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118回国会参議院1990/09/19

外務委員会 閉会後第1号

発言数
305
登壇者
21
会派数
6
開催日
1990/09/19

会議録

岡野裕自由民主党

○委員長(岡野裕君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨十八日、猪木寛至君が委員を辞任され、その補欠として三治重信君が選任されました。     ─────────────

岡野裕自由民主党

○委員長(岡野裕君) 国際情勢等に関する調査を議題といたします。  最近の中東情勢について、政府から報告を聴取いたします。中山外務大臣。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 本日は、最近の中東情勢につきまして一言御報告申し上げたいと思います。  今般のイラクによるクウェート侵攻及びその一方的併合は、国際法秩序の基本的原則にもとる明白な侵略行為であり、中東のみならず国際社会全体の平和と安全を破壊するものであり、我が国として到底容認できないものであります。仮に国際社会がこのようなイラクによる違法行為を放置し、その既成事実化を黙認するようなことがあるとすれば、今後中東地域、さらには世界の秩序が極めて不安定で危険な状況に陥るおそれがあり、国際社会は一致団結しイラクに対し毅然とした態度をとるべきであります。しかも、湾岸諸国からの石油供給に大きく依存している我が国にとって、同地域の平和と安定の回復は国益の根本にもかかわる問題でございます。  このような認識に立ち、我が国はイラクのクウェート侵攻及び併合を強く非難し、イラクに対しクウェートからの即時無条件撤退を求めた国連安保理決議六百六十の即時履行を強く求めております。また、経済制裁措置を規定した国連安保理決議六百六十一の成立に先立ち、独自にイラクに対する包括的な経済制裁措置を決定するとともに、同決議の成立後は決議の誠実な履行のための所要の措置をとり、これを厳格に実施してきております。  この問題に関しては、累次の国連安保理決議を受けて、米国、欧州、アラブ、アジアの多くの国々を初め国際社会全体がこれらの決議の履行のための努力を続けておりますが、我が国としても、このような国際的努力に対し我が国の国際社会における地位にふさわしい積極的貢献を行うべしとの決意から、先般政府は中東における平和回復活動に係る我が国の貢献策を取りまとめ発表したところであり、現在その具体的な措置の肉づけを行いつつ、速やかな実施に向け鋭意具体化を図っているところであります。  本貢献策の一つの柱は、湾岸における平和回復活動に対する協力であり、いま一つの柱は、中東関係国に対する支援であります。  前者につきましては、輸送協力、物資協力、医療協力、資金協力について、厳しい財政事情ではありますが、総額十億ドルの協力を本年度予算において行うことを既に決定していたところであります。今月十四日、その後の中東情勢等にもかんがみ、我が国として湾岸における平和と安定の回復のための各国の国際的努力に対しさらに積極的に貢献していく必要があるとの見地から、さきの十億ドルに加え新たに十億ドルを限度とする追加的協力を行う用意がある旨表明したところであります。  また、中東関係国への支援につきましては、今回の事態により緊急かつ深刻な経済的困難を抱えたジョルダン、トルコ、エジプトといった周辺諸国に対し総額二十億ドル程度の経済協力を行うこととし、まずこれら三カ国に対し、今次非常事態に対応する例外措置として六億ドルの超低利の緊急商品借款を供与することといたしました。これに続く支援策につきましては、今後情勢の推移を見きわめつつ、関係各国及び国際機関とも協議しつつ、その具体的内容を含む国際的な支援体制がつくられるよう積極的に働きかけていくことといたします。また、避難民に対する救済及び本国帰還支援等のために、国際機関及びジョルダン政府に対し総額二千二百万ドル強の資金援助等を行いました。  こうした我が国の貢献策が憲法の枠内で実施されるべきものであることは論をまちませんが、湾岸の平和と安定の回復は他人任せにはできない極めて重大な事項であり、我が国としましても、人を出し、汗をかき、湾岸の平和の回復に十分な貢献を行うとの観点より、我が国としての協力を思い切った規模と内容にしているものであります。  事件発生以来一カ月半余りが経過し、この間国際社会が国連安保理決議の実施に多大の精力を払っているにもかかわらず、イラクはクウェートからの撤兵を実現するどころかクウェート併合の既成事実化を図っている模様であり、まことに憂慮にたえません。我が国は、今後とも国際社会が一致協力して国連安保理諸決議を完全に実施し、他国の主権、独立及び領土保全の尊重、国際紛争の平和的解決といった国際社会に広く認められた原則によって問題の公正かつ平和的解決を相当期間にわたる忍耐と粘り強い努力によって追求していくことが重要であると考えます。  最後に、湾岸地域における在留邦人の保護について申し上げます。  イラク政府による在留邦人を含む外国人に対する不当な身体の拘束、出国の禁止等の措置は、国際法上も人道上も容認できない行為であり、政府といたしましては、イラク政府に対し繰り返し抗議を申し入れるとともに、一刻も早い邦人の自由な出国等を要求してきているところであります。また、国際社会の総意を結集してイラク政府に当たる必要があるとの観点から、国連、赤十字国際委員会等国際機関にも働きかけを行っております。  政府といたしましては、今後とも同じ立場にある他の諸国とも協力しつつ、邦人を含めた外国人の一刻も早い解放と出国を目指し、イラク政府に粘り強く働きかけていく所存であります。  以上であります。

岡野裕自由民主党

○委員長(岡野裕君) 以上で報告の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

原文兵衛自由民主党

○原文兵衛君 ただいま中山外務大臣から中東紛争についての御報告がございましたが、八月二日、イラクのクウェート侵攻以来、中山外務大臣の寧日なき活躍、また外務省の皆さんの日夜を分かたぬ御努力に対しては本当に御苦労さまでしたと、これは心から申し上げたいと思います。ただしかし、日本政府の中東問題への対応は残念ながら内外から多くの批判が出されております。私も理解できないことが少なくありませんので、中東問題に関連して幾つかの御質問をいたしたいと思います。  まず第一でございますが、今の御報告にもございましたけれども、去る九月十四日、政府は中東支援策の第二弾として多国籍軍への十億ドルの追加支援、さらにエジプト、トルコ、ヨルダンの紛争周辺三カ国に対して約二十億ドルの経済援助を決めたということでございますが、私が聞きたいのは、中東支援策第一弾というものでしょうか八月の二十九日にお決めになりました事項、「湾岸における平和回復活動に対する協力」として、一、民間航空機、船舶の借り上げによる食糧、水、医薬品等の輸送、二、防暑、水の確保面での資機材の提供、三、百人をめどとした医療団の派遣、四、各国が借り上げる航空機、船舶の経費等への資金協力、また「中東関係国に対する支援」として、ヨルダン、トルコ、エジプトなど周辺諸国への資金援助、ヨルダンの難民支援のための一千万ドルの援助を決めておりますけれども、この第一弾が一体どういうふうに実施されているのか。このうちどれが実施され、どれが準備中なのかということを、これは関係局長で結構でございますが、箇条書き的に簡明にひとつお答えいただきたいと思います。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) お答え申し上げます。  私どもただいま八月二十九日及び三十日に政府として決定をされました「中東における平和回復活動に係る我が国の貢献策」につきましては、可能なものからできるだけ早く実施に移していくということで、日夜検討をし準備を進めておるところでございます。  さらに具体的に申し上げますと、「湾岸における平和回復活動に対する協力」の中で、先生御指摘の順番で申し上げてまいりますと、まず輸送協力がございますが、これは我が国政府が民間の船舶、航空機をチャーターして輸送協力を行うことでございます。これにつきましては、米国を含めます関係国が実際にどのような輸送の必要を有しているかということを踏まえまして、具体的な対応、予算の手当て、契約内容の詰め等につきまして現在最終的な調整を行っておるところでございます。  それからいわゆる物資協力でございますが、これにつきましては、この枠組みが決まりましたときに速やかにそれを実施し得るようにするという観点で、九月六日に四輪駆動の車両等約八百台をサウジアラビアに向けて搬出したところでございます。今後も各種の物資につきまして、できますものから逐次搬出していくように準備を行っておるところでございます。  それから第三の医療協力でございますが、これはまず第一歩といたしまして十八日、昨日でございますが、十七名から成る医療団の先遣隊をサウジアラビアに派遣いたしました。そのほかの協力についても早急に具体化するように現在努力中でございます。  それからもう一つの分野でございます「中東関係国に対する支援」につきましては、今回の事態で特に深刻な影響を受けておると考えられますエジプト、トルコ、ヨルダンといった周辺諸国に対しまして総額で二十億ドル程度の経済協力を行うことを決定いたしました。このうち、まず六億ドルにつきまして、緊急の商品借款として先ほど申し上げた三カ国に早急に供与する方向で準備を進めております。  それからこの関連では、ヨルダン等におります難民の援助につきましては既に関係国際機関に対しまして総額二千二百万ドルの拠出を行い、またヨルダン自体に対しましても直接の支援を行っておるところでございます。

原文兵衛自由民主党

○原文兵衛君 ありがとうございました。  お伺いしていますと、実際に実行したのは四輪駆動車の輸送船による出港、それからこの間周辺国に対する二十億ドルのあれを決めたということ、それと医療の先遣隊が昨日十七名出発したということで、あとはまだ調整中とかいろいろ連絡をとっているとかいうようなお答えが多いわけです。第二弾として随分いろんなことを言っているんですが、第一弾をまず確実にひとつ実施をするように、いろいろな問題があると思いますけれども。何かそうしないと、次から次に多額のお金の額ばかり新聞に出て、一体どうなのかというような気持ちが国民の間にありますので、ひとつお願いしたいと思うんです。  そこで、もう一つこれに関連してお伺いしますけれども、今お話がありました九月の六日でしたか名古屋港を出港した自動車運搬船ですけれども、今現在はどこにいるんですか、あるいはこれからどこの港に着いてどこに四輪駆動車を引き渡そうとしているのか、この点はどうなんでしょうか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○説明員(松浦晃一郎君) 先ほど渡辺局長から申し上げましたように、九月六日の未明に先生御指摘の八百台の車両を乗せました船がサウジアラビアへ向けて出発いたしました。現在私どもが承知しておりますのは、サウジアラビアへ向けて順調に航行中ということでございまして、通常日本から二週間から三週間かかりますので、九月六日に出まして二、三週間後にはサウジアラビアに着くと承知しておりますが、正確にどこに到着するかはまだ未定と伺っております。

原文兵衛自由民主党

○原文兵衛君 どこの国にどういうふうに渡すのかということです。

松浦晃一郎外務省北米局長

○説明員(松浦晃一郎君) これは全体のことにもかかわることでございますが、先生から先ほど来第一弾の実施をしっかりやるべしという御指摘でございまして、まさにそういうことで私ども第一弾の実施に、全体の実施にかかわることでございますけれども、受け皿づくりというのがございまして、この受け皿づくりが初めてでございますので残念ながら時間をとっておりますが、ほぼGCC、湾岸協力機構というものを受け皿にすることが決まりましたので、これもとりあえず民間ベースで今の八百台を送り出したわけでございます。この受け皿が決まりましたら政府の予算の対応が決まりますので、それを受けて今先生御質問の具体的な事項についても決めてまいりたい、こう考えております。

原文兵衛自由民主党

○原文兵衛君 今GCCのことが答弁の中に出ましたけれども、いわゆる多国籍軍への資金援助なんだろうと思いますけれども、最初に十億ドル決めて、この間九月十四日ですか、第二弾としてさらに十億ドル追加したということでございます。これの受け皿を湾岸協力機構というんですか、GCCにしたいというふうに私は伺っているんですが、それはGCCに受け皿が決まったのかどうか、話し合いがついたのかどうか、この辺はどうなんでしょう。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) 私どもといたしましては、いわゆる受け皿につきましては何らかの国際機関が適切であろうということで種々検討してまいりまして、現在GCC、湾岸アラブ諸国協力理事会と協議を進めております。これは相当最終段階に入っていると申し上げてよろしいかと思いますけれども、まだ正式の決定あるいは合意に至ったというところまでは至っておりません。近日中にその段階に至りますよう現在努力中でございます。

原文兵衛自由民主党

○原文兵衛君 今の十億ドル、さらに追加十億ドルの問題につきまして、ぜひこのことは聞いてくれというふうに私は頼まれているわけでございますが、資金協力は各国が借り上げる航空機、船舶の経費等、「等」という字がついているんですが、この「等」とは一体何なのか。各国が借り上げる航空機、船舶の経費等、この「等」とは何なのか。例えばサウジが各国から兵器を買い入れる場合にも適用があるというようなことになると大変心配なんだが、これはどうなのかということでございます。この「等」についてお答えいただきたいと思います。

松浦晃一郎外務省北米局長

○説明員(松浦晃一郎君) 先生御指摘のように、多国籍軍への協力の四つの柱の「資金協力」のところに「各国が行う航空機・船舶の借り上げ経費」というのが明示的に書いてございまして、あとは「等」ということになっておりますが、この「等」に関しましては、今後具体的なメカニズム、先ほど来GCCのことをお話ししておりますが、それが確定した段階でGCC及び関係者とよく話をしたいということで、現段階では決まっておりませんが、先生御指摘のようなことは私どもの念頭にはございません。

原文兵衛自由民主党

○原文兵衛君 次に移ります。  これは私の意見を申し上げるのが主になるかと思いますけれども、去る十五日のある新聞の朝刊ですが、ある新聞の政治漫画に、ごらんになったと思いますけれども、ブッシュ大統領らしい顔の人が鐘つき棒でもって海部総理らしい似顔絵のかかれたつり鐘をゴーンとたたいている。そうすると、つり鐘の下には「多国籍軍十億ドル支援」と書いた箱があり、その上に「も一つ十億ドル」と書いた箱が落ちている。そのわきの方に「周辺国向け二十億ドル」と書いた箱が落ちている。こういう絵でございまして、その下に「それ突けやれ突けいい値色」。「値色」というのは音の色じゃなくて値段の値ですね。「いい値色」と、こういう政治漫画があったんです。私は、率直に言いまして、この漫画を見て何ともやるせないような残念な気持ちに落ち込んだわけでございます。  日本の国は何も打ち出の小づちを持っているわけではございません。経済大国と言われるようになったのも国民の努力の結果でございます。また、資金協力、経済援助の金も国民の税金です。日本はもちろん平和のために必要にして十分な貢献をしなければならないと思います。しかし、むだに使われてはならない。お金というものはむだに使われてはならないと思います。多額の支援というものは十分にその効果があらわれなければならないと思うのでございます。  なお、ちょっと横道にそれるかもしれませんが、最近、お金を出すことに対して、何かお金だけでいいのかというような卑下する気持ちがあるように思うんです。そういう声があるように思うんです。日本の資金協力、経済援助について、金だけ出して人を出さないのは情けない、それじゃだめなんだという声がかなりあるように思います。私も日本は金だけ出せばいいとは思いませんけれども、しかしお金を出して支援するということに対して決して卑下することはないと思うんです。決して卑下することはない。もちろん国連を中心とした国際平和の維持、国際平和の回復活動に協力するために要員を派遣しなければならないこともあると思いますけれども、いずれにしても憲法の精神にのっとった資金協力というのは、やっぱり経済大国と言われているんだから、私は日本にふさわしい一つの方法だと思うんですよ。  まあそれだけでは足りないと思います。要員の派遣というものも必要かと思いますけれども、とにかく憲法の精神にのっとった日本にふさわしい協力の方法というものを確立する必要があると思いますが、これにつきまして外務大臣の御所見を伺いたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 委員御指摘のとおり、このような新しい国際環境、つまり今日までの米ソのスーパーパワーの対決というものが終わりまして、米ソも一緒になって不法な武力による他国の侵略というものに対処するために、国連を中心に地域の安定を回復させるために努力をするという行為の中で、日本政府として憲法の枠内、また許された法律の範囲内で日本国が何ができるかということを考えますれば、御指摘のように、我が国は経済的に繁栄をした国家でございますから、我々の国の立場、国際社会における我々の国の地位というものから考えますれば、我々の国で資金を提供する、平和のために資金を提供するということは決して卑下することではない、我々の国ができ得る一番大きな貢献ではないか、私はそのように認識をいたしております。

原文兵衛自由民主党

○原文兵衛君 それでは、その御答弁の延長線上になるわけでございますけれども、国連平和協力隊というものが今構想されているように毎日のように報道されておりますが、これにつきまして御質問したいと思います。  政府は、これはある報道なんですけれども、中長期的中東貢献策として国連平和協力隊の創設を検討しているが、これは自衛隊法改正を行わず国連平和協力法一本で対処するという、こういう報道を最近見ているわけでございますけれども、これは中東貢献策という臨時的なものなのか。私はそうじゃなくて、これからもずっとやはり国連を中心とする平和の維持、国際平和の回復活動等に協力するための恒久的なものだと思うんですけれども、この点ひとつはっきりさしていただきたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 委員御指摘のとおり、新しい国際協力のあり方、そういう観点に立ちまして今回政府が検討いたしております、仮称でございますけれども、国連平和協力に関する法律、こういうものが臨時的なものではなしにこれから将来に向かっての恒久的な一つの法律になるべきものであると私は考えております。

原文兵衛自由民主党

○原文兵衛君 その恒久的なものということでございますが、まだ余りはっきりはしてないかもしれません。なお今いろいろと御検討中かもしれませんけれども、この国連平和協力隊というものの性格、目的、規模あるいは構成員の身分、訓練、これらについてどういうような御構想があるのか、どなたでもいいですからお答えいただきたいと思います。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) ただいま先生から国連平和協力隊の性格、目的、身分、規模等についての御質問でございますが、まだ政府部内でいろんな意見を交換している段階でありまして、具体的にこういうものだということは決まっていないものですから、今御質問の諸点にお答えすることは非常に難しいわけです。  いずれにしましても、国連が行っておりますいろんな平和維持活動ですとかあるいは国連が通すいろんな決議の実効性を担保するために、日本として人の派遣の面でいかなる貢献ができるかという点を念頭に置いていろいろと検討を行っております。

原文兵衛自由民主党

○原文兵衛君 いつごろをめどに国連平和協力隊を、もちろん法律をつくらにゃいかぬことなんですけれども、大体いつごろをめどに創設しようとしているのでしょうか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) 今、具体的な時期につきましては未定でございます。できるだけ早くできることが日本の国際的な役割という観点から非常に望ましいとは考えておりますけれども、具体的にいつということはまだ決まっておりません。

原文兵衛自由民主党

○原文兵衛君 大臣、私はこのことについてちょっと申し上げておきたいんですけれども、自衛隊員の派遣というのは、これは憲法との関係上特に慎重を期さなければならないと私は思うんです。そういうような意味におきましては、私はこれについてはだんだん拡大解釈されていくんじゃないかという心配を実は持っているわけでございます。したがって、拡大解釈を防ぐ意味におきましてもはっきり法律に書かなくちゃいけない。それが自衛隊法の改正であってもいいし、あるいは新しい法律をつくってそれによってもいい、どちらでもいいと思います。いいと思いますけれども、とにかく法律にしっかり書いて、歯どめをしっかりしておかなければならないと思いますが、御見解いかがでしょうか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 委員御指摘のとおりでございまして、新しい法律にきちっと書き込んでおかなければならないというお考えには私も同感でございます。  これは戦後平和憲法のもとで教育を受けて我が国を支えていただいている方々に、新しい国際社会に国家あるいは国民がどのような協力をすべきかという一つの大きな認識がなければ、この法律は運用できないと私は思っておりますし、また過去の第二次世界大戦によって被害を受けられた東南アジアの国々の方々も、この法律の内容がいかがなものかということについては重大な関心をお持ちであろうと私は考えております。そういう意味から、外国に対しましても国内に対しましても、法律によるきちっとした案文、条文をつくるということは極めて重要なことであろうと考えております。

原文兵衛自由民主党

○原文兵衛君 余り時間もないようでございますが、最後に、第三次中東戦争のときの国連安保理事会決議二百四十二というのがございますが、これについてお伺いしたいと思います。  実は去る九月九日、ヘルシンキでブッシュ・ゴルバチョフ米ソ両首脳会談が行われまして、その後共同記者会見が行われました。記者会見の時間が少しおくれて、始まったのが十二時半ぐらいでしたか、私それを終わるまで夜中までずっと見ていたわけでございます。そのときに気になったことがございますので、これについての外務省の所見を伺いたいと思うんです。  その共同記者会見の中で、これは外国の新聞記者ですけれども、ある新聞記者が、「今回の湾岸危機はパレスチナ問題に影響するだろうか。」という質問をしました。これに対してブッシュ大統領は、「国連の対イラク制裁決議実施とパレスチナ問題は別個のもので、この二つの問題を関連づけると国連決議実施が困難になる。パレスチナ問題は一定の条件が満たされれば解決されると信じる。」、こういう答えをしたんですね。このときはゴルバチョフは黙っていました。ところが、あと一、二質問を終えてまた同じ質問、このことについて別の記者が聞いております。「ブッシュ大統領は今回の湾岸危機とパレスチナ問題は関係ないと言ったが、どうしてなのか。パレスチナ問題解決のための国連決議順守が実行されていない点をどう思うか。」という質問をしました。ところが、これに対してブッシュ大統領は、「国連安保理決議二四二が実施されることを望み、努力してきた。しかし、今回クウェートに対しあからさまな侵略が行われた。今回の国連安保理決議は他の問題と関係させることなく実施すべきだ。パレスチナ問題もいずれ解決されることを私は望んでいる。」、こういうブッシュさんの答えでしたが、このときはゴルバチョフさんもすぐその後答えまして、ゴルバチョフ大統領の方は、「今後、中東問題をより真剣に考えなければならない。今回の湾岸危機はどうして起きたのかその原因をじっくり考える必要がある。湾岸危機はそれ以前の問題と無関係でないのだ。」、ゴルバチョフ大統領はこういう答えをしているわけです。これを聞く限り、何か両者の答弁が異なっているように私は感じたわけでございます。  国連安保理決議二百四十二というのは、御承知のように、一九六七年六月の第三次中東戦争、六日戦争と言われましたが、その戦後処理に関して国連安保理事会が同年の十一月二十二日に採択した決議でございまして、イスラエル軍の占領地の撤退その他について決議をしております。私は今度の紛争、これはぜひ平和的に解決されてほしいと願うものでございますが、そのためには今までイラクと深い関係にあったソ連のゴルバチョフ大統領が一役買うんじゃないかというような気がするわけでございます。もしそうなると、この国連安保理決議二百四十二というものも等閑視できなくなるんじゃないかというふうに私はちょっと感じているわけでございますが、この点についての外務省としての御見解があればお聞かせいただきたいと思います。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) ただいま先生御指摘の国連安保理決議二四二は、いわゆるアラブ・イスラエル紛争あるいはパレスチナ問題というふうにも言われております中東和平問題を取り扱った決議でございまして、この中東和平問題は依然として中東地域における極めて重要な基本的な政治問題でございます。したがいまして、私どもといたしましてもこの問題の公正な解決が図られることは極めて重要だと思っておりますし、従来ともこの問題につきまして、先生ただいま御指摘のようなイスラエルの六七年以降の全占領地からの撤退、それからパレスチナ人の民族自決権の承認というような原則に基づいてこの問題を解決すべきだという主張を行ってきておるわけでございます。  ただ問題は、現在イラクのクウェート侵攻それからクウェートの併合という問題が起こっておりまして、これについて安保理を中心に国際的にこれを解決するための努力が行われておるわけでございますので、この問題の解決をまず図ることが重要でございます。中東和平の方につきましては、この問題とはある意味で切り離した形で、またそれはそれとしてその解決を追求していくべきものだというふうに考えております。

原文兵衛自由民主党

○原文兵衛君 終わります。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 混迷を深めております中東情勢に対応するため、中山外務大臣初め皆様の連日連夜の御努力に心から敬意を表します。  時間も三十分と限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。  来月の海部総理の中東訪問は予定どおりでございますか。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) 海部総理の中東御訪問は、先生御承知のとおり、実は八月に予定をいたしておりましたけれども、その直前に起こりましたイラクのクウェート侵攻によりまして中東情勢も大いに変動いたし、日本政府としてこれにいかに対応すべきかということを早急に検討するために、総理はこの訪問を暫時延期されて東京に残られたという経緯がございます。その際、関係国の都合等も照会し、十月上旬をめどに行くことにしたいということでございましたけれども、現在でも一応その方針で進めておるところでございます。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 総理の中東訪問が実現した場合はサウジ、エジプト等の五カ国をお回りになるということでございますが、そうなりますと、現在イラクで人質となっております邦人の安全にどのような影響があるのか、その点どうお考えになっていらっしゃいますか。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) 総理が中東を訪問されます場合には、先生御指摘の五カ国、サウジアラビア、オマーン、ヨルダン、エジプト、トルコを訪問されることになると思いますけれども、これらの国々につきましてはいずれも長い経緯がございまして、それぞれの国を訪れるのが適当という判断で訪問されるわけでございます。  それで、イラクに抑留をされております方々の問題につきましては、先ほど大臣からも冒頭発言がありましたように、私どもとしてもこの問題の解決のためにあらゆる努力を尽くしておるところでございますし、今後ともそのように全力を尽くしていきたいと思っております。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 私が伺っているのは、総理が五カ国にいらっしゃいましてどういう対話をなさるのか、何をおっしゃるのか、そういう一言一言がイラクにはすぐ聞こえて、そこにいる邦人の方たちは非常にそれに敏感に神経質になって、自分たちの生命、生死の問題であるとも思うんですけれども、それについてどう考えていらっしゃるのかということです、具体的に。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) 私どもといたしましても、ただいま先生御指摘の点は常に心の中に非常に大きな問題としてあるわけでございます。それで、今回総理が中東を訪問なさいます場合の目的と申しますか、それは今回の湾岸情勢との関係で申しますれば、湾岸情勢がこれまで国連の安保理が採択をしてまいりました決議に従いまして公正な形で、しかも平和的に解決されるようにその方途を探りたい、そのための一助としたいということでございますので、この点について御理解をいただきたいと思います。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 人の命は地球より重いとおっしゃった総理がいらっしゃいますけれども、この人質、日本の方たち、お客様としてあちらにいらっしゃる方たちの生命を見捨てないようにしていただきたいと思います。  今月の六日、私はリファイ駐日イラク大使を訪ねまして、お互いに長い友人でもありますので、現在の中東情勢について非常に正直に意見をぶつけ合っておりました。ちょうどそのとき、イラクのラマダン第一副首相が北京にいらしていました。ラマダン副首相は日本訪問をそのとき大変強く希望していらしたようでございます。また、非常に親日的なチャラビ石油大臣も八月中旬ごろ日本訪問を強く希望していらしたようでございます。外交と対話の場を持つというチャンスであったと思うんですけれども、どのような理由でイラクのナンバーツーであるラマダン副首相や親日家のチャラビ石油大臣の訪日を外務省は拒否なさったのかお聞かせください。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) 私どもといたしましてもイラク側にいろいろな希望があるということは十分承知しておりますし、また、外務省が拒否をしたというのは必ずしも正確ではないかと思います。ただ、私どもといたしましては、今回の事態を先ほど申し上げたような安保理決議に従いまして公正に平和的に解決するということ、それから特に日本人を含みます全外国人の自由と出国が確保されるということ、そういう問題について真剣に話し合うということでありますれば、イラク側との対話を拒むというつもりはないわけでございます。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 私は、せっかく向こうがいらっしゃりたいとおっしゃっているんですから、外務大臣でもこういう対話の場をつくっていただいて、何か日本ができる役割を果たしていただきたいという気持ちでいっぱいなんですけれども、非常に残念だと思います。  次に移りますが、軍事衝突が起きれば、当然双方に多数の死傷者が出ます。こういう事態は絶対に避けなければならないと思いますし、平和憲法をいただく日本の代表として、紛争の調停役、ミディエーターとして海部総理がイラクを訪問されてはどうかと思うんですけれども、いかがでしょうか、大臣にお伺いします。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 海部総理がイラクを訪問されることはどうかという委員のお尋ねでございますけれども、一つの考え方として私はそれなりの評価をすべきことであろうと思います。  しかし問題は、今局長が御答弁申し上げましたように、イラクが国連の決議を尊重してクウェートから撤退をする、それから各国の人質を即時解放するということをイラクの指導者によって意思を明確に我が方に伝えていただくということがやはりこの訪問については必要な条件ではないか。私は、総理以外にも、私の立場も含めまして、もしそのような機会がありますれば、やはり国連決議を尊重するというイラクの政府の意思というもの、我が方としては国連加盟国としてある程度相手方からそれに対する確認を得るということがお目にかかる条件になるのではないか、私はそのように思っております。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 ですから、それをさせるために、クウェート撤退なり人質の即時解放をさせるために、その譲歩なり妥協がなければ戦争になってしまうという非常にせっぱ詰まった事態なので、それをさせるための対話を日本は持つことができないかという意味なんですけれども、そういう条件がなければ会わないというのでは、もう白と黒でさようならということになってしまいますから、何かそこに別にゾーンを設けて、日本が湾岸危機の平和解決に向けて平和憲法を持っているという日本の一つの特徴としてそういう役目ができないかということを切実に考えているんですけれども、いかがなんでしょうか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) そのような対話の場というものが持たれることは、それなりに意味のあることだと思います。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 大変意味があると思うんですけれども、それなりでなく。今それしかないんじゃないでしょうか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 問題は、我が国がイラクの指導者と会ってイラクの意見を聞くという場合には、日本の意見も申し述べますが、恐らくイラクはイラクの考え方を主張するだろうと思います。その場合に話し合いの場というものが持たれるのかどうか。一方的に意見を言い合うという場をつくるための機会をつくるということでは私は意味がないと思っておりますし、それなりの話し合うという意思を含めた事前の相互の意思の確認というものがやはり私は必要ではないか。  先般ラマダン第一副首相が北京を訪問されましたときにも大デレゲーションで行っておられます。私は、少なくともこれだけの大きな問題を解決するときには、責任のある人がそれぞれの責任において自国の考え方を述べ合い、そしてそれを調整していくという一つの環境というものを確認しなければ、この話し合いというものは双方の意見主張に終わる危険が極めて大きい。今までソ連を訪問されたイラクの代表者、中国を訪問されたイラクの代表者のその後の結果を私どもも注目して見ておりますけれども、いずれも不調に終わっております。日本がそのような機会を持つ場合には事前にそれなりの意思の交換を外交ルートを通じて行って、そして新しい事態へ向けて双方が意見を交換することができるという一つの環境が確認されるということが必要ではないか、そのように私は思っております。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 私は先日イラクの大使と、大変あの方も政府の意思を受けてのイラク一方の意見をとうとうと述べる方でございますけれども、私はそれに反発いたしまして、そっちの言いたいことばかり通していては戦争になる以外にないじゃないかということで、つかみ合いとまでは申しませんけれども、非常に口論いたしました。  そういうことをするチャンスがたくさんいろんなアングルであっていいんじゃないでしょうか。それでは話がもう平行線をたどるからしないんだというのでなく、私はあくまでもやはり妥協と譲歩がなければこの状態はおさまらないんだ、戦争になるんだ、そうしたらどれだけ多くの人が死ぬか、それを避けよう、戦争はいけないんだということをやっぱり説得していくということでございますけれども、話をしていると向こうもだんだんうなずいてはくるんです。ですから、もうだめだといって話さないというよりも、ぶつかりながらでも何か心が通っていくような人間同士の情みたいなものもありますし、突っ放さないで話をしていただきたいと思うんですけれども、間違っていますでしょうか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 委員みずからの大使とお話しになった御経験を踏まえての御意見として、私は大変貴重なことだと思います。私どもも国連決議を遵守するという加盟国としての責任がございます。そういう責任を踏まえた上で会う機会、話し合う機会というものを持つべきだということでございますが、私はそういう機会ができるように環境がどのように動いていくのか、ここを今私は私なりにいろいろと考えておる最中だということでひとつ御理解をいただきたいと思います。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 いろいろと中山大臣は大変御経験も深いし、この間からもずっと中東を回っていらしたし、いろんな事情、裏の事情もおわかりになっていらっしゃる。すべておわかりになっていらっしゃる上でいろいろお考えになっていらっしゃるというそのお考えを聞かせていただきたいんですけれども。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 大鷹委員は私よりもむしろ中東問題については権威者でいらっしゃると思います。  中東問題の背景というものは、いろいろ五カ国を回ってみましても大変歴史のある地域の問題でございまして、今回の紛争だけでなしに長い歴史の中で何回かの紛争がございました。そういう紛争の中で、イラクのサダム・フセイン大統領が言われるパンアラビアニズムと申しますか、全アラブ主義という一つの地域の考え方、アラブ人が全部一つになってこの地域の資源とかいろんな問題をアラブ人の手で解決していかなければならないという考え方があると思います。しかし、一方においては、今回のようにイラクと他のアラブ連盟と申しますか、アラブ同盟の国々との話し合いの中で突如としてイラク軍がクウェートを侵攻した。私がお目にかかった各国の大統領、元首もイラクの大統領にやられたということをはっきりと私におっしゃいました。そういう中でアラブ同盟軍というのが展開をしている。こういう事態で、全部アラブ人の手でアラブ問題を解決するというサダム・フセイン大統領の考え方に同意しないアラブの指導者が今多く力を出している。  こういう事態の中で、私どもはこの地域の紛争を将来的に見る場合、また短期的に見る場合、短期的に見る場合にはやはり国連決議に沿った事態の収拾ということが当面考えられる問題ですが、長期的に見れば、この地域の抱えている膨大な各国の債務、それと石油価格がいかに設定されるかという問題と各国の債務返済の一つのめど、あるいはアラブ人がこのアラブ地域の資源を管理していくという考え方もあろうかと思います。そういう複雑な歴史的な背景、紛争の過程、それから現実の問題、このような問題をとらえて、我々の国がこの地域から原油で大きな恩恵を受けているという立場も踏まえながら行動していかなければならない。非常に難しい地域の問題であろうと私は認識をいたしております。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 ありがとうございます。  この話はもう一時間も二時間もかかりますのでちょっと時間がなくなってきました。  次に移ります。  政府は八月二十二日、クウェート在留日本人二百七十八人のうち残留希望者それから大使館員を除いて邦人をバグダッドへ移送することを決定されましたが、この決定についてのいきさつを教えていただきたいと思います。どうしてクウェートの日本の方々があのタイミングに人質になってしまわなければならなかったのか。二番目は、現在イラクに三百四十二人の邦人がいらっしゃいますが、この方々は八月十七日から出国禁止になっておりますが、現在置かれている立場はどうなっているのか。この方たちへの食糧や医療品は政府は送っていらっしゃるのでしょうか。以上についてですが。

久米邦貞外務省大臣官房領事移住部長

○説明員(久米邦貞君) 御質問の第一点のクウェートからの退避、避難の勧告の件でございますけれども、私ども実は八月の当初の段階ではクウェートにおります在留邦人の避難の方法として幾つかの可能性を考えておりまして、第一には、空港が使用可能になって、かつそこに日本の救援機を飛ばすことができれば、クウェート空港からの脱出ということを考えておったわけでございますけれども、それは八月十日ぐらいまで待ってもなお空港の再開の見通しが立たないという状況で、陸路バグダッド経由でジョルダンへ抜けるという脱出の可能性も検討しておったわけでございます。ところが、八月十四日をもちましてイラク側が日本人に対してジョルダンへの陸路の脱出、出国の許可を出さないということがはっきりいたしましたので、その段階ではクウェートに残留するかバグダッドに退避をするかという二つの可能性のみが残されたわけでございます。  そういう状況の中で、八月の中旬以降クウェートの治安情勢というものが日々悪化しておりまして、それに加えて八月二十四日をもってイラク側はクウェートにございます全大使館の機能を停止させるということを通告してまいりました。これに対して日本側といたしましては、ほかの各国も同様でございますけれども、大使館の機能は停止させないという決定をいたしておりましたけれども、しかしながら実質的にイラク側は少なくとも大使館の建物のステータス、それからそこにおります大使館員の外交官としてのステータスを八月二十四日以降認めないということを……

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 済みませんけれども、ちょっと早めてくださいますか。時間が余りなくなってきました。

久米邦貞外務省大臣官房領事移住部長

○説明員(久米邦貞君) 宣言しておったわけで、こういう状況のもとでクウェートの大使館内に避難しておりました日本人もそのまま避難を続けるということは非常に危険な状況であったわけでございまして、バグダッドに移ったからといって必ずしも危険がなくなるということではございませんでしたけれども、どちらかといえばバグダッドの方が安全であろうという判断から移動ということを勧告いたしたわけでございます。  他方、イラクの方の在留邦人につきましては、八月二日のイラク軍のクウェート侵攻以来、短期滞在者、旅行者等三百人以上の日本人が既に陸路ないしは空路で八月十三日までに出国をしておりまして、残された百六十八名については八月十四日以降出国が認められなかったということで、現在百六十八名の在留邦人の方がイラクに出国を認められないままに残っておるという現状でございます。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 食糧や医薬品は政府は送っていらっしゃるんでしょうか。

久米邦貞外務省大臣官房領事移住部長

○説明員(久米邦貞君) 食糧については、現在のところはまだ大使館にもかなりの備蓄がございますし、それから在留邦人それぞれの方もまだ備蓄を十分持っておられるという状況でございますけれども、将来これが長く続く場合には食糧の不足ということも考えられますので、現在その対応ぶりについて検討しているところでございます。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 八月二十九日に十億ドルに上る中東貢献策を発表なさいました。そして、十四日になりまして今度三十億ドルの追加支援を決定されました。これはアメリカ側からの要請ではなく日本が自主的にお決めになったのでしょうか。新聞にこんな川柳が載っていたんです。「ブッシュホン一本だけの外務省」というのがございましたんですけれども。  人質問題のほか、石油エネルギーの七〇%を依存している中東の危機に対処する施策をまとめられているそのいきさつについて、私ども国民によくわからないんです。アメリカにもよくわからないから、結果的にアメリカ議会からもあのような不満が出てきているのではないかと思うんですけれども、総理や政府はもっと国民に話しかけて説明をされて、国民の理解を求められるべきではないかと存じますが、大臣、いかがでしょうか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 政府といたしましては、できるだけ国民に理解を求めるためにさらなる努力をしなければならない、そのように考えております。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 先ほど原議員も触れられましたけれども、一九七九年に超党派で日本・パレスチナ友好議員連盟が設立されました。設立当初から、もう十一年になるんですけれども、事務局長を務めさしていただいております。その間積極的にパレスチナ問題に取り組んでまいりましたし、PLOのアラファト議長を最初呼びましたのも議連でございました。次は政府も御招待いたしたりいたしました。我が国も田中内閣の当時、一九七三年十月二十二日の石油ショックのときでございますが、二階堂官房長官談話を発表して、中東和平の核心であるパレスチナ問題でアメリカやヨーロッパとは違った独自の中東政策を行ってきております。  申し上げるまでもなく、日米関係は我が国外交の基本でございます。しかし、アメリカと協調するのはもちろんですが、中東政策においてはこれまで我が国が築いてきた独自性をもう少し発揮していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  ということは、先ほど原議員がお触れになりました日本訪問を終えたシェワルナゼ外務大臣が七日の日に湾岸危機の解決策として、一、湾岸情勢、二、イスラエル占領地問題、三、レバノン内戦と、中東地域が抱える三つの問題を段階的に協議する包括的な国際中東和平会議の開催を提案していらっしゃいます。これをどのように評価し、また、日本は日本独自の中東政策があるのなら、それに向かって解決する方法はないかということなんですけれども。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) パレスチナ問題につきましては、先生長い期間にわたって御関与いただいているわけでございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたように、私どもこの問題がやはり中東地域における一つの極めて基本的な政治問題であるという認識は全く変わっておりません。  そのほかに、今先生御指摘のように、レバノンの問題。レバノンの問題につきましては、またシリアとレバノンとのかかわりあいの問題その他いろいろな問題がございまして、この地域は国際政治的には極めて複雑な地域であろうと思います。それで、それぞれの問題につきましてそれぞれの公正な解決を図るために各国がそれぞれの努力をしなければならないというふうに考えられますし、日本といたしましては、例えばパレスチナ問題につきまして先ほど申し上げたような基本的な立場に立ってこれまでもその解決に努力してまいりましたし、今後もそれを続けなければならないと思っております。  他方、イラクのクウェート侵攻の問題につきましては、これは日本とアメリカの問題だけではございませんで、今やヨーロッパはもとよりアラブの国々をも巻き込んだ国際的な問題になっております。その問題の本質というのは、やはり何と申しましてもイラクがクウェートに武力で侵攻してこれを併合してしまったということでございまして、このこと自体はやはり現在の国際秩序あるいは将来の国際社会の秩序のあり方に非常に基本的な影響を及ぼす問題であろうと思います。  また、これに対応する国際的な動きも、米ソの協調それから国連安保理における累次の決議の採択というふうに、国際社会全体としてこの問題の公正な解決のために今努力が行われておるところでございますので、日本といたしましても湾岸の平和の回復という観点から、この国際的な努力全体にやはり協力をし参加をしていくというのが現在一番必要なことではないかと考えている次第でございます。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 国連平和協力法についてお尋ねします。  この法案は、湾岸危機への人的貢献を求められた日本が自衛隊の直接派遣を避け、アメリカなどからの要請にこたえる必要から出てきたんだと思いますけれども、国連平和協力法においてこの協力隊はどこに所属するんでしょうか。内閣なのか、外務省なのか、それとも国連なのか。それから出動する場合、隊員はどの程度の武器を携帯するんでしょうか。また、派遣先はどこで、どこの指揮命令系統に入るんでしょうか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) まず、この国連平和協力法の必要性でございますけれども、これはアメリカからの要請に基づいて検討しようということではなくて、先ほど来議論されております日本のこのような国際的貢献の一部といたしまして、従来経済的援助等が中心でございましたけれども、人の派遣の面でも貢献しなければいけないという認識が非常に強くなってきておりまして、最近では例えば昨年のナミビアの選挙における選挙監視団の派遣ですとか、ことしのニカラグアの選挙における選挙監視団の派遣等、徐々に実績を積み重ねつつありますけれども、もう少しこういう人の派遣につきまして法律の手当て等も必要じゃないかという角度から今検討しているわけでございます。  今先生から御質問の新しくできる国連平和協力隊の所属先をどこにするのか、武器の携行はどうするのか、あるいは派遣先等につきましては、まだいろいろと部内で検討している段階で具体的なことは申し上げる立場にございません。ただ、国連のいろんな平和維持活動がございますので、そういうところにできるだけ派遣するということはもともと考えていることでございます。例えば、近くはカンボジアの和平ができましたらカンボジアの平和維持活動とか、あるいはアフガニスタンとか、西サハラ等も近く日程に上っていく可能性があると思っております。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 最後になりましたが、この国連平和協力隊の新設、派遣を行う新しい法律の制定を検討していると聞き及んでおりますけれども、このような我が国外交の基本にかかわるような問題は、もっと時間をかけて正面から取り組まなければならない点も多いと思います。今すぐでもやらなければならないことも当然ございます。長期的な戦略を考えてじっくり取り組んでいただかなければならないことをよくお考えいただいて指導力を十分に発揮していただきたいと思いますが、大臣。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 国連平和協力法の問題は、委員御指摘のように、極めて新しい国際社会秩序維持のための日本の国家としての責任を果たすための法律、制度でなければならない。しかし、その場会憲法の規定もございますし、この憲法のもとでどのような法律が国民の理解を得て国民の御協力が得られるかということのためには、大いなる国民の意見も十分拝聴しながら国会で御議論をいただくということが必要ではないか、私はそのように考えております。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 ありがとうございました。

松前達郎日本社会党・護憲共同

○松前達郎君 先ほどからいろいろ質問等を通じて議論的なことも含めて行われてきたんですが、先ほど原委員から質問があった件、これは後でまた私申し上げたいと思うんですが、協力隊ですね。協力法という法律に基づいて協力隊が編成されていくように私は思っているんですけれども、これはいわゆる自衛隊の派遣との関連が拡大して行われないように、そこをきっちり歯どめをしなきゃいけないという御意見があったと思うんですね。まさにそのとおりだと思うんですが、自衛隊を含まないということを明記しなきゃいけないんじゃないか。これは憲法がそうなっているからというので明記しなくてもいいということもあるかもしれませんけれども、そんなような感じを私持っていてお伺いしていたわけなんです。  外務省、何となく元気ないですね。非常に問題が複雑で頭を悩ましておられることはわかるんです。しかし、それはそれとして、こういった紛争に対する一つのはっきりした日本の態度といいますか対応、今対応に追われているわけですけれども、それと同時にもう一つは、解決策の提案といいますか、そういった一つの前向きの外交姿勢というものがどうも確立してないんじゃないか。ですから、余り余計なことを言うとこれは大変なことになるというような感じでおられたんじゃ困るのであって、やはり目標を明確に把握しながら整理して努力をしていただきたい。これをまず冒頭に申し上げておきたいと思うんです。  きょうは幾つかの質問をさせていただくわけですが、まず最初に、多国籍軍に対するトータル二十億ドルですか、支援の問題であります。  今イラクの周辺に展開している多国籍軍というのは一体どの程度のものが展開されているのか。これはいろんな国がいろんな時点で軍隊を派遣していますので、全部展望して全体として一体どういうふうな状況になっているのか、これについてちょっと説明していただけませんか。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) 現在湾岸地域に展開しておりますいわゆる多国籍軍につきましては、先生御指摘のとおり、いろいろな対応の派遣が各国によってなされております。私どもの把握しておりますところで若干例示的に申し上げますと、国として申し上げれば、米国のほかに西ヨーロッパの主要国、すなわち英国、フランス、イタリー、スペイン、オランダ、ベルギー等がございますし、それから太平洋地域からはカナダ、オーストラリアもございます。また、いわゆるイスラムの国といたしましてアラブの国でありますエジプト、シリア、モロッコがございますし、さらにパキスタン、バングラデシュ等もございます。  また、この中で例えば艦船を派遣している国としては、米国、それからイギリス、フランス、先ほど申し上げた国の中でいわゆるイスラムの国を除きますとほとんどの国が艦船を派遣しております。それから、いわゆるイスラムの国はむしろ陸上部隊をサウジアラビアに派遣しておるというような対応になっていると理解しております。

松前達郎日本社会党・護憲共同

○松前達郎君 派遣している内容が規模等を含めて考えますと大分いろいろとばらつきがあると思うんですね。しかし、いずれにしても派遣している国の派遣理由はこれは安保理事会の決議に基づく派遣だと思いますけれども、目的としては経済封鎖ですね、これが決議されておりますから経済封鎖が目的であって、いわゆるイラクに対する攻撃とか戦闘を行うという目的ではない、こういうふうに限定されたんだと私は思っていますが、その点いかがでしょうか。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) 私どもといたしましても、このいわゆる多国籍軍が派遣されております目的は、累次安保理の決議が採択されておりますけれども、特にその中でただいま先生御指摘の経済制裁を決議いたしました決議六六一というようなものを受けまして、それの厳格な適用の確保というのが一つの目的になっておるというふうに理解をいたしております。

松前達郎日本社会党・護憲共同

○松前達郎君 安保理事会の決議に限定武力行使というふうな言葉を使っていると思うんですね。しかし、これもどちらかというと米国主導の決議だったような気がするんです。この決議に持ち込むまで非常に裏でいろいろと各国交渉があったようであります。特に米国がいろいろと努力してこういうふうなものを引きずり出した。こういうふうに考えますと、やや変則的だったと言えないとも限らない。五大国が一致して賛成したとはいいながら、中国やソ連というのは多国籍軍に参加していないんですね。この辺も見ながら、限定という言葉、これは先ほど申し上げたような経済制裁といいますか経済封鎖といいますか、これだけを目的とするんだというふうに解釈されるべきものなのかどうか、その辺いかがでしょうか。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) ただいま先生御指摘の限定的武力行使の問題と申しますのは、恐らく安保理決議の六六五という決議六六一の実施のための決議を御指摘というふうに考えますけれども、この決議は、湾岸地域に海上部隊を展開して決議六六一によって規定された制裁の厳格な実施を確保している国に対しまして、その目的で出入港する船舶を停止させて必要な措置をとるためにこういう措置をとるということを要請しているわけでございますので、そういう意味ではこれは安保理制裁、経済制裁の実施の確保という目的に限定されているものというふうに理解をいたしております。  それから、この決議を含めましてこれまで安保理が全部で七本になるかと思いますけれどもこの問題に対する決議を採択いたしてきておりまして、私どもはこれがいずれも少なくとも常任理事国五カ国の合意のもとに採択をされているということが極めて今回の事態において重要な役割を果たしているというふうに考えております。

松前達郎日本社会党・護憲共同

○松前達郎君 多国籍軍という言葉があるんですね。これは一つの何か大きな軍隊の集団みたいな印象を与えるわけなんですが、多国籍軍と言うと、あたかも国連に認められた連合軍のような印象をどうも与えるわけですが、実際は各国別個に国連で決められたことを実施するために派遣しているんだと。そういうふうになりますと、これらの軍隊といいますか、派遣軍隊の体制といいますか、指揮体制とかいろいろ統括する体制というのがあってしかるべきなんですね。ところが、それもどうもなさそうである。それぞればらばらに目的を遂行しようとしているような気がしてならないわけですが、この辺の指揮体制とか、そういうものについて何か各派遣国の間で合意されているんでしょうか。この辺どうでしょうか。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) いわゆる多国籍軍と申しておりますのは、一般にそういう呼称で呼ぶことが便利であるためにそういうふうに呼んでおりますけれども、特に多国籍軍という特定の呼び名がどこかで決められているとか合意されているということではないわけでございます。したがって、これに参加をしております各国の軍の指揮命令の問題等につきましても、基本的には各国がそれぞれ安保理で合意をされております目的に従ってその兵力を派遣しておりますので、これを正式な形で例えば統合するというようなことは行われていないわけでございます。ただ、私ども承知しておりますところでは、実際上の必要に応じまして随時連絡調整等は行われているやに承知をいたしております。

松前達郎日本社会党・護憲共同

○松前達郎君 今どうしてそういうことをお伺いしたかといいますと、日本が多国籍軍に対する二十億ドルの支援というのを決定して行おうということになるわけですが、今のような状況から見まして、支援の方法としていろいろな方法が今検討されている。恐らく方法は大体煮詰まってきたんじゃないかと思うんですね。その中の一つの方法として、アメリカの予算制度の枠内で信託基金を設けてこれを受け皿にするという案があるというふうに私伺っているわけなんですね。そうなると、二十億ドルというものについて考えますと、事実上はアメリカの政府に供与して、アメリカが軍事分担として使うことも考えられるんですね。その辺いかがでしょうか。受け皿の問題があるものですから先ほどからお伺いしているんです。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) いわゆる多国籍軍に対します支援の受け皿の問題につきましては、先ほど御答弁申し上げましたけれども、現在湾岸地域にございますGCCを受け皿とするということで最終段階の詰めをいたしておるところでございます。したがいまして、先生御指摘の信託基金というようなものを現在考えているわけではございません。

松前達郎日本社会党・護憲共同

○松前達郎君 そうしますと、今の信託基金というのが報道されたわけですけれども、これは全然考えていない、今のGCCが対象であるということに方針を決めているんだと、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) そのとおりでございます。

松前達郎日本社会党・護憲共同

○松前達郎君 それから次に、紛争周辺国に対する十億ドルの供与の問題があるんですね。エジプトですとかトルコですとかジョルダンですか、そちらの方の国に供与しようということなんですが、この供与、支援金と言ってもいいですが、この使途については、先ほど来いろいろと話に出てきたああいうことで見てよろしいのかどうか。  それからまた、それに対する受け皿ですね、受け皿がどうも明確じゃないものですから質問するんですが、受け皿は一体どういうふうに考えておられるのか、その辺いかがでしょうか。

木幡昭七外務省経済協力局長

○説明員(木幡昭七君) 今御指摘の周辺諸国、エジプト、ジョルダン、トルコ等に対する支援でございますが、これは先般官房長官が御発表になりました中に二十億ドルという数字がございます。そのうち特に六億ドルにつきましては、この周辺諸国、今度の経済制裁措置等によって相当経済面でも苦しい状況にございますので、緊急にそういう国に対して商品借款で支援をするというのが内容でございます。残りの分につきましては、今後我が国の技術協力とかあるいは無償資金協力あるいは円借款等いろいろなものを組み合わせまして 対応してまいることになると存じますが、その過程におきまして関係諸国との協議、受け取り対象国の範囲あるいは先方のニーズ等十分聴取して対応するという考えで臨んでいるところでございます。

松前達郎日本社会党・護憲共同

○松前達郎君 そうしますと、先ほどからお話が出ております難民救済の問題、これについてはこの中に含まれているんですか、それとも別に考えておられるんですか。

木幡昭七外務省経済協力局長

○説明員(木幡昭七君) 難民救済にかかわる措置はいわゆる対中東貢献策の中の中東関係国に対する支援の一環であるという位置づけは、これはそのとおりでございますが、実際にこれまで日本が支出してきた額、それは既に二千二百万ドル強に上るわけでございますが、この額は既に支出済みでございますので、先般発表されました総額二十億ドルの支援の中に含めることは特に考えておりません。

松前達郎日本社会党・護憲共同

○松前達郎君 政府が考えておられて、もう既に実施に入って出発をされた十七名の要員派遣というのが行われたわけですね。これに関してですが、医療先遣隊というふうに私は見ているんですが、これはどういうことをやるために派遣をされたのか。医療事情調査なのか、あるいは医療行為を既に行うのか、その辺はどういうふうになっているんでしょうか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) 八月二十九日に発表されました我が国の貢献策におきまして医療協力がうたわれているわけですが、その目的は、いわゆる百名をめどに医療団を緊急に派遣し得る体制を速やかに整備するというのがもともとの目的でございます。  ただ、その整備に当たりましても、現地の医療事情等がよくわかりませんこともありますので、まず先遣隊を派遣して現地における医療活動にかかわるいろいろな調査、病院の事情ですとか、どういう設備があるとか、どういう必要性があるか等につきましていろいろと調査を行うということで、将来次の医療団が行った場合どういう活動ができるだろうかというその準備に当たるということが主な目的でございます。

松前達郎日本社会党・護憲共同

○松前達郎君 事情調査ですね、医療の事情調査。  そうすると、将来例えば軍事行動が具体的に始まったとなると、当然これは大変なことになるわけですね。国連もそこまで考えて決議をしたわけではないし、やはり国連の限定された枠があるわけですから、いわゆる戦争的な軍事行動が始まったとなると、これは大変なことになる。恐らくその医療事情調査というのはそういうことは想定してないんだと思うんですね。現在の状況の中でこれがずっと続いたときの事情調査だと思うんです。  サウジアラビアに派遣されたんだと思うんですが、どうでしょうか。サウジアラビアですね。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) 八月二十九日に発表されました貢献策の一環としての医療協力は、主としてサウジアラビア、あるいは一部もう少し調査してみないとわかりませんけれども、例えばバーレーンとかア首連等、必要があればそういうところも含み得ることを考えておりますが、一義的にはサウジアラビアを考えております。

松前達郎日本社会党・護憲共同

○松前達郎君 サウジアラビアに派遣してサウジアラビアの何を目的に調査をするんでしょうか、その点をお伺いしたいのですが。調査目的ですね。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) サウジアラビアから大使館を通じましてどこにどういう病院があるか、どういう施設があるか、お医者さん、看護婦さん等がどれくらいいるかということはある程度情報はつかんでおりますけれども、やはり専門の方に現地に行っていただいて見ていただくのが一番望ましいということで、今具体的な視察場所等につきましては、先遣隊が到着したら、きょう到着するわけですけれども、大使館、サウジ政府と打ち合わせしながら決めることになっておりますが、一応リヤドなど主要都市の病院の施設を見ると同時に、特にここ二、三日来サウジ側にも難民が非常にふえてきているという情報がありますので、難民に対する治療の必要性についてもあわせ調査するということを考えております。

松前達郎日本社会党・護憲共同

○松前達郎君 それでは、次に移ります。  政府が今検討をしているというふうに聞いております国連平和協力法、それとまたさっきちょっと触れましたが協力隊の問題、これについて質問させていただきたいんですが、政府が検討されていると報道されている協力隊は、先ほど申し上げたように、これは協力法に基づいて派遣されるというふうに私は見ているわけなんですが、非武装の常備隊である、こういうことが報道されているんですね。しかも、その内容として、構成人員として自衛官のOBを中心にして構成をするという報道もあるんですが、これはそういうふうに考えておられるんですか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) 国連平和協力法という、仮称でございますが、それに基づく国連平和協力隊、これも仮称でございますけれども、そういうものを派遣するとすればどういうことがあり得るだろうかということで、いろんな可能性について検討しております。まだ検討段階でございますので、具体的なことは今お答えできる立場にございません。

松前達郎日本社会党・護憲共同

○松前達郎君 検討段階だからということであればやむを得ないかもしれませんが、報道としては自衛官OBということも出てきているんですね。もしかそれが中心となるのであれば、これはまさに軍隊の予備役なんですね、武装をしているかどうかは別として。予備役になる可能性があると私は見ているんです。これはそういうふうになるかどうかは別として、そういう結論が出るかどうかは別として、もしかそうならば予備役と同じように見られてくるんじゃないか、これが一つ問題として出てくるんですね。  それからまた、その任務が国連平和維持活動、PKOというんですか、これと国連軍、多国籍軍の後方支援ということで報道されているんですが、任務についてはどうお考えですか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) 新しい法律のもとでの国連平和協力隊ができた場合その任務をどうするかという点につきましても、いろんな必要性を日本がいかに貢献できるかという点等を踏まえながら検討をしておりますので、今具体的にこうだということをお答えする立場にございません。

松前達郎日本社会党・護憲共同

○松前達郎君 こういうのは大体目的が決まっていて、こういうことをやるからこういうものをつくるんだということですね。つくってから任務を考えるんですか。その辺はっきりした任務を考えてのことだと思うんですね。順序が逆なんじゃないですか。まずそういう法律をつくる段階で、それじゃどういうふうな任務にしようかというふうに考えるということになるので、おかしいと思うんですが、どうでしょうか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) もともと今度のこういう中東の問題あるいはイラクのクウェート侵攻が起こります前から、日本の国際的貢献の一環といたしまして平和のための協力ということにも努力を払ってきたわけです。その一環といたしまして、先ほども申しましたように、イラク・イラン仲介ミッションへの政務官の派遣ですとか、あるいは国連のアフガニスタン、パキスタンのあの国境の平和維持活動への協力ですとか、あるいはナミビア、ニカラグア等への選挙監視団の派遣等を考えてきたわけです。一義的にはこういう国連の平和維持活動への協力ということを従来から検討しているわけですが、さらにそれ以外にも可能性があるかどうかという点につきましてもあわせ検討する余地はあるかと考えます。

松前達郎日本社会党・護憲共同

○松前達郎君 国連の平和維持活動に対して協力をするというふうに漠然としてはあるかもしれません。そういうふうに理解していいと思うんですね。恐らく皆さんお考えになっていると思う。その場合、先ほど申し上げたように、多国籍軍という言葉が入ってきますとちょっと様相が変わってくるんじゃないか。国連軍ならまだ話はわかるんですね。国連軍なら確かに国連の平和維持活動である、これに協力するんだということになるんですね。ですから、協力隊というものについての検討をされているというふうなことであれば、目的 としてはあくまでも平和維持である。これはもう当然の話である。それから非武装要員で構成されている。非武装要員で構成されませんと、これは自衛隊と同じことになる。それから、国連の要請かもしくは国連に協力するために独自に日本が判断する。こういうふうな一つのルールといいますか、こういうものをはっきりと決めて盛り込んだものにしていかないといろいろと問題が出てくるんじゃないか、こういうふうに思うんですね。  これはこれから検討されるんでしょうから、そうしますとおっしゃるわけにいかないと思いますけれども、私の要望としては、もしかおつくりになるんなら、検討されるんなら、そういったものを十分配慮した上で検討をされ、結論を出されるべきじゃないか、こういうふうに要望しておきたいと思うんです。いかがでしょうか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) 国際の平和及び安全の維持のための活動への日本の協力という点ははっきりしていると思います。それでは、そういう活動に対する協力のいろんな仕方、今先生が御指摘されましたような点も含めまして具体的にどういう仕方があるか、あるいは望ましいかという点につきましては、今後検討していく必要があるかと考えております。

松前達郎日本社会党・護憲共同

○松前達郎君 それから、今の段階はどうも国際的な圧力といいますか、圧力と言っちゃ悪いですね、国際的ないろんな論議の中で、日本はまだ協力してないじゃないかとかいろんなことが出てきているわけで、それに対応するように後追いみたいな格好でどうもやられているような気もしないわけではないんですが、やはり二つに分けて考えていいと思うんです。  現時点での紛争そのものに対する直接的な支援体制、これは今まで政府が行われた、いろいろとあったわけですが、それが一つ。それからもう一つは、先ほど来お話が出てきたように、日本が積極的にこの紛争を解決するために身を乗り出していくということがどうしても必要じゃないか。日本の憲法が規定しているように、軍隊を派遣できないということでありますから、してはならないわけですから、当然日本が果たすべき役割というのは平和をつくり上げるための前向きの努力、これをやはりしなければ全然これは意味がないわけですね、いつも要望に応じて渋々お金を出すということになってくると。この辺少し分けてしっかりした考えを持たなきゃいけないような気がしてならないんです。  そこで、日本が積極的努力として今後どういうことをするべきか、外務大臣、ひとつお考えがあったらお聞かせいただきたいんです。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) いろいろときょうは委員からも政府の対応すべき問題点について御指摘をいただいたことにまず冒頭お礼を申し上げておきたいと思います。  なお、短期的な現在起こっている地域紛争に対する日本の政府の平和回復への努力とやり方というものと、中長期に見たこれからの日本のあり方、協力の仕方というものと二つに分けて考えていく必要があろうかと、私はそのように認識をいたしております。ただ、率直に申し上げまして、戦後の日本には平和と繁栄という幸せな条件が続いておりましたから、こういうふうな新しい国際的な国連を舞台とした協力の仕方に対する法律及び制度、それの運用というものについての発想もかねてあったわけでありますけれども、具体的には法律として現存しあるいは制度として存在しているというようなことはごさいません。そのために、今回地域の平和への協力問題で政府は大変おくれをとったという御指摘を受けております。  しかし、現実問題として、今委員も御指摘のように、軍隊を出すことはできないという日本の憲法の規定、このような中でどのような協力ができるかということで、航空輸送の問題、海上輸送の問題というものも最初に取り上げた課題でございましたが、機体があっただけでは飛行機は飛ばない。やっぱりパイロットが要る。パイロットは管理職の中にもたくさんおりますから、会社の命令でパイロットが操縦するという意思を示すことも可能でありましたけれども、飛行機そのものは整備員がなければ動かないわけでありまして、パイロット及び整備員の協力がなければ飛行機は一切物資の輸送もできない。このような条件の中でなかなか対応することができなかった。船の問題もそのようなことは経験いたしました。  そのような中で、今回の経験をもとに日本政府がこれから国民の同意も得ながら国際的な地域の紛争の解決のためにどのように積極的にやっていくかということについては、我々は今回貴重な経験をいたしましたから、我々の憲法のもとでなし得る範囲内で具体的にどのようなことができるかということについて現在検討している段階でございます。そのような考え方で、これからできるだけ速やかにこの法律案を国会に提出できるように政府としては一段の努力をいたしたい、このように考えております。

松前達郎日本社会党・護憲共同

○松前達郎君 ちょっと私の質問とお答えが違っていたような気がするんです。それは対応策ですね。私が申し上げたのは、そうじゃなくて積極的な外交策なんです。外交チャネルを通じての平和への道を探究する、これを一体どういうふうにやっていく必要があるのか、これをやはり詰めていかなければいけないんじゃないかと思うんです。これは軍事力でやるんじゃないんですから、やっぱり残されているのは外交ですね。この外交展開、外交努力というものが今後積極的に行われるべきだ、こういうふうに考えているものですから、それを今お伺いしたつもりであります。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 外交努力をどのように積極的にやるかというお尋ねでございますが、問題は、外交努力としては、国連加盟国として国連の決議を尊重しながら国際的な協力を行うということが一つあるんだと思います。もう一つは、個別に相手国と折衝するという手段があろうかと思います。しかし、その場合には、委員も御存じのように、人質をとられているという条件の中でどのような外交の力を発揮することができるのか、我々はここに一つの大きな問題を抱えていると認識をいたしております。  そのような条件の中で積極的に外交を展開していくということについては、やっぱり関係国ともよく協力をしながら日本独自の外交というものをこれから展開する必要がある。それにはどのような形で我々がこの問題の解決に取り組むかということについては、我々としては、現在国連の枠内で協力する以外の方法としては外交的な努力をする以外に方法がない。はっきり申し上げて外交的なチャネルをどう使うかということが非常に重要な問題になってくると思います。

松前達郎日本社会党・護憲共同

○松前達郎君 今おっしゃったようなことがやはりこれからの日本としてできる大変重要なことだと私も思うんですけれども、人質をとられているからやりにくいとかそういうんじゃなくて、人質を解放するためにも前向きな外交努力が必要だと。先ほど大鷹委員からも話が出ましたけれども、例えば総理が中東を訪問する、そういうふうにするならば、日本独自の立場で積極的に紛争解決に努力したらどうだろう。ただ行っているんな状況を見て帰ってきたというんじゃ話にならないですね。これはもう行かない方がいい。行くんだったらそのぐらいの覚悟で、やはり外交努力の展開を十分練った上で訪問されるべきだと私は思っているんです。  ですから、ある意味でいうと、日本のイラクに対する直接接触も考えていいんじゃないか。日本にイラク大使館が現存しているわけですから、国内でもできないことはないわけですね、先ほどもお話がありましたけれども。まず国内で対応してもいいでしょうし、それを踏まえ、それの段階を見た上で、経過を見た上で今度は出かけていって直接接触でも構わないんじゃないか。余り周りのことをびくびくするより、いい方向に向かって持っていこうとする努力なんですから、これは外国が評価するに決まっているんですね。それができたとなると、十億ドルとかそんなものは問題じゃないんです。私はそう思うんですね。ひとつその辺を十分配慮していただいて、これには相当の準備と議論と戦略が必要です。外交戦略が必要ですから、そういうものを十分検討された上で中東に行かれた方がいいんじゃないか、こういうふうに思うんです。それが一つ。  それからもう一つは、これは非常に重要なことだと思うんですが、ソ連とサウジアラビアの国交回復が行われたわけですね。これは私は極めて重要だと思うんです。いろんな意見があるんですが、日本はサウジの出番をつくれなんということを言っている人もいますけれども、アメリカ軍の受け入れを行ったサウジがみずからの主導権を持ってこれ以上湾岸情勢を軍事的にエスカレートしないような、とめるような働きかけですね、これをやはり日本もしなければいけないだろう。戦争が始まったら大変だ、戦争が始まったらけが人が出るからそれに対する医療班を送るんだというのは、これは余りにも追随といいますか、消極的なんですね。それも必要ですけれども、もっとやることがあるんじゃないかと私は見ているわけであります。  そういった考えのもとに、どうでしょうか、総理に中東に行ってもらったらどうか、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 今外務省といたしましても総理の中東歴訪についてはいろいろと考えております。どのような考え方をまとめるか、これはしばらく御猶予をいただきたい、このように考えております。

松前達郎日本社会党・護憲共同

○松前達郎君 大いに衆知を集めてひとつ考えていただいて、ただ行ったということじゃない、評価されるような成果をひとつ生み出してもらいたい、こういうふうに思うわけであります。  それにしても、どうも中東というのは、今までも中東戦争が何回も起こっているわけですね。いろいろな民族問題もあれば、いろんな問題が複雑に絡み合っているし、先ほどのお話にありましたように、国連決議にもかかわらずイスラエルはそのままだと、フセインはそういうことを言っていますね。いろんな問題が今山積して、その複雑な動きの中から一つの行動として今度のイラクの行動が出てきているわけですから、やはりイラクの側の考え方もこっちが理解しないと、これは解決にならないですね。一番簡単なのは、アメリカが考えているかもしれません、ある時期に攻撃すればいいんだと、そんなのじゃ話になりませんから、それをさせない努力をやはり日本はしなきゃいけないですね。そして何とかして平和的な解決を求めていく、こういうふうな出番が日本にあるんじゃないかと私は思うんです。そういうことで今申し上げたわけであります。  その点ひとつ、もう十分お考えでしょうけれども、外務省の中で中東に関してもいろんな情報があると思いますから、いろんな人の意見を聞いていただいて、専門家もおられますし、そして十分練った上でひとつ外交を展開していただきたい、これを最後に要望しまして質問を終わらせていただきます。

田英夫日本社会党・護憲共同

○田英夫君 先ほどからのやりとりを伺っていて、外務省、政府が大変苦脳しておられることはよくわかります。ただ、それは基本的なところ、基本姿勢のところに問題があるんじゃないかという気がします。  けさ、来日中のオーストラリアのホーク首相を囲む朝食会がありました。私も出ましたら、ホークさんという人は大変率直に物を言う人ですが、スピーチの最後に、我々は日本がこれまでより一層積極的でより自信を持ち、創造的で、もっと自分の意思をはっきりと言う国になってほしいと思いますと、こういうことを言ったんですが、まさにこの中東問題、イラク問題というのはそういうことが問われているにもかかわらず、政府は、外務省は、アメリカからのさまざまな圧力と日本の憲法九条を中心とした日本の世論というものの板挟みになったような心境になって苦悩をしておられるんじゃないか。自分たちはそんなことはないとお思いになるでしょうが、客観的に見るとそう言わざるを得ないと思いますね。きょうも与党の自民党の方お二人ともやはりそういう意味の御指摘をしておられます。今国民の大部分は政府のこの対応に対して非常に不満を持っているということを言わざるを得ないと思うんです。  質問に入りますけれども、国連決議の問題、松前委員も触れられましたが、大きく分けて二段階あると思います。六百六十一と六百六十五という形で構成されて、全体はもっと多いですが、その全体に対して日本政府はこれを全面的に支持していこうという姿勢でしょうか。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) 私から申し上げるまでもないかとは存じますけれども、今回のイラクのクウェート侵攻の問題がまず安保理に即日提起をされまして、そこでこの問題は国際の平和と安全に対する侵害だという認定を安保理がいたしまして、その後国連憲章第七章の四十一条までの、つまり非軍事的なあるいは平和的な解決を目的として、先ほど御指摘のように、経済制裁それからその経済制裁実施のための決議が採択されておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましてもこの経済制裁を中心にしたそういう国際社会の活動を支持していく、あるいはそれに協力していくということがやはりこの問題の平和的な解決のための道であるというふうに考えております。

田英夫日本社会党・護憲共同

○田英夫君 この前段の六百六十一の方については、言われるとおり、私も全く全面的に協力すべきだと思うんです。問題は、これも松前委員が触れられたのですが、六百六十五の必要最小限度の武力行使ということを容認するという意味の内容になっている部分ですね。これはさっきも言われたように、アメリカが大変強く各国に働きかけて、武力行使を認めさせようという動きがあった。これは認めざるを得ない。しかし同時に、その決議が行われた直後にデクエヤル国連事務総長は、この決議は国連に最終手段としての武力行使を認めている憲章四十二条を完全に適用するものではない、つまり全面的な武力行使というものを認めているわけじゃないぞということをわざわざ発言をしているわけです。このことを私は非常に重要視する必要があるんじゃないか。  特に日本の平和ということを求める立場からすれば、アメリカがいかに働きかけても、これはもう本当に必要最小限度というのは、この湾岸、ペルシャ湾でイラク船を軍艦が検問するという程度のことを想定していると言ってもいいんじゃないでしょうか。イラクを攻撃するというようなことになれば、これはデクエヤル事務総長の言っていることに触れてくる。  とにかく結論を言えば、日本こそ、特に日本こそこの中東問題では平和的に解決させなければならない、武力紛争というような形に絶対にしてはならないという極めて強い意思のもとに意思表示をすると同時に、それを外交行動の中で実現をさせていく、こういうことが一番基本として大事じゃないか。そういう訴えが世界に対してないんです、日本政府から。国民に対してもないんですよ。我々は絶対に平和を守り抜くんだぞ、戦争に持ち込ませないんだ、こういうことをデクエヤルさんが言うよりももっと強烈な意異表示を世界に向かってしなければならない立場だと思います。それを日本政府はしておられない。  これに対してアメリカというのは極めて危険な態度をとっているわけでしょう。人質が犠牲になっても構わないという意見の方が世論調査によると多数を占めている。一種の狂乱状態ですよ、我々の目から見れば、アメリカ国民の今の心情というのは。そう言っても私は過言ではないと思うくらい危険なそのアメリカの態度に日本政府が追随するとすれば、これはまことにゆゆしいことだ、こう言わざるを得ないと思うんですね。  アマコスト駐日大使が、これは新聞の報道によりますと、今度の中東問題は武力紛争なんだから、日本は武力で協力するのが当然ではないかという意味のことを発言をしている。まことにこれは不遜な態度といいますか、生意気ですよ。私がもし外務省の幹部だったら、アマコスト大使を呼んで厳重に注意をする。日本に駐在するアメリカの大使としてあるまじき発言だ。日本の考えは違いますよということを大臣なり次官から明快に言うべきではないかと思います。  マンスフィールド大使なら絶対にあのような発言は私はしなかったと思っていたやさきに、マンスフィールドさんはこれは朝日新聞の報道によりますと非常にいい発言をしていますね。憲法九条というものがあることを十二分に承知をしている、憲法九条、憲法改正をやるということが不可能なことも理解をしていると。さらに在日米軍経費の負担の問題にまで触れて、日本は既に他国に比べてはるかに大きな負担をしてくれているんだ、ただ、アメリカの議会に大変フラストレーションが高まっていることを配慮しなければならないと思うということをマンスフィールドさんは言っている。残念ながらアマコスト現大使に比べると大変大きな違いがあると言わざるを得ない。このマンスフィールドさんのような態度がアメリカの態度であるならばいいんですけれども、ここのところを政府、外務省は十二分にお考えをいただきたいと思うわけです。  そこで一つ伺っておきたい、確認をしておきたいのですが、国連憲章は集団的自衛権を認めておりますね。日本の憲法はこれを認めていない。この点はどっちを優先して考えておられるかということを政府にお答えいただきたいのですが、まずそれはいかがですか。

柳井俊二外務省条約局長

○説明員(柳井俊二君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘のように、国連憲章五十一条では各国が個別的及び集団的自衛の固有の権利を有するというふうに明示しておるわけでございます。我が国が国連の加盟国といたしまして、また主権国家といたしまして、国際法上このような集団的自衛権を有しているということは当然でございます。他方、これも御指摘のとおり、憲法第九条のもとにおいて許容されております自衛権の行使というものは、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどめるべきものであるというふうに従来から解されておりまして、したがいまして、集団的自衛権を行使することはその範囲を超えるということで憲法上許されないというふうに解釈されております。

田英夫日本社会党・護憲共同

○田英夫君 これは今度の事態も一つそこに触れてくるわけですが、どっちを優先させて考えるつもりなんですか。

柳井俊二外務省条約局長

○説明員(柳井俊二君) ただいまの点につきましては、御承知のとおり、国連憲章上の、すなわち国際法上の自衛権の範囲と我が国の憲法が認めております自衛権の範囲は違うわけでございまして、我が国の憲法上の自衛権というものは国際法上認められているものよりは狭いものでございます。現在我が国として貢献策等国際協調の上でどのようなことができるかということを検討しておりますし、また一部いろいろな施策を実施に移しているわけでございますが、これは当然我が国の憲法の許す範囲内において行うべきであるというふうに考えております。

田英夫日本社会党・護憲共同

○田英夫君 この問題はこれから日本が国際社会で生きていく上でよく国会でも議論をし、国民の皆さんの間でもひとつ意思統一をしていかないと大変混乱が起こる問題ではないかと思います。きょうはこの程度しか触れませんけれども、これは重要な問題になってくるだろうと思います。  先ほどからも出ておりますように、もう一つの日本政府の態度についての国民の大きな不満は、これはさっきのホーク首相の指摘にもあるわけですけれども、日本はもっと自信を持って創造的に自分の意見を言えということにまさに触れるわけですが、今度の問題について日本政府の独自の基本姿勢がこうで、だからこういう対応をするんだというそういうものがない。そして、その独自の姿勢に基づいた解決案というものが日本政府から出てきていない。  シェワルナゼ・ソ連外相、さっき大鷹委員も触れられましたが、これは極めて具体的に提案をしていますね。もう内容は余り触れませんけれども、イラクは国連決議に従ってクウェートから撤退しろ、それからイスラエルは国連決議に従って占領地から撤退しろ、それからレバノンの問題とかそういう具体的なこと、中東問題の非常に重要なポイントをきちんと指摘して解決案を提示している。もちろん、だからといってイラクがあるいはイスラエルがこれに簡単に従うとは思いませんけれども、極めて具体的に提案をしている。日本からは何にもこういうものが出てこない。こういうところにやはり、日本がアメリカに言われてということは政府はお認めにならぬだろうけれども、二十億ドル、二十億ドルの四十億ドルだ、さあ車を送るのというようなことは今やり始めているけれども、これはいわゆる貢献策であって、口の悪い人はこれはアメリカに対する貢献策だというふうにずばり言う国民の皆さんもあるぐらいですから、基本的なしかも外交的な解決案というものは日本政府からは全然出てきていない。  この点、外務大臣、腹案のようなものをお持ちなら、基本姿勢はこうで、だからこういうふうに対応したいというものがあったら教えていただきたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 委員から、日本政府の考え方が明示されていない、いなかったということが国民の大きな不満でもあるという御指摘でございますが、日本政府は国連の安保理で経済制裁が決議される一日前に実は政府の意思を決定いたしました。つまり、武力によるイラクのクウェート侵攻というものは国際法上認めることはできない、平和を侵すものだということで、この国に対する経済制裁を決定したのは国連の安保理の決議の一日前でございました。その点は明確に申し上げておきたいと思います。  我々は、委員も御指摘のように平和を希求する国家でございます。平和を理想としている国家でありますから、平和を侵害されるというこの武力による侵攻を行う国家に対しては厳しい姿勢をとらなければならない。そのためにその国のいわゆる武力による制圧を一日も早く回復させる、撤退させるということに日本政府の意思を明確にしておることはひとつ御理解をいただいておきたいと思います。  それで、これからは独自の外交を展開しなければならないという御指摘もございます。私もそのようなことがどのような手段でできるかということを目下いろいろと関係者と協議をいたしておりますが、御案内のように、この中東地域に対する日本の従来の政治的な影響力というものが実は他国に比べて極めて低い状態であったことも率直に申し上げておかなければなりません。我々はこの地域から原油を多く輸入いたしておりますけれども、この地域を植民地として持っておったような国家の政治的な影響力というもの、これと日本と比較すると、これは問題にならないほど日本は低い。また、この地域に対する民間投資の投資額を見ましても極めて低うございます。  そういう意味から見ますと、我々にとり得る影響力を発揮する機会というものは一体何なのかということが一番大きな問題でございまして、この問題について外務省としては外交の上でこれからどのようにこの地域の平和の回復のために努力することができるか。それは、先ほど申し上げた国連決議を守って経済制裁を強化して、イラクの指導者に対する反省を求めていくというこの選択が一つありましょう。また、個別に外交チャネルで平和回復への努力をしていく、交渉するということも一つ残されていると思います。  いずれにいたしましても日本独自でやり得る外交交渉というものには、今までの歴史の中での日本のこの地域における発言力、影響力については余り高い力を持っているものではない。むしろこれからは国連の場あるいは二国間のチャネルを通じて交渉をいたしたいとも思っておりますけれども、これには、先ほど大鷹委員の御質問にもお答え申し上げましたように、我々は国連加盟国としての立場を遵守しながら、我々に許されたあるいは我々がとり得る外交努力をしなければならない、このように私自身は思っております。

田英夫日本社会党・護憲共同

○田英夫君 今大臣も触れられたのですが、日本は特に原油を中東地区に一番頼っている国だということも、日本が平和的に解決をしなければならないということを望む大きな原因だと思うんです。もしサウジアラビアが戦闘状態に陥った場合に、今日本は民間を含めて百四十二日分の備蓄をやっているわけですけれども、資源エネルギー庁おいでになっていると思いますが、政府としてはどういう見通しを持っておられるのか。戦闘状態になったら日本の原油に対する影響というのはどういうことになるのか、ちょっとお答えいただきたいと思います。

弘田精二資源エネルギー庁石油部石油企画官

○説明員(弘田精二君) 戦闘状態になりました場合にどのくらいサウジアラビアからの供給に影響が生ずるかということにつきましては、双方の戦力がどういう形態で衝突するかということもございますので非常に予測しがたいところでございます。  単純に申し上げまして、サウジアラビアから我が国がことし上半期に輸入していた量と申しますのは、我が国の総原油輸入量に対しまして旧中立地帯も含めまして約二一%になっておるというところでございます。

田英夫日本社会党・護憲共同

○田英夫君 私も参議院の産業・資源エネルギー調査会長という立場にもあるものですから、国民生活に与える影響というものを非常に重視しなければいけないと思っております。だからこそ平和的でなければならないと思いますが、きょうは時間がありませんので、残念ながらこの点は触れられません。  もう一つの問題として、アメリカの下院が在日米軍の駐留費全額を日本に負担させようということを、三百七十対五十三ですか、大変な圧倒的多数で可決をしている。このことを外務省、政府はどう受け取っておられますか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○説明員(松浦晃一郎君) 先生が御指摘のように、下院におきまして圧倒的多数で在日米軍経費の負担問題についての決議、当初は決議案でございましたけれども、最終的には国防予算権限法案の修正条項という形になっておりますが、これは米議会におきましてこの問題について強い関心が従来から持たれてきたことを裏づけている、こういうふうに受けとめております。

田英夫日本社会党・護憲共同

○田英夫君 これは私の意見では、絶対に今度のイラク・中東問題とこの問題とを混同すべきではない。これは政府は厳守していただきたいと思いますし、これも今後の国会で議論をしなければならない問題として、きょうは余り触れる時間がありませんけれども、こうしたアメリカの態度に押されないでいただきたいということだけ申し上げておきます。  それからもう一つ、中東問題の一つの視点として、イラクがなぜ今度のような無謀なことをやったのか。その基本には、イラクがいつの間にかイラン・イラク戦争の間に大変な軍事大国になってしまった。その軍事大国にしたのは一体だれか。ずばり言えばソ連でありフランスであり、そうした多くの国々が死の商人としてイラクに大量の武器を供与した。輸出した。アメリカもまたサウジアラビアを初めイスラエルなど周辺諸国に武器を供与している。こういう大国のエゴといいましょうか、死の商人が中東の危機を増大させた。このことも武器輸出三原則を厳守している日本としては、世界の中でこの大国に対して厳重に抗議をし指摘することのできる唯一の国ではないかと思うんですね。  そういうことを思っていたやさきに、報道では、今度の国連総会の外務大臣の演説の中でその意味のことを言われるという報道がありますが、これは事実でしょうか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 武器輸出三原則を堅持してきた日本政府といたしましては、委員の御指摘のように、今回のイラクの軍事大国化の背景にあったソ連あるいはフランス等の国々からの武器の輸出というものが大きく貢献していたことは事実だろうと思います。先般シェワルナゼ外相に対しましても私はその点を率直に指摘しております。  このような日本の立場から、やはり武器の輸出というものについては国際社会でこれから慎重に考える重大な一つの時期に来ているという認識を持っておりますし、私自身そういう意思を日本の意思として機会を見て国際社会に主張しなければならない、このように考えております。

田英夫日本社会党・護憲共同

○田英夫君 今、米ソの間で核軍縮についての話し合いが行われ、ある程度の進展はあるわけですけれども、通常兵器の軍縮という点についてもっともっと世界が関心を持ち推進をすべきだと思いますし、日本はまたそれを主張できる立場だと思うんですね。  大分前ですが、IPUに行きましてこの通常兵器の軍縮問題に私が触れましたら、終わった途端に発展途上国の人たちが何人もやってきまして、ああいうことを言われちゃ困る、我々は必要とするんだという抗議を受けて大変驚いたことがあります。ですから、死の商人の側、大国、武器輸出国というものを規制することがまず第一に必要じゃないでしょうか。そっちをとめないと、発展途上国は国の発展ということイコール武力の増大、軍事力の増大というふうに思っている国も多いわけですから。  これは外務大臣、どうでしょう、国連の場で演説されることはまことに結構ですけれども、同時に国際条約を結ぶことを提唱するというようなところまで踏み込んでおやりになる気持ちはありませんか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) 今の最後の点につきましては外務大臣から後でお答えいただけると思いますけれども、私はその前に、国際会議の場で特に通常兵器の削減についてどういう動き、働きかけ等が行われているかという点につきまして簡単に述べたいと思います。  確かに米ソ間で戦略兵器削減交渉が進展しておりますし、同時に通常兵器につきましては特にNATOとワルシャワ条約機構の間で非常に進展しつつあります。本年末までの締結を目指して今交渉が鋭意進展中でございます。私たちが日ごろアメリカ側あるいは欧州等に言っておりますことは、CFEいわゆる通常兵器の削減交渉によって余った武器が第三世界に流れたのでは世界の安定に役に立たない、そういう削減される武器はすべて破壊されるべきである、あるいはソ連のヨーロッパ部からアジア部へトランスファーされるべきでないという点等を強調しております。あとそれ以外に、こういう米ソ間の緊張緩和と地域紛争の問題、特にそういう武器の移転絡みでの問題点につきましては、従来からやっておりますけれども、引き続きいろんな国際会議の場で訴えていく必要があるというふうに考えております。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 今の委員の御指摘の問題は、これからの国際社会の平和の維持のためには極めて重要な点であると私は認識いたしております。ただ、御指摘のように、輸出をする国、またそれを必要としている途上国等の立場というものをどのように国際社会で調整していくかということがこれからの大きな課題であろうと思います。  御趣旨を体しながら政府としても努力をあらゆる機会にしなければならないと考えております。

田英夫日本社会党・護憲共同

○田英夫君 最後に私からの要望を申し上げたいんですけれども、ぜひ今まで申し上げたような意味の日本の政府の国民の意思を体した姿勢といいますか、基本的な姿勢を海部総理の名において世界に宣言をするというようなことをお考えいただけないか。  つまり、日本には平和憲法というものがあるんだ、その精神はこうなんだ。その平和憲法によって、今度のような事態があって日本としてはこういうことができるけれども、こういうことはできないんだと。それから今の武器輸出の問題などについても、武器輸出三原則というものを日本は持ってこれを厳守しているんだぞというようなことですね。そして、日本としては基本的にこういうことはできますよ、こういう意思を世界に向かって宣言をされるということが一つです。その基本姿勢の上に立って政府としてこういうことを今やろうとしているんだということを国民の前に明らかにしていただきたい。それは単にいわゆる貢献策という格好で今出てきているようなものだけではなくて、外交ということを含めて今政府はこういうことをやろうとしているんだぞと、まず海部総理の世界に向かっての宣言の上に立って今度は具体的な対応、こういうことをお考えになったらどうだろうか。  これは私の提言であります。感想を聞かせていただいて終わりたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 委員の御意見、大変貴重なものだと承っておりまして、私どもとしても十分御意見を踏まえながらこれから外交活動に努力したい、このように考えております。

田英夫日本社会党・護憲共同

○田英夫君 終わります。

岡野裕自由民主党

○委員長(岡野裕君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時十九分休憩      ─────・─────    午後一時二十一分開会

岡野裕自由民主党

○委員長(岡野裕君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

清水澄子日本社会党・護憲共同

○清水澄子君 私は、イラクのフセインの国内政治における独裁的な体質や今回のクウェート侵攻の暴挙を容認するものではございません。しかし、アメリカのサウジへの過剰とも言える軍の投入、そして先ほどどなたかもおっしゃいましたけれども、アメリカ国内における戦意高揚ぶりを見ますと、私などは太平洋戦争を体験しておるものですから、かつての戦時体制の悪夢をよみがえらせるような非常に不気味なものを感じております。そしてまた、九月十二日のあのアメリカ議会が在日米軍駐留費の全額負担の要求決議を採択をしたり、また中東への米軍展開費の半額を主として日本と西ドイツに負担する義務がある、こういうことを現職の国防長官が報告をされているなど、私は今のアメリカの状況というのは異常な状況にあって、非常に危機的なものを感じないわけにはいかないわけです。  このように非常にエキサイトした両者が中東そしてペルシャ湾に相対峙している、こういうことを考えましたときに、これはいつ何が起きるかわからないという非常に危険な状況にあると思います。もし間違ってここで戦端を開けば、それは中東問題に終わらないということはもうすべておわかりだと思います。とりわけ人質になっている人々、その家族、そしてまた職を奪われ飢餓と不安におびえている多くの避難民、特にアジア諸国やアラブ諸国の人々のことを考えますと、本当に一日も早い解決を急がなければならないと思います。  そういう場合に、日本はヨーロッパ諸国やアメリカとは違って中東ではいろいろな意味で手を汚していない最も有利な立場にあると思うわけですけれども、それをもっと日本政府は生かすべきではないか。そしてもっと多元的な情報を集めて、こういうときだからこそ冷静な分析と判断のもとに日本独自の憲法の平和外交を駆使して、そして言葉だけじゃなくて、本当に汗を流す具体的な方策を打ち出すべきだと思います。しかし、政府の中東貢献策なるものは、だれが見ましてもアメリカの軍事的貢献に非常に偏り過ぎている嫌いがあります。そしてその上に、国内におきましても自衛隊派遣や憲法改正論まで言及する、そういう状況があり、私はこれも大変危惧すべき事態だと言わなければならないと思います。  そこで私は、きょうはもう時間も少ないので、まず政府の中東貢献策と国連協力との関係並びに憲法との関係の基本的なところを質問させていただきたいと思います。  まず、戦後日本の外交というのは国連中心をうたってきたと思います。しかし、必ずしも実態は国連という多国間外交に全面的な支持を与えていなかったように思います。でも最近は国連中心主義という言葉が非常に多く語られるわけですけれども、これまでの日本の外交史の中で国連を中心にした実質的な役割を本当にあらわしたかといえば、本来そこで決定された人権とか環境とか軍縮とか、そういう非常に先進的な決議の宣言あるいはそれの共同目標について、ほとんど国民に徹底するということが実にいつも欠けている。ところが、今回は国連の決議に従ってという言葉が非常に声高に叫ばれている。私は、国連の理想を遂行するということには反対ではありません。むしろその理想をどういうふうに私たちが実行していくかということが問われているんだと思います。日本は国連において何を果たしているかといえば、発展途上国に対する援助はふやしておりますけれども、国連の分担金が第三位になったというのが最も特徴で、やはりそこでも経済的な分野での協力は目立っていると思います。  しかし、今回の場合も過去の場合もいつでも気になりますのは、国連中心主義という言葉が大きく語られるときは、アメリカ追随の外交との野党の非難をかわすときに非常にそれが利用されてきた節があるように思うんですけれども、今回は絶対にそういうふうな国連への協力というのはいささかもアメリカ追随外交をカバーするものとしては使われていないということは断言できますか。どうぞお答えください。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) けさほども御答弁申し上げましたけれども、今回の湾岸での事態に対します国連の対応でございますが、これはこれまでにこの問題について幾つかの安全保障理事会の決議が採択されておりますけれども、これがすべて米国、ソ連、中国、英国、フランスを含みました安保理常任理事国の賛成を得て採択をされておるわけでございます。国連憲章の仕組みから申しますれば、国際の平和と安全の維持、回復のための安全保障理事会がまさに国連の中心的な機構でございますので、そこでそのような形でまさに国連としての機能が働いているということであろうと思います。  それで、日本の協力はこのような国連の累次の安保理決議に基づく経済制裁、またそれの実施ということを目的にして湾岸の平和の回復のために協力をしておりますわけでございますので、これは米国のみに関係した問題ではないというふうに考えております。

清水澄子日本社会党・護憲共同

○清水澄子君 それでは伺います。  日本政府のこの中東貢献策という中に、先ほども大臣のお話にありましたけれども、二つの貢献策が出されております。一つは多国籍軍というのがはっきり書かれております。もう一つは周辺諸国への支援ですけれども、多国籍軍の派遣と行動というのは国連安保理事会の決議のどの号に該当しているのかということについてお知らせください。

柳井俊二外務省条約局長

○説明員(柳井俊二君) ただいま御指摘のいわゆる多国籍軍でございますけれども、御承知のとおり、国連安保理事会が決議六百六十号によりまして憲章第三十九条に基づいてイラクのクウェート侵攻を国際の平和と安全の破壊であると認定いたしまして、イラク軍の八月一日の駐留地点までの無条件撤退を求めまして、さらに決議六百六十一号におきまして決議六百六十号のイラクによる遵守確保、クウェートの正統政府の権威回復を目的とする経済制裁措置を憲章第四十一条に基づきまして非軍事的強制措置として決定したわけでございますが、これらを受けまして各国がイラクによる軍事行動の拡大の抑止及び対イラク経済制裁措置の実効性確保のために兵員、艦船等を湾岸地域に展開したものでございます。これは湾岸地域、ひいては国際社会全体の平和と安全の維持に積極的に貢献するというふうに考えております。  さらに決議六百六十五号というのがございますが、これは決議六百六十一号で決定したイラク経済制裁措置の厳格な実施を確保するために、海上部隊を展開している国連加盟国に対しまして、安保理の権威のもとに必要とされる一定の措置をとることを要請しているものでございます。

清水澄子日本社会党・護憲共同

○清水澄子君 では伺います。  その決議六百六十五号の性格でありますけれども、今六百六十一号を根拠にしているというお話がありましたが、この六百六十五号につきましては、私どもが日本の新聞で見ましたときには、これは最低限の武力行使、それを容認する、事実上認める決議をしたということが報道で流されました。ところが、この六百六十五号にはそういう文言はないと思うんですけれども、その文言がなぜ消えたのかということにつきまして、六百六十五号が採択されたそのときの議事録ももうおありだと思いますので、なぜそれがだれの主張によってどういうふうに消えてどういう文言になったかということをお話しいただきたいと思います。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) 今先生御指摘されましたとおり、六百六十五号の第一項でございますけれども、これは六百六十一号という全面経済制裁を定めた決議、これを守るために安保理事会の権威のもとに特別な状況下に即した必要と思われる措置をとることを要請するというふうに書かれておりまして、今先生が言われたように、必要最小限の武力行使という言葉は使われておりません。  それからまた、どういうふうに議事録はなっているかということでございますが、安保理の最近の審議の仕方というのは、まず関心の深い数カ国が集まっていろいろと協議を行った後、その数カ国間で合意が得られると、今度は安保理常任理事国五カ国、さらには安保理メンバー国全体で非公式協議を重ねていって、公式協議というのは最後のほぼ合意が得られたいわゆる採択される時点が中心で非常に短いわけです。そういうことで、この経緯についての詳しい議事録というのは私どもまだちょっと入手しておりませんが、恐らくその経緯は議事録には出てこない部分が非常に多いんではないかというふうに思われます。  なお、この決議が採択されました際に、今申しましたような文章が書かれておりますけれども、したがって武力行使という言葉には言及されておりませんが、決議の採択に当たりましてアメリカとイギリスとフランスは、この第一項には武力の行使も含まれると解釈するというふうに発言しております。

清水澄子日本社会党・護憲共同

○清水澄子君 中国はどのように発言いたしましたか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) 中国は、武力行使は含まれないと解釈するというふうに発言しております。

清水澄子日本社会党・護憲共同

○清水澄子君 ソ連はどうでしたか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) ソ連は、武力行使云々には言及せず、ただ紛争のエスカレーションに懸念を表明するということを言っております。

清水澄子日本社会党・護憲共同

○清水澄子君 そうでありますと、やはりすべて平和的な解決ということが、わざわざ原案に最低限の武力行使という文言が入って提案されたにもかかわらずその文言が消えたという事実は、やはりそこには意味があると思うんですけれども、それをどのようにお考えになりますか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) 私はこの国連の決議について法的に解釈する立場になく、国連事務局等にも照会する必要があるかと思いますけれども、ここで書かれておりますことは、六百六十一号、全面経済制裁決議の厳格な実施の確保を目的としてと。だから、全面的経済制裁決議が厳格に実施されることを担保することを目的として必要と思われる措置をとることを要請するというふうにうたわれております。

清水澄子日本社会党・護憲共同

○清水澄子君 先ほどお尋ねした中に、多国籍軍というのが三十九条に基づく四十一条を根拠にしてペルシャ湾に対して軍を出しているというふうにおっしゃったので、それでよろしいんですね。これは自衛権の行使というのは四十一条に基づくものなんですね。

柳井俊二外務省条約局長

○説明員(柳井俊二君) お答え申し上げます。  先ほどお答え申し上げましたのは、まず六百六十号で平和の破壊という認定があったわけでございますが、これに基づきましてさらに決議六百六十一号において、六百六十号のイラクによる遵守確保、それからクウェートの権威回復を目的とする経済制裁措置を憲章四十一条に基づいて決定したわけでございます。憲章四十一条というのは経済制裁措置の根拠になっているわけでございまして、これらを受けまして各国がイラクによる軍事行動の拡大の抑止及び対イラク経済制裁措置の実効性確保のためにこのような兵員、艦船等を展開したという関係があるわけでございます。

清水澄子日本社会党・護憲共同

○清水澄子君 そうしますと、アメリカ軍の行動もやはりそういう解釈でよろしいんですか。他の国連憲章の中でどの条項にも該当しない非軍事的措置のあれですか。

柳井俊二外務省条約局長

○説明員(柳井俊二君) いわゆる多国籍軍の展開というものは、ただいま申し上げましたように、これらの決議を受けまして各国が展開したものでございます。アメリカ軍の場合もその一環というふうにお考えいただいて結構だと思います。  ただし、実際に武力紛争が起こりました場合に、これにどう対処するかということは一応別の問題でございまして、現在幸いにして武力紛争には至っておりません。イラクによるクウェートの侵略ということは別でございますけれども、その後は展開しているという状況が続いているわけでございます。これが現実に武力紛争ということになりますれば、これに対しては自衛権の行使が憲章上認められておることは先生も御承知のとおりでございます。その関係条文は憲章第五十一条でございます。

清水澄子日本社会党・護憲共同

○清水澄子君 現在まだ武力行使に入っていないから四十一条が根拠であり、それが戦闘状態になれば、五十一条の集団自衛権の行使に当たるということですね。五十一条、そうですね。  そうでありますと、今政府の貢献策というのは、特に多国籍軍への支援というのが八月二十九日に明確に輸送、物資、医療、資金協力というのが出されたわけですけれども、その場合、政府の中東貢献策なるものの国連決議との法的な根拠はどこにあるのでしょうか。

柳井俊二外務省条約局長

○説明員(柳井俊二君) これらの一連の決議によりまして国連の加盟国は安保理が決定いたしました措置に対する協力を要請されているわけでございまして、我が国としては国際の平和の維持という観点から、また国連加盟国の一員として協力しているわけでございます。

清水澄子日本社会党・護憲共同

○清水澄子君 何かよくわからないですね。国連加盟国の一員ならば、多国籍軍に対して資金なり輸送なり全部引き受けるような義務づけがどの法にあるんですか。法的な根拠を伺っています、一員というのじゃなくて。

柳井俊二外務省条約局長

○説明員(柳井俊二君) 加盟国がどのような協力をするかというところまでこれらの決議で詳細に具体的に書いてあるわけではございませんけれども、国連の加盟国といたしましては国連に協力する義務を一般的には負っているわけでございます。  また、先ほども御指摘のございました決議六百六十五号の第三項におきましては、「全ての国家に対し、本決議の第一項に言及されている国家が必要とするであろう援助を国連憲章に基づき提供することを要請する。」というふうに書いてあるわけでございます。

清水澄子日本社会党・護憲共同

○清水澄子君 一般的に負っているということは私がお聞きしたこととはちょっと違うと思います。政府が今度明確に打ち出された貢献策は国際法のどの法的な根拠に基づいているのかということをお伺いしたんですが、これは私は非常に難しいと思います。だってそういう法はないわけですから。ですから、一般的に負っているとおっしゃった。  それで、時間がありませんのでその次に参ります。  そうでありますと、先ほどの戦闘が始まればということは、これ戦闘というのは予想できないですね。そして、非常に過剰なほどの軍事的な派遣、地上軍まで出動しているという状況の中で、じゃそれは憲章五十一条の集団自衛権との兼ね合いが絶えず出ている多国籍軍、つまり米軍を主体にする多国籍軍へ日本は支援をしたわけですけれども、それと憲法との関係はどういうふうに御説明になりますか。

柳井俊二外務省条約局長

○説明員(柳井俊二君) 先ほどの憲章上の義務につきまして一言だけ補足させていただきたいと思います。  六百六十五号における安全保障理事会からの各国への要請は先ほど述べたとおりでございます が、一般的な憲章のもとにおける加盟国の義務というのは、より正確に申しますと、憲章の第二十五条に「国際連合加盟国は、安全保障理事会の決定をこの憲章に従って受諾し且つ履行することに同意する。」という憲章上の努力義務というのがあるわけでございます。  次に、現在多国籍軍が湾岸地域に展開しているわけでございますけれども、これはこれ以上の紛争拡大を抑止するということが一つの大きな目的になっていると存じます。  それから憲法との関係でございますけれども、御承知のとおり、いわゆる集団的自衛権というものは国家による実力の行使に関連する概念でございまして、我が国の憲法上はこのような集団的自衛権の行使は認めないという立場になっております。したがいまして、日本国として行っております貢献策あるいは今後行いますそのような措置は、当然日本国憲法の枠の中で行われるわけでございます。

清水澄子日本社会党・護憲共同

○清水澄子君 憲法の枠内で行うといいましても、やはりこの集団自衛権の行使をやっているわけですからそこに協力をする、例えば民間といえども、最近医療団の派遣がされたわけですけれども、そういう人々は今後やはり他国のそういう集団、いわゆる軍の指揮下に入るわけですから、それはやはり日本は集団的自衛権の行使と非常に深いかかわりを持つということになって、これは絶対にどんなに御説明なさっても私たちにはどうしてもそこに大きな問題が残ります。これはもう時間もありませんので、また次への質問にいたしますけれども。  そこで私は、八月二十九日に出された総理が記者会見なさったときの「我が国の貢献策」というこの文を見ましたときも非常に疑問があったわけです。と申しますのは、「湾岸の平和と安定の回復のため」ですが、本来なら今までの御発言の中で我が国は安保理の決議を実行するためとあるならば、まだ問題があるとしてもわかる。まだそれならば我が国の主体がはっきりするんですが、「湾岸の平和と安定の回復のため安保理の関連諸決議に従って活動している各国に」というふうなことで、そこのところは非常に、これはある意味で公的な公式の文書ですね、そういうものにこういう表現がとられているということ。そういう意味で、私はこういった国際法上における法的根拠は何かとお伺いした。  それからきょうの大臣の報告の中にもあったんですけれども、「湾岸の平和の回復に十分な貢献を行うとの観点より、我が国としての協力を思い切った規模」と。「思い切った規模」というのは何でしょうか。総理のときにも「思い切った協力を行う。」と、非常に短い二行ぐらいの文章の中に。「思い切った協力」というのはこういう公式文書では非常に問題があると思うんです。今までもこういうふうに発表なさったんですか。そうであれば、この「思い切った」というのは超法規的に協力すると私たちも読み取ってしまうんですけれども、どうでしょうか。なぜこういう表現にならざるを得ないのでしょうか。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) ただいまの「思い切った」という表現でございますが、これは法律的な言葉と申しますよりはむしろ政治的な表現でございまして、我が国の置かれている立場、それから我が国がこの湾岸自体に持っている直接的な国益、さらには我が国の現在ございます法令、制度等の状況、財政状況その他すべてを勘案した上でぎりぎりに我が国としてとるべき措置をとったということを全体として表現したものというふうに理解をいたしております。

清水澄子日本社会党・護憲共同

○清水澄子君 よく理解ができません。  それで、先ほどから国連決議の遵守というのを非常に繰り返しておられるわけですけれども、はっきり言いまして政府のこの中東貢献策というのは明確な意味で国連憲章上の法的根拠というのはやっぱりあいまいですね。そしてまたもう一つは、いわゆる多国籍軍という名のアメリカの軍ですけれども、そこに協力するということはこれは四十二条の発動ではないわけですから、やっぱり集団自衛権とのかかわりは非常にここに何かあいまいな形であるというふうに認識をするわけですけれども、時間がありませんので、それはまた私は次回に続けていきたいと思います。  ここで一つだけ確認をしておきたいんですけれども、先ほどから皆さんも本当に憲法の条項はこれは守るのかということについて何度も確認されていますが、私もここで改めて一九八〇年に日本社会党の稲葉議員が自衛隊と憲法の問題、自衛権の問題等、自衛隊の海外派兵の問題について質問主意書を出しておりますけれども、それに対する政府の答弁の原則は今も変わらないし、今後も変える意思はないということを私は確認させていただいてよろしいでしょうか。

柳井俊二外務省条約局長

○説明員(柳井俊二君) ただいまお挙げになりました政府の答弁書の立場に変わりはございません。

清水澄子日本社会党・護憲共同

○清水澄子君 次に、国連平和協力法案なるものなんですけれども、これは国連憲章のどの法的根拠をポイントにしていらっしゃるんでしょうか、その案を今おつくりだと思いますが。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) この日本国内の国連平和協力法が国連憲章のどこに基づくものかという御質問かと思いますが、国連憲章と法律の関係につきましては、この法律に基づいて国連のいかなる活動に参加するかということによってその法律と国連憲章との関係が出てくるかと思います。例えば、国連がこれまで行ってきておりますいろんな平和維持活動というのがありますが、例えばナミビアですとかニカラグアですとかイラン、イラクとか、そういうところにもしもこの新しい法律に基づいて人が派遣される場合には、これは平和維持活動自身が具体的に国連憲章の第何条というのは規定されておりませんけれども、第六章の精神を酌んで行われているということで、第六章ないし七章に基づいた人の派遣ということになるかと思います。

清水澄子日本社会党・護憲共同

○清水澄子君 じゃ、ちょっと飛ばします。  この国連平和協力法案というのは、国連の成立そのものが第二次世界大戦後の世界秩序を五つの国のヘゲモニーで成立させてきたわけですから、むしろ非常に矛盾の多い内容だと思う。いっぱい直さなきゃならない、理想と反するところがいっぱいあると思うんです。ですから、政府はそれに基づいて今どさくさ紛れに国連にあたかも協力するかのごとく、名称だけはそうなんですが、内容はいろんな問題がありそうな感じがしますけれども、やっぱりそれはもっと時間をかけて、私は急ぐべきではないということを申し上げておきたい。  それから、いつでも秘密主義というのはやめていただきたいと思います。私はきのう国連政策課へ安保理の決議の全文をほしいと要求しましたら、取り扱い注意なんて、こんなものどこにでも出ているものでしょう。こんなものが取り扱い注意なんて印鑑が押してあるのを見ても、いかに秘密主義か。むしろこれからの国の将来を決める内容の法案というのは、余り秘密主義じゃなくて、もっと私たち国民が論議できるように国会で早く、法案じゃなくて基本的な内容を、もっと前提になるものをぜひ議論していただきたいと思います。  私はいっぱいまだ具体策について質問をしたかったんですが、私の時間は終わりましたので終わります。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 まず最初に、イラクで人質になっておられる日本の方はもちろんですけれども、あらゆる国の方たち、それから御家族のことを考えると、一日も早い解決、そして平和的な解決であるようにと望まざるを得ない、望まずにはいられないと思います。それで、そのための努力を今後もぜひ重ねていただきたいということをお願いして質問に入らせていただきたいと思います。  先ほどお隣りの田議員がアメリカの圧力と日本の憲法との板挟みの苦脳という表現をお使いになって、大変絶妙な表現だと思って私は感心をしたんですが、その後で田議員は、国民は政府の対応に大変不満を持っているというふうに言われました。私は、そのもう一つの側のアメリカの側も日本の対応に大変不満を抱いているのではないかというふうに思います。  それで、何度も出た質問ですけれども、再度伺いたいんですが、十億ドルあるいは二十億ドルにふえたその受け皿をどういうふうに今考えておられるのか、簡単に伺わせていただきたいと思います。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) この湾岸における平和回復活動に従事している国に対する支援、十億ドルの受け皿でございますけれども、これは現在湾岸にございますGCCという湾岸六カ国からなります国際機関を受け皿とするということで最終的な調整の段階にございます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 ありがとうございました。  そこで、単刀直入に伺いたいのですけれども、日本の自主的な決定だといつも答弁では伺っておりますけれども、テレビを見、新聞を読む限りでは、やはりこの十億、さらに二十億はアメリカの求めによって決断されたように見受けられ、また実際に日本の国民もほとんどはそう受けとめているんではないかというふうに私は思います。今おっしゃったGCCを受け皿とした場合に、もしこれをアメリカが本当に欲しているとすれば、一銭もアメリカに渡らないというか、そういうことになるんだと思うんですけれども、アメリカの方でそういうことを納得するかどうか、その点はどうお考えでしょうか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○説明員(松浦晃一郎君) 先般来御説明しておりますように、今回の多国籍軍に対します協力は、安保理の関連諸決議に従って活動している各国、この中にはもちろんアメリカも入ってまいりますが、それに対し適切な方法により協力を行うということでございまして、具体的には今中近東アフリカ局長が申し上げましたようにGCCを通じてということでございまして、GCCを通じまして各国の活動に協力するということで、その中には当然アメリカも入ってまいります。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 先へ行かしていただきますが、今中東問題は一方では日米問題としてクローズアップされているんではないかというふうに感じておりますけれども、大臣は現状をどのように認識していらっしゃるか伺わせていただきとうございます。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 基本的な問題をお尋ねでございますので、私の率直な意見を申させていただきたいと思います。  中東問題は即日米問題だというふうなことで、どういうふうに考えているかというお尋ねですが、問題はイラクが武力でクウェートに侵攻したという国際法的に認めがたい侵略行為、これに対して我々は厳しい批判をし、国連決議に基づいて経済制裁を行う、そしてイラクのこのような行動自身が間違っていたという考え方にイラク政府に立ち戻ってもらいたい、それによってクウェートから兵を撤退させ、人質を解放してもらう、こういう一連の行動があると思うんです。  しかし、その背景というものはもちろんございましょう。それはやはりこの地域が世界の原油の実に六三%ぐらい埋蔵している。この地域からの原油の総輸入量の中でのカロリー消費量を見てみますと、日本が六四%です。そしてフランスが三四%ぐらいだと思います。それからアメリカが一一%で、西ドイツが九%ぐらい。日本が一番受益している。その受益している国家がクウェートこ対するイラクの侵攻によって、もしサウジにこの軍が侵攻してきた場合、それはもう国際経済は大変な打撃を受ける。これについてはもう米ソとも、安保理の五カ国ともこの重要性は認識しておる。こういう中で、アメリカがいち早くこの地域にサウジアラビアの要請に基づいて軍を派遣する、こういう形になった。しかし、この地域は遠隔の地でございますし、アメリカの現在の国の財政というものは、御案内のように、財政赤字で大変苦しんだ状態である。しかし、この地域の安定は国際経済に大きな影響があるということでサウジの要請に基づいて出た。こういう国際法的な違法行為に対する一つの歯どめ、これが背景にあった。それについてそれだけの十万に近い軍隊を派遣して、四十五度ぐらいの炎暑の中で侵略をとめながら、クウェートからの撤退を求めている国連決議を実効あらしめるようにやっているアメリカの姿勢に対して、日本はどの程度の貢献ができるのか。  現実に私はサウジアラビアに行きましたときに、外相会談で冒頭に日本から軍隊を派遣してもらいたいという要請を受けました。私は憲法を説明し、自衛隊法を説明して、それはできない、しかし日本としてできるだけの協力はするつもりである、許された範囲でどうするかということでやっておりました。結局、我々の国には四十五年間の平和の中にこのような新しい米ソ協力して地域の紛争を調停するというような時代がございませんでしたから、新しい事態に対応して国連中心でやるだけの法律も制度もない。ここで実は大変苦しんでおった。アメリカからは日本は一体何をやっているかという批判が議会で起こってくる。これが私は一連の経過であろうと思います。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 今大臣が指摘されたアメリカの議会でございますけれども、先ほど田議員が言われたように、在日米軍経費の問題とそれから中東の問題は混同すべきではない、私もそのことははっきりそう思っております。しかし、九月十二日の下院での決議、これはやはり日本へのいら立ちと申しますか、そういったものが爆発したんではないかというふうに思います。その中で本当にアメリカが日本に求めているもの、それは一体何だというふうにお考えでいらっしゃいますか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○説明員(松浦晃一郎君) 今先生御指摘のボニアー議員の提案にかかわります決議案でございますけれども、最終的には国防予算権限法の修正条項という形になっておりますが、直接的には在日米軍の経費の問題を取り扱っておりまして、日本側が在日米軍の直接経費を全額負担しないのであれば、日本から在日米軍を漸次引き揚げるべしということになっておりますが、その背景には、今大臣が御説明されましたように、今回の湾岸危機に対します日本側の対応ぶりに対しますアメリカの議会の不満がございます。ですから、この修正条項そのものは在日米軍の経費でございますけれども、その背景には大臣が御説明されました湾岸危機に対する日本の対応ぶりに対する不満、それからさらに申し上げましたら、日米貿易アンバランスが御承知のように存在しますけれども、それに対する不満、この二つの不満が背景になっております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 今局長の御説明いただいたとおりだと思いますが、議事録をずっと見てみますと、そこで発言されている中では、少なくとも自衛隊に出動してほしいとか、そういう発言は見られないんですね。  例えば一カ所私が意外とはっきりこういうことは認識されているんだと思ったのは、日本が憲法の制約によって海外に自衛隊を送ることができないことは理解している、了承している。しかも多くのアジアの国々は日本の派兵を恐れている。しかし、だからといって日本が公平な役割を分担しなくていいということではないというふうに、これは民主党のドーガン議員という人が発言していますけれども、まさにこの問題は相手が日本の役割として何を期待しているのかということを今伺いたくて質問させていただいたので、その内容は報道されておりますし存じております。ですから、そういった期待、それは何だと、一言で局長はどういうふうにお考えでいらっしゃいますか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○説明員(松浦晃一郎君) 今申し上げましたように、この決議そのものは在日米軍の経費を日本側で一層負担すべしということでございますけれども、先生まさに御指摘のように、正確には修正条項でございますが、修正条項をめぐるいろいろなやりとり、それからこれを推進いたしましたボニアー下院議員の発言等を見てみますと、まさに湾岸危機に対する日本の貢献をもっとやっていただきたいと。それもまさに先生御指摘のように、日本の憲法の枠内でということを各議員とも踏まえて、憲法の枠内で日本ができることをやってほしいということを言っておりまして、それは議員によってもちょっと発言の内容が違ってまいりますが、一つは目に見える日本のプレゼンスを出してほしいということと、もう一つは金額的にできるだけ多くの貢献をしてほしい、こういう二つの願望に集約できるかと思っております。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 先ほど大臣の御発言の中に財政赤字のアメリカというふうにおっしゃいまして、まさに私はその財政赤字ということに関係もあるんではないかというふうに思います。ですから、例えばもしこの法案に反対すれば湾岸諸国に援助を送らなくてもいいというふうな意思表示になるから賛成するというような発言もはっきりありまして、三百七十対五十三という大差は必ずしも法律そのものというよりも、今の日本に対してのアメリカの一つの意思表示というふうにも読み取れるんではないかというふうに思います。  もう一つ私が確認させていただきたいこと、それは先ほど清水さんが言われた集団自衛権の問題ですけれども、この行使を日本の憲法は認めていない。そういたしますと、今回の二十億ドルの貢献あるいは輸送、物資の供与、こういったものは集団自衛権をどのように解釈した上で実行できるのかということを確認させていただきたいと思います。

柳井俊二外務省条約局長

○説明員(柳井俊二君) 御指摘のとおり、我が国の憲法は集団的自衛権の行使を禁じておりますけれども、これも御案内のとおり集団的自衛権という概念は実力の行使にかかわるものでございます。したがいまして、他国に資金を供与するというような我が国の行為は集団的自衛権に該当するような行為ではないということは、従来から政府が一貫して持っている立場でございます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 まさに今条約局長がおっしゃったようなことであるとすれば、下院の法案そのものではございませんで議論の問題ですけれども、その中で、今北米局長が言われたように、まさに日本に対してのいろいろな要求があったと思います。その中で憲法の立場、これはだれ一人として自衛隊の、さっき大使がどうのというお話がこちらでございましたけれども、少なくとも下院の議事録にはそういう自衛隊に出てほしいというような文言は一言もございません。それだけの理解の上に立ってやはり要求していることというのは、先ほど大臣がおっしゃった赤字財政と関係もあると思うんですけれども、しかもそのことまでが集団自衛権ということで多国籍軍には資金上の援助はできないというふうに今条約局長お答えくださった。その点そうおっしゃったんですね、一国にというふうに。

柳井俊二外務省条約局長

○説明員(柳井俊二君) 補足させていただきます。  私が申し上げましたのは、我が国による集団的自衛権の行使は我が国の憲法でできないことになっておりますけれども、我が国が他国に資金を供与するということはこれは実力の行使という問題ではございませんので、憲法上も問題がないというのが従来からの日本国政府の立場でございます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 そういたしますと、例えばアメリカにも資金を供与することはできるという解釈ですか。それが集団自衛権における行使ということにはならないというふうに。

柳井俊二外務省条約局長

○説明員(柳井俊二君) 繰り返しになりますけれども、集団的自衛権を含めましておよそ自衛権という概念は国家による実力の行使にかかわる概念でございますので、我が国が単に費用を支出するということは実力の行使には当たらないわけでございまして、したがいまして我が国の憲法第九条の解釈上認められない集団的自衛権の行使には当たらないということでございます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 それが軍事行動に使われたとしてもですか。

柳井俊二外務省条約局長

○説明員(柳井俊二君) そのとおりでございます。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) 若干補足申し上げますけれども、現在湾岸に展開しておりますいわゆる多国籍軍の任務と申しますのは、従来から御説明申し上げておりますとおり、一方においてはイラクのこれ以上の侵攻を抑止するという役割と、それから累次の国連安保理決議に基づきます経済制裁の実効を確保するということでございます。この二つの目的に従って行動することによってむしろ問題をいわば平和的に安保理決議の趣旨に従って解決する、それによって湾岸の平和と安定を回復するというのが多国籍軍のそもそもの目的なわけでございますので、その点ちょっと補足させていただきます。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 ただ、もしいつ実際に、今は銃と銃を向け合っているという状態ですから戦争が始まらないという保証はないわけで、戦争が始まる前のそういった経済制裁の領域と、それからそれ以後戦争が始まった段階とを分けることができないのではないかというふうに思うので、この憲法解釈ということについては相当に問題、また少し考えなければいけないところではないか、少しではなくて大いに考えなければいけないところではないかというふうに私は思っております。  次に行かしていただきますけれども、問題は、やはり今大変私が危惧いたしますのは日米関係なんです。こういった形で大変日米関係が悪化していくということは決して望ましいことではない。そこにやはり誤解が随分あるのではないかという気がいたします。  例えば、問題は一つは早さではないかという気がするんです。同じ下院の議事録の中に、日本は選択すれば選択することができたにもかかわらず三十二日間何も選択しなかったという言い方をしているんですね。それで、日本はみずから選択しないことを選択している。それは世界の中でまるでハゲタカのように、みんなが何かしているときに後ろの方で見ていて、他の国がすっかりそれをやり終わったときに空からおりてきておいしいものだけを食べていってしまう、さらってしまうのではないかというようなこと。そして、日本はそういうハゲタカの役をするのか、それとも将来において世界の政治経済のリーダーとなる道を選ぶのか、その選択の場にあったにもかかわらずこれをしなかったというような発言がありました。  これは私、本当にむしろ外国の人が言っているというよりも、私ども日本人がやはりここでは早さが必要だったのではないか。そして、少なくともハゲタカに見られるようなやり方はできるだけ避けるべきだったのではないかという気がするんです。それはいろんなチャンスがあったような気がいたします。きょうも御指摘があったように、兵器を売らない日本、それから憲法の制約があればこそ本当に平和ということしか掲げて物が言えない日本、そして平和憲法の範囲内でできることをいち早くやるということをやはりやるべきだったんじゃないか。  これはもう前のことを言ってもしようがないのでこれからのことということで考えさせていただくと、やはり憲法の中で何ができたが。たまたま私は八月はほとんどアジアにおりました。アジアでは本当にもう日本よりも早くにオイルショックが始まっております。それから、難民の輸送の問題ばかりではなくて、炎天下にさらされているアジアの難民、そこにいち早く日本がキャンプをつくるとか、難民救助のための食糧を送るとか、それから輸送にいち早く着手するとか、そういったことを法律を改正したり憲法のことを考えたり議論したりしているよりも早くやるということ。そして、オイルショックをもう既に受けているアジアの人たちへの支援、失業している人への支援、そういったことに必要なお金を思い切って出すということを日本はできたのではないか。  例えばこの四十三年間、先ほど大臣が平和憲法を具体化するチャンスが今までなかった、こういう事態は起こらなかったとおっしゃいましたけれども、もしかしたら四十三年間日本はそういうことをないがしろにしてきた、今に備えてなかった、平和のための備えがなかったという発想も逆にできるんではないかという気もいたします。例えば国としての徴兵拒否をしているんではないか、そんな表現もできるんではないかと思います。徴兵拒否をした場合には最も人が嫌がる厳しいことをやるんだという話を聞きました。日本は今世界の中でそういう役を果たすべきではないか。アメリカに言われての十億、二十億ドルなのではなくて、必要ならばそれに見合うだけのお金を出す。もし四十億を超すのであれば、もっと超しても私たち日本人は出さなければならないのではないか。それはあくまでも平和のための手段として、世界のハゲタカになるのではなくて世界のリーダーとしての位置を選べるんだと、アメリカの議員に言われるまでもなく私たち日本人がやらなければいけなかったことではないかという気がいたします。  危機管理ももう軍事による危機管理ではなくて、もっと平和的な手段での危機管理に移っていく時代なのではないか。ベルリンではピースレボリューションという言葉をよく耳にいたしました。もう革命も血を流す革命の時代ではないということだと思います。このデタントそしてボーダーレスの時代の地域紛争の解決というのは、恐らく軍事的な解決の時代ではないのではないか。そうだといたしましたならば、やはり平和憲法による制約なのではなくて、逆に平和憲法を四十年間持ってきた国だからこそできるような力の出し方をぜひしたい。そのことによって日米関係も改善できるんではないか。何かをしなかったらさらに日米関係は悪化していくというふうに思います。  そしてそれは日米だけではなくて、日本の国民に対しても世界に対しても納得してほしいというふうに思うのですけれども、今国連平和協力隊とか法律というようなことの御答弁を伺っていますと、やはりどうしても何か今の枠の中での発想のように思えてしようがないんです。もっとそれを超えたような、国連中心でも結構ですけれども、新しい理念を日本こそが打ち出していけないかということをアジアにいても大変に感じておりました。  最後に大臣に御所見を伺って終わらせていただきたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 我々は、戦後平和国家として憲法のもとで経済の繁栄を民主主義のもとに成功させてきた、自由主義経済を導入してきてこのような経済発展をしてきましたけれども、我々がここへ来て、この新しい米ソの対立が終わった事態で地域紛争が起こった場合のいわゆるとり得る制度というものが実存しなかったところに最大の問題があったと思います。それは余りにも我々が平和を維持することにうまくやってきた、日本の平和、外国からの軍隊の侵略はなかったわけですから、平和を維持することができた、そういう中で新しい事態が起こってまいった。  そこで我々は、サウジにクウェートからさらにイラクが侵入する場合に備えて国際社会から要求を受けました。それは飛行機の提供をしてもらいたい、あるいは船舶の提供をしてもらいたい、あるいは人を出してもらいたいと。軍隊を出してもらいたいと言うけれども、軍隊は憲法の考え方やら自衛隊法でできないということを私明確に言っておりますが、それじゃ飛行機をどうしたら出せるか。これは自衛隊の飛行機を出すわけにいきませんし、その能力はありません。そこで民間航空会社へ頼んだ。これは労働組合が大変強い反対の意思を示されたというふうに理解をして、なかなか輸送のための手段をとることができなかった。随分日がかかりました。そして船も、第一回のローロー船が出ましたけれども、これも大変な苦労がございました。  そういう中で、今度はそれじゃ医療部隊を派遣しようと思っても、なかなかボランタリーで行っていただく方はそう簡単に見つからない。それじゃ看護婦さんはどうか。日本赤十字にお願いしたらどうか。そういう地域紛争のところに日本赤十字が出ていくという戦後の例はございませんでした。  こういう中で、国際社会から要求されることに対応してこの経済大国となった日本ができることは一体何であったのかといえば、結局国際社会の平和のための資金を提供する以外に有効な手段はなかったということを私は率直に認めなければならないと思います。そういう中で、十億ドルではこの事態を回復するためには不足だという判断。何もアメリカからだけ言われて我々は考えているわけではありません。御案内のように、ドイツは二十一億ドル出すことに決定いたしました。ほかの国も、ECの国々はそれぞれ海軍も出しておりますし、西ドイツすら地中海にはNATOの領域で軍艦を出しております。  このような中で、日本は全体的な状況を踏まえながら実は最初に十億ドル、さらに十億ドルの追加支出をいたした。それはもちろんアメリカの意見も我々は十分耳にしております。しかし、これからうろうろすると国際社会で日本は孤立していく可能性が私はあると思います。それはやはりこの際、日本は国家として国民の理解をいただきながらしかるべき対応策をきちっととらないと、国際社会はみんながこの地域紛争の火を消そうとして努力しているときに、日本だけは手を出さなかったという批判を受けつつあると私は認識しておりまして、そういう意味では、先生も先ほどから御心配のように、日米関係がこれ以上悪化することは好ましくないというお考えでございますが、単にアメリカだけではなしにヨーロッパの国々からも日本は厳しい批判を受ける可能性がある。それを外務大臣としては大変心配をしておるということを率直に申し上げておきたいと思います。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 少し時間があるようなので再度伺いたいと思いますけれども、実際にそれでは資金援助しかできない、それでも私はいいと思うんです。ただ、それをどうやって渡すのか。受け皿でもう本当にさまよえる十億のような印象を受けておりましたけれども、その問題が一つ。  それから、なぜ実際に民間の飛行機やなんかが出なかったか。それは先ほどから清水さんも言われたような自衛隊を出すの出さないのというような非常に軍事的な、憲法に抵触するようなこととの混乱があったのではないか。国内外ともです。ですから、先ほど田さんもおっしゃいましたけれども、国民に対して本当に日本はこういう平和的な手段でこの際こうやらなければならなかった、こうするんだということが明確に示されれば、私はもっと早く手を打つことができたのではないか。そこのところがあたかも軍事的なことに対しての支援、後方支援というような形のものの方が先に出てしまった。そのことよりも今やはり一刻も早く、大変遅過ぎているような気もいたしますし、もしかしたら機会とか立場とかすべて一つずつ何か失っていくようで大変心寒い思いをしていますけれども、それでも今からでも、今この場ですぐ日本がやってできることがあると思います。  例えばアジアの問題とか難民の問題とか、アラブまで行かなくてもどこか違うところへそれではやろう、派遣しようとか、それから国連からは基金のことでは断られたというふうに聞きましたけれども、それでも平和基金を国連の中にこういう場合には平和のために使うためにつくるべきだということで、どこまで日本が本当にもう食い下がって体を張って主張してきたのか、その努力をどこまでなさったのか、そのことについてはいささか疑問を持っております。そういった意味で言えば、やはり国民に対してこういうふうに今日本はしなければならないということが明確に打ち出される前に何か軍事的なことが出てしまった。これからそこのところをはっきりお示しいただきたいというふうに思いますが、いかがでございますか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 日本政府としては国連そのものに基金を提供する、資金を提供するということが一番国民の理解を得やすい方法であるということを私どもよく存じております。しかし、それが現実問題として日本の要請といったような形の中ではそういう問題がなかなか機関としての受け皿というものはつくりにくい状況にあったということが現実問題でございました。  こういう中で、いわゆる湾岸協力機構、これに受け皿をつくるというために現在交渉している最中で、恐らく今明日の間に具体的な結果が出てまいるはずであります。

堂本暁子日本社会党・護憲共同

○堂本暁子君 最後に一言だけ。  今受け皿は、ODAの問題をやっておりましても、逆の言い方ですけれども、本当に国民の血税でございますから、一銭たりとも私はやはりむだに使われたくないという思いを日本人はみんな持っていると思います。そのときに、どういった受け皿になって果たしてそれが本当に効果的に使われるのかどうか、それも大変目を配っていただきたいと思いますし、それからできればその収支の決算というようなものもきちんと国会にお見せいただきたいというふうにお願いをして終わりたいと思います。受け皿というのが大変あいまいであるということの危険さがないようにぜひ御配慮いただけたらと思います。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 大臣、八月二日にこの問題がスタートいたしまして、外務省を中心に事務方が例の協力法作成を含めて非常に苦慮されている、こういうことを漏れ聞いております。私は、今度の問題はやっぱり政治的な決断、政治的な対処というのが非常に要求される問題が多いんじゃなかろうか、こういうふうに思っておりますし、協力法も徐々に成案化されているとは思うんですが、せっかくつくっても自民党の首脳は、これでもだめだ、あれでもだめだなんて文句ばっかり言われている。さっきも会ったけれども、ずっと並んでいても中近東局長なんて一番顔色が悪い。大臣だけ顔色はつやつやしています。あと局長なんかもう非常にやつれていて、これから頑張っていただかなければならないのにもうやつれ切っちゃったような感じがして、国連局長なんか何か顔色がどす黒くなってきちゃっている。ゴルフ焼けかどうかわからないですけど。大臣だけですよ、すっ飛び歩いて意気揚々、健康なのは。ということで、冗談は別にしまして、やっぱり政治的な決断あるいは政治的な配慮、これがもう非常に必要じゃなかろうかなと、今回の問題は特に。  そこで、言うまでもなくこの問題は現憲法下で全く考えてもいないような事態が発生したわけです。ところが、新しい活動基準、行動規範をつくろうというのに、現憲法というものあるいは現法律というものの枠の中で何とかしなきゃと、こういう中で苦慮されているわけでありまして、どうですか、今さらのようですけれども、憲法九条と我が国の国連活動の問題、自衛隊法と我が国の国連活動の問題は完全に両立しない問題でしょうか。どうでしょう、この点は。大臣だよ、今政治的なとそのために言った。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 私は、日本国の憲法というものは戦後にできた憲法として平和を理想とする国家の立派な憲法であるという信念を持っております。  一方、自衛隊の関連する法律と両立しないんじゃないかというお話でございますけれども、私は憲法のもとで自衛隊が国際社会にどのように協力することができるのかということについて、武器を携行して協力をする場合、武器を携行しないで協力をする場合という二つがあろうかと思いますけれども、国連中心にこれからの国際社会の平和を維持するために我々の国がどのような形でこの考え方を固めるかということは、これは国民の合意なくしてはでき得ないことであります。私は、現憲法下でも法律を整備して憲法の精神に反しないような形で国際社会に協力できる道は残されていると考えております。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 今までの政府の見解は、現憲法下でもあるいは自衛隊法の中でも武力行使をしなければ自衛隊の派遣はできると。きのうも防衛庁長官が同じ発言をしました。今もそれに類似した御発言だ、こう思いますが、にもかかわらず、協力法というものについて質問していくわけですけれども、その前提としまして新法をつくろう、こういうことだと思うんですね。現法律について改正はしない。  まず、改正はしないということでは結論はついているんですね。自衛隊法は改正しない、こういう点はもう結論がはっきりついて今の協力法、新法の作業を進めている、こう理解していいですか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) 先生も御指摘されますとおり、我が国として国際協力の一環として国際の平和及び安定のために積極的な役割を果たしていくという大前提があるわけで、それで具体的に憲法の枠内で何ができるかということを今鋭意検討している段階でございます。その関連で自衛隊法のああいう規定があるということも十分承知しておりますが、それをどういうふうにするかということにつきましてはまだ別に結論が出ているわけではなく、いろんなあり方につきまして検討しているということでございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 わかりました、今の国連局長のは。  そうすると、協力法を今作成している、つくりつつある中において、自衛隊法は改正しないんだ、そして新法にと、新聞の活字で意図的にリークされているのか、あるいは新聞記者の皆さん方の執拗な取材攻勢でどんどん出ているのか、その中におきましては少なくとも現行法は改正しないということを踏まえて協力法、新法をつくる、こう私は活字の上では認識をしているんですが、大臣、そうなると必ずしも自衛隊法を改正はしないということで固まったわけじゃない。逆に言うと改正する余地も含めて協力法をつくっている、こういう理解でいいんですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 現在政府ではあらゆる方面から議論をやっておる過程でございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 わかりました。議論をやっているから、そうすると、もう一回言いますけれども、自衛隊法を改正するということもその議論の中に入っている、こう認識していいですね。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 一般論といたしまして、法律を改正するしないということは最終的に国会でお決めになることでございますけれども、政府としてはそれを改正した場合の結果、あるいは改正しない場合の運用の問題、そういう問題について現在検討中であるというふうに御理解をいただきたいと思います。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 わかりました。  そうすると、私の認識というかあのマスコミに出ている活字というのは、だからやっぱりこういう委員会を早く開いて早く政府の意見を聞かないと、時々マスコミの活字に私たちも右往左往する可能性があります、これは失礼な言葉と思いますけれども。  そうすると、自衛隊法の改正も含めて検討さている、こう理解せざるを得ません。何回も同じことを言ってもこれはしようがありません。そうなりますと、自衛隊法を改正しないで新法をつくる、こういうふうに私は今まで認識をしていたんですけれども、そうじゃないんだ、自衛隊法を改正することも含めて協力法を今作成している、考えている、こういう認識に改めて質問しなきゃならないと思います。  そうなりますと、午前中も審議がありましたけれども、この時期、外務省がたたき台みたいなものをつくられた。これはもうつくられましたね。それでもう検討をやっているんですね。それはいいですね。たたき台みたいなものはつくっている、つくった、これはいいんですね。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) たたき台と先生が言われるものがどういうものかちょっとわかりませんが、全く何もなしで検討も進みませんので、いろんな案をつくっては破ったりつくっては破ったりしているということは事実でございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 今おっしゃったところを通訳すると、それをたたき台と言うんです。それをつくられてやっている。  午前中ありましたが、それができる時期、大臣、これはもう当然この国会人あるいは局長の皆さん方、一つのリミットがあるわけです。なるたけ速やかにと先ほど国連局長がおっしゃっていました。だけれども、マスコミによりますと二十五日とか総理が訪米するまでにとか、あるいは今月いっぱいとか、こんなあれが出ていましたが、ここらあたりの射程距離はどうなんですか、局長。総理訪米まで、あるいは今月いっぱいまで。さっきはなるたけ早くとおっしゃったんですよね。それをもうちょっと具体化しますと、そこらあたりを焦点に当てたときの時期はどうなんですか。できる可能性ありますか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) 私たちといたしましては、日本が国際の平和及び安全の維持の面で特に人の派遣も含めていろいろと国際協力できるという観点から、法律面も含めてちゃんとした制度が整備されているということが望ましいというふうに思っておりまして、そのためにはできるだけ早くそういう制度が整備されることが望ましいというふうに考えておりますが、それが今月中にできるかできないか、私といたしましてはまだ何とも申し上げられる立場にありません。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 だから何とも申し上げる立場にあるとかないとか言っているんじゃなくて、きょうは水曜日でしょう、十九日。二十二日は働きますか。二十三、二十四働きますか。二十九、三十働きますか。それを引いてごらんなさいよ。残っている今月の日にち、まして二十五日を射程距離にしたらもう二、三日じゃないですか。  大臣、そうなりますと今度はもう一つ臨時国会があるわけです。臨時国会、十月十五日、これは決まったわけじゃありません。臨時国会には当然この協力法なるものは出して、そしてこれは審議しなきゃならない。逆に言うと、消費税問題があります。今も与野党で一生懸命やっていますけれども、客観的に見て私はこんなのまとまらない、こう思っております。ですけれども、この消費税問題はありますが、それよりも皆さん方が今一生懸命やっているし、局面は非常に重大時期ですから、国際的に。ですからこれはもう一日も早くつくらなきゃならない。そうすると、臨時国会には当然この協力法なるものをつくって、さっき大臣がおっしゃったように広く国民の皆さん方に御論議いただくまさしく法律をつくってそこで審議してもらう、いわゆるその協力法審議、イラク問題の臨時国会になる、こう言っても過言じゃないような臨時国会が十月には待っている。いつかわかりません。そこまでにはつくらなきゃならない。これはもう当然でしょうね。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) お説のとおりでございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 局長、お説のとおりだって。それはどうですか。そこまではどうですか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) 私はもう大臣が言われたとおりでございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 それを翻訳するとお説のとおりなんです。わかりました。  時期的には、もう一回局長、申しわけありません、同じことの繰り返しで済みませんけれども、二十五日まで、今月いっぱいというようなこと、あれは聞いてもいたんですよ。活字にもなっていたんですよ。そこらあたりはやっぱり無理でしょうか。どうも無理なような感じが私するんです。いろんなところから私なりに聞いていますとこれは無理なような感じがするんですが、局長はどういうふうな感触を持っていますか。もう本当に数えると幾日もないですよ。指折り数えますか。いいですか、数えなくて。どうでしょうか。二十五日、さらに今月いっぱい。できますかどうか。私は無理だと思うんです、その感じでは。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) 何を今月いっぱいにつくるかということにも、片や場合によっては例えば骨子をつくるのかテキストをつくるかということにもよりますが、とにかく私たちといたしましては、今いわゆる国連平和協力法というものを想定して、そういう新しい法律をつくる場合にどういう内容が必要であるか、そういう法律をつくる場合に現行法との関係はどうなるかという点等も含めていろいろと検討をしておりますので、検討の過程で国家公務員の地位の問題等も含めましていろんな問題があるということが今認識されておりますので、必ずしも期限につきましては楽観的ではありません。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 楽観的じゃないというのは、今月いっぱいには楽観的じゃないと。わかりました。  そこで、いろんな問題がある。大体各社見ましても、私たちは各社の取材の中で勉強させていただく、活字になっていますから。大同小異でほとんど食い違いはありませんですね。それで一番問題は、私たちの関心事はやっぱり自衛隊の派遣ですよ。この自衛隊の派遣も、各社の活字を見ますと、予備自衛官を協力隊の中に入れるとか、あるいは退職した自衛官を入れるとか、あるいは現在の自衛隊を肩書を変えて一時出向という形で入れるとか、こんなようなことが活字になって出ている。これは局長に言うと、検討中検討中。まあまさしく検討中の一番の問題だ、こう思います。大体答弁は私やっちゃいましたからいいです、局長の答弁は。  そこで大臣、どうですか。私が冒頭申しましたように、当然九条と国連協力との問題、自衛隊をどう扱うかということがやっぱり大きなこの協力法の中心だ。各種法律等の整備とかいろんな問題があるかと思いますよ。事務方に言わせますとね。だけど私たちは、やっぱり国会人としては当然自衛隊をそこにどういう形で入れるのか入れないのか、こういうことなんですが、これは今局長、検討中ですから結構ですよ。結構ですけれども、これだけの重大事であり、これだけ活字に出て国民がそういうものを最大関心事として頭に入れて認識しているわけですよ。だから私は、政治的な決断、判断を多く必要とする問題ですよ、今日のテーマはと、こう冒頭で言ったんです。  大臣の感じとして、大臣の感じじゃ失礼、大臣だから感じなんて言っては申しわけありません。大臣の見解としまして、自衛隊は現行法改正ということも含めてということですが、どういう形で自衛隊を協力隊に入れた方がいいのか、あるいはどういう形で入れるという方途があるのか。当然検討の中で一番責任者の大臣は、そんなことはもう夢でも寝言でもうなっているんじゃなかろうか、奥さんに後で聞いてみますけれども。それぐらいやっぱり大臣の頭にはあると思うんで、ひとつその一端でも吐露していただけませんか。教えていただけませんか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) この国連平和協力隊というものを構成する内容、人員、これはその国家の意思を受けて国連の平和に協力するというのが原則であろうと思います。その場合に、かねて日本が協力してきたようなナミビアにおける選挙とかニカラグアにおける選挙に人を出す場合とはまた別の意味で、例えば平和監視隊とかいろいろ対応の仕方が幾つかに分類されると思います。そのような中で、現在この国で国連の平和協力部隊として出るだけの訓練を受けた人がどこにおられるかという問題がございます。  今回我々が一番悩んだのは、民間のボランタリーではなかなか応募者がない。応募者が出てこられない。意思はあってもごくわずかです。例えば五百人とか千人単位の訓練された一つの組織として行動できるような人たちがそろうということが非常に難しい環境にこの国家はございます。そういう中で訓練されている人たちといえば、自衛隊もその中にあります。また警察もございます。海上保安庁もございます。あるいは消防関係の人もございます。いろいろと組織として訓練されている方々はございますけれども、どのような形で国連平和協力部隊を構成するかということについては現在大臣として検討中であるということで、実際検討いたしておる最中でございますから、その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 その検討の中で、何回も言うように民間人、もう今大臣くしくもおっしゃったようにこれから訓練しなきゃなりません。まして優秀な人だといったって、失礼ですけれども、寄せ集めればそれだけのまとまったものについてのまた訓練も必要でしょう、個々には訓練されていても。それよりも既にもう訓練されてまとまっているものがあれば、当面のイラク問題については当然いいわけです。中長期的な問題に対処するならこれはいいでしょうけれども、やっぱり当面のイラク問題にも対処しなきゃならないための協力法、協力隊だと思いますから。  そうなると当然自衛隊というものが頭の中になきゃならない、あるべきだ、それがもう当たり前だと。今くしくも大臣はその一端をおっしゃいました。一般の人じゃ応募者が少ない、訓練が行き届かないと。さらにもう一つ私に言わせると、訓練の行き届いた民間人が集まったとしても、たとえ自衛隊でも、訓練が行き届いたといったって個から一つの団になるとその団の訓練をしなきゃならない。これは個々の訓練が行き届いていれば団になったときの訓練は短期間で済むでしょう。ですけれども、その訓練だって超短期であるにこしたことはありません、国際要望にこたえるためなら。となると、検討検討とおっしゃるけれども、おのずから検討の中の中心的な存在になるのはもう言うまでもなく自衛隊の個あるいは団であることは間違いない。こういう論理はどうですか。私の論理は誤っていますか、大臣。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 私は委員の御指示の点が間違っているということを申し上げる立場にはないと思います。  ただ、この日本の国家の中でどのような人たちによって構成されることが可能かという可能性の問題について我々は議論をしているという過程でごさいます。その中にはもちろん先ほど申し上げたようにいろんな組織体がある。しかし、それは憲法の枠内、自衛隊法の枠内で今日まで来ております。あるいは消防は消防法、法律のいろんな枠がございますから、そういう中で、新しい国連平和協力という形の中でどのような構成をすれば国際社会から受け入れられるか、また国民が納得して支持していただけるか、この二つの問題をどう解決するかということでただいま政府で検討しておるというふうに御理解をいただきたいと思います。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 局長、済みません、もうちょっと立ち入りますけれども、その検討の中にさっき私が言いました現在の自衛隊の方の身分を出向させてやる問題、あるいは予備自衛官あるいは退職自衛官をボランティアで募集する場合、こんなものも検討の中に当然入っている、こう私は常識的に思わざるを得ないんですが、それは間違いですか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) 私たちが検討をした上でこういう形がベストだと思うようなものを出すためには、いろんな実態について調査して検討するということはあり得ることかと存じます。  なお、今の組織を使うということが非常に重要であるという点は確かにそのとおりでございますけれども、同時に、私たちのこれまでの経験から、民間の間におかれましても非常に優秀な方がたくさんおられることがわかりました。例えばニカラグアの選挙監視団の場合はスペイン語という語学が非常に重要であるということとか、今度のサウジの医療団の場合は、やっぱりああいう現地になれた方あるいはアラビア語ができる方ということで、かつての青年協力隊員なども行っていただいておりますが、そういう民間の方の役割の余地というのも非常にあると思っております。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 それはいいんだよ。だけれども、それは集まりにくい、訓練が大変だと今大臣がおっしゃったから、そうじゃなくて、私の言うのは、いろんな検討の中で今の自衛隊の問題が一番メーンである、こうなった場合に、いわゆる三つのことが考えられるけれども、それも検討の中に入っていますかと、こういうことをお尋ねしたんです。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) 私たちといたしましては、あらゆる事実関係、現在どういう制度になっているか、あるいはどういう方がおられるか、例えば自衛隊のもとで予備自衛官の制度があるということも一応勉強はしておりますが、それをこの中に入れるか入れないかということにつきましては全く未定でございます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 これも新聞の活字で勉強させていただいたんですが、医官あるいは輸送、通信、建設等について協力隊を構成する、こんなことが書いてありましたけれども、要するに非武装、非軍事、丸腰、こういうことなんですが、ここらあたりの検討、これを見ますと大体一致していますね。建設あたりが出ているのと出ていないのとありますよ。大体これについては検討している範疇に入っていますか。ここに各紙の記事がありますけれども、緊急医療、通信、輸送、こちらの方は輸送、通信、医療、監視、建設、同じようなものですね、一、二項ふえているかふえていないかで。こんなものは当然検討の中に入っているわけですか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) 私たちは、過去数十年間国連がどのような平和維持活動に当たってきたかというようなことも参考にしながら、今日本としてどういう分野で貢献ができるかということを検討しているわけでございます。  それで、国連のこれまでやってきた平和維持活動を見てみますと、停戦の監視ですとか選挙の監視ですとか医療活動、あるいは車両整備とか運輸、通信などの業務があるということでございます。あと行政などもあるかと思いますけれども。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 条約局長、この自衛隊、今の問題で当たり前のように論議されているんですけれども、自衛隊が丸腰で海外に行く、政府の答弁も先ほど言ったように武力行使しなければ行けるんだ、こういうことを今までも言っているわけですけれども、自衛隊の非武装、丸腰、こういうものはどういうことになるんですか、自衛隊法にこういう規定はありますか。

柳井俊二外務省条約局長

○説明員(柳井俊二君) 自衛隊の問題につきましては、黒柳先生大変お詳しいので、私の方から答弁申し上げるのも申しわけないんですけれども、御承知のとおり、いわゆる海外派兵ということになりますと一般的に言いますと、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣するというふうに一般的に定義されていると思います。憲法の問題といたしましては、このような海外派兵は一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって憲法上は許されない、したがってこのような海外派兵はできないというのが従来からの政府の見解であると承知しております。  ただ、このような武力行使の目的を持ってということではなくて、そのような目的を持たないで部隊を他国へ派遣することが許されるかどうかという点につきましては、これは憲法の問題といたしましては許されないわけではない。ただ、法律上自衛隊の任務、権限として想定されていないものについては部隊を他国へ派遣することはできないというのがこれも従来からの政府の見解であると承知しております。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 そうじゃないんだ、僕が聞いているのは。  防衛庁来ているな。――自衛隊法の中にいわゆる非武装とか、まあ丸腰というのは通常の言葉ですが、そういう規定があるかどうかということを聞いているんです。ありますか。ないよ。あるわけない、そんな首ひねったって後ろ向いたってそんなものは。自衛隊が丸腰なら自衛隊にならない。自国を守るにしたって素手じゃ今戦えませんから。そんな規定はないでしょう。丸腰の自衛隊とはそもそもこういう自衛隊であるとか、非武装の自衛隊とはこういう自衛隊をいうなんという規定はないでしょう。

藤島正之防衛庁防衛局防衛課長

○説明員(藤島正之君) そういう規定はございません。特に非武装とか、そういうことで区別しているような規定はございません。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 そうでしょう。ところが今、今じゃなくてもこれはもう当たり前ですけれども、憲法解釈と一緒に相論じては、非武装ならば、武力行使しなければ、丸腰ならば海外に派遣できる、こういうふうに飛躍しちゃっているんですよ。飛躍ということからそれが定着しちゃっているわけですよ。ところが実際の自衛隊法には非武装、丸腰の自衛隊なんというのはどこを探しても規定はないんです。だからこそ今も自民党の中で協力法と一緒に絡んでどうなっているか、私たちは何回も言うようにマスコミの活字で教えていただくわけですから。自民党首脳がそれに対して、そんなことあるか、憲法改正しろとかなんとかかんとかいちゃもんをつけているわけでありまして、本来そんな丸腰、非軍事なんという自衛隊なんかどこにもありはしません。  ある人の話では、おれの兄貴は医官だけれども、兄貴が海外へ行く場合にだって後方も前方も今ないんだ。ミサイルは後方だってすっ飛んでくる。医官だって、敵に攻められれば自分だって相手を殺さなきゃならない立場だってあるんだ。そんな非武装だなんて何が非武装だ、こう言ったとか言わないとか、こんな話が国会じゅうに流れていますけれども、確かにそれはもう一理どころか十理あると思うんですね。  やっぱり自衛隊は国を守る。国を守るというのは、国なんかどこにもないから自己を守らなきゃ国を守れない。組織を守らなきゃ守れない。そのためにはどういうことが想定されるかわかりません。後方という規定だってあるみたいでないんですから。その丸腰の自衛隊ならば、非武装ならばいい、こういうことに今なっちゃっているんですよ。それがひとり歩きしちゃっているんですよ。ところが振り返ってみると、丸腰、非武装の自衛隊なんという規定は全くない。全くないからこそ、丸腰だってピストルは持っていかなくていいのか、敵に攻められたら殺されるままでギブアップしていいのか、こういう意見は当然出る。なぜ出るのか。法的な規定が何にもないからですよ、非武装、丸腰については。  ということで大臣、課長さんにあれすると一生懸命にうなずいているから、これ以上やるとちょっとうまくない、真剣に聞いているから。余り真剣に聞かなくたっていいですよ。私は課長さんに真剣にやっているつもりない。当たり前のことを当たり前に言っているんですから。大臣、どうですか、今私が言った問題について。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 今委員御指摘のように、私どもの国の制度の中で今まで御議論をいただいているような事態に直面したことはございませんでした。そのために自衛隊のいわゆる法律のもとでの非武装あるいは武装の問題、そういう問題に対する考え方もコンセンサスとしては持たれていないという今委員からの御指摘がございました。私はそこらが一番大事なところではないか。  例えば国連平和協力隊を構成する場合でも、この国では徴兵制度がございません。あくまでも個人の意思によってその隊に参加していただくというのが原則だろうと思います。そうなってまいりますと、自分がいわゆる危険地域に出て行った場合に受ける指揮命令系統は一体どうなるのか、あるいは危険にさらされた場合の防衛の問題はどうなるのか、あるいは負傷あるいは死亡に至る場合のいわゆる補償問題は一体どうなるのか。平和部隊を出すに当たりましても、隊員の方々御自身あるいは御家族の問題も含めて十分我々は真剣に考えていかなければならない問題に現在直面しているという認識を持っております。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 内閣法制局を呼んだんだけれども、何か忙しくて帰りたいと言うから帰しちゃったんですが、条約局長、申しわけないですけれども、今大臣がくしくもおっしゃったこと、私が冒頭言ったこと、法整備ができていない。無理にとは言いません、私。一生懸命国連局長を初め考えていらっしゃるわけですからね、新法を考えている。だけれども、やがてこれはほころびができるし、たとえつくったとしましても、もう今の国会の情勢、衆議院は通るでしょう。参議院になるともうこちらの先生方だって黙っちゃいませんよ、与野党逆転ですから。特に私たち二十一ありまして、この二十一がやっぱり物を言うわけですよ。というようなことで、やっぱり相当国民との対話がオープンにされて、論議をやることはどんどんやらなきゃだめ。先ほど社会党の先生がおっしゃった。何か隠れているみたいな、何か潜行して自分たちだけでつくっちゃって後はおまえたちこれに従えなんて、こんなものがあったらこれはうまくない。  だから安保と違うと思います。十五年前、安保条約は私たちは絶対反対。十年前になって、まあ容認もよかろう、条件つきだ。今は安保賛成。なぜかならば、大臣おっしゃったように、国民の意思が日米関係というもの、安保について、何かあるごとにアメリカおかしいじゃないか、政府おかしいじゃないかというときに私たちが安保賛成なんと言ったんじゃやっぱり国民の、何も国民に従った公党じゃないですけれども、国民との意気を通じながら安保に対して熟するのを待って決断を下した。むしろこちらは国民の中に入って対話をしてきた。この問題はそんな余地はないですよ。  これはいつ終わるかわからない。どれだけ続くかわからない。まして今、非常に失礼ですけれども、もうどこの奥様だってイラク問題、人質だ、お金を出している、関心事ですよ。ともかくフセインはおかしい。悪い。出すこと、援助することはいいんじゃないか。細かいことはわかりませんね、これからですから。これはもう定着しています。その定着しているときに安保と違った面があるんです。時期を待って国民の意見なんて聞くような余裕はないです、これは。終わっちゃったらそれでパアですよ。長く続いたってなかなかこんなものは育っていきません。  であるならば、今ここで政府が恐れないで、何も私は憲法を変えると言っているんじゃないですよ、黒柳は党内きっての憲法を守って自衛隊法を改正するなの急先鋒ですから。だけど、これはやっぱりいろんな角度から憂えもしあるいは心配もし、二十五年の国会生活、その中においてこういう事態について本当に国際協力するならやっぱり今だ、こういうふうな感じもする。そのためには非武装、丸腰なんといったって全くわからない自衛隊じゃないですか、くしくも大臣おっしゃった。これが問題。  問題はそれだけじゃないわけですよ。そういう法的なものをみんな無視しちゃって新法をつくって、その中で何とかしよう、苦労しよう。局長だけが一生懸命苦労しちゃって、自民党の幹部はそれに対して勝手なことばかり言っている。いつまとまるかわからない。局長、もういいかげんにしろと言ってやればいいんだ、自民党の幹部に。自分たちがつくってやれと。済みません、申しわけないですね。そのぐらいになりますよ、僕だったら。一生懸命外務省の役人が苦労しているのに勝手なことばかり言って、自分たちでつくれ、自民党がつくって出せと言ってやればいいんですよ。そういうことですよ。  まだまだ、非武装だけの問題じゃありません、法的な不備がいっぱいあるじゃないですか。思い切って法的な不備を出しなさいよ、全部。議論しなさいよ、広く。その結果どうなれこうなれ、私たちはそんなことまで論じているのじゃありません。私たちは憲法改正いいんだ、自衛隊法改正、そんなこと言っているんじゃありません。今の時というものを踏まえて広く国民に認識してもらう。そこから始まらなかったら幾らいい法を出したってだめです。そのいい法も、いい法になって成案化するかどうかもわかりはしません。そういう瀬戸際ですよ。そうなると、またお金だけ出して、対米追従で、それで終始した自民党と。中山大臣も一生懸命やったけれども、結果的には対米追従だったな、何にもいいことなかったな、これでおしまいになっちゃうじゃないですか。  ですからいろんな法的不備、恐れないでやったらどうですか、法的な不備を。今の非武装にしたってその最たるものですよ。非武装自衛隊なんというのは全く法的根拠がない、全く宙ぶらりん。だからこれに対していろんな意見が出る。いろんな意見が出るということは法的な裏づけがない、根拠がないから意見が出しやすいということですからね。  ひとつ大臣、恐れずに法的な問題があったらば検討してもらう。それを協力隊法の中に入れる。あるいはこれは、ちょっと官房長官がきょう出てこないんですが、何か黒柳さんが出てこいと言ったけれども、黒柳さんに呼ばれると急におなかが痛くなっちゃう。おかしなおなかで困っちゃうんですけれどもね。当然野党の意見も聞いてください、国民の代表として。  そして、いつできるかわかりません。ひとつ官房長官、総理大臣、早く、これはでき上がってから党首会談よりも過程の方がいいんじゃないでしょうか。そうするといろんな意見というものがかみ合う。でき上がっちゃったらもうこれから後退できません。党首会談を速やかにやって、そしてそれに対して各党の意見、いろんな持論を持っています。それは持っていますよ。決して柔弱なものじゃありません。確固たるものである。厳しいものである。早く党首会談をやって、その中においてまた検討もする。この時期を私たち早くといったっていつやれと言うわけにいきませんが、間違いなくひとつその成案化する前には党首会談をやって、各党の意見をそこに盛り込めるものは盛り込んだものを国会に出してもらいたい。いかがですか。ちょっと長くなって済みませんね。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 黒柳委員から国連平和協力の組織の構成について大変御熱心な御意見をちょうだいし、積極的に推進するように御激励をいただきまして、心からお礼を申し上げたいと思います。  私どもは、きょうの各委員の御質問に対して相当いろんな法律の不備の問題あるいはこれから検討すべき課題について御答弁を申し上げているつもりでございますが、この問題を踏まえて私ども政府におきましても積極的に議論をし、一日も早く結論の出るように努力をいたしたい、このように申し上げさせていただきます。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 それは各党は各党で、今は黒柳さんに答弁しているんじゃないですか。だから黒柳さんに焦点を当てなきゃだめですよ。各党は終わって、今黒柳さんの答弁ですから。各党ここにいるんですから。  そうじゃなくて、非武装の自衛隊、それだって法的な根拠がなくて宙ぶらりんでふわふわふわふわとなってきたし、今もなっているから、そういう法的な根拠をはっきりする、そういう検討も大胆にやりなさい。その中にはさっき自衛隊法を改正することも含めてと局長はおっしゃった。それも当然含めてまだまだいっぱいあります。だから、法的根拠をはっきりしないで新法をつくって、何となくそれでふろしきかぶせて今国会乗り越えちゃう、おれだっていつまでも大臣やっているわけじゃないんだからなんていうのは、もしそんなことがあったら後に禍根を残します。というようなことでの答弁をお願いしたいと私言ったつもりなんですけれどもね。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 戦後、冷戦が終わって新しい国際社会が現在進みつつある中で、日本がこれまで持ってきた憲法の枠内で次の新しい国際社会に対して協力をしていく平和維持のための組織を今日つくることは、これから五十年あるいは百年この組織を残す可能性もあるわけでございますから、この機会に国民の御同意を得るようにあらゆる点について御議論いただくように政府としても積極的に努力をいたしたい、このように考えております。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 時間がないんで個々の問題を二、三聞きます。  第二弾で四十億ですか、第三弾の可能性もなんていうようなこと、これはわかりませんな。第一弾、第二弾、先ほどもあったように対米追従、これはもう言われてもしようがないです、その過程から見て。向こうからの圧力があったたびにふやしていくんですから。一番初めから四十億ドル、まあそういうわけにいかなかったでしょうけれども、その経過を見るとどうもアメリカの言いなりである、こういう見方は免れません。  どうですか。第二弾の四十億ドルでもうこの援助は満足である、十分である、あるいはもうこれ以上することがない。どういう答弁か、その点いかがですか、政府。だれが答弁するかな。北米局長、書いてあるならそれ読んで。

松浦晃一郎外務省北米局長

○説明員(松浦晃一郎君) 先生の御指名でございますので私から答弁させていただきますが、今後のことにつきましては、先ほど来いろいろ御説明してございます具体策につきまして、可能な措置から速やかに実施していくということで努力していきたいと考えております。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 そうじゃないよ。だから政治家なんですよ、今必要なのは。  そうじゃなくて、第一弾、第二弾、対米追従だ、アメリカに言われたからやったんじゃないか、こう言われないためにも、第三弾があるかどうかそんなことわかりませんが、今の第二弾の四十億ドルでもう十二分に援助はしたと。今後のことはまた若干の推移がありますよ。変化もありますよ。だけれども、今現在においてはもう十二分にやったと、こういう感覚、大臣ありますか。十分だと。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 政府の決定いたしました協力につきましては、現在の時点でできるだけのことをやっているという認識を持っております。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 大蔵省が一番困っているわけですよ。せっかく赤字財政から脱却なんと言って補正予算を組んで、これ第三弾があるかわからない。今現在においてはもう大丈夫だと。どうですか、大蔵省として第三弾があったら受け入れられるか。今の四十億ドルで、これは赤字財政の立て直し、赤字財政脱却からまた戻って補正予算で粗まなきゃならない、こういうことですから、大きな迷惑じゃないですか。どうですか、乗り切れますか。

田谷廣明大蔵省主計局主計官

○説明員(田谷廣明君) 先般の十億ドルの協力でございますが、これは現下の財政事情で私どもとしましては最大限のものと考えておりまして、その財源につきましては現在鋭意検討中でございます。  さらに今般の十億ドルを限度とする追加措置の財源につきましては、直ちに現段階で協力を行うということは極めて困難でございますので、その支出の時期につきましては今後の中東情勢の推移あるいは財源事情を見きわめて適切に対処していきたいというふうに考えております。  御指摘の第三弾というお話でございますが、私どもとしてはこれ以上の追加措置は考えておりません。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 時間がないので三問まとめて聞きますけれども、在留邦人の人質になった百四十一名、その食糧は自分たちで用意しろと言ったあれから十日ぐらいたっている。全く何にもないですね。これについて国際赤十字から物資を送るとか、こういう考えはありませんか。  それから、マスコミは帰国した婦女子、奥様方に聞いて、大体百四十一人がどこにいるか、いるらしい地点はつかんでいますが、外務省はつかんでいますか。百四十一名がどこらあたりの地点にいるらしいということをつかんでいますか。  それからもう一点、ヨルダンに難民が何万といる。飛行機を二台チャーターして送り始めた、こういうことです。アジア系難民ですね。飛行機は三百人ですから大変なことですよ。船でもチャーターして一千人、二千人、行くときには物資を載せ、帰りにはその難民を輸送する、こういう船のチャーターということは考えていませんか。

久米邦貞外務省大臣官房領事移住部長

○説明員(久米邦貞君) 御質問の第一点のイラクの在留邦人に対する食糧の援助の点でございますけれども、在イラクの外国人につきましては、イラクは現在食糧の配給をやっておりますけれども、それの対象としないということを言っておりますので、現在のところはまだ蓄えがあるようでございますけれども、在留邦人がいずれは食糧に困る事態が生ずることになるということは予想しております。そういうことで、政府としてもその対応策を現在検討しているところでございます。  ただ、その具体的な対応ぶりにつきましては、先般国連の安保理事会においてもイラクに対する食糧、医療品の供与についての決議というものが採択されておりまして、そういう事情もございますので、今後その実施ぶりを見きわめながら慎重に対応を考えていきたいと思っております。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) ジョルダン等にいる難民の輸送に船を使わないかということでございますが、これは一義的に私たちIOM、国際移住機構を通じて援助をしておりまして、今度のJALとANAが行ったのも、日本政府が仲介には立ちましたけれども、IOMに対する協力ということで行っていただいたわけです。船につきましても可能性をいろいろと検討いたしまして、日本からは協力していただける会社も出てきたのですけれども、IOMの方で非常に時間がかかるということ等もあって今回は残念ながら活用できないということになっております。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 もう一つ、抑留はどこにいるかつかんでいますか。

久米邦貞外務省大臣官房領事移住部長

○説明員(久米邦貞君) 二番目の点の百四十一人の拘束されておられる邦人の方々の所在でございますけれども、我々といたしましてもあらゆる手段を使って所在の確認に努力をしているところでございます。ただ、具体的にどういう情報を有しているかということにつきましては、邦人の安全の問題もございまして外部に一切ノーコメントとさせていただいております。御理解いただきたいと思います。

黒柳明公明党・国民会議

○黒柳明君 どうも済みません。ありがとうございました。

立木洋日本共産党

○立木洋君 今までの質疑の中でも大分出ましたけれども、イラク問題についての日本政府の対応としては、憲法に忠実で憲法の枠内でなければならないということや、また国連中心で努力するんだというふうなことを政府は再三述べておられますけれども、果たしてその点どうなんだろうかという問題が多々あると思うんですね。私は、イラクの問題の中で今日本政府が国の内外で厳しく問われているのは、やはり日米関係のあり方の問題が一つ厳しく問われているんじゃないかと思うんです。日本がいろいろな貢献策を出す、しかしこれに対する批判、国際的にどんな批判があるかというふうなことも大臣はいろいろとごらんになっているだろうと思うんですが、そういう点を改めて少しお聞きしておきたいんです。  まず最初に、今回のいわゆる多国籍軍に対する支援の要請というのは、これは国連からではなくてアメリカから要請されたものである、その点は間違いございませんか。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) いわゆる多国籍軍に対しましては、けさほども御答弁申し上げましたように、米国のみならずヨーロッパ、それから一部アラブの国その他多数の国が参加をいたしております。それで、それらの国々も含めましてやはり私どもは国際的に日本に対する期待があるというふうに受けとめて、その立場から我が国としてできる限りの貢献をするということで措置をしてきております。もちろん米国におきましてもそのような意味での期待があるということは当然でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 国連の要請ではないということについては明確にお述べにならなかったけれども、それはそういうことでいいんでしょうね。国連からの要請ではないということ、多国籍軍に対するいわゆる資金提供というのは。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) 国連との関係で申しますと、八月二十五日に採択されました安保理決議六六五というものがございますけれども、この中で、すべての国家に対して、この決議の第一項に言及されている国家、すなわち海上部隊を展開して経済制裁の確保を目的とする活動をしている国が必要とするであろう援助を憲章に基づき提供することを要請するという決議がございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 これは国連に対して多国籍軍に対する資金の提供を申し入れたら、国連の方は明確に断っているわけですね。私たちの方が受けつけるのはいわゆる筋が違いますと。だからその受け皿を考えるのに大変外務省としては四苦八苦したという経過があるわけで、これは国連の要請ならば国連に提供すれば受け皿はちゃんとできるわけだけれども、国連の要請でないからそうなっている。  それで問題は、今の多国籍軍と言われるのはいわゆる国連の軍隊ではない。だから国連憲章の四十二条の発動に基づく軍事行動ではないということはよろしいですね。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) 今の多国籍軍が四十二条に基づく国連軍かどうかという御質問につきましては、四十二条に基づく国連軍ではないということでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 国連中心というふうなことが主張されますけれども、結局経過を見てみると、今までの同僚議員も幾つか述べましたけれども、最初の十億ドルを決めたとき、あの二十九日の夜九時に、額の問題はこれから検討するんだということになったけれども、明くる朝大臣に早急に首相官邸に呼ばれて、午前七時に十億ドルだという返事をブッシュ大統領にしなければならなかったという経緯にしても、またそのときにこれ以上の積み上げができないんだ、もう財政的には不可能だということが政府の首脳の中でも言われながら、現実にはブレイディ財務長官が特使として来て、そして結局四十億ドルになった。ところが、この間ブレイディ長官はテレビのインタビューに答えていましたよね。四十億ドルにしておけという要求を出したら、私が主張した一週間後にそれが実現したと。そうだったらもっと多く要求してもよかったんではないかというふうなことが、冗談とも本気ともつかないことがテレビでも放映されているという状況なんですね。  この問題というのは、閣議でもいわゆるアメリカからの圧力に屈したんではないかということが議論されたという問題になっていますが、国際的にイギリスの新聞にしろフランスの新聞にしろ、例えばタイムズやあるいはガーディアンなんかにしても、この日本の姿勢に対して極めて厳しいいわゆる対米追随ではないかという指摘がなされておりますけれども、こういう点について大臣はいかがお考えなんでしょうか、これまでの経緯を踏まえて。こういう点についてはやはりよく考えておかなければならない点があるというふうにお考えなのか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 今回の拠出金について対米追随ではないかというお尋ねでございますが、このイラクのクウェート侵攻、さらにサウジアラビアが侵犯された場合に国際経済及び我が国の国民生活、国民経済が受ける影響というものを考えたときに、一日も早いこの地域の平和の回復ということが国際社会にも我が国にとっても極めて重要である、そのために日本は応分の拠出をするべきであるという考え方を実は私は持っております。  日本それからECと、それぞれいろいろ拠出をいたしております。ドイツ、統一前の西ドイツでございますけれども、二十一億ドルの拠出を決めた。GNPから考えると相当大きな開きのある二つの国でありますけれども、日本が四十億ドル、向こうが二十一億ドルということでございますから、まあ日本としては応分の協力をしたという認識を持っておりますが、もちろんアメリカは同盟国でございますから、アメリカの意見も十分参考にしておるということは御理解いただけると思います。

立木洋日本共産党

○立木洋君 国際的な状況を踏まえて日本としてとるべき態度をとったと。今アメリカとの同盟国の関係だからと。きょうはどういう意味か、大臣は自主的というようなことを強調されなかった。それだけちょっと耳にとめておきましょう。  私はこの問題で外国から指摘されている問題というのは、日本の今後の日米関係のあり方というのを本当に真剣に考えないと、日本がやっておる役割、それがやっぱりアメリカに対する追随だということが国際的に非難されている。これは例えば日本がいいことを仮にやったとしても、やっぱり問題は生じるだろう。日本共産党の場合も、例えば米軍がサウジの要請を受けてあそこに軍隊を派遣しましたね、あれについて日本共産党はその後直ちに非難するという態度をとってないんですよ。やっぱり国際的な状況はどうなっているか見なければならない。しかし、アメリカのとっておる軍事行動が国連の安保理決議の枠外になるならこれはやはり問題が生じる、別の問題になるだろうと思うんです。だから、日本の外交を考える場合に問題をよく自主的に打ち立ててやっていくということが私は非常に大切だと思うんです。  先ほど私はそういう点で最初の多国籍軍の位置づけの問題をお尋ねしたんですが、これは六百六十五号の国連の安保理の決議によっても、御承知のようにいわゆる軍事制裁ではないんですね。だから今度、この間六百六十五号の決議が採択された後にアメリカのスコウクロフト米大統領補佐官が、いわゆる海上封鎖でもこれはできるようになったんだ、だからアメリカとしてはフリーハンドを得たんだというふうなことを述べている。これは私は国連の安保理の決議の枠外になると思うんですよ、この行動をもしかアメリカがとるなら。  この九月の十六日にミッテラン大統領も記者会見をやっていますね。今国連で決議されているのは経済制裁なんだ、これにとって必要な枠内での行動をとるということが認められているんであって、それ以外に軍事制裁を与えるということは認められているわけじゃないんだ、この点で全力を尽くすべきだということを言っているわけですね。そうではなくて、軍事的な方向に方向にというふうに動く、そういう要求としてアメリカから出されてくる、こういう点については私は日本の憲法を守る立場からやっぱり毅然とした態度を日本政府はとるべきだと思うんですよ。  それで、その点に関してソ連のことを一言ちょっとお聞きしますと、この間シェワルナゼ外相が来ましたね。そして会談されて、共同文書を出した。あの共同文書を見てみますと、国連で行われている決議、これが完全に保障されるように我々は働くことを誓約するんだということを述べられているわけです。だけれども、実際見てみますと、シェワルナゼ外相が発言した新聞報道によりますと、やはりソ連の軍事要員以外の各種専門要員が数千人もイラクにまだ滞在している。それから、ソ連のリガ駐屯部隊でいわゆるイラクの軍事要員が訓練を受けているというふうなことまで問題になった。  こういう問題については、大臣はどういうふうにお考えになるのか。国連の経済制裁という立場からこれを誠実に遵守すべきだという観点から見て、そういうソ連の状況というのをどういうふうにお考えになっているか、これをちょっとお尋ねしておきたいんです。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 我々は、安保理における五カ国の決議、これを踏まえてソ連も行動している、そのように認識をいたしております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 私は、そういうことについては会談の席上で厳しく警告するといいますか、注意すべきだと思う、そういう状態については。  だから私たちは、アメリカであれソ連であれ、どこであっても国連中心というならば、その決議が忠実に守られるかどうかという立場から日本は外交的にも発言すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) シェワルナゼ外相との間でこのイラクのクウェート侵攻問題について双方いろいろと意見を交換いたしましたし、また言うべきことは日本政府として申し上げたつもりでおります。会談内容については、外交上の慣例上申し上げるわけにはまいりません。

立木洋日本共産党

○立木洋君 これは現在の憲法の枠内かどうかという問題なんですが、ちょっと話が変わりますけれども、国連中心ということともかかわりがあるんですが、つまり引用するまでもなく憲法九条ということはもう明確ですよね。ですから、日本が武力行使するということはもちろんできない。そういうことは絶対に許されていない。しかし、今問題になってきているのは、外国の軍隊が外国で武力行使をする場合に、それに対する資金の提供は日本の武力行使に当たらないから憲法上の制約の枠外だということが今言われているんですね。私はこれは大変危険なことだと思うんです。いわゆるそういう憲法の精神から逸脱していくことになるんじゃないか。  大体、一九八七年十月のペルシャ湾の事態のときに、監視船ですか掃海艇ですか、出すかどうかということが問題になった。それから米軍に対して、直接米軍の経費を負担するかどうかということも問題になった。しかしあのときは、これはやっぱり軍事にかかわることになるから、そういうおそれがあるからやるべきではないというのが政府の態度だったんですよ。あれからわずか三年ですよ。それが結構だというふうな方向にあの当時厳重に警戒をした政府の態度が三年間のうちに変わる。これはやっぱり憲法の精神の拡大解釈になるんじゃないか。この点は明確にしておく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

柳井俊二外務省条約局長

○説明員(柳井俊二君) ただいまの資金の供与に関する点でございますけれども、これは立木先生御案内のとおり、いわゆる集団的自衛権を含めましておよそ自衛権という概念は国家による実力の行使にかかわるものでございますので、したがいまして、我が国が単に費用を支出するということはそのような集団的自衛権の行使には当たらないというのが従来からの政府の立場でございます。  また、多国籍軍の活動につきましては、累次の国連安保理決議を受けまして、湾岸地域ひいては国際社会全体の平和と安全の維持に積極的に貢献するものでございます。このような活動に対して資金を拠出するということは、憲法の考える平和主義に反するものとは考えておらない次第でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 だから、私は事実を引用したんですよ。そういう解釈を日本の政府はしてきたんです。だけど、三年前はしなかった。今なぜそれをやるのかということが問題になるわけですよ。中山外務大臣のときに初めて、中東で行うかもしれない軍事展開、そういう軍事行使、武力行使、これに対して日本はお金は出しても構わないんだという態度を初めてとった、これが非常に大変なんですよ。アメリカの議会でもそれが問題になった。日本政府は初めてとったと、この行動を。だから、これがどんどん拡大解釈されていく危険性というのがある。  そこで私は、先ほど同僚議員が聞いた問題なんですが、今後多国籍軍に対して支援が要請された場合にさらに資金の上積みを行うかどうかという問題について、九月七日でしたか衆議院議員の質問の中で、今年度というふうに言われているけれども、じゃ来年度支出ということも長期化すればあり得るんですねと言ったら、お説のとおりですと大臣が言われた。先ほどは、今後資金の提供はこれで十分だと思っておられるというふうに言ったけれども、それはどちらが本当なんでしょうか。来年度も提供することは長引けばあるんですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 先般の衆議院における私の答弁の中では、あの時点では十億ドル拠出した段階での発言でございまして、その後十億ドル追加をいたしたわけであります。そういう意味で答弁上の食い違いはなかったというふうに思いますが、さらに私から申し上げておきたいことは、この事態が一日も早く平和裏に収拾をしてクウェートからイラクが撤退するということが最も望ましい。しかも、それが外交交渉の中で行われることが最も好ましい。私は本当に祈るような気持ちで念願しております。百何十人の人質をとられておる国家としては最大の願望であろうと思います。  そういう中で、この事態がもし延びる場合我々は一体どのような対処をするかということについては、現在一日も早いこの事態の回復を祈っている状況でありますから、これから先の展開というものは現在予測するわけにはいかない、このような認識でおります。

立木洋日本共産党

○立木洋君 その点で非常に問題だと思うのは、この間ブレイディ長官が来られたときに長官が述べたのは、いわゆるこの中東の地域でやはり必要なことは、軍事的そして経済的、外交的なブロック、壁をつくることが緊要だということを述べて、そしてそのための今後の支援構想を発表して、どうか援助をふやしてくれというふうに言われたということなんですね。これはブレイディ長官が来て述べたというだけでなくて、九月四日と五日にベーカー国務長官がアメリカの上下両院の外交委員会の席上でちゃんと発言しているわけですね。今後中東地域に安全保障の機構をつくることが重要だ、軍事ブロックをつくることが非常に重要だ、そのために米軍は今後とも駐留を継続しなければならないだろうということまで言っているんですね。  そうすると、日本の政府が今度の中東の策だというふうに述べているのは、まず国連安保理の決議に従って行動している各国に対して協力を行うのだと。しかし、安保理で決議されていない将来の問題、そういう行動まで考えているアメリカの行動に協力するということは、今度は枠が別な問題になってくる。  それから同時に、今国際的にはブロックの解体、冷戦構造の破棄ということが問題になっている。それがブロックをつくることが必要だと、それに対する支援の提供を求めてくるというふうなことになるならば、これは世界の大きな流れから見てどうなのか、逆流ではないか。  それから、私たちはもちろん反対なんです、あの日米安保条約というのは。しかし、日米安保条約で日本政府が主張している限りにおいても、日米安保条約というのは日本を守るためだ、そして極東の範囲内であると言っているわけです。これは中東で長期にわたって展開された米軍にお金が提供されるということになると、安保の枠外の問題、安保自身の変質まで導かれるような事態になる。こういうことになると、私はこれは大変な、いわゆる国連決議に基づいた米軍の行動ではなくなってくる。そういう場合、日本の政府としてはそれに無条件についていくというふうなことになると、これは私は非常に大変なことになると思いますが、大臣、いかがですか。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) ただいま先生御指摘の中東における地域的安全保障機構の問題でございますけれども、これは九月十日にヘルシンキで行われました米ソ首脳会談での共同声明にもございますとおり、米ソ両国が地域的安全保障機構の設立及び地域の平和と安定を促進させるために中東地域内及び域外諸国と協議するということになっておりますので、ただいま先生のお述べになりましたものとは性格を異にするのではないかと思います。

立木洋日本共産党

○立木洋君 大臣、いかがですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 今局長がお答え申し上げましたのと同じ認識でおります。

立木洋日本共産党

○立木洋君 この問題は非常に重要な問題なんですよ。単純にこの二十分や三十分でお尋ねして解決できるような問題ではありませんけれども、その問題点について私の述べたことについては大臣よくお考えいただきたいと思うんです。これは日本の今後の進路のあり方にかかわっています。国際的に今起こってきている日米関係の批判に対してどういうふうに日本が対応していくかということをものすごく厳しく問われる内容の問題だと思うんです。  それで、これは先ほど同僚議員も言いましたけれども、結局この問題を見ていきますと、アメリカの今後の地域紛争のかかわり方、アメリカの世界戦略に日本が必然的に巻き込まれる形になっていくというおそれがあるんです。  それで私は、先ほども出しましたけれども、これはアメリカのニューヨークタイムズで八月十六日だったかいつかに報道されていましたけれども、今起こっている事態というのは、アメリカがイラクのフセインに対して援助を行ってきたツケが今回ってきているんだという批判をした新聞があるんですよ。これは御承知のように、あの十年間にイラクの軍隊が二十二万から百万にまでなった。これはもう安全保障理事国五大国が全部援助していた、こういう事態というのがあるんですよ。今この事態は、武力行使あるいは軍事費で事態を解決しようとするならば、また状況が変わればどうなるかわからない。そのしりぬぐいをしなければならないという状況さえあるんです。そういう点では、武器輸出三原則、武器輸出禁止をしている立場というのは、これは私は非常に重要な問題だったと思うんですね。  そういう立場から考えて、今経済制裁がまだ徹底してないんです。フランスのミッテラン大統領が十六日に言っていました、今経済制裁に賛成をしている国においてすら十分に経済制裁は履行されているとは思えないと。ましてやそれぞれの国の中で、企業では抜け穴を、抜け道をくぐっていわゆるイラクに経済援助をしているという状態がある。これはイギリスの新聞に出ていましたよ。イギリスの工場がイラクで堂々と企業をやっています。それからフランスでもこの間まであったあのパイロットの訓練だとかいろいろな問題、今度引き揚げましたけれども。こういう事態というのがある。  だから、経済制裁を徹底してイラクが国際的な世論を受け入れざるを得ないようなやり方をしなければならないものというのはまだまだたくさんあるんですよ。そういうことに目を向けないで、いわゆる人質の問題とかそういうことに目を向けないで、何か軍事力で解決しなければいけないというような方向に引っ張られていくということは、これは世論の求めるところではない。あくまでやっぱり軍事衝突を避けなければならない。そういう点でも徹底して国連中心、そして憲法の枠内ということを何としても守るべきだということを私は厳しく指摘しておきたいと思うんです。  その経済制裁の今後のあり方の問題も含めて、もう国連が始まっておりますから、ここでやはりきちっとした日本政府の主張をしなければならないと思うんです。その点についての大臣のお考えを最後にお聞きしておきたいと思うんです。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 我が国としては、国連の安保理の決議を尊重して経済制裁を強化して、イラクが今回のような武力によるクウェート侵略が国際社会では受け入れられないという認識に立ち至って、クウェートからの即時撤退ということが実現され人質が無条件で解放されるということのために、我々は全力を挙げて経済制裁が成果を上げるように努力をしたい、このように考えております。

中村鋭一連合参議院

○中村鋭一君 現在四十億ドルという金額が具体的に出ているわけですが、これは朝から同僚議員も再三お尋ねでございますけれども、今後情勢の推移によってはさらに我が国が追加の支援を決定する、こういう可能性はあるんですか。

松浦晃一郎外務省北米局長

○説明員(松浦晃一郎君) 先ほど来同様の質問がございまして御説明申し上げておりますが、当面私どもにとりまして重要なことは、今まで決めていただきました貢献策を逐次実施していくということであると考えております。  それから、先ほど大臣が御答弁になりましたように、いずれにしましても一日も早く事態が解決することを、先生の御指摘のような事態に至らないことを私どもは非常に強く希望しております。

中村鋭一連合参議院

○中村鋭一君 至らないことを希望ですが、場合によっては追加の支援が俎上に上るという可能性は否定はなさらないわけですね。

松浦晃一郎外務省北米局長

○説明員(松浦晃一郎君) 同じことの繰り返しで申しわけございませんが、当面は今決まっております貢献策を逐次実施していくことに全力を傾けたい、こう考えております。

中村鋭一連合参議院

○中村鋭一君 またもや水かけ論になりますけれども、しかしここまでの流れを見ておりますと、当然ながらそれが論議される事態が私は予想されると思います。  それで、今あなた決定をしていただきましたとおっしゃいますが、ここまでの四十億ドルにつきまして立法府である我々は国会において議決をした覚えはないわけですね。これは予備費から出す、こうおっしゃっているわけでございますが、仮に追加支援ということになりましてさらに大幅な金額が供与されるということになりますと、既に報道されておりますように補正予算ということになっていくんじゃないか、こう思いますが、その点について、大蔵省来ていただいておりますか。

田谷廣明大蔵省主計局主計官

○説明員(田谷廣明君) 中東貢献策の財源の問題でございますが、先ほど申し上げましたとおり、先般の十億ドルの協力、私どもとしましては現下の財政事情のもとで最大限のものというふうに考えておりまして、現在その財源につきまして鋭意検討しておるという段階でございます。  さらに今般の十億ドルを限度とします追加措置につきましても、そういう状況でございますので直ちに追加をするということはできないものでございますから、その支出の時期につきましては中東の今後の情勢あるいは財源事情を見きわめて適切に対処したいと考えておりまして、そういう意味で現在鋭意検討しているという段階でございます。

中村鋭一連合参議院

○中村鋭一君 これからさらにお金を出さなければいかぬという事態になった場合には、大蔵省としては現在の予備費の段階では当然厳しい状況にあるわけですから、国会の論議を経て補正予算を組むということは当然必要だ、そういうお考えじゃないでしょうか。

田谷廣明大蔵省主計局主計官

○説明員(田谷廣明君) 繰り返して申し上げて恐縮ですが、財源につきましては現在検討しているわけでございますが、私どもの立場としまして補正について現段階で申し上げるという段階でないものですから、同じことを繰り返して恐縮でございますが、既定の予算でどのぐらい賄えるものか、あるいは予備費の中でどれぐらいできるものかといったようなことを現在検討しているわけでございます。

中村鋭一連合参議院

○中村鋭一君 中山大臣にお尋ねいたしますが、これは朝からの論議の中で、今既にお二人お答えになりましたけれども、どうすれば金が出るか、それから既に決まったものをどう使うか、それについてはしっかりとやっていきたいし、追加の支出がないように平和裏に解決すればそれにこしたことはないということでございますけれども、やはり現実の問題としてそのような事態になれば、我が国が平和裏に今回の問題について貢献するためにはさらに国民の意思に基づいてそういった追加支出をしなければならぬということになれば、ここまでのように政府が決定をして海部総理大臣が朝の七時にブッシュさんに電話して、これだけの金が決まりました、これでいかがでございますと鞠躬如としてアメリカに対して御機嫌をとるような言い方をする、そんな援助の決め方じゃなくて、やはり立法府である国会の議決を経てこれは決定をしていくべきものだと私は思いますが、大臣のお考えはいかがでございますか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 政府は緊急な事態に対応するために災害等も含めて予備費も計上しているわけでございまして、今般の事態において政府としては、予備費からの支出というものも含めて一般財源からの、さらにその資金の、何といいますか、手当てというものを含めた決断であるというふうに理解をしております。

中村鋭一連合参議院

○中村鋭一君 少し言い方を変えますけれども、この支援策も含めて、その財源の問題も含めて今回のイラクの問題は国民の関心事でありますから、こういった問題についてなるたけ早期に国会を召集して衆参両院の国会議員の十分な論議を尽くす、こういう点については大臣はいかがお考えですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 国会の召集につきましては内閣全体の意思で決めるべき問題でございますので、外務大臣としての意見を申し上げることは遠慮させていただきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても国民の皆様方の税金を使うわけでございますから、国会が開かれれば慎重に御審議をいただくことは極めて大事なことであろうと考えております。

中村鋭一連合参議院

○中村鋭一君 ということは、国会を早期に召集するということについては、少なくとも大臣個人的には決してこれを否定するものではない、このように理解しておいてよろしゅうございますか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) ここで個人の立場で答弁しているわけではございませんので、その点はひとつ私は公人としての立場でお答えを申し上げているというふうに御理解をいただきたいと思います。

中村鋭一連合参議院

○中村鋭一君 今回その支援策が決定をいたしまして、今申し上げましたように、いち早くアメリカには、このような方針であります、このように決まりましたと連絡をされたわけでありますが、日本はアジアの一員でありますから、例えば韓国でありますとかあるいはインドネシアでありますとか、フィリピンでありますとか、台湾政府でありますとか、こういったところに、我が国としては今回のイラクの問題についてこのような支援策を決定いたしました、基本的な考え方はかくのとおりでありますというふうな理解を求める作業あるいは支援策の決定について、結果の報告等々はアジア各国に対してなさいましたですか。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) 累次の我が国の施策の決定につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、その考え方、それからどういう措置をとったかということにつきまして、アジア諸国あるいはその他の諸国に対しても主として在外公館を通じまして通報をいたしまして、また理解を求めておるところでございます。

中村鋭一連合参議院

○中村鋭一君 在外公館を通じてとおっしゃいましたが、大臣としては各国の首脳に対して直接おっしゃったことはございませんか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 私が直接この情勢について説明をするということは、日本を訪問してこられた例えばイギリスのハード外相あるいはカナダのクラーク外相といったような方には、私自身が詳しくこの背景について、また経過について説明をいたしておりますし、関係の出先に対しましても十分な連絡をするように指摘をいたしております。

中村鋭一連合参議院

○中村鋭一君 それに対して、大臣も含めて在外公館を通じてそういうお話をされた場合に、各国の反応はいかがでございますか。日本の労を多とする、大変結構だ、こういう言い方でございますか。例えばインドネシアはイスラム教国でありまして、また我々日本国民とは違った感覚をあるいはアラブの人たちに持っておいでかもわかりませんので、念のためにお尋ねをしておるのですが。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) アジアにも御指摘のとおりインドネシアあるいはパキスタン、バングラデシュ等イスラムの国もございますし、そうでない国もございます。それぞれの国で、それぞれの国の立場によりまして、強い関心を持つ国あるいはそうでないところもございますけれども、今までのところ、特段何と申しますか、予想されない反応というようなものはございません。

中村鋭一連合参議院

○中村鋭一君 私は、これからもアジアの各国につきましては、日本のこれまでとってきた道それからこれからとっていくいろいろな対策でありますとか手段について常に緊密な連絡をとって、少なくとも我々の仲間でありますアジアの国々の皆さんから、例えばODA等について時折言われますように、日本は金持ちなんだから金を出したらそれで済むと思っているのかというような非難をされることがないように、随時そういった連携を密にしながらこれからもよく親善、善隣外交の実が上がることをお願いしておきたいと思います。  去る十七日にアメリカのデューガン空軍参謀総長が解任されました。これはマスコミで報道されたところでありますけれども、このデューガン空軍参謀総長はワシントン・ポストとのインタビューの中で、大々的にバグダッドを爆撃する必要がある、爆撃する場合にはイスラエル製のミサイルを装着した爆撃機でバグダッドをたたくんだと。のみならず、バグダッドを壊滅に追い込むだけではだめなんで、できればサダム・フセインを殺したい、サダム・フセインだけじゃなくてその家族もそして愛人も壊滅させたい、こういうことをいわば天下の公器であるワシントン・ポストとのインタビューの中で言明をいたしまして、その結果、即日、文字どおりこれが火を噴いて、ユー・アー・ファイアードということで首を切られたわけでございます。  アメリカの参謀総長といいますと、これは軍の最高権力者です。戦略や戦術の最終決定者であります。そういう人が新聞のインタビューの中でそのような発言をするということ、そしてこれを慌てて首を切ったというあたりに、案外アメリカの軍部さらにはアメリカの国民の一部の本音というものがここに隠されている。だから、それが本音でありますから、大統領も慌ててこういうことを言う人物を参謀総長に置いておくわけにはいかぬということで首を切ったんだと私は思いますよ。  しかし、さらに考えてみますと、参謀総長が首を切られて次の参謀総長が就任をしているわけですね。次に就任をした参謀総長が首を切られた参謀総長と全く百八十度反対の考え方で、絶対に軍事介入はしちゃいけないんだ、一発たりとも弾を撃っちゃいけないんだ、平和裏に解決をしなければいけないんだ、そういう信念に燃えているとは私には思えません。新たな参謀総長もまた、デューガンさんは気の毒なことをしたな、あなたのおっしゃるのは本音です、私もそう思います、しかしそれをあなた新聞で言ったのはまずかったですなというぐらいが本音じゃないかと思うんですが、こういったことについて大臣はどのような感想をお持ちになりましたか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) アメリカの社会におけるシビリアンコントロールが厳しく生きているというふうに私は認識をいたしました。

中村鋭一連合参議院

○中村鋭一君 そのシビリアンコントロールが生きているという積極的評価の裏には、やっぱり我々とは随分認識が違ってアメリカの人たちは、本当にサダム・フセインは小しゃくである、ヒトラーである、これはせん滅し尽くさねばならぬと。 さらに言えば、その背後にあるものはやっぱりイスラエルという国の存在が我々の理解とは別のところでアメリカにはあるのではないか、このように私は思いますが、局長、いかがでございますか。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) 私、御質問の趣旨を必ずしも明確に理解いたしましたかどうか自信がございませんけれども、米国が今回いわゆる多国籍軍の一部として中東に展開しておりますのは、これは大統領以下の述べておりますとおり、明らかに安保理決議に従ってイラクのクウェートからの撤退等を求める、それによって湾岸の平和を回復するという目的によっておるものというふうに考えております。  それから、米国とイスラエルとの間には種々特殊な関係がございますけれども、それはそれといたしまして、米国とイスラエルの今回の事態についての関係というのは非常にコレクトなものであるというふうに理解をいたしております。

中村鋭一連合参議院

○中村鋭一君 人の中には、今米軍がサウジアラビアに軍を展開しておりますけれども、これはむしろイラクがサウジアラビアに侵攻する、サウジアラビアを侵略いたしますと今度はイスラエルが黙っていないだろう、そういうことのためにむしろ抑止力としてのサウジアラビアに対する米軍の展開である、このような論をなす人もあるわけです。  いろんなこういう見方はあるんでしょうけれども、現実に今サウジアラビアに米軍が多数展開しているという事実はあるわけで、この米軍の展開の兵員の数、それからその装備、大臣、これはいかがでございますか、適正な規模のものであるとお考えですか、それとも多過ぎると思いますか、まだまだ足りないと思いますか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 私が湾岸五カ国を訪問いたしました当時の状況では、サウジにいる米軍及びアラブ同盟軍はまだイラク軍に比較して劣勢であるという認識を持っておりました。今日の時点でどのようなバランスになっておるか、私はまだ詳しい情報をきょうは持っておりませんけれども、一部新聞報道によりますと、クウェート一帯に三十六万人ぐらい展開しているのではないかという報道もされております。

中村鋭一連合参議院

○中村鋭一君 今の米軍の展開はこれは国連軍じゃないわけで、多国籍軍ですね。それはフランスも出しておりますしイギリスも出しているんでしょうけれども、現実に世界的な理解は、実は今回のイラクの侵攻問題については実際に軍を出してやる気があるのはアメリカだと、こういう理解がされていると私は思います。そして一方で、今申し上げたように、例えば空軍参謀総長が新聞とのインタビューでイスラエル製のミサイルでバグダッドを爆撃するんだ、サダム・フセインを殺すんだと、こういうことを堂々と公言するわけですね。ですからそこに私は、それが善意であれ、アメリカという国が少なくとも今回の問題については非常に危険なかけをいつやるかもわからないという不安を持つわけなんです。  そこで、朝からどうも対米追随外交じゃないかという声が出ております。私も全くそう思います。冒頭申し上げたように、海部総理が電話で四十億ドル決定、追加援助を決定しましたと言って、ブッシュ大統領からよくやったと褒められて喜んでいるかのような印象を与えるようなことをなさるのは大変ぐあいが悪い、こう思っておりますけれども、中山大臣が国連にいらっしゃいますね。そのときに、新聞報道を見ますと、イラクに対する武器の禁輸を大臣としては訴えたい、このような御方針であると伺いましたが、これは事実なんですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) まだ国連演説の中身につきまして最終的に推敵した状態ではございません。現在いろいろと検討している過程でございます。

中村鋭一連合参議院

○中村鋭一君 そうすると、その禁輸を訴えるということは、少なくとも大臣の頭の中にはそういうことをできれば取り上げたいという気持ちはあるわけでございますか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 我々の国は、武器輸出三原則というものを堅持して今日まで国際社会に生きてまいりました。それはやはり今日の国際社会においては評価されるべき問題であろうという認識を持っておりまして、そのような形が国際社会に少しでも拡大していくということが国際的な平和の構成に役立っている、私はそのような考え方を持っております。

中村鋭一連合参議院

○中村鋭一君 そこで、これは中山大臣に対するお願いでありますが、今度国連で演説をなさるときに、本当に日本とアメリカ、これ仲よくしなきゃいけません。私も日米親善議員連盟の一員であります。よき日米パートナーシップを確立するためにも、私はやっぱりはっきりと言うべきことは言わなければならぬと思うんですね。  先ほどから何度も申し上げているように、私はアメリカの今回の行動については非常に一触即発の危なさというものを感じておりますので、我々は憲法九条というものを持っております、平和憲法を持っているんです。その国ですから言う権利もあると思いますので、今度は大臣ひとつ国連の場でお話をなさるときには、イラクに対する武器の禁輸も当然でありますけれども、少なくとも盟友であるアメリカに対して、いかなる形でも武力を行使しない、一発の弾も絶対に撃たない、そのことだけは、国連安保理の六六五号の決議の中にそれはなるほど一部最悪の場合には武力を使ってもいいと、そういうふうにとられかねまじき規定があるといたしましても、そういうことは絶対にしちゃいけないということを中山大臣が堂々と国連の場でアメリカに忠告をなさる、これぐらいのことはやっていただきたい、こう思うんですが、いかがでございますか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 私は外務大臣就任以来、健全な日米関係の発展のために、外相間では日本の考え方を率直に申し述べて、米国の理解も得ながら今日まで仕事をやってきたつもりでおります。  ただし、今回のイラクのクウェート侵攻におけるアメリカが軍事力を行使するしないの問題は、日本の平和的な話し合いの中でこの事態を収拾したいという願望もございますけれども、アメリカ政府が既に発言をしておりますように、人質となっているアメリカ人の生命が危険にさらされる場合にはアメリカは一つの手段をとり得る可能性があるということを言っております。我々は残念ながらそのような手段を持ちませんし、またそのような意思も現在憲法の枠内ではとり得ない状態でございますが、人質をとられていることは現実には同じ条件にあると思います。そのような中で日本政府としては、どの国の国民といえども、国籍にかかわらず人質が無事に解放されるということについて国連加盟国に協力を求めるということがまず前提でなければならない。そして、サダム・フセイン大統領が一日も早く理性を取り戻されてこの国際社会の要請にこたえていただくということが我が国の基本的な考え方でなければならない、このように考えております。

中村鋭一連合参議院

○中村鋭一君 少なくとも、アメリカも含めていかなる形にもせよ武力によってこの紛争を解決することは困るということは、大臣としてはこれは全く同感でございますね。  ちょっと最後に一つだけ、恐縮ですが。  去る六日に名古屋港をシー・ビーナス号が車を積んで出航したわけですが、この際日本海員組合と運輸省との間で長時間にわたって乗員の安全性等について論議がございまして、最終的に船は出たわけでありますけれども、日本政府としてこれから飛行機もチャーターなさいますね、既に出発をしたかと思いますが。それから船もどんどん出ていくわけで、この乗員は皆日本人です。民間人ですが、この人たちの安全を確保するという点について最後にお考えを聞かせていただきまして質問を終わります。

渡辺允外務省中近東アフリカ局長

○説明員(渡辺允君) ただいま先生御指摘のとおり、九月六日の名古屋からの船舶による輸送につきましては、政府と海員組合との間で船舶及び乗組員の安全確保について協議を行いまして、その結果、組合側と安全確保等についての基本的な確認を行って組合の御納得を得て行ったものでございます。  政府といたしましては、今後ともこのような場合の乗組員の安全を十分に配慮いたしまして、そのために万全を期す所存でございます。

中村鋭一連合参議院

○中村鋭一君 終わります。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 民社党を代表して御質問いたします。  まず最初に、この中東危機に対する今の政府の対応の基本的な態度ですね、これがやはり金の協力は政府の考え方でできるから四十億ドルまでしようというふうなことでやっているわけなんですが、結局金だけを出して、そしてあとの本当の汗を出し、血を流す国際協力については何ら日本政府はやろうとしないじゃないかということについて、政府の態度がいろいろこれは苦心のあるところだと思っているんですが。  それで、我々は前から自衛隊をつくり、この日米安保で防衛もやるということでやってきたんだけれども、やはりどうもそこに一本抜けているのが危機の管理。形だけ整えるけれども、現実に危険が来た場合に、現実に血を流さにゃならぬような部面になったときの対応というものがどうなんだということについての議論は、時々出てもまたすぐに消えて、全然そういうことに対して平和であるからいいんだということだけで終わっておる。ここで今現実にそういう国連の安保理の決議まで出て、そして国際的な経済封鎖を中心とする協力が決議されている場合に、日本の役割は金だけでいかぬという認識で政府も我々も一致していると思うんです。ただ、そのやり方については、やはり危機管理に対する対応に問題があると思うんです。我々は、法制をやはりこの際つくるべきだ、法体制をつくっていかなくちゃいかぬ、こういうふうな考え方でずっと今まで国会の質疑を繰り返してきたわけなんです。  ここでようやく、新聞報道やなんかを見ると、政府は国連平和協力隊の法をつくって危機に対する法体制をつくろうとしている、こういうふうになっておるわけなんですが、どうもそういう別個にこの国連協力法をつくるというのも、危機管理では非常にいいわけなんですが、そういうような場合の問題は、危機管理というのは、やはり危険地帯に行くわけですよね。また、国の役目で行くわけなんだから、そういうことに対して自衛隊との関係が私は本気に考えられなくちゃならぬと思うんですが、そういうことについての考え方、自衛隊との関係ですね、別に新しく協力隊法をつくるという姿勢ということについては我々もある程度危機管理について納得できる。そういうものをつくって、協力隊をつくって、その協力隊と自衛隊との関係についてはどういうふうな考え方でいくのか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) 先生も御指摘されましたとおり、日本が国際社会におけるあるいは国連の一員としての責任ある役割を果たすためには、人と物、これは非常に重要でございますけれども、物だけでなく人も派遣して汗を流す外交もしなければいけないということを私たち常々感じてきたわけです。特に今度の中東の問題に絡まる貢献策との関係でそういう必要性をますます強く認識したわけで、ただいま国連平和協力法というものをつくって、そのもとに国連平和協力隊というものを設けるということについていろいろ検討している状況です。  ただいまの先生の御質問ですけれども、新しいこういう制度をつくった場合に、既存の法律とか既存の組織、あるいは既存のいろんな制度との関係はどういうふうにあるべきかということにつきましてはいろいろな角度から今検討している段階でございまして、まだはっきりしたものが出ていないという状況でございます。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 委員お尋ねの点につきましては、私今回の中東紛争でサウジへ参りましたら、冒頭に外務大臣会議で軍隊を派遣してほしいという要請がございました。日本から難民援助の話を持ちかけましたが、全然そんなことは問題に取り上げないという雰囲気でございました。やはり自分の国が非常な外国からの侵略の危機にさらされているといったときには、やっぱりそういうふうなストレートな援助、協力を相手の国は求めるということを現実に私は体験をいたしました。そこで金を出そうと言いましても、サウジアラビアは大金持ちの国でございますから、金の協力なんというものは全然向こうは考えておりません。むしろまだ湾岸協力に金を出そうと言っている国家でございます。  そういう中で、人を出して汗をかかなきゃならないというのは今委員御指摘のとおりでありますが、私は日本の場合にこれからどういうことになっていくのかということで考えてみましたところ、やはり米ソの冷戦が終わって対立がなくなってくると、恐らく国際社会は多極化してくる。そして地域紛争が起こる。そういった場合に、アジアにおいてもこれから先地域紛争が起こらないとは言い切れないのが私は外交の常識だと思います。そういうときに、日本がこのような新しい国際社会に汗をかかない、人を出さない、金だけ出すということになった場合に、日本が危険に侵された場合に、いや、もうあそこは金だけ出してきたんだから金だけ出しておいてやったらそれでよろしい、専守防衛でやっていきなさい、こういうことで国際社会から孤立する可能性がある。そういうことで、新しい米ソの協力のもとでの国連が中心になった地域紛争の回復、この問題についてはこの機会に日本の国民の皆様方に十分御意見をいただきながら国会で御議論いただく必要が私はあるという外務大臣としての認識を持っております。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 大臣の積極的な考え方は、この危機に対して今まで議論されながら、日本自身の世界の中における危機管理という問題について触れられたと思うわけなんですが、そこで憲法の規制もあり自衛隊の問題もあるわけなんですけれども、やはり国際紛争地に紛争に対する国際協力をするために行くというのは、私は自衛隊員以外に人を派遣するということを考えちゃいかぬと思うんです。自衛隊員にプラスして、自衛隊の中で任務が達成できないような人の派遣とかなんとかいうプラスアルファはいいけれども、そういう国際紛争地点に対して国連決議によって協力をしていくということ、その国内体制をとるときに、人を派遣する根拠法をつくるというときに、やはり国の専守防衛をやる自衛隊法だけではそれはできぬから、自衛隊がそういうときにそういう国連の決議に応じて紛争地点へ行ける根拠をつくるというのが基本的な態度でなくちゃいかぬ。  今度の場合には、その基本的な態度から現実的な対応がまたいろいろ考えられると思うんですよね。今現に協力隊をつくってやっていこうかというようなこと、それも一つの方法だけれども、やはり危機管理に対する基本的な態度というのは、日本の専守防衛のために日米安保で自衛隊までつくってもう二十四万からの隊員もあり、一方から言わせれば世界第三位の軍事費だと言われるぐらいのものを持っているわけですね。    〔委員長退席、理事宮澤弘君着席〕 その自衛隊が、国連決議による派兵、人員要請、具体的な人員要請に対して自衛隊が使えないということは、危機管理として、国連の中における協力体制として私は日本の基本的な法制に欠落があるんじゃないか、ここが中心になっていかなくちゃいかぬじゃないか、こういうこと。実際に発動するとかなんかは別として、そういう基本的なこと。初めてそういう世界のデタントによって、米ソの協力によって世界の局地的な紛争について国連が動ける実際の客観的な事実が出てきた。現に国連決議が出てきた。そういったときに問題になるのは、日本が汗や血を流さぬという問題になってくると、それに対応するためには、私はやはり紛争地に日本が、日本人が血と汗を流す体制をとるということが危機管理のもう基本ではないかと思うわけです。  そういう意味において自衛隊をそういうふうなときに、武器を持って行かすか行かさぬかというのはまた別問題として、そういう国を守る日本人が国内に自衛隊としておるわけなんだから、その人を真っ先にそういうところの任務を担当さすべく法体系をつくるのが僕は基本ではないかと思うんですが、いかがですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 国民の皆様方にとって極めて重大な問題であろうと思います。特にもう私どもの年代になりますと、そういう対象の年齢から外れております。しかし、戦後平和憲法のもとでこの国で生まれ、生きて、そして教育を受けた人たちは、自衛隊は専守防衛であるという認識が非常に強い。こういう中で、新しい国際社会の展開の中で、米ソも一緒になって地域紛争を調停するという新しい国際環境に日本がどのように対応するかということは、やはりこの自衛隊のあり方も含めて御議論をいただくことが極めて重要である。自衛隊のみならず、あるいは海上保安庁とかいろんな他の政府の機関もございますが、そういうものを含めて、一体どのようなことでこれから我々の国家は国際社会に信頼を維持しながら生きていかなければならないかということの御議論をいただくことの中で、自衛隊に対する考え方というものをどうするか、これはやはりこれから御議論いただかなきゃならない問題だと思っております。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 基本的にそういう国を守る組織があるのに、それは国の直接防衛もそれから地球的な規模における国連のやつにおいても、基本の点をやらぬと何だかわけがわからぬような協力関係になるんじゃないかと思うわけです。  それで、外務省はどうなんですか、まあ今回はすぐできないにしても、いずれ米ソのデタントによって地域的な紛争がたびたび起こるというようなことになると、国連としては、いずれ国連平和維持軍だとか国連の国際監視軍というようなものができる可能性が出てくるんではないかと思うんですが、そういう見通しについてはどうなんですか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) 国連は、これまで四十五年の間に二十近くの平和維持軍あるいは平和維持活動というものを設立して、いろいろと人を各関係国から集めて出しているわけです。特に八八年以来この二年間は、二十近くの平和維持活動のうち実に七つがこの二年間のうちに設置されました。特にイラン・イラクの関係ですとか、アフガニスタン、パキスタンの仲介ミッションとか、ニカラグア、中南米、ナミビア等でございますけれども、特に最近の米ソ間のあるいは東西の関係の改善を踏まえまして、こういういろんな地域紛争における国連の役割というのはますます大きくなってくるというふうに思っております。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 もしもそうならば、なおさらそういうことに対する対応ができる国内の危機管理に対する法体制をこの際外務省としても基本的に問題提起をしてやってもらいたいと思うわけなんです。  それで、私の考え方から言うと、今の自衛隊法は国内的には単に鉄砲持って防衛をやっているばかりじゃなくて、災害とか緊急の市民に対する避難救助については丸腰で出ていってちゃんと自衛隊の任務として救助活動をやっているわけですよね。だから、国連でも国連の平和維持軍あるいは平和維持活動となると、あるいは各人の防衛のための護身用の鉄砲だけぐらい持っていなくちゃならぬかもしれない。それからいくと、監視軍とかいうようなことになれば、当然自衛隊は国内でもそういう災害救助とかなんかで丸腰で出られるわけなんですから、丸腰で外国へ出て協力するのにそれは自衛隊法ではだめなんだ、兵器を持った人間を出せぬから自衛隊はだめなんだというふうな議論は僕はまずいと思うんです。丸腰でも何でもちゃんとそういうふうな国際的な平和のための義務を果たす人員ならば、これは自衛隊を出せる根拠をつくっていった方がいいんじゃないかと思う。そういう考え方に対する意見を聞かせていただきたい。    〔理事宮澤弘君退席、委員長着席〕

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) 確かに先生も言われますとおり、これからますます国連が行ういろんな活動、一言で平和維持活動と呼んでおりますけれども、平和維持活動の中にもいろんな活動があるわけなんで、そこへ日本が従来のような物、金だけではなく人も派遣する可能性というのはますます大きくなってくると思います。特に近いうちにはカンボジアですとか西サハラとかで具体的にそういう活動があると思います。その必要に応じてどういう人を我が国では派遣できるかということを検討していく必要があるかと思っております。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 その点きょうは防衛庁に質問要求してないから、その関連で質問できぬのですが、そういうことについて防衛庁がどういうふうな考え方を持つかもまた問題があると思うんですが、ぜひ基本的な問題をこの危機管理の議論が現実に出てきたところでひとつやってもらいたいと思うわけなんです。  それで、今度はひとつ具体的にいわゆる難民対策についてですが、新聞によると、日航と全日空が行く、それからあと医者がまた後から行くということなんですが、実際にどれぐらいの難民が今現に出ていて、それは日本がどれぐらい担当して難民問題を解決しようという計画なのか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) ただいまの難民数でございますけれども、九月の十四日現在の数字しか私持っておりませんが、国連の災害救済調整官事務所の数字によりますと、ヨルダンに四万一千人ぐらい、トルコに三万三千人ぐらい、サウジアラビアには三十万人以上、イランに一万九千人、シリアに一万一千人ぐらいの難民がいるということで、今のUNDROですとか、国際赤十字委員会あるいは国際移住機構などのアピールにこたえまして各国がいろんな援助、これは金銭面での援助あるいは飛行機の提供等いろんな形の援助をやっております。我が国はこれまで二千二百万ドルの援助を既にコミットして支出をしておりますし、アメリカは二千八百万ドルぐらい、ECが六千万ドルぐらい、スウェーデンが八百万ドルぐらい等の援助を行ってきております。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 今ちょっと聞き間違ったかもしらぬが、サウジに三十万とおっしゃったんですね、難民。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) はい、そうでございます。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 このサウジの三十万の難民というのはどこから出てきたんですか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) 主としてクウェートから流れてきた難民だと思います。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 そうすると、湾岸諸国は生産増強をやると言っておりますわね。その中でサウジを初め湾岸諸国については、若干米軍なんかが来て武力の方のやつやっているけれども、生産活動はむしろふえていて、サウジそのものや湾岸諸国からのそういう生産活動がだめになって難民が出るというようなことではなくて、やはりそこがむしろ生産活動がふえればそういう難民なんかもある程度吸収されるような方向と見ていいのか、あるいはサウジの三十万とかなんとかいうやつも日本がしょって帰さなきゃならぬのか。そうなると、サウジはやれるのか。どの範囲でやろうとしているんですか、難民救済は。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) これらの難民は主としてイラク、クウェートから周辺国へ出てきておる難民でございまして、今そういう難民がどの程度この周辺国に定着しているかというのは私たちは必ずしも把握しておりません。私たちが理解しておりますのは、一義的にはアジア地域ですとかエジプト等からのそういう国から来た人たちがイラク、クウェートから近隣諸国へ逃れてきたという方で、今の私たちの一番の重要な仕事は彼らを本国へ送還すること、あるいはそこに残っている人たちに対する医療活動とかテント、食糧等の供給というふうに理解しております。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) 今の委員お尋ねの難民問題でございますが、私が行きました国々では、結局クウェートあたりでは非常に所得がいいものでございますから出稼ぎ労働者、これが随分出ております。その出稼ぎ労働者たちが母国に送金しておったのがエジプトあたりでも相当な金額になっておる。その人たちが戦争が起こるということで一斉に離脱し始めた、こういう状況ではないかというふうに認識をいたしております。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 だから、そういうふうな出稼ぎ国ですよね。何というんですか、東南アジアから行くというとフィリピン、それからタイやインドネシアという国が挙げられておるわけなんです。  先日、私がスリランカへ行ったときでも、スリランカでも飛行場にずっと、いつ帰ってくるかわからぬのだけれども、身内が帰ってくるのをもうずっと飛行場の外で待っているのがいるんだというようなこと、恐らく中東の難民の身内が帰ってくるのを、何の連絡もないけれども、何となくあそこへ集まってきているんだというようなこともあって、そういうことについて日本がフィリピンや東南アジアの諸国で――それは本人は金を持って送金を今までしていたけれども、現実には難民になっちゃったからお金を持ってないわけなんですよね。だから、そういうことについて、やはり日本は確かに金持ちで先進国で、我々を帰してくれたと。それから現地の収容でも、サウジアラビアは金持ちだからやってくれるかもしれぬけれども、ヨルダンはだめだということになれば、ヨルダンの方へその救援物資やテントを持っていってやる。そういうふうな救援対策というのは、東南アジアの我々の近隣諸国の労働者の救済ということで非常に僕は日本のためにもなると思うんだけれども、そういう具体的な計画的なフィリピン政府だとかインドネシア政府とかとの対応を至急やって、具体的な救援対策をやるということも必要だと、そのために現地へ非武装の人が行っていろいろ協力をして整理をするというような対策を至急やってほしいと思うんですが、いかがですか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○説明員(赤尾信敏君) 確かに先生御指摘のとおり、今ジョルダン、トルコ、イラン等におります難民のほとんどがアジア人でございます。インド、パキスタン、スリランカ、フィリピン、タイ等の人たちでございます。そういうこともありまして、私たちは国際移住機構のアピールにこたえて真っ先に日本は千二百万ドル援助を出したわけです。ただ、金だけだと日本がやっているというのがよくわからないということもありますので、みんなに知ってもらえないということもありまして、何とか日本の飛行機、日航とか全日空ですね、に行っていただきたいというので頼んでやっと一機ずつ出していただくということになったわけですが、本当はできたらもっとたくさん出していただけるのを望んだわけですけれども、飛行機のやりくりの関係でどうしても難しいということでそういうことになったわけですが、いずれにせよ日本が非常に大きな拠出国であるという事実には変わりないというふうに思っております。

岡野裕自由民主党

○委員長(岡野裕君) 三治委員、時間であります。

三治重信民社党・スポーツ・国民連合

○三治重信君 はい、最後に。  だから、もう速急な対策がとれぬというところに対して、危機管理の法律が全然ないことから一々頭を下げて頼んでいかなくちゃならない。それはもう飛行機を頼んだところは、その飛行機の乗員はみんな本来からいえば、きちんと危機管理の法律ができれば、これはもう行く人はちゃんと国家公務員だ、それで危険があればそれに対して対応は全部できるんだ、その行く人や協力隊に出る人については全部国が肩がわりして、身分保証から経費から全部しょってやれるんだということが必要だろうと思うんですよね。ただ、行ってちょうだい、いや何だか嫌だなんというだけのことで、何だかわけのわからぬことの国際協力なんというのは間尺に合わぬ。やはりそういう協力をするなら基本的に国の責任で国が全部雇って、人を雇い、船も飛行機も全部自分の責任で供給してやるべきだと、こういうふうに思います。よろしく。  終わります。

岡野裕自由民主党

○委員長(岡野裕君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  この際、便宜私から各派の協議が調いました湾岸地域の平和と安全に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    湾岸地域の平和と安全に関する決議(案)   本委員会は、イラクによるクウェートへの侵攻及びクウェートの併合が国際連合憲章及び国際法規に反する不法な行為であり、国際の平和と安全を危うくするものであるとの認識にたち、次の意思を表明する。  一 イラクによる侵略行為は、いかなる理由によっても容認できるものではなく、これを強く非難するとともに、イラク軍のクウェートからの即時かつ無条件の撤退及びイラクによるクウェートの併合行為の撤回を要求する。  二 イラクにより拘束されている在留邦人及び外国人の状態につき深刻な憂慮の念を表明するとともに、イラク政府に対し、速やかな、かつ、自由な本国への出国を認めるよう要求する。  三 湾岸地域の今日の事態を早期かつ平和裡に解決するため、国連の諸機能が十分に活用されるべきであり、国際協調の観点から我が国は、必要かつ万全な対応をすべきである。  四 政府は、今回の事態により引き起こされた難民問題等に対し、人道的観点から、速やかに適切な支援措置を講ずべきである。  五 政府は、本委員会の意思を体し、さらなる外交努力を行うべきであり、また、その経過を随時本委員会に報告すべきである。  六 今回の事態にかんがみ、この種の事案に対し、平和的、迅速かつ適切に対応するよう努力すべきである。   右決議する。  これより本決議案の採決を行います。  本決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

岡野裕自由民主党

○委員長(岡野裕君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、中山外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中山外務大臣。

中山太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(中山太郎君) ただいま御決議のありましたイラクのクウェート侵攻に関する我が国の対応につきましては、御決議の趣旨に沿うよう今後とも最大限の努力をしてまいる所存でございます。

岡野裕自由民主党

○委員長(岡野裕君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十分散会

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