外務委員会 第10号
- 発言数
- 235 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1990/06/25
会議録
○委員長(山東昭子君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 先般、鶴岡洋君、吉岡吉典君、野村五男君、田英夫君が委員を辞任され、その補欠として太田淳夫君、立木洋君、鳩山威一郎君、肥田美代子君がそれぞれ選任されました。 ─────────────
○委員長(山東昭子君) 千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。 本日は、本件につきまして御意見を伺うため、お手元に配付しております名簿のとおり、二名の方に参考人として御出席をいただいております。 この際、参考人の方に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙の中、本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。お二方からの御意見を拝聴いたしまして、今後の本件審査の参考にいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 次に、議事の進め方について申し上げます。 まず、お一人十五分、順次御意見をお述べいただき、その後、約二時間程度委員の質疑にお答えいただきたいと、このように考えております。 それでは、これより両参考人に順次御意見をお述べいただきたいと存じます。 まず最初に、鈴木参考人からよろしくお願いいたします。
○参考人(鈴木篤之君) 御紹介いただきました鈴木篤之と申します。座ってやらせていただきます。 日仏原子力協定の改正に賛成の立場から、参考人としての意見を申し述べさせていただきます。 まず最初に、原子力の平和利用にとりましては、いわゆる核不拡散の原則を遵守することが大前提であると理解しておりまして、そういう意味で、核不拡散の原則を一層徹底するとの観点から、今回の改正は極めて重要であるというふうに考えております。 ところで、今回の改正に伴う論議におきましては、そのことよりも原子力そのものの必要性であるとか、協定の改正案と関連のございますいわゆる再処理及びプルトニウムの利用の適否に関することが論点になっていると伺っておりまして、それらにつきまして私の意見を述べさせていただきます。 第一に、原子力の必要性でございますが、もとより原子力の必要性につきましてはエネルギー全般との関連において論ぜられるべきものと考えております。エネルギーの分野におきましては、昨今特に地球環境の問題が大切であると論議されているわけでございますが、私はこれからますます資源と環境を大切にするということが重要になってくると理解しております。例えば、炭酸ガス問題に象徴されますような地球環境の問題が世界じゅうの人々の関心を呼んでおりますが、地球環境の問題は、結局はそれぞれの国々がそれぞれの環境をいかに大切にするか、それぞれの地域がそれぞれの環境をいかに大切にするかということに帰着すると理解しておりまして、そういう意味から、我が国における原子力の意味するところを考えてみたいと存じます。 と申しますのは、私も原子力を研究分野といたしましてから四半世紀ぐらいたつわけでございますが、そもそも私どもが原子力を研究し出した動機は何であったのかということを考えますと、それはまさに資源と環境を守るために原子力に携わるようになったというふうに理解するわけであるからでございます。資源と環境を大切にするということは、まず第一義的に大切なことは資源をできるだけ使わない、廃棄物をできるだけ出さないということかと存じます。原子力はこの点で大変にすぐれたエネルギーであるというのが私の理解するところでございます。 すなわち、同じ量のエネルギーを得ますのに発生する廃棄物の量を比較いたしますと、大ざっぱに言いますと、原子力発電は火力発電の一万分の一ぐらいということになろうかと存じます。これは廃棄物にはいろいろございますので、原子力発電、火力発電に伴って発生いたしますいろんな廃棄物をすべて含んで、大体そんな勘定になろうかと思います。 火力発電からは炭酸ガスが出るわけでございますが、最近ではその炭酸ガスを回収する技術の開発も始められようとしております。しかし、今私が思いますのには、仮に回収したとしても、その廃棄物の量というのは途方もない量になるのではないかと思います。ウランが燃料として原子力発電所で使われまして、使った後それが廃棄物になるわけでございますが、その廃棄物を一といたしますと、火力発電の炭酸ガスを回収した場合の回収量、これが廃棄物になるわけですが、それは約百万倍ぐらいになると推定されます。 例えて申しますと、私ども日本人が一生の間に使っております電気を全部原子力発電で賄ったとして、そのウラン燃料の廃棄物は乾電池一個分ぐらいになるかと思います。一生の電気が乾電池一個分ぐらいの廃棄物で済む。これに対して、火力発電の炭酸ガスは百万倍ということですから約百トン、トラックにしますと何十台分ということになろうかと思います。国民一人一人がそれほどの廃棄物を出すということになりますと、これを始末するということは、これはこれでまた大問題というような気がいたします。 我が国では、統計によりますと、年間大体三十億個の乾電池を生産しているということでございます。国民一人当たりにいたしますと約三十個になろうかと思います。一生を百年近いといたしますと、三十個の例えば百倍といたしますと三千個ということになります。私どもは、平均的にですが、日常生活で乾電池を一生の間に三千個ぐらい使うという勘定になるわけでございます。その乾電池から得ております電気はほんのわずかでございますが、原子力でやるとすれば、必要な電気のすべてを原子力で賄ったとしても、廃棄物の量はその乾電池一つぐらいで済むということでございます。 これが原子力の持つ最大の特徴、つまりほんのわずかな資源から巨大なエネルギーを生むことができる。これが原子力の科学的原理になるわけでございまして、この科学的原理があるからこそ私どもは原子力に取り組んできたというふうに理解しております。 つまり原子力は、今後、資源と環境を守っていく上で不可欠と考えております。資源と環境を守るためには、何も原子力によらなくても、省エネルギーをすることが大事だという見方はもちろんございます。私は、確かに省エネルギーは大変重要だと思いますし、まず最も優先的に考えられるべきことは省エネルギーかと存じます。しかし、省エネだけでは限界があるということも私は事実ではないかと存じます。と申しますのは、我が国の場合、国民一人当たりのエネルギーの消費量というのは、大ざっぱに申しますと石油に換算して一日約十リットルでございます。十リットルのガソリンで走れる距離は約百キロ。一日車で百キロ走るということは今ではそれほど珍しいことではございません。つまり一日約十リットルという数字はそれほど大きな値ではないというふうに私は感じております。省エネをやりまして、例えばこれを半分にするということは並み大抵のことではないというふうに感じております。つまり省エネはもちろん大事でありますが、省エネを進めると同時に、原子力のような新しい科学的原理に基づく革新的エネルギーをこれからはぜひ必要としているのではないかと考えるものでございます。 次に、再処理とプルトニウム利用の必要性でございますが、これもまた資源を大切にするという精神に密接に関連しております。ウランはたくさんあるから心配は要らない、そういう見方もございますが、実はウランは非常に高価なものでございます。原子力発電所のウランの燃料は、大ざっぱに申し上げますと一キログラム当たり何十万円もするかと思います。百グラムにいたしますと何万円。現在の原子力発電方式では、この高価なウラン燃料のうちエネルギーに変わっている部分は数%でございます。九五%以上もの資源がエネルギーに変わっていないわけでございます。 この資源をリサイクル利用しようというのが、再処理及びプルトニウムの利用なのでございます。私ども技術屋からいたしますと、高価な資源をまだ九五%も残っているものをリサイクルしたいというのは、これはまあいわば技術屋の常識でございまして、そういうことから再処理及びプルトニウム利用、資源のリサイクルということが考えられているわけでございます。 本委員会の事務局からいただきました資料の中にも、再生紙の紙のものがございましたが、資源のリサイクルというのはいずれにいたしましても大変に重要なことでございまして、私どもは原子力を利用する上では、再処理し、プルトニウムをリサイクルするということが基本的に重要なことであるというふうに考えております。 再処理はコストが高くつくというようなそういう見方もございますが、私の理解、私の考えといいますところでは、経済性はもちろん大事でございますが、まずその前に資源を大切にする、資源を大切に使っていくという、そういう人間として基本的に大切なことですね、これをまず大事にしていくということが必要ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。そういう考え方をこれから徹底していくことによって、再処理の経済性もこれは経済的にも当然である、言うまでもないことだという、そういう時代が来るのではないかというふうに考えております。 再処理工場は、確かに新しい工場を建てますと大変複雑な設備を必要といたしますので、巨額な投資を必要とするということはございます。しかし、私どもといたしましては、できるだけみんなで力を合わせてそういうものが実用的に使われるようにしていくということが大事であるというふうに考えております。 以上のように、原子力発電及び再処理による資源のリサイクルということは不可欠であるというふうに考えておりまして、今後の我が国における原子力発電の一層の発展のために、今回の日仏原子力協定の改正は極めて重要であるというふうに考えておるところでございます。 どうも御清聴ありがとうございました。
○委員長(山東昭子君) どうもありがとうございました。 続きまして大下参考人お願いいたします。大下参考人。
○参考人(大下由宮子君) 大下でございます。私も座らせていただきます。 限られた時間でございますので、私は三点に論点を分けて申し上げたいと思います。 まず最初は私自身の立場でございます。私は青森県六ケ所村に現在計画中、進行中の核燃料サイクル施設計画に反対しております。そして、その計画の白紙撤回をする立場に立っております。その観点から、今回のことについて私の思うところを述べさせていただきたいと思います。 現地に、私は八戸市に住んでおりますが、六ケ所村からは五十キロ圏内のところでございます。チェルノブイリでも、御存じのように、放射能の及ぶ範囲というのは私たちの常識を超えた八千キロを超えたところに放射能が来るというような事実に直面いたしまして、私たち自身は、自分の日常生活が大変脅かされるという非常に人間として基本的な命を大切にしたいという観点から、この反対の立場をとらざるを得なかったわけです。自然とか、そこに住んでいる人間の生活を省みないで、技術過信、経済優先、こういうふうな形での産業活動というものは、今世界的な規模で問題になっております深刻な環境汚染、それからひいては人間破壊というようなことにつながってくると思います。特にがんとか小児白血病、チェルノブイリ、今回のフランスの、現地ですね、ラ・アーグ、それからセラフィールド、そういうふうなところから入ってきます公式、非公式のさまざまな情報あるいはデータ、そういうものから特に放射能が小さい者の命、子供ですけれども、そういうふうな人たちのところに非常に大きな影響を及ぼし、かつまた、それが放射能の持っている性質によりまして非常に長い年月にわたっていて、私たちがただいま決めて生きております、私たちが責任のとれる時間を超える範囲で及ぼすということについて非常な憂慮をしております。したがいまして、地域住民の犠牲の上に成り立つ事業というものは地域住民としては断じて受け入れることができないそういう立場でございます。 私自身は放射能や技術論の専門家ではありません。八戸工業大学の教師をしておりますが、専門は文学でございます。しかし、放射能というのは専門と関係なく襲ってきます。呼吸というものは専門と関係なくしなければなりません。自分たちがする呼吸、空気、こういうものに対して人間の生命に害を及ぼすとされております放射能、たとえ微量であっても、そういうものの増加を図るというようなことはとても我慢ができないことであります。 そういう意味で、例えばこの六ケ所の核燃施設が稼働されますと、たとえ事故がなくとも、平常運転でも放射能が出るわけでございまして、そういう場合には、私たちはその被害者にならざるを得ない、被害者以外の立場は選べない、そういうところに、そういう立場にいる人間です。そういう意味で、私はその細分化した技術論あるいはその機種の問題、そういうふうな細分化した問題としてではなく、丸ごとそこの地域に住んでいる人間として、その地盤の問題あるいは上空を飛ぶ航空基地の、軍事基地の飛行機の問題、そういうものも含めて非常な恐怖を感じるわけです。 それについて、まず申し上げたいのですけれども、時間が限られておりますので、それは後の方に回しまして、実際に私たちが恐怖とかといいますと非常に感情論だというふうに言われることが多いのですが、私たちは今も申し上げましたように専門家ではございません。専門家ではないからこそ実際に起きた事実、事象というものをもとに考えざるを得ないのです。机上の論争ではないわけですし、学会でもないわけです。したがって、私どもは起こった現象あるいはニュース、そういうもので私たちが公平に知ることのできるものをもとにして考えていくわけです。 そうしますと、一九八六年のチェルノブイリを境に私たち一般の人間が非常にそのことについて強い関心を持ち、恐れを持つようになったわけでございますけれども、それ以前にも多くのことがあります。そのことに関しまして、私自身は住民運動も含めて何回か、例えば今建物が建てられておりますウラン濃縮工場、この許可をおろす前に科学技術庁の方にも伺いました。そのときに、私どもの疑問というものに対してのお答えというのがまことに納得のいかないものでした。つまりただいま研究中であるとか、もっと改善されることを期待するとか、そういうふうなお話だったわけです。期待とかそういうことは楽観的な感情であります。 私たちが反対の根拠にしておりますのは、既に起こってしまった不幸な出来事です。つまり事実をもとにして反対しているという態度と、それから楽観的な感情をもとに推進をするというこの態度、どちらが感情的でどちらが実証的であるかということはよくお考えいただきたいことだと私は思っております。 それから、青森県のこのことに対する受け入れの点ですが、青森県民は合意を示しておりません。はっきり申し上げまして、県がこの受け入れを示しましたのは一九八五年、チェルノブイリの前の年でございます。そして、このプランが一般の県民にわかる形で公表されましたのが一九八四年です。むつ小川原開発の跡地に核燃料サイクルというものができるらしい、核燃料サイクルというのは何だろうかという、これが一般の県民、市民の気持ちでした。しかし、そのころから既に反対はありまして、幾つか事例がありますけれども、例えば九万に近い反対署名、これは正式に申しますと、県条例で県民投票によってこれを決してほしいという県条例制定の要求の署名です。これが県議会に出されました。出されましたけれども、このとき既に県議会の方では、その署名が出されました翌日にこれを無視して受け入れを決めたわけです。これが四月九日で、今日私たちが言っております四・九というのがその四月九日ということでございます。その後多くの反対署名がありまして、今県に出されております核燃サイクル反対の署名は、概算で八十万を超えております。「ストップ・ザ・核燃」、私もかかわりましたが、署名で四十万、そのほか農協、生協、いろいろな形で概算で八十万は超えております。これだけのことがあります。 それから、御承知のように、先般の昨年七月の参議院選挙では、三上隆雄議員が五二%以上の得票でもって議員になりました。そのほかの三人の立候補者の得票を全部合わせましてもこれには及びません。それから、ことしに入りましてからの衆議院の二人の議員の当選、いずれも核燃反対ということで圧倒的な数をもって当選しております。それから、農協、生協その他生産者団体の多くの反対決議があります。これについては、後ほど細目についてもし御質問がありましたら、お答えをしたいと思います。私は、青森県に住んでおります人間として、県民の合意は得られていないということを申し上げたいわけです。 それでは第二点といたしまして、私が計画に反対する理由を要点だけ述べていきます。 まず、事前の立地調査が十分に行われなかったために、安全性について大きなかかわりを持つ立地条件というものが非常に劣悪であるということが後になってわかりまして、審査中に設計変更なさっておりますね。これは事実です。それから追加調査を余儀なくされております。 一例を申しますと、低レベル廃棄物埋設施設の大幅設計変更があります。そして試掘坑を掘っておりますが、それも大変水がじゅくじゅく出て、一分間に百リットルも水が出るというような場所であるということがまたわかりました。 それから上空は、いわゆる地理的には三沢軍事基地と非常に近いわけです。そしてこれは、アジア航測というところに事業者の側が御依頼になってお調べになった資料なんですが、年間約四万三千回飛行しております。年間四万三千回です。それから、じゃ過去にどういうふうな航空機事故があったかということは、百十九回ございます。いろいろ細かくございますけれども、百十九回の航空機事故が起こっております。墜落、行方不明、そういうものを含めて起こっております。 それから、私どもが非常に心配なのは、濃縮ウラン、低レベル廃棄物、それから使用済み核燃料、プルトニウム、高レベルガラス固化体など、種類も量もともに非常な放射能の集中化があるわけです。その非常な放射能が一地点にあるいは非常に限られた地点に集中して事業申請がなされている。そうしますと、そこのそばに住んでいる人間といたしましては、地下を走る活断層、それで地震が一揺れすれば、また大変な不安を感じます。 それから日常生活、子供が眠れないほどの轟音で飛行機が飛びます。そうしますと、それが単なる騒音ということではなくて、これがもし施設ができてからであったらという、非常に基本的な生活の状態を揺すぶられる事態に追い込まれていくわけです。そういう意味で大変な不安を覚えるわけです。 それから低レベル廃棄物の大量埋め捨て、それから再処理施設におけるクリプトン85、トリチウムの事実上の垂れ流し、これはたしか最初のプランではなるべく取り除くということだったんですが、後に出てきたプランでは取り除かないという方に、これは改悪だと思いますが、されております。 私は専門家でもないのに、こういうクリプトン85がどうとやら、あるいはプルトニウムが人体のどこに影響があるかというようなことを非常に読まなければならないあるいは勉強しなければならないというのはなぜかというと、命が脅かされるということに尽きます。ですから、私の反対の立場というのは、まさに基本的人権を脅かされつつある現地住民の立場ということで申し上げたい、このように思っております。
○委員長(山東昭子君) どうもありがとうございました。 以上で両参考人の意見の陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑のおありになる方は順次御発言を願います。
○岡部三郎君 自民党の岡部三郎でございます。 きょうは両先生大変御多用の中本委員会においでいただきまして、ただいまはまた貴重な御意見を伺わさしていただき本当にありがとうございました。せっかくの機会でございますので、二、三質問をさせていただきたいと思いますが、何分にも全くの素人でございますし、見当違いな質問あるいは失礼なことを申し上げるかも存じませんが、その点はひとつお許しをいただきたいと思います。 まず最初に大下先生にお伺いをしたいんですが、先生は今核燃サイクル計画には反対の立場だ、こういうことをおっしゃいましたが、通常の原子力発電のいわゆるワンススルーと言われるものについてはどういうふうにお考えになっていますか。
○参考人(大下由宮子君) 私は反対でございます。 といいますのは、そのことに関しましても、普通の生活の上では余りそういうことを考えなかったといいますか、知らなかったわけでございますけれども、原子力発電所の運転が、運転という言葉が許されるならば、平常運転であっても放射能を出さずには運転できないというか、出さないで運転することができないということを知りました。そしてまた、そこから出される廃棄物ももちろんでございますが、放射能が薄められるから大丈夫だとかいうふうなお話が最初ありまして、そうなのかななんて思った時期もございますけれども、たとえ微量でも危ないということが医学会それから放射線学会、そういうところではっきりと証明されましたね。 これは一例を申しますと、一九八六年の四月にチェルノブイリの事故があったわけですが、七カ月後の十一月にロンドンのハマースミス病院というところで国際放射線学会というのがございまして、これは世界各地の関係の方が出席なさいました。日本からはたしか京都大学の上野陽里という方ですね、その方が御出席になっていらっしゃいますね。そこでさまざまな討論がありました。その中で、つまり放射能が微量であっても蓄積をされるということ。それは放射能の持っている半減期というふうなものが非常に長いもの短いものございますけれども、そういう意味で微量でも危ないということがはっきりしたわけですね。その結果、その学会の議長、チェアマンの方の御発言の中で、例えばそのことがもし関係がないというならば、つまりそういう施設と発病の、子供の白血病が十倍になっているというふうな資料がございますね、資料というか事実がございますね、それがもし関係がないならば、絶対に関係がないという逆証明ができない限り関連があると考えざるを得ないと思う、そういう結論がそこで出ておりますね。ですから、そういうふうなものが日本にも訳がありまして、そして読みます。そうしますと、私自身はいわゆる原子力発電にも反対でございます。ですから、日本は放射性廃棄物の発生者、既に原発がありますから、それは発生者である電力会社がその敷地内で厳重に管理をするべきだと思いますし、新規の原発その他はつくるべきではないと思います。それから、原発に頼らないエネルギー政策というものを考えていくことこそ必要なことであると私は考えております。
○岡部三郎君 原子力発電所が何らかの事故を起こす、チェルノブイリみたいな事故を起こすということでなくて、通常の運転をしているときにも放射能が外界に出るかどうか、これについてはまた鈴木先生に専門の立場から後ほどお伺いをしたいと思うんですが、現実問題として日本の発電用原子炉というのは現在三十八基ですか、設備容量で約三千万キロワット、総発電量の二六%、約千八百億キロワットアワーの電気を起こしている、こういうことでございますし、これをもちろん今直ちにストップをするということになれば、当然それにかわる代替エネルギーというものを考えなければいけないわけでありますが、今先生おっしゃったように、少なくともこれから新しくつくるものはやめたらどうか、こういうお話を今されましたが、それにしても今直ちにその問題は発生しないとしても、将来耐用年数が来て稼働できなくなったときには、何らかの新しいエネルギーにそれをかえていかなければいかぬ。もちろんその間には当然エネルギーの需要の伸びがあるわけでありますから、今仮に千八百億キロワットアワーを原子力に頼っておっても、十年先、二十年先にはさらに大きなものを原子力に頼らざるを得ない。これは通産省の試算によりますと、先ほど鈴木先生もおっしゃった、これからまた省エネに最大限の努力を払う、日本は石油ショック以来今までも省エネには相当な力を注いで、産業関連は対GNP比でいくと六割ぐらいまでエネルギーを節約してきたわけでありますが、それ以上の省エネ努力をするとしても、二〇〇〇年には大体三千三百億キロワットアワー、二〇一〇年には四千七百億キロワットアワーというふうな電力を原子力に頼らざるを得ない、こういうふうに言っておるわけでありますけれども、もしそういうことができない、それにかわるべき代替のエネルギーが何も見つからないとしますと、いわゆる電力需給のバランスを欠いて、それによって停電をしなきゃいかぬとか、そういうことによって社会的な不安をもたらすのではないかというようなことも言われておりますけれども、そういう原子力にかわるべきエネルギーについては、どういうふうにお考えでございますか。
○参考人(大下由宮子君) それは私は知りません。というのは、私は電力会社でもありませんし、電力を商品として売っている立場でもありません。それからそういうことは、五分や三分であるいはこの会議一つで結論の出るような問題であれば、とっくに結論が出ていると思います。ですから、それこそ最大限の努力をして人の生命を脅かさない形のエネルギー対策というものを考えていかなければならないと先ほど申し上げたわけでございます。ですから、省電ということも省エネということももちろん必要です。それから新しい研究ということも必要だと思います。それで、それについてこういうふうにしたらいいと私が今ここで答えられるほど簡単な問題であれば、とっくに電力会社の方が原発などという危険なことに頼らずにやっていらっしゃるだろうと私は思います。
○岡部三郎君 ただ、これは一電力会社の商売上どうのこうのという問題じゃないわけですね。電力が足りなくなるということになれば、当然我々国民生活にも大きな影響を及ぼしてくる。しかも産業界では相当の省エネ努力を今までしておるわけですから、これから省エネをするとすれば、もちろん産業界にももっともっと努力をしてもらわなければなりませんけれども、やはり家庭用の電気とかあるいはオフィスの冷暖房の電気とか、こういうものを節約しない限りなかなか省エネの効果を上げることはできないと考えられるわけであります。 そうした場合に、昨年でしたか、NHKが三晩連続で原子力問題の放送をしまして、あの一番最後の方で、スウェーデンの原子力反対運動をされている方々が、やっぱり原子力反対を言うからには自分らもひとつ電気を節約しなきゃいかぬということで、ふろは一週間に一遍しか入らないとか、その場合にも子供を次々におふろへ入れていくとエネルギーが余計かかるから一緒に入れるとか、そういういろいろ涙ぐましいような努力をされているというのが放送されまして、私非常に感心をしたんですが、そういうことが現実問題として我々の社会にも起きてくる。その場合、果たして今の日本の国民がそういう状況になっても、やっぱり電気を節約して原子力のない社会をつくるんだというふうな選択をされるかどうか。これは技術の問題ではなくて政治判断の問題だと思いますけれども、大下先生はその点についてどうお考えになりますか。
○参考人(大下由宮子君) おふろに一週間入らないことを選ぶか原子力を選ぶかというまことに奇妙な選択をそちらが出されたわけなんですが、非常に奇妙な選択だと思います。 私は、一人の人間が一人の人間として自分が罪をかぶればいいとか、自分が病気になって済むとか、そういうことではなくて、まさに発生者、要するに加害者と被害者の関係が明確にとらえることのできない形で一般に及ぶそういう形の被害というものに対して言っているわけでありまして、例えばスウェーデンの場合でももちろん省エネも必要です。スウェーデンじゃなくたって必要でしょう。どこだってそれはそうだと思います。しかし、おふろに入るか入らないかという、それは、それじゃおふろに一週間に一回しか入らなくてもいいのか、子供の白血病が十倍になってもいいのかという、そういう選択が非常に極論であると同じように奇妙な御質問だと思います。
○岡部三郎君 いや、これは別にスウェーデンの人たちがそういう選択をしたということではなくて、反対運動をされている方々がみずから範を示して、こういうふうにすれば原子力発電所を仮にとめても国民生活は何とかやっていけるということを示すために恐らくやられたんだと思いますけれども。 いずれにしましても、代替エネルギーというものを考えないで原子力発電をストップする。今すぐストップしないにしても、将来新しいものはつくっていかないということになると、やはり我々の立場としては国民に対して責任を全うしたとは言えないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○参考人(大下由宮子君) 私は、放射能を出すような、人間を含めて動植物に被害を与えるような形で発電をするということが政治家として国民に責任を全うしないことではないかと思います。つまりもっと人間を含めてすべての動植物の生命というものを侵害しない形でエネルギー政策を考えていくということがある意味では使命であろうと思います。学者の使命でもありましょう、専門家の使命でもありましょう、電力会社の使命でもありましょう、政治家の使命でもありましょう、というふうに私は考えます。
○岡部三郎君 ありがとうございました。 それでは鈴木先生にお伺いをしたいんですが、さっきもちょっと大下先生からお話がありましたが、原子力発電所の通常運転をしておる段階で放射能が外界に排出されるのかどうか、それが人体なり環境にどういう影響があるのか、その辺の関係について専門家の立場で御説明をいただきたいと思います。
○参考人(鈴木篤之君) お答えを申し上げます。 原子力発電所が既にもう我が国では相当量ございまして、そこから通常運転時でもわずかですが放射性物質が放出されているということは事実だと思います。それと同じように、再処理工場も茨城県の東海村に既に十年以上一応運転している工場がございますが、その工場もそうでございます。通常の運転時においてもある程度の放射性物質が放出されているというのは事実でございます。同じように青森県の六ケ所村の方に計画がございます再処理工場が建てられ運転を始めた場合には、その通常運転時においてもわずかですが放射性物質が放出されるであろうことは、そうではないかというふうに想像いたします。 その放射性物質がわずかながら放出されることが実際どういう影響を及ぼし得るかということでございますが、これにつきましては原子力発電所の例が大変わかりやすいと思いますが、既にそういうことを我が国でも何年もやっているわけでございまして、その結果として放出された放射性物質による影響が何か顕在化したということは今までないわけでございまして、そういう同じような考え方に基づいて再処理工場につきましても安全の基準が決められ、その基準の中でそれを守ってやっていくということになろうかと存じます。 放射性物質はわずか、あるいは放射線はわずかであっても危険か危険でないのかという議論がよくございますが、この点についてちょっと御説明させていただきますと、実は放射性物質、放射線あるいは放射能というものがわずかであっても危険であるのか危険でないのかというのは大変難しい問題でございまして、これは私が理解いたしますのには、ほとんどすべてのいわゆる危険なものというのは、実はそれがほんの少量であった場合にはどうなのかということは、これは難しい問題のようでございます。私よく例で申し上げますのは、例えばアルコールなんでございますが、アルコール類を飲み過ぎると体によくないということはよくわかっているわけでございますけれども、それでは一日どの程度であればいいのかということをちゃんと決めるということは、これは大変難しいわけでございます。したがいまして、放射線につきましてもあるいは放射能につきましても、とにかくできるだけ安全にルールを決めておこうという原則が立てられておりまして、そういう観点から、ほんのわずかでもひょっとすると危ないかもしれないという前提のもとに安全上のルールが決められております。 そういうことからほんのわずかでも危ないんだというお話がございますが、これは事実として実際どういうことが起きているか。例えば我々は天然にございます放射性物質あるいは放射線と日常的につき合っているわけでございますし、そのほか医療の分野におきましても放射線あるいは放射性物質を使っているわけでございますが、そういうことが結果的にどういうことになっているかということを事実として御理解いただければ、私は十分御納得いただけるものではないかというふうに感じております。
○岡部三郎君 今直ちにその被害がないとしても、遺伝子等に影響があって、これは先生お医者さんじゃございませんからそちらの御専門じゃございませんが、将来に何らかの異常が出るんではないかということが一部で恐れられているわけでありますけれども、その点についてはどのようにお考えですか。
○参考人(鈴木篤之君) お答え申し上げます。 先生おっしゃいますように、その分野の専門家では決してございませんが、私が一応常識として理解しております範囲で申し上げますと、遺伝的影響があるかどうかということを実際に確かめることは、これは大変時間のかかることでございまして、まあ広島、長崎の経験が私どもの場合は不幸にしてあるわけでございますが、そういうような事例を今後徹底的に調査することによって、そういうことがなおはっきりしていくことが望ましいと私は考えております。 私どもがその方の専門家の先生方に伺っているところでは、これまで私どもが原子力発電を使うことに伴って決めております安全上のルール、このルールを守る限りにおいては、そういう遺伝的影響についても特に問題は生じないということを伺っております。
○岡部三郎君 先ほど鈴木先生は、軽水炉で濃縮ウランを利用するいわゆる通常の原子力発電ばかりでなくて、やはり使用済み燃料を再処理してプルトニウムを利用するいわゆる再処理リサイクル路線とでも申しましょうか、そういうことを進めるべきだというお話がございましたが、その際にやはりプルトニウムという物質が私どもにはいま一つよくわからない。これは一グラムで数千人を殺すことができる猛毒の物質であるというふうにも聞いておるんですが、その毒性というのは、例えば青酸カリはもう同じく大変な毒物であろうと思うんですが、それと同じような意味で人体なり環境に影響を及ぼすようなそういう意味のものか、どういう意味で毒性があると言われておるのか、その辺をひとつ教えていただきたいと思います。
○参考人(鈴木篤之君) お答え申し上げます。 これも、私医学を専門としておりませんので、先生御質問の点について本当の専門家としてお答えすることはできないわけでございますが、これにつきましても、私が原子力の分野でプルトニウムの利用について専門的に研究している者の一人として申し上げますと、プルトニウムの毒性というものを一元的に表現することは大変に難しいというふうに認識しております。と申しますのは、プルトニウムが体内に入った場合にそれがどういう影響を与えるかというのは、そもそもプルトニウムをどういう形で人間が取り込んだのかということにもよるわけでございまして、例えば飲料水の中に若干量プルトニウムが含まれていてその水を飲んでしまった場合にどうだというような場合は、実はちょっと話が戻りますが、プルトニウムの毒性についてはっきり人間に致命的な影響を及ぼした例はこれまでないようでございます。ないと私は理解しております。 例えば過去にアメリカの軍事工場において、二十五年ぐらい前になるかと思いますけれども、今日私どもが許容量と考えております以上のプルトニウムを吸い込んだことがあるようでございます。そういう方々がたしか私の記憶では二十五名いらっしゃるということのようですが、その方々がその後どうであったかという追跡調査をずっとやっておりまして、その結果を見ますと、その吸い込んだプルトニウムによって明らかに影響があったというふうなことはないというふうに聞いております。したがいまして、プルトニウムの毒性について、実際にこうだったという例はないのでございます。 ところが、今申し上げかけましたように、飲料水として飲んだ場合にどうかということについては例えば動物実験等である程度はわかっているわけでございまして、それによりますと、そんなに危険なものではない。先ほど先生の方から一グラムで数千人も死ぬような毒性なんだというお話がございましたが、そういうことはないというふうに理解しております。 他方、それでは空気中を例えばプルトニウムの非常に細かい粉が舞っているような場合に、その空気を吸い込んだ場合にはどうかということが問題でございまして、プルトニウムは実は肺にくっつきやすいという性質がございまして、これについては特に注意する必要があるということになっております。事実そうだと思います。これについても、事実それによって影響がはっきり出たということはないのでございますけれども、動物実験その他で、そういうことは極力避けるべきだということになっておりまして、したがいまして、プルトニウムを扱う工場におきましては、大変気密性の高い特殊な入れ物の中で人間が直接手を触れないような形で扱うように決められております。そういうことで、プルトニウムについては、どういう状態であると危険であるのか、それはどういうふうに扱うべきなのかということをしっかりと調べておき、かつそのとおりにすれば、これは危険じゃないような形で取り扱うことができるというふうに考えております。
○岡部三郎君 今日本はプルトニウムの再処理をフランスに委託して、それによってできたプルトニウムを海上輸送をして持って帰ろうとしているわけでありますが、その場合、そんなことはないように万々注意をするんでしょうが、万一これが何らかの者にハイジャックされる、そのことによってそれが直ちにどこかの国の爆弾の製造に直結するとか、あるいは万一海底にこれが沈むような事態が起きて、それによって海洋全体が汚染をされるとか、そういうふうな危険性というものは絶対にないと、こう言えるんでしょうか。
○参考人(鈴木篤之君) お答えを申し上げます。 まず、ハイジャックの問題でございますが、それについては二つに分けてお答えを申し上げようと思います。 一つは、そういうものの可能性についてでございます。 例えば海上輸送のような場合、これはよく私どもそういうことを専門家の間で話していることがあるのでございますが、公海上を、いわゆる海洋ですね、大海を航海中の船を見つけるということは、これは至難のわざでございまして、日本列島に人間一人どこかにいる人を探すというようなことに例えばなるんじゃないかと思いますけれども、それは理論的にもほとんど不可能なようなことではなかろうかというふうに感じております。ただ、そういう船がハイジャッカーにとってどこどこにあるということがわかっているような場合、そういう場合にそういうことがないようにこれはもちろんそれなりの手段を講じておかなければいけないということになろうかと思いますが、それは例えば沿岸のそばであるとかそういうことになろうかと思いますが、私はそういうことはいわば治安の問題として十分に考えていく問題であろうというふうに感じております。しかし、そうは申しましても、一遍大海に出た後であっても、これは念には念を入れるという意味で、いろんな意味で護衛をしたりあるいは情報網を完備しておくということはもちろん重要であろうというふうに考えております。 第二に、万一そういうことが起きた場合に、それでは本当に核兵器というものにすぐつながるのかどうかということでございます。 これも仮定の問題でございますので、このことを断定的に申し上げることは難しいのでございますが、この席で通常余り言われておりませんと私は思いますのであえて申し上げますと、通常私どもが原子力発電を行っていく上でプルトニウムをどういう形で利用しているかと申しますと、プルトニウムを単独で利用するということはほとんどございません。プルトニウムは、実はウランと一緒にまざった状態で利用しております。ウランの中に通常は数%、多くても一〇%程度まぜて使うということでございます。そういう直接プルトニウムが入っているウラン、ウランの中にわずかに入っているプルトニウム、そういうような形のものをそのまま核兵器に使うということは、これは考えられないのでございまして、核兵器にするためには、特殊な装置でプルトニウムを別に分け、かつそのプルトニウムを核兵器になるような形に変えるということが必要でございます。私は核兵器の専門家ではございませんので、それを実際どういうふうにやるかについては全くの素人でございますが、私が科学的な基礎知識として了解しているところではそういうことでございます。したがいまして、そういうことが起きたからといって、それが直ちに核兵器の製造につながるということではないというふうにお考えいただいてよろしいかと存じます。
○岡部三郎君 先ほど大下先生が再処理の問題について、これについてもいろいろ詳しくお尋ねしたいとは思っておったんですが、ちょっと時間がございませんが、大体冒頭のお話で、先生がなぜ六ケ所村の再処理施設に反対をされているか、再処理ばかりでなくて全体の計画に反対をされているかという理由を述べられました。土地条件が不備であるということは、すなわち地震が発生する可能性があると、こういうことだと思いますし、それから三沢基地にも近いということは、航空事故がその土地で起きないとは断言できないということでもあろうかと思います。また、再処理の過程で放射能が一点に集中化しておるという点の御指摘もございました。これは、言ってみれば再処理技術というものがまだ未完成だという御指摘だろうと思うんですが、鈴木先生は、そうしたことについては専門家の立場でどういうふうにお考えになりますか。
○参考人(鈴木篤之君) お答え申し上げます。 再処理技術は確立しているのかしていないのかということがよく議論されることがございます。私、再処理について若干勉強をしている者の一人として、どうしてそういうことが問題になるのかをいつも自問自答するわけでございますけれども、まずいわゆる再処理工場というものが世界的に運転されるようになりましてから、もうかれこれ四十年ぐらいたつのではないでしょうか。再処理工場で使っております原理、これは実は大変古典的な方法でございまして、例えばウラン鉱山でウランを精製いたしますが、そういうときに使っている原理とほとんど同じ、大変似ているものだというふうに御理解いただいてよろしいかと思います。ですから、そういう観点からいたしますと、再処理技術というものは大変によくわかっているものだというふうに御理解いただいてよろしいかと思います。にもかかわらず、再処理技術が確立していないんだというような御指摘があるということは、私が思いますには、恐らく東海村の再処理工場の運転実績が必ずしも芳しくなかったということにあるのではなかろうかというふうに考えます。 再処理工場ではやはり安全性ということに大変留意いたしますので、確かに東海村の再処理工場では、初期のころ、例えば容器が腐食して小さい穴があいたとか、そういうことがございまして、そういうことから運転を休止して容器を直すというようなことをいたしました。そんなことから、いわゆる工場の利用率、稼働率というものは決してよくなかったわけでございます。しかし、その後そういう経験を積み、最近では少なくとも、計画で今年度はこのくらい運転しようという計画を立てるわけですが、その計画に対して実際どのくらいの実績があったということとの比を考えますと、それは私から見ますと、むしろ大変に良好な実績を示しているというふうに感じております。同じようなことがフランスにおいても見られまして、フランスの再処理工場の運転実績は、少なくともここ数年は大変に順調でございます。 そんなことから、私は再処理技術というのは十分実用化レベルに達しているというふうに理解しております。
○岡部三郎君 どうもありがとうございました。
○稲村稔夫君 私は、社会党・護憲共同の稲村稔夫と申します。お二人の先生からそれぞれ貴重な御意見をお聞かせいただきまして大変ありがとうございました。私どもの方は、私と堂本委員とでそれぞれ分担をして伺うようになりますので、よろしくお願いをいたします。 最初に、私は鈴木先生にお伺いしたいのでありますが、先生のお話の中で、特に資源とのかかわりで環境問題というのを十分考えなきゃならない、こういうお話がございました。確かにそれはそのとおりなわけでありますが、しかし同時に、環境ということの中に放射能汚染の問題も含まれてくるのではないかというふうに私は思うんですけれども、その辺をどのようにお考えになっておりますでしょうか。ちょっとまとめてずっと伺っていきたいと思います。 次に、プルトニウムの利用ということにかかわりまして、特に資源のリサイクルということでも重要な意味があるというようにお話がございました。しかし、ここで私は、濃縮ウランのたしか九五%と先生がおっしゃったんだったでしょうか、というものが未利用のままに捨てられるということになりますが、これを今度はまたさらに再利用ということでは今枝術的には非常に難しいんではないだろうかというふうにも思うんですけれども。というのは、確かに一回の使用済み燃料、そこからプルトニウム、ウランを回収されるといたしましても、これがさらに高速増殖炉で使われる、あるいはウランとして使われる部分というのも全体の中ではわずかなんだと思います。特にMOXとして使われる場合のことなどもいろいろとあるようでありますけれども、いずれにしましても、そこでもう一度使用済みを再利用するということについては、これはまだまだ技術的に問題があるのではないだろうかというふうにも思うのでありますが、これが大体全体で何%使うことが可能というふうにお考えになっているか、その辺のところもお伺いしたいと思うわけであります。 次に、再処理については、これもいろいろと問題があるわけでありますが、ただいまも岡部委員の御質問にお答えになっているわけでありますけれども、技術的に確立したというお話でございますけれども、同時に、フランスの、きょう私も科学技術庁からやっと手に入れたということで、フランス語の報告書をいただいたので、フランス語ですから私読めませんのでこれからまた読んでもらわなきゃならぬのですけれども、フランスの再処理施設の特にUP3の場合には、ジルコニウムの溶解槽の製作等についてはまだいろいろと問題があるというようなことが報ぜられているわけであります。いずれにいたしましても、再処理施設UP3の建設というものもおくれているようでありますけれども、トラブルもあったようでありますしというようなことを見てまいりますと、再処理技術については、まだやはりこれから解決していかなきゃならない課題というのがいろいろとあるのではないだろうか、そんなふうにも思うわけであります。 東海村のお話もございましたけれども、この間私の確かめた範囲でまいりますと、計画の約半分強くらいにしか去年の実績でも稼働していないようであります。ということになりますと、これは経済的に見ても、その程度の稼働ということでいけばいろいろと問題があるのではないだろうかというふうに思うわけであります。 それから、幾つもあって大変恐縮でありますけれども、時間の関係もありますので最初に私が疑問に思いました点をお聞きをいたしますので、よろしくお願いいたします。 プルトニウムの毒性についても触れられましたけれども、これは先生も御専門ではないとおっしゃっておられますから、私も専門ではありませんしということでありますけれども、ただ問題は、動物実験で繰り返していって大丈夫であろうというものであっても、動物と人間との違いというのもまたいろいろとあってというようなことで、例えば窒素化合物の影響などを調べている中では、動物実験では例えば牛と豚では全然影響の出方が違うとか、臓器によっては違いがあるとかというふうにして、動物の種類によって随分違いも出てくるということもございますから、そのまますぐ人間にというふうになかなかいかないものがあるでしょう。言ってみれば、私どもを取り巻いている科学というのにはそういう未知な部分、未確定な部分というのが非常に多いということにもなるわけであります。そういう中で、私はプルトニウムについての取り扱いは特に慎重にということになっているんではないだろうかというふうにも思うわけであります。その辺ももう一度御見解をいただきたいと思うんです。 最後に、フランスとの今回の協定に基づいて、これからさらに我が国も再処理の技術をいただくということになります。同時にまた、フランスに使用済み核燃料の再処理を委託しているわけであります。しかし、イギリスのセラフィールドの再処理工場でそれこそ放射能被曝ということがやはり随分問題になってきております。それが先ほど大下先生の方で触れられた論議の中でも中心的な課題になっていたんじゃないだろうかというふうに私は受け取っておりますが、加害者に我々がなってはならないということにもなると思うわけでありまして、そういう面からいきますと、再処理工場から排出される各種の基準値の問題も、これもまた随分問題があるんではないだろうかという気がいたします。このことも先ほど広島、長崎の話もちょっとありましたが、その広島、長崎の経験というものが今見直されてきている。そして、低レベルでも長時間取り込むということの問題点というのがかなり問題になり始めてきているようであります。つい一昨日でしたかの報道では、国際放射線防護委員会からIAEAなどに、年間の被曝量についてはかなり今までよりも厳しい基準に変えるというような勧告がされるという報道などもあるわけであります。 こういうふうにして考えてまいりますと、やはり我々は加害者になってはならないという立場も十分に考えなきゃならないんじゃないだろうか、こんなふうにも思うわけでありますが、その辺のところをお伺いしたいと思います。 大下先生には、原燃サービスの再処理工場の予定地では活断層があるということはわかってきているわけでありますけれども、その活断層があるために改めて試掘坑を掘って追加調査をしているというような話も聞いているわけでありますが、この辺は現地に近いところでお住まいになっておられますので、いろんなまた情報もあるんじゃないだろうかというふうにも思いますので、お聞かせいただければありがたいと思います。 以上でございます。
○参考人(鈴木篤之君) 私の方から最初にお答え申し上げます。 最初の御指摘は、環境問題を解決するためにも原子力が必要だというふうに私が申し上げたわけでございますが、それでは放射能はどうなんだという、そういう御指摘だったかと存じます。 確かに放射能の問題は、これは大変重要な問題でございまして、私どもも原子力を利用するにつきましては、放射能を安全に取り扱うということが大前提でございまして、そういうことに最大限の留意を払うということでやってきております。先ほども岡部先生の方の御質問の中にございましたが、通常運転時においてもわずかですが放射性物質が出るということは事実でございます。ですから、そういうことが実際問題としてどのくらい環境問題として深刻な問題を引き起こすのかということをよく調べておく必要があるわけでございまして、これまでの原子力の安全研究といいますか研究開発と申しますか、そういうものの歴史は大部分がむしろそういうことであったというふうに御理解いただいてもよろしいのではないかと思います。 後ほどお答え申し上げますが、セラフィールドのような非常に歴史の古いところでは、過去におきましては確かに相当量の放射性物質を放出していたという実績がございます。それが今日の例えば我が国のようなところでは、そういうことは大変厳しく規制しておりまして、放射能の面からも環境問題が起きないように最大限の努力を払うというふうに私はなっていると思いますし、また、これからもそういうことをし続ける必要があるというふうに考えております。このことは原子力発電だけに実はよらないのでありまして、医療用で放射線を利用したり放射性物質を利用したりするときも同じでございます。そういうことを御理解いただけたらと思うわけでございます。 第二点は、資源のリサイクル、再処理してプルトニウムを利用するということは、一回はできたとしても二回目、三回目ということになるとだんだん難しくなるのではないかというような御指摘ではなかったかと思います。 これは実は大変に専門的な難しい技術の問題でございまして、私はこういうふうに理解しております。基本的には再処理は何回してもよろしいわけでございまして、また、それはやる方法はございます。実際問題としてそういうことをやるべきかどうかという問題は、これはむしろ資源の利用率というものをどの辺にすることが資源の有効利用の観点から最も適切であるかということに関連するわけでございまして、ちょっと御指摘ございましたが、FBRで使った方が、FBRというのは高速増殖炉というものでございますが、現在我が国では動力炉・核燃料開発事業団が中心になって福井県の方に建設中でございますけれども、そういうものが今後本格的に利用される段階になって、むしろ利用した方がいいということであればそういう利用の方法をとるべきかというふうに考えております。 原子力の特徴と申しますのは、これは資源をそういう意味で非常に弾力的に使い得るというわけでございまして、石油とか石炭のようなものは、これは燃料として大変高価なものでございますので、それを外国から買ってきた場合にはできるだけ速やかに使うということになるわけでございますが、今御指摘のような、一度使ったものをどういうふうに使うかということは、これは極めて柔軟に、弾力的に考えられるものでございまして、そういうことから、私は十分それを将来にわたって使っていくということができるというふうに考えております。 次に第三点は、再処理技術は確立していると私が申し上げたわけでございますが、しかし、例えばフランスではジルコニウムの溶解槽の欠陥があったではないかというような、そういう御指摘ではなかったかと存じます。 今再処理工場の建設が終わりまして運転中でございますが、フランスでは二番目の工場が運転中でございますが、それは建設の過程で確かにそういうことが事実としてあったわけでございますけれども、それはどういうことがその理由であり、かつそれは実は一言で申しますと加工方法に問題があったわけでございますが、加工方法を工夫することによってそういう問題は解決したというふうに私どもは理解しております。 先生も十分御理解いただいていると思うのでございますが、いわゆる工学的な技術が確立しているのかしていないのかというのは、これは専門的になればなるほど難しいわけでございまして、例えば、私もよく例として申し上げますのは、自動車がいい例だと思います。私も自動車の運転をするようになってからもう二十年以上たちますけれども、一番最初に私が運転していた自動車と今使っております自動車は比較にならないぐらい今の自動車の方が進んでおります。それでは、いつから自動車の技術は確立したのかということは、これは大変難しい。専門的になればなるほど難しいわけでございまして、私がきょう申し上げておりますのは、基本的に安心して使えるものかどうかということを申し上げているわけでございますが、そういう意味では、再処理技術は確立しているというふうに御理解いただいてよろしいかというふうに考えております。 次に第四点は、プルトニウムの毒性について、動物実験の結果があるからといって、それをそのままうのみにするのはいかがなものかという御指摘であったかと思います。 私は、繰り返しますが、専門家ではございませんので必ずしもお答えする立場にはないかもしれませんが、私の理解しているところでは、動物実験の結果をそのまま決して使っているわけではございませんで、動物実験の結果から推定して人間にそれを当てはめる場合にはどれほどの安全係数をとるかということを専門家の間で十分議論し、その結果として今の安全上のルールが決められているというふうに理解しております。 最後の御指摘は、セラフィールドでいろんな問題が指摘されているし、放射能の問題は蓄積が問題なんであって、そういう意味で大変重要なんだという、そういう御指摘であったかと存じます。 セラフィールドについては、私もあそこに何回か行っておりまして、現地の人たちともいろんな議論をしているわけでございますが、現在セラフィールドでいろんな意味で論議されております 点は、私の理解しているところでは、これははっきりと結論の出ていることではないというふうに理解しております。 先ほどちょっと触れましたように、セラフィールドにおける環境中に放出する放射性物質の規制値というのは、実は我が国の例えば東海村の再処理工場に比べますと大変に高いものでございます。
○稲村稔夫君 だから、加害者になってはいけないという観点で申し上げている。だから、日本の場合ではなくて……。
○参考人(鈴木篤之君) 私どもの、私どもと申しますか、日本の原料をあちらに持っていくことによって向こうで再処理されることで加害者になってはいけないんじゃないか、そういうことでございますか。 しかし、そちらの観点から申し上げますと、そういうことで大変に高い規制値を使っておりまして、過去においてはいろいろ問題があったということは私は事実だと思います。私もあそこに参りましてそういうデータを見ておりますし、事実だと思います。しかし、御承知だと思いますけれども、そうですね、もう数年以上たつかと思いますけれども、廃棄物の処理については大変新しい設備を入れておりまして、そういうことがないように、新しい考え方のもとに新しい再処理工場を建設中でございます。したがいまして、過去の事実からそれをそのまま当てはめて御指摘のようなことを御心配いただいているんだと思いますけれども、私は、今度はそういうことはないというふうに理解しております。 以上でよろしゅうございましょうか。
○参考人(大下由宮子君) 先ほどの件でちょっと触れましたように、あそこに活断層があるということにつきましては、前から地元の地質学関係の人たちは言っているわけですね。学界でもきちんと認めていたことなわけなんですが、このいわゆる核燃サイクルの計画が出てきましてから、なぜかあそこはないと。要するに、私たちは政治的に活断層を消すことができるのだろうかということを言っておりましたんです。しかし、これはまた内部資料の方からどうもおかしいというのが漏れてきまして、結論的には設計の大幅変更ということで。 それから、試掘坑がございます。それに私自身は入っておりませんが、まあ名前はここでは申し上げませんが、ある国会議員と、それから地元の地質学関係の方が最近入りました。非常にじめじめしたじめついた洞窟という感じだというのが非常に印象的な表現だったんですが、そして、岩盤と言っているけれども、非常にもろい、ぼろぼろ崩れるような感じであると。そこからしみ出す水の量というのは一分間に百リッター。一分間に百リッターということは二分間でドラム缶に一本出るということでございます。まさにどこがかたい岩盤よと言いたいようなことでございます。 先般、大島科学技術庁長官が青森県にいらしたんですね。そのときすぐ近くまで御案内をしたんだそうです。あそこがそうですのでお入りになりますかと申し上げたんですが、お入りにならなかった。地元の県会議員は、あんまりやばいから入れなかったんじゃないのと、そういうふうに言っておりました。そういう報告は例えば科技庁長官からは出てこないと思いますので、地元に住んでおります人間としてあえて今申し上げたいと思います。 それから、先ほどちょっと私が挙げましたセラフィールド関係のことは、「放射線の人体への影響」という形で埼玉大学の市川定夫さんを中心としました鈴木真奈美さんその他の訳で出ております。学会の論争でございますので、非常に専門的なことも出ておりますが、早い段階でその日本語訳が出ております。それから参考文献も挙がっておりますし、訳が中央洋書出版というところから出ておりますので、放射線の人体への影響ということに関しての必ずしも――変な言い方ですが、推進側、反対側という分け方をしますと、必ずしも反対側の学者だけが集まったわけではなくて、国際的な学会でございますので、そのことが出ておりますので御参考になればと思いましてここにお示ししたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。
○稲村稔夫君 鈴木先生のお話、私素人の立場からそれこそ先生と議論を十分にしていくだけの能力は持っておりませんけれども、素人は素人なりのやはり危惧なり、しかも、妙なことを申し上げて恐縮ですけれども、素人の危惧というのが意外に当たっているということも往々にして過去に、いや往々にというよりもかなり多いものですね、我々の周囲では。そういう観点から私は先ほどのような心配をお聞きしているわけであります。 特にセラフィールドのことについては、今たまたま大下先生も触れられましたその人体への影響の学会のさらに後に、イギリスの医学雑誌であります「ブリティッシュ メディカル ジャーナル」というのにサウサンプトン大学のガードナー教授らのものが発表されて、これはもう一レムで父親が被曝をした場合でも子供に白血病が出る確率は結構高くなってきているというような意味のものだったと思います。それだけに、確かに今御心配ないというふうにおっしゃるけれども、我々にはやっぱりまだそういう意味では原子力、特に放射能についての我々の知見というものはたかだか戦後という歴史なわけですね。学問的な観点からは随分追求をされていろんなことがわかってきておりますということで、専門家の皆さん方の御努力や知識というものにも私はもう本当に敬意を表するんですけれども、しかし、我々の積み上げてきた知識のあれからいけば、やはり全体の中では短い間のものであります。それだけに未知なものや不確定なものが非常に多い。それがいろいろと途中で修正されていかざるを得ないわけですね。そういう結果をつくっていると思うんですよ。ですから、今の技術の問題でいっても、やはり私はいろいろと修正をしながら技術というのは進歩していっていると思うんです。それだけに、また逆に放射能というものを扱っているだけに心配があると、こういうことにもなってくるわけなんです。その辺のところを非常に危惧をするんですが、今のイギリスでもフランスでも心配ないんだろうか。それから、私は東海村もこの間確めたら、九十日稼働の予定が四十九日というようなお話もございました。というようなことになってまいりますから、そうすると、技術的にはまだまだこれから克服しなきゃならない課題というのがあるんじゃないだろうか、こんなふうに感ずるんですけれども、その辺はいかがなんでございましょうか。
○参考人(鈴木篤之君) 技術というのは完璧なものというのは確かにないわけでございまして、よりいいものを目指して常に技術開発を怠らないということが大変に重要かと思います。繰り返しになりますが、基本的な条件を満たしているかどうかという範囲で申し上げますと、私はその実績から考えても十分満たしているというふうに考えている、こういうふうにお答えしているわけでございます。 東海村の再処理工場の稼働率についての御指摘がございましたが、これも大変専門的な詳しい細かい点がいろいろございまして、なぜそうであるかということをよく検討してみる必要があるわけでございますが、一言で申し上げますと、やはりまず第一は安全性であるということから、経済性経済性と言わないで、まず慎重にやっていくということがその基本的な考え方としてあるために、先生御指摘のように、稼働日数が低くなっているということは事実としてあろうかと思います。しかし、これはまさにそういうものをよく調べながら、先生御指摘のように、よりいいものを目指していこうということがその根底にあるためにそういうことになっているというふうに私は理解しております。
○稲村稔夫君 ありがとうございました。
○堂本暁子君 きょうはお忙しいところありがとうございます。 お二人に伺わせていただきますが、まず最初に大下さんに、先ほどフランスのラ・アーグの話をされましたが、もう少し詳しい状況を御説明いただけますか。
○参考人(大下由宮子君) 私自身はラ・アーグに行ったわけではございませんが、先ほどのこれの訳者の一人として参加しております鉛木真奈美さんは、世界各地の原発の現地を実際に自分で回って、それぞれ専門家あるいは専門機関とのコンタクトも持っている人です。 それからもう一つ、フランスに関して絞って申し上げますと、映画で「夏休みの宿題は終わらない」という映画がございます。これは倉岡明子さんと山邨伸貴さんという御夫婦の映画作家のおつくりになったもので、どういうのかと言いますと、要するにフランスの原子力施設の周辺の人たちがどういう生活をしているのか、そしてまたそういうものに対してどういう思いを持っているのかという――まさにちょうど素人か玄人かいう話によくなりますが、放射能は素人玄人を問わず襲ってまいります。私なんかもそういう意味では素人なわけでございますけれども、だけれども、放射能はかぶらなければならないので嫌だということなんですが、そこでその映画の中で、倉岡さんという方はフランス語の通訳というのが職業でございますから実際にいろいろな方にお会いになっております。その中で幾つかの例がありますが、地元のジラール村長、そういう方が、一番最初に施設が来るときにはこういうふうな持ちかけ方で来たんだと、それがだんだんこういう施設のつくられ方になっていったということを話しているわけです。それを訳したのを開きまして、もう実に六ケ所村とそっくりなんですね。最初から核燃施設が来るぞとか、核燃は危ないよなんて言ったらだれも承知しないわけですから、そのだまし方といいますか、というものは非常に似ているというのがわかります。 それから、たくさんありますけれども、例えば地元で農業をやっている人が、ラ・アーグは酪農の地帯でもあるわけですが、そこの乳製品、それが地元のバターとかそういうもののラベルが張れなくなって、別な地名のラベルを張って出荷をしなければならなかった事実を証言しているわけですね。 それからもう一つ例を挙げますと、ディティエ・アンジェという、これは欧州議会の議員に今なった方なわけなんですが、この人がサントエレーヌ川の魚が一時大量に死んで浮いたという事実がありまして、この川の水源は廃棄物貯蔵センターの中にあるんだそうです。つまり川はもともと流れていたわけで、後から廃棄物貯蔵センターができたわけですが、一応一定の距離のところに金網を張るわけなんですが、その川の水、要するに地下水は金網のはるか下を流れているわけでございますから、このサントエレーヌ川の水源は金網の中にあるわけですね。そこが、川の水が汚染されたということからたどっていって、その水源の水質調査をした結果、大量のトリチウム汚染が発見されました。そして、それに対して施設の側は取り除く装置というものを一応つけたわけなんですが、それがまたどうしたわけか一九八〇年にあふれてしまった。それはポンプの故障という非常に単純な事故だったんだそうですけれども、しかし、そういうふうなことで地下水が汚染される。御存じのように、地下水というのは水道管のようにパイプを通っておりません。したがって、このパイプが危いと思ったら蛇口をひねればとまるわけなんですが、地下水はそういうわけにはいかないわけなんです。そういう意味で地下水の汚染ということは、そこから生える農作物、雑草も含めて草にも影響があります。その草を食べる動物にも影響があります。そういう意味で、非常に深刻な影響を地域の人々に及ぼしたということを証言しているわけです。映画をごらんになっていただくのが一番よくて、私はできたらこの委員会でその映画を上映してごらんになったらとてもいいんじゃないかなと思うんです。それは要するにドキュメンタリーだからなんです。つくった映画じゃない、劇映画というものではないので。 そのほか幾つかありますけれども、その地域の住民というのは、例えば魚が白い腹を見せて浮かんだというところから、どうしたんだろうと思うわけです。直ちにそれがわかるわけではないので、要するに川の水がどうかしたんじゃないかなと。しかし、どのようにどうしたのかというのはすぐはわからないわけです。それで、いろいろな調査なり何なりを経ていくわけです。そういうことがしばしばありますと、先ほどから私が申し上げております本当に普通の日常生活を営むことに対する侵害、言ってみれば基本的人権の侵害ではないかと私は思うんですが、そういうようなことが報告されております。
○堂本暁子君 六ケ所村とそれから青森県が立地協力を決めたのは一九八五年ということですけれども、それから五年の歳月がたって、この委員会での議論がどれほど六ケ所村に伝わっているかは存じませんけれども、チェルノブイリのこともありましたし、皆さん五年の間にいろんな形で大分認識してこられたと思うんですが、今の六ケ所村なり青森県民なりは現実にはどういうふうに認識しているんでしょうか。
○参考人(大下由宮子君) まず六ケ所村の方は、正直に言いまして、一番最初に受け入れたときの村長は古川伊勢松さんという方でした。私もテレビのニュースを見てぞっとしたんですが、この方は、プルトニウムは毒だと言う人がいますが、私は信じませんと言ったんです。本当にぞっとしました。しかしあえて言えば、普通に地元で生活していた人間がプルトニウムなんて生まれて初めて聞くというようなものについて、それほど知識がなかったからといって、ばかだと言って笑って済むことではないと思うんです。しかし、そういう段階で六ケ所村は受け入れたわけです。 その後幾年か経まして、昨年十二月に六ケ所村の選挙がございまして、そのとき古川さんはやはり推進ということを挙げて立候補なさいましたが落選しました。そして、白紙撤回を掲げた候補も立ちましたが、この方も票が足りませんでした。結論的には、凍結ということを掲げた土田浩現村長が当選したわけです。 しかし、土田さんを当選させるに当たって、村の中で白紙撤回の運動を強力に展開してきました核燃から子供を守る母親の会、この人たちは非常に苦しい選択だったと思うんですが、とにかく推進を落とさなきゃしょうがないと。ですから、土田村長の凍結論についてはいささかならず疑念があるけれども、しかし票を固めて何とか推進だけは落としたいという一念で土田さんを支持しました。それから、核燃から漁場を守る会があるんですが、この人たちも実際は割れました。そして土田支持に回った人たちがおります。そのように、本来白紙撤回であったという人たちが方便として凍結の人を支持するということを打ち出しまして、そして土田村長が実現したわけです。その土田村長を支持した白紙撤回の人たちは現在でも白紙撤回を掲げております。土田さんにもそれを言っております。それが六ケ所村の現状です。 それから青森県議会は、昨年の春になりますが、県議会議員に対して私たち市民グループで反対運動をやっております。そこでアンケートを出しました。 青森県議会は定員五十一名でございます。御病気とかその他で四十九名です。このうちの三十一名が自民党議員なんです。アンケートは、事の性質上、アンケートの文案は持っておりますけれども、それはともかくといたしまして、記名でお願いします、それから党名も書いてくださいと。例えばこの計画に賛成であるか反対であるか、賛成でも反対でもそれぞれの理由を書いていただきたいと、そういう形でのアンケートでございました。 そのときに、その三十一名の自民党の方に限って一通も回答がありませんでした。自民党だけは回答がありませんでした。それから、ほかの党の方で、私は賛成だと、その理由はといって書いて、賛成であっても書いてくださった方もいらっしゃいます。それは自民党の方ではありません。 私が提出に行きましたときには、県議会の議長に提出に行ったんですが、議長がこの日が都合がいいからこの日に来いと言ったんでその日に行ったんですが、やっぱり都合が悪いと言って出てきませんで、副議長が応待しました。副議長ももちろんというか自民党なんです。少なくともあなただけは回答をくださいと言ったら、はいとおっしゃったんですが、その方もくださいませんでした。私たちは、県議会の中で三十一名の自民党に限り一通も回答がないというのは申し合わせたとしか思えないんです。そのことに対して早速抗議文を出しましたけれども、そういうふうな実情がございます。 しかし、県民の意向は、先ほど申し上げましたように、三上参議院議員の過半数の当選、それから衆議院議員二名の当選というふうなものであらわれていると思います。 それから、私どもは実際に地域に住んでおりますと、例えば自民党の方であれ、何党の方であれおつき合いがございます、いろいろな形で。そういう中で核燃は賛成だと言っている方はまずいらっしゃいません。ただ党がと言うんで、どこの党がと私は言いますけれども。ですから、少なくとも青森県の議員は何党員であれ青森県民の票でしか当選できないわけです、国会議員であれ県会議員であれ、票が宅急便でどこかから来るわけじゃありませんから。そういう意味では、まず青森県の県民の命にかかわる問題ですからね。 例えば技術の革新などと言いますけれども、車は飽きたら捨ててもいいし、買いかえてもいいわけです。しかし、出された放射能は回収できないわけですよね。技術が革新されたとしても、その前に出た放射能は吸収しないでしょう。そうしますと、そこに住み続けなければならない人間としては、これはとてもたまらないということでございます。
○堂本暁子君 鈴木先生に伺いたいんですが、先ほど九五%の未使用部分があると、技術屋としてはそれを再度リサイクルすることが常識であるというふうにおっしゃいました。いわゆる技術の専門家としての鈴木先生に伺いたいわけではないんですが、技術屋としては常識とおっしゃいまして、お隣の大下さんは住民の人権ということを今おっしゃっていらっしゃいますけれども、住民がとにもかくにも自分たちはそういうリサイクルの施設をその場には欲しくないというふうに意思表示をしている場合には、鈴木先生はそのことに対してどちらを優先するべきだと、技術的にではなく御意見として伺わせていただけますでしょうか。
○参考人(鈴木篤之君) お答え申し上げます。 実際に工場をどこどこに建てるという場合は、そこの方々の御理解をいただくことがもう大前提でございますので、例えば私が技術屋の一人としてそういうことを考えたとしても、それは全然別の次元の問題かというふうに理解しております。 〔委員長退席、理事宮澤弘君着席〕 しかし、今日の問題点は、私の理解しているところでは、再処理が問題というよりは原子力発電そのものが問題だというような、こういう御意見だと思いますので、そこはまた意味合いが違っている部分はあろうかと思いますけれども、私は非常に大事だと思いますのはやはり地元の方々の御理解だというふうに感じております。
○堂本暁子君 先ほどもありましたけれども、国際放射線防護委員会、ICRPが原子力発電所や医療施設で働く放射線の従業者の年間被曝線量の限度を現行の五レムから二レムに引き下げるということを各国、それから国際原子力機関に勧告するということを決めました。そういうことでは再処理工場が一番難しいんではないかということが報道されております。これも被爆から四十五年ということで長崎、広島のことが今になって三倍のそういった発がんですとか、それから遺伝の異常が発見されてきているということで、先ほども長く見なければならないとおっしゃいましたけれども、今長く見た結果、そういう三倍の危険性があるということをこういう権威のあるところから指摘されているわけですけれども、またこれから五十年たったときにさらにまた一レムでなければいけない、〇・五レムでなければいけないとか、周りへの放射能の影響ということももっと違った危険性が出てくるかもしれないというふうにこの記事を読んで私は思ったんですが、その点は鈴木先生はどのようにお考えですか。
○参考人(鈴木篤之君) お答え申し上げます。 国際放射線防護委員会、大変権威のある委員会でございまして、そういうところの勧告は十分尊重すべきであるということ、私もそう思います。そこがそういう勧告をしつつあるということは私も仄聞しております。 ただ、そこから先が問題でございまして、そこで言っておりますことは、私の理解しているところでは、これまで五レムなら五レムという数字を勧告していたときの前提が変わったので二レムにするというようなことでございますね。つまり、じゃ五レムと二レムの間は本当に危険なのかということではないわけでございます。つまり原子力の安全性については、ICRP、つまり国際放射線防護委員会の勧告をお読みいただきますとちゃんと書いてございますが、放射線防護委員会の勧告は余りにも安全性を重視している勧告であるために、一般の人々は原子力以外の、実は客観的には原子力よりも危険かもしれないものを選択してしまう可能性があるほど安全性を重視した勧告になっていると、こういう記述がございます。
○理事(宮澤弘君) 堂本君、時間になりました。簡単に。
○堂本暁子君 安全性が安全過ぎるということは、私は絶対にないと思います。どこまでも安全なものは安全でなければ、住民は安心できないと思います。 ありがとうございました。
○太田淳夫君 鈴木先生にお尋ねさせていただきますが、私どもこの委員会で論議している中で、再処理問題のほかに原子力の発電所の問題についてもいろいろ論議になったわけです。私どもの党も原子力発電所の建設につきましては、今問題になっておりました安全性が確認できるまでは凍結すべきではないかという考え方を持っているわけです。それと申しますのも、チェルノブイル原発の事故のその後のことも現在いろいろと報道されているわけです。その被災者が六十万以上超えるんじゃないかということで報道もされておりました。このような事故が再発しないように私たちとしては願いもし、努力もしていかなければならない、こう考えておるわけでございますが、 〔理事宮澤弘君退席、委員長着席〕 日本の原子力発電所、私も何カ所か視察に行ってまいりました。それからフランスあたりも原子力発電所建設中の中にも入っていろいろと見せていただいた経験もあるわけでございますが、チェルノブイルの原子力発電所の事故については、この委員会でもいろいろ論議があるんですけれども、当局側としてはいろいろと意見を聞いてみますと、日本ではこれは絶対あり得ないような事故だということで聞いているわけですが、しかし安全性ということは絶対ということはないんじゃないかと思うんですね。ですから、日本の原子力発電所でも将来施設も古くなってまいりましょう。そういうときに、こういうような事故は起こり得るとお考えになるのか、絶対にないと断言されるのか、その点ちょっと最初にお聞きしたいと思うんですが。
○参考人(鈴木篤之君) お答え申し上げます。 確かに先生御指摘のように、絶対というのは大変難しいことでございますので、それについて直接お答えすることはもとよりもっともっと難しい問題だと思います。ただ私が感じておりますのは、チェルノブイリの事故がなぜ起こったかということをいろいろ、結果論になることが多いわけでございますけれども、検討してみますと、我が国における安全の考え方とチェルノブイリの原子力発電所を持っていた国の安全の考え方が基本的に違うところがどうもありそうであると。一番大きな違いは、私の全く個人的な意見でございます が、私が思いますには、事故というのは人間のやることですから、ひょっとすると起きるかもしれないということをむしろちゃんと考えておくべきだと思うんですね。その大きな事故が起きたときに、それが結果的に大きな被害にならぬようにしておくということが非常に重要じゃないか。その点が私は随分我が国の場合とは違うというふうに理解しておりまして、したがいまして、我が国では大変大きな事故が仮に起きたときに、それがどのくらいの被害になるかということは、これは起きてみなければわからない面もございますけれども、しかし基本的に安全の考え方の中にそういうことが入っておりますので、私は随分違った結果になるんではないか、このように考えております。
○太田淳夫君 次に大下先生よろしいでしょうか。 私ども将来そういう脱原発というものを目指していかなければならないだろうと、安全なエネルギーを確保していこうということでいろいろと考えてもおるわけでございますけれども、先ほど鈴木先生の方から環境を守る、あるいは資源のリサイクル、そういうことでプルトニウムの使用ということは非常にこれは最適なんだというお話があって、廃棄物の量の点からもいろいろとお話がございましたね。CO2との関連でお話になったわけですが、このCO2の規制の問題ですね、今世界的に大きな問題になっている地球温暖化の問題あるいは酸性雨の問題、日本も産業優先国としましてこの問題については将来ますます世界から突きつけられてくるんじゃないかと思うんです。そういう点で、私たちも脱原発をどのように目指していくか。国民の生活を守り、あるいは産業の発展を考えていく場合にエネルギーをどう確保するか、非常に大事な問題じゃないか、こう思っておりますが、その点どんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○参考人(大下由宮子君) いわゆる地球温暖化現象とかオゾン層の破壊という問題はデータとして出てきて問題になっているわけで、それは私は否定もいたしませんし、考えていかなければならない問題だと思います。しかし、そのことで、だから原子力発電をしても仕方がないんだというふうには全然ならないんだと思います。全く違う観点だと思います。どちらも環境破壊ということですから、環境破壊はしないにこしたことはないわけでして、いわゆる二酸化炭素の問題はそれはそれでしていかなければならないことですし、脱原発は脱原発でしていかなければならないことであろうかと思います。 そして、じゃどのように脱原発をするのかということについては、それはまたそれぞれの御意見があることだとは思いますけれども、少なくともさまざまな方法を組み合わせてその地域に合った形で発電量を確保していくということが世界で今脱原発を目指している国ではみんな試みていることでございますね。例えばスウェーデンなんかは、御承知のように、ウランはとれる、石炭、石油はとれない。電力は寒いところですし非常に使う国である。それから自分の国の科学技術には大変な自信がある。それから、非常に厚い岩盤層を持っていて廃棄物の捨て場には困らないというふうに最初判断して原子力発電に着手した国の一つでございますね。それが御承知のように、ある一定の期間を経て全廃を決めているわけです。 それでは、そのことについてどのような対策といいますか、方針というものを立てているのかということについて、実はスウェーデンの環境監査官で小沢徳太郎さんという方がいらっしゃいます。これはスウェーデン大使館に籍がありますが、日本人ですね。それはもう政治家の皆さんは御存じと思いますが、スウェーデンはそれぞれの環境問題に関する監査官を各国に持っておりまして、例えば日本の環境問題については日本の中にそういう監査官を置いて、日本のそういう問題についての資料を持つ、それからスウェーデンの報告が入る、そういう形の方だそうですが、その方を私どものグループでお呼びして勉強会をしたことがございます。そのときに、どういう方針を立てていらっしゃるのかと。そうしたら、大量に一つの方法で発電をするというふうに考えるから非常に難しいんだと。ですから、例えば日本のように北海道電力一社で北海道の全電力を賄う、東北電力一社で東北六県全部を賄う、そういうふうな形でやると、それは非常に難しい。少量の、少量というか今よりも細分化していけば、それはそれぞれ水力は水力なりにその地域に合った形の電力量は確保できるんだと。そういう方向が一つということをおっしゃっていました。それから、これはそのとき私は地元の人間として非常に怖かったんで聞いたんですが、一挙に原発をとめることができないのであれば、どういう順序でとめていくんですかと伺ったわけです。そうしましたら、一番最初にとめるのが外国の方に風が吹いていく、要するに国際問題になるので、放射能が飛んでいくようなところは早い段階でとめる。それから人口密度の多いところはとめる。そうしますと、人口密度の少ないところはランクをつけますと最後になるわけですね。それは私どもにとっては大変恐ろしいということで、核燃サイクルはまだできてないから、できてないうちにとめなければだめだというので一層決意を新たにしたんですが、スウェーデンの場合には、そのようなことを非常に真剣に国政レベルで、いわゆるソフトエネルギーの研究者も含めて、そこに対して研究費も配分してやっているということでございました。
○太田淳夫君 鈴木先生にちょっと最後にお尋ねしておきたいのですが、先ほど大下参考人の方から再処理施設に対しては反対をしていくと。放射能がやはり周辺の子供さんたちの生命にも影響を与えていく、これはフランス、イギリスの例を引かれてお話がありました。人間の生命に害を与えるものの増加を図るべきではない、これは私たちも賛成でございますが、今地元では再処理の問題、また先ほど大下先生おっしゃいましたけれども、最終処理場の決定をしていないのに貯蔵が図られていく。ガラス固化の技術、これは東海村でも研究はしているようでございますが、これが国内で実証実験もしないうちに施設として建設されていくのではないかということでございますが、ガラス固化の技術、そして貯蔵、埋設ということで果たして住民の皆さん方の不安が解消できるんでしょうか。その点どうでしょうか。
○参考人(鈴木篤之君) お答え申し上げます。 私、地元の住民の皆様の不安がそれによって解消できるかどうかということについて直接お答えできる立場にございませんけれども、今先生御指摘の廃棄物、俗に高レベル放射性廃棄物というふうに呼んでいるものかと思いますけれども、これについては、私が一番最初の意見陳述の中で申し上げましたように、それが一番大事である、それはしかし非常に量が少ないんだということを実は申し上げているわけでございますが、原子力の特徴を生かすためには、その量が少ないということを生かすということなんですね。その量が少ないということはどういうことかというと、結果的に環境を汚さないということなんですが、しかし量は少なくても放射能が強いのでそれを安全にちゃんと管理する、すなわち処分する、安全にするということですね、そこが非常に重要だと。私はそれについて、今先生御指摘のようにいろんな固化の技術であるとか貯蔵の技術ということが開発されていることを知っておりますが、技術的観点から見るならば、それはそれで十分基本的には安心して使える技術だというふうに感じております。しかし、先ほども堂本先生の方から御指摘がございましたように、地元の方々の御理解を得ることが大前提でございますので、技術屋が焦ってそういうことをすべきではない、こういうふうに感じております。あくまでも御理解いただくまでより信頼される技術開発をやっていく、こういうことが基本だと思います。ただ、幸いなことに、原子力の特徴はそこにあるわけでございますが、廃棄物の量が非常に少ないので、それは御理解いただくまで十分時間をかけるということは私は可能だと思います。これはほかのエネルギーであれば、そういうことはまず不可能だというふうに感じております。
○太田淳夫君 終わります。
○立木洋君 日本共産党の立木ですが、参考人にお伺いしたいと思います。 鈴木参考人に最初にお伺いしたいんですが、プルトニウムの利用ということを今国際的に見てみますと、本格的に利用しようとしているのは日本だけだというふうに承知しております。西ドイツのバッカースドルフは、反対運動等があってこれはやめました。それからイギリスでも、先ほど来問題になっているセラフィールドは、結局軍用処理との兼用で、関連で行われているというふうに承知しております。アメリカでも、民用の開発というのは中止をしました、軍用処理だけですね。 いろいろそういうふうに見てみますと、先ほどの参考人のお話では、廃棄物の点から見てもあるいは環境に与える点から見ても、さまざまな点から見てこのプルトニウム、つまり資源の再利用ということは非常に重要だと。いわゆるプルトニウムの利用ということは非常に大切だというふうに専門家のお立場では考えるというふうにおっしゃいましたけれども、そういうあらゆる面で有利な点があるのに、ほかのところはもうやっていないんですね。 ただ日本のみが本格的な開発をやる。これは私はどうも道理が合わないんではないかというふうに思う。世界でもみんな利用していいということになれば利用することになるんではないかと思うんですけれども、そこらあたりは世界の動きというのをどういうふうに見て、日本にはどういう事情があってそういうことをおやりになるのか、外国では反対運動があってやめるという状況もあるのに、そこらあたりいかがお考えでしょうか。
○参考人(鈴木篤之君) お答え申し上げます。 再処理及びそれによる資源のリサイクルということに限ってのお考えだと思いますので、それについてお答え申し上げますと、外国におきましては、確かに先生おっしゃいますように、それぞれの国の国情によって随分変わってきているというふうに私も感じております。そこにはいろんな理由があろうかと思います。例えば西ドイツのバッカースドルフの場合ですが、私もこの五月にたまたま西ドイツに参りまして、その件についてあちらの方々と意見交換をしたばかりでございますが、これはあそこの工場を建設することは見合わせるということになったわけでございますが、他方においては、フランス及びイギリスにさらにこれからも再処理を続けて頼むという選択があるわけでございまして、その選択の方が好ましいというふうに判断したからだというふうに私は理解しております。それは、一つは経済性だろう。もう一つは、今後のヨーロッパEC共同体の市場統合、これに向けてやはり各国がいろんな意味で力を合わせていくことが大切だという認識のもとにそういう選択がとられたというふうに私は理解しております。 それからアメリカは、大分前から再処理は当分見合わせようと確かになっております。これはこれで、先生御案内のように、アメリカの電源の最大のものは石炭でございまして、石炭が今後炭酸ガス問題その他環境問題でどういうふうになっていくか。必ずしもこのままアメリカが石炭火力を使い続けるということではないのかもしれませんが、しかし今のところ石炭火力を主体に考えている。そういう国においては、資源をそこまで徹底して使うということまでしなくても一応はやっていけるという選択だったのかというふうに理解しております。経済性というのはそのときどきの社会情勢に左右されますので、経済性最優先主義でいくならば、それは再処理はしばらくやめて、しばらくたってからやろうというような考え方はもちろんあり得ると私は思いますけれども、私は先ほど来この席で申し上げておりますことは、それはそれで無視できないわけでございますが、他方において、やはり原子力というのは本来どういう姿で利用していくべきかというものがあるべきなんであって、それが原子力の科学的原理に根差していることですから、そういう意味で、再処理リサイクル路線をきちんとやっていく、何といいますか、無理してやっていく必要はないと思いますけれども、きちんとやっていくということが非常に重要だというふうに理解しております。
○立木洋君 もう時間がないので一言でお願いしたいのですが、東海村の再処理工場、あれは慎重に運転されたというお話があったのですが、十五カ月間運転を中止しておって、そして去年の九月に再開した途端に放射能の沃素の排出というのが起こって問題になったわけですが、東海村の再処理工場では、事故、故障というのは大体何回ぐらいあったんでしょうか、この十三年間の運転中に。それだけちょっとお願いします。
○参考人(鈴木篤之君) お答え申し上げます。 私はすべてのことを知っているわけではございませんので、私が知っている範囲で申し上げますと、いわゆる機器の故障その他で長期にとめざるを得なかったということは、例えば腐食関係で言いますと四、五回ということではないでしょうか。そのほかいろいろございますので随分とめておりますけれども、そのくらいだというふうに理解しております。
○中村鋭一君 先生の先ほどの御意見の中で、あるいは私の聞き間違いもあったかもしれませんけれども、原子力ですべてを賄っても、それから生み出される廃棄物は乾電池一個にも値しないものである、このような表現をなさったかと思うんですが、そのようにおっしゃいましたでしょうか。
○参考人(鈴木篤之君) お答え申し上げます。 私が申し上げましたのは、ウランの燃料を原子力発電所で使いまして、そのウランの燃料がエネルギーに変わることによって、直接的に出てまいります廃棄物というのは非常に少ない量である。例えば火力発電所の炭酸ガスに相当するようなものですね。火力発電所の炭酸ガスというのは、これは炭素が酸素と結合いたしまして炭酸ガスができるわけで、その反応の結果としてエネルギーが出るわけでございますが、ウランで言いますと、ウランが核分裂を起こしてウラン以外のものが二つできる。その反応の結果エネルギーが出るわけでございますが、そのときに出てまいります廃棄物、これがちょうど火力発電所の炭酸ガスに相当するわけでございまして、これを比べますと、そういう量になるということを申し上げたわけでございます。
○中村鋭一君 そうしますと、それは炭酸ガス換算のことであって、例えば放射能でありますとかそういうことについてのお話ではなかったわけでございますか。
○参考人(鈴木篤之君) お答え申し上げます。 はい、さようでございます。炭酸ガス換算というよりは、グラムであるとかキログラムであるとか、そういう物理的な単位であらわしてそういうふうになるというふうに申し上げたわけでございます。
○中村鋭一君 ということは、先生がそういう例示をなさったということは、原則的には例えば火力発電等々から生み出されるいわゆる環境に及ぼす影響については、原子力のエネルギーの方がゼネラルに言いますとはるかにクリーンである、このような御主張でございますか。
○参考人(鈴木篤之君) お答え申し上げます。 クリーンという表現を私は使っておりませんが、私が申し上げたかったことは、環境を大切にしていくという上から大切な考え方の一つは、廃棄物の発生量を抑える、できるだけ少なくするということでございます。これは家庭でもそうでございますし、工場でもそうでございます。廃棄物の量を徹底的に少なくすることによって環境を大切にしやすくなるわけでございます。例えば廃棄物をそこにずっとしまっておくということができるわけでございます。これがもう大変な量になりますと、そういうことが物理的にやりにくくなるわけでございます。 そういう意味で、原子力をやっていくことが非常に有効であるというふうに申し上げたわけでございます。
○中村鋭一君 それともう一つ。 先生御自身は、日本は唯一の被爆国でありますから、国民の間にやはり例えばプルトニウムという単語を聞いたときに持つ不安でありますとか、そういうものについて国民が不安を抱くことは、これは一笑に付すべき問題であって、科学的にエネルギーというものを問題にする場合は、そういった国民感情といいますか、そういうものは顧慮する必要がないとお考えでございましょうか。
○参考人(鈴木篤之君) お答え申し上げます。 いいえ、とんでもございません。私は、プルトニウムという言葉は、プルトニウムという物質は決して軽々しく扱っていいものではございませんので、私自身も若干はその経験がございますが、そういうものは極めて注意して取り扱うべきであって、国民の皆様方がそういうものについては気持ちの悪いといいますか、気味の悪い印象をお持ちになるのはむしろ当然だというふうに理解しております。
○中村鋭一君 最後に。 いわゆる代替エネルギーですね、先生の御主張によれば、原子力というものは、そのコストにおいて、その生み出すエネルギーの量において、それから使用後におけるいわゆる廃棄物の影響度において、やはりすぐれたエネルギー源であるというふうな御主張であると思うんですけれども、それ以外に、例えば太陽熱でありますとか、そういったいわゆるクリーンなエネルギーの開発にもっともっと科学者は力を注ぐべきである、このようなお考えはございませんですか。
○参考人(鈴木篤之君) お答え申し上げます。 私も全くそのとおりに考えております。私自身も若干そういうことについて勉強したことがございますが、太陽エネルギーの利用は非常に重要でございます。太陽エネルギーというのは、直接的な太陽エネルギーばかりではなくて、水力の形になったり風力の形になったり海洋エネルギーのような形になる間接的な太陽エネルギーもございます。そういうものもできるだけ使っていくということが大切だと思います。 大切なことは、そういうものがもともとどういうエネルギーであるかということであります。太陽エネルギーの特徴は、薄くて広く広がっているエネルギーであるということでございます。この薄く広く広がっておりますエネルギーを集めて人間が使いやすい形のエネルギーとするということが実は大変難しいわけでございます。ただ、条件によっては太陽エネルギーというのがむしろ非常に使いやすいという場合がよくあるわけでございますので、そういう場合には積極的にこれを活用するということが非常に重要だというふうに理解しております。
○中村鋭一君 終わります。
○猪木寛至君 よろしくお願いいたします。猪木と申します。 せんだって私もエネルギー関係の人たちとも会談をしまして、七〇年代に起きたオイルショック以後、原発というものの重要性というのは、当時は大変高かったと思うんですが、最近になって反原発という声が非常に高まってきている。その中で日本が一番危惧しなければならぬ部分がエネルギー問題ということで、今三〇%ぐらいでしょうか、原子力に依存している部分は。私どもはやっぱりいいのか悪いのかというのは、専門家でないので大変わかりにくい部分もあります。私もちょっと一つ本を見つけまして、先ほどちょうど木下先生の方から乳製品の話が出ました。この本で言うと、そのような心配から名前を変えたことは事実であるが、今や堂々とラ・アーグの名前で乳製品を売っています、エール・フランスでもその名前で飲んでもらっていますというようなことが書いてあるんですが、情報が正確でないというか、その情報が大変とりにくいんです。ちょうど私もせんだってアマゾンの方へ入ってまいりました。アマゾンは地球上の三分の一の空気を供給している、あるいは四分の一だ、五分の一だという説がある。行ってみると、いろんな違った情報を手にすることができるんです。 そういうことで、今世界的な基準というんでしょうか、原子力における、だから我々は本当に安全であると思いたいし、今そういうことで代替がないとすれば、推進するというより一日も早く新しいエネルギーが生まれればいいと思うんですけれども、その辺の基準についてはどうでしょうか、世界的に。鈴木先生。
○参考人(鈴木篤之君) お答え申し上げます。 安全の基準については、先ほども話題になりましたが、国際放射線防護委員会の勧告等がございましてできるだけ各国ともそろった基準をとる方向にございますが、具体的にはそれぞれ違った基準がとられていることも多いわけでございます。外国のことについて言及することは差し控えますが、我が国の場合は、これ我が国の特徴だと思いますが、外国の例を見て、外国の例の中でやはり一番安全な基準をとるというのが大体基本的にございまして、そういう意味では、我が国の基準は安全性に特に留意した基準になっているというふうに御理解いただいてよろしいかというふうに感じております。
○猪木寛至君 そういうまだまだ我々の認識が薄いというか、原子力に対するアレルギーもあります。だから、その光と影の部分という部分で十分認識しておりませんので、あるいはこの中にもあるんですが、フランスの場合はもう高校教育の中に原子力の安全性とか、そういう教育がなされていますと。あるいはまた、さっき大下先生が言われた地域によってその利用の仕方が違ってくるであろうと。そういう意味で、日本はどうなんでしょう、そういう教育というのは。
○参考人(鈴木篤之君) お答え申し上げます。 私は高等学校あるいは小中学校における教育の本当の実態を把握しておりませんので、必ずしも正確なお答えを申し上げられませんが、私の理解しているところでは、そういうことについて積極的に教育しているというふうには伺っておりません。 ただ、私はこういう問題は民主的に、いろいろな御意見の方がむしろいるということが大事じゃないかというふうに感じておりまして、ある一定の考え方を教育の中でむしろ無理して入れていくということはいかがなものかというふうにも感じております。
○猪木寛至君 大下先生にちょっとお伺いいたします。 地域的には六ケ所村という非常にごみを持ってきちゃ困るという地域の要するに意識もあると思うんですね。これを私はちょっとソ連にぶつけたことがあるんですが、ソ連は全く事情が違う。情報の公開性も非常になかった時代ですから、意見が異なったかもしれませんが、捨てるところは幾らでもあるということで、地域的に相当認識が違うと思います。そういう意味で、反原発の人たちの寄り集まりというか、六ケ所村がそういう気もするんですがね。その辺についていかがでしょう。
○参考人(大下由宮子君) 寄り集まりというわけじゃありません。六ケ所村の人口は一万一千です。出稼ぎは昔から多いところです。ですから、全部寄り集まってもそのぐらいなわけですね。しかし、その地元の人間にとってはごみ捨て場にされ、はっきり言ってよく知らないうちにそれを押しつけられる。その押しつける側は実は一番危険性を知っている人たちなんですね。だから、人口の少ないところとか、そういうところに押しつけるわけですよ。ですから、もしそれが非常に安全に管理できているんであれば、それこそ一番電力を消費する大消費地である東京とか、そういうところに最大限技術の粋を凝らしてつくればいいということになるわけですね。ですから、別に六ケ所村が非常に特殊なことではなくて、一般的な意味で、そういう科学的な知識が最初からあった人たちだったわけじゃないわけですけれども、生命を脅かされ、日常の漁業、農業という自分たちがやっているもう基本的な生活を脅かされるというところから、そういう反対という気持ちを持っていったわけでありまして、私はまたその五十キロしか離れておりませんので、事実です。 それから、私が教えております大学には六ケ所高校からも進学してきます。六ケ所高校卒業者が原燃とか、そういうところの地区に就職する例はありません。ことしやっと一人あったと、もう少し応募をして入ってくれないと、地域のためにこういうものをやっているんだと宣伝している向こう側の人たちは困るので、もっと入ってほしいと言っているんですが、ないんですね。ということは、地域の人たちが科学的、専門的知識の有無とは別に、そのことについてどういう実感を持っているかということがよくわかると思います。 それから、農業とか酪農とか、その地元のいわゆる青年部、婦人部を中心とする人たちの今非常にその反対決議が多いわけですね。ちなみに、土田村長の出身地であります床内酪農協も今回反対決議を上げました。県内九十二あるんですが、五十一が反対決議を上げております。それから、青森県農協農業者代表者会議はその大会で反対決議を決定しております。 そのほか、漁業者も沿岸の人ほど反対の声を高く上げているんです。それは御存じと思いますが、漁業というのは沿岸から沖合へ、沖合から遠洋へというふうに企業的には、企業というとおかしいんですが、規模としてはそういうふうに大きくなっていきます。したがって、漁協の役員とか、そういう人たちは比較的大手で、そして外に行くという体質、性質になっているわけです。これは今までの保守系自民党の県会議員になったりしている例が非常に多いわけですよ。そうしますと、個人的にはその海が汚されるということに対して嫌だと思っても、なかなかその上の役職にいる人たちが反対の声を上げないということで、海が汚染されるということについては同じなんですが、経営規模というのでしょうか、そういう関係から漁業者は反対の声が農業者に比べてはっきり出てこない。しかし、農業者の場合は大きな土地を持っていようが小さい土地を持っていようが降ってくるわけですからね、あるいは地下水ですか。そういう意味で早く反対の声が固まったということがあります。そういう実情があります。
○猪木寛至君 ありがとうございました。
○委員長(山東昭子君) 以上で参考人に対する質疑は終わりました。 本日は長時間にわたりお二方とも貴重な御意見をお述べいただきまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 それでは、内閣総理大臣の出席を待つため、暫時休憩いたします。 午後三時十六分休憩 ─────・───── 午後三時三十分開会
○委員長(山東昭子君) ただいまから外務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件を議題とし、これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○宮澤弘君 総理、当外務委員会におきましては、ただいま日仏原子力協定審議をいたしております。私は、この議定書の締結は今後の我が国の原子力の平和的利用の促進並びに核拡散防止に大いに貢献をするものというふうに考えております。 さて、現在、世界的にエネルギー需要は今後拡大をすると思われますし、また一方、地球的規模におきまして環境問題に取り組まなければならない、こういう状況にあることは御承知のとおりでございますが、そういう背景のもとにおいて、まず総理に伺いたいのは、今後の我が国のエネルギー政策において原子力をどのように位置づけていくか、それについての総理の認識を承りたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 世界第四位のエネルギー消費国でありますし、またエネルギー資源の八割以上を海外に依存する我が国といたしましては、国内のエネルギーの安定供給を図ることはもちろんでありますが、国際的なエネルギー需要の安定化に貢献していくことが大切な問題だと日ごろ考えております。今後国際的にもエネルギー需要の増大が見込まれ、また地球環境問題への対応が不可欠となっております中で、我が国の国際的な責務を果たすためには、最大限の省エネルギー努力を行う一方、原子力を初めとした非化石エネルギーへの依存度を高めていくことが必要不可欠な問題になると思っております。現在、原子力を取り巻く状況は大変に厳しいものがありますが、政府といたしましては、エネルギー政策における原子力の重要性を十分に踏まえて、今後とも安全の確保に万全を期して国民の皆様の一層の理解と御協力を得ながら原子力発電を推進してまいる考えでございます。
○宮澤弘君 原子力は今後とも大いに重要だという御認識、私もそのとおりだと思います。太陽エネルギーのようなエネルギーが現実化されない限りは、やはり当分原子力エネルギーに依存をしていかなければならないのではないか、こういうふうに思います。そこで、私伺う前におっしゃったのでありますが、そうなれば原子力の安全性をどうやって確保していくかということが大変重要な問題になってくるわけでございます。そこでその安全対策について少し伺いたいと思います。 我が国の原子力安全対策は、私は技術的につまびらかにはいたしませんけれども、世界的に見てもかなり高いレベルにあるというふうに考えておりますし、事実これまでに原子力発電について大きな事故は幸いございませんでした。ところが、チェルノブイリ原子力発電所の事故は、原子力にかかわる事故が一度起こりますと、それが一つの地域にはとどまらない、さらに一国にもとどまらない、グローバルな地球的な規模に及ぶということを我々に警告をしたと思います。したがいまして、総理も先ほど、今後原子力を大いに開発利用しなければならないとおっしゃいましたけれども、原子力の開発利用の今後の問題の前提は安全確保の問題にあると言っても、これは言い過ぎではないと私は思います。 そこで第二番目に、原子力の安全確保対策について、総理は具体的にどういうふうにお考えになっているか、それを承りたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、原子力の開発利用は安全の確保なくしてはあり得ないという観点から、原子力基本法の「安全の確保を旨とし」という基本方針に基づきましてこれを進めてきておるところでありますが、我が国の原子力安全確保のレベルは世界的に見ても皆さんの御努力の積み重ねによって非常に高いものになっておると私どもは考えております。しかしながら、現状に満足しては決していけないわけでありますし、技術の向上、関係者の不断の御努力によって一層安全の確保に万全を期すことが大切であることは、これは言うをまたないことでございます。 また、高い原子力安全水準の維持等に関する国際協力の重要性につきましては、昨年の先進国首脳会議においても指摘されておるところであります。このため我が国としては国際原子力機関、経済協力開発機構等の国際機関または米国、フランスなどとの二国間協力を通じまして安全確保のための国際的な統一基準の策定、安全規制情報の交換、安全研究などの協力活動を積極的に推進することが必要と、こう考えております。チェルノブイリ事故を契機として原子力の安全につきましては国際的な協力の重要性が高まっておりまして、政府は、今後とも国の内外を問わず、安全の確保のために最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
○宮澤弘君 ただいま総理は二つのことを言われたと思うんですが、一つは国内における安全性の問題で、これまで以上に安全性の確保については留意をしていきたい、大いに力を尽くしていく、私もまさにそのとおりだと思います。それからもう一つは国際協力のことをおっしゃいました。 この点もう一度承りますけれども、私は、今の国内におきます安全確保と同時に、我が国はせっかく高い技術と知見を持っているわけでありますから、これを国際協力の場で大いに活用をしなければならない、そういう意味のことを言われたと思いますが、国際協力の点についてもう一度、具体的でなくて結構でございますから、お考えだけ承りたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) これは世界共通の問題でございますので、やはり我が国の体験とか我が国の経験とか技術とかそういったようなものはもちろんでき得る限り国際的な協調の中で高めていかなきゃならぬし、また国際機関を通じてあるいは二国間協力を通じて安全確保のための国際的な統一基準をつくるとか、安全規制情報の交換をするとか、安全研究などの協力活動を積極的に推進することが必要であると私は考えております。
○宮澤弘君 もう一つ承りたいんですが、それは核不拡散の問題について承りたいと思います。 申し上げるまでもなく、我が国は世界唯一の被爆国でございますし、たまたま私も被爆県、広島県の出身でございますので核問題には殊さらに深い関心を持っております。核廃絶、これが究極の目標でございますけれども、そこに至る間、いかに核をこれ以上拡散させないかということが当面の課題であることは申し上げるまでもございません。 ところで、私ここに一つの資料を持っておりますが、これは最近の米国の雑誌「アームス・コントロール・トゥデイ」という雑誌で「核拡散の現状」とございます。これは三種類に分かれておりまして、第一は宣言された核保有国、これは米、ソ連、中国、英、仏と五カ国でございます。それから二番目が核保有の疑義のある国、四カ国ございまして、インド、南アフリカ、イスラエル、パキスタン。それから第三番目のカテゴリーが核開発途上にあると見られる国、ブラジル、アルゼンチン、リビア、イラン、イラク、台湾、北朝鮮、七カ国ございます。この中には核防条約に加盟をしている国もあれば加盟をしていない国もございます。 これは一つの資料でございますけれども、これを前提にして御質問をいたしたいんですが、最近米ソ間の協力、和解が進んでおりまして、デタントが進行いたしまして米ソの核軍縮も進展を見せている、これはもう大変喜ぶべきことであると思いますが、反面、国際政治におきますアメリカ、ソ連の把握力と申しますか、あるいは指導力と申しますか、そういうものが弱まって世界の各地における地域紛争がかえって激化するという可能性があるように思われます。その結果、先ほど幾つかの国の名前を挙げましたけれども、一部の国が核武装する危険が高まったという指摘もございます。特に南西アジア、朝鮮半島あるいは中近東において核拡散の危険があるという懸念が表明されておりますが、これらの点について、総理はどういう御認識をお持ちでございましょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 委員御指摘のように、従来より南西アジア、中東、北朝鮮等について核開発に関する報道が種々なされておることは私も報道を通じて承知しており、政府といたしましても重大な関心を持っておるところであります。このような状況を踏まえて、国際的な核不拡散体制の維持強化が今後ますます重要な課題になってくるものと思います。 右にかんがみまして、我が国としては従来核不拡散条約を核拡散の防止と原子力の平和利用とを両立させる国際的な枠組みの基本として位置づけており、同条約を基礎とする核不拡散体制の強化のために努力を傾注しているところでございます。
○宮澤弘君 今核不拡散体制の強化のために努力をしていくとおっしゃいました。ぜひそうお願いをいたしたいんですが、それに関連をしてといいますか、そこに至るまでについて二つばかり総理のお考えを承りたいと思います。 先ほども総理がおっしゃいましたように、これらの地域は大変危険をはらんでいる地域でございますから、万一これらの地域に局地的でもあれ武力抗争が起こりましてもし核でも使われるということになりますと、その世界に与える衝撃、影響ははかり知れないと思います。先ほども申しましたように、我が国は世界唯一の被爆国でございますから、当面の核拡散防止のために、私はこれまでも努力をされたと思いますが、さらに積極的に行動すべき義務があるというふうに私は考えます。 そこで、二つ御質問を申し上げたいんですが、一つは、核廃絶、核不拡散ということを今後の日本外交の基底に、根底に据えていただいて、その実現にいわば政治生命をかけるぐらいの気持ちでやっていただきたいと思います。いわゆる核不拡散について御決意のほどを伺いたいというのが第一点でございます。 それから第二点は、そのために今後具体的にどういうことをなさろうとしているのか、これが第二点でございます。
○国務大臣(海部俊樹君) 核の拡散を防止することは、我が国は世界の平和と安定を強く願うわけでありますから、その意味からいっても必要不可欠な政策と、こう認識をいたしておりますし、このような観点から国連軍縮会議等のマルチの場及び二国間協力の場におきまして、きょうまでも機会あるごとに核不拡散条約未締結国に対しては同条約への加盟を訴えております。 私自身先般の南西アジア訪問の際には、インド並びにパキスタンの両国首脳に対して右の申し入れも首脳会談の場でいたしましたし、また我が国として、北朝鮮が核不拡散条約締結国の義務である国際原子力機関の包括的な保障措置の受け入れを一刻も早く行うようIAEAの理事会等の場を通じて関係国とともに働きかけを行っているところでございます。 さらに我が国は、他の非核兵器国との原子力協力に当たっては、相手国が核不拡散条約に加盟しかつ国際原子力機関との間で包括的な保障措置協定を締結していることを協力の要件にするという厳しい方針をとることを通じて核拡散の防止に努力をいたしますし、なお、本件、日仏原子力協定改正議定書も、このような核不拡散努力の一環であると認識をいたしております。
○宮澤弘君 先ほど総理も、過日の御旅行の際に南西アジアで核防条約に加盟を慫慂されたということも承りました。大変結構なことだと思います。先ほどもおっしゃいましたように、今後我が国がいろいろ諸外国に対してアクションを起こします場合には、核防条約に加盟しているかどうかというようなこともひとつ判断の基準にしたい、恐らくそういう意味のことをおっしゃったと思いますが、ぜひそういうことも積極的にお進めを願いたいと思います。 そこで、ことしの八月に核防条約再検討会議というのが開かれるようでございますが、これは総理に承るというより、総理のおいでになる場所でもし外務大臣にお答えをいただけますならば、この会議で一体我が国は何を提案しようとしているのか、この会議に臨む日本政府の基本方針を簡単で結構でございますから承りたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 核不拡散条約の第四回再検討会議は本年八月二十日より開催予定でございます。 我が国は、同会議は国際の平和と安全の貢献を果たしてきたNPT体制の維持強化の上で重要であるとの考え方から同会議に積極的に参加し、NPT体制の強化のために、未締結国の締結促進、NPTが求めている核兵器国の核軍縮促進等を強く訴えてまいる所存でございます。
○宮澤弘君 終わります。
○矢田部理君 せっかく総理と外務大臣がおそろいでありますので冒頭に伺いたいのは、日米構造協議が大詰めに向かっております。構造協議の中身については、これはもう内政干渉に過ぎるのではないかというような指摘もあり、私どもとしてもいたずらに向こう側の要求に流されるのではなくて、自主性を持ってこれに臨むべきだという態度を求めておるところでありますが、一つだけ伺っておきますと、とりわけ公共投資、公共事業につきましてかなり難航が予想される。その中で、最終的には日本側の示した案では賄い切れなくて、総理の政治的決断が求められるのではないかという見方が強まっておりますが、総理としてはいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 日米構造協議の東京会議がまさにきょうから始まっております。いろいろ中間報告のときの日米間の共通の認識というものはございました。米側から、率直に申し上げて、GNPの比率においてどれくらいかということを毎年明らかにせよというような要求が意見表明として実務者会議の場であったようでありますが、私どもはそれを聞いたときに、やはり対GNPの比率できちっと、しかも十年先のことまで毎年出すということは、そのときそのときの財政事情等を勘案しながら政策を立てていかなきゃなりませんので、今からきちっと決めてしまうことは困難であるし、また御承知のとおりに、GNPというものはそのときそのときの経済状況によって変わっていくものであります。顧みて結果としてああこうなったかということは、ごく最近は一年という短い期間でもそれは言えることでありますので、いわんや十年先のGNPを今から固定して、それに何%がどうだということまではとてもできる相談ではないということを私どもの方は米側に率直に意見として言ってあります。ですから、最終段階においても日本側は、そういったGNPの比率何%ということではなくて、きょうまでもやってきましたように、公共投資の五カ年計画というものを現に立ててやってきた経緯があるわけでありますから、そういう発想に立ってこれから十カ年の公共事業の計画を自主的に立てて、その数字を最終報告には織り込むということは日米間で合意をしておりますから、まさに最終的な努力を今しておるところでございます。 私からは経済企画庁長官に十年間の公共事業計画のおおよそのめどをつけて、最終的には投資総額はどれくらいになるかということも、最終報告ですから、書き込めるように作業を進めてほしいということで注文してありましたけれども、企画庁の研究会で四百十五兆という数字を一昨日私のところへ計画書を持ってまいりました。私は、誠意を持ってどうしてそういうことになるかという内容やあるいはどうして対GNP比率が言えないのかということをきょうあすの構造協議の場で説明をして、共通の認識に至るようにしなさいというような指示をして、今はその経緯を見守っておるところであります。
○矢田部理君 形の問題がいろいろあるようでありますが、恐らく日本政府側が示した四百十五兆円では向こう側は満足すまい、どうしても上積みを求められるのではないか、その際総理の決断が、それから政治的判断がという見方があるのですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(海部俊樹君) それは今誠意を持って担当議長が説明をして日米共通の認識を得るように努力をしておるさなかでありますから、経済企画庁などで試算したおおよその数値によって共通の認識が得られるように私は努力を要請しておるところであります。しかし、日米関係というものが中間報告で了解に達しましたと私は思っておりますけれども、最終報告で必ずしも対GNPの比率というもので出すことは難しいという事情もわかってもらわなきゃならぬわけでありますから、ただ、きょうまでの間やってきました例えば国鉄とかあるいは電電というものの自主的な努力というものは、昔の計算では公共事業に入っておったものが、今は広い意味ではそれは公共のための事業でしょうけれども、政府の公共投資として入らないものも出てきておるわけでありますから、そういうようなこと等も誠意を持って環境説明の中で入れて、でき得る限り共通の認識を得るように努力をしろと、けさもそういったようなことをいろいろ申し渡してきたところでございますので、一日、二日の自主的な努力をどうぞお見守りをいただきたいと思います。
○矢田部理君 次の質問に移ります。 日仏原子力協定に関連して、プルトニウムが大変問題になりました。海上輸送の問題、それから六ケ所村に建設する再処理工場の問題、いずれも私どもは賛成しかねておるわけでありますが、アメリカ筋でも、日本にプルトニウムが膨大に蓄積をされるということになると、依然として日本は、技術力もあるわけでありますから、核武装の危険、これに対する懸念を消しがたいというふうにも言われておるわけでありますが、日本が一切核武装することはないということは総理の口から当然断言し、これからもその政策は不変であるということを言い得ると思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 核武装をするということはありません。また、核武装はしてはいけないと私も思っております。
○矢田部理君 もう一つ日仏原子力協定で私が問題にしましたのは、いろいろ各論ありますが、日本は非核、核を持たない国、フランスは核保有国であります。この間にあって平和目的、非爆発目的の日仏原子力協定を締結することになるわけでありますが、その中で機微な技術、これに日本が付加した技術がフランスに渡った場合に、フランスの核開発に利用される可能性を含んでいる、そこの歯どめが不十分だということを私は指摘したのでありますが、断じてそのようなことはない、運用上させないということをやっぱり明確にこの際しておくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(太田博君) お答えいたします。 ただいま先生御指摘の、もし日本からフランスに機微な技術が渡った場合に、その技術がフランスの軍事目的に利用されるおそれがないのかという点でございますが、日仏原子力協定改正議定書におきましては、機微な技術につきまして、その対象国が日本であるとフランスであるとを問わず、平和的非爆発目的のみに使用するという約束を両国がすることになっておりまして、フランスは、たとえ日本から機微な技術が渡った場合にも、その機微な技術を平和的非爆発目的以外に使わないという保証がきちんとされているというふうに確信をいたしております。
○矢田部理君 協定上は必ずしもそう読めませんから、この点はしかと今後ともやっぱり留意をしていただきたいということを特に注文をしておきたいと思います。 次の質問に移ります。 タイコンデロガの件についてでありますが、何度か私はここで質問をしてきました。そのたびごとに、アメリカに照会中、回答を待っているという答えが外務省の見解でありましたが、昨年末国会が終わると回答が来ました。その回答の結論は何かというと、アメリカ政府は、この件に関するこれ以上のいかなる論議も我が国の作戦上の政策を危うくし、我が国の安全保障上の利害に背く影響を持つと感じている。だから、これ以上回答できないというんです。この回答を外務省としては了解、了承したのでありましょうか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 今先生が言及されました回答を昨年末米側より得た次第でございますが、私どもといたしましては、今回の米政府の回答が最終回答でございまして、それを理解するというふうに考えております。
○矢田部理君 あのタイコンデロガが水爆を落として、その後横須賀に寄港したことは記録上明らかなんですね。そして、タイコンデロガだけではなしに、ここに幾つかの資料を私は取り寄せてみました。ほかのアメリカの艦船がずっと日本の軍港に、横須賀とか佐世保にどんなふうにして寄港したか、全部一覧表がアメリカで公開をされているんです。タイコンデロガが横須賀にその後寄港したこと、その寄港したか否かすらも回答がないのに、どうして了解という理解をしてしまったのでしょうか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先生が引用されました米側の回答にも言及がございますけれども、米政府といたしましては、位置及び環境上の影響を含め、当該事故に関する情報を日本政府に提供してきた。しかしながら、米国政府は、この問題に関するこれ以上の議論は我々の軍の運用上の政策を危うくするものであり、我々の国家安全保障上の利益に悪影響を与えるものと考えるという言及がございまして、私どもは文字どおりそのとおり受けとめている次第でございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、理解するというふうに考えております。
○矢田部理君 ここにアメリカの軍が発表したアメリカ艦船の日本寄港の一覧表があります。ほかの船の寄港ですよ、これは。空母も含みます。この一覧表は一年半分ぐらいあるのでありますが、こういうことを一方で発表しておきながら、タイコンデロガの寄港だけが、今何とおっしゃいましたか、作戦上の政策を危うくする、安全保障上の利害に背く影響を持つ、だから回答できない。核の有無ではありませんよ、寄港したかどうかも回答されないまま、結構ですと日本外務省は言ったんですか。そんなことで日本の政治に責任を持てるんでしょうか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 米側の回答は、先ほど私が引用させていただいたとおりでございますけれども、これは昨年の国会でタイコンデロガが話題になりましたときの御報告を申し上げた点でございますけれども、米側は、例えば昨年の五月九日でございますが、米国防省の対外説明におきましても、米国は核兵器に関する日本国民の特別な感情を承知しており、日米安保条約及び関連取り決めのもとでの義務を誠実に遵守してきており、今後も引き続き遵守するということを言っておりますことを改めて指摘させていただきたいと思います。
○矢田部理君 作戦上の政策を危うくする、二十五年も前にタイコンデロガが横須賀港に寄港したかどうかということを説明するのがどうして作戦上の政策を危うくすることになるんでしょうか。わかりますか、この回答書を見て。二十五年も前のことがどうして安全保障上の利害に背く影響を持つんでしょうか。どうしてもそれが持つというためには、やっぱり核を積んで入ってきたからという主語をつけなければ、安全保障上の利害に影響を持つなどということは言い得ないのではないですか。あなたの説明じゃ説明になりませんよ。
○政府委員(松浦晃一郎君) これは先生も重々御承知と思いますけれども、地位協定第五条二項におきまして、米国艦船が米国に提供をされております施設、区域に出入りすることができると定めておりまして、この出入りのたびごとに日本側に通告する義務を課されておりません。したがいまして、先ほど先生の御質問でございますけれども、空母タイコンデロガのこれらの施設、区域への出入りについては日本側としても承知する立場にないわけでございまして、米国がそれを明らかにできないというのは、先ほどから繰り返し述べておりますように、国家安全保障上の利益に悪影響を与えるからできないということでございます。 ただし、先生が繰り返し御指摘の核の問題に関しましては、先ほど私が引用させていただきました米国防省の対外説明が昨年の五月九日に行われているわけでございます。これを改めて指摘させていただきたいと思います。
○矢田部理君 繰り返し言いませんが、どう見たって脈絡が合っていない。これで理解した、了解したでは日本は独立国家と言うことはできない。外務省の態度に厳しく抗議をし、私どもはこれでは了解できないということを明確にしておきたいと思います。 もう一つ、ミッドウェーです。 火災の原因は明らかになりましたか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先週以来、米側に対しまして繰り返し今回の事故の原因に関しまして照会をしておりますが、現在も徹底的に調査中ということで、最終的な調査結果はまだ承知しておりません。今先生が火災云々というお話がございましたけれども、当初、火災と爆発があった、それからその後火災と、その後、いや実は火災がなくて爆発だけだったということで、かなり現場に混乱がございまして、事故の原因がはっきりしておりませんが、現段階で私どもが承知しておりますのは、蒸気パイプから高温高湿の蒸気の露出があった、その結果、ハッチが吹き飛んでそれが爆発のように聞こえた、しかしながら火薬類による爆発はなかったし、それから物が燃えるという意味での火災もなかったと、こういうふうに承知しております。
○矢田部理君 ミッドウェーは、天下に名立たる核搭載艦船だと私は思っているのでありますが、だから事故の原因いかん、内容いかんによっては大変な惨事になる。これが港の中などであれしたら物すごい被害を拡大することになるというだけに、これは黙視するわけにはいかないのであります。その点で原因の究明を急がれたいということとあわせて、ミッドウェーが核搭載可能艦船である、核搭載ができる艦船であるということはお認めになりますね。
○政府委員(松浦晃一郎君) ミッドウェーは、先生御指摘のように核搭載可能艦船と承知しております。
○矢田部理君 それは単に搭載可能と、攻撃機のA6とかA7というのを載せているわけでありますから当然の話でありますが、現に積んでいるんですよ。 ここにアメリカ海軍省発表の核兵器の積み込みと行動中の積みかえについてのマニュアルがあります。これを読んでみますと、これら艦船に搭載されている核の種類が書いてあります。一メガトン級の水爆、対潜用、潜水艦用核爆雷、そして三番目には小型核爆弾、三種類の核の搭載の可能性が言われているだけではなくて、ミッドウェーそのものについても実は記載がありまして、積み込みについてはハンガーデッキのエレベーターで受け取ること、取り扱いはウエポンズデビジョンというんですから兵器部というんでしょうか、の四名が兵器取り扱い士官の監督のもとに武装兵とともに行うこと。明白にこのミッドウェーが核を搭載している、そのための扱い規定まで出ておるのでありますが、この事実はお認めになりますか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先生御指摘のような文書があることは私ども承知しておりますが、先生がまさに言われましたように、これはマニュアルでございまして、核兵器の搬送等の取り扱いに関しますマニュアルでございます。したがいまして、ミッドウェー等の特定の艦船に実際に核兵器が搭載されているか否かとは次元の異なるものであると承知しております。
○矢田部理君 もう一つ、時間がありませんから早口でやりますが、根拠を挙げましょう。 ミッドウェーがこの一年半、八四年一月一日から八五年の五月二十日までの間でありますが、この間のミッドウェーの行動日程といいますか、どこを出発しどこに寄ったかをずっと調べてみました。これはアメリカの情報公開法で公開されているものであります。日本に寄っている全艦船が記載をされているわけであります。だから、タイコンデロガが言えないなんていうのはおかしな話の根拠の一つにもなるわけでありますが、八四年一月にフィリピンのスビックに寄りました。以後、核兵器を貯蔵できるところというのはこの近辺ではグアムとハワイしかないわけでありますが、そういうところに一切寄っていないんです。その間に日本にだけ横須賀、佐世保を含めて十九回寄港しております。私がかつて問題にしたフリーテックスとかチームスピリットにも参加しているのもこの時期であります。核を積まないで一年半以上も航行をすることは全く考えられません。もちろん、おろしたことは絶対考えられない。こうなってきたら、もうミッドウェーの核の問題は認めざるを得ないんじゃありませんか。いかがでしょうか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 今先生が新たに言及されましたミッドウェーの航行に関します資料に関しましては、私どもは承知しておりませんのでコメントは差し控えさしていただきたいと思います。 ただ、これも先生重々御承知でございますけれども、改めて御指摘がございましたので申し上げたいと思いますのは、日米安保条約上、艦船によるものを含め、核兵器の持ち込みが行われる場合すべて事前協議の対象となり、また核持ち込みについての事前協議が行われた場合、政府として常にこれを拒否する所存でございます。米国政府は、核持ち込み問題に対する我が国の立場及び関心を最高首脳レベルを含めて十二分に理解しており、政府としては核持ち込みの事前協議が行われない以上、米国による核持ち込みがないことについて何らの疑いを有しておりません。
○矢田部理君 その話は時間のむだですから余り聞きたくありませんが、三点目の根拠を挙げましょう。 八九年の十月九日、第九回の核戦争防止国際医師会議というのがありました。この会議にキャロルというミッドウェーの元艦長が出席をしました。核搭載の事実を明確に指摘しております。その内容を紹介いたしますと、一九七一年五月、ミッドウェーの艦長であった、ミッドウェーには核兵器を積むA6、A7等の攻撃機を積んでおり、作戦行動の途中横須賀に寄港した、公海上では核兵器を搭載しており、通常、行動の途中で核を積みおろすことはない。元艦長自身が極めて具体的で重要な証言をしております。これでもあなた方は認めませんか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 今先生が引用されました発言は、いずれにしましても一私人の立場で行われた発言でございますので、コメントは差し控えたいと思います。 改めて引用させていただきたいんですが、この六月二十一日、国防省のウィリアムズ報道官が記者ブリーフにおいて、先生が先ほど来言及しておられます問題にも言及しております。米国は核兵器に関する日本国民の特別な感情を承知しており、日米安保条約及び関連取り決めのもとでの義務を誠実に遵守してきており、今後も引き続き遵守する旨述べております。これはこの六月二十一日に国防省の報道官が行ったものでございます。
○矢田部理君 ミッドウェーだけではないのです。その前提となるあまたの発言があることはもう御承知のとおりでありますが、ついせんだってもマッカーサー大使、これは六〇年安保条約を締結したときの日本の大使でありますが、核搭載米艦船の日本寄港は事前協議の対象にならないというアメリカの立場を当時の藤山外相は了解をしておる。どうですか、いかがですか。これも私人の発言ですか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 今先生言及されましたのは私どもも承知しております。これはまさに私どもは私人の発言と考えておりますが、したがいましてコメントは差し控えたいと思いますけれども、ちょっと念のために申し上げたいと思います。 それは、今回のインタビューでマッカーサー大使は、これは米国政府関係者に対してでございますが、自分の駐日大使在任時代はかなり昔のことでもあり、日本政府当局者の一々の発言について覚えておらず、また報道されているような発言は行っていない旨述べたと聞いております。つまり、マッカーサー元駐日大使は、今先生が引用されました発言をしておられないというふうにおっしゃっていると私どもは了解しております。
○矢田部理君 最初の段階は少しはっきりしなかったのでありますが、その後、たしか共同電だったと思いますが、明確に藤山外相は了解しておったと述べているだけではなくて、現にそれを裏づけるための文書がアメリカの公文書館で発見されたわけですね。これはNHKで先般テレビ報道されました。アメリカの立場を日本に通告をしたという国務省あての米国外交文書が存在しております。 いよいよ外務省ピンチに追い込まれているんじゃありませんか。いいですか、もう改めて繰り返すまでもありません。一連の発言をずっと私なりに追ってみますと、かつてラスク国務長官が駐日大使あてにこれを認めるための極秘訓令を出しました。クレイターという海軍長官が米の下院議会でこれを認める報告をいたしております。ライシャワー大使、ラロック提督の証言があったことももう改めて指摘するまでもありません。先ほどのキャロル艦長の証言、そしてマッカーサーの今度の発言、どの一つを見ましても、アメリカ側から聞こえてくるのは日本に対する寄港や通過は核持ち込みの中には含まれていない、したがって事前協議の対象になっていないんだという主張なのでありまして、これだけ有力な人たちが立て続けに言っている。もう否定できないんじゃありませんか。アメリカ側であなた方外務省が言うような主張、日本に対する寄港も通過も全部持ち込みの範疇であって、必ず事前協議を事前にしなきゃならぬのだということを言っている人があったら教えてください。そういう人は一人もおりません。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先ほども申し上げたわけでございますけれども、マッカーサー元大使は先生が繰り返し引用しておられます発言はしていない、こういうふうにおっしゃっているということを改めて申し上げたいと思いますが、いずれにしましても、これは従来何度も国会で申し上げておりますけれども、核持ち込み問題については、安保条約第六条の実施取極に関する交換公文、それから同交換公文の解釈の了解事項としての藤山・マッカーサー口頭了解、この二つがすべてでございまして、それ以外一切了解はございません。
○矢田部理君 この間新聞見ておりましたら、自民党の中にも、こうした虚構をいつまで続けているのだ、この虚構には無理がある、国民をだまし続けているものだから、もうはっきりした方がいいと。安保三十年とか言われて、その安保が核安保ということまでずっと指摘をされておりながら、依然として抽象的な論議、事前協議制度を隠れみのにしてごまかしてきた外務省の態度、もう私は改めて事実を国民の前に明らかにするということが非常に大事だと思いますが、総理いかがでしょう。――いや、ちょっと、あなた方の話は何回聞いても同じだからいいよ。総理に聞くんだ、きょうは。総理をわざわざ呼んでいるんだから。
○政府委員(福田博君) 恐縮でございますが、一つだけ申し上げさしていただきます。 御質問は三点にわたると思いますが、要するに日米間のいわゆる合意といいますか、安保条約その他……
○矢田部理君 ちょっと私二十分までしかないんですから、別にやってください。そんな話聞く必要はないんだ。
○政府委員(福田博君) 要するに、あるのは安保条約第六条と岸・ハーター交換公文と、それに基づく藤山・マッカーサー口頭了解、そういう三つのものがあって、それで運用されているということが第一。それから第二に、いわゆる持ち込みというのに寄港とかいわゆる通行が入るのか、それはもちろん入るということでございます。それから第三が、いろいろ御引用になりました文書といいますかあるいは発言なるものというのは、交渉の途次の話をいろいろ報道されております。しかし、申し上げたいことは、ほかの条約についても同じでございますが、条約のいろいろな交渉の結果合意されて、その合意に基づいて、この場合には日米両国政府がきちんと運用している。先方の政府の責任ある発言といたしましては、先ほどの北米局長の引用にありましたウィリアムスさんの発言あるいは昨年の五月九日の国防省の報道官の発言、これがアメリカ政府の立場でございます。
○矢田部理君 日本政府の立場や考えを理解しているということを言うだけであって、あるいは尊重しているとか理解していると言うだけであって、具体的にそれなら一札とってきなさいよ。寄港や通過は持ち込みと同じように事前協議の対象になるんだ。一札とりなさい。そのぐらいの努力、約束はしてもいいんじゃありませんか。そうでない限り、この議論はあなた方のごまかしだけが続いている。国際的に今軍縮の流れが本格的になろうとしているし、海の軍縮も大事な時期に入ってきているわけであります。 サミットに総理も行かれるそうでありますから、サミットに対してどういうふうな構えで臨むのか。アジアの軍縮、とりわけこの種の非核三原則の問題も含めて核軍縮をどう進めるのかということを総理に最後に伺いたいわけでありますが、同時に、非核三原則のまやかしの構造、事前協議制度のだましの運用、これについてもやっぱりこの際本格的にメスを入れて明らかにすべきは明らかにすべきだというふうに思いますが、総理に最後の答弁をお願いをして私の質問を終わります。
○国務大臣(海部俊樹君) サミットに行きましては、地球的規模の問題で議論をいたしますけれども、平和と繁栄の問題がテーマになることは当然だと思いますし、また、東西の対決状態が次第に冷戦の発想を乗り越えつつあるという昨年来の欧州の変化を踏まえてのそれぞれの議論になろうと思います。私は、アジア地域の平和と繁栄のために日本が今後積極的に果たしていく役割であるとか、あるいは地球的規模において議論になります麻薬の問題や、あるいは途上国の債務の問題や、いろいろテーマがあると思います。それらについては、日本として果たし得る貢献の役割を積極的に言ってくるつもりでございます。 また、前半の御議論でありました核の問題については、私どもは日米安保条約の信頼関係のもとにきょうまで現実に平和を守ってきたという大きな大前提があって、これは政府間の信頼関係に基づいて行われることでありますから、事前協議のことなんかも安保条約の結ばれたときから両国の首脳レベルでいろいろなお話し合いもあった。そして、そのような運用についてもきちっとやってきておるものであると、このように理解をいたしております。
○矢田部理君 一言だけ。 総理、これだけアメリカの大使とか相当枢要な地位にあった人たち、艦長も含めた当事者たち、ラロック提督も含めて、核を積んでいると、これで寄港していると、あるいはそういう枠組みになっておったということが言われ、国民から重大な疑義が差し挟まれているときに、日米関係は信頼関係だということだけではもう批判に耐え得ないというのが今日の情勢なんですね。そこをやっぱりしかと踏まえてほしいのであります。いかがですか、一点だけ。
○国務大臣(海部俊樹君) 世界で一番重要な二国間関係は日米関係であると私は思っております。同時にまた、外務省からいろいろ私も報告は聞いておりますけれども、今アメリカの政府がそういう態度をとったり言ったりしておるわけじゃありませんし、この日米安保条約というものは、戦後の日本の平和を守り、アジア地域のそれぞれの国々が平和で安定していくような枠組みの約束をしたんですから、これはもう信頼関係に基づいて処置をしてきた、またしていく、それが基本であると、私はそう思います。
○竹村泰子君 きょうは総理においでいただいての質問でございますので、しばらくの間おつき合い願いたいと思います。 総理は毎日幾種類かの新聞をお読みになると思いますけれども、チェルノブイリの事故について先日の、これは大新聞のトップ記事でありますが、もちろんこれはごらんになりましたですね、総理。
○国務大臣(海部俊樹君) 読ませていただきました。
○竹村泰子君 溶けた炉心が象の足と言われる形に溶けただれている悲惨な状態が出ておりますけれども、総理は、最近ソ連の白血病や甲状腺障害の子供たちがイスラエルやキューバ、インド、オランダなどに送られて治療を受けているという新聞報道はもちろん御存じですね。
○国務大臣(海部俊樹君) そういう報道がなされたということは承知しております。
○竹村泰子君 なぜソ連の子供たちが大量に白血病や甲状腺障害になったのか、報道されているその理由は御存じと思いますが、念のためお答えいただけますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 多分チェルノブイリ被災が原因になっておるのではないでしょうか。
○竹村泰子君 事実であるとお思いになりますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 私はその道の専門家でございませんのでわかりませんから、専門家に答えさせます。
○政府委員(緒方謙二郎君) きょうも東京で日ソ科学協力協定に基づきますシンポジウムをやっておりますが、ソ連から十五名の放射線医学の専門家が参りまして日本側の専門家との間で意見交換をしております。この種の問題は大変学問的にも議論のある点でございますので、専門家の間で議論を尽くすべき問題と思っております。
○竹村泰子君 事実であるとお思いかどうかお聞きしたんですが。
○政府委員(緒方謙二郎君) 新聞で報ぜられているようなものについて、その原因がチェルノブイル原子力発電所の事故であるというふうに専門家の間ではまだ考えられていないと思います。
○竹村泰子君 総理はわからないとお思いですか。総理の御感想で結構です。
○国務大臣(海部俊樹君) 先ほども正直に申し上げたように、報道を読みましたけれども、私はその道の専門家でありませんのでわかりませんので、専門家から今答えさしておるんですから、それ以上のことはちょっとここでお答えできません、能力がありませんから。
○竹村泰子君 総理は文部大臣もなさった方でございますし、未来を担う子供たちのことですから、この報道には強い関心がおありだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 関心を持っております。
○竹村泰子君 関心がおありとするならば、ソビエトの子供たちがチェルノブイリ原発事故によって大量に白血病や甲状腺障害になったのが事実か事実でないかお知りになりたいと思いますけれども、総理はそれは事実であるかもしれないと心の隅では思っておられるかと思いますが、御存じのように、日本では昨年十月、内田委員長以下の原子力安全委員会一行がチェルノブイリの原発事故の被曝による人身への影響を調べに行っているんですね。これは国費ですから、我が国を代表して行っているわけです。この御報告を受けておられますでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 原子力安全委員会から派遣をされたということでありますから、原子力安全委員会から答えてもらいます。
○政府委員(村上健一君) 御指摘の調査は、昨年の秋に原子力安全委員会が現地に赴きまして調査、意見交換等を行ったものでございます。 特に御指摘の健康への影響の面につきましては、調査の結果では、疫学調査等十分に今後詰めていく問題であるというふうに調査の報告が出されております。
○竹村泰子君 私も報告書を見せていただきましたけれども、あれだけの大事故で、私の手元には今世界じゅうからいろいろな報道が随分入ってきております。けれども、日本の原子力安全委員会の報告書は、まあ大したことはなかった、ほどほどにおさまってよかったと、簡単に言えばそういうふうな報告なんですよね。 事実かどうか調べるのはそれほど大変なことではないと思いますが、まして経済大国の最高権力者が強い関心を持っておられるということですから、これは事実を一日も早くきちんと調べられなければいけないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) さきに衆議院の外務委員会でも御質問がございまして、この件に関してお話をいたしておりますけれども、ただいまIAEA及びWHOがモスクワにおいてその種の専門家からいろいろと情報を集めておりまして、もし要請があれば、日本は積極的に医療的な協力を行うということを考えております。
○竹村泰子君 外務大臣のそのお言葉を聞いて少しは安心いたしましたけれども、しかし、昨年の原子力安全委員会一行の調査は不十分であった、あるいは足りないところが随分あったということにもなるのでしょうか。原子力安全委員会、報道関係者、医療関係者、それに原子力に直接関係していない科学者を含む公正な調査団を派遣することが総理の強い関心にこたえる方法だと思うのですが、いかがでしょうか。 また、ここでお聞きしておきたいことは、報道されていることが事実であるとわかった場合、総理の日ごろ言われております世界に貢献する日本として、白血病や甲状腺障害にかかっているソビエトの子供たちの治療を要請されたら、積極的にこれを受け入れるおつもりかどうか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 本件に関しましては、今月の十一日にWHOの中島事務局長がソ連政府の要請を受けて東京からモスクワへ行っておられまして、今夕成田に来られます。私はお目にかかって、その現状等の報告を受けることになっておりますが、先ほども申し上げましたように、日本政府として、世界で唯一の被爆国でございますから、そのようなノーハウを生かして、ソ連の人たちにもし何かお役に立てることがあるんならば積極的に協力いたすということを考えておる次第でございます。
○竹村泰子君 ソ連政府またはソ連国内の民間団体から日本政府に協力を求められたことがございましたか。
○政府委員(太田博君) お答えいたします。 昨年の十月、ソ連政府が国際原子力機関に対して協力を要請いたしまして、その要請に基づきまして、我が国といたしましては広島大学の原爆放射能医学研究所長が関連の国際諮問委員会の議長を務めるという形で、IAEAを通じまして本件に協力をいたしております。
○竹村泰子君 チェルノブイリの被曝者を受け入れて治療に協力している国はどこか、実情を御報告いただけますか。
○政府委員(太田博君) ソ連の雑誌でございますが、「今日のソ連邦」という雑誌がございますが、それの四月号によりますと、ソ連がチェルノブイリ被災者の診断、治療、予防の面での協力について、西独、イタリア、スペイン、米国、フィンランドの社会団体と交渉を行ったという報道が行われております。 ただいま先生御指摘の各国の対応でございますが、現在調査中でございますけれども、我々が承知いたしておりますところでは、現在までのところ政府レベルでチェルノブイリの被災者の治療のためにチェルノブイリの被災者を受け入れているという事象は承知いたしておりません。
○竹村泰子君 そうですか。そうすると報道と随分違いますね。外務省のつかんでおられる情報というのは非常に少ないということですね。 もしも、広島、長崎の原爆病院を初め、日本の国公立病院で被曝者を受け入れるということが可能かどうか。これは厚生省に絡むと思いますけれども、総理いらっしゃるところですが、総理はいかがお考えでしょうか。
○政府委員(長谷川慧重君) ただいまの先生のお尋ねでございますけれども、厚生省といたしましては、外交ルートを通じましてソ連政府から具体的な要請があれば、関係省庁と協議いたしまして人道的な見地に立って協力してまいりたいというぐあいに考えております。
○竹村泰子君 ソ連政府から正式な要求があれば考えられるということですね。
○政府委員(長谷川慧重君) 外交ルートを通じまして正式な要請があれば、厚生省といたしましても人道的な見地に立って協力してまいりたいというぐあいに考えております。 具体的な話になりますれば、要請の内容を踏まえた上で、どのようなことで協力できるかについてはやはり十分検討しなければならないというぐあいに思ってはおりますけれども、基本的には協力してまいりたいというように考えております。
○竹村泰子君 総理、今のお答えですけれども、どのようにお思いになりますか。もしそのような事実が起きた場合。
○国務大臣(海部俊樹君) どのような要請が来たか十分検討して、今申しましたような立場で、人道上の見地で日本が御協力できることがどのような姿、形であるのかを十分踏まえて、厚生省がとるべき態度を私も指示いたします。
○竹村泰子君 ありがとうございます。時間がなくて、聞きたいことがたくさんあったんですけれども、もう間もなくやめなければなりませんが。 総理は大ベテランの政治家でいらっしゃいますから、今私たちが大変問題にしております日仏原子力協定の問題で少しお聞きしたいんですが、核燃料の再処理については大変大きな問題が幾つかあると思いますが、総論的に言って例えばどんな問題があるとお思いになられますでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 大きく言えば、それはあくまでも安全確保ということが第一でありますが、核燃料の再処理を日本の国の中で行えるようになるということになれば、それは日本の核燃料、原子力発電というものについての体制が一歩前進することである、私はそのように受けとめさせていただきます。
○竹村泰子君 総理がはっきりお答えくださらないので申し上げますけれども、一つは、このプルトニウムというものが核爆弾の材料となるということですね。もう一つは、再処理工程で出る高濃度で非常に危険な放射性廃棄物の処理が何も確立されていないということなのではないかと思うんですけれども、この地球の厄介者と申しますか、原発を運転すれば、毎日毎日出てくる高レベルの廃棄物、低レベルの廃棄物、これをどういうふうに処分をしたらいいのか。今のところはガラス固化と地下埋設ということが言われているわけですけれども、本当にそれが最良最高の処理方法なのだろうかということは、全然どこの国でも確立されていないわけです。 私はまたあすも質問に立たせていただきますので、これらの問題はゆっくり聞かせていただきますけれども、事故の危険性、放射性廃棄物の処理、核兵器拡散の可能性、この三点が特に国連の決議で設けられた環境と開発に関する世界委員会でも非常に問題だとされていること、それに、大変な犠牲と危険性をはらんだプルトニウムをなぜ今日本がこうやってはるばる運んでこなければならないのか、その辺のところはあすゆっくり聞かせていただきますけれども、総理、ひとつこれらのことをしっかりと肝に銘じてお考えをいただきたいのでございます。たった一つの原発がチェルノブイリの悲劇を起こして、そして今十万人あるいは何十万人という人々が放射能の被害にさらされている、そしてこれからどんどんこの被害者はふえ続けていくと思われるわけです。たった何ミリかを吸い込んだだけで非常にたくさんの人々が死の危険性をはらむというこのプルトニウムを毎年一トンずつ海上輸送、あるいは先日科技庁長官は空輸も消えたわけではないとお答えになりましたけれども、これらの危険性を持ってなぜ今運んでこなければならないか、この点をしっかりと一国の総理としてお考えをいただきたいと思います。 質問を終わります。
○中西珠子君 きょうは総理がお見えになりましたので、まず日仏原子力協定改正の承認を求むる件に関連いたしまして、総理に三つのことをお願いしたいと思うわけでございます。 まず第一に、原子力平和利用を行っている我が国といたしまして、私どもとしては脱原発を目指しているわけでございますけれども、当面は原子力への依存というものは避けられないと考えております。それで、とにかく安全性の確保ということについては最大限の努力をしていただきたいということが一点でございます。 第二点は、代替エネルギー、クリーンな太陽エネルギーその他代替エネルギーの開発はだめだともう初めから投げてしまっているような感じがしないわけでもないんですが、この代替エネルギーの開発を奨励していただきたい、そして促進していただきたい、これが二番目のお願いでございます。 三番目は、六ケ所村の再処理施設につきましては、青森県民また地域の住民との対話を円滑に行っていただきまして、住民の理解と合意が得られるまでは凍結にしていただきたい、この三つでございます。 総理のお考え、そしてこの三つをお約束いただけるかどうかにつきましてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 第一番目に原子力の平和利用のことについて仰せになりましたが、私は原子力の平和利用にもちろん限るべきは当然のことであると思いますし、またそれ以外のことを我が国は考えません。厳に平和目的に厳しく限って進めてまいる決意でございます。そして安全性についても十分に配意をせよというのが第一の中に入っておりましたが、安全の確保が何よりも大切な目的であることは間違いございません。それはそのとおりでございます。 それから二番目に、代替エネルギーの開発にも真剣に取り組めというお話でございます。私もかつて科学技術特別委員会の委員をしておりましたときに、代替エネルギーの状況の視察にも出していただきました。見てまいりました。それぞれの分野でいろんな努力が払われておることを承知いたしております。代替エネルギーの開発問題に今後とも積極的に取り組んでいかなければならぬというのは御指摘のとおりだと思います。 三番目にお触れになりました六ケ所村の核燃料サイクル施設の計画をめぐる問題で、地元の意向を十分尊重して地元の納得を求めるようにと、こういう角度の御発言だと思いましたが、私は厳しい状況にあることは十分認識しておりますけれども、この計画が我が国が自主的な核燃料サイクルの確立を図るために不可欠なものである、こう考えておりますので、その点のことを地元の皆様に一層御理解と御協力がいただけますように、今後とも政府は全力を挙げて安全性の確保を大前提にして地元ともお話し合いを続けていく考えでございます。
○中西珠子君 住民の理解と合意が得られるまでは凍結するということはいかがですか。先ほど東京大学の専門家の先生がいらっしゃいまして、六ケ所村の再処理施設は何もそんなに急ぐことはない、やはり住民の理解、協力が得られるまで努力するべきだ、こういう御発言でございましたけれども。
○政府委員(緒方謙二郎君) 六ケ所村の核燃料サイクル施設については、ただいま総理からお話がありましたように、自主的な核燃料サイクルの確立のために必要なプロジェクトでございます。
○中西珠子君 短くしてください。私二十分しかないんですから。
○政府委員(緒方謙二郎君) はい。 原子力委員会の定める長期利用計画の方針にのっとりまして、計画どおり進めさせていただきたいというふうに考えております。
○中西珠子君 住民が反対していても、凍結を求めていても計画どおりにするということですか。
○政府委員(緒方謙二郎君) 総理もお答えになりましたように、住民の方の御理解、御協力が得られるようにこれは政府が全力を挙げて取り組んでいきたい、こういうことでございます。
○中西珠子君 住民の理解と協力が得られるように対話を円滑に、最大限の努力をもって行っていただきたいということを強く申し上げます。それでないと、私は今の総理の御答弁で条件つきの日仏原子力協定改正には賛成しようと思っていたんですけれども、今の科学技術庁の答弁は住民のことを余り考えてないような答弁だったから、ちょっとそういうことでは困るので、本当にこれは住民との対話を一生懸命やっていただきたいと思うんです。わかるのは当たり前でわからないのはばかだ、こういうことではなくて、やっぱり住民に対してよく説明をして、そして合意を得られるという態度でないと、初めからわからないのはばかだという態度ではだめなんですよ。そういうことでお願い申し上げておきます。 私は、なぜこれ条件つきで賛成するかというと、フランスと日本との関係、またECと日本との関係が非常に重要だと思っていますので、これやっぱり反対ということになったんじゃまずいから、先ほど申し上げた三つの条件をお約束していただけるようにお願いして、そして賛成させていただこうと思ったから申し上げているわけでございます。 それで、いろいろ日米構造協議などについてももう同僚議員からお話がございましたので、私はちょっとECのことにつきましてお聞きしたいと思います。 一九九二年に予定されていますECの統合の前に、とにかく早くヨーロッパに進出を完了しなければと大急ぎでヨーロッパの進出を行っている企業も多いと聞いておりますが、今ヨーロッパに対する進出企業の数はどのくらいありますか。
○政府委員(堤富男君) 現在、ジェトロで調査いたしましたのでは、ことしの一月末までで製造業で限りますと五百一社ございます。非製造業まで入れた統計というのは必ずしも整備されておりませんが、いろんな統計から推定いたしますと、全体では千社を上回るのではないかと思っております。代表的な分野は、製造業では電気機器あるいは自動車、運輸・輸送機というふうなものが多いかと思っております。
○中西珠子君 日本がECとの関係をよくしていこう、そしてまた企業もどんどんECに進出していこうと、そうしないとEC統合後は大変難しい状況になるのではないかということを考えてEC進出の企業がふえているという事情はよくわかるのでございますが、ECの統合は、国境のない単一の経済圏の確立を目指して、ヨーロッパ企業の競争力の強化を図ってECの経済成長を促すばかりでなく、ヨーロッパの市民の生活水準を引き上げるために、労働条件、労使関係、社会保障などの社会的側面の充実が必要だということが最近強調されているということは御承知だと思いますが、一九八九年二月、ECの経済社会評議会は、ILO、国連、OECDの協定や条約の中でEC加盟国が既に批准しているものは基本的、社会的な権利として保障するべきだと言っております。これを受けまして、一九八九年五月にEC社会憲章というものの素案というものがEC委員会によって発表されたことも御承知のとおりだと思います。 これに関連いたしまして、EC諸国のILO条約批准状況はどうなっているのかということをお聞きしたいと思います。
○政府委員(赤尾信敏君) EC諸国はすべてILOの加盟国になっております。ただいま先生御質問の批准状況はどうなっているかということでございますけれども、私たちが承知をしておりますことし一月一日現在の数字を申し上げますと、スペインは百十八本の条約を批准しております。フランスが百十三本、イタリアが百二本、オランダが九十本、ベルギーが八十二本等でございます。
○中西珠子君 西独が六十九ですね。一番少ないルクセンブルクが五十五。日本は幾らですか、批准数は。
○政府委員(赤尾信敏君) 日本は三十九本でございます。
○中西珠子君 日本はたった三十九しか批准してないんですね。日本は世界一の債権国であり、また経済大国と技術大国として日本の経済力、技術力は世界から非常に高く評価されておりますが、社会的な側面ではまだまだ西欧に比べておくれているというのが国際的な批判であります。日本はやはり社会的な側面でもなかなかよくやっているぞと言われるように、また経済摩擦も社会的な側面のおくれから起こってくるということがないようにILO条約をもっと批准すべきだと思いますが、総理の御所見を伺います。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のような数でありますから、未批准条約をどうするか、今後とも批准することが適当なILO条約については、国内法制とのいろいろな問題もあるでしょうけれども、それは努力をして整合性をなるべく高めていくようにして、私は批准すべきものは批准すべきだという方針にのっとって検討を進めていきたいと思います。
○中西珠子君 どうぞよろしくお願いいたします。 日本が批准していない条約でルクセンブルクを除くEC諸国全部が批准している、また世界全体では百十一カ国が批准しているILOの雇用上、職業上の差別待遇を禁止するといういわゆる百十一号条約、これを日本が批准できない理由はなぜでしょうか。
○政府委員(若林之矩君) この条約は雇用、職業に関する差別待遇を除去することを目的とする条約でございまして、重要な条約の一つでございます。 しかしながら、この条約につきましては、雇い入れの際の差別を初め、この条約の対象となっております差別待遇を除去するための立法措置を要求いたしておりますとともに、政治的な意見などの広範な差別事由を対象といたしております。我が国の場合、例えば雇い入れの際の差別を除去するためのさまざまな立法措置、こういうものについてまだとられていない分野がございます。この条約の批准につきましては、我が国の場合、そうした立法措置を講ずることにつきましてまだ国内のコンセンサスが得られていないということでございまして、そういった面から慎重に対処する必要があるというふうに考えておるところでございます。
○中西珠子君 時間がございませんから私の方のコメントは別の機会に譲りまして、もう一つの条約、強制労働廃止条約です。これは百五号の方です。これをやはりルクセンブルクを除くすべてのEC諸国は批准しているんです。世界全体では百八カ国が批准しておりますが、日本はなぜできないんですか。
○政府委員(若林之矩君) これにつきましては、我が国の公務員制度の根幹にかかわる問題とも関連をいたしておるわけでございまして、現状ではなかなか批准することは困難であるというふうに考えております。
○中西珠子君 私はどの法律のどこがひっかかっているかをよく存じておりますけれども、今はコメントしません。 最近、海部総理は連合のトップと会談なさいまして、これは二十六年ぶりの内閣総理大臣と労働組合のトップの会談であると書き立てられたわけで、さすがは海部総理と思ったんですが、ILOにやっぱり政労使の三者協議を行う条約というのがございまして、百四十四号ですが、これもルクセンブルクを除く全EC加盟国が批准しているわけです。これが批准できない理由は何でしょうか。
○政府委員(若林之矩君) これは、先生御承知のとおり、ILO条約の批准とか実効性を確保するために政府と代表的な労使団体との間で効果的な協議を実施するということなどを内容といたしておるわけでございます。こういったような三者協議というのは、実態的には我が国ではかなり普及をいたしておるわけでございますが、条約ということになりますと、例えばどういうものが効果的かといったような点につきましての解釈上不明確な点が幾つかございまして、現段階では難しいということでございます。
○中西珠子君 最近、看護婦さんの不足が大変深刻化しておりまして、低賃金や夜勤の多い劣悪な労働条件が主な理由と考えられております。ILOの看護職員の雇用、労働条件及び生活状態に関する条約、百四十九号条約ですが、これはやはり大変看護婦が不足している国々が多いのにかんがみまして、看護職員をその職業に引きつけ、またとどめておくために適当な待遇をしなければいけないということでつくった条約でございます。そして看護婦の専門的な地位を高めるという条約でございますが、これを批准して看護婦不足というものを解消するお気持ちはございませんか。
○政府委員(若林之矩君) この条約はただいま先生の御指摘の趣旨でございます。この趣旨はそのとおりでございますけれども、看護職員を他の労働者と少なくとも同一の条件にするというようなことが内容になっているわけでございます。例えば我が国の場合でございますと、労働基準法で一斉の休憩の取得というのが義務づけられておりますけれども、看護職員の方についてはこういったような点の特例が設けられているわけでございまして、そういった面での対応をどうするかといったようなことが問題になるわけでございます。
○中西珠子君 内閣から提出されております生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案、これは中央教育審議会の答申の提言に基づくものだそうですが、その中教審の答申の中には「有給教育・訓練休暇制度の普及などにより勤労者が学習活動に参加しやすい諸条件を整備することが望まれる。」と言っておりますけれども、有給の教育休暇に関するILO百四十号条約というのがございますが、これを批准するお気持ちは総理におありになりますか。文部大臣でもいらした総理でいらっしゃいますから、こういう条約の批准はいかがでございますか。
○政府委員(若林之矩君) 内容について申し上げますが……
○中西珠子君 内容はいいです、私はわかっているんだから。総理にお聞きしているんですよ。
○政府委員(若林之矩君) 申しわけございません。おわかりだと存じますが、これは一般教育とか社会教育について、定義、内容につきまして不明確であるということが現在問題点でございます。
○中西珠子君 EC諸国の多くが育児休業を既に法制化しているんです。両親のいずれでもとれるような育児休業というのを法制化しておりまして、これはILOの百五十六号条約、家族的責任を有する労働者という条約に基づいているものでございます。 日本はただいま育児休業の法制化というものは非常に限定された場面だけで行われておりまして、民間企業に対してはそれが適用になっていないということでございますので、ただいま参議院におきまして四野党が共同で育児休業法案というものを提出しているわけでございます。将来はこの百五十六号条約の批准というものも考えていただきたいと思っているわけでございますが、総理はどのようなお考えでいらっしゃいますか。こういうものは必要ないとお思いになりますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 基本的なことを申し上げますと、おっしゃったように、中央教育審議会が答申の中でそのような方針を出して、生涯教育が大切であるけれども、生涯学習を本当にするためには働く人々が生涯学習に時間を割けるような制度、仕組みも考えなければならぬというその方針に私は賛成でありますし、支持をいたしますので、それをやりやすくするために現にどうするかということで育児休業制の普及促進を図るとか、いろいろな問題が出てきておると思います。私も今後その問題については研究を重ねて取り組んでまいりたいと思います。
○中西珠子君 よろしくお願いいたします。 もう一つ。ただいま労働時間の短縮について政府は大変御努力をなすっているわけでございます。EC諸国では、もう一九七〇年末には週四十時間労働制、年間四週間の有給休暇制度というのが一般化しておりますが、日本では一九一九年、ILOが誕生したときにつくりました第一号の条約、工業的企業に於ける労働時間を一日八時間且一週四十八時間に制限する条約すら批准ができていない。あとの労働時間関係条約、有給休暇関係条約はもちろん批准できていない。それどころか、各国が経済摩擦の一つの原因として見ていた日本の長時間労働を短縮しようという動きは、EC、アメリカその他の国々が非常に注目しているところでございます。日本の労働時間短縮についての見通し、また労働基準法の改正で週四十時間制を一応うたってあるけれども、実態はそうではないという――それに向かって一生懸命努力なすっている政府の努力は高く買いますが、何とかしてこれを実現するためにはやはり条約の批准ということも大きな一つの武器というものになるのではないかと考えておりますが、いかがなものでしょうか。
○委員長(山東昭子君) 時間がオーバーしておりますので……。
○中西珠子君 日本の国内法と厳密に一致しなければできないという考え方が余りにも強過ぎるんじゃないか、こう私は思うんです。
○委員長(山東昭子君) 若林さん、短か目にお願いします。
○政府委員(若林之矩君) 四十時間の問題につきましては、先生が社労にいらっしゃいましたときに法律を改正していただきまして、現在それを着々と進めているわけでございます。平成三年度には四十四時間に持っていく、こういうことで現在全力を挙げているところでございます。その実現に今後も全力を挙げていく考えでございます。
○中西珠子君 どうもありがとうございました。
○立木洋君 総理、軍縮の問題についてまたお尋ねいたしたいと思います。 予算委員会でお尋ねしてから四十日余りが経過したわけですが、御承知のように、ワシントンで首脳会談が開かれ、そういう内容についても政府としては歓迎するという方向に軍縮についての態度を示されていると思うんですね。だけれども、では実際、日本ではどのように軍縮を具体的にお進めになっていくお考えなのか。日本として軍縮という問題についての具体的な内容を御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 米ソ首脳会談以来の動きは、私も前回申し上げたとおりでございますが、主として今それがあらわれておるのはヨーロッパである。しかもヨーロッパの場合は、ワルシャワ条約機構とNATOとの間の対比において軍備管理の問題には比較的入りやすい条約上の対立であったわけでありますが、そこがまた対決が対話と協調に変わりつつあるということになりますと、平和の構築もそんな簡単な問題ではないと思いますけれども、アジアにおける問題よりは比較的進歩が早い、私はそういうふうにこの前も申し上げさせていただいたと思います。 それから、アジアの場合には、言い過ぎかもしれませんが、東西の対立さえ終われば、要するに米ソの対立さえ終われば全部平和と安定に直結するかというと、そうではなくて、例えば東西という枠組みの中に入らない、入りにくい中国という国もあれば、あるいは朝鮮半島における武力を背景とした対峙もまだ現にあれば、また、今一生懸命日本の政府もここだけは戦争の火種をなくしようというので唯一続いておりますカンボジアの和平の問題等もいろいろ努力をしておりますけれども、一歩の小さい前進はあっても、まだ完全解決とはつながっていけない。 それから、私が五月に訪問しました南アジアにおいても、カシミール問題は、両方とも力を使わないで話し合いで解決しましょう、お役に立つことがあったら、限度はあるかもしれないが、できるだけ日本も協力をするつもりでいるんだけれども、とにかく武力だけに訴えないようにしてください、そして核拡散防止条約には両方とも入ってくださいということをアジアの平和と繁栄のためにいろいろ言ってきたのでありますが、まだ手のひらを返したような変化が起こっておらないということも事実でありますので、四十日もたったとおっしゃいますが、進行形現在というのはまだ四十日間続いておるというふうに私も受けとめさしていただいて、それがいい方向へ進みつつあるということは私も否定しませんので、早くいい方向に定着していくように、今後とも一層の努力を重ねていきたい、こう思っております。
○立木洋君 この間、イタリアのスタンパという一般の新聞に、進んでいる国の中では軍縮がほとんどやられているけれども、軍備を拡大しているのは日本だけだと書いていましたよ。 それで、今お話をお聞きすると、この間のお話と変わりない。今の時点では日本は軍縮しない、日本では軍縮できないと。結局は軍備をやはり依然として維持し、ふやしていくという状況が今の日本の実態だと思うんです。防衛庁の方も検討されて、何か二十三兆円台というふうなことが大体内定されたような話も進んでおりますし、大綱の内容を見ましても、あれについてよく読みますと、防衛力の質的水準の維持向上に資するために努力すると書いてあるわけですから、質的な向上を進めるということになれば、結局やはり軍備は強化される。 ですから、今何か軍縮を進められるかのようなお話が片一方ではあるかのようだけれども、決してそうではない。日本の現実は今の状況のもとでは日本は軍縮は問題にならないというのが日本政府の立場である、具体的には、というふうに私は理解しますが、海部首相のお考えはそれでいいわけですね。
○国務大臣(海部俊樹君) そのように固定的に理解されてしまってはまだ困るわけでありまして、きちっとよくわかるような状況の変化というもの、アジアにおける本当の安定というもの、それが醸し出されるように一生懸命努力しているということを申し上げました。同時にまた、平成二年度予算までにおける日本の防衛力の整備というものは、確かにおっしゃるように、防衛大綱に従って、そして中期防衛力整備計画に従ってそれを達成しようと。それは平和時における節度ある防衛力の整備であるということでありますから、それについてはいろいろの議論を重ねてやってまいりました。 平成三年度以降のことについては、これは今後国際情勢の変化とか経済財政状況とかいろんなものを見ながら、大綱の取り扱いも含めて、安全保障会議で議論、検討しようということを政府は決めておるわけでありますから、これから十分それらのことを踏まえてそこで議論をして平成三年度以降のことについては結論を出すわけですが、あくまでそれは軍備を拡張しようとか、そんなことを今から一方的に結論を出してやっておるわけでもございません。そう断言されてはこれは困るということでございます。
○立木洋君 そうでしょうね。しかし、私たちの場合、自民党の政府がいろいろとおっしゃってきたことで何回かやっぱり裏切られたという経験がありますからね。定数是正の問題でもなかなかできなかったし、非核三原則の実行の問題でもいろいろ問題があったということは同僚議員の先ほどの質問でもありました。ですから、私たちは、現実に軍縮がどう進むかという明確な提示を日本の政府がしないと、我々は将来の展望にこれから軍縮を目指しますと幾ら言われても、本当かなと、こうどうしても思いたくなるんですよ。現実にそれを示されるとそれは理解できますけれども、そうではない、依然として今の日本の状況ではやはり軍備を拡張している状況にあるというふうにしか私は理解できないので、その点は重ねて私は指摘をしておいて、次の点に入らせてもらいます。 この間の米ソ首脳会談でも確認されました核軍縮の問題で、御承知のSLCM、これについてはいわゆる検証なしということで八百八十基ということになっております。これは外務省の説明によりますと、どうして検証をしないのかといえば、アメリカが核の存否を明らかにしないという政策に基づいて主張したためにそのようになったということのようであります。 そうすると、日本の政府というのは今まで、核軍縮の問題について言うならば、検証措置というのが十分でないと軍縮措置としては意味がないと言ってきましたし、そのような取り決めは長続きしないということも言ってきましたし、また、このようなやり方ではかえって国際関係を不安定にするということも言ってきたわけです。ところが、アメリカ政府としては検証なしの措置でSLCMについて米ソ間で宣言で取り決めたという形になっているわけですが、この点については、日本政府はアメリカのそういう態度を踏まえて、今後の核軍縮については依然として検証措置が不可欠であるというお立場を貫くのかどうなのか、総理のお考えをお聞きしておきたい。――赤尾さん、あなたのは聞いたんだからいいよ。総理の……
○国務大臣(海部俊樹君) これは専門家にまず答えさせます。
○政府委員(赤尾信敏君) 一般論といたしまして、軍縮あるいは軍備管理の交渉が行われて合意ができるときには検証制度が設けられるということは非常に望ましいことであります。ただ、先生今御指摘のSLCMにつきましては、実効的な検証手段は何かということにつきまして米ソ間でまだいい合意が見出されていないというところが問題じゃないかというふうに考えております。
○立木洋君 局長、それはこの間の外務大臣の発言よりまたあなた後退したな。だめだよ、そういう発言では。外務大臣は先般ちゃんと、国連の総会で私が述べた態度です、今後とるのはと、外務大臣がそういうふうに明確に言明されているんだ。だから局長、そういうところに口を挟むと、あなた、外務大臣が前にしゃべった発言と変わってくるんだから、そういうときには黙って総理の発言をお聞きすればいいんです、きょうは総理大臣に私はお聞きしているんだから。総理、いかがでしょうか。
○政府委員(赤尾信敏君) 私が申し上げておりますのは、一般的に軍備管理・軍縮交渉の合意をやるときには、実効的な検証措置が伴われるというのは非常に望ましいし、重要であるということを申したのであります。 ただ、海軍あるいは核装備をしたSLCMの問題につきましては、実効的な検証手段というものについては、これは非常に難しいものだというふうに私たちは了解しているという次第でございます。
○立木洋君 総理、一言だけ。
○国務大臣(海部俊樹君) 効果的な軍備管理・軍縮を実現するためには適切な検証措置が不可欠であるということ、これを外務大臣は国連でも申し述べておるのであります。核装備SLCMに関しては、いまだに米ソ間で実効的な検証手段が見出されていないと承知いたしております。そのような理由があるから、今般の米ソ首脳会談では核装備SLCMに関しては、START条約の枠外で宣言によりその配備計画数を宣言し合ってということに合意をしたと、こういうふうに理解をいたします。
○立木洋君 終わります。
○中村鋭一君 総理にお尋ねいたしますが、総理はいわゆる冷戦というものは現在の世界情勢の中で終結をしたと、過去形で理解をしていらっしゃいますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 冷戦の発想を乗り越えつつあるということは私も何度も申し上げましたが、終わっちゃったというような簡単な図式にはちょっと受けとめかねますので、進行形現在で今冷戦の発想を乗り越えつつある、終わるという望ましい方向に向かって進みつつあると、私はそう受けとめさしていただきます。
○中村鋭一君 では、いわゆるソ連の脅威というものは、これはおおむね消滅をしたというふうな理解はしていらっしゃいますか。
○国務大臣(海部俊樹君) ヨーロッパにおける情勢は、先ほど言ったように、ワルシャワとNATOの条約機構というものでやっておりますから、それはそこでどのような話し合いが進んでいくのか、これも消滅しつつあるという方向に目に見えるように動いていくでしょう。 それからアジアにおける問題については、私の聞いておる話では、ソ連軍は極東に三分の一とか四分の一とか、全部勢力が集まっておるとか、それから衆議院の方のやりとりのときは野党の委員のお方の御質問で、もし欧州でそういうことになったときに、アジアがソ連の古い兵器の捨て場にならないようにちゃんと目を見張って気をつけろというような角度のお話等もあって非常に不透明、不安定なものがまだあると思います。ですから、アジアにおいてもそのような冷戦の発想を乗り越えて脅威がなくなるようにするためには、こちらが、例えば北方領土なんかにも師団規模の兵力がまだあるとか、能力が加えられておるとか、いろんなお話、情報等が入りますと、やっぱり率直に言って気になります。 だから、そういったようなこと等をやっぱり本当にお互いに安心できるような状況にこの世界の対決の動き、対立の動きというものがいい方向へ進んでいくことを私は心から期待するとともに、そのようになることを願うわけであります。
○中村鋭一君 これは先日、たしかアエラだったと思うんですが、雑誌に出ていたことですが、日本からソ連を訪れて、ソ連の高級将校を再教育するための学校でいろいろインタビューをした。そのときに、まだ日本ではソ連を仮想敵国として認識している向きもあるがと、こういう発言をしたところ、ソ連の高級将校の方々は一斉に爆笑をして、何がソ連が脅威なんですか、率直に言って我々は今失業の危機にさらされているんです。我々のする仕事がなくなることを心配しているんです。そんなときに日本ではまだ我々を脅威と感じている人がいるんですかと、こういう逆の質問を受けたと、こういう報道がなされております。総理は、今、全面的に消滅はしていないけれども、東西冷戦が終結し、ソ連の脅威がなくなりつつあるいい方向にアイエヌジーだと、そうなることをまた心から願うとおっしゃいましたが、その際に日本の防衛力というものを思い切って削減して、まず隗より始めよです、我が国があなたたちに対してもう全く何の敵対心も持っておりませんし、あなたたちが日本へ来るというようなことも夢想だにしておりません。その現実の証拠として我々は自衛隊を縮小いたします。正面装備もどんどんこれから減らしていきます、こういうことを思い切ってやっていく御意思は総理にはございませんか。
○国務大臣(海部俊樹君) 何というんでしょうか、世界が力の対決の東西関係のときに、米ソ両陣営は物すごい、何というんでしょう、オーバーキルと言われたんですが、世界じゅうを何回もできるような必要・十分性をはるかに超える軍備を持った。アメリカも二カ二分の一戦略というものを持っておった時期があって、二正面作戦ともう一つの紛争にたえられるように常に備えようというようなことで軍備競争をお互いにやってきた。日本はそのころから平時において自分の国だけは専守防衛ですから、力でもってお役に立ちましょうとか、こちら側の陣営の支えに力でもってなりましょうというような発想は一度も持ったことはありませんし、そんな思い上がった防衛力整備はしてこなかったわけであります。ですから、私は米ソのそういった過剰なまでの防衛力が、これがお互いに無意味だ、むだだという両方共通の認識があったんでしょう、米ソの首脳会談で、それぞれの国内事情もあって軍備管理で縮小していかれる。それは非常にいい方向ですから歓迎しておりますし、同時に、日本の場合は専守防衛ですから、我が国の安全と防衛を確保するにはどの点のところが節度ある防衛力かということをやっぱりその都度考えなきゃなりません。それは対決が終わりに近づいていくということは、国際情勢の変化、環境の整備で一つはいい方向であると私は率直に認めておるんです。ですから、平成三年度以降の問題については、それらのことも踏まえながら、我が国の自主的な範囲はいかなるものであるべきかということについて安保会議で議論をしようと。今この不透明な進行形現在の中で、日本までそれじゃといって米ソ並みにずっと下げていくという発想自体が、またそれが正しいものかどうかということについても、私はいささか慎重であらねばならぬという気持ちを持っておりますから、別の次元で日本の安全を確保するにはどうしなきゃならぬかと。近隣諸国の日本に対する声や要望等も確かにあるわけでありますから、そういったことも踏まえて私は検討していかなきゃならぬ大変な問題だと、こう受けとめております。
○中村鋭一君 ですから、大変な問題ですから、私は日本の総理大臣としての海部俊樹さんに認識の問題をお尋ねしているんです。認識というのは、やっぱり目には目を、歯には歯をという言葉があります。相手が敵意を持っていると、こちらもそれはわかります。それが例えば武器というものを見た場合には、具体的に鉄砲を千丁持っている人を敵と認識する場合と、千丁持っていた鉄砲を九百丁減らして百丁にして、そうして私はもうあなたを害する気持ちは持っておりませんよというのとでは、相手の受け取り方は随分違うでしょう。幾ら総理が専守防衛だとおっしゃったって、今の防衛力の整備の仕方はまだまだ相手方から見れば、これは重大な脅威に映る。相手方が既に脅威でなくなりつつあって世界じゅうがグローバルにデタントの方向をたどっているときに、いろいろな条件がありますから、そういう条件を重大に受けとめて慎重に考えてとおっしゃっているようではいけないんじゃないですか。百尺竿頭一歩を進めて、総理がもう日本は世界に緊張は存在しないと認識をいたしました。日本自体は専守防衛ではありますけれども、今の軍備を専守防衛とは受け取らない方があるかもわかりませんから、思い切って我々がもって範を示しますと、このような方向で防衛力を理解するような方向に総理はお進みになる意思はございませんかと、こうお尋ねしているんでございますが。
○国務大臣(海部俊樹君) 今の日本の防衛力整備を専守防衛とやはりすべての人が受けとめてくれると私は信頼しますし、ということは能力がないわけですから……
○中村鋭一君 それは違う、それは違う。
○国務大臣(海部俊樹君) それはどこの国を今想定して相手国とかこちらとかおっしゃったか私はわかりませんけれども、いずれの国にしたって、日本の節度ある防衛力の整備で、これが害を与えるとか、侵攻していくとか、そんなことを考える国はないと思うし、まさにそれは違うと思います、私は。同時に、この間のサテライトセッションで私はアジアの国々の首脳ともテレビで討論しましたけれども、逆にアジアの国のリーダーのある人は、日米安保条約をきちっと維持し続けてくださいよ、あなたの国は今は専守防衛だから何の心配もないけれども、もし日米安保条約がこれでなくなったとするなれば、経済力のほかに日本には怖い力が出てくるかもしれぬということをサテライトセッションでもついこの間私は言われたばかりでありまして、日本安保条約のもとで、さあというときはアメリカの核の傘の下で日本は抑止力を守ってきたんだ。だから、控え目の節度ある防衛力だということでアジアの首脳も安心して見ておるから、あのようなサテライトセッションのときの発言になったんではないでしょうか。私はそう思っておりますので、少なくとも疑いを持たれるように、これ以上強くこれ以上前進してというようなことは絶対に考えませんし、それはとりませんし、安全保障会議でもそういったような立場で物を言うことはいたしません。ただ、欧州とアジアと事情の違う中で、そしてアジアの国々も今のようなことでやっていけと、そしてそれを認めておる中で、日本はどのようなことが限度かということは、新しい情勢を踏まえて安保会議で議論をすると私も申し上げておるわけでありますから、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
○中村鋭一君 最後に一言だけ、総理に一つ指摘をしておきます。 環境庁の地球的環境汚染に関する働きのために用意された予算は二十数億円であります。それでも前年度よりも倍増以上です。環境庁の方はこの間喜んでおられました、倍以上にふえましたと。今、地球的環境をどうするか、これは大変なことなんですね。それで二十数億です。イージス艦一隻は千五百億円ですか、あの欠陥だらけの船がですね。だから、やっぱり総理大臣、いわゆる軍艦と言われる船一そうが千五百億で、日本が世界の先頭に立って闘わなければならない地球的環境汚染を防ぐための予算がわずかに二十億を超えたものであることだけはしっかりと認識をしておいていただきたいと思います。 終わります。
○猪木寛至君 原子力の平和利用ということについては、総理の見解はもうお聞きしているので、エネルギーということで私が七〇年代第一次、第二次オイルショック、そして今はまさにエネルギーの使いほうだいという中で、本当に当時原子力というのが大変脚光を浴びて、今反原発というのが大変強まっている中で、エネルギー問題ということとこの原発問題、大変大きな問題だと思います。 そこで、日本の場合はトイレなきマンションと言われていることで六ケ所村の問題も出ておりますが、一つは私がソ連の方に行きましたときに向こうの政府に提案したわけなんですが、日ソの関係がこれからよくなるという前提の上において、一つの日ソ関係のきっかけとなるようにリサイクルシステムを導入したらどうかということを申し上げたことがあるんです。大変興味を持っていたようです。これにお答えは結構です。 今回、六月二十二日にイランで起きた地震、これは我々日本も地震国ですから他人事ではありません。そして、前回ソ連で起きたアルメニア地震のときに私は酸素ボンベを持ってすぐに駆けつけたんですが、大変これは喜ばれました。 今回、日本政府としてはどのような対応をされたのか、お聞かせください。
○政府委員(渡辺允君) イランのカスピ海沿岸で二十一日に起こりました地震につきましては、被害者の数等もなかなか現場との連絡がとりにくいということではっきりいたしませんが、昨日の段階でイラン政府の発表によりますと、死者が四万人を超える、負傷者も相当数に上るということでございます。イラン政府からの要請を受けまして、私ども早速に二十二日には総勢二十二名の国際緊急援助隊を派遣いたしております。これは救助チーム十二名及び医療チーム十名でございます。そのほかに緊急援助物資、例えば毛布でございますとかテント、薬品等を送っておりまして、これが金額にいたしまして総額八千三百六十万円でございます。そのほかに赤十字を通じまして百万ドルの資金援助をしたところでございます。
○猪木寛至君 その援助については、どうなんでしょう、対主要国というか、それと対比した場合には多いんでしょうか少ないんでしょうか。
○政府委員(渡辺允君) それぞれの国がそれぞれの事情によりましてイランとの関係もいろいろでございますので、いろいろ現金の場合、物資の場合、人の場合等いたしておりますが、私どもは我が国の援助態勢は必ずしも主要国に比べて引けをとらないものと思っております。現地の報告でも現地の人から大変喜ばれておるようでございますし、先方外務省の首脳からも謝意の表明がございました。
○猪木寛至君 エネルギーという問題でイランは我が国にとって大変友好国だと聞いております。その中で、今回の地震によって例えば我が国に入ってくる輸入量が減るとか、そういうような影響はどうなんでしょうか、被害はありませんか。
○政府委員(渡辺允君) 当面見ましたところでは、地震の被害のございましたところと石油関連の地域とは恐らく異なっておると思いますので、これが直ちにそのような意味で影響を及ぼすというふうには考えておりません。
○猪木寛至君 総理にちょっとお伺いいたしますけれども、シベリア抑留問題についてということで、アレクセイ・キリチェンコという人が非は我がソ連にありということを言っているんですが、ある雑誌でこれは紹介されているんですが、対日参戦合法論の見直しというようなことや、それからもう一つは、五十九万人でしょうか、抑留されたあれは。今後日ソの関係がよくなっていくときに、こういう問題は論議されるんでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 今御指摘になりましたキリチェンコさんの文章や物の考え方、最近ソ連の学者の中にシベリア抑留問題等について、従来のソ連側の立場を見直そうという意見も見られますことは私もよく承知しております。また、ソ連政府は、墓参など日ソ間の人道問題により前向きに対応するようになってきております。このような動きがこれまで政府がソ連側に一貫して申し入れてきている墓地調査、遺骨収集、墓参等の問題に対するソ連政府の一層前向きな対応につながっていくということを今は心から期待をしておるというところでございます。
○猪木寛至君 このキリチェンコ氏は科学アカデミーという紹介があるんですが、実際にはこの人の立場というんでしょうか、これはソ連の中においてどのような位置づけにあるんでしょうか。
○政府委員(都甲岳洋君) キリチェンコさんは東洋学研究所の部長でございますので、それなりにソ連の科学者の間では権威のある地位におられるということでございます。直接に政府に対する助言機関ではございませんけれども、政府に対してもいろいろな形の助言を行っているということは事実上ございます。
○猪木寛至君 本当に来年ゴルバチョフ大統領が日本に来られるということで、幾つも山積した問題があると思いますが、これはちょうどこの間総理が沖縄にも行かれまして、やはり県民感情大変つらいものがあったと思うんですが、これはやはりここにあるんですが、五十九万四千人という抑留者、それで私の兄貴もたまたまその中にいまして、そういうことからこの北方領土という問題とは別に、やはり対ソ不信という部分、大きなこれは感情的なしこりがあるんではないかと思うんですが、総理の見解をお聞かせください。
○国務大臣(海部俊樹君) そういった人間の感情に残る問題については、でき得る限りお互いの努力によって歩み寄り解決をしていくことが望ましいわけでありますけれども、ソ連側のそのような態度を表明されるということ、また事実そういったような方向に墓参の問題等を通じても見られるような動きのあるということは、私は非常に歓迎すべきことだと思っております。
○猪木寛至君 外務大臣はいつでしょうかね、いや、ソ連の外務大臣が来られるという日程が発表になっておりましたが、我々そういう抑留問題、これは政府レベルで交渉してもらえるような方向でひとつ進めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 本件に関しましては、日ソ共同宣言において一応日ソ間の戦後の領土以外の問題は両国が合意をしたものでございますけれども、現に国会議員の中にも、戦後ソ連に抑留された方々で国会議員に現職でおられる方がたくさんいらっしゃいます。こういう方々を含め、この長い間ソ連に抑留されたあるいは強制労働に服された方々がまだ今なお日本にたくさん生きていらっしゃる。また御家族もたくさんいらっしゃる。この日本の心の中に打ち込まれた大きな一つの敗戦後のソ連における苦しみというものは、我々日本人の心からなかなか取り去られない。この問題をやはり取り去ることの努力をソ連側がされることによって、日本とソ連との間の心の本当の友好が促進されるものと、私はそのように考えております。
○猪木寛至君 私は、きょう十分しかないということで、まだいろいろお聞きしたいんですが、中途半端になるのでこれで終わりにいたします。 ありがとうございました。
○委員長(山東昭子君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終わりました。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時三十一分散会