませんけれども、私は大阪なんですが、周辺にいっぱい田んぼもあります。もう水路がずたずたになっていまして、こんな汚い水でよう米つくっているなというところもあるわけでございますが、土地に対する執着もあるでしょうし、地価がずっと高騰していく、そういった面で維持したいということとかいろいろあるんでしょうけれども、都市近郊は当然そういう難しい問題がございます。それをどう規模を拡大していくかということで、例えばいわゆる農地の所有権と農地としての経営権を分離するというか、何かそういう具体的なノーハウを提示しないとなかなか規模を拡大していくことは難しいと思うんですけれども、その点に関しまして、唯是先生と今村先生、お考えをそれぞれお聞かせ願いたいんです。

唯是康彦千葉大学法経学部教授

○参考人(唯是康彦君) 焦る気持ちはわかるんですけれども、無理ですよ、大体そんな何百年もかかってここまで来て。イギリスだって二百年から三百年かかってここに来ているんですよ。それをたかが四十年ぐらいでここまで来たからと言ってがたがたする必要ないんですよ。要するに度胸を決めて、それであと対応の仕方がまずいというだけを僕は冒頭から絶えず言っているんで、これでいいんです。別に集団化ができるところはやったらいいし、個人で規模拡大ができやすいところは それをやればいいんです。それをできるだけ政策としてはサポートしていく姿勢だけは崩さない。さっき言ったように土地が分散していますからそれを統合するとか、いい担い手を養成していくとか。特に重要なのはさっきから言いますように土地改良で、これは今からやっておかなきゃだめでしょうね。  ですから、小さな地主が大勢いますから地主組合をつくって、そしてこういうことですね、大阪の人だからよくわかると思うんだけれども、自分で零細な土地を耕して米をつくって収入を上げるその収入と、土地を貸して大規模化して、そしてそこから地代をもらう、その地代が自分で働くと同じかそれ以上だったら貸した方がいいわけですね、合理的には。それはいろんな因襲があってそうはいかないけれども、流れとしてはそういうふうに動いているんです。ですから、そういう形でまず地主組合をつくってみんなで土地を寄り合わせて、そして膨大な土地をどうやってかんがい排水機構をまとめてやるか。これはばらばらにやると物すごい金がかかって能率が悪いんですね。ですからパイプラインをうまく使ったやり方等いろいろ技術的にあると思いますけれども、それは長くなりますからきょうは避けますけれども、そういう形で、将来就業人口が減って規模拡大ができたら十分支えられるという、そういう体制をつくっていく。  そうすると、今の米価は必要なんですよ。規模拡大をして高い地代を払うためには今程度の米価がないと払えないんです。だから、自由化に対して、規模拡大している人は賛成だろうなんてみんなは言いますけれども、それはうそなんです。それは大店法と同じで、ああいうのがあるので大手は結構もうかっているわけでしょう。それと同じ理屈が大規模経営にあるんですね。だけどそれはいつまでも続かないんで、徐々に米価は下げていかなければいけないと思いますけれども、そういう意味でも今の状態でいいんです。余りいろんな手練手管を使う必要は全くない。ただ展望を持って方向をつけていく、それで対外的に時間を稼げというのはそういうことなんです。そういうはっきりした展望を持っていけば時間稼ぎも無意味じゃありません。ただ、今のように何やっているんだかわからないような形でやみくもに騒いでいるということだけはマイナスだからやめてくれということだけです。

今村奈良臣東京大学農学部教授

○参考人(今村奈良臣君) ノーハウという話だったんですけれども、これは各地にいっぱいそれぞれ特徴を持ったノーハウがあるんです。大分そういうことをやってきておりますけれども、農政の方も、いろいろのタイプがありますからそれを整理しながら具体的に方向づけていく。そういう意味ではノーハウは改めてやるというんじゃなくて、現場にいっぱいあるんです。ただそれを方向づけてあげる、あるいはほかのそれができていないところで応用していくということが一つでしょう。  もう一つ、農政が悪かったという意味じゃなくて、予測が非常に狂ったのは、日本は高齢化社会、非常に今長寿になったですね。つまり、昔だったら六十歳ぐらいで引退する人が統計的に見ても多かったんです。ところが、今日は七十まではヤングオールドというんです。七十を超えるとオールドオールドというんです。ヤングオールドの人は大体トラクターに乗っているんですよ。これは今から二十年前、十年前はちょっと予測できなかった。今日、六十五ぐらいの人でかくしゃくとトラクターに乗って、コンバインに乗ってやっている人がいるんです。これはちょっと私どもも予測できなかったし、農政に当たる人も予測できなかったことなんです。そういう意味で、逆に言えば若者が、そんなにやらなくたって父ちやん結構やっているというようなことで、このギャップは間違いなくあるんです。だから、リタイアをなかなかしなかったから、また逆に言えば経営の後継者が育たなかった、こういう関連もあるかと思います。  それから、いま一つ都市近郊の問題、これ非常に難しいのは、都市計画法と農振法、これの線引きのかけ違いというのは、昭和四十三年だったですか、農振法、私別のことで詳細に書いているんですけれども、あれの法案審議の過程の議事録を一度読んでいただければわかるんですが、つまり今ちょうど問題になっている土地利用計画立法という問題と土地税制、これは車の両輪ですから、これの関係が結局ある意味じゃあいまいなままに今日来たのが都市近郊地帯の農業のあり方を非常に大きく規定していると思います。詳細なことは時間がございませんので省略いたしますけれども、やはりこれが二十年後の今日に非常に大きな影を落としているということだけ指摘しておきたいと思います。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 もう時間がございませんので、最後は簡単で結構ですが、加倉井先生に。  レジュメに備蓄という話がございましたが、この備蓄ということと食管制度の関連性につきましてお考えになっていることを、ごく簡単で結構でございますから。

加倉井弘日本放送協会解説委員

○参考人(加倉井弘君) 備蓄を米でやりますと、売るときにいろいろ問題ができたり、それから大変お金がかかる。一トン当たり年に二万円かかると今言っていますが、そういうことでございます。  私は、実は小麦で備蓄したらどうか。そうすると単価も安いですし、それから小麦というのは古くなって古麦というのを聞いたことないと思うんです。古米ということばかり聞いている。劣化しないんですよ、簡単に言いますと。小麦というのは味が落ちない。そういうこともありまして、小麦で備蓄する。そして、何事もなければ、これはえさにもなるし援助にもなるし、要するにコストが米より安いということです。栄養分析表をごらんになれば一目瞭然なように、米百グラムと小麦百グラムはカロリーはほぼ同じです。ですから、いざというときの役割というのは同じというふうに考えれば、そういうこともやっていいんじゃないか。それぐらい日本は経済大国なんではないかということであります。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 どうもありがとうございました。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 日本共産党の高崎です。よろしくお願いいたします。  最初に、唯是参考人にお尋ねいたします。  参考人は一九八六年に、日本が米を自由化した場合どうなるかというシミュレーション分析をされているんですけれども、それによると、八六年から段階的に自由化して九〇年に完全自由化した場合ということで、九〇年には米の自給率が六八%、二〇〇〇年には三〇%と急速に下がり、農家戸数も現在約四百三十七万戸あるのが九〇年には約百万戸、二〇〇〇年には二百万戸が離農しなければならないことになるという結果が示されています。他方、消費者価格はどうかというと、九〇年には一たん半分近くに下がるけれども、完全自由化十年後の二〇〇〇年を見るとわずか一〇%下がるだけという結論を出されているわけです。  私、この試算が示すものは、日本が米を自由化した場合、日本の米生産は壊滅的と言っていい打撃を受ける一方で消費者は供給不安にさいなまれる、そして価格はほとんど安くならないという未来図が浮かび上がってくると思うんですけれども、参考人は現在もこのシミュレーションで正しいとお考えなのか、それとも、その後別のシミュレーションをしておられるのでしょうか。

唯是康彦千葉大学法経学部教授

○参考人(唯是康彦君) それはNHKの「世界の食糧」か何かのときに頼まれてやって、つまり大変だと、今先生が御指摘のように、やらぬ方がいいだろうという結論を出したし、基本的には今も同じ考えなんです。  今の自給率が非常に落ちるということはおわかりでしょうけれども、消費者米価が余り変わらないという結論は、これは世界のお米市場が非常に狭いんです。生産量は小麦も米も似たようなもので、小麦は五億二千万トンぐらいか、米は四億六、七千万トンぐらいでしょうか。しかし、貿易量は小麦が一億トン、米が大体一千二百万トンですか、さっきのお米の生産量はもみ換算で今の貿易量は精米換算ですからちょっと違いますけれども、そんなことで、いずれにいたしましても小麦の十分 の一ぐらいしかお米の市場はないんです。  ですから、米は国際商品かということが一つ大きな問題でして、小麦や大豆やトウモロコシというのはシカゴの市場で先物を含めて価格形成がなされていますけれども、お米はないんです、相場が国際的にもない。一度ニューオーリンズで米の取引をオープンしましたけれども、品物が集まらないでクローズしちゃったんです。そういういきさつがありまして、今でもタイの輸出米価格、これが国際価格ですから、お米の価格というのを小麦の値段と同じにして騒ぐのはちょっとこれまた大いに問題なんですが、事ほどさように国際性がない。そこに日本が非常に大きな胃袋を持って乗り出すと、最初は、輸入しますからどんどん国内のお米の値段は下がっていく。しかし、あるところから底をつくので、世界的にお米の値段は上がっていくだろう。したがって、最終的には消費者に余りメリットがないだろうというのが私の結論です。  基本的な線はそれでいいんですが、その後またNHKに頼まれまして、もう一回試算しろというのでやったんですけれども、そのときは自給率は五五%だったですか、そのくらいでとまるんじゃないかと。それは何かといいますと、したがって四百万トン強を輸入するんですけれども、そのうち二百万トンはいわゆるロングライス、外米でこれは加工品などに使われるでしょう。国内の外食産業でピラフとかライスカレーとかそういうものに使われるんで、二百万トンぐらい入ってくるんじゃないか。あと二百万トンぐらいはカリフォルニアで、この辺はちょっと本当は僕も自信がないんですけれども、今カリフォルニアで大体ジャポニカの生産は二百万トンぐらいでしょう。水の問題があるので制約があるから二百万トンぐらいと大ざっぱに踏んでおるんですよ。だから余り当てにならないんですが、カリフォルニアから二百万トン。まあカリフォルニアから百万トンでもいいです。あと豪州、イタリア、スペイン、フランスでもう百万トンぐらい出せるでしょう。そんなところで二百万トンぐらいジャポニカが入ってくる。  いずれにしても日本の受ける打撃は非常に大きいというようなことで、昔、昭和五十六年に言われたときは品質格差を余り考慮しない計算をやったんですけれども、品質格差を入れるとやはりもうちょっと、そんなに自給率は落ちないんじゃないか。もっと自給率は落ちないかもしれませんよ。日本の消費者は、そんなことを言うけれどもやっぱりコシヒカリだとか、日本のお米は高くたってそれでいいんだ、家計費の二%ですから高くたっておいしいものを食べた方がいいのでという話になって、自給率はもっと落ちないかもしれません。  けれども、問題は、今減反するぐらい飽和状態なんです。ですから、そこに百万トンでも入ってくると非常に大きなショックを与えるんです。これは経済学的に言うと価格弾性値がお米は非常に小さいですから、そこにわずかでも供給量があると価格の変動というか低落というのは非常に大きくなるんです。これは数学的に証明できますけれどもね。  そんなことで、先ほど来申しますように依然としてやはりお米の自由化はやっちゃいけないし、またミニマムアクセスもそう慌てて大きなものをオープンにしては、全くクローズにするのは危険ですけれどもオープンをうんと広げてはいけないということで、またその必要もないんだ、そんなことをする必要はないんだということを再三強調しているのはそういう意味です。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 次に、これは唯是、今村両参考人にお尋ねしたいんですけれども、唯是参考人の著書で「日本のコメ戦略」、これを読ませていただきましたが、その中でこう述べられています。「一一〇〇万トンの日本のコメ消費量全量を、ジャポニカの輸入で置き換えるというような生産余力は世界にはない」、したがって、仮に米輸入を自由化したとしても主食用米には余り大きな影響を受けない。確かに参考人が言われるように良質のジャポニカは現在余り生産量は多くないわけですけれども、例えば現にオーストラリアではコシヒカリを含むかなり良質のジャポニカが輸出用に生産されていると聞いておりますし、またタイでも最近、山間地向けの耐冷性品種としてジャポニカ、これをタイではコシアジアと命名していますが、これが栽培されていると報道もされています。また、アメリカ南部では今インディカしかつくっていませんけれども、例えばテキサス州などでは市場さえあればあすにでもジャポニカをつくれる、こういう報道もされているという状況の中で、例えば、例えばですけれども、日本がお金に物を言わせて米を買い付けるという行動に出て今の飢餓輸出水準にある国際米価が相当上昇したという場合に、ジャポニカの生産がふえる可能性がないのかどうか、いかがでしょうか。済みません、時間の関係がありますので簡単に結論だけお願いいたします。

唯是康彦千葉大学法経学部教授

○参考人(唯是康彦君) はい、わかりました。おしゃべりですから気をつけます。  ジャポニカというのは、炊飯したときの粘りはアミロペクチンというでん粉なんですね。これは温度が高いと消えていくんです。温帯地方でジャポニカができるというのはそういう意味ですね。ですから、今おっしゃったようにタイでもやはり寒いところでつくれる。そうすると、やはり非常に場所が制約されます。僕はヒューストンへ今月の初め行ってきましたけれども、ヒューストンではジャポニカつくれませんよ。それは仮につくっても日本のような味にならないんですよ。やはりカリフォルニアはいいです。これは二世が備前米持っていって品種改良したんですから、これはおいしいんですけれどもね。まあ味もずっと落ちますし、今言ったように温度の問題と雨量の問題がありますから、やっぱりアミロペクチンを落とすような形のスタイルの生産というのはできないですね。  そうなりますと増産するでしょう、日本が買って値段が上がれば。ただ、それはそんな大きなものじゃないと思います。だから、さっき言ったように二百万トンぐらい入るだろう。ただ、その二百万トンが百万トンでも日本にとっては大変なんだと。そっちの方を考えてほしいんですね、入るとか入らないとかという問題じゃなくて。それはやっぱり今つらいですよ、減反を八十三万ヘクタールやっているでしょう。百万トン入れたら、へクタールで五トンとすると二十万ヘクタールでしょう。そうすると百万ヘクタール減反しなきゃいけないということですから、むしろそっちの方からこれ考えなきゃいけないんで、いずれにしても今やるべきじゃないと思います。

今村奈良臣東京大学農学部教授

○参考人(今村奈良臣君) 同じことですか。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 はい。

今村奈良臣東京大学農学部教授

○参考人(今村奈良臣君) 大体同じですね。  ただ、日本人は最近の米の消費動向を見ましても、いわゆるコシヒカリ、ササニシキあるいはあきたこまちみたいに上米の比率はもう六割超えて七割近くになっていますよね、標準価格米は売れないということで政府在庫がふえるというようなことに結果しているわけですけれども。そういう意味で、農産物一般もそういう傾向はあるんです。カロリー当たりの単価というのは出ますね、キログラム当たりの単価は出ますからね。食べ物はみんなカロリーありますから。コンニャクみたいにないやつもありますけれども、基本的にはあります。そうすると、カロリー当たりの単価の高いものが消費が伸びているんです、生産も伸びていますけれども。若干の例外を除けば基本的にそういう傾向なんです。  これはなぜかというと、日本人の胃の腑の限界があるんですね。二千六百五十キロカロリー、紀元二〇〇〇年でもそのくらいいかないと思うんですね。欧米みたいにさっきの三千五、六百なんてとってもいかないと思います。それが一つ。  もう一つは、確かに所得は伸びているわけです。エンゲル係数は若干下がっていますけれども、絶 対額はそんなに下がりませんので、そういう中で今日の消費者の構造は、少々高くてもおいしくて品質がよくて安全なものをあれこれ少しずつ食べるというのが消費者の行動の基本構造なんです、対量的に見ればですね。そういう中でお米の選択もされているわけなんです。それから、さっき唯是さんたびたび言われていますけれども、家計支出の二%、一・八%ぐらいの米支出額の中で一日四十八円でしょう、一人当たり。そういう中でちょっと三十円ぐらい安いのを買うか、そういう構造になるかというのは僕はちょっとわからないんです。今消費者の側から別の説明しただけのことなんですけれども。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 続いて今村参考人にお尋ねしますが、昨年の十一月二十日に朝日新聞に談話を寄せておられます。    〔会長退席、理事及川一夫君着席〕 その中で、ECでは「たとえ、非効率なところがあっても国内の農業を守ろうという国民全体の合意みたいなものがあります。」と言われておられます。アメリカでもこれは同じで、特に「米国では家族経営の酪農農家にこそ、建国以来の「古き良きアメリカ」の原点を感じる人が多い。それがウエーバーにつながっているのではないでしょうか。」と言われていますが、これは参考人の著書の「国際化時代の日本農業」の中でも触れられております。また、EC諸国の農業人口は少ないけれども、これは「他産業の雇用吸収力に多くが期待できず、もし、農業保護を廃止して離農が進むと、失業者が増えてしまうという心配がある。」、こう述べてもおられるんですけれども、これは実はECだけではなくて日本でも、私は北海道なんですが、北海道でも現実にこういう心配があると思うんですね。    〔理事及川一夫君退席、会長着席〕 それにもかかわらず、日本の場合「農業について国民的な合意ができていない珍しい国」だというふうに述べておられるんですけれども、それはどんな理由からだとお考えでしょうか。

今村奈良臣東京大学農学部教授

○参考人(今村奈良臣君) 弱ったですね、自分で書いたのは確かなんですけれども。  最初のあれは、西ドイツの農政審議会の会長のヘンリックス・マイヤーという人といろいろ、なぜ西ドイツは農業を重視するんだ、日本と同じような経済政策、経済構造の国でありながら、日本と大分違うじゃないかという質問に対する返事が、確かに農業の効率化をやることによって我が国は——結構失業率高いわけですね、今少し下がっていますけれども、あのころ九%ぐらいでした。農業の効率化をやって、それで今度失業人口、理論的には当然ふえてくる可能性がありますから、そうしますと、そっちで失業問題あるいは社会不安が起こるようなことよりも、農業のそんな徹底した効率化を求めない方が社会全体として、一国としてはいいんじゃないかというのが結論なんですね。  だから、農業の位置づけというものについてドイツはおもしろい国なんですね。国防だとか陸続きの国であるとかいろいろ、それから最近違ってきましたが、東西対立の接点であったというようないろいろな側面これありまして、やはり農業あるいは農村に対する考え方というのは基本的に随分違うなというのを私感じておりました。その辺は時間ございませんので、本を読んでいただければ詳しく書いてございますので。  それから、二番目は何だったでしょうか、ちょっと申しわけございません。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 国民的な合意が日本の場合はできない、その理由について端的に言っていただければ。

今村奈良臣東京大学農学部教授

○参考人(今村奈良臣君) その辺が、私も相当努力しておりますけれども、これこそ国会の先生方が大いに努力してもらいたいことだと思うんです。本当にそう思うんです。やっぱり世論のリーダーシップとるわけでございますからね。  西ドイツはその辺は、例えばいろいろアンケートで、国民世論調査あるんですけれども、西ドイツの農村とか農業を維持するためにかなり補助金を出しているわけですね。西ドイツは特に個人に行く補助金、日本は非常に少ないんですが、個人に行く補助金が多いんです。にもかかわらず、ドイツの農業とか農村あるいは食糧供給力を維持するためにいいか悪いかというのは、八割ぐらいがいいという答えなんですよね。その辺が非常に違いがあると思っております。  一つ思い出したんですが、アメリカのウエーバーの対象品目の一番大きいのはやっぱり酪農なんです。アメリカは酪農は家族経営なんですね。家族経営をやはり守るという意識が、直接ウエーバーをとったときにあったかどうかは別として、今日ではやはりあのウエーバーの持つ意味は酪農の維持、それは家族経営の維持というふうな観点が非常に強いということを、私アメリカへ行っているときいろいろな機会にただしてみましたけれども、やはりそういうふうに感じております。  だから、一国の農業に対する一種の理念、政策理念というんですか、哲学みたいなのをどの辺に置くかということが非常に大事かなと思っております。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 続けて今村参考人にお尋ねしますが、これは今村さんの本の中にも引用されているんですけれども、六十二年九月の総理府の「食生活・農村の役割」に関する世論調査、この中で、外国産より高くても米などの「基本食料」について国内でつくる方がいいという自給派が七一・二%で、しかも米については日本の主食としてふさわしいと九五・四%の人が考えていて、そして食料を供給する側への期待として最も多い理由は、農薬の使用量を減らすなど安全な食料を供給するということで、これが四八・一%と、これは今村さんも言われていますが、食糧の安全性について非常に強い関心を持っていることがこの数値からもわかるということで、この安全性の問題からちょっとお尋ねしたいんですけれども、四月二十日付の読売新聞や北海道新聞で、横浜国立大学の環境科学研究センターの調査で、アメリカやオーストラリアなどで販売されている小麦からポストハーベスト農薬である有機燐系の殺虫剤が検出されたということで、現在、収穫前はともかくとして、このポストハーベストの残留農薬基準というのは設定されていない関係でいわば野放しの状態になっているわけですね。  私、北農中央会の参事の寺西さんにもお会いしてお話をいろいろ伺ってきたんですけれども、自分たちが米の自由化に反対しているというのはエゴではなくて、消費者、国民に安全な食糧を供給するという観点からこれはもう譲るわけにはいかない問題なんだということを強調されてもいたんですけれども、現状の輸入食品の安全性に対する対応から見て米の自由化問題というのをどのようにお考えでしょうか。

今村奈良臣東京大学農学部教授

○参考人(今村奈良臣君) 私もその方の専門家じゃないんですけれども、私、一つ注目しかつぜひやってもらいたいなと思っているのは、ガットの特に輸入国、北欧三国、スイス、オーストリア、日本、韓国などですね。ガットというのはそもそも輸出国の論理で大体ルールができ上がっているんですね。輸入国の論理、いろいろありますけれども、その中の一つに食品安全基準、特にポストハーベストの問題をどういうふうに入れていくか、これ議論として出ているようであります、幾つかドキュメントを見ますと。こういうことについて日本は輸入国という立場とその輸入国の論理でガットのルールを、今言ったような食品安全基準というふうな側面からもかなり重視して提起して、新しいルールに、それがガットのルールの中に入るかどうかわかりませんけれども、入れていくような方向が考えられるべきではないかと、こういうふうに考えております。  その辺の実態がわかってくれば、逆に言えば、さっき言ったようにおいしくて品質がよくて安全、この消費者の構造がますます出てくればおの ずと入ってきても買わなくなる、こういうことになるんじゃないんでしょうか。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 次に、唯是参考人にお尋ねします。  参考人は、ミニマムアクセスを拒否すればガット規約違反になるから一粒も入れないといったたぐいの発言は非常に危険だと、こう言われましたけれども、やはり北農中央会の方々からいただいた資料だとかお話を伺っても、日本の農産物の輸入は年々拡大していて八六年からの三年間で実に五〇%以上も増加しているわけですね。農産物の輸出が極めて少ない日本が年間二百六十四億ドルにも達する巨額の農産物の純輸入国ということで、アメリカが十四のウエーバー品目を含めて十九の輸入制限品を持っている、それからECも六十四の可変課徴金対象品目を持っている、こういう中で日本が一九九二年には農産物の輸入制限品目が十品目となって、米や乳製品以外はほとんど地域特産物という状況の中で、ここで米まで開放するというのは将来にわたってやっぱり国の食糧安全保障の権利を放棄することになる、一粒たりともという議論は貿易摩擦の本質的な問題を米にすりかえて国民を見誤らせるものなんだというふうに言っておられるんですけれども、これはいかがでしょうか。  それからもう一つ、少しぐらい輸入してもいいのではないかという考えについてもこう言われたんですけれども、現在のガット協定そのものが食糧輸入国に極めて不平等にできている。輸出国は生産が過剰となれば補助金を出して安売りするし、国内が供給不足になると輸出を禁止するという調整ができる。ところが輸入国というのは、農産物の輸入を制限する場合には生産調整をするということで厳しい条件がつけられるわけですね。輸出国が重要な農産物の輸入を厳しく制限しているのに、輸入国である日本の国境保護措置については非難をするということはやっぱり不平等だし片手落ちだと。今政府が言う基礎的食糧論というのは、このガット協定を輸入国にとってより公平なものに改善するためのものなんだというふうなことをおっしゃっていたんですけれども、これらについて簡単に御意見をお聞かせください。

唯是康彦千葉大学法経学部教授

○参考人(唯是康彦君) だから、先ほどもお話ししましたように、基礎食糧というような考えをガットの規約改正として持ち込むということは非常にいいんじゃないか。つまり、オレンジ・牛肉のときみたいに残存輸入制限品目の性格もよくわからないでただ反対反対といって土壇場で押し切られて背負い投げ食って国民は非常に迷惑したわけですし、国際的にも信用を失墜したわけですけれども、ああいうことじゃなくて、ガットルールを踏まえた上で、今おっしゃったように輸入国が非常に不利だと。まあ輸入国ばかりじゃない。日本は加入したのが昭和三十年、それで特に十一条国になったのは三十九年ですから、世界的にも非常に安定してきて自由化のムードが強いときに登場しちゃったんですね。アメリカはその前の戦争直後の状態の中で、ECもそうですけれども、いろんな誓約を取りつけたんです。ですから、日本が最初から裸みたいになって入っちゃったというのは事実なんです。もっと言えば、本当はガットに加入するときにもっともっと勉強してガードを固めておいた方がよかったんですよ。ただ、それは今言っても始まらない。さっきの今村さんの後継者の選択じゃないけれども、一応日本もちゃんと理解した上で入ったはずなんです。  ですから、なぜそのとき言わなかったんだ、今になってがたがた言うなという話になるので、やっぱりまず国際ルールは守ってその線で動くということは一つです。その中で不平等なことがあったら、それについてまずガットルールを改正するということで、だからこのメモにも書いたように基礎食糧という概念を出して、ガットルールを改正して、それで対応しようというその姿勢は僕は非常にいいことだと。ただ、先ほども申し上げましたように、米が基礎食糧かどうかということはもっとサイエンティフィックに検討したらどうですか、別なところに重点があったんじゃないですかということが一つのコメントです。  もう一つは、一粒も輸入しないということを、つまり基礎食糧、その辺がちょっと僕にもよくわからないんです、政府が。つまり、今の時点で言っているのか、基礎食糧の概念が採決された場合に言っているのか、その辺がよくわからない。もし今のことで言っていると、今入れている加工品や調整品は一体どうするんだということが問題になるんですね。だから、そこのところをはっきりしてもらわなきゃいけない。  だから、感情論はいいんですよ、気持ちは、僕も日本人ですから言っている意味はよくわかるんですけれども、やはりもっと冷静に対応すべきではなかろうかなというのが私の気持ちです。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 どうもありがとうございました。

古川太三郎連合参議院

○古川太三郎君 連合参議院の古川でございます。  もうほとんど出尽くしたわけですけれども、ただ私ちょっと理解がまだ足らないのかもしれませんが、先ほど唯是参考人、今村参考人のお話ですと、規模の拡大をしていくというようなこともお話しになったようですけれども、規模の拡大といってもこれは工業製品でございませんし、やはり私は大体のところの限界というのがあるんではないか。現に八ヘクタールまでが大体の今までのメリットだというようなことも出ました。アメリカでも、大規模の形でやっている農業が今は家族規模ですか、小規模に変えなきゃならぬというような時代でもございます。やはり大規模でやればやるだけにこれは借金というような形にもなるでしょうし、それともう一つは、大規模農業をやっていくとどうしても農薬とかそういったものが多く使われるんじゃないか。むしろ兼業農家とかあるいは父ちゃん母ちゃんの農業の方が手づくりでそういう有機農業をやっていらっしゃる方が今も相当あるんで、規模拡大そのものが本当に安全性と自由化に対する防波提になれるのかどうか、ちょっとお聞きしたいんです。

唯是康彦千葉大学法経学部教授

○参考人(唯是康彦君) これは先ほどもお話ししたんですけれども、面積当たりの化学肥料の投下量とか農薬の投下量というのは、日本が世界でダントツに高いんですよ。ポストハーベストの問題なんかもありますがこれは入ってないから、これはこれで別な問題ですけれども、一体日本の農業は本当にそんなに清潔なものなのかどうかというのは一つ大きな問題なんですね。それを自分のことは棚に上げて外国の方が悪い悪いと言っているんですけれども。農業の工業化というのは先進国が皆とっていることだし、さっき今村先生もおっしゃったように、これはやはりアメリカでもECでも何とかしなきゃいかぬという反省が起きて、日本でも起きているわけですね。ですから先進国は大体、何もアメリカ、ECだけが薬品汚染しているんじゃなくて、日本も猛烈にしているんですよ、はっきり言ってしまえば。それが一つ。  それからもう一つは、今零細な方が何か農薬を使わないことをおっしゃったんですが、これはさっきお話ししましたけれども、零細なるがゆえに使うんですよ。だから高いんです、面積当たり猛烈に投下している。で、老人がやるでしょう。ですから、やはり農薬なんかというのは手間が省けますよね。それは有機質肥料、有機農法というのは望ましいんですけれども、堆肥をつくってそれを畑にまくといったら膨大な労働力が要るんです。だからそんな簡単な話じゃないです、有機農法やれなんというのは。それは望ましいかもしれないけれども、今の時点でどうやって効率を下げないで労働力を節約して有機農法をやれるかというのは、ある意味では解決してない問題ですよね。ですから、むしろ零細で老人がやって、しかも兼業に出さなきゃならないところというのは猛烈に薬品使うんです。零細な方が日本の場合は薬品づけなんですよ。  規模拡大した場合にどういうものがあり得るかということは、これはまた先生のおっしゃるように、それは農薬使う場合もあるかもしれませんけ れども、私が言っているのは、日本のように非常にお米の消費が減っている中で現状を何とか保とう、水田を守らなきゃいけないというのは、これは私も全く昔から主張していることです。そのためには水田に米だけをつくらない、米をつくったらその後に野菜をつくるとか大豆をつくるとか、あるいは肉牛を放牧するとか、これはアメリカの南部で米地帯はそれをやっていますけれども、そしてまた米をつくる、こういうようなことをやっていかなきゃならない。そうすると、実質的には作物が変わると病虫害の被害は少なくなるんですね。同じ作物を連作すると、ばい菌や虫がいっぱい繁殖するでしょう。それから、肥料も同じ作物は同じ栄養をとりますけれども、変えれば吸収する肥料が違いますから、要するに変えていく方が非常に土地の肥沃度とか、あるいは病害虫の発生というのは小さくなるんですね。ですから、輪作体系に移すということはある意味では有機農業に近くなるんじゃないですかと言ったのは、そういう意味なんです。  問題は、日本がどこまで規模拡大できるか。こんな狭いところでそんなにできないですよ、はっきり言って二十ヘクタールから三十ヘクタール。だから、僕が規模拡大という言葉を使うと早速先生のような反論が出てくるんで、僕は規模の適正化と言っているんですよ。これはもう規模の拡大でない。拡大というのはアメリカのようなあんなでかい話を言うんで、あれはまた全然別ですよ。エロージョンを起こしたりいろんな問題がありますから、あんなのはやるべきじゃないと僕も思うんです。だけれども、やはり二十ヘクタール、三十ヘクタールぐらいは日本にとってもむしろあったがいい。そういう農業をつくるべきだと。  そうすると、規模が小さいのは経済的に競争でないじゃないかという意見が出るんですけれど、これは一つはそういうふうに低投入農業といいますか、できるだけ有機農業に近い方向に行く、そうそう規模を拡大できないんです。今言ったように、堆肥つくるだけでも膨大な労働力が要りますからね。そんなことで、規模が小さくてもいい作物、清潔な作物をつくるんだったら二、三十ヘクタールの方が望ましいというのが一つあります。  もう一つ、さっきから議論になったように、ジャポニカというのは世界でそうつくれないんで、日本で一番大量につくっている。一千万トンまとめてジャポニカをつくっているところなんて世界でどこにもないですよ。ですと、競争力からいっても結局、アメリカでもジャポニカって高いんですよ、二倍ぐらいするんですね。ですから、日本で一千万トンジャポニカつくっていれば、二、三十ヘクタールあればかなり今のコスト、ずっと半分以下になりますから、それで十分いいんだという考えを持っているんです。ですから、規模拡大という言葉はよくないんで、規模の適正化ということを使いたい。  もう一つは、今のようなことのまま人口が仮に八分の一になったとします。なるんですよ、二十一世紀に。日本の生産量も八分の一になるんですよ。日本農業は壊滅ですよ。規模拡大しなきゃ日本農業は壊滅するんです。規模拡大というか、僕の言う規模の適正化をやらないと日本農業は壊滅するんですよ。だから、漫然と規模拡大反対とかなんとかそういう議論をされると、じゃあなたは日本農業はつぶれてもいいんですかと、こういう反論を皮肉にもしたくなる。そんなことお思いじゃないと思いますけれども、そういうことになってしまう。この点も考えてほしいということです。

古川太三郎連合参議院

○古川太三郎君 またちょっと話は変わるんですけれども、今の食管制度の問題ですが、おいしい米はどんどん売れてはけるんですけれども、こう言っちゃなんですが、おいしくないお米は倉庫に眠っていて、なおそれが高くなっていくというようなギャップがあるんで、そういった点はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。

唯是康彦千葉大学法経学部教授

○参考人(唯是康彦君) 一昨年三月だったですか、米流通改善大綱が出ましたね。それで、今までは非常に狭い流通範囲を各業者に与えて、その結果いいお米だけ欲しい地域にやる、そうするとあなたのおっしゃる標準米は余ってしまう。また別に、標準米、徳用米を欲しい地域もあるんです。そういうところは今度いいお米が、おいしいお米が余ってしまう。そこでしょうがないからその交換をやる。そうすると自由米みたいなものが発生する温床になっていくんですね。そこで流通をうんと広げたわけです。それでこの問題はかなりよくなった。ということは、流通面で国内は自由化してきているんです。  だから、今度広域の中で、おっしゃるようにうまい米だけを実は求めているわけではなくて、まずい米も必要としているところはいっぱいあるんで、これは今後もうちょっと時間がたたないとわからないんですが、いずれにしても業者が今度は自分の流通範囲の中で必要とする銘柄というものを確保していかなきゃならない。したがって、産地と契約に入っていくわけです、確保したいから。そうすると、今度は産地の方から見たら、おれはうまい米あるいは安い米をつくって売るんだ、こういう形になって産地間競争に入っていくわけです。そうなると減反は崩れるんじゃないですかね、早晩。結局、減反の割り当てが来たって、つくりたいところはどんどんつくりますよ、売れるんだったら。幾ら減反これだけといっても、売れなかったらもっと減反しなきゃいけない。そういった形で、あと数年のうちにそういう減反体制というのは崩れていくんじゃないですかね。こういうふうに、これは僕がやったんじゃなくて、流通改善大綱が出たためにそういうふうになっていくんですけれども。大潟村を必死になって政府や農協は抑えていますけれども、あの種の問題はあちこちに出てくる可能性は非常にありますね。  ですから、どうなるかということは、非常に御心配の意味はよくわかるけれども、他面で流通面からいってそういう変化が来ていることは事実です。適地適産という形が形成されつつあるということも頭に入れておかなきゃいけない。どうもそっちの方から今の問題は解決するんじゃないかなという気がします。消費者の嗜好を無視した行政はもうできないですものね。昔、戦時中は物がないから割り当てて、食えということで食わせてやっている、食糧庁は。そのぐらいの気持ちの時代があったんですが、もうそれは食べていただく時代ですからね。そうすると、今の流通機構の改善と合わさって減反が崩れるんじゃないかという感じを僕は持っています。もう既に自主流通米の方がずっと多くなってしまっていますし、そういう状況ですから、それを判定するのはあとは産地間競争しかないという状態だと思います。

古川太三郎連合参議院

○古川太三郎君 よくわかりました。ありがとうございました。

星野朋市税金党平和の会

○星野朋市君 税金党の星野でございます。  加倉井先生にお尋ねしたいんですけれども、実は昨日も農業年金法の改正の問題で、農業規模の拡大とかそういうことをやっておったんですけれども、要するに未加入者が農業の将来に不安を持っているというような、こういう一種の意味づけがあるわけです。いろんな問題があると思いますけれども、それの一つに、要するにもうかる農業ですね、こうなれば新規参入者、それから後継者、これも育つ一番基本だと思うんです。米の価格はちょっと違いますが、要するに農産物全般について、生産者価格と末端の消費者価格、この間に非常にギャップがあるということが一つ大きな問題だと思うんですけれども、意外に農産物の流通面というのは近代化されていないと思うんですが、いかがでございますか。

加倉井弘日本放送協会解説委員

○参考人(加倉井弘君) 規模の拡大はいろいろありまして、例えば私農村へ行って聞きますと、規模の拡大をやれやれと言ったので、ある農家ですが、私は借金をして規模拡大をしました、そうしたらひどい目に遭いました、どうしたらいいんで すかというようなことを聞かれた方があります。御承知のように、一反歩米つくりましても、手取りは八万円ぐらいですから、お金として入ってくるのは。それを借金をして、今農業会議所の数字で一反歩、中ぐらいの田んぼで二百万ぐらいですから、二百万借金して買って、利子だけでも四%としても八万円ぐらい払うわけです。もうかるわけないですね。ですから、規模拡大の意味を、先ほど唯是先生もおっしゃったように、きちんとやはり言わないと指導が指導にならない。農家をいじめることになってしまうような気がします。その辺はやはりちゃんとやらなきゃいけないということを思います。  それから、もうからない話は、今の一反歩米つくって七、八万円ということでも、確かにもうからないんですけれども、全部もうからない農業かというと、私はそうでもないような気がします。というのは、例えば都市近郊で花をつくっている方とか野菜をつくっている方などはいいんですね、実際に所得が上がっています。ですから、日本列島全部野菜、花をつくれるとは思いませんけれども、地域によってそういうことがやれるということが一つです。  もう一つは、私、兵庫県の淡路島へ行ったときに、規模拡大を別な形でやった例を一つ聞いて非常に楽しい思いをしたんですが、それはお米をつくるんです。お米をつくった後にタマネギをつくりまして、タマネギつくった後、野菜つくるんです。つまり、一年三作つくるんです。こうしますと、一ヘクタールが三ヘクタールになるわけですね。そんなことしたち一年に三作だからもう大変だ、連作障害が当然起こるだろうと言ったら、そうじゃない。なぜかというと、さっきも話がちょっと出ましたけれども、水をかけてつくる栽培と乾燥してつくる栽培とやるわけですから、病害虫が選別されるんですね。これ、現地ではクリーニングと言っていましたが、クリーニングされてしまうわけですね。ですから、連作障害は起こらない。これは、実は農家がやり出したんです。それを普及所なり農協なり、それから役所が後押しをしてその地域全体に広げたんですが、いろんなやり方があって、画一的ではないけれども、突破口がないわけではないというふうに私は考えております。

星野朋市税金党平和の会

○星野朋市君 それはわかるんですけれども、私がお聞きしたかった主眼点は、要するに生産者価格と末端価格の間にギャップがあり過ぎるんじゃないか、この流通機構の問題を解決しないと、なかなかもうかる農業にもならないんじゃないかということを聞きたかったわけです。

加倉井弘日本放送協会解説委員

○参考人(加倉井弘君) 流通機構については、私はこんな例え話を申し上げるんです。  終戦のときに私は茨城県におりまして、田舎におりまして、毎日毎日米を食べておりましたが、おかずが何もありませんでした。みそをかけて食べておりました。それで、本当におかずがないな、おかずがないなと思って食べておりました。大きくなりまして、実は北海道出身の女房と結婚しまして話を聞いたら、あの戦争の真っ最中の物のないときに女房は魚ばかり食べていたそうです。お米は一粒も食べられなかった、何て悲しいんだと言っていたそうですね。これは一体何の話かというと、流通がもっとちゃんとしていれば、我々はもう少し幸せだったんだと、あの物のない太平洋戦争の末期でも。そういう意味があるから、流通というものは私は全部否定するということではなくて、ある程度はやはりこの流通の果たす役割というのを非常に尊重すべき時代だと。特に今東京に一千万もいる人間に、例えば農家が直接物を運んできて売るというようなことをお考えになったり言っていらっしゃる方がいますが、それはできません。できないと思います。  その具体的な例は、私は実は沖縄へ行きまして、沖縄農業を取材したことがあるんです。そうしたら、沖縄では実は農家がつくった物を自分で、農連市場というんですが、那覇の市場へ自分で持っていくんです。そして自分で売るんです。これ流通ゼロです、流通経費は。しかし、これは幸せかといいますと、実はその農家がつくった物をお母さん、おしゅうとさんが行って売るんですが、市場の中でいい場所を占めないと売れないんです。そうすると、当然早くなる。競争なんですね。ですから、三時ぐらいに家を出て、子供のつくったものを背負っていって、先にいい場所をとって、いい場所をとると全部売れる。いい場所をとれないと売れない。売れない負担はだれがやるかというと、本人がやるんですね。値下げしても売れないんですから、捨てるわけです。捨てるコストというのがあるわけですね、むだになる金。  ですから、私、流通を全部否定するというのは近代においてはちょっと無理ではないか。昔はわかりません。そして、昔は例の地主さんとか、あるいは金を貸して商人資本が農家を搾取したとか、それは間違いなくあったと思います。ただ、今の時代はある程度その意味を認めてやるべきだと思っています。しかし、それにしてもちょっと差があり過ぎるという気はいたします。

星野朋市税金党平和の会

○星野朋市君 時間がありませんですので、次に移らせていただきます。  先ほど先生は、技術革新の継続の遺伝子の競争の中で日本はやや立ちおくれているんじゃないかという、たしかそういう御発言があったと思います。これは先日の農水の委員会で、技術会議に対して日本の遺伝子の問題、特にクローン牛であるとか双子の牛の問題、こういうのは国際的に技術水準としてどうなのかという質問をしたところ、国際的に全く遜色はないというお答えだったんですけれども、先生のお考え、いかがですか。

加倉井弘日本放送協会解説委員

○参考人(加倉井弘君) もちろんいろんな分野は、違います。例えば花の種、野菜の種のF1、ハイブリッドの種などは日本が非常に世界的にすばらしい成果を上げておりまして、世界じゅうに売っております、日本の野菜の種、花の種ですね。ただ、例えば日本の鶏の卵あるいはブロイラーみたいなものが自給率が例えば八〇%だ何だという話を聞くと、私は全く違うと思います。それはどういう意味かというと、鶏に食べさせているえさが、これはもう皆さん御承知ですが、外国から全部来る。もう一つは、遺伝子が全部向こうから来ているんです、あれ。日本の農家というのは、ただあれを買っているだけでありまして、あの二百日齢でどれぐらい卵を産むとか、何個産めるとか、そういう性能というのは外国の方が圧倒的に強いんです。日本は技術大国とかなんか威張っていますが、この遺伝子、例えば畜産の効率ということに関係するわけですが、これは大変におくれている。多分ブロイラーの自給率、遺伝子の自給率を計算したら五%かそんなものじゃないでしょうか。採卵鶏も同じです。日本でノーリンクロスとか、いろいろ努力してつくっておりますけれども、まだかないませんね。それから、矮化木といいまして、リンゴを余り大きな灌木に育ててしまうと収穫の労力が大変要るので、小さい木にしようと。これも基本的にはイギリスあるいはアメリカがつくった木を日本が輸入して、それを台木というんですが接ぎ木をして売っているわけでして、ああいう技術も基本的に外国から来ている。  ですから、私は、遺伝子の自給率を言ったら大変みじめなものに日本はなってしまうんだと。あるいはチューリップ、あれもほとんどオランダが開発したものを日本が利用しているというようなことがありますね。それでオランダは不満を言っているんですが、そういうことからいって、土地の話だと日本はかないませんが、そういう技術はもっともっとやれるのにやってないというのが私、大変不満であります。

星野朋市税金党平和の会

○星野朋市君 私の聞いているところでも、種の保存に関しては日本は意外に後進国であるということだそうですけれども、それもそのとおりですか。

加倉井弘日本放送協会解説委員

○参考人(加倉井弘君) ええ、私はそう思っております。まだまだ日本は努力できる分野があるん だということをできるだけ強調したいと思います。

星野朋市税金党平和の会

○星野朋市君 最後に、少しジャーナリスティックな問題でございますけれども、たしかNHKが「二十一世紀は警告する」という番組をつくりまして、アメリカのスプリンクラーによる円形農場はほとんどこれ地下水に頼っておると。番組が出たのは今から十年ぐらい前ですか、あのときはたしか三十年ぐらいで枯渇するだろうというような警告がございましたですね。現在でもアメリカの上空飛びますと、確かに目につくところがあります。それで、話では相当土壌のエロージョンも進んでいるというようなことも事実だそうでございますけれども、そういうことを踏まえて、日本の農業全体について問題にしているのに他国の問題がどうだということは別にしまして、アメリカはこれからもずっと農業大国であり得るかどうか、御見解を聞かしていただきたいと思います。

加倉井弘日本放送協会解説委員

○参考人(加倉井弘君) 私は、農家から似たようなことを聞かれたことがありまして、つまりNHKのテレビではあれだけアメリカの農業がだめな話をしているのに、一方振り返るとアメリカの農業生産高というのは毎年毎年更新されていく、一体おまえのところはうそを言っているのかということを言われたことがございますが、警告というのはやっぱりぜひ必要なことで、しかし警告というのは、一カ所がそういう状況をやっていれば、それは映像で出しますので、すごく迫力があって、一カ所の話がアメリカ全体がということについなってしまうんですが、やはりそうではございませんで、オガララ地下水層も使い尽くせば、アメリカのように短期的な採算だけで農業をやっているところは間違いなく破局に近づくだろうということは間違いない。エロージョンもあって表土の豊かな土が消えてしまうことも間違いない。  しかし、それは傾向としてそうなるということですから、それを防ぐためのいろんな処理をしている。国家的にもいろんな対策をとっている。土壌改良局でしたか、ちゃんと持ってまして、そういうことをやってますので、警告があってそれを防ぐために一生懸命努力して、その結果今何とかなっているということと、しかし警告はすべきだという話はちょっと違うというふうに私は思っております。

星野朋市税金党平和の会

○星野朋市君 わかりました。  これで質問を終わります。

田英夫日本社会党・護憲共同

○会長(田英夫君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人に一言お礼を申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、大変ありがとうございました。ただいまお述べいただきました御意見につきましては、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。本調査会を代表して厚く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)  なお、本日、参考人の皆様から提出いただきました参考資料のうち、発言内容把握のため必要と思われるものにつきましては、本日の会議録の末尾に掲載させていただきたく存じますので、御了承いただきたいと存じます。     ─────────────

田英夫日本社会党・護憲共同

○会長(田英夫君) 次に、先般本調査会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。  まず、第一班の報告を願います。中曽根弘文君。

中曽根弘文自由民主党

○中曽根弘文君 第一班の派遣報告をいたします。  去る四月十二日及び十三日の二日間にわたり小山会長、白浜理事、古川理事、合馬委員、角田委員並びに私の六名で、福岡、大分両県において、各県、通産局、九州・山口経済連合会等の関係者からおのおの産業・資源エネルギー問題に関する実情調査を行ってまいりました。  また、黒崎窯業株式会社、大分県ソフトパーク及び大分キャノン株式会社をそれぞれ視察いたしました。  以下、その概要について申し上げます。  最初に、九州通商産業局の管内事情と管内における経済の動向について申しますと、九州地方における面積、人口は、それぞれ我が国の約一一%、ほぼオランダ一国と同程度の規模を有し、GNP比では世界経済の一%を占めております。  しかしながら、国内的には、近年、産業の高次機能の東京一極集中が続く中で、昭和六十二年度における工業出荷額は全国の二百五十六・六兆円に対し、十四・四兆円、約六%弱である反面、IC生産については四〇・六%を示しており、その輸送及び情報集積を必要とするなど克服すべき課題も抱えております。  このため、多極分散型の拠点づくりを指向した地域開発・振興の促進、アジア・太平洋地域への貿易・投資など国際化の積極的推進、高度情報化・サービス産業化の推進、バイオテクノロジー、新素材等フロンティア産業の育成・研究開発支援等地域技術の高度化のほか、豊かな生活文化の創造など二十一世紀におけるグローバルな経済活動を強化するための適切な対応が必要とされております。  なお、管内における主要プロジェクトのうち、平成四年末完成予定の地域振興整備公団による福岡県宮田地域へのトヨタ自動車の進出決定、九州全県六地域における高度技術工業の集積によるテクノポリス建設等がいずれも今後の九州地方における経済の活性化に寄与するものと期待されているとのことでありました。  次に、福岡県政の概要について申しますと、本県は、九州全体に占める人口比では四百七十七万人で三分の一、県内総生産比では十二兆円で三八%、全国第七位、同様に、工業出荷額では六兆四千五百七十億円で四〇・九%、全国第十三位となっておりますが、近年における素材型産業の後退等経済機能の停滞傾向にかんがみ、二十一世紀へ向けての活力ある産業社会づくりを目指した具体的施策として福岡県産業振興ビジョンを作成しております。  同ビジョンによりますと産業活性化の課題として、鉄鋼・化学などの素材型産業に特化した工業構造の転換、地域企業の技術・資金調達など経営資源の強化及び地域からの産学官の連携体制の強化等の支援体制づくりが必要とされております。このため、産業振興のための戦略プロジェクトとして技術立県を指向したフロンティア技術の向上等を含めて全県頭脳拠点化構想、福岡でざいん研究センター、科学技術振興財団の設立等の施策を進めることとしております。  なお、新素材開発の一環として今回視察いたしました黒崎窯業株式会社について申しますと、同社においては新日本製鉄株式会社と共同で長年の鉄鋼プロセス用の製造技術等を活用してセラミックス開発センターを設立し、ジルコニア等のZACS及び多孔性セラミックスを中心としたファィンセラミックス製品を開発、製造しております。代替市場における新素材及び関連既存素材の生産誘発等の波及効果を考慮した場合、今後とも技術面を含めてより一層の努力を重ねられることを期待したいと思います。  次に、大分県政の概要について申しますと、本県は、昭和六十三年十月現在の人口が約百二十五万人、六十二年度の県内総生産が二百九十一億円、また工業出荷額が九州では福岡県に次いで約二兆円となっております。  平松大分県知事の説明によりますと、現在、本県においては、バランスのとれた豊の国大分の地域づくりを実現するため、各般の施策が進められておりますが、特に、自立・自助を基本とした新しい地域づくりとして国内及び世界にも通用する一村一品運動を展開しておるとのことであります。  なお、この運動を推進するに際し、県は側面から人材養成事業、農水産物加工指導等について、地域の自主的な活動を支援しております。具体的には、地域特性と資源を十分に活用しながら創意工夫により特色ある産品を生み出すとともに、二十一世紀にチャレンジする人材養成に力点を置い ているとのことでありました。  また、大分空港の周辺五十キロ圏内の立地条件に着目した臨空型工業地帯構想に基づいた国東地域テクノポリス計画が広域点在、農工併存、人材育成の三原則により進められておりますが、視察いたしました大分キャノン株式会社では三十五ミリコンパクトカメラのオートボーイを生産しております。  以上のほか、水産業を中核とした県南地域マリノポリス計画に基づいた音響給餌によるマダイの生産を行うための海洋牧場が建設されております。  次に、今回、私どもが視察いたしましたソフトパークセンタービルにおきましては、高度情報化と技術革新に対応した人材養成、ソフトウエア研究開発部門の充実と情報機能の集積の相乗効果を期待したソフトパーク構想を推進しております。具体的には、地方公共団体としては土地信託方式による全国初のインテリジェントビルを竣工したほか、大分県地域経済情報センターなど四団体により独自のデータベースによるネットワークを利用した情報提供等本県の産業高度化拠点としての機能を発揮しているとのことでありました。  なお、特に、大分県が地域の実態に応じたユニークな地方自治の哲学に基づき各種施策を実行し、かつ成果を挙げていることについて今後の進展を期待したいと思います。  以上、御報告いたします。

田英夫日本社会党・護憲共同

○会長(田英夫君) 次に、第二班の報告を願います。大木浩君。

大木浩自由民主党

○大木浩君 次に、第二班の派遣報告をいたします。  産業・資源エネルギー問題に関する実情調査のため、去る四月十二日と十三日の二日間にわたって委員派遣を行いました。  派遣委員は及川理事、高崎理事、足立理事、星野委員と私、大木の計五名であります。  派遣日程初日は、まず中国通商産業局から管内の経済概況を聴取いたしました。  中国地域経済は総人口が全国の六・三%、工業出荷額が同じく七・二%を占めており、一般に七%経済と言われております。産業構造は工業出荷額で見て化学、鉄鋼等基礎資材産業のウエートが高く、加工組み立て産業のウエートが低いことが特徴であります。  また、地域経済に大きな影響を及ぼす当面の大型プロジェクトとして、山陽自動車道、尾道—今治ルートの本州四国連絡橋、新広島空港等の建設が現在進行中であります。そのほか鳥取県、島根県の両県にまたがる中海連環都市圏構想は中海周辺地域において産業の高次機能、都市機能の集積を図るもので、県境を越えた都市づくりとしてこれまでにない特色あるプロジェクトと言えましょう。  次に、中国地方経済連合会との懇談におきましては、中国経連から中国地域の経済活性化を図る上での問題点として、都市型サービス業成長のおくれ、工業構造の素材産業への特化、研究開発機能の集積不足等への対応の必要性が提起されました。  なお、派遣委員から日米構造協議、大型店出店規制に対する中国経連の受けとめ方、産業構造の変化に対する広域的対応の調整機能等について質疑がなされました。  次に視察いたしました自動車メーカーのマツダ株式会社は、その関連下請企業も含めますと工業出荷額で広島県、山口県全体のおのおの約二七%、約一八%を占めております。昨年の自動車生産台数は百二十七万台ですが、そのうち三分の二以上が輸出向けで占められております。海外生産・組み立て拠点は欧米、アジア、アフリカ、中南米等十九カ国に及び、特にマツダ米国工場における昨年一年間の生産実績は約二十二万台に達しております。  近年の貿易摩察という事態に対しては、米国工場の現地部品調達率の六五%引き上げ、輸入拡大アクションプログラムの作成等に努力しているとのことであります。  なお、国内販売チャネルはマツダ系、マツダオート系など五系列ありますが、そのうちマツダが資本参加している会社は少なく、独立の会社がほとんどとのことであります。また、米国工場における販売チャネルについては自社製品のみを扱う専売店は三分の一にすぎず、残りは米国ビッグスリーの車種も扱う併売店とのことであります。  次に視察した株式会社ヒロテックは、自動車車体部品、各種金型等の開発設計から製作、量産、技術援助までを行っている自動車用ドアの専門メーカーです。その特徴は多品種少量生産に対応してフレキシブルな生産システムを構築し、マツダの生産体制とジャストインタイムで結ばれ、マツダ車全車種のドア製造を一手に引き受けていることにあります。  次に、派遣日程二日目に視察いたしました三菱化成株式会社水島工場は、中国地域のエチレン生産量の約三分の一を占め、全国に十二カ所あるエチレンプラントの一環を構成している石油化学メーカーであります。  なお、近年では石油化学製品の生産にとどまらず、高機能商品開発センターに全従業員の二割を投入し、高分子や金属等の素材技術を生かして磁気ディスク、光ディスク、高機能フィルムなど新化学分野の研究開発に取り組んでおります。  最後に視察いたしました岡山県総合流通センターは、物流の拠点としての機能を一層高めるため、岡山市と倉敷市との中間に位置し、本州四国連絡道路と山陽自動車道とをつなぐ交通の結節点に立地する流通業務団地であり、現在百四企業が入居しております。  私どもは、その中の一企業であるコクヨメーベル株式会社岡山配送センターを視察いたしました。  当配送センターは、コクヨが全国二十二カ所に設けている物流拠点倉庫の一つで中国地区、四国地区の共同保管、代理店直送並びに近隣の共同配送を目的として昭和六十三年に当団地に建設されたものであります。当配送センターは、消費者の多品種少量化のニーズに対応するため、自動回転棚が設置されているほか、発注単価の少量化、輸送経路の短縮等により、メーカー段階のみならず、流通段階をも含めた物流の合理化を図っていることが特徴であります。  なお、このような物流体制は中間を除いてメーカー直系のルートとなり、地方の大手問屋が崩壊する可能性があるため、長年かかって築き上げたシステムであるということであります。  以上、一泊二日の短い派遣のため十分な視察の時間もありませんでしたが、中国地域に展開されるさまざまな地域活性化プロジェクトあるいは常に新しい潮流をつくっていく企業行動を目前にして、中央だけでなく地方においても大きく変わりつつある産業構造の変化を認識した次第であります。  以上で報告を終わります。

田英夫日本社会党・護憲共同

○会長(田英夫君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。御苦労さまでした。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十六分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗