運輸委員会 第5号
- 発言数
- 197 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1990/06/19
会議録
○委員長(中野鉄造君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。 船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案につきましては、既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○喜岡淳君 おはようございます。 船特法の一部改正案についての質問をさせていただきたいと思います。 まず最初に、海運業の重要性ということについてお尋ねをしたいと思います。私は生まれが香川県ですのでもともと瀬戸内海の船を見て育ちましたし、金比羅さんの地元でありますから船のことには関心がありました。しかし、実際は毎日毎日車に乗ったり列車に乗ったり、そういう陸上の交通機関とか飛行機などは非常によく目につきますから関心がありますけれども、船については関心が一般的に低いのではないかというふうに思います。 さて一方、日本の場合は資源に恵まれておりませんので、石油などのさまざまな重要資源等々はほとんど輸入に頼っておるのではないかというふうに言われております。 そこで、原油など主要な資源の輸入の実態はどういうふうになっておるのか、お尋ねをいたします。
○政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。 まず、重要な資源エネルギーの輸入依存等の問題でございますが、原油、鉄鉱石及び原料炭の主要三品目を例にとりまして昭和六十三年の数字を見てみますと、先生ただいまお話しのとおり、原油が一〇〇%、鉄鉱石が一〇〇%、原料炭が九九%輸入に依存しております。我が国は四面海に囲まれているわけでございますので、その必要とする資源エネルギーの一〇〇%は外航海運によって運ばれている、そういう状況でございます。
○喜岡淳君 そうなりますと、ほとんどの主要資源が海を通って船で運ばれてきておるわけです。その上、日本の場合は、私たち教科書で習ってきましたけれども、加工貿易型というんですか、国の構造がそうなっておる。ますます海運業というのが重要だと思うわけですが、大臣、海運業の重要性ということについてどういうふうな御見解をお持ちでしょうか。
○国務大臣(大野明君) 今もお話ございましたように、我が国は四方を海に囲まれ、しかも今日の経済を発展し、また国民生活を維持していくためには貿易に頼らなければならないということを考えましても、外航海運というものは我が国にとっては本当に必要欠くべからざる産業である、こういう認識を持っております。 いずれにしても、外航海運の健全な維持発展をしてもらうことが日本の将来にも大きな役割を果たしてもらえるものと考えておりますので、今後とも外航海運には大きく力を入れていきたい、こう考えております。
○喜岡淳君 今の大臣の御答弁の中では、必要欠くべからざる重要産業だという御認識であると思います。 では、その重要な産業をどうやって保障していくのか。しかも資源のほとんどが輸入、海運に頼っている。そうなってきますと、一億二千万人 の国民が未来永遠にずっと海運業によって支えられ続けていかなければならないということだろうと思うわけです。そうしますと、海運業のあり方についての問題でありますが、海運業によって一億二千万人が未来永遠にずうっと安定的に支えられるためには、海運というものが外国に依存するということは決して好ましいことではないと思うわけです。そういう意味では、我が国の海運業のあり方の原則としては、日本船籍の日本商船隊、またこの商船隊には日本人船員が乗り組んでやっていくんだ、こういう原則を確立すべきだと私は思いますけれども、この原則についてはどういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。 ただいま大臣からお答えいたしましたとおり、我が国の外航海運業というものが我が国の経済あるいは国民生活にとって欠くべからざるものである、将来とも健全に安定的に成長していかなければならないものである、そういう認識を示されたわけでございますが、そのような外航海運業がどのような船、商船及びどのような人員によって支えられていくかということについてはさまざまな考え方があると思います。先生がただいまお示しになりましたような日本籍船で日本人船員ですべて支えていくのがいいんではないかという考えももちろんあると思います。 しかし、外航海運というのは御承知のとおり国際産業でございまして、いろいろな国の例を見ましても、船隊も自分の船である場合もありますれば、外国から用船した船である場合もありますし、それを支える船員も自国船員の場合もありますれば外国船員の場合もある。このようなものを取り合わせまして最適な形で経営を維持しているというのが実態でございますので、そういう形で今後経営が行われていくものと考えております。いずれにいたしましても、我が国にとって重要不可欠な産業であります外航海運業にとりまして、自国船の存在あるいは自国船員の存在というものが非常に大切であるということについては変わりはございません。
○喜岡淳君 大切ということは、具体的にどういうふうに受けとめればいいんでしょうか。
○政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。 その程度はどの程度であるかというようなことについてはさまざまなお考えがあろうかと思うわけでございますが、現在私どもは、我が国外航海運の中長期的な将来像、そのようなものにつきまして運輸政策審議会の中に検討の場を設けまして、関係の方にいろいろお集まりをいただきまして現在検討いただいておる、そういうもののお答えがそう遠くないうちに出ると思いますので、そういうものを尊重しながら今後のことを考えていきたい、そんなように考えております。
○喜岡淳君 運政審の方で議論をしながら結論を求めていくということでありましょうけれども、運輸省みずからの原則といいますか、もちろん原則をそのとおりできるかできないか、それは経営サイドの問題もありましょうけれども、自国船、自国船員、こういう原則をぜひ確立して現実に対応していただきたいというふうに思うところであります。 それから、船特法は外航に関係をいたしておりますけれども、外航の安全確立についての質問をさせていただきたいと思います。 近年、外航船の海難事故が非常に頻発に起こっておりますけれども、具体的に昨年一年間の海難事故の状況について教えていただきたいというふうに思います。
○政府委員(豊田実君) 平成元年度総海難発生隻数でございますが、千九百六十四隻発生しております。
○喜岡淳君 千九百六十四隻の海難事故ということは私多いように思うんですが、そのあたりはどういうふうに見ればいいんでしょうか。
○政府委員(豊田実君) 絶対数としては非常に高い水準と申しますか、非常に多い隻数になっております。例えば昭和五十五年当時の海難の隻数が全体で二千三百八十六隻という状況でございますので、そういう意味では総数で見ますと最近改善が見られてきているということでございます。
○喜岡淳君 これは私の調査ですが、昨年一九八九年一年間の日本近海で起きた主要なといいますか、大きな海難事故についてここに資料を持っております。 これによりますと、私の調べでは、日本近海で起きた大きな海難事故というのは去年一年間で、これはもちろん範疇が、それぞれどこを重要事故と見るか知りませんけれども、違うでしょうけれども、少なくとも大きな事故は十九件、非常に重要な事故が起きておると思います。去年一年間で十九件の事故で死亡者が七十三名出ておるというふうに私の調査ではあります。 そこで、日本近海で外国船の海難事故もたくさん起きておるわけで、特に六月七日ですか、三宅島沖でノルウェーの貨物船ノーパル・チェリー号と日本漁船が衝突しまして十一名が死亡した、こういう事件が起きておりますけれども、この事件についての概要あるいは原因等々についてどういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(豊田実君) 御指摘のノーパル・チェリー号衝突事故の関係でございますが、事故は平成二年六月七日に起こっております。ノーパル・チェリー号は川崎港を出航いたしまして東京湾を出て航行中でございました。船籍はノルウェー、ばら積み貨物船ということでございます。総トン数が一万九百八十六トン。一方の漁船でございますが、第八優元丸、本船は三浦半島の金田湾を出航いたしまして漁場へ向け航行中でございました。総トン数は五十九・七九トン、乗組員が十五名という船でございます。同日の午後一時二十分ごろ、東京都三宅島の東方四十五海里付近の海上において両船が衝突しております。この衝突によりまして第八優元丸の船体は大破しまして、船橋部を残して沈没しております。優元丸の乗組員十五名中四名は衝突直後ノーパル・チェリー号に救助されましたが、残り十一名は行方不明となっております。 原因については、現在捜査を継続しておりますが、現在までの事情聴取等によりますと、両船とも自動操舵で航行しておりまして、両船の当直者とも衝突まで相手船に気づいていなかった模様というふうに事情聴取の結果として判断しております。なお、捜査はまだ継続しておりますが、事故原因の徹底究明を図っていくつもりでございます。
○喜岡淳君 次に、ことしの一月でしょうけれども、日本海舞鶴市沖の若狭湾でリベリア船マリタイム・ガーデニア号が座礁した事件があったと思います。そして大量の油が流出して、周辺の海岸あるいは動物といいますか、鳥などに対してかなりの被害を出したというふうに言われておりますが、この座礁事故の被害の程度はどのように把握されておりますか。
○政府委員(豊田実君) 御指摘の事故の概要についてまず御説明いたします。 リベリア船籍の貨物船マリタイム・ガーデニア号、総トン数が七千二十七トンでございます。福井県の内浦湾から山口県下松港へ向けて航行中でございましたが、平成二年一月二十五日午前零時二十三分ごろ、操船不適切ということで底触しまして、機関室及び第三船倉から進水を始めたということでございます。そこで救助を求めたわけですが、同日午前零時三十分ごろ、京都府の経ケ岬灯台から三百二十度、〇・七五海里の付近で投錨しました。その後、乗組員については海上保安庁が救助要請しました航空自衛隊のヘリコプターにより全員救助されておりますが、船体自体は強風によりまして流されまして、海岸に座礁し、船体に亀裂を生じて燃料油が流出という状況になっております。 被害そのものについては、私ども金額面等については、把握してございませんが、かなり広範囲に油が流出しておりまして、関係者いろいろな機関の協力のもとで、現在までに船体の除去も含めましてすべて油の除去については完了しております。
○喜岡淳君 油が非常に大量に流出して、新聞報道では油が固形化して厚さが二十センチにもなっておる。それから周辺の海鳥が大量に油まみれになって死んでいったという記事が出されておりますが、一度事故が起きると大きな被害が発生しておると思います。 それから、これは簡単に答えていただきたいと思いますが、去年の三月十四日、これも同じく外国船ですが、リベリア船のマースグサール号というタンカーが野島崎沖で爆発して沈没した。そして二十三名の死者が出たという事故が起きておりますが、これは東京湾に入航する前に起きた事故でしょうか。
○政府委員(豊田実君) 同船は米国から出航し、川崎港に向かっておりましたが、東京湾に入航する前に事故が発生しております。
○喜岡淳君 東京湾に入る前、野島崎沖で爆発したから、こう言っちゃ悪いでしょうが、この船だけの事故に終わったのだと思います。もしこれが東京湾の中で爆発、炎上しておれば二十三名の死亡者では終わっていなかった、これは間違いのない事実だろうと思うんです。 私が今、事故の関係、特徴的なものをお聞きした理由は、外航船、外国船、要するに船の安全性という問題、船はとにかく安全に運航しなければならぬということですし、最近、外国船に関する事故の背景として、マスコミや海運業者、関係者の中からはいわゆる便宜置籍船という問題を指摘する向きが多いわけでしょうけれども、運輸省の方としては、事故の背景として便宜置籍船という問題は無関係だったというふうに認識されておるでしょうか。それともやはり背景には便宜置籍船の問題があるというふうにお考えでしょうか。
○政府委員(豊田実君) 私どもの事故の全体の分析の経過の中では、全体の海難発生件数の中に占める外国船舶の発生件数が微増でございますがふえているということは事実でございます。また、外国船舶の事故の発生状況と申しますと、やはり荒天時にかなり発生が見られるということと、それから一件当たりの犠牲者の方の数が非常に多いというのが特徴でございます。ただ、船籍別にどうこうという判断は私どもとしてはやっておりません。
○喜岡淳君 ありがとうございました。 そういう意味では、海運業というものが日本の国を基本から支えていかなければ日本がもう運営できないんだ、それほど海運の重要性が認識されたと思います。しかし、その海運業をどう安全に確保していくのか、こういうことも問題として浮かび上がってきたというふうに思います。 そこで、船特法の改正法案についてのお尋ねをさせていただきたいと思いますが、今度の改正案の仕組みといいますか、概略ですね、そういうものと、この改正案の目的について簡潔に説明していただきたいというふうに思います。
○政府委員(田辺淳也君) 船特法の改正の趣旨及び概要につきまして、その背景等も含めまして御説明をさせていただきたいと思います。 外航海運におきましては、昭和六十二年度及び六十三年度に実施されました緊急雇用対策の結果、大量の船員が海を離れまして、外航船員数といたしましては二船団ベースで現在九千人を割る状況になっております。この緊急雇用対策による離職者に対する雇用対策といたしましては、対象者が非常に多いということもありまして、陸上職域を中心に陸転を中心とした対策を講じてきたわけでございますが、このために現在海運企業内におります船員は海上勤務を強く希望している者がほとんどでございまして、これからの外航船員に対する雇用対策につきましては陸転策だけではうまくいかないような状況にもなってきておるわけでございます。 また、外航船員数が激減している状況を考えますと、日本人船員の優秀な海技の伝承を図っていくということとか、そういう問題が生じてきておりまして、こうした事情を考えますと、今後は海上職域を開拓いたしまして海技を保全していくことに重点を置いた対策を進めていかなければならないという状況になっているわけでございます。 このような中で、昭和六十三年十二月に海造審の海運対策部会小委員会ワーキンググループの報告が出まして、ここにおきまして、日本船のフラッキングアウトを防止し、日本船と日本人船員の確保を図るために、関係者の合意のもとに海外貸し渡し方式によります混乗の拡充を図っていくことが必要である、そういう提言がなされまして、政府といたしましてもこれが円滑に推進されるよう船員雇用対策の充実強化に努める、そういうことで環境整備を図る必要があるとされておるわけでございます。 混乗につきましては、一船ごとに見ますと、日本人船員数の減少をもたらすということでございますが、今回の混乗につきましては雇用不安を一切生じさせないように取り組む、そういう労使合意に基づいて行われるものでございまして、使用者側の各企業は混乗実施に当たりまして雇用不安が生じないように職域確保対策に取り組むものでございます。しかしながら、個別企業で提供し得る代替職域が、例えば本人の希望する海上職域でなかったり、そういう場合もあまりすし、また個別事情によりましては企業努力だけでは職域が提供できない、そういう場合もございまして、一部には離職船員が発生することも考えられるわけでございます。 こうしたことから、各企業が混乗の実施に当たって雇用不安を生じさせないよう雇用対策に取り組む場合、ほかに支援措置があることは対策を進める上で手助けとなるわけでございまして、今回の対策は外国船への配乗促進を通じ、海上職域を確保することによりまして各企業の取り組む雇用対策を支援する、そういうねらいがあるわけでございます。 それで、今回の法改正の中身でございますけれども、このような趣旨を踏まえまして外国船への配乗を促進する等、日本人船員につきまして海上職域を確保いたしまして、雇用の一層の促進と安定を図るために船員雇用促進センターが離職船員を雇用いたしまして船員労務供給を行うことができるようにする。また一方で、雇用する船員につきましてその保護を図るために、船員法また船員保険法の規定を適用する等、関係法律の適用に関する特例を定めようとするものでございます。
○喜岡淳君 それでは、具体的なことをお尋ねしますが、いわゆる補助金の関係ですね。これが三年間の期限つき補助ということになっておりますし、平成二年度の予算措置で一億八千万円という金額が計上されておりますが、この根拠はどういうところにあるんでしょうか。
○政府委員(田辺淳也君) 今回の外国船配乗促進事業においては、混乗実施に伴い船員雇用促進センターが雇用した船員に対する国の助成期間は先生おっしゃるとおり三年ということで予算措置を講じておるわけでございますが、これは環境の激変を緩和いたしまして、他の職へ移行する準備を行う期間として三年程度が適当であるということでございますし、また漁業再建整備特別措置法とか国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法等の国の行う離職者船員対策、これも通常は三年ということになっておりました。そういうことを考え合わせまして三年間にしたものでございます。
○喜岡淳君 三年後の海運業界の見通しというのはかなりよくなって、これが必要ではないほどに海運業界はよくなるというような見通しでしょうか。その三年というのがよくわからないです。三年で適当とおっしゃいますけれども、どうして三年が適当なのか、責任を持って後はもとに戻すんでしょうか。
○政府委員(田辺淳也君) 今回の措置はあくまでも雇用対策ということで、センターに移籍されました船員がこのセンターにずっといるということを前提にしておりませんで、その間に再就職をしていただくということが目的でございます。そういう意味でその三年の間は激変緩和で、船員の職業の環境が現在おります日本人船員と同じようになるために特別の措置を講じておるということ でございまして、そういう意味で三年という期限を切ったわけでございます。
○喜岡淳君 その三年の間に再就職の準備をしていただくという趣旨だろうと思うんですが、具体的にどういうところへ再就職される見通しを持っておられますか。
○政府委員(田辺淳也君) 三年後の再就職先といたしましては、外国船主または内航船主に雇用される機会が高まっていく。これはどういうことかと申しますと、例えば内航部門は現在人手不足でございます。現在なぜ外航船員が内航に再就職をしないかといいますと、給与面とか労働時間面とか、そういう労働環境に非常な格差がございます。私どもといたしましては、例えば労働時間につきましては週四十時間制を目指しまして船員法を改正いたしまして労働時間の短縮を図っておるわけでございますし、また、給与面においても、ことしの春闘等におきましてはかなりの高率のアップになっているというような状況を考えますと、この先内航船もある程度の再就職先になるのではないかと考えております。 また、場合によっては陸上企業に就職することも考えられますし、さらに、国庫補助がない条件のもとで本人が特に希望する場合は引き続き船員雇用センターに雇用されることも考えられるわけでございまして、この場合には三年の間に外国の船会社の雇用条件も、今は賃金等相当格差がありますけれども、例えば韓国等を例にとりますと、韓国の船員の賃金は相当な勢いで上昇しているわけでございまして、そういうこと等も考え合わせますと外国船の労働条件もよくなる可能性もあるわけでございます。そういうことも踏まえまして、そういう就職先を一応想定しておるわけでございます。
○喜岡淳君 ちょっと今疑問に思ったんですが、三年後の再就職先として内航もあり得るだろうということをおっしゃいましたね。あるいは陸上企業へ行かれる人もおるだろう。よくわからないんですが、本来の趣旨は日本人船員が少なくならないように、日本人船員が減らないように保護していく立場だったわけでしょう。陸上企業に行くというのはもう明らかに船員をやめるということにつながっていくんではないんですか。あるいは内航に再就職するだろうとおっしゃいますけれども、内航の労働条件は後で最後に質問させていただきますけれども、そんなになかなか人が来る条件にはないだろうと思うんですよ。あるいは内航に行くというのは、外航船員の数が減っていくということにつながっていくわけですから、そうなってきますと今度の船特法改正の趣旨からはずれてくるように私は思うんですが。
○政府委員(田辺淳也君) 先ほど陸上企業に就職することもあり得ると申しましたが、本来は私どもの目的とするところではございません。ただ、各船員の個別事情もございますから、相当高齢になるとか体の調子が悪くなるとか、そういう場合にはやむを得ず、もう船員を捨てて陸上へ行きたいと言われればそれはそれで一つの道だと私どもは考えております。 それから、内航船の件でございますけれども、内航船の労働条件は、先ほど申しましたように、最近かなり急速に改善をされております。そういう意味である程度の再就職になるのではないかと私ども期待をしておりますが、現状ではかなり乖離があることは事実でございます。 それから、外航船でございますけれども、長い目で見れば、日本の外航船におきます職員の層でございますけれども、これは非常に優秀な技能を持ったグループでございます。そういう優秀な技能を持った職員の層がある程度不足することも考えられます。そういう意味で三年後にはある程度の再就職先が見つかると私どもは見ております。
○喜岡淳君 そうすると、先ほどの中で、引き続きセンターに雇用される人もおるだろうということをおっしゃいましたが、その場合は、もちろん給与差額はセンターの方からは三年以上たちますと支払われないんでしょうか。
○政府委員(田辺淳也君) 今回の措置による助成期間は三年でございますから、国の補助は三年で打ち切られます。ただし、各企業が国の三分の一に対する三分の二という負担金を出しますが、これはいろんな事情で企業が負担金を出してくれるというようなことがあるかどうかちょっとわかりませんが、そういう場合とか、それからもう一つ、船員がこの三年間に海上実歴を上げまして上位の免状を取得する。例えば三等航海士であった者が二等航海士になるとか一等航海士になるとか、あるいは船長になるとか、そういうグレードアップをしていく可能性もあるわけでございまして、そうなりますとまた雇用条件も派遣先で違ってきております。そういう意味で、外国船にこの状態でいたいと希望する者が出てくることも想像できるわけでございます。
○喜岡淳君 三年以上になった場合は賃金格差の三分の二まで企業が拠出されれば、これは穴が埋まるというか、保障されるということになりますね。それで、今度の法律の中にはそういうことを予見した箇所があるでしょうか。
○政府委員(田辺淳也君) 今度の法律の中身につきましては、現在の補助制度につきましては法律上は根拠規定があるだけでございまして、予算の中で期間とか割合とか、そういうことを定めております。
○喜岡淳君 それから、一億八千万円の予算措置といいますが、この算出根拠というのはどういうところにあるでしょうか。
○政府委員(田辺淳也君) 平成二年度の予算において、私どもは二百五十名の労務供給船員を対象にして予算を組んでございますが、先ほど申しましたように、センター負担をする部分につきましては三分の一、これは国の補助の対象。残りの三分の二を送り出した船主側の負担ということで、この三分の一と二百五十人とを掛け合わせて一億八千万という数字を出したわけでございますが、もちろんこの差額というのは日本人船員と外国人船員の派遣先での賃金の差額でございます。
○喜岡淳君 二百五十名を超えた場合ですね、二百五十名以上の方が希望、要するに外国の方へ行かれるようになった場合ですね、今二百五十人の対応予算として一億八千万円とおっしゃいましたが、二百五十名以上の方が雇用船員となられる場合の賃金保障は一体どういう形になるんでしょうか。
○政府委員(田辺淳也君) 予算措置としては二百五十名が枠としてとってございますが、二百五十名を超える場合にはセンターが全部負担するということはできませんので、二百五十名までを雇用船員とするということで運用がなされることになっております。
○喜岡淳君 それではもうあくまでも最大限二百五十名だけを雇用船員とするという考え方なんでしょうか。
○政府委員(田辺淳也君) 先生おっしゃるとおりでございまして、私どもとしては本来ならこの制度の目的が、各企業がその企業努力で企業の中で離職船員を、職場を狭められた船員を吸収するということが目的でございまして、どうしてもその企業で吸収できない部分について支援措置という形でこの制度を活用していただくということを考えておりますので、余りこのセンターに離職される船員が出てくるということは本来の趣旨ではないわけでございまして、そういう意味で二百五十名の枠というものを想定しているわけでございます。
○喜岡淳君 もちろん各会社の問題ということもありましょうけれども、やはり国策として日本商船隊、日本人船員を守るということから国の役割が問題になってこういう補助金制度ができるんだろうと思うんです。そういう意味では二百五十名で打ち切りだと言わずに、何かもっと実際に、国がもう少し踏み込んでやったらどうかなというような気がしたものですからそういう質問をさせていただいたわけです。 それから、今度は船員の供給の問題ですけれども、登録船員と雇用船員という二種類の制度になっておると思いますが、これについて、それぞ れの違い、どうしてまたこの二種類の制度をつくられたのか、それについてお尋ねいたします。
○政府委員(田辺淳也君) 先生おっしゃったとおり、センターの労務供給の対象となる船員につきましては、登録船員と雇用船員と二通りのケースがございます。雇用型船員のほかに登録型船員の制度を設けた趣旨でございますけれども、船員雇用促進センターと外国船社との間に労務供給契約を結んでおります。そういう関係で安定的に労務を供給しなければならないというセンターの一つの義務があるわけでございますが、例えば労務供給をされたある船員が事故とか病気等で下船をせざるを得ないような場合が当然想定されるわけでございまして、そういう場合に雇用船員を補完する意味で登録船員においで願うということで、そういう臨時的な労務供給をやっていただくということで位置づけをしておるわけでございます。
○喜岡淳君 ちょっとそこが理解しにくいんですが、いわゆる雇用船員という人は本顧船員というか本来的な船員さんである。その人が病気になった場合あるいは事故などが起きた場合にそのかわりの人が登録船員になるんだ、こういう説明だったと思うんです。しかし、仕事は同じ仕事をするわけですから、どうして二種類にしなければいけないのかよくわからないんですね。 私たち国民的な常識からいきますと、事故が起きたときあるいは病気が起きたとき、そのかわりに働いてくれる人も本来含めて人数というのは出てくるだろうと思うんです。だから、登録船員と雇用船員を分けるというのが私はよくわからないんです。病気で欠員が出た場合、そのかわりに入ってくれる人、この人も本来同じ仲間として見るのが国民の常識というふうに思うんですけれども、この場合少し違うように思いますけれどもね。
○政府委員(田辺淳也君) センターである程度、例えば休暇要員とかそういう予備員的な船員を雇用船員の中に含めて雇用しておくということも考えておりますけれども、一般的な予備員制度のように、センターの収入源というのは派遣料で賄われておるわけでございまして、センターが利益を上げるわけではございませんので、できるだけ予備船員的な方々は少なく雇用するということになろうかと思います。そういう意味で、突発的な事故等が生じた場合の補完的な役割を登録型船員にお願いするということでこのシステムを組み立ててございます。
○喜岡淳君 登録船員と雇用船員の関係についてこういう声を聞いたことがあります。例えば、一つの船に登録船員の方と雇用船員の方、二種類の方が入ってくる。当然給料は雇用船員の方が高いわけです。ところが、登録船員の方がかつての上司である場合もあるわけですね。新しい船に行くとかつての先輩が登録船員で、かつての後輩が雇用船員で給料も高い。先輩後輩が船の中で逆にひっくり返るわけですね。船の中の世界は一つの家族的な共同体といいますか、協調してそれぞれが仕事をやっていく、そういう調和の必要な世界でありますけれども、そういう意味で果たして調和のとれた仕事ができるのかどうか。そういう声もありますが、そういう不安の声に対してはどういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(田辺淳也君) 確かにある一時期、登録船員と雇用船員が同じ船に乗って仕事をするということは想定されるわけでございますが、これは永久に続くわけではございませんし、一時的、臨時的なものでございますので、ある程度のその場の賃金の差等が生じてもこれはやむを得ないことではないかと考えておりますし、そのことで船舶の運航上支障が生ずるとは考えておりません。
○喜岡淳君 それでは次に、この改正案では船員雇用センターが今度新しく労務供給ができるように書かれておりますが、従来の職安法との関係からこの点はどういうふうに理解すればいいでしょうか。
○政府委員(田辺淳也君) 船員職業安定法によりますれば、一般的には労務供給事業は禁止されておるわけでございますが、今回こういう特別な事業をやりまして船員の職域の確保と生活の安定を図るためにこのセンターに限って禁止規定を解除して、センターが労務供給事業を行えるように法律措置を今度の改正でお願いしているわけでございます。
○喜岡淳君 そうしてきますと、このセンターは特例として職安法から独立して労務供給ができるようになるわけですが、センターが行う労務供給事業は恒久的に行われるということですか。
○政府委員(田辺淳也君) 制度としては期限はつけてございません。助成措置が切れた三年経過後も、先ほど申し上げましたように、当該船員が現状のまま助成がなくてもこのままでいたいということも十分想定されますので、その場合は引き続いてセンターで雇用船員としていていただくということから期限を切っておりません。
○喜岡淳君 本来のところにまた戻ってくるわけですが、日本人船員を減らさない、そして逆に言えばもっと日本人船員がふえていくようにやるべきだろうと思うんですが、もしこの労務供給を恒久化していけば、ずっと労務供給が行われていくようになってくれば、やはり船員の減少ということに少なからぬ影響を及ぼすように思うんです。このマルシップによる混乗は当面の措置であって、労務供給を恒久化するというのはどうも納得しがたいんですが。
○政府委員(田辺淳也君) 期限を切っていない理由は先ほど申し上げましたが、この労務供給事業を三年以後継続するかどうかは、そのときのそのままの状態で雇用しておいてほしいという船員がどのくらいいるかとか、それから私どもが助成の対象にした船員の方々の再就職の状況等々も考えて、運用等についてある程度見直すということを今考えております。
○喜岡淳君 この法律改正案の中では、国の補助金をもって日本人船員の極端な減少に歯どめをかけるという当面の策としてこれが出されておるというふうに思います。当面の策として今度の問題が出されておりますが、私はもう一つ根本的な問題解決も必要ではないかというふうに思います。 その一つは、国際競争力の際にいつもコストの議論が行われております。そのコストの問題でありますけれども、どうもいつも人件費の方にしわ寄せが来やすいのではないかというような気がするわけです。例えば昭和六十年の円高、あの後労使で大変御苦労されて外航の船員さんの数は極端に減っておると思います。私の調べでは、昭和六十年の船員さんは二万五千二百五十人、平成元年は八千三百十一名というふうに三分の一以下の極端な減り方をいたしております。同時に、この期間、いわゆる大手の外航会社五社は経営状況が好転してきておるというふうに言われておりますので、少なくとも一九九〇年、平成元年あたりの大手五社の収支状況についてお伺いいたします。
○政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。 外航海運大手五社の経営状況についてお尋ねでございますが、先般発表されました平成元年度の外航海運、いわゆる大手五社の決算によりますと、長期にわたって厳しい経営を余儀なくされてきました外航海運の経営は、これまでの合理化効果の浸透に加えまして不定期船の市況でございますとか、あるいはタンカーの市況が好調に推移したこと、また、為替レートが前年度に比べて相当の円安になったこと等によりまして、燃料油価格等の上昇にもかかわらずかなりの改善が見られているわけでございます。 具体的に申し上げますと、営業損益、経常損益及び当期損益において大手五社がそろって黒字を計上しております。前年度との比較が困難な合併しましたナビックスラインを除く四社の合計で見ますと、営業損益ベースで前年度三百二十億円から五百四億円ということで黒字幅が拡大してきております。そのほか、経常損益ベースでも百九十七億円から四百四億円と黒字幅が拡大しております。 しかしながら、大手五社の中にはなお金融支援を受けている船社がございます。また、海運市況 の先行きでございますとか、あるいは為替レートの動向というようなものは御承知のとおり非常に不透明感がございまして、今後も楽観はできない状況が続くと考えられますので、今後とも引き続いて我が国の商船隊の国際競争力の回復と経営基盤の拡充強化に取り組んでいく必要があるのじゃないかと私どもは考えております。
○喜岡淳君 会社の利益はどんどんウナギ登りというような状況で、その反対に船員さんの方は三分の一以下に減らされておる。だから船員さんの方も、企業努力というのは労使含めて非常に血眼になった努力があっただろうというふうに思うわけです。と同時に、私は人件費以外のコストもやはり問題にならなければいけないだろうというふうに思うわけです。特に、北米定期航路の赤字問題、これは非常に大きな社会的な問題になっておりましたが、これは今どの程度まで減っておるでしょうか。
○政府委員(宮本春樹君) お答えします。 手元に正確な数字は持っておりませんが、北米定期航路の赤字というのが外航海運の大手の会社にとりまして非常に大きな負担であったということは事実でございまして、海運造船合理化審議会等の場におきまして、その改善策についていろいろ御検討いただき、対策に沿っていろいろな措置が講じられました結果、その状況は非常に好転していることは事実でございます。ただ、完全に黒字ではございません。年間百億まで達しませんが赤字であります。 なお、これは米国の景気とかそういうことに非常に大きく左右されますので、今後なお努力が必要である、このように思っております。
○喜岡淳君 北米定期航路の赤字が外航会社の経営を非常に縛っておったというのは大きな事実であっただろうというふうに思いますが、今おっしゃったように、この数年間に北米定期航路の赤字が極端に減ってきた。これも会社の黒字に大きく影響しておるのではないかというふうに思うわけです。 もう一つの問題は、為替の問題を今おっしゃいましたが、昭和六十年の円高が始まって以来急速に為替の変動が起こっております。最高一ドル百二十円前後までいったときがありますけれども、為替の問題は外航海運に対してはどのような影響といいますか、経営上の被害というものを及ぼしておったんでしょうか。
○政府委員(宮本春樹君) お答えします。 概括的に申し上げますと、外航海運の収入、これは運賃収入でございますが、運賃収入はドル建てでございます。それからコストはドルコスト、円コスト、双方ございますが、この比率につきましては、コストのドル化というんですか、そういうことを盛んにやっております。そういうような状況でございますが、いずれにしましても、運賃収入はドル建てでございますので、為替の変動によって大きく影響を受けるわけでありまして、円安というのは運賃収入上は、海運企業の経営上はプラスに働く、そういう状況でございます。
○喜岡淳君 私の方の調べでは、例えば一ドル百二十八円と百三十九円の場合の差ですけれども、当時大手六社で九十七億円の影響が出た、要するに赤字に影響を及ぼしたということであります。こういうふうに見てきますと、外航海運の問題は、会社やあるいは労使で努力のできる問題と、為替の問題のようにもういかんともしがたい赤字要因も抱えておるわけです。 そこで、今言いましたように、実際に船員さんの方は三分の一以下に減らされているわけですが、外航海運会社の経営の中でいわゆる人件費といいますか、船員費というものが占める割合というのはどの程度なんでしょうか。
○政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。 正確な数字は手元にございませんけれども、直接の船員費というのは外航の運航コストの中では五%程度ではないかと思うわけでありますが、そのほか用船費とかいろんな数値の中に人件費が入っておりますので、正確な数字はちょっと出しにくい状況でございます。
○喜岡淳君 今、五%くらいではないか、しかし正確な数字は出しにくい、それ以外にもいろいろ要素が含まれるというお答えだったと思いますが、運輸省が発行しております「数字でみる航空 一九九〇」によりますと、外航海運に占める人件費は、六十三年度六・四%というふうに書かれておりますので、ほぼ近いだろうというふうに思うわけです。そうなってきますと、この六・四%程度の人件費というのはもっとほかに合理化する方法があるのではないか、つまり人件費が必ずしも外航海運の赤字の主要な要因ではないように私は思うわけですが、その辺はどうでしょうか。
○政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。 ただいま海運企業全体として人件費のコストに占めるシェアはどうかという話がございましたが、一船ごとの運航費等で見ますとそれよりも若干高い一〇%を超えるような数字も計算上あると思います。いずれにしても、今の御質問の趣旨は、人件費の比率はそう高くないんだから、そういう点だけが日本海運の国際競争力が低下している大きな原因ではないんではないかという御質問だと思います。 実は、外航海運業というのは国際産業でございまして、船は日本を中心として造船国はかぎられているわけで、ほとんど同じコストでできるわけであります。油の値段も同じであります。そういうわけでありまして、どこで競争しているかというとやはり営業の仕方あるいは船員等を中心とした人件費、そういうところで大きな差が出てくるわけでありまして、営業面につきましては日本は荷主国であり非常に努力している、世界的にもすぐれている、世界一の海運国だと思うわけであります。船員費の問題につきましては先ほど船員部長からもお答えございましたけれども、外国、特に途上国の船員と比べますと、最近は韓国との差は縮まっておりますが、フィリピンその他船員供給国は途上国にたくさんございますけれども、そういうところの船員と比べますと非常に差がある、そういう状況であります。 これは何も日本だけにとどまりませんで、ヨーロッパを中心とした先進海運国におきましては、いずれも自国船に自国の船員でなければいけないという制度をとっている国はことごとく船が減っている。それは、その国の船員を乗せるとコストが高いので、その国の船ではなくして外国人の船員を乗せるということが行われた結果そういうことが雪崩のように起きているわけでありまして、これはやはり船員費の差が大きく経営に響いているということを示すのではないかと思います。
○喜岡淳君 船員費の問題が大きいというふうに聞こえるわけですが、しかしもっと深刻な問題も起きておると思うんです。例えば超大型タンカーの建造費がどんどん上がりつつあるということも新聞で報道されておるのは御承知のとおりであります。日経新聞によりますと、超大型タンカー一重量トン当たり、ピーク時は建造費五万円だったのが、今や日立造船の場合四万六千円、一時のピーク時に近づきつつある、どんどん建造費が上がっておるわけですね。そういう意味では人件費の問題あるいは建造費の問題、そして最大の問題である為替対策の問題、さらには北米航路の赤字の責任など、さまざまな要因の中でコストという問題が考えられなければならないと思うんです。特にその中で為替の問題なんかについては企業で対応せよといっても本来企業の責任でもありませんし、対応できる問題ではありませんので、そういう意味ではぜひ政府としての総合的な対策ということで対応すべきではないかというふうに思います。 さっきおっしゃったヨーロッパのフラッギングアウトの防止策については後でもう一遍質問いたしますので、その問題は後でもう一回答弁してください。 そういう意味で運輸省の方にお尋ねをいたしますが、総合的な政府としての対応策というのが私は必要だろうと思います。そうしないと、コスト論でいきますと、一番最初に船の事故の問題について外国船籍の問題を詳しくお聞きいたしました けれども、船の安全性の担保と船のコストをどう両立させるのか、これがやはり根本問題だろうと思うんです。そこで私は、国のその問題に対する姿勢をお尋ねしたいわけです。
○政府委員(宮本春樹君) まず、順を追って、いろいろ御質問ございましたのでお答えしなきゃならないわけでございますが、最初に、最後の安全性の確保の問題でございますけれども、これにつきましては外国船に事故が多いんじゃないかというようなお話がございましたけれども、この問題につきましては、特にFOC船につきまして、国際的な海運関係の機関の場で安全問題がいろいろ論議されまして、これにつきましては船自体につきましても国際条約がございますし、船員の制度、基準につきましても国際条約があって、少なくともすべての船についてそういう基準は満たしていなければならない、そういうことが確立しておりますので、基準を満たしていない船についてはポートステートコントロールというのが行われまして、相手国の港でも検査が行われるというようなことが制度として確立されておりますので、国際的な一定の基準に基づく安全性は確保されている、最低限の基準は守られている、そのように思うわけであります。さらに、船員部長がお話ししましたように、日本の船員とかそういう者は国際的基準を超えて優秀であるということが別途あるんだと思いますけれども、それはまた別の問題であろうかと思います。 それから、先ほど船価が非常に上がっているんではないかというお話がございました。確かにお話しのとおり、日本の造船業も非常に苦しい状況だったわけでございますが、最近は経営もだんだん収支相償うようになってきているということで船価も上がっているという状況になってきているわけでございます。この問題は国際競争力の面から申しますと、日本の船主の建造する船の船価が上がっているわけではなくて、先進国すべて建造する場合には船価がひとしく上がっているという意味においては国際競争力の差としては出てこない、そういう問題であろうかと思います。 それから、総合的な対策が要るんじゃないか、お話しのとおりでございまして、海運企業におきましてもいろいろな対策を講じておりまして、コストのドル化でございますとか、あるいは為替ヘッジでございますとか、あるいは経営の多角化、そういうことに非常に熱心でございまして、海運業の周辺でも従来は進出しなかった外航の客船事業に乗り出している、あるいは海運業以外のいろんな事業の多角化を図っている、あるいは総合物流業化と申しまして物流業に国際的に進出する、そのようなことで経営基盤の拡充強化を海運業が図っている。そういうことで総合的に対処しようとしておりますし、それに対して政府としても可能な限りの支援を行う、そういう態勢で臨んでいるわけでこざいます。
○喜岡淳君 コストの問題についてはさまざまな要素が絡み合ってコストになっておるわけですから、何か人件費だけが突出しておるような、そこにしわ寄せがしやすいからそこへいこうということにならないように要望しておきたいと思います。 なお、最後にですが、財団法人日本船員福利雇用促進センターの矢嶋理事長さんが雑誌に書かれたところがありますので、これをちょっと引用さしてもらいたいと思うんです。こう書いております。「現在」「船員費の差などは船価の前に埋没してしまっている。」「トータルとして円高に耐える国際競争力のある近代化船の開発が何故出来ないのか。」、技術立国日本にふさわしいような御提言でありますけれども、こういうことも配慮しながらトータル的なコストの削減、しかし安全性は失わず質は守られている、こういう国の積極的な姿勢を希望したいというふうに思います。 それから、さっきちょっとお答えされましたけれども、自国船を守るために、コストが安ければ外国に出したらいいじゃないか。そうじゃなくて、やはり自国船を守ろうということでヨーロッパなどではノルウェーを中心にして先進的な取り組みが行われておると聞いておりますが、その調査もされたわけでありますけれども、その結果を概括お知らせいただきたいと思います。
○政府委員(田辺淳也君) ヨーロッパ諸国におきまして、例えばイギリス、フランス、西ドイツ、オランダ、ノルウェー、デンマーク、こういう国々におきましては、フラッギングアウト防止の観点から第二船籍制度というものをとっておりまして、これらの制度のもとでは配乗要件、外国船員の労働条件、船舶の登録料、こういうことにつきまして特段の取り扱いをすることが定められておりますが、その内容につきましては国によって差がございいます。たとえば、配乗要件につきましては、イギリスのマン島の船籍制度では、船長、機関長、一等航海士、通信士が英国連邦民てあることが義務づけられているわけでございますし、フランスのケルゲレン島の船籍制度では幹部職員四人を含む二五%以上が自国民であることとされております。また、ノルウェーのNIS船籍制度でございますが、これは原則的には船長だけがノルウェー人であればよいということになっておりまして、ドイツの新船籍制度では三等航海士以上についてドイツ人であることとされております。 これらの制度の利用状況を見てみますと、ノルウェーのNIS制度が最も成功した例として挙げられておりまして、フラッギングアウト防止のみにとどまりませんで、リフラッギング――一たんフラッギングアウトした船がノルウェー船籍に戻ってきておる、そういう状況でございまして、NISの登録船が増大しているわけでございます。一方、イギリスのマン島の船籍制度とかほかのあれを見ますと、成功の度合いが低くなっておりまして、全般的に伸び悩んでおるというのが現状でございます。 それから、英国船籍のマン島以外のフラッギングアウトは英国では進んでいるということで、余り効果が上がっていないというようなことでございます。また、フランスのケルゲレン船籍は登録対象船種をバルクキャリアのみに限定しているとか、フランス人の登録隻数を三十隻に限定しているというような制約条件がありまして、十分に活用がされていない状況にございます。 なお、西ドイツの新しい制度につきましては、発足して間もないことでございまして、その成果はまだ明らかではございません。
○喜岡淳君 ノルウェーでは船員さんに対して船員特別控除の制度があるというふうに聞いておりますが、具体的にどういうふうに行われておるのでしょうか。
○政府委員(田辺淳也君) 船員の保護対策でございますけれども、ノルウェーを初め数カ国において保護対策をとっておりまして、そういう船員の保護に関するヨーロッパの事例についてちょっと御説明を申し上げたいと思います。 まず、一般的に申し上げていきますと、イギリスにおきましては年間四分の三以上海外にいる船員は所得税が免除されておりまして、本人にそれが還付されるということでございます。先生御指摘のノルウェーでございますけれども、自国民船員につきまして所得の二三%までの所得控除がございます。また、デンマークではDIS船でございますが、DIS船に乗り組む船員の所得税が免除されている、そういうような状況になっております。
○喜岡淳君 そういう例を聞いておりますと、ヨーロッパでもいっときは船員コストを下げるために外国人を雇用したりしておったけれども、やはり自国船に今おっしゃったように戻った例があるんですね、ノルウェーの場合でも。戻ってきたわけですね。そういうことを見ておりますと、コストは安ければいいというんじゃなくて、やはり安全性の問題、船主の信頼の問題、そういう意味からできる限り自国船員をどう雇用していくか、国の保護策というものが税制制度で今あらわれているというふうに聞いたわけです。ノルウェーでは船員に対して年間五万五千クローネ、約百十万円を会社に還付しておるというふうに聞いたわけでありますが、こういう還付制度をすれば会社の 方もコストが非常に軽くなっていくということもあると思うわけです。 そういう意味で、大臣にお尋ねしたいわけですが、外国もできるだけ自国の船、自国の船員を保護しよう、そういう意味でコストと船の質、そこを常にどうするかと苦闘しておるようでありますが、その方法の一つとして税制面での控除、還付という方法が例えばノルウェーで行われておるわけですけれども、我が国においてもこういうことを一つの参考として、海運保護育成強化策の一つとして税制問題について検討されておるのかどうか、お尋ねしたいというふうに思います。
○国務大臣(大野明君) 船員の税制上の優遇措置というものに対しましては、先ほどもお答えしましたけれども、我が国のような貿易立国であり、そのほとんどの物質を海外に依存しておるということを考えると、やはり船員の雇用と同時に我が国の社会経済あるいは国民生活の上にとって重要であります。そういう意味で直接的な部分と税制上の優遇措置というような側面からも援助は大変重要なことであるので、今後とも大いに検討課題として進めたいと思いますが、現況の我が国の税制からいくと今すぐにということは大変難しい部分があります。と同時に、今御指摘のノルウェーとか諸外国との内外格差というか、そういうようなこともございますので、関係省庁とも大いにこれは私どもが呼びかけて勉強させていただいて将来に備えたい、まあこんな気持ちです。
○喜岡淳君 それから、さっきの税制のところで一つだけ確認しておきたいと思います。きのうも質問通告でフランスの場合を調べておいてくださいというふうにお願いしておきましたが、フランスでは船員に対する税制上の優遇措置というのをやっておるんでしょうか、やっていないんでしょうか。
○政府委員(田辺淳也君) フランスにおきまして最近ドリアンレポートというものが出まして、これは長期的な視点から外航海運の助成策を講ずべきであるというようなレポートになっておりますが、その中で、先ほど申し上げましたケルゲレン船籍の第二船籍制度、例えば隻数の枠を少し外すとか対象船舶をふやすとか、対象船舶をドライカーゴだけじゃなくてそのほかにも広げるとか、そういうことも含めて助成策を提言しております。その中に税制も盛り込まれておると聞いておりまして、目下詳細を調査している最中でございます。
○喜岡淳君 これは本年四月二十日の衆議院予算委員会でのやりとりの一部でありますが、社会党の新盛委員の質問に対して橋本大蔵大臣は、アメリカ、フランスなどでは措置は講じていないということを四月二十日の衆議院予算委員会で述べられております。私の調査では、年間九千万フランにわたって税の減免が行われておる、しかも、それに該当する船は三十隻あるんだというふうになっておりまして、やっていないのかやっておるのか、ぜひ調査を正確にしていただいて、やっていたらやっている、やっていなかったらやっていないと、明確に調査をお願いしたいというふうに思います。
○政府委員(田辺淳也君) 私どもが把握している現状では、一九九〇年から実施する予定であるということでございまして、実施されているかどうかはまだ未確認の状況でございます。
○喜岡淳君 それじゃ正月からというか、一月からですね、向こうは正月かどうなのか知りませんが。九〇年の一月からということであればもう既に実施されておると思いますので、そこは正確に調査をしていただいて、大蔵大臣がやっていないという四月の発言を訂正する必要があると思いますから、ぜひ調査をして結果を教えていただきたいというふうに思います。 それから、最後になりましたが、外航と関連する内航の問題です。 いまさっきのお話では、船特法の改正によって、三年間雇用された船員の人がその後は内航に行くかもわからない、行く人もおるだろうということをおっしゃっておりましたが、この内航海運の状況についてお尋ねをします。 私は瀬戸内海に住んでおりますので、内航の船をよく見かけますけれども、国内貨物の大体半分近くが内航海運によって輸送されておるという資料が届いております。さらには、内航の今後の見通しでありますけれども、私は、内航海運の場合は陸上の車や何かと違って別に渋滞も起きないし、海の上を走るわけですから民家の密集した危険なところをタンクいっぱい原油を積んで走るんじゃないですから、安全性の問題という意味でこれからますます内航の果たす役割が大きくなってくると思います。そこで、内航の果たしておる役割と今後の重要性について、どういうふうな御認識を持っておられるのか、お伺いしたいというふうに思います。
○政府委員(田辺淳也君) 内航海運におきましては、我が国産業の基幹物資、またエネルギー等の油の輸送等々、大量の貨物を中心に運んでおりまして、内航海運が麻痺すれば我が国の物流上非常に大きな問題が生ずるということでございまして、トラック等も含めた物流の中の一環としても大きな位置を占めておるわけでございまして、船員の確保等々の観点からも、これから内航海運の発展等について私どもは強く期待をしているわけでございます。
○喜岡淳君 非常に重要な内航でありますが、内航の船員を取り巻く問題として人手不足、さらには黄犬契約の問題がこれまでも国会で議論になったというふうに思います。特に、黄犬契約の問題は、海員組合に入るなと約束を取りつけてみたり、いろんな例が行われておりまして、この不当労働行為に対してこの間の船員法の改正の際に運輸大臣から答弁があったというふうに聞いております。本当に恥ずかしくて非近代的なことだ、こういうことが絶対にないように徹底して調査し指導すると、当時運輸大臣が答弁されて、「不当労働行為の未然防止について十分な監督を行うこと。」という附帯決議が行われたと聞いておりますが、これは事実でしょうか。
○政府委員(田辺淳也君) 先生おっしゃるとおりだと思います。
○喜岡淳君 そういう答弁あるいは附帯決議に基づいて、これまでどのような取り組みが行われてきたのでしょうか。
○政府委員(田辺淳也君) 不当労働行為につきましては、労働組合法の第七条におきまして使用者に対する行為の規制がなされておりまして、使用者が同条に違反したような場合におきましては船員労働委員会に申し立てが出されるということになっております。 私どもの承知している範囲内では、不当労働行為事件の取り扱い件数は平成元年度におきましては二件でございまして、これが黄犬契約に関連した申し立てであるかどうかということでございますが、黄犬契約とは関係のないものだと認識しております。使用者の行為におきまして不当労働行為であるか否かというのは非常に難しいまた判断を要する問題でございますけれども、もし労働組合法第七条の規定に違反したような申し立てがありますれば、同法の第二十七条に基づきまして船員労働委員会の場において調査、審問されることになっております。 なお、私どもといたしましては、黄犬契約を、不当労働行為として疑わしい事実があれば、事情調査の上、関係者を指導啓蒙していきたいと考えております。
○喜岡淳君 運輸大臣の答弁以降、取り組みをされてきたということでしょうが、具体的にどういう取り組みをしてきたかというのは、今の答弁ではよくわかりません。 これは、私のところに来たはがきの一つでありますけれども、組合に加入しないように文書で明確に約束させられたということであります。文書でもって確認をさせられたわけであります。これがいわゆる不当労働行為に当たるのかどうかというのはすぐ調べていただきたいと思います。これははがきが来たからわかったわけでありまして、はがきが来なかったらわかっていない。そういう 問題がたくさんあると思います。国会でも大臣が答弁をしておるし、附帯決議まで出た問題でありますから、運輸省の方から関係者に対して不当労働行為の根絶のために具体的な行動にきょうから直ちに取り組んでいただきたいというふうに思います。 それについてはどうでしょうか。
○政府委員(田辺淳也君) 先生のお手元に何かはがきのようなものがあるということでございますが、私どもといたしましてはそういう事実ないしは事実に近いようなことが判明いたしますれば直ちに調査をして指導等を行いたいと思っております。
○喜岡淳君 時間がきましたので、最後に大臣にお尋ねをしたいというふうに思います。 七月二十日は海の日であります。前段からもずっと議論の中で明らかになりましたように、我が国は海運がなければ成り立っていかない、つまり海運が我が国を支えておる。そういう意味では、海運業に働く皆さん方が果たしてどういう苦労をされておるのか、その人たちのおかげで我が国の経済社会が成り立っておるわけでありますから、ぜひ七月二十日の海の記念日には、いろんな行事があってお忙しいでしょうけれども、各地の港、できる限り時間をとって、五分でも十分でも実際に船の現場に足を運んで、我が国経済を支えてくれておる船員の皆さん方と五分でも十分でも話をして、実情の視察あるいは激励、問題点の勉強、こういうことでやっていただければ非常にいいことかと思いますけれども、その点どうでしょうか。
○国務大臣(大野明君) 七月二十日の海の記念日、ことしは五十回ということで盛大に式典も行うと同時に、各地においてそれぞれの催しもいたすことになっております。 なお、私もいつも申し上げますが、国会の委員会等が多忙なためになかなか視察できませんでしたが、近いうちに国会も閉幕になったら運輸行政全般にわたっての視察に行く、その中に当然この問題も含めてやりたいと思って事務当局に今日程の作成等もさせておりますから、また秋の国会ではもうちょっと進んだ答弁をさせていただきます。
○喜岡淳君 それじゃひとつ、船の訪問についてはよろしくお願いいたします。 どうもありがとうございました。以上です。
○片上公人君 総務庁、警察庁、おいでになっていますか。――本法案の質疑の前に、交通安全対策に関する件で二つほどお伺いしておきたいと思います。 昨日の報道によりますと、総務庁は交通安全対策に関する実態調査をまとめて、その調査結果に基づきましてオートマチック車だけを対象にした運転免許制度の創設を内容とした勧告を警察庁などに行うということでございますけれども、総務庁の方からこの実態調査の目的、調査結果、勧告の概要について簡単に説明をお願いいたします。
○説明員(山岸親雄君) 今お尋ねいただきました交通安全対策に関する実態調査でございます。 昭和五十四年に交通事故の死者というのはいわゆる第一次交通戦争当時の半分にまで抑えられ、しかしその後徐々に交通事故の死者はふえてまいりまして、近年一万人を超えるという状況になってまいりました。そこで、私ども行政監察の立場としましては、従来の諸対策ではもう十分に対応できない状態が起きているのではないか、こういう問題意識で調査をいたしたわけでございます。 調査の結果につきましては、委員御指摘のように、昨日でございますが、国会公安委員会、総務庁、文部省、厚生省、運輸省、労働省、建設省及び自治省に対しまして改善方を勧告いたしております。 勧告の要点は五つございまして、まず一点目は、道路交通環境の整備、車両の安全対策の効果的推進及び事故現場における救命救急活動の充実強化、これが一点目でございます。 二点目は、学校及び地域社会等におきますところの交通安全教育の体系的実施とその充実強化を図ること。 三点目は、今お話がございましたオートマチック車の運転免許制度の創設についての検討及び自動二輪車免許の段階的取得の制度化について検討、運転免許制度の見直しということでございます。 四点目は、交通事故の実態を踏まえた安全対策を講ずるためこれはぜひとも必要だと思いますが、交通事故の調査、分析の体制の充実強化ということでございます。 五点目は、それらの交通安全対策を総合的かつ継続的に進めていくための、言うならば総合的推進体制の充実ということでございます。 以上五点が勧告の骨子でございます。
○片上公人君 ありがとうございました。 このAT車による事故ですけれども、これまでも欠陥車問題を初めとしてそういう関連でマスコミでも随分取り上げられましたけれども、こういう問題について政府がこれだけ本格的な調査を実施したのは初めてではないかと思いますけれども、この調査によりまして事故対策の対応策について、主にマニュアル車によって自動車教習が行われていることがオートマチック車の事故原因になっておる。それらを踏まえた教習制度、免許制度に改めるべきであるという極めてオーソドックスなものでございます。 私も、AT車につきましては大変心配しておりまして、運輸省の三鷹の交通安全公害研究所でもいろいろお聞きしましたし、またいろんな提言もさせていただきました。特に、自動車の教習時間が七十何時間のうちマニュアル車でわずか二時間から四時間ぐらいがAT車だということでは、改善する必要があるんじゃないかという話も申し上げてきたわけでございます。 今回の総務庁のこういう意味での指摘というのは、極めて常識的な問題に行政が取り組む必要性を指摘したということで大いに評価できると思います。 そこで、警察庁にお伺いしたいのですが、この勧告を受けまして自動車教習所のあり方、免許制度をどのように改善しようと考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
○説明員(滝藤浩二君) 先生御指摘の件につきましては、私どもかねてから大きな課題の一つと考えておりまして、国民の要望だとかその普及状況等を踏まえまして、早期導入について検討中でございます。現在、この導入につきまして、運転免許試験だとかあるいは教習所における教習カリキュラムへの影響等、科学警察研究所の交通部におきまして調査研究を実施しております。本年じゅうにその見通しが得られる予定でございますので、この結果をもとに運転免許制度研究会等におきまして有識者等の意見を聞きながら、早急に具体的なカリキュラムの策定に入りたいというように考えております。
○片上公人君 ありがとうございました。 人命にかかわることでございますから、この対応につきましては、どうか慎重ではございましても、迅速にひとつお願いしたいと思います。総務庁、警察庁ありがとうございました。 次に、本法律案につきましてですが、この法案は、日本船舶への外国人船員の導入の拡大に伴いまして職域が狭められることになった日本人船員の海上職域の確保と雇用の促進と安定を図るために、船員雇用促進センターが船員労務供給事業を行うことができるようにすることを内容にしていると思います。しかし、この制度の背景には我が国商船隊が国際競争のもとで次第に船腹量を減らしておる、このままでは国益を損ないかねない、こういう危険感があると思います。船員労務供給事業を実施することについては異論がないわけでございます。ただ、このような政策を実施する前提として、我が国の国益を確保するために最低どれだけの日本籍船を維持しなければならないかというナショナルミニマムと申しますか、そういうものが確立されなければならぬと思うんですね。フラッギングアウト問題ワーキンググループの報告書でも、混乗問題の前に、まず我が国商船隊に ついての定量的なナショナルミニマムを設定し、それについての国の責任を明確にすべきである。こういう意見があったとも聞いておりますけれども、運輸省はこの問題をどのように考えていらっしゃるのか伺いたいと思います。
○政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。 先生お話しのとおり、我が国の商船隊について定量的なナショナルミニマムを設定すべきではないか、そのような意見があることは事実でございます。私どもいろいろ勉強したわけでございますが、ナショナルミニマムの問題はそれを取り上げる人の立場によりましていろいろな考え方がございまして、それ自体が大変難しい問題だ。それから、もちろん我が国の外航海運にとりまして日本船や日本人船員が不要だ、そのような人はいないと思うのでございますが、今日のような内外の経済社会情勢の中で国民的コンセンサスが得られる形でナショナルミニマムの設定ということは非常に難しいんではなかろうか、そのように考えておりまして、そういう状況を踏まえながら、私どもといたしましては、内外の経済社会情勢の変化を踏まえた我が国商船隊の将来のあり方、そういうことは重要な検討課題ではなかろうか、そのように考えまして、現在中長期的な観点から二十一世紀を展望しました我が国外航海運の将来像、そのようなものにつきまして運輸政策審議会の国際部会というところで御検討をお願いしている、そういう状況でございます。
○片上公人君 平成元年におきますところの我が国の商船隊の隻数というのは、日本籍船が五百三十二隻、外国用船が千四百七十隻と圧倒的に外国用船に対する依存率が高いわけでございますが、日本籍船は五十五年以来の統計を見ますと急激に減り続けております。混乗の導入程度の措置では歯どめがかかりそうにも思えないわけですが、運輸省はどのように考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
○政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。 先生の御指摘のとおり、日本商船隊の中において日本船の減少が著しくなっております。これは先ほどの御質問にお答えしましたけれども、近年の円高等による内外の船員格差の拡大等によりまして日本人船員の乗り組む日本船の国際競争力が著しく低下している。そういうことに伴いまして日本船の海外流出、これをフラッギングアウトと言っておりますけれども、それが進行してきたことに伴うものだと思います。 このような、日本船の国際競争力を回復いたしましてフラッギングアウトの急増に歯どめをかけていくための一つの方策といたしまして、当面の対策として海外貸し渡し方式による日本人船員と外国人船員の混乗というものを外航船舶一般に拡大していくことが適当ではないかという提言が実は昭和六十三年の十二月に海運造船合理化審議会で取りまとめられたところでございまして、さらにこの御提言を受けまして、昨年の十二月にはこのような形での混兼を実施することにつきまして海運労使の間で合意が成立しまして、本年三月からこの合意に基づく混乗がスタートしたところでございます。 これが予期したとおりフラッギングアウトの歯どめになるかどうかということは、まだ制度が発足したばかりでございますので何とも申し上げられないわけでございますが、外国の実例等は先ほどちょっと御説明いたしましたけれども、一番成功しているのはノルウェーにおいて船長一人だけがノルウェー人でいい、それ以外はノルウェー船員でなくてもいいという制度を採用したノルウェーの国際船舶登録制度が一番成功している。これで船がふえている、減少に歯どめどころかふえているというような状況があります。現在の混乗は日本人船員九名ということでございますので、これで本当に歯どめになるかどうかということについては必ずしも私どもとしても明確に自身を持ってそうなると言えるわけではございませんけれども、混乗のスタートしたところでございますので、この推移を見守ってまいりたい、そのように考えているわけでございます。
○片上公人君 どうか経済性だけを考えるんじゃなしに、安全性も考えましてさらに慎重にやっていただきたいと思います。 次に、日本船と外国用船におきます日本人船員と外国人船員の数の現状について伺いたいと思います。
○政府委員(田辺淳也君) 平成元年央におきます我が国商船隊は二千二隻でございます。そのうち日本船が五百三十二隻、外国用船が千四百七十隻でございます。乗組員数でございますが、単純外国用船や混乗船がございますので正確な把握は困難でございますが、平成元年央で合計約四万四千七百人、うち日本人約九千七百人、外国人約三万五千人と推計されます。 その内訳をもう少し申し上げますと、日本船の五百三十二隻でございますが、その中でマルシップが百八十九隻ございます。それに乗り組んでおりますのが四千五百人でございます。内訳といたしましては、日本人が千五百人、外国人が三千人でございます。次に近代化船でございますが、これが百八十四隻ございまして、これに二千九百人が乗り組んでおります。これは全員日本人でございます。その他の日本船でございますけれども、これが百五十九隻ございまして、計三千五百人が乗り組んでおりまして、これも全員日本人でございます。それで合計一万九百人、船の数としては五百三十二隻ということになるわけでございます。合計の内訳ですが、日本人が七千九百人、外国人が三千人ということでございます。 それから、外国船でございますけれども、千四百七十隻でございますが、三万三千八百人乗り組んでおりまして、その中で日本人が千八百人、外国人が三万二千人という現状でございます。
○片上公人君 船員のコストの相違は大変大きいと言われておりますけれども、我が国の船員と、他の外国人との賃金差は大体どれぐらいか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(田辺淳也君) 昭和六十二年の外国人船員の賃金につきまして、財団法人日本海運振興会が行いました「東南アジア船員雇用に関する調査」の報告書によりますと、調査対象国のマンニング会社の賃金水準でございますけれども、これが、職員であります一等航海士を例にとりますと、台湾、香港、韓国、フィリピン、この四カ国の平均で月額約千二百九十六米ドルでございます。これは当時、昭和六十二年十二月一日でございますので、この円の換算レート、一米ドル百三十三・三五円で換算いたしますと十七万二千八百二十二円となっております。この時期の外航船の日本人一等航海士の乗船中の月額賃金でございますが、平均値が五十五万二千八百八十八円でございまして、外国人一等航海士の賃金の三・二〇倍となっております。
○片上公人君 一杯船主的な外国船主が供給を求めてきた場合に、どういうふうに対応するのか、伺いたいと思います。
○政府委員(田辺淳也君) 今回の船員雇用促進センターが船員労務供給事業を行うに当たりましては、労務供給の相手方と船員労務供給契約を締結して行うこととなっておりまして、これを締結する際に相手方の労働条件を勘案することとしておりまして、一方で船員雇用促進センターは供給先においても船員の保護が図られるよう労務供給を行うこととする、船員労務供給規程においてその旨を定めることとしております。これは運輸大臣の認可にかかわる規程でございまして、労務供給船員が劣悪な労働条件で就労することのないように、この規程を認可するに当たりまして十分監督を行ってまいりたいと思っております。
○片上公人君 今回、雇用して労務供給の対象となる人というのは新たな離職船員だけでございますけれども、従来からの離職船員につきましてはどのような対策をとっていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
○政府委員(田辺淳也君) 外航海運からの従来の離職船員につきましては、船員として再就職を希望する者に対しましては、全国六十二カ所の船員職業安定所におきまして、失業保険金の支給と その期間の延長、就職促進給付金の支給、これを行っております。あわせまして海上職域の紹介とか再就職の指導、再就職のあっせん等を行っておりまして、離職船員の失業中の生活の安定と再就職の促進に努めているところでございますし、また一方で、日本船員福利雇用促進センターでも、これまで外国船への乗船を希望する者に対しまして外国船への再就職のあっせん、外国船就職奨励金の支給、それから外国船乗船のための各種技術訓練を行うこととしておりまして、日本船に職場を確保することが困難な外航船員離職者、こういう方々が外国船に職場を開拓して再就職が容易にできるように努めているところでございます。
○片上公人君 船員職域確保の対策について、今後はどのように考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
○政府委員(田辺淳也君) 従来から離職船員の対策につきまして鋭意取り組んできておるところでございますけれども、今回特に外航船員につきまして外国船への配乗を促進する、こういうことによって海上職域の確保を図るということとして今回船特法の一部改正の御審議を願っておるわけでございます。 そのほかに、船員の海上職域の確保につきまして、内航船等において労働環境の改善等が進められているわけでございますし、外航船員の将来の職場の対象にもなるものと考えております。また、現在クルーズ客船が増加しておりまして、この分野におきましても外航船員の職域の一つになるものと考えております。
○片上公人君 外航二船団の年齢別船員数を見ますと、三十五歳以下の船員数が極めて少ない。このままでは、日本籍船は確保されましても日本人の乗組員がいないといったような事態になるかもしれない、こういう心配がございますね。 現在、船員育成機関としましては、商船大学、商船高専、海員学校等があると承知しておりますけれども、それぞれの養成の実態について御報告願いたいと思います。
○政府委員(田辺淳也君) 商船大学は東京、神戸に二校設置されておりまして、四年半の教育を行っております。平成二年度の入学者数は二百二十四人でございます。商船高等専門学校につきましては、富山、鳥羽、広島、大島、弓削に五校設置されておりまして、これは五年半の教育を行っております。平成二年度の入学者数は百九十五人でございます。船員学校につきましては、中卒三年制の本科校が小樽、宮古、館山、唐津、口之津、沖縄に六校設置されておりまして、平成二年度の入学者数は二百四十五人でございます。また、高卒一年制の専修科というのが清水と波方に二校ございまして、平成二年度入学者数百六名でございます。
○片上公人君 それぞれの学校の卒業者で海運企業に就職した者の割合を平成元年卒業年度について見ますと、商船大学の場合は五三・八%、商船高専は三九・五%、そして海員学校は五六・八%となっております。海運企業への就職率は、最も低い商船高専の場合なんかは昭和六十二年、六十三年二〇%台の就職率だった。 私も、神戸に住んでおりまして、神戸商船大学のすぐ近くにおりましたもので、子供のころから商船大学の学生には随分かわいがってもらいまして私のあこがれのところでありました。最近会いますと、前途についていろいろ就職の問題で随分悩んでいるメンバーがおりまして、いろいろ考えられたら大変だなという実感を持っております。 運輸省としまして、こういう就職率の問題を今後どのように考えていらっしゃるのか、どう対策をとっていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(田辺淳也君) 先生御指摘のとおり、商船大学、商船高専等船員の養成機関の卒業生が船員を志向しない傾向がございまして、その理由はいろいろございますけれども、陸上企業からの求人が最近急増しておるということ、またとりわけ我が国の海運界、先ほどもいろいろ議論がごさいましたが、円高等によりまして深刻な不況ということで採用を極度に手控えた、そういう実態がございまして、そういう状況を学生が見ておりまして、商船大学、商船高専の卒業生が将来に対して不安を抱いた結果海運界への応募が少なくなってきた、これが大きな原因ではないかと思っております。 しかしながら、最近におきましては、海運界は長い不況を脱してようやく明るさが見えてきておりまして、新規船員の採用も少しずつではございますけれども拡大してきております。さらに、先ほど申しましたクルーズ船等の出現等で明るい話題も出てきておりますし、海運の魅力が徐々にではありますけれども高まってきていると思います。 このような中で、私どもといたしましては、現在の船員の年齢構成が非常に頭でっかちといいますか、逆ピラミッド型になっておりまして、若年船員層が著しく減少している、こういう状況にかんがみまして、若者の海上志向を高めるために新規船員の採用、海運界のイメージアップ等々、これを船社及び教育機関を初め関係者に強力に働きかけまして、これによってこれら卒業生の応募を増加させていきたい、こう考えております。
○片上公人君 大臣にお伺いいたしますが、このような現況の中で、日本人船員の減少によりまして船舶の安全航行を脅かすことにならないか、こういう不安があるわけでございます。経済性の追求のみが先行し、安全の確保という問題が忘れられているんではないかという心配もいたすわけでございます。世界的にも混乗が進む中で、安全航行に問題はないのかどうか、船員の質の向上等、国内でもまた国際的にも安全上問題がないようにチェック、指導をしていく必要が私はあると思うんです。 我が国の外航海運におきますところの日本人船員の役割と将来のあり方等につきまして、どう方向づけをなされているか、伺いたいと思います。
○国務大臣(大野明君) 昔から日本人船員の海技力の優秀さとかあるいはまたその旺盛な責任感、これは内外ともに大きな評価をいただいておりますし、また同時に、今御指摘ありましたように運航に当たっても安全かつ確実であるということは最大の責務でありますから、こういうものも確実にやる船員であるという定評をいただいていることは本当に喜ばしいことであり、力強いことと思っております。 しかし、先ほど来の議論の中にもございますように、我が国の海運界は環境が大変大きく変化いたしております。その中において、日本人船員の役割というものは今申し上げたようなことで大変に重要なもの、肝要なものであると思っております。いずれにしても、我が国の商船隊というものが今後とも健全な維持、発展のためにも、大きく期待するというよりも期待以上のものを私どもは持たなきゃいけない。そのためには運輸省といたしましても、優秀な海技力を保全するためにも、今後後継者育成のためにより一層力を注ぎたいと考えております。
○片上公人君 次に、先ほどもお話がございました先般の三宅島沖でのノルウェー船と漁船の事故につきまして、法務省にお伺いしたいんですが、今回のように我が国の船舶と外国船との事故の場合、公海上また我が国領海内での捜査、裁判の管轄権の違いについて御説明願いたいと思います。
○説明員(松尾邦弘君) お答えいたします。 裁判権の問題ということになるわけでございますが、一般論として申し上げますと、我が国の領海内での事故につきましては、原則として我が国が裁判権を行使し得ることについては異論がないところであります。他方、これが公海上で発生した場合、先生お尋ねのノルウェー船の事故のような場合ですが、これはまず刑法一条二項に「日本国外ニ在ル日本船舶又ハ日本航空機内ニ於テ罪ヲ犯シタル者ニ付キ亦同シ」という規定がございまして、日本国内において罪を犯したる者と同様に日本の刑法が適用されるということを明らかにしている規定でごさいます。 この場合に、日本船舶において罪を犯したとい うのはどういうことかということになるわけでございますが、行為あるいは結果を含めまして犯罪を構成する事実の全部または一部が日本船舶内において生じるということを意味しております。例えば衝突事故の場合ですが、衝突の結果日本船舶内に傷害等の結果が生じた場合は、結果の発生地といたしまして日本船舶内の犯罪と言えるわけでございます。我が国の刑法上の業務上過失致死傷等の罪が適用されることになるわけでございます。 ただ、御案内のように公海に関する条約というのはこれとは別にございます。我が国もこれに加入しておるわけでございますが、その第十一条には、「公海上の船舶につき衝突その他の航行上の事故が生じた場合において、船長その他当該船舶に勤務する者の」「刑事上又は懲戒上の手続は、当該船舶の旗国又はこれらの者が属する国の司法当局又は行政当局においてのみ執ることができる。」、という条文になっております。これによりまして、公海上の事故につきましては我が国の刑事裁判権を行使し得ない場合も生じてくることになるわけでございます。 この点、もう少し触れますと、例えば公海上において外国船の加害行為によって公海上にある日本船舶内で傷害等の結果が発生した場合でございますが、これは刑法一条二項の問題では日本国内における犯罪と理解されるわけでございますが、今申し上げました公海に関する条約によりまして、その行為者はその加害行為を行った船舶の旗国またはその者の属する国の裁判権に服することになりますので、結局、公海における加害外国船の過失行為者が日本国籍者についてのみ我が国の裁判権を行使し得ることになるということになります。 以上でございます。
○片上公人君 ありがとうございました。 国際条約上、船舶の航行に見張り等公海の方法が決まっていると思いますけれども、その内容を具体的にお聞きしたい。 今回の事故船は、これを守っていたかどうかということを伺いたいと思います。
○政府委員(豊田実君) 御指摘の条約としましては、千九百七十二年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約というのがございます。この条約の中で、船舶の重視すべき航法、表示すべき燈火等について規定しております。この条約を国内法化しまして、海上衝突予防法というものを我が国としては制定しているところでございます。 条約の中身いろいろございますが、主な内容としまして、例えば見張りにつきましては、船舶は、視覚、聴覚等の手段により、常時適切な見張りを維持しなければならない。あるいは衝突回避の関係では、船舶は衝突回避が可能な安全な速力で航行しなければならない。やはり衝突関係では、船舶はできる限り十分に余裕のある時期に衝突を避けるための動作をとるべきことというような規定がございます。ノルウェーにつきましても、我が国と同様、この条約発効時に加盟しております。 現在まで捜査をしておるところでございますが、事情聴取の結果等によりますと、両船とも自動操舵で航行しており、また両船の当局者とも衝突まで相手船に気づけなかった模様というふうに聞いております。 なお、詳細については、これからまだ引き続き捜査をしていくという状況でございます。
○片上公人君 時間が終わりになりましたので最後に、遺族のことを思いますと大変胸が痛むわけでございますけれども、現在、我が国の技術で引き揚げる技術というのは深い場合はどのぐらいまでなのか、ないのか、それが一つ。 加害者責任は別としまして、一般的に船員が仕事上死亡した場合、遺族に対しどのような補償がなされるのか、この制度を説明願いたい。 以上で質問を終わります。
○政府委員(豊田実君) まず、最初の漁船の引き揚げ、技術的に可能かということですが、これまでの我が国の実績としては、最高深度五百メートルまでは実績ございますが、今回の沈没地点の水深は二千から二千五百と推定されておりますので、技術的には非常に困難というふうに考えております。
○政府委員(田辺淳也君) 遺族に対する補償でございますけれども、船員が職務上死亡いたしました場合は、船員法上、船舶所有者は遺族に対しまして遺族手当と葬祭料を支払うことになっておりまして、制度上はこれらの補償の実際の支払い、これは船員保険で担保されることになっておりまして、その内容は原則的には一定の方法で計算した報酬の月額の五・五カ月分、これを年金で支払うことになっておりまして、あとは葬祭料としては報酬の二カ月に相当するものが支払われる、そういう状況になってございます。
○片上公人君 終わります。
○委員長(中野鉄造君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時に再開することとし、休憩いたします。 午後零時三分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(中野鉄造君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○小笠原貞子君 まず最初に、この法案による措置というものはフラッギングアウト防止のためと言われております。フラッギングアウトの最大の原因は何とごらんになっていらっしゃるでしょうか。
○政府委員(田辺淳也君) 日本商船隊の中において日本船が著しく減少いたしましたが、その減少船腹の大部分は先生のおっしゃるとおり海外へ移籍いたしましてフラッギングアウトしたものでございます。このようなフラッギングアウト急増の最も大きな要因といたしましては、近年の円高等によります経営環境が悪化した中で、内外の船員費のコストの差が拡大してきたためでございまして、日本人船員の乗り組む日本船の国際競争力が著しく低下したことが主たる原因ではないかと考えております。
○小笠原貞子君 結局、相変わらずの船員費のコスト論ということに尽きると思います。仮にマルシップのように日本船籍といっても日本の船員は九名だけ、あと十三名は外国人が乗る、そういう船、それを考えると、低賃金のアジア人船員をフル配乗している船とでは、コスト論からいたしますとマルシップでもかなわなくなってしまうと言えると思うんです。そうすると、マルシップも今のところは日本人船員九名を守っていきたいとさっきもおっしゃっていましたけれども、コストで考えていくとやがてそれが六名になり四名になり、そしてゼロと、限りなく日本人船員を除外する方向に進まざるを得ないということが言えると思います。 こうなってきますと、確かに船籍は日本であるけれども、これを果たして日本船籍といって誇れるものになっていくだろうか、名前だけ日本船ということで残して、船員は外国人というのがフラッギングアウト防止の実態になるのではないか。その点、いかがお考えですか。
○政府委員(田辺淳也君) 先生のおっしゃるとおり、マルシップが進んでいった場合に日本人船員の乗り組みが限りなく少なくなれば非常に問題ではないかということでございます。このマルシップ混乗に乗り組みます日本人船員の、特に職員の定員数につきましては船舶運航の安全上等いろいろな観点から私どもはチェックをしておりまして、先生おっしゃるとおり、一名とか二名とか、そういうことにはならないと私は考えておりまして、いずれにしても、混乗につきましては労使合意のもとで計画的に、段階的に進むものと考えております。
○小笠原貞子君 本当にはっきり言うと、一名と か二名にはしないとおっしゃっても、その歯どめは何にも根拠がないのよね。そうすると、コストで考えていけば、いやもう減らした方がいいじゃないか、船籍だけ残す日本船になってしまうというのは、現実に心配して考えなきゃならないんだという問題として重ねて申し上げておきます。 次の質問なんですけれども、政府が進めてきました外航海運政策によって、わずかこの四年間で日本船は一千二十八隻から五百三十二隻と急減しております。そしてその五百三十二隻という日本船の中でマルシップは百八十九隻という数字になっているわけです。日本船の乗組員は日本人の船員が乗る、これが本当の意味での日本の船と言えると思うんですけれども、今こうやって考えてみますと、純粋の日本船は三百四十三隻にしかすぎないと言わざるを得ない。これは大きな問題だと考えていかなきゃならない、私はそう思います。しかも今度、新マルシップ政策というものが進められるわけでございますから、ますます純粋の日本船と日本人船員はいなくなることになってしまいます。全く歯どめなくこの傾向が続くことになると言わざるを得ません。こういうことを考えると、こういう事態は絶対容認できないと言わざるを得ないわけです。 ところで、外航海運中核六社各社の計画造船三十五次、昭和五十四年度から六十三年度の十年間の利子補給金の実績はどうなっておりますでしょうか、また開銀からの融資実績はどうなっておりますでしょうか、中核六社について数字を言ってください。
○政府委員(宮本春樹君) まず、利子補給の実績でございますが、昭和五十四年度から六十三年度までの十年間における大手六社に対する利子補給金の支給実績は、日本郵船が百八十億円、大阪商船三井船舶が百三十七億円、川崎汽船が百六億円、ジャパンラインが三十二億円、山下新日本汽船が六十八億円、昭和海運が四十三億円となっております。 それから、昭和五十四年度から六十三年度までの大手六社にかかわる各社ごとの開銀融資の実績でございますが、日本郵船が千五百七十四億円、大阪商船三井船舶が千二百十八億円、川崎汽船が千百六十六億円、ジャパンラインが二百九十六億円、山下新日本汽船が六百三十二億円、昭和海運が五百二十五億円となっております。
○小笠原貞子君 さっきおっしゃった中で、利子補給の大阪商船三井船舶の数字をもう一遍言ってください。
○政府委員(宮本春樹君) 昭和五十四年度から六十三年度までの大阪商船三井船舶にかかわる利子補給金は百三十七億円でございます。
○小笠原貞子君 今、中核六社ごとに利子補給金と開銀融資の額を出していただきました。これを合計いたしますと、利子補給で中核六社がもらったのは五百六十五億九千百万円、ざっと五百六十六億円という国からの利子補給金をもらっているわけでございます。開銀からどれくらいの融資額かと先ほどの数字を合計いたしますと五千四百十二億二千九百万円、つまり大変な額の開銀からの融資を受けている。そして、それに対する利子補給としてまた政府から約五百六十六億という大変なお金を出してもらっている。これも海運業界の発展のためということで行われてきたわけでございます。大変な援助だと思います。 さて、この利子補給を受けた船は五年たてば売船、売ってもいいということになっているわけでございます。 そこで伺いますけれども、五十七年から平成元年まで利子補給を受けた計画造船の、海外へ売り渡した船の実績は何隻になっておりますでしょうか。
○政府委員(宮本春樹君) 計画造船で建造された船舶の海外売船の状況でございますが、年で申し上げますと五十七年からということでございます、五十七年が四十二隻、五十八年が三十九隻、五十九年が三十二隻、六十年が十八隻、六十一年が二十八隻、六十二年が四十六隻、六十三年が二十六隻、平成元年が十五隻、延べ二百四十六隻となっております。
○小笠原貞子君 二百四十六隻が売られました。 それでは、五十七年度から計画造船の、つくった方の実績は何隻になっておりますか。
○政府委員(宮本春樹君) ちょっと細かい数字でございますが、昭和五十七年からの計画造船による建造の隻数でございますが、五十七年が十六隻、五十八年が十九隻、五十九年が二十五隻、六十年が十七隻、六十一年が十六隻、六十二年が一隻、六十三年が二隻、平成元年が七隻でございます。
○小笠原貞子君 今のを合計いたしますと百三隻という数字になります。この数字をちょっと覚えておいていただきたいんです。 それで伺いたいんですけれども、つまり、この八年間で、今おっしゃったように合計しますと百三隻計画造船されているわけでございます。ところが、さきにお答えになりました数字、百三隻建造されているけれども、その一方で、売り渡した数字が先ほどの二百四十六隻という数になるわけです。つまり、計画造船やっている一方で、約二・五倍の二百四十六隻も計画造船でつくられた船が海外に売船されちゃっているわけですよね。 これを考えますと、こんなことをやっていたらフラッギングアウトを防止するなんて言ったって全くざるで水をすくうようなものだと言わざるを得ないと思うんです。そのフラッギングアウトを政府が推し進めている、これを許可して推し進めていると言わざるを得ない。造船をしながらその倍以上の数をどんどん売り渡している、しかもそこには融資、利子補給もされている。こういうことをやっていたら本当の意味でのフラッギングアウトを防止するということにならない。その辺のところに根本的な問題としてメスを入れなければ今後ともこういうことが起こってくると思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。 基本的には、計画造船で開発銀行の優遇金利で建造された船舶といえども現在までの厳しい海運市況のもとでは国際競争力が失われてきたということが原因であろうかと思いますが、先生からもお話がありましたとおり、計画造船で建造された船舶については竣工後五年を経過しない場合には原則として海外売船を認めない、そういうふうに取り扱ってきたところでございます。五年経過すればこのような制約もなくなるわけで、船舶収支の悪化等によって海外売船が行われることがあるのは一般の外航船と異ならないところでございまして、ただいま先生から御指摘のあったとおり、当該期間につくられた計画造船の船舶よりも過去につくられた計画造船の船舶の売船量の方が多いではないかという数字が出てくるわけであります。 なお、参考までに、竣工後五年を経過しない場合でありましても、経営困難に陥った場合、会社の解散でございますとかあるいは再建対策、例えば定期航路部門から撤退したとかそういうやむを得ない事情がある場合には例外措置として海外売船を認めた例もございます。 なお、内外の船員費格差の拡大等によりまして日本人船員の乗り組む日本船の国際競争力が著しく低下したということに伴いまして、計画造船による日本船の建造量が昭和六十二年度は先ほど申し上げましたとおり一隻、六十三年度は二隻と激減いたしましたが、平成元年度には労使合意に基づきまして日本船への混乗が実施されるということの動きに対応いたしまして建造船舶量も七隻まで回復した、そういう現実がございます。
○小笠原貞子君 時間が短いものですから、答弁は簡潔にして要を得たお答えをいただきたいと思います。 さて、離職させられた船員の労務供給先の主な対象として、衆議院の運輸委員会では、その対象として便宜置籍船が多い、日本の船会社がある程度支配できている方が好ましいと述べておられます。 そこで、具体的に伺いたいと思います。 新マルシップによって離職を余儀なくされた船 員が、新マルシップを行った企業の支配船に配乗することもあり得ると考えられるんですが、いかがでございますか。
○政府委員(田辺淳也君) 今回の労務供給の対象船舶につきましては、先生がおっしゃるとおり主として便宜置籍船を含めた外国船を考えておるんですが、当該雇用された船員が離職元の船社の便宜置籍船に乗るというようなことは考えられません。というのは、離職元の企業がまず自分の努力で職域を確保するということが大前提でございますから、そういう努力をすればその企業が自分の支配下にある船舶に職域を確保できると考えられるからでございます。
○小笠原貞子君 そういうことは絶対あり得ないと言われますか。
○政府委員(田辺淳也君) 私申し上げましたのは、一般的にこの制度を考えたときに想定される事態を申し上げたわけでございまして、この運用に当たってどうなるかというのはわかりませんけれども、そういうことはこの制度をつくるときには想定しておりません。
○小笠原貞子君 あっては困るという願望も込められて言っておりますが、絶対あり得ないということは言えないということになります。 あり得るということになりますと、一体何のための離職かということになります。例えば新マルシップで本法案の対象となる日本郵船、大阪商船の船員がまず離職させられ、その後日本郵船、大阪商船が支配する外国船に配果させる。つまり首を切って賃金が浮き、そしてみずからの支配船に配乗させ国から補助金ももらえる。企業にとってこんなうまい話はない。逆に言うと、国が補助金を出し外国船に配乗させるからということで新たな首切りの口実にさせられたらたまらない。私はこんなことがあってはならないと思うんです。あり得ないと私は思うわけですが、あり得ないという考えは当然だとお思いになりますでしょう。あってもいいと思うんですか。
○政府委員(田辺淳也君) この制度の前提が、企業が最大限の努力をして職域を確保した後、やむを得ず職域がない方々がセンターに移籍されるわけでございまして、企業の努力の範囲内にそういうものがあれば当然そちらの方に先に職域が確保されていると考えられるわけでございます。
○小笠原貞子君 当然企業は努力すべきであって、こういうことにならないようにすべきである、それは当然のことなんです。だけれども、そうは人よく私は考えられない。企業というのはもうとにかくコストを下げるためにはいろんなことをやっているから、だから私もちょっと人が悪くなりまして、これは絶対あり得ないとおっしゃれないところに、こにみそがあるんだわ。だから、そういうことがあり得るということを考えて対処していただきたいと重ねてお願いをいたします。 日本船に外国人船員を配乗させるマルシップの法的根拠は何なんですか。
○政府委員(田辺淳也君) マルシップをするに当たっては海上運送法による海外貸し渡しの許可が必要でございまして、これが第一の条件でございます。それから日本の法令では旗国主義をとっておりますからマルシップには当然日本法令の適用があるわけでございまして、船舶職員の乗組員を一定数省略しようとすれば、それはまた船舶職員法の所要の手続が必要となります。
○小笠原貞子君 つまり、船舶職員法二十条の特例が適用されるわけですよね。本来この特例というのは整備や船舶の安全を担保するための対策であるということですよね。マルシップのようなコスト軽減のためにつくられた特例ではないと言うべきではないかと私は思うんです。しかも、新マルシップなどと先ほど言うようにどんどん拡大解釈していくということでは、この特例措置というものをコスト論で歪曲して活用していると言わざるを得ないと思うんです、事実としてね。 そこで、私は言いたいんだけれども、この法律が本当に船員の生活を守り、日本の船籍を守って日本の海運のためになるというのであれば、私はそれはいいことだ、賛成しましょうと思います。しかし、このようにどんどん特例も拡大解釈されて歪曲されて、マルシップがどんどん進んでいって船員は離職に追い込まれて、そして低い賃金でもってほかに就職をあっせんされてというようなことを考えますと、船員にとっては決してプラスにならない。企業の大手にとってはプラスになると言わざるを得ないんです。 それで、離職船員は今四千人に上るというふうに言われております。そのうちの二百五十人がこの措置の対象になります。残りの圧倒的多数の離職者に対して……
○委員長(中野鉄造君) 小笠原君、時間が経過しました。
○小笠原貞子君 抜本対策もなければ、同じ日本人船員で外国船に配乗する人には船員法、船員保険法の補助も何もない、逆差別が生じるということになります。こういうことを仕方がないと言われては私は困る、そういうことを申し上げたいんですけれども、その点について、もうこれでおしまいでございます、大臣、見解がもしございましたら。
○政府委員(田辺淳也君) 先ほど先生がおっしゃいました二十条特例の運用でございますが、これは安全上の観点から厳正に運用しております。 それから、雇用船員と登録船員と差ができるのはおかしいではないかという御指摘ですけれども、先般来御説明申し上げておりますように、雇用船員を雇用する条件といいますか、それと一般の登録船員とはかなり違った背景を持っておりますので、その差はやむを得ぬものと私は考えております。
○粟森喬君 御質問申し上げます。 一つは、海運業界が現状で申し上げるならばようやく経営が黒字に転換したというふうに思いますが、一般論で申し上げると、その業界が繁栄すれば、労働力需給関係で申し上げるならば、むしろ日本経済全体でいえば労働力不足ということで外国人が雇用されるという現象が起きます。これが適法かどうかは別にして、そういう関係が存在します。しかし、特に今問題になっている海運の場合、このことに関して過去の大臣等の発言などでは、外国人労働者の雇用についてはかなり規制していくということを前提にして発言されています。結果として日本人の船員、労働者が余剰になった原因についてどういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(田辺淳也君) 日本人船員がかなり余剰になってきた原因は何かということでございますけれども、先ほども議論になりましたとおり、船員費が高騰、日本の船員のレベルが高くなっていること、それから円高等によりまして国際競争上もさらに差がついた、そういう意味で各一船ごとのコスト競争力がなくなった末クラウディングアウトという現象が起こり、フラッギングアウトに伴いまして船も失い船員の職域も失う、そういう現象で船員が余ってきたと私どもは認識しております。
○粟森喬君 フラッギングアウトが起きたときに、いわゆる政策的にそこの部分に歯どめが不十分だったというふうに私は考えているわけでございますが、政策的にそこに歯どめをするために具体的に何と何を措置したのか。今もそれぞれの発言者の発言を聞いてみますと、利子補給だとか制度融資をやってきたわけですが、それで不十分であったのか、そこに本当に歯どめをするという立場での政策というのがあったのかなかったのか、これはやむを得ないというふうにいってしまったのか、その辺のところについて見解を明らかにしてもらいたい。
○政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。 先生御承知のとおり、ごく最近は別にいたしまして海運界は非常に長い、特に外航海運は長い不況があったわけであります。これはいろんな原因がありまして、もちろん海運企業の経営者の責に帰すべき理由もあると思いますけれども、世界の経済動向とか、あるいは市況とか、為替とかいろんな周囲の状況がございましてそういう状況に なった。これは日本だけではない、世界の先進国の海運企業はみんなそういう状況があったわけであります。 そういう中で、我が国の海運企業がどのようなことで生き延びているかということを御説明した方がわかりやすいと思うんですが、それは日本人の乗り組む日本船はコストは高いけれども信頼度は高い、荷主にも信頼される、そういう船でございます。そういう船をもちながら、さらに自分が実質的には支配しておるけれども、必ずしも全部日本人が乗り組んでいるわけではない、あるいは外国人のみである、そういうふうなFOC船、そういうものをつくり、さらには純粋な外国の船を用船してくる。そういう三つの組み合わせで合計した平均的なコストを国際競争力に合うものにする、そういう政策をとって日本の海運企業、あるいは世界の先進国の海運企業は生き延びようとしてきたわけでありまして、そういうことの結果、一番コストの高い自国船員が乗る自国船、そういうものがどうしても必要な分野というのは必ずあるわけでございますが、そういうものが減ってきている、そういうことが起きてきたんではないか、そのように思うわけであります。
○粟森喬君 今の答弁を聞いていて思いますのは、結果として運輸省は、そういうふうに各社がやってくることを是認してきたのですか、それともそれに対して否定的な対応をしてきたのですか、そこをお尋ねしたいと思います。
○政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。 外航海運政策としては船に対する政策、それから船員に対する政策の両方あると思いますけれども、少なくとも船舶の建造につきましては、先ほど来御質問ございましたとおり、開発銀行の最優遇金利で船がつくれるようにということで日本商船隊の整備には意を尽くしてきたわけでありまして、そこにまた、日本船でございますと日本人が乗り組むということは従来行われていたわけでありますから船員が働く場も確保できる、そういうことで取り組んできたわけでございます。それに伴う利子補給も一時ございましたが、それ以外には日本の海運企業としては自助努力で自分の経営基盤を固めながら生き延びてもらおう、そういう政策をとってきたことは事実でありまして、船舶の建造について主として開発銀行の融資という政策を通じて海運政策が行われた、そういうことでございます。
○粟森喬君 質問したことが適当でなかったのかしれませんが、海運業界が結果として不況を乗り切ることについて是認してきたのかそうでなかったのか、その質問にだけお答え願いたいと思います。
○政府委員(宮本春樹君) 是認してきたかそうでないかと言われると非常に難しいわけでございますが、御承知のとおり海運大不況の中では非常に有名な企業も倒産いたしましたし、企業の統廃合も行われたわけで、そういうことを政府が是認して、助長してきたのかと聞かれますと、そういうことはございませんと答えざるを得ないわけでございますが、結果としていろいろな施策にもかかわらずそういうことがやむを得ず起こった、このように認識しております。
○粟森喬君 結果として私は是認してきたという立場で問題を立てているので、言を左右にされることについては結構でございますが、今度法律を改正せざるを得なくなったのも、責任がなかったら法律をすぐ改正して船員に対してそういうことをすることもないわけでございますから、明らかにこの部分については、是認した結果から生じたものだという私どもは立場であるということを申し上げたいと思います。 その上でお聞きしたいと思います。船員の離職状況、私どもが例えば海員組合のことをお尋ねしますと、過去二十万を超える組合員を擁していたのが今は三分の一近くに減っております。この海員組合に所属する人だけが船員だというふうには規定していませんが、船員のための職業安定の保険等というのはあるわけでして、離職者の実態についてどういうふうに把握しているか。労働省の関係者、ちょっと教えていただきたいと思います。
○説明員(伊藤庄平君) 労働省におきましては一般外航海運業等の海運業につきまして特定不況業種に指定いたしております。したがいまして、そこから離職し、陸上産業へ希望するという場合に労働省が担当しておりますが、そういう方につきましては特別の求職手帳を発給いたしまして、計画的に就職指導、それから職業紹介等も行っております。この手帳の発給件数、六十一年からの累計、一般外航海運業ですと三千百九十五件が元年度ですと二百三十五件、こういうふうになっております。 これらの方々の再就職でございますが、これは例をもって御説明申し上げますと、例えば長崎県では元年度二十五名の方に手帳を発給しておりますが、十三名の方が再就職を既にいたしておりまして、その他の方、求職を取り消された方とか、あるいは職業訓練を現在受講中の方であるとかが若干残っております。また、石川県におきましても、十八名の方に元年度手帳を発給いたしましたが、九名の方が再就職している、あと八名の方が職業訓練を受講しておる、こういった状況でございます。
○粟森喬君 過去にさかのぼって、これに対して特別な調査を行ったかどうか。例えば私どもが実態として聞かされるのは、もともと船員で生涯を過ごそうとする人が中途で転職した場合、労働条件だとか賃金あるいは選択すべき職業の職種などに大変不安があるというふうに聞いておりますが、その辺はいかがでしょうか。
○説明員(伊藤庄平君) 御指摘の実態、再就職の状況につきましてでございますが、先ほど御説明申し上げましたように、私ども手帳を発給して計画的に指導を加え、再就職まで職業紹介をしていくという体制を持っておりまして、その後の再就職の状況につきましては公共職業安定所がその実情を把握いたしております。 ただ、私どもは、現在一人一人の方々の再就職先の職種とか労働条件の実情を必ずしも十分集計しておりませんので、その辺については本省といたしましても十分集計し、もし必要な対応があればいろいろ考えていきたいというふうに思っております。
○粟森喬君 私どもが体験的に聞かされている話を申し上げますと、船員をやめて別のところに就職した人たちの労働条件などは大変悪いということですから、これは特別に抽出して調査をしていただいて、この問題がある程度うまくいけば、船員がずっと生涯船員でいたいという人とそうじゃない人の選択肢の中でも、この辺の雇用政策をちゃんと立てないと問題の本質の解決にならない、こういうふうにも考えていますので、ぜひともやってほしい、こういうように思いますが、よろしいですか。
○説明員(伊藤庄平君) 公共職業安定所では既に離職されて陸上へ再就職された方々等の実情を十分把握いたしておりますので、そういった状況を私ども十分聞きまして、必要な対応についてはさらに検討したいと思っております。
○粟森喬君 ノルウェーのいわゆる海運政策が国際的にも比較的うまくいったことの一つとして先ほど紹介がありました。特に強調されたのは、船長だけノルウェー人であるということだけであったんですが、私どもが聞き及ぶところによればそれだけではないと思います。幾つかの政策がかみ合わされて結果的に最低一人乗務といいますが、実態としてはかなりのノルウェー人がここに乗務している、こういうふうに実態を把握しているわけでございますが、その辺の実態報告について再度御説明願いたいと思います。
○政府委員(田辺淳也君) 私どもの聞いております範囲でお答え申し上げますが、ノルウェーのNIS制度におきましては、要件としては船長ぎりぎり一人ノルウェー人が乗っていればいいという、先生の御指摘のとおりでございますけれども、事実上は日本人と同様に、ノルウェー人の海技の優秀性ということが船主に認識されておりま して、四、五名乗っているNIS船籍の船が多いと聞いております。
○粟森喬君 一人乗務でいったからうまくいったという意味じゃないんですね。これだけはっきりしておいてほしいのは、日本でいわゆるマルシップで九人の乗務を認めたことから見て、ノルウェーは一人だ、これは後の質問にも関係するんですが、この比率についてさえ経営の一部には相当意見があるということなんです。ですから、九人より一人がいいと聞こえるようなニュアンスの発言は慎んでもらいたいという意味で私は申し上げたので、ノルウェーにおける海運政策そのものが総合的にうまくいったということが象徴なんであって、いわゆるマルシップにおける一人乗務に限定したことではないということについて、明確にそれだけではないということをはっきりしてください。
○政府委員(田辺淳也君) NIS船籍船についてはいろいろなケースがあり得ると思います。ノルウェー人が一人しか乗っていない船もありますれば、先ほど申しましたように、四、五人乗っている船もある。そこで船主としての評価でございますけれども、数人乗っている船の、例えば船舶の修理の状況、メンテナンスの状況とか、事故の発生状況、また荷主等の連絡等々の状況から見ればかなり荷主筋に優秀な船員が乗っているということで評価を受けて、そういう意味で最低一人ということであるけれども、事実上数人乗せているというような話は聞いております。
○粟森喬君 その上で、マルシップの配乗比率の適正化問題についてお尋ねをしたいと思います。 これは、九人が適当かどうかということについて意見があんですが、むしろ外的にやらなければならないのは、外国人船員を雇用することついて一定の規制を加えていかないとかなり問題があるのではないか。といいますのは、今世界各国で言えば日本は比較的賃金の高いところです。東南アジアは低うございます。日本の全体の労働力市場を見ますと、いわゆる三Kといいまして、汚い、筋肉労働とか、嫌がるところでは外国人労働者を積極的に受け入れなければ企業がやっていけないということで、そこには比較的日本人労働者が行きたくないという前提条件があるんです。 ところが、今日まだ日本の、特に船員の労働力ということになりますと余剰の状態があるわけですから、外国人の乗船について、日本船籍とマルシップ船とそれからたまたま寄港するところと、いろんな条件の違いがあってかなり難しいということは承知していますが、何らかの規制を、枠をはめていかないと、いずれにしても経済格差がある限り本問題は広がっていくと思うんです。そのことについて運輸省は今後何らかの対応をする気があるのかないのか、お尋ね申し上げたいと思います。
○政府委員(田辺淳也君) マルシップ混乗の日本人船員の配乗人数がどうなるかという点でございますけれども、現在、大型船ですと九名職員の配乗が義務づけられております。そこで、今度の新マルシップにおきましてはそのうちの六名を職員として配乗し、残りの三名は部員の方々、または部員の方々で職員の免状を持っている方々を配乗し、計九人ということで運用しているわけでございます。職員の数を減ずることにつきましては、先ほども議論がありましたように二十条特例ということで措置をしているんですが、これはあくまでも私どもは安全上の観点からチェックしているわけでございまして、現在も安教審の二十条問題小委員会で、一船ごとに官労使を含めた委員の方々にチェックしていただいた上で、安全である旨について私どもは許可をしている、そういう運用をとっておるわけでございます。
○粟森喬君 今答弁されたことは九人の立場で言っているわけでございますが、機関部門と航海部門に分けましても、果たしてこれだけで、本当の意味で目指すべき安全であるとか、いわゆる高度の海運業としてのやり方では多少問題があるということと、外国人を何も規制せずに雇用できる現状には問題があるということについて重ねて申し上げておきます。いずれにしても、今の法律がつくられていく過程で今後の問題はたくさん残るわけでございますから、この部分は以上で終わりまして、時間の関係もありますから、一つだけお聞きしたいと思うんです。 海上保安庁にも来ていただいているんですが、一つは丹後沖というんですか、あそこで起きた例の貨物船の事故というのは、事故の終結宣言を明確にされたのかどうか。あのときに使用された金額は幾らなのか。 あわせて、これは全体に聞きたいと思うんですが、安全性確保ということを考えますと、あの程度の貨物船の燃料の重油でしたからよかったけれども、タンカーのダブルボトムとかダブルハルをこれから義務づけていくことなど、安全管理の上でより万全を期さなければならないことが多いと思いますので、そのことについて見解をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○政府委員(豊田実君) 最初の部分についてお答えします。 本年一月二十五日、京都府の経ケ岬沖で事故が発生しました。船体に亀裂が発生しまして、燃料油九百十六トンのうち大半の八百六十トンが流出しまして直ちに防除措置を開始いたしました。私どもの管区の海上保安本部だけではなくて、海上災害防止センターあるいは第三港湾建設局、自衛隊、地元関係機関が一緒に防除措置に当たりまして、本年の六月十一日に作業が完了しまして、十二日に終結宣言をしております。
○政府委員(石井和也君) タンカーのダブルハルの問題でございますが、現在国連の専門機関であります国際海事機関、IMOと申しておりますが、そこでタンカーからの油流出防止のための構造の見直しを検討いたしております。日本といたしましてもいろいろ専門家を集めまして、日本としてダブルハル、ダブルボトムを含めましてさまざまな合理的な規制をどうあるべきかということについて検討をいたしておりまして、この結果を国際会議に持ち込みまして国際条約の面で反映してまいりたいというように考えております。
○寺崎昭久君 昨年の十月にマルシップ混乗に関する労使協定が、大変船員の苦しみを伴いながら締結されたわけでありますけれども、今回の法律案の改正もそういうことを背景にして上程され審議されているんだろうと思います。 そこで、最初にお聞きしたいのは、日本海運が国際競争力を維持するにはこの先も混乗は不可避だと考えられているのかどうか、見解を承りたいと思います。
○政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。 我が国の外航海運が、最近の円高等による内外の船員費格差の拡大等によりまして、日本人船員の乗り組む日本船の国際競争力が著しく低下しまして、日本船の海外流出いわゆるフラッギングアウトが進行してきたわけでございますが、これを防止するためには我が国外航海運にとって商船隊の国際競争力の回復と経営基盤の充実強化が必要な課題でございます。 このことにつきまして、日本船の国際競争力を回復し、フラッギングアウトの急増に歯どめをかけていくための方策につきまして、海運造船合理化審議会という場でいろいろ専門の方々にお集まりをいただいて御検討いただいたわけでありますが、当面の方策といたしまして、海外貸し渡し方式による日本人船員と外国人船員の混乗を外航船舶一般に拡大していくということで対応するのが適当ではないかという御提言がございまして、これを受けまして海運労使間で協議を行いまして合意が成立いたしまして、本年の三月からこの合意に基づく混乗がスタートしたところでございます。これで当初の予期したとおりフラッギングアウトに歯止めがかかるかどうかということについて今なお予断を許さないわけでありますけれども、現在スタートしたところでございますので、私どもとしてはこの推移を見守ってまいりたい、そのように考えているところでございます。
○寺崎昭久君 これによっていろいろ生ずるであろう問題については後で少し触れたいと思いま す。 ところで、先日、平成二年三月の海運五社の決算が発表されましたが、それによると各社とも営業、経常、当期利益等すべて黒字になっているわけであります。御同慶の至りというべきところでありますが、しかし問題がないわけではありません。とりわけ大きな問題というのは船員にかかわる問題であろうと思います。長期不況の中で、日本人の外交船員が一万人を割っているという実態、またその間若い人を採用していなかったということもあって、若年船員の不足という問題が生じているわけであります。 現状の外航船員の労務構成を見る限り、果たして日本の海運というのは将来とも大丈夫なのかということを心配せざるを得ない状況にあるわけでありますけれども、こうした労務構成の問題というのは、この先例えば近代化船をつくれば何とかしのげると考えているのか、あるいは日本の海運にとってゆゆしき問題だという認識で対処しようとしているのか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(田辺淳也君) 先生御指摘のとおり、近年の我が国の外航船員は相当な数で減少を来しておりまして、二船団ベースでは九千人を割っております。外航海運全体では一万人そこそこ、そういう状態になってきております。 このままの状況で推移した場合に果たしてどうなるかという先生の御指摘だと思いますが、私どもといたしましては、平成元年十月の船員数一万一千そこそこなんですが、前年度に比べますと少し減少率が小さくなっておりまして、例えば外航クルーズ船の出現とか景気が戻ってきたということもございますし、いろいろな要因があるわけですけれども、海運にやや明るさが見えてきた、そういうことでございまして、それに加えて今度の混乗を実施することによって急激なフラッギングアウトが防止できるということになりますれば、それほどの急激な船員の減少は今後ないのではないかというようなことを感じております。 ただ、船員の年齢構成が高年齢者が非常に多くなっているというのは、私ども憂慮しておりますして、例えば十年すればかなりの退職者がふえるわけでございますので、それに見合う新規の若い学卒者を採用できなければ海運としては非常に先細りの状態になることも考えられるわけでございまして、私どもとしては新規学卒者と申しますか、新卒者の確保につきまして、これから各関係者、船主団体、学校関係者等々に呼びかけまして確保に努めてまいりたいと考えております。
○寺崎昭久君 若い人の確保に努力する、呼びかけをするというのは必要なことだと思うんですけれども、呼びかけてもなかなか人が集まらないというところに問題があるのではないかと思うんです。 次に、直近の統計によりますと、三十歳末満の船員というのは大体五%から一〇%ぐらいの間であろうというようなことも聞きますし、それを今後少しでも改善していくためには、賃金、労働条件を含めて海運事業というのは魅力のある職場である、そういう状況をつくり上げていくことこそが大事なんではないかと思います。よく三Kとか六Kとか、若い人がそう呼ばれる仕事を嫌うというようなことを言いますけれども、果たしてそうなのか。三Kと言われても、それに見合うだけの賃金とか労働条件の面で何かの格好でカバーする部分があれば、やはり海の仕事は魅力があるんだということになるのではないかと思いますが、そういうことを含めて御見解を賜りたいと思います。魅力づくりということで。
○政府委員(宮本春樹君) 先生のおっしゃるとおりだと思います。 日本の外航海運業というものがそこで働く人たちにとって魅力あるものでなければそこに優秀な人材は集まらない、そういうことでありまして、現在まで日本の外航海運は非常に長い間不況が続きまして、その企業を維持していくだけでも非常に大変できゅうきゅうとしておったわけであります。最近、先ほども御説明ございましたけれども、明るさが見えてきた。そういうことで外航海運業を魅力あるものにしようということで、まず経営の多角化ということでいろんなことをやっております。 海運業というものは、市況に左右されたり、為替に左右されたりして浮沈が非常に激しいので、できるだけ安定化しようということでいろんな事業に進出する。あるいは同じ海運業であっても荷物を運ぶだけではなくて、クルージングというようなことで、これはお客を扱うということで明るい面でございますけれども、そういうものに最近日本の外航海運業は非常に力を入れている。何とか日本の外航海運というものを魅力あるものにして、新しい人たち、優秀な人たちに来ていただくようにしようということで、私どももできるだけの協力はするということで海運業者は今一生懸命力を入れている、そういう状況でございます。
○寺崎昭久君 魅力ある産業、職場にするためには、将来にわたって海運業界がどういうふうに発展していくのかということが大事なポイントの一つになると思うんです。先ほど、二十一世紀を展望した日本商船隊のあり方を運政審で検討中であるというお話がありましたけれども、それはそれとして、総合的な運輸行政に責任を持つ責任官庁として、運輸省は日本海運のあるべき姿、あり方というか、あるいは日本船員の確保についてどのような見解を持ち、努力されようとしているのか、聞きたいと思います。
○政府委員(宮本春樹君) 内外の経済社会情勢の変化を踏まえた将来の我が国の海運の役割あるいはあり方といったような問題は、今後の運輸政策の中で重要な検討課題である、そんなふうに考えておりまして、先ほど御説明したとおり、現在、中長期的な観点から二十一世紀を展望した我が国外航海運の将来像について、運輸政策審議会の国際部会の場で、労使の代表の参加も得て検討をお願いしているところでございます。その中では、適正な船腹量の問題でございますとか、あるいは船員の役割、位置づけといった問題でございますとか、そういうような重要な問題についても検討が行われるものと考えております。
○寺崎昭久君 こういう問題を伺うとすぐ運政審で検討していますとか何とか審議会でやっていますと言うんですけれども、私はやはり行政官庁は行政官庁としての識見があってしかるべきだと思うんですが、いかがなものでしょうか。
○政府委員(宮本春樹君) お答えいたします。 学識経験者あるいは当事者からの意見を総合してお答えをいただきましたものを踏まえまして、それを尊重いたしまして運輸省といたしましては政策を樹立してその実現に努めてまいる、それが我々の立場だろうと思います。
○寺崎昭久君 若干異論がありますけれども、最後に意見、要望を申し上げて、できましたら大臣のコメントなりをいただきたいと思います。 先ほど来、答弁や見解を伺っておりまして幾つかの点が明らかになったと思うんです。例えば若い人が船員になりたがらない、魅力のある産業づくりが課題であるとか、内航、外航とも若年船員の不足があり、一方では高齢化という問題を抱えている。内航は先ほども既に人手不足が大変だというお話があるかと思えば、外航ではマルシップの関係もあって、混乗の関係もあって離職を余儀なくされている、そういう人もいる。一方では、国際競争力を強化するという観点から、近代化船が進められたりあるいはFOC船化が進められたりというようなことがあるわけですけれども、こういうようなことを伺っておりまして感じたのは、今海運業界の最大の課題というのは、経営基盤を強化しつつ、なおかつ魅力のある産業をつくる、そしてその中で日本人船員の確保と継承に努めるということではなかろうかというように思いました。 そういう中で今回の船特法の一部改正が行われるわけでありますけれども、三点の要望、意見を申し上げたいと思います。 まず第一点は、国際競争力の強化を志向する余りに、これを解雇促進法にしてはいけないということであります。法案の第十一条には、就業構造 その他の事由で離職を余儀なくされている者、それが今回の対象になると書かれているわけでありますけれども、これは言ってみれば経営の論理であります。そのことをよく考えていただきたいと思うんです。もしも、雇用の受け皿ができたから日本人船員を離職させることができる、その分外国人船員を雇用できるというような誤った受けとめ方をする経営者がいれば、これはたとえ一時的には国際競争力が強化できたとしても、長期的に見ればそれだけで企業基盤、産業基盤を失うことになるし、日本にとって安全上も経済的にも大事な基幹産業を失うということになるんではなかろうかと思います。 要は、企業の収益性と日本人船員問題というのはトレードオフの関係じゃなくて、一緒にして考えなければいけないんだということを申し上げたいと思います。ぜひ日本船舶に外国人船員を配乗するための法律にしないように、業界の指導もよろしくお願いしたいと思います。 二つ目の問題は、この法律の背景に自己の責めに帰せざる理由で離職に追い込まれたというか、そういう日本人労働者がいるということ。この法案ができた背景からいえば、就業の場を変えたと私は理解したいぐらいなんですが、そういう船員がいるんだということ。それから、日本の船員制度の近代化というのは、これまで就労体制の変更といったソフト面で進められているわけであり、それを支えてきたのは労働組合だという認識をしっかり持ってもらいたいと思うんです。そういう意味において、今後とも雇用問題については政府も経営者も特段の意を用いていただきたいという要望であります。 それから三点目は、日本の海運をこれからも維持発展させるためには、まず賃金、労働条件を含めて、産業、企業としての魅力をどうやってつくるか、これに早急に取り組んでもらいたい。そしてまた、海上労働の役割とか重要性とか日本船員の必要性、そういったものについて広く国民に理解を求める活動をしてもらいたいと思しますし、こうした問題についてはぜひ政労使で考えてもらいたいと思っているわけであります。 できれば大臣の総括的なコメントをいただきたいと思います。
○政府委員(田辺淳也君) 先ほどの先生の御指摘の中の船特法の運用につきましては、企業の最大限の努力を前提にしまして適正な運用を図れるように努力をしてまいりたいと思います。
○国務大臣(大野明君) 非常に多岐にわたっておりますので、個々についてお答えすることは相当時間もかかりますから端的に申し上げますと、海運業ばかりでなく今本当に労働力不足という時代でございますので、だからといってミクロな物の考え方でなく、我が国というものは何といっても国民生活も経済も貿易なくしては成り立たないんですから、それの中心的役割は、先ほども申し上げましたように優秀な船員各位の力というものが大変に大きいということを認識し、またそれに対して若い人たちが、おれは国家のため、社会のためにという誇りを持って働けるような環境づくりをしてあげることが大切なんだなと。これは口先でなく、私の在任中にできる限りそういうものを、今、政労使というお話がございましたが、そういうところに呼びかけてやっていきたい、このように感じでおります。
○寺崎昭久君 どうもありがとうございました。終わります。
○委員長(中野鉄造君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中野鉄造君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○小笠原貞子君 私は、日本共産党を代表し、船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。 反対理由の第一は、日本の外航海運は、日本国内の税法上の対象から逃れ、低賃金の外国労働者を乗船させるなど、大きな問題を抱えた便宜置籍船化を推し進め、低賃金のアジア人船員を乗り組ませ、徹底した脱日本人船員化を図り高利潤確保を優先してきました。 そのことにより日本籍船が激減し、日本人船員の雇用が脅かされ深刻な事態となっています。しかも、その残された日本船舶への外国人船員の導入の拡大によって加速度的に日本人船員の職域が狭められています。 本法案は、これらのことに全くメスを入れず、一層の脱日本人船員化を推進していくことを前提にしての対策であり、真の日本人船員の雇用対策になり得ないものです。 反対理由の第二は、本法案の前提はマルシップ化による離職船員を対象にしたものであります。すなわち、日本船舶でありながら低賃金のアジア人船員などの外国人を配乗させることを推進させ、そのことにより失業させられた日本人船員の対策をとろうとするものであります。まさに日本船舶からも日本人船員の雇用を奪うことになり、容認できません。 反対理由の第三は、本法案は、こうして失業させられた日本船員の外国船への配乗を促進する、そのために国が財政援助をするものであります。ところが、その対象外国船は便宜置籍船を念頭に置いており、同意できません。 同時に、マルシップ化を推進する大手海運会社にとって、首切り合理化の新たな口実となり、その受皿づくりを国が援護するという仕組みであります。 その一方で、大手海運会社は大幅な利益を出し、九〇年三月度決算を見ても、外航海運大手五社で経常利益四百億円を超える大もうけをしており、企業の責任で雇用確保を図るのが前提であり、容認できません。 反対理由の第四は、船員雇用促進センターにはマルシップ化による離職船員である雇用船員と登録船員に分けられ、雇用船員には国と企業から三年間助成されるが、登録船員は職の紹介のみで船員法の適用もなく助成もありません。こうした失業船員は約四千人にも上るのに何ら根本的雇用対策のないまま放置されていることは重大と言わざるを得ません。 以上の点を指摘して、反対討論を終わります。
○委員長(中野鉄造君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(中野鉄造君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 田渕君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田渕君。
○田渕勲二君 私は、ただいま可決されました船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法施行に当たり、次の事項につき、万全の措置を講ずべきである。 一、外航海運をめぐる厳しい国際競争に対処し、日本人船員の確保・育成を図るため、所要の施策の充実強化に努めること。 二、市況変動の影響を受けやすい外航海運業の特殊性を考慮し、欧州主要国で行われている船員費の負担軽減策等について検討すること。 三、我が国船員の年齢構成等にかんがみ、若年船員の育成・確保に努めること。 四、外国籍船に乗り組む日本人船員に対する法 的保護を図るため、引き続き適切な対策を検討すること。 五、我が国商船隊の整備を図るため、日本籍船に対する長期低利融資制度の拡充に努めること。 六、外航客船事業の健全な発展を図るため、客船バース及び旅客ターミナルの整備、出入港手続きの迅速化及び需要開拓策に努め、もって日本人船員の職域拡大に資すること。 七、財団法人日本船員福利雇用促進センターが行う船員労務供給事業については、その実施状況を勘案し、必要に応じ事業内容の見直しを行い、事業の適正な運営の確保に努めること。 右決議する。 以上でございます。
○委員長(中野鉄造君) ただいま田渕君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(中野鉄造君) 全会一致と認めます。よって、田渕君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、大野運輸大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。大野運輸大臣。
○国務大臣(大野明君) ただいまは、船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、慎重審議の結果、御可決いただき、まことにありがとうございました。 また、附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、政府としてその実現に努力してまいる所存であります。 まことにありがとうございました。
○委員長(中野鉄造君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中野鉄造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(中野鉄造君) 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、関東運輸局埼玉陸運支局の自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。 本案につきましては、既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。――別に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、関東運輸局埼玉陸運支局の自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(中野鉄造君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中野鉄造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時十一分散会