予算委員会 第8号
- 発言数
- 328 件
- 登壇者
- 44 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1990/04/11
会議録
○越智委員長 これより会議を開きます。 平成二年度一般会計予算、平成二年度特別会計予算、平成二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山富市君。
○村山(富)委員 まず、日米構造協議における大店舗法の問題についてお尋ねをしたいと思うのです。 大店法の扱いに関する中間報告は、一つは、五月に通達を出して出店調整期間を一年半に短縮をする。二つは、次期通常国会に法改正案の提出を目指し、法改正を行って、調整期間をさらに一年程度に短縮をする。法改正後二年後さらに見直しをして、特定地域を設ける。こういうことが確認をされておると思うのですが、間違いありませんか。
○武藤国務大臣 最初の運用改善は一年半にするということだけではございませんけれども、大体これは、昨年の六月にいわゆる産構審、中政審、この合同の会議におきまして、新しい九〇年代の流通ビジョンについての答申をいただいたわけでございます。その提言に基づきまして、今までいろいろ批判をされてきたこの出店調整手続についてもっと簡素化しようということから、中には十年以上かかっていたものを二年以内をめどにということで一応期限のところは決めまして、それ以外にももちろん、例えば消費者のことを考えて、営業時間を今よりも一時間程度おくらせてもいいとか、その他のこともいろいろあるわけでございますけれども、大きな問題としては今御指摘の点を、大体二年としていたのをこのスピード時代に何とかもう少し短くならないかということで一年半にしたというところが大きな問題でございます。 それから、今度の日米協議に関連いたしまして、流通ビジョンになかったもので加えさせていただいたものは、外国製品の売り場については百平米以下は全く自由でありますということをつけ加えたのが一つでございます。 それから、なおもっと短くできないかということになりますと、これは法律改正しかできませんので、これを通常国会を目指して、法律改正で一年をめどにして何とかできないか。それから、法律改正の中では、輸入品の売り場については百平米だけじゃなくて、もっと、今の大店法の対象になる面積の程度までひとつ何とか自由にできないか、こういうことをこれから法律改正の中で検討していこう。第三段階は、その法律改正をいたしました後また二年先を目指して、特定地域の問題とかこの法律の必要性とか、こんなことを検討させていただこう。こういうことにしたということでございます。
○村山(富)委員 都道府県、市町村で、大店法の扱いについて上乗せ規制をしているところやら、何らかの形で条例で規制をしているような団体はどれくらいありますか。
○奥田国務大臣 通産省の調査のデータでございますけれども、大店法の上乗せ規制をしている地方自治体は、今のところ、県で十二、市町村で百五、合計百十七ということになっております。横出し規制については、県で二十三、市町村で九百九十一、一千十四団体ということになっております。
○村山(富)委員 現在、出店申請が提出されている、その調整中の件数はどれくらいありますか。
○山本(貞)政府委員 お答え申し上げます。 出店届け出件数というのは平成元年度には七百八十八件ございましたが、今調整中の案件は平成元年の六月一日現在で七百四十六件でございます。これは第一種及び第二種店舗両方含めたものでございます。
○村山(富)委員 この中間報告の中を見ますと、「地方公共団体の独自規制については、大店法の趣旨に照らし、上記の運用適正化措置に併せて各地方公共団体が必要な是正を行うよう指導する等最大限の努力を行う。」こういうことが書かれてあるわけですけれども、具体的にこれはどういうことを意味しているのですか。
○武藤国務大臣 やはり地方自治との憲法上の問題がございますから、運用改善の方は自治省を通じて各地方自治体にお願いをするということでございます。 それから、一年先の通常国会を目指してという法律改正の方につきましては、これは、新しい法律改正をいたしますときに、地方自治体におかれましても何とか法の趣旨に照らして善処していただくようなことを規定の中に織り込みたい、こう思っておるわけであります。
○村山(富)委員 今、出店申請の件数をお聞きしたわけですけれども、出店調整期間を一年半に短縮した。現在提出されている件数等々を考えた場合に、大変困難な、難しい問題があるのではないかというように思われるわけですけれども、どういう手法で上乗せ規制などをやっている地方公共団体との調整を図っていくつもりですか。一年半でそういうことが可能になるのですか。
○武藤国務大臣 とにかくそういう形でこちらは努力をしていくわけでございまして、従来、正直、何も上乗せとかそういうことだけではなくて、事前商調協で例えば地元の同意書を持ってこいとか、いろいろ厳しいことをして抑えてきたわけですけれども、今回の運用改善ではそういう地元の同意書なんかは要らないということにいたしますし、そういう面では相当今までよりは期限は短縮されるものと私は期待をいたしておるわけであります。
○村山(富)委員 これはそういうことになっているわけですから努力をする以外にはないと思いますけれども、法改正の二年後に特定地域への規制撤廃を含めた大店法の抜本的な見直しをする、こういう中身のものがあるわけですけれども、この特定地域は三大都市圏を指す、こういうふうに米側に説明されておる、こういう新聞報道がされていますね。これは具体的にどういう線引きをされるわけですか。
○武藤国務大臣 新聞はいろいろ書いておりますけれども、私ども、具体的にアメリカに対して今御指摘のような三大都市圏とか、そのような説明は全くいたしておりません。
○村山(富)委員 そうすると、特定地域を設定するということについては何にも触れてないわけですか。
○武藤国務大臣 アメリカに対しては、特定地域ということだけであって、具体的にその中身について私どもの方からいろいろと説明をしたことはございません。
○村山(富)委員 いや、特定地域という言葉はあなたの方から出されたんでしょうからね。そうすると、あなたが出されたときにあなたの頭の中ではどういうことを構想して出されたわけですか。
○武藤国務大臣 まあ、大体常識的には大きな都市という考え方は私の中にありますけれども、一体その法律の中はまだ三年先の話でございますし、それを例えば特定の地名を法律の中に書き込むとか、あるいは人口密度とか、あるいは商業集積度とかそういう形で何か合理的な基準を考えてやるとか、これはいろいろ方法はあると思うのです。これはやはりこれからまだ十分各界各層の御意見も承りながら私どもは決めていかなければいけない、こう思っておるわけでありまして、おおよそに頭の中に何もないかといえば、それは頭の中には大きな都市というものは一つありますけれども、一体それをどういう形でこれから法律の中に表現していくかということは、まだ十分時間もございますし、当然これは審議会にも御相談をしなければならぬことでございますから、今のところ具体的にどういう方向かというものは全くまだございませんということを申し上げざるを得ないわけであります。
○村山(富)委員 そうすると、三大都市圏とか具体的に頭の中に決められた構想があったわけではない、そうですね。 それから、この大店法の扱いで協議をする際に、これは私どもはマスコミの報道を見て知る以外にないのですけれども、アメリカ側からもしばしば消費者の利益を守るためということが強調されていますね。日本政府もそれに同調したような意見がたびたび述べられていますけれども、今度の大店法の扱いの中で具体的にどういう点が消費者のためになるというふうに判断しているわけですか。
○武藤国務大臣 特に総理は非常に消費者重視をしろということで御指導いただいておりますけれども、私自身は、今度のこの案をまとめるに当たりましては、もちろん消費者重視の観点を十分念頭に置きながら、しかし、長い間それそれの地域社会の発展のために御貢献をしていただきました中小小売商の皆さんの今日までの御努力、また、本当に今一生懸命自助努力で何とか消費者のためにと思って御努力されている中小小売商の皆さんのことも考えなければいけないことは当然でございますし、あるいはいま一つは、国際社会の中で日本が孤立をしてはいけない、やはりこういうルールも国際的にみんながわかりやすいというような形で考えたという三つの点がございますので、私としては消費者の利益だけを考えてやったわけではなく、法律の「目的」にも「消費者の利益の保護に配慮しつつ、」中小小売商のそれぞれの分野で活躍ができるようにと書いてあるわけでございますし、そんなことでございますが、今の御質問に対してお答えをさせていただきますと、例えば先ほど申し上げました運用改善の中で、今よりも営業時間が多くなるということは、これは消費者のためになると思います。それから、今までそれこそ五年も十年もかかっておったものがとにかく一年半で決着がつけられるようになれば、これも消費者のためになるだろうと思います。 それから、法律改正の方でございますけれども、法律改正の次の通常国会を目指してという形でこれから私ども作業を進めていく中には、例えば商調協のあり方につきまして、今までとは違って、もっと、商調協でどんな議論がされているかということをみんなはっきりわかるように公表しようじゃないか、その地域の消費者の皆さんがどういう形でこの出店調整がなされているか今のところ全くわかりませんので、そういう点はよくその地域の住民の皆さんにわかるように公表しよう。それから、商調協のメンバーの方にもある程度準公務員的な資格を与えて、そのかわり、それこそうわさにあるような変なことをした委員があるならば、それは刑事罰がかけられるようにしようとか、そんなようなことも通常国会を目指して私どもが考えてまいります法律改正の中には入れたいと思っておるわけでございます。これも消費者のためには十分なることではないか、こう私は考えておるわけであります。
○村山(富)委員 これまでの経過を振り返ってまいりますと、例えば一つの地域の商店街、その地域拡大型店が進出をするとどういう影響が出るだろうか。その影響が出るという判断は、大型店が出ることによって既存の中小の零細小売業者にどんな影響を及ぼすかということでもって調整をするというのが主体ですよね。そこにはある意味では消費者の立場というのは余り重視されてないのですよ、正直言いますとね。そして、ごたごた混乱をした中で調整が進んで、成功する場合もあるし、しない場合もある、こういうことになっていると思うのですがね。 ただ、これまでの事例を見たり、またいろいろな業者の意見を聞いてみたりしますと、ある意味では大型店の進出はもうこれはやむを得ないだろう、時の流れだというふうにあきらめているものもありますよね。これは、大型店が進出をして、今の土地の高いときですから相当高額な出資をしますよね。それを取り返すためには何としてもやはり商売が成り立つようにしなければいかぬというので、資本に物を言わせて安売りをする。安売りの競争ではもう既存の業者は勝てませんから、したがって転廃業する以外にない、こういう状況に追い込まれる業者もある。生き残ろうとすれば、大型店が扱っていない品物を扱うような工夫をしてやる以外にない、こういう現象があちこちで起こっているわけですよ。 そういうことになりますと、これは消費者の立場からすれば、どういういい品物を、安い品物をどこで買おうかという選択権がなくなるのですよ。奪われるのですよね。しかも最終的には、これはテレビなんかでも言っていましたけれども、結局高いものを買わされる、こういう結果になることがほぼ今までの通例ですよ。ですから、競争をし合ってそれで消費者にいい、安いものを提供するというような意味における調整というのは余り力点が置かれてないという傾向はあるのではないかと思うのですね。そういう点は、これから具体的にどういうふうにして消費者の立場を守っていこうとするお考えがあるのか。
○武藤国務大臣 大型店とその地域の中小小売商との関係でございますけれども、私どもは、原則的にはやはり共存共栄をしていただきたいということを考えておるわけでございます。同時に、最飯店も中小小売商の皆さんも消費者のことは十分考えていただきたい、こう思っておりますし、法律にも「消費者の利益の保護に配慮しつつ、」こう書いてありますので、本来ならばもっともっと消費者のことを考えなければいけなかった、その点は私ども反省をしなければならぬ点もあると思います。 それから、今お話しのように、ただ物は安いだけがいいというものでもないだろうと私は思うのでございますね。例えば生鮮食料品などは、この間から議論されておりますように、案外八百屋さんの方が安い場合もあるわけでございますし、それからもう一つは、例えば電気製品などにいたしますと、結局アフターケアほどちらかというとそういう量販店よりも中小の電気製品を専門でやっておられるところの方がいいとか、いろいろのことも言われているわけでございまして、一概に私は、消費者のためにただ安いだけがいい、それじゃダンピングで、ダンピングというと悪いのですが、とにかく安売りをして、それじゃ量販店で目玉商品にしてテレビを売った、ところが、あのアフターケアというのはどうなるかというと、これはなかなか問題があるわけでございますから、消費者のことを考えれば、やはり電気製品はきちんと売ってそのアフターケアもしてくれるところの方が私は消費者は安心できるのじゃないか、こう思う点もあるわけでございます。価格だけでというわけにはいかない面も私はあるのではないかと思っております。
○村山(富)委員 いや、そんなことを言っているのではないのです。それは、消費者の選択権はやはり保障させなければいかぬ。そのためにはやはりいろいろな店舗があって、それは中小の小売店もあるし、大型スーパーもある。どこの店で買うのが一番いいものを、しかも安いものを買えるかという選択権を消費者に保障しなければいかぬというのが前提ですから、そうならないのではないか、こう言っているわけですから、それはそれでいいです。 それで、これは中間報告でいろいろ見てまいりますと、内政干渉にわたるのではないかと思われるような細かな点まで具体的に取り決められているような中身がここにありますけれども、そういうところまで具体的に取り決めをするアメリカ側のねらいというのはどこにあるのか、あるいは、アメリカはどういうメリットを期待してそんなことまで取り決めをしなければならなかったのかということについては、どういうふうにお考えですか。
○武藤国務大臣 これは私の方だけではなくて、いろいろの、それぞれ所管大臣からもまた御意見があろうかと思いますが、少なくとも私が今度の日米構造協議で一つの考え方として持ってまいりましたことは、決して内政干渉を受けるつもりはない、あくまでこれは日米構造協議、総理もこの間うちから答弁されておりますように、やはりお互いにこういう大きな貿易のインバランスを解消するために経済政策を調整していこうじゃないか、そういう観点から、お互いの経済構造で問題になる点は指摘をし合って、それを直していこうということから出てきているわけでございまして、私どももアメリカから指摘をされたことについては、アメリカから指摘されるまでもなく、日本の国民のために、日本経済のために将来直していかなければならないところは直そうということでやってきたわけでありまして、もちろん先方から言ってきていることに対して、これはおかしいじゃないかということは、私どもはしりかりその辺は拒否をしたわけでございますし、正直、この大店法につきましても、最初の向こうの考え方はこれを廃止しろ、こういう方向であったわけでございまして、それに対して、廃止をするだけが私は果たして日本の流通秩序を守っていくのにいいのか、日本の消費者のために果たしてそれがいいのか、こう考えたときには、逆に廃止をしないで思い切った改正をした方が日本の消費者のためにもなり、日本の経済の今後の流通業界における秩序がいい方向でいく意味においても私は必要だ、こう思ったものですから、これは私どもは改正ということしかできないということで頑張り通したわけでございまして、決して私は向こうの言ったとおりにはなっていない、こういうふうに判断をいたしておるわけであります。
○村山(富)委員 これはちょっと総理に聞きたいのですが、今も通産大臣から、総理はこういう話し合いの中で消費者の立場を重視するようにということがたびたび言われた。これは総理が総理に就任してからあらゆる機会に、今度の問題に限らず消費者の立場を重視する、しなければならぬということは強調されて言われていますね。これは私は、やはり今のように社会が情報化する、あるいは流通機構が複雑になる、ややもすると消費者の立場が軽視される、こういう状況にあるような時代ですから、そういう意味はよくわかりますし、また国民もある意味ではそういう点を大きく期待していると思うのですね。 これはただ口先だけで重視をするというのではやはり困るので、せっかくそこまで総理が本当に消費者の立場を重視するというふうに考えておるのなら、行政の中にやはり身をもってあらわしていくようなことが具体的に示されてこないと、私はやはり国民の期待は裏切られると思うのですよ。そういう視点もあったのでしょう、前内閣のときには民間人の高原さんを経済企画庁長官に据えて、そしていかにも重視をするような、イメージチェンジを図るだけに使ったのではないかというふうにしかとられないのですよ、実際問題として。総理が消費者の立場を重視するという真意は那辺にあるのか、どういう姿勢で臨もうとするのか、ちょっと見解をお聞きしたいと思うのです。
○海部内閣総理大臣 民主主義の政治の基本は、申し上げるまでもなく最大多数の最大幸福を追求することにあるわけでありますが、私は日本の今の現状を見ておっていつも思うのですけれども、私も消費者の一人でありますし、視点を変えればすべての国民が消費者の立場にある。ところが、その消費者の声というものは、全体で言うと、声なき声と言われるように、何か大きな政治の場というものには消費者の声がこうなっておってこれがということはなかなかきょうまで上がりにくい状況にあったということも正直に言って一つだったと思いますし、またもっと率直に言えば、戦後きょうまでの日本の足並みを見てみますと、追いつけ追い越せというスローガンがありましたように、いろいろな面で日本が経済的に豊かさを取り戻して国民生活を充実するにはどうしたらいいか、どうしても生産中心の物の考え方が政策の中にもあったことは、これは否定できない事実だったと思っております。 ですから、そういう背景の中に立って、私は消費者の立場を大切にしていくということ、それは逆の視点からいいますと、このごろ国は豊かになったが実感がないではないかという御批判がこの数年間随分ございます。それはどういうところに実感かないかといえば、物を買うときによく我々は、物価の問題は上昇率だけで優等生だ、優等生だ、こう言うわけでありますけれども、上昇率が優等生でも、内外価格差というもとになるものを考えますと、調査の結果今日でも差がある。差があるということは、日本の消費者にとってはそれだけ実感がわかない一つの大きな面ではないか、こう考えて、内外価格差の是正ということは取り組んでいかなければならぬ問題でありますし、それから、今また村山議員の質疑を聞いております中にも出ておりますように、流通を改善をして、そして商品の選択をして、それこそ安くていいものが買えるようになるということも消費者の立場を大切に考える結果になろうとも思います。そういったことを念頭に置きながら今度の構造協議の問題にも臨んだわけでありますし、構造協議のもっと前から前川レポートというものを作成し、それに従って輸入を拡大し、内需を振興するという基本的な考え方の経済政策も遂行してきた、こういうことでございます。
○村山(富)委員 やはり消費者の立場を守るというのは、各般の行政の中にそういうものが政策として生かされていくということも必要ですし、あるいは行政の機構の中に具体的に取り組む姿勢を出していくということも私は必要だと思うのですね。 そういう意味で、消費者教育なんというのも極めて重要になってくると思いますけれども、外国の情報なんか聞いてみますと、相当学校教育の中に消費者教育を取り入れて、そして具体的にもう教育をやっている、こういうこともあるわけですけれども、そういう意味からしますと、日本の教育の中では消費者教育というものが非常におくれているのではないかというふうに思われる節もあるのですが、文部大臣どういうふうにお考えですか。
○保利国務大臣 消費者としての正しい態度や知識を身につけさせますことは、学校教育における重要な課題だと存じておる次第でございます。従来とも社会科あるいは家庭科を中心にいたしまして、児童生徒の発達段階に応じた指導を行うことといたしております。例えば、今ここに社会科の教科書がありますが、一節を御紹介いたしますと、「消費者は品物についてじゅうぶんな知識をもち、安全でよい品物を選ぶかしこい消費者となるとともに、消費者の要求を生産者や販売業者に反映させようとすることが大切である。」等々の記述等を使いながら指導をいたしておるところでございます。また、今回の学習指導要領の改訂につきましても、その内容の充実を一層図っておりまして、今後とも消費者教育の一層の充実に努めてまいりたい、このように考えております。
○村山(富)委員 これはやはり外国の例なんかも十分参考にしながら、これだけ流通機構が複雑になってくる、それから金融やらいろいろな状況があるときですから、ある程度の基礎教育はきちっとやはりやっておく必要があるというふうに思いますから、さらに工夫と検討をしてもらいたいと思うのですが、今日本の行政の中には、きのうもちょっと質問が出てましたけれども、経済企画庁の中に国民生活局ですか、という窓口があるだけですね。これはやはり消費者重視を言うのなら、やはりそれらしい行政の仕組みの中に何か位置づけられて取り組んでいくということも必要ではないか。そういう意味から申し上げますと、例えば消費者保護庁といったようなものが考えられるとすれば、そういうことをやはり具体的につくっていくということも、海部内閣は消費者を重視しているぞということを国民に位置づける大きなものになっていくと思うのですが、そういうことについて今後具体的に検討するなにがありますか。
○海部内閣総理大臣 消費者問題につきましては、各省がいろいろと思っておるだけではいけませんので、内閣総理大臣を長として消費者行政を一体的に進めるために消費者保護会議において各般の施策を決定して、その推進に努めてきておるところでありますし、所要の消費者行政が統合的に推進していくように、消費者保護基本法にのっとりまして、その利益の擁護及び増進のために各般の消費者行政施策を積極的にまた総合的に推進していきたい、こう考えてそのように努力を積み重ねておるところでございます。
○村山(富)委員 それは、消費者を重視する、重視するとあなたが強調されますから、そういうことも考えたらどうか、考えるべきではないかということを強く要請をしておきます。 それから、総理は日米構造協議に関連をしてたびたび、これから法改正をひとつするようなこともありますし、議会とも関係があるわけですから、高い立場で御理解と御協力をということを口にされるのですね。しかし、これは先般もうちの委員の方から、アメリカから要請されておる項目やら日本側が要求している項目やら二百項目、幾らあるのか知りませんけれども、資料として出しなさい、こう言いましたら、それはなかなか、刻刻変わりていくので出せないという話でありますし、具体的に聞きますと、外交上の秘密だからといって秘密のベールに隠されてしまう。事の真相というものは、国会でこう質問すればお答えになりますよ。だけれども、具体的になかなか我々の立場からすると正確なものはつかみにくい、こういう状況にあるのですけれども、そういうことで幾ら協力を求めるといったって協力のしょうがないじゃないですか。 私どもは、外交上の秘密になって交渉に影響があると思われるようなものまで聞こうと思いませんよ。しかし、具体的にどういう話し合いがあってどういう取り組みがされたのだというようなことはもっと正確に国会に報告して、そして全体としてやはり議論をしながら協力し合っていくということが大事ではないかというように思いますが、そういう点は私は極めて遺憾に思うのですよ。これは、そういうことに対する取り組みの議会に対する総理の姿勢というものは、この際私は明確にしてもらいたいと思うのです。
○海部内閣総理大臣 この日米構造問題協議というのは、昨年アルシュ・サミットのときに行われました日米両首脳の合意に基づいて協議が始まったものでありまして、御承知のようにアメリカ側から日本に対しては、貯蓄・投資のパターン、土地利用、流通、排他的取引慣行、系列関係、価格メカニズム、この大きく六つの項目にくくって、これを細かく分けますと数え方によって数十項目あるいは二百何十項目というようなことにもなっておるようでありますが、日本の方からも、貯蓄・投資パターン、アメリカの企業の投資活動と生産力、アメリカの企業のビヘービア、アメリカの政府規制、研究開発、輸出振興努力、労働力の訓練と教育というように大きく七つの項目に仕分けをして、また細かく分ければ何十項目になるものを提起をして、それを実務者会議で何回も何回も指摘をし合い議論をし合ってきたわけでして、お互いにその中でできるものとできないものを、こういうわけで努力をしておるというものを、あるいはこうしようと思うということをいろいろ共通の認識を得るために討議を重ねてきた経緯がございます。 その間、その途中においてすべてをつまびらかにすることができなかったのは、事が政府と政府の外交問題という範疇でございましたので、それをお互いに明らかにしてしまうことは御勘弁をいただきたい。そのかわり、こういった問題について議論をして中間報告として取りまとめに至った結論はこういうものでございましたということは、これは政府が中間報告を取りまとめますときに各党にもこれをお示しをいたしましたし、国会にも御理解を求めるために御報告をしてきたところでございます。
○村山(富)委員 先ほど言いましたように、交渉、協議をする、交渉上支障があるようなものについてまで公開しなさいとか僕らは求めているわけじゃありませんよ。だけれども、具体的にどういうところに問題点があってどこが一番問題なのか、どういう影響があるかというようなことについてはやはりお互いに十分議論し合っていく必要があると思いますから、そういう議論の素材というものを積極的に提供することが大事ではないかというように私は思うのですよ。 そこで、これは具体的に資料の要求もしておきたいと思うのですが、七月の最終報告までにどんな項目が残されておるのか、それを資料として提出をできるならしてもらいたい。これは委員長にお願いしておきますから、そういうお取り計らいをいただきたいというふうに思うのです。いいですか。
○越智委員長 理事会で協議いたします。
○村山(富)委員 次に、消費税問題について若干お尋ねをしたいと思うのですが、これは具体的にお尋ねしていきますから、端的に答えてください。 三千万円以下の免税業者の中で消費税を転嫁している業者、転嫁してない業者があると思うのです。転嫁してない業者と転嫁している業者とどういう分類になっておるか。それから、転嫁してない業者の中にはどういう業種が多いか。
○横田政府委員 通産省で調査をいたしております商品、サービス、百四十七品目ございますが、この調査によりますと、消費税の転嫁につきましてはおおむね円滑に進展いたしております。 そういう中で、免税事業者に対応いたします売り上げ三千万円以下の事業者について申し上げますと、小売業でございますが、おおむねまたはある程度転嫁しているとする事業者が六六・四%でございます。サービス業におきましては、おおむねまたはある程度転嫁している事業者は二五・二%ということになってございます。製造業におきましては、転嫁の割合はずっと高いということでございます。
○村山(富)委員 そうすると、サービス業なんかが比較的転嫁がしにくいですね。 それから、外税と内税がありますね。その関係はどうなっておるか。例えば内税を採用している業種はどんな業種が多いか、わかりますか。
○横田政府委員 同じく百四十七品目の調査の結果でございますが、昨年の十月末時点で全体といたしまして外税方式を採用している事業者が八六・八%、内税方式をとる事業者が九・七%、業種を問わず外税方式をとる事業者が多かったわけでございますが、これを業種別に分けて見ますと、製造業者及び卸売業者では外税方式が九五%以上と多数を占めております。これに対しまして小売業者でも八六・八%が外税万式でございました。サービス業者では五四・〇%が外税方式、こういう数字でございました。
○村山(富)委員 内税の場合は、消費者の立場から見た場合に、便乗値上げをされたのではないか、それから消費税が何ぼかかっておるのかというのがなかなかわかりにくい、こういう批判が強いですね。ところが逆に、内税の場合には痛税感がない、こういうプラスもあるというふうに思うのですが、大蔵省の立場からしたらどっちがいいようにお思いですか。
○尾崎政府委員 お答え申し上げます。 いわゆる内税、外税方式につきましてどちらの方式をとるかということは、基本的にはそれぞれの事業者が、消費者の態様でございますとか商品の性質とか支払いの態様とか、商売の形態に応じまして自主的に選択していただく問題であると考えております。 御指摘のように、外税万式でございますと税金の額がはっきりわかるというメリットがございますし、あるいは商売に当たりまして、値札をかえたりする必要がなくて最後のレジの計算だけで済むということで、事業者の方にとって簡便であるということもあろうかと思います。 しかしながら、例えば消費者の立場に立って考えてみますと、例えばの話でございますが、九百八十円と書いてあるものを持ちまして千円札一枚手に持ってレジに行きます。そうしますと、消費税が別に三十九円つきまして千九円だというようなことで、別にまたさらに十円玉を一つ取り出さなくてはいけないという面倒くささというようなものもあるわけでございまして、税込みでこれが一体幾らかということが一目でわかる、私ども総額表示ということを言っておりますが、消費者の便宜を考えますと、やはりそのような総額を表示するというところにメリットもあるわけでございます。単に痛税感の問題というようなことではなくて、消費者の立場に立った便宜さということも考えますと、総額表示方式のメリットもあるわけでございまして、そういうような点それぞれのお立場で事業者の方々に御判断いただき、方式を採用していただきたいというように考えているところでございます。
○村山(富)委員 これは業者がどっちが扱いいいかとか、それから消費者の立場に立って考えた場合にどっちがいいか、どういうようなメリットがあるかというような解説を聞いているのじゃないのです。それは僕らよく知っていますから。ただ、大蔵省としてはどっちがいいと思いますかと聞いているのだけれども、それはもういいわ。それは業者が判断することだからということであればその限りだから。何かありますか。
○橋本国務大臣 今事務的な説明を申し上げましたけれども、大蔵省としてということでありますならば、実は前内閣時代、高原経企庁長官とよく御相談をし、高原長官が消費者団体等にお会いをいただきますときにも御説明をいただきました考え方としては、総額表示という考え方の中で、総額と本体価格あるいは総額の中に占める税額、あるいはその税額と本体価格、こうしたものを両方表示をしながら、最終的に消費者が支払っていただく金額を明示する方式、こうした総額表示という考え方をとる方がより効果的ではなかろうかということで、そうしたお話を高原長官には随分していただいてまいりました。それは内税ではございません。消費者が支払う全額とその中に占める本体価格あるいは税額を表示していただくことによって構成を明らかにするということであります。
○村山(富)委員 次にお尋ねしますけれども、五億円以下の業者の場合には簡易課税方式が採用されまして、小売は二〇%、卸は一〇%、みなしでもって三%の税率を掛けて納めてもらう。これは業種によっては三〇%のマージンがあるところもあれば四〇%あるところもある。したがって、簡易課税方式によってもうかる、金の残る業者も大分あるのではないか、こういうふうに言われていますし、それからまた六千万円以下の限界控除制度、それから三千万円以下の免税業者等々を含めて、全体として消費者が納めた税金で国庫に入らないと想定される額はどの程度ありますか。
○尾崎政府委員 私ども消費税の税収を計算いたしますときに、まずそのもとといたしまして事業者の一年間の国内の付加価値額の総計を推計いたしまして、それをもとに調整をしていくわけでございますが、その過程におきまして、委員御指摘の中小事業者に対する特例の対象となるような付加価値を十六兆円というように見込んでおります。よく五千億円とかあるいは四千八百億円とか言われますのは、この十六兆円に三%を掛けての御議論でございます。 ところが、先ほどの通産省の御説明にもございましたように、現実にこの十六兆円の付加価値に当たる分がすべて三%乗ぜられて、その三%分ふえて消費者の手元に行っているわけではございません。したがいまして、事業者の手元に一体幾ら残っているかという御質問でございますと、これは五千億円とか四千八百億円よりか少ない数字であると思いますが、一体幾らかと言われますと、そういう数字は持ち合わせておりません。すべて付加価値ベースで議論をしているところでございます。
○村山(富)委員 これは正確にはわからないから、十六兆円という付加価値に対して三%を掛けてこの程度はという話になるんだと思いますけれども、しかしいずれにしても、その仕組みからすればそういうものが存在することは間違いないですね。現に、先般テレビを見ておりましたら、ある電機業者が、消費税の運用益で一千二百万円金が残りました、これは消費税を還元する意味で安売りセールをやりますと言って大々的に宣伝をしてやっていましたけれどもね。それは現実に運用益があって残るわけでしょう。これはやはり消費税が導入されたことによって、転嫁もし得ずに、しかも仕入れには税金がかかってコストが上がっている、お客さんには取りにくい、大変やりにくくて困っている業者もありますよ、現実に。随分聞いています。逆に、こうして消費税が導入されたことによって手元に税金が残ってもうかる業者もある、また、預かった税金を運用することによって運用益が生まれる業者もある。こんな業界全体に不公平を持ち込んでくるような税金というのはないんじゃないですか。しかも、消費者が納めた税金が、一口に言えば十六兆円なら四千八百億円になりますかね、国庫に入らない金がある。何のために税金を納めるのですか、こうなるでしょう。こんな税金を取っている国もないんじゃないですかね。 私はそういう意味から申し上げますと、業者も大変困る業者もありますし、まさにこの消費税は、読んで字のごとく消費者が納める税金ですよ。その消費者の立場が全然無視されていますよね、今度の税金は。それは売上税がああいう目に遭ってやめられた、したがって業者が反対しにくいような仕組みをつくったのが今度の消費税ですよ。だからこんなことになったのです。これは全く堕落した税だというふうに言われているのはそのとおりですよ。 今度は見直し案が出ていますけれども、例えば簡易課税方式の中でマージンを何ぼに見るか、付加価値を何ぼに見るかということについては政令に移行させて、そして業種別にあれは決めていこう、こういうことも考えているようですしね。それからまた、年に二回納入するものを年に四回にするとか運用益ができるだけ残らないようにしようとか、こういうことも工面をされておるようですけれども、しかし、この税が持つ本質的な欠陥というものは何らこれは是正されませんよ。私はもうこの際、そういうところをいろいろ考えてまいりますと、これだけ欠陥を持っている税金ですから、いつも言われていますように、第一公約に違反している、総理は税特でそこに座って強行採決をした張本人ですよ。税金というのは消費者、国民が納めるのですよ。税金を納める消費者の、納税者の立場を全然無視をして強行採決をやって税金を取り上げる、こんなやり方は間違っていますよ。 私は、そういう意味で、公約にも反するし、やり方も間違っているし、内容にも、見直しでは本質的な欠陥は是正されない。これは思い切って廃止をして出直すというぐらいの決意をされた方が、さすがは若い総裁だ、総理だと、うんと株が上がるんじゃないですか。それくらいの決意をされたらどうですか。
○橋本国務大臣 今委員からの御論議でありますが、理論的に確かに今お述べになりましたような点は私も否定をいたしません。しかし同時に、委員が御指摘になりませんでした部分も申し上げますと、例えば仕入れに含まれる税額があること、あるいは売り掛け取引として金利負担を負ったりしてそういう運用ができないケースというのも多多あることをひとつ私は申し上げたいと思います。 と同時に、今納付回数を問題にされたわけでありますが、確かに私どもは今回見直しの中におきまして申告・納付の回数をふやさせていただいております。ですから、本来、確かに間接税の場合には、消費者が価格の一部として支払っていただいた税額相当を、今度は事業者がお納めをいただくわけでありますから、回数は多ければ多いほどいいと言うこともできるかもしれません。しかし同時に、申告・納付の回数が余り多く設定をされます場合には、納税者と税務当局と双方に事務負担は非常に大きくなります。その議論を推し進めていきますと、実は毎日納付をしていただくというところまでいくわけでありまして、これは現実的ではなさ過ぎるお話ではなかろうか。私どもは、年四回という回数について妥当なものと考えておりますし、またその他の部分につきましては、政令に移行しました段階において対応策は考えてまいりたいと思いますが、それをもって消費税を撤回せよと仰せられる点については同意はできません。
○村山(富)委員 それはそうでしょうからね、これはこれからの問題になるわけですから。ただ、私はそういう意見を申し上げておきます。 それから次に、高齢化対策について若干お尋ねしたいと思うのですけれども、老人保健法は、六十一年に老人保健法が改正されたときに、保険者に対する按分率が一〇〇%になったのでは保険者の負担にはたえかねるのではないか、だからその時点で見直しをしよう、こういうことが附則に書かれているわけですね。なぜ見直しができなかったのか、見直しをしないのか、それはどういうことなんですか。
○津島国務大臣 村山委員よく御承知のことと存じますが、加入者按分率を一〇〇%にするということは既に法律の附則で明らかになっておったところでございますが、今般この一〇〇%にすることに伴って、制度全体についてどうするか、老人保健審議会においていろいろ御検討いただいたわけでございますけれども、最終的な合意が得られなかったということから、当面、この一〇〇%に移行することに伴って、被用者保険の基盤安定のために必要な点に絞りまして所要の措置をとったというのが実態でございます。
○村山(富)委員 按分率が一〇〇%になって、そして保険者団体が拠出する負担が大変大きくなった。それがために赤字組合ができる、政管健保にも影響が起こる、そこで一兆五十億円の金を運用することによって、その運用益の七百五十億円をもってそういう赤字組合に対する補てんをする、こんな泥縄式なやりくりをするようなやり方は、僕はよくないと思うのですよ。もっとまともに真正面から何で取り組まないんですか。それは一〇〇%の按分率が無理なら、手直しをしてやらなきゃいいじゃないですか。そういうまともに物事を取り細んで解決しようとする姿勢が大事じゃないですか。私は、そういうような意味で、これはいずれにしてもこの老人医療、老人保健の財源をだれが負担をしていくか、どうするかというのは避けて通れない問題ですよ、もっとやはり真剣に真正面から取り組んで解決する、こういう姿勢が必要ではないかと思うのですよね。傾向としてこう見てみますと、これは、老人医療に対する負担というのは、国庫負担は確実に下がっているのですよ。率が下がっていますよ。下がった分だけこの保険団体の負担がふえているのですよ。こういう傾向が強まっていくことは決して好ましいことではない。 この保険制度というのは、やはり保険に加入している人たちが相互扶助でもって助け合っていくという仕組みなんですよ。ですから、老人保健というのはそうではないのですよ。しかしまあそれぞれの先輩がおるわけですから、その先輩の老後の医療費はお互いの責任で見ようという意味で、私は、拠出することについて反対するわけじゃないのですよ。だけれども、本質的にはやはり社会保障制度として国が持つべきものだというふうに思いますから、したがって、今のような傾向にあることは決していいことではない、こう思いますがね。今は三〇%の公費負担ですね。この三〇%の公費負担をもっとふやすべきではないか、こういう審議会の答申もあるようですが、そういう考えが今後あるかないか、検討されているかどうかという点についてお尋ねします。
○津島国務大臣 委員御指摘のとおり、今回の改正が当面の基盤安定化のための措置に限られている、抜本的な問題の解決に至っていないという点は、私も率直に申してそのとおりであろうと思います。 そのために、今後の高齢化社会におけるこの重要な課題をどうするか。まず、本院における御議論も率直に拝聴いたしまして、引き続き老人保健審議会の場を通じて幅広い観点から論議が行われることを期待し、それらの御意見を踏まえた上で適切に対処いたしたいと思っております。 なお、一言つけ加えますと、今回の基盤安定化の諸措置によりまして、国費の負担がわずかながらふえているということだけつけ加えさせていただきます。
○村山(富)委員 もう時間がないから余り突っ込んだ議論はできないのですけれども、老人医療というのは、もうお年寄りがふえていくたびにずっとふえていくわけですね。これはもう異常な伸び方をしていますょね。 できるだけ医療費を抑制するというのでなくて、適正化していくということも必要ですよ。その適正化の一つの手段として、これはお年寄りというのは、慢性病の場合には、むしろ治療よりも介護の方が必要だ、福祉の面が必要だという要素さえあるわけですから、ですから、今の診療報酬の出来高払いでなくて定額制に変えた方がいいのではないか、こういう意見もあって、今度は一部定額制が導入されますね。しかし、定額制が導入されますと、これは極端に言えば、その中身がどうあれ、同じ額の金をもらえるわけですからね。したがって、このサービスの質が低下していくんじゃないか、こういうことが心配されますが、そういうものをチェックするような、サービスが妥当に評価できるような、そういう機能というものは何か考えていますか。
○津島国務大臣 委員御指摘の定額制は、特例許可老人病院における入院医療管理費の制度の導入ということであろうかと思いますが、これは、医療機関における医療や介護の質の確保という意味では、御指摘のとおり問題がある可能性があると私どもは思っております。 そのような意味で、定額的な制度の中で、提供される医療や介護の質を確保するという観点から、私どもは、知事が承認する仕組みの中で、承認を受けた医療機関に対して、必要な医療や介護に欠けることのないようにしっかりと指導していただく、また私ども厚生省といたしましても、都道府県を通じて適切に指導してまいりたいと思っております。
○村山(富)委員 厚生省が、これから高齢化を迎えて寝たきりのお年寄りもふえていくということに対応して、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」というものを打ち出していますね。これに関連をして若干お尋ねしたいと思うのですが、この十カ年戦略の総事業費約六兆円を見込んでいる。この六兆円の中で、国が負担する額はどの程度になるのか。それから、主として事業主体は地方公共団体になると思うのですが、その地方公共団体が負担をするのはどれくらいの額になるのか。時間がありませんから、簡単にそれだけ答えてください。
○津島国務大臣 この十カ年戦略は、これから十カ年にわたって、各機関の御協力を得て積み上げていく大切な、また難しい仕事でございますが、予算の負担関係でございますけれども、初年度の総事業費三千六百億を、平成二年の例で見ますと、これに対して国費が約千五百億、それから地方費が約八百億、その他が約一千三百億ということになってございます。
○村山(富)委員 その他というのは何。
○津島国務大臣 これは事業者負担というような性格のものでございます。
○村山(富)委員 そうすると、これはこれから十カ年間の戦略の中でいろいろな施設をつくったり事業をされていくわけですが、こういう負担割合でずっといくのかどうか。それから、こうした地方公共団体の負担については交付税で補てんをするのか。今のような土地の高騰する中で、今のような交付税の単位費用でもって俗に言われる一般財源の持ち出しというものはなくて済むのか、あるのか。そういうことも勘案をして、こういう交付税の単位費用を見直す必要があるのではないかというふうに思いますけれども、そういう点についてはどういうふうにお考えですか。
○持永政府委員 この十カ年戦略の負担割合でございますけれども、これはそれぞれの事業ごとに法律その他決まっておりまして、それに従って負担をしていくということでございます。 それから地方負担の問題につきましては、建設事業、つまり老人ホームをつくったりその整備費については一部地方債を充当するわけでございますけれども、その残りの分についてはその全額を地方交付税の基準財政需要額に算入するということにいたしておりまして、そのために明年度におきましても、今お話ございました単位費用の改定を行うことにいたしております。この単位費用の改定を行うために、現在地方交付税法の一部改正案を御提案申し上げておりまして、その中にそれも含まれているわけでございます。来年以降もそういうことで対応してまいりたいと思っております。
○村山(富)委員 これはやはり相当の金が要る事業ですから、財政負担、財政補てんなんというものを万遺憾のないように十分していかなければ十カ年戦略というのは余りうまくいかぬわけですから、十分ひとつ配意をしてもらいたいと思うのです。 それから、これの計画を見ますと、私はここに表をつくってあるのですけれども、例えばホームヘルパーなんかを、今三万一千人おるのを平成十二年、十年先には十万人にするとか、それからショートステイを、今四千三百床あるのを五万床にするとか、これは相当広大な戦略ですよね。それで、これを全体を見ますと、例えば看護婦さんやら保健婦さんやら介護職員やら相当な数が要るのではないか。こういう時代の人手不足のときに、構想はいいけれどもこれに携わる人をどういうふうにして確保していくのかというのは大変大きな問題だと思うのですけれども、それは何か具体的に目標なり計画があるのですか。
○津島国務大臣 十カ年戦略を成功させる最大のかぎの一つがマンパヮーの確保であるという委員の御指摘、全くそのとおりであろうと思います。しかし、これはぜひともやり遂げなければならない仕事でございまして、私どもとしてもなかなか人手不足の中でこれをやり遂げるには苦労がございますけれども、一定の計画を立てつつ、関係機関の御協力も得て、ぜひとも進めてまいりたいと思っております。 そのために、具体的には平成元年におきまして、委員御案内のとおりホームヘルパーの手当額を大幅に引き上げた、こういうことでやはり待遇の改善を図っていかなければならない。それからまた、市町村におけるホームヘルパーの事業の実施にとどまらず、社会福祉協議会への委託とか特別養護老人ホーム等への委託とか多様な供給体制をつくっていかなければならない。それからまた、ホームヘルパーという什事の志望者がふえるためには、社会的評価を確立するために積極的な施策を講じていかなければならないというふうに思っております。今後とも、施設の看護、介護に係る職員の待遇の改善とあわせまして、ホームヘルパーについても全力を挙げて努力をしてまいりたいと思います。御協力をお願いしたいと思います。
○村山(富)委員 これは人を確保することが大変困難ですね。しかも、社会的に全般的に見渡しますと、必ずしも労働条件はよくない。例えば、医療機関で働いておる看護婦さんやら、それからこういう施設で働いている皆さんには四週六休なんというあれはないですよ。それはなかなかそういう仕組みが持ち込みにくい職場なんですよ。したがって、そういう意味からしますと時代から取り残されるような職場になる傾向があるのですよ。そうでなくて、やはりこれから一番大事な仕事をしてもらうわけですから、むしろ逆に脚光を浴びるような、日の当たるような、そういう職場にすることが大事ではないかというふうに思うのですけれども、こういう時間短縮の問題やら週休二日制の問題等についてはどういうふうに考えているわけですか。
○津島国務大臣 待遇改善の中で時間短縮の問題は一つの問題を投げかけておるわけでございますが、これは極めて重要な問題であると認識をして対処してまいりたいと思います。 国家公務員の四週六休制の導入におきまして予算定員の範囲内でやれということでございますから、福祉施設等につきましてもこれに倣って進めなければならない。そのためには私どもとしては、年休代替要員費を改善するとか、それから施設職員の拘束時間が長いということの問題点の改善を図るために、宿直業務について夜間専門の非常勤職員に切りかえる方途を設けるとか、それからパソコンとか自動洗浄機など設備の補助対象を大幅に広げるというようなことをもって対処してまいりたいと思って、平成二年度の予算でもそのような措置を講じておるところでございます。
○村山(富)委員 それはせっかくいい仕事をやっていこうというのだから、ひとつそういう点も十分配慮して真剣に取り組んでくださいよね。 それから、この表を見ますと、大体寝たきりのお年寄りが平成二年には約七十万人、それから平成十二年には百万人ぐらいになるだろうというふうに想定しているわけです。そのお年寄りがどういうふうに分布されていくかというのでこれを見てみますと、老健施設が今五万が二十八万、特養老人ホームが十六万が二十四万ぐらいになるだろう、それから長期入院の患者さんは今は二十五万人ぐらいおりますけれども、これをできれば十万から十四万ぐらいにしたい、在宅は今二十四万ぐらいですけれども三十三万から三十七万ぐらいにしたい、こういう目標をつくった計画なんです。 これを見ますと、やはり長期入院の患者をできるだけ減らしていって、そして在宅、家庭で面倒を見て介護してもらうお年寄りをふやしていこう、こういうふうに想定されるわけです。なぜ入院患者が多いのかということについてはいろいろ理由があると思います。それは例えば、なかなかそれ以外に受け入れてもらうところがないとか、社会的整備が不足しているとか、それから社会的入院と言われるように、いろいろな社会的条件があると思うのですね。あると思いますけれども、そういう条件を踏まえた上で考えてみても、老健施設に入っている場合には平均五万円ぐらいを本人が負担すればいいのです。それから、特養老人ホームに入っている場合には所得に応じて負担をしてもらうわけですけれども、大体本人負担というのは二万七千円ぐらいですね。そして入院をしている場合には、これは自己負担がちゃんと決まっているわけですから、一万二千円。しかし、これは一万二千円以外に付添看護料やら差額ベッド料やらいろいろかかりますから、これだけでは済みませんよ。しかし、これを見てやはり一番思うのは、在宅をした場合に何をしてもらえるのだろうか。これからだんだんシルバーサービスというのは有料化されますから、ホームヘルパーに来てもらえば一時間何ぼで金を払わなければならぬ。それからデイケアに行けばやはり金を負担しなければいかぬ。ですから、在宅で介護をする条件がこれを見る限りでは、そういう意味では負担割合から見るとやはり一番よくないのですよ。 私は、むしろこれはお年寄りの方もやはり家族に見てもらいたいと思うかもしれませんし、それから家庭で見れれば一番いいと思うのですよ。そのためには、やはりそういうことが可能になるような条件というものを整備してやる必要があるのですね。そういう点は今後、介護手当なんという問題は、市町村で出しているところもありますけれども、実際にやるとなれば難しい問題もあると思いますけれども、そういう意味では、家庭介護についてもう少しそういう財政負担の面で配慮する必要があるのではないかというように思いますけれども、そういう点はどういうようにお考えになっておりますか。
○津島国務大臣 村山委員御指摘の十年後百万人と予想される寝たきりの方々をどういうふうに介護をしてさしあげるかという姿でございますけれども、私どもは、老人保健施設を整備をする、あるいは特別養護老人ホームを整備をするということの中で、また同時に、在宅の方々にデイサービスとかショートステイとかあるいはホームヘルパーの派遣事業とかを充実をすることによって、それぞれの方の選択の幅を広げてさしあげようという基本的な考え方で計画を立てておるわけでありますが、結果として相当数の方が在宅におられるという御指摘はそのとおりでございます。 そうであるとすれば、そういう方々に過重な負担をおかけしない、どこでも安く安心して合理的なコストで介護が受けられるようにしてさしあげようというのが十カ年戦略の目的でございますが、これに対応するのにどういうやり方をするか。まず、何と申しましても、安いコストで良質の在宅介護が得られるようにしてあげるということが一番大事ではないか。今直ちに介護手当という問題では私どもはないというふうに考えております。 介護手当を出すということにつきましては、日本では余りにも多くの方が、欧米と違って、家族と同居しておられるという現状にございまして、また寝たきりの状態をどういうふうに認定するかというような話や、ほかの現行の諸手当との関係などもございまして、慎重に検討しなきゃいけないと思っております。 なお、この寝たきりの方を抱えておられる家庭のコストの軽減につきましては、今回税制の面で配慮をされておる、いわゆる同居特別障害者扶養控除が八十万円から百二十万円に引き上げられている、地方住民税におきましてもこれに類似の措置がとられているという点もひとつ御考慮をいただきたいと思います。
○村山(富)委員 それでは、ひとつ十分今後もっと熱心に検討してくださいね。 次に、これはもう時間がありませんから申し上げますけれども、先般政労協から天下り人事の白書が発表されました。八九年四月に発行されたこの天下り白書を見ますと、平均在職期間が五十三カ月、退職金が三千万円以上の人が五人、二千万円から三千万円の人が二十三人、一千万円から二千万円の者が四十九人、一千万円未満の人が三十二人、こうなっておるわけですが、在職平均期間が五十三カ月で退職金の平均は千五百五十一万円、これはやっぱり世間の常識から考えますと高いですよね。こういう批判ももちろんありまして、これはこれまでもいろんなことが閣議で決められてきているわけですが、例えば一九七七年には政府関係特殊法人の役員の定年を決めている、それから閣議了解で、特殊法人の常勤役員に国家公務員からの天下りを半数以下にする、こうしたいろんな閣議決定が、閣議の申し合わせがされているわけです。ところが、もう既に十年以上経過しているわけですけれども、なかなか守られておらない、こういう現状にあります。 先般発表されました一九九〇年度版によりますと、全役員数七百五十名の中で国家公務員から天下りしている者が四百名、五三・四%を占めておる。これはもう半数以上おるわけです。特に法人の規模が小さいほど天下り役員の占有率は高く、一千人未満の法人では実に七二%強にも達しておる。全役員を天下りで占めている法人は九十二法人中二十五法人もある。こうした閣議の決定が守られておらない、閣議了解事項が実施されておらない、こういう現状に対して総理はどういう見解をお持ちですか。
○坂本国務大臣 特殊法人の役員人事につきましては、本来、特殊法人は国の行うべき業務を国にかわって円滑に行うことを目的として設立されたものでありますから、役員の中に国家公務員出身者が相当数含まれることは、業務の適正かつ円滑な運用のためには有益な場合が少なくありません。しかしながら、広く各界有識者の中から適任者を人選するとの見地から、昭和五十二年十二月の閣議決定及び昭和五十四年十二月の閣議了解において、特殊法人の常勤役員については、国家公務員からの直接の就任者及びこれに準ずる者をその半数以内にとどめることを目標として、民間等からの起用の積極的推進を定めているところであり、今後ともこの方針にのっとって努力してまいりたいと思っております。
○村山(富)委員 特に最近の傾向を見ますと、それは、一つは行政改革の背景もあります。同時に、民活を導入していくことがいい、こういう社会的風潮もありますね。そういう中で、私は全体を正確には把握しておりませんけれども、特殊法人を民間法人にだんだん切りかえていく、各省庁の所管の範囲内で、各省庁の管轄の範囲内でもって財団法人をつくる、あるいは社団法人をつくる、そこに一般会計やら特別会計の金も若干流して、そして業務を委託してやってもらう、こういう傾向が強まっているのではないか。私は、これは総務庁にも聞きましたし会計検査院にも問い合わせましたけれども、全体としての数、大勢はわかりません、それは各省庁にそれぞれ聞いていただかなければわかりません、今はこういう現状になっているのですね。 私は決して悪いとは言わないのですよ。それの方が濶達に活力を持って効果が上がるというようなことも中身の性格によってはやっぱりあるかもしれませんから、全部悪いとは言いませんよ。しかし、えてして、そういうことになりますと人間の関係も、やめられたOBがそこに行く、それから仕事の流れもつながっている、こうなってまいりますと、内輪同士でやることになりますから、自然、緩みが出てくるのではないか、こういうことも一面では心配しなければならぬ、そういうものに対してチェックする機能は何にも働いていない、今こういう現状にあるのではないかと思うのですね。そういう傾向があるのではないかと思うのですが、そういう点はお感じになっておりませんか。
○櫻井政府委員 先生お尋ねの公益法人の設立あるいは役員の構成等についての件でございますけれども、公益法人の設立につきましては、公益法人設立許可審査基準というものを申し合わせしてございまして、各省庁が所管しております公益法人の設立及び監督に関する規則に基づきまして、そして公益法人の運営に問題ないように、まず、目的、事業の公益性それから事業の永続性それから公益法人運営の健全性等に重点を置きまして十分審査いたしまして、公益法人の設立の許可の事務に当たっておるわけでございます。 なお、御指摘がございました指導監督の内容等につきましては、公益法人の運営に関する指導監督基準というものもできてございまして、この基準におきまして各省庁におきまして適正な運営が図られるよう指導監督に努めておるところでございます。
○村山(富)委員 そういう形式的な機械的なことばかりじゃだめなんでね。私は具体的にこの一つの事例を申し上げたいと思うのですけれども、これはもう時間がありませんから確認をさせてもらいますから、間違いなければ、そのとおりですと、こう答えてくださいよ。 労働省の所管の中に財団法人労災年金福祉協会というのがつくられているわけです。これを見ますと、確認をしますけれども、財団法人労災年金福祉協会が労働省を監督官庁として一九七五年、昭和五十年に設立されておる。 それから財団法人労災年金福祉協会の設立目的が労災年金受給者とその家族の生活相談及び援護、労災年金制度に関する広報、年金受給者に関する調査などを行い、もって年金受給者の福祉の増進に寄与することを目的としておる。 それから財団法人労災年金福祉協会の役員構成については、役員の十三名中七名が基準局のOB、天下り。常勤役員はすべてOBである。 それから協会の業務は、全国約十八万人いる労災保険年金受給者に対して「年金のまど=家庭日記」「労災年金のしくみと手続き」「年金ジャーナル」「労災年金受給者の相談事例集」等々の刊行物を配付しておる。それから各部道府県に労災年金相談所、相談室を設け専従職員を配置している。労働省の委託事業として労災年金受給者の生活実態調査を毎年行っている。 こういうことを目的にして、こういう業務をする団体としてつくられておるということについては間違いないですか。
○野崎(和)政府委員 ただいまお尋ねの財団法人労災年金福祉協会の設立の目的、設立の時期、それから役員構成、さらに業務内容等については、すべて先生御指摘のとおりでございます。
○村山(富)委員 次に、予算措置について確認をしておきたいと思うのですが、こういう本の発行やら相談業務やら生活実態調査をするために書籍の購入金額の総額は、昭和六十三年度が三億四百八十万九千二百円、それから平成元年度が三億二千二百四十四万三千二百円、それからそれ以外に財団法人労災年金福祉協会に対する業務委託費として、昭和六十三年に七億四千二百万円、平成元年度が八億二千八百三十二万円といったような予算措置がされていますが、間違いないですか。
○野崎(和)政府委員 労災年金福祉協会に対する予算措置でございますが、一つは相談業務を中心とする委託費でございまして、金額はただいま先生御指摘のとおりでございます。 もう一つは、同協会が発行しております労災金制度に関する広報資料等の各種図書を労働省で買い上げまして全国の労災年金受給者に対して無料で配付しておりますけれども、それに要する金額も、ただいま先生御指摘のとおりでございます。
○村山(富)委員 その協会の事務所の中に株式会社ナシオン企画という会社の事務所が設けられておる。その会社の役職員が、協会の専務理事が代表取締役、常務理事が取締役、その奥さん等も役員に名を連ねておる。 その会社は何をしておるかといいますと、労働省が協会から買い上げている書籍の印刷を受注している。しかし、その会社には印刷能力はありませんから、したがって神田印刷という印刷会社にその書籍の印刷を発注しておるわけです。ですから、言うならば協会から書籍の発行の受注をして、それの仕事を今度は神田印刷に受注をさしてやっておる単なるトンネル会社にすぎないというふうに思われるわけですね。しかも神田印刷の社長はナシオン企画という会社の監査役をやっている。ここに書籍がありますけれども、この書籍の印刷所が当初は神田印刷だったわけです。ナシオン企画ができましてから、印刷所がナシオン企画にかわっているんです。だけれども、それは名前が変わっているだけで、実態は全部神田印刷が印刷しているんですね。ですから、単なるトンネル会社にすぎないというふうに思われるわけです。 それから協会がやっておりまする実態調査の集計業務、これはコンピューターを使うわけです。六十二年と六十三年は協会から日比谷コンピューターに集計の作業を委託しているわけです。ところが、この会社ができましてから、そのコンピューターの委託までこのナシオン企画を窓口にして、ナシオン企画に委託をしてナシオン企画から日比谷コンピューターに回している。ですから、これは両方ともトンネル会社にすぎないわけですね。 私は、協会の仕事の中に、協会の専務理事が代表取締役になった株式会社をこしらえて、しかも協会の中に事務所を置いてそういう仕事をやるようなトンネル会社をなぜつくる必要があったのか、どうもよくわからないけれども、それはどういうことなんですか。
○野崎(和)政府委員 お尋ねの点につきまして労働省で調査しました事実関係についてまず御説明申し上げたいと思いますが、御指摘のとおり、ナシオン企画は印刷、製本並びに図書の出版等を事業内容とする株式会社でございまして、昭和六十二年七月に設立されたものでございますけれども、ナシオン企画の代表取締等の役員は労災年金福祉協会の専務理事等が兼務していること、同社の事務所は年金協会の事務所と同一の場所にあること、さらに同社に対し、年金福祉協会が印刷物の発注を中心に委託調査の集計、印刷を含めまして相当額の取引を行っていることが判明いたしました。これらの事実は、たとえ相当な理由がある場合でございましても、誤解を招くおそれがございますので、かねてから労働省としては通達をもって禁止していたところでございまして、これに抵触いたしますので、事実判明後、直ちに協会を指導して是正さしたところでございます。 お尋ねの、なぜナシオン企画をつくったかという点につきましては、事情は協会から聞いておりますけれども、要するに協会自体でその業務を行うよりは、そういう関係会社をつくって行った方が経費が少なく、かつ質の高いものができる、並びに協会でその仕事に従事しておりました職員で退職した者の能力を引き続き生かしたい、そんなような見地であったというふうに報告を受けております。
○村山(富)委員 いろいろ説明はするかもしれませんけれどもね。しかも、昭和六十二年度の図書の関係を調べてみますと、ナシオン企画が神田印刷に発注した額は総額九千七百六十八万八千八百六十円なんです。ナシオン企画が協会に納入している額は一億五百五十八万一千七百八十二円なんです。労働省が協会から買い上げている額は約二億三千九百三十一万円なんです。そうなりますと、その間にナシオン企画と神田印刷との関係では七百八十九万三千円のさやがあるわけです。ナシオン企画から協会に納入している額の差額ですね。それから協会から労働省が買い上げている額は二億三千九百三十一万円ですから、約一億三千三百七十二万八千円のさやがあるんですね。これは協会は財団法人ですから、何も利益を追求する会社でもありませんし、いろいろな人件費やらその他の経費に必要だから、そういうさやも必要だったというふうに言われるんじゃないかと思いますけれども、どうしてこういうことになっておるのか説明してもらいたいと思うのです。
○野崎(和)政府委員 御指摘の数字の関係で、まずナシオン企画に経費として残ったお金が八百万円前後、それから労災年金福祉協会にこのための経費として残ったお金が一億四千万程度というのは御指摘のとおりでございます。 この経費がどういうふうに使われたかということでございますけれども、労災年金福祉協会の主要な事業は、最初に御指摘ございましたように、相談事業と労災年金受給者に配付します資料等の印刷事業でございます。相談事業は全額労働省の委託費でございますので、これを別にいたしますと、図書等の刊行事業を中心とする同協会の事業全体を、この図書等の売り上げと、それからこの協会は各企業を賛助会費にしておりまして、その企業から賛助会費を受け入れております、その両方を原資にいたしまして管理費、事業費、すべてを賄っているわけでございます。したがいまして、労働省が買い上げる刊行物の単価の中には結局役職員の給与費等の管理費も一部含まれることになっておりまして、同協会には先ほど申しましたように相当の自前収入もございますので、それとあわせまして、また効率的な運営を行うことによって可能な限り刊行物等についての単価を低廉に設定していただきたい、そういうことを期待しているところでございます。
○村山(富)委員 それは説明を聞けばいろいろ説明はあるかもしれませんけれども、やはりそれは幾ら何でも、国の仕事を委託されて、しかも金が流れてきてやっているような財団の中に株式会社をこしらえて、その専務理事が代表取締役になってやっているなんという格好は、これほどこから考えたっておかしいですよ、そんなものは。ですから、おかしいとわかったからでしょう、三月一日付でそういう役員の方は全部辞任をされていますし、それから労働省から指示をされたのでしょう、印刷物もナシオン企画に対する発注はやめた、それから事務所も移転をした、こういうことになっていますけれどもね。 私は冒頭に申し上げましたように、最近の傾向として、これは単に労働省だけではなくて、各省庁にも、えてしてそういう傾向になりがちなものがあるのではないか。それはさっきも言いましたように、その省庁の管内、所管の中でその担当する局を単位に財団法人や社団法人がつくられて、そこにOBが流れていく。これは、行き先をつくることについては別に反対しませんよ。流れていく。しかも、人の流れも仕事の流れもつながって、内輪のような形で構成されておる。こうなると、やはりえてしてこういうことになる可能性があるんではないかというふうに思われますからね。しかし、冒頭申しましたように、すべて悪いとは青いませんよ。これは、やはりこういうことによってうんと効率が上がるということもあり得るわけですからね。全部悪いとは言いません。しかし、こういう事例があるわけですから、この際総理、一遍各省庁のを全部洗ってみたらどうですか、点検してみたら。そういうことも必要じゃないですか。 これは私がさっき言いましたように、総務庁に聞いても、全体はわかりません、各省庁に聞いてください、こういう回答ですからね。だから、全体をつかんでいるところはどこもないんですよ。チェックする機能もないんです。私は、やはりそれじゃまずいのじゃないか。できれば上場した株式会社と同じように財務諸表とかあるいは役員の経歴とか、そういうものが公表できて一般に閲覧できるような、そういう仕組みというものも考えておく必要があるのではないかというふうに思うんですが、どうですか。
○坂本国務大臣 政府といたしましては、公益法人の運営が健全に行われまするように今後十分指導監督を行い、今後とも国民の誤解を招かないようにいたしたいと思います。
○村山(富)委員 やはり私は、そういうチェック機能とか、それから公開されて明朗に、だれでもわかるようにするような仕組みをつくっていくことも大事ではないかというように思いますから、それはひとつ十分検討してくださいよ。 私は、やはり各省庁にそういう財団法人やら社団法人なんかがどんどんつくられていく傾向が強まっていくのではないか。財政的にも、先般の補正予算にもありましたように、いろいろな基準をつくって運用益でもって仕事をやっていくというような傾向もありますしね。財政の流れもそうですし、行政の流れもそういうことになっていくのではないか。これはすべてが悪いとは言いませんよ。言いませんけれども、やはりそれだけにそういうチェック機能とか公開する仕組みとかそういうものが必要ではないかというように思いますから、そういう点は今後ひとつ十分検討してください。 それから、もう時間がありませんからあとに行きますけれども、この労災勘定というのは、本来、被災労働者の遺族や被災労働者のために最大限活用していこうというためにつくられているものなんですよ。ところが、最近労働省は、労災患者に対して補償給付の打ち切りが出てきておるわけですね。それは全部が全部私は悪いとは言いませんよ。例えば、もう六年も七年も十年もなっているという人に対して再診査をやって、そしてもうこれ以上治療しても治療効果はない、だからもう治療効果がなければ治療を打ち切って、そして中断をする。そしてその中断をされた時点での症状を見て、年金給付に切りかえるというものもあれば、打ち切られるものもある。こういう扱いをしているわけですよ。 そういう中断をする場合、何といってもやはりその患者を診ておる主治医の意見、判断というものを一番尊重して大事に扱うべきではないかというように思うのですけれども、最近の事例を見ますと、そういう主治医の判断や意見というのは一方的に聞くような格好をするだけで実際には無視をされてやられている、こういう傾向もあるやに聞いておりますけれども、そんなことはありませんか。 〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕
○野崎(和)政府委員 労働災害による被災労働者に対しましては、可能な限り十分な補償を行うべきことは御指摘のとおりでございまして、被災労働者の打ち切りと申しますか、症状固定の認定ということに具体的にはなろうかと思いますが、これにつきましても、そうした見地に立って慎重に行っているところでございます。 特に、御指摘の具体的なケースは振動障害者の場合かと思いますが、これにつきましては、医学的な判断が非常に重要でございますので、御指摘のとおり主治医の意見を尊重することを基本に、必要に応じまして都道府県労働基準局長が委嘱した医師で横成します局医協議会の意見も聞いて判断しているところでございます。局医協議会にお諮りする場合には、主治医の意見を尊重する見地から、必ず主治医の意見をお出しいただきまして、それをもって局医協議会の御判断を仰ぐ。局医協議会と主治医と意見が食い違うような場合には、ある程度時間をかけて両方の意見の一致を図る努力をする。そういうようにいたしているところでございます。
○村山(富)委員 これは振動病に限りませんけれども、例えばじん肺の場合なんかに、じん肺の方は管理三、しかし合併症があってトータルするとやはりよくないというのでこの年金の給付を受けている。ところが、じん肺は治りませんけれども合併症の方の、例えば気管支炎とか、そういう面は治療すれば治る。そうしますと、今まで給付を受けておったものが、管理三になって、そして打ち切られる、こういうことがあり得るわけですね。そうすると、もう十年近くも療養しておって、現に病院に入っておって、そして治療を受けておる、家族も付き添っておる、こういうところに電話がかかってきて、そして、あなたはどこどこの病院で何月何日再診査を受けて送ってください、こういう手紙が来ると、これは打ち切られるんじゃなかろうかといってもうノイローゼになりますよ。そして後から手紙を差し上げますからといって、後から手紙が来るというんですよ。 それは慎重な扱いをしておるとは思いますけれども、そういう患者、被災労働者の立場に立って、家族の立場に立って考えた場合に、これは打ち切られたら働くところはありませんよ。そんな人を雇うところはありませんよ。収入がばたっととまるのです。切られたらあすからどうしましょうかと、これは私は悩み苦しむのは当然だと思いますよ。しかもこれまでも病院で治療している、主治医はやはりこれは治療が必要です、こう言っているにもかかわらず打ち切られたというケースもあるように聞いていますけれどもね。私は、そういう事情を考えた場合に、もう少し慎重な扱いがあっていいのではないかというふうに思うのですが、これからも主治医の意見、診断というものを最大限に尊重するという考え方については変わりないですか。
○野崎(和)政府委員 先ほどもお答えしましたように、医学的判断を必要とする場合につきましては主治医の意見を尊重することを基本に、今後とも対処してまいるつもりでございます。
○村山(富)委員 それから、治療が打ち切られて中断をする、そのことによってまた病気が繰り返して悪化していく、こういうケースもまたあり得るんじゃないかと思うんですね。その場合には復活してまたやります、こういう話ですけれども、その中断した経過を観察する期間というようなものを設けて、そして慎重に扱うというようなことも必要じゃないかと思いますが、そういう考えはありませんか。
○野崎(和)政府委員 御指摘のとおり、一たん症状が固定した後再発をした場合には、再び労災補償が始まることは当然でございます。そうした再発の可能性のある被災者につきましては、具体的にその後の経過を十分注意していくようにいたしているところでございます。
○村山(富)委員 それから、さっき言いましたように、打ち切られた場合にすぐ雇われるところはないんですよ。働く場所はないんですよ。そういう人たちに対して、一定の期間を設けて、例えば職業訓練をしてやるとか、あるいは再就職や職場復帰が可能になるような何らかの手だてを講じてあげるとか、そういうふうなことを検討するあれはないですか。 〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕
○野崎(和)政府委員 被災労働者の症状固定後、治癒後の社会復帰の問題は、私どもの最重要な施策の一つであるというふうに思っております。 具体的にはこの点で非常に問題になりますのは、やはり林業関係の振動障害者の場合でございまして、山村部に多く居住しておられます関係で、症状が固定した後も現実問題としてなかなか就職しにくいということがございます。このために、これまでも新たに就職した方または事業を開始した方に対しましては、賃金の六十日分の社会復帰援護金を支給するとか、あるいは常用労働者として雇用された場合には使用者に対して賃金助成を行うとか、そういうことをいたしておりましたが、平成二年度におきましては、その社会復帰援護金を六十日分から百日分に増額する、あるいは、常用雇用もなかなか難しいということでございますので、季節雇用で雇用された場合にも賃金を助成するというような措置をとることを予定いたしております。今後ともこういった社会復帰施策をさらに充実するとともに、関係機関の協力も得まして早期の社会復帰に努力してまいりたいというふうに思います。
○村山(富)委員 もう時間がありませんからね。今振動障害者の社会復帰特別援護金制度というのが設けられていますね。これは振動障害、林業以外の仕事をしておって振動障害になった、同じ地域に住んでおる振動障害者で林業に携わっておる者だけはこの適用を受けるけれども、林業以外の者は適用を受けない。これはちょっとやはり問題があるのではないかと思いますから、ですから林業以外の人にも、同一地域に居住しておる振動障害者に対しては適用できるようにするというふうにすべきではないかと思いますが、どうですか。
○野崎(和)政府委員 これまで林業関係の振動障害者につきまして特にそういう問題がございましたので、ただいま申し上げましたような措置を講じているところでございますが、他に同じような問題がある事例がございましたならば、それもあわせて検討をさしていただきたいと思います。
○村山(富)委員 労働大臣、あなた一言も発言がないんだけれども、さっきのような労災年金福祉協会のような話、一方では今度は打ち切りの話等等を聞いておられまして、労働大臣の所見をここでひとつ聞かしてください。
○塚原国務大臣 労災年金福祉協会の件につきましては、本当に御不信を招くようなことがございました。今後このようなことが起こりませんように、一生懸命労働省が管轄しております各種団体の指導強化に努めてまいりたいと決意いたしております。 また、ただいまの労災の件につきましては、社会労働委員会で常に大変適切な御指導、御意見をちょうだいをいたしておりまして、非常にいい方向に一つ−つが改善をされている。ただいまの具体的な例にいたしましても、基準局長から答弁いたしましたように、先生方の御指導をいただきまして徐々に改善の方向に向いているわけでございますが、さらに前向きに、より不安感をお与えをしないように努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
○村山(富)委員 もう時間がありませんから次へ移りますけれども、先般国家公務員の三月分の給与、期末手当が、補正予算が成立をしなかったために分割支給といういまだかつてない事態を引き起こしたわけです。これは、公務員並びに家族には大変大きなやはり影響を与えていると思うのですが、特に三月というのは各種ローンの支払いの時期でもある、それから新入学に要する経費などが集中する時期でもある、こういうことを考えますと、職員に与えた打撃というのは大変大きいものだったと思うんですね。 これは申し上げるまでもなく、釈迦に説法ですけれども、公務員の給与というのは給与法の第九条でちゃんと支払いが決められているわけですね。ただ、例外が設けられておりますが、その例外を見てみますと、給与法第九条ただし書きで、「人事院規則の定めるところにより、特に必要と認められる場合」と厳しく制限しているわけです。これを受けて人事院規則九—七第一条の五で、例えば例外を設けたその条件として、官署の所在する地域が、震災、風水害、火災等の災害を受けた場合、それから、所掌事務の遂行上特に必要あると認められる場合というふうに限定しているわけですね。これは極めて厳しい限定ですよ。しかし、この補正予算が成立しなかったというのはこの条件には該当しない。したがって、今回の補正予算の不成立という事態は、現行法制度の上では全然想定されてなかったというものだと思うんですね。したがって、新たに人事院では特例的扱いの人事院規則の制定という手法をとって、特例措置でやったんですね。これはもう言うまでもないんですけれども、給与法の原則から見れば原則に反するということは申し上げるまでもない。したがって、この三月十五日に官房長官は談話を出し、内海人事院総裁も談話を出して、公務員給与の支払いについて特例的扱いをせざるを得なかったことは極めて残念であり、まことに遺憾であるというような談話を言わざるを得なかったわけですよ。 私はここでひとつ総理の見解を聞いておきたいと思うんですけれども、このような措置がとられたことについて、公務員に対して最高責任者としてどのような責任をお感じになっているか。こんなことはやはり二度と繰り返してはならぬと私は思うんですが、最高責任者としてそういう措置をとらざるを得なかった、こんなことはもう二度と繰り返してはならぬ、こういう意味における総理のやはり公務員に対する責任ある発言があってしかるべきではないかというふうに思いますから、ここでひとつ聞かしてください。
○海部内閣総理大臣 御指摘をいただいたような結果に相なりました。ただ、政府といたしましては、補正予算を年度内に成立させていただきたいというので編成をし、国会に提出をして、それが成立することを期待しておったのでありますが、いろいろな情勢等もあり、あのような結果になりました。私は、まことに残念なことであり、遺憾なことであるという気持ちでおります。今後はこのようなことが二度と起こらないように、各界の皆さんの御理解をいただきながら進めてまいりたいと考えております。
○村山(富)委員 やはり給与の支払いなんというものが国会運営の都合によって左右されるというようなことが起こるというのは、これはやはり筋違いの話ですよ、言うならば。今度の場合だって給与法の改正はちゃんと通っているわけですからね。それから、それを支払う財源もちゃんとやはりそれはあるわけですから。ただ補正予算が成立しなかったという国会の運営上の都合でもって支給ができなかった。したがって人事院規則を変えてまで特例措置をとらざるを得なかった。こういう事態になっておることを反省して、これから二度とこんなことを繰り返したくない、繰り返すべきではない、こういうふうに言われるのだとすれば、そういうことが繰り返されないような何らかの予防措置というものを講ずる必要があるのではないかというふうに私は思うんですね。 これはもう皆さんに御案内のように……(発言する者あり)これはしかし給料を払う最高責任者だからな。払えなかったことに対する責任はやはり問わなきゃならぬ。 それから、今申し上げましたように、どのような事態があるかわかりませんから、したがって、あらかじめ人事院の規則の中ではそういう場合を想定して規定しているわけです。だけれども、想定されておる以外のことで起こり得ることもあり得るわけですからね。したがって、何らかの予防措置を講ずる必要があるのではないか、私はそう言っているわけですけれども、これはやはり給与の改善費を予算に計上しておくかどうかということとの関連は極めて大きいと思うんですよ。 ずっと以前のことを調べてまいりますと、昭和四十四年度の当初予算においていろいろな議論があって、そして五十三年度の当初予算まで五%の改善費が計上されているんですね。そのときの閣議の内容を見ますと、「給与勧告完全実施の上で、年度途中で補正要因が大幅にあることは財政上問題である」として、四十三年十二月の給与関係閣僚会議の方針に基づいてこれは講じられたんです。そして、「勧告が行われた時点でさらに必要と認められるような場合には、予備費の流用などの財源措置を前提としたものであります。」こういうふうになっていて、そして当初予算に給与改善費というのは五%計上されておったんです。それが、だんだん経済状況も悪くなるし財政事情も悪化して、そして計上されておった五%が五十四年度には二・五%になる、五十五年度には二%になる、そして五十六年から五十七年度には一%となって、たしか大平内閣のときだったと思いますけれども、人事院の勧告が凍結されて、失礼、鈴木内閣のときに凍結をされて、そして五十八年度から予算計上はされなくなった、それで、今日に至っているわけですね。 こういう経過を振り返ってみましても、私は、先ほど総理も言われましたようにこんなことは二度と繰り返してはならぬ、こういう決意があるならば、繰り返されないような予防措置を講ずるために、当初予算にそういう給与改善費というものは幾らか計上しておくことが必要ではないか、これは財政運営上も当然とるべきことではないかというふうに思うのですけれども、その点はどうでしょうか。
○橋本国務大臣 私は、公務員の給与改定というものは、給与改善費を計上しておく計上しておかないということにかかわらず、政府としては現在まで人事院勧告尊重という視点から、基本姿勢に立ち、常に対処してまいりました。そして、今回は本当に我々は残念だと考えておりますけれども、同時に、給与改善費が計上されておらない昭和六十一年度以降につきましても、毎年勧告の完全実施によって給与を支払ってきたわけであります。そして、給与改善費を計上するしないというのは、従来から、毎年度の財政状態を勘案し、一定の計上をしてきたところでありますけれども、確かに厳しい財政事情の中で順次率が引き下げられ、昭和六十一年以降計上されておりません。しかし同時に、今までの数字を見ていただきますと御理解がいただけますように、例えば昭和四十四年から五十三年まで五%を計上してまいりました時代におきまして、その計上された給与改善費の中に人事院勧告がとどまりましたのは五十三年の一回のみでありまして、あとの年は必ず補正財源を必要とする状況でありました。また、五十四年二・五%を計上いたしましたときは人事院勧告は三・七〇でありまして、やはり同様に補正財源を必要といたしております。 そして、そういう状況を見ましても、給与改善費を当初予算に計上しておく計上しておかないは問題ではないと私は考えておりますし、それ以上に、春闘のはるか前の予算編成の時期に政府が見込みにおいて給与改善費を仮に本当にぎりぎりの数字を見込んで計上いたしたとすれば、それは春闘のガイドラインになるでしょう。それはまた、私は大変おかしなことであり、問題になると思います。かといって、それでは、春闘においてのアップ率をはるかに超えて余裕が残るであろう財源を計上しておくほど財政にゆとりがある状況でもございません。 いずれにいたしましても、私どもは、本年のような事態を二度と来したくないという意思においては非常に強いものがありますし、それは給与改善費を当初予算に計上するしないにかかわらず、人事院勧告を尊重するという政府の基本姿勢であります。
○村山(富)委員 予算に計上するしないにかかわらず、人事院勧告は完全実施をするという基本姿勢は変わりない、それはまた当然の話ですよ。だけれども、こういう事態が起こればそういう扱いをせざるを得なくなるわけです。ですから、こういう国会の運営によって給与の支払いが左右されるようなことのないような何らかの予防措置をやはり講じておかないと、公務員の皆さんは不安ですよ。それは国会の運営というのは、どういうようなことでどういうようになるかわからぬ。それは今度だってそうじゃないですか。予算委員会で、ちゃっと理事会で日程を決めて、補正予算がちゃっと上がるように日程を組んであるのに、途中からストップをして、そして自民党の皆さんが出席せぬで委員会が開かれぬで補正予算は延びたんですね。こんなことだってあり得るんですよ。こんなことになった場合に給与の支払いができぬ、これじゃやはり公務員の皆さんは安心できませんよ。私は今言われたような理屈もわからぬではありませんよ。わからぬではないけれども、春闘の相場に影響するなんてことは考えなくていいですよ。そんな予算を計上するわけじゃないんだから。だから、私に言わしたら、当初予算に計上しておった時点においても別に不都合はなかったんです。あらかじめ安全弁としてその程度の予算を計上しておくことは、ある意味では当然ではないか。むしろそれの方が私はいい、しかるべきだと思う、こういうふうに思います。それは、若干見解の違うところはあるかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、やはりこうした国会の運営で公務員の給与の支払いが左右されることのないようにしなければならぬ。そのための予防措置はどうするのが一番いいかということも含めて、今後十分検討しておいていただきたいというふうに思うのです。
○橋本国務大臣 私どもも十分検討はいたします。委員におかれましても、どうぞそうした事態を惹起いたしませんような御協力を心からお願いを申し上げます。
○村山(富)委員 いや、それはあなた、国会の中は与野党があって、いろいろあるから、お互いに責任を感じ合うて運営しているのでね。だからといって、それはどうなるかわからぬよ。しかしそれによって左右されることがあってはいかぬ、こう言っているわけだからね。十分ひとつ今後も検討してくださいね。強く要請をして、私の質問を終わります。
○越智委員長 これにて村山君の質疑は終了いたしました。 次に、井上普方君。
○井上(普)委員 私は、日米協議について質問いたしたいのであります。 自民党の方々に言わせますと、この日米経済協議というのは、大東亜戦争前のごとき、日米間のともかく重大な問題であると言われております。しかしながら、国民の皆さん方あるいはまた我々は、これについてぴんとこないのが実情であったと思います。しかしながら、先日、朝日新聞が対日経済要求といたしまして二百項目にわたるところの問題を提起せられて、一体これじゃ、アメリカは今までも無理難題を日本に言ってきたけれども、これは大変なこっちゃという気が私どもにはいたすのであります。 アメリカは対日提案として問題点を、政策実行提案として二百数十項目にわたって具体的な改善案を求めたと新聞は伝えられている。しかし、政府は私どもには、少なくとも国民には何らアメリカの要求というものを明確に示していないのであります。したがって、一体どうなっているのか我我は不安であると同時に、しかもこの問題は、国民の皆さん方の協力を得なければ日本としても実行できない問題がたくさん出てきておるのであります。そういう観点からするならば、このたびのこのアメリカの二百数十項目にわたるところの要求というものを国会に発表する、あるいは少なくともそれを我々に提示して日米関係の重要緊迫状況を説明する必要があると思うのですが、いかがでございます。総理大臣、いかがです。
○中山国務大臣 日米間の構造調整協議につきまして、その内容を自分たちに公表しろという御指摘でございます。 政府といたしましては、この協議の内容につきまして、先般閣議でその中間報告を報告し、了解をとり、発表させていただいたようなことでございまして、もし御要請があれば、先般の政府の閣議了解をいたしました中間報告につきましては、委員長が御要請があれば院に提出をさせていただきたいと考えております。
○井上(普)委員 私は、中間報告分について申しておるのではない。少なくとも、当初においてのアメリカ側の二百数十項目にわたる政策実行項目、これについてひとつお示しを願いたいと思うのです。そうでなければ、どんなことを要求し、そしてまた日本政府がこれに対してどういうように改善していくという方針を示さなければ、国民は納得できない。したがって私は、これは外交問題でございますのでそのときそのときとは申さない、少なくとも当初アメリカが何を要求し、どのような要求をしたか、これをひとつ示していただくと同時に、中間報告についての要求事項あるいはまた七月に行われる最終答申要求のところの問題等々を、ひとつ国民に詳細にわたって示す必要がある。国民生活にこれだけ重大な内容を盛り込んでおるのでございますから当然示してしかるべきだと思うのですが、いかがでございます。総理大臣、いかがでございます。これは総理大臣の問題だ。
○中山国務大臣 お話しのこの中間報告に至るまでの米側の日本側に提起をいたしました中身、これはあくまでも双方がアイデアを出し合っているという状況でございまして、もとは、御案内のように日米間の貿易不均衡に関する経済政策協調の補完業務としての構造調整協議を行っているところでございまして、相手方に対しても日本側からは八十に余るいろいろなことを申し出ております。こういうことでございまして、その間のいわゆる中身に関しましては、まとまったものあるいは合意を見なかったもの、たくさんございますので、一応両サイドで合意に達したもので文章としてまとめたものを閣議に初めて報告しているというようなことでございますから、今先生の御要請のございました点につきましては、閣議了解の問題等について社会党にも提示をさせていただきますし、委員長の御指定があれば院にもいつでも出させていただきたいと考えております。
○井上(普)委員 しかしながら、この二百数十項目は実はアメリカ側からリークせられたものであります。しかも、これは朝日新聞だけじゃない。NHKもリークしている。こういうような問題が、我々だけが、日本国民は何ら知らされていない。こういうことで、しかも国民生活に大きな影響を及ぼすような要求が含まれている。これを発表できないというのは私は納得できない。これによって日本の政治それ自体大きく変わろうとしておる今日です。アメリカがいかなる要求をしておるか、これは示していただかなければ予算審議はできないのじゃありませんか。私はそう思う。いかがでございます。
○中山国務大臣 せっかくのお話でございますが、今回政府が提案いたしております予算案の内容につきましては、今日行われて継続中のこの構造調整協議の内容は直接関連がないものと考えております。(発言する者あり)
○越智委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○越智委員長 速記を起こしてください。 海部内閣総理大臣。
○海部内閣総理大臣 お答えを申し上げますが、日米のこの構造協議につきましては、特定のことを取り上げての約束事とか交渉じゃなくて、お互いにそれぞれたくさんのことを指摘し合って、何回かにわたる実務者間の協議を経てきたものでございます。 そして、そのときにいろいろなことを提起し合いますが、対外的に私が申し上げておりますことは、日本側にはアメリカ側から六つにくくって大きく指摘事項があった。それは貯蓄・投資パターン、土地利用、流通、排他的取引慣行、系列関係、価格メカニズム、そういったものの指摘がありました。これを分ければ、分け方によって何十項目というのもあれば、二百項目というのもあれば、二百何十項目というのもあれば、いろいろございました。けれども、それはお互いに政府間の話し合いをしておる、アイデアを出し合っておる途中のことでありますから、アメリカ側のそういった発言、指摘も、これは政府間のことでありますからどうか公表するということはお互いにしないということを言い、また、日本側からもアメリカに大きく七つに区切って何十項目ということを指摘、提案しましたが、それは途中の経緯でありますから、政府と政府の間の外交の話し合いに関する問題でございますので、途中の経過を一々御報告することは事柄の性質上残念ですが御勘弁をいただきたいということで貫いてまいりました。まとまった中間報告に関しましては、これは閣議に報告する前に各党にお届けも申し上げた次第でございます。御了解をいただきたいと思います。
○井上(普)委員 この二百数十項目にわたる詳細なる項目は、実は朝日新聞がリークしたものであります。しかも、このリークをどこでやったかといえば、アメリカから出ているのじゃありませんか。二百数十項目、これはアメリカ総局において、日米構造協議のアメリカ側対日提案は「六分野について、問題点を指摘するとともに、「政策実行提案」として計二百余項目にわたって具体的な改善案を示している。提案の全容は次の通り」といってはっきりと出てきて、我々はこれを見てびっくりした。これは朝日新聞だけでない。NHKもこの問題についてともかく発表している。大体同じだ。少なくとも途中の経過については私は申しません。しかしながら、アメリカ側はどういうような要求を持って臨んできておるのか、その姿は我々に示さなければ、これは論議にならないじゃありませんか。 しかも、この問題は日本の国民生活に影響するのみならず、政府の政策それ自体にまで介入しておると申しても過言でないような内容が含まれておる。いわば内政干渉が甚だしいと言わざるを得ないような内容まで含んでおる。それに対して政府は、これは一々それについて反論を加えたのでございましょう。しかしながら、この内容、アメリカの要求それ自体を詳細に我々は知らなければ、今の日米関係の重要さあるいは切迫さ、こういうものが我々にはわからない。アメリカは今までも大変な局面、重大局面に来ている来ている、こう言うけれども、国民が何もわかってない。我我もわかってない。恐らく自民党の諸君にもわかってないと思う。それは、政府、自民党一体というような関係でこういうような内容がわかったから言いよるだけの話で、国民にはわかってない。この重大な局面にアメリカは何を要求しているか、これを知らしていただかなければ審議できないじゃありませんか。私はそう思う。もっと明確に、最初アメリカは何を要求したか、六項目の詳細についてひとつ御報告いただきたい。
○海部内閣総理大臣 私の理解にもし誤りがありましたら直接の担当者から詳しく申し上げさせますが、当初からアメリカが何百項目持って要求をして、これを聞け、こう言ったのが今度の構造協議だとは私は受けとめておりません。 と申しますのは、この数年来いろいろな貿易摩擦の経緯がございました。そして、スーパー三〇一条の問題も出てまいりました。私は、ああいった一方的な制裁を掲げての交渉というものは応ずるわけにはいかない。ただ、日米関係というのは二国間関係の中で非常に重要な問題でありますから、日本側も対応をしていくことが必要であるとするなれば、それは静かな話し合いによって、協議によって解決していきましょうというので、個別問題にそれぞれ取り組んで、個別問題は、まさにアメリカの具体的な指摘に対して日本側が具体的にどうするということをしてきたわけであります。ところが、個別問題が起こって、それを取り扱いをするよりも、もっと広く経済構造そのものをお互いに指摘し合っていけるようになったらお互いに指摘し合って共通の認識を得るようにする、それは貿易のインバランスを是正していくための経済調整政策の補完作業としてやろうということを去年日米の首脳で合意をして、そこでテーブルに着いたわけでありますから、私は、初めからその項目があって突きつけられたとかそういうことではなくて、話の中でお互いに出し合ったもの、その出すべき背景と申しますか、これぐらいのことがあるぞとアメリカがアメリカ側として用意したものが、そういうものがあったかもしれません。日本も日本側として大きなものを用意しました。それを出し合って、できるものはできる、できないものはできないで断ったり整理したり歩み寄ったりした努力が本当に随分あったと思うのです。その結果ここに、中間報告としてまとめましたところに、日本側には指摘された大きな六項目を、アメリカ側には指摘した七項目を、それぞれこの指摘にはこういう対応をした、こうしたいと思う、こうしようと思うという共通の認識が出たわけでございますので、これをどうぞもとに、中間報告をもとにひとつ御議論いただきますことが一番ありがたいと私は思いますし、当初に申し上げたように、断ったことやできなかったことやあるいはその二百がすべてテーブルの上に出てきたかどうかも私はつまびらかにしておりませんので、もし御必要なればその辺のところはだれか実務者からきちっと答えてください、今の僕の話がもし間違っておったら。僕はそういうふうに理解しておりますから、お願いします。
○林(貞)政府委員 この日米構造協議の性格でございますが、これは日米両国がそれぞれ相手国の問題点を指摘して、みずからの構造問題に取り組むということでございます。ここが今問題とされていることのポイントでございます。 それで、本件協議の過程におきまして、日米双方からいろいろなアイデアが出されたということは事実でございます。それは、総理からも申し上げましたように、公式な要求を相手に出すとかそういうことではなくて、相手国がみずから自主的に措置をとるに当たっていろいろなアイデアを出して、それを参考にしてほしいという趣旨のものでございます。そういうことを踏まえまして、日本側がとる措置につきましては、先般、閣議了解を経て中間報告という形で公表させていただいた次第でございます。 先ほどから二百四十項目というお話が出ておりますが、これはアメリカ側がリークされたというお話でございます。これは私どもどこからリークされたか知りませんが、朝日新聞にそういう形で出ておったことは承知しております。ただ、アメリカ側が、仮にそういうものがあったとしても、私どもに対しては口頭で、いろいろな形で、日本側がとってくれたらいいなという、こんな措置もあり得るのじゃないかということでいろいろ言ってきたのは事実でございますが、先ほど申し上げましたように、文書の形で、要求という形で出てきたことはございませんので、その点も申し添えさせていただきます。
○井上(普)委員 文書でともかく出てきたことはない、こういうお話、あるいはそうかもしれません。私は、このことについては疑問を持っています。しかし、そうにしても、アメリカなどは何をねらって日本のこの経済協議をやっておるのか、全体の姿が見えなければ我々としてもこれについて論評する、あるいは国民の皆さん方が納得することはできないと私は思う。したがって、アメリカ側が、要求といいますか、あなた方の言葉を使えばこういうことをやってほしいということを、我々からすれば、アメリカ側が日本に要求したんだとしか私には受け取れない。それらの詳細について少なくとも国会においては報告する義務があるんじゃございませんか、どうでございますか。私は、そうでなければ今の日米間のこの緊迫した状況を認識するわけにはまいらない。だから、総論も各論も示してきているんだから、それをひとつ我々に示さなければ、これについて我々は審議するわけにはまいらぬじゃありませんか。どうです。
○中山国務大臣 重ねてのお尋ねでございますが、先般も御答弁申し上げましたように、政府として最終的に確認をして閣議で了解した文章は、社会党にもお渡しをいたしておりますこの文章だけでございます。もしいろいろな交渉の経過についてお尋ねがございましたら、それぞれ各省から議長が出ておりまして、協議に出席をいたしておりますから、お尋ねの点がございましたら、その交渉に当たった者が外交上御報告ができる範囲においてお答えをすることができると考えております。
○井上(普)委員 今、外務大臣おかしなことをおっしゃる。協議をしておるんだと。にもかかわらず、これが外交上の秘密になるんですか。外交上の秘密というのは、そんなものじゃないと思う。協議して、話し合いをしているんでしょう。しかも、それは国際秘密だのというような問題じゃない。国内問題で、経済問題について話しておるのに、外交上の秘密というのはあり得るんですか。そこに日本の外交の秘密性というものがあり、国民に知らさないところがあると私は思う。詳細にわたってその交渉の内容を示していただきたい。そうでなければ我々理解できない。
○中山国務大臣 大変失礼でございますが、この協議は交渉ではございません。協議でございまして、双方の政府において協議を始めるに当たりまして、内容については公表を当分しないということで合意ができておりまして、これを日本政府が一方的に破るというわけにはまいらない。ただ、先生のお尋ねのように、野党の先生方を初め与党も含めて国会の先生方がこの日米関係の重大な協議の内容について御関心をお持ちになっておられることは、私どもも十分理解をいたしておりますので、もしこういう問題点についてどうかというお尋ねがございましたら、お答えのできる範囲で政府がこのお答えを申し上げるということで御理解をいただきたいと考えております。
○井上(普)委員 我々が質問しなければそれは発表できない、こうおっしゃる。おかしげな話じゃないですか。これは、全部ともかく今までの協議の経過を発表することによって初めてその認識ができる。全体像が我々にはわかっていない。全体像がわかっていないのに、個々の問題を聞いたならばそれはお答えいたしましょうというような秘密主義では、これはぐあいが悪い。我々ははっきりと国民の前にどういうような協議が行われていますということを明確に示していただきたい。そうでなければ、しかも国内問題に大きな影響を及ぼす問題がたくさん出てきている。ほとんどと言っていいほどだ。これは国民の間では、私自身はこれだけを突然見せられるというと、アメリカは日本に対して何と心得ているんだ、占領国のままの、占領国に対して要求を突きつけておる姿じゃないかというように勘ぐられても仕方がないような問題がたくさん出てきておる。このままではアメリカに対して反米感情というのは国民の中から沸き起こってくる。しかし、私は日米の関係は重大だと考える。したがって、それらの問題を解決するためには、アメリカはどういう要求をし、どういう問題をこう改善してほしいと、あなた方の言葉であればそう言い、我々は八十項目にわたってアメリカに対してどういうようなことを言っておるんだという姿を国民の前に示すことによって、初めて日米のパートナーシップというものが国民の間に理解されるんだと私は理解する。 したがって、私は、日本側がアメリカに対して示した八十項目、大まかに言ったら六項目でございますか七項目でございますか、それの詳細について日本側は、今外務大臣は八十項目とおっしゃったから、八十項目はどういうようなものをアメリカに対して改善を要求したのか、示したのか、それらの問題をひとつお示し願わなければ、これは重大な問題に相なると私は思う。日米間の感情的な対立が起こったならば大変だと思うから私は言っている。私ら自身につきましても、ほとんど示されていない。だから、私は言っているのですよ。要求しているのですよ。
○海部内閣総理大臣 御議論を聞いておりまして、一つの問題を御理解いただきたいと思いますけれども、二百何十項目というのを向こうから突きつけられてやったとかいうことでもございません。そしてまた、じゃなぜ協議が必要だったかということは、それに先行しております品目を挙げての三〇一条の個別協議の問題はどうしても我々としても率直にそのまま受け入れることができないし、それをほっといてこじれると、日米関係にも大事な関係におかしな影響がありますとこれは大変なことでありますから、それを除くために補完としてこの話し合いをしようということになったわけであります。 それから、余りここから先は言ってはいかぬかもしれませんが、理路整然とお互いに、日本側は日本側で、アメリカ側はアメリカ側で主張し合ったわけですよ、話し合いの中では。ですから、私どもは我が国においてこれは当然のことだと思ってやっておりますことも、アメリカ側からの物差しで見ればおかしいではないかという指摘が出てくる。アメリカ側が当たり前だと思ってやっておる問題についても、日本側から見ればそれはおかしいではないか。例えば企業の短期の利益の問題や教育訓練の問題や教育制度の問題とか、いろいろ踏み込んだことを言っていく。それから、言われたとおり数年間うんと努力をして輸入をふやしました。六百十億ドルの日本が輸入をふやしても、アメリカからは百七十億ドルにしかならない、アメリカはもっと売れるものをつくったらどうですかというようなことまでいろいろ提案して、やり合いをした。 そのとき、ブッシュ大統領が申しましたことは、先生、これは大事なところなのですけれども、ブッシュ大統領が言いましたことは、そういったことをやれというのじゃなくて、今アメリカの議会の中にある、まさに個別品目の積み重ね、集積は保護主義の台頭になってくる。保護主義が台頭してくるということは、お互いに自由貿易の中でアメリカと日本がきょうまで努力をした世界の市場経済の秩序というもの、自由貿易の秩序というものに、保護主義の台頭というものはこれはいけないのだ。日米共通の利益としてこれを抑えることは、世界の自由貿易体制を守っていくためにも大事なことなのだから、日本も積極的にこれには協力をせよ。そして日米できちっとやっていこうという話し合い等があって、最初言いましたように、背景に用意したことを出し合って、話し合って、その結果をこの中間報告にまとめたわけでございますので、これは各党にはお届けをさしていただきましたが、委員にも、必要があれば委員長のお許しを得て正式に出させていただいて、御理解を一層深めていただきたい、このように考えます。
○井上(普)委員 そういう交渉に至るまでの経過、そういうものについては私どもは理解いたしております。しかしながら、アメリカ側から日本に対してどういうことを要求しているのだろうということについて、今聞いてごらんなさい、国民の世論を。アメリカの二百項目によるところの要求というのが出た。これは日本から出たのじゃない、アメリカ側から出ているのですよ。いいですか。NHK側も出しているのです。アメリカも政府が発表している。だから疑心暗鬼になる。だから、日本の方もアメリカに対して、アメリカはこんなことをリークさせているのじゃないか、なぜ出せないのか、そういうことを交渉する必要があると私は思う。 この要求を見ますというと、これは内政干渉というよりは、むしろ日本のすべてを変えるような内容になっているのです。これが要求である、これは話し合いであるということはわかります。それはアメリカの理不尽な要求に対して日本は抵抗する、これはおかしいじゃないか、理解が不十分なところがあるだろう、そういう点については直さなければならない。しかし、アメリカ側のこれを見れば、アメリカ側の考え方というのは一体何だろうかということを私は思わざるを得ないので、アメリカ側は日本に対してこういうようなことを考えているのだということはひとつ示していただかなければならないと思うので、この点、もう一度ひとつ海部総理、あなたもブッシュ大統領とお話しになった、このことについてはひとつお知らせ願いたいと思うのです。
○中山国務大臣 今先生御指摘の点につきまして、これは双方からアイデアを出してやっているという状況でございまして、向こうが新聞でリークをしておりますようなことがすべて向こうの意見というふうに政府としては認識をしておりませんけれども、その中で日本政府が、日本側が、アメリカのいわゆる貿易不均衡の構造的な欠陥について指摘もしてきておりますし、米側も、日本に対する貿易赤字について、日本市場の問題についていろいろとアイデアを出しておるわけでございまして、先生からお尋ねの点につきまして、経過については申し上げることは難しいということを今御理解いただいたわけでございますが、ポイントについてお尋ねがございましたら、それぞれ交渉に当たりました者がおりますから、その交渉の責任者から御答弁をさしていただいて、御理解をちょうだいさせていただきたいと考えております。
○井上(普)委員 質問した個別の問題について説明するというのであれば、すべての問題について発表したらどうです。そうでなければ誤解を招く、これは。中間報告については、私らもこれは後から質問するけれども、アメリカ側が総体的にどういうような考え方で臨んできておるのか、ただ単に赤字の縮小ということだけでこれはやっているんじゃないわという気がしてならないのであります。そこに、自民党の諸君が言っておるように、国難だという認識もできてくるんです。(発言する者あり)言っておる人おるよ、言ってない人もおるし。それは事実そうだと思う。現に、公共投資をGNPの一〇%に伸ばすというようなことになったらどうなります。日本はたちまちインフレになっちゃう。日本の財政構造それ自体も変わってしまう。こういうような要求すらアメリカ側はしたらどうかと日本に申し出があった。これに対しては、拒否をする、できるところはやろう、しかしながら一〇%はできないと言うのは当たり前な話だ、これは。 しかし、そういうような要求がどの程度にあったのか我々に示していただかなければ、アメリカはいかに日本に対する認識が不足しておるかということもわかるし、かつまたアメリカが日本に対する——我々は、公共投資を一〇%にしろと言えば、何とまあアメリカは理不尽な要求を出しておるものだろうと、こういう認識をします、これは。当たり前の話。日本の財政はどうなるんだという心配も、これもします。しかし、こういうような問題を、アメリカはそれほどまでに日本の国内情勢を知らないんだという証拠にもなる。ここらあたりを我々は知らしていただかなければ、アメリカの対日観というものも知らしていただかなければ、今後の審議あるいはまた考え方というものは定まらないと私は思う。だから、このことをお伺いしている。これだけじゃない、公共投資だけではない。だから、私はお伺いしているのです。
○橋本国務大臣 今たまたま公共投資を例示に挙げられまして御論議がありましたので、私から私なりにお答えを申し上げてみたいと思います。 今委員がお述べになっておられるお気持ちが全く私は理解ができないわけではありません。ただ同時に、論議のプロセスにおける個別のやりとりがないままで、たまたまアメリカ側で、委員はリークと言われる、私は優秀な現場の記者さんがうまく資料を抜いたなという感じで見ておりますけれども、これはまあどちらでも結構です。ただ、そのプロセスが一々公表されること、また詳細が公表されること、解決の済んだことでありましてもそれが公表されることは、私は必ずしもいいことだとは思いません。そういう前提を置きまして、私は、公共投資についてどういうやりとりがあったかについて御報告をいたしたいと思います。 この四月の二、三の両日、実質的には後までずれましたけれども行われましたのは、構造協議の第四回でありました。そして、第四回の構造協議の結果、中間報告が取りまとめられたわけであります。 当初、公共投資についてアメリカ側から意見がありましたのは、日本の貯蓄率を下げてくれ、そして公共投資を拡大してほしいという言い方でありました。そして、それは一体具体的に何を指すのかといった論議の中から、三年から五年の間にGNP対比一〇%の公共投資の拡大を求める。同時に、その公共投資が、アメリカの観点からすれば都市に集中されることが望ましく、しかも全体がフレキシブルに動かせるように各種の長期計画を束ねてはどうかというアイデアが提供をされたわけであります。 それに対して、日本側としては、GNP対比一〇%といった目標を設定することは、我が国のいわば予算編成権に対しても問題があり、さらに我が国においては財政が経済運営の中で非常に大きな役割を果たし、しかも現実の今の日本の経済状態は、財政が出動し景気政策をしなければいけない状況にはない時点の中で、そうした目標設定はなじまないという回答をいたし、しかし同時に、我が国として確かに現在、社会資本の整備に対して非常にピッチを上げておりますけれども、欧米に比してなお整備のおくれておる部分もあり、これは国民生活の質の向上につながることであるから、我々自身の対応として努力をしていくべきこと、こういう視点から二十一世紀までの今後の十年間における公共投資の総額を定めるための計画を策定すると同時に、しかし、我々は現に国民生活に直結した仕事をしております体制の中で、各長期計画を全部ばらして一つにまとめてしまうというようなやり方を採用することはできない、それそれに国民のニーズはあるわけでありますから。平成二年度に終期を迎える八本の長期計画については、直ちに年度が変わった時点で継続した計画が動かし得るような状況をつくる。残る七本の計画においては、残る計画年次を着実にそれぞれの計画の実施を行うと同時に、その年度が切れた時点において同様に新たな計画を策定していき、二十世紀中に整備すべき視点を定めていく、こうした観点の答えをいたしたということでありまして、まさにそうしたやりとりのプロセスの中に個別に出てくる相互のいわばアイデアのぶつけ合いのものをそのまま生の形で御披露をいたすことが、私は物事をまとめていく上にも望ましいことだとは考えておりません。 しかし、今公共投資という部分についてのお尋ねでありましたので、大きな流れを御紹介を申し上げ、細部にわたりましては、この中間報告の中に盛り込んだものが我々としての考え方であるということであります。
○井上(普)委員 今大蔵大臣が申されていましたように、それはアメリカの、向こうの考え方とあるいは対日要求というものは、まさに予算編成権のみならず日本の制度それ自体についての、ともかく変えてくれと、こういう考え方が根底にあるのではないかと私には思われてならない。かつて私は、昭和五十六年に、アメリカの要求に対しまして、このままいけば銀行の自由化もきっと問題になるのではないかと指摘したことがございました。そんなことは絶対いたしませんと当時大蔵省の諸君、大臣を初めとして言ったのであります。しかし、一年たってみればそのとおり、アメリカの要求のとおりにしたことがございます。それは外交問題でございますから、こちらの主張を隠さなければならないこともありましょう。しかしながら、本音というものは隠さなければならないことはあるでしょうけれども、しかし余りにもこれは膨大でひど過ぎるじゃありませんかと私は申さざるを得ないのです。 私は、決して石原慎太郎君のように、「「NO」と言える日本」というような、私はあの本は読んでいませんけれども、ああいうナショナリズムで凝り固まった考え方ではない。少なくとも、国際基軸であるドル、これを健全なものにしなければならない、そうでなければ世界経済は大破滅を来すという関心を持ちながら実は質問しているのです。しかしながら、余りにもこれはひど過ぎるじゃないか。しかも、後ろには三〇一条をちらつかせながらやっている。こういうアメリカの外交それ自体について私は大きな疑問を持つと同時に、これではアメリカの協議というものは一方的にやられているにすぎないのじゃないかという気がするのであります。せめて、日本がアメリカに対してそれでは八十項目出しておるのであれば、その八十項目はこういう要求をいたしておるのでございますと、これは日本の外務省あるいはまた各省が優秀な諸君を集めておるのだから、対米提案項目の詳細ぐらいは示してもしかるべきじゃないかと私は思うのです。向こうも対日提案項目として六項目出てきている。私はある程度納得できるところもある。しかし、それらの詳細を我々に知らしていただかなければこれはならぬと思うのであります。 私はこのことについて、この主張を、要求を引っ込めるつもりはさらさらございません。委員長においては、これは処置していただきたいと思うのであります。いかがでございます。
○越智委員長 委員からも要求が出ておりますし、先刻村山理事からの要求もございますので、理事会で協議をしよう、こういうことにしておりますので、後で協議をいたしますから、質問を続けていただきたい、かように思います。
○井上(普)委員 そこで、先般この中間報告なるものをいただいた、その内容について個別にお伺いしていきたいと思うのであります。特に「貯蓄・投資パターン」についてお伺いいたしたいと思います。 この「対応策」につきましては、これはもうまさにいただいた直後でございますので、全体的なことじゃなしに、気のついたところだけひとつお伺いしていきたいと思います。 その第二に、対応策の「今後の積極的な取り組み」、この二項目にこういうことが書いてあるのです。「今後十年間の新しい総合的な公共投資計画を策定することとし、直ちに作業に着手する。」とある。これは、今まで各公共事業については五カ年計画というのはできてきた。恐らくことしぐらいにこれを改定する時期が来ておると思います。しかし、十カ年計画というのは我々は今まで聞いたことかない。こういうようなことを約束して、そのとおりやるおつもりなんですか。どうなんです。
○橋本国務大臣 今委員が御指摘になりましたように、現在私どもは十五本のそれぞれの分野における長期計画を持っております。そして、そのうちの八本が平成二年度をもって終了するわけでありまして、その平成二年度において終了する八本の計画につきましては、私どもは、例年でありますならば年末の予算編成を経てそのそれぞれの次期の計画を設定するわけでありますけれども、アメリカ側の関心の強さにかんがみまして、これは大体その方向がどういうものになるかということについては、最終報告までに示そうといたしております。 それとは別に、そのほかにも実は私どもは多くの仕事を持っております。例えば公共投資と言われます分野の中で、例えば教育施設の整備あるいは社会福祉施設整備費、こうしたものはこれらの長期計画には入らないわけであります。また、ここで一つ御注意をいただきたいのは、かつて我が国の公共投資を論じます場合に、国有鉄道、電電公社、専売公社並びに電源開発がそれぞれ民営化をされる以前には公共投資総額の中に入っておりました。しかし、現在はそれぞれが民営化の道をたどっております中で、いわゆる公共投資と申します部分からは落ちております。こうしたものを全部ひっくるめて、今後の十年間、西暦二〇〇〇年に行くまでの間に我が国が投資をしていく総額を示すことは、それなりに私どもは意味のあることだと考えております。 そうした視点から、今御指摘になりましたような公共投資についての新たな十カ年計画というものを策定していこう、そして、それについての作業は今後政府部内において行っていこう、そのように考えております。
○井上(普)委員 それでは大蔵大臣、今まで五カ年計画、私らはこれをずっと戦後、昭和三十年以降五カ年計画というのをずっと改定しながらやってまいった公共事業がたくさんございます。しかし、今後は、来年からは十カ年計画でやるのですか、どうなんです。
○橋本国務大臣 それぞれの長期計画はやはりその時代その時代の趨勢に合わせて変わっていくべき性格を持つものでありますから、十年という長期に固定をすべきものだとは私どもは考えておりません。ですから、これは五カ年計画の形で続けていくと考えております。マクロの公共投資総額というものをこの中で示していこう、一方ではそう考えておるということであります。
○井上(普)委員 しかし、この中間報告では「今後十年間の新しい総合的な公共投資計画を策定することとし、直ちに作業に着手する。」と書いてあります。これをそのままに読むならば、文字どおり読むならば、十カ年計画になるのじゃありませんか。
○橋本国務大臣 その前に、平成二年度末に期限の来る八分野の社会資本整備長期計画はほとんど超過達成の見込み、「これらを更新し、」「現行規模を上回る計画の策定に当たっての積極的かつ具体的な整備目標を示唆するため、早急に検討を開始」といたしておりまして、それぞれの長期計画というものは、今までと同機事業の国民生活に対する必要性等を勘案しながらそれぞれの五カ年計画を策定する、トータルとしての公共投資総額をこの計画において十カ年計画で明示をする、仕組みとしてはそうなっております。
○井上(普)委員 しかし、公共事業が「現在の水準よりも大幅に拡充されることになろう。」こう書いてございます。したがって、私らからするならば、これは、その前に五カ年計画のことが書いてございますけれども、それは、「整備目標を示唆するため、早急に検討を開始する。」と書いてございます。その次の項目に「今後十年間の新しい総合的な公共投資計画を策定する」というのだが、マクロ的なものとは私らこれは読み方によってはできないと思うのですよ。ここに日本語の妙があるといえば妙があるんでございましょう。しかし、素直にこれはそう向こうさんはとらないんじゃございませんか。そこに、今までの日本の外交というものがいつもともかくあやふやな表現で終始したと言われる批判も出てくるんだと私は思う。ここらあたりを明確にやはりしておく必要があるし、我々が国内問題として処置する場合にも、これは必要だと私は考える。 しかも、これを大蔵大臣がやられるというよりは、公共事業の計画というのは、これはどこですか、大体四全総をやられる国土庁がやられるのが本当じゃございませんか、こういう問題は。しかも、いいですか、朝日の報ずるところによるというと、こういうことまでも書いてあるのですね、これは。四全総というものは、これは見直さなきゃならぬということが書いてあるじゃありませんか、アメリカ側は。こんなことは論議になったのですか。どうなんです。四全総については、これは再検討する。これは公共投資の部分で、朝日の報ずるところによると、「四全総を再検討する。」というようなことまで書いてある。このことについて国土庁長官は何か聞いたことありますか。
○橋本国務大臣 私は、今回の構造協議における日本側の三議長省、外務省、通産省、大蔵省、それぞれが分担をし折衝に当たった当該省庁の責任者としてお答えを申し上げております。そして、公共投資の計画そのものの作業は、経済企画庁を中心にして関係各省が協力をしながらまとめるべきものであると、そのように私は考えております。 また、これは国土庁長官からあるいは政府委員から御答弁を申し上げるべきかどうかわかりませんが、四全総について論議があったかなかったかは別として、それを見直すというような約束をしておらないことは、中間報告の中に一切触れられていないという事実自体で御承知おきを願いたいと思います。
○佐藤国務大臣 井上先生にお答えいたします。 今、先ほどの御指摘の点でございますが、全く聞いておりません。
○井上(普)委員 まだ閣内においてもこのことについてはそういう認識でございましょう。それは論議がなかったからとおっしゃるから、それは私はわかります。しかしながら、アメリカ側の要求として、少なくともこれはアメリカ側のかなりの根拠のある資料だと私は思っている。というのは、余りにも日本側はこのことについての発表がなさ過ぎるからこういうことを言わざるを得ない。だから、最初にアメリカ側のともかく要求か示唆か何かは知りませんが、それを示せというのは、私が申すのは当然のことなんです。わからないんです、姿が。 そこで、続いてお伺いいたしますが、「土地利用・規制緩和」について、項目について、どなたが御答弁になるのか知りませんが、ひとつお伺いいたしたい。 ここの中には、汐留操車場跡についてはもう使用目的が決まってしまっている。これは「汐留操車場跡地については、国際化等に対応した多機能都市空間の形成と広域的な交通結節空間の形成を目指し、地下鉄、道路等都市基盤施設の整備も含め、高度利用していく。」ということが書いてある。もう汐留の問題についてはこういうような方向で利用するということが決まってしまっているんでしょう。いつこんな方向を、少なくとも閣議で決定したんですか。これはひとつお伺いしたいんです。
○大塚(秀)政府委員 汐留の操車場跡地につきましては、昨年二月に清算事業団の資産処分審議会において東京都等の御意見を聞いた上で土地利用基本計画を定めており、その後、東京都等と都市施設、公共施設の整備について詰めておるところでございます。 そのうち、新交通システム、一部の道路については、近く東京都において都市計画決定がなされるはずであり、その他の施設についても東京都で現在都市計画上の問題点を詰めているところでございます。
○井上(普)委員 しかし、これはもう既に決まったように書いてあるんです。これは少なくとも国土庁がこれに関与するべきはずでございます。単に整備公団でこれは勝手にできる問題じゃないと私は思っておる。そういう決定がなされておるはずだ。前々の内閣においてそういうことが決まっておるはずだ。これは、国土庁が中心になって汐留の利用については計画を決定することになっておるはずだ、大規模の土地は。国土庁、このことを知っていますか。
○藤原(良)政府委員 アメリカ側と土地利用に関する事項に関しましていろいろ協議いたしましたが、その協議の中で具体的な汐留の土地利用について話題になったことは一度もございません。
○井上(普)委員 一度もないにもかかわらず、これが中間報告で決まっておる。一体これはどうしたことなんですか。
○藤原(良)政府委員 ただ、一般的に、国公有地の有効利用、あるいは清算事業団用地についても、その早期有効利用につきましては、かねてから政府におきましても土地関係閣僚会議等の申し合わせで推進しているところでありまして、そういう事項につきまして協議の内容としていろいろ御相談申し上げました。一般的な方向としてはそういうことで、中間報告でも認められているわけであります。
○井上(普)委員 日米協議で、汐留の跡地の使用目的、使用方法はもう決まってしまっている。外交上決めてしまっているんですよ、これは。どうなるんです、これは。お読みになってごらんなさいよ。ここに書いてあるよ、ちゃんと。
○大塚(秀)政府委員 汐留の利用計画につきましては、六十年こ月から運輸省、国土庁、建設省等関係省庁の調査を行い、それに基づいて先ほど申し上げましたような土地利用計画を現在定めておりますが、具体的に今後高度利用していくという、このような取り決めの内容につきましては、さらに東京都あるいは関係省庁と具体的に詰めていくところでございます。
○井上(普)委員 具体的にもうこの利用方法は決まってしまっているんですよ、外交で。だから私は申しておる。これはどうなるんです。(発言する者あり)
○越智委員長 井上委員、休憩してよろしいですか。——午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時一分休憩 ────◇───── 午後一時三分開議
○越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。井上普方君。
○井上(普)委員 委員長、私への答弁ができないので休憩になっておるのですから、政府側の答弁をひとつしていただきたい。
○藤原(良)政府委員 午前中の答弁で舌足らずのところがありまして誤解を招いたようでございますので、まずおわびしたいと思います。 私が日米構造協議で関与いたしましたのは、六項目ございます協議事項のうち第二チャプターの土地利用に関する事項のみでございまして、土地利用のチャプターでの協議では、そういう汐留のような具体的な事柄は出なかったという趣旨でございますので、御理解賜りたいと思います。
○三木政府委員 汐留操車場跡地に関するプロジェクトについて、国土庁の立場から申し上げます。 汐留操車場跡地につきましては、国際化等に対応した多機能都市空間の形成と広域的な交通結節空間の形成を目指しまして、地下鉄、道路等都市基盤施設の整備を含めまして高度利用をしていくべき地域と定め、このプロジェクトを推進することといたしてございます。六十一年から六十二年にかけまして、国土庁、運輸省、建設省によりまず共同調査を実施いたしまして、土地利用構想や交通施設整備の方針を内容といたします調査結果を取りまとめております。この結果は基づきまして、清算事業団、東京都を中心といたしまして具体的なプロジェクトの推進に係ります推進体制につきまして整備をし、推進を図ってまいるということでございます。 今回、この辺のプロジェクトの性格、推進体制の事実につきましての確認がございました。それをもちまして国土庁に御協議があったというふうに考えております。
○井上(普)委員 個別の問題につきまして、特にこの汐留の問題につきましては具体的に挙げている。しかも、これは恐らく、今そういうお話があったけれども、東京都はやはり密接に関係する。これらの問題について私は成案はまだ得ていないと思う、この跡地利用については。にもかかわらず、ここでもう成案のできるがごとき目的をきちっと書いてある。しかも、先ほども質問いたしましたその後で、私は知らぬというような大臣がたくさんある。内閣不統一というのではなしに内閣の体をなしてないなという感がいたすのであります。 私は、この問題につきましては外交が先行し過ぎているんじゃないか、こういう感を深くしながら、この問題については、もう決定してしまうと、外交問題として決着してしまいますというと、後々我々が何を言ったって話にならない。非常に不手際な外交が展開せられつつある証拠であろうと私は思うのであります。甚だ残念であるし、国内問題がこういうように、国土庁の長官も恐らくこのことについてはお知りにならなかったんじゃないかと思います。閣議で初めて知らされたのではないかと私は思うのであります。まことに、こういうような外交がひとり歩きしておる姿が日米構造協議であらわれてきておるのではないだろうか。それは単に内閣だけではない。国民全体について詳細について知らされてないところに大きな原因があることを私は再び指摘しておきたいと存ずるのであります。 続いて、この日米構造協議のうちの土地利用の問題についてお伺いいたしたいと思います。 一九九〇年度末までに次のことを約束いたしておるのであります。特にこのことについてひとつお伺いいたしておきたい。対応策の第三に、「市街化区域内農地について宅地化を促進するための都市計画等の関係制度の整備・充実」これを九〇年度末までに決定する、こうあるんだが、これの進捗状況はどうなっておるのですか。ひとつお伺いしたいのです。
○福本政府委員 お答え申し上げます。 この対応策の第一として、九〇年度末までに以下の所要の法律案を国会に提出するということになって、三つのことが書いてあるわけでございますが、私どもは、ここに書いてありますような広域的な住宅宅地の供給方針の作成のための制度、あるいはまた工場跡地等の低・未利用地の利用を促進する制度、あるいは市街化区域内農地について宅地化を促進するための都市計画等の関係制度の改正などにつきまして、現在法律を準備中でございまして、今国会に提出してその審議をしていただきたいと思っておるわけでございます。
○井上(普)委員 それじゃ、具体的にどの法律を指すのでございますか、お示し願いたい。
○福本政府委員 法律として二つの法律を考えておるわけでございまして、一つは大都市地域における住宅地等の供給の促進は関する法律、いわゆる大都市法というのがございますが、その法律が一つでございます。それからもう一つは、都市計画法と建築基準法をあわせて改正するということで、その二つの法律の改正案で一本でございますが、その二つの法律の改正案を出したいと思って考えておるわけでございます。
○井上(普)委員 その宅地の供給ということ、これは対応策の第一でございましょうが、実際できるのですか。実効の上がるようなものでなければならないと思うのです。今たくさん土地立法ができている。できていますけれども、実際効果が上がってないから私は聞いているのです。 それから、第三の「都市計画等の関係制度の整備」というのは、都市計画法の改正をやるのだが、何をどんなことをするのですか。まだ国会に出てきていないのですよ。どういうようなことをやろうとしているのですか。
○福本政府委員 今お尋ねの話につきましては、市街化区域内農地の宅地化を促進するための制度ということであろうと思います。市街化区域内の農地につきましては別途いわゆる税制の問題がございますが、それはそれといたしまして、建設省といたしましては、市街化農地の宅地化を促進するために現在考えておりますのは、いわゆる市街化区域内の農地は大体一種住専になっておる。ということになりますと、高さが十メートルでございますとか、あるいは容積率、建ぺい率が非常に低うございます。それを特定な優良なプロジェクトにつきましては、高さの制限を二十メートルにするとか、あるいは容積率、建ぺい率を緩和するというととによりまして中高層住宅の供給の促進に結びつけたい、このようなことを具体的には考えておるわけでございます。
○井上(普)委員 これはもう外交的に決まっているのですよ。それが「宅地化を促進するための都市計画等の関係制度の整備・充実」に当たりますか。常識的に考えるならば、私は当たらないと思う。これは言いわけにすぎぬじゃないですか。どうも政府が外国と約束したことには裏づけが乏しいように思われてならない、いつも。これではまた日米の間で問題が起こってくるのではないかと私は思う、今のような御答弁であるならば。 私は、時間が制限せられておりますので、続いてひとつ次の——これは私は納得、恐らくアメリカ側は九〇年度末においておかしいじゃないかといってクレームがつくことは間違いないと思う。 それから、続いては土地税制についてであります。「土地税制については、」「九〇年度中に成案を得て所要の法律案の提出を図る。」とある。その前に「土地基本法に示された基本理念にのっとり、」と書いてある。「土地に関する施策を踏まえ、総合的な見直しを行うこととし、今春税制調査会に小委員会を設け検討を開始し、九〇年度中に成案を得て所要の法律案の提出を図る。」こうあります。何を考えておられるのですか「ひとつお伺いしたいのです。
○橋本国務大臣 この点につきましては、日米構造協議にかかわらず、本院において繰り返し私は土地税制の見直しについて御答弁を申し上げてまいっております。その趣旨と全く内容的に変わりません。
○井上(普)委員 しかし橋本さん、あなたは大蔵大臣になって、土地税制について考え直したらどうか、土地税制がむしろ主導的役割を果たしたらどうだという質問がここで何回も行われたと思います。その際には、税制というのは土地制度の補完的な意味合いであって、税制が主導的役割をすることは間違いだ、こうおっしゃってこられた。だから私はこの問題についてお伺いしておるのです。土地基本法において、理念において、「基本理念にのっとり、施策を踏まえ、」とある。そこで、この関係については今までのお考え方を変えられたのか、その点ひとつお伺いしたいのです。
○橋本国務大臣 私は、土地基本法というものができましたのでということも申し上げて、本年の春から税制調査会の小委員会において御検討を願いたいと考えております、その際、総合的な見直しを願うわけでありますが、私は、これに二つの視点が必要であると思います、一つは、国民の中における、この地価の値上がりに伴う資産格差の拡大というものから出てくる資産課税の適正化という視点、もう一つは、どうしたら、素朴な言い方ですけれども、大都市で一生懸命に働けば、大都市でも一生懸命に働けば自分の家が持てるかという国民の夢を果たすための土地政策の中において、税はいかなる役割を果たすべきかという視点、この二つの視点から私は検討していただきたいと思っております、これも繰り返して申し上げてまいりました。その点については、構造協議におけるこの内容も同じことを申し上げております。
○井上(普)委員 今橋本大蔵大臣がおっしゃったことは、土地基本法があるなしにかかわらず、二つの視点というのは同じようにあったはずです。ただ、この土地基本法という法律は、この間うちからテレビとかラジオを見ておりますと、いかにもありがたそうにおっしゃっておる大臣もおられるけれども、この土地基本法というのは基本法じゃないのです。対策基本法なんですよ。基本については何ら論議がなされていない。私は、この点については大きな不満を持ちながら、この土地基本法の審議に当たったものであります。しかし、この基本法のどこを指して、新しく土地基本法ができたから税制改正ができるのだという今のお考え方は、後の二つの観点というのは、土地基本法があるなしにかかわらず、資産課税の問題、あるいはまたサラリーマンの住宅取得難の問題、今まであったのでございますから、それは私は理由にならぬと思う。基本法のどこが土地税制の改正につながるのか、その点、明確にしていただきたいと思うのです。
○橋本国務大臣 委員は、土地基本法をその意味では評価をしない、土地対策基本法であると位置づけられますが、少なくとも私どもにとりましては、土地基本法はそれなりの意味を持つものと考えております。そのどの条文といったことではなく、土地基本法というものが制定をされ、少なくとも国民の中において土地というものについての共通の認識が生まれようとしている事態、それ自体が税の見直しの一つのポイントである、基盤である、私はそう考えております。
○井上(普)委員 それは、まあここで論争になるのは避けますけれども、この土地基本法の考え方というものは、昭和四十九年につくった国土利用計画法の中に明確に出してあるのです。そして、政府が出してきたその案というのは、公共優先というようなことを全然書いてなかったのであります。これは修正させたのだ。野党が修正してようやく公共の福祉を優先させるものとするということを入れたのです。自民党はこれに大きな抵抗を示したのです。しかし、このごろになってくるというと、私権を制限するのだ、することができるのだなんということがひとり歩きをしておるようでありますので、ちょっと話はそれますが、その点について質問をいたしたい。 この私権制限ができるとこの間テレビでおっしゃった方がおられましたな、大臣で。国土庁長官、どうですか、これでどういうように私権制限ができるのですか。ひとつお伺いをいたしたいのです。
○藤原(良)政府委員 お答えいたします。 土地基本法では、土地に関する理念を四カ条にわたって規定されておりまして、この基本法の御審議に当たりましても、先生にはいろいろ御指導いただいたわけでございますが、その中で、確かに与野党で御協議いただいて十カ所余りの修正をされております。その結果、法律の目的なりあるいは土地に関する理念がより明確になった、また、内容についても充実させていただいた点が多いと私は思っております。 御質問の私権制限でございますが、二条で一番大きな土地についての公共福祉優先という理念を掲げていただいておりますが、これを敷衍する形で、第三条では「適正な利用及び計画に従った利用」に関する規定を設けております。これは従来のように、土地所有者が土地を利用するしないも全く所有者の自由だということではなしに、やはり土地については地域の諸条件に応じて適切に利用していく、いわば社会的な責務のようなものが内在しているのだ、そういう思想が含まれているんじゃないかと考えております。できるだけ公的な計画に従って利用するということもそうでありますし、また、土地は投機的取引の対象とされてはならない、さらに五条で「価値の増加に伴う利益に応じた適切な負担」が求められるんだ、そういうふうな趣旨が盛り込まれておりまして、こういう規定に従っていろいろな都市計画制限その他の制限が課されていくものだというふうに理解しております。
○井上(普)委員 これは土地の問題につきまして非常な論議が起こっております。確かに土地という問題は、私の意見は後で申すといたしまして、先日、テレビを拝見いたしておりますと、海部総理大臣は土地の規制区域を導入する考え方があるということをおっしゃっておられました。それは間違いございませんか。どうです。
○海部内閣総理大臣 それは先般、土地問題に関する会議をいたしましたときに、全国的に土地の高騰が非常に進んできておる、東京都区部ではやや頭打ちの鈍化になったのが今度は地方に押し及んでおるという報告をいろいろ聞きました。これ以上土地が上がるということは極めて憂慮すべきことである。そこで、監視区域を徹底的に、後手後手に回らないように適用していかなければならぬということをより一層各省庁していただくとともに、規制区域のこと等も念頭に置いて土地問題には対処してほしい、こういったことを私の考えとして申し述べました。そのとおりでございます。
○井上(普)委員 それじゃ、規制区域をつくるということに対しては、する考えであるということをあなたはおっしゃったように私は理解しておるし、新聞にもそのように報じられておるのですが、これは間違いでございますか。
○海部内閣総理大臣 間違いではございませんが、監視区域の制度が現にあって、それをきちっと行うことが大前提でありますから、監視区域の問題をきちっとやってもらう。それから、地域の実情に非常に詳しいのは、やはりその知事さんでありますから、それの意見も十分尊重しながらやっていただく。どれだけやってもらっても、どうしてもどうにもならぬというときには規制区域という制度があることも念頭に置いてしっかり指導してほしい、こういった気持ちを申し上げましたから、間違いなくそういうような発言をいたしました。
○井上(普)委員 規制区域を導入するか、指定するかどうかというのは、非常に重大な問題を含んでおるのであります。私も国土利用計画法という法律を議員立法でつくりました際に参画した一員でありますし、そして、もうそのときのボス的存在であった天野光晴さんも議会に席を同じゅういたしておりませんので、あえて私は申し上げるのですが、規制区域というものはこの法律には書いてございます。しかし、この指定については非常に難しい問題がある、そのことは御存じですか。
○海部内閣総理大臣 土地問題、住宅問題については非常に御造詣の深い委員の御指摘でございますので、私もそれは十分承知しながらいろいろなことを考えてきたわけでありますけれども、それは抜かずの宝刀だということできょうまで一般的に言われておったこともよく知っております。同時に、監視区域というものでできるだけ地価を安定させることが大事だということもよく知っておりますから、私は大前提としてそれを徹底的にしっかりやってほしい、そのつもりでやってほしいということを強く言いました。そういう制度があるということも知っておりましたので、そのことも念頭に置いて、最後どうにもならぬときにはそこまでいくわけでありますけれども、そのことを念頭に置いて、知事さんたちに監視区域の制度が後手後手になっておるという強い世の批判等にもこたえる行政をやってもらうように、そのことを強くお願いをしたわけであります。
○井上(普)委員 あなたのお考え方はわかりました。しかしながら、ともかくこの規制区域の導入といいますか、指定ということは非常に難しい問題を含んでおります。 一つは、国が地方自治体に機関委任事務として任せておることであります。もう一つは、この法律の中においては明確に、十三条でしたか、国の見地において、ともかく地方自治体がやらない場合に初めてできるという制度にしておるのであります。といいますのは、同じ地域が例えば東京と埼玉と二つにまたがって、片一方は規制区域をやる、片一方はやらないというときに初めて総理大臣の指揮権というものが発動できるような仕組みになっておるのであります。このことはひとつ念頭に置いていただきたい。 さらにはまた、先ほども申しましたように、総理大臣が自治体に対しまして指揮権を発動された際には、機関委任事務でございますので、いわゆるマンデーマス・プロシーディングという制度を戦後取り入れましたので、これをやろうとするならば裁判所の介入がなければできないことになっているのです。機関委任事務に対する総理大臣の指揮権発動の際には、それがなければできないことになっている。にもかかわらず軽々しく規制区域を指定するというようなことを総理大臣がおっしゃったというので、私も唖然としながら実は聞いておったのであります。 こういうようなことを考えますと、軽々しく土地規制区域の問題を言うことは間違いじゃないか、このように思うのであります。あなたが今おっしゃったような監視区域を厳重にやって地価の安定に資してもらいたいということについては、当然そういうようなことではございますけれども、規制区域を念頭に置きながらということについては、私は疑問を持っていますので、その点だれか明確に御答弁できるのならひとつやっていただきたい。法制局長官でもよろしゅうございます。
○海部内閣総理大臣 まず私から言わせていただきますけれども、もう非常に専門家でいらっしゃる議員に反論するつもりは毛頭ありませんが、私は今の最初に申し上げたように、この土地の暴騰、それが地方の都市に移るとか、これからここへ移りそうだということも予測され、報道され、しかもそれを何とかまず抑えなければならぬということを強く感じておるわけです。 そこで、監視区域の問題も後手後手に回っておるという御批判も非常に多いわけでありますから、後手後手に回らないように十分それはやらなければならぬし、同時に、地域の問題は今委員御指摘のように、それぞれの問題がございますから、都道府県の知事さんが一番その状況については熟知しておられるわけですから、その意向を尊重してやらねばならぬわけでありますけれども、しかし、どれだけ努力しても、どうしても高騰がおさまらないというのを黙視しておっては申しわけないことにもなりますから、規制区域のことも念頭に置きつつ、後手後手に回らない監視区域の運用というものを強力に指導してほしい、これを私は会議で言ったわけでございます。 法的なことは私よくわかりませんので、法制局長官から——じゃ、自治省からお答えします。
○森(繁)政府委員 マンデーマスのことでお尋ねがございましたので、お答え申し上げます。 委員御承知のように、自治法の中に職務執行命令訴訟という制度がございます。この制度というのは、機関委任事務の執行につきまして、地方団体の長がそれを適正に執行しない場合に、国としてその履行を確保するために設けられておる制度でございます。 この制度につきましては、これまでなかなか現実に発動が難しかったという事情がございます。端的に申し上げますと、二度の裁判を経まして初めて代執行ができる、こういう仕組みになっておりますので、それをもう少し現実的なものにする必要があるんではないかということで、過般の地方制度調査会等におきましても答申をいただきまして、これまで地方自治法の改正という形で提案をいたしておりますけれども、今まで成立するに至っていない、こういう状況でございます。 私どもといたしましては、機関委任事務につきましては、一方では国の立場もあり、一方ではそれを執行いたします地方団体の長の立場もあり、その二つが相調和できるような仕組み、それがしかも現実的に動けるような仕組みというのがなお必要ではないかということで、今後ともこの点につきましては検討してまいりたい、かように考えております。
○井上(普)委員 少なくとも総理大臣が規制区域指定について言及されるということは、私は望ましくないと思うのです。というのは、これはできないような法律になっている。そしてまた、その当時の内田企画庁長官が実は特別声明も出すし、また私、社会党に対して一札も書いておるのであります。総理大臣は指揮権を発動しないということを明確にしながら、実は国土利用計画法というのは通ったいきさつがあるのであります。これは当時の記録を調べていただければわかるので、総理大臣が規制区域の指定について言及せられたんで、あらと、伝家の宝刀というよりは抜けない宝刀になっているんです、これは。それにもかかわらず言われたので、まあそれは御存じなかったのでございましょう、こういうような法律があるんだから。しかし、それには十分なひとつ御留意をしながらこれからの発言をしていただきたいことを強く要求いたしておきたいと存ずるのであります。 次の問題といたしまして、私は先ほども橋本大蔵大臣に申しました公共の福祉を優先させるという問題でありますが、この問題について、私権の制限につながるという考え方が、この間どの大臣でございましたか、土地問題でNHKに出ておられた大臣がおられましたな。ここで私権の制限が土地基本法でできたんだから非常に望ましいことだとこうおっしゃっておられた。しかし、私権の制限をするということについては、私はこれは大きな考え方が実は分かれてくる問題だろうと思うのです。憲法二十九条によるところの財産権の問題、これと土地との、土地が私有権としての存在とどういうように関係しているか、それについて実は国会においての論議というものが十分なされていないのであります。この問題について、この法律ができたから私権の制限をしたんだということについては大きな疑問を持つのですが、御発言になった大臣、ひとつどういう考え方であられたか、お示し願いたいのです。
○武藤国務大臣 私は、土地基本法を読んでおりまして、専門じゃございませんけれども、これは従来よりも私有権の制限に当然つながるものだというふうに読んだものでございます、そういうことを申し上げたわけでございます。
○井上(普)委員 私有権の制限について、憲法二十九条できちっと書いてある。ただ、ほかの私有財産と土地とは違うんだぞ、それには土地は国民の共通の資産であるという考え方からして公共の福祉を優先させるんだということになっている。ただ、公共の福祉とは一体何ぞやという問題が出てくる。公共の福祉といえば、直ちに役人どもは公共の福祉が行政権だという考え方を持ちがちであります。しかし、違うんだ。そこのところの合意というものがまだ、私は私なりの考えはあるけれども、まだそこの合意ができていない、残念ながら。これをもう少し内閣においても論議すべきじゃなかろうかと私には思われてならないのであります。 一つの例を申しましょう。土地についての利用権と所有権との問題がある。利用権の制限は、確実にこれは日本ではやられてきている。すなわち、戦後の農地解放等々においては、利用権を優先して所有権というものは従の立場で考えたのがあの農地改革であるわけであります。しかしながら、だから今の農地というものは、もう皆さんも御存じのとおり、農振地域においては農家同士の売買というものは認めておるけれども、非農家と農家との間の売買というのは認めていないのであります。すなわち、農地に対しては、公共の福祉という考え方からして耕作権というものを、これを最大重視した制度になっている。 しかし、その農地が都市計画法に入った途端に、今度は耕作権というものは一切関係なく所有権というものが優先する立場に置きかえられてきた。そうでしょう。ここのところの公共の福祉、だから、都市計画区域における農地の公共的福祉とは一体何だということを考えなきゃならない時代が来ておるのであります。これについて、農林大臣、何か考え方がありますか。
○片桐政府委員 戦後の農地改革におきましては、耕作者の地位を安定させるという観点から、農地はその耕作者がみずからが所有することが最も適当であるという観点で農地改革が実施されたというふうに承知いたしております。 先生御指摘の、市街化区域の農地の問題でございますけれども、市街化区域は計画的に市街化を進めるという観点から、農地法の適用につきましては、農地の転用につきまして一般の農地は許可制度になっているわけでございますけれども、市街化区域におきましては、農業委員会に届け出をして転用できるという点で農地法の適用を一部緩和をしているという状況でございます。これはあくまでも、計画的な市街化を進めるという観点からそういう法律上の調整をしている次第でございます。
○井上(普)委員 いや、私が聞いているのは、公共の福祉と所有権との関係、都市計画区域における農地の公共の福祉と所有権との関係がどうなって変遷しているのだということを聞いているのですよ。的確な御答弁じゃないと私は思う。
○片桐政府委員 土地につきましては、公共の福祉という観点からいろいろな規制があるわけでございます。 それで、一般の農地につきましては、耕作者の地位の安定という観点からいろいろ農地法上の規制があるわけでございますけれども、都市計画区域の市街化区域につきましては、耕作者の地位の安定というよりは、やはり計画的な市街化を図るというのがどちらかといえば公共の福祉というふうに観念されているというふうに考えている次第でございます。したがいまして、市街化区域につきましては、都市計画の観点からのいろんな規制が優先するというふうに考えている次第でございます。
○井上(普)委員 そうなってくると、都市計画法上の諸規定が公共の福祉に優先するという考え方にならざるを得ない、都市計画区域内の農地については。果たしてそれができておるかといいますならば、これはもう御存じのとおりなかなかできていない。しかし、これも一つの理由がある。なぜかといえば、都市計画法で道路をつくる、あるいはまた地域指定をするならば、その指定が実は永久に続くのであります。 例えて言いますならば、昭和二十三、四年ぐらいにつくった戦災復興都市計画事業というのがあります。これで道路計画をつくった、けれどもその道路がいまだに実行できず、その地域にある私有物に対しては永久建築物はつくれないというような事実があります。 建設省、今どれくらいありますか。面積及び延長についてお伺いいたしたいのです。
○真嶋政府委員 お答えをいたします。 都市計画法上は都市計画施設の区域内の建築制限がございますことはお説のとおりでございますが、そのために、都市計画道路が決定いたしましても、事業が施行されないまま相当な年数にわたって残っておるものもございます。詳細な数字は、最近のものについては手元にございませんけれども、私の記憶によりますと、現在七%程度のものがそういう今お話しのような状態にあるということになっております。
○井上(普)委員 都市計画道路に指定せられたところは永久建築物は建てられない、すなわち鉄筋コンクリートの家は建てられないという制限をしておるのであります。それが戦災復興都市計画事業ですよ。四十年たってもそのまま置いてある、事業を実施せずに。こういう道路が今も、聞けば七%あるという話です。それは公共の福祉という名目でびしゃりっと線を引いた、役所は。しかしそのままほってある。家を売るにも土地を売るにも売れない、私権制限のこれほど甚だしいものはない、こういう実態があるのです。どうお考えになったらいいのでしょうか。建設大臣、どうですか。
○真嶋政府委員 ただいま私が答弁申し上げましたことは全体的な話でございまして、地域によりましては若干の緩和規定がございます。例えば東京都等におきましては、十年間事業の見通しはなく、近隣商業地域、商業地域であるようなところの事業につきましては、こういう地域の実情を勘案して鉄骨の三階建てなどについて許可している例もございます。
○井上(普)委員 明らかにこれはあれなんですよ、あなたはそんな緩和規定と言うけれども、私有権を制限したやり方なんです。私権を制限しているのです。しかも、これは公共の福祉という名のもとにこういう制限を、制約を加えておるのであります。戦災復興都市計画事業ですよ。これがまだできていないのですから。四十何年たちます、制定して。そういうような事態を招いておる片方では、公共の福祉という名のもとに私有椎の制限をやっておるのです。だから、私に言わすならば、公共の福祉というのをひとり歩きさしたらいかぬ、これの歯どめをしなきゃいかぬ。すなわち、行政権の独走というのを厳に戒めなければならないのであります。法律というのは、国なりあるいは地方自治体は悪いことしないということを建前にしてつくっておりますから、三十、四十年たってもまだ行われない道路のために、その土地の私有権というものは制限を受けておるという事実があるわけであります。 そこらの問題について、実は政府部内においても公共の福祉と私有権との関係について論議せられたためしがありますかと言うんです。このたびのこの土地基本法で公共の福祉と私有財産との関係、土地の私有権との関係について論議をされたことがない。だから、あなたがおっしゃるように、通産大臣の言うように、テレビで私有権を制限した土地基本法ができたんだといってありがたそうに言うけれども、問題は受ける国民の側なんです。国民の立場に立って公共の福祉を優先させるという考え方に立たなけりゃならない、私はこう思うのであります。 したがって、そのためには何が必要かというならば、せめて計画を、先ほども土地局長が言っておったように、計画というものをかっちりつくることだ、しかもその計画というものには住民が参加するものでなければならない、住民参加によって初めて公共の福祉というものが担保せられるんだという考え方を私は持っておるんでございますが、間違いでしょうか。建設大臣、いかがでございます。
○綿貫国務大臣 井上さんのおっしゃることは大変ごもっともな点が多いわけでございまして、先ほどのこと等々も実態をよく調べてみたいと思っております。公共の福祉という問題についても、十分憲法二十九条の趣旨等々も踏まえて研究しなけりゃならぬ問題だと思っております。
○井上(普)委員 ぜひともその問題についての国民的な論議をひとつ展開していただきたいと存ずるのであります。特に、この土地という財産権について制限を及ぼすような、公共の福祉を優先さすんだという法律をつくった以上はです。しかし、これは今つくったんじゃないですよ。昭和四十九年につくっているんだから間違ってもらったら困る。昭和四十九年、国土利用計画法の中にちゃんとうたってある。それを皆さん方はお忘れになっている。ともかく、それほどこういう問題についての論議がなされてない、政府部内においてもなされてない証拠になろうかと思うのであります。特に、先ほども申しました、建設大臣、ともかく戦災復興都市計画事業がいまだにほったらかしになっておるというような事実、これはお調べになって早急にひとつ住民、その制限せられておる方々に対してどういうような措置をするか、お考えになっていただきたいと思うのであります。 私は、先ほど来こういうようなことを申しまして、果たして都市計画内の農地が、宅地並み課税とこの公共の福祉、私有権との問題が一体どうなるだろうかという気持ちを実は当時から持っておるのであります。私に言わすならば、ある程度耕作権を、一世代、二十五年間、ともかく耕作する意思があるならば、それは耕作地として認めてもいいのじゃないだろうか。計画によると、私らに聞こえてくるところによると、十年にしようか、あるいはというような話があるけれども、一世代の考え方で、ひとつこの問題については、宅地並み農地については考えてほしいというのが私の考え方でありますが、それはともかくといたしまして、宅地並み農地につきましては、そういう慎重なる体制をとると同時に、都市計画地域内での農地の、法的といいますか、公共の福祉との関係をどう考えるかということを農林大臣もひとつお考え願いたい。 今じゃ野放しになっている。都市計画区域の中に入った途端にもう公共の福祉というのが吹っ飛んじまって、片方の都市計画という公共の福祉が横行しているということについては、私は大きな疑問を持っておるのであります。そこらあたりについての十分な論議をしていただきたいということを特に申し上げておきたいと存じます。いかがですか、農林大臣。
○山本国務大臣 お答えいたします。 土地問題、本当に御専門の先生からいろいろるる指摘をされまして、大変参考になりました。今の都市計画法と農地の関係、これからもしっかり勉強いたしまして対応してみたい、こう考えております。
○井上(普)委員 残念ながら、これから勉強せられて日米構造協議に対応するのですか。大変ですな、これは。 それから、日米構造協議についてもう一度戻ります。 私はまだまだ申し上げたいことはたくさんあるのでございますけれども、これは一般質問のときに戻すといたしまして、私は前々から、談合罪というもの、これを直さなきゃいかぬのじゃないか、刑法上ある談合罪というものについてもう少し厳格にすべきである、あるいはまた、公取法とどっちでやられるのかなという感を実はいたしておったのであります。しかし、このたびの「排他的取引慣行」についての中で、特に「独占禁止法及びその運用の強化」というようなことが書かれてございますが、これはどういうつもりでやられるのですか、お伺いいたしたいのです。
○矢部政府委員 今回の日米構造協議におきまして、日本の独占禁止法の強化並びにその運用につきましていろいろ注文がございまして、先生今御指摘の談合につきまして特に指摘されておりますが、談合、入札におきます談合は、従来から独占禁止法で厳しく規制しておりまして、価格に影響を及ぼす場合には課徴金も課しておるわけでございます。今回の措置の中では、その課徴金の引き上げについても一応政府の対応策として措置がとられております。
○井上(普)委員 談合等について厳しく今まで措置してきたというたら、どこの国のことを言いおるのかいなという気がいたすのであります。今じゃ公共事業については談合というのはつきものでしょう。こういうことを表ざたに、外国が言うたからというので、独占禁止法をともかく厳しくこれからやるんだ、措置するんだ、あるいは課徴金を高くするんだ、こんなことで日本の談合罪というのは実際になくなるのですか。こんなことを約束しておるから日本は実行しないじゃないかということを言われるのであります。ここらあたり、どういうように考えるのですか。 しかも私は、刑法は、明治何年かにつくった談合罪なんというのは古くなっておってもう少し改正しなければいかぬと思うのだけれども、なかなか刑法を直すというわけにはまいらない。談合というのは今公共事業については横行しておるじゃありませんか。 先日もこういうことがあった。補正予算がえらいおくれるが、これであなた方は大丈夫かいと私が言いましたら、これもおかしなやり方を政府はやっている。指名通知をやって、現場説明までやっている。現場説明から今度は入札の手続が一週間か五日ぐらい欲しい、こう言う。そんなのであなた方はええんかいと聞きましたら——補正予算にかかわる箇所を、入札通知を出したことは、もうこれ執行しておると思うのだけれども、まあまあこれは目をつぶりましょう、今後はつぶりませんけれども。入札行為そのものじゃありませんか、通知を出すことは。もう予算執行と同じことをやっている、予算が通らないうちに。そして、こんなことでいけるのかと言ったら、先生、実はちょっとぐあいが悪いのです、何だと言ったら、談合する時間かないと言う業者が実はおったのであります。これが今の建設業界の実態じゃなかろうかと思うのです。(発言する者あり)徳島じゃないよ、東京だよ。 こういうようなことになっておるのでありますが、しかしこういうことで、これくらいの内容のことでアメリカはごまかされませんよ。この悪習をどういうようにして断ち切るかというのは公正な社会をつくる上での大きな問題でもありますが、独占禁止法で厳しく措置し、課徴金を含めるというたぐらいのことで、アメリカがこれで納得しますか。国民も納得しないのですよ。ただ作文をつくっただけやいうことであるがために、日米協議というものが、こういうような問題が起こってくるのじゃありませんか。できないものはできないといってかっちりと向こうに申す。日本の商習慣だからしょうがないということを言うぐらいの勇気はお持ちになりませんか。どうです。
○綿貫国務大臣 建設行政について申し上げますと、今まで独禁法違反ということについての厳正な態度というものは堅持してきたつもりでございます。今後も絶対そういうようなことを甘くしないつもりでございます。 なお、先ほどから井上さん、日米構造協議に絡みまして建設行政の中でいろいろございましたが、今度の宅地住宅供給問題等につきまして、アメリカから言われたから今度やるというような言い方を先ほどされましたが、本当はこの国会に準備して、私どもは以前から大都市法の改正等々準備してお願いすることにしておりますから、すべてアメリカから言われたからということではございませんので、その点はひとつ御認識を新たにしていただきたいと思っております。
○井上(普)委員 時間が参りましたので、この程度にいたして、次の一般質問に私は譲っておきたいと思いますけれども、要は、外交交渉においては約束したことはきちんと守るということが中心になければならないと思います。しかも、その約束事は国民の皆さん方が納得ができるようなことでなければならない。我々に対してともかく全然知らせずに、ただこういうように決まりましたからと言ったので私ちょっと質問してみたら、汐留問題についてももう決まったも同様じゃありませんか。これから協議会をつくってやり合うというような話は、実は全然聞かされていないのであります。こういうように、交渉というものはやはり誠意を持ってやる、そしてまた約束したことは実行するということでなければならぬと私は思います。こういう点で、今度の日米協議の問題は、国民には知らされていない。アメリカの言い分も日本の言い分も十分に知らされていない。そして、聞けば外交機密だと言って知らさない、個々の問題を質問してくれというような態度では、これは国民の納得を得ることができないことを最後につけ加えまして、私の質問を終わります。
○越智委員長 これにて井上君の質疑は終了いたしました。 次に、嶋崎譲君。
○嶋崎委員 皆さんのところにお渡しいたしましたレジュメは、最初が日米構造協議、後が森林となっておりますが、これを逆転しまして、森林から入りたいと思います。 質問に入る前に、予算委員会でのこの審議の過程を聞いておりまして、先般の臨時国会で参議院に消費税の廃止法案を出した際、我々野党の側の政府委員的性格の説明員を求めたのに対して、これはだめだという運営となりました。野党の出す法律案、それをめぐる政策が、あたかも政策能力がないかのごとく当時も言われました。したがいまして、やはり国会というのは政治家と政治家が、それぞれの、閣議のメンバーとして、我々もまた野党の政治家として、きちんと腹を割って議論ができるようなことが必要だと思います。そういう意味で、みだりに政府委員に、何かこれから先は政府委員と、当たり前のように運営するやり方は、予算委員会の討議の仕方としては新たな慣行をつくるべきだ、こう思います。 したがいまして、私の質問の場合にも、なるべく基本は政治家同士できちんと回答いただいて、お答えできない分はやむを得ぬというなら、それは政治家の能力問題でありますから、それはしようがありませんが、なるべくきちんとお答えを願うということをこれからは委員会の運営の一つの慣習にしていただきたい、最初にそう申し上げる次第でございます。 昨日、公明党の渡部さんからも、地球の温暖化、環境問題が今や世界的な課題になっているという点について幾つかの論点をお出しになりましたが、地球環境の問題が国際的に動き始めたのは七〇年代からであります。七〇年代から政府や国際機関の中で次第に取り上げられてまいりまして、いよいよ八〇年代後半、この機に至りまして大きく世界政治の舞台に環境問題がクローズアップしてまいりました。そういう意味で、現在、地球環境保全の問題というのが、二十一世紀にかけての国際政治の課題として、国際的な役割を果たさなければならない我が国の課題として、非常に重視しなければならぬ課題ではないかと思います。 昨日、総理は渡部委員の質問に対して、地球温暖化に見られるような環境保全という問題は重く受けとめ国際協力に積極的に対応していきたいという答弁をなさいましたが、確認できますね、改めて。 〔委員長退席、原田(昇)委員長代理着席〕
○海部内閣総理大臣 極めて大切な問題だと考えておりますので、御指摘のとおり確認していただいて結構でございます。
○嶋崎委員 ここ数年前から特にこれがクローズアップしてきたのですが、その一つの契機は、一昨年の一九八八年六月のトロント・サミットの後で行われました、カナダ政府が主催した、四十六カ国だったと思いますが、これにはもちろん科学者も参加しておりますが、各国の政治家並びに行政官も参加して環境問題の国際会議が開かれてトロント宣言が出されたことは御承知と思います。この会議には環境庁、日本政府として対応しておりましたか。
○渡辺(修)政府委員 何年か前のことでございますので、私からお答えさせていただきますが、私どもの理解するところでは、日本政府あてに招請状は参っていなかった。日本政府ではなくて、日本の学識者として某先生にその御案内状が来て、その先生も御都合が悪くてかわりの方がお出になった。そのかわりの方から会議の状況はあらまし伺っております。
○嶋崎委員 正規の招待状が来なかったのであれば正規に行くことはないが、四十六カ国の三百人を超える、非常に、転換をしるすトロント宣言が出た国際会議でありますから、我が国としては一歩おくれたということを意味するわけであります。 それで、このトロント会議が行われた秋に、政府間で地球温暖化防止策を検討するための国際会議が発足をいたしました。これがIPCCと言われているものであります。ここでは気候変動に関する政府レベルのパネルの問題が提起されまして、第一回の会合から既に今年は三回目の会合が開かれ、アメリカもいよいよ腰を上げまして、ことしの秋には地球温暖化問題に対する条約というものをつくることが可能であるかどうか、その最終答申に向けて今鋭意努力を始めていることは御承知のとおりでありますが、このIPCCに対して日本政府は今までどのような対応をしてまいりましたか。
○赤尾政府委員 日本政府といたしましては、IPCCの作業が非常に重要である、特に気候温暖化の問題に対応する上で非常に重要であるという判断のもとに、積極的に対応してきております。ただいまIPCCのもとには三つの作業部会が開かれまして、日本はそのうちの一つの共同議長も務めております。
○嶋崎委員 そこで、その会議が一方で一九八八年の秋に動き出したわけでありますが、今年二月からワシントンで第三回の全体会議が開かれ、そして四月の十七、八日に向けていろいろな国際的な会議が今動き出そうとしております。 同時に、昨年、八九年の七月のアルシュ・サミットでは有名な経済宣言が出たことは御承知のとおりであります。その経済宣言には「環境を脅かし、究極的には経済をも脅かす二酸化炭素及びその他の温室効果気体の排出を制限するための共通の努力を強く支持する。 温室効果気体観測所の世界的ネットワークを強化し、気候変動を探知するための地球規模の気象学的情報ネットワークを設置しようという世界気象機関(WMO)のイニシアチブを支持する必要がある。 我々は、エネルギー効率の一層の向上がこれらの目標に大きな貢献をなしうることで意見の一致を見ている。」明快にCO2の制限問題について国際的に合意がなされたと言っても過言でない重大な転機であります。 このサミットで確認された後に、十一月にはオランダでノールドベイク会議が開かれまして、これまた有名な宣言が発表されたことも御承知のとおりであります。そしてこの宣言では、CO2の宇宙における二〇%削減を目標に、一九八六年を基準にして二〇%目標という方向に向かって国際的に努力し合うことの宣言がまた採択されたことも御承知のとおりであります。 これら一連の動きと並行いたしまして、私もかかわらさせていただいております国連大学では、このトロント会議と並行いたしまして、八八年の十二月に我が日本で理事会が開かれ、今後の中期にわたる、一九九〇年代の九〇年から九五年までのプロジェクトの方針を定め、その中の一つに重要な共同プロジェクトができていることは、後でお聞きしますが、御承知だと思います。一々聞いている時間がありませんから。そのプロジェクトの名前はヒューマン・ディレクションズ・オブ・グローバル・チェンジというのですから、地球の変容に対しての人間的な方向、対応すべき努力という名称のプロジェクトであります。ここのプロジェクトでいよいよ九〇年、新たに働き始めまして、今までの自然科学者や環境科学者、生態学者だけじゃなくて、今度は社会科学者を入れました国際的なプロジェクトをつくって今日の地球環境問題に対処しよう、こういう動きになってまいりました。 こういう一連の諸会議に対して我が国の政府は、今までのいろいろな、国の外で我が国の環境問題に対する対応について非難されるかのごときことが幾つかございましただけに、きのう渡部委員が申し上げたので私は細かく申し上げませんが、それだけにこういう大きな動きに対しまして、日本政府は今後これら一連の地球環境会議の問題に積極的に対処されると思いますが、総理の見解をお伺いします。
○海部内閣総理大臣 地球の環境を保全していくということは二十一世紀にとって極めて大きな問題でございます。関係各省庁といろいろな状況をよく検討しながら、政府として、挙げてこれらの問題には協力をしていかなければならぬ、こう考えております。
○嶋崎委員 その決意をお互いに国際的役割を果たす日本の政治家の使命として、政府、野党を挙げてそういう課題に今後取り組むことをお互いに努力してまいりたいと思います。 さて、それらの中で問題になっている点を簡潔に申し上げれば、今日の地球の汚染は、国連大学のそのプロジェクトの中の一人のリポーターが報告されている中では、地球の平均気温はこの百年の間に〇・七度上昇している。これは温室効果に関する理論的予測値と合致している。この事実を踏まえるなら、大気中の二酸化炭素の上昇がこのままのペースで加速的にたどった場合、二十一世紀の半ばには地球の平均気温は一・五ないし四・五度上昇すると見られる。これはまだ科学的予測でありますから、これがすべて正しいということであるかは別として、このような一定の目安が二十一世紀初中葉にかけて提起されております。 こうなりますと、二十一世紀半ばには海面レベルが恐らく三十センチないし悪くすれば一・五メートルも上昇することになるであろう、そういう地球の大変客をもたらす可能性があるということを指摘した上で、今日の地球のこのような変化は、二酸化炭素による温室効果、オゾン層の破壊、広範囲にわたる酸性化は現在起こっている顕著な地球レベルの変容のこれは一部にすぎない、こう言って、この直接の原因は二つある。一つは砂漠化や森林破壊、世界の森林問題。いま一つは、産業の発展や化石燃料消費のプロセスと密接にかかわっている。したがって、トロント宣言以降、地球上のCO2を一九八六年を基準にして今世紀中に二〇%下げるようにするには世界じゅうどのように科学者を集めどうするかということをお互いに推進しようとしたのであり、いま一つは、世界の急速に進む森林破壊に対してどのような役割を果たさなければならぬかということがここで提起されているわけであります。 さてそこで、現在地球の森林は、北半球と南半球、御承知のように既にFAO、UNEPの調査その他で、木材の資源の配分の関係、どこの森林が喪失しているかなどについては世界的に一定の判断が出ておりますが、特に今問題なのは熱帯樹林、南方系であります。今我が国には南方系は、質問している時間がありませんから申し上げますが、かつてのインドネシア、フィリピンじゃなくて、圧倒的にマレーシアであります。フィリピンとインドネシアは輸出を控え始めました。日本への輸出は、これ以上やって自分のところの原生林がなくなることを恐れている一つの背景であります。 いずれにいたしましても、この南方の熱帯樹林は一年間に、統計を見ますと、FAO、UNEPの調査のデータやそれから日本の林野庁が世界で集めた資料などでほぼ一致していますが、毎年大体一千百万ヘクタール喪失している。これは熱帯樹林です。南の方。これは北海道と九州を合わせた地域であります。それだけの熱帯樹林が毎年喪失しているという現状であります。この現状に対して、それはなぜかといえば、言うまでもなく焼き畑耕作が行われ、薪炭に森林が切られる、そういうまさに南北問題。これらの国における新たな農業のあり方、それが問われていることであると同時に、これまた日本の開発途上国に対する農業援助その他で考えなければならぬ課題になってくるわけであります。 いずれにいたしましても大変な勢いで喪失をしている。しかもこの喪失は、国連の科学者のデータによりますと、毎年蓄積されているCO2が五十九億トン。その五十九億トンのうちの四分の一が森林破壊によって蓄積が急速になっている。森林破壊がなければその五十九億トンの四分の一が蓄積されないということに少なくともなるのであって、この森林の毎年毎年の喪失が今日の温暖化をさらに進めている背景だというのが国連の科学者の今提起しているこれからの検討事項であります。 さて、このような世界の森林状況を私たちが見たときに、総理が最初におっしゃられましたように、日本がこれからこのような地球温暖化問題に対処していくためには、世界の森林という問題に真正面に取り組まなければならぬというふうに思いますが、総理並びに農林大臣、環境庁長官、それぞれ短い時間で御感想をどうぞ。
○北川国務大臣 嶋崎委員の大変環境に対しまする御見識と、そして御理解を賜りまして、ありがとうございます。 ただいま地球温暖化の非常な心配の中に森林対策を仰せられまして、地球環境担当大臣といたしまして、森林は特に二酸化炭素を吸収する役割が大きゅうございますし、また森林のこれに対する数字も挙げられましたが、私は海洋も森林も、そうして地球的バランスをとっていくという大事なことにおきまして、大気中の二酸化炭素が毎年約三十億トンずつ増加しておる、これがやはり地球の温暖化の〇・六度の上昇を来しております。これがやはり外務省の桜でも早く咲いてしまうというようなものにも関連してくるのではないか。こういう思いをしながら、私は大気中の二酸化炭素の濃度の上昇による地球温暖化は全世界に極めて大きな影響を及ぼす問題であると思いまして、手おくれになってはいけない、こういうような思いをいたしますときに、森林対策はもちろん、出されるCO2対策というものもこれからの大きな問題であろうと思いますので、今後ともこれに対しまして前向きの姿勢を持って臨んでいきたい、こう思っております。
○山本国務大臣 お答えいたします。 先生からさまざまな御指摘ございましたが、特に熱帯林の破壊の関係、これは我が国としては、熱帯林の保全、造成に資するために専門家の派遣とかあるいは研修員の受け入れなどの技術協力あるいは資金協力を実施してまいりました。それからまた、今お話で出ました国際機関、国際熱帯木材機関、ITTOあるいは国連の食糧農業機関、FAOへの資金協力などなどを通じまして、これを我が国の施策として行ってまいりました。 今後の問題でございますけれども、昨年の秋に大来佐武郎先生を座長といたします熱帯林問題に関する懇談会というのを発足をさせまして、今精力的にいろいろ専門的な御相談を願っている。この夏ごろをめどにいたしまして一つの方向を出し、さらにそれに沿って地球環境の保全のために、特に熱帯林の破壊を防止するためにいかにして我が国の役割を果たすかということに向かって強力な施策を推進したい、こう考えております。
○嶋崎委員 決意のほどはいいけれども、今年度の予算を見ますと、とてもこんなものじゃ対応になっていませんから、後で数字を挙げますけれども。 さてそこで、今我が国は世界の木材貿易の中で、私の試算では、大蔵省の統計やその他FAOの統計などで試算をしてみますと、針葉樹、北の方ですね。それから広葉樹を含めまして、その丸太貿易の四八・五%は我が国が輸入しているものであります。世界の丸太の動いている中で、我が国は四八・五%です。製材では六・一%ですが、大変な丸太の材木を日本は大量に輸入しているということをこの数字が物語っていると思います。 そういう意味で、まさに地球の肺、木というのはCO2を吸って酸素を出すのですから、若いときは吸って出しますが、年をとりますと吸いっぱなしで吐けなくなります、年とってきまして枯れると。ですから、木は常に更新しておかなければいけないのですが、いずれにいたしましても、そういう意味で地球の肺と言われるこの熱帯の森林の喪失は、特に広葉樹、南の方の場合には焼き畑や薪炭や過度の放牧等の農業と密接不可分であり、おくれた国民生活と密接不可分であります。したがって、この世界の熱帯樹林を中心としたこの四割をも占めている我が国は、熱帯林喪失の一端の責任があるという点を確認できますね。
○甕政府委員 ただいまお話しの熱帯林についての我が国のかかわり合いについてでございます。 これはFAOの統計によりますと、ただいまお話しの年々一千百万ヘクタールずつ喪失をしているという内容が、八割が薪炭材として利用される、これは現地の住民生活と密着した問題でございます。それから、残りの二割が用材でございまして、そのうちのまた二割が貿易に回っておる。したがいまして、数字から申しますと、我が国が輸入している数字は、熱帯林全体の中におきましては極めて少ない数字、こういうことに相なりますが、全体の地球環境の重要性から申しますと、その減少に当たっては、切ったものは植える、こういう基本がございますから、関係者をそのようなことで指導もしておりますし、改善もなされておるという実態であろうかと思います。 なお、消滅の大宗を占めます住民の生活ないし食糧の問題等にかかわる現地の問題につきましては、その森林の復元なり資源の保全のための技術協力、これを先進国としての我が国が力を入れなければならないということで、精力的に取り組んでおるところでございます。
○嶋崎委員 そこで、世界の森林と日本とのかかわり合いを考えるときに、これはまだ私も政策を持っておりません、検討中でありますが、国境問題がしたがって出てくるわけであります。外国から大量の木材を輸入して、七割依存している。その価格は安い。日本のは高い。こういう価格問題というものを国境問題として今後解かなければいけません。 したがって、これをどのように解くかということについては、まだ方針を我が党としても決めておりませんが、これも世界の動きの中では、先般、八八年ですけれども、熱帯林を救うためにイギリスとオランダの貿易団体が輸入課徴金というようなものを考えて、それを国連に積んで、そして——日本が使うのじゃないですよ、それを国連に積んで、そういう方向に活用していくというような方法をとることも今や必要になっているのではないかという提案が行われ、これはまた日本やなんかにも提案をしたことがあるやに報道されております。これの回答は要りませんけれども、この国境問題というのは一つの重要な問題でありますから、政府と与党並びに我々との間で、このような国境問題に対する対処をどうするか、これは価格問題にはね返ってまいりますから、今後の一つの重要課題として提起だけをしておきます。 その問題も解かなければなりませんし、考えようによっては、今のような七割の輸入を続けておいて日本の森林はしっかり五十年守る。気がついたら国産材時代のすばらしい山ができている。そのときにもう一遍市場メカニズムとその森林との関係を考えるというような政策も、必ずしも間違っているとは私は思いません。しかし、今日のように世界の森林の中で、日本の果たしている森林喪失への一定の世界的責任みたいなものがありますから、速やかに対処しなければならぬという両面を持った問題だと見ております。こういう問題があるということだけは指摘して、先に行きます。 そこで、この森林というものを世界的に見ましても、今やこれを資源として見なければならない、単なる経済財としてだけではない、ある意味では世界的な人類の公共財であります。それと同じように、これから我が国の森林を考えていく場合にも、森林というのは国有林もあれば公社林もあれば民有林もある。所有の形態は多様だが、森林として全体を見るならば、我が国の森林は、一元的に管理しつつ、日本の森林をどう今後豊かなものにしていくかという対応が必要になると私は考えます。 その際に、森林は——汽車ならば利用した人は切符を買えばそのとき利益を得るわけです。水道は飲んだとき利益を得ます。電話をかけたときはかけた人が利益を得ます。しかし森林は、すべての国民に毎日のように利益を与えるという、不特定の国民全体に利益を与えるものでありますから、森林は公共財的性格を持っているという側面を押さえてかからないと、これからの森林の政策というものは立たぬと思います。しかし同時に、林業というものがあるわけでありますから、森林は経済財としても市場メカニズムで活用しなければならない。それは国有林の場合でも公社林の場合でも同じであります。その意味で、森林というものを公共財的な側面として押さえつつ、片や経済財として活用していくという観点に立って、これからの森林、林野の政策というものを打ち立てるべきだと思いますが、農林大臣、林野庁、そう思いますが、いかがですか。
○山本国務大臣 お答えいたします。 今先生御指摘のように、森林というのは、我が国の森林は国民の財産だ、こういう御指摘でございますが、これはもうまさに私はそのとおりだ、そういう認識では先生と一致をしておるわけでございます。ただ、これを経営的な観点、生産的な観点から考えていった場合に、経営上の問題あるいは数字上の問題、いろいろ出てくるわけでございます。そういうことを考えつつ、国有林、民有林を問わず、多面的な機能を総合的に発揮することができるように森林の整備を行っていく必要がある。 ただ、面積率を見ますと、先生御承知のとおりでございますが、森林面積の三割というのは国有林なんです。ですから、やはり国有林の果たす役割は非常に重要だということに帰結をいたします。そこで、その役割を十分果たしていくためには経営の健全化ということが中心になって考えられなくてはならない。総括的な対応策につきましては、今林政審等が中心になって検討をやっておるところでございますけれども、国有林、民有林を問わず、森林全体の整備につきまして、片方では先生のおっしゃる国の財産だ、しかし、財産といえどもやはり経済的な範疇を脱するわけにいきませんから、その生産を伸ばしていくためにも、経営の健全化ということも眼目の大きな柱に置きながら今後林政に取り組んでまいりたい、こう考えております。
○嶋崎委員 まだ聞いてないことをいよいよ答え始めておられるようでありますが、私の言っているのは、今までの日本の林野行政は、その公共財的性格のものとして位置づけることの手法がなくて、事業経営としてやり、事業資金と一般会計との関係で運用してきたということに対して反省を必要とするということを腹の中に持っています。まだ全部言うてません。しかし、その前に大事なのは、今まで山というものを国が、単に国有林、国が所有しているから国有林だという意味じゃなくて、国民の財産としての公共財、資源としての財という観点を一方に押さえておかないと、ただそろばん勘定だけで山を経営したら、これはできないのです。その意味で、公共財という側面を押さえた上で、しかし市場メカニズムを前提にした経済財という活用を含めて森林の全体の政策を立てなければならぬ、そこまではどうも一致したようですね。その中身になりてくると、今、聞きもしないことをちょっとお答えになったようであります。 さてそこで、では日本の全体の森林の中で、おっしゃるように国有林は三割、そしてその中でこの国有林が、日本の森林全体をやっていくときに、私はリーディングセクターの意味を持っていると思っています。日本列島の一番高いところはみんな国有林です。ここで水が涵養され、空気がきれいになり、災害対策がすべて行われるという意味で、国有林は大変重要な森林のリーディングセクターの役割を持っています。そうなりますと、その国有林の役割というものは片一方で押さえなければなりませんが、同時に、じゃ今国有林はどうなっているのでしょう、民有林はどうなっているのでしょうという実態を、もう一度私たちは現状に即して見なければいかぬと思う。 さて、農林大臣は十分御承知のとおりですが、保安林の指定は、統計を見ますと、ずっと上がってきています。今や国有林の五二%、民有林の二三%ぐらい、平均して四分の一ぐらいが保安林です。そのぐらいに森林というものを保安林的な扱いをしているというところに森林の持つ公共財的な性格が一面あると思います。 しかし同時に、皆さんの白書はこう言っています。日本の林業白書六十一年版。この面積は、保安林ですね、「近年の林業を取り巻く厳しい環境の下で、造林、保育が適切に行われず、疎林化していたり根系の発達が悪いなど保安林としての機能を十分に発揮していないものが増加しており、」これは私が言っておるのじゃありませんよ、白書が言っているのですよ。こういう理由を挙げた上で「その面積は保安林面積の一一%に当たる八十九万ヘクタールに達すると推計されている。」こう白書は述べているということは、一方で山の中の国有林をぐっと拡大してはいる、民有林も保安林を拡大してはいる、しかし、その保安林の一一%、一割が機能を果たしていない、こう政府がみずから言っているわけですから、どうしてそうなっていると思いますか。
○甕政府委員 ただいま先生御指摘のように、現在国土面積の七割に相当する二千五百万ヘクタールの森林につきまして、保安林制度を国有林、民有林通じて運用しておるわけでございます。 その内容といたしましては、その多くが戦後造林されました人工林から成っておりまして、まだまだ保育、間伐等を必要とする資源構成になっております。その多くはそういった森林の手入れが適切に行われておるわけでございますけれども、一部につきましては、最近の林業をめぐります厳しい状況の中におきまして十分な手入れが行われていないというものもございまして、森林の持つ公益的機能の発揮が今後にわたって危惧される状況も一部見られるわけでございます。間伐につきましては、緊急に間伐を要する面積が百四十万ヘクタールというように掌握をしておりますし、また最近、国土開発の進展等から、山地災害を受けやすい危険地区が十七万六千カ所というように増加する傾向も見られるわけでございます。 そういったことから、私ども林政の中におきましても最重点の施策の一つといたしまして間伐の促進を取り上げまして、森林の育成整備を積極的に進めるということもいたします。また、治山事業の充実を図りまして公益的機能の発揮に努めるということなど、もろもろの努力をしておるところでございます。
○嶋崎委員 今長官おっしゃっておるように、今すぐ間伐を必要とするものは百四十万ヘクタールあるのですよ。ことしの予算じゃ何ぼ組んでいますか。ことしの予算では級の格上げにより、かつて百九十万と僕らが言っていたのに、今は百四十万になっただけであって、予算では十三万ヘクタール、八十六億円しか組んでないのですよ。今すぐ必要なものは百四十万ですぞ。それを単年度では何と十四万ヘクタールですよ。手抜きもひどいことじゃありませんか。残念ながらこれが今日の実態だという一つの数字であります。 いずれにいたしましても、このような、確かに一千万へクタールの樹林が、戦後日本は育成していますから、育っています。育っているのです。だから、将来これは希望が持てます。あと三十年、二十年したら大変な国産材時代が来るであろうという希望を持っておりますが、それには間伐をやり、下刈りをやり、きちっと育てていったときに初めて日本化の時代が来るのです。今すぐ百四十万間伐せないかぬときに国の予算で一年間に十四万じゃ、これはもう問題にならぬということです。これが残念ながら今日の予算の上にあらわれ、並びに白書でみずから、保安林の一一%は荒れてるよ、それは手抜きの結果だとその理由を述べた上で言わざるを得ない実態だということを確認しておかなきゃならぬと思う。 さて、ここで大切なことは、山にとって必要なのは、技術革新もありますよ、しかし人なんです。今、山で働いている人の現状はどうなっていると思いますか。この数字はもう、本当に政府の統計というのはだめですな。学校基本調査で高等学校卒の林業労働者が毎年どうなっているかという数字と、それから総理府の出している数字と農林省の出している数字はみんな違うのです。だから、何を基準にしていいのかわからぬですわ。これはもうそれだけやったら国会とまっちゃいますからやりませんけれども、全然統計数字はなっとらぬ。これだけはもうはっきり言っておきますわ。これから農林省を中心にしてか知りませんが、山というのは人なんですから、その意味で、その人を確保するために今現状がどうなっているかも把握ができないような統計ではとても山の管理はできぬ。これだけはきつく申し上げて、今後統計のきちんとした政府の統一的なものを出せるように努力してほしいと思います。どうですか、努力いたしますか農林大臣。
○甕政府委員 林業労働力の実態につきましては、私ども、総務庁の労働力調査、国勢調査の数字を参考に使っております。昭和五十年の二十二万人から六十三年には十三万人という状況等々、またその高齢化の状況等々、その資料をもとに掌握をいたしまして、対策等についても努力をしておるところでございます。
○嶋崎委員 今数字の弁解を聞いておるのじゃなくて、統計をきちんとしていただきたいということを申し入れておるのですから、今後とも、いいですね。時間とりますから……。 そこで、現在の山を経営していく場合に、例えば一つの指数を考えてみましょう。杉を植林したとしましょう。そしてこの木を切った、伐採した。今杉は、昭和六十三年度の林業投資利回りを杉の場合に見ますと、内部収益率は一・七です。公定歩合は今五%ですよ。そうすると、木を切ってしまって得た金は、次の造林のために金かけるのはもったいないから、みんな貯金するのです、こっちの方利息高いがな。財投資金でいいますと、これは五・二ないし四・八です。こんな高い利息が片一方にあって、肝心の杉をやっている林業の経営者たちは内部収益率一・七ですから、収益を考えたら山は育たぬのです。これが明らかな数字です。これが残念ながら現状と見なきゃならぬ。したがって私有林にも人が集まらないのです、国有林も言うまでもなく。 したがって、例えば現在の林業で働いておる人たちの就労日数、これは季節によって変わりますよ、山のところは働く日が少ないという条件も含めた上でですが、基本的にいいますと、一年に二百十日以上働く人たちは昭和六十二年の統計で二四・九%、それ以下が七五・一%です。それ以下というのは、百五十日、九十日、六十日、六十日未満と、こういう一年の中の大半はょそで働いておいて、ちょっと手伝うということで山はもっているのです。山をもたせようとしているのです、今。こんな状態ですから山で働く人は集まらないのです。山というのは、人がいなければ、間伐もできなければ山を育てることはできぬのです。今の国有林の働いている人たちの年齢はもう五十歳を超えた、平均年齢は。若者はおりません。若者を入れるための山というものを考えると、このような就労条件はどうですか、林野庁、労働大臣。今日のような、このような林業の労働力の状態というものをどういうふうに見ますか。
○甕政府委員 林業労働者が先ほど申し上げましたように減少をしておる。それからまた高齢化といった点におきましても、五十歳以上の割合が六十年の数字でございますが五九%というように非常に進んでおりまして、ただいま委員の御指摘のとおり非常に困難な現状にあるということは事実でございます。 私ども、そういった中で林業労働力を育成確保してまいりますために、やはり安定した雇用と社会保障を備える、こういう就労の場として魅力のある林業事業体の育成強化ということがまず基本であろうと思っております。また、林業の事業に従事いたします際に、造林、林道等の生産基盤の整備あるいは機械化等の生産性の向上といった点も労働力対策といった面から重要である。また、生活の場でございます山村地域の定住環境を整備するといったこと等々にわたって各種の対策を講じておるわけでございますが、平成二年度からは、ただいま御指摘ございましたような雇用ないし就労の長期化、安定化のための施策あるいは若年労働者の新規参入の促進といった点にわたりまして、林業担い手育成総合対策ということで十億円を超える予算等も用意いたしまして、鋭意取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
○嶋崎委員 これだけやっておるわけにいきませんから、この辺ではしょりますが、そういう労働力の就業状況、それから、今度はこういうのを調べて、労働省の統計でも出ていますが、つかんでいらっしゃると思いますけれども、労災保険、雇用保険、健康保険、国民健康保険、中小企業退職者共済、林業退職者共済など、こういう社会保障的性格のものにどんな現実的なコミットをしておるか見ると、お寒い話です。条件悪いです。ですから人は集まらないのです。 したがって、私たちの林業再建方針の中には、法律として六法案つくってありますが、それには林業労働力を特別な立法として考えて、その労働力確保の方法というものを考えなきゃこれからの山は守れぬということを、まずこれだけを申し上げておきます。 どうですか大蔵大臣、今の話を聞いてどう思いますか。
○橋本国務大臣 先ほどから申し上げていいものかどうか大変ためらいながら伺っておりました。 まず私は、事務方の用意した答弁を読み上げました上で、私なりの答えをひとつ申し上げたいと思います。と同時に、また、委員を初め本院の皆さんにも御協力をいただきたいと思います。 国有林野事業というものは基本的には独立採算で運営すべきものとされておりますが、現在の厳しい国有林野事業の財務状況にかんがみ、臨時的なものとして一般会計の繰り入れを実施しているところである。平成二年度予算においては、昭和六十二年七月に改定強化した改善計画に基づき自主的改善努力の一層の徹底を図ることを基本としつつ、引き続き所要の財源措置を講ずることとし、一般会計からの繰入額は総額百八十六億円、厳しい財政事情のもとではあるがその増額に努めたところである。今後とも徹底した自主的改善努力と所要の財政措置により、国有林野事業の経営の健全性確立に必要な基本的な条件の整備を図っていく所存である。これは事務方がこのとおり書いた答弁であり、これはこのとおりで、私は事実だと思います。 と同時に、私は山登り屋として各地の山の荒れてきた状況というものを嫌というほど見てまいりました。そして、かつての国有林のあり方についても疑問を持ってまいりました。しかし同時に、国有林野事業というものにとって私どもが忘れることのできない不幸な経験というものは、白ろう病という職業病が発生をし、その対応にさまざまな問題がありましたために、その時点において林野労働に対する危険感と同時に魅力が減少したという事実でありまして、これは我々はやはり忘れてはならないことだと思っております。その意味において、委員が御指摘になりました林野労働のあり方についての御指摘は、私は素直に聞くべきものを持つと考えております。 と同時に、緑の資産というものを国民が今後ともに大切にしていくという視点から林野庁がしばらく前から努力しております分収育林という制度がございます。この制度は、いわば立ち木を所有をしていただくことにより林野事業に民間資金を導入すると同時に、国民の目を林野というものに向けていただくという意味で、極めて私は適切な事業だと考えております。しかし、残念ながら本院所属の議員の方々の中で、果して林野について論議をしていただく方々の中に何%の方がこの分収育林に興味を示し、その地主になっていただいているかを考えますと、私は大変寂しい思いをいたします。おられる方は存じております。私も自分の子供たちに全部これを持たせており、そして子供たちに緑に対する関心を持たせておりますが、こうした分収育林といったような制度について、私は本院あるいは参議院、さらには傍聴席に今メモをとっておられるマスコミの方々も十分関心を持っていただき、林野行政に対しての愛着を抱いていただきたい。この機会にお願いを申し上げます。
○嶋崎委員 今までの議論をここで整理しまして、去年全国で千四百カ所の地方自治体が森林・林業・国有林再建に関する意見書を採択して、国会にそれぞれ提出されて意見書が上がってきている。その先頭に、丹羽兵助先生を先頭とされている。もう一つの日本の緑の復元を求める請願、これも国会で採択がされております。千四百の地方自治体、まだ広がると思いますが、千四百以上の地方自治体が日本の山を憂えて意見書を提出し、私も所属している超党派の議員連盟などが全国でやった日本の緑の復元を求める請願も国会で採択が行われている。これは厳粛なる事実として受けとめなきゃならぬと思いますが、総理大臣いかがですか。
○海部内閣総理大臣 それは事実として受けとめさせていただきますし、また、そういった気持ちが広がっていくということも極めて大切なことではないかと考えております。
○嶋崎委員 ありがとうございました。総理は的確な回答だね。 さて、大蔵大臣のお話しになったことに触れます。今日の最初に申し上げましたように、私は国有林の立場で物を言っているのじゃありません、国有林、公社林、民有林を含めて公共財、経済財という観点で日本の山を今後経営せないかぬ、この一元的経営を基本にまず置く。そこには、公共財であると同時に経済財として市場メカニズムというものを非常に重視する、そういう前提ですが、さて、その中のリーディングセクターである国有林、この国有林野事業は大変な事態に立ち至っていることは御承知のとおりであります。昭和五十三年に国有林野事業改善特別措置法を制定してその改善を今日まで進められてまいりましたが、財務事情悪化が原因で今日の大変な事態を招きつつあることは御承知のとおりであります。 さて、この背景をどう見ますか。なぜこのような事態になったと思いますか。簡潔にお答えください。
○甕政府委員 ただいま先生御指摘のように、国有林野事業は、現在、国有林野事業改善特別措置法に基づく改善計画に基づきまして事業運営の各般にわたって改善努力を行っておる最中でございます。これは、収穫量が依然として過去の戦中戦後の大量伐採による影響を受けて減少をしておる、また、最近におきます自然保護などその森林整備方針の転換といったことも影響をいたしまして、自己収入の大宗でございます収穫量が残念ながら減っておるということが背景にございます。また、当面、要員調整がまだ途上にある、そこに長期借入金の利子、償還金が増大しつつある、こういう事情が加わりまして、経営的に厳しい状況に立ち至っておるということでございます。 これを打開いたしますために、現在、六十二年七月に改定強化した改善計画に基づきまして、自助努力を基本に、所要の財政措置も講じながらその再建の努力を続けておるところでございますが、なおその経営の健全性を今後にわたって確保していきますために、総括的対応策を林政審議会におきまして検討しておる最中といった状況でございます。
○嶋崎委員 林野庁から出ている統計資料で「損益・利益処分等の推移」というものを見ますと非常に明確なんです。昭和五十一年までは余裕があって、国有林を切ってもうけがあって、そして利益の部外処分ができたのです。みんなほかに、基金に金を入れたり。これは国有林ですから国の財産ですから、もうけとしてじゃなくて、みんなこれを外に放出をしてきました。それが昭和五十一年まで。五十二年、五十三年を境にしていよいよ赤字に転換をするのです。そこで再建措置法が出てきたのです。 それで再建措置法が出てきてから今日までになった。今日、到達点はどうなっているかといえば、一口でいえば、わかりやすく言うならば、昭和六十三年の決算を頭に置いてみますと、この特別会計は御承知のように事業収入を基本にして今までプラス、マイナスを論じてきた。これでいきますと、六十三年の決算では林産物の収入が歳入の中の三四%、支出の中で借金の利息の返済に相当する部門が三四%、いよいよ同じになりました。事業収入分は借り入れの借金で消えてしまうのです。そうすると、残りの人件費や投資というものは何であるか。全部借り入れでやるか、もしくは土地を売っ払うしかないんです。財産を売るしかないんです。こういう姿になりました。あと二、三年したらこれは予算組めませんな。木材の収入が全部利息で消えてしまうのですから。人件費その他全部借金に回すしかないのですから、これはもうパンクです、明確なパンクです。その累積債務が御承知のように六十三年の決算では一兆八千億ですけれども、今や二兆円になっている。 さあ、明確なのは昭和五十三年から今日までのこの林野事業の運営の仕方、ここに根本問題があると私は思う。それは一口で言えば独立採算です。そういう考え方できておりますから。おっしゃったように、それ以前は日本の経済成長その他のためにどんどん木を切って利益を上げるほど山の木を切ったし、切れ切れと言って山の木を切りまくった。それがいよいよ限界に来た。後で植えたものはすぐ大きゅうなりませんから、植林したのが大体二十年から二十五年ぐらいになってきた、だけれどもこれはまだまだ切れない、あと三十年ぐらい待たにゃいかぬ。そういう情勢になってきたところへもってきて、この要するに治山事業というものが、一般会計繰り入れだとか治山事業というものについてどのような運営をしていくかという転機を迎え、そこから大蔵省からお金を借りては、金を借りるときには人を減らせ、機構を減らせ。また次、金借りる、また機構を減らせ、また人を減らせ。これの繰り返しだったのではありませんか、大蔵大臣。
○橋本国務大臣 一面の真実でありますが、国有林野特会が余剰人員を抱えておったことも私は事実であったと思います。
○嶋崎委員 じゃ、なぜ白書に一一%も保安林が保育その他造林がだめになっているという、みずからそういうふうに書かなきゃならないのですか。人が多過ぎるということはないはずであります。怠け者で何にも仕事をしなかったというなら別です。 したがって、そういう意味で、林業労働力の国有林の労働者が生産性を上げなきゃならぬというのは当たり前のことです、前提です、これからはすべて。過去においてそういう批評を受けるようなことはあったかもしれぬ、私は知らぬけれども。しかし、それだけを理由にして過剰だという格好で、借り入れをするごとに機構改革、借り入れをするごとに人減らし、そして借り入れた結果事業収入は借金を消すのでなくなってしまう、こうなったのですよ。大事なことは、山を守るために日本の役所があるんだし、山を守るために林野庁があるんじゃありませんか。会計のために山はあるんじゃないですよ。ここが本末転倒しているんだ。そう言わざるを得ない。ちょっと横着な言い方をするから僕も腹が立って言ったのです。 またもとに返りましょう。したがって、大蔵大臣が言うように今後自主的な合理化の努力というものはしなきゃならぬが、もはや限界だということです、問題は。問題は限界だということです。そういう意味において、五十三年のときには林道と造林に新たな一般会計の繰り入れの制度をつくった。ここのスタートはよかった。五十九年のときには退職者の利子補給という格好で借り入れを新たにつくったときに、今度は人減らし四万人ということになった。そして次、六十二年には借りかえをやるための利子補給というものを一般会計で引っ張り出して借金を抱えてうまいことやろうとした。そのかわり人は二万人にせい、こうなったのですよ。そして現在は、五十九年の特別措置法に基づいて改善計画というものを立てている。その改善計画で今の二万人体制に持っていくための事態が現在進行中です。 こういう一連の動きを、もはやこの延長線上で日本の山が栄えるのか守れるのか、そこが問題だと思うのです。どう思いますか、農林大臣。
○山本国務大臣 お答えいたします。 先生が山を守る、こういうお気持ちの、非常に強いお気持ちの上でいろいろ御指摘をなすっていることはよくわかるわけでございます。しかし、歴代さまざまな努力を林業関係やってまいりましたけれども、今日、先ほど来お話しのように二兆円の大赤字が出ているというふうなことも事実でございます。 先般の新行革審の発表の中でも、国有林野事業を特に指摘をされまして、「経営の改善・合理化、要員縮減の努力を更に進めるとともに、」と、こういうふうに強く指摘をされております。最後に至りまして、「国有林の役割を適切に果たすことができるよう、」そしてさらに、林政審におきまして、新しい国有林野事業の抜本的な改革に向けて本格的な検討を行え、こういう御指示でございまして、これを踏まえまして、今大蔵大臣からもいろいろ率直な御答弁がございましたけれども、私どもも先生の御趣旨はよくわかるわけでございます。 ただし、この行革審の答申につきましても、これを遵守しながら行政を進めていかなければならない、そしてまた、先ほど来の話のとおり二十年ないし三十年後の新しい国産材時代というものにつなげていかなければならない、こういうふうに考えております。
○嶋崎委員 もう一つテーマがありますから、この辺で締めくくりたいのですが、この間、新行革審の答申が出ています。新行革審の答申は論点が三点あります。第一は、私が前段に申し上げた、今や森林というのは資源として空へ返さなければならない時代だよということを新行革審がまず前提にして、二番目に、今問題になった林野庁、その中のリーディングセクターである国有林の累積債務、財政再建問題をどうするか、それを考えるときには山は一元的に考えなければならぬ。私の言ったことと同じです、その限りでは。つまり国有林、公社林、民有林を含めてという、まだそう具体的に言ってませんが、新行革審はそのサゼスチョンをしております。三つの内容のサゼスチョンをしております。これを受けていよいよ今から林政審が始まります。 林政審は恐らく概算要求までには判断しなければなりませんから、六月終わりから七月には林政審答申を出さなければならぬでしょう。この林政審を受けて、今日の財政、五十九年の財政再建はいよいよことしで最後になりますから、来年度以降は抜本的な対策の時代に入る、新たな時代に入らなければならぬ。ということは、林政審の答申を受けた法律は来年の通常国会に出ることになるでありましょう。非常に重大な転換期を今迎えておるということであります。 そこで、今年度の予算を見ましても、昨年度もそうですが、この行革大綱で再建措置法があって、そして改善計画が出た結果、平成元年度で一千八百二十人の定員削減を行ってきた。今度は、二年度においては一千八百五十人の定員削減を行う。そのほかに現業千人、二千八百五十人をやらなければならない課題を背負って本年度は迎えております。ところが、今の改善計画そのものが、先に明るい見通しがあるのならばいいけれども、何の見通しもない。さっきのような会計のていたらくですから、先の見通しないとすれば、これからの林政審答申に基づく我が国の森林・林業の事業については、今の世界的課題を考え、日本の今日の林政を考えてみて大きく転換せにゃいかぬ。 そこで、今から林政審答申が出るのですから、いよいよ来年以降新たな計画の段階に入るとすれば、今の改善計画で毎年のように数だけ減らすことだけやってきた、その延長線上ではこれは再建できないことはわかり切っている。とすると、今年度の定員削減については、林政審答申を受けて、今後の再建の見通しが出るまでは簡単に発動しないという対応で、情勢を待つことはできませんか。
○甕政府委員 農林水産大臣からも申し上げておりますように、国有林が重要な役割を今後とも果たし続けるためには、経営の健全性を確立するということが基本的に重要な課題でございます。自主的な改善努力と財政措置によってこの健全性の確立を図っていくという現在の改善計画の基本は踏まえて、本年度においても鋭意これに取り組まなければならないと考えておるところでございます。
○嶋崎委員 ちょっとはっきりせぬな。林政審答申はこの七月までに出さないかぬわけです。その林政審答申は、来年度以降の山の再建について新たな転機を迎えている、だから今までずっと人減らしして再建できると思ったけれど、できないということがもはや明確になった今日の段階で、これを受けて答申が出て今後どのような姿か、それが出るまでは、ことしの定員削減の発動をちょっと待ってくれぬかと僕は言っているのです。待ってくれぬかと言っているのです。どうせ定年でやめていく人、新採をやらないのですから、それでも人が減っていくことは間違いないのですから。今は、先ほどあちこちから出ていましたが、今の数の人たちの生産性が低いとは僕は思いません。統計全部出してもいいです。民間の林野と生産性を見たって何も劣りはしません。だから、今やこの人間をただ減らすという延長線上の改善計画でことしも運用するというのを、答申を見て先の方を見るまで、今年度までは続くのですから、検討できないかという課題を言っているので、今後検討していただきたいと思います。
○甕政府委員 経営改善の基本的な視点でございますその健全化を果たすという観点から申しますと、本年度の計画は計画どおりきちんとやらせていただきたいと考えております。 なお、林政審の答申につきましては、国有林のあり方全般にわたる検討に相なりますけれども、その中におきましても、現在の要員問題が国有林、民有林通じて今後どのように持っていくかという全体検討の中でまたさらに検討されるべき事柄と考えております。
○嶋崎委員 御承知のように、参議院は与野党逆転しています。そして山の問題は、与党・野党挙げて議員の中に超党派の山の我々みんな仲間なんですから、それが今の段階から新たな段階を迎えようとしているだけに、国会がこういう衆参の状態であるだけに、衆議院の段階でこういう問題についてきちんとしておかないと、ただみだりに消費税のようなことになってはまずいと僕は思います。それだけに、それ以前に与野党がきちんと話し合って、そして林野の再建について、林野庁の役人が鉛筆なめて答申出して合理化してきたというような延長線上の話じゃなくて、政治家同士が、自民党とそれから林野庁当局並びに農水と我我との間で、こういう大事な山の問題ですから今後方向づけをしていく、そういう方向に向かって努力を一方でし始めれば、ただ今までの改善計画の延長線上で、これをすりゃいいというふうに、右から左へ結論が出るかわからないじゃありませんかと僕は思うのです。 そういう意味で、こういう重大な課題なので、我々の主張を含めて我が党は既に六法案を準備しています。全部さっき言った公共財からその考え方、労働力の考え方、その労働力の確保の仕方、借金の返し方、これもみんなそれなりに一定の判断は今持っておりますが、ただつくったって出せばいいというものじゃありませんから、それは全体の国会の動きの中で判断をして対処しなければならぬと思っています。それだけに、ただ今までのような、延長線上の対処じゃなくて、新たな情勢への対処という観点で対処していただきたい。総理大臣、いかがですか。
○海部内閣総理大臣 国有林が、国土の保全等公益的機能の発揮、木材の安定供給、地域振興等の役割を果たしていくためには、国有林野事業の経営の健全化を確立することが基本でございます。このため、国有林野事業の累積債務対策、要員の適正化を含めた総括的な対応策について現在林政審議会で検討願っておるところであります。 森林は、いずれにしても国土保全、水資源の涵養等の公益的機能と木材生産等の経済的機能をあわせ有しており、これらの機能を総合的に発揮するよう森林を整備していくことが重要であると考えております。
○嶋崎委員 その姿勢で、我々との協議にお互いに真摯に対応していただきたいと思います。 さて、時間をとりましたので、日米構造協議に入ります。 日米構造協議問題で先ほど井上委員が質問をした際に資料の話が出たら、後でとことこと資料が手元に届きました。日米共同記者発表の日本語版だけが来ましたから、英語のやつを出せと言ったら英語のやつが来ました。 さて、これは総理、日米構造協議と日本語に書いてあるが、これはどんな意味ですか。
○海部内閣総理大臣 まことに申しわけありませんが、英語の原文を見てお尋ねでございますので、それにしかるべく対応できる者を答弁いたさせます。
○嶋崎委員 いいよ、いいよ、僕の方から言います、僕の方から。原文をちゃんとわかっているのだから。
○林(貞)政府委員 お答えいたします。 この構造協議の英語は、ストラクチュラル・インペディメント・イニシアチブ、こういうふうに言っております。
○嶋崎委員 僕はそんなこと何も聞いてないよ。日米構造協議と今回言っている中身は何ですかとまず最初聞いたのですよ。それが英語と関係するのだ。
○中山国務大臣 お答えいたします。 構造調整協議は、日米間の貿易不均衡を一つの大きなテーマといたしまして、昨年五月に米国のブッシュ大統領からこの構造調整協議の機構をつくることの提案があり、七月のアルシュ・サミットにおいて日米首脳会談で合意をされたものでございます。これはいわゆる貿易不均衡を解消するための政策の協調協議の補完事項として設けられた目的を持っておりますが、昨年の九月、十一月、今年の二月と引き続き行われまして、四月の二日、三日の中間報告ということに相なったわけでございます。
○嶋崎委員 今外務大臣、構造調整協議と言いましたね。これはOECDはそうなんです。OECDはポジティブ・アジャストメント・ポリシーなんです。だから、PAPと言われるいわゆるマクロの経済を考えて構造調整をやるというのは、これはポジティブ・アジャストメント・ポリシーなんです。今度は違うのです。今度のはストラクチュラル・インペディメント・イニシアチブなんです。だから、構造的障壁に対して双方がイニシアチブを持って解決する。かつての構造協議とは違うのですよ。 ここが今度日米経済協議のさっきの井上さんの質問と関係しますが、八〇年代の初めに構造調整的なOECD型の協議が問題になって、アメリカからは一九八二年に「日本の貿易障壁と日本政府の最近の市場開放策」という体系的なものが出たんです。それには、政府の障壁があり民間の障壁があるんじゃないですか、政府の障壁は、輸入政策、政府規制ですね、それから産業政策、こんなものがあるんじゃありませんか、民間の障壁の中には、企業集団、流通系列化、日本人は国産品を愛用する、こういう障壁があるんじゃないですかというかなり体系的なものが出たんです。そこで時の中曽根内閣はどう対処したと思いますか。大蔵大臣、御存じでしょうか。外務大臣、御存じですか。
○中山国務大臣 前川レポートをつくって国民にそれを示したわけでございます。
○嶋崎委員 あの前川レポートは、私は本会議で扱ったのです。あの前川レポートは、中曽根さんの諮問機関であって閣議にもかかっておらぬ、国会でも議論しておらぬ、そのペーパーを説明に行ったのは、ヨーロッパに行った人は宮崎勇さん、アメリカに説明に行ったのは大来佐武郎さんです。私は宮崎さんから聞いたんですから。もう歴史が古いから言いますよ。閣議でも決めてない、国会でも議論してない、大統領でもないのに、総理の諮問機関、研究会つくって、レポートこしらえて、それを前川レポートとしてアメリカの防波堤としてあれをぶつけたんです。意味はあったんです。国政の民主主義を無視したことは別ですが、意味はあった。 ところが、日本政府は、ぶっつけたけれども何もやらなかった。だから一年後にもう一遍前川レポートを出すじゃないですか。それが六十三年の新前川レポートよ。そしてその後、閣議決定、行革大綱やいろんなことをやりますよ。何も解決しない、日本は何もやらぬじゃないかということが今度のきっかけになっていると思います。 時あたかも六十三年に、前川レポートのとき初めて日本の貿易、経常収支黒字のGNP比というものが問題になった。当時は二%台にいよいよ来た。その後は四・数%になったのですから、これはマクロで見たって大問題だ。そこへもってきて、GNP比二%超えているところで大問題なんですから。御承知のように、一%超している間は二国間で対処できるんです。二%超えるようになったらもう構造的になってくるんですから、それが四%にもなっておるのですから、これは大変な話だということになって今の事態になるから、かつてのOECDが言った構造調整じゃないんです、外務大臣。正確に言わないといけません。今度のは、だから、積極的な調整政策の話じゃなくて、今や構造的障壁の協議なんです。それを新聞が、皆さんが言ったのか知りませんが、構造協議と書くものだから、あの昔のOECDが言っていた八〇年代初めの問題と同じことかなあと、日本人はわからないんですよ。中身は極めてシビアな新たな問題が提起されている。これで黒字は消えると思うてませんよ、アメリカは。九〇年代続くと思うてますよ。それが構造協議の意味だ、こう私は思いますが、総理、いかがですか。
○海部内閣総理大臣 いろいろ経緯はお述べになったような見方もあろうと思います。ただし、何もしておらなかったのではなくて、いろいろ努力もして、現に内需中心の経済、そして輸入の拡大、日米の貿易インバランスのみならず世界貿易の中における日本の輸入努力による不均衡の是正というのは、この数年間顕著な例をあらわし続けてきておることもこれは御理解がいただけるところと思います。そうして、アメリカの議会で起こったスーパー三〇一条のあり方というのが、一方的な制裁を背景にしての交渉ということにはこれは応じられませんから、そこは責任ある立場の二国間としてもっと話し合いで片づけるべきではないかというような仕組みになっていって、個別問題に取り組んだことも御承知のとおりでございます。 けれども、それだけでは、今御指摘のように、アメリカの議会から起こっておる三〇一条を中心とする、何というんでしょうか、管理貿易主義、保護貿易主義に戻るかもしれないというような危険な芽をやはりアメリカの政府も感じ取り、そして日本の政府に対しても、これは日米両国政府にとって保護主義を抑えるための共通の努力をするということは大切なことだということになり、日米首脳会談のときに構造問題を識別し解決していこう、こういったことを再確認して、去年の九月からスタートしたのがこの構造協議であった。そのかわり、もう思い切っていろいろなことを出し合って、お互いに示唆し合って、できるだけの努力をして共通の認識を得るように今努力をしておるまさに中間報告のまとまった中間の段階だ、こう私は理解をいたしておるわけです。 〔原田(昇)委員長代理退席、委員長着席〕
○嶋崎委員 まあそういう決意でいいがね。僕が言いたかったのは、前川レポートのときも秘密外交的なんですよ。それと、総理大臣が諮問機関でやって、閣議も知らなきゃ国会も知らない。それを日本の態度ですと言ってECとアメリカを説得して、これで皆さんの提起する障壁問題への対応ですよと言ったんですから、後でみんなびっくりしたんだ。僕は本会議でそれ聞いたんだ。そうしたら、何だ今ごろ、閣議で決めたみたいなこと、うそをつけと僕は言いましたけれども。今度でもやっぱりそうだ。結果として中間報告という形で日本側は了とし、アメリカ側にも向こうの案が出て了とした。結果はいい、いいですよ、これは、外交の結果ですから。しかし、その途中で、今や日本のマスコミを通じてアメリカのワシントン総局から出された資料が日本に流れ、国民みんな見ている。NHKは特集組んで解説している。国民みんな見ているわけ。そうして、出てきた中間報告というものを見て、さっき井上さんの質問じゃないが、そこには国政の中でまだペンディングにされている問題がいっぱいある。となると、大変アメリカにまずいことを言っちゃいけませんから、これはお互いに慎重にしゃべらなきゃいかぬと僕は思うてます、外交ですから。我々国会で発言するときは大事なことだと思っています。だけれども、日本の国民からすると、あれだけの項目が出ていれば、日本の側もそれに比した項目ぐらいはアメリカ側に出しているはずよ。現に、貯蓄率の問題から、頑固なことを日本だって言っているんだから、アメリカに向かって。財政赤字から、貯蓄率から、教育に至るまで提起しておるわけでしょう。だからアメリカだって、受けとめ方、大変なことだ。しかし、同じように、日本はいまだかつてない受けとめ方になるという大変な性格を持って、これからは国民の権利義務に関係する問題に発展していくだけに、慎重に扱わなきゃならぬ課題であったということを申し上げたいのです。これ以上、今は言いません。 そこで、総理は、これが出たときに談話を発表しています。総理は、国民生活の質の向上と消費者の利益の増進を図り、我が国経済を世界経済とより調和のとれた姿としていくことを政治目標としてきた、まさにこの目標の実現の上に今度の中間報告がある、我が国経済構造の改善は大きく貢献するものであり国益にかなうものだと信ずると総理は言い切っていますね。つまり、国民生活の質の向上、消費者の利益を増進するという立場に立って、そして日本の経済構造の改善というものをやることが大きく貢献することだと。確認できますね。
○海部内閣総理大臣 私はそう思って談話を書いたわけでございますから、そのとおりでございます。
○嶋崎委員 そのとおりに事が進むかどうかが問題なんです。そこで、今度この中間報告の中に、日本の側から言いますと、これを受けとめる場合には、日本が国際的に開放されて、向こうからは閉鎖的だと言われているのですから、開放されて調和した経済社会になるために必要な構造改革である。これは総理自身も言っています。何か本会議でも言っていたな、これに似たようなことを。構造改革ということをおっしゃっていた。そういう内容のものとして受けとめていらっしゃいますね。よろしいね。
○海部内閣総理大臣 日本とアメリカが自由経済社会において世界の生産の四割近くを二国で占めておるということは、それなりに大きな責任も伴うものであり、二国間のみならず世界の経済にも大きな影響があるものと受けとめます。 しからば、日本だけが孤立して生きていくわけにもいきませんから、日本は、世界との協調の中でその責任を果たしていかなければならない。この経済協議を通じて指摘をされたことを、ある意味では率直に受けとめ、同時に、できることとできないことがあるなれば、それは率直にまたアメリカにも伝えて、そこで協調をしていかなきゃならぬのは私は当然のことではなかろうか、このように受けとめております。
○嶋崎委員 僕は、重視しているのは構造改革、総理自身がお使いになった経済の構造改革ということです。それをおっしゃっているんだが、通産大臣、同じように中間報告を受けとめていますね。ここに文書がありますけれども。
○武藤国務大臣 総理と同じ考え方でございます。
○嶋崎委員 公取委員長、同じこの中間報告に対して、公取の立場から見て、構造改善という、経済の構造改革という方向に向けて提起されたものとして受けとめて対処するというふうに公取もお考えですか。
○梅澤(節)政府委員 私どもの課題もその一環のものとして了解しております。
○嶋崎委員 そうしますと、そういう前提に立ちまして、さて、今度まとめられた中間報告は、六つの柱ですわな、時間がないからやりませんけれども。その第一は、何といっても貯蓄・投資パターンの問題として、そして井上さんが質問されましたように、重要なのは公共投資、一つの柱でありました。 そこで、公共投資のここにこういう文言があります。一、二、初めの方に前段言いまして、例の八分野ですね、今までのこの計画の中の今回の公共事業長期計画の進行状況、これの資料によりますと、海岸、港湾、空港、住宅、下水道、廃棄物処理、都市公園、交通安全、これが来年で切れる、したがって、これを延長する、延長の検討をする、これが一つ。 もう一つ書いてあるのは、さきの井上さんも質問されておられましたように、二番目に、その上に立ってもう一つ、これはきのう経済企画庁長官が公明党からの質問にお答えだったが、もう一つは、社会資本を充実する新たな観点からの十カ年のもう一つの計画というものをこの文書で確認されていますね。 その前提の上に立ってですが、この文書には、「公共投資の配分に当たっては、国民生活の質の向上に重点を置いた分野に、できる限り配意していく。」と書いてありますね。今、公共投資の配分率はどうなっていますか。
○相沢国務大臣 その公共投資のカテゴリーの問題もございますが、地方の単独事業も含めまして政府関係機関等の事業も含めたいわゆる広い意味におけるところの公共投資でまいりますと、実績が出ておりますのは昭和六十三年でありますが、昭和六十三年につきましては、生活環境、これは下水道とか水道、都市公園、厚生、住宅等を含んで二九・三%、それから交通・通信が三九・八%、治山治水等の国土保全が九・二%、それから農林漁業が九・二%、それからその他が一二・三%というような配分になっております。
○嶋崎委員 今の数字は、私はその前の年でとまっていますけれども、それを今の配分率でいきますと、生活環境というのは学校、厚生福祉、住宅、環境衛生、これが生活関連です。そして交通・通信というのは、電気通信、航空、港湾、鉄道、道路です。しかし、一九八五年に電電は民営化され、八七年に国鉄が民営化されましたから、この配分はその中から落ちますね。当然落ちます。また、配分率は下がらなければならぬですね、本来ならば。 ところが、一九六三年から今日までのこの配分率の統計を見ますと、どういう特徴があるかというと、我が国の公共投資は、生活関連は二〇%。三〇%台に乗ったのはおととしからです。それまではずっと二〇%台。初期の段階は二〇%から二二、三%まで、一九七〇年代の真ん中まで続いています。その間の交通・通信、これはいわば基盤整備的性格を持ったある意味では産業優先の投資の配分率です。これは四六%からですね。先ほど企画庁長官が述べられましたように今年は三九・八%。非常に高い。この公共投資だけで産業優先というわけにはいきません。六〇年代、七〇年、八〇年代の我が国のつくってきた産業政策に基づく法律、一遍全部洗わないけません。それには補助金があった。税制があった。金融措置があった。企業に対してはたくさんの優遇措置をしてきた。そういう一連の措置と公共投資から見ても、生活関連よりも産業優先の投資であったという数字が歴然としております。 さて、中間報告で言う、この日本が言うように中間報告で公共投資の配分率については生活中心の社会資本に重点を置いて検討するというならば、今までのような長い間固定化さしてきたこの配分率は変更するという考え方に立って今後検討しなければならぬはずだと思いますが、これは企画庁長官並びに建設大臣それぞれに。下から積み上げるんだから大蔵省は後だ。
○相沢国務大臣 ただいまいろいろお話をちょうだいしたわけでありますが、私、手元に昭和三十五年からの数字が一番古い数字でありますけれども、確かに、当時におきましては、やはり道路であり治山治水であり、あるいはまた交通・通信というようなところが重点を置かれておりましただけに、生活環境の公共投資の割合というものがそれほど大きくなかった。ただ、一例を申し上げますと、昭和三十五年には生活環境が一九・九%という数字でありましたのが、間を飛ばしますけれども、昭和六十三年には二九・三%、そのシェアで一〇%もふえているわけでありまして、これは途中の段階で多少のでこぼこはありますけれども、おおむね趨勢としてはおっしゃる生活環境の部面において伸びが大きくなっておりますので、そういう意味におきましても、生活環境を重点に置いて今後考えるということは、最近における趨勢から照らしても、これはむしろ当然のことではないかという感じがするのであります。
○嶋崎委員 僕は、配分率が全体として今の交通・通信のところがずっと四〇%台なんですよ。生活関連は確かに低いところから始まった。途中から一〇%上がっている。それは当然そうだ。片一方で、産業基盤が強化されればその反面公害問題も起き、そんな情勢下では消費者の立場を尊重する消費者基本法ができたのです。その延長線上で見れば、生活関連に次第に移っていくのは当たり前のことだ。しかし、我が国の経済社会の仕組みが企業主義、企業社会とアメリカは見ているわけ。系列化問題であり、産業優先の社会と見ているから、それだけに我が国の公共投資の配分率について重点的に問題にしていると言ってよいと私は思います。そういう意味で、配分率というものについて既存の延長線上から改めて検討せざるを得ないはずだと思うがどうかということを聞いているので、恐らく今すぐ結論は出ません、こんなものは。しかし、今後検討すべき課題だということになろうと思います。企画庁長官、いかがですか。
○相沢国務大臣 この公共投資の区分に、先ほど私は生活環境、交通・通信等々と、こういうふうに申し上げましたが、これは従来使われております区分に従って申し上げたわけでありますが、例えば交通・通信の中でも道路、この道路は確かに交通・通信の一部でありますけれども、一般の国民の生活にある意味におきましては最も近接な関係もあるものでありますから、そういう点におきまして、この生活環境を重点として今後検討するにいたしましても、そういった点につきましての考慮も当然に考えなければならない、このように考えています。
○嶋崎委員 いずれにしたって、中間報告では、明確に力点の置き方を変えるということを検討する旨述べているのですから、今までの長い配分率というのは、私は一口に言えば、日本は産業優先政策をぎゅっととってきて、今日の日本経済のファンダメンタルズもつくったのですから、やはりそれの一つの転換をアメリカは期待し、我が国はそれにこたえるという方向性を打ち出しているものと理解しなければならぬのではないか。これは私の意見です。そう読み取らなければならぬと思います。 さてそこで、この間ビールの値上げが行われましたな。二月の初めに半ば公然とメーカー、卸、小売で話題になって、そしてどうもその意思疎通が図られて、早い、三月に入って一斉に値上げが発表された。これは一つの例なんです。ビールをやり玉に上げておるんじゃないのです。今の独禁法の十八条の二に言う対象品目、つまり寡占化している品目の品物の値上げについては同調値上げというものについてはきちんとせぬといけませんよ、そういう意味で届け出義務というものをしている。そしてその報告は、この法律によりますと、国会に報告することになっていますね。これによると、「公正取引委員会は、内閣総理大臣を経由して、国会に対し、毎年この法律の施行の状況を報告しなければならない。」こうありますね。三月に行ったこの値上げについて、大蔵大臣、事前にこの計画を知っていましたか。大蔵省に何か連絡ありましたか。
○橋本国務大臣 事前という意味では、私自身が途中でその状況は聞きました。
○嶋崎委員 大蔵大臣、途中に値上げの話は聞いておるのですよ、どこでどんなのを聞いているのか知りませんが。これは既にもう値上げに全部なっちゃったですね。 さて、ビールの値上げ、ビール業界を僕は問題にしているのじゃなくて、これと同じ構造は我々の日常生活すっぽりですから、ハムから、ソーセージから、チューインガムから、鉄鋼材から、いろいろなものが全部昭和五十三年から公取で問題にした報告を受ける業界の品物を、だっと表ができていますから、毎年報告していますから、僕の手元にあります。その中の一つにビールがあり、新聞があるわけ。新聞も一斉値上げしましたね。去年もやった。三年前もやった。今度ビールもやった。こういう一連の値上げが行われる際にカルテル的性格が非常に濃いと私は見ますが、公取はどう思いますか。
○梅澤(節)政府委員 価格の引き上げにつきまして事業者間で共謀と申しますか、意思の連絡があった結果そういうことが行われたとすれば、これはまさに独占禁止法で禁止しているカルテルに該当いたします。 ただ、今おっしゃっておりますように、ビール等を含め高度の寡占業界では、そういった明確な事業者間の意思の連絡がなくても、価格の引き上げについて同調的な、あるいはプライスリーダーとそれに対する追従という点もあるかと思いますが、そういった動きがあって、実質上は一斉値上げという形になりますので、これは五十二年の独占禁止法の改正で、現在十八条の二の規定によりまして、そういった事実に該当する場合には、公正取引委員会といたしましては調査をし、その結果を国会に御報告申し上げるという制度の建前になっているわけでございます。
○嶋崎委員 ここに僕は表を持っています。「価格の同調的引き上げ報告の対象品目」というのを、ざっとありますから、これを見ますと、相当な寡占企業の品物がこの報告書によりましても、ある時期にはかなり集中的に三件、四件と出ているのが今日までの公取の報告であります。 さて、この報告は、法律のこの国会報告——公正取引委員会に報告しなければなりませんね。今ビールの値上げを皆さんのところに報告して、私たち国会に報告するのはいつですか。
○梅澤(節)政府委員 正確に申し上げますと、値上げのあった時点で企業から公取に報告があるわけではございません。私どもは、市場を見ておりまして、必要な場合に十八条の二によって調査をいたします。報告がまとまりますと、たしか四十四条の規定でございますけれども、年次報告の際にそれをあわせて公正取引委員会は立法府に御報告するということになっておりまして、それを公正取引委員会は従来励行しておるわけでございます。
○嶋崎委員 そうすると、今度のビールの場合は、ことしの年次報告ですか、来年の年次報告ですか。
○梅澤(節)政府委員 報告がまとまりました時点で判断をしなければならないわけですけれども、通常年末に年次報告を提出申し上げるわけでありますから、それに間に合えば当然それに登載をいたしますし、これは前回の委員会でもお答えしたわけでございますけれども、私どもの報告がまとまっております時点で立法府からの御要請があれば、これは立法府に年次報告とは別に御報告申し上げることは当然でございます、立法府からの御要請がございますれば。
○嶋崎委員 そうしますと、これの報告を私たちが見るのは来年じゃないですか。来年の夏以降になるのじゃありませんか、今の報告書の発行を見ると。
○梅澤(節)政府委員 今調査の真っ最中でございますので、いつ報告がまとまるか、私もまだ事務局からきちんとした見通しを聞いておりませんけれども、もちろん年内にまとまりますれば年次報告に間に合うこともあり得ますし、それ以前にまとまった場合に、立法府から御要請があればその時点で御報告を申し上げるというようなこともあり得ると思います。
○嶋崎委員 私は恐らく来年の秋になると思う、これは。だから、この独禁法で言っている、報告しなければならぬ、皆さんがそれに対してきちんとした報告書を受け取る、それを国会に報告するのは一年たってしまっている。もうとっくに上がってしまっている、一年半も前に。これは国民に対して公正な値上げであったということを報告するにしては、この制度はちょっとおかしいと僕は思う。 だから、例えばこういうことだ。今一つ例を挙げた、公正な競争から逸脱しているかのようなカルテル的性格を持っているものについて、今の独禁法の体系の中で処理すると、国民は高いものを買わされてしまっているけれども、その根拠はさっぱり一年たってもわからない。しかも、これには原価計算が入りますか。
○梅澤(節)政府委員 調査の段階で原価の構成過程から販売経費等詳細に検討いたしまして報告するわけでございます。その場合に、一方企業の秘密の問題がございます。したがいまして、どういう形で御報告するかということは、今具体的に申し上げるというのは大変難しゅうございますけれども、なるべく立法府で御判断いただけるような、かつ企業の個々の秘密に入らないような形での丁寧な御報告を申し上げるということでございます。
○嶋崎委員 この点は、五十三年ですか、法改正のときのポイントだったのですよ。つまり、原価計算を付するような形でこの条を生かすのか生かさぬのか。ところが、そうじゃなくなってしまった。そして報告義務は、こういう国会報告がずっとおくれるような仕組みになってしまっていますから、そういう意味でも一つ骨抜きになっている。実際は、便乗値上げと言うと表現が悪いけれども、一斉に値上げする寡占企業の値上げというものについて、国民の側から見るとその根拠が不明確であるというようなことが疑問として残る。 もう一つ、大蔵大臣に聞きますが、金融界の、新聞でもにぎわしましたが、銀行の送金手数料、それから証券販売の手数料、それから保険の新商品の発売に際しての手数料、これらについて公正取引委員会は、既に昨年以来、これらについてはもっと弾力的でないとカルテル的性格が温存していると言われますよということを、既に規制問題に対する公取の意見として学者の研究会の意見が出ています。この間、公取の委員長が御発言になった機会は、値上げしたいという要請があったのに対して、今の日米構造協議問題が起きているから上げるどころじゃないよと、上げたり下げたりというのはいかぬのよという話になってしまって、実際は二行が下がりましたね。結果として僕はよかったと思っている。しかし、やはりこういう送金手数料や証券手数料の画一的な運営というものの中にも、公正な競争から見て事前に話し合いが行われてやられてはしないかというカルテル的においがする、こういう問題がある。 じゃ、営業時間はどうですか。このごろ、サラリーマンみんな家に帰るでしょう。それで買い物かご提げて、さあキャッシュコーナーへ行って取ろうとしたら銀行はみんな閉まっている。世界で、よそへ行ったらそんなことはないですね。これも全部営業時間一律ですね。これは、労働時間の時間短縮をやったって、労働力が交代すればいいのですから、夜やろうが何しようが構わない。問題は、公正なる競争という場合に、営業時間の画一化というのはいいのですか。どうですか、公取委員長。
○梅澤(節)政府委員 企業の事業の遂行方法につきまして、営業時間等も含めてでございますけれども、原則としてこれを申し合わせるということはカルテルに該当いたします、団体等でそれを決めた場合には。ただ、これは団体に関するガイドライン等でも私ども考えを明らかにしておるわけでありますけれども、例えば従業員の福祉のためとか、いろいろ社会的な観点からそういうことを申し合わせる場合があり得るわけです。そういうものについてはあえて独禁法上問擬されない。したがって、個々のケースにおいて判断しなければならないと思っております。
○嶋崎委員 しかし、中間報告の中にはちゃんと銀行CDの扱いは弾力的に検討と書いてありますよ、中間報告には。だから、これはやはりアメリカから見ると、これはカルテル的においがするという一つの指摘と受けとめざるを得なかった一つの側面ではないかと僕は見ています。これはしかし意見の違いがあるかもしれません。 一、二例を挙げましたが、こういう一連の取引の中に事業者団体というものが企業集団として構成されてカルテル的性格が温存されていないかということが、今度の中間報告に対してアメリカ側が、日本の社会の特殊性みたいに理解する側面であったのではないかというふうに理解できないかなというのが私の一つの判断です。 したがって、もう時間がありませんから、集中討議がまた後ほどありますから、いずれ機会があればと思いますが、途中みんなはしょりましたが、系列化や排他的取引や一連の問題でも、アメリカではとても考えられない。だから、系列関係というのを英語で言えばケイレツ・リレーションと書いてあるのですから、いかに日本の系列がわからぬかということですね。ケイレツ・リレーションと向こうは書いちゃったのですから。それだけに、構造がわからない問題を国民の前に明らかにするのには、何しろ世界に向かって、ECにもこれを明らかにするということは大変なことです。大変な構造改革の課題を背負ったと見なければなりませんし、それが日本の民主改革の方向につながっていけばいいがと私は思って期待をしながら、これからも検討しなければならぬと思っています。 時間がありませんから、最後に公取に、僕は独禁法の観点がまたこれは全体非常に重要なんじゃないかなという気がするのです。この中間報告、皆さんのものを見ますと、後の項目はもう全部独禁法の体系問題に密接不可分です。土地、大店法もそうですが、後の項目を見ますと、排他的取引でしょう。そして系列関係でしょう。これが系列リレーションと僕は訳したのですが、わからぬということです。それから価格メカニズム。これはみんな独禁法が我が国の社会にどのように構造的に機能しているかということの問題点だと思うのです。これをみんなこっちで受けとめて報告するのですから、七月までの間に具体的な例を挙げて答えなければならぬ、これは大変なことだと思いますよ。 そこで、アメリカ側の日本への対応の一つの重要な側面は、日本の今までの系列関係だとか排他的取引だとか、企業社会だとか、価格差の問題などを見ると、どうも日本では、アメリカの独禁法、ECの独禁法、西ドイツの独禁法などが社会に機能しているような姿から見ると、機能していないのじゃないかな。したがって、独禁法の改正を通じて公取の地位をきちんとさせ、そして日本の、今政府の持っている今の独禁法の中にも行政指導という名の規制があります。政府規制があります。適用除外というのがあります。この適用除外も検討すると書いてありますよ。政府規制も検討すると書いてあるのですよ。同時に、行政指導についても書いてあるのですよ、今度は。みんな書いてあるのですよ、皆さん。となると、今まで役所が持っていた権限の行政指導というものを独禁法をてこにして見直そうと。行政指導というのは法律の支配ではない、これは法の支配ではない、行政法学者が言うように。法律に基づく許認可はいいが、法律に基づかない指導は法の支配ではない。それが日本の社会にまかり通っている。したがって、これを独禁法を軸にして改革しなければならぬという点に問題意識を持たれたのじゃないかと私は思うのです。 それで、最後に質問して終わりますが、総理大臣、この中間報告全体を貫いていることから見て、我が国の独禁法の改正に当たって、公取の地位、公取の機構、これをEC、まあドイツやアメリカは州がありますから大変な数になりますけれども、せめて各国並みの方向に向かって、人員をふやし、そして機構を改革し、そして独禁法が機能できるような日本の社会にしていくために公取が役割を果たせられるような方向に独禁法を改正するという、そういう必要に迫られているのではないか、こう私は判断しますが、公取委員長並びに総理の意見を聞いて質問を終わります。
○梅澤(節)政府委員 まず、法律改正でございますけれども、簡潔に項目だけ申し上げますけれども、最終的には立法府の御決定にかかわる問題でございますけれども、課徴金を平成三年度中に改正をするという作業がございます。 残余の問題につきましては、報告に掲げられております問題につきまして、着実に、できるものは年内からどしどし実施していくということでございます。
○海部内閣総理大臣 法改正に関する問題については、公取委員長も申し上げましたように、いろいろと法の持っております精神かきちっと貫かれますような角度から法改正も考えている。また、直ちに欧米並みというわけにはなかなか距離もございますけれども、せめて一歩一歩前進していくということで機構を充実し、人員の増加も図っておるところでございます。
○嶋崎委員 終わります。
○越智委員長 これにて嶋崎君の質疑は終了いたしました。 次に、宮地正介君。
○宮地委員 初めに、政治改革の問題についてお伺いをしてまいりたいと思います。 昨日、第八次選挙制度審議会の第一委員会、第二委員会の委員長から報告が審議会になされました。 この問題を論ずる前に総理にお伺いをしておきたいのでございますが、昭和六十一年五月二十一日に本院本会議におきまして衆議院議員の定数是正に関する決議がなされております。この決議は大変に私は重要な重みを持っている決議である。特に衆議院議員の定数の是正、この問題に触れているわけでございまして、まず総理のこの決議に対する御所見、これについてお伺いしておきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 国会決議に基づく定数の是正は、速やかな検討が求められておる課題でございます。一方、政治改革は現下の最重要な課題であり、選挙制度の抜本改革の検討が必要でございます。したがいまして、国会決議を踏まえた各党間の御論議が進展していくことを期待しつつ、政府といたしましては選挙制度審議会に対して選挙制度等の抜本的改革案の検討を求めてきたところでございます。
○宮地委員 この決議は、総理も御存じのとおり、 選挙権の平等の確保は議会制民主政治の基本であり、選挙区別議員定数の適正な配分については、憲法の精神に則り常に配慮されなければならない。 今回の衆議院議員の定数是正は、違憲とされた現行規定を早急に改正するための暫定措置であり、昭和六十年国勢調査の確定人口の公表をまって、速やかにその抜本改正の検討を行うものとする。 抜本改正に際しては、二人区・六人区の解消並びに議員総定数及び選挙区画の見直しを行い、併せて、過疎・過密等地域の実情に配慮した定数の配分を期するものとする。 このように決議の内容がなっているわけでございまして、この決議の最大の特徴は、選挙制度の改正まで踏み込んでおりません。まず、現行の中選挙区制を堅持しながら、二人区・六人区の解消、そして議員総定数というのは、御存じのとおり五百十三名というのは、これは附則の二項で、当分の間、五百十二名とする、こうなっております。本則四条には四百七十一名、このようになっております。 私は、この本会議における衆議院議員の定数是正に関する決議のやはり重みを考えたとき、海部内閣はこの問題をまず最優先事項として対応すべきではないのか、こう思っておりますが、総理の所見を伺っておきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 定数是正に関する院の決議は極めて重いものと考えます。同時にまた、この決議に示されました方向に従って各党間の御論議が進展することを期待もさせていただきます。
○宮地委員 既にこの決議にありますところの昭和六十年国勢調査の確定人口に基づきまして調べてまいりますと、六十一年の改正後におきましては、神奈川四区と長野三区が、衆議院でございますが、二・九九倍という一票の格差が出ているわけであります。さらに、今回のこの二月の総選挙におきましても、これは今回は確定人口ということが出せませんので有権者数に基づきまして今回のこの調査を調べてまいりますと、平成二年二月衆議院議員総選挙当日有権者数でいきますと、神奈川四区と宮崎二区の一票の格差は三・一八になっているわけであります。まさに憲法におきまして三倍以内とする、こういうような判決に基づいて考えてまいりましたとき、海部内閣としては、この六十一年五月の本院における決議というものを最優先事項として、また、現状の三・一八倍というこの一票の格差是正について最大限の努力をするというのが私は海部内閣の基本的な姿勢でなくてはならない、こう思っておるわけでございますが、この点についての総理の所見を伺っておきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 あの国会の御決議を尊重しておるということは何度も申し上げておるところでございますが、これは各党間に極めて密接な、大きな影響を持つことであり、また国会の御決議をしていただいたのも院でございますから、この問題については各党間の御論議が進展することを期待させていただきます。
○宮地委員 このようなことを踏まえて昨日の選挙制度審議会の第一委員会の委員長の報告を見たとき、まさに小選挙区比例代表制の導入の報告。最終答申は総理に対しては四月中に出されるというふうに言われております。この審議会は、海部内閣総理大臣の諮問機関であります。私は昨日のこの報告内容、これを見る限りにおきまして、選挙制度の改革というのは、まさに議会制民主主義の根本のルールを変えるという重大な問題であります。ましてや、小選挙区比例代表制というのは大変問題がございます。死票が多くて民意を公平に反映されない、また多数党が得票率を超えて議席を得る制度でもあります。民主主義の基本から見て重大な欠陥があると言わざるを得ません。また、リクルート事件、こうした反省の中から金のかからない政治が実現するものではと言われている期待に反しまして、多様化する国民のニーズにこたえるものとはほど遠い。決して金権選挙が小選挙区比例代表制の導入によって解決するとは思われません。ましてや、政局の安定とか政権交代の可能性を理由としている。これはまさに選挙制度の改正によって行われるべき問題ではない。こうした問題にまで踏み込んでおるのでありまして、公明党としては、小選挙区比例代表制には断固反対でございます。 私はそういうような重要なこの選挙制度改革につきまして、何か既にちまたでは内閣として法案づくりを十一月ごろまでに終えるような、そうした話も出ております。こうした答申の取り扱い、法制化の問題、こういうものにつきましては慎重に私は行うべきである。そして先ほどから申しておりますところの六十一年五月の本院における決議というものを重く受けとめるのであれば、なおさら私は慎重に対処すべきである、このように思っておりますが、総理の所見を伺っておきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 選挙制度審議会からの答申はまだ受け取っておりませんけれども、新聞報道等によって第一委員会の委員長の会見というものは、内容を拝見もさせていただきました。きちっと答申をいただきましてから、これは皆様方にも当然それは政府としてお示しもし、また選挙のことでありますから国会における各党間の御論議も十分尽くしていただかなければならない問題だと考えております。 しかし、今は政治改革を進めていかなければならない重要なときでもございますので、私どもは選挙制度審議会の答申をまず十分に尊重して、それに従ってどうすべきかということを考えてみたいと思っております。
○宮地委員 そうしますと、答申が総理の手元に今月中に提出されたその後において各党に協議をする、こういうお考えがある、このように理解してよろしいのですか。
○海部内閣総理大臣 国会議員の選挙のあり方でございますから、これは政府と各党ということよりも、むしろ政府は答申を受けていろいろ一つの成案を得ましたならば、それは議会において各党間で十分御論議をいただくべきものであろう、こう考えております。
○宮地委員 ということは、海部内閣としては安直に答申を受けた、それでは政府部内ですぐ法案づくりに着手、こういうような行動はとらない、このように理解をしてよろしいでしょうか。
○海部内閣総理大臣 まだ答申もいただく前でありますから、法案をつくるとかつくらないとかいうことではございません。ただ、審議をお願いして答申をいただきました以上は、その答申の趣旨を尊重して政府としては取りまとめの作業をしなければならない、こう考えておりますが、それは各党の御議論を十分いただくためにどのような形になるか、それは国会のしかるべき立場の皆さんが御相談をいただいて御議論をしていただくということになると思います。
○宮地委員 答申を尊重して各党と議論をしてまいりたいと。そうしますと、六十一年五月の衆議院本会議におけるこの決議、これも尊重する。まあ二つ、この国会における決議と諮問に対しての答申、これは両方尊重される。私は、やはり立法府における少なくとも衆議院議員のこの衆議院本会議における決議、この重みというものは、選挙制度審議会の答申の重みとは比較にならないと思っております。この点について総理は両方とも尊重する、こうおっしゃっていますが、この尊重するという中身、重み、これはどちらにウエートを置いているのですか。
○海部内閣総理大臣 行政府の立場で御指名を受けて答弁申し上げますときは、やはり一つとしては、政府として選挙制度審議会に諮問をいたしますときに、各界の代表の方々の御議論でありますから、その答申を尊重するということはぎちっと方針として申し上げます。 また、国会で御決議いただいたことは、政府はいつも国会の御決議は尊重するという大きな原則を持っておりますし、またそれは院において各党の皆さん方が御議論をいただくべき重要な問題でもあるわけでありますから、尊重をいたします。どっちを尊重するかとおっしゃれば、これは質が違うということであり、それをぎりぎり言えば、国会は国権の最高機関だと憲法にも規定してございますから、どうぞそれは各党各会派の間において院の決議の問題については御議論をいただく、政府は院の決議というものは尊重をしていく、こういうことになると思っております。
○宮地委員 質の問題で、まあ私が受けとめたニュアンスでは、やはり国権の最高機関の決議は大変に重いものである、それを尊重していく、こちらの方の非常に強い御決意がうかがわれたように私は思えてなりません。 そこで、この国会の決議の、やはり先ほど申し上げたような三・一八倍という現行の衆議院の一票の格差ですね、これが非常に拡大しておる。既にこの二月の総選挙で、終わった直後にもうこの訴訟が行われているのですね。その訴訟が関東でも行われました。私も今回総選挙が終わりまして、実は供託金ですね、私たちは二百万円供託金を法務省に納めました。訴訟が行われまして、この訴訟の問題が最高裁に行って帰ってくるまで供託金は返ってこないのですね。こういう事態が今発生しているのです。ですから、普通ですと、我我総選挙が終わりまして一カ月ぐらいで供託金が、返還の書類がちゃんと返ってくるのですね、出したときに。ところがいまだに、私埼玉二区でございますが、この証書が戻ってこない。選管に確認いたしましたら、恐らく早くて五月ごろかな、最高裁に報告をして、それによってけじめをつけないとお返しできません、こういう事態が既に現場では起きているのですね。ですから、まずこの六十一年五月二十一日の本会議の決議を重く受けとめていただいて、まず海部内閣は思い切ってこれを実行に移していくために、また総理は自民党総裁でもございますから、これは各党に対しても、この問題の決議に沿っての対処について、私は最大限御努力をされるのが当然ではないか。今後この問題についての取り組みの姿勢についてお伺いしておきたいと思います。
○浅野(大)政府委員 確かに選挙の結果が、そういう訴訟が起こったことによって確定しないという問題があるわけでございます。もともとこの訴訟自体が、一体選管が当事者となって訴訟に対応するのがどうかということもあるわけでございますが、確かにいろいろ訴訟についてはそういう問題はあるわけでございまして、御趣旨は恐らくそういうこともあるから、そういう定数訴訟のようなことが起こらないで済むようなことにすべきではないかということではないかと理解しております。
○宮地委員 今私が質問したのは、選挙部長の方よりも総理に、やはり本会議におけるこの決議の精神に沿ってどう内閣としてあるいは自民党総裁として今後取り組む御姿勢がございますか、こう伺ったのです。
○海部内閣総理大臣 院の御決議はまさに院の各党のお話し合いによっておやりいただいたわけであり、その院の決議をどうするかという問題も、私が率直に申し上げると、政府としてはここに書いてあります定数の是正の問題も含めて審議会には諮問をしておるわけでありますから、審議会もその答申をくれると思いますが、それは政府のやっておることでございますから、院の方でそういう御議論があったら、各党各会派でこの決議に関してはどうするかということも十分御議論いただきますように、これは心から期待をさせていただいております。
○宮地委員 時間も限られておりますのでこの程度にしますが、私は、やはり今申し上げた衆議院における定数是正問題を含めたこの院議というものを重く受けとめていただいて、内閣総理大臣は自民党の総裁でもあるのですから、自民党はやはりリードしていく責任もあるわけですから、国会国会といいましても総裁としての立場も十分考えていただいて、やはり本院における決議を最大限尊重して、そしてまずこの問題をクリアしていくということが、私は海部内閣にとっても、また自民党総裁にとっても当然やるべきことではないか、こう思っておりますので、このことを強く要請をして、次の問題に移ってまいりたいと思います。 それでは次に、税制改革の問題について入るわけでございますが、最初に、私ども公明党が主張しております家賃控除制度創設問題につきまして、私の試案を含め、大蔵大臣、総理にお話を伺ってまいりたいと思うわけでございます。 今お配りした資料は、一つは公明党の試案であります。もう一つは、これは私の個人的な試案であります。もう一つの資料は、所得控除と税額控除の説明の附属資料でございます。 最近の土地の高騰とかあるいは家賃の高騰、こういうことでサラリーマンの皆さんの家計に占める負担も非常に大きくなってまいりました。そういう中で、建設省、労働省も昨年来、平成二年度の予算要求の中でも、この家賃控除制度の創設について政府に要請をしているようであります。しかし、残念ながら平成二年度では用いることがされておりません。 そこで、公明党の案は、これは年収一千万円以下が対象でございまして、控除方法は所得税控除であります。住宅の規模が五十平米未満の方については、家賃月額五万円程度の方は年間六十万の所得税控除、五十平米以上の方については、五万円を超える方については、十万円から五万円の間、最高七方五千円掛ける十二で九十万、これを所得税控除で何らかの対応をして、そうした問題に一つの減税措置をしてはどうか、こういう案でございます。これに対して大蔵大臣は、さきの補正に対する予算委員会あるいは大蔵委員会等、我が党の同僚あるいは石田委員長の本会議質問に対しましても、大変厳しい対応の答弁が出されたわけであります。 そこで私は、この家賃控除制度について、やはりこれは政策減税として検討できないか。そうなりますと、租税特別措置法でこれは措置できないかということで、年間所得八百万円以下、これは年間所得でございますから、年収にすれば大体一千万クラスの方であります。税額控除方式でこれをできないか。一応私は、党の試案と大体額的にはそう変わらないということで、一〇%の税率で考えました。できればこれは私は個人的には一五%ぐらいまで対応していいのかな。こういうことで、私は税額控除方式、租税特別措置法、これによってこの家賃控除制度を創設をしたらどうか。附属資料にありますように、持ち家の方については既に税額控除方式によりまして住宅ローンの問題が特別控除されておる。今回も租税特別措置法で六年間ということで、二十万掛ける約六年間、百二十万円、こういう措置もされておるわけでございますので、私は政策減税という立場からいけば、やはり家を持ってない、家賃で苦しんでいる方々に対しては、こうした租税特別措置法で措置をする。場合によっては、これも経済環境の変化ということで時限立法にしても構わないのかな。私はこういう点で、この家賃控除制度の創設問題について政府としてぜひ真剣に取り組んでいただきたい、このように考えているわけでございますが、まず大蔵大臣、きょうは具体的な試案を含めて資料提供しての御質問でございますので、よろしく誠意ある答弁をいただきたいと思います。
○橋本国務大臣 これは、たびたび私は同じ趣旨の答弁を繰り返してまいりました。今公明党の御提案の内容と、委員が試案としておまとめになりました、それをまた変形したものと、二通りの家賃控除制度の案をお出しをいただいたわけでございます。しかし、結論から申し上げますと、私が問題点として提起をいたしましたものの幾つかは、やはり消えておらないのではなかろうか、率直にそういう感じを持つわけであります。 と申しますのは、私が何回か申し上げました中におきまして、一つは、要するに限界税率の高い高額所得者、より高い家賃を払っておられる方がより大きな恩典を享受する、しかしその反面、非納税者には家賃控除の恩典は及ばないということを申し上げてまいりました。今回公明党案におきましても、また委員の試案としてお出しをいただきましたものにも、上限が設定をされておるわけであります。しかし、やはり所得制限でありますとかあるいはその家賃の上限を設けましたとしても、その範囲の中では高額所得者ほど、また高額の家賃を払っておられる方ほどより大きな恩典を享受するという点においては変わりはないわけでありますし、また、非課税者に恩典が及ばないという問題は、税制上はこれは解決が不可能なことでございます。 むしろ私どもは、委員に申し上げると、これはおしかりを受けるかもしれませんけれども、消費税の中において家賃を非課税としたという考え方は、問題意識としては同機のものを持ちながら、その課税、非課税の世帯の別によらず、全部に家賃というものの負担に対する何らかの方途がとれないかと考えた一つのアイデアであることも御理解をいただきたい。先般も申し上げたところであります。
○宮地委員 そうしますと、大蔵大臣、この政策減税でやった持ち家の住宅ローン控除、今年度も租税特別措置法の改正で六年に二年控除を延ばしましたね。今大臣の言った論理は、この持ち家に対する論理とどういうふうに合致するんでしょう。
○尾崎政府委員 お答え申し上げます。 持ち家施策といいますか、住宅の控除でございますけれども、これは御承知のとおり、ローンの残高に対しまして一定比率をもちまして税額控除を認めるというものでございますが、そもそも制度発足の折に一種の需要政策という面もあわせてあったわけでありまして、住宅建設を促進するという目的が一つあった。スタートはそういう面がかなり強うございました。現在はこのような景気の状況でございますから、むしろ持ち家施策の面という点が強くなっているわけでございます。 ただ、これは要するに住宅を建てるという多額の拠出をする場合の特別の配慮でございまして、通常の家賃等につきましては、いわゆる基礎控除でございますとか各種の控除でまとめて、そこは一般の生計にかかわる各種のものをまとめて概算で控除しているという制度を現在とっておりますので、通常の家計費に属するものはそこで、言葉は悪いんですが、その中で全部まとめて配慮をしているということが現在の制度であるわけでございます。 御質問の意味は、もう一つ、税額控除を使っているというところにあろうかと思いますが、確かに税額控除を使いますと、御指摘のように、所得の多い少ないにかかわらず一定の税額が引けるわけでございますから、所得控除と比べて所得の高い人の方が恩典が高くなるという点は救えるわけでございますけれども、委員御承知のとおり、現在五百万の収入のある給与所得者で、夫婦子二人で所得税を払っていただいているのが十三万円というような状況でございますから、課税最低限が非常に高く上がってしまったような状況になるわけでございまして、所得税の体系として非常に妙なものになるということにひとつ御注目いただきたいと存ずるわけでございます。 〔委員長退席、原田(昇)委員長代理着席〕
○宮地委員 結局、それは私は理由にならないと思います。特にマイホーム、持ち家の方については、今の住宅取得促進税制ですね、この問題もありますが、親から受けた贈与税の特例とか居住用財産の控除の問題とか、持ち家の方においてはやはりいろいろ税制上の特例措置があるわけですね。ところがアパートとか、大変な異常な土地の高騰によって、そのあおりを受けて家賃が非常に高騰しておる。そうした家を持っていない方々に対する税制上の恩典というのはないわけですね。 今回消費税で家賃に消費税をかけないようにしました。これはまだ今後どうなるかわかりません。現行の税制の中ではないわけですよ。私はこれは政策減税として、特に三大都市圏に住んでいる方々の家賃に対する家計の圧迫というのは大変なものですよ。特に海外からいろいろ留学してきている学生、あるいは地方から東京あるいは三大都市圏等に下宿をしながら学校へ行っているそういう学生、こういう家賃に対する大変な親に対する負担、家計に対する負担、また生計費の中に占める負担というものは、特に東京なんかでは今大変深刻な事態になっていると私は思うのです。 これを私は政策減税で創設をして、時限立法でも結横ですから、暫定措置としても導入していく。持ち家との税制上のハンディがこんなにもあるのに、何だかんだ理由をつけて大蔵省が取り組まない。私は、大蔵省のこうした方々に対する配慮というものの姿勢はやはりおかしいんじゃないか。もっと国民生活に根差してこうした家賃控除制度の創設、特に政府部内の労働省とか建設省だってこれを提案しているのですから、政府の部内においてだってこの問題を深刻に受けとめて、大蔵省だけがかたくなにガードをしている、私はこれはいかがなものかな。もう一度主税局長、この問題に真剣に取り組んでいただきたいと思います。
○尾崎政府委員 先ほど大臣から申し上げましたとおり、税額控除にせよ所得控除にせよ、税金がかかる範囲でしか働かないわけでございます。我が国の場合、世界で最も高い課税最低限を持っておりまして、そういう税金のかからない方々に対しては何の恩典もないということになるわけでございます。家賃の場合、それは全く基本的な生計費の一部に入るわけでございますから、税金で、所得税の世界で言いますと基礎控除のようなものでまとめて控除する。と同時に、そういうような税金の世界に入らない方々に対してどのような措置を講じたらいいのかと申しますと、それは税の世界ではなかなか難しいことになってくるわけでございます。唯一、これも大臣から申し上げましたが、消費税のように所得と関係なくかかる税、その税におきまして家賃に配慮をすれば、これはあまねくすべての人にその配慮が及ぶということで、消費税において考慮をしたというものでございます。 家賃控除とおっしゃいますが、主要諸外国の例も調べてみましたが、家賃控除というようなものを設けている国はございません。税制において納税者の個別の事情、生活費の上の事情を、一定のものを何といいますか、何から何までしんしゃくしていくということになりますと、税制は極めて複雑になりまして、結果的に非常に不公平な税制になってしまうということでございまして、税制上の、特に所得税制上の措置としてこのようなものはなかなか難しいと私ども考えております。
○宮地委員 建設省は昨年この問題について積極的に取り組みましたね。その取り組んだ背景、また意図、この辺ちょっと確認しておきたいと思います。
○伊藤(茂)政府委員 非常に広範な範囲にわたります住宅対策について、税の方から議論が出ているわけでございますが、従来の考え方を簡単に申し上げますと、やはり一般会計からのいろいろな補助金とか利子補給とか、そういう対策と減税というものが相まって、住宅対策全体として円滑に良質な住宅が供給され、居住水準が上がっていくという方向で働くようにという考え方で構成されております。 したがいまして、例えば先ほどローン減税のお話が出ましたが、これも新規の住宅取得あるいは新しく中古住宅を取得する、つまり前の住宅から新しい住宅に移るときに減税をする、こういうことでございますし、それから公庫融資にしましてもいろいろな補助金にしましても、どういうものができるか、新しいものができるかというところに力点があるわけでございます。 一方、賃貸住宅につきましては、なかなか良質ストックができないということで、公庫融資その他の低利融資を、政策融資を含めまして民間に対する支援措置がございます。それと同時に、大量の財政資金を使いまして公団住宅とか公営住宅を供給している、こういう体系になっておるわけでございます。 したがいまして、私ども、ローン減税もございますし、先ほど申されましたように、贈与税の特例もありますし、持ち家についてはいろいろ手厚くある。こういう状況の中で、従来の住宅対策の考え方の中で良質な賃貸住宅ストックをできるだけふやす、しかも適正な家賃負担のものをふやす、こういう政策の中で税でどういうものがあるかというのは長年頭を痛めてきたところでございます。現在の制度としては割り増し償却というのがございますし、それから固定資産税なんかにつきましては、これは直接家賃に相当響いて効果のあるものかと思いますが、そういうものにつきまして減税をお願いしているところでございます。 したがいまして、今後はやはり財政全体の中で一般会計の中から出ます金とそれから減税と両方合わせて整合性のとれた住宅対策をとりたいと思っておりますが、そういう中で先生の御提案を含めて検討させていただきたいと存じます。
○宮地委員 労働省はこの点についてはどういう考え方を持っていますか。
○若林政府委員 私ども、賃貸住宅に居住しております勤労者の方々の家賃負担の軽減と居住水準の向上に資しますために家賃控除制度の創設を要望してまいったわけでございますけれども、税制面のあり方といたしましては、ただいままでいろいろお話ございましたように、典型的な生計費である家賃だけを取り出して特別の控除制度を設けることについては問題があるということで見送られてまいったわけでございます。私どもは、このような議論とかあるいは今回の消費税の見直しの一環として家賃の消費税非課税が提案されておりますことを踏まえまして、今後十分検討してまいりたいと思っております。
○宮地委員 建設省、労働省は非常に前向きに今後とも検討していきたい、大蔵省だけはかたくなに非常に反対の立場をとっておる。総理、これはやはり閣内といいますか政府内で少し真剣に調整をして、やはり大蔵、建設、労働の調停役を私は買って出ていただきたい、こう思いますが、総理、お伺いしたいと思います。
○橋本国務大臣 今建設省の事務方並びに労働省の事務方から平成二年度税制改正要望の時点における考え方を説明されたと私は理解をいたしておりますが、税制改正そのものにつきましては、それぞれ同意の上政府としては平成二年度の税制改正案をまとめた、私はそう思います。
○宮地委員 なかなか総理腰を上げられないので大変残念ですが、よくこの意を踏まえて今後十分に検討をしていただきたい。きょうのところはこの程度で、また続いて同僚委員からも行われると思いますので、よろしくお願いしたい、こう思います。具体的な提案を含め、きょうは真剣にお願いをしているわけでございますので、政府としてもその意を受けとめてぜひ対応していただきたい、こう思います。 それでは、消費税問題等について少し議論を進めてまいりたいと思います。 平成二年度の今回のいわゆる予算、また政府の消費税法及び租税特別措置法の一部改正案、これを見ておりますと、まず消費税法の一部改正の第一条二項に「消費税の収入については、別に法律で定めるところによるほか、毎年度、社会福祉、社会保障その他の国民福祉のための経費に優先して充てるものとする。」こうなっておりますが、これは精神規定なんですか、それとも具体的な目標を持って対処されようとしておるのか、この点について伺いたいと思います。
○小粥政府委員 ただいまお尋ねの消費税見直し法案第一条二項の趣旨でございますけれども、この規定は、今般の税制改革におきまして消費税が将来の高齢化社会に備えるために導入された、こういう意味を持っておりますことを踏まえまして、今回の消費税の見直しに伴いまして、消費税収のうち国分については「毎年度、社会福祉、社会保障その他の国民福祉のための経費に優先して充てるものとする。」という趣旨規定を定めることといたしまして、消費税の使途を明確化したものと考えます。
○宮地委員 使途を明確にした、こういうことですね。 時間がありませんので、私数字を確認しますので、間違っておったら言っていただきたいと思いますが、社会保障関係費、平成二年度十一兆六千億、元年度十兆九千億、六十三年度十兆三千八百億、これで間違いないでしょうか。
○小粥政府委員 概数としてそのとおりでございます。
○宮地委員 そうしますと、平成元年度予算についてのいわゆる消費税の歳入、これはすべて、地方譲与税も入れますと約六兆六千五百億、間違いありませんか。
○小粥政府委員 そのとおりでございます。
○宮地委員 そうしますと、地方譲与税がこのうちの二〇%、約一兆三千三百億、残りの八掛けの五兆三千二百億、これが国税歳入。それで、さらにその中から二四%、一兆二千七百億、これは地方交付税、差し引きいわゆる国の会計での消費税歳入は全体の約六割で四兆五百億、この数字、間違いないですか。
○小粥政府委員 四兆四百三十二億円、概数でそのとおりでございます。
○宮地委員 そうしますと、先ほど申し上げた社会保障関係費ですね、六十三年度で十兆三千八百億。それで、元年度で消費税を導入したときが十兆九千億、六十三年度と対比しますと約プラス五千二百億、平成二年度の本予算においては十一兆六千億で、元年度に比べてプラス七千億。そうしますと、消費税を導入する前の六十三年度の社会保障関係費と、導入して二年度に入った平成二年度の社会保障、この差というのは一兆二千二百億、こうなるわけですね。平成二年度で、今主計局長がお答えのように約四兆五百億、これが国の消費税歳入においていわゆる社会保障に回せるひとつの予算額、こう見てよろしいですか。
○小粥政府委員 ただいま御指摘のように、平成二年度で地方交付税に回ります分を除外をいたしました国分は、お尋ねのように四兆約四百億でございますから、優先して社会保障に充てると規定されました国分の消費税収が、今申し上げました四兆約四百億、したがいまして、二年度の社会保障関係費十一兆約六千億にこの分が優先してまず充当された、こういうことでございます。
○宮地委員 ここが非常にわかりにくいのですね。お札にこのお札は消費税のお札でございますと書いてありませんからね。十一兆六千億で元年度に比べて七千億プラスになっておりますが、率直に国民の目から見れば、消費税が導入されても社会保障関係費というのは前年度から比べていくとそんなにふえてないな。消費税を導入しなかった六十三年度と元年度のいわゆる社会保障関係費のプラスというのは五千二百億ですから、導入した後においては七千億ですから、これは総予算のパイがふえたと考えれば、伸び率から見て、また額から見ても、別に消費税が導入されたから恩典を受けたのかな、私はそうストレートにつながらないのじゃないか。根っこから消費税のこの四兆五百億が入っているのだ、こう言われれば我々はそうですかと言わざるを得ませんが、その点の歳入と歳出の関係が非常に私は不明瞭である、わかりにくい、国民から見て。 そういうことを考えたとき、例えばこの四兆五百億、いわゆる消費税の約六割が大蔵省のフリーハンドで使える財源ですから、ここの六割の部分については何らかの特別会計を設置して、そして社会福祉、社会保障に限定して回せるような、そういうことも検討できないのかな。財政運営の上からあるいは予算措置の上からすれば、大蔵省はフリーハンドを持っている方がこれは確かにやりやすいと思いますけれども、この第一条第二項をつくったということであるならば、そのくらいのことも検討していいのではないか、こう思いますが、この点については、大蔵大臣。 〔原田(昇)委員長代理退席、委員長着席〕
○橋本国務大臣 私は、委員のお考えは確かに一つの考え方として首肯できるものである、基本的にそう思います。ただ、同時に申し上げたいことは、その消費税の地方分というものは使途を限定することは、特定することは困難でありますから、厳密な意味での目的税とすることには困難があるということをまず御理解をいただきたいと思います。 また、その国分についてということでありますけれども、私自身が、昨年大蔵大臣に就任をいたしました時点で福祉目的税という御議論がありましたことから、福祉関係の方々にもいろいろな形で意見を伺ってまいりました。そして、そのときに出てまいりました中に、厳密な意味での目的税とすることにつきましては、福祉が税収によって逆に拘束を受けるのではないか、制約を受けるのではないかという福祉関係者の非常に強い心配がありました。また同時に、将来高齢化による福祉の進展に伴って税率がどんどん引き上げられてしまうのではないかというその裏腹の心配もございました。こうした御意見等も考えてみますと、まさに目的を明示し、趣旨を明らかにしながら、厳密な意味の目的税としてこれを固定することはむしろ問題があろうかと思います。
○宮地委員 私は決して福祉目的税をやれとは言っているのじゃないのです。福祉目的税をやればいろいろとまた制約を受けるので、そうした特別会計の中に入れて社会福祉に運用していく、国の歳費の六割についてはそうすべきではないかと一歩譲った質問をしているつもりなんです。局長の方の見解を伺っておきましょうか。
○小粥政府委員 ただいま大臣から、特別会計を設けることも目的税化の一環として通常は受け取られるわけでございますから目的税の考え方はとらないということをお答えされたわけでありますが、仮に先生のお尋ねのように、目的税という考え方はとらないが、なお特別会計経理、こういう考え方についてはどうか、こういうお尋ねとして私の考え方を申し上げますが、社会保障関係費につきましては、御存じのように、現在、一般会計のほかに厚生保険特会、船員保険特会、国立病院特会、国民年金特会、それから労働保険特会と五つ特別会計が設けられております。このように既存の特別会計が既に五つございます。そこへいわば屋上屋を架するという形で特別会計をもう一つ新しくつくるということになりますと、端的に申しまして、かえって予算が大変複雑でわかりにくくなるのではないか、こういう問題があるように考えます。 それからまた、これを統合いたしまして社会保障関係費を一元的に経理する特別会計をつくったといたしますと、例えばその規模を仮に考えてみましても、歳出ベースで二年度予算を基準にいたしますと約三十七兆円、そのように大変大きなものになります。一方、平成二年度の一般会計の一般歳出のベースで考えますと、これが約三十五兆円でございますから、仮に新しく特別会計を、社会保障関係費一まとめにしたものを考えますと、どうも一般歳出の総体の規模を上回ってしまうということになりまして、一般会計が国の予算をいわば総括をした形で、一覧性と申しますか一括をしてまとめて、これが外から明瞭に見られる、そういういわば総覧性があるかどうか。そういう点でも問題があるように思いますので、私どもといたしますと、先生の御指摘ではございますけれども、そのような特別会計を新たにつくるという点についてはいろいろ問題がある、こんなふうに考えているわけでございます。
○宮地委員 大蔵当局としてはできるだけフリーハンドを持ちたいでしょうから余り縛りをかけられたくない、その気持ちは十分に私もわかりますけれども、この消費税法の第一条二項を創設する以上は、相当な具体的なそうした仕掛けもつくっておくことも国民の側から見れば私は当然のことではないか、こう思いますので、これは強く私の意見を述べさせていただきたいと思っております。 そこで、もう一つ大事な問題は、いわゆる簡易課税制度とか限界控除、免税点問題、こうしたいわゆる見直しをするところの今回の見直し案では、時間的に徴収が三月決算が五月末まで来る、こういうことでいわゆる国民が納めた税金が国庫に納付されない、こういう問題のところについては、いつごろ政府としてはここのいわゆる見直しをやろうとされておるのか。大体徴収結果が整理されるのが七月末ごろか。そして今回、簡易課税の八〇%、九〇%のところは政令で見直せるようにしたい、限界控除と三千万免税点は法改正である、ちょっと二段構えになっているわけですね、中身が。そうすると、法改正の方は場合によっては次の通常国会までいくのかな。政府税調あるいは自民党内の税調も通さなければならないでしょうから、この辺のスケジュールといいますか、我我これを入れますと再見直しのところに入ってくると思うのですね。ここのところは今後の対応を含めてどういうふうに考えておられるのか。
○尾崎政府委員 平成二年度の税制改正の要綱、これは平成二年一月十二日に閣議決定しているわけでございますが、そこで、その「簡易課税制度のみなし仕入率を政令事項とする。」ということを決めまして、それと同時に「簡易課税制度、事業者免税点制度等のあり方については、消費税の申告・納付が一巡する平成二年五月までは実態把握を行い、これらの制度をどう見直すか十分検討のうえ提示することとする。」というように定められております。先生御指摘のように五月末まで実態把握を行いますが、全国の税務署から関係資料が上がってまいりまして、それを整理をして検討の資料とするというのにはやはりある程度、先生二カ月とおっしゃいましたが、大体そのぐらいかかるのではないかというように言われております。それから、その資料を整理いたしまして、それを税制調査会にお諮りをして、そしてどのように対処するか検討をしていただくわけでございます。今見当がつきますスケジュールはそこのところまででございまして、税制調査会でできるだけ早く結論を出していただくよう私どももお願いしてまいりたいと存じます。
○宮地委員 我々は消費税については反対の立場でございますし、この総選挙も廃止を求めて選挙公約をしてきた立場であります。特にこの消費税については、さきの竹下総理が九つの懸念ということを本委員会でも出されました。逆進性の問題、これをいろいろ手当てを歳出あるいは歳入面、見直し等でしておるといっても、やはりまだまだこの逆進性は緩和されていない。特に今回軽減税率を用いて、生産から卸までが一・五%、小売非課税、複雑怪奇なこうした軽減税率を導入をして見直しをした。こういうような対応を見ましても、帳簿式という現在の消費税の状況を見ますと、現場においては大変なやはり混乱を招くのではないか、また、価格に転嫁するといってもこれは非常に難しいのではないか、非常にまだまだ問題点がたくさん残っております。 ましてや、いわゆるねじれ現象と言われているように、衆議院では自民党が過半数を持っておりますが、参議院では野党が過半数である。こういう状況になりますと、我々の提出する廃止法案も衆議院では否決をされる、政府の見直し案も衆議院は通っても参議院で否決をされる、相打ちになる。果たしてその相打ちになった後どうするのか、これが非常に今後の国民の関心と、また国会が汗をかかなければならない重要課題であろうと私は思っております。この点については総理は、まず内閣としてこうした政治情勢の中においてどう存続、見直し存続か廃止かというこの消費税の取り扱いについて内閣としてはどういうふうに考えておられるのか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 内閣としてはどう考えるかというお尋ねでございますが、内閣としては、今行っております消費税そのものが国民の皆さんからいろいろ御指摘を受けた御不満等もあったわけですから、謙虚に反省もして見直し案を提出しておるわけでございますから、お述べになりましたようなもろもろの事情をひとつぐっと乗り越えていただいて、そして高い次元に立っていろいろ御議論をいただく、与野党で御議論をいただいて、見直し案が成立し、定着していくことを心から期待をして願っておる次第でございます。
○宮地委員 今後は、これは国会運営の問題でございますから各党間でいろいろ協議をして、この問題の対応が今国会中から始まっていくと思いますが、私たちも、本来の税制改革というものはまずやはり不公平税制の是正、ここから改革の第一歩をやっていくべきである、そして所得税については総合課税化というものをやはり再構築していくべきである、特にこの資産課税の適正化問題については非常に、いろいろ工夫はされておりますが、我々としてはまだ不満足である、こういうような、税制再改革という一つの道筋の中で今後の日本の税制はどうあるべきか、こういうことをやはり検討していくべきではないか、こういうふうに考えておりますので、消費税については私どもはやはり一度凍結なり廃止をして、そして出直しをしていくという、そういう立場を持っているのが公明党でございます。この点については党の主張をしておいて、この問題を次に移させていただきたいと思っております。 時間がなくなってまいりましたので、私は次に外交、防衛関係にちょっと先に移らしていただいて、もし時間があれば円安・ドル高問題等についてまた戻していきたい。 特に外務大臣と防衛庁長官に伺っておきたいのですが、最近の東ヨーロッパにおける新しい変化あるいはソビエトにおけるこうしたペレストロイカという新しい変化、こういう変化に対応して日本の今後の外交のあり方。日米基軸あるいは日欧、日米欧、これを基軸として日本の外交が行われてきたわけでございますが、一つはやはりドイツの統合という問題、そして一九九二年のEC統合という、こういう新たな事態、ヨーロッパにおけるこういう変化は我々日本外交においても非常に注目をしていかなければならない。ある意味では今までは西欧中心の外交を、全ヨーロッパ中心に変えていかなければならない、こういう一つの外交の基本にかかわる問題が一つあります。また、極東アジアにおきましても、御存じのように韓国とソビエトの経済的な接近が非常にいろいろ言われております。朝鮮半島情勢というもの、これがやはりいまだかつてない状況の変化ができてきております。この点のやはり朝鮮半島情勢をにらんでの今後の外交のあり方、これも非常に私は重要ではないか。もう一つはやはり対ソ外交の問題であろう。 この三つのまず一つの「ホシ」に対して外務大臣としてはどういうような考え方、方針をお持ちなのか、伺っておきたいと思います。
○中山国務大臣 委員御指摘のように、昨年の六月以降東ヨーロッパでは歴史的な変革が相次いで起こりまして、十二月の末のルーマニアの大変化に至ったわけでございます。一方、御指摘のようにECは九二年の統合に向かって着々と各国間の協議が進んでおると思います。こういう中で、ソビエトにおいてはペレストロイカ、またグラスノスチという新政策が次々と打ち出され、憲法の修正が行われておりまして、大統領制が導入されてきた。 こういう中で私どもは、ヨーロッパの変革というものは、特に東ヨーロッパの変革というものはもう逆行するものではない、これはもうただ前へ向かって動いていくだろう。しかし、ECの統合を踏まえて、この変化を続ける東ヨーロッパの国国、またEFTAの関係、このようなものはこれから九〇年代の次の世紀へ向かって一つの大ヨーロッパを形成していく可能性があるんではなかろうかという認識に立っております。 また、ソビエトにおけるペレストロイカの状況は、実は昨日、OECDの幹部が日本を訪問されてお目にかかりましたけれども、OECDの見方からしましても、まだまだソビエトにおける経済改革は不透明であり不確実であり不安定、こういうふうなお話をされておられました。こういう中で、先生も御案内のように、欧州開発投資銀行というものの設立が昨日確認をされまして、アメリカが一〇%、日本が八・五一七五%、ECは五一%、四十カ国、二機関でこの銀行を設立することになり、この五月の末にこの調印が行われる、現在このような動きが出てきております。これで日本はその中に出資をすることも政府として方針を決めておりますけれども、こういう形でヨーロッパにおける日本の立場あるいは関係というものが今後発展していくように政府としては努力をしてまいりたいと考えております。 また、アメリカとの関係におきましても、日米欧という関係を構築する上で、日米間のただいまの日米構造の障害を排除する協議が現在中間報告を経て最終報告に向かっており、この問題を解決して日米間で新たなフレームワークをつくる話し合いも既に大統領から提案をされておりますが、やがて日米欧の強化、これを図っていかなければならないと考えております。 先生御指摘の第二点の問題は、朝鮮半島の問題でございまして、この軍事境界線を境にして対峙しておる南北朝鮮の話し合いというものが、一日も早く前へ向いて進むことを私どもは大きく期待をし、この環境醸成のために日本政府としてはできるだけの努力をしてまいらなければならないと考えております。 ちょっと言葉を修正させていただきます。欧州復興開発銀行でございます。 そういう中で、対ソ外交は御案内のように、私どもはこの二国間の問題としてまだ平和条約が結ばれていない、こういう状況でございますけれども、できるだけ速やかに我々の、国民の念願である北方領土問題の解決ができて、日ソ間に平和条約が締結されるように努力をしていかなければならない、このような考え方で現在おるわけであります。
○宮地委員 特に、私はドイツ統合の動き、これは注目をしていかなきゃならないと思います。経済的にも当然、既に新マルクの問題とかあるいはEMUの問題とかいろいろ出ております。そういう点でやはり全ヨーロッパ、特にドイツの動向というのは日本外交についての一つの「ホシ」ではないか。 また、朝鮮半島におきましても、ベルリンの壁があのような状態で取り払われまして、一番やはり緊張的な立場にあるのが今北朝鮮ではないか、こういう感じがするわけです。そういう点でやはり北朝鮮を極東アジアの中で孤立化をさせてはならない。やはり私は、その立場を尊重して対応していく一つの重要な役割が日本にあるんじゃないか、傍観視しておくということはやはりできない状況にあるんではないか、そういう点で、私は北朝鮮に対する、孤立化をさせない日本政府としての対応、これも非常に大事ではないか。この点についてどういうふうに外務大臣お考えになっておるか。 時間がありませんが、そうした情勢の中で、今まで人権上の大きな問題として今日本に二つの北朝鮮との関係がある。一つは御存じの日本人妻の問題であり、一つはやはり富士山丸の船長さんの問題であります。私は、こうした問題も、やはりこうした新しい変化に伴って政府として積極的に取り組んでいくべきではないか、こう思っておりますが、この二点について外務大臣の所見を伺っておきたいと思います。
○中山国務大臣 委員お尋ねの北朝鮮に対する我が方の政府の姿勢でございますが、御案内のように、まず第一には、北朝鮮をできるだけ日本としても孤立をしないような形であの国が開放されていくように努力していかなければならないと考えておりまして、北京におります橋本大使を通じ、中国の政府を通じて、北朝鮮に対しても日本側のいろいろなメッセージを送っております。 特に北朝鮮で六年間拘留されておりますこの二人の漁船員の釈放につきましては、そのラインでお願いをいたしておりますし、またこの抑留されている二人の健康状態につきましては、国際赤十字機関を通じまして鋭意努力をいたしておりますが、今日まで残念ながらまだ我々の満足する回答が得られておりません。 日本人妻の帰国問題につきましても、日本政府としてはいつでも受け入れる考え方を持っておりますけれども、既に朝鮮人民共和国の国籍を取得されておられるわけでございまして、この相手国の政府の考え方で旅行制限を受けておられるものと私どもは理解をいたしております。
○宮地委員 総理、この問題は非常に大事な問題ですから、これは総理にちょっと所見だけ伺っておきたいと思うのですね。 総理も御存じのとおり、日本人妻の問題ですね。北朝鮮に日本人の妻が行ってお一人もいまだに帰ってこれない。これはちょうど昭和三十四年の二月に、当時藤山外務大臣が、この帰還協定というものを閣議了解いたしまして、日本にいた北朝鮮の在日北朝鮮人を北朝鮮に帰還できるような協定を結んだ。それ以来、三十四、三十五、三十六と、この三年間に約九万三千人、日本人妻も約六千人、今音信のできる方は八百人ぐらいだそうです。一人も帰ってこれない。 こういうまだ戦後の、非常にある意味では処理がされてない状態が今日まで続いているわけです。外務大臣も今非常に日赤を通じて努力されておる、こうおっしゃっておりますが、やはり総理としても、この問題は人権の問題としてまた非常に大事な問題でございますので、今後積極的に取り組んでいただぎたい、こう思うわけですが、総理の所見を伺っておきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 今お話を承っておりまして、私もいわゆる日本人妻問題についてはこれまで日赤ルート等を通じいろいろ努力をしてきた、また、たしか記憶に誤りなければ、我々の同僚の江藤議員が先頭に立って、この問題の議員連盟をつくって努力をされたこともよく承知しておりますが、それらの事ごとが北朝鮮側から望ましい反応がまだ来ておらないということでございます。これからは粘り強く、人道的な立場もあって、この問題の解決に向かっては努力をさせていただきたいと考えます。
○中山国務大臣 ちょっと一言訂正させていただきたい。 私、先ほど申し上げました国名の呼称の中で民主主義という言葉が抜けておりました。改めて訂正をさせていただきます。朝鮮民主主義人民共和国でございます。
○宮地委員 防衛庁長官にお伺いをしておきたいと思いますが、先ほど来からの、やはり米ソの冷戦状態が終結をしてきておる、世界は非常に今情勢がデタントに変わってきておる、そういう中で中期防も今年度で一応終わるわけですね。来年度からはポスト中期防、こういう情勢になるわけでございますが、特にこのポスト中期防について長官、今どういう考え方を持っておるのか。特に三本柱の方向性、こうした問題についてお伺いしておきたいと思います。
○石川国務大臣 防衛は外交と言われるような関係でありますから、今先生がおっしゃいましたように、今世界の流れ、動きというものは、まことに過去の十年が一日のような激しい動きになっていることは先生の御指摘のとおりでありまして、それで、その働きというもの自体が私どもから見ると好ましい方向に今進んでいる、こういう認識に立っているわけでありますが、しかしそうはいいながらも、その基本的な点を眺めると、やはり力の均衡といいますか、そういうものが依然としてある。そういう中におきまして、これから次期防を策定する段階に立っているわけであります。 次期防の内容につきましては、一昨年十二月の安全保障会議における討議を踏まえまして、国際情勢、軍事技術の動向、経済財政事情等を勘案をしながら、安全保障会議を中心に政府全体としてこれを総合的に検討が進められていくわけであります。したがって、具体的なその内容につきましては、今の段階ではまだ述べる段階ではございません。しかしながら、防衛庁としては、先ほど申しましたような国際情勢の動向や中期防で大綱水準がおおむね達成することなどを考えまして、量的拡大を図るよりも、むしろ後方分野を含めて全体として効率的で均衡のとれた防衛力の整備をしていきたい、こういう考えに立っているわけでございます。 強いて、その具体的なことはまだ定まっておりませんが、その方向ということで申し上げますならば、まず一つには、正面装備については量的拡大を図るよりも、むしろ将来方向を展望しつつ質的向上を図ることを基本としていきたい。そしてさらに二点としては、むしろ正面装備よりは、その能力を有効に発揮するための情報、指揮・通信等の各種支援能力の充実を図る。三番目に、人的資源の制約等を考慮いたしまして、隊員施策の充実を図るとともに、防衛力全般にわたる効率化、合理化の徹底により省力化を図ることを重点としてこれから考えていくべきではなかろうかな、かように考えているわけであります。
○宮地委員 今、国際情勢の変化に対応して、ポスト中期防は正面装備については量から質的な向上、第二番目に後方支援のこちらを重点的にやっていく、要員については効率化、合理化を図っていく、こういうような状態を御報告されました。 特に、平成二年度の防衛予算四兆一千億の約四〇%が、これが人件費ですね。そういう中で陸海航空の状態を見ましても、十八万人の目標といっても、現実には募集状況からいっても要員が集まらない。そういうことで、二月末現在でも約十五万二千、海上自衛隊においても四万六千五百二十の定員に対して四万二千八百、航空自衛隊においても約四万七千九百六十七に対して、二月末実際四万四千五百。こういうふうに見てまいりますと、私は、もうこうした陸海空の要員においても実質的に目標を変えて、十八万人なんていったって集まらないんですから、現実は大体十五万二千なら十五万二千に凍結する。あるいは海においても四万六千五百、これが大体四万三千七百、約四万四千です。空においても約四万八千に対して四万五千。この辺はやはり目標設定を変更して、そして人的な効率化、合理化、こう言っていますが、やはり人件費が一番多いわけですから、年間大体六千人から七千人隊員が退職しているという状況ですから、ある意味では私は、陸十五万とか海四万三千とか航空は四万五千とか、こういうところで凍結をして防衛費の縮減、こういうものを検討していくべきではないか。 あるいは、装備費についても非常に後年度負担が、イージス艦等を購入しまして、ことしの予算を見ても非常に後年度負担がふえてきています。そういう点で、やはり中身をもう一つここで次期防の段階で精査をして、それで国際情勢に見合った、ある意味では少数精鋭主義、こういうような形に変えて、余り防衛予算を拡大をして世界の国国から日本の軍事大国化とかあるいは脅威をあおるような、世界情勢の変化に逆行するような予算措置はすべきではないのではないか、こういうように私は考えているわけですが、防衛庁長官、今のこの三本柱、ごもっともですが、今度中身としてそういうような決意があるのかどうか、この点について伺っておきたいと思います。
○日吉政府委員 具体的な御指摘がございましたので、私の方からはお答えをさせていただきたいと思います。 まず、自衛隊員数には定員と現員との間に、先生ただいま御指摘のように差があるのは事実でございまして、欠員を陸海空それぞれ、特に陸上自衛隊が多いわけでございますが、抱えていることは事実でございます。ただ、これはすべて一〇〇%であることが最も望ましいことではあろうかと思いますけれども、有事に緊急に充足し得るような職域とか部隊等につきましては、平素の教育訓練とか部隊運営等に重大な支障を来さないという範囲内で、ある程度充足率が下がっておっても、下げておくこともやむを得ないのではないか、そういうふうな考え方に立っております。したがいまして、陸海空自衛隊を見ましても、その自衛隊の性格によりまして、陸上自衛隊の方が充足率が低くなっているわけでございまして、こういう点は各国の軍につきましても、おおむね同様のような状況にあるものと私どもは承知いたしております。したがいまして、これらの欠員の人間につきましては、当然現員がないわけでございますので、給与等の予算措置もなされていない、こういうふうな状況になってございます。 ところが、この現員に定数を合わせればいいではないかというような御意見もあらうかと思いますけれども、これは有事に必要な人的枠組みとしてやはり定数というものは必要でございますので、定数と充足率とを同じ次元で議論をする性格のものではないのかと思います。しかしながら、委員ただいま御指摘のように、私どもは今後、社会構造上なかなか人間の確保ということが難しい状態になってきておりますので、さらに省力化の努力を続けていく必要があろう、かように考えております。 それから、主要装備等につきましても、装備そのものが調達リードタイムが非常に長いものでございますから、当然に後年度負担という問題が生じてまいりますけれども、できるだけ後年度の財政事情あるいは防衛予算の動向等を展望しながら後年度負担の節減にも努めていきたいと思います。 そういうような観点に立ちまして、私どもは大綱に定めております、憲法が許しております自衛のための必要最小限度の範囲内におきまして、日本が独立主権国家として平時から持っているべき基盤的な防衛力の整備を着実に進めていくというようなことで、決して節度を失うようなことのないように今後とも努力をしていきたい、そういう観点から防衛力の整備を図っていきたい、かように考えております。
○宮地委員 時間が参りましたので、これで終わります。関係の大臣に御質問できなかったことはお許しいただきたいと思います。ありがとうございました。
○越智委員長 これにて宮地君の質疑は終了いたしました。 次回は、明十二日午前九時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時三十一分散会