科学技術特別委員会 第3号
- 発言数
- 253 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1990/05/30
会議録
○委員長(中西珠子君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。 この際、永野科学技術政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。永野科学技術政務次官。
○政府委員(永野茂門君) 先般、科学技術政務次官を拝命いたしました永野茂門でございます。 委員長初め委員の皆様方の御指導を受けながら、大臣を補佐して誠心誠意努力する所存でございますので、どうかよろしくお願いいたします。(拍手) ─────────────
○委員長(中西珠子君) 科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、科学技術振興のための基本施策に関する件を議題といたします。 ─────────────
○委員長(中西珠子君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 本件審査のため、本日の委員会に動力炉・核燃料開発事業団理事橋本好一君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中西珠子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(中西珠子君) これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○岡野裕君 科学技術につきましては全くの門外漢でありますが、せっかくのお時間をいただきましたので、若干の質問を申し上げて勉強をしたい、こう思いますのでよろしくお願いをいたします。 戦後四十年、我が国の経済の発展は極めて著しいものがあるわけでありますが、その原因についてはいろいろ説がなされているところであります。大方の意見としましては、一つには勤勉な労働力、モラルが高いと言われておりますし、同時にまた教育水準が高い、したがってその質が立派である。あるいはまた財源につきましても、世界有数の貯蓄率を誇っているこの日本である。そしてこれに加えてやはり高い技術力というものがあって、初めてこの立派な生産ができるようになった、こんなふうに言われているわけでありますが、とりわけ、資源小国としての日本がそのすぐれた技術力を生かして高い付加価値製品をつくっているというのは極めて注目に値するところだ、こう思っているところであります。 明治以来、古くさい用語で言いますならば、和魂洋才というような精神が日本にはありまして、西欧のすぐれた科学技術、これを導入し、全くこれを消化吸収して我が国独自の技術を開拓をしてきたというような意味合いで称賛されているところでありますが、予算委員会でお忙しいところを大臣わざわざ御来駕をいただきましたので、我が国の科学技術発展の経緯と現状というようなものにつきまして、参議院先輩の大島大臣から御見解を承れればまことに幸いだと思います。よろしくお願いいたします。
○国務大臣(大島友治君) 我が国は戦後、欧米のすぐれた技術の積極的導入に努力をしてまいりましたし、その改良と定着を通じまして産業力の強化を図るとともに、科学技術の技術力の蓄積に努めてまいったところでございます。 我が国の経済的な地位の高まりと技術レベルの向上につれまして、各分野で自主的技術力確保の必要性が高まってまいっておりますし、官民を挙げて努力が行われてきたということを私は承知しておるものでございます。また、近年特に産業界において研究投資は急速に拡充されてもおりますし、また我が国全体の研究開発投資は先進諸国と比べて決して遜色のない水準に達しているということは、私も認識を持っておるわけでございます。 しかしながら、我が国の科学技術は、このように欧米の技術的キャッチアップという過程をたどったこともありまして、応用開発的な研究に強く、先導的な技術シーズを生み出し得るような創造的研究の強化が重要課題と広く認識をしておるというのが、過去、十二年前にといいましょうか、五十二年にたまたま政務次官をやったという経験とにらみ合わせながら、日本の科学技術の現状をこんなふうに踏まえておるのが私の真情でございます。
○岡野裕君 大臣どうも的確な御答弁をいただいてありがとうございました。 ついこの間でありますが、たまたま出張先の飛行機の中で「ボイス」の六月号というのを読みましたら、その中に志村幸雄という方の書き物が載っておりました。今、大臣、基礎開発についても努力をされているというお話でございましたが、その書き物の中の表現をちょっとここで読んでみたいと思うのであります。こんなふうに書いてあります。「わが国は今日、研究開発費で」十兆円を超え、「米国に次ぎ、かつての二番手のソ連を上回っている。研究者数でもソ連、米国に次いで三番目に多い。しかし、これを基礎研究に限ってみると、基礎研究費の対GNP比率は〇・二六%、研究開発費に占める基礎研究比率は一一・一%」、これはいずれも八六年の場合とありますが、というようなことで、「西独、フランスの水準のほぼ半分、米国に比べてもまだ低い。」結局、基礎技術ではまだ非力と言われているんだ。「このような跛行性を改善するためにも基礎研究への投資が欠かせない。」、こう思っているというような記述でありました。 ひとつ、政府と民間の研究開発投資につきまして、こういった欧米先進国と我が国はどんなふうなことになっているか、先ほどの八六年という数字はいささか古いように思いますので、その辺について御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(石塚貢君) お答え申し上げます。 我が国の研究費総額は、一九八八年度で申し上げますと、十・六兆円に達しております。そして、このうち政府負担割合は一九・九%となっております。一方、米国の研究費総額について見ますと、同じ一九八八年で比較いたしますと十六・二兆円でございまして、政府負担割合は四七・四%でございます。一方、欧州の状況でございますが、欧州につきましては統計の関係上いずれも一九八七年、一年前でございますけれども、西ドイツの研究費総額は四・六兆円、政府負担割合は三七・七%、またフランスの研究費総額は二・九兆円で、政府負担割合は五二・九%となっております。なお、OECD購買力平価といったもので換算いたしますと、米国の研究費総額は二六・一兆円でございまして、日本の約二・五倍ということになります。 また、研究費の基礎研究比率でございますが、各国でこれは統計のとり方がいろいろございまして、幾らか差異もあろうかと思いますが、日本は一三・三%、これは自然科学分野のみでございますが、この比率は米国とはほぼ同じでございますけれども、欧州の西ドイツあるいはフランスと比べますとかなり低いというのが実情でございます。 このように我が国の研究費は、自由世界では米国に次いで第二位となっておりますけれども、政府負担割合及び基礎研究比率、ともに各国に比べまして低いというのが特徴かと思います。 なお、先ほど米国の政府負担割合四七・四%と申し上げましたが、四八・〇%に訂正さしていただきます。
○岡野裕君 新しい数字を教えていただいてありがとうございました。 さてそれでは、これからの科学技術振興の基本方針はどんなであるか、その辺についてお尋ねをしたいわけでありますが、最近の国際摩擦というのは、貿易の収支を中心とした経済摩擦というものに限りませんで、言いますならば半導体あるいはスーパーコンピューターでありますとか、あるいは工作機械、FSX、宇宙衛星、そういった技術摩擦、ハイテク摩擦、そんな様相を呈してきている、これが現状であろうと思うわけでありますが、八八年現在でアメリカにおきますところの特許の状況を見てみましたところが、九百件を超える日立を初めとしまして、東芝だとかキャノンあるいは富士、あるいは三菱電機といったようなところが五社もこのベストテンの中で並んでいるわけであります。こういった様子を見ますと、やはり米国が日本の技術について若干の恐怖を感ずるというのも無理からぬものがあるように思うわけでありますが、ただ問題は、大臣も言われました技術シーズになるような基礎研究というような面につきましては、先ほど永野政務次官おいでになりましたが、防衛ただ乗り論ではなくて基礎研究ただ乗り論というような声も聞かれる現状であります。まことに残念でありますが、我が国の科学技術振興の基本方針については所管庁はどんなふうなお考えでありましょうか。
○政府委員(石塚貢君) 我が国は、経済面では世界経済の一割以上を占めるに至っておりまして、先進国の一員といたしまして科学技術の分野におきましても国際社会における役割が非常に増大してきているということでございます。実用化の面におきましては世界をリードするということでございますが、先ほど申し上げましたとおり、基礎研究の比率が低いといったような問題が指摘されております。したがいまして政府といたしましては、総合的な科学技術の展開、特に基礎研究を重視するということにつきましては科学技術政策大綱に既にうたわれているところでございますけれども、この大綱では三つの柱が提示されております。第一に、基礎研究の推進を中核とした創造性豊かな科学技術の振興、それから第二に、国際性を重視した科学技術の展開、それから第三には、科学技術と人間及び社会との調和といった三つの柱が立てられてございます。 こういった基本方針に基づきまして国際的な観点から科学技術政策の具体化を図るために、この科学技術会議の中に国際問題懇談会というのがございますが、そこで昭和六十三年に「当面の科学技術を巡る国際問題に関する取りまとめ」を行いまして、これを科学技術会議の本会議に報告し、了承をいただいたところでございますが、この中で、我が国における国際対応の基本的な考え方というものが示されております。 四点ばかりございますが、第一には、人類全体の利益及び世界経済全体の発展の追求、それから国際公共財としての基礎研究の強化、それから我が国の主導的な役割の発揮、こういった国際的な視野に立った基本的な理念の確立が必要であるということ。それから第二に、能力に応じた科学技術振興の責務の分担、相互依存関係の拡充など先進諸国間の協力の推進を図るということ。それから第三には、相手国の国情に合った技術移転、特に開発途上国に対する技術移転でございますけれども、科学技術の基盤整備の協力などをこういった途上国との協力において推進しなければいけないということ。それから第四といたしまして、科学技術の国際化といいますか、グローバリズム的な考え方の確立、そういった科学技術における国際関係の諸原則を関係諸国と確立していかねばいけない。こういった四点をこのレポートは指摘をしてございます。 御指摘のとおり国際社会におきます我が国の置かれた状況を踏まえまして、我が国においてはこの大綱の基本方針及びこういった懇談会におきますいろんな提言、こういうものに従いまして科学技術政策の展開を図ってまいる方針でございます。
○岡野裕君 この二、三月だったと思うのでありますが、アメリカのAT&Tの副会長のドバイアスさんが来日をされまして、私も会う機会があったのでありますが、このAT&Tにはベル研がありまして、ベル研は七人のノーベル賞学者を出しているというような立派なものでありますが、そのドバイアスさん、やっぱりそれでも心配をしておりました。というのは、第一次コンピューター裁定、第二次コンピューター裁定、これがありまして、AT&Tは独占経営が否定をされることになりました。というような中で、いわゆる商売根性を出せば出すほどベル研が誇っていた基礎研究というものはどうも不安な感じがする、あえて否定をされませんでした。 そういった意味合いでは、NTTが五年前に民営になりますときも一部には、天下に誇る四つの電通研があるが、これから基礎研究の方がゆるがせになるのではないかというようなことを声として私も聞いたことがあるわけであります。そういう意味合いではやっぱり民間の基礎開発というような面はなかなか難しい。どうしてもコマーシャルコスト意識がありますので、実用面あるいは応用技術に傾きがちになるのではないか。そうだとするならば、やっぱり基本的な基礎研究、開発、これは国がやらにゃならぬ。そしてそれはまた国の研究機関のあり方も問われてくるということだと思うのであります。 先般、国立試験研究機関のあり方についていろいろお声がかりをいただいたようでありますが、この辺につきましていかがにお考えでありましょうか。
○政府委員(石塚貢君) まず基礎研究強化の施策でございますけれども、私ども従来より国立試験研究機関におきましては科学技術振興調整費を活用いたしまして、省際基礎研究制度あるいは重点基礎研究制度といったものを進めております。また、大学におきましては科学研究費補助金といった学術研究を進めておりますし、またこのほか、全く新しい科学的な知見の発掘を目的といたしまして、理化学研究所におきましてはフロンティア研究システム、あるいは技術革新の芽を創出するための新技術開発事業団におきます創造科学技術推進制度といったようないろんな制度を積極的に実施しているところでございます。 また、国の研究機関のあり方につきましては、創造的な基礎研究の成果が、これはいわば公共財的な性格を有するんだということでございますので、その推進に当たりましてはやはり国が大きな役割を果たしていくことが必要であるという認識のもとに、国の研究機関がその中核をなすべきものであるというふうに認識をいたしております。このため、大学それから国立試験研究機関等におきましては、優秀な人材の養成、確保、それから機器、設備の整備充実、こういった研究体制の整備を進めまして、国内外に高く評価されるようなそういう特色のある大学それから研究機関というものを目指すことが重要であるというふうに認識をいたしております。
○岡野裕君 先ほどの局長さんのお話の中にテクノグローバリズムという用語がありましたが、私がさっき申しました経済摩擦も、アメリカなんかではとかく保護主義の傾向を生んでいる、それは否定し得ないというような説もあるわけでありますが、技術摩擦、ハイテク摩擦の結果、国によってはやっぱり科学技術の開発の成果というものについてエンクロージャーの傾向がありまして、とかくテクノナショナリズムに陥りがちだ、こんな批判もあるところであります。 一両年前でありましたが、ベネチアとトロントの二つのサミットでこのヒューマン・フロンティア・サイエンスでありますとか、あるいは地球環境が悪化する、それに伴うところの科学技術の協力体制をしこう、竹下総理大臣からもそんな言葉があったわけでありますが、我が国としてはナショナリズムを排してテクノグローバリズムの流れにさお差すという面についてはどんな対処の仕方でありましょうか。
○政府委員(石塚貢君) 御指摘のテクノグローバリズム的な考え方の浸透を図るということの必要性につきまして、科学技術会議の先ほども申し上げました国際問題懇談会における報告書の中でもこの点が指摘されておるところでございまして、今後の我が国の政策展開の方向といたしまして三点を挙げております。 第一点は国際共同研究、こういったものを主導的に我が国として展開していく必要があるということ。それから第二に先進国間の科学技術政策、こういったものの中で共同歩調をとっていく、そういうコンセンサスづくりが必要であるということ。それから、基礎研究強化というものを中心とした研究環境の整備充実、それから国際的に開かれた研究体制の整備、そういうものによって我が国の体質改善を図っていく必要があるという三つの考え方が示されておるところでございます。 このような考え方に沿いまして、具体的に私どもはいろいろな施策を展開いたしておりますけれども、幾つか申し上げますと、今ほど先生御指摘のございましたヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムを推進するとか、あるいは先進国間の共同歩調の推進ということにつきましては、先進国間でのテクノグローバリズム的な考え方のコンセンサスを形成するためにいろんな国際会議が開かれております。例えばOECDの科学技術経済社会計画、TEPと呼んでおりますが、こういった会合を先般東京で開催いたしましたし、あるいは本年二月には科学技術政策研究所の第一回国際コンファレンスを開催いたしましてこのテクノグローバリズムについての理解を深めるといったような努力をいたしております。 さらに研究環境の整備充実につきましては、先ほども触れましたけれども、理化学研究所のフロンティア研究システム、あるいは新技術開発事業団の創造科学技術推進制度等の拡充強化を図っているところでございます。さらに、開かれた研究体制の整備ということにつきましては、各種フェローシップの充実、国際的な大型共同利用施設の建設、それから英文による科学技術情報提供システムの拡充整備といったようなことに努力を払っております。
○岡野裕君 開発技術の国際的な開放について非常に積極的だという御答弁だと思うのでありますが、まことに喜ばしいことだ、こんなふうに思っております。 ついこの間でありましょうか、日米科学技術協力協定に基づく合同高級委員会がワシントンで行われて、我が大島大臣が議長として出席をなさり会議を主宰をされた、こんなふうに伺っているところでありますが、大臣、この合同高級委員会といいますのはそもそもどんなもので、またどんな話し合いが行われたのでありましょうか。もし差し支えがなければお話をいただければ幸せだ、こう思います。
○国務大臣(大島友治君) ただいま御質問ありましたように、去る五月四日、ワシントンにおきまして日米の科学技術協力協定に基づく合同高級委員会第二回会議が持たれたわけでございますが、昨年は第一回でこちらでやったわけでございます。米国側では議長といたしましてブロムリー大統領補佐官が出まして、日本側といたしましては私が議長ということで出席さしていただいたわけでございます。 もちろん、こうした国際会議に行ったのは私も今回が初めてではございますけれども、この合同高級委員会におきましては、端的に言って特に我が国でも確立しましたこのフェローシップの制度を通じての研究者の交流の拡大、この前提におきましても若い人たちを積極的に日本に送るからというような意思表示もあったということで、これは私ども非常に心強く感じている。それから、日本の科学技術情報の流通の拡大というようなこと、さらにまた新協定下で初の十七の共同研究プロジェクトの合意などにより両国間の協力を着実に進展させたほか、地球環境問題、大規模プロジェクトの国際協力の進め方などについて幅広く討議ができましたし、また私は初めてではございますけれども、まさに日本の科学技術に対するアメリカの積極的な関心が高まっておるなということをしみじみ感じたこと、先ほども私の認識の面から決して他国に遜色ないと言ったのは、この感触から申し上げたようなわけでございます。したがいまして、今後ともこの両国の相互理解を深めつつ、より緊密で実りの多い日米間の科学技術協力を進めてまいりたい、こういうふうに考えておるものが先般の会議に臨んでまいりましたときを通じての感想でございます。
○岡野裕君 大臣の直接陣頭指揮のもとで科学技術の国際協力の実を上げている、まことに慶賀の至りだと思うわけでありますが、先ほど私もお話をしました日米構造協議では、日本からもアメリカも欠けているところがあるのだからこういうことをせよという要求を七項目にわたってやっていることは御承知のとおりでありますが、その項目の中の一つにやはり応用技術の研究でありますか、同時にまた商品開発、これについてアメリカはもっと積極的に取り組めというようなことを言っております。 最近有名になったある書物の中でソニーの盛田さんは、日本人は感性のひらめきといったような創造力については劣っている。しかしながら今お話が出ましたような応用技術の研究だとか商品開発といった面での創造力につきましては非常にたけているのである。したがって、これらのデータベースを提供するというようなことも考えられていいのではないか、こんなふうに思うわけでありますが、いずれともあれ、経済国としてもあるいは技術の面においても一等国になった日本だとするならば国際協力については一貫して努力をしていかなければならない、こう思うわけであります。そういうような意味合いで、日米間の科学技術協力としてはどのような施策を役所としては講ぜられておられるか、この辺をお尋ねしたいわけであります。
○政府委員(角南立君) 日米の関係は科学技術分野におきましても我が国にとって最も大切な国際協力の関係であり、かつ非常に幅の広い関係である、こういうぐあいに認識しております。したがいまして、日米関係、科学技術に限定いたしましても非常に多様の枠組みがございまして、そのもとでいろいろな施策を講じてまいってきた、これが現状でございます。 例えば、先ほど大臣がお話しいたしました研究者交流につきましてのフェローシップ制度を初めとする一連の制度、それから科学技術情報につきましても政府関係資料のデータベースを英文化して提供してあげる、こういうような施策を進めております。それから、宇宙、あるいは原子力それぞれの分野で宇宙ステーション、あるいは核融合その他非常に幅の広いテーマでの共同研究、あるいは協力活動というのが進められている次第でございます。それから、委員お話しの応用という問題につきましても、先ほどのワシントンその他でもアメリカとしてはブリッジングという言葉で、アメリカに非常に欠けているものとしての認識を持って日本のことをいろいろと勉強していきたい、こういうようなことを言っておられました。 以上でございます。
○岡野裕君 国際協力のあり方の中に国際共同研究というようなものも数えられる、こう思うのでありますが、この国際共同研究は、何といいますかな、協調と競争の確保のバランス、この辺が難しいと思うんです。全体として共同研究をやりますと、みんなで研究をするわけでありますので成果は当然のこと上がってくる。成果が上がると同時に国際間の協調というようなこういうメリットもある、こう思うのでありますが、他面考えますと、技術開発はやっぱり自由に競争をする方が、そういった自由競争にゆだねる方が実が上がるのではないかというようなこともやっぱり事実だろうと思うんです。 我が国でも私が知っておりますNTTあたりは、かつてはファミリー企業の間で共同開発をやるわけですね。共同開発をしますならばその成果は参加をした各企業にみんな及ぼされるわけで、安心して研究開発ができるということでありますが、そういう手をとると同時に、もう一つはそれぞれの企業にやってみろというようなことで任せて、言うならば自由競争をやらせて、そうしてその開発の実を上げるというような手も打っているわけであります。 そういうような意味合いで、今私が知っているのは国内の問題でありますが、国際的にも同じようなことがあるんじゃないかな、こう思うのであります。いかがでありましょうか。
○政府委員(石塚貢君) 国際共同研究における協調と競争のバランスについてのお尋ねでございますけれども、国際共同研究はやはり科学技術の大型化あるいは多様化が進む中で、一国ではなし得ないような大型のプロジェクトの実現でございますとか、貴重な人的資源の活用といった面、あるいは研究交流による新たな科学技術の創出といったものへの期待等いろいろ意義が深いものがあるわけでございます。 さらに、近年の保護主義的なテクノナショナリズム、こういったものを弱め、各国間のより自由な科学技術の交流を進める。つまり、テクノグローバリズム的な考え方の浸透を図るという観点からは、国際共同研究の推進というものは一層意義深いものであるというふうに思料いたしております。このような協力活動におきまして、それぞれの協調と競争というものの適正な均衡を図りながらいかに最大限に協力の成果を得るかという点につきましては、これは極めて重要な課題であるというふうに認識をいたしております。 しかしながら、個々の国際共同研究によりまして協力の分野、その対応、参加国等がいろいろ異なるということもございますので、画一的にどういう考え方がとられるべきかといったことについて述べることはやや困難が伴うわけでございますが、あえて一般的な考え方を申し上げるとすれば、その成果が世界の公共財とも言うべき基礎研究でございますとか人類共通の課題であるような研究開発、あるいは多額の資金を利用し共同して実施すべき大型プロジェクト、こういったものは国際共同研究にふさわしいということかと考えられます。 今後も、この国際共同研究につきましては、協調と競争といったものの適正な均衡に十分配慮しながら進めてまいりたいと考えております。
○岡野裕君 大変難しい質問をしまして失礼をしました。 それでは論点を変えまして、知的所有権の問題についてお尋ねいたします。 この科学技術の及ぼす経済的な効果というのはうんと大きいものがあると思うんです。同時に、また一方では、技術をエンクロージャーしないでグローバル化を進めるべきだ、そういうようなことであるとすると、やはり創造的活動の成果としての知的所有権、これの保護は大きな問題だろう、こう思っております。とりわけ戦後は、やはり世界の先進国ということで、技術の公開そうしてその提供に努力をしてきて世界経済を今日ここまで引っ張ってきた、そういう米国の先端技術産業の国際競争力、これを強化するためにも、アメリカの中では知的所有権保護の強化をしようというような声があるようであります。この動きについて、またこれに対処する我が国のありざまについておわかりでありますならばお答えをいただきたい。
○政府委員(石塚貢君) まず米国における状況でございますけれども、科学技術の進展に伴いましてコンピュータープログラムあるいはバイオテクノロジー関係の新たに保護すべきいろんな知的生産物といったものが最近増大してきているということでございますけれども、科学技術の成果の保護でございますとかその投資に対するインセンティブの意義等の観点からこの知的価値の重要性が高まっている。こういう状況を背景といたしまして、米国におきましては国内外の知的所有権保護というものの強化を進めているというところでございます。 もう少し具体的に申し上げますと、例えば、米国内におきましては、一九八〇年に著作権法を改正いたしましてコンピュータープログラムの保護を行うということとか、あるいは一九八四年には半導体チップ保護法といったものを制定いたしております。また、特許法を改正いたしまして医薬品あるいは食品添加物等の特許の延長などを図っております。さらに、一九八五年の通商政策アクションプログラムにおきましていろんな保護政策を打ち出しておるわけでございますし、一九八七年には一般教書におきましてこの知的所有権の保護の強化というものの表明を行ったという状況にございます。 また、対外的な場におきましては、二国間におきまして包括通商法の知的所有権の侵害とか、あるいは行為の特定を行うあるいは制裁を行うといったようなことに関しますスペシャル三〇一条というものを発動したり、または関税法の不正競争及び不正行為に関する三百三十七条というものの発令をしたりいたしております。さらに多国間におきましては、ガット・ウルグアイ・ラウンドでございますとか、世界知的所有権機構、WIPOでございますが、こういったところで知的所有権に関する国際的な制度のオーガナイゼーションの促進等を通じましてこの知的所有権の保護の強化について働きかけているというふうに承知をいたしております。 なお、我が国のそれに対する対応についてのお尋ねでございますけれども、この知的所有権の保護につきましては、一般的には、知的所有権の適切な保護を行うことは研究活動を促進する上で研究者に対し多大なインセンティブを与えるというふうに期待をいたしておりますし、またこれが行き過ぎた保護ということになりますとやはり成果の利用というものが阻害されるという心配がございます。それらの両者のバランスをいかにとるかということが問題になってくると思います。 一方、国際的に見ますと、先進国と開発途上国との間における主として科学技術の発展段階の違いによる問題、あるいは先進国間の制度上の違い、例えば先発明主義と先願主義といった制度の違いもございますが、こういったものをいかに調和させるかといったような問題もございます。国際共同研究の推進に当たりましても、成果に対する貢献等に基づいて調和のとれた適切な知的所有権の配分、利用等が行われることが必要であるというふうに私ども認識をいたしておりまして、現在、研究協力を実施する際の相互協議におきましては、それぞれの事例に即したケース・バイ・ケースでの対応をしているというのが実情でございます。
○岡野裕君 新しい技術を開発推進をしていく、つまりその総合力を大切にしようということと同時に、円滑な国際交流を図っていくということになりますと、どうしても知的所有権の保護というのは当然だろうと思うわけでありますが、しかし一方では、八八年のトロント・サミットでありましたかの新科学技術協定、あの中の文言を見ますと、「適用可能な国内法令」、これは安全保障も含むわけでありますが、それに「合致した、情報の可能な限り広範な普及」というような極めて微妙な表現もあるわけです。 そういう意味合いからすると、やっぱり一番推進をされなきゃいかぬのは国際共同研究ということになると思うのでありますが、この国際共同研究の場合の知的所有権、これの保護というのはどんなふうになるのでありましょうか。
○政府委員(石塚貢君) 一例といたしまして、日米科学技術協力協定のもとでどのような取り決めがなされているかということにつきまして御説明申し上げますと、まず、「知的所有権の十分かつ効果的な保護及び衡平な配分」の確保といったものがうたわれております。そしてまた、協力活動の過程で行われる発明の取り扱い、これは基本的にはケース・バイ・ケースで取り扱うということを原則といたしております。ただ、その基本的な考え方といたしまして二つのカテゴリーについて取り決めがなされております。 まず、情報交換のみの協力の結果として発明が行われる場合には、発明側がすべての権利を取得するということ。また、研究者の交流のみを伴う協力活動の過程におきまして相手方に派遣された者が派遣されている間に発明を行う場合につきましては、まず、受け入れ側が協力活動に主要かつ実質的な貢献を行うことが予想される場合には、受け入れ側当事者がすべての権利を取得する。それから、このような場合に該当しない場合につきましては、受け入れ側が自国及び第三国において権利を取得し、派遣側が自国において権利を取得する。こういう取り決めが日米の場合には規定されております。
○岡野裕君 それでは、先般スーパー三〇一条に基づく日米協議で取り上げられました衛星調達、これについてのお尋ねであります。 まずはともあれ、日米協議が合意に達したということはまことに歓迎すべきだ、こう思うのでありますが、在来我々がとってきました研究開発目的のものとそれから実用商業目的のものとの相乗り、したがって可能になる官と民との相乗りというようなやり方はどうしても変えていかなければならない。後者については、やっぱり内外無差別というようなことで国際、国内市場の中で調達をする、こういう義務をしょったということになろう、こう思うわけであります。 そうすると一番難しいのは、国が自分の予算で、今までは民間も一緒になってくれたが、自分の予算だけで研究開発衛星というものを上げていかなければならない。これが一番大きな問題で、皆さんともども我々も頑張っていこう、こう思うのでありますけれども、そういった意味からすると、この民間の技術力というものをどうやって強化をするか。日米の宇宙技術の格差というのはまだまだうんと大きいと思うんですね。宇宙開発を始めてから二十年、この間にHIロケット、これを発射しましたし、HIIロケットの開発も手がけてきた。それから各種の衛星も自力で打ち上げてきた。打ち上げの力についてはもうぼつぼつアリアンに近づいたのではないか、こう思うのでありますが、やっぱりアメリカと比べると格差が大きい。そういう段階で官と民との共同だとか、あるいは実用と開発が一緒だとかというようなのができないというのはうんと苦労だ。しかし苦労の中でも努力をせにゃいかぬ、こう思うわけでありますが、先般改定された宇宙政策大綱、その中には商業化というようなニュアンスも入っているのじゃないか。そういう意味合いで、民間活力の導入、その技術力をあわせて高めていくというような点については、お役所としてはどんな考えでありましょうか。
○政府委員(須田忠義君) 今回の日米合意は、基本的には商業化衛星、いわゆる民間サイド、民間がそれについて商売をしていくような衛星については、これは無差別、透明、いわゆる調達を開放せよということでございます。したがって、先生おっしゃるとおり、我々は、今後の通信衛星CS4等については技術部門ということと実用部門と完全に分けまして、技術開発部門については宇宙開発事業団で研究開発衛星を打ち上げる、そういうふうにしているところでございます。 先生おっしゃっている民間の技術力の強化ということにつきましては、おっしゃるとおりスタートがおくれたんですが、今はかなり差が縮まってきております。これは官民の努力によるものでございますが、今後はまず宇宙開発事業団による地球観測衛星、通信に関する試験研究衛星、それからそれを打ち上げるロケット、宇宙ステーション基地、そういう建造を通じて、結果的に民間の力を強化していきたい、そういう方向で進んでまいりたいというふうに考えております。 なおそのほかに、金融、財政等、民間の活力を促進する方策もあわせて展開していって民間の強化を図りたい、そういう考えでございます。
○岡野裕君 この間、二十三日の読売新聞の朝刊でありましたか、HIIロケットによりまして商業衛星打ち上げの市場参入をしようというような報道がありました。やっぱりたくさん打ち上げれば勢い低コストになるわけでありますので、三〇一条の関係の例の方針を消化していくということからしてもこれはいいことだ、こう思いつつ読んだわけでありますが、ロケットの売り出しを国際的にやっていくということであるならば、衛星の玉の方もやったらどうだというように思うわけです。日本としては例えばNECのトラポンあたりは非常に有名でありますし、それから大昔、八木アンテナ以来のアンテナの日本の力というものも非常に評価をされている。だから、そういった得意の分野を活用して、例えて言うならば、外国メーカーと共同で商業衛星、この受注を行うと。どうでしょうかね、荒唐無稽でしょうか。
○政府委員(須田忠義君) 先生お説のとおり、現在においても人工衛星の中継器等については日本のメーカーもかなり国際分野において受注してございます。これはインテルサット等外国の衛星についても事実そういうことでやっております。 なお、先生のおっしゃる今後、今回の衛星問題も含めまして日本の民間のメーカーが外国との関係でどうなのか。いろんなやり方をメーカーはメーカーなりに今模索中というふうに聞いておりますが、外国のメーカーと一緒になって共同でこれを受注するというのも一つの方策ということでメーカーも考えているようでございます。 なお、ロケットについても全く先生おっしゃるとおりに、この前の新聞の打ち上げ会社の設置というのはちょっと書き過ぎで、まだそこまで決めているわけじゃございませんで、さしあたりHIIの調達といいますか、製造という会社を民間が民間サイドでつくるということでございます。あれもそういうことで民間が民間として今後世界に打って出ていく一つの布石じゃなかろうかというふうに考えている次第でございます。
○岡野裕君 打ち上げ会社の設立はちっとも悪いことだとは思っておりませんので、積極的に取り組んでいただければと、こう思っております。 最後に、時間もなくなりましたので、地域における科学技術の振興方策、これについてもお尋ねをしたいわけであります。 昔話で恐縮でありますが、加えて文部省の所管でもあるわけですが、大正から昭和初年にかけて地方に高等専門学校を設置するときは、それぞれの地域の文化的な産業的な環境というようなものに着目もして設けられたみたいな、そんな受けとめをしています。例えて言うならば、商業都市の小樽や長崎、これは高等商業ができましたし、北九州重工業地帯には明治専門、あるいは石油や銅で有名な秋田には秋田鉱山専門学校、米沢織物だとか桐生銘仙でありますか、ここには高等工業ができております。あるいは日向杉であれば宮崎高等農林。大臣のおひざ元、農産物の収集、集散という宇都宮には高等農林というようなことで、地域の学術あるいは教育の振興にうんと大きな役割を演じてきた、こう思うのであります。最近は地域振興というと工場を建設して産業を発展させるんだというようでありますが、地域が本当の意味で発展をして、四全総でうたわれているような均衡のとれた国土の形成、各地域が借り物じゃない自分の発展の技術的シーズを生んで育てていく、これが非常に大事なことだと、こう思うのです。 そういう意味からすると、地域におきますところの研究開発機能を強化する、そうして新しい科学技術を生み出して、それが地元に還元されて新産業をつくり上げていくというようなことで地域の一層の発展の基盤になる、こう思うのでありますが、ひとつ地域におきますところの技術開発に対する全般的な推進策、これについてお答えをいただきたいんです。
○政府委員(角南立君) 委員の御指摘のとおり、地域における科学技術の振興というのは、その地域の振興に役に立つ、それから日本全体としてのバランスのとれた開発ということと同時に、我が国全体の科学技術水準の向上ということからも非常に重要なことと考えております。事実、最近におきまして、地域の振興策としていわゆる工場の誘致ということを超えまして研究開発機能を強化しようということを図ろうとする地域がふえてきておるのが状況でございます。 このような状況を踏まえまして、科学技術庁としては従来からいろいろな施策を講じてまいりました。例えば、地域における研究情報ネットワークということを整備いたしまして、これを中核とした研究交流あるいは生み出された新技術の企業化を促進すること、あるいは海洋科学技術でございますが、その地域の海の特性に着目して国と地方公共団体が協力した研究開発を地域で共同研究開発事業として行っております。さらに、地域の研究機関と科学技術庁の試験研究機関とが共同研究を行う官民特定共同研究、こういう制度も展開してきたところでございます。 今年度からは新たに二つの措置を考えております。一つが地域流動研究という制度でございまして……
○委員長(中西珠子君) 時間ですから簡潔に願います。
○政府委員(角南立君) 地域におけるポテンシャルを生かした研究をみんなと一緒にやる。二番目が、理化学研究所のフロンティア研究の地域展開、この二つの制度を始めたところでございまして、今後ともその方向で推進してまいりたいと思っております。
○岡野裕君 ありがとうございました。質問を終わります。
○庄司中君 私は、主として科学技術政策という問題を中心にしまして、幾つかの点を質問いたしたいと思います。 先ほどもお話がありましたように、科学技術政策の基本といいますのは、科学技術会議を中心にして策定をされていくわけであります。この科学技術会議は、議長が総理でございますけれども、そこを中心にして策定をしていくということでございます。ただ、そこの事務局を担当するのは、恐らく科学技術庁だろうと思いますので、この基本政策に関しまして最近の報道を見てみますと、そろそろ時期に来ている、恐らく秋ぐらいに諮問になるだろう、こんなふうな報道もされております。 過去を振り返ってみますと、例の十一号答申、「新たな情勢変化に対応し、長期的展望に立った科学技術振興の総合的基本方策」というのは、五十九年十一月でしょうか、に行われました。これに基づきまして、例の科学技術政策大綱が策定をされ、これが閣議で決定をされたというふうな経過になっております。この答申を今改めて読んでおりますと、十一号答申は一応十年というふうになっておる。ところが、この答申が行われてからちょうど五年ぐらいたちますので、五年たった時点で見直すのかどうか。その辺、国際情勢も変わりましたし、経済情勢も変わりましたし、ある意味では科学技術の状態も、特に日本の地位が変わってきたというふうな状態にあります。 そういう点でまずお尋ねいたしますのは、この二つの答申あるいは大綱の見直しを行う考え方があるのかどうか、あるとすればその段取りといいますか、これからのスケジュールみたいなものをお考えになっていたらお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。
○政府委員(石塚貢君) 委員の今御指摘のとおり、第十一号諮問に対する答申は、昭和五十九年に科学技術会議から答申を受けたものでございまして、創造性豊かな科学技術の振興、国際性を重視した科学技術の展開、そして科学技術と人間及び社会との調和、この三本の柱が提起されておるわけでございます。また、それを受けての大綱といったものが、昭和六十年の当時の臨時行政改革推進審議会の御意見に沿いまして閣議決定されているというところでございます。 御指摘の点につきましては、科学技術政策大綱の基本となっておりますこの十一号答申、既に御指摘のとおり五年が経過しておりますことと、それからこの間やはり我が国の科学技術をめぐる情勢についても変化をしているということが考えられますので、こういった十一号答申の見直しの時期がもう既に来ているというふうに私どもは考えております。
○庄司中君 見直しの時期が来ているということでありますけれども、事務的な面を担当する科学技術庁としては、そういう時期をにらんだ準備といいますか、そういうことは既に開始をしているというふうに理解をしていいのかどうか。
○政府委員(石塚貢君) その準備といいますか、検討、私ども関係省庁とも相談をしながら、現在、鋭意検討を進めておるところでございますので、そう遠くないうちに諮問というものが出されるというようなそういうつもりで現在検討を急いでおります。
○庄司中君 よくわかりました。 少し論点を変えまして、もう少し具体論のところに問題を絞っていきたいというふうに思います。 五月十六日でございましたか、ごく最近でございますけれども、通産関係の産構審と産技審の技術政策小委の合同委員会の報告書が出されました。これは九〇年代の産構審の答申の中に入っているというふうなコメントがございます。先ほどもお話しになりましたように、テクノグローバリズムであるとか、特に地球環境の問題というのが非常に大きな問題になってきている。あるいは再三御指摘のありましたような基礎研究の問題など、この報告書でもかなり大きなウエートで取り上げられているわけであります。その中で私たちが非常に注目をいたしましたのは、例えば政府の研究開発費をGNPの一%にすべきである、あるいは段階的に、十年ぐらいにらんで一%にしていくべきじゃないだろうかというふうな提言がいわば産業技術の立場から提起をされているということが言えるだろうと思います。 先ほどもお話がありましたように研究開発費、トータルとしては我が国はもうトップレベル行っていますよね、ずっと比較をしましても。アメリカと比較をしましても、ヨーロッパの主要国と比較をしましても、大体遜色のないところへ行っている。ところが、さっきも長官がお話しになりましたように、その負担の割合が民間と政府じゃまるっきり違う。二〇%しか政府の方の負担がない、八〇%を民間が負担をしているというふうな状態がありまして、我が国の研究開発なりあるいは技術と科学との関係であるとか、それから産業と研究との関係であるとか、いろんな特色があると思いますけれども、ただ現在、民間の研究の中にも製品を開発する、新しい物を開発するためには、もう応用技術だけじゃなくて基礎からやっていかなきゃならないということで、その基礎の部分への研究投資もふえているというふうに聞いております。 通産省の側から、産業技術の側から、いわば対GNP一%を長期目標にすべきだというふうな提起がなされておりますけれども、科学技術庁としてはこれについてどんな見方をしていらっしゃるか、あるいはどういう受けとめ方を考えていらっしゃるか、この点について見解をお聞きしたいと思います。
○政府委員(石塚貢君) 先生御指摘のとおり、より豊かな社会、それから国民生活の創造におきまして的確な対応を図ることによりまして未来に対する新たな可能性を開発するというために、我が国の科学技術予算につきましては、これまで大変厳しい財政状況のもとではございましたけれども、その着実な充実に努めてまいっております。そして、基礎的あるいは創造的研究、あるいは各分野のプロジェクト、こういったものを推進してまいったところでございます。 そこで、この科学技術会議の政策委員会の委員の間におきましても、以前から我が国の政府の研究開発投資をGNPの一%程度に引き上げるべきではないかといったような意見もございますし、またこのほかにも同様の意見があるということは私ども十分承知をいたしております。 いずれにいたしましても、当庁といたしましては、先ほど申し述べましたこの科学技術政策の基本に沿いまして研究開発投資の充実に一層努力を続けていかなければならないというふうに考えている次第でございます。
○庄司中君 それと関係をしまして、その問題をちょっともう一歩踏み出してみたいわけでありますけれども、今国会の予算委員会で政府の研究開発の問題が出まして、そのときに橋本大蔵大臣が例の国防費との関係で、つまりは研究開発自身は何といいますか、事実上国防費を除きますとアメリカとは遜色がない。だから政府が負担する研究開発費をアメリカ並みにとか先進工業国並みに引き上げていくというのは問題があるというようなニュアンスの答弁があったというふうに思います。 確かに、現在そういう議論が出てまいりますように、例えばアメリカで言われているわけでありますが、アメリカの場合には国防の研究開発が民間に波及効果をもたらすというのが今まで非常に多かったと思います。ただ、最近の論調によりますと、どうもこの波及効果に限界が見え始めて、うまく波及効果が進んでいないということがあります。 それからもう一方では、つまり国防とか軍事力というものを兵器だけで比較するのは問題がある。つまり、兵器というのはいわばハイテクの固まりである。そうすると、ハイテクを生み出す背後の力自身が潜在的な軍事力になり得る。こういうふうな科学技術をある意味では政治的に理解しようとする動きがあるわけでありまして、国防費に関係する研究開発費と、非国防費の研究開発の境目というのが非常に難しい。恐らく各国でも違うだろうというふうに思いますけれども、そういう状態でありますけれども、やはり何といいますか、最近における東西のデタントが進みまして、アメリカにおいても軍事費の削減が当面の課題になってきているわけであります。 そういう点で見てみますと、これは私が非常に簡単に試算をしたわけでありますけれども、確かに日本とアメリカ、西ドイツ、フランスあたりを比較してみますと、全研究費は同じですよね、先ほどの対GNP比でいきますとほとんど同じ。政府負担の割合がほぼ二倍ですよね、これ。アメリカそれからドイツ、フランス、これはほぼ二倍であります。このうちの国防費関係を除きまして、非国防費の研究費という点でとってみますと、アメリカと日本はほぼ対GNP比で同じぐらいになりますよね。橋本大蔵大臣が言ったように同じぐらいになります。 ただ、ここで考えてみますと、アメリカはやっぱり覇権国家ですね。軍事費の負担が大きい。そして軍事費の研究費が大きいというのは、これは覇権国家、ソ連とそれからアメリカはもう特別だろうというふうに思います。 そこで、西ドイツとフランスをとってみますと、我が国の非国防研究費はGNP比にしますとほぼ〇・六%、これは取り方が違いますから違うかもわかりません。アメリカが大体〇・五%で大体同じぐらいということですけれども、覇権国家を除いた西ドイツと比較しますと、西ドイツは〇・九%ございます。つまり、我が国の対GNP比にしますと五割は多いという感じになりますね、〇・六あるいは〇・五との比較で。フランスですとこれはやっぱり〇・七ぐらいになります。 私たちが、国が負担すべき基礎研究を中心にした研究費の負担をどの程度にすべきかというのは、覇権国家であるアメリカとかソ連を除いて、それ以外の先進工業国、ヨーロッパでいきますと西ドイツあるいはフランスあたりと比較するのが妥当だろう。既にさっきもちょっと申し上げましたけれども、いわばこれからの世界といいますのは、軍事対決ではなくてやはり違う形で、経済であるとか文化であるとかという形で協力をしていかなければならない。そのためには日本は、科学技術政策大綱にもありましたように、資源がないわけでありますから、知的創造力を生かして国際貢献をしていかなければならないということになりますと、アメリカの中で既に議論になっておりますように、平和の配当という考え方も、今日本じゃ当面の議論にはなりませんけれども、やはり考えていかなければならないだろう。 そういう点で幾つか、これから国防費の問題あるいは非国防費の問題、あるいは政府の研究開発費における負担の問題ということをひっくるめましてかなり大きな議論をしていく必要があるんじゃないだろうかというふうに思いますが、この点について現在どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、漠然とでもいいわけでありますし、あるいはアプローチの仕方でもいいわけでありますから、ひとつ丁寧に見解を説明をしていただきたいというふうに思います。
○政府委員(石塚貢君) 国際化でございますとかあるいは高齢化あるいは価値観の多様化、そういった新しい時代の流れの中に私ども現在おるわけでございますけれども、人間の知的創造力とその生存基盤、人間の知的創造力というものに私どもの生存基盤を求めていかなければならないというような状況にあるわけでございますので、この二十一世紀に向けての着実な発展を遂げていくためには、むしろ諸外国以上に科学技術の振興に力を注いでいく必要があるというふうには考えておるわけでございまして、これは我が国の重要な政策課題であるというふうに認識をいたしております。 先ほど来からもお話が出ておりますとおり、我が国の研究開発費総額は現在約十・六兆円でございまして、これは昭和六十三年度でございますが、対GNP比で二・八六%、自由世界では米国に次いで第二位ということでございまして、特に技術の実用化の面におきましては世界をリードしているというふうに認識をいたしております。しかしながら、先ほど来から委員御指摘のとおり、研究開発全体に占める基礎研究の割合が低いとか、あるいは公的部門における研究費の負担の割合が必ずしも高くない、あるいは独創性の高い研究成果が少なくて、国際的な地位にふさわしい貢献が不足しているのではないかといったような問題点が指摘されているわけでございます。 政府といたしましては、先ほど述べた科学技術政策大綱の三つの基本方針、これを基本として今後とも我が国の科学技術の積極的な充実に努めてまいる所存でございますし、また先ほどもちょっとお話がございました二十一世紀に向けての新たな基本方針を策定するという作業では、こういったことも含めまして十分な討議がなされるというふうに考えております。
○庄司中君 なかなかデリケートな問題で、明快なお答えがいただけないようでございますけれども、当面これからゆっくりその点につきましては私たちも議論していきたいというふうに思いますので、その次の問題に移っていきたいというふうに思います。 例えば、これからの科学技術政策の方向というのは、再三長官からも御説明がありましたし、局長からも説明がありましたけれども、国際化ということと基礎研究というところに力を入れていかなければならないということはもう言うまでもないだろうというふうに思います。その点で、一つ最近の報道で非常に気になるといいますか、一般論としてはいいわけでありますけれども、一つの問題として果たしてこれが本当だとするとちょっと困るなという問題がございましたので、きょうはそのことを取り上げてみたいというふうに思います。 この報道によりますと、昨年十月、アメリカの下院の国際科学協力小委員会の席上で、ノーベル賞を受賞しましたワトソン博士が証言に立ちまして、その中でかなり抽象的ですけれどもこういう発言をなさっていらっしゃる。基礎研究で応分の負担をしない国にはアメリカの持っている関連技術の情報を出さない、むしろ拒否すべきだというふうな報告をされていらっしゃる。応分の負担をしない国というのは、特定の国名を挙げておりませんけれども、これはどうも日本というふうなことのようであります。先ほども御指摘なり御議論になりましたように、いわばハイテク摩擦が非常に起きている。そして、技術においてもある意味じゃ双務主義が問題になってきているという時代に、アメリカの下院の席上で、しかもノーベル賞をいただいたワトソン博士が暗に日本を、潜在的に日本を頭の中に入れてこういう発言をするということは、やはり非常に大きい問題だろうというふうに思います。 既に御承知だと思いますけれども、これはいわば例のヒト・ゲノム解析機関というものでございまして、既に昨年の夏でしたか、スイスに設立をされた一種の任意団体でございます。ゲノムといいますのは、遺伝情報を持っている染色体、人体が持っている三十億単位というふうにいいますが、これは大変なものであります。これを全部解析しようという計画でございまして、この報道によりますと世界から専門家二百二十人がこれに参加をしているということであります。これはもう気の遠くなるような量の解析が必要でありまして、先ほども御説明にありましたようにやっぱり大変お金がかかる、一国だけではできない、しかしレベルの高い問題だということでありますから、どうしても国際的にやっていかなきゃならない、こういうふうになっています。 私ががくんときましたのは、いわば負担の仕方であります。この報道によりますと、アメリカはこのプロジェクトに一億五千万ドルの政府支出を決定をしている、こういうことであります。その支出がどこに向けられるかはわかりません。それは報道には何も書いてございませんからわかりません。わかりませんけれども、その次に言われていることは、日本は四千五百万円の分担金というふうになっています。四千五百万円ですから、一ドル百五十円としましても三十万ドルだということになりますね。片方は一億五千万ドル、片方は三十万ドルも出せない、こういうふうな対比になっておりますけれども、これじゃとても、ワトソン博士が基礎研究に金を出せないところ、協力しないところは技術情報をシャットアウトしろと言うのもこの限りでは無理がないなという感じがいたします。 確かに、先ほどもお話がありましたように、基礎研究ただ乗り論というのはやっぱり国際的にはかなり根強い。私も、外国人と会った場合にもそういう話をよく聞きます。事実、一つの製品、これはファクシミリなんかはイギリスですよね、技術の種は。それから、ビデオだってこれはアメリカでありまして、種はみんな外国なんですね。製品が世界の市場を席巻しているということでありまして、そういう点からいきますと、私たちは非常に神経質に、あるいは細かくこういう問題に対応していく必要があるんじゃないだろうかというふうに思います。こういうふうに細かく真剣にデリケートに対応をしていかないと、私たちは科学技術の分野で、ハイテクの摩擦がございますけれども、孤立をするおそれさえあるんじゃないのか。私たちが一番力を込めて国際貢献をしていかなきゃならない分野で、いわば我が国が孤立をしないだろうか、こんなふうな懸念を持っているわけであります。 この点につきましては既に連絡をいたしましたので、事務当局の方でも具体的な調査もなされているようでございます。そこで、この問題について、長官のトータルな基本的な決意をあわせてお聞かせいただきたいというふうに思います。
○政府委員(須田忠義君) 前半、事実関係で、ヒト・ゲノム解析機関、それについての状況並びに日本の取り組み方、取り組んでいる現状について御説明申し上げます。 御説のとおり、ヒト・ゲノム解析計画は、これからのいわゆる生体機能の解明、これについての全くの基盤となるものであって、これは相当重要な問題であるというのは我が国も認識しておるところであります。このような観点から、海外、アメリカ、フランスでその点においても鋭意、非常に力を入れて取り組んでいる一つの分野で、それは先生のおっしゃるとおりでございます。 このような状況において、ヒト・ゲノム解析機構、いわゆるHUGOと呼んでおりますが、これは先生がおっしゃったように一九八九年七月にスイスに設立された研究者の団体でありまして、主として情報交換を行う団体ということでございます。そこで関与したワトソン博士が、先ほどの、基礎研究に金を出さない国には参加させぬ、情報もシャットアウトするという発言したのが新聞に出ていたのを我々も承知しているところであります。 ただ、ヒト・ゲノムに関する研究、これは先生おっしゃっているように、三十億のやつを暗号解読していくというものでございまして、これは膨大な計画でございます。したがって、各国とも今これ直ちに三十億の解読は向かってスタートするということでは決してございません。まず研究開発をし、安価に、もっと効率よく三十億を解読する方法はないのかというのを各国一斉に研究開発しているところでありまして、そういう観点から、日本も理化学研究所、厚生省等そういう研究をしておるところであります。したがって、アメリカでも十五カ年計画、さらにそれを踏まえた当面五カ年計画というのを昨年出したわけでございますけれども、その当面五カ年計画ではさしあたりその三十億を解析するための手段の研究開発を五年間でやろうじゃないかということでございますので、そういう意味じゃ私たちも全く同じレベルでスタートしているのじゃなかろうかというふうに考えているところであります。 なお、これは先生おっしゃるように本当に基盤となる基礎研究でございまして、日本も相当力を入れていかなきゃいけないし、人類共通の財産となるものでございますので、国際協力、国際的に一体になって続けていかなきゃいかぬ分野だ、そういう認識をしてございます。
○庄司中君 だんだん時間がなくなってきたんで具体的には詰められませんけれども、協力を重要視しているということはよくわかるわけでありますけれども、これは金の面でそれを証明していかなければいけないわけで、やっぱり日本の経済力からすれば金の面で協力をしていかなきゃならぬなというふうに思います。この辺はどういうふうに考えていらっしゃいますか。どういう対策をとっていらっしゃいますか。
○政府委員(須田忠義君) 先生先ほど申されました一・五億ドル、これはHUGOの予算でもございませんし、HUGOへの寄附金でもなく、アメリカ政府の予算であります。我が国も理化学研究所、厚生省、この辺については基礎研究の費用は今も計上しております。まずHUGOは、完全なる研究者の任意の民間団体でございまして、政府からの助成というのはアメリカにおいてもありません。これは財団法人と民間機関からの援助でやられておるというのが実情であります。したがって、各国政府はHUGOに直接金を出していないんですが、民間篤志家、財団、そういうところからいろいろ金を集めているという運営をしているようであります。 これは我が方も、今政府はこれにすぐ出すとか出さないとかなかなか言い得る話ではございません。したがって、今後HUGOがどういう形で発展していくかということを十分踏まえて検討させていただきたいという所存でございます。
○庄司中君 相変わらず抽象的でございまして、問題の認識は十分わかるというお話でございますけれども、既に問題になっておりますのは、分担金が払えないという状態ですね。大阪大学の松原教授が大体日本側のセンターになっていらっしゃるようでございますけれども、毎年四千五百万円の分担金を払わなきゃいけない。これが払えないという問題が日本の問題なんです。大変なお金をそこへぶち込めというような話じゃないわけです。これは分担金ですから、協力のためのお金ですから、やっぱり何とかしていかなきゃいけない。 確かにおっしゃるようにアメリカなんかは一つの研究の背後にいろんな財団がついています。ですから、割合金が集めやすいわけでありますけれども、日本の場合はさっきの、何といいますか技術の特色でございまして、いわば民間がすぐ商売になるようなところに研究費がばっといくということでございまして、気の遠くなるようなこういう研究のところには金が民間からなかなか回っていかないという点がございますので、そういう点でやっぱり政府が、直接金を出すかどうかは別にしまして、そういう金が集まるような仕組み、それを誘導していかなきゃいかぬだろうというふうに思います。いわば分担金を出さないというのは国際協力に義理を欠くわけでございまして、そういう点ではちゃんとそれくらいの金が納められるように、政府が音頭を取るなり呼び水をつくり出すなり、何とかやっていかなきゃならぬだろうというふうに思います。 そういう点で何か具体的なことを考えていらっしゃるのかどうか、その辺をちょっとお聞きしたいと思います。
○政府委員(須田忠義君) HUGOに対して松原先生が新聞等で談話として述べていることは間接的に承っております。ただ、HUGO自体が、あれは各国の研究者が参画している機関で、今たしか二百九十人か何かの各国の研究者がメンバーとして入っている。その中で、どういう形で分担という概念があるのか、その辺もちょっと、全く勉強不足で申しわけないんですが、今後調べさせていただきまして、それから政府として何か必要だということになれば、これは文部省等も含めまして相談したい、そういうふうに考えております。
○庄司中君 かなりアメリカの国会で大きな問題になっているようなことでございますし、必ずしも現在のところ政府の対応は十分じゃないというふうに思いますので、長官、この問題につきまして基本的な方針とか、これからはこうやっていくんだという決意をひとつ語っていただきたい、こういうふうに思います。
○国務大臣(大島友治君) 大変造詣の深い委員の御指摘、我々注目をしてお聞きしたわけでございますし、まさにこの問題を通じまして将来に対する考え方というものは私どももしっかりやっていかなきゃならぬ。 そこで、日本も、先ほど申し上げましたように、科学技術の分野におきまして実用化の面について世界をリードするなど、欧米先進国と遜色のない水準に達していると、段階に来ておると認めております。 しかしその反面、どちらかと言えば御指摘にもございましたように、研究費の面から見ても、基礎研究ということになりますと費用の割合がヨーロッパ諸国に比べて低いというような御指摘もありましたし、それはまことに日本の場合はそうであった。私はそういうようなことから、やはり政府の研究費が少なくて民間が多いということは、要するに企業が多いということになると、どうしても企業の方はやっぱり物と金に結びつく可能性は大きいし、そのウエートが高いということから、一つは、先ほど来私どもいわゆる日本ただ乗りじゃないかなんていうふうな一つの見方をされる点は、これは無理ないんじゃないか、こう考えます。 しかし、先ほどから委員からの御指摘もあるし、私も先般申し上げましたように、非常に日本といえども今日はまさに諸外国、先進国に比べても遜色のない段階に来ているということでございますので、したがって日本に対して、先進国もさることながら、発展途上国におきましても日本の科学技術の分野に対して期待感というものはますます深まってくるんじゃなかろうか、こういうふうに考えておるものでございます。 したがいまして、単なる経済面ということだけでなくて基本的な面からも諸外国の実態を十分踏まえて、国際的な立場から私どもは積極的に科学技術の政策を推進していくべきである、こういうふうに私感じておるようなものでございます。 以上でございます。
○庄司中君 ありがとうございました。その決意でこれからもぜひやっていただきたい。私たちもいろんな議論をしますけれども、その方向をぜひ積極的に推進をしてまいりたいというふうに思っております。 時間の関係もございますので次の問題に移りたいというふうに思います。 昨今、大きな問題になっておりますのは地球環境の問題、それからもう一つは地球環境に関係する問題として、我が国の場合には国際的な貢献の一つとしてODA援助の問題があるだろうと私は思います。これは、四省庁が連絡をして決めているが、決して四省庁だけの問題じゃなくて我が国全体の問題だろうというふうに思います。ODAが持っている、国際援助が持っているいろんな側面に各省庁が関係を持っているというふうに思うわけであります。 特に、このODAの援助の中で私が非常に心配をしておりますのは、援助には大体三つぐらいの区分けがあるようであります。人道的な援助とか経済的な援助とか政治的な援助とかあるようでありますけれども、私が心配をしておりますのは経済的な援助の面、つまりインフラであるとか工業のプロジェクト、工場を建てるとかそういうふうな点で実は科学技術に関係をする、つまり科学技術の面からのアプローチも必要なんじゃないかというふうな問題点が出ているように思います。 例えば今国会でも議論をされましたように、参議院の予算委員会ではフィリピンのレイテの電源開発であるとか港湾開発とか、あるいは製錬ですね、主としてあそこでは銅です。この結果、この点が出ております。それから、既にもうかなり有名でありますけれどもブラジルの大カラジャス計画、アマゾンの流域を大きく開発をしていく、いわば六百億ドルとか七百億ドルの膨大な計画でございます。そのときに、最近明らかになってきておりますのは、こういった開発計画がほとんど環境の事前調査がなされていないという面がやっぱり大きな問題になっているということであります。つまり、公害を直接出していくとか、そういう問題が実は出てきております。 私たちが考えますと、いわば工場をつくる、工業のプロジェクトを現地へ持っていくということは、科学技術の立場からいきますと、ある意味では海外への技術移転になるわけです。現地で所得がふえる、雇用がふえるのと同じように、一つの技術がそこで物にされる、つまり移転をされるという側面を持っているわけなんです。そうしますと、つまり技術移転の性格の問題がここでは一つ大きな問題になるということになります。私が考えますのは、こういった環境問題、つまり現地の生態系を壊していくとか、原住民の人を強制的に排除していくとかという問題については、技術移転の技術と性格の問題、その理解の仕方に実は問題があるんじゃないだろうか。つまり、現地の生態系とか人間の生活とかに無関係にといいますか、こういう工場をつくれば所得はふえるんだよ、あるいは雇用がふえるんだよ、技術が習得できるんだよというふうに、いわば狭い工業技術の体系の中で問題を処理しているんじゃないだろうか、こういうふうに考えざるを得ないわけでございます。 これから国際的な貢献をしていく、そしてODAが一つの大きな柱になっていくとすれば、私たちはこの技術の政策の吟味をやっていかなきゃならない。環境の事前調査をやるのと同じように環境の事前調査の中の技術の役割ということをやっぱり考えていかざるを得ない。つまり、狭い科学とか技術じゃなくて、もっとそれを広げた、現地に合った――先ほども局長がお答えになりましたけれども、一つの工場をつくるというのは、これはレディーメードじゃないわけです。オーダーメードでやらなきゃいけない。技術の考え方もやっぱり広くとっていかなきゃならない。つまり、今までの工業技術をストレートに狭く解釈して適用したら、環境破壊とか生態系の破壊とか、そういうものが起こるのは当たり前であります。そういう点では、この技術というものを環境の事前調査の中で広く解釈をする、技術というものをもう少し視野を広げて解釈をしていくという必要があるんじゃないだろうか。 例えば工業技術だけじゃなくて、あるいは現地の植物であるとか生物であるとか、あるいは農学であるとか、さらに社学科学系統の社会学であるとか、あるいは文化人類学であるとか、そういうものを含んだ技術、そういう体系としての技術を科学技術を担当する科学技術庁としては持っていなきゃならない。ODA、海外援助についてそういう科学技術を広く理解をする、そういうノーハウを開発して、いわばそれを推進していかないと、ODAは税金でありますから、あるいは借款にしましてもこれは厚生年金と国民年金から出してきているわけでありますから、その善意が実は逆な目になって返ってくる。日本はひどいことをしている、環境を壊してしまう、こういうふうにならないように、科学技術の立場から技術の概念を変えていく、広くしていく。これから科学技術政策大綱の諮問もそう遠くないというお話でございますので、その点をぜひ御留意なさっていただきたい、こういうことを強く要請いたしたいというふうに思います。
○国務大臣(大島友治君) 日本の科学技術をめぐりまして、国際的に将来に向かって負うべき任務は極めて重要、かつ積極的にやるべきだという点についてのまことに時宜に適した御指摘をいただきました。私どもも、本当に委員の御趣旨に沿うべく全力を挙げて今後とも進めてまいりたい、こう考えておりますので、何分ひとつよろしく御指導のほどをお願いいたします。
○庄司中君 それでは、ちょうど時間になりましたようです。私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○吉田達男君 大島長官に質問をいたします。 和魂洋才という言葉がございまして、明治以降、文明開化をし日本を近代国家にしよう、こういうことを牽引した言葉でございます。おうかがいするところ、いささか古武士の風格を備えられた長官には、科学技術庁を取り仕切って日本の科学技術行政を今日の課題として推進されるに当たって、この言葉をどのように御理解いただいているのか、見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(大島友治君) ただいま何かどきっとするような、和魂洋才、私もそんなふうに見られたのかなと思ってどうも大変恐縮に存じておるわけでございますが、なかなか人は見かけによらぬものですから、どうかひとつ誤解のないようにお願いいたします。 しかし、私はただいまのお言葉を聞きまして、まさに日本の一世紀も、私どもも臨機応変に対処してまいりましたが、明治の初期から今日に至る日本人としての気持ちの上に立って、いわゆる文化の発展というか産業の革命というか、これにつきましてはかつてはやはりヨーロッパ、むしろ私はその前にまだ韓国というか、そちらの方の文明というか産業というものと日本の結びつきの前提もあったんじゃなかろうか。ですから、和魂洋才に至る前にちょっともう一遍ぐらい、もう少しあったんじゃなかろうか。さらにまた、和魂洋才から、今日はどちらかと言えばいわゆる和魂米才というか、そういった歴史的段階を踏まえてきて、江戸時代からのことを考えての先生からの御指摘なり御質問じゃなかろうか、こんな感じを私は受けましてお答えしたいと思うのでございます。 日本の科学技術の面から外国のいろんな技術を導入いたしまして、これを消化するに適した素地、すなわち教育水準が高く、また外国の技術を取り込む柔軟性に富むというようないわゆる素地があったと言われていることは事実じゃなかろうか、こう考えておるんです。そこでさらに、先ほど申し上げましたように明治時代に入って西洋のすぐれた技術を導入するに当たっては、その技術を消化して定着させるためにやはり人材の育成をどうしても積極的に行わなければならなかったということが我が国の実情に即して短期間に科学技術の近代化を達成してきたというふうに今日の状況が表現されていいんじゃなかろうか、こんなふうに私は考えておるものでございます。このような科学技術の導入と定着というものが我が国の経済社会の発展に大きく寄与してきた、こういうふうに考えておるわけでございます。 何はともあれ、まさに先生の御指摘いただきました和魂洋才というこの言葉の意味は今日の日本に貴重な寄与をしているのじゃなかろうか、こんな感じでお答え申し上げさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○吉田達男君 この洋の方の科学技術を導入することを大きいエネルギーにして日本は発達したんです。西洋文明というのはまさに科学技術文明でありますが、この科学技術文明が経済と結びついて人間の物質生活を加速的に豊かにした。そしてその豊かさを求める心のすきをついて、まさに物質文明と言われるように西洋文明が日本人に精神的にも大きく影響を与えてきたと思うのであります。 この片方の和魂の方でありますが、大和魂という言葉は今ははやりませんけれども、本来片面で、東洋人といいますか日本人、これは心の豊かさの中に誇りを持って、自然と融合しながら精神生活に邁進する、むしろそういうことの中に人間のあるべき姿と価値を人生観として求めてくる、こういう精神文明を持っていたと思うんです。この和魂洋才ということの中で表に立ったのは、明治以降洋才の方が表に立って精神の方が後退をしてきた。そして、今まさに世界的に科学技術がかえって人類を危険にさらすような状態にもなさしめておる。こういうときに和魂の方をもう一度見たらどうか、こういうことであります。むしろこういう西洋文明が人類に、地球環境を初めいろんな問題を起こして危機さえ与えるときに、東洋文明が見直される時期ではないか。科学のおごりを精神文明が制御をする、こういう観点で私は、科学技術行政を行うに当たって、哲学的な風貌の大臣にそれを期待しておるところでございますが、先ほどの御答弁の中では洋才の方が専らでございまして、剣道の達人は武士道も身につけていらっしゃると思いますれば、その辺についての御見解も伺っておきたいと思います。
○国務大臣(大島友治君) まことに身に余るお言葉というか、あるいは胸のじんと痛くなるようなお言葉でもあるようにも受けとめまして、まさに日本の民族的なものはどこかでちょっと影が薄くなってきている。物と金に通じた今日が来たということ、そのことはプラスでもあるがマイナスでもあるんではなかろうか。そういうことを考えますと、やはり今日日本は、国際場裏における立場にあって大きく目を開いて、経済、物というものもさることながら、やはり日の精神文明というものを基本に置いて、ここでもう一度十分反省をした上に立ってこの仕事を進めるべきじゃないかというのは私自身も考えておるわけでございますが、現実の問題としては非常に難しい。しかし、私はこの問題は難しいというだけで片づけないで、やはり将来の二十一世紀に向かって科学技術の発展こそ豊かな生活の基礎であるということは何であるか。物と金だけでいいのか。しかし、それだけでなくで、やはり精神的なものも結びつけたものでこれを進めるべきじゃなかろうか、こんなふうな考えを持って進めてまいりたいと思います
○吉田達男君 それでは、いよいよ具体的な質問を申し上げたいと思うんですが、人間がつくった、掘り出した原子力というものに非常な問題点を今感じながらそれぞれ取り組んでいるわけでございます。これからお尋ねをいたしますのは、鳥取県に人形峠というところがございまして、日本で初めてウランを掘ったところでございます。昭和三十年の初めから採掘をしたのでありますが、その当時は何かダイヤモンドの鉱脈を見つけたような、ゴールドラッシュのようで鉱山もたくさんできたのでありますが、今は枯渇してゴーストタウンであります。むしろ、そのときの鉱滓残土が野ざらしになって、その野ざらしになっておる鉱滓の中で放射能が天日に出ておる。その基準は法定するところの三十倍から五十倍ということが当局の方でもはかられるし、市民の方で団体が運動体としてはかると百倍ぐらいある、こういうことでございます。 これについて、市民団体の方は全量撤去願いたいと言って、関係住民こぞって二万余の署名を持って動燃に迫っているところでありますが、中国四国鉱山保安監督部の方で、通産省所管になるんでしょうが、これは一昨年十月十四日にウラン残土の堆積の敷地境界における放射線量が国際放射線防護委員会の、ICRPと略字していますが、勧告がございまして、昨年の四月から一般公衆の許容限度であります百ミリレムにそれがおさまるように、それ以下に措置をすべしと、こういうことを指示しているんであります。これは実施がことしの四月一日でありますから、それを命じてから一年を経過して一年の猶予期間を過ぎたわけでございます。しかし、現在なおそれらの残土は問題を残しながら現存しておる。これをどのように動燃は措置をしておるのか、科学技術庁ほどのように責任を持った指導をしておるのか伺いたいと思います。
○参考人(橋本好一君) お答えいたします。 今、先生御指摘の人形峠周辺におきます捨て石堆積場、これにつきましては先生も御指摘ございましたように、従来から鉱山保安法に基づきまして、私どもは捨て石堆積場及び周辺環境につきましての管理をしてまいりました。これは具体的に申し上げますと、空間線量率の測定、それから土壌とか河川水の採集、これを分析いたしましてどのレベルにあるかということを確認しながら、そのレベルが法に定められております基準以下にあることを確認しながら管理してまいりました。特にこの測定いたしました測定値につきましては、中国四国鉱山保安監督部及び岡山県、そして鳥取県へも報告をしてまいりまして、その辺の御理解をいただいたわけでございます。 これまで動燃事業団によります堆積場総点検の結果につきましても、通産省中国四国鉱山保安監督部から鉱山保安法上問題になるような状況にはないというふうに評価をしていただいているところでございます。そしで、先生今御指摘ございましたように、去年の四月に法が改正されまして、従来の値から五分の一程度の基準値に下げられました。それを一年かけてちゃんとするようにという御指導をいただきまして、それに沿って堆積場に対する措置を実施してきております。ただし、一部の地区につきましては、まだ地元との交渉が終わっておりませんで対策をしてないところがございます。全体で二十四の堆積場がございますが、その中で四カ所がまだ未着手である。そしてあと六カ所につきましては、現在工事が進行中でございます。 それからもう一つ状況を申し上げますと、法に定めますような管理の状況から申し上げますと、一ミリシーベルトを守るようにということでございますが、これは措置をいたしました。そして進行中の場所につきましても全部値が守られるということが確認されております。
○吉田達男君 一年間の猶予期間をもって指示をしたけれども、現実にできていない。むしろ易しい方が先行をしておる。問題が大きいところの方がむしろ現実に起こっている。四月一日から、初めに猶予をしたものはもう期間が切れておるのですね。これはどうしましたか。
○参考人(橋本好一君) お答えいたします。 今申し上げました場所につきましては、未着手ということは、こういうふうにすればできるということは具体的に調査をいたしまして確認はしてあります。そういうふうに措置作業をいたすべく地元の方々と鋭意協議をしているところでございまして、ただそういう状況につきましても監督官庁等には報告をいたしまして、現在監督官庁等の御指導もいただきながら、鋭意地元の御理解をいただくべく努力をしているところでございます。
○吉田達男君 期限を切ったものがその中にしなかったということについて、どう措置したんです
○参考人(橋本好一君) 期限の問題でございますが、御指摘のとおり、三月三十一日までにこういうことをいたしたいという計画を出したわけでございまして、その計画については中国四国鉱山保安監督部からも御承認をいただいてそのとおり進めてまいりました。しかしながら一カ所、これは鳥取県側の方面でございますが、その作業につきまして現時点ではまだ着手の了解をいただいていない。ただ、こういうふうにやればよろしいということで大まかな合意に達しつつあるという状況にございます。今後とも地元の御理解をいただきながら管理をしてまいりたいというふうに思っております。
○吉田達男君 ちょっとしつこいようですけれども、期限を切ったのをあなたはそのままほっておいてやっておるわけですか、どうなんですか。
○参考人(橋本好一君) そういうふうに言われますとちょっと困るわけでございますが、先ほどから申し上げておりますように、地元の皆さんの同意を得られませんとこの作業そのものもできないという状況にございまして、その辺を鋭意理解をいただくべく努力を重ねているという状況でございまして、御理解を賜りたいというふうに思います。 そしてもう一点ございますのは、確かに法に定められている状況ということで、現在その堆積場に対します調査それから測定等もやっておるわけでございますが、そういう中で申し上げますと、問題点は、その堆積場のどこでどうはかるかということもあるわけでございますけれども、現時点では借地の状態が切れておるものですからそれを明示できないという状況にございます。しかしながら、この辺を踏まえまして地元の方と鋭意お話し合いをさせていただいているわけでございまして、現状で申し上げますと大体御理解がいただけるような状況になってきているというふうに理解しております。
○吉田達男君 期限を切ったものはその間にさせなければならぬ。それを徒過したものは譴責をしなければならぬ。 この放射能行政というのは、最近特に世界的な趨勢の中でより厳しい基準値を行政に求め、業者に求め、関係者にその周知をしておる。きのうの朝日新聞にも、さっき言いましたICRPの方の勧告を受けて、この場所は原子力発電所のところでありますが、五レムでやれということでありましたが、これは毎年五レムでいいということじゃなくて、五年間を通すと十レムという天井を決めておいた年の五レムというぐらい厳しくなってまた出ておるんです。この勧告は国際的にもう何回も出てやっておるんです。そういう状態ですから速やかにやるべしと、これは当然でございますね。 科学技術庁はそれを受けて動燃に具体的に仕事をさせておると、こういうことだと思うんですが、それができなかった科学技術庁としては一言なかるべからずと私は思うんです。また、措置をしたというがどんな措置をしたのか。何か放射能が出ぬような措置をしたというからこれは学位もいいところで、放射能が出ぬような大発明をしたらこれはノーベル賞がもらえる。どういう措置をやったのかをちょっと聞かせてもらいたい。
○政府委員(緒方謙二郎君) 先ほど動燃の担当理事の方から御説明がありましたようは、動燃事業団では本件の監督官庁であります通産省の指導を受けまして、また鳥取、岡山両県御当局とも相談をしながら、先生御指摘の昨年四月に施行されました新しい基準を満足すると同時は、地元の方々の御心配、御不安を取り除くように、それぞれの堆積場の状況に応じまして必要な措置をとるということで地元の方々に十分御説明をし、御理解御協力を得るように努力をしてきたところであります。その結果、先ほどの説明にもありましたように、大半の堆積場につきましては地元の御理解御協力をいただきまして工事が進み、一部については既に措置が完了しているわけでございます。 なお、先ほどありましたように、一部話し合いを続けている堆積場がまだあるわけでありますけれども、動燃事業団が早急にその措置を実施すべく鋭意努力をしているところと承知をしておりまして、私ども科学技術庁といたしましてもそのように指導してまいりたいと考えております。 措置の内容については、むしろ参考人からお聞きいただいた方がよろしいかと思います。
○参考人(橋本好一君) 措置の内容でございますが、今原子力局長からも御説明ありましたように、その堆積場の特徴に合わせまして措置をいたしております。 例で申し上げますと、捨て石と申しますが、一部鉱石レベルのものも入っておりますのでそういうものの除去、それから覆土をいたします、それから植生をいたします、そしてまたいろんな護岸工事その他をいたしまして、そういう面からの崩壊や流出のないような措置を講じております。
○吉田達男君 それぞれの箇所においてそれぞれに適合した技術を行使して、覆土したりあるいは除去したりあるいは立入禁止その他の措置をする中で危険を防止しようと、こういう努力のところは認めたいと思いますが、問題は大きいところが残っておるんです。この大きいところについて、特に初めに言いましたように、市民の皆さん、関係住民は、そこのところの下流には飲料水の水源もあるし、鳥取県ですからナシもつくっておれば米もつくっておる。こういうことに影響はありはしないかという心配もしておる。これについては、また別な意味で対応をしようとする人も積極的な意味でやっておる。しかし、肝心の撤去すべしという二万人余の申し入れに対してはどうするのか、こういうことです。これを答えていただきたい。
○参考人(橋本好一君) 御指摘のような面で申し上げますと、現在私どもが考えておりますのは、冒頭にも申し上げましたように、鉱山保安法に基づきまして安全に管理をしてまいりたいということでございまして、その安全が担保できるような措置工事をして完全に管理をしてまいりたいと思っております。 そして、今先生御指摘のように、下流部に対する水等の溶出といいましょうか、溶け出す状況、そういうものにつきましては、先ほども触れましたように、河川水それから土壌等のサンプリングをいたしまして分析をし、それが基準値以下にあるという状況を確認しておりまして、環境に対する影響は出ていないというふうに私どもは判断しております。そういう意味で御理解賜りたいというふうに思います。
○吉田達男君 問題は、措置をしても放射能がなくなるという技術でないようでありますね。半減期を短縮するという技術も開発されていないようでありまして、これは期待をしたんですが残念ながらだめでありまして。そうすると、結局問題はもとに戻って、そこをどうクリアするかということについては真剣に考える時期にきておる。措置をすべしという時間が過ぎて、これはいつするかということは、それぞれの時期を追って、また影響を受ける農産物等々の収穫時期もある。それで食っておるものですから関心も高いんです。速やかにしなきゃならぬ。じゃ、撤去するかしないか、どうするのか。措置という言葉ではわかりにくいところがある。じゃ、いつするのか。同意を求めて地権者に対してはどのような交渉をするのか。もう少し具体的に御答弁いただきたい。
○参考人(橋本好一君) 今御指摘のような措置の中には、先ほども触れましたように、一部の撤去というものも考えております。それも検討しておりまして、地元の方々とも協議を重ね、大体大まかなところで合意に近づいているというふうに思っております。そういう意味で、その撤去も含めまして、いろんな工事をして万全を期したいというふうに思っております。
○吉田達男君 この放射性の残土については、経過から言うと、貯鉱場がありますね、二百四十立米ある。鉱体のところがありますね、三千立米ある。一万六千立米またありますね、寄せれば。この一万六千立米の軽度のものについてはおおむね解決した、こういうことだという話の受け取りを私はしておるんです。じゃ、この貯鉱場のはどうしたのか。これは余りにも強いもので、これは精製をして東海に持っていってウランにしたもの、燃料にしたものですからね。だから、それほどのものですから、これは普通の代物とはちょっと違うんです。また鉱体、鉱脈に向かってこうきたものについては、これもいわばレベルが少し違う。こういうものについては、一部除去ということはありましたけれども、方法論としてはいろいろ中身としてあり得るとは思うんです。それをめぐって、また関係者の同意も必要だとは思うんです。しかし、大きい流れとしては、動燃としては、原因者において措置をしなければならぬ。これは責任でありますから、そこのところは免れるわけにはいかぬのです。人が何と言おうと、これはやってもらわなきゃならぬわけです。だから、そのレベルに従ってどういう措置をやろうとしておるのか。
○参考人(橋本好一君) 今先生御指摘のように、東海へ送りました鉱石の残りが少しございます。これにつきましては、一応撤去するつもりをしております。そのほかに、一部の場所につきましては鉱石レベルのものもありますので、そういうものは除いてまいりたいというふうに思っております。そういう意味で申し上げますと、そういうためにも道路をつける。先生御承知かと思いますが、あの場所は非常に山間部でございまして、現在道路もございません、ほとんど。人がやっと通れるような山道があるだけでございまして、工事をするためには道路の建設からやっていかなくちゃいけないわけでございまして、そういう意味でも地元の方々の御了解をいただいて進めていきたいというふうに思って、鋭意御理解いただくべく努力をしているところでございます。 それにつきましても、先ほどからるる申し上げておりますように、近くそういうことで御了解をいただけるものというふうに期待をしているところでございます。
○吉田達男君 しつこくやりましたんで、大体取り組もうとされておる気持ちも受け取ることもできました。まあ相手があることですから、具体的には一方的に決めつけるということにもならぬし、ここで詰めることがかえって硬直をする場合もあり得ますから、その辺は誠意をもって取り組んでもらいたい。特に地権者については、契約が切れたまま置きっ放しにしとる、こういう不満もありますから、そういう方の同意も得られねばならぬとするならば、まさに速やかに誠意をもって措置を願いたいと思います。 次の質問に移りたいと思います。 鳥取県と動燃とこの事業所のあり方等々について環境保全協定を結ぼうじゃないか。ちなみに、岡山の方では既に結んでいて、そのことの中でお互いの時宜に適する情報交換もしながら理解の中に事業を進めようとなさっておる。片方の県ではそういうことがなされていない。このことは、中身を聞けばああそうかとわかることであっても、やはり不信感の原因にもなる。今の時期でありますから、これは速やかに締結さるべきだと思うんですが、その意思はどうなのか、やるとすればどういう内容を今考えられるのか、その辺を聞きたいと思います。
○参考人(橋本好一君) 先生御指摘のように、岡山県とは既に環境保全協定を結んでおりまして、鳥取県とは実は協定はございませんでしたが、先ほどから申し上げておりますように、環境に関する測定結果等は逐次定期的に御報告申し上げておりましたし、その様子についてもるる御説明してきたところでございますが、御指摘のように、環境保全協定を結ぼうということでこの一年余り県とも協議をしてまいりましたし、地元の東郷町及び倉吉市、三朝町とも協議を重ねているところでございます。近く合意が成り立つというふうに思っております。細部の文言の最終の詰めを必要とするところに来ております。 そしてまた、その内容につきましては、主なところは、関係法令の遵守と、管理目標の値をこうしましょう、そして監視測定についてはこうやって安全に管理いたしましょう、というようなことを盛り込んでございます。
○吉田達男君 それでは、速やかな協定を合意願いたいと要望しておきます。 このウラン残土について問題が惹起されたときに大きい問題は、もう一つ、被曝放射線量が多いものについて関係者は非常に不安を持ったので健康調査をされたいということでありました。これについては、当該住民を初め、行政の方がやりましょうということで、やってもらいました。本来、欲を言えば、原因者である動燃の方で費用負担なさってもよかったと私は思うんですが、動燃には、被害を与えていないんだというお気持ちがあるかわかりませんから、それで対応なさっているのもまあ一つの識見ではあるかもわかりませんね。 そこで、これから健康の問題についてのお尋ねでありますが、先般、先般というか大分前になりますな、特にラドンについて問題が提起されました。そのラドンについて問題が提起された中には、一昨年の十月二十五日に、これは全国各紙に載りましたから通信社の配信だと思うんですけれども、ウラン採掘当初の昭和三十二年のころの人形峠周辺のウラン鉱山の坑道内のラドンの量というのは、最高でいうと、国際基準に基づいて言うならば、空気の一リットル中に十万ピコキュリーある。これ一万倍である、基準の。そういうところで二週間も働くと、肺に放射線が被曝を与えて細胞を壊してがんになってしまう、まことに高い異常値である、こういう指摘の上で、動燃の方で示しておられる幾つかのデータをもとにこの評価をしているわけでございます。 この評価によると、人形峠の労働者のうちの、およそ千人おったんですが、その千人のうち肺がんで亡くなる者が六十五、精査したら。推計では七十。このような大量の人が肺がんで亡くなられる心配がある、そういう評価が出されまして、また我々もこれを見て真剣に対処しなければならぬと思っておるんでありますが、動燃についてこの見解を求めたところ、動燃は別の見解がある、こういうことであります。既にこの間の資料は動燃の方に届いておると思いますから、この小出氏のラドンの被曝についての評価ほどのように動燃の方では受けとめておられるのか、説明を願いたいと思います。
○参考人(橋本好一君) 今先生御指摘のラドン問題につきましては、三十二年の原子燃料公社、動燃の前身でございますが、原子燃料公社の年報に記載したデータを小出氏がお使いになったというふうに私は思っておりますが、そのデータにつきましては前にも御説明したことがございますが、こういう意味合いでデータをとりました。 それは、坑道掘削、ウラン鉱床の中の坑道で掘削いたしますと、掘削した当時が岩石が開放されますので一番ラドンが出てまいります。そういう意味で、坑道掘削するために発破をかけますとその時点で最高のラドン濃度になる。それが自然に何時間放置すればどのぐらいのレベルになる。またもう一つは、圧搾空気等を坑内に送り込みまして強制通気という形をとりますとどのぐらいの時間でどれだけのレベルに戻るということを測定したときに、今申し上げました坑道掘削の時点で測定した値が十万ピコキュリー・パー・リッターという値でございまして、この値をお使いになってあたかもそこでずっと作業をしたような評価をなさればそういうことも確率論的には言えるかもしれませんが、現実には、こういう測定値を公表いたしまして、私どもとしてはこういうデータに基づき、じゃどのぐらいのラドン濃度であれば健康に影響ないか、また、基準値以下で抑えられるかということから、対策を立てるためのデータ取得であったわけです。そして、そのデータに基づきましてすべて強制通気をいたしましてあるレベルに下がった後で、基準値以下の状態を確認いたしましてそれから作業に入っております。 これは、私自身も三十二年から三十四年まで現地に勤務しておりましたし、坑内を担当しておりまして一番奥で仕事をずっと一日じゅうやっておった経験からいたしましても、そういう意味では安全に管理をしていたということが言えるというふうに思います。
○吉田達男君 私も、医学的にも科学的にもこの点については素人でありますからよくわかりませんが、私の目にした写真その他を見ても、そういう危険なラドンに向かって採鉱しておる者がマスクもつけていないで削岩機をやっておる、こういうようなことは当然被曝しますね。人に聞きますと、大体バッジをつけていたのも五人に一人か四人に一人ぐらいで、そのほかの者は、作業によってどう選別されたのか横着でしなかったのかわからぬけれどもつけていない。したがって、その者については被曝線量もわからぬだろう、こういうことですね。そういうようなものの認識は、聞けば聞くほど今になってみれば危険なことだったな、後遺症がありはしないか、こういうことになってくるわけであります。 被曝線量を一定の基準、国際基準の中から日本がそれを受け入れてやった中にも、私の方から見るとちょっと緩いところがあります。一番初めに、一九五四年に出した基準でもって暫時坑内における被曝線量の基準を特例として残したために、ほかの方は第二次のに変えたために十倍厳しくなっているのに、御案内のとおり、鉱山の中は十倍も緩い基準でやっているから緩い基準のまま評価をすれば大丈夫だという計数がふえてくるんじゃないかという疑念もあるんですよ。そういうところを見ると、私は、その当時の体制が万全であったかどうか、その当時の法定に照らして万全であったか、また、その当時の法定基準そのものを守ったにしても今日の時点でラドンや放射性物質を見る目の基準からいえば人類にとって、生物にとって危険であったのではないかという反省はあるわけです。それはアメリカやカナダの鉱山を見ればわかりますし、またソビエトの事故をもってしてもわかるわけであります。 そういう点について、動燃の方は万全だ、私の言うことはだれに言われても絶対間違いない、こういう見解なのか。
○参考人(橋本好一君) 今先生御指摘のような坑内での作業の状況で申し上げますと、先ほども申し上げましたように強制通気をいたしまして、あるレベルまで下がったということを確認して作業に入りましたと申し上げましたが、そのやり方は、坑内にもラドン測定器を設置してございます。各部署でのラドンが随時測定されているわけです。 同時に、作業員の五分の一ぐらいの人間にしかフィルムバッジを与えなかったんじゃないかという御指摘でございますが、作業の形態からいたしますと、坑内では大体三人ぐらいが一組で作業をいたします。先山と称する人間が一番鉱石の現場に近いところでおりまして削岩をやり、そして鉱石をとるわけですね。残りの二人の人は掘られた石をトロッコで積んで抗外へ持っていくということですから、一番長く被曝状況にある人は先山の人です。そういう意味でその先山の人には必ずつけさせておる。全員にはしておりませんけれども、先山の人のデータを見れば一番高い被曝の状況というのは確認できるということでございます。 そういうことでやりましたいろんなデータに基づきまして、フィルムバッジの例えば計測の結果等を見まして、当時のデータから見ましても、一部不十分なところもございますけれども、一番高いので三カ月で一・七レムという程度でございます。これは基準値からしますと、三カ月三レムということでございまして、それよりも十分下回った状況にあったということが言えます。
○吉田達男君 評価は分かれるかもわかりませんが、その資料をお示し願いたい。フィルムバッジをつけた人数、各月ごとの坑内のラドンの濃度、坑内労働者の、分かれたとすれば各グループの人数。また、動燃が危険でないというデータを示したけれども、むしろ採掘をやっておった一番危険であったというデータが示されていない。その示されていないというのは昭和三十二年以前、そこのデータは、知られているとおりどこかわからぬと言っておるんです。わからぬと言って示してはいないけれども、そこのところが一番被曝数が多いんじゃないかという疑いが強い。廃坑になってからは要らぬのですから、その当時のが要るわけですから、それを出してもらいたい。 これは今の時期、日本の中において被曝という重大なことが起こった場合に、起こってはならぬけれども、外国の例を見ても医学的にも大きい大切な資料になり得るものでありますれば、動燃だけが大事に大事にということではなくて、納得のいく中で、情報公開の時代ですから、プライバシーを侵そうという気はないんですから、それはそれで示していただきたい。よろしゅうございますか。
○参考人(橋本好一君) 今御指摘の件は、坑道を掘り始めましたのが三十一年の暮れからでございますから、三十二年以前のという先生の御質問に対しては、そういうデータは現実に坑道を掘っておりませんのでないわけです。ですから三十二年以降のデータとしてお示しをしたわけです。
○吉田達男君 三十二年以前のものを示してもらいたいが、データをそれぞれ拾ってみたところ、ちょうど半年ほどないんですな、開いてから。それが欠けておるんです。ずばり言えば、評価を委託に出したらそこからわからなくなったといううわさも聞く。どこかということも聞くんです。それは本当かうそかわからぬが、それは動燃の責任において出してもらいたい、いいですね。
○参考人(橋本好一君) 今御指摘の三十二年以前のものというのは実際にデータがないんですね。これはまことに申しわけありませんが、ございません。私どもが抹消したとかそういうことは一切ございません。その辺も、もう一度申し上げますが、そういう意味ではいろいろと確認いたしますが、現実に測定がなされてなかったのかちょっとよくわからないところがございます。データはありません。
○吉田達男君 押し問答してもしようがありませんから、あるものは出してもらいたい。それはいいですね。 時間がありませんからもう一つだけ。岡山の人形峠のプラントを今、前年度で実験プラントというかあれを終えて、新しい事業に取りかかっていますが、これについてお尋ねをいたします。この古いものは、これは放射能を持ったものを濃縮をしてやる技術でありますから当然汚染をされていますが、これらの機材についての解体、洗浄その他の扱いはどうやるのか。本年度以降その跡地の事業計画ほどうなっているのか。 もう一つは、民間の電気事業連合会、これの方で、かつての話ですよ、かつての話ですが、会長が、六カ所村に濃縮場を今進めている。しかしこれでは将来に向けて不足するから第二濃縮場をつくらなければならぬ。その候補は岡山周辺である、こういうことを新聞で拝見をいたしました。それについて、その当時の科学技術庁長官も同様な賛同の御趣旨の発言があったやに聞いております。第二濃縮場をどのように計画しているのか、こういうことが一つであります、あるのかないのか。 また、岡山周辺で特に問題になって条例制定等等の運動を展開してそれらのものを忌避しようとしている運動の中には、この濃縮場にセットして高レベルの廃棄物をそこにまた置こうとしておる計画があるんではないか、こういうことであります。傍証としては若干あります。そこで、この高レベルの廃棄物を処理する処理場をあの辺につくるというようなことの考えが本当にあるのかどうか。この点を三点お尋ねをいたしたいと思います。
○政府委員(緒方謙二郎君) 三点御質問でございますが、第一点の人形峠で使命を果たしましたパイロットプラントについてそれの遠心機の処理等後始末のことでございますね。そちらの方をどうするのかという御質問が第一点だろうかと思いますが、こちらの方のウラン関係の廃棄物の処分方法については、いろいろ今技術的に研究開発をしているところでございます。 それから、第二点目の第二濃縮工場をつくる計画があるかという点でございますが、これは昭和六十二年に原子力委員会が動子力開発利用長期計画というのを定めておりますのは御案内かと存じますが、これでは二〇〇〇年過ぎに年間三千トンSWU程度の濃縮能力を持つ国内ウラン濃縮事業を確立することを目標にする、こういうことになっております。それで、現在、六ケ所村で建設中のプラントはその目標の半分の千五百トンSWUでございますから、この長期計画ではあと千五百トンSWU程度のものを二〇〇〇年過ぎに持つことを目指す、こういう目標を掲げているわけであります。そこで、そのための第二商業ウラン濃縮プラントの計画につきましては今後民間において具体的な検討が進められていくことになるものと考えておりまして、現在具体的な計画があるというふうには承知をいたしておりません。 それから、三点目の高レベル廃棄物の処分場についてどういう考えであるのか、どういう状況であるのかという点でございますが、高レベル廃棄物につきましては、御案内のとおり、これはガラスで固化をいたしまして、これを将来的には深い地中に保管をする、こういう計画を立てております。ガラスで固化するのが一番安定の形になるわけでありますし、諸外国で既に先進的な例がございますので、日本でもそれをやろうということで今進めているところでありますが、ガラスに固化しました直後まだ熱を持っておりますので、地中に入れるためには地上で三十年ないし五十年程度これを冷却する必要がございます。したがいまして、実際地中に保管をするのはガラス固化体ができてから三十年ないし五十年後になりますので、かなり先の話になってまいります。したがいまして、どこの場所でどういうふうに地中で保管をするのかというようなことにつきましては現在学問的な研究を進めているところでございまして、具体的な土地の選定等についてはまだ一切白紙という状況になってございます。
○委員長(中西珠子君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時五十分まで休憩いたします。 午後零時三十五分休憩 ─────・───── 午後一時五十分開会
○委員長(中西珠子君) ただいまから科学技術特別委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、科学技術振興のための基本施策に関する件を議題とし、これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○種田誠君 私は、これからの科学技術のあり方などについてお伺いをしたいと思います。 昨今、地球の温暖化、そしてまたオゾン層の破壊、さらには地球の資源そのものも有限なものである、こういうふうな御指摘もなされております。そういう中で、今地球全体の生態系、これを地球の資源と見直して新たな施策を、開発を総合的な見地から、しかも均衡を持って進めなければならない、このようなことが全人類の共通のコンセンサスを得られている物の見方ではないだろうかと思うわけであります。そういう中で、過日科技庁におきましても、「二十一世紀文明と資源問題に関する調査報告」なども公にしてきております。 その中身を拝見いたしますと、近代工業文明に対する大きな反省に立っているやにも思われます。私たちが経てきたこの豊かさ、その背景には資源浪費型の構造があったんではないだろうか。そしてまた、自然との不均衡、資源の枯渇に対して余りにも大きなエネルギーを注いでしまったんではないだろうか。そして、生産技術の開発に対して、私たちは生産から派生した自然や人間生活に危機を与えるこれらの技術に対する処理技術に対して余りにも目をつぶってきたんではないだろうか、このように反省を込めた内容がこれには盛られているわけであります。 そうした場合に、二十一世紀という次の時代を生きる子供たちのために、私たちは今何を考えて、どのようなスタンスに立って科学技術を考えていくのか、これは科学技術庁の戦後四十五年間の反省をも踏まえた上での新しい施策を展開するということにもつながるんではないだろうか、こう思うわけでありますが、まだ大臣お見えになっておりませんので、まず担当部局の方のその辺の現状認識と、今環境庁が置かれている立場、そしてこれからの理念、施策などを伺いたいと思います。
○政府委員(石塚貢君) ただいま委員からも御指摘のございましたこの「二十一世紀文明と資源問題に関する調査報告」の中にもはっきりと提言されている事柄でございましたけれども、今後の私たちの地球資源というものの総合的、均衡的な利用を進めるに当たりましては、やはり地球環境との調和を目指した新しい技術の創造が必要であるというふうに私ども認識をいたしております。 少しく具体的に申し上げますと、まず第一にエネルギー消費の増大による二酸化炭素の増加、こういったものがもたらす自然環境への悪影響を低減する技術でございますとか、あるいは第二に、人口増加や生活水準の向上がもたらす自然環境の破壊、あるいは資源の大量消費を回避するための技術、例えば砂漠化でございますとか森林破壊あるいはエネルギー・原材料資源の枯渇、食糧資源の不足、こういったものに対応できる技術でございますとか、あるいは第三に、特殊な資源の大量消費に伴う環境の破壊、希少元素の枯渇などへの対策技術といたしまして、例えばオゾンホールあるいは重金属汚染、分解されない高分子結合廃棄物、こういったものに対応できる技術、こういったものの研究開発が重要であるというふうに私ども認識をいたしております。
○種田誠君 今お答えになったような視点において、さらに新たな技術を開発していくことが極めて重要であると思うわけでありますが、問題は先ほど私が冒頭述べましたように、これまでの近代工業文明、これに対して科学技術庁として反省すべきものはこのようなところにあって、そしてその反省の上に、今後はどのような視点にウエートを置いて新しい技術の開発をしていくというような点について、もう少し詳しく御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(石塚貢君) 科学技術の振興の基本を定めております科学技術政策大綱におきましては、三つの大きな柱を提言いたしております。第一が、創造的な基礎的な研究の推進でございます。それから、第二の柱といたしまして、国際対応を十分配慮した研究開発の推進、それから第三に、今委員が御指摘ございました人間社会との調和を図る必要があるという点でございます。 この第三の点につきましては、ややもすると過去そういった面での配慮が欠けていたということで、この大綱ではその点を強く指摘されたものでございまして、今後そういった人間社会との調和を図る、そういう観点からの研究開発の推進というものが特に今後重要になっていくというふうに、私ども日ごろそういう線に沿った計画あるいは政策の立案を行っているところでございます。
○種田誠君 大臣がお見えになりましたので、座って早々で申しわけないんですが、質問をさせていただきたいと思います。 今、科学技術の二十一世紀に向けての新たな取り組みなどについてお伺いしているわけでありますが、長官のその辺のところのお気持ちは、先ほど同僚議員の吉田委員の方に、和魂洋才の気持ちに立って頑張る、こういうことはよくわかったんですが、逆に和魂洋才の気持ちに立ってやる上には、私たちのやっぱり反省すべき点は反省をしていかなければならないと思うわけであります。そういう意味で、長官の決意のほどをもう一度、地球全体の環境、資源の問題、そのような中での科学技術のあり方について、簡単で結構ですから答弁をいただきたいと思うわけであります。
○国務大臣(大島友治君) 予算委員会の方をちょっと回って、無事に終わりましたので参りました。おくれまして恐縮でございます。 午前中の吉田委員の御質問に関連して、和魂洋才の精神というようなことがございましたが、何はともあれ、今私は科学技術を中心とした仕事をしておりますので、まさに科学技術のゆえをもって地球汚染というものにつながったということもこれは考えられる。と同時に、またそうした点についてはこれを生かして、いかに汚染を排除していくかということも科学技術の力じゃなかろうか。いわば、いわゆる和魂洋才の精神と、物心両面において日本の文化国家の発展に結びついて、そして戦後の日本の経済発展ももとを正せばやっぱり科学技術の基礎に基づいてあらゆる発展を遂げて、経済の大国になった、こう思うのでございます。しかしその反面、やはり地球環境問題ということについての今日の大きな問題が出てきておるということになれば、やはりこれはあくまでも経済のみならず、いかに精神的また肉体的にも安心して生活のできる環境をつくるかということになれば、当然こういう問題についても今申されたような反省の上に立って解決していくべきものは解決していかなければならない、こういう気持ちに私はなってこの仕事に携わっておる。 そこで、高度に発達した今日の高度文明社会は、鉱物エネルギー等の資源を新しい先端技術によって開発利用し、その大量消費の上に成り立っている認識は、これは今申し上げたようなことであります。したがって、地球規模での環境問題への関心が高まっている中で、今後地球上の資源の利用に当たっては、地球生態系全体と均衡のとれた方策を確立することが重要でないかというふうに考えておるわけでございます。したがって、これらのためには人間が行う諸活動を維持発展させるに当たっては、長期的展望に立って地球環境と調和した技術の研究開発が必要と、こういうふうに認識しておる。そのよって来るべきものは、やはり私が先ほど申し上げました物の考え方に基づいてやるべきじゃなかろうか、こういうふうに感じております。
○種田誠君 ぜひとも今長官の述べられたような視点に立って科学技術庁への指導をお願い申し上げたいと思います。 そういう中で、四月十七、十八日と二日間にわたりましてワシントンで地球環境ホワイトハウス会議なるものが開催されました。そこでの欧州や米国や日本での対応がマスコミを通じて私たち国民に報道されてきたわけでありますが、非常に残念に思ったことは、報道などによりますと、何かその会議で日本の環境庁と通産省がいわゆるCO2の規制に関して鋭く対立をしてしまった。諸外国の担当者から、一つの政府の代表が二つの意見を述べるとはなどという批判もあったやにも聞いております。そういう意味で、この辺のことについて、実際会議においてマスコミの報道に言うような事実があって意見が対立していたのかどうか説明をしていただきたいと思います。
○説明員(石海行雄君) お答えいたします。 地球温暖化問題の解決策を検討するに当たりまして、一部のマスコミにおいては通産省と環境庁が対立をしているというような報道がございますが、事実はそれに反しておりまして、地球温暖化問題の解決に当たっては、CO2の抑制と経済成長の両立を図っていく、そういう観点から解決を目指していくということが重要でありまして、これを可能とするためには技術の革新あるいは省エネルギー、省資源等の推進が必要である、こういう認識において両省庁の見解は全く一致しております。 通産省といたしましては、従来からこの問題には積極的に対応してきているところでございますが、今後とも長期的、総合的かつ世界的な取り組みを基本としまして、健全な経済発展と環境保全との両立というものを図っていくべく引き続き努力をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○種田誠君 もう一つ重ねてお伺いいたしますが、そうしますと通産省においても日本の今日のCO2に対して規制をさらに推進していくという考えがあると聞いてよろしいわけですか。
○説明員(石海行雄君) CO2規制について通産省として賛成かということでございますが、地球温暖化問題につきましては、現在国際的にもIPCC、気候変動に関する政府間パネル等の場におきまして、この規制論を含めまして新しい条約の必要性であるとか、その条約の要素であるとかといったことを検討しているところでございます。こういった国際的な議論というものを我が国としても十分見きわめていく必要があろうかと思いますけれども、地球温暖化問題というのはまだまだ科学的に解明が必要な部分が多いということもございますし、また原因物質の一つでありますCC2というものは人間活動と密接な関連を有しているということで、その対応いかんによりましては世界経済に大きな影響を与えかねないということもございますので、規制措置の実施については慎重に検討すべきであるというふうに考えているところでございます。
○種田誠君 きのうの朝日新聞にIPCCの第一部会の最終報告が報道されておりました。二十一世紀末には気温は三度、海水面は六十五センチ上昇、こういうふうな見出しで、規制なしでこのまま推移した場合にこのような事態が予想される、そういうふうな結論になっているわけでありますが、環境庁といたしましてこのIPCCの最終報告に対してはどのように思われますか。 そしてまた、科学技術庁におきまして、地球温暖化に対して、対策技術として今取り組んでいること、そしてこれから取り組もうとしていること、二酸化炭素やメタンやフロン、いろいろな有害要因があると思いますが、その辺のところを踏まえて、ちょっと御見解を述べていただきたいと思います。
○説明員(唐沢正義君) お答え申し上げます。 先生御指摘のIPCCの第一作業部会の報告は、五月二十五日でございますがイギリスで最終的な第一作業部会の会合が開かれておりまして、具体的に医学的サマリーというものがまとめられておりまして、先生御指摘のような、例えば二〇三〇年までに現在の気温よりも一度C上昇するのではないか、あるいはさらに来世紀末までに三度C上昇するのではないかというふうな知見がまとめられているというものを私どもも入手しておりますが、最終的にはIPCCの報告書は各作業部会の報告書を取りまとめまして、この八月ぐらいにまとまるものだというふうに承知をしております。その中間段階の情報が報道されたというふうに理解をしておるものでございます。 なお、先生御指摘の二酸化炭素問題でございますが、これにつきましては昨年十一月にオランダのノルトベイクにおきまして大気汚染と気候変動に関する閣僚会議が開かれておりまして、そこでノルトベイク宣言というものが採択されておりますが、その内容といたしましては、先進工業国におきまして二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を安定化するなどの合意がなされておりまして、その安定化の水準なり時期等につきまして、さらにはその実現可能性等につきましては、これもIPCCで検討されているというふうな状況にございます。 そこで、私どもといたしましてもこのIPCCの報告書がこの八月ないし秋までに中間報告がまとめられるというふうな状況でございますので、私ども自身もそのようなノルトベイク宣言の取りまとめの審議に積極的に協力するという観点におきまして、この具体的な検討を私ども環境庁といたしましても進めようというところでございますが、今後も安定化等の政策面等につきましては引き続き検討を行ってまいりまして、このIPCCの最終報告までにより具体的な対応策等についても今後とも検討してまいりたいと考えているところでございます。
○政府委員(石井敏弘君) 先生御指摘の対策技術の開発ということでございますけれども、地球温暖化等の環境問題の解決ということを図っていきますためには、まず観測、監視、それと調査研究ということが非常に重要であるわけでございますが、それとともにその対策技術の開発ということが極めて重要である、かような認識に立っておるわけでございます。この点につきましては地球環境保全閣僚会議におきましても省資源、省エネルギー技術、新エネルギー技術など地球環境保全に関するこれらに資する技術の開発の推進を申し合わせておるところでございまして、関係省庁におきましてそれぞれの行政分野に関連する対策技術の研究開発が推進されておるところでございます。 科学技術庁といたしましても、総合的な推進官庁という立場から、通産省におきます省エネルギー関係の研究開発でございますとか、運輸省等におきます自動車エンジンのアルコールの燃料化に関する研究開発、こういった一連の関係省庁におきます対策技術の研究開発ということがより一層促進されるように、見積もり方針調整等の手段も使いましてこれらの推進を図っていくという、国全体の立場からの環境問題解決のための効率的推進を図る、かようなことに努めるとともに、科学技術庁自身におきましても、理化学研究所におきまして、光合成機能によるCO2の固定化研究等の対策技術の研究開発、かような研究開発も推進しておるところでございまして、今後とも対策技術についての推進を図ってまいる、かようなことで努力をいたしておるところでございます。
○種田誠君 ちなみに、自動車のことでちょっと伺いたいと思うんですが、今世界じゅうに走っている自動車が、正確なことはわからないにしても四億七千万台ぐらいである、このようにも言われております。十年先ぐらいにはこれが倍ぐらいになっていくんではないだろうか、そういうふうなことも予想もされております。そうしますと、自動車の排ガスをとってみても、現在のマスキー法によって果たしてこれで十分なのかどうか、そういうことも検討しなければならないと思うわけなんですが、この辺のところ、これは多分通産省の方だと思いますが、通産省の方で自動車に関する、とりわけ排ガスなどに関しての今後の対策、また見通しなどについて説明をいただきたいと思います。
○説明員(石海行雄君) 自動車の排ガス規制につきまして、きょうは資料を持ち合わせておりませんので正確な数字は申し上げられませんが、日本におきましては世界に比してもかなりきつい、厳しい規制が既にかかっておりまして、またNOX問題という今でも大都市部で問題になっている問題がございまして、このNOX対策ということで昨年、これは環境庁の方から詳しく御説明あるかと思いますが、少し規制を強化しようというようなこともございまして、そういった面での対策は万々政府部内で相談をして進めてきておるところでございます。
○説明員(唐沢正義君) お答え申し上げます。 私どもの資料によりますと、一九八七年で我が国の自動車の台数でございますが、四千九百九十万二千台というふうな状況にあるというふうに承知をしております。なお、最近の十年間の伸びでございますが、一九七五年以後の十年間で自動車の台数が約六四%程度増加をしているというふうな状況にあるというふうに承知をしております。 そこで、先生御指摘のございました温暖化対策の一環としての自動車の問題ということでございますが、私どもといたしましても二酸化炭素の排出の抑制という観点に立ちました場合に、今後、温暖化対策といたしましては考えられる対策の一つであろうというふうな理解をしているわけでございます。今後の温暖化対策の条約交渉などがこの秋以降始まることになっているわけでございますので、そのような国際的動向も踏まえながら、二酸化炭素の排出抑制の観点からの自動車の問題につきましては慎重に検討してまいりたいというふうに思っているところでございます。 なお、自動車を初めといたします移動発生源の二酸化炭素等の排出抑制につきましては、手おくれにならないよう実行可能な対策から実施に移していくべきであるというふうに考えておりまして、具体的には燃費の向上でございますとか、あるいは電気自動車などの低公害車の導入の促進、さらに公共輸送機関の整備あるいは鉄道貨物輸送の推進などの交通システムの合理化も進めていく必要があるというふうに考えているところでございます。
○種田誠君 科学技術庁において、今までの技術をさらに効率性において、また新たな技術としてCO2発生を抑制するような、そういうふうな形での研究開発を今行っていますか。
○政府委員(石井敏弘君) 科学技術庁におきましては、直接的な対策技術というものは必ずしもやっているというわけではございませんで、先ほど御説明いたしましたように、それぞれ行政分野、各省庁に分かれておりまして、関係省庁におきましてそれぞれの対策技術を講じてきております。したがいまして、私どもといたしましても、全体として整合性を持ち、かつ遺漏なく全体が進められるよう財政当局等々にも意見を申し上げ、全体として適切に進むよう配慮をし、努力をいたしてきておるところでございまして、個別のものとして科学技術庁としてやっておりますのは、先ほど言いましたような炭酸ガスの固定化の基礎的な研究、こういったようなことを進めさせていただいておるということでございます。
○種田誠君 先ほど冒頭で大臣、関係者の答弁の中にもあったわけでありますが、地球全体の生態系などを考えて、それとの調和のとれた私たちのライフスタイル、そしてまた国や自治体の施策のあり方、ひいては企業活動などにおいてもその見直しすら今求められている、こういうふうな状況にあるわけでありますが、総論として今申し上げましたようなことが当然だとされた場合に、じゃ具体的に施策としてどのように展開をしていったらいいのか、その辺について関係省庁の方の御意見なりをいただきたいと思います。
○政府委員(石塚貢君) 今後の新しい生活あるいは生活活動、そういったもののためには人間社会と調和した技術の開発が必要であるということは申すまでもないわけでございまして、例えばホーム・セキュリティー・システムでございますとか快適住環境システム、あるいはヒューマン・インターフェース、そういった安全あるいは安心という観点、人間的なぬくもりが感じられるようなそういう技術、さらには潤いあるいはゆとりを与え生活を楽しむための技術、そういった観点が重要であろう、そういうふうに考えられると思います。また、地球環境の保全を念頭に置いた技術の開発という面では、具体的には省資源あるいは省エネルギーあるいは自然との調和のとれた技術、生産と処理の均衡を保つ技術などが必要である。 これは、先ほど先生からも御指摘を受けました科学技術庁資源調査会の報告書にもこういった点が指摘されておるわけでございますが、科学技術庁といたしましては、こういった報告が出された場合にそれぞれの関係省庁の大臣に対しまして科学技術庁長官よりこういった内容のものが各行政所管の施策に反映されるよう要望を出しているところでございまして、それぞれの関係省庁において反映されているというふうに私どもは期待をしておるわけでございます。
○種田誠君 科学技術庁におきましては、今述べられたような視点に立ってこれからの科学技術のあり方を検討していく、そういうふうな大きな方向があるものと理解していきたいと思うんですが、そのときに、私はきのう、日本におけるエネルギー事情の今後の見通しなどについて伺いたい、そのようにお願いをしたところ、今後のエネルギー事情については今見通しを述べるわけにはいかない。総合エネルギー調査会の報告が六月に出されるからそれまで待ってほしい、こういうふうに言われましてその説明を受けることができなかったんです。 私、非常に不本意なんですが、宿舎に帰りまして読売の夕刊を見ましたら、夕刊にもう既に私に教えてくれないということが載っているんですね。私はきのう四時半にそのことを聞いたはずです。こういうことで、国会に対して皆さん方は正しい情報を提供して、国会の場で議論をして、国民のための科学技術やエネルギー政策について十二分な議論をさせる場を保障している、そのように考えているんなら、私は非常に残念だな。もっと情報はオープンにして、自由な情報の中で議論をして政策展開をしていくというそういうものが保障されなければならないと思うんですが、なぜきのう私に教えられないことが読売の一面のトップに、「長期エネルギー需給見通し 通産省最終案 石油は五〇%割る」、こういう報道がなされたんでしょうか。しかも、具体的に細かい数値まであらわして、単にだれかが漏らしたというわけではないと思うのですが、どうでしょうかこの点。
○説明員(中澤佐市君) 今の件でございますが、委員御案内のとおり、現在総合エネルギー調査会で審議をお願いしている段階でございまして、事実まだまとまった段階ではないわけでございます。 それで、昨日の読売新聞の記事でございますが、審議会の事務局を担当しております担当課長としては、これは大変びっくりしまして、また困ったことであるわけでございます、率直なところ。どういう経緯でどういうことになったのか私ども承知しているところではないわけでございますが、審議会で今現在審議をお願いしておりまして、それがまとまりましたらいろいろと御説明をさせていただきたいと思っておりますが、まだ現時点では審議途中ということでございますので、御説明は控えさせていただきたい。その新聞記事については、率直なところ何と申し上げていいかわからないという難しい、困ったことだと思っております。
○種田誠君 単に困ったじゃなくて、私たちが国会で議論をしようとするときに、逆に出してもらわなきゃ困るんですよ。何も審議会に対して圧力をかけようとか、審議会の審議に対して御迷惑をかけようというわけじゃなくて、やはり、きのうの段階で二〇一〇年までのエネルギー需給見通しがわかっているならば、一応こういうふうな素案もありますよという形で資料は出してもいいと思うんですが、私は出せないという体質が問題だと思うから聞いているんですが、どうして出せないんでしょうか。
○説明員(中澤佐市君) 昨日の新聞記事では、通産省の原案が固まった、審議会で了承の上と、そういうふうな形でたしか書いてあったと思うのでございますが、まさに現在やっております作業というのは、今総合エネルギー調査会では六つの部会でございますから全体百数十人の委員の方がいらっしゃるわけですが、その皆さん方のいろんな作業、御検討、御審議という形で審議をされておりまして、審議会での議論が固まってきて、審議会とか小委員会とかいろいろございますが、そういうものの中の案が最終的にといいますか、審議会としての総合部会というような形でまたそこで御議論がされた上で了承されるのかされないのかと、こういうふうな中身になっておりまして、まだそういう意味で審議の途中の段階ということで、その審議が終わりましたところで御説明をさせていただきたいというふうに考えております。
○種田誠君 このことで押し問答していても仕方ないので次に進みますが、ただ私は審議の結論を今示せというわけじゃなくて、今後の技術開発、日本のエネルギーのあり方、そういうものの議論をするのに必要な資料としてその数値を教えてほしい、こう言っているわけですから、これから通産省さんにおいても、そのようなものであるならば可能な限り国会の場に出していただきたい、それを要望しておきます。 実はきのうは、この問題はそういう意味で一切私は質問しませんということで終わったんですが、こういう形で公にもう出ていますので質問させていただきます。 この見通しによりますと、先ほどちょっと述べましたように、二〇〇〇年には石油は五一・六%、二〇一〇年には四六%のエネルギーの構成比率になって、原子力が二〇〇〇年段階で一三・二%、二〇一〇年では一六・七%、こういう形で大きく化石燃料と原子力燃料に対するウエートが違ってきているわけなんですが、問題は、仮に原子力が倍近く必要とされたとする場合、今現実にこの数値に書いてあるような形で原子力発電所の設置は可能なんでしょうか。例えば二〇〇〇年にしても、この数値を引き算しますと、これから二千百六十万キロワットの発電を原子力がしなきゃならないわけでございます。百万キロの発電所でも二十二基新たにつくらなきゃならないわけですね。科学技術庁においてこれは可能ですか。
○政府委員(緒方謙二郎君) 御説明をさせていただきますが、本来、商用発電所の問題でありますので資源エネルギー庁の方からお答えするのが適当かと存じますが、突然の御質問でございますのでとりあえず私から説明をさせていただきます。 現在、御案内のとおり日本で稼働中の原子炉、三十八基ございまして、その規模は約三千万キロワットであります。建設中のものが十二基ありまして、これが約千二百万キロワットになっております。また、建設準備中のものが三基ありまして三百五十万キロワット程度ございます。したがいまして、建設中、建設準備中のものを合わせますと、現在五十三基四千五百九十万キロワットの規模になっているわけでございます。したがって、今新聞が報じております数字との間になお若干のすき間があるわけでありますから、二〇〇〇年において五千五十万でございましたか、新聞報道の数字は、そこにまいりますためには、なお引き算をいたしますと四百六十万キロワットのものを追加をしなければならない。引き算をいたしますと四百六十万キロワット、今計画が立っていて建設準備中になっていないものが加わらなければならない、計算上はこういうことになろうかと思います。
○種田誠君 昨今、原子力発電に対しては厳しい反対運動も展開をされております。果たしてその辺のところを踏まえて、今局長が言われたような形で対応できるのかどうか、非常に将来に対するその意味での不透明さが残るわけでありますが、この記事によりますと、さらに原子力以外に省エネルギー対策を展開をしていく、いわゆる熱効率の高いエネルギー政策をとっていくんだ、熱電併給発電のコジェネレーションなども採用して二〇一〇年には現在の七十倍の千四十万キロワットのエネルギーを発電するんだ、こういうふうにも指摘されているわけでありますが、現在の科学技術庁並びに関係省庁の省エネ技術、コジェネレーションなどを含めてこれは可能でしょうか。
○説明員(中澤佐市君) 数字についてはコメントを差し控えさせていただきたいと思いますが、先ほど申し上げました総合エネルギー調査会の審議というのは昨年六月に始まったわけでございますが、御指摘の地球環境問題、地球温暖化問題と同時に、資源制約の顕在化という二つの大きな環境変化ということを踏まえまして、今後どういうふうな状況になっていくだろうか、あるいはそういう状況を踏まえてどういうふうな考え方で対策を打っていったらいいかということが大きな審議のメーンテーマであるわけでございます。 そして、その審議の過程の中で一つの大きな政策課題としてエネルギー利用効率化、省エネでございますが、これの推進、あるいは省エネルギーなんかをしました後の需要に対してどういうエネルギー供給を構築していくかということ、そしてもう一つが先ほど委員の御指摘にもありましたが、我が国は省エネ技術あるいは公害防止技術等等の面で技術的にかなり高いものを持っております。こういうものを使って、これからまさに需要がふえてまいります発展途上国、こういうところに技術移転あるいは人材養成というような形で国際協力、そういうのもやっていくという、その辺の三つが審議の中での大きなテーマになっております。 そして、省エネ、エネルギー利用の効率化ということでいろんな対策が現在検討されております。総合エネ調の中には総合部会とか需給部会もございますが、同時に省エネルギー部会というのもございます。その中で、まさにどのようなことがみんなで努力すれば実現できるだろうかということで審議をされている。その対策としてはいろんなことがまた議論をされております。 それから、総合エネ調の中に石油代替エネルギー部会というのも別途ございまして、そこでまたいわゆる石油代替エネルギーということでいろいろなエネルギー源、これはいろいろとすぐれた点がたくさんあるわけでございます。環境負荷等あるいはさっきの資源制約というふうな問題から、すぐれた点もあるわけでございますが、やはり別途それぞれの、まだコスト的には五倍だ六倍だという話とか、供給安定性が低いとか、資源密度が低い、いろいろな問題があります。そういう中で、どこまでが我々が努力して実現を目指してやっていけるものだろうかというふうな議論がされているわけでございます。 先ほどのコジェネレーション、熱と電気をあわせて行っていくということ、これもその中で議論がされておりまして、現在の審議会の中の議論から申しますと、コジェネレーションの中でも特に燃料電池によるコジェネレーション、これは一般のコジェネレーションと違いましてNOXが出ないというところがございますものですから、燃料電池のコジェネレーションというのをできるだけ頑張ってやっていくべきではないかという方向で議論が進められております。 数字についてはちょっとあれでございますけれども、いずれにしましても今の審議会での議論は、これをどこまで最大限やっていけるだろうかということで議論がされているところでございます。
○種田誠君 今お話がありましたように、ぜひとも原子力に関しても、先ほど局長からある程度先の見通しに関しての対応策はあるやの答弁があったわけでありますが、あわせて今お答えがあったように省エネをどう図るかという点が一つの大きな課題だと思うと同時に、エネルギーそのものをもう少し多極的にとらえた形で、ベストミックス的な発想に基づいてエネルギーの対応をしていただきたい、そのようにも思うわけであります。 そういうものを推進しようとした場合に、私たちは果たして今のままでの法律の制度やそれから私たちのいろんな枠組み、そういうもので対応できるかというと、私はコジェネレーションとかベストミックスなどを予定した法体系や制度というのは今までできていなかったんじゃないかなと思うんです。非常に不十分であると思うわけです。そういう意味で、むしろ法体系の整備や法制度そのものの簡素化などを図りながら、あわせて今述べられたような施策の推進にぜひとも邁進してもらいたい、このように思うわけであります。 そういう中で一点だけ法律のことで伺いたいと思いますが、現在コジェネレーションの開発と普及を大きく妨げているのが電力事業法である、このようにも指摘されております。昭和六十二年の八月に通達が出されまして、いわゆる特定建物の内部にコジェネレーションの送電をするということが緩和された、許容された、このようにも聞いておりますが、少なくとも今述べられていたコジェネレーションなどをもう少し普及させようとするならば、同一建物とそのほかの周辺の地域にまでそのようなことが許容されるならばさらに普及や改良が図れると思うわけであります。その辺についての御見解などをいただければと思います。
○説明員(中澤佐市君) ちょっと今専門の担当している者が来ておらないので恐縮でございますが、今私が申しましたコジェネレーションの普及のために、これは今委員御指摘の点とちょっと違うかもしれませんが、先般もオフィシャルアナウンスメントをさせていただいたと思っておりますが、従来ですと安全対策等々のために電気主任技術者という者がコジェネレーションを置くところにはいないといけないというような、そういうふうな安全規制、それから施設計画の、正確な名前は私ちょっと知りませんけれども、そういう工事計画の認可みたいな、そこのところも本省で扱う、そういうふうな安全対策面からのいろいろ規制があったわけでございます。 これについては、一部そういう制度的な問題がコジェネレーション、燃料電池にしても何にしても、そういうものの普及の妨げになっているという御議論があったということも承知しております。ただし、これはあくまでも安全対策のために行ってきたわけでございますが、六月一日ですからあさってからでございますか、これについて検討が進められた結果、安全対策面での問題は技術の進展等々成熟の度合いからして大丈夫だということで、そのような制度緩和、改定というようなことをいたしております。 そういうコジェネレーションあるいは燃料電池によるものということで、それを推進していく中で、そのようないろんな面からのいろんな制度があるわけでございます。その他の要請との調和を図りつつ計画的に進めていくというのが今の資源エネルギー庁としての考え方でございます。
○種田誠君 時間がなくなってまいりましたので、そろそろ終わりの方に向かいます。 昨今、ソ連やアメリカの原子力発電施設の事故によって、単に一国だけの被害ではなくて、その事故が国際的に大きく影響を与えるというようなことが指摘されているわけであります。聞くところによりますと、日本の原子力発電に関する安全性は世界一だとも言われております。そういう意味で原子力の安全性確保のために日本の科学技術庁は率先して技術的な意味での安全基準、そしてまた運転上のマニュアルとしての安全基準、こういうものを国際的な共通のものとしてお互いに遵守しながら原子力発電を維持していくという、そういうふうな形で日本が中心になって世界に提案をして、そしてお互いに守るべきものは守って、技術的に最高のものを付与して、そして運転マニュアルに関してもこれをみんなで守っていこう、こういうふうなシステムができないと安心して原子力というものに関しての信頼を私たちは持てないと思うんです。そういう意味で、この国際条約の締結に向けて科技庁においてぜひとも取り組んでいただきたいわけでありますが、最後に長官の決意などを伺って私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○政府委員(村上健一君) 大臣の御答弁の前に具体的なことを少し御説明申し上げたいと思います。 御案内のとおり、原子力の安全確保といいますものは、基本的にはそれぞれの国が責任を持つべきものでございますけれども、これを高いレベルで実施するためには、委員御指摘のとおり国際協力が重要であり、かつまた我が国はリーダーシップをとるべき状況に立ち至っているものと認識しております。 このため、国際原子力機関、ウィーンにございますが、国際原子力機関におきましては、既に十五年前から、各国の原子力安全を国際的に調和させることを目的としましたNUSSという基準の策定事業、このNUSSといいますのは実はニュークリア・セーフティー・スタンダードの略でございますが、このNUSSという国際基準を策定する事業を行っておりまして、我が国といたしましてもアメリカや西欧諸国とともにこの作業に積極的に貢献してきてまいった次第でございます。 この基準は、既に基準そのものが五本、それからガイドラインが約五十五本というふうにできてきておるわけでございますけれども、チェルノブイリの事故を踏まえましてこのIAEAでその見直しの作業が行われておりまして、我が国も積極的に参画しておりますが、内容的には我が国の安全確保の考え方と大きな差異のないものとなっておりまして、日本といたしましては、まだいわゆる委員御指摘のとおり先頭に立ってというところまでは立ち至っておりませんけれども、御指摘にございましたように、関係省庁とも協議しつつ積極的に取り組んでまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
○国務大臣(大島友治君) 委員の方から御指名をいただいたので大変恐縮に存じているわけですが、具体的にはただいま政府委員の方からの答弁もありますけれども、当初、私に対しても物の考え方というものから御質問の道を開いていただいて、委員の極めてエネルギーに対する理解あるというか、私どものいろいろと考えている点を先取りされているような感じで、私はきょうは御指導をいただいたという感じを持っているのでございます。しかし結論的には、特に原子力の問題につきましてはあくまでも安全というものの前提は少しも変えることのなく、今も激励をいただいたように、世界のリーダーにもなるような安全性を科学的に研究をしてひとつ確立をしてやっていきたいなという私の決意をさらに固めるようなありがたい激励をいただいて私は感謝をしておるわけでございますが、そういう気持ちで務めさせていただきたいと思います。どうぞ御支援のほどをお願いいたします。ありがとうございました。
○中川嘉美君 ただいまの最後のところで、長官から非常に自信満々の御答弁があったようでございますが、これから私がお聞きすることについて、よくひとつ耳を傾けて長官もお聞きいただきたい、こういうふうに思います。 というのは、きょうのところは原子力行政のあり方、これについて所管の科学技術庁の見解をお尋ねしたい、こういうことなんですが、先ほどちょっと出ていましたが、それはいまだに私たちの記憶に新しいソ連のチェルノブイリ原子力発電での事故について、これは言うまでもなく、この事故は既に発生してから四年たっているわけですけれども、この事故が持つ意味合いというものは非常に大きいわけで、我が国の原子力行政にも大きな影響を与えたものと、このように私は思います。 そこで長官に伺いますけれども、この事故の重大性、これをどのように受けとめておられるか、まずこのことについてお答えをいただきたい。
○国務大臣(大島友治君) ただいまの御指摘、御質問と申しましょうか、まさにチェルノブイリの事故というものに対するものが具体的に取り上げられての御質問ということにも感じましたが、この事故は、一つはまさに大量の放射能が国境を越えて各国に影響を与えた重大な事故であるということで認識されたことは御承知のとおりでございます。このため、原子力安全委員会におきましては、自後直ちに調査検討を開始し、また昭和六十二年五月に報告書が取りまとめられたというところになっておるわけでございます。 また、この報告書におきましては、チェルノブイリの事故というものは設計上の欠陥とかあるいは運転員の規則違反などによって引き起こされた、そういう事故であり、我が国の場合にはチェルノブイリと同様な事態になることは極めて考えがたいものでございます。また、我が国の現行の安全規制や防災対策の基本については、早急に改める必要のあるものは見出されないとの結論が出されているところでございまして、決してチェルノブイリの問題とは全然違うから問題がないということではなくて、もちろんこういうものは参考として我が国に取り入れて、より一層安全であるということの前提でやってまいりたい、こう思っております。 さらにまた、原子力安全委員会は、昨年の十月に同事故に関連してソ連に調査団を派遣し、その後のソ連の原子力安全対策等について調査そしてまた意見の交換を行ったところでありますが、この調査においても、同事故に対する前に述べましたような基本的な認識というものは特に変わっていないということは事実でございます。とは申しながら、この事故後の状況あるいは健康に対する影響等に関しては、我が国として多大の関心を持っておりまして、これらに関する調査、研究に対しましては、専門家を派遣するなどして今後とも積極的に対応してまいるという考えでやっておるわけでございまして、決して日本のは技術が進んでおるから問題ないなんていうことはみじんも考えないで、チェルノブイリの事故というものについては徹底究明いたしまして参考にしてまいりたい、こう考えておるものでございます。
○中川嘉美君 非常に長官の御答弁、丁寧というのか、何か大分先々に、これからいろんなことを聞きたいんだが、ずっともう答弁していらっしゃるような気がするんですが、まあゆっくりやってください。実はそのことを徐々に私は私なりにずっと聞いていきたかったんだが、いいですか。 この事故発生後四年たった今、なぜ改めて長官の見解を聞かなきゃならないのかということです。その意味は、この事故処理に追われた当時、四年前とそれから今はその後の状況はもう大きく変わってきているわけです。非常に大きな変化を来している。 そこで、科学技術庁として事故発生当時と現状との間にこの重大性という認識の点において、あのときは重大だったけれども今はもうそうじゃないよというんじゃなくて、あるいはまた見解そのものについていささかも違いがないかどうか。この辺はどうですか。
○政府委員(村上健一君) お答え申し上げます。 ただいま大臣から御答弁がございましたように、直後の原子力安全委員会の特別委員会の報告では、このような事態が日本に起こることは極めて考えがたいものであって、したがって、その当時の安全規制のあり方や防災対策の基本については早急に改める必要のあるものは見出されないという報告書を出した次第でございます。 それで、二年たちまして昨年の暮れに、安全委員会は早くから調査団を出したいということを言っておったのでございますが、先方の受け入れがやっと可能になりまして、昨年の十月に先方に委員長が団長で参りまして、いろいろ調査し、意見の交換もしてまいったわけでございますが、ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、少なくとも当初の調査結果の認識は間違っていないという認識に立っている次第でございます。 ただ、最近非常にいろいろなことが新聞報道によりたくさん出るようになりまして、そのことも踏まえまして私どもとしては、特に健康に対する影響等については多大の関心を有しておりますので、今後国際的な協力関係も含めまして積極的に対応していかなくてはいけないという認識に現在なっているということをただいま大臣がお答えした次第でございます。
○中川嘉美君 そうすると、四年前とそれから現在と、現在もいろいろと変化しておるわけですが、この四年間のいろいろな変化を伴った今日に至るまでの経緯があるわけですが、重要性、重大性といいますか、これは全くいささかも食い違いがないかどうかということを私先ほど質問として聞いたわけですが、もう余計なことはいいですから、その点だけちょっともう一回確認しておきます。
○政府委員(村上健一君) 当初認識しておりました重要性については、その当時と現在とは変わっておりません。
○中川嘉美君 そうすると、事故発生後、先ほど御答弁があったように、実態を掌握するために調査団が行かれたということですが、そうしますとこの調査団の成果そのもの、成果といいますか、調査団は調査報告を通してどのような評価を下しておられるか、この点はどうでしょうか。
○政府委員(村上健一君) 調査団は報告書を公表いたしておりますけれども、この報告書の中で大きく四つほど見解を取りまとめております。 まず第一点は、事故を起こしました原子炉は、現在も四十本以上の観測孔に計測器等が挿入されておりまして、鎮静化された状態にあるということを確認してきたということが第一点でございます。 それから第二点は、ソ連政府は昨年三月にいわゆる環境汚染を起こしました地図を作製して公表しておりますけれども、これをさらに来年中にも地図を作製する計画であるということが判明しております。 それから、これは新聞報道でもなされておりますけれども、当初三十キロメートル以内の十三万五千人が避難したわけでございますけれども、さらに新たに避難をする方針があるわけでございまして、この可能性について情報を入手した。 それから、最後が特に最近の日本の本件についての対応の強化という点でございますけれども、いわゆる事故による健康への影響の問題でございます。既にソ連では疫学調査のために五十八万人の登録管理が行われておるわけでございますけれども、一方、新聞等で言われておりますような白血病やがんの発生数の増加は、少なくともこれまでのところは見られない。それから異常出産や新生児の発生異常などの胎児被曝の影響も認められていない。しかしながら、特に健康に対する影響については重要なことであるので、原子力安全委員会としては積極的にこれに向かって国際協力を踏まえ対応していきたい、こういうことでございます。
○中川嘉美君 私の質問をよく聞いておいていただかないと、何を答えてもらったかさっぱりわからない。いいですか、ソ連が地図をつくったとか情報を入手したとか、そんなことを聞いているんじゃない。調査団がどのような成果をおさめたのか、どれだけの評価をしておられるのか、その辺を聞いておる。簡単な答えでいいわけですよ。そうじゃないですか。時間がもったいない。 そういうわけで、今の御答弁の中のあえて言葉を拾わせていただくならば、このいわゆる報告書があります、ここに、手元に。この報告書の中で「チェルノブイル原子力発電所事故の健康への影響」というところがある。そこで、全部読むわけにいきません、時間がないので。途中から読みますが、「放射性セシウムは貯水地底に沈積しているが、飲料水汚染は極めて軽度と伝えられた。」、こんなふうな表現もある。これが調査報告だそうですけれども、一体これはどういうことなんだろう。調査団としてどんな調査をしてきたのかということを私たちはこれを通して知りたかったんだが、「伝えられた。」というのは、これは国際電話でもわかることです、こんなことは。「水理・気象国家委員会への訪問が都合により実現されなかったので、詳細なデータを得ることはできなかった。」、何のための調査だったんですか。内田委員長は、「ソ連側が非常にオープンな姿勢だった」と記者会見で言っておりますけれども、何もオープン的じゃないじゃないですか。 次に、先ほど答弁にあったその中身と関連するかと思いますが、次のページの三項目に出ている「放射線被ばくの健康影響」という項目です。 ソ連当局の試算によると、チェルノブイル原子力発電所事故に起因する悪性腫瘍の推定発生数は自然発生数の〇・六%以下であって、疫学的に検出可能な頻度にいたっていない。つまり、きわめて限られた数の被ばく者集団(〇・五シーベルト以上)を除けば悪性腫瘍の発生は検出されないであろう。 こうなっているわけです。「きわめて限られた数の被ばく者集団」ということがここに書かれています。 これは去年の十月の「ソビエト文化」というソ連紙ですけれども、ちょっとこの記事を読んでみると、 一九八六年四月にウクライナ共和国で起きたチェルノブイリ原発事故の後遺症として、北隣の白ロシア共和国で奇形児の出産やがん患者が急増している実態を明らかにした。 同紙によると、ゴメル州ホイニキ地区では今年一月から六月までの間に十三人の奇形児が生まれ、うち一人は腎臓がんを併発していた。奇形児の出生率は原発事故前の八五年に比べると三―四倍も高く、死産も増えているという。昨年の奇形児出産は三件だった。 またモギリョフ州スラブゴロド地区では、八五年には十一人しかいなかったがん患者が昨年は七十人に急増。今年一月から六月までに新たに三十四人の患者が記録されている。 同紙は、汚染のひどい地域の放射能レベルは国際基準の十倍以上だと指摘。これらの地域に住む子供の三七%に甲状腺異常が発見されていると述べている。 こういう記事です。 それで、ソ連白ロシアのこういった奇形児、がん患者の急増のことが出ているわけですけれども、「きわめて限られた数の被ばく者集団」というのはこの地域のことを指しているのか。どうなんでしょう、ここのところは。
○政府委員(村上健一君) その新聞記事の対象の方とこの報告書の被曝者集団がどういう関係にあるかというのは、この報告をお書きになった団員の方に御相談しないとわからないわけでございますが、ここに書かれている集団の意味は、事故が起こったときに応急作業で、五十レム以上でございますので相当高い避難対策作業に従事した者であろうと推定されます。 それで、今委員がお話しになりました新聞記事につきましては、報道につきましては、これとの対応についてはそういうことで正確に今申し上げられないわけでございますが、少なくともこの調査報告書は、団に加わられましたこの道の専門家の方が向こうの専門家から話を聞いて報告に取りまとめられたものであるということは申し述べておきたいと思います。
○中川嘉美君 専門家は何人いましたか。
○政府委員(村上健一君) これは従事された団の専門家でございます。
○中川嘉美君 その場合は、専門家ですからいわゆる医師の者ですね。何人おりましたか。
○政府委員(村上健一君) 固有名詞は、報告書の四十四ページに団員の名前が掲げられておりますけれども、この道の専門家は団長代理の寺島安全委員、それから放射線審議会の専門委員であります団員、それから、安全調査官をやっております者でございます。
○中川嘉美君 団員が通訳を含めて十二名。これを見る限りにおいては、医師の資格というんですか、これはお一人だけ、秋田大学医学部の滝沢教授ですね。これはぱっと見れば医師ということがわかる。あと全然わからないんです、だれが医学の分野に携わっているか。したがって、私は専門的な人はたった一人しかいないじゃないかということを言いたかったんだが、どうですか。医師が三名いたということですか。
○政府委員(村上健一君) 寺島団長代理が医師でございまして、二人でございます。
○中川嘉美君 そうすると、くどいようですが、次ちょっと読んでみましょう。 医師が二人いらしたんだが、「白血病や悪性腫瘍の発生数の増加はいまのところなく、異常出産、新生児の発生異常など胎児被ばくの影響もみられていない。」ここで「いまのところ」というのは、これは報告書は今できたばっかり。これ、三月にできたんですな。行ってこられたのは去年の十月。大分たっている。もう四年近くたっている。今のところないというのは、おかしな話じゃなかろうか。何の調査をしてきたのかな、こんなふうに思うわけですけれども。 先ほど新聞報道とかいろいろおっしゃったんだが、ここにいろんな最近の雑誌があります。これはいわゆる女性誌の一つ、まあ委員会の席においてどこの出版社だとかあるいは新聞社の名前とかはどうかと思いますが、あえて私はきょうここで申し上げたい。 女性セブンという週刊誌がありますね。私はいつも女性誌読んでいるわけじゃないんだが、本屋さんの店頭で何げなく私はこの表紙を見た。開いてみた。愕然としました。これはやはりチェルノブイリの実態が、四年後の実態というか、この三年間ずっと経過してきた、出ています。この報告書とは全く正反対というか、これを見て唖然としたんです。何のための報告書なんだと、こう思いたい。これを見てみますと、長官はごらんになったかどうかわかりませんが、大分……
○国務大臣(大島友治君) まだ見てないんですが。
○中川嘉美君 後でごらんいただいていいが、ここからちょっと説明しますけれども、これだけ見て、割合大きな写真ですから。(資料を示す) この右側の子供さん、赤ん坊ですね。完全にこれ右腕が根元からない。これは坊やだと思いますが、「チェルノブイリから届いた衝撃」という文字の下に、片目が完全につぶれてます。このまことにかわいいお嬢ちゃんだが、完全に片足がない。これは床にはいはいしていますが、この幼児は完全に鼻の下ですね、上唇というんですか、鼻の下が完全に隔離した、離れてしまって全然つかない状態ですね。これは指だけ見えていますが、完全にもうついてしまっている。最後のページにありますこれは、両手両足は出てはいるけれども、完全にその先端が非常に湾曲していたりあるいはなかったり、非常に惨たんたる写真が出ているわけです。 そういうことで、私は非常にこの報告書に対して、四年たった現実がこういうことであるとするならば、これはちょっと、報告書も無責任じゃないだろうか。しかも、「白血病や悪性腫瘍の発生数の増加はいまのところなく、異常出産、新生児の発生異常など胎児被ばくの影響もみられていない。」こうなって終わっているんです、これは。しかも、団長さんは、一番最初にありますこの書面の中で、ずっと読んでいきますと、「また〃チェルノブイル事故による放射線による医学的な影響が一般住民について発生しているという確証はない〃という説明がなされ」、ソ連側からですよ。「説明がなされ一部での報道が誤ったものとして否定された。」、これで結んでいるんですね。団長さんは、ソ連の説明を一〇〇%信用して帰国していらっしゃる。最後のところにはまた御丁寧に「調査団一同つつがなく無事調査を完了し帰国出来た」云々となっているんですが、「つつがなく無事調査」云々だったらこういうものは、多少なりともこの可能性というか、もう三年以上たっているわけです。余りにもこの調査内容だけでは無責任じゃないだろうか。国会議員の皆さん、これは自分の議員会館の部屋でみんな読んでさますよ、このままの内容を。 そういうことになってくるわけで、これはしゃべってたら切りがないんですが、したがってまず長官に伺いたいと思いますが、事故発生以来、ソ連はもとより、本件に関して各国の多大な関心を呼んで、さまざまな影響あるいは調査内容を各国マスコミが報道するにつけても、政府の見解、受けとめ方、こういったものとの間に余りにも格差があり過ぎるんじゃなかろうか。現実との間にですよ。特に、事態の重大性とかその後の影響、被害の広がりといったものを見たときに、これらに対する政府の認識が余りにも甘いんじゃなかろうかと私は思いますし、むしろ不安な気持ちを抱かざるを得ない。長官、この点についてどのようにお考えか、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(大島友治君) かねて私も、こういう立場になってからも、チェルノブイリの事件については確かに報告を受けたり、新聞で見たり、またその実態がいかなるものであるかということについても、念を押して聞いてはみたり調べてもらってはおりますが、まだその女性セブンでございますか、それもまだ見届けてはおりませんので、真偽のほどをここで明言することも私はちょっと避けたいと思うのでございますが、委員まさに御心配になっております点については、なお一層私の立場からも究明してみたいと思うのでございます。ひとつ御了承をいただきたいと思います。
○中川嘉美君 それでは百歩譲って、この「原子力安全委員会ソ連調査団報告書」、この中身について、一応読ましていただいたということを前提でいまちょっと伺いたいと思いますけれども、では政府として、チェルノブイリ原発事故以来、我が国の国民の増大する不安、原発事故に対する不安、こういうものに対して、あれ以来、この四年間どのような施策を講じてこられたのか、それによって国民の不安を少なからず取り除くことができたのかどうか、この辺はどうでしょうか。
○政府委員(緒方謙二郎君) 原子力に関連いたしまして、国民の皆さんの間の不安を解決し、あるいは誤解を解くための、正しい理解をしていただくための努力というのは従来からやっているつもりでございますが、特にチェルノブイリ以降、あるいは国内におけるいろいろなプロジェクトの新たな進展に伴いまして、その必要性が強まっておりますので、政府といたしましては、予算面でも特段の努力をいたしまして、いわゆる普及広報活動と申しましょうか、国民の間の正しい理解を進めるための施策をいろいろ強化をしておるところでございます。 その成果について、それではもう国民の間の不安は解消したのかというきつい御質問でございますが、そこは我々のまだ力が十分及んでおりませんで、まだいろいろ御議論があり、いろいろな御疑問が呈され、私どもあるいは関係者が日夜またそれに対して御理解を深めていただくための努力を続けているというのが現状でございます。
○中川嘉美君 今や、チェルノブイリ原発事故のその後の状況については、一体どうなっていくのかということで世界各国の関心が高まる一方ですけれども、ソビエト本国のいわゆるマスコミである、先ほどちょっと記事を読みましたけれども、例のソビエト文化ですね、奇形児とかがんのあれを引用しました。そのほか、白ロシア共和国の首都ミンスクにおいては、チェルノブイリ原発の事故対策を求めて大規模なデモが起きている。こうした事態を伝える報道に目をつぶって果たしていいのかどうかということなんですが、大変くどいようですが、長官もう一度、この報道に関してどのような見解を持っていらっしゃるか。まさかマスコミの過剰報道とかあるいは異常報道とかいうふうに決めつけてほっぽられることはないと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(緒方謙二郎君) ソ連のマスコミの報道ぶりについて直接論評することはいかがかと思われますが、私ども政府といたしましても正しい情報の入手には努力をしなければならないところでありまして、先ほど御批判をいただきました安全委員会の活動というものもその一環だと思いますけれども、さらに私どもといたしましては次の二点をちょっとこの際御報告したいと思います。 一つは、ソ連の中でもソ連邦を形成します白ロシアその他の国と連邦政府の間で発表している内容が違ったりしておりまして、ソ連邦の中でもいろいろ若干の情報の混乱があるようでございまして、連邦政府は、こういうこともあったんでございましょうか、国際機関であるIAEAに専門家を国内、ソ連内に派遣して実情の調査をしてくれという要請があったようでございます。それを受けてIAEAが、各国から学者、専門家を集めまして派遣をいたしまして実情の調査をいたしております。これには専門家として日本の学者も若干名入っておりますけれども、政府としてというよりは国際機関の活動でありますが、そういうような活動の成果というものを私どもとしては尊重して傾聴してまいりたいというのが一つでございます。 もう一つは、日本政府自身としてより詳細な情報を把握する必要がございますけれども、いろいろな報道がありますのでこの種の問題についてはやはり何といっても専門家がどう見ているのかというのが大事な点でございます。 ソ連の中でも疫学調査その他が行われておりますので、ソ連邦の中で専門家がどのような調査研究をし、どのような成果を上げているのか、今後どういうことをやっていこうとしているのか、また、日本として何か協力できることはないのかという専門家レベルの交流をする必要があるということから、日ソ科学技術協力協定に基づきます日ソ間の放射線医学分野の協力活動の一環といたしまして、実は六月の末でございますが、東京で両国の専門家を集めました講演会をすることになってございます。詳細については今打ち合わせ中でありますけれども、要すればソ連のチェルノブイル関係の疫学調査などを担当いたしました専門家に日本に来ていただきまして、日本側の専門家との間で専門家同士の意見の交換をする、こういうことも行いまして実情の把握というものに努めていきたいというふうに考えているわけであります。
○中川嘉美君 お言葉をなにして個々に取り上げるつもりはないんですけれども、専門家がどう見ているか、専門家が言うことが正しいので、事故に関するマスコミの報道は信用できないんだというふうに響いてならないわけですが、私は、政府が意図的にこうした事実なりあるいは事故発生後四年間の経緯、あるいは恐るべき変化等に対してあえて触れようとしないんじゃないか。このように思いたくない。思いたくないけれども、少なくとも事実を正確かつ客観的に国民の前に知らせる責任と義務感に欠けているんじゃないかというふうに考えざるを得ないわけです。 しかも、政府はエネルギー基盤の脆弱な我が国にとってエネルギー安定供給のために原子力発電が必要と位置づけているとするならば、より誠意を持って、正しく、事実に基づいた情報提供といいますか、これをなすべきである、このように考えますけれども、これに関しては、長官、いかがですか。長官からひとつお答えをいただきたい。
○国務大臣(大島友治君) 今御指摘になりましたように、今日といえども委員初め御心配をかけているということは、我々責任ある立場においてははっきりとここで明言できるような立場でなけりゃならないんじゃないかと私自身も思いますが、ただいま政府委員の方から説明させたように、六月には国際的な立場からの調査の過程というものについての発表会というかそういうものもございますし、なお突っ込んでこの真実を私ども究明したいと思います。いずれにいたしましても、本日委員の御指摘として、将来に向かってこれは大事なことであることを私も再確認をすると同時に、最大限の努力を払ってこの問題の究明に当たってまいりたい、こう存じておるわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
○中川嘉美君 私は、これらの点を踏まえて、質問の時間さえ十分にあれば日本国内の不安この上ない福島原発あるいは泊原発、浜岡原発、いろいろあるわけですけれども、これらを具体的に取り上げてみたいと思うんですが、時間もありませんのできょうのところはこのチェルノブイリ原発事故の与えたところの教訓、これに基づいてここで二点だけ、安全対策上の提案を含めた政府の見解といいますか、これを伺っておきたい、こういうふうに思うわけです。 その一つは、原子力安全委員会のあり方についてでありますけれども、今までこういう問題はたびたび議論されていますけれども、政府の方針がいま一つあいまいであったということ。それは、国民の不安を解消するという機能を有していると同時に、一方では原発推進という役割、これも担っている。このすき間を埋めるいわゆる原子力安全委員会の責任が重いのは当然ですけれども、特に安全委員会の行動としてまずお聞きしたかったのは、現地での立ち入り審査、さらには場合によっては民意を正しく受けとめながら改善の勧告とかあるいは命令も可能な権限の強化が今や法的に検討されるべきときが来たのじゃないだろうか、このように思いますけれども、この二点についてまずお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(村上健一君) 委員御案内のとおり、原子力安全委員会は、今から十一年ほど前に原子力委員会の安全規制機能を分離するという形で設立された総理大臣の諮問委員会でございます。それで、特に大きな仕事は、実用原子力発電所の場合は所管行政庁であります通産省が審査しました内容をダブルチェックする。その場合、原則的には所管行政庁の審査の結果をチェックするということでございますが、案件によりましては審査に当たりまして法律的に設置しております原子炉安全専門審査会という専門家の審査機関が現地に行って調査をして確かめるということも行っております。それからもう一つは、いわゆる固有の安全性等を中心にする安全問題について公開ヒアリングを行って意見を求め、それを安全審査に参酌するという、こういう大きな二つの役目を持って十一年間やってきておる次第でございます。 それで、当然のことながら、必要があればそれぞれの所管の大臣に直接意見を求める、それから許可するべきか、基準に適合しているか適合していないかということについては、意見を申し述べればそれは所管大臣は十二分に尊重しなければならないことになっております。 それから他方、それ以外のことについては、総理大臣を通して所管の大臣に意見を言うことができる制度になっておりまして、この二つの大きな勧告権等を含めました権限と、それから多くの専門家スタッフの意見を求めて判断を下すという制度で今日までやってきておりまして、目下のところにわかにこの制度を改める必要はないのではないかというふうに考えているところでございます。
○中川嘉美君 時間がないのでこれちょっと詰めるわけにもいきませんが、どうも御答弁がもうひとつぴんとこないものがある。きょうは先ほどの質問を私の意見として一応言いおいておきたい、こう思います。 大きい方の第二点、さっき二つ伺うと言ったが、その大きい方の第二点ですけれども、原子力発電所の事故とか故障の程度をランクするランクづけですね、これさっき出ておりました。これは国際的な評価尺度がIAEAですか、ここで検討されたと聞いておりますけれども、このような国際的統一尺度をつくるとなると事故も過小評価する隠れみのになるんじゃないかというこんな報道もありました。こういう批判も強いようでありますが、我が国では八九年七月からこの事故とかあるいは故障の評価基準をレベル化して、〇から八、全部で九段階になりますが、この尺度を定めていますけれども、先ほど申し上げた国際的な動きに対して、先ほどもちょっと御答弁があったようですけれども、これからどう対応していかれるのか。推進なのか待ちなのか、もう一度ここで改めて確認をしていただきたいと思います。
○政府委員(村上健一君) ただいまお話のございました評価尺度につきましては、国内では原子力発電所につきましては通産省、それからそれ以外の原子力施設につきましては科学技術庁で両者相談して尺度をつくった次第でございます。私どもが国内でやっておりますときに国際原子力機関の方でもこういう国際的な尺度をつくる作業が始まりまして、そこに日本からも専門家を参加させまして策定が行われまして、つい先般一年間の試行ということでこの国際原子力機関の尺度が発表された次第でございます。この評価尺度は、ただいまも御説明申し上げましたように、日本の尺度をつくる作業に参加した専門家の方に御参加いただきましたこともあって、日本の尺度の内容も十分に組み入れられておりまして、確かに一対一、完全に同じものではございませんけれども、両者間に相当の対応関係がございますことから、私どもとしては一義的には私どもがっくりました尺度を運用してまいりたいと思いますけれども、あわせてIAEAで策定、試行が発表されました尺度も用いていきたいというふうに考えているところでございます。
○中川嘉美君 もう数分しかありませんので、ちょっとテーマを変えまして、最後に原子力船の「むつ」ですけれども、きのうの報道によりますと、御承知かと思いますが、「来月七日の出港は困難 原子炉停止原因不明」という書き出しですけれども、このことについて二、三点伺っておきたいと思います。 この記事を読んでいきますと、「二十九日も原因究明作業が行われたが、トラブル発生後二十四時間以上たっても直接の原因は不明で、原因が判明するのは長引く可能性が出てきた。」、まだ記事はさらに続きますが、今回のトラブルの信号でこの原子炉が緊急停止した、こういうことですけれども、その原因は果たして明らかになったのかどうか、この点はどうでしょうか。
○政府委員(村上健一君) 一昨日十六時三十五分ごろ、洋上試験準備運転のために出力上昇を行っておりまして、出力約六%のところで今委員御指摘のとおり原子炉がスクラム、すなわち計画外停止をいたしました。このスクラム信号は、表示によりますと一次冷却水の流量が下がったという信号でスクラムいたしました。スクラムいたしました後、非常給電指令装置等が正常に作動いたしましてポンプは低速運転で回りまして、原子炉は安定的に温態停止の状態に現在至っておりまして、もちろん放射能の放出とかそういうようなことはございませんでした。 ただ、この一次冷却水流量低という信号は実は幾つもの原因の組み合わせになっておりまして、何が原因で一次冷却水流量低という信号が発生して計画外停止になったかということについて原研で現在調査中でございますけれども、当たれるところをとりあえず当たった推定では、いわゆる高圧電源のいわゆる配電盤のあたりに何かふぐあいがあって、その信号が引き金になってポンプの電源がぐあいが悪くなって、ポンプの電源が悪くなったということはポンプの回り方が悪くなるということで一次冷却水の水量が下がるという信号になってスクラムした、こういうようなことで推定しておりまして、確かにまだ一日以上たってはっきりしたことを申し上げられる状態にございませんけれども、現在の事情はそのとおりでございます。 なお、一次冷却水流量が低下したからといって水が漏れているんじゃないかという御心配の向きがございましたけれども、これは現在まで調べたところ、そういうことは全くございません。
○中川嘉美君 今の御答弁で大体わかるんですが、原因の判明まで大体どのぐらいかかりそうですか。
○政府委員(村上健一君) きょうの昼までの原研側の報告によりますと、現時点で私の方から申し上げられる状態にございません。
○中川嘉美君 来月の七日に「むつ」が洋上試験のために出港する予定だった、そうするとこの予定は不可能になったというふうに考えていいわけですか。
○政府委員(村上健一君) 不可能になったかどうかということについては申し上げられませんし、私の方から申し上げるべきことではないと思いますが、私どもとしてはスケジュールを優先することなく、徹底的に原因をよく究明して対応するように原研に指示しているところでございます。
○中川嘉美君 同じような御答弁になるかと思いますが、こうした現状では結局今後の「むつ」の対応をどうするのかという問題、見通しはもうこんなことでは立てられないんじゃないかと思うわけですが、一体どのような対策を講じていかれるのか。今までの御答弁でもう推量せざるを得ないんだが、最後にもう一度これを確認してきょうの質問を終わりたいと思いますが、いかがですか。
○政府委員(緒方謙二郎君) 「むつ」につきましては、これまでの非常に長い過去の歴史、それから最近の出力上昇試験中におきます幾つかのふぐあいについていろいろ御心配をかけておりまして恐縮に存じております。 ただ、「むつ」につきましては、かねてから御説明しておりますように、将来、舶用炉の研究開発を続けていくための貴重なデータとしてぜひ実験航海まで持っていって所期の目的を達成させたいということでございまして、ただもちろん安全最優先でありますから、今安全局長からも答弁がありましたように、スケジュール優先ではなくて安全を確認しながら実験を続けていきたいというふうに考えております。 今回のトラブルにつきましてはまだ原因が究明されておりませんので、断定されておりませんので、それが確定をした段階で所要の措置を講じ、その後に次の段階に進めていく、こういう手順になっていこうかと思っております。
○国務大臣(大島友治君) ちょっと一言だけ。 今具体的には説明させたとおりでございますが、私といたしましてもこの問題はいろいろ長くかかわり合いも持っておりますが、結局今回のことにつきましても決してスケジュールを追うのでなくて、事故の原因究明をはっきりとあくまでも堂々と私の方にも報告させて、こちらから検討してもまさにそれで正しいということを前提に今調査をさせて、いたずらにスケジュールを焦るようなことが絶対にないようにということを私自身も強く関係者、地元に指示をしておりますので、そういう点でひとつ御了承をいただきたい、こう思うんでございます。そして私も、やはり長いかかわり合いの「むつ」の海洋国日本を目的としての何らかのデータをひとつとってみたいというのが念願だったものでございます。
○中川嘉美君 終わります。
○吉川春子君 核燃サイクル施設について質問いたします。 まず、東海再処理工場についてですが、昭和四十九年フランスより技術が導入されて東海再処理工場が建設されました。で、能力は、一日当たり〇・七トン、年間二百十トンで、昭和五十二年より同工場の運転を開始しているわけですけれども、まずその処理総トン数は予定どおり処理されたのか伺います。この十四年間に処理した数字を示していただきたい。それから、年間稼働日数は何日でしたか。事故で停止した日数は何日でした
○政府委員(緒方謙二郎君) 東海再処理工場は、日本におきまして再処理技術を確立するという目的と、それから国内の再処理利用の一部を賄うという二つの目的を持ちまして昭和四十六年から四十九年にかけて建設をいたしまして、昭和五十二年から実際の使用済み燃料を用いたホットの試験を行って、五十六年一月から本格的な運転に入って今日に至っておるものであります。 お尋ねの、始まってから、すなわち五十二年のホット試験から現在まで、ちょっと区切りから申しまして元年度末の数字で申し上げたいと思いますが、平成元年度末までの累積処理量は幾らかということでありますが、これは合計で約四百四十トンになっております。 稼働実績についてのお尋ねがございましたが、平成元年度につきましては稼働日数が百三十五日、トラブル等による停止日数が八日、定期検査等、計画的停止日数二百二十二日ということになってございます。
○吉川春子君 二百二十二日は定期検査ですか。トラブルじゃなくて単純な定期検査でこの日数が停止した、こういうふうにおっしゃるんですか。
○政府委員(緒方謙二郎君) 停止日数は、機器の補修等のためにいわゆるキャンペーンといって実際物を流して処理をするのがございますが、キャンペーン期間以外で停止をした日数であります。
○吉川春子君 稼働日数をはるかに上回る停止日数ですね。それからその処理の実績も、実際にはたびたびストップしたために十分の一程度処理されたにすぎないんじゃないでしょうか。 続いて伺いますけれども、その東海村の実験が始まって放射能漏れの事故など何件、どういうものが起こりましたですか。
○政府委員(緒方謙二郎君) 全体の能力に対して十分の一程度しか動いていないんではないかという御質問でありますが、先ほど申し上げましたように元年度の稼働日数は百三十五日あります。稼働日数というのも実は計算しにくいところがありまして、大きな一連のプロセスでありますから、ある部分がとまっていてある部分が動いているときに、じゃこれは動いているのかとまっているのかというのをどう見るかという問題がありますが、先ほど申し上げた日数は、一部でもとまっているときには他の工程が動いていてもとまったものとして計算をいたしました。シビアな方で申し上げました。ですから、百三十五日は全部動いていたわけです。 それで、累計で四百四十トンというのは確かに決して大きい数字ではありませんけれども、冒頭申し上げましたように、東海再処理工場というのは技術開発という目的と実処理という二つの目的を持った工場でありますので、いわゆる商業プラントとは若干性格が違いますのである程度やむを得ない面があるということも御理解いただきたいと思います。 それから、事故、故障、トラブルのたぐいでありますが、五十二年のホット試験をやって以来、原子炉規制法に基づき事故、故障等として報告された件数というのは十四件ございます。放射能漏れの事故は何件かというお尋ねがありましたが、十四件は必ずしも放射能漏れ事故ということではありません。今申し上げました十四件と申しますのは、原子炉規制法に基づきまして事故、故障等として正式に報告があったものということで御理解をいただきたいと存じます。
○吉川春子君 例えば八九年十月五日、東海再処理工場で沃素129が通常の十倍も放出されていたことがわかり、四日間運転を停止。動燃では、従業員に被曝はなく周辺への影響は無視できるとしていますけれども、運転再開一週間で放出された放射線量は八八年の一年分に相当する。沃素の半減期は千六百万年で、一度放出された放射能はほとんど減らない。科技庁の決めた原子力施設の事故の危険度を示す評価尺度のレベル一になっている。こういうふうに報道されています。 また、八八年九月九日の報道では、動燃東海事業所での再処理工場で一日、作業員六名が被曝した事故の原因は、作業員の単純なミスとわかった。これでプルトニウムの微粒子が舞い上がり七人の手などに付着、うち三人が放射性物質を肺の中に吸い込んだ。八六年六月に同事業所プルトニウム燃料第二開発室でIAEAの査察官ら十二名が被曝した事故に次ぐ大量汚染事故となった。 また、八八年四月三日の報道ですが、東海再処理工場付近の土壌に通常の十倍の濃度で沃素129が蓄積していたことが科技庁放射線医学総合研究所の調査でわかった。東京、秋田の土の四十倍、長野、長崎の土の二百五十倍もの値を示していた。こういうふうに、これは事故でなくても日常的に放射能が放出されるという例なんですけれども、大変なことだと思うんです。 事故続きで運転もたびたびストップした。実験だとおっしゃったけれども、処理実績も非常に少ない。技術的に確立したと言えるのかどうか疑わしい。安全面でもその疑問がいっぱいあるというふうに言えると思います。私は、それにもかかわらず、六ケ所村の核燃処理施設が強行されようとしていることは非常に重要だというふうに思うわけです。 それで伺いますけれども、六ケ所村のその施設の処理能力は、一日四・八トン、年間八百トン。東海工場の七倍。東海工場は一日〇・七トンですから、それと比較すると七倍ということになるんですか。
○政府委員(緒方謙二郎君) 最後の部分にお答えする前に、幾つかの過去の例について数字を挙げて御説明されましたので、若干コメントをさせていただきたいと存じます。 平常値の四十倍とか百倍とか一年分とか、いろいろ非常に大きな数字をおっしゃって、普通の方が聞くとびっくりしてしまうわけでありますけれども、実は先ほどの平成元年十月の沃素の放出につきましては、なるほど平常値に比べて数倍の値が出ているわけでありますが、問題は平常の値でありまして、これは許容線量の要するに数分の一、許容限度に対して極めて低いレベルで実際の操業を行っておりますので、これはふぐあいを生じてその通常のレベルを上回って高いレベルが出たわけでありますが、許容量に比べるとはるかに下でございました。したがって、これはそういう意味でトラブルでございますし、放射性物質が出たという意味でたとえ基準内であっても法令に基づく報告事項にはなっているわけでありますが、法令の限度を超えて出たというものではありません。 前年の実績の百倍とか一年分とかいう数字をたしかおっしゃったように記憶いたしますが、前年の実績といいますのは先ほど申し上げましたように法定許容値よりもはるかに低いところで稼働しておりましたので、かつ残念ながら実は前年は稼働日数が比較的短かったものでございますから、その累積をしたものを超えるというようなことがあったということでありまして、一種の数字の、数字というものをそれだけで議論すると大変ミスリーディングなことになる場合があるという例ではないかと存じております。 その他、お挙げになりました一九八六年のIAEAの査察中に生じた事故、軽微な汚染、これは事実でございます。それから八八年四月のものは、これはナトリウムの漏えい事故でありまして、それ以上のものではございません。それから八八年九月というのは、剪断機の更新作業中に汚染が検出されたというものであります。八九年十月というのは、今申し上げた沃素の放出でございまして、法定の許容値よりは低い数字のものでありました。 さて最後に、お尋ねの六ケ所村で計画をしております再処理工場の能力でありますが、これは年間八百トンという規模でございますので東海村と比較するのは大変難しいのでありますけれども、こちらは稼働日数二百日で計算をいたしますと一日当たり四トンという御指摘になるんだろうと思います。
○吉川春子君 時間がないのでその東海処理工場の問題について詰っ込めないんですけれども、今局長がおっしゃった事故の問題は詳しいデータで出していただけますね。イエスかノーかだけでいいです。
○政府委員(緒方謙二郎君) これは既に申し上げたような点については発表済みでございます。
○吉川春子君 じゃ出せますね。
○政府委員(緒方謙二郎君) 私どもその都度プレス発表をいたしておりますので、それを必要ということでありましたらお届けいたします。
○吉川春子君 じゃ、そうしてください。 その商業用で六ケ所村の予定している処理能力というのは世界最大ということになるんですけれども、こういう例はほかにあるんですか。
○政府委員(緒方謙二郎君) 海外でありますが、いろんな比較ができるんで大きな数字を申し上げることも可能なんですが、軽水炉の燃料を処理するという点で対等のもので比較をしたいと思いますが、フランスの核燃料公社、COGEMAと言っておりますが、これがラアーグに設置しておりますUP2という工場は年間の能力が四百トンということでございます。一九七六年から操業をやっておりまして、自来十数年運転をしております。合計処理量二千九百トンというような実績を上げております。この工場は九二年運転開始を目途に年間八百トンに処理能力を増強する工事をやっているところでございますので、九二年になりますとUP2は年間八百トンということになります。 さらに、同じラアーグでございますが、UP3という工場が部分的に今動き始めております。こちらの能力は年間処理能力八百トンということになっております。八九年の十一月に一部前処理工程を除いて運転を開始いたしまして、九〇年の八月ごろに全面運転開始の予定になっております。 他方、イギリスでありますが、イギリスはセラフィールドに既にガス炉関係の大きな処理施設は持っておりますが、軽水炉関係につきましては一九九二年の運転開始を目標に年間処理能力千二百トンのプラント、THORPという略称で呼ばれている工場を現在建設中であります。 そういう中で、六ケ所村は八百トンということで世界的な同じようなレベルというふうに御理解いただければよろしいかと思います。
○吉川春子君 例えば、ラアーグのUP3に使うタンクの積みおろしの際に、タンクの一つを落としてしまったという事故があった。このタンクを調べたところ、UP3の溶解槽の二基のうち一基に亀裂が見つかったほか、STE3のタンク五基にも亀裂が見つかった。フランスの原子力安全当局の報告書によれば、工場が運転中であったとしたら放射能性の溶液十五万テラベクレル、四百五万キュリーがタンクから漏れる危険性があった。こういうふうになっているわけなんです。 六ケ所村の処理施設について、世界有数、世界最大という規模なんですけれども、燃焼度が最高五万五千、平均四万五千MWDトン当たりとなります。燃焼度増によるプルトニウム含有量の増加、比放射能の増加によって材料の腐食の促進などさまざまな問題が生じるわけです。東海村にない新しい装置も導入されるわけですけれども、パルスカラム、連続式溶解槽、遠心清澄機等ですけれども、これらについての実験、実用の実績があるんでしょうか。データを示していただきたいと思います。
○政府委員(緒方謙二郎君) UP3について……
○吉川春子君 いいです、ちょっと時間がないから、UP3は。
○政府委員(緒方謙二郎君) 取り落としの事故というのはちょっと私ども承知をしてないんでございますが、溶解槽についてひび割れが発見されてUP3で処理をしているということはそのとおりでございまして、むしろこれらの経験は六ケ所村にそのまま生かされることになりますので、そこが改善された状態でやることになります。また、東海村におきます再処理で、先ほど申し上げましたように総トン数は少ないわけでありますけれども、これまで安全に処理をしてきた実績があるわけでありますから、これらの実績というものも六ケ所村の再処理工場の稼働に使われていくことになるわけであります。 その他若干技術的な御質問がありましたが、それらの安全性につきましては、これは安全審査において技術的な指導に基づいて、専門の行政当局さらには安全委員会がダブルチェックで詳細に検討するわけでありますので、私があれこれ申すよりは、そちらの専門家のそういう法律に従った安全審査に任せたいと存じております。申請書の書類は既に公表され、閲覧に供されていることは御案内のとおりでございます。
○吉川春子君 その新しい装置の導入がされるわけですけれども、これらについて実験、実用のデータを提出していただけますか。
○政府委員(緒方謙二郎君) 新しいものについてということでございますが、それらのものにつきましては、先ほど来いろいろ挙げました内外のプラントの設計の経験あるいは操業の経験等を生かしまして、経験豊富な日本国内のメーカーが十分に安全性を考慮してそれらの設計、製作に当たっているものでありまして、これらのメーカーでは実機の製作に先立って実規模の溶解槽を製作して必要な確証試験も行うこととしているわけであります。 これらのデータはそれぞれのメーカーの社内的なデータということでありますので、それをそのまま私どもが出すとか出さないとかいう立場にはないものと思いますが、それらの結果に基づいて安全審査の申請書類が出てくるわけでありまして、安全審査の申請書類というものが閲覧に供されているということは先ほど答弁申し上げたとおりであります。
○吉川春子君 会社が出してくるものは全部信ぜよ、もとのデータは出せないと、こういうことですか。
○政府委員(緒方謙二郎君) 国が審査をいたしますのは、申請をしてまいります設計について審査をするわけであります。その会社が設計をするに当たっていろいろ蓄積をしたその会社なりなんなりの技術的なノーハウ、技術というものをフルに駆使してやるわけでありますから、いわばこれはそれぞれの企業の法律によって保護されるべき知的財産権といいましょうか、そういうものに触れるものもありましょうし、もちろん触れないものもあるかもしれませんが、それぞれの特許なりノーハウなり技術的な知見というものでありますから、それを国が会社に命じて出させるというような性格のものではないということは御理解いただけるのではないかと思います。国が安全審査に必要な限度において国は必要なデータをチェックするわけでありまして、それによって安全性の確保というものは担保されていくということになるのではないかと思っております。
○吉川春子君 それはおかしいですね。一企業の問題じゃないわけですよ。これによって周辺の住民とかが万一の事故の場合には物すごい広範囲な被害を受けるわけで、そういうものが安全かどうかということを知る権利は国民にありますし、特許だとかなんとかと、そういうことを理由にしてこういうデータも出せないというのはやっぱり安全性に自信がないからだと思うんです。 科学技術庁長官に伺います。 その安全性についてですけれども、自然界にも放射能は存在するわけで、どんな微量の放射能も遺伝子への影響、発がん性はあるわけです。放射線は少ないほどいいと思います。したがって、放射能、放射線を安全に管理することが極めて重要と思いますけれども、大臣の認識はいかがです
○国務大臣(大島友治君) ただいまの御質問でございますが、我が国の原子力の施設については周辺住民の被曝が一ミリシーベルト以下になるように法令によって規制がなされておりまして、これにより十分な安全確保を図っているということでございます。そこで、この法令に基づく規制に加えて、放射線によるすべての被曝を合理的に達成できる限り低くする、こういう考え方に基づきまして従来から国及び事業者は放射性物質の放出低減化ということに努めてきておるのでございます。今後ともこのような放射線防護の基本的考え方に基づいて、原子力施設の安全確保に私としては万全を期してやっていきたい、こう考えておるものでございます。
○吉川春子君 六ケ所村のその処理施設から大気中、あるいは排水される中の放射性物質はどういうものがあるんですか。
○政府委員(村上健一君) 御案内のとおり、現在安全審査中でございますので、現実にどれだけ出るか、それから申請された量がいわゆる安全審査上の立場から正当なものであるかどうかということについては、もちろんこの時点で申し上げることはできません。ただ、先ほど原子力局長が申し上げましたように、申請書に申請者が想定しております放射性物質の種類と量が記載されております。 例えば、大気中に放出される予定のもので申し上げますと、これ一例でございますが、クリプトン85というものは、古い単位で恐縮でございますがキュリーで申し上げますと、年間約九百万キュリー放出するというふうに申請書に記述してございます。また、海洋に対しましてはトリチウムでございますが、これもキュリーでございますが、約五十万キュリーを放出するということになっておりまして、大気中、海洋、いずれも法令に定められた一般公衆に対する線量当量限度を下回るということで申請してありまして、私どもは今その妥当性について審査を行っているところでございます。
○吉川春子君 そのトリチウム、クリプトンは、放射能レベルを下げないでそのまま放出されるわけですけれども、これはまだ技術的に未確立だ、こういうことですね。
○政府委員(村上健一君) クリプトンは、いわゆる希ガスというふうに分類されておりますガスでございまして、いわゆる何とも化合しないで、放出されれば大気中に拡散されて、結果的には人間生活に大きな支障を与えないということで、各国ともいわゆる放出を承認、認められておるものでございます。それから、トリチウムは水の一つでございますので、いわゆる物理的には水と一緒でございまして、これもいわゆる、何といいますか、取ってしまって消滅させるというようなことはしないで出しておるものでございます。
○吉川春子君 放射能レベルを下げる技術も開発されないそういうものをそのまま放出させるということは、環境への影響、人体への影響を考えると、とても危険だと思うんですね。そういう点からも、やっぱり放射能の害をなるべくなくするように最善を尽くすという意味をおっしゃった大臣の答弁とも矛盾するんじゃないかと思うんです。 時間の関係で、三沢基地との関係について最後にお伺いいたしますけれども、御承知のように、三十キロから四十キロ南の方に米軍三沢基地があるわけですけれども、ここは日常的に飛行訓練が行われている。世界でも有数の欠陥機であるF16もいるわけですね。年じゅうおっこちる飛行機がいるわけなんです。処理施設に航空機が墜落した場合に大変な被害が出るということが予想されていますけれども、なぜこういう米軍の三沢基地があるような、私たちどこへつくるのも危険で反対なんですけれども、とりわけこういう危険なところにこういう施設をつくるというのはけしからぬと思いますけれども、どうですか。
○政府委員(緒方謙二郎君) 核燃料サイクルの立地地点の選定に当たってどういう基準で選定をするかという問題かと思いますが、一般的に申しまして、十分広い敷地が確保されて、施設の建設、運転に必要な資材とか機材の運搬ができてというような一般的なめどがあろうかと思います。経済性その他についても同様のことがあろうかと思いますが……
○吉川春子君 航空機との関係だけでいいです。済みません、時間で。
○政府委員(緒方謙二郎君) はい。それで、そういう点から六ケ所村について事業者がお願いをしたということであろうと思います。 さて、国の立場でこれについてどう考えるかということでありますが、国の立場で航空機が近くを飛ぶからどうかということではなくて、それが安全上問題であるのかないのかという点がポイントであります。 そこで、その点については国が行政庁審査、さらには安全委員会におけるダブルチェックで安全性のチェックをやるわけでありまして、その安全性が確認された後に初めて事業が許可される、こういうことになっているわけでございます。空港までは三十キロ程度離れておりますし、演習をしております地点までも十キロ以上離れておりまして、別の機会に国会でもお答えをさせていただいておりますけれども、米軍の演習しております、訓練をしております地域というのは、南の方にあります鷹架沼のさらに南方を東西方向に航空機が急降下することによって訓練をしているわけでありまして、サイトがございます尾駮沼の周辺というものとは距離的にかなり離れている。それが安全であるかどうかということの評価は安全委員会でチェックをする、こういうようなやり方でやっているわけでございます。
○吉川春子君 ウラン濃縮工場が許可されて建設にかかっているわけですけれども、このときに航空機の事故の問題で実験をされたその報告書を拝見いたしました。そうしましたら、この航空機は空を飛ばずに地上をレールの上で走って、しかも五百数十キロの速度で衝突した。しかも、燃料は積んでいないで、水を積んでやった。だから、これでやったから耐えられるというようなことでウラン濃縮工場の方も許可されたと思いますけれども、とんでもないことだと思うんですよね。何で空を飛んでやらないんですか。地上にレールを敷いて飛行機をぶつけてそれで耐えられるなんということはあり得ないし、なぜ燃料を積まないで水でやったんですか。そういうことには耐えられないから、そういういいかげんな実験をやったんじゃないんですか。時間がないですから端的に答えてください。
○政府委員(村上健一君) 実験の目的を御説明申し上げます。 航空機衝突に対する施設の健全性評価については、大きく二つの角度から検討することになっておりまして……
○吉川春子君 いや、簡単でいいですよ。
○委員長(中西珠子君) 時間が参りましたので、簡潔に願います。
○政府委員(村上健一君) 一つは、いわゆる飛行機が鉄筋コンクリート等に全体的な損傷を与えるか与えないか、それから固いエンジンみたいなものが貫通するか貫通しないかというような観点から検討するわけでございますが、そのために計算式があるわけでございます。この計算式が妥当かどうかということを飛行機を使って実験をした。したがって、実験すべき飛行機が上を飛んでおる必要はなかったということは、結局、式を検討するために衝突実験をやったということでございますので、この検証のための基礎データが得られれば、何も上を飛んでいるものから全部やらなくてはいけないということでなかったということで、幾つも実験をやっておりますのでいろいろ御説明したいと思いますが、とりあえずのところは実験の目的からはそうでなかったということでございます。
○吉川春子君 では水はどうですか。燃料じゃなくて、水。
○政府委員(村上健一君) 水は重さの観点、要するに衝突というのはエネルギーの問題でございますので、燃料の重さでも水の重さでも、重さが同じ場合には同じということというふうに御理解いただきたいと思います。
○吉川春子君 ちょっと委員長、済みません。これで終わります。
○委員長(中西珠子君) 時間ですから、まとめてください。
○吉川春子君 追及できないのは残念ですけれども、航空機の事故に耐えられる施設かどうかというのを実験するのに、地上を走って、しかも燃料は積まないで水でやる、こんなので、水を積んでいたら爆発もしませんよね。火事だって起きませんでしょう。そういうようないいかげんなデータで、これは数式を求めるためだなんというのは全然理由にならないんですね。ですから、やはり米軍基地との関係からいっても、こういうところに危険な施設はつくるべきじゃない、時間がありませんので、私はこれを最後に申し上げて質問を終わります。
○新坂一雄君 連合参議院の新坂でございますが、きょうは科学技術行政のベテランの長官にお越しいただきまして、しばらく論議を深めること、大変幸いに存じております。 本年度の所信表明でも、原子力行政の推進あるいは原子力の開発に伴う安全のチェックの重点施策というのが中に入っておりますが、それを重点的に質疑していきたい、こう思っております。 まず、原子力発電でございますけれども、四十一年以来商業用に供給を開始して、年々供給量がふえて、大まかな言葉で言いますと、今大体三分の一ぐらいの供給をしているということでございますが、それとともに年間二十件から三十件の発電のトラブルがあるということでございます。 去年の一月に起こりました東京電力の福島第二原子力発電所、これについて原子力の安全性について大変信頼を失っているんじゃないかという観点からいろいろな論議がされております。この原子力発電の安全性確保ということで、東京電力の事故をめぐりまして、まず長官はどういうふうにこれを見ておられるかというのを最初お聞きし、かつ原子力安全委員会のまとめ役であります原子力安全局長さんですか、この事故に対する調査結果をどういうふうに認識されておるかというのをまずお伺いしたい、こういうことです。まず長官にお願いします。
○国務大臣(大島友治君) あれは昨年の正月だったでしょうか、私聞いておるわけでございますが、この福島の原子力発電の三号機でございましたか、事故の問題ですね。私もかねてよりこの問題については、この問題というか原子力発電については関心を持っておったもので、後でこういう立場になって聞いてみまして、どこかやっぱり気の緩みでもあったんじゃなかろうかと、はっきり言って。だから、そういう点は私ども口で安全大前提でやると言っても、どこか人間的な気持ちの緩みというものは恐ろしいものじゃないかなというような感じを率直に感じておりまして、この問題については厳重に経過を承知した上で、と申しましても、直接は通産省の方の所管でやってきたとはいっても、これは人ごとのように考えるべきではないという意識でこれも取り扱ってまいりたい、こう考えておるのが私の気持ちでございます。 きょうは予算委員会におきましても御承知のようにこの問題が取り上げられてきて、一段落はしておりますけれども、重ねて私ども十分自覚してやってまいりたい、こう思っております。 細かいことにつきましてはまた政府委員の方から。
○政府委員(村上健一君) 原子力安全委員会の見解を御説明申し上げます。 原子炉再循環ポンプ損傷事象に関しましては、通商産業省より平成元年八月二十一日にいわゆる公式の調査状況について報告を受けまして、また本年二月二十二日には、御案内の原因と対策に関する調査結果について正式に報告を受けたところでございます。 内容については通産省の方から後ほど御説明があるかと思いますので省略さしていただきますけれども、安全委員会といたしましては従来から、本件のみならず諸般の原子力施設の故障、トラブル等については同じような事象を二度と起こさないというような立場で、必要に応じて行政庁に物を申すことをやってきておりまして、本件事象につきましての見解としては、環境への放射性物質の放出を伴うものではないが、原子炉施設の冷却材の再循環系におけるポンプの破損を伴う重大な事象であるというふうに認識しておりまして、昨年委員長が参議院の予算委員会でも見解を披瀝したところでございますが、今後通商産業省が行う健全性等の評価も踏まえて慎重に検討の上、必要に応じて通商産業省に物を申していきたい、こういうのが原子力安全委員会の見解でございます。
○新坂一雄君 今承りました安全対策、それから今ある法律規則の中で十分安全を期しているんだということでございます。安全の上にも安全というのはよく事故の起こるたびに言われることでございますけれども、このシステムとかあるいは規則の方法といいますか、要するに規則は規則なんですが、柔軟な対応というのがやはり臨機応変にとられてしかるべきときもあるんじゃないかなという気がいたします。 それで、長官おられますので、政治姿勢も含めてちょっと論議をしてみたいと思うんでございますが、今ここに私特っておりますのは、グリーンのこれが平成二年二月の資源エネルギー庁が出しました事故調査報告、これが最終版になるかと思うんですけれども、これは今原子力安全局長もおっしゃったように、「原子炉再循環ポンプ損傷事象について」というふうになっているんですね。これはなぜポンプ損傷事故についてというふうに報告できないものか。いわゆる事象といいますのは、やっぱりチョウチョウが菜の花畑に飛んでいる、これも事象でございます。私の申したいのは、一般の市氏とかあるいはサラリーマンが、原子力行政は非常に安全を図っておりますよと言いながら、事故が起こった場合の、例えばこういうタイトル一つにしても、大変何かうやむやになるような言葉を専門用語として使っているんじゃないかという気がするものですから、気がかりな点を三、四点お伺いしたい、こういう気持ちでございます。 したがって、損傷事故でいいのをなぜ事象にするかというような、言葉の何というんですか、考え方というか姿勢がちょっとよくわからないのでございますが、これはどなたがお答えしていただけますか。
○説明員(倉重有幸君) 先生御指摘の今回の「福島第二原子力発電所3号機の原子炉再循環ポンプ損傷事象について」という二月の資源エネルギー庁の報告書についてでございますが、一般的に私ども、事故、故障、トラブル、いろいろ言葉があるわけでございますけれども、その言葉の定義というのは必ずしも明確なものではないと思います。事象という表現は、これらの言葉を包括的にあらわしたものでございまして、その意味では事象というものは広いということで、事故も当然含まれるというふうに考えております。意図的に、私ども、この事故を隠すためにこの事象という言葉を使ったわけではございませんで、広い概念ということで事象という言葉をたまたま使っているわけでございます。先生御指摘のように、この事象という言葉を事故というふうに置きかえていただいても、それは政府としては構わないというふうに考えておる次第でございます。
○新坂一雄君 ひとえにこれは事故も幅広い意味で入っているんだという解釈を今説明されました。しかし、タイトルそのものがあらわす意味、そういう幅広い中であらわすんだと今御釈明のような感じで聞いたんでございますけれども、今後やっぱりストレートに事故は事故という形で処理していただきたい。その処理というのがやはりこういうレポート、報告書一つにもかかわってくる政治姿勢の問題だと思います。そこにやはり国民の原子力安全に対する信頼性ということがかかってくる問題でございますのでひとつ意見を申し述べたい、こういうふうに思っております。 それから、気になりますものは、きのうから出ております、この中にあります、この事故が起こってから調査委員会ということで原子力発電技術顧問会の中で特別委員会をつくったということでございます。これは特別委員会は七回、現地調査、工場調査を行って十四回会合が開かれた、こういうふうに書いております。こういうふうに書かれますと、それではこの会の中身は何だったんですかというふうに聞きたくなります。これはここに書いてある趣旨は、私思いますのに、多分念入りに現地調査あるいは会合をやったという意味合いで何回やったというふうに重ねて書いてあるんだと思います。したがって、公式に会議を、席を開いて議事録をとってやったというような意味ではないというふうに私は解釈しておるんですが、いかがでございましょうか。
○説明員(倉重有幸君) 資源エネルギー庁としましては、原子力の安全問題につきましては非常に専門的等ございまして、場合によりまして、必要に応じまして学者のコメント、それから研究者のコメント等専門家の意見を反映させながら私どもは行政判断をしているわけでございます。そういう意味で、今回の福島第二の三号機のトラブルにつきましても、非常に専門的なものでございますから、そういう面で専門家のお知恵も拝借した上で私どもとしては原因を究明した次第でございます。
○新坂一雄君 もう一つ気がかりなのは、特別委員会のメンバーの中に――実際はポンプが故障しているということでございますが、直接のポンプではなくて、原子力発電のポンプの信頼性の実証ということで実験をしております。この実験をしたときに、このポンプがいいということで認めた方がまたこの特別委員会の事故の調査委員会のメンバーになっているということで、いわゆるこのポンプを認めた人と実際事故を起こしてまたそれをチェックするということのダブった方がいるということは、何か事故の調査そのものが客観性に果たして妥当するのかどうかというようなことを何となく思いたくなるようなことにならないように大変気をつけていただきたいというふうなのが私の意見でございます。 それからもう一つは、この最終報告書によりますと、一月一日以降のデータは詳細に書かれておりますが、そのポンプが事故発生以前の十二月の段階で、これは病気と同じでございますが、一月一日突然に事故が起こるんじゃなくて、前兆があって一月一日に起こったというふうに考えるのが普通常識だと思います。私がこれ不思議に思って、十二月のときの循環ポンプについての稼働状況というのをちょっとデータで要求いたしまして出してもらったのがありますが、既に十二月にこの循環ポンプでは、とめたり動いたり、とめたり動いたり、とめたり動いたり、三回あります。こういうような前兆と思われるようなことが、常識的には三回もとめたり動いたりすることがおかしいんじゃないかということを思うのでございますけれども、こういうデータがこの中に入ってきていない、最終報告書の中に。その辺がちょっとまた気がかりでございます。これはどういうことでございますか。
○説明員(倉重有幸君) まず第一点のポンプの信頼性実証試験というものでございますけれども、これは、資源エネルギー庁としましては、昭和五十二年度から昭和五十八年度まで国の委託で実施したものでございます。当初、目的はポンプのシール部、構造部材の健全性を実証することでありまして、問題となっております水中軸受けリング溶接部の健全性の評価はこの実証試験の目的外であったわけでございます。 この実証試験を遂行するに当たりまして委員会を設けておりますが、その委員会のメンバーと、今回私ども専門家の意見を聞くために顧問会の中に福島第二原子力発電所三号機調査特別委員会を設置したわけでございますが、そのメンバーがダブっておるという御指摘でございます。これにつきましては、事実一部の先生はダブっておるわけでございますけれども、それぞれの専門家は原子力関係、機械関係で非常にその道の第一人者でございますので、お知恵を拝借するという意味では特に問題となるとは考えておりません。 それから後段の、二点目の御指摘でございますが、十二月にポンプが三回とまっているというお話でございます。 このポンプがとまった原因でございますけれども、十二月には実は原子炉がとまるトラブルが当該プラントにおきまして二回発生したわけでございます。十二月の三日に中性子束高ということで自動停止をいたしました。それからもう一つは、十二月の十二日に主蒸気弁作動ふぐあいにより原子炉を停止したわけでございます。それぞれのトラブルがありまして、それをチェックするために実はポンプを停止するということがあったわけでございます。 先生御指摘の三回でございますが、その十二月三日の中性子束高の自動停止のトラブルにつきましては、制御回路の点検とかケーブル端子の点検のため二回ほどとめております。 それから、十二日の主蒸気弁の作動ふぐあいによりまして原子炉をとめたわけでございますが、それは類似弁の作動確認の一環で、実はこのポンプの出入り口の両方の弁を点検をするためにとめたというものでございます。 このトラブルがこの当該二F三の再循環ポンプの損傷事象と関係があるかないかということも、私ども詳細に調べまして検討した結果、これらは今回のトラブルとは関係ないということでございまして、この報告書には今のような形に取りまとめた次第でございます。
○新坂一雄君 あと気がかりなのは、この再循環ポンプの事故が、トラブルが既に二度も起こっている。それで、この事故が起こったのは去年の一月でございますが、その前の年の七月に同じ型の再循環ポンプがトラブルを起こしたということですので、対策を講じなさいということで東電にたしか指示されたというふうに聞いておりますが、その七月に指示されたやつが、結局トラブルを起こす、事故を起こす一月までそのままの状態であったということでございますが、この二度の教訓が生かされてないということで、なおかつ、安全を図りなさいとどういうふうな指示をしているのかということでございますが、その点いかがです
○説明員(倉重有幸君) 先生御指摘の二度の損傷事象と申しますか、類似の事象があったわけでございまして、その事象に対しまして対策をとったわけでございます。 福島第二原子力発電所一号機の再循環ポンプの水中軸受けは、実は強度上十分に余裕がありまして、かつ検査により溶接不良を検出できる完全溶け込み型のそういう溶接型のものに取りかえを実施したわけでございます。当該トラブルが発生したプラントでございます。 そのほかのプラントにつきましては、出力の大きい百十万キロワット級のプラントにつきましては、過去の健全性を確認されたもの、これは分解点検等いろいろ定期的にやっているわけでございますが、その確認されたものを除きまして、一番近い定期検査のときに取りかえるよう、それから過去に点検済みのものの百十万キロワット級のプラントにつきましては、それからそのほかのプラントにつきましては、一番近い分解点検のときに同様に取りかえるようにということで、昭和六十三年の十月に指導したところでございます。
○新坂一雄君 六十三年十月に指導したんですか。七月にそういうトラブルがあって、十月までほうっておいたわけですか。七月に二回目の事故があったでしょう。二度の教訓を生かせなかったということで、このトラブルが二度目にあったのは六十三年七月でしょう。その七月にトラブルがあったのを十月までほうっておいたわけですか。
○説明員(倉重有幸君) 類似の事象ということで先生御指摘のトラブルでございますが、実は五十九年の十一月とそれから六十三年の七月にあったわけでございます。 六十三年の七月に入りまして原因を究明しまして、その究明をした結果、プレス発表したのが実は十月でございます。ですから、しっかりとした原因究明して対策を確定したのが十月ということでございまして、それを受けて各電力会社に指導したわけでございます。
○新坂一雄君 ですから、七月にトラブルが発生して三カ月間そのままの状態だったわけですね、十月に対策を講じたということは。それでその十月に、要するに接着というか、溶接のところがぐあい悪いということなのでそれを徹底しなさいということだったと思いますけれども、結局、このトラブルの発生から少しずつおくれた対策になってきた結果、十月の指示が一月の定期検査までそのまま運転してしまったという結果になってしまっているわけでございますが、こういう指示はしたしないというのは、それは結果的に指示はしているでしょうけれども、タイミングが、そういうトラブルを警戒されているにかかわらず、行政的な指導というのが何カ月かおくれたためにその分だけ後ろ後ろになってしまっているということも、間接的ではございますけれども、事故のための誘因の一つになっているんじゃないかという気がかりな点がございます。 それから、大島大臣から、人為的な緩みというようなものがあったんじゃないかという指摘がございましたけれども、やはり最終的には人間の判断、あるいは操作ミスというのが一月一日の時点のあの事故についてはよく言われることでございます。それから、そういう行政上のタイミングの合った指導といいますか、それとやはり現場での警報が鳴っているにもかかわらずそのまま押し切ってしまうというようなこと、あるいは十二月に連続してポンプが三度も停止せざるを得ないような状況があったというようなもろもろの条件が重なって事故を誘発しているんじゃないかという気がいたします。 そういう意味では、この二月に最終報告が出たということで、各現場といいますか事業所にはどういう対策をお打ちになっているわけですか。
○説明員(倉重有幸君) 当該プラントのトラブルにつきまして、事故の原因を究明し、その再発防止対策を確定したものということでこの二月に発表したわけでございます。当然、それに伴いまして当事者であります東京電力に対しましては、当該水中軸受けを取りかえる、それから運転マニュアルの改善、安全意識の向上等々再発防止対策を講じるように指示したわけでございます。それから、他の電力会社にも同様の措置をとるようにということで、同じ日に文書で指示をしているところでございます。
○新坂一雄君 細かいことなんですけれども、安全についての指示を事故のたびにやったとお話しになりますけれども、例えばこの一月一日の事故については、現場におる通産省の監督に当たる方がこの事故についての報告、異常なことの報告を聞いたのは一月六日であったというお話がありまして、通産省としては、一月六日の事故報告があるまで現場にいる人は知らなかったということでその後の対策を講じたということでございます。 したがって、こういう事故のことを聞かなかったから対策を打てなかったというのではなくて、きょうは異常現象がなかったかと毎日でも逆に通産省の方から現場のところに問い合わせるというような姿勢が、双方向でもってチェックしていくような心構えでないと――現場から異常がなかったから知らなかっただけで事故がそのまま通ってしまうというようなことではなくて、もっと積極的に現場にいる監督の立場の通産省の人はやるべきではないかというふうに思います。それが双方向にチェックし合って初めて異常か異常でないかというのは相乗効果を上げるということもございましょう。したがって、人為的な事故にならなかったからいいようなものの、規則ではそうなっております、そのとおりやっておりますけれども事故が起きていますというようなことでは、一般市民の感覚としては、何か原子力行政は安全で大丈夫ですというようなことが片方で宣伝されながら、片方ではそういうことが相変わらず起こっているということに対する不信感につながりやすいことになりますので、そういうところは今後見直しをしていただきたいなというふうに思っております。いかがですか。
○説明員(倉重有幸君) 先生御指摘の点、ごもっともな点がございます。 私ども発電所に運転管理専門官というものを、通産省の職員でございますが、常駐させまして運転管理をさせておるわけでございます。先生御指摘の、やっぱり基本になるのは、事業者からの異常があった場合の報告、それがベースになるかと思いますが、それをチェックする意味で、当然運転管理専門官は中央制御室、それからそれ以外にもパトロールをして補完する形でチェックするということを実は現在もしているわけでございます。先生御指摘のようなこともございましたので、またさらにそういう点では私ども心していきたいと考えております。 ただ一点だけ。専門官への当該プラントのトラブルの連絡が一月六日という御指摘でございましたけれども、異常があったという連絡は一月五日の午前ということで聞いております。
○新坂一雄君 五日。わかりました。
○委員長(中西珠子君) 時間ですからまとめていただけますか。
○新坂一雄君 あと一点。今、非常に気がかりな点をこの最終リポートについてお聞きしたわけですけれども、要はやはり安全だということの信頼度、もちろん事故は起こるものでございますけれども、その事故が起こったときに、やはりガラス張りの原子力安全行政といいますか、こういうことでこうだということをできるだけ早く一般市民に知らせるという意味での、ソフトな考えでもってこれからの行政を進めていただきたい、こういうふうに思って長官にお願いして終わりたいと思います。
○国務大臣(大島友治君) ただいまの御質問の経過をお聞きしていましても、結局こういう問題については本当にガラス張りで物事をとらえて表明し、そして国民の本当の信頼を得ることがまず第一だというお考えのもとに先ほど来の御質問もあったと思うのでございますので、当然のことと私も理解してそのように今後やってまいりたいということでございますので、ひとつ御了解をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小西博行君 朝から原子力の問題についていろいろ同僚の議員から御質問がございまして、私自身も大変勉強になったわけでございます。この科学技術特別委員会では原子力の問題についてもう長年いろんな形で議論を積み重ねてきております。そういう意味では、日本の将来のエネルギーを考えた場合に、現在の段階ではどうしてもこの原子力に頼らなきゃいけないという、そういう一つの大きな目標もあろうかと思うんです。その結果が三〇%と。そのほかの太陽その他をいろんな実験という形で今日までやっておられますが、なかなか現実のものにはならない、こういう状況があろうかと思います。 そして、また今同僚の議員から事故という問題がございまして、それもいろいろ整理をしてみますと、例えば冷却水のパイプが破損したとか、水漏れですね、こういう問題が割合多いわけです。したがって、もう前々からそういうものに対しての溶接の問題とか、あるいは材料に対しての経年変化によっての脆性の発生というようないろんな基礎的な議論もされてまいりまして、そういうものをメーカーもあるいは科学技術庁も相当いろんな形で研究されていると思うんですが、やっぱり依然として同種類の事故が発生している。 それから、もう一つ私思いますのに、やっぱり検査機能であるとか、問題点が起こったときにどのように対処するかという――実際に我々が原子力発電所を見学に行きますと、かなり作業そのものが標準化されておりまして、言葉で表現しながら運転をやっている。そういう意味では、確かに立派な標準書もできているんだなというふうに思うんですが、かえってそのことが、うっかりすると見逃してしまう、なれてしまう、こういうところが私は非常に大切な問題ではないかなと。だから、人間というのは最初は目新しいものに随分刺激を感じるわけでありますが、同じようなことが何回も続きますと刺激にならなくなる。したがって、企業の中でもそういう刺激を次々新しく開発していかないと同種の問題というのがこれからも起こってくるんじゃないかというようなことで、先ほどの通産省の方から中へ入っていろいろチェックするというのも一つの方法でしょうし、何かそういう新しい一つのチェックのシステムというんでしょうか、こういうものをもう開発しなければいけない時期に来ているのかな、そのようにも私は思います。 きょうは特に時間も少ないわけですが、日仏原子力協定というのがございます。これはもう皆さんも御承知のように、日本のエネルギー、特に原子力ということになりますと、核のリサイクルという、核を、ウランを使って今度はプルトニウムに再生する、こういうものが完全にならなければ原子力全体というものは完璧ではないというふうに私も思っておりまして、ちょうど来年この日仏の原子力協定が切れる。したがって、新しく協定をし直すということになっているというふうに聞いております。その中で多少いろんな面が変わるのじゃないか、そういうふうに思いますけれども、まず改定する場合の内容、中身、そういうものを知らせていただきたいというふうに思います。もし現在の協定そのものが非常に不都合だというような面があったらどういう面が不都合なのか、この点をまずお願いしたい。
○説明員(貞岡義幸君) お答えします。 今次改正の焦点でございますが、六つございます。 一つは、協定に基づきまして移転された核物質等につきまして、平和的非爆発目的のみに使用されることになります。それから二番目が、協定の適用を受けます核物質に適切な防護措置がとられることになります。三番目が、日仏それぞれとIAEAとの間において保障措置協定が締結されましたので、そのような枠組みで保障措置が適用されることになります。四番目が、協定の対象となります核物質につきまして、事前通告制を導入しました。五番目が、仲裁手続を設けました。それから最後でございますが、機微な技術に関する規定を導入しました。 そこで、先生御質問の何ゆえに協定を改正しなければいけないかでございますけれども、現行協定は十八年前に締結されました。それ以降我が国につきましては核防条約に加入をいたしました。それからIAEAとの間で保障措置協定を締結しました。それからフランスもユーラトム、欧州原子力協同体でございますが、これとIAEAとの間で保障措置協定を締結しました。それから国際的な話でございますが、昭和四十九年にインドが核爆発実験を行いまして、それを契機にしまして各国による核拡散防止政策の強化ということがとられました。 このような原子力分野におきます核拡散防止という国際的な動き、こういうものを背景として、それからまた現在の日仏間の原子力分野における協力関係の実態等にかんがみまして、現行協定を改正することにいたしました。 以上でございます。
○小西博行君 したがって、今までの協定の中でも平和目的の使用というのをうたっているのが、今度は非爆発目的の使用、こういうふうな歯どめをかけているんですけれども、私が考えるのに平和目的ということで十分ではないかなと。インドがそういう原爆実験を行ったということ自体が大変違反行為じゃないかというふうに私は思うんですが、その辺の解釈はどうなんでしょうかね。
○説明員(貞岡義幸君) 先生御指摘のとおり、現行協定下でも爆発を目的とすることは許されておりません。しかしながら、インドの核実験の経緯がございましたので、念のために誤解のないように今度の協定の改正で明確化するという次第で改定したわけでございます。
○小西博行君 それでは、インドはそういう違反行為を起こしたんだからこの協定はしてないんですか。だから、現在はもう外れているということに理解していいんでしょうか。
○説明員(貞岡義幸君) インドはそもそもNPT条約に入っておりません。それで、ここの現在御議論いただいております日仏協定でございますが、日仏間の核物質技術等の移転についての規制を行うのでございまして、インドの核実験は日仏両国とは要するに何ら関係がない理由で行われたものでございます。
○小西博行君 それでは次に移りますが、管轄外の移転規制の規定が設けられておりますですね。この場合にどの程度の技術までが規制の対象になるかということが今後のいろんな外国との協力関係において非常に大きな問題ではないかというふうに私は思うわけなんですね。そういう意味で具体的にこれに対するお答え、どのようにお考えでしょうか。
○説明員(貞岡義幸君) 先生御指摘の管轄外移転の規制の対象となっております技術は、機微な技術と言われるものでございます。機微な技術といいますのは、具体的には核拡散防止上特に取り扱いに注意を要します濃縮、再処理、それから重水生産の設備または施設にかかわる技術、これを指します。それらについては管轄外移転する際には規制がかかります。
○小西博行君 そういう意味で安全技術の移転というものがスムーズにいかないということはないでしょうか。
○説明員(貞岡義幸君) 安全技術といいますのは、先ほど申しました機微な技術に必ずしも該当しておりませんので、機微な技術に該当しない限りは移転については支障はございません。
○小西博行君 それでは次に参りますが、今後フランスとの間でいろいろ行われます再処理して運ぶプルトニウム、その輸送量はどの程度考えておられるのか。例えばイギリスの関係もありますね。全体でどのような計画であるのか、これを教えていただきたいと思います。
○政府委員(緒方謙二郎君) 現在、英仏に委託をして使用済み燃料の再処理をしているわけでありますけれども、それから回収されますプルトニウムは全体で今後約三十トンが返還をされることになります。これはイギリスとフランス両方の数字でございます。この中でそれぞれどれぐらいかということは、ちょっと持ち込みます燃料の燃焼度などによりまして変わってまいりますので正確には申し上げにくいんでありますけれども、およそ半分がフランスというふうに御理解いただければ幸いでございます。
○小西博行君 これも当然船で運ぶということに、イギリスと同じようになろうかと思いますので、その辺はそのように理解をさしていただきたいというふうに思います。 それでは次に、基礎科学特別研究員制度というのがございますね。これは利根川博士の提案をきっかけに理研において現在始められている。そして非常にこれが好評だというふうに聞いておりますが、今後こういうものが定着をされてずっと活動できるんでしょうか。その辺をまずお聞きしたいと思います。
○政府委員(角南立君) 基礎科学特別研究員制度につきましては、二十一世紀に向けて基礎研究を推進するために創造性豊かな若手の研究者、それに積極的に主体的な研究活動をやっていただく、下請ではなくてこういうような格好で伸ばしていただく、こういうことで始めた制度でございます。二十五名を七十九名の募集の中から厳正に選定いたしまして、理化学研究所においてそれぞれの申請したテーマに基づきまして研究を始めたところでございます。
○小西博行君 その成果はどうでしょうか。現在好評というふうに聞いているだけでよくわからないんですが、具体的にどういうことをどうやっているんですか。
○政府委員(角南立君) 研究を本当に始めましたのが昨年の十月からでございまして、今その過程で、直ちに研究の成果がこう出たというところまでは至っておりません。一応三年間を全体の最長期間として制度が組み立てられております。ただ、何といいますか、滑り出しが快調と申しますか、非常に早く研究活動が本格的なペースに入っている、こういう報告を理研の方から受けております。
○小西博行君 長官、例の流動研究システムというふうに一般に呼ばれておるように、あれはたしか中川長官の時代じゃなかったでしょうか、五十六年ですから。私はちょうど議員になってこちらへ参ったときが五十六年で、そしていろいろお話を聞いておりました。私は、あれは非常に成果を上げていると思うんですね。 なぜなら、やっぱり科学技術庁あるいは文部省というような縦割りで研究をやるということは非常に問題がある。つまり、大学は大概文部省ですから、他の省庁との研究を一緒にやるということは非常に難しい。しかも設備をお互いに使い合うということも非常に難しい。私自身は大学におりましたからよくわかるんですけれども、それを全部取っ払って民間であろうが各省庁であろうが、あるいは外国人であろうが優秀な人材を集めて、しかもあのときはテーマを決めて、そして座長になるべき人を決めてその方がいろいろの人間を選ぶ、そういうような非常に新しい趣向でもってやっておられまして、東北大学の西澤先生あたりがその中心だったと思うんですね。それが五年間終わりまして、今フォローのためにまた非常にプラスになっている。そういうことを見ますと、この若手の研究員というのは非常に私はいいだろうと思うんですね。 ただ、なかなか研究をやるにしても年功序列的なことがあったり、助教授じゃ無理だから教授を頭に置けとかいうようなことが現実にあったりというようないろんな研究においての弊害というのがあろうかと思うんですね。しかし、本当の研究というのは二十代の後半から三十代の前半じゃないか、特に創造的なものは。そのように思うんですが、それに対してマイナスの要素が日本の場合は非常に大きいだろう、常にそういうふうに思っておりまして、そういうことが全然ない若手中心型の基礎研究についての特別な集団である、そのように理解させていただき、そして同時に、これは一つは将来性の問題がありますよね。ですから、研究はしたわ、実際に帰ろう思ったらなかなか席がないとか、あるいはそこで発明、発見したものがどこへ帰属していくんだ、こういう問題が依然としてやっぱり日米関係の問題でもあるわけでありますが、そういうようないろんな成果については具体的にどのようになるんでしょうか。
○政府委員(角南立君) この二十五人の若手研究者が理研において三年のうちにしかるべき研究成果ができれば、それは普通のいわば理研の職員の研究成果としてそれぞれのものとして扱われる、こういうことになります。 それから将来、三年終わったらこの人たちはどうなるんだ、こういうことでございますが、この方々は非常に優秀な方を選んで三年間思う存分に研究をしていただく。そうしますと、我々は三年の終わった後にはいわばいろいろなところから引く手あまたであろう、こういうぐあいな期待を持って成長を期待したい、こういうぐあいに考えておる次第でございます。
○小西博行君 流動研究システムもそうなんですね。一流の研究者だからこそ、五年間が終わっても堂々とまた次の仕事につける。だから優秀な人材を集めるということがまず大事ではないか、そのように思います。 それからもう一つ、科学技術特別研究員制度、これはことしから予算化されまして、国立研究機関に若干の研究員を受け入れると聞いておるわけですが、これは一体どういうことなんでしょうか、説明していただきたいと思います。
○政府委員(角南立君) 御質問の科学技術特別研究員制度は、ただいまお話ししました基礎科学特別研究員制度、これは理研を場として研究していただくという制度でございますが、これを理研のかわりに国立研究所においてやはり同様に優秀な若手の独創的な研究者を受け入れてやっていただく、こういう制度でございまして、人数といたしましては全部で五十人を予定してやっております。ただ、これを受け入れていただく国立研究所は、各省庁にまたがるいろいろなところで受け入れていただきますので、一つ一つの研究所には数人ということになろうと思いますが、合計としては五十人を予定して考えております。
○小西博行君 これも各省庁に入るわけですから、さっき申し上げたようないろんな年功序列とかその辺を配慮してとにかく働きやすいそういう場をぜひつくってあげていただきたいというふうに思います。 それからもう一点、時間が余りありませんが、フェローシップ、これも大々的に打ち上げまして、これは昭和六十三年にフェローシップ制度というようなものが進んでおるわけなんですけれども、受け入れの相手国の一覧表見ましたら、何か東南アジアというのは非常に人数が少ないような感じがするんですよね。留学生なんかは非常に多いけれども、こういうような形で研究員ということになりますと非常に少ない。大変それは気になりますね。どうして少ないのか。いろんな理由があろうと想像はできるわけですが、まず政府の方からお聞きしたいと思います。
○政府委員(角南立君) 委員御指摘のとおり昭和六十三年度から始めまして、当初百人、その次の年度で百三十人を全体として受け入れたわけでございますが、確かに東南アジアからの方は非常に少ない。ただ、先進国、後進国というぐあいに分けますと、先進国が百人に対して最初は七十四人。したがって、後進国は二十六人。それから百三十人のうちには四十人の方が後進国からということでございまして、決して先進国オンリーということではございません。その中で東南アジアの数が、確かに結果的に少なくなったのはいろいろな事情がございます。一言で言えば、そもそもお見えになる方がいわば研究者としてお見えになる。そのためにこちらの研究所とのリンクその他を持った方ということで、若干東南アジアの方について向こうからの要求というのも少なかったということが実は最大の理由でございますが、おいおいとこの制度が知れるにつれまして東南アジア諸国から研究者の御関心も高まっておりますということで、今後は順調にこの数がふえていくものと期待しております。
○小西博行君 留学生の観点から見ますと、つまり国費留学というのはもうほとんど大学院ですわね、博士課程あるいは修士課程。ですから、東南アジアがもう圧倒的に多いでしょう、あれを見ますと。大臣も御承知のとおり、私は文教関係でもいろいろやりましたが、非常に多いのに実際は非常に少ないというのは、外務省を通じて、大使館でしょうか、そういうPRがちょっと弱いんじゃないのかなと。あるいは私自身が留学生の面倒を大分見たことがあるんですよね、大学時代に。なかなか大学へ入ってくるのでも専門が非常にわかりにくい。入ってきてみますとその隣の研究室が実は自分の望んでいるものだと、よくこれが問題になるわけです。しかし隣は行けないんですね、ここへ決めて来ているわけですから。なかなか融通がきかないというような問題が大分ありますね。 そういう意味で、私は何かPRが、このフェローシップについてこうなんだ、日本の研究部門はこういうところがあってこうなんだという中身の説明が、あるいは大使館を通じてやられるのかもわかりませんが、その点が非常に弱いんじゃないか。これは留学生を募集する場合でも、いろいろ調べてみましたら、なかなか大使館の中でそういうPRができない、する人数もいないというようなことがありまして、よそのこの種類のフェローシップ制度と比べまして、よその国、例えばアメリカがやっているようなことを考えますと、非常にお金をかけないで、少ない人数で、それから資料も少なくて粗末だと、こういうことでありますので、私はある意見ではこれは経済摩擦のあるいは技術摩擦の一つの解消方法じゃないかと思うんです。 恐らく大学院を出られて日本でそういう研究をしたいというのがもうわんさといると思いますね。しかし、なかなかそういう研究というか自分のそれができないから帰るというのが私は圧倒的に多いだろうと思うので、その意味をよく説明をしますと、もう喜んでこれに参画するんじゃないかなと。だからデータを見てちょっと奇異に感じたわけです。これはどうでしょうか。
○政府委員(角南立君) 委員御指摘のとおり、この制度のPRについてより一層努力をする必要がある、全くそのとおりでございまして、我々としてもいろいろなルートを通じましてやりたいと思います。この場合のルートといたしましては、いわゆる新聞広告というよりも、いろいろ有力な研究者とのいわば人間個人の、俗に言えばコネのようなものを頼っていくほうがむしろ効果的ではないか、こういうような感じでございます。 それからもう一つ、おっしゃいましたとおり技術摩擦という問題、この制度がそもそも最初にできましたきっかけは、まさに技術摩擦といいますか研究交流の不均衡という問題でございます。この場合には特に先進国との関係での不均衡が大きい、これが問題の初めでございましたので、したがいまして先進国からの需要も非常に高うございましたし、正直言いまして若干PRがまず先進国に向けられたという嫌いがございますが、今後そういうようなことで我々もさらに広く目配りをしてPRに努めてまいりたいと考えております。
○小西博行君 最後に長官に質問をさせていただきますが、とにかく私はもっと時間があればいろんなお話をさせていただきたいと思ったんですが、要するに日本の将来の技術ということになりますと、創造的な先端技術あるいは基礎技術、基礎科学、こういうような問題を、これからどうしてももっとどんどんいいものが出てくるようにその場の提供をしなきゃいけないなと。物をどんどんつくって出しますと必ず経済摩擦になります。したがって、いろんな技術だとかそういうものの輸出というのは非常に歓迎される立場にありますから、ぜひとも若手が育っていくような体制づくり、これはさっきのフェローシップもそうでありますし、国際的にもそうでありますから、そういう分野をぜひとも長官の時代に一つの形をつくって、そして成功させていただきたい。そのことを最後にお願いを申し上げて、何かお考えがございましたら、お伺いして終わりたいと思います。
○国務大臣(大島友治君) 結論を申せば、まさに委員の気持ちに全く私は賛成です。と申しますのは、先ほどお話の中にありましたように、実は利根川さんの話も直接聞きましたし、それから東北の西澤先生のところにも参ったというようなことで、実態を踏まえてみますと、まさに利根川さんのあのアメリカに行っての勉強、研究の態度それから環境というものは日本でも早く取り入れるべきだということも同感です。同時に、やはり年齢的に三十前後というのが一番人間の能力を発揮し得る最高のときではなかろうか。そういうときに、その研究の環境をつくってやるということは非常にいいことじゃないか。 たまたま日本も科学技術については決して諸外国に遜色のない段階まで来ておりますから、そこで、特別研究員なりその他研究施設あるいはフェローシップを通じて、まさに委員の言われるような環境をつくって、そしていたずらに年功序列だとかそういうことにとらわれることなく、オープンにして、若い人の研究ができて、そして想像をたくましくして前進できる、私はまさにそのことを本当に同感に思っておりますので、私のときに実現できればこれにこしたことはありませんけれども、それにはやっぱり先生の積極的な御支援、御協力があればこれも不可能ではないんじゃないかな、こんな感じを持っておりますので、私の所見を入れながら答えさせていただきました。 どうもありがとうございました。
○小西博行君 終わります。
○委員長(中西珠子君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。 明三十一日は午前十時に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十四分散会