法務委員会 第4号
- 発言数
- 29 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1990/05/25
会議録
○小澤委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。 まず、趣旨の説明を聴取いたします。長谷川法務大臣。 ───────────── 商法等の一部を改正する法律案 商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案 〔本号末尾に掲載〕 ─────────────
○長谷川国務大臣 最初に、商法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、我が国の株式会社及び有限会社の大多数を占める小規模かつ閉鎖的な会社に対す る商法等の規制が形骸化している実情等にかんがみ、このような会社にも適合する法制度を整備するとともに、会社債権者の保護のために必要な措置を講ずるほか、会社の資金調達の方法を合理化する等のため、商法、有限会社法及び社債発行限度暫定措置法の一部を改正しようとするものでありまして、その改正の要点は、次のとおりであります。 まず、商法につきましては、第一に、株式会社の設立手続の合理化を図るため、発起人の員数の下限の制限を廃止するとともに、発起設立における払い込み等についての検査役の調査を不要とし、また、現物出資及び財産引き受けに関する検査役の調査についても、少額の財産等についてはこれを不要とし、不動産については弁護士の証明を受けることによりその省略を認めることとし、これに伴い、事後設立及び新株の発行の際の現物出資についても同様の措置を講ずる等の改正をすることとしております。 第二に、株式等に関する制度を改善するため、譲渡制限株式の譲渡の承認請求の手続に関し、単純な譲渡の承認のみを請求すること及び株式の取得者一般から譲渡の承認請求をすることができることとし、株式の譲渡制限の定めをした会社の株主に新株、転換社債及び新株引受権付社債の引受権を認める等の改正をすることといたしております。 第三に、会社債権者の保護を図るため、株式会社に一千万円の最低資本金の制度を新設し、資本の増加を容易にするため、株式配当の制度を利益の資本組み入れと株式分割に分離して、利益の資本組み入れのみを行うことも可能とし、また、利益準備金の積立基準を拡充する等の改正をすることといたしております。なお、最低資本金の制度につき、その円滑な実施を図るため、既存会社には、改正法の施行の日から五年間はその適用を猶予する等の経過措置を設けることといたしております。 第四に、株式会社の資金調達の方法を合理化するため、優先株式等について機動的な発行をすることができるようにその発行手続を改正し、無議決権株式の発行限度を発行済み株式総数の四分の一から三分の一に緩和し、端株について定款の定めにより端株券を発行しないことができるものとするとともに、端株券が発行されない場合には、端株主に会社に対する端株の買い取り請求権を認めることとし、また、現実に利用されていない無記名式の株券の制度を廃止し、さらに、社債については、その発行限度に関する資本及び準備金の総額と会社に現存する純資産額による二重の制約を純資産額による制約のみに改めることといたしております。 第五に、先般の民事保全法の制定に関連して、会社の社員、取締役、監査役及び清算人の職務執行停止及び職務代行者選任の仮処分に関する規定を整備することといたしております。 次に、有限会社法につきましては、第一に、有限会社の設立及び資本増加の場合の現物出資等に関する検査役の調査等については、株式会社の場合とほぼ同様の手続によることとするほか、有限会社の最低資本金額を十万円から三百万円に引き上げ、出資一口の金額を千円から五万円に引き上げる等の改正をすることといたしております。なお、最低資本金額の引き上げについては、株式会社の最低資本金についてとほぼ同様の経過措置を設けることといたしております。 第二に、株式会社と有限会社の間の組織変更を容易にするため、組織変更の決議要件を緩和し、債権者保護手続を合理化する等の改正をすることといたしております。 最後に、社債発行限度暫定措置法につきましては、商法の社債発行限度に関する規定の改正に伴い、社債発行限度暫定措置法による発行限度を会社に現存する純資産額の二倍に改めるとともに、新株引受権付社債についても、同法による発行限度の特例を認めることとしております。 以上が商法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。 続きまして、商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、商法等の一部を改正する法律の施行に伴い、民法ほか三十五の関連する諸法律について規定の整備をするとともに所要の経過措置を定めようとするものであります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願いいたします。
○小澤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 ─────────────
○小澤委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。逢沢一郎君。
○逢沢委員 自由民主党の逢沢でございます。 それでは、早速、商法等の一部を改正する法律案について大臣並びに関係の皆様に質問をさせていただきたいと思います。 〔委員長退席、自見委員長代理着席〕 今回の商法改正は、御案内のように昭和五十六年に改正されて以来のことということでありますが、今大臣から法律の提案理由の説明もあったわけでありますけれども、改めてその内容を整理をしてみますと、まず、小規模かつ閉鎖的な会社に適合する法制度の整備ということが挙げられているわけであります。 御承知のように、我が国には株式会社、有限会社、世界的に見ても非常にたくさんの数の会社があるわけでありますけれども、その多くが非常に小規模であり、また閉鎖的な会社であるという現実がありますし、また、そういう現実に対して今の商法がいろいろな意味で社会の公器である会社に対しては規制も加えているわけであります。しかし、その実態が非常に形骸化しておるということが非常にいろいろなところから指摘をされておるのを受けての今回の改正になっている、そのように私ども承知をいたしているところでありますし、また当然のことながら、債権者保護のための規制ということについても、これは考え直していかなければなりません。また、資本調達に関する制度の改善、ここの部分については専門家の皆さんから、私も後で触れたいと思うわけでありますけれども、甚だ不十分だというふうな指摘もあるわけでありますが、しかし、とにもかくにもその制度の改善ということが今回の大きな柱、骨子の一つになっている、そのように認識をいたしております。 そこで、私自身、今回の商法改正に当たって改めて考えさせていただいたこと、あるいは勉強させていただいたことは、一体会社とは何なんだということでありますし、また日本の経済社会の中にあって会社制度とはいかにあるべきかということについて改めて私なりに深く考えさせていただく大変いい機会をいただいたわけであります。恐らく今回の法律改正に際して国民の皆様方も同様な思いを持たれたに違いない。また、ある意味での期待を込めてこの会社制度のあり方、あるいは社会の中にあって会社がどうあるべきか、そのことに対して国民の皆様方に、これは表現が適切かどうかわかりませんけれども、もっと敏感になってもらう必要があるなということも率直に言って私自身感じたわけであります。やはり会社というのは、会社という限りには会社にふさわしい実質を備えておるということは当然のことながら必要なことであるというふうに思いますし、まさに社会の中にある公器でありますから、その責務はきちんと果たしてもらわなければならない、そのことを改めて痛感をしたわけであります。 そこで、改めてお伺いをいたすわけでありますが、今回の商法改正は昭和五十六年以来のことということでありますけれども、この間のいろいろな過程、いきさつがあると思うわけでありますが、商法改正作業の経緯について、改めてまず最初にお伺いをいたしたいというふうに存じます。
○清水(湛)政府委員 お答え申し上げます。 先ほど委員御指摘のとおり昭和五十六年以来の 商法の改正でございますが、御承知のように、商法の改正につきましては昭和四十九年に大改正が行われました。これは監査制度の充実強化ということでございまして、このときに初めて大会社に公認会計士の監査が強制されるという制度が導入されたわけでございます。ところが、その法律案の審議の際に、ただいま委員が御指摘のとおり株式会社というものは社会における公的な存在である、こういうようなものについて抜本的な見直しをすべきではないかというような御指摘がございました。そして、そのことが当委員会における附帯決議あるいは参議院の法務委員会における附帯決議というものになってあらわれたわけでございます。そういう決議に基づきまして、先ほど委員御指摘の昭和五十六年改正というものがされたわけでございます。 この五十六年改正におきましては、株主総会制度の改善を図るとか、あるいは株式制度の改善を図るとか、あるいはさらに監査制度につきまして四十九年改正よりさらに踏み込んだ拡大をするということで、会社制度の充実強化を図ったわけでございます。 さらに、この四十九年の附帯決議の趣旨を受けまして、その後も商法の改正作業を続けたわけでございますが、昭和五十七年から最低資本金制度の導入等を含む会社法の見直し、あるいは中小会社法制のあり方というような観点から改正作業を進めたわけでございます。 昭和五十九年五月には、それまでの審議においていろいろ挙げられました問題点を法務省民事局参事官室において取りまとめて、これを公表して世間一般からの御意見を伺う、大学とかあるいは関係団体等から御意見を伺うというようなことをいたしました。 そして、昭和六十一年五月に「商法・有限会社法改正試案」というものを発表いたしまして、これにつきまして各方面からまた意見を伺う、いろいろな経済団体から重ね重ねいろいろな意見を伺いまして、そういう意見をもとに法制審議会の商法部会におきまして調査審議を重ねたというような経過があるわけでございます。 こういう各方面の意見、あるいは試案の中には数多くの問題が盛り込まれたわけでございますけれども、結局そういうものを一気に処理するということは非常に難しいというようなこともございまして、そのうち株式会社の設立あるいは株式制度、会社の計算・公開、組織変更等を中心とする事項についてまず改正を行ったらどうかということで、今回の改正案のもととなります改正要綱案が法制審議会において決定されまして、これを受けまして法務省において法案を作成し、今回の御審議を仰ぐ結果となった、こういうのがおおむねの経過でございます。
○逢沢委員 ありがとうございました。 そこで、今回の改正の骨子の一つになっておりますいわゆる閉鎖的で小規模な会社にふさわしい法制度の整備ということについて立ち入ってお伺いしたいわけでありますが、改めてこの小規模会社にふさわしい法制度の整備、その内容について整理してお答えをいただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 小規模会社向けの法制度ということになりますと、例えば株式会社の発起人、これは現在七人以上必要であるということになっているわけでございます。また、有限会社につきましては社員が二人以上必要であるというようなことになっているわけでございますけれども、この下限の制限を廃止いたしまして、発起人が一人でも株式会社、あるいは社員が一人でも有限会社を設立することができるというようにいたしたわけでございます。株式会社を設立するについて七人以上の発起人が必要であるとされていますために、名目的な発起人をつくるというような非常に不自然なことが間々行われるというようなこともございまして、たまたまそういう形で発起人になった者が、知らないうちにいわば発起人にされたような形になった人が、その後いろいろな責任を追及されて紛争が起こるというようなこともないわけではございません。そういうようなことも考慮いたしまして、この下限の制限を廃止することといたしたのでございます。 それから、株式会社の発起設立における出資の有無に関して検査役の調査という制度が現行法上あるわけでございますが、これは余り合理性がないのではないかということで廃止することといたしております。 そしてまた、不動産を現物出資するというような場合につきまして、一々裁判所に検査役の選任をお願いして、これを選任して調査をするということは手続が大変煩瑣であるというようなこともございますので、そういうものについては弁護士の証明を受ければ、それによって設立をすることができる、検査役の調査を省略することができるというようなことにいたしております。いわば株式会社の設立手続の合理化を図ったということでございます。 それから三番目には、株式の譲渡制限、中小会社というのはほとんどが株式の自由な譲渡というものを制限するということにいたしておるわけでございますけれども、この譲渡制限がされている株式会社につきまして新たに新株を発行するというような場合に、株主の方は株式を譲渡制限されておりながら、勝手にその株主以外の第三者に新株の方を割り当てるというようなことが行われるということになりますと、株主の権利が害されるのではないかというようなことが問題になりまして、そういう譲渡制限の定めをしている株式会社につきましては、株主に転換社債及び新株引受権付社債の引受権を認めるというようなことにいたしたわけでございます。 そのほか、組織変更の手続を合理化し、株式会社及び有限会社間の組織変更を容易にするというような改正もいたしておるところでございます。 そして、よりさらに根本的には、小規模会社向けの法制度というふうに言っていいのかどうかわかりませんが、いわゆる最低資本金制度を導入し、中小会社のいわば対外的な信用というものの法律的な裏づけを図った、こういうことが言えるのではないかというふうに思います。
○逢沢委員 今御説明いただきましたように、今回の法制度の整備で、今までは複数の設立発起人が必要であったのが、一人でも株式会社を設立できる、あるいは有限会社も同様に一人でも設立をすることができるということになるわけでありますし、また株式会社の設立手続の合理化も図られるというふうなことをお伺いをすることができました。今回の改正が特に健全で活力ある経済社会の大きな発展に非常に資するということになるように、どうかひとつ運用面での十二分な対応ということを心からお願いを申し上げておきたいというふうに思います。 さて、そこで次に債権者保護のための規制のことについて、少しその中身について、また経緯についてお伺いをするわけでございますが、伺ったところによりますと、当初法制審の商法部会の決定では、最低資本金でございますけれども、新設会社の最低資本金は、株式会社の場合はそれが二千万円、有限会社は五百万円ということで決定を見ていたわけでありますけれども、最終的にはそれが既存会社と横並びの、株式会社においては一千万円、そして有限会社においては三百万円ということに変更がされたわけでありますが、なぜそういうふうな変更ということになったのかということを最初にお伺いをいたします。
○清水(湛)政府委員 お答えいたします。 株式会社、有限会社の最低資本金につきましては、いずれもこれらの会社は物的会社と言われておる会社でございまして、最終的には会社財産をもって債権者に対する支払いをしなければならないというようなことになっておるわけでございます。そういうことから、会社財産を確保させるということが非常に重要な問題でございまして、商法ではそれを資本充実の原則とか資本維持の原則というような形でいろいろな制度を整備して要請しているところでございます。そういうような会社債権者に対する最終的な引き当てであるというような見地からまいりますと、最低資本金という のは高ければ高いほどよろしいということに当然相なってこようかと思うわけでございます。 そういうようなことから、一体株式会社あるいは有限会社について最低資本金を幾らにすべきかということについてはいろいろな意見がございました。昭和十三年当時におきまして有限会社法という法律がつくられたわけでございますけれども、その当時、有限会社につきましては最低資本金が一万円、当時の金で一万円でございます。そういうような金額とされていたというようなこともございまして、少なくとも一万円というのは現在一千五百万とか二千万の評価になろうかと思うのでございますけれども、株式会社についてはこれを上回る額、例えばいろいろな審議の過程では、一億円が必要じゃないかとかあるいは五千万円あるいは三千万円というようないろいろな意見、これも各界さまざまな意見があったわけでございます。そういうようないろいろな金額が述べられる中で、法制審議会におきましては、そういった各方面の意見というものを踏まえながら、新設会社については、株式会社でございますが二千万円、それから有限会社については五百万円というようなところがぎりぎり現在の実情に適合する金額ではないかということで、いわば多数の意見としてそういうことが決定されたわけでございます。 ただしかし、一方におきまして、百二十何万社という株式会社が現在あるわけでございますが、またそれを上回る有限会社があるわけでございますが、そういう会社には資本金が一千万にも満たないというような会社が多数あるというような現実があるわけでございまして、そういうような既存の株式会社についてはさしあたって一千万、有限会社については三百万というような金額が同時に法制審議会において決定されたというようなこともあるわけでございます。そういうようないわば二本立ての決定がされたということもございまして、なぜ二本立てにする必要があるのかというような問題も提起される一方、直接資本金を一千万にしなければならない、あるいは二千万の会社を設立しなければならないというような中小企業関係者の皆様方を中心といたしまして、やはり二千万というのはいささか急激に現状を変更するという意味において負担が過重になるのではないかというような御意見がございました。私ども、法制審議会の答申後の各方面のいろいろな意見というようなものを十分に参酌いたしまして、たまたま法制審議会の答申が、圧倒的多数を占める既存会社について当面は一千万、三百万という基準を示しておりますので、さしあたって新設会社についても同じような基準でいくということでもよろしいのではないかという最終的な結論に到達したわけでございます。その意味で法制審議会の答申と一部食い違うということになりましたけれども、いずれまた関係方面の理解を得まして答申の線に戻るようには努力をいたしたいというように思っておるところでございます。
○逢沢委員 既存会社の経過措置でありますけれども、それぞれ一千万、三百万まで増資をしてもらうのに五年間の猶予ということでありますが、これについてはどうなんでしょうかね。いろいろ商工団体でありますとか中小企業団体でありますとかそういうところの御意見、今局長も若干触れていただきましたけれども、いろいろ意見調整等もされたとは思いますけれども、五年というのはどうなんでしょうかね。一部には、ちょっとそれは甘過ぎるのではないかというような声もあるやに伺っているわけでありますが、その部分について背景を少しくお話をいただければと思います。
○清水(湛)政府委員 お答えいたします。 既存会社につきまして、最低資本金を株式会社については一千万、有限会社については三百万にしなければならないわけでございますが、その期間をこの改正案では五年というふうにいたしておるわけでございます。 当初、法務省の方でつくりました改正試案におきましては、「既存会社については、相当程度の猶予期間を設ける」という案で、その相当期間というのは三年から十年であるというようなことを示しながら、相当な猶予期間を設けるというような形で試案を公表いたしたところでございます。これに対しまして各方面から寄せられた意見は、猶予期間は五年程度欲しいというのが多数であった、こういう状況でございます。そういうような各方面の意見、五年程度というのが多数であったということを踏まえまして、法制審議会におきましても、最低資本金を一千万円とする場合には猶予期間を五年とするのが相当ではないかというふうにされたわけでございます。 この五年の間に、一千万円に満たない株式会社については、資本金を一千万にしていただくかあるいは有限会社の方に組織変更していただくという必要があるわけでございますが、それについてはできるだけ円滑にそういう増資なり組織変更ができるようにする必要があるというふうに私どもは考えておるところでございます。
○逢沢委員 できるだけ円滑に組織変更なり増資ができるように条件を整備するということをおっしゃったわけでありますが、それは税制面の配慮ということにほぼイコールになるのではないかというふうに思うわけであります。利益準備金や留保利益の資本組み入れへの非課税化の措置でありますとか、あるいは増資や組織変更等にかかるいわゆる登録免許税の減免、このことはどうしてもやはり現実対応としてはお願いをしなければならぬということになろうかと思いますが、その部分についての基本的なお考えあるいは準備、関係省庁とのすり合わせ等はいかがなことになっておりますでしょうか。
○清水(湛)政府委員 今回の商法改正に伴う税制上の措置につきましては、委員御指摘のとおり、利益の資本金組み入れ等に伴うみなし課税の問題と、それから既存の有限会社なり株式会社が増資をする、あるいは組織変更をすることに伴う登録免許税の措置、二つの問題があるわけでございます。 さしあたって、最低資本金制度の導入に伴う税制上の措置というのは、やはり後者の登録免許税の問題だというふうに私ども考えております。このことにつきましては、少なくとも私どもといたしましては、今回御審議を願っておりますこの商法の一部改正が国会で無事通過、成立いたしました暁には、恐らく来年の四月一日ごろには施行される運びになるのではないかと思っておりますが、それまでの間に財政当局にお願いいたしまして、登録免許税等についての軽減措置が講じられるようにいたしたい、そのために法務省といたしても努力をいたしたい。これは法律の改正を伴うことでございますので最終的には国会の御審議ということになろうかと思いますが、法務省といたしましても大蔵省にお願いしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
○逢沢委員 どうもありがとうございました。 今、今回の法律案の決定に向かってのいろいろな議論の経過等々についてお伺いをしたわけでありますが、今までお伺いをしたこと以外にも、いろいろ議論の対象になりながら今回は成案を見るに至らなかったということで見送りになった事項というものが御案内のように幾つかあるわけでありますが、そのことについてこれからお伺いするわけであります。 まず最初に、いわゆる会計調査人による調査制度でありますが、今回のこの法律改正に当たって私自身も私なりに随分勉強させていただいた一つの結論として、会計調査人による調査というものは社会的にはやはりきちんとやらなければいけないなという認識を持ったわけでありますが、法務省としてその部分については、このことが本当に必要だと思われておるのかどうか、あるいは今回このことが入らなかったというのは、議論にはなったけれどもそれほど重要でもないというふうな軽い認識であられたのかということを最初に確認をさせていただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 お答えいたします。 先ほど私冒頭に昭和四十九年に商法の大改正が行われたということを申し上げました。そのとき に、いわゆる大会社につきましては公認会計士による監査ということが強制されたわけでございます。公認会計士あるいは監査法人でございます。そういう監査制度が、さらに昭和五十六年改正によりましてその対象会社が拡大される、こういうことになっておるわけでございます。ただしかし、こういう公認会計士あるいは監査法人による監査の対象となる会社は大会社でございまして、その数が非常に制限されておるというような実情にございます。しかしながら、会社の計算が適正に行われて債権者が保護され、あるいは従業員が保護される、こういうことは何も大会社に限らず、つまり公認会計士監査の対象となる会社以外のいわば中小の会社につきましても同じように重要ではないか、こういうことが当然考えられるわけでございます。そういうようなことから、会計監査人による監査を受けない会社につきましても何かやはりそういう調査の制度というようなものを導入する必要があるのではないかということになったわけでございます。 そういうようなことから、当初法務省におきましては、そういう会計調査人というような制度を導入することによって会社の計算の適正を図るというようなことにしたらどうかという試案をつくりまして、各界にその意見を問うたわけでございます。しかしながら、これにつきましては、いわゆる会計調査人による調査というのが正規の監査とは言えない、正規の監査というのは要するに計算書類が会社の財産及び損益の状況を正確にあらわしているかどうかということを検証するものであって、それはもう監査の専門家である公認会計士だけしかできないことなんだ、およそ監査という以上そういうものであって、その程度を低めた会計調査というのはあり得ないのだというような公認会計士の皆様方からの御主張もございます。これに対しまして、監査までいかなくても、会計諸帳簿に基づいて計算書類が適正につくられておるかどうかを調査するということだけでも意味があるじゃないかというようなことから、会計調査人というような制度を導入してこれを行うべきだ、こういうような議論もございました。 私ども、当初の考え方では、資本金三千万円以上の会社あるいは負債額三億円程度以上の会社についてそういう制度を導入したらどうかというような議論がございまして、そうなりますと、それに当てはまる会社は二十万社くらいになるのではないか、二十万社についてそういうような会計調査をするということになりますと、会計調査人を一体どういう人たちから選ぶのかというような問題にも波及する、こういうことがございまして、いろいろこの会計調査人をめぐりましては、はっきり申し上げますと、公認会計士の皆様方あるいは税理士の皆様方からさまざまな意見が出てまいりまして、なかなか成案を得るには至らなかった、こういうようなことが実情でございます。 私どもといたしましては、そういうような会社の計算関係が正確に行われるということは、これはもうどなたが会社の、公認会計士がやるのか、税理士がやるのかはともかくとして、そういう要請は会社法上厳としてあるわけでございますから、何かやはり工夫をして、知恵を絞って中小会社についてのそういうような制度の導入を今後とも図ってまいりたいと考えておるところでございます。 〔自見委員長代理退席、委員長着席〕
○逢沢委員 実は、いろいろ会計調査と監査というのは一体どこがどう違うのだということも後ほどぜひお伺いをしてみたいなと思っておったわけでありますが、今のお答えの中で既にそのことが盛り込まれていたわけであります。 そこで、会計調査というものはやはり企業活動の公正を担保する意味でどうしても必要だ、そういう認識に私ども立つわけでありますが、いわゆる計算書類を登記所において公開をするということになりますと、これは素人が考えてみても当然なんですが、非常にいいかげんなものを公開しても社会的には意味がないわけでありますから、やはりきちんとした信用性、正確性の高いものを公開をしてもらわなければいけない。そうなりますと、当然会計調査人調査制度というものを確立をしなければならぬ、こういうことになるわけであります。いろいろと伺うところによりますと、今の中小会社の監査の現状というのは、確かに監査役が全責任を持って会社の監査を行って会社の計算の書類の明確化、適正化を担保するという建前にはなっているわけでありますが、率直に言ってその部分はほとんど形骸化をしていると言っても差し支えないと思うわけであります。 計算書類の登記所における公開は、同時に会計調査人調査制度の確立を実現をして、そのことが初めてきちんとした公開に結びつくのだという認識を私は持つわけでありますが、そのようにお考えをいただいているかどうかということを確認をさせていただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 お答えいたします。 計算書類を登記所で公開するということにつきましては、実は法制審議会の答申におきまして今回これを実現を図るべきである、こういう答申がされているわけでございます。しかしながら、これも私ども答申を受けました後に関係方面といろいろな意見調整をする過程の中で、計算書類の登記所公開は時期尚早であるという結論に到達いたしました。 ただ、ここで法制審議会が言っている計算書類の公開制度というのは、会計調査人制度の確立を前提とするものでは実はないわけでございます。私ども、いろいろな議論の過程の中で、会計調査人制度を確立してそういういわば専門家がチェックした書類が登記所に公開されるということが最も望ましい姿である、これはもう逢沢先生のおっしゃるとおりだと私どもは実は思っているわけでございます。しかしながら、現実の問題として会計調査人制度が非常にいろいろ議論があって難しいということでございますので、いわば次善の措置として、会計調査人制度は見送りつつもとにかく登記所公開制度は実施すべきであるということに、法制審議会は種々の議論の中でそのような結論に到達したというふうに理解しているわけでございます。 おっしゃるように、専門家がチェックしないような書類が登記所に公開されるということになりますと、かえって第三者は不測の損害を受けることがあるのではないかというような心配も、それは確かにあるところでございます。しかしながら、一方では取締役は正確な計算書類を作成すべき義務を負っている。取締役が不適正な計算書類を公開したということになりますと、損害をこうむった債権者等から民事責任の追及を受けるとか、あるいは過料の制裁を受けるというようなことになっておるわけでございまして、そういうような責任を負わされるというようなことからもある程度適正な書類を確保することができるのではないかというようなことも考えられたわけでございます。しかし、今回の改正ではこの登記所における計算書類の公開制度は見送りになったわけでございますが、あわせてまだ会計調査人制度の問題も残っているわけでございますので、先生の御意見も踏まえながら今後の課題として検討さしていただきたい、かように考えております。
○逢沢委員 大変ありがとうございました。 そこで、会計調査人制度は今後の大きな課題、宿題ということに残ったわけでありますが、改めて今の日本の経済社会の中にあって非常に数多くの会社が現実に存在をしていますね。株式会社が約百二十六万社、有限会社はおよそ百四十万社ということでありますが、先ほどお答えの中で会計調査人をだれにお願いをするか、現実問題として公認会計士の先生方、そして税理士の方々ということでありましたが、大ざっぱに公認会計士の方々が約一万人ほどでございますか、税理士の先生方が五万人ほどというふうなことでありますが、こういった方々の数で対応しようとすると、それは確かに大変なことであるということはすぐわかるわけでありますけれども、そこで、ある一定のところで当然線を引かざるを得ない、こういうことになろうかと思います。今回の商法部会の 決定でも資本金の線引きが三千万円ですか、負債総額が五億円、それを超える会社については登記所に計算書類をきちんと公開をしてもらう、提出をしてもらうといったようなことがあったわけでありますけれども、これは将来に向かっての積み残しということにはなったわけでありますが、これは先々のことでありますからこれからの議論にまたなければなかなか将来を展望することは難しいことなのかもしれませんが、将来およそこういう議論に収束するのではないか、何かその辺の見通しのようなものを、議論があってそれが今回の法律案の中に盛り込まれなかったその直後のことで、恐縮ではありますけれども、その将来の何らかの見通しのようなものをもしお持ちであれば、それをお聞かせいただきたいというふうに思います。
○清水(湛)政府委員 今回の法制審議会の答申におきまして、資本金三千万円以上、負債総額五億円以上ということに一応の基準が定められておるわけでございます。そういうような会社に該当する会社がどの程度あるのかということになりますと、これは正確なところはちょっと把握しがたい要素もあるわけでございますが、大体十五、六万社、こういう数になるわけでございます。そういたしますと、もし会計調査人制度を導入するということになりますと、先ほど委員御指摘のとおり、公認会計士の数が一万人、税理士さんの数が五万人ということでございまして、公認会計士さんの監査、つまり厳格な意味での監査ということを考えますと、当然その数は不足するというような問題が起こってまいります。それに対して税理士さんの方は、税務の専門家ではあるけれども監査の専門家ではない、こういうような問題がまたあるわけでございまして、どういうような形でではこれを取り込んでいくかということになりますと、そこにまたいろんな意見が出てくるわけでございます。この会計調査人の制度につきましてはもう実にいろんな意見があるわけでございまして、これはもう先生よく御存じのことでございますから申し上げませんけれども、いろんな意見がある。 また、いろんな意見、経過を経て今回のような答申になったという事実も十分踏まえて、今までの議論の跡をたどりながら、やはりこれから将来に向けて関係団体とよく話し合っていい結論を出していきたい、何とか知恵を絞っていきたいというふうに考えております。今さしあたってこの方向に行くとかあの方向に行くということはちょっと申し上げかねますのでお許しをいただきたいと思いますが、努力をしてまいりたいというふうに思っております。
○逢沢委員 大変ありがとうございました。いささか御無理なことを質問したようにも思うわけでありますが、今後の議論をお互いに真摯な姿勢で続けてまいりたいというふうに存じます。 さて、話を移したいわけでありますが、今お伺いをしてまいりましたこと以外にも見送りになった事項が幾つかあるわけであります。例えば、社債制度の抜本的な見直しの問題でありますとか、あるいはまた計算書類の信頼性の担保のための取締役の民事責任の強化の問題でありますとか、あるいは有限会社の取締役及び監査役の任期制の導入、またそのことを含めた有限会社法の全体的な見直しといったようなテーマ。特にこれは実務の専門家の方から耳にしたことなんですが、有限会社の役員の任期をきちんとするということが、いわゆる会社の実体があるかどうか、そのことを確認する意味で非常に有効な手だてなんだといったような声も耳にしたわけでありますが、そういったその他の見送りになった事項の今後の展開の方向、展望について、これもまたいずれかの時点で専門家の先生方に御議論いただくということにはなろうかと思うわけでありますが、その部分について今の段階で何かお伺いできることがございましたら、お話をいただければありがたく思います。
○清水(湛)政府委員 先ほど委員御指摘のように、例えば社債につきましては、現在もう既に法制審議会の商法部会の中に社債法小委員会というものを設けまして、既に何回かこの調査審議を重ねておるという状況にございます。 そのほかにも、今回の改正案の審議の過程で議論がされながら積み残された問題というものもございますし、さらにさかのぼりますと、昭和四十九年改正の際に当委員会において附帯決議がされ、附帯決議事項にあらわれているような問題についていまだ十分に結論が得られていないというような問題もございます。会社の合併とか分割、こういうような問題もございます。 そういうような積み残しあるいはまだ検討すべきであるけれども検討が十分されていない問題というのは多々あるわけでございます。そういう問題につきましては、今回の商法の改正が成立し次第、さらに引き続いて法制審議会の商法部会で調査審議を続けるということを私ども今のところ考えているわけでございます。
○逢沢委員 ありがとうございました。 時間も大分差し迫ってきたわけでありますが、改めて私ども感じますことは、冒頭にも申し上げたわけでありますけれども、今回の法律改正の議論を通じて、会社とは一体何なんだ、あるいは社会の中にあって会社はどうあるべきかという根本的な問題を改めて十分議論をしていかなければならない、そのことを重ねて申し上げるわけでありますが、私自身もそのことを痛感したわけであります。 いささか繰り返しになろうかと思うわけでありますけれども、我が国には株式会社の数が約百二十六万社、有限会社が百四十万社も存在をしておるということでありますし、その大部分がいわゆる閉鎖的な小規模な会社でございます。株式会社で見ますと、資本金が二千万を超える会社は約一割程度しかないということのようでありますし、また株主総会も取締役会ももうほとんど形骸化をしておるといったような、いわゆる名ばかりの会社がある程度存在をしておるといったような問題もいろんなところから指摘がされている、我々は認識をそのようにしているわけであります。 私たちのこの日本の国の中にございます会社の数というのは、今さら言うまでもないわけでありますが、先進主要国の中では非常にその数が突出をしておるということでありますし、しかも毎年毎年十数万社ずつ増加をしておる。そういう現状を抱えているわけでありますが、なぜそんなにたくさんの会社が、社会の中にどのくらいの程度の会社数があるのが適切な規模であるかといったら、そんな基準は別に何もないわけでありますけれども、なぜそんなにあるのか、しかもたくさんふえているのかということを考えてまいりますと、その一つの理由はやはり税金の問題にぶつかるなあという気が私自身いたしているわけであります。確かに、税の問題という部分から考えてみますと、法人化した方が税制上有利となっておるというのは、これはもうお互い周知の事実として認識をしているわけでありますし、これは委員会の場で申し上げるのは適切な範囲を超えるかもしれませんけれども、いわゆる税を節税あるいはそれ以上のことで、事実上税を逃れるために設立されたのではないか、そう思うしかないなと思えるような会社も現に少なくないということでございますが、そういうことはお互い厳しくその現実を見詰めて、また将来に対してどうあらなければいけないのかということについてはよく勉強もし、また我々真摯な議論の中でその対応策というものをぜひ考えていきたい、そんなふうに思うわけであります。 そこで、最後に大臣にお伺いをしたいなと思っておったわけでありますが、残念ながらちょっと御都合がお悪いということでございますので、大変ありがたいことに、きょう政務次官にもこうして御同席をいただいているわけであります。政務次官にぜひお伺いをしたいわけでありますが、一連のことをきょうは御質問をさせていただいたわけでありますが、そのことを踏まえますと、今回の商法改正というのは、いわゆる将来のあるべき姿に向かっての第一歩なんだな、新しい意味での 第一歩なんだな、そういう認識を私どもは持つわけでありますが、今回の法律改正を大臣に成りかわられての政務次官として一体どのように全体像を評価なさっておられるのか、改めてお伺いをしたいと思います。
○狩野政府委員 近年いろいろこの商法問題については検討を加えてきたわけでありますが、今回の改正案については、法制審議会の答申の一部を実現することができなかったわけでありますけれども、最低資本金制度の導入など、画期的な改正を図ることができました。それだけに、十分に意義があったものだと考えております。 なお、審議会の答申のうち改正案に盛り込まれなかった事項については、関係各方面の御理解を得ながらできるだけ早くその実現に努めていきたい、このように思っておる次第であります。
○逢沢委員 大変ありがとうございました。 今回の法律改正というのは、非常に国際化をしたボーダーレスの経済社会を迎えた我が国の会社制度をよりよくするという意味においては非常に意味のある、また有益な法律改正である、私そのように認識をするわけでありますが、どうかひとつ、関係の皆様におかれましては、今回の法律改正が、冒頭にも触れさせていただいたわけでありますけれども本当の意味で国際社会に向かって自信の持てる、これが日本の会社制度なんだという胸が張れるものにするために、さらに格段の御努力がいただけますように心からお願いを申し上げ、いささか時間も残しているわけでありますけれども、私ども予定をさせていただいておりました、またぜひこれをお伺いをしたいと思いましたことにつきましてはすべてお伺いができたわけでありまして、大臣、残念ながら最後お帰りがいただけなかったということでありますけれども、これで質問を終わらさせていただきたいと思います。大変ありがとうございました。
○小澤委員長 御苦労さまでした。 ─────────────
○小澤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 ただいま審査中の両案につきまして、来る六月一日、参考人の出頭を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。 なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。 次回は、来る二十九日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時三分散会