予算委員会第二分科会 第1号
- 発言数
- 498 件
- 登壇者
- 50 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1990/04/26
会議録
○越智主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。 私が本分科会の主査を務めることになりました。何とぞよろしくお願い申し上げます。 本分科会は、法務省、外務省及び大蔵省所管について審査を行うことになっております。 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。 平成二年度一般会計予算、平成二年度特別会計予算及び平成二年度政府関係機関予算中外務省所管について、政府から説明を聴取いたします。中山外務大臣。
○中山国務大臣 平成二年度外務省所管一般会計予算案の概要について御説明申し上げます。 外務省予算の総額は、五千三百三十九億二千九百九十七万九千円であり、これを平成元年度予算と比較しますと、六百七十二億八千七百七十一万一千円の増加であり、一四・四%の伸びとなっております。 戦後の国際秩序は、欧州を中心に大きく変貌を遂げつつあり、新たな国際秩序への模索が始まっています。このような中で、我が国は国際情勢の前向きの変化を定着させつつ、世界の平和と繁栄をより確固とする新しい国際秩序の構築へ向けて幅広い分野で積極的に貢献していかなければなりません。これは、国際社会に枢要な地位を占めるに至った我が国の重要な責務であると同時に、世界の平和と繁栄の中で、より豊かな国民社会を形成していくために必要不可欠な道であります。かかる観点から、我が国外交に課された使命は極めて重要であり、従前以上に強力な外交を行っていく必要があります。 平成二年度においては、定員等の増強、在外勤務環境の改善等の外交実施体制の強化、「国際協力構想」を中核とする国際協力の推進の三点を最重要事項とし、その他情報機能、海外邦人対策を加え、予算の強化拡充に格別の配慮をしました。特に外交強化のための人員の充実については、平成二年度において百八名の増員を得て、外務省定員は合計四千三百三十一名となります。また、機構面では、在外公館として在カメルーン大使館及び在エジンバラ総領事館を開設することとしております。 次に、「国際協力構想」を中核とする国際協力の推進に関係する予算について申し上げます。 「国際協力構想」の三つの柱は、政府開発援助(ODA)の拡充、国際文化交流の強化、そして平和のための協力の強化であります。 まず、平成二年度政府開発援助(ODA)一般会計予算については、政府全体で対前年度比八・二%の増額を図り、ODA第四次中期目標に盛られた諸施策の着実な実施を図るため、特段の配慮を払いました。このうち外務省予算においては、無償資金協力予算を対前年度比二六%増の二千十一億円計上しておりますが、その内訳は、経済開発等援助費が一千六百二十一億円、二年度から外務省に計上されることになった食糧増産等援助費が三百九十億円であります。このほか、技術協力予算の拡充に努め、なかんずく国際協力事業団事業費は対前年度比七・六%増の一千二百五十億円を計上しております。 次に、国際文化交流の強化でありますが、世界の異なる文化間の相互交流を促進し世界の文化をより豊かなものにするとともに、近年の対日関心の高まりへの積極的な対応を図ることが求められております。そのため、国際交流基金の拡充、国際文化交流事業の促進、海外啓発活動の促進のために百五十五億二千二百万円を計上しております。 さらに、平和のための協力の強化につきましては、我が国は、国力の伸長に伴い、経済協力の分野のみならず、世界の平和と安定のために貢献し、相応の国際的責任を果たすことが必要となっており、百二十一億円を計上しております。 このほか、情報機能の強化及び海外邦人対策の整備拡充に配慮しております。 以上が外務省関係予算の概要であります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。 なお、時間の関係もございますので、詳細につきましては、お手元に「国会に対する予算説明」なる印刷物を配付させていただきましたので、主査におかれまして、これが会議録に掲載されますようお取り計らいをお願い申し上げます。 以上であります。
○越智主査 この際、お諮りいたします。 ただいま中山外務大臣から申し出がありましたとおり、外務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○越智主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ───────────── 〔参照〕 外務省所管平成二年度予算案の説明 外務省所管の平成二年度予算案について大要をご説明いたします。 予算総額は五千三百三十九億二千九百九十七万九千円で、これを主要経費別に区分いたしますと、経済協力費四千四十三億七千七百五十四万九千円、エネルギー対策費二十九億五千六百四十一万九千円、その他の事項経費一千二百六十五億九千六百一万一千円であります。また「組織別」に大別いたしますと、外務本省四千六百三億六千二十一万一千円、在外公館七百三十五億六千九百七十六万八千円であります。 只今その内容についてご説明いたします。 (組織)外務本省 第一 外務本省一般行政に必要な経費二百四十三億六千百三十万四千円は、「外務省設置法」に基づく所掌事務のうち本省内部部局及び外務省研修所において所掌する一般事務を処理するために必要な職員一、七五二名の人件費及び事務費等、並びに審議会の運営経費であります。 第二 即位の礼接遇等に必要な経費九億二百七十万一千円は、即位の礼に参列する来日元首等政府賓客の接遇等に要する経費であります。 第三 外交運営の充実に必要な経費三十九億六千三百二十三万五千円は、諸外国との外交交渉により幾多の懸案の解決をはかり、また、各種の条約協定を締結する必要がありますが、これらの交渉を我が国に有利に展開させるため本省において必要な情報収集費等であります。 第四 情報啓発事業及び国際文化事業実施等に必要な経費九十七億七千五百二十一万五千円は、国際情勢に関する国内啓発、海外に対する本邦事情の紹介及び文化交流事業等を通じて国際間の相互理解を深めるため必要な経費並びに国際交流基金補助金七十億五千四十万一千円及び啓発宣伝事業等委託費六億五千四百七十一万五千円等であります。 第五 海外渡航関係事務処理に必要な経費四十三億九千五百九十五万九千円は、旅券法に基づく旅券の発給等海外渡航事務を処理するために必要な経費であります。 第六 諸外国に関する外交政策の樹立等に必要な経費三十二億七千六百七万六千円は、アジア、北米、中南米、欧州、大洋州、中近東、アフリカ諸国に関する外交政策の企画立案及びその実施の総合調整を行うため必要な経費と財団法人交流協会補助金十二億九千七百五十六万九千円、財団法人日本国際問題研究所補助金三億一千百一万三千円、社団法人北方領土復帰期成同盟補助金五千四百十三万七千円及び社団法人国際協力会等補助金一億四千三百七万一千円並びにインドシナ難民救援業務委託費八億八千五百四十六万八千円であります。 第七 国際経済情勢の調査及び通商交渉の準備等に必要な経費九千二百七十八万二千円は、国際 経済に関する基礎的資料を広範かつ組織的に収集し、これに基づいて国際経済を的確に把握するための調査及び通商交渉を行う際の準備等に必要な経費であります。 第八 国際花と緑の博覧会接遇等に必要な経費一億七千九百六十六万五千円は、国際花と緑の博覧会参加国の来日元首等政府賓客の接遇等に要する経費であります。 第九 条約締結及び条約集の編集等に必要な経費五千四百二十一万一千円は、国際条約の締結及び加入に関する事務処理並びに条約集の編集及び先例法規等の調査研究に必要な事務費であります。 第十 国際協力に必要な経費十七億二千六百二十四万八千円は、国際連合等各国際機関との連絡、その活動の調査研究等に必要な経費及び各種の国際会議に我が国の代表を派遣し、また、本邦で国際会議を開催するため必要な経費と財団法人日本国際連合協会等補助金四千七百四十万二千円であります。 第十一 国際交流基金出資に必要な経費十四億円は、国際文化交流事業を促進するための国際交流基金に対する出資に必要な経費であります。 第十二 経済技術協力に必要な経費三十四億四千四百八十八万五千円は、海外との経済技術協力に関する企画立案及びその実施の総合調整並びに技術協力事業に要する経費の地方公共団体等に対する補助金十五億五百六十八万九千円等であります。 第十三 経済開発等の援助に必要な経費二千十一億八千三百八十一万六千円は、発展途上国の経済開発等のために行う援助及び海外における災害等に対処して行う緊急援助等に必要な経費であります。 第十四 経済協力に係る国際分担金等の支払に必要な経費七百四十七億三千三百六十八万円は、我が国が加盟している経済協力に係る各種国際機関に対する分担金及び拠出金を支払うため必要な経費であります。 第十五 国際原子力機関分担金等の支払に必要な経費二十九億五千六百四十一万九千円は、我が国が加盟している国際原子力機関に支払うため必要な分担金及び拠出金であります。 第十六 国際分担金等の支払に必要な経費二十八億九千八百八十四万七千円は、我が国が加盟している各種国際機関に対する分担金及び拠出金を支払うため必要な経費であります。 第十七 国際協力事業団交付金に必要な経費一千二百十八億二千四百十六万八千円は、国際協力事業団の行う技術協力事業、青年海外協力活動事業及び海外移住事業等に要する経費の同事業団に対する交付に必要な経費であります。 第十八 国際協力事業団出資に必要な経費三十一億九千百万円は、国際協力事業団の行う開発投融資事業に要する資金等に充てるための同事業団に対する出資に必要な経費であります。 (組織)在外公館 第一 在外公館事務運営等に必要な経費五百九十億九千二百三十九万円は、既設公館百六十七館六代表部と平成二年度中に新設予定の在カメルーン大使館及び在エディンバラ総領事館設置のため新たに必要となった職員並びに既設公館の職員の増加、合計二、五七九名の人件費及び事務費等であります。 第二 外交運営の充実に必要な経費七十三億六千二百三十八万八千円は、諸外国との外交交渉の我が国に有利な展開を期するため在外公館において必要な情報収集費等であります。 第三 対外宣伝及び国際文化事業実施等に必要な経費二十九億九千百六十七万九千円は、我が国と諸外国との親善等に寄与するため、我が国の政治、経済及び文化等の実情を組織的に諸外国に紹介するとともに、国際文化交流の推進及び海外子女教育を行うため必要な経費であります。 第四 自由貿易体制の維持強化に必要な経費三億五千二百二十万六千円は、自由貿易体制の維持強化のための諸外国における啓発宣伝運動を実施する等のため必要な経費であります。 第五 在外公館施設整備に必要な経費三十七億七千百十万五千円は、在ジュネーヴ国際機関代表部事務所新営工事(第四期工事)、在西独大使館事務所新営工事(第四期工事)、在インド大使公邸新営工事(第一期工事)等の建設費、その他関連経費であります。 以上が只今上程されております外務省所管平成二年度予算の大要であります。 慎重御審議のほどをお願い申し上げます。 ─────────────
○越智主査 以上をもちまして外務省所管についての説明は終わりました。 ─────────────
○越智主査 この際、分科員各位に申し上げます。 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔、明瞭にお願いいたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
○上原分科員 朝一番でなかなかエンジンもかかりにくいのですが、始めたいと思います。 最初にちょっとお尋ね外のことになりますが、在日韓国人の三世の法的地位について、大詰めに来ているようで、何か近々外務大臣も訪韓なさって決着を図りたいというお考えのようです。この点について、どのように処遇していかれようとしているのか、御見解をお伺いしたいと思います。 〔主査退席、町村主査代理着席〕
○中山国務大臣 ただいま谷野アジア局長が韓国において局長レベルでの協議をしている過程でございまして、そのような状態の中で今日を迎えております。
○上原分科員 報道されているいろいろのものを見てみますと、特に三世に対する法的地位、いわゆる戸籍問題については、日韓の法的地位協定上の三世に限って適用除外とする、焦点の指紋押捺義務についてもいろいろ御配慮するというような方針のようですが、これはいかがですか。
○福田(博)政府委員 先生御承知のとおり、韓国側からは、要点でまとめますと九項目にわたっていろいろな要望が出てきております。我が方といたしましては、長期的な日韓友好という観点からも、これらの要望について我々としてどういうことができるかということを、目下鋭意検討中でございますが、まだそれぞれについて具体的なことを申し上げられる段階ではございません。
○上原分科員 ぜひ、在日韓国人のことも当然なんですが、御要望申し上げておきたいことは、朝鮮民主主義人民共和国の朝鮮人、在日朝鮮人全体のことについてもそれなりの十分な御配慮を同等にやっていただくように、この点も要望しておきたいと思うのですが、大臣の御見解があればお聞かせいただきたいと思います。
○中山国務大臣 ただいま日韓両国政府において三世問題等を含めていろいろと協議中でございまして、その結論を待って政府としては今後の取り扱いというものを考えてまいりたい、このように考えております。
○上原分科員 次に、これは既に予算委員会等でもかなり議論をされてきたようでありますが、米政府が去る十九日に議会に提出をしたと言われておりますアジア・太平洋戦略構想についてお尋ねをしてみたいと思います。 時間の都合で細かいことを具体的に挙げるゆとりはありませんが、日本における米戦略の根幹要素として、御承知のように五項目挙げております。これをどのように受けとめておられるのか、ぜひこの際政府の見解というものを明らかにしていただきたいと思います。
○松浦政府委員 先生の御指摘のように、この四月十九日に「アジア太平洋地域の戦略的枠組み」という報告がチェイニー国防長官から米議会に提出されまして、その中に、先生が今まさに御指摘 されましたように、日本関係に五項目につきまして言及がございます。今回の報告書は、全体といたしまして日本関係で方々に言及がございまして、これはむしろ報告の冒頭の方にございますけれども、日米関係は米国のアジア安全保障戦略における重要なかぎ、リンチピンであるということで、この安全保障体制を基盤にいたしまして、日米関係を非常に重視する姿勢を打ち出しております。その上で五項目が出ておりますが、全体としては、アメリカが引き続き太平洋地域におきまして前方展開戦略を維持していく、それから、今言及いたしました日米安保体制を初めとする二国間の安全保障取り決めを基本的に維持していくということを明らかにいたしますとともに、戦略情勢を十分見きわめながら段階的に米軍の調整を進めていくという考えを打ち出しておりまして、これは私どもは慎重なものとして理解をしております。したがいまして、引き続きアメリカとの間で緊密に連絡、協議を行っていきたい、こう考えております。
○上原分科員 そこで、具体的なことでお尋ねをいたしますが、この五項目というのは、前方展開戦略というか、日米のいわゆる今後の安全保障のあり方について主要項目として挙げているわけです。それもいろいろお尋ねしなければいけない点もあるわけですが、要するに、端的に言いますと、この報告では、在日米軍の今後のあり方を新時代の戦略として米側が模索をする中で位置づけようとしていると見ていいと私は思うのですね。 そこで、今後この戦略構想によって、在日米軍の態様なりあるいは日米間の防衛協力、これは防衛庁との関連もありますが、そういうものに変化が出てくるのかどうか、ここをひとつお示しいただきたいと思います。
○松浦政府委員 全体的なことについては今申し上げたとおりでございますが、先生御指摘の具体的な諸点に関して申し上げますと、まず経費の点でございますが、経費の点に関しましては、ことしの二月にチェイニー国防長官が日本に参られましたときに、外務大臣初め関係者といろいろと話をされております。今回の報告にも、先生御指摘の箇所のみならず、いろんなところに在日米軍の駐留にかかわる経費について日本側が一層の負担をしてほしいという期待感が出ておりますが、私どもは、そういう米側の期待感も念頭に置きまして、従来自主的に在日米軍経費の負担をしてまいりましたけれども、基本的には同様の考えで、今後も自主的に努力をしていきたいと思っておりますので、今回の報告書が出たからと申しまして、基本的な考え方に変更は加える必要はないと考えております。 それから、在日米軍の削減問題でございますけれども、これはまさに先生御指摘の日本の箇所に第一段階から第三段階にわたって見通しが書いてございます。本文に書いてございますように、これも基本的には、アメリカの前方展開の基本戦略を変えないで考えていきたいということでございますので、アメリカの財政事情等もございまして、漸次米軍の軍事的なプレゼンスを基本的なスタンスは変えないで削減していこうという方向は出ておりますけれども、この点に関しましても私どもは基本的な考え方を変える必要はない、こう考えております。
○上原分科員 そこが認識の違いになろうかと思うのですが、確かに前方展開戦略は変えないにしても、これだけの在日米軍あるいは全世界的な、グローバルな軍縮、またアメリカ自体の独自の軍事費の削減ということを考えますと、それは大きな変化がないとは言えないのですよ。そこに、今政府がこの報告を受けとめようとする認識の違い、私は、非常にギャップがある感じで、遺憾に思うのですね。 そこで、今私がお尋ねしない点もお答えがあったわけですが、確かにチェイニー国防長官が来たときもそういう話が日米間でなされている。また、この報告にも、日米防衛協議というところに、日本に対して一層の防衛負担を求めるのは妥当である、そのほかにもいろいろ指摘されておりますね。今度のことと関連をして新たな防衛負担というものも考えられるのかどうか、これは大臣、いかがですか。
○松浦政府委員 在日米軍の駐留にかかわります経費に関しまして、今申し上げましたように、私どもは過去に自主的に努力をしてまいりましたが、基本的には安保条約及び地位協定に基づきまして対応を図ってきておりましたけれども、今後も基本的には安保条約及び地位協定に基づきまして自主的に努力していきたい、こう考えている次第でございます。
○上原分科員 それともう一つただしておきたいと思うのですが、私が指摘をした日本における米戦略の主要な要素の五つを挙げている中で、政治・軍事レベルの対話をふやし、安全保障上の協議手順を再活性化させる、こういう項目がございますね。ここはどういうことを意味しているわけですか。安全保障上の協議手順の再活性化を図るというのは、日米間で新たな協議対象というものがあるのかどうか。この第五項に挙げているのは、どういうふうに今後日米間で政治・軍事レベルの対話をふやすというのか。
○松浦政府委員 先生御案内のように、現在日米間におきましては、政治問題それから軍事問題に関しましていろいろな対話の場がございます。私どもは、これは外務省のみならず防衛庁も非常に関係してくるわけでございますけれども、そしてアメリカ側も国務省それから国防省等々いろいろございますが、そういう間でのいろいろな対話は従来からも行われてきておりますが、ここに書いてございますことは、私どもがまさにそういういろいろな対話をさらに活発にさせていきたいという米側の考えを表明したものと受けとめております。
○上原分科員 全く抽象的で余りお答えにならぬのですね。 そこで、私が一つ疑問に思っているのは、日米安保協というのがたしか八二年に一回最終的に持たれて、その後、今九〇年ですから約八年間持たれていないのですね。これだけのアジア・太平洋地域の戦略的枠組みというものの大きな変化が出ようとしている。また、さっき申し上げたような今の情勢変化あるいは米ソの対話、いろいろ考えて、当然日本側からも積極的に日米安保協なりを開催をしてこういう枠組み全体を把握をするとか、具体的に米側がどう在日米軍基地の縮小を図ろうとしているのか。第一段階、第二段階、第三段階、いわゆる向こう十年のという極めて重要な時期なのに、そういうことに一向に腰を上げようとしないところに大変疑問を持つのですが、この点は大臣、いかがお考えですか。
○松浦政府委員 先生が御指摘の安保協議会に関しましては、確かに先生御指摘のような形で近年開かれておりませんが、安保事務協議は毎年一回開いております。それのみならず、先ほど私チェイニー国防長官の来日についても触れましたが、その前にレーガン政権時代でもカールーチ国防長官が日本に来ておられますし、それから、こちらからも外務大臣が行かれるたびに国務長官のみならず国防長官ともいろいろ話をしていただいておりまして、それから防衛庁長官も適宜いらしておりまして、先生御指摘のこの安保協議会というメカニズムは確かにこの数年動いておりませんが、閣僚レベルでも私どもはしっかりした対話をアメリカ側と持っておると考えております。それから事務レベルは、今安保事務レベル協議だけを御披露いたしましたけれども、それ以外にもいろいろな形で対話を持っているつもりでございますので、先生御指摘のように、確かにこれからアメリカと対話を一層強化していく必要がございますので、再編問題のみならずその他の問題に関しましてもしっかりした対話を深めていきたい、こう考えております。
○上原分科員 それは、パートナーであり、これだけ日米間を蜜月ムードと皆さんが言うから、各大臣であろうが政府であろうが、省庁全部やるでしょう、対話は。しかし、一つの枠組みの中で決められたことがあるわけでしょう、基地の返還問 題にしても。これはいろいろ私も聞いています。なぜそれが持たれないかの理由などいろいろあるらしい。だが、そうはいっても、構成なんとかそういうものに欠点があれば、それを改正をするとか、今重大な時期なんですよ、大臣。少なくとも今起きている諸問題に関しては、安保協ぐらい持って具体的に日本側の意向も伝えて、米側との軍縮協議とか基地問題、いろいろ入るべきだと思うのですが、この件、大臣の御見解を聞かしてください。
○松浦政府委員 先生御指摘の基地の整理統合問題は、日米の合同委員会というのが御承知のように地位協定に基づきましてございまして、これは事務レベルでございますが、鋭意今検討を進めてきているところでございます。それからハイレベルでも、閣僚レベルでもこの問題は適宜取り上げていただいておりまして、現に、この二月にチェイニー国防長官が来日されました際には、海部総理みずからが沖縄の基地整理統合問題を取り上げられて、チェイニー長官に検討の促進方の協力を依頼されたという経緯がございますので、閣僚レベル、事務レベルでまさにこの問題に関しましては先生御指摘のように私ども最大限の努力をしておりまして、これからもさらにしていきたい、こう考えております。
○上原分科員 それはお答えになりませんよ。どうして大臣、その件お逃げになるのですか。まさにその時期なんです、今。そこで十四、十五、十六回というのは、もう沖縄が復帰をした直前直後に持たれた安保協で決められたことが、いまだに基地の返還問題、全く進捗していないでしょう、全くというほど。 そこで、この報告書とも関連するのですが、沖縄における地上軍と一部の支援航空部隊を削減をしていく。これは在日米軍全体ということにも受けとめられるけれども、特に沖縄で削減をする。この内容の具体的中身というのはどうなんですか。地上軍というのは一体何なのか、支援航空部隊というのはどういうものなのか。
○松浦政府委員 先生がまさに引用されましたように、今回の報告書には陸上及び若干の空軍支援部隊という形で言及されておりまして、これが具体的に現在おります沖縄のそれぞれの構成のどこを指しているのか、実は私どももつまびらかにしておりません。ただ、先生が御指摘の文章のちょっと前に、軍の正確な構成については軍司令官にゆだねるという表現がございますので、これからまさに関係のこういう軍司令官レベルで検討していくというふうに了解しておりますので、私どもも米側と必要に応じ連絡を密にして、米側がどういうことを考えているのかしっかり把握してまいりたい、こう考えております。
○上原分科員 それじゃ納得できないのですよ。軍司令官レベルでやるといったって、まさにこれだけ重要な問題になって、基地の大幅縮小もある、五、六千人の米軍削減があるとなると、それと連動して当然日本人従業員の問題とも関連してくるでしょう。それはどうなんですか。
○松浦政府委員 先生まさに御指摘のように、今後一年から三年間のいわゆる第一段階で日本で五千名から六千名の米軍の削減をするということを打ち出しているわけでございますので、まさにいろいろな問題が生じ得ると私どもも考えております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、まさに米国側と緊密な連絡をして適切に対応していきたい、こう考えている次第でございます。
○上原分科員 連絡を緊密にしてやっていくと言うのだが、じゃ具体的にどうなさっているの。いまだに五、六千人の削減計画というものの中身は全然政府は知らない。海兵隊の削減がどのくらいあるのか、航空支援部隊というのは一体どうなのか、どうしてそういうのを確かめようとしないのですか。少なくともこういう問題が出ている以上は、米側は相当の計画を立てて、議会にも報告をし、その準備を進めているはずなんですよね。犠牲になるのは皆さんじゃない、沖縄の関係者なんだ、それは。どうしてそういうことにそんなに悠長に構えるのですか。
○松浦政府委員 私どもも、先生からもいろいろな国会の場で従来から御指摘を賜っておりますし、この問題の持つ重要性につきましては十分承知しているつもりでございます。したがいまして、この二月にチェイニー国防長官が来日した際には、これは外務大臣から相当掘り下げて私どもの大きな関心をチェイニー長官にも伝えていただいた次第ですが、その時点ではまだアジア・太平洋全体に関して約一割削減をする、今後二年、三年の間に約一割ということでございます。その後アメリカ側も大分詰めまして、今回この報告書では、先ほど来御指摘ございますように、今後一―三年間で五千名、六千名ということを出したわけでございますが、内容は、私どもが見ますところ、まさにこの報告書にあることで尽きておりまして、それ以上具体的なことは米側もまさに詰めていないと私は考えております。しかしながら、これが重大な意味を持つということは私どもも重々承知しておりますので、先生から先ほど来御指摘いただいておる点も踏まえまして、さらに米側とよく打ち合わせをしていきたい、こう考えております。この報告は、先生お触れになりましたように、まさに四月十九日に出たばかりでございますので、これから十分具体的な点について打ち合わせをさせていただきたい、こう思っております。
○上原分科員 しかし、率直に申し上げて後手後手ですね。チェイニー国防長官が来たときも、あれだけの重大な、韓国を含めてのアジアにおける削減計画一〇%ないしそれ以上ということを発表されても、在日米軍には関係ないというようなコメントしか外務省や防衛庁は出さなかった。あれから二、三カ月たってこういうような具体的な中身が出てきているじゃありませんか。なぜそれに臨機応変に政府は対応していこうとしないのかということに我々は大きな疑問を持つ。アジアは別だという認識が、皆さんの中に固定観念があるからそうなっている。今グローバルに進められている軍縮というものは、アジアは別でないですよ、それは。むしろ地政学的に見てもアジアの方が対応しやすい、軍事費の問題を含めて。これはいずれ別の機会に少し時間をかけて議論をしなければいかない問題ですがね。 そこで、しかもこれは第一段階、九〇年―九二年の三年というと、もうことしからでしょう。ことしのどの時点でどういう変化があるのか。じゃ、政府はいつごろまでにこういう中身を明らかにさせるのですか。
○松浦政府委員 これは、先ほど来申し上げておりますように、この報告書はまさに出たばかりでございまして、この報告書が出る前からも、先ほど来御説明しておりますように、私どもは日本の米軍も何らかの形で影響を受けるということは重々念頭にありましたものですから、この二月のチェイニー国防長官が来日した際にかなりいろいろ、一般的な形ではございますけれども、お話をし、私どもの関心を伝えた次第でございます。これからまさに具体的な話し合いを始めたいし、米側も日本側と打ち合わせをしたいと言っておりまして、先生今御指摘のタイミングも含めまして、まさにこれ九〇年からでございますけれども、これからアメリカ側と話をしたいと考えておる次第でございます。ただ、先生、これは九〇年に一気にということじゃございませんで、まさにこの第一段階は九〇年から九一、九二の三年間でございまして、この三年間に五千から六千名ということでございますので、これから鋭意打ち合わせをしたい、こう考えております。
○上原分科員 そんなのんびりしたものじゃないですよ、あなた。九〇年にどのくらい、九一、九二がどのくらいということがわからぬでそんなことが言えますか。 そこでもう一つ。昨日明らかになったように、米下院軍事委のこの資料から明らかにされているように、嘉手納空軍基地に配備をされている海軍施設が閉鎖をされる中に含まれている。この点については、外務省は報告を受けておったの、政府は。どうなっているんですか、これは。
○松浦政府委員 昨日、先生御指摘の報道が流れ ましたので、私ども早速米側に照会をいたしました。ワシントン時間の四月二十四日に、アメリカの議会の下院の軍事委員会、これは正確には軍事委員会の下の軍事施設小委員会と海軍小委員会の共同の公聴会でございますが、その場でいろんな議論が行われました過程におきまして、先生御指摘のような今後の米海軍の海外施設の閉鎖、再編成問題について議論が行われたと承知しております。 ただ、具体的な点に関しましては、先生今御指摘の嘉手納飛行場の海軍航空施設の点を含めましてでございますけれども、米側に改めて照会をしましたところ、これは米側の準備段階における非常に非公式な内部資料であって、特定の施設について閉鎖ないし再編成が既に決まっているというものをまとめたリストではない、したがって、アメリカの海軍としては引き続き財政上、戦略上、運用上の観点から米海軍の組織を再検討する、最終的な決定はすべての調査が完了した時点においてなされるということでございまして、具体的な嘉手納の飛行場の海軍航空施設の点に関しましては、私どもリストに入っているやには承知しておりますけれども、具体的な点は承知しておりません。
○上原分科員 要するに、発表段階は政府はまだ知らなかったということですね。
○松浦政府委員 事前には私ども承知しておりませんでした。
○上原分科員 大臣、一事が万事こうなんですよ。私は不思議でたまらぬですね。これだけ重大な問題が、日米間で相互にコミュニケーションがないということに非常に疑問を感じますね。これはあなた、何かまだ非公式なものと言うが、公式も公式ですよ。さっきも申し上げましたように、米国は一九九四会計年度までに約一千七百億ドル、二十七兆円も軍事費は削減するんです。その一環として今こういう報告がなされ、具体的に進んでいるのです。だから、これに対して政府としてどのように対応していくか、極めて重要な問題なんですよ。ですから、私は、日米安保協ぐらい我が方から、政府側から持ち出してやって、こういうことについてはきちっとした対応をしてもらいたい。大臣、いかがですか。
○中山国務大臣 お尋ねの米国の沖縄駐留軍の削減問題につきましては、先般のチェイニー国防長官来日当時、私には直接、三年間にわたるというお話はございましたが、年度別の削減計画の具体案についての話はございませんでした。そういうことから、今局長が御答弁いたしましたように、私どもも両国の会合等におきまして、今後ともこの問題についてはどのような形で実施されていくのであるか、その確認をいたさなければならないと考えております。
○上原分科員 これで時間ですから終わりますが、確認を急ぐということですが、それはぜひ早急にやってもらいたい。どれだけの米軍削減があるのか。それに伴って在日米軍従業員とかそういうものにどういう影響があるのか。それと、返還される基地の面積はどれぐらいなのか。これは地元としても対策をこれから具体的に立てなければいかぬのですよ。改めて決意をお聞かせください。
○中山国務大臣 上原委員がかねて、沖縄駐留米軍基地の問題、また基地に働かれる従業員の方々の問題等について格別の御関心を持っていることは、私もよく存じておりまして、このような問題がスムーズに移行ができますように私もできるだけの協力をさせていただきたいと考えております。
○上原分科員 終わります。
○町村主査代理 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。 次に、渡部一郎君。
○渡部(一)分科員 私は、外交体制の充実を考えるべき時期に来ていると思いますので、ふだん議論されていないテーマについて申し上げたいと思う。一つは人員あるいは設備等の問題であり、一つは外交一元化の問題であります。 初めは細かい問題の方から先にいたしますが、まず在外公館施設の国有化をもっと進めるべきではないかと思っております。日米構造協議を見ましても、在外公館その他の設備、施設というものは国有化が大変おくれておって、外交体制それ自体のあれがおくれておりますが、公邸が六割、事務所では三割しかまだ国有化が終わっていない。つまり賃借りで細々とやっておる。まるで大学生が東京へ来て事務所を借りておるみたいな調子でやっておる。この足かけの状況というものが、悪い影響がいろいろな形であらわれておって、我が国の外交に有形無形のマイナスを与えておると思いますが、この点いかがですか。
○佐藤(嘉)政府委員 在外公館の施設の整備強化という問題についてのお尋ねと理解をいたします。 先生御指摘のとおり、私どもといたしましても、外交の実施体制を強化していくということを常日ごろ心がけているわけでございます。それにつきまして現場の施設つまり在外公館あるいは大使、総領事の公邸というものを整備強化していくことによって、この外交実施体制そのものが強化される、かような認識のもとに例年この予算要求をさせていただいているわけであります。今御指摘のとおり、国有化率というのがまだまだ私どもの満足し得る状況に達しているとは申せません。私どもの施設を国自身が持ち、それによって事務の効率化を図り、あるいは機密の保全を高めていくということが極めて重要かと思っております。そういう認識のもとで、私どもとしても、今後一層我々自身の手で施設を保有していくということを心がけてまいりたい、かように思っております。
○渡部(一)分科員 在外の公邸における備品というものを拝見しておりますと、昔は大使が御自分の所有物であったという時代があったのだそうであります。最近は多少整備はされている御様子でございますが、本省のエリートとして進んで在外勤務をしてない人に限って美術品なんというのは持ち合わせていない。そうすると、優秀な大使が赴任したときには公邸の中ががらんどうになるという傾向はいまだに同じである。むしろ無能な人に限ってそこらじゅうで何か買い集めてくる。公邸の中はひどく設備が立派である。だから、日本の大使館の中というのは、じろっと見て絵のたくさんあるところは実力がないなどというやじが行われておる。こういうあほなことはもうやめられた方がいいのではないか。そういう絵なんか何を飾ろうかとか、置物に何を飾ろうかなどということに大使が関心を示し過ぎる、示さざるを得ない状況というものは余り感心した事態ではないと私は思います。また、米国等においては国立美術館等がバックアップをして出しているそうでありますが、我が国においてはその辺の交流、話し合いができていないものだから、我が国の資産がそういうところへ飾られることがない。また、保険料の問題もある。 もう一つは、公邸の料理人でありますが、大使にお会いして、悩みは何かと聞くと、何と料理人がないということが一番出てくる。大使はコックを自分の経費で連れていかなければならない。そのコックは、和食のコックであると同時に現地の食事もできるコックでなければならない。最近においては、日本人の雇用費用というものが非常に上昇しているために、これに対して適切な人を選べない。あるケースでは、用意していた人が月百万円出して来てくれないという状況まで招いておる。そうすると、大使が優雅にコックを連れて赴任するなどという状況ではなくなってきたことを示しているのではないか。これは制度自体を変えて、そこまで含んで、公邸に配置されている職員と同じ待遇にしてこうしたものを配慮すべきではないか。外務省自身が判断すべきではないかと思うのでございますが、いかがでしょうか。 また、絵画なんかに至っては、ある地域では全く足りないけれども、ある地域ではうなるほどある。絵というものは必ず数カ月たったら回さなければ、絵の波及効果というか印象度というのは極めて激減するものであるから、絵画、備品等は世界的に回転させることがいかがかと思うのに、あ る大使館では二十年間同じつまらない絵が入り口にかかっておる。どこの大使館かは申し上げるに忍びないけれども、本当に日本国の文化的水準が最低レベルであるということを表示するために飾ってあるとしか思えないようなものまである。いかがでございますか。
○佐藤(嘉)政府委員 先生ただいま御指摘のとおり、我々の在外公館の中でも大使の公邸あるいは総領事の公邸というのは、外交の活躍の場としては極めて重要な場になっているわけでございます。後ほど御説明をさせていただきたいと思いますが、それは単に任国の政府の高官あるいは民間の有力者等をお招きをして懇談をする、あるいは食事をともにするといういわゆる外交上の社交の場であると同時に、そこに飾られている絵画、装飾物等についてそれなりの目をかけていただける場でございます。そういう意味で、公邸に附属いたします美術品あるいは公邸の料理人の問題というのは、私どもといたしましては外交を支えていく上で大変重要な要素であろうというふうに思っております。すなわち、我々の国力にふさわしい在外使臣の公邸が、物的にもあるいは差し上げる食事の面でもきちんとするということが日本に対する評価につながっていくのであろう、かように思うわけでございます。私どもとしても、装飾品である美術品であるとかその他の装飾品といった施設につきましてだんだん整備をしてまいっているわけであります。十分かと言われれば、なお改善を加えていかなければならないというふうに思ってはおるわけであります。我々としては一層その点は努力したいと思います。 それから、コックというか料理人の問題でありますが、まさしく日本の生活水準が高くなっているということから、なかなか在外においでいただくだけの余裕がないという面もございます。我々としては、予算制度の面でそれなりの御支援をいただいているわけでありますけれども、今後ともこの面での改善を図り、我々の外交活動の柱としてまいりたい、かように思っております。
○渡部(一)分科員 すごい持って回った言い方をするのですね、本日は。まあそれは予算が足りないときょうは言えないのだろうけれども、あなたはもうふだんと全然違うじゃないですか。その言外のところを察してあげますけれども、僕が察したってしようがないんで、これは直すべきですよ。 それから、その次に、在勤法が為替の激変に柔軟に対応できるようにしなければいけない。これは私が昔取り上げたことがあります。そのときにルールができ上がりまして、緊急時には一年に二回為替レートを変えるというルールができ上がりました。私は最近また見ておりまして、こういうことを言う人がいないので、私はもう一回申し上げるのですが、為替が急速度に二分の一に落ちたり、三〇%や四〇%ざらに変動するわけですね。これは悪いと言ってもいいと言ってもどうしようもない。この在勤法が為替の激変に対応できるようなシステムというのは、現在のように年度内で二回は変動させるとか、IMFの統計によるとかというものではなくて、もう少し機動的なやり方を導入する必要があるのではないかと私は思います。会計法上その他では非常にやりにくいことはわかっておりますが、おかしなことがたくさんある。 例えば激変して見る見る減っていくのがわかっているし、最近は為替先物相場を使えば、逆張りをすればそれが保証されるくらいのことは個人でもわかっているにもかかわらず、我が方の為替レートが見る見る激変していくのを見ながらその地域で待っているケースがある。逆に、ひどくその地域において自分の収入というものが、本国の日本の方へ送金しなければならない事態になった場合に、自分の家族に送る分が極めて減ってしまうなどというケースも生ずる場合がある。館員の要求はさまざまであります。プラスの方向もあればマイナスの方向もある。そういうのに対して細やかな操作ができないと、館員が浮き足立ってくる。私はその例を幾つか見ておる一人であります。 例えばイギリス等におきましては、日本の公館員に対して、家賃を払う場合に円建て払い、ドル建て払い、それから共通通貨払いと、三通りを分けておって、そのうち一番値の高いので払ってくださいなどというのをイギリスの下宿屋のおかみが言うというほど為替レートがはっきりしておる。また、あるエリアにおきましては、これはほかの国のケースでありますけれども、為替の先物相場を扱う企業に対して、これは日本の企業でありますが、そこへ電話をかけてきて、自分の館に払い込まれるその国の通貨を円建てで受け取るのか、自国通貨で受け取るのか、あるいはドルで受けるのかを、同じような収益で入るように、下がった場合の逆張りを為替で行うことによって保証してもらいたいと申し入れがあった。我が国の企業は既にそれを引き受けたという実績があります。 それらのところでは言っているのでありますが、どうして日本の外務省は頼んでこないのかね、頼んでくれば月給があんなに下がるのをほっておかなくても済むのにねと叫んでおるわけであります。この辺まで含んで、為替の激変に柔軟に対処する。職員に余り衝撃を与えない。職員にやたらと波動を与えるということは余りいいことではない。我が国の情報に対してもマイナスである。自分の国を誇れない大使館員などというものは、働くレベルが低下するのではないか。この辺いかがですか。
○佐藤(嘉)政府委員 先生御指摘のとおり、為替の相場の変動に伴って我々の給与体制をどう扱うかということについては、それなりの制度ができていることは御案内のとおりでございます。国際金融の専門家であられる先生にお答えするのは恐縮でありますが、先物市場の問題をこの予算制度の中でどう理解をしていくか、技術的にも、あるいは思想的にもかなり難しい側面が現状においてはあるのではないかということは、残念ながら申し上げざるを得ないかと思いますが、ただいま御指摘いただきました点については、私どもとしても何とか克服をしていかなければならないか、かように思う次第でございます。
○渡部(一)分科員 昨日御説明をいただきまして改めて再認識したのでございますけれども、日本とアメリカとECのGNPは、八八年現在で、日本が二兆八千六百億ドル、米国が四兆八千八百億ドル、ECが四兆六千七百億ドル、大体五、五、三の比率になっておると言っておられました。また、日本の対外純資産の残り方というものも急上昇にふえておるのでありまして、それに対応してアメリカの対外資産残高というのは減っておる。この調子でいきますと、一兆ドルの落差というものが今生じようとしておる。また、海外の渡航者の数が物すごくふえてきて、現在においては約一千万人の海外渡航者を日本は受けるようになった。 そのときに当たりまして、外交官の数というものが極端に少ない。米国では一万六千人、英国においては八千人、フランスにおいては七千五百人、西独においては六千五百人、イタリアにおいては四千八百人なのに、我が方は本省、在外を合わせて四千三百二十八人であるという報告が行われております。また、外交拠点につきましても、米国は百五十三もあるのに、我が方は大使館、代表部で百十三しかない。こういうひどい落差がある。日本外交というのは外交の形になっていない。発展途上国型の配置しかしていない。そういうのを、人数が少なくて頑張ることが美徳だと思っておられる幹部がたくさんいるのではないかと私は思うのですね。 人数が少なくて資材がぼろくていい仕事ができて美徳だというのはわかる。しかし、世の中では、人数が少なくて金が少なくてシステムがだめならだめなんです。要するにそういうところはろくな仕事ができないというのがついてくる。むしろ、そのような状況をつくり出しておいて外交をやれなんて言われたら、できないと強烈に外務省が叫ぶことが大事ではないのか。大蔵省のように現金だけ握っている官庁なら、外務省の予算を削りに削ることによって位が上がるだろう、きっと。だけれども、外務省においては、自分の予算をふや す能力がなければ、それはそのまま外交体制の不備につながる。 高名な医学者であられる大臣は、人数とそういう資材の仕事にもたらす相関関係については、恐らく医学的なお立場からもよくおわかりのことではないかと私は思うのですが、これはどうしてこんなに少ないのか。どうしてこれを広げようとしないのか。日米構造協議のようなむちゃくちゃなものが生ずると、それだけでも千人からの人数が別に引きずり出されてしまって収拾がつかなくなってしまう。朝から晩まで、夜中まで電気が消えることのない霞が関なんというのは、僕は働いている立派な日本外務省とは思えない。システムの配置が全くめちゃくちゃで、そして何も役に立たないところばかり人員配置して、一番働くところには重労働を課して、それも頭脳労働を課して、倒れるまでこき使うなどというシステムを放置している姿が外務省の夜中の電気にあらわれておる。 きょうは外務省に優しいことばかり言うておるようですが、ふだん強烈に締め上げておりますので、きょうは特に申し上げるわけです。何でこんなに資材とか人員を一生懸命とろうという気を起こさないのか、そこが私は重大な問題だと思うが、その点いかがですか。 やりようによっては幾らでもあると思う。だって防衛庁は二十三万いるじゃないですか。言っては悪いけれども、あんなものは役に立ってないじゃありませんか。日米が戦争するときは自衛隊の人数をふやすのもいいかもしれない。だけれども、日米は構造協議という壮烈なやつをやっているときに、自衛隊から一万や二万人借りたっていいではないかと私は思うのですね、数の比率からいえば。その省庁間交流もやろうとしない、各省庁から借りてこようともしない、総定員法の枠組みを直そうとしない、それは外交をやる気がないと思われても仕方がないと私は思うのです。その辺いかがですか。
○佐藤(嘉)政府委員 先生には日ごろから外交問題につきまして御指導いただいているわけでありますけれども、私どもといたしましては、外交実施体制の強化、すなわち人的な強化あるいは物的な強化ということは先生と同様な気持ちで対応しているつもりでございます。これをどういう方法でどういう規模に持っていくのが我々外務省員としてあるべき姿かということについて、それなりのビジョンというものも持っているつもりであります。予算折衝というなかなか難しい局面の中で、我々としてもまた御支援をいただきながら対応してまいりたい、こう思っている次第でございます。
○中山国務大臣 委員から外務省の機構、人員等について極めて有効な御指摘をいただきまして心から御礼を申し上げたいと思います。 実は私も就任以来、外務省の人員、機構等については、新しい時代に向かって日本が経済国家として活動をしていくのに外交がやはり国の大きな柱であるということで、この機構、人員の充実のために、今年度の概算要求については積極的に外務省としての意見を出さなければならない。これはつい先日も私、メキシコから帰ってきた日に官房長にも言ったところでありますけれども、私は率直に先生から御指摘のとおりだと思います。 先日のヨーロッパの激動が起こりまして、先生もよく歩いていらっしゃるので御存じでしょうが、皆モスクワを見て、モスクワでの方向で大体東欧諸国の動きがわかったというのが従来の東ヨーロッパの姿でありましたが、今日のような結果になってまいりますと、人手が足りない、大使館に十三人しか人がいないというようなことで、これから例えば環境のための技術協力をするとか、情報の収集とかというものにとってはとても人手が不足であるということは、私は担当の大臣としてきょうは率直に御答弁を申し上げておきたいと思います。 ぜひひとつ先生にも一段の御協力を願いまして、国民全体の大きな問題でございますので、この外務省の機構、人員の抜本的な向上というものをぜひこの際は努力しなければ、夜中の午前五時まで普通の人たちが働いているということ自体が外務省だけの姿ではないか、異常なことになっておると私は思っております。
○渡部(一)分科員 ただいまの御答弁の方向に海部内閣が動けば、私は大変ありがたいことだと思うのですが、もう本当になっていない。 大蔵省の国税庁の職員の人員増加について、私はかなり発言した一人でありますし、大蔵委員会で九回、十回にわたって決議をした張本人の一人でもございます。税金を取られるのは余りありがたくないのですけれども、税務行政が滞ると物すごく不公平なことになる。不公平なことになったときの衝撃というものは国民全体に甚だ大きな打撃を与える、民主政治まで打撃を与えるというので頑張って広げてきたわけです。 その間に、人数も膨らみましたけれども、実を言いますと号俸も上げたのです。これほど緊急なポストのところは人数をふやしてもだめなポストがある。そこは、号俸の変更も含めてその辺も考えられた方が現実的だと私は思うのです。実際には、人数をふやして処理できる面と、人数をふやしても結局、判断する部局というのは少人数になってしまうのはわかっていますから、それもお考えになってはいかがか。私はあわせて御助言申し上げておきたいと思うのです。 最後に、ちょっと時間がないのですけれども、嫌みたっぷりなことを言わなければならない。それは、最近の外交というのは素人が発言する能力のあるものです。ですから、素人が言わなければゆがむケースもある。だから、外交に対して人の意見をたくさん聴取するのはいいことなのですが、最近まずいのは、北方領土それからODAの二つです。もう、すごくまずい。何がまずいか、さんざん四か二かでやってこられただろうから私は余り申しませんけれども、ひど過ぎる。 その一つのことは、この間からやっているナルマダダム、インドの円借款。これは御説明もいろいろ伺いましたし、情報も伺わしていただいたのだけれども、このナルマダダムをやっていてわかることは、先方政府の方が選挙があって態度が大幅に変更しておる。そして、当初契約を執行することについて先方政府が喜んでいるのか喜んでいないのかわからないという重要な状況がある。まさに外交問題であると私は思います。その上に、住民が日本にやってきて運動されておる。私はこの状況は余りいいスタイルではないと思う。当該政府が日本に対して意見を言うべきです。 しかしながら、この問題が起こった以上やっておかなければならないのは、我が国において援助行政は専門的に取り扱う部局というものが十六、十七省庁にまたがってばらばらになっておる。確かに経済協力局は駆けずり回って各省庁の意見をかき集めてくるけれども、これでは外交執行ができないのではないか。例えば、カナダにおいては国際開発庁、CIDAがある。アメリカにおいてはアメリカ国際開発庁、USAIDがある。イギリスでは海外開発庁、ODAがある。西ドイツでは経済協力省、BMZがある。こういうものを考えるならば、海外援助庁とでもいうべきものを我が国もつくっておかなければならない。各省庁が勝手にやるのを最後に取りまとめてバランスをとりながらやるという識見のないことでは、こういう急速に相手側の態度が変わったり、政変が起こったり、内乱が起こったりすると、援助がおかしなことになる。 またもう一つまずいのは、最近環境保全援助という考え方がすごく生じていて、環境保全の、環境アセスメントをやったプロジェクトを出すということが常識化されているのに、日本のそれはまだ十分浸透していない。これは各省庁の意思に任せられている。これもまずい。 その辺を考えますと、これはODAに対しては、今までのように少額であったら、ばらばらにやっておって外務省が取りまとめ役程度でもいいのかもしれないけれども、その時期は過ぎたのではないか。要するに、一本化してそして調整して、今度は指導して実行する機関をつくる方向へ進むのが妥当なのではないか、そういう時期が来たので はないかと私は思っているのです。これを何とかひとつお答えをいただきたい。 時間がないので、もう一緒に申し上げます。北方領土です。 北方領土において自民党の偉い人が発言した。せっかく四島返還で国会決議までやってまとめているものを、べらべら軽率に言ってもらいたくない。しかも、その日の新聞には、北方領土は二島でも買っていいという大見出しがあって、その方がその下の方で何を言っているかというと、海部首相の再続投を支持するというでかい字が載っておる。海部さんは記者に取り囲まれて、その前の話を聞かれたら悪い顔をして、後ろの話を聞いたら急ににっこりした。この指導力のなさ、海部外交の見本みたいな一瞬であったと批評されているわけです。 私は嫌になってしまう。外交は一本化しなければいけない。一本化した上で、外務大臣を中心として的確な態度をとり続けなければいけない。特にソビエトに対しては、言ったことが軽率に変わるというのは、交渉者の交渉能力を最低なところまで引き下げてしまう。これは今までのあらゆる過去の努力を全部ぶっつぶしてしまう。私は恐るべき状況だったと思うのです。 それで、やむを得ないので私はこの問題について申し上げるのですけれども、外務大臣に、ここで重ねて北方領土の問題に対する御見識、日本国の方針はこれです、一人や二人が自由に何かを言ったとしても、それは問題ではありませんと述べていただかなければならない。しかし、ソビエトはそう思っていない。ソビエトはこれに注目して、外交場裏で何十回も攻撃して足がかりにするだろうと私は思う。その残念な傷を今はぬぐわなければならないと思うのです。 ですから、両方とも外交一元化の問題において私は申しましたが、この二つのテーマについてできる限り御返事をしていただきたいと存じます。特に大臣の答弁は私どもの機関紙には多く書かせていただきます。だから、がっきりおっしゃっていただきたいと思います。
○中山国務大臣 委員から外交の一元化は国家の外交の基本であるという御指摘は、まことにありがたい御意見であると考えております。これから多極化してくる国際情勢の中で、いかに国の安全、繁栄を維持していくかということは、一にかかって私は外交が正しく行われていくということにその大きな基盤があるということを認識しております。 特に領土問題に関しましては、委員御指摘のように、我が国の古来の領土である北方四島を一括返還をする、そしてその後平和条約を締結するということが国民の一致した願望でございます。そういう意味で、私どもは、この四島の一括返還という政府の立場はいささかも変わっておりません。 第二点として、五十六年に既にソ連政府は二島の引き渡しを我が方に約束をしております。四島の返還こそが領土問題の基本であります。二島でとりあえずというようなことで合意をするというような選択肢は全くございません。御指摘のとおり四島一括返還こそ我が国が貫くべき基本的な考えでありまして、国民世論の一致した対ソ対応が今ほど強く求められているときはないと考えております。この私どもの考え方は変わるものではございませんで、各党の一致した国会のたび重なる御決議を踏まえながら、私どもとしてはこの領土問題の解決に真剣に取り組んでいく、このような考えでおります。 第一点の問題に関しましては、ODA等につきましても国民の間にいろいろと不明な点が多いという御懸念、私もよく存じております。私は就任以来、ODAへの国民の理解をいかに求めていくかということに、微力でございますがみずから腐心をしているところでございます。 特に私は最後にお願いをしておきたいことは、この外務省の人員問題はやはり基本的に大きな問題を抱えているというふうに考えておりまして、現実に在外公館をお歩きいただき、現地の職員から御意見を聞いておられる委員の御指摘は全くそのとおりである。私どもは、各党の御支持を得ながら新しい時代へ外務省が対応できるような人員を整備しなければならないという考え方で今年は臨んでまいりたい、このように考えておりますので、御支援のほどをお願い申し上げておきたいと思います。
○渡部(一)分科員 では、結構です。
○町村主査代理 これにて渡部一郎君の質疑は終了いたしました。 次に、小森龍邦君。
○小森分科員 おはようございます。私は、人種差別撤廃条約にかかわる問題、さらに国際人権規約の選択議定書に関する問題等につきましてお尋ねをしたいと思います。 まず、今日、我が国外務省における人種差別撤廃条約批准に向けての作業はどの辺まで進行しておるのであろうか、そこのところをお聞かせいただきたいと思います。
○赤尾政府委員 外務省におきましては、この人種差別撤廃条約の締結につきまして、特にこの条約が規定いたします処罰義務に関する規定と、我が国の憲法上の規定、特に表現の自由等に関する規定との関係をいかに調整するかという点を中心に検討を行っている状況でございます。
○小森分科員 それは相当以前から私はお聞きをしておるわけでありまして、いずれかに結論は出なければならぬと思うのでありますが、どういうわけでそのことに今日まで手間取るのであろうかということを私は強く疑問として持ちます。 我が国のみならず、世界のおよそ先進民主主義国家と言われる国におきましては、言論の自由というようなことを高く標榜しておる国がずらりと並んでおるわけでありまして、そのずらりと並んでおる国がそういうことを問題にせず、人種差別撤廃条約を批准し、さらに国内法を整備しておる、相当数に及んでおると思いますけれども、外務省はどの程度に把握されておるかわかりませんが、後ほどそれもお聞かせいただきたいと思います。 つまり、私がお尋ねをしたいのは、そういうふうに世界の各国がその問題については結論めいたものを出しておるのに、なぜ日本はその点についていつまでも手間取るのか、どういう点が人間の言論の自由とかということと抵触するのかということをもう少しお聞かせいただきたいと思います。
○赤尾政府委員 ただいま先生の御質問の、具体的にどういうところが問題かということでございますが、人種差別撤廃条約の特に第四条と我が国憲法の基本的人権との関係が一番慎重な検討を要する点でございます。 具体的に申し上げますと、四条におきましては、人種的優越または憎悪に基づく思想のあらゆる流布でありますとか、人種的差別の扇動でありますとか、あるいは人種差別を助長し扇動する団体並びに組織的及びその他のすべての宣伝活動等を行う団体に参加すること自体がすべて処罰されるということでございます。以上が人種差別撤廃条約第四条の規定でございます。他方、日本国憲法におきましては、第十九条において「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」という規定でありますとか、第二十一条におきまして「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」という規定がございまして、これをどのように調和させるか、調整するかというのが最大の課題でございます。
○小森分科員 どうも私はそれは不可解でならぬのでありますが、今日の近代的な合理的精神に基づいて運営されておる世界のほとんどの国々の物の考え方、具体的にはフランスの市民革命のときの精神、そういうものからいたしますと、人を侮辱し、差別をし、しかもその差別することを公然とそれは社会的に認められるべきだと扇動する、そういうふうなものを放置しておく、なぜ放置しておかなければならぬか。憲法が想定しておるのは、お互いの個人の人権の尊重というものを守るための自由ということが前提なのであります。その自由を破壊するようなそういう自由を認めると いうことは、私は民主主義には許されないと思いますが、それはどうなのですか。例えば長崎市長の問題、どうなのですか。
○福田(博)政府委員 この人種差別条約、ただいま先生がおっしゃいましたとおり、そういう差別というものはなくしていかなければいけない、そのためにすべての国が努力するという思想については、それは全くおっしゃるとおり、政府としても世界じゅうの国々がそうあるべきである、そういうような国際約束があればできるだけ入るべきである、そういう考え方にはもちろん賛成でございます。 ただし、問題は、そういう差別を禁止するあるいは第四条のような具体的な規定がある、それがあった場合に国内法との整合性の問題においては、具体的に個人あるいは団体というようなものが一つの刑罰の構成要件に合致して処罰されるあるいは裁判を受ける、そういうようなことももちろんその人たちにとっては大変重要な基本的な人権でございます。そこら辺のところをどう整合させていくか、いろいろ大変多くの国がこの条約を批准しておりますけれども、それぞれの国の社会事情、歴史、法律的な考え方というものが違いますので、そこら辺は我が国の事情に応じてきちっとした体系ができるかどうか、そういうことを検討しているわけでございます。
○小森分科員 口の先で検討しておると言うて表現すれば、それは簡単なことなのでありますが、問題は、例えば先般ピストルを撃ち込まれた長崎市長の場合も、つまり日本政府の考え方からいったら外で騒いでおる間は自由だ、そういうことですね。だから結局、警察が後ろの方をついて歩いても、本当に物を考えたら、ちょっとした道路交通法違反とかあるいはビラの張り方で軽犯罪法違反とかで規制できるのだが、そういう規制もせずずっと野放しにしておいて、しかも片方では、今あなたがおっしゃるようにそういう宣伝をしておる間は自由だ、それはもう私は大問題だと思うのです。あなたの考えと私は同調できないのだけれども、しかし、あなたの言われる、言っておる間は自由だということの次の動作はピストルでしょう。だったら、それはその前の段階で世界的な動きに同調した態度を我が国政府がとるのは当然ではないですか。
○福田(博)政府委員 ただいま本島長崎市長のケースを引用されましたが、あの方は大変ひどい目に遭われたわけで、犯人は現在国内にある刑事、刑法関係規定によって厳重に処罰されるべきであるということは思っておりますが、市長の発言が人種差別的なものに起因してこの犯罪に至ったかどうか、その点は私ちょっとつまびらかにしておりません。
○小森分科員 議論というものはもちろん人種差別の問題で言っておるのだが、言論の自由という形式の問題であなた方の方がこれは難しいと言われるから、私は言論の自由の問題のことを例に出したわけなのです。しかし、それは差別の問題かどうかといったら、一方、生まれながらにして天皇になった人の問題、天皇制の問題というのは、これは一種の封建的な身分秩序ですよ。ただ、それを戦後の我が国の憲法で一応ああいう形で、いろいろな国際的な関係もあって一応ああいう形で認めておる。しかし、それは改正するまではそれなりの処遇をしなければいかぬでしょう。だから、それについてとやかく言うのではありませんけれども、天皇のことについて批判をしたらすぐにああいう形に出てくるということは、一種の裏返しの人間差別の問題ですよ。 だから、そこを私は今議論しようとしておるのではなくて、片方の言論の自由を片方がまた言論の自由と言って騒ぐだけならそれでよいでしょう。しかし、その騒ぐことがついにピストルに至るということになれば、やはり人の言論の自由について、いろいろな機関を通じて平穏にやるならいいけれども、大きなバスでずらりと立って交通渋滞を来すようなことをして、そして威圧して、そういうことについては、言論の自由に名をかりた言論の自由に対する挑戦ではないですか。
○福田(博)政府委員 私なりに解釈いたせば、先生の御質問は、言論の自由というものが基本的人権の一つとして保障されるべきである、したがって、ある特定の方が何か発言をされた場合に、それについて脅威というか脅迫というかそういうものが非常に明らかである場合に、その人の人権がどのように保障されていくか、言論の自由がどういうふうに保障されていくか、それを確保するのが近代社会の役目ではないかという御質問であると思います。 それはもちろん、人種差別等に限らず、すべての基本的な人権、個人の人権についてどのようにそれを確保していくか、公共の福祉等に配慮してどのようにそれを確保していくかということはいろいろな意見がありますが、それぞれの国の国内法の規律によって定められていくというのが現実でないかと思います。つまり、申し上げたいことは、それは条約の問題ではなくて、国内法制のあり方の話ではないかと思います。
○小森分科員 したがって、国内の条約の整備ができていないことを理由に、あるいは整備がなかなか進まないということを理由に、人種差別撤廃条約の批准を渋っておられるのだろうと思いますが、しかし、それは言論の自由を守るということをネックにされるのであったら、その言論の自由を守るということを頭に想定されておるもろもろの社会的な現象で、言論をそのことによって封殺しておるということを考えたら、もう少し突き進んだところで問題の解決の接点を求めなければならぬのではないか、それは世界の各国がそういう形で求めておるではないか、こういうことを私は言いたいのであります。 結局、外務省は、そういう点について外務省自体が国内法の整備をなさるのではない、他の省庁にかかわることだと思いますが、他の省庁とどういうふうな話し合いをされておるのですか。あなたのところの独自の考え方で、いや、世界は、よその国は皆やっているけれども、日本の国には日本の国の考え方があるのだと言って、言論を抑圧する言論の自由も認めるという方へ外務省は加担されるのですか。
○赤尾政府委員 この問題につきましては、ただいま先生からも御指摘がございましたように、外務省だけで判断する問題ではなく、国内のいろいろな法制度の問題との関係もございますので、関係のある省庁と緊密に協議をしつつ進める必要がありますし、実際に協議をしております。
○小森分科員 そうすると、時間の関係がありますので、外務省へのお尋ねは、この問題についてはやむなくこの程度にさせていただきます。 ただし、外務省に私が申し上げておきたいと思いますのは、一九八三年に、スイスの国連欧州本部で私は千葉国連大使とお会いしました。そして、千葉大使が演説をされたのを私は聞いておりました。私はここにその原文を翻訳したものを持っておりますけれども、ごく簡単に申しますと、人種差別撤廃条約について将来加盟することを検討しております、しかも、「これら条約の概念を精神において、また実行において堅持しております。」と。だから、人種差別撤廃条約の精神に賛成、しかも、その精神の最も焦点となるのは、世界各国で議論されて、しかし世界の多くの国はそれをクリアしておる、今お話しになっております第四条でしょう。だから、国際的にこれはある意味での日本政府の意思表示なんであります。そういう点を外務省は踏まえて、今後もこの問題の解決のために速やかに各省庁間の連絡を進めていただきたい、こう思います。 したがって、これは恐らく法務省だと思いますので、法務省の関係者の方にお尋ねしますが、法務省としてはどういうお考えなんですか。
○馬場説明員 お尋ねの点でございますけれども、私ども法務省といたしましても、この点につきまして先ほど外務省の条約局長あるいは国連局長が御答弁になりましたような観点、同じように問題があるということはわかっております。一方で、その趣旨も十分理解しているところでございまして、仮に条約が言っている処罰義務、これを 満たすためにはどのような国内的な立法措置が可能かということにつきまして引き続き検討しているところでございますし、今後とも検討してまいりたいというふうに考えております。
○小森分科員 そういう答弁は抽象的なことで、言葉としてはつながってこの三十分間をある程度時間的に埋めることはできるのですよ。けれども、それは一歩も前進にならないのですね。 私が言っておるのは、今外務省とのこの議論でお聞き取りをいただいてわかっていただいたと思いますけれども、言論の自由というものを守る、言論の自由を保障する、その保障されているはずの言論が脅かされるような言論、その中に、ほっておいたら、例えば人を差別するのは当たり前じゃないか、それは人種差別にかかわってきますよ。しかし、この人種差別撤廃条約というのは、単なる常識的に言う人種の問題じゃないでしょう。あらゆる形態の人間差別のことを人種差別と言っておるわけでしょう。そうすると、我が国においては部落差別もあれば、アイヌの差別もあれば、障害者の差別もあれば、在日韓国・朝鮮人に対する差別もあれば――この間も在日韓国・朝鮮人に対する何か大変な仕打ちが高校生の間であったらしいじゃないですか。 そういうふうなことをきちっと整理するために、少なくともそういう差別はいけないという主張に対して、差別した者がどうしたんならとこういう形で、それで、自分らがそういう言論のやりとりだけでうまく自分の意を遂げられないと思ったら実力行使に出て、ピストルでも撃つというようなことになるということを、それはそういうものの自由も考慮しておるのだということになったら、極端に言うと、人を殺す自由だって自由を守らなければいけぬことになりますよ。 もう一度答えてください。
○馬場説明員 委員の御指摘の部分につきまして、現在、その人種差別撤廃条約が処罰義務を課しておる部分につきましても、現在ございます刑法の中で、例えば有形力の行使、暴行あるいは害悪の告知、脅迫、こういう形をとってあらわれたもの、それは処罰できるわけでございます。 ですから、委員がおっしゃったように、いろいろな発言の最後に、実際に行為に及んだというときは現行刑法で十分対処できますし、現にしているというふうに思うわけでございます。
○小森分科員 これは殺されなかったからいいですよ、長崎市長、いやこれは命を落とさなければいいがなと、私はテレビで見た瞬間に思ったのですよ。しかし、死ななかったからよかった。しかし、今まで政治家の中には死んだ人もおるでしょう。例えば私どもの党の浅沼委員長、そうでしょう。 つまり、ここの寸前まではどうも言論の自由で仕方がないんだというような態度をとることによって、そこで防備の完全を期すというのならよいですよ。しかし、防備の完全は期せられないでしょう。だからいろいろな事件が起きてくるわけでしょう。テロ事件が起きてくるわけでしょう。したがって、世界の国々はそこをおもんぱかって規制、そういう宣伝のときから規制をする、そんなものは宣伝をしたところで世の中の進歩の発展のためには百害あって一利なしですから、だからそれを規制する、こういうふうになっておるわけなんで、だから私はこういうことを法務省に言っておきますよ。法務省は有形的な状況が起きたときには今の刑法で処罰される、こういうことを片方では言うわけでしょう。片方では、人権侵害については法務省人権擁護局というものがあって万全を期しますと言っているわけでしょう。万全を期していないんですよ。私は法務委員ですから法務大臣にいろいろ言いますけれども、万全を期していないのがたくさんあるのですよ。法務省人権侵犯処理規程か、これなんか、もう本当、人権侵犯を処理するというたところでほとんど効果を持ちませんよ。差別されれば差別されっ放し、やられればやられっ放し、こういうことになっているのです。だから、私は、邪推をしているのかもわかりませんけれども、法務省が現在の状況で差別ということに対してしっかりした啓発をようやらない、しっかりした処理をようやらないことについて、人種差別撤廃条約は規制をしなさいと言うておる。また、国内にあっても規制をしなさいということを主張しておる者がおる。それに対して後ろ向きの抵抗というか、自分たちの行政的なふがいなさを何か正当な法理論で実はやっておるんだと言わんばかりの態度に出ておると私は思います。その点は、きょうは私は意見として申し上げておきますので、これから外務省と打ち合わせをされる場合に、そういう意見を持つ者もおるということを頭に入れてひとつ打ち合わせをしていただきたいと思います。 次に、選択議定書の問題に移らせていただきます。 選択議定書の問題については、私の調査によりますと、人権規約を批准しておる国の半数を超えて大体もう六割方ぐらいが選択議定書を批准しておるのではないかと思いますが、我が国のこれに対する今日時点における考え方はいかがでしょうか。
○赤尾政府委員 国際人権規約B規約の選択議定書でございますけれども、先生も今言われましたとおり、ことしの四月現在で四十九カ国が締約国となっております。 ただ、我が国につきましては、こういう個人の通報に基づく人権侵害についての国際的な場での検討の制度、そういうことが実効性があるのかどうか、あるいは有効的であるかどうかという問題が第一。第二に、国内法の体系との関係等に配慮しながら検討を行っていく必要がある、例えば司法制度等の関係から見てどうかという点について検討する必要があると思っております。
○小森分科員 国内法との関係ということも言われるわけでありますし、同時にまた、個人が国連に通報してその効果がいかがなものかというような意味のことがございました。しかし、私はここで顕著に一つ例を挙げましょう。 例えば、中曽根元首相は、我が国には民族差別はない、つまりアイヌ民族、少数民族が存在することを否定したわけでしょう。ところが、その後、国連の人権小委員会へ報告された、つまり国際人権規約に基づいて報告されたのを見ると、アイヌ民族という、宗教、文化、歴史、伝統の異なる民族が我が国には存在するということを報告しているわけでしょう。私は知っていますけれども、国内にあっても、我々民族が存在しているよということを、東京でも会合を持ったのを私は知っていますよ。それから、アイヌのウタリ協会の会長がスイスまで行って、他の諸国の少数民族と一緒にいろいろな会議に参加してそのことを訴えた。つまり、国際的に問題を提起して初めて日本政府は、ずるずると、つまり世界に知らされた問題だけを明らかにする、こういう態度に出ておるでしょう。だから、通報するのは、簡単な方法で通報すれば、我が国政府が仮に知らないこと、あるいは気づかないことだってちゃんと気づかさせてもらうんだから、まともな施策ができるわけですから、かえってよいんじゃないですか。
○福田(博)政府委員 ただいま先生のお尋ねのお話は、我が国が五年ごとにやっております第二十七条に基づく報告であると思います。 報告の第一回目と第二回目の表現が違うのではないかという御質問だと思いますが、これは、我が国が国連に対して報告いたしまして、そしてそれが公表されますとこれは公知の事実になるわけでございまして、国連に対する直接請求があるかどうかということと関係なく我が国の国内においても広く知られることになるわけでございます。その中の少数民族についての記述が違うのではないか、一回目と二回目で違ったのではないかというお尋ねであれば、これは実体的に中身はそう違わないわけでございますが、より誤解の少ない表現をしたわけでございまして、すなわち、差別されるという意味での少数民族という問題は日本にはない、ただ、もちろんウタリの人たちが独自の言語とか文化体系とかそういうことを持っているという意味においての少数民族ではないかという お尋ねであれば、それはそのとおりであるということでございます。
○小森分科員 だから、それをしも分析したら、今あなた自体も、独自の宗教、言語、文化を持つアイヌ民族が存在することは二回目の報告で認めておるから、それはここでも認められるわけですが、そのアイヌ民族が独自の宗教と言語、文化を持っているにもかかわらず、明治以後、民族の言葉は次第に消えかけておる。もうほとんど消えかけておる。そして高等学校進学率なども日本の一般的な平均に比べたら何十%も低い。それが差別の現実じゃないですか。だから、そういうふうな独自の宗教、言語、文化を持つと認めたが、権利は否定されていないという報告について、わかったら、国内でももちろん、それこそ言論の自由じゃないですか、国内でも言うが国際的な機関にも訴えておく、それが解決を早くする道じゃないですか。 私が言いたいのは、結局、人種差別撤廃条約の問題にしても、既に世界百数十カ国が批准をしておる、そして今お話によりますと四十九カ国が選択議定書の問題についても批准をしておる、なぜ日本が、これほどの経済的な体制を持って国家の骨組みもきちっとしている国が、なぜ人権の問題だけ世界におくれなければならぬのか、そこを聞きたいのですね。それはいかがですか。
○赤尾政府委員 全く繰り返しになって失礼でございますけれども、国内法体系との関連等も踏まえて慎重に検討しておるわけでございますが、今の議定書に入った場合どういうことになるかということでございますけれども、人権の侵害を受けたと考える個人がこの人権委員会に申し立てるに当たっては、まず第一に、利用し得るすべての国内的な救済措置を尽くす必要がある、その上でなお書面による通報を人権委員会が行うということになっておりますので、まず国内の救済制度を尽くすという道が開かれておることを申し上げたいと思います。
○小森分科員 国内の救済措置を尽くすといいましても、例えば先ほどの、法務省なんかは、現に部落地名総鑑なんかが流布されてまだ問題が解決していないのに部落地名総鑑の取り組み終了宣言というのをやるような省ですから、それが我が国の唯一の人権擁護機関ですからね。それからアイヌ民族の問題についても、そういうふうな差別が存在するということについて法務省自体はどういう救済措置をするかというたら、何にもやっていないのですからね。そして、今あなた言われたように、差別をされて、今の我が国の法律制度からいうたらどういう物質的な、物理的な痛みを感じましたか、どういう傷を受けましたか、これなら取り上げるけれども、その他の問題は取り上げませんよ。だからつまり、国際的なところへも訴え出られるように速やかに道を講ずれば、我が国自体の整備も次第に完備するのじゃないですか。これは、最後だから仕方がないからあなたの答えをいただかないことにしましょう。 外務大臣にちょっとお尋ねします。 外務大臣、実は、今私がずっといろいろなことを言っておるのは、我が国の前近代的な物の考え方とかそれを支える社会的な制度の影響だと思っているのです。そうすると、今盛んにアメリカとの間に議論をされておる日米経済構造協議、あの中に差別とか恣意とかいう言葉がたくさん出ています。アメリカが、日本の国のそういういわばおくれた前近代的な感覚から出てくる日本ではよかれと思ってやっておること、また、その中には日本のおくれた状況にマッチしてやむを得ずそうせざるを得ない問題も私はあると思いますけれども、日本ではよかれと思ってやっておることが、アメリカのような一七七六年に独立宣言を発したような、ある意味では民主主義を闘い取った伝統を持っておる国から見たら、これは非民主的じゃないか、前近代的じゃないかということが根底にあるのではないか。外務大臣、その点どう思われますか。
○中山国務大臣 アメリカは独立運動というものがあって、人権というものを非常に高く掲げた国家である。そういう国の国民の考え方の中に、やはり皆平等であるという感覚は基本的に存在していると私は認識をしております。
○小森分科員 だから、日米経済構造協議の問題で先方が恣意とか差別とかいう言葉を使っていますよ。あるいは、日本の行政の審議機関についても恣意的じゃないかというような意味のことを言っていますよ。それが今私が議論をしたようなことと関連があるのではないですかということを尋ねているのです。
○中山国務大臣 アメリカの政府が使ったその言葉については、私はその前後の文章の絡みでどう判断するか、現実問題としてここでお答えをするわけにはまいりませんけれども、私どもとしたら、みずからの国の問題としてそのような差別が行われないような社会を構築していかなければならない、このように考えております。
○小森分科員 これで終わります。
○町村主査代理 これにて小森龍邦君の質疑は終了いたしました。 次に、仙谷由人君。
○仙谷分科員 日本社会党の仙谷由人でございます。 今、小森議員からも、いわば日本の人権感覚あるいは日本の政府の外交姿勢の前提である人権問題についての所見を問うといいますか、そういう質疑がなされておったように伺っておったのですが、私も、今一方では日米構造協議という格好で、日本の民主主義、自由、人権というふうな考え方あるいは実態が、先進資本主義工業国と言われるヨーロッパ、アメリカ社会の人権、自由というふうなものと異質なのではないかという問題提起がなされておる。他方、本日の新聞報道を拝見しましても、在日韓国人三世の、朝鮮人の日本における諸権利をどう私どもが保障していくのか。在日韓国人の、在日朝鮮人の方々の処遇をどうするのかということが問われておるというふうに考えるわけでございます。それで、この問題は実は非常に前提的な問題であると同時に、これから日本が国際社会で憲法前文に書かれてありますように名誉ある地位を占められるのかどうなのかという点から考えますと重大な問題だというふうに考えまして、本日主として外務大臣に質問をさせていただきたいというふうに考えておるわけでございます。 まず第一番目に、本日、新聞報道で、在日韓国人の三世の問題につきまして大枠の方針を固めたというふうな報道がなされております。昨日の新聞報道では、昨夜急遽局長を、谷野さんというのですか、韓国の方に派遣をしたというふうなことが報道をされておるようでございます。きょうの新聞で、「在日韓国人三世の法的地位・待遇問題で大枠の方針を固めた。」こういう報道があるわけですが、その固まった内容を、概略で結構でございますけれどもまずお聞かせをいただきたいと思います。
○福田(博)政府委員 けさほども他の委員から御質問がございましたいわゆる三世の問題につきましては、あの方たちは、まだ生まれた方は四人しかおられませんが、まだ赤ちゃんでございます。その方たちの待遇をどういうふうに考えていくかという問題につきましては、この人たちが日本で生まれ、日本で育って、日本を生活の根拠にしていく人々であるという認識の上に立って、どういうことを考えるべきかということを目下鋭意検討中でございます。日韓間の法的地位協定に来年の一月までに協議を行うという規定もございますし、長期的な日本と韓国との間の友好的な関係にも重大な影響を及ぼす問題でございますので、鋭意検討中でございまして、韓国側からは九項目にわたって先方の要望が出てきていることは御承知のとおりでございますが、それぞれの問題につきまして確定的な方針が固まったという段階ではまだございませんので、それぞれの概略を報告せよという御要望ではございますけれども、現時点ではまだそれを申し上げる段階に至ってないということでございます。
○仙谷分科員 新聞報道等々で「三世に特別戸籍」 とか、指紋押捺の廃止とか、こういうことがなされるわけでございますけれども、そうしますと、これは外務省がまだここまで方針を固めたあるいは政府全体としてこういう方針が固まったということではないのでございますか。
○福田(博)政府委員 報道にいろいろなことが出ていることは、それはまさにそのとおりでございますが、よくごらんになりますと、毎日内容がそれぞれ違っていることにお気づきいただけると思います。外務省を初め、関係各省で鋭意検討しております。できるだけ早く関係者が納得する結論が得られるよう努力はしておりますが、意見がまとまったということではございません。
○仙谷分科員 話を先に進めますが、四月十八日の衆議院の外務委員会で中山大臣がサハリン残留韓国人問題について謝罪をされたというふうに聞いております、何かまだ議事録ができてないようでございますけれども。この謝罪をされた大臣でございますが、謝罪をするに至ったと申しますか、謝罪をするその基本的な大臣の認識を、歴史の認識ということになろうかと思いますが、お伺いをしたいと思います。
○中山国務大臣 さきの衆議院の外務委員会で、社会党の五十嵐委員の御質問に私はお答えをしたわけでありまして、戦前のいわゆる日本の政府が、現在の朝鮮半島から御本人の意思に反して強制的にサハリンに移住させられて、そして敗戦の結果、無条件降伏をした日本の政府が、この移住をさせた方々をもとの既に住まっておられた朝鮮半島に戻す手段もなくそのままそこに今日まで残留せなければならなかったということについては、私はまことに済まなかったと思っています、こういう答弁を申し上げたのであります。
○仙谷分科員 また、四月十八日の報道で私は知ったわけでございますが、四月十四日に韓国人被爆者らが来日をして長崎市役所で本島市長にお会いになった。その際、本島市長が「長い間、日本の植民地支配で皆さんに迷惑をかけた。非常に遅くなりましたが、謝罪を申し上げたい。韓国人被爆者は日本人以上に援護すべきだ」というふうに謝ったという報道がなされております。この本島市長の謝罪でございますけれども、これについての中山大臣の御所見と、そしてまた、今の御答弁でも、私の理解では、サハリン残留韓国人に対しては済まなかったというふうに大臣が謝罪された、謝罪の意を国会で答弁されたということなのですが、この韓国人被爆者の人たちについては、大臣、どういうふうにお考えになっておるのか、その点をお聞きいたしたいと思います。つまり、本島発言と、そもそも韓国人被爆者らに対して外務大臣としてどういうふうにお考えになっておるか。
○中山国務大臣 本島市長の御発言は、心情を率直に吐露されたものと理解をいたしております。 また、私がどのようにこの韓国人の被爆者の方々に対する感じを持っておるかというお尋ねであろうかと思いますが、私は、日本人であろうと韓国人であろうと、いわゆる原子爆弾の被害を受けられた、そして被爆後何十年もその放射能によって身体上の、精神的にも肉体的にもこの後遺症が残っているという方々については、まことにお気の毒だという気持ちを持っております。
○仙谷分科員 韓国人被爆者は日本人以上に援護すべきだ、その理由は、日本の植民地支配で皆さんに迷惑をかけた、つまり、被爆をしたことの原因が、強制連行であるとか、あるいは土地調査事業により土地を奪われて日本に来ざるを得なかったとか、そういういわば強制、半強制のもとに日本に、広島、長崎に居住せざるを得なかったために被爆をした。日本人の被爆者の方々も戦争の犠牲者として非常にその気の毒さというのは私も考えますけれども、より以上に、被爆をした契機が、日本の戦前の権力による強制あるいは半強制的な力によって連れてこられた、そこで被爆をした。そのことに、日本の現在の政治を担当する外務大臣という職にある方としていかがですか。やはり特段のお気持ちが、歴史的な認識があってしかるべきなのじゃないでしょうか。
○中山国務大臣 私は、率直に申し上げて、当時の政府によって強制的に連行されてこられた方々が不幸にして長崎あるいは広島等で被爆をされたという事実については、まことにお気の毒であるという気持ちであります。
○仙谷分科員 そこで、もう一つ話を進めたいと思うのでございますが、先般、東ドイツが自由選挙のもとに東ドイツ人民議会というふうなものを構成いたしました。そして、まず最初に、これは四月十二日ということでございますけれども、人民議会が「ユダヤ人に対する侮辱、迫害、殺害に共同の責任を負うことを認める。我々は悲しみと恥辱を感じ、ドイツの歴史に対するこの重荷を自らに受け入れる。」ということ、そしてまた「ドイツ人がソ連の人々に加えた恐ろしい苦しみを忘れていない。」さらにはチェコスロバキア侵略について「国際法違反を防ぐことをしなかった。」この「不正に対する許しをこう。」、こういう人民議会での声明がなされておるわけですが、この点について大臣は、一政治家としてでも結構でございますし、外務大臣としてでも結構でございます、どういうふうにお考えになりますか。
○中山国務大臣 今の先生のお話の、東ドイツ人民議会共同声明のことでございますね、これは、一政治家として率直に申し上げれば、ナチス時代にドイツ人が諸国民に与えた困苦に触れつつ、東独在住ドイツ人の歴史と将来に対する責任についての立場を表明したものであると思っており、同国の民主化を反映したものと認識をいたしております。とりわけ、同声明が改革以前の立場を改め、ユダヤ人迫害の責任を認めたこと、またプラハの春への出兵の責任を公式に認めたことは注目に値すると思っております。
○仙谷分科員 何か客観的な論評をされるんで、政治家として、外務大臣としての大臣の本音の部分を、いい格好しておるわいということなのか、政治はかくあらねばならない、政治家はこのような深刻な反省と陳謝の上に立たなければ侵略の歴史を清算することはできないんだ、あるいはそのことを絶えず心に刻みながらでないと政治をしてはならないんだというふうなところまでお考えなのか、それとも、まあこんなものはドイツのことだ、日本とは関係ないというふうにお考えになっておるのか、改めて御所見を伺いたいと思います。
○中山国務大臣 ドイツの過去の歴史、またヨーロッパの歴史を見て、あるいはまた世界の歴史を見ながら、侵略をする者、また侵略をされた民族、これがお互いに持つ長い恩讐というものは消えていかない、数世代続くものであるということは私よく認識をいたしております。そういう意味で、あの戦争が終わった後の日本の人々は、再びこのようなことがあってはならない、我々は平和国家を目指して生きていかなければならないという国民的なコンセンサスは既にでき上がっていると信じております。
○仙谷分科員 話を進めます。 外務大臣もドイツのワイツゼッカーという大統領を御存じだろうと思うのです。一九八五年の五月八日に、つまりドイツの終戦といいますか、戦争終結の記念日であるようでございますが、そこで演説をされたものが本になっております。お読みになったことがあると思います。この中で、例えば「罪の有無、老幼いずれを問わず、われわれ全員が過去を引き受けねばなりません。全員が過去からの帰結に関り合っており、過去に対する責任を負わされているのであります。」というようなくだりもございますけれども、このワイツゼッカー大統領の演説をお読みになって、日本の日韓併合から始まる朝鮮支配、これについて大臣はどのようにお考えになりますか。
○中山国務大臣 我が国の過去の歴史に対する認識は、昭和四十年の日韓共同コミュニケ、昭和四十七年の日中共同声明にも述べられておりますとおり、この気持ちには、考え方には何らの変わりもございません。我が国が過去において戦争を通じて近隣諸国等の国民に対し重大な損害を与えたことは事実であります。このような我が国の過去の行為において侵略的事実を否定することはでき ないものと考えております。また、我が国としては、かかる認識を踏まえ、平和への決意を新たにするとともに、このようなことを二度と起こさないよう、平和国家として世界の平和と安定のために貢献をしていく考え方でございます。 さきの大戦についての私の考えは、今御答弁を申し上げたとおり、軍国主義的による侵略であったということを認めたいと思います。
○仙谷分科員 例えば、昨年ですか、パチンコ疑惑をめぐって国会で論戦が行われて、その影響なのか影響がなかったのか、本質的な因果関係はわかりませんけれども、在日朝鮮人の子弟といいますか、生徒さんに対するいじめというふうなものがありました。それに対して海部首相は、僕がいじめたわけじゃない、こう言っておる。何か後に撤回されたやにも聞きますけれども、基本認識として、僕がいじめたわけじゃない、こう言っておるわけですが、この在日韓国人・朝鮮人の方々は、このワイツゼッカーの言葉をかりるならば、日韓併合がなければ、日本の朝鮮支配がなければ、あるいは強制連行がなければ、今の朝鮮半島の分裂状態というのもないわけでありますし、いじめもない。まさにそのことを認識する、そこからしか始まらないのではないかと思いますけれども、在日朝鮮人生徒に対する暴行というふうなものが起こったときに、外務大臣自身はどういうふうにお考えになりましたか。
○中山国務大臣 今お尋ねの学校等における在日朝鮮人の子弟に対する暴行というものはあってはならない。外国人子弟だけではなくて、学校における暴力行為というものには私は強い反発を持っておりまして、そういうことのない世界、特に日本におられる外国人の子弟、こういう方々に対するそういうふうないじめ等はあってはならないものだと私は考えております。
○仙谷分科員 もう少し哲学的といいますか、政治の基本姿勢についてお伺いしたいわけでありますけれども、時間がございませんので、先に進みたいと思います。 そうしますと、外務大臣のお言葉をかりれば、朝鮮に対する軍国主義的侵略ですか、これについて日本は謝罪は終わっておる、こういうふうに外務大臣はお考えですか。そして韓国の人々から、韓国政府から許されておる、こういうふうにお考えでしょうか。
○福田(博)政府委員 日本と韓国の関係はどうなっているかということを事務的に御説明いたしますと、二十五年前に国交正常化をいたしまして幾つかの条約を結んでおりますが、その中の基本となる条約に、日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約というのがございます。その前文に、「日本国及び大韓民国は、両国民間の関係の歴史的背景と、善隣関係及び主権の相互尊重の原則に基づく両国間の関係の正常化に対する相互の希望とを考慮し、両国の相互の福祉及び共通の利益の増進のため並びに国際の平和及び安全の維持のために、両国が国際連合憲章の原則に適合して緊密に協力することが重要であることを認め、」云々とありまして、この基本関係に関する条約を締結することに決定したと書いてございます。この精神に従って今両国関係は律せられているというのが条約的な基礎でございます。
○中山国務大臣 ただいま条約局長は、国家としての条約上のいわゆる経過を御答弁申し上げたものと思います。 私どもも政治家という立場で、これからの日韓関係が過去の悲しい歴史を何とかして乗り越えていかなければならない。こういう一つの大きな理想に向かってこれからの新しいページをめくるために、これから引き続き私どもは過去を振り返って、過去のみずからの犯した消えがたい歴史というものを頭に残しながら、新しい時代に向かって二つの国民が手を握って努力していかなければならない、このように考えております。
○仙谷分科員 今の大臣の御答弁はまあまあ心が感じられたわけですが、先ほどの外務省の方が基本条約ですべて済んでいるんだと言わんばかりの発言をされますと、私は非常に抵抗があるのでございます。その姿勢では、少なくとも韓国に住むあるいは朝鮮半島に住んでおる方々、在日朝鮮人・韓国人と言われる方々は白々しい気持ちになると思うのです。特に、両国の悲しい関係とか言いますと、悲しみを与えたのはだれだということを感じると思うのです。この問題は、偶然悲しみが降ってわいたわけではないのです。そのことが、例えば韓国の大統領盧泰愚さんが来日すると言われている問題がございます。ところが朝鮮日報、東亜日報等によりますと、日韓間で歴史の清算がまだなされていない、大統領、行くのは控えた方がいいのじゃないかという報道が韓国からなされております。 いかがですか。韓国の方々あるいは在日韓国人・朝鮮人の立場に立ってみて、いわゆる日韓間の歴史の清算がまだなされていない部分があるというふうにお考えになりませんか。そしてそれは、ワイツゼッカー大統領のような真摯な謝罪、あるいはブラントさんがポーランドに行って拝跪をして謝った、そういう真摯な姿勢が、日本の私も含めて国民に、政府に、彼らから見て感じ取れない、そのことが問題だというふうに大臣はお感じになりませんでしょうか。
○中山国務大臣 私ども政府という立場で、国際法規に基づいた条約とか、あるいはまた両国間の事務の問題、このような問題が厳存をし、あるいは解決がされていくという経過の中で、国としての法律的あるいは国際条約的な処理が終わっている、このような考え方が国家の行政機関として存在することは現実であろうと思います。しかし、少なくとも外交をお預りしている私としても、日本政府の一員として、精神的な、いわゆるこの方々の心の中にわだかまりがあるとすれば、そのわだかまりを取っていただくために、これらの方々に対して、過去の悲しい侵略という問題について、我々は心から謙虚に反省しなければならない、このように思っております。
○仙谷分科員 今の大臣の謙虚な反省を、盧泰愚大統領が来日するに際しまして、今までの私どもが見ると、ちょっと第三者的、客観的過ぎる意思表明を、突っ込んだ真摯な謝罪の公式の態度を表明するというお考えはありませんでしょうか。
○中山国務大臣 今私が御答弁申し上げておること、これが日本の外務大臣の率直な気持ちであります。御理解をいただきたいと思います。
○仙谷分科員 私は、この今の時点こそ、日本があるいは日本人が国際社会の中で名誉ある地位に近づけるかどうかの大きな分水嶺に差しかかっているというふうに考えます。その一つは、日韓併合に始まる朝鮮支配の問題である。このことの謝罪あるいは深刻な反省なくして、アジアの国の方々から尊敬される存在といいますか、対等の立場でつき合う存在にならないのではないかという気がしてしようがないのです。それで、やはり朝鮮に対する植民地支配、軍国主義的侵略、これに対する真摯な反省を国会で決議する、そういう決議をする必要があるのではないかと考えますけれども、外務大臣、いかがですか。
○中山国務大臣 私は、日本政府の閣僚の一人としての立場で、私の率直な気持ちを申し上げております。全国民を代表される国会において、そのようなお考えがもし行われるとすれば、それは将来の両国の友好と発展のために価値のあるものというふうに私は判断をいたします。
○仙谷分科員 どうもありがとうございました。終わります。
○町村主査代理 これにて仙谷由人君の質疑は終了いたしました。 次に、藤田スミ君。
○藤田(ス)分科員 私は、まず最初に、児童の権利に関する条約についてお伺いをいたします。 改めて言うまでもありませんが、昨年の十一月、国連で児童の権利条約が採択されました。既に三カ国が批准し、西ドイツ、フランス、イタリアを初め七十六の国が批准することを示す署名をしているわけであります。ユニセフは、条約の滑り出しとしてはとても高いレベルだ、世界的に関心の深いことを示していると大変喜ばれて、この条 約は年内には正式に発効することは確実だ、こう言われているわけであります。日本は「児童は、人として尊ばれる。児童は、社会の一員として重んぜられる。児童は、よい環境のなかで育てられる。」と子供の人権と養護を保障することを国民的な合意としてうたった児童憲章を世界に先駆けて一九五一年に定めております。大臣、だから、子供の権利条約の批准においても、日本が先駆けて批准をし、積極的な役割を果たすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○中山国務大臣 児童の権利条約を早期に批准せよという御趣旨かと思いますが、日本政府といたしましては、この条約の締結を目指して、現在、これを早期に締結するための努力をいたしておるところでございます。
○藤田(ス)分科員 早期に成立させるために努力をしているというお言葉、その言葉どおり受けとめたいと思いますけれども、女子差別撤廃条約と今回の児童の権利条約の動き方というものを私は比較をしてみたわけです。女子差別撤廃条約の場合は、国連の採択以降約三カ月で署名の開放、事実上ここから各国の動きが出るわけですが、開放が行われて、我が国は一カ月後に外務省が仮訳を出している。つまり条約を翻訳して政府が責任を持ったものを出しているわけです。署名の方は、開放後約四カ月と厳密に言えば十六日後に行っているわけであります。児童の権利条約の方は、国連の採択以降約二カ月で署名の開放になったのですが、その後もう三カ月もたっておりますが、仮訳も出されていません。ましてや意思決定についても、まだ進んでいるとはいえない、こういう状態であります。 このように、女子差別撤廃条約と比較してもおくれている原因は、一体何なんでしょうか。その点を明らかにしてください。
○赤尾政府委員 私たちが、特に女子差別撤廃条約に比べて、この児童の権利に関する条約を軽視しているということは全くございませんで、国連における審議の過程から、その内容につきまして一生懸命検討するとともに、私たちなりの意訳というのは行いつつ今作業をしているわけでございますけれども、どういう言葉を使ったらいいかという問題も含めて、今関係省庁間の会議を重ねながら鋭意検討しているということでございます。
○藤田(ス)分科員 大臣、ことしの九月にはニューヨークで世界の首脳が集まって子供のための世界のサミットも開くのだということが伝えられているわけです。私は、常識的に考えても、ここが一つのめどになる、批准ということにはならないとしても、批准をする意思決定ぐらいは、七十六カ国やっているわけですから、そこが一つのめどになると思います。この点いかがでしょうか。
○中山国務大臣 委員御指摘のとおり、政府としても、それを一つのめどとして考えております。
○藤田(ス)分科員 私は、条約が規定する子供の権利を広く国民に徹底させるためにも、また今大臣がお示しの、九月を一つのめどとするということならば、なおさら条約の翻訳を政府が一日も早く出して、国民的議論も大いに深めていく、広げていく、こういうことに貢献をしていただきたいということを述べておきたいと思います。 それでは次に、日米構造協議の問題についてお伺いしておきます。 今回の日米協議の中間報告の中に、輸入手続の二十四時間終了化方針というのが明記されておりますが、外務省にお伺いいたしますが、この輸入手続二十四時間終了化方針というのは、動植物の検疫あるいは食品衛生法に基づく検疫、そして通関までの部分を含んで二十四時間としているのかどうか、まずその点を明確にしてください。
○林(貞)政府委員 中間報告にございます二十四時間という目標は、報告にもございますように、税関に申告書が提出されてから税関の許可を受けるまでに要する時間に関する目標でございます。 今御質問の植物検疫、それから家畜伝染病予防などに関する承認を得るための手続につきましては、税関以外の官庁にかかわる輸入手続でございますので、この時間の中には含まれておりません。 他方、本件協議におきまして、米側は、税関以外の官庁にかかわります輸入手続も含めた輸入手続全体につきまして、迅速化に関心を有しているということでございまして、私どもといたしましては、安全、衛生の確保ということを十分図りつつ、輸入手続全体の一層の迅速化、適正化ということを図っていきたいと考えております。
○藤田(ス)分科員 もう一回確認をいたしますが、二十四時間で終了するべきものは、通関の分野であって、その他の検疫は含まれない、こういうふうに聞いていいですか。動物の検疫を行う場合は十五日間留置期間がありますし、それから植物の検疫についても全量検査で、検疫検査で有毒な動植物が発見されれば薫蒸するということになりますからね。二十四時間ではとても終わらせることはできない。食品衛生法に基づく検疫についても、要検査食品については同様に自主検査、行政検査ともに二十四時間では無理なんですよね。だから、そういうものは含まれないというふうに聞いていいですね。
○林(貞)政府委員 御指摘のとおりでございます。
○藤田(ス)分科員 厚生省に来ていただいておりますが、あなた方は、現在の輸入食品の検査率は輸入届け出件数の二〇%だ、こういうふうに言っていらっしゃいます。実際に厚生省の食品衛生監視員が行う行政検査は、輸入届け出件数のわずか三・七%なんです。あとは自主検査、外国公的検査機関による検査、継続輸入でありまして、特に継続輸入まで検査に入れるなどして検査率の水増しをしている。この二〇%という数字にはそういうものも入っていると言わざるを得ないわけですが、自主検査についても、そのサンプルを採取して検査機関に依頼するのは輸入業者ですから、その信頼性に疑問が出るのは当然であります。 先日も、ペリエの発がん物質混入事件が、日本では自主検査で素通りしたことはまことに印象的でありました。また、先日、成田の空港調査に私参りましたけれども、通関後に自主検査の結果が出るということもある、こういう説明が厚生省からなされまして、大変とんでもないことだと私は聞いたわけであります。 さらに、昨年一年間だけを振り返ってみましても、タイ産の鳥肉やオーストラリア産牛肉のディルドリン汚染、あるいは輸入養殖のエビやウナギの残留抗生物質汚染、あるいは台湾産の豚肉のスルファジミジンの残留汚染、輸入マグロのコレラ菌汚染、チリ産のブドウの青酸汚染事件、中国産マッシュルームのブドウ状球菌の汚染などで国民を非常に不安にさせております。こうした問題は、結局後追いの検査で発見されるという事態であったというのも共通している問題であります。 そこで、お伺いいたしますが、厚生省、先ほどの自主検査の、ペリエのような事件も含めて、今の検査体制が十分であるとお考えなのかどうか、明らかにしてください。
○野村説明員 輸入食品についての御質問をいただいたわけでございますが、近年、国民の食生活の多様化でありますとか食品の国際流通の伸展等に伴いまして、食品の輸入が増加をしておりまして、昭和六十三年におきましては、届け出件数におきまして約六十五万件、重量におきましては約二千二百万トンに達しておりまして、これらに伴いまして、輸入食品をめぐるいろいろな問題が生じておることにつきましては、先生御指摘のとおりでございます。 輸入食品の監視業務につきましては、現在全国二十一の検疫所におきまして八十九名の食品衛生監視員が書類審査、また必要な検査に従事をしておるところでございます。厚生省といたしましては、平成二年度におきましても、食品衛生監視員十名の増員、また高度検査機器の整備等を予定をしておりますが、今後ともこうした検疫所における監視体制の強化を図りますとともに、先ほど先生御指摘になりました民間の指定検査につきましては、その検査の信頼性を高めるための精度管理等を実施することによりまして、検査技術の向上等も含めまして、今後ともいろいろな対策をとる ことによりまして、輸入食品の安全性の確保にこれまで以上に努めてまいりたいと思っているところでございます。
○藤田(ス)分科員 これから人もふやしていく、それから自主検査についても信頼性を高めるための対策をとっていく、ということは、現在はまだ十分とは言えない、そういうものであるということをおっしゃっておられるわけですが、厚生省、九〇年度の予算で、輸入時の検査及び輸入手続の効率化、迅速化を図るために、登録工場制度導入のための調査費を検討しておられるわけですね。一度登録すれば、後はもうノーチェックで輸入、こういうことになりましたら、忘れられません、カネミ油症の事件のように、パイプに穴があいて食品が汚染されたとしても事前に被害は防げませんし、今回のペリエ事件のように、フィルターからベンゼンが混入しても、輸入時にチェックできないではないですか。こんな国民の健康を守る点で極めて無責任な制度を導入して、手続の迅速化などということはやめるべきではないか、こういうふうに考えます。これはやめてもらいたいという立場で御答弁を求めたいと思います。 もう一つ、私は大変驚いたのですが、ことしの二月に開かれました全国生活衛生主管課長会議の議事録を見ますと、厚生省は事もあろうに、各都道府県がやっている食品検査の結果公表について、いたずらに消費者に不安感を招かないように注意しろというだけではなしに、発表する前に厚生省に資料を見せろ、こういうことで、これは私は報道管制体制を持ち込んだというふうに思ったのです。 一方では、輸入の検査体制はどんどん緩め、輸入食品の汚染状況は国民に知らせない、そして国民は何も知らないでそれを食べる。こういうことは大変恐ろしい事態で、あってはならないことだと考えますが、厚生省いかがですか。
○野村説明員 まず、前段の登録工場制度についての御質問につきまして、食品保健課長からお答えを申し上げたいと存じます。 この制度につきましては、お話にもございましたが、今年度の予算で新たに検討をすることといたしておりますが、私どもが考えております内容を若干申し上げますと、加工食品を対象といたしまして、輸出国の工場、使用原材料、さらには製造工程等に関する一定の基準によりまして、事前にチェックをいたしまして、それを登録するということで輸入食品の安全性を確保しようというものでございます。先生御指摘になりましたが、我が国における輸入時の検査を省略するということに主眼を置いたものではございませんで、むしろ輸出国におきます製造過程にまでさかのぼりまして安全性のチェックをいたしたいということでございます。当然問題があれば、我が国における輸入時の検査は重ねて行うということになろうかと思いますので、その点につきましては、ぜひ先生御理解をいただきたいと存じております。
○難波説明員 先生御指摘の二点目についてお答えを申し上げます。 本年二月の全国衛生主管課長会議における魚介類の安全対策の中の有害化学物質対策の部分の御指摘だと思うわけでございます。各種の有害化学物質が環境汚染をいたしまして、これらの物質の魚介類への移行残留につきましては、食品衛生上の観点から好ましいことではないというのは、今さら申し上げるまでもないことでございます。しかしながら、現実に有害化学物質の環境汚染が明らかになってきておりますことから、厚生省といたしましても、従来から魚介類の有害化学物質による汚染実態の把握に努めるとともに、安全性の評価を行いまして、必要に応じて基準を設定する等の対策を講じることとしているとろでございます。 このような観点から、都道府県等に対しましても、汚染実態等の調査を積極的に行うように指導してきたところでございまして、これらの結果の公表に当たりましては、科学的かつ適正な評価をした上で消費者に情報の提供を行う必要があるというふうに考えているところでございます。 また、結果の公表についての厚生省への情報提供につきましては、この種の問題につきましては、全国的に波及するケースも多く、国といたしましても、できるだけ早く情報を入手し、速やかに適切な対応が必要だという場合も多いことから、各都道府県に情報の提供を依頼しているところでございまして、先生御指摘のようなことを意図しているものではございません。
○藤田(ス)分科員 この登録工場制度の導入の問題、今の御答弁聞いていても、問題があればチェックするというのですから、これは大変なことですよ。これは結局のところ、一層ノーチェックで入る部分を広げ、その中で問題があればチェックします、これはまさにそういうことを意味するものであります。 それから、今の全国生活衛生主管課長会議の問題ですが、一体都道府県は、皆さんが、この種の問題については、いたずらに社会の不安を惹起することのないよう御配慮をお願いする、そして検査結果を公表する場合は、事前に情報を提供していただくようあわせてお願いするというようなことで言っておられるわけですから、受けとめる側はどういうふうに受けとめるでしょうか。明らかに皆さんからそう言われた以上、厚生省がそう言っている以上、独自に発表はしない、できない、やはり発表を控えろということなんだなということで、これは結局国民の知る権利をじゅうりんしていく、狭めていく、そういうものじゃありませんか。私はきょうは残念ながら時間がありませんから、本当にこういうことは許せない。本当、皆さんがおっしゃるように、科学的に適正に判断をしていくため、そして速やかに適切な対応をするためというのだったら、わざわざこういうことを言う必要はないんだということを申し上げておきたいと思うのです。 大臣、日本は、今聞いていただいたように、年間六十万件、二千二百万トンの食品が輸入されてきているわけです。まさに世界一の食品輸入国になっています。それこそ本当に洪水のように輸入されてきているわけです。ところが輸入検査体制は、今のお話でもおわかりのように、今年度予算で十人ふえて九十九人、そして検査機器も極めてお粗末なものであります。一方、農林水産省が世論調査をしておりますが、この中で国民の八二・四%もの人が輸入食品について安全の面で不安があるというふうに答えております。 輸入食品の安全面では、輸入検査体制を抜本的に強化するべきでありますし、それが国民的要求であります。しかし、日米構造協議の中間報告では、輸入手続の迅速化が強調され、安全確保の機能を維持しつつ、「機能を維持しつつ」というふうには書いておりますけれども、それを引き上げるということは一言もないわけです。そういう中で厚生省の動きも出てきています。このような中間報告の方向性は、消費者の利益を守るということではなく、消費者の利益を大きく損なうものじゃないかというふうに考えますが、大臣の御所見をお伺いしたいわけです。
○中山国務大臣 輸入食品による感染症の問題は、今日いろいろな医学の学会において議論が行われている過程も私よく存じております。こういう意味で、私どもとしては、このような感染症が将来輸入食品について十分監視されなければならないという考え方には何ら変わりはございません。
○藤田(ス)分科員 それでは、もう一つの問題ですが、宅地並み課税の問題についても、日米構造協議の中間報告で取り上げられております。「大都市地域の市街化区域内農地に関する税制については、総合土地対策要綱に沿って、関係制度の整備、充実等と併せ相続税の納税猶予制度及び固定資産税の徴収猶予制度に着目して見直しを行い、九二年度からの円滑な実施を図る。」こういうふうになっております。 私も大臣も同じ大阪五区であります。この宅地並み課税の問題が、大阪の新鮮な農産物基地である、この市街化区域の農地は、そういう役割を果たしているとともに、都市の住民の緑と防災の空 間という点でも非常に大事であります。市街化区域内農地を守る点で消費者を巻き込んだ大きな反対運動が起こっていることは、もう大臣も十分御承知だと思います。せんだっての総選挙で新聞社のアンケートに宅地並み課税問題が取り上げられまして、大臣も宅地並み課税に反対である、こういうふうにいわばそこで公約されたわけです。その点では私どもと全く同じ公約だなと私は拝見をしたわけであります。にもかかわらず、こうした中間報告が出されてきたということに、私は大変大きな怒りを覚えているわけです。この問題について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○中山国務大臣 今般取りまとめられました日米構造問題協議の中間報告において、「大都市地域の市街化区域内農地に関する税制については、総合土地対策要綱に沿って、関係制度の整備、充実等と併せ相続税の納税猶予制度及び固定資産税の徴収猶予制度に着目して見直しを行い、九二年度からの円滑な実施を図る。」こととなっております。中間報告は閣議了解を得たものでありまして、自分も政府の一員として、この具体化に向けて努力していかなければならないという考えを持っております。
○藤田(ス)分科員 それでは、政府の一員としてということと選挙で公約をされた候補者の一員としてとはおのずと違ってくるのでしょうか。(中山国務大臣「委員長」と呼ぶ)済みません、時間がありませんから、後で御答弁ください。 もう一つ、大事な問題で、米の自由化問題なんですが、大臣はせんだってプエルトバジャルタにおけるガットの非公式閣僚会議後の記者会見で、我が国の食糧安保論について、ウルグアイ・ラウンドを成功させるという原則があるわけだから、日本政府として何ができるか協議しなくてはならない、こういうふうに語られたわけであります。これが日本国内では大きく報道されました。なぜ大きく報道されたかは大臣御自身もよくわかっていらっしゃるのではないかと思いますが、現在日本政府が主張している食糧安保論の旗色が悪くなってきたから、ウルグアイ・ラウンドを成功させるために、主張の見直しをしようじゃないか、そういうふうにおっしゃったのだと受けとめられたわけであります。それをねらった会見かもしれませんが、そこまでは憶測の世界ですのでここではそういうことは言いませんが、問題は、大臣、米の輸入自由化反対は国会決議であります。そしてまた、この前の総選挙のときにも、自民党の皆さんもそろって選挙公約に自由化反対を掲げられました。それはウルグアイ・ラウンドの成功のために投げ捨てるというようなことはあってはならないというふうに考えます。大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○中山国務大臣 私は、日本政府の代表として、ガット・ウルグアイ・ラウンドにおいて次のような主張をいたしております。 農業についても、我が国はこれまで多くの品目について輸入アクセスを拡大してきており、世界最大の農産物純輸入国として安定した市場を提供し農業貿易の安定的発展に大きく貢献してきています。しかしながら、その結果、我が国の自給率は、四九%と著しく低い水準となっており、食糧安全保障への配慮の必要性が不可欠となっています。国内における農業の役割には、さらに、国土・環境保全、雇用、地域社会の維持等極めて重要なものがあり、食糧安全保障を含むこれら非貿易的関心事項への配慮は不可欠と考えます。 このような状況にあることから、昨年末、我が国は、基礎的食糧に関し、所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置をとることが認められるべしとの提案を行ったところであり、各国の理解を得たいと思います。 このように発言しておりますが、この発言の下敷きになっているものは、申すまでもなく国会における超党派の決議であります。私がガット・ウルグアイ・ラウンドにおいて、このように政府を代表して発言いたしておりますけれども、先生は国会決議を無視するのかというようなお立場で御発言かもわかりませんが、私どもは、ガット加盟国として、貿易で生きていかなければならない国家としては、このガットの恩恵を世界の国々の中で最も受けている国であります。そのような国の立場でガット・ウルグアイ・ラウンドを成功させなければならない、こういう考え方で発言したのでございまして、このガット・ウルグアイ・ラウンドの十二月の最終ラウンドに向けて、私どもは十五テーマに及ぶ包括的なコンセンサスといいますか、包括的な話し合いというものを進めていかなければならない、それには政府としては、これを協議していかなければならない、このように考えている次第であります。(藤田(ス)分科員「恐れ入ります、宅地並み課税について一言」と呼ぶ) 宅地並み課税について、公約に違反したのではないかというお尋ねかと思います。 私は、この選挙のときに新聞社のアンケートに、都市における近郊緑地あるいは新鮮な空気の提供地あるいは災害等における避難場所として、この都市における農地の維持というものは必要であるという考え方を持っておりましたが、今般、日米構造調整協議の中間報告において、政府はそのような考え方になりましたので、私は閣僚の一員として、その方向に向かって努力をしなければならない責任を持っているわけであります。
○藤田(ス)分科員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、大臣、地元の有権者にしてみたら、大臣は私たちと違って大臣なんです。まさにアメリカとの折衝の主役の方であります。したがって、どういう経緯になっているかということは、もう既に昨年から十分御承知の上であった。にもかかわらず、公約ではああおっしゃったのは相当な覚悟があると思っておりました。にもかかわらず、先ほどの御答弁は大変残念であります。 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
○中山国務大臣 私と同じ選挙区におられる藤田委員からの御発言でございますが、この際、私は自分の立場を明確にしておかなければならないと思います。 私どもの選挙は二月に行われたわけであります。常識として、私どもとしては政府の立場で物を言っておるわけではございませんし、日米構造協議がどのような過程で中間報告を迎えたかということも十分御認識をいただきたいと思います。内閣においては、第二次海部内閣で私は新たに外相に就任いたしまして、日米構造問題協議を通じて日米間の信頼関係を崩さない、これを崩した場合には、保護貿易あるいは管理貿易にアメリカの議会が走るという国の重大な危機に関するという立場で、政府の一員として自分の信じたとおり国民に対する責任を果たした、このように考えております。
○藤田(ス)分科員 終わります。
○町村主査代理 これにて藤田スミ君の質疑は終了いたしました。 次に、関晴正君。
○関分科員 関晴正でございます。 きょうは、わずか三十分でありますけれども、外務大臣に質問できますことを大変ありがたく思っておるわけであります。かつて中山代議士が参議院議員のときでございましたけれども、原子力船「むつ」の問題で、あれは金食い虫であって本当にむだなことだ、廃船するのが適当であろう、こういう意見をお持ちになって、また本なんかにもお書きになって、一つの識見を明確にされておったことを今思い出しているところでございます。 そこで、きょう四月二十六日、この日は世界の人々にとっても忘れられない日であるし、中でも原子力行政を殊のほか進めておる我が日本の政治の上においても、国民においても忘れられない日である。チェルノブイリの事故の四周年記念日でもあるわけです。そういう点からいきまして、まず質問に入る前に、大臣はこの日、今そこに外務大臣として引き続き担当されておられるわけですけれども、きょうの日を迎えての何か所感を、特にこうした事故は再びあってはならない、起こし てはならない、そういう御決意等がおありかとも思いますので、もしございましたら先に所感をいただければと思います。
○中山国務大臣 今委員御指摘のチェルノブイリの事故の記念日に当たるということで大臣としての所感を述べよというお話でございますが、私どもは、実はチエルノブイリ事故の惨状に、また地域の住民が何年にもわたって大きく放射能に汚染をされる、しかも近隣諸国は放射能汚染による植物についての重大な不安を起こしたということに関しまして、その原因がソ連の原子炉の中における事故でございますから、細部について私が熟知しているわけではございませんけれども、あのような事故があってはならないということを考えております。
○関分科員 この四周年の記念の時点に立っても、ソ連における被害の状況というものは年とともにまたふえておりますよね。当初は十五キロ以内を避難させる、いや、それではとてもたまらない、三十キロ以内の者を避難させるということでやってきて、現状ではもう九万二千どころか二十万にも及ぶ移動が必要であろう、こういうようなことにもなってきているようでありますし、また、それぞれの病に冒されている方々、被曝された方々の人員状況等も定かではありませんけれども、大変深刻なところにあるのじゃないか。 そうなりますと、やはり私どもの日本の国も、単に北方領土の返還問題にだけ物を置かないで――これも大事なことです、大事なことですけれども、こういうときにはやはり積極的に、我が日本もまた相当に技術もあるわけですから、被爆国としての経験を持つ日本の医学技術もまた上がっているだけに、救援活動に乗り出してもいいのじゃないだろうか、こう思いますが、外務大臣としては、そういうところまで進めるお考えやお気持ちはおありでしょうか。
○中山国務大臣 チェルノブイリ事故の後、たしかアメリカの医師団、専門家があそこへ行って被曝者の治療に当たった。たしか植皮の、やけどの専門の外科医であったと私は記憶をいたしております。そういうことで米ソの間にもそのような協力が行われた。日本もたしか、私の記憶が間違っておらなければ、いろいろな情報の提供を行っておったと思います。そのようなことで、今後この被曝者の方々のいわゆる人生における後遺症の問題等について、日本政府が協力できるものがあれば協力をするべきだと考えております。
○関分科員 私は、大変な事情にあるということを思うときに、やはり当然我が国もそういう救援活動に乗り出していいのじゃないだろうかと思いますので、ぜひそういう方向に取り組んでいただきますことを冒頭御要望申し上げておきたいと思います。 次に、私が通告しておりました質問のことでございますが、きょうは私の青森県の六ケ所村では低レベル廃棄物の貯蔵所に対する公開ヒアリングを今実施している中にございます。私は、さきの外務大臣の安倍さんのときに、また本会議においては、安倍さんが外遊中でありましたから後藤田正晴官房長官に御質問申し上げておいたことで、それはあの六ケ所の空の上というのはアメリカの管制区でございます。米軍のそういう管制区で飛行機がひっきりなしに飛んでいる空の下にこういうものを置くことは問題があるであろう。最近の調べによりますと、年間四万三千回も飛行機が飛んでおる、そういう空の下になっているわけであります。また、誤射、誤爆、墜落、そういう事故も毎年広がってきている場所でもございます。ですから、飛行機は核燃の施設の上は飛んではならないと規制していながら飛んでいる飛行機の空の下につくっていいはずはないと私は思う。ところが、あの空は我が日本の言うなれば管轄下にあるというよりは米軍の管轄下にある。したがって、この空から移動してもらうか、あるいはまた管轄しておるアメリカに対して、そういうものができることについての一つの御意思、イエスかノーかを徴しておく必要があるのじゃないだろうかと何度も実は申し上げてまいりました。しかし、今日に至るもそれに対する正式の態度なり回答なり、あるいは会議なりが行われたのか行われないのか定かでありません。そういう意味において、日米合同委員会にかけてきたけれども、なお結論が出ないという段階にあるのか、いや、一度もかけないままに来ておるのだが、これからかけるとお考えになっているのか、それともそのことは全く用のないことだから投げておくのだというふうにお考えになっておるのか、この点について、経過を見ながら、ひとつ大臣としての見解もまた伺っておきたいと思いますので、お答えいただきます。
○松浦政府委員 先生が従来国会の場でこの問題に関しましてたびたび問題提起をされておられるのを私どもよく承知しておりまして、四年前のまさにこの予算委員会の分科会でお取り上げになられた記録も詳細に拝見させていただいております。私どもも、この六ケ所村において、先生今御指摘の核燃料サイクルの三施設が建設中で、現在科学技術庁で安全審査中であるということも承知しております。右を踏まえまして、私ども、先生御質問がございました米側との話し合いの状況でございますが、米側とも累次話し合いをしてきておりまして、米側も十分問題意識を持っております。 先生御指摘の核燃料サイクル施設は、私どもの了解では三沢の対地射爆撃場から約十キロ離れたところに今設置されつつあると聞いておりますけれども、米軍機がこの射爆撃場を使用するために訓練に赴く場合には、この核燃料サイクル施設建設地の上空は飛行しておりません、それからまた、訓練に当たって十分安全に配慮して行っていると私ども承知しております。これは先生御指摘のように、一般に日本では、航空機による原子力施設に対する災害を防止するため、現在約七十カ所の原子力施設付近の上空の飛行はできる限り避けるという飛行規制が行われておりますが、この航空情報に基づきまして、米側もこれを尊重して一般的に飛行を行っております。この核燃料サイクル施設につきましても、完成後は同様の公示が行われると了解しておりますけれども、いずれにいたしましても、現時点において、既に米軍は、先ほど来御答弁申し上げておりますように、核燃料サイクル施設の建設地の上空は避けております。米側に対しましては、先ほど触れましたように、累次この点に関しましては一般的に話をしてきておりまして、具体的には昭和六十三年六月の日米合同委員会の場でも私ども取り上げておりまして、原子力施設付近の上空の飛行規制について一層の徹底を図ってほしいということを米側に申し入れました。その際、米側からは、原子力施設付近の上空の飛行については、在日米軍としては、従来より日本側の規制を遵守してきたが、改めて在日米軍内に右を徹底するよう措置するという回答をしております。 このようなことで、私ども引き続き米側とは話をしていきたいと思っておりますし、米側もこの合同委員会での発言のように、従来これを尊重しているけれども、さらに徹底したいということを言っておりますので、私どももさらに緊密な連絡をとっていきたいと思っております。そういうことで、私どもは現在のところ安全上の問題があるとは考えておりません。
○関分科員 日米合同委員会における会議、今六十三年のお話が出ました。公式にお話をするあるいは非公式にお話をするなどと言われておりますけれども、そうすると、この六十三年の日米合同委員会というものの議は、公式に日本側から議題として出し、そして向こうの方からのそういう御返事を正式にまとまったものとして文書で交わしているのでございましょうか。
○松浦政府委員 私が今御紹介しました昭和六十三年六月の日米合同委員会での日本側の申し入れが公式の申し入れでございまして、したがいまして、米国側からの回答も公式の回答でございます。しかしながら、これは口頭でのやりとりでございまして、文書による確認はいたしておりません。
○関分科員 私は、たしかそれは伊方の飛行機の事故があったときに論ぜられたところのお話に通 ずるものがあっているのじゃないだろうか、こういうふうに思っております。私どもの青森県の論議の中でも、米軍との話はしている、していると言うけれども、その意に沿うようになっているということは言われておりますけれども、その意そのものが文書で明確にされているのかどうか。何で日米合同委員会にかけて、アメリカの意思としては、その場所には賛成しがたいとか、あれは賛成でございますとかというものをきちんととらないのだろうか。 私は、今から三年八カ月前の選挙で四選がかなえられませんでしたので、この続きの話ができないまま今日に至ったわけであります。それで、東京へ来るたびごとに、合同委員会の議を経ましたか、なされましたかと言うと、一向に進んでいない。昨年の五月十七日、青森県の言うなれば核燃料サイクル基地反対の訴訟を起こしておる原告団が五十名近く参りまして伺ったときに、このお話は正式にはされておりません、しておりませんということでございました。ですから、私は、正式にはされていない、そしてただいまもそういう文書は何もない、こういうことであるならば、やはりこれをきちんとした上で問題を把握しておかなければならないものだ、こう思うのです。 御承知のように、青森県の核燃料サイクル基地は、いわゆる三点セットと言われ、ウランの濃縮工場の建設、低レベル放射性廃棄物の貯蔵施設の建設、三つ目は最も危険である使用済み核燃料の再処理工場の建設、こうなっているわけです。この三点の工場建設については、米軍の一つの意思というものが必要であろう、米軍がよしとするのかあしとするのかは明確にしておく必要があろう。アメリカの核燃の施設の上は米軍は飛んではならない、日本の施設の上は飛んでも仕方がない、もしそういう態度であるとするならば、これはアメリカ民主主義の問題でもあるし、また、アメリカの姿勢の問題にもなるので、そうなったならば、これはアメリカにも出かけていかなければならないな、私どもはこう思っているわけです。しかし、アメリカに出かけていく前に、日本側から、米軍の考え方というものは望ましくないというのならはっきり望ましくない、しかし日本の方がおやりになることだからそれ以上言えないということならば言えない、どうなんだろうかということなのです。何でそういうことをきちんとお聞きすることができないのだろうか、何でまた文書ではっきりしたものを我々に示すようにできないのだろうか、こう思うわけであります。日米合同委員会というものの議は全部秘密ですか。話し合ったことを文書で公表するというふうにできていないのですか。この問題について、これからはちゃんとしますというお考えがございますか、お尋ねしておきます。
○松浦政府委員 先ほど来御説明しておりますように、米軍は日本の原子力施設付近の上空はできる限り避けるという日本側の飛行規制を尊重して飛行を行っておりますし、六ケ所村の核燃料サイクル三施設に関しましては、まだ工事が行われていませんけれども、それに先立ちまして、先ほど御説明したように、建設中からこれを避けて飛んでおります。 先生が引用されました四万三千回飛行している云々というのは、かつてそういう報道がございまして、私どもも調べましたけれども、私どもが見ますところ、これはかなり不正確でございまして、これは三沢の対地射爆撃場付近で民間の会社が騒音調査を行った結果ということでありまして、飛行機が具体的にどこを通ったということではないというふうに私は承知しておりますので、繰り返しですけれども、現在建設中の核燃料サイクルの三施設の上空の飛行を米軍は避けておりますし、一般的には原子力施設付近の上空の飛行はできるだけ避けるということで米軍としては対応してきております。にもかかわらず、先生が御指摘のように、伊方の事故がございましたので、私どもとしては、昭和六十三年の六月に合同委員会で正式に米側に申し入れを行って、正式の回答を得たということでございまして、合同委員会では、通常公共の安全に関係のあることに関しましてやりとりがございましたら、それは公表しておりまして、今御披露いたしました原子力施設付近の上空の飛行規制に関しましても、こういうやりとりがあったということは当時公表しております。
○関分科員 大臣、特に安倍外務大臣のときには、調整の必要がある、こういうことで御答弁されておりました。ですから、調整の具体的な中身が決まらない限り、定まらない限りはウランの濃縮工場の建設の許可なんというものはあり得ないものだというのが私どもの考え方であったわけであります。 ところが、三点セットのうちのウランの濃縮工場だけは昨年の八月十日に許可をされてしまいました。許可された後に、今度はアメリカの方から困ったことだというようなことが出されたならば、また困る話になります。単にアメリカが核燃の施設の上は飛ばないようにします、配慮します、考えます。配慮だとか考えるだけで済まされる問題ならば別です。特別管制区といって指定されている空域ですよ。これは飛ぶのが当たり前になっている空域ですよ。飛ばないように配慮するわけにいかないでしょう。配慮するとすれば、特別管制空域を変更するか、あるいはこの建設の計画を別にしてもらうかというところに当然なるべきものなのだ。水戸の射爆場が移るようになったのは、東海村の再処理工場の建設、核燃の施設の建設が大きく影響して、あの三沢の射爆場というものへの移転にまで至ったわけですよ。そのために三沢の射爆場、天ケ森射爆場というものは余計に使われています。ましてF16の配備が十七機から五十一機、そういうふうに年とともにまたふえてきておりまして、大変な飛行訓練の回数でもあります。ですから核燃の施設の上は飛んではならないというこの原則がある。飛んでいる飛行機の下には置いても構わない、こうはならないと思うのですよ。こんなわかりきったことが――お話があればアメリカだって、いや、困るよと言うと私は思うのです。そうなったら、こっちが方針を変更すればいい。ウラン濃縮工場の遠心分離機が今搬入されつつありますよ。搬入されても使用しなければ、またそれで済むわけですから、私どもは、やはりこの米軍の管制区というものを放置したままで、配慮だけに依存して、この三点セットの建設計画を進めていくということには容認できないものを持つわけです。 したがって、外務大臣は、米軍の考え方というものを徴しておる、また外務大臣自身が気をつければ済むような問題だと思ったら、これは大間違い。人の動かす機械がある限り事故はまたある。事故ができるだけ不足な場所につくるということにしていくのが原則だと思う。飛んでいる飛行機の空の下に持っていっても黙っているということはないでしょう。アメリカ側の見解を問うたらアメリカは何と言うか。そうだったら日本はやはりアメリカの意向というものを尊重していかなければならないのではないでしょうか。 今日の日米構造協議というものも、これはアメリカの意向を尊重した結果の一つの行為ですよ。同じように、後から出てきて困るというよりも、まだ運転しているわけでない、許可になったとしても、あとの二つの問題がまだ残っております。飛行機が落ちても対応できるような施設だなんというばかなことを平気で安全だと言って、住民をだますという言葉が適当だと思うのだが、いいかげんな態度でお答えをしているわけなんです。 とにかくこれは、中山大臣、私は信頼している大臣であります。特に二代にわたって外務大臣をされただけに、それだけ腕が買われてきた大臣だとも思うし、識見も十分にある大臣のことですから、ここまで来たからしようがないということではなくて、やはりこれは大変なことだから、だれもやれないことを私がやるしかない、こういうことに立っていただきたいわけであります。 と申しますのは、むつ小川原開発計画における十四省庁会議、この会議で決められたことで進められているのですが、ありがたいことに外務省だけは除外されている、責任を共同に担わなくても いいようになっている。私はそのことを安倍外務大臣に、ぜひあなたはこのことを申し上げなさいよ、五年前です。彼は申し上げるつもりで臨んだようでありますが、自民党の諸君の圧力に屈して何にも言わないで終わってしまいました。これも議事録に明確にあるところです。 ですから、飛ぶ飛行機に配慮させろというだけで済む問題ではない、四万三千回も飛ぶのですから。アメリカの飛行機ばかりじゃない。自衛隊の飛行機も飛ぶでしょう。でも、飛行機の持つ危険性、落ちた場合の危険性、与える影響というのは大変なものなんです。そういう意味で、正式に日米合同委員会の議題に供して、この問題についてのアメリカ側の意思というものを明確にしていく。よしとするのかあしとするのか、望まないというのか、願わくはそれは避けてもらいたいとおっしゃるのか、そういうことをあいまいにしておいて事を進めるというのは、やはり両国の関係からいっても悪いのじゃないですか。安保条約があるから何でもいいと言ってみたところで、言えることは言うてもらわなければならない、聞くものは聞いてもらわなければならない。どうぞ、まだ時間がございますので、大臣の任期のうちにこの問題だけはきちっとしてもらうように私はお願いしたいと思うので、最後に、大臣のこれについてのお考えなり、決意をひとつ伺っておきたいと思います。
○中山国務大臣 原子力施設におきます安全管理、また原子力施設の事故によって周辺住民の方々の生活上危険が生じる、こういうことはどの地域においても共通でございます。委員が熱心にこの問題について御関心と御見識をお示しのことは、私も十分承知しておりまして、日米合同委員会で私としては十分米側に対してこのお気持ちを伝えて、安全の確保に努力をさせていただきたい、このように考えます。
○町村主査代理 これにて関晴正君の質疑は終了いたしました。 午後零時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時十六分休憩 ────◇───── 午後零時三十二分開議
○町村主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 外務省所管について質疑を続行いたします。薮仲義彦君。
○薮仲分科員 私は、きょう外務大臣に質問しながらお願いをしたいと思うことがございます。それは、二年前もこの分科会で私この問題を取り上げて、当時の外務大臣に改善方をお願いいたしました。それはホームステイについてのお願いでございます。 私も、ホームステイというもので小さな子供たちが子供のうちに広く世界を見聞して、異なった文化あるいは生活慣習の中で外国を体験するということは、これからの国際社会の中にあって国際人として成長する上に非常に重要なことだ、この認識は持っておるわけでございます。しかし、私が一昨年相談を受けましたケースは、ホームステイの女子の方でございましたけれども、ホストファミリーとのトラブル、しかもそれが本人にとっては非常に深刻なダメージを受けるような事態に遭遇したわけでございます。 私がその方から御相談いただいたのはちょうど土曜日でした。土曜日の午後で、もちろん外務省も当該の関係の省庁との連絡もとれなかった。お母様にとってみると、子供がお母さんがいないので友達のうちに電話した。友達のうちから、お母さん、おたくのお嬢さんから電話がありました。お母さんが旅行代理店からもらっておる電話番号で電話したら、どうしても通じない。後でわかったことは、その電話番号が一番ひっくり返っておった。この辺の経緯は一昨年お話をさせていただいたが、やはりホームステイというもののあり方、参加する側も受け入れる側もいろんな意味で改善しなければならないことが数多くあるのではないか。 この指摘に対して外務省は、特に担当の衝に当たられる方々は懸命に文部省やあるいは運輸省とも御協議をいただきました。領事移住部の皆さん方がその衝に当たられたわけでございますが、その後幾つか改善をして努力をしてくださった御報告は私もいただいております。 ところが、私が国会でこの問題を取り上げたものですから、私が国会でやっているということを聞き知って家族の方からお電話をちょうだいいたしました。またお手紙もいただきました。中には、マスコミ等に出ていらっしゃるホームステイの被害を考える会までつくって運動していらっしゃる御婦人の方もお電話をいただきました。大阪の西村さんという御婦人でございましたが、その他複数の方が私にいろいろ、困ったということで、こういうこともあります、こういうこともありますということで言ってまいりました。 ことしもいよいよ夏休みが始まるわけで、当該の運輸省あるいは関係省庁がそれなりに指導してまいりましたということで、私もその成果は期待し見守っておる一人でございますけれども、現実にきのうもきょうも私の事務所の男性、女性の秘書に、それぞれのトラベルエージェントのところへ行って、うちの兄弟があるいは私の子供がという設定で相談をさせてみました。ところが、当該の省庁は、指導いたしました、こうお話しになりますけれども、私は現場ではいまだしの感がぬぐい切れません。 特に今、日米構造協議は大臣が最もその衝に当たられておるわけでございますけれども、昔の貿易のインバランスを乗り越えて、その国の文化やあるいは生活の慣習まで入り込んできて、お互いにどうあるべきかを論議する時代です。小さなことかもしれませんけれども、小さなかわいい子供たちがアメリカに行ったときに負ってきた傷、そしてまた向こうに与えた大きなマイナスは――ことしも海外へのホームステイを目指していく子供が多いわけでございますが、外務省も非常に苦労なされて、このように「留学」という本を出されております。これは留学という一つの人生に目的を持って、信念を持って立ち向かっていく方の子弟のことです。この中でも、ホストファミリーとミスマッチしているデータが最後の方に数字として出ております。これでも十数%です。ましていわんやホームステイというものの本質的な問題も知らずに行ってしまう。この子供たちの受ける傷というのは大変大きなものがございます。 きょうは運輸省、文部省等もお見えいただいておりますので、私は具体的なケースでそれぞれ大臣に御理解をいただきたいと思いますが、さしあたって、これは最初に外務省の担当の方で結構でございますが、外務省がどういう措置をおとりになって、現在このホームステイについてどういう認識を現時点で持っていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
○久米政府委員 一昨年にこの国会の場で御指摘をいただきまして以来、私どもといたしましても、もちろんその前からこの問題については十分認識しておったわけでございますけれども、前回の御指摘以来とった措置といたしましては、まず、これは旅行業界の所管が運輸省でございますことから、運輸省に対して旅行業者に対する指導強化の依頼を文書でいたしまして、それに基づいて運輸省が出された通達がございますけれども、それを通じて日本旅行業界の方から昨年の十一月にホームステイツアーの主催に当たってのガイドラインというものを出していただいておりまして、これに基づいて関係業者が適切な措置をとるような指導を、これは運輸省を通じてやっていただいたわけです。 他方、外務省自身といたしましても、旅行業者、あっせん業者等を集めまして年に二回、これは昨年も二回、その前の年も二回やっておりますけれども、意見交換会と称しまして、実際はいろいろ指導の会をやっております。大体参加者が四十名から七十名ぐらい毎回集まっておりますけれども、その会合を通じまして参加者とホストファミ リーとの間の事前連絡が十分にできるような体制をとるようにということで、少なくともホームステイ先の受け入れファミリーを早く決定するような指導とか、あるいは業者が配りますパンフレットの内容や表現について、これが誇大な期待を抱かせないような適切な表現を使うようにといった指導、あるいは事前に参加者に対して十分なオリエンテーションをやるようにといった指導、それから現地でのいろいろなトラブルに当たって日本語で子供たちが相談できるような適切な指導者を必ず同行させて、そういったトラブルが起きた際の相談体制を確保するといったようなことを指導してきております。 なお、そういった集団的な指導に加えまして各業者が出しておりますパンフレットを随時外務省の方でもチェックをいたしまして、不適切なものがあれば電話ないしは呼び出しまして指導しているということをやっております。また、ラジオとかテレビのマスコミを通じまして、広くホームステイの旅行に関心を持っている方を対象に、いろいろな留意事項等を機会あるごとに御説明するという措置をこれまでにとってきております。
○薮仲分科員 非常に限られた時間でございますから、私の方から文部省、運輸省にお伺いしたいと思うのですが、ポイントだけちょっとお答えいただきたいのです。 今お話がございましたけれども、何が一番トラブルかといいますと、ホストファミリーの選定と同時に、向こうに行ってからのプログラム、こういうことで非常に問題が出てまいります。しかも、行く当事者が、ホームステイというものは物見遊山ではないんだ、観光でもないんだ、向こうの家庭に入って、向こうの生活慣習の中で、向こうの文化の中で生活をしなければならないんだ、そういうことをきちんと指導しなければならない。そうしますと、ある一定の語学力、そしてまたホームステイというものに対する基本的な考え方、私はそういうことがトラブルを少しでも少なくする一番の問題だと思うのです。 今の御答弁の中にも幾つかの問題点がございましたけれども、文部省がおやりになっている留学はさておいて、今はホームステイについて私が指摘しますから、間違っているか間違っていないか、時間の関係で御答弁いただきたいのですが、文部省がおやりになるこのプログラムは、前年の秋に既に来年のプログラムの打ち合わせを両国間で行っておる、団体同士でやっておる。それから、相手のホストファミリーについても登録を受けると同時に、今ありましたようにオリエンテーションをしっかり行うし、語学のテストも行う。と同時に、ホストファミリーとの文通も、こういうようなホストファーザー、ホストマザーがいらっしゃいますよといってお互いに交信し合って、お互いの家庭の状況も理解し合う。さらには受け入れ側の国においてホストファミリーのオリエンテーションをしっかりやって受け入れる。ですから、行く側の子供も訓練を受けますけれども、受け入れ側の御家庭も子供を受け入れるについてどうするかというようなプログラムの中できちんとこのことが行われる。そしてまた、トラブルがあったときのバックアップシステム、あるいはホストファミリーとのミスマッチをどう善処するか等々、いろいろ意見を交換し合ってやってきている。 これが文部省が行っているホストファミリーのあり方、やり方だと思うのですが、これでも全然問題がないのか、あろうかと思うのですが、文部省としては、そういうようなプログラムの中で現在行っているということは間違いございませんか。
○牛尾説明員 ただいま御指摘のホームステイプログラムを実施しておりますのは、文部省の所管団体の一つでございます社団法人日本国際生活体験協会のことであろうかと存じます。この協会が実施しておりますホームステイのプログラムは、ただいま先生からお話のありましたとおり、事前に先方の団体と十分連絡をとり、かつ参加者にも事前のオリエンテーションを行うなどの配慮をして実施をしているところでございます。
○薮仲分科員 今お話があった日本国際生活体験協会、ここがいわゆるホームステイについて一文を出されておるのですが、その一部だけちょっと読んでみたいと思うのです。 「ホームステイの問題点」「近年一種のブームとなっているホームステイにも、参加する者、受け入れる側にも問題点がある。まず、参加する者は、何らかの目的を、また、国際交流とはいかなることであるかの認識を持ってほしい。ホームステイは、基本的には、修学旅行や物見遊山でないことの認識もほしい」「アメリカの情報によれば、」「今後、日本人の受入れを断られる事例が起きつつあるとのことである。」「つぎに、受け入れる側(主としてアメリカ)としては、受入れ家庭確保の困難性について、つぎの原因を挙げている。①両親がそろっている家庭の減少、②共稼ぎ家庭の増加、③生活の多様化による時間の欠如、④若い世代のボランティア精神の変容等。」受け入れるアメリカ側もホームステイについては変わってきていますよ。例えばこれはアメリカの例をとらないで、ここにいらっしゃるいわゆる行政マンの方が御自分の身に当てて考えていただきたい。一一つあるのです。 一つは、皆さんがどこかへ単身赴任で三年間ぐらいうちをあけなければならない。そのとき、仮に小さな子供を預けるとしたときに、親戚、身内、兄弟、その親戚、身内、兄弟の中で探しても自分の子供を預けるのにふさわしい家庭があるかな、あそこのうちのお父さんはどうだろう、子供はどうだろう、あそこの家庭に入れたらうちの子供が悪くならないだろうか。ただ自分が国内で異動するとき、自分の子供を預けようとしても心によぎるものは多々あると思うのです。 と同時に、今度は自分の子供を、今ここに出ておりますけれども、ホームステイという今のプログラムですが、ここに子供をやって安心できるかどうか本気になって私はきょうは考えていただきたいと思いますので、これは解決するまで何回でも言おうと思っているのです。 運輸省にお伺いしたい。 運輸省は、先ほど来の御答弁にありますように、このホームステイについてのガイドラインを旅行業者に徹底をいたしました、それに沿ってやるようにいたします、こうガイドラインをつくったことをおっしゃいますけれども、私は、この問題について非常に懸念を持つ。 この中でいわゆるガイドラインたるものは「ホームステイ・ツアー主催取扱ガイドライン」、社団法人日本旅行業協会、元年の十一月の作成です。これは運輸省が指導してつくらせた。この中で私が何を問題点にしたいかというと、ホストファミリーについて本当に大丈夫なのか、また、日本側の団体とアメリカ側の団体が、文部省がやっているようにしっかりとした団体同士で話し合って、送り出す側も受け入れ側も団体同士がきちんとプログラムを組んでおやりになっているのかどうか、その団体が責任を持てるのかどうか。ガイドラインには一応のことが書いてございますけれども、ホストファミリーと、受け入れ側の団体と送り出す団体と、オリエンテーションと語学力と現実はどうなっているか。運輸省さん、どういう指導をして、どうなっているか、ちょっとお答えいただきたい。
○中島説明員 ただいま御指摘ございましたように、運輸省の指導のもとに日本旅行業協会におきまして「ホームステイ・ツアー主催取扱ガイドライン」を昨年十一月作成をしたところでございます。それにつきまして現在周知徹底を図っておるところでございますが、受け入れ団体、これにつきましては、そのガイドラインの中で受け入れ団体について十分調査を行うこと、また、ホストファミリーと参加者との間におきましても事前にコミュニケーションが図られるよう措置するようにということでガイドラインに明記してあるところでございます。
○薮仲分科員 明記してあることでございますはわかっているのですよ。現実がどうかと聞いてい るのです。これにはきれいごとが書いてあるのですよ。いいですか。受け入れ団体の選定、主催する旅行業者が独自で行うか、もしくは、現地の信用調査会社に依頼して、当該団体の事業内容、実績、経営者、資金、評判、取引銀行等を調査しなさいと書いてある。それから、ホストファミリーとの間で事前のコミュニケーションが行われるよう出発前にきちんとその連絡をとれるようにしなさい、こう書いてあるのです、これには。一定期間必要ですよ。これには相当な期間、三週間ほどのことまで書いてあるのですよ。こう書いてありながら、じゃ、本当に現場ではそのことが行われるかどうか、ちゃんと調べたかどうか。 聞いていると時間がなくなりますから書いてあることを読みますと、出発日の一定期日前にホストファミリーの情報を参加者に周知徹底すること、そして「ホストファミリー決定を参加者に通知する段階で、写真交換、文通をすすめるなど、事前に参加者とホストファミリーとの間で連絡がとれるよう、案内する。」こと、そうですね。そして「語学力は問わない」などと書いてはいけません、こうなっているのです。いいですか。 そこで、きのうから私はあなたに、行っていらっしゃい、運輸省が、担当課長が、御自分のお嬢さんがこのトラベルエージェントの華やかなプログラムに乗っかって行って心配ないかどうか、あなた、行ってらっしゃたらどうですかと再三申し上げたのです。なぜ心配か、あなたの言ったことが徹底されないからです。私の事務所の、きょうはあれですから、テープもとってあるのですけれども、きょうはテープはやめておきますが、日本の冠たるトラベルエージェントですよ。そこへ行って、ホストファミリーについてはどうですか、これはわかりません。極端な話、出発して、向こうへ着いてからの場合もございます。語学力はどうですか、問いません。全くわからないのですよ。 これは外務省さんにも一度指導してもらいたいのですが、きょうは会社の名誉のために会社名は避けますけれども、どこへ行っても今出ているものです、ことしのですから。 読み上げますと、「国際的な相互交換プログラムの性格上、外国滞在中のホームステイや研修の日程、行事、受入家庭の決定および変更、滞在地域でのグループの再編成、運営方法などについてはすべて」受け入れ団体が行いますよと一番冒頭に出ておって、そこから「受入国の生活様式、風俗習慣、受入国の法律・法規、受入団体・受入地域の運営のあり方、受入家庭の生活様式に従うのがこのプログラムの趣旨です。必ずしもプログラム参加者の希望通りにはならず、決められた予定も受入の事情で変わることがあります。」全部向こう側で変わるというのですよ。 しかも、「一般に受入家庭はその国や地域の平均的家庭を中心に選ばれますが、家族の宗教、職業、家族構成(大家族や独身家庭、片親、子供のいない家庭など)、人種、国籍、民族的背景、生活様式、受入地の文化、社会環境、経済事情、その他家庭の事情は様々」でわからないのですよ。ですから、私のところに来ているこのミスマッチの中に、行ったけれども、中国語しかしゃべらない、英語をしゃべらないところへそのホストファミリーを選定された。 あるいは「家庭情況、家族構成、職業など必ずしも希望通りになりません。」「受入団体の運営方針、申込み書の提出の遅れ、受入家庭の変更やキャンセル、その他、現地の都合により、受入家庭の詳細の連絡が遅れる場合や、その連絡がない場合があります。各家庭の詳細の代りに滞在地区の責任者の連絡先だけが知らされる場合もあります。」いいですか、全くこれではあなたが言ったことをやっていないのですよ。 もう一つの方も読みましょうか。これは私はもっとひどいと思うのですよ。これも有名なトラベルエージェントのホームステイの案内ですよ。ここに書いてあるのです。「(1)ホストファミリーについてお知らせできるのは次の三点のみです。 1、受入れ家庭名(夫妻名) 2、子供の名前と年齢 3、住所と電話番号 (2)家庭の仕事内容についての情報は入りません。 (3)ホストファミリー名の通知が出発直前になることがあります。 (4)ホストファミリーが直前またはアメリカ到着時に、家庭の都合で変更になることがあります。」このパンフレットに書かれているのはあなたの言っていることと全く違うじゃないですか。そうでしょう。 「(1)ホストファミリーは千差万別です。あらゆる人種、宗教、家族構成の家庭が含まれています。(2)ホストファミリーの職業も千差万別です。」ですから、一昨年私がやったときに、向こうのおうちはお母さんと子供だけで、子供さんが二人で、お母さんは朝から出て行って冷蔵庫の中に何にもなくて、友達が九人もごろ寝しているような家庭に入っているのですよ。だから受け入れのホストファミリーを調べなさいと私が言うのです。そういう事実をもっとしっかり掌握しないでやることは危険なんです。いいですか、「受け入れ家庭の事情により、ホームステイの途中でホストファミリーがかわることがあります。」全部向こうの言いなりになりなさいというのでしょう。これはかわいい子供が行くのですよ。 しかも、「ホストファミリーの都合で食事は自分でつくったり、買ったりして食べる場合もあります。」こんな無責任なことで、殊にあなたの仮にお嬢さんがいらっしゃったら出せますか。 「参加者がグループリーダーの指示に従わない場合、また病気・事故等で必要と認められた時は、プログラム中であっても帰国させることがあります。この場合、帰国費用は一切本人負担となります。」単独行動は許しません。「プログラム期間中、参加者が病気・傷害等の理由で医師の診断、治療が必要と認められる場合は、参加者本人が不同意であってもその措置をとることがあります。その診断、治療にかかわる金銭、また、その措置の結果に対して責任を負うものではありません。」ですよ。何か精神病かなんかで勝手に取り扱われたって、これはわかりませんよ。 こんなことが子供の人権を守って安全なホームステイと言えますか。私は、だから、あなたが私の部屋に来て御説明になるとき、あなたのお嬢さんをこのツアーの団体に――運輸省が最も全国的なトラベルエージェントとして認可している旅行業者ですよ。まだあなたは本気じゃないのですよ。真剣になって現場へ行っていらっしゃい。だから私のところへこうやって電話が来るのです。これまで言ってもあなたがわからないとなってくると、あなたは本当に――決定通知だってこれ一枚ですよ。この電話番号が間違っていて、これだけ来るわけです。これでアメリカに電話が通じないのは当たり前ですよ。もう少し真剣になっていただきたいのです。 時間があればあなたにもっと具体的な例で一つ一つこの対応をお伺いしたいのですけれども、いいですか、日本のかわいい子供さんが、法務省に私は調べてもらいましたが、法務省のこの通関統計を見ても、物すごい数の子供さんが行くのですよ。日本全体では、元年でもう九百六十六万二千ですよ。ゼロ歳から十九歳までで六十四万四千五百七十七名が日本を出ていっているのです。これはどういうことで行かれたか、私はわかりません。しかし、ことしも恐らく七十万人近い未成年の方が海外へ夢を抱いて行くわけです。 そのときに、今あなたは受け入れ団体は大丈夫だとおっしゃったけれども、一一つ目に読んだこの団体などは、受け入れ団体名も何も全然書いてないじゃないですか。あなた、運輸省としてこれを取り寄せてごらんになったのですか。その辺いかがでございます。 この二つ目のこれ、これはあなたは表面だけ見ればどこだかわかると思うのです。名誉のために会社名を言わない。この一番最後のページをお読みになって、御自分であなたの言ったことをどれほど観光業者が、旅行業者が受け入れているか。これもあなたに表紙だけ見せるから、どこだかわかるでしょう。これのここを読んでいるのですから。私が作成した作文じゃない。「研修約束事項」、そしてここには「参加にあたってこれだけは必ず ご了解下さい」と書いてある。そこの中を言って、受け入れ団体もこちらの送り出し団体もわからないのですよ。こういうことは真剣にお考えいただきたいと思うのですが、運輸省さん、いかがです。
○中島説明員 「ホームステイ・ツアー主催取扱ガイドライン」につきましては、ホームステイツアーのトラブルを防止し、実りあるものとするためにということで、運輸省の指導のもとに作成されたものでございます。現在、関係各社に対しまして、連絡会議を開催して、ガイドラインの周知徹底及びホームステイツアーの適正な実施について指導、意見交換を行うとともに、その遵守状況につきまして現在日本旅行業協会を通じて調査を行っているところでございます。今後とも業界への指導につき努力してまいりたいと考えております。
○薮仲分科員 私は最後に、大臣に現状をちょっと。もう駆け足でお話ししましたので、実態は領事移住部長も御存じだと思いますし、私は文部省にも言っておきたい。今度文教委員会でやりますけれども、文部大臣に言っておいてください。いいですか。 夏休み中は学校教育から離れていますけれども、実際は文部省のかわいい子供たちですよ。お母さんからこのホームステイに参加させていいですかと聞かれたとき、あなたは何と答えるか。文部省としても運輸省のことだと思って人のことのような顔をしておったのではいかぬと思う。私は先日文部省の上級の方々には危険ですと言っておいた。あなたもお帰りになったら大臣に言っておいてほしい。ことしの夏休み、運輸省の行うこのホームステイが絶対大丈夫なようにしてほしい。 最後に、外務大臣、この問題を外務省としてどう取り扱っていただくか。
○中山国務大臣 先生御指摘のホームステイの問題は、私は委員御指摘の点が極めて重要な点であるという認識をいたしております。私の見知らぬ方からもお電話がちょいちょいかかってきて、子供たちを出したけれども連絡がつかない、どうなっているんでしょうか、こういう不安に満ちたお母様方の電話を受けることがございます。外務省としては、国外にいるこういうふうな子供たちの安全については、国家としても重大な関心を持って配慮をしなければならない。また、トラブルが起こりましたときには、一番責任が重い、その解決に努力しなければならないのは在外公館でございますので、私どもとしては、近く夏休みを迎えるこの時期に、改めて外務大臣として運輸大臣と文部大臣にこのことを強く申し入れをいたしまして、この夏出かける子供たちの安全を一層期したいと考えております。
○薮仲分科員 よろしくお願いします。終わります。
○町村主査代理 これにて薮仲義彦君の質疑は終了いたしました。 次に、辻一彦君。
○辻(一)分科員 きょうは私、外務大臣に、米に対する考え方、それから中国の第三次円借款に対する考え方、これについてしばらくお尋ねしたいと思います。 まず第一に、予算委員会等でも論議をされたようでありますが、過日の外相の米問題に関する発言、新聞の報ずるところを見ますと、輸入一部やむを得ないのじゃないかというようにも受け取れるような読み方もできたのでありますので、非常に大事なことでありますから、これについてまず真意をお尋ねいたしたいと思います。
○中山国務大臣 委員御指摘のガット・ウルグアイ・ラウンドにおけるメキシコの会議の私の発言だというふうに理解をいたしますが、私は、日本政府の代表として、国会の御決議並びに内閣の基本的食糧安全保障の考え方というものにつきまして、次のように公式会議で発言をいたしております。 農業についても、我が国はこれまで多くの品目について輸入アクセスを拡大してきており、世界最大の農産物純輸入国として安定した市場を提供し農業貿易の安定的発展に大きく貢献してきています。しかしながら、その結果、我が国の自給率は、四九%と著しく低い水準となっており、「食糧安全保障」への配慮の必要性が不可欠となっています。国内における農業の役割には、更に、国土・環境保全、雇用、地域社会の維持等極めて重要なものがあり、「食糧安全保障」を含むこれら「非貿易的関心事項」への配慮は不可欠と考えます。 このような状況にあることから、昨年末、我が国は、「基礎的食糧」に関し、「所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置を採ることが認められるべし」との提案を行なったところであり、各国の理解を得たいと思います。 これが私の正式な会議における発言でございます。
○辻(一)分科員 今の御発言は、それは当然ですね。日本の代表として主張すべきを主張していらっしゃったと思います。 問題は、その帰りかに、記者との懇談といいますか会見の中で触れられている表現の中に、やむを得ないのじゃないかというようにも受け取れる報道があったものですから、そこらの真意はどうだったのか、こういうことをお尋ねしたい。
○中山国務大臣 会議後に記者懇談がございまして、その節私が披露をいたしましたことは議長の報告でございます。その議長の報告を読み上げまして、その中に一項、食糧安全保障論を主張した国が数カ国あったということも報告をいたしております。 私どもは、ガット加盟国として貿易立国をする上で、日本が一番自由貿易の恩恵を受けておる国家であるという建前から考えますと、このガット・ウルグアイ・ラウンドを成功させなければならない、これが貿易で生きていく国の基本的な姿勢でなければならない、実は私このように考えておりましたし、そのように申しました。そして、この非公式の閣僚会議におきましては、ガット・ウルグアイ・ラウンドを成功させるというみんなの申し合わせがございます。そういう中で、この十二月が最終ラウンドでございまして、この最終ラウンドへ向けて現在のような各国の代表者の間での議論では時間的にもなかなか間に合わないということになりますと、七月の末に行われますTNCでおおよそのこの枠組みを各国が協議してまとめなければなるまい、このような意見がございました。それも披露をいたしました。 これから日本の政府の代表は、この日本の考え方を踏まえて、単に農業問題だけではなしに、十五項目にわたる各項目、すなわち新しい知的所有権の問題とか貿易投資に関する問題とか新分野の問題とかを含めて、十五項目にわたる項目をパッケージでできるだけまとめていかなければならない、こういうことで日本としては、関係各省庁の大臣とガット・ウルグアイ・ラウンドのTNCに向けて私どもは考え方をいろいろと協議しなければならない、このように申したわけであります。
○辻(一)分科員 その範囲であれば、我々が新聞で読み取ったのとかなり違うわけでありますが、そういう主張をぜひ続けていただきたいと思います。 そこで、今大臣も四九%という自給率にお触れになっておるのですが、我が国の食糧自給率を言うときに、穀物ベース、カロリーベース、総合ベースと三つあるのですが、どれが一番適切に日本の食糧自給率を表現するとお考えになっていらっしゃるか、お尋ねしたい。
○中山国務大臣 ちょっと経済局長から。
○林(貞)政府委員 お尋ねの食糧自給率を合わせる指標といたしましては、いろいろな指標がございます。穀物自給率、価格ベースの自給率、カロリーベースの自給率といろいろございますが、それぞれ性格が異なるわけでございまして、その用途によっていろいろ考えられるべきものかと思います。いずれにいたしましても、どれが一番適切かということは必ずしも言えないかと思っております。 ただ、私どもが農業提案ということで言ってお りますのは、カロリーベースの自給率が低い場合ということを言っておりまして、先ほど大臣から四九%という数字の御言及がありましたが、これもカロリーベース、熱ベースということで言っておる次第でございます。カロリーベースの自給率ということになりますと、いろいろな農産物をすべてカロリーで表示し得るという意味において、食糧安全保障という観点からいえばそれが適当かなという感じはいたしますが、冒頭申し上げましたように使い方によってこの方法が適当だというものがございましょうし、どれが一番いいというのは必ずしも断定できないのじゃないか、こういうふうに考えております。
○辻(一)分科員 食糧安保論という立場からいえばカロリーベースがいいというような御見解のようでありますが、私は、食糧安保論からいうならば穀物ベースを使うべきだと思うのですね。 我々は米を炊いて御飯を食べ、小麦を粉にしてパンを食べ、そして外国から飼料穀物を買い込んで、これで卵と肉を生産して食べているが、そのえさも最終的には全部国民の腹の中に入っているのですから、広い意味では当然食糧と考えなくてはいけない。だから、食糧自給率をカロリーベースでいえば四九%ですが、穀物ベースでいうならば昭和三十年代の八三%から今日三〇%を割ろうとしている。逐年低下の一途にある。いわゆる食糧安全保障、自分の国で一定の食糧を国の安全のためにどうしてもつくるべきだ、こういう点からいえば穀物自給率、OECDにおいても皆こういうものを使っておりますが、これを使うべきでないか。三〇%を割ろうとしているという言い方と、四九%というのは迫力が全然違う。食糧安全保障という点からいうならば穀物ベースを使うべきであると思うが、大臣、四九%をお使いになってきたのですから、その見解をお伺いしたい。
○中山国務大臣 今委員から、穀物自給率が三〇%を切っているような状況だということを御指摘いただきましたが、私といたしましては、今後日本の食糧安全保障の立場から解説をする場合には、穀物自給率は幾ら、価格ベース自給率は幾ら、カロリーベースは幾らと三者併合で紹介することが最も好ましいと考えております。
○辻(一)分科員 さっきの御報告を聞けば、我が国の食糧自給率はカロリーベースで四九%、こういうように御発言になったということを聞きましたから、これは私は、自今食糧安保論を論ずるときには穀物ベースをぜひ使って、迫力ある迫り方をぜひしてほしいと思うのです。これは、三〇%自給ということは七〇%輸入しているということですから、外国から七割食糧を輸入している。しかも、今それもしのいで、EC全体をしのいで日本の食料品輸入量は世界最大に最近なったわけですから、このベースをぜひ使っていただきたい。 そこで、アメリカやECの国々は、外国から工業製品を輸入するときに、輸入品が一定の量にシェアがふえれば、例えば二〇%を超えるとかすれば規制を考えてくる。規制をやればこれはガットに違反するというので自主規制ということで、内容は規制と同じですね。繊維、自動車、工作機械、それから鉄鋼、半導体と、あらゆるものにこういう自主規制の網をかぶせてきている。工業製品においてもしかりなのに、我が国が外国から七割食糧を輸入しているというこういう状況の中で、主権国家として三割くらいの食糧を自前でつくりたい、こういうことを主張するのは、これは主権国家として当然な権利であると思うのです。国民の命の糧である食糧について、少なくも三分の一程度、現状程度は絶対食糧自給率を下げないということをとことん主張すべきであると思いますが、この考えについて大臣、どのように考えていらっしゃるか、お伺いしたい。
○中山国務大臣 委員御指摘のことも日本の政府が今日とっております姿勢も基本的には同じではないかというふうに理解をいたしておりまして、私どもとしては今後とも委員御指摘のような考え方で取り組んでまいりたい、このように考えます。
○辻(一)分科員 私もここ数年、アメリカのカリフォルニア、それから第一の米の生産地であるアーカンソー州、ミシシッピーの流域、ガットの本部にも行って、随分米の論議をいろいろなところで我々の立場からやってきたのですが、その中で今までアメリカでは三十万トンくらいは何とか輸入できないか、こういう話が公ではないけれども非公式に流されている。ケアンズ・グループは同様、同じ量ですが、三%ということを言っている。先日、日米議員交流で行ったその話を内々聞きますと、ヤイター長官は非公式の場で一%ぐらいではどうか、こういう話も言っておったというのですね。だから、これはアメリカやケアンズやガットの中にこういう考え方がずっと流れておると思うんですね。 そこで、一%であれ三%であれ、それを許せば、これはまた枠拡大という道を通して自由化に道を開くことになりかねない、その懸念が十分ある。その一つは、過去牛肉やオレンジがその例であったし、それからアメリカの今、貿易障壁を関税化をして、そしてだんだんそれをなくするという考え方もそれに基づいておるし、またアメリカのアーカンソー州あたりは、日本が米を買ってくれるならば細長い長粒種を二年間で中粒種に切りかえて日本に送れるということを言っているわけですね。だから、もし日本がアメリカの米を買うという状況になって、あのアーカンソー州あたりの米作農民が日本向けの米をつくるようになったら、この圧力はどんどんどんどん高まってくるのではないか。こういうことを考えると、一%といえども三%といえどもその道を開くということは、今後非常な禍根を、将来米の自由化を迫られる形で残すことになる。 そういう意味で、完全自給の国会決議、内閣の従来の方針は堅持すべきであると思いますが、これについて再度ひとつ大臣の所信をお伺いいたしたい。
○中山国務大臣 国会決議の御趣旨を尊重して、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
○辻(一)分科員 国会決議の趣旨の尊重は当然ですが、今私の申し上げたことについていかがですか。
○中山国務大臣 内閣といたしましては、米の国内生産による自給方針の堅持については数次にわたる衆参両院の決議がございます。政府は、ウルグアイ・ラウンド交渉においてこの決議の趣旨を踏まえ、食糧安全保障等の観点から、米のような基礎的食糧について所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置を講じ得るよう提案を行っているところであり、各国の理解を得られるよう最善の努力をしているところであります。 政府は、国会の決議も踏まえ、米は国内生産で自給するとの基本的な方針で対処していくものである、これが海部内閣の基本的考え方でございます。
○辻(一)分科員 外相、率直に言って、我々が主張している、政府、日本が主張している食糧安全保障論を確信を持って諸外国と対処できますか、どうですか。
○中山国務大臣 現在そのような考えで努力している最中であります。御案内のように、先般の非公式閣僚会議においても先ほど申し上げたようなことを主張しておりますし、また、議長報告、その会合においてもあるいはスイスとかオーストリア、それから韓国等は食糧安全保障論の意見を主張しております。今後とも努力をしてまいりたい、このように考えております。
○辻(一)分科員 海外の公館をずっと回っていろいろな論議をすると、ちらちら弱音が聞かれるんですよね。だから、大臣が我が国の食糧安全保障について確たる確信を持って在外公館によくよく徹底していただかないと、現地でやっているのは大変ですからね。責め立てられるわけだから、だんだん弱気になって弱音が出かねない。ひとつそういうことのないように頑張っていただきたいと思います。 次に、中国の第三次円借款に絡む問題について二、三伺いたいと思います。 まず第一に、日本は西側の一員であるが、また アジアの隣国として対中政策には独自性があってしかるべきでないかと思います。まず西独、ドイツは西側の一員であることは言うまでもありませんが、対ソ政策において独自の政策をかなり持っている。これはソ連と大陸の地続きであるという点、また地政学的な関係からもありますが、あるいは不幸な侵略戦争が何回かあったということ、こういう点から短距離核政策においてもアメリカと必ずしも同一ではないという独自の政策をとっておる。大西洋を越えて離れたアメリカの言うことをいつも聞いておれぬ、こういう点もかなり独自性を出しておると思うのです。 言うまでもないことですが、我が国は過去の不幸な侵略戦争の歴史がありますし、一衣帯水、海を隔てておりますが、まことに近い国であるし、経済的にも非常に深い関係にある、こういう点から考えると、太平洋を越えたアメリカ、ソ連大陸を挟んだ欧州諸国と、その一員ではあるけれども、やはり同じ点じゃなしに、一歩踏み込んだ独自政策が我が国の対中政策として必要ではないだろうか、こう思いますが、これについてちょっと大臣の所信を伺いたい。
○中山国務大臣 委員御指摘のように、日本と中国との関係は長い歴史の中に示されているように極めて深いものがございます。そういう意味で、昨年の天安門事件はまことに不幸な出来事であったと私は認識をいたしております。ただ、私どもは日本政府として、同じアジアの国にあるサミット加盟国として、サミット加盟しておる他の首脳に対しては、中国を孤立化させることは好ましくない、この国を孤立化させることは、国際的な平和にも大きな影響があるということを絶えず主張しておりまして、私は、日本の立場というものは、西ドイツが独自の立場をとっているように、それなりの独自の姿勢というもの、考え方というものを他の国に披瀝しているというふうに考えております。
○辻(一)分科員 もう一つ、世界経済がブロック化するということは望ましいことではないと思うのですが、動きを見ると、EC等はソ連を含めて一つの市場圏を形成しようとしているし、北米大陸ではアメリカとカナダが自由貿易圏を形成しようとしている。こういう中で、我が国はNIESやASEAN諸国との市場圏と深いつながりを持っておりますが、どうしても、十一億の人口を持つ中国大陸というものが、日本、中国というものが一つになった市場圏が少なくもつくられなければいかないのじゃないか。ブロック経済という方向を目指すわけじゃないのですが、やはり日本は隣の中国と経済的にも共存共栄、ともに足らざるを補って繁栄していくという立場をアジアでつくらなくてはならないと思うのですが、これらの世界の市場圏等の形成を見て、その点どういうふうにお考えになりますか。
○中山国務大臣 御指摘のように、ECは九二年の統合に向かってその歩みを進めておりますし、民主化、自由化してきた東ヨーロッパの国々の動きは、恐らくEC各国との二国間の協力というものがあるいはこれから活発になってくるだろう。また、日本との関係も活発になってくるだろう。さらに、EFTAとの関係が大きなブロックを形成する可能性は十分あると私は認識をしております。 そのような中で、アメリカとカナダに委員御指摘のように自由貿易協定ができ、先般のメキシコのガット・ウルグアイ・ラウンドで私がお目にかかったメキシコの外務大臣は、アメリカとメキシコとの間に個別的ないわゆる貿易協定というものが今検討されていると報告をいたしておりました。 このような形になってまいりますと、アジアが、あるいは太平洋地域がどうなるか、これが日本にとっても極めて大きな関心事項であります。地政学的に見て日本はアジアの一国であり、この地域で昨年の秋、オーストラリアのキャンベラで第一回会合が開かれましたアジア・太平洋経済協力閣僚会議に私も出ておりましたが、今年は七月の三十、三十一日にシンガポールで行われることに決定しております。ここでは、二十一世紀へ向けてのアジア・太平洋地域の経済をどうするか、こういう議論が十二カ国の参加のもとに行われておりますが、残念ながらまだ中国、ソ連あるいは香港、台湾等のような地域あるいは国の参加は見るに至っておりません。 しかし、世界各国と貿易をやっていかなければこの国の経済成長が保てないという日本の立場としては、何としても自由貿易を堅持するということが極めて重要でございまして、日本政府としては、先ほどのガット・ウルグアイ・ラウンドの非公式会議におきましても、ガットにいわゆる法的な力を持たせるようなルールづくりを日本としては強く主張をいたしております。 委員御指摘のように、地域のブロック化が進みますと、日本のような工業貿易商品を出している国家としては極めて大きな影響が出てくるものでございますから、私どもとしては、このガット・ウルグアイ・ラウンドを成功させて、ガットのルールを強化する、そして二国間の罰則を受け得ないようないわゆる国際貿易ルールをこの際確立しなければ、将来の展望に非常に暗い不安が起こるという認識を私は持っておりまして、御存じのように日中関係の貿易も相当量に達しておりますけれども、将来に向けて中国の改革・開放路線を進めてもらって、日中双方が努力をして、この経済協力が実り多いものになっていかなければならない、このように考えております。
○辻(一)分科員 以上の二、三点を一応踏まえて、今大臣からいいお話がありましたが、さきのサミットで、中国を国際的に孤立さしてはならない。今も大臣も御発言のとおり、私も、隣の中国が世界に開かれた中国、開かれた経済政策を今後ともとることを強く期待をしております。しかし、中国を国際的に孤立化をさせずに経済開放政策をとり、長い目で見て中国が開かれた中国へと歩んでいくには、日本は何を今やらなくてはならないのか、こういうことを考えなくてはいかぬではないか。 そういう点、今アメリカや欧州の動きを横に見ながらやっている感じがするのですが、一歩踏み込んで、第三次円借款の早期凍結解除をやるということが今大事な時期ではないか。第三次円借款の凍結解除に向けての段取りについて外相はどう考えていらっしゃるか、お尋ねしたい。
○中山国務大臣 第三次円借款につきましては、本年一月の鄒家華国務委員が訪日された際に、私どもいろいろ意見を交換をいたしました。そして両国間で意見の一致を見たものは、現在、九〇年度新規案件に関する予備的準備行為として事前調査等を進めておるところでございます。既に、さきに経済協力局長も北京に出しましたし、先日は小和田外務審議官を次官級レベルの政治協議のために派遣をいたしておりまして、私どもは、これからの日中関係が一日も早く正常化するように努力をしているという段階でございます。
○辻(一)分科員 積極的に外務省もお考えでありますが、ぜひ取り組んでほしいと思います。 最後に、日中友好というものがアジアの平和と安定のもとでないかと私は思いますが、私は青年時代に昭和三十一年ごろに日中青年交流を中国の青年連合会と始めましたが、日本の青年を二十二名、昭和三十一年に戦後初めて中国に送りました。そのときには二万五千キロ、中国の昆明、重慶から東北の中ソ国境に至るまで、七十五日間、恐らく日本人が戦後初めて行ったところが大部分だったのですが、訪ねて、日中青年不戦の誓いを結んだという青年交流についての思い出と歴史があるんですが、その翌年、戦後初めて中国の青年連合会の代表十名を日本に昭和三十二年に迎えました。そのときの副団長は呉学謙であり、通訳は楊振亜氏であったので、我々は当時から非常に三十数年の縁があるわけですが、考えてみると、時には長崎の国旗事件というのが現地上海におったときに起こって、昭和三十三年であったと思いますが、我々の友情が長い間には引き裂かれるような思いがしたときがたびたびあったんです。しかし、今日に至っておるということを見ると、やはりお互 いに日中の友好がアジアの安定と平和のために絶対必要だし、再び戦ってはならぬ、こういう思いが、この三十余年の友情をお互いに支えてきたのではないかと思うんです。 そういう意味で、私はアジアの安定と平和には日中友好は欠くべからざる要件であると思っておりますが、これをぜひ努力していきたい。私どもは五月の二日からしばらく訪中して、多分呉学謙氏らとまた会うと思いますが、友好というものが何といってもアジアのもとである、こういう認識を長年持ってきたんですが、これをひとつ大臣、最後に御答弁を伺って、終わりたいと思います。
○中山国務大臣 委員御指摘のとおり、何といいましても日中の友好というものがアジアの安定に大きく寄与することは何人も否定できるものではございません。就任以来、私も鄒家華国務委員あるいはまた先日は人民日報の社長あるいは日中二十一世紀協会の会長の先生方にもお目にかかって、いろいろとこれからの日中問題について考え方を交換いたしております。私どもとしては、日中のさらなる友好の増進のために今後とも努力をいたしたいと考えております。
○辻(一)分科員 これで終わります。どうぞしっかり頑張ってください。
○町村主査代理 これにて辻一彦君の質疑は終了いたしました。 次に、渡部行雄君。
○渡部(行)分科員 まず、大臣にお伺いいたしますが、ソ連がゴルバチョフ体制になってから質的に変化を起こしていると思うのです。そしてまた、ソ連の体制が変化しているばかりでなく、世界全体が平和に向かって歩み出したそのきっかけとなった人物であるというふうにも評価できるのではないか。 そうした場合に、今日本の外交が、東欧諸国の非常に変化の激しい、そしてまたバルト三国の独立運動など複雑な様相を示しておりますが、しかし、言ってみればこれらの変化というのはきっかけはペレストロイカにあったわけですから、そのゴルバチョフの果たした世界史的な役割というものを評価すべきではないか。 ところが、卑劣な人間は、ブレジネフ体制時代は一言も文句も言わず、何にもしないでただその体制に順応しておっただけで、今度ペレストロイカになれば自由に話ができるようになったら、それを切り開いたゴルバチョフに対してまで批判の矢を向けるというこの卑劣な連中ですね、これに対しては、やはり堂々と平和を守る立場から、そして自由と民主主義を守る立場から私は勇気を持って発言していくべきだと思うのですが、その点についての大臣の御所見をお伺いします。
○中山国務大臣 ゴルバチョフ、議長であられたころにソ連の内政のいろいろな問題、憲法の修正も含めて改革をされ、さらに、現在大統領としてソ連の国づくりに取り組んでおられるわけでございますが、私は政治家の一人として、このゴルバチョフ氏の勇気、信念に敬意を表しますとともに、このペレストロイカの正しい方向性を日本政府は支持しているということをこの機会に申し上げておきたいと思います。
○渡部(行)分科員 そこで私は、今まで日ソ間に横たわっていた懸案事項というものを解決する絶好のチャンスに恵まれたのではないだろうか。したがって、日本がソ連についての評価をする際に、よくこれは自由主義経済が社会主義経済よりすぐれているのだ、こういう比較の仕方をする人がおりますけれども、これは全く私は的外れだと思います。 今考えてみると、むしろ純粋な資本主義というものに対して純粋な社会主義を追求しようとしてきた。その中間で社会主義という道がスターリンによって完全にねじ曲げられてしまった。そういう矛盾が噴出してゴルバチョフが出現したと思うのですよ。したがって、そういう面で言うと、哲学的な言葉を使えば、ちょうどこれは正反合の、今や合の時代じゃないか。いわゆる資本主義を正とすれば、社会主義を反として、そして今や今度は合の時代に入った。したがって、そういう時代は両方からの乗り入れが当然行われて、経済も混合経済にならざるを得ないだろう。したがって、そこで問題は、どのように民主主義が成熟していくか、徹底されていくか、ここが重要な問題だろうと思うのです。 そういう意味で私は、日本の外交姿勢、これをもう一度大きな立場から見直す必要があるのではないだろうか。それは何かと申しますと、つまり国対国の場合は立派に外交ルートというものができているはずなんです。しかるに、今の日本の外交のあり方というのは、外交ルートを通さないで何々派閥の親方だというようなことで、そして外国に行って大きなことを言って、そしていかにも自分がその政治問題を取り決めてきたような顔をしている人が相当いる。あるいはまた、政府として今日まで、北方領土問題を一つとってみても、四島一括返還ということで長年皆さんが努力してきた。それは外務大臣はだれよりも知っているはずです。その御苦労も全然考えないで、今になって、二島でもいいじゃないか、あるいは金で買ってもいいじゃないか。しかも、それが元副総理の口から出ているとなれば、一体日本の政治というものはどういう体制の中で行われているのかという、そういうことが世界に暴露されていくと思うのですよ。日本の政治のどこのボタンを押したらいいのか、外国人も迷うと思いますね、私は。そしてまた、逆に言わせるとこんなに政府をばかにした話はありませんよ。こんなに大臣を侮辱した話はありませんよ。 そしてそれも、この四島というときに、二島でもいいということは、もう既にこれは交渉にならなくなってしまうのです。向こうはそこに飛び込んでくるのですよ。この前、日ソ円卓会議に私は出て驚いたのですが、さすが抜け目のないなと思ったのは、日本の学者代表の一人が二島返還論から始まってそして二島がまず返ればその次という段階論を打とうとしたのです。そうしたら早速ソ連から、二島さえ返せばいいんですねとくぎを打たれたのです。そのとき角屋先生がいて、それは待った、そういうのにこの代表が発言する資格もないし、これは極めて政治的な問題だから、これはこれ以上話しすべきでないというので中断させたけれども、それくらい向こうは二島というものについて非常に敏感ですよ。それを、そういう副総理もやった人が、二島返還でしかも買ってもいいという話は何ですか。買ってもいいという話、金を出して。それじゃ今まで、これは日本の領土だから返してくれというその論拠がなくなってしまうでしょう。まるで品物扱いじゃないですか。こういうのが日本の政治を動かしているとなれば、これはやはりよほど今の政治が、閣僚が腹を据えてこういう風潮をなくしていかなかったら、日本の政治なんて世界から信用されませんよ。私はそう思う。したがって、こういう問題はやはりはっきりと外交ルートを通してやることとそうでないことを区別させるようにすべきだ。 そこで、きょうは実は官房長官も呼んだんだけれども、何か参議院の方に行って、来れないと言うし、これはいつか日を改めて総理にもやりたいと思うのです。総理にやらなくちゃわからぬです。これは総理が一番赤恥をかいていることなんですよ、言ってみれば。そういう問題について、私は今日本の政治全体を正すべきだと思いますが、どうでしょうか。
○中山国務大臣 北方四島が我が国の古来の領土であり、この領土は早急に返還されるべきものという日本の国会の決議また政府の統一された考え方、また国民の世論の統一された要望につきましては、私どもは何ら変化を認めるものではございません。これからも、委員御指摘のような政府の外交総攬者としての責任者として、日ソの交渉に全身全霊を傾けて取り組んでまいる覚悟であります。
○渡部(行)分科員 そこで、私は外務大臣に一つお願いと言っていいのかあるいは意見と言っていいのか、それというのは、ゴルバチョフが最近レーニン主義を見直して、是は是、非は非という態度をとりたいということを言っていますね。ところ が、この北方領土というのは本来侵略された、日本が負けてそして力で取られた島なんですね、領土なんですね。ただ、それがサンフランシスコ条約で四島返還、何というか四島だけはここに入ってなかったという日本の意思と、その当時の国際関係の意思との食い違いがあった。そこで後から日本では、これは日本の領土だ、もともと北海道の領土だと主張し始めて、四島一括返還ということになったんでしょう。それは何も条約を改正してという意味ではなくて。だから、そういうふうないわれ因縁があるわけですから、世界の歴史をひもとけばだれでもわかるはずですよ。ましてや、ゴルバチョフは非常に良心的に受け答えしてくれるんじゃなかろうか。そうした場合に、四島一括返還もいいけれども、その前にもっと基本的な、これはレーニン主義に基づいて考えた場合に、果たしてこの千島列島全部を占領し、自分の国にするということは正しい行為だったのか、これをひとつぜひ聞いていただきたい。正しくなければ、今急激な変化をさせなくても、将来はやはりみんなが正しいと信ずるところに落ちつこうじゃないか、そうすればそこに問題はなくなるわけですから。ひとつそういう交渉を一回やっていただけるかどうかですね。ちょっとお願いします。
○中山国務大臣 委員の貴重な御意見として十分頭に入れて検討をさしていただきたいと思います。
○渡部(行)分科員 それでは次に、シベリアの抑留者に対する強制労働についてお伺いいたしますが、捕虜のジュネーブ協定、ジュネーブ条約、これを見ても、正確に言うと、捕虜の待遇に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約ですね、これでは労働に対しても規制があるわけです。そして、そのほかの国際条約の中でも、例えばこういう条約は既に千八百何年かにつくった条約、そういうものから引き継いでいるんだということがはっきりと書かれているわけですね。そうすると、そこに一つの国際慣習というものが生きているということを私は認めていいと思うのですよ。だからそういう意味で言うと、ソ連が捕虜に強制労働をさせたという事実は歴然としているわけですから、これに対する債務がソ連の側にはあると私は思うのです。逆に捕虜の方々には債権が生じていると思うのですよ。だからそういう意味でこの問題をぜひとも外交ルートにのせてソ連とかけ合っていただけますかどうか、この点をお伺いいたします。
○都甲政府委員 私どもも、シベリアに抑留された方々が大変な強制労働を強いられて御苦労されたということは重々承知しておりますし、まことに遺憾な事態であったというふうに考えております。そういうことで、先生のお気持ちは非常によくわかるわけでございますけれども、しかし、抑留にかかわります請求権の問題ということになりますと、一九五六年の日ソ共同宣言第六項第二文によりまして、既に法的には両国の間で解決済みということになっておりますので、これを政府として外交ルートにのせてソ連側と話し合うという立場にはないということを事務的に申し上げたいというふうに思います。
○渡部(行)分科員 だから私は官僚政治というのは嫌いなんです。問題の実際の動きをどういうふうに受け取っているのか、その動きに対して対応するのが外交でしょう。今あなた、そんなことを言ったらどうなの、バルト三国の独立なんということは全く認められない、正しくない。あるいはポーランドがソ連に対して損害請求をしようという動きに対しても、それは間違いだ、時効になっているなんて言えますか。国際法に時効があるのですか。
○福田(博)政府委員 今先生の御質問、幾つかの点があると思いますので、あるいは落としたら申しわけないのですが、ちょっと気がつくままに回答申し上げますと、まず、一般的に国際法に時効は存在するかというお尋ねでございます。 時効と申します場合には、一つは取得時効、それからもう一つは消滅時効というものが国内法ではございます。取得時効というものが国際法で論ぜられるときには、主に長期間にわたって他国の領土を平穏に支配するということによってその領土を取得する取得時効の法理というものが国際法上もあるのではないかという学説があることは確かでございますが、しかし、その学説というのは非常にまちまちでございますし、具体的にどういうことを指すのかということは必ずしもはっきりいたしません。 それから消滅時効につきましては、一定期間が経過いたしますと、国家責任の追及を行うことができなくなるということを援用する国際法学者もおります。これも確かにそういうことが法の一般原則という形で国際法の次元で主張されていることもございますが、どの程度確立したものであるか、これは判然としないというのが客観的な事実であろうと思います。 それから第二の、バルト三国の法的地位はどうであるかということにつきましては、アメリカあるいはノルウェー、オーストラリア、その他各種の国は、ソ連がバルト三国を併合したことを認めておりません。認めたことはありません。スウェーデンあたりは法的に併合されたということを認めておると思います。あと、多くの国は法的な見解をはっきりさせておりません。 いずれにしましても、このバルト三国のことにつきましては、何回もいろんな場でそういう併合の事実というものは認められないというような主張も数多くなされておりますし、バルト三国がソ連の一部になったということを時効の議論で説明するのは困難だと思います。
○渡部(行)分科員 私はそういうことを主張したり聞いているわけじゃないのですよ。事実によって動いているということなんですよ。現実によって各国民、人民、そしてその国内の力関係によって指導者、そういう者が現実直視の上に立って地球上は動いているという、これを認識しないで、法律家みたいな物の解釈をやっていったら、日本の利益なんてどうして守れますか。しかも、捕虜に対して何の補償もしていないというのは日本だけじゃないですか。西ドイツもイタリーもイギリスもアメリカも全部やっているんじゃないですか。それを全く卑劣な論理を通して日本だけが回避しているんですよ。これは外務省の役人の考え方でしょう。私たちはこの変化に対して主張すべきは主張する。捕虜の労働の基本権まで奪われて、何でそれに対してこっちが主張できないんですか。それが日ソ共同宣言の中にあるなんという、そういう認識でいったら、国益なんてありませんよ。これはひとつ――いや、あなたから聞いたってわからない。そんな事務官から聞いたってわからない。これはひとつ大臣、外交ルートにのせて話し合いくらいしてみる必要があると私は思うのですよ、どんなことがあっても。それをひとつ外務大臣の決意のほどをお聞かせ願いたいのです。
○福田(博)政府委員 先生のお気持ちは大変よくわかりますし、申しわけないのですが、法的な立場といたしまして、戦争状態にございました国が……(渡部(行)分科員「そんなことを聞いているんじゃない。あなたの説明なんて学者の説明と同じじゃないですか」と呼ぶ)平和条約を結ぼうとする場合には、非常に大きな要素が幾つかございますが、その一つに賠償ないし請求権の問題の処理ということがございます。 我が国は、ソ連との間で領土の問題が確定しておりませんので、平和条約は結んでおりませんが、その前のいわゆる賠償ないし請求権の問題の処理の話、あるいは戦争状態の終結については一九五六年の日ソ共同宣言で規定がされておるわけでございます。ですから、法的な仕組みといたしましては、請求権の問題というのは処理済みであるというのが法的な仕組みでございます。
○中山国務大臣 私も、先ほどから委員のお話を承りながら、ちょうど十年前鈴木内閣の総務長官をいたしておりましたときの、当時の内閣委員会できょうお尋ねのような趣旨の御質問を受けたことを思い出しておりました。私の非常に鮮明な記憶として残っております。私は、そのような立場また委員の御指摘の気持ち、長い間シベリアで抑 留されて御苦労をされてこられた委員のお気持ちというものは、抑留者全体の気持ちをここでお話しになっているものと素直に受け取らしていただきたいと思います。 請求権の問題が条約上の解決が既に終わっているという国の条約局長の立場での答弁は以上のようなことでございますが、私の大臣としての気持ちの中には、抑留者として苦労された委員を初め多くの方々の御苦労は長く忘れられるものではないというものであります。
○渡部(行)分科員 いや、確かに今大臣が言われたようにそういう気持ちで当たられると、これはシベリア抑留者で相当御苦労された方々も国の誠意というものをある程度感じていただけると私は思うのですよ。今条約の法的な関係については訴訟されて係争中なんです。だから、まるで決まったような感覚で局長が言いましたけれども、そんなのは決まっていないんですからね、係争中なんだから。そういうことははっきりしておいてください。 しかも、この条約と一国の問題というのは、ただ単にそんな簡単な解釈論で決まるものじゃないのですよ。これからも常に新しい問題が吹き出してくるのです。そのときに一々判例を見たりいろいろしていたのじゃ間に合わないのです。外交なんというのはある程度肌で感じて、そして行動で返すべきなんです。そういうものがなければ、そんな役人ばかり雇ったってどうにもならない。私は今まで在外公館の充実なり外務省の充実のためにもっともっと力を入れるべきだとやってきているのですよ。そういう私の考え方についてのもっと温かい解釈をしてもらわないと非常に困るわけでございます。 どうかひとつ大臣、私からもよくお願いをしておきますが、何も正式に法的にどうのこうのということを言いなさいというのでなくて、こういう問題が日本にくすぶっている、実際今こういうふうに係争になっているんだ。それに対してゴルバチョフ、せっかく世界から期待されているあなたはどういうふうに思うのだ。自分たちの国のやった、しかも国際法違反のことをいっぱいやっているんですよ、捕虜を殺してまでいるんですから。そういう事実を述べて、そしてこれを一応話題にのせる、テーブルの上にのせる、そういうふうにすれば、たとえ実現しなくても、今息を引き取りつつある高齢者の人たちが満足していけると私は思うのです。だから、そういう点でひとつよろしくお願いします。
○中山国務大臣 委員のお話の点は十分心していきたいと考えております。
○渡部(行)分科員 そこで、日本の外交のあり方ですが、日本の外交は非常にわかりにくいと私は思うのですね。というのは、あちらこちらから雑音が入るせいもあってなおさらそうかもしれないけれども、やはり今どういうことが必要か。日本の外交がこの東西和解の流れの中に入っている場合に、私は、その和解の流れ、これをやはり促進させるための一つの力になるべきだと思うのですよ。その流れに流されていくのではなくて、むしろこういういい流れはどんどんと促進させて、そして大きな流れにしていく、こういう努力が必要だと思うのです。 ところが、非常に無責任に、今ゴルバチョフは失脚するんじゃないかとか、いろいろ批判をする人がある。私は批判は構わない、自由でいいと思うけれども、しかし、事政治の中では、政府の行動の中ではそういう点はやはり慎むべきで、東西の勝負がついたような表現は絶対すべきじゃないですよ。歴史なんというのはそんな二年や三年で評価できるものでなくて、むしろ百年も二百年もかかって評価することさえあるんですから。そういう点で、時間が来ましたから、これからの大臣の外交姿勢に対する御決意をひとつお伺いしたいと思います。
○中山国務大臣 第二次世界大戦の結果東西の陣営が分裂をして、いろいろな地域でいろいろな人たちがいろいろな生活上の苦難に遭ったことを考えれば、来るべきこれからの新しい時代には、平和国家を理想とする日本はみずからの持てる経験を生かし、経済力、技術力を社会のために使って貢献をしていく、そして緊張緩和を図り、各国々の人々がそれぞれの地域で繁栄をしていくというために貢献をいたさなければならないと考えております。
○渡部(行)分科員 時間が参りましたので、きょうはこれで終わります。
○町村主査代理 これにて渡部行雄君の質疑は終了いたしました。 次に、玉城栄一君。
○玉城分科員 時間も三十分でございますので、私は沖縄の基地の問題を端的にお伺いをさせていただきたいわけです。 御存じのとおり、沖縄本島に宜野湾市という市があります。人口は六万五千です。この宜野湾市の市街地のど真ん中に海兵隊が専属に使っている普天間飛行場があるわけですが、これは市街地のど真ん中です。この基地のフェンスのすぐここには約千名ぐらいの児童がいまして、大体この並日天間基地の一キロ前に四つ学校があります。小学校三つ、中学校一つですかね。そういう普天間の海兵隊専属の基地がありますが、そこで、フェンスを隔てた子供が書いた作文がありますので、大臣、ちょっとこれを読ませていただいて、子供の受けている状況をお感じになっていただきたいわけであります。 これは小学校六年生の女の子ですが、「飛行機」という題で、 わたしたちの 学校の近くには 普天間飛行場がある 「ゴー」 わたしたちは、このうるさい飛行機 のせいで、 勉強を一時ストップする また勉強をはじめる 声を上げて本を読む また「ゴー」という音 そのとき大きな声で本を読む でもやはり 飛行機のばく音にはかなわない 飛行機なんかなくなっちまえ これは六年生の女の子の作文ですね。 それからもう一つ「うるさい爆音」、これも小学校六年生です。 わたしたちの学校は、創立六年目をむかえた新しい学校です。宜野湾市普天間のマリン飛行場の北側に、隣接していて、飛行場と運動場の間には、アメリカ兵が作ったフェンスをはりめぐらしています。そのため、いつもばく音になやまされています。 朝礼のときでも、校長先生のお話の途中、飛行機やヘリコプターなどが、飛びたって、お話が、聞こえなくなることも、しょっちゅうです。そんなときは、みんなが、飛行機のほうを向いて「うるさいなあ。早くどこかへ行けばいいのに。」とくやしそうにしています。 また、授業をしているときでも、先生のお話が、聞こえなくなったり授業が進められなくなったりで、たいへんです。もし、わたしたちの学校に、飛行機がついらくしたら、どうなるのでしょうか。何百人という生徒が、死んだり、けがをしたりするかもしれません。そんなことを思うだけでも、ぞっとします。 わたしたちのなやみは、ばく音だけでは、ありません。もう一つは、運動場が、せまいことです。 運動場のトラックの長さも、たった一八〇メートルしかとれません。それは、飛行場にたくさんの土地が、とられているからです。学校の窓から、すぐマリン飛行場が、見えますが、広々とぜいたくに、土地が使われています。 それなのに、わたしたち普天間第二小学校に、土地を分けてくれません。 もともとその土地は、わたしたち沖縄県民の土地です。戦争で、負けたため、そこの土地は、アメリカ軍が、使うようになりました。沖縄が 本土に復帰してあとも、使っています。 もう、戦争は、終ったんだから、その土地を全部わたしたちに、返すべきだと思います。もし、それが不可能なら、せめて学校の勉強の途中には、飛行機を飛ばさないようにしてもらいたいと思います。また、土地もわたしたち普天間第二小学校に分けてほしいです。 わたしたちの学校は、見かけは、よくてもいざ勉強してみると、ばく音でなやまされたり、運動場が、せまいうえ、体育館やプールもまだできてなく満足に、勉強できません。 一日も早く、他の多くの小学校のように、静かで、おちついて勉強に、はげめるような学校にしたいものだと思います。 これは小学校六年生の女の子の作文なんですが、このように、とにかく子供さんの難聴の問題とか情緒不安定であるとか、いろいろなデータもたくさんあります。これには宜野湾市で調べた普天間飛行場の米軍基地の事故がずっと載っております。不時着とか墜落とかそういうのが三十九件載っています。 そこで、この普天間飛行場は海兵隊が専属に使っているわけです、これは輸送機も来ます、もちろん軍用ヘリが上空を旋回しての訓練とか。この飛行場は沖縄県知事の西銘さんがアメリカ本国に行きまして、これは大変だ、こんな六万五千の市街地のど真ん中にこういう軍用の飛行場があって、教育的にもいろいろな問題、市街は全部爆音が聞こえるわけですから、ぜひこれは返してもらいたいという要請もしているわけです。この間チェイニー国防長官も議会に報告された中にも、沖縄を中心にしてそういう返還もするというようなことも言っておりますので、こういう普天間飛行場の現在のあり方について、大臣、どのようにお考えになりますか。
○松浦政府委員 先生から今詳しく御披露ございました普天間飛行場に対します地元の方々の気持ちに関しましては、私どもも重々承知しているつもりでございます。 これは先生がまさに言及されました西銘知事が訪米の際に返還の要望を出されました七項目の中に挙がっているのも承知しておりまして、これはほかの場で御説明申し上げたことでございますけれども、現在の日米合同委員会で、かつての日米安保協の十八件とあわせまして、西銘知事が出されましたこの普天間飛行場を含めまして七件に関しまして米側と鋭意折衝をしているところでございまして、私どもは、個々の案件の具体的な状況については現在折衝中でございますので言及するのは控えさせていただきたいと思いますけれども、これからも全体といたしまして沖縄の置かれました状況を私ども重々承知をしているつもりでございますので、他方におきまして、やはり日米安保条約に基づいて米軍が日本に駐在し、かつその目的達成のためにこれらの施設、区域を必要としているということもございますので、その辺の調和を図りつつ、できるだけ早い機会に合同委員会でこの返還に関しまして結論を得て公表をさせていただきたい、こういうふうに考えております。
○玉城分科員 今局長さんのお答えは、この普天間飛行場、普天間基地についてもアメリカと折衝中であるということですね。
○松浦政府委員 先ほど申し上げましたように、西銘知事が出されました七件の一件として折衝しているものでございます。
○玉城分科員 折衝ということは、これはかねがね日米間でそういう整理統合ということで話をして、今詰めの段階であるということですから、これは返還ということで折衝しているわけですね。
○松浦政府委員 具体的な点に関しましては、先ほども申し上げましたように米側と話し合い中でございますのでちょっと控えさせていただきますが、先生御承知の、私が今触れました日米安保協の十八件の中にも普天間飛行場の外周部分の一カ所というのがもともと入っておるわけでございますけれども、西銘知事が飛行場全体について御要望を出しておられますので、それも踏まえて、米側とほかの施設、区域の問題とあわせまして話し合いをしているということと御理解いただきたいと思います。
○玉城分科員 そうしますと、アメリカさんは、議会に報告したその中には、「地上軍と一部の支援航空部隊は特に沖縄で削減する。」そして「沖縄の基地・施設は、地元との関係改善のため、用地を返還すべく使用の合理化を図る。」こういうような内容の報告書を議会に出しているわけですから、さっき申し上げましたように教育上の問題あるいは騒音の問題あるいは事故に対する不安感、とにかく市街地のど真ん中に軍用飛行場があるということは、今どきそういう状況というのは許されないと思うのですね。ですから、知事のそういう要望を尊重されるということで、やはり返還を前提として折衝をぜひしていただきたいのですが、大臣、いかがでしょうか。
○中山国務大臣 今北米局長が御答弁申し上げましたように、西銘知事のいわゆる訪米の際に要望されました事項で、普天間の飛行場も含めてできるだけこの地域の住民の生活環境を整備されるように日米合同委員会で努力をしてまいりたい、このように考えております。
○玉城分科員 これはちょっと補足しますが、この普天間第二小学校、千名内外の児童がいますが、しようがないのでこの学校を普天間飛行場よりずっと離れたところに移転までしよう、移転するにはまた相当の財政的なものが必要だ、宜野湾市だけの財力ではとてもできないということで、これもさたやみになって、犠牲になったのは子供たちですからね。こういう状況ですから、普天間飛行場そのものをやはり返してもらいたい。その普天間飛行場が返ってきてから、この跡地をどうするかということを宜野湾市当局はシンポジウムをあしたかあさってあたりから開いて討議をするというような段階にありますので、ひとつぜひ御努力をお願いしたい。 もう一点は、パイプラインですね。これも宜野湾市に関係して、宜野湾市と、浦添市というのがありますが、ずっとつながって四千六百メートレ、途中で九つのバルブボックスがありまして、これがオートバイかなんか激突して、事故のもとにもなっています。これも近々返す返すという話はよく出るのです、六十年ごろから。これも今もって一向に何ともないわけですね。この件はどうなりますか。
○松浦政府委員 先生今御指摘になりました浦添と宜野湾の間のパイプラインも、同じく昭和六十三年に西銘知事が訪米の際に返還を要望されました七件の中に入っておりまして、したがいまして、私どもといたしましては、先ほど申し上げたようなことでこの七件全体につきまして米側と今話し合いをしておりますが、その中に含めて話し合いをしております。
○玉城分科員 今のお話の流れからしますと、そのパイプラインの返還についても米側と折衝中である、近々合意をして公表するということだと受けとめているわけですが、じゃ那覇軍港、那覇港湾施設、これもやはり今同じようなケースでアメリカ側と折衝中なんですか。
○松浦政府委員 那覇軍港に関しましても、西銘知事が出されました七件の中に入っておりまして、同様でございます。 ただ、先生、念のためにちょっと申し上げさせていただきたいと思いますけれども、私どもはそういうことで沖縄の方々の従来からのお気持ちも十分拝察し、具体的には先ほど来申し上げておるように安保協で既に合意を見ている十八件とそれから西銘知事が出されました七件、合わせまして二十五件を中心に話し合いをしておりますが、先ほどちょっと触れましたように、やはり日米安保条約の目的達成のために米軍は米軍としての訓練を初めとする諸活動のために施設、区域を必要としておりますので、米側といろいろ話をしておりますけれども、そういうことで、できるだけ早く一定の結論を出して公表させたいとは思っておりますが、現段階ではなかなか、折衝はいろいろなところで壁にぶつかっているということもございますので、あわせてその点も触れさせていただき たいと思います。
○玉城分科員 それは今の那覇港湾施設についてだけなんですか。全部がそうだということなんですか。できるだけ早くということも前からおっしゃっていますからね。
○松浦政府委員 今私が申し上げましたのは、あくまでも全体についてでございまして、先生が御指摘の個々の案件についての状況は、先ほど申し上げたようなことで米側と話し合い中でございますので控えさせていただきまして、そのかわりに一般的な状況を御説明させていただいております。
○玉城分科員 それでは、これはきょうの新聞にもちょっと出ていましたけれども、アメリカの下院軍事委員会で作成した公聴会資料では、アメリカ海軍が世界的規模で検討している軍事施設の閉鎖計画の中に嘉手納基地の海軍航空施設が含まれている、P3Cですか、その施設も閉鎖をする計画が進行中である、結論はまだ出ていないが夏までには検討結果をまとめたい、こういう報道もされているのですが、いかがでしょうか。
○松浦政府委員 先生が今言及されましたアメリカの議会の下院の軍事委員会の公聴会での発言に関しまして、昨日報道がございましたので早速米側に照会いたしましたところ、米側の説明によりますと、今回一連の報道で言及されておりますリストは米海軍の検討の準備段階における非公式な内部資料であるということでございまして、特定の施設につき閉鎖、再編成が決まっていることを意味するものではない、米海軍としては引き続き財政上、戦略上、運用上の観点から米海軍の組織を再検討する、最終的な決定はすべての調査が完了された時点においてなされる、こういうふうに説明しておりまして、先生が今言及されました嘉手納の飛行場の海軍航空施設に関しましても、そういうことでこれから検討していくということの中に入っているということで、決定が行われたということではないと了解しております。
○玉城分科員 もう一つは、これもこの間沖特委員会でもちょっとお伺いしたのですが、嘉手納飛行場、そこに四千メートル滑走路が二本ありますけれども、この一本をいわゆる民間にも共同使用さしてくれないかという要望が非常に強く前からあります。それは、アメリカ・サイドでもそういうことも十分今後は考えられるのじゃないかというような報道もあるわけですけれども、松浦さん、これは皆さん方とアメリカと交渉してみられたらどうですか。一本は使わしたらどうかという交渉ですね。いかがでしょうか。
○松浦政府委員 嘉手納に関しましては、先生御案内のように、嘉手納の弾薬庫地区に関して返還問題が例の安保協で合意済みの十八件の中に入っておりまして、先ほど来御説明申し上げているような形で安保協の十八件と西銘知事が要望された七件、あわせまして鋭意折衝中でございまして、私どもといたしましては、沖縄の方々のお気持ちも考えてできるだけこれに関しまして早く結論を出したい、こういうふうに思って鋭意折衝しておりますので、これに当面全力を注ぎたいと思っておりまして、先生御指摘の問題については先般も沖特でもお答え申し上げましたけれども、先生がそういう御意見を持っていらっしゃるということは念頭に置いておきたいと思いますけれども、新しい問題を米側と折衝する前に、当面今申し上げたような従来の懸案を何しろ早く片づけたいというのが私どもの気持ちでございます。
○玉城分科員 とりあえず今問題の詰めのものから早くやりたい、その後は今後の問題ということで、そういうことも今後ぜひ実現するように交渉してもらいたい。日米共同使用してもいいと思うのですね。例えば月に何回とか一週間に何回お互いに使用させるとか、ぜひ検討していただきたいと思います。 それで大臣、ちょっとこの点も伺いたい。 アメリカの安全保障は、過去四十数年間、ソ連の強大な軍事的脅威を封じ込めることによって成り立っていたと言っても言い過ぎではないですね。しかし、歴史の歯車は猛スピードで回転をして、第二次世界大戦後の東西冷戦構造という言葉は死語になろうと国際政治は動いていると思います。このまま世界の平和が定着してもらいたいと当然私も思う一人ですが、この点、外務大臣はどのような御感想をお持ちでしょうか。
○中山国務大臣 一九六〇年代の米ソの極めて激しい対立、さらに七〇年代の対話、八〇年代の協力というふうな歴史の流れの中で、スーパーパワーがお互いに世界全体のことを考え始めるという思考の中で軍備・軍縮の問題が現在積極的に討論されていると私は認識をいたしております。近くに行われる米ソ首脳会談におきましても、この軍備の削減問題が大きな議題になるのではないかと推測されます。そういう中でやはり、これからのアジア・太平洋地域の平和をどのように維持していくかということについては、私は、米ソの両首脳会談の結果を踏まえて日本としてはこれからの新しい世界の流れの中でどのようにこの国を堅持していくか、平和国家として維持していくかということに政治は責任を持たなければならないと考えております。
○玉城分科員 そこで、このような国際情勢のためか、今回の予算委員会等を見ておりましても安全保障の問題が相当議論をされております。しかし、政府は、特に外務省は、欧州とアジア・太平洋地域と比べると、戦略的環境や地政学的条件などを考えると異なるとして、日米安全保障条約の維持強化はしても変化することはないという意味の答弁をされているわけですね。他方、政府は、米ソ関係、欧州を中心とする東西関係の変化は歓迎すべきことであるとし、今おっしゃいましたように、このような動きをアジア・太平洋地域にも起こしていくことが我が国の重要な外交課題の一つであるとし、積極的に役割を果たしていくという答弁をされておりますけれども、具体的にはどのようなことを考えていらっしゃるのか、お伺いします。
○中山国務大臣 新しい世界の歴史の枠組みづくりの中で、日本はみずからの経験と経済力、技術力を提供して協力をしていくという形をとっておりまして、ヨーロッパでは欧州復興開発銀行の設立に関与をいたしておりますし、既に設立の際の出資比率も日本の比率分が決まっている。これは東ヨーロッパの国々、ソ連ももちろんこの銀行には出資をし参加をするわけでありますけれども、それらの中で日本の経済力が欧州の平和と繁栄のために役立つことを期待しているものでございます。 また、アジアにおいては、朝鮮半島の緊張緩和のためにできるだけの努力をしなければならないと思って、積極的に日韓の外交交渉も現在、ただいまやっている最中でありますが、なお、中国を孤立させないで改革・開放路線を進めてもらうことが日本の大きな希望でありますし、特にカンボジア和平については、日本は積極的にこの和平達成に協力をするべきであるというのが私の考え方でございまして、先般、カンボジアのへン・サムリン政権下のプノンペン市に外務省の課長を派遣して、いろいろな人たちとの意見の交換をやらしておりますし、外務省の谷野アジア局長をベトナムに派遣をいたし、現地の政府関係者と協議をさしております。先般、チャチャイ・タイ国首相が日本に訪問されまして、日本の東京でこのカンボジア和平実現のためのへン・サムリン政権のフン・セン首相とシアヌーク殿下の会談の場所をひとつ提供したらどうかというお考えを海部総理は受けられまして、私ども外務省としては直ちに積極的にこれを進め、二十四日タイのバンコクにおいてシアヌーク殿下が、六月初めに東京でこの二者の会談が行われるという見通しを記者会見で述べておられる。私どもは、そのようなことがこの日本で実現をし、日本がアジアの平和のために貢献ができる機会をつくることは極めて有意義である、このように考えております。
○玉城分科員 そこで、日米安保体制ですね、これは現時点において変化をするということはおっしゃれないと思うのですけれども、米ソ関係や欧州の変化がアジア・太平洋地域にやってきたと き、当然冷戦時代にできた日米安保体制は何らかの変化はあると思います。また、質的な変化がなければならないと思います。もちろん、今そういうことが起こるというわけではないのですが、今後日米安保体制は質的に変化していくという方向というものは当然あるのではないか、また、そうなければならない、このように思いますが、いかがでしょう。
○中山国務大臣 私は、日本の安全保障の一人の責任者として申し上げたいことは、米ソの対立のもとで日米安全保障条約が果たしてきた日本の安全保障の確保の問題は、単に米ソの対立というだけではなしに、日本の周辺国の平和と安全のために非常に大きな役割を果たしていると思います。アジアにおいては、御案内のように共産党の一党支配で極めて閉鎖的な国家も現存しているわけでございますし、私どもといたしましたら我が国の安全が確保されるということを確認をすることが政府として国民に対する非常に大きな責任があるものだと考えておりまして、これからのアジア情勢、アジアの軍事情勢がどのように平和に向かっていくかということを見詰めながら米国とも十分協議をしてまいりたい、このように考えております。
○玉城分科員 確かに、それは状況の変化ということが前提となっていると思うのですが、私はやはり、現在のような日米安保体制が冷戦構造という中ででき上がったという一つの経過からしますと、このようにぐらっと変化している時代には日米安保体制というものは質的に当然変わっていかなくちゃいかない、このように思うわけですね。 そこで、私最初当選してきたころ、安保条約の必要性について外務省のある課長さんの方が、我が国の自衛隊をこれ以上大きくしないためにも安保が必要だと冗談みたいにお話ししていた、大変おもしろいことをおっしゃるなと聞いておったわけですが、最近、沖縄の第三海兵師団長のスタックボール少将が、我が国の軍事力の再興を防ぐために在日米軍が必要だとするいわゆる瓶の栓発言がなされて、これは前回、沖特委員会でも局長さんに質問したのですが、どうなんですか、安保条約というのはそういう意味も含んだ体制であるのかどうか、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○中山国務大臣 日本の政府の考え方としては、私は、平和国家という大きな理念がありますし、また、専守防衛の防衛力整備に徹しなければならない。しかし、それだけでは現在の国際軍事情勢の中で我が国の安全保障が確保できないというところで、抑止力というものをどのように補完するかということで日米安保条約というものが現存して今日までの平和と繁栄が築かれてきたというふうに実は認識しておりますが、この軍事大国にならないという日本の国際社会へのみずからの主張というものを、日米安保条約があることによって軍事大国にならないということがむしろ保障されているのではないか、このように考えております。
○玉城分科員 そこで、アメリカは、例えば沖縄の在日米軍もそうなんですが、前方展開戦略を堅持していくという姿勢を明らかにしているわけですね。我が国も、日米安保体制のためにも前方展開戦略というのは堅持してもらいたいというお考えなんでしょうか。
○松浦政府委員 今の外務大臣からのお話にございましたこの日米安保条約のもとでの抑止力というのが非常な意味を持つためにも、やはり米軍が前方に展開する戦略をとるということが私どもは引き続き必要であるというふうに考えております。
○玉城分科員 最後に、時間が来ましたので、沖縄の海兵隊も前方展開戦略の一部と見ていいわけですね。
○松浦政府委員 はい、そのように考えております。
○玉城分科員 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。
○町村主査代理 これにて玉城栄一君の質疑は終了いたしました。 次に、和田貞夫君。
○和田(貞)分科員 中山外務大臣、再びの就任、おめでとうございます。 まず、日米構造障壁除去のために政府の窓口となって日夜奮闘しておられることに敬意を表したいと思います。 そんな忙しい外務大臣でございますが、きょうは、この分科会を活用させていただきまして、ぜひともひとつ相談に乗っていただき、いい知恵を出していただき、ひとつ解決のために努力をしてほしいな、こういう気持ちでひとつお尋ねしたいと思うのであります。 つい最近でございますが、私の方にこのような要望書が参りました。海外留学ホームステイ被害を考える会という団体です。今年間約一万人程度の高校生の海外留学が行われているというようなことでございまして、その被害者の父兄の皆さんが集まってつくられた会です。世話人の代表者は大阪の弁護士の大野町子さん、事務局は、その被害者の父兄でもある岸和田市の西村郁子さんと富田林市の保科浩一さんがやっておられるのですが、連名でこの要望書が来ておる。 内容は、留学制度を悪用して、留学生と保護者を食い物にする悪徳業者、あっせんをする悪徳業者、これが野放しになっているので、これが被害防止にぜひともひとつ国の方で措置を講じることができないだろうか、そうして、この悪徳業者の対策を立ててもらって、もうこれ以上被害者が出てこぬようにしてもらえないだろうか、こういう内容の要望書であるわけです。 その事務局を担当しておられる西村郁子さんも――本来このホームステイというのはボランティアであって、有料ということはあり得ないわけですね。この種のあっせん業者を通じてみんな有料なんですね。この西村さんは、かつて韓国の子供さん、アメリカの子供さんを自分の家をホームステイとして提供して受け入れた経験があるわけです。 そこで、四年ほど前に自分の娘、当時十六歳で高校二年生でございました。アメリカのオレゴン州のポートランドのホームステイ先をあっせんされて、そこへ行ったわけです。時間がありませんので、詳しいことは言うことを避けますが、簡単に申し上げますならば、行って、娘が毎日毎日食べ物もない、近くに行って食べ物を求めることもできないというようなことで、それは久しい時日が経過してから親元に連絡があったのですが、業者とかけ合ったけれども、なかなか前に進まない。ごたごたを繰り返している間に、不適任者だという刻印を押されて送り帰されてきた。そのときにはもう極めてやせ細って、自分の娘を見て涙を流さざるを得なかった。こういう被害を受けまして、早速、当時文部大臣が塩川さんでしたが、塩川文部大臣のところに陳情書を出したらしいのです。 ところが文部省の方は、西村さんのところへ電話で、何の法律もないし、取り締まることもできないし、罰則規定もないのです、文部省としてはどうしようもありません、こういう電話での回答。そこで大阪の法務局の方に行きまして、人権救済の訴えをしたのですが、大阪の法務局も、これは文部省の所管で、こっちは関係ないというようなことで、全くたらい回し。大阪府や大阪市のいわゆる消費者センター、その窓口を訪ねましたら、ここは相手に直接電話してくれて対応してくれたけれども、どうにもこうにもならぬ、こういう状態であります。 たしか一年前か二年前に外務省の方で、海外の在留邦人を保護する立場でこのような業者を集めて指導されたということも聞いておるわけなのですが、悪徳商品を売ったり、悪徳の金まがいのそういう業者でありましたならば、これは通産省なりで処理することができるのですが、この種のものは、どこへ行ってもどうにもこうにもならぬということで、何とかしてくれ、こういう要望書が届いたわけです。 外務省がこれを受け持つというようなことができるのかどうかということはつまびらかでないわけですが、このような被害者がそれぞれの国の、アメリカが中心でございますが、海外で在留する、 そういう邦人を保護するという立場に立って、ひとつ何とか処理をしていただいて、そして、外務省が不適当ということであれば、どこかの省が、役所がやはり窓口になって早急にこの対応を政府として考えてもらいたいな、こういう気持ちできょうここで中山外務大臣に御相談をさせていただくために立たせてもらったわけです。ひとつお答え願いたいと思います。
○中山国務大臣 お答えに入る前に、冒頭和田委員から温かいお言葉をちょうだいしたことを心からお礼を申し上げておきたいと思います。 このホームステイの問題は、子供たち、特にこれからテレビなどで外国の風景あるいは学校、生活状態にぜひ触れてみたいと思う子供たち、あるいはそういう子供たちの夢を実現させてやりたいという親、こういう子供たちが夏休み等に、それをいわゆるビジネスにしている人たちの手によって申し込みを行う。そして行ってみれば、責任が持てない状態がそこに待っているということは、若い人たちの生涯にとって、私ども極めて憂慮にたえない問題であると思います。私が外務大臣に就任して以来、何遍かそのような方の親御さんからお電話をちょうだいいたしておりまして、私は急いで海外の在外公館に連絡をした経験者の一人でもございます。そういう意味で、外務省としては安全に海外で生活してもらうということが旅券を発行する上での最大の問題でございます。安全にその目的を果たして帰っていただくというためにあらゆることをしなければならないと思います。 問題は、そういう業者が、私の記憶では、当初はロータリークラブとかライオンズクラブの善意に満ちた人たちが相互の姉妹提携、あるいは姉妹C等によって、家族同士が信頼の置ける関係で供たちをそれぞれホームステイに招いておったいう戦後の歴史がございましたが、最近は、お話を聞いておりますと、それを営業目的にしてい業者が子供たちの夢をつぶすケースが出てきた。こういうことにつきまして、旅行業者は運輸省のいわゆる認可団体でございますし、また、在学中の子供たちにとりましたら、その子供たちの健全な発育と教育の普及というものは文部大臣の所管事項でございますので、夏休みを前にして、私は外務大臣として早急に文部大臣と運輸大臣とこの件につきまして協議をし、委員の大変御心配になっている点を少しでも確保できるように努力をいたしたいというふうに思っております。
○和田(貞)分科員 このような業者は無許可の業者ですね。だから旅行業者でもないですね。大体あっせん料として百五十万から二百万、父兄から取っておるのですよ。だから恐らく、私の推測では、現地の、海外の同じ程度の悪質な業者と結託をして、初めから計画的に、ホームステイに受け入れられないようなところに幾らかの報酬を出してオーケーを言わして、そしてこういうふうにしているんだと思うのですがね。認可業者でも許可業者でも何でもないんですからね。その知恵さえ働けば何ぼでもそういうあっせん業者は出てくる。新規参入は自由だ、こういう状況なんですね。だから、法律的にこの業者を取り締まるということを何かの方法でどこか所掌する役所をつくってもらってやってもらうということがまず一つですね。 それから、これは本来的にボランティアでございますので、そういうようなあっせん業者を認可する、許可をするということもちょっと当を得ておらないような措置の仕方にもなるのじゃないかという気もするのですが、いずれにいたしましても、現在これを現実的にあっせんをしておる業者、これはまるで詐欺なんですね。全く詐欺なんですからね。行ってみて、被害を受けて帰ってくるんですから。六カ月という約束で行ったけれども、六カ月どころか一月たてばもう帰ってくる、帰らざるを得ない、こういう状況を繰り返しているわけです。 だから、今大臣が運輸省と言われても、これは旅行業者でもないし、それから文部省と言われましても、これをどういうような対応で文部省が引き受けてくれるだろうかなということは、ちょっと私疑問視しますので、というて外務省に詰め寄って、おまえのところで引き受けんかいというようなことも言えることでもないし、非常に困っているのですが、そういうことから、心安い仲ですので、ひとつ政府の閣僚の一人としても何とかしてほしいなという気がして、立たしてもらっているんですよ。
○中山国務大臣 今の委員の御指摘の点は、文部省は文部省でいわゆる認許可権がない、運輸省は運輸省で旅行業者としての許可権は持っておっても、それは旅行業務として扱っている。一番問題は、委員も私も同じことを考えていると思うのです。それはいわゆるホームステイ先の保証措置がどうあるかという問題じゃないかと思うのです。だから、この問題については、いわゆるそれをあっせんしている相手の国内にいるこのあっせんのルート、そういうものを外務省としては、外務省の責任で早急に一度調査をしてみたい。そして、みんなが安心して若い時代に外国で夏休みなら夏休みが送れるというようなシステムが完備されることが、これからの日本の若人のためにも、また、相手の国の印象が生涯その人たちの心の中へ残るわけでありますから、私はそのような方針で早速一度調査させていただきたいと思います。
○和田(貞)分科員 せっかくのことでございますので、これは文部省としては――そういう被害を受けて、そして四カ月なら四カ月で帰ってきた、六カ月なら六カ月で帰ってきたという子供たちを受け入れる高校がないんですね。それでこの被害者のほとんどの子供たちは、一年留年して高校へ通わしている。この西村さんの娘さんもまさに、もう大学を卒業しているんですが、一年留年して高校へ行って大学へ進学された、こういうことですが、ほとんどの子供さんが、帰ってきて、送り帰されて、そして受け入れの高校がないということで非常に困っているのです。その点は文部省としては何とか知恵を出してもらえるんじゃないかと思いますので、その点は文部省の方にぜひともひとつ話をしてもらいたい、こういうように思うのです。 それからここで、先ほど西村さんの例を見ましたけれども、いろいろな例があるんですね。例えば、一番ひどい例を挙げましたら、そのホームステイ先がお父さんと息子しかおらぬ、そういう家庭に女性の高校生を送り込んでおるのですね。そこで暴行を受けて、そういう被害を受けて帰ってきている、こういう例もあるんです。それから、家族が六人の子供を抱えているという家庭に送り込んで、そこでは寝る場所もない、床で寝んとしょうない、そういうことで、当然そんなところに住めることができないのですから帰ってきておるというような、こういう子供もおる。あるいは、女子留学生の髪を短く切れということで、無理やりに極端に短く切り落とされて、そしてイエロー、イエローということで差別的な扱いをされるというような被害を受けていたところもあるわけですね。 こんなようなことで、ここに、後でこの要望書の写しをお渡ししますが、実に目を覆うようなそういう被害を極端に受けている、こういうことなんです。 そういうことでございますから、ぜひともひとつ留学制度、単に今大臣が言われたように、夏休みじゅうとか冬休みじゅうとか短期のホームステイもありますけれども、これは海外に留学するということで長期にわたってあっせんしている中での被害が訴えられているのですが、目的を達成せずに帰ってきている。だからこの留学制度自体を何かメスを入れて、そして、こういう悪徳業者が手を出せないような方法を講ずることができないだろうかなという気がするのですがね。
○中山国務大臣 先ほども御答弁いたしましたように、この海外におけるホームステイの状況、あっせん業者の存在あるいはその旅行途次の人たちの帰国後の問題等につきましても、一度研究を早急にさしていただきたい、こう思います。
○和田(貞)分科員 でき得るならば、この被害者 の代表の皆さん、被害を直接受けた父兄の皆さんと、大臣が忙しければどなたかひとつ会ってもらって、直接この被害の状況をお聞き願って、そうしてこれはもう完全な詐欺ですから、現実的にその業者がおるのですから、そういう被害の訴えもさして、警察を使って取り締まる、そういうこともできないのだろうかなという気がするのですが、どうですか。
○久米政府委員 被害の状況につきましては、私どもも被害を考える会の方々からこれまでにも何度か事情を伺ったことがございまして、そうした被害に基づきまして、これまでいろいろ対策を考えてきている次第でございます。
○和田(貞)分科員 そうすると、今のところでは、外務省が窓口になって被害者から聞いてもらっているということしかないんですね。
○久米政府委員 ほかの省にどういう陳情が来ているか、私どもつぶさには承知しておりませんけれども、外務省にもそういう陳情を受けておりまして、我々といたしましては、旅行業界のような運輸省の所管しておりますところにつきましては運輸省にお願いをして、運輸省から指導監督を強化するということをお願いしておりますし、また私どもとしても、独自の立場から関係業者を呼んでいろいろ集団で会合を設けたり、あるいは個別に不適切なパンフレット等がありました場合には、それを指摘して改善をするように指導しているところでございます。
○和田(貞)分科員 ぜひともひとつこのようなことが繰り返されないように、これはほっておけばほっておくほど被害者がふえてくるわけですから。内容が全くないようなリーフレットやパンフレットをつくって、それでつるということで、まさにまじめな青少年を、その家族をえさにして食い物にするというような、これは言語道断な振る舞いをしておる悪徳業者でございますので、この悪徳業者の取り締まり、そして被害を受けた皆さん方の訴えをよく聞いてもらって、これ以上被害が出ないように、まことに恐縮でございますが、外務省を通して政府全体の問題として適当な機会にひとつ大臣の方から持ち出してもらいまして、早急に被害者の立場に立って対処してもらいたい、このことを強く要望したいと思います。 最後にひとつ大臣の方からもう一度、その決意のほどを述べていただいて終わることにします。
○中山国務大臣 委員御指摘の問題は、私どもにとりましても重大な関心事項でございますので、御趣旨を体して外務省の中でこの問題をどのようにこれから詰めていくか、考えるか、あるいは関係する省庁とも連絡を密にして、子供たちが安心し、そして信頼できる留学あるいはホームステイのあっせん機関というものを確認する方法はないものか一度早急に検討してみたい。これが子供たちの夢だけでなしに、子供たちを送り出す親たちの安心にもつながることでございますので、私はそのような判断をしてまいりたい、このように考えております。
○和田(貞)分科員 ひとつよろしくお願いいたしまして、終わります。
○町村主査代理 これにて和田貞夫君の質疑は終了いたしました。 次に、堀込征雄君。 〔町村主査代理退席、主査着席〕
○堀込分科員 私は、きょうはウルグアイ・ラウンド貿易交渉の中で、特に農業交渉の分野について、とりわけ米の問題を中心に質問させていただきたいというふうに思います。 外務大臣、つい先ごろ関税貿易一般協定、つまりガットのウルグアイ・ラウンド推進のためにメキシコで開かれました非公式の閣僚会議に出席をされて帰国をされたばかりでありますけれども、ここで、いろいろ新聞報道がございますけれども、具体的な合意事項がございましたかどうか、あるいはそういう段階でなくて、全くそういう段階に至らなかったのかどうか、まずお尋ねさせていただきます。
○中山国務大臣 先般メキシコで開催されましたガット・ウルグアイ・ラウンドの非公式閣僚会議におきましては、三つの分野に分かって議論が二日間にわたって行われました。そして、その三つの分野を通して議論が行われたことは、十五項目にわたる問題点がございます。しかし、このガット・ウルグアイ・ラウンドの最終ラウンドは、御案内のように今年の十二月でございまして、現在のような進行状況では時間的にもう余裕はない、こういうことで、出席いたしました閣僚たちの間で、この七月の末に行われるTNCで、この大枠の合意を各国が見るように努力をするということで、この会議は終わったわけでございまして、特別の決定とかコミュニケというものは一切ございません。
○堀込分科員 わかりました。平たく言うと、具体的な合意事項はなかった。しかし、このままではいけないので、七月に開かれるジュネーブでの会議までに各国が議論をして少し中身を詰めてこよう、こういうことで合意をされた、意思統一をした、こういうことで確認をさせていただきたいと思います。 そこで、もう一点お伺いをしておきますが、これも新聞報道で恐縮でございますが、ECが従来主張してきた輸入課徴金制度などなどの貿易問題、これについては改めて関税化方式でいくんだということでアメリカと一致をしたという報道が実は国内でずっと流されたわけでありますけれども、これは事実なのでございましょうか。あるいはこれが事実だとしますと、米問題を抱える私ども日本の立場は非常に苦しくなるという状況があるわけでございますが、実際の状況としてどうなっておられますか。あるいは今後仮にそういうことになれば、日本の交渉に具体的にどういう影響が予想されるのか、そういう事態になっても断固として日本は従来の主張で頑張っていく、こういうことでよろしいかどうか、お尋ねをしたいというふうに思います。
○大隈説明員 国際経済課長でございます。 ただいま先生お尋ねのアメリカとECの立場といいますか、これが接近したのではないかというお話でございますけれども、確かに関税化の話につきましては、ECにおきまして、ある条件を受け入れれば関税化という考え方もしないわけではないという考えが出ておりますけれども、これは今回の話で始まったことではありませんで、昨年の十一月の提案の時点で既にECにおいては、例えば油糧種子の国内措置の扱いについて関税化の中に繰り入れるというような、リバランシングと申しておりますけれども、そういう一定の条件をつけた関税化であれば受け入れてもいいんだというような考えを出しておりまして、今回特に新しい形で接近したという報道はやや事実誤認ではないか。しかも、アメリカの方もECの考え方と自分たちの考え方とは相当距離があるということで、とてもECの考え方は受け入れられない、こういうことを言っておりますので、依然としてアメリカとECの距離は同じである。その中で、やはり日本としては、基礎的な食糧というのは自給で対応していくということでございます。
○堀込分科員 今の説明で、あるいは大臣の経過の説明でおおむね非公式の閣僚会議の経過がわかったわけでありますが、それにしても七月末までに少し詰めていこうという国際的な雰囲気がございますし、今否定がございましたけれども、関税化案でアメリカとECの間がかなり議論が進んでいるという状況が一方でございます。七月末までに一定の各国の素案を取りまとめていこうということでございますから、私ども日本で最大の問題になっている米問題、農業問題につきましても、そうしますと、七月ごろまでには態度をはっきりさせなければならない、こういうことだろうと思います。 今さら言うまでもありませんけれども、私ども日本の国は、従来から先進諸国で最も自給率が低いんだ、これ以上食糧を輸入に頼ることは危険だ、こういう立場でいわゆる食糧安定保障論ということでガットの場に臨んできたわけでありますが、再確認で恐縮でございますが、この立場をさらに確認をして、今後のウルグアイ・ラウンド交渉に 進んでいく、多少アメリカ、ECの動きあるいは七月末までの貿易の交渉委員会までに素案をまとめるというような動きはありますけれども、この立場は断固として変わらない、こういうことを再確認してよろしゅうございますか。
○中山国務大臣 極めて重要な問題でございますので、念のため、先般の非公式閣僚会議におきまして日本政府の意見を発表いたしましたが、それをここで改めて御披露申し上げておきたいと思うのです。 農業についても、我が国はこれまで多くの品目について輸入アクセスを拡充してきており、世界最大の農産物純輸入国として安定した市場を提供し、農業貿易の安定的発展に大きく貢献してきています。しかしながら、その結果、我が国の自給率は四九%と著しく低い水準となっており、食糧安全保障への配慮の必要性が不可欠となっています。国内における農業の役割には、さらに国土・環境保全、雇用、地域社会の維持等極めて重要なものがあり、食糧安全保障を含むこれら非貿易的関心事項への配慮は不可欠と考えます。 このような状況にあることから、昨年末、我が国は、基礎的食糧に関し、所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置をとることが認められるべしとの提案を行ったところであり、各国の理解を得たいと思います。 という日本政府の意見を私はその際申し述べました。 なお、政府といたしましては、平成二年一月十九日の閣議におきまして確認されました米の自給に関する政府の方針を堅持しております。すなわち コメの国内生産による自給方針の堅持については、数次にわたる衆・参両院の決議がある。 政府は、ウルグァイ・ラウンド交渉においてこの決議の趣旨を踏まえ、食料安全保障等の観点からコメのような基礎的食料については、所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置を講じうるよう提案を行っているところであり、各国の理解を得られるよう最善の努力をしているところである。 政府は、国会の決議も踏まえ、コメは国内生産で自給するとの基本的な方針で対処していくものである。 以上でございます。
○堀込分科員 そういう立場で安心をするわけでありますが、そこで、米問題、重要でありますから、農林省おいででございますので、米の需給事情、情勢などについて若干質問をさせていただきます。 今度の交渉あるいはいろいろな日米貿易交渉の中で、特にアメリカはスーパー三〇一条という法律を盾にいろいろな輸入圧力を加えてきているわけであります。そこでアメリカの米の現状でございますが、お伺いをいたします。 私の資料では、アメリカの米の生産地は、特に南部のアーカンソー、ルイジアナ、テキサス、こういったミシシッピ川の流域が中心で、こちらの方で大体八〇%ぐらい、そして西部のカリフォルニア地方で大体二〇%ぐらい生産をされて、大体六百万トンちょっと上ぐらいではないかという生産量だというふうに聞いております。そこで、そのうち、我々日本人の食に合うといいますか日本人の食糧向けといいますか、粘り気があって、しかも長粒ではない中粒種ですね、どのくらい生産されていますか。そしてまた、その中粒種、例えばアメリカの消費動向、どのくらい生産をされてどのくらい消費をされていますか。これについて数字がわかりましたら教えてください。
○高橋説明員 お答えいたします。 米国農務省の資料によりますと、米国における米の収穫面積は、近年おおむね百万ヘクタール前後で推移しておりまして、生産量は、八八年産もみベースで申し上げますと七百三十万トン、精米ベースでは五百二十万トンとなっております。このうち七五%、三百九十万トンが長粒種ということであります。中粒種が二三%、百二十万トン、短粒種はわずか二%で十二万トンという統計になっております。 また、消費量につきましては、一九八九米年度、これは八八年八月から八九年七月までということですが、この精米ベースでいいますと、国内消費二百七十万トン、輸出向け二百八十万トンというふうになっておりますが、その内訳は、長粒種と中短粒種に分けておりまして、そのうち日本米に比較的近いと言われる中短粒種、これは国宝ローズとか錦とか言われるような銘柄のものですが、これらは中粒種に属します。これらを含む中短粒種が国内消費九十万トンという数字が出ております。それから輸出向けは五十万トンという状況になってございます。
○堀込分科員 今御説明がありましたように、中短粒種で大体百三十万トンちょっと、そしてそれはほとんど国内消費向けでアメリカ国内で消費されておる、こういうことでございますから、仮にこの米を日本が輸入するというようなことになっても、今の生産力ではアメリカには全然輸出余力はない、こう考えていいと思うわけでありますけれども、にもかかわらずアメリカが執拗に米を農業交渉の中心に据えて市場開放を要求してきている。これはどの辺に事情があるというふうにお考えになりますか。これは外務当局でも農林当局でもどちらでも結構ですが、お答えをいただきたいと思います。
○大隈説明員 アメリカがどうして我が国に対して米の市場開放を求めてくるのかという点でございますけれども、アメリカは我が国の米市場のアクセス問題をウルグアイ・ラウンドの場において取り上げることが適切であるという立場を表明しておるのは、先生御案内のとおりでございます。ウルグアイ・ラウンドの農業交渉の場におきましては、アメリカは公正で市場志向的な農産物の貿易体制を確立する、そのために我が国の米市場のアクセスを含む、米のみに限らず米市場のアクセスを含むすべての国境措置を撤廃すべきであるという基本的な立場をとっておるわけでございます。 この背景というのを考えますと、一つには、アメリカの輸出競争力の回復と輸出機会の拡大というねらいがあるかと思われます。それから二点目には、ECの共通農業政策、輸出補助金が特に問題ですけれども、こういうものを撤廃させる、そのために公正なといいますか市場志向的な農産物貿易体制を確立すべきだという考えに至っておるわけでございます。それから三点目としまして、農業への財政支出が非常に大きなものになっておるということから、それを削減しなければならないという政策目標がございますので、そういうものを求めていく。大体大まかに言いまして、以上三点のような志向があるかと考えております。
○堀込分科員 よく理解ができないわけでありますが、理解できないというのはアメリカの立場がよく理解できないわけでありますが、輸出機会の拡大あるいはEC対策上どうも日本の米がねらわれているのではないか、こういう感がするわけであります。 いずれにしても、アメリカの今の生産力からいって、仮に自由化というようなことになっても、アメリカの米は日本に入ってこない。だけれども、アメリカは執拗に日本の米の市場開放を要求している。今の答弁を聞いても、どうも不当な圧力ではないかというような感じがするわけであります。 そこで、これも三月二十五日、報道各社が一斉に報道をいたしましたけれども、アメリカは関税化のミニマムアクセスということで、一つは八六年から八八年の輸入実績の平均、それから二点目に九〇年の輸入実績、三点目に国内消費量一%のうち最も多い数量を輸入枠として受け入れるべきだという提案をしたというふうに報道されていますけれども、これは日本の米でいいますと、十万トン程度の輸入がアメリカの要求だ、こういうふうに一斉に報道されておりましたけれども、これは事実でございましょうか。国際交渉の中で具体的に、公式、非公式を問わず、そういう話はあっ たのでございましょうか。
○大隈説明員 アメリカは今回関税化構想というのを出しておりますけれども、この中の一環としまして、ゼロまたは低い税率での輸入を認める関税割り当てというものを関税化の構想の一部に含めておりまして、その中で初年度の数量については当該農産品の国内消費量の一%を最低限度とする考えというのを明らかにしております。これは三月十九日のジュネーブにおいて行われました各国提案を明確化するための会合、その中でアメリカの方から申しております。 いずれにしましても、我が国としましては、アメリカの関税化構想というのは受け入れられないという態度を表明しており、また、米のような基礎的な食糧につきましては、所要の国内生産水準を維持するために必要な国境措置をガット上講じ得ることとする旨の提案を行っておるところでありますので、これらを基本に今後本格的交渉に臨みたいというふうに考えております。
○堀込分科員 それでは次に、価格の方から米の問題を若干質問させていただきます。 日本米、これは政府米、標準価格米、自主流通米、いろいろございますが、これと比較して、実際にアメリカで流通をしている同質程度の米の価格は実際にはどのぐらいの消費価格で売られているのでございましょうか。 さらに、例えばアメリカでとれる先ほどの中粒種、国際米貿易は精米で行われておりますから、精米で輸入されたというような場合に、例えば日本に持ち込んだ場合、どの程度の価格になるのでございましょうか、その辺についてお聞かせをいただきたいと思います。
○高橋説明員 お答えします。 米国で生産される米のうち、日本の米の品質と同程度の品質の米を客観的に特定するというのはなかなか難しいわけでありますが、昨年十一月にニューヨークにおきましてジェトロの駐在員の協力を得まして、比較的日本米に類似すると言われております中粒種の消費者価格、スーパー店頭小売価格について調査した結果があります。それによりますと、国宝ローズが二十五ポンド当たり十八・五〇ドル、菊一〇〇という銘柄が十二・〇三ドル、それから錦という銘柄が十・四〇ドルというような状況になっております。これは為替レートは一ドル当たり百六十円で、ポンドがちょっとあれですので、十キロ当たりの日本円に換算しますと、国宝ローズで二千六百十円、菊一〇〇が千七百円、錦が千四百七十円というふうになります。 ちなみに、我が国では、上米、中米、並み米というふうに分けた場合、これに相当するような中米で見ますと四千四百三十八円でありますし、並み米ですと三千七百三十六円ということでございます。
○堀込分科員 そうしますと、日本の米の価格はアメリカの国内消費価格の大体二倍から三倍ぐらいということがわかったわけであります。十倍とか説明されていたのがいかにでたらめかということがわかったわけでございますが、労賃の安いタイ米などは別にして、大体アメリカの米の価格の実態はわかりました。同じ価格比較をしますと、東京とニューヨークでガソリン価格だとか水道代も大体三倍程度ということでありますから、とりたてて日本の米が特別高いという現状にないことが理解できたというふうに私は理解をします。 そこで、財界などが最近アメリカ農務省と間違うばかりの発言をされているわけでありますが、特に日本の消費者は高い米を買っているんだというような発言がございます。ところがこれらは、今の説明でもわかりましたように、実際の各品目にわたって価格を精密に比較しているわけではないということが明らかになっているわけでありまして、これは国際交渉今真っ盛り、大変なときでございます。国益をかけてやっている中で大変な農民に対する攻撃ではないかという感もいたします。言論の自由を封ずるつもりは全くないわけでありますけれども、しかし、適切な指導をぜひお願いしたいものだというふうに思います。 そこで、次に米を仮に先ほどの話のように、アメリカから一%なり三%なり巷間伝えられるように入れるとしたら、今アメリカが輸出しているFOB価格、大体トン三百ドル、こう計算しますと、仮に三十万トン入れても、日本へ輸出するともっと下がるのでございましょうが、これは一億ドル以下だ。八九年の農林水産物輸入額が五百億ドルに達している。そのうちアメリカからは百六十三億ドルにも達している。つまりこれは、日米経済摩擦が五百億ドルに上る貿易収支の不均衡があるが、国際収支の改善に役立たないということがはっきりしているわけであります。 しかし、にもかかわらずアメリカがいら立って日本へ米の輸入圧力をかける。それに対して私ども日本の農民は、御存じのように三分の一の面積を減反ししている、大変なことになっている。今申し上げましたように、米の自由化というのは、価格も安くならない、アメリカにも輸出余力がない、国際収支の改善にも役立たない。時間があれば申し上げようと思いましたけれども、輸入をする際には薫蒸などでさまざまな農薬の危険にも冒される。なおかつ、この米を入れなければならない理由について私は全く理解がしがたい。日米双方の利益にならないのではないかというふうに思わざるを得ないのです。 そういう意味で、ぜひ外務当局にも頑張ってもらいたいというふうに思いますけれども、そういう現状を考えるとき、なぜこれほどアメリカが米の自由化を迫るのだ、そういう背景、理由などについて、これは予測で結構でございますが、先ほどの質問にも多少重複をしますけれども、ありましたら御説明をいただきたいと思います。
○大隈説明員 繰り返しになる部分もあるかと思いますけれども、アメリカと日本の通商摩擦の中におきまして、マーケットのシェアが非常に少ないにもかかわらずアメリカから非常な攻勢がかかるという例は、これまでにも幾つもございました。これは先ほど私の方から申し上げました理由に加えて、ある意味で政治的なといいますか、シンボリックな意味を含む攻勢というような色合いもあるかと思います。しかしながら、先ほど御説明いたしました背景というものがその根っこにはあるというふうに思っておりまして、先ほどアメリカの農産物の競争力の回復というねらいがあるということを申しましたけれども、例えば為替レートの関係、こういうようなことでアメリカの農産物輸出力が落ちてくるということに対する焦りというものもあるというふうに考えております。 ちなみに、農産物貿易につきましては、米国のシェアは日本の貿易輸入量の中で三六%を占める、相当大きなシェアを占めておりまして、そういう意味ではアメリカは日本が農産物の非常に大きなマーケットであるというふうに認識しておる面もある。つまり農産物を売り込めば非常に販売額が伸びる、これこそ攻め込める分野ではないかという考えも持っておるかと思われます。 そのほかに、ECの共通農業政策というのは、若干見当が違うわけでございますけれども、やはりECの共通農業政策を撤廃させるという大きな目標が裏にあるとしますと、日本の食管といいますか国境措置、こういうものに対しても攻勢をかけることが必要になってくるというような考えも背景にあるかとは思います。
○堀込分科員 それでは、大体米の事情はわかりましたから、次の質問に移らせてもらいます。 一月十八日、衆議院選挙の前に、御存じのように、松永前通産大臣の米輸入容認論とも受け取れる発言がございましたけれども、閣議で否定をされて、海部総理から厳重注意を受ける、こういう事態があったわけであります。そのときの選挙民の反応、いろいろございましたけれども、やはり自民党は農業を守っていく政党なんだなという反応と本音が出たなという反応と、率直に言って両方あったと思うのです。 ちょっと質問がくどいようで恐縮でございますが、やはり米だけはどうしても守るのだ、そういう立場で選挙をやってきた、したがって、ここへ来て国際交渉の中で非常に立場は苦しくなるけれども、しっかりこれは守っていく、こういう立場 をもう一度、公約をきちんと守るという意味で、ここで意思表示をいただきたいと思います。
○中山国務大臣 重ねてのお尋ねでございますが、先ほども申し上げましたとおり、閣議における合意事項また国会の御決議を尊重して、これからも対処してまいりたいと考えております。
○堀込分科員 時間が来たから終わります。 いずれにしても、日本の農民、大変な中で日本農業を展開しています。外務大臣、改めて今決意の表明がありましたけれども、国際交渉、苦しいわけでありますけれども、日本の農民が後ろ盾についている、こういうことでぜひ頑張っていただきたい、要望を申し上げ、私の質問を終わります。
○越智主査 これにて堀込征雄君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして外務省所管についての質疑は終了いたしました。 外務大臣初め政府委員各位、御苦労さまでした。 ─────────────
○越智主査 次に、法務省所管について政府から説明を聴取いたします。長谷川法務大臣。
○長谷川国務大臣 予算委員会における説明を申し上げます。 平成二年度法務省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。 法務省は、法秩序の確保並びに国民の権利保全等国の基盤的業務を遂行し、適正・円滑な法務行政を推進するため、現下の厳しい財政事情のもとではありますが、所要の予算の確保に努めております。 法務省所管の一般会計予算額は四千五百五十億八千二百万円、登記特別会計予算額は一千二百二十四億五千五百万円、うち一般会計からの繰入額六百十八億八百万円でありまして、その純計額は五千百五十七億二千九百万円となっております。 この純計額を平成元年度予算額と比較いたしますと、三百五十一億三千六百万円の増額となり、増加率にいたしまして七・三%となっております。 何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。 なお、時間の関係もありますので、お手元に配付してあります印刷物を、主査におかれまして、会議録に掲載せられますようお願い申し上げます。 以上であります。
○越智主査 この際、お諮りいたします。 ただいま長谷川法務大臣から申し出がありましたとおり、法務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○越智主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ───────────── 〔参照〕 平成二年度法務省所管予定経費要求説明書 平成二年度法務省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。 まず、法務省所管の一般会計予算額は、四千五百五十億八千二百万円であり、登記特別会計予算額は、一千二百二十四億五千五百万円でありまして、その純計額は、五千百五十七億二千九百万円となっております。 この純計額を平成元年度予算額四千八百五億九千三百万円と比較しますと、三百五十一億三千六百万円の増額となっております。 次に、重点事項別に予算の内容について、御説明申し上げます。 まず、定員の関係でありますが、前年度定員に比較いたしますと純増九十八人となっております。 平成二年度の増員は、新規四百八十五人と部門間配置転換による振替増員三十八人とを合わせ、合計五百二十三人となっております。 その内容を申し上げますと、 一 検察庁における特殊事件、財政経済事件、公安労働事件等に対処するとともに、公判審理の迅速化を図るため、百十人 二 法務局における登記事件、訟務事件及び人権擁護関係の事件に対処するため、登記特別会計の百六十人を含め、百六十五人 三 刑務所における保安体制及び医療体制の充実を図るため、百十七人 四 少年院及び少年鑑別所における処遇体制等の充実を図るため、四十人 五 保護観察活動等の充実を図るため、十八人 六 出入国審査及び在留資格審査等の業務の充実を図るため、六十六人 七 公安調査活動の充実強化を図るため、五人 八 法務本省における出入国管理政策等の充実強化のため、二人 となっております。 他方、減員は、昭和六十一年八月の閣議決定に基づく「定員削減計画(第七次)の実施について」による平成二年度定員削減分として四百二十五人を削減することとなっております。 次に、主な事項の経費につきまして、概要を御説明申し上げます。 まず、一般会計では、 一 刑事事件の処理等検察活動に要する経費として、三十九億五百万円 二 刑務所等矯正施設における被収容者の衣食、医療、教育及び作業等に要する経費として、二百七十四億九千百万円 三 保護観察に付された少年等を更生させるための補導援護に要する経費として、四十八億九千百万円 四 出入国の管理及び難民の認定等に要する経費並びに在留外国人の登録等に要する経費として、六十二億五千三百万円 五 破壊活動防止のための公安調査活動に要する経費として、二十二億一千九百万円 六 施設費としましては、老朽・狭あい化が著しい基幹の大行刑施設、拘置支所の継続整備を含めた法務省の庁舎、施設の整備に要する経費として、百三十五億八千五百万円 をそれぞれ計上しております。 次に、登記特別会計について御説明申し上げます。 登記特別会計の歳入予算は、一千二百五十一億九千七百万円、歳出予算は、一千二百二十四億五千五百万円でありまして、歳出の主な内容といたしましては、登記事務のコンピュータ化計画を推進するとともに登記事件を適正、迅速に処理するための事務取扱費として、一千百十八億八千三百万円を計上し、ほかに、登記所等の施設の整備に要する経費として、九十四億円を計上しております。 以上、法務省関係の平成二年度予定経費要求の内容について、その概要を御説明申し上げました。 ─────────────
○越智主査 以上をもちまして法務省所管についての説明は終わりました。 ─────────────
○越智主査 この際、分科員各位に申し上げます。 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔、明瞭にお願いいたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林守君。
○小林(守)分科員 社会党の小林守でございますが、外国人労働者問題についてお伺いをいたしたいと存じます。 この問題につきましては、近年の国際化の中で、また日本の大きな円高、高度成長という中で、アジア諸国から日本に職を求めて多くの外国人労働者が来てさまざまな社会問題をもたらしてきたと いうような状況の中で、一方においては、国内において有効求人倍率の非常に大きな伸びという中にあって、建設労働現場やさらには第三次産業部門において人手不足という大きな問題を抱えて、そういう労働力の確保という観点から、外国人労働者導入についての要望も強くあるという背景のもとに、一つには、適度な開国論というような考え方があり、さらには、西ドイツ等の単純労働者導入の経過に見られるような、さまざまな社会、経済、人権問題も含める問題の経験を踏まえて慎重な対応をというような考え方がとられて、いわゆる開国的な考え方と鎖国的な考え方、この二つが長い間論議の中心にあって進められてきたわけ十万人から二十五万人とも言われ、そのうちいわでありますけれども、昨年の十二月に出入国管理及び難民認定法の改正が成立いたしまして、十二月に公布され、本年の六月一日に施行されるということになっているわけでございます。 そこで、法施行およそ一カ月前という現在にありまして、さまざまな状況について、そして取り組みについてお伺いしたいと考えているところでございます。 今日、日本に滞留をしている外国人労働者は二ゆる不法就労者と言われる方は十万人とも十五万人とも言われているというわけでありますが、その多くの方々は、日本の産業構造の底辺を支えている、特に三キ労働と言われているように、汚い、きつい、危険、この三キ労働部門に従事されている方が多いと聞いております。そういう状況にありまして、新聞の報道によりますと、政府の発表だとも思いますが、八八年度の不法就労の外国人労働者の摘発件数は一万四千三百十四人と発表されております。今後さらに増大するのではないか、そのようにも思われております。 そこで、いわゆる不法就労者というものはどういう状態を指すのか、そして現在何人ぐらいいるのか、どのくらい推定されるのかということをまずお聞きしたいと思います。
○股野政府委員 ただいま委員から御指摘のございました不法就労者の実態について御説明申し上げます。 不法就労者という場合には、入管法上の在留資格をもっては本来就労することができない人が就労している状態で不法就労ということになりますが、そのうちの、現在日本で不法就労を行っていると見られる外国人の大部分は、不法残留の形で、在留資格をもって与えられた在留期間を超えて不法に残留する形となって就労を行っている者がその大部分である、こういう状況であると思います。 数から申しますと、まず不法残留者につきましては、昨年七月の時点で約十万人ということでございまして、これのほとんどすべては不法就労者である。このほかに、本来在留資格をもっては就労できない、その在留資格で認められたもの以外のいわゆる資格外活動を行っている者というものも不法就労に入りますので、これを加えますと、不法就労者というのは十万人を超える数になっていると考えられます。
○小林(守)分科員 不法残留者というのは入国管理の手続の中で把握はできると思うのですが、在留資格外のいわゆる不法就労者については、先ほどの説明でも十万人プラスアルファという形で、十万人を超えるというような御説明だったのですが、その把握は明確にはできないということなんでしょうか。
○股野政府委員 私ども不法就労の中の、ただいま委員御指摘の資格外活動という形で摘発をいたしました人数がございますが、これは平成元年におきましては年間六百九十六名という数が資格外活動として摘発をされております。しかし、これは必ずしも資格外活動を実際に行っている者の数をすべて網羅するわけではございませんで、摘発ができた者の数ということになりますので、実際に資格外活動に従事している人間は、この摘発をされた人間の数よりも多いということになると思います。
○小林(守)分科員 このような形で一万四千三百十四人という方が摘発になったわけですけれども、主に不法残留十万人くらいいるだろう、しかしながら、そのうちの摘発件数については一万四千ということになりますが、さらに在留資格外の摘発については六百九十六ですか、そういうことですが、具体的に在留資格外の摘発の中で、主にこういう状態のときに摘発された、こういうパターンの摘発のケースが一番多いというものはどういうものなのか、その辺をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○股野政府委員 今その具体的な資料、ちょうど手持ちにございませんが、一番典型的な姿は、短期の在留資格、いわば観光などの在留資格を持って入国をしてきて、したがって本来就労することでない観光等の短期の資格を持って入国をしている者が実際は働いておったというのが典型的な例であると思います。
○小林(守)分科員 そういう例は確かに多いと思うのですけれども、現実に摘発行為に及ぶところ、例えば短期に在留して実際に働いておった、これは具体的にどうのこうのというのではなくて、そういうケースは結構多いのではないかと思うのですね。我々観光地を抱えておりますし、大きなホテルとか旅館等においても、いわゆるダンサーとか、そうでない方でもホテルのコーヒーショップみたいなところでコーヒーのサービスをしていたり、そういう方が実際は、調べてみるならば恐らく短期滞在という形で来ているのではないか、そのように想定はされますが、実際の摘発までの積極的な意味はないと思っているんですよね。そういう意味で、こういうケースは非常にあると思うのですけれども、具体的に例えば六百九十六名が在留資格外であったということなんですが、何かほかの関連の見過ごすことのできないようなことがあったから在留資格外という問題に発展したのではないか。一般的にはホテル等で外国人が働いている、それを専らやっているのではなくて、ほかにも何か学習をしているとか研修をしているとかあるかもしれませんが、そういうケースは非常に多いと思うんですよ。それを全部調べて不法在留だということになりますと、資格外労働だということになると、大混乱を来すという問題もあると思うのですが、そういうことで摘発するケース、どういう場合に摘発行為に及ぶのか、その辺をお聞かせ願いたいと思うのです。
○股野政府委員 委員御指摘のとおり、摘発の実際に当たりましては、その実態の把握ということについてなかなか困難もある場合もございます。先ほど来申し上げておりますように、不法残留という形でございますと、これは明々白々の違法行為があるわけでございますが、法的に在留資格の範囲を超えたことを行っているということになりますと、その行為がもう明白であるということが必要であろうと思います。それからまた、専らそういう行為に従事しておるという点も摘発の場合に当然考慮さるべきものだと思います。在留資格の中で、例えば留学生あるいは日本語学校の就学生等につきましては、本来就労目的ではございませんが、その方たちの学資を補助するという意味でのアルバイト活動は現在も認めておりますので、そういうことについての問題という点は、これはアルバイトという範囲内におさまる限りにおいては資格外活動ということには問わないことになりますが、短期の観光目的で来て専ら就労しているということが明々白々であるという場合に、これは資格外活動という摘発の対象になるということだとお考えいただきたいと存じます。
○小林(守)分科員 今すぐその関連の、例えば七百名近い方の資格外摘発ということについて具体的なパターンというのですか、こういうケース、こういうケース、これは千差万別だとは思いますけれども、しかし大まかに類型化できるものではないかと思うのですよね。それらについて今ちょっと資料が出せないということであれば、数字的なものでも結構ですから、後日資料をいただけるということをお願いできますか。
○股野政府委員 摘発を行いましたものについては、すべてその点データがございますので、後ほどお届け申し上げたいと思います。
○小林(守)分科員 それでは、そのように大変微妙なというか、実態としては資格外的な形も許容範囲の中では現実には相当あるというふうに我々は見ているわけですけれども、問題は、六月一日から法が施行になる、そういう中にあって、それ以降、六月一日以降の入管チェックは相当まゆ毛を引き締めてやるという形にはなろうかと思いますけれども、しかしながら既に滞在している方について、特に不法就労、不法残留、こういう方に対してどういう経過措置というか、どういう取り扱いが進められるのか、その辺をお聞きしたいと思います。というのは、一斉にもう厳しくやるんだということになりますと、大変大きな問題があるでしょうし、国際的な日本に対する期待を裏切るような、国際世論も巻き起こると思いますので、それらについて、法施行後の、既にそれ以前に入国していて不法な状態にある者、これらについてどういう経過措置的なものを考えておられるのか、進められるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○股野政府委員 来る六月一日から改正入管法の施行を見るわけでございますが、その際に、私どもといたしましては、既に日本に入国している外国人を雇用する場合の問題について、ただいま委員御指摘のような一つの法的な措置を講じております。すなわち、改正入管法は、この外国人の不法就労対策といたしまして、新しく不法就労助長罪というものを設けておりますが、これは不法就労活動を行う外国人を雇用する人あるいはこれをあっせんする人等を処罰する規定でございます。これにつきまして、この新しい法律が施行される際に、その施行される以前に既に日本に入国している外国人で不法就労状態にある者、これを雇用したその雇用者ということについては、この雇用者処罰規定を及ぼさない、こういう形での一つの措置を講じているという点が、ただいま委員御指摘の点でございます。
○小林(守)分科員 経過措置としてそのような配慮は当然なされなければならないとは思うのですが、しかし、どうなんでしょう、そういう状態がいつまで続いてもいいというわけにはいきませんね。六月一日以降になって、なおかつ新しくは雇えない、しかしながら従来から雇っている者について不法な状態になっているという者について継続的にあることについては、どうなんでしょうか。
○股野政府委員 御指摘の、既に法律の施行を見るときに日本に入っている外国人がその後雇用されるという場合、これはもうその外国人は既に日本に入国しているという点では、ただいまの改正入管法の附則の規定に該当するものでございますから、そういう人を雇う雇い主の側あるいはブローカー等についての処罰の規定は及ばないということになります。 ただ、念のために申し添えますが、外国人本人が不法就労状態であるということで、これが退去強制事由に該当するということは、これは改正入管法の施行の前でも、後でも、その点は変わりございません。
○小林(守)分科員 そうしますと、先ほどおっしゃいましたように、不法残留状態というのは十万人以上というお話がありましたね。そうしますと、今のお話ですと、これから十万人以上の方々については滞留できるという、もちろん不法残留の問題は残ります、しかし、発見できないという状態の中では十万人程度の残留者というのは一つの日本の産業構造に定着する方向で進むのではないか。むしろより陰湿な状態で、表にあらわれるとまずいという形で、より隠された状態の中で、表向きは不法就労者だという人格のもとに、なおかつ勤めていきたいというような状態が定着化してくるのではないかという問題がありますけれども、その辺はどうでしょう。
○股野政府委員 ただいまの雇用主の方の問題ではなくて、不法就労を行っているその当該外国人の問題につきましては、これは不法就労取り締まりということを現行法のもとでも鋭意行っているところでございまして、冒頭に委員御指摘のような不法就労摘発ということもその実績を示すものでございます。 そこで、この不法就労ということについては、現行法さらには改正入管法のもとでも、ひとしく当局としてはその取り締まりを積極的に行っていく必要があると考えております。したがって、ただいま、推計でございますが十万人程度いるという例えば不法残留者につきましては、当然やはりこれの摘発ということを進め、そしてその人たちが不法残留状態でいるということによって退去強制手続の対象とするというこの法的措置は、今後も積極的に進めていかねばならぬものと考えております。
○小林(守)分科員 そういうことになりますと、少し心配なのは、いわゆる不法残留者狩りというか、そういう世論形成が強くされた場合に、またもっていわゆる日本の人権という問題が国際的にやはり問題にされるんではないか、そんな感じがいたします。 ちょっと論点を変えまして、そういう形で、一応六月一日以降の不法残留者については積極的なというか、摘発を進めるというのには変わりはないということでありますから、そうしますと、善意に考えるならば、積極的な申し出による退去、私は不法残留者でございます、強制退去の身分でございますという形で入管局の方にあった場合に、または摘発の中でそれが大きくなる可能性もあると思うんですが、今の状態の中でそれを積極的にやれる体制ではないと私は見ておるんですが、そうしますと、むしろ退去申し出というんでしょうか、そういう形のものがこれからはふえてくるんではないか、そのように考えますけれども、その辺についてはどのように認識、把握されているか。
○股野政府委員 改正入管法の施行が近づくにつれて、ただいま委員御指摘の、みずから国外退去を申し出る者の数がふえているという動きが確かにございまして、これはいろいろな理由があると思いますが、新しい改正入管法のもとで雇用主処罰という制度が導入されるということ等にかんがみて、雇用主の側でもこの際その雇用の形態を改めるということも考慮されているものが一つその背景にはあろうかと思います。 そこで、こういう現状が実際にあるわけでございますが、その中で当局といたしましては、みずから不法残留であることを認めて、そして出頭してくる人については、速やかに法違反の実態の調査をいたしまして、退去強制手続を行い、この人たちがみずから国外へ退去するということが実際に行われるよう措置をしておるところでございます。
○小林(守)分科員 その際の費用負担についてはどういう形になるんでしょうか。国外退去の、逆に、変な言い方になりますが、この際帰る費用を浮かしてというようなことになりますと申し出という形がとりやすいのだと思いますけれども、そういうことはどうなんでしょうかね。
○股野政府委員 入管法の規定では、退去強制の関連で強制送還をする場合の費用の負担について、国費によるもの、それから自費によるもの、さらには運送業者によるものの三つの負担の形式を規定をいたしておりますが、先ほど来委員御指摘の退去強制の対象となる人たちについては、そのほとんどがその費用を自弁して早く帰国したい、こういうことを希望しておりますので、自費による帰国ということが圧倒的な割合になっておるという実態がございます。
○小林(守)分科員 わかりました。 それでは、幾つかの改正入管法の絡みでどういう取り扱いになるのかお聞きしたいと思いますが、一つは、留学生や就学生については週二十時間以上の就労を禁止するという形になったのだと思いますが、それらについてどのようにその実効性を確保するのか、実際に二十時間というものをどのように把握してそれ以上の就労を禁止させるのか、それらについてお聞きしたいということと、もう一つは、就労資格証明書というものを発給できるという形になっておりますけれども、これら については入管局に行って証明書を出してもらうのか、それとももっと身近なところでの発給システムができるのかどうか、その辺についてお聞きしたいと思います。
○股野政府委員 まず留学生あるいは就学生によるアルバイトの問題でございますけれども、委員がただいま御指摘になりました週二十時間という一つの範囲を設けておりますのは、これは現行法のもとでの一つの運用の基準としてそういうことを実際行っております。改正入管法になってこの点をどうするかということについては、今関係省庁との間で鋭意検討中でございまして、できるだけ早期に成案を得てお示しをいたしたいと考えておるところでございます。 それからもう一つ委員の御指摘の就労資格証明書の問題でございますが、これはもう委員既に御高承でおられるところでございますが、この外国人の方が自分がみずから就労ができるということを証明するための外国人の利便のためにこういう証明書を発給しようということでございまして、法務大臣がその就労資格証明書を交付することとなっておりますが、具体的には新しいこの法のもとで、申請人の居住地を管轄する地方入国管理局において交付の手続を行うこととする予定で、今現在準備のための関係の検討を行っておるというところでございます。
○小林(守)分科員 それで九〇年度、平成二年度予算の中で、入管職員の増員という形で対応しないととても厳しい、難民関係の何か施設の職員が二名ほど現職死亡というような実態も出ているというお話も聞きました。 そういうことを考えますと、出入国、日本人と入国する外国人も含めまして二千万人近い人の移動があるというふうにも言われておりますけれども、その出入国を現在千七百六十五人の職員で担当しているということになるわけでありまして、お聞きしますところ、増員計画では五十名くらいの増員を計画しているんだということでありますが、果たしてこれでよりきめ細かな水際作戦というか、そういうことと、さらには国際人権的な立場を考慮した外国人とのおつき合い、こういうものがなされるのかどうか大変心配でございますし、また職員の負担というものもこれは大変なものになってくる。五十人くらいふやしただけで、それ以上の外国人、いわゆる出入国者がふえていくということも考えますと、これは相当考えなければならない問題ではないかと思うのですが、果たしてこの人数で大丈夫なのかどうか、どうやってこういう大きな問題をさばいていくのか、その辺について、立場上言いづらいことかもしれませんが、とても足りないのだというようなことを私らは考えるわけですけれども、いかがでしょうか。現場で携わっている職場の代表として、その辺のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○股野政府委員 ただいま委員より私どもの業務量の増大という点についての御指摘をいただきまして、これは現実に私どもとしても今の大きな課題としてそれに対する対策に取り組んでいるわけでございます。 まずこの定員につきまして、業務量の著しく増加の多いところに重点配置をするということが大事であると思いますので、そういう意味での重点配置、さらにはその時期に応じて各現場の間での人員の応援派遣等々のことを行うことによって、持てる人員の最大限の活用を図るという努力、さらにはこの業務を処理する場合のコンピューター化等による機械化での効率を上げること等が主要な手段となっておるわけでございますが、さらに委員御指摘のとおり、業務量に対応する上での定員増ということについても、これは関係査定当局の御理解もいただいて今必死の努力をいたしているところでございますが、先ほど御指摘のとおり、平成二年度におきましては、大変定員の問題というのは厳しい状況にある中で、地方入国管理局、ここが業務の第一線になるわけですが、ここに最大の力点を置いて、増員として六十六名、これが削減の枠がございまして、これが十六名ありますので、これを加味いたしますと先生御指摘の五十名という定員増が第一線で図られるということでございまして、これを御承認いただくべくこの予算案でただいま国会の御審議をいただいているところでございます。こういう措置をいろいろ組み合わせながら、この体制の充実ということに努めてまいりたいと考えておるところでございます。
○小林(守)分科員 それでは時間が参りましたので、最後に一つだけ要望させていただいて終わりにしたいと思いますが、いずれにしても不法就労外国人が国外に退去される過程の中で、いわゆる入管法違反の問題と、さらには国内で働いてきた労働基準法の適用の問題や労災法の適用の問題を考えますと、確かに現在までの外国人に対する日本のあり方というのは入管法優先で、外国人の労働権とか人権というものを後にしてきたシステムになっていたのではないか。そのような実態を見聞きしているわけですけれども、少なくともこのような法的な整備がされつつあるわけですから、やはり国際人権規約並びに内外人平等の原則という立場に立って、働いたことは、どういう外国人であろうと、違法な状態であろうと働いたことには変わりないということになりますから、労働基本権的な労働基準法の賃金不払いの問題や労災の問題等について円満な解決というか、それをぜひ図るように進めながら入管法の整備の方を進めていただきたい、このように要望いたしまして終わりにいたしたいと思います。ありがとうございました。
○越智主査 これにて小林守君の質疑は終了いたしました。 次に、近江巳記夫君。
○近江分科員 私は在日韓国の方々に対しますいわゆる三世問題、九一年問題につきましてお伺いしたい、このように思います。 在日韓国・朝鮮人の方々はおよそ六十八万人ということをお聞きしておるわけでございますけれども、この方たちはいわゆる日本の植民地時代、その支配の時代におきまして日本に生活の場を求めた人あるいは強制的に連行された方々、そういう方たちの子供や孫ということが言われておるわけでございますが、日本へ来られて炭鉱あるいは軍事基地の建設等で強制労働されて亡くなった方あるいは戦死した人、あるいは戦犯に問われて処刑された方とか、あるいは原爆で亡くなった人、被爆で苦しんでいる方々、あるいはまたサハリンで置き去りにされている方々とか、随分そういう方々がいらっしゃるわけでございます。これは台湾出身者も含めて、考えてみますと、やはり一般の外国の方とは少し歴史的な経緯から考えて違う、このように思うわけでございます。そういうことで九項目のそういう要求をされているということは私は非常に必然性というか当然ではないか、このように考えるわけでございます。 また、この在日韓国・朝鮮人の方々というのは、日本の国におきまして生活に非常に深く根をおろしておられますし、本国には当然生活基盤がない。また、若い世代の方は日本で教育を受けられて母国語もできない、そういう方が多いわけですね。そういうことからいきますと、九項目要求されておりますこの問題につきましては、もう当然の要求ではないか、私はこのようにも考えますし、また、かつてのそういう歴史的な経緯というものを踏まえましてどのようにこの問題について認識されているか、まずその基本的な点につきましてお伺いしたいと思います。
○長谷川国務大臣 今先生からいろいろ御指摘あったのでございますが、ただいまも、韓国から政府の要人の方が八、九人おいでになりまして、今先生のお話と同じようなことを聞いてきました。 法務省といたしましては、在日韓国人の歴史的な経過並びに日韓友好関係を考慮し、韓国側の要望を踏まえて、所管にかかわる各事項について鋭意検討を進めております。日韓法的地位協定の前文に示されておる精神及び目的を十分に尊重しつつ、可及的速やかに双方の満足し得る結論を見出すべく努力をいたす所存であります。 なお、新聞にもいろいろ出ておりますが、日 側におきましても連日会議を開きまして、三世問題を中心として今いろいろすり合わせをやっておりますが、近々、前段に申し上げましたように可及的速やかに双方が満足し得る結論を見出すべく最大の努力を今払っておるところであります。
○近江分科員 そこで、この九項目があるわけでございますけれども、まず永住権の問題でございますが、この問題につきましてはどういうお考えで対処されるかお伺いしたいと思います。
○長谷川国務大臣 三世問題の永住権、新聞にもいろいろ報道されておりますが、まだ最終的な結論が出ておりませんので、今ここで細かく申し上げるわけにいかないかもわかりませんが、少なくとも両者の間で、もうあと日は何日もないのでありますから、可及的速やかに両者の円満な、両者が満足し得る結論を見出したいということで今努力しております。 なお、詳細については担当局長並びに――細かいことはあるいは申し上げかねるところもあるかもわかりませんが、全体的にはそういうことであります。
○股野政府委員 ただいま大臣から御説明申し上げましたとおり、この永住許可の問題を含めまして韓国側からいろいろ御要望をいただいているということにつきまして、法務省当局としては、その法務省の所管している事項につきましてただいま大臣から御説明申し上げました観点に立って検討を行っておりますが、その我々の基本的な考え方としては、繰り返しになりますが、在日韓国人の方々の有する歴史的な経緯及び定住性というものを考慮して、その法的な地位の一層の安定化を図るという方向で対処をいたしているところでございます。 永住の許可の問題につきまして、あるいはほかの問題につきましても、目下政府部内でも検討中であり、また韓国側との協議も行っておる最中でございますので、具体的に申し上げる点についてはこの席では差し控えさせていただきたいと思いますが、この永住の許可という問題についての基本的な考え方としては、在日韓国人の第三世代以下の方々についてできる限り簡素化した手続で永住を許可するという方向で検討をいたしておるということでございます。
○近江分科員 特に永住権の問題というのは一番大事な問題でございますし、今御答弁あったその点、韓国側が納得できる線をきちっと出してもらいたい、このように強く要望しておきます。 次に、退去強制の問題でございます。韓国側の要求につきましてはもう十分御承知のとおりでございますので、この点につきましてお伺いしたいと思います。
○股野政府委員 この点もまことに具体的な点になりますので、私どもとして今どういうことを検討しておるかということについて具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、基本的に親の世代よりも不利な取り扱いをするということはしない。それが基本にあって、その基本を踏まえた上でどういうことが考えられるかということについて目下検討を行っているという状況でございます。
○近江分科員 今ずっと協議されておるわけでございますので、その辺は十分わきまえてお聞きしておるわけでございます。 次に、再入国許可の問題をお伺いしたいと思います。
○股野政府委員 再入国許可の問題につきましても、これもまた同様、今協議、検討を行っている最中でございますので、具体的に申し上げることは困難でございますが、基本的にこの問題というのは、再入国許可を持って出国している期間の問題として私ども今検討しておりまして、その再入国許可を持って出国していることができる期間を延長するということについて現在検討を行っておりますが、いまだ検討をしておる段階でございますので、これ以上の御説明はひとつ御容赦願いたいと思います。
○近江分科員 退去強制、そしてまた再入国、この問題につきましては、韓国側としてはそれを削除、除外してもらいたいと極めて強い要望があるんですね。今局長の御答弁というのはその線とは少し違うんですね。いわゆる緩和といいますかそういう線なんですから、相当距離があると私は思うのです。この点をさらに煮詰めて努力をする必要がある、そう思うのです。 もう一度ひとつ御答弁いただきたいと思います。
○股野政府委員 現在鋭意韓国側との間でも十分にこの点についてのお話し合いを重ねてまいりたいと考えておりますので、我々としては双方の満足の得られるような結論が得られるよう最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
○近江分科員 それから指紋押捺、それからいわゆる外国人登録証の常時携帯義務の問題でございますが、この問題につきましても、これはもうぜひとも廃止を強く要望されておるわけですね。これはもう非常に難しい問題であるかもしれません。しかし、三世という問題を考えますと、これは本当にそういう方向になるように努力すべきだと思うのですけれども、いかがでございますか。
○股野政府委員 ただいまの委員御指摘の指紋の押捺、これは外国人登録制度にかかわる問題でございます。それからまた、外国人登録証の常時携帯の問題、この二点を韓国側の御要望がございますので、我々としてはその問題について検討を行っているということは事実でございますが、何分この問題についてはまだまだ検討すべき問題もたくさんございますので、現時点で何か具体的なことを申し上げる段階にはまだないということについて御了承願いたいと思います。 なお、指紋押捺の問題につきまして、外国人登録法の改正をいただきました昭和六十二年の国会において、指紋押捺についてのこれにかわる制度の研究開発ということに努力をするよう政府に対する附帯決議をちょうだいいたしておりますので、この点につきましては政府として最大限の努力を払っていく考えでございます。
○近江分科員 先ほど御答弁されている附帯決議は六十二年の九月四日でしたね、ここで附帯決議をやっておるわけでございますが、その後指紋押捺制度にかわるそれについては真剣に取り組み、かなりの前進があるのですか。
○股野政府委員 この制度の問題について、研究はこれまで法務省当局におきまして鋭意行っております。 この問題は、基本的に同一人性の確認の問題でございますので、同一人性の確認について指紋押捺にかわる手段としてどういうことが考えられるのかという点について、法務省におきまして各種の資料を収集し、また検討、研究も行ってきたという状況がございます。例えば、こういう指紋押捺ということにかわって科学的にどんな方法があり得るのか、あるいはそれ以外にまた方法があるのか等々の問題がございますが、これはやはりこの問題が基本的に外国人の方たちのその心理的な負担ということも考えて対応しなければならない問題でございますので、そういう点を勘案しますと、これまで鋭意研究は行ってまいりましたが、指紋押捺制度にこれがかわる制度であるということを見出し得るにはまだ至っていないという状況がありますが、我々当局としましては、その努力は今後関係の省庁の御協力も得ながら最大限の努力を傾けていくという考えで取り組んでおります。
○近江分科員 次に、就職差別の問題でございますが、これは地方公務員、教員採用あるいは民間、これは各省に分かれるわけでございますが、まず地方公務員につきまして採用拡大をぜひともという強い要望があるわけでございます。これは自治省も来られていると思いますが、どのように対処されるのですか。
○佐藤説明員 ただいま御質問のございました日本国籍を有しておらない方の公務員への任用の問題でございますが、これにつきまして日本国政府は従来から国家公務員それから地方公務員とも同じ考え方でございますけれども、公務員に関する当然の法理という原則があるんだということでご ざいまして、すなわち、公権力の行使あるいは公の意思の形成の参画に携わる公務員というふうになるためには日本国籍を必要とするという考え方がございますが、逆に申し上げれば、こういう仕事に携わらない職については日本国籍を有していなくても公務員に採用することができるということでございます。この考え方に従いまして、現在医療技術職員あるいは技能労務職員などを中心として地方公共団体において外国人の任用が行われているところでございます。 したがいまして、在日韓国人の三世の問題についても、この基本原則を前提としながらできるだけ任用の道を開いていくべきものというふうに考えているところでございまして、機会の拡大について現在検討をいたしているところでございます。
○近江分科員 それでは、具体的に現時点でどのぐらいの方を採用されているのですか。
○佐藤説明員 昭和六十三年四月一日現在で調査をいたしました結果によりますと、全国の各地方公共団体におきまして一般職、特別職すべて含めまして千六百十六人の方が採用をされております。そのうち、いわゆる通常の公務員でございますところの常勤の一般職の職員としては五百三十九人が採用をされております。この五百三十九人の方々の中で韓国籍を有している人は三百三十人でございます。
○近江分科員 今約千六百名とおっしゃいましたね。その中で一般職になったのは五百三十九名、あとはどうなっているのですか。
○佐藤説明員 千六百十六人の内訳でございますが、今申し上げましたように一般職の常勤の職員が五百三十九人、それから一般職の臨時、非常勤の職員が六十一人、それから特別職の職員が千十六人でございます。
○近江分科員 特別職というのは何ですか。
○佐藤説明員 ほとんどがいわゆる英語等を教えるために外国から日本に来ている非常勤の教員の方でございます。講師といいますか……。
○近江分科員 極めて少ない数なんですね。六十八万人と言われる方がいらっしゃるわけですから、この中で常勤の一般職というのは五百三十九名、こういう状況なんです。したがいまして、これは自治省といたしましても、今後やはりこの採用につきまして各都道府県にもさらに努力するように力を入れられるのかどうか、ただ成り行き任せで放置するのか、この点についてはどうなんです。
○佐藤説明員 先ほどお答え申し上げましたように、基本原則の中においてできるだけそういった人たちの採用が行われますように、その機会の拡大を今後とも検討をしてまいりたいと思っているわけでございます。
○近江分科員 その点はひとつさらに強力に取り組んでもらいたいと思うのですね。ただ、何となしに私にはぴんと力強さというものが伝わってこない感じがするのですね。強く要望しておきます。 それから、教員採用につきまして文部省からお聞きします。
○小野説明員 お尋ねのございました教員の採用の問題でございますが、先ほど自治省からも御答弁ございましたように、我が国では従来から公務員に関する当然の法理というものがあるわけでございまして、公権力の行使あるいは公の意思形成への参画に携わる公務員になるということのためには日本国籍を必要とするというふうに政府として考えておるわけでございまして、国公立学校の教諭といった職には日本国籍を有しない方を任用するということはできないということを私どもは考えておるわけでございます。 ただ、当然の法理に抵触しない例えば非常勤講師でございますとか、学校給食調理員でございますとか学校用務員、そういったような職種については採用することは可能であろうというふうに考えておるわけでございます。
○近江分科員 現時点では何名いるのですか。内訳も。
○小野説明員 教諭につきましては、実は公務員に関する当然の法理というものが従来必ずしも完全に各都道府県に周知徹底できなかったというようなこともございまして、教諭として、昭和六十三年四月一日現在でございますけれども、三十三名の方が採用されております。
○近江分科員 非常勤講師、給食調理員であるとか、いろいろとその点をさらに拡大といいますかやっていけば、また努力していけば、要するに私は姿勢の問題だと思うのですね。 今、教諭が三十三名とおっしゃったのですけれども、今おっしゃった調理員であるとか非常勤講師であるとかの学校関係者、それはどうなっているのですか。
○小野説明員 私ども把握している限りでは、先ほどのAETといいますか、非常勤のアメリカとかイギリスとかの英語指導助手のような形の方はたくさんいるわけでございますが、先ほど申し上げました給食調理員につきましては、私ども把握している限りでは一名でございます。それから、その他の学校の管理作業員ということで一名採用しておるというふうに承知をいたしております。
○近江分科員 そのように採用できるということにつきまして、それだけのいわゆる意思というものははっきりしているわけでございます。ところが、実際の採用というものはこういう惨たんたる現状ですね。これでは本当にできますと言っても実際上やっていないのと一緒ですよ。これならゼロでしょう。そういうことでは、幾ら口で今後努力しますと言ってもやはり納得をしてもらうことはできないと私は思うのですね。ですから、今後文部省として、今のようなこういう姿勢でいいのかどうか、それについてはどうお考えなんですか。今のようなこういう状態でいいのですか。採用できるにもかかわらず、現実は今お聞きしたらゼロに等しい数値でしょう。これからどうされるのですか。
○小野説明員 学校給食調理員でございますとか学校用務員等の先ほど答弁申し上げました当然の法理に抵触しない職につきましては、私どもとしては採用は可能であるというように考えておりますので、必要がございましたら各都道府県をそういう形で指導してまいりたいというふうに思っております。
○近江分科員 韓国側には国籍条項を撤廃して採用をしてもらいたいという非常に強い要望があるのです。この点についてはどうですか。
○小野説明員 韓国側が主としておっしゃっておりますのは教諭の採用でございますけれども、この点につきましては、先ほどから御答弁申し上げておりますように、内閣法制局も含めまして、学校の教諭というのは公の意思形成への参画に携わるという職務を内容といたしておりますので、困難であるというふうに思うわけでございます。
○近江分科員 いずれにいたしましても、ひとつその採用につきましては文部省としては一層努力していただきたい、このように思います。 もう時間がありませんので、民間につきまして、労働省お見えになっておったら、御答弁いただきます。
○初谷説明員 企業への就職に当たりましては、従来から在日の韓国人あるいは朝鮮人であるというようなことを問わずに、応募者本人の適性と能力、そういうものを中心にして採用選考を行うように事業主の方々に私どもとしては指導をしてまいりました。とりわけ全国の安定所におきまして求人の説明会等を通じまして事業主の方々へ指導をしてきたわけでございますが、今後さらにその徹底に努めていきたいというふうに考えております。
○近江分科員 時間がありませんので、あと二点。 民族教育について制度的にも保障してもらって、助成のため立法を含む財政措置をとってもらいたい、こういう極めて強い要望があります。これに対してはどうお考えか、これが一つ。 それから地方参政権についても強い要望があるのですが、これに対してどういう対応をされるのか。 以上二点お聞きして、終わります。
○林田説明員 民族教育のいわゆる制度的保障という御要望が参っておるのは事実でございます。交渉の経過などにつきましてはそれぞれまだお話し合い中でございますので確たることを申し上げられる段階にないわけでございますが、現在の制度で申し上げますと、我が国では、在日韓国人の方々についても、希望される場合にはすべて公立の小中学校に受け入れまして、日本人と同一の教育を受ける機会を保障しているという形になっているわけでございます。学校の正規の教育の内容の中に韓国の言語や文化を教育するということを入れていくことは、今の我が国の学校教育の仕組みの中ではなじまないというふうに思うわけでございます。実際関係者のお話を伺いますと、地域によっていわゆる学校の課外の活動として韓国の言葉というふうなものを教えられている活動もあるじゃないかというふうなお話も伺うわけでございますけれども、私どもの考え方といたしましては、これらにつきましてはそれぞれの地域の実態に応じて行われておるものというふうに理解をしておるわけでございます。
○田中説明員 参政権についてでございますけれども、申し上げるまでもございませんが、選挙は国民主権の原理のもとに、公権力の行使でございますとかあるいは公の意思の決定に携わることとなります公務員を選任する行為でございまして、外国人に選挙権を付与いたしますことは大変難しい問題である、このように考えております。
○近江分科員 まだ一分ちょっとありますので、最後に、在韓被爆者について今後どうするか、それからサハリン残留問題について今後どうするか、簡潔にお答えいただいて、終わります。
○川島政府委員 どちらもこれは日韓間の不幸な過去に起因する問題でございまして、法的には一九六五年に日韓関係が正常化いたしました時点で請求権協定に伴いまして一応決着はついているのでございますけれども、さはさりながら人道的観点からどちらも極めてお気の毒な件でございますので、ここ二、三年は予算措置をいたしまして、できる限りのことを政府としてもいたしております。 それで、今度は盧泰愚大統領が訪日される際にも、韓国側として三世の問題と並んでサハリンの問題、それから被爆者の問題を非常に重視しているということでございますので、非常にお気の毒であるということと、歴史的経緯にかんがみまして、できる限り何かしたいというのが現状でございます。
○近江分科員 終わります。
○越智主査 これにて近江巳記夫君の質疑は終了いたしました。 次に、佐藤祐弘君。
○佐藤(祐)分科員 拘置所や刑務所などの施設につきまして、その施設が置かれております地域の住民の方々あるいは町づくり、こういうかかわりでお尋ねをしたいと思います。 拘置所や刑務所などの施設は、もともと地域の人たちとの関係が非常に深いわけであります。その協力がなくては成り立たない、こういうことだと思います。収容されています人たちの食料品にしましても日常の生活用品、こういったものも、主に地域で購入されると聞いておりますし、宿舎に住んでおられる職員の皆さん、これは相当大勢いらっしゃるわけですが、商店街で買い物をされたり、子供さんも地域の学校に通われる。ですから、自治会同士の交流とか町内会との交流とか、いろいろなことがあるわけですね。そこにかかわるのですが、特に古い施設の場合、塀が高いとか暗い感じがありますね。私も何カ所か知っておりますけれども、別に中を知っているというか入ったわけではなくて、いろいろ見に行きまして知っているのですが、地域の人にとっては近寄りがたいといいますか、そういうところもあります。こういう点、やはり地域との調和といいますかそういう問題、町づくり、このところ各自治体でいろいろ町づくりが進んでおりますから、それとの関連、そういったことも考慮に入れる必要があるというふうに思うわけです。法務省矯正局で出しておられます「まちとともに」というパンフレット、これを拝見しますと、古くていかめしい従来のイメージの外観、建物ではなく、本当に周辺地域の町並み、環境と調和のとれた明るい近代的な施設を目指しているというふうに述べておられます。こういう基本的な考え方といいますか、そういう点をまずお聞きをしたいと思います。
○今岡政府委員 お答え申し上げます。 委員仰せのとおり、私どもは古い矯正施設を地域の御理解のもとに維持していく上で、地域の環境等とよく適合したような形で整備する一方、地域とのかかわり合いを大切にしながら良好な関係のもとに運営さしていただくというのを基本方針として心がけておる次第でございます。
○佐藤(祐)分科員 具体的に、葛飾区に東京拘置所、小菅の拘置所があるのですが、これについてお聞きをしたいと思います。 御存じだろうと思うのですが、小菅の拘置所につきましてはかねがね地元の方々から、何とか移転してもらえないか、そういう要望がやはり強いのですね。跡地を区民のためといいますか町づくり、そういうものに活用できないか、そういう要望が大変あります。実際の流れの中でも、一九八一年には葛飾区議会で全会一致で移転促進の決議が行われたという経過もあるのですね。こういう地元に強い移転の要望があることは法務省としては御承知でしょうか。
○今岡政府委員 東京拘置所の地元の住民の方々から東京拘置所の移転を要望されている、それをめぐっていろいろ動きがあるということは、私も「かつしか区議会だより」でございますとかその他いろいろ報告を受けておりまして、承知いたしております。
○佐藤(祐)分科員 拘置所は刑務所と違うわけでありまして、未決の被疑者、被告人を収容する施設であります。東京拘置所の場合には未決の方と同時に既決の方もいらっしゃるということでありますけれども、そういうような拘置所の性格からいいますと、本来裁判所でありますとか検察庁に近いところにある方が便利といいますか、いいんだということも私聞いております。 先日、実は東京拘置所にお伺いいたしました。所長さん初め職員の皆さんからも御意見をお聞きしたのですが、一つ悩みといいますか御苦労なさっているのは、法廷まで、あるいは検察庁という場合もあるのでしょうが、小菅から移送しなければならぬわけですね。そうしますと、最近交通渋滞がだんだんひどくなっておりますから、四、五十分でこれまで来たところが一時間以上かかるときもある。それが大変困った問題だ。結局、職員の方も当然それに同行していくわけですから、一日仕事になってしまうわけですね。こういう点が何とか改善できればいいというお気持ちもお持ちのようでありました。お聞きしましたところ、全国の拘置所の中には、たしか広島だったと思うのですが、裁判所と地下のトンネルでつながっているというのですか、そういうところもあるということですね。そういうお話の中では、若干冗談まじりというか、半ば率直な希望も込めたお話だったと思うのですが、ですから、東京の場合でいいましても、一面からいえば例えば日比谷あたりにあれば大変にそういう点では機能的なんだということもありました。これは現実的にどうかといえばいろいろな面からの問題もありますけれども、そういう経過とかがあることは承知しているのですが、法務省としては、そういう観点も含めて全国の拘置所や刑務所などで古くなった、老朽化した施設を改築する、計画的にそれを行っていくというふうに進めておられると思うのですが、どういうようになっておりますか、お聞きしたい。
○今岡政府委員 委員仰せのとおり、まず拘置所の場合、確かにこれは裁判所の近くにあるのが何かにつけて一番望ましいということは異論のないところでございます。ただ、現実にはいろいろ、用地の取得が大変困難でございますとか、これまで施設を維持していた経緯等から、東京拘置所の場合はあの小菅から押送を余儀なくされているという実情にあるわけでございます。 ところで、この全国の矯正施設の改築計画という点でございますけれども、私ども矯正施設を管理している者から申しますと、私どもは矯正施設として、御案内のとおり刑務所、拘置所あるいはそれらの支所、また少年院さらには少年鑑別所等と全国に非常に多数の施設を抱えております。これらの施設の中には、お尋ねのように大変老朽化している施設あるいは職員宿舎も多数ございますので、私どもとしましてはこれを順次計画的に整備、改築することに努めているわけでございます。 現在進めております計画の中で最も大きいものは、私どもが五大行刑施設の整備と言っているものでございます。この五大行刑施設と申しますものは、行刑施設、刑務所の中でも収容規模の特に大きい、もう少し具体的に申しますと、収容規模千名以上のような大きな基幹施設のうち、名前を申し上げますと、府中刑務所、横浜刑務所、京都刑務所、大阪刑務所それから神戸刑務所、この五つの施設でございますが、この五つの刑務所はいずれも今申しました非常に規模の大きい施設に属するものでございます。ところで、この五大施設はいずれもその建築年次が大正期でありますとか昭和の初期の建物でございまして、非常に老朽化が進んでおる、こういう状況にございます。それで、このまま放置するということはそれぞれの施設の運営にとって非常に支障があるということで、実は昭和六十一年度から十年計画でもってこれらの施設についての整備を進めることといたしておりまして、現在その整備が進行途中ということでございます。これが一つございます。 それから今度は、規模はずっと小さくなるのでございますが、私どもは全国の各地にいわゆる拘置支所というものをたくさん抱えております。これは収容規模は非常に小さいものでございますけれども、これも非常に老朽化したものが多数ございますので、実は平成六年度から六年計画で、これら老朽拘置所の整備等の予算措置を得まして、現在計画的にその整備を実行しているというところでございます。これが二つでございます。 このほか、もっと一般的になりますけれども、私どもとしては、数年度にわたって継続的に工事を継続している施設が相当数ございまして、私どもはこれらの計画に従いまして順次整備を進め、まだ整備の終わっておりませんその他の施設につきましても計画的に順次整備を図りたい、このように考えておるところでございます。
○佐藤(祐)分科員 今平成六年からとおっしゃったのは間違いですね。
○今岡政府委員 失礼いたしました。訂正させていただきます。平成元年度から六年計画で整備を進めているということでございます。申しわけございません。
○佐藤(祐)分科員 今のお話の中で進めている五大刑務所ですか、五つの大規模な、これにつきましては大正とか昭和の初期に建てられたものであるというお話でしたが、東京拘置所も実は中心の建物はたしか昭和四年でしたかね、昭和初期なんですね。やはり相当老朽化しているというように思います。私も中もこの前見せていただいたのですが、やっぱり相当古いですね、いろいろな機能的な面で、職員の方の執務の上でも。最近は建て方が変わってきたそうですね。昔の放射状といいますか、それが大体中心で、真ん中に立ってずっと放射状の通路を見通せるような、いろんなことがあるのだろうと思いますが、そういう点で東京拘置所についてはどうお考えになっておられるか、それをお聞きします。
○今岡政府委員 委員、東京拘置所を御視察いただきました際にごらんになったとおりでございまして、確かに東京拘置所の施設の中には仰せのとおり昭和四年当時の部分も残っておりますが、他方、あそこには昭和四十年代の半ばに建てられた施設でございますとか、昭和五十年代の半ばに建てられました建物でございますとか、言うなれば新しい部分も相当数あるわけでございまして、いわば新しい建物部分とかなり古い建物部分とが混在しているというような状態にある施設でございます。そこで、これらの東京拘置所につきましても、将来的には当然これは整備ということを考えることになりますが、五大行刑施設などと比べますとまだ現在のままでしばらくは運営できる建物である、このように考えております。
○佐藤(祐)分科員 そうしますと、平成六年度を目標としております五大行刑施設が終わった後に考えていかれる、そういうことになるのでしょうか。
○今岡政府委員 現在、先ほど申し上げました五大行刑施設の整備計画、十年計画は平成七年度完成予定でございますし、それから老朽拘置所の緊急整備計画による整備計画も大体平成六年度までかかるわけでございますが、先ほど御説明申し上げましたように、これらの計画を現在抱えておりますために、東京拘置所の整備計画というものは現在のところ具体的にはまだ白紙の状態でございますが、これらの整備計画が終わった後の段階において検討さしていただくことになろうかと考えております。
○佐藤(祐)分科員 東京拘置所は敷地面積が大変広いんですね。二十一・五ヘクタールということでありまして、大変広い。定員も二千四百五十二名でしたか、大きな施設でありますから、今の計画が終わってからというお話でしたが、仮にそういう整備といいますか改築といいますか、そういうことを取り組んでいくということになりますと、相当大がかりなプロジェクトになりますよね。かなり前の時期から検討が始められるということになるんだろうと思うのです。そういう点でまだ全く、およそいろいろな予備的な話し合いとか構想を練るとか、そういうことは一切ないんでしょうかね。
○今岡政府委員 いろいろ将来東京拘置所の整備というものも考えていかなければならないということはもちろん念頭にございますが、現在の段階ではまだ具体的にこうだというようなところまで進んでいるという段階ではございません。
○佐藤(祐)分科員 地元で大変関心が強いものですからいろいろお聞きしているのですが、この「まちとともに」というのを拝見しまして、これを下を見せないで、どの建物だと言うと、わかる人はいなかったですね。これは名古屋拘置所でしょう。名古屋の中心部にある、ホテルみたいだなという話で、変わったなと思って、僕も認識を一変といいますか、大きく変えられたのですが、最近こういうものが建てられたということで、これは非常に関心を呼んでいるのですよ。ですから、町の中では、東京拘置所の移転要望が強いんですよ、それが基本なんですが、仮に建てかえられる場合にはこういう建物になるのだろうかなというような話ももう出ているのですね。 これはまず何といっても特徴は、塀がない。小菅の拘置所の場合には、刑務所の時代もありましたから、塀がぐるっとあるのですね。特に綾瀬川沿いには拘置所の塀が高くありまして、綾瀬川がありまして、綾瀬川の堤防はいわゆるかみそり堤防なんですよ。この細いところを駅へ行くのですが、ちょっと昼間でも何となくおっかないといいますか、そういうこともおっしゃっておられる方も地元におられる。それだけに、こういうのを見ますと、塀もないし、人権擁護という点からも私は大事な点じゃないかと思うのですが、周りの建物とも違和感がないといいますか、こういう感想を持ちます。今まだ計画、検討も始まっていないということではあったのですが、東京拘置所についても検討する場合には当然こういう要素は考慮に入っていくのじゃないか、入れられるのじゃないかというふうに思うのですが、いかがですか。
○今岡政府委員 東京拘置所の整備計画を具体的に検討する場合には、現在私どもが進めておりますように、地域の方々の御納得のいけるような、できることならば塀等の少ない形のものにしていくということは一般的に当然念頭に置いております。
○佐藤(祐)分科員 東京拘置所が非常に広大な地、二十一・五ヘクタールということも申し上げました。これは一方で、今土地問題というのが変大きな問題になっていることもありまして、 そういう関係でも関心も強いのですね。ちなみに、他の拘置所の面積を私の方で調べてみましたら、名古屋が二・一ヘクタール、大阪は七ヘクタール、京都は二・五、神戸が七、広島一・四、北九州一・六ということですね。そうしますと、東京の二十一・五というのは本当にけた違いに大きいんですよね。 ですから、あの敷地に対しての要望といいますか、これもあるのですよ。移転してもらいたいという要求にはもともとそれがあるのですね。あの広大な敷地を活用できればどんなにか住民、地域のためになるいろいろな施設ですね。私も直接お手紙もいただいたことがあるのですが、葛飾区内の障害者をお持ちのお母さんから、もしあの拘置所が移転するとかそういうことになった場合には、ぜひその跡地に精神薄弱児のための生活寮、そういった施設を建ててほしいというお手紙をいただいたこともあるのですけれども、今の御答弁のような整備ということが進められていった場合には、できるだけ多くの余剰地といいますか、そういうものを生み出していただいて地元に開放し、地域の町づくりに役立つようにしてもらいたい、地元の方でそういうように言っておられる方もいらっしゃるのです。 ですから、これはあくまで仮の話になるわけですが、そういう整備計画を具体化しようとされる場合には、公共的な建物でありますし公共的な土地ですから、まず葛飾区なり東京都なりあるいは地域の方々に対して、いろいろ要望とか声を聞くということがなされてしかるべきじゃないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○今岡政府委員 東京拘置所の整備計画は将来的に検討させていただく課題でございますので、ここで今こうだと確定的にお答えすることは難しい点があろうかと思いますけれども、矯正施設の運営に当たりましては、地域の方々の御理解を得ることが大切であるということは私どもも重々承知いたしております。 そういうことで、古い施設の改築に当たっては、いろいろ周囲の環境との調和等にも配慮して工夫してきているところでございますし、そしてその際には、当然地元住民あるいは地方公共団体の要望も承るというふうにやっております。 したがいまして、将来、東京拘置所を改築するということを具体的に検討する段階に参りました際には、やはり地元の関係者等の御意向も承って慎重に検討していきたい、このように考えております。
○佐藤(祐)分科員 率直にお伺いしますが、地元の関心の一つは、だからそういう場合には、二十一・五ヘクタールとうんと広いわけですから、こういうようになればうんとその範囲が狭まってあくところができるのじゃないか。その点どうですかね。
○今岡政府委員 東京拘置所はもちろん首都圏に所在する施設でございますので、仮にこれを整備するということになりますれば、政府の総合土地対策要綱に沿いまして、やはりある程度集約化するという方向で検討することになろうかと考えております。
○佐藤(祐)分科員 一般にちょっとわかりにくい表現ですが、集約化というのは、今の敷地いっぱいを使うのではなくて、効率化して、そうすると空き地といいますか使わない土地も出てくるんだ、土地対策要綱というのはそういうことだろうと思うのですが、そういう理解でよろしいですか。
○今岡政府委員 具体的にどれだけの土地が出てまいるかどうかというようなことは、もちろん今ここでお答えはしかねるところでございますけれども、あそこは、御案内のとおり施設部分もございますし、それから職員の宿舎部分も相当数ございます。それぞれにつきまして、いろいろな点を考えまして集約化する方向で検討することになろうかと考えております。
○佐藤(祐)分科員 大体時間も終わりに近づいてまいりましたので、最後に、大臣にお尋ねしたいと思いますが、小菅一丁目、このあたり一帯はもう明治の末期からずっといろいろな公共施設に協力をしてきたといいますか、そういう歴史があるんですね。地域の皆さんもそういう思いが大変強いんですよ。荒川放水路の工事がありました。あれも大した事業だったわけですね。荒川と綾瀬川に挟まれた土地ですね、こういう土地になっておりますし、南側には東京都の汚水処理場もあるのです。南に汚水処理場がありまして、北側に拘置所がある、こういう環境で陸の孤島というふうにも呼ばれているんですよ。実際にそういう状況なんですね。しかも、最近は高速道路が、首都高とか走るようになりましてね。ですから、いよいよ拘置所の高い塀とまた汚水処理場の塀もあるんですね。それからまた高速道路にぱっと区切られるということで、いよいよ圧迫感といいますか孤立感といいますか、そういうことがますます強くなっておりますし、騒音問題とかそういう問題も深刻だということで、率直なところ、ざっくばらんな言い方で言いますと、本当に余り歓迎しない建物がどんどん来た、それをどうして小菅の住民だけがずっと受けなければならぬのだという思いが本当に強いんですね。だから移転できないかという根底にもそれがあるんですよ、そういう気持ちとして。それだけに、そういう住民の方の気持ちを十分配慮するというか、そういうことをやっていただきたいなと思います。 先日も参りまして、商店会とか自治会とかの役員の方からこもごもお話を聞きました。経過も含めて相当強い要望を述べておられたし、とにかくそういう陸の孤島と言われたりしておりますので、何とか住みよい町といいますか、住みよい町の前に明るい町にしたいのだということなんですね。もちろん法務省にすべて責任があるというわけじゃありませんよ、それは一つですから。しかし、状況としてはそういうことを念頭に入れていただきたいなと思うのです。ですから、そういう町の発展を公共施設が阻害しているというふうな受けとめ方がありますから、やはりそういうことじゃなくて、本当に調和もとれたような、町を明るくするようなそういう方向で町づくりも私自身も考えていかなければならぬと思っておりますが、そういう地域住民の方の気持ちといいますか要望、こういうことも十分考慮して、これからの計画、検討の際に当たっていただきたいと思います。 そういう点について、法務大臣の所見をお伺いして、質問を終わりたいなと思います。
○長谷川国務大臣 今委員お話しのとおり、私は小菅へ余り行ったことがないのですが、昔はかなり都心から離れたところであったような感じがしたのじゃないですかね。今小菅といったって、いわば郊外というか、あるいは町の中というか、そういうことでございますので、刑務所に、移転してくれと言うところは幾つか全国にありますが、誘致をするというところはまさに委員の小菅、これは一つの美談かもわからない、昔の人は。しかし、今改築する際に現在の場所が果たして許されるのか許されないのか、いろいろ問題があると思うのですが、そういう面で、刑務所というのはやはりちょっと離れた、山紫水明な、空気もいいし水もいいし、余り騒音もしないし、それで道路をつくれば都心まで行くったって不可能ではないかもわかりませんので、余り町の中で、ホテルと同じようなものをつくることが果たしていいのか悪いのか、若干私もまだわかりませんが、いずれにしろ地元の協力なくして移転もできないし、また改築もできないということでございますので、今委員からお話ございましたように、今までいろいろ関係を深めていただいた地元の皆さんに非常に敬意を表するとともに、これからもなお一層また御協力をしていただきたいと思います。 何か話を聞くと、今の建物はもうかなり古く、水洗便所がないなんて言っている話もありますけれども、本当ですかね、ちょっとわかりませんけれども、そういう面でいろいろ考えて検討いたさせていただきますが、何はともあれ、地域との密着というか、地域の協力なくしてできないということは、私どもも十分に心得ておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
○佐藤(祐)分科員 今の大臣のお話で、昔誘致したなんかというようなことがありましたが、それは私はそうではないんだろうと思っています。しかし、地域の方の意向を尊重してと今おっしゃいましたので、そういうことで鋭意努力もしていただきたいということを申し上げて、終わります。
○越智主査 これにて佐藤祐弘君の質疑は終わりました。 次に、佐々木秀典君。
○佐々木分科員 佐々木でございます。少しくのどを痛めておりますのでお聞き苦しいかと思いますけれども、御勘弁をいただきたいと思います。 昨今、新聞報道あるいは昨日の予算委員会でも、いわゆる在日朝鮮人・韓国人の方々の法的地位に関する問題が取りざたをされております。来月韓国の盧泰愚大統領の来日が予定されているということもあり、それに関連して、韓国の政府からいわゆる九項目要求というものも日本政府に対して出されて、総理大臣、法務大臣、外務大臣それぞれ大変に御苦労されていることはよく承知しております。さまざまな協議もおありになるだろうと思います。 そこで、きょうは余り時間もありませんので、これらの方々の法的地位の問題について御質問させていただきたいと思います。 まず、これらの方々が外国人であることは間違いがないわけですけれども、初めに、政府で把握されておる在日外国人、これはいわゆる登録が前提になっていると思いますので、登録をされている方の数ということになると思いますが、その総数と、その中での在日韓国人の方、いわゆる韓国籍をお持ちになっている方、それからそれ以外、韓国籍をお持ちになっていない、いわゆる在日朝鮮人の方、この数などがおわかりでしたらまず教えていただきたいと思います。事務当局からで結構です。
○股野政府委員 まず、外国人登録に基づきます本邦の在留外国人の数について申し上げますと、平成元年六月末の時点で、外国人登録によって把握できている在留外国人の総数は約九十七万人となっております。同じ平成元年六月末時点における日本に在留しておられる韓国・朝鮮人の方々の総数は六十八万二千百二人とこうなっております。その中で永住者等定住しておられる方が、今の約六十八万二千の中で約六十一万人に達すると把握いたしております。
○佐々木分科員 その中で、いわゆる国籍の関係で韓国籍の方とそうでない方との仕分けはできますか。
○股野政府委員 外国人登録の上では、ただいま申し上げました在日韓国人及び朝鮮人というカテゴリーで示しておりますので、この中での仕分けというものは、外国人登録上は今把握をしておらない状況でございます。
○佐々木分科員 ただ、実際問題として、この方々は外国人登録をし外国人登録証をお持ちになるわけですね、これは外国人登録法のたてまえからいって。そこで、外国人登録証には国籍の表示欄がございますね。この中にはいわゆる大韓民国の国民である韓国の国籍を表示されている方と、それを拒むといいますか、それをがえんじないで朝鮮という表示をされている方とがあるのではないですか。
○股野政府委員 御指摘のとおり、国籍表示欄という点がこの登録制度の中にございますが、その国籍欄で韓国あるいは朝鮮という記載があることは事実でございます。そういう記載があることは事実でございますが、先ほど申し上げましたその登録を実際に行っている方の数について統計上の集計を行っていないということでございます。
○佐々木分科員 法務大臣、いずれにいたしましても、この日本におられる外国人の方の中で、在日韓国人・朝鮮人の方、いわゆる朝鮮半島を母国とし祖国とする、郷里、ふるさとの地とされる方で、なおあえて外国であるこの日本の地に長く住んでおられる方が比率として非常に高いわけですけれども、これはやはり他の外国人とは違う、やはり事情があるからこうなっているというように思うわけですが、その事情とそれについての政府ないしは法務大臣としてのお考えなどがありましたら、ごく簡単で結構ですけれども、お示しをいただければと思います。
○長谷川国務大臣 今委員お話しのとおり、過去においていろいろのことがございました。それは私どもも十分腹に置いておるわけであります。 なお、今韓国の話が若干進んでおりますが、これは一つのサンプルと言うと言葉が悪いですが、一つの事実としてこれは今後またいろいろ検討しなければなりません。今先生御指摘なさいました点等について、合理的な範囲内でこれらの人々の法的地位の一層の安定化を図ることについても検討していく考えであります。これは今の朝鮮人のことを申し上げたわけです。今、日韓の関係がいろいろ調整中でございます。それらを踏まえて今申し上げたような点を努力いたしたいと思っております。
○佐々木分科員 申し上げるまでもないことですけれども、我が国と朝鮮半島をめぐっては歴史的に大変不幸ないろいろな事実がありましたし、特に日韓併合などというようなこともあって、日本が朝鮮半島及び朝鮮の民族に対して非常に大きな悲劇をもたらした。そういう中で、いわばこの長きにわたる戦争などを通じる時代の中で、朝鮮民族の方々が自分の意思によらないで、あるいは進んでではなく、最後には今度は強制的にということで日本に連行されたりあるいは日本に来ざるを得なかった、そういう方々が、戦争が終結した後もなお、生活や社会的な関係や仕事の上で故郷に帰ることができなかった、そのために日本に住みついたという方々及びその子弟などが今の在日韓国・朝鮮人の方々の定住者を形成している、こう考えなければならないと思うわけです。 そういたしますと、私たち日本人としては、これは台湾出身の方を含めて同じようなことが言えると思いますけれども、他の外国人の方々とは非常に違ってその処遇を考えなければならないだろうし、法的地位についても特別な配慮をしなければならないという議論はかねてからあったわけですね。 それで、韓国との間では日本は昭和四十年にいわゆる協定を結び、法的地位について法制を新たに定めて、居住関係について制度化してきたわけですけれども、しかし、先ほども事実として入管局長もお認めいただいているように、在日のいわゆる朝鮮民族の中には、国籍を韓国と表示することを拒むというか、どちらかというと、御案内のように日本は国交を回復しておりませんけれども、朝鮮半島の北半分には朝鮮民主主義人民共和国という国といいますかが存在する、むしろその在外公民だということを主張して大韓民国の国籍を取得しようとしない方々がいることは厳然たる事実だと思うわけです。 これらの方々についての法的地位。これは四月二十二日、日曜日の読売新聞ですけれども、二十一日の衆議院の予算委員会で、坂本官房長官が社会党の嶋崎議員の質問に答えて、この在日朝鮮人、つまり今の朝鮮民主主義人民共和国の在外公民だと主張する方々のことを指しているんだろうと思うのですが、これらの方々の三世、いわゆる三世問題が今論議になっているわけですが、三世問題、この三世の法的地位に関しては在日韓国人と在日朝鮮人との扱いにおいて実質的に差はないんだ、今後その延長線上にいくのは当然のことと考えると述べられた、これは要約ですからあるいは正確ではないのかもしれませんけれども、と述べられたということ、これはいわば官房長官ということは、総理大臣の意を受けてもいると思うのですが、このことについては法務省と外務省との間での共通の認識ができておるのか、この官房長官の御答弁というのはその上でのものと考えてよろしいのか、これはいかがでしょうか。
○股野政府委員 委員御指摘のとおり、今日本と韓国の間で在日韓国人の第三世代以降の方々についての法的地位の問題を協議をいたしておりますところ、この問題に関連して、在日朝鮮人の方々など、在日韓国人の方々と同様の歴史的経緯及び 定住性というものを有しておられる方々の存在ということを念頭に置いて検討をいたしておりまして、先ほど法務大臣から述べられましたとおりに、これらの在日朝鮮人の方々の子孫の問題については、合理的な範囲内でその法的な地位の一層の安定化を図るということについて検討をしておりまして、そういうことについての各省庁間の検討を今進めているというところでございます。
○佐々木分科員 私どもとしては、日本政府がいまだ国交を開いていない北との間でも国交を持っていただいて、それでその間でこの在日朝鮮人の方々の法的地位の問題についてもはっきりするのが好ましいことだと考えておるのですが、なかなかにこれは政府の方では国交を開こうとなさらない。そのために韓国とだけの協議、また、今度も韓国の大統領をお迎えして、つまり朝鮮半島の半分だけとの話し合いということになるわけで、この点は甚だ遺憾だと思うわけです。 しかし、局長おっしゃるように、日本に住んでおられる朝鮮民族の方々、この歴史的な経過、それから現在の生活状況その他、違いがないわけですね。ですから、これを差別をするということは全く許されないし、同様の扱いをしていただかなくてはならないとは思うのですけれども、ただ、現実の問題として、この在日韓国人と在日朝鮮人の方々の法的地位、扱いについては、法制の上で違った法体系になっちゃっているわけですね。このことはお認めになりますね、局長。
○股野政府委員 委員御指摘のとおり、在日韓国人の方々につきましてその法的地位については、昭和四十年の日韓法的地位協定がございまして、その法的地位協定に基づく制度上の待遇を受けておられるわけでございます。これらの方々と、この昭和四十年の法的地位協定の対象者とならない方々との間には制度上で扱いについて違う点はございます。 しかしながら、私ども政府当局といたしまして、先ほど来申し上げておりますように、在日朝鮮人の方々など終戦の前から引き続き我が国に在留しておられる方たちであって、朝鮮半島ないしは台湾の出身でおられる方々についてその法的地位の安定を図るという観点から、昭和五十六年の当時の出入国管理令の改正というものを行いまして、一定の期間内に申請が行われれば、これらの方たちには特例永住を許可する、こういう措置をとっております。 また、このほかにも、一般の永住よりも緩和された条件で永住がとれる簡易永住という制度も別途設けておりまして、そういう点での法的地位の安定化ということを図ってきております。 またもう一つ、昭和四十年の日韓法的地位協定において、退去強制の問題に関連しまして、一般の永住者の方たちとは異なる扱いを退去強制の手続の中でとるということが規定をされておりまして、その意味で、制度上は協定の永住者は一般の永住者よりも有利な扱いを受けるという制度になっておりますが、実際に退去強制手続を運用していくに際しましては、在日朝鮮人の方々の本邦における居住についての歴史的な経緯等も十分に考慮をして、協定永住者との間で不合理な差異というものが生じないような配慮を施して対処をしてきているという実態がございます。
○佐々木分科員 ただいまおっしゃられたような方針は今後もぜひ貫いていただいて、実情上やむを得ないということはあるかもしれませんけれども、在日韓国人とそれから在日朝鮮人に対する在留権の関係での整合性をできる限り図っていただきたいというように思いますので、そのことを希望しておきます。 余り時間がないわけですけれども、そこで外登法上のいろいろな問題、例えば指紋の問題ですとか登録証の問題ですとか、これは今懸案になっているわけですけれども、なかなかこれも関係当局の間でいろいろな御意見があって難しいということもお聞きしておるんですが、その前提となるものとして法務省あるいは入管当局の御見解をお伺いしたいんですが、この在日韓国人・朝鮮人問題、特に韓国籍を持たない朝鮮人の方々についての問題というものをどのように把握されておられるか。と申しますのは、かつて国会の論議の中で法務省あるいは入管当局が、この在日朝鮮人問題というのは治安の問題であり、あるいは外国人管理の問題なんだ、そういう観点でとらえなければならないんだということを表明された時期があったと思うのですが、現在でもそういう方針には変わりがないのかどうか、その点についての御見解をお伺いしたいと思います。
○股野政府委員 外国人登録法の第一条に外国人登録法の法律としての「目的」の記載がございますが、その記載の中で「この法律は、本邦に在留する外国人の登録を実施することによって外国人の居住関係及び身分関係を明確ならしめ、もつて在留外国人の公正な管理に資することを目的とする。」こういう規定がございます。この規定は現時点においても変わりなくあるわけでございます。その中での、ただいま委員御指摘のその「公正な管理」ということの意味合いについて、これまで国会においても御論議をいただいたと承知をいたしております。 そこで、私ども、この問題につきましては、従前の国会での御論議をいただいた中でも法務省当局としての見解を御説明申し上げておる次第でございますが、その「公正な管理」というのは、言いかえますと、外国人にかかわる行政全般ということとして把握しておりますので、その点は出入国の管理行政という点での観点、さらには福祉の行政あるいは教育の行政、こういったような非常に幅の広い行政にかかわる管理というふうにとらえておりまして、こういう出入国管理行政にとどまらない福祉ないし教育行政を行うについても、それにかかわる外国人の方々の身分関係、居住関係というものを明確に把握する必要がある、そういう観点での公正な管理に資するようにこの外国人登録という制度を有している、こういう立場でございますので、その同じ立場で臨んでおる次第でございます。
○佐々木分科員 かつてこれも入管局の方が、在外国人の中でも在日朝鮮人・韓国人の管理の問題というのは詰めていけば彼らをどうやって日本府が管理するかという問題なので、いわばこれは煮ても焼いてもどう処理してもいいんだといううな趣旨の発言をされて、これは人権問題だということで大変物議を醸したということがあったけです。 そこで、今管理、これは外登法の目的のところでの記載もあるからというお話がありましたけれども、具体的には指紋押捺の問題、これについて我が国の政府部内でいろいろな御意見があるようですし、それから外国人登録証の常時携帯義務、これをもう廃止してもらいたいという韓国側の要望も強く出されているように聞いておりますけれども、これについてもさまざまな御意見があってまだ一致しない。特に指紋押捺の点については、これは人権の問題ということもあり、また国際的な世論の中でもこれまでも論議があり、あるいは裁判所でもさまざまな判断が出されていることは言うまでもないことですけれども、特にこの指紋捺の問題について言うと、外務省よりも法務省あるいは警察庁などがこれを廃止することに難色を示されているというような報道もあるのですけれども、この辺についての御見解はいかがなものなんですか。
○股野政府委員 この指紋押捺の問題につきましては、委員御高承のとおり国会でも従来いろいろ御論議をいただいております中で、政府当局としては、この外国人の同一人性を特定する手段として指紋押捺にかわり得る制度がこれまでのところ見出されていないという状況を御説明した経緯がございます。 他方、昭和六十二年の外国人登録法の改正に際しまして、この同一人性を特定するための手段として指紋押捺にかわる制度の開発ということについての内容を盛り込んだ附帯決議をちょうだいいたしておりますので、その点についての政府当局としての努力は最大限今行っている最中でございます。 そこで、私どもとしましては、ただいまの観点でこの指紋押捺制度にかわる手段ということについては政府部内で関係省庁、今いろいろ知恵を集めて有効な方途というものを見出すべく努力をしているというのが現状でございます。
○佐々木分科員 これは各方面で随分真剣な議論がなされておりますわけですから、釈迦に説法なんですけれども、極めて人権にかかわる問題が多いと思うわけです。犯罪者の場合に指紋がとられるというのはやむを得ないことだといたしましても、管理の必要上必要だというのは管理する側の都合によるわけですけれども、管理される側としても、何も犯罪にもかかわらない者が十六歳以上になると強制的に指紋押捺をさせられるというようなことは、人間の尊厳の点からいっても大変に負担をかけることにもなるだろうと思うし、諸外国のこういう処遇との比較を見ても、やはり問題が出るのは当然のことではなかろうかと思うわけであります。 しかも、外国人登録法の上では、この指紋押捺の拒否あるいはこの登録証の不携帯などについては、御案内のように「一年以下の懲役若しくは禁錮(こ)又は二十万円以下の罰金に処する。」という処罰規定がある。これは言ってみれば、私は本業は弁護士ですけれども、懲役の際、一年以下の懲役というのは刑法犯の中でも決して軽い犯罪ではない。しかも、これは司法権の発動を促すわけで、強制捜査の対象になるわけですね。こういうことをもって強制するというところにもそもそも大変大きな人権問題だということがあるわけでありまして、これに対する反発もかねてから非常に強いわけでありますので、さまざまな問題があろうかと思いますけれども、政府部内において英知を集めて、一つはこの指紋押捺にかわる特定の方法が見出されればいいわけですから、技術的な問題としてお考えになるべきだと思うのですね。もしもそういう技術的な方途があるにもかかわらず、なおこの指紋の押捺ということに固執をされるんだとすれば、さっき申し上げ、局長が御答弁になった管理という問題がもっと意味合いの深い治安につながるような管理の問題として受けとめられてしまう。これがまた国際的に大きな批判を招くことになるだろうし、それから当事者である韓国の方々あるいは朝鮮の方々からも大きな批判を浴びることにならざるを得ないのではないかと思いますので、このところはひとつ鋭意御協議をいただき、英知を集めていただいてこれにかわる適切な方法をできるだけつくるように御努力いただきたいということを要望しておきたいと思います。 ほかにも少しく予定したこともございますけれども、もう時間の関係もございます。次の質問の予定者もございますので、一応この点で終わりたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、日本と韓国あるいは日本と朝鮮の関係、歴史的に非常に大きな問題をはらんでの上での事案でございますから、解決に間違いのないように、ぜひ十分世論もお聞きいただいて、納得のいくような解決を図られるように特に希望したいと思います。 また、個別の問題につきましては、機会を見て、ぜひまた法務大臣あるいは入管局長の御見解もお伺いする機会を持ちたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。どうもありがとうございました。
○越智主査 これにて佐々木秀典君の質疑は終了いたしました。 次に、阿部昭吾君。
○阿部(昭)分科員 この前の太平洋戦争のときに、いろんな問題を引きずっておるわけでありますが、その中でシベリアに強制的に拉致をされて強制労働を強いられた皆さんがたくさんいるのであります。今この皆さんが俗に全抑協裁判と言われる裁判で国との間で争っている問題について、私は若干お伺いをしたいと思います。 話は違いますけれども、実は台湾人元日本兵、この問題をやはり日本として人道的に、また政治的に、道義的にきちっとしなければいかぬという意味で、これも超党派の議員懇談会というものをつくっておる。長い間こういう問題に私もかかわってまいった一人であります。台湾人元日本兵の場合は、台湾の皆さんが日本にやってまいりまして訴訟をいたしました。第一審、これは棄却。第二審は、頭文字は同じような扱いだったが、中身は、日本政府に道義的、政治的に責任ありと、これはやはり政治的にしかるべきことをやるのが相当と。同じ棄却でも、第二審はそういう意味の政治的責任や道義的責任を指摘する判決だったように思うのでありますが、御案内のように、この台湾人元日本兵の問題は、現在最高裁に上告して争われておるのだと思いますが、内容的には国会で独自の立法措置をいたしまして、今この台湾人元日本兵及びその遺族等に対して、双方の赤十字間で一定のお見舞い金とかいうようなことが進んでおることも御存じのとおりであります。 全抑協の問題につきましては、昨年の四月十八日に東京地方裁判所において判決をいたしました。この判決に対して今控訴審でさらに争われておる、こういう状況にあると思いますが、その意味では、法務大臣の方が被告という立場でこの裁判に対処をされておる。したがって、その裁判の一々の中身は、今争っておる当事者でありますから、具体的にお伺いしようという方が無理だろうということもよく承知でありますが、全般的なスケジュール、段取り、どういう進み方になっておるのか、この辺につきまして、できるだけ丁寧にお教えをいただければ非常にありがたいと思います。
○岩佐政府委員 訴訟をやっております立場から御参考になればと思って申し上げますが、委員お話しのとおり、大変な訴訟でございますが、その中身は、さきの大戦で我が国が降伏し、武装解除を受けた後においてソビエト連邦の捕虜としてシベリア等に抑留されました六十二名が、抑留中非人道的扱いを受けた上、ノルマ等により過酷な肉体労働を強制されたことを理由といたしまして、国に対して総額二億六千四百万円の損害賠償または損失補償を請求してまいったわけでございますが、お話しのとおり、一審では、国が被告でございますけれども、国側勝訴ということで、昨年四月十八日の東京地裁第一審の後、相手方の控訴によりまして、現在東京高等裁判所に係属中でございまして、ただいままで三回口頭弁論が開かれておりますが、一審で問題にされました多岐にわたります法律問題がございますので、双方、裁判所の審理方針に従いまして、主張を補充し合っているところでございます。
○阿部(昭)分科員 そこで、この第一審の判決で、ジュネーブ条約あるいは国際慣習法あるいは我が国の憲法あるいは国家賠償法、こういういずれの現在の法律によりましても、なかなか今の訴えというのは、そう簡単に対応し切れないという感じが、判決をよく読ませていただいて、私はするわけですね。 あの第一審の判決文の中に、「原告らソ連長期被抑留者の被つた損害も、さきに認定したとおり多大なものがあり、帰国後の社会復帰が意の如くにならなかつたこととあわせて、これを通常の戦争損害とは異なるとする原告らの主張には、理解できる点もないではないが、諸外国の例にみるように、立法のみによつて解決されるべき問題であるといわなければならない。」今の法律じゃなかなか難しい。したがって、イギリスあるいはドイツ、アメリカその他のほとんどの国々が、戦争中の捕虜というもののいろんなこういう請求に関する問題というのは、新しい立法をして対応した、こういうところまでこの判決は触れておるわけであります。したがって、今訴訟で争っておる被告という立場である国の法務大臣の立場からいうと、現行の法律に基づいて一体この訴えをどうするか、こういう立場であることは間違いないだろうと思うのです。しかし、この裁判所の判決をよく読んでみると、今のように新たなる立法、ここまで言及されておる判決なんですね。こういう点について法務省におかれてはどういうような、これは第一審の判決なんですけれども、原告と争っておる被告という法務省のお立場で、この判決にどういうような認識を持つかということをお聞き したい。
○岩佐政府委員 ただいま先生文脈の中からエッセンスをお読みいただきましたけれども、おっしゃるとおり、道義的な問題をも念頭に置いた文脈が潜んでいることは潜んでいるわけでございますが、いずれも理屈の判断の上では請求としては成り立たないという指摘のあるのも御指摘のとおりでございまして、訴訟は訴訟として今進めている状態でございます。 立法云々の点につきましては、私どもといたしましては、何とも答弁のしようがございませんので、御了承いただければと存じますが……。
○阿部(昭)分科員 そこで外務省。本年の六月二十日から東京においてシベリアの抑留者の皆さんの団体である全国抑留者補償協議会、今申し上げました全抑協という団体でありますが、この団体とソ連の代表団の共催で日ソ・シンポジウムというものが開催されるということについて、外務省御承知でございましょうか。
○高島説明員 今先生御指摘のシンポジウムにつきましては、全国抑留者補償協議会とソ連の東洋学研究所との間で六月二十日から一週間東京で開催されるということは、私どもも伺っております。
○阿部(昭)分科員 そこで、伝え聞くところでは、このシンポジウムにおきましては、領土問題や日ソ中立条約の問題、あるいはそれと並んでシベリア抑留者の問題、シベリアに抑留されました皆さんの遺骨収集であるとか墓参であるとか、こういうことが人道上の問題として正式な議題になると承知しておるのであります。ソ連大使館などもこのシンポジウムにアドバイスやいろいろなかかわりを持っておられるように思います。この日ソ・シンポジウムというのは、単なるソ連抑留者の問題のみならず、こういう時期でありますから、日ソ間の民間ベースのいろいろな問題が話し合われるのだろうと思うのですね。このシンポジウムに外務省としても、いろいろな対応というか、そういうお考えをお持ちかどうか、お聞かせ願いたい。
○高島説明員 このシンポジウムにつきましては、基本的には民間主催のものと私どもは承知いたしております。したがいまして、このシンポジウムに対しまして、外務省ないしは外務省員が出席して政府の立場等を発言するということは必ずしも適当ではないだろうというふうに判断はいたしておりますけれども、そこでいろいろな議論が行われることにつきましては、私どもももちろん関心を持っておるところでございまして、そういう観点からオブザーバーというような形でこのシンポジウムを傍聴したいと考えておるところでございます。
○阿部(昭)分科員 わかりました。 そこで、シェワルナゼ・ソ連外相が来日をする、そのときにもこのシベリア抑留者問題でソ連抑留者の全抑協という団体との間にいろいろな話し合いをしよう、シェワルナゼさんの来日のときに、それをやろうというようなことも、ソ連側と民間ベースで今いろいろなことが話し合われておるようであります。今のゴルバチョフのいろいろな政策などもあるのだと思いますけれども、ソ連側も従来と相当違う。例えばソ連抑留者が相当長期にわたって向こうでああいう過酷な状況下で強制労働をやらされたわけです。そのことについては、行った日本の皆さんは、その状況を言うわけですけれども、ソ連側は今まではなかなかそのことを認めようとしなかった。最近は随分、何年か話し合われておる間に、今のソ連の新しい政策とも関連しておると思うのですけれども、そこら辺相当あからさまにしていこうということに変わってきておるように思います。 そういう中で、私は再びさっき法務省にお伺いした問題に戻るのでありますけれども、確かに今争っておる当事者ではある。政府全体が、戦後問題というのは、どうも何十年もたって厄介な問題、したがって、こんなものはもう片がついたものとしてなるべく始末してしまいたいという気持ちが見えるのですね。例えば全抑協の問題と並んで、もう一つ恩欠連盟と称する問題がある。この問題なんか、選挙になると、全部自民党に入りなさい、そうすれば議員立法で百万円ずつのお見舞い金かなんかになるんだというような宣伝がぱっと行われて物すごい動きが出る。選挙が終わると、どこかへすっとまたというのが――私も長年客観的にこの戦後問題というものに関心を持ってきましたので、随分政治というのはいろいろなものだという思いを持っておる。 そこで、単なる厄介というのじゃなくて、諸外国の例、いろいろなものを見て、人道的に、常識的になし得る解決の仕方というものがやはり政治的にはなければいけない。百万円の話がいつの間にやら銀杯一個と賞状一枚に変わってしまったというと、現実、政治に対する不信感というものも相当に高まっておる。この皆さん全部相当の高齢者なのですね、私が見ておりますと。私も十五歳、十六歳、十七歳の当時にかつての海軍の甲種飛行予科練習生ということで戦争に参加をした一人だったのでありますけれども、私どもはそういう若い時代のことでありましたが、今の全抑協とか、あの戦争で戦後問題というものを意識の中に残して、いろいろな地域で相当ボリュームのある動きになっておる皆さんというのは相当高齢者なのです。そうすると、やはり現行法ではこうだと――確かに、さっき私は台湾人元日本兵の問題を申し上げましたけれども、判決では棄却なんですよ。しかし判決文の中身には、判決の主文は棄却ではあるけれども、日本の側に政治的、道義的、人道的、そういうあれがある。これに基づいて、日本の与党も我々も協力して、あの台湾人元日本兵に対する、台湾側はあれで十分とするかどうかは若干まだ問題は残っておりますけれども、日本の政治が四十年以上たったこの段階であの問題に一定の対応をしたということについては、それなりの評価というか、この戦後問題の処理というのは、法務省の立場から言えば、争っておるのですから大変なことはわかるのですけれども、ちょうど台湾人の元日本兵問題を処理したときのように、判決は判決として、金額の問題は別にして、政治はそこにある一定の――イギリスでもアメリカでも、どの国でもみんな、戦時中の捕虜になった皆さん、この皆さんに対する一定の償いというものをちゃんとする。これは今争いの当事者である法務省でありますけれども、政府全体の中でそういう判断を進めるのが政治というものではないのだろうかというふうに私は思うのですが、この点に関しまして、これは政治の判断の問題ですから、私はぜひ法務大臣から一言お聞きをしておきたい。
○長谷川国務大臣 今委員からいろいろお話をお聞きしたのでございますが、私も委員よりちょっと年が上なものですから、戦争に真正面からぶつかりまして、潜水艦で二回やられまして、飛行機で一回墜落して、戦争の痛みというのは本当に痛いほどわかっているのでございますが、戦後処理の問題でいろいろお話を承ったのでありますが、これは可能な限りこの戦後処理の問題は今の政治の中でおろそかにしてはいけないと思いますね。六十、七十で、戦争に行ってこてんぱんに負けて帰ってきて三十年間、飲まず食わずで働いて、こんないい日本の国をつくったじゃないですか。だから、それらの人が命を的にして働いた戦後処理問題というのは、私の若干の経験からしても、今よりボリュームを上げて考えるべきだ。 それともう一つは、戦後処理の該当者というのはふえっこはないのですよ。だんだん死ぬばっかりで、もう十五年もたったら一人もいなくなるかもわからない。そういうことで、日本の今日の経済から見れば決してできない話ではないと思う。できない話どころか、それほどびっくりするような金じゃありませんよ、と思いますね。 だからそういう面で、今政治家としておまえはどう考えるんだということでございますが、私は自分の経験からしても、戦後処理の問題については、そういうような考え方でいくべきだ、本当に腹の底からそう思っております。
○阿部(昭)分科員 法務大臣の政治家としてのいわば真情というものをお聞かせいただいて、実際の問題がどのように動くかはなかなかそう簡単で ないこと、私もよく承知をしております。しかしながら、大臣のように、政府の中で重要な立場にある、しかも、この問題では一方裁判の争いの当事者の一人ではありますけれども、ぜひこの問題はでき得るならば、今いろいろ思いをめぐらしておりますけれども、参議院の側でしかるべきときに、与党の皆さんの立場で簡単にやることが難しいとするならば、我々野党語らい合って議員立法、新たなる立法というものを、第一審判決でも指摘しておりますから、提起するような努力もしたい。そうは言っても、いろいろな立場、立場はあっても、やはり党派で争うべき筋のものと違いますからね。政府の側あるいは与党の皆さんとも十二分に意思の疎通を図りながら進めるようなことが必要だと思っているわけであります。 その際に、今法務大臣から政治家としての真情というものをお漏らしいただいて、私大変心強くまた大変安心をいたしました。そういう意味でぜひ進めたい。この問題も、さっきお話のように、これからだんだん関係者は減っていくのであります。しかし、こういう問題は、時間がたてばみんな風化をしていくということで片をつけていい問題とは違うと私は思うのであります。そういう意味で、訴訟の当事者であります最高責任者の法務大臣から、今のようなお気持ちをお聞かせ願えたというのは、私は大変うれしいと思う次第であります。 まだ申し上げたいので、明日また総務庁の方ともこのことでやりたいと思っております。きょうは以上だけお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。どうも大変ありがとうございました。
○越智主査 これにて阿部昭吾君の質疑は終了いたしました。 次に、沢田広君。
○沢田分科員 大臣、お疲れでしょうけれども、また少しおつき合いをいただきます。 一つは、細かい問題で恐縮でありますが、大臣、地方の法務局、出先の機関で意外なものを発見したのは、一生懸命昔のタイプライターを打っている場所があるんですよね。御存じですか。今ワープロ時代と言われているが、昔の拾うタイプを一生懸命使っている。私、浦和だけれども見たのです。そういうのがあるのですが、御存じですか。今ごろと言っては悪いですかね。今ごろタイプを使って、これは効率は悪いなという気がしたのですが、何か理由があるならちょっと教えてください。
○清水(湛)政府委員 先生御存じのように、登記所では登記簿に登記事項……
○沢田分科員 登記所じゃないですよ。
○清水(湛)政府委員 私、民事局長でございますので、法務局関係の話を申しますと、いろいろ公文書を作成するのにタイプを用いるということが非常に多いわけでございます。特に登記の面では需要が非常に多いということで、そのための専用タイプライターというものを従来開発をしてまいったわけでございます。全国的には大変な量になるわけでございますけれども、おっしゃいますように、最近はこれを逐次ワープロに切りかえておる。特に登記のために必要なワープロを開発いたしまして、逐次これに切りかえていくというようなことをやっている次第でございます。おっしゃるように、まだそういう古いタイプはございますけれども、できるだけ速やかに近代的なワープロに更新いたしたいというふうに考えております。
○沢田分科員 大臣、いかにそのことが非効率的であるかということはわかるでしょう。車と人力車と競争しているようなものですからね。それを後生大事に抱えて扱っているというのも古いなというような感じ、考え方が古いからじゃないかなという気もしますが、今ごろ一生懸命かちゃかちゃ、女の子は泣いていますよね、肩は張るし、目は疲れるしということで。こういうものが利用されてきているわけで、いまだにそれを後生大事に抱えているというのだから、これは骨とう品にするかあるいは博物館に飾るようなものを使っているわけですからね。これは大臣、我々も見まして、何か特別理由があるのかと実は思ったんですよ。それで女の子にもやっている場所で聞きましたら、とにかくそれは疲れる。ですから、それを甘んじてやらしている、大臣の責任じゃないですよ、前から続いてきている役人どもの考え方というのは、まことにお粗末であるというふうに思いますね。だから、これは民間にはとても追いつかないし、非能率になるしというふうに思いますから、これは大臣、速やかに、そのためにきょうは大蔵にも来てもらっている。そんなもので扱っているようじゃ、人を削減していきながら、委員長は大蔵にいたからわかるでしょうけれども、そんなことは速やかに一気に改善した方がいいですよ。そうでないと、時代錯誤もいいところであって、ゼロ戦なんか引っ張り出して走らせるようなものだから、そういうものはやめさせた方がいい。大臣、一言。首を縦に振っているから。 大蔵省、どうです、そういうことを許していること自体がおかしいでしょう。当たり前だと思いますか。どうです。あなたの方はどうなんですか。要求する意思がありますか。
○清水(湛)政府委員 私どもも、先生御指摘のように、ワープロ化ということをできるだけ速やかに進めたいということで努力しているところでございまして、財政当局からも十分な御理解をいただきまして、逐次これを切りかえていきつつあるさなかでございます。
○沢田分科員 じゃ、善処をとにかくお願いいたします。 それから、入国管理ですね。きょう三十分ぐらいですか、ちょっと電話したら、全然かからないんですね、話し中、話し中、話し中で。聞いてみたら、十五本しかないというんですね。十五本だけで、しかも一人の電話の交換手が一日大体千百件ぐらいから千二百件ぐらい扱っているんだそうです。これじゃ、まともに連絡はつかない。年じゅう話し中、三十分ぐらい話し中なんですよ。こういうところはどんなにしても電話線をあと十五本ぐらい入れて――国民がどれだけむだな時間を浪費するかわからないですね。片っ方あくのを待っていなくちゃならない。そういう状態というのも、これも不健全ですね。だから、もっと余っている場所からどっか移動するなり何か方法を考えて、今は入国管理は大変重要なんですから、そういう意味においては、臨時にでも対応するというのが、やはり国民に対する奉仕の精神じゃないですか。こんなのは大した金額じゃないんですから。八一一一という電話番号を、内線をさらに後ろの番号をくっつけて、それで十五本ぐらい加えて、国民が困るということのないように、しかもビザのおりるおりないによって、船の手配、飛行機の手配、大変な労力を片っ方は使うわけですから、その意味においては速やかに、これも緊急的に改善してもらうことじゃないか、こういうふうに思いますが、大臣、これはお願いします。
○長谷川国務大臣 管理局長が後で詳細に御説明いたしますが、私も一週間くらい前に、管理局を一、二時間ちょっといろいろ回ってみたんですよ。まさにこれは殺人的の形ですね。座る場所もなければ、みんな廊下に立ち続けて外国人の諸君が並んでいる。電話も恐らく今先生おっしゃったとおりだと思います。これは窓口でありますから、まあ何といいますか、直ちにこれは改善、改良しなければ、まさに国の威信をあるいは失墜するものになるかもわからぬと思うくらい、本当にどうにもならない状態ですね。だから、恐らくこれからそういう予算をどんどんひとつお願いに上がりますが、各党ともよろしくお願い申し上げておきたいと思います。 あと、詳細は局長から……。
○沢田分科員 もういいですよ、とにかく直してもらえば。これはやはり国としての権威にも関係しますし、外国との問題ですから、そのことの思いがいいと思われないですね。そしてそのことが、きょうもちょっと裁判所関係で実は申し上げてきたんですが、今の外国人労働者の扱いを失敗しますと、タコ部屋に、六畳の部屋に二十人も寝泊まりさしておくというような事態を続けてカニ工船 の二の舞をすれば、今度はその人たちが故国へ帰ったときに憎悪しか残らないんですね。それがやはり今度日本人が向こうへ行ったときに、ジャパンけしからぬと、こういうことになって、それがひったくりになったり泥棒になったり、あるいは強盗になったり、あるいは暴行になったりということになって、その意趣返しというものは必ず返ってくるものなんですね。ですから、私が今心配していることは、こういうピンはねをしている今の組織形態というものを放置しておくと、ますます日本憎悪あるいは排日運動あるいは日本製品ボイコット、こういうものに伝わってくる、伝承されていく、憎しみがずうっと続いていく。それは、総理も東南アジアに行かれるそうですが、東南アジアでも何でも、皆そういうことでしょう。そういう印象を皆さんやはり持って帰ってくるということなんですね。 ですから、私の言う意味において、こういう事務はやはり簡潔に、一年くらい置いてやるようにして、やはり日本に行ってよかったといって帰ってもらえる、そういう制度に充実させませんと、それは我々の時代にはないでしょう、力があるから。そうでなくなったときには、途端に打って変わって攻撃に変わってくる、こういう歴史の回転があるんですから、その辺はきちんと法務大臣の方で善処していただきたい。そういう将来に禍根を残すことを我々が平然として行っていることは、よほど自制しなければならぬことだというふうに思いますので、これは特に大臣にお願いしておきたい。これは速記録の関係上、首を縦に振っているから、それで了承されたと、こういうことで、次の問題に行きます。 きょう裁判所の方で長官が出てこない。それで、今までのいろいろと裁判所の、まあ司法と三権の分立の実態はあると思うんですが、もっと国民の民意を聞く姿勢が――何で情報を得ているか、長官だの、最高裁判所の人が、そういうふうに聞いてみた。そうしたら、マスコミとかなんかだと。それはいかぬ。マスコミによってすべてが世の中の動きだなんで思われたら、これは大変間違っている。なぜ行政府とも話し合わないのか、なぜ立法府の我々国民の代表と言われている連中とも話し合わないのか。 そういうことがないから、この間の例を一つ挙げると、例えば一万円を取るのに十万円をかけると言ったら、これはある高等裁判所の裁判官ですが、これは私がじかに会ったのですが、ばかばかしい話だと。一万円取るのに、十万円も金をかけて取るなんて、あほうだ、こう言うんですよ。これは税の哲学の問題ですね。いわゆるどう公平なり公正を期すかということが我々にしみ込んだ税の観念ですね。だから、一人でもそういうふざけたやつがいれば、とことんまで追い詰めて取るというのが、やはり職員が頑張らなければならぬ立場で、それでまかり通るんなら、だれも納めないですね。 そういうことで、偶然聞いた言葉、偶然というか正規の話し合いのときですが、聞いた言葉でしたが、これは裁判所も頭をよほど切りかえてもらわないと、我々の観念とは大分違うなということで、きょうわざわざ裁判所にも質問もしたし、そういう提言もしました。研修制度も入れたらどうだ。民間の会社へ行って、少しずつ働いたらどうだ。民間が何をやっているか。がり勉だけで司法試験を通ったからといって世の中通れるものじゃない。だから、それはそれなりのいわゆる世俗の習慣、あり方というものを学ぶ必要があるということを申し述べた。 ですから、そういう意味では、長官も象牙の塔に立てこもってないで、やはりいろいろな――それで裁判に陪審制度をもう一回再開したらどうかという提言をしたんですが、今のところその意思はなさそうですが、ぜひ大臣もこの点は、今の判決についていろいろと意見が世の中にあるわけですから、何らかもう一回陪審制度、昔とは違いますから、昔は所得税法が全然違って、昭和十八年ですからね、ですから、昔の選挙権を持っていた人というのは、金持ちしか選挙権がなかったときですから。そういう意味においては、ひとつそういうものを復活してもらうということが必要じゃないか。だから、そのとおりでなくともいいでしょう。第三者の意見を聞くということ、謙虚に聞く機関を私は設けるべきではないかということを述べたわけです。 これは難しいような様子でしたから、大臣からも、これは常識の大臣の方から、そういうかたくなな方向ではなくて、アメリカの制度も、独法であっても、どっちにしても、主権在民ですから、主権者の声を聞いていく、こういうシステムが必要だというふうに思いますので、今すぐとは言いませんが、そういう方向でひとつ折に触れて提言をしてもらいたい、こういうふうに思いますが、いかがですか。
○長谷川国務大臣 今委員のお話は、まさに裁判の基本に係る問題でございますので、御意見として拝聴させていただいておきます。
○沢田分科員 それから、判決と法律の関係なんですが、これは判決も法ですね、今は。今と言っては悪いですが、判決も一つの判例として法律の役割を示す。きょうはそこで、何もここでやろうと思いませんが、教育指導要領にしましても、法律的拘束力という言葉が、この間も委員会で答弁にそういうのが出たのですよ。法律的拘束力を行政官が述べるというのはそもそも越権じゃないかなと思いましたね。法律的拘束力というものを述べられるものは立法府であって、行政府が法律的な拘束力を持つのだという言い方をするということ自身が、それは少しおごりがあるのじゃないのか。これは文部省の役人が来て言った答弁で、じゃ、それはいつ、どこで、だれが決めたのか、文書で回答しろ、こういうことを言って、そのままになっておりますが、委員長も、それじゃ出しなさい、こういうことになっていますから、いずれ出てくるだろうと思うのですが、行政官が法律的拘束力、中身は何だと言ったら、告示だとか通達だとか省令、そういうようなことを言っているのですが、それを法律的拘束力と言うのは、これはおどかしですよね、少なくとも。法律的という言葉、法律という言葉を使う場合は、やはりそのもとがなければだめですからね。 そこで、日の丸や君が代の問題でちょっとその点はあったのでありますが、例えば最高裁の福岡の判決の中においても、指導要領の中では学科の問題その他のことは具体的に言っていますけれども、日の丸・君が代、一言も触れてないんですね。だから、指導要領はすべて法律的な拘束力を持つという解釈をすることは、私は間違いだと思う。判決というのは、そのときのケース、またそのときのその裏にある舞台、その客観情勢の中から生まれた結論である。だから、その場合に限っての有効性を持つものであって、それと同じ、類似する場合についての有効性を持つので、その他の場合に効力を発揮するものではない、そういうふうに思いますが、これは大臣、どういうふうに考えますか。
○長谷川国務大臣 一般論としては本当にその点はよく納得できます。できますが、いろいろございますので、きょうのところは御意見を拝聴申し上げたということでひとつよろしくお願いしたいと思います。
○沢田分科員 それで、例えば委員長なんかもおられるからよくわかるでしょうが、例えば四メートル道路、いわゆる中心から二メートル後退するという根拠は、これも判例なんですね。これは建設省関係でやるかどうか、まあ消防車が入れるということを原則として決められたものなんです。これは皆お困りになっている中身の問題なんです。浅草の路地裏なんかに行ったら、とてもじゃないが体一つ通すのにも骨が折れるような場所はたくさんあるわけですね。だからそういうものは、やはり法律化するならば各省庁は法律化をしていく。司法が立法府に立ち入らないために、議員定数も二・九というような数字をやりながら無効としないというのは、それぞれの権限を侵すまいといった立場でやっていることだと思うのですね。 しかし、我々国民生活に影響のある分野においては、出てきた判例なりがどう国民生活に影響す るかということで、法律にすべきものは速やかに法律にすべきである。黙っておいたのでは拡大解釈というものがおのずから生まれてしまう、さっきの例示のようにですね。ですから、生まれた判例というものは直ちに法律化するという、これは議員提案にするか行政府が出すかは別として、やはり法律化をすることを義務としていかなければいかぬと思うのですね。そのままでいくと、裁判所しか有効になっていかない、こういう格好になるので、これも大臣はどのようにお考えになっておられるか。 今までずっと来た判例というものを全部法律にするなんということは、これは大変な仕事でできることじゃないですけれども、最近の判例でもそういうふうにいろいろ問題を生じておる。これは法務省がぼんやりしているのかな、我々がぼんやりしているのかな、それともいわゆる行政府という政府自身の責任の問題なのか。国民は知る機会がないんですよ。 さっきも陪審員の問題でも、だれも出てこないと言う。今のようなマスコミの発達した時代でないのですから、当時は。今、裁判、何が行われているかわからないのですからね、国民は。だから、出てこいと言ったってなかなか出ていかない。今はだんだんわかってきました。 ですから大臣、このことは一回検討していただけませんか。国民にとってみれば、これは判例なんだよと言われて持ち出されても、古証文のような気にしかならないんですね。これは判例にこうなっているのだからだめよ、時効よ、こう言われましても、国民は法律に決まっている時効しか考えていないんですね。ですから、この点は大臣もひとつぜひ改革をしてもらいたい、検討してもらいたい、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
○長谷川国務大臣 残念ながら私は法律、全く素人でございますので、きょう委員の御意見を拝聴いたしまして、十分腹におさめておきます。
○沢田分科員 それから、もし裁判所と懇談を持つという、いわゆる開かれた裁判所にするために、最高裁長官からそれぞれ裁判長等といろいろな交換なりいろいろな意見を聞く会をつくるということもひとつ御検討いただきたいと思うのですが、これもお願いいたしたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○長谷川国務大臣 今お話し申し上げましたとおり、私自身全くの素人でございまして、今先生の、委員のお話しのようなことの判断力がそれほど整っておりませんが、一応御意見としては十分拝聴いたしておきます。
○沢田分科員 じゃ、官房長なり刑事局長、民事局長、そういう今の私の出した提案についてどのようにお考えになっているか、お答えいただきたいと思います。
○井嶋政府委員 先ほど来裁判所の判例につきましてのいろいろな御議論がございますけれども、私ども、判例というのは、それぞれ具体的なケースに対して判断された裁判所の判断であるというふうに考えておりまして、それが蓄積されていくことによりまして、一つの法令類似のような効力を発揮していくものだということで、それぞれ法律実務の間では、それがそれなりの形として尊重されていく形だというふうに考えておるわけでございます。もちろんその中にあるいは立法を示唆するような問題がございますれば、それぞれの行政庁がそれに対応していくという図式ではないかと思っておるわけでございます。 さらに、裁判所との関係におきまして、いろいろ意見の交換をすべきであるという御指摘かと思いますけれども、私どもは同じ法曹といたしまして、そういったことを踏まえまして、日ごろからいろいろな意見の交換を行うということももちろん行っておるわけでございますが、もっともそうは申しましても、具体的事件に関しましては、あくまで当事者という立場でございますので、それを離れた一般的な司法の問題ということで議論をしておることは、従来とも引き続きやっておるわけでございます。
○沢田分科員 大変ここのところは重大な問題なんで、例えばじゃ中心から二メートル後退するなんというのは、これは法律にはないんですね。公共の福祉に反せざる限り個人の財産は保護される、こういう憲法の条文は生きているわけですから、そのときの判定は、今のおっしゃっているのは、例えば隣の家が勝手にへいを出て結ったといった場合も、一年たつと時効だ、こういうんですね。こんなものは法律はどこにもない。黙って川の中に家を建てて、これも一年たつと有効である。損害賠償、立ち退き料を払わなければどかすことはできない、こういうんです。これは裁判上の問題なんです。だから、それがもし国民生活が、知らないでいることによってどれだけの多くの人間が損害を受け、争いをより起こすかということははっきりするでしょう、今の幾つかの例だけでも。 だとすれば、それは法律にするか、それによって裁判で負けるとするならば。やはりそういう一方的に垣根を一メートル動かしたら、黙って一年間ほっておいたら結果的にはそれがもう占有権になってしまって有効なんです、こういうんですね。そういう裁判所が勝手に解釈をするということを我々が認めていくということは、立法府、そんなことは知らないんですね。それは裁判所の社会においては有効だけれども、我々行政府の社会においては有効でないと言える根拠はあるんですか。まあ言えるわけなんですが、それで裁判に持っていったら、それが有効になってしまう。そういうあり方というのはちぐはぐじゃないですか。どうですか。
○清水(湛)政府委員 裁判というのは、やはり法律に基づいて裁判官が裁判するわけでございまして、お尋ねのようなケースについて具体的にどのような法律に依拠して裁判所が判断をしたのか、私、突然のお尋ねでやや定かではないところもございますけれども、民法、建築基準法、その他諸法令を総合いたしまして、当該具体的な紛争を解決するのに最も適した判断を裁判所がしたというふうに私どもは理解しておるところでございます。 ただしかし、法律に基づいて裁判所が裁判をした場合に、一つの判断をする、それが重なって一つの判例法的なものを形成するということはよくあるわけでございます。しかしながら、その形成された判例法的なものが今の社会の実情に適合しないということになりますと、やはりそれをいわば変更するための特別の立法措置を必要とするということに当然なるわけでございます。 私どもの関係で申しますと、非常に近しい例として仮登記担保というのがございまして、これは実は法律に明文の規定がないわけでございますが、下級裁判所、最高裁判所の幾多の判例が重ねられまして、そこに一つの判例法が形成されました。しかし、それではなかなか担保法制をうまく律することができないということで、国会にお願いいたしまして、仮登記担保法という法律を制定させていただいたことはございます。 こういうように、やはり判例だけでは賄えない、社会現象に対応できないというようなことに相なりますと、それは立法措置によって是正していかなければならない、こういうふうに私どもは考えており、また現にそのように努めておるところでございます。
○沢田分科員 ですから、裁判という社会だけに通用する問題があって、一般社会には通用しない、こういう若干の行き違いみたいな乖離したものがあるんですね。ですから、きょうはお願いしておきますが、またいずれそういう問題について――法務委員会は大体プロばかり集まっているから自分の城だけ守ろうとしているだけで、一般社会的、普遍的な論理に発展しないのが残念なところなんで、本来なら我々みたいな俗っぽいのがいっぱい行って、そういうものをぶち破っていかなくちゃいかぬところだろうというふうに思っておるのです。自分の城だけ囲っておればいいと思っている連中なんて言っては言葉は悪いですが、先生方の集まりが多いですから、そういう意味において、 そういうものを幾らかでも是正していくという必要性はあるという認識です。 あと最後に、これはこの前一回ちょっと触れたのですが、ちょっと申し上げて、私の質問を終わります。 武蔵野線の武蔵浦和駅が変わったために――リクルート関係なんですが、ちょっとさっと二分くらいで終わります。五十八年の三月に国鉄当局の強い意向によって駅が百メートル移動したわけですよ。これが利益誘導かどうかという問題に実はなっているわけです。ずっと流れを言っちゃうから聞いてください。五十六年の三月に県南都市整備計画策定委員会というのができて、これは八十島さんが会長でつくったのです。それは結局浦和市に提案した。五十七年五月に銭高組と森下製薬の売買契約ができた。そして十月には両社の紛争の報告がなされた。そして五十八年の五月に銭高組と森下製薬が紛争をして大阪簡易裁判所へ持っていった。埼玉の浦和の問題を大阪の簡易裁判所へ持っていって調停申し立てをやった。これは監視区域ですから、総体の金を知事は大体三十五億で査定したのです。それで七月に和解したのです。それで森下からリクルート社へまた売買したのが八十七億なんです。だから結果的には監視価格も無視されて、私はこれをかご抜け詐欺、こう言っておるのですが、言うならば埼玉で争わずに大阪の簡易裁判所へ、わからないところに持っていって、弁護士同士で話し合って金額も決めて、そうして監視価格は無視されてしまったわけです。土地の暴騰の問題ですね。これは便宜を計らったのじゃないかというのが今日の段階の評価ですね。こういうことをやっておって、六十年の十月、埼京線が開通して武蔵浦和駅がオープンしたのですね。 この一連の流れを見ていきますと、リクルートのすぐそばにある土地の方へ百メートル近づけたわけですから、どうやったって利益誘導と誤解を受けるような行為であった。しかも監視価格というものを、大阪の裁判所へ持っていって、和解をして示談にする、こういう形は法務局がまるまるのせられている、裁判所もまるまるのせられている、こういうことになるわけです。知ってやったのか知らないでやったのかということになるので、知らないでやったと言っていますが、今の国土利用計画法によって監視区域だ、あるいは規制区域だ、こう指定があるのに、そういう知事の見解も全然無視して、それが裁判所へ持っていってされた。これは大臣、きょうは聞くだけでいいですよ。もう時間ですから聞くだけで結構ですが、こういうことを許しておったのじゃ法務省が泣きますよ。法務省という天下の法律を監督しておるというか業務管理をやっておるところがのまされたのか食わされたのかわからぬけれども、それも文句を言わずにそのまま通したということは極めて遺憾な事態だというふうに思います。今後こういうことのないように対応してほしい。答弁があったらひとつ答弁してください、それで終わりますから。――まあ答弁はいいです。大臣、ちゃんと部下を通じて裁判所及びその他に注意を促すようにして、こういうことを二度と起こさないようにひとつ厳重に対応していただきたいということを要望して、大臣もうなずいておりますから、その処置を今後期待いたしまして、時間がないし、こういう分科会でそれだけのものは、前にそれだけ対応してもらうものはありましたから、それ以上詰めても難しいと思いますので、一応これで終わりますが、入国管理局の職員の配置について対応を特にお願いします。 以上で終わります。
○越智主査 これにて沢田広君の質疑は終了いたしました。 次に、辻一彦君。
○辻(一)分科員 きょう私、外国人の入国審査あるいは管理体制等につきまして、二、三伺いたいと思います。 こういう問題を取り上げて思うのは、ちょうど昭和三十一年ですが、中国の青年団体と初めて交流をやったときに、二十二名日本から戦後初めて青年を中国に送ったのですが、旅券をとるのに半年、旅券を出さないというのに出せと言って、かかった思い出があります。そのときは、こちらも二十二名が七十五日間、中国の二万五千キロ全土を歩いて、日本人が戦後初めてというところが多かったのですが、日中青年不戦の誓いを各地で結んだという思い出があります。翌年の三十二年に中国の青年代表を十名日本に初めて招いたわけですね。これも来てもらうのがなかなか大変で、行くのも大変だったのですが、来るのも大変で、私たちが中国から三月ほどおって帰ってくると、毎日お巡りさんが一日ずつ訪問に来る。何でそれだけ用件があるのと言うと、中国の話を聞かしてくれと言って、毎日毎日では大変だと言って笑っておりましたが、それぐらいの時期から見て、いろんな意味で今昔の感がしております。三十二年に日本に見えた十名は、副団長は呉学謙、前の外相であるし、それから通訳で来たのは楊振亜、今の中国の大使ですから、三十年という時間がたつと入国、出国も随分と変わるものだな、こういう感じがします。ちょっと感想を先に申し上げて、そういう意味で、中国やあるいはアジアの人々の入国、出国について、私非常に関心を持っておりますのでこの問題を少し取り上げた、こういう経緯であります。 そこで、私ども伺っていきたいのは、その当時に比べて外国人のいらっしゃるのも非常に多くなったし、日本人の出るのも随分多くなった。こういう中で、入管の管理やあるいは外務省で言えば審査となりますか、法務省また外務省のそういう体制がなかなか大変なんです。私も現場を見に行って、いやこれはなかなか大変だなという感じがしますので、そこらの実態をこの分科会で少し聞いて、そういう余りにも複雑なといいますか、仕事のおくれている状況を少し変えるということがせっかく外国から来てもらいました人にとって大事じゃないか、こういう感じがしますので、若干細かい点もお尋ねをしたい、こう思うわけであります。 まず第一に、この十年間における日本人の出国者、外国人の入国者の増加、そういう実態と法務省における入管職員の数の推移、さらに続いて、外務省におきましても同様の状況についてちょっと御報告をいただきたい。
○股野政府委員 まず、最近の十年間をとって日本人の出国者の数それから外国人の入国者の数を見てみますと、日本人の出国者につきましては昭和五十五年が約三百九十万九千人という数でございましたが、これが平成元年になりますと約九百六十六万二千人、こういう数に変化してきております。他方、外国人の入国者の数について見ますと、同じく昭和五十五年の段階で約百二十九万五千人でございましたが、これが平成元年になりますと約二百九十八万五千人、こういう数になっておりますので、その点確かに顕著な変化がございます。 他方、委員御指摘の、それではその間に入管局の職員の方はどうかという点でございますが、こういう業務を行いますその中心的な機関というのは地方入国管理官署でございます。その職員について見ますと、昭和五十五年、十年前の状況で千五百七十一名という定員がございました。以後若干定員がこの数について見ますと少なくなったときもございますが、昭和六十二年度からは全体として増員に転じまして、平成元年、すなわち昭和五十五年から数えての十年後に見ますと千六百名ということになっておりまして、さらにこの平成二年度予算においては六十六名の増員、これは削減が十六名加味されますので、純増としては五十名ということをちょうだいいたしまして、千六百五十名ということにさせていただきたいと考えているところでございます。定員問題については、とにかく審査業務の第一線としての地方入国管理局、ここの職員の定員確保ということにはこれまで最大の努力を払ってきているという状況がございます。
○辻(一)分科員 外務省。
○久米政府委員 外務省の査証関係の定員は元年 度で十四名、それから六十三年度は十二名、六十二年度以前五十九年度まで四年間は十一名ということになっております。他方、在外公館につきましては元年度五十八名、これは査証関係だけの定員でございますけれども、六十三年度五十四名、六十二年度五十一名、六十一年度五十名、六十年度四十三名、五十九年度四十名となっております。
○辻(一)分科員 出国する人それから入国する外国人がここ十年非常に物すごい勢いでふえているという事実はもうはっきりしておりますが、その中でなかなか人手が足りないので業務のおくれが随分と来ておるように思うのです。実態としてかなり審査業務、管理業務がおくれがちだろうと思いますが、そこらの実態はどうでしょう。
○股野政府委員 業務量が数量の面で非常にふえているということは、先ほどの日本人出国者ないしは外国人入国者の数であらわれている点、先生の御指摘のとおりでございます。他方、もう一つ私どもとしての課題は、こういう数量的な問題にあわせまして、申請してくるいろいろな案件についての慎重な審査を要する、そういう質的な点での問題があるのではないかと考えられるような案件も増加をしておるということでございます。 そこで、そういう状況を反映いたしまして、特に在留の外国人が集中している都市圏地域の地方入国管理局というところで窓口業務が大変混雑をしているという状況はございます。
○辻(一)分科員 私も時たま入管の方に、出先の方にも行ったりする機会があるのですが、なかなか書類を積み上げているし、それからちょっとスペースが狭いところで大変苦労していらっしゃる、そういう状況を見て、これはなかなか大変だな、過労が来やしないかな、こういう心配もしたことがあります。実態をいろいろ見ると、名古屋の入管や東京入管等で、私の秘書も中国専門みたいになっちゃって、留学生や研修生やたくさんの人がいろいろなお話があって、そのお手伝いをしていると仕事がほとんどそれにかかっている。そんなので、よく行ってこの状況はうちの秘書の方も知っておるのですが、昼間は外からかかってくる電話の応対に追われて、仕事をしている人が本来の審査だとかそういう仕事がなかなかできないという。電話がたくさん来ると簡単に返事をというか、簡単に答えをすれば、相手が素人なのでわからないのでまた出ていらっしゃる。こういうことで非常に時間がとられる。だから昼間は本来の仕事じゃなしに電話の応対にほとんど時間がとられる。したがって、夕方から十時ごろの間にかけて審査やそういう仕事を随分やっているというような状況が、行って実感をして、これはなかなか大変じゃないか、こういう感じがしたのです。 それから、書類を随分山積みにしている、法務省も外務省も。これはこの中に入っている申請書というのは出てくるのに大分時間がかかるな、こういう感じがするわけですが、これは仕事がふえて人が一定であればどうしてもおくれざるを得ない、こういう状況であろうと思うのです。そんな中で職員の皆さんの超勤状況というものも、若干聞いてみましたが、なかなか大変なんです。その実態をちょっと参考に聞かしていただきたい。
○股野政府委員 窓口の混雑に見られるように、業務量が急増しているという実態がございますが、これに対処するためには、私どもとしては持てる定員の最大限の有効活用ということを図ることが大事と考えておりまして、特に業務量の多いところに重点的に人員を配置する、さらにはその業務の動きに応じて応援派遣をする等で、できる限り効率のいい対処をすることに心がけているという状況がございます。 しかしながら、なお確かに業務量の多さにかんがみまして相当の時間外勤務というのを行わざるを得ないという状況がございますので、そういう状況については超過勤務手当というものを可能な限り支給するということで、職員に対して手当てがきちんとできるようにいたしております。 私ども今手元にある資料では、東京入国管理局について見ますと、一カ月当たりの超過勤務の実績というのは、五十時間ないし六十時間ぐらいになっているのではないかと考えております。
○辻(一)分科員 じゃ、外務省の方もひとつ。
○久米政府委員 外務省につきましても事情は大体法務省と同様でございまして、先ほど入管局長から御説明ございましたけれども、数量的な増加に加えまして、一件一件が審査に時間を要する複雑な案件がふえているということで、昨今、特に本省の外国人課におきましても、また在外の領事部の査証班におきましても、夜遅くまで残業の時間が非常にふえているというのが現状でございます。
○辻(一)分科員 ちょっと前ですが、福岡入管で難民がたくさん来たときに、そういう非常なオーバーワークがあったと思うのですが、過労死に近い公務災害といいますか、過労で亡くなったという事実も国会でも前に論議をされましたのを承知しております。一カ月に東京では五十六時間、名古屋では四十五時間、これはかなりなというか相当な過労であろうと思うのですね。だから、こういう体制がずっと毎日続いていけば仕事はおくれるでしょうし、と同時に、働いている人も忙しければだんだん親切さがなくなる。だから相手に対する応対もだんだん十分できなくなるだろうし、そういう意味で健康を害する人も恐らく出かねない。こういう状況では、一つは外国からいらっしゃった人が愉快な気持ちというかいい気分で接触がなかなかできなくなっていく、こちら側もいらいらしていく、こういうことでだんだん悪循環になる心配があります。これは何か対策を立てて変えなくてはいかぬのではないか。当該の局長や部長ですからなかなか言いにくいでしょうが、国家公務員のいろいろな決めがありまして、何十時間超過勤務をやっても一カ月五時間しか勤務の手当が出ないという中で大分無理を、まあ時間のあるところもどこかほかにあるかもわかりませんが、今の分野においては相当な過重の仕事があるというこの事実ははっきりしているのではないか。これを何かの対策を立てて解消しないと、外国から来られる方に対してもいけないし、また、こちらの働く人にとってもよくないのではないか、こう思いますが、どうしてこういう状況を変えようとしておるのか、そこらをちょっと伺いたい。
○股野政府委員 まず人員の面、それから施設の面、双方について、これは査定当局の御理解もいただきまして、できる限りの改善を図りたいと思っておるところでございます。 まず、人員面につきましては、先ほど全体的な数字についての、特に平成元年あるいは平成二年度予算における今後の増強ということについての大きな努力が払われているという点を御披露申し上げた次第でございますが、さらにその人員の活用につきましても、重点的に仕事の非常に多いところ、それから難しい仕事が集まっているところにぜひ有効な配置をしていくということで臨んでまいりたいと思っております。 さらに、事務の機械化ということも非常に大事でございまして、コンピューターの導入ということを逐次図っておりますので、機械化による効率の向上ということも今心がけているところでございます。 さらに、まだ大変混雑しているという状況を御指摘いただいておりますが、これにつきましても、例えば東京局管内におきまして昨年新たに箱崎に一つ出張所を設けた。また、本年に入りまして目黒に東京局の分室を設けたというような、業務がいわば東京局の本局に集中するということを少しでも拡散する努力も払うことによってそういう業務の効率化を図る、また、来訪する外国人の方にとってもよりよい施設と環境において申請手続がなされる、こういうことでいくべきだと考えておりますので、そういう点についての総合的な取り組みに努力を払っているというところでございます。
○久米政府委員 外務省におきましても、一つは事務の合理化、効率化ということに心がけておりまして、その一環といたしまして査証事務のOA化というのをやっております。これまでは手作業 でやっておりました入国審査リストとの照合、検索の作業を、現在八公館について査証事務専用の端末を利用してやっておりまして、昭和六十二年度にタイ、フィリピン、韓国及び香港の四公館についてOA化をいたしましたし、六十三年度はジャカルタ、釜山、中国、ニューヨークという四公館をやっております。さらに今年度の予算で、本年度中に上海及びサンパウロを予定しております。そういう形で、徐々にではございますけれども、査証事務の非常に事務量の多い公館につきましてはOA化を進めているのが現状でございます。 他方、先ほど先生御指摘になりましたとおり、手続の説明に費やす時間というのはかなり多いものでございますから、この査証申請の手続につきまして事前広報に努めるということも行っております。また、その査証免除取り決め、最近アメリカとも締結いたしましたけれども、こういう形での事務負担の軽減ということにも今努力しているところでございます。
○辻(一)分科員 時間の点からそれ以上また深く聞く時間もありませんが、大臣、こういう仕事は何といっても国家主権の非常に大事な分野ですね。ほかの仕事なら下請か何かで少し民間に委託をしてというようないろいろな方法があるでしょうが、入国や出国の審査とかいう事務は国の主権の一番端的にあらわれる場所ですから、これはなかなかほかにというわけにはいかないし、しっかりした資格を持った人がしっかり管理をする、こういう体制をとらなければならぬなかなか難しい分野だと思うのですね。今の状況では過重な労働といいますか、そして仕事がおくれてくる。いろいろ機械化であるとか努力はされておりますが、一人一人やらなくちゃならない分野の多いところですから容易でない。この体制をやはりきちっととって、もっと仕事がスムーズに進むように、そうして外国から来た人もいい感じで手続とかがとれるように、我々も外国に行って余り待たされたり列をつくっていればいらいらするわけですから、これは立場を変えれば同じことだと思うのですね。そういう意味で、外務省の方はまた外務省のことですが、法務省はこういう状況をより改善をして前進させるためにいろいろ検討されるべきことがあると思うのですが、大臣としての気持ちといいますか、考えをちょっと伺いたい。
○長谷川国務大臣 私も先ほど申し上げましたように一週間ぐらい前に三時間ぐらい入管の現場を見てきました。まさに恐るべき形でしたね。座る場所もない。ほとんど立っていましたね。そして、いろいろな国の人が込み合っていましたね。事務をとっている人もあれだと目も悪くなるし、体も悪くなると思いますよ。今の状況の中で何人か亡くなった人がいるというのも本当だと思います。そういう面で今外国から来た諸君にサービスできないということもございますが、その前にあれはどんなことがあっても直さなければいけない。それにはやはり金がかかります。金がかかりますから、これは本当にいろいろ委員初め皆さん方にお願いして、これは三年、五年待つわけにはいきませんから、できれば一年ぐらいの間に全部。そうかといってそんなびっくりするような、腰の抜けるほどの大金じゃないと思いますよ。だからそういうことを、先ほどもいろいろな委員の方からお話がございましたので、十分ひとつ腹におさめて、対応策についてもう今いろいろなことを御担当からも考えていただいているようでありますが、問題はやはり予算でございますので、またいろいろお願いすることもあるかと思います。よろしくお願いいたします。
○辻(一)分科員 じゃ、この問題はこれで終わりたいと思います。 最後に一つ、私は技術研修生の取り扱いといいますか体制の問題について伺いたいのです。 二十名に一人という基準がある。二十名に一人というのは、時間の点から簡単で結構ですが、どういう点でこの基準が出ているのか、ちょっと簡単に聞かしていただきたい。
○股野政府委員 研修の実施に当たりまして、研修の効果を上げるためには研修を行うにふさわしいだけの体制を研修実施機関が持っているということが肝要であると考えております。そのためにいろいろな基準を設けまして、研修実施機関が研修を実際上効果のあるように実施できることを確保する、このために、昨年、関係の各省庁が集まりまして一つの基準を設けたということがございました。その中で、それでは研修を受ける人間と指導をする人間との割合ということを考えてみれば、それはいろいろな従来の経験に基づいて、二十名に対して、すなわちその研修を実施する側の企業等の職員が二十名ぐらいの中で一人ぐらいの研修員を置けることが、その生活のいろいろなことから、仕事の中身から、技術の習得ということ全般についてちょうど適正な割合であろう、こう判断されたので、そういう基準を設けたということでございます。
○辻(一)分科員 一つの具体的な例をちょっと挙げたいのですが、私の方の県内に鯖江市という市があります。そこは眼鏡の日本一の産地、九五%の眼鏡枠を鯖江市が生産しているという意味で非常な産地なんですが、中国の方といろいろ合弁で連携をやりたい、こういう申し出があって、上海の上海眼鏡というこれは二千人ぐらいおる大きな会社ですが、その一部の中に工場をつくって合弁でこの六月から仕事を始めるのですね。そのために技術研修生を一年前から十二名か受け入れてやっておる。それは半年というのを一年に延ばして研修を受けました。その中で、例えば中国の中で国内向けの眼鏡枠をつくるならば一年技術を学べば大体やれるわけですが、合弁でやると六割の生産品を外国に輸出しなければならない、こう義務づけられておる。そうしますと、国内で使うだけのものではなかなか競争の中では容易でない、相当高い品質のものを生産しなければやれない。それには、技術の研修の期間が一年では、初歩的な一通りの段階は教わっても、そういう本当の日中合弁で生産をして外国に輸出できるようなものをつくり上げるには時間的に足りない。そうなると、この五月の下旬に皆帰りますけれども、やはりもう少し時間を延ばしてやるようなそういう方法がないだろうかということを具体的な経験としていろいろ言っておるわけですね。マン・ツー・マンで一人がついて教えているということで、日本語も一年前の片言が非常によく話すようになって、みんな一定のところには達して帰っていただくのですが、より技術を高めるにはもう少しその要件をつくらないとやれない、こういう点があります。これらは二十名に一人とかいう一つの基準あるいは一定の期間というこういう基準の中で柔軟な対応ができるのか。あるいは基準があるとなかなかもう動かないのか。そこらは多少柔軟性を持ってもいいと思うのですが、さりとてまた余り柔軟になれば全体の示しといいますか難しさが出てくる。両方あると思いますが、そこらは一体これからどういうようにされようと考えておるか、ちょっと伺っておきたいと思います。
○股野政府委員 ただいま委員御指摘の眼鏡の関係の研修についての案件を先生がお取り上げになられているということも私伺いましたが、この件については、私どもの承知している限りでは、この受け入れ先が全体として従業員が百五十人ぐらいのところで、研修を行おうというのに対して既にもう相当程度の研修生を受け入れておったということが一つの審査の上での問題点であったというふうにも理解しております。そこで、この二十名に一人という基準あるいはただいま先生別途御指摘になりましたように受け入れの期間が基本的に一年以内ということになっておるという点、これは一つの基準として設けているところでございますので、この点は我々としては研修の形態をそういう基準に合わせて運用、実際に研修をされる側で工夫をぜひ願いたいと考えておるわけでございます。と申します理由は、やはりこの基準を設けるに至りました過程におきまして、真に研修を行う者とそれから研修という名目のもとに実は労働力として就労を図るということの試みとを区分するということが一つの大きな眼目でございまし て、そういう観点からいろいろ論議した結果、今のような基準を一つ設けておりますので、その研修ということを成果として上げていただく場合には、やはりこの基準に沿った形で研修の内容を組んでいただくということをお願いしたいと考えている次第でございます。
○辻(一)分科員 これで終わりますが、ケースによっては今言ったようなケースもありますから、なおひとつ研究をしていただきたい、それを申し上げて終わります。
○越智主査 これにて辻一彦君の質疑は終了いたしました。 次に、渡部行雄君。
○渡部(行)分科員 これは大臣にお伺いいたしますが、実は昭和六十三年の四月十五日、第百十二回国会の法務委員会における私の質問ですが、そのときに今の六法全書なりその他の法律文書についてただしたことがあるわけです。ちょっと読んでみますと、「法律がすべての国民に平等にかかわりを持つ以上、せめても義務教育を受けた者には理解できるように、当用漢字と平仮名による口語体の条文に直すべきだと思いますが、」云々と質問をしたら、それに対して当時の林田国務大臣、法務大臣ですね、この方は、「日本の国民も次第に教育が進んでまいっておりまするので、必ずしも口語体という、でございますとか、でありますとか、そういうことにまでする必要はどうかわかりませんけれども、法制審議会におきまして十分審議をしていただきまして、そういう方向へ進めてまいりたいと存じます。」こういう答えをされておるわけです。そして藤井政府委員からは、「文語体の法文を口語体に改めるということの必要性は私ども十分感じているところでございます。」そして云々とあって、さらに、「全体的な見直しというところに容易に手が回りかねているというところでございます。決してその必要性を私どもが軽視しているわけではないということを御理解いただきたいと思います。」こういうお答えがあり、そしてずっとこの指摘が行われて、その後で林田法務大臣は、「御指摘のとおりであると存じます。」と言っておるわけです。 これは、それ以来どのように検討がなされてきたか、また、なされておるか、この辺についてお答えを願いたいと思います。
○濱崎政府委員 法務省所管の文語体によります法律の多くは民事、刑事の基本法律でございまして、そういった民事、刑事にかかわる基本法につきましては、従来から法制審議会の議を経て、時代の要請に応じて早急に改正を必要とするという部分から順次改正を積み重ねてきている状況でございます。そして、そういった法律について全面的な改正をする、あるいはあるまとまった部分について全体的な改正をするという場合につきましては、文語体を口語体に改めるということを行ってきているわけでございます。そういう方向で、各法律の分野ごとに法制審議会でそれぞれの基本法の改正について鋭意審議を進めていただいておるということでございます。 そういうことでございまして、例えば、具体的な成果といたしましては、民事訴訟法という、これは民事手続に関する基本法でございますけれども、これは片仮名でできている法律でありますが、このうち民事執行に関する部分につきましては、昭和五十四年にその部分を取り出して全面的な改正を実現をいたしました。それはもとより口語体、現代用語で作成された法律でございまして、民事執行法として五十四年に成立したわけでございますが、さきの臨時国会におきましては、民事訴訟法のうち仮差し押さえ、仮処分に関する部分を抜き出しまして、民事保全法案として国会に提出いたしまして、その成立をさせていただいたわけでございます。そういう形で仮差し押さえ、仮処分の部分については口語化の実現を図ったということでございます。これらの法案はいずれも法制審議会の慎重な検討及び答申に基づいて実現したということでございます。 そういう形で、法制審議会で各分野ごとに検討をいただき、できる限りの範囲内において条文の口語化あるいは現代用語化ということを図っているわけでございます。
○渡部(行)分科員 その作業は大体いつごろ終わる予定ですか。
○濱崎政府委員 片仮名書き、文語体の法律というのは、法務省所管の法律の中にも幾つかあるわけでございます。その法律の改正ということは、これはあくまでも個々の法律ごとに考えていかなければならない問題でございまして、その全体がいつごろ完成するかということはなかなか申し上げにくいわけでございまして、今申し上げましたもののほかにも、例えば、将来の問題としては民事訴訟法の残された本体の部分、これは片仮名書きでできているわけでございます。先般、仮差し押さえ、仮処分の部分について改正を実現していただきましたので、民事訴訟の分野についてもこれから何かテーマを取り上げて法制審議会で審議をいただくということになるわけでございますけれども、いずれの時期か、残された民事訴訟法の本体についても改正問題を取り上げるということになろうかと思うわけでございますが、その場合にその全体的な改正をするということになれば、あわせて民事訴訟法全体の口語化を図るということを検討しなければならないのではないかというふうに考えております。 そういうことで、一つ一つの法律について検討を進めていくということでございますので、なかなか短期間にその全体を処理するというわけにはまいらない問題でございますけれども、それはそれぞれの分野ごとに着実に条文の口語化、平易化というものを図っていきたいというふうに考えているところでございます。
○渡部(行)分科員 いつごろまでにその作業が終わるかということについてはちょっと申し上げにくいと言われておりますけれども、せっかく法制審議会というものが設置されているのですから、こういうのは思い切って全面的に取り組まないとできないのですよ。その都度その都度必要に応じてなどと言っておったら、これは百年河清を待つがごとしと言ってもいいと思うのです。だから、こういう点では思い切ってもう六法全書を全部口語体に直していく、それをひとつ作業しなさいということでやれば、できないことはないと思います。現に今、口語体の六法全書の区分的に民法でるとか皆できているのですから、商売人は何というか利益に敏感ですから、どんなことをしてもちゃんとそういうことをやっていく。ところが、官庁というのは、自分の利益に関係ないから余りそういうことに関心を持たない。 しかも、六法全書ばかりでなくて、今問題になっておる日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定でさえも、私は、憲法違反の言葉が使われていると思うのです。それはどういうことかというと、「卑属」という言葉が使われておる。尊属とか卑属というのは、卑属は人を見下げた言葉ですよ、尊属はあがめておる言葉なんですよ。これは完全に差別用語なんです。こういうものを一つも敏感に直そうとされていない。そのほか、いろいろ調べていくと、専門家でさえわからないような字が大分あります。そういうものを考えたときに、やっぱり専門家は、もう本当にその方の専門家と国語の専門家あたり、これは文部省あたりと協議しながら私は思い切った取り組みをやるべきだと思いますが、大臣はいかがでしょうか。――ちょっとあなた、文部省全部にまで及ぶほどの権限がないんだから、まず権限ある大臣の答弁を聞いて、なおかつ、ここは事務的に補足しなくちゃならぬというときに答弁してください。
○長谷川国務大臣 今委員のお話を承っておりまして感じましたことは、どんないい法律でも読めないとか読んでもわからないのはやはりいかぬと思いますね。少なくとも中学生、高校生くらいになったら読んでわかる、きょう午前中にもいろいろ議論がございましたが、例えば監獄法、今から五十年だか七十年前の、あれを今読んでも、私どもでもちょっと翻訳しないとわからないぐらいになっている。そういう時代の流れ、よしあしの問 題ではなくて時の流れの問題でありますから、やはり読んでわかる法律とかあるいは文章にしてもらった方が効果的だと私は思います。 ただ、その翻訳をするのが、これまたいろいろ大変難しい仕事だと思いますよ。いろいろな翻訳の仕方もあるでしょうし、また書きかえの方法もあるので、そういう技術的なことは私はわかりませんが、方向としては、先生の考え方については私は賛成であります。
○渡部(行)分科員 今大臣が言われましたように、やはり流れている時代に常に合うようにしていかないと、それは死文になってしまうんですよ。あってもなきがごときでございまして、その辺は、ひとつ今大臣がお答えになった精神で取り組んでいただきたいと思います。 ただ、条文をつくる際に特にお願いしておきたいのは、だれが読んでも同じように解釈できるような条文にしていただきたい。憲法九条のように、ある人が読むと戦力が戦力でなく解釈できたり、そしてある人が読むとこれは憲法違反じゃないかという解釈になったり、全く白と黒との解釈ができるような条文のつくり方は、私は、日本人の一番悪い癖を表現していると思うんですよ。だからそういう点で、これから条文をつくる際にはひとつ玉虫色でなくて、だれが読んでもそのとおりだ、これ以外に解釈の方法はない、そういう表現にしていただきたいのですが、いかがでしょうか。
○長谷川国務大臣 今委員のおっしゃるとおりなのですが、ただ、そこで一言申し上げたいのは、今、だれが読んでもわかるというのは、なかなか翻訳が難しいんですよね。だから、そこがなかなか踏み切れない大きな一つの問題じゃないかと思うんですよ。 何はともあれ、人が読んでもわからないものをつくってこれを守れと言ってもこれはちょっとあれでございますので、法務省の専門の皆様方からまた十分いろいろ研究させていただきまして、勉強させていただきたいと思っております。
○渡部(行)分科員 ぜひよろしくお願いします。 次に、法務省が管轄する中でどの部門が一番忙しいか、事務混雑しておるか、またそのために人員を必要とする窓口はどこなのか、これをひとつ教えていただきたいと思います。
○井嶋政府委員 法務省の事務は、先生御案内のとおり、人による人に対する事務と私ども呼んでおりますが、人員でもって行政をする役所でございます。そういった意味におきまして、人員の需要というものは、他のどの省にもまさるとも劣らないほど重要な要素でございます。事実、予算の八〇%前後が人件費であるということをもってしてもおわかりいただけると思います。 近時、法務省の所管しております業務の中で、各分野ともいろいろ事件が増加したり、あるいは複雑困難化したり国際化したりといったようなことで、事務がそういった意味で量的にも質的にも非常に難しくなってまいっております。 そういった関係で、私ども、すべての所管につきまして人員増の必要性があると言えるわけでございますけれども、なかんずく最近におきましては、入国管理局、それからいわゆる土地問題を抱えております登記所、法務局、それからやはり収容業務を行っております矯正関係などが人員の特に必要な分野であるというふうに理解をいたしております。
○渡部(行)分科員 そこで、私は、まず入国管理局についてお聞きしますが、最近、特に国際国家ということが叫ばれておりまして、ますます入国管理事務というものは非常に煩雑になってきていると思いますが、この問題はどうすれば解決できるのでしょうか。また、例えば入国手続、これは一人当たりどのくらいの時間がかかるのか、この入国手続に当たる役人の人数、入国する人たちの人数、そういうものを数字で出して、だからこのくらい忙しい、こういうことを国民にわかるようにひとつ御説明願いたいと思うのです。
○股野政府委員 まず、業務量の伸びにつきまして、最も端的にこれを示すものは、先ほど来の御審議の中でも御説明申し上げました日本人の出国者の数の伸び、さらに外国人の入国者の数の伸びという点が一つあると思います。これらについて、数量的に伸びておるということ、これは十年前の昭和五十五年に、例えば外国人の入国者が約百二十九万五千人であったものが平成元年には約二百九十八万五千人という数になっておるというようなところに端的にあらわれていると思います。さらに、質的にも一つ一つの審査案件がなかなか慎重な審査を必要とするというようなことがさらに仕事の点で当局にとっての負担になっているところでございます。 こういう状況に対応するには、いろいろな努力を組み合わせる必要があると思いますが、一つには、基本的に審査業務というものが大きな仕事の内容になっておりますので、その審査業務についての法的な整備を図る、それによって審査手続の簡素化、合理化を図るということが重要なポイントであると考えまして、昨年十二月に入管法の改正を国会で御可決いただいて、この改正入管法の施行を六月一日から行うということによっての法的な面での仕事の効率化を上げるという対応を一つ行っております。 さらに、人員の面でも、これも大変厳しい行財政事情の中で、特に最近におきまして、業務の第一線である地方入国管理局での定員の大幅な増強を実現させていただくということによって、その員数の点での手当て、さらには、それの持てる人員の効果的な配置あるいは応援派遣等々の業務等の体制をしくということが必要であると考えておりますし、さらにもう一つ、機械化という点でもコンピューター化ということで対処しておりますので、この点での効率を上げるということにも努力をいたしております。
○渡部(行)分科員 非常に時間がありませんので、ひとつ簡潔な御答弁をお願いしますが、そうすると、例えば入国管理局については人員増とそれからコンピューターその他のいわゆる機械等を導入して、そして事務の敏速化と申しますか簡素化と申しますか、そういうものをやっていきたい、そうして一方では法的な改正によって何とかしたいと言われたわけですが、これはやはり法的改正をやってどれだけの効果が上がったのか、しかし、法の改正はやったもののまだまだ法的手続がおくれて非常に迷惑をかけておる、こういう事実をどのように今後解消していくのか、そういう点についてひとつ簡単に御答弁願いたいと思います。
○股野政府委員 法的な面についてただいま申し上げましたような努力を払うということをいたしておりますが、これは改正入管法の施行が本年の六月一日からでございます。これからの実効を上げるということにぜひ努力をしてまいりたいと思っておりますので、先生のただいま御指摘の点を十分踏まえた対応をしてまいりたいと考えております。
○渡部(行)分科員 これは大臣、法務省の事務の促進ということを考えた場合には、今の特に入国管理局の人員それから法務局の人員増、これはぜひとも真剣に取り組んで図っていただきたいと思います。 そこで、後で一括して答弁していただきますが、今度韓国からいわゆる在日韓国人三世問題ということで七つ、八つの項目に及ぶ日本に対する要請が来ておるわけですが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
○股野政府委員 法務省所管の事項につきまして、法務省当局としては、この韓国側の要望ということを踏まえながら、在日韓国人の歴史的な経緯あるいは日韓友好関係ということを考慮して現在検討を進めているというところでございます。この法的地位協定というものがございますので、その前文に示されている精神、目的というものを十分に尊重しながら、できるだけ速やかに双方の満足し得る解決を得るように現在努力中であるということが基本的な立場でございます。
○渡部(行)分科員 そこで、この間竹下さんが韓国に行って盧泰愚大統領からこの要請を受けて、善処したい、そういうふうに答えたということが新聞に載っておりますが、一体、日本の外交とい うものはいつも向こうから要請されて受け身になってこっちがそれにこたえていくという姿ばかりが目につくのですが、そういう外交のあり方というのは最もまずいやり方だと思うのです。しかし、それは外務大臣のせいではなくて日本の政府の毅然とした態度がないから、そういうことにいわゆる一党の大物あたりが行って、まるで個人的な仕事でありながら公的なルートの仕事みたいな格好で自分の働きを強調しようとしておる。こういうふうになると政府というのはばかにされてしまうのですよ。むしろこれは、九一年の一月までに話し合いするわけになっているのですから、日本から初めにもうこの点とこの点とこの点は直しますよと先にこっちからぶつけてやるんですよ。そうすれば何もぎくしゃくしたような関係が一般には見えないで済むわけです。 ところが、いつも荷物を背負わされて帰ってくるんだな。竹下さんだってそうだし、あるいはアメリカに行ってもそうだし、またソ連に行っても、こうしてもらいたい、ああしてもらいたいと言われている。しかしそれは本当の意味の正式な外交ルートでないのですよ。それは、そういうことを言われてくるということは、逆に言わせれば日本の政府がばかにされているということなんです。日本の政府の正式ルートで言ったのでははかがいかないしわからない、そんなだったらこの実力者と話し合った方がいい。だから招待して、どんどんどんどんそういう招待外交が進んでいく。これは私は、政府の方は本当に恥ずべき問題だと思うのです。そういう点で、やはり今後毅然としてその点事に当たっていただきたいと思います。その点は大臣どうでしょうか。
○長谷川国務大臣 まあいろいろ見方、考え方があるわけでございますが、この間竹下元総理がお伺いいたしましたのは、問題の円満な解決のため相互の理解を深めるためということで私ども承知をいたしております。 政治家あるいは日本の先生方も含めまして、私どもも政治家でありますから、いろいろアメリカへ行ったりあるいは韓国へ行ったりソ連に行ったりして、日本との相互のことについていろいろ意見を言ったり議論をしたり意見の交換をしたりするということは、決してこれは無益のことではないと思うのです。そういう意味で今回の問題も御理解をいただければ大変ありがたいと思っております。 以上でございます。
○渡部(行)分科員 これは私は外国に行くなと言っているんじゃないんですよ。いわゆる政府の正式のルートとそれから私人としての親善と、そういうものはきちっと分けて考えなくちゃだめじゃないかと言っている。例えば今度の金丸さんの北方領土の発言だってそうでしょう。せっかく今まで政府が四島一括返還ということを言ってきているにもかかわらず、二島でいいなんて、あるいは金で買ってもいいなんて、まるで商品買うみたいな発言をしておる。それが副総理をやった人なんですよ。これはいいかげんに見過ごせない問題なんですよ、本来。 時間が来ましたからここでやめますが、ひとつ大臣、これから法務行政についてはもっときちっと充実させてください。よろしくお願いします。一言大臣の決意を聞いてやめます。
○長谷川国務大臣 十分腹におさめて努力をいたします。
○渡部(行)分科員 終わります。どうもありがとうございました。
○越智主査 これにて渡部行雄君の質疑は終了いたしました。 次に、貝沼次郎君。
○貝沼分科員 私がしんがりですから。 今も法務省の人員の問題がございましたけれども、私は主にその問題について進めたいと思います。 法務局は、登記、人権、戸籍、供託、訟務などの業務を取り扱い、とりわけ登記業務は増加の一途をたどっております。それにこたえるため必要な人員はわずかしかふえていない、こういうふうに聞いております。 それで、この増員の問題につきましては、増員が必要であるということが前々から言われまして、この増員請願も行われておりまして、九年間連続で国会で採択されておる、こういう事情になっておるようでございます。 今後はさらに事件増が予想されるわけであります。そうした中、民間や地方自治体の応援を受けてやっと処理をしておるというのが現状のようでございますが、事実はどうなっておるのでしょうか。
○清水(湛)政府委員 お答え申し上げます。 御指摘のように、法務局における登記事件というのは逐年増加の一途をたどっているという状況にございます。例えば昭和五十三年度と、その十年後の昭和六十三年度を比較いたしましても、その間に登記申請等事件が一・二七倍、また謄抄本交付件数が一・五二倍、これを平均した登記の平均事務量は一・三七倍に増加している、こういうような状況でございます。 そのために、事務処理が遅滞をするというようなこと、あるいはいろんな不祥事が起こるというようなことがあるわけでございます。そういうものを何とか防止したいということで、一方では事務手続の合理化、簡素化、機械化というものに集中的に取り組むというような体制を組んでまいりました。その一番典型的な例がコンピューター化でございます。とともに、やはり法務局の仕事は人間の力による仕事でございますので、どうしても一定の数の人員は必要とする。増員は図らなければならない。先生御指摘のとおり、やっぱり増員を図らなければならないということになります。 そこで、年々登記事務につきましては、関係当局の大変な御理解によりまして増員が図られてまいったところでございます。平成二年度におきましても、大変厳しい定員事情のもとでございますけれども、関係方面の御理解によりまして百五十八人の増員、これは削減が百三十人ございますので純増は二十八ということでございますが、そういう措置がとられることになっております。今後とも、登記事務の処理体制の充実については、関係方面の理解を得ながらその強化に努めたいというふうに考えておるところでございます。
○貝沼分科員 きょう実はこの質問をするということをいろんな人と話をしてみました。そういたしますと、ぜひやってもらいたい、登記の問題でもう時間がかかって大変だ、それから正確性を期すためにもぜひともこれを充実していただきたいという声がたくさんございました。それをつけ加えておきたいと思います。 そこで、今回の平成二年度の予算を見ますと、ここに書いてありますね、一千二百二十四億五千五百万円で、これを事務取扱費として一千百十八億八千三百万円、こういうふうな数字が出ておりますが、これでどれぐらい進むのですか、今までと比べて。実感として、ああこれはもうよくなったなという感じは出るのでしょうか出ないのでしょうか。
○清水(湛)政府委員 登記事務につきましては、コンピューター化を主たるねらいといたしまして昭和六十年度に登記特別会計というものを創設さしていただきました。特別会計の創設というのは非常に難しくて、実際これを新設するということはほとんど絶望的な状況でございましたけれども、大蔵省当局の深い御理解のもとにこれが実現を見ました。その結果、登記事務につきましては、年々予算の増加を見さしていただいておるというような結果になっております。私ども大変喜んでいるわけでございますけれども、しかしこれで満足しているというわけではございませんで、今後とも事件数の推移等を見ながら必要な予算の確保に努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○貝沼分科員 さらに、民間の応援を受けることなどもしながら、あるいは自治体の応援を受けながらいろいろな処理をやっておる部分がある、こういうふうに聞いておりますが、民間の応援を受 けることは、その仕事の内容からどうも適切でない部分が多いのではないかという感じがいたしますが、この点はいかがでございますか。
○清水(湛)政府委員 登記簿は一般に公開されておりまして、だれでも見れるということ、そういうような面がございますけれども、一方では、私人の権利を正確確実に公簿に反映するための手続であるということでございますので、みだりに一般の部外の者が登記手続に参加するということは、これはもう厳に慎まなければならない、こういうふうに私どもは考えております。 ただしかしながら、例えば特殊登記と私どもは呼んでおりますけれども、土地区画整理の登記とか国土調査の登記というような大量の登記事件が一括して市町村等から登記所に提出されるというようなことがございまして、小人数の登記所にそれらの大量の登記事件が参りますと、とてもこれは職員だけでは処理ができない。そこで、関係市町村の職員とかあるいは土地区画整理組合の事務員等の皆さん方が登記所に来て、その処理を応援してくださるというようなこともございます。それからまた、司法書士、調査士さんの補助者あたりが登記所の忙しさを見かねて手伝ってくれるというようなこともございます。冒頭にも申し上げましたように、このようなことは決して好ましいことであるとは私どもは思っておるわけではございませんで、できるなら排除いたしたいというふうに考えて、そのための努力をいたしているところでございますが、現状では遺憾ながらまだそのような面に頼らざるを得ない面がある、これは否定しがたいところでございまして、そういうものをできるだけ早くなくすように努めてまいりたいというふうに考えております。
○貝沼分科員 現在の行政サービスにおいて幾つかの問題点が指摘されておるわけでございます。例えば件数が物すごくふえておるということですね。それから窓口の対応が、登記相談に十分対応できない、そういう問題。あるいは現職死亡者の増加であるとか不正事件を未然に防止できないとかいろいろ言われておりますが、まず件数が物すごくふえておるという、この理由というのはどういうところに起因するのでしょうか。
○清水(湛)政府委員 登記事件は、不動産に係る権利関係を公示するということを目的とするものでございます。どうしても社会経済生活の変動というものに対応いたしまして登記事件の増減が起こる、こういうことになるわけでございます。 例えば、非常に景気がよくて経済取引が活発になるということになりますと、それにつれて不動産取引も活発になり、売買等の登記がふえる、あるいは不動産を担保にして金融をする、そのために抵当権の設定登記がふえるというようなこともございます。さらにはまた、住宅宅地を造成するということになりますと、そのために必要な分筆登記手続等も多数出てくる、こういうことになってまいります。また逆に、経済が不況になりますと、担保権の設定、抵当権の設定登記がふえるというような現象もあるわけでございまして、経済が拡大成長するのと軌を一にして登記事件も基本的にはふえてまいる、こういうことになっているわけでございます。
○貝沼分科員 そういう事情であれば、これは行革とかそういう言葉にはなじまない。どうしてもマンパワーが必要になってくるし、機械が必要になってくるということが言えると思います。 それから、窓口の応対、これが十分できていないといういろいろな指摘があるわけでございますが、これは窓口だけでなくその周辺の問題までも含めていろいろ問題があるようでございます。この点についてはどのようにお考えですか。
○清水(湛)政府委員 かつて総務庁の調査で登記所の窓口が一番感じが悪いと申しますか、窓口サービスが低いという指摘をされた時代がございます。 それは、一つには事件が非常に多くてその処理に職員が追われるというような面もございますし、また、登記事件はかなり専門的な知識を必要といたしますので、なかなか専門的な説明というものを窓口で理解してもらうのに時間を要するというようなこともございまして、窓口に来られる一般の国民の方々に対して不親切な印象を与えたのではないかというように私どもは考えているわけでございます。 しかし、だからといってそれでいいというわけにはまいりませんわけでございまして、一方にはそういう逐年増加する登記事件を適正かつ迅速に処理するとともに、窓口におきましても、登記所に来てきちんと仕事ができたというふうな感じを一般の国民の方に持ってもらうという必要がある、窓口サービスの向上ということが非常に大事なことではないかというふうになるわけでございます。そういうような面から、例えば窓口における登記相談官の設置だとか、これは正規の職員が対応するわけでございますけれども、一方では登記所を退職したOBにお願いして、登記相談員というような形で窓口で一般の方々の登記の相談に応ずるというような措置を講ずる、そういうようないろいろな措置を講じつつ窓口サービスの向上に努めているわけでございます。 ただしかし、基本的にはやはり登記事務の迅速な処理体制の確保、つまり要員の確保、それから各種能率機器の整備、さらにその究極にはコンピューター化をできるだけ速やかに進めるということが必要ではないかというふうに私ども考えているところでございます。
○貝沼分科員 その周辺の問題も私ちょっと言ったわけでございますけれども、例えば駐車場の問題とか、あるいはいろいろな騒音の問題とかございますが、そこら辺については何か対策をお考えですか。
○清水(湛)政府委員 周辺の問題ということになりますと、一番大きな問題は駐車場の問題でございます。駐車場の問題を含めまして営繕の問題というふうに言ってよろしいかと思います。 登記事務は、全国に散在いたします約千二百余りの登記所において処理されているわけでございます。これらの建物の中には非常に老朽化しておる、あるいは狭隘である、また敷地も非常に狭いというようなところが多数あるわけでございまして、最近地方におきましては車の利用が一般化しておりまして、そういう方々が登記所に用事があって参りましても、十分な駐車場がないというようなことでいろいろなトラブルが発生するというようなこともあるわけでございます。 そこで、私どもといたしましては、登記所の職員のための執務環境とともに、そういう登記所にいらっしゃる皆様方のための登記所の環境と申しますか、そういう環境、設備というようなものを近代化してより快適なものにするということが大変重要な問題になっているわけでございます。増員と並んでそういう施設、環境の整備、これが実は大変大きな問題でございまして、これにつきましてもかなりの、ある意味においては増員に並ぶくらいの大きな力を現在注いでいるところでございます。 また、騒音の問題については、かつては全自動謄本作製機等の騒音が若干問題にされたということもあるわけでございますけれども、それほど厳しい指摘はなかったのではないかというふうに思っております。
○貝沼分科員 そうすると、その環境の問題として本年度の予算はどれくらいついておりますか。
○清水(湛)政府委員 とりあえず平成二年度で庁舎の新営という点だけに絞ってまいりますと、平成二年度は継続工事を含めまして七十五庁について庁舎を新営するという予算をいただくことになっております。
○貝沼分科員 それからさらに、大変過労の実態がある。これは労働基準局なんかも過労だという手紙が大分私のところに来ているのです。労働省が過労だというのはなお問題なんですけれども。話によりますと、とにかく過労から死亡された方もあるやに聞いておりますが、この状況はどうなっておりましょうか。
○清水(湛)政府委員 数字で申し上げますと、平成元年度に法務局在職中の職員が死亡した数は二 十二名、昭和六十三年度は十三名、六十二年度は十五名、六十一年度は十八名ということになっております。 この中で、死因として一番多いのはやはりがんでございます。これらの方々が過労ということでお亡くなりになったのかどうかということにつきましては、必ずしも定かでない面がございますけれども、あるいはまた、ほかの公務所に比べまして法務局が非常に多いのか少ないのかというようなことについても、それは問題があろうかと思いますけれども、そういう問題はさておきまして、私どもといたしましては、現職の法務局職員が在職中に亡くなられるということは非常に重大なことだというふうに受けとめております。そういうような観点から、定期健康診断の実施とかあるいは人間ドックの受診を奨励する等の措置を講じまして、職員の健康管理にはこれまでも十分配慮してきたつもりでございますけれども、今後とも職員の健康管理につきましては万全の対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
○貝沼分科員 ぜひともそうしていただきたいと思います。 それからさらに、抜き取りとか改ざんのこういう不正事件があるように伺っております。これは事実でしょうか。 それから、それを防ぐにはどういう手だてがございますか。
○清水(湛)政府委員 先生御承知のとおり、登記簿につきましては登記簿の原簿そのものを関係人に閲覧に供するという仕組みになっているわけでございます。そして大変多数の方々が登記所に登記簿の閲覧に訪れているわけでございまして、大多数と申しますか、ほとんど全部の方はその機会に登記簿を改ざんをしたりあるいは大事な登記簿を抜き取るということはしないわけでございますが、中に、職員の閲覧監視のすきを盗みましてそういうような抜き取りをし、改ざんをする。例えば、売買はされていないのに勝手に売買があったように所有権の移転の登記を登記官ではないのに書き込んでしまうというようなケースも、本当に例外ではございますけれども、過去にあるわけでございます。また、そのようなことが新聞記事で話題になったこともあるわけでございます。 私どもは、そういう国民の大事な財産、原簿にそういう改ざんなり抜き取りがされるということは大変重大なことでございますので、これは絶対防止しなければならないということで、閲覧監視体制の強化ということでその防止に努めているところでございます。いろいろなレイアウトの工夫だとか、あるいは窓口整理を兼ねた閲覧監視要員というものを予算化していただきまして、これは財政当局の御理解で予算化していただきまして、閲覧監視要員を配置するというような措置を講じているわけでございます。大変閲覧場が混雑しておりますので、どうしてもそのすきをねらってということになりますと人目の届かない、届きにくいというようなことが一日のうちには何分か、何十分かはあるということもあるわけでございまして、なかなか難しい問題はありますけれども、そういうような措置を複合的に講じながらそういうものの防止を図ってまいりたい。さらには、やはり登記事務のコンピューター化ということでないと抜本的には解決できない面もあるのではないかというふうに思っております。
○貝沼分科員 コンピューター化で抜本的にできるかどうか、私は最終的にはやはり人間の問題だと思いますね。それは幾らコンピューターをやったから、何をやったからといったって、やはり人間の問題だと思います。しかし、こういう問題は法務省当局並びにそこに勤めておられる皆さんがまじめにやっておられますから、私は信頼できると思います。本日こういういろんな問題を取り上げるにつきましても、私は全法務の皆さんの御意見をよく聞いてやっておるわけでございますので、当局とそこに働いておられる方々が協力してこれは解決していかなくちゃならぬ、こう思っております。 そこで、コンピューター化の話が今出てまいりましたのでお尋ねいたしますが、昭和四十七年から登記業務のコンピューター化というものが始まったようでございますが、その後これは順調に進んでおるんでしょうか、どうなんでしょうか。
○清水(湛)政府委員 先生御存じのように、昭和六十三年の五月の第百十二回国会におきまして、登記事務をコンピューター化し、ブックレスで処理することを可能とするための不動産登記法及び商業登記法の一部を改正する法律というものが成立いたしたところでございます。それまではコンピューターというのは事実上の実験的な研究段階にあったわけでございますが、この法律によりましてコンピューター処理というものが法律的な制度として正式に認められた、こういうことになるわけでございます。これに基づきまして、昭和六十三年の十月に東京法務局板橋出張所をブックレス登記所に切りかえる、つまりもうコンピューターだけで登記事務を処理する、登記簿という薄冊は使わないということでございます。それを皮切りに、現在全国で七庁の登記所におきまして、このブックレス処理による登記事務の処理を行っております。我が国全体の不動産の数が約三億筆個と言われておりまして、この七庁の登記所の対象個数が約二百万でございますから百五十分の一程度の量でございますけれども、これをもとに今後も全国的な展開を図ってまいりたい、こういうふうに私どもは考えているところでございます。七庁は非常にわずかでございますけれども、さらにこれを将来に向けて展開してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
○貝沼分科員 それで、コンピューター化を進めるに当たって、現在の人員とか資金の体制でこれが進むのかどうかということですね。例えばいろんな人的な要因がありまして、今までに考えられていない分野での仕事というものが出てくると思いますけれども、その辺のお考えはいかがですか。
○清水(湛)政府委員 登記事務をコンピューター化するためには、先ほど私は全国の登記所でその対象としているのは三億筆個と申しましたけれども、約二億八千万筆個の不動産をすべて今は紙の帳簿に書いているわけでございますが、これをコンピューターに入力し直す作業が必要でございます。これを移行作業と呼んでおります。さらにこの移行作業を総合的に管理監督するためのシステムといたしまして、中央に登記情報センターを設け、あるいはそこで移行作業計画とか作業の指導、ソフトウエアの開発改善、障害時の対応あるいは職員の指導研修等を行う必要がある。さらにまた、全国の法務局、地方法務局ごとにバックアップセンターを設けて、管内の登記所における移行作業等を管理監督する必要がある、こういうようなことになるわけでございまして、そういう移行作業に必要な面だけでも一時的にはかなりの人員を必要とする。しかも、この移行作業というのは一年や二年でできるわけではございませんで、先ほど申し上げました不動産の膨大な量というものを考えますと、私どもは十年ぐらいでやりたいという希望のもとに今熱心に取り組んでいるところでございますが、結果的にはあるいは十数年ということも考えられないわけではございません。そういう長期にわたって相当量の人員を必要とするということは考えられます。先ほど来申し上げておりますように、恒常的な登記事務の処理につきましても要員の確保ということが大きな問題になっているわけでございますが、コンピューター化に伴いましてそういうような移行作業というような面でも相当の期間にわたってある意味においては余計な職員の確保が必要となっておる、こういうことになるわけでございます。
○貝沼分科員 時間がなくなってきましたので、最後に大臣に申し上げます。 今ずっと項目別にお尋ねをいたしましたが、人員をふやさなければならないということは、これはもう当然だと思います。それから、コンピューター化その他を進めなければならぬことも当然でございます。これは私も強く要求したいと思います。大臣からも予算獲得のためにひとつ頑張って いただきたいと思います。 なお、登記特別会計は受益者負担の原則が貫かれておるというようなことを考えると、コンピューター化によって、この会計の原則なのかやり方なのかはよくわかりませんが、その辺のところの工夫も必要かと思うわけでございますが、大臣の所感を承って終わりたいと思います。
○長谷川国務大臣 今委員のお話のとおり、コンピューター化はどうしてもやらなければならぬと思います。今の現況では、それからとりあえず間に合うには、やはり何といっても頭数をふやさなければならぬ。このままいったら本当にまた過労で亡くなる人が出るかわかりませんよ。そのくらい限界に来ておりますので、これはもう待ったなしで人員増とコンピューター化その他を含めて強く私どもも要望するつもりでおります。委員からもひとつまた御協力をいただきますようにお願いを申し上げておきます。
○清水(湛)政府委員 大臣の仰せのとおり、コンピューター化に真剣に取り組むとともに、コンピューター化が一気にできるわけではありませんので、それまでの間、登記事務の適正かつ迅速な処理体制が確保できますよう、一層私ども努力してまいりたいと考えております。
○越智主査 これにて貝沼次郎君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして法務省所管についての質疑は終了いたしました。 次回は、明二十七日金曜日午前九時より開会し、大蔵省所管について審査をすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時五十九分散会