予算委員会第四分科会 第2号
- 発言数
- 272 件
- 登壇者
- 35 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1990/04/27
会議録
○戸井田主査代理 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。 主査所用のため、その指名により、私が主査の職務を行います。 平成二年度一般会計予算、平成二年度特別会計予算及び平成二年度政府関係機関予算中厚生省所管について、前回に引き続き質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田静夫君。
○和田(静)分科員 「高齢者保健福祉推進十か年戦略」、昨日もいろいろの論議を聞かせてもらいまして、なるべく重複しないように二、三お尋ねをいたしたいと思います。 十カ年ゴールドプラン、何か生命保険のような略称もついているわけですが、あるいは買い物計画みたいな感じもしないわけではないのですけれども、昨日の論議を耳にしていまして、これは海部内閣の目玉にでもされるつもりだろうかという感じが実際いたしました。私は、福祉が政策の目玉に本当になるとすれば、これは非常に結構なことだと実は思います。 どういう観点から立案をされたのか、いろいろ論議を聞きながら考えましたが、一つには在宅福祉を福祉の大きな領域として確立をしたい、そういう意図であろうと思いますけれども、どうもイメージがつかみかねるところがあります。 このペーパーから推測をいたしますと、在宅福祉事業の実施主体として武蔵野市の福祉公社など各種団体が挙げられています。武蔵野市はずっと社会党の市政の時代にこれをつくってきましたから、私も社会党中央本部の地方政治局長としてこれに深くコミットをいたしてまいった経験を持っておりますが、これは一体どういうイメージなのだろうかということ、すなわち、市町村が責任の主体となって、そして実施主体は市町村ごとに多様な形態があってよいというようなことだろうと思うのですね。そうすると、ボランティアもあれば民間事業者もあるということになってきます。多様な団体にマニュアルを与えて、そして補助金を出す、誘導や規制をしていくということなのかなという感じがするのですが、それで福祉の水準がある程度全国的に保てるのだろうかということを大変疑問に思う点があります。 この辺をまず説明をしていただきたいと思います。
○岡光政府委員 やはり住民の身近な市町村が在宅福祉サービスの実施責任者として位置づけられる必要があるだろうというふうに考えているのが第一点でございます。しかし、先生おっしゃいますように、市町村ごとにその実態というのはいろいろ多様でございますから、みずから実施主体となる場合もございますし、そのほか民間の力もかりるという場合もあるわけでございまして、そこはまさに多様な形態で、実態に合うような格好で事業展開をされるのがふさわしいのではないだろうか、そう考えているわけでございます。 私どもはその中で全国的に一定の水準をいかに確保するかということを考えなければならないわけでございますが、その手段といたしましては、市町村で保健福祉に係る計画をつくっていただこうではないか、その計画づくりにおいて私どももいろいろと御協議をし、その内容については御示唆もしたいと思っておりますが、そういったことを通じて全国的な一定の水準が確保できるのではないだろうか、そのように考えております。
○和田(静)分科員 そうしますと、昨日もかなり論議のあったところですが、この十カ年戦略と老人福祉法の改正との関係はどうなりますか。
○岡光政府委員 十カ年戦略は言ってみれば大きな目標プランでございまして、それを法的な面からバックアップをして推進をするという関係になるというふうに理解をしております。
○和田(静)分科員 一体この在宅福祉に責任を持つのはだれなのか、これはどうですか。
○岡光政府委員 市町村でございます。
○和田(静)分科員 その点、自治省は同じですか。
○黒沢説明員 ただいま所管の課長が来ておりませんので、後ほどお答えいたします。
○和田(静)分科員 そこで、児童福祉法に措置に欠ける児童について市町村が責任を負うという意味の規定がたしかありますが、老人福祉についても、措置に欠ける老人が増大しつつあるのだろうと思うのですが、行政では容易に対応してもらえないというのが現状でしょう。施設が不足をしているからですけれども、実は法的にも未整備だと私は思う。措置に欠ける老人への措置義務を明確にすべきだと思うのですが、いかがですか。
○岡光政府委員 いわゆる入所措置につきましては、現在、郡部、町村部につきましては県が担当しているわけでございますが、身近な場所でということで、そういう入所措置権限につきましても町村で担当していただいたらどうだろうかという発想を一つしております。 それで、入所サービスにつきましてはそういうことで権限を委譲する、あわせまして在宅福祉サービスにつきましても市町村で最も適切な対応をしてもらう、そして施設サービスと在宅サービスとが一元的な形で提供されるという体制づくりをするのがふさわしいのではないだろうかと考えております。
○和田(静)分科員 それで、その措置義務はどういう形で明確にされますか。
○岡光政府委員 法案についていずれ御提案をして御審議をいただきたいと思っておりますが、私どもは、市町村が在宅福祉サービスについて積極的に推進をしてくださいというような位置づけにしたいと思っております。
○和田(静)分科員 少し前の話ですけれども、NHKテレビで厚生省の方が、今や日本の福祉は買う福祉と家族が担う福祉ということで国民的合意ができたという発言をされていましたけれども、そういう気持ちでこの十カ年ゴールドプランをつくられたのでしょうか。
○岡光政府委員 現在の日本の介護を要する御老人につきましていろいろアンケート調査なんかをいたしますと、自分の家族で面倒を見てもらいたい、住みなれた地域にずっと住まって過ごしたいという御意見が強うございます。 そういう意味で、これまで生活をしてきた地域社会でなお生活が続けられるようにということを施策の目標の一つに置くべきではないだろうか。しかし、その場合にも家族にすべてのお世話を押しつけるわけにはまいりませんので、したがいまして、その家族を支援するという格好でいわゆる在宅福祉サービスが円滑、適切に提供される必要がある。かつ、施設入所あるいは施設を利用するということも必要でございますので、施設の整備も緊急に行うことによって、在宅サービスと施設サービスと両々相まって、継続的に包括的にサービスが提供されるようにということを考えております。
○和田(静)分科員 それはわかりますが、その買う福祉といわゆる家族が担う福祉というのが国民的な合意なのだ、私はそういう国民的な合意が成り立っているとは思わないのですけれども、これは大臣いかがですか。
○津島国務大臣 買う福祉とそれから家庭の役割ということで問題を提起されておられるようでございますけれども、基本的な考え方は、いわゆる福祉ビジョンでお示ししておりますように、自立自助の精神と社会連帯の考え方に立ちつつも、国民の基礎的ニーズについては公的施策でやるということをまず明らかにしておりますね。それがまず背骨になる。 その背骨を支えるために、日本の社会にございます家庭の役割というのはやはり大事にしていこう。ただ、それが、毎度申し上げておりますようにだんだんと変化をしていくという点もございますから、何もかも家庭に預ける、寄りかかるということは福祉政策としていかがかということで、私は社会的親孝行というような言葉で申し上げているのですけれども、やはり基礎的ニーズの面では、必要なところはどんどん公的にも立ち入っていくという基本的な考え方だと思います。 そして、委員の言われる買う福祉というのは、恐らく、国民福祉の基盤の充実を図る上で「多様かつ高度なニーズについては個人及び民間の活力の活用を図る。」この福祉ビジョンで言っている部分を示しているのではないか。ですから、やや格別なサービス、高度なニーズというものについて民間でさらに創意工夫をやっていただくところは、それはそれで結構で、またお手伝いもし、推進を図っていく、こういう考え方であろうと思います。 ただ、具体的にどこまでということについては、地域地域の実情を踏まえつつ、これから絶えず国民と会話をしていかなければいかぬ、ここまでが基礎的なニーズだということを截然と言える段階に来ているかどうかというと、議論の余地はあるのだろうと思います。しかしながら、一応十カ年戦略でお示ししているところは、我々としては基礎的ニーズではなかろうか、こういうとらえ方でございます。
○和田(静)分科員 今、大臣言われましたけれども、私が買う福祉と言っているのではなくて、NHKのテレビにお出ましになって厚生省の方が言われたものですからあえて取り上げてみたのですが、今大臣の答弁にありましたように、実は私は福祉の民活路線というのは非常に重大な懸念を持っていまして、そもそも福祉というのは、おっしゃったように公的な義務として成立してきたと思うのであります。それを補完をするためにどうするかというのはいろいろ論議をしなければならぬところですが、そういう視点から、措置に欠ける老人にはもちろんでありますが、在宅老人もその状態に応じた措置をとる、こういうふうに理解しておいてよろしいですね。
○岡光政府委員 いわゆる措置概念というのをどういうふうに解するかでお答えが微妙になってまいりますが、私どもは、先ほど御答弁いたしましたように、市町村レベルで在宅福祉サービスが最も的確にかつ施設サービスとの連携を保ちながら提供されるということに努めなければならないといふうに考えております。
○和田(静)分科員 私は行政の義務であろうというふうに実は思っているのですが、きょうは実は買う福祉の代表的なものである有料老人ホームについて、少しだけ伺っておきたいと思います。 この有料老人ホームは、しばしば終身ケアを売り物にしているわけでありますが、実際には寝たきりやぼけになると介護できる体制がなくて、そして退去させられるケースが実は非常に多いのであります。 私は、参議院議員時代の最後ですから、昭和五十年代の終わりごろに、ずっと老人施設というのを個人で、もちろん厚生省の出先の皆さんにはお世話になりましたが、アメリカからヨーロッパをずっと見て歩きまして大変勉強になった記憶があるのですが、いわゆるぼけ老人だとか寝たきりというのが、ある意味では存在をしないような形の施設といいますか、そういうのが非常に完備をしている状態を精神的な老人対策の中で見てまいりました。 厚生省では五%程度の介護体制を一つの基準とされています。そういう指導をされているということですが、事実上は全部退去させられているのが本当のところだと思うのです。私はそれから目を背けることはできないと思う。目をつぶることはできないと思う。例えば、提携の病院があるのだと、どういう広告にも非常に美しく書いてあるわけであります。ところが、優先入院できるのだろうかというふうになってきますと、そうはならない。結局、同系列の病院がすぐそばに、でもなければ入院は可能ではないという状態が私は日本の現況だと思うのであります。有料老人ホームの中にわざわざぼけ老人などを預かるところがあることを逆から考えてみれば、そのことが立証されているのだろうと思うのです。 有料老人ホーム協会発行の「有料老人ホーム入居契約書の調査研究」というのがありますが、契約の解除の事由といたしましてここにも明確になっているのでありますが、「罹病または負傷により、居室での独立した生活が不可能になったとき、」という事由が挙げられています。こうなってきますと、有料老人ホームとは何だろう。自分はこれにかけてある意味では全財産をそこにつき込んだ、ところが結果的には痴呆的に倒れたというような状態が起こった場合には追い出されてしまう。こういう有料老人ホームというのは一体何でしょうか。
○岡光政府委員 私ども、「有料老人ホームの設置運営指導指針」というものをつくっておりまして、その中で、設備につきまして専用の居室とか食堂とか医務室のほかに特別介護室というのを設けなさいということを指導しておりまして、今お話がありましたような倒れて寝たきり状態とかあるいは痴呆の状態になった人にも対応できるように、設備の関係でそういうものを設けなさいということを指導しておるわけでございます。それから、特別介護室の定員は入居者の五%以上にしなさいということで、こういった障害の発生率も考えた上で特別介護室の入居定員も指導しているところでございます。 契約時に、どういう契約になっているかを十分確認をしなさい、それからまた、既に入っている人について当たりましていろいろな体験談であるとか感触を聞いてよく確認をした上で契約を結んでくださいという指導もしているつもりでございます。 私ども、現行のモデル的なケースにおきましては、こういったような寝たきり状態なりぼけ状態になったとしても退去事由にはしていない、契約上もそういうふうにはしていないと理解をしておるところでございます。
○和田(静)分科員 そう答弁されても、実際私が申し上げたような形になってしまっているのが実情であります。そういう相談を受けながら、例えば東京の板橋に何とか入れてくれぬかという依頼をたくさん受けるわけであります。全国から受けるわけであります。私は全国区の議員であったこともありますが、そういうことはできませんからということになる。これは実情なのですね。ここのところをしっかり踏まえて対策をつくっていかなければならぬだろう。 経営的な面から厚生省が優劣をおつけになるようなことを考えていらっしゃるとすれば、その前に、今答弁にもありましたが、私は有料老人ホームの役割を、単なる健常老人の住居としてではなく終身ケアの観点からしっかり見直していっていただきたいということを申し上げておきたいのであります。 同時に、シルバーサービス振興会についても優良商品を選定していくという考え方があるようですし、有料老人ホームに「適」マークをつける、そういう論議も昨日ありました。私は、経営基準をチェックするのが目的のようにきのうも論議を聞きながら理解をいたしましたが、経営をチェックするよりは、倒産した場合の保証とでもいいますか、いわゆる権利の保全あるいは入居一時金の担保などというものを具体的にお考えになって指導する必要が今日非常にあるのではないだろうかと考えているのですが、いかがでしょう。
○岡光政府委員 一時金の担保につきましては私どもぜひ必要だと思っておりまして、全国有料老人ホーム協会とも既に協議をしております。宅建業法にもありますような、不良な業者が出た場合に団体全体で再保証するような仕組みをぜひとも実現しなければいけないということで、具体的な相談に入っているところでございます。
○和田(静)分科員 もし現在の有料老人ホームを点検されるとすれば、一〇〇%合格をするというふうにお思いになっていますか。
○岡光政府委員 全国有料老人ホーム協会に加入をしている業者が大体半分でございます。いわゆる簡易保険であるとかやや公的なものを除きましても七割程度でございます。したがいまして、やはりいろんなケースのものがあるというのは事実だろうと思っておりますが、その辺も全体にレベルアップをして、入居者が安心して生活できるように高めていかなければならないと考えております。
○和田(静)分科員 不合格になったものはどういうふうにされていくんですか。
○岡光政府委員 合格、不合格というのも問題でございますが、私ども、シルバーサービス振興会であるとか全国有料老人ホーム協会で自主的な基準をつくっておりますので、その自主基準に合致するようにまず指導をしていきたい。それから、個別のケースにつきまして、少なくとも入居者が不安を持ってはいけませんので、まずそういった苦情について収集をして、問題が起こらないように事前にすべての有料老人ホームに手当てをしていくという対応は少なくとも必要だろうと考えております。
○和田(静)分科員 家なしのホームレス老人が非常にふえているようです。地価の高騰で地上げに遭ったり家を建てかえたりすることが都市部ではふえて、長年住んでいたところを追い出される。アパートを探そうとしても、老人は病気など事故が多いと思われて入居が難しい。 先日の新聞に、これは大変悲劇的でありますが、布団をふろしきに包んだ六十九歳と七十歳の夫婦が大家に荷物をほうり出されて福祉事務所に救助を求めた、そういう記事が出ていました。こういう理不尽な話は憤りを感じますが、実は行政側も大した対応ができないわけですね。ある意味では警察の問題なのかとも私は思うのですが、「安い旅館を紹介して泊まってもらったあと、たまたま空きが出た保護施設に一時入所させた。」こういうふうに報道されました。この対応は余りにもお寒い、肌寒い感じがいたしますね。これで何が福祉なんだろう、これでどうして日本が豊かだと言えるのだろうか。 そういう意味で私は、大臣、急いでホームレスの対応を強化する必要があるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
○津島国務大臣 その問題にお答えする前に、先ほどの有料老人ホームについて私から一言所見を申し述べさせていただきたいと思いますが、今の規制あるいは法律の建前は私は十分でないと思っております。委員御指摘のようないろんな老後のついの住みかを求めてお入りになった方を保護するには十分でないと思っておりますが、そのためには、単なる経営調査をある時点でやるだけではだめでございまして、将来にわたってもやはりちゃんと担保されるような仕組み、これは民間にもあるわけでございますから、保険とかいろいろあるわけでございますから、そういうものを組み合わせて将来一般の方にきっちり判定していただけるような仕組みをつくることが先決ではなかろうか。そういう努力を早急にやらなければいけない。今私ども、内部で検討しておるところでございます。 そこでその次に、ホームレスに不幸にしておなりになるというのは、殊にお年寄りの場合大都会中心に非常に深刻であろうと私は思います。就任をいたしましてから都内のいろいろなお年寄りの施設を見てまいりましたけれども、最初に出てまいりますのはやはり土地問題等と絡んだ住宅問題だな。そして、それにこたえるために今度は施設をつくろうとなると、なかなか公用地が見当たらないということでそっちも進まない。まさに住宅問題が最大の問題点であるという認識を持っているという意味で、委員の御指摘に全く同感なのでございます。 これに対応していくためには、やはり養護老人ホームのようなものを、それからまたそこに至らないものでいろいろ、例えば東京の特別区でも御工夫になっておるところがございますね。かなり良好な住環境で部屋を提供して差し上げて、そこに食事の提供もある。それから同時に、そこはコミュニティー活動の中心になっている。そういうものを見ますと、既存の養護老人ホームであるとかそういうタイプに必ずしもこだわらなくてもいいから、そういう状況になった方がすぐにお入りになれるような施設整備を進めなければいかぬという印象を持っております。具体的にどうやったらいいかということについて、私はまだ完全には勉強は終わっておりません。
○和田(静)分科員 大臣の見ていらっしゃるところ、私は大変正しいと思いますし、大きく期待をいたしたいと思います。 私の選挙区は、埼玉県の一区なのですけれども、蕨という市がありまして、この間も年配の御夫婦が、御主人は七十二歳で軽い心筋梗塞、奥さんは五十八歳ですが脳梗塞、夫婦とも病弱である。収入は年金十万円ぐらいと、御主人がわずかなアルバイトをされていました。昭和二十二年ごろから実は古い借家にお住まいだったのですが、昭和五十五年ごろから雨漏りがしてきて、直してくれ、直してくれと言ってもなかなかうまくいかなかった。それで、家賃を供託して裁判ということになりました。先ごろ和解ができたのですが、和解は平成四年九月までに退去して和解金百三十万円を受け取るということになっております。これでさえ、私の知人で、善良で有能な女性の弁護士が真剣に取り組んだからでき上がったことでありますが、退去した後の行く当てがないわけですね。一体この方はどこに相談に行ったらいいのだろうということを痛切に感じました。そして、どういう解決方法があるのだろう。いかがでしょう。
○岡光政府委員 まず、相談場所としては、やはり市の福祉事務所が優先されるのじゃないかと思います。それから、私ども行政的な手段といたしましては、一つはケアつきの公営住宅、それから軽費老人ホームの中で、今おっしゃいましたように相当病弱な方で、自分だけでは生活がし切れないというふうな人用にいわゆるケアハウスというのを整備しようと思っております。今お聞きしたようなケースですと、ケアハウスが一番ふさわしいのかなというふうに考えますが、何さまこれは始まったばかりでございまして、相当頑張って整備をしていかなければいけないと思っております。 そういうふうに行政的な面で一応の手段はございますので、後は実績を積み重ねていって、大臣もお答え申し上げましたが、都市部にそういうものが必要でございますので、できるだけ都市に重点を置いた工夫をどんどん進めていきたいと考えております。
○和田(静)分科員 それで私は、予算委員会の一般質問で老人憲章、高齢者憲章を提案いたしまして、総務庁並びに政府が検討を約束されました。児童憲章のもとに児童福祉法があり、そして児童相談所制度があり、児童福祉司制度がある。ところが、老人福祉法というのはもちろんありますが、今も答弁がありましたように福祉事務所に行くぐらいのものだろうというのでは、これからの高齢化社会に対応できないのではないだろうか。よって私は、老人福祉法のもとに、児童福祉法同様に高齢者の相談所制度あるいは高齢者福祉司制度などというものが今日充実される必要があるのではないだろうか。そういう意味のことも実は含んで、あの予算委員会では高齢者憲章の提案を提唱したわけでありますが、いかがでしょう。
○津島国務大臣 委員が予算委員会で老人憲章の必要性について大変強く主張されたこと、感銘を受けております。今私どもがやっております高齢者のための十カ年戦略というのは、まさに老人福祉の重要性、しかもこれは国民運動的なレベルでやらなきゃならないということを内外に宣明しているというふうに受けとめておりますので、老人憲章のようなものが制定されるということは、それは基本的には望ましいなと思っております。 ただ、委員御案内のとおり、児童憲章ができましたときには大変な下からの盛り上がりがございまして、言ってみれば国民運動という形がそこに結実していったというのが現実ではないかと思いますので、私ども、そういう盛り上がりが将来起こってまいりまして老人憲章にいけば、それは大変結構なことだと思っております。ただ厚生省の方から、私どもは仕事を一生懸命やる立場でありますから、憲章をつくってくれという立場ではないなというふうに思っております。
○岡光政府委員 まず窓口の問題でございますが、いわゆるシルバー一一〇番を開設しておりまして、短縮電話で#形の八〇八〇というので全国共通の番号を設定していただいております。ぜひともこういったところへ御相談をいただきたいのと、これからの問題でございますが、在宅介護支援センターを将来的には中学校区に一カ所つくりたいと思っておりまして、そういったところでもろもろの相談を身近に、気軽にやっていただけるような体制づくりをしたいと思っております。
○和田(静)分科員 先ほどやはりケアつき公的ホームが求められるという御答弁がありました。一体どれくらい待てばどれくらいの費用で入居できるのだろうかということをお答えできますか。
○岡光政府委員 先ほどお答え申し上げましたケアハウスで申し上げますと、七万円から十万円くらいの間ではないかと思っております。かつ、低所得者につきましては軽減制度がございますので、所得状況にふさわしく、かつ、いわゆる厚生年金受給者については余り御無理のない範囲で負担をしてもらえる範囲ではないだろうか、そのような範囲で設定をしたいと考えております。
○和田(静)分科員 建設省ですが、先ほど申しました御夫婦などの場合に、公的住宅にどれぐらい待てばどれぐらいの費用で入れますか。
○五十嵐説明員 お答え申し上げます。 今の先生の御質問の件は、公営住宅に関することかと理解いたします。公営住宅は、それぞれの地方公共団体で設定いたしますので、それぞれの事情でございます。先生は蕨市のお話をなさいましたが、現段階ではちょっとそこのデータを持っておりませんので、十分お答えできません。
○和田(静)分科員 私は、公的住宅の老人の枠だとか老人住宅建設計画など、老人住宅政策の方針というものが樹立されなきゃならぬと思うのですが、そういうのはお持ちですか。
○五十嵐説明員 現段階では、この住宅問題におきます高齢化社会の対応というのは、大変重要な問題だと考えているところでございます。 来年、つまり平成三年度から新しい第六期の五カ年計画が始まるわけでございますが、それに関しまして今住宅宅地審議会でいろいろ御議論がなされているところであります。新しい五カ年計画、まだ固まる段階になっておりませんが、大きな問題となっていますのは大都市住宅問題、そしてもう一つが高齢化社会への対応、この二つが大きな柱になると見込まれております。そういった中で全体的な議論がなされるところと思っております。それからあと、市町村レベルでありますけれども、高齢化社会に対応した地域住宅計画づくりというようなのをつくっていただこうということで、はっきり覚えておりませんが、年間十五市町村ずつぐらいであったかと記憶しておりますけれども、そういった計画について助成制度を設けているところでございます。
○和田(静)分科員 労働省に伺いますが、この御主人がどこに相談に行けば、それなりの生活を維持できる収入を得る仕事を得ることができましょうか。
○初谷説明員 高年齢者の就労の場所につきまして、安定所の中に特別それを専門に担当する部門というのを置いておりまして、同時に、それを専門に扱う職員も相当数配置しているという状況でございます。あわせまして、特に高齢者の方の場合パートとして働きたいというようなニーズも高いと思いますが、現在パートバンクという形で、安定所から出て、より地域に密着したところで相談に応じられるような、あるいは紹介できるような体制を整備しつつあるということでございます。
○和田(静)分科員 現状がどうかということは私も知っているつもりですが、私が言いたかったのは、高齢者のための地域ごとの雇用政策をもっと工夫をして労働省は開発されるべきだと思うのです。その点はどうでしょう。
○初谷説明員 地域地域で、地域にお住まいの方方のニーズにおこたえしていくというのが私どもの課題だと思います。そういう方向で努力をしていくべきというふうに考えております。
○和田(静)分科員 時間がなくなってきたので一言だけ聞いておきますが、こういう方の場合、今私が例示をした方の場合、生活保護を受けられますか。
○加藤(栄)政府委員 今例示をされました方の場合、恐らく収入は、年金がもしございますれば年金だと思います。それから和解の場合のお金百三十万でございますか、そういうものを考慮いたしまして、それで保護の基準と比較してということになりますが、そういうものはもしなくなれば生活保護ということになると思いますし、また緊急保護の適用ということも可能でございます。
○和田(静)分科員 ちょっと私しゃべるのをやめまして、生活保護にちょっと触れましたので……。 例えば生活保護の申請をされる、そしてはねられる、はねられた後の生活保護を申請をした方々の追跡調査、こういうものがやはり非常に必要になってきていると私は思うのですが、厚生省はおやりになっていますか。
○加藤(栄)政府委員 すべて追跡するというシステムはないわけでございますが、福祉事務所の窓口におきましては、当面お金を持っておられましても、いずれはそういうものが費消されて保護のレベルになるというような方につきましては、また随時福祉事務所に連絡をしてくださいということでありますとか、あるいは近所の民生委員の方に御連絡をするというような配慮はするようにしております。
○和田(静)分科員 ちょっと今本当に思いつきだったのですが、生活保護を受けられないままにこの間自殺をした老夫婦の話が出ていましたから、追跡の問題というのは本人たちが申し出てくるだけではなくて、もう少し対応を考える必要があるのじゃないだろうか。そういう意味で私は、老人相談所制度や老人福祉司制度というのは高齢化社会に向かって必要になってきているのではないだろうかということを今申し上げたつもりです。 もう一度話をもとに戻しますが、施設の緊急整備、特別養護老人ホーム十六万床を二十四万床に、老人保健施設を二・八万床を二十八万床に、ケアハウスを二百人から十万人に、過疎高齢者生活福祉センターをゼロから四百カ所、大変結構なことだと思うのでありますが、この事業主体、事業費などがどうなるのだろうかということが一つですね。 それから、老健施設は認可がやすいということで、かなり疑問のある業者が後ろ盾になって参入しようとしている話がもう既に大きく伝わるのですが、現に運営している施設を私は見ましたが、早い話、何か老人のうば捨て山になるのではないだろうかという危惧を抱きました。というのは、アメリカのナーシングホームが、最近はもちろん立派なものができたようでありますが、アメリカの恥部だと言われた時代があります。私は、この辺の対策というのは十分にお考えになっておかなければならぬだろうと思うのです。金がなかったならばどうにもならぬのだというような、アメリカの恥部だと言われたような時代のことが繰り返されるようでは困るなという感じがいたしております。 それから、寝たきり老人ゼロ作戦も十カ年計画の柱でありますが、少なくとも老人病院やら老健施設で老人をベッドに縛りつけたりしないことが必要なんですが、私は役所の権限強化というのは大抵の場合は反対をしてまいりましたが、この点は立入検査なり勧告の権限をある程度持つべきではないだろうかと思っています。以上についてお聞かせください。
○岡光政府委員 特別養護老人ホームであるとかケアハウスであるとか、いわゆる老人福祉施設につきましては、事業主体は公共団体のほか社会福祉法人でございますので、民間の株式会社は入れない仕組みになっております。民間は社会福祉法人の資格を取得する必要がございますが、この資格取得につきましては、かなり厳密な審査をしているところでございます。 それから、施設整備費の費用負担につきましては、国が二分の一、都道府県が四分の一、あと事業主体が四分の一の格好になっているわけでございます。 それから、老人保健施設につきましては、民間の場合は医療法人のほか社会福祉法人ということで、これも限定をしております。そういう意味では、いわゆる株式会社に設立が可能な道を開いておりますのは有料老人ホームでございます。有料老人ホームにつきましては、先生おっしゃいましたようなことで、現在の規制よりもなお規制を強化するという格好で現在法案を用意しているところでございます。
○和田(静)分科員 ゆっくり別の機会に論議をさせていただきますが、高齢者福祉十カ年ゴールドプランで、それぞれの事業費等について、これは大蔵省、自治省の両大臣は了解しているようでありますが、それだけの財政措置をとると大蔵省、自治省はそれぞれ約束できますか。
○黒沢説明員 高齢者保健福祉推進十カ年計画につきましては、総事業費で約六兆円強、全体で十年間で六兆円強というふうに見込まれておりまして、このうち地方負担額でございますが、これが約二兆円強というふうに見込まれておりまして、私どもといたしましては、この額につきましては非常に重要な行政であるというふうに考えまして十分措置してまいりたい、かように考えております。
○斎藤説明員 高齢者保健福祉十カ年戦略につきましては、毎年度の財政事情を踏まえながら最大限努力してまいりたいと思います。
○和田(静)分科員 特養の入所権限、措置権というのは、私はまた一遍論議したいと思っているのですが、措置権じゃなくて私は措置義務にすべきなのじゃないかと思うのです。 これは後ほどの議論にいたしますが、市町村の在宅福祉サービスの義務化、それから都道府県、市町村ごとの福祉総合計画策定、これらについて私はマンパワーが確保できるのだろうかということを大変危惧するわけであります。マンパワーの確保について厚生省の見通しを聞かせていただきたいし、自治省の見解を承りたい。
○岡光政府委員 十カ年戦略を実現するためには、マンパワーを確保するということが不可欠でございます。そういう意味で、全力を挙げて達成するつもりでございます。 具体的には、適切な処遇改善を図る。それから、実際の仕事の提供に当たりまして多様な形を確保する必要がある。例えば市町村による実施のほか、社会福祉協議会に委託をするとか、あるいは特養のマンパワーを活用しましてそこへ委託するとか、そういう多様な形態をとる必要がある。そのほか、こういった介護の仕事につきまして社会的な評価を高める必要がある。いずれにしても、国民的な理解を得ながら必要なマンパワーの確保を図るという覚悟で進めたいと思っております。
○佐藤説明員 お話のマンパワーの養成でございますけれども、私どもとしても、この高齢化社会にいかに対応していくかというような問題は非常に重要であるというふうに考えております。そこの中で、今のマンパワーの養成確保について、厚生省の方のお考えもよくよくお聞きをしながら、よりよいサービスの充実に向けてどういった工夫ができるのか、検討してまいりたいというふうに考えております。
○和田(静)分科員 もう一度財政措置に戻りますが、このマンパワーの点を除けば、自治省は交付税で老人福祉法改正に伴う財政措置ができるだろうか。それから、大蔵省は老人福祉法改正に伴う財政措置について了解をされているのだろうか。それからもう一つは、大蔵省はアメリカの公共投資増加要求からいっても福祉関連公共投資の増加は私は大きな位置を占めなければならないと考えているのですが、もしお考えがあれば述べてもらいたいと思うのです。
○斎藤説明員 第一点は、老人福祉法等の改正に伴う財政措置についてでございますけれども、これはこれまで厚生省と協議してまいりまして、その内容については十分承知をし、理解しているところでございます。 それから、福祉に対する公共投資でございますけれども、その重要性というものは私どもも十分認識しておりますけれども、現在の日米構造協議との関係でその問題が取り上げられているというふうには承知しておりません。
○和田(静)分科員 そういうふうに言ったんじゃないんだけれども、もういいよ、時間がないから。自治省も、もう時間がないからいいです。 このマンパワーについては、いずれ詳しい検討が必要だろうと私は思います。今厚生省が考えていらっしゃる体制、例えばホームヘルパーが十万人という人数にしても、あるいは要介護老人が百万人という推定から考えて、北欧などの体制と対比して決して十分であるとは私は思いません。そういう意味では、マンパワーをどう養成するかは行政の責任なのでありまして、マンパワー養成に消極的な態度をとるということは、高齢化社会を考えれば、また時代の要請にこたえようとすれば、それは許されないことだろうと私は思いますので、そこは大臣、しっかり踏まえて、報道等では厚生省案にどこどこの省が難色を示しているとかいろいろありますから、政府としての統一を十分に図りながら前進をされるように求めますが、いかがでしょう。
○津島国務大臣 先ほどの老人福祉法等の改正に伴う国費あるいは地方負担の問題でございますが、これは基本的には現状を法律上きちっと定めるということを主眼に改正をすることになろうかと思います。この点では大蔵省、自治省との間で了解ができているというふうに思っております。 問題は、これからずっと十年間必要な予算を確保していくということ、その努力が大切でございます。マンパワーの養成確保の方は、非常に難しい問題であろうと思いますが、どうしてもやらなければならぬ。現在、まず養成から始めなければいけないという面もございまして、ことしはお願いをしておる予算がいただければ相当の仕事ができると思っておりますが、十年間ある時期にはこれは本当に達成できるかどうか、かなり綿密な資料をつくってみて検討してみなければならないだろう。そういう意味では、委員御指摘のとおり、マンパワーの問題というのは今後とも相当真剣に検討し、また推進を図らなければならないという問題意識を持っておるところでございます。
○和田(静)分科員 これも昨日の論議を聞いていての話ですが、廃棄物の処理の問題で一言だけ、もう時間がありませんので伺っておきます。 法律では、区域内処理の処分計画を定めることになっているわけです。各都道府県の処分計画が一体どうなっているのだろうかということを昨日の論戦の中で深く思いました。それから、各府県とも他県からの流入を拒否するという方針で厳しい要綱を定めているところがかなりの数になるわけでありますね。結局大都市圏、特に首都圏の産業廃棄物の持っていき場がなくなるという状態に、昨日もいろいろ論議がありましたが、なりつつあるんだなという感じがいたしますね。これは知事への機関委任事務ですが、最終責任は厚生省にあると私は思う。そこで、少なくとも十年ぐらいの見通しを持っておるべきでありましょうが、東京などではあと一、二年でこれはパンクしてしまうのではないでしょうか。この辺の方針を説明してください。
○目黒政府委員 ごみの処理というものは、焼却をする、埋め立てる、再利用する、この三つの方針でいくわけでございます。 御指摘の、特に処分地の問題については、早急な対応と長期的な対応と二つあろうかと思うわけでございます。早急に現在どうするかということについては、東京都等におきましては、特別に焼却場を増設するとか、あるいは何か充実強化するといったような形のものを検討されておられるやに伺っております。長期的なものにつきましては、昨日来お答え申し上げておりますように、幅広に、法律改正を含めまして、このあり方等を含めまして今検討している、このような状況にあるのでございます。
○和田(静)分科員 もう一つは、不法投棄なんですね。この不法投棄の実情を把握されているのだろうかということを、実は昨日の論戦を聞きながら思いました。この問題は、ふえることはあっても減ることはないわけで、これまでの方針ではこれは見通しが立たないと思うのですね。これも法改正を含めて抜本的な再検討をする時期ではないだろうかと思いますが、いかがでしょう。
○目黒政府委員 不法投棄の問題は、やはり排出事業者、特に産業廃棄物等の排出事業者が処分地を確保するのが困難というようなことからくるわけでございますが、それぞれの排出事業者から処分をする業者に至るまでの間の責任を明確にするためにマニフェストシステム、積み荷目録というのを現在業界に指導して行わせているわけでございます。短期的には、それで対応をしてまいりたい。長期的には、御指摘のものも含めまして、検討課題の中の選択肢の一つということで私ども検討いたしておるところでございます。
○和田(静)分科員 どうもありがとうございました。時間ですので、終わります。
○戸井田主査代理 これにて和田静夫君の質疑は終了いたしました。 次に、遠藤乙彦君。
○遠藤(乙)分科員 私は、我が国における救急医療体制の充実という点につきまして御質問をさせていただきます。 最近、我が国におきましても救急医療体制の問題が注目を集めておりますけれども、特にこれは各国と比較したときに非常に顕著な点だと思うのですが、いわゆる救命率ないし社会復帰率でございますね。現場において仮死状態にあった人が救急医療体制によって一命を取りとめた、あるいは社会に復帰したという比率が、我が国の場合欧米主要国に比べて著しく見劣りがするという問題がございます。正確な統計はないようではございますけれども、言われているところでは、欧米に比べて我が国の場合、救命率、社会復帰率が四分の一から十分の一という非常に見劣りのする状態にあるということでございます。 これは、我が国の場合、医学並びに医療水準がもうほとんど世界最高水準にあるということであるし、またいわゆる救急車の普及率も世界で最も高い部類に属するということから考えますと、まことに残念なことでございますが、恐らくこれは救急医療体制のシステムの不備というところが問題であるのではないかと思います。特に我が国の場合、縦割り型の行政が非常に強いわけでございますので、その一つの弊害としてこういった横断的な取り組みを必要とするシステムに不備が出るということがよくあるわけですけれども、この救急医療体制のシステムの不備という問題も、その一つの問題であろうと私は感じている次第でございます。 また、私自身も交通安全対策特別委員会に所属していることもありまして、特に交通事故との関連におきましてこの救急医療体制の充実ということに強い関心を持っているわけでございます。近年の交通事故による死者数は、関係機関等官民一体となった努力にもかかわらず、昭和六十三年以降一万人を突破しまして、加えて負傷者数の増加も著しいわけで、昨年の場合、負傷者数は八十一万四千三百八十二人と驚くべき人数に達しております。こういった交通事故に遭った場合、一刻も早い処置により一命を取りとめた例も多くあるわけですが、こういった点から特に救急体制の整備が交通事故との関連におきましても急務となっていると私は考えております。こういった体制の整備によりまして交通事故犠牲者数を大きく減少させることが可能と考えるわけでございまして、そういった観点から関係省庁にお伺いをしたいと思います。 まず第一点でございますけれども、事故現場に居合わせた人たちが、負傷者に対して迅速、かつ適切な応急手当てを行う必要があるわけですけれども、実際問題こういった救急法を習得している人は少ないわけで、手をこまねいて連絡のみに終始しているという事例が多いわけでございます。関係機関としまして、一般市民に対しまして応急手当て等の知識の普及を早急に図る必要があると考えるわけでございまして、また学校教育の場等を通じても、指導をより積極的に推進していく必要があると考えておりますけれども、こういった問題につきまして関係機関はどのように今後対処していくつもりか、お伺いしたいと思います。これは恐らく厚生省、自治省あるいは文部省といったところになると思いますが、その順にひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
○仲村政府委員 御指摘のように、一般の方に応急処置をいろいろ知っていただくのは非常に重要なことでございますし、また今後そういう方向に向けていくべきだということは、御指摘のとおりだと思います。 一般国民に対する啓発を含めてのお話だと思いますが、やっておりますことを挙げますと、ごろ合わせでございますけれども、実は五十七年から九月九日を救急の日といたしまして、その日を通じて救急医療週間を設けておりまして、そういう機会をとらえて今御指摘のような問題も、例えば保健所等で心肺蘇生術、人工呼吸とか心臓マッサージとか応急的なものは大いに啓発を図ることが十分必要だと考えております。学会にお願いいたしましてこういう一般的な啓発書もつくっておりますが、これの配布の方法等も含めてさらに検討しなければいけません。これは厚生省で監修したものでございますけれども、これに類する書物もたくさんありますし、保健所あるいは後でお答えがあるのかもしれません、学校あるいは職場、いろいろなところでもそういう形で教育をしていただくことはやはり十分必要だと考えておりますし、御指摘の方向で努力してまいりたいと思います。例えば日本赤十字あたりでも機会をとらえておやりいただいておりますし、主婦の教室とか、今後保健所でも国民に医学知識をもっともっと自助努力の一つとして勉強していただくということは、重要な方向だと考えております。
○飯田説明員 救急隊員が現場に到着するまでの間に住民による応急手当てが行われるということになれば、非常に救命率が上がるということで、消防庁としてもその普及啓発の重要性を認識しているわけでございます。 消防機関が行う住民に対する応急手当ての普及のあり方とか効果的な実施方法につきましては、消防庁としても、専門家による研究会で検討していただいて、その検討結果を踏まえて各消防機関を指導していく、また普及啓発を推進してきているところでございます。各消防機関ではこうした研究内容を参考にしまして、講習会等の開催とかあるいは救急普及啓発の広報車等を活用して努力をしているところでございます。救命率の向上というのは現下の急務でございますので、住民に対する応急手当ての普及がより一層効果を上げるように今後とも努力してまいりたいと思います。
○石川説明員 お答えいたします。 学校におきましては、安全教育という分野の中におきまして、まず第一には安全に行動できるような知識経験を体得させるということがねらいでございますが、それとともに安全に生活していく上では、実際に事故が起きたときにどう対処するかということも大変重要でございます。このような観点から、学習指導要領におきましては、傷害の防止と疾病の予防について理解を深めさせるとともに、応急処置の基礎的技能を習得させるということをその分野の一つのねらいとしております。 このような観点から、中学校においては包帯法、止血法、人工呼吸法及び運搬法の基礎的方法など、傷害や急病の応急処置を取り上げてその実施を行うものとすると明示しておるわけでございます。また今回、事の重要性にかんがみまして、高等学校におきましては、学習指導要領の改訂に当たりまして、新たに心肺蘇生法を中心とする応急処置も取り上げるようにいたしました。このような授業につきましては、先生方に対しては、学校安全の研究協議会あるいは研修会、さらに教師用の指導資料等を配付いたしまして、こういった指導の充実強化に努めるようにしているところであります。また、昭和六十一年度からは教員、指導主事を対象としては心肺蘇生法の講習会も開いております。今後ともこのような授業を充実してまいりまして、学校教育における救急法等の充実を期していきたいというふうに考えているところであります。
○遠藤(乙)分科員 ぜひとも、今御説明のあった方向で一層の強化をお願いしたいと思っております。 次の質問に移ります。 今度、ドライバーに対する応急処置法等の教育の問題でございます。これは警察庁になると思いますけれども、西ドイツの場合ですと、運転免許の取得に当たりまして、負傷者の緊急の動かし方、人工呼吸、ショックの防止、保温等応急処置に関する教育が六時間ないし十六時間ということで実施をされているそうでございます。しかも、これが免許取得に際しての義務的なものとなっているそうでございますが、他方我が国の場合では、ドライバーに対しては教習所の教習あるいは免許更新時の講習の際、ごく若干の救急法が指導される程度でして、ほとんど余り実効性のないような状態ではないかと私は思っております。 こういった厳しい交通環境、ますます厳しい状況になってくるわけですから、ドライバーに対しましても西ドイツ並みのこういった救急処置の教育を行うべきではないか。具体的には、免許取得の際ないしは書きかえの際に、こういった本格的な講習を導入することを我が国でも検討してはどうかということでございます。警察庁、お願いいたします。
○滝藤説明員 お答えいたします。 先生御指摘のとおり、西ドイツにおきましては免許取得時の条件としまして、御指摘のとおり救急関係についての教養、これが義務づけられているわけでございますが、我が国におきまして免許取得時あるいは更新時等で応急手当て等について教育を行っているのが不十分という御指摘もいただいているわけでございます。私どもも十分とは考えておりませんので、この充実等について現在検討を加えておりまして、西ドイツだけではございません、ほかの国の実情等も調べまして、そのほか各関係機関と早急に検討を加えてまいりたい。そして、事故の厳しい折でございますので、どういう方向へ持っていったらいいのか、前向きに検討を加えてまいりたいというふうに考えております。
○遠藤(乙)分科員 ぜひとも前向きの対処をお願いしたいと思っております。 次の質問に移りたいと思います。 これはいわゆるパラメディカルの話でございますけれども、特に本年の四月から東京消防庁におきまして、救急隊員二十名に看護学校の看護士教育を受けさせていると伺っておりますし、また、十年間で看護士資格を持つ隊員を二百人養成する計画であると新聞にも報道されております。また都立病院につきましても、パラメディックスの養成センターを併設するため、候補病院の選考を開始していると伺っております。こういった救急隊員による医療行為の規制緩和の問題もあると思いますけれども、今後我が国におけるパラメディカルの体制をさらに推進していく必要があると考えておりますけれども、これにつきましてまず当局の見解をお伺いしたいと思います。厚生省及び自治省でしょうか、よろしくお願いします。
○仲村政府委員 アメリカではいろいろの職種がございまして、救急隊員についてもパラメディックという、俗称のようでございますが職種があるというふうに聞いております。我が国と体制が違いますので、直ちにこういう制度を導入できるかというのはいろいろ問題があるわけでございまして、私どもといたしましては、もちろん搬送途中におきます医療の確保というのは救急医療の重要な一側面と申しますか、一フェーズでございますので、そこにおきます冒頭に先生がおっしゃったような救命率の向上というものに努めなければいけないわけですけれども、新たな身分法をつくるというのはいろいろの問題を生ずると思いますので慎重な検討が必要だと思いますし、国によってはお医者さんを乗っける救急車、ドクターカーとかいろいろやり方があるようでございます。現に、私ども日本におきましても、ヘリコプターにお医者さんが乗っかって迎えにいっていただくというケースもあることはあるわけでございますので、いろいろのそういう選択肢があると思います。 現在、救急医療体制検討会というのを設けておりまして、今後の救急医療の体制のあり方を御検討いただいているわけでございますので、その検討会においても当然話題になると思いますので、その検討の結果を見守ってまいりたいと考えているところでございます。
○飯田説明員 救急傷病者の救命率を高めることが現下の急務であると考えているわけでございますが、現在、救急隊員に対しては百三十五時間の資格取得講習が義務づけられているわけです。大部分の消防学校では、この時間数を上回る講習を行っているわけでございます。 消防庁としては、救命率を向上するということのためには、さらに高度の教育訓練を行ってその資質をこれまで以上に向上させる、これが救命処置の充実を図ることに必要だと考えているわけでございます。かねてより医療関係の専門家を含めました救急業務の将来像を考える懇話会、あるいは救急業務研究会等におきまして検討を続けてきているところでございます。今後さらに今回の東京消防庁の答申をも参考にしまして研究を進めて、関係機関との協議もして、救急隊員による応急処置の充実、またこれに対応した教育訓練システムの充実など、救命率向上のための積極的な施策を進めてまいりたいと考えております。
○遠藤(乙)分科員 今の質問に関連しまして厚生省にお伺いしたいのですが、救急医療体制の充実に当たって医師法との関係があるわけです。医師法十七条では医師以外の医療行為が禁じられているわけですけれども、ただ救急医療というのは特殊な状況でございますので、こういった状況との関連におきましては、十七条というものを見直しないしは運用の上でどうするかという点がこれから出てくるわけでございます。この十七条との関連におきまして厚生省は今後どういう検討をされるのか、そこら辺の見解をお伺いしたいと思います。
○仲村政府委員 医師法の十七条、医師の医学的判断及び技術がなければ人体に危険な行為を医師以外の者が行うことはいけないということで禁止しておるのは、御指摘のとおりでございます。 そこで、現在、救急隊員は緊急やむを得ない場合に人工呼吸とか心臓マッサージなど相当程度の広範囲の行為を行い得るということでございますが、これを単なる運用で拡大するというのは実際上非常に難しい面もありますし、責任の問題あるいは事故発生の問題、周辺の問題がかなりあると思うわけでございます。しかしながら、先ほど御指摘のように東京都の救急懇話会の方からの答申もあったようでございますし、なお自治省、消防庁等を通じて私どもの方にお話もあるのではないかと思います。先ほど御紹介いたしました検討会でも恐らくそういうことは話題になると思いますが、我が国はアメリカのようにいきなりああいう形でのパラメディックの導入もそう簡単ではないと私考えておりますので、お医者さんを乗っける工夫とか、やはりいろいろの角度から検討すべき問題だと考えております。
○遠藤(乙)分科員 自治省の方にお伺いします。 今の質問との関連ですが、近時、女性消防士も活躍をしているようでございますけれども、こういった救急隊員として看護婦さんを採用してはどうかという提案もいろいろあるわけでございます。こういった点につきまして、いかがでございましょうか。
○飯田説明員 現在、消防機関に勤務している女性の消防吏員は約六百名おります。その従事している業務は予防業務が中心でございまして、救急業務には携わっていないのが現状でございます。原因は、現行法上、女性の消防吏員には深夜勤務が通常の業務としては認められていないという法的な制約がございます。また、救急活動をするとなりますと労務負担がかなり過重になるということもございます。また、仮眠室等の施設設備が十分でないというようなこともございます。実態面での課題があると考えているわけでございます。 ただ、御指摘のように看護婦を救急業務に活用するということになると、きめ細かな、行き届いた対応が可能になる、救急サービスの向上につながるというメリットも十分期待できると考えられますので、まずは現行法体系の枠内で対応が可能な方法について、各消防本部の実情を踏まえまして検討していく必要があろうと考えております。
○遠藤(乙)分科員 次の質問に移ります。 先ほども言及がありましたけれどもドクターカー・システム、いわゆる救急車に医師が同乗する制度でございますけれども、これは我が国におきましても西宮市等で一部取り入れられているようでございますけれども、現在我が国で全体的に見てどの程度普及をしているか、お伺いしたいと思います。
○仲村政府委員 消防機関の救急自動車へお医者さんに乗っていただくということで、今御指摘の西宮市等で実際に行われているわけでございますけれども、厚生省におきましても現在三十カ所の救命救急センターにドクターズカーを整備しております。実績が若干ばらついておりますが、年間五十件から二百件ぐらいの幅でお医者さんに同乗していただいているという実績があるわけでございます。
○遠藤(乙)分科員 三十カ所に配備されているとおっしゃっておりましたが、それを運用してきてその問題点ないし評価、そういった点につきましてはいかがでございましょうか。あるいは今後さらに一層拡大、推進をしていく考えはないかということをお伺いしたいと思います。
○仲村政府委員 すべての救急出動にお医者さんが乗るという必要もないと思いますし、いつ、どういうケースのときにお医者さんが乗っかるかという、その判断の問題というのはございます。したがって、そういうのが的確にできるように、フランスなんかは非常によくやっているようでございますが、そういう形で私どもも必要なケースには適時お医者さんが乗っかるようなシステムがいつもできれば、御指摘のように非常によくなるのではないかと思いますので、実際上の工夫はやはりこれからも必要だと思います。 今、先ほど申し上げた検討会でも、そういう観点からも御意見をいろいろちょうだいしておりますので、そちらの方の検討もぜひお願いしたいと考えております。
○遠藤(乙)分科員 次の質問に移ります。 昭和六十三年度中の救急患者の転送、いわゆるたらい回しですけれども、設備、食器材の不足、手術用のスタッフ不足等による処置の困難が五割、それから専門医の不存在による専門外というのが約二割を占めて、しかも二回、三回と転送さ れるケースが多々まだ見られるわけでございます。これはいわゆる救急告示病院のほとんどが小さな病院であって、救急患者に十分な救急処置を施すことができないのが大きな理由と思われるわけです。 そこで、こういった状況を改善していくためには救命救急センターの一層の整備が望まれるわけですけれども、今後の具体的な整備計画をお示しいただきたいと思います。
○仲村政府委員 初期救急、二次救急、三次救急ということで整備してまいりまして、御指摘の救急告示病院というのはどちらかといえば初期救急のような患者さんを扱うということでございまして、必ずしも体制の整備が行き届いてない場合も間々あり得たわけでございますが、それに対応いたしまして、だんだん難しい患者さんを診るような仕組みというのを考えようということで三次救急、御指摘の救命救急センターを整備してきております。目標といたしましては、人口百万に一カ所ということで考えておりまして、現在百四カ所ぐらいでございまして、もう少し整備を進めなくてはいけないと考えております。 もう一つは、たらい回し等、私の理解では大分減ってきておるとは思いますが、何というのでしょうか、情報の流通のところにも問題がある。つまり、救急医療情報センターみたいなものの活用をもっともっとすればそういうむだなことは起きなくなるということでもございますので、そちらのサイドの整備と申しますか工夫もやはり必要だということで、総体的に見直しをしておるところでございます。
○遠藤(乙)分科員 時間の都合で、次の質問に進ませてもらいます。 今度は、救急医療におけるヘリの導入の問題なんですけれども、特に高速道路における交通事故は大変な大事故となる場合が多く、かつ事故が発生した場合、現場に到着して病院に収容するまでの時間が一般道路と比べて時間がかかる。現在のままでは時間の短縮はなかなか困難で、助かる命も助からないというのが現状なわけでございます。特に郊外の高速道路における事故でこういった状況が多々出ております。そこで、救急車による搬送のみならずヘリコプターによる救急活動が望まれているわけですけれども、高速道路附属の緊急用ヘリポートの設置、それから救急ヘリコプターの導入等につきまして当局はどのように考えておられるか、これは自治省並びに建設省にお伺いしたいと思います。
○飯田説明員 高速道路上の事故に対して消防ヘリコプターを救急活動に活用する、これは非常に迅速な搬送ということで有効なものと考えております。しかし、我が国の高速道路は照明灯や防護壁があること、あるいはヘリコプターの活動に伴う交通量の規制、調整等の諸問題が残されておりまして、現在のところはほとんど実施されてない状況にございます。今後、高速道路上の事故への消防ヘリコプターの活用に対する国民の要請、期待が高まっていくことも考えられますので、こうした問題を解決していくことが必要であろうと考えております。
○橋本説明員 高速道路の事故における負傷者の速やかな救助につきましては、極めて重要であると考えております。現在は、救急自動車による救急業務で実施しているわけでございまして、道路公団はこの業務について市町村に財政援助も行っているところであります。 御指摘のようにヘリコプターで救急活動をやってはどうかということでございますが、道路公団の高速道路につきまして、例えばサービスエリアとかパーキングエリアにつきましても、離発着する場合には先ほどのお話のように多数の照明柱があるとかいろいろな施設があるということで、障害になるものがございますので問題があるのではないかと考えております。しかしながら、救急業務の重要性という観点からは、このヘリコプターを用いた救急業務の実施について所管の省庁から提案があれば、パーキングエリアとかサービスエリアでの空間の利用を活用した離発着の可能性、必要性については今後検討してまいりたいと考えております。
○遠藤(乙)分科員 ぜひ前向きに検討をお願いしたいと思っております。 時間の関係で最後になりますが、今救急医療体制ということでさまざま御質問をさせていただきましたが、最後に今度は大臣の所見をお伺いしたいと思っております。 冒頭に申し上げましたように、この救急医療体制の問題は、特に我が国におけるシステムの不備という問題であろうかと認識をしておりますが、特にこれは縦割り行政の欠陥を排して、ぜひとも横断的な取り組みが必要であると私は感じておりますけれども、そういったことも含めまして、ぜひ大臣の御所見をお伺いしたいと思っております。
○津島国務大臣 救急医療体制につきましては、ここ数年間計画的に体制整備を進めてまいりまして、昔は先ほど委員が言われたようにたらい回しとか、体制全体に非常に問題があった時期もございますけれども、今は休日、夜間を含めまして一般的な救急対応の体制は整ってきていると思います。一次から三次まで医療施設を体系的に組み合わせていくということはでき上がったと思います。しかし、御議論にございましたように、脳卒中とか心筋梗塞というような専門的な問題、あるいは交通事故のような頭部外傷等の問題、こういう問題は高度、専門的な医療技術を要するわけでございまして、その面の専門家をやはり養成しなければならない。 それから、御指摘の患者搬送途上の医療体制について、確かにまだ不十分なものがございます。自治省の方でいろいろな工夫をされていることは大変結構なことだと思いますし、看護学校に消防関係の方が学ばれるというのも結構であろうと思いますし、それから、看護婦さんをお使いになるとかドクターカーが出るとか、いずれもいい点があると思いますが、基本的にはやはり医療の全体のサーベイランスの傘の中でしてさしあげることがどうしても必要でございまして、医者でない方が現場においでになったときに、どうしてもその高度の医療の判断を求めないとできない。これは看護婦さんの場合もそうでございますから、そういう意味で、やはりこれは私どもが最終的な責任を負っておると思います。逆に言えば、この搬送途上の医療体制の問題も含めて、やはり早急に充実を図らなければならないというふうに考えております。 そこで、予算委員会でも御答弁申し上げましたし、今政府委員から申し上げましたように、昨年九月から救急医療体制検討会を設けまして、こういう問題を今総合的に検討をお願いしておりますけれども、これを先に延ばすことなく、本年度中できるだけ早い時期に報告を取りまとめて、そして、次の時代へ向けて揺るぎない救急医療体制を確立してまいりたいと思います。関係省庁ともよく御相談しながら、積極的にやってまいりたいと思います。
○遠藤(乙)分科員 以上で終わります。
○戸井田主査代理 これにて遠藤乙彦君の質疑は終了いたしました。 次に、鈴木久君。
○鈴木(久)分科員 私は、産業廃棄物の不法投棄問題あるいはかかわる行政の問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。 実は、私の地元でございますけれども、福島県のいわきで大変な不法投棄事件がございました。中間処理業者でございます大谷総業という会社と、無届けの大松、山野辺というこの三社がぐるになって、大変悪質きわまりない不法投棄事件が起きたのであります。およそ二年間かけて、山林、牧野、それから炭鉱の廃坑跡など六カ所に、発がん性物質をも含まれているいわゆるトリクロロエチレン、テトラクロロエチレンが大変入っている灰を捨てた。特にドラム缶の数でいうと、廃坑に三万五千本、山林、牧野に約一万本、それから、大谷総業という中間処理業者の敷地の中といったらいいのでしょうか、そこに野積みにされている本数が四万五千本、想像を絶するような状態になっておるわけでございます。牧野は水道の水源地でございまして、これが汚染をされて取水口を変更する。廃坑の地下汚染は、これはもう話にならないわけでしょうけれども、まだ依然として後始末をしてない。現在もこの廃坑跡の三万五千本については未回収という状態でございまして、あとその大谷総業の自分の敷地内にある四万五千本も野積みの状態というのが今日の状況でございまして、この事件の報告は、多分厚生省、しっかり受けていると思うのですね。 報告を受けてどういうふうにこの事件を皆さんがとらえていらっしゃるか、どんな指導をされたのか、それから特に、放置されている産業廃棄物、その回収というものに対する考え方についてまずお尋ねをしたいと思います。
○目黒政府委員 福島県におきまして起きましたこの不法投棄の現状でございますが、私どもが承知しております範囲では、これまで、雨水の流入防止策とかあるいは周辺の汚染調査等を、先生御承知のように調査委員会等を開き実施しているわけでございまして、現在、廃坑に投棄された廃油等の撤去、それから回収方法等について、学識経験者等から成ります委員会で検討中であると聞いているのでございます。私どもは、県との連絡を密接にとりつつ、その検討状況の推移を見守っておりますと同時に、私どもも、この事件の重要性にかんがみ、係官の派遣を昨年いたしまして、この実情について直接現場を見るといったようなこともいたしておるところでございます。 私ども承知いたしております範囲では、特に廃坑の場合、技術的な問題が非常にあってなかなかその処理の方法については難しい面もあるし、あるいは業者の責任のあり方等をめぐってなかなか困難な問題があるということは承知をいたしているところでございます。いずれにいたしましても、県と密接な連絡をとりまして、早急な解決ができますように、今、連絡をとりつつ検討委員会等の推移を見守っている、こういう状況でございます。
○鈴木(久)分科員 実は地元にとってみれば、こんな放置されておったら、これはもうえらい迷惑ですよ。ところが実際は、先ほども申し上げましたけれども、投棄をした人たちというのは、山野辺建設にしても大松工業にしても全く無資力に近い幽霊会社のようなものでございまして、中間処理業者の大谷総業というのが有限会社で存在をしておりますけれども、実際、これを回収して処理する能力はほとんどないというふうに私どもは見ておるわけでして、むしろ県民は、もう県で代執行したらどうだというくらいの話が実は出ておるわけでございます。 もう一つは、その敷地内に野積みにしてあるドラム缶四万五千本、これも実は大谷総業という会社の年間の処理能力の三年分は優にあるのです。三年分はありますよ。こういう状態にしてしまったそのもの自体がまず問題なんですね。ですから、資力がない、このまま放置されたら環境影響が物すごく出る。回収計画は今検討されているというけれども、しかし、実際は進んでいないというのが実情なんです。 ですから、厚生省の指導ももう少しきちっと県や関係業界も含めてしないと、これは産業廃棄物、これからの行政全般にも大変大きな影響を与えてしまうだろう、悪影響を与えるだろう、指導監督にある厚生省や県のこういう問題に対する弱さというものが県民から指摘されるんじゃないだろうか、私はこんなふうに憂慮するのですけれども、もう一度今後の指導方針をお伺いしたい。
○目黒政府委員 具体的には私ども、当該処理業者の事業場に保管中の産業廃棄物を、福島県が当該業者に対して処理を行うよう強力に指導はしており、順次処理が少しずつであるが行われているということは聞いております。また、先生御指摘の不法投棄に関与いたしました処理業者に対しましては、福島県において行政処分をする予定であると聞いているところでございます。多分本日行うのではなかろうかというように私ども聞いておるところでございます。 おっしゃるように、ただ処分しただけでとどまる問題ではございませんので、先ほど来申し上げておりますように、県等を強力に指導いたしますと同時に、その周辺の具体的な技術的な問題を検討委員会で今検討されておりますので、その部分については私どももうちょっと時間を持って見守っていきたいと思っておる次第でございまして、県当局に強い指示あるいは指導といったようなことはいたしておるところでございます。
○鈴木(久)分科員 行政指導、いわゆる行政処分に供するという話でございますけれども、これは痛しかゆしなのでして、まあ行政処分はしなければならないでしょう。ただ、中間処理業者を例えば営業停止なんかしてしまったりしたら、この野積みになっている四万五千本は宙に浮いてしまう。ですから、そこら辺のところはどんな処分をしようとしているのか。結局その野積みの四万五千本について責任を持って処理をさせないと、やめてしまったなんて言われたのではかえってこれはえらい問題になるわけでして、どんなふうになっているか、行政処分の内容をもし把握していればお示しいただきたい。
○目黒政府委員 もちろんこれは県当局が行うものでございますので、私どもも細かなことについてはまだ確実には把握いたしておりませんが、行政処分は行うけれども、その期間中であっても焼却等のこの件に関する業務というのは行わせる、こういう形で、いわゆる営業活動と申しましょうか、その他の業を営業停止にするということで、本件にかかわるアフターケアと申しましょうか、回復、焼却、これについては行わせることにしているというふうに私ども聞いております。
○鈴木(久)分科員 それともう一つは、廃坑跡の始末、回収計画がおくれている。もしずっといろいろやっていっても業者に能力がないという場合に、もう先ほど申し上げましたけれども、代執行というぐらいの県の構えというかそういうものは、皆様方の立場から見て、これまでの触れ合いの中でどういうふうに考えておられるか。
○目黒政府委員 今の代執行等のことについても当然選択肢の一つとして県当局も検討しておられるようでございます。私どもの方も、代執行にかかわる経費あるいはその他もろもろの法律上の諸問題、そういうふうなものを勘案いたしまして、いましばらく県の方針を、検討を待っていたい、このように思っているのでございます。いずれにいたしましても、大変難しい問題がございますので、もう少し慎重に今構えているところでございます。
○鈴木(久)分科員 時間がありませんから、この不法投棄事件についてはこれで終わりまして、産業廃棄物処理行政全般にかかわる、特に最終処分場の問題を中心に少し見解をただしておきたいと思います。 もうこれは私なんかが申し上げるまでもないのですけれども、昨今の産業廃棄物の急増といいましょうか、特に首都圏を中心とする産業廃棄物が急増して、この対策はいずれこれから大変な問題になるだろう。言葉が適当かどうか、ごみ戦争でしょう。これは一般廃棄物も含めて大変な事態になっているだろうと思うのです。皆さん方の統計で見ても、六十年のベースで三億一千二百万トン、もう産業廃棄物だけである。再生している部分は四一%ぐらいあって、それで最終処分場には、今日では九千万トンを超える量になるだろうと思うのですね。それも特に地域別に見ますと、関東圏がその中でも最も多い状況である。県外に流出している率を見ても、東京は自分の圏内で処理できないで八〇%流出をしているという状況でございまして、関東近県押しなべてそういう状況になっているようでございます。そういう首都圏を中心とするごみが県外へ流出していく。昨今そういうごみがどんどん首都圏以外に行っている。それ以外の県は二十六道府県で、この間の新聞にも載っておりましたけれども、他県のごみは規制しましょう、こういう動きが出ている、こちらでは県外へどんどんやりたい、向こうでは受け入れない、こういう状況に今日なっているわけでございまして、そのほか最終処分場の施設の内容を見ても、現在ある産業廃棄物処理施設の処分できる量、容積量といったらいいでしょうか、それは排出する一年分もないというくらいの状況になっているようでございまして、まさに深刻きわまりない状態であるというふうに認識しているのですけれども、この産業廃棄物処理行政全般、今後のいろいろなあり方、今の状況を踏まえて私は大臣にお伺いしたいのですけれども、今のこの状態というのはどのように認識してございますか。これは極めて大変な事態になっている。抜本的に行政のあり方、今後の進め方を考えなければならない事態になっているのじゃないだろうかというふうに認識をしておるのですけれども、いかがですか。
○津島国務大臣 産業廃棄物はもとより、一般廃棄物も含めまして、廃棄物の処理問題は極めて深刻な段階にあるという認識で私は委員と全く同じゅうするものでございます。処理できない分を首都圏からだんだんと東北の、委員の地元から私の地元の方にどんどん延びてまいりまして、私の地元では今大変な反響でございまして、何とかこれについてもう少し規制をしてもらいたいという強い要望が出ております。このまま放置をいたしますと大問題になる。同時にまた、これは世界的にも大きな環境問題でございまして、環境デーにあれだけ廃棄物の問題を大きく取り上げているのは御承知のとおりでございます。 そこで今国会におきまして、私も予算委員会等で数次の御質問を受けまして、これまでとやや違った対応、すなわち抜本的にこの問題を検討いたしたい、検討いたしました上で、法律改正も含めて結論を出してまいりたいということを申し上げておりますから、委員と同じような危機感の上に立って、何とかもう少しこの問題をうまく解決するように改善を図りたいと思っております。
○鈴木(久)分科員 法律改正を含めてという大臣のお話でございますので、そういう厚生省の構えであるとすれば、私からも、現状の中で解決をすべきであるという問題点について二、三申し上げて、そういう今後の対応の中でぜひそれらを消化していただきたいと思うのです。 その一つは、今度の不法投棄事件を見ても、一番問題なのはいわゆる排出事業者と言われる企業の責任が今まで極めて不明確ですよ。一たん中間処理業者というか運搬業者に渡しますと、それで責任逃がれ。法律上は排出企業責任ということを言っているけれども、実質的には渡してしまえば終わりだという状況があって、今度厚生省の方でも、最終処分場まで行って切符が戻ってくるというふうな新しいシステムを導入されたようでございます。一応そういうシステムはできましたけれども、あれだけでは排出企業の責任問題というのは法的にきちっとなってございませんので、システム導入とあわせて法的整備を、排出企業の責任という問題をもっと明確に打ち出さないと、先ほどのような不法投棄事件が起きても、結局排出企業は全然関係ない、中間処理業者以下の問題だ、それで排出した企業は何ら責任を問われないで今日いる、こういう状況にあるわけですから、この辺の排出企業、排出事業者の責任という問題については、今後の法改正を含めてどんなふうに考えていらっしゃいますか。
○目黒政府委員 この問題につきましては、先ほど大臣の方からお答え申し上げましたことに含まれているわけでございますが、先生御指摘のマニフェスト制度を導入したということが一点、それから同時に、御指摘のとおりこれだけではうまく働くかどうかわかりませんので、さらにこの周辺の問題等を含めまして、平成元年度から産業廃棄物の広域移動の実態とか将来の見通し等、今もう調査に入っておるのでございます。こういうものを含めまして具体的な方策を出したい、このように思っているところでございます。 どういうふうにということでございますが、先生のおっしゃられたようなこと、あるいは各県からの御要望等が具体的な事項として含められている、このように思っている次第でございます。
○鈴木(久)分科員 それともう一つは、今一番問題になっているのが最終処分場の問題でしょう。これは建設でもトラブルが起きている。同時に、最終処分場の届け出制という今日の法的な問題、これからもトラブルが発生している。あとは、最終処分場が、企業でやっているものは別にしまして、今公的に関与しているものは少ないのです。ほとんど民間の処分場が主力になってきております。ところが、民間の処分場が中心であると、どうしても心配されるのは水処理問題ですね。結局一つの処分場がせいぜい十年や十五年くらいでもう大体満杯になってしまうでしょう。その後水処理はずっと続くわけです。三十年たったって五十年たったって水処理をしなければならない。 ここで私が心配するのは、果たして、民間の業者が、十五年たって埋まって投棄ができなくなった、その後何十年も水処理だけをやるかということを考えますと、これはそうじゃないだろう、むしろそこで企業閉鎖をして終わりという状態がこれからどんどん出てくるんじゃないかという気がしてならないのです。そういう問題が最終処分場問題であるわけですね。水処理施設そのものも、五十年も百年ももつ能力がないでしょう。これの更新などはとてもやるはずがない。疑って悪いんだけれども、今の処分場の経営状況、資力、やっているほとんどの部分がそういう状況なんじゃないだろうか、こういうふうに認識しておるのですが、そういう最終処分場の今の現状というものを、まずどんなふうに御認識されていますか。
○目黒政府委員 最終処分場の現状についてでございますが、これについては先生御指摘のような面も残念ながらあるわけでございます。しかし、大多数のものは私どもの法制度のもとで適正な維持が行われているところでございます。当然、私どもは今の法制度のもとに立入検査あるいは指導監督等は、先生御承知のとおりの範囲内でやっておるわけでございますが、その他の点につきましては、恐らく今後の検討課題の一つということに相なろうかと思っておるところでございます。
○鈴木(久)分科員 それで、具体的に私どもの地域でもしょっちゅう起こっているのは、処分場建設でのトラブルです。これはもう話にならない。とにかく、届け出制という一つの今日の処分場建設に当たっての弱さ、私はこれは弱さと思っているのですが、やはり県が指導する限界がある。住民の同意をしっかりとるということなどについても、事前指導の範囲で指導されている程度でございまして、法的なものはしっかりしていない。 もう一つは、先ほど言ったように、水処理やそういうものまで責任を持たせるということになると、例えばその処分場の資本力、そういうものまでしっかりと法的にきちっとしたものをつくってやらないと、最終処分場は結局のところ、その処分場が埋まったら終わりという状況が続いて、最終的には自治体やそこに住む人たちに大きな迷惑をかけることになってしまうんじゃないか、こういうふうに思うのです。 ですから、今の届け出制というのは、建設の技術上の基準を指し示して、届け出がそれに合うかどうかという状態になっているでしょう。これを、二十六道府県が県外のごみ嫌だと言っているような都道府県では、もうどうしても届け出制じゃなくて許可制にしてくれという要求が強いのですね。自治体の権限などについてももっと下におろせということを含めて、この最終処分場建設のいわゆる法改正といいましょうか、届け出制から許可制への改正というものについて、皆さんはどのようにお考えになっていらっしゃるか、お伺いをしたいと思います。
○目黒政府委員 届け出制から許可制にということでございますが、現行でも都道府県知事が、単純なる届け出というよりは、むしろ審査を伴った届け出といったような、同じ届け出でも非常に厳しい届け出になっていることは先生御承知のとおりでございます。しかしながら、こういうような点も含めまして、現在でも使用停止命令あるいは改善命令できるわけでございますけれども、やはり先生御指摘のような点につきましても今後の検討課題の一つとして当然選択肢の中に入っているのではなかろうか、私どもはこのように思っている次第でございます。また、本件については、各方面からも同じような御意見あるいは若干異なった御意見を含めていろいろな御意見、御要望をいただいているのも事実でございます。
○鈴木(久)分科員 もう一度水処理問題ですが、ここのところです。皆さん、今の状態では恐らく私が指摘したようなことになってしまうだろうと思うのです。最終処分場の水処理問題というのは、私は、もっときちっとした責任を、業者といいましょうか、それに明確にさせるということをしないとならない。現状ではそれが不十分だと思うのですね。ですから、これらの点についてはどんなふうにお考えですか。
○目黒政府委員 もちろん、現行の制度下でできる限りのことは私どもいたしているわけでございますが、なお、最終処分場の管理者の倒産等によりまして維持管理が不十分になる可能性、これは否定し得ないのでございまして、これも今後の検討課題の一つに相なろうか、このように思っている次第でございます。
○鈴木(久)分科員 最後になりますけれども、この処分場問題は、民間でほとんど建設をしている、そして今のような問題が起きつつあるということなんですね。首都圏のこれだけ膨大に急速にふえるごみ問題を処理し、あるいはまたそういう首都圏のごみがほかへ流れていくものに対して受け取りたくないという周りの都道府県の動き、こういうものを見てまいりますと、民間の業者が処分場を建設して受け皿をつくっていくということだけで産業廃棄物のこれからの処分場の建設というのは思うように進むことはないだろう、進まないんじゃないか、こういうふうに私は思うのですね。公的関与といいましょうか、私ども、県のレベルで議論をいたしましたときにも、これはもっと国や県やそういうところが関与をした形で処分場の建設という問題、あり方、そういうものをすべきなんじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、大臣の考え方をお示しいただきたいと思います。
○津島国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、この問題は極めて深刻な問題でございますから、私どもも、生活環境審議会への諮問を含めて有識者の意見を聞くと同時に、法律改正を含めたしっかりした方針を打ち出すつもりでございます。その中で委員御指摘の、処理場をしっかりしたものに確保するとか事業者責任のあり方とか、どこまで公共が関与するとか、そのコストをどういうふうに持つかとか、基本問題は全部きちっと議論して責任を持ってやりたいと思っております。 公共関与の必要性についてぜひ申し上げておきたいのは、私どもそういう必要性があるという認識から、最終処理場の立地が困難な大都市圏において、港湾区域の海面に処分場を整備して広域的に産業廃棄物の処理を行うというフェニックス計画を持っている、これをぜひとも推進したいということを考えていることも申し上げさせていただきたいと思います。
○鈴木(久)分科員 終わります。
○戸井田主査代理 これにて鈴木久君の質疑は終了いたしました。 次に、辻第一君。
○辻(第)分科員 私は、いわゆるドクターズヘリコプターの問題で質問をいたします。 今日、交通事故の激増などによりまして救急患者の発生は増加を続けております。私の奈良県を見ましても、昭和六十年には二万五千八百七十人でしたが、六十三年には二万八千六百五十四人、このように増加をいたしております。一日平均八十・一人、十八分に一人の救急患者が発生している状況であります。 救急医療体制は、救命救急センターの整備の前進など、かけがえのない人命を守る上で貴重な実績を上げております。今後は搬送時間の短縮や適切な初期治療の充実が強く求められております。そのためには、ドクターズヘリコプターやドクターズカーが重要な役割を占めることは言うまでもないと思います。 先日のNHKの番組、これは交通事故の問題を中心に取り上げられたようでありますが、これを実施するには医療や救急、航空、通信など、各省にまたがる問題であり、種々の問題の論議が必要であります。時間の関係もあるので各論は別の機会に譲りますが、きょうは基本的な問題でお尋ねをいたします。NHKの番組には、きょうも来ていただいておるようですが、警察庁の賀来交通企画課長さんや交通安全対策室の永島参事官など関係者の皆さんが出演をされ、討論の中でドクターズヘリに関して総論的には賛意を表せられたのではないか、私はそのように認識をしているわけてす。 さて、ドクターズヘリコプターについて厚生省、自治省の見解をまずお伺いをいたします。
○仲村政府委員 救急患者さんを運ぶ問題でございますが、陸地の場合にはおおむね救急車ということでございますけれども、離島の場合にはやはりヘリコプターの方がいいというふうなこともございまして、六十二年度から第二次救急医療体制ということでございますが、ヘリコプターにお医者さんが乗るようなことで事業を実施しておるところでございます。したがいまして、私ども必要性は大いに認めておるわけでございますが、地理的な条件でございますとか、もちろん費用の問題もあるわけでございますので、いろいろなことでさらに改善を要するということでは考えておりますが、どういう体制が必要かということも、つまり、お医者さんがどこにいてどういう形で乗るかとか、どういうケースの場合に乗るかとか、ヘリポートと申しますか、その離発着の地域の確保の問題とか、いろいろのことがあるのではないかと思います。したがって、そういう観点から引き続きやはり検討していかなくてはいけない、もちろん改善も図りながらということで考えております。
○飯田説明員 救急の搬送にヘリコプターを導入して活用することは、特に搬送時間のかかる山村僻地、離島などで効果が著しい、救命率を高める上で大変有効なものだと考えております。 消防ヘリコプターの配備については、消防庁長官の諮問機関であります消防審議会での検討結果が平成元年の三月に出まして、そこでは、各都道府県の区域にそれぞれ少なくとも一機を二十一世紀の初頭までに配備することを目標にして計画的整備をする必要があるという指摘がなされているわけでございます。消防ヘリコプター、いずれにしても消火とか救急、救助等に活用されることになるわけでございます。消防審議会の答申を受けまして、消防庁としてはより質の高いサービスを求める国民のニーズに適切に対応するように積極的に取り組む考えでございます。 救急搬送のヘリコプターへの医師の同乗についてでございますが、現状では常時専門の医師を確保することが困難であるという現実がございます。なお、この活用の仕方については今後とも検討していきたいと考えております。
○辻(第)分科員 先ほど厚生省からいただいた御答弁とも重なるようでありますが、今厚生省はドクターズヘリコプターの問題を救急医療体制の検討会で進められておるというふうに聞いております。その内容、今後の見通しについてお尋ねをいたします。
○仲村政府委員 昨年の九月から救急医療体制検討会というのを設けて多角的に御検討いただいて、将来の救急医療体制のあり方ということで御検討いただいているわけでございます。 内容を御紹介させていただきますと、いろいろの角度があるわけでございますけれども、現在我が国では各県に地域医療計画というのをおつくりいただいておるわけでございますが、その中でも、一つの各論的な問題でございますけれども、僻地医療でございますとか救急医療、そういう角度から計画に基づいた救急医療体制というのはどういうふうにあるべきかというあり方の問題、あるいは患者さんのけが、病気の種類も非常に変わってきておるのも事実だと思いますし、非常に高度なものを全国に配備するというのもやはり効率上の問題もございますので、広域的に処理する患者さんの対応をどうしたらいいか。手足の切断の患者さんとか、それをもう一遍つながなくてはいけないわけでございますし、あるいは一カ所のけがでなくて一遍にたくさんあちこちけがされた方、あるいはやけどでも非常に広範囲にやけどをされた方等、そういう広域的に対応すべき患者さんにはどう対応したらよろしいか、広域救急センターみたいなものを考えるべきではないかとかいうことでございます。もちろん仮の名前でございますけれども。 あるいは、今御指摘の搬送途上の医療の充実あるいは現場での医療充実をどういう形でしたらいいか、それから今御指摘のヘリコプター等の救急患者さんの搬送体制、先ほど申し上げましたが、そういうヘリコプターなり救急車へお医者さんが乗っていただく必要性、判断あるいはその仕組み、そういうものも含めて御検討いただいておるわけでございます。諸外国の状況等も専門の方々からお聞きをしながら、今幅広く検討を行っておりますが、本年度中のできるだけ早い時期にとりあえず御報告をまとめていただきたいということで考えております。
○辻(第)分科員 大変御尽力をいただいているという感じがいたします。 それで、外国では西ドイツの救急ヘリコプターサービスが一番進んでいるのではないか、このように思うのですが、そこでの教訓は数多く紹介をされています。ほかにも、官民は別にして、スイスではスイス・エアレスキュー、また米国でもやられているようであります。その中には救急用に設計されたヘリの機種もあるというふうに聞いております。基本的にはすぐれた役割を果たしているということでございます。 そこで、厚生大臣にお尋ねをするのですが、今のような厚生省の検討、御研究とともに、関係省庁との連携を含めて早期に実現をしていただくように御努力をいただきたいと思うのですが、御見解を伺います。
○津島国務大臣 救急医療体制につきましては、先ほど政府委員から御答弁いたしましたように、検討会を設け、今年度中できるだけ早い機会に結論を出して前進を図りたいと考えておりますが、一般的な救急医療体制が一応整ってきた中で、搬送中の問題等を含めて救命率をもっと上げろという要望が非常に強くなっておる、そういう認識は、厚生省はもとより関係各省でもお持ちのようでございますので、この検討会の結論を早くいただきまして、全力を挙げて推進してまいりたいと思っております。
○辻(第)分科員 大変積極的に取り組んでいただけるということでございます。そのように理解をして次に進みたいと思います。 ヘリコプターによる救急患者の搬送は、既に東京消防庁のヘリによる患者輸送が二千人を突破をしたのを初め、北海道、鹿児島、長崎、沖縄県を初め多くの実績がございます。その中で消防ヘリの果たしている役割は非常に大きいと思うのですが、まだ消防ヘリの保有は特定の自治体に偏っておるということでございます。先ほども答弁でお触れになりましたが、消防審議会答申でも消防ヘリの計画的整備を求めているようでありますが、消防庁としての対応をもう少し具体的に説明していただきたいと思います。
○飯田説明員 先ほど答弁させていただきましたけれども、平成元年の三月に出ました消防審議会の答申を受けまして、二十一世紀初頭までに各都道府県の区域に少なくとも一機ということを目標として努力をしてまいりたいと思うわけでございますが、消防庁としては、この審議会の答申を踏まえまして、消防ヘリコプターの導入推進のために平成元年度から消防ヘリコプターの広域的な有効活用に関する調査研究委員会を設置いたしまして、幅広くいろいろな検討をしているわけでございます。消防ヘリコプターの活動の内容、地上の消防隊、救急隊との連携、要員の確保の問題、また整備、運用の体制がどのようなものが適当かどうか、こういったことを、ヘリコプターの導入をするために必要な具体的な検討を行っているところでございます。いずれにしても目標を定めております。積極的に取り組んでまいる所存でございます。
○辻(第)分科員 どうかその計画的整備を十分やっていただきたい。また、その中で緊急出動までの時間を短縮することを初め、効果が上がるような運営に御努力をいただきたい、要望をいたします。 私もいろいろ調べてみたのですが、日本交通科学協議会でドクターズヘリに関する研究が行われております。また、日本救急医学会で「ヘリコプターによる救護システムの必要性」という報告も出ております。交通科学協議会の調査研究にかかわられた岡山の川崎医大の小濱先生、さきのNHKの番組で紹介されていた札幌医科大学の金子先生を初め、多くの先生や救急業務に携わっておられる皆さんが論文や研究をまとめられております。少し前でございますが、国土庁の「山村僻地等における緊急輸送システムに関する調査」もございます。 日本交通科学協議会の実用研究、これは種々の制約で残念ながら事実上病院間搬送しかできなかったようでありますが、ドクターズヘリとしてはその利点、ヘリコプターによる救護システムが適切に運用されると治療開始時間の短縮、現場到達時間の短縮ですね、それから搬送時間の短縮、病院搬入までの継続治療、救急車より安静な状態での患者搬送が可能、適切な治療ができるように高度専門医療機関に短時間で搬送ができる、広域の医療をカバーできる、こういうふうなことの結果によって蘇生率が向上をする、死亡率が減少をする、治療率の向上、病院における治療期間の短縮、後遺症の減少、いろいろと大変な利点があるということであります。こういうことが明らかになってまいりました。 そして、この実験の特徴の一つは、川崎医大の校内に専用ヘリを置くことで搭乗医師の手当てなど医療機関との連携、短時間での出動が可能となったということでもあります。一方、現在患者搬送に使用されているものは、いわゆる救急用でないため病院から離れたところにヘリポートがあったり、出動まで時間がかかったりするという面もあるというふうに聞いているわけでございます。こうした経験が今後の検討に生かされるべきだというふうに思うのですが、厚生省の御所見を伺いたいと思います。
○仲村政府委員 川崎医大のケースでございますとか、今お触れになりました救急医学会の御意見等、私どもも読ませていただいておるわけでございますが、適切にヘリコプターを使用すれば、今おっしゃったように非常に効果があるということも十分承知をしております。ただ、全体の体制、仕組みというものもやはり必要でございますので、そういう点を含めまして適時出動できるような体制、あるいは必要な患者さんにそういう救急システムが到達するような仕組みというのをなお研究をしていくべきであろうと考えております。
○辻(第)分科員 先ほど来お話がありましたように厚生省でもいろいろと検討を進めておられるわけでありますが、同時に実用研究を進めることが必要ではないのか、大切なことだと思うのですね。 これもNHKの報道にありましたとおり、札幌医科大学で道庁のヘリでしたか、北海道庁のヘリを使って航空法上の飛行制限の問題をクリアする、そういう状態で実験をされようとした。ところが、具体的な内容に入ろうとしたところでうまくいかなかった、こういう事実があるようであります。そしてあのNHKの討論の中で、関係省庁はこの実用実験は不可能ではないという意味の発言をしておられたように認識をしておるわけでございます。しかし、実際は実現できなかったという事実がございます。もちろん法律や規則上その他種々の問題があるということもよく認識しているのですが、実用実験あるいは試行ということでも知恵を出せば決して不可能ではない、このように思います。事故現場から患者さんの搬送の実用研究をぜひ実現させていただきたい、このように思うのです。関係省庁が本当に協力をして実現をしていただきたいと思うのですが、その点について消防庁、警察庁の見解を伺います。
○飯田説明員 先ほど御答弁しましたように、ヘリコプターを救急搬送に利用することは非常に望ましいことだと考えております。防災ヘリコプターを北海道庁が所有しているわけでございますが、これを救急搬送に利用することに関して試験事業を行うということ、非常に意義があると考えますので、北海道庁に対して、試験事業の実施について関係機関等との調整、協議を進めるように要請をしているところでございます。現在、北海道において関係機関の間で協議が始められたと聞いております。
○賀来説明員 ただいまの御質問でございますが、私どももやはり交通事故の現場とお医者さんの医療というものがより短縮できれば大変ありがたいことだと願望いたしております。特に、交通事故、今非常事態宣言ということが言われておるときでございますので、間違いなく事故が多発しております。そういう意味で、御指摘のようないわゆるドクターズヘリコプター、そういうような構想というのは、私も人道上関心を持っているところでございます。 具体的に北海道のケースについてお尋ねでございますが、やはり人道上大事な問題であるということで、関係機関に協力をしてまいりたいということで、道警も同じ考えでございます。 以上でございます。
○辻(第)分科員 ぜひひとつ、いろいろな難しい問題があろうかと思いますけれども、関係省庁等がしっかり協力をして、そしてこの実用実験、見事に成功させていただきたい、実現をしていただきたい。そのことがまた、この救急医療体制、殊にドクターズヘリの前進に大きな役割を果たすことができる、このようなふうに信じておりますので、どうかひとつ十分な御対応をいただきますように御要請をいたします。 ところが、この実用実験は、あるいは将来は実際にやっていただくということにもなろうかと思いますが 先ほど来お話ししましたように、関係する省庁が多いですね。厚生省、運輸省、自治省あるいは警察、郵政、総務庁などですか。各省庁の御熱意というのを感じるわけですが、そのままではやはり進みにくい。どこかで、こういうたくさんの省庁が関係をされるということになりますと、中心になって取りまとめていただく、またそういう糸をほぐすところが必要ではないのか、こういうふうに思うわけであります。 いろいろこの間から考えてみて、どこが中心になっていただければいいのかなと思ったのですけれども、なかなかこれは難しいのですね。しかし、救急ということで見てまいりますと、やはり消防庁さんがまとめていただくのが一番いいのではないかな、このように考えるのです。もちろん、厚生省さんとしても十分御対応いただきたいと思うのですが、消防庁さんの考えを聞きたいと思います。
○飯田説明員 先ほどから答弁いたしておりますように、消防審議会の答申を踏まえまして、消防ヘリコプターの導入に積極的に取り組んでいるわけでございます。 救急に活用する場合の問題点として、先ほども申しましたように、医師の同乗の問題が、現状では専門の医師を確保することが非常に困難であるという問題がございます。したがいまして、その活用するについては、医療関係機関との連携を初め、今後とも積極的に検討していかなければならない問題がたくさんあろうと思っております。 現在、公共機関の有しておりますヘリコプター、いろいろなところで持っておりますが、救急の傷病者の搬送に数多く出動がされております。自衛隊とかあるいは防災ヘリとかいろいろございます。そういったものを見ますと、現地で、法律に基づき、あるいは要綱に基づいて事実上一定のルールができている、円滑に搬送業務が行われているというようなこともございます。ただ、医師の同乗についていろいろ課題があろうかと思っておりまして、今後、必要に応じて関係機関と協議をしてまいりたいと思っております。
○辻(第)分科員 最後に、厚生大臣にお尋ねをして、終わりたいと思います。 先ほどまでお話しいたしましたが、ドクターズヘリの実現ということは、今日、国民の大きな願いの一つでございます。かけがえのない命を守るということであり、政府、自治体にとっても、医療関係者にとっても緊急の課題でございます。 ドクターズヘリの問題と同時に、今回は具体的に触れませんでしたけれども、ドクターズカーというのも大変大事な課題だと思います。これはもう車の両輪のように相連携していく必要があろうか、このように思うわけでございます。こういう点での改善措置を含めて、ぜひドクターズヘリの実現のために御尽力をいただきたい。既に先ほど積極的に対応するという御所見を伺ったのですが、最後にもう一度厚生大臣の御見解を伺って、終わりたいと思います。
○津島国務大臣 ドクターズカーあるいはドクターズヘリコプター、こういう医師同乗システムは救命率を高める上で非常に有効であることは論をまたないわけでございます。そこで、先ほども御答弁いたしましたが、救急医療体制検討会の検討の結論を早くいただきまして、関係省庁ともよく調整しながら、積極的に対応していきたいと思います。
○辻(第)分科員 どうもありがとうございました。これで終わります。
○戸井田主査代理 これにて辻第一君の質疑は終了いたしました。 次に、中野寛成君。
○中野分科員 きょう私は、色覚異常問題についてお尋ねをしたいと思います。 いわゆる色盲、色弱者でありますが、その因子を持っている方々は全国で三百万人とも四百万人とも言われるわけでありますし、いわゆる表に出ている色覚異常者がそのぐらい、また、色覚異常のいわゆる遺伝子をお持ちの、特に御婦人を含めて、女性を含めて考えますと、別にまた三百万人もいらっしゃるのではないか、こう言われるわけであります。端的に言いますと、学校のクラスでいいますと、一クラスに大体二人ぐらいそういう方がいるというケースになろうかと思うのであります。私自身もそのいわゆる赤緑、赤と緑の区別がつきにくいという色弱でありますから、自分自身の今日までの体験もありまして、今日まで、予算委員会、文教委員会等々でたびたび質問をし、また要請をさせていただいた経緯があるわけであります。 今日、進学、就職、結婚等々で悩む人もまた多いわけでありますが、これは言うならば、人間の一つの要素として考えますと、障害者の扱いを受けているわけではありません。これは遺伝に基づくものでありますから、まあ時々厚生省の御答弁によると、背が高いとか低いとか、色が黒いとか白いとかという部類のものだと言われたりすることもあったわけでありますけれども、遺伝という意味ではそういう言い方ができるかもしれません。しかしながら、少なくとも今日、色覚異常者を中心にした社会のシステムができているわけではありませんから、ややもすると、言うならば、差別をされることがまだまだ今なお多いという現状があるわけでありまして、そのことを前提として厚生省としても御努力をいただきたい。 また、きょうは文部省、労働省からもお越しをいただきましたが、現在、例えば色盲、色弱は治るというPRをしているクリニックもあるわけでありますね。治るか治らぬか、この論議は、いわゆる医学的に、遺伝子学的に言えば治らないという結論になる、こうされているわけでありますが、しかしながら訓練で色の見分けがなおできるようになるとかということもあるかもしれません。まだ最終的に結論として出されているわけではないわけであります。もし結論が出されているとすれば、治るのならば、その治る方法を補助金を出してでも全国に広げていただきたい。治らないのならば、治るとPRしてそういう高額な費用を取って治療をしているとされているところはインチキということになってしまいます。そこを頼って、何とか治して進学や就職に差し支えないようにと願って、それこそわらにもすがる気持ちでお母さんが子供を連れてそのクリニックを訪ねるということは多いわけでありますから、そういう意味で、厚生省としてはしっかりとそのけじめ、対策を講じていただきたい、私はこういうふうにも思うわけであります。 そういう意味で、まず、厚生省としてどういう取り組みを今日までしてこられたか。学者といいますか学界等において積極的にこのことについて研究をしてくださいと言いましても、なかなかもって学問的な分野では、学者としての興味を引く引かないの問題もあるでしょう、積極的にこれを研究してくださる方がそうないということも聞いております。むしろ厚生省の方から積極的に協力を要請して研究をしていただくということが望まれている。ほっておいても興味を示して学者の皆さんが研究してくださる分野なら、それはそれでほっておいてもいいのですけれども、そうではない。しかしながら、冒頭申し上げましたようなたくさんの方々がそれで悩んでいるという実態はある。しかし、事の性格上、団体をつくって圧力団体として政府へ押しかけて陳情する、請願をするという性格のものでもないわけであります。 そういうことも含めて積極的な取り組みをお願いしたいと思いますが、厚生省としていかがお考えでしょうか。
○仲村政府委員 御指摘のように、ある病気あるいはある状態に対して研究を促進するというのは、今先生まさにおっしゃったように、非常に興味を引く部分でございますとか、研究の第一線の方たちで、若干そういう過密な状態とかあるいは疎の状態とかいろいろあるということは事実だと考えております。 この色覚異常でございますけれども、おっしゃいますように、余り活発に研究されてきた分野とは言いがたいのは御指摘のとおりだと思います。その背景には、やはりそもそも色を感ずる仕組みでございますとか、それがどういうメカニズムで異常になるかというふうな部分が、まだ生理学的な分野でも余り解明されていないのが事実だと考えております。したがって、私ども、今おっしゃいましたような形でやはり色覚については基礎的な研究を進めるということでお願いしたらいかがかということもございまして、元年度からそういう研究をお願いしておるわけでございます。 したがいまして、色覚異常というのはそういう基本的な色覚についての基礎的な研究がベースになるということでございますので、現在は基礎的な研究ということでお願いしておりますが、さらに、そういう成果を得られた際には、臨床的な研究でございますとか治療法についての研究というのは今後進めていくという方向で対処してまいりたいと考えております。
○中野分科員 事の必要性、重大性、そして人道的な問題が非常に絡み合っている大切な問題でありまして、ひとつ大臣の方からも大いに事務当局、また学界へも督励をしていただいて、また関連する関係諸官庁に対しても協力を要請していただいて、この問題について本当に前向きのよりよい結果ができるだけ早く生まれますようにお願い申し上げたいと思いますが、まず大臣の御答弁をお願いします。
○津島国務大臣 色覚の異常につきましては、例えば交通信号の識別なんということを考えますと、やはりそう軽々しく等閑視できない問題だと思います。 そういう意味で、委員が一党の政審会長というお立場でありつつもこの問題に非常に強い関心を持っていただいているということを私どもは非常に感謝をしているところでございますが、厚生省としては、政府委員からも申し上げましたように、補助金を出しまして、とかく等閑視される分野であってはならないということで色覚についての基礎的研究を進めさせておりますけれども、お話しのとおり、さらに一層心を新たにして取り組んでまいりたいと思います。
○中野分科員 交通信号の問題も、警察の方の御理解や御協力をいただいて、色覚異常を理由にして乗用車の運転免許が取れないとかというケースはほとんど皆無と言ってもいい状況に現在あると思います。しかしながら、より安全性を高めていこうと思いますと、実は私でもとっさの場合に青か赤かというのを見間違えているときがあるのです。ですから私は、慎重を期して自分自身運転免許を取っていないのです。本当により安全なためには、これは警察の方でも御協力をいただいて、例えば交通信号にもっと工夫をしていただくということなどはぜひやっていただきたいなと思っているのです。 しかし、これは全国の交通信号、また国際的な問題もありますからそうは一気にいかないんだと言われるのですが、しかし徐々に、入れかえるときに工夫をして入れかえていって、何年か先には全部が取りかえられて、そしてより一層安全になるということは可能なわけでありますから、そういう工夫を私はぜひしていただきたい。例えば、丸、バツ、三角を交通信号の中に組み込むということになれば、これだけでも解決できる。そういうデザインを名古屋のデザイン博で出した方がいらっしゃったとこの前聞きまして、ああ、同じ考えを持っている人がいるんだなと思いましたけれども、そういう工夫もひとつ大臣の方で、政府として御検討いただきたいなと思います。これは答弁は結構でございます。 続いて、文部省にお尋ねいたしますが、私がこの問題を取り上げまして、早速一番最初に具体的な反応を示して努力していただいたのは文部省さんです。 教科書をまず色の見分けができるように工夫をしていただいて、例えばここに図表がありますけれども、色で区分けしたグラフ、この色と色の間に線を入れるなどして、そして色の配色も具体的な工夫をしていただいて、見分けがつきやすいようにいろいろな教科書を実はしていただいた。色覚異常者でも見えやすい色の配色、見えにくい色の配色、こういうことを教科書に取り入れて、例えば地図をつくるのにも、社会科や理科、いろいろな教科書の工夫にも、数学、算数の教科書にも工夫をしていただいた。 私は大変感謝をしておるのでありますが、あわせまして、その研究会を設けて、学校現場において学校の先生方がそういう児童生徒に対してどういう配慮をしなければならないかということで「色覚問題に関する指導の手引」というのをつくってくださった。これを読みましたら、これは私、労働省も厚生省も参考にしていただいたらいいんじゃないかなと思うくらい、体験者というか自分自身の経験に基づいて考えても本当によくできているなと思って感心をしているのでありますが、そういう努力をぜひこれからもしていただきたいと思うのです。 これは当事者じゃないとわかりにくいかもしれませんけれども、学校の運動会で色分けの旗があります。あなたは何色の組ですと言われてもその旗の色の見分けがつかない。鉢巻き、バトン、それこそ体育の時間にさえ、そのバトンタッチで困るということさえある。こういうことというのはなかなかわからない。これは理科や化学の世界だけと思っている方もいらっしゃるかもしれませんけれども、例えば、国語で作文を書くときに色についての表現を意図的に避けるのです、自信がないから。 ですから私は、学校において例えば内申書をつくるときでも、むしろそのことを配慮した内申書といいますか、自信がなければどうしてもその分野については興味を示しませんし勉強するのも嫌になります。だから心理的にもどうしてもハンディを背負ってしまうのです。そういうことの配慮も実はしていただきたい。 私はこのことのために自分の職業選択を二回変えました。そのときに、たまたま担当の先生の指導がよかったから、落ち込まないで、それをばねにしてよりよい仕事をしようということで今日に至りましたけれども、そのとき先生が言い方をもし間違えたら、その子供はそれこそ転落をしてしまいます。私も、一回だけありますが、おまえは変な色の絵をかくなと美術の先生にぼろくそに言われました。私はもうそれ以来一度も絵をかいたことがありません。そういうことが実はあるわけでありまして、そういうことについても配慮するようにという文部省の工夫をいただいたことに私は敬意を表したいと思いますが、まだこれから、進路指導、進学指導、工夫をしなければならない分野が文部省にも残っているであろうと思います。 まず、御苦労いただいたことに敬意を表しながら、現在文部省としてどういう取り組みを引き続いてしておられるか、お聞きをしたいと思います。
○梶野説明員 今先生からお話しいただきました「色覚問題に関する指導の手引」というものを刊行したわけでございますが、そこでは、教師が色覚異常について正しい知識をまず持っていただきまして、その上で色覚異常の児童生徒の実態を的確に把握していただきまして、学習指導や生徒指導、進路指導において適切な指導を行うことが必要であるという観点に立っているわけでございます。この「色覚問題に関する指導の手引」は、そうしたことで学習指導、生徒指導、進路指導で留意すべきことを中心に構成されておりまして、さらに資料といたしまして、教師が具備しなければならない基本的な知識もあわせて載せているわけでございます。 これを昨年の五月に全国の国公私立すべての小学校、中学校、高等学校、特殊教育諸学校、専門学校、さらに教育委員会などの関係部局にすべて配付させていただきました。そしてまた、昨年の秋に文部省で開催しました全国レベルの各学校種別ごとの各教科の担当指導主事さんの研究協議会におきましてもこれを配付いたしました。また、都道府県の教育委員会の指導部課長会議におきましても配付いたしまして、これらの会議の参加者に対しまして、手引の趣旨を徹底するように御指導申し上げているところでございます。 今後は、この手引が各学校で、例えば校内研修会で積極的に活用して研究していただきまして、すべての教師が先生がおっしゃいますように色覚異常について正しい認識を深めていただきまして、色覚異常の児童生徒に対して適切な指導が行われることを期待しているところでございます。 また、高校入試におきますそうした色覚に問題を有する生徒に対する制限措置も一部あったわけでございますが、これもそれを見直す方向で指導してまいりましたけれども、平成二年の春の試験から、すべての県で制限が撤廃されたという状況でございます。 以上でございます。
○中野分科員 制限が撤廃をされた、これまた大変朗報でございまして、大学の医学部等もそういう制限がだんだんなくなってきたということも聞いておりますし、どんどんこれからそういう工夫もしていただきたいと思うわけであります。 労働省からもお越しいただきましたが、障害者雇用対策課長さんがお見えでございます。障害者雇用対策の範囲で考えなければいけないのかなと思ったりもいたしますけれども、実は障害者と言えない部分がある、しかし、労働省や厚生省にそれを担当するところがない、厚生省というのはおかしいですが、労働省もないというふうなことも一面をあらわしているのじゃないかと思うのであります。 この就職制限、採用制限、文部省のその資料には、就職を願っている学生、子供の熱意に打たれて、結局制限をしておった企業が特別に採用してくれたというケースが、実はそのケースとして書かれているのです。しかし、まだまだ企業の採用案内なんかの中には、だめですと書いてあるところが多いのです。ただ、運転手は困りますよとかなんとか、職業上のあれはあるかもしれません。それだって逆に言えば、民間企業、民間私鉄の信号をかえれば色覚異常者だって民鉄の運転手になったって差し支えないわけであります。むしろ発想の転換をしていただきたい。そういうのは消耗品ですから、いつの日か全部入れかわるときが来るのです。徐々にかえていけばいいわけです。そして最後は、そういう差別をしなくて済むような時代が来るはずなんです。 というふうに、私どもは雇用の問題についても企業の理解をもっと深める、そしてまた、地方公共団体を初めとして役所の方も認識を改めていただける工夫をして、何の差し支えもないように、していただくということが大事だと思うわけです。 私の耳に入りますケースでは、事務系の仕事でおよそ関係なさそうな分野でも、やはりコンピューターでいろんな書類の区分けを色紙を使ってやりますからだめですというようなことで制限するようなケースも聞きます。こういうふうにして、できるだけ「触らぬ神に祟りなし」ではありませんけれども、結局避けよう避けようとする意図の中で門戸が狭められていくということがちょっと油断すると起こるわけであります。 そういう採用制限をしている企業の実態調査をしていただき、そしてその制限は本当に必要なのかどうかという調査をしていただきたい。そしてもう一つは、その制限をしなくても済む工夫ができるのではないかという検討を労働省の方でもしていただきたいと思うのであります。労働省に対しても私はたびたび実態調査のお願いをしてまいりましたが、その後どのようになっておりましょうか。
○小泉説明員 お答えいたします。 まず実態調査の関係でございますけれども、色覚異常の方々の採用を制限している企業の業種あるいはその職種というものを網羅的に体系的に把握するというのはなかなか難しい面もあるわけでございますが、労働省といたしましては、各公共職業安定所へ出された求人につきまして、色覚異常を不可とする求人条件を付している、こういうものについて抽出調査を行ったところでございます。 その結果で見ますと、調査いたしました求人件数のうち色覚異常を不可とする求人件数の割合でございますが、一般求人、これは新規学校卒業者以外の求人ということになるわけでございますが、一般求人で一・一%、それから大卒等で一・二%、それから高卒を対象とした求人で九・三%となっておりまして、全体といたしましては一万八千九百六十件の求人を調査いたしたわけでございますが、そのうちの六百五十二件、三・四%という率に相なっております。 この三・四%の中身でございますが、これら色覚異常を不可とする求人の業種を見てまいりますと、やはり出版であるとか印刷、繊維、こういった業種の割合が高くなっておりまして、例えば今申しました業種の現場技能者について見てまいりますと、一般では七七・七%、それから大卒は五・三%、高卒では六五・七%を占めております。大卒が低いわけでございますが、大卒の場合は、今申しました業種に係る営業職、これが五七・八%、こういうような状況に相なっております。 こういう状況も踏まえまして、色覚異常を不可とする求人というのは、これは委員御指摘の点もございますが、やはり非常に難しい業種、業態あるいは職業というのもあるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、そういう求人を受理いたしましたときに、あるいは職業相談の過程で職を求めておられる求職者の方が色覚異常だということが判明して、希望する会社を紹介していただきたいというようなときに、色覚異常というような条件を付される場合もあるわけでございますけれども、そういう場合には、まずは本当にそういう制限が必要なのかどうか、これはその職務の内容をよくよく聞いて、先ほど申されましたように、例えば本当に簡単な帳票だけをいじるのに色覚異常ではだめだというようなケースは、私どもとしてもできるだけ企業を指導してそういう制限を付さないようにというふうにしてまいりたい、こういうふうに思います。 それから、やはりどうしても必要なところもあるわけでございますが、それでも職務の流れとか仕方を変えることによってある程度その条件を緩和するということも可能なケースもあろうかと思いますから、そういった観点からも、求人者といいますか企業を十分指導してまいっているつもりでございますし、今後ともその努力を続けてまいりたい、かように考えております。
○中野分科員 実は、私の親戚の中にもあるのです。大手企業の事務系で、どう考えてもその必要性がないと思われるところでも、筆記試験等は合格しているのですが、健康診断書、その中に色覚異常であることが記載されていることが理由ではねられたケースが実はあるのです。結局、書類上に色覚異常はだめですと書いていない、採用条件の中に書いていないところで、実際にはそれを採用選択の中で利用してしまっているというところもあるのです。ゆえに、実際は、目に見えない、数字にあらわれないところのそういう問題の方が深刻なわけです。 ですから、私はあらゆる企業の良識にまちたいと思いますが、そのためには、労働省としての御指導をなお念入りにしていただけるようにお願いを申し上げたいわけです。そのことによってその人の人生が左右されるのです。そして、それは本当の正しい理由がないままに——私も色覚異常者では無理な職種があることはよく承知をいたしております。それを無理をさせれば事故につながったりいろいろなことがありますから、私はそのことまで全部撤廃しろとは申しません。しかしながら、門戸を狭める方向じゃなくて、やはり門戸はだんだん広がっていく、いろんな工夫がされて広がっていく、実質上もうほとんど制限はないという状況に持っていくように限りなく努力をするということ、継続的に努力するということが必要だと思うわけでありまして、労働省として、各企業に対して、また企業団体等に対してそういう協力要請をしていただけるかどうか、もう一度お聞きします。
○小泉説明員 御指摘ございましたように、無理解とかあるいは誤解といったような点に基づく就職差別といいますか、あるいは門戸を閉ざすということは、職業というのは人生にとって最大の問題であるわけでございますから、非常に個人の生活あるいは社会生活の基盤に大きな影響を与える重要な課題だろうというふうに私どもとしても考えております。 先ほど申しましたように、公共職業安定所では、求人を受理したりあるいは具体的にその求人について紹介をしたりするときに、求人条件の中身を綿密に調べ、必要に応じては企業に対して職務の再設計であるとか職務変更であるとか、そういったことをお願いしつつ企業の指導というものもやっているわけでございますが、なおそれについて充実すべきでないかという御指摘につきましては、関係省庁とも連絡をとりつつその充実について検討してまいりたい、かように思っております。
○中野分科員 時間がありませんから、最後に結びたいと思いますが、大臣に再度御要請を申し上げたいと思います。 ひとつ内閣の中におきましても、これは関係省庁幾つか、かなり広くまたがることでもございます。そういう意味で、私は、このための何か連携機関をつくって、そして総合的に御研究をいただく、そしてまた、厚生省としては医学的な視点からのなお一層の調査研究を積極的に進めていただく、この二つを再度御要請を申し上げたいわけでございます。大臣の見解をお伺いします。
○津島国務大臣 委員の御質問の機会に色覚問題に関する私の認識も深めることができたと思っております。また、各省の御答弁を伺ってみますと、それぞれいろいろの工夫をしておられるということもわかりました。 そこで、お話しの各省庁間の連絡、協力のあり方、それからまた、厚生省の固有の分野で問題の研究を深めてまいりまして、色覚異常のある方々の立場の改善のためにどういう方策があるか、研究してみたいと思います。
○中野分科員 終わります。ありがとうございました。
○戸井田主査代理 これにて中野寛成君の質疑は終了いたしました。 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時五十六分休憩 ────◇───── 午後一時三十分開議
○林主査 休憩前に引き続き会議を開きます。 厚生省所管について質疑を続行いたします。草川昭三君。
○草川分科員 草川です。 最初に、骨髄移植と骨髄バンクの問題についてお伺いいたします。 白血病に代表される血液の難病に苦しむ人たちが多いわけでありますが、我が国ではこの病気に対する有効な治療法と言われる骨髄移植がなかなか定着をしていません。昨日公表されました骨髄移植の評価に関する研究の報告書では、骨髄移植は一部疾患については長期生存を期待し得る最善の治療方法とされているようですけれども、これは具体的にどのようなことを指すのか、お伺いをしたいと思います。
○長谷川政府委員 報告書によりますと、白血病の治療方法等といたしましては骨髄移植なり化学療法等の治療方法があるわけでございますが、白血病のうちのいわゆる第二寛解期以降の白血病、いわゆる再発白血病の治療成績につきまして見ますと、患者の五年生存率を見ますれば骨髄移植の方が化学療法等よりもすぐれているということは言われております。また、重症再生不良性貧血の患者に対する骨髄移植の五年生存率は七〇%ということでございまして、他の治療方法と比較してすぐれているというぐあいに報告されているところでございます。
○草川分科員 今の報告をさらに延長していくわけですけれども、第三者間における骨髄移植というものは、いわゆる提供者、ドナーのリスク等いろいろと問題があると言われているわけです。この指摘の内在する問題とは具体的にどのようなことを指すのか、お伺いしたいと思います。
○長谷川政府委員 骨髄移植の際には、先生も御存じのとおり、いわゆる骨髄提供者、ドナーに全身麻酔をかけた上に腰の骨に数十カ所の針を刺しまして必要な骨髄を抜き取るという処置が必要なわけでございますから、そういうことで麻酔に伴う事故なりあるいは感染症によります合併症などが〇・二ないし〇・三%の頻度で発生するということが言われているわけでございます。そういう面で、事故発生時の補償体制等につきまして検討する必要があるということが言われているわけでございます。 それからまた、骨髄移植の採取につきましては、提供者が提供に同意いたしましてから実際に提供するまでの間に約一カ月間の期間を必要といたします。その間には、先生も御存じのとおり患者にいろいろな処置を施す必要があるわけでございますので、そういう面で、同意してから患者に提供するまでの間にかなりの長期間を要するわけでございますので、場合によりますと患者に骨髄が提供できないような場合も起こり得るわけでございます。そうなりますと患者の死亡につながるというようなこともございますので、提供者は、一たん提供するというお約束をいたしますと患者の生死を左右するということで、かなり精神的な拘束を受けるわけでございます。 これを避けるためには複数のドナーを用意しておくというようなことが必要となっているわけでございます。このような意味におきましても、広く一般からドナーの確保が必要であるというぐあいに考えておるわけでございますが、そのためには、骨髄移植につきましての理解を国民にさらに得るために、どういう場合に骨髄移植が必要であるかというような適応基準につきましての判断をもっときちっとした上で、それをもとにして国民にPRをするといいますか、理解を求めるということが必要であろうというようなことが問題として指摘をされているところでございます。
○草川分科員 実際問題として私どももそういう患者の相談を受けたことがあるわけですが、このほかに費用の問題が大変膨大なものになるわけでありまして、地域的にいろいろと多くの方々の善意の協力を得るとかいろいろな問題が残っております。ですから、私どもは将来そういう経済的な面に向けてもどういう対応が必要かということを考えていかなければいけない、こういうように思いますが、きょうは問題提起だけさしていただこう、こう思っております。 それから第三番目でありますけれども、骨髄バンクはいわゆる公平性あるいはまた公共性というものが担保された非常に幅の広い、広域的な組織でないとなかなか条件が一致しない、こういう問題もあると思うのです。そういう広域的な組織であることが必要だという問題提起をしておるわけですけれども、具体的にどのような組織を指しているのか。例えば、私どもはすぐ日赤というようなものが頭にくるわけです。それは全国的な血液センターというものを持っておるわけですから、一番公な機関としてはいいのではないかと思うのですけれども、この骨髄バンクに関する公的な機関の関与として、具体的にどの程度のものを考えているのか、お伺いをしたいと思います。
○長谷川政府委員 先生も御指摘のとおり、骨髄バンクにつきましては、今後、その組織のあり方なり公的な機関の関与のあり方につきましていろいろ有識者の意見を聞いて考えていかなければならぬというぐあいに思っている次第でございます。そういう面で、これからそういう研究班をつくりまして検討をお願いしようというぐあいに考えているところでございますので、現時点におきまして具体的なことについては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○草川分科員 本問題は以上で終わりますが、これは私ども地元で、名古屋で一生懸命ボランティアの方々が中心になりまして、この方々の運動が今日実を結んできておるわけであります。そういう善意の方々だけに頼ることなく、公的な機関というものが幅広く公共性を持ちながら対応できるようにぜひしていただきたいということを強く要望しておきます。 次は、医療法の改正についてお伺いをしたいと思います。 現在、医療法の改正についてはいろいろな意見があるようでございまして、医療審議会あるいは制度審議会にもまだ改正案というものが諮問できないような状況だとも言われているわけでございます。それで、ちらほらいろいろな情報が漏れてくるわけでございますが、今のままでいきますと、これは、内閣が国会に非予算関連法案の提出をするにはいわゆる時期というのがあるのですけれども、もう四月の下旬になってしまって、当然のことながらこれは連休明けになるわけでございますが、このままでは今国会の提出は無理ではないだろうかというように思うのですけれども、見通しはどうか、あるいはまた、今何がどういうところで問題になっているのか、これをお伺いしたいと思います。
○仲村政府委員 御指摘のように、現在まだ関係審議会に諮問するに至っておりません。できるだけ早い機会に成案を得て、諮問、答申をいただいて今国会に提出したいということで、最大限の努力を重ねていきたいと思っております。 何が問題かと言われましても、なかなか一言で言いにくい部分もございますが、案、考え方というものについてのいろいろの疑問と申しますか、そういうものについての御説明をしておる段階というふうに考えております。
○草川分科員 本来、こういう医療法というような重要な改正案になると、関係各団体等にも事前の根回しなり了解が行われて一定の時期に来ると思うのですけれども、これが普通の法律と違いましてもたもたしている理由は、私は、今日の医療の基本的な経営に対する不安感とかあるいは高齢化社会に備える日本の医療そのものの将来像が非常に明確でないところにあると思うのです。そのあたりはもう一歩突っ込んだ答弁をしていただきたいと思うのですが、今のでは役所としては失格のような答弁になると思うのですが、どうですか。
○仲村政府委員 やや内部と申しますか内容にわたるかもしれませんが、私ども従前から申し上げてきたことは、我が国の医療供給につきましてはおおむね量的に主要先進国と肩を並べる時期に来たのではないか。したがって、前回六十年十二月に医療法を改正させていただいて地域医療計画というものを各県につくっていただき、昨年三月で全県に計画ができたわけでございますが、今後医療供給に期待されるものは何かといいますと、私どもなりに考えまして、我が国の医療の質を下げるわけにはいかない、といって、やはり供給面におきましては効率性を導入するということは必要であろう、そういう観点から、私ども今回は医療機関の機能の分化、役割の分担、そういうものを企図した法律の改正をしたいということで作業をしておるわけでございます。 また後で出るのかもしれませんが、プライマリーケアを初めといたしまして、そういう在宅医療のレベルから非常に高度、先進的な医療も確保するということで、医療機関の機能分化を図るという観点から作業をしているわけでございまして、もちろん先ほどおっしゃった不安感とかそういうものは、現状を改変することによって必ず生まれる部分でもあると思いますが、そういうことのないようなことで、私ども十分な説得をしながら、我が国の医療の供給が二十一世紀に向かって効率のよい、質の維持できる供給体制を考えたいということで作業をしているところでございます。
○草川分科員 具体的に少しお伺いしますが、例の特定総合病院を制度化するというのがかなり問題になっておるように伺います。 この特定総合病院というのも、総合病院とどう違うのかとか、いろいろな意見がありますが、これも漏れ承るところによりますと、当初の名前は高次機能病院というようなことを考えてみえたというように聞きます。いわゆる今の機能分化という答弁にもこれが合うわけでありますが、この理由についてはもういいです、時間がございませんし、我々もわかっておりますから理由はいいのですけれども、規模をどの程度のものを想定しているのか、お伺いしたいと思うのです。 例えば、ベッド数で言うならば五百ベッドぐらいを考えるのか、千ベッドぐらいのものを考えるのか、あるいは例えば大学の附属病院のようなものを考えているのか、あるいは日赤のようなものを考えているのか、地方で言うならば県立病院のようなものを考えているのか、どうでしょう、もう少しイメージをこの際明らかにされた方がかえっていいのではないかと思うのですが、お答え願いたいと思います。
○仲村政府委員 具体的に病床規模というのはまだ最終的な確定に至ってないということでお答えさせていただきたいのです。 イメージといたしましては、我が国の医療をリードするような病院、しかもかなりの規模を有して非常に高いレベルの人員配置、構造設備基準、そういうものを持った病院ということでございまして、現在のところ私どもが考えておりますのは、例えば大学病院の本院とかそういうレベルのものと思っております。
○草川分科員 大学病院、あるいは循環器センターだとかがんセンターのようなものも入るのでしょうね。それはどうですか。
○仲村政府委員 細かくはさらに政省令の段階で規定をしてまいりますが、現在私ども考えておりますのは、国立の場合にはがんセンター、循環器病センターも含まれるというつもりで考えております。
○草川分科員 そうすると今度は、大体のイメージというのはわかるわけですけれども、特定総合病院の審査基準、あるいは高度の設備、人員というのが配置をされるということを今言っておみえになるわけですが、そうなりますと何らかの形でそこに今後の予算というのが集中をしていくのではないだろうか。 いわゆる高次機能というのですから、そこだけがグレードアップし、そこから漏れた病院というのは何となく、一流二流という言葉が適当かどうかわかりませんけれども、高次とか高次元という言い方はわかるけれども、それを言葉をかえて言えば、一流か二流かになれば、従来の病院は二流というような位置づけになる、そういうふうに社会的にとらえられないか、あるいは、その高次機能のところに予算がどんどん集中するという不平等さというものが生まれてくるのではないか、この点はどうですか。
○仲村政府委員 高度の医療を提供するということが前提でございまして、そのために医療機関に格差ができるというふうには私ども考えておりません。機能の分担をしていただくということでございますから、例えば、例が適当かどうかわかりませんが、心臓外科手術なんというのは、町の小さな病院でやるについては頻度の観点からいっても施設整備にむだがあるだろうということになりますと、やはりある程度の規模の病院でおやりいただかなくちゃいけない、しかも技術レベルを維持するためには、例えば心臓の外科手術を行うにつきましても例数が多くないといけないという問題があるわけでございます。 技術を均てんするという意味もございますが、同時に、この高度医療の施設というものは例えばどんな小さな町にも必要だというふうにはお考えにならないのは当然だと思いますので、患者の流れという観点からいいまして、必要な医療は必要なところでできる、しかもこの特定総合病院の場合には非常に難しい手術とか難しい治療もここへ行けばできるということで、むだのない機能の配分を考えたらいかがかということから、今回は特に高次機能の部分については特定総合病院、現在の仮の名前でございますが、特定総合病院で機能を集中する。 しかしそれは、もちろんそのために必要な社会的資本の整備という観点からの整備は必要だと思いますけれども、他の病院を圧迫するとかそういうふうなことではなく、ある地域でどんな難しい病気でも対応できるような質を維持するという観点からもこういう医療機関を特定したい、こういうことで考えております。
○草川分科員 お互いにイメージが多少食い違ってくると問題はあると思うのですが、心臓外科手術という言葉が今出ましたけれども、例えばその心臓外科手術というのは、俗に言うところの総合病院でも現実にやっているわけですね。必ずしも高次機能というようなところに予算を集中し、あるいはそこに人員等も集中しなければむだだとは決して言えないものがあると思うのです。そこら辺の線引きが非常にまた難しいと思うのです。 今厚生省が考えてみえるようなもので特定総合病院というのをつくるとするならば、当然診療報酬もそれに比例する形で特定総合病院における手術料というのは一般総合病院における手術料と格差が出るんじゃないかと私は思うのですが、そのあたりはどうお考えになっておられるのですか。
○坂本(龍)政府委員 特定総合病院につきましては、医療施設の機能分化を進めるという観点から、高度の医療機能を有する病院として医療法上の位置づけを行うという方法で検討されるものと承知をいたしております。 しかしながら、診療報酬の問題につきましては、現在の診療報酬の体系というのが現実に行われている医療行為に対応して決められているわけでございまして、そういった病院の種類といったようなものには必ずしも直接に対応していないという面もございます。現時点におきまして、この特定総合病院における診療報酬がどのようになるか、これについて明確なお答えを申し上げることはできない段階でございますが、いずれにしてもこの問題は、医療法の改正が行われて現実に医療機関としての医療内容というものが明確になった段階でどう対処するべきか、これは中医協での御議論をいただいて決まっていく問題であろうと考えております。
○草川分科員 将来の問題だという答弁ですけれども、そこは非常に重要な問題だと思うのですよ。ですから、本来ならば、将来考えると言うから余計に混乱が起きるので、今現実に将来の考えを明確にしておいた方がこの問題は解決がうまくいくんじゃないかと私は思うのですが、その点どうですか。
○坂本(龍)政府委員 この問題は大変難しい問題でございまして、医療法の改正という体系としての機能分化の問題と診療報酬の問題というのは、ある意味では関連はございますけれども直接に結びつくというものでもございませんし、現時点において、現在考えております医療法の改正の考え方に対応して具体的な診療報酬の扱いを決めるということは、私どもとしては極めて困難であろうかと思っておる次第でございます。
○草川分科員 この問題、長くなりますので、次の長期療養病床群の制度化についてお伺いしたいと思うのです。 これも制度化の理由は発表されておりますから結構です。いわゆる具体的な内容、これまた今の特定総合と同じようにイメージをお伺いするわけですけれども、例えば老人病院というようなものを考えるのか、それとも慢性病や結核等まで含んだものを長期療養病床群というふうに位置づけをするのか、お答えを願いたいと思うのです。 同時に、長期療養という入院の範囲ですけれども、それは三カ月なのか半年なのか、具体的にどの程度のものを頭に浮かべながら長期療養病床群というものを考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
○仲村政府委員 先ほどちょっと言い落とした部分もございますので、特定総合病院のことでちょっと追加させていただきますが、例示的に心臓外科手術と申し上げましたが、もちろん一般の医療機関でやっておるものもございますが、より複雑な例えば心臓外科手術という意味で申し上げたわけで、そのほかに、医療技術開発をやっていただくとか情報を管理して開示していただくとか、開発段階の医療技術を評価していただくとか一定の研修機能を持っていただくとか、ソフト面ではそういう問題、ハードでは、人員配置の問題、設備の問題、規模の問題ということで今後決めていくということでございます。しかも一定割合の紹介患者を診ることを前提にするということを追加させていただきたいと思います。 それから、長期療養病床群でございますが、これは患者の療養の実態に着目して今回制度化をしたいということでございまして、私ども現在考えておりますのは、まだ最終的な案ではございませんので確定的ではございませんけれども、ねらいは長期入院患者にふさわしい医療を提供するということが目的となるわけでございまして、病気の種類、まあ結核の場合には結核病床ということで別にありますので今回いじりませんけれども、病気の種類というよりは、療養しやすい病床のグループということで区別をしてまいりたいと考えておるわけでございます。 現行で一般病床に入っておられる長期入院患者さんのうち、三カ月で切りますと全体の四割ぐらいが三カ月以上の入院者ということになっておりまして、特例許可の老人病院は一割ぐらいしか対応しておりません。したがって三割は一般の病床と混在して療養されておる。そういうふうなことから考えますと、患者さんの療養あるいはクオリティー・オブ・ライフとか、そういう観点からしますと必ずしも長期療養にふさわしくない病床に収容されておる患者さんがあり得る、そういう方たちを療養しやすいような環境に入っていただくということで、病床を区分していきたいということで考えております。
○草川分科員 例えば、今特例許可の老人病院という話が出ましたが、長期療養病床群と特例許可の老人病院が将来中身は同じようになっていくんじゃないかという気がするのですが、将来一元化という方向にいくのですか、その点はどうですか。
○仲村政府委員 特例許可につきましては、現在文字どおり特例で許可をしておるということですから、そういう意味でいいますと、非常に変則的と申しますか、そういう部分はあると思います。しかし、私どもが先ほど申し上げましたように、患者さんが長期に療養する場合にふさわしい環境ということになりますれば、当然現在の老人病院についても同じような機能を担っていただいているのではないか。ただし、今回私どもが考えておりますのは、長期療養病床群につきましては、例えば人員配置の面ではそれよりもう少し上のレベルと申しますか、手厚い介護、看護をしてさしあげるということでございますが、カテゴリーとしてどうかとお尋ねになれば、そういうものも将来的には含まれるということで病床を区分していきたいと考えております。
○草川分科員 重要なお話ですから少し本当はやりたいのですが、時間がないのであれでございますが、今回の医療法の改正の意図というものは、ざっくばらんに言うならば医療費抑制につながるのではないだろうかというのが私の実感なんです。 それで、いわゆる医療行政というのはいろいろな言い方をしております。高齢化社会に備える云云というのがありますけれども、実際上は財政対策が一貫して今の厚生行政の底流にあるのではないか、こういう感じがしてなりません。これは非常に重要な点でございますし、また、医療経営者の立場に立ってみれば、医療経営が非常に不安定だ、なぜこういうことをするのだろうか、自分たちが切り捨てられるのではないだろうかという不安も率直な一面にあると私は思うのです。これは重要だと思うので、大臣、答弁をしていただきたい、こう思います。
○津島国務大臣 医療法改正の問題については、ことしの一月に「今後の医療供給体制の在り方」という考え方をお示しをして、今検討が行われているわけでありますが、要は、良質な医療を効率的に提供するにはどうしたらいいかという観点から病院機能の体系化を考えてみようということでございます。 それで、先ほどから委員御指摘の、特定総合病院に例えば予算が集中するというようなお考えを持たれるとすれば、私どもはそういうことを考えているわけではないので、非常に特殊な高度の医療サービスも大事だけれども、そういう医療サービスを特に必要とする方というのは数が限られておるわけでございます。ですから、相当重篤であるけれども、そういうところでないところでしっかりとサービスをするという方についてもしっかりとしてさしあげなければならない。しかし、今の状況を見てみますと、例えば相当大きな総合病院というか高次の病院に風邪の方が行かれて検査からずっとおやりになるというようなこともまた指摘されているわけでございますから、そういう点から見れば、委員も、そういうのはぐあいが悪い、やはりそれぞれの症状や必要なサービスに応じた体制がきちっとできているのがいいし、自然にそういう方々がそこへ行けるようになっているのがいいとお考えになるのではないかと思います。 私どもは、要するにそういう適切な役割分担をしていただいて、それぞれにいい仕事をしていただくという見地から検討されているものと考えております。
○草川分科員 もうあと二分しかありませんので、これは私の要望として聞いていただくということで、時間のあるだけ要望しておきます。 今の大臣の答弁にありましたいわゆる一次、二次、三次という程度の機能分化ならば、常識としてこれは認められると思うのです。しかし、今回出ているのはそれを少し上回る問題提起である。だからこそ私は審議会にもまだ諮問できない問題点があるのではなかろうか、こういうような感じがいたします。 それで、私が今から言いたいのは、医療現場では看護婦さんの不足というのが目を覆わしむる現状になっておりますのでは看護婦さんの希望者がないのかというと、必ずしもそうでない場合もあります。結構希望者もある。しかし、正規の看護婦さんの資格というのは大変難しい。入学試験もどんどんはねられていく。あるいはまた、一般的に各地域で行われております看護婦学校の状況も、かけ持ちで受験するという場合もあるものですから、結局あけてみますと定員割れのところもある。そこで、地域の医師会等においては水増しの入学許可を与える。しかし水増しも必ずしもきちっとした予測ができませんから、一割の場合もあるし〇・五%の場合もあると思うのでございますが、水増しということになりますと、行政上非常に厳しい指導がなされているやに聞いております。あるいはまたOTあるいはPTというんですか、療法士等についても今大変人材が不足をしておりますが、これも専門学校の教育になっておりまして、年間三百万とか四百万の高い授業料になっている。 医療従業員のアンバランスをもう少し総合的に見ていただいて柔軟な行政の指導が必要だ、私はこういうふうに思うので、その点を強く要望いたしまして、時間が来ましたので終わりたいと思います。 以上です。
○林主査 これにて草川昭三君の質疑は終了いたしました。 次に、細谷治通君。
○細谷分科員 社会党・護憲共同の細谷でございます。 福祉施設というのがありますけれども、福祉施設における質的な充実と、そのためにはどうしてもそこで働いている職員の労働条件の改善を初めとする待遇改善というものが当然必要であろうというふうに感じるわけであります。そういう観点から、本日は精神薄弱児者の施設を中心にして、これは一例でございますけれども、お伺いをいたしたいと思います。 もちろん、現在は速いテンポで高齢化社会を迎えておるわけでございまして、老人に対する医療や年金の充実の問題、そしてその財源をどうやって見出してくるんだということ、これは消費税との関連でも議論されているところでありますけれども、それはそれとして、高齢化社会に対する対応というのは極めて重要な問題であるということは、私は認めるわけでございます。しかし、その一方で、この老人問題の陰に隠れて、いわゆる社会的な弱者といいましょうか、もしそういう人たちが光の当たり方が足らないということであるならば、私はこれは大変寂しいことだと言わざるを得ないと思うのです。豊かな社会と言われるそのあり方とも絡んでくる問題だと思います。いわば社会の厚みといいましょうか、まさにそういうものが問われている部分じゃないかというふうに思います。その意味において、政治が光を当てなければならない分野だと思うのです。 いろいろの福祉施設がありますけれども、その中から自分の身近にある素材ということで精薄児者の施設の問題について、これから御質問をいたしたいと思います。 御承知のように精薄児者施設につきましては、児の施設は、ちょっと古うございますが、六十三年十月一日現在で三百十三カ所、定員で二万五百四十、それから精薄者の施設、これは更生施設で八百九十六カ所、定員で五万八千、それから授産施設で五百十一カ所、二万三千、これほど多くを数えるわけであります。そして、当然ここでは救護、援護のための職員が従事しているわけでありまして、精薄児者のいわば社会復帰なり社会参加の促進ということで懸命に日夜努力を重ねておられるという状況にあるわけであります。 そこで、お伺いをいたしたいのでありますが、精薄児者施設に勤めておられる、直接処遇に当たっておられる、救護、援護に当たっておられる職員、この職員配置の現状はどうなっておるか、そこをまずお尋ねを申し上げたいと思います。
○古川政府委員 お尋ねの件でございますが、精神薄弱児施設あるいは者施設、あるいは入所の施設、通所の施設でいろいろ異なりますが、例といたしまして精神薄弱者援護施設の入所の施設の場合を申し上げたいと思うのでございます。 お尋ねのいわゆる直接処遇職員といたしましては、生活指導員あるいは作業指導員、保健婦さん、そういうような方々がいらっしゃるわけでございますが、そういった方々を通じまして入所者四・三人につき一人という割合で配置されているわけでございます。なおこのほかに、一施設に介助員といたしまして一人、さらに授産施設にありましては指導員が一人加算されている、こういう状況でございます。 なお、これらの定数のほかに、勤務条件の改善を図るために、年休代替要員費あるいは業務省力化等勤務条件改善費等の加算を行っている、こういうふうな状況でございます。さらに、重度の障害児者に対する特別の保護と指導のための経費として重度加算費の加算を行っている、こういうふうな現状になっているわけでございます。
○細谷分科員 通常直接処遇に当たる人、直接処遇職員というのですか、それは定員四・三人に一人ということをおっしゃいました。この四・三人に一人といういわば定員配置基準というのでしょうか、職員配置基準というのは、いつごろからこの考え方がとられているのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
○古川政府委員 直接処遇職員の職員定数の変遷ということで申し上げますと、昭和三十九年度につきまして、児童について七対一から六対一というふうな措置、それから者につきましては七対一というようなことで、逐年その改善を見ているところでございます。そして、現在のこの四・三人に一人というふうになりましたのは、昭和五十年度から五十一年度の二カ年で基準の改定をいたしまして、従来の五対一から四・三人対一人というようなことで改定をいたしたものでございます。
○細谷分科員 過去三十九年にさかのぼって七対一から徐々に改善をしてきたということでありますけれども、今御説明がございましたように昭和五十一年度から現在まで既に十四年間、四・三人に一人という定員配置基準、基本、骨格はこれでこられたということでよろしゅうございますか。
○古川政府委員 直接処遇職員の定員の基準については、四・三人対一というような状況でございます。
○細谷分科員 これがよくてあれが悪いという言い方じゃないのですけれども、ちなみに重度心身障害者、身体障害とそれから精神障害あわせ持った人、この場合の重度心身障害者の定員配置基準というのは一対一ということになっております。ところが、これが四・三対一ということで、十数年にわたってこの定員配置基準できている。その間、例えば年休代替要員として若干の非常勤職員みたいな形で手当てをされてきたということのようでありますけれども、私はここに大変問題があるんじゃないかというふうに実はとらまえております。 施設のいわば救護ないし援護の対象になる児者というのは、それに対する救護のレベルというものをどんどんその時代的な要請に合わせて上げていかなければならない。そして、一説によれば、施設の入所者の重度化が進んでくる、こういう中でますますその質の向上というのが問われているにもかかわらず、実際にはこの施設の職員の要員措置というものが極めておくれておるということを指摘せざるを得ないというふうに思うのです。もし本当に真剣に質の向上というものを図るとするならば、そのときどきの情勢に合わせて、そして施設の職員自身の労働条件の改善という観点からも、逐次手当てをしなければならない性格のものであるというふうに私は思っております。 ところで、もう一つの要員の配置に対する手当てとして、先ほど御説明がございました重度加算という制度があるやに聞いております。これには措置費で二五%ルールと三五%ルールというのがあって、重度の違いによって措置費を割り増しする率が違うということであります。本日はそれを聞きませんけれども、そのうち、重度加算のうちに七〇%相当分については人件費に充てなければならないというのでしょうか、そういう現場指導、内規といいましょうか、そういうものがあるやに聞いておりますけれども、その辺についてはいかがでございましょうか。
○古川政府委員 御指摘の重度加算でございますけれども、これは、重度の精神薄弱者の方々等に対しまして特別の保護と指導が必要であるというようなことから、必要な経費を加算するというようなものでございます。 この使途についてのお尋ねでございますが、この加算費の使途につきましては、人件費、それから児童の日常の生活諸費に充てられるものでございますけれども、私どもといたしましては、その支出は個々の施設の重度者等の実態に即して弾力的に行っていいというふうな指導といいましょうか、そういうことをいたしているところでございます。 なお、先ほど先生も御指摘ございましたが、私どもとして、職員の勤務条件等につきまして四・三対一というようなことでお尋ねでございまして申し上げましたが、お話の中にもございましたように、昭和五十一年度でそういう改善をいたしまして、五十二年度以降の入所児童の処遇に関しましては、先生のお話にもございましたが、五十三年度に介助員一施設一人増員とか、五十二年度から五十四年度にかけまして、職員の年休をとりやすくするための要員費について六日分から十日分に改善するとか、あるいはこれは授産施設でございますが、五十四年、五十五年度の二年計画で指導員を一施設一人増員するとか、それから五十六年から六十一年度にかけまして、業務省力化等の勤務条件の改善計画を図る、あるいは平成元年度におきましては、年休代替要員費を十二日分から十三日分に改善する、あるいはまた非常勤職員の分の新設を行う、こういったことでその改善に努めてきたところでございます。さらに平成二年度におきましても、元年度に引き続きまして年休代替要員費の改善、これは常勤職員分が十三日から十四日分、非常勤職員分については四日から九日分というふうな大幅の増を図るほかに、管理宿直専門員の配置というものを新たに設けるというようなことでの勤務条件の改善を図っておるわけでございます。 いろいろな改善の仕方があろうかと思うのでございますが、そういった形で、私ども、施設の職員がこういう精神薄弱児者等の福祉の向上のために専念いただくような形でいろいろと工夫を凝らしているというような状況をつけ加えさせていただきたいと思います。
○細谷分科員 それでは、具体的にちょっとお尋ねしたいと思うのですけれども、いろいろの施設の職員の労働時間というのはいろいろの形態があると思いますけれども、この主要なといいましょうか、主なので結構でございますけれども、施設職員の労働時間というのは一週間大体どのくらいの時間になっているのか、例示で結構でございますので、それについてお示しをいただきたいと思います。
○古川政府委員 精神薄弱児者の施設を含めまして、全国の施設の労働時間の調査というものは私ども行っていないわけでございますけれども、社会福祉法人全国社会福祉協議会が昭和六十三年に昭和六十二年度の状況についてサンプルの調査を行っておられるので、それによりますと、精神薄弱者更生施設の一週間当たりの平均労働時間は四十四・一時間、こういうふうな結果が出されているわけでございます。
○細谷分科員 私がちょっと現地でお伺いをいたしました一、二の施設における職員の労働時間というのは、いろいろの職種によって違います、勤務形態によって違いますけれども、いずれも四十七時間、四十八時間という実態になっているわけであります。そうしますと、今御説明ございましたけれども、四十四時間、四十七時間というのは、施設の管理者がいわばその施設職員にみずからの判断でそれの分だけ過重な労働を強いている、こういうふうに考えてよろしゅうございましょうか。
○古川政府委員 先ほどは精神薄弱者の更生施設の入所の場合の四十四・一時間というふうに申し上げましたが、サンプル調査では、例えば児童養護施設では四十五・九時間とか、保育所では四十四・九時間あるいは乳児院では四十三・七時間と、それぞれ施設の実情に応じて違いがあるわけでございます。私どもは、必ずそういったところが施設の管理者側において、当局側におきまして過重な労働を強いているとか、そういうふうには思いません。それぞれの施設の実情、それぞれの施設のそういった職員の勤務条件、あるいはそれがひいては入所者の方々の福祉の向上につながるということで、私ども、それぞれ御苦心をされているというふうに伺っておりまして、過重な労働を強いているということではなくて、それぞれの施設の実情というものに応じたものではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。
○細谷分科員 実態調査に基づく話ではございませんから、ここで四十四時間なり四十八時間だとやってみてもしようがありませんから、この問題はもうこれでとめますけれども、いずれにしてもそういう実態があるということでございますから、やはり厚生省としてもこうした職員の労働時間の実態等についてもぜひ目配りをしていただいて、今後の行政の参考にしていただきたいというふうに思っております。 そこで、労働時間の問題はそれでおきまして、時短ですね。世の中は時短時短ということを言われておりますけれども、施設職員における時短の問題、聞いてみますとなかなか時短ができるような状況ではないということを申しておるわけでありまして、今お伺いしますと、時短とか年休付与日数の増に伴う要員措置というのはどうも非常勤の職員で対処している、ないしは予算化しているということのようでありますが、私は、それでは援護、救護の水準、質の確保という観点から見まして問題があるのじゃないかと思うのです。やはりしっかりとした資格を持った職員できちっと要員措置をしていくということが基本でなければならない。そうしなければ、非常勤という形でただ単に頭数をそろえるという形でいけばどうしても質の低下ということは否めないのじゃないかということで、大変心配をしているところでありまして、この辺についてお伺いをいたしたいと思います。
○古川政府委員 精神薄弱児者の施設の職員の配置につきましては、児童福祉施設の最低基準、精神薄弱者援護施設の場合には、精神薄弱者援護施設基準というようなもので定められる定数や介護人等の加算職員のほかに、年休代替職員等の非常勤職員を配置しているというようなことで、それは先生の御指摘のとおりでございます。 御指摘の質の低下になるのではないか、こういう点でございますけれども、現下の諸状況の中で、それぞれの施設におきまして、常勤職員、非常勤職員というものの業務の体制を十分考えていただいて運営をされておるわけでございますので、また、私どもそういうふうな適切な運営につきまして指導をしてきているところでございまして、常勤職員あるいは非常勤職員がお互いの協力のもとで、運営全体の中で入所者の処遇の低下を来すことがないようにというようなことで配慮をしているわけでございます。非常勤職員でありましても、常勤職員と同様な資質を有する職員をもって充てておられるというふうにも私ども伺っておるわけでございまして、全体として、施設運営として決して質の低下を来すというようなことのないよう各施設において非常に努力され、私どももその点についての、先ほど来勤務条件の改善等等も申し上げましたが、全体として運営が適切になされるように、こういうことで配慮をしているという状況でございます。
○細谷分科員 たくさん御質問したいところがありますので、時間が迫っておりますからちょっと省きながら、はしょりながら申し上げますけれども、いずれにいたしましても、十数年来四・三人の要員配置基準できたということ、これについても基本の要員配置基準を見直すべきところに来ているのじゃないか。まして時短が世の中の趨勢でありながら、これを非常勤職員という形で糊塗していくというやり方については大変問題があるのじゃないかと思うわけでありまして、どこかの時期でやはりきちっと見直しをし、定員化して、職員できっちりと配置していくというような体制をやはり考えていかなければいかぬというふうに思うわけであります。 次に、給与のことをお尋ねいたしますが、職員の給与水準というものは、一応国家公務員並みということで事務費をはじく際には算定をされているということであります。今後ともそういう方向でそれを維持するべく、ぜひ頑張ってもらいたいと思います。 ただ、私がお尋ねしたいのは、国家公務員並みというけれども、退職金のケースで実は国家公務員並みになっていない。これはもちろん社会福祉職員の退職手当共済法に基づいて運用されているということでありますけれども、算定の考え方は国家公務員並みになっているわけでありますけれども、基礎額という上限額で抑えられているものですから、結果として出てくる退職金というものは、これが国家公務員を下回るという実態になっているわけであります。その基礎額というのは、一応現在の段階では三十万円ということに頭打ちがなっているようでありますけれども、そしてそれについては年々改善をされているやに聞いておりますけれども、やはり実態としてはかなり離れているということは事実のようであります。どういうケースで計算してみても離れているということでございます。これは優秀な職員を、質の高い職員を確保していくということ、そしてモラールを維持していくという観点からも、これはもうお答えは結構でありますけれども、今後ともこの辺の改善について、国家公務員レベルに近づける改善の努力をぜひお願いをしておきたいというふうに思う次第であります。 今、労働時間の問題、それから給与の問題をお尋ねいたしましたけれども、このやりとりについて、大臣、御所見を、御感想をお伺いしたいと思います。
○津島国務大臣 これからの福祉施設の運営をしてまいります上で、要員の確保が最大の課題であろうと思います。一般的に労働需給が大変にタイトになってくる中で人材を集めなければならない。そういう観点から申しますと、やはり世間並みの待遇、労働条件で働いていただくことを考えませんと意欲のある人材を集められませんから、厚生省としても年々努力をしていることは政府委員からも御答弁申し上げましたし、今後も努力をいたしますが、一層その点に配意してまいりたいと思います。
○細谷分科員 それでは次は、施設における高齢化対策ということでお尋ねを申し上げたいと思います。 御承知のように重度障害者を対象とした制度として、現在別に救護、援護するということで重度棟というものの設置を認められているということは承知しておりますけれども、実は大臣も御承知かもわかりませんが、精薄者というのは一般的には通常人の老人よりも早くぼけ状態になるということが言われているわけです。これを加齢化現象とも言うそうですけれども、そういうことが言われております。ところが精薄者を老人ホームに入れようとすると、いろいろの障害があってなかなかうまくいかないそうです。どうも断られるケースが多いということのようでございます。 そこで、先ほど言いましたけれども、精薄者独自の、これを対象としたいわば老人ホーム、それは施設の中につくるのか別につくるのかはわかりませんけれども、重度精薄者に限定したそういう老人ホームの設置というものをそろそろ検討していい時期に来ているのじゃないかというふうに私は実は思うのです。現実に施設の方々のお話を聞いてみますと、やはりこの辺は、管理という言葉はおかしいのでございますけれども、別々に救護なり援護をしていくのが筋だという言い方をされておりますけれども、この辺についてお伺いいたしたいと思います。
○古川政府委員 御指摘のように精神薄弱者の高齢化というものがやはり進んでございまして、ちなみに精神薄弱者の入所者の中での六十歳以上の方々については、昭和五十五年が一%だったのが逐次上がってまいりまして、六十二年度では二・四%、六十三年度では二・七%というふうな、これは社会福祉施設調査によるわけでございますが、御指摘のとおりでございます。こういった高齢の入所者につきましては、それぞれの施設で処遇の仕方についての工夫をいろいろとしておられるというところでございます。 ところで、先生の御提案といいましょうか、特別の重度精神薄弱者老人ホームというようなものをつくったらどうだ、こういうふうなことでございます。私は一つのお考えだと思うのでございますが、ただ基本的に、これは障害の重い人も軽い人も、それから年齢の区別もなく一緒に施設で処遇していくということが望ましい、非常に重い人だけを一つの施設に、みんなそういう施設にしてしまうということが、果たして入所されるお年寄り、高齢の精神薄弱者の方々の幸せにつながるのかどうかというふうな議論もあるわけでございまして、高齢の重度者だけを集めた特別の施設をつくることの適否ということについては、率直なところ、直ちに結論を得るということは非常に困難ではなかろうか、私はこう思うわけでございます。 ただ、先生のおっしゃるような、あるいは先ほど私が数字で申し上げましたように、施設の入所者の高齢化というものは今後さらに進んでいくもの、こういうふうに予想されるわけでございますので、その適切な処遇につきましては、先生お話しの、施設の中の重度介護棟とかそういったこともございますが、そういったことを含めまして専門家等の御意見を聞いて研究してみたい、私はかように考えておるわけでございます。
○細谷分科員 精薄者のぼけ老人といいましょうか、そういう方の特別の救護施設というもの、そのための老人ホームというようなものを、今後きめ細かい援護をしていくという観点からぜひ検討課題の一つに取り上げていただきたいというふうに要望をいたしておきます。 時間でございますので、これはもうお尋ねをいたしませんけれども、最後に要望として申し上げますが、精薄者の就労問題ということでありまして、授産施設というのがあるわけでありますけれども、社会復帰、社会参加を促すということであるわけであります。それからもう一つは、公的な部門に要するに就労機会を確保していくために、公的な部門での就労機会の拡大というものがやはりどうしても必要になってくるのではないかと思います。この面では、例えば地方公共団体の公園の清掃でありますとか墓地、道路の清掃管理とか、いろいろ仕事はあります。そしてそれについては、老人の就労、高齢者の就労確保という問題もありますし、失業対策事業というような関係もありまして大変難しい問題はあるわけでありますけれども、恒常的に、定量的にこの精薄者の就労機会を確保していくという意味では、やはり公的部門へ進出していくということが私は必要ではないかというふうに思うわけでありまして、そういう意味では、今後厚生省等におかれましても、自治省その他とよく打ち合わせをされ、地方団体に対する働きかけも強化される中で、ぜひ公的部門での就労機会の確保について御尽力を賜ることを要望としてお願いをしておきまして、時間が参りましたので終わらせていただきたいと思います。 運輸省の方に、実は精薄者に対する交通費のいろいろの割引問題についてお尋ねをするつもりでございましたけれども、私どもの同僚議員が既に御質問したということでございますので、本日は時間の関係もございますから省略をさせていただきます。まことに申しわけございませんでした。 これで終わらせていただきます。
○林主査 これにて細谷治通君の質疑は終了いたしました。 次に、佐々木秀典君。
○佐々木分科員 佐々木でございます。ちょっとのどを痛めておりますので、お聞き苦しいと思います。御勘弁を願いたいと存じます。 私は、きょうは輸入食品の検査の問題を主にしてお尋ねをしたいと存じます。 御案内のように、これは後ほど件数もお伺いしたいと思いますけれども、私どもの食べるもの、日常の口に入る食品の多くが輸入食品に頼るというか、輸入食品の占める割合がますます多くなってきているのは申し上げるまでもないところでございます。 例えば穀物ベースにいたしましても、自給率が年々減ってまいりまして三〇%を割っている。それから、カロリーベースでももう五〇%を割っているということは、つまりその余の分というものが輸入食品あるいは農産物が入ってきてそれで賄われているということになるわけでありまして、そこで我が国の農業生産者が大変深刻な状況に置かれている。また、今ガットのウルグアイ・ラウンドが進んでおりますが、この交渉の中でさらに農産物の輸入量が、量だけではなしに品種の点もそうですけれどもふえてくること、これまた心配されておりますが、そういう中で、一体我が国に輸入されてくる農産物やあるいは食品について、安全性の点ではどうかということもあわせて大変心配になっているわけでございます。 例えば昨年の事例ですけれども、我が国で市販をされている小麦粉から、我が国では麦用の農薬としては登録されていない有機燐系の殺虫剤、レルダンとかマラソンとか、こういう殺虫剤が相当な濃度のものが検出されたというようなこと。それからまた米国産の冷凍ポテトからも、これは環境庁の基準を九十倍も上回ると言われるような除草剤が発見をされたとか、あるいはメキシコから輸入されているカボチャについて、これまた国内で使用禁止されている殺虫剤が検出をされたとかいうようなことが明らかになりまして、その都度新聞紙上をにぎわわしたことは、厚生省においても十分に御存じのところだと思うわけでございます。 こういう危険はますます大きくなると思われるわけですけれども、荷揚げの際のこういう食品の安全性の検査については、食品衛生法に基づいて厚生省が検査をするという体制にあるわけです。そこで、この検査体制についてお尋ねをしたいと思いますが、その前に食品についての輸入量で、一番最近の資料は何年度のもので、どのぐらいの件数になるか、そしてできれば、その前年度との比較ができるかどうか、前年度の件数などについてもまずお知らせをいただきたいと思います。
○目黒政府委員 最近の輸入件数でございますが、食品の輸入件数は、先生おっしゃるとおり増加をいたしてきております。昭和六十一年にはその輸入件数が約四十八万件、それから昭和六十二年には約五十五万件、昭和六十三年には約六十五万件に達しているということでございます。
○佐々木分科員 というと、まだ平成元年度、昨年度の分については的確な数字は出ませんか。
○目黒政府委員 速報値でございますが、六十八万一千件余りということでございまして、この細かないろいろなことはよくまだわかっておりません。速報値でございます。
○佐々木分科員 こうして見ますと、本当に件数は多くなっておりますね。特に六十二年から六十三年にかけてというのは五十五万から六十五万ということで、一気に十万件もふえている、こういうことになるわけですね。 一方、この全部について検査をするというわけではないというようにも聞いておるのですが、このうちで、それでは検査の対象になったもの、その件数はおわかりになりましょうか。
○目黒政府委員 六十一年度では約六万八千件が総検査数でございます。昭和六十二年度は約八万六千件、昭和六十三年度が約十三万一千件でございます。それから、平成元年度は十六万件ということでございます。
○佐々木分科員 ということになりますと、輸入件数に比べて極めて少ない、こういうことになるわけですが、そうすると、その検査をしたものとしなかったものとはどういう仕分けをしたのか、何によってするしないの仕分けができているのか、その基準をまずお伺いしたいと思います。
○目黒政府委員 輸入されてきておりますものについては、これはすべて御承知のように輸入届ということで届け出が出されるわけでございます。 検査対象の食品といたしましては、有毒、有害の物質が含まれているおそれのある食品、それから規格、基準に違反をするおそれのある食品等、食品衛生法に違反するおそれがある食品が輸入されることがないように、まずその大幅な考え方があるわけでございます。したがいまして、具体的に申し上げますと、我が国に初めて輸入される食品、それから過去に同種類の食品で違反のあったもの、それから特に通知等で検査を指示した食品等を中心に検査を実施しているわけでございます。 さらに、これを具体的に申し上げますと、次のような食品がございます。例えば食品衛生法第四条関係ということでございますが、有毒、有害物質が含まれているおそれのある食品といたしましては、例えばピーナツのアフラトキシン、これはこの前新聞に出ておったものでございますが、それの汚染。それから二番目は、指定外の添加物が含まれているおそれのある食品、これは例えばジュースのアルラレッドのAC、着色料のもの、あるいはスープのポリソルベート、乳化剤の含有しているもの。それから次は、規格、基準に違反するおそれのある食品といたしましては、冷凍食品の細菌の数、こういったようなものがございまして、このようなものを中心に私ども検査をいたしておるのでございます。
○佐々木分科員 まず届け出を出すのだというお話ですけれども、そうすると届け出の段階でこの届け出の書類審査をしてまず仕分けをする、こういうことになるのですね。それで、この監視に当たるのは、食品衛生法に基づきますと食品衛生監視員が行う、こういうことですか。そうすると、今までの届け出書の書類審査もこの食品衛生監視員が行うのですか。
○目黒政府委員 輸入食品等につきましては、全国の二十一の検疫所で八十九名の食品衛生監視員が必要に応じた、先ほど来申し上げた検査を行っているわけでございまして、食品衛生法違反の食品等の輸入を防ぐべく行っているわけでございます。 具体的に申し上げますと、検疫所二十一カ所から書類審査でまず振り分けをいたしまして、検査を要するもの、要しないもの、こういうことで分けてまいりまして、そして検査する、そして判定をしてそれぞれの措置を講ずる、このような流れになっているのでございます。
○佐々木分科員 それじゃ、平成元年でまいりますと、とにかく届け出のあったものが、輸入件数が六十八万件、それを扱っている検疫所が全国で二十一カ所、それで食品衛生監視員が八十九名というと、これはいかにも随分少なく、一人当たりで平均で割っていきますと、その取り扱う件数というのは膨大なものになる。一体これは人間わざでできるのかなという心配がどうもあるのですけれども、実情としてはどうなのでしょうか。監視員の人数、定員ですね、これで間に合っているのかどうか。それから増員のぐあいは、例えばこの三年ぐらいの間で結構ですけれども、変化はどうなっておるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
○目黒政府委員 輸入食品が御指摘のように急増いたしておりますことに対応いたしまして、私どもは平成元年におきまして食品衛生監視員を九名増をいたしました。そして、監視窓口の増設とか高度の検査機器の整備等を行ってまいりました。平成二年度におきましては、やはり食品衛生監視員の十名の増員を予定しているといったような状況でございます。今後とも、この食品の増大等に応じて要員を確保するべく検査機器の整備等、食品の安全確保に支障のないように輸入食品の監視体制を充実していきたい、このように考えているところでございます。
○佐々木分科員 先ほど御紹介いたしました、小麦粉から農薬が検出されたということでマスコミでも相当な報道がありました中で、私の今手にしておりますのは、私の出身地であります北海道の北海道新聞、昨年の九月二十日付の朝刊の社説の中でこの問題を取り上げておるわけです。そして、今のお話ですと、現在の食品衛生監視員が八十九名というお話ですけれども、当時、昨年のこの九月の社説では八十名というふうに把握をしているようです。いずれにしても、それから比べても九名程度のふえというのはそう大幅増大とは言えないと私は思うのですが、この社説の中でも監視員の数が非常に少ないということをとりたてておられるわけです。こういう第一線の監視員が百名にも満たないというのでは、この食品の安全性についての監視体制としては非常に不十分なのではないかという指摘がなされている。ほかの論調でも随分そういうものが出てきていると思われるわけです。 いずれにいたしましても、これからはますます輸入食品あるいは輸入農産物の種類と量というのはふえてくるのは間違いないと思いますし、しかも先ほど添加物についてのお話もありましたけれども、いわゆる原料だけではなくて種々の加工品、調製品とか、いわゆる食品そのものも入ってくるわけです。現在の監視員で、原料あるいは農産物、生鮮食品いろいろあるわけですけれども、このいろいろな形状、品質を持っている輸入食品あるいは輸入農産物について的確に対応していくだけの体制というものができていると考えていいのでしょうか。その点、どうでしょうか。どうも不安でならないので、お尋ねをするのですが。
○目黒政府委員 現在の時点で、私どもこういう状況の中で八十九名プラス検疫所の職員がバックアップ体制と申しましょうか、間接的な事務処理的なものについて応援に当たる等の弾力的な配置はいたしておるわけでございますけれども、やはりこの輸入食品の監視員の数だけに頼るわけにもまいりませんので、私どもといたしましては、輸入食品が輸出国、つまり出てくる国で安全確保はどうなっているんだということについてもそれを大いに推進していただくということで、これは実際に現行でもやっているわけでございますけれども、さらにそれを推進するということも検討をいたしているところでございます。
○佐々木分科員 一つには、輸入食品というものはあくまでも我が国以外のところでつくられているわけですから、まずその輸出国の方でそういう産品あるいは食品がどういうような生産あるいは製造、加工のやり方でつくられるのか、それからまた、それがこちらに来るまでの間にどこにどういう状態で保管をされているのか、それから運送はどうなのか、輸送上問題はないのか、さまざまな点が心配されるのと同時に、またそうした食品あるいは農産物について我が国と輸出国あるいは生産国での取り扱いの違いということも相当あると思うのですね。 そういたしますと、受け入れられてくるものを、こちらに荷揚げをされたものについてそのときにだけ調べるというのでは、到底これは間に合わない。事はやはり安全の問題ですし、私ども国民全般の健康と命にかかわる問題でありますから、まずそれを生産段階あるいは保管段階で把握をするということが当然必要になってくると思われるのですが、今若干それに類するお話が出たやに思われますので、それに対する対応の仕方について特に御配慮の点があるのかどうか。例えば現地調査などを含めての試みがあるのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
○目黒政府委員 例えばピーナツのアフラトキシン、このような例を申し上げますと、例えば米国政府の中でこういうものが起こったということになりますと、その物質名とかあるいはその製造から流通の過程について通報がございます。したがいまして、綿密な連絡のもとに、現時点ではその情報をもとに私ども検査をするかしないかということをまず決めて、疑いがあればその全ロットと申しましょうか、そのロットについて検査をする、そしてもしおかしければ即座に措置する、このようなパターンは今もあるわけでございますが、さらにそれを強固なものにしたいという考え方でございます。またこれは今検討中でございますので、これから今後の課題ということでございます。 それからまた、半ば公的な機関で既に証明書を出しているものも中にはあるのでございます。そういうものにつきましては、これまでの例から申し上げましても、前から判断いたしましても、恐らく安全だということでおそれはないという判断をする、こういったような幾つかの事例を申し上げたのですが、このような形で現行も行っているのでございます。
○佐々木分科員 私、弁護士なものですから、私ども法律実務の中では、例えば疑わしきは罰せずという言葉がありまして、いろいろな事件の容疑者も有罪判決を受けるまでは無罪の推定を受けるということになるのですが、こういう食品ですとか食い物の問題になりますと、御指摘のようにおそれの問題ですね、おそれがあるものについては検査をしなければならないというので、私は疑わしきはむしろ罰するというつもりでやっていかなければ、非常に基準が、あるいは規制がますます緩くなってしまう、このことを大変心配せざるを得ないわけです。 そしてもう一つ、輸入食品の安全性の問題では、以前からも事あるごとに問題にされ、議論されておりますポストハーベストの問題ですね。農産物について収穫後に散布をされたり塗布されている農薬、我が国の場合にはこういうことというのは余り考えられないわけですけれども、外国の農産物についてはこのポストハーベストということが非常に広く行われておって、ここで使われる農薬の基準についても日本と大分隔たりがあって緩いのじゃないかと思われるものがあったり、あるいは我が国では農薬取締法でいわゆる農薬として登録されていないものが使われているということもある。 先ほどの小麦粉の事例ですけれども、これもアメリカ産の小麦そのものですけれども、保管の段階でもう農薬をまぜているというようなこともわかっておるようですけれども、この問題についても農水省としてもいろいろ御考慮されておるようですが、厚生省としても当然のことながら、安全性の観点からこれに対する関心をお持ちになり、対策を立てていただかなくてはならない、こんなふうに思っておるわけです。これについてはどのような対策を立てておられるのか、これについてもお伺いしたいと思います。
○目黒政府委員 まず前段の、おそれのあるという点につきましては、最初にお答え申し上げましたように、食品の安全衛生上おそれのある食品が輸入されることのないように、私ども一定の方式で検査を行っていると、先ほどお答え申し上げたとおりでございます。 第二点目の、ポストハーベストの農薬問題でございますけれども、これは先生御承知のように、我が国では使われてないものでございます。したがって、外国で使われているというところでギャップのあるものでございますが、私どもは、収穫後に使用しますこのポストハーベストの残留量等等含めまして、厚生省では安全性の確保の観点から、平成元年度からポストハーベスト農薬対策といたしまして、輸入農産物におきます残留実態調査等を進めているのでございます。輸入農産物のポストハーベストのいわゆる残留基準、この農薬の基準を三年度までに整備していくということを考えておりまして、特に穀物等の主要農産物については、平成三年度を目途に基準の整備をするという方向をとっているのでございます。
○佐々木分科員 今実態調査と基準づくりを明年、平成三年度を目途にされておる。これは一昨年の三月時点で、参議院の予算委員会で社会党の稲村議員が質疑に立っておられるときには、この残留基準をいつまでに設定するかという目安がはっきりしないじゃないかということで大分鋭い御指摘があったようですけれども、これは今のお話ですと明年までには基準を設定する、そのために今鋭意努力をされている、こういうふうにお伺いしていいわけですね。 それと、今の実態調査というお話があったのですけれども、実態は具体的にはどんな調査をおやりになっているのですか。
○目黒政府委員 現実に現在入ってきております小麦等主要穀類につきまして、地方衛生研究所あるいは国立衛生試験所等にお願いをいたしまして、そこで検査、分析をするといった形で、どの程度の残留の実態があるかを調査しているところでございます。
○佐々木分科員 現在はその基準ができておらないわけですけれども、基準がなくても輸入食品、農産物というのはどんどん入ってきているわけですね。殊に農産物、これについては何か特別の考慮は払われているようなことはあるのですか。その基準ができるまでの間にということで、何かございますか。
○目黒政府委員 私ども現在、御指摘のようにポストハーベストの基準はないのでございますが、現在はFAO、WHOの基準に従いまして、現在輸入しつつある主要穀類については検査を行っているのでございます。その検査の結果から申し上げますと、安全性は十分保たれているというふうに私どもは現時点では判断いたしているのでございます。
○佐々木分科員 それからまた、先ほどの検査のところにそれとの関連で戻るのですけれども、とにかくどう考えても、輸入件数が多い割には実際の検査の対象になるものが非常に少な過ぎる。少ないとはいいながら相当な件数で、その検査に当たる監視員の数も、これまたこのままでいいのかなという不安が非常に残るわけです。そうすると、検査の対象から外されてといいますか、実際の検査をされなかったものについてはそれでは安全なのか、その安全性の担保をする方法というのはあるのでしょうか。
○目黒政府委員 私ども、先ほど来御説明申し上げましたように、いわゆる輸出国における情報、状況を的確に判断している。それから、輸入食品を入れる窓口の段階でチェックしている。さらに、それが国内に流通をいたしますと、地方自治体におきます保健所におきまして食品衛生監視員というものが全国におりますので、その食品衛生監視員によりまして、もし何らかのことがあれば当然そこでチェックされる、このようなシステムになっているのでございます。
○佐々木分科員 これはまたいずれ、私は農林水産委員をやっておりますので、農林水産委員会でもまたお尋ねをしたいと思っておりますし、農林水産省にもお尋ねをしたいと思っているのですが、事は食べ物の問題あるいは農産物の問題ということで、これは厚生省は衛生の観点からいろいろな御配慮、御努力をされているのでしょうけれども、やはり農林水産省との協力関係というものも事あるごとに必要になってくるだろう、私はこう思っているのですが、この辺についての配慮、協力体制などについて具体的に今お考えないしはやっておられることがあればお伺いしたいことと、最後に、この問題について、事は国民の健康、命の問題です、厚生大臣に御所見を伺って質問を終わりにしたいと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
○目黒政府委員 農林水産省との連携の問題でございますが、従来から残留農薬基準の設定等に当たっては関係省庁とも密接な連携をとって対処をいたしてきております。また、特に農林水産省との間では、定期的に私ども局長クラスの会合も行っておりまして、食品の安全性を確保するためにその連携強化に努力しているところでございます。
○津島国務大臣 輸入食品の安全性の確保は、重要な国民的な課題であると認識をいたしております。政府委員から御答弁いたしましたように、従来から食品衛生監視員の増員とか高度検査機器の整備等、監視体制の充実強化を図っておりますが、増大する輸入量との関係で十分とは言えないと思っております。今後とも、必要な食品衛生監視員の確保、検査機器の整備等、監視体制の充実に努めるとともに、農林水産省等関係省庁との関係も密にし、またやはり国際的な理解と協力を考える必要もあると思いますが、輸入食品の安全性確保に支障のないように一生懸命やってまいりたいと思います。
○佐々木分科員 最後になりますけれども、今ガットを初めとする日米間交渉でも、構造協議の中でもそうですし、輸出入のバランスをとるためにということで、特にさまざまな食品や農産物というものはこれからも恐らく我が国への輸入、輸出国から見れば輸出ということの要請が多くなってくるだろう、こう思うわけです。 しかしそれにしても、危険な食品を輸入されたのではたまったものではないわけでありますから、この点は、そういう交渉に当たっても、輸入産品の中に具体的にこういう有害物質、添加物があったり、あるいはポストハーベストで有毒な農薬が使われて残留しているなどということがはっきりしているとすれば、このことは輸出国の方にきちんと申し入れをしていただいて、とにかくこういう危険なものを入れられたのでは困るということを政府の責任においてやはり言う必要があるだろうし、言っていただかなければ私ども国民としては非常に不安だということになると思いますので、この点を特にひとつ要望しておきたいと思います。 時間が参りましたので質問を終わります。ありがとうございました。
○林主査 これにて佐々木秀典君の質疑は終了いたしました。 次に、草野威君。
○草野分科員 どうも連日御苦労さまでございます。私は、中国残留邦人の問題につきまして若干お尋ねをしたいと思います。 初めに、ちょっと数だけを伺いたいと思いますけれども、ことしの二月の第二十次訪日調査等によりまして、今徐々に中国残留孤児、残留婦人が帰国をしておりますけれども、現在までどのくらいの人たちが帰国をされているか。それから、現在中国に残留をしていて今後日本に帰国をされる見込みは大体どのぐらいあるか、まずお尋ねしたいと思います。
○末次政府委員 現在の時点、つまり平成二年の三月末現在でございますが、この時点で日中両国で把握いたしております孤児数が二千三百十八名でございます。そのうち既に永住帰国した者の数が千二百十七名ということになっておりまして、現在なお中国に残っている孤児数は千百一名でございます。このうちどのくらい帰国をされるかということになりますと、御本人の意思等ございましてなかなか的確な数字は出せないわけでございますが、私ども今までの経験から大ざっぱに見込みますと、約六百名前後ではないかというふうに考えております。
○草野分科員 大臣ももう御存じだと思いますけれども、この中国の残留孤児等の問題につきましてこれからやはり重要になってくるのは、今後日本の社会の中における定着、自立の問題、ここのところが非常に重要な問題になってくるのではないかと思います。そういう中で中国からの帰国者、いろいろと社会的な問題もあろうかと思いますので、きょうは私は本当に具体的な、小さい、ちまちました問題になるかと思いますけれども、そういうことについて特にきょうは厚生省の方にいろいろお尋ねをしながら、ぜひとも力になってもらいたい、このような意味から何点かお尋ねをしたいと思います。 大臣、万元戸という言葉をお聞きになったかどうか知りませんけれども、この万元戸というのは、日本語で言いますと億万長者、こういう意味だそうでございます。二月に帰国した方の中で、中国で実際に億万長者の人がいたのだそうでございますけれども、その人の話の中で、今の中国の暮らしを捨てても私は日本に帰りたい、それは、日本は私のふるさとなんだから、こういうことを話をしていたということを新聞報道で私も読みまして、何となく胸が痛くなるような思いを実はしたことがございます。現在、中国から帰ってきた人たちが日本の社会の中でどんな生活をしているか、いろいろなアンケート調査等がボランティア団体等によって行われておりますけれども、ちょっと参考までに申し上げたいと思います。 残留孤児また婦人の約九六%の人たちが今老後の不安におびえている。この人たちの大半は、もちろん年金も恩給も対象外になっておりますし、生命保険にも未加入、こういう状況でございます。また、帰国者の有病率、これは厚生省の調査だそうでございますけれども、四割以上の人たちが病気を持っていて、この数字は日本人の三倍以上にも当たっているのだ、こういう厚生省の資料でございます。 また、住宅等の問題にいたしましても、公営住宅に思うように入れないという状況がございまして、そういう中で民間の借家だとか一時宿泊所、こういうものを借りて生活をしている人たちが四割を超えている。住宅問題も大変でございます。中には、日本人だって公営住宅に順番を待って並んでいるのだから中国人は文句を言うな、そういうひどい話を聞くこともございます。生活保護を受けている状態も、六割から七割の人たちが受けている。また、いろいろな理由で仕事にもつけない。こういう中で地元の福祉事務所の人たちから、早く仕事につかなければいけない、こういうふうにしてせっつかれて困っている人たちの話も聞いております。 また、日本に帰ってきて悪かったこと、こういう設問に対して、人間関係が非常に冷たい、苦労する、こういう数が非常に多いのですね。また、帰国者への差別、こういうことを訴えている人たちもおります。先ほどの万元戸の話ではございませんけれども、日本にそういう思いをして帰ってきながら、現実の日本での生活の中で大変苦しい思いをしている。私は大きいことは申し上げませんけれども、ほんの細かいことで少しでも力になってあげられたら、現在の制度を少し変えてあげることができたならどれだけ彼らにとって喜ばれるか、そういう気がしまして、きょうは帰国の手続の問題だとか二世の問題だとか、地方自治体におけるいろいろな取り扱いの問題だとか就職の問題だとか、そこら辺について何点かお尋ねしたいと思います。 厚生省の援護局の「定着促進対策の概要」、これを見させていただきました。いろいろ出ております。私も実際に所沢の定着促進センターなども拝見させていただきました。一つちょっと気がついたことがあるのですけれども、これは一体どういうことなんでしょうか。 所沢の定着促進センターの中を各部屋ずっと回ってみましたけれども、テレビがある部屋とない部屋があるんですね。それを聞いてみましたら、大概の人たちは粗大ごみの中から拾ってきてつけただとか人からもらって置いてあるとか、こういう人が大半でございまして、実際には各部屋にテレビも置いていないんですね。日本語を習得させるためには各部屋にテレビをつけて、テレビから日本語の勉強ということは非常に役に立つんじゃないかなと思ったのですけれども、これはどういう理由なんでしょうか。
○末次政府委員 所沢の定着促進センターの居室のお話でございますが、所沢の定着促進センターの中には共同で会話等を行うホールがございまして、ホールにはテレビを据えつけまして随時利用できるようにいたしておりますが、御指摘の居室にまでは据えつけていないのが現状でございます。
○草野分科員 大臣、ホールには確かについているのです。でもこれは各部屋にテレビの一つぐらいつけるようにぜひしてもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○末次政府委員 これはどういう趣旨かということはなかなか難しいわけでございますが、実質的に何か手がないか、この点につきましては十分検討してみたいと思っております。
○草野分科員 ぜひ検討していただきたいと思います。 まず、帰国手続の問題でございますけれども、身元が判明している方と判明していない方、両方ございます。身元の判明している方については、手続が非常に複雑な上、肉親の協力がないと原則として手続ができない、こういう問題がございます。また原則として戸籍が必要である、肉親が手続をしてくれないと戸籍ができない、肉親の同意書が要る、こういう問題があるんです。これは身元の未判明者、こういう方と比べると大分違うのですね。同じ中国からの帰国者でありながら、なぜこんなに差がつくのか、こういう問題があるのですが、御存じでしょうか。
○末次政府委員 身元判明孤児につきましては、私ども原則として帰国した後の円満な環境をつくるという意味から、在日親族の同意を得て帰国を実現することが大事なことだというふうに考えております。したがいまして、受け入れに消極的な在日親族に対しましては、従来から都道府県を通じまして円満な帰国ができますように説得に努めているところでございます。 しかしながら、このような説得によってもなお在日親族の理解が得られない場合あるいは近親が既に死亡し、いわゆる在日親族に当たる者がいないなどの事情があるような場合につきましては、昨年七月、肉親にかわりまして帰国手続等を行う特別身元引受人というあっせん制度を設けたところでございます。今後は特別身元引受人の確保に努めまして、本制度の円滑な適用によりまして帰国希望者の帰国の促進を図ることにいたしたいと考えております。
○草野分科員 特別身元引受人という制度、これはやはりいろいろ問題があるんですね。それは帰国者のいわゆる本籍の付近に住んでいる方に身元引受人になってもらう、こういう制度ですね。これはちょっと現実にマッチしていないですよ。だからいろいろな問題が起きてくるんです。これは必ずしも厚生省ではきつくその方針を守れということじゃないのではないかと思いますけれども、やはり一部の地方自治体ではそれを望んでいるという実情もございまして、そんなようなことが行われているんじゃないかと思います。やはりその考え方は余り厳重にやらない方がかえっていいんじゃないかと私は思いますけれども、いかがですか。 〔主査退席、金子(一)主査代理着席〕
○末次政府委員 原則として身元判明孤児の本籍を管轄する都道府県内にお願いをしたいという趣旨は、余りこの点で原則を外しますと特定の都道府県に偏るということがございます。そういたしますと、身元判明孤児の帰国がかえって円滑にいかないというような事情もございまして、私ども、やはり原則として本籍を管轄する都道府県にお願いをしたいと考えております。この点につきまして、個々の事情をいろいろ勘案いたしまして、場合によりましてはこの点につきまして弾力的な取り扱いをすることについてはやぶさかではございませんが、相なるべくは本籍、出身の都道府県にお願いするのが本来の筋であろうと考えております。
○草野分科員 原則ということはわかりますけれども、ぜひとも実情に配慮をしながらやっていただきたい、このようにお願いをしておきたいと思います。 次に、二世の問題でございますけれども、二十歳以上の未婚の者の取り扱いが変わって、同伴して帰国できなくなったという例もございます。また、この二世の問題で既婚の子供等の帰国後の住宅のあっせんがない、生活保護が受けられない、こういう問題もいろいろ言われておりますが、この二世問題については、年齢だとか未婚、既婚の区別というものをなくして、二世については全部が国費で帰国できる、ぜひこういう方向に変えたらどうか、このように思うのです。特に一世の孤児のどちらかが、配偶者が死別したり離別したり、そういうケースの場合、一人で帰ってこなければならぬというケースが非常に多いのですね。一人で帰ってくるとどうしても単身住宅しかもらえない。後から子供たちが帰ってきても一緒に住むこともなかなか困難だ、こういうケースも実際にはあるわけですね。 したがって、二世問題については、既婚、未婚、年齢、こういうことはぜひとも——大臣もぜひこの問題については関心を持ってもらいたいと思うのです。親子でありながら、子供を置いて親だけが帰ってこなければならない。理由は、既婚だから、二十歳を超えているから。なぜそんなふうになってしまったか。戦後四十五年もたってしまったのです。悪いのは年月の問題ですね。四十何年たつうちに子供だってそのうち二十歳を超して、ある年齢が来れば結婚だってするでしょう。それを結婚しているからだめだ、二十過ぎたからだめだ、これじゃちょっと余りにもやり方が冷た過ぎるのじゃないか。いろいろ問題のあることは私もわかりますけれども、ぜひそういう方向で今後は取り組んでもらえないか、こういうように思いますが、いかがでしょうか。
○末次政府委員 孤児の帰国援護の制度、これは終戦前から中国に居住している者が本邦に初めて永住帰国する場合の引き揚げ援護として実施しております。したがいまして、本来孤児本人を援護の対象にしているわけでございますが、扶養関係を考慮して、その同伴する扶養家族につきましてはこの援護の対象にしておるわけでございます。 具体的には、孤児が同伴する一定範囲内の家族、例えば配偶者、二十歳未満の未婚の子、これらにつきましては従来より帰国旅費の負担あるいは自立指導員の派遣、自立支度金の支給等の援護を実施いたしておりますが、孤児が永住帰国後に呼び寄せます二世世帯、これはいわば成人に達した中国国民でございますが、こういった世帯等につきましては、先ほど申し上げました終戦後も引き続き海外に残留した日本人を対象とするこの帰国援護の制度にはなじまないのではないかと考えております。
○草野分科員 なじまないなんておっしゃらないで、これは本当に大事な問題ですよ。あなた自身がそういう立場にあったらどういう思いをされますか。肉親と離れ離れになって帰ってこなければならないのです。そんなかたいことばっかりおっしゃっていないで、ぜびこの問題については検討していただきたい、お願いをいたしたいと思います。 それから、これも大変ちまちました問題で恐縮でございますけれども、帰国者が帰ってまいりまして、いろいろな定着促進センターに入ります。四カ月おりますと、そこから出て、そしてそれぞれのところに落ちついて、公営住宅その他に入ります。そうすると、入ったその日から布団も必要だ、なべかまも必要だ、こういう問題が起きてくるのですね。そうすると、一部の自治体ではそういうものを支給しているところもございます。例えば、東京都内でも各区によって布団を支給したり、なべかまを支給したり、また支給しないとかばらばらであります。全国的にもこれはばらはらであります。 そういうのが現実でございますけれども、そういう方に対しては、その晩から必要になる布団だとかなべかまだとか、そういう生活必需品、こういうものはぜひとも地方自治体といいますか、そういうところから支給できるように、厚生省の方からもぜひひとつ力をお願いしたい、このように思いますが、その現状はどのようになっているか、自治省の方、お願いしたいと思います。
○二橋説明員 中国の残留孤児の方が日本に帰られて、地方団体がそれに対してどういうふうな具体的な支援をしておるかということは、私ども実情を詳細には把握いたしておるわけではございません。またそれに関連して、財政面でこういう負担があるというふうな具体的な実例もまだ余り聞いておりませんので、これから地方団体の財政状況、いろいろお聞きする際に、その辺のことについてあわせてお聞きしていきたいというふうに思っております。
○草野分科員 厚生省はどのように状況を把握しておりますか。
○末次政府委員 こういう中国等からの引揚者につきましては、厚生省としては、帰国後の当面の生活資金あるいは就職のための支度金として、帰還手当というのを二十八年から支給いたしておりますが、昭和六十二年からさらにこの制度を自立支度金と改めまして、少人数世帯加算を設けるなどによりまして、支給額の改善を図りつつその支給をいたしております。 国といたしましては、こういう自立支度金の支給で、当面の生活に必要な物資、資材等を購入していただくという立場をとっておりまして、都道府県あるいは市町村がどのように個別に給付を行っておられるかにつきましては、私ども全体を把握しているわけではございません。
○草野分科員 大臣、お聞きになっておわかりだと思いますけれども、定着促進センターから出て、それで住宅をあっせんしてもらって入りますね。その晩からなべかまや布団、これは必要になってくるのですね。その実情について、市町村でいろいろやっているところ、やってないところ、いろいろあるのですよ。 でも、自治省に伺うと、自治省は全然そんなことは知らぬ、各市町村がそれは勝手にやっていることだ、自治省としては全然そういう状況というのはつかんでいない。厚生省に伺っても、厚生省は自立支度金というものをやっている、だからそれで買っているのだろう。全然その実情を御存じない。これは一体どういうことなのですか。もう少し血の通った行政をすることはできませんか。大臣、こういう点についてどういうふうに思いますか。
○末次政府委員 現物で支給するのがいいのかどうかという点もございまして、自由に使えるお金という趣旨で自立支度金を私どもは支給いたしております。平成二年度で申し上げますと、大人二人子供二人世帯の場合に、五十万百円という金額を支給いたしまして、これによりまして必要な家財道具を調えていただくというふうに考えております。
○草野分科員 この自立支度金というものの性格はどういう性格ですか。また、このお金を持っていた場合は、生活保護における収入認定されるのかされないのか。
○末次政府委員 自立支度金の性格は、ただいまも申し上げましたように、帰国後の当面の生活資金ないしは就職のための支度金でございます。したがいまして、その性格は、ただいま申し上げましたような、生活に必要な資金ということでございます。 生活保護上の取り扱いにつきましては、私ども直接の担当ではございませんが、これにつきましては、収入認定から外されているというふうに承知しております。
○草野分科員 大臣、今局長の言っていること、ちょっとおかしいのです。この「帰還手当の取扱い」で「趣旨」、これにはこういうふうになっているのです。「外地残留による永年の労苦を慰藉する見舞金的なものとして、」まずこうなのです。それからその後に、「また、当座の生活費としての応急援護金的なもの」こうなっているのです。今の局長の答弁によると、目的は当座の生活費にみんな使うのだ。ではこの前段にある、本当はこれが一番の目的でしょう。「永年の労苦を慰藉する見舞金的なもの」だ、この点はどうなっているのですか。
○末次政府委員 生活保護上の取り扱いは別といたしまして、現に支出いたしております援護局の考え方は、先ほど来申し上げておりますように、当面の生活資金ないしは就職のための支度金として支給をしておるところでございます。
○草野分科員 これはあなた方が出した、厚生省で出した通達でしょう。あなた方が書いたものでしょう。この中にも書いてあるように、「引揚に伴う精神的打撃・苦痛・損害に対する補てん及び慰藉的なものでこういうふうに書いてあるじゃないですか。なぜそんなふうにすりかえてしまうのですか。
○末次政府委員 先生ただいま挙げられました資料、これは当方で出した資料ではございませんで、これは生活保護の運用につきまして、社会局の方でお出しになった資料だというふうに承知いたしておりますが、私どもといたしましては、先ほど来何度も申し上げましたような性格であるというふうに考えております。
○草野分科員 それはおかしいですよ。大臣、ではあなたが答えてください。これは社会局の方で出したもので援護局では知らない、こういうお話です。これは「生活保護における帰還手当の取扱いについて」だとか「生活保護における自立支度金の取扱いについて」こういう文書の中に載っているのです。援護局長が答えられないなら大臣答えてください。
○津島国務大臣 自立支度金の性格につきましては、政府委員から御答弁しているとおり、自立更生のために効果的であるということで、当面の生活基盤の回復に充てられるというもので差し上げたわけであります。国内の一般国民の場合もそうでございますが、諸般の事情によって大変所得の少ない方には、生活扶助の制度で、生活保護の金額によりまして賄っていただくというのが基本でございますから、そういう制度では、当面の最初の生活基盤の回復には間に合わないだろうということで差し上げているのがこの部分であろうと思います。ですから私は、考え方としては一つセットされている、とにかく当面のお支度金、それから国内の国民と同じように生活保護を受けていただくというセットであろうと思います。 ただ、具体的にこれで支度金として十分かどうかという問題はそれは議論の余地はあろうかと思いますけれども、制度はそういうぐあいにできているのだというふうに受けとめております。
○草野分科員 十分であるかどうか、そこには触れなくてもいいと私は思うのです。問題は支給の趣旨なんですよ。さっきから繰り返すようですけれども、「永年の労苦を慰藉する見舞金的なもの」なんだ、そういうことで実は長い間来ているわけですね。それが、いつの間にか途中から当座の生活資金として、その金でなべかま、布団を買いなさい、こうなってしまっているんです。これはおかしいと思うのですね。これははっきり厚生省の方の通達なんですから。これは援護局で出したものじゃないかもしらぬけれども、厚生省からの通達です。「引揚に伴う精神的打撃・苦痛・損害に対する補てん及び慰藉的なもの」、こうなっておるわけです。 では局長に伺いますけれども、この支給金額のうち何割がなべかま、布団用のそういう生活必需品に充てて、それで慰謝的な、見舞い金的なものは幾らか、その区別はどうなっておりますか。
○末次政府委員 私ども先ほど来申し上げておりますように、この制度は昭和二十八年から開始いたしておりまして、私どもの方のこれを出す趣旨は、帰国後の当面の生活資金ないしは就職のための支度金、これが全体であるというふうに考えて支出しておるところでございます。生活保護上の取り扱いその他につきましては、どういう趣旨か、私どもの方はさらに検討してみたいとは思いますが、私どもの出しております趣旨は、ただいま申し上げたような趣旨でございます。
○草野分科員 では大臣、厚生省の中で援護局と社会局とこの支度金の考え方は違う。これは趣旨は違うのですか。
○津島国務大臣 草野委員に御理解いただきたいと思いますのは、ここは非常に難しいところでございまして、生活保護の立場から申しますと、それが例えばなべかま用のものであれ何であれ、本人の所得であるということになりますと、所得は所得だから日本の国民と同じように所得扱いをされるという議論があるものですから、これは本当のところを申し上げますと。しかし、それではこの趣旨の本来のあれにはならないだろう。やはり生活保護の所得扱いをせずに、ひとつ最初の出発用の費用に充てていただきたいということで実はこういう立て方をしているわけです。その辺の行政の苦労も、行政面にも大変堪能な委員でございますから御理解をいただきたいと思います。
○草野分科員 時間が参りましたので、残念ですが、はっきりすることができなくて困っております。 それで、今大臣がおっしゃいましたけれども、これは厚生省でこういう解釈をしているのです。この「帰還手当を消費せずに保護申請を行なつた場合」「収入として認定しない取扱いとして差しつかえない」、こういうふうに言っておるのですね。だから、お金を持っておったってこれは全然関係のないことになっているんですね。これは非常に重大な問題なんです。今の援護局長の話を聞いたって、見舞い金的なものが幾らで、それから当座の生活資金が幾らか、この区別もわからぬじゃないですか。こんないいかげんな内容でどうしますか。もし本当に当座の生活資金として全額を使うんだということになったら、これはもっと額その他から考え直さなければならぬと思います。これは第一義的には全部見舞い金的なものだ、こうなっているのを途中ですりかえてしまって、これは全部なベかまを買う資金にしろ、これはちょっとおかしいですな。ぜひとも検討してください。この問題につきましては、また引き続き機会を見てお尋ねをしたいと思います。 時間が来ましたので、これで終わりにしたいと思います。
○金子(一)主査代理 これにて草野威君の質疑は終了いたしました。 次に、川端達夫君。
○川端分科員 大臣、御苦労さまです。よろしくお願いいたします。 四月六日に日米構造協議の中間報告がされました。国民、そして世界も注目をしていた中身だというふうに思いますが、この件は、予算委員会総括、集中審議含めて各方面で議論をされてまいりました。そういう中でも明らかになってきたことでもありますし、また、総理も御答弁をされておりますけれども、この報告の内容というものは、大きく言えば二つの中身というか側面を持っているんじゃないか。 一つは、日本がこれから国際社会の中の一員として応分の責任を果たし、なおかつ摩擦を避け、孤立しないためにやっていかなければいけない課題である。同時に、観点を変えて見れば、それらの報告に盛り込まれた内容のほとんどは、本来国民の立場から見てぜひともやらなければいけないものではないか。経済を一生懸命頑張ってきて、経済は確かに世界で一流と言われるようになったけれども、実質的な生活は先進国の中ではかなり下の方である。経済大国から生活先進国にという部分で、ぜひともやってほしいというふうな声あるいは期待も、いろいろな協議の結果、国民的にも期待が高まってきたことも事実だと思います。 その意味で、国民の生活水準を非常に上げていくということで、各省庁、各方面倒努力をいただいているということは十分理解をしているんですが、そういう中で、全体的に国民の水準を上げるという大きな使命と同時に、これからの日本が迎えるであろう高齢化福祉というものをどうしていくのか、いわゆる弱者を支えるという部分で大きな使命を果たしておられる厚生省として責任も大きいだろうと思いますし、国民の期待も大きいというふうに思います。 そういう中で、高齢者の「高齢者保健福祉推進十か年戦略」、いわゆるゴールドプランというものが政府で取りまとめをされました。これは今までの福祉ビジョンの流れから見ますと、かなり思い切って具体的に方向をお示しになった、あるいは新しい施策を盛り込んでこられたという部分で受けとめているわけですけれども、この部分に関しての基本的なお考えを簡単にお聞かせをいただきたいと思います。
○津島国務大臣 川端委員御指摘のとおり、我が国の社会経済が当面しております最大の課題というのは、一つは、外に開かれた日本、国際社会で貢献のできる日本の社会をつくろうということであり、もう一つが、二十一世紀に到来する超高齢化社会に備えるということでございましょう。そして、ある意味ではこの二つのことは関連をしておりまして、高齢化比率が上がってまいって成熟してまいりますと、日本の貯蓄と投資のバランスが、明らかに貯蓄の力は落ちてまいりますから、それが同時にまた国際収支にそのまま反映されるというのが経済の現実でございます。ですから、これから二十一世紀までの十年間にそういう二つの課題について取り組んでいくということは、例えば民生部門におけるいろいろな措置の充実というような点で軌を一にしておるというふうに私は受けとめておるところであります。
○川端分科員 そういう方向の中で、いわゆる「高齢者保健福祉推進十か年戦略」というものについてお伺いをしたいと思います。 当初の六十三年十月にお示しになったいわゆる福祉ビジョンというものではホームヘルパーを平成十二年に五万人にするという部分が、今度の計画では十万人だというふうな具体的な数字、これは私は非常に思い切って大胆に方向をお示しになったというふうに評価をしているわけですけれども、この経緯ということについて少しお聞かせをいただきたいと思います。
○岡光政府委員 十万人の根拠ということでございますが、福祉ビジョンに、おきましていわゆる在宅福祉の三本柱を打ち立てまして、できるだけ住みなれた自分の家、地域社会で生活が送れるようにということで施策の方向を打ち出したわけでございます。それを支えるに当たってどれだけのヘルパーの数が要るのであろうかということを改めて積算いたしまして、十カ年戦略でうたっておりますような在宅福祉サービスを、特にヘルパーについて計算してみますと十万人の人間が要るではないかということで改めてセットさせていただいたところでございます。
○川端分科員 私は、需要といいますかニーズに応じてそういう数字をお出しいただいたことは非常に結構だと思います。そういう意味で、問題はこの計画自体をこれからいかに着実に目標どおりに具体化し、実現していくかということが問われていると思いますし、厚生省としては御努力をされていかれることだと思いますが、現実に考えてみますと、ブレークダウンしていくと、必要性で数字が出てきたということでは、本当にしなければならない命題である。しかし現実から見ると、すごい目標だなということになってくるわけです。 今いみじくも局長おっしゃいましたように、福祉というのは、特に高齢者福祉というのは地域に密着してやっていくべきである、私もそのとおりだと思います。そういう意味で例をとりますと、滋賀県というのは全国のすべての統計を大体百分の一と見るといいとよく言われるわけです。人口も一億二千万人に対して百二十万人。例えば今選挙制度云々と言われますけれども、衆議院定数五百人で平均的に五人、そういうふうに統計上は大体百分の一と言われます。 そういう意味では、例えばホームヘルパー、まさに家に行くわけですから、人口に比例した分として人数は必要だろうということを言いますと、現行の三万一千四百五人を十万人に増員しよう、全国の一%が滋賀県だと考えますと、十万人の百分め一で千人ぐらい十年後に必要だな、これを頑張ろうということなのですが、現実に六十三年度末で百三十八名、平成元年度末で百四十八名、一年間に十人頑張ってふやした。元年度末百四十八人を十年間で千人にしなければならないという要請だ。そうしますと、毎年同じ人数をふやしていくとすると、八十五人ずつふやさなければいけない。去年一年で十人ふやした、来年から十年間は八・五倍ずつを毎年伸ばすというふうな数字として出てくる。スタートの水準自体が、百分の一で言う三百十数名ということに対し現行百三十何名しかいない部分のおくれはあるわけですけれども、結果的にはそういう状況になる。 あるいはショートステイということで言いましても、これも地域的にかなり近くでないと、延々と行ってショートステイということは意味がないわけです。そういう部分でこれも考えますと、五万床に計画しようというと、例えば一%というと五百床である。六十三年度で六十八床が平成元年度で七十九床、年間十一床ふやしたわけですけれども、この後目標を達成しようと思うと年間に四十三床ぐらいふやさなければいけない。去年十一床ふやしたのを、その四倍以上を十年間続けなければいけないという状況に置かれている。 あるいはデイサービスももちろん近くでなければいけないわけですけれども、そういうことでいうと、例えばこれも昨年四カ所ふやしたのですけれども、来年以降九カ所ずつ十年間ふやさなければ到達しない。そういう部分で、これは相当な努力をしないといけない状況にあると思います。 ところが現実に、一つは人の問題、まさに福祉に携わるヘルパーあるいはそういう施設におられる職員の方という部分を間違いなくふやさなければいけないという状況です。そういうときに、昨今の環境の中ではもともとが非常に人手不足である。一般の企業も、大手でさえもなかなか人がとれない。しかも、給与の水準あるいはその周辺の労働条件、例えば交代勤務であるとか週休二日でないとか夜勤があるとか、現場の作業とかというのは非常にとりにくいというのが現状であります。 そういう中で、例えばホームヘルパーにしましても、かなり不自由な方に介護をしながら、食事をしていただくのに手助けをする。おふろに入れてあげるのもかなり労力がかかる。あるいはトイレのお世話をしなければいけない。こういう部分ではかなり労働としてはきついので、ボランティアなんかにかなり助けていただいているわけです。そういう部分でいうときに、果たしてこれだけの人数を確保するというのは、本当に必要であるということでやらなければいけないけれども客観的には厳しい。 せめてその中で、そういうことをやらなければいけないときにどういう手だてをとって目標を達成したらいいのかなということで言うと、一つは、マンパワーの部分で言えば、基準額というのですか、お金の話で恐縮ですが、ホームヘルパーの場合国庫の基準額が今、介護中心で年間二百四十三万五千九百四十五円、家事援助中心で百六十二万三千九百六十三円、仕事として見た場合に決して高いとは言えない額だと思います。みんな自分たちが年老いていくんだから、そういうボランティア、かなりみんながお互いに互助でやっていこうという部分を啓蒙し、みずからも参加していくということは必要ですけれども、それにしてもというふうに思いますし、現状としてやはり相当人を集めなければいけないという部分に関してはどのような対処をしようと思っておられるか、お聞かせいただきたいと思います。 〔金子(一)主査代理退席、主査着席〕
○岡光政府委員 先生御指摘のとおり、まず手当等の引き上げを図って、いわゆる処遇改善をしていかなければならないと思っております。それは内容的には、ヘルパーさんについては今御指摘のありました基準額を改めるということでございますし、特別養護老人ホーム等での直接処遇に当たっておる職員につきましても、例えば夜勤についてもう少し手厚い体制にするとか、勤務時間につきましてもできるだけ時間短縮を図るとか、そういう内容改善、現在もやっておりますが、なお引き続いて行って、できるだけ仕事のしやすいような体制をつくっていかなければいけないと思っております。 そういう処遇改善とあわせまして、勤務形態につきましても、市町村の職員を直接確保するということのほかに、現在もやられておりますが、社会福祉協議会の職員に委託をするとか、あるいはデイサービスとかショートステイが典型的な例でございますが、特別養護老人ホーム等を活用するわけでございますのでそこの専門職員に委託をするというふうな、いわば可能な範囲で、仕事がうまく進む範囲で外部に委託することも考えていかなければいけない、そういう多様な勤務体系を一方では講ずる必要があるだろう、こう考えております。 あわせまして、国民の意識啓発を図りまして、こういったお年寄りの介護のような仕事はすばらしい仕事であるということを皆さんに御理解をいただきまして、イメージアップを図り、社会的な評価をして国民全体がこれを支えるというふうにして、喜んでこういう仕事にでき得る限り参画をするという方向に誘導していく必要があるのではないか、そんなふうに考えております。
○川端分科員 私も、おっしゃるように、いわゆる処遇改善とそれから互助といいますか、みんなの問題だという部分の啓蒙というのが両輪だなというふうに思いますが、やはり相当な処遇改善をぜひとも図っていただきたいと御要望を申し上げておきたいと思います。 同時に、ショートステイ、デイサービスの部分で言いますと、これは設備がついて回るわけですね。ホームヘルパーの場合は御自宅へ行けばいいわけですが、あとの部分は来ていただく方ですから、そういう部分で設備をつくる。そうすると、その設備に対しても相当なお金が要る。同時に、設備に対してのそこの職員さんというのですか、そういう人材という部分も、直接的にそういう介護人とかいうことでなくても、やはり今の状況の中で、これはそう簡単にいく問題ではないのですが、雇用の問題という意味では、人を確保するということが大変な状況になってきているということでありますが、そういう中で、いわゆる知恵とお金の限りを尽くしてどうしても実現をしていただきたいというふうに思います。 もう一つ、福祉施設に関してもかなり十年後を読まれた計画というふうなものをお立てになっております。これも、時間が限られておりますのであれですが、その部分もいわゆる百分の一県という滋賀県という部分で見ましても、特別養護老人ホームにしましても老人保健施設にしましても、大体今までのペースの何倍かのペースでずっとやらなければいけないということになります。この部分は、先ほど申し上げた人的な部分以外にハードな、建物を建てなければいけないということで、その部分に関しては、御案内のように地面が、土地が非常に高くなってしまった。 ですから、建物に対しては厚生省の方でいろいろ御配慮をいただいてお助けをいただくわけですけれども、用地取得という部分に関してはないわけですね。ここの部分が非常に、負担として果たしてたえられるのだろうか。これがないと、まず地面がないとそこから話は始まらないわけですから、その部分に関しても、これだけゴールドプランということで、本当に高齢化社会を展望して充実した福祉というものを施策されるときに、そこの観点というのはこれからどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたい。
○岡光政府委員 おっしゃいますように、用地の確保というのはもう不可欠のことでございます。ですが、土地の取得に対する直接的な補助につきましては、土地が永久資産であるというふうなことから補助制度にはなじまないという点がございますので、従来から公的な融資で対応しているということでございます。融資制度につきましては、社会福祉・医療事業団であるとか年金福祉事業団であるとか、こういったところから低利融資をする仕組みをつくっているわけでございますが、大都市においてはなかなかそういった融資も限界がございます。私ども、特例を定めておりまして、原則的には社会福祉法人が社会福祉事業を行うときには所有権を持っておいてくださいということにしておりますが、都市部につきまして、特に、土地の取得が困難な場所につきましては例外的に借地でも結構ですということにしておりまして、できるだけそういった大都市での需要にこたえられるようなそういう対応をしているところでございます。 なお、従来から大臣からも御答弁をさせていただいておりますが、大都市における公有地を積極活用するとかあるいは他の施設との複合化を図る。例えば都内で、最近の例で申し上げますと港区で例がございましたが、中学校の建物をつくってその上に特養であるとか集会施設であるとかを一緒に建てましたが、そういうふうな例をいろいろ考える必要があるのではないだろうか。特に、子供が減って小中学校が廃校になったりしておりますので、そういったものをうまく活用していくというのも一つの方法ではないかというふうに考えております。
○川端分科員 土地に補助するという部分はなじまないということは、今までの経緯、基本的な考え方としてもそれなりの理解はしておるつもりなんです。冒頭申し上げましたように、現実にこういう高齢者の保健、福祉というものは私は非常に評価をしているのですが、要するにどれぐらい必要なのかというところから始まるということで、今からこれぐらいできるという積み上げではなくて、需要からこういう計画をお立てになったということは私は非常にいいことだと思います。 しかし、そこに到達するのに、マンパワーの問題と同時にそういう建物の問題もそういう発想でやれば、積み上げていく部分に関してはこんなに積み上げなければいけないということで、逆にそれが大変だから今まで積み上げ方式というのが大体多かったように思うのですが、その殻を打ち破られた部分から言いますと、そのネックというものを逆にいろいろな発想として、関係省庁いろいろおありですけれども、今の学校のことを含めて知恵を出すという以上に、また今までの部分以上に例えば国庫補助ができるとかいうふうなこともぜひとも御検討いただきたいというふうに要望しておきます。それからあと一点、いわゆる水資源の問題に関係をしてお尋ねをしたいのです。 最近、水というものがだんだん日本じゅう汚れてきているということで、環境基準ということを含めてもっときれいな美しい水が本当に大事だということで、厚生省に限らずいろいろなところでいろいろなお知恵を出していただいて諸施策を講じていただいているのですが、一番利用しやすい部分でいう湖、琵琶湖でありますとか霞ケ浦とか、そういうものは人には非常に近いところ、川よりも周りに人がいるということでは密接をしている。それだけに逆に汚れやすい。しかも、閉鎖系がほとんどであるということで、非常に汚れが激しいというのが現状だというふうに思います。 環境基準を達成している水域という部分で見ましても、河川は六八%、海域が八二%に対して、湖沼というのは四三%ぐらいしか環境基準を達成していない、そういうふうに低いということが現実だと思うのですが、そういう中で窒素、燐の排出というものを考えたときに、工場排水あるいは農業排水、生活排水、いろいろありますけれども、やはり現実にはいわゆるし尿の部分というのが負荷が非常に高い。そういうことで、厚生省も六十三年にし尿処理施設を対象としていわゆる構造指針をお出しいただきました。私は、これは非常に当を得た指針ではないか。それによって各地域においてかなり水質改善の向上が図られるようになってきたということでは評価をしているわけですけれども、いわゆる窒素、燐除去の高度処理施設を整備していこうというのは、これは基本的に厚生省でもお持ちのスタンスだというふうに思いますが、現に例えば、そういうふうに普通の処理よりも湖沼の場合は排水としてよりきれいにしなければ、閉鎖系であるがゆえにアオコが発生するとか赤潮が発生するとか、そういう問題を非常に招きやすい。ですから、各地方自治体、国も含めていろいろな努力をして改善しようということになっているのですが、現状を何とかとめるか、悪くなるのが少しずつだというぐらいなのが現状だと思うのです。 そういう意味で、滋賀県でもその中の負荷として、やはりし尿処理設備が非常に負荷が大きいということで、十二の施設で一日に千四百五キロリットル処理しているわけですが、全体でいい設備をつくればつくるほど排出はよくなるけれども、運転費が高くつく、これは当然のことなんですが、要するにコストがかかる、千四百五キロリットルで全体で処理経費としては十四億五千万ぐらいかかっているのですが、それが通常の排出よりももっと高度の処理をしよということで、厚生省なんかにいろいろバックアップしていただいて設備を更新してやった部分で五億ぐらい負担がふえているわけです。ですから、九億五千万からいえば五割増しの負担をして、でもやはり水は守らなければならない、そういう努力をしている。 しかし、その五億円の負担はだれがしているかと言えば、これは全部市町村なんですね。その市町村という部分で言うと、そのおのおのの経済力によって随分差がある。国民全体の共有の資源である水を守り、環境を守るという部分で負担をしていくときに、よりきれいなものにしていこうということで、ただし尿処理設備をしたときに、本来十億ぐらいなのがあと五億ぐらい上乗せをしてもっときれいにしようという部分を市町村でしている。 滋賀県はそういう部分で、昭和五十五年から補助制度で各市町村に、基準額との差額の分はある算定基準で補助しましょうということで現に今一億円ぐらい出しているわけなんですけれども、そういう一つの自治体だけで水質汚濁防止を一生懸命やるということにはやはりそれなりの限界がある。しかも財政力において差のある自治体、特に市町村の中での格差の部分では、そういう部分で非常に負担があるということと同時に、その負担ができないところはやらなくていいという話でないわけですから、そういう高度処理の維持負担のあり方ということに対してどのような御見解をお持ちなのか。それと、私はやはりその部分に何らかの国の施策というのが必要ではないかなというふうに考えるのですが、いかがでしょうか。
○目黒政府委員 現在厚生省では、市町村がし尿処理施設を整備いたします場合には、施設整備については国庫補助を行ってその促進を図っているということでございますが、御指摘の維持管理は市町村の責任において行う、こういう原則でずっと来ているのでございます。現在国の財政的な援助というのは行ってないのでございます。したがいまして、窒素、燐の除去を行うというような高度の処理施設の維持管理費につきましても、もちろん先生の御意見、御趣旨、よく私どもも受けとめておるわけではございますけれども、現在私ども、国の財政援助は考えてないというのが今の考え方でございます。
○川端分科員 設備に関しては本当にバックアップをしていただいていることはありがたいと思っているのですが、やはり全体的な環境を守り、水を守り、ひいては国民生活を守るという観点の中で厚生省も御努力をいただいて、設備的に、高度処理の設備に関してはいろいろ御支援をいただいている。それで設備をつくると、運転する部分は、当然その部分では費用が高くかかるという部分に関してはつくったものの責任でやりなさいと言われるのが現状なんです。お考えいただいてないということなんですが、私は、それはやはり十分にお考えをいただく、あるいは御検討いただく課題ではないかなというふうに思います。ぜひとも前向きのお取り組みをお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
○津島国務大臣 国の補助で重要な公共的な施設を幾つかつくっております。そういう中で今おっしゃった水質汚濁を防止する施設の建設というのは最重要なものの一つであるということはお認めいたしますが、その維持管理費をどうするかというのは、ほかの施設の場合実に実に広範にわたる問題でございまして、それとのバランスもお考えいただきたい。研究をいたしておきます。
○川端分科員 重々承知をしておるのですが、その部分にということで県なんかは補助をしておるわけですけれども、やはり国としての部分も、全体的な部分で言えば、このことだけではなくていろいろな角度で、今国民生活をどういうふうに向上させ、そして期待にこたえるかという部分のいわゆる負担のあり方が問われているのだというふうに思います。自助、公助、互助ですか、という部分の中での御検討を切にお願いをして、終わりにしたいと思います。 ありがとうございました。
○林主査 これにて川端達夫君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして、厚生省所管についての質疑は終了いたしました。 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。 この際、一言ごあいさつ申し上げます。 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚くお礼を申し上げます。 これにて散会いたします。 午後四時五分散会