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118回国会衆議院1990/04/06

予算委員会 第5号

発言数
227
登壇者
23
会派数
2
開催日
1990/04/06

会議録

越智伊平自由民主党

○越智委員長 これより会議を開きます。  平成二年度一般会計予算、平成二年度特別会計予算、平成二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  この際、公聴会の件について申し上げます。  公聴会の開会日時につきましては、さきに委員長に御一任いただいておりましたが、来る四月十七日、十八日の両日開会することになりましたので、御報告いたします。     ─────────────

越智伊平自由民主党

○越智委員長 これより総括質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 まず、海部総理にお尋ねしたいと思うのですが、昨年七月のあの参議院選挙、主権者である国民の皆さん方はあのような厳粛な選択をされたと思います。現在、参議院におきましては、与党は少数、野党が多数という政治状況であります。今回の総選挙によりまして、自民党は衆議院におきましては安定多数を確保されました。しかし、この参議院における野党優位という状況は変わらないと思います。このような状況を称しまして、一部の人たちは衆参ねじれ現象であると、こう言っております。海部総理は、現在の政局をねじれ状況、このようにお考えになりますか、どうお考えですか、その点をまずお伺いをしたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 昨年の参議院選挙の結果は、今御指摘のとおり、議席数が与野党逆転をいたしました。その結果は、厳粛に、厳しく受けとめてまいりました。今年の衆議院の総選挙におきましては、国民の皆さんの審判で、自民党は安定多数をいただくことができました。このことも謙虚に受けとめさせていただいております。  その中で、今書記長おっしゃったように、これを、私は余り好きな言葉ではないのですが、ねじれ現象と、こう一般的に言われておりますけれども、要するに衆議院の方と参議院の方と与野党の議席数が違う、そういう状況の中でいろいろ想定されるべき問題が多いと思いますが、端的に言うと、衆議院で与党が多数でも参議院で与党が少ないから衆議院で通る法案が通らないぞ、そういうときにはどのような態度で臨むかというようなことであるとするなれば、これはもう誠意を持っていろいろお話し合いをさせていただいて決着ができるような努力を尽くしていかなければならないと、これは政府も与党もともに考えておる考え方であろうと私は思っております。  特に、政府といたしましては、そのような現象が起こった後の国会においても、幸いに各党の皆さんの精力的な御議論をいただき、国民生活に非常に大きな影響のある土地基本法とかあるいは年金改正法なんかが国会では通過成立させていただけたわけでありますから、お話し合いを通じて議論を深めることによって、国民生活のために議会がその機能を果たしていかなければならぬというのが大きな前提になる目標である、こう思いますので、お話し合いに謙虚な気持ちで臨んでいきたいと思いますから、野党の皆さんにもどうぞ高い次元に立って御協力を賜りたい、こう思います。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 政府も与党もとおっしゃいましたですね。ところが、与党の小沢幹事長が新ルールを採用したいということを突如として言われました。予算委員会が平静に進行中に、いや、この補正予算関連法案は一括審議だ、一括処理だということで関係閣僚を当該委員会にみんな張りつけるというようなことを突如として提起をいたしまして、国会が約二週間にわたりましてあのような状況になったことは、総理もよく御存じだと思います。  そのとき、実は小沢幹事長と私、書記長・幹事長会談をいたしました。私はそのときに小沢幹事長に対して、この新ルールとは一体どういうことですか、こうお尋ねをいたしました。そうしましたら小沢幹事長の言うのは、衆議院と参議院で多数派が異なっている、特に法律の場合は衆議院で通っても参議院で否決をされる、廃案になる、そういうことが起こるかもしれない、その場合、それが今の国会のねじれ現象であるということで、そのことを国民の皆さん方によく理解をいただく、その必要があると思う、こういう話をされました。  私はその際言ったのです。あなたの言うねじれ現象という認識は間違いだ。国民の皆さん、主権者です。昨年の参議院選挙にはあのような厳粛な審判をされた。そうして今回の総選挙では、主権者である国民の皆さん方があのような審判をされた。そうして衆参の多数派が異なっている、こういう状況。憲法を見れば、憲法は二院制度というものを採用している。衆議院、参議院。そうして両院の議決が異なるということをあらかじめ想定されたんでしょう、憲法五十九条、憲法六十条、六十一条におきまして、その場合の扱いをどうするかということが規定されている。両院協議会という制度も規定しておられる。だから、今の状況というのは憲法が想定した正常な姿だ、こう言っても差し支えないのではないか。そういう中で、今海部さんが言ったように、お互い与野党が衆知を集めて国民のためにどうするかということで真剣に努力をすることが必要だと私は思う。しかるに、あなたは、法律が衆議院で通ったが参議院で否決された、廃案やむを得ない、法案がつぶれても今の国会の現状がこうなんだから、そのことをよく国民の皆さん方に知ってもらえばいいという考え方は、憲法が認めた両院制度、しかも憲法五十九条、六十条、六十一条が定めているその場合の扱いの仕方というものを無視する、いわば党利党略ではないのかということを実は申し上げたのであります。  海部さんのお話を聞いておりますと、両院多数派が違ってもその中で国民のために真剣に話し合いをしようではないかというお話です。ところが、政府も与党もと言いましたが、与党の方の考えは違うようですから、その辺は一体海部さん、総裁としてどうお考えなんですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 国会の運営につきましては、私は基本的に、今山口書記長に御答弁をしたとおり、そのようなことで話し合いを続けていかなければならない。そうでありませんと、選挙の終わったときの数の背景だけで、もうこれは終末もすべて処理の方法もわかってしまうんだというのでは、何のために議会政治があるのかという根本的な問題にもぶつかるわけでありますから、議論を通じてやっていただきたいということの気持ちは変わりありません。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 そのような総裁の考え方が与党によく理解されるというか、与党によく浸透するように総裁として努力すべきではないかという私の考え方をこの際申し上げておきたいと思います。  そうしますと、海部総理は、今の現状はねじれというようなものではない、憲法が想定した二院制度のもとにおけるあるべき議会制民主政治の一つの姿であるというふうに理解をしているということですね。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 憲法はいろいろな場合を想定して規定がずっと決まっておりますので、こういう結果があるべきものなのかどうかということは、立場が違いますと見解も違ってきますから、私は、あるべき姿として憲法が予想しておったとは思いませんけれども、選挙の結果、民意の反映の結果、このような姿もあったときには両院で協議をするのがいいではないかというルールを憲法には決められておるんだ、私はこう思いたいのですけれども、よろしかったら専門家の法制局長官がおりますので、憲法解釈の答弁はそちらの方に譲りたいと思います。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 憲法が少なくとも想定した状況であるということはお認めになりますね。そういう中で憲法五十九条、六十条、六十一条、この規定で予算、条約の場合は衆議院の議決が優先をする、法案の場合は憲法五十九条によって両院協議会の議が調わない場合は衆議院において三分の二以上の多数がなければ廃案となる、こういう状況だ。とすれば、結局法律の場合はやはり与野党が、昨年の第百十六回臨時国会におけると同じように、あの年金の六十五歳年金支給開始年齢を繰り下げるというようないわば条項は削除をする、そうして土地基本法につきましても野党側の要求を入れて基本法を制定する、こういった姿こそが私は憲法が想定していると思うのですが、そういった状況というものを、海部さん、議院運営委員会の理事もされて、議院運営委員長もされました、一緒に私も仕事をしたことがあるわけですけれども、そういう意味で、やはり真剣に与野党が話し合いをしてこの問題については対応すべきだという考え方は、これは海部さん、よろしいですね。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 今おっしゃったとおり、与野党がいろいろな立場で意見の違いがあることは、これは当然のことでありますけれども、その意見の違いは議論を通じて、法案が出されたときにはお互いに議論をする、そしてこの前の土地基本法のように、年金法のように、お互いの合意を得て法案が成立をし、前進をしていく、それが憲法が想定しておるといいますか、あるべき姿の一つである、私はそのように思います。異存ありません。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 過般の問題は、財政法二十九条の問題をめぐって与野党の議論が分かれました。私は、戦前のあの忌まわしい記憶、戦争中臨時軍事費というものをどんどんどんどん計上する、当初予算は少なくとも、補正予算でもって臨時軍事費、軍事費をどんどん膨張させていった、あるいはその財源として公債を限りなく発行した。したがって、財政法四条はその反省の上に立って、赤字公債の発行というものは原則としてこれを禁止をしている。そうして、補正予算についても財政法二十九条でこれはきちっとした枠をはめておる。私は、この二つの規定は極めて重要な規定だと思います。  したがって、今回私たちがあの平成元年度補正予算に対して、この財政法二十九条は守るべきだということを強く主張したことは、海部さんも理解をされると思います。財政法二十九条、今後とも尊重するおつもりでございますか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 政府は、今までも財政法二十九条は尊重してまいりました。これからも当然尊重はしてまいります。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 総理も同じですね。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 財政法二十九条は尊重してまいります。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 そこで、憲法が規定している両院協議会というものがございます。今回は、平成元年度補正予算に関して、また暫定予算に関して両院協議会が開かれたということでございます。  問題は、両院協議会の根拠規定は一体何かというので、私も見てみました。そうしましたら、両院協議会規程というのがございます。昭和二十二年七月十一日参議院で議決をされ、同年同月十二日衆議院で議決をされて発効いたしております。  これを見ますと、わずか十四条の極めて簡単な規程なんですね。しかも、両院協議会で一体どのような議論がなされたのかといいますと、これは衆参の本会議においてごく簡単に報告がなされるだけであります。議事録も配付されるようでございますけれども、問題は、ほとんど議論の内容は懇談の形でやっておるものですから、議事録を見ても何が話されたかさっぱりわからぬ、議員が傍聴しようと思っても傍聴もできない、内容もわからぬ、これでは私は問題ではないかと思うのです。  これから、海部さんもお認めになりましたように、憲法の規定によって、衆参の議決が異なるということがこれは起こり得る可能性ありと見なきゃならないと思います。その場合、その状況を解決するための手段は両院協議会しかないわけですから、両院協議会が開かれることも数多くあるかもしれません。そうしますと、両院協議会の任務というものは大変今の政局では重要だということになるだろうと思います。といたしますと、この両院協議会に対して議員の皆さん方の関心も高まるでありましょうし、また、主権者である国民の皆さん方も、両院協議会で一体どのような議論がなされているのか、関心というものが高まるのは私は当然ではないかと思うのですね。  海部さん、総理はこの両院協議会規程というのをごらんになったことありますか。これでは不十分だというお感じをお持ちになりましたか。どうでしょう。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 私の議運の理事のころには、両院協議会の開催されたということは寡聞にして知りませんでしたので、今御指摘の十四項目の規定がどうなっておるのかは、まことに申しわけありませんが、詳しく熟知をいたしておりません。けれども、両院協議会がこれから大切になっていく、また、現にいろいろと、今国会は初めから両院協議会が時々開かれておるということも事実でございますから、私もそこのところをよく研究してみます。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 確かに、総理や私が議院運営委員会の理事をやっておるころは、両院協議会が開かれなかったことは事実でしょう。しかし、今、総理になりましてから両院協議会というものがしばしば開かれる、しかも最近相次いで開かれているわけですから、そうなれば、当然両院協議会の規程がどういうものかということに少しぐらい関心があってもおかしいはずはないと思うのですね。どうです、見て。今ごらんになっているようですけれども。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 両院協議会のことに関しましては、昨年私が首班指名のときに衆議院と参議院で異なった指名を受けまして、両院協議会を開いていただいて私が指名を受けたという事の経緯にかんがみ、両院から十名ずつの代表を選んで協議会をつくり、議長を互選し云々ということは、そのときもずっと見た記憶がありましたので、今念のため、もう一回見ておるわけであります。ここに書かれておるとおりだと思います。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 海部総理はよく三木元総理の弟子だと言われる。三木総理はよく議会の子だと言われた。したがって、海部さんは議会の孫と言われることもあるでしょう。ところが、今総理が御指摘のように、あなたが総理に選ばれたときは、まさに両院協議会によって生まれたわけですから、海部総理は、そういう意味では両院協議会の子ということになるのじゃありませんか。そうでしょう。とすれば、両院協議会に対しては人一倍関心があって私はしかるべきではないか。当然関心を持つべき総理ではないかと、こう思うのです。  そこで、私は具体的に考えを申し上げたいと思うのです。  これは、衆参両院で御議論される問題ですから、直接総理がどうこうするという問題でないことは私もよく承知をいたしております。ただ、問題は、議事録というものを出しても極めて簡単なんです。その理由は、始まってもすぐ懇談ということに切りかえてやりますから、その間はこの議事録というものはない。だから、頭と最後だけあるだけであって、どういう議論がされたかということは、議員自体もさっぱり議事録を見てもわからぬ。それでは傍聴しようかといっても傍聴はできない。こういう状況です。ましてや、主権者である国民の皆さん方は、両院協議会の議論なるものはさっぱりわからない。わかる手段もない。私は、これでは今の政局の状況に立った場合、国会として極めて不親切だ、こう言わざるを得ないと思うのです。  したがいまして、私は、この両院協議会については、両院の議院運営委員会の皆さん方が御苦労される問題だと思いますけれども、少なくとも、もっと広い部屋で開いて議員が傍聴できる、そうしてその間の議論が議事録にもきちっと載って、そうして国民の皆さん方にもよくその内容を知ることができる、こういう形を少なくとも現在の政局においては考えるべきだ、こう思います。私は、そういう意味では、直接総理が扱われる問題ではないにしても、少なくとも自民党の総裁として、そういった親切なやり方を考えるべきだということを与党の皆さん方に御指導してしかるべきだと思いますが、そういう考えはありますかどうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 憲法上三権分立と申しまして、やはり政府が余り予断と憶測でもって院の皆さん方のお決めになるルールや秩序の中へくちばしを入れたり、入り込んでいくということは越権行為であるという、厳しく戒めなきゃならぬという垣根の問題もございますし、また、まさに両院協議会そのものこそが新しいこういった民意の反映を受けての国会の現象の中で機能してもらわなきゃならぬ大事なものだと思っております。  この両院協議会の規程を今詳しく読み返してみたのですけれども、私はこの規程そのものは極めて行き届いた規程ではないかと思います。おしかりを受けるかもしれませんが、これの運用によって、御出席の委員の皆さんが、その議事録が残って、この議事録を両院に提出するということにもきちっとなっておるわけでありますので、議事録をつくって御提出をいただく。その議事録の内容その他について、今るるお触れになりましたような御不満がございましたら、それこそまさに院の自治の問題として各党各会派で御議論をいただいて、どの程度の議事録になるのかというようなこと等についても、まさに各党でお話し合いを願うことでございまして、今政府の代表としてここに出てきております者の立場からいいますと、幾ら自由な言論だといっても、国会の公の場で院のお決めになる自治に関する問題にまで踏み込むことは差し控えるべきだ、私はこう考えさせていただきます。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 総理としてはそうおっしゃるのは当然かとも思います。ただ、海部さんの場合は自民党総裁も兼ねておられるわけですからね。また自民党総裁なるがゆえに総理大臣にもなっているわけなんですから、そういう意味では、政府・与党連絡会議等しばしばおやりになっておるようですから、そういう意味では、総裁として与党の皆さん方に、まさに議会の孫、さらには両院協議会の子である総理として指導して私はしかるべきだということをこの際強く申し上げておきたいと思います。  また、この問題は当然各党において議院運営委員会その他において議論はある問題だと思いますので、私はこの問題は今の政局に即した議会のあるべき姿を国民の皆さん方に知っていただく、そういう観点から真剣にひとつ検討すべき課題である、問題提起をいたしておきたいと思います。  同じような規程では、常任委員会合同審査会規程というのがございます。衆参両院の委員会が合同して開く規程がございます。この規程の方は極めて丁寧にできております。閣僚や政府委員を呼んで、そうして意見を聞くこともできます。また証人喚問もできるという規程になっております。私は、少なくともこの両院協議会規程を常任委員会合同審査会規程並みにもう少し親切な規程にすべきだということをこの際強調いたしまして、この問題については一応終わっておきたいと思います。  次に、外交の理念について総理にお尋ねをいたしたいと思います。  総理は、施政方針演説の中で、「国際関係は、政治面でも経済面でも大きな変化を遂げつつあります。」「こうした中で迎える九〇年代は、新しい時代の始まりでありますが、その進む方向の青写真は未完成で、希望と不安が混在する時代でもあります。このようなときにこそ、我々は希望に満ちた新しい国際社会をつくるための国際秩序の構築に参画し、「志ある外交」の展開に取り組んでいかねばなりません。」ということをお述べになっております。  そこで、お尋ねをいたしたいと思いますが、総理の言うこの希望とは一体どのようなことか、九〇年代の不安とは一体どのようなことをいうのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 国際情勢の激変する中で、私がそこに求めております希望というのは、この国際情勢の激変は米ソを頂点とした力による対立、対決が、冷戦時代の発想を乗り越えて協力と協調に変わりつつあるという、そういう大きな歴史の流れのようなものを私は感じ取っております。そうして、そのことが最も端的にあらわれておるのが最近の東ヨーロッパに起こった一連の問題ではなかろうか。特に象徴的なのはベルリンの壁でありまして、二十八年間同じドイツ民族を、こちら自由と民主主義、こちら社会主義統制経済ということで分けてきたのですが、結果としてあんなに差ができたので、もう壁は要らない、そしてドイツは統一へ向かって、当初の想像された三段階、十項目というような問題点をはるかに超えるような速いスピードで統一問題が具体的になってきておることも、委員御承知のとおりであります。  そうして東西ヨーロッパの問題は、きょうまでの対決、対立じゃなくて統一された欧州を目指して動いておる。そのことはまさに政治的にも経済的にも大きな変化だと思いますし、それは対立と対決から安定と繁栄の方向に向かっての変化でありますから、これは大きな希望だと私は思いますし、また、米ソの首脳によって行われたマルタ沖の会談は、戦後のヤルタ体制というものを壊してマルタ体制をつくったというように言われたほど劇的なものでございました。冷戦が終わって、対決していた両方が話し合って協力していこうというのですから、私はその変化は非常に歓迎すべきものであって、希望に満ちたものである。ですから、九〇年代の世界の外交の大きな行き先は、いろいろあるでしょうけれども、全体としてとらえると、そのように安定と繁栄を求めて動いておるというふうに見ておるのが希望であります。  では不安は何か、こういいましても、これが今私が言ったように簡単に言ってしまうものではなくて、例えばヨーロッパの統一の問題についてもいろいろ周辺の懸念の声もあったり、あるいは統一されるドイツがどのようなことになっていくのか、周辺諸国がどう見るのか、あるいはそういった統一や合同や繁栄というものはヨーロッパだけでいいのか。私はむしろアジア・太平洋地域にもそういった東西の冷戦の発想を乗り越えたいい影響というものが来なきゃならぬ。けれどもアジアを見ると、まだ今日現在内戦状態の続いておる地域もあれば軍事的な力を背景に対決しておるところもあれば、いろいろ不安な問題もある。あるいはそういった軍事面のみならず、戦後の世界の経済状況というものが大きく伸びてきた背景で、この数年間、今まで余り考慮の中に入ってこなかったような問題、例えば地球の環境汚染の問題とか途上国の累積債務をどうするかという問題や麻薬の問題やテロの問題や、いろいろ地球的規模で見通しの立たない不透明な問題が新しいテーマとしてこの数年来起こってきた問題も確かに目につくようになってきました。こういったものをあわせて解決するためには、世界的にどのような立場で協力をし、どのような共同作業をしていかなきゃならぬかという問題につきましては、まだまだ完全な見通しが立っておらないという気持ちが私にはございましたので、率直に不安があると書いたのも、そういったようなことを私は念頭に置きながら書いたわけであります。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 端的に聞きますが、要するに、総理はヤルタからマルタへとおっしゃいました。マルタ会談では冷戦の終結を米ソ両首脳が宣言をされました。まさに東西対立の冷戦の時代は終わったというふうに総理は希望として認識をするということでいいですね。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 はい。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 そうだということですから、そうしますと、また端的に聞きますけれども、それでは、ソ連に対しては軍事的脅威なしというふうに思いますか。ソ連の脅威というものについては一体どう思いますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 米ソが冷戦構造の発想を乗り越えて対決から対話へ移り変わりつつあるということは、私は最初から申し上げましたし、ただいまも書記長のその御意見に賛成をいたしました。ただ、アジア・太平洋地域のきょうのこの現状というのを見ますと、マルタで会談があったから、あるいは東西ヨーロッパの統一への動きが出てきておるからといって、直ちにアジアの問題もすべて手のひらを返したように解決されたとは私は残念ながら見ておりません。そうして、アジアにはまだ戦争が、現に内戦状態が続いておるところがあるわけですし、同時に、お互いに両国間の対立が軍事力を背景に続いておる地区もありますし、また具体的に御指摘になった、ソ連と日本との間には戦後解決しなければならない問題がまだ依然として未解決のままの状況で残っております。そして、そこに配置されておるいろいろな問題というものは、ヨーロッパのように陸上軍がNATOとかワルシャワ条約機構とかお互いに縛りをかけてきちっと分かって、総体的にそれでは軍備管理とか究極的な軍縮に向かってとかいろいろ話のできる、地政学的にも違うところと、周囲海に囲まれて、しかも北方領土の問題がまだあって、そこに軍事基地がまだ現実にあってというような状況がその後目に見えて変わっていないわけでありますから、アジアの問題は、直ちにマルタ会談があったから連動して変わってしまったとは私は認識してはいけない。  ですから、日本の国もアジア・太平洋地域にも平和と繁栄が来るようにしなければなりませんので、それぞれの地域問題について一つ一つ、これは対応が別々になってきますけれども、アジアの安定と平和のために努力をして、アジアにも本当のそういったものが訪れてくるように外交努力をしていかなければならぬのではないか、こういう受けとめ方をしております。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 冷戦構造は終結をしたが、アジアにおける状況はまだ複雑で、ソ連の脅威もまだ残っているというようなお話だったと思います。この問題はまた後で私は議論してみたいと思いますが、いずれにせよ、そういった海部総理の認識の上でお尋ねをしたいと思うのですが、総理は訪米された際、ブッシュ大統領から提唱された日米欧三極対話、トライアローグ構想についてお話し合いをされたと伺っております。このトライアローグ、日米欧の三極対話構想とは一体どういうものですか。具体的にお示しをいただきたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 日本が今日置かれております国際的な地位、立場、そういったものからいいまして、相互依存関係はますます強くなってきておるわけでありますから、国際的にそれなりの責任を果たしていかなきゃならぬというのが大前提にございます。  そして日本とアメリカは、世界の経済力の二国を合わせれば四〇%近くを占めるという、それだけの大きな責任を持っておるわけであります。そして自由と民主主義と市場経済という同じ価値のもとに日本とアメリカがしてきたのですけれども、欧州は欧州で今大きな変化がありますけれども、西側の同盟国が結束をして事に当たってきたからECの統合問題も動きが始まったんだ。EC統合で強い欧州ができるということについては、私は基本的に賛成なんですけれども、ECが統合されて強い欧州になったときに、そこが閉ざされた欧州になってはいけませんから、開かれた欧州でなければならぬという考え方について、私はそれは全くそのとおりだと思います。  そういう意味で、アメリカと日本とが話しましたことは、西側の首脳と三角形関係で世界的な経済の秩序の新しい枠組みをつくるために、日本もできるだけ協力をして、世界の新しい秩序づくりに日本も参加をして貢献すべきだという、こういう期待も要望もアメリカからもヨーロッパの首脳からも出てまいります。  そこで、力の対決、力の対立の時代には、日本が国際秩序に参画するとかお役に立つとか、それはできないことでありますし、言ってはいけないことでありましたけれども、そうではなくて、みんなが豊かになろう、幸せになりたい、自由になりたいという、そういった国づくり、世界の枠組みづくり、秩序づくりの中には、日本がきょうまで持っております経験とか日本の技術力とかあるいは人的な技術者の派遣とか、いろいろな問題を通じて世界づくりに協力をしなさいという点が一つと、もう一つは、日米以外の地域問題についても日米両国で協調してやっていけることがあったらやっていこうというようなことになりまして、日米欧三極が絶えず対話を通じて世界のいろいろな地域の問題やその他のことについても協力をしていくべきであるということでありますから、今後、これには参画をして具体的に話し合いを続けていきたい、こう思っております。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 今大分長いお話を承りました。日本とアメリカとのGNPを足せば世界のGNPの約四〇%に近い、そういった経済力を持っている、そういう中でヨーロッパの国々とも十分対話をしていきたいのだというようなお話だったと思うのですが、問題は、三月三十日、アメリカのロバート国務次官が朝日新聞との会見で、このトライアローグ構想についていろいろと述べておられるようであります。アメリカでそういったことが発表されたものですから、外務省首脳も慌てて四月二日にはこのトライアローグ構想についていろいろお話をされたようであります。これを見ると、今総理が言われたような、この経済的な話し合い、三極の話し合いに日本がコミットするということばかりではないのじゃありませんか。それ以外の問題がちゃんと提起されているじゃありませんか。いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 経済的な問題以外ということになりますと、例えば地球の環境保全に関する問題であるとか、累積債務の問題であるとか、テロに対する問題であるとか、麻薬に対する国際協力であるとか、いろいろな問題も出てくると思いますが、とりあえずの三極関係の問題については、世界の平和と繁栄のために話し合いをしていくことに日本も積極的に参加をするということでございます。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 このアメリカのロバート国務次官の談話によりますと、今のような経済的なお話ばかりではない。主要先進国首脳会議、サミットですね、参加七カ国の外務次官級による政治討議を随時開催する、今お話のありましたような経済の問題ばかりではなくて、政治討議を随時開催するということをはっきり述べておられる。そうして日本と北大西洋条約機構、いわゆるNATOですね、日本とNATOの間の安全保障問題に関する意思疎通を緊密化する、このようなことも述べているではありませんか。そうして、我が国の外務省首脳、四月二日に述べたようでございますが、外務省首脳というのは常識で言えば外務事務次官のことだろうと思いますけれども、このNATOの会議が六月開かれる、本年六月、そこには小和田外務審議官が参加をするということを明らかにしているじゃありませんか。今総理がおっしゃったのは経済の問題だけですね。ところがそうではなくて、サミット参加七カ国との間で外務次官級による政治討議、それをやる。それからNATOの会議にも我が国の外務省の審議官が参加をする。これは今のお話とは全く違うんじゃありませんか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 私は、経済のみならず、さっきも申し上げましたように麻薬のことやテロのことや、あるいはサミットというのは経済問題、それから政治問題にもときどき踏み込んでやっておりますし、西側先進国がみんな結束して、EC統合の問題をやるときなんかにそれじゃどのような対応でいくのかとかいろいろな話をしておることは申し上げましたが、今具体的に御指摘の問題は、外務大臣の方からお答えをいたさせます。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 今お尋ねの日米欧の三極対話、これに関しまして、事務次官級の政治レベルの協議が発足をいたすということはお尋ねのとおりであります。これについて、この安全保障に関するセミナーに事務次官級の者が参加をすることは、その方針でおります。  なお、CSCEの正式メンバーとなる考え方は、日本政府は持っておりません。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 そうすると、全欧安保会議にも参加をする、それからNATOにも外務省の審議官を、セミナーですか、参加をさせるということですね。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 そのとおりでございます。

佐藤行雄外務省情報調査局長

○佐藤(行)政府委員 事実関係でございますので、私からお答えさせていただきます。  先ほどの全欧協力会議の件でございますが、大臣の答弁は、全欧協力会議に正式のメンバーとして参加することはないということをお答えいたしたわけでございます。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 全欧安保会議に正式メンバーではないが参加をする、それからNATOの会議には外務審議官を参加をさせるということですね。  そうしますと、先ほど総理は、確かにヤルタからマルタへ、冷戦は終結したという方向で大きく世界は変わっている、しかしアジアにはまだ脅威は残っていますよということをおっしゃった。それでは、NATOの会議、NATOというのは明らかにこれは軍事同盟じゃないんですか。そうでしょう。この軍事同盟に参加をするということは、NATOに対立するのはワルシャワ条約機構でしょう。WPOでしょう。そういったものが軍事同盟ではもうなくなりつつあるという認識なんですか。一体どうなんです。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 今おっしゃるように、NATO及びワルシャワ・パックは、今日までの軍事機構的な性格から次第に政治的な機構への変質が行われるものと考えております。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 行われるもの。で、現在はそういった機構ではなくて、まだ軍事同盟の色彩が残っているということは、これはお認めになるでしょう。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、軍事機構的性格を持っており、両者間におきまして軍備の削減問題について交渉が行われている。ただし、NATOの事務局等にはソビエトの外務大臣も訪問されているというようなことでございまして、両軍事機構は次第とその性格を転換しつつあるものと考えております。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 変化しつつあるかもしれぬが、とにかくNATOは集団的安全保障機構であることは間違いない。そうですね。そこに我が国が参加をするということは、一体許されることなんですか。いかがですか。

佐藤行雄外務省情報調査局長

○佐藤(行)政府委員 お答え申し上げます。  現在我々が参加を検討いたしておりますのは、NATO事務局が主催者の一人となって開催しようとしているセミナーでございまして、NATOに参加するということではございません。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 アメリカのロバート国務次官によりますと、日本とNATOの間で安全保障問題に関する意思疎通を緊密化するんだ、そのために、先ほど私が指摘したような、六月、日本政府から小和田外務審議官が出席をして、日本とNATOと共通の課題について話し合うということをはっきり述べているではありませんか。私は、セミナー、セミナーとおっしゃるわけですが、少なくともNATOは集団的安全保障機構である、軍事同盟である、その色彩は今なお色濃く残っている。こういう認識をされている、そこに我が国が参加をするということは一体どういうことなんですか。  昨年の防衛白書ですけれども、集団的自衛権を行使することは「憲法上許されない」、こうはっきり書いてあります。しばしば政府はそのことは言っているはずだと思います。NATOという軍事同盟、集団的安全保障機構、それに日本が参加するということは、これは憲法上まさに許されない。私どもは、そういうことはやるべきではない、問題であるというふうに思いますが、いかがですか。

佐藤行雄外務省情報調査局長

○佐藤(行)政府委員 お答え申し上げます。  今回のセミナーは、国際情勢一般あるいは共通の関心事項でありますような問題についてのことを議論するということとなっておりますが、戦略上の共同とかそういうことが対象になっているものではございません。そういう意味で、今回のセミナーに参加することでNATOに参加するということになる問題は出てこないと判断いたしております。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 とにかく、我が国の憲法は集団的自衛権の行使は、これは禁止しているわけですよね。そうして、NATOというのは明らかに軍事同盟だ、集団的安全保障機構だ。そこへ行って話をするのは云々、こう言っていますけれども、それに参加をして話し合いに参加をしてくるということは、これはとにかく、もう全く世界が平和になってハッピーなんだ、心配ないんだというのなら別ですが、我が国は、まだアジアでは脅威は残っている、そうしてソ連はまだ我が国にとって脅威だ、こういう認識でしょう。そういうときに、ワルシャワ条約に対決しているNATOという軍事同盟、そこに我が国が外務審議官を派遣して討議に参加をするということは、これは明らかに私は憲法上禁止している集団自衛権の行使、そのおそれありというふうに見るのが当然ではありませんか。  しかも、アジアの国々が日本を一体どういう目で見ているかということを、私は海部総理、考えるべきだと思うのですね。そうでなくとも日本が今世界第三位の大きな軍事大国になった。そういう中で、アジアは、かつてのあのような過去があるわけですから、いろいろな意味で日本に対して注目をしている。そういうときに、憲法で許されないはずの、まああなた方は日本は平和憲法があるからいいんだ、いいんだ、こう言っておるけれども、しかし、平和憲法で禁止している集団的自衛権の行使につながるようなそういった会議に日本が参加をするということについて、日本の国民も私は大きな疑問を持つだろうと思いますが、アジアの国々のことを考えても私はこのようなことはやるべきではないというふうに思います。  総理のこの問題に対するしかとしたお考え方をお聞きをしておきたいと存じます。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 今、委員も御承知のように、ヨーロッパにおける平和への模索というものは相当熱心に米ソ双方間で行われていることは御承知のとおりであります。日本といたしましても、この平和への大きな流れ、そのようなものの流れの状況を踏まえながら、アジアにおける平和の醸成にこれから日本がいかに努力をするべきかというふうな立場から、このような会議にオブザーバーとして参加をして、この二つの大きな軍事機構の平和への模索の努力をうかがい知ることも決してアジアの平和への醸成にマイナスの因子になるものではない、また日本の考え方に反するものでも決してない、そのように考えております。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 違った角度からそれでは聞きましょう。  アジアについては、世界のこの軍縮の大勢とはまだまだ違った厳しい状況があるということを総理はおっしゃった。ところが、アメリカのチェイニー国防長官は、米ソ戦が起こる可能性は第二次世界大戦後では最低だという認識を示しております。また、アメリカのパウエル統合参謀本部議長は上院の軍事委員会で、日本周辺のソ連の脅威は減少しているというふうに証言をいたしております。そういう中でアメリカは、財政赤字解消のため四年間で千百億ドルの防衛費削減という方向を打ち出して、世界的な規模で通常戦力の再編縮小を進めつつあります。東アジアの米軍も今後三年間で一〇%から一二%、約一万二千人を削減するというふうに発表いたしております。  こういう状況ですが、こういった状況を防衛庁の皆さん方はそれは日本ではいち早く知る立場にあるわけでしょう。ところが、西廣防衛事務次官、一月末、この在日米軍の削減計画というものを米側から説明を受けた。ところが、ごく最近に至るまで削減はないということを言い続けたじゃありませんか。問題は、今あなた方はヨーロッパは大きく軍縮の方向に行っている、平和の方向へ行っているんだ、その事情を知りたいんだと言うけれども、日本の防衛庁の事務当局の方は、米側が、日本周辺のソ連の脅威は減少している、そうして米ソ戦が起こる可能性は第二次世界大戦後では最低だという認識も示している、そういう中で、赤字削減のために防衛費削減に真剣に取り組んでいる、また、在日米軍についても減少の計画というものを立てている、そういったものを素直に受け取っていくのが、私は今外務大臣がおっしゃるような考え方ならば当然じゃないかと思うのです。ところが、そうじゃないんじゃありませんか。アメリカが在日米軍を削減する、困ります、困ります、何とかしないでくれということ。それからまた、世界が防衛費を削減している、日本も防衛費は当然削減すべきじゃありませんか。しかし、これをふやしている。そういう中で今言ったような状況が進んでいくと都合が悪いからというので、米軍の削減計画をできるだけ隠す、こういったような状況で一体いかがかと私は思うのです。そういう状況の中でNATOの会議に日本が参加するということがいかに問題かということを私はこの際強調しておきたいと思うのですよ。いかがですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 ヨーロッパのような平和への努力というものが積極的に行われている反面、アジアにおきましては、私の認識では、アジアの軍事情勢というものは決してそうヨーロッパのような流れに乗っていないという認識を持っております。  御案内のように、最近ソ連の艦艇の数が減ったとはいいましても、戦闘能力は非常に向上いたしておりますし、北方領土におけるソ連軍の駐留も減退しておる状況はございません。また、私どもといたしましては、アジアにおける朝鮮半島の緊張、あるいはまたカンボジアにおける戦い、そういうものも踏まえながら、やはり我々の国がアジアの国家としていかにアジアの平和を構築していくか、そういう中にはどうしてもソ連あるいは中国、アメリカ、そのような大国のこれからの動きというものがいかに動いていくのか、そういうものとの十分な認識を持ちながら、日本が平和国家としてのアジアの構築のために努力をしていかなければならない。現状においては、一挙に我々の防衛力を削減して平和へ向かうという環境には現状ではないという認識を持っております。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 外務大臣、そういう認識を示しておられる。そうした認識を持っていながら、ワルシャワ条約に対抗する軍事同盟であるNATO、そこに外務省の審議官を派遣するということは一体どうなんですか。私は、そこに矛盾がある、こう聞いているんですよ。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 日本の外務省といたしましては、国民の安全を考える上で、国際的な、グローバルな、大きな米ソの対立から対話への動きがどのような形で流れていくのか、またヨーロッパ各国、NATO加盟の国々あるいはワルシャワ・パックの国々がどのような考え方で平和を構築しようとしているのか、それはアジアにどのような影響を与えてくるのか、またカンボジア和平に関する中国あるいはソビエトあるいはアメリカ、フランス等の動きの中で、日本もどのような形でアジアの平和の構築にカンボジア和平へのプロセスへの介入を通じて協力をしていくかということが、これからの日本外交の汗をかく、平和のための外交として極めて必要であるという認識を持って、先般もベトナムにアジア局長を派遣したようなことでございまして、このような観点から日本の外交を現在展開している最中でございます。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 全くそれは答えにならないと思うのですね。  とにかく、アジアにおける軍事情勢は厳しい、こういう認識を依然として持っている、そうしてソ連の脅威はまだまだなくなっていないという認識を持っている。そうして、ソ連が参加をするワルシャワ条約機構、軍事同盟です。それに対抗するアメリカ、ヨーロッパの国々がつくっている軍事同盟であるNATO、そのNATOに日本が参加をしていくということは、これは一体どういうことなんですか。しかも、憲法で集団的自衛権の行使というのは明らかに禁止をされているわけなんですから。そういう意味で私は、今のアジアにおける日本政府の認識と、それからNATOに外務省の役人を派遣をするということ、それとの間には大きな矛盾がある。大きな矛盾がある。私は、NATOにそのような外務審議官を参加させるべきでない、日本はいやしくも集団的自衛権行使にかかわるようなそのような行為は一切すべきではないということを強く強調したいと思うのです。総理は、聞いておられて、私の言うことをよくわかったと思うのですが、いかがですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 御案内のように……(山口(鶴)委員「総理です」と呼ぶ)総理は私の後から答弁されますから、しばらく外交の責任者の意見をお聞きください。  ソ連は今、ヨーロッパにおける軍縮を提唱しております。このようなソ連軍の軍縮が、ソビエトのこれからの軍事情勢、軍の編成、そういうものにどのような変化を与えていくのか、あるいはまた、ヨーロッパに展開しているソ連軍が撤退した場合の軍隊がどのような動向をとるのか、それがまたアジアにどういうふうな影響を与えるかということを十分認識することは、日本の安全にとっては極めて重要なことでございまして、決してNATOに参加をするということではございません、オブザーバーとして意見を聞くにとどまるということでございますから、その点はどうぞ御認識をいただきたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 いろいろ御説明を外務大臣がいたしましたけれども、私はやはり、世界全体の大きな流れが冷戦構造の発想を乗り越えて平和に向かって流れつつあるということは、先ほど来何回も申し上げておるところでありますし、また、ヨーロッパにおける東西の対立、対決の象徴的なものであったNATOとワルシャワ条約機構との間においても、今や、軍事的対決の側面のみならず政治的安定の役割を両方がどのように果たすかということにおいて、幾らか変貌を遂げつつあるということもまた委員御承知のとおりと思います。現にヨーロッパにおいていろいろ議論されております問題の中には、これはあくまで私の見通しでありますから間違うかもしれませんけれども、ドイツの統一後のあり方についても、これは一体NATOにとどまるのかどうなのかということが大きな政治レベルのテーマになっておって、NATOの果たすべき役割の変質といいますか一つの動きもあらわれつつあるということも、これまた事実だと思います。  そういったものを踏まえて、NATOに入るとか入らぬとかいう議論を日本がしておるわけでは全くないわけで、今外務大臣も申し上げましたように、セミナーに参加をしていろいろ事情を聞き、情勢を知ってくる。これはもう、野党の先生方もヨーロッパへ行かれていろいろ各国とのセミナーに参加されてくるということは私よく知っておるわけでありますし、私も御一緒願ったこともあるのですが、そういうところに行くといろいろな国際情勢がよくわかる。いろいろなレベルで国際情勢を理解しながら日本の将来にとって過ちなきを期さなければならぬという角度での懸命の努力だということを、どうぞ先生、御理解をいただけないでしょうか。お願いをいたします。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 それならば私は聞きますけれども、三月三十日にアメリカのロバート国務次官が、こういうところに日本は参加をするということを言われて、その後になって、四月二日ですか、やっと我が国の外務省首脳が、実はこうなんですよということを言っている。総理がおっしゃるように問題がないということならば、堂々と日本から先に発表したらどうなんですか。そうではなくて、アメリカでそういうことが明らかになったから、実はこうですという発表を後からするということは、率直に言って外務省、後ろめたいことがあるからじゃないのですか。  それは今いろいろ説明をするけれども、少なくとも私は、アジアにおける緊張の度合いというものをまだ強く持っているということを言いながら、何も私はNATOに参加するなんて言っているわけじゃありませんよ、NATOという軍事同盟の会議に日本が参加をするということは、これは集団的自衛権を禁止している日本の憲法、政府もそれを守ると言ってきたのですから、その上からいって疑義があるんじゃないか。しかも、アジアの国々は日本の軍事大国化に対して懸念を表明している、そういうときにそういうことはすべきではないということを私は言っているわけです。アジアの状況がいろいろ問題があるということもおっしゃっているだけに、そういうことはすべきでない。だったら何で外務省が先に堂々発表しなかったのですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 大変恐縮でございますが、外務省が何か後ろめたいことがあるんじゃないかというおしかりでございますけれども、外務省としては後ろめたいことはちっともございません。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 私は後ろめたいとかなんとか聞いているんじゃないのですよ。なぜ、そうだったら外務省が先に堂々発表しなかったのか、こう聞いているわけなんで、私の質問に正面から答えてください。

佐藤行雄外務省情報調査局長

○佐藤(行)政府委員 事実関係でございますので、私の方からお答えをさせていただきます。  まず政務局長会議の件でございますが、参加国の間で、これを表に発表したくない、日取りをいつということを発表したくないという事情もあったようでございまして、七カ国の打ち合わせで具体的な日取りを出さないということを我々は聞いておりました。我々は、隠していたわけではございませんが、日取りを事前に、参加のことをそういうことで発表しなかったという事情でございます。  もう一つの、セミナーにつきましては、まだ先方からいろいろその議題その他の案が来ている状況でございまして、まだこちららから最終的に発表する段階になっていないという状況でございます。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 いずれにせよ、アメリカで発表した後外務省の方で、実はという格好で発表したという事実だけは明らかになったと思います。私は、外務大臣や総理がおっしゃるようなそういったことならば、何も日本が後から実はというような格好で発表するのはおかしいではないか、そうではないところにやはりNATOに対して参加をするということについて問題があるという一つのあらわれだというふうにも考えていることをこの際強調しておきたいと思います。私どもとしては、憲法が禁止している集団的自衛権行使につながるような、NATOに外務省の方であろうと派遣をするということについては反対である、あくまでも反対だということをこの際申し上げておきたいと思います。  次いでお尋ねをしたいと思いますが:::(発言する者あり)いや、憲法では集団的自衛権はあくまでも禁止しているのですから、それはいかぬということを言うのは私は当然のことだとこの際強調しておきましょう。  それでは総理、ソ連でゴルバチョフ大統領が誕生しました。大統領就任についてどのような考え方をお持ちですか、どんな感想をお持ちですか、お聞きをしましょう。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 いろいろヨーロッパで変化が続いておりましたが、とうとうソ連にも大きな変化が来たんだなというのがまず最初の率直な印象でございました。したがいまして、大統領に就任されるということ、今までの議長から大統領へ行ってそこに権限がさらにふえるということ、それから、ソ連にもいよいよ多党制の時代が来て共産党の一党支配が終わりを告げて複数政党になる、そうすると、共産党の書記長よりもさらにその上の全体を統括できるような立場に立たれたのかな、こういうことを思いますと、ペレストロイカの方向性を支持してソ連にペレストロイカが定着していくことを期待をしておる私としては、大統領就任は喜ばしいことで、指導力をより一層発揮されて、ソ連の立て直しといいますかペレストロイカの方向に向かってさらに前進をしていかれるように、同時に、承れば、ソ連の国内では今経済情勢が率直に言って非常に厳しいということであります。民族問題等についての国内の情勢も非常に厳しいものがあるということでございます。これにつきましては、指導力を発揮して、ソ連の国内の問題でございますから、大統領がそれをきちっと定着、安定させていかれることもあわせて期待をしておる次第であります。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 アジア・太平洋の平和と安定についてどのような影響が出るだろうかと考えておられますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 ソ連の外交の変わりのことを新思考外交と言われておるわけでありますけれども、東西ヨーロッパに行われたあの思い切った大きな大きな変革、ああいった物の考え方がそのままアジア・太平洋地域にも及んでくること、そしてその及び方の中でアジアの国々とソ連との関係が安定的なものになっていくこと、これが非常に望ましいことであります。  日本に焦点を当てて考えてみれば、日本とソ連の間には今平和条約をめぐる作業グループ、作業委員会というものが始まっておるわけでありますけれども、そこらの実りある話し合いを通じて、戦後最大の懸案であった北方領土問題の解決ということを私どもは強く願いますし、同時に、そのこと一点に絞っての日ソ関係ではなくて、おっしゃるようにアジア地域の平和と安定のための日ソ関係にしていかなければならぬわけでありますから、私は、北方領土の解決も非常に大事でありますから、それをまず前提に考えながら、この間ソ連から経済調査団を受け入れましたように、できる限りの実務関係の交流、人物の交流、文化の交流、そういったようなこと等も拡大均衡の形で外交交渉の枠を広げながら懸案問題を解決し、真に信頼のできる安定的な関係を打ち立てていきたい、こう願っております。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 北方領土解決の問題についても、ゴルバチョフ大統領が誕生したことについて何とか打開の道を真剣にやりたいという熱意を示されたわけでしょうが、そこで聞きますけれども、日本は政経不可分という原則を堅持しているようであります。北方領土返還という政治分野の最大の問題に前進がない限り経済分野でも積極的に前に進む政策はとらない、いわゆる政経不可分、こういう原則を守っているようであります。  今の総理のお話を聞きますと、拡大均衡という言葉を使われました。昨年五月、宇野外務大臣がソビエトを訪問しましたときに拡大均衡という言葉をお使いになったそうであります。そのことをお使いになったのだろうと思いますが、この際、それでは事務当局に聞きましょう。ソ連の場合、外務省事務当局は、政経不可分の原則、これをあくまでも守るという考え方ですか。

都甲岳洋外務省欧亜局長

○都甲政府委員 お答え申し上げます。  やはりソ連との原則的な問題であります北方領土問題を解決して、平和条約が締結され正常化されるまでは、国民感情の観点からも、全面的なソ連との経済協力関係というのはあり得ないというのが従来の立場でございますし、私どもは、その立場は立場として守りながら、ペレストロイカの正しい方向性、ソ連が市場経済に移っていくためにいろいろな日本の経済のあり方を学びたいと言っておりますので、その点におきましては協力していきたいということで、これを分けて考えている次第でございます。そういう意味で政経不可分という従来の姿勢は守っていく必要がある、そういうふうに考えております。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 今外務省の事務当局の考え方は聞きました。なかなか頑固のようですね。ところが、安倍元幹事長がソ連を訪問された。そうして、このペレストロイカ支援のためにという意味もあって八項目の提案をされましたね。また最近、自民党首脳の方の中にも、政経不可分という原則はある程度考えるべきではないかということをおっしゃっている方もあるようです。外務大臣も、昨年の国会でしたか、我が党の堂本議員の政経不可分の原則は守るのかという質問に対して、経済を別にしているとかどうかということよりも、現実問題としてそういう方向に向いているというふうに理解をしているという発言をいたしまして、政経不可分というかたくなな原則をある程度崩していこうという考え方をお示しになったようであります。  ところが、どうもその後、今お答えになった欧亜局長が、いや、不可分ですというようなお話になって議論はそれで終わっているようでございますが、私はこの際、政経不可分の原則というものについて考え直す必要があるんじゃないかと思います。総理、どうですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 原則は原則として、私は考え直す前に、やはり日本の最重要課題は北方領土の返還であるというところに、これはもう国民的な合意と言ってもいい問題だと私は思っておりますので、この問題だけを取り上げてその問題だけで議論をしておって、ほかのことは一切しないというのはかたくなでございますけれども、そうではなくて、その問題も前進を図りながら、平和条約の作業グループを始めていろいろ主張をし合い、話し合いをし、どうしたらそこへ到達できるかという努力が双方で始まっておるわけであります。ですから、政治の問題も経済の問題もともに拡大をしながら、均衡をとりながら進めていこう、全部進めていこうという基本的な姿勢でございます。  したがって、先ほど申しましたように、既に経済調査団も受け入れて、いろいろな希望、考え等も聞きながら、日本国内のことも言っておる、また、人物交流もできるだけのことをしていこうということもしております。ですからそういった面で、今までのようなかたくな一辺倒ではありませんが、原則を崩すわけにはいけないと私は考えます。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 総理の答弁を聞きました。政経不可分の原則をなぜ政府がかたくなに守っているのか。問題は、ソ連を信じていないということじゃないのですか。食い逃げされては困る、だから政経不可分なんだという考え方ではないか、率直に言えばそういうことかなと私は推察をいたします。  ところが、今ソ連は変わっているのじゃありませんか。かつてはそういった傾向なきにしもあらず、私もそう思います。しかし、シェワルナゼ外相も、国家の利益からして国の評判、世界の世論というものもソ連にとって重要だという見解を示しましたね。ですから、ソ連みずからもやはり世界の評判、ソ連という国が世界各国からどのように見られているかということを十分考慮しなければならぬ、こう言っているわけです。とすれば、政経不可分、いわばソ連を信頼しないという立場からできたこの原則というものもそろそろ考え直してもいいのじゃないか、窓をあげてもいいのじゃないか。そうして、先ほど経済調査団は受け入れましたという話がありますが、もっと窓を広げていく、そういう努力をしていくことが、国民全体の悲願である北方領土返還の問題を解決する道につながるのじゃないか、私はかように思います。政府の考え方を聞きたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 ソ連を信頼しているとかしていないとかということよりも、私どものこの二国の間には、まことに残念ながら平和条約というものが戦後四十五年間たちましても結ばれておりません。これを何とかして締結をして、日ソ間の関係を正常化してアジア・太平洋地域の今後の平和を構築していこう、これが基本的に日本側の考えでございますが、私どもはその前提として北方領土問題を解決しなければならない。しかし、先生御指摘のように日ソ間に、ソ連も今憲法の改正を初め、大統領制の導入が成功して新しい政治体制が生まれつつございます。国民世論というものもあるということも、先般お目にかかったヤコブレフさんも私に言われました。そういう中で政府といたしましては、さきの経済ミッションを初め、先日私もエリツィン氏あるいはソ連の経済研究所の所長あるいはタス通信の社長といった方々を外務省の賓客としてお招きをいたしておりまして、日ソ間の意見の交流を一層活発にすることによって相互の信頼を醸成し、二国間の問題の解決に努めてまいりたい、このように考えております。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 私も来日されたヤコブレフきんと二度にわたってお会いをいたしまして、いろいろお話を聞きました。自民党の小沢幹事長もお会いになって、いわゆる第三の道というお話もあったそうであります。  いずれにせよ、私はお互いの信頼を高めていく努力というものが必要だと思うのですね。やはりこれはソ連も変わってきたと思うのです。そういう中で、私は、北方領土の返還なしにだめだ、政経不可分だという原則をかたくなに守っているのではなくて、やはりソ連も変わりつつあるわけですから、日本もやはり、窓をあげるというふうに言いましたが、この問題についてある程度広い考え方を持っていく、そうして、ペレストロイカに対して支援するためにということで安倍元幹事長もこの八項目提案もされたわけでしょう。そういった努力をどんどん広げていく必要があるんではないかと思います。それがやはり北方領土返還への道につながるんじゃないか、こう思います。この点の考え方はいかがですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 今先生御指摘のとおり、大変重要な点だと私は思います。さきの安倍元幹事長の訪ソの際にも八項目の提案が行われまして、ソ連の政府も大変高い評価をいたしておりますし、ついに択捉島の墓参も今年は実現する見込みが立ちました。このようなことを積み重ねていくことによって、今まで日本政府が御招待申し上げても来られなかったソ連のオピニオンリーダーの方々も最近はお越しいただくようになってまいりましたので、一層この線を進めてまいりたいと考えております。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 ゴルバチョフ大統領が来年春ごろ日本においでになるということだそうであります。いつごろおいでになるのか、日程は決まったんですか。その点をまずお伺いします。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 ゴルバチョフ大統領の訪日の日程は、まだ確定いたしておりません。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 いずれにせよおいでになることは間違いないと思いますね。そうしましたら、総理としてはどのような話をしようとお考えですか。  私は、ゴルバチョフ大統領が来れば、この太平洋地域の軍縮の問題を大胆に提起してくる、そういった可能性が当然あるんではないだろうかと思います。現にソ連はカムラン湾から海軍を撤退をするということもやっているわけでありますし、ソ連軍の極東地域における軍縮も既に発表している。そういう中で、当然私はこの太平洋地域の軍縮の問題を提起をしてくることは間違いないと思うのです。  そうした場合、日本だけが今六%以上の防衛費を拡大するというようなことは、もう世界の大勢に反していると私は思います。当然、この太平洋地域、アジア地域の軍縮を一体どうするのかという話し合いを真剣にやってしかるべきだと私は思うのですね。アメリカも軍縮の方向で、平和への方向へ、平和への分配といいますか、そういった形で軍事費を削減してそれを民生安定に使っていこう、平和への配当というようなことも言っている時代ですから、私は、そういうことも踏まえてこのアジア、先ほどアジアはまだまだ危険の問題、不安の問題が残っているということをおっしゃいましたが、それを解消するために日本として一体どうするのかということは、私はきちっとした対応をしてしかるべきだと思うのです。いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 日本の対ソ外交というのは、もう基本的に、日本の方からいろいろなことを仕掛けようとか脅威になっておるとかいうような観点はないと思います。そして、むしろ逆に日本にとっては、目の前にある北方領土にいろいろな問題が残っておるというところから戦後の不幸が始まっておるわけでありますから、これらの問題を解決してもらうように日本としてはいろいろな立場で話さなきゃならぬのはこれは当然だと思いますし、もしソ連からそのようなアジアにおけるいろいろな問題点の提起があればそれについては十分にお話は聞かなきゃなりませんし、そういった方向ならば望ましい方向であることは間違いございません。そして、ソ連を疑うとか、ソ連がどうとかいうわけじゃございませんが、むしろソ連に向かってもひとつ今書記長ここでおっしゃっているようなことを、日本とソ連の間に真の友好関係を確立していくということが大切であって、日本も拡大均衡の形でいろいろな分野で人物交流をしたりいろいろな協力をしようということになっておるわけでありますから、どうぞそういった環境が双方で熟していって平和条約の問題に到達していくように、原則が解決していくように努力をそれぞれ続けていきたい。そういった本当の信頼関係が出てきますと、今度は安全保障の面においても、ソ連と日本との関係も緊張対立関係が解けていくのではないか、こう私は願っておりますから、その方向に向かって努力を続けていきたいと政府は考えております。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 我が党は、この地域の信頼醸成措置を確立すべきだということを、土井委員長はかねがね強調いたしておられます。そうして、この地域にやはり平和の問題を話し合う平和保障のテーブルをつくろうではないか、日本の周辺の国々を含めてということも提起をいたしております。私はそういう意味で、我が党も努力をするつもりです。政府の方も、政経不可分というような原則をかたくなに守っているということではなくて、やはり広い立場でペレストロイカに支援をしていく。そういう中で、信頼関係を確立していく中で北方領土問題も解決していくということが必要ではないかと思います。  私は、ゴルバチョフ大統領が参りましたときに、思い切って北方領土を非武装化したらどうかというような提起もしてみたらいいのじゃないかと思います。そうしてお互いがこの地域の、日本をめぐる周辺、この非武装化の方向、非核の方向というものをお互いがやはり努力をしながらやっていく。アジアの平和をどう確立をしていくかということに前向きにそれぞれが努力をしていく。また日本も、防衛費をどんどんふやすなんということはやめていくべきだ。少なくとも防衛費は凍結をするというような考え方を示すべきだ、こう思います。いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 おっしゃることの方向、日ソが本当の信頼に基づいた安定的な関係を築き上げていかなければならぬということ、私もそれは強く願っております。  ただ、大前提が、お言葉を返すようで申しわけありませんけれども、北方四島の非武装化といいますと、非武装になったらそれじゃ現状凍結、平和共存で認めてしまうのかということになりますと、ちょっとこれは直ちに賛成するわけにまいりません。やはり北方領土というのは日本固有の領土だという国民的合意もあるわけでありますから、非武装にしたらそれで済むという問題ではないと思いますので、その点はちょっと見解の相違ということでお答えは除かせていただきますが、お話し合いをして平和のためのテーブルにみんながつくというならば、それは私が拡大均衡でやっていこうとしておる、信頼関係をつくっていこう、こういうことの方向と同じでございますから、そういった状況ができるなれば、周辺の国々もみんなそれに賛成するならばという大前提がつくのですけれども、まだまだアジアの国々には、例えばそれぞれの国で個別に政府の会談をしたいとこちらが旗を上げ、そして手を差し伸べておりましても、なかなかいろいろな事情があってそれに乗ってきてもらえない国もあるわけでありますから、そういう環境を醸成していくために粘り強い努力をしていかなければならぬと私は思っております。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 結局、北方領土を返した、そこにまた日本の軍事基地、アメリカの軍事基地ができるというようなことを懸念するのは私は当然だと思うのですね。ですから、そういう意味では北方領土を非武装化するということはこれは当然ではないか、非武装化を提起するということがむしろ北方領土返還に私は大きな意義があるという意味で申しているわけであって、そういう意味では、ゴルバチョフ大統領が来たときにそういった提起をしてみることも私は重要ではないかというふうに申し上げているわけです。お考えがあればお示しをいただきたいと思います。  ついでに聞きます。  この前のときに、防衛白書に非核三原則国是という言葉を削除された。それまでは、非核三原則は国是であるということを防衛白書は常に明確に書いておった。海部さんが総理になってから出たあの防衛白書では、どういうわけか、この国是という言葉が欠落をしている。間もなくまた平成二年度の防衛白書をお書きになるでしょう。そのときには、この非核三原則国是という方針は変わらぬということを海部さん言われたわけですから、今度の防衛白書にはそれはきちっと書いていただきたい。このことを約束をいただきたい。いかがですか。  二つお尋ねします。

越智伊平自由民主党

○越智委員長 防衛庁日吉防衛局長。

石川要三自由民主党防衛庁長官

○石川国務大臣 お答えいたします。  非核三原則の原則というものは遵守したい、かように思います。

越智伊平自由民主党

○越智委員長 長官、指名してから。——石川防衛庁長官。

石川要三自由民主党防衛庁長官

○石川国務大臣 非核三原則の原則については堅持してまいりたい、かように考えております。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 防衛白書にきちっとお書きになるか、こう聞いておるわけです。

日吉章防衛庁防衛局長

○日吉政府委員 前回の当委員会におきましても山口委員から同じ御質問がございまして、そのとき私の方から、これは白書の編集上の都合といいますか、編集上の見地からこういうことになりましたという点をるる御説明申し上げたところでございます。したがいまして、白書を作成しております事務当局からお答えをさせていただきたいと思います。  まず、ただいまも防衛庁長官からお答えを申し上げましたし、前回お尋ねをいただきましたときに海部総理からもお答えをいただいておりますように、非核三原則は我が国の基本的な防衛政策の一つでございまして、これを変更するという考え方は全く政府としてはないところでございます。  それで、平成二年の白書でございますけれども、これにつきましてはこれから編集をするわけでございまして、確たることを申し上げるわけにはまいりませんけれども、非核三原則に関します記述につきましては、平成元年の白書において、前回もお答えいたしましたように、まさに編集上の、説明上の都合で昭和六十二年度におきます我が国の種々の防衛に関します基本原則を決めております閣議決定の文書をそのまま書いているわけでございまして、そういうふうな編集の方がより国民にわかりやすいであろうということで書いたわけでございますので、以後、来年度の、次回の白書におきましてどのような表現にするかにつきましては、全体の構成等を考えながら決定してまいりたいと思います。  重ねて申し上げますけれども、非核三原則が我が国の基本的な防衛政策の一つであり、これを変更する考えはないということには全く変わりはございません。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 国是というような重要な問題が編集上の都合でどうにでもなる、そんなことを言うのはどうかしているんじゃないですか。国是というものは重いものだと思います。編集上の都合なんかで左右されるものではないと思う。したがって私は、内閣としてこれは国是であるということを政府の文章である防衛白書にきちっと書くのか、書かぬのか、これはまさに私は総理ないしは防衛庁長官の政治的決断の問題だと思いますね。それをはっきり言ってください。

日吉章防衛庁防衛局長

○日吉政府委員 私がただいま編集上の都合と申しました、都合という言葉は妥当を欠いたかと思いますが、編集上の見地でございます。  それで、前委員会におきまして私が御説明したことの繰り返しになりまして恐縮でございますが……(発言する者あり)

越智伊平自由民主党

○越智委員長 事実関係だけ。

日吉章防衛庁防衛局長

○日吉政府委員 繰り返しになりますけれども、事実関係をもう一度御紹介させていただきたいと思います。  昭和六十三年までの白書におきましては、「防衛政策の基本」という節の中で「憲法と自衛権」というもの、これは憲法を中心にして書いてございます。それからそれと並列的に閣議決定レベルの「国防の基本方針」というものを書いてございまして、それとさらに並列的に三本立てにいたしまして、その中に、憲法あるいは閣議決定というものがございませんで我が国が国会で答弁等をいたしまして明確にしてきております非核三原則とかシビリアンコントロールとか、こういうものが並列的に記述されておりまして、これを何らかの形でその根拠を明確にすることによって整合性を持った形で記述することの方がよろしいのではないかという問題意識が従来からあったわけでございます。  平成元年の白書をつくるに当たりましては、まず「憲法と自衛権」に述べましたところは六十三年までの白書と同じようにしたわけでございます。二番目に、三十二年に閣議決定されました「国防の基本方針」を記述するのも同じようにしたわけでございますが、その後、根拠を示しておりませんでした非核三原則とかシビリアンコントロールにつきましては、実は昭和六十二年度に新しい防衛力の整備についてという閣議決定がされましたときに、これまで国会等で政府が発表してまいりました非核三原則やシビリアンコントロールにつきましてを包括的に閣議決定がされておりますので、その閣議決定を引用いたしまして非核三原則等も述べたわけでございます。その部分には、閣議決定は詳細に書かれてございますので、閣議決定の文章そのものをそのまま書いたということでございまして、その閣議決定の文章の中に国是としてという言葉がないというだけのことでございます。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 編集の都合を今度は編集の見地に改めたようですけれども、編集の都合であろうと見地であろうと、国是というような重要なものを編集の都合あるいは見地でもって動かすという考え方は我々は断じて了承できません。  それから、閣議決定云々ということを盛んに言われました。非核三原則、この問題は、これは何回にもわたる国会決議です。そういう意味で、国是ということを政府も明確にしたんだと思います。私は、この衆参両院における国会決議というのは極めて重たいというふうに思っています。したがって、そういう上に立って国是ということを明確に書いた。閣議決定云々ということとおのずから違う重みを持った問題だと私は思います。したがってこれは、国是であることは間違いないんだと海部総理お答えになったんですから、お答えになった趣旨を平成二年度国防白書に書くことが当然だ。今までないのを入れろと言っているのじゃないですから。かつて書いてあったものが突如として平成元年度の防衛白書から落ちたわけなんですからね、編集上の都合か見地か知りませんけれども。そういう編集上の問題なんかでこれを左右する問題ではない。私は、きちっと書くということをこの際明確にされたいと思うのです。総理からの答弁をいただきます。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 御議論のあったことは私もよく覚えておりますし、国会で非核三原則についての決議があったこと、それは国防白書に出ていましょうが出ていなくても、国是であることは間違いございません。したがいまして、これだけの御議論でありますから、国防の基本方針でもあるわけでございますので、この次の国防白書を編集するときにそのような考え方を十分反映して編集するように私から防衛庁長官に指示をいたします。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 ただいまの点は明確な答弁だと思います。平成二年度の防衛白書、私どもは国是であるということが明確に書かれるように十分注目をしているということをこの際強調しておきたいと思います。  それでは、次いでお尋ねをいたしたいと思いますが、今、日本と韓国との間、九一年問題というものが大きな問題になっております。  私どもも昨年韓国を訪問いたしまして、そうして金泳三総裁との間でこの三世問題の扱いについてさまざま議論をいたしました。私は今外務省当局でこの問題、検討されておることも承知をしております。また、法務省の方でも検討しておられるようですが、いずれにせよ、私は、この三世の方々、在日韓国人、朝鮮人同じだと思いますが、この永住権、安定的な永住資格というものを明確にする、このことは当然だと思います。それから、就職差別撤廃のために積極的な措置を講ずるということも、これまた当然だと思います。それから、民族教育を保障する。日本が批准いたしました国際人権規約でも、この民族的少数者の教育の権利が保障されているわけですから、当然私は在日朝鮮人、在日韓国人、民族教育の保障があってしかるべきだと思います。それからさらに、問題になっております指紋押捺の問題、この指紋押捺と外国人登録証常時携帯義務の免除、このことも、これまた私は当然ではないかと思います。また、在日韓国人、朝鮮人の公務員への任用、特に教員への任用ですね。大学の先生はこの任用の道が開かれていますけれども、高等学校、小中学校の教員については、少数の方が勤めておる方はあるんですが、最近は文部省は認めてはならぬという通達を出しておりまして、ほとんど今その後採用の道が閉ざされております。こういった問題も、私は解決をすべきである。在日韓国人、朝鮮人の方の公務員、教員への任用というものをやって当然ではないかと思います。  このようなことについて外務省、前向きな検討をしておられると聞いておるわけですが、いかがですか。世界各国の、特に先進国がこのような類似の問題について扱っている方向と同じような方向を私はこの際きちっとすることが必要だと思いますが、いかがですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 九一年の一月を目指しまして、日韓両国政府間で満足のできるような結論を得られるように、ただいま関係当局と鋭意作業を進めている途中でございます。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 私が今具体的に指摘したような問題について、どう考えていますか。

谷野作太郎外務省アジア局長

○谷野政府委員 私の方からお答え申し上げたいと思います。  ただいま先生から御提起になりました幾つかの問題、すなわち具体的に申し上げますれば、韓国の方からは合計九項目にわたりまして日本側の改善措置を強く期待するという要望が来ております。そういう要望も承りながら、先方の状況も熱心に聴取しながら、ただいま大臣がお答えいたしましたように、鋭意日本の政府都内におきまして法務省あるいは警察当局と日本の対案を今練っておるところでございます。したがいまして、日本政府といたしまして、この場で個々の問題につきまして、この点についてはこういう方針で臨むというのは、ただいまの時点では残念ながらまだ内部で鋭意検討中であるという以上のことは申し上げられない状況でございます。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 私、昨年韓国に参りました際に、本年四月か五月にこの問題について当時の統一民主党の皆さん方と話し合いをしましょうということを約束をいたしてまいりました。その後韓国の政界の状況も変わりましたけれども、当時お約束いたしました方々とは当然そういう意味で話し合いをいたしまして、そうして先進国にふさわしい形でこの九一年問題、三世問題を解決するという立場で、政府に対しても党として強く要望もいたしたいと思います。その際は、私どもの考え方も十分取り入れていただきたいということをこの際申し上げておきますが、いかがですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 今お話しの御趣旨も十分承りながら、日韓政府間でこの問題の双方が満足できるような結論を得るように努力してまいりたいと考えております。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 総理は施政方針演説で、国際社会への貢献の問題について大変いろいろ述べておられるわけであります。我が国は、国際社会から恩恵を受けつつここまで発展してきたのであり、国際協力を通じて世界の平和と繁栄のために貢献しなければならない立場である、地球的視野に立った国際協力を推進する、また、環境保全のため世界的規模での取り組みを結実させる等々お述べになっておるようであります。その点、お述べになった以上は誠実に実行をいただきたいと思うわけですが、具体的にも時間の関係がありますので聞きましょう。  国連を中心とした諸活動の充実強化のため、日本政府として当然誠実に取り組みを行うべき多数国間の条約について、我が国の取り組みというものが非常におくれている、このことを強調しないわけにはまいりません。外務省に聞きますけれども、我が国が批准していない、国連総会、専門機関で作成された条約で、未批准の条約は一体幾つありますか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○赤尾政府委員 お答えいたします。  国際連合その他国際機関が採択いたしました多国間条約は非常にたくさんの数に上っておりまして、その主な、特に日本から見て主な条約につきましては、先般社会党の方からも要望がございまして、約六十ぐらいの条約につきまして、まだ日本が未加入の六十ぐらいの条約リストを提出いたしましたところでございます。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 たくさんあるということですね。  昭和五十五年、第九十一国会ですけれども、土井委員長、当時外務委員でございましたが、世界の文化遺産及び自然遺産保護条約、批准がおくれているのは一体なぜかということを当時の大来外務大臣に質問をしたそうです。議事録を持っておりますけれども、大来外務大臣は「でき得れば次の国会の機会に提出するように取り運びたい」、こう言っているのです。それは昭和五十五年ですよ。当時は既に四十カ国が批准しておった。現在は百十一カ国がこの世界の文化遺産及び自然遺産保護条約を批准している。我が国は、五十五年に次の機会にと言ったのですから、五十六年には当然批准しておっていいわけなんでしょうけれども、今なおやっていない。こういう怠慢は一体許されぬと思うのですが、いかがですか。国会で次の機会にはやると、こう約束しておいて、その後全然そのままにしてある。十年以上ほってある。こういうことは許せぬと思いますが、いかがですか。

北川石松自由民主党環境庁長官

○北川国務大臣 ただいま山口委員の、世界文化遺産保護条約についての御質問でございました。  御指摘のよりも、百十二カ国今締結をしております。日本といたしましては、この趣旨に沿いまして、今後は各関係省庁と十分協議して、前向きで適切に対処してまいりたい、このように思っております。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 次の機会にはやりますと言って十年たった。十年たった今、百十一カ国と言いましたら百十二カ国で、さらに一つふえたようであります。それを前向きにというようなことでは私は受け取れないと思うのですね。次の機会には出すというぐらいのことを言ったらどうですか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○赤尾政府委員 私たちといたしましては、この条約の趣旨には賛成いたしております。しかしながら、この条約を締結するに当たりましては、まだ条約の運用上必要な国内実施体制の整備等の問題もございますので、今特に外務省の中におきまして鋭意検討をしている状況でございます。したがいまして、もう少し時間がかかると思っております。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 昭和五十五年に、次の機会には国会に提出をしますと言っておきながら、十年もたってそのまま放置している。これは私は、国会に対する極めて不誠実な態度だ、こう言わざるを得ないと思うのですね。少なくとも、次の機会には間違いなく提出をいたしますというくらいのことを言うのは当たり前じゃありませんか。  ついでに、総理にお尋ねしたいのですが、ことしの九月下旬にニューヨークで子供サミットが開かれますね。各国は元首クラスが出席をするそうです。海部総理も、先日来日をいたしましたユニセフのグラント事務総長に、できれば出席をしたい、こういうことをおっしゃったそうですね。この子供サミットに出席されるおつもりですか。そうして、昨年採択された子供の権利条約、総理も大いに熱意を示しているようですから、直ちに署名をして、批准に向けて準備本部を設置して、その促進を図ったらいかがですか。まだ日本は署名をしていないようです。署名国は既に七十五カ国に達しているそうであります。私は、こういった問題に特に文部大臣経験者の海部総理が前向きに取り組むのは当然じゃないかと思うのです。いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 この間、御指摘のようにユニセフの事務総長がおいでになって、子供の未来の問題でありますから、私もその趣旨には率直に賛成をいたしましてお話をしておりますときに、九月の国連総会のことも言われました。ですから、それはできればということで、できれば参加をしたいという私の率直な希望を申し述べておきました。  条約の内容のことについては、中山外務大臣からお答えをいたします。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○赤尾政府委員 私たちといたしましては、児童の権利に関する条約というふうに今訳しておりますけれども、この内容につきましては積極的に評価をいたしております。したがって、早期に批准ができるよう今関係省庁間で大いに検討している段階でございます。  一般論でございますけれども、普通、まず検討した上で、大体批准ができるというようなめどが立った段階で署名するというのが基本的な立場でございますので、特に署名しないということ自体、私たちが後ろ向きであるということではないわけで、非常に前向きで、去年の十一月に採択されました際には、日本政府といたしましてもコンセンサス採択に参加しております。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 今総理並びに国連局長から御答弁申し上げましたが、外務省といたしましては、積極的にこの署名に向けて努力をしてまいるために、関係各省庁との調整に努力をさせていただきたいと思います。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 そうしますと、人種差別撤廃条約ですね、これは署名しているでしょう。署名するということはもう条約批准を前提にしてと、こういうことをおっしゃったんですから、既に百十二カ国人種差別撤廃条約は批准しておられる、我が国も署名した、署名する以上はもう批准を前提と、こう言うんですから、なぜこの人種差別撤廃条約を批准してないのですか。批准手続をとらないのですか。それについてお尋ねをいたします。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○赤尾政府委員 人種差別撤廃条約は一九六五年に採択されまして、日本はまだ未署名でございます。なお、締約国数は百二十八カ国に達しております。  日本にとっての、問題といいますか、日本政府といたしましては、この条約の第四条に定める内容と日本国憲法第十九条の思想の自由あるいは二十一条の表現の自由、結社、集会の自由等との調整をどうしたらいいかということを中心に、鋭意検討している状況でございます。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 既に百二十八カ国が批准をしている。いろいろ問題点を検討しているということでございますが、こういった今アパルトヘイトが大きな問題になり、総理も憲政記念館でありましたアパルトヘイトのあの集会にも出席をされたようですね。今こういう時期なんですから、私は、人種差別撤廃条約がまだ未署名であって批准もしていないというようなことは、私は我が国として大変恥ずかしいことではないかと思うのですね。子供の権利条約についても、できる限り早目に署名をして批准手続もとりたいというお話ですから、結構だと思います。したがって、人種差別撤廃条約につきましても、速やかな私は署名、批准をやるべきだということを強く要求をしておきたいと思うのです。  海部総理、どうですか。こういった問題をどんどんやることが国際社会への貢献になるんじゃありませんか。多国間条約、これをいつまでも批准しないで六十もほっておるというようなことは、私は、総理の施政方針演説がさっぱり実行されていないということにつながると思うのです。いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 国際化に向かってのいろいろな努力の一つに、国連におけるいろいろな共同のお約束、条約についてどうするかという問題がございます。私は、一つ一つもう一回よく検討をして、できるものはできるだけ早く署名をし、批准をするような努力をしてみたいと思います。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 施政方針演説で海部総理、立派なことを言っておられるわけですから。我が国は、国際社会から恩恵を受けつつここまで発展してきたんだ、国際協力を通じて世界の平和と繁栄のために貢献しなければならぬ、地球的視野に立った国際協力を推進する、また、環境保全のため世界的規模での取り組みを結実させると述べている。  私は、後でまたこの環境問題を聞きたいと思うのですが、まだハーグ条約はそのままにしているんじゃないですか。環境保全ということの上から言ったら、ハーグ条約は私は極めて重要だと思うのですが、いかがですか。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○赤尾政府委員 ただいま委員からハーグ条約というふうに申されましたけれども、去年の三月にオランダのハーグで開かれましたフランスの首相提唱の環境首脳会議において採択されました宣言、ハーグ宣言のことかと存じます。  これはいわゆる宣言でございますので、批准の問題ということは起こらない性格のものでございます。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 署名をする必要があるのだろう。

赤尾信敏外務省国際連合局長

○赤尾政府委員 これは宣言ですから、批准等の問題はありません。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 時間が来ましたので、環境問題は後でそれじゃお尋ねしましょう。

越智伊平自由民主党

○越智委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ────◇─────     午後一時開議

越智伊平自由民主党

○越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山口鶴男君。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 地球環境の保全の問題についてお尋ねをしましょう。  昨年六月の三十日、政府は地球環境保全に関する関係閣僚会議を開きまして申し合わせをいたしたことを聞いております。地球環境保全のための国際的な枠組みづくりに積極的に参加をする、国際的な視野に立った施策の推進を図る、特にヘルシンキ宣言を踏まえ、オゾン層保護対策、地球温暖化対策を円滑に実施する、したがって、国際的な枠組みづくり、バーゼル条約を踏まえた有害廃棄物の越境移動に係る取り組みの強化に貢献をするということを確認したそうであります。  ところが、有害廃棄物の越境移動及びその処分の管理に関するバーゼル条約、日本は未署名だということでありますが、さっぱり閣議決定の申し合わせが生かされていないじゃありませんか。いかがですか。

福田博外務省条約局長

○福田(博)政府委員 先生お尋ねの条約は有害廃棄物の越境移動及びその処分に関する条約であると思いますが、これは昨年の三月にできた条約でございます。まだできたばかりで、準備ができてないということで締結をしておりません。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 いまだ署名もしていない、こういうことのようです。  平成二年度予算中に、地球環境保全に関する予算は一体どのくらいあるか調べてみました。ところが、四千五百二十三億円計上されているという話でありますけれども、そのうち大部分は科学技術庁の予算ですね。そうして、何が多いかといえば、原子力の開発利用の推進、これが二千五百五十億円。したがって、この地球環境保全に関する予算の半分以上がこの原子力の開発利用の推進だ。確かに、原子力発電ということになれば、化石燃料を燃すのとは違いましてCO2ガスが出ない。しかし、有害な放射能が出る。大変そういう意味では問題でありますけれども、結局これが二千五百五十億円で大部分を占めている。それから、通産省が所管する原子力、天然ガス開発導入促進の経費が四百五十六億。二つを足すと六六%。環境庁は一体幾らあるのかと見たら——聞きましょう。環境庁の予算は幾らなんですか、この地球環境保全に関する予算では。

安原正環境庁企画調整局長

○安原政府委員 お答えいたします。  環境庁関係の地球環境保全に関する予算につきましては、全体で約二十八億程度と記憶いたしております。今正確な資料を持っておりませんので、概算その程度でございます。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 私の調べたところでは二十一億ですね。  地球環境保全が重要だ。海部総理も自民党総裁に立候補されて立会演説をされましたね。あのとき、私もテレビで聞いておりましたけれども、オゾン層の問題、それから地球温暖化対策、CO2ガスの問題へ全力を挙げて取り組むということを強調しておられました。地球環境保全が重要だと。昨年、東京で地球環境保全の東京会議がありましたね。そこでも、海部総理は真剣に取り組むということを強調されたと思います。それが二十一億とは一体どういうことなんですか、六十兆を超える予算の中で。これで地球環境保全に対して日本が先導的な役割を果たすということが言えますか。

安原正環境庁企画調整局長

○安原政府委員 お答えいたします。  大変失礼いたしました。環境庁の地球環境保全関係予算は約二十一億、先生がおっしゃるとおりでございます。全省庁に関係いたしておりまして、地球環境保全関係予算は、先生がおっしゃるとおり四千五百二十三億でございます。伸び率にいたしまして六・三%ということで、重点施策として位置づけられておるわけでございます。この関係の政策的な経費につきましては、各省庁重点施策として計上しておりまして、約六百億円計上されておりまして、約三六%の伸びは確保されておるわけでございます。  ただ、先生おっしゃっております約二千五百億の原子力関係費があるではないかというお話でございますが、地球環境と原子力の関係につきましては、昨年来いろんな国際会議で議論がなされておりまして、原子力につきましては、地球温暖化の見地からはCO2を出さないエネルギーでございますので、一つの有力なエネルギー源であるという認識になっております。そういう意味で、原子力関係費につきましても地球環境保全関係費であるということで広く集計したものでございます。御理解賜りたいと思います。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 地球環境保全が重要だ、四千五百二十三億円の予算を計上した。しかし、原子力の開発利用の推進が二千五百五十億円、大部分を占めている。確かに原子力発電、CO2ガスを出さないということは、確かにそれは言えるでしょう。しかし、ほかに問題があるじゃありませんか。そのことは、私はここで多くを強調しようとは思いません。いずれにせよ、原子力発電の危険性というものが国際的にも大きな問題になっている。  したがって、CO2ガスをいかに削減していくかということについては、いろいろな意味での技術開発とか取り組みが必要だと思います。通産省主導の、CO2ガスを余り削減することは問題だというような消極的な態度を、オランダにおける環境大臣会議で日本はとったじゃありませんか。だから日本は、当時のオランダの国際会議で、日本はラストランナーだ、CO2ガス削減については極めて非協力的だ、こういうことを国際的にも非難されたじゃありませんか。そういうことでは、海部さんが総理大臣に立候補したときの演説や、昨年の東京会議の演説や、そういうものからいって言行が不一致ではありませんか。しかも、環境庁のかかわる予算というのはたった二十一億ではありませんか。これでは我が国が、CO2ガス削減について、地球環境保全について、地球温暖化対策について積極的に取り組んでいるというようなことは言えないじゃないか。これでは国際社会に貢献しようという海部総理の施政方針演説は、まさに絵にかいたもちにすぎないじゃないか。  反省の弁があるだろうと思いますが、いかがですか、総理。

北川石松自由民主党環境庁長官

○北川国務大臣 ただいま山口委員の地球環境に対する御理解のある熱心な、そしてCO2によって汚染される地球をどうするかという技術的な面でも御質問を賜り、大変感銘しておりますし、二十一億じゃ少ないというところの御指摘も、これから環境問題に取り組んでいく環境庁としまして、なおなお皆さんの御理解を得てこの予算規模も大きくしていただきたい、この願いを込めております。  なお、オランダにおける我が国のなにで、日本は積極的じゃない、そのように言われましたが、実はあの昨年の十一月のときに、各国がばらばらになりました。そのときに日本がやはりこのイニシアチブをとりまして、そしてノールドベイク宣言というものをあのときいたしました。これによって世界の国々がCO2対策に一致していこうじゃないかという形をつけたことをこの際御理解を賜りたい、このように思っておる次第でございます。  なおそのことは、山口先生も科学には非常に御造詣が深うございますから、今おっしゃっていただいたいろいろな問題につきまして、これから地球環境をよくするためには、やはり科学的な要素をもって地球環境をよくするのに積極的に取り組んでいかなければいけない。そのためにも今後日本は、世界の中に貢献する日本として環境問題に積極的に取り組んでいくことを申し上げます。  以上です。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 今の演説は承りましたけれども、問題は、オランダにおける環境大臣会議に日本から随員が行きましたけれども、環境庁よりは通産省の人の方が大勢行って、そして問題は、まともに努力をしたといいますけれども、CO2ガスを厳しく規制しようというオランダの提案等をいかに薄めるかということに積極的に努力したんじゃありませんか。だから国際的に、日本は一体何だ、ラストランナーじゃないか、CO2ガス削減について最も不熱心だ、こういう批判を受けたんじゃありませんか。そういうことではだめだ、こう言っているんですよ。しかも、予算の面からいっても指摘したとおりです。海部総理の施政方針演説は、演説だけであってなかなか実行されていない。これでは話にならぬということです。総理から感想を承って、この問題は終わっておきましょう。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 環境問題について積極的に取り組んでいくというのは、私はいろいろなところで申し上げてまいりましたし、今もそのとおりですが、今御指摘の環境庁にありますその分の予算二十一億だけ、そこにスポットを当てて物をどうぞおっしゃらないで、例えば今後三年間に三千億円地球環境のために出すということはもうきちっと決めてあって、サミットでそれは報告もしてございますし、また、それらの金額のみならず、きょうまで日本が蓄積しました技術、例えば地球的規模において自動車の排気ガスの中に——排ガス処理の基準というのは、日本は世界的に最も早く、最も進んだものを決めたはずでございますし、また、環境庁をつくっていろいろな公害に対する技術その他を蓄積したのも日本が最初でございまして、そういったことを、東京会議のときに世界から集まった学者の前で意見の交換をしたり、発表をしたり、努力をしたり、取り組んできておるわけでございますし、また、地球を取り巻くいろいろなオゾン層の問題で、これを最初に学問的に見てここのところに問題があるんじゃないかというのを指摘したのは日本の南極観測隊の隊員であったということも、それはもう世界がすべて認めながら、そのことについてさらに対応策を考え国際協力をしておるのですから、経験とか知見の交流とかいろいろなことについて積極的に、金額のみならずその他の交流も続けておるということもどうぞ御理解をいただきたいと思います。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 自動車の排気ガス規制で日本がすぐれた技術を持っている、それは私もそのとおりだと思いますよ。ただ、この場合はCO2ガスというよりは酸化窒素、NOですよ。それからSO2ですよ、亜硫酸ガス。酸化硫黄です。そういったものの規制は確かにおっしゃるとおり。しかしCO2ガス、これに対する削減の計画は日本が一番不熱心だという批判があったことは事実でしょう。  それから、オゾン層のことを言われました。確かに南極探検隊がそれを発見したことはすばらしいことだと思います。しかし、その破壊の問題になっているフロンガスは日本が一番出しているという、そういうところに問題があるんじゃありませんか。  私は、そういう意味で、地球環境を守ることが重要だと言いながら、現に行政がそうなっていない、日本の国際会議への対応がそうなっていない、そこはやはりきちっと反省していただきたいということをこの際申し上げておきたいと思います。  それから次に、海部総理は、施政方針演説をずっと拝見したのですが、具体的なことはなかなかおっしゃっていない。ただ、具体的なことでなるほどなと思ったのは、勤労者向けの優良な住宅を首都圏において十年間に百万戸建設をいたします、これは極めて具体的な公約ですね。  そこでお尋ねしたいと思うのですが、問題は今、日本の地価の問題ですよね。日本全国の土地価格の総額は一千八百兆円、こう言われています。二十五倍の面積を持っているアメリカ、土地の価格総額が四百兆円程度と言われているわけですから、日本はアメリカの地価総額の四倍以上ということでしょう。したがって、一平方当たりの日本の土地はアメリカの百倍という計算になります。日本一つでアメリカが四つ買える、こういうことは、だれが考えても日本の地価はおかしいなということだろうと思います。東京二十三区の地価総額が四百兆円だそうです。そうすると、東京二十三区の土地の価格でアメリカ全部が買える、これも私は異常ではないかと思います。また、千代田区一つでカナダ全土が購入できるそうであります。海部総理は、この千代田区にマンションをお持ちだそうでございますから特別な感慨があろうかと思いますけれども、とにかくそういう状況。こういった状況は大変異常だと思います。総理は一体どうお考えですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 土地の高騰が異常であるということは、全くそのとおりだと思います。そうして、でき得る限りこの異常な高騰を抑えるような対応策を立てていかなければならぬということで、土地対策閣僚会議でいろいろな処置をとり、この間も、全国の自治体に向かっても、監視区域の制度その他をきちっと適用することによって土地のこれ以上の異常な高騰をまず抑えよう、そこから始まっていこうというような対応を考えておるところであります。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 総理の発言は先ほど紹介いたしました。  自民党の選挙公約でも、東京都、埼玉、神奈川、千葉三県の都心から五十キロ程度の通勤圏に勤労者の平均的年収の五倍以内の価格で住宅を供給するということをうたっておられるそうであります。勤労者の平均年収がどのくらいかといいますと、貯蓄動向調査によりますと、昭和六十三年度の京浜地区の勤労世帯の平均年収は六百八十二万円だそうであります。さらに、家計調査によりますと、昭和六十三年度京浜地区の勤労世帯の平均年収は六百二十八万円、平成元年度は六百七十一万円だそうであります。そうしますと、これらの五倍ということになりますと三千四百十万円ないし三千三百五十五万円ということになります。  ところが、首都圏のマンションの価格は一体幾らか。千代田区の総理のおられるマンションは特別だと思いますが、いずれにせよ、平均いたしますと、昭和六十三年度の新規供給物件、平均専有面積が六十八・六平米の平均価格が四千八百六十八万円、それから平成元年十二月の新規供給物件平均価格五千九百三十一万円。こうなりますと、平均年収の七倍ないしは九倍、こういう状況ですね。これでは私は海部総理の公約は果たされないと思うのです。  そこでお尋ねをいたしたいと思うのですが、結局、今の年収の五倍で優良な住宅を供給する、そのことのためには、計算いたしますとどうしても平米当たり土地の価格を三十三万円ぐらいに抑えなければ、これはさっき言いました年収五倍の住宅というものを供給することはできない。東京圏の住宅地の平均価格は四十八万五千二百円だそうであります、平米当たり。したがって、海部総理のこの公約を実行するためには地価を三二%今直ちに下げなければ実行できないということになると思います。計算上です、これは。その自信、ありますか。

佐藤守良自由民主党国土庁長官

○佐藤国務大臣 山口先生にお答えいたします。  今先生がおっしゃったようなことでございまして、一番最終の目標は、住まいの持ちたい人には住まいを持たせるということが今一番理想だと思って頑張っておりますが、まず地価が高騰したのをどうして地価の高騰を防いで地価を安定するか、安定して地価を下げるかということに、今総理の指示に基づきまして各省庁全力投球しておる現状でございます。  実は今までの地価につきましては税制とか金融、総合対策をやりましたけれども、やはり一番基本は宅地供給をどうするかという問題、しかも安く宅地をどう供給するかという問題でございまして、国公有地の利用とかあるいは工場跡地とか低利用地の利用とか、あるいは市街化農地の宅地並みをどうするかという問題を含めて今検討しておりまして、今先生おっしゃったようなことでございますが、大体五倍ぐらいということですが、東京圏では二十キロから四十キロあるいは三十から四十キロ、この辺は大体七倍ぐらいでございますが、これを何とか五倍で買えるようにしたいと今全力を挙げておる次第でございます。どうぞよろしくお願いします。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 そういうふうにしたいとか安定させるようにしたいとか言っていますが、安定じゃだめなんですよね。計算をいたしましても三二%下げなければ年収五倍の優良な住宅、さっき言いましたような専有面積六十三・九平米程度の住宅はつくれないというのが計算上きちっと出るわけでして、海部総理はこの施政方針演説で明確にこのことだけは具体的に公約したのですから、当然その自信があるだろうと思うのですね。その自信があるのかないのか、言ったことは言っただけで実行できないというのか、言った以上は必ず実行する、地価を三二%下げてみせる、こういうのか、明確にひとつお答えをいただきたいと思うのです。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 それは私は、東京近郊の働く人々に百万戸の優良な住宅を提供したいということを確かに申し上げましたし、また、その気持ちは今でも変わっておりませんし、計算上の問題はいろいろございましょうけれども、いろいろな政策を総合的に積み重ねてその目標が達成するように今各省全力を挙げて努力をしておるさなかであります。

越智伊平自由民主党

○越智委員長 住宅局長に補足させます。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 いいです、いいです、細かいことは。  要は、海部さんそうおっしゃったのですから、来年なら来年見てそれが果たして実行されているのかいないのか、その実行の度合いがどうなのか、改めてまた議論をする機会があろうと思いますから、その際に譲りたいと思います。  いずれにせよ、地価を抑制ではなくて下げなければこの年収五倍で勤労者の五十キロ圏内の優良な住宅を提供するということは不可能なんだということをこの際強調いたしておきたいと思います。  次いで、日米構造協議についてお尋ねをしたいと思うのですが、アメリカの方からさまざま、二百項目ですか、さまざまな要求があるようであります。これらの問題は、当然我が国が、内需拡大、生活者のことを考え、従来の生産第一主義を改めて生活環境を整備をする、さらには公共投資を立ちおくれている社会資本に十分投入をする、形骸化している独禁法を改正強化をする等々の施策はいわばみずからの問題として取り組むべきであった、それをなされていなかったからこそ、今このようなことが問題になっているというふうに私は認識をいたしております。  そこで、けさになりまして、アメリカでこのような中間報告がまとまりましたという、このくらい厚い書類を、ここにも持ってまいりましたが、いただきました。問題は、ここにありますようなことは、当然農地の宅地並み課税ということになればこれは地方税法を改正しなきゃならぬでしょう。また、独禁法を強化するという場合は独禁法の改正が必要だと思います。あるいは外為法の改正も必要でしょう。それから、問題になっております大店法、大都市は適用除外にするとか三年後見直しするとかいろいろ言われておるようでございますが、いずれにせよ法律改正が私は必要だろうと思います。  そうなりますと、まさに法律改正、さらには公共投資を一体どうするかという問題、予算にかかわる問題ですよね。まさにこれは国会が議論をし予算を決め、国会が議論をし法律を改正するかどうかを決定する問題だと思うのです。立法府の権限に属する問題ですね。こういった問題を国会の方にはさっぱり相談もない。そういう中で、一方的にアメリカへ行って二国間の話し合いをして、いろいろ苦労はあったろうと思います。世の人たちが今回の御苦労を称して、ビジョンなき妥協だ、こう言っておられるようでございますけれども、いずれにせよ国会に属する権限、これらの問題について、国会の方は無視して、そうしてアメリカの方といろいろお話をして合意をしてくる、こういうことでは国会軽視ではないか、国会無視ではないかということはどうしても私は言わざるを得ないと思うのです。この点、総理一体どう考えていますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 まず最初に、アメリカから言われて始めたというものではなくて、日本の内需拡大、輸入をふやしていく、そして国際的に協調したルールの中に日本の経済を組み込んでいく、その裏にあるものは国民生活の質を高め、消費者のためを考えての改革である。これは日米構造協議の始まるもっと前から、数年前から自発的に、御承知の前川レポート等も発表してやっておりますように、すべてことごとく日本が自主的に日本の国民生活を考えて取り組み続けてきた政策でございましたということを申し上げさせていただきますし、さらにまた、日本の国内の流通をどうしたらいいのか、消費者の立場に立って物を考える流通の秩序はどうあるべきかという問題も、今度の協議で初めて起こったのではなくて、例えば九〇年代の流通ビジョンというのは、昨年中小企業審議会あるいは産業構造審議会の合同会議で各界の代表の皆さんに御参加をいただいて御議論を願い、国内の問題として政策努力を積み重ね続けてきておったものであるということをまず申し上げさせていただきたいと思います。  そうして、このことについて日米の経済協議で話すときに、将来国会の問題に関することについてというおしかりでございますけれども、これは御承知のように大変たくさんな項目に分かれております。そして、日本からアメリカには全体をくくって七つの項目を申し上げておる。アメリカからは日本へ全体をくくって六つの項目で言ってきておる。両方がそれぞれに指摘し合った問題を通じて協議をし、それを実務者の間でずっと長い間問題を提起し合ってやってまいりまして、これは相手国政府のある問題でもございましたので、その間、交渉の途中において一項目、一項目ごと御報告をしたり御了解をいただけなかったのは、その意味においてはまことに残念なことでございましたが、これは事柄の性格上お認めをいただきたいと思います。  同時にまた、これが法改正を伴うような問題になりますれば、これは当然国会にお願いをして御審議をいただかなければならぬことでありますから、それらのことについては、今後でき得る限り速やかにその原案も提出をして御審議をいただきたいと思うのです。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 国会に対して十分な話し合いがされなかった、その点は不十分さがあったということはお認めになったようです。  問題は、じゃ日本が同じようなことを外国にしたら一体どういうことになるのですか。これはもう大変なことだと思いますね。また、アメリカならまあいいけれども、ほかの国は一体どうなのか。アメリカなら仕方がない、言うことを聞くが、ほかの方はというようなこともまた私は大変おかしなことではないだろうかと思うのですね。  きょうテレビを見ておりましたら、イギリスの日英議員連盟の会長さんが、今回の日米構造協議を評して次のようなことを言っておられました。アメリカは日本に圧力をかけ過ぎているのじゃないか、それは問題だということを言っておられたのを私は聞いて、やはり世界の議員の皆さん方は、国内の問題と外交の問題ということはちゃんと区別をして、そうして国会の権限、立法府の権限というものは大切に考えておられるのだなというふうに私は思いました。  そういう意味では、私は、これから法律改正等々の問題は国会で御議論をいただくのだ、こう言いましたけれども、いずれにせよ、今回の政府のこの問題に対する対処の仕方というものは国会軽視という批判を免れないということは、この際強く申し上げておきたいと思う次第でございます。これからさらに七月を目指してさまざまな交渉もあるのでしょうから、私は、そういう意味では国会軽視という批判を受けないように政府としてきちっと国会に対して対応いただくべきだ、我々も日本みずからがやるべき問題はやるべきだということをきちっと言っておるわけなのですから、そういう意味では国会に対して十分な相談というものをしてしかるべきだということを申し上げておきます。いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 日米二国間だけでこの問題をしたり、圧力をかけられたりしたというのは、私は考えを異にいたします。そうして、日英議員連盟の方がどういうことをおっしゃったか、私はそれは今書記長から初めて聞きましたけれども、日本は、日米協議でやりました日本の流通あるいは体質、そういったものの改善というのは、アメリカとのみの関係じゃなくて、欧州にもその他の国々にも全部均等に押し及ぶものでございますし、また、英国の首脳もその他のECの首脳も、日米の協議について出てくる結果は日米間のみを拘束するのじゃなくて広く世界に均てんするのだなということは、関心を持った方はお聞きになりますから、私はそのたびにそのとおりですと答えておりますし、それからまたアメリカ側に対しても、日本も主張すべきは主張をして、どうしてこの貿易インバランスがこんなに顕著に日米間だけ残って目立つのだろうか。アジアの国々からの輸入もふえる、ECからの輸入もふえる、にもかかわらず、アメリカへは日本の輸出が伸びるのと、アメリカから努力をして輸入をしてもどうしてその結果が縮まらないのだろうか。これは、アメリカの方にも輸出競争力というものをきちっとつけて輸出にふさわしいものをつくるべきではないかという指摘もし、その背後にある職業訓練から教育の問題にまで踏み込んだいろんな議論をし、いろんな指摘をし、アメリカも副大統領を長にする輸出競争力発揮の委員会までつくってそれに対応をする、教育制度についてもいろいろ変えて努力をしていくというようなことまで、お互いに両国で問題を指摘しながら話をして決めてきておる問題でございまして、もう一つ、アメリカの政府と議会との関係もいろいろあるでしょうけれども、議会から起こりつつある保護主義圧力というものに対して、これは日本とアメリカとが保護主義の台頭を抑えるということは、自由経済の中でお互い世界の平和と安定を保っておる両国政府にとっては、これは共通の利益になる問題だから、これについては保護主義を抑えるためには共同作業をしていこう、こういう極めてひたむきな真摯な要望もあるわけでありますから、私は、日本の経済というものが自分の国だけでつじつまを合わせてやっていけるものならよろしいのですけれども、孤立をして、国際的な依存関係を抜きにしてこの日本の社会というものがこのような状況で成り立っていくものではないと思っておりますので、国際的な相互依存関係を深めていくために、世界経済の中において占めておる役割と責任を果たすためにも、共通のできる問題については協議をして共通の理解を求めるように努力をしなければならぬ、こう思って取り組んできた次第でございます。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 問題は、この日米構造協議は、宇野内閣の時代に宇野・ブッシュ会談で国際収支不均衡の削減に貢献する目的を持って設定されたというふうに承知をいたしております。ところが、今海部総理も言われましたけれども、現在の状況はどうかというと、現在日米の貿易不均衡というのは逐次是正されつつありますよね。しかし問題は、対日赤字の目に見えた削減効果ということよりは、ヒルズ通商代表が述べておりますように、米国が求めているのは資本や貿易が自由に流れるための構造をつくり出すことだ、日本の閉鎖的な構造障壁を打破する、そこに目的があるのだというふうにアメリカ側は認識しているようです。ですから、貿易不均衡ということから出発しながら、問題は日本の国内のいわば仕組み、構造、そこに踏み込む議論をやっておるわけですね。ということになれば、当然これは我が国の法律にかかわる問題、まさに議会が関与すべき問題ということにどんどん踏み込んで議論をやっているわけなのですから。私は、今消費者の立場、生活者の立場ということから、是正すべきものを是正していく、そのことについては私ども社会党も大賛成です。そういう意味では、独禁法の強化等は前々から我が党は強調し続けてきました。また、社会資本の充実強化が必要である、特に生活関連のものが必要だというようなことも強調してきたと思います。  ところで問題は、今申し上げたような形で議会の権限に属する問題に踏み込んで議論をしている以上は、どうしても国会に対して十分な連絡、話し合いというものが必要だ。私は、今の海部総理のお話を聞いて、ますますその意を強めた次第です。今後七月に向かっては万遺漏なきを期すようにきちっとやってもらいたいということを強く要求をいたしておきます。  もう時間も余りありませんので、消費税の問題についてお尋ねをしたいと思います。  政府の見直し法案は既に提出をされております。私ども社会党、公明党、民社党、社民連の四会派によりますところの消費税廃止法案、関連法案、税制再改革基本法案はやがて提出をいたしたいと思っております。いずれにせよその両案は、政府の見直し案は一部施行日が七月一日のものもございますが、大部分は十月一日実施、我々野党の案も十月一日実施という形で法案を提出をするつもりであります。  そこで、なぜ政府がこの見直し案を出すに至ったのか。これは宇野前総理あるいは海部現総理が選挙の際に思い切って見直しますという公約をされた、そういう中でこの見直し案が提案をされているというふうに理解をいたします。  並んでおられる閣僚の皆さん方、選挙公約を拝見いたしました。中には、消費税の最大の問題点は公約違反であり、率直におわびをするということを選挙公報にきちっとお書きになっている方もおられるようであります。消費税を大きく見直し、小さい負担にするということを公約に明記している方もおられるようであります。また、福祉目的税とし、思い切った見直しを推進する、福祉目的税にするということを公約しておられる人もおられるようであります。具体的なお名前はわかっておりますが、あえて言うのは控えておきましょう。そういう方々の公約もある。ですから、こういう公約をやったということは、現行消費税は欠陥税制だ、したがって見直さにゃならぬ、こういう認識だったんじゃありませんか。だからこそ海部総理も、また宇野前総理も、この選挙の際にそういう公約をされたということだと思います。  海部総理、この欠陥税制、そうしてこれは見直さにゃならぬ、そういう上で公約をした、この公約が実行される見通しをお持ちですか。いかがですか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 昨年の参議院選のときには、私も幹事長として消費税の定着をお願いをしつつも、問題があるなら見直しますということを申し上げた責任者でありますので、私からお答えをさせていただきたいと思います。  私どもは、確かに消費税というものを見直します、問題があるなら見直しますというお約束をいたしました。そして、そのお約束に従い、提起をされた問題についてはすべて検討の対象とし、その中から見直し案をまとめてまいりました。そして、その見直し案を御審議をいただき、一日も早い成立を願いますと同時に、税制として国民の間に定着をすることを心から願っております。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 いずれにせよ、見直しを公約されたわけですよね。  ところで、海部総理はさきの第百十六回臨時国会、七月の参議院選挙の民意を厳粛に受けとめる、この国会での施政方針演説でおっしゃいました。先ほど私は、今の政局は衆議院与党多数、参議院野党多数の状況だということを冒頭指摘をいたしました。そうして、昨年の第百十六回臨時国会では、参議院におきまして消費税廃止関連法案、それから税制再改革基本法案、財源対策法案、いずれも参議院では可決をされた。一院の意思が明確になった。このことは海部総理もお認めになると思います。とすれば、参議院の意思は廃止ということです。政府がお出しになったのは見直しです。とすれば、この見直し法案というものが成立をする可能性というのはない、こう言っても差し支えないんじゃないですか。そうした場合、政府として欠陥税制なんだからこれは見直さざるを得ないという公約をした、その公約が実行できないということになったら、その場合の責任を一体どうおとりになりますか。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 大変恐縮でありますが、欠陥税制という言葉を私は使い見直しをお約束をしてはまいりませんでした。そして、昨年秋の臨時国会におきまして、確かに野党の共同提案になる消費税廃止法案並びに関連法案は参議院を通過をいたしました。その時点においては政府の見直し案はまだ確定をいたしておりませんでした。参議院の御意思は、いわば政府の見直し案というものを御提示をいたします前に決まりました御意思でありますから、新たにそうした国民の声を踏まえて今回御審議をお願いをする見直しを含めた税制改革というものについては、私は本当に十分御審議をいただきたいと思うのであります。そしてその上で、私は国民にとって最善の税制というものを院の御意思によって御判断をいただきたい。我々としては、見直し案というものは最善の案と信じて国会に御審議をお願いをするわけでありますから、十分な御審議をお願いをし、成立を願っております。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 それは、橋本大蔵大臣が自信をお持ちになるのは結構だと思いますよ。ただ、見直し法案というのは、昨年の第百十六臨時国会、野党側の方はなぜ政府は見直し案を出さないのか、見直し見直しと言いながら政府が案を出さぬのはけしからぬではないかという議論が随分あったと思うのです。しかしお出しにならぬで、今回お出しになったということでしょう。  したがって、お出しになって、それは橋本さんが自信があるのは結構だと思いますが、先ほど申し上げたような我が国の衆参のこの状況というものを考え、しかも一院の意思というものが昨年明確になったということを考えた場合に、政府の見直し案が成立をする可能性というのはないというふうに見るのが常識じゃありませんか。  その場合、そのような事態になったときに、結局、欠陥とは考えていないというようなお話がありますけれども、もう本当に立派だと、金甌無欠であると、どこにも欠陥がないとお考えになるならば、見直しをする必要はないんじゃありませんか。やはりどこかに問題ありということだったからこそ、見直し案を出さざるを得なかったんじゃありませんか。また、そういう公約をせざるを得なかったんじゃありませんか。とすれば、この見直しをいたしますという公約、それが実行できなかった場合には、いかなる政治的な責任を海部内閣としてはおとりになろうとするのか、そこをお尋ねしているわけでございます。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 先ほども申し上げましたように、私どもは国民の声というものを十分に聞かせていただきながらこの見直し案をまとめてまいりました。昨年暮れまでに私自身が大蔵省にちょうだいをいたしました消費税についての国民のお手紙だけでも、一万八千通を超えております。そして、そうした声をも反映しながら税調において御審議をいただき、その上で私どもは見直し案というものを確定してまいりました。  委員は今非常に厳しいおっしゃり方をされますけれども、私は今委員の御質問を伺いながら、例えばこちらにおられます村山理事と私どもが、政府を相手にしながら特定不況業種離職者臨時措置法を議員立法でまとめてきたこと等、幾つかの経験を思い出しております。院が本気で御論議をいただきながら案を御審議をいただき、その中から国民にとって一番望ましい方向を見出す御努力をいただくことを私は心から願うわけであります。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 社会党、公明党、民社党、社民連、四党共同提案で消費税廃止関連法案、税制改革基本法案を衆議院に近く提出しようとしているわけです。昨年の臨時国会では、社会党、公明党、民社党、連合参議院、四会派提出の法案が参議院では可決をされ、一院の意思が決定されているという状況です。そういうことを考えれば、政府の見直し案が成立をする可能性というのはないというふうに見るのが当たり前じゃありませんか。  そうした場合、この見直しをするということを公約した以上、それが実行できなかった場合に一体どうするか。参議院は解散するなんということはできないんですからね。とすれば、一体そのときには海部内閣としていかなる政治責任をおとりになろうとするのか。それはもう政府の責任ですよ。公約が実行できなかったということは、まさに海部内閣の責任ですよ。これを一体どうしようとするのか、お伺いをしたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 政府は責任を持って提案をいたし、御審議をお願いを申し上げております。院における御審議を我々は拘束することはできません。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 政府が、海部内閣として今度の総選挙に当たって公約をされたわけでしょう。そうして、その公約が実行できないということになれば、国会の責任だというようなこともおっしゃる方があるが、まさに私は内閣の責任だと思います、これは。そうでしょう。そうすれば、その内閣としての責任を一体どうするのか。  私は、その場合は衆議院を仮に解散したって、参議院は今の状況はどうにもこうにもしようがないんですから、したがって、その場合の政治責任は海部内閣総辞職以外にはない、総辞職以外にはないということを、この際申し上げておきたいと思います。その場合の公約に対する海部内閣としての政治責任、私は、重く受けとめるべきだということをこの際強調しておきたいと思います。  次いでお尋ねしたいことがございますので、お尋ねをいたしたいと思います。  その前に、今のことについて海部総理の感想があったら聞いておきましょう。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 御議論を承っておりますが、選挙中に私が見直し案を具体的に提示して、党首討論会でも街頭演説でも、税の話は楽しい話ではありませんが、お願いしなきゃならぬから聞いてくださいと言って、見直し案の説明もいたしてきました。そのことは、どなたかが負担していただかなきゃならぬ税について、私たちは資産も消費も所得もバランスのとれた課税をしたい、それには御協力をください。ただ、いいと思って提案をし、昨年の四月から始まっております今の消費税体系の中で、国民の世論とか国民の皆さんの声というものにいろいろ耳を傾けた結果、これは世論を尊重してできる限り世論にこたえなきゃならぬというのでつくった見直し案でございましたから、これの内容をきちっと説明をし、それをお願いをしましたので、結局国会にそのことをきちっと提案するのが私どもの責任であると感じてきました。  ただ、お願い申し上げたいのは、この間の衆議院の選挙中には、野党の皆様の方からも廃止案とともに財政再改革の法案も出てきました。そしてまた、その中には所得と消費と流通等、すべての流通のすべてのサービスも課税の対象になるという構想も出ておりました。個別間接税というお話も出てまいりました。そして、間接税にかかわらなきゃならぬ部分もあるということも選挙中にお訴えになったわけでありますから、その我々の出す見直しの案と野党がお出しになる新しい案とを、それをよく御議論願って、どちらが今行われておる消費税よりも国民の皆さんの気持ちや感覚に近いかということをぜひ私は御議論をいただいて、出すのか出さないのか、どうなるのかどうならぬのかという結論だけじゃなくて、どうかこの間大きな勝利をおさめて議席をふやされた野党第一党でありますから、お出しをいただいて議論、検討を続けていただきますことを、これは国会の立場としてお取り組みいただきたい。お願い申し上げます。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 自民党、議席では安定多数をおとりになったかもしれませんが、得票率では四六・一%、消費税廃止を主張した野党全体の得票率も四六・一 %だという事実は海部総理もよく御存じだろうと思うのです。私どもは、そういう意味ではあくまでも消費税廃止を求めていく、そうして見直しが実行できなかった場合の海部内閣としての政治責任極めて重いということはこの際強調して、この問題は終わっておきます。  次に、深谷郵政相にお尋ねをしたいと思います。  リクルート問題に関して、深谷郵政大臣は入閣に当たり、リクルートからの献金等の事実を報告せず、これを否定された。その後も、今日に至るまで献金等の内容をあいまいにし、あるいは過小に報告したりして誠実に欠ける面があると思っております。秘書について、その給料をリクルート社から支払ってもらうなど、事実上の政治献金を受けながら、嘱託職員と弁解をしたりいたしておるようであります。また、南陽会という後援会の会費を昭和六十三年七月以後も受け続け、平成元年一月になってさかのぼって返却するというようなことのようでございます。問題は、しかもリクルート社の幹部とのつき合いというものは一切ないというようなこともおっしゃっておるようでございますが、自民党のリクルート問題の政治献金に関する見解、これに照らしても、深谷郵政大臣の今日までの対応は問題があるというふうに私は言わざるを得ないと思うのです。  深谷さんにお尋ねをいたしますが、参議院においてこれらのことが問題になったようであります。参議院でお述べになった以外のリクルート社からの関係は一切ないということをはっきりここで申し上げられますかどうか、お尋ねをいたしたいと存じます。

深谷隆司自由民主党郵政大臣

○深谷国務大臣 まず、この件につきまして、私の不徳のいたすところから国民の皆様に多大の迷惑をおかけしたことをまことに申しわけないと思っております。  参議院でさまざまな議論がございましたが、その内容等については官房長官に細かく提出をいたしまして、官房長官から詳細報告をしていただいたとおりでございます。あの中身につきましては、私どもが全力を挙げて調べた内容でございまして、正しいと確信をいたしております。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 官房長官、そうですか。官房長官にも確認をしておきたいと思います。

坂本三十次自由民主党内閣官房長官

○坂本国務大臣 郵政大臣からは、去る三月二十三日、私のところに、リクルート社からこれまでに千二百三十六万円の政治献金があったことが判明した旨自主申告がありました。その後、三十六日には、同大臣から直接私が説明を聞くなどによって、同大臣からの自主申告された内容を確かめたわけであります。  そのリクルート社が問題となった昭和六十三年夏以降の分は、献金等ですが、公表したように、後援会である深谷隆司南陽会に支払われた会費のうち、リクルート社が退会した後も手続上の間違いか同年十二月まで五カ月間毎月二万円ずつ送り続け、これに気づいた後援会がすぐ返却した十万円であり、これについては、自民党のリクルート問題における政治献金等に関する見解に照らしても問題はないのではなかろうかと思っております。また、昭和六十三年夏以前の献金については、リクルート社が問題となっていない時期のものであり、政治資金規正法の規定に照らして正しく処理されているとのことでありますので、自民党の先ほどの見解に照らして問題はないと考えております。  次に、リクルート社社員が派遣されていたと言われている問題につきましては、郵政大臣にただしました。郵政大臣からお聞きしたようなことであったとするならば、このことを直ちに献金ととらえるのはいかがかと思うのであります。  最後に、閣僚就任前の調査の際、リクルート社等からの献金はないと自主申告したことの原因をただしましたが、結局、調査が不徹底であったことについて同大臣に厳重に注意をいたしました。また、同大臣もこの点については深く反省をしておるということでございます。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 大臣就任前にはこの申告をしなかった。その後事実が明らかになった。かつて長谷川法務大臣等のケースの場合は、御本人が潔く辞任をしておられるわけであります。そういったことからいいまして、今回のただいま官房長官から説明を受けたようなことでは我々は納得をできません。納得することはできません。  そこで、さらに郵政大臣にお尋ねしたいと思うのですが、リクルート社との個人的なつき合いはない、こうおっしゃっておられるわけでございますが、リクルート社の大沢武志という専務は御存じではありませんか。

深谷隆司自由民主党郵政大臣

○深谷国務大臣 私は、大沢さんと友人関係にあるということは、五十年ごろからという意味で既に記者会見でも申し上げております。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 そうしますと、リクルート社の幹部の皆さんと個人的にはつき合いがあるということですね。また、一木会という後援会があるそうであります。この一木会という後援会、大沢さんを中心とした資金を集める後援会だということも言われております。  先ほどお話がありましたが、今まで国会で述べてきた、それ以外のことは一切ないということを深谷郵政大臣、言明をされたわけですから、したがって、そうでなくても私は長谷川法務大臣等の事例から考えてこの際潔く辞任するのが当然である、そうでなければ総理が罷免されるのが当然ではないか、こう思いますけれども、さらに、ないとおっしゃった以上、今後リクルート社との関係があったということになれば、これは重大な問題である、その際には海部総理としても断固たる措置をとるだろうというふうに私は考えます。海部総理の見解を承っておきたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 郵政大臣の問題につきましては、官房長官が御報告申し上げましたように、党のけじめ等に照らして、私は、それは今のところ党のけじめ案に従って処置をしたという官房長官の報告で結構だ、こう判断をいたしました。

山口鶴男日本社会党・護憲共同

○山口(鶴)委員 今後この問題につきましては、我が党として引き続き追及をするということをこの際申し上げまして、質問を終わっておきたいと思います。

越智伊平自由民主党

○越智委員長 これにて山口君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤信二君。

佐藤信二自由民主党

○佐藤(信)委員 実は、私の質問の予定は当初は三月の初めでございましたが、国会の都合で今日になったわけでございます。この間、私なりに産経新聞を初めとしてあらゆる新聞、雑誌そしていろいろな書物を読ませてもらう機会を得ました。  そこで、総理にお伺いしたいのですが、今非常に日本の中でもってよく売れている本というのがあるのです。いずれもこれは外国人が書いた本でありますが、一つは「トウェンティハンドレッド」、これはもう総理、うんとうなずかれているのでお読みになったと思うのですが、ジョン・ネスビッツという人が書かれた本です。「メガトレンド」、これの実は二部作ということで、この第一部の「メガトレンド」は八百万部売れた。すごい本ですね。これは、これからの二十一世紀というのは黄金の時代が来るんだ、黄金世紀へ動くということで、大変実は前途がバラ色という楽観論なんです。これが日本で今大体十万部売れているわけなんです。もう一冊は、これもお読みだと思いますが、「日はまた沈む」という本なんです。「ジャパン・パワーの限界」という本です。これは余り読んでみていい本じゃありません。この「日は」の「日」というのは、どうもこの次に「本」がつくらしい。そういうことで、これから九〇年代になると、その半ばから日本は衰退を始めて没落ということを予言しているのです。こうした本なんです。ビル・エモットという人です。この両極端な本が——これはしかも十六万部売れているわけなんですね。     〔委員長退席、近藤(鉄)委員長代理着席〕  それは一体どういうことだろうか、こう思いますと、これからの九〇年代、いや二十一世紀に向かって国民の中にやはり期待と不安というのが両方あるんじゃないだろうか。それがこれをそれぞれ買われるというゆえんだろうと私は思うのです。そして今申したように、これの特徴はいずれも外国人が書いたということ。それはやはり、これから日本がどういうふうに行くんだろうか、栄えるんだろうか、落ちるんだろうか、非常に世界が注目をしているといっていいんだろう、こんなことを私は考えたのです。  確かに今、私が言うまでもなく、世界の情勢が大きく変わってまいりました。昨年の東欧、ソ連の民主化の動きを待たなくても、九二年にはECの統合というものが予定されていました。それに、今申したように、ベルリンの壁がなくなってドイツが一つになるかもわからぬ、東欧と西欧とのこの絡みが出てきたわけですね。アメリカはカナダとの間に経済統合計画もあったわけです。そういうことで、やはりこれから日本が今のような自由で平和、この繁栄を続けようとするためにはどうすればいいんだろうかというのが、実は私は今の我々に問われている大きな課題だろうと思うのです。  先ほどこの私の質問が一月おくれたと申しましたが、考えてみるとことしは、平成二年という年は西暦にすると一九九〇年、まさに九〇年代、二十一世紀への夜明けだ。そういうことですから、この政治の果たす役割は大きいですが、特に、やはりその中において国際社会の中の日本、まさに一歩誤れば日本は落ち込むかもわからない。こういうときに、まず最初に総理に、総理のお持ちの世界観というものをお聞きしたいと思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 戦後の日本の歩みを見ておりますと、私は、国際情勢の中で日本は非常にある意味で幸運な場面に出会ってきた。それは、自由貿易、自由経済という枠の中で、日本は思い切って個性や能力を伸ばしながらやってきた。そして、平和で自由で豊かな国づくりというものに全力を挙げてまいりました。そしてもう一方、その間日米安全保障条約、それによって節度のある防衛予算によってみずからの国を守るという基本的な立場も貫き、平和を守り、一日も戦争に巻き込まれないできょうまで来ることができたというのも、最初に申し上げた極めて幸運であったという一面だろうと思います。  その間、世界のそういった秩序の中で物をつくって物を売る、輸出ということに国の伸びていく目標のすべてを置いて、あるときには輸出振興に国の政策も力を入れてまいりました。私は、そういうことが一時期は間違いなかったけれども、だんだん力をつけてきた日本が、今度は世界の中において、世界のそういった社会の中において協調していくというところから一人だけはみ出すような、逆に言うと力が大きくなり過ぎるような面が出てきたのではないか。ですから、世界の国々は日本に対して、国際社会の中でもっと国際国家になれ、世界に貢献しながら世界とともに歩む国になれということを要求し、あるいは期待をしてくることも当然だったと思います。  その意味で、今ちょうど世界が対立、対決から協調と話し合いに変わろうとしておる。しかも目指しておる方向は自由経済であり自由貿易だということになりますと、日本がきょうまでそのルール、その仕組みの中で豊かに幸せに大きくなってくることのできたその仕組みが今度は世界の新しい秩序の根底になるのだという時期でありますから、日本としては、できるだけ積極的にきょうまでの経験や体験や持っておる技術力やいろいろなものを提供して、新しい世界の枠組みづくりの中で日本も今日の豊かさと幸せと繁栄を維持していくような努力をしなければならない。九〇年代というのは、そういう意味で非常に希望の持てる十年ではありますけれども、ただ、どうなっていくかわからない先行きの不透明感もありますので、今お示しになりました本の中にもそういったことがある視点から厳しく指摘されておりますように、そういった予測もあるわけでありますから、そういったことに陥っていかないような努力もまた真剣に考えていかなければならない、こう考えております。

佐藤信二自由民主党

○佐藤(信)委員 私は若干違ったことを申し上げるようですが、確かにそうした世界の流れというものも、ややもすると我々の民族性として短絡的に物事を考えることが多いと思うのです。確かに世界の緊張を緩和して協調と対話でもって繁栄を続ける、私の申し上げたいのは、その場合日本としてどういうふうな役割をするかという中においてどういうふうに世界の動きを考えるか、その中において日本という国がどんな国なのかということをもう一回見きわめる必要があろうか、こういう視点だった。実は先ほどの山口さんの質問をよく聞いていても、ややもすると日本人の中には、東西緊張が解けたというのは何といってもソ連という国が大きな変化を示したんだ、そして今までの議長制をやめて大統領制になったんだ、こういうとやはり、大統領というとどうも日本人の考え方の中にはアメリカ大統領、こんなふうに実はすぐ結びつくのでしょう。民主主義体制の象徴みたいなものだ。ところが、大統領制というのはルーマニアでもあったわけなんですね。ただ権力が強くなったというだけなんだ。そして片一方では、ソ連がああいうふうにして改革をしてきたんだからもう話ができるんだろう、来年ゴルバチョフが来日したらすぐ四島を返してくれるんだろうと非常に短絡的な考え方なんです。ところが御存じのように、ソ連の中においてはリトアニアの民主化の動き、それを阻止しようという動き、まだ非常に先が不透明だと思うのです。  私は、ソ連が今後どのように変貌するかということ、やはり少なくとも共産主義というものを捨てない限り今までの枠組みは余り大きく変わるわけではないんだろう、こう思うのです。そのときに日本としては、もちろん世界の協調、協力、結構ですが、私が申し上げたいのは、日本外交の基軸は言うまでもなくアメリカであること、これは否定しません。しかし同時に、先ほど申したようにECは一つ、東欧もそれに動くかもわからない。また北米、その大陸も経済的にはいくかもわからない。こういうときにやはり我々日本としては、少なくとも我が日本のふるさとはアジアだという考え方が世界観の根底に流れていいんじゃないだろうか、こう私は思ってお聞きしたのですが、私の考え方は間違っていましょうか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 あなたの考え方は決して間違っておりません。私も、たしか最初の総理大臣の記者会見のときだったと思いますが、日本外交の基軸についてどう思うかという御指摘を受けたときに、私は日本外交の基軸は二つある。一つは、やはり外交の基軸の第一はアメリカであって、自由と民主主義の価値を共有しながら、日米そして西欧の先進諸国との間で世界の安定と繁栄のために協力しなければならぬ。もう一本の座標軸はやはりアジアだということを率直に申し上げました。そして先ほどもお答えに出しましたように、アジアとアメリカとヨーロッパの三極関係のそれぞれを強くしていく、しかもアジアを強くしていく責任というのはどうしても日本にあります。  ですから、最近数年間の日本のアジアに対するいろいろなアプローチの仕方の中で、アジアにまだ非常に見通しのきかない問題や不透明な問題が地域的にたくさんあるということを先ほど申し上げましたけれども、それは解消する努力をしながら、反面、アジアの最近の経済的な力、向上性というものは、これは全世界の平均よりもアジア地域の平均の方が経済の成長率においても上回っておるという事実や、そのアジア地域に対する日本の製品輸入の比率がこの数年間上がってきておるということ、また投資の率もふえておるということ。アジア地域の経済の発展には、随分日本も大切に考えて力を及ぼしてまいりましたし、またアジアには、そういった意味で投資や貿易のみの関係ではなくて、御承知のように、佐藤委員にも御協力願いました日本の青年海外協力隊も、まさにそれは人間が直接行って、国づくり、人づくり、技術移転に汗を流して、アジアの地域で直接参加をしてやっておるという政治でございまして、アジアを大切に考えておる日本の外交の一つのあらわれである、こう考えております。

佐藤信二自由民主党

○佐藤(信)委員 今総理がお答えになったのを、私もそれを今のに触れて申すのですが、やはり私の考え方の根本の中には、何といっても、この今の日本を考え、そして将来を考えるときに、今までの日本が歩んできた道も考えなければいけない。四十数年前に、戦争ということで大変迷惑をかけた地域がこのアジアだ、そういうことを考えた場合に、やはり贖罪というこんな意味合いもあって、これからやはりアジア諸国と協力関係を強化するという、これがバックボーンにならなければいけない。もっと簡単に言えば、四十数年、今日のような経済大国になったという日本の富の公平な分配というものをアジア地区にと、実はこんな考え方を持っているのです。  そこで、今青年協力隊のことをおっしゃいましたが、日本のそうした姿勢のあらわれである援助ということについて、経済援助、ODAについてお伺いしたいと思うのです。  今実は、非常にASEAN諸国が心配していることがある。それは、総理が本年の一月でしたか、ポーランド、ハンガリー、こうした東欧の民主化支援ということでおいでになったときに、援助をなさると言われた。また、先般のブッシュ大統領との会談においても、パナマに対する積極的な協力も言われた。私は、この二つが悪いと言っているんじゃないのです。これからはもうまさに日本は地球的規模でもって援助していかなければいけないわけですから、これは当然なことでいいことなんですが、その反面、もしかしたらASEANの諸国の中では、その自分たちがもらえるであろうというか、もらえると言ったら言葉が悪いですが、援助を受けるそのお金というか、そういう援助が削られるとか奪われるのではないだろうか、こんなことが心配だ、こういうことがあるらしいのです。ですから私は、あくまでもアジア重視の姿勢というものを堅持してもらいたい、こう言いたいのですが、外務大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 今先生御指摘のとおり、アジア地域におきましては、日本がこの地域の一国である、こういう立場で、やはり日本のODAは約七割アジア地域に配分されているとお考えいただいて結構かと思います。  ただ、ポーランド、ハンガリー支援を決定いたしました後、私がこの一月にタイ、マレーシアを訪問しました際にも、タイの首相からは、一体日本はアジアの国でありながら東ヨーロッパに援助をして、アジアの国々の援助を削減するんじゃないか、こういう御質問がございました。私は、その際にはっきりと申し上げましたことは、我々は、日本はアジアの国であり、アジアの国々との関係というものは地政学的にも変わるものではない。我々アジア人はアジア人で協力していかなければならない。しかし日本としては、ポーランド、ハンガリーに支援をするということは、すなわち民主化、自由化を進める共産圏の国々を支援することによって世界の平和への貢献を意味するものであると御理解いただきたいし、我々の国の経済は、自由民主党の政府が続く限り、当分GNP実質成長率は四%を維持すると経済企画庁は言っておる、そのような経済の拡大の中で、この拡大した部分からいわゆる東ヨーロッパに対する援助の提供ができるのであって、アジア地域に対する援助を減額するものでは毛頭ない、こういうことを申してまいったということをこの機会に御報告を申し上げておきたいと思います。

佐藤信二自由民主党

○佐藤(信)委員 それにまた関連してですが、確かに、日本のODAというのは、近年国際協力という旗印のもとに急速に伸びてまいっております。一昨年、すなわち一九八八年には一兆一千七百五億円、九十一・三四億ドル、こういうことで、OECDの開発援助委員会、DACというのですね、その中ではアメリカに次いで第二位、そしてこのDAC全体、十八カ国の中の一九%を日本が占める、こういうことで、やがては日本がアメリカを抜いて援助大国になろう、こういうことを言われることはよくわかっています。  しかし私は、外務省当局の見解と違って、それが果たして外国でもって評価されているかというと、どうも違うのじゃないだろうか、こんな実は心配なんです。それは確かに金額的にはふえているけれども、質において問題があるのじゃないだろうか。質の問題だろう、こう思うのです。わかりやすく言うと、よく言われるGNPの対比でもって日本は〇・三二%だ。DAC十八カ国平均が〇・三六%ですから、低いので、この十八カ国のうち十二番目が日本だ、こうなっているわけなんですね。そして、この援助の値を示す国際的な尺度、贈与比率、グラントエレメントというのは依然として低いということで、これは残念ながら最下位にあるということなんです。もっとわかりやすく言うと、GNP対比したということは、ヨーロッパ、北欧、こういう国では大体国民一人は一年間に二万円か三万円負担しているんだ、負担というかそれをお出ししているんだ、日本の場合は一人当たり一万円だ、これがやはり評価が低いということじゃないだろうかと思うのです。  そこで私は、やはり今申したように、日本の場合には援助という中に借款、これがあり、また贈与ですね。借款というのは言うまでもなくお貸しします、お使いください、こういうわけですから。やはり欧米の考え方というのは贈与なんだ、援助イコール即贈与だ、この考え方が主流だと思うのです。そこで、今申したように、日本の場合には援助の中の四割が借款だ。そして、人づくりと今言われましたが、その技術協力は一割だ、こういうことなんですね。しかも、大体援助をしようという国は余り経済的に豊かでない国ですから、こうした途上国が抱えている累積債務というのは総額一・三兆ドルに達している。だから、お貸しするということは、またこれが債務の増加につながるということを意味していると思うのです。だから借款、これをやはり見直して、無償資金の協力というか、贈与、そして技術協力、こういうものの比率をもっとふやすべきだと思うのですが、いかがですか。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 先生の御指摘のとおりでございまして、日本としては、これから贈与のパーセンテージをふやしていくべきだ、このように考えております。

佐藤信二自由民主党

○佐藤(信)委員 大蔵大臣、非常に渋い顔をされておりますが……。  そしてもう一つは、やはり日本の場合に、今総理いらっしゃらないので、総理に聞いてもらいたかったのですが、どうも使い道を決めるというか、タイドというのがありますね、どういうものに使ってくださいという。それともう一つは、上げますからどうでも勝手に使ってくださいというアンタイドがあるわけですよ。どうもこのアンタイドが少ないんじゃないだろうか。それで、しかもそれを借款でなく贈与でやらなきゃいけない。  これをもっと言うと、これはやはり構造協議にも関係してくると思うのですが、往々にして、やはりタイドの場合には、そのプロジェクトを日本の企業が落とすということが多い。そのことがやはり、せっかくの日本の税金、また日本の国民の誠意が通じない一つじゃないだろうか、こう思うので、この贈与のアンタイド化というものを進めてもらいたいのですが、こういうふうなことは考えられますか。外務大臣、お願いしたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 御指摘のとおり、アンタイドの部分につきましてこれからふやしていかなければならないと思いますが、問題は、コンサルタント会社の問題がそこにあるということを私は認識をいたしておりまして、できるだけ国際的にその対象を広げていくべきだ、こういうことによって、日本の企業が日本の借款を全部扱う、無償援助の場合そういうことになっておりますけれども、できるだけこれを多国間にしていくというようなことを考えていかなければならないのではないか、このように考えております。

佐藤信二自由民主党

○佐藤(信)委員 もう一つは、やはりせっかく日本がそうした援助を税金からする以上、相手方の国でも評価されたいし、同時にやはり国内でももっと深い理解をいただかなければいけないと思うのです。ところが、どうもやはり国民各層の理解と支持というのは必ずしもまた強くない。外務大臣のところは選挙区が大阪ですから御経験ないかもしれませんが、我々地方出の議員だと、よく選挙区で言われるのです。そんなに日本が金持ちならば、うちの村にないだろうか、援助がもらえないだろうか、こんな冗談を言われるところがあるのですね。  そこで、特にその中において、先ほども総理からお話が出ましたように、技術協力ということで行かれている人の評価ですね。青年海外協力隊、これはまさに若い人の中でもって、日本の中においてまあぜいたくな生活をされる若い人もおれば、やはりこれが日本がこれから国際的に尽くす道だと思って使命感に燃えて行かれている方、それは立派だと思うのですよ。実は、この間一部の新聞にそれを批判するようなものがありまして、文部省からの誤解だというような説明がございましたが、私はあれは非常に残念なことだったと思ったのです。  同時に、やはり今度はもっと民間の人の中でもって、定年退職者の方で、これこそシルバーボランティアですが、行かれた方。きょうは本の広告みたいですが、城山三郎先生の「人生余熱あり」、これは非常にいい本ですから、外務大臣、お読みだと思いますが、読んでいただきたい。これは一口に申し上げると、会社でもって定年になった技術屋さんがまだ元気だからこれからどうしようか、年金をもらって暮らしてもいいが、やはり何とか世間のために尽くしたいと考えた場合に、自分は若いときに、先ほど申したようにアジアにやはり日本軍で参加した覚えがあるということで、マレーシアやタイに行かれて老後をここで過ごそう、土になろう、こういう決意が書いてあるわけですね。これは実話だと思うのですよ。そういう方に対して、我々政治としてもまた国民としても余り報いていないんじゃないだろうか。  それは今申したように、民間ボランティアに対して政府の補助も強化してもらいたいが、先ほど言ったように、やはり広報努力というものが足りない。だから、やはりいかにODAが有効に使われているかということは強調してもらいたい。私が言うまでもなく、例えばマレーシアの電力の四割は我が国のODAで施設をつくったとかということがあるし、またネパールの電力の七割は日本だ、こういうことが実は余り知られていないと思うのです。ぜひともこうした広報ということでもって、今申したようにお年寄りから若い人、他国の建設に自分たちの青春を、また老後を尽くされる方に対して、何かやはり国としてお考え願いたい、かように思います。御見解がありましたらお伺いしたいと思います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 ODAの金額が非常に大きくなっていくし、また世界は日本のODAに大きく期待してまいります。そういう中で、まず第一に、税を納めていただいている国民の皆様方に、なぜ我々の国がそのような援助をしなければならない立場にあるかということの御理解をいただくための広報、ぜひこれは私は強化していかなければならない、このような考えを持ちまして、ただいま外務省におきましても、この国内広報の強化に対して特に留意をするように指令を出しております。  なお、今先生お触れになりました青年海外協力隊、私もマレーシア、タイにことし参りましたときにもお集まりをいただいて、いろいろとお話を聞いてまいりました。今までは帰国後に就職の当てが不安定であった時代もございましたが、今では社会の方々の、特に企業の方々の認識が深まりまして、青年海外協力隊の方々を好んで採用される時代がやってきたと思います。そういう中で、今年は青年海外協力隊発足二十五周年の記念の年に当たりまして、今年外務省といたしましては、今日まで御苦労いただいた協力隊の経験の方々をぜひお集まりをいただいて、青年海外協力隊二十五周年の記念式典を行い、そこでお集まりいただいた方々に、その方々の経験を通じて日本のこれからの海外経済協力及び青年協力隊のあり方、いかにあるべきかということのシンポジウムを開きたい、このようなことでただいま作業を進めているところでございます。

佐藤信二自由民主党

○佐藤(信)委員 総理も、今のお話よくお聞きだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  この話の最後に、総理にお願いしたいことがあります。それは、よくどうも海外でもって私が評価されないと言った最後の理由というものは、歴代の総理が外遊されるときに、お土産と称して持っていかれるケースが多いと思うのです。無償でも借款でもそうです。あれは初めから年次計画に入っているわけですから——急に総理が行くから用意するということも中にはありますよ、それは例えば災害があったとか何かいえば別ですけれども、大体多くの場合には計画にあるんだ。これが私は、外国の場合にはアジアといえども歴史、宗教、哲学、いわゆる文化が違うんですから、また国内においても、どうしたんだろうか、金が余っているんだろうか、こんな印象があるんです。特に私は、やはりお土産として持っていくという考え方は、日本的発想の中においても恩着せがましいとか成金趣味だと思うのですよ。だから、ぜひともこれはやはりお考え願いたいと私は思います。今言ったように、当初からあるんですから。中には、たまたまそのときに総理が行くのに合わせようと思って、今度は実は役所の下の方が何とか総理への点数を上げようと思って考えておくわけですね。これは私は一番悪いことだろう、こう思うのです。  特に私は先ほどから申したように、お金も必要ですが、この中にはやはり技術ということで、人、そういうことを考えると、やはり研修制度みたいなのを向こうでつくってあげるとか、それから聞くところによると、外国では自分の国の言葉を教える、それだけを。どうしてかといったら、やはりこれから日本にとっても考えていかなければいけないと思うのは、日本の場合には援助だけすればいいというけれども、やはり援助をして、何か向こうが生産したら買ってあげる方が親切だということを言うんですね。そのためには言葉が要るんだ。そういうことをやっている国もあるということを申しておきます。今ので何かおっしゃっていただけますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 おっしゃるように援助、特にアジア諸国に対する援助というものはお土産的発想ではいけないと思います。したがって、今御質問の御趣旨を十分踏まえまして、そのような態度でやっていきたいと思います。

佐藤信二自由民主党

○佐藤(信)委員 橋本大蔵大臣、きょうこの予算委員会終了されてすぐパリに行かれるそうで、御苦労さまでございます。大蔵大臣はやはり若くなきゃ勤まらないな、こんな気がいたしますが、今度の会議というのは、日本じゅうと言ったらあれでしょうが、非常に注目しているんじゃないだろうか。これはわかりやすく、今度の先進七カ国蔵相・中央銀行総裁会議のテーマというものを、簡単でいいのですが、おっしゃっていただきたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 率直に申しまして、今現在まだテーマは確定いたしておりません。その理由は、日本側の財務官以下、またアメリカ側の財務省の関係者、先刻まで構造協議のために全員が作業に集中しておりまして、他のファイブの国々との間に議題の整理が完了しておらないという状況でございます。  ですから、あくまでも現時点における感じとして申し上げますと、今この時期に急にセブン各国が蔵相・中央銀行総裁会議を開くに至りましたのは、申すまでもなく、東欧情勢の激変とそれに伴う世界経済の動向、そして言いかえれば東欧という全く新しい投資を必要とする市場が急に降ってわいた、しかもそれは非常に多額の資金を必要とする、これにどう対応していくべきなのか、また、それをどう扱っていけば世界経済に大きな傷をつけずに済む、むしろ発展的な前進が遂げられるか、こうした問題が一つテーマとして出てくると思います。  もう一つは、これは日本自身が絡む問題でありますけれども、IMFの第九次増資に絡み、日本の順位を変更する問題でありまして、私どもとしては、そうした中で、日本の国際的なポジションを変えていく努力をすると同時に、世界的な経済の流れの中において為替の問題等々を論議していくことになろう、そう考えております。

佐藤信二自由民主党

○佐藤(信)委員 多くの日本人というか、先ほど申したように、私はずっと新聞を読むと、主要議題というのよりかもっと関心があるのは、今の円安という問題、株の下落、こういうものにまた歯どめをかけるようないい話が出るんじゃないだろうか。これは私は大変難しい話だろうと思うのです。そういうことで、非常に今度の蔵相の御出張は大変だなと思いますが、やはり多くの日本人の中では期待も大きいということをよく御認識願って、御無事で行かれることを心からお祈りいたします。  次の質問でございますが、総理にお伺いしたいのは、きのうほとんど総理も外務大臣も通産大臣もほかの閣僚も皆さんお休みになっていないようで、何かきのうきょう、この二、三日の報道の仕方というのは異常なような気がするんですね。もっと言えば、一月間見ると、何かまさに開戦前夜だなんということを書く新聞、マスコミがあるし、一体何をしたんだろうか。私はやはりとらえ方はいろいろな立場でもって違うと思うのですが、先ほども若干総理が触れたように、このとらえ方を単にやはり名称というか、日米構造問題協議ということだけで、これが協議なんだろうか交渉なんだろうか、こんなとらえ方だけして、交渉だから勝負だ、勝ったのか負けたのか。きのうも聞いていたら、これで一体日本は得したのでしょうか損したのでしょうか。非常に端的なあらわれで、私はそんなとらえ方でいいんだろうか、こんな実は気がするんです。  私が先ほど世界観というものから入ったというのも一連の関連があって、このことが今、日米間というか、アメリカから指摘されて二百項目。私は、内政干渉だとかおせっかいということを言う前に、やはり当然今までしなければいけなかった、まさにこれは恥ずかしいかな、我々政治、そして行政の怠慢だったと言えるんじゃないだろうか、実はそんな気がするんですよ。  そこで総理、ちょっと変わったことを申しますが、カエルの実験ということをお聞きになりましたか、カエルの実験。御存じないですか。カエルってありますね。海部じゃないですよ、カエルですよ。これをお湯の中に、おふろの中にカエルを入れちゃう、こういうんですね。熱いもんだから、ぽうんとカエルがすぐ出る。ところが、水ぶろですね、それにカエルを入れておくと、カエルはすいすい泳いでいる。どんどんどんどん温めるとどうなるとお思いですか。——中山大臣おっしゃるように、やはりお医者さんは違うもんだと思うのですが、タイミングを失って死んじゃうんですね。煮えちゃうんですよ、変な言い方ですが。出れなくなっちゃう。  私が今この話を持ち出したというのは、今のやはり日本の世相、国会の情勢すべて、これは私も含めて実はこのカエルの実験に合っているような気がするんですね。日本というのは、御存じのように、どうも何かショックがあると立ち直るというか、大きく飛躍する民族じゃなかったか。まあ近代日本の夜明けというのは言うまでもなく明治維新ですね。あのときでも、御存じのように、反体制の動きからきて尊王攘夷とかいって騒いでいた。黒船が来たというので、一挙にもう攘夷は消し飛んで開国でしょう。そして、それから今度は新しい技術というか入ってきた。まさに近代日本の夜明けが明治維新だった。四十年したらと言ったら、よくない話だけれども、日露戦争が始まって、そこでもって日本は勝ったということで世界でもって脚光を浴びてきたんですね。それからちょっと歩んだ道が悪かったと思うのですが、そして今度は、四十年たったら大東亜戦争に突入して袋だたきに遭って、そして、今度の戦後というものは自由主義、民主主義という自由経済のもとに今日に至った。ちょうど大体戦後四十五年ぐらいですが、まあ四十年と見ていいのですよ。  だから、先ほど申したように世界が大きく変わりつつあるわけですから、まさにこれは日本のためのチャンスなんだ、こういうふうに私は考えないと余りにも我々の考え方がみじめになると思うのですよ、みじめになる。私はそういうことを実は指摘したいのですが、総理はどういうふうに思われますか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 今、佐藤議員のお話を、学校で講義を聞いておるような気持ちでうなずきながらすべてごもっともと思って聞いておりました。同時に、そういう四十年ぐらいごとの節目によって、日本がいろいろとみずから生まれ変わるというよりも、いろいろな世界情勢の大きな変化とか、そういったものによって刺激を受けて刺激の中から変わってきたんだというお話も、私にもなるほどそうだと思うところ多々ございます。  島国であったからそうなのかもしれません。あるいは日本の文化や歴史や伝統というものが諸外国と違って独特のものであったということからそうであったのかもしれません。しかし、これからはもう国境を乗り越えて、小ぢんまりとした国内だけの秩序を求めてやっていくことのできない時代でありますから、今度のこの移り変わりは、まさにおっしゃるように、大きなことを言わしていただけば、戦後四十年たって、そして平成の大きな新しい時代に向かって、日本も本当に国際化時代に通用するような国としての自覚と責任でいかなければならぬし、同時に、国際関係だけじゃなくて、国内を見たときに、国は豊かになったが一人一人は豊かではないではないかという声が随分この数年来あるわけでありますから、豊かさの実感できるような国をつくっていく。豊かさの実感できるような内政の目標はどこに置くかということで、既に着手もし、問題意識も持って考え始めておったテーマでありましたけれども、思い切ってこれは御理解をいただいて前進をしていくべきことである。今、御質問を聞きながらそのような実感を持った次第でございます。

佐藤信二自由民主党

○佐藤(信)委員 私は、きょうの朝の総理の八時半からの記者会見を聞いていて、冒頭の政府のお役人が書かれたあれよりか、生の声で話された今の日本の、世界の中においてこれを超えなければいけないんだという話、非常によかったと思うのです。ただ残念なことは、あの話をなぜ早くなさらないか。この構造協議が始まる前にやるべきじゃなかったか。それが先ほど私が申したように、そういう手順が逆になっているから、新聞論調を見ると、本当に勝ったか負けたか、戦争前夜だとか、大変なことだと思うのです。私は、まさに構造という中においては、やはり日本人の精神構造を変える必要があるんだな、実はこんな気もしたのですよ。  それは、また講義と言われますけれども、一つだけ申し上げて指摘しておきたいのは、やはりどうも日本流とアメリカ流と考え方というか、意思の決定が違うんだと思うのです。先ほどの山口質問がありましたように、日本というのはどうも根回しが優先するのですね。そして、一たん決めたらさっと実行できるんだ。ところが、アメリカの方は根回ししなくて、上の方がぱっと約束する。ところが、後は議会で反対されると、しょうがないじゃないか、こういう割り切り方なんですね。今度の場合、やはり外交だということを主眼に置かれて非常に苦しい立場だと思ったのですが、話をなかなかできなかったんだろう、こう思うのです。  ただ、もう一つ残念なことというのは、外交だと言いながら、新聞には政府首脳がどうするこうするとか、党のだれがどう言ったということですね。私は、外交というのは何も秘密外交をしろと言うわけじゃありませんが、ああいうふうなことでもってアメリカの方に情報が筒抜けるとなると、正しい判断に基づく交渉はできないのだろう。私はまたああいうことが、野党がおっしゃるように協力したくてもできないということだと思うのですね。新聞に出ているといって聞けば、それは言えないと言われる。この辺はやはり改善しなければいけないだろうと私は思うのです。  もう一つ、私がこうした読んだことを申し上げて恐縮ですが、日米の考え方の差というのは、文化といえばそれまでなんですが、アメリカというのは、要するに原則論というのが決まればもうすべて個別ケースは解決済みだ、だから総理が行って手を握ったから全部あとはオーケーだ、これがアメリカ的な考え方なんだそうですよ。日本はどうかというと、原則というものはあくまでもこれは努力目標なんだ、それで各論の論議でもって制限をつけたり、例外を設ければいいのだ、こういう指摘もありました。今度の交渉をずっと見ると、このとおりだなというような気がするのです。私はこういうことを申し上げるのは大変失礼ですが、やはりまだこの構造問題協議というものが今の場合は中間評価の段階で、七月に向けて最終取りまとめがある、そのときにまたどういうふうな変化があるかわからないということで実は申し上げたのです。  そういうことで、時間がないから一方的に申して恐縮ですが、あの中で私は、細かくなりますがお聞きしたいことが二つあるのです。それは大店法という問題と、そして公共投資の問題ですが、大店法の方で、実は私もずっと御存じのように党においては小売商業問題小委員長というのをやらせてもらいましたし、中小企業の立場というものも重々心得ております。また、消費者というものがいかに大事かもわかっています。そうしたことでお聞きするわけですが、各省というかお役人の皆さん方がおいでになっていろいろな説明をして、そして初めは今のようにアイデアの出し合いでもってどうしようか。これはちょうど、だんだん親しくなると注意することがありますね。親しければ、例えば、総理、いつでも水玉のネクタイだが少しはかえられたらどうですかと言う場合があるかもしれません。だけれども、それを親しくない人が言ったら、余計なことを言うな、内政干渉と言うでしょう。だけれども、総理が私を信頼していれば、君、いいことを言ったな、じゃ悪いがネクタイ一本買ってこいと言われるかもわからない。それがやはり親しい仲だと思うのですよ。  そういうことで、先ほどのようにアメリカの方が内政干渉だとも私は思わないと言うのはそこを言いたいわけですが、そのうちに、初めはそういうのが、どんどんどんどん両方とも感情が先走ってきたのじゃないだろうか。それで、初めは単純に指摘し合う、それがどんどんどんどん進んでいるうちに、交渉でもって外交でもって勝つか負けるかと、両方のお役人同士だからメンツもある、これがこうした現状になったと私は思うのです。そして、そういうふうな判断になって、総理は最初から最後まで、最後の政治決断はやはり自分がやるのだ、これは立派なお考え方です。それでなければ総理大臣は勤まりません。まさにリーダーシップというものであると思うのですよ。  そこで、大店法はどういうふうな判断でもってあのような指示をされたか、いわゆる判断基準というものを教えてもらいたいと思うのです。それはどういうことかといったら、やはり消費者という立場、この利益ということもあるでしょう。それから小売商業者、この人たちの保護ということ、いわゆる配慮ですね。それから、もちろん大前提はアメリカとの国際関係というものがあったのでしょう。意地の悪い新聞には党内への配慮なんて言葉がありましたが、それはもちろん政党政治だから当然でしょう。私は、実はもう一つあったのじゃないかと思うのです。それは、やはり小売商業者と同じような意味合いで、ややもすれば誤解されますが、大型店、大店舗に対する配慮も当然あっただろうと思うのですが、優先順位をつければどういうふうな順序で判断されましたか、お聞きしたいと思います。     〔近藤(鉄)委員長代理退席、委員長着席〕

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 日米協議の中で特に大店法に絞っての優先順位はどうかという今の御質問ですが、これは大変粗っぽい結論になりますけれども、やはり私は、消費者の立場に立って国民生活の質を高めるということが優先順位からいけば第一番だ、こう思います。それはあらゆる立場の人は視点を変えれば消費者であるわけです、すべてが。それから流通の秩序というものも大切に考えなきゃなりません。その流通の秩序を考えるときに、大型店舗とそれから小売商、大店舗法という法律も、それは商業の流通秩序と消費者の立場と、この二つのことを念頭に置いてできた法律であると私は思っております。したがいまして、国全体の枠組みの中でそのことも考えていかなきゃならぬのは当然のことだったと思います。  ただ、現実の中で大型店舗が出てくるというときに、八年とか十年とか、甚だしい例がいろいろ言われますと十三年もかかる。ということになりますと、これは一体何のための規制なのかという、規制緩和という面からいってもよく問題に取り上げられたテーマもございました。私は、そういう現代の世の中のこれはおかしいんではないかとだれしもが思うようなことについては、今勇気を持って変えていかないといけないものではないだろうか。  と同時に、大型店舗と商店街というものは必ずしも敵対関係するものばかりではないだろうという思いがしてなりません。そして、それを防いだり、あるいは相対立するものとしてずっととらえて、現状固定、平和共存という考え方でおったのでは、未来に向けての前進はなかろうと思いました。それは、現実に競争的共存といいますか、一つの店舗の中に地域の商業の方々が入り込んで共存していくところ、あるいは一つの店舗が核の中心になって商店街のデザインができていくところ、いろいろなケースが報道、報告もされております。私も見に行ったこと等もございました。そういうような角度から考えていきますと、これはだれの立場、だれの利益というよりも、やはり日本の国の全体の質が高まっていく、国際化時代に通用するような規制のない自由な競争の中に日本の社会も体質改善をしていくのではないか、こう考えました。  そして、御承知のように九〇年代の流通ビジョンというものも、もう二年前から御議論をずっと重ねていただいて示す方向は出ておるわけでありますので、それも重要な参考にしながら考えさせていただきました。今後は十分な対応、対策等もして、地域づくりのいろいろな構想の中で小売、流通業のあり方というものについても考えていかなきゃならぬテーマだと思っております。

佐藤信二自由民主党

○佐藤(信)委員 これからがちょっと意地の悪い質問になるわけですが、総理は、そうするとこの大店法という法律の性格は、手続法なのか、それともまず規制法なのか、どういうふうにお考えですか。規制法か手続法か、どちらだとお考えですか。これはぜひ総理にお答え願いたいのですがね。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 ぜひ私にということですから率直にお答えしますが、私は、あの法律は読んだところは手続法だと読めるのです。けれども、申し上げたように、その手続が八年も十年もかかるというような事例が余りにも出てくると、一体どういう手続なんだろうかという深刻な疑問も持ったということも率直に申し上げさせていただきます。  もし間違っておったら政府委員から答えさせます。

佐藤信二自由民主党

○佐藤(信)委員 今おっしゃるように、今お聞きしたように、これはなかなか学者の中でも議論があるようですから……。  私も実は手続法だと思うのです。それを前提として次の質問なんですが、先ほどの話では、いろんな選択というか判断基準というものがあるけれども、何といっても消費者を第一に考えるんだとおっしゃった。私はそうだろうと思うのですね。よく総理言われるように、視点を変えればみんな消費者ですよ。例えば魚屋さん、魚を売るときは事業者だけれども、肉を買いに行けば、野菜を買いに行けば消費者ですね。そういうこともあって、実は我が党でも、やはりこれからの世の中というのは全部消費者即国民なんだ、国民即消費者ということで消費税になったと思うのですよ。  そういうこともありましてお聞きするのですが、確かにこの大店法の「目的」のところには「この法律は、消費者の利益の保護に配慮しつつ、」とありますね。これをお読みだったと思うのです。そうすると、一体「消費者の利益」といったら何だろうか、その「保護」といったら何だろうか。私はもう時間がありませんから、そこでもって総理が、合っていればうんとおっしゃって結構だし、違えばお出になってもらいたいと思うのです、お疲れでしょうから。  でも私は、消費者というのが物を買う場合に、やはり何を利益かといったら、良質なもの、低廉なもの、よいもの、安いものを安定して買えるかどうかという、この三つでいいんだと思うのですが、違うでしょうか。そうでしょうね。まだある。選択もありますね。そうです、選択。そして今盛んに、これは消費者の保護を考えたと言ったが、これは官房長官のお仕事かな、消費者の保護行政というのはどこの所管ですか。経企庁ですね。ところが、この間からずっと動きを見ているけれども、経企庁の名前というのはちょっぴりもないのですね。非常にそれが不思議に思うのですよ。不思議に思う。だから気の毒に、相沢先生なられたけれども、奥さんは有名だがだんなは有名でないと思うのですよ。そういうことを言うと、多分経企庁の方は、内外価格差の対策というのを平成二年一月十九日に発表しています、その趣旨に基づいてやっていましたと言うのでしょう。けれども、今のようにこれだけやはり世間を騒がせた、これからの日本のために大事なのは、やはりぜひこうした問題のときは経企庁長官も、下の方は入れているようですが、入れてちいとばかり聞いてもらいたい。それは通産省が消費者行政をやっていることは知っていますよ。しかし、それはあくまでも生産者側に立っての消費者の対策なんですよ。こう思うのですが、いかがですか。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 大変いい御指摘であると思います。そして、実務者会議のときには局長もきちっと参加をして、経企庁はすべての協議に参加をし、発言もしておりますし、また、三省が議長国となって、お互いに日米三省ずつでカウンターパートを組んでやっておりましたからそうなりましたけれども、その三担当大臣のほかに、経企庁長官のみならず、必要なときにはその他の大臣とも個別に私はお話をしたりお願いをしたりしておることはございますけれども、やはりもう少し目につくようにといいますか、きちっとした仕組みの中でお話をするようにした方が安心できるではないかという角度の御質問、いい御指摘だったと思って受けとめさせていただきます。

佐藤信二自由民主党

○佐藤(信)委員 私がそういうことを申し上げたのは、どうもやはり今の新聞なんかのとらえ方からいって、大店法というものがなくなったらもうあしたの日に中小企業がばたばた倒れてなんというような印象を受ける。ところが片一方では、政府では消費者保護とおっしゃる。どうもそこがかみ合わないと思うのです。  私は先ほど、消費者の利益というものに関して安いということを申し上げた。そして品質の問題を申し上げた。またさらに、指摘があって選択の幅が広がる。まさに私は、やはりこの小売商業者の保護育成、また商店街の振興というものは別の問題だろうと、こう思うのです。今言われるように、消費者の方にはこれから十分配慮します、私が先ほどどういうふうな優先順位かと申し上げたのは、消費者の利益というものと、そしてある意味では小売商業者の利益というものと、また大店舗、全部これは相反するわけですね。それを各省いろいろな人から全部公平に聞いて、そして最終判断するのが当然私は総理のお仕事だ、こういうふうに実は思うわけなんです。それで、経企庁長官の考え方はどこへ行ったかと聞いた。  それが今、片一方、大変消費者の中では内外価格差ということを言うんです。私は、さらにちょっとそれに一言つけ加えると、この一月の場合と随分円が変わってきたんですね、円為替が。今、町で言われていることはというと、円高のメリットというのは余り来なかった。ところが、円安になったら途端に輸入品が上がった。これはなぜかといったら、代理店制度なんですね。そこで、内外価格差というものを縮めていくために私は並行輸入ということが非常に必要だと思うのですよ。まさに流通の革命だろうと思うのですね。総代理店制度を認めない、直接やる、そういうことをやはり大店舗はやれるのだ。そういうふうな検討は当然あったんだろう、こう実は思うのですよ。  それで、その話はそれぐらいにしておきまして、次に移りたいのは、そういうものの国内の情勢というものは小売商業者の立場を考えたと思うのです。で、この大店法でなければ小売商業者の立場というものはどうしても守れないのですかね。ほかに適当なと言ってはおかしいが、法律はないのでしょうかね。どういうふうに思われますか。

武藤山治日本社会党・護憲共同

○武藤国務大臣 私からお答えさせていただきますが、大店法以外にはこういういわゆる小売業の調整をやるのは小売商業調整法という法律があることは、もう佐藤先生御存じのとおりでございます。  ただ、大店法というのはどちらかというと、事前から実際に建物ができるまでのところの届け出の手続をやっていることであり、どちらかというと調整法の方は、いわゆるその後のいろいろの商取引における紛争が起きたときの調整、こういうふうに私は分けていくべきではないか。  それからもう一つは、小売商業調整法の中には、大店法の部分は外す、こういう形になって、そこは整合性がとられておりますが、今の御質問に対しては小売商業調整法がある、法律としてはそういうことではなかろうかと思います。

佐藤信二自由民主党

○佐藤(信)委員 今言われたように、昭和三十四年に小売商業調整特別措置法ができております。これは中小企業庁の所管でできたと思うのです、この法律は。そして、どうも大型店が出てくるとあって、いろいろな動きがあったので、四十九年三月施行の法律というのが今問題になっている大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律、大店法とこうなったわけですね。実はこの所管は産政局のはずなんですよ。産政局は中小企業、もちろん産業政策全般ですから入りますが、ややもすると、これはやはり大店舗、大型店、この方の立場に立った法律、それがさっき申したように規制法ではない、手続法だと申し上げるゆえんなんですね。しかしどうも不十分だというので、さらに五十二年の九月二十四日施行の法律があるのですね。中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律、俗に分野調整法と称するものです。これを受けてさらに大店法も改正しているはずです。これを出したのは中小企業庁なんです。こういう指摘をすると一体どういうことになるかというと、またアメリカが無理難題言うのじゃないだろうか、こんな心配をされる方がいると思うのです。アメリカは百も千も知ってますよ、それぐらい。  そこであえて聞くのですが、だから、大店舗だけなぜあれだけ大問題にする必要があるのだろうか。それをやはりさらに二重、三重にも中小企業を、大企業というものが出てきた場合困るということで、それを調整する、抑えるということがあるだろうと思うのです。私が申し上げたいのは、今自由経済ということを標榜するならば、規制によって大企業の大店舗の進出を抑えるというのは私はやはり行政、政治としては邪道だろうと思うのです。振興策というのは別にやるべきではないだろうか、こう思うのです。そこでお聞きしたいのは、通産省が考えている町づくりというのがありますね。よく中小企業の施策の場合に町づくり、町の活性化、商店街、いろいろ政策を言っていますが、あの場合モデルはやはりアメリカ型を言いますか、ヨーロッパ型を言いますか、通産大臣どう思われますか。

武藤山治日本社会党・護憲共同

○武藤国務大臣 先ほどからお話しの中で、私先ほどのことに対してもう少しお答えを加えさせていただきたいのですが、大店法は実はその前に百貨店法という法律がございまして、いわゆるこれは規制の法律であったわけですね。そこで、その規制の法律の百貨店法がずっとありました中でいわゆるスーパーマーケットというものが出てまいりまして、これが全く自由に進出をしてきた。そこで、それが小さいうちはよかったのですけれども、百貨店に伍するような力を持ってきたものですから、ここで何らかの法律をしなければいけない、しかも時代は変わってきて規制法じゃなかなか、先ほどの話の消費者のことを考えなければならないという時代になってまいりましたから、消費者のことを考えると、調整の手続を規制するというか調整の手続を決める法律をつくろうということで大店法ができたと思うのです。  それから、先ほども申し上げましたように、小売商業調整法はもっと前からあったわけでありまして、これはあくまで小売業のいろいろな紛争が起きた場合にそれをいかに調整するかということであったわけでありまして、いささかこれは、私は法律の性格からいくと少し違うのじゃないかと思っております。  それから、今お話のありました分野法、これも大店法の対象のものは外しておりますから、これもやはり大店法というものが必要でないということにはならないのじゃないかと思います。私、それだけを少しつけ加えてお答えをさせていただきます。  あとは今御指摘の問題でございますが、これはもしなんでしたら事務当局から話をさせますけれども、私はやはり日本の町づくりというふうに考えていくべきではないか。所によっては非常にアメリカナイズされアメリカ的なものを考えているものも、例えば今町づくり会社構想というのがございます。一部はやはりアメリカ的であろうと思いますが、しかし最近はヨーロッパでもアメリカ的なものが入ってきておりますので、いわゆる厳密な意味の昔の古い歴史を持ったヨーロッパ式ということになればそうではなくてアメリカ式ということになると思いますけれども、最近はヨーロッパの商店街も非常にアメリカナイズされてきているところもありますので、私はこういう点では余りアメリカ式とかヨーロッパ式ということじゃなくて、国際性を持った日本式の町づくりを考えていくというのが本当ではなかろうかと思っております。

佐藤信二自由民主党

○佐藤(信)委員 私の言った表現が悪かったのですが、アメリカ式というのは大体新興地に大型店、スーパー中心に新しい町ができてくる。ヨーロッパ式というのは依然として昔のような専門店街中心にいく。確かにやはり日本はこれから大きく変化する中において中間点、日本型があっていいと私は思うのです。そうなると地域地域、日本は狭い国ではあるけれども、随分条件が違いますね。どこと言って比較すると怒られるでしょうけれども、北海道みたいにこれから大いに飛躍するところとか、私はやはりそうした地域の歴史にかんがみて、それぞれ地域の自主性でもってこれは任せたらいいんじゃないだろうか。そうしないと、国が言っている一極集中いけない、多極分散なんだ、地方の時代です、ふるさと創生です。全部画一的に北海道から沖縄までなって、何がふるさと創生だろうか。私は特色を持たせていくということじゃないかと思うのですよ。だから私は、やはりそうした特色を持たすためだと思うのです。  それからもう一つ指摘したいのは、先ほど言われたように、小売商業調整法が今度できました。これが今言ったように三十四年ですね。大店法だって四十九年でもう十六年たっているのですよ。この十六年間における日本経済の発展、国際的な地位だとか、それから消費者のライフスタイル、随分変わったのですね。車が一体幾らふえたのか。モータリゼーションという言葉があるでしょう、車社会。そしてみんな大型冷蔵庫を買っているのですね。そして、大臣は行かれたことないでしょうが、土曜日、日曜日、東京でもちょっと郊外に行ってみて道が込んでいるなと思ったら、大型店のところの道ですよ。みんな若い人たちが夫婦で子供を連れて車で乗りつけて、そして買っていくんですね。特に私は、今も言ったように地方に対する分散という中において、よく会社、工場の移転の跡地の利用なんかの場合に、今までと違って利用があると思うのですね。先ほど総理もちょっとおっしゃったように、大型店が出るから町がだめになったという例もあります。違う例もあるのです。  そこで一つ私が指摘したいのは、聞いてみると、大型店という中において、デパートとスーパーは違うというのですよ。デパートというのは町の真ん中にできるから余り町を壊さない、スーパーは横に行くから町が変わるから困る。しかし、今、国の政策としては町を変えようとしているのじゃないだろうか。私はどうもその辺に矛盾を感ずるのです。私は、少なくとも今度の場合、当面の問題として運用という、先ほどのように、これは手続法だから縮めるでいいと思うのですよ。これは時間があればもっと質問し、また要望したいと思うのですが、それと別にやはり、もうこんな古いのは全部御破算にしていくという方が正しいだろう。何もそのこと自体と商店が疲弊するのは別の問題であると私は思うのです。  もし商店中心の考え方ならお聞きしたいのだけれども、これは厚生大臣だと思いますが、生協法というのがありますね、生活協同組合、生協。あれなんかも、消費生活協同組合法は二十三年にできているのですね。これがやはり今もうスーパーの大型店あるいはデパートと同じようになっているのじゃないかと思うのですね。大きくできているのですよ。それで、運用面でもそれは税金が安いというのでいろいろなことをやっている。これもやはり、物すごく中小企業というか商店街、小売商業者をいじめていると言ってはおかしいですが、問題だろうと思うのです。しかし片一方では、大きくなるということは消費者が行くわけですから、だから、先ほど私が消費者の立場かどちらかと聞いたのはそこなんです。だから私は、大型店の方はそういうふうなことでもって、これから構造問題協議の一環としてあのような結論を出されたなら、当然これもそろえるべきだと思いますが、いかがですか。これは厚生大臣にまずお答え願って、総理にその結論をお聞きしたいのです。

津島雄二自由民主党厚生大臣

○津島国務大臣 佐藤委員御案内のとおり、生協は消費者等国民の自発的な生活協同組合を通ずる生活の安定と生活文化の向上に資する仕組みとして法体系ができているわけでございまして、それなりの役割を果たすことが期待されているわけでございますが、ただ、今委員御指摘のとおり、その規模の増大とともに社会的責任も重くなってきておりまして、それに伴い、地域における調和ある発展という見地からの配慮も必要とされているわけでございます。このような観点から、中小小売商との相互理解に基づく協調的な関係が必要であるということは、全く御指摘のとおりでございます。  厚生省としても、生協と中小小売商との協調についていろいろ御指導申し上げておりますが、特に大型店の出店について、行政指導により地元の中小小売商と十分調整した上で進めるように指導しておりますが、今後とも地域社会の発展を図る見地から指導の徹底に努めてまいりたいと思っております。

佐藤信二自由民主党

○佐藤(信)委員 指導の徹底というのは通産省も今までずっと繰り返していたと思うのです。これは役所の常套語だと思うのです。私があえて申し上げるのは、こうした古い法律というか今の現状に合わない、大店法も合わなかったからアメリカからの指摘があったわけでしょう。だから、やはりそこでもって法の廃止を含むという向こうの主張も私はうなずけるような気がするのです。今も運用、運用できたってだめなんですね。だからぜひともこれは一緒にそろえてもらいたい。だからそれは矛盾を感ずるのですよ。これは総理、率直に言ってそう思われませんか。小売商業者が大事ならば、やはりそれを疲弊さすような障害を取り除いてやるのが政治じゃないだろうか。しかし、片一方でもって消費者が大事なんです。小売の一軒、二軒つぶれてもいい、これは池田さんの言葉ですが、そういうことを言うならば、これはもう大店法なんかやめてじゃんじゃん競争さす。どちらかをとられる方がいいと思うのですがね。どういうふうに思われますか。簡単でいいですよ。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 やはり原則はなるべく消費者の立場に考えて、自由経済の原則に従って安くていいものが豊富に選択できるようなそんな姿かたちを考えながら、きょうまで果たしてきた小売商、商店街、そういったものの役割というものもあるわけですから、それぞれ町ぐるみといいますか、地域づくりの中で必要なもの、それをどのように残していくか。今通産省でも、現実にそういった中小小売商が自立して活力を維持していくことができるようないろいろな施策を考えていく、そのようなことによって新しい要望にこたえていかなければならぬと考えます。

佐藤信二自由民主党

○佐藤(信)委員 大体この問題も終わりたいのですが、最後にお願いしたいのは、中小企業対策というものは、今申したように別問題だ。しかし同時に、私はやはり小売商業者の方も考えてもらいたいことがあると思うのです。それは疲弊した原因が大店舗とかなんとか言うけれども、自分たちの方の企業努力はどうだったのだろうか、企業努力。だから、これは率直に私なんか非常に消費者の立場を強調するようですが、そこにいらっしゃる大臣は余り御経験ないでしょうが、夜の八時ごろ町に行って開いているお店屋さんというのはほとんどないですよ。一番遅いのが果物屋さんですね。そう思うと、やはり企業努力、そして一番大きいのは後継者がいないということなんですね。これは悪循環なんです。今非常に日本が豊かになった、教育水準も上がっている。だから、私たち地方でも大体子弟が都市に来て学校に行く。いいことです。そして地元に帰らない。教育を受けたのだから地元の小売商業を継ぎたくない、会社に勤めたい、だから残っているお父さん、お母さんの方は、後継ぎがいないから今さら店を大きくしてもしようがない、こういう考えを持ちますね。そうすると、都会に出たお子さんは今さら帰ってもあんなうちが継げるかと、こうなる。悪循環なんですよね。私はこれをどこかで断ち切らなければいけないだろうと思うのです。  今さっき通産大臣言われたように町づくり会社もいいでしょう。だけれども、もう一つこれも施策の中に、税制も絡んでくるのじゃないだろうか、相続の問題。そういうものはやはり抜本的というか総合的に考えなければいけないと思うのです。もうこれからの政治、行政というのは一省だけではできない時代ですよ。各省が集まる、それがさっきから繰り返すように、やはりそれをまとめるのが最後に決断を下す総理、こういう仕組みだと思うのです。  だから、それぞれの役所の立場があるから、それは主張されるのもいいでしょう。私は、最近どうも政治というのは元気がなくなったと思うのです。外国の例を見てわかることに、外国ではやはり意見が違う、合わないというので首になる、あるいは辞表を出す、そういうふうな闘いがあるのですね。日本の場合は情けないけれども、意見が合わなくてやめたっていうのは、私の記憶では、昔、橋本龍伍という厚生大臣がお灯明代でもって時の吉田総理にまあ反抗してやめたということでしょう。最近はどうも私のというか、あとは大体いいのが失言、悪くなると、まあ、言いませんが、御存じのような状態でしょう。私は、この辺がやはり大きな問題だろう。だから、私は再三申し上げるように、これから世界の中で日本が飛躍するためにはこの辺から考え直さなければいけない。だから今申したように、すべて総合的に判断を下してもらいたい、こう思うのです。  最後にこの問題で指摘しておきたいのは、九〇年代の流通ビジョンというのがありました。よく言われます。昨年の六月です。あの時点でさっさと手を打っておけばよかったのですね。こんな反省もあるのです。  余りこんなことをしていると次の問題に移れないので、移りますが、もう一つ、これは大蔵大臣と運輸大臣にお聞きしたいのです。先ほど申したように公共投資ということでお聞きしたいのですが、確かにやはりあれは、何も向こうに指摘されるということがなくても、日本としてやればよかったのですね。そしてこれからは、私が言うまでもなく、高齢化社会の到来ということなので、やはり今のうちに社会資本、これは充実しないと大変なことになるだろうと思うのです。高齢化の進展があるとやはり貯蓄率が低下したり投資余力の減退ということもあるでしょう。だから、まさに二十一世紀のために今やらなければいけないと思うのです。大事なことだと思うのです。そこで、御存じのように、今こうした公共事業というのは大体政府の方でもって五カ年計画というのをつくって、そして毎年それを落としてこうやっているわけですね。これをやはり拡大しろというのが、これからの日本に大事なことだろうと思うのですよ。  そこで、問題になるのは、その中において、今度の構造問題協議においてはいろいろな数字が出ました。私は、数字にこだわる必要はもちろんないという大蔵大臣の御判断は正しいと思うのです。これはやはりうんとふやしたらインフレになる。何といっても土地が日本の場合少ないんだ、土地の高騰を招く。また一遍に仕事が出た場合には建設会社の労働力問題、こういうのですね。だから、私は住宅だとかそして下水道とか、これも必要ですよ、公園とか、向こうが言っておるものだけじゃなく、もっとシェアを広くする必要があろう。というのは、住宅というとどうしても住宅難、大都市とこうなる、こう思うのですね。ところが悪いことに、大体公共事業のシェアというのはずっと固定化されているのですね。特に私はこれからやはり、さっきの国際的に伸びていく日本、流通問題も言われた場合には、空港という問題に力を入れる必要があろうと思うのですよ。港湾も大事なんですよ。しかし、問題になるのはシェアじゃないだろうか。ちなみに公共事業における空港、その整備のシェアというのは一・三九%、こういうことです。港湾の方は若干よくて四・二五%なんですよ。これをやはりもっと弾力的に今後考えていただかないと、これをもうシェアは決まっているんだ、こういうと全然仕事ができないと思うのですが、大蔵大臣、いかがでしょうか。一言だけお願いしたいと思うのです。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 空港あるいは港湾、これは交通、産業、国民生活等どの角度から見ても非常に大事な基盤でありますし、その整備の促進が経済社会の健全な発展にとって必要不可欠であることは十分承知をいたしております。事業別配分の問題につきましては、これまでにもおのおのの社会資本の整備の水準、経済社会の動向に留意しながら対処してきたところでありまして、これからも公共投資の重点化、効率化を図りながらバランスのとれた整備を進めていきたいと思います。

佐藤信二自由民主党

○佐藤(信)委員 やはり今申したように、アメリカとの話し合いというものは、もちろんこれからの日本の——若干アメリカの話も聞くのも必要でしょう。そうなると、大型プロジェクトなんてやはり魅力あるのですね。そうして、今申したようにこれから輸入も拡大する、輸出もという、日本が飛躍するためにも航空輸送需要なんということを考えると、どうしてもその玄関口の国際空港がどうだろうか、こう思うのですね。そして、そのために考えたのが今御存じのように新東京国際空港、成田ですね。なかなかできません。そして、東京国際空港の工事もあります。関西空港という問題もある。特にこれは一期工事というのが平成四年度、平成五年の三月に完成する、こういうこともあるのでしょうが、その次どうするかということで、やはり今度の第六次空港整備計画、そういう中にどういうふうにこれからの関西空港の全体計画というか構想を位置づけるのか、こういう問題になるわけです。  運輸大臣、いかがですか。どんなお考えを持って今度の第六次空港整備をお考えになっていますか。

大野明自由民主党運輸大臣

○大野国務大臣 先輩大臣でもうよく御存じのこととは存じますが、平成四年度末に向かって今関西国際空港は空港島の造成であるとかあるいはまた連絡橋の建設である等鋭意努力をいたしております。我が国の三大空港プロジェクトの一つとして、これから先も所期の目的に向かって円滑に推進できるように最善の努力をいたします。  いずれにしても、全体構想はもう先生御承知のとおりでございますが、大変に重要な課題と認識をいたしておりまして、六十三年から近畿圏におけるところの航空需要の予測等の調査を今やっておりますし、また、現在の大阪国際空港等の今後のあり方、こういうような結果を踏まえた上で、第六次の空港整備五カ年計画の中で中長期的な考え方を持って前向きに検討したい、こう思っております。

佐藤信二自由民主党

○佐藤(信)委員 前向きと言われたが、だからその次に今アメリカも非常に期待というか見守っているのが、中部国際空港という問題に移るんですね。ところが需要からいって、今総理と運輸大臣がそうだという顔をされたけれども、これはまだまだ問題があるのですよ。それは、何といっても今の関西空港が全体構想ができて、というのは、もともとこれは今のように二十四時間発着陸ということで計画を立てたのですから、そして今御指摘のように、それを、計画と今度は今の大阪空港、伊丹空港、あるいは新神戸沖空港、こういうものを一体どうするかというのが済んで、そして初めて中部の検討に入ろうか、こういうことなんでしょう。そういうことですから、どうしてもこれを早く決着をつけないと総理の在任時代には中部国際空港はできないのですよ。  そこで申し上げたのですが、やはりもう少し踏み込むというか前向きに、私はだからもう少なくとも今度の第六次空港整備にもう少しやはり具体的というかやらないと、これこそやはり日本という国は何にも動かない国だな、こういうふうになると思うのですが、もう一回、しつこいようですが、運輸大臣御答弁願いたいと思います。

大野明自由民主党運輸大臣

○大野国務大臣 全体構想等については先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、私も大臣になりまして旬日を待たずして成田空港の視察に参りました。本当にこれが経済大国日本の玄関かと思うと内心じくじたるものがございましたし、また同時に、先般キャセイ航空が横風にあおられて危うく大事故になりそうになった、これも滑走路が一本しかないという点があると思いますし、そういうことを考えると、関西国際空港もそれは立派な空港にしたい、かく考えております。まあ、全体的に考えても非常に熟度の高い空港であるということは言うまでもなく十分認識をいたしております。  しかし、今日の我が国の経済からいっても、社会資本の充実のために、また我が国全体の空港整備のあり方からいっても、その他と御指摘なさった中部国際空港も大切であると考えております。

佐藤信二自由民主党

○佐藤(信)委員 いやいや、中部が大事でないと言ったわけじゃございませんので、大事だけれども、物事には順序があるということも当然総理に認識してもらいたい、かような実は観点から申し上げたわけです。  ついでに運輸大臣、ついでにと言ったのは大変恐縮でした、訂正いたしますが、同じように第八次港湾整備五カ年計画というのを今度考えられますね。その中には、やはり港湾について外貿コンテナターミナル、そういうようなものも入るわけですし、また豊かで潤いのある生活の確保というウオーターフロントなんて計画がありますね。こういうものが非常に要請が強いと思うのですよ。これにやはり取り組まれる決意をお聞かせ願いたいと思います。

大野明自由民主党運輸大臣

○大野国務大臣 先生御承知のとおり、私は海のない岐阜県の出身でございますので、港湾に対しての認識が甘かったということをつくづく今日痛感をいたしております。港湾というのは、船が出入りして人が乗ったり荷物をおろしたり、しかし、いろいろ陳情を聞きますと、非常に地域社会の発展、活性化にも寄与していますし、また同時に、地域住民の生活基盤としても、これまた大きな存在であるということを認識させていただいたわけでございますが、反面、運輸省もなかなかやるわいと自画自賛をしたいような気持ちでございます。  そういう気持ちの中で港湾の五カ年計画をやるわけでございますが、御指摘のように、今日、経済社会の急激な変化等々を考えますと、やはり流通の関係であるとかそういう意味で、外貿あるいはまた輸入コンテナ等の問題等も勘案する一方、国民が豊かな生活を営むためには、ウオーターフロントの問題等も十二分に考慮して、第八次の策定に前向きに取り組みたいと考えております。

佐藤信二自由民主党

○佐藤(信)委員 総理、今政治改革という問題が言われていますね。ちょうど昨日、自由民主党の本部でも総理も御出席になった政治改革本部の総会というのがございました。これは参議院選挙の当時からというか、前から言われているのですが、何とかしなければいけない。今までは政治改革推進本部というのを党に置いたのですね。しかし、もう理想というのではなくてそれを現実にするときだ、これを具現化しなければいけない、こういうことで、今度は推進という字を取って政治改革本部と、こうしたわけなのですね。これはこの間の衆議院選挙における我が党の公約でもあるのです。これに取り組まれる総理のお考え方をお聞かせ願いたいと思うのです。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 政治改革を行うということで、今の政治不信を招いた一連の問題の厳しい反省に立って、我が党が国民の皆さんに選挙戦を通じて訴えたのはもちろんでありますが、それよりも、我が党全員がこの際政治改革をやっていこう、今のままの状況ではいけないということでその決意を固めておられること、また、昨年党の政治改革大綱ができたことも十分承知をいたしております。そして私が本部長に伊東正義議員をお願いをし、そうして後藤田本部長代理もお願いをし、従来の仕組みの中で、まさに実行すべきときであるという判断でスタートをしたことは御指摘のとおりであります。  政府といたしましては、そういった党の体制にまた加えて、選挙制度審議会に諮問をいたしました。一番根本的なものはやはり政治資金、それから選挙制度、ここに根本的な問題があるというので、選挙制度審議会は何回かの会合を開き、いろいろな委員の方々が英知を集めて、近く答申がいただけることになっております。私は、この答申を受けましたならば、ある意味では私ども自身に対して極めて厳しい答申内容が盛られてくると思います、それをみずからのこととして、厳しさに耐えながら政治改革をやっていかなければならない、こう考えております。  ことしはちょうど国会開設百年という歴史的な節目の年でもあります。これは各党各会派の皆さんにも御理解と御協力をいただきながら、選挙制度の問題、そして政治改革の問題、やっていかなければならぬことだと決意をいたしております。

佐藤信二自由民主党

○佐藤(信)委員 これはまさにきょう私が総理を初め閣僚の皆様方にお話しした、これからの日本のためにやはりぜひともしなければいけないことだと思うのです。それはややもすると政治改革する、資金の問題と今おっしゃったが、それは金のかかる政治が悪いんだ、こういう口調ですね。自治省の方も「金のかからない政治をめざして」というパンフレットを出しています。私は、これからが違うんだ。それは、今我々は政治に金をかけておるんだろうか、こう思うのですね。選挙に金をかけているのが現状ではないだろうか。私は、日本がこれから世界の中で大きく今のような自由と平和のもとに繁栄を続けていく、国際協調という場合には、政策、これをやはりもっと政治の場において、国会でもやらなければいけないと思うのです。  先ほども、人の批判じゃありませんが、山口書記長の質問を聞いていて、なぜ大事な問題を国会に、我々に相談しないか。総理から御答弁がありました。あの一事を見ても、やはりこれから大変だな、今までと違うパターンというか取り組み方をしないと、日本はまさに冒頭申したように沈んでしまうんじゃないか、こういう危機感を私は持つわけなんです。ですから、やはり政策本位の選挙をして、そして政治ができなければいけない。そのためにこの政治改革、特に今御指摘のような選挙制度審議会、これが今いろいろ新聞に記事が出ております。小選挙区制、そのねらいも、金がかからないからなんという情けないことではなく、今のように政策同士でやるんだ。  私は、あえてこの場で紹介することもないでしょうが、先ほどねじれ現象というふうな表現がございました。確かに衆議院では自民党が多い、参議院では少ない。そういうことでもって、これも国会改革の中でどういうふうにするかというので、今自由民主党の幹事長以下みんな苦労されていると思うのです。つい先日も御存じのように補正予算、暫定予算がありました。あの場合でも若干従来と違った考え方を野党が示されましたので、少しは変わったかなと思うのですが、非常に残念だったのは、あの中でもって地方税の一部改正案というもの、これが衆議院では可決されたけれども参議院で修正されて、この中の特別地方消費税という改正部分が削除されました。この理由はというと「消費税」とついているのだから。確かに感情的にはそうでしょう。私はもう感情論では済まされない時代じゃないだろうか、そういうことを実は申し上げたいのです。  もうすぐ連休でしょう。そうすると、先ほど申したように、モータリゼーションでみんなドライブに行く。疲れて帰りにファミリーレストランに寄る。一家団らん。お金を払う。今までは免税点が五千円だった。七千五百円に免税点を上げよう。あるいは一泊する。今までは一万円だった。一万五千円に上げよう。今まででも料飲税というのがあったわけですから、ただ名前が気に食わない、こんなことを言われたんじゃこれからどうなるのだろうか、実はこういう気がするのです。そういうことで、あれも御存じのように五百億という減税だったのですよ。だから、そこら辺私は非常な矛盾を感ずる。もちろんこれは我が党にも責任がないとは言えませんよ。言えないけれども、私は政治家の一員というか、国民の一人として非常に不思議に思うのです。ぜひともこの政治改革でもってしっかりしたことをしていただきたい。  今も言われたように、ことしはくしくも国会開設百年でしょう。それでこのときに、党の方の政治改革大綱でもって、選挙制度審議会の答申を最大限に尊重し、実行するとあるのですから、まさにこれこそ私は海部総理が天から与えられた仕事だろう。一内閣一使命ということで、これだけをなされば永久に日本の議会史の中に残る。まさに議会の子供、孫よりか本家になると思うのですよ。  そこでお聞きしますが、当然この中には政党法と参議院の改革というものをあわせて検討していただけますね。この点を確認したいと思うのです。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 選挙制度審議会からどのような答申が出てくるか、待っておるところでありますが、政治資金の問題も、政策を中心に選挙を戦う選挙制度の問題も含まれてくると私は思っておりますから、それを審議すると同時に、今度の政治改革、選挙制度の改革というのは、当然政党のあり方、そしてヨーロッパやアメリカがやっておるように、政治というものは公に対する仕事でありますから、やはり公の支出も考えるという政党法の問題等も、党の改革委員会でも御議論のあった点であり、私はそれらももちろん範囲に含めた改革の議論をしていかなければならない、こう考えております。

佐藤信二自由民主党

○佐藤(信)委員 総理、最後の質問をして宮下創平委員に関連してもらいますが、最近非常に総理の人気というものが上がっておりますね。最近の新聞では、朝日新聞が四九%でしたが、その前の読売新聞が五二%で、そして中には、あれは共同だと思いますが、私たちの方の中国新聞を初めとするブロック紙では五七・三%というような率なんですね。これは一体どこにそうした理由がある、人気の原因は何だろうとお思いですか。御本人が申されるのは難しいかもしれませんが、簡単にお願いしたいと思うのです。11それでは私の方から申し上げますが、私は、何といっても、参議院選挙で我が党は負けたが衆議院選挙で勝った、これもあわせて考えた場合に、総理の若さという問題だろうと思うのですよ。そしてやはりルックスですね、容貌、それからさわやかな弁舌、そして何といっても真摯な態度だと思うのですよ。これが実は非常に海部総理の師匠である三木武夫という政治家のイメージとダブっているんだろうと思う。しかし私は、これが海部内閣の人気上昇の原因というと、実は余りにも情けないような気がするのです。やはり政治家である以上、その政策だとか手腕だとか先見性あるいは実行力、判断力、リーダーシップ、こういうものを国民がもっと評価すれば、この数字がもっと上がるんじゃないだろうか、実はこう言いたいのです。  そこで私はお願いしたいのは、実はきょうの私の質問というのは、時間がなくてちょっとはしょったので、私の方が一方的に言ったようなこともございましたが、これから今までにない政治手法を使ってもらいたい、こう思うのです。これは総理もよく言われているように、何といってもこうした今の総理の人気上昇が最近の総理にまずないといったのも、今世間では政治不信というものが横溢しているのですね。これを払拭しなければだめなのだろうと思うのです。政治不信というものは、何といっても政治家我々と国民との間に大きな感覚的なずれ、隔たりがあるのだろう。だから、いつまでも正しい市民感覚、庶民感覚というものを持ち続けなければいけない、こう私は思うのです。そして、常に厳しくみずからを律して、素直な気持ちで政治に取り組んでいただきたい。私はそうした気持ちで取り組んでいこうと思うのですよ。  そして、きょうは最初から最後まで本の宣伝をするようで恐縮ですが、最近こういう本があるのですね。「さらば桑田真澄、さらばプロ野球」、この本が割と売れている。私はこのことを見て嘆かわしく思うのですね。野球選手も立派な仕事だ。だけれども、さらに政治は最高の道徳と言われている我々ではないだろうか、こんな気がするのです。それで、こうした本が売れているのが、これからもしかしたら、さらば海部俊樹、さらば自民党というだけではなく、このままいくとまさに議会政治というものが崩壊する。これはまさに自民党だけではなく議会政治がなくなる、これでいいだろうか、実はこんな気がしております。  これで私の質問を終わります。ありがとうございました。あとは宮下委員に譲ります。遅くなりました。

越智伊平自由民主党

○越智委員長 この際、宮下創平君から関連質疑の申し出があります。佐藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。宮下創平君。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 最初に総理にお伺いしてまいりますが、海部総理は昨年の参議院選挙の敗北の後を受けまして、困難な政治的状況のもとで、我が党の総意により自民党の総裁となられまして、第一次海部内閣のスタートを切ったわけであります。まさに泥沼の中から立ち上がったと言っても過言ではございません。さらに、今回の衆議院選挙においても陣頭指揮をとられ、安定過半数を獲得することができました。また、最近における内外の諸課題に積極的に取り組んでおられます。総理の今日までの精力的、意欲的取り組みに対しまして、まずもって敬意を表するところでございます。  さて、総理は、対話と改革の政治を行うと明言されておられます。いわゆる衆参のねじれ現象のもとにおいては、とりわけ対話の必要性があろうかと思います。そして、今や国会は、両院において我が党が両方とも過半数を占めていた時代と異なりまして、我が党の責任が一層重くなったことはもちろんでございますけれども、野党の責任も一層倍加されてきたのではないか、私はこのように考えるわけであります。我が党が参議院で過半数を失ったことは、日本の政治運営について極めて困難な状況が予想されますが、ただ一ついいことがあるとすれば、これからは国民、有権者の前できちんと議論をして、責任の所在を明らかにするという政治に変わらなければならなくなったという占仙ではないかと思うのであります。いわゆる議論する政治、しかも野党責任が求められる政治になったと思いますが、まず総理の御所見をお伺いしたいと存じます。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 選挙の結果、衆議院と参議院における野党の議席の現実は、おっしゃるように、従来のようなパターンで法律の審議が進んでいくものではなくなりました。その意味からいっても、野党の皆さんが議会の中で占めていただく立場の大きさ、責任の大きさというものも比例して重くなってきておるというのは、私も委員のお考えと同じでございますが、そういう議会であればあるほど、やはり政策中心のお話し合い、法案についてはその中の立場の違いをお互いに鮮明にしながら、どこがどう交わるのか、どこにどういう接点があるのかということも議論の中で積み重ねながら、これは国民生活のためにどうしたらいいかという観点に立っての議会運営をしていかなければならぬ、こう考えます。     〔委員長退席、原田(昇)委員長代理着席〕

宮下創平自由民主党

○宮下委員 さて、第二次海部内閣の前途には難問が山積しております。当委員会でいろいろ御議論のあるとおりでございますが、世界の歴史的な転換期に当たりまして、日本が国際的責務をいかに果たしていくのかという課題、これは米ソ超大国を中心といたしました力の均衡、冷戦状況から、対話と緊張緩和やあるいは非軍事面への協力あるいは政治的役割が求められる時代になったと思いますが、この点がどうか、国際的貢献をどう果たしていくかということが大きな課題であろうかと思います。  それから第二には、内政即外政、外政即内政と言われる中で、当面の緊急課題であります、大変御苦労いただいて取りまとめをしていただいております日米経済摩擦解消問題、あるいは米の自由化問題とウルグアイ・ラウンド交渉、あるいは消費税の見直しとその定着化の問題、さらには物価の内外価格差解消へ土地住宅問題等、枚挙にいとまのないくらい重大課題が山積されていると存じます。まさに内外ともに多事多難でございまして、英知を結集してこれらの諸課題に政府・与党一体となって取り組んでいただかなければならないと存じます。  申すまでもなく過渡期、大変革期でございますが、こうしたときは一面で危険な時期でもございますし、信念と見識が求められることは当然でありますし、国際的な視野が必要であると思われます。これらの点について、総理の基本的考え方と御決意のほどをお伺いしたいと存じます。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 御指摘のように、国際化時代というのは相互依存関係をそれぞれ高めながら、そしてお互いに世界に対する貢献をきちっとしていかなければならない。また、言葉をかえて簡単に言うと、あの国とつき合っておることはいいことだなと思われるような、そんな立場が必要になってくるわけであります。そういった意味で、自分の国のことだけを小ぢんまりとつじつまを合わせて、そこにいいことがあればいいんだという、そういう自分の国のことだけを考える態度ではやっていけないのは御承知のとおりでございます。  私は、当面は日米の経済協議に取り組んでまいりましたけれども、しかしそのさなかにおいても、ヨーロッパ諸国の首脳との間におけるヨーロッパの東西の大きな劇的な変化をどのようにしてアジア・太平洋地域に持ってくることができるか、同時に、アジア・太平洋地域の経済的な安定とその活性化というもののために日本はどのように協力をしていくことができるのか、協力をしたら、今度はそこが閉鎖的なものになってはいかぬから、いかにして開かれたものになっていってそれが地球規模の安定につながっていくか、そういうことを果たすのが国際社会における日本の責任ある地位だと思いますし、同時に国内では、豊かになったならば国がそれだけ世界に責任を分かち合ったり、新しい枠組みづくりに参加していかなきゃならぬというなれば、それにふさわしい国内の一人一人の生活も実感として体験してもらうように、それは先ほどここで随分議論のありました物の流通だけではなくて、働く時間の問題であるとか、あるいは芸術、文化に親しむ問題であるとか、そういったことも広く考えて心豊かな社会をつくっていかなければならぬということ、この二つが大きな私の目標になってくる、こう自覚をいたしております。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 次に、時間の関係で外務大臣にお伺いいたしますが、ただいま海部総理から内外の諸懸案に取り組む御決意を承ったところでございますが、このような努力が実を結びませんと、我が国は国際的に孤立する、そして未曾有の困難に直面する可能性もございます。世界経済が相互依存を極めて強く深めていく中で、諸外国との経済交流に国家の存立をかけておる我が国が、ひとり孤立して生きていくことができないことは当然でございます。自由で開放的な国際経済秩序の維持でありますとか、あるいは日米関係を初めとする対外経済摩擦の解消、ウルグアイ・ラウンドの成功に積極的に貢献する、あるいは貿易不均衡の是正や構造改革に努めまして、国際的に調和のとれた経済をつくり上げていくことが極めて重要かと存じます。世界のGNPの一四%という強大な経済力を有する我が国が、世界経済の運営に大きな責任を有していることは当然でございます。こうした責任を果たさなければ、我が国はこれからの世界において厳しい国際的糾弾にさらされることも当然でございますし、国家の将来の繁栄も危うくなると存じます。  同時に、ここでついでにお伺いしておきますが、最近の国際情勢は、特に欧州を中心といたしまして急激かつ劇的なものがございます。私は、世界におけるこのような構造的変化が進む中で、戦後四十五年間国際政治の枠組みの中心をなしてまいりました米ソの冷戦は終わりを告げようとしておりまして、新たな秩序構築の必要性が高まっておりますが、このような中にあって、GNPで申しますと日米欧三極だけで五〇%以上、圧倒的な影響力を持つこの日米欧の協力問題でございますが、アジア・太平洋地域の平和と安定を確保するにいたしましても、あるいは自由貿易体制を確立して維持するにいたしましても、また、いろいろ論じられております環境、地球的規模の問題への取り組みにいたしましても、日本独力ではなかなかできないわけでございます。したがって、従来以上に日米欧の協力を推進して、世界的な視点に立って政策協調のための関係の強化を図る必要があろうかと思うわけでございます。  先般の日米首脳会談においても、その枠組み、日米欧三極対話、いわゆるトライアローグの必要性が強調されたと伺っております。新聞報道によれば、その具体化の一環として、全欧安保会議へのオブザーバーとしての参加の問題、あるいはサミット参加七カ国の外務次官級の協議構想の検討でありますとか、あるいはNATOの安全保障セミナーへの参加、これは午前中も社会党の山口委員からも御質問がございましたが、こうしたいろいろの点が報道されております。午前中の御意見を聞いておりまして、私は、決してこれらに参加いたしましても、我が国がNATOに加盟するわけではございません。したがって、集団安全保障に抵触するということはむしろ誤解ではないかと思いますが、我が国としてはむしろ、激動するヨーロッパの政治、経済あるいは平和への志向を我が国としても十分に見きわめ、そして世界政治における適切な役割を果たしていくためにはこういうことがぜひ必要じゃないかと私は考えておるものでございます。  外交の責任者としての外務大臣は、この三極協力の問題をいかに認識し、今後いかなる考え方や構想のもとで日米欧三極協力関係の強化、具体化に臨んでいかれるのか、あわせてお伺いをしたいと存じます。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 今先生御指摘のように世界は歴史的な枠組みの転換期に入った、このような認識に立ちまして見てまいりますと、ソビエトにおけるペレストロイカの状況、決して経済的にはうまくいっていない。また、東ヨーロッパの自由化の方向、これもこれからは莫大な資金を必要とする状況が生まれてくる可能性があろうかと思います。そういう中で、ECの統合を二年後に控えて、私どもは今先生御指摘のように日米欧で、大体アメリカが五兆ドルぐらい、あるいはECも五兆近い、日本は三兆、二兆八千億ドル程度のGNPを持っておる、そういう三極が相互に強力に提携をしながら新しい国際経済社会の中で活力を生み出していくということが極めて重要である。そういう中でいろんな機会を通じて協議を行うということは極めて重要なことではなかろうかと思いますし、御指摘のございましたNATOのこのシンポジウムへの参加ということは、決して集団安全保障に触れるものではございません。むしろ私どもは、これから欧州におけるソ連軍の撤退あるいは軍縮、あるいはNATO軍の軍縮というようなものがどのような形で行われていくのかということ、これがまた全地球的な規模で展開をするものでございますから、アジアにおける変化も当然予測されるもので、このような意味で情報の収集は政府にとって極めて重要であるという認識を持っております。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 最近の国際情勢を見てまいりますと、ソ連、東欧諸国において今お話しのような政治的な民主化や市場原理の導入等、大きな変化が生じておりまして、START、戦略兵器削減交渉あるいはCFE、欧州通常戦力交渉という軍備管理・軍縮交渉も進展いたしておりますが、これらの動きは我が国としても歓迎すべきものであります。  ただ、昨年十二月に開かれましたマルタの米ソ首脳会談に関しまして、冷戦は終わったと報道されたこと等もございまして、国内には冷戦という一種の戦争状態が終了し、今や全く戦争のおそれのない時代が来たかのように手放しで喜ぶ向きもございます。しかしながら、戦後の世界の平和と安定が米ソ超大国の核を中心とした軍事的な対峙と均衡によってもたらされていることは否定し得ない事実であります。現在の欧州における軍備管理・軍縮交渉というのも、こうした枠組みを前提にいたしまして、お互いがより低いレベルでの軍事バランスを模索しているのではないかと考えるものであります。  一方、アジアにおいてはこのような安定した枠組みが存在いたしておりません。この地域では東西両陣営による明確な対峙というような色彩が比較的薄くなっておりまして、多くの国が米国、ソ連とそれぞれ二国間の安全保障条約を結んでおりますし、大国である中国は東西いずれの陣営にも属さず、独自の路線を歩んでおります。このような状況のもとでソ連は、現在、アジアに膨大な軍事力を擁しております。確かにゴルバチョフ政権は一方的な戦力削減を発表しておりますけれども、極東ソ連軍の現在の強力な戦力からしますればその削減内容は極めて限定的なものであろうかと思うのであり、また、他方でソ連は戦力の近代化を引き続き実施しておるのではないかと思うのであります。私は、このような極東ソ連軍の存在こそがアジアにおける軍備管理・軍縮の動きを阻害しているもの、このように考えます。  そもそも、軍備管理とか軍縮問題というのは、NATO対ワルシャワ条約のように地続きの国境を挟んで軍事的に先鋭に対峙している状況、つまりお互いが侵略されるかもしれないというような脅威感を抱いている状況のもとで成り立つものではないかと思うのです。アジアの問題が議論されましたけれども、アジアにおいては中ソ国境とか朝鮮半島においてある種の軍事的な対峙があることは御承知のとおりでありますが、ただ、日本とソ連との関係を見てまいりますと、日本はソ連の膨大な軍事力について潜在的脅威を確かに感じております。しかし、ソ連の方は日本から侵略される脅威感を感じているということはないのじゃないかと思うのですね。このような状況のもとで、日ソ間において両者を対象とする軍備管理・軍縮交渉というものは成り立ち得ないのではないかと思うのであります。  したがって、アジアにおいてはソ連が一方的に、先ほど北方領土の軍事力の問題も議論されましたけれども、北方領土の軍事力を含めて大幅な軍事力削減に踏み切ることが必要でありますし、総理、今こそソ連の一方的、大幅な軍事力削減を西側から積極的に呼びかけるときではないかと思います。また、軍備管理・軍縮の進展は全国民が期待するものでありまして、決して放置しておいてよいものではございません。政府はこのためにどのような政策をお考えか、お伺いをしたいと思います。総理の御答弁を願います。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 先生も御案内のように、ヨーロッパと異なりましてアジアは地理的にもあるいは歴史的にもそれぞれの大きな特色がございます。しかも、ヨーロッパの膨大な大陸国家が連なっているという問題はございませんで、ここには広大な海洋がございます。そういう意味で、海軍戦力がどうなるかという問題がそれぞれの国の安全には極めて重大な関係があると私どもは認識をいたしておりまして、極東ソ連海軍の老朽艦は隻数は減っておりますけれども、その新鋭艦による海上戦力の充実は極めて大きなものがあるという認識に立っておりまして、私どもは、このアジア・太平洋における海軍戦力の軍縮というものがどうなっていくのか、これに重大な関心を持たざるを得ません。  現在、予定されております六月の米ソ首脳会談、これを控えて米ソ間では熱心な軍縮交渉が行われていると伺っておりますけれども、私どもは、米ソ超大国による軍縮が効果的な結果をもたらすように、日本としては期待をいたしておる次第でございます。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 それでは、次に参りますが、最近の国際情勢の変化は、米国の中でもソ連の脅威は戦後最低であるのではないかという認識を生ぜしめるほど急激なものがございます。これに伴いまして、日米安保多約が変質したのではないか、あるいは要らなくなるのではないかという見解すらございます。確かに国際情勢に大きな変化があることは事実でございますけれども、その中で日米両国の友好関係はますます重要になってきているのは当然でございまして、日米安保条約が要らなくなったというのは論外であります。しかしながら、そもそも日米安保条約というのは、本来的に日米間の軍事的な関係だけではなく政治的、経済的関係をも規定しているものでございます。これまで、ともすると軍事的な側面が注目されてきた嫌いがございますけれども、しかしながら、日本の経済力が向上し、相対的に米国の経済力が低下するといった現状のもとでは、日米安保条約の持つ政治的、経済的側面が強調されるべき時代になったのではないかと考えるわけでございます。私は、安保条約を読み直してみて、改めてその感を深くするものでございます。  さて、先月チェイニー米国防長官が来日され、防衛庁長官との間で日米防衛首脳会談が行われました。その際、チェイニー米国防長官は、今後二、三年間に我が国を含むアジア地域に駐留している約十二万人の米軍の約一割程度を削減することを表明されております。私は、今回の米軍の再編は、前方展開能力は変わりないと言っておられますし、米軍の戦闘能力そのものには影響を与えるものではないと思っております。したがって、我が国の防衛政策に基本的に影響を与えるものではないと理解しておりますが、総理はこの点どのようにお考えでございますか。  時間の都合でさらに続けますが、現在政府は平成三年度以降の防衛力整備計画、いわゆる次期防について検討中であると承知しております。最近の国際情勢の急激な変化を受けまして、国内の一部には次期防はもう要らないのではないかとか、防衛費は削減すべきであるという声も聞かれますが、しかし防衛力整備というのはそもそも計画的、継続的に進められて初めてその目的を達するものであります。私はこのような見解にくみするものではございません。これまで我が国は周辺諸国の脅威に直接対抗することを旨とするものではなくて、いわゆる基盤的防衛力構想ということで、我が国が平時から保有すべき防衛力の水準を定めた「防衛計画の大綱」に従いまして防衛力の整備を進めてまいりました。私は、次期防についても、現在の国際情勢から見れば、大綱に言う防衛力までも不要となるような状況ではないと認識しておりまして、基本的にはこの大綱に従って防衛力の整備を進めていくことが適当ではないかと考えますが、総理は次期防の基本理念についてどのようにお考えか。  さらに、この次期防の策定においても検討されるべき問題として、いわゆるバードンシェアリング、責任分担の問題がございます。米国はいわゆる双子の赤字に苦しんでおりまして、財政再建の一環としての国防費カットが不可欠な状況に立ち至っております。他方、我が国の立場から見ましても、アジア・太平洋に展開されている米軍がもたらすこの地域の平和と安定に果たす役割は、他の国によっては代替することはできません。我が国の発展に必要不可欠なものであることは言うまでもないわけであります。我が国は同盟国としての責任を全うするため、できるだけの努力を払って米国を支援し、アジア・太平洋の平和と安定の維持に貢献すべきではないでしょうか。米国に対するバードンシェアリングに積極的に応じ、その姿勢を次期防の中でも鮮明にいたしまして、米国にアピールするべきときではないかと考えますが、総理の御見解を承りたいと存じます。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 冒頭の問題にお答えをさせていただきます。  日米安保条約というものがただ単に軍事面だけの条約であるかどうかという点について、昭和三十五年に安保条約が改定されましたときに、記憶に誤りなければ、相互協力並びに安全保障条約と条約の名称も変わり、同時に、たしか第二条であったと思いますけれども、経済協力をお互いにするということ、同時にまた、両方とも自由な制度というものをお互いに広めていく努力をするということ、そして福祉条件の向上にも努めるという表現があったものと私は記憶をいたしております。といいますことは、ただ単なる軍事面だけではなくて、経済面やあるいはその国のあるべき姿についても記してあるわけでありますから、総合的な条約である、このような考え方をしたことを覚えております。そういった条約のもとにおいて日本は、みずからは節度ある自衛力で我が国の平和と安全を保っていくということでございました。  今後この自衛力、防衛力をどのように整備するか、責任分担をどうするかという問題等につきましては、担当大臣から答弁をいたします。

中山太郎自由民主党外務大臣

○中山国務大臣 日米安保条約は日本の安全にとりましては極めて重要であり、今後とも外交の基本的な枠組みとしてこれを堅持してまいるという考え方でおります。  なお、本年は日米安保条約締結三十年に当たるわけでございまして、私どもとしては、この三十年を振り返りまして、日米安保条約が日本の安全に貢献したその度合い、また経済的に今日の繁栄を見た日本というものがこの日米安保条約のもとでいかに大きな繁栄をなし続けたかということを改めてここで考えるべき時期が来たと考えております。

石川要三自由民主党防衛庁長官

○石川国務大臣 次期防についてのお尋ねがございましたが、現在その下書きといいますか、最終的には政府が作成するわけでございますが、その担当としての立場から今下書き的にこの作業を進めているわけであります。  委員の御質問の中にもございましたように、今国際情勢というものが極めてデタントの方向に進んでいるわけでありまして、こういう国際情勢というものを前提に次期防というものは十分に検討しなければいけないということは当然だと思います。ただし、御承知のとおり、私どものこの防衛というものは、昭和五十一年のあの時期におきまして策定された大綱、これに基準を置きまして防衛の整備が行われているわけでありまして、御承知のとおり当時も今と同じようなデタントの時代であります。デタントの波が、幾らか大波が過ぎたというような傾向はございますけれども、デタントの時代であることは間違いない。そういう中におきまして私どもはこの防衛大綱をつくり、その基本的な性格としては、先ほど来お話がございましたように節度ある防衛力ということでできているわけでありますので、私といたしましても、今のような国際情勢の変化は十分認識をしているつもりでございますけれども、次期防をつくる場合には、やはり基本的にはそのデタントの時代にできた一つの大綱というものを前提にして考えていきたい。  でございますから、今の段階ではどこをどうするということの数量的な問題、あるいは三年にするか五年にするかという、いろいろと御議論がございましたが、そういう点についてはまだ明確ではございませんけれども、あらゆる角度からそういう点を総合的に考えましてこの策定に当たっていきたい、かように考えておるわけであります。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 時間の関係で、次に、現在与野党間の最大の課題になっております消費税を中心とした税制改革についてお伺いをしたいと思います。  まず、総理も言われておりますとおり、税金の問題というのは大変難しいということでございますが、しかし、国や地方公共団体が国民に対して公共サービスを提供する、その財源を国民に負担していただかなければ財政というものは成り立ちませんし、国家も成り立ちません。そういう意味で、やはり税金というものは国民が負担していただくということが基本であることは申し上げるまでもございません。そういう中で、公共サービスの財源である税をどのような形で国民に負担していただくのがよいのか、議論を重ねてきて結論を出したのが今回の税制改革だと私は思います。  消費税の創設を含む税制改革に至る論議は今から十年前、昭和五十年代の前半から、あるいは議論としてはその前からございましたけれども、一般消費税という形で議論が行われました。実は、消費税と同じタイプの付加価値税という税金は先進国四十八カ国で採用いたしておりまして、十五年、二十年の長きにわたって定着をいたしておるものでございます。この十年間、財政再建ということもございましたが、歳出削減についても努力はいたしてまいりましたけれども、しかしながら、高度成長期と違いまして、勤労者の所得税減税の要求にこたえることはなかなか実際問題できなかったわけでございます。その間、働き手の勤労者の皆さん方の所得税負担は大変重くなってきておったわけであります。  私は、ここで若干の経過を申し上げたいと思うのでありますが、特に私は、税制調査会の幹部の一員として参加した昭和五十九年度の税制改正ですね、これは、与野党の合意によりまして約一兆円以上の所得税減税を決定したわけです。そして、当時は消費税の創設ということではございませんで、既存税制の中で財源を見出すということで、法人税、これは当時基本税率四二%でしたが、一・三%上乗せする。しかし、これはまあ世界の法人の実効税率を下げようとする方向に逆行していたわけですが、そういうことをしました。それから、お酒の税金も約二〇%上げまして三千二百億円程度の増収を見込んだんだが、実際は高級酒等を中心に増税したものですから、逆に減少してしまったのですね、税収が。あるいは物品税につきましても、当時使用が広がりつつありましたワープロやパソコン等を課税の対象に加えることを検討いたしましたけれども、こういうものはぜいたく品である物品税になじまないのではないか、あるいは生産手段の一部でもございますから、そういう事務用機器を物品税の対象とすることはふさわしくないということで、これも取り上げるに至りませんでした。  つまり、これを私は申し上げたのは、このような既存税制の枠内で所得税減税の財源を見出すことはもうこれ以上無理だという認識が、五十九年、六十年からもう深刻なものとなってきたものと私は受けとめております。  今回の税制改正は、高齢化社会、いろいろ言われますが、私はやはりその原動力は何といっても勤労者あるいはサラリーマン諸君の重税感を解消するための所得税減税が原動力でなかったか、この点の我が党の説明がやや不十分でなかったかなという感じは率直にいたします。  同時に、間接税の世界を見てまいりますと、当時の我が国の間接税は個別間接税制度のみに頼っておりました。個別間接税制度だけに頼っているのは、先進国では我が国のみでございました。これは御承知のように旧物品税では八十五品目、つまり、自動車あるいは電気製品等が約七割を占めておりますが、こういったものをぜいたく品として課税をいたしておりました。しかし、社会経済情勢の変化によって、これがぜいたく品であるかどうかは、今はもう申し上げるまでもございません。  さらに、物品税の矛盾は、個人の消費支出の五割以上、今は恐らく消費支出の中では五〇%以上になっていると存じますが、この消費支出がサービスに対する消費となっているという点であります。その中には、高い付加価値を加えることによって高額なサービスを受けておるというものもございますけれども、しかしながら、このサービスの中で何を取り出して個別間接税にしようかという議論は、これはなかなか難しいわけでございまして、したがってサービスに対する課税は行われていなかったというのが現実であったと思います。  物品税は、歴史をたどりますと昭和十二年に戦費調達のために北支事件特別税として創設されました。当時は物中心でございましたし、戦費調達ということもございましたが、戦後これが調整され、そして今日、社会経済情勢の変化で大きな矛盾が露呈されてきておるわけでございまして、またその結果、国の税収に占める間接税のウエートが年々低下するに至っておることは、御案内のとおりであります。  このように、所得税減税の必要性から税制改革をやったのだという一つの点、それから個別物品税制度というものが非常に矛盾だらけのものになってきたという、この二つの大きな問題を背景にして、税制改革をやる前の税制は極めて問題の多いものであったことは申し上げるまでもございません。それに加えて、我が国社会が高齢化しているという状況がございました。働き手の数が相対的に減る中で、いかに国民が広く薄く負担し合って、助け合って豊かな福祉社会をつくり上げていくかということが重要なテーマになってきているわけですね。  したがって、こういうような税制自体の矛盾と高齢化への対応ということを中心にいたしまして、我が党は二年間で五兆五千億にも上る所得税減税をやりました。また、消費税の創設によって間接税改革を実施したわけでございますけれども、これらによりまして高齢化社会に対応することができるようになる基礎ができた、そして同時に、我が国税制の抱えていた問題点の解消を図ることができた、ある程度できたというように私は考えております。  公平な税体系は直接税と間接税をバランスよ組み立てる中で成り立つということは申し上げるまでもございません。あくまで直接税が基幹的な税制であることも間違いありません。消費税を初め間接税は、所得や収入に対して逆進的である、逆進性があるという問題がございます。しかし、所得税とか直接税には逆に所得の捕捉が難しいという問題があります。クロヨンなどということが言われている次第ですね。したがって、いろいろな税を組み合わせて全体として公平、公正な税体系を構築するというのが今回の税制改正の眼目であったと思うのであります。  以上、るる私は申し上げてまいりましたけれども、先般の税制改正は、まさに税制のあり方をどうするかについて長年の議論の未実施されたものでございまして、私は、その結果としての所得課税の減税や消費税の導入は、我が国の国民の将来を考えた場合に、全体的な、また長期的利益にかなっておった正しい選択であったと考えます。この十年間の議論を踏まえ、先般の税制改革の意義、消費税の必要性について、私は何度でも国民の皆さんに訴え訴えしていくことが必要であろうと思いますが、改めてひとつ御見解をいただきたい、このように存じます。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 税のプロの宮下さんに私から税のお話を申し上げるのも大変おかしなものでありますが、今委員がるる述べられましたように、物品税、ちょうど私と同い年であります。そして、私がまだ小学校のころにシャウプ勧告というものが行われたというものを新聞記事で読み、そしてそれによってつい先ごろまでの我が国の税制の基礎が固まりました。そして、それ以来基本が変わってまいりませんでした間に、日本の社会というものは大きく変わり、経済もまた変化をいたしました。その中で、いわば勤労者の所得に対して非常に大きなウエートをかけておりました既存の税制というものはさまざまなゆがみやひずみというものを生じ、特にサラリーマンの方々を中心にした重税感というものを非常に強くしてしまったという、これはどなたも否定のできない事実であります。また、まさに物品税というものが戦時財源を、戦争の財源を確保するためにスタートしたというところから、いろいろな問題を持ちながら運用されてまいります間に、今委員が指摘をされましたように、一見ぜいたく品と思われるようなワープロというものをとりましても、それが現実の事務の機械化に必要なものだとなれば課税ができない、そうした問題点も生じてまいりました。さまざまな意味で不公平が存在し、国民の中に不満が高まっていた。  そして、それが昭和五十年代の後半の各種の世論調査の中に、常に政治に求めるものとして一番最初に税制改革というものが求められるようになった原因だと思います。そして、その限りにおいて、まさに委員が御指摘になりましたように、所得税減税に対する国民の声に一生懸命、既存税制の中から財源を見出しながらこたえようとしても無理だということは、先ほどの委員の御指摘の時期に既に明らかになりました。  今回の税制改革というものは、まさにそうした意味では所得税に中心を置き、その結果として、働き手のサラリーマンの方々の中に非常に高まっていた減税に対する声にこたえたものであります。また同時に、個別間接税の持つ欠陥というものを一掃し、所得と資産とそして消費、バランスのとれた税体系を構築したものでもあります。  同時に、この税制改革の中で見逃してはならないことは、お互いがお互いを支え合う仕組みを税体系の中に取り込むことによって高齢化社会というものに向けての備えをしたということも一つのポイントでありまして、それぞれの税にはそれぞれの税の持つ特質と同時に欠陥があります。それを適切に組み合わせることにより、また歳出と組み合わせることにより、これから先もよりすぐれたものに仕上げていく努力が必要である、私はそのように考えております。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 さて、消費税に対する批判のうちで最も大きな批判は、私は逆進性の問題だったと思うのです。それで、消費税の税負担の割合は消費の支出に対して比例的でございますし、所得に対しては逆進的であるということは、これは事実でございます。この逆進性の問題は間接税一般の持つ性格でございまして、これは決して欠陥ではございません。本来的にそういう性格のものでございます。そして、この逆進性の問題は、一つの税目だけで解決できるものでもございません。所得税を含めた税制全体の中で考えなければならないことはもちろんでございます。さらに、私の申し上げたい点は、今大蔵大臣もお述べになりましたが、社会保障関係予算等の歳出面をも含めた財政全体で判断し、適応すべき問題だということでございます。     〔原田(昇)委員長代理退席、委員長着席〕  この点に関して参考となりますのは、福祉国家と呼ばれる北欧諸国の例でございます。例えばスウェーデンでは消費税が約二三%、デンマークでは二二%、フィンランドでは約一九%の消費税がそれぞれ採用されておりまして、しかも、食料品や日用品などに対する特例が一切ございませんで一律の負担となっております。御案内のとおりです。つまりこれらの国々では、歳出面で弱者に対する社会保障などの手当てが十分行われておりまして、公正、公平な政治が保たれております。したがって、消費税制度の中では特別な配慮をしてないという、こういう仕組みをとっておるわけでございます。  私ども少し整理をしてここで申し上げれば、消費税の逆進性に今申しましたようにどう対処すべきかというのは、消費税自身の中で対応することも若干可能です。しかし、消費税の中で例外措置を設けるということは、広く薄く負担を求めるというこの税のよさを損なうおそれがございまして、おのずから限界があります。私どもがこのたびまとめた消費税の見直しは、まさにそのぎりぎりの接点を求めたのではないかと私は考えるわけでありますが、一方、今北欧の話を申し上げましたが、こうして集められた消費税を還元する形で、歳出面や所得税減税で逆進性を緩和することが重要であります。我が党がいろいろ、生活保護費を物価以上に引き上げるとかあるいは年金の給付改善の前倒し実施をするとか、さまざまな施策をいたしましたが、これらの配慮に基づくものでありました。  私は、これらの予算措置は、まさに税制改革そのものではございませんけれども税制改正の一環でございまして、これらを含めて税制改革というものを総合的に評価、判断していただきたいということを強く申し上げたい。国民の皆さんにも訴えたい、このように存じます。  さて、時間の都合で消費税の見直し問題について質問を申し上げたいわけでございます。  私は、こういう機会を通じまして、我が党が提案している消費税の見直しについて、本当は詳細な説明を交えながら質問申し上げたいのでございますが、時間がございませんので、簡単にもう申し上げておきますけれども、私どもが導入しました消費税については、新税であるがゆえにやはり国民の間に戸惑いとか不安感を引き起こしたことはこれはもう事実でございます。そして、こうした中から出てきた国民の声に謙虚に、かつ真摯に耳を傾ける必要がある、消費税が名実ともに定着する必要があるということで策定したのが今回の見直し案であります。先ほどの議論、午前中の議論を伺っておりますと見直しは最後は廃止じゃないかというような問題では決してございませんで、私どもとしては前向きにこの見直しに取り組んだわけでございます。  見直し案の策定に議論に参画した一人でございますけれども、消費税をめぐるさまざまな指摘のすべてを検討対象といたしました。また、国民各層の御意見も謙虚に受けとめました。そしてまた、消費者の立場も十分考慮いたしました。指摘のあった問題点については、大蔵大臣もしばしばおっしゃっておられますように、現時点で可能な限りの措置が盛り込まれております。  見直し案は三つの柱から成っておる。  第一の柱は、非課税枠を拡大した。これは出産費用とか火葬・埋葬料、あるいは身障者用物品あるいはホームヘルパーのサービス経費、あるいは入学金、またさらに家賃等々でございますけれども、詳細は省きます。  一番問題となったのは食料品の扱いでありました。食料品にまで三%の消費税を課さなくてもいいのではないかという消費者の声が強くございました。そこで、食料品については大幅な負担軽減の措置をとることによりまして、ここで詳細は申し上げませんけれども、消費者の要望を満たしつつ、同時に事業者にも混乱を生じさせないという配慮のもとに最善の負担軽減措置を講じまして、平年度ベースで減税額でいえば約一兆円強の負担軽減となっておるのは御案内のとおりであります。  二つ目には、やはり消費税は事業者にばかり配慮した仕組みになっているのではないかという批判がございました。この点につきましては、大企業が消費税を納めるまでの間に、消費者から預かったお金を年二回の納付では財テクに回して相当な額の利殖を得ているのではないかという批判もございましたから、今回これを二回から四回にふやして国庫に納付を早期にしていただくようにしたわけですね。  それから、企業が交際費などを支出した場合、企業みずからに消費税を負担していただくということで、転嫁を原則認めないというようなことをいたしました。  それから、三千万円以下の免税点制度とか五億円以下の簡易課税制度、これも私どもとしては、政府としても、この制度は中小零細な事業者が税金を計算する事務負担が大変だろうということで、税務上の問題もございましたが、設けられたものであろうかと思うのです。しかし、これがなかなかしつこい批判がございまして、いわゆる猫ばば論として、消費者の納めた税金が本当に国庫に納められていないのではないかという不満感を示す向きがたくさんございますが、これらについては、やはり個人事業者が納税を完了するのは五月三十一日でございますから、その結果を踏まえて検討するということになっておるのも御承知のとおりでございます。  そして、この消費税の表示の問題でございますが、これもなかなか、実際のお買い物をする主婦の立場等からいろいろ議論がございました。したがって、消費税の税額表示、内税か外税かについても、消費者の立場に立ちまして、買うときに最終的に幾ら払えばいいんだということがはっきりわかるような表示に努めたらいいのではないかという議論になっておるのは御案内のとおりでございます。  それから三つ目は、消費税の使途の明確化の問題でありますが、これは、今回の法律によりまして、消費税収の国分は福祉に重点的に優先して充てるというようなことになっております。  私は、予算委員会のこの場を通じて、国民の皆さんにさらに理解を深めていただくために多少詳しくるる申し上げましたけれども、この見直し案についての御所見と消費税の定着についての総理の御決意を承りたいと思うわけでございます。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 いろいろ貴重なお考えを述べていただきました。  結論的に言いますと、消費税の定着のために努力をするということは、私もそれは極めて大切な、必要なことだと考えております。ただ、消費税の定着と申しましても、現在行われております消費税についていろいろ世論の批判も受け、また、我々自身もいろいろな考え方から反省もしてみて、そして思い切った見直しもいたしまして、見直し案もお願いをしておるわけであります。現在行われておるものと比較をして、いろいろな面で見直した見直し案の方が私はより一歩前進してきておるのではないかと確信をいたしておりますので、どうか、消費税の定着には全力を挙げていかなければ、将来の社会を支えるために公平な、そしてバランスのとれた所得と資産と消費とそれぞれにお願いするわけでありますけれども、見直し税の方もぜひ御議論をいただいてこれを定着させていきたい、こういう強い願いを持っておりますので申し上げます。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 税制の問題の最後に、いろいろお伺いしたい点はございますが、社会党が衆議院選挙中に発表された税制改革案についてお尋ね申し上げたいと思うのです。  この選挙中に、社会党は、税制改革案なるものを発表されました。その中にいろいろ首をかしげる御提案があるわけでございますけれども、中でも私が奇異に感じたのは、間接税制度について、個別間接税制度を恒久税制として提案されている点は大変疑問に思いました。  これに対して我が党からは、個別間接税制度というものは課税されるものと課税されないものがあってアンバランスであるということは与野党ともに今まで指摘してきたではないかとか、あるいは昨年の参議院における廃止法案の論議でも、提案者たる野党自身が、個別間接税制度は不合理な制度だが、二年間のつなぎ財源だからまあ我慢してほしいんだというような説明をしてきたではないかとか、あるいは個別間接税が所得に対して逆進性を持たないというのは誤りであるということを我々は指摘してまいったわけでございます。  私がこの議論の中で理解できないのは、社会党は間接税を否定しないとしながらも、どうして個別間接税がよくて、同じく間接税である消費税が絶対だめであると言われるのかということでございます。  個別間接税といいましても、今現存する個別間接税では、例えば酒税、たばこ税、ガソリン税などは、これは消費税以上に逆進的な税金でございます。ぜいたく品だけに課税できると言われるものであれば、昨年野党が提案された物品税法案で対象とされた冷蔵庫、テレビなんかはぜいたく品なのかどうか、これは大変問題がございますし、まあ社会経済生活がこれだけ変化してまいりますと何がぜいたく品で何がぜいたく品でないのか、あるいはこれを国が決めることがいいのか悪いのかという問題があろうかと思うわけであります。  そこで、このような個別間接税で税収を得るのがよいと言われて、広く薄く負担を求める消費税がだめだと言われるのが理解できない理由を簡単に申し上げましたが、第二の問題はサービス課税の問題であります。  先ほどもちょっと申し上げましたが、昨年野党が共同で提案された税制再改革基本法案、この中には、第五条に、二年後の税制再改革として「サービス、流通等に対する適正な課税の在り方について検討」するとされておりました。旧物品税等には消費支出の五割を占める、ただいま申しました五割を占めるサービスに対する課税がほとんど行われていなかったという問題があることを提案者である野党も十分これは認識しているのではないかと私は思うわけであります。  税制再改革の基本法案は、四野党が共同で提案されまして、参議院で可決したものでありますから、四野党の意思として極めて重い意味を持つものと思います。その中で、サービス、流通の分野も課税ベースに取り込まなければならないとされているのは、大きな方向としては、消費課税において課税ベースを拡大する必要があるという議論を示されたものではないかと私は思います。そうだとすれば、サービスの分野にも消費課税の課税ベースを拡げなければならないという認識は、現在実施されている消費税、これと相当近い発想ではないかと思うのであります。  私はなぜこういうことを申し上げるかといいますと、与野党協議の必要性を感じているからであります。  現在、国会は衆参両院がねじれ現象と言われる状況にありまして、消費税の問題についても、例えば与野党の協議機関をつくり、腹を割って話し合ったらどうかという議論がございます。先日の当委員会における社会党議員の御質問を承っておりますと、原則論だけを振りかざしての対立はもうやめたらどうかという認識は、私、大変重要な視点として十分聞き取らさしていただきました。また、社会党大会において、自民党との対話を重視していくという姿勢も昨日示されたように報道されております。消費税については、自民党だけではなく野党の中にも決着をつけたいんだという機運も出てきているのではないかと私は思いますし、二日前のNHKの世論調査の結果でも、消費税賛成の率が極めて上昇しておりまして、反対も減少している事実を示しつつ、同時に、与野党は歩み寄るべきである、協議すべきであるという見解が六一%という報道もされております。衆参逆転現象の中で対決法案が成立しない事態というのを踏まえまして、駆け引きでない真の話し合い決着の方途を探るべきではないかと私は思います。  総理も与野党の話し合いについて前向きの発言をされておられます。その際、社会党も税収の三割くらいは間接税が必要ではないかと言われているのだから、与野党の話し合いの接点はあるということをおっしゃっておられますね。私は、それに加えまして二つ与野党の接点はあると考えております。  その一つが、今るる申し上げましたとおり、社会党も消費課税の課税ベースの拡大、すなわちサービス、流通への適正な課税が必要だということを言っておられることが接点の一つ。それからもう一つの接点は、不公平税制の是正であろうかと思うのであります。  一昨年の税制特別委員会における税制改革関連六法案の審議に当たりまして、野党の方から十項目の提示がございました。これに対しまして自民党からいろいろアンサーをしたわけでありますけれども、この十項目の中には、まだ未解決で我が党がこれから非常に重視しなければならない検討項目としての土地税制等の資産課税の問題等も含まれております。御記憶の方も多いと思いますけれども、簡単に結論を出せないものも多かったわけで、今後の検討にゆだねられておるわけですね。したがいまして、これらを含めて不公平税制の是正問題は、与野党挙げて引き続き取り組んでいくべき問題ではないかと思うのであります。また、一部野党の主張する行政改革の実施というのも、私は、税ではございませんが、大変重要な視点だと思っております。  しかし、こういう接点があるということではありますが、もちろん消費税を廃止または凍結しないと議論は一切できないんだという硬直的な意見には反対でございます。なぜなら、消費税のような間接税は物やサービスの価格の中に含まれている税金でありますから、仮に凍結したり、また一定期間後に復活するということになると社会的に大きな混乱が生じます。さらに、来年度の消費税収である六兆六千億円もの財源は、消費税以外に求めることは現実には不可能でございます。したがって、消費税の凍結論や廃止論にくみすることはできませんが、しかしながら、与野党の話し合いはぜひ行うべきであります。いろいろ政治的な条件の整備が基本的に重要であることはもちろんわかりますけれども、その中で、どうしても与野党協議機関設置の必要性があろうかと思います。そして、そのための与野党の接点は先ほど申し上げたような点があろうかと思います。私はこのように考えております。  総理は、与野党協議に前向きな姿勢を示しておられますが、消費税の見直し法案の成立に向けて、国会での審議にどのようにお取り組みいただけるのか、お聞かせをいただきたい、このように思います。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 政府が提出いたしました見直し案のことについては先ほど申し上げたとおりでございますが、現在行われておる税制の中の消費税を見直す、こういうことでありますから、それに対して反対の御意見あるいは代案等をお出し願ってその議論をいただく。  私は選挙中のいろいろの野党の皆さんの御意見等も思い起こすわけでありますけれども、個別制限列挙方式というんですか、間接税の御提案があったこともございましたし、そういったようなもので、また普及率とか、いろいろな税率その他についてはぜいたく品かどうかということも考えながらやろうという御示唆もあったわけでありますから、そういったものを両方御議論をいただいて、今のままの制度でいくよりも、どのように見直していったらいいか、どのように変えていったらいいかということをこそ御議論いただくのが最も願わしいことだと思います。そうして、初めからこれはいいとか悪いとかというんじゃなくて、その御議論の中でやっぱり結論が出ていくのが非常に願わしいことだ、こう考えております。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 午前中の議論でも、形式的な成立しなかった場合の責任論が議論されておりましたが、私はそういう性質のものじゃない、こういうように思います。  さて次に、財政再建問題ですが、時間がございませんので一問だけ私は申し上げておきたいと思います。  平成二年度予算は、我が国の財政の健全化に向けて大きな歩みを進めた記念すべき予算だと私は受けとめております。すなわち、五十年度以来十五年間にわたって続いていた赤字公債、つまり特例公債からの脱却が実現できたことであります。公債依存度も一時は四〇%を占めておりましたが、ことしの建設国債の発行は行われておりますが、平成二年度予算ではこれが八・四%というところまで低下をしてきております。この点大変私は心強く存ずるところでありますが、今後の財政はさらに厳しいものが予想されますので、過般の財政制度審議会等におきましても、公債の依存度を五%に将来しよう、あるいは例えば剰余金等が発生すれば特例公債の返還に優先して充てるべきであるというような提言があったように聞いております。こうした問題は、特例公債をゼロにするというのは非常にわかりやすかったんですね。今後といえども私はわかりやすい目標値を立てて、海部内閣としてもその旗を立ててやっていただきたいなと思うのでございますが、いかがでしょう。

橋本龍太郎自由民主党大蔵大臣

○橋本国務大臣 非常に大切な問題を御指摘をいただいたわけでありますが、確かに平成二年度予算におきましてようやく私どもは十五年ぶりに赤字公債依存体質から脱却することができました。また、いわゆる隠れ公債と言われますこの財政再建期間中に講じてきましたさまざまな特例措置についてもある程度の解決策を見出すことができました。  しかし、依然として我が国には非常に巨額の国債残高がございます。今、平成二年度末において百六十四兆に達する国債残高というものを考えますとき、これから先私たちが目指さなければならないまず第一の目標は、いかにしてこの国債残高の累増にブレーキをかけるか、これを食いとめるかということでありましょう。同時に、国鉄清算事業団に残ります累積債務を含めまして、いわゆる隠れ借金と言われるもの、これをどうやって円滑にお返しをしていくかということであります。そして、財政が本当に景気の変動に対して柔軟に対応できる体質に持っていくための努力には非常に厳しいものがあると思いますけれども、この道を我々は全力を挙げて歩まなければならない、そのように考えております。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 最後に、時間がございませんけれども、ちょっと農業問題についてお伺いをしておきたいと思うのであります。  農業の重要性、その他大変私はいろいろ申し上げたい点がございますけれども、今農家が、農業者の方々が、農村、農業の将来について不安感を感じておられます。十二品目の自由化問題あるいは牛肉・かんきつ問題、またさらには米の問題、米は自由化するのではないかというような問題がございます。  そこで、もう時間がありませんので、質問だけ申し上げて農林大臣の御答弁をいただきたいのでありますが、まず総理に、本当に総理は、まあ選挙中、米は一粒たりとも輸入しないということを各党とも言われましたけれども、本当にこの自給方針に変わりないかどうか、まずお伺いをちょっとして、それから農林大臣に、これからウルグアイ・ラウンド交渉で農産物貿易問題が議論されるわけでありまして、本年の十二月までに交渉期限を迎えることになり、かなり厳しい折衝が行われると思います。昨年までに主要国の提案が交渉の場に出ております。日本としても、米を守るために、既にガットに対して提案をしておるというように聞いておりますが、どのような提案をなさっておられるのか。そして、このような日本の主張の政治的に非常に重要な提案をウルグアイ・ラウンドの交渉で成果を得られるためには、そういう国際舞台の論議に入る前に、北欧諸国とかスイス、韓国など日本の主張に同調する国を集めて根回しをすることも重要な戦略ではないかと思っておりますが、ガットの場で我が国の米を守っていくために相当の決意を持って交渉に臨む必要があろうと思いますが、総理の方針の確認と、農林大臣の御答弁をいただいて、質問を終わります。

海部俊樹自由民主党内閣総理大臣

○海部内閣総理大臣 米問題についてのお尋ねでございますが、国会の御決議の趣旨を体し、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいります。

山本富雄自由民主党農林水産大臣

○山本国務大臣 お答えいたします。  ただいま総理からお話しのとおりの基本姿勢で臨んでいきたい。また、ウルグアイ・ラウンドのことをお触れでございますが、この米の貿易問題につきましては、今総理が申し上げました、いろんな経緯がございますけれども特に国会両院における決議ということがございますので、この趣旨を体しまして今後とも国内産で自給をする、この基本方針を貫いてまいりたい、こういうふうに考えております。  それから、これからウルグアイ・ラウンド、年内を目指してやるわけでございますけれども、食糧輸出国の反応は非常に厳しいものがございます。ですから、私ども、そのことを覚悟しながら食糧輸入国、いろいろ先生御指摘の各国との兼ね合いがございますが、輸入国にもいろいろお話をかけながら、特に輸出国の理解を求めて、米を国内産で自給する、この基本方針に従いまして、どんなことがあってもそれを貫きたい、最大限の努力をしてまいりたい、こういう決意でございます。よろしくお願いいたします。

宮下創平自由民主党

○宮下委員 以上で終わります。

越智伊平自由民主党

○越智委員長 これにて佐藤君、宮下君の質疑は終了いたしました。  次回は、来る九日月曜日午前九時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三分散会

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