法務委員会 第8号
- 発言数
- 278 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1990/06/05
会議録
○小澤委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小澤克介君。
○小澤(克)委員 まず、法務大臣にお尋ねいたしますが、法を改正する場合の基本といいますか、これについてお伺いしたいのですけれども、私思うに、新たな法規制を加える場合にはその規制を加えることで何らかの権利事由が制約されるわけでございますので、その規制を正当化するに足るだけの具体的なそして明確な理由、根拠、こういった法益が守られるんだというような具体的な何らかの根拠が必要だろうと思うわけでございますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
○長谷川国務大臣 お答えを申し上げます。 今回の立法に当たりましては、法制審議会において慎重に審議をし、また広く関係各界から意見を聴取をしてその意向を酌んでおり、十分な根拠があるものと考えております。
○小澤(克)委員 今回のというよりも一般論としてお尋ねしているわけでございまして、大臣の率直なお考えを教えていただきたいと思います。 さらに、ついでにもう一つお尋ねいたしますが、理由、根拠がある場合でも規制によって何らか権利事由がこれまでよりも制約される、不利益を受ける者に対してはできるだけそれを軽減する政策的な配慮が必要ではなかろうか、かようにも思うわけですが、この二点、いかがでしょうか。
○長谷川国務大臣 現商法、何年ぐらい前だったかちょっと正確に記憶がありませんが、かなり古い状況でございまして、百万円も出すと株式会社が三つも四つもできるというような感じがしないわけでもありません。したがいまして、現実と若干遊離をしているような点も考えられますので、改正の時期としては時期が来ているのではないかというような感じもいたしておるわけであります。 なお、不利益がいかないような減税等につきましても今いろいろ検討いたしておりまして、努力いたしておりますので、若干成果が上がるようにいろいろ考慮をいたしておるところであります。 あと、詳細は民事局長の方から。
○小澤(克)委員 一般論としてお尋ねしたわけでございまして、一般論としての率直な大臣の御意見をお伺いしたかったのでございますが、時間の都合もございますので、これはまた随時お尋ねをすることにさせていただきたいと思います。 そこで、法務省にお尋ねするのですが、今回最低資本金制度というのが新たに導入されようとしているといいますか、この改正案の主要な内容の一つとなっているわけでございますが、そもそも資本金とは一体何なのか、まず教えていただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 お答え申し上げます。 資本金と申しますのは、一口に申しますと、総資産から総負債を控除した純資産についてその保有すべき最低限度の基準を示した指標であるというふうに一般的には定義されているわけでございます。要するに、株式会社とか有限会社の株主、社員は、会社の債務について会社債権者に対して弁済の責めを全く負わない、会社債権者にとりましてその債権の担保となりますのは、株主自身の財産ではなくて会社自体の財産である、こういうことになっているわけでございます。したがいまして、その会社債権者を保護し、会社の信用を維持するために、一定額の財産を会社に留保させることが必要であるということに当然なるわけでございますが、この留保させる資産のいわば最低基準を示したものが資本金である、こういうふうに申して差し支えないのではないかと思います。 そういう意味におきましては、資本金というのは計算上の数値であると申してもいいと思うのでございますけれども、要するに、会社事業遂行のためにいわば基金額として会社に常に留保されるべき財産の額を示す数額である。会社が実際に保有する財産とか資産、そういうものにはいろいろな形態があるわけでございますけれども、そういう財産を数額的に評価して最低限資本金に見合うものがなければならない、こういうのが資本金の会社法における機能だろうというふうに考えているわけでございます。 そういうことから、先生御承知のように、例えば資本金につきましては、その資本の額を確定、公示して登記をするということがまず第一に要請される。つまり、取引関係に立とうという第三者の方から見まして、この会社には最低限純資産として幾らの金額に相当する財産が保有されていることになるかということを対外的に明らかにするということが要請される。 さらにはまた、そういうような法律の要請を無視してその会社財産が食いつぶされるというようなことがあっては困りますので、資本充実の原則とかあるいは資本維持の原則と呼ばれておりますけれども、会社財産のみを担保とする会社債権者の立場から資本充実の原則とか資本維持の原則というようなことが言われております。これは、会社理事者や高率配当を望む現在の株主による不健全な経理処理に対抗して、継続的な企業としての健全性を確保するためにも必要であるし、会社債権者のためにも必要だというふうにこの原則は言われておるわけでございます。そういうようなことでございますので、資本充実・維持という面から商法はもろもろの規定を置いているわけでございます。 さらには、そういう資本金の機能というものから、勝手に資本金を変えるというようなこと、特にこれを減額するというようなことは厳しく法律でいろいろな制限を置いている、こういうようなことになっておるわけでございます。
○小澤(克)委員 資本金とは何ですかと聞いたのですから、定義づけだけ答えていただけばいいのです。聞かないこと、余計なことは言わないでください、そういうことは順々に聞くことにしているわけですから。 それで、今のお話、大変長かったのですが、要するに計算上の数額である、会社財産を確保するための基準たる一定の金額だ、これがお答えの実質部分だろうと思います。現象的には貸借対照表の負債の部に一項目挙げて記載される数額でございますし、今お話がありましたとおり登記等によって公示される、こういうことであろうと思います。肝心なのは、現実の存在である会社財産とは全く違う、ある意味で観念的といいますか計算上の数額である、ここは間違いのないところだろうと思うわけでございます。 そこで、次にお尋ねするのですが、一部お答えが先にあったようですけれども、会社の現実の純資産と計算上の数額たる資本金との関係というのはどういうふうになるわけでしょうか。
○清水(湛)政府委員 貸借対照表でも、例えば資産の部と負債の部と資本の部というのがあるわけでございまして、資本の部から、つまり総資産から総負債を差し引いたものが純資産である、こういうことに商法上はなっているわけでございます。その純資産につきまして、もちろん資本準備金とか利益準備金というもののいわゆる法定準備金が本当は加わるわけでございますけれども、話を単純にするために資本金という言葉だけで申し上げますと、純資産が資本金を上回るような状況でないと配当してはならないという商法二百九十条の規定がございます。これはそういう意味で配当可能利益を出すための計算上の数字であるということが資本金については言えるわけでございます。その純資産のあり方としては、これは例えば現金であってもいいし、動産であってもいいし、不動産であってもいいし、在庫商品であってもいいし、純資産の所有形態というのはいろいろ考えられるわけでございますが、そういうものが正しく評価されまして一定の数額になる、そういう数額と資本金の額との比較が行われて配当可能利益というものがそこに出てくる、こういうふうに思うわけでございます。 そういうことでございますから、現実の会社の機能という面から申しますと、ある時期には純資産の額が資本金の額を下回る、経済的な変動、好況、不況というものがございますが、取締役が善管注意義務を尽くしても、あるいは忠実義務を尽くしても、経済取引の変動等によって純資産が減る、そのときには配当ができない、配当すれば配当金の返還が命ぜられる、こういうようなことになりますとともに、好況のときには純資産の額が非常に多くて高率の配当にも結びつく、こういうような現象だろう、ちょっと御質問に対して的確なお答えになるかどうか自信がございませんけれども、この程度でございます。
○小澤(克)委員 そういうことでございますので、結局純資産、いわゆる積極財産の総額から債務総額を差し引いた額と計算上の数額である資本金とは一致しない、むしろ一致しないのが当たり前である。欠損を生ずる場合もありますし、純資産が資本金額を上回る場合には、準備金等の問題を若干ネグって、簡単に言いますと配当可能利益、その部分が算出される、こういう関係であるということであろうかと思うわけでございます。 そういたしますと、この計算上の数額たる資本金と実際の総資産額とは一致するものではないし、しないのが実態であるということになりますと、次に、今も若干既にお話が出ましたけれども、純資産が資本金額を上回るように、上回るといいますか、少なくとも資本金額を満たすように維持していかなければならない、こういう話になろうかと思うわけですけれども、商法上具体的に資本を維持する手段といいますか、これはどのようになっておるわけでしょうか。
○清水(湛)政府委員 俗に資本充実の原則とか、先生おっしゃるように資本維持の原則というふうに言われているわけでございます。 いろいろ細かい規定があるわけでございますけれども、商法の規定の順序に従って申し上げますと、例えば額面株式の額面未満発行が禁止される。つまり、額面株式の場合には少なくとも資本金は額面株の総額、つまり株金総額を下回ることはできないということになっておりますので、額面以下で発行しますということになると、もうそのときに既に会社に入った金が資本金額を下回る、こういうことになりますので、そういうことは禁止される。あるいは、株式を不公正な価額で引き受けた者に差額の支払い義務を命ずる、これは商法の二百八十条ノ十一でございます。それから、例えば株主が出資を会社に対してする義務があるわけでございますが、その義務と株主の会社に対する債権で相殺してしまって現実には会社にその資産を提供しない、こういうことになりますと、会社の計算上はこれはプラス・マイナス・ゼロなんですが現実の財産は入ってこないというような相殺禁止の規定。それから、今回の商法の改正でも問題になっておりますけれども、現物出資に関して厳しい検査をするとかいうような問題、そういうようなこと。あるいは、自己株式取得の禁止というのがよく言われておりますけれども、これも実は自己株を取得するということは実質的には出資の返還である、それだけ資本の空洞化をもたらす、資本充実の原則に反する最たるものだというふうにこの自己株式取得というのは言われておりますけれども、御存じのように商法の二百十条で厳しく制約されております。先ほど申し上げました利益配当について制限規定、さらには単にその資本金に見合う純資産があればいいというだけのみならず、先生先ほどちょっと御指摘になりましたように、資本準備金はもとよりのこと、利益準備金の積み立てを法律は要請して、これによって資本金を上回る純資産が常に会社に留保されるようにいろいろな配慮をしている、こういうことが言えるのではないか。 まだまだそのほかにもいろいろ条文があろうかと思いますけれども、主な点を申し上げるとそんなところではないかと思います。
○小澤(克)委員 今資本充実の原則と維持の原則とあわせたようなお答えだったかと思います。もちろん、非常に密接な関係があるわけでございますが、私がお尋ねしたかったのは、一たん充実された資本がどのようにして維持されるかという側面について教えていただきたかったわけでございます。今のお答えの中から、一たん充実された資本が維持されるための制度といいますと、聞いた限りでは二百九十条タコ配禁止と、あと自己株式の取得ですか、これは事後的に維持を図る制度になろうかと思いますね。あと準備金等々は維持というよりもむしろ拡充していこう、こういうことではなかろうかと思うわけでございます。 そうしますと、自己株式の取得は、これは取得を禁ずるということは積極的に資本の維持を図る制度だろうかと思いますけれども、あとはタコ配禁止、二百九十条だろうと思います。このタコ配禁止はいわば配当しようかというときの制約でございまして、配当するにもしないにも、会社の経営状態が悪くてどんどん欠損を生じていっているような場合には、これによって資本維持が図られるというようなことはない、そのような意味では機能しないわけでございます。したがって、どちらかといえば消極的な資本維持の手段だろうかというふうに思うわけでございます。 そのように見てきますと、自己株式の取得、これはかなり例外的といいますか、レアケースだろうと思いますので、現実には、商売ですから日々刻々損したり得したりしているわけでございまして、現実に欠損を生じないような積極的な制度というものは商法上はほとんど見当たらないのではないかと思うわけです。これはある意味で当然でございまして、取引上損したり得したりするわけでございますから、これは法的にどんな場合にも無理やり維持しろなんということは、技術的にも経済的な意味でも全く不可能だろうと思うわけでございます。このように見てきますと、資本金というのは刻々浮動する会社の純資産とは余り密接な関係のない、まさに計算上の数額ということになろうかと思うわけです。 そういたしますと、この最低資本金制度、資本金に最低限を設けるということが一体いかなる理由といいますかいかなる効果を持つのか、具体的にだれの、どのような法益が保護されるというのか、そこを御説明願いたいと思うわけです。
○清水(湛)政府委員 先生御指摘のように、企業というのは生き物でございますので、会社が設立されて日々経済活動を行っておる。そういう経済活動の中で、好不況の波にもまれて、資本の欠損のみならず債務超過になって企業が倒産する、こういうことがございます。そういう倒産という現象は、これは資本金百万円の企業でも、資本金十億でも二十億でも三十億でもあるいは百億でも起こる、こういうことが現実の問題としてはあるわけでございます。そういうことから見ますと、それは資本金が幾らであっても結局債権者は保護されないのではないかという御指摘も、また確かにその倒産という事態を通して考えますと、私どもには理解できるところでございます。ただしかし、企業が正常な状態で日々取引をしていく、こういう状況で考えました場合に、商法は営業年度を一年というふうに決めまして、一年の間における財産の状況を貸借対照表という形で取りまとめて、それが正しく会社の財産状態を反映するものだ。それから、一年間の期間損益を損益計算書という形で取りまとめて、一年間の利益を明らかにする、こういうようなこと。しかも、それを大会社でございますと会計専門家がチェックしてその正しさというものを検証する、こういうことになっているわけでございます。 そういうような状況の中で、先ほど申しました商法の二百九十条という規定がございまして、配当可能利益を算出することになるわけでございます。株式会社というのは、もともと配当することを目的とした会社でございますので、この二百九十条というのは商法の最もいわば心臓部に該当する規定だと私どもは思っているわけでございますが、そういうような日常の経済活動の中におきまして、取締役としては少なくとも資本金に見合う純資産は会社に留保しておかなければならないということになるわけでございまして、これが取締役の会社に対する善管注意義務であり忠実義務である。もしこの二百九十条の何項でしたかのそういう規定を無視して配当いたしますと、会社債権者はその違法に配当した分を会社に戻しなさいという請求を取締役等に対してすることができる、こういう規定になっているわけでございます。そういうような観点から見ますと、会社債権者の方から見ますと、会社に留保されるべき財産というのは多ければ多いほどいい、つまり最低資本金の額は多ければ多いほど、正常な会社経営の状態におきまして考えますと、取締役としてはそれに見合うだけの財産というのは常に留保するように努力するはずである、これが取締役に課された会社に対する忠実義務であり善管注意義務であるというふうな観点から見ますと、会社債権者、この会社債権者という言葉はむしろ会社と取引関係に立とうとする第三者というちょっと広い意味で私ども使わせてもらっておりますけれども、そういうような方々から見ますと、やはり最低資本金の額は多ければ多いほどいいし、それだけ会社財産は安定するし、会社の体質も強くなって、若干程度の経済変動が来ても、従業員を初め会社債権者の債権は十分に弁済され得るであろう、すべての場合ではございませんけれども、通常の場合を考えますと、やはり債権者保護につながっていくというふうに私どもは考えているわけでございます。
○小澤(克)委員 結局、今大変長い御答弁だったのですが、具体的にだれの、どのような法益が保護されるのかということに関しては、会社債権者の債権が満足される、債権者の債権が満足されるという法益が確保される、こういうことに尽きるのかなというふうにお聞きしたわけでございます。そして、その理由として今お述べになったところは、結局二百九十条に尽きるように聞こえました。二百九十条に違反してタコ配をやったときには返還しなきゃいけないとか、あるいは取締役の責任を生ずるとか、そういうことも含めて、結局二百九十条の機能を指摘されただけかなというふうに思うわけでございますが、先ほどから繰り返して言っておりますとおり、タコ配のような違法な行為を行った場合は、それはまあそういうことになろうかと思いますけれども、何ら違法なことがなくても商売ですから欠損を生ずることは幾らでもあるわけでございまして、そのように考えますと、本当に出発点としての資本金あるいは維持すべきことが二百九十条というような消極的規定によって一応義務づけられている資本金の数額、このことによって直接会社債権者の債権の満足という利益が保護されるとはどうしても思えないわけでございます。 結局、最低資本金制度については、会社債権者の債権が満足されるという法益の御答弁が今あったわけでございますけれども、それ以外には最低資本金制度によって何らかの制度目的が考えられてはいないのでしょうか。
○清水(湛)政府委員 株式会社というのは、株主の利益の保護と会社と取引関係に立つ第三者の利益の保護、これが二本の柱だと言われておりますので、私ども第三者の保護の面を債権者の保護ということで申し上げているわけでございますが、一つには、より直接的に申しますと、ほんのわずかな金でも株式会社がつくれる。一株の額面金額が最低五万円でございますので、これが現行法ですと七人ですから三十五万円あると会社がつくれる、今度の改正案で一人でいいということになると五万円でつくれる、実はこういうことになるわけでございます。 そういうような会社を考えてみますと、資本金五万円の会社というものがどんどん出ていくということはちょっと私ども想像できないところでございますけれども、そんな極端な話をしなくても、本当にごくわずかな資本金でどんどん会社がつくれるということになりますと、これはいかがなものか。これはある意味においては会社制度の乱用である、乱設である、こういうことに相なろうかと思います。そういう意味で、乱設を防止するということは当然この最低資本金制度の中に入ってくるわけでございますが、乱設の防止ということも、よく考えてみますと、そういう小さな会社をたくさんつくって、具体的にそういう会社がどういうような取引をするのかちょっと私ども想像しにくいところがございますけれども、仮に何らかの取引をする、名目としてそういう会社をつくるというふうなことになってまいりますと、つまりペーパーカンパニーでいろんな不法行為をするというようなことも間々あるわけでございますから、そういうようなことをするということになりますと、これは大変また迷惑を受ける第三者も出てくるわけでございます。そういう意味におきまして、乱設防止というのも、広い意味においては会社と取引関係に立つ第三者、会社と関係を持ってくる第三者が不測の損害を受けないようにあるいはその利益が保護されるようにという要素を持っているのではないかというふうに考えているところでございます。
○小澤(克)委員 そうしますと、広義での第三者保護の一類型として乱設防止ということも最低資本金制度の制度目的であるということかなというふうにお聞きしたわけでございますが、乱設防止という言葉が今回のこの審議の中で初めて提案者側から今出たのかなというふうに思います。 そこで、まず債権者保護の方から、若干先ほどからの重複になるかもしれませんけれども、さらにお尋ねしたいのですが、債権者の保護が実際に問題となるのは、つまり会社債権者の債権が満足されるか否か、それが危険な状況に達するのは実際には会社がどんな状態になったときだというふうにお考えでしょうか。
○清水(湛)政府委員 債権者の利益というか保護ということが究極的に問題になるのは、会社経営状態が悪化して、その極端な形が破産であり、場合によっては会社更生であり、さらにその前の段階として会社整理というものもあるかもしれませんが、いわゆる倒産状態に陥ったときだろうということだと思います。その段階においてはまさに最終的な債権者の権利処理が行われる、こういうことだと思います。したがいまして、そこが最も典型的なケースだと思いますけれども、会社経営の実情というものを見てまいりますと、そういう倒産状態に陥らなくても会社の経営状況がある程度悪化する、そういうような状況というものも出てくる時期がある、また若干の時期を経てそれが良好な状態に戻るというようなこともあろうかと思います。したがいまして、設立から先ほど申し上げました倒産というような状況に至るまでの間の両極端の中間的な段階における債権者の保護ということ、つまり第三者の方から見て会社資産というものをどの程度信用できるものとして判断し、かつ取引関係に立っていいかどうかというようなことを見る視点というものもあるわけでございまして、つまりこれから取引関係に立つ第三者に確実な情報を提供し、会社の資産状態を知らせるというような面からも債権者保護ということがやはり問題になるのではないかと思っているところでございます。
○小澤(克)委員 ちょっと一部わかりにくかったのですが、現実に既に会社に債権を持った者がその債権が満足されるか否かという状況というのは、今前半の御答弁にあったように欠損が生じてそして債務超過に至る、今や至らんとしている、そういう状況であろうかと思うわけです。それから、後半の方で御答弁がありましたのは、やや抽象的なレベルで、債務超過とそれから資本がぎりぎり維持されているその中間地帯において取引関係に新たに入る者等々が果たして将来債権が満足されるのかどうか、これについて一応の判断材料を提供する、こういうお話かなというふうに聞いたわけですけれども、後者の方はむしろ会社の経理についてきちんとした、それが正確になされているという担保があること、端的に言えば外部監査、調査も含めてでございますが、そしてそのことがきちんと公開、公示をされていること、こちらの問題ではなかろうかなと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
○清水(湛)政府委員 債権者保護という観点で申しますと、一つの側面として会計の監査ということが適切に行われるということが大変重要な要素であるということは、まさに御指摘のとおりだと思います。つまり、会社の作成する計算諸帳簿というのが会社の財産状態を正確に公示している、それからまた会社の損益の状況を正確に反映している、これはまさに反映しているかどうかを目的とするのが監査であり、公認会計士の監査というのはまさにそれが重要な要素をなしているわけでございます。 会社の計算書類というものが正確であるということになりますと、それを読んで会社の財産状況というのがわかるわけですから、第三者はそれを見て、あの会社は優良会社であるかやや問題であるかということが直ちに判断できる、こういうことになるわけでございます。また、そのためには、外部監査のほかにそういう計算が公開されている、ディスクローズされているということが非常に重要な問題であると私ども考えるわけでございます。そういうような外部監査あるいは計算の公開というようなことも含め、さらに会社に留保すべき財産も少なくともこれ以上のものでなければなりませんよというような形、両々相まって本当は債権者保護が図れるということになるのだろうと私ども思うわけでございますが、だからといって、外部監査あるいは計算の公開という制度が導入されないからといって最低資本金制度に意味がないというふうには考えていない、こういうことでございます。
○小澤(克)委員 私はまさにそう考えるわけでございます。なぜかといいますと、既にお話がありましたとおり、会社の計算が一定の担保を持ってきちんと正確になされている、そしてそのことがきちんと公開されている、これがまさに債権者、これから取引関係に入ろうとしている者、主としてこれを念頭に置いているわけでございますけれども、その利益が保護される核心ではなかろうかと思うわけです。たとえ資本金十億、百億の会社でも、現実の資産内容といいますか経理内容が債務超過すれすれであるということになればこれは極めて危険でありますから、これと取引関係に入ろうとする者は一定の警戒を持ち、そのリスクを負うことを覚悟の上で取引に入らなければならないということになりますし、たとえ資本金五万円の会社であっても純資産が何百億、昨今含み資産などというものがございましてそんなことも現実にはあり得るかと思うのですけれども、そういう会社であれば、そしてきちんと計算が公開され、その計算の中身も正確であることが担保されていれば、これは何の不安もなく取引関係に入れるわけでございますから、そういたしますと資本金が幾らかというのは極めて従属的な意味しか現実には持たないのではないだろうか。債権者保護の核心は、計算内容が正確であることと、それがきちんと公開されていて、取引関係に入ろうとする者がそのことについて明確に把握できる、これが核心ではないだろうか、こういうふうに思うわけでございますが、いかがでしょうか。
○清水(湛)政府委員 先生御承知のように、現行法ですと資本金五億円以上で負債総額二百億以上のいわゆる大会社につきましては外部監査制度が導入され、監査法人あるいは公認会計士による監査が必要ということになっております。それからまた、そういう計算関係の公開につきましても、これは主として株式を上場している等の会社でございますが、証券取引法における有価証券報告書等による公開というのが非常に厳しく行われております。恐らくそういう大会社につきましては債権者も多いし株主も多い、こういう人たちの利益を保護するためには外部監査が必要であるし、公開も必要である、こういう趣旨からそういうことになっていると私どもは考えているところでございます。 ただしかし、そういうような制度が非常に有効な制度であることは私どももちろん承知しているわけでございますが、中小の会社について最低資本金制度を導入することによって中小企業と申しますかそういう企業のいわば体質を強化すると申しますか、最低資本金制度を導入することによって、社内に留保すべき財産額が一定額以上のものでなければならないということにすることによって、やはり結果において債権者の保護というものにつながっていくと考えているわけでございます。
○小澤(克)委員 どうしてもそこは納得できませんね。抽象論ではなくて、具体的にこれからある会社と取引に入ろうという者が何を見るかということを考えますと、まさに現実の資産内容がどうなっているか、ここがポイントではなかろうかと思うわけです。そのような外部監査制度、調査も含めて外部監査制度あるいは公開制度を欠いたままで、欠いたといっても、実は公開については商法でも本来やるべきなんですけれども現実にはなされていないという実態の中で、この最低資本金制度のみ単独で導入して一体いかほどの効果があるのか、先ほどからの御説明でも私にはどうしても納得できるといいますか十分説得的な御説明にはなっていないと、大変失礼ですが思うわけでございます。 次に、乱設防止論についてお尋ねしたいと思います。 乱設ということになると、一体何が乱設であって、何が本来保護さるべき設立なのかということの分析が次の問題になろうかと思うわけです。ただ主観的にみだりに設立してもらっては困るなどという発想では不十分かなというふうに思うわけです。 そこで、会社制度を利用する、すなわち会社を設立する、どんな動機から何を求めて行われるのかということが検討されなければならないわけですが、その前提として、実際のこの世の中で行われている会社の設立というのはどんな類型といいますかパターンがあるのかというようなことについて、御存じのところを教えていただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 私ども、すべての会社について一体どういう目的で会社の設立をしたのかということを調査したわけではございませんが、そういう意味でまた詳しく承知をしているわけではございませんけれども、個人企業を法人化するとかあるいは大企業が子会社を設立するとか、そういうようなケースだと思うわけでございます。 ただ、私どもが法務省の所管する商業登記事務の中で把握し得ることとして申し上げますと、会社を設立いたしましても、設立の登記をしただけで役員の変更の登記もしないし何の登記もしないということで、設立後五年間あるいは最後の登記後五年間何の登記もせずして結局休眠会社ということで解散したものとされてしまう会社がかなりの数に上っているという実態があるわけでございます。そういう会社でも存在しますと、例えば商号等については、休眠会社でございましてもそういう会社の商号は他の会社が使用することができないというような弊害を生じさせているわけでございますけれども、何らかの関係で会社をつくりましても直ちに休眠状態に入ってしまうという会社はかなりの数に上っている、こういう事実は指摘することができるのではないかというふうに思います。
○小澤(克)委員 どんなパターンがあるかと聞かれても、それはそういう調査というのはなかなか難しいでしょうから、ある意味で質問が少し無理な質問だったかなとも思いますけれども、そんな統計的な資料というようなことではなくて、常識的に考えていろいろなパターンがあろうかと思うのですけれども、私が思いつくところを並べさせていただけば、一番多いのは多分いわゆる法人成りと称するもの、すなわち個人、自然人で既に事業を行っていて、したがって必然的に小規模な事業だろうと思いますけれども、そして一定の段階で種々の理由から会社組織にするという法人成りのケース、これが一番多いのではないかなというふうに思うわけでございます。 それからまた、それならいっそのこと最初から会社として出発しようということで、親類縁者あるいは後援者、パトロンから応援を得て小さい会社をつくって新規に事業を開始するというケースも、特に最近などはかなり多いのかなというふうにも思うわけでございます。これは時間的なずれがあるだけで、基本的には個人的色彩の強い企業が会社となっているケースだろうと思うわけですね。 それからさらには、最近ベンチャービジネスなどというようなケースでは、一定の能力を持った者が数人で集まってひとつ企業をやろうかというような場合に会社として出発するケース、こういうようなものもあろうかなと思います。 それから、今お話がありましたが、大企業がその一事業分野を、一部事業を別会社、子会社として独立させるケース、あるいは大企業が他の営業の分野に、何か新規の事業分野に進出しようとするときに当初から子会社を設立して行うケース、そんなのが実は一番多いのではないかと思うわけでございまして、さらには地方などで、地方の有力企業や有力個人も含めて、場合によっては自治体などが加わって、いわゆる第三セクターなどというようなことも最近はやりのようでございますが、そういう形で出資をし合って新しく事業をやる、やや公共的な性格を持っているような事業などでは、地方などではそういうのもあるのかな。放送事業だとか交通事業とかあるいは最近であれば観光事業とか、そんなことに地元有力企業が金を出し合ってやるというようなケースも考えられますし、現実にあろうかと思います。 それから、本当に広く一般から資金を募って大きな事業あるいはリスクのある事業をやろうというようなことも考えられますが、現実にはこのようなケースというのは余り聞いたことがないかなというふうに思うわけです。 で、こういうパターンで法が予定しているのはどうかなというふうに見ますと、零細の企業というのは株式会社も有限会社も会社組織として行うことは多分商法は予定してなかっただろうと思いますし、数人で一緒に仕事をしようというような場合などはむしろ民法上の組合かあるいは合名、合資会社あたりが予定されるところでしょう。それから大会社が子会社を設立というのも、これもまたぴたっと当てはまる制度というのは多分ないだろうという気がいたしますし、地方などでの有力者あるいは個人、自治体等が加わって何らかの事業を始める場合というのは、これがむしろ有限会社に本来当てはまるのかなという気もします。そして、本来商法が予定している広く一般から資金を集めて新たに事業を開始するなどという、これが本来の株式会社の予定するところでしょうが、こういうことは現実にはほとんど行われていないということになろうかと思うわけでございます。 そういたしますと、本当に商法が予定しているところの株式会社、有限会社というのは現実の世界ではないと言う方がむしろ実態に合っているのではないかなというような気がするのですね。有力企業、有力社等が集まってつくる場合も、普通有限会社にはしないで株式会社にしているというのが実態でしょうから、どうも商法が予定している会社設立のケースの方がむしろ実態的には少ないのではないだろうかということは多分、別に統計的な資料に基づいて言っているわけじゃありませんけれども、間違いのないところじゃないかなというふうにも思うわけでございます。そう言いますと、これは乱暴に言えば今の会社は全部乱設だと言ってもいいかなと思うわけでございますけれども、したがって、何をもって乱設かということがますます問題となってくるわけです。 そこで、今言ったような幾つかのパターン等を念頭におきながら、一体なぜ会社制度を利用するのであろうか、どういうメリットがあるのだろうかということを次に考えなければならないわけですけれども、これについてはどんなふうにお考えでしょうか。
○清水(湛)政府委員 会社制度の歴史、沿革までたどらないといろいろとまた難しい面があろうかと思うのでありますけれども、一般的にはやはり経済取引社会の中において個人企業というものがあって、これは自然人企業、それからもう一つ法人企業というものがある。それぞれが経済取引活動の主体になるわけでございますけれども、その法人に適する組織として株式会社、有限会社というものがある。もちろん合名、合資もございますけれども、そういう会社組織というものが考えられておる。その中でも株式会社あるいは有限会社が非常に利用されておりますというのは、結局先ほど先生がいろいろ御指摘になりましたように、多数人の資本を結合するということと同時に、出資者は出資の限度においてしか責任を負わないという有限責任ということ。多数人の資本を結合するということは、やはりそれだけ危険を分散するということでありましょうし、それから、出資の限度においてしか責任を負わないというのは、個人の財産と出資財産とを峻別する、こういうことだろうと思います。 そういうようなことに加えて、会社組織というものを大きな組織にすることによって労働力をまた結集することができるというような面、つまり資本の結合とか労働力の結集とか有限責任というような問題、それから企業の永続性、継続性というようなメリットがあって会社というものが利用され、今日の経済活動の最も中心というものになってきておるのではないか。これは法律的な分析もさることながら、むしろ経済学的な分析もあるいは必要かもしれませんけれども、私どもそんなふうに考えておるところでございます。
○小澤(克)委員 私は、法律的、経済的というよりは、むしろ社会学的な分析が一番必要なのじゃないだろうかというふうに思うわけでございます。私も事業をやったことなど全然ない方ですからそんなに詳しく知っているわけじゃございませんが、いろいろ考えをめぐらせてみますと、会社制度を利用する動機といいますかメリットというのはいろいろあろうかと思いますけれども、その一つは、やはり事業の会計と消費生活の家計とがきちんと分離される、そのことによって企業会計が明確化し、合理化される、これが社会学的に言うと実際の一番のメリットじゃないだろうかなと思うわけです。 このように明確化、合理化されることによって経営成績が明確になる、その結果、経営計画も立てやすくなる、そして合理的な経営によって信用が増す、信用が増せば金融機関等との取引あるいは官公庁も含めて大会社等との取引、受注というようなことがしやすくなる。さらには、そういうどんぶり勘定でない会社であれば従業員の採用などもしやすくなる、これが最大の理由ではないかなと思うわけです。 ついでに言いますと、先ほど大会社が一パートを、一部分を、一分野を子会社として独立させるというのも、大会社の経理とその子会社の独立会計とをきちんと分離させることによって、その子会社の成績等が大会社の経理の中に埋没しないようにすることによって、その経営者の意識等も含めて経営成績がきちんと明確になるようにというようなことではないかなと思うわけでございます。これはどんな小さい企業であってもメリットで、しかもこれは悪いことではない、むしろ保護すべきメリットかなというふうに思うわけです。 それからまた、よく言われることですけれども、法人成りをしておけば、営業主が不幸にして亡くなったような場合に営業主体が変わらないで済む、これは現実的な利益だろうと思います。そして、この利益は決して奪うべきでない正当な利益だろうと思うわけです。 それから、会社にした方が何かとかっこいい、ステータスが上がる。これは最初に申し上げた家計ときちんと分離することによる効果のうちの心理的な部分というふうに思いますけれども、本当に中小零細の企業をやっておられる方のお話などを聞きますと、今どき会社組織にしておかないと息子の嫁も来ないよというような話も聞きますが、これはステータスといいますか、その部分だろうと思います。 従業員の採用についても、個人で採用すると家庭の作業にまでこき使われるのではないだろうかというふうに思いますわね。会社であればそんなことはない。そういったメリット、これまた決して否定すべきメリットではないと思うわけですね。むしろ保護されるべきメリットだと思うわけです。 それから、よく言われることが節税でございます。節税、これはよく言われることは、所得が分散される、法人の収入とした上で個人に給与として払うという形にして所得が分散されることによって所得税上有利である、あるいは利益が分散されることによって事業税等も節税になる、それから必要経費が認められやすい、これがかなり大きい部分であろうと思うわけですけれども、これはある意味では事業会計と家計との分離から生ずるものですから、節税である限りではこれは決して否定すべきものではない、むしろ保護されるべきメリットだろうと思うわけですね。 それから、相続税の問題ももちろんございます。これも決して排除されるべき利益ではないだろうというふうに思うわけです。 それから、有限責任制、これもメリットだといえばメリットなんですけれども、しかし、実際にこれから事業をやっていこうという人は、万一だめになったときに個人は逃げれるからいいやなんという人はそうはいないので、むしろどんどん事業を発展させていってやっていこうという意気に燃えてやるわけですから、この有限責任制を当初から念頭に置いて事業を始める人というのは少ないといいますか、むしろまともではない人じゃないかなというふうにも思うわけです。 このように見てきますと、会社制度利用というのは何も有限責任制を利用するということに尽きるのではなくて、それはごく一部である。むしろ先ほどから並べたようなメリット、これは決して否定されるべきではない、保護されるべきメリットだと思うのですけれども、このようなメリットを求めて会社制度を利用する、つまり会社を設立するというのが社会学的な実態だろうというふうに思うわけです。 このように見てきますと、今言った有限責任制以外のメリットを求めて会社を設立することは決して乱設とは言えない、むしろ保護されるべきであろうかと私は思うわけです。そして、商法が予定したかどうかはともかくとして、会社制度というものが制度的に準備されている以上、これを利用しようとすることは決して否定されるべきではない、私はそういうふうに思うわけですよ。したがって、資本金五万円の会社をつくることが乱設だという議論は極めて乱暴な議論だ。そういうふうな切り捨て方というのは、法の規制を受ける側、国民の意識にはぴったりこないと私は思います。逆に言えば、大会社が子会社を独立させるなんというのはむしろ乱設というふうにも言って言えないことはない。だから、何が乱設かということは、そういう経済の実態に即した十分な判断が必要かなというふうに思うわけです。 ちょっと長く述べましたが、法務省としては、そういう考え方についてはいかがでしょうか。同意していただけるかどうか。
○清水(湛)政府委員 御指摘のように、会社制度利用のメリットとして、個人の家計と企業会計を分離して明確にする、そして合理的な企業会計で事業を遂行する、あるいは営業主が死亡した場合の継続性の問題あるいはステータスの問題、節税の問題、もろもろの動機があって法人が設立されるということは、まことにおっしゃるとおりだろうと考えております。
○小澤(克)委員 その動機が是認されるかどうかということを聞いているのです。
○清水(湛)政府委員 それ自体を取り上げて、それが不当であるとかなんとかということは問題にならないのではないかというふうに思います。
○小澤(克)委員 確かに問題点もあります。節税と言いましたけれども、節税を超えた脱税もあるでしょう。必要経費が認められやすいことに乗じまして、家族旅行まで従業員の旅行だというふうにして必要経費だとしてしまうとか、甚だしいのは、新聞の購入代まで会社でとっているということにしてしまうとか、息子を東京の大学にやるのにマンションを買い与えて、それを従業員の寮だというようにしてしまうとか、これは脱税だろうと思うわけですけれども、こういう問題もあろうかと思います。しかし、これらは基本的には税法の問題でございまして、あるいは税の運用の問題だろうと思うわけですね。商法プロパーの問題とは私は思わない。 それから、有限責任制については、確かにこれは悪用する向きもあるでしょう。会社をつくって、ほとんど取り込み詐欺に近いようなことをやって逃げてしまうというようなケースは世間にあることです。しかし、最初からこういう悪い考えを持って会社をつくるという場合は、実は資本金を大きくつくるんですよ。見せ金を集めてきて、一見立派な会社をつくるんです。したがって、先ほどの最低資本金制度のところにつながるのですけれども、そこのところ、正当なメリットを求めて会社を設立するというのは資本金が少ない会社でも十分あることでありまして、これを切り捨てるということは私はどうしても同意できない。むしろ、悪用は悪用として、税の運用上あるいは商法上もこの有限責任の悪用については毅然たる制度をつくればいいのではないかなというふうに思うわけです。 それから、ついでにお尋ねしますが、これまでの他の委員の質問に対する御答弁の中で、会社らしい会社という言葉が何度も出ているわけですけれども、この会社らしい会社というのは何をイメージして言っておられるのでしょうか。
○清水(湛)政府委員 会社らしい会社ということをストレートに答えよということになりますと、いろいろ問題があろうかと思います。我が国の会社の実情というものを見ますと、とにかく資本金数百億の巨大会社から本当に小さな会社まであるわけでございまして、どの辺を標準にして会社らしい会社と言うかということ自体が既に一つの問題だと思います。ただしかし、少なくとも商法が予定している、株式会社法が予定しているような行動と申しますか、あるいは株式会社法に規定されている諸規定を遵守するというような形、そういうものを想定して、一応会社らしい会社ということを申し上げてもいいのではないかというような気がいたすわけでございます。 我が国では、小規模な株式会社、有限会社が非常に多いわけでございますが、その多くにおきまして、会社のいわば所有と経営と申しますか、あるいは会社資産と個人資産と言ってもいいかもしれませんけれども、そういうものの分化が必ずしも進んでいない。会社法制が多数の利害関係人の利益を守るということ、この利害関係人の中には株主、債権者等が入るわけでございますが、そういう利害関係人の保護のために要請している諸規定を遵守していない、こういうことが多くあるわけでございます。例えば現実に裁判例なんかを見ましても、取締役の個人責任を定めた二百六十六条ノ三の規定による個人責任の追及訴訟というものもかなりございますし、あるいはさらに進んで法人格否認の法理というようなものを判例法上形成せざるを得なくなってきておるというような実情があるわけでございまして、そういうような面からいきますと、少なくとも有限責任会社として会社法制が要求している規制諸規定を遵守する、つまり有限責任の享受の前提条件として、会社法制が要求している諸規制を遵守する会社、そういうものを会社らしい会社と言ってよいのではないかというふうに思うわけでございます。
○小澤(克)委員 そういう発想は、私はこれは法を適用する側の論理だろうと思いますよ。法を適用される側、国民の論理としては、自分の会社が第三者から会社らしい会社と認められるかどうかなんということは、そんなことはいわば関心がないわけでございまして、法が用意している会社という制度を一定のメリットがあるから利用していく、これのどこが悪いんだということになろうかと思いますね。 今度の最低資本金制度の導入などでも、何か会社らしい会社というものを頭に描いてこれに該当しないものは会社としては認めないんだ、五年たてば死刑を執行するんだというようなやり方、これはどうもいただけない。やはり適用される側に立った法の運用及び立法というのがなければならないかなというふうに思うわけです。現実に、この改正案が通りますと、資本金一千万以下の株式会社あるいは三百万以下の有限会社は寝台に縛りつけられて足を引き伸ばされるということになるわけですよ。これは迷惑なだけです。プロクルステスの寝台。寝台に合わせて人間の足を切ってしまったり背の低い人の足を無理やり伸ばしてみんな殺してしまったという宿屋の主人がいるそうですけれども、どうもそんな感じがするわけですね。私は正直に言いまして、今回の最低資本金制度というのはブロクルステスの寝台だろうと思うわけです。つまり、法を適用する側の独善であってはならないということを私は言いたいのです。何が会社らしい会社などということは国民が決めることなのです。 そこで、先ほどから有限責任制度を利用するからにはその前提といいますか、基本的な条件があろうというようなお話があったかと思いますし、私もそれはそのとおりだと思います。具体的にどんなものが有限責任制を基礎づける条件になりましょうか。
○清水(湛)政府委員 株式会社、有限会社の有限責任会社の要件については、もう既に先生の御質問の中にも出ていたわけでございますけれども、結局、先ほどから申し上げておりますように、会社の構成員である株主、社員は会社債権者に対しては弁済の責めを全く負わない、会社債権者にとってその債権の担保となるものは株主、社員自身の財産ではなくて会社自体の財産のみである、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、会社債権者を保護し、会社の信用を維持するということのためには一定額の責任財産の確保、これを今度最低資本金で私どもは株式会社については一千万、有限会社については三百万というふうに言っているわけでございます。一定額の責任財産の確保が必要であり、さらにそれに加えて言うならば、先ほど先生御指摘の会社の財産状況の公開と計算の適正、こういうことが有限責任ということを言う以上やはり大事なことじゃないかと考えているところでございます。
○小澤(克)委員 先ほども申し上げましたが、今の中で計算が適正に行われていることとそれが公開されていること、これがむしろ中核であって、その資本金の多寡という問題はせいぜい付随的な意味しかないだろうと私は思います。 それはともかくといたしまして、そのような有限責任制の基礎を満たさないものについて何をもって臨むかということが一つの立法態度として重要な問題になろうかと思うわけでございますけれども、その際に、その満たさないものは会社としての存続を許さない、死刑執行をするというのがいいのか。むしろ、そのような有限責任の基礎を満たさないものについては有限責任制そのものを制約していくという方がよりベターなのではないかと私は思うわけです。その理由は、先ほどから言いましたように会社制度を利用するというのはいろいろな多面的なメリットがあるわけでして、有限責任制というのはそのごく一部にすぎない。そして、その他のメリットについては否定する理由はないわけです、たとえ零細企業といえども。そうであるとすれば、それらのメリットは享受させつつ、しかし有限責任制のところについては制約を加える。具体的に言えば支配的な株主であるとか取締役等の保証人的な責任というようなことになりましょうか、二百六十六条ノ三のようなものをもうちょっと、確かにおっしゃったとおり使いにくい条文でして、趣旨もはっきりしていないし要件がなかなか難しくて使いにくいのですけれども、そうじゃなくて、きちんと計算の外部監査をやってない、あるいは公開をしていないという会社については、支配的株主あるいは取締役の責任が会社責任と重ねて追及されるというような制度の方が今の企業の実態に合っているのじゃないだろうか。そしてまた、中小企業者にとってもむしろその方がいいのではないだろうか。プロクルステスの寝台に合わない者は殺してしまうのじゃなくて、多少寝心地が悪いという程度の方がいいのじゃないだろうか、私はそう思うわけですが、いかがでしょうか。
○清水(湛)政府委員 最低資本金制度の導入が必要であるということで、この導入を私ども考えているわけでございますが、この最低資本金制度の導入については、御指摘のようにその金額を幾らにするかという問題と既存の会社にどういう形で適用していくかという二つの大きな問題があったわけでございます。 既存の会社につきまして、今回の改正案では株式会社として存続するためには五年内に一千万以上の資本金にしなさいということになっているわけでございます。そういうことにするについて、私どもといたしましては中小企業関係者あるいは関係方面のいろいろな意見を聞いて、結局、中小企業団体関係者も、最低資本金が一千万円ということであるならば今回の商法の改正案のような経過措置でもこれに対応することができる、税金の軽減措置等の問題は別途ございますけれども、そういうような意見でございました。 他方、最低資本金という本来の制度の面から見ますと、一千万円では低過ぎる、五千万とか三千万とか、極論では一億というような議論が出たわけでございますけれども、そういうような最低資本金の金額と経過措置をかみ合わせて、いろいろな諸要素を総合的に考慮いたしまして、最終的に株式会社については一千万、有限会社については三百万という形で今回の改正案のような内容に落ちついたと私ども考えているわけでございます。先生御指摘のように、資本金五万円でもきちんとしている会社はもちろんあると思いますし、それから資本金一億でも、実はこれは見せ金によってつくった会社であって何らかの不法行為をすることを背後に隠して、そういう意図を隠しているというような会社もあるわけでございまして、資本金一千万円だからそれ以上はよくて、それ以下は悪いというようなことを私どもは申し上げているわけではございませんが、一つの区切りとして画一的に扱わざるを得ないというようなこともありまして、一千万、三百万という線に落ちついたわけでございます。
○小澤(克)委員 今私が聞いたのはそんなことを聞いているのじゃなくて、寝台に合わない者を殺してしまうよりは、多少寝心地が悪くても寝台に寝せておく方がいいのではないだろうかと言っているわけです。そういう立法態度についてはどうお考えかということをお尋ねしたのです。寝台の長さをどれだけにするかということについていろいろ曲折があって、この間、参考人の前でちょっと失礼だったのですけれどもバナナのたたき売りのような形で一千万、三百万というところにおさまったという経過等を見ましても、一体、寝台の長さをどれだけにしたらいいのかということについて明確な論理と根拠がないからこういうことになるのだろうと思うわけです。だから、そのような不明確な根拠に基づいて決められた寝台の長さに合わない者はみんな殺されてしまうというのは、法を適用する側の論理であって、法の適用を受ける側の国民の論理ではないのではないかというところが私は大変気になるわけなんです。どうでしょうか。
○清水(湛)政府委員 金額を幾らにするかという問題でございまして、私どもといたしましては、各界の意見を聞く過程の中で実にいろいろな意見がありました。いろいろな団体からいろいろな意見が寄せられました。そういう意見を集約していく過程の中で、一千万、三百万ということであるならば今回の改正案の内容のような線で御理解をいただける、こういう結論に到達したわけでございます。もちろん、先生の御指摘のように、有限責任というものをもっと制限するような形で一千万未満の会社についてはその存続を許したらどうかという考え方もあり得たところでございますけれども、それはそれでまた別な問題を生むという御意見もございまして、試案にはそういう考え方が表明されたことがあるわけでございますが、最終的には採用されることにならなかったわけでございます。
○小澤(克)委員 法案の経過を聞いているわけじゃないのですけれども、時間がなくなりましたので、いいです。私は、そういった意味でどうしても納得できないものがあるということをお話ししておきたいと思います。今のお話はプロクルステスの論理であって、そこに泊められる旅人の論理ではないのです。 そこでお尋ねするのですけれども、今次法案については税法との関係が極めて密接なわけです。 まず、今回、配当可能利益と準備金の資本組み入れとそれから新株発行とを完全に分離しましたね。そして、新株発行は株式分割の一場合というふうにきちんと整理をしたということになっております。これは非常に理解しやすいし、体系的にもすっきりするだろうと私も思うのですけれども、このように整理をした理由は何でしょうか。ただ単にその方が形式が整っているということではなかろうと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○清水(湛)政府委員 御指摘のように、現行法上、配当可能利益の資本組み入れというのは商法二百九十三条ノ二に規定があるわけでございますけれども、株式配当として行う場合だけにこの配当可能利益の資本組み入れは認められることになっています。しかし、この配当可能利益の資本組み入れと新株の発行というのは、理論上不可分のものではない、それぞれを単独に行っても差し支えないのではないかということが商法上、学者の通説になっていたわけでございます。しかも、株式配当という形にこだわらずに、両者を資本組み入れと株式分割というふうに分割することが、一方では配当可能利益の資本組み入れによる資本増加を容易にする。つまり、株式配当という形をとらなくても配当可能利益の資本組み入れができるわけでございますので、資本増加を促進する見地からは非常に好ましいことだということで、このような改正をすることにいたしたわけでございます。
○小澤(克)委員 もう一つ、現行法の解釈をこの期に及んで聞いても余り意味がないかなという気もするのですが、二百九十三条ノ三の方は、つまり準備金の資本組み入れの場合には新株発行をするかどうか任意的になっております、これは一項と二項の関係を読めばすぐわかるのですが。二百九十三条ノ二の方は必要的なのでしょうか、それとも二百九十三条ノ二とは無関係に、利益処分の一形態として配当可能利益の資本組み入れだけは現行法上可能なのかどうか、これはどう解釈されていますか。
○清水(湛)政府委員 お答えいたします。 現行法の二百九十三条ノ三の準備金資本組み入れと新株発行というのは、いわゆる法定準備金の資本組み入れに伴う新株発行でございます。この法定準備金の中には、いわゆる資本準備金と、積み立てを法律上要請されている利益準備金があるわけでございます。これは準備金として積み立てているものを資本に組み入れることによって資本が増加するわけでございますが、その際、新株を発行するかどうかは取締役会で決めることになっているわけでございます。ところが、現行法上の株式配当というのは、配当可能利益、つまりまだ準備金として積み立ててはいない利益処分可能なものを現金配当ではなくて株式配当としてする場合に限って資本に組み入れることができるとともに、その場合には必ず株式配当としての新株を発行しなければならない。逆に言うと、株式を発行せずして配当可能利益の資本組み入れはできないことに現行法の解釈としてはなっているわけでございます。
○小澤(克)委員 そうですか。配当可能利益の処分の一形態として総会の決議で資本組み入れだけを決議することは現行法は特に正面からは禁じていないのではないか、そういう解釈も可能かなと思うのですが、現行法を今ここで議論しても余り意味がありませんので、今の御答弁で結構でございます。 そこで今度は、大蔵省の方に来ていただいていると思いますけれども、所得税法の二十五条の二項、とりわけその中の二号の意味と根拠を教えてください。特に商法上の概念、用語とちょっと違っているものですから、私よくわからないもので、率直に教えていただきたいのです。 利益積立金額というのは、商法上の概念に引き戻しますと、法定準備金のうちの利益準備金及び任意準備金といいますか任意積立金を意味するのかなと思ったのですけれども、その意味内容と、そしてまた、所得税法第二十五条二項の根拠ですね、何ゆえにみなし配当として課税するのかについて御説明を願いたいと思います。
○長野説明員 お答え申し上げます。 制度の細かな点よりも考え方を先に申し上げさせていただきたいと思います。みなし配当課税のバックにある考え方は、基本的には会社における株主の持ち分額の増加が経済的に配当と見られるべきものであろう。それは現金で実際に手渡される場合もありますし、従前ですと株式配当という形態もございますけれども、そういったものについてそういう扱いをするという考え方でございます。 そこで、利益積立金の範囲は法人税法で定義いたしておりますけれども、商法の概念よりは広うございます。つまり、企業に留保されている税引き後の利益全体をつかまえる、基本的に申しますとそういう概念でございます。
○小澤(克)委員 今微妙なところなので、もう一度よく教えてほしいのですが、持ち分額の増加ですか、持ち分の増加ですか。持ち分額という形式的なものなのでしょうか、それとも、持ち分という経済的な意味を含めて実質的な持ち分の増加が課税対象だということなのでしょうか。
○長野説明員 これは持ち分金額と申し上げて差し支えないと思いますが、その持ち分金額につきましては、先ほど申しましたように現実に配当されるべきもの、あるいはそれが留保されておる分も含まれてくるということでございます。
○小澤(克)委員 持ち分金額というのは何なのでしょうか。会社純資産を株数で割ったものでしょうか。
○長野説明員 先ほど来申し上げておりますのは、みなし配当という制度の背後にある基本的な考え方を申し上げておるわけでございます。現実には、それぞれの規定によりまして、利益処分の形態に応じましてこの場合はみなし配当とする、しないという規定が個々のケースに応じて定められておりまして、その個々のケースによって判断されるということになるわけでございます。
○小澤(克)委員 だから、背景の考え方つまり理念をおっしゃっているのでしょう。だからこそ、この持ち分額というのはどういう理念なのかを教えてください。
○長野説明員 この持ち分額と申しますのは、会社に対する株主の潜在的持ち分ということでございますから、資本金に相当する部分というものにつきまして持ち分というふうに考えておるわけでございます。
○小澤(克)委員 資本金ではなくて、純資産のことではないのですか。よくわからないですね。資本金というのは、さっきから議論にありましたとおり、形式的な数額ですね。どっちですか。
○長野説明員 まず、資本金部分につきましては、これは正確に株主に帰属せられるべきものという位置づけに税法上考えられております。純資産というものにつきましては、それが最終的に株主に帰属されるかどうかということにつきましては、それぞれ異なってこようかと思います。
○小澤(克)委員 ちょっとよくわからないですね。資本金というのは計算上の数額でございますね。それを株式数で割ったものが株主の持ち分額だ、それの増減、増加に対して課税するということなんですか。ちょっとよくわかりません。これは私が不勉強でわからないのですが、時間が来ましたので、また本会議の後にお願いしたいと思います。 終わります。
○小澤委員長 御苦労さまでした。 この際、暫時休憩いたします。 午前十一時三十二分休憩 ────◇───── 午後一時十九分開議
○逢沢委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。小澤克介君。
○小澤(克)委員 午前中の末尾のところで大蔵省の方から御答弁いただいたところ、ちょっと私、のみ込みが悪かったのですが、私の理解したところでは、多分こういうことだろうと思うわけです。本来の金銭配当であれば、その配当額がまさに配当課税の課税の対象となる、これは言うまでもないことでございますが、所得税法二十五条の二項は、配当可能利益の資本への組み入れの場合、その組み入れ額を株数で割ったものがまさに配当というふうにみなして課税をする、こういうことかなと思いますが、間違っていればまた御指摘いただきたいと思うのです。 そこでお尋ねするのですが、その根拠なんです。これがよくわからないわけです。所得税は、もちろん所得があったところに課税をするわけでございますけれども、配当可能利益が資本に組み入れられた、そのことによって直ちに所得があった、すなわち会社から株主たる個人に何らか財産権の移転があったとは私にはどうしても考えられないわけでございます。確かに現行法では、先ほども法務省の方から御説明があったとおり、配当可能利益の資本組み入れには必然的に株式配当を伴う、新株発行を伴うということでございますから、これは金銭配当とその配当された金銭を振り込むことによって新株が旧株主に交付されるということは、すなわち現金配当と新株発行の同時並行実施というふうにみなす、擬制をする余地があったかと思いますけれども、今次改正案が仮に通りますと、この配当可能利益の資本組み入れと株式の発行とは完全に切断されるわけでございますから、そのような擬制、フィクションはどう考えても通用しないかなと思うわけでございます。したがって、所得税法二十五条二項については今次商法改正に伴って手直しが必要なのではないだろうかというふうに思いますし、また、事実法務省の方からそのような申し入れをしたというようなことも雑誌誌上等で拝見するわけでございますけれども、いかがでしょうか。大蔵省そして法務省、順次お答えを願います。 〔逢沢委員長代理退席、委員長着席〕
○長野説明員 所得税法二十五条で、みなし配当の一形態といたしまして利益積立金額の資本組み入れの場合を掲げております。趣旨は、資本金に組み入れることは経済実態を見ますと、企業が一たん配当を行い、株主がその配当をもって企業に出資をしたというケースと全く同等でございますので、その経済実態に着目して、みなし配当の扱いをしておるわけでございます。 ここの問題は、まさに先生が御指摘になられました配当所得とキャピタルゲインの線引きをどこに求めるかということでございますけれども、少なくとも利益積立金額の資本組み入れがありますれば株主の一株当たりの資本金額が膨らむ、それは金銭配当を受けて増資に応じたという場合と同じであるということに着目しまして、そのような扱いをいたしております。したがいまして、将来のキャピタルゲイン課税の扱いにおきましては、その資本の増加部分は株式の取得価額が膨らむという形で実現しますと、キャピタルゲイン課税のときにはそこが調整されるという扱いでございます。この扱いにつきまして、実は所得税法上大変難しい分野であることは御指摘でございますし、かねて学問上もいろいろな御議論がございますけれども、現在のところ、いろいろな形態の増資というものとの課税バランスを考えますと、現在の扱いというものが妥当ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
○清水(湛)政府委員 株式配当について現在みなし配当の配当課税を行っておるということにつきましては、一般論といたしまして先生御指摘のように所得がないのではないかというような観点から、つまり株式配当における株式の発行を株式分割と見る商法学者の立場から非常に批判がされておる。特に、今回配当可能利益の資本組み入れというような制度を導入したことも加わりまして、法制審議会の内部におきましても非常に強い批判的御意見がありました。そこで、そのことを税務当局である大蔵省にもお訴えをして検討をお願いする、こういうことはいたした経緯がございます。
○小澤(克)委員 今の問題は大変大きな問題かと思います。経済的実態としては、現金配当とそれを振り込むといいますか出資することによる新株発行が同時に行われる、それが経済実態だとおっしゃいましたが、これはどうも私にはそう思えなくて、まさに擬制、フィクションではないだろうか。すなわち、金銭配当とみなし得るような財産権が一たん法人から株主たる個人に移転するということは、経済実態としてもないのではないかなという気がするわけでございます。 ただ、御指摘がありましたとおり、これはキャピタルゲイン課税の問題と極めて密接に関係する問題でございます。キャピタルゲイン課税がきちんと行われる、しり抜けでなくてしっかり行われれば、この問題はむしろ解消するといいますか、所得税法二十五条二項全体といいますか、このみなし配当は不要になるのではないかなというふうに思います。これについて今、キャピタルゲイン課税との関連でなお検討するというお答えでございましたので、そこに期待したいと思うわけでございます。 一般論としてはそんなところかなと思うのですが、少なくとも最低資本金を満たすための増資に関して、既に会社に任意で積み立ててある利益を資本金組み入れをする場合には、これは理論はともかくとして、政策的配慮として非課税とすべきであるというふうに思いますし、また、先日の参考人からの意見聴取の場合にもそのような御意見が強かったわけでございますけれども、これについては大蔵省はいかがでしょうか。
○長野説明員 今回の商法改正に伴います最低資本金制度の導入に伴いますみなし配当課税、その範囲でのみなし配当課税の問題につきまして、法務省からもいろいろと御協議をちょうだいいたしております。 先般もこの委員会で申し上げさせていただきましたけれども、税制改正につきましてはそれなりの手順と各方面の御意見を聴取する段取りがございますので、それを踏まえながら、平成三年度の税制改正作業の中で結論を出したいと考えております。 大変恐縮でございますけれども、私どもの立場だけを申し上げさせていただきますと、増資というものは常時いろいろな形で行われておりまして、その最低資本金制度のあるなしにかかわらず、既に中小企業が増資をしておるようなケースが従来ございます。それから、これからも増資なさるケース、また新設されるケース、これは税法的にどう考えていくのか。新設に一千万というバーがなかった時代とあった時代とで、なかりせば違う形の設立をやったのにという論理が通り得るものか通り得ないものか等々、非常にデリケートな問題がございます。 もう一点申し上げさせていただきますと、中小企業の立場であれば、法が変わればそれにつき合って増資するのであるから、そこのところは税がかかることはないようにという御意見も極めてもっともと思います。他方、個人事業者とか給与所得者の立場から申し上げますと、やや先ほどの議論の蒸し返しになりますけれども、キャピタルゲイン課税と申しましても、売らない限りはキャピタルゲイン課税というのは永久に実現いたしません。そのときに、増資、増資という形で留保していくものに対しての課税の取り扱いが甘いということに対する批判がまた出得る範囲でございますから、そこらの課税の公平を考えながら結論を得たいと考えているわけでございます。
○小澤(克)委員 いろいろ配慮すべき問題点について、御専門の立場でそのような御指摘があったのは当然といいますか、そのとおりだろうと思いますけれども、結局、検討するということに尽きるわけでございます。これでは、今次商法改正案について我々はどう態度を決めたらいいのか有権者に説明できませんし、有権者に責任を負う立場として、今のままではちょっと受けとめかねるわけです。 しかも、前回このことが他の委員の質問の中で問題になったときに、委員長から、両省庁でさらに検討を進めるようにというお話があって、そして審議が今日まで進んできたという経過もございますので、問題点はわかりましたけれども、それでは大蔵省としてどう考えているのか、これを言っていただかないと困るわけです。手続が云々とおっしゃいましたけれども、そんな行政府内部の手続のことなんか、私何の興味も持ちません。内閣としてこの法案を出しているわけですから、そこを明確にしていただきたいと思います。
○長野説明員 行政府の手続ではございますけれども、私ども、法律により、税制改正案を立案するにつきましては税制調査会に諮る等々の手続も定められてございますので、そのような手続があるということを申したわけでございます。 いずれにいたしましても、平成三年度の税制改正作業におきまして、課税の公平を損なわない範囲でどのような対応ができるかという立場で十分詰めさせていただきたいと考えております。
○小澤(克)委員 課税の公平を損なわない範囲で何ができるかを検討するとおっしゃいましたが、課税の公平を損なわない範囲で、かつ資本の増額を強要されるものに対する配慮を加えて検討するお気持ちがあるのかどうか、そこのところ、どうですか。
○長野説明員 先般来先生から御指摘いただいておりますもろもろの点も当然考慮に入れた上で検討が進められるということで、御了承をちょうだいしたいと思います。
○小澤(克)委員 これは有権者、国民が一番関心を持っているところなので、今のでは、それでオーケーというわけにはいかないと私は思います。 時間も迫ってまいりましたので、あと登録免許税の問題がございます。これも増資を強要される、午前中の比喩で言えば、好まないのに寝台に合わせて足を無理やり引き伸ばされるわけですから、その際に、少なくとも資本金額の変更に伴う登記手続の登録免許税については、これまた十分な配慮が必要ではなかろうかと思うわけですけれども、大蔵省いかがでしょうか。
○長野説明員 登録免許税につきましても、先ほどのみなし配当と同様のお答えになろうかと存じますけれども、登録免許税自体の課税目的から申しますと、従来から例えば零細企業で増資なさるときのお取り扱いは基本的に正しいのであろうと考えておりますけれども、先ほどの点とあわせまして、平成三年度の税制改正作業の中で検討してまいりたいと思います。
○小澤(克)委員 甚だ不明確な答弁でございまして納得しがたいわけですけれども、もう一つ、現物出資によって増資をする場合の譲渡所得税の問題がございます。これは私が考えてもかなり難しい問題だろうなと思います。これについてどう考えるのだということは、今時点では私もそこまではお尋ねしないことにしたいと思いますけれども、そういう問題があることも指摘だけはしておきたいと思います。今の問題、納得したわけではありません。とりあえず質問を先に続けさせていただきます。 もう一つ、例えば土地などの価格が非常に高くなっておりますので、資産を再評価してその評価益を資本組み入れをすれば増資が極めて容易にできる。不動産などが仮に法人名義になっていれば、一千万円ぐらいはたちまち突破できるのではないかと思うわけでございますけれども、この問題について少し伺いたいと思います。 そもそも固定資産について原価主義を現行とっているわけでございますが、なぜこういう主義をとっているのでしょうか。これは法務省にお願いします。
○清水(湛)政府委員 固定資産については、商法でその評価については原価主義、つまり取得価額あるいは製作価額によって評価をせよということに御指摘のようになっているわけでございます。こういう主義がとられておる根拠と申しますか、何が価額であるかということを評価する場合に、取得価額、製作価額でありますと明確でございますので、それ自体を客観的な価額として記載することができる、検証が容易であるという面もございますけれども、基本的には経営の健全性を維持するということだろうと思います。 例えば、もし原価主義をやめて時価主義ということになりますと、例えば土地ですと毎年毎年値上がりをして、企業は具体的に営業行為をしなくても毎年利益が出てくるという結果になるわけでございまして、何もしなくても出てくる利益について配当をする、配当をするためには土地を売らなければならない、こういうことになってくるわけでございまして、健全性が著しく損なわれる。こういう基本的な考え方によるものであろうと私どもは考えているところでございます。
○小澤(克)委員 この原価主義は、今おっしゃったような明瞭性があるとか、それから交換価値の方は変動いたしますので、その安定性という意味からも原価主義をとるというのは一つの理屈だろうと思います。それは特に土地に関してですが、土地の価格が長期的にある程度の水準を維持しているという場合には確かにそういうことになろうかと思いますけれども、現実は余りにもかけ離れているわけですね。東証一部上場企業の場合に、その所有地の実勢価格は帳簿価格の約二十五倍というのが通り相場だそうでございます。これは含み資産ですね。これは世界的にも有名になっているそうでございますが、含み資産を生む元凶になっているわけですね。 最近、ある旧財閥系の製鋼会社が、これまた旧財閥系の造船会社と土地の等価交換をしたそうでございます。このケースでは、製鋼会社の方の土地でしょうか、何と帳簿価格の二百八十六倍というふうに推定されているそうでございます。これは余りにも現実離れしている。このような中で、含み資産を生む元凶になっているにもかかわらず原価主義を維持することが今日において妥当かどうか、極めて大きな問題があるかと思います。 日本経済新聞のことしの一月二十一日付で、編集委員の方が署名入りで書いていらっしゃいますが、「市場経済むしばむ不公正」「会計制度の見直し急務」ということで、この点について極めて厳しい批判をしておられます。土地評価について 現実とはあまりにもかけ離れていることは周知の通りである。 それをはっきり示しているのが「国民経済計算」である。日本全体では、地価上昇による資産形成が一九八八年までの三年間で八百兆円を上回っている。国民総生産(GNP)からのそれが二百兆円に満たないのと比べると、その異常ぶりがよくわかる。 しかも、この八百兆円を超す資産形成は個々の企業では会計上、存在していないことにされている。当然、ほとんど税金もかからない。民主政治と市場経済という体制を維持するための税金の大半はGNPを生む経済取引の過程にかかる。 納税コストが少なくて資産を大きく増やせる土地などに企業が投資するのは当然である。それがまた地価上昇を加速するわけだ。 こうした日本の政治、経済風土は、企業の投資や資本蓄積には見かけ以上に効果を発揮した。しかし、経済大国を支えた勤労者の暮らしに結びつく所得分配や資産形成の面では見かけ倒れの結果になっている。むしろ、社会的不公正の拡大という”副作用”をもたらしている。 サラリーマンが一生働いても到底自分のマイホームを持つことができない、この元凶となっているという大変厳しい、鋭い指摘でございます。 これについて、これは何といっても商法の規定でございますから、商法二百八十五条が商法三十四条を準用しておりますので、この原価主義というのはまさに商法がそのように規定しているわけでございます。こういった厳しい批判に対して法務省、どのようにお考えでしょうか。
○清水(湛)政府委員 大変難しい御質問でございまして、商法の企業会計の原則ということによる限り、御指摘のように原価主義、つまり取得価額、製作価額によるというのは正しい原則であろうというふうに私どもは思います。ただしかし、御指摘のように実際の時価というのはもう何百倍にもなってしまっておる、その間の開差というのは物すごく大きくなっているという事実があるわけでございます。これはある特定の会社の資産だけについてそうであるというのではなくて、日本国全部の会社について共通の問題としてあるわけでございます。 そうなってきますと、例えばこれを再評価するということになりますと、これは私は税の専門家ではございませんけれども、そこに膨大な含み益の顕在化と申しますか、利益の顕在化というものが出てくる。何十兆になるのか知りませんけれども、恐らく大変な利益が出てくる。一体そういうものに対する課税をどうするのかとか、配当をどうするのかという大変な問題が出てくるわけでございまして、現在の商法を前提とするというより、むしろ何か特別の資産再評価法みたいな立法措置を講じて対処すべき事案ではなかろうか。つまり、法務省は商法を所管しておりますけれども、商法の枠を超える問題で、ちょっと私どもにはどうしたらいいか、実は答弁能力がないのではないかという感じもするわけでございます。商法の問題を超える問題ではないのかというふうに思います。
○小澤(克)委員 これはまさに商法プロパーの問題を超えるというのはよくわかりますけれども、何といってもこの原価主義を規定しているのは商法でございますからね。これはやはり自分らの立場を超えるなどと他人事のように言っていただいては困るわけでありまして、法務省はやはりきちんと検討すべきであると思います。 私は、今回の商法改正、いろいろ評価はございますけれども、まあ、ないよりましなどという大変厳しい評価も受けている。こんなものよりは、現在ただいまの社会的不公正の是正ということからは、資産再評価の方がむしろなすべきことではないだろうかというふうに思います。終戦後、貨幣価値の一般的な下落に対応して、資産再評価法、株式会社の再評価積立金の資本組入に関する法律などというものをつくって対処したという歴史的経過もございます。現在、貨幣価値一般が下がったのではなくて土地のみが異常に騰貴をしているということから、若干戦後とは状況が違いますけれども、しかし、社会的公正の実現という点からは、今こそこういった措置が必要なのではないだろうか。先ほどおっしゃったように、何もしなくても利益が出たから配分してしまうということには多分ならぬだろうと思いますので、その再評価益についての資本組み入れというようなことをやはりきちんとやるべきではないだろうか。 これはキャピタルゲイン課税の問題とも密接に絡むわけですね。今いわゆる含み資産という形で表に評価が出ないままに、あの会社にはどのくらい資産があるからというようなことで計算をして、そしてそのことによって株の取引価値が決まっている。大変大きく膨らんでいる。これについて、これまではキャピタルゲインは原則非課税でございましたから何ら課税がなされない。もちろん、企業会計上も利益がないわけですから、課税がなされない。ここに今日的な不公正といいますか、国民の間に再び資産格差が生じているという一つの大きな元凶があろうかと思いますので、これはやはり法務省と大蔵省であろうと思います。これはぜひ今後検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか、両省庁、順次お答えを願います。
○清水(湛)政府委員 商法という立場だけから論ずる問題であるのかどうか、問題があると思いますけれども、そういう極めて重要な問題があることは十分認識して今後対応してまいりたいというふうに考えております。
○長野説明員 大蔵省の問題といたしましては、資本市場の問題等々ございますけれども、先ほどお話が出ておりますので、税の立場に限りまして申し上げますと、法務省からも御答弁がありましたように、出てまいります膨大な再評価益というものに課税をした場合に事業経営に支障がないのかどうかといったような問題は当然出てまいります。土地問題をきっかけにこの問題が提起されておることは承知いたしておりますけれども、より広く土地というものに対する課税をどう考えていくかという広い問題意識の中で、その中の一こまとして考えてまいりたいと思います。
○小澤(克)委員 質問時間が終わりましたのでこれで終わりますが、今次改正に伴う税法上の取り扱いについて大蔵省の答弁、極めて不満であります。しかも、委員長から、両省庁でより検討するようにという指示があったにもかかわらず先ほどのようなあいまいな答弁に終始しているということでは、これは質問者がどうこうじゃなくて、当委員会の権威にもかかわる問題だろうと思います。これについては極めて不満である、今後もなお問題にしていくということをお伝えして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
○小澤委員長 御苦労さまでした。 沢田広君。
○沢田委員 大蔵からの出張ということになりますが、法務の皆さんにまた、それぞれ重複する点はお許しをいただきたいと思うのです。 これは大臣の方や担当にお伺いをすることが多いと思うのでありますが、今話題に出ている問題は、商法がひとり歩きするわけではなし、また、今日二百万を超える法人が存在するわけです。ですから、この商法を提案するに当たって、二百万を超える法人の生きざま、あり方をそれぞれ検討されて提案されたものだろうと思うのですよ。今までちょっと聞いておりますと、何か法務は法務なりの考え方で物を言い、大蔵は大蔵なりの物の考え方で言い、あるいは通産へ言ったら、恐らく通産も通産なりの物の考え方で言うのではないか。いわゆる総合性というか、そこに出てくるいろいろなひずみというものをある程度調整して大臣は答弁をしたいだろうと思うのですよ。それがどうもなされていないのではないかという感があるわけであります。 その点をまず法務大臣から、この提案に当たっての調整はどういうふうにしてやってどういう立場で提案したのか、重複する点があったらおわびをいたしますが、その前提条件の態度について、まず御回答いただきたいと思います。
○長谷川国務大臣 今委員からお話しの、どういう心構えであったかということでございますが、さっきも御答弁申し上げましたように、我が国における経済活動の主体というべき株式会社及び有限会社の大多数が小規模で閉鎖的な会社である事情にかんがみ、このような会社にも適合するように法制度を整備合理化するとともに、債権者保護のため必要な措置を講ずるなどして、我が国における株式会社、有限会社の充実強化を図ることとしたものであります。 なおまた、これらは政府機関の委員会初め可能な限りいろいろな各種団体にも御相談を申し上げて、しかし、今委員お話ございますように二百万社もあるのでありますから、一軒一軒聞くことはもちろんできません。できませんが、私どもといたしましては可能な限りいろいろな角度からお話を聞いてこの案をつくったわけであります。 ただ、いろいろ先ほどからの御意見もございまして、完璧なものだなどとは思っておりませんが、次善のものである、あるいはこの前のものと比べてかなり新しい角度からいろいろ検討されたものであるというようなことは、私どもも若干自負はいたしておるわけでございます。完璧無欠のものであるということは全く考えておりません。これからもひとつよく勉強させていただきます。
○沢田委員 非常に謙虚な答弁で、欠陥品ですからひとつ御勘弁くださいと言っているようなものでありまして、それを率直に認められているということですから、何をか言わんやという感もあります。 法務省の局長さんにお伺いします。私が今言った各省庁の言うならば調整、例えば含み資産、これも非常に大きい財源にもなるし、消費税のかわり財源とまで言われたものなんですよ。例えばそんな一度に取るなんということは、二十年にわたって取るとか、今まで見ますと、そのくらいの期間にわたって含み資産を取るとすれば大体三十倍くらいに上がっていることになるでしょう、総資産で見ますと。ただ、そうなると三十年で見ても一%くらいずつになるだろうというふうに、まあ二、三%ずつ取っていっても大丈夫ではないかという感じもするのです。そういう点はあなた方の立場では考えてないのですか。その点はどういうふうに考えているの。
○清水(湛)政府委員 要するに資産再評価の問題を御指摘だというふうに思いますけれども、先ほど小澤委員に対しまして一般論としての再評価についてはお答えいたしましたけれども、法制審議会の内部におきましても、最低資本に至るまでの措置としての資産再評価というような議論は当然されました。されましたけれども、要するに含み益の顕在化による膨大な利益に対する課税、税制をどうするかというような問題は当然伴うわけでございます。そうなりますと、そう簡単には結論が出る問題ではない。税制に大きく影響する、商法の問題というよりむしろ税制の問題であるということで、法制審議会としてこの問題についてそれ以上の議論をすることは断念した、こういう経緯はございます。
○沢田委員 だから、断念をしたとすれば、逆に資本金をそれに近づけるように大きくしていくという努力が必要じゃなかったですか。もしそれが税金に及ぼすとなれば、法務省としては実勢価格に近づけていくという努力をすることが当然の仕事になっていくわけじゃないですか、どうですか。
○清水(湛)政府委員 資産再評価をしまして評価益を出して、それを資本に組み入れて資本の金額を大幅にふやす、こういうような考え方は一つの考え方としてあり得るかと思います。しかし、これも長い間の時間の経過による利益の積み重ねだというふうに見られるわけでございますから、やはり税制の問題を解決いたしませんと結局解決はできない。しかも、これはある特定の会社だけではなくて、日本全国押しなべて土地が異常に値上がりをして、その面での含み利益というものが非常に膨大なものになっておるという事実を前提とするものでございますので、そう簡単に結論が出せる問題ではないというふうに考えたのでございます。
○沢田委員 下げることもできない、含んである部分を表に出すものもできない。それじゃ実勢価格を、資本金をうんと上げていったらどうだ。すぐに上げるという意味じゃないですよ、徐々に上げていくということはどうだ。それもできない。だったら出さない方がよかったんじゃないですか。こっちにも行けない、こっちにも行けないというわざわざいじり回したようなものを出して、だから結果的には審議会の答申が尊重されないで、骨は抜かれ、肉は取られ、しっぽだけしか残らない法案が出てきているという格好でしょう。あなたも恥ずかしくありませんか、この法案を出していて。どうも審議会まで大変御厄介をかけたけれども、肉は取られ、骨は取られ、あとはしっぽしか残っていませんという法案を出しておいて、これはまことに申しわけありませんというのが今の心境じゃないか、これは大臣も同じだと思うのです。よく恥ずかしくなく出られるなといったような感じもするわけですよ。こんなことだったら、腹を立てて、冗談じゃない、こんなものを今の日本の国に提案することはできぬ、審議会が答申されたものならそれでぜひ出させてくださいと言うのが法務大臣やあなた方の立場じゃないですか。やはり世界経済の中の日本としてどうあるべきかというものが今問われているわけですから、その立場から考えれば、腹を切るくらいの覚悟で物を言うべきじゃなかったですか。なぜくじけたんですか、なぜまただめになったのですか。
○清水(湛)政府委員 最低資本金についてのお尋ねだと思います。 法制審議会では、新設会社については株式会社は二千万円、有限会社については五百万円、既存会社については株式会社が一千万円、既存の有限会社は三百万円、こういう二つの区分けをしていたわけでございます。そういうことでございまして、一部法制審議会の答申と食い違う結果になって、いわば既存会社の方に全部平仄を合わせたということになっております。私は、法制審議会の先生方に対しましては大変申しわけないというふうに考えているわけでございますけれども、しかるにその後、答申をいただいた後に、関係各方面、中小企業団体その他の皆様方といろいろな意見を交換するうちに、やはり現時点におきましては、この改正案でお願いしているような内容でお願いするのが相当であるというふうに考えまして、法制審議会の先生方には大変申しわけないという気持ちはございますけれども、現時点におけるベストの案としてこのような法案を私どもの事務当局において作成させていただいたというふうに考えているところでございます。
○沢田委員 法制審議会のあほうの連中はどうにもならぬ、おまえらの答申では結果的には国民の同意は得られない、だからそんなものはとても同様に扱ってはおられません、こういうようなことを、ちょっと口は悪いけれどもあえて言えばそう言っているあなたの態度なんだ。もうそういう人たちの委員の再選はあり得ないと考えますが、その点はいかがですか。
○清水(湛)政府委員 法制審議会は、学界あるいは法曹界、実業界等各界の最高の権威の先生方によって構成されている非常に歴史もある権威のある審議会でございまして、その審議会の答申というのは当然のことながら最大限に尊重してまいらなければならないし、私どもは法制審議会の先生方に対して最大の敬意を持っているつもりでございます。
○沢田委員 今までのやりとりで、恐らく委員みんな総辞職するだろうと思うのですね。また、総辞職しないような委員であったらよほど骨がない委員である、こういうことだ。これだけ恐らく真剣に討論し、あるべき姿を求めて努力をした。我々の大蔵でも、いつも税制調査会、こういうふうに言われているわけです。やはり民間の各種の意見を尊重していこうという姿勢の一つだと思うのですね。ですから、時には税制調査会の答申も従わないこともあり得るとは思いますけれども、こんなにめちゃくちゃに、骨抜き、肉抜き、しっぽだけ、こういうのを出されてきて審議しているという我々もちょっとあほうかもしれぬけれども、答申した委員の人は、何の顔あってまみえんかというところで、恐らく辞表を出してくるのじゃないか、出さなかったらこれもまたおかしいなと思いますけれども、これはあなたに答弁を求めるのじゃなくて、社会的な観測を申し上げたということになるわけです。しかし、そうでもなければ、少なくとも局長あたりが腹切らないと委員の人に申しわけない、こういうことになるのじゃないかと思いますが、この法案がどっちかに決着ついた後は、申しわけないから腹切っておわびしたいと思います、そう言うのならそれでまた一つのけじめがつきますが、その点だけお答えください。
○清水(湛)政府委員 法制審議会の答申で完全に今回見送ったものに、登記所における計算書類の公開制度という非常に重要な制度がございます。これは私ども、まだこれを現実に履行しなければならない中小企業関係者の理解が十分に深まっていないという認識に立ちまして、今回は見送らせていただきました。しかし、この法律が通りました暁には、中小企業関係団体の方々にも十分御理解を求め、その理解を深めまして、答申どおり実現できるように最大の努力を尽くすのが私どもの責務であると考えております。
○沢田委員 極めて不完全な、不備だらけの法案ではあるけれども、今後答申の線に沿ってその法案を逐次提出する意思があるのだ、こういう意味と解していいですか。
○清水(湛)政府委員 そのとおりでございます。
○沢田委員 そこで、今までもお話があった分を整理してみますと、三十五万から三百万なりそれぞれ一千万なり、あるいはまた違った金額で引き上げられる。これは法律によって縛られるのだから、法律によって縛られる分だけは何とか免税の措置は講ぜられないか、免税というよりも、言うならばみなして引き上げるということにするのかわかりませんが、取り扱いは一応別にします。税金の益金算入でいくかあるいは引当金を充当して引き上げるか、そういう取り扱い、手続論は一応別として、三十五万が三百万になるまでの過程というものは、例えば五十万ずつ上げていくかもわかりませんけれども、その過程について何とか知恵のある方法はないだろうかというのが今まで質問した趣旨なのです。 一つは登録料がある。登録料も、毎年やっていると五倍になるから、七十五万もかかってしまう。大体そのくらいかかってしまうでしょう、大ざっぱに言って。十五万ずつと仮定すると、そのくらいになるかもしれません。そういう点がある。それ以外にその分を持ってくるという取り扱いがある。これが益金算入にされて税金に取られたのではかなわない。その税金分は何とかならないか、こういうのが素朴な、例えば今の引き上げることはやむを得ないとしても、そのことによって不当に損害を受ける理由はないじゃないか。法務省が勝手に上げる法律だ、それによって我々縛られてしまうのだ、縛られて上がるのだからその上がる経費は少なくとも面倒見てくれという意味ではなくて、税法なりあるいは取り扱い上考えてやっていいじゃないかというのが素朴な見解ですよね。そこに何にも手当てがしてないというのは、これは当たり前だという論ですか。そうなるのは当たり前なのだ、おまえら文句言うな、そうなりたかったらそれは金出すのだ、嫌ならやめろ、強迫みたいなものですが、そういう提案の仕方になってしまうのですが、もうちょっと温かい思いやりの手だてはなかったのですか、考えなかったのですか。
○清水(湛)政府委員 最低資本金制度の導入につきましては、猶予期間を法施行後五年間置くというような経過措置は講じているわけでございますけれども、なお、増資をするために、例えば配当可能利益を資本に組み入れるという場合における、先ほど来議論がございましたみなし配当の問題、あるいは資本の増額を登記する際に徴収されることになっております登録免許税について軽減措置を講ずるというような問題、そういうような問題が立案の段階から議論されておりました。私どもも、これは大蔵省にお願いしたわけでございますけれども、とりあえず、今回この法律が国会を通過しました暁には、法律の施行日は政令で定めることになっておりますので、一応今のところ来年の四月一日から施行するということになるのではないか。そうだといたしますと、来年の四月一日以降の税制、つまり平成三年度税制でこれは決着をつけなければならないということで大蔵省にお願いしたところでございます。大蔵省当局におきましても、平成三年度税制ということになりますと、ことしの暮れ、十二月あたりから恐らく御検討になるのだろうと思いますが、大蔵省の方におきましても、まだ私ども最終的な御返事はいただいていないのでありますけれども、問題の重要性というものは十分に御認識いただいておる、そして検討をいただいておるというふうに私自身は承知しているわけでございます。このことにつきましては、先ほど来小澤委員と大蔵省との間にいろいろなことがございましたけれども、私どもとしては引き続き大蔵省に強くお願いをしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○沢田委員 今のところは非常に大事なところですから、例えばこれから五年間に何回か積み重ねでいったとしても、トータルは最低限度一回分で間に合うというぐらいの取り扱いは——これから五年間に毎回やっていくかもしれぬ、一度にはならぬかもしれぬ、十回になるかもしれぬ、しかしそれは一回分とみなす、それぐらいのことは提案のときに用意していくべきじゃなかったかな、ちょっと提案が冷たかったのかなという気がするのですよ。それでも、まけろとかまけないとかという議論は出てきますよ。それにしても、そのぐらいの温かさを持ってくれば、やはりその強さももう少し感じたのじゃないかと思うのですよ。 大臣、今言われていますけれども、大蔵省にこれから交渉するというのじゃなくて、これはひとつ腹をくくって、そこまでは私の首にかけて何とかやります、もっと大きいことできるのですから、その程度のことはやります、そうお答えいただいて次に進ませていただきたい、こう思います。
○長谷川国務大臣 今委員からお話しの点でございますが、法務省といたしましても、また私といたしましても、最善の努力を払います。
○沢田委員 大臣の答弁もそれが精いっぱいかもわかりませんが、大蔵省もいるわけですから、そういう点についてはいわゆる思いやりのある施策をひとつ指導をお願いをいたしておきます。 そこで、舞台はちょっとぐるっと変わってしまうのでありますが、一人法人というものを今回認めた。これに対する見解は、監査はそれではどうなるのかとか、そういう点がちょっと気にはなるわけでありますが、その点は法案を提案した法務省としてはどう考えていますか。
○清水(湛)政府委員 一人法人と申しますか、設立の際に発起人は現在ですと七人必要でございますけれども、改正法においては発起人が一人で会社を設立することができる、こういうことでございます。その点が違うだけでございまして、例えば株式会社ですと取締役は三人以上必要であるとかあるいは監査役を選任しなければならないというような株式会社の法上のその他の諸規制は、発起人が一人で株式会社を設立した場合におきましても適用される、こういうことになるわけでございます。
○沢田委員 最高裁の判例では、当初七人いて、逐次減っていって最後の一人になっても合法である、こういう判決が明治の時代でしたかな、出ておりますけれども、それと同じ意味に解していいですか。
○清水(湛)政府委員 いわゆる一人会社というのは、株主が一人しかいない、これは例えば大手の企業が全額出資をして株式会社を設立するというような場合にはそういう現象が起きてまいりますし、要するに一〇〇%ある特定の個人あるいは法人が株式を持っておるというような状況でございます。もともと株式会社というのは社団でございますから、複数人の集合体というものを前提としているというふうに考えますと、そういうのはおかしいのじゃないかという疑問が出てくるわけでありますけれども、そのような会社でございましても、株式を譲渡することによって直ちに複数の社員構成になり得る、いわば潜在的な社団性を有するということから、そういう株主が一人しかいない会社でもそれは適法である、御指摘のように最高裁の判例もそのような結論であったかというふうに記憶いたしております。
○沢田委員 農林省、来ていただいておりますが、農家の方々は今、輸入の問題その他で大変苦労されています。農家の方々の生産なり生産の方法、生産手段等々を考えてみて、農家の方が有限会社などを一人で設立をして、土地もある意味においてその企業の資本金に変えてしまうというふうなことで財産を会社の財産にしていけば、これは法制上十分満足する条件であるかどうか、それからまた、農業団体は農地法その他がありますけれども、同様にこの取り扱いは可能となるのかどうか、その点お答えいただきたいと思います。
○窪田説明員 お答えいたします。 農地法上の耕作目的での農地の取得が認められておりますのは農業生産法人でございまして、その生産法人につきましては、御案内のように構成員のすべてが一定の要件、例えば常時従事とかそういう要件がございますが、今回の商法の改正によりまして有限会社の社員が一人でもいいということになっても、その一人の方が法律に定められました一定の要件を備えていれば、農地法上の取り扱いも変わりませんし、そういうことで設立できるというふうになっているところでございます。
○沢田委員 そうしますと、それはそれで問題を整理して解決しちゃうのですが、今農業でもよろしい、商店でももちろんよろしい、漁業もよろしいということですから、法人は相当ふえていくであろうと予想されます。相続税はかからないというメリットもありますし、経費は落ちるというメリットもありますから、これができると農家の方々は、市街化区域にいる、我々埼玉とか何かにいる立場から考えると、万歳で赤飯炊いて大いに喜ぶんじゃないか、こういうような気持ちもしないでもありません。相続税だけは助かったか、こういうふうなこともあるわけでありますが、そのかわり、その会社がつぶれたときにはおしまいになってしまう、こういうことになるわけで、その辺のメリットとデメリットは相殺されるものだと思います。 大臣、今二百七万ある法人で、利益を上げている法人は八十九万なんですよ、これは六十三年度の調査ですが。欠損をしている法人が百十七万なんです。これは、大蔵省が来ていますが、今すぐは答えられるかどうかわかりませんが、百十七万の欠損法人は、先ほど述べた休眠法人も入るのだと思うのですが、三年以上継続している法人はどのぐらいあると思いますか。これは、大蔵省と両方でお答えください。——では、次に行っていますので、その間に考えておいてください。 大臣、こういう状況なんです。法人が、これは今後どういうふうになるかわかりませんが、現在で百万未満が二十万法人なんです。さらに、百万から二百万の間の法人が四十万あるわけです。それから、二百万台の法人が六十二万ある。五百万台から一千万台までの法人でようやく四十二万。今我々が議題にしていく内容としては、有限会社の場合は二百万台までの合わせて百二十万の法人が対象となってくる。これ以上できてくるもの、今言った農業とかそういうものは別です。ですから、百二十万の法人の経過措置だけは不足であり、何かにきちんと整理をしたらどうか。言っている意味わかりますか。資本金がふえるものについての取り扱いについては明記してもらったらどうかというのが一つです。それはもう答弁は要らないです。 五年間の経過措置の中で、利益からの充当、いわゆる課税後利益の処分としてのいわゆる資本金への充当、それから引当金みたいにいわゆる資本引当金として積み立てたものを三年なら三年たってからある程度資本金に充当するという方法、それから借入金で充当してしまって、これは金利は経費で落ちると思いますが、その借入金もとりあえずは三十五万を三百万に引き上げたとして、その金利と借入金を償還をしていくための税法上の取り扱い、こういうことが五年間の経過措置として必要になってくるだろうと思いますね。言っている意味はわかりますか。ふやしていくための手段としてはそういういろいろな手だてが行われてくるだろう、こう思うのですよ。そういういろいろな手段について考えてもらうということを、これは急だから答えられないかもわかりませんけれども、そういういろいろな手段について配慮する。配慮するということは、十分検討した上で指示なり通達なりで明示をしていく、こういうふうに私の方は理解して、あなたの方では考えてくれる、こういうふうに思っていいですか。
○清水(湛)政府委員 最低資本の基準に満たない会社が最低資本金額に到達する手段として、先生御指摘のように例えば既存の利益準備金を資本に組み入れるとか、あるいは今回商法で新たに改正法で認められることになりました配当可能利益を資本に組み入れる、こういうような方法もあろうかと思います。このことにつきましては、先ほど来小澤委員も御指摘になりましたように、これに伴う税制上の特例措置を講じていただけるように法務省から大蔵省にもお願いをいたしておる、こういう先ほど述べたとおりでございます。 それから、ほかの金融機関から借りてきて単純に増資をするという場合の借入利息の問題というのは、ちょっとこれは難しい問題ではないかと私思いますけれども、そのほかに、先ほどからちょっと申し上げておりますような増資をする際における登録免許税の軽減措置についても、大蔵省に同じようにお願いをしておるという状況でございます。
○沢田委員 利息はもう経費で落ちると私は確信していますが、しかし、元金の分まで落とすのかどうかということは若干問題があるということは言えるだろうと思いますが、その辺は意見の違いがあったということでいいです。結構です。 それで、資本金をふやさなければならぬ最大の理由というのは、今までも多くの人から言われたと思いますから、結論的に私が言えば、ECも一元化をしてきた、アメリカもこういうふうに日米構造協議になっていろいろと出てきている、中小企業、大企業を含めて市場競争というもののあり方が世界的な分野で行われるようになった、だからこの資本金を上げることのプラスというものとマイナスというものは両面ある。低くしておけば、今度はどこの会社が、外国人が来ても簡単に会社が設立できる、今度はこういうマイナス面が、今の入国管理と同じなんですね。余り強くすれば強くしただけに問題が生じてくるということになるし、甘くすれば甘くしたなりの今度はまた被害も生まれるということになるわけで、だから、どこが今適正に、我が国が世界経済の中において適正な水準にあるのか、やはりその視点で提案をしてもらうということが必要でなかったのかな、こういうふうに思いますね。 だから、日本の国内だけの事情ではない。今度は外国の人がどんどん来て、有限会社も簡単につくることも可能であるということが日本の中小企業その他に及ぼす影響はどうなるのかということがある意味においては検討されて、その上でこういう被害が起きる、こういうプラスがある、だからどうでしょうか、こういうのが一つ必要であった。 それから、開示制度が撤回されちゃった。これは極めて遺憾なことだと思うのです。私は、会社というのは資本金とそれから言うならば開示、経営状況、それからもう一つは資産、資産も純資産と総資産と二つもこのごろは書かれるようになりましたね。こんなものはさっぱりわからぬ。一般の普通の義務教育を受けた程度ではわかる人はいないでしょう。何が純資産で、何が総資産で、資本金は何を意味するのか、全部解説できる人がいたら本当に珍しい。これは大臣、そう思うでしょう。 ですから、今の世界経済の中における水準、カナダはどうだ、あるいはドイツはどうだ、イギリスはどうだ、あるいはフランスはどうだという状況の中で日本の中小企業はどうあるべきかということをやはり考えていくという視野というものが必要であったと思うのですが、その比較表ぐらい資料に出しましたか。
○清水(湛)政府委員 最低資本金について申し上げますと、ヨーロッパの諸国、ドイツ、フランス、イギリス等ほとんどの国で最低資本金制度をとっておりまして、その金額も、今回私どもが改正案で提出しました一千万円を超えるかあるいはこれに近似するものである、お隣の韓国もほぼ同額程度の最低資本金制度を導入いたしておるところでございます。アメリカには、最低資本金制度、これは州によって会社法が違うものですからそういう制度はございませんけれども、一方、アメリカでは証券取引委員会の規制というのが物すごく厳しくて、そちらの方の規制で実質的な会社の機能というものが担保されておるというふうに聞いております。 そういう世界諸国の会社法制というものをにらみますと、やはり我が国の法制は、これはヨーロッパの会社に範をとった会社法でございますけれども、戦後アメリカ法の思想がかなり入っておりますが、そういうものに比べて最低資本金制度がないという点においておくれておるということはもう否定することができないというような気がいたします。 私ども、最低資本金制度を導入するにつきまして、実は中小企業は反対するのではないかというような考え方を持っていたのでございますけれども、しかし中小企業の中にも、日本がこれから国際化の時代を迎えて中小企業の体質を強化するためにはやはり一定額程度の最低資本金制度の導入が必要であるという方もたくさんおられるわけでございまして、やはり単純な反対ではないというふうに考えたところでございます。 登記所公開制度についてもヨーロッパ諸国はすべてやっておりまして、日本は今回残念ながら採用しておりませんけれども、いずれ将来は実現したいと考えております。
○沢田委員 だから、これだけやったのでは、もう本当に、百歩進むのに一歩進んだぐらいにしかならないのでありまして、やはり開示制度というものがくっつき、あるいは損益計算書がくっつき、従業員の数までくっついてそして出ると、大体一人当たりの付加価値が高い安い、あるいは借入金が多い少ない、あるいは自己資本が高い少ない、そういう判断の材料が皆出てくるわけですね。一つだけ、部分だけ、まさに盲目の人が象にさわるがごとしで、一つの足にさわっただけでは判断にならないのですね。だから、これは提案が少し早かったのじゃないのかという気がするのです。もう少し体制が整備されて、そして考える、やはり理解を求める必要があったと思うので、できればその辺までも考えて出してほしかったと思います。 次に、外国法人については、いろいろな判決を見ますると、事務所と営業所、財産が何もなくてもこれは外国法人となり得る、例示をすればそういうことになるようでありますが、これもそうなると、今言ったような、弁解だけすれば、事務所もなく営業所もなく財産も何もない、ただ三百万なら三百万のあれで届け出ればそれで外国法人となり得るということになるのか。それから、ホテルに寝泊まりしていて申請しても外国法人となり得る、こういうことになると解していいですか。
○永井政府委員 外国法人は、商法上日本と類似した形の外国会社でありますと日本において取引をすることができます。ただ、日本にいわゆる本店を設けたり日本において営業することだけを主目的とする場合におきましては、いろいろ学説的には対立がありますが、日本の国内法で設立をしなければいけない、そういう意味で内国会社で動いていかなければならない、基本的にはそういう考え方に立っているわけでございます。
○沢田委員 回答になっているような、なっていないような、ホテルの場合はどうなんですかということについては一言も回答がないので。 逆に言えば、これはお互いさまなんですよね。これはこちらが厳しければ、日本が向こうへ行って商売をする場合にも同じ条件に自然になっていくわけでありますから、これも厳しくすれば、同じように向こうへ行った場合の商売も厳しくなる、こういう因果関係を持ってくるわけです。 今言ったように、これは東京地裁の昭和四十五年の判例では、外国法人の基準の中には、事務所、営業所、財産というものはなくても法人とみなしてよろしい、ホテルの中でやってもよろしい、これが今までの判例ですね。今度の改正法ではそういうものが制限されているのですか。あるいは認められるのですか、認められないのですか、どうですか。
○永井政府委員 外国法人が日本に事務所を設けて活動する場合におきましては、最低資本金そのものの適用はございません。ただ、日本において専ら営業する、そういう場合におきましては、最低資本金制度の適用がございます。
○沢田委員 これは重複する点があったらお許しいただきたいのですが、ちょっと細かい問題だけでお伺いをしておきたいと思います。 無記名の株券の有効性をちょっとお伺いしておきたいと思う。いわゆる無記名の株券は有効なりや否や。
○大谷説明員 お答えいたします。 現在、ただいま既に出ている無記名式の株券は有効にそのまま維持されます。法律が改正された後は、無記名式の株券を発行することはできませんので、会社がこれに違反をして発行した無記名式の株券は無効というふうに解されております。
○沢田委員 では続いて、端株の発行は可能かどうか。
○大谷説明員 端株制度の適用のある会社につきましては、端株の発行ということがあり得るわけでございます。一定の要件が整った場合には端株が発行されるわけでございます。 なお、この端株につきましては、株主の側から端株券の発行を請求するというような手続もございますけれども、やはり基本的にはその制度も維持されることになっております。ただ、会社は定款でもって端株券を発行しないというふうなことを定めることができるという余地も認めることになっております。
○沢田委員 大企業と小企業との区分は、法務としてはまず何を基準にして大小区分していますか。特に、これは商法上の大小の区分、こういうふうに。
○大谷説明員 お答え申し上げます。 商法上の基準といたしましては、今御案内のとおり、商法のほかに商法特例法という特別の会社法がございます。この中で、資本金が五億円以上または負債総額が二百億円以上、こういう会社を一応大会社と称して、会計の監査等について特別の取り扱いをいたしております。それ以下の会社をとりあえず中会社というふうに呼ぶといたしますと、その中会社のさらに下の段階として、資本金が一億円以下の会社、これを小会社と呼びまして、これについても若干緩和された規制を及ぼすというような取り扱いをいたしております。
○沢田委員 株の公開の有無は関係ありませんか。
○大谷説明員 株式の公開につきましては、今御案内のとおり、定款で株式の譲渡につき取締役会の承認を要するというような非公開の取り扱いをすることが認められておりますけれども、この手続をとるかどうかということは会社の大小とは関係がございません。
○沢田委員 これもやはり、ある一定の規模に達するならば公開の義務を、開示制度の中身としては、少なくともまずそういうある一定の限度以上の企業には開示制度をつくるということが必要なのではないか。新聞公告その他によって間に合わせているというものもあるでしょうけれども、やはり法律的な開示制度は、これは政令事項だろうと思いますが、その中に含めていくべきじゃないか、こういうふうに思いますが、これも簡単にイエスかノーかでお答えください。
○大谷説明員 会社の計算の開示の義務は、基本的には会社の規模の大小を問わず商法上義務づけられているわけでございます。御案内のとおり、現行法はそれが決算公告という制度で要請されているわけでございます。 なお、私が申し上げました公開、非公開という観点は、株式の公開、つまりだれでも自由に会社の株式を取得することができるかどうかという観点からの公開、非公開ということを申し上げたわけでございまして、計算の開示とは若干視点が異なるということでございます。
○沢田委員 じゃ、大蔵省はいいです。どうも御苦労さん。農林省もそれで結構です。 通産省は、この法律の改正に伴って、言うならば流通業界、流通段階における各企業等に与える影響について、まずその見解だけ、時間的に制約されていますが、承っておきたいと思います。 私が今まで述べたように、いろいろ不整備な状態に提案されているので、ちょっと形は悪いというふうに思うのでありますが、通産省としてはどう受けとめておりますか。
○藤原説明員 通産省といたしましては、今回の商法等改正法案につきまして、検討段階から我が国経済の活力の源泉たる中小企業の活力をそぐことのないよう、中小企業の実態を十分踏まえて、それを反映した内容としていただきたいということで要請してまいったところでございます。 今回、ございましたように、いろいろ例えば最低資本金制度については債権者保護の立場ということで会社法上の理念がございます。しかし、余りにも高額であった場合には、我が国中小企業の企業活動を阻害して活力をそぐおそれがあるということで、この面につきましても実態を十分配慮していただきたい。したがいまして、今回案として出されております一千万、三百万、それぞれの最低資本金というのは、両者の要請を調和させた額として最終的にそうなったものと理解しております。 確かに、流通業者等小規模企業者に負担を強いるというのは確かでございますけれども、先ほどからございますように猶予期間がある程度十分認められている。また、中小企業団体も、額についてはまあ努力できる範囲内であるというふうに認識していることから、十分理解され得るのではないかというふうに考えております。
○沢田委員 今あなたの答弁の中で、特別な業界については、租税特別措置法で若干資本金の充実については税法上の取り扱いに配慮してもらう、そういうことを要請する意図はございませんか、大蔵の方にということになりますが。
○藤原説明員 我々承知しているところでは、今回の最低資本金制度の導入にかかわりまして、先ほど来議論になっておりますような税制措置を実現していただければありがたいという要望は伺っております。その他については関知しません。
○沢田委員 それは、じゃ積極的にあなたの方でも進めていただきたいと思います。 そこで、この答申のときには会計調査人という新しい名称が生まれているのですが、これは消えてしまったからいいやということではどうも済まないようでありまして、これから徐々にそれを進めていくんだという考え方です。 時間がないので簡単に申し上げると、一人法人ができた、監査人もまあ正式にはないで一人でやっている。その中で監査人も選ぶ。じゃ税務なり財務なりはどうするか。そうすると、今日においては計理士に頼むとかあるいは公認会計士に額むとか、弁護士に頼むとかということになるわけでありますが、あえて会計調査人というような制度を置いた理由だけ、ちょっと簡単にお答えいただきたい。できたらば、これはもうやめた方がいいなという気もしますので、これはひとつ考え直しますとお答えいただければ、それは結構です。
○永井政府委員 検討中の段階の改正試案におきましては、会計調査人という制度を考えていたわけでございます。ただし、今回の答申案には出ておりません。したがって、立法化もされておりません。会計監査人と異なる会計調査人という、そういうものの制度をつくるかどうかということにつきましては、大変いろいろな観点からの議論がございまして、十分詰まったものになりませんでした。 したがいまして、監査のあり方及び全体的な中での再検討ということで、現段階では会計調査人による調査というものは法律に入っていないわけでございます。したがいまして、今後の監査全体の問題としての検討課題ということになっております。
○沢田委員 それだけではちょっと不十分なんで、審議会の答申は全部破棄だ、白紙にということではないので、要するに、兄弟席を争うというような形のものを、新たにけんかの仲裁人のところへまた仲裁人を入れるようなもので、どっちがどっちだかわからなくなってしまうことにもなりかねないので、局長の方でこれは早目にあきらめるならあきらめて、今の制度で有効に利用するということを考えてもらうということで善処してもらいたいと思いますが、いかがですか。
○清水(湛)政府委員 会計調査人の問題につきましては、委員御承知のように、端的には公認会計士の団体あるいは税理士の団体等、それぞれ意見の食い違いがございました。基本的には、現在外部監査の対象となっております資本金五億円以上あるいは負債総額二百億以上の会社、これは公認会計士あるいは監査法人の監査対象になっているわけでございますが、それ以外の会社の計算の適正をどうやって保持するかというところに問題の出発点があったわけでございまして、その問題の重要性はまだ消えていない。しかし、だれがその担い手になるのか、あるいはその会計調査を受ける企業の方の受け入れ態勢はどうなのかというような、まだまだ議論をしなければならない問題があるわけでございまして、私ども、現在においてはまだ確とした結論を持ち合わせていないという状況でございます。
○沢田委員 今度はほかの問題になりますが、入国管理局の外国人の労働者の問題は非常に混乱の状態をもたらしているわけで、この前、分科会でも私は申し上げたわけであります。大臣、これはもう実行されたんですか。電話は十五本、話し中でちっとも通じない。職員もふえていない。これは、もし何だったら委員長も電話をかけてみてください。恐らく委員長の席に座っていられませんから、いつまでたったって通じませんからね。そういう状況は解決されたのかどうか。しかも、今日のようにあのように並ぶような状態をつくったのは、まさに日本の恥辱ですよ。法をつくる者があんな事態を招いて、まさにガソリンやトイレットペーパーで並ぶような状態ですから。法律をつくる者としてはだれか一人ぐらい腹を切って国民に謝らなければ済まないような事態だと言っても過言ではない。これは法務大臣も法律をつくる者として十分な反省が必要だと思いますが、まずその見解を承りたいと思います。
○長谷川国務大臣 入管の問題につきまして、弁解するわけではございませんが、何しろ十二、三万人くらいの不法の人が入っていらっしゃる。少しオーバーに申し上げれば、有史以来初めての出来事だと思いますね。今まで経験がなかった、またそういうことを見たこともない、そういう新しい経験でございますので、今御指摘のような点があったということは認めざるを得ません。しかし、きょうもお昼に入管局長に来ていただいていろいろ話を聞いたのですが、パニック状態はもうかなりおさまったと報告は受けております。私も一カ月くらい前に現場を見たときは、全く今委員おっしゃるように座っている場所どころでなくて立っている場所もないくらいごった返して、これはこの諸君が国に帰っても日本はいい国だななんということを言うわけはないじゃないかといっていろいろ議論をしたこともあったのですが、きょうの報告では、かなりおさまっているようです。 なお、予算の点は、新しい平成二年度の予算で人件費を若干というか、おおむね五十人くらい盛ってありますので、これで若干緩和ができるのではないか。電話の点はもう既に準備をして、今いろいろ施設を手をかけております。御迷惑をかけないようにいたします。
○沢田委員 我々の選挙のときも臨電なんというのは一日で入るのですから、そういう点はぜひ対処してください。 ただ、大臣に頭に入れておいてもらいたいことは、今の入国管理というものはさっきの資本金と同じなのですね。これは日本が厳しくすれば、今度は日本人が行ったときに迫害を受けるのですね。復讐されるのですよ。ですから、日本が温かく迎えてやれば恩には恩をもって報いてもらえるのです。だから、入国管理というものは単に厳しくしていいものではない。ありがたいと思って日本から帰ってくれることが極めて重要なポイントなので、これは単に法律だけではないのですね。ですから、日本の富を東南アジア諸国の人々に幾らか分かち合うというのはODAでやるばかりがすべてではないのですから。もっと温かい思いやりの行政をしませんと、今度は皆さんの子供や何かが外国に行ったときに迫害を受ける、排日運動のきっかけにもなってくるということを念頭に置いて、これは一言で結構です、外務省と大臣の御見解を承って質問を終わりたいと思います。
○内藤説明員 確かに、一たん入国された外国人の処遇については、法の規制はある程度避けられませんが、ただ、基本的人権という問題については、差別されたという意識が残らないように外国人の処遇が行われるべきではないか、その点については我々としても今後とも注意を払ってまいりたいと思っております。
○沢田委員 では大臣、最後にお願いします。
○長谷川国務大臣 重ねて申し上げますが、今委員御指摘のとおりでございます。同時に、まさに日本の国の玄関であります。玄関でいろいろな印象を残したことは御指摘のとおりであります。これからも一生懸命頑張ってやります。
○沢田委員 終わります。
○小澤委員長 御苦労さまでした。 仙谷由人君。
○仙谷委員 日本社会党の仙谷由人でございます。大蔵委員でございますので、きょうは差しかえということで質問させていただきます。従前の議論の経過をほとんど存じ上げておりませんので、重複した質問等が出るかもわかりませんが、ひとつ御容赦をいただきたいと思います。 私自身、弁護士として商法事件、その他債権回収事件等々経験をしてまいったわけでございます。そしてまた、その中で今の企業の実態について、いろいろな形態がございますけれども、矛盾が非常に多く発生しておるというふうにも感じてまいったわけでございます。 今般商法が全面改正される。昭和五十六年に大改正がございまして、その後五十七年から、後半部分の全面改正ということで法務省の方で精力的に取り組みをされたというふうに伺っておるわけでございますが、まず、この昭和五十七年から始まりました全面改正の理念と申しますか、趣旨と申しますか、そのような観点からどういうふうに取り組んでこられたのか、明らかにしていただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 御指摘のように、昭和五十六年の商法改正におきまして株主総会制度のかなり大幅な改善、あるいは株式制度、つまり額面金額を五万円とするという改正、単位株制度の導入等、主として大会社を対象としたかなり重要な改正がされたわけでございます。 この五十六年改正というのは四十九年改正にさかのぼるわけでございまして、四十九年に、現在のいわゆる公認会計士等による外部監査の制度を大会社について導入いたしました。その際、当院の当委員会あるいは参議院の法務委員会におきまして、株式会社法というものを根本的に見直すべきではないか、大小会社の区分の問題だとか、大会社は大会社なりに、中小会社は中小会社なりの法制というものを考えるべきである、あるいは最低資本金制度というものの導入も真剣に検討すべきであるというような議論がされまして、それを受けて商法の根本的な見直し作業が始まったわけでございます。 そこで、御指摘の五十六年改正、これは主として大規模な株式会社を念頭に置きました改正でございまして、これが一応済みましたので、大小会社の区分というような観点から、主として中小会社を対象とした法制度の洗い直しに入ったというのが、五十七年度以降進められてきました今回の商法改正における理念と申しますか、そういうものであったということが言えようかと思います。 もちろん、我が国の経済活動の主体というべき株式会社及び有限会社の大多数が小規模あるいは中規模の閉鎖的な会社であるというような実情にかんがみまして、大臣も御答弁になりましたように、このような会社にも適合するような法制度を整備する、合理化する、あわせて債権者保護のために必要な措置を講ずる、最低資本金制度の導入もその一環でございますが、このような改善合理化をいたしまして、我が国における株式会社、有限会社の制度の充実強化を図ろう、こういうことに、この五十七年以降の改正作業の理念、趣旨があったというふうに考えておるところでございます。
○仙谷委員 もう少し哲学的なことをお伺いしたかったわけですが、反対側からお伺いをいたすわけでございます。 今度のこの商法改正案の概要というふうな法務省が出された資料を拝見しましても、この商法あるいは法制度が形骸化しておるという趣旨が書かれておるというふうに見ております。商法等による規制が形骸化しておる、この形骸化とか空洞化というふうにおっしゃっておるときに、実態としてどのような現象を指して法規制が形骸化、空洞化しておるというふうに見ていらっしゃるのか、その点について明らかにしていただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 形骸化、空洞化というのはかなり抽象的な言葉でございますけれども、要するに形骸化というのは商法で定められている諸規制が遵守されていないということを意味しているものと理解しているわけでございます。その最も典型的な例が、例えば株式会社につきましては決算公告という制度があるわけでございますが、百二十六万社の株式会社のうち、貸借対照表等の公告をしておる会社は一%ないし二%しかないというような事実がその典型的な例かと思われます。そのほか、例えば株主総会制度、取締役会制度あるいは監査役制度というものが果たして商法の予定するように有効に機能しているかどうか。特に、中小会社についてはほとんど機能していないのではないか。その一つの現象として、例えば訴訟等の事例におきまして、本来法人であるのに取締役個人の責任を例えば商法二百六十六条ノ三の規定に基づいて追及するとか、法人であるのに法人格が否認されるというような判例法が形成されてきておるということからも、そういうことをうかがい知ることができるような気がいたします。 空洞化というのも形骸化と同じような現象だと私ども考えておりますが、実質的には商法が予定したような株式会社の実体が存在しないということ、もちろん資本充実とか資本維持の原則もほとんど守られていないというような面にもございますけれども、いわば商法の予定した株式会社あるいは有限会社としての実体が存在しないというような現状が中小会社を中心として、特に小会社を中心として存在しているという認識でございます。
○仙谷委員 今、商法あるいは商法をめぐる法制度の形骸化についての法務省の見解を承ったわけでございますが、まさに中小会社において、あるいは大企業においても株主総会の運営が形骸化しておるというふうなことが先般の改正でも言われて、現時点でもそれほど実質的に株主総会が活性化しておるというふうには見えない現況が一方にある。とりわけ中小会社におきましては、総会が開かれたようにペーパーがつくられておりますけれども、実際問題として開いておる会社がどのぐらいあるのか、これもわからない。さらには、おっしゃいましたように監査役の制度そのものが、大会社でも監査役を会社の元経理部長とか総務部長とか、いわば相互牽制が起こり得ないような、監査役の独立性が保持できないような選任の仕方がされたり、あるいは業務監査に至ってはほとんどされないというのが特に中小会社では典型的なんではないかと思います。そういういわば会社制度本来の趣旨とは全く異なった実態というのが相当の量といいますか範囲で存在するのではないか。そのことについての問題意識が、今度商法改正の試案というのをおつくりになったようでございますけれども、そこにあるというふうにお伺いをしてよろしいのでございましょうか。
○永井政府委員 委員御承知のとおり、今回の法改正は、ある面で中間段階における余り異論の少ない、ある程度の合意ができた部分についてとりあえず取りまとめたというものでございます。したがいまして、今回の法制審議会の答申の中にも盛り込まれておりませんものがたくさんありまして、例えば経営管理(運営)機構の改正でございますとか会計専門家による計算適正化の問題でありますとか、それとの関係で有限会社法制をどう見直すかという全般的なことが随分取り残されておりまして、今回の法案は、ある面で現時点でとりあえず異論が比較的少ないものを取りまとめた、そういう経緯がございます。したがいまして、そういった経営管理(運営)機構の改正というものは、これからさらに法制審議会等で十分検討されて煮詰めていくということになっておるわけでございます。
○仙谷委員 そういう理念のもとに参事官室で改正試案というのをおまとめになったというふうに聞いておるわけでございますけれども、この改正試案というのは、先ほどお述べになった理念のもとにおつくりになったのだろうと思うのですが、大体何本ぐらいの柱をお立てになったのか、その点お教えを願いたいと思います。
○大谷説明員 お答え申し上げます。 何本というのは、ちょっと詳細に計算するには時間がかかりますので御容赦いただきたいと思いますが、設立、経営管理機構、株式・持ち分、計算・公開、資本減少、合併、その他、合計で九項目程度にわたる広範なものでございました。
○仙谷委員 計算の公開のほかに、いわゆる支配株主の責任であるとか、公開をしない会社の取締役の責任あるいは貸付金を劣後債権化するというふうな柱があったというふうにお伺いをするわけでございますが、それは、どういう理由でそういうものを今度の改正に盛り込もうというふうになさったのか、その理由。計算の公開の問題と支配株主の責任の問題、さらには取締役のいわば挙証責任を転換した債権者に対する責任の問題、あるいは貸付金の劣後債権化、こういう点についてお伺いをいたしたいと思います。
○永井政府委員 参事官室で作成いたしました改正試案の中には、委員御指摘のような支配株主の問題あるいは出資金とみなすべき貸付金の問題、それから会社から得た利益の返還、こういった債権者保護を目的とした考え方が提示されていたわけでございます。しかし、その後、法制審議会ではいずれも今回の答申には入り込みませんでした。一つ一つについて細かいことを申し上げても結構なのですが、例えば支配株主の問題でございますが、試案においては、五千万円未満の株式会社または有限会社で発行済み株式総数または資本の二分の一以上の株式または持ち分を有する株主、社員は、その者が取締役または取締役の職務執行に重大な影響力を行使する者であるときは、その地位にある間に発生した労働債権でありますとかあるいは不法行為債権について会社が弁済できない場合には直接その責任を負う、こういう考え方をとっていたわけでございます。しかし、これにつきましては、五千万未満であるとかそういうことで一体なぜ線引きをしなければいけないのか、あるいは具体的には取締役の職務執行に重大な影響力を行使するというのは一体どういう理由なのか、あるいはこの前も議論になりましたのですが、労働債権または不法行為債権だけになぜ限定しなければいけないのかとか、あるいはこういった株主あるいは有限会社における社員の個人責任を追及する、そういった条文化することが果たして現在の有限責任を基本といたします会社法制の中で整合性があるのかどうかとか種々の観点がありまして、さらに慎重に検討するということで今回の答申には盛り込まれなかったわけでございます。 出資金とみなすべき貸付金につきましても同様の議論がございまして、現在の倒産処理手続の柔軟性を害するのではないかとか、これと調和する実効的な規定を考慮することが非常に難しいといったような観点がありまして、これも見送られたわけでございます。 ただ、やはり債権者保護の具体的な問題につきましては、計算書類の登記所公開の問題とあわせてさらにいろいろな議論を詰めていきたい、かように思っているところでございます。
○仙谷委員 今の提案されておる商法の改正案の中で、一千万円という最低資本金制度、株式会社でございますけれども、それを提案されておって、それが債権者保護という観点から位置づけられておるようにも見えるのでございますけれども、今の御答弁をいただきましても、債権者保護というふうに言うときには——私どもはいわゆる債権回収事件で本当に苦労をいたします。法人格否認の法理を持ち出しての追及あるいは商法二百六十六条ノ三を駆使して一生懸命重過失とか故意を立証しなければならないというふうな難題ですね。そして、この貸付金につきましても、オーナー的あるいは会社と非常に近い関係のある者の貸付金についてはいろいろな法律テクニックを使って債権が満足されるけれども、一般の債権者はもぬけの殻のところへ追及をしなければならないというふうなことで、取引の安全といいますか、債権者保護が十二分でない、むしろそのことによって連鎖倒産を引き起こしたり甚だ困窮に陥る中小企業というものも実は多いのではないか、こんな実態を経験的に感じておるものでありますから、この資本金一千万円というものがなぜ債権者保護になるのか。今御答弁いただきました支配株主の責任の問題とか取締役のいわば挙証責任を転換しての責任という規定が定められて初めて、そういう債権者保護というものが実態的に進んでいくのではないか、そのことが取引の安全につながるのではないかというふうに私あたりは考えるわけでございますけれども、その辺は、法務省の今度の法制審の答申に載らなかった。いろいろと難しい問題があるのだというふうなことをおっしゃるわけですが、しかし、裁判所では判例法としてはそれなりに形成されてきておるという実態も一方では存在するわけでございますので、この点について、今回改正法案に載っていませんけれども、今後鋭意検討されて、このような観点からの責任追及ということを試みるといいますか、追及を法務省としてされる御意思があるのかどうなのか、その点について御答弁をいただきたいと思うのです。
○永井政府委員 直接の御質問にお答えする前に、最低資本金が果たして債権者保護かどうかという問題の前提が少しございましたので一言申し上げたいと思いますが、物的会社におきまして会社の債権者がよりどころにいたしますのは、これは結局会社財産でございます。会社財産をある程度会社に留保しておきなさいあるいはそのように経営努力いたしなさいという一つの指標が資本ということになっているわけでございまして、この最低資本金というものは、会社設立のときの一つのバーとしてある程度の会社の実体財産を持ちなさい、それからまた、会社存続中におきましては財産を確保することによって不測の事態にできるだけ備えられるようにする、そういう機能を持っているわけでございまして、これは委員には釈迦に説法でございますが、あらゆる教科書でありますとかあるいは法制審議会等におきましても、最低資本金はやはり大きな意味で債権者保護の一つのよりどころであるということは言われておるわけでございます。 ただいま委員が御指摘になりました具体的な、現に倒産したような場合の非常に困窮した場面における債権者保護という観点も、これは現実の目に見えた形の債権者保護ということが非常に問題になるわけでございます。これは、現に委員のように弁護士等をやっておられますと、本当に緊急のときにどうするかという問題が常に身につまされることであろうかと思います。私どもといたしましても、従来の二百六十六条ノ三でありますとか会社の法人否認の理論でありますとか、それ以外にも何らかの形で実質的な個人会社であるような方についての責任追及ということ、それが十分できるような法制というものはないかということを考えて、また改正試案にも現にそういったことが出てきたわけでございます。 ただ、先ほども言いましたように、計算書類の公開等ほかの手段を含めまして、やはり全体的、総合的に検討いたしませんと、そこのところだけを突出して直ちにできるかどうかという根本論が随分ありまして、法制審議会の中でも必ずしもぴたっとこういうふうに意見がまとまりにくかったということ、ただ、私どもといたしましては、そういった手段も十分考えられる一つの債権者保護のあり方ではないか、困窮した場合、現にせっぱ詰まったときのあり方としてもそういうことは十分考えられるという姿勢でなお検討を続けてまいりたい、こういうように考えているわけでございます。
○仙谷委員 ちょっと法律論議の方に入り過ぎたような気がいたしますので、実態的なことをお伺いするのですが、現在提案されておる最低資本金一千万円につきまして、これについては何か中小企業いじめであるとか弱い者いじめである、こういう議論がされておるようでございますけれども、法務省どういう御見解でございますか。
○清水(湛)政府委員 最低資本金制度の導入につきましては、導入の必要性等については繰り返して御説明申し上げませんけれども、具体的に金額を幾らにするかということで大変議論があったところでございます。法務省といたしましても、新しい制度でございますので、法制審議会で御審議いただくに当たり民事局参事官室の方で質問書をつくりまして、例えば最低資本金としては幾らが適当であるかというような意見照会を各方面にいたしたところでございます。それに対しましては、一億がいいとか、株式会社については一億だとか五千万だとか三千万だとか、あるいは有限会社の最低資本金が昭和十三年当時一万円だったから、これは現在二千万円程度の価値があるので最低二千万だとか、有限会社について最低二千万だとか、そういうようないろいろな意見があったわけでございます。中小企業団体からももちろんいろいろな意見が寄せられてまいりました。そういう中で、中小企業団体等から中小企業に過分の負担がかかるようなものであっては困る、しかし最低資本金制度の導入自体は、これは中小企業の体質強化という面から絶対ノーということではないというような御意見もございまして、私どもそういう中小企業団体の意見も十分に尊重しながら、極めて長期間にわたる法制審議会の調査審議、中小企業団体の委員もおりますし、中小企業関係者の参考人の方にも来ていただくというような調査審議を繰り返しまして法制審議会の答申が得られたというふうに理解しているわけでございます。中小企業をいじめるとかいうようなことは毛頭ございませんし、中小企業団体自身、体質強化のためにこのような制度が必要であるというようなお考えのところもあるようでございまして、このようないじめとかそういうことは毛頭も考えてないということを御理解いただきたいと思います。
○仙谷委員 同じ質問を通産省の中小企業庁の方にもお伺いしたいわけでございます。 この最低資本金制度の一千万、これが中小企業の負担を強いるという議論がございます。それから、先ほど私が申し上げた支配株主について責任を負わせる、あるいは中小会社の取締役について、会社が取引上の債務を負うほかに一定程度の要件のもとに取締役個人が責任を負わなければならないという規定をつくるとこの改正試案の中で出ておりますけれども、そういう責任規定をつくるということが中小企業の負担を強化する、中小企業いじめだ、こういう議論があるようでございますけれども、通産省はどういうふうにお考えですか。
○藤原説明員 通産省といたしましては、法務省で会社法制のあるべき方向を目指していろいろ制度を改正していくということにつきましては、当然のことながら十分理解しているところでございます。 今先生おっしゃいました、では個々の中小企業者がどう考えているかということにつきましては、確かに、我々は何の迷惑も少額資本でかけてないのに何でやらなければいかぬのかという一部の声はあります。ありますけれども、先ほどからるる法務省の方から説明してございますように、全体の会社法制の基本的あり方なり国際化というようなことを踏まえて理解が進んでいるというのも確かです。ただ、我々が最終的に中小企業者の意見も集約しながら申し上げたことは、確かに理念を追求するのは理解するけれども、現行の商法のもとでもう既に多数の中小企業者が存在する。株式会社は百二十六万、有限会社は百四十万。これが、その内容いかんによっては確かに対応できないものもあるであろう。したがいまして、この歴史的な継続性なりに十分配慮し、また、一千万の話でございますが、これから新たに事業を起こそうというところも、最近はベンチャービジネスあるいはニューサービスということで多額の資本を要しないような企業がたくさん出ております。これらは、例えば創業者の意思によって、できれば支配株主でどんどん事業をやっていきたいというような面も含まれてございます。我々としては、先ほどから申し上げておりますように、我が国経済の活性化の原点はやはりこういう中小企業の創業にある、これを余り阻害しないような形でみんなに受け入れられる案はいかがかということで、中小企業団体等の意見も踏まえて対応してきたところで、いじめ論とかそういうことでは決してございません。いろいろな意見を集約された結果、理解される案になっているというふうに思います。 あと、後段にございました支配株主等の意見、それから取締役の責任、これは、中小企業団体は端的に言えば反対という意見があったわけですが、法制審の中でもいろいろ検討されました。いろいろ技術的な問題点もございまして、私が答える立場にはないと思います。先ほど来法務省の方でまとめてお答えになられたと思いますので、答弁は失礼させていただきます。 以上です。
○仙谷委員 何というのですか、この中小企業の負担強化説、それから今の通産省の方の御説明でも、どうもこの種の議論で、会社という一つの社会的存在を最近強調される法人と、それに出資しあるいは経営に参画するという立場の個人の混同、一緒くたの議論が行われておるのではないか、まさに株式会社の制度の初歩の初歩が忘れられておるのではないかという気がしてしようがないわけであります。つまり、例えば資本金の問題にしましても、そこで最低資本金が決められたといたしましてもそれを負担するのは株主である個人でありまして、中小企業そのものが負担するということには法律制度としてはなってない、そのことがまさに株式会社の株式会社たるゆえんだというふうに私は思うのであります。ところが今、最低資本金を上げるということになると、会社の負担だ、会社の負担が強くなるというふうな議論が堂々とまかり通ったり、あるいは税制にしましても、何か会社に対する税金と個人、株主あるいは経営者に対する税金が一緒くたにして考えられるというふうな、坂本竜馬の亀山社中以来百二十数年たっておるのに、まことに混同した議論が行われておる。今のビジネスをめぐる国際情勢の中では甚だ情けない事態なのではないか。中小企業の育成というのは別の観点から行うべき事柄であって、この種の法制度を普遍化し、一般化する際に、会社と個人を一緒くたにして行っていいというものではないのではないかという感を強くしておるわけでございます。取締役の責任にしましても、支配株主の責任にしましても、会社というもので支え切れない、そういう公の存在で責任を果たそうとしない場合にどうするのかという議論でございまして、何でもかんでも取締役の責任を追及すればいいとか支配株主の責任を追及すればいい、こういう議論ではないわけですね。ところが、どうもその種の議論が横行しておるのではないか。私は残念でならないわけでございます。 そういう観点からもう一点、今度の商法改正案で、これは法制審の答申にまで盛られております計算の公開の問題でございます。 計算の公開の問題、これは改正案の文言をかりますと、株式会社のいわば閉鎖性をオープンにする、透明度を高める、そのことをもって取引の安全、つまり債権者保護に資するんだ、こういうことだろうと思うわけでございますけれども、そういう理解で間違いがないかどうか、法務当局の見解を承りたいと思います。
○永井政府委員 委員御指摘のとおりでございまして、計算書類の公開というものは現行法でも官報または日刊新聞紙に決算公告をしなさいと規定されているにもかかわらず、これが実際には守られていないという現状があるわけでございます。それで、法制審議会がいろいろ検討されましたのは、実は中小会社にふさわしい公告のあり方、公開のあり方ということで、登記所でやった方が手続や費用も少なくて済むのではないか、そういう考え方でやって議論としてまとまったわけでございます。 ただ、何分こういう中小会社を中心にして体制がまだ十分整っていないという考え方もありますし、答申には盛られましたけれども、まだ意見が若干区々に分かれております。政府部内でも意見の調整が十分尽きかねておるところであります。そこで、できるだけ関係者の御理解を十分得ました上で早期にこういう方向に、答申どおりに進めていきたい、かように思っているところであります。
○仙谷委員 計算書類の公開については、本来会社という制度を利用する限りは計算書類が公開されなければならない。もちろん、まず第一番に株主に公開をされなければならない。それから、広く公開をされることはむしろ望ましいことだ、こういうことで現行制度もあるわけですね。それを中小会社にふさわしいような登記所公開という制度に持っていくんだという御説明でございますけれども、その程度のことがなぜできないのか私は不思議でしようがないのですが、その公開についても、公開すると会社の経理内容が丸裸になって乗っ取りを生むとか、あるいは取引会社から値引きを迫られる、そういう議論もあります。 中小企業庁にお伺いをしたいわけですが、正しい経理を公開するということが今度はそんなに不正な取引を生む温床になるのでしょうか。その点どうでしょうか。
○藤原説明員 公開制度につきましては、おっしゃいますように、会社制度を利用する限り原則として公開されることが望ましいと考えておりますけれども、我々もちょっと意見をいろいろ聞いたわけですが、一般的に、確かにそうはいっても、公開の方法としてはやはり、我が国経済に広く影響力を持って取引先も多い大企業については、多目的、不特定の多数に対する観点から必要だろうというのは認めても、なかなか取引範囲が狭いあるいはそういうところの中小企業にまでも、現在でも要するに間接開示ということで株主、債権者への計算書類謄写、閲覧権が認められているわけですけれども、全く第三者に対してやることの有用性と、またその反面の影響については、やはりちょっと懸念がある。先生おっしゃったとおり、例えば下請け関係にあれば、複数の親企業と取引している場合、全体としてどれぐらいの収益になっているかというのは、普通はよほど強制されないと出さないで、むしろ出した場合にはさらに単価を値引きされる。個々の取引では大体わかっているわけですけれども。そういうことで、ここら辺については潜在的に非常にそういう問題がある。だから、会社法制の理念は全く尊重するわけですけれども、現実的に九九%守られていない中からどういうふうにアプローチしていくのか、受け入れやすいようにどうしたらいいかというのを非常に慎重に検討すべきじゃないかなというのが我々の考えでございます。
○仙谷委員 私の経験ですと、継続的取引におきまして親会社とか子会社とかというところは、多少力の強い方が計算書類の提出を求め、いわばいつでも調査に入れるような契約条項をつくっていますよ。今の実態はむしろ税務署用、税務申告用、金融機関提出用、自分のところの会計帳簿と三つぐらい帳簿をつくっている会社があるんじゃないですか。こういう不健全な経理、これは労働者の立場から見ても、それによってある種の利益隠しが行われて労働者に対する配分が少なかったりあるいは正確に払わなければならない税金が少々少なかったりするというのは、中小事業者の利益が守られるとしても、庶民の感情としては、額に汗して働く者の感覚からは許されないと私は思うのですよ。そのことが過大な負担を強いるのならともかく、公正な競争のもとに公正な商売をして利潤が上がれば、それに応じた税金を支払い、あるいは労働者に対してボーナスを出す、私は当たり前じゃないかと思うのです。ところがそうはならない、なっていないところがあるのではないか、三重帳簿などということがなぜ起こるのか、こういうことなんですね。もうそろそろ日本の企業社会もその辺の透明性と社会的責任を自覚した会社経営が行われるように、商法は商法で計算書類の公開ということをはっきりと打ち出す、中小企業庁は中小企業庁でそのような観点から物心両面の援助を行う、育成を行うという方向に向きませんと、いつも後ろ向きの対策と議論では、これはもうこれからの、国際的な取引が中小企業といえども始まっておるわけですから、対外的な信用も得られないのではないかという感じがするわけでございます。 そういう観点から法務省の方にお伺いをいたしたいわけですが、この計算の公開問題、そしてその公開をすべき計算書類の適正の問題、これについて早急に整備をして立法化するというおつもりがあるのかどうなのか、緊急の課題であるという御認識があるのかどうなのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
○清水(湛)政府委員 計算書類を登記所において公開するという制度は今回の改正案には盛り込まれていないわけでございますけれども、御質問の趣旨は、仮に登記所でこれを公開することとした場合には正確な計算書類を公開する必要がある、そのための手当てがあるのか、こういう御質問だろうと思います。 このことにつきましては、実は会計調査人という制度を導入しようということで議論が重ねられたわけでございます。資本金五億円以上あるいは負債総額二百億円以上の会社については公認会計士等の監査が現在強制されておりますので、これはいいのでございますけれども、それに満たない中小会社について、今度計算書類を登記所で公開する場合にそれをどうするかというようなことが議論になったわけでございます。法制審議会の答申におきましては、会計調査人というような制度を導入しなくても現在の監査制度のもとでも登記所に公開することによってある程度の真実性の担保はできる、つまりそんなにめちゃくちゃなものを第三者の目にさらすということは取締役の責任の問題にも波及してまいりますので、そういうことにはならないだろうという考え方のもとに、外部監査的な調査という制度は見送ったままで登記所公開に踏み切ったわけでございます。 しかしながら、会計調査人というような制度がもしスムーズに導入できる、適当な人材を確保することができ、また中小企業側もこれを受け入れることができるというようなことになれば、これはまたまことに望ましい制度であるというふうに私ども考えているわけでございまして、この問題は将来の課題として引き続き検討対象といたしたいというふうに考えているところでございます。
○仙谷委員 お伺いしたかったのは、今お答えいただいた点もそうでございますけれども、計算の公開の問題を緊急の課題として、例えば年限を切って来年まで、来年じゃちょっと、一たん法制審でせっかく決めておるものをいろいろな事情で取りおろさなければならなかったこの事情をほぐすのに一年じゃ短い、二年ぐらいかかるとおっしゃるのだったら、再来年にはぜひやりたいというふうな、そういうおつもりがあるのかないのかということを一点、重ねてお伺いをしておきたいわけでございます。
○清水(湛)政府委員 来年とか再来年という、具体的に年限を切って申し上げることはちょっと残念ながらできませんが、私どもといたしましては、できるだけ速やかな機会にこの登記所公開制度は実現してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
○仙谷委員 その場合に、法務省が登記所公開をする段階で、その正確性について、取締役の民事的、刑事的責任の問題、これを立法的に規定する、定めるというおつもりがあるのかないのか、その点についてもお伺いをいたしたいと思います。
○清水(湛)政府委員 登記所にそういう計算書類を提出すること自体についてのいろいろな制裁というのはないわけでございますけれども、現行法上も、例えば取締役が計算書類に虚偽の事実を記載するということになりますと、これは過料の制裁でしたか、制裁がございますし、もしそれによって第三者が損害を受けるというようなことがございますと損害賠償責任が生ずる、かように考えております。それを超えて、つまり現行法の枠を超えてさらに取締役に何らかの制裁規定を科すかということについては、これは検討課題とさせていただくことにいたしたいと思います。
○仙谷委員 一点お伺いをしておくのですが、商法四百九十八条ですね、今おっしゃった過料の問題というのが出てきておると思うのですけれども、この規定を使って従来過料を科されたケースというのはあるのでしょうか。
○永井政府委員 過料を科したケースはないと思います。これを現実に行うには、登記の場面だけで処理するということがなかなか難しいわけでございます。相当な手数と人員が要るという現状にございます。
○仙谷委員 そろそろ時間が参りましたので最後にいたしたいと思いますけれども、計算の公開の問題は、やはり企業あるいは企業経営者の社会的責任といいますか、みずからが社会性があるんだということの自覚といいますか、最近はやりの言葉で言えば、まさに緊張感があるかないか、こういうことにつながるのではないか、そういうふうに私は思うわけであります。つまり、企業経営者が、利潤はオーナーに、責任は会社に、これは有限責任で、責任持てなくなったらそのままほうり出すというようなことが行われるのでは、会社制度に対する信頼はなくなってしまうと思うのですよ。そういう観点から、この計算の公開そしてまた正しい適正な計算が行われて、それが公開される。そのために、適正さを担保するために、おっしゃいました会計監査人をどうするのかですね、会計調査人ということでなくても、会計監査をどうするのかという点をお考えいただくのと、虚偽記載の書類を出した場合のペナルティー、これについても十分お考えをいただきまして、この計算書類の公開というものを早急にお決めいただきたいと思います。 それで、最後に法務大臣にお伺いするのですが、九二年にEC統合というのが行われるということで、ECでは商法の統一化といいますか、普遍化といいますか、共通部分を持とうということが何かしきりに言われておって、そこでやはり一つの大きな問題は、この計算の公開というのが大問題だ。大問題といいますか、透明性の問題が一番大事な問題なんだ、非常に大事な問題なんだというふうに言われておるということなんですが、日米構造協議で日本の企業社会についても透明性がないとか不公正な取引があるのじゃないかとか、いろいろなことが言われております。この商法問題でECから構造協議をしなければいかぬなんという議論が出てくるようでは、これは全く恥ずかしいことになりますので、その点、少なくともこの計算の公開については早急に整備していただきたいというのが私の議論でございますけれども、大臣、どういうふうにお考えになられますでしょうか。
○長谷川国務大臣 委員の御質問を拝聴いたしておりまして、ECの問題、私そう詳しくもないのでございますが、非常に貴重な意見でございますので、十分腹に置いてこれからも勉強させていただきます。
○仙谷委員 終わります。
○小澤委員長 御苦労さまでした。 平田米男君。
○平田(米)委員 公明党の平田米男でございます。 社会党の仙谷委員も計算書類の公開の問題を取り上げられまして、私も主にこの点についてお伺いをしたいわけでございますが、重複をする点があるかと思いますが、私は公明党のスタンスでお伺いをしたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。 今回、計算書類の商業登記所における公開の制度というものが結局は改正案について導入をされなかったわけでありますけれども、法制審議会がこの公開制度を導入をしよう、そのように決定をされました理由といいますか根拠、そういう点からまず御説明いただきたいのですが。
○清水(湛)政府委員 計算書類の登記所公開の制度を法制審議会が決定した理由は、もう既に御承知のように、現在、株式会社につきましては、官報または日刊新聞紙に決算公告をしなければならないということになっているわけでございますが、この制度が実質的にはほとんど形骸化しておる、こういう状況でございます。それとともに、新聞あるいは官報に公告を中小企業がするということは、中小企業にとって必ずしも適当とは言えないというようなことがございまして、いわば中小会社にふさわしい計算の公開制度としてこの計算書類の登記所における公開の制度を導入することにしたらどうか、こういうことで、このような制度を採用したわけでございます。 なお、先ほど大臣もございましたEC諸国、ヨーロッパの会社につきましては、登記所におけるこのような公開制度がすべて採用されていると言って差し支えないかと思います。
○平田(米)委員 中小会社にふさわしい公開制度という観点で決定をされたということなんですけれども、出されました要綱の中で、大会社と中会社、小会社、こういうふうに三分類をされまして、登記所における公開制度を求めておるのは大会社と中会社であるわけでございます。今中小とおっしゃったわけでございますけれども、小会社に対しては公開制度は要綱の中ではなされていないわけでございます。この要綱の案と今の御説明は食い違うのではないか、このように思うのですけれども、いかがでしょうか。
○清水(湛)政府委員 登記所公開の制度が中小企業にふさわしいという観点から議論されましたので、そこを若干強調いたしまして、法制審議会の答申とは違った形での内容になったことをちょっとおわび申し上げます。 法制審議会の答申におきましては、大会社につきましても登記所公開はするし、公告も同時にしていただく、その意味では完全にプラスになる、こういうことでございます。大会社でなく、かつ資本金三千万円以上のいわば中会社につきましては、こういう登記所公開をするとともに、今の官報または日刊新聞における公告の義務は免除する、こういう形になっております。三千万未満の会社については何も触れてない。だから、形式的には新聞あるいは官報に公告する義務はあるわけでございますけれども、これは今までやっておりませんので、事実上やることは期待されないという、ちょっと妙な話になりますけれども、そういう結果になっておるわけでございます。
○平田(米)委員 そもそも要綱の段階から考えられた理念と、出された案というのが実際上は食い違っているということではないかと思うのですね。そうなった事情はそれぞれあるのではないかと私も考えるわけでございますけれども、中小企業の団体の方々もいろいろ反対理由を挙げておいでになります。現実に備置あるいは閲覧の制度があるではないか、あるいは公告の制度があるのでそれを強化すべきではないか、それで十分だ、こういう御議論もありますし、また現行でも株主、社員、あるいは会社の債権者の利害関係者というのは中小会社にはそんなに多くはない。ですから、不特定多数まで公開をさせる必要はないんだ、こういう反対論もあるわけでございますけれども、それをさらに乗り越えて、どうして不特定多数の方々に公開をしなければならないのか、これが一つのその反対論に対する説得といいますか、理由としてきちっと考えられなければならないと思うのですけれども、その辺はどのようにお考えになるのでしょうか。
○永井政府委員 現在も公告の制度があるわけですが、これを強制しようといたしますと、先ほどもちょっと申し上げたのですが、違反事件を捜しまして裁判所に過料の通知をするという手続をしなければいけません。このためには膨大な人的、物的な手続を要するわけでございます。現行の決算公告制度を中小規模の多くの会社に全部強制するというのは現実にはなかなか難しいということがございます。 もう一つ、委員御指摘の商法二百八十二条にあります計算書類の備え置き、閥覧の制度で足りるのではないかということがございます。これは条文上を見ますと、現行の制度は閲覧権者を株主または債権者に限定をしておりまして、いわゆる第三者一般に広げておりません。確かに、株主または債権者という具体的なつながりのある具体的な方が見るという場合には、この制度である面で足りるわけでございますが、ただ、これから取引関係に入ろうとか、あるいはもっと違った形でその信用度を見たいという第三者は、これを利用することができません。 こういう観点から、一方では公告制度というのは現実にお金もかかり、日刊紙に出すということも難しい。それから一方では計算書類の備え置き、閲覧の制度だけでも十分ではない。そうするならば、他のもっとより身近で見やすい、あるいは割合提出しやすい登記所で計算書類を公開するということが一つの望ましいあり方ではなかろうかということで、こういう答申が得られたものと考えております。
○平田(米)委員 どうもよくわからないのですけれども、中小会社、特に零細の企業の皆さんは、不特定多数の人まで公開をしなくてもいいという思いが強いわけでございまして、それを無理やり公開をさせるということは、もう少し何か説得的な理由が必要なのではないのかな。現実問題としてそういう方々は今の社会の中で取引を継続しておいでになるわけでございますから、そういう現状を踏まえて考えますと、もっと強い社会的要請があるんだという説得をしないとなかなか理解をされないのではないのか。我々、法律論の議論ならわかるのでございますけれども、現実社会で生きておいでになる企業家の皆さんにとってはなかなか理解できないのではないかというふうに私は思います。 そういう点も含めまして、今回の商法改正に当たっては、法制審議会も相当長い年月をかけて大変なエルギーを費やして検討をされ要綱をおつくりになったと思うわけでありますけれども、それにもかかわらず、商業登記所における計算書類の公開制度、これは今回、設立手続について非常に簡素化されるわけでございますけれども、この簡素化の前提であるとも言われておるわけでございますが、本来一番重要なところが抜けてしまって、それを前提にした制度、すなわち設立の簡素化が導入されてしまった。私どもから見ると、非常におかしな改正ではないのか、首尾一貫しない。まさに商法というのは日本の企業活動の基本をなすものでございますから、それがこのような不完全なものであっては決してならないと思うわけでございます。改正案がそのような不満足な結果になってしまったことに対して法務省として率直に反省をされる点が幾つかあるのではないか、私はこのように思うのですが、いかがでしょうか。
○清水(湛)政府委員 御指摘のように、今回の商法改正の一つの大きな柱である計算書類の登記所公開制度を見送らざるを得なくなったということになるわけでございます。もう一つの大きな柱である最低資本金制度につきましては、若干の修正は施しましたけれども大筋において法制審議会の答申の趣旨に沿った改正案ということになろうかと思うのでございます。 計算書類の公開の制度の方は完全にすっぱり落としてしまった。おっしゃるように計算書類の公開ということは、我が国の中小会社の法制を実質的にバックアップすると申しますか強化すると申しますか、そういう意味において非常に重要な制度だと私ども考えているわけでございます。しかしながら、法制審議会レベルでは御理解いただけましても、現実にこれを実施しようといたしますと中小企業関係者にまだかなりの抵抗感があるというのも事実でございます。私どもといたしましては、今回の改正案には盛り込むことができませんでしたけれども、今後とも関係方面の理解を深めて、何とか早い機会にこれが実現できるように努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○平田(米)委員 私は、できればもっと率直な反省をお伺いできればと思ったのです。三年ほど前には企業の不祥事がいっぱいマスコミで報道されました。そういう時期ならば、もっとこの問題というのは積極的に取り上げられたのではないか。大変長い期間をかけて法制審議会が慎重に審議をしておいでになるのは結構でございますけれども、やはり今、時代に即応した法制度をどんどん打ち出していく時期だろうと思うのです。 そういう意味で、私は今回の状況を見まして、第一に、改正作業に、改正手続に非常に時間がかかっている、これを何とかしなければいけないのではないかと思います。十分御意見を伺うと同時に、迅速に改正作業を進めていくということを法務省としてお考えをいただきたいと思うわけであります。また、いろいろ他省庁との連携が本当にうまくいっていたのかどうか、この辺もどうも心配でならないわけでございまして、日ごろから緊密な連絡をおとりになっていただいて、他省庁と協力、共同して、こういう企業活動の基本となる法律でございますので、同じ思いで作業をしていく、改正をしていくという考えが必要なのではないかな、こんなふうに思うわけであります。 もう一つは、世論とかあるいは関係者に対するPRといいますかあるいは説得といいますか、これをもう少し積極的にやられる必要があったのではないか。随分御努力はされておいでになるかと思いますけれども、他省庁の一つの法案を通そうと思われたときの活動量から比べますといかがなものかと私は思うわけでございますが、どうでございましょうか。
○清水(湛)政府委員 御指摘のように、まことに私どもの努力が足りない点が多々ございまして、その結果において関係方面の理解を深めることができなかったということは大変残念に思っているところでございます。御指摘の点については一々ごもっともでございますので、私どもも今後はさらにいろいろな面で努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○平田(米)委員 ありがとうございます。私は何も腹を切らなければいかぬとか委員が辞任をしなくてはいかぬなどというふうには申し上げません。これだけ一生懸命努力をしておいでになったということはわかるわけでございますけれども、なお一層の御努力をしていただいて、あるべき商法の形というものをつくっていただきたいと思うわけであります。また、私たち法務委員としてもその責任をまた感じておるわけでございます。 もう一点、公告制度に関連しまして感じますことは、御答弁にもありましたように、現行の公告制度が全く遵守をされていない。法人の中で一%か二%しか実際は実施をしていないということであるわけでございますし、また、その違反に対して過料の制裁をしたことが全くない、こういうことも伺っておるわけでございますけれども、私は、法治国家というものを支えているのは国民の遵法精神だと思うわけであります。それがなくなったら、いかに法律をつくっても法治国家は成り立っていかない、このように思います。その遵法精神を育成、醸成をしていくためには、このような法律を守らなくても済んでいくという法律違反の状態を放置しておってはならないと私は思うわけであります。そのためには、法律を守らせると同時に、守りやすい法律をつくるということが立法者としては大事ではないのかなと思うのです。 法秩序を維持していくという第一の責任を負っておいでになるのは法務省だろうと私は思うわけでございまして、法務省として、そういう責任上、こういう法律が守られていないという事態を見過ごしていくわけにはいかないと思うわけであります。それにもかかわらず、別個の制度を今回つくろうというような法制審議会の答申を受けて要綱をおつくりになった。これも何かおかしいな、公告制度を廃止するというのだったらまだわかるわけでございますけれども、公告制度をそのままにしておいて、そして守られない法律をそのままにしておいて別個の制度をつくろう。これは私は、法秩序を守るという遵法精神を育成、醸成をしていくという法務省の責任から考えますと、やはりおかしいのではないか、責任を果たすことにならないのではないかと思うのです。今回、公告制度は結局一つ残ったということになるわけでございますが、今後、この公告制度の不遵守あるいは不遵守に対する制裁が行われていないという現実に対してどのように対処していかれる考えなのか、お伺いをしたいと思います。
○清水(湛)政府委員 御指摘のように、株式会社百二十六万社あるわけでございますけれども、恐らくこのうちできちんと官報あるいは日刊新聞に公告をしておりますのは一%ないし二%、二万社程度ではないか、大多数の会社はもう公告をしておりませんし、その状態でずっと推移してきておるという状況があるわけでございます。これは法律と現実が乖離している最も典型的な現象というふうに言われているわけでございますけれども、これは現実が正で法律が乖離しているのか、法律が正しくて現実が乖離しているのか、いろいろな物の見方があるところだろうと思います。もし法律自身に意味があるということであれば、法律を改正するということが必要になってこようかと思います。 今回の計算書類の公開の制度は、そういうようなある意味におきましては、小はちょっと除くといたしましても、先ほど申し上げましたような企業に官報あるいは日刊新聞への公告を強制するということは必ずしも適当ではないという認識のもとに、それならすぐ身近にある登記所で公開をする、これはヨーロッパ諸国が大体そうでございますけれども、そういう制度にしたらどうかということで、いわば現状を踏まえた形での改善案というものを法制審議会が決定したというふうに思うわけでございます。ですから、大会社は別といたしまして、こういう会社については、官報あるいは日刊新聞への公告はやめるという前提がつくわけでございますけれども、これも一つの現実と法制の乖離に着目した改善案であるというふうに私どもは考えております。今回は、残念ながら見送られることになりましたけれども、いずれこういう制度を答申の線に沿って導入していく必要がある、しなければならないというふうに思っている次第でございます。
○平田(米)委員 重ねて申し上げますけれども、国民の皆さんが守りやすい法律というものをつくる方向で考えていただきたいと思いますし、また、守られていない現実に早急に対応しなければいけないと思うのです。先ほど申し上げましたように改正に長年月かかっている、その間法律違反の状態が続いている、これは法治国家としてはゆゆしきことではないかと思うわけであります。 また、世界の現状を見ますと、経済がグローバル化をした、また冷戦構造が大きく変わりまして政治のグローバル化とも言われております。それに対応して法制度のグローバル化、ECの統合もございますけれども、法制度全体が各国で理念としてあるいは制度としてある程度共通のものを求められてくる時代、これはもうまさに目の前に来ておるわけでございまして、先進国の中で我が国のみがおくれをとったということでは決してならないと思います。日本の経済力、国力からしますと、率先をしてでもやらなければいけないという責任があると思うわけでございます。 そういう意味で、今回断念をされたわけでございますけれども、国民の皆さんが守りやすい、しかも有限責任制度に見合った計算書類の公開制度というのをもう一度練り直していただいて、これは早急に提案をしていただかなければならないと私は思うわけでございます。いつまでということは言えないかもしれませんが、もう五年先ですとか十年先ですなんということを言っておられる状況ではないのではないかと私は思います。できれば一年、二年の間に国民の皆さんが理解できるような、了解できるような制度を早急に案をまとめていただいて出していただきたいというのが一点。 それから、少なくとも資本金一億円以上の大会社については公開制度をつくっていただいても構いませんという御意見が中小会社の団体にも今回あったわけでございますけれども、それさえ実現をすることができなかった。 この二点、どのようなお考えなのか、御答弁いただきたいと思います。
○永井政府委員 計算書類の公開につきましては、委員御指摘のとおり、私どもといたしましても早急に実現すべく各界の御理解を得るように努力したいと思います。先ほど局長からもお答え申し上げましたとおり、一年、二年ということで果たしてそういう限定がつけられるかどうかということはまだこの段階では何とも申し上げられませんが、とにかく公開制度のあり方についてすぐに検討を開始したいと思っております。 それから、第二点目の、大会社についてはせめて実現すればよかったのではないかという点がございます。ただ、現在大会社はむしろきちんとした公告をほとんどやっているわけでございまして、あるいは証券取引法の関係でのディスクロージャーもやっているわけでございまして、中会社の方がむしろ問題だと言われております。大会社につきましても、もちろん登記所での公開をいたしますとともに、従来どおりの公告、官報または日刊新聞による公告を続けていただくことにしておりますが、むしろ中会社等がもっと公開をしやすい制度をどうつくるかということの方が現在問題にされていたわけでございます。そちらの方の観点から専ら検討を続けてまいったものでございますから、大会社だけ、それだけに負担をかぶせるという形のものになったのではいわば換骨奪胎のようなことになってしまうのではないかという議論もあったわけで、とりあえず今回は改正法案のまとめとしては見送ったわけでございます。
○平田(米)委員 私はもう少し考え方が違っておりまして、今の大会社の公告制度も、大会社といいましても今回は資本金一億円以上ですから、中会社の一部が入るということになるわけでございますけれども、やはりもっとディスクロージャーといいますか公開をさせる方向で考えていくべきだと思いますので、全部ができなければ一部でも実現をさせていただきたかったと思うわけであります。EC等も実現をしておりますので、計算書類の登記所における公開制度というのが、どの分野かわかりませんが、将来また必ず出てくるのではないかと思うわけであります。 それを実施をする場合に、先の話ではございますけれども、今まさにコンピューター時代になっておるわけでございまして、不動産登記につきましてもコンピューター化されておるわけでございますし、特許の申請でもそういう方向に行っておるわけでございまして、登記所に行かないと計算書類を見ることができない、こういうのはもう時代おくれではないかと私は思うのです。もう企業にはパソコンがあるわけでございますし、あと十年もたてば各家庭にもパソコンが入る時代がもう目の前に来ておるわけでございまして、それは認証の要る書類が欲しい人は行かなければなりませんが、中身だけ見たい、こういうような方々は家庭でもパソコンを通して、情報網、通信網を通して簡単に情報を手に入れる、そういうシステムをこれからは考えていかなければ時代に対応できないと思います。また、登記所の省力化という点でもコンピューター化をしていかなければならないと思うのですけれども、そのようなお考えはあるのでしょうか。
○永井政府委員 現在、登記所のコンピューター化というものは登記簿のコンピューター化を中心に展開しております。商業法人登記につきましても、最近東京法務局の墨田出張所でやっとパイロット的な意味で法人登記のコンピューター化が始まりました。一方、計算書類の公開制度のコンピューター化という問題は、一応構想としては我々考えておりますが、登記簿冊のコンピューター化とちょっと観点が違っておりまして、登記簿冊のコンピューター化は、これをコンピューター化して各家庭で謄抄本がすぐとれるかどうかという問題になりますと、これは通信回線で結びましてそれで現実にそれを適宜引き出すことができるかといいますと、費用徴収をどうするか、あるいはその費用はどうか、あるいはハッカーといいますか、直接登記簿の改ざん等が行われては困るということでいろいろな神経を使う点がございます。 ただ、計算書類の公開の場合ですと、これは理念的には委員御指摘のとおり、別にそれで改ざんをされるとか何かではなくて、その原状を素早く欲しいという方にお送りするということは十分に考えられることでございまして、将来構想といたしましては、例えば東京などにそういう公開センターみたいなものを置きまして、それを将来的には公衆回線を使っていろいろな接続をして行うということも考えられます。ただ、費用的な問題などにつきまして、現段階で具体的な案を我々考えているわけではございません。これは将来の検討課題として、委員御指摘のような意見も出て、いろいろな研究をしているという段階でございます。
○平田(米)委員 将来の導入に当たっては、その点十分考慮していただきたいと思います。 現在、公告制度のみが、のみといいますか公告制度はそのまま残っておるわけでございますけれども、取締役が公告を怠った場合、どういう責任があるのでしょうか。
○永井政府委員 商法四百九十八条では、公告を怠った場合には百万円以下の過料に処する、そういうことになっております。
○平田(米)委員 それだけだという御答弁かと思いますけれども、取締役が計算書類の公告を怠っている会社が倒産をした場合に、倒産の結果債権者が十分回収ができなかった、そういうときに、商法の二百六十六条ノ三、取締役の第三者責任でございますけれども、それに基づいて取締役に対して債権者が損害賠償を請求する、こういうようなことは考えられないのでしょうか。
○永井政府委員 公告をしなかったということだけで果たして商法二百六十六条ノ三の要件に当てはまるかどうかというのは非常に微妙な問題があろうかと思います。この要件にもございますように、取締役がその職務を行うにつき悪意または重過失があるとき、また、その損害との因果関係が公告をしなかったということで果たしてあるのかどうかとか、いろいろな具体的なケースによる判断が生じてこようかと思いますので、公告をしなかったからこれに当然に当てはまるということには、なかなか難しいのかなと思います。ただ、そういう要素が全く加味されないわけではないと思いますが、これは判例等の動向を見ますと、公告をしなかったという理由だけでこれを認めたケースはないのではないか、かように思っております。
○平田(米)委員 では、次の質問に移ります。 今回の改正案に当たりまして、提案理由の中で、日本の株式会社は小規模かつ閉鎖的な株式会社がほとんどであり、これらの会社においては商法等の規制が形骸化している実情にかんがみて、このような会社にも適合する法制度を整備した、こういう説明があるわけでございますけれども、計算書類の登記所における公開制度は導入されなかったわけでございまして、そのほかの、今回商法改正の中で出されているものとして、この提案理由にそのまま当てはまるというのはどういう制度のことをおっしゃっているのでしょうか。
○永井政府委員 小規模かつ閉鎖的な会社に適合する法制度の整備という観点では、一つは、発起人が一人でも株式会社を設立することができる、あるいは社員が一人でも有限会社を設立することができるという設立手続の簡素化が一つございます。また、それと同様に、発起設立における出資の有無につきまして検査役の調査を廃止したということ、あるいは検査役の調査の省略を認める現物出資の部分が拡大されたという点がございます。そのほか、株式の譲渡制限の定めをいたしました閉鎖会社におきましては、株主に新株引受権あるいは転換社債の引受権等を認めるという改正をいたしました。そのほか、組織変更の手続を合理化いたしまして、株式会社と有限会社間の組織変更を容易にするというような制度もございます。そのほか、ある面では最低資本金というものもそういった中の一つに挙げられようかと思います。 なお、これらの今回法案に出ておりますこういった観点の部分は、実はまだ中間段階であるということでございます。現段階でとりあえず余り異論がない一応の取りまとめができるという部分について一部整理したものでございまして、実は、小規模かつ閉鎖的な会社に適合する法制度の整備というものはこれからも続けられるということでございます。 例えば、有限会社制度の抜本的な見直しでございますとか、小規模かつ閉鎖的な会社における取締役会あるいは監査役のそういう運営管理機構につきましては意見が相当まとまっていたのですが、これは有限会社との関係等でまた整理し直して新たに要綱をつくろうということで、法制審議会も早急に審議を再開する、そういう方向を考えているわけでございます。
○平田(米)委員 途中であるということで了解をしておきます。 次に、有限会社の社員は、有限会社法十七条によりまして、有限責任というふうに規定をされておるわけでございますけれども、有限会社の社員の責任を有限とするという、その理論的根拠というのは何なのでしょうか。
○大谷説明員 お答え申し上げます。 どのような会社にどのような性格を付与するかということは、すぐれて立法政策の問題に属するかと思われますけれども、我が国におきましては、小規模、閉鎖的な有限責任の会社にふさわしい制度として有限会社が考えられているわけであります。この有限会社の有限責任の制度的な裏づけとして現行有限会社法が考えておりますものといたしましては、まず、最低資本金制度が設けられているということ、これは有限会社法の第九条の関係でございます。それから、有限会社の資本の維持につきまして、株式会社と同様の計算の規定が適用されるということになっております。すなわち、有限会社法の第四十六条で株式会社の計算の規定を大幅に準用するという取り扱いがされているわけであります。さらに、計算の開示につきましても、株式会社ほど広範ではございませんけれども、社員や債権者に対し会社の計算書類の閲覧を許すというような計算書類の備え置き、開示の制度が設けられているということでございまして、このような一連の制度を通じて、有限会社の有限責任の制度の前提条件を満たしているというふうに現行法は考えているものと解しております。 以上でございます。
○平田(米)委員 一応そういう御説明になるのではないかというふうに思うわけでございます。しかし、それだけでは果たして有限責任という特権を与える根拠になるのかなと私ども考えるわけでございまして、監査役さえ任意機関になっておりましてチェック機能は全くないと言ってもいいかと思いますし、もう一度、有限責任とは一体何なのかという根本から考え直して、有限会社制度そのものも検討する必要があるのではないか、そういうところに来ているのではないかと思うわけであります。 それに関連しまして、小規模かつ閉鎖的な株式会社というのがあるわけでございますが、その取り扱いにおいて有限会社と区別する理論的根拠というのは何かあるのでしょうか。
○永井政府委員 大変鋭い御指摘でございまして、理論的な根拠というのはなかなか難しい面がございます。 そもそも昭和十三年に有限会社法が設立されました当時、商法における株式会社というものは現在で言ういわゆる大会社をおよそ予定していたわけでございます。有限会社はいわば中小企業に随分活用されるであろうという推測のもとに、非常に閉鎖的で、かつ比較的管理運営機構等も簡素化した、中小企業に適した有限会社として立法者はつくったようでございます。ところが現実には、特に戦後におきましては、株式会社と有限会社との区別というのは、数の上でありますとか資本金の多寡でございますとか、実態が非常に混同といいますか、ほとんど差がないという現実があります。それで、株式会社を選択する場合と有限会社を選択する場合とでは考え方がそれぞれ、実際に選択される方の意向がありましょうが、現実として小規模の株式会社が多数ふえ、また有限会社も非常に小規模株式会社と匹敵するぐらいの数がふえているという実態があるわけでございます。 それで、こういう株式会社と有限会社を果たして区別して規制する必要があるのかという問題につきましても、法制審議会等では随分議論されてきたわけでございます。ただ、現実に有限会社と株式会社という法制度があり、そしてそれを活用されている方がたくさんあるときに、それを一挙に有限と株式の差をなくして、すぐすべての規制をなくしようということになりますと、これはある面で非常な大改正といいますか、現実とも非常なギャップを起こす場合があるのではないかという議論があります。 委員御指摘のとおり、先ほど私も申し上げましたとおり、有限会社につきましてはそういった観点を踏まえてさらに抜本的な見直しを図ろうということになっておりまして、その際に、株式会社における小規模閉鎖的会社との区別はどうあるべきか、またどのようにその区別をつけ、またあるいは同じところは同じに扱っていくかどうか、そういったことも含めて抜本的に議論をしたいというふうに法制審議会の方では考えておられるようでございます。
○平田(米)委員 問題点、十分に御理解をいただいているということがわかったわけでございますけれども、やはりこれだけの多くの会社があって、現実と法制度が余りにも乖離しているということなら、一部修正などということではなくて、やはり直ちにはできないにしても計画的に抜本的な改正というものを考えていかなければならないのではないかと思うわけであります。 例えば、有限会社でありましても実際有限会社法の規制を守っていないのが現実ではないかと思うのですね。まず社員総会などというのはほとんど開催をしていないのが現実ではないかと思います。当然、計算書類の報告、承認などということも現実にはなされていない。こういう現実を見ますと、おっしゃったように今の株式会社そして有限会社という法を立法したときに考えたときの理想と余りにも現実がかけ離れているわけでございまして、現実に対応した会社法制度というのを考えますと、また、今回の改正に当たりまして中小企業の団体の皆さんの御意見を加味して考えますと、これからの会社は、公開をする会社とそして非公開の会社、これを二分して、法制度というのを別個につくっていく必要があるんではないかと思うのです。そして、非公開の会社につきましては、債権者保護ということをどうするかということになるわけでございますけれども、それはやはり公開をさせない反対として取締役の責任を重くしていく、経営に当たる者は重い責任を負って、非公開の利益をもらうかわりに経営者として重い責任を負っていくという方向が一つ考えられるんではないかと思うわけであります。私は、株主総会とか社員総会を開催しないとか、あるいは計算書類を公開しないとか、会計監査をしないとか、そういうような会社の取締役は、労働債権とか不法行為債権、こういうような限定をするのではなくて一般債権者に対しても通常責任を負っていく、こういうような方向性が必要なんではないか、このように思うのですが、いかがでしょうか。
○大谷説明員 お答え申し上げます。 御指摘のような観点から会社を整理することができれば、我が国の会社法制も相当すっきりしたものになる、かつそれぞれの会社の特質が鮮明になって非常に理念的にわかりやすいことになるというふうに思われます。委員御指摘のような考えは、法制審の中でも有力に主張されておりまして、そのような考え方をめぐって、かつそれ以外のいろいろな考え方も交えてこれまで熱心な検討が続けられてきているところであります。そういう問題を考えるに当たって、やはり現在既に株式会社が百二十五万社を超え、有限会社が百四十万社になんなんとしている、そういう現実との調和をどうするかという大きな問題もあるわけでございます。そのようないろいろな点も踏まえまして、御指摘の点につきましては、さらに今後、立法上の重要な課題として法制審議会に検討をお願い申し上げていきたいというふうに考えております。
○平田(米)委員 よろしくお願いをいたします。やはり現実に合った会社制度というのを、法律というものをつくるように、大変かと思いますが、御努力をいただきたいと思うわけであります。 次に、見せ金の問題についてお伺いをしたいわけでございますけれども、見せ金は預け合い罪の脱法的手段として行われるようになったと言われておるわけでございますが、資本の充実ということは有限責任制の基礎の一つであると言われておるわけでございまして、設立するときに見せ金によって実際資本が充実をされない、こういうようなことであったならば、あといろいろな手当てをしても全く意味がないということになるんではないかと思うわけであります。これが大変横行をしているということは決して放置をしてはならない問題ではないかと思いますけれども、この点について法務省はどのように認識をしておいでになるのでしょうか。
○永井政府委員 見せ金の事案につきましては、実は時々検察等で取り締まることがあるわけでございまして、これは公正証書原本等不実記載罪ということで、これは御承知のとおり五年以下の懲役または二十万円以下の罰金ということに該当しております。こういうふうに事案が判明した場合には、これは当然のことながら司法的な手続がとられるわけでございますが、しかし、事柄の性質上といいますか、現実にはなかなか発覚しないあるいは摘発に至らないという事案も相当数に上るのではないかと思われます。私ども正確な数字は把握しておりませんが、実際にはあるのではないかという、まあいわば氷山の一角ではないかなという推測はあるのですが、その実態は把握できないわけでございます。また、新規に設立されます会社は、平成元年度で見ますと、株式会社は約六万社、それから有限会社が約十万社でございます。このすべてについて見せ金の有無を調査するということも、これは事実上不可能なことでございます。そういう実態でございます。
○平田(米)委員 この点についていろいろ私も法務省の方と議論をさしていただいたわけでございまして、確かに見せ金について預け合いと同様に刑事処罰をして禁圧をすべきではないか、こういう意見に対しては、どこで犯罪をとらえるのかなかなか難しい。公正証書原本不実記載罪が成立すれば、その後で犯罪行為としてとらえると不可罰事後行為になってしまうのじゃないか、こういうような理論的な問題もあるというようなことでなかなか難しいという御意見なわけでございますけれども、しかし難しいから仕方がないんだということでは、これはやはり資本充実を一生懸命商法がさしている意味がなくなってしまうわけでございまして、これは何らかの対応をしなければいけないということになるのではないかと思います。 また話がもとに戻るような感じでございますが、これが先ほど私が申し上げましたように公開会社と非公開会社というふうに会社を二分すれば、公開会社については会計監査も行うということになれば、見せ金を実際やっておれば会計監査のときにチェックができるということになるわけでございまして、非公開の会社については取締役の責任を重くするというようなことにすれば、見せ金でやったとしても結局は取締役がその責任を負うということになりますので対応ができるのではないか。だから、見せ金問題というのは、いろんな刑事処罰をつくるという御意見、あるいは変態事項と同じように検査役に検査をさせる、こういうようなこともあるわけでございますが、準則主義の観点からいってなかなか難しいのではないかという意見ももっともだろうと思いますので、やはりその見せ金問題を解決する意味でも、公開会社と非公開会社の取り扱いの区別ということを考えていくことにメリットがあるのではないか、こんなふうに思うのですが、いかがでございましょうか。
○永井政府委員 見せ金によります払い込みに関して何らかの処罰規定を考えてはどうかということがいろいろ検討されました。その結果は、ただいま委員御指摘のとおりいろいろ、公正証書等原本不実記載罪との関係でありますとかあるいは構成要件を設定することがなかなか難しいとかということで見送られたわけでございますが、この問題とそれから公開会社、非公開会社ということの区別をするということが理論的にぴたっと結びつくかどうかというのは若干問題はありますけれども、確かにそういう委員のお話のような御意見もあったことは事実でございますし、貴重な御意見として参考にさせていただきたい、かように思っております。
○平田(米)委員 次に、商法の百六十八条第一項の八号についてお伺いをしたいわけでございます。この八号のただし書きには、定款の認証の手数料と株式の払い込みの取り扱いにつき銀行または信託会社に支払うべき報酬が挙げられておるわけでございますが、会社を設立をするには必ず設立登記をしなければならないわけでございまして、一般的には司法書士さんに頼んで登記をしていただくというのが通常なわけでございますけれども、こういうような費用をこういうただし書きに挙げられなかった理由はどういうところにあるのでしょうか。
○大谷説明員 お答え申し上げます。 今回、定款の認証手数料と払込取扱金融機関の手数料について設立費用の特例を認めるということにいたしました趣旨は、今申し上げたこれらの費用が会社の設立に伴って必ず支出を要するものであるということ。それからまた、その金額については、法令に根拠があり、一定の団体の間でしっかりした規範があるというようなことによりまして、当事者の間での裁量の余地がなく、乱用のおそれがないということ、そういう必ず支出を強制されるということと乱用のおそれがないということ、この二点に着目して、設立費用としての特例を認めてもよいのではないかというふうに判断されたわけであります。 御指摘の司法書士の手数料につきましては、設立に際して必ず支出を強要されるというものではないということ。それからまた、その金額については若干裁量の余地がないとはまだ言えないのではないかというような点もございまして、今お話しした二つのものと同列に扱うということにはされなかったわけでございます。しかし、この点については御指摘を踏まえて、さらに設立手続の合理化という観点から研究を進めていきたいというふうに考えております。 〔委員長退席、逢沢委員長代理着席〕
○平田(米)委員 法律で強制をされた費用だけ挙げたということではないことだと思いますけれども、しかし実際上要る費用というのはあるわけでございまして、法律上強制されている、されてないの関係なく、設立のときにかかる費用というのはあるわけでございまして、先ほども私、申し上げましたが、法律は守りやすくなければいけないと思うわけであります。しゃくし定規に、これは法律で強制されている、だからこれはいいけれども、それ以外は、実際はあったとしても強制されてないからだめなんだ、これでは、じゃ実際かかった分、どう処理するのか。これは現実問題として困るわけでございまして、それに対応できるのが守りやすい法律ではないかと思うのですね。実際上、こういうものがかかった場合には、ポケットマネーで発起人が出す場合もあるでしょうし、あるいは会社財産から出してしまう。そうすれば、これは法律違反になってしまうわけでございまして、こういうものを設立費用として定款に書かせるということ自体が極めて不合理だということを考えていかなければいけないと思うのです。 それに関連するわけでございますけれども、今回の案の百七十三条の第三項、現物出資等に当たりまして不動産について弁護士の証明を受ければいい、こういうことになっておるわけでございますけれども、ここで言う弁護士費用あるいは不動産鑑定士の鑑定費用、こういうものは会社の設立費用とすることは可能なんでしょうか。
○大谷説明員 ただいま御指摘の費用は、性質上、設立費用に含まれるものと考えております。
○平田(米)委員 性質上、設立費用だというふうに御答弁いただいたわけでございますけれども、そうしますと、どうして百六十八条一項八号のただし書きにこれが入ってこないのか、先日の委員会で我が党の冬柴委員が指摘をしたわけでございますけれども、せっかくこういういい制度をつくって、弁護士の証明があれば検査役を置かなくてもいい、こういう手続の簡素化をしたわけであります。そういう制度をつくった意味が、弁護士費用あるいは鑑定費用というものをまた検査役の検査、調査を受けなければいけないということになりますと、結局はこの制度が使えないものになってしまう、制度をつくった意味が無に帰してしまうということになるのではないかと思うわけであります。 この現物出資とされる不動産というのは、今の不動産、大変価格が高くなっておりまして何百万というのはまずないと思うのですね。何千万、下手すると何億、こういうような金額になるかと思うわけであります。そういう不動産の価格に対して、じゃ弁護士費用とか鑑定費用は幾らかといえば、それは何十万円とか、高くても百万単位のお金ではないかと思うわけであります。その何千万、何億とする高額なものは検査役の検査は不要ですよと、こういうように法制度をつくられて、それよりも低額な、恐らく百分の幾つというような弁護士費用あるいは鑑定士の費用というものが検査役の検査が必要ですよ、こういうアンバランスな法制度をおつくりになったわけでございますけれども、何かこういうのは根拠があるのでしょうか。 〔逢沢委員長代理退席、委員長着席〕
○永井政府委員 さきに冬柴委員からの御指摘もありましたとおりでありまして、ただいま委員からの御指摘も相当な、我々にとりましてはある面で厳しい批判の一つだと思います。ただ、そう申しましても、不動産についてこれまでのような検査役の調査を受ける場合には、鑑定評価を含めた複雑な手続と日時を要するのに対しまして、弁護士費用についてのみ簡明かつ短時日の手続で検査役の調査が済むというメリットはあるわけでございます。 なお、弁護士費用を検査役の調査を受けなくても当然に会社に負担させ得ることとする取り扱いをすればよかったではないかということがございます。ただ、このような弁護士の証明制度というものがどのぐらいの費用がかかってどのように現実に活用されるだろうか、またその実態はどう推移するだろうかということも、私どもとしては額的な問題やいろんな制度の運用がどういうふうに動いていくかということが若干まだ確定的でない部分があったものですから、今後、将来の動向を見まして、運用の経過を見まして十分検討してまいりたいと思いますし、将来的には、これはまた検査役の調査を不要とするような取り扱いができないかということも考えていきたい、かように思っているわけでございます。
○平田(米)委員 物は言いようだなというふうに思うわけでございますが、それは確かに若干の簡便さはあるかもしれませんが、実際に現物出資をする人から考えれば、裁判所に検査役の選任の手続の申し立てをしなければいけない、そのためにはまた弁護士さんを頼まなくちゃいけない、こういうことにもなってしまうわけでございまして、本当に実際上意味がないのではないかと思うのですね。 先ほど司法書士の登記手続の費用も申し上げたわけでございますが、実際上の会社を設立しようとするときにはいろんな費用がかかるわけでございまして、確かに全部このただし書きに入れてしまいますと、金額がはっきり決まらないじゃないか、多くなったり少なかったりする。そうすると、会社の資本充実の観点から不都合が起きる、こういうお考えがあることは私も理解ができるわけでございますけれども、しかし、それならば、資本金の何%まではもう設立費用として認めましょう、そこの中で何にお使いになるか、これは発起人の判断でしょうけれでも、そこの中に弁護士の費用あるいは不動産鑑定士の費用も、あるいは司法書士さんの費用も入れてもいいじゃないですか、そういうような観点で一律に一%とか二%とか、いろいろそれはまた議論をしなければならないかと思いますけれども、こういう項目ではなくて、資本金の何%というような形で設立費用の支出を定款に書かなくても認めて、それを繰り延べ資産にするというような考え方をとった方が実際に合っていますし、合理的ではないのかな、こんなふうに思うのですが、いかがでしょうか。
○永井政府委員 確かに、設立費用の中には委員御指摘の例えば司法書士さんの費用、これはある程度額的にも制限されております。また、弁護士さんの費用、これも報酬規定があるようでございますし、それからさらに、不動産鑑定士の費用と、ある程度額的に相当予測がつくもので、またこれが乱用されないというようなものにつきましては、将来的にはそういったある程度額的に予想がついてそれほどおかしなものではないというものについてはむしろ認めていく、こういう一つの考え方と、もう一つ、先生ただいまお話しされましたようにある程度パーセンテージで、割合でそう乱用が起きない、また資本充実の原則からも反しないものならいいではないかという考え方、確かに両方あろうかと思います。これは私ども内部でもちょっと議論したことがあるわけでごさいますが、確かに二つの観点といいますか、その両様のアプローチの仕方があろうかと思います。 今後、御指摘のこの考え方につきましては十分研究をしてみたいと思っておりますし、非常に有益な御示唆をいただいたものと考えております。
○平田(米)委員 ぜひとも御検討をいただきたいと思うのです。項目別ですと確かにその企業あるいは弁護士、不動産鑑定士によって金額も上下する可能性が決してないとは言えないわけでございまして、やはり一律に決めてしまうというのが合理的ではないかと私は思うわけであります。十分な御検討をお願いをする次第であります。 次に、百九十二条一項、二項に関しましてお伺いをしたいわけであります。 ここで、引受担保責任、払込担保責任というのを規定しておるわけでございますけれども、この場合の払い込みあるいは現物出資の給付といいますか、それをしなければならない時期というのはいつになるのでしょうか。
○大谷説明員 これは、発起人が払い込みすべき日として定めた日でございます。
○平田(米)委員 そうしますと、その定めた日以降は遅延損害金が発生をすると理解してよろしいのでしょうか。そして、遅延損害金を付して払い込まなければ完全な払い込みとは言えないと了解してよろしいのでしょうか。
○大谷説明員 御指摘のとおりと考えております。
○平田(米)委員 次に、百九十二条ノ二についてお伺いをしたいのですけれども、ここで現物出資等の「財産ノ会社成立当時ニ於ケル実価ガ定款ニ定メタル価格ニ著シク不足スルトキハ」云々と規定をされておるわけでございますが、この著しく不足したというのはどの程度のことを言うのでしょうか。
○永井政府委員 「著シク不足スル」という表現は、実は有限会社法十四条にもございまして、有限会社法十四条につきましては会社の営業の開始に支障をもたらす程度というふうな解釈をされております。ただ、この百九十二条ノ二の「著シク不足スル」ということをどう見るかというのは、やはり具体的なケースによる判例の集積を待つ以外にないと考えております。 そうはいっても、一体どういう考え方で考えるかというのがいろいろあるわけでございまして、一般的に、不足する額がどの程度に達したら著しく不足するか、これは絶対額で見るか、ある面で相対的な何%というような額で見るかということもいろいろな考え方があろうかと思います。私ども、現在のところで何%に達すれば不足するとか著しく不足するというような解釈を決めているわけではございません。やはり会社財産の中で占める比率あるいは重要性、使用価値等総合的に検討して判断せざるを得ないのではないか、かように考えているところでございます。
○平田(米)委員 何かよくわからない御答弁なんですけれども、しかし、立法に際していろいろこれについては検討されたのではないかと思うのですね。有限会社法では営業の支障が一つの基準になるということなわけでございますけれども、資本金一億円の中で百万円だけ現物出資だといった場合に、百万円のうち十万円しか履行がされなかったという場合に、十万円でも余り経営には関係ないということが言えるというお話も伺ったわけでございますが、ある程度、何%という数字は出ないのでしょうか。
○永井政府委員 ただいま委員の挙げられました例で、例えば百万円の現物出資があった、そのうち十万円足りなかった、そのときに普通の場合これを著しく不足するとは言わないだろうな、こういう感覚はあります。 それで、例えば税法上の観点から、その評価が半分以下であるような場合には贈与税をかけられるとか、そういういろいろなものがありますが、半分に至ればこれは著しく不足するということになると思います。ただ、半分までに至らなくても、これは私どもの一つの感覚でございますが、三〇%から四〇%不足するということになるとやはり著しく不足するのではないか、こういうような一つの感触でございますので、ここで正確な法務省意見として言うようなものではございませんが、そういう感触を持っているということでございます。
○平田(米)委員 三、四〇%と一つの目安を言っていただいたわけでありますが、著しく不足したときは責任を負うということになっているわけでありますが、著しく不足をしたと言えない状況の場合、その差額についてはだれが責任を負うのでしょうか。
○大谷説明員 お答え申し上げます。 現行有限会社法及び今度の改正商法におきましては、著しい不足がある場合に発起人及び会社成立当時の取締役に不足額の担保責任が生ずるというふうに考えておりますけれども、著しい不足に至らない場合にはそのような担保責任は生じないということで整理をいたしているわけでございます。 なお、その場合でも、現物出資者または財産引き受けの場合の財産譲渡人に不法行為が成立するというような特別な要件が備わった場合には、別途その者に対して損害賠償責任を追及する余地もあるということでございます。さらには、その他の民法の一般理論から、場合によっては責任追及するということもあり得るのかなというふうに考えております。
○平田(米)委員 民法の一般理論といいますと、債務不履行ということになるのでしょうか。
○大谷説明員 これは全く私の個人的な考えでございますけれども、債務不履行責任というよりは、例えば契約締結上の過失というようなものに基づく責任追及ということも理論としてはあり得るのかなということを個人的には考えているわけでございます。
○平田(米)委員 ところで、百七十三条ノ二の二項で「取締役及監査役ハ前項ノ調査ニ依り法令若ハ定款ニ違反シ又ハ不当ナル事項アリト認ムルトキハ各発起人ニ其ノ旨ヲ通告スルコトヲ要ス」ということになっておるわけでございますが、この規定の関係と百九十二条ノ二の関係はどのように理解したらよろしいのでしょうか。
○大谷説明員 お答え申し上げます。 委員御指摘の百七十三条ノ二の第二項の通告の規定は、発起設立における取締役、監査役の調査手続に関連するものでございます。取締役と監査役が設立の手続を調査いたしまして、そこに定款違反あるいは法令に違反するような事柄あるいは不当な事項があるというようなことを認めた場合には発起人にその事実を通告して、そして発起人にそのような違反行為等の是正を求めるということでございまして、そういう発起人の自発的な是正行為を慫慂するという手続規定であるわけであります。この手続を履践したことに伴う法律上の効果というのは特段明確な規定を置いているわけではございません。取締役、監査役の設立手続における善管注意義務の履行の一態様に属する問題であろうと考えております。したがいまして、通告したからといいまして、今委員御指摘の百九十二条ノ二の担保責任を免れるという関係にはならないということでございます。
○平田(米)委員 次に、横滑り監査役の問題についてお伺いをしたいわけでありますけれども、横滑り監査役というのは、御存じのとおり、取締役であった者が監査役にそのまま就任をした、そして監査期間がその取締役であった時期まで含んでいた場合に、これは自己監査になるのではないかということで、長谷川工務店ですか、事件で裁判にもなったわけでございますけれども、これは最高裁は、そういうところは今の商法の考え方はやむを得ないものとしているんだというような前提で判断をされたようでございます。しかし、商法は二百七十六条で兼職の禁止をうたっておるわけでございまして、やはり自己監査などということは本来あってはならない、許されないことではないかと思うわけであります。今回の商法改正の中では、こういう点は全然出てこないわけでございますけれども、監査ということを重要視しないと、これは公開制度とか等々をつくっても実態が伴わないということになるわけでございまして、監査役の責任というのは非常に重いわけでございまして、そういう意味で商法二百七十六条の兼職禁止の精神をもっと広めて考えるという姿勢が必要なんではないか。そういうために、取締役あるいは使用人であった者は何年間の間はその後直ちには監査役に就任をすることを認めない、こういうようなこととか、あるいは監査役の任期を、今取締役と一緒になっておりまして二年になっておるわけでありますけれども、二年になって一緒に選任されるというようなこともありまして、そのまま取締役から横滑りということをすることがあるわけでございますので、それを任期を三年にする、任期を変えるというようなことにすれば、そういうことをある程度防げるというような意見もあります。私は、取締役と監査役は機能が違うと思うわけですね。取締役というのは営業能力、事業能力というのが問われるわけでございまして、これは短期間である程度わかるわけでありますが、監査役の場合は相当期間会社の流れというものを見ていかなくちゃいけないと思いますので、任期が長くても構わないのではないかと思うわけであります。そういう問題点があるわけでございますけれども、これはこれからの商法改正の問題になるわけでございますが、この点についてどういうお考えでございましょうか。
○永井政府委員 監査役の問題は、これから再開されます法制審議会で改めて検討するということになっておりまして、先生の御指摘のような意見につきまして十分配意しつつ検討していきたい、かように思っております。
○平田(米)委員 最後に法務大臣にお伺いをしたいわけでございますが、今回、一番重要な改正であると思われる計算書類の登記所による公開というものが導入することができなかった、これはこれからの日本の商法のあるべき姿からいきますとゆゆしき問題ではないかと思うわけであります。それに対する御意見と、それから今後どのような決意で臨んでいかれるか、簡単で結構でございますので、お答えをいただきたいと思います。
○長谷川国務大臣 さっきからいろいろ委員、御意見ございますように、まさにもう世界の趨勢がそういう方向に行っておりますので、日本としてもないがしろにできる問題ではありません。したがいまして、いろいろまた勉強させていただきまして、ほかの国に引けをとらないようにいろいろ勉強いたしたいというふうに考えております。
○平田(米)委員 ありがとうございました。以上で終わります。
○小澤委員長 御苦労さまでした。 木島日出夫君。
○木島委員 最初に中小企業庁にお伺いをいたします。 先日、参考人質疑をやりまして、そのとき参考人として来られた全国中小企業団体中央会の錦織璋さんからこんな数字が言われました。今、日本の中小企業の実態として個人事業者も含めて約六百四十九万事業所がある、そのうち法人は二〇・三%の百三十二万社だと指摘がありました。また、その際私からも指摘しておいたのですが、大蔵省、国税庁の統計の資料によりますと、この十年間、日本で約五十万社法人がふえているのですが、そのうちの六四%の三十二万社は資本金一千万以下の中小零細法人であるという数字も出ているわけであります。日本経済は、非常に旺盛な事業家の法人成りが見られると思うわけですが、中小企業庁、通産省としては、こういう法人成り、特に中小零細企業の法人成りの背景、原因、どこにあるとお考えでしょうか。
○藤原説明員 数字について申し上げますと、多分参考人が申し上げたのは、事業所統計で六百四十九万事業所ある、そのうちに会社数は百三十三万企業ということだったと思います。それで、個人と会社ということになりますと、個人が四百十一万、それから会社というのが二百十一万、その他の法人がございます。確かにふえておるわけでございますけれども、むしろ法人というか会社ということで申し上げますと、ふえている動機というのは、確かに法人化したというのは会社化した方が対外的信用が高まり、取引上有利と一般的に考えられる、あるいは経営の近代化、合理化を図りたいということで金融機関なり税理士との相談の上、法人化している等々の動機があるかと思いますけれども、会社ということであれば現行法の改正法の規定によりますと比較的少額の資本でもできるということも相まって、法人、いわゆる会社ができているものというふうに理解しています。
○木島委員 事業家はメリットがあるから法人化するのだと思うわけですね。メリットがないのにわざわざ金を使って法人にすることは経済法則上成り立たぬわけですから、そのメリットについて、もっとほかにこういうメリットがあるのではないかと考えられるものを挙げていただけませんか。今述べたくらいしかメリットがないと考えているのですか。
○藤原説明員 メリットについては、先ほどの対外的信用、それから経営の合理化を図りたいというほかに、個人よりは相対的に税制上有利ではないかというような面もあろうかと思います。
○木島委員 そこで次に、個人事業家が法人成りする一つのメリットとして、今中小企業庁から指摘された税制上の問題について大蔵省にお尋ねをいたします。 今の日本の所得税制、法人税制で、これから私が一定のケースを指摘しますので、実際に納めるべき税額が幾らになるか教えていただきたいと思います。 夫婦二人で事業をやられている方で十六歳未満の子供が仮に二人ある標準家族、そういう事業家で、一生懸命事業をやって収入から支出を引いたいわゆる生の所得が年間五百万あったと仮定し、妻の給与月額十五万、年間約百八十万取ったという前提条件を設定した場合に、現在の日本の所得税制によれば幾ら納税しなければいけないのか。また、この事業家が法人成りをして株式会社あるいは有限会社になったときに、この御夫婦は法人も含めて一体幾ら納税しなければならないのか、端的に数字をお答えいただきたい。 まず、五百万の場合、どうでしょうか。
○長野説明員 御質問の想定で、事業利益五百万の場合、個人経営、これは青色申告を前提とさせていただきますけれども、本人の事業所得に対する所得税二十万五千円、それから、妻の給与を仰せの前提で、所得税七万四千五百円、夫婦合計で二十七万九千五百円の負担となります。 法人の場合は、実は給与を御主人と奥様とが幾らお取りになるかということで、税の様子は全く変わってまいりますけれども、仮に事業利益五百万をすべて夫と妻とで役員報酬として半分ずつお取りになった場合は、法人税はゼロになりますが、夫の給与所得に対する所得税十万二千五百円、妻の給与所得に対する所得税七万四千五百円、合計十七万七千円となります。 この計算について一点だけ補足させていただきますが、事業利益五百万という前提で計算させていただいておりますけれども、所得計算そのものにおきまして法人と個人とで違ってくる場合がございますから、同じ収入であっても同じ所得になるとは限らないということでございます。
○木島委員 法人の場合、妻と夫半分ずつにしたんじゃなくて、妻の給与所得百八十万で夫が三百二十万取ったと仮定した場合の結果ではないですか。計算の根拠、今半分ずつ、真っ二つにしたという答弁ですが、そうじゃないでしょう。私のは前提が違うのです。
○長野説明員 大変失礼いたしました。三百二十万と百八十万のケースで申し上げました。
○木島委員 そういう与えられた全く同じ条件で個人と法人成りしたときの税額が、今の日本の税制で年間十万二千五百円法人成りした方が有利になっている。それだけ節税になるということだと思います。もちろんこれが地方税にはね返ってくるわけですから、実際にその事業家の負担は法人成りした方がより軽くなるということであろうかと思います。 続いて、仮にこの御夫婦が年間所得一千万を生み出したという場合には、同じ与件でどういう数字になるでしょうか。
○長野説明員 途中を省きまして、合計金額で申し上げます。 個人の場合でございますと、夫婦合計で百二十八万九千円、それから法人経営の場合で百二十八万九千五百円でございます。——大変失礼しました。個人の場合、百二十八万九千五百円、法人の場合が八十一万一千五百円でございます。(木島委員「八十二万でしょう」と呼ぶ)八十二万一千五百円。
○木島委員 今大蔵省から数字が示されたように、夫婦が同じ仕事をして年間一千万円所得が上がったと仮定した場合に、個人である場合と法人である場合では年間四十六万八千円という差が出てくるわけであります。これが地方税にはね返ってくるとさらに大きな差になるわけでありまして、この五百万、一千万というのは決して会社に積み残されるわけではなくて、家族四人の生活費にほとんどが消えていくであろうと思います。 日本の税制で、今私が質問した条件のもとでなぜこれだけの差が発生するのか、その中心点はどこにあるでしょうか。
○長野説明員 税率構造の仕組みが一点ございます。それから、給与所得控除が夫婦二人ともに適用になるかどうかという点が一点ございます。
○木島委員 個人事業家の場合は、事業家である夫が得た所得、例えば先ほどの条件で三百二十万の場合には三百二十万全部がいわゆる事業所得となり、それから百五万円の所得控除がされる。そして出てきた差額である二百十五万が課税所得になる。一方、この夫婦が法人成りをして夫が給与所得として同じ三百二十万を取った場合には、三百二十万に対してまず給与所得控除がある。それを引いて残った金額から所得控除が百五万引かれ、そしてそれが課税所得になる。その給与所得控除が法人成りをすればとれる、しかし個人事業家の場合はとれない、そういう理解でよろしいわけですね。
○長野説明員 仰せのとおりでございます。
○木島委員 日本の税制は、法人成りをすることによって大変大きなメリットを与えていると思うわけであります。 ついでに外国のことを大蔵省にお聞きしますが、西ドイツやフランスでは最低資本金制度がございます。そして株式会社の数が非常に少ないということも事実であります。 そこで、ドイツ、フランスの所得税制についてお伺いをしたいのですが、ドイツの所得税制には二分二乗制度がある、フランスの所得税制にはN分N乗制度があるとお聞きしております。簡潔で結構ですから、その内容を答えていただきたいのと、同じように年間所得五百万を上げた御夫婦がいた場合に、ドイツの所得税制で二分二乗制を採用してみた場合にドイツの政府に納める税額が幾らであるか、二分二乗制度を使わない場合の税額が幾らであるのか、それをお答えいただきたい。
○長野説明員 ドイツの所得税の課税単位につきましては、個人単位と夫婦単位、この夫婦単位といいますのは二分二乗方式でございますが、これの選択制でございます。フランスは世帯単位の、N分N乗と申しておりますけれども、世帯員全員を合計して、世帯員数で割って、累進税率を適用するという仕組みになっております。 ドイツの場合に、二分二乗の場合と合算の場合でございますが、五百万円の事業所得を前提といたしますと、二分二乗方式によりますと九十三万円というのが夫婦合計の税額になります。合算方式をとりますと、この場合合算と申しましても単独と申しましても同じでございます、片方にだけ所得があるという前提で計算してみますと百二十五万四千円ということになります。これは奥様が他にお仕事を持っておられるようなケースは捨象いたしております。
○木島委員 今のドイツの二分二乗制は妻が働いてない場合でも採用されるとお聞きしておりますが、続いてフランスで、N分N乗ということですが、仮に御夫婦と子供三人の場合に、仮に五百万所得が上がった場合にN分N乗制で計算した場合とそうでない場合とはどうなるか、お知らせいただきたい。
○長野説明員 御指摘の想定で、五百万のケースでN分N乗でございますと五十五万五千円ということになります。単独課税と申しますか夫婦合算方式みたいな計算をいたしますと七十八万七千円でございます。フランスの場合には、これは選択の余地はございません。
○木島委員 ついでに、仮に一千万の所得だと仮定した場合に、先ほどの同じ条件でドイツとフランスでどうなるか、ちょっとお知らせいただきたいと思います。 それと、ついでに一点だけ。フランスのNの数を決める際に、夫婦は二と数えると思うのですが、子供三人の場合は三でとっていいのかどうなのか、そこもお知らせいただきたいと思います。
○長野説明員 先にNの方を申し上げますが、フランスでは夫婦及び扶養子女という概念になっておりますので、日本で言います扶養家族の数、それがNの中に入るというふうに考えております。 計数でございますが、一千万の想定で、西ドイツ、二分二乗の場合二百五十一万四千円、夫婦合算方式の場合には三百五十七万八千円、フランスの場合、一千万でN分N乗でございますと二百六十三万九千円、仮に夫婦合算という仕組みをフランスに適用いたしますと四百五十八万二千円ということに相なります。
○木島委員 どうもありがとうございました。 こういう違いが生まれる根本的なポイントは累進構造になっている。二で割ると半分になりますから、Nで割るとN分の一になりますから、それで出てきた数字に対して税率を掛けるわけですから、その税率が非常な累進構造になっているからであると伺ってよろしいですか。
○長野説明員 仰せのとおりと理解いたしております。 沿革的にも、ドイツはもともとは合算でございましたけれども、合算いたしますと累進がかかってきまして、同じ五百万の所得の方お二人が結婚なさると合算になって累進がかかってくるので憲法違反ではないかというお話が起こって、二分二乗または個人単位課税の選択制に変わったというふうに理解いたしております。
○木島委員 今明らかになったように、ドイツでは、個人事業者でも夫婦二人で働いた場合には累進構造の結果、年間所得五百万の場合でも、二分二乗制を採用すると三十二万四千円節税できる。年間所得一千万の場合でも、百六万四千円は節税できる。 また、フランスでは、N分N乗制を、これはもう選択じゃなくてそういう計算方法なんですが、そういう制度がない場合と比較すると、年間所得五百万で二十三万二千円の節税になり、一千万の所得の場合には何と百九十四万三千円、そうでない場合の計算に比べて税金が低く計算されるということだと思うのです。そうしますと、いろいろな社会的背景が違いますし、法人成りのいろいろな理由が税金の問題だけではないであろうと思うのですけれども、少なくともドイツやフランスでこれだけ所得税制で、無理に法人にならなくてもこういう制度できちっと保障されているということがあるかと思うのです。 先ほど私、日本の税制、同じ五百万と一千万のことを個人と法人の場合にどう違うか聞いたところでありますが、今回この商法改正によって最低資本金制度を導入して株式会社一千万に満たないものは認めない、有限会社三百万に満たないものは認めない、法人そのものを否定するということの法案でありますが、これは今私が聞いたことを裏返せば、個人事業家の節税の権利といいますか節税権といいますか、それを侵害するものだ、大変大きな負担を事業家にもたらすものではないかと考えますが、中小企業庁どうでしょうか。
○藤原説明員 中小企業庁としては節税権ということではちょっととらえてございませんので、そのようにお答えさせていただきます。
○木島委員 時間がそれほどありませんから、ほかの、法人成りを非常に旺盛に日本の事業家がする社会的背景について一つ一つ挙げて指摘することはいたしませんけれども、先日、中小企業団体中央会の錦織参考人は、こういうことも言っておるわけです。これは法務大臣にも聞いておいてほしいのですが、商法という法律によって事業家の活力をそぐことは望ましくないと考える。それから、反社会的活動を除いて、自主性を事業家に持たせることが大事ではないか。法人を選ぶのか個人を選ぶのか自主性を事業家に持たせることが大事ではないか。そしてさらに、最低資本金制度がつくられることは、他の組織に移行することを妨げる、個人が法人に、有限会社が株式会社に移行することを妨げる、このことに対して中小企業家は大きな不安を持っているということが語られたわけであります。 そこで、もう一度中小企業庁にお伺いしますが、先ほどこの十年間に約五十万社が法人成りをしてそのうち六四%が一千万以下の資本金の中小零細法人であると私言いましたが、そういう法人化、法人成り、そういう傾向は日本経済の活力や発展から見て積極的に評価すべきものだと考えておりますか、中小企業庁どうですか。
○藤原説明員 お答え申し上げます。 公的に見解をまとめておるわけではございませんので私的な感想になりますけれども、いずれにしましても、法人化することによって経理の区分なりそれによりまして経営の合理化等々が図られていくということは、我が国経済の基盤をなす中小企業の活性化あるいは近代化、合理化という意味からも意義があるというふうに理解しております。
○木島委員 先ほども委員から指摘をされ、また私も先日指摘しておいたのですが、今の日本の法人の半分以上がいわゆる欠損法人であるということが国税庁の資料から出てきているわけです。そのうちのほとんど八十数%、九〇%に近い割合で中小零細法人、資本金一千万以下の法人が欠損法人の中を占めているというのが実態なわけであります。先ほど来法務大臣は、今度の商法改正の最低資本金制度の導入といいますか、今度の商法改正は完璧な改正ではない、欠陥もたくさんある、欠陥だらけだけれども一歩前進であるという趣旨の御発言をなさいましたが、これだけ多くの法人が欠損法人になっている。しかも、それにもかかわらず日本は相変わらずの旺盛な法人成りがある。そして個人に比べて法人が税制の面でもいろいろな面でも有利な扱い、逆に言えば、個人が不利な扱いを受けている。そしてそこへもってきて、今回株式会社一千万、有限会社三百万という最低資本金制度が入ってくるということになりますと、まじめに一生懸命事業をやっているけれども、力がなくてわずか五年の間に一千万まで資本金を増資することができなければ法人成りを断念せざるを得ない、あるいは有限会社は三百万まで増資できなければ法人を断念せざるを得ないということになるわけですね。そうしますと、一歩前進ではなくて、こういう本当に日本経済を一番末端で支えている本当の零細企業者にとっては大変な負担、不利を与える結果になるのではないか。完全じゃないけれども一歩前進だとはとても評価できないのではないか、そういう零細法人にとっては評価できないのではないかと見ているわけですが、法務大臣、いかがでしょうか。
○長谷川国務大臣 委員の意見、拝聴いたしておきますが、またいろいろほかの考え方もあるわけでありますし、今回の商法改正は、さっき私が申し上げたのでございますが、しかし、法務省としては最大限度いろいろの勉強もし、いろいろな関係のところも調査をし、話も聞き意見も聞きやってできたのが今回の改正でございまして、今の段階におきましては、私どもはこの改正が必ずしも委員のおっしゃるようにこれはもう全然問題にならないものだというふうな考え方はいたしておりません。 またひとつ、いろいろ御協力をお願いいたします。
○木島委員 先日参考人として来られました東大教授の鴻常夫さんから、自分は、新たに設立される法人の場合には法制審答申に昔あったように株式会社の場合には二千万でいいだろう、しかし既存の法人は同じではいかぬ、非常に苦痛を与えるから差をつけて一千万という考えだ。要するに、これから設立される法人についての最低資本金と、現在ある既存の法人に対するこれから五年以内に幾らにしろという最低資本金の金額を画然と区別した理由のごときものを言われたわけであります。 しかし、今回出てきた商法改正を見ると、既存会社も新たに設立される株式会社も一緒くたにして一千万という同じ数字、有限会社についても既存の有限会社と新たに設立される有限会社をひっくるめて三百万という金額を持ち込んできているわけですね。現存する既存会社を少しでも救済しようという配慮が全くないと言わざるを得ないわけです。法制審答申の精神からいえば、今回新たに発足する株式会社の最低資本金は一千万にするのであれば、同じ割合で既存の株式会社を救済するのであれば最低資本金を五百万にするのが法制審答申の精神じゃないかと思うわけですね。 そこで、最後に、なかなか利益が上がらなくて苦労している中小零細法人の事業家が、この法律が仮に通ってしまった場合に五年以内に増資をしなければなりませんので、その事業家、会社代表者のために特別の融資制度をつくってやればいいのではないか、やらなければいけないのではないかと考えるのですが、法務大臣と中小企業庁、そういう融資制度を特別につくってもらう方向ではどうでしょうか。順次答えてください。
○藤原説明員 お答え申し上げます。 中小企業庁等は、いわゆる中小企業三機関を通じまして中小企業者が必要とする事業資金等の円滑供給を図ってきたところでございます。しかし、この増資に対して資金を拠出する出資者そのものについては、中小企業として事業を営む者ということではございませんで、あくまでも当該中小企業の株主の立場にあるということでございます。政府系金融機関の設置法でございますけれども、これは基本的には恒久法になってございまして、対象者としてあえて中小企業以外の者、いわゆる個人にも融資を行うことということについてはいろいろ問題がございます。また一方、先ほどございましたように事業資金以外の資金の融資を認める、これについても、他の金融機関との間での問題あるいは政府系金融機関で実施することの妥当性等いろいろ難しい問題がございますので、我々としてはいろいろ慎重に検討しましたけれども非常に難しいと言わざるを得ず、慎重に取り扱われるべき問題かというふうに承知しております。 以上でございます。
○長谷川国務大臣 今の融資の問題は私の主管でないので、今のお話のとおりであります。 私どもとしては、税制の問題でこれからまたいろいろ若干お役に立つような方法を今検討いたしておりますし、またやらなければいけないというふうに考えております。 なお、委員からの先ほどからの御意見は、御意見として十分拝聴いたしておきます。
○木島委員 終わります。
○小澤委員長 御苦労さまでした。 和田一仁君。
○和田(一)委員 きょういよいよ最後の質問の番になりました。私の立場からまたお伺いいたしますので、あるいは重複するところは相当あろうかと思いますけれどもお許しいただきまして、まず基本的なところから始めさせていただきたいと思います。 今回の商法改正でございますけれども、明治に商法ができて以来何回かの改正が行われてきていると思うのですが、今回のこの商法改正のねらい、目的、どういう精神で、どういう目的を持って改正をされようとしているのか、その点からまずお伺いしたいと思います。法務大臣、よろしく。
○長谷川国務大臣 先ほどからも申し上げておるわけでございますが、我が国における経済活動の主体というべき株式会社及び有限会社の大多数が小規模で閉鎖的な会社である実情にかんがみ、このような会社にも適合するように法制度を整備合理化するとともに、債権者保護のために必要な措置を講ずるなどして、我が国における株式会社及び有限会社制度の充実強化を図るものとしたものでございます。
○和田(一)委員 考え方はわかりました。 それで、今回のこの提案されております改正法に至るまでに法制審議会等で論議が随分時間をかけて行われてきているわけでございますけれども、そういう法制審議会等の中での論議そして答申に盛り込まれたいろいろな事項、これがすべて今度の改正案には盛られていないわけでございまして、見送られた部分がたくさんあるわけでございますが、そういった論議をされながら、なおかつ今回の、今大臣がおっしゃった目的に沿って論議されていたんだと思うのですが、それは必要ないということなんでしょうか。論議の過程を含めて、なぜ今回はそれが入らなかったかも含めてお知らせをいただきたい。
○長谷川国務大臣 ちょっと局長から説明をさせます。
○清水(湛)政府委員 法制審議会の答申に盛られながら今回の改正案に盛り込まれなかった点のお尋ねでございますので、私の方から答弁させていただきたいと思います。 重要な点が二点ございまして、一点は最低資本金の金額でございます。先ほど来議論になっておりますように、法制審議会の答申におきましては、新設会社については株式会社は二千万円、有限会社は五百万円、こういうことになり、それから既存会社につきましては株式会社は一千万円、有限会社は三百万円、こういう二つの分類分けをいたしておったところでございます。しかしながら、答申を受けました後、法務省当局におきまして種々関係方面と意見調整をし、いろいろな検討を重ねる中で、既存会社と新設会社を分ける合理的な理由というものも一つあるわけでございます。しかし、実際上これを分けるというのは非常に問題があるというような考え方が出てまいりまして、また中小企業団体等の要望等もあったわけでございます。そういうような状況の中から、既存会社も新設会社もあわせて最低資本金は一千万、三百万円ということにしたという点が第一点でございます。 第二点は、これも大変議論になっておりますけれども、株式会社について計算書類を登記所に提出していただきまして登記所で公開をするという計算書類の登記所公開制度というものが答申に盛られているわけでございますけれども、この制度については今回全部改正を見送ったということでございます。いわば答申の一つの重要な柱がすっぽり抜け落ちているような状況になっている、こういう結果になっているのでございます。
○和田(一)委員 抜けた点はわかりました。大変大事な点であると思うのですが、資本金の方も含めて、それから計算書を登記所に公開する制度については全く抜け落ちた。これは、さっき大臣がおっしゃった法の目的、精神に照らして、当分はなくてもいいんだというのか、それともこれは抜け落ちたんであって、近い将来にはそういうことも含めて改めて目的に沿うべく改正していきたいというふうに考えておられるのか、その辺をちょっとお答えいただきたい。
○清水(湛)政府委員 特に計算書類の登記所公開の制度でございますけれども、大臣が最初にお述べになりました債権者の保護というような観点から申しますと、これはぜひとも実現いたしたい制度でございます。法制審議会の答申にあるわけですから、答申を尊重するという趣旨からも、やはりこれは改正案に盛り込むべきものであったというふうに私どもは考えているわけでございます。しかしながら、この制度を導入した場合に、現実にこの制度に従って計算書類を登記所に提出しなければならない中小企業、もちろん資本金三千万円以上というような限定があるわけでございますけれども、そういったこれに該当する企業から見ますと、これはその限りにおいて新しい制度であり、ある種の負担を課するということになるわけでございます。現実にこの制度を担う人たちの理解がまだ十分に得られていない、理解が十分に行き渡ってない、こういうような状況のもとでこの制度を強行することにいたしますと、これまたいろいろな混乱が生ずるおそれがある。こういうような判断に立ち至りまして、私どもは関係方面と意見の調整を重ねつつ、今回の改正におきましては見送ることといたしましたけれども、いずれこれは実現すべき制度であると考えておりますので、できるだけ早い機会に法律改正という形で国会の御審議をお願いいたしたいというふうに考えているところでございます。
○和田(一)委員 いずれ改正という御答弁でございましたけれども、法の精神からいって債権者の保護というようなことも考えていかなければいけない。こういう趣旨からいえば、株式会社も有限会社も有限の責任しか負わないという制度でございますから、これはもし間違いがあってその会社に投資をしながら倒産したら、債権者が頼りにてきるものは会社の財産しかないと思うのですね。だからこそ、財産の状況がどうなっているのか、経営内容も含めて債権者がもっとよくわかるように計算書というものが公になるべきだ、こう思うのです。実際の制度からいって、今現にある商法によって定められている規則はほとんど守られていない。さっきからのいろいろなお話を聞いておりましても、百二十六万社のうちの約一%程度しか官報、新聞の公告はないんだ、こういう実態と全く乖離してしまっているものを少しでも法の精神に近づけるためのいろいろな論議がされてきたと思うのですが、そのためには、今大きく抜け落ちてしまったこういう計算書の登記所への公開制度というものは確かにそういうものを補っていくために大変大事な制度であるなと思うのです。それを、いずれは改正する、できるだけ早く、こうおっしゃってはおられたようですけれども、もしそれが本当に大きな大事な点であるとすれば、PRをして、これを出さなければならなくなる人たちへの時間的な問題もあるし、周知徹底していくためのPRの期間も必要である、こういう御配慮から、いずれは、しかしできるだけ早くというお言葉のようだったのですが、そういう努力を具体的になされて、なおいつごろというめどでそういうスケジュールをお考えになっているか、できましたら御答弁いただきたい。
○清水(湛)政府委員 申しわけありませんけれども、いつごろというめどを申し上げる状況には現在ないわけでございます。ただしかし、会社法の改正につきましてはまだ積み残された問題というのがたくさんございます。今回、中小会社についてとりあえず関係者の合意が得られるような問題について法律の改正案を作成したわけでございますが、前々から議論になっておりますように、中小会社にふさわしい例えば経営管理機構、取締役会の制度とか監査役の制度というようなものも、ある程度煮詰まっているような問題もあるわけでございます。法制審議会の商法部会といたしましては、そういう中小会社法、有限会社法を含めまして、今回の商法の改正が成った後に直ちにまた継続して審議を進めるという手はずになっているわけでございます。そういう法制審議会の審議の過程の中におきましても、この登記所公開の制度というのは既に答申があるわけでございますから、その実現についてどうするかということも当然また問題になろうかと思うわけでございます。私どもといたしましては、そういうような実情を踏まえまして、特にこの登記所公開制度は法制審議会における長年の懸案事項であったというような背景をも踏まえまして、できるだけ早い機会に改正案を作成して国会の御審議を仰ぎたいというふうに考えております。
○和田(一)委員 それでは、それはそれにいたしまして、今回この改正が成立いたしますと相当数の方がこの新しい改正に基づいて対応していかなければならないわけですけれども、それによって増資をしなければならない、あるいは組織変更をしなければならない、こういったことが行われることに対して、時間的なゆとりというものはお考えのようですが、具体的、実際的に特別の配慮というものを考えておられるのかどうか。先ほどは融資ということもございましたが、融資は別としてもいろいろな費用あるいは増資に対する課税、こういうものに対しても減免措置がとられるのかどうか。これはやはり相当大きな問題だと思いますが、いかがでしょうか。
○清水(湛)政府委員 お尋ねのように、有限会社については三百万円までは資本金の増額をしなければならない、三百万円というのがどの程度の負担になるか、企業によっては大きな負担になるという企業もあろうかと思います。それから、株式会社については一千万円まで増資をしなければならない、それができないと有限会社に組織変更するというようなことにならざるを得ないような会社も出てくるかもしれないというふうに私ども考えております。この点につきましては、御指摘のように五年間の猶予期間を置いて、この間に十分にPRをし、その増資なり組織変更が円滑にできるように、私どもといたしましてもいろいろな形でその円滑化のための努力をいたしたいと考えております。 それからまた、これは後ほど大臣からもお話しになろうかと思いますけれども、増資に伴う税制上の特例措置というようなものにつきましても、私ども事務レベルの段階におきましても、大蔵省にお願いし、大蔵省でもこれは重要な問題だということで御検討いただいておるというふうに承知しているところでございます。
○和田(一)委員 そのことに対して、大臣、今の御答弁の中には大蔵省ともそういう意味でのお話をされているということなのですが、具体的には大臣の感触としてどういう感触でしょうか。もし実現できるとすればいつからそういうことが可能になるかも含めて、お答えいただきたいと思います。
○長谷川国務大臣 今大蔵省と小当たりにいろいろ話をしている段階でございまして、まだ確定的なことをお話し申し上げる段階ではございません。しかし、いろいろ委員会の委員各位の議論をずっと総合しましても、まさに放置しておくことのできない問題でございますので、税制の問題あるいは融資の問題、いろいろ多角的に、この問題はひとつできるだけ早く円滑に処理できるように今後も努力をいたします。
○和田(一)委員 それでは、ちょっと角度を変えまして、今回の改正で社債の募集の限度額が変わっております。今までのように資本金及び準備金の総額という制限がなくなったかわりに、純資産額を限度というふうに変わったと聞いておりますけれども、これを純資産額とした意味合いはどういうところにあるのでしょうか。これがいわゆる債権者保護のためにさらによいという判断はどこにあるのかをお聞きしたいと思います。
○清水(湛)政府委員 現行法上社債の発行限度につきましては、御指摘のように資本金と準備金の合計額の範囲内、純資産額がそれを下回る場合には純資産額を限度とする、こういうことになっているわけでございます。このことにつきましては、今回の改正法におきまして純資産額だけを基準とする、つまり資本金と準備金の合計額より純資産額が多いという場合には、従来は資本金と準備金の合計額までしか社債を発行することはできなかったわけですけれども、純資産額がこれを上回るというような場合には純資産額の限度まで社債を発行することが新たにできるようになった、こういうことになるわけでございます。現在の基準である限度額につきましては、資本及び準備金というような非常に形式的な基準、つまり資本金というのは一体何であるか、準備金というものは何であるかというような問題が実はあるわけでございます。これは一種の計算上の数字ということになるのだろうと思うのでありますけれども、非常に形式的な基準ではないか。やはり会社債権者、社債の発行を受ける債権者の方から見ますと、結局会社の財産として担保になるのが純資産額である。つまり、総資産から総負債を差し引いて会社に丸々の財産として残っているその純資産だけが本来の責任財産としてとらえ得るものであるというふうに考えられるわけでございます。そういうようなことから、今回の改正案におきましては純資産額基準だけに一本化をした、こういうことになっておるわけでございます。 このような改正がされた背景には、もう一つの事情といたしまして、ヨーロッパを初め先進諸国におきましては、我が国の現行法のような社債発行限度についての枠と申しますか、規制がそもそもないというのが最近の社債立法でございます。そういうようなことから、我が国におきましても社債の発行限度規制というものはやめたらどうかというような意見もあったわけでございますが、まだその点についての十分な検討がされ尽くされていないというような状況もございましたので、今回とりあえず純資産額基準に拡大をすることにとどめたということになっておるわけでございます。
○和田(一)委員 従来の制限枠よりは広がったという意味で、それも純資産額という、その保証ができる範囲の中でやりなさいという意味かもしれませんが、最後におっしゃっていたように、社債について限度というものをこの法律で書く必要があるのかないのか、もう既に、おっしゃるようにこれは青天井でもいいのじゃないかという議論もあります。法制審の商法部会長の鈴木先生なんかもそういう意見をお持ちのように私も伺っておるのですけれども、私は、無制限であってもむしろ市場原理みたいなものでコントロールできるだろうし、また債権者も何か別の目安があればそういうランクづけの目安をもって十分保護されるのではないかという感じがするのですね。完全に保護というわけにはこれはなかなかいかないと思いますよ。もちろんそういう意味での一つのリスクはあると思うのですけれども、そういう意味では、ランクづけみたいなことを考えて将来においてこれを撤廃するというお考えは全くないかどうか、お聞きしたいと思います。
○清水(湛)政府委員 御指摘のように、社債の発行限度につきましては、むしろこのような限度規制は不要であるというような意見が非常に強く述べられております。起債会と申しますか、受託銀行と引受会社で構成されております起債会という機関があるわけでございますが、そういうところで事実上厳しいチェックをしておりますし、実際問題としてはそういうところを通さないと社債の発行というのはできない。つまり社債というのは、巨額でしかも一種の固定負債という大量のものを想定しているわけでございまして、そういうようなものにつきましては、おっしゃるように一種の市場原理と申しますか、社債のランクづけというような市場メカニズムを通じておのずから発行が規制されるというような御意見がございます。したがいまして、商法の社債発行限度額をどうするかというようなことは、実は現在社債法全般の見直しという作業に私ども着手しておりまして、法制審議会商法部会に社債法小委員会というものが現に設置されまして、そこで全般的な見直し作業に入っております。そういうような過程の中で、当然そういう限度撤廃論というようなものも改めて取り上げられて検討されるというふうに考えているところでございます。
○和田(一)委員 いろいろ伺いたこともあるのですが、一つ、今回の改正で、従来株式会社の登記のために七人以上必要であるといったものが一人でよろしい、こういうことになりましたが、株式会社という社団法人と企業経営、一人株主ということになり、一人で登記ができるということになると、これは個人企業が名前を変えただけではないかという見方も出てくるのじゃないかと思うのですが、この社団法人という考え方から見た一人株主でよろしいといった今度の変えた精神というのは、ただ実態がもう既にそうなっているから事務的に簡素にするというだけのものなのでしょうか。それとも、これはもっと別に法的にそれであってもよろしいというものがあって変えられたのか、その点をお聞きしたいと思います。
○清水(湛)政府委員 今回、発起人がお一人でも株式会社の設立をすることができるというふうに改正をいたしたわけでございます。現行法のように七人以上の発起人を要求し、しかも必ず発起人は最低一株の株を引き受ける義務があるわけですから、設立の段階では、現行法ですと少なくとも七人以上の株主は要る、こういう状況になるわけでございます。 ところが、発起人が一人で足るということになりますと、場合によってはその発起人が全部の株式を引き受けるということになりまして、設立の段階から既に株主は一人であるというような状況も出てこようかと思うわけでございます。しかしながら、発起人の数につきましては、御指摘のように現実には一人ないし二人であるにもかかわらず、員数をそろえるために奥さんだとか奥さんのお父さんだとかというようないろいろな人を発起人に連ねて、いわば形式的な発起人を調えるというような現象が中小会社についてかなり行われておるというような問題もございますし、またそういう発起人の責任をめぐっていろいろな訴訟ざたも起きるというような現象もございますので、そこはすっきりと一人でよいというふうにしてしまう。とともに、社団性の問題につきましては、結局、その企業がある程度生々発展して株式を取得する人間が出てくればおのずからまた株主の数もふえていくというようなことも考えられるわけでございます。さしあたって株主が一人というようなことでありましても、株式の流通というようなことによりまして将来複数化は制度的には可能になっているわけでございます。 そういうようなことから、現行法下でも株主が一人という事態は常に起こり得るわけでございますけれども、そういうような実態も考慮して発起人が一人でもよいというふうにしたわけでございます。 こういうことにしたからといって、特に個人企業の法人成りが従来以上に促進されるということには必ずしもならないのではないかと私どもは考えております。
○和田(一)委員 まだ伺いたいことがたくさんございましたけれども、時間がもう過ぎたということなので、これで終わります。ありがとうございました。
○小澤委員長 御苦労さまでした。 次回は、来る八日金曜日午前九時五十分理事会、 午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時五十三分散会