法務委員会 第9号
- 発言数
- 202 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1990/06/08
会議録
○小澤委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部行雄君。
○渡部(行)委員 まず最初に大臣にお伺いいたしますが、今度の商法等の一部を改正する法律案の成案過程を見てみますと、昭和五十九年五月九日に法務省民事局参事官室から「大小(公開・非公開)会社区分立法及び合併に関する問題点」というものが公表されて以来、約六年に及ぶ年月をかけて国際化に適合する商法の確立を目指して全面的な改正作業に取り組んできたことは御案内のとおりであります。そして、平成二年二月二十八日に法務大臣の諮問機関である法制審議会商法部会から商法等の一部を改正する法律案要綱が発表され、三月十四日の法制審議会総会の承認を得て要綱として法務大臣に答申されたのであります。さらに、この要綱は自民党の法務部会において検討、修正を加えられ、それがそのまま閣議決定されて本法律案となったわけでございます。 ところで、昭和五十七年の改正が大会社のための法規制の見直しであったのに対し、今回の法改正の骨子は、大会社には大会社として、小会社には小会社としてそれぞれにふさわしい法制度にして、債権者の保護と取引の安全を確保しようということで、まず第一に最低資本金制度の設定、第二に計算書類の公開、第三に取締役の責任加重といった問題が法改正の三本柱として検討が加えられてきたことは御承知のとおりだと思います。 そこで、最初公表された法務省民事局参事官室の問題点指摘から法制審議会商法部会の案と本改正案を比較検討してみますと、試案の期待するものと今議題になっている本法案とは非常に隔たりが多く、なぜこのように本法案が後退したのかと疑問を抱かざるを得ないのでございます。最初の試案の期待というものがほとんど形骸化されてきておるわけでございます。こういうふうにして見ますと、一体なぜこのような姿にこのせっかくの改正というものが後退したのか、その辺のいきさつについて大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○長谷川国務大臣 お答えをさしていただきます。 今委員からいろいろ御意見も含めてお話を承ったのでございますが、今回の改正したものが完全無欠のものであるということは申しかねますが、次善の策として、何しろいろいろの方、各種団体、各種各層と相談したのでございますが、関係があると思われる方が二百万人もいらっしゃる、それからその他いろいろ各種団体もございますので、 それらの大方の皆様の御意見を聞きますと、どうしてもやはりその最大公約数的なものにならざるを得ないというふうな感じもいたしまして、今申し上げましたように百点満点、完全無欠とは申し上げませんが、現段階においては可能な限りいろいろ御意見も拝聴いたした上で決めたものでございますので、またひとつよろしくお願い申し上げなければなりません。なお、具体的に商法を守っていく中小企業の意向も私どもといたしましては十分に酌み取っての上であるということも御理解をいただきたいと思っているわけでございます。 なお、詳細にわたりましては局長からお話し申し上げます。
○渡部(行)委員 もちろん私どもは、完全無欠というようなことはとても望んでもできるものではありませんし、そういうことを言っているのではなく、今非常に激しい国際的な変化が起こり、そして今までの流通形態というものが大きく変わって、もはや国内だけでは問題解決はできないし、また国内を対象として考えてみても、それは決して現在の状態に適合するものでもないわけです。もはや地球全体が一つの市場化しておるし、そういう中で取引が進行するわけでございますから、そういう客観情勢に合った法体制、あるいは一つのそういうものに引きずっていく指導的な立場からの法体制というものの確立が必要なわけで、それを今までの経験だけを集めて、そういういろいろな人たちがいるから、その人たちのみんなの意思を聞いてやろうとしても、これはやれるはずがないのです。そして、大体その団体によってもこれは利害関係がありますし、いろいろな点で対立点も出てくるのは当然です。しかし、その際に、諸外国の例やいろいろ勘案しながら日本の商行為はこうあるべきである、日本の商業の体制、それを律するのはこういう法律で律すべきである、こういうことで考えるのが至当かと思いますが、そういう点ではいかがでしょうか。
○長谷川国務大臣 今委員のお説のとおり、まず国際化しておりますし、非常にあれが広くなっておりますので、そういう点も考慮に入れなければなりませんが、しかしやはり最大公約数ということになりますと、そういう理想的な物の考え方も若干制約されることもあるわけでございますので、また将来の展望に立ってはいろいろ勉強さしていただいて、なお善処いたしたいというふうに考えております。
○渡部(行)委員 そうすると、結局今度の改正は、ある意味では過渡的であり暫定的な措置である、こういうふうに解釈していいでしょうか。
○長谷川国務大臣 今提案をさせていただいておりますので、これはいろいろまた御協力、御指導いただかなければなりませんが、これから時間がたつに従って、今委員おっしゃるような三年、五年、七年たったらまたいろいろな変化が起きることもこれまた当然であり、それがまたそうあってしかるべきだと思いますので、将来の展望については十分また勉強させていただきたいというように考えております。
○渡部(行)委員 それでは、大臣でなくても結構ですが、今度の改正というものは、今の商業形態や市場の変化その他を見通しながら考えた際に、本当に抜本的な改正というのは一体いつごろをにらんでいるのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
○清水(湛)政府委員 お答え申し上げます。 委員御指摘のように、昭和五十九年に法務省民事局参事官室の方から大小会社の区分その他の問題点について公表いたしまして、各方面に意見を聞き、それからそれに基づきまして試案を発表するというようなことをいたしたわけでございます。その中ではある意味においては大胆な問題提起がされ、各方面で種々の議論がされたことは御承知のとおりでございます。今回の改正案は、そういう議論の中のある意味におきましてはごく一部について関係方面の意見の一致したものを取り上げて法案に取りまとめ、御審議をお願いしているわけでございまして、積み残された問題も多々あるわけでございます。 それから、御指摘のように国際化の時代を迎えて、まさに変動の激しい取引社会における株式会社法でございますので、今後も改正しなければならない新たな問題というのも当然これは出てくるというふうに私ども考えております。 そういうふうな観点から、今回この法律の改正が成りました暁には、直ちに積み残された問題について法制審議会に引き続き審議をお願いするとともに、いつということを今ここでお約束することは難しいと思いますけれども、とにかく時代の変転におくれないよう、できるだけ速やかに成案を得られるよう努力をいたしたいというふうに考えております。
○渡部(行)委員 それでは次に、順次具体的にお伺い申し上げますが、本法案作成に当たって、企業側に重点を置かれて作成されたのか、それとも債権者あるいは取引相手側に重点を置かれて作成されたのか、その辺のお考え方をお伺いいたします。
○清水(湛)政府委員 お答え申し上げます。 委員御承知のように、会社法というのは、一つには第三者、つまり会社と取引関係に立ちあるいは立とうとする者、広い意味で債権者と言っていいと思いますけれども、そういう債権者の保護を一つの重要な柱としておるということ。それからもう一つの柱といたしましては、株主の権利を保護する、こういうことだろうと思います。そういうことでございますので、株式会社法あるいは有限会社法の改正について検討するという場合には、当然のことながら、一つの重要な柱である債権者の保護ということに重点を置いて考えるということを常に私どもいたしておるわけでございます。しかしながら、同時に、株式会社法あるいは有限会社法という会社法は、現実にこの法律をこういう組織を利用する企業の方に常に守っていただく必要がある、つまり守れないような理想的な法律をつくりましてもかえって形骸化というような現象が生じ、かえって混乱が生ずるというような結果にもなるわけでございます。したがいまして、端的に申しますと、中小企業団体等の意向も十分酌んで、現実に適合するような形で法改正というものをしていかなければならないということになってまいるわけでございます。そういう意味で、債権者の保護を重要な柱として踏まえつつ、具体的に商法を守っていただく企業の意向をも酌みながら最終的な改正案を取りまとめた、こういうことになるわけでございます。
○渡部(行)委員 双方すべて考慮に入れてやったということでございますが、それはもう当たり前のことであります。 そこで問題は、債権者または企業あるいは取引においてどういう信頼性を確立していくべきか、そのためにはどういう要件が満たされていかなければならないかは当然考えられなければならないと思います。 そこで一つお伺いしますが、最低資本金制度を導入されたということはどういう意味合いを持っておられるのか、その点についてお聞かせ願いたいと思います。
○清水(湛)政府委員 お答えいたします。 株式会社及び有限会社はいわゆる有限責任会社でございまして、株主あるいは取締役等は原則として個人責任を負わない、こういうことになっていることは既に御承知のとおりでございます。したがいまして、会社債権者、これは労働者あるいは下請債権者あるいは一般の取引上の相手方、当然そういう方々によって構成されるわけでございますが、そういう債権者といたしましては、通常の場合は会社財産だけが唯一のよりどころとなる、こういうことに当然のことながらなってまいるわけでございます。もちろん、企業活動というのはいろんな経済的な要因によって変動いたしますので、非常に大きな財産を持っている会社でも債務超過のような状況になって破産をするというような状況があるわけでございます。しかしながら、そういうような会社財産が唯一のよりどころであるということになりますと、債権者の保護からいたしますと、できるだけこのよりどころであ る会社財産というものが多くて、しかも常にその状態が一定の額以上に保持されるような状況にあることが望ましいということになるわけでございます。そういう意味で、資本金というのはそういう会社財産を維持すべき一つの計算上の基準である。例えば資本金が一千万ということになりますと、会社財産を金銭に評価いたしまして、いわばその総資産から総負債を差し引いた純資産の金額が、少なくとも最低資本金に見合う以上のものがなければならない、そういう意味における一つの計算上の基準でございますけれども、そういう基準をできるだけ高くするということにいたしますと、会社としては常時それに満つるだけの純資産を保持するように努め、あるいはその保持すべきいわば義務に違反していろんな行為をするということになりますと、またいろんな取締役の責任が生ずるというようなことになっているわけでございますが、そういう意味におきまして、その最低資本金制度を導入することによって、少なくとも企業はそれ以上の財産を持っているあるいはそれ以上の財産を維持するように努める、こういうことになるわけでございます。そういう意味におきまして、最低資本金制度を導入することによりまして、会社債権者等の保護が図られるということになりますし、あるいは企業の体質の強化というようなことにもつながってこようかというふうに私ども考えているところでございます。
○渡部(行)委員 そうなると、これも一つの信用性を確保する一環である、こういうふうに解釈してよいのではないかと思います。 そこで、次に取引先の会社もしくはこれらの取引をしようとする相手会社の信用度というものを知り得るにはどういうことを調査すれば最もいいのか、その辺の一つの信用度をはかる要点というものをお聞かせ願いたいと思います。
○清水(湛)政府委員 お答えいたします。 会社の信用度ということになりますと、例えば会社の経営者のいわば個人的な信頼性というようなことも当然問題になろうかと思うわけでございますが、会社法の理論の面から申しますと、先ほどお答えいたしましたように株式会社及び有限会社というのは有限責任の会社でございまして、会社の信用というのは結局会社財産いかんによって決まる、当然のことながらこういうことになってまいります。 じゃ、その会社財産がどのような状況にあるかということは何によって示されるかということになりますと、毎決算期に作成される貸借対照表及び損益計算書というものが、端的にはこの状況を示すものになるものだというふうになるわけでございます。つまり、決算日における会社財産の状況というものを正確にあらわすのが貸借対照表、もちろん会社の資産が適正に評価されるということがその前提になりますけれども、決算日における財産の状況を示すのが貸借対照表であり、当該営業年度における期間の損益状況を示すのが損益計算書ということになるわけでございますが、そういうものが正確につくられるということが当然必要なことになるわけでございますけれども、そういう計算書類に会社財産の状況は反映される、したがいまして会社の信用度の調査というのはまず計算書類の調査が最も重要なポイントになる、こういうふうに考えられるわけでございます。
○渡部(行)委員 そうすると、やはり財産に対する情報をつかまなければ信用の醸成はできない、こういうことでございますね。そうしてまいりますと、一番重要なのはやはり資本金の額あるいは資産の状態、また会社の役員の実態とその内容、例えば取締役の中にどういう人がいるのか、社会的な地位はどうなのかあるいは資産の状況はどうなのか、そういうものがわかって、なるほどこの会社は相当充実しておるな、あるいは取引の総量といいますかそういう商売上の、いわゆる市場確保がどのくらいなされているのか、それらを知って初めてこの会社は健全な会社である、こういう判断ができてくると思うわけでございます。 ところが、この改正案を見ると、そういう財産的な情報を把握できるものは何一つないわけですね。それでいて今局長の言ったようなことが果たして可能なのかどうか。例えば決算状況を知るには、確かに法律上は貸借対照表や損益計算書を新聞あるいは公報等で公示するという制度はできておりますが、これを正確に、公示手続をとって法律を完全に履行しておる会社は、現在の会社数どれだけあるか、それも明らかにしていただいて、どの程度そういうことを履行しておるか、お聞かせ願いたいと思います。
○清水(湛)政府委員 登記の方から調べました件数でございますけれども、現在株式会社約百二十六万社ございます。その中で、商法に定めるところに従いまして官報あるいは日刊新聞に決算書類の公告をしている会社というのは、これは私ども正確に調査をいたしたわけではございませんけれども、各種の資料から推察いたしますとほぼ一%ないし二%というような数字ではなかろうかと考えております。
○渡部(行)委員 そうなると、ほとんど履行されていないと言っても過言ではなかろうと思います。 そこで、こういう状態を直していく必要があるわけです。この実態を知ったからには、どうすればこういう実態を直して本当に財産情報が一般の人でも、取引する債権者にすぐにわかるような体制をつくることが必要なのではないか、そういうふうに考えるわけです。そうでないと、せっかくの債権者の保護もあるいは取引の安全確保も期待できないわけでございます。 そこで、私がこの際主張したいのは、まず純資産額を登記事項として貸借対照表あるいは損益計算書、これは写しで結構ですから、これを添付して商業登記所に保管する、こういうことが必要なのではないだろうか。二番目には、取締役及び監査役の氏名、住所、代表取締役の氏名等について、これを登記事項として登載する必要があるのではないか。ずっと前にはこの取締役、監査役の氏名、住所が登載されておったのですが、これが削除されて、今では取締役の名前はわかるけれども、これはどこのだれなのかというのが全然わからない、結局特定されていないわけなのです。それではせっかく名前を載せても何の役にも立たないのではないだろうか。そこで、私は先ほども言いましたように、その役員を通して会社の健全性をはかる、あるいはその人物を通してその人の社会性あるいは社会的信用性を知っていく、こういうことがなされなければどうしても会社の信用を的確につかむことはできない、こういうふうに思うわけです。 それからもう一つは、有限会社の場合、取締役、監査役の任期の規定を設けないのはなぜだろうか。この規定がなければ登記を怠って、これは一体いつごろの登記なのか、いつごろの役員なのかということも全くわからなくなってしまうわけであります。そうすると、逆に登記というものが混乱を来す、情報というものに混乱を持ち込む、こういうことになるものと思いますが、その点をお聞かせ願いたいと思います。
○清水(湛)政府委員 まず第一点の、純資産額を何らかの形で商業登記所で明らかになるようにせよという趣旨のお話でございます。 実は、今回の改正案には盛り込まれてはおりませんけれども、法制審議会の答申にございました商業登記所に貸借対照表等の計算書類を提出させるというのはこれと全く同じ趣旨でございまして、貸借対照表が登記所に提出されますと、当該会社の当該決算期における純資産額というのは直ちに計算上出てまいるということで、会社のいわば債権者の引き当てとなる財産というのはわかるわけでございます。そういうようなことが実現されれば全く委員御指摘のようになったわけでございますけれども、私どもの力不足で、今回このような商業登記所における計算書類の公開というのは改正案に盛り込むことを見送らせていただくという結果になったところでございます。 それから第二番目の、取締役の住所の問題でございますけれども、これも現在は取締役、監査役については住所が登記事項とはなっていない、こ ういうことになっております。これは背景を申しますと、昭和二十五年に商法の改正がされまして、これはアメリカ流の商法、会社法の考え方を大量に導入した改正でございますが、そのときに代表取締役制度というものが設けられたわけでございます。それまでは代表取締役という制度はございませんので、取締役各個人が全部各自の代表権を持つというようなことになっておりましたために、取締役の住所を登記するということになっていたわけですが、二十五年に代表取締役制度が導入されましたために、その後昭和三十七年の改正で取締役、監査役の住所を登記事項から外すということにいたしたわけでございます。で、現在、取締役の数が非常に多いというようなこともあるわけでございますけれども、代表取締役以外の取締役、監査役には代表権がないというようなことから、これらの者を特定するためには氏名を登記事項としておけば足りるのではないか、住所を登記事項とすると、実は住所の変更等に伴いまして登記事務が非常に煩瑣になるというようなこともございまして、そういう煩雑性の割合には住所を登記事項とする実益は余りないのではないかというような判断のもとに、現在は法律上登記事項とはしていないわけでございます。この点についても私ども、今のところ現在の制度を維持するのが相当ではないかというふうに実は考えているところでございます。 三番目の、有限会社の取締役等の任期の点につきましては、これは委員の御指摘のように、これについては任期を設けるべきであるという意見は実は各方面から強く寄せられているわけでございます。今回の法案の審議、つまり法制審議会の審議におきましてもそのような意見は述べられているわけでございますが、実は今回の改正案は、いわば株式会社の設立等の手続を中心として中小会社向けの簡素合理化を図るというところにポイントを置きまして、いわば経営管理機構、取締役とか監査役とかそういった経営管理に当たる面での制度の改善は次の問題ということで積み残しましたので、その際、つまり次回の改正におきまして有限会社法制をさらに根本的に見直すことを予定しているわけでございますが、任期制の導入等については、これは取り上げることといたしたいというふうに今のところ考えているところでございます。
○渡部(行)委員 大分法務省は苦心をしていろいろ考えておられるようですが、せっかくの努力が途中でみんな水泡に帰しておるということが今までの議論の中で私はわかったと思うのです。例えば純資産額については、先ほども申したように、これをはっきりと登記事項にしなければ財産情報の手がかりがなくなってしまいますよ。そんなことでは、今あるべき一つの考え方として局長が述べられたことが全く裏づけとして何もないということになるわけですから、これは今後十分考えて登記事項に必ずされて、そして貸借対照表なりあるいは損益計算書の閲覧ができるようにしていただきたい、こういうふうに思います。どうかひとつよろしくお願いいたします。 それから、この取締役、監査役の氏名、住所の点についてですが、これも非常に事務煩瑣になって大変だと申されましたが、しかし、考えてみますと、当時はコピーもろくになかった時代でありまして、今コンピューターの時代ですよ。このコンピューターの時代に事務が煩瑣だとかなんとか言っているようでは、私は時代認識が疑われると思うのです。しかも、昔やったのを今やらなくなったというその感覚がどうしてもわからない。なぜ取締役の住所、氏名を書いてそれを特定するのが悪いのか。私は、逆に悪いどころか、それを特定しなければ会社全体の姿がわからない。代表取締役一人で何でもかんでも推測できるものじゃないですよ。しかも代表取締役こそ——全部理事の住所、氏名が登載されるんだから、代表取締役はそこに括弧して代表取締役と入れてもいいわけですから、印をしてわかるようにすればいいのですから。だから私は、そういう点でこの役員、つまり取締役と監査役の氏名、住所を必ず登記事項に入れるようにお願いしたいと思いますが、いかがなものでしょうか。
○清水(湛)政府委員 取締役の住所の点でございますけれども、確かに住所を登記事項にすればそれなりの意味があるということは私どもも理解をできるわけでございますけれども、昭和二十五年の改正前におきましては、取締役ということになりますとすべて代表権がございましたので、端的に申しますと取締役の数というのはそれほど多くなかった、こういう実態があるわけでございます。しかしながら、二十五年改正で代表取締役制度という制度が導入されまして、取締役のうち代表権があるのはその代表取締役だけであるということになりました。この結果、一方では取締役の数が大変ふえるというような現象が特に大会社を中心として生じたわけでございますけれども、そういう代表権のない取締役についても住所変更の都度その変更の登記をしなければならない、つまり会社側がそういう申請義務を負うことになるわけでございますが、そういうことになりますと申請人側が非常に負担を負うことになるというようなこともあり、他方、登記事務の簡素化というような見地から、昭和三十七年改正によりまして代表権のない一般の取締役の住所については、これを登記事項から外すというようなことにいたしたわけでございます。 委員御指摘のような住所を登記事項とした方がいいのではないかという御意見、私ども十分理解することができる面はもちろんあるわけでございますけれども、現状のもとにおきましては、今直ちにこれを登記事項とするというようなことは、私どもとしてはちょっと今のところ考えてはいないということで御理解いただきたいと思うわけでございます。
○渡部(行)委員 これはおかしな話で、代表取締役は、当時は取締役全員にその権限があった、それは余りにも煩雑だからというのはこの住所の登記と何ら関係ないんじゃないでしょうか。どこに関連があるのでしょうか。今は代表取締役という特定をするということになっているんだから、それと他の取締役の住所を記載することにどういう関連があるのか。そして、あなた自身が取締役の住所を記載することは別段異議はない、一つのよい側面もあるという趣旨の御答弁をされているわけですから、それがどこで消えたのか。それが債権者の保護に関することなんですよ。ところが、それを全然わからなくされてしまうと、これは会社の都合だけを考えてやったのではないか、こういうふうな論理になってしまうわけです。ですからその辺は、音やったことがあるんだから、ただ、その当時は全部が代表権を持っていたので、今度は代表権とそうでない者を分けているわけですから、そんな住所の問題で何もそんなに意地を張る必要はないんじゃないか。しかも、取締役会の決議とかいろいろあるわけですよ。その際に、取締役会の決議が果たして法的に正確になされたものかどうか、そういう問題にもこれは細かく考えていくと発展するわけです。今の御答弁の考え方でいくと、代表取締役が今度決まったんだから、あとはどうでもいい、代表取締役で何でもできるんだという考え方に発展していくと思うのですよ。そうすると、取締役会の決議であっても、代表取締役の判こ一つでみんなそれに賛成したことにさせられてもどうしようもない、こういうことになりませんか。この点については、今そういう考えがないならば、この議論を通じてあなたは考え直してくださいよ。
○清水(湛)政府委員 登記簿に一つの情報として取締役、つまり代表取締役でない一般の取締役の住所を書くということ自体に意味がないというふうに私ども考えていないというふうに私は申し上げたわけでございますが、逆に今度は、書かないからといって、そのために会社の管理運営が不正に行われることになるという可能性が出てくるとも私ども実は思っていないわけでございます。 先ほどから申しておりますように、取締役の数が非常に多くなりまして、住所の移転ということも数多く行われるわけでございますが、その都度 この変更登記をしなければならない、つまり商業登記につきましては登記申請の義務を課しておりますので、過料の制裁に処せられるというようなことにもなるわけでございますが、そういうような住所変更の都度登記をしなければならないということになりますと、申請人側の負担ということも相当なものになるのではないか。加えて、先ほど申しましたように登記事務が非常に繁忙な状況にあるというようなこともございまして、登記事務の簡素合理化というようなこともございまして、現在このようなものは登記事項とされていないというふうに申し上げたわけでございまして、そのような事情は今のところ変わっているとは私ども考えておらないという趣旨でございます。
○渡部(行)委員 これは余りやりとりしても時間がありませんからなにですが、いわゆる債権者の保護、それから商取引の安全、こういうものと事務の煩瑣というのは私は別問題だと思うのですよ。これがどこで結びつくのか、ちょっと考えられないのですが、どっちが大事なのか。しかも、事務煩瑣だと言うからこそ、私たちはあのコンピューター化に賛成しているのですよ。そして、事務の煩瑣を早く解決しよう、あるいはまた法務局の職員の増員、これだって今まで何回となく訴えてきたのは、事務煩瑣を解消して早く国民の権利を守るように、そういう国民の権利、財産に関する問題ですから、これは何よりも重要視しなければならない。そこでこういうことを言ってきたわけですから、それを混同してもらっては困るということでございます。どうかひとつ、もう一回その点はあらゆる角度から十分見直して考え直していただきたいと思います。 さてそこで、次に移りますが、現物出資における弁護士の証明があればいいということに今回なったようでございますが、この点についての証明権者の証明責任というものはどういうふうに考えられているのか。これは商法上明確にしなければならないと思うわけでございますが、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
○永井政府委員 現物出資等に関する証明者につきましては、弁護士さんということになっております。ただし、これは不動産についてのみでございます。不動産につきましては、不動産鑑定士の鑑定評価に基づくという前提のもとに、いろんなその土地建物に絡みます法律関係等がありました場合に法律家的な目から一定の評価をし、そして総合的に証明をするということでございます。 この証明責任でございますが、もちろん故意、過失があります場合は一般的な債務不履行の問題が起きますし、また、非常に大きな過ちを犯したということが弁護士会の自律機能でございます懲戒処分の対象になり得ることもあるかと思いますが、一般的に弁護士さんに故意、重過失等がない場合においてどのような責任があるかということについては、商法上何ら規定をしているわけではございません。
○渡部(行)委員 それだけでは私は納得できませんね。これは国民だって恐らくそれだけで納得できないと思いますよ。不動産には不動産鑑定士という者もおるし、実際に取引をやっている不動産業もあるんだし、それからそういう者と一緒に仕事をする司法書士もあるのですし、いろいろあるわけですよ。あるいは税理士もおれば公認会計士もおるわけで、こういう人たちに対する位置づけというもの、証明の裏づけになり得るんだというその信頼性を法律の中で国民に明らかにしなければならぬと思うのですよ。弁護士という肩書で全部まとめてしまって、それで果たして国民が納得するか。しかも、それがうまくいかなかったら、今度は弁護士の責任にされる。その辺のもっと法律の厳格性というものをどう考えているのかというのが私は非常に疑問なんです。その点についてひとつ御答弁をお願いします。
○永井政府委員 裁判所で選任される検査役は従来大体弁護士さんにお願いしておりまして、この場合の責任につきましても特に法律上明定したものはございません。一般法に任せられるところでございます。 ただ、裁判所で選任されました検査役、多くは弁護士でございますが、弁護士の場合には裁判所のチェックがあるからまあいいだろうということで考えられていたかと思います。で、現在の新しい改正案におきましては、弁護士さんを信頼して、ある不動産につきまして不動産鑑定士の鑑定評価に基づいて、そしてさらに法律的なことも勘案しながら総合評価していただく、そういうシステムをつくったのは、実は裁判所の手続を経ないでも、弁護士に対する信頼というものをもちまして準検査役的な意味でお願いするということでございます。 ところで、ただいま御指摘がありましたとおり、弁護士さんは必要に応じまして不動産鑑定士以外の例えば司法書士さんでありますとかほかの専門家を依頼して、いろいろな事務の補佐をして一緒になって評価をするということは、これは当然許されることでございまして、特に司法書士さん等と一緒にいろいろなそういう知見を得ながら仕事をすることは、これは当然許されることでございまして、そこの準検査役的な意味でのまとめ役というふうに弁護士を御理解いただければと思っております。
○渡部(行)委員 いや、私は弁護士さんに反対しているわけじゃないんです。問題は、それにふさわしい一つの素養というものを社会的にどういうふうに表現していくか。今のようなあれならば、何か弁護士さんだけが信頼できてあとの人は信頼できない、そんなふうにも聞こえるわけですから、そうではなしに、こういうところはもっと表現を変えて、司法書士でもいいんだと今言われましたが、いいならいいようにそういうふうに入れていくとか、あるいはこういう業種の人は不動産に非常に詳しい知識があるからこの程度の範囲で承認していく、こういうことなら話はわかりますよ。そういうここの一つの議論を尊重していただきたいと思います。 そこで、清水局長さんはその前のあれに全然答えていないんだけれども、これから考慮する意思はあるんですか、ないんですか。
○清水(湛)政府委員 現物出資の証明者については弁護士というふうに法律で明定いたしておるところでございます。もちろん、委員御指摘のとおり、不動産をめぐるいわば法律の専門家といたしましては、主として登記手続の専門家である司法書士、あるいは税務についての税理士、あるいは取引についての宅地建物取引主任というような専門家グループがおられるということも私十分よく承知しているわけでございまして、それぞれその分野においては第一流の専門家であるということもまた疑問の余地がないところでございます。しかしながら、今回の改正におきまして、いわば裁判所が選任する検査役にかわるものとしてというふうに考えますと、従来裁判所が検査役ということで選任していたものが弁護士であるというようなこともございまして、一応法律の面では弁護士というふうにはっきりと書かざるを得ないということになったわけでございます。 先ほど来答弁いたしましたように、その弁護士さんがいろいろな証明をする過程の中で司法書士さんなり税理士さんの補助を受ける。不動産鑑定士の鑑定評価は当然法律上の要件になっておりますけれども、それ以外にも税理士さんあるいは司法書士さんの補助を受けて証明をするということは当然あり得るわけでございます。私といたしましては、そういうような過程の中で司法書士さんが大いに活躍をして、いろいろなこういう面での実績をおつくりになるということがまずもって必要ではなかろうか、そういう実績を踏まえた上で将来また司法書士さんがこれらの問題についてどのような役割を果たすことができるかというようなこともおのずから明らかになってくるのではないかというふうに思いますので、まずはそういう面で大いに弁護士さんに協力していただくということが必要ではないかというふうに思っております。
○渡部(行)委員 これは局長、ぜひひとつきょうのこの議論を通して、登記事項の見直しその他の 点について、今後の改正時には十分それらが尊重されて行われるように強く要望しておきます。 次に、これは直接この法案とは関係ないですが、この際でございますから、日本に外国から帰化しようとした場合、帰化を許可するのに、その人の本国に持っていた財産を処分しなければ帰化ができないというのは、国際化社会の中でそういうことが許されるだろうか、筋が通るだろうか、こういうふうに私は思うのです。その点はひとつ、大臣どういうふうに思いますか。
○清水(湛)政府委員 大臣がお答えになる前に、ちょっと私の方から御説明申し上げたいと思います。 まず、帰化を申請する場合に、本国にある財産を処分しなければならないという要件があるわけではございません。どうしてそういうことが問題になるかということで申しますと、例えば余り日本に居住している期間が長くはない、つまり在留期間が短い、つまり国籍法に定める「五年以上日本に住所を有する」というような形式的な要件は満たしておりますけれども、そういうような方々が本国に非常に膨大な財産を持っておられる。その生活の実態を見ましても、帰化の申請をしながら、もちろん日本に住むとともに本国にもしばしば帰って、そちらでも例えばいろいろな企業活動なり商売をされているという方があるわけでございます。そういうような方につきましては、果たして本当に日本に帰化をしようという意思があるのか、あるいはもっと基本的に、日本に住所があるという法律上の形式的な要件は満たしているといたしましても、実質的な要件を満たしているのかどうかというような点について疑いが生ずるというようなケースがないわけではございません。 それからもう一つは、国によっては日本に帰化をするためには本国の国籍をなくす必要があるわけでございますけれども、本国の国籍をなくした場合には、一年なら一年以内に当該本国にある財産を当該本国人に処分しないとその権利は当然に当該本国に帰属するというような法制をとっている国があるわけでございます。例えば台湾について申しますと、台湾系の中国人につきましては、その者が台湾系の国籍を失うというようなことになりますと、一年以内に財産を処分しませんとそれは台湾に帰属するというような法律になっているわけでございます。そういうようなこともございまして、例えば台湾系の中国人が帰化の申請をするというような場合に、一体本国にどの程度の資産があって、今後それをどのような形で活用しようとされておるのかというようなことも含めてこちらでいろいろ御事情をお伺いするというようなことがあるわけでございます。そういうような過程の中で、やはり場合によっては本国の財産を処分するというようなことが起こってくるわけでございますけれども、必ず処分しなければならないというような扱いをしているわけではございませんし、少額の資産であれば問題がありませんし、また処分をしろといっても時間がかかるし、なかなか処分しにくいというような事情も一方ではあるわけでございますので、そういうような事情をよくお聞きしながら私どもとしては適正に対応するということで今までやってまいっているところでございます。
○渡部(行)委員 そうすると、結局これは行政指導の分野であるわけで、仮に台湾の人が日本に来れば、そして国籍を失えば、今まで持っておった台湾の財産は台湾のものになってしまう。中国国家のものになるんだかどうだか、その辺はわかりませんけれども、そういうことを教えた上で、そしてなおかつ自分が処分した方が得だということで処分していくならば構わないけれども、一つの強制措置みたいにしてやられると、その人の財産がどこに帰属しようと日本としては何も関係ないわけですから、早くその人の希望を達成してやるというようなことも大事じゃないか。 最後に、大臣にお伺いいたしますが、大体今までの全体を通じて、この商法あるいはそれに関連する法律の抜本的な改正に際しては、大臣は今後どういう構想をお持ちなのか、その辺についてひとつお聞かせ願いたいと思います。構想と決意についてお願いいたします。 〔委員長退席、熊谷委員長代理着席〕
○長谷川国務大臣 冒頭申し上げましたように、完全無欠のものでないということは承知をいたしておりますが、次善の策としては、法務省としては最大限度の努力を払っていろいろ勉強したこともまた御理解いただきたいと思うのであります。 今委員からお話しの、これからどうするんだということでございますが、まだ確たる案ももちろんつくってはおりませんが、いろいろ勉強はいたしております。現在我が国の経済取引は国際的な広がりを持つに至っており、我が国の会社制度が世界各国から信頼を受けることが重要であると考えております。今後もこのような観点から諸外国の法制も参考にしつつ会社制度の一層の充実を図ってまいりたいということで、これからひとつ懸命に勉強して御期待に沿うように頑張るつもりであります。 以上であります。
○渡部(行)委員 どうもありがとうございました。終わります。
○熊谷委員長代理 小岩井清君。
○小岩井委員 日本社会党の小岩井清でございます。 今議題になっております商法等の一部を改正する法律案については、小規模、閉鎖的な会社にも適合する法制度を整備する、債権者保護のために必要な措置を講ずる、さらに会社の資金調達の便宜に資するため株式会社及び社債に関する制度を改善するなどを改正の趣旨といたしておりますけれども、この改正法律案の問題点について順次質問をいたしたいと思います。 債権者保護のための法規制についてでありますけれども、最低資本金制度を導入して、株式会社、現行三十五万円でありますが一千万円、有限会社、現行十万円でありますけれども三百万円としたことについて、何を根拠としてこの額の最低資本金を決めたのか。昭和六十一年五月の商法・有限会社法改正試案並びに本年三月の商法等の一部を改正する法律要綱を大きく変更した内容となっておりますけれども、今回提案されております最低資本金についての根拠について見解を示されたいと思います。これが第一点です。
○清水(湛)政府委員 お答えいたします。 最低資本金額を幾らにするかということにつきましては大変いろいろな考えがあったところでございます。少なくとも最低資本金というのは、株式会社につきましてあるいは有限会社につきまして最低限その会社が保持すべきいわば資産の基準額でございますので、これを幾らにするかということになりますと実にいろいろな意見がございました。株式会社らしい株式会社、この言葉自体に既に問題はあるわけでございますけれども、そういうような観点から私どもが各界に意見を問うた中では、例えば最低資本金は一億円以上であるべきであるとか五千万円以上であるべきだ、あるいは三千万円以上であるべきだというような意見もございました。それからもう一つは、既に御承知のように昭和十三年に有限会社法がつくられたわけでございますが、その際有限会社の最低資本金が一万円とされたという経緯がございます。昭和十三年の一万円でございますから、現在の貨幣価値に換算いたしますと一千五百万円ないし二千万円になるのではないかというようなことがございまして、今株式会社について最低資本金の額を決めるとするならば少なくとも一千五百万円ないし二千万円の金額は上回るべきであるというような御意見もございました。他方、中小企業団体等を中心といたしまして一千万円あるいはそれを下回る金額等も意見として出されたわけでございます。 そういうようないろいろな幅のある金額の中で、法制審議会におきましては種々の議論を重ねました結果、結局これから新しくつくる会社につきましては、株式会社は二千万円、有限会社は五百万円、しかしながら、既に設立されております既存会社につきましては、株式会社一千万円、有 限会社三百万円、こういう二本立ての金額を最終的な結論として決定されたわけでございます。 この答申に基づきまして私ども法案の作成をいたしたわけでございますが、法案作成に至るまでの過程の中で種々の御意見がございまして、今回御審議をお願いしておりますような、いわば既存会社についての法制審議会の答申の金額でございます、株式会社一千万円、有限会社三百万円という金額にさせていただいた、こういうことでございます。
○小岩井委員 資本金については最低保持するべき資産の基準額だ、こういうことを今おっしゃられまして、株式会社らしい株式会社——これは今根拠を伺ったのですけれども、根拠が明確ではないのですね。一千五百万円から二千万円という話があって、中小企業については一千万円を下回る金額、幅のある金額についての意見が各方面からあった、そして法制審議会を経て法案作成の過程で現在提案されているものになった、こういうことですけれども、今の答弁では根拠が全然明確になってこないのですね。そう御自身思いませんか。もう一回答弁してください。
○清水(湛)政府委員 最低資本金の会社制度の中に営む機能とか、そういうような面はちょっと別といたしまして、じゃ具体的にその金額を幾らにするかということになりますと、非常に理論的な面からの数字、そういうことから一億円というようなことをおっしゃる方がおられました。しかし、現実には今までの株式会社、例えば資本金一千万円という金額にするあるいは二千万円という金額にいたしますと、相当数の会社がそれに満たないというような実態があるではないか、やはりそういう実態を踏まえてこの金額というものは考えなければならないというようなことでございます。そういうような実態論とあわせて、諸外国の立法例なんかを見ますと、株式会社については大体一千万円前後が最低資本金の額になっておるというような実情もありますので、そういうものを参考にさせていただいて一千万円、新設会社には二千万円という法制審議会の答申がございますけれども、そういう形で一千万円が最も妥当である、こういういわば各界の意見を最大公約数的に集約いたしますと大体その線に落ちついた。法務省で一方的に決めたというのじゃなくて、法制審議会が審議をするに当たっていろいろな関係団体からの意見を聞いているわけでございますけれども、大体そういう形で二千万とか五百万という金額が出てきたわけでございますが、既存会社についてはやはり一千万、三百万程度というところに最大公約数的には落ちついた、こういうことでございます。 〔熊谷委員長代理退席、逢沢委員長代理着席〕
○小岩井委員 要するに最大公約数ということで妥協の産物だ、こういうことですか。というのは、この法改正の目的が債権者保護ということになっておりますから、これは債権者保護という目的には沿わないのじゃないかと思うのですね。それで今お伺いしたわけですけれども、その点についてさらに御答弁いただきたいと思います。 この最低資本金についての中小企業に対する影響について、最低資本金並びに本改正法律案の影響について主としてきょうは伺っていきたいと思うのです。五年間の猶予期間があるとはいっても、現在の資本金で少額の小規模会社はたくさんありますね。後ほど数字を挙げて御答弁いただきたいわけでありますが、廃業や改組に追い込まれる、そういう中小零細企業が多く出てくることが懸念をされるわけでありますけれども、この点について、現在一千万円以下の株式会社、三百万円以下の有限会社、それらの会社がこの法が施行されたとすればどういう影響を受けるのか、これに対応できない企業が出てくることはないのか、その辺の見通しをも含めて、これは通産省の方からお伺いをいたしたいと思うのです。
○藤原説明員 お答え申し上げます。 中小企業庁といたしましても、今回の商法改正等の改正については、その検討の段階からいろいろ中小企業の実態を十分踏まえた内容としていただきたいということをいろいろな場面で要請してまいってきたところでございます。したがいまして、今回の商法改正につきましては、特に今議論になっています最低資本金でございますけれども、やはり債権者保護の要請という会社法制の理念と企業活動の活発化あるいは中小企業の実態を踏まえて、現在の改正案にあります株式会社一千万円、有限会社三百万円というのが設定されたものであるというふうに理解しております。 おっしゃいますように、確かに改正案の最低資本金を下回る資本金の既存会社というのが相当数ございます。法務省の統計によりますと、株式会社で約八十三万、有限会社は特に正確な資料はございませんけれども六十万強ということでございます。しかしながら、我々の考えでは、今回の改正案では十分な猶予期間、五年間ということに加えましてさらに三年間の救済措置、実質八年というのが認められておりますし、最低資本金の額につきましてもいろいろな主要な中小企業団体の意見も十分反映されているということからして、大体その内容については大数の中小企業者に十分理解され、対応していただけるものと理解しておるところでございます。
○小岩井委員 私は、先ほど債権者保護のためにならないと申し上げましたけれども、反面、逆に中小企業については大きな圧迫になると考えられるわけです。 今、中小企業庁の方から御答弁がありましたけれども、中小企業の実態を踏まえた内容とすることを要請してきた、その結果こういうことになったのだということでありますけれども、株式会社八十三万、有限会社六十万強、十分猶予期間がある、五年間の猶予期間がある、三年の救済期間があるということでありますけれども、これは株式会社一千万円、有限会社三百万円全部クリアできると見ているのですか。大体どの程度、どういうふうに見ているのですか。この点を伺いたいと思います。 〔逢沢委員長代理退席、委員長着席〕
○藤原説明員 お答え申し上げます。 今の資本金を下回る既存会社すべてが対応できるかどうかということについては私ちょっと申し上げられませんけれども、我々内部資料としてのアンケート調査等も踏まえておるわけでございますが、大部分は現行の組織制度を維持しようという意思が強く、そのために努力しようと考えているようであるというふうに認識してございます。
○小岩井委員 すべてが対応できるとは申し上げられない、しかし大部分が現行の組織制度を維持しようと考えているということですね。すべてが対応できるかどうか申し上げられないということ、大部分はと言うのですが、大体どの程度と見ているのですか、具体的に数字を挙げてください。
○藤原説明員 全く内部資料でございますが、当初案の二千万、五百万に対応して株式会社、有限会社それぞれどうするかというのをお聞きしましたところ、七割が増資により対応するというふうに出ております。したがって、今回一千万、三百万ということでございますので、その比率は相当高まっているのではないか。残りにつきましては、それぞれあえて増資しなくても適正な会社形態でいこうということがあるかもしれませんが、以上のような状況を把握してございます。
○小岩井委員 二千万と五百万のときに増資で七割が対応するということだった。今一千万、三百万ですから、さらにその比率は上がっているだろうということですね。ということでありますけれども、現行の組織制度を維持できない企業があった場合、これは最低資本金の額ができないで有限会社や合名、合資会社へ変更を余儀なくされることになりますね。あるいはその会社を廃止しなければならなくなるかもしれない。その企業がそうなった場合、要するに有限会社や合名、合資会社へ変更を余儀なくされたそういう組織変更について、それ一点だけとらえてもその企業が資金調達力がなかったことを公表することになるのではな いか。その結果、社会的信用や経済的地位を失墜することになりはしないか。その後の活動に不利益を受けることにはならないのか。最低資本金制度の導入によって生じる、それらクリアできない、今七割とおっしゃって、一千万、三百万になってさらにその比率は上がるだろうとおっしゃったけれども、しかしクリアできない企業が出ることは間違いありませんから、それらの中小企業への影響についてどう考え、どう救済していくのかということは御答弁いただかないといけないと思うのです。
○藤原説明員 したがいまして、我々としても、先ほどから申し上げておりますように実態を十分踏まえて、できる限りの企業が自分の努力によって現存の会社形態を維持できるような水準ということで一千万、三百万というのが設定されたというふうに理解しております。 なお、増資につきましては、我々といたしましても法務省にお願いしているところでございますが、税制上の措置等も十分、法務省を通じまして大蔵省に要請しているところでございますが、税制上の措置をお願いしているところでもございます。そういうことで、我々としては五年間あるいは実質八年間の中で十分に対応していただきたいと考えております。
○小岩井委員 大事な点です。確認をいたしておきますけれども、大蔵省じゃなくて法務省に要請しているのですね。通産省は法務省に要請しているのですか。
○清水(湛)政府委員 税制上の措置につきましては、この改正案作成の過程で法務省と中小企業庁と十分話し合いまして、中小企業庁の方から、法務省もこの点について大蔵省と十分に話し合いをしてほしい、税制上の軽減措置等が実現できるように法務省は最大の努力をしてほしいという強い申し入れを中小企業庁から法務省は受けております。
○小岩井委員 税制上の措置については後ほど質問いたしますが、その点ちょっとおかしいのじゃないかというふうに思うのですけれども、改めてこれはやりたいと思います。 最低資本金の導入によって、今中小企業庁から答弁がありましたが、実態を踏まえて組織変更ができる額だと言っておりますけれども、独立開業や中小企業の新規開業を抑制することにならないか、この点どうお考えなのか、伺いたい。 それから、特に古い店舗などは若年層にのれん分けをするという独立開業がありますね。あるいは、コンピューターソフトやファッション関係、それだけ資金が要らなくてもできる企業があります。そういうニュービジネスの開業機会を損ねることにはならないのか、今回の最低資本金について。これは中小企業庁自身御存じですけれども、中小企業白書で「新規開業は、新しい技術、新たな業態、ひいては新しい産業を生み出す母胎でもあった。」「独立開業が減少していることがわが国の経済活力、人的活力の低下をもたらす」というふうに出ています。そういうふうに指摘されていますね。これは今確認します。後ほど答弁してください。今回の最低資本金の導入によって創業意欲、起業意欲、要するに業を起こす起業意欲を損ねることにならないのか。独立開業や中小企業の新規開業を困難にするとは考えないのか。この点について見解を求めておきたいと思うのです。いかがでしょうか。
○藤原説明員 お答え申し上げます。 確かに中小企業白書におきまして、最近開業率が落ち込んできているということがございます。我々としては開業率を高めたいということでいろいろな創業支援策その他を考えているわけですけれども、この最低資本金との関係で申し上げますと、確かに環境としては、実態として開業資金が、例えば土地代が高いとか事務所代が高いとか、そういう面も一つある。それから、サラリーマン化してあえて起業家というところに向かわない面があるというのがあるわけでございまして、最低資本金が株式会社一千万、有限会社三百万ということであるから直ちに開業を阻害するということではないのじゃないかと思っております。それぞれの会社形態をそれぞれの適正な規模において選択し得るわけでございまして、必ずしも阻害するというふうには考えてございません。
○小岩井委員 中小企業庁の立場からの答弁としては非常におかしいですね。中小企業庁の考え方とも思えない。ということは、最低資本金が阻害原因ではない。では、開業率が落ちている原因は何ですか。明らかにしてください。
○藤原説明員 開業率ということで申し上げたわけでございまして、それが個人企業であれ、合名、合資であれ、有限会社であれ、いろいろな形で開業はできるということでございます。
○小岩井委員 それは開業はできるでしょう。株式会社一千万、それから有限会社三百万ですね、資金を調達すればできるでしょう。私が聞いたのは、最低資本金が開業の阻害原因ではないとおっしゃったから、しからば原因は何かと聞いたのですよ。今落ちておることは事実でしょう。開業率を引き上げて中小零細企業を振興する、そういう責任は中小企業庁はありませんか。その点について伺います。
○藤原説明員 開業率が落ちてきているいろいろな理由としては先ほど申し上げましたが、環境として例えば土地高騰によって土地を得ようとしても高い、あるいは事務所を借りようとしても高いという面があろうかというのが一つと、それから、サラリーマン化して起業という面が最近なかなかなくなってきたのではないかなという認識だと思います。そのため、創業支援ということは我々中小企業庁としては考えてまいりたいというのは当然でございます。
○小岩井委員 要するに開業についての環境が変わってきた、土地高、事務所高、サラリーマン化、起業意欲がなくなってきた、これは実態を言っただけですね。では、これは政策としてどうやってやるのですか。どうやって起業の意欲を起こさせるのですか。創業意欲を起こさせるのですか。
○藤原説明員 これから十分検討してまいる、ビジョンでもそういうふうにしてございますけれども、立ち上がり資金あるいは担保のない形でも創業資金を融資できないかというようなこと、その他十分検討しておるところでございます。
○小岩井委員 検討しているようですが、その検討の結果これについて一つの政策的な対応策が示されるのはいつごろですか。
○藤原説明員 今回、九〇年代の中小企業ビジョンということでそういう創業についての懸念が指摘されまして、それについて十分検討していこうということになっておりまして、時期としては直ちに御答弁できません。
○小岩井委員 時期としては直ちに答えられない、それで、実態を踏まえた内容にすることを要請してきた結果改正案の最低資本金は妥当であると中小企業庁は考えておる、つじつまが合いませんね。これは指摘をいたしておきます。 続いて、増資のための税制措置について伺いたいと思います。 本法律案に基づいて増資する場合、会社の内部留保金を資本金に振りかえる場合について、株式配当すれば現行では株主に所得税がかかります。直接利益金を資本に振りかえる方法をとっても、みなし配当とみなされます。現物出資した場合でも、払い込んだ株主に譲渡所得税がかかるとされています。このような増資についての税制上の措置について特例措置が考えられて当然だと思いますが、全く検討されなかったのかどうか。先ほど税制上の措置を通産省は法務省に要請したというふうに言っていますね。これはこの法案が成案となって提案されるまでの時点で実現していないわけです。この点についてはどういう検討経過になっているのか、通産省、法務省、大蔵省それぞれ御答弁いただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 増資について税制上の軽減措置を講ずるということにつきましては、法制審議会における審議過程におきましても中小企業団体等からそういう御要望があったところでございます。また、答申を受けた後に法律案を作成する 過程におきましてもそういった要望がございまして、私どもは、そういった要望の趣旨は大蔵省にも従来から伝えてお願いをしてきたところでございます。 もちろん、この法律の改正案と一緒に税制上の措置も直ちに講ずることができるということであれば、これは私どもにとりましても非常に望ましい状態だったということにはなるわけでございますけれども、今後この法律施行後五年間の増資等についての軽減措置であるということでもございまして、とにかく法改正は法改正として実現する、それが円滑に実施されるための方策として税制上の軽減措置を大蔵省に公式にお願いをする、最終的にはこういうことになったわけでございます。具体的には、この法律をまず今国会で通していただきまして、法律上こうなったという事実を踏まえまして、今年末に予定されております大蔵省の来年度税制についての税制調査会等の調査があろうかと思うのでございますが、来年度税制の問題といたしまして大蔵省に御検討願う、こういう形でこの問題を処理することといたしました。 そういうみなし配当課税についての軽減措置の問題と増資の登記の際の登録免許税の軽減措置の問題につきまして、私ども大蔵省にお願いしているわけでございますが、当然のことながらまだ返事はいただいてはおりませんけれども、大蔵省当局におきましても問題の重要性を御認識いただいて検討されておるというふうに承知いたしておるところでございます。
○長野説明員 ただいま法務省から御説明のあったとおりでございます。税制改正作業につきましては、私ども法律に定められました税制調査会等の手続を経ました上で法案をお調えいたしますが、平成三年度の税制改正作業の中で、ただいま法務省からお話のありましたような点につきましても検討作業の中に含められるだろうと考えております。 考え方だけを一点申し上げさせていただきますが、ただいま御指摘のみなし配当の株主に対する課税の問題でございますけれども、株主にとりましては、自分が新たな払い込みを一切することなく自分の株式に見合う持ち分としての資本が増加するという現象は、会社から現金で配当をもらいましてそれを出資という形で払い込んだのと同じ形でございますから、課税上の考え方としては、そこに差を設けるのは大変難しい。ただし、法務省の方から五年間という期間の中で既存の企業について新たな措置を講ずるということは考えられないかというお話でございますから、そういう御趣旨であれば、課税の公平を阻害しない範囲でいかなる対応ができるか、来年度改正で検討いたしたい、こう申し上げておるところでございます。
○小岩井委員 法制審議会の審議過程で要望が出されて大蔵省に伝えてきたということですね。今回の法改正は法改正で実施をして、その過程で来年度の税制について御検討願う、重要性については認識をいただいていると思う、返事はないけれども、今メモを読み上げると、こういった答弁でしたね。そうして、大蔵省の方から考え方だけは今出てきましたけれども、これは一つの法案でこんなふうになっているのですかね。というのは、これは法務省じゃなくて内閣提案なんでしょう。内閣が商法の一部改正を提案をしているのじゃないですか。これは一体のものじゃないですか、違いますか。答弁してください。
○清水(湛)政府委員 先ほど私ちょっと間違った答弁をいたしましたので訂正させていただきます。法制審議会の審議の過程で税制上の軽減措置を講ずる必要があるという議論が内部でされました。ただ、その議論の段階で直ちに大蔵省にそういう要望をしたというような趣旨の答弁を申し上げましたけれども、それはちょっと誤りでございまして、法制審議会の過程ではそういう内部の議論があった、こういう意味でございます。 この税制上の軽減措置なり、それにふさわしい措置を講じていただくということにつきまして、先ほど申し上げましたようにこの法律の中で同時に税法を改正することができればそれも一つの望ましい方法だということは言うまでもないことでございますが、平成三年度以降の税制をどうするかという問題でございます。これは本年末に予定されております政府税調その他で御審議いただかなければならないというようなことがございまして、私どもといたしましては、商法は商法として法律を通していただき、その新しく決まった法律の中身に応じて、これが今後五年間に円滑に施行されるように必要な軽減措置をお願いするということで、結局、平成三年度以降の税制問題ということから、このように今後の検討にまつということになった次第でございます。
○小岩井委員 今重要な部分で訂正がありました。今の訂正は、法制審議会の審議過程で大蔵省に要請したというのを訂正して、審議過程で議論したということですね。間違いないですね。 では、この法案の策定の過程で、いついかなる場所で大蔵省に要請をしたのですか。
○大谷説明員 局長にかわって私からお答えさせていただきます。 税制の問題につきましては、法制審議会におきましてもかねてからいろいろ議論がされておりました。そういう議論を踏まえまして、事務当局におきまして大蔵省の御当局に、この点についての手当てをお願いできないかということを申し上げてきたわけでございます。でも、この点につきましては、かなり早い段階からお願いをしてきてはおります。
○小岩井委員 事務レベルでこれは協議をしてきたという御答弁ですね。今局長は、同時に改正されればそれはもう一つの望ましい方法だ、これはもう一つじゃなくて、望ましい方法なんじゃないですか。というのは、この法改正だけやってしまって税制上の措置は後で法改正する。この改正したのは走り出して、先ほど中小企業庁に聞いた、対応できない企業が出てきた場合はどうしますか。この法改正が効果を上げる意味でもこれは同時改正が望ましいのじゃないんですか。どうですか、大臣。
○清水(湛)政府委員 結局租税特別措置という形で、本来原則的に申しますと課税されるべきものを、法律が制定施行され、その施行が円滑に行われるように、スムーズに転換できるようにという政策的な見地から特例措置を講ずるように税制当局にお願いをするということでございますので、一緒にするということは技術的にもなかなか難しい面があったということでございます。
○長谷川国務大臣 今の委員の御提案も含めまして最大限度の努力をし、また、勉強をいたします。
○小岩井委員 最大限努力をするという御答弁ですが、局長の答弁は了解したわけではありません、納得いきませんと申し上げておきます。 組織変更あるいは増資手続を行う際、官報等への公告費を無料にすること、組織変更登記の際の登録免許税を無料にすること、資本金一千万円以下の株式会社及び資本金三百万円以下の有限会社がその基準額に達するためにする増資の登記の際の免許税を減免することなど税制上の配慮を関係団体は求めておりますね。これは承知いたしておると思いますが、この点についての見解もお伺いをいたしておきたいと思うのです。
○清水(湛)政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、増資に伴う登記の登録免許税、これについてはみなし配当課税についての特例措置と同じように特例措置を設けていただきたい、同じ問題のレベルとして大蔵省当局に私どもお願いしているところでございます。 それから、官報の公告費につきましては、これはちょっと今までそういうものについて特例的にこれを負担を免除するというような例はございませんので、ちょっと難しい話ではないかというように私ども考えております。
○小岩井委員 先ほどの増資のための税制措置についてと同様に大蔵省に要請をしていくということですけれども、大蔵省どうですか、この点。
○長野説明員 あえてただいま問題点を申し上げるのも失礼かと存じますけれども、登録免許税、登録に至る、そういった登記等々に至ります事情 というのはいろいろなケース、いろいろなことがございます。御本人の喜んでなさるケースもあればやむを得ずなさるケース、もろもろございますので、それに応じて税制を変えるということは大変難しい問題ではございますが、法務省より御相談を受けておりますので、平成三年度の改正作業の中においていい知恵があるかどうか考えたいというふうに考えておるところでございます。
○小岩井委員 いい知恵が浮かぶかどうか考えていきたい、ばかにした答弁をしますね、あなた。 これは今の税制上の措置について例を挙げて申し上げましたけれども、これは通産省、中小企業庁どうですか。同時に、先ほど私納得しないというふうに申し上げたけれども、同時に改正されるのが望ましい一つの方法だと言っていましたけれども、通産省としてはこれはどう考えているのですか。
○藤原説明員 我々も中小企業団体の要望を踏まえまして法務省にいろいろお願いしているところでございます。いろいろその手続、プロセスがあると思いますが、最大限我々としても協力して努力してまいりたいというふうに考えております。
○小岩井委員 法務省、通産省それぞれ努力していくということですけれども、これは来年度の税制で検討するということですけれども、結論が出るのは大体いつごろになるのですか。大蔵省の方、どうですか。
○長野説明員 各年度の税制改正は、通常でございますと年末、予算編成の直前に、歳入のことでございますから決定するという段取りでございます。
○小岩井委員 ということであれば、この改正案も同時に提案すべきだったですね。急いで提案することはなかったのじゃないかというふうに申し上げておきます。 それで、続いて伺いますが、今私は中小零細企業の振興、保護育成を中心に質問をしておりますけれども、これは債権者保護の問題と中小零細企業の振興、保護育成というのは相矛盾するかもしれないのですけれども、とすれば、大小会社区分立法、これによって中小零細企業の振興、保護育成策を考えていくべきだというふうに思うのですけれども、この確立に取り組むべきだと私は思いますけれども、この点についてどうお考えか、伺いたいと思います。
○清水(湛)政府委員 会社法制につきましては、御指摘のように大変大きな会社と小さな会社が多数存在するというような状況になっております。そこで、大きな会社には大きな会社にふさわしい形での会社法制を考える、中小会社には中小会社にふさわしい会社法制を考えるということはどうしても必要だということになろうかと思います。こういうようなことについての御指摘は、既にもう当委員会におきましても過去いろいろな形で附帯決議等がされているところでございますので、私ども引き続き大小会社区分立法についてはこれを真剣に取り組んでいく必要があるというふうに考えております。 今回の改正も、実はそういう意味では大小会社区分立法の一部をなすものでございますけれども、御承知のように、私ども問題点とかあるいは試案の公表という形で発表した中にはいろいろなもっと多くの問題が含まれているわけでございます。有限会社法をどうするかというような問題、そういうようなもろもろの問題が含まれておりまして、しかしながら、その多くはまだ結論が得られないまま積み残しになっているというような状況にございますので、この法律が通過、成立後直ちにまた残された問題に取り組んでいく、こういうことにいたしたいと考えているところでございます。
○小岩井委員 大小会社区分立法について真剣に取り組んでいく、ということは立法措置をするという方向で真剣に取り組んでいくということで理解していいのですか、その点もう一回答弁してください。
○清水(湛)政府委員 法制審議会の審議を引き続き続けまして、もちろんその中には中小企業、いろいろな団体の意見、関係者が入っておりますので、十分にそういう方々の意見を聞きながら必要な法改正を図っていく、こういう趣旨でございます。
○小岩井委員 今答弁をいただきまして、大小会社区分立法については真剣に立法措置の方向で取り組んでいくという答弁をいただいたというふうに理解してよろしいですね。
○清水(湛)政府委員 そのとおりでございます。
○小岩井委員 それでは、私の質問をこれで終わります。
○小澤委員長 御苦労さまでした。 和田貞夫君。
○和田(貞)委員 できるだけ重複を避けるようにして、中小企業業者の立場に立って質問をさせていただきたいと思います。 先ほどから言われておりますように、本改正案は、一つは債権者の保護、一つは国際化に見合う、皆様方の言葉で言うならば株式会社らしくない株式会社を株式会社らしい株式会社にしていこう、こういうことであろうと思うわけであります。 そこでまず、先ほども御答弁いただいておりましたが、長い月日の中でこの改正案が出てまいったわけでありますが、この間いろいろな議論がありました。単にことしの答申のことだけではなくて、実に長い間かかっていろいろな議論があった。結果的に残ったのは、株式会社については一千万、有限会社については三百万、これだけじゃないですか、端的に言って。これだけ月日をかけて議論してきて、この改正案を出して一つの大上段に振りかざしておる債権者の保護、これで果たしてできますか。大臣、お答え願いたい。
○長谷川国務大臣 従前説明申し上げたとおりでございますが、今の改正案が委員御指摘のように完全無欠のものというか、そういう物の考え方をいたしておりません。まだこれから多々直さなければならないところ、またいろいろな面から考えなければならないところがたくさんあることも承知をいたしております。 ただ、何しろ相手が、会社が百六十何万件もありまして、その規模の大小あるいは環境それぞれ違いますので、その最大公約数をどこに求めるかということでいろいろ研究しました。やはり最大公約数というと、余りそのものずばりでぱっと効果の出るような形でなくて、大方の皆さんがまあまあだろうというふうなことが今回の改正の結果だと思うので、御指摘の点については十分心得ておりますが、先ほどからも担当局長の話がありますように、中小企業あるいはその他の意見も聞きながら改正も十分考えておりますし、なおよりよき方向に進めていきたいということで、そういうことを念頭に置きながら御提案申し上げたわけであります。
○和田(貞)委員 しかし大臣、法案が国会に提出される寸前まで皆さん方の案は、二千万、五百万、こうだったのでしょう。提案をする寸前になって、新規の場合も既存の場合も一千万、三百万、こういうことにしたわけですね。余りにも根拠がなさ過ぎじゃないですか、先ほどから質問しておりますように。だから私は、二千万、五百万というやつが一千万、三百万になった、残ったのはこれだけですから、最大公約数的であろうが何であろうが、この法案として残っておるのは一千万、三百万ですから、これで果たして大上段に振りかざしておる債権者の保護ということになるかということをお聞きしているのです。
○清水(湛)政府委員 御指摘のように、最低資本金の額につきましても法制審議会の答申から後退をいたしておりますし、それから、もう一つの柱でありますところの計算書類の登記所公開というものは、全部これは今回見送られておるという結果に相なったわけでございます。せっかく法制審議会の答申をいただきながら改正案に盛り込むことができなかったということは、一にかかって私どもの力不足ということで申しわけないところと思っております。 しかしながら、最低資本金制度の導入それ自体、これは非常に簡単なようでございますけれど も、今まで我が国の会社法にはなかった制度を新たに導入するということでございまして、少なくともこれからの株式会社に、最低この資本金に相当する資産は純資産という形で、これは計算上の数字でございますけれども、留保するようにしなければならないという一つの基準制度を導入したという意味におきましては、非常に今意味がある制度ではないかというふうに私どもは考えております。
○和田(貞)委員 現実の問題として企業が倒産する場合は、少なくとも資本金の十倍、二十倍あるいは数十倍、それだけの負債を抱えて倒産をしておるということは、これはもう既に御案内のとおりです。それが最低資本金一千万ということで、それが果たして債権者の救済ということに、大上段に振りかざしてこの法案を出してきたそういう目的というものは達成することができるかということです。ここを教えてほしい。
○清水(湛)政府委員 御指摘のように、倒産ということになりますと資本金百億でも倒産をする、巨額な負債を抱えて倒産をし、債権者が自分の債権を回収できない、こういう事実が究極的な状態で考えますと起こるということは御指摘のとおりでございます。 ただ、ここで考えております最低資本金というのは、そういう倒産ということを当然の前提としたということではございませんで、企業が経営活動を続けていく過程において、少なくともその最低資本金に見合う純資産を会社財産として常に保持していなければならない。もし取締役が意図的に最低資本金を割るような形で資産を減らす、具体的には俗に言われるタコ配当というようなことがあるわけでありますが、そういうようなことがありますと、それは取締役の責任として追及される、つまり違法に配当したものは会社に返還しなければならないというような形で、常に会社が最低資本金に見合う純資産は保持するようにとにかく努めなければならない、そういう義務を取締役に課すことによって会社と取引をする債権者の保護を図ろうという趣旨のものでございますので、一千万という金額を考えますと、今の取引経済、取引規模というものを考えますと大した金額ではないのではないかというようなお考えも当然にこれはあろうかと思いますけれども、しかし、そういう資本金一千万円程度の企業が相手とする取引の相手方あるいは従業員というものの立場を考えますと、それでも十分に保護をされる場合があり得るというふうに私どもは考えているところでございます。
○和田(貞)委員 あなたの方は提案者でございますからそう言わざるを得ないんじゃないか。しかし、申し上げましたように、我々の側はどうひいき目に考えさしてもらい、見さしていただいても、資本の一千万というのをこれが最低資本額だということでは、この法案というのが提出されておりますが到底目的を達することはできないんじゃないかというように断言せざるを得ないわけであります。 そこで、私はそのことによって、これはもう先ほどから述べておられますように、質問しておりますように、そのことによって被害をこうむる、そのことによって社会的な信用を失う、そのことによって経済的な地位を剥奪される、こういう現実の小規模企業があるということ、現存するということ、先ほどから中小企業庁の方から、先ほどの答弁を聞いておりますと、これはもう一度商工委員会で聞かなければいかぬぐらいだ。中小企業の立場に立った答弁じゃないんです。中小企業の立場に立った物の見方じゃないんです。現実にそのような小規模企業が実在するということ、このことを考えたときに、その立場に立つならば極めて過酷な資本の最低限の導入というように言わざるを得ないわけなんです。 そういうことをやりながら、反面、社債発行の限度を大幅に緩和するというようなやり方、あるいは一人株主制度を創設するというようなやり方、これはどこからどう出たかわからないわけでありますが、これは大きな企業あるいは経済団体、そういうようなところからの要請の中で盛り込まれたんじゃないか、こういうように推測するわけでございますが、極めて最低資本金の導入と相矛盾するこの改正の内容であろうというように思うわけでございますが、これについてひとつ御答弁願いたいと思います。
○清水(湛)政府委員 まず、社債発行限度規制の見直しでございますけれども、結論的に申しまして、これは最低資本金制度の導入とは矛盾するものではないというように私ども考えております。 社債発行限度規制につきましては、現行法では資本及び準備金の額を限度として発行することができる、純資産が資本金プラス準備金の額を下回るときには純資産の限度、こういうことになっているわけでございます。これを今回の改正法におきましては、要するに純資産を限度として発行することができるということに単純に改めたわけでございますが、その結果といたしまして、資本、準備金を上回る純資産が存在する場合にはその純資産の限度で社債を発行することができるということになるわけでございます。こういう社債の発行ということをする会社は、これは大企業でございまして、中小企業はほとんど現実の問題として関係がないわけでございます。そういうこととともに、やはりこの社債の場合に、最終的に担保になるのは会社の純資産でございますので、純資産を限度とする担保規制に改めるのが適当である、こういうことから今回の改正になっているわけでございます。したがいまして、最初に申し上げましたように、株式会社につき一千万円の最低資本金制度を導入するということとは矛盾しないということになるわけでございます。 それから、株式会社の設立について発起人が一人でもいいというような制度を導入するということでございますが、これは現行法上は七人要求されているわけでございます。中小会社を設立する場合、特に発起人が七人必要であるということにされておりますために、無理して発起人を七人並べる、親戚縁者の者を発起人に連ねるというようなことが行われるという実態があるわけでございます。そういうような、いわば頼まれて発起人になった親戚縁者の者が、後で会社をめぐるトラブルが起きましたときに責任を追及されるというような現象も全くないわけではございません。そういうような中小会社の設立の実態にかんがみまして、発起人が一人でもそういう会社の設立の行為を行うことができるというふうに、いわば実態に合わせてそういう制度を導入することにいたしたわけでございます。これは、ある意味におきましては最低資本金制度を導入するのとあわせて、一方で、つまり会社に保有すべき財産の最低限を確保するとともに、設立手続の簡素合理化を図ったという意味で矛盾するというものではなく、むしろ両々相まつという面も一部にはあるのではないかというふうに考えているところでございます。
○和田(貞)委員 御答弁いただきましたが、この社債発行限度額の緩和というのは、既に言われましたように大手の企業が百二十社も百三十社も今日の限度額の枠を超えている会社があるから、おのずからそういうところから強い要請があって今度の改正になったんじゃないか、このように推察するのは当然のことであります。 あるいは一人株主、一千万がないために株式会社をつくることができないというものもあれば、一千万があるために、むしろ大企業の子会社あるいは孫会社、いとも簡単につくれることになるわけですから、だから私が申し上げましたように、このようなことは経済界からの強い要請があってその上での改正であるんじゃないか、こういうようにお尋ねしているわけなんですが、どうですか。
○清水(湛)政府委員 発起人が一人でもいいということについて、大企業等からそういう要請があったということでは必ずしもないというふうに承知いたしております。 ただ、この社債発行限度につきましては、かねてから現在の商法による発行限度規制というのはおかしいのではないか、おかしいと申しますか、 やや時代おくれではないかというような指摘がございました。確かに先進諸国、ドイツ、フランス等の先進ヨーロッパ諸国の会社法制を見ますと、最近におきましては社債発行限度規制というのをやっていないわけでございます。つまり、社債の発行については、むしろ市場メカニズムに任せまして、社債のランクづけとかそういうようなことによって自主的に規制をしておるというのがどうも実態のようでございます。 そういうようなことを背景にいたしまして、社債の発行限度規制をやめようというような要望あるいはそういう学者の意見というものはかなり強いわけでございますけれども、さしあたって現状のもとにおきますと、現在のような発行限度規制でいきますと、社債を発行することができない大企業も現実の問題としてあるというようなこともございまして、確かにそういう経済団体等からの要望もあった、そういう要望を受けての今回の緩和のための改正である、こういうように申し上げてよろしいかと思います。
○和田(貞)委員 この最低資本金制度についてでございますが、私は株式会社でふさわしくないような株式会社あるいは株式会社らしい株式会社、こういう物の見方というものは、資本金という一つの物差しだけで断定するというようなことは非常におこがましいし、非常に相手の人格、法人の人権に差しさわるような気もするのですよ。 私の知っているところで、大阪ですが、資本金が今なお五百万、それで三百五十台から四十台のタクシーを立派に経営されておる会社がありますよ。これでいうならば、そういう会社は株式会社にふさわしくない株式会社ですか。
○清水(湛)政府委員 会社の規模を何を基準として判断するかというのは、実は大変難しい問題でございまして、資本金で判断するというのも一つの考え方でございますし、あるいは商法というのはむしろ債権者保護という観点から法律が書かれておりますので、負債総額から判断すべきである、こういうような考え方もあるわけでございます。現に、我が国の商法におきましても、いわゆる大会社の定義を商法の中でしているわけでございますが、これは資本金が五億円以上で負債総額が二百億以上、こういう基準になっております。つまり、資本金は五億であっても、資産にいろいろな含み益とかそういうものがありますので、二百億以上の借入金があってそれで事業をしておるというような会社も現にあるわけでございます。 そういうような意味で、会社の規模自体をそういう負債総額で見るか、あるいは従業員の数で見るべきではないかという学説もございます。あるいは純資産の額で見るべきではないかというような学説もございます。 先生御指摘の、例えば資本金が五百万円でタクシーを数百台所有しているという会社が、もしその会社について貸借対照表を私ども見せていただきますと、純資産の額は相当なものになっておるのではないか。したがいまして、一株当たりの純資産額というのは、恐らく何十万、何百万になるのではないかというような感じがするわけでございますけれども、ただ、そういうふうに単純に資本金だけで会社の規模を見ることができないというのはまことにおっしゃるとおりだと思います。 ただ、そういういろんな事情が会社の中にあるということを踏まえた上で、今回最低資本金制度を導入するについては、そこで一千万あるいは三百万という一応の区切りのいい数字を示してこれを最低資本金とした、こういうふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○和田(貞)委員 そうであれば、五年の猶予期間を置くんだからその間にたかだか三百万程度、たかだか一千万程度用意できぬような会社は株式会社とか有限会社を名乗ること自体がおかしいという発想、考え方、意見は、まことにけしからぬと私は思うのですよ。これから新しく設立されようとする法人であればいざ知らず、機嫌よう商売やっておるのです、機嫌よう事業をやっておる。それを五年間の猶予期間を置いて三百万、一千万に持っていくということが非常におこがましい至りであり、ほっといてくれとこっちは言いたい。どうですか。
○清水(湛)政府委員 最低資本金制度の導入につきましては、これをどの程度の金額にするかということ、あるいはそもそもこういう制度を導入するのが適当かどうかということについていろいろな御意見があるところでございますけれども、少なくとも商法が一つの柱として債権者の保護ということを考え、その裏づけとして資本金制度、それを前提とした資本充実の原則、資本維持の原則というものを大原則にしておるということから考えますと、やはり相当程度の金額をもって最低資本金とせざるを得ない、こういうことになったわけでございます。 その金額についてどうするかということにつきましては、例えば韓国の株式会社法がほぼ一千万円の資本金になっているというような諸外国の立法例もこれあるところでございますけれども、我が国の実情というものに照らして幾らがいいかということは、法制審議会の審議過程におきましても、中小企業団体その他いろいろな団体からの御意見を私ども拝聴してきたわけでございます。そういう過程の中で、中小企業団体等の関係者の意見も踏まえ、株式会社一千万円、有限会社三百万円であるならば何とか対応できるということでございましたので、そういう現実を踏まえて一千万、三百万ということにさせていただいたわけでございます。 私ども、会社の実態というものを中小企業庁のように必ずしもいろいろな面から多角的に把握しているわけではございませんが、例えば有限会社につきましても、登記だけは残っていて実態は活躍していないというペーパーだけの会社が相当数あると推測しているわけでございます。そういう会社はそのまま何もしないということに相なろうかと思いますけれども、現実に活動を続けておられる企業でございますと、私どもが今まで審議の過程でいろいろお聞きした意見によれば、何とか対応することができるのではないかということでございました。そういうようなことから、一千万、三百万を低いと見るか高いと見るか、あるいはいろいろな意見があろうかと思いますけれども、こういう金額にさせていただいたということでございます。
○和田(貞)委員 一千万円以下の資本金の株式会社が約六十二万社、三百万円以下の資本金の有限会社が四十三万社、合わせて百五万社。これは八八年の資料でございますが。この中で少なくとも数十万社が増資できないで、この法律が施行されるに当たって、極端に言うならば廃業せざるを得ないあるいは個人事業に転換をしなくてはならないという羽目に追い込まれる、あるいは株式会社から有限会社に組織変更しなければならない企業等々が出てくる可能性があるわけです。先ほど中小企業庁の方は、間違っておったら許してほしいのですが、中小企業団体のいろいろな意見を聞く中で、この法律の施行に当たって七〇%程度の方々はこの最低資本金制度に移行することができるとお答えになったと私は思うわけですが、間違いありませんか。
○藤原説明員 はい。内部的な資料としてのアンケート調査によりますと、二千万、五百万を前提として七〇%は今の形態でいこうというふうに集計されてございます。
○和田(貞)委員 あなたの方の内部的な資料というのは、例えば現実にそれぞれの中小企業団体に当たった結果ですか、どうなんですか。推定ですか、当たったのですか。
○藤原説明員 一定のサンプルに従いまして標準的な分布になるように各企業にアンケートを求めた結果でございます。
○和田(貞)委員 そうすると、これは結果がわかると思いますが、今申し上げましたように、私たちの推定では百五万社のうち少なくとも数十万社が廃業するあるいは個人事業に転換する、あるいは株式会社から有限会社に組織変更するところが出てくる。もしもそういうことになったときに、社会的な信用度あるいはその企業が持っておる経 営経済的な地位——中小企業のことでございますので、当然上下がございます。元請があり、親会社があり、あるいは販売ルートもあります。もしそんなようなことになれば、株式会社であったのが有限会社に何月何日から組織変更しました、株式会社であったのが個人の企業になりましたという通知を出さなければいかぬ、得意先に案内を出さなければいかぬ。そんなことによって受けるダメージは一体だれが責任を持つのですか。
○清水(湛)政府委員 株式会社から有限会社になることによってダメージを受けるということがあるのかないのか。我が国では株式会社の方が有限会社より何となく格が高いような、あるいはそういう認識があるというお話がございますけれども、法律的に見ますと、株式会社、有限会社は実質的にそれほど違っていない。物的有限責任の会社であって、いわば社員が小人数のものに有限会社という組織が適しているということだけの違いだろうと私どもは思っております。したがいまして、資本金一千万円の額まで行けなかった株式会社が有限会社に組織変更するというようなことによってそれほどダメージを受けることになるだろうかということについては、私ちょっと何とも申し上げかねるところでございます。 それからまた、資本金三百万円未満の有限会社が資本金三百万円にすることができないがために、結局合名会社あるいは合資会社の方に組織変更するというような事態、これも理論的には想定されるわけでございます。しかし、具体的にどの程度の数がそのものになるのか。私どもの考えによりますと、少なくとも有限会社のうち資本金百万円以下程度の会社はほとんど休眠会社と申しますか、ペーパーカンパニーで実際上は活動していないのではないかというような疑いも実はあるわけでございます。そういうような実態を踏まえながら、現に活動している企業であるならば少なくとも三百万円までには何とか対応できるのではないかというような感触を審議の過程において持っておりますので、そういう問題が起きることはないのではないかというふうに考えているところでございます。
○和田(貞)委員 これは余り世の中を知らな過ぎますよ。三百万、一千万ということに最高限度額を引き上げるわけでしょう。だから、株式会社であった会社が、私どもは何月何日から有限会社になりましたということは、一千万円の資本金がなかったんだということを言いふらすことになるのですよ。三百万円の有限会社が個人事業になりましたということを得意先に案内を出すことは、得意先に対してこれは信頼を失墜するじゃないですか。そうでしょう、そういうふうに感じませんか。
○清水(湛)政府委員 恐らく有限会社から合名、合資会社になるという形のものがある、これは理論的にあり得るし、現実にそうなさる方もおられると思いますけれども、そういうことで取引先に通知をされるというようなこともあろうかと思います。そのためにどの程度信用が落ちるのか。そういう企業の方々ですと、ごく親しい、あるいはそういう一定の範囲内の関係者との取引ということに普通はされていようかと思いますけれども、それによって信用が大幅に変更になるというような事態が果たしてあるのかないのか、私も世間知らずと言われればそうかもしれませんが、ちょっと想像しにくいような感じがいたしております。
○和田(貞)委員 あなたがその立場に立てばわかるわけですよ。立場に立たぬからわからぬわけです。現在事業をやっておられる企業だけじゃなくて、これから新たに開業なさろうとする方々、現在では新しく株式会社として事業をやろうという方々の約六五%は資本金が一千万円以下から出発しているということですが、これは御存じですか。
○清水(湛)政府委員 現実に登記の面から把握いたしましても資本金一千万円以下の会社が多数を占めておるということからも、御指摘のとおりだと思います。
○和田(貞)委員 そのことをわかりながら、その最高限度額を一千万円に引き上げるというと、今申し上げたようにかなりの企業が五年以内にこうしなくちゃならないということになっていくわけですね。なれる人はいい。なれなかった人は、先ほど申し上げましたように取引先の中から信頼を失墜する、そういうようなことは必ず出てきますよ。 そこで、今申し上げましたようにこの五年間に猶予期間を置いてもらっても、その中で約六五%の人たちが、新しく事業をやってもその一千万に達しないような資本金の企業が設置されておる。あるいは、既に全体の一千万、三百万以下の株式会社、有限会社の六〇%あるいは五〇%程度の人たちが増資ができない。こういう実情は、景気はいい、いいと言っておりましても現実の姿として、それが五年が六年になろうが、今のこの経済事情がいいというのは、やはり大手の企業なんです。大手の企業は借入金比率は確かに減っていっておる。けれども、中小零細企業の借入金比率というのはそれとは逆に高くなっていっているんですよ。これは中小企業庁、把握しているはずなんだ。そういうような実態の中でこの法の改正について、中小企業庁として、通産省として、この段階でこのような法の改正はいいというように法務省に意見を寄せられたのですか、回答されたのですか。
○藤原説明員 昨今の金融情勢から借入比率、特に中小企業は相対的に大企業より高くなっているというのは承知してございます。 商法改正案につきましては、先ほどから申し上げておりますように、我々としては当初案の二千万、五百万というのは余りにも高過ぎるということで鋭意要請を行ってまいりまして、中小企業団体等の意見も十分反映した形での現在の案ということを最終的にはお認めいただいたというふうに理解してございます。
○和田(貞)委員 時間が来ますもので、その中小企業の問題はまたひとつ商工委員会でやりましょう。 大臣、まるで株式会社にふさわしくないような株式会社、これはその責任がその企業にあるような物の言い方、物の見詰め方なんですが、何もその企業の責任じゃないんですよ。いろいろとあなた方の言われる株式会社でないような株式会社が現実にあるということは、一つはやはり税制の問題なんです。個人事業でやっておられて、やはりだれしも税務署に対して節税を考えますから、だから会計事務所へ相談に行かれる、税理士事務所の方に相談に行かれる。あるいは帳簿の記載を依頼される。そうするとその税理士先生は、まあ法人にしなさいよ、こうなるんですよ。だから、お父さんが社長、お母ちゃんは専務、娘が常務、こういう、あなた方から言うならば株式会社でないような株式会社がたくさん出てくるわけです。大臣、これを一体どうお考えですか。
○長谷川国務大臣 言葉のよしあしは別にして、傾向としてはそういう傾向があったというか今でもありますね。また、私も中小企業をずっと自分でやっておるのですよ。だから、中小企業のつらさ、悲しさ、何となくうらさみしいような感じというものは十分に心得ておるわけであります。けさからずっといろいろ聞いておりまして、しみじみ我が事のように感じておったのでございますが、これからそういう若干の体験も踏まえて中小企業、零細企業が明るい形でできるように、これは口では簡単だけれどもなかなか難しいと思いますが、そういう方向に向かって懸命な努力をいたすつもりであります。
○和田(貞)委員 大臣、懸命に努力をしてもらう方法があるのですよ、申し上げたように税制でですよ。西ドイツの場合は法人の数が少ない、こう言っておられますね。法人よりも個人の方を税制で優遇しているから、日本とは逆。法人になるなり株式会社の手続をしなさいということを税理士さんは言わぬ。日本の場合は、法人の方が個人事業よりも税制面で優遇されておるから会社がふえていくわけです。何も登記の手続をやって株式会社にせぬでも、個人の方が法人よりも税制度で優遇されて法人以上に必要経費も認めるというよう な保障があるならば、殊さらに税理士先生も法人にしなさいというようなことを言わぬだろうし、事業主自身もあなた方が嫌がられるような、そういう株式会社にふさわしくないような株式会社をつくらぬでも結構やっていけるわけです。この法改正に当たって大蔵当局とそういうような話し合いがございましたか。
○清水(湛)政府委員 株式会社を設立する動機と申しますか、実質的な目的に節税を図るという、いわゆる法人成りがたくさんあるということは、私どもも経験上承知しているところでございます。それ以外にもいろいろな目的があって、いろいろな動機があってそういう株式会社の設立がされることだというふうに考えております。しかしながら、株式会社法という見地から見ますと、それは動機が何であれ、やはり会社法の規定する諸規制というのはきちんと守ってもらわなければならない、こういうことになるわけでございまして、特に税の関係で会社法をどうしようこうしようというような見地から商法の改正というのは私ども考えてないわけでございます。したがいまして、もちろん大蔵省当局等からそういう法人成り等のお話は伺うことがございますけれども、公式に商法改正の問題としてその問題を取り上げるというようなことは私どもいたしていないわけでございます。
○和田(貞)委員 法人税制と比べて、皆さん方を含めた給与所得者あるいは個人事業者の隔たりが余りにもあるのですが、大蔵省、どうですか。
○長野説明員 法人税制と個人事業税制と給与所得者の税制のバランスということでございまして、私どもが常に一番悩む問題でございます。法人成りのときに税制上の面がどのくらいのウエートを占めておるか私どもも調べたこともございますけれども、恐らく、そこでアンケートで出てきた答え以上に、私どもに対する答え以上に経営者の方は税制というのは意識されておられるのじゃなかろうかと思います。 そこで、いろいろな御議論が出てまいりまして、経営者と株主という立場がほとんど分割されなくて帳面づらの上だけで操作できるような企業は、むしろ税法上の扱いとしてはみなし個人、個人として扱った方が課税の公平上すっきりするんじゃないかという議論がありますが、これはきちんと法人格をとられたことに対してまた税法上違う扱いをするのは難しい。そこで今度は、個人事業者の方にやや法人と似たような仕組みをするとして、みなし法人という知恵が出ました。しかしこれは、今度はサラリーマンの側から見ると、もともとサラリーマンより優遇されておる事業者がみなし法人という形でさらに優遇されるので不公平税制であるという話になる。そこで、いろいろめぐってまいりますと、ポイントが実は給与所得控除というところに参ります。 これは日本の税制の特色でございまして、ドイツとも大変違うところでございますけれども、給与所得控除というのが給与所得者に対して非常に手厚く行われておる。その給与所得控除というメリットをサラリーマンだけじゃなくて個人事業主も味わえないかというのがみなし法人でございますし、法人成りのメリットもそこにございます。 それでは、給与所得控除をうんと圧縮すれば問題は解決するのかということになります。そういう議論も過般の税制改革のときに、実はもろもろの問題の根っこにあるのは給与所得控除ではないか、むしろこれを外国並みに否認するといいますか、割合を落とすことによって、そのかわり税率を下げるという形の方が本当は根本的な解決になるのではないかというお話もございました。しかし、現実の問題として、これとて即すべての国民の方、サラリーマンの方に自分の給与所得控除の取り扱いが変わるのはなぜかというのをおわかりいただくのはなかなか大変だろうということで、実は悩ましい状態のまま今後の検討課題になっているところでございます。
○和田(貞)委員 いろいろ御指摘させていただきましたように、国際化に向けて日本の法人企業もそれに見合うようにしていくとするならば、一つの物の見方で、資本金なら資本金だけで画一的に見ていくというようなやり方じゃなく、もう少し中小零細企業の経営者の実態というものを見きわめた上で、税制面についても、あるいはその他の優遇措置等も考えて、片方ではこれをやりながら、取りこぼしのないようなそういう温かい保護育成、振興、そういう政策も他面遂行しながら考えてほしいなという気がするわけです。 私の立場に立ってさっきから聞いておったという非常に率直なことを言っていただきましたけれども、最後にもう一度大臣としての決意を語っていただきまして、時間が参りましたので終わりたいと思います。
○長谷川国務大臣 ずっと委員のお話を聞いておりまして、やはり実態に即した御意見だと思って拝聴いたしておったわけであります。 ただ、中小企業は御案内のとおり千差万別であり、多種多様であり、なかなか共通点を見出すことが難しいのと、いろいろ、何といいますか、こうでございますので、対応がなかなか簡単ではございませんが、私どもといたしましても懸命な努力を払って、御意見も踏まえて頑張っていくつもりであります。
○和田(貞)委員 終わります。
○小澤委員長 御苦労さまでした。 この際、暫時休憩いたします。 午後零時三十八分休憩 ────◇───── 午後二時五十八分開議
○小澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。中村巖君。
○中村(巖)委員 今回法務省から商法改正案というのが出てまいりまして、それについて審議がされているわけですが、この商法改正案というものは、私が見るところでは実に場当たり的であると言わざるを得ないと思うわけでございます。法務省御自身も、今回の改正については、前の改正から大分長くなるので現段階まで法制審議会で論議が終わっているものをいわば間に合わせ的に答申を得て立法するんだというお話でございますから、そのことはそれとしてわからないわけではないのですけれども、場当たり的であるということになると、これは一貫した流れの上に乗るのかどうかということが大変に問題になってくるんじゃないかと思うわけでございます。会社法をこういうふうにしていきたいという理念を示すことなく、今法制審議会でまとまったからその部分だけでやっていくということになると、後になってまた改正しなければならないという部分も出てこないとは限らないわけであります。前回の改正の後では、要するに五十九年の五月にいわゆる民事局参事官室の「大小会社区分立法及び合併に関する問題点」というのが発表をされて、そこが一つのスタートになっているということで、この問題点は非常に多岐にわたるわけで膨大な数の問題点、こういうところを検討したいということが羅列をされてあるわけです。そこには一定の結論というものは示されておりませんけれども、ある種の方向性というものが読み取れるようになっていることは間違いないわけで、殊にこの大小会社の区分ということが中心になっております。大小会社の区分について、やはりこれだというものはないけれども、A案、B案、C案、こういうものがあって、そういうような形で区分をして大会社とそして小規模、閉鎖的な会社との規制を分けていこう、こういうことがあるわけでありますけれども、その後こういう試案が発表されて、そして今回の改正案がというふうになってくると、その大小会社区分立法の問題点で言われてきたようなことがみんなどこかへすっ飛んじゃって、とりあえず小会社に適用できるような法条を幾つか持ってきてそれで終わっている、こういうことになっているわけでございます。そういう意味では、まさに今後大小会社区分をどうするのかということについての理念が全く今回の改正案の中には流れていない、読み取ることができない、こういうこと ではないだろうかというふうに思うわけでございます。とにかく、前回の改正の後は大小会社区分立法なのだというふうに鳴り物入りで騒ぎながら、竜頭蛇尾というか、まだこれから続くわけでありますから蛇尾と言うわけにはいかないのかもしれないけれども、今回の法案で見る限りにおいては、まさに竜頭蛇尾、こういうことになってしまっておるわけでございまして、その辺のことで、言ってみれば五十九年五月のあの大小会社区分立法の問題点の流れというものがどうなってしまったのか、こういうことについてまず御見解を承りたいというふうに思います。
○清水(湛)政府委員 お答え申し上げます。 まことに手厳しい批判で、私ども本当に一々ごもっともというように感ずる点もないわけではございません。確かに五十九年五月に、いわゆる「大小会社区分立法及び合併に関する問題点」ということで、昭和五十六年改正を受けて後の株式会社改正作業の過程の中で議論された問題点、およそ各方面で指摘されているようなあらゆる問題点を取り上げまして、これを整理いたしまして各界の意見を求める、こういうようなことをいたしたわけでございます。そういう議論の過程の中で、余りにも問題点が多岐にわたる、またそれぞれについて大会社、中会社、小会社あるいは零細規模会社というような立場から実にさまざまな意見が提出されてまいりまして、どうも一つのまとまった結論がなかなか得にくいというような状況にもなってまいったということも、これは一つの事実でございます。そういうような中で、法制審議会といたしましては改正要綱案の取りまとめのための審議を続けてきたわけでございますが、そういうようなことから全範囲の問題を今回の改正で取り上げるというのは非常に難しい、そういうことから、その中から特に意見と申しますか関係者の意思が一致している株式会社の設立あるいは株式制度、計算制度の公開、組織変更等を中心にして改正案を作成したらこういうことになったわけでございます。そういうことの中で一番大きな柱がやはり最低資本金制度の導入であり、もう一つは計算書類の登記所における公開制度であった、こういうことが言えようかと思います。 この中でも特に最低資本金制度の導入というのは、これは実は大小会社の区分立法の議論の過程の中でも、最低資本金というようなもの、つまりそういう最も基本的な概念についてある程度の何と申しますか意思の統一、逆に申しますと、まず法律制度上最低資本金制度というものをきちっと決めて、その上で大小会社の区分というような議論をいたしませんとなかなか集約しないというような要素も実は若干ながらあるわけでございます。そういうようなことから、とりあえずとにかく最低資本金制度を導入し、それをベースとして今後の大小会社区分立法をもう一度洗い直すことをしたらどうかというようなことも考えられたわけでございます。これがすべてではございませんけれども、そういうような過程の中で今回の法律改正案になった。したがいまして、私どもといたしましては、最低資本金制度はやはりどうしても導入いたしたい、こういうふうに考えているわけでございます。 今後どうするかということになるわけでございますけれども、このような長年の懸案でありました制度が導入された暁には、先ほどちょっと申し上げましたように、大小会社区分について公開された問題点等につきさらに鋭意検討を進めるということに当然なるわけでございます。例えば合併に関する問題点というようなことはまだほとんど議論されておりません。問題点としては公表されておりますが、法制審議会でもまだ議論が進んでいないというような問題もございますので、そういう問題も含めましてさらに引き続き審議を続けてまいる、こういうことを考えているわけでございます。
○中村(巖)委員 最低資本金制度の問題と大小会社区分の問題というものは全然違う問題で、大小会社を区分するための手法として最低資本金制度があるわけではなくて、最低資本金制度というものは会社の下限の足切りをしてしまおう、こういう制度ですから、そういう制度を一方で実行しておきながら、では大小会社区分だということになると、制度的に関係ないものだけれども結果的にはそれが絡まってきて、では今度は大小会社区分の線をどこへ引くのだ、大会社と小会社と、線を引くとすればどこへ引くのだ、五千万円の線で引くのか、幾らの形で引いていくのか、こういうことになってきてしまうわけです。だから、やはり制度的にはその最低資本金制度というものは大小会社区分と関係がない。だけれども、こういうものを決めてしまうと、大小会社区分といったって、その土俵は狭められた中でしか問題にならなくなってくる。こういうことになって、ただただ土俵だけを縮めておく、そしてそれから今度は大小会社区分を考えるのだ、こういうのでは何かおかしいのではないかという感じがするわけですけれども、その点はいかがですか。
○清水(湛)政府委員 委員御指摘のとおり、大小会社区分と最低資本金制度というものは直接の関係はないというふうに私ども思っております。ただしかし、大小会社区分の議論をいたします場合に、この株式会社というものをどうイメージするかというようなことでも、例えば非常に零細規模の会社というものを念頭に置いて議論する場合と、ある程度、資本金一千万円が最低であるという株式会社というものをイメージして議論する場合とで、どうしてもそれぞれニュアンスがやや違ってくるというような面も否定し切れないようなところがあるわけでございます。これは気持ちの問題かもしれません。気持ちの問題かもしれませんけれども、何かそういうような要素もあるような気が私どもするわけでございます。そこで、株式会社というのは最低資本金は一千万円である、こういう前提で、この前提がはっきりいたしますと、さらにその上で大会社あるいは中会社、小会社というようなものをどうするかという議論が出てまいりますし、さらに、株式会社については最低資本金が一千万だということになりますと、有限会社というのは一体どうするのか、有限会社の資本金は今度三百万になりますが、有限会社というものをどう位置づけるのか、株式会社に対してどう特色づけるのかというようなことも非常に議論しやすくなってくるのではないか、そういう意味で、これからの大小会社区分理論にいわばむだな議論というか、そういうものをなくさせるという意味におきましても、最低資本金制度でその辺のところはきっちり整理しておいた方が今後議論しやすいという意味で申し上げているわけでございます。制度的にこちらがこうだからこちらがこうであるということではないというのは、委員御指摘のとおりではないかと思っております。
○中村(巖)委員 そうだとすると、仕切りをしておいて、その方が議論が整理しやすいとおっしゃるなら、それはそういうこともあり得るかもしれないけれども、五十九年の「問題点」で指摘をしておられたところでは、最低資本金制度を設けるべきかどうかということも問題点には挙がっているが、それより先に、大小会社区分の問題というものが挙がっているわけです。そしてそこには御承知のとおりA案、B案、C案というものがあるわけで、A案、B案、C案がそれぞれ最低資本金制度というものに立脚してあるわけじゃないですね。ですから、今急遽最低資本金制度を設けて、それじゃ今度A案、B案、C案という論議が今後どういうふうになっていくのかということになると、大変おかしなことになるのじゃないか。A案、B案、C案が考えられたのも一千万円以下の極めて少ない資本金の会社があるから、だからそれを大中小なら大中小、こうしていこうということで考えられておるだろうと思うわけです。その辺の今後の、A案、B案、C案というような方式での物の考え方がどうなっていくのかということについてはどうお考えですか。
○清水(湛)政府委員 最低資本金制度に当たりまして大小会社の区分をどうするかということになりますと、おっしゃるように、例えば公開株式会社とか非公開株式会社というような考え方、ある いはそれにプラスして有限会社というものの一つのジャンルを認めるという考え方、これはA案でございますけれども、そういうようなものもありましょうし、あるいは、資本金について一億円以上とかいうような一定の資本金額、負債総額を基準にして会社の区分をする考え方は当然出てまいるわけでございます。したがいまして、私が申し上げましたのは、最低資本金一千万円を導入したから会社の区分についての考え方が変わってくるというようなことを申し上げているわけではございませんで、少なくとも最低資本金一千万円だという前提で株式会社をさらに区分する。例えば資本金五億円以上、負債総額二百億円以上を便宜大会社と呼んでおりますけれども、そういう会社については会計監査人の強制監査制度を導入している事実が現にあるわけでございます。それから、資本金五億円未満一億円以上の会社と一億円未満の会社についての法規制が異なる、若干の差異を設けておるというような法制が株式会社法の中に現に存在しているわけでございますけれども、そういうような区分をさらに合理的なものにしていくためにはどうしたらいいかということが当然のことながらこれから議論されることになるわけでございます。そういう議論は、最低資本金が一千万だということと直接かかわりなく、例えば公開とか非公開、先ほど申し上げましたような五億とか一億というような金額を基準にしてこれから議論が展開されていくというふうに考えているわけでございます。
○中村(巖)委員 私も最低資本金制度を設けること自体に反対しているわけではないのですけれども、それだけ先行してしまうということは、大小会社区分論争というかその論議を何か少しゆがめるのじゃないか、そんなような感じがしてくるわけでございます。その意味で場当たり的というか、それだけはとにかくやってしまおうということで、一貫した流れの中に位置づけられてやられてないのじゃないかという感じがしてならないわけでございます。 その問題ばかりやっているわけにもいきませんけれども、同じようなことが社債制度についても言い得るわけでございます。商法の社債制度というのは当初からあるわけでありますけれども、商法の従来の立場というものは、社債は固定負債であって莫大な金額に上る、そしてその債権が会社の存立いかんによって運命が決まるわけですから、これについてはやはり基本的には過大な社債の発行ができないように、こういういわば社債権者の保護の立場でつくられておった。商法の基本的な考え方はそういうことだと思うわけですね。そして担保附社債信託法というようなものもあって、言ってみれば担保を付して社債を募集することが望ましいというような考え方もうかがわれるわけでありますけれども、そういう商法の中にあって社債というものをどう位置づけるのか、こういうことについてもまだ基本的な考え方は決まっておりません、これから社債について論議をいたしますと言いながら社債の限度額の枠を拡大するということになっていて、その辺のことが応急的、臨時的にやるというようなことになってしまうわけです。社債全体についてのお考え方の方向性を今後どうしていくのかということと関係なくこういう途中で臨時的、応急的にやるということは一体いかがなものか、こういうふうに私ども考えるわけですけれども、その辺については法務省はどう考えておられますか。
○清水(湛)政府委員 社債につきましては社債法全体を見直すべきだという意見がございまして、実は法制審議会の商法部会の中で昭和六十二年から社債法小委員会という専門委員会を設けまして、ここで現に相当長期間にわたって検討していただいているわけでございます。社債法の見直しということになりますと、商法だけではなくて担保附社債信託法とか信託法等の周辺関連法の調整が必要でございますし、また、場合によっては銀行と証券業界との、いわゆる業際問題と言われておりますけれども、そういう問題などにも波及するような要素も実はあるわけでございます。そういうような観点から、しかしながら社債法全体を見直す必要があるということで、現在鋭意法制審議会にその調査、審議をお願いしているところでございます。 しかしながら、社債に関する法規制のうち発行限度のものにつきましては、今までも何回か発行限度枠の拡大ということは行ってきたわけでございますけれども、最近の企業の資金調達の面からやはりもう少し社債の発行限度枠を広げてほしい、根本的には、ヨーロッパ先進諸国が採用しておりますように社債の発行限度というものを商法の中で規制するのは適当ではない、規制すべきではない、むしろ社債発行市場等のメカニズムに任せておくべきではないか。個人が社債という形ではなくて融資を受けるという場合には何の制限もなしに巨額の債務を負担することができるわけでありますが、社債ということになりますと、一般大衆から、不特定多数の者から社債を集めるというようなことでこういう制限があるというふうに言われているわけでありますけれども、そういう受託銀行あるいは引受会社等のいわば市場メカニズムによる制約で十分債権者を保護することができるという実態があるというようなことから、発行限度枠自体を撤廃せよというような意見が学者の間にも非常に強いわけでございます。そういうような問題になりますと、これはやはり社債法小委員会で根本的に検討していただくということにならざるを得ない。しかしながら、社債の発行需要というものは非常に強いというような問題もございますので、とりあえず応急の措置として現在の社債の発行規制が合理的であるかどうかというような観点から現行法を見直す必要があるだろうということになったわけでございます。 そういう点から現行法を見ますと、商法の規定では資本金及び準備金が原則になっておる、これはかなり形式的な基準でございまして、やはり実質的な社債権者に対する担保となるものは純資産というふうに言わざる得ないわけでございます。そうなってきますと、純資産額を基準として発行限度を設けるというのがむしろ社債権者保護という観点から申しますと最も妥当ではないかということになるわけでございまして、そういうような観点から、今回さしあたって一部発行枠を拡大するというような改正をお願いいたした、これは経済界からも非常に強い要請がございましたので、とりあえずの改正としてこのような改正をお願いしたということになるわけでございます。
○中村(巖)委員 経済界から強い要請があるということはわからないわけではないですけれども、そういう意味で、今局長が御説明になったことによれば、やがては社債の発行限度というものが法制審議会等々で検討された結果全く撤廃されるんだ、こういうことになると、今中間的な形でやっておくということがどんな意味があるのか。まあ社債発行限度暫定措置法では商法を超えてかなりの枠で発行ができる。少なくとも担保付社債や転換社債や今度新規に新株引受権付社債についても、これは商法の枠をはるかに超えてその二倍までできるんだということになっているにもかかわらず、一方では社債の論議をこれから大いにしよう、あるいはまた、ほかの国の立法例では社債の限度額がないんだ、こういうことを言いつつ今中途半端な改正をするということはなぜなのかということが私はよくわからないので、その点をお伺いをしているわけでございます。
○清水(湛)政府委員 私、将来社債の発行限度枠を撤廃するということは申し上げたわけではございません。そういう意見があるということで申し上げた次第でございます。 もちろん発行限度枠というものが現行法上認められているわけでございますけれども、それはまたそれなりに合理的な理由があるわけでございまして、個人的な債務ということになりますと、それは当該個人が会社の信用状況を十分調査して純資産を超える債務負担であってもそれは契約によって負担させるし、債権を取得するということであって構わない。ところが、社債の場合には有価証券という債券に化体されてそれが転々流通し、 不特定多数の者が社債権者になるという面から、やはりそういう一定の発行限度枠を定める必要があるというふうに言われているわけでございます。そういうような必要性が今の経済社会の中でさらに必要であるかどうかということは、社債発行の実態等を十分に見きわめながらこれから社債法小委員会の中で議論していただきたいし、最終的には現行制度のような制限枠を設けることが必要だということに相なるかもしれません。これは今のところちょっと結論は出しがたいわけでございます。ただしかし、今の発行限度枠が合理的であるかどうかという点で考えてまいりますと、やはり純資産を担保にする、純資産をもって社債権者の保護財源とするというような基本的な発想というものがあるのではないかというふうに思われるわけでございまして、それを形式的に資本金プラス準備金というような金額で制約するのはいかがかということになるわけでございます。そういうような観点から今回の発行枠規制緩和ということでこういうような内容の法案を作成したということになるわけでございます。
○中村(巖)委員 一面では、社債が巨大な固定負債である、巨額に上るということを考えれば、従来の商法の考え方のように社債発行限度枠をできるだけ厳しく制限しようという思想もうなずけるところであるわけでありますし、一方ではまた、局長が今御説明になったようにそれは全然制限しなくてもいいじゃないか、個人の借金を考えたらそういうことじゃないかという考え方もわかるわけだけれども、どっちの流れに乗っているのか、わけのわからない中途半端な負というものは非常によくないんじゃないかなというふうに思うわけでございます。やはり考え方の方向性としては、今拡大をするということはこれから将来の方向へ向かっては社債についてはそんな社債権者保護というような思想は捨てるんだ、こういうような流れに乗っているのかなと思うと必ずしもそうでない。その辺が摩訶不思議で、今便宜的というだけで、思想性がちっともないんじゃないか、その辺はいかがですか。
○清水(湛)政府委員 社債権者保護の思想を捨てるということは私ども全然考えておりませんで、社債権者はどうしても保護しなければいかぬと思います。ただ、社債権者を保護する制度として今のような発行枠制限というものが有効に機能し得るのかどうかという評価の問題ではないか、それにかわるような合理的なシステムがあるのであれば商法でそういう規制をする必要はないということになってくるのだろうと思うのであります。したがいまして、商法規制より以上にすぐれたメカニズムがあり得るのか、ある論者はそれはあり得るということを一部主張しているわけでございますが、そういうような議論が果たして正しいのかどうかということをこれから社債法小委員会等で検証して方向を決める、こういうことになるのではないかというふうに思っております。
○中村(巖)委員 社債による企業の資金調達をどう評価するかという問題にもなってくるわけで、本来的には株式会社というのは新株を発行して資金を調達するというのが本来の姿ではないか。それを現在の経済界では、社債の発行によるんだという方向へ方向へと行って、今市場に出回っている社債の量というものは大変な金額に上る、こういうことになっているわけで、そういう観点からいえば法務省はそれを是認する方向にあるのかどうかということになるんだろうと思いますが、いかがですか。
○清水(湛)政府委員 経済的に資金調達の方法が社債という方法でいいのかどうかというのは、ちょっと私ども、金融とか経済の専門家ではありませんからにわかに申し上げられないことでございますけれども、少なくとも商法で規制している今の枠の規制の仕方が合理的であるかどうかということについては、いわば私ども、法律家の一人として判断し得る能力は持っておるのではないかというふうに思っているわけでございます。そういう面から見ますと、例えば現行法のように、資本金プラス準備金の額を限度とする、純資産が資本金、準備金の額より低ければ純資産の額を限度としますと、こうなっているわけでございます。しかし、考えてみますと、社債権者の担保と申しますか、社債権者の債務弁済の引き当てになるのは会社の純資産なはずでございまして、純資産がある限り社債を発行してもいいじゃないかという一つの法律論、これはやはりそれなりに合理性を持つというふうに思われるわけでございます。そういうような観点から、今回の改正ではいわば純資産額に一本化したということで、それ自体私どもは合理性のあるものだというふうに考えておるわけでございます。
○中村(巖)委員 当初から私は、今後の会社法のあるべき方向性というものが全然示されていない改正であるということを申し上げているわけですけれども、このことは有限会社法についても同じことでございまして、有限会社法はこれからどうするのかということを大いに論議をするということになっておりまして、そういう論議の中では、物的会社として株式会社と有限会社は結局同じじゃないか、じゃそんな有限会社制度そのものをやめてしまったらどうか、こういう考え方さえ出てくるような状況にあるわけなんです。私自身も有限会社のどうしても存在しなければならない必要性というものも何だかわからなくなってきているような状況ですから、そういう中で今、現時点で有限会社の最低資本金というものは三百万円だ、こういうふうに定めてしまって、今存立している有限会社に対してある程度の負担をかけておいて、最終的に有限会社はなくなってしまうんだ、こういうことになったら、今やった改正は何なんだ、こういうことにならざるを得ないわけです。その辺の有限会社の将来というものの見通しなしにこういうことをやられるのはどうなのかなあと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○清水(湛)政府委員 今回、有限会社法の改正につきましては、最低資本金制度の導入とそれから設立手続ですね、発起人が株式会社の場合は一人でいいというのに対応して、社員が一人でもいいという改正、それから現物出資についての検査役制度に関する改正、こういういわば設立に関する法を改めておる、こういうことだけに実はなっているわけでございます。有限会社法全体を見直すということになりますと、これは例えば有限会社における社員総会の問題だとか執行の問題とか監査の問題、その他もろもろの問題があるわけでございまして、本来有限会社法を見直すということになりますと、そういう経営管理機構等の問題について考えなければならないということに当然なってまいります。今回の改正におきましては、そういう有限会社法の根本的な見直しということについては次回までにこれを進める、とりあえずは設立について手当てをする、最低限の手当てをするということになったわけでございます。 御指摘のように、例えば有限会社について最低資本金三百万円として、またすぐ有限会社法の改正でまたほかのものに変えるのではないかというような御疑問が出されましたけれども、少なくとも最低資本金については今回の改正でこれで当分そのまま行くということになるものと私どもは考えております。 ただ、有限会社そのものをなくしてしまうというようなことは今のところちょっとそういう議論までは発展していないというふうに思います。もちろん株式会社法に一本化してしまえという議論もあるわけでございますけれども、逆に、小さな株式会社は有限会社の方に誘導したらどうかという意見もあるわけでございまして、我が国に既に休眠会社は相当あると思いますけれども、百四十万社の有限会社が存在するという実態は無視できないわけでございまして、むしろ有限会社法の改正の方向は、有限会社をそういう中小規模の会社にふさわしい会社形態としてもっと利用しやすくするということに今後検討の中心が移っていくのではないかというふうに私どもは考えておりますとともに、今までの議論もそういうような方向で強くされておるということを申し上げてよいのではないかと思います。
○中村(巖)委員 有限会社がたくさんあるという実態、それは事実でありますけれども、しかしその有限会社というものがどれだけ機能しているのかということが把握できないということがあるわけで、それは一つには、有限会社について休眠会社の整理がなされておらないじゃないか。株式会社の場合については休眠会社、一定の登記がある程度なされなければ清算に入るのだ、こういうことになっているけれども、有限会社は全然そういう手当てがしてない。三百万の最低資本制を定めるならば、それと同時にあるいはその前に休眠会社の整理というものをやっておくべきじゃないかということがあると思うのですね。それに伴ってこういう整理をやるとすれば、有限会社に今まで取締役、監査役の任期がないということが整理をするための手がかりがないというか、そんなことになってしまうので、任期を設けてその任期のたびごとに登記をさせるというような手当てをしておく必要があるのじゃないか、こういうふうに考えますけれども、その点はいかがですか。
○永井政府委員 ただいま委員御指摘の点は、実は法制審議会でもほぼ固まりかけていたところでございまして、有限会社におきます取締役の任期は各界の意見等では三年ぐらいでいいのではないか、三年という任期を決めますと、株式会社の場合と同じように休眠会社の整理ということが行い得るという状況になります。このことは余り異論はなかったのです。したがいまして、今回の法案に出してもあるいは可能だった部分があったのですが、ただ問題は、実は小規模株式会社につきましても、管理機構を考える場合、役員、取締役についても、では有限と同じで三年でいいのではないかという議論が少しありまして、株式会社のうちの小規模のものと有限とで役員の任期をそろえてもいいのではないかという議論があったわけでございます。したがいまして、管理機構につきましては今後の検討課題にいたしましてまとめて整理をしよう、こういうことから、今回はこの有限会社について余り異論がなかったところにつきましても今後あわせてまとめてやろう、そういうことになったものですから見送られたということになっております。
○中村(巖)委員 それは本当は見送るべきではなくて、その部分というものを最低資本金制度と同じようにここでやってしまっておけば、今後の有限会社に関する議論というものが非常に整理をされてくるのじゃないか。それにもかかわらずそれをやらないでおいたということは、今後も議論をやりにくくしているものじゃないかなというふうな思いがいたします。 いずれにしても、今大小会社区分とかあるいは社債とか有限会社法について申し上げたわけですけれども、そうなると、基本的に部分的なつまみ食いみたいな改正というのは、本当はこういう商法というような基本法の場合にいいことじゃないのじゃないか、こういうふうに思っていますけれども、改めて、何でこの部分的な改正をやるのだということについて、場当たり的なと私が言うと言葉は悪いかもしれませんけれども、まさに場当たり的なこんなことをやるのだという点について、もう一度お答えをいただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 法律を改正する場合に大小会社区分というような観点から、会社の設立、あるいは取締役会、株主総会、あるいは会社の計算、あるいは組織変更等会社法のもろもろの面についてそういうような手当てをするということができれば、私ども非常に望ましい姿だというふうに思います。 しかしながら、それぞれの問題、一見小さいようでございますけれども、一つ一つ取り上げてみますといろいろな議論が実はあるわけでございまして、設立の問題という形で問題を取り上げて分類いたしますと、発起人の数の問題とか、あるいは検査役の検査の問題等々それぞれについて問題がないわけではございません。そういういろいろな問題の中で一応意見の一致したものを取り上げましたために、取り上げたもの自体を見ますと余りつながりがないような印象を持たれる。それがいかにも委員おっしゃるように場当たりというような印象を与えておるのかなという感じも私どもいたしておるわけでございます。さらに今回、その最低資本金のほかに、登記所における計算書類の公開という一つの大きな柱があったわけでございますが、これが盛られていないということもあるいはそういう印象を非常に深くしておられる原因かなというふうに私ども考えるわけでございます。 そういう意味で、いろいろな分野から少しずつ法律改正をしておりますので、そういう印象を与えておるということは否定しがたい面が確かにあると思いますけれども、しかし、それぞれをとってみますとそれなりの意味がある、現在のもとにおいて会社実務家が至急に改正してほしいと求めている点を取り上げておるということは御理解いただきたいと思うわけでございます。
○中村(巖)委員 その他の問題の中で一番重要なのは、計算書類あるいは計算書類の公開という問題だろうと思うわけでございまして、企業の社会的責任ということを考えていく場合に、企業がその実態というものを社会に対して公開をしていないということはやはり何といっても一番困ることであって、企業の社会的責任というものにもとるものだというふうに思うわけです。企業が企業として存立をし、法によって規制をされていながらその法のもとで運営をしていくというためには、やはりそこにまず真実な計算書類がつくられなければならないのではないか。いいかげんな、でたらめな計算書類をつくってそれを社会に公開したり、あるいは取引の相手方に立つ人間に公開したり、あるいはまた従業員の団体に公開する、そういうことではこれはいたし方ないわけで、やはりその辺の真実性を担保する措置というものを何らか商法は講じておかなければならないのではないか。そういう点についてとりあえずどういうふうなお考えであるか、承りたいと思います。
○清水(湛)政府委員 企業のいわば計算関係と申しますか企業の財務内容というものが開示されるということは、これは非常に重要なことだというふうに私ども考えております。現実に、例えばいわゆる大企業につきましては、商法の規定のほかに証券取引法の規制がございますので、その方から厳しい財務内容の開示が求められておるという結果になっております。商法でも、公認会計士監査あるいは監査法人監査というような制度が強制されておるということになるわけでございます。また、例えば日本の会社のそういうような開示のあり方について、大企業につきましてもなおまだ甘い、もっと厳しい開示を求めるべきだというような国際的な声もあるように私ども承知しているわけでございます。そういうような問題とともに、例えば中小会社の開示の問題があわせてあるわけでございまして、そういう開示がやはり必要である、そのために登記所公開というような制度の導入が図られたわけでございますが、これは今回見送られておるという結果になっております。 そういう開示とあわせて、やはり真実の計算書類の作成がされるということはこれは非常に大事なことでございまして、実は開示するということ自体が真実性担保の一つの裏づけにもなり得るということを私ども考えておるわけでございます。もちろん虚偽の計算書類を作成したというような場合には、それによって第三者に損害を与えますと損害賠償責任の問題が生じましょうし、あるいは現行法でも過料の制裁があるというような罰則はあるわけでございますけれども、そういうような現行法の制度にさらに加えて、その計算書類の真実性担保ということのためにいろいろな工夫を重ねていかなければならないというふうに思っているところであります。
○中村(巖)委員 立法論としては、開示ということは第二段の問題として、第一段に真実性を担保するために、単に過料というのではなくて、そういう虚偽のものを公表した者について何らかの刑事罰を考えるとか、あるいはまた、確かにその虚偽の計算書類のために損害を受けたということになれば今の不法行為も成立するかもしれませんけ れども、それはそれとして、因果関係の問題とかあるわけですから、やはり何らかのそれ自体に対する会社法上の制裁というか、そういうようなものを構想する必要があるのじゃないか、こういうことを考えますけれども、その点についてはどうですか。
○清水(湛)政府委員 計算書類はいわば物的会社における生命線でございますので、その真実性を担保するということは非常に重要なことだというふうに私ども認識しております。その方法として、現行法に加えてさらに民事責任を強化するか、あるいは必要に応じて刑事責任を科すというような御議論もこれは大変傾聴に値する意見だというふうに私ども思っているわけでございます。どういう要件のもとで、どういう場合に科すことにするのかというようなことについては、これから十分研究、検討させていただきたいと思いますが、貴重な御意見として受けとめさせていただきたいと思っております。
○中村(巖)委員 それから公開の問題については、公開のやり方というのはいろいろなやり方があるんだろうと思いますけれども、とりあえず法制審議会では、登記所でそれを公開をするんだ、しかもそれを二段階というか、いわゆる計算書類を出させるのと、計算書類のうちの貸借対照表だけを公示をさせる、こういうふうにしておった。それが今回は立法上取り入れられてない。前の委員会からるる御説明になっているような事情でそうなって、時期尚早というか、そういうことであるということでありますけれども、それを取っ払ってしまったということについて、例えばこれこれ以上の資本金額の会社はこうしなさいというその金額の引き上げとか、そういう形での措置というものはとれなかったのか。その点はいかがですか。
○清水(湛)政府委員 法制審議会の答申では、資本金三千万円以上、負債総額五億円以上の会社に登記所提出義務を課すということになっていたわけでございます。法制審議会の答申がされた後のいろいろな意見調整の過程の中では、例えば資本金一億円以上の会社についてこういうような計算書類提出を義務づけるというようなことにしたらどうかというような御意見も実はなかったわけではございません。しかし、一億円以上ということになりますと、株式会社の数、約二万八千社ということで急激に減ってしまう。三千万円以上ということになりますと約二十万社、つまり三千万円以上と負債総額五億円以上という基準でまいりますと、約二十万社ぐらいになるわけでございます。ところが、一億円ですと二万八千社ですから、多くの会社、この中のほとんど圧倒的多数の会社は現在でも新聞あるいは官報に決算公告をしている会社であるということになってくるわけでございまして、この際登記所公開という制度を導入するという意味がかなり薄れてしまうというような問題もありまして、この一億円で導入するのはちょっといかがかなということ、もちろん一億円導入には反対という団体もございまして、そう簡単に一億円導入が決まるという話ではございません。いろいろな問題を検討しましたけれども、問題があるということでそういう案は見送った、こういう結果になっているわけでございます。
○中村(巖)委員 時間がなくなりましたので終わりにしますけれども、やはり最低資本金制度だって株式会社一千万、有限会社三百万、こういう線で妥協したわけですから、そういうような妥協をするというか、そういう手段もあり得てよかったのではないかなという、そんな感じがしているところでございます。 終わります。
○小澤委員長 御苦労さまでした。 木島日出夫君。
○木島委員 私は、きょうは戦後の商法改正の歴史の中で、今回の最低資本金の導入を柱とする商法改正がどういう位置づけになるかについてお尋ねをしたいと思うのです。 私の認識では、直接的には昭和五十七年に大小会社区分の立法について検討が始まったと思いますが、その源流は、昭和四十九年の戦後第一次の商法大改正があったときに、参議院で附帯決議がつけられたことに発するのではないかと考えています。その附帯決議を見ますと、昭和四十九年二月二十一日、参議院ですが、「現下の株式会社の実態にかんがみ、小規模の株式会社については、別個の制度を新設してその業務運営の簡素合理化を図り、大規模の株式会社については、その業務運営を厳正公正ならしめ、」云々、ここに出発点があるんじゃないかと考えているわけです。 法務省にお尋ねしますが、それでは昭和四十九年の商法大改正の目的と背景とを簡潔に教えてください。
○清水(湛)政府委員 その前に、昭和四十九年改正の当衆議院法務委員会における附帯決議におきましても、会社の社会的責任、大小会社の区別等について所要の改正を行うこと、という表現がございますので、衆議院におきましてもそういうような問題提起がされたということを申し上げておきたいと思います。 四十九年改正というのは、御承知のように、簡単に申しますと監査制度の強化ということでございます。このときに初めて、いわゆる大会社につきまして監査法人による監査、公認会計士による監査、いわゆる外部監査の制度が導入されたわけでございます。その前にいろいろ大規模な会社が倒産する等の社会的現象がございまして、そのときに公認会計士の不正とか監査の不正ということが大きな社会問題になりました。 そういう社会問題を背景に、監査制度の充実強化、外部監査の導入、これが端的に申しますと一番大きな柱であったということが言えようかと思います。
○木島委員 そのとおりだと思うのです。なぜそういう大会社の監査制度を強化することになったかといいますと、恐らくその直前に山陽特殊鋼などの大会社の倒産があって、下請中小企業、労働者等、債権者に大きな被害を与えたということの反省から大会社の監査を強化しようということだろうと思うのです。 続いて昭和五十六年に、会社法改正に関する問題点として七項目についての問題点が指摘されたと聞いているのですが、項目だけ挙げてください。
○清水(湛)政府委員 お答えいたします。 おっしゃる点は、四十九年のこの改正に際する附帯決議を受けまして、法務省民事局参事官室で七項目の問題点整理をいたしました。それを社会に公表したということでございます。 その中身は、今ちょっと手元にございませんが、企業の社会的責任の問題だとか、あるいは取締役会制度の問題、株主総会制度の形骸化防止の問題、それから最低資本金制度の問題、大小会社区分の問題、会社の合併等の問題、連結決算等の問題等々であったというふうに記憶いたしております。
○木島委員 時間がありませんからはしょりますが、その七項目の問題点を受けて昭和五十六年に戦後第二次の商法大改正があったと私は理解しております。その大改正は、七項目の問題点のうち四つだけが取り上げられた、そして三つが脱落していた。第一にあった企業の社会的責任、そして第六というところにあった企業結合・合併・分割についてと、第七のところにあった最低資本金制度及び大小会社の区分、この三つが残ったと私、認識しておりますし、学者はおおむねそう答えているわけなんですが、そのうち第六の企業結合・合併・分割について、また第一の企業の社会的責任、これらはいずれも日本の大企業の社会的責任について規制しようという方向だったはずであります。 ところが、その後、昭和五十六年法改正があった翌年、昭和五十七年に大小会社区分立法についての検討が始まったら、その第一と第六の大企業に対して社会的責任をきちっととらせるために規制を強化しようという方向が完全に脱落をしていって、そして第七の最低資本金制度及び大小会社の区分のうちそれだけが取り上げられ、しかも大 小会社の区分ではなくて小会社の排除といいますか追放といいますか、それを目的とする最低資本金制度の導入という方向だけがひとり歩きして今日に至ってしまったんじゃないかというふうに理解しているのですが、いかがでしょう。簡潔に答えていただきたい。
○清水(湛)政府委員 今回の改正は、五十九年に発表いたしました大小会社区分の問題点のうち、関係者の合意に達した幾つかのその一部についての法律の改正をお願いするものでございまして、大小会社区分自体の問題は、今後継続して検討さるべき問題ということになっているわけでございます。 それから、合併・分割の問題は、これはまだ法制審議会として具体的に検討に着手する状況には立ち至っておりませんが、これは引き続き検討することに予定されております。 それから、その企業の社会的責任の問題については、社会的責任というのはそもそも何であるかというような議論があるわけでございまして、会社法の規制を誠実、忠実に守ることが社会的責任を果たすのだというような考え方、あるいは企業行動の問題として、これは会社法の枠外の問題であるというようなとらえ方、いろんな問題があるわけでございまして、社会的責任というようなことについてこれを完全に放棄したというようなことは、私ども考えているわけではございません。
○木島委員 実は、昭和五十六年に七項目のうち四項目だけが取り上げられて、戦後第二の商法大改正があったのですが、なぜそこまで行き着いたかといいますと、昭和五十一年にロッキード事件が発覚した。五十四年にグラマン事件が発覚した。いずれも日本の大企業の大変不明朗な経理のやり方、不公正、不明朗な金の使い方、それが社会的指弾を浴びまして、そういう社会的背景、批判の声を受ける形で昭和五十六年に商法第二の改正があったんじゃないかというふうに思いますが、昭和五十六年の商法大改正、第二次大改正の社会的背景について、法務省はどう認識しておりますか。
○清水(湛)政府委員 五十六年改正は、四十九年改正の際の附帯決議を受けまして、株主提案権あるいは総会の議決権行使、収賄等について罰則を設ける等の株主総会制度の大改善が行われました。それから株式制度、これは御承知のように、このとき一株の株金額が五十円でございましたが、これが五万円に改められた。こういう株式制度の改善ということ。あるいは単位株制度の導入というように、主として大会社を中心とする株主総会、取締役、監査役あるいは株式制度というものの改善を図ったわけでございます。これは四十九年の国会における附帯決議の趣旨に沿った改正でございまして、たまたまそのときにロッキードあるいはグラマン事件というものが起こったということはあるかもしれませんけれども、それが直接の背景になっているものではないと私どもは理解いたしております。
○木島委員 そうじゃないと私は認識しております。 第一に指摘されていた大企業の社会的責任、第六に指摘された企業結合・合併・分割、これはいずれも大企業の不当なやり方を法的に規制しようという観念であろうと思うわけです。それで、昭和五十六年に辛うじて一部法改正が成ったわけですが、第一と第六が残ってしまった。しかし、相変わらずその後リクルート事件が起きたり、大企業の土地投機や世界経済の攪乱その他、今大企業の横暴なやり方の原因となっておる会社の経理の不明朗さ、それこそが商法改正の眼目でなければならないのではないか。今回、そういう大企業の横暴を規制する商法改正を求める国民の声に全くこたえずに方向が曲がっていった、中小零細企業だけを規制する最低資本金制度の導入にまで行き着いてしまったということを私は大変遺憾と考えておるところでありますが、時間がありませんからこのぐらいにいたします。 昭和六十年に中小企業庁の委嘱を受けて、財団法人産業研究所に会社法改正問題研究委員会が設置されて、そこで最低資本金制度導入が中小企業にどのような深刻な影響を与えるかについて非常に立ち入った、実態に基づく報告がなされております。その中小企業庁の委嘱を受けてつくられた委員会の名簿は、十三人ですが、大学の教授、弁護士、税理士、公認会計士が一人ずつ入っています。それだけじゃありません。中小企業金融公庫業務部次長、日本商工会議所産業部長、全国商工会連合会総務部長、三菱電機株式会社法務部次長、国金の業務第一部次長、商工組合中央金庫総務部副部長、全国中小企業団体中央会企画調査部長と、日本の中小企業の問題を一番よく知っている、権威ある委員会がつくられて、翌昭和六十一年に報告書が発表されているわけなんですが、そういう報告書があるというのは法務省は御存じですか。
○大谷説明員 承知いたしております。
○木島委員 私、手元に今持ってきておるわけですが、最低資本金制度が導入された結果どういう影響を中小企業に与えるかについて非常に詳しく分析がなされております。観念的な法の解釈ではなくて、現実に中小企業にどういう影響を与えるかが分析されております。そしてそれだけじゃなくて、その当時は株式会社は二千万、有限会社は五百万という数字が出ていた時期でありますが、いろいろ分析した上に、組織変更を強制してまで導入する意味があるかという問いに対して、この報告書は、「むしろ組織変更を余儀なくされる中小の株式会社や有限会社に対して、前述のような組織変更に伴う諸費用の支出を強い、加えて組織変更に伴う種々の信用上の不安をもたらす恐れが強い。」「このように最低資本金制度の採用は、経済の発展や中小会社の活性化に深刻な状況をもたらし、むしろ失われるものの方が多いと考えられる。」と結論づけております。 また、これを解説した中央大学教授の木内先生の昭和六十一年七月十五日の商事法務千八十三号の論述によりますと、こう言っています。最低資本金制度として「株式会社について二、〇〇〇万円、有限会社について五〇〇万円が提案されている。そのような額がもはや債権者保護にとって積極的な役割を演じえないのは明らかである」「われわれの調査によれば、中小会社のその程度の資本金規模と倒産の相関関係はほとんど認められない」。二千万と五百万ですら債権者保護にとって役割は演じ得ないのは明らかだと言っているわけです。今回一千万と三百万ですから、この最低資本金を導入したからといって債権者保護に全く役に立たないというのは余りにも明白で、こういう構威ある委員会で研究された結果、結論づけているわけであります。そして「大きな資本は有していないが、債権者には迷惑を少しもかけていないというものに対して、小さいから株式会社や有限会社の制度を利用してはいけないといってよいのか、というのが報告書に示された基本的な疑問である。」資本は小さいけれどもしっかり頑張って迷惑をかけずにやっている株式会社や有限会社はこういう制度を利用してはいかぬのか、そうじゃないんじゃないかというのが、こういうそうそうたるメンバーが入って調査を踏まえた上の最終結論だと私はこの報告書を読んでいるわけであります。 そこで、法務大臣に聞くのですが、ここまで中小業者の権威ある団体の幹部や各界の有識者が集まって危惧をされている最低資本金導入について、しかも債権者保護には全く意味がないとまで断じられている今回の商法改正で最低資本金制度を導入する意味があるのか、お答えいただきたい。
○長谷川国務大臣 委員いろいろ御意見を申されましたが、そうだからといって今までのまま、このまま何も改正しないでおくということは、それこそまた中小企業にとっていろいろな意味で大変なんでございまして、私が何回も申し上げているとおり今回のは完全無欠のものではないが、しかし変えなければいけない。このままでは中小企業、零細企業の権威もなくなるし、また価値もなくなるということで、このままでいいということは言えないのです。だから、これで一応出してい ただいて、そしてまた時間をかけていろいろ直すべき点があれば十分に直します。また、十分に検討もいたします、研究もいたしますということです。 何しろ、中小企業、零細企業は百五十万社もあって、人口にしたら恐らく何百万、何千万あるかわからない。そこにいるじいちゃん、ばあちゃん、かあちゃんまで入れたら、恐らく三千万くらいになると思うのです。だから、それらの人があれするには今のままの商法でいいということは言えるわけがないのでございまして、次善の策である。また、やっている間にいろいろ御研究いただいて改良していくということでなければ、今回のものは私は意味がない、それこそ意味がない。そういうことで御了承いただきたいと思います。
○木島委員 いや、この報告書はそうは言っていないのです。最低資本金制度の導入は完璧ではないけれども一歩前進だなどと、そんなことは全然評価してないのです。むしろ失われるものの方が多いということを言っているのです。マイナスだということで、中小企業庁からの委嘱を受けて研究を深めて、その結論としてこういう文章にまとまっているのですが、法務省はこういう報告書をどのように尊重したのか、最後に答弁願います。
○清水(湛)政府委員 私どもは、各界の最高権威を集めた法制審議会で長期間にわたって審議された結論でございますので、これに最高の権威を認めておるということでございます。
○木島委員 終わります。
○小澤委員長 御苦労さまでした。 中野寛成君。
○中野委員 今回は見送られているわけでありますが、最初法制審議会の改正要綱にありましたものの中で、計算書類の登記所における公開制度というのがあったわけであります。これが今回見送られたものですから、中小零細企業の皆さんは一応ほっとしているというところがあるわけでありますが、会社の社会的責任を果たすという意味では、これもまた一つの大きな手段であることも否めない事実であります。しかし、そういう中で導入をされますと、小規模な会社にとっては、経営状態がよければ商品の代金を値切られるという心配がある。親会社から下請会社がいじめられるとか、元請から下請が値切られる、そういうことを実際に心配しておられる方々がたくさんあるわけであります。 これらのまさに具体的な問題というのは、例えば今回最低資本金制度の導入に当たって増資をする場合の税制上の措置を大蔵省に要望する発言を私どもはたびたびしておるわけでありますが、同じように大蔵省、そしてまた通産省や、その中の中小企業庁等々、いろいろな段階における研究と配慮がどうしても必要になるであろう、こう思うわけであります。これらのことについて法務省としてどうお考えか、お聞きします。
○清水(湛)政府委員 計算書類の登記所公開の問題につきましては、御指摘のように中小企業団体あるいは中小企業関係者からいろいろな御意見がございました。今回見送りになりましたけれども、この計算書類の公開制度は、法制審議会の答申においても、資本金三千万円以上、負債総額が五億円以上の会社についてする、つまり一般的にかなり広い取引範囲を有する株式会社についてするということになっているわけで、答申自体でもその辺はかなり中小企業の実態というものに配慮しているというふうに私どもは考えているわけでございます。 しかしながら、これを実行していただくのはやはりこういう会社でございますので、こういう会社関係者の理解を得ませんとせっかく制度をつくってもうまくいかないということでございますので、今後理解を深めるための努力をいたしまして、いずれできるだけ早い時期に制度化いたしたいというふうに考えております。
○中野委員 例えば下請代金支払遅延等防止法などというものをつくりまして、下請業界をいかにして守るかという配慮をしてきているわけですね。それと同じような発想での対策というものも、あわせて将来これをやりますときに必要なのではないかという感じも私ども持つわけでありますね。それらのことについてはいかがでしょうか。
○清水(湛)政府委員 下請代金支払遅延等防止法みたいな制度をあわせて導入することはいかがかという御提案でございます。私ども不勉強で、そちらの面について明るくはございませんけれども、この制度をスムーズに導入するについて何かいい考えでもあるということでありますならば、関係省庁ともよく御相談し、御意見を伺って検討してまいりたいというふうに考えております。
○中野委員 次に、その計算書類の内容の適正を担保する有力な手段として、外部監査が考えられているわけであります。昭和六十一年五月に法務省民事局参事官室名で出された「商法・有限会社法改正試案」、これにおきましては、大規模会社に対する公認会計士による監査に加えて、中規模会社に対する調査という制度の導入が提起されていたわけであります。調査の担い手としては、公認会計士、税理士というふうに考えられていたわけであります。先般も参考人にお越しをいただいて、いろいろ御意見を聴取したわけでありますけれども、外部監査の対象会社の範囲を拡大するためにはその担い手の増加が前提となろうと思うわけであります。そういたしますと、公認会計士や税理士の資格の調整という問題もあろうかと思います。この外部監査の拡大と担い手の拡充について、法務当局はいかがお考えでしょうか。
○清水(湛)政府委員 税理士、公認会計士とも、これは大蔵省のいわば監督と申していいのか、大蔵省の管轄下にある専門職能集団でございます。そういう方々に商法の監査をお願いする、公認会計士は現在会計監査人としてこの監査をお願いしているわけでございます。法務省が試案で提示いたしました中小会社について会計調査というようなことを仮に導入するということになりますと、相当数の専門調査人というのがやはり必要になってまいります。公認会計士は約一万人しかおりませんので、例えば調査対象会社を三千万、五億以上というようなことにいたしますと二十万社がこの会計調査の対象になるわけでございまして、公認会計士一万人ではとても足りない。税理士は五万人ということになりますと、税理士を活用するということが一つのアイデアとして出てくるわけでございますけれども、税理士さんは税務の専門家ではありますけれども監査の専門家ではないというような問題もあるわけでございます。したがいまして、こういうことが会計調査制度の導入の一つのネックになったわけでございますけれども、今後これをどうするか。会計調査制度をどういう形で導入するかというような議論の過程で大蔵省にもよく相談いたしまして、こういう制度をうまく活用することができるかどうか、研究、検討する必要があるのではないかというふうに考えております。
○中野委員 監査と調査は違うわけでありますし、まして税理士をその監査の担い手とするということになりますと、その職域は広がりましても今度は逆に責任といいますか、これはまた一方で重くのしかかってくるわけであります。これらにつきましては、よほど関係者の皆さんの検討、協力、理解というふうなものが必要であろうと思うのでありまして、それらのことについても御配意をいただいて、関係省庁との連携のもとに十分、今日に至るまでその関係者の皆様方は随分と御心配をされてきたわけであります。今回は見送られてほっとしている、そういう状況の中で、引き続いてこういう問題をやろう、次の段階は恐らくこれだろうと言われているわけでありますから、そういう中で法務当局が真剣な御努力をいただかなければならぬだろうというふうに思うわけでありまして、そのお気持ちはお持ちでございましょうか。
○清水(湛)政府委員 法務省が試案で示しましたいわゆる会計調査人制度につきましては、いろいろな問題があるということを私ども十分認識しているわけでございまして、関係団体の御意見も十 分に伺いながら慎重に対応してまいりたいというふうに考えております。
○中野委員 例えば現物出資の場合の証明のことなんかもございましたが、弁護士を中心にして、そのフォローする機関としての不動産鑑定士もありましたね。そうすると、不動産鑑定士だけではなくて、実際は司法書士の方が詳しいのだという御意見が一方でありますね。この商法改正を取り巻く関係者というのはこういうふうに随分広範多岐にわたると思うのです。あらゆる機構、制度等を動員すると同時に、万事そごがないようにという配慮がきめ細かくなされなければ、商法改正というのは逆に日本の経済を活性化させることを妨害したり、弊害が生まれてくるということが心配されるわけでありますから、そこには当然しっかりした理念のもとに十分な配慮がなされるということが大切であろうと思いますから、そういうことを含めて御要望申し上げておきたいと思います。 なお、政治経済の国際化、これに対応することが今まさに我々の大きな課題になっているわけであります。まして経済大国と称される我が日本国は世界じゅうからますます注目されております。その日本の経済を担い、支えてきた会社のあり方について諸外国から注目をされていることもまた事実だと思うのであります。そういう意味では、諸外国から閉鎖的だと言われることのないような会社法制度を整備していくことは、いろいろ心配をされるところがあるわけでありますし、先ほど来申し上げておりますように問題点があるわけでありますが、しかし時代の流れの中でこれは取り組まざるを得ないという時代を迎えていると思うのでございまして、これらのことにつきましての法務当局の認識をお伺いします。 〔委員長退席、逢沢委員長代理着席〕
○清水(湛)政府委員 大会社については、委員御承知のとおり商法とか証券取引法におきまして計算の開示というのが相当強く要請されております。しかしながら、こういう大会社についてすら、企業取引の国際化の進展ということに伴いまして現在なおその充実強化というものが要請されているというふうに私ども認識いたしております。それとともに、我が国の多数を占めるいわゆる中小の株式会社につきましても、このまま計算書類等を開示しないというようなことでいつまでおられるのかという大きな問題があるわけでございまして、そういうような国際化の情勢というものを踏まえまして私どもやはり真剣に対応していく必要があるのではないか。今回の登記所における計算書類の公開というような制度も、ヨーロッパ諸国の制度あるいはEC会社法の中で提案されている制度等を参考にしたものでございますけれども、やはりできるだけ早い時期に円滑に、スムーズにこういう制度が導入されるように努力をしていく必要があるというふうに思っておるところでございます。
○中野委員 最後に、法務大臣にお伺いいたしたいと思います。 ただいまいろいろと申し上げてまいりましたけれども、やはり国際化の流れの中で、しかも会社の社会的責任が大きい、その責任がしっかりと果たせるように、あわせて日本の経済構造の明朗化と活性化をいかに図っていくか。そして、その中で中小零細企業の皆さんが自由競争社会の中でそれにたえ得る十分な力をどうつけていくか。この商法の問題は、ある意味では日本の経済構造全般に絡む大変大きくて複雑な問題を抱えている、こう思うわけであります。単に大所高所に立っての判断だけではなくて、言うならばそのことによって事務負担がふえたり、責任がふえたり、時には計算が公開されることによっていろいろな不安が高ずる、弊害が生ずるというふうなことがあっても、それを最小限度に食いとめる、もしくは、そのことが結果としてみずからを守ることにもつながるというふうな配慮と方策というのが大変必要であろうというふうに思うわけでありまして、私どもとしても、今回の商法改正というのが、ある意味ではそういう大きな意味での改正の、言うならば取っかかりという位置づけにあるのであろうと思います。しかし、私ども考えますと、何かこういう言い方は大変失礼で恐縮でありますが、毒にも薬にもならぬというふうな気持ちさえ持ちかねないような内容というふうにも思うのでありまして、そういう意味では、しっかりとした商法改正のあり方、そして会社のあり方、日本経済の現在の実態、それにふさわしい理念を立て、法務省がよほどのコンセンサスを得るためのリーダーシップを発揮しなければならぬであろう、こう思うわけでありまして、今回の改正を初めといたしまして、今後の商法改正、会社法の充実等に臨む大臣の御認識をお聞かせいただきたいと思います。 〔逢沢委員長代理退席、委員長着席〕
○長谷川国務大臣 いろいろ委員から御意見を承りましたが、今、日本の国の中で難しい問題がたくさんございます。農業問題も難しいし、それにまさるとも劣らず難しい問題は中小零細企業だと思うのです。私の計算が間違っているかいないかわかりませんが、中小企業で飯を食っている人口が、家族まで入れたら恐らく二千万以上になるかもわからない、恐らく超えているかもわからない。それらの人がこれからいろいろなことでうまくいくか、あるいは下降へ入るか、あるいは下がっていくかということについていろいろ対策をやらなければならぬのでありますが、そういう点の中野先生の御指摘は、全くそのとおりだと思います。これは非常に憂慮すべき事態にある。だから、今のこの御提案申し上げたことが、これがもう完璧なものだとは私どもも思ってないのです。思っておりませんが、今のままで、このままで何もしなかったら、中小企業はどこへどうなっていくか、どうなるか、行き先もわからないというふうな心配もある。そういう面で改正の発端を、端緒をお願い申し上げたという点も御指摘のとおりだと思います。だから、これから税制面あるいはその運用面あるいは経営面あるいはその他、御指摘いただいた万般のものについて、真剣な対応を法務省あるいは関係省庁とも連絡をしながら進めて、少なくとも国民の中の三分の一かあるいは四分の一の皆さんが中小零細企業で生活をしているのでありますから、それがうまくいくような方法というものはどんな苦労をしても考えなければいけない。 私も、先ほども申し上げましたが、自分で今でも中小零細企業の経営者の一人であります。そういう中小零細企業の苦しみというかそういう点については十二分に承知をいたしておりますので、真剣にひとつ勉強さしていただいて、対応いたしたいというふうに考えております。 以上であります。
○中野委員 終わります。
○小澤委員長 御苦労さまでした。 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。 ─────────────
○小澤委員長 これより両案を一括して討論に付します。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。古屋圭司君。
○古屋委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、本案に対し、賛成の討論をさせていただきたいと思います。 商法の全面改正は、昭和四十九年改正の附帯決議を受けてその作業を開始したわけでございます。五十六年の改正を終えまして、五十七年以来本改正に取り組みまして、法制審においては、学者を初め関係各方面の英知を集めまして、八年にわたる歳月をかけて審議をいたしまして、その結果、本年三月答申を行ったものであるわけでございます。 近時、経済社会の国際化が大変急速な勢いで進展する中にありまして、我が国の株式及び有限会社の大多数を占める中小会社に対する商法等の規制は、半ば形骸化をいたしておるということが指摘できると思います。 本案は、これらの状況にかんがみまして、中小 会社にも適合する法制度を整備し、また、会社債権者の保護のための措置を講ずるほか、会社の資金調達の方法を合理化しようとするものであります。 まず、改正の第一点は、中小会社にも適合する法制度の整備として、株式及び有限会社ともに一人会社の設立を認めるとしたほか、現行法の規制が非常に厳し過ぎるということもありまして、利用の少ない現物出資の制度を大幅に合理化する、そしてまた、検査役の調査を省略することなどであります。 これらの改正によりまして、会社設立は簡素化され、現物出資の制度も実効性のあるものとなりますし、より経済社会の実情に沿い、その発展に寄与するものと期待をしているものであります。 次に、債権者保護のため、最低資本金制度を導入したことであります。 この制度の導入は、小規模会社にとりましては、事実として少なからぬ負担を強いることとなるということは否定できないと思います。しかしながら、有限責任会社である以上、最低資本金制度の導入というものは、こういった観点からは避けて通ることのできない、やむを得ない措置ではないか、このように考えます。 しかしながら、今回、本制度を導入するに当たりまして、既存会社に対して五年の猶予期間を設けること、また最低資本金を満たすための種々の配慮を行うことを規定しております。さらに、附帯決議をもって税制上の所要の措置を講じようとしていること、このようなことは、小規模会社の立場に立ちながら、一方では、債権者の保護を図り、国際的にも通用し得る制度を設けよう、こういうものであります。 さらに、会社資金調達の方法として、配当優先株式について機動的な発行ができるようにするほか、増資を容易にするため端株券を発行しないことができることとし、また社債の発行限度枠の拡大を図るなど、経済社会の厳しい変化に対応し得る、いわば生きた商法に改めようとするものであります。 今日の経済社会に適正迅速に対応する商法とするには、今回の改正をもってしてもまだ不十分と言わなければならないと思いますが、いわば本案はその第一歩として評価し得るものである、このように考えております。 今後の社会経済情勢の変化をよく見きわめながら、より実情に即した改正が行われますことを期待して、私の賛成の討論とさせていただきたいと思います。 ありがとうございました。(拍手)
○小澤委員長 小澤克介君。
○小澤(克)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、商法等の一部を改正する法律案並びに同法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について、反対の立場からの討論を行うものであります。 今次商法改正案については、我が国に多数存在する小規模会社の実情に照らして、会社に対する各種の規制を緩和し、あるいは手続等を整備改善し、また会社の資金調達の方法を合理化するなど、評価すべき面も少なくないと思われます。 しかし、その一方で、株式会社及び有限会社について最低資本金制度を導入することについては、重大な問題を含むものであります。 最低資本金制について、法案提出者である政府は、これが会社債権者の保護を図るものであると説明しております。しかし、実際に債権者の保護に資するのかどうかについては十分な検討を要するものであります。資本金は会社の物的基礎の基準となる額ですから、これに一定程度以上の大きさを要求することは、有限責任制を原則とする会社制度において債権者の保護につながるとの論理は一見もっともらしく聞こえます。しかし、注意すべきは、資本とは一定の計算上の数額であって、その意味では形式的な存在にすぎず、現実に存在する会社資産とは別の概念であることです。確かに商法は、会社設立や増資に際して資本が現実に充実されるよう図っておりますし、その後においても違法配当の禁止や自己株式取得の制限などにより資本が維持されるようにも配慮しております。しかし、会社の事業活動の結果損失が生じ、会社純資産額が資本金額を割り込む事態の生ずることは避けられず、これに対して法はもはやいかんともなしがたいのであります。 ところで、会社債権者の保護が現実の問題となるのは、会社の経営状態の悪化により欠損を生じ、ついには債務超過に至る局面においてであります。そして、右局面においては、その会社の形式的な資本金額が幾らであるかは全く意味を持たないのであります。 このように具体的に検討いたしますと、最低資本金制度が債権者の保護に資するという説明は全く説得力に欠けるものと言わなければなりません。事実、本法案の提出者からは、資本金の多寡による企業倒産率の比較など、統計的、実証的な資料に基づいた説明はついになされず、かえって参考人からは、資本金一千万以下の会社がそれ以上の会社よりも倒産率が低いという統計的事実も指摘されているのであります。本法案の提出に至る過程において、最低資本金とすべき金額が浮動した事実も、この制度導入の必要性についての明確な論理と根拠に欠けたことを示すものと言わなければなりません。 最低資本金制度導入の真の目的は、いわゆる零細会社の乱設防止にあると言わなければなりません。本法案審議の過程でも、提出者側は少なくとも副次的にはそのような目的があることを認めざるを得なかったのであります。 ところで、事業を行う者が会社制度を利用する目的には多面的なものがあります。例えば、我が国における中小会社設立の一典型であるいわゆる法人成り、すなわち既存の個人企業が会社形態へと移行する場合を例にとるならば、会社制度を利用することによって、まず第一に企業会計と家計を分離し、企業会計を明確にすることができます。その結果、企業経営を合理化し、また、計画的な経営が可能にもなります。そのことからまた、企業の信用が増し、金融機関からの融資も受けやすくなり、有力相手方との取引なども可能になってくるのであり、さらに経営者の社会的ステータスも向上することになります。第二に、会社とすることにより、営業主が死亡した場合にも営業主体の継続性を維持することができます。第三に、率直に言って節税にもなります。 これらの利益は決して否定されるべきものではなく、零細企業者のみがこれら利益の享受から排除されなければならない理由はありません。なお、右のうち節税に関しては、給与生活者、いわゆるサラリーマン層との権衡も問題となりますが、この問題は、本来は給与所得課税について是正していくことにより解決すべきものであると考えます。中小企業者にとって有限責任制による利益は、実際には副次的なものにすぎません。なぜなら、これら企業の経営者は個人保証や担保提供により個人責任を負っているのが常態であるからであります。 このように、我が国中小企業の実態に即して検討するならば、いわゆる乱設防止論もまた説得力に欠けるのみならず、中小企業者への理解を欠く冷酷な論と言わなければなりません。 以上総じて、本法案における最低資本金制度は、その目的、効果が不明確であり、場合によっては有害ですらあります。他方、中小会社に負担を生ずることは確実であります。 一般に、新たな法規制を加える場合には、その規制を正当化するに足る具体的で明確な保護法益が存在することが必要であります。そうでなければ、意味もなく寝台の長さに合わせて人々の足を切ったり引き伸ばして殺してしまったギリシャ神話の登場人物であるプロクルステスの誤りを犯すことになりかねません。 最低資本金制度を現実に導入するとするならば、これに達するまで増資を余儀なくされる既存会社への配慮が重大な問題となります。提案者の説明によっても、株式会社で八十三万社、有限会社で六十万社強に上る既存の会社がこの最低資本 金に達していないということが言われているわけであります。増資それ自体、既に大きな負担であります。したがって、特に税制上の配慮は十分になされなければなりません。税制上直ちに問題となるのは、登記事項である資本金額の変更等に伴う登録免許税の減免措置であります。さらに重大なのは、内部留保の資本組み入れにおけるみなし配当課税の問題であります。後者については、今次改正案において株式配当の制度を廃止し、配当可能利益の資本組み入れと株式分割に明確に分離、整理するのでありますから、資本組み入れそれ自体に対してみなし配当課税をすることの当否が一般論としても大きな問題となりますが、それはさておいても、最低資本金額に達するまでの増資についてはみなし配当課税をするべきでないことは言うまでもありません。そのほか、現物出資における資産譲渡税も問題となります。 このように、税制度との関連は極めて重大であるにもかかわらず、本法案審議の過程において、これらの点に関して提出者は明確な答弁を回避するのに終始いたしました。すなわち、法務省の担当者は、大蔵省にお願いしておりますと言うのみで、一方大蔵省は、政府税制調査会等において検討していただきます等と言うのみなのであります。言うまでもなく、本法案は内閣提出の法案であり、したがって、法改正に伴い直ちに派生する事項については内閣自体として意思統一をしておくことは当然であるにもかかわらず、このような答弁に終始することはまことに無責任と言わなければなりません。これでは、立法府に籍を置く私どもとしても、国民に対して責任を持って本法案の当否について判断することすら困難だと言わなければならないのであります。 以上の理由により、本法案については冒頭に述べた評価すべき部分を考慮してもなお、残念ながら請求棄却の判決を書かざるを得ない、すなわち反対をせざるを得ないのであります。 さて、私たちも会社債権者の保護のための制度整備が必要であることは十分に認識しております。ところで、会社債権者の保護の最も直接的で具体的な手段は、会社の計算の外部監査もしくは調査などその適正を担保する制度とその内容の公開制度であります。これらにより、その会社の現時点における経理内容、資産状態等を会社と取引関係に立つ者が正確かつ容易に知り得ることこそが債権者の保護に資することは、さきに述べたことから既に明らかでありましょう。最低資本金制度が多少でも意味があるとすれば、それは債権者が会社の資産状況等について正確に知り得ることを前提に純資産額と資本金額とを対比、検討し得る場合でありましょう。 したがって、会社債権者を真に保護しようとするならば、外部監査、調査制度と計算公開制度こそを導入しなければならない道理となります。これらを欠いたまま最低資本金制度のみを導入することの不合理さは既に指摘したところでありますから、もはや繰り返しません。 ところで、これらの制度も、その一方で中小会社に各種の負担や不安をもたらすことも否めない事実であります。そこで、これら中小会社の立場との調和を図る一手法として次のような方法は検討に値すると思われます。すなわち、これらの制度を中小会社に直接強制するのではなく、これら制度の要請する事項を履践しない会社については、有限責任の原則を制約して取締役等に一定の責任を求めていく方法であります。このような方法は、実は判例法として積み上げられている法人格否認の法理とも相通ずるものがあります。けだし、法人格否認の法理は、法的人格の存在自体を否認するものではなく、会社の責任主体としての独立性を否認するにすぎないからであります。前述の方法は、どのような場合に責任主体としての独立性が否認されるかを法文上で明確にしていく手法とも言えましょう。もちろん、このような手法は、有限責任原則の根幹にもかかわる事柄だけに、十分な検討の必要があると思われます。 我が党は、今般商法改正案に対して対案を提出することができなかったことについての率直な反省を含めて、会社債権者の保護と中小会社の利益の調和点を求めて今後とも主体的な努力を重ねていくことを表明し、私の討論を終わります。(拍手)
○小澤委員長 平田米男君。
○平田(米)委員 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、賛成の討論を行います。 簡単に、簡潔に申し上げたいと思いますが、今回の商法等の改正は、十全なものと評価することは到底できないといたしましても、現実に対応した法の整備、会社債権者保護、会社の資金調達方法の合理化などの点で、現行法に比べ一歩前進であると認められるわけでございます。 主要な点を挙げますと、第一に、発起設立における払い込み等についての検査役の調査を不要といたし、また、少額な現物出資及び財産引き受けに関する検査役の調査も不要としたことは、制度として規定されながら発起設立や現物出資等が行われてこなかった原因を解消するもので、法を現実に即した生きたものにする点で評価できるものでございます。発起人の人数制限の廃止も、法と現実を一致させる点で評価できるものと考えるわけであります。また、不動産の現物出資について、検査役の調査にかえて弁護士の証明制度を設けたことは、弁護士費用の会社負担に関する制度の不備があるとはいえ、現物出資制度の利用と弁護士の社会的機能の拡大の点でなお評価できると考えます。 第二に、優先株式発行枠の拡大や社債の発行限度制限の一本化などは、会社の資金調達方法の合理化の観点からさらに評価できるものであります。 第三に、株式会社一千万円、有限会社三百万円の最低資本金制度につきましては、この制度の導入によって直ちに会社債権者の保護に寄与するものとは言えないにいたしましても、なお一歩前進と評価することができるわけでありますし、また、中小企業者の要望の線にも見合ったものであると判断をする次第であります。 以上の理由をもちまして、法案に賛成をするものであります。 以上であります。(拍手)
○小澤委員長 木島日出夫君。
○木島委員 私は、日本共産党を代表して、商法等の一部を改正する法律案並びに商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に対し、反対の討論を行います。 反対の第一の理由は、株式会社に対する一千万円の最低資本金制度の導入、有限会社に対する最低資本金の三百万円への引き上げであります。 日本経済の発展を下から支えてきたのが中小企業です。現存する百二十万の株式会社のうち、資本金一千万円未満の会社が六割以上の八十三万社であり、しかも、そのうちの六割以上が五百万円未満の小会社であります。結局これらの小会社は、新たに五百万円以上の資金を用意しなければならず、重い負担を強いられることになります。 日本では、事業家の法人成りが非常に旺盛です。国税庁の調査によると、最近十年間に約五十万社も法人が増加していますが、そのうち六四%、約三十二万社が、資本金一千万円以下の中小法人です。それは、税制、取引、融資、雇用などの面で、個人では法人に比べて極めて不利な扱いを受けるという現実があるからです。私が質疑の中で明らかにしたように、法務省がお手本としている西ドイツやフランスと比較してみても、日本の税制がいかに法人と比べ個人が不利に扱われているか一目瞭然であります。 法務省が、理由として挙げている債権者保護という点でも、最低資本金を一千万円にしたからといって、会社倒産時に一千万円が会社に保管されているわけではないのですから、全く根拠はありません。むしろ、中小零細企業の経営者は、銀行や大手取引先によって一族の資産はほとんど全部担保にとられているのが実態であり、有限責任の利益を盾にとって、労働債権や下請工賃債権や経済的に対等な力関係にある債権者を踏み倒して、みずからの利益のみを図る不心得者などは、例外 的な存在であり、そうした者に対する無限責任の追及は、最低資本金制度をつくらなくても可能であり、むしろ、つくったからといって、責任追及が可能になるわけでは全くありません。最低資本金制度の導入は、法的、経済的、社会的に無意味であり、まじめな中小零細企業家にとって有害無益であります。 反対の第二の理由は、今回の改正が中小企業者に大変な負担を強いる一方、大企業に対しては、配当優先株式の発行手続の合理化、無議決権株式の発行限度の緩和、端株券の不発行の容認、社債発行限度の緩和など、商法の基本原則をねじ曲げて、大企業に至れり尽くせりの便宜を図っていることであります。 このような不公正、不公平は、認めるわけにはいきません。 反対の第三の理由は、今回の会社法の改正の方向が、国民の求めているものとは全く違っているということであります。 戦後我が国では、一九七四年と八一年の二回にわたって商法の大改正が行われましたが、これらはいずれも、山陽特殊鋼の倒産やロッキード事件に見られるように、大企業の不正経理や不明朗な経理を正すことを目的とする大企業に対する監査の強化という方向でした。しかし、八一年改正は、大企業の社会的責任を追及する国民の願いに反して、極めて不徹底なものに終わり、我が党は反対の態度を表明したところであります。 こうした経過の中で法務省は、八二年から大小会社の区分立法について検討を始めたわけですが、疑獄事件、土地投機、世界経済の攪乱、環境破壊など大企業の社会的不法行為を一掃するための大企業に対する監査、公開の強化という方向が、いつの間にか中小企業の規制を目的とするものにすりかえられてしまったのです。 今やらなければならないことは、中小企業いじめではなく、リクルート事件に見られるように、相も変わらない大企業の不透明な金の動きを規制するために、大企業の会計監査の強化とその一層の公開であります。 最後に、附帯決議案についてでありますが、増資に関する税の優遇は、中小企業を救済するためであり、大いに賛成でありますが、それ以外はすべて中小企業を苦しめるものばかりであり、反対であります。 日本共産党は、国民の求める商法改正に背を向け、大企業にのみ便宜を図り、日本経済の底辺を支えている中小企業に重い負担を負わせる本改正案は断じて認められないことを表明して、私の反対討論を終わります。
○小澤委員長 中野寛成君。
○中野委員 私は、民社党を代表して、商法外一法案につきまして、賛成の立場から討論を申し上げます。 現在、日本の国際社会における地位は大変高いものがありますし、同時に、日本の経済構造、その一角を占める会社の構成要件等につきましては大変注目を集めているところであります。国際化の中にあって、日本の会社制度の明朗化及び充実は、時代の要請と言わざるを得ません。あわせまして、会社の持つ社会的信用を高めると同時に、第三者の保護等は今日の時代的要請であると言わなければならないであろうと思います。 しかし、その中で中小零細企業の皆さんへの配慮は当然欠かすことは許されません。最低資本金制度の導入による増資または組織変更等に基づきます税制上の配慮等々を加えまして、この制度が今後の日本経済の活性化そして明朗化に役に立つその端緒となりますことを私どもは願ってやまない次第であります。 そういう意味を込めまして、なおこの後提言されます附帯決議の内容等を一つの条件といたしまして、この二法案に我が党は賛成するものであります。 以上で終わります。
○小澤委員長 これにて討論は終局いたしました。 ─────────────
○小澤委員長 これより採決に入ります。 まず、商法等の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○小澤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 次に、商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○小澤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 ─────────────
○小澤委員長 次に、ただいま可決いたしました商法等の一部を改正する法律案に対し、逢沢一郎君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の四派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 まず、提出者から趣旨の説明を求めます。逢沢一郎君。
○逢沢委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。 本案の趣旨につきましては、既に当委員会の質疑の過程で明らかになっておりますので、この際、案文の朗読をもってその説明にかえさせていただきます。 案文を朗読いたします。 商法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 株式会社及び有限会社の大多数を占める小規模かつ閉鎖的な会社に対する商法等の規制が形がい化している現状等にかんがみ、政府は、実効性のある制度の確立を図るとともに、国際的にも調和のとれた制度とするため、これら小規模かつ閉鎖的な会社の実情に充分な配慮をしつつ、次の諸点について格段の努力をすべきである。 一 商法等の改正に伴う最低資本金制度の導入に際しては、会社が最低資本金を満たすために増資をする場合等について、所要の税制上の措置を講ずること。 二 会社の社会的信用を高めるとともに債権者の保護を図るため、計算書類の登記所における公開の制度について、速やかに立法上の措置を講ずること。 三 会計専門家による中小会社の計算の適正担保の制度について更に検討を進め、関係各界の理解を求めた上、速やかに立法上の措置を講ずること。 四 前二項の制度の導入に当たっては、対象会社の範囲について検討するほか、これら制度が要請する事項を満たさない会社については、有限責任の原則を制限することの是非についても検討すること。 五 会社の計算書類の信頼性を担保するため、取締役の責任の強化について検討すること。 六 有限会社の取締役及び監査役の任期制の導入その他有限会社法制の全体的見直しを図ること。 七 社債に関する法制度を抜本的に見直し、速やかに所要の改正措置を講ずること。 以上であります。 何とぞ本附帯決議案に御賛同くださるようお願い申し上げます。
○小澤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○小澤委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。 この際、長谷川法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。長谷川法務大臣。
○長谷川国務大臣 ただいま可決されました附帯決議案につきましては、その趣旨を尊重して善処いたしてまいりたいと思います。 どうもありがとうございました。 ─────────────
○小澤委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。 ───────────── 〔報告書は附録に掲載〕 ─────────────
○小澤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十八分散会