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118回国会衆議院1990/04/27

予算委員会第二分科会 第2号

発言数
186
登壇者
23
会派数
4
開催日
1990/04/27

会議録

越智通雄自由民主党

○越智主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  平成二年度一般会計予算、平成二年度特別会計予算及び平成二年度政府関係機関予算中大蔵省所管について、政府から説明を聴取いたします。橋本大蔵大臣。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 平成二年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入予算額は、六十六兆二千三百六十七億九千百万円となっております。  このうち主な事項について申し上げますと、租税及び印紙収入は五十八兆四十億円、雑収入は二兆四千三百二十二億八千八百万円、公債金は五兆五千九百三十一億八千万円となっております。  次に、当省所管一般会計歳出予算額は、十七兆百一億一千万円となっております。  このうち主な事項について申し上げますと、産業投資特別会計へ繰り入れは一兆三千億円、国債費は十四兆二千八百八十五億八千六百万円、政府出資は二千八百億円、予備費は三千五百億円となっております。  次に、当省所管の各特別会計の歳入歳出予算について申し上げます。  造幣局特別会計におきましては、歳入、歳出とも二千七百七十億五千万円となっております。  このほか、印刷局等の各特別会計の歳入歳出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。  最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算について申し上げます。  国民金融公庫におきましては、収入四千七億六千五百万円、支出四千三十六億九千三百万円、差し引き二十九億二千八百万円の支出超過となっております。  このほか、住宅金融公庫等の各政府関係機関の収入支出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。  以上、大蔵省関係の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。  なお、時間の関係もございまして、お手元に配付しております印刷物をもちまして詳細な説明にかえさせていただきたいと存じますので、記録にとどめてくださるようお願いいたします。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

越智通雄自由民主党

○越智主査 この際、お諮りいたします。  ただいま橋本大蔵大臣から申し出がありましたとおり、大蔵省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

越智通雄自由民主党

○越智主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────   〔参照〕    平成二年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算に関する説明  平成二年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入予算額は、六十六兆二千三百六十七億九千百万円でありまして、これを前年度当初予算額に比較いたしますと、五兆八千二百二十五億九千七百万円の増加となっております。  以下、歳入予算額のうち主な事項につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一に、租税及印紙収入は、五十八兆四十億円でありまして、これを前年度当初予算額に比較いたしますと、六兆九千九百四十億円の増加となっております。  この予算額は、現行法による租税及び印紙収入見込額五十八兆三千五百四十億円から、平成二年度の税制改正による減収見込額三千五百億円を差し引いたものであります。  次に、各税目別に主なものを御説明申し上げます。  まず、所得税につきましては、公的年金等控除額の引上げ等による減収見込額を差し引いて、二十一兆三千七百二十億円を計上いたしました。  法人税につきましては、製品輸入促進税制の創設及び租税特別措置の整理合理化等による減収見込額を差し引いて、十九兆七千百十億円を計上いたしました。  また、消費税につきましては、非課税範囲の拡大、飲食料品の小売段階非課税及び特別低税率の創設並びに仕入税額控除の制限等による増減収見込額を調整して、五兆三千二百億円を計上いたしました。  以上申し述べました税目のほか、相続税二兆四百五十億円、酒税一兆九千百四十億円、たばこ税九千五百七十億円、揮発油税一兆四千二百三十億円、有価証券取引税一兆二千三百四十億円、関税八千六百四十億円、印紙収入一兆九千四百九十億円、及びその他の各税目を加え、租税及印紙収入の合計額は、五十八兆四十億円となっております。  第二に、雑収入は、二兆四千三百二十二億八千八百万円でありまして、これを前年度当初予算額に比較いたしますと、三千百七億五千二百万円の増加となっております。  この収入のうち主なものは、日本銀行納付金三千二百四十億円、日本中央競馬会納付金二千六百七十億八百万円、特別会計受入金一兆三千四百三十二億四千七百万円、貨幣回収準備資金受入二千三百四十一億二千三百万円等であります。  第三に、公債金は、五兆五千九百三十一億八千万円でありまして、これを前年度当初予算額に比較いたしますと、一兆五千百七十八億二千万円の減少となっております。  この公債金は、「財政法」第四条第一項ただし書の規定に基づき、公共事業費、出資金及び貸付金の財源に充てるため発行する公債の収入であります。  最後に、前年度剰余金受入は、八百三億七千八百万円となっております。  次に、当省所管一般会計歳出予算額は、十七兆百一億一千万円でありまして、これを前年度当初予算額に比較いたしますと、二兆六千五百二億六千八百万円の増加となっております。  これは、国債費が二兆六千二百三十七億一千九百万円増加したこと等によるものであります。  以下、歳出予算額のうち主な事項につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、第一に、産業投資特別会計へ繰入につきましては、一兆三千億円を計上いたしておりますが、この経費は、無利子貸付けの財源に充てるための「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」に基づく産業投資特別会計への繰入れに必要なものであります。  第二に、国債費につきましては、十四兆二千八百八十五億八千六百万円を計上いたしておりますが、この経費は、一般会計の負担に属する国債及び借入金の償還及び利子等の支払並びにこれらの事務の取扱いに必要な経費の財源を、国債整理基金特別会計へ繰り入れるためのものであります。  第三に、政府出資につきましては、国民金融公庫等三機関に対し、一般会計から出資するため必要な経費として、二千八百億円を計上いたしておりますが、その内訳は、国民金融公庫五十億円、中小企業信用保険公庫百九十五億円、海外経済協力基金二千五百五十五億円であります。  第四に、経済協力費につきましては、三百八十七億三千六百万円を計上いたしておりますが、この経費は、国際開発金融機関を通じて供与する発展途上国に対する経済協力等に必要なものであります。  第五に、国民金融公庫補給金につきましては、三百五億三百万円を計上いたしておりますが、この経費は、国民金融公庫の業務の円滑な運営に資するために必要なものであります。  最後に、予備費につきましては、予見し難い予算の不足に充てるため、三千五百億円を計上いたしております。  次に、当省所管の特別会計のうち主な会計につきまして、その歳入歳出予算の概要を御説明申し上げます。  まず、造幣局特別会計におきましては、歳入、歳出とも二千七百七十億五千万円となっております。  次に、印刷局特別会計におきましては、歳入八百七十七億九千百万円、歳出八百二十億六千万円、差引き五十七億三千百万円の歳入超過となっております。  以上申し述べました各特別会計のほか、資金運用部、国債整理基金、外国為替資金、産業投資、地震再保険及び特定国有財産整備の各特別会計の歳入歳出予算につきましては、予算書等を御覧いただきたいと存じます。  最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、国民金融公庫におきましては、収入四千七億六千五百万円、支出四千三十六億九千三百万円、差引き二十九億二千八百万円の支出超過となっております。  このほか、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、北海道東北開発公庫、公営企業金融公庫、中小企業信用保険公庫、環境衛生金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行の各政府関係機関の収入支出予算につきましては、予算書等を御覧いただきたいと存じます。  以上、大蔵省関係の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。     ─────────────

越智通雄自由民主党

○越智主査 以上をもちまして大蔵省所管についての説明は終わりました。     ─────────────

越智通雄自由民主党

○越智主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔、明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。志賀一夫君。     〔主査退席、町村主査代理着席〕

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)分科員 どうも皆さんおはようございます。私は、本分科会におきまして、たばこ問題に限って大蔵大臣初め日本たばこ会社等の関係者に御質問を申し上げます。  若干自己紹介させていただきますと、私どもの福島県は、十数年前でありますが、収納代金約三百億円を上回る日本一の葉たばこの生産地であったわけでありますが、昨年は減反が続いたために第二位に落ちてしまったことは極めて残念としております。この葉たばこが何といっても地場産業として重要な作物でありますので、今後とも維持発展させていくために全力を尽くしたい、そういう考えで皆さんがおられます。  御承知のように、たばこ産業は国の専売事業として長い間、あるときは専売納付金として、その後の制度改正によって消費税として、あるいはたばこ税として国並びに地方財政に大きな貢献をしておりますことは、今さら申し上げるまでもないと思うのであります。国の専売事業から民営化され、たばこの自由化はされてしまったけれども、地場産業の一つとして今後とも維持発展させていかなければならないというふうに私ども考えております。したがって、私は、一方では安定した国と地方の財源確保とたばこ産業の将来にわたっての存続を期待しながら、以下御質問を申し上げたいと思います。  まず第一点としましてお聞きいたしますのは、一九八五年四月専売事業から日本たばこ会社として民営化となったと同時に、また、たばこの自由化という新たな事態を迎え、さらに二年後の八七年には輸入たばこの無関税化という、たばこ界にとってはまさに明治維新に等しい事態を迎えざるを得なくなったわけでありますが、その前後の経緯について、まずお伺いをいたしたいと思う次第であります。

山口厚生大蔵省理財局たばこ塩事業審議官

○山口(厚)政府委員 お答え申し上げます。  昭和六十年四月、専売改革がございました。それは、開放経済体制に即応する、そういうことなどのために製造たばこの輸入が自由化されまして、これに対応して、輸入たばことの自由な競争に耐え得るように日本専売公社を合理的な企業経営が最大限可能な特殊会社に改組することといたしまして、現在の日本たばこ産業株式会社が設立されたところでございます。  この輸入自由化以降の経緯を若干申し上げますと、我が国市場におきます輸入製造たばこのシェアを見ますと、昭和六十年度、ちょうどこの移行のときでございますが、二・四%でございました。その後、六十一年度は三・九%、六十二年度は九・八%、六十三年度に一二・一%となりまして、平成元年度には一四・七%まで上昇してきておりまして、日本たばこ産業株式会社を取り巻く状況は厳しいものとなっております。  このような厳しい競争市場のもとで、会社におきましては製造業務体制の再編など経営の合理化等が進められておりますけれども、この業務の効率的な運営が行われ、競争原理導入による効率化の促進という臨調答申の趣旨の徹底が図られていると考えております。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)分科員 日米構造の一環としてかわかりませんが、アメリカから日本の政府に対しまして二つの要求が出されていました。それは関税の引き下げであり、二つは製造たばこの日本国内での許可、こういう二つの要求が出されておったわけであります。  ここで関税の問題についてお聞きをしたいわけでありますが、たばこの関税は、かつては九〇%という高い関税を示したことがありますけれども、それ以降、三五%、二〇%というふうに漸次低下してまいったところであります。今回のアメリカの要求もいわゆる関税を下げてほしいという要請であったのにもかかわらず、なぜゼロにしてしまったのか、その辺の経緯について詳しくお聞きしたいというふうに思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 これは事務的な御答弁を申し上げますよりも、たまたま専売公社民営化に当たりましてその実務を担当した当時の党側の責任者の立場からあわせて御説明申し上げた方がよろしいかと思います。  専売公社の民営化というものは、確かに一つの苦渋に満ちた選択の中から生まれたものでありました。そして、それは確かに、公に申しますならば、臨時行政調査会の答申の中で、公社形態というものを電電、国鉄と並んで見直していくべきであるという御意見から出たものであることは間違いがありません。しかし、今委員から御指摘がありましたように、当時アメリカ側から求められました最も強い要求は、関税の引き下げではなく、むしろ日本における自由なたばこ製造をアメリカの企業にも認めるべきであるという要求でありました。そしてその当時、私ども、これは与野党共通して当時の関係者の中にありましたものは、どうすればたばこ耕作という我が国の農産物の中における特殊な地位を占める換金作物を今後とも国内においてつくっていくことができる状態を確保するか、そのためには製造だけは我が国において、公社形態であるかないかは別として、我が国の特定一社が継続して行っていく体制を維持しなければならない、これが、製造が自由化され外資系企業がたばこ製造に参入した場合には恐らく日本の葉たばこ生産というものはめちゃめちゃになってしまう、そうした中から、非常に苦しい幾つかの課題をお互いに議論しながら専売公社からたばこ産業への移り変わりの歴史を我々はたどったわけであります。  しかし、その後におきましても、アメリカ側からはたばこの製造そのものについて日本における操業を認めろという要求は消えませんでした。そしてそれは、関税引き下げと並行して常にアメリカ側からの要望の中に出てきた問題でありました。そうした中において、葉たばこ耕作農家を含む我が国のたばこ産業を支えていく製造独占というものを堅持するために我々は関税の自由化にまで踏み切っていったということでありまして、今委員は御郷里の実態を述べられましたが、御承知のように私の郷里の岡山県も備中葉の産地であり、葉たばこ耕作の実態については比較的知識を持つ一人であろうと存じますけれども、今後とも葉たばこ耕作というものが続けられる状況を我々が堅持しようとするなら製造独占についてだけは譲ることができない、ここが問題の根幹であったということを率直に御披露申し上げます。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)分科員 関税をゼロにするということは、今後いろいろな取り決めがあっても再びたばこについて関税をかけるということが常識的には不可能に近いことになるわけでありますから、この段階である程度の関税を残すべきではなかったか、私は特にこのことを強調したいわけでありますが、関税があったものをゼロにしたという例はほかにあるのでしょうか、お聞きしたい。

瀧島義光大蔵省関税局長

○瀧島政府委員 お答えいたします。  関税ゼロの品目は相当たくさんございまして、今ウルグアイ・ラウンドの交渉が行われておる最中でありますけれども、そのウルグアイ・ラウンドにおける最終決着をまつまでもなく、今までアメリカその他の国から日本に対し希望が示されておるものを中心といたしまして一方的にゼロにできるものを拾い出しまして千四品目、去る三月末に通過させていただきました関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案において実現し、既に実施に移されておるところでございます。紙巻きたばこのような劇的な事例、その類例があるのかどうかにつきましては、にわかには思い浮かびませんけれども、ゼロにするということについては、かなり行われておるということは申し上げられると思います。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)分科員 先ほども若干申し上げましたが、たばこ消費税は現在たばこ税というふうに変更なさったそうでありますが、国及び地方に対していろいろ変化がありますけれども、一兆七、八千億円という膨大な、安定的な財源としての長い歴史的な貢献をなさっているわけであります。そういう視点から考えますと、いろいろな見方がありますが、今の我が国のたばこ価格が外国と比較いたしまして二倍とか三倍とか、日本のたばこの原料薬が大変高過ぎる、こういう御指摘もあるわけであります。それは、そういう日本の国内産葉たばこの現状を踏まえながら、我が国の基礎産業である葉たばこ産業を段階的に生産性の向上をさせていく、それに伴って関税も対応した措置として引き下げをやらざるを得ないだろう。日本の産業を守っていくという立場からいえば、そういう段階的な対応がなぜできなかったのかということを私は強く指摘せざるを得ないわけであります。  今、我が国の農業は大変厳しい環境のもとにありまして、グレープフルーツ、牛肉の自由化、そしてまたたばこの自由化、そういうものがどんどん進められてきて、一番最後に私どもの大事な米の自由化、その前段の障壁を一つ一つ外堀を埋め、内堀を埋めるというふうにアメリカでは対応しているのだという話も聞くわけでありますが、いずれにしても、この関税をゼロにしたということについては私は納得のいかないことであって、日本のたばこ産業の現況を考えれば、先ほども申し上げたように三段階くらいの将来展望を考えながらそれに対応する国内の生産体制をつくっていく、それに関連して外圧にはある程度弾力的な対応をしていく、こういう措置をとられるのが日本の産業を守っていくことでもあるし、と同時に、それは大蔵省にとっても、国にとっても最大の、長い間の専売として貢献してきた大きな財源の確保という視点からも極めて冷静に判断し対応すべきことではなかったかということを強く申し上げて、そのことに対する御見解を私は承りたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 私は委員の御主張になるそのお気持ちがわからないわけでは決してありません。しかし同時に、今国際的に台頭しつつある保護主義と戦っていかなければならない中において、このたばこ問題の経緯を振り返ってみますと、アメリカ側から非常に強く求められましたものは、製造独占の廃止か関税の撤廃かという状況でありました。そして、その交渉の中において、私どもは、葉たばこ耕作農家というようなものまでを含めて考えた中で、製造独占を堅持するということに最終的にはウエートをかけた交渉をせざるを得なかったということでありまして、委員のお気持ちが理解できないわけでは決してありませんけれども、国際的な交渉事の中における苦渋の選択であったということは御理解をいただきたいと思うのであります。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)分科員 製造の独占ということも大変大事なことでありまして、この件については後でまた触れさせていただきたいと思います。  しかし、日本のおくれている、生産性の低い問題点は、先端産業は別にしましても、農産物関係については非常に生産性が低い、いろいろな点で指摘されているわけであります。しかし、日本のそういったおくれた、農業を中心としたあらゆる業種がおくれている、それはやはり今まで余りにも国際化時代に対応しなかった政治的な責任にむしろ帰せらるべき事柄だと私は思うのであります。したがって、日本の現状というものを十分理解していただいて、そして率直なアメリカ側との話し合いをして、こういう実情ですよ、この実態を明らかにして、まともな対応、話し合いをすれば、アメリカという民主主義の国家、民主主義の国家としては私どもの大先輩です、そういう国の政治家は十分納得されるのではなかろうか。段階的な引き下げということもそういう交渉の中であったはずだ、こういうふうに私は考えざるを得ないのであります。  このアメリカ側の強い要求の背景には、私は多分世界のビッグスリーというたばこ企業の大きなプレッシャーがあったのではなかろうかと思うのであります。英国のBAT、それからアメリカのフィリップ・モリス、アメリカのRJRナビスコ、こういった会社は世界のたばこの販売シェアで、合わせて三社で四七・三%というまさに寡占企業であります。三人集まればどのような決定もできる、またいかなる大政治家も動かすことができるのではないかと思うのでありまして、そういう企業が背景にあって日本に対してまことに無残とも言えるほどの要求を突きつけてきた、それが裏面的な実態ではなかったかというふうに私は思うわけでありますが、交渉の過程でそういったものはなかったのかどうか、ひとつ参考までにお聞きをしたいというふうに考えます。

瀧島義光大蔵省関税局長

○瀧島政府委員 お答えいたします。  昭和六十一年の日米たばこ交渉は大変厳しい交渉であったと聞いております。そのアメリカ側の代表者の背後に、今委員が御指摘なさいましたような事情があったのかどうか、それは私どもつまびらかにしないわけでありますが、いずれにしましても、アメリカ自身日本からアメリカへの輸入につきましても基本的に自由にして、同じようなことを日本もやってくれということが基本的スタンスでありまして、その中におきまして、製造独占とそれからたばこのアメリカに言わせれば高い関税、この二つを維持していくのはどうしてもアメリカとしては受け入れることができない、この強い立場を繰り返し主張してきたわけであります。先ほど大臣からるるお答え申し上げましたように、我が国としてはどの道をとっても葉たばこ耕作農家を含むたばこの産業関連者に影響が出てくる、そういう苦しい選択の中で、害が少しでも少ないものとして関税の引き下げという道を選んだわけでございます。  ちなみに、関税の引き下げにつきまして、なぜ段階的にこれを行うことができなかったのかという点についての御指摘でございますが、日米たばこ交渉は昭和六十一年ににわかに出てきたものではなくて、前からもずっと行われてきておりまして、紙巻きたばこの関税率はそうした交渉を踏まえて段階的に過去引き下げられてきているわけでございます。一九八一年四月、これは日米たばこ協議を踏まえた措置でありますけれども、それまで九〇%でありましたものを三五%に引き下げました。それから、その二年後の一九八三年四月から、これも実質的にはアメリカとの交渉が背後にあったわけでありますが、この三五を、一〇%プラス千本当たり三百四十二円という従価税率と従量税率を組み合わせた税率、これは従価税率に換算いたしますと大体二〇%程度と計算されておりますが、下げた。それを踏まえた上での一九八七年、つまり昭和六十二年における無税化ということでありまして、私どもといたしましても、できるだけ委員が御指摘になられましたような段階的に引き下げていくという方向に沿いまして努力をしてきたつもりではあるわけでございます。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)分科員 今の御説明をお聞きいたしましても、私はこの関税を一遍に二〇%からゼロにしたという事実については納得がいきません。  先ほども大臣がお示しになりました、いわゆる製造たばこの非自由化体制というもの、そこに最大の力点を置いた交渉をしたのだという御説明をお聞きしたわけでありますが、これは関税とともに極めて日本のたばこ産業を左右する大きな課題でありますから、ぜひ今後ともそのために最大の努力をしていただきたいと思います。また同時に、一社体制というのは非常に大事でありますので、そのこともともに守ってやっていって、我が国のたばこ産業の発展のために鋭意努力していただきたいと思いますが、今後再びアメリカ側から、この製造たばこの問題や一社体制に対して、これが構造問題だとして指摘されるおそれは当分ないのでしょうか。また、今からそんなことを考えないで専ら努力していくから心配ないよというような考えもあるかもしれませんが、そういった点について決意のほどをお聞きしたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 私は今、日本のたばこ産業というものが非常に厳しい状況の中に置かれていると考えております。それは、ただ単に外との競争ばかりではなく、たばこの消費そのものが国民の中で落ちている、これは国民の健康のためにはよいことであると言われるわけでありますが、同時にたばこ産業の経営基盤には非常に厳しい要件を課していくことになります。そうした中で、たばこ産業自身にも持てる力を最大限に発揮し、企業として存立し、やがて本当に株式が公開できるような状態をつくり出すまでの御努力をしてもらわなければなりませんし、同時に、葉たばこ耕作農家を含めた我が国たばこ産業全体のいわばリーダー役として、それだけの役割を負うてもらわなければならないわけであります。しかし、そのためには、やはり製造独占が脅かされる状態が生まれては、その努力は水泡に帰すわけでありますから、私どもとしても、全力を尽くして、この体制が維持できるように努力をしてまいりたい。どうぞ委員におかれましても、御協力をいただきたい、そのように考えております。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)分科員 時間がなくなりましたので、要点のみ生産対策についてお伺いをしていきたいと思います。  民営化がされた、それでも従来の公社が踏襲してきた政策と何ら変わらない、こういうことで葉たばこ耕作者に納得と御協力をいただいてきたということがあります。しかし、現状を見ると、そのような当初の考えがかなり変わってきているのではないかということを私は申し上げざるを得ないわけであります。  具体的に申し上げますと、全量買い上げと言いましても、青葉は買い上げないということを一つやっております。それからまた下葉を買わない。この青葉というのは、二年間くらい貯蔵しておりますと、もう色が全部なくなってしまいまして、昔の言葉でいえば二等か三等であったものがもう優等になるという状態があるわけでありますから、全量買い上げの考え方からいえば、なぜもっと買い上げないのか、こういう点が指摘されざるを得ません。  それから、技術指導でありますけれども、どうも公社の技術指導というのは大変猫の目のように変わる、こう耕作者がみんな言っておるわけです。せっかく補助をいただいて大型乾燥施設をつくっても、今度は松川葉からバーレー種にというふうに変更するものですから、もうせっかく補助をいただいても、今度はまた使えないという事態になったり、共同育苗なんかでもそういう問題があります。  ですから、そういうことで耕作者は不平や不満というものがだんだんうっせきしてきておる。この状態をなくすためには、もっとじかに耕作者の生の声をお聞きをして、そしてそれを取り上げて、会社もたばこ組合ももちろんですが、耕作者と一体となった指導をする、このことが私は大事だ、そんなふうに思います。

町村信孝自由民主党

○町村主査代理 志賀君、そろそろ時間ですので、十二時に終わりませんと本会議がございますので、御協力をお願いします。

志賀一夫日本社会党・護憲共同

○志賀(一)分科員 はい。  また、特に御指摘しておきたいものは、五年前に反当たり十五万円の減反奨励金をくれて、かなり減反者が出ました。それから、その次は昨年十八万円の減反奨励金をくれて、またかなり減反しました。それが終わると、今度はもう余りにも減反し過ぎたために、たばこ組合の役員や会社の皆さんがはね回って、もうやめないでほしい、こういうことではね回るというような事態も多々あるわけであります。ですから、この減反政策というこういうやり方というのは逆なことではないか。むしろ品質の向上。たばこの自由化時代で、外国たばことの価格の競合という点から考えれば、そういう生産方面で生産性を上げるために、あるいはそういった方面に積極的な投資をして、そして希望を持たせる、いわゆる一生懸命やる耕作者、後継者を重点とした施策をやっていくというのが本来のたばこ産業を維持発展させる方針であって、減反する方々にたくさんの助成金をくれる、これはちょっとおかしい、逆なやり方ではないかということを指摘をしたいと思います。  時間がないということでありますので、最終的にはこれからも葉たばこ産業を維持発展させていきたい、いかなければならない。私も全力を尽くしたいと思います。  それにしても、たばこは三年、五年あるいは十年くらいの計画を立てて、国際競争に競合できるたばこ事業のあり方は、耕作者のあり方はこうですよという青写真を耕作者に示して、そしてそういう一つの明確な方針を示しながら、これからのたばこ耕作者や後継者の意欲をかき立てる、喜んでたばこ事業に参加する、そういう方針をひとつ会社の方で社長さん、その辺のお考えがありましたらぜひお聞かせ願いたいと思う次第であります。  最後の点はあちらこちらになりまして、時間がありませんで失礼をいたしました。ありがとうございました。

水野繁日本たばこ産業株式会社代表取締役社長

○水野参考人 先生御指摘のとおり、非常に厳しい状況の中で、我々耕作農家とともに生きていくために努力していくつもりでございます。  昨年来、安定面積構想というのが合意を見ました。これに基づいて具体的なこと、将来立派にやっていける葉たばこ農家とともに我々生きていきたいということで、地道に相談をしながらやっていく、こういうことでございますので、ぜひ御支援願いたいと思います。

町村信孝自由民主党

○町村主査代理 これにて志賀一夫君の質疑は終了いたしました。  次に、井上普方君。

井上普方日本社会党・護憲共同

○井上(普)分科員 私は、先般徳島県における池田工場の廃止の問題について、いろいろとたばこ会社が不届きなことをしておる、これについて大蔵省側に調査をお願いいたしました。そしてたばこ塩事業審議官の方からお話を承りました。しかし、これは調査ではなくて報告でありました。会社側がどんなことをしたかというだけの報告であって、私のところには、どうも調査をしたようなことはなかったのであります。  一例を挙げます。私のところの報告に、池田工場はこういうようにするということを申されてまいりました。まいったそうであります。ちょうど選挙の前でございますので、私も国元へ帰っておった。ところが私の部屋に紙を、池田工場をつぶすという報告書を一枚か二枚のをほうり込んだ、こう言うのです。しかし、それは大うそでありまして、私の隣の早川君のところの秘書に渡しておる、私自身が体験しておるのだから。しかし、審議官の報告では、私のところに報告した、こう申しておるくらい事実に誤認があるわけだ。  調査というのは、両方の言い分を聞いて、そしてどっちが正しいかということを両方に聞かなければならないはずでありますが、たばこ産業というのは官営でございまして、今まで威張り散らした残滓が残っておるのでございましょう。役人の言い分ばかり聞いて、そして民の意見というものは聞かぬ体質がそのまま出てきておるように先日承ったところであります。これはもう私は申しません。しかしながら、こういうような体質は改めなければならない。もちろん民間産業になったのだというけれども、社長さん自身も、この間うちまで大蔵省の役人をしておった人がそのまま座っている。株は全部大蔵省が持っている、大蔵大臣が持っている。まさにこれは民営化といいましても、姿それ自体は何ら官営と変わっていないのであります。  そこで、私はお伺いいたしたいのだが、池田工場をつぶして新しい会社をつくるというのだが、その新しい会社は一体何という会社であって、株はどれくらい持って、だれがどれくらい持つのか、そしてまた、あの池田工場はどういうように評価をしておるのか、そこらあたりをひとつお伺いいたしたい。

鈴木達郎日本たばこ産業株式会社常務取締役

○鈴木参考人 お答え申し上げます。  今般、池田工場を機能転換いたしましてつくる会社名は、私どもは四国ジェイティエス電装という名前を予定いたしております。これは住友電装という住友電工系の会社がございまして、自動車のワイヤーハーネスというものをつくっております大手メーカーでございますが、そこと日本たばことの合弁で、私どもが五一%、住友電装が四九%という出資割合で、ワイヤーハーネスの組み立てをいたす工場でございます。出資金額は、資本金として二億円を想定しております。

井上普方日本社会党・護憲共同

○井上(普)分科員 それではお伺いしますが、今まで池田町にたばこ会社が事業税として幾ら払っていたのですか。そしてまた、この新しい会社ができるとどれくらいになる予定ですか。お伺いいたします。

鈴木達郎日本たばこ産業株式会社常務取締役

○鈴木参考人 申しわけございません。その数字については今把握しておりません。後日御報告を申し上げます。

井上普方日本社会党・護憲共同

○井上(普)分科員 冗談じゃないよ。こういうことを役場に言っておるかということなんだ。工場をつぶすに際しまして、あなたの方は機能転換なんてうまいことを言うけれども、いわば日本一の優良会社だ。それから、この四国電装というのは中小企業以下の企業じゃないの。そういうところに転換するときには、役場に対して、あなたのところには税金はこれくらい払っておったけれども、今度幾らになるかということは説明してないのでしょう。それで十分な説明ができているのですか。社長さん、どうです。

水野繁日本たばこ産業株式会社代表取締役社長

○水野参考人 池田工場につきましては、先生この前御指摘のとおり、明治から我が会社と池田町でやっておった会社でございます。これがたばこの厳しい情勢から、存立、存在非常に難しいということで、六十年のころからそのあり方について町といろいろ議論をいたしております。そこでもって、町の方と我々の方で何度も話をいたしまして、当初やはりたばこでいってほしいという気持ちが強かったし、我々の方もできるだけそうしたいとは思ったわけでございますが、全体の趨勢上縮小さぜるを得ないということでもって原料部分を縮小いたしました。これは六十二年に御相談をし、六十三年に実行して縮小いたしました。そのころからたばこの将来性等を考えて、町御当局の見解でも、たばこの将来性等を考えて、ほかの新規事業に移るということでございます。そういう全体の話をいたしました。  事業税そのものの話をいたしているかどうかについては、私定かではございません。していないと思います。

井上普方日本社会党・護憲共同

○井上(普)分科員 池田の町はたばこ工場で成り立っておった町であります。したがって、池田工場が中心になって町づくりができている。今でこそ池田といえば高等学校の野球で有名なんだけれども、あなた方御存じのとおり、町はたばこ工場が中心になっている。ただ、あそこでは全部民営で刻みたばこが行われておった。国の政策によって、戦費調達のために専売に買収して池田工場がつくられたといういきさつがある。この町はたばこによって成立しておった町であります。藩政時代からずっとそうなんです。ところが、これをつぶすに際しまして、あなたの方は、たばこ会社が池田町に税金として幾ら払っておったのか、そのことすらここで答弁できないじゃありませんか。一体幾ら払っておったか、それすら言ってないのでしょう。この四国電装なるものは自動車の部品メーカーだ。これは中小企業といっても、中小企業のもっと小さい工場かもしらぬ。優良企業からこういうような会社にかわるに際しまして、一体これから町に対する税金はどれくらい下がるんだというようなことはお示しになっていないんでしょうが。それで十分な了解を得たと言えますか。私には言えないと思う。どうですか。

水野繁日本たばこ産業株式会社代表取締役社長

○水野参考人 基本的に池田町はたばこでもっている町であるとおっしゃられました。本当にたばことともに生きてきた町であると思います。そこで、将来を見通して、今当座の話よりも、将来を見通して、ここのところでもって育つ企業、雇用が維持でき発展できる企業を欲しい、こういう御意向は町の方から承っております。具体的にここのところで、池田というよりも、将来の話まで含めての御了解というか、基本的な認識は一致していると考えております。

井上普方日本社会党・護憲共同

○井上(普)分科員 自動車産業のしかも下請工場だ、はっきり申して。住友といえばマツダとくっついているでしょう。これは恐らくその系列下に入るのでしょう。そうするならば、事業税がどれくらい町に入るのか、それくらいの計算ができずに、お話もせずにつぶしていったという姿であります。しかも、先ほども申しましたように、池田は刻みたばこの産地であった。刻みをやめてしまった。あなたは先ほど来、自由化によってたばこ産業が痛むのだ痛むのだと言いますが、たばこが残るということになれば、日本独特のたばことして刻みたばこは残してもいい問題なんだ。ただ生産費が高いと言う。高いのはわかり切っていますけれども、刻みたばこの合理化ということは、すなわち工場の生産性の向上というのは余り考えずに戦後ずっとやってきた。そして、これは採算が合いませんからというのであなたは切っていった、こういう歴史があるのですよ。私らも刻みたばこを好きで吸っておった。町へ行ったってありはしない。あなたの方は目的を持って、刻みたばこをなくするために、生産を落とすというよりは販売量を落としていって、刻みたばこが日本の町から姿を消したような状況になっているんじゃありませんか。ここらあたりにたばこ産業の専売当時からの過ちがあるのだと私は思うのだが、どうですか。

水野繁日本たばこ産業株式会社代表取締役社長

○水野参考人 先生おっしゃられるとおり、一時的に刻みをやめまして、その後また池田工場でつくらせたわけでございます。「こいき」というものを出しております。このたびそれを東京でやりたいと思っております。その技術、そういう人たちをこれからも伝承してまいりたいという方向で考えております。利益ばかりというよりも、昔からの伝統でございますし、いい刻みでございます。ぜひ残してまいりたいと思います。

井上普方日本社会党・護憲共同

○井上(普)分科員 それじゃ、どうして池田で残さぬのですか。池田でも、少しのところでつくったって構わないはずです。そして、一時やめたんだけれども、これは私がここで質問してようやく残したということがある。刻みたばこの技術者というのは、今の技術者はあそこにしかいないことになっている。なぜそういうところをつぶすんですか。そして、その技術者を東京へ持ってくるというような無理なことをするのです。そして葉たばこも、これもまた、鹿児島にしたら国分、あるいは徳島にしたら、これは刻みたばこの産地だ。恐らくまだまだ、先ほどもおっしゃられた福島県においてもあるだろうと思う。こういうのを削るなら、どうして東京に持ってくるんです。不合理きわまりないと思うんだが。

鈴木達郎日本たばこ産業株式会社常務取締役

○鈴木参考人 刻みたばこにつきまして、先生のように御愛好いただくのは大変ありがたいことでございまして、私どもも、売れるものならばどんどんつくるわけでございますけれども、残念ながら日本全体の需要といたしましては極めて微々たるものになってきております。したがいまして、現在「こいき」というかなりいきな名前の刻みもつくっておりますが、量的には大変知れております。したがいまして、それを池田でつくるということになりますと、ほんの数名の作業要員しか要らない、しかも毎日操業しないというような話になりまして、到底一工場としてそれを存置するわけにはまいらないという事情がございますので、御了解いただきたいと思います。

井上普方日本社会党・護憲共同

○井上(普)分科員 あなた、これは販売政策でどんどんどんどん――それじゃ、売っている店は幾らあるんです。東京でこの刻みたばこを売っている店は幾らありますか。全国で幾らありますか。知っていますか。

鈴木達郎日本たばこ産業株式会社常務取締役

○鈴木参考人 明確な数については今知っておりませんが、例えば私どもの会社の横にたばこセンターがございます。その他大きなお店においては大体売っております。

井上普方日本社会党・護憲共同

○井上(普)分科員 何を言っているんだ。あなた方はそのぐらいの認識しかなしにたばこの販売をやっているのか。徳島県で売っておるのは丸新の百貨店のたばこ販売店一ところなんだ。いいですか。そういうようにあなた方は販売政策的に少なくしている。徳島県でいうならば、丸新の百貨店のたばこのところへ買いに行く人は老人ホームの人が非常に多いんですよ。まとめて買っているんだ。というのは、あの一箱、何グラムですか、一袋あれば一週間いけるんですよ、刻みというのは。だから安くって、一週間だからたとえ三百円にしても四十円あったらいけるというので、これは需要はある。需要はあるけれども、どこへ買いに行くといったら、徳島へ買いに行かなきゃない。しかも、それはすぐに売り切れてしまう。これであなた方が刻みたばこというのを衰退させたのでしょうが。それは製造原価といいますか、生産原価が高い。手作業というものが非常に多い。そういうことで、高いからということで、利益率が少ないということで、これを削っていったというのが姿じゃありませんか。あなた方は販売政策上こういうようなことをやってきたんですよ。そして今になって全国で需要が少ない。需要が少なくしたのはたばこ会社なんだ。そこのところ間違えぬようにしてくださいよ。  私自身だってたばこを吸う。刻みたばこは非常にいい。これはタールが少ない。ゆっくり本を読むときなんというのは、あれ一々やると心を和やかにするし、ともかく日本伝統のきせるという文化もあるし。大体歌舞伎座で長火鉢の前でおかみさんが座って吸つておるのは、巻きたばこじゃだめなんで、あれ使って吸うんですよ。そういう人方はかなりあるんだ。この間、赤坂の料亭の古いばあさんが、刻みたばこがないんで先生困りますなんて言ってやっておった。池田と言ったら、その人は池田が刻みたばこだということを知っておって、やむを得ずこんなたばこを吸っているんですなんてやっていましたがね。そういう愛好家が非常に多い。しかも、老人ホームとかいうような所得の低いお年寄りには非常に、ともかく安く手に入るたばこであったのを、あなた方が販売政策で少なくしちまった、利益が少ないということで。それにもかかわらず、需要が少なくなったからやめるんだというのは、一体何事です、これは。

水野繁日本たばこ産業株式会社代表取締役社長

○水野参考人 恐縮でございますが、私も実は刻みが好きなものでございまして、きせるの文化というものもございますし、実は刻みたばこ「こいき」の系統のあの最高級品、あれは世界に誇れるものだと思っております。  ざっくばらんに申し上げますと、今本当に下まで落っこってきた。あれは葉の質によって相当違ってくるものでございますから、葉をつくるところから始めて、この先我が社も相当程度、この混乱期を過ぎまして将来を目指して出発する時期でございます。その中でそういう方法を検討してまいりたい。刻みももっとつくっていく方向でございます。そういうふうに考えております。

井上普方日本社会党・護憲共同

○井上(普)分科員 今になってそういうことを言われても、これからまた復興さすんだということを言われても困るのです。

水野繁日本たばこ産業株式会社代表取締役社長

○水野参考人 たばこの嗜好、たばこの需要、こういったものは、どなたがどれくらい本当についてくださるか、要するにそういう層を十分考えまして、それに合わせてこれからつくっていく。専売公社時代でございますと、これがたばこだというものをつくって、言うならば、言葉は悪いですが配給制度でございましたけれども、今はそれでもってやっているんでは、我が社も先ほど来お話に出ておりますように非常に外からの強力な競争相手が入ってきております。そういうふうな需要をつかみつつ、要するに技術も残すというふうなことで考えていきたい。これは調査をしながら進めていきたいと思っております。

井上普方日本社会党・護憲共同

○井上(普)分科員 刻みたばこに競争相手があるのですか。世界に競争相手があるのですか。ありはせぬじゃないですか。そしてまた、需要をと言いますが、あなた方が小売店に刻みたばこを置かなくなったから、それで売れぬようになっただけの話なんだ。いいですか、ここのところは間違えぬようにしてくださいよ。それは刻みたばこの利益率が少ないというところに原因があったとあなた方はこの前は申されておるんだ。だからこの利益を、これを今「あやめ」ですか、売っておったけれども、あれをもう少し値上げすれば十分採算が成り立つ企業だと私は思っている。そういうように言いわけはよしなさいよ、もう言いわけは。  そしてまた、販売の調査をしてといいますけれども、あなた方、このごろ盛んにともかく新しいたばこをぽんぽんつくっておる。二月に一遍ずつくらい新製品をつくっているんじゃないですか。つくっておるけれども、いつの間にやらなくなっている。あれは調査してから販売しておるんですか。調査して販売するのだったらもっと売れなきゃならないが、一年したらもうそのたばこはなくなっておるのが現状じゃないですか。調査してつくるというのだったら、そんなことはないはずだが、一体どうなんです。

水野繁日本たばこ産業株式会社代表取締役社長

○水野参考人 外国のたばこが入ってまいりまして、外国にシェアがとられておるのが現状でございますので、要するに、外国のたばこと競争するために新しいものを出しながら、その出し方といたしましては、ある場所に出して、そこのところでどれだけ吸っていただけるか地区別に出しまして、成功したものは全国に卸す、だめなものはやめるというふうな調査と販売をやりながら新製品を出す、これをやっておるわけでございます。このために、シェアをとられてはおりますけれども、外国の製品にとられる度合いがやっと鈍化してきたその一因であると私たちは考えております。

井上普方日本社会党・護憲共同

○井上(普)分科員 そんなへ理屈みたいなことをおっしゃっておるけれども、つくっては一年もしたらなくなっておる。会社でつくってから調査するというんだ、あなたのお話だったら。おかしげな言いわけするなと思うけれども、ともかく刻みたばこの調査なんというのは、今まであなたの方でしたことないはずだ。売れぬようになることばかり考えてきたんだ。そこに今のたばこ産業が苦しくなった理由もある。役人どもが考えるところに問題があったと思う。  しかし、このきょうの新聞を見ますと、今度はまた読売新聞で、たばこの自動販売機、これを圧力をもってたばこ会社の連中がやったということで、公取でしかられている。たばこ会社があんなに自動販売機をつくっておるとは私は知らなかった。いつの間にやらつくって、ともかく競争相手をけ落とすためにたばこ会社が圧力を加えている、まことにお役人らしいやり方であります。  もう一つ申すと、このごろあそこへ行ってみると、私はアメリカがどんな商売しているか知らぬけれども、自動販売機の中にほとんど半分以上、七割までがともかくアメリカのたばこを並べてある。どうしたんだと言って聞くと、アメリカのたばこを何ぼ売ってくれたら一個当たり景品として小売店に渡すというようなことが、これはもう数年前から行われているらしい。これらに対してあなた方は何ら対抗措置をようとらない。そして外国たばこがどんどこどんどこ、店へ行ってたばこはありませんかと言ったら、まず第一番にマールボロを出してくる。わしは日本人だから日本のたばこを出してこいと言ったら、へいと言って出してくるのがマイルドセブンだ。こういうように、小売店に対しましてもリベートが行われているんじゃないかなという疑いすらわく。まだまだ続いておるんじゃないかと私には思われる。あなた方はこういうようなことを、また池田工場のことから脱線しましたけれども、あなた方がぽんとあそこの雇用者を首切ったのは一月の十九日で、あなた方の調査と違うのですよ。  それはともかくとして、池田町、あれほどたばこのために力を尽くしてまいった地域あるいは労働者、これは単に全専売におる人たちばかりじゃありませんよ。そういう方々に対して、あなた方は優良企業なんだから手厚い対策を講ずることを強く要求いたしまして、質問を終わります。

町村信孝自由民主党

○町村主査代理 これにて井上君の質疑は終了いたしました。  次に、渡部一郎君。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)分科員 日米構造協議で大変御苦労なさっているところをいろいろと拝見しておりまして、もう一つの日米間の感情的なギャップを生ずる理由があると思っているわけであります。  それは寄附の問題であります。日本では、寄附というとお金を出すとか物を出すとかいうふうに限定されて考えられるわけでありますが、アメリカの場合は、政府の形成が後から成ったいきさつもありますので、コミュニティーというのは自分たちがつくる。自分たちの個人の金、会社の金、法人の金、団体の金あるいは手作業でつくっていくという流れが立国の当初より強くあるということを痛感するわけであります。そこで、日本側の企業がそこへ踏み込んだ場合に甚だ評判が悪い。早い話が掃除もしない、寄附もしない、パーティーにも来ない、お祭りにも来ない、あらゆる問題についてよそ者の顔をし続けておるというふうになっているという批評が甚だ強いわけであります。  それに対して日本の企業はまた、これは一般的ではございませんけれども、今までとかく、日本の国では税金をたくさん払っているのであるから、日本の大蔵省にひどいこと取られているのであるから、我が国では寄附なんてものはしなくていい国になっておるのである、我々はそういう企業なのである、アメリカまで来てそういうものを取られるというのは税金の二重払いであると言わんばかりの説明がすごく行われておる。そこで、いよいよ日本企業はアメリカ国内において、幾ら働いても我々の社会にはなじまぬ変な存在だというようなぐあいになってきた。典型的な例では、ロサンゼルスに邦人支援の小さい慈善団体があるわけでありますが、その慈善団体が月の経費百万円か拠出できない。そしてその受益者はことごとくもって現地事情のわからない日本の留学生である。アメリカ人が一生懸命やっておる。最近では地元でもうそれを泊めてくれるような人すら探すことができないようになったというふうな報告さえあるわけであります。  このようなことを考えておりますと、我が国のやり方というものも少し考え直す必要があるのではないかとおのずから発想されてくるわけでありますが、私は日本国内の税制とか財政とかさまざまな立場を全部アメリカ式に直せなどと単純に言っているつもりは毛頭ありません。日本は日本のやり方がある。しかしながら、日本の企業あるいは個人が貢献をしたい、この地域を、自分たちの住んでいるところをより直接的に住みよいものにし、ニートアンドクリーンの社会をつくっていこうとする場合に、とかくして税務署に届けなければことごとくもってその許可が得られないというようなことがあり過ぎるのではないか。つまり個人、法人、財団等の寄附が習慣になっていないという面と一緒に、この寄附あるいは貢献する行為そのものが、今の仕組みによって阻害されてい過ぎるのではないかという反省が広く生まれているというふうに私は思っておるわけであります。  基礎的な認識からまず伺いたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 私は、委員が今述べられたような風潮が昨今いろいろと取りざたをされている事実は承知をいたしておりますし、また、私自身が振り返ってみましても、そうした場面に遭遇しなかったとは決して申しません。  ただ、同時に私は、今委員が述べられましたように、それぞれの国にそれぞれのやり方があり、それぞれの税制がある。そういう中で、例えばアメリカ式に全部直せなんということを言っているんじゃないよと言っていただきました言葉はそのとおりだと思いますし、私は、日本の税制は日本の税制なりに、善意があればそうした行動が行えるような仕組みになっておると思います。そして、むしろさまざまな理由で寄附を拒んでおられる企業のうち、法によって認められております上限までの寄附を現実にしている企業は果たして全体の何%なんだろうという気持ちを率直に持っております。もちろん、非常に善意にあふれた寄附活動をし、地域社会あるいはもっと広範な目的に対して努力をしてくれておる企業があることも承知をしておりますけれども、相当数の企業はその寄附額を使い残しておるのではなかろうか。そしてむしろ自分の会社の商売に直接結びつく分野に余りにもその視野を狭めて限定して使っておられるのではなかろうか、そうした感じを持っておりますのも事実である。率直に申し上げます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)分科員 私の住んでいる町の神戸市に中央市民病院という大きなのがありまして、医療設備が大変きちんとしたところです。大臣はよく御存じのとおりです。そこへお客さんが今八百名たまっておる。ひどいときは千五百名ぐらいたまっておる。入れないのです。病室が不十分なんです。神戸市としては自分の持てる財源で一生懸命こしらえたんだけれども、赤字が出て赤字が出て、どうしようもない。今病室をふやすどころの騒ぎじゃない。  ところが、病室を寄附したいという外国人が最近何人もあらわれてきておるわけであります。これはアメリカの場合ですと、病室を寄附したい、例えばケネディさんという人が寄附すると、ケネディ病室と入り口に張っておいて、当人が入院するときは優先的にそこに入れる、あるいは当人が指定する人は優先的に入れる、いないときにはその病室はその病院に預けてしまう、十年か二十年たつと、その病室はその病院のものに寄附されてくる、こういう制度があるのだそうであります。  日本でそういうことができないだろうかちょっとやってみたのでありますけれども、たちまち妨害に遭いまして、ありとあらゆる法律上のチェックがございまして、全部だめ。そうすると、結局、自分もその病院に入りたいという当人の利益もありますけれども、自分が病気になったときの便宜を図ると同時に、社会に対して、たくさんの人に病室を上げたいという善意の部分が消えてしまう。こんなのはどんどん受け取った方がいいのではないか。そうすると、日本の厚生行政全般に絡む問題にもなるほどの大きな影響が出てくるのではないか、私はそう思うわけですね。  何でそんなようになっておるのか。幾つかの問題点があるのです。きょうは特に、それは厚生省の問題でもあるし自治省の問題もあるのですけれども、あえて申しますと、「公益法人の現状と問題点」という総務庁の報告書に示されておりますように、「民間公益活動の充実が期待されているにもかかわらず、民間からの公益に関する寄付金は非常にわずかなもの」だ。今大臣が言われたとおりであります。これは国民性の差もあるけれども、「民間公益活動を育成していくには寄付に対する税制上の優遇措置も不足しているといわざるを得ない。 第二に、寄付金の税制上の取扱いに関しても民法三十四条の規定が影響を及ぼしている。また、所得税、法人税の指定寄付金については大蔵大臣が指定するが、相続税の非課税の承認は国税庁長官が行うなど税制上の優遇措置適用の決定が必ずしも統一的に行われていない。」こういうのは既にペーパーで出ているほどの代物であります。  私は、そういう状況を考えますと、ちょっと見直した方がいいのではないかなと思うわけであります。そして、それは御研究もいただいている御様子も実は拝見しておって、何もやっていないと私は言っているわけではない。ただ、もうちょっと何とかならないかなというのが具体問題から続々発生してくるわけですね。  例えば、大臣と私は国連問題に関心が濃いものでありますが、この「寄付金に関する税制について」、これは御省から拝借したペーパーでありますが、これを拝見いたしましたところ、まず特定公益増進法人の範囲についてずっと書かれているわけでありまして、しみじみ拝見してみたのです。今度は前の試験研究法人の段階から一歩前進されて、これは非常に整備されたと言われているものだそうでございますが、拝見しておりますと、国際的関係に対する寄附はアウトになっているのですね。国連という字は一行も入っていない。我が国の国民は国際的にそこらじゅう出かけておりますから、出かけていくときに、例えばスリランカで、ああここの病室に寄附したいとか始めるわけですね。その瞬間に、もしそれを達成しようとすると非常に面倒な手続が要ることになる。これは我が国として国連外交を柱にしている以上は、国連関係の諸団体、特にNGO等を含めましていろいろな活躍が行われておりますから、こういうのはもうちょっとやった方がいいのではないかな、一つ穴があるなと私は拝見した。――どうぞ。

濱本英輔大蔵省大臣官房審議官

○濱本政府委員 渡部先生御指摘の点につきましては、近時、我々の方にも多方面から同様の問題意識が出されておりまして、私どももそういう意識を持って年々の改正に取り組んできたつもりでございます。今ごらんいただいております条文の中にもあるいは記載されておろうかと思いますけれども、法人税法施行令の七十七条に公益増進法人の具体的な掲名がなされております。  例えば、その第一号をごらんいただきますと、自動車安全運転センターから始まりまして、ずらっと名前が並んでおります中に国際交流基金というのがございます。この国際交流基金に対しまして寄附をしていただきまして、ここをキーにしまして、ここから所要の国際的な分野に資金が流れていくという仕組みが一つ考えられております。  それとはまた別に、三号の中にイ、ロ、ハ、ニ、ホ、へ、トと細かく記載されてございますけれども、ル、ヲ、ワ、カといったような新しい条項がございまして、例えば「開発途上にある海外の地域に対する経済協力」でございますとか、「海外における我が国についての理解の増進を図るため、我が国の政治、経済、文化その他の我が国の事情の紹介その他の業務を行うことを主たる目的とする法人」に対する寄附でございますとか、「海外における我が国についての理解の増進を図る業務を行う者に対する助成金の支給を主たる目的とする法人」、そういったものも新しく対象に取り入れられておるという事実がございます。そのあたりをお酌み取りいただければと存じます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)分科員 そうおっしゃるだろうと私は思っておるわけでありまして、それには深い敬意を表しているわけですが、私が言おうとするのは、海外において我が国についての理解の増進を図るため、こういうふうにわざわざワもカもついておるわけです。それでこれは、我が国の国益を図る、あるいは我が国の広範な国益を図るというのが頭についてこれらが行われるわけですね。ところが、国益が図れるんだかどうかわからないことこそがまさに国際協力の中には膨大に出てくるわけです。例えば突然えたいの知れない病気で倒れて死にかかっている子供さんたちがいる、それは我が国の国益に関するのかどうか一見わかりませんね。ですから、こういうのが実施面では全部外れてくる、こういう文章がついているだけで。私が甚だ残念に思っているのは、前から比べたら前進しております。それは私、何回も言いますけれども、随分よくやっています。すごいです。さすがです。秀才の大蔵省だと私は褒めています。褒めてはいるけれども、(橋本国務大臣「嫌みです」と呼ぶ)大臣のおっしゃるとおり、もちろん嫌みであります。けれども、本当にこれではできない、何にもできない。私たちが考えるような国際的な善意の行為というものに関しては、もうほとんどできない。悪評さくさくなのであります。この辺をもうちょっとお考えいただけないか。国際交流基金の場合は、明らかに国際交流という観点から出されるものですから、国際交流基金の業務は最近非常に広がっておられるようなこともよく承知しておりますし、運用がますます善意の意味で応用が行われていることもわかっておるのですけれども、これでは少ない。私は国際交流という名称に当たるかどうかについては疑義なしとはしないのであります。したがって、私はアメリカのことを全部いいと言うわけではありませんけれども、アメリカの企業体のこうした問題に対する進出の仕方というものはすさまじいものがあって、こういう変なブレーキはかかってないと申し上げなければならぬと思います。この辺ひとつ改善していただくか、何かのことをしていただかないと、事実上の善意が通らない。そこを御研究いただきたいと私は思うのであります。  もう一つ、ついでにあわせて申し上げますが、例の財団法人であります。  この財団法人というのは、企業が財団法人をつくり、その財団法人の形が活動としていろいろな公益性のある仕事をしておるというのはアメリカでは非常に多く見受けるところでございますが、日本の財団法人とアメリカの財団法人とを比べてみますと、法律上の微細な議論は省略させていただきますが、端的に言って、財団法人をつくるときの頭金が日本の側では多過ぎるのですね。今実際的に一億ぐらい要る。昔は二千万なければだめだといううわさが広がっておりましたが、最近二千万で許可された例はほとんどない。これは巨額な金額です。ですから、素人の、庶民の善意がそういう財団法人をつくり得ないという状況が各省庁の行政指導の中から浮かんでおる。  それから、その目的がひどく制限されていて、その目的からちょっと外れると、監督官庁が出てくるという状況がある。これは大臣、大蔵省の皆さんの前で訴えている意味ではないけれども、総理府の方がおいでになっておるから、統一的な監督をなさっている総理府の方からお答えいただくといいのではありますけれども、主として監督官庁が厳格過ぎるという状況がある。だから、例えばエイズの問題に対策を立てている財団があったとすれば、横でコレラが発生しても知らぬ顔、まじっているところへお金を出すと、余計なことをするというふうに一々来る。したがって、目的のところに「その他」という字をたくさんつけておかないとできないという笑い話がある。目的がまた難しい。  それからもう一つは、今度は財団法人の総数量規制がある。これは行政改革の中に出てこられたので大臣はよく御存じですけれども、ひどい財団法人も確かにあったことは事実ですが、総量規制というやり方でやるために新規に財団法人がつくれない。それで各省庁のうわさを聞けば、大蔵省が財団法人の数とか前の試験研究法人の数については特別抑制しろと強烈ににらむので、我々としては泣きながら削っているのだというふうな説明さえ行われているのであります、今度本人を連れてきてしゃべらせてもよろしゅうございますが。この嫌な雰囲気というものは、財団法人の公益性というか行政とある意味で連絡し合いながら町づくり、それから人を助けるといういい意味の面が発揮されないように発揮されないようにコントロールされてしまっておる。  アメリカの場合ですと、私は最近一つの例を自分の目の前で見たのですけれども、財団法人のつくり方はひどく簡単である、免税措置はえらい簡単につけてくれる。しかし、支出その他運用について悪いと、税務査察調査で直ちに法人取り消しということになる。厳格な取り調べが行われます。だから運用に即してやるという面が強く出ている。  ところが、財団法人というのは運用に即してやった方がいい面がありますものですから、当人たちの最初の意思と違う点もありますものですから、これはアメリカ式の方がすごく庶民の感覚からいって正しいのではないかな。要するに、お役所で完璧に整理して押し出してくるのと違って、個人あるいは法人、団体等の善意がよく生きる制度ではないか、こう思うわけであります。その点を含めて現在のお考えを聞かせていただきたいと思います。

下野省三総理府大臣官房参事官

○下野説明員 公益法人の指導監督に関する総合調整を総理府でやっておりますので、その立場から答えさせていただきます。  先生も御指摘のとおり、公益法人というのは社会的に大変大きな役割を担っております。特に最近のように、民活というようなことが言われております時代におきましては、役所ではできない、また純粋の営利企業でもできない、そういった分野について民間の公益法人が果たすべき役割というのは大変大きなものではないかと思っております。  しかしながら、先生も先ほど御指摘のありましたように、公益法人の中には問題になるものが時時ございまして、例えば休眠法人の問題あるいは不良法人の問題、こういうふうなものが散見されるわけでございます。したがいまして、政府といたしましては、こういった公益法人に対する指導監督の姿勢を強める必要があるということで、昭和六十年に各省の官房長クラスの方々にメンバーになっていただきまして、公益法人指導監督連絡会議というものを発足させまして、各省の行っております公益法人の健全な運営に対する指導監督の基準を統一しようということにしたわけでございます。そして、先ほど言及されました統一的な指導監督基準というものを昭和六十一年につくっておるわけでございます。  その中身が少し厳しいのではないかというようなお話でございましたが、例えば資産の問題にいたしましても、現在の財団法人は大体資産の運用益で賄っております。仮に一億円ございましても、年間には六百万から七百万しか運用益が出てまいりませんので、もちろん事業の中身にもよるわけでございますが、十分な事業ができないというようなこともございますので、これは各省それぞれの御判断でございますけれども、最近では資産の面では小さな規模のものは認めにくいという状況が出ておるわけでございますし、目的外の事業につきましても、公益法人自体は目的を明確にして設立された法人格でございますので、何をやってもいいということではございません。しかし、運用上は目的に反しない程度でいろいろバリエーションを考えておやりになっておる、指導監督官庁もそれを認めておるという状況ではないかと思っております。  それから、総量規制のお話もございましたが、これにつきましては、冒頭に申しましたように、公益法人行政あるいは公益法人の存在というのは非常に重要なものになりつつありますので、総量規制という考え方をとっておるわけではございません。必要に応じて積極的に認めておる。そしてまた、指導監督の面で健全に運営してもらうようにお願いをしておる、こういうことでございます。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 事務的にお答えをすれば、今総理府の方からお答えがあったとおりのことになろうと思います。  ただ、委員の御指摘になりますような視点から、確かに運用について常に考えていく必要は私もあると思います。そして、そうした点についてはなお勉強もさせたいと思います。  ただ、同時に、今まで往々にして、私自身も実はかつて大河内一男先生と一緒にある財団に関係をし、その乱脈経理の後始末に非常に苦労をしたことがございますけれども、問題のあるものが余りに一時期輩出をした。そうした点からチェックを厳しくし、同時にその寄附についても、税の方からチェック機能を働かせることによっていかがわしい寄附集めを防止したというようなこともありまして、なおいろいろな角度から勉強をし、また御支援も得たいと思います。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)分科員 大臣、概括的にお答えいただいたから、もうそれで答えが出てしまったみたいなものですが、私の言うのは、設立のときに細かく規定していくと善意が阻害されるという面が一つある。  それで、例えば特定公益法人の三のルとヲにおいてこういう制限がある。「開発途上にある海外の地域に対する経済協力」、こう頭に冠してしまえば、それを「主たる目的とする」なんて書かれたら、もうほとんど何もできなくなってしまう。これは縛りが細か過ぎる。それから二番目に、今大臣が一つの失敗例をみずから言ってくださったので話が早いのですけれども、途中の会計監査をしないで、固めておいていきなり監査をするのはむちゃくちゃなんですね。なぜそれは行政監察あるいは税務上の監察をしなかったのか、むしろそっちの方に問題があるのではないか。そして、その善意を生かしてやれるようにやるのがいいのであって、失敗が多く重なってから監察するなどということは、何というのかな、首を絞めるために行政をやっているような、そういう感じがするのですね。今までの財団法人に対する扱いが変なのではないか。だから財団法人全体が身動きがとれなくなってしまった状況というのが発生したなと私は思っているわけなんです。したがって、こういうのも含んだ上で考えていただきたい。  少なくともアメリカとの接点にある日本の企業体は、接点どころか日本の一部上場会社で米国に支店を持たないところはもうなくなってしまった。このアメリカ式の制度というものになじみ始めておる。それは時間とともによい影響を受けてくるだろうと思うのです。それは私は大変結構なことですけれども、その精神的ないい影響とともに、日本の行政が、ひどく失敗しないというために善意を阻害するというこの構造だけはちょっと考え直された方がいいんではないか。だから早い話からいって、国際関係の善意を施そうと思うと、これは手足が出ない、このペーパーでは。これは本当に困ってしまう。何にもできない。だからお金が集められない。お金が出せない。だから国連活動停止のために活躍する大蔵省というふうにしか結論的に見えない。私はあえて誹謗しておるわけですね。結論的に言えばそうではないか。善意は信ずるが、やった仕事は何事ですかと私は言っておるわけでありまして、挑発的に申し上げるのですが、いかがですか。

濱本英輔大蔵省大臣官房審議官

○濱本政府委員 先ほど大臣からお答えをいただいておりますところに尽きるわけでございますけれども、事務的に私どもが取り組んでおります姿勢も一言聞いておいていただきたいという気がいたしまして、あえてお時間をいただいた次第でございます。  今渡部先生から再三御指摘がございました点の中でアメリカとの比較がございましたけれども、確かにアメリカも寄附の扱いにつきまして特別な措置を持っておりますが、先生よく御存じのように、お手元の表にも書いてございますように、アメリカにない日本の特有の制度といたしまして、例えば公益性の非常に強い法人に対する寄附につきまして、あるいは特定の公益増進上非常に緊急を要する必要な事業につきましては、極めて大きな損金算入限度額を設けておりまして、そういう対応としてはアメリカ等に比較しましても全く遜色はない。欧州諸国に比べましても遜色のないものになっているという事実があるということが一つ。それから冒頭大臣がちょっと申されましたように、一般的な寄附枠というのを設けているわけでございまして、その寄附枠の中であればいろいろなことに寄附はできるはずなんでございます。今先生がおっしゃったような事柄に対する対応も可能なはずなんでございます。それが現実の問題、これは制度の問題ではなくて実際の問題でございますけれども、行われていないという事実も計数上は出てきておるということもございます。  しかし、今渡部先生からの御指摘は非常に大事な示唆でございまして、私が何か抗弁しているというふうに受け取っていただきたくはないのでございますけれども、日々状況が変わってきている。それに対しまして私どもの方は、例えば特定公益増進法人の運用につきましても、特定公益増進法人の寄附を認めますと、一定の年限を切って認めております、その年限が来ましたときに、今先生おっしゃったように公益法人の活動内容が変わってまいるわけでございますね。その活動内容の変化に合わせてまた考え直していくという形で対応しているわけでございます。要するに寄附も一種の補助金でございます。補助金を新しく出すという話でございます。それは財政運営としての厳正は当然期さなければいけない。それがあってこその寄附制度でございますから、そこは我々きちんとやらしていただきたいと思いますけれども、何も頑迷固陋な一点張りのことを常に唱えているわけではございませんで、かなり柔軟に対応しているということだけは御認識賜りたいと存じます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)分科員 今補助金という言葉で言われたのは、私は当たらないと思うのです。それは言い過ぎですね。ということは、政府は何でもおれたちが日本じゅうを補助しておるんだ、補助金出しているんだ、査定してあげているんだ、割りつけてあげているんだ、おまえたちわからぬだろう、金は全部大蔵省主税局が取り、そして主計局が全部割りつけるんだ、こういうやり方でやるのだと言わんばかりの御答弁で、私は甚だ不本意ですね。人民どもが勝手にいろいろなことをしているのをなるべく妨害しないように、傷つかないようにやるのが大事なのであって、献金は一種の補助金であるという言い方はちょっとオーバーランされたのではなかろうかと思います。だけれども、それは力余っての御答弁ということもありますから、その辺は私は認めるにやぶさかではないです。  ただ、この制度は、だれかが十分全部検討したとは私には思われないのですね。この特定公益増進法人というのは、これは確かにだれかが丁寧に見ている。この法律の中では一貫しておる。よくできておる。しかし、これと国連外交とをあわせて見たら穴だらけ、こういうふうにだめなんですね。それから福祉関係で今物すごいお金が要るけれども、みんなの善意がそこに注ぎ込まれるのにバリケードがかかっているみたいな雰囲気がある。それとあわせて、こうしたものをどう考えるかというのがないのですね。つまり、政府のいろいろな考え方に対して、国民の善意が、国民の自分でコミュニティーをつくっていくという、自発的な創造的社会をどう建設するか、まるで総理大臣の演説みたいな話になってきましたけれども、そういうバランスがとれてない。ここにあるのは取り締まりの思想であって、おまえたちはつまらぬことに金を出すなよ、集めるんじゃないよというおしかりの思想であって、その意味ではもうちょっとこの公益法人の問題、財団法人の問題、特定公益増進法人の問題、株式会社の損金処理の問題、個人の寄附の問題等、全般にわたって目配りした考え方が要るんではないか。そんなことを言うと、また得意の審議会か何かおつくりになるかもしれませんけれども、その意味ではちょっと目配りが届いていない。きょうはこれは非常に上品に言いましたけれども、これで皆さん方が全般的な行政を見直していただく一助になればありがたいなと私は思っているわけでありまして、ぜひとも御研究をちょうだいしたいと思います。  それから、あと実は政府の土地税制に関する問題が非常に多いので申し上げようと思ったのですが、時間が足らなくなりましたので割愛さしていただき、次のチャンスにゆだねたいと存じまして、御関係の方にお許しいただきたいと存じます。

町村信孝自由民主党

○町村主査代理 これにて渡部一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、筒井信隆君。

筒井信隆日本社会党・護憲共同

○筒井分科員 ベテランの質問から突然青二才の質問に移りますが、税制問題について幾つか、特に大臣にお答えをいただきたい。お願いをいたします。  最初に、所得税の人的控除の点ですが、現在、人的控除はいずれも所得控除としてなされております。これをぜひ税額控除方式に変えていただきたい、この点についての質問をさせていただきます。  現在、所得控除方式で人的控除は全部一貫されているわけでございますから、配偶者控除にしても基礎控除にしても医療費控除にしても、すべて一律に所得から引いて、その残った課税所得に税率を乗じる、こういう計算方式になっているわけでございます。この結果どういうふうな事態が生ずるかというと、例えば、配偶者特別控除三十五万円というのが現在設置されているわけですが、この配偶者特別控除三十五万円というものがあるおかげで、課税所得三百万円以下の低所得者層というのは三万五千円の減税というメリットを受けている。逆に二千万円超の高額所得者は、これは五〇%の税率でございますから、十七万五千円の減税というメリットを受けることになる。同じ専業主婦がいる、全く同じなわけでございますが、その結果受けるメリットというのは、三万五千円と十七万五千円という五倍の開きがある。  医療費控除に関しても一緒でございまして、同じ医療費がかかったにしても、その控除によって受けるメリットは低額所得者層よりも高額所得者層の方が極めて大きなメリットを受ける、こういう不都合な、極めて不合理だと私は考えますが、こういう結果が出てくる。  その点から、なぜ所得控除方式をとっているのか、これは不合理というふうに考えられないか、この点まずお答えをいただきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 これは大変難しいお尋ねなんで事務方から補足をさせますけれども、私は、委員がおっしゃるような発想は必ずしも当たらないんじゃないだろうか。なぜなら、基礎的な非課税部分というものが、所得から生活費に必要な費用を課税対象から外すということですから、これについては所得の大きいあるいは小さいというものに差はないはずだと私は思います。そうした考え方からいきますと、私はどうもちょっと委員のお考えのような発想にならないんですが、事務的にこれはきちんとちょっと説明してください。

濱本英輔大蔵省大臣官房審議官

○濱本政府委員 大臣から今お話があったとおりに我々も考えておりまして、つまり筒井先生の御指摘のように、公平を追求するというときの考え方でございますが、多額の所得を得る人は多くの負担をするという垂直的公平の原理というものは当然ここできちっとしなければならないわけでございますけれども、そのときの立て方としまして、まず基礎的な非課税部分、つまり所得から生活に必要と思われます費用をまず課税対象から除外をしておく。この通常生活に必要な費用と申しますものは、人間だれしもそれほど大きな違いはございません。その部分をまず控除しておいた上できちっと累進税率を適用していく、こういう考え方が、公平という概念と今の所得税の立て方として仕組みを考えます場合に適切ではないかということが、従来から長い長い論議の結果到達した結論であった、こういうふうに私ども考えております。

筒井信隆日本社会党・護憲共同

○筒井分科員 今大臣の方からも、所得差の大きさにかかわらない、生活費に必要なものは。基本的には私もそのとおりだろうと思うわけです。所得差の大きさにかかわらない生活費を引くわけで、その点では形は平等に引きますが、結果として受けるメリットは、先ほどの例のように五倍とか四倍とか全然大きな差が出てくるわけでございまして、特に、一点先ほど主張しました医療費に関しても、どうですか、同じ医療費がかかってそれを税務上所得控除する、しかし収入の大きさによって受けるメリットが全然違ってくる、これはやはり不合理というふうに言えるんじゃないですか。

濱本英輔大蔵省大臣官房審議官

○濱本政府委員 筒井先生のようなお考えというのも考え方としてないわけではないと思いますけれども、医療費の場合でも、それは所得の度合いによって自分の負担能力に及ぼす影響の違いはございますけれども、医療費として支払う額というものにつきましては、基礎的な支払い額として人だれでも平等に考えていいはずでございまして、問題は、そういう控除の仕方をしました後で非常に不公平が生ずるかどうかということなんでございますけれども、そういった控除を行いました上で、きちんとした累進税率を適用するということによりまして、全体としてはそれがただいま筒井先生が御指摘になりました点が非常な不公平を及ぼすことにはならない、そういう形に組み立てられることができるのではないか、こういう認識を我々はしているわけでございます。

筒井信隆日本社会党・護憲共同

○筒井分科員 全体としては平等、公平になるということは、今の所得控除方式自体としては、確かに公平性に欠けるということをお認めになられた趣旨なんでしょうか。

濱本英輔大蔵省大臣官房審議官

○濱本政府委員 そうではございません。

筒井信隆日本社会党・護憲共同

○筒井分科員 今平等に考える。かかった医療費についてまさに平等に考えて引くわけですね、所得控除方式は。平等に考えるべきだと私も思うわけです。同じ医療費がかかったことに対して、税務上、結論としても同じ扱いをすべきである。しかし所得控除方式をとっているおかげで、結果として同じ扱いにならないという事実自体はお認めになられるでしょう。

濱本英輔大蔵省大臣官房審議官

○濱本政府委員 その事実を認めることの意味でございますね、問題は。要するに、私が申し上げたいのは、税制というのを一つ組み立てます場合に、わかりやすい一つの考え方をもって説明できるものでなければならないと思いますけれども、その場合に、先生が何をおっしゃろうとしているかといいますと、要するに所得階層による負担の適正なバランスだと思います。そのバランスを考えますときに、基礎的にみんなが同じようにかかるものについて引いてしまった上で累進税率を掛けることによって全体的なバランスがとれれば、それで先生のおっしゃっている御趣旨も達成できるわけでございます。  論理的に、一つ一つの控除につきまして、たまたま累進税率というものを後でかぶせますから、その累進税率をさかのぼって基礎控除部分に及ぼして、そこに差等が生ずるではないかという御指摘、そのこと自体わからないわけではございませんけれども、それは、今の所得税法を組み立てようとした我々の真意から少し外れてしまう。  繰り返しになりますので申し上げませんけれども、諸外国におきましても、そういった所得控除によって基礎的な控除を行いました上で累進税率を適用するということは、私の知っております限り、主要国においてひとしく行われておるところでございます。

筒井信隆日本社会党・護憲共同

○筒井分科員 配偶者特別控除、専業主婦が一人いる、医療費がこれだけかかった、これを平等に扱うべきである、ここまでは完全に一致しているわけです。しかし所得控除方式の結果、平等の扱いにならなくて、高額所得者になればなるほど、課税対象の税率が高くなればなるほどメリットが大きくなる、この事実をお認めになられるかどうかという質問なんですけれども、今の趣旨としては認められたというふうな感じで聞いております。  これを所得控除ではなくて税額控除に変えれば、そのような問題点はなくなって、まさに結果としても高額所得者、低額所得者関係なく、平等に同じ額を引くということになるわけでございまして、私は、この税額控除方式の方が公平だと考えておりますが、税額控除方式にした結果、物すごい不都合というのは何か起こってまいりますか。

濱本英輔大蔵省大臣官房審議官

○濱本政府委員 今たびたび同じことをお答えしておって恐縮でございますが、筒井先生から御指摘がございました点につきましては、税制調査会での長い論議の歴史を持っておる問題の一つでございます。  税額控除方式に切りかえることはできないかという議論も、税制調査会の中で行われたことはございます。しかし、そのときのいろいろな議論の経緯、答申に盛られております言葉から申し上げますと、税制の簡素化の観点というのがそこに一つ入っておりまして、現状においてあえて変更する必要はないということが何度か繰り返し議論されてきたということでございます。  確かに、税額控除するということも考え方として、繰り返し先生がおっしゃいましたようにないわけではございませんけれども、今の税法としてどっちが適当かということでございまして、今の簡素化というような観点も含めて議論されたということを申し上げておきたいと思います。

筒井信隆日本社会党・護憲共同

○筒井分科員 簡素化の趣旨からも税額控除にすべきだと考えておりますが、時間がありませんので、次の質問に移ります。  今の点に関係いたしますが、所得のうち最低生活費相当分は非課税とすべきであると私は考えておりますが、そういう考え方自体は、これは問題ないというふうにお聞きしてよろしいですね。

濱本英輔大蔵省大臣官房審議官

○濱本政府委員 従来から、所得税の課税最低限の論議を出されます場合には常に出てくることでございますけれども、幾つかの要素がございますが、その中の一つとして、今先生の御指摘がございました国民の生活水準から見て最低限必要とされる生計費に対応する部分を課税対象外に置くという考え方があることは事実でございます。

筒井信隆日本社会党・護憲共同

○筒井分科員 その最低生活費を幾らと見るかは、一般的に生活保護費を基準に考えられているわけですが、平成二年度の一級地の生活保護費、生活扶助と医療扶助と教育扶助とをプラスしたものですが、現在二百六十一万余りになっているわけです。この点と現在の課税最低限を比較してみますと、夫婦と子供二人、サラリーマンで、専業主婦で、子供のうちの一人が十六歳から二十二歳の場合に、大蔵省の資料によりますと三百十九万八千円というふうな課税最低限の計算が出されております。これであれば二百六十一万円余りという生活保護費を超えているわけですが、ただ、このうちには給与所得控除が百十二万四千円入っている。この給与所得控除というのは必要経費の概算控除というふうな趣旨が非常に強いわけでございますから、これは課税最低限に含めるのはおかしいと考えておりますが、今はその論議ではなくて、サラリーマンの場合にこうであったとしても、自営業者の場合には、みなし法人課税をとらない限りは給与所得控除がないわけでございますから、その給与所得控除を引くと大蔵省の資料によっても二百七万四千円となって、生活保護費の二百六十一万余りよりも低くなるわけでございます。だから、現時点では、給与所得控除の問題を除いても、自営業者の場合には最低生活費部分まで所得税が課税されている、こういう実態というふうに考えられるわけですが、この点についてはどうでしょうか。

濱本英輔大蔵省大臣官房審議官

○濱本政府委員 御指摘の点でございますが、事業所得者の場合の課税最低限を幾らと見るかはなかなか難しい問題があると思います。例えば、青色申告者であるのか白色申告者であるのか、配偶者が事業専従者であるかどうか、事業所得者の場合にはそういうケースが多いと思いますけれども。それから、専従者給与がどの程度であるかというようなことによって当然異なってくると考えますので、一概に申し上げにくい。  それから、先生が今おっしゃいましたように、所得税の課税最低限の議論というのは最低生活費をめどとして考えているだろうというお尋ねに対しまして、それも一つの要素として考えておりますと申し上げました。それにもかかわらず最低生活費を切り込むような、そういう課税最低限では生きていけないではないかという御指摘かと思います。それに対する直接の答えにはならないかもしれませんが、本当に苦しい立場に立たされた方というのは、これは生活保護費を請求することをなされるはずでございます。生活保護費を受け取られる立場にお立ちになると考えますと、今の生活保護基準からいいまして、先生が今おっしゃったような御心配が生ずるようなことはないと考ええております。

筒井信隆日本社会党・護憲共同

○筒井分科員 そうは思わないのですが、次の質問に移ります。  資産性所得、特に株式売却益と利子、配当、いずれも一部の高額配当を除いて分離課税になっているわけです。この分離課税にしている従来の政府税調等の理由づけを見ますと、一番大きな理由が所得把握上の問題点であるというふうに聞いているわけですが、ただ、そうなると納税者番号制度がなければこれらについて総合課税することができない、こういう前提だろうと思うのです。しかし、諸外国の例を見てみますと、納税者番号制度がない西ドイツとかイギリスとかあるいはフランスにおいて、配当、利子あるいは株式売却益等に総合課税を現実にしている。その点から考えますと、納税者番号制度かないからといって総合課税ができないわけではないというふうに考えますが、その点はどうでしょうか。

濱本英輔大蔵省大臣官房審議官

○濱本政府委員 御指摘のように、確かに今イギリスあるいは西ドイツ、フランス等におきましては、納税者番号制度というのは採用されておりません。しかるに、これらの国におきましては、総合制税制度というものを主柱にして税制運用を行っております。ただ、それぞれの国の状況を我々も関心を持って見ておるわけでございますけれども、つぶさに見てみますと、例えばイギリスの場合でございますと、預金利子につきましては実質的には源泉分離課税制度に近い課税、つまり相当の層につきましては取りきりになっている。それから株式売却益につきましても一定額まで非課税にされております。それから西ドイツの場合でも、株式売却益につきましては原則非課税になっております。フランスの場合にも、利子は総合源泉分離選択課税になっておりますし、株式売却益は分離課税になっているというように、それぞれの国情に応じた制度が組み立てられておりまして、したがいまして一概にこれを論じにくいところがございます。このような国で納税者番号制度なしに総合課税を採用しておりますことが、直ちに我が国でもそのような方式を採用することができるということにはならないのではないかというふうに思われます。

筒井信隆日本社会党・護憲共同

○筒井分科員 そうしますと、それらの国では、納税者番号制度がなくても、いろいろな事情の違いはあるにしても課税をしている。我が国において納税者番号制度がなければ総合課税できない理由があれば、それを教えてください。

濱本英輔大蔵省大臣官房審議官

○濱本政府委員 それぞれの国がそれぞれの国情を抱えておりまして、本当の詳細な実態というものについてはなお十分研究してみなければならない余地があろうと思いますけれども、今、少なくとも我が国の場合の御指摘でございまして、我が国の場合、いろいろな種類の所得がございます中で、これを公正、公平に課税していくということになりますと、いつ、だれが、どこで、どういう所得を実現したかということを的確に把握する必要がございます。今までいろいろ議論されてまいりましたけれども、結局、納税者番号制度によってこれを捕捉するということが最も完成度の高い総合課税制度を実現する道だという結論に考え方としてはなっていくわけでございます。  ただ、それでは納税者番号制度の導入が本当にできるのかということになりますと、ここにはこの問題自体として大きな検討すべき点がございまして、今まさに政府を挙げまして、政府税制調査会におきましてもこの問題の検討に入っているわけでございます。納税者番号制度が仮に何か仕組めるといたしましても、先生御存じのようにそれですべて事足れりということではございませんで、例えば個人の株式の売却に関するケースを考えてみましても、それをいつ買ったのか、幾らで買ったのかということが捕捉されておりません限りは、きちんとした売却益が計算できないということは当然でございますので、納税者番号制度を完成した上で、さらにそれに基づく完全な捕捉というものの体制が仕組まれますためには、なお検討すべき多くの問題を残しておりますけれども、我々は、考え方としては、そういうことによって初めて所得というものがきちんと捕捉されるのではないかという考え方でおります。

筒井信隆日本社会党・護憲共同

○筒井分科員 納税者番号制度ではなくて、例えば支払い調書の送付義務を銀行、証券会社、企業に罰則つきで負わせる、法定する。もちろん支払い調書には住所とか氏名あるいは生年月日、支払い額等を書いて、送られてきた支払い調書をコンピューターで名寄せすることによって納税者番号制度と同じ程度の所得把握ができるというふうに考えておりますが、その点どうでしょうか。

濱本英輔大蔵省大臣官房審議官

○濱本政府委員 確かに、一々の取引の裏づけというものを支払い調書という形でどこか一カ所に集めまして、それをきちんと整理、把握すればそういうことができるではないかという御指摘、これも考え方としてはあろうかと存じます。しかし、先生いかがでございましょうか。すべての取引をそういう形で支払い調書化する、提出義務を課すというそのコスト、あるいはその場合も、支払い調書という紙一枚をつくります場合でも、相手が本当に本人であるかどうかということを確認しました上で取引を支払い調書化できるわけでございまして、その本人確認をどうやって完全なものにするか。それから、今おっしゃいました、それをある場所に集めました場合に名寄せ事務というものがそう簡単にいくのかどうか、そのあたりの体制の整備が図られなければ、その方法でのアプローチというものはとんざするというふうに考えられまして、ここにもなかなか難しい問題があると思われます。

筒井信隆日本社会党・護憲共同

○筒井分科員 もちろん難しいと思うのですが、ただ、納税者番号制度と支払い調書と比較してみた場合に、どちらもコストがかかるし、いろいろ面倒な問題点がある。その面倒な問題点に関してはそれほど変わらないで、また、その結果所得把握がどの程度できるかという問題に関してもそれほど変わらないのではないかという質問でございまして、こんな問題点があるということを聞いているのじゃなくて、比較してどうかという点なのです。

濱本英輔大蔵省大臣官房審議官

○濱本政府委員 今までの議論から申し上げますと、今先生がおっしゃったような支払い調書方式によってアプローチしていくということに比べれば、納税者番号、つまり一人の人に番号を一つ付して、すべての取引がその番号に基づいて記録されるという方法の方が、もしそれが実現できるならば、効率的であることは明らかではないかというのがどうも議論の方向ではないかというように私は思いますけれども、実際問題として、今日本でも一定の分野において補足的に支払い調書方式は活用されておりますし、支払い調書方式の重要性ということを否定するものではございません。

筒井信隆日本社会党・護憲共同

○筒井分科員 時間を大幅に削減されましたので飛ばしますが、一点、法人税の問題ですが、今三つの法人税率がある。公益法人等についての二七%ですか、それから中小法人、八百万円以下の所得についての二八%、それから三七・五%の三つがあるわけです。今の制度の結果、公益法人であればどんなに所得が高くても一番低い最低税率が適用になる。逆に、大法人である限りはどんなに所得が低くても最高税率が適用になる。これは不合理ではないかというふうに私は考えておりまして、法人全体に所得に応じた、二段階でも三段階でもいいですが、公益法人も中小法人も大法人も一緒にした累進税率を検討すべきではないかと考えておりますが、その点どうでしょうか。

濱本英輔大蔵省大臣官房審議官

○濱本政府委員 御指摘のとおり、現在の法人税率は基本税率三七・五に対しまして中小法人が二八、公益法人が二七、軽減税率が適用されておりますが、この軽減税率というのはいずれも政策的見地から設けられておるものでございまして、その意味におきましては、政府税制調査会の答申等におきましても、基本税率との格差というものは縮小する方向で検討すべきではないかという御指摘がなされております。そこは先生の御指摘と政府税制調査会の論議とは軌を一にしている点があるのではないかと思っておりますし、今回行われました改正におきましても、方向としてはそちらの方に近づけていくという趣旨の改正であったかと思っております。

筒井信隆日本社会党・護憲共同

○筒井分科員 縮小する方向を必ずしも主張しているわけではなくて、何段階かに分けられるというならそれはそれでいいと思うのです。ただ、問題は、例えば公益法人がホテルを運営した場合に、たとえどんなにもうかっても低税率。そうじゃないホテルが、資本金によってですけれども、所得が物すごく少なくても高税率。これは筋が通らないのではないかという趣旨でございます。

濱本英輔大蔵省大臣官房審議官

○濱本政府委員 先生のお尋ねはまさに累進税率の是非の点でございました。確かに法人課税にも累進税率を導入すべきであるという意見は従来からもございます。累進税率の適用を妥当とする考え方の基礎にあります考え方は、要するに限界効用が逓減していく、あるいは所得の再分配という概念に照らしまして、本来自然人である個人につきまして適当であるというふうに考えられてきたものでございます。  法人についてもこれを当てはめてみてはどうかという御意向、それはわからないでもございませんけれども、法人の経済活動というものをまた個人とは別途眺めてみる必要がある。その場合非常に大事なことは、法人の経済活動というのが税によってゆがめられないこと、中立的であるということが何といっても大事だと思いますけれども、仮に累進税率を導入しました場合どういうことが起こるかと考えてみますと、事業の性格上、例えば資本規模やあるいは配当原資としての所得の絶対額が必然的に大きくならざるを得ないような種類の企業がございます。小ぢんまりやって商売が成り立つ企業もございますれば、大きな規模でなければ企業としての採算が満たされないという種類の企業もございます。そういう企業が相対的に不利になるということは、社会的に税制が経済をねじ曲げてしまう、そういうおそれがあるのではないかということが従来指摘されてきた点でございます。

筒井信隆日本社会党・護憲共同

○筒井分科員 時間がなくなったので、最後に受取配当金についてお聞きをして、終わりたいと思います。  個人であれば、受取配当金に関しては、先ほど申し上げましたように分離課税で税金がかかる。しかし、企業であると一切非課税となっていた。二重課税になるというふうな理由で非課税になった。それが今度二割だけ課税されることになったわけですが、二割課税するならばなぜ全部課税しないのか。二重課税という根拠があったから非課税にしていた、そういう口実で非課税にしていたわけでございますが、それではやはりまずいということで二割課税することにしたわけでございます。今物すごい財テクの時代で、大企業の受取配当金の額は百億円単位に上るのが珍しくないわけですが、このうちの八割が全面的に非課税になっているのはおかしいと考えておりまして、ぜひこれを一〇〇%課税にしていただきたい。これはそんなに技術的な問題ではないので、その点、ぜひ大蔵大臣の見解をお聞きをしたいと思います。

濱本英輔大蔵省大臣官房審議官

○濱本政府委員 一言。確かに筒井先生の御指摘のような御議論がございましてこそ今回の改正に私どもも踏み切らせていただいたわけでございますけれども、なぜ依然として八割の益金不算入部分を残しておるかということでございますが、結局企業の中には、親子会社間の配当のように企業支配的な関係に基づきます関係で事業を行っておられるようなものも多々ございまして、いわば同一企業の内部取引と考えられるようなものがございます。仮にこれに課税するとなりますと、事業を子会社形態で営みますよりも、事業部門の拡張や支店の設置の方がはるかに税制上有利になるという問題がございまして、さっきと同じように税制が経済をゆがめてしまうというおそれがございます。そこは慎重に見ていかなければいけない。とりあえず八割というめどでこれを今実施していったわけでございますけれども、今後しばらくこの状況を注目してまいりたいと思っております。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 今審議官から御説明をしましたような事情の中で、今委員の御論議を承りながら、私どももこれからも気をつけていきたい、そう思います。

筒井信隆日本社会党・護憲共同

○筒井分科員 終わります。どうもありがとうございました。

町村信孝自由民主党

○町村主査代理 これにて筒井信隆君の質疑は終了いたしました。  次に、木島日出夫君。

木島日出夫日本共産党

○木島分科員 私は、国税の調査の問題に絞ってお伺いをしたいと思います。  大分古い話ですが、昭和五十一年四月一日に国税庁から「税務運営方針」という冊子が出されております。私、本日の質問に先立ちまして、今までの国会の質疑を一通り読んでまいりましたが、再三にわたって政府委員からこういう答弁があります。策定されて以来今日まで私ども税務職員の指針としてこれを守ってきたつもりでございますし、今後ともこれを守っていかなければならない指針であると言っております。最初に、この立場は今日でも変わりはないのでしょうか、お尋ねいたします。

岡本吉司国税庁次長

○岡本政府委員 御指摘のとおり現在の「税務運営方針」、五十一年の四月に制定をされております。現時点におきましても、我々は「税務運営方針」にのっとりまして、御指摘のように今まで我我が答弁いたしましたような姿勢で運営しているところでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島分科員 今後ともこの方針を守っていくという御答弁がありました。  手元に持ってきているのですが、「税務運営方針」の「調査方法等の改善」という欄がございます。そこにはこう書かれています。「税務調査は、その公益的必要性と納税者の私的利益の保護との衡量において社会通念上相当と認められる範囲内で、納税者の理解と協力を得て行うものであることに照らし、一般の調査においては、事前通知の励行に努め、また、現況調査は必要最小限度にとどめ、反面調査は客観的にみてやむを得ないと認められる場合に限って行うこととする。」大変立派なことが書かれていると思います。本当にこのとおり第一線の税務調査が行われているのであれば、何も問題が起きずに税務調査が極めてスムーズに行われるはずでありますが、現実はとてもそんなものではないと思います。  私は二十年来弁護士をして税務訴訟にも参画してまいりましたし、あるときには税務調査の立ち会いもやったことがございます。現実には事前通知はほとんど励行されていない。また、家族に病人がいたり、取引先との関係でどうしても都合がつかないから調査の日時を延期してほしいと幾ら頼んでも、強引に税務署の都合で臨場調査をやろうとする。また、立会人がいると調査を取りやめてすぐ反面調査に入っていく、そして一方的な推計課税をする。また、青色申告の承認取り消しなども乱発するというのが現状であります。「納税者の私的利益の保護」ということがこの「税務運営方針」にも書かれておりますが、全く顧みられていないのではないかと言わざるを得ません。  幾つかの例が本国会でも取り上げられております。みずから命を絶ったという痛ましい事例も予算委員会あるいは大蔵委員会等で出されております。私、手元に昨年九月六日付の朝日新聞のコピーを持ってきております。「最後の手紙」「運転手の死」という見出しで出ております。この税務調査のあり方がひどいということでみずから命を絶つということが、今大きな社会問題にもなっているわけであります。  簡単に事件の中身を御紹介しますと、個人タクシーの運転手でありますが、税務調査を受けて九十八万円の更正決定をされた、過少申告加算税、住民税の連動分などを含めると二百万円を超える。この運転手は個人タクシーですが、月二回のリューマチ治療の通院や会合など、外出にはすべて自分のタクシーを使っていたそうであります。メーターで収入を計算されたら大変だと言っていたそうであります。しかし、更正が行われて税務署に更正の理由をただしたところ、キロ数で割り出したということしか答えてもらえなかったということがこれに書かれております。  この「税務運営方針」によりますと、こういうことが書いてあります。「納税者に対して親切な態度で接し、不便を掛けないように努めるとともに、納税者の苦情あるいは不満は積極的に解決するよう努めなければならない。また、納税者の主張に十分耳を傾け、いやしくも一方的であるという批判を受けることがないよう、細心の注意を払わなければならない。」とあります。こうした事例を見ますと、到底この「税務運営方針」の精神が現場では生かされていないと思わざるを得ないわけであります。  そこで、国税庁にお伺いいたしますが、一体どんな方針で、どんな方法でこの「税務運営方針」を第一線の調査官に周知徹底しているのか、聞かせていただきたい。

岡本吉司国税庁次長

○岡本政府委員 「税務運営方針」の職員に対します周知につきましては、例えば我々、税務職員に採用されますと、まず初歩的な教育期間、研修期間がございます。例えば税務大学校というところでそれをやっているわけでございますが、まだ新入生の新しい職員に対しまして全員に配付してそこで研修を行っているとか、あるいはその後におきましても各局それぞれ工夫してもらいまして、会議等あるいは研修等の場を通じて中身を徹底している、こういうことでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島分科員 周知徹底の方法が極めて不十分だと思わざるを得ないわけであります。  私の選挙区である長野県の飯田市で最近起きた事例を具体的にひとつ指摘をして、質問を続けたいと思います。  一昨年の十二月二十一日に飯田の税務署が、あの地方でホンシメジの生産農家百戸、ほとんど全部ですが、それに対して「集合説明会の開催について」と題するはがきを出したのです。昭和六十三年十二月十三日付であります。差出人は飯田税務署長と市町村長連名であります。「下記により本しめじ栽培農家を対象に説明会を開催しますので出席されますようお願い致します。」「日時」が書いてあり、「場所」が書いてあり、そして三番目のところに「持参するもの」として、ここは全文読みます。「このハガキ、筆記用具(ボールペン)電卓又はソロバン 昭和六十年~六十二年の本しめじに係る収入金額及び出荷数量のわかるもの。」これがホンシメジの生産農家に飛び込んでいきました。  農家の皆さんは大変びっくりされまして、書かれたとおりのものを持参してこの場所に行きましたところ、既にその場所には修正申告用紙が全部用意されておった。しかも、その修正申告用紙の修正の欄には全部細かい数字が鉛筆で書かれておった、記入されていた。そして、その場で税務署の職員から説明があり、そのとおりにボールペンで書きかえて、数字はそのままにして書きかえて提出をするようにという指導があった。税務の実態を知らないホンシメジの農家の皆さんは、ほとんどそれに応じて、そのままそのとおり修正申告をしたというようであります。  本来、所得を計算するには、総収入と総支出を具体的に計算をして所得を割り出さなければならぬはずであります。このはがきの中には、総収入を示す収入金額と出荷数量のわかるものだけは持ってこい、しかし、経費に係る資料については何も触れられていない、非常に一方的な修正申告だったと思うわけであります。これに応ぜずに修正をしなかった数名の農家に対しては、後刻、全員が税務署によって事後調査をされました。そして、更正処分をされました。  その経過の中で、ある農協と税務署との懇談会の中で、税務署の職員から、あの集合説明会のときに修正申告に応じなかったホンシメジ農家に対しては調査に入るのだという発言までなされているわけであります。他の納税者に対して調査に入るとか入らないとか、そういうことが公然と税務署の職員から、恐らくこれは守秘義務に反するだろうと思いますが、反してまで話がされ、そして、そういうことを修正申告に応じさせるための強要の一つの手段としても使われている、大変ゆゆしい事態だと思うわけであります。こんなことが実際に「税務運営方針」のもとで行われているわけだと思うのです。それはやはり第一線の税務職員が、この「税務運営方針」に書かれているその精神を、納税者の権利を守り、任意調査ですから納税者の理解と協力を得て正しい税務調査をするのだという、そこが外れてしまっているからだと思わざるを得ないわけであります。  それで、私は提案したいのですが、残念ながら、この「税務運営方針」が昭和五十一年四月一日に出されてから今日まで改訂がないようなんですが、この方針そのものが一般の納税者には配付されてないわけですね。いわんや、現場で税務行政を扱っている税理士さんたちにもこれが全然配付されていないということがあろうかと思うのです。ぜひこれを公刊をして、全国の税理士さん、そして全国の納税者が必要に応じていつでも手元に置いて、税務署の正しい方針を知った上で税務調査を受けることができるように市販、公刊されることを求めるわけでありますが、いかがでしょうか。

岡本吉司国税庁次長

○岡本政府委員 貴重な御指摘ありがとうございます。ただ、この「税務運営方針」、あくまでも長官の国税五万の職員に対するいわば内部の指示でございます。したがいまして、これを一般に市販するというようなことまでは我々考えておりません。ただ、それでは外に対して全然公表も公開もしないのかといいますと、そうではございませんで、既に公になっている我々の書類の中にも、印刷してそのまま出しているという例もございます。したがって、税理士先生方あるいは一般の方も、ごらんになろうと思えばいつでもごらんになれる体制にはなっております。

木島日出夫日本共産党

○木島分科員 国税庁長官が現場の税務職員を指導する指針としてこれが出された。中には大変立派なことも書いてある。しかし、現実にはそれが守られていない、逸脱しているところにこそ、全国各地で自殺者が続出をしたりしている重大な事態になっているわけであります。私は、率直に言って、国税庁長官の現場の第一線の調査官に対する指導が残念ながら不十分だと言わざるを得ないわけであります。  そして、逸脱した調査をチェックするのは直接的には国税庁長官あるいは大蔵大臣の責務かと思いますが、もっと根本的には、主権者である国民そのものがそうした逸脱した税務調査をチェックすることだろうと思うのです。今、日本の税務署がどういう立場で、どういう理念で税務調査をやっているのかを国民が知ってこそ初めてそういう逸脱をチェックすることができる。最大のかなめだと思うわけです。だからこそ、私は、こういうものを納税者にいつでも手軽に手に入るような形にしておくことが大事だと考えております。これは大蔵大臣にもちょっと御所見を伺いたい。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 私は、次長が御答弁申し上げましたように、どういう格好ででも知っていただける形にあるわけでありますから、あえて刊行し、お買い求めをいただくという必要性もないのではないか、今御論議を聞きながらそう考えておりました。

木島日出夫日本共産党

○木島分科員 いや、現場の税理士さんの話を聞きますと、なかなか税理士ですら手に入らないんだというお話なんですね。先ほど国税庁長官は、見えるような形にされておると言っておりますが、具体的にどんなところに載っておるのですか。

岡本吉司国税庁次長

○岡本政府委員 国税庁で事務年報というものを出しております。これはあるいは先生のお手元にも行くような書類になっておりますでしょうか、そこまで確かなことは存じ上げておりませんけれども、この事務年報というものが公にされておりまして、これは全国の国税局、税務署に当然のことながら配付してあるわけでございますが、そこに「税務運営方針」の全文が掲載されております。

木島日出夫日本共産党

○木島分科員 その事務年報というのは、だれあてに発行されている文書なんですか。

岡本吉司国税庁次長

○岡本政府委員 年報でございますので、だれあてにということではなくて、国税庁としてそういった印刷物をつくっているということでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島分科員 その都度何部ぐらい印刷して、どういうところに配付しているんですか。

岡本吉司国税庁次長

○岡本政府委員 部数につきましてはちょっと私も今手元につまびらかにするほどのデータを持っておりませんが、部内は当然、あるいは若干外の方にもこれをお配りしているのではないかというふうに記憶しております。

木島日出夫日本共産党

○木島分科員 ほとんど目に触れることができない程度だと思うわけであります。私は無料で納税者に配付しろと言っているわけじゃなくて、有料で結構です。国家財政にマイナスになるわけでもありませんし、殊さらに秘密にする文書ではなかろうかと思うので、ぜひとも刊行される方向で検討されるよう、改めて重ねてお願いをしておきたいと思います。  もう一つ、私の選挙区である伊那市で起きた事例についてお伺いをいたします。これは青色申告の承認の取り消しの件であります。一昨年の三月十一日に、伊那市内で鉄鋼業を営むKさんという方の青色承認が取り消されたわけですが、その理由がこうなのですね。  前年の六十二年十二月二十三日にこのKさんが調査を受けまして、税務署へ出頭して、調査期間である三年間の帳簿書類、青色承認に必要な帳簿書類を、全部つけておりますから全部持参をして税務署へ持ち込んだ。そして税務署員の求めに応じて全部それを提示して、約一時間三十分、税務署の職員が三人がかりでその帳面を見て、まあ異例なことですが、全部写し取っていたようであります。しかし、この業者は、営業の関係で自分の従業員に営業上の指図をしなきゃならぬ、タイムリミットもあるということで、その日はそれで中断してもらって、また後日調査を受けるということを言ってその日は示した帳面を持ち帰って、後日待っていたわけです。  そうしましたら、その後三度ほど当該調査官から電話があって、その後の調査をどうするかというやりとりがあったそうであります。それでこのKさんは、ぜひとも立会人を認めてほしいと要望をしておりました。それは、税務署へ帳簿を持ち込んで全部筆記されていたときには、自分と自分の妻しか行きませんでしたから、何をされるかわからないという非常に不安な状態だったからであります。しかし、そのKさんの希望を税務署が勝手にねじ曲げまして、立会人をつけなければ帳簿を見せないんだというふうに勝手に解釈しまして、それは調査拒否だと勝手に解釈して、調査を勝手に打ち切って、そして即青色申告の承認を取り消しをしてしまった。こういう事案であります。  この事案については、今Kさんは承認取り消しの取り消しを求めて長野地方裁判所に訴訟を提起しております。裁判になっておりますから、具体的な中身についてここで論じようとは思いませんけれども、これなども「税務運営方針」の青色申告について記載された立場、読みますと、「記帳慣習を育成していくため、青色申告制度はその中核をなすものであるから、今後も引続き、青色申告者の増加に積極的に努力するとともに、適切な指導又は調査を通じて、青色申告者の質的水準の向上を図る。」こういう基本方針にもとる非常に乱暴なやり方ではないかと思わざるを得ません。  どうですか、今私が述べた事例が運営方針から逸脱しているとお考えではないですか。

岡本吉司国税庁次長

○岡本政府委員 事実関係を必ずしも掌握しているわけではございませんので、具体的な話は御勘弁いただきたいと思うわけでございますが、ただ、今お話しの中に立会人の話がございました。それで、我々、立会人があった場合には基本的には調査は御遠慮させていただいております。特に、これは納税者と全然関係のない第三者の方が立ち会いたいというお申し出があるときが間々あるわけでございますが、やはり調査の過程でいろいろ納税者のこと、納税者以外のこと、税務行政のこと等々ございますので、そういった立会人がおいでになった場合には調査はやめさせていただくということでございます。  また、青取りの関係で申し上げますと、青色申告の取り消しの条件の一つに、やはり帳簿の保存というのがございます。その保存というのも、単に物理的に保存していればいいということではなくて、青色申告でございますから、やはり納税者がきちんと帳簿をつけていただく、それと同時に、税務調査があった場合にはそれをまた見せていただく、こういうことに成り立っているわけでございます。したがって、そういった要件を欠くというような場合には、場合によっては青色申告の取り消しということもあろうか、こう思うわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島分科員 税務調査に立会人をつけることを認めるかどうか、今日、各地の税務署が守秘義務に違反するとか調査の妨げになるとか称してそれを認めないという立場に立っております。しかし、納税者の立場からしますと、立会人をつけるというのは基本的な権利でありまして、これを妨げる法律は何もないわけであります。  一点だけ指摘しておきたいのは、今まさに先ほど私が述べた事案で、長野地方裁判所で何か最大の焦点となって審理が進むかといいますと、そのKさんが担当税務署の調査官に対してどういう言葉を言ったかですね。Kさんの主張は、立会人をつけてほしいと言っただけです。決して立会人がなければ税務調査を受けませんとか、帳簿を見せませんとは言ってないわけです。ところが、税務署の皆さんの立場は、Kさんは立会人をつけなければ税務調査を受けないと言った、そこが最大の争いになって、それが青色申告を取り消すことが認められるかどうかの境目になっているわけですね。ですから、そのまことに微妙な事実が裁判所によってどちらに認定されるかで、青色申告の取り消しが認められるか否認されるか決まるわけです。そうしますと、立会人がいないということはどうなるかといいますと、納税者の側からすると自分しか、原告本人しか証拠として出すことができない。一方、税務署の方は、大体こういう事案は複数の調査官が関与していますから、複数の調査官が裁判所へ出ていって二人が証言するわけですね。そうすると、もうそれだけで証拠力の違いになってしまうわけですね。  ですから、私は、立会人をつけるという納税者の要求は、基本的には違法、不当な税務調査を監視するという国民主権として根本的な一番大事な要求だろうと思いますし、具体的なこういう訴訟等になったときに、正しい事実を裁判官、国税不服審判官に知ってもらう証人としての役割も果たす大変重要な役割を担っているものが立会人であると思わざるを得ないわけであります。それを今国税庁からお話があった程度の話では、立会人を拒絶する理由には全くならぬと思わざるを得ないわけでありまして、重ねて「税務運営方針」にのっとって適正な調査、納税者の私的利益を保護した上で、納税者の理解と協力を得て調査を進めるように希望するところであります。  そして最後に一点ですが、今までの国会での論議を見ますと、「税務運営方針」から大変逸脱した重大な事件について国会議員が指摘をいたしますと、その都度その都度国税庁からは、具体的事案については知っていないとか、具体的事案については答弁を差し控えさせていただく、これの繰り返しであります。しかし、これでは前進にならないわけであります。具体的な事案こそが「税務運営方針」から逸脱しているということを国会議員が指摘しているわけでありますから、そういう問題が指摘されたら国税当局としては真摯にそれを受けとめて、そしてみずからそれを調査して正すべきは正す、そして具体的な第一線の現場の税務署の職員あるいは署長に対して指導するということがなされなければならない。いつまでたっても納税者の権利は守れないと考えるわけであります。  こういう立場でしっかり指導していただきたいということを希望し、最後にその希望に対して大蔵大臣の所見を伺って質問を終わらせていただきます。

岡本吉司国税庁次長

○岡本政府委員 今後とも「税務運営方針」にのっとりまして適切に行われるよう現場を指導したいと思っております。  ただ、今一つございましたこの具体的な事例の処理の仕方といいますか、でございますけれども、個々具体的な話の事実関係の把握といいますか、そういったものはやはり現場が一番よく知っているのだろうという気が私はいたしております。したがいまして、我々といたしましてはこういった国会の場、委員会の場におきますいろいろな御指摘、大変貴重なものだと受けとめておるわけでございますので、そういったところはまさに十分受けとめまして、現場の方には趣旨、内容等を伝えているところでございます。今後ともやっていきたいと思っております。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 私は、税務関係職員、第一線の諸君も一生懸命に働いてくれておりますことを信じておりますし、それがまた国民のためになされていることも信じております。

木島日出夫日本共産党

○木島分科員 終わります。

町村信孝自由民主党

○町村主査代理 これにて木島日出夫君の質疑は終了いたしました。  次に、辻一彦君。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 きょうは大蔵大臣に、第三次円借款問題と中国に対するいろいろな考え方をこの機会に若干伺いたいと思います。  私は、日中間の友好というのはアジアの安定、平和の基本でないか、こういう認識を持っておりますが、そういう点で、私と中国のかかわり合いを初めにちょっとだけ紹介しておきたいと思います。  随分前でありますが、昭和三十一年、青年時代に、日本から戦後初めて青年を二十二名中国に送った。三カ月、七十五日間、二万五千キロ、昆明、重慶から東北までずっと回って、恐らく戦後日本人が初めて行ったところが大多数であったのですが、そういうところで日本と中国の青年は、もう二度と戦争してはいかぬという意味で、日中青年不戦の誓いを結んだ記憶があります。  それから、翌三十二年に中国から初めて十人の青年代表を迎えました。その十名も約一カ月日本を回って随分と多くの人に接触したのですが、そのときの代表団の副団長が呉学謙さん、今の外相、副総理、御存じのとおりだと思いますし、通訳でずっとついておったのが楊振亜さん、今中国の日本大使として見えておりますが、私は翌三十三年にまた中国に三月ほど行ったのですが、楊振亜さんはずっとついてくれまして中国の農村を一緒に泊まって歩いたという関係があります。そういう意味で、今の大使とも三十年来、長いつき合いをしております。こういう中で、三十年前というと、旅券を取るのにも半年かかったり、向こうの代表を日本へ呼ぶにも大変な時期があったわけです。また長崎の国旗事件というように、日中関係が非常に緊張した岸内閣の時代がありまして、我々の築いた友情が引き裂かれるというようなときにも直面したことがありますが、それらの試練を超えてようやく今日に至っておるということです。  それで、私は、こういう不幸な侵略戦争を二度と繰り返してはならないという決意と、日中両国の友好こそはアジアの平和と安定の礎、もとであるという確信が我々の間にあることによって、三十年来の人間の信頼関係も続いておるのじゃないかと思いますが、そのもとはやはり日中の友好ということがアジアの平和、安定の基本である、ここに基づいておると思います。政府の有力な実力者である橋本蔵相から、ひとつこの日中関係の基本についてどういう認識をしていらっしゃるのか、まずお伺いしたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 昨日、たまたま中国のスポーツ関係の代表者が大蔵省に訪ねてきてくれまして、久しぶりに心温まるひとときを持つことができました。委員がお述べになりました初期のころを私はまだ存じませんけれども、今中国の人々と日本との間には、いっときの不幸な関係の上に立ち、お互いが将来にわたっての友情を誓い合い、ともに助け合っていこうという気持ちは存在をしているものと思います。  そうした中で、非常に不幸な事件でありました昨年の天安門事件というものから今、日中関係は多少微妙な状況にあります。そしてそれは、日本だけではなく、世界的に厳しい世論が中国に向けられたことは委員が御承知のとおりでありますが、その時期におきましても、例えばアルシュ・サミットにおきまして日本政府は中国を孤立化させてはならないという主張を繰り返し、努力を続けてまいりました。残念ながら、そうした中国に対する厳しい指弾というものは今日も完全に終息したわけではありません。そして、国際社会の中におきまして、殊に欧州の劇的な変化の中で、むしろ多少中国問題というものは忘れられかけておる状況がございます。  しかし、やはり日本の立場としてこの問題を考えますときに、我々としては中国がこのまま国際社会の中で孤立してしまう、孤立化の度を深めることは決して望ましいことではありませんし、友人としても忍びないものがあります。そして、中国と日本との間のさまざまな対話の場面において、中国もまた世界各国に対して変わりつつある中国の姿勢というものを理解させる努力をしてもらいたい、我々もまたその努力は続けるという姿勢をとってまいりました。今後とも私は日本としての方針はそうあるべきものと信じております。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 今蔵相の述べられた、また日本の政府が方針として主張している中国を国際的に孤立化させてはならないという、これは私も支持をしております。  私の感じでありますが、今ソ連と東欧の非常に大きな変化の中で、中国の姿勢がやはりかなりかたいという感じを多くの人が受けておると思うのです。サミットの中でも、日本の政府は孤立化を避けるための主張をしているということも承知をしておりますが、私が思うのに、中国は国土が広くて資源がある、こういう点で日本と非常に違っている。我が国の場合は、資源が少ないために国際的な経済交流が切られると、縮小されてくると非常に難しくなるわけですが、中国も難しさはありますが、貧しさを仮に我慢するとすれば、あれだけの資源と国土をもってすれば、世界の経済交流というものがかなり狭くなってもやっていける力をもともと持っていると思うのですね。だから、国際的に孤立化への道を迫られるということになると、これは私は、やってやれないことはない、しかしそれをやれば、アジアにおける安定ということは非常に不安定になっていく。アジアが不安定になるということは、日本にとっては非常に近い国でありますから大変なことであり、今世界のデタントという大きな方向、軍縮の方向、そういうことも後戻りしかねない状況になりかねない。そういう意味で中国の孤立化を何としても避ける、そのために日本が最大の努力を払う、こういう方向は大変大事なことじゃないかと思うのですね。  そこで、こういう状況の中で我が国が今どういう役割を果たすか、何をやるかということが非常に問われておると思うのですよ。まず、日本は西側の一員であるということははっきりしておるのですね。しかし同時にまた、アジアとしての隣の中国との非常に大事な関係がある、これもはっきりしておるのですよ。西ドイツが対ソ政策を展開するのを見ると、西の一員であるということを前提にしながら、しかも不幸な侵略戦争を繰り返したということ、ソ連との地続き、大陸続きであるということ、こういう点から必ずしもアメリカと同じようにはいかない。短距離の核政策等についてもかなりな独自性を持っておる。これは私は当然であると思うのです。そういう点から考えて、日本の置かれている立場も、過去の不幸な侵略戦争、これらの反省を踏まえて、一衣帯水、海で隔たっていますが全く地続きに近い隣国であり、経済的にも非常に深い関係にある、こういう我が国が、太平洋を越えたアメリカ、あるいはソ連大陸を挟んだECと同じような、協調はする必要はありますが必ずしも全部同じでなくていいのじゃないか、独自性があっていいのじゃないか、一歩踏み出した独自性があっていいのじゃないか、こう思うのでありますが、そこらを大臣はどうお考えになりますか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 基本的には私は、委員のお考えになっておられる方向は私どもが考えておる方向と異ならないように感じます。  その上で申し上げますならば、仮に例えば日本が対中国関係において突出したときに、他の欧米諸国が反動的にもっと後ろに下がってしまうような状態があるとすれば、我々は突出すべきではありますまい。むしろ我々が、例えば中国に対してもなお一層国際的に理解をしてもらうための努力を要望し続けるとともに、その努力を欧米諸国に的確に伝えていくことによって歩調を合わせて中国の孤立化を避ける努力ができるとすれば、我々はその道を選ぶべきであると思います。  これは例示としてあるいは適切ではないかもしれませんが、例えば世銀の融資一つとってみましても、先日のG7においてある国から、中国への制裁措置というものはサミットにおいて決められたものであるから、要するに次のサミットがあるまでは現状を変えるべきでないという主張がありました。公式にそういう御発言はあるのかもしれないと思いつつも、現実に人道的な立場に立つ案件については世銀の業務も既に動き出しておるわけでありまして、そうした中における、これは私は決して国金局長にごまをするわけではありませんけれども、財務官あるいは国金局長たちの目に見えない部分での努力というものが少しずつそういう蛇口を開きつつある状態というものも評価をしていただきたいものだと常々思っております。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 私も蔵相が懸念される点はわからぬではない。わかります。ただ、今日のこの状況の中で、やはり開かれた中国、世界に開かれた経済政策、あるいは民主化、こういう方向をとろうとしておるわけですが、経済的には今までかなり開かれた政策をとってきたのでありますが、いろいろな問題が今あります。これに対して日本は、今も御発言がありましたが、世界に開かれた中国の政治、民主化、こういう方向に長い目で見て進むように説得というか、強く求めていく、こういうことが大変大事じゃないか。東ヨーロッパは非常に大きな変化ですが、一千万単位、数千万の人口の国ですね。ところが隣の中国は十一億ですから、これはなかなか小回りがきかない。これは相当長期に動きを見なければならないのじゃないか。そういう意味で、長い目で見てこの方向がお互いに確認できるのであればこれをひとつ確認しながら、欧米をもさらに説得をして一歩踏み出していく、こういうことが大事ではないかと思います。そういう点で、今日本だけが突出するということの難しさはわかりますが、第三次の円借款の凍結をどの時点でどう解除してやっていくかということが非常に大きな問題だと思うのです。  本筋が、五カ年計画を基本にして、市場経済を入れながらやろうとしておるわけですから、当時総理の竹下前総理が行って、そして約束した第三次の八千百億、これは鄧小平前軍事委の主席も、少なからぬ額であるというような表現でこれを確認をしておったのですが、それらを見ると、これからの中国の経済に与える影響がいつどうなるか、円借款の解除等によって非常に左右されてくるのではないか。そういう意味で、中国側が早期の凍結解除を求めている気持ちもまた私はよくわかるのですね。その中で、どういう段取りをつけてこの第三次円借款を、凍結解除への方向を考えていらっしゃるのか、そこをちょっとお伺いしたい。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 今第三次円借款というものについて具体的なお尋ねをいただいたわけでありますが、既に委員が御承知のように、九〇年度新規案件に関する事前調査など、予備的準備行為を現在行っているところであります。また、事後の具体的な施策につきましては、さらに中国の経済情勢の落ちつき先、国際的な動向など、諸般の情勢を見きわめつつ検討を続けていくという姿勢でありまして、一月には外務省の経済協力局長が訪中をされ、先般は次官級協議ということで外務審議官が中国を訪問されました。私どもとしては、今後第三次円借款などの新規案件供与が行えるための環境が整ってくることを本当に強く期待をしております。  同時に、私個人として申し上げるならば、私は、民生安定に資するものであり、かつ日本が貿易の面においてうまいことをしようとしているのではないかという誤解を避けるためにも、調達条件が一般アンタイドであるものの中から、そろそろもう動かしてもよいものがあるのではないかという気持ちを率直に持っております。  予算委員会等においても同旨の御答弁を申し上げたことがございますが、たまたま先ほど御紹介をいたしましたG7の論議の際に、世銀融資等について足並みをそろえることを求めたある国の発言に対し、私は、サミットで決まった内容について世銀等の場で抜け駆けの主張をしようというつもりはない。ただし同時に、アジアに存在し隣国である日本として、中国の孤立化をこれ以上強めることに対しては納得しがたいものを持っているし、また日本政府と中国政府との間において第三次円借款の約束が既に存在している。そして世界銀行の案件の中でも、人道的見地に立ったものについて既に動かし始めていることを考えれば、民生安定のために資する要件であり、かつ一般アンタイドの案件であれば、私は日本政府としてそろそろこれを実施してもよろしいのではないかという気持ちを持っており、この点については日本政府の態度は留保するということをG7の席上で申してまいりました。  私自身そうした気持ちを持っておりますだけに、中国側におかれてもこうした我々の気持ちを素直に受けとめていただけるような状況が早く生まれることを期待をいたしておりますし、政府部内を含め日本の世論もまた、こうした方向に動いてくれることを心から願っております。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 段階を踏みながら今いろいろ積み上げているという努力はよくわかるのですが、生活関連から、民生関連からもう一歩進めて、今中国は五カ年計画に入るときに、計画の大きな分野が第三次円借款がどうなるかということにかかわり合いを非常に持っておると思うのですね。そういう意味で、生活関連あるいは民生関連からいま一歩進めていかれるような環境がつくられることが非常に大事なのでありますが、そこらをいろいろ時期的に見て、サミットを挟んでどういうふうに時期的に考えていらっしゃるのか、もう一度お尋ねしたい。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 これは、率直に申しまして私が申し上げますことはちょっと問題でありまして、むしろ外務当局から御答弁を申し上げるべきことであろうと思います。  ただ、一般的に申し上げますならば、先ほども申し上げましたような国際的な雰囲気の中において、今委員の御質問にお答えをすることが、状況を進展させる上で必ずしもプラスにならないのではないかという気持ちを私は今率直に感じております。

辻一彦日本社会党・護憲共同

○辻(一)分科員 非常に微妙な、また難しい時期に来ておりますから、そこらのことも理解をしておきたいと思っております。  いずれにしても、大臣はアメリカでブレイディ財務長官とも三月には会われていろいろな意見交換もしていらっしゃると思いますが、アメリカも多少勝手なところがあると私は思います。それは、サミットで高官の接触禁止等を言いながら、内々にはひそかにもう既に昨年の七月あたりに大統領補佐官を派遣をしていろいろ接触をやっているとか等々を見ますと、協調も非常に大事でありますが、日本もかなりの独自性を持ってこれからも臨むべきではないか、こういうことを感ずるわけであります。  これは外交と並ぶ問題であって非常に微妙な問題等も含んでおりますから、それ以上は申し上げませんが、ぜひ積極的に第三次円借款の凍結解除を目指す環境づくりとその具体化に取り組んでいただくように期待をして、本会議が非常に迫っているということでありますので、五、六分はあるのでありますが、これで終わりたいと思います。

町村信孝自由民主党

○町村主査代理 これにて辻一彦君の質疑は終了いたしました。辻君の御協力に感謝を申し上げます。  午後零時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十八分休憩      ────◇─────     午後零時三十分開議

越智通雄自由民主党

○越智主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  大蔵省所管について質疑を続行いたします。長田武士君。

長田武士公明党・国民会議

○長田分科員 初めに、私の選挙区にあります造幣局東京支局の移転問題についてお尋ねをいたします。  東京支局の所在地豊島区は、御承知のとおり、区内人口一人当たりが占める公園面積、これは〇・四九平方メートルと、二十三区の中でも、二十三区平均の六分の一のワーストワンであります。これは、避難場所の確保など防災上の面からも大規模な公園の整備が大きな課題となっておるのが現状であります。例えば、大地震等の災害を想定した避難場所は、区内の墓地、大学の構内等が充てられておるわけでありますけれども、これだけではとても区民の安全の確保はできない、そういう状況に陥っております。中には練馬区の光が丘に避難場所の指定されている地域もございまして、区民は日々不安な生活を強いられておる、そういう現状でございます。加えまして、一日百万人以上の乗降客があります池袋駅を抱えておりまして、同区は駅周辺にもサンシャイン60などのビルがございまして、高層オフィスが林立をいたしております。そういう点を考えますと、防災上極めて憂慮すべき状況にあるのではないか、このように考えております。この問題は、これまでも何回となく私も国会のこの場で取り上げてまいりました。また、地元豊島区も大蔵大臣に何回も要望いたしておりまして、早期移転を訴えてまいりましたけれども、この十八年間いまだに解決されていない、状況が進んでいない、こういう状況でございます。一日も早いこの問題の解決策は、代替地をどこにするかではないか、このように私も考えております。あそこの土地は一万坪ございまして、この用地を、代替地を探すことは大変なことであるとは考えておりますけれども、どうかひとつ大蔵省としても前向きに取り組んでいただきたいということでございます。  そこでお尋ねしたいのでありますけれども、現在地よりそう遠くないことを考慮に入れまして、東京、埼玉周辺で三万平米を超える国有未利用地がどの程度あるのか、まずお尋ねをいたします。

松田篤之大蔵省理財局次長

○松田政府委員 お尋ねの一万坪ということで切りまして、東京並びに埼玉県と二県に限って調べてまいりましたが、いわゆる未利用地というところは九カ所ございます。しかし、その九カ所をそれぞれ当たってみますと、そのほとんどが公園であるとか住宅であるとか、利用計画が策定済みのものもかなり多うございますし、当該土地並びにその土地の周辺はほとんどが住宅地域に指定されているというものでございまして、お尋ねのいわゆる造幣局の工場の移転先地として適当なものはその両県にはないと考えております。

長田武士公明党・国民会議

○長田分科員 この九カ所の中に、通産省の機械技術研究所、杉並の井草にありますね。これはまだ計画が決定してない土地ですね。

松田篤之大蔵省理財局次長

○松田政府委員 お尋ねの杉並区の機械研究所でございますが、面積が四万五千平米ございます。これは国有財産の審議会に諮りまして、一応公園、卸売市場ということでその全部を利用する結果になっておりましたが、最近変更の動きがございまして、公園並びにごみの中継基地として利用しようということがほぼ決まっておりまして、お尋ねのように移転先地として利用できる場所ではないと考えております。

長田武士公明党・国民会議

○長田分科員 それでは、東京都日野市の日野本町、農水省の蚕糸試験場、三万四千六百二十七平米、これはどういうふうな……。

松田篤之大蔵省理財局次長

○松田政府委員 当該土地はまだ審議会に付議はされておりませんので、お申し越しのように未利用地でございますけれども、現在利用要望があるものといたしましては、都営住宅並びに公園という予定がございまして、しかも、その土地自体一種住専に指定されておりますので、工場の移転先地になじむものではないと考えております。

長田武士公明党・国民会議

○長田分科員 まだたくさんありますけれども、それに、移転になじむ土地はどの辺でございますか。

松田篤之大蔵省理財局次長

○松田政府委員 最初に御説明申し上げましたように、東京、埼玉に限って申し上げますれば、ほとんどが住居専用地域並びに住居に適当な地域あるいはその周辺にある土地でございまして、直ちにここが適当であるといったところを見出せないのが現状でございます。

長田武士公明党・国民会議

○長田分科員 どうも後ろ向きの答弁で、これでは話がちょっとかみ合わないのだけれども、今お聞きしておりますと、米軍からの返還用地を中心といたしまして未利用地が残っておるという状況だろうと思っております。その大部分が利用計画中ということでございまして、まだ決定には至ってない、現場ではいろいろ話が進んでいるかもしれませんけれども、決定がなされていない、こういう状況ですね。国の機関移転推進会議に報告されている各省庁の移転候補機関の一覧を拝見いたしますと、大蔵省の場合に挙げられている機関のほとんどが関東地方の出先機関となっておるわけですね。東京支局の利用者を伺いますと、大体年間数万人と言われておりますけれども、貴金属の検査であるとか鑑定であるとか、そういうお客さんが非常に多いということも私は伺っております。そういう点を考えますと、そのお客さんは大体関東を中心としたエリアから皆さん見えるというような状況のようであります。そうなりますと、私は、東京支局を移転候補機関としてリストにきちっと載せていただいて、それで前向きに検討すべきだろうと思いますが、大蔵大臣、どうでしょうか。

谷口米生大蔵省大臣官房審議官

○谷口政府委員 先生御案内のように、国の行政機関の移転問題は、土地対策等もございまして、政府にとりまして重要な問題でございます。そういうことで、昨年八月、七十六機関、十一自衛隊の部隊ということで移転を決定いたしました。大蔵省といたしましても、今御指摘のように、幅広く移転機関を選定いたしまして決定したところでございます。私どもといたしましては、この間既に決定を見た機関につきまして、円滑な移転の実現を図ることがとりあえず当面の最大の課題だと考えておる次第でございます。  なお、付言いたしますと、造幣局につきましては、昨年この選定に当たりまして、本局自体が既に大阪にございますが、東京支局が本局の代行機関という機能を果たしておるという事情が一つございます。もう一つ、今先生も御指摘ございましたように、移転ということにつきましては、御案内のように貨幣、勲章の製造、それから貴金属の品位証明を行っておりまして、そういった関係の方々の方から移転につきまして反対の強い要望が出されたという経緯がございます。そういうことから、私ども大蔵省といたしましては、関東財務局等七機関を選定させていただいている次第でございます。

長田武士公明党・国民会議

○長田分科員 ここで私が一つ提案をしたいというふうに考えております。  先ほど御答弁をいただきました未利用地の中に、住宅専用地域も多くあります。また、工場として不適当な場合もあると考えております。そういうケースの場合、例えば造幣局の住宅部分を他に移すとかあるいは工場部分を移すとか、住居接近がちょっと難しくなりますけれども、そういう点で、通勤範囲内できちっと工場とか住宅を移す、そういう分離的な方法が考えられないかどうか、この点はどうでしょうか。

伊東俊一大蔵省造幣局東京支局長

○伊東説明員 住宅と工場と別個の場所に設置することは全く不可能というわけではございませんけれども、東京支局自体を現在地から移転することは次の理由から極めて困難であるというふうに考えておる次第でございます。  まず、先ほどもございましたように造幣局の本局が大阪にございますため、東京支局としては本局機能の一部を代行しているわけでございまして、この関係上、現在地は国会あるいは中央官庁、日銀本店にも近く、最適地であるということでございます。また、支局の業務といたしましては、貨幣、勲章等の製造及び貴金属製品の品位証明等があるわけでございますけれども、先ほどのお話にもありましたようにホールマーク業務につきましては、利用者である多くの貴金属業者から東京支局の移転については反対であるという強い要望があるところでございます。こうした各業務と本局代行業務とは効率上同一の場所で行うことが適当であるわけでございますが、このような事務所と工場とを一体として受け入れられるような移転先を求めることは困難なことでございます。  さらに、東京支局の庁舎、工場等の建物につきましては、三十年代後半から四十年代前半に新築したものでございまして、耐用年数も四割程度を経過したにすぎない現状でございますので、取り壊す時期には至っていない状況でございます。  さらに、東京支局は現在約三百人も職員が就労しておりまして、現業職員にとりましては転勤等はないという前提で生活設計を立てていること等から、移転となれば職員及びその家族の生活面への影響も非常に大きいわけでございます。  以上のような理由で、東京支局の移転は極めて困難な状況にあるわけでございます。

長田武士公明党・国民会議

○長田分科員 私も皆さん方の言っていられることもわからなくはございません。しかし、豊島区民が大変密集した地域に住んでおりまして、災害等の一たん緩急あった場合には大変避難場所がない状況でございまして、墓地であるとか大学の敷地であるとかあるいは先ほど申し上げましたとおりグラントハイツ、練馬区でございますね、そういうような大変遠いところに避難しなければいけない、そういう状況下でございますから、私は公共用地としてはやはり造幣局の東京支局であろう、こういうようなことで豊島の皆さん方が署名運動もやられまして、もちろん移転してはならないという署名もあるようでございますけれども、十万を超える署名をもう既に提出をいたしております。そういう点で、大蔵省の一貫した姿勢は、もう絶対移転しないのだというようなことがどうも前提にあるように考えます。その点、区民の生命と財産を守るという観点で、多少のことがありましても前向きに検討すべきではないか。どうも検討した様子が全然なくて、困る困るということだけで、私もずっとやってまいりましたけれども、そういう態度が依然として変わっていないという点について私は甚だ遺憾であります。国の立場としては、区民の生命と財産を守るというところに視点を置くということが大事だろうと私は思います。こういう点に対して大蔵大臣、豊島区も大変熱心で取り組んでおりますから、大蔵省と協議機関というものを設けて話し合う場をつくっていただけませんか。この点はどうでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 もともと私は大蔵大臣の方は仮の客でありまして、行政改革屋の大将のような存在でありましたから、国の機関を含めて地方への分散、これは大変失礼でありますけれども東京の近郊とかそういうことではなしに、もっと思い切った政府機関分散を進めてきた張本人であります。それだけに私は、委員が御主張になるような視点というものが確かに国の行政の視点の一つにあって悪いものでないということはそのとおりに認めます。  ただ、その場合に、移転に適した機関と移転に適さない機関というものは、私自身こうした仕事に携わってまいりました過程で非常に差があるということは痛感をしてきました。そして、先ほど政府委員からお答えをいたしましたけれども、今たしか七十六機関でしたか、国が方針を決め地方に移転をしようとしている機関はあるわけであります。私はそれ以外にも当然まだ地方に移しかえていいものがあるのではないかという気がいたします。ただ、これに関して、今委員が御指摘になっております造幣局の東京支局の移転ということになりますと、政府委員が御答弁を申し上げておりますような考え方に私自身も立たざるを得ません。業務の性格として、委員がお述べになりましたような豊島区民の方々からのいろいろな御意見を歴代の大蔵大臣が伺ってきた過去の経緯も見ましたけれども、そのときにも、うんと申し上げられる状況にはないというお答えが繰り返されておりますように、業務の性質上これは御無理な話ではなかろうか、私は率直にそういう感じがいたします。  そして、そういうこととはまた別に、国の機関移転というものについては、これは国自身が努力をし行うべき種類の話でありまして、その機関の移転を前提にした地方自治体と大蔵省との協議機関あるいは政府との協議機関といったような性格はなじまないものではなかろうか。むしろ、例えば首都機能を分散するという視点から東京都と政府全体とが定期的に連絡の場を持つとか、そういうことは私はあると思います。東京支局移転のための大蔵省と豊島区との協議機関といったようなものは性格的になじまないのではなかろうか、むしろ協議機関というような性格になじむものではないという感じが私はいたします。

長田武士公明党・国民会議

○長田分科員 それでは、この問題につきまして、大勢の利用客が非常にあるということとまた利便性という点が非常に問題であるとか、いろいろ理由があるようであります。そのような条件が満たされれば、二十三区とか東京都内においてそういう土地が確保できれば、大蔵大臣、可能性というものは出てまいりますか。それとも、今豊島区以外は絶対だめだという見解なのでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 例えば日本銀行との連絡一つをとりましても、また本局が大阪に立地しております造幣局の東京支局としての役割を考えましても、今より利便性のあるところに移転をすることが不可能なものだとは思いません。ただ、その場合には、当然考えなければならないのは、従業員と申しますかそこに現に居住しております職員の生活が全く変わるわけでありますから、学校の受け入れの問題からすべての問題がそこに連動してきて考えられなければならない、そうした問題をも含めてより利便性の高いところがあるとなれば、これは私は事務方の諸君も豊島区でなければいけないのだ、現在地以外それよりいい場所は日本じゅうどこを探してもないのだというようなことを申しているわけではないと思います。

長田武士公明党・国民会議

○長田分科員 どうかひとつこの点については検討していただいて、また代替地がきちっと探されるような対応というものもあわせて考えていただきたい、このように考えております。  次に、CD、ATMの関連について何点かお尋ねをいたします。  ライフスタイルの多様化に伴いまして生活の深夜化、二十四時間化が進み、産業界もあらゆる点でサービスの向上が迫られておる状況でございます。こうした傾向は金融機関にも波及をいたしまして、これまでにもさまざまな点で改善をされてきたようであります。  まず初めに、CD、ATMの過去五年間の設置状況の推移と今後の見通しについてお尋ねをいたします。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 金融機関のうち、全国銀行の数字につきましては、全国銀行協会連合会が調べた数字がございます。それを申し上げます。  昭和六十年三月末、三万一千六十二台、六十一年三月末、三万四千二百三十二台、六十二年三月末、三万五千九百三十三台、六十三年三月末、三万九千百九十九台、平成元年三月末、四万四千四百三十六台でございます。  今後の見通しにつきましては、設置そのものは各金融機関の経営判断にゆだねられている事柄でございますが、これまでの傾向からしますと、達観しておおむね年一割前後の伸び率でふえておるようでございますし、今後も引き続き増加するのではないかと考えております。

長田武士公明党・国民会議

○長田分科員 今御答弁をいただきましたけれども、数で見ますと毎年三千台前後のペースで増設されておるという状況であります。両機とも今や国民生活の一部といたしまして定着しておるという状況でございます。そういう点を考えますと、CD、ATMに関するサービスはもっと向上させるべきではないかと私は考えます。  とりわけ、現在都市銀行のCDの稼働時間は、平日で八時半から十九時、土曜日は十四時となっておるわけでありますけれども、先ほど申し上げました生活様式の変化に伴いまして稼働時間の大幅な延長を行うべきではないか、このように私は考えております。ちなみにアメリカでは、以前からCDは二十四時間稼働を実施しているようであります。  時間の延長が阻害される要因というのはどういうところにあるのでしょうか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 日本のお話を申し上げます前に、アメリカの事情につきまして若干聞き込みましたところを申し上げますと、アメリカのCD、ATMは二十四時間稼働しているものが基本的には多うございます。ただし、その稼働の内容は、日本で行っておりますものと多少違いまして、いわゆるオフラインと申しますかセンターに直結していない、それで一日当たりの引き出し限度数が例えば二百ドルから四百ドルというふうに、一口座当たりでございますが制限されておるというようなことであり、また、現金がなくなった場合でも補充が行われていないというようなことでございまして、日本のCD、ATMの稼働状況とはかなり趣を異にするようなふうに私どもは承知をしております。  それはそれとしまして、日本における稼働の時間の問題でございますが、大方はただいま委員お示しのような時間で動いておるわけではございますけれども、基本的には、営業時間そのものは金融機関のみずからの経営判断に基づく事柄でございまして、事実、いろいろな対応を見ますと、例えば終了時間が平日で午後八時までとか、土曜日で午後七時までとか、日曜日でも特定の店舗に限って動かしているとか、そういうような例は散見されるわけでございます。その辺につきましては、それぞれの金融機関の経営判断に基づきまして、設置場所、曜日、それからその辺における利用者のニーズ、安全対策を含むシステム対応、コスト、そういうものをいろいろ総合勘案して今後研究されるべき問題であろうと思います。  ただ、やはり最近稼働時間を延長する傾向がございまして、土曜日について午後五時あるいは午後七時まで延長する、それから、日曜日についても繁華街の特定店舗において機械を動かす、そういうようなところが逐次出てきてまいっておるという傾向はございます。

長田武士公明党・国民会議

○長田分科員 銀行局長、経営側のいわゆる努力の問題である、今こういうお話でございますけれども、もう一つは防犯的な問題が多少あるのではないでしょうか。その点はどうなんですか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 確かに、御指摘のとおり防犯的な問題はあるわけでございます。最近、割合CD、ATMの破壊などによる盗難事件の報道が相次いでおります。試みに件数をちょっと調べて持ってまいりましたものを申しますと、昨年十月以降、全国銀行においてCD、ATMの機械に格納している現金が盗難に遭った件数は、報道などによると五件、金額四千六百五十四万円という数字を持ってきております。  そこで、私どもかねてから金融機関のそういうCD機などの防犯対策の強化について指導をしてきておるところでありますし、それから、これは民間の機関でございますが金融情報システムセンターという財団がございまして、そこで安全対策基準も策定しておるところであります。例えば設備基準などを見ますと、非常通報装置をつくるとか、防犯テレビカメラ、防犯カメラを設置するとか、明るくするとか、外から中が見えるようにドアを一部素通しにするとか、その他いろいろ詳細な基準を示しておるようでございます。そのようなところも相まって、防犯対策の強化は私どもも非常に大事なことだと考えておりますが、今後さらに防犯対策の強化が必要かどうか、その点は警察庁その他関係先とも協議しながら検討してまいりたいと思っております。

長田武士公明党・国民会議

○長田分科員 そういう何らかのいろいろな障害といいますか、そういう問題が確かにあることは私も承知をいたしております。しかし、ライフワークも大きく変わってまいりまして、これからさらに週休二日制ということが大きく徹底されてくる、こういう状況になりますと、連休のために土曜日が金融機関休みである、そういう中にありまして不意な出費が重なるという場合に金策に大変困るのです。そういう点において、やはりもうちょっと時間を延長したいという銀行も、この間もある幹部とお話ししたのですが、我が銀行は今までの十九時を二十時まで延長したいというふうに考えておるというようなことを言っておりましたけれども、そういうような延長の申し入れが金融機関からあった場合、大蔵省としては前向きに検討されますか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 私どもの現在の制度論的な位置づけは、こういうCD、ATMの稼働時間につきましては各金融機関の経営判断を尊重するということのみならず、機械につきましては自由であるという考え方をとっております。行政的には、それは殊に営業時間に関係することでもございますので届け出をとっているということはございますが、内容的に一々コントロールをして、私どもの方から具体的な時間について指導をするというようなことはしないという考え方をとっておるわけでございます。  関連いたしますけれども、実は先般の日米構造協議の中間報告におきましてもこの点は明らかにしたところでございまして、そこを御紹介させていただきますと、文言としましてはこうなっております。「銀行のCDの営業時間については、現在、何らの規制も加えられていないが、銀行等のH主的な営業判断によりその営業時間が延長される場合には、これを歓迎する。」このように私どもの公式の態度を明らかにしているところでございます。今後とも各金融機関の経営判断を尊重してまいりたいと存じます。

長田武士公明党・国民会議

○長田分科員 それでは、時間が参りましたので、大蔵大臣に最後に、このCD、ATMの問題、これについては大蔵省としても各金融機関に対しては時間延長についてどうかひとつ指導していただきまして、十分利用者のライフワークに対応できるようなそういう御努力を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 今局長から申し上げましたように、構造協議の中間報告の中においても政府として既にその意は明らかにしておるところであります。なお、今委員からの御指摘のような御意見のありましたことも関係者には伝えてまいりたい、そのように思います。

長田武士公明党・国民会議

○長田分科員 以上で終わります。

越智通雄自由民主党

○越智主査 これにて長田武士君の質疑は終了いたしました。  次に、小川国彦君。

小川国彦日本社会党・護憲共同

○小川(国)分科員 私はパート減税の問題についてお尋ねをしたいと思います。  大蔵大臣の橋本龍太郎さんは、運輸大臣から厚生大臣、また社労の委員長と大変幅広い経験をされまして行政を見てこられております。そういう中で、今日本で働く女性というのは大変多くなっておりますが、特にその中で働く主婦のパートというものが大変に増加してきておるわけであります。こういう御苦労されている方々に対して、大臣の御理解というのは人一倍大きいものがあろうかと思いますが、大臣が働く主婦のパートというものに対してどういうようなお考え、御理解を持っていらっしゃるか、その点をまず最初にお伺いしたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 大変お答えをしにくい御質問をいただきましたけれども、私は今婦人の社会進出が非常に積極的に推進されている中におきまして、家庭婦人として従来家庭に閉じこもっておられた御婦人方がどんどん社会に出ていかれるという状況は、これなりに評価をすべきものであると考えております。そうした中において、パート労働に従事される方々が年々ふえてきておるわけでありますけれども、見逃してはならないのは、そのパート労働の質、量ともに非常にここしばらくの間に大きな変化を遂げてきたのではないかということであります。  かつてのパート、これはいわゆる内職という言葉の延長線上に置かれたような形で、まさに借金の返済のためでありますとかあるいは家計の非常に苦しいところを補うためとか、何となく重苦しいイメージを持つケースが非常に多くあったという感じがいたします。私どもが国会に出していただきました当初、むしろ家内労働というものを含めて御婦人の働き場というものが限られていた時期には、まさにそういうイメージがありました。今はむしろ積極的に自分のライフスタイルの中における余裕時間を非常に明るい形でパート労働に充てていかれる。そして、その収入というものは、家計を支えるという視点ばかりではなく、積極的にみずからの趣味のための費用をそこで確保する、あるいはパート労働というものの中で、例えば育児に対する空き時間を利用して働いていかれる、いろんな形がふえてきた。そして、ひところの車苦しいイメージというものが変わりつつあるという感じがいたしますと同時に、生活の中における、家庭生活の中における主たる収入源の一つとして柱の体をなしてきているのではないだろうか。そうした感じ、大変まとまらない言い方ですけれども、そんな感じを持っております。

小川国彦日本社会党・護憲共同

○小川(国)分科員 率直な大臣のお感じをお伺いしまして、大変どうもありがとうございます。  確かに働く主婦パートの態様というものはいろんな面を持ってきている、こういうふうに私どもも理解しているわけです。しかし、今最後に大臣がおっしゃられたように、やっぱり家計を支える大きな柱になっているというパート主婦の役割というものは非常に重要視していかなければならないんじゃないか、そういうふうに思うんです。そういう中で、私もこれまで何度かこのパート主婦の減税の問題を取り上げさしていただいているんですが、きょうは四百万人の主婦パートに対して、百万円を超えても安心して働ける制度をひとつつくれないものか。それから共稼ぎ控除二十万円というようなものを創設することはできないか。こういう二点を大臣初め政府当局にただしたいと思うんです。  昭和六十三年の十二月にパート税制の改正が行われまして、政府は働くパートに対してかなり改善の努力をされました。その結果、従来妻の収入が九十万円を超えますと引き起こしていた逆転現象というものは、税金の上では改善されてきた、こういうことに私どもも一定の評価をいたしておるわけでございます。  ただしかし、最近におけるパート労働者の数というものは、総務庁統計局の労働力調査によりますと、昭和六十三年で五百三十三万人と増加しておりまして、そのうち女子パートは三百八十六万人に達しております。これは一週間の就業時間が三十五時間未満、こういうことになっておるわけです。  ところが、勤め先で一般的にパートと呼んでいる人の数は、同じ総務庁の就業構造基本調査で、これは昭和六十二年度でございますが、六百五十六万人になりまして、そのうち女子の占める割合は八二・二%と言われておりますので、一般の雇用よりもかなり高い伸び率でございます。  年度別にこうちょっと振り返ってみますと、昭和四十年から四十五年、パートは九・七%、これに対して一般雇用者、いわゆる三十五時間以上の方々は四・〇%、四十五年から五十年になりますと、パートが八・八%、一般雇用者〇・〇%、五十年から五十五年になりますと、パートが五・三%に対して一般雇用者二・六%、五十五年から六十年になりますと、パート五・四%に対して一般雇用者二・一%、六十年から六十三年になりますと、パート五・〇%に対して一般雇用者二・五%。この数字で見ますと、パートの増加率というのは一般雇用者の倍以上の数字で伸びてきているわけであります。  かくして現在、五百三十八万人に及ぶ女子パートがおりまして、このうちの約八六%、昭和五十六年の有配偶者の割合というのはこういうふうに見られているわけです。これは労働力調査とか特別調査によるわけですが、それでまいりますと、約四百六十万人が主婦パート、こういうふうに今見られるわけです。  この主婦パートの収入の最近の状況を見ますと、女子パートの一時間当たりの所定平均給与は六百四十二円、これは労働省の賃金構造基本統計調査でこういうふうな数字になってきております。これは一日六時間で平均労働日数を二十三日と見ると、年間で百十四万円の収入になります。これは昭和六十三年の統計ですから、この一、二年においてさらに急激に上昇しているのであります。  こうして見ると、普通のパートの主婦の収入が既に百十四万円になり、これに諸手当、時間外がつくと当然百二十万円を超えてしまうわけであります。主婦パートの所得の希望というものを、実は江戸川ユニオンというパートの組織でアンケート調査をなすった。その希望でまいりますと、最低でも月十万円、年百二十万円というのが所得の最低の希望であったわけです。こうしたことを見ますと、この限度側を二十万円アップして百二十万円とすることが実現できないかどうか、この点をまずお伺いしたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 昨年、百万円に引き上げます前後にさまざまな論議があったことを私も記憶をいたしております。ただ同時に、その時点で非常に議論になりましたのは、果たしてその百万円を超える状況になった時点で、これはもう既に独立の人格を持ったものと考えるべきではないのかという御意見があったことも事実でありました。また同時に、仮にそれ以上にパート収入が得られたという状況の中で、それではその夫の扶養手当の方はどうなるんだろうというような議論があったことも記憶をいたしております。  そういう意味では、被扶養者の限度といったものと抵触してくる部分がたしか当時の議論の中で百万円という金額にまとめた一つの大きな要素だったという記憶を私はしておりまして、事務的にきっちりした説明はさせますけれども、私は、その百万円というのは一つの目安だったのではなかろうか、今でもそんな感じを思っております。

濱本英輔大蔵省大臣官房審議官

○濱本政府委員 先ほど来、小川先生の御指摘にもございましたようにパート問題の最大のものは、パート主婦の収入が非課税限度を超えました後、夫と妻と合わせた世帯の手取りが減るという逆転現象、この点にございまして、この点は先ほど御指摘ございましたように、一応解消を見たということでございます。そのことに加えまして、パート減税のレベルというものをどう考えるかということが次に言われているわけでございますけれども、ただいま大臣からお答え申し上げました百万円というものをそのときのめどといたしましたが、そのめどといたしましたときのもう一つの、やや事務的な具体的な事情といたしまして、現在我が国の所得税制度の体系の中でパート主婦に対してそれなりの配慮をしていく上での配慮の仕方としまして、給与所得控除を活用する、給与所得控除の最低保障額というものをどこまで引き上げていけるかということを当時議論したわけでございます。これを六十六万円というレベル以上に引き上げるということになりますと、最低保障額の適用されます給与収入の限度が百六十五万円という線を超えることになりまして、現行の給与所得控除制度における一番下の控除率でございます四〇%の適用上限、これが百六十五万なのでございますけれども、これを上回る形になってしまいまして、給与所得課税の体系の枠組みが崩れてしまうといいますか、今までの枠組みで賄えなくなってしまうという問題に直面をいたしました。したがって、今までの給与所得課税の大きな枠組みを踏まえまして、その中で限度ぎりぎりどこまで配慮できるかという視点からも当時あわせ検討が行われました。その結来、通常の場合でございますと、夫の給与収入と合わせました世帯主収入といたしまして三百六十四万二千円という水準まで所得税がかからないという状況が実現したわけでございますが、御存じのように、片働き世帯の場合でございますと、これが三百十九万八千円でございまして、片働き世帯に対しましてかなり手厚い措置ということになったと私どもは受けとめております。

小川国彦日本社会党・護憲共同

○小川(国)分科員 確かに政府の努力でパートの百万円への引き上げというのは一定の前進でありパートの主婦にとりまして百万円を超えると起こっていました税負担の上の逆転現象は緩和されてきたわけでありますが、いま一つパートの主婦の悩みは、現在においては配偶者特別控除が百三十五万円まで認められてきたわけでありますが、実際には百万円を超すと、パート主婦本人は、夫とは別に国民年金それから国民健康保険あるいは厚生年金それから被用者保険の被保険者、これに加入しなければならなくなりまして、そのことの負担増を来すことになるわけです。このことは、すなわち年金、保険への加入ということは、税法上の問題とは別のように判断されておるわけですが、しかし過去の実態を見ますと、税法の規定に準じて現実にその基準が定められているわけであります。現在でも百万円を超えると夫の配偶者控除はなくなり、同時に妻の年金、保険の加入者負担が発生してくる、こうしたことからパート主婦にとっては百万円の限度額というのは、やはり働く上においての一つの壁になっている。この壁を破って百二十万円まで引き上げてやることは非常に大切なことではないか、こういうふうに思うわけなのです。この百二十万円というのは、主婦パート本人の非課税限度額という意味ではなくて、夫が配偶者控除とか配偶者特別控除を得られる妻の収入の限度額のことであって、このことを御理解願えないだろうか、こういうふうに思うわけでございますが、この点はいかがでございましょう。

濱本英輔大蔵省大臣官房審議官

○濱本政府委員 御指摘のように、パート収入の非課税限度の問題と並ぶ問題といたしまして、夫が勤め先から支給を受けております家族手当あるいは夫が加入しております健康保険などにおきますこの被扶養者の所得限度の問題が指摘されることがございますけれども、やはり税制は、その税制独自の体系の中での秩序を維持していかざるを得ないという立場に置かれておりまして、周囲の状況というものに税制の方から歩み寄ることに限界があるという感じがいたします。いずれにしましても、家族手当なり健康保険制度というものは、それぞれに雇用政策あるいは社会政策上とられている措置でございますけれども、そういう措置をそれぞれの世界でどういうふうに位置づけていただくかということに、そこは割り切っていただかざるを得ないのじゃないかという感じが率直に言っていたすわけでございます。  現に、これまで確かに小川先生御指摘のように、所得税法上の控除対象配偶者の限度と健康保険上の被扶養者あるいはいろいろな給与法上の扶養親族の所得限度額というようなものは、ある一つの関連性を持って推移してきたようにも見えるわけでございますけれども、やはりその局面局面で必ずしもその同一の水準で常に保たれていたものではございませんで、それぞれの独自の政策上の配慮というものを加味して措置されてきたものというふうにも考えられるわけでございまして、私どもとしては、ここを税制でカバーしてまいりますのには、限界があるというふうに申さざるを得ない状況にございます。

小川国彦日本社会党・護憲共同

○小川(国)分科員 その税制上の実態面ですね、このパート減税が実施されてからの実態面においても、やはりこれは改善されなければならないのじゃないかということを私ども感ずるわけなのです。その根拠は、政府の努力によって導入されました配偶者特別控除制度の実施状況を見ますと、昭和六十二年度においては、所得税を源泉徴収されているサラリーマンで、配偶者控除及び特別配偶者控除の両方を受けている、それは妻の収入が九十万円以下の者であるということでありますけれども、そういう者は一千九十七万五千七百人いるのに対しまして、特別配偶者控除だけを受けている者、すなわち妻の収入が九十万円から百二十三万円までの間の者の数はわずか十七万八千七百人にすぎないわけであります。同様に、昭和六十三年では、両控除を受けているサラリーマンは、すなわち昭和六十三年度については妻の収入が九十二万円以下という要件の者でありますが、その数は一千百五万人でありまして、一方特別配偶者控除のみを受けている者、すなわち妻の収入が九十二万円から百二十七万円までの間の者の数は十七万人ということであります。  これらの数字を見ますと、六十二年も六十三年も限度額を超えて働いている主婦パートは、全主婦パートのわずか三ないし四%にすぎない。ここに私がこの限度額を主婦パートの実態に照らして、少なくとも百二十万円まで引き上げよ、こういうふうに主張する根拠があるわけであります。政府、大蔵省の積極的な御判断をいただきたいのでありますが、この点はいかがでございましょうか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 今の委員の御指摘を伺っておりましても、ますますその感を深くするわけでありますけれども、私はこの問題について一番の問題は、今委員は主婦を中心にこの論議を組み立てられましたけれども、実は高齢者雇用ともこのパート労働というのは連動してくる部分を持っておることは御承知のとおりであります。そうした視点から考えました場合に、私は今御指摘になりましたような問題を含め、それは結局パート労働というものな雇用政策、社会政策の上でどう位置づけるかというところが定まりませんと、例えばその百万円が百二十万円になったとしても、あるいはまたそれよりも上に上がったとしても、常にその限界部分では同様の問題を出現させるような気がいたします。その意味では、この場合は税が主導権を持って先行するというよりは、パート労働というものをただ単に主婦のテーマのみではなく高齢者雇用とも組み合わせながら、むしろ雇用政策の上において、また我が国の社会政策の上においてどう位置づけるかという論議が先にあって、それを受ける形で税は行動すべきテーマではなかろうか。率直にそんな感じを今持っております。

小川国彦日本社会党・護憲共同

○小川(国)分科員 私はこのパートの方々、特に主婦パートの方々が積極的に社会進出される、職場に出ていく、こういう状況は、もう北欧においても、あるいはまたイギリスやフランス、ドイツ、ヨーロッパ諸国においても既に五〇%を超えている。こういう女子労働者の社会的進出、経済的分野への進出の状況があるわけです。それは単に雇用政策、社会政策の問題を超えて全体として見ていかなければならない。しかも税制もやはりこれは一つの大きな社会政策である。そういう位置づけも私は持っているというふうに思うわけです。  そういう点で考えてみますと、特にこのパートの方々は共稼ぎでやっていらっしゃる方が大半でございます。その共稼ぎ控除の創設ということを、私はやはりここでぜひ考えていただきたいと思うのです。確かに六十二年の税制改正で専業主婦控除というものが設けられました。片稼ぎ家庭に対しましては、先ほど御答弁でありましたように、非常な税制上の優遇措置、恩典がなされた。これはこれで私は評価できることであると思います。これに比して共稼ぎ夫婦に対する税法上の処遇はいま一歩優遇策がなされていいんじゃないか、そういうふうに思うわけです。その一つとしてパート主婦のための限度額の引き上げがあり、でき得るならば、夫婦合わせて収入が一千万円以下の家庭に対しましては、二十万円の共稼ぎ控除を認めてはどうか、こういうふうに思うわけです。給与所得控除というものが六十五万円あり基礎控除が三十五万円あって、ここに共稼ぎ控除二十万円を加えるならば、百二十万円までを限度として、このようにすればパートの主婦は百二十万円まではみずからも課税されませんし、かつ年金や保険の加入問題も解決しますし、さらに夫も配偶者控除を得られる、夫婦そろって安心して働ける、こういうことができるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。こうした今日までの税制改革の取り組みの中で非常に谷間のような状態に置かれているこの共稼ぎ家庭に対しまして、こうした思い切った控除をぜひ実行していただきたいものだ、私はこういうふうに思うわけでございますが、いかがでございましょうか。

濱本英輔大蔵省大臣官房審議官

○濱本政府委員 先生のただいまの御指摘は、控除額を引き上げることによりまして、共稼ぎ世帯が安心して働けるようになるという御指摘でございますが、その限りにおいてはそういうことが申せるかと思いますけれども、所得課税を考えますときに何を基本に考えるか、つまり何に課税の基礎を求めるかといいますと、やはり所得を稼得する一人一人の人間、個人、その個人の稼得額に応じて課税をするということが最も公平であろうというふうに考えられておるわけでございます。この個人を基本とする課税体系というものの中に、今共稼ぎ控除という概念を挿入することができるのかどうかという問題でございますが、共稼ぎという状況の中には非常に高額の共稼ぎ者も含まれるでありましょう。片や片稼ぎの世帯の中に女性が一人で片稼ぎで頑張っているという世帯も当然あるわけでございますし、さまざまな形の片嫁ぎ世帯があろうかと存じます。結局そういうものをひっくるめて考えたときに、公平な税制でなければならないという出発点に立ち返って考えますと、やはり一人一人の稼ぎが幾らなのか、それによって担税力を幾ら持っているかということに着目することが必要であろうというふうに思われるわけでございます。  今の私が申し上げましたような状況から申しますと、一つおかしかったことは、先ほどの逆転現象でございました。この逆転現象を解消する意味においてはパート問題、特殊な問題があったかと存じますけれども、それが解消されました現在におきましては、やはり個人の稼得に注目するという原点に立ち返って考えさせていただけないかというふうに思うわけでございます。

小川国彦日本社会党・護憲共同

○小川(国)分科員 私は、税法というものも公平、公正というものを求めておりますが、その中にやはり大きな社会政策的な役割があると思う。それはやはり税法の中でも果たされていかなければならない。そういう意味で、住宅減税があったり、教育減税があったりパート減税があったり、これは税の社会的な政策としてそれぞれの役割を果たしてきたものだ、こういうふうに思うわけですね。今までもパート減税というものが現実にあった、こういうことから考えてみますと、そもそもこのパート減税というものは、本来税の一つの社会政策上行われてきたものだ、やはり住宅減税あるいは教育減税と同じようなものだ、こういうふうに私は理解しているわけなんです。  そういうふうに考えてみますと、専業主婦に対する控除というものが確かに設けられて、それは役割を果たしておりますが、先ほど申し上げましたように、特別控除が設けられましても、現実にはその恩典は残念ながら共稼ぎ夫婦は受けていないという実態なわけです。確かに九十万円から百三十五万円まで特別控除の枠は広がりました。広がったけれども、現実には百万円を超えて働く主婦パートはいない。先ほど来私が申し上げておるように、百万円を超えれば夫の扶養手当がなくなる、あるいは十万円を超える年金や保険の加入の費用が主婦にかかってくる。ですから、逆転現象はなくなったものの、そういう年金や保険の関係があるというようなことから、百万円を超えられないという現実があるわけです。  それからもう一つは、先ほど申し上げました、北欧、西欧の例で五〇%を超えていると言われておりますが、今は日本でも、大企業と言わず中小企業と言わず、そこに迫るようにパートの主婦労働の社会的な位値づけというものが非常に大きくなってきている。そういう面で、中小企業、大企業の立場でも、パートの女子労働者というものは今欠かせない。先ほど大臣が高齢者一雇用の問題とあわせて考えなければならぬというぐらい大きな労働力を構成する比重を持ってきているわけです。そういうふうに働いているわけですが、今審議官答えたように、それでは、それは独立して稼得するに値するだけの所得を得ている状況にあるのかどうか。  それからもう一つは、私は先ほどの大臣の考え方と若干異なるのですが、やはりパートに出る人は、大臣が一部触れられましたけれども、家計の柱をつくらなければならぬ。夫の収入が月額手取り二十万円だ、妻が出て十万円稼ぐ、三十万円で生活を維持する、そういう家庭というものも非常に多いわけです。ですから、私がこの共稼ぎ控除を認めよというのは、夫婦合わせて一千万円以下という一つの限度を設けているわけでありまして、そういう中でこれは社会政策上考えられていいのではないか。せっかく国が百三十五万円まで特別控除ということで控除がつくように認めてきたにもかかわらず、現実には百万円以上働ける人がいない。百万円を超えられる人がパートの四、五%以下である。これはせっかく国がつくった制度というものが十分活用されていないのではないか。そういう意味では私は、思い切って百二十万円まで、パートの主婦自体も安心して働ける、夫もそれで打撃は受けない、こういうことが保障されていいのではないか。先般のサラリーマン減税の中でも、やはり共稼ぎ夫婦が一番減税の谷間に置かれているわけでありまして、共稼ぎ夫婦もいろいろ形がありますが、私が申し上げているのは一千万円以下の共稼ぎ夫婦が一番その打撃を受けているのではないか。そういう意味で、このパートで働く意味というものは、共稼ぎの必要に迫られて出ているのがパートの主婦であって、そこが税制の中で谷間に置かれているとしたなら、そこに共稼ぎ夫婦の控除というようなものを認めてもいいのではないか、そういうふうに考えるわけです。  この点をもう一度それぞれ大臣なり審議官から御答弁願いたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 ですから、先ほど審議官も申しましたように、委員のお考え、それなりに完結したお考えとして、私は決して否定をするものではありません。ただ、その土台になりますパートというものに対する我が国の認識の中に、雇用政策の上においてパート労働がどう位置づけられ、今後どう変化していくのか、あるいは社会政策としてパート労働を今後どう位置づけていくのか、こうした視点からのルールはまだ確立していない、率直に申し上げて、私はそういう感じがいたします。  先ほど委員に率直な感想をお答え申しましたように、私は、パート労働は今本当に変わりつつあるという感じを持っておりますし、今後の社会においてその占める割合が労働市場の中で高くなっていくことは、そのとおりであろうと考えますが、であればこそ税制に先行して雇用政策あるいは社会政策上におけるパートの位置づけというものがもう少し明らかになりませんと、この壁をもう一歩踏み出すにはなかなか問題が多いのではないか。委員の御主張されるお気持ちを理解しつつも、私は一方においてそのような感じを持っております。

濱本英輔大蔵省大臣官房審議官

○濱本政府委員 今大きな視点からの大臣のお考えの御開陳があったわけでございますけれども、今のちょっと別の側面で小川先生のお尋ねにお答えを申し上げておきたいと存じましたのは、外国の話が先ほど来出てまいっておりますけれども、確かに外国におきまして共稼ぎ世帯というものがかなりの数に上っているということは承っておりますが、外国におきまして、特にパート主婦に配慮した税制改正が行われたという形で私どもが伺ったという記憶が最近ございません。もちろん、我が国でもそうでございますけれども、別にパート税制という税制があるわけではなくて、先ほど来申し上げておりますように、給与所得課税の一環として配慮しているということでございまして、給与所得控除をどのように動かすかということになるわけでございます。そういう意味におきましても、諸外国における近年のいろいろな改正の経緯を見てまいりましたときに、我が国のこの問題に対する対応というのはぬきんでている、際立っているというふうに思える次第でございます。

小川国彦日本社会党・護憲共同

○小川(国)分科員 最後になりますが、ことしは働く人々に対する減税というのは残念ながら具体化を見なかったのですが、来年度に向けて減税に取り組む場合には、ぜひこうした面にもう少し目を向けてほしい。それは外国の例との比較ではなくて、日本なら日本なりの経済事情、社会事情、パートの働く事情というものがあるわけでございまして、政府の方もそういうところにもう一度目を向けていただいて、税制の公平、公正を求めていく、そして働く人々の税制が公平、公正の中でつくられていく。そういう意味では、確かに所得控除の基本は大事にしながらも、先ほど来申し上げているように、教育、住宅パートというのはあくまでも社会政策的な減税として行われてきた、そういう多面的なものを持ってもいいのではないか。そういう面でその活用をまた御検討いただくようにお願いして、私の質問を終わりたいと思います。

越智通雄自由民主党

○越智主査 これにて小川国彦君の質疑は終了いたしました。  次に、山田英介君。

山田英介公明党・国民会議

○山田分科員 限られた時間でございますが、何点か大蔵大臣に質問させていただきます。  最初に、最近の我が国の金融・資本市場の動向、それに関連した形で四月の上旬に行われました大臣御出席のパリG7、このかかわりなどからお尋ねをいたします。  一つは、株式、債券、円のトリプル安、こういう基調が続いているわけでございます。端的にお尋ねいたしますが、日本経済の基礎的諸条件、ファンダメンタルズに変化が起きているのかなという感じもするわけでございますが、この辺の大臣の御認識と、それからトリプル安が我が国の景気に与える影響などにつきまして、簡潔な御見解を伺えればと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 確かにひところと申しますか、最近、為替、債券、証券の各市場におきまして、時に不安定な動きが見られました。そして、それにはさまざまな要因もあったであろうと思います。しかし、日本の経済動向を考えますときに、依然物価は安定をしておりますし、内需を中心とした力強い景気の拡大というものに陰りが差しておらない今日の状況、やはり日本経済の良好なファンダメンタルズに変化は生じておらないと私は考えております。  先行きにつきましても、大蔵省の景気予測調査等によりますと、上昇基調が続くという見方が強く出されておりまして、私は、今後ともに内需を中心としたインフレなき景気拡大が続けられるものと確信しておりますし、またそう努力をしてまいるつもりでおります。

山田英介公明党・国民会議

○山田分科員 そういたしますと、きょう午前の東京外国為替市場の終値が一ドル百五十九円十銭だったそうです。この円相場の水準が今大臣お述べになりました日本経済のファンダメンタルズ、基調に変化ないという御答弁ですが、これを正しく反映している、正しく反映しているという言い方はおかしいのでしょうか、反映をしているのかどうか、円安に振れ過ぎているのかどうか、その辺の御見解を伺いたいと存じます。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 私どもは具体的な為替相場の水準についてコメントを差し控えなければならない立場でありますけれども、さきのG7声明で、「大臣及び総裁は、世界の金融市場の展開、特に円の他の通貨に対する下落について、また、その世界的な調整過程に対する望ましからざる結果について議論を行った。」という言葉を声明の中に加えております。我が国の良好なファンダメンタルズが続いております中において、ここ数カ月の円の下落につきましては、我が国を含め各国が懸念を持っているということであります。しかし、幸いにG7の席上におきまして、事前にはいろいろな予測がなされておりました中に共同声明が発出をされ、この中において円についてこうした記述がなされるなど、各国の協調体制が再確認をされました。こうした状況の中で安定した推移をたどってくれることを私は心から願っておるところでございます。

山田英介公明党・国民会議

○山田分科員 お立場上大きな影響をまた市場に与えるわけでございましょうから、お控えなされたのだと思いますが、御答弁あるいはG7における大臣の記者会見等ずっと拝見しておりまして、必ずしも我が国の良好なファンダメンタルズを反映しておらない、円安に振れ過ぎておるのだ、こういう御理解だろうと思います。  そこで、このパリのG7共同声明で、御答弁ありましたように、円安は望ましくないという一項目を盛り込むことができた。ただ、市場は余り反応を見せていない。申し上げましたとおり、百五十九円十銭というきょうの午前のレートになっているわけでございます。大臣がパリへ行かれた当時は百五十八円前後たったかと思いますけれども、むしろ結果的に円安に一層振れている。今お話ございました各国の円安是正へ向けての協力体制というものが、そういう数字の流れからいきますとどうなんでしょうか。その協調体制が保たれているのかどうかということが非常に疑問に思われるわけでありますが、大臣の御認識として機能しておるのかどうか。いかがでございましょうか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 私の知る限りG7等こうした声明の中で円だけが取り上げられたということは初めてでありまして、それだけやはり各国が円の下落というものに対して懸念を持っているということは、私は率直に申し上げたいと思うのであります。ややもすると、高値に振れますときは別として、円という通貨が安くなります場合の影響を何となく日本だけの問題ととかくとらえられがちなものでありますが、これが共同声明の中に取り上げられておりますこと自体が各国の共通の懸念というものを示しているので、非常に大きく受けとめていただきたいものだ、私は本当にそう考えております。そして、その協調体制が崩れておるとかいうことはないと私は考えておりますし、その協調体制というものは、今後ともに健全に機能してくれる、そう考えております。

山田英介公明党・国民会議

○山田分科員 五月の上旬にワシントンでまた再びG7開催の予定と伺っております。アメリカの通貨当局者の話ということできょうの日経にちょっと報道されているのですが、ワシントンで行われる予定の「G7が新たな為替相場の安定策で合意する可能性は小さいとの見方が強まっている。」「四月初めのパリG7以後、為替相場は基本的に安定している」、こういう報道がなされております。これを踏まえまして、結局パリのG7以降今日に至るまで御案内のとおり余り市場が反応していない。そして、それは裏返しにして言えば、各国の円安是正へ向けての協調介入というものが、何といいますか、さほどダイナミックに行われたという見方はむしろ少ないわけでございます。例えば百六十円を割り込むみたいな、そういう局面になったときに、では各国が本気でといいますか、短期的な相場の変動、混乱、不安定さに対して真剣に介入をするんだというような共通認識みたいなものはパリのG7のときに何かあったのでございましょうか。今はまだ介入しないけれども、これが百六十円を大きく割り込むというようなことになれば、各国は円安是正へ向けてのもっとダイナミックな協調介入をとるのではないか、こういう見方についてはいかがなんでしょうか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 最後のお尋ねの前に一つ申し上げておかなければなりませんのは、五月初めのG7と世上よく言われておりますけれども、これはG7が開かれるかどうか、また確定いたしておりません。IMFの暫定委員会がありますために、恐らくその前後にG7が行われるであろうという推測に基づくもの、そう御理解をいただきたいと思います。  そこで、今委員がお触れになりました点、G7の席上でもさまざまな論議がございました。それは一部マスコミにも紹介をされておるところであります。そして、いずれにいたしましても、その協調体制というものがしっかりした枠組みの中にあることが確認をされ、また、その直後に表面に出る動きがございましたように報道されておりました。私どもといたしましては、率直に申して介入があったのかなかったのか、あったとすればどこで行われたのか、こうしたことはわからないと申し上げる以外にないわけでありますけれども、仮に円の下落が著しいものになりました場合に、その影響というものは日本のみにとどまることなく、世界経済に非常に大きな影響をもたらすわけであります。そしてまた、仮に日本がそれに独自で対抗する措置を考えました場合には、これも世界経済に大きな影響を与えることは間違いありません。そうした共通の認識の上に立ってG7声明が発せられたということまでをお答えにさせていただきます。

山田英介公明党・国民会議

○山田分科員 パリのG7では、私どもは報道でしか承知できないわけでございますが、特に西ドイツが強硬な態度であったというふうに言われておりました。それは、円の価値を守りたいのであれば日本としてやるべきことがあるのではないか、公定歩合の引き上げを含めてやることがまだあるのではないか、こういう強い姿勢であった、こう伺っております。公定歩合を引き上げるとか引き下げる、これは日銀の専管事項ということは承知をしているわけでございますが、つい先日、たしか西ドイツが公定歩合を再び引き上げた、こう伺っております。大蔵大臣として、インフレ懸念その他もろもろございますが、やはり再度の公定歩合の引き上げというものが必要になるのではないかな、こんな感じもしているわけでございますが、よろしければ差しさわりのない範囲で御答弁いただければと存じます。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 公定歩合は、これは本当に日銀の所管事項でありまして、本来私どもがコメントすべき立場ではございません。ただ、今委員から御指摘のありましたような雰囲気の中で、G7におきまして、日銀総裁と同一判断のもとに私からその席で申しましたのは、IMFの専務理事の報告の中に、世界的な金利上昇傾向に対する警鐘と申しましょうか警告と申しましょうか、そうした発言がございました。そして、それに対して各国がコメントをいたしました中で、日本としては世界的な金利スパイラルの原動力になる意思はない、金利エスカレーションの引き金を日本が引くつもりはないということでありました。もちろん私は、物価等の状況を見ながら日銀が行動されることまでをそこで封じておるつもりもありませんし、日銀総裁もそういう御意思はないと思います。ただ、少なくとも世界的な金利スパイラルの原動力に日本がなる意思はない、これは日銀総裁と御相談の上、私からその席上申したことであります。

山田英介公明党・国民会議

○山田分科員 今御答弁のありましたようなお考えのもとに、西独の公定歩合の引き上げ、これには理解を示したということにつながるのかと存じます。  それで、同じ日経の報道の中で、FRBのケリー理事がお話しされたということでございますが、「G7の協調介入は市場の混乱を短期的に安定させるためのものであって、長期的に相場を押し上げたり、押し下げたりすべきものではない」と語った、このことも踏まえまして、円安是正へ向けていろいろ手を打つけれども、なかなか思いどおりに数字が動かないというようなことも踏まえて、もともと変動相場制なわけですから、それはかしっと管理しようという方がむしろおかしいというか、もともと無理なことなんじゃないかというような意見も散見されるところでございますが、その点について御所見ございましたら、一言。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 先日、本院の御論議の中で、大体為替を政府が安定させようとかなんとかすること自体がけしからぬ、市場原理に基づいて変動するものなんだから、完全にその市場原理に預けておけばいいんだというおしかりをいただいたこともございました。  私は、本来やはり市場というものは、市場原理において当然変動をする性格のものでありましょうし、それが極端に我が国の経済に影響を与えるような事態を防ぐことに、本来の目的は、国の役割というものはあろうかと思います。そうした限りにおいて、私どもなりに状況を判断しながら、今後ともその市場に対応してまいりたい、そのように考えております。

山田英介公明党・国民会議

○山田分科員 それでは、質問を先に進めさせていただきます。  非常に身近な問題で、しかしサラリーマンの方方を初め国民の多くの方々が何とかしていただけないのかならないのかという、こういう関心を特っている問題に、金融機関の手数料問題がございます。銀行の手数料は、これは全般的に高い、利用者から批判の声が上がり、マスコミもこれをしばしば報道し、また経済界からも手数料は引き下げるべきだという意見が出され、さらに昨年の臨時国会以来しばしばまた国会でも取り上げられ、大蔵省も行政指導を行う方針を固めなさったのだと思います。  こうした一連の動きを受けて、この春から各金融機関の手数料の値下げという局面に至った。ただ、それは専ら振り込み手数料についての問題でございます。実は、CD、現金自動支払い機、ATM、自動振り込み機、営業時間外のCDとかATMのシステムを利用して自行の口座からカードで預金を引き出す、このサービスを受ける場合に、六時以降は百円、他行にあるみずからの口座から現金を引き出そうという場合には、これは二百円、営業時間外の利用についてですが。実は、これについても利用者から高いのではないか、振り込み手数料だけではなく、みずからの預金をCDやATMを使って引き出すときに、自行、他行、百円、二百円、これは高いのじゃないかという声が引き続き非常にあるわけでございます。  マスコミの調査などを見てみますと、都銀一行が年間に支払うシステム関連の費用七百億円、営業日一日当たり三億円ぐらいシステム費用として負担をしている。おおよそ一行一日十万枚も伝票を出せば、まあそんなところかな。そうすると、一枚の伝票を出力するために三千円ほどのコストがかかっているという計算が成り立つ。  ところが、いわゆる付加価値通信網、VAN会社などもこの伝票をたくさん出力しているわけでございますが、大体利用者の負担に帰している部分は一枚につき二円ぐらいだ、こう言われているわけです。ですから、金融機関の一枚の伝票につき三千円のコスト、ラフな計算です、これは。それから、VAN会社が同じような形でその伝票出力をして一枚二円のコスト。これらから考えてみても、営業時間外のCD、ATM利用の手数料はやはりちょっと高いんじゃないか。  ですから、実際に振り込み手数料については、そういう一連の動きの中で、この春から引き下げてきた。あわせて、主にサラリーマン家庭の方々などが営業時間外に利用するケースが非常に多いと思うわけでございますから、この百円、二百円の手数料についても、ひとつ大蔵省におかれては、引き下げる方向でぜひ御検討あるいは指導を強めていただきたい、あるいは方向づけをしていただきたい、こう思うわけでございますが、いかがでしょうか。

土田正顕大蔵省銀行局長

○土田政府委員 手数料に関するお尋ねでございますが、最初に私ども当局の基本的な考え方を申し上げますと、この営業時間とか手数料とかいう分野につきましては、行政上何らの規制も実は存在しない。そこは銀行みずからの経営判断で、適正な水準を自主的に決定されるべきものであるという考え方でまいっておるわけでございます。  そのときに若干、もちろん留意すべき点はあるわけでございますが、一つは、手数料は安ければ安いほどよいというものでもない。やはり適正な額を受け入れるのでなければ、その取引と関係のない一般の他の利用者の負担に帰するということでございますし、事実、米国では金利の自由化が進むに伴いまして、手数料の水準は引き上げられ、また銀行の手数料収入に依存する割合も非常に上昇したという事実がございます。  ただし、もう一つの留意点としましては、この手数料の決め方につきまして、余りにも横並び的な、細部に至るまで多数の当事者の間で全く同一であるかのごとき印象を与えるということは得策でない。やはりそこはその銀行みずからの経営判断というものが必要ではあるまいか、こういうふうに考えておるわけでございます。  そこで、そういうわけでございますので、今具体的なその金額につきまして御指摘もございましたが、もともとこれは私どもはそういう理由でと説明するわけではございませんが、沿革的な事情を申しますと、夕方遅くなってから手数料がかかりますのは、例えばそのために通常のローテーション以外の職員を待機させるとか、そういうようなコストがかかるからであるというような話。それから他行の、つまりその銀行ではなく、よその銀行のカードを使うときに手数料が増額されますのは、各銀行の共同して運営しておりますオンラインネットワーク、それを動かす必要がございますので、その点がその銀行自体の預金口座から引き出す場合とは違うということで割り増し料金を取っておる、そういう沿革であったろうと思います。  しかし、いずれにいたしましても、私どもは百円なり二百円なりという金額の高い低いについて直接論評すべき立場ではないと思っております。  ただ、最後に付言いたしますと、そうはそうでございますが、手数料の定め方には納得性がなければならぬ。そこはやはり客商売をやっております企業としての腕の見せどころではないか、こういうことでありまして、先般世間でも非常に大きな話題になりました振り込み手数料のときは、個別の銀行としての判断で一つの、下品な言い方かもしれませんが、客商売ということで、やはり銀行として個別に判断をして引き下げに踏み切ったものであろうと思いますが、私どもとしては、この具体的な金額その他にわたっての指導に立ち入ることは、さしあたり遠慮したいと思っておるところでございます。

山田英介公明党・国民会議

○山田分科員 沿革あるいはそういうとらえ方、それはそれで理解できないわけではないのです。ただ、率直に申しまして、国民があるいは利用者が、ちょっと高い、どなたもそう思っておるわけですから、そこのところの対応というものは、やはりなされてしかるべきなんだろうと思うわけであります。リーディングバンク方式というような言い方があるんだそうですが、ですから、その金融機関、銀行がそれは自主的に判断し決めることであって、我が省は口出しをすべきものではない、それは直接百円、二百円が高い安いと論評する立場にないということはおっしゃるとおりだと思いますけれども、例えばリーディングバンク方式と言われるそういう手数料の決め方について再検討を促すとか、それであってこそまた金融機関等を指導しあるいは監督官庁としての責任がそこにあるわけでございますから、余り冷たい御答弁だけではなくて、そういう現実にある国民の願いとか声とか気持ちとかいうものに対して、私は何らかの前向きな御答弁をいただきたい。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 私は、局長が申しましたのは、大蔵省として本来あるべき姿勢であると思います。そして、自主的に判断すべきことにいたずらに介入をしない、私はそれは姿勢として正しいことであると思います。  同時に、今委員が御指摘になりましたように、第一種VANと対比して数字を挙げられたわけであります。実は、私はその第一種VANの料金をちょっと存じませんで、にわかにそれが判断できませんけれども、本院においての御論議の中でこうした点についての御指摘があったことは、それぞれの団体に対して私は正確に伝えたい、そのように思います。

山田英介公明党・国民会議

○山田分科員 ちょっと半端な時間になってしまったので、土地問題をちょっとやろうと思ったのですけれども、一言だけ問題提起という形で申し上げさせていただきますが、大蔵省所管の制度で市街化区域内農地に対する相続税納税猶予制度というものがあります。これは二十年間営農を継続した場合には相続税の文字どおり納税を猶予してあげましょう、最終的にこれはちゃらになる、そういう制度がございます。この猶予制度の趣旨、目的ということは、伺えばわかるわけです。農地を余り細かく細分化させないとか、そういう面積の農地を保全するためとか、それはそれで政策目的としてはわかるのですが、じゃ、我が国の土地対策どうするか、土地問題どうするか、土地の価格をどう引き下げるか、そういうトータルな政策課題から見てみますと、一つにはこの制度が非常にネックになっている。土地対策を進める上で、すべてとは当然言いませんけれども、かなりの要するにネックになっている部分があると言わなければなりません。  結論を急ぎますけれども、都市計画法を見てみますと、市街化区域内の農地というのは、おおむね十年以内に優先的に開発すべき区域、こうなっておるわけです、市街化区域、調整区域。調整区域は、御案内のとおり開発を抑制すべき区域。一方ではおおむね十年以内に優先開発すべき区域、こう決めており、他方では、二十年農地のままで維持すれば相続税納税猶予します、こうなっておるものですから、土地対策という観点からこの両方の制度を突き合わせてみると、それぞれの政策目的はわかっても、ここが大きな矛盾として顕在化してくるわけです。  そういうことでございますから、一言、大臣。確かに政府税調の土地小委員会、それらも含めて審議していただいているんだということは、それはそのとおりだと思うのですけれども、相続税納税猶予制度が今のままでいいのか、やはり廃止を含め見直しというものの、本当にそれはそういう時期に至っているのではないか、私はそういうふうに思っているのでございますが、税調に今審議してもらっているということとは別に、それはそれとしてそのとおりですから、ただ大蔵大臣としての一つの見識として、この制度をこのままでいいのかどうか、御答弁いただいて、終わりたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 私は、その相続税のあり方について、今委員が御指摘になったような考え方、また見方というものは確かに世の中に相当あるであろうと思います。殊に、都市における宅地供給の現実と照らし合わせたとき、そういう御論議が出てくるということも、私は決してうなずけないではありません。  ただ問題は、今まで日本において土地政策というものに対しての共通基盤、基本理念といったものがなかったために、いろいろな角度の見方からいろいろな税制がつくられ、それがたまたま今委員の御指摘になったようなケースをも惹起した、そうした視点からまいりますと、やはり見直すべきものは見直す、そういう姿勢で臨んでいくのは当然であろうか、私はそう思います。  ただ、私自身が相続税が払えませんで、親の残した家屋敷を売りました経験からいきますと、地価がこれだけ上がってくると、東京の方なんか本当に大変だろうな、これほど地価の上がらなかった時代においても払えなかった経験を持っておりますだけに、やはり非常に複雑な感じで今伺っておりました。

山田英介公明党・国民会議

○山田分科員 済みません、一つだけちょっと聞き漏らしたことがあるものですから、お忙しいところ申しわけありません。  今大臣がおっしゃったように、地価の狂騰、暴騰というものが相続税負担を非常に重くしている、負担が大きくなってきているということから、生活のための一定規模以下の土地については、二百平米以下、居住のための、生活のための土地の相続税については、これを一層軽減し、あるいは減免を進めていただきたい、私どもはこういう考えを持っているわけでございます。ぜひひとつこの相続税の負担の重圧、こういうものから生活を守る、そういう観点から一定規模以下の居住用の土地についての相続税の減免あるいは軽減を一層図っていただきたい、こう御要望申し上げたいのでございますが、一言、大臣。それで終わらせていただきます。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 その減免の免まで言われますと、私はちょっとこれは首をかしげます。ただ、小規模な宅地等につきまして随分相続税についても配慮してきている経緯があることは、委員が御承知のとおりであります。そして、それを前提にして、その減免の免までを含めて言われますと、例えば今の大都市部における地価というものを頭に描きながら考えました場合に、これは逆に国民の中に新たな非常に大きな不公平を生ずることになるのではないか。相続財産がたまたま土地であった方とそれ以外であった方と非常に大きな格差を生じ、むしろそれは、今特に東京を中心にした大都市部において新たな宅地の供給を求めておりますときに、決してプラスに働かない結果になりはしないだろうか、感じとして私は今瞬間そのような思いがいたしております。

山田英介公明党・国民会議

○山田分科員 終わります。

越智通雄自由民主党

○越智主査 これにて山田英介君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして大蔵省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の格段の御協力を賜りまして、本分料会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後二時十分散会

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