文教委員会 第14号
- 発言数
- 232 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1990/06/13
会議録
○船田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤泰介君。
○佐藤(泰)委員 初めての質問でございますので、御無礼なことを申し上げるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。 六月一日の本会議における我が党の輿石議員の質問、そして六月八日の本委員会の各党の質問で、本法案は四次にわたる臨教審の答申、そして十四期の中教審答申を踏まえ、我が国の教育政策において学校中心の現在の教育体系を改め、学歴社会の是正を図るとともに、時代の要請でもある人々の多種多様な学習需要にこたえて学習機会を提供することが重要であることから生涯学習への移行が言われ、本法案が国会に提出されたという本法案提出までの経過についてはこれまでの質疑で明らかになったと思います。 しかし、今最も必要なのは、我が国初の生涯学習に関する法案であるだけに、国民の前に今なぜ生涯学習が必要なのか、さらに生涯学習とは一体どういうものであるのかを明らかにすることが重要であると考えます。したがって、既に指摘されているところの本法案における生涯学習とは何かの定義及び理念を明確にすべきだと私も考えます。生涯学習社会の実現を目指して日本の教育体系を生涯学習体系へと移行させていくことはまさに時代の要請であり、そのための生涯学習の振興については私も全く異論のないところでございます。 そこで、生涯学習社会とは一体どのような社会をイメージとして描いておみえになるのか、まずこの点について大臣にお伺いをしたいと思います。
○保利国務大臣 生涯学習の言葉の定義についての御質問がございましたが、大変大きな概念を含んでおると思います。非常に広い意味で申しますならば、生まれたときからのいわゆる家庭教育、学校へ入りましてからの学校教育、それから社会へ出てからの社会教育あるいは文化活動といったようなものが広く包含されている概念が広い意味での生涯学習であろうかと思います。 ところで近年の世間のありさまを見てみますというと、日本におきましては高齢化社会が非常にスピードが速く進んでおります。また労働時間等の問題もございまして、自由時間がかなり出てまいりました。あるいは所得の水準の上昇とともに生活水準が上がってきた。このような背景があり、学習に対するいろいろな需要が増大をしてまいりましたし、またその内容も高度化し、あるいは多様化してきております。 こうした時代背景に基づきまして生涯学習というものをやはりきちんと行い、そしてその学習の結果が正しく評価をされていくという社会をつくり上げていく、いわゆる生涯学習社会というものをつくり上げていくというのが今我々に課せられた任務であろう、このような認識のもとに生涯学習についての基盤の整備を行いますためにこのたびの法案を提出させていただいた次第でございます。 したがいまして、そういうような背景があること、そしてまた生涯学習社会というものはこういうものであるということ、以上お答えをさせていただきます。
○佐藤(泰)委員 今背景なり、生涯学習社会はこういうものであるという御説明がありましたけれども、当然、この法案の中にそうした定義なり理念が欠けているということについては既に本会議での輿石議員の質問や六月八日の委員会の質疑の中でも指摘をされたところだと思います。したがって生涯学習について、生涯学習とは何かが法案の中で明確にならない限り何をどう整備し、推進していくのかということが明らかになってこないというふうに私は思うわけですけれども、それにもかかわらず本法案には幾つかの問題と思われる点がありますので、具体的な問題点について、これからお伺いをしたいというふうに思います。 まず最初に、第三条の生涯学習の振興に資するための都道府県の事業、第一号から第六号までの事業については既に設置されている市町村なり都道府県の生涯学習センター等で推進されている事業とかなり重複してくるというふうに思うわけです。ここに名古屋の生涯学習センターの要覧があるのですけれども、この中の事業を読んでも、一号から六号とかかわってほぼ同様の事業が既にかなり行われているというふうに思うわけです。 したがって、新たに都道府県の事業としてこれらの事業を推進していくことと、従来ほぼ行われているような事業との重複についてどう整理をされていくのか、その辺のお考えについてお伺いをしたいと思います。
○横瀬政府委員 この法案の第三条の趣旨でございますが、これは地域におきます生涯学習をより一層振興していくために、学習機会を提供するという個々の作用だけではなくて、人々が学習機会を選択したり、あるいは自主的な学習活動を進めることについて援助を行うというようなこと、あるいは生涯学習施設がいろいろ個々にあるわけでございますが、そういうものの間の連携を促進してあげるというような、いわば生涯学習を支援する体制というものが地域ごとに必要であるわけでございます。その地域ごとに置くべき体制を規定したのがこの第三条でございまして、都道府県の教育委員会が責任を持って、ここの第一号から第六号まで、この事業がそれに当たるわけでございますが、それの一体的な、効果的な実施を促すというためのものでございます。 それで、ただいま先生がお挙げになりました既存の施設でございますが、これはいろいろな名前がございますけれども、生涯学習センターとかあるいは生涯教育センターとか、中には社会教育総合センターというような名前のものもございますけれども、いずれにしても、これの各号に掲げてございます事業について、それを全部やっているところはなかなかないわけでございますけれども、一部について実施している既存の独立した施設について見ますと、全国で十四都道府県に設置がされております。 私ども、この第三条を置きました趣旨は、ぜひ、既に十四ございますそういった集中的な体制というものを全都道府県に整備していただきたいというのが一つと、それから既に設置されておりますセンターの中にも、各事業について見ますと不十分な点もあり、またやってない事業もございますので、そういったものが全体が充実しますようにという意味でこの第三条を設けた、こういうことでございます。
○佐藤(泰)委員 今御説明をいただきますと、現在あるそうした事業を支援していく、そして発展充実させていくんだというような御趣旨の御答弁だったと思いますが、それでよろしいですね。 としますと、四条でそうした事業に文部大臣が望ましい基準を定めるということが述べられておりますが、支援、充実をしていくために一体どういう望ましい基準というものが考えられるのか、そしてその望ましい基準とは一体どんな効力を持つものであるのか、この点について具体的に御説明をいただきたいと思います。
○横瀬政府委員 この法案の第四条でございますが、都道府県教育委員会の行う生涯学習推進の事業体制につきまして望ましい基準を文部大臣が定めるということにしてございます。 これは、都道府県の教育委員会が体制を整備するに当たりまして参考にすることのできる広い視野に立ったよりどころというものがあった方が便宜であろうということ、それからもう一つは、水準の向上にも役に立つのではないかということから文部大臣が定める。この文部大臣が定めるという意味は、全国的な生涯学習の動向につきまして各種の資料をもって専門的な助言を行い得る立場にあるわけでございますので、文部大臣が望ましい基準を定めよう、こういうことでございます。 その具体的な内容はこれから考えていくわけでございますが、現在考えておりますのは、体制の整備の意義、必要性に関すること、それから実施される事業の基本的な内容に関すること、それから内部組織あるいは施設の整備に関することというようなことを考えてございます。 この都道府県教育委員会に対する望ましい基準というのは、当然ながらこれは一つの参考でございまして、よりよくしていくために各都道府県がぜひそれをごらんになって一つの材料にしていただいて、地方の実情に応じた適切な体制を整備していただきたい、こういう趣旨でございまして、決して都道府県に制約をかけるというようなものではないというふうに考えております。 このような望ましい基準を置いております法制といたしまして、例えば博物館についても博物館法の第八条で規定してございますように幾つかの例がございまして、そういったことも参考にいたしまして、望ましい基準の具体的なあり方についてこれから検討してまいりたいと思います。
○佐藤(泰)委員 今、この基準については、都道府県の参考にするようなもので制約を加えるものではないというような御趣旨の御答弁がございましたが、その程度の基準ならば、殊さらこうした法文に文部大臣が定めてその基準を示すというようなことは必要がないのではないか。 基準がある以上、それが一定の物差しとなり、事業推進に当たっていくにはそこに何らかの国の指導が行われ、地方自治体の生涯学習振興事業に関する主体性なり地域性が無視され、その基準の扱い方によっては国主導の画一的な生涯学習の推進体制が実現するのではないかという心配を持つわけですけれども、そのあたりはどうでしょうか。
○横瀬政府委員 この第四条は、その名のとおり望ましい基準というふうにしてございまして、基準についての拘束性は名前のところからも消しているわけでございますし、先ほど申しましたように、これはその内容において都道府県が参考になるような決め方をしていきたいというふうにも考えております。地域の自主性という生涯学習の振興の精神を十分に踏まえてやっていきたいというふうに思いますので、国による管理というようなおそれは全くないと私どもは考えております。
○佐藤(泰)委員 今、この基準について国の規制は全くないという御答弁がありましたが、確認させていただいてよろしいですね。 文部省の原案では、生涯学習センターの設置の基準であったものが、そのセンターの名前が消えたことによって、事業内容の基準となったことによって、事業そのものを国がコントロールをしていくのではないかという心配を、今のお答えをいただいたわけですが、さらにそんな心配を持つわけです。 本来的に、文部省が当初考えられた原案では、ここは生涯学習センターの設置の基準ということでしたので、それならば意味がわかるわけですけれども、そのセンターの設置が消えて事業内容に対する基準ということに変更されたように思うわけです。 としますと、事業内容に対する基準というのは全く制約がないという今お答えがありましたけれども、どうしてもそこに何らかの指導が行われていくのではないかという心配を重ねて持つわけですが、この点についてもう一度お答えをいただけませんでしょうか。
○横瀬政府委員 生涯学習推進センターという施設の名称が、この法案の検討の基礎となりました中教審答申にはそういう名称について載っていたわけでございますが、それは前回もお答えいたしましたように、地方行政に対する国の関与をできるだけ緩和すべきだという原則に基づきまして、地方自治体の特定の施設を制度化するということについては、法律によって制度化するということは現在とっていないというような政府の方針との間の調整に立ちまして、この法文の上で第三条のところで生涯学習推進センターという名称については規定に盛り込めなかったわけでございます。しかし、この条文にございますように、都道府県の教育委員会の事業として一つの必要な体制の整備に努めることを求めるということで、その趣旨については十分この規定の中で実現されているというふうに考えたわけでございます。 そこで、したがいましてこの基準につきましては、その施設の基準というものを初めから考えていたというふうにお話しでございますが、その辺はむしろ望ましい基準ということで立てていくということで初めから考えていたわけでございます。博物館の設置につきましても「設置及び運営上望ましい基準」という、私どもの社会教育関連法の法制の中にもそういう例がございますし、そういったものとの横並びといいますか、類似性もありますので、望ましい基準という形で検討してきたわけでございます。 先ほどから申してきておりますように、これは内容的な参考資料としてさし上げたいということでございます。各都道府県、全くまだ設置をしていない都道府県にとってはやはりできるだけ内容の詳しいものをよりどころにしたいというような、当然そういう要請もあるわけでございますので、そういうものにこたえていくということでございまして、あくまでも望ましいという形になっておりますので、地方公共団体、都道府県を制約するというものではないというふうに考えております。
○佐藤(泰)委員 最も重要な部分である生涯学習にかかわる定義や理念というものについては欠落をしておきながら、こうした、今お伺いするとこの望ましい基準というものは参考資料程度のものだというお答えでございますが、重要な部分では欠落をさせておいて参考程度のものがかなり詳しく述べられているということは、一体どういうことになるのでしょうか。 私は、その程度の望ましい基準であり、都道府県の推進体制は主体性が守られるということであるならば、あえてここまで第四条を規定して述べる必要はないのではないかというような気がいたしますが、この第四条を削除するというような考え方はお持ちになってみえませんか。
○横瀬政府委員 この法案の第三条の都道府県の教育委員会の行います生涯学習推進の事業体制というもの自体の事業の中身でございますけれども、これはそれぞれ情報の収集、提供でありますとか、あるいは指導者、助言者の研修でありますとか、あるいは管下の教育機関、団体への指導助言でありますとか、そういうような全体の支援体制、支援事業というものを規定しているわけでございまして、それが国の管理といいますか、そういうものにわたるような内容にそもそもなっていないというふうに私は思います。それから、先ほど申しましたように、各都道府県教育委員会がこれからこういった体制について整えていくにつきましては、やはり全国的な視野に立った参考になる内容、正確な内容というものをできるだけ知っておきたいといいますか、知ってそういう整備計画に入っていきたいというような要請もあるわけでございますので、そういったことを考えましてこの規定を置いたということでございまして、決してそれがいわゆる押しつけになるというものではないと思いますので、この四条の規定はぜひ置いておいていただきたいと私どもは思っております。
○佐藤(泰)委員 こう基準を設定しますと、どうしてもその基準が、今の御答弁の趣旨から考えますと、そんなに地方を締めつけるものではないということを理解するわけですが、基準が設定されますと、その基準がひとり歩きして、どうしてもそこに国の指導が入ってくるのではないかという心配を持つ部分がございますので、今御答弁をいただいたような趣旨で運用されていくように強く要望を申し上げて、次に第五条の基本構想について、その作成、実施に当たっては知事部局が主体となっていくのか、それとも教育委員会が主体となっていくのか、この基本構想の推進に当たっては、県では一体どこが主体で進められていくのかという点についてお尋ねをしたいと思います。
○横瀬政府委員 法案の第五条の地域生涯学習振興基本構想でございますが、この中に分野として入っておりますのが、社会教育に係る学習、それから文化活動ということを初めとして、さまざまな分野の学習機会が盛り込まれるということが予想されるわけでございますけれども、その所掌事務どおりに申し上げれば、そのうちこの社会教育に係る学習あるいは文化活動等につきましては教育委員会が、そしてそれ以外の分野につきましては知事部局が所掌するということになりますので、それが中心になって企画するということになります。 それから、この中に民間事業者の能力を活用するという観点からの民間事業者との連絡調整でありますとかあるいは基金法人が決めてございますが、この基金法人の運営などにつきましては主として知事部局が担当するということに所掌事務どおり言えばなるわけでございます。ただ、地方自治法の規定によりまして、地方公共団体の長の所轄のもとに執行機関相互に連絡を図って、一体として行政機能を発揮するということを要請されておりますので、この趣旨から申しますと、都道府県知事あるいは教育委員会、これはそれぞれの都道府県によって、その実情に応じて、その選択によって決まるわけでございますが、そのいずれかが主になりまして、そして他の部局の協力を得ながらできるだけ一元的に事務を処理するということになるというふうに考えられると思います。 教育委員会か知事部局かという選択について、私どもがどちらというふうに申し上げるわけにはいかない、そういう性質のものじゃないというふうに思いますが、どちらかが主体になってやることを期待したいということでございます。
○佐藤(泰)委員 知事部局が主体になる場合、それから教育委員会が主体になる場合、双方が連携をとって進める場合、いずれかの場合は地方に任せるというような御答弁だったと思いますが、いずれにしても、私は知事部局が主導で進められる道が開かれているのではないかという点を心配しますが、この点はどうでしょうか。知事に建議等ができるというような条文はあるわけですので、諮問に応じたりというような条文があるように思いますので知事部局が主導で進められていく道が開かれているのではないかというように感じますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
○横瀬政府委員 先ほど申しましたように、知事部局、教育委員会が協力し合って行うべき内容になっておりますので、知事部局が場合によっては窓口になっていくというケースも考えられることでございます。 ただ、いずれにいたしましても、教育の内容につきましては教育委員会が責任を持つというのは当然でございまして、教育委員会の責任が保たれるような形で連携協力がなされていくということを期待し、またもし必要があれば指導していきたいというふうに考えております。
○佐藤(泰)委員 それでは次に、市町村との関係についてお尋ねをしたいと思います。 例えば、生涯学習と密接な関係にあると言われている社会教育は、今のお答えにもありましたように教育委員会の所管で、現在は市町村が中心になって進めていると思います。ところが、この基本構想にかかわる社会教育が知事部局の主導で推進される場合も考えられると思います。 としますと、この基本構想にかかわる社会教育の部分を一体どこが主体となって推進していくのか。また、市町村が主体に進めてきているこれまでの社会教育にかかわる事業との関連、いわゆる県と市町村との関係について、法案では市町村については余り述べられておりませんので、その県と市町村とのかかわりについて具体的に説明をしていただけませんでしょうか。
○横瀬政府委員 この地域生涯学習振興基本構想でございますが、これは、いわば日常生活圏を単位にいたしまして、その中の特定地区に生涯学習の機会の総合的な提供が行われるということをねらいにした制度ということは今まで御説明してきたとおりでございます。 そういたしますと、この日常生活圏というのが、一般的にあり得る話として考えれば、普遍的に考えますと単一の市町村域を超えるような事業内容になるということでございますので、そこでこの事業の中心というものを都道府県に置いたところでございます。そういうことで、施策の内容の上から考えまして都道府県段階の事業というふうにしたわけでございます。 しかし、この個々の事業について担当いたしますのは当然市町村でございますから、この地域生涯学習振興基本構想において市町村の役割というものを具体的にこの規定の中に決めてございます。 一つは第五条の第三項でございますが、関係都道府県が構想を作成あるいは変更しようとする際に協議を受ける、それから第八条の第二項には、文部大臣に対して、あるいは第八条の第四項については、文部大臣及び通産大臣からそれぞれ必要な援助とか助言とか指導とかを受けるということ、それから第八条の第五項には、この基本構想が承認された場合に、それの円滑な実施が促進されるように相互に連携を図りながら協力すること、それから第九条には、この基金に充てるための負担金を必要に応じ支出することというようなことが決められております。 それぞれそういう形でこの地域生涯学習振興基本構想の実施の上で、市町村が役割を果たしていくということに制度上もなっているわけでございまして、私どもといたしましては、都道府県と当該市町村との間の緊密な連携協力の上でこの基本構想が運ばれていくようにということを期待しているところでございます。
○佐藤(泰)委員 都道府県の事業に市町村と十分な連携を図ってこの基本構想を進めていくというような御趣旨の御答弁だったと思いますが、県と市町村との力関係からして、基本構想にかかわる社会教育が市町村の中で優先をされて、これまで市町村が行われてきたいわゆる従来の社会教育にかかわる分野、この分野が切り捨てられるというようなことはないでしょうか。 また、知事部局が中心になることによって、連携を図ると言いつつも行政の社会教育への介入を許すことにつながることにはならないかという点を心配いたしますが、この点はどうお考えでしょうか。
○横瀬政府委員 この基本構想の中身といいますか、特色といたしまして、民間事業者による教育、文化、スポーツ活動というものが現在大都市部に偏在をしているというようなことがございまして、それで民間の創意工夫によって非常に適時適切な、学習需要というものに対する魅力的な学習機会の提供というものがあるわけでございますが、大都市部以外のところにもそういう機会が与えられるようにというような意味がこの地域構想の意味でございます。 そこで、そういう大都市部以外の地域にも実現をする一つの有効な方策として制度化したのがこの基本構想制度でございます。したがいまして、この制度は、そういう意味の生涯学習の振興の一方策に位置づけられるべきものでございまして、これをもって生涯学習の振興を図る原則的な施策にするというようなものでないことは言うまでもないことでございます。 したがいまして、今委員がお挙げになりました従来から行われてきております公的な社会教育というものの事業は、これはまたそれぞれ生涯学習の観点からの要請に従いまして今後ともいよいよ振興されなければならないことでございまして、私どもといたしましても、これから高度化、多様化するそういった社会教育の事業につきまして大いにその振興について努力をしていかなければならないというように考えているところでございます。
○佐藤(泰)委員 今の御答弁をお伺いしますと、従来の社会教育にかかわる事業についてはあくまでも市町村が中心に推進をしていくということで理解させていただいていいですね。 としますと、この基本構想の推進に当たっても市町村の果たす役割もかなり大きなものがあるというような説明が今あったわけですが、先ほども局長の方から少しお話がありましたが、既に市町村に設置されているセンターなり公民館というもので事業が進められている。そこに勤務する人々に私もお会いして話を伺ったわけですが、そこで共通して指摘されて出てきた問題点としては、専門的職員の不足が第一の点として挙げられ、二点目としてはやはりお金の面が挙げられてきたわけです。 本法案には、生涯学習を進めていく上ではそうした人的な条件整備といいますか、そういったものも極めて重要な側面があろうと思いますが、そうした部分についてはこの法案の中に十分に触れられていないように思うのですけれども、人的な条件整備、いわゆる従来の市町村で行われているものもさらに発展させていくのだというような御趣旨の御答弁が今あったわけですので、そのあたりの人的な条件整備というものを今後どのように図っていかれるお考えでございましょうか。
○横瀬政府委員 この法案は、生涯学習の振興の上での推進体制並びにその地域の振興構想というものについての具体的な施策を大きく言いまして三点掲げているものでございまして、この法案はそういう推進体制を定めることに目的があるという限定的な内容になっておるわけでございまして、その生涯学習振興にわたってすべてのことを規定するというものではございません。 そこで、今のお話しの社会教育の人的な体制でございますが、一つは、市町村を担当する社会教育主事につきましていわゆる派遣制度というものをつくっておりまして、これの交付金を充実するということでございます。それからもう一つは、地方交付税におきまして、各公民館、図書館、博物館等々におきます社会教育施設における人的な体制というものが基本的に決められておりますので、これを充実していくということが私どもの任務でございます。 これから生涯学習新時代と言われるわけでございまして、先ほども申しましたように社会教育の役割というものはいよいよ重要になっていくわけでございますので、私どもはこの両面にわたりまして各都道府県、市町村のいろいろな要望を十分お聞きしながら充実に努めていかなければならないというように考えております。
○佐藤(泰)委員 今の御答弁、大変理解したわけですけれども、今派遣主事の話が出ました。現在この派遣指導主事、社会教育主事ですか、これは県でいいますと全部の市町村の教育委員会の事務局に派遣されているのでしょうか。どの程度の派遣社会教育主事が市町村に派遣されているか。今お話が出ましたので、これにかかわって、その派遣状況についてお尋ねをしたいと思います。
○横瀬政府委員 今細かい数字を持み合わせておりませんので、ちょっとお答えにならないかと思いますが、全国で社会教育主事は六千人余おられますけれども、その中で派遣社会教育主事というものはたしか千六百人というところでございます。 それで、この人数から申しまして全市町村に配置されていることはないということでございます。小さい市町村につきましてはかなりの数が行っておりまして、それが有効に働いているというように考えております。
○佐藤(泰)委員 派遣社会教育主事が全市町村には行っていないということですが、こんな実態を私は聞いたのですけれども、市町村にローテーション的に派遣社会教育主事が回されていくというようなこともあるのですか。全市町村に派遣社会教育主事が配置されていないわけですので、市町村によって期限を切って、今年度はここ、次はこっちへ行く、前年度置かれていたところが取り除かれてこちらへ回っていく、そういう意味ですが、そんなローテーション的に組まれているというようなことをちょっと耳にしたのですが、派遣社会教育主事がそのようにローテーションを組まれているという実態がありますか。
○横瀬政府委員 私もその運用のすべてについてよく存じておりませんが、ローテーションを組むというような、計画的にある市町村をまんべんなく回すというような意味でございますが、一般的には余り聞いておりませんけれども、中には、その裨益を受けない市町村が出ないようにある程度平等になるような工夫をしているところがあるということは聞いたことがございます。
○佐藤(泰)委員 私は、三年この市町村に派遣をされて、三年済むとこっちの市町村へというような話を聞いたことがあるわけです。そうしますと、派遣社会教育主事が配置をされているときには、その市町村の社会教育がかなり充実して進められていきますけれども、次にその派遣社会教育主事がある一定の、二年なり三年という期間その市町村に配置をされて、今まんべんなくという御答弁がありましたが、次は隣の市町村に派遣をされていくというと、こちらに派遣されていた社会教育主事が今度こちらへ行くということで、こちらの事業が停滞をするというようなことも生じているということを私は聞いているわけですので、その辺のことと、同時に、これだけ生涯学習が言われて、市町村の事業も重要だ、都道府県と連携を十分にとって進めていくということですので、その市町村における社会教育主事を初めとする専門的職員の配置をさらに充実拡大を図っていただきたいということを思いますが、この点についてはどうお考えでしょうか。
○横瀬政府委員 派遣社教主事の具体的な実態のあり方につきましては、私ももう少し勉強させていただきたいと思います。 いずれにいたしましても、社会教育の人的な体制というものの充実につきましては、先ほども申しましたように、これからの生涯学習時代を迎えまして格段に充実をしていかなければならないというふうに思っておりますので、具体的には大変困難なこともあると思いますけれども、その中で何とかその充実ができるような方策を見出して頑張っていきたいと思っております。
○佐藤(泰)委員 ぜひ今の御答弁の趣旨に沿って御努力をいただきたいと思います。 施設の充実とともに、生涯教育を進めていく上ではやはり人的な整備という側面が極めて重要になってくるだろうというふうに思います。それが学習者の多様なニーズにこたえていくということになることにもつながっていくと思いますので、ぜひ人的な確保、養成、指導というような面について十分に力を入れた諸施策をお願いするとともに、それを実現をしていっていただきたいというふうに思います。 次に、基本構想の生涯学習を推進するに当たっては、第五条に規定されているように、「民間事業者の能力を活用しつつ行うこと」を前提としていますが、民間事業者によって提供されるものはどうしても商業主義が優先することは明らかです。この点についてどのような対応をお考えでしょうか。 そして、民間活力というのは、この基本構想作成に当たっては義務づけられているものなのか、努力義務なのであるのか、それとも都道府県の主体性によってこれを含まなくてもいいのかどうか、この点もあわせて、二点、御質問をさせていただきますので、お答えをいただきたいと思います。
○横瀬政府委員 この第五条から第九条までに規定してございます地域生涯学習振興基本構想、これは民間事業者の能力の活用ということを一つの前提にいたしましてつくられている制度でございます。 民間事業者によりますその事業と申しますのは、これは民間の創意工夫によりまして人々の学習需要に柔軟に対応しているという点で非常に魅力のある学習機会を提供しておりますので、これが現在のところは大都市部に偏在をしている、それを大都市部以外のところにもぜひそういう機会として提供されるようにしたいというのがこの構想の一つのねらいでございます。そういった意味で、民間教育事業というものについての学習機会を一つの要素としている制度でございますので、そのように御理解をいただきたいと思います。 それで、ただこれは都道府県あるいは市町村等との共同的な事業としてこの構想の中に入ってくるということと、それから第五条のところにもございますように、これについては民間教育事業者に対する支援のための民法法人というものがついておりまして、それが民間事業者の事業についていろいろな支援をするということになっております。したがいまして、そういった意味と、それから都道府県、市町村の援助というものも当然その中に期待ができるわけでございますので、そういった中でカルチャーセンター、その他民間教育事業がこの中で行われる、それについての適正な対価といいますか、そういったものの維持がなされていくというふうに考えているところでございます。
○佐藤(泰)委員 今の答弁よくわからなかったので、もう一度お尋ねしますけれども、基本構想の要素となるのだというように今お答えがあったと思いますが、私がお尋ねしたのは、それは基本構想作成に当たっては義務づけられるものなのか、それとも努力義務みたいな意味なのか。 今の答弁だと要素としてということですので、努力義務なのかなという気もいたしますが、あるいはそういった民間のものを含まなくても基本構想というのは作成されていくのかという点と、もう一点、そうした民間事業者によって提供されるものはどうしても商業主義が優先してお金がかかるという部分が出てくると思うのですが、それに対する対応、そんな点を今質問をさせていただいたわけですが、もう一度お答えをいただきたいと思います。
○横瀬政府委員 どうもお答えがはっきりしなくて申しわけございません。 まず最初の、民間事業者が義務づけなのかというおっしゃり方でございますが、これは義務づけと言うと少し語弊がございます。ただ、第五条から第八条までの構想は、先ほど申し上げましたように、民間事業者の能力の活用を行うことをねらいとしたものでございますので、義務づけというか、必然的なものだと言ったらよろしいのでございましょうか、民間事業者が含まれていることが必要になっている制度だ、こういうことでございます。 それから、二番目の商業主義というお話でございましたが、先ほど申しましたように、これは都道府県、市町村、民間事業者というものが共同で経営されるような事業になっておりますし、それから民間事業者に対する支援法人というものがつくられて、これも必ずつくられることになるわけでございますが、それによって民間事業者が支援を受けるという形の中で、そういう不適正な対価のようなことにならないようになっていけるような制度として包含されているというふうに思っております。
○佐藤(泰)委員 それでは次に、租税特別措置法による損金算入の特例の適用について述べられておりますが、その内容を具体的に説明をしていただけませんでしょうか。
○横瀬政府委員 これは先ほどからところどころで申し上げておりますけれども、地域生涯学習振興基本構想の中で、民間事業者のために債務保証や研究調査等の支援業務を行う民法法人を設けることにしておるわけでございます。 この民法法人は、支援業務を行うための必要な財政的基盤として基金を設けることにしてございますけれども、この基金造成のための資金は地方公共団体からの出捐のほかに、民間事業者からの出捐も予定しているわけでございます。この民間事業者からの出捐を促進するために、一般の寄附の場合でございますと税法上損金に算入される限度額が決まっているわけでございますけれども、この本法案の税制上の特例措置におきましては、一般の寄附とは別枠で全額を損金に算入し得るということでございますので、民間事業者がこの民法法人の基金を支出した場合には、その全額につきまして一般の寄附枠とは別に算入するということでございまして、民間事業者にとって大きなメリットになるというふうに考えております。
○佐藤(泰)委員 では続いてもう一点、基本構想による事業は特定の地区の住民を対象にこの基本構想を作成するということになっていますが、その特定の地区の指定をする理由について説明をしていただけますか。
○横瀬政府委員 これは都道府県内の特定の地区におきまして、その地区の中で行われる事業に対して、その当該地区とその周辺の住民の生涯学習のために裨益するというようなものでございますが、この特定の地区ということを決めておりますのは、これは当然ながらこの事業の性格といたしまして、例えば音楽会とか展覧会とかスポーツイベントとか、そういう多様な学習の機会を総合的に集中的に提供するということをねらいとしているということからこれらの地区を特定するということがどうしても必要になってくるわけでございます。 それからもう一つは、先ほども申しましたように、民間事業者の能力の活用のために税制上の優遇措置というものを決めているわけでございますので、この優遇措置の適用の上でも地区の限定というものが、特定いたしませんとその優遇措置が受けられるかどうかということが決められませんので、そういった意味でも地区の限定は必要になっている、こういう二つの意味があるというふうに思っております。
○佐藤(泰)委員 その二点については大体理解ができましたけれども、別な観点から、その地区が指定をされていきますと、従来からの大都市の部分と指定される地域、指定から外れる地域もございますね。そうすると、それらの地域においてこの生涯学習にかかわる事業に格差が生じてくるのではないかというふうに思うわけですけれども、その地域の指定によっては、むしろ文化に接する機会の少ないような地域、そういった地域にその施設とかそういう生涯学習事業の推進をしていくことが本当の住民のニーズにこたえる国の行政の責任ではないかというふうに私は思います。 どうしても、今の話を聞いておりますと、この地区の指定は、大都市周辺のある程度の中核都市あたり、中核市町村あたりが指定されていくのではないかなと私自身は思うわけですが、そうした地域ごとによる格差が生じてくるのではないか。特に、過疎地域だと言われる部分、いわゆる文化に接する機会の少ない地域が切り捨てられていくというようなことにはならないか。その特定の地区の指定については順次拡大されていくようなお考えがあるのかどうか。この点についてお尋ねをしたいと思います。
○横瀬政府委員 この地域生涯学習振興基本構想という方策につきましては、それを幾つどのように配置するかということまでこの法案で考えているわけでは当然ございません。それぞれの都道府県でその実情に応じて決めていかれる。それからまた、これはそれぞれの地域の実情なり情勢によって、容易なところ、困難なところ、いろいろあるというふうに思います。ですから、当然これはある程度の時間差を伴って発展していくものだというふうに思います。そういった意味で、ある特定の部分だけが利益を受けるというのではなくて、都道府県として全体的に、ある程度の時間差はあっても全体としてこういう総合的な学習の機会というものがどういうふうに維持されていくようにするかというのは、それぞれの都道府県でぜひ考えていただきたいというふうに考えているところでございます。 それからもう一つ、この地区の一つの効果といたしまして、これは当然その地区の中で高度かつ多様な事業が行われる、そしてそれによって学習機会が質的、量的に拡大されるということによりまして、その周辺の地域、その隣り合わせの地域といいますか、そういった地域におきましても住民の学習意欲の向上とかあるいは学習分野、いろいろな学習に対する興味の喚起とか、そういうものがもたらされまして、この地域、あるいはこの地域が影響を及ぼす日常生活圏域以外のさらに広がった地域におきましても生涯学習の振興の機運というものが高まっていくのではないか、そういう効果についても期待しているところでございます。
○佐藤(泰)委員 時間差を持って拡大していくというような御答弁がございましたが、県の取り組みによっては県内で複数指定ということも考えられていくのかという点はどうでしょうか。
○横瀬政府委員 これは都道府県で当然複数の基本構想が出てくるということを予期しているものでございます。
○佐藤(泰)委員 そうしますと、私が先ほど申し上げたように、どうしても文化に接する機会等が少ないような地域、ぜひそちらの方の地域へも、指定枠を拡大するなり、そんな指導を国として行っていただきたいというふうに思います。当然、今この法案を読む限りにおいては、民間が入りやすいような地域がかなり指定をされていくのではなかろうかというような心配をいたします。学習者のニーズに本当にこたえていくという観点からすれば、むしろそういった地域を優先して指定をしていくことが大事ではないかというように私は感じます。 今説明をいただいた地区の指定なり民間の能力の活用という点を考えていきますと、相当程度進んでいるところあるいは購買力のあるところが指定をされていくということは、結局これは民間活力の導入を図るための施策になっていってしまうのではないかというような点を心配いたしますので、県によって複数指定等が行われるとするならば、とりわけ、そうした生涯学習なり社会教育なり、そういった部分でのまだ十分な発展がされていないような地域を中心にして施策を講じていっていただきたいということを思いますが、この点についてどうお考えでしょうか。
○横瀬政府委員 この制度は、お話のように、むしろ大都市に偏在している教育、文化、スポーツという事業につきまして一極集中を是正しようというような考え方から出てきているものでございます。 当然、特定地区というものは交通が便利である地域ということにならなければなりませんけれども、それには過疎地域からも来やすいところを設定するというような工夫が必要でございます。過疎地域であるから切り捨てになるというようなことにならないように、先ほども申しましたように都道府県の中で複数の指定をしていくというようなこと、あるいは都道府県が全域をカバーできるような目標を持って計画をしていただくというようなことをぜひ指導していきたい、あるいは期待していきたいというふうに思っております。
○佐藤(泰)委員 ぜひそのようにお願いしたいと思いますし、一極集中をなくしていくということですが、交通の便利なところで過疎地域からもその機会に接することができるようにしたいというような答弁がありましたけれども、私は出身が名古屋でございますが、東京へ出てくるのと、愛知県の中でも三河の方へ出かけていくのと、そちらの方が時間がかかるわけです。ですから、交通が便利なところだといってもかなり、愛知県自体でも、私が名古屋から東京へ来るよりも三河の山間部に行く方がさらに時間がかかるわけです。ですから、交通の便利がいいところを設定するといっても、どうしても過疎地域の人々にそうした機会が少なくなるということは事実でございますので、ぜひそれを拡大されていくように強く要望しておきます。 私は、民間活力の導入を利用しつつも、いつでもどこでもだれでもがみずからの意思によって学習することができる条件を整備するというのが今申し上げましたように行政の責任、それを明確にすべきだと思います。民間の導入によって一部のお金と時間のある人のみの生涯学習の振興にならないように、十分に配慮をしていただきたいと思います。また、生涯学習とは、学習の意思はあっても、その人に何らかの阻害条件があり学習機会の提供を受けることができない人々にもそれを保障していくことが国の責任であり、行政の責務だと考えます。 そこでお尋ねをいたしますが、勤労者が働きながら学習するには、学習時間の確保なり、中教審答申が指摘している「有給教育・訓練休暇制度の普及」といった条件整備を図る必要があろうと思います。そのためには、一九七四年のILO第五十九回総会での有給教育休暇に関する条約の批准と国内関連法の早期整備が重要だと思いますが、この点については文部省はどうお考えでしょうか。
○横瀬政府委員 有給教育訓練休暇につきましては、職業人としての資質の向上その他、職業に関する教育訓練を受ける労働者に対して与えられる有給休暇でございまして、職業人としての資質向上及び自己啓発を推進する上で大きな役割を果たすというふうに認識をしております。労働省におきましてこの有給教育訓練休暇の制度の定着と促進を図るための助成策を講じておりますけれども、これが職業能力開発促進法におきましても非常に重要な方策として位置づけられているわけでございます。 私ども、これから生涯学習というものの諸施策を実施してまいります上で、有給教育訓練休暇制度というものがさらに充実してまいりますように考えていくのは当然のことでございまして、こういう生涯学習の推進体制というものが確立していき、それによってまた生涯学習振興が進められていきますと同時に、今後とも、労働省とも一層連携を深めてまいりまして、有給教育訓練休暇制度というものがさらに充実していきますように努力をしていきたいと思っております。
○佐藤(泰)委員 ぜひそのようにお願いをしたいと思います。 生涯学習に関する世論調査、これは総理府広報室から出されているものですけれども、この調査の結果を見ますと、生涯学習の機会を受けたいと思う人は七七・六%、とりわけ管理・専門技術職については九四・二%の方がそうした生涯学習に接したいということを答えてみえます。しかし、現実にそういう学習に取り組んだかという問いについては、「仕事や家事が忙しくて時間がとれない」ということでそうした機会を受けてないという人が六七・〇というような結果が出ているわけです。 したがってこれからの生涯学習社会に向けては、そうした自発的な意思のある方で何らかの阻害条件があって学習機会を受けることができない、そういう人々も当然十分に生涯学習の機会の提供が受けられるような、そんな制度を保障していくことが今最も大事ではないかというように私は思います。したがって今御答弁がありましたが、こうした有給教育訓練休暇制度というようなものを早急に実施、実現を図っていっていただきたいと思います。既に諸外国においてはそうしたものが実施をされているというようなことを聞いておりますので、日本においてもこれから生涯学習に取り組む上では極めて重要な問題ではなかろうかというふうに思います。 そんなことを申し上げて、次に第十条の生涯学習審議会にかかわって、審議会が関係行政機関の長に対し建議する事項として、こうした有給教育訓練休暇制度の普及や既に他省庁が行っている生涯学習に関する施策、事業などに関してもこの建議の対象となっていくのかどうか、建議されていくのかどうか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
○横瀬政府委員 法案の第十条に生涯学習審議会の規定があるわけでございますが、この中の第一号の方でございますが、文部省の所掌でございます「学校教育、社会教育及び文化の振興に関し、生涯学習に資するための施策」というのが挙がっているわけでございます。これをその生涯学習審議会は調査審議をするということになるわけでございますが、関係行政機関の各種関連施策を視野に入れてそれらとの連携を図っていくということは大変重要なことでございます。そういった意味で、体系的な学習機会を整備していく観点から、関係行政機関の長の協力が必要と考えられる場合には協力していただくという趣旨で建議することができるようにしているわけでございます。 それで建議のできる例というものをちょっと想定いたしてみますと、例えば生涯学習の一環といたしまして社会教育、学校教育におきまして環境教育を取り上げようというようにした場合に、それにつきましてその学習内容に関する助言とかあるいは指導者の派遣等につきまして環境庁に協力を建議するというようなこと、あるいは地方における生涯学習の推進体制を取り上げようとする場合に、例えば建設省で行っております「生涯学習のむら」構想との関連を考慮いたしまして、これについて協力を建議するとか、これは全くの想定でございますけれども、そういうような点が考えられる。わかりやすい例として挙げた次第でございます。
○佐藤(泰)委員 そうすると、今の説明ですと、関係行政機関の長に建議する内容としては、文部省が所管をされていることに限定されているようにとれるわけですけれども、その程度の建議、協力を求めるということでしょうか。 今、前段の質問で、そうした有給教育休暇などに関するものも充実していくというようなことの御答弁をいただいたわけですが、そういったものについて関係省庁に文部省が理解を求めるというか建議をしていくとか、そういうようなことが行われるのかどうかということをお尋ねをしたわけで、今のお答えですと、関係行政機関の長に建議していく内容としてはほぼ文部省が所管をしていることに限って建議をしていくというふうに理解をするわけですが、この点はどうでしょう。
○横瀬政府委員 第十条についてもう少し詳しく御説明いたしますと、第十条の第二項にこの審議会の調査審議事項がございまして、それが「学校教育、社会教育及び文化の振興に関し、生涯学習に資するための施策に関する重要事項」ということになっているわけでございまして、これは文部省に置かれる審議会でもございますし、文部省の所管に属する事項というふうになるわけでございます。 その次に第三項がございまして、「審議会は、前項第一号に掲げる事項」、これが今申し上げた事項でございますが、「事項に関し必要と認める事項を文部大臣又は関係行政機関の長に建議」することができるというふうになっております。したがいまして、この第十条の生涯学習審議会は文部省の所掌事務に関して必要と認める事項について関係行政機関の長に建議する、建議の内容の限定はそういうことでございます。 これは一つは、当然文部省に置かれる審議会でもございますが、ただ文部省で所掌する学校教育、社会教育、文化ということは、これは生涯学習を形成する非常に主要な部分でございますので、まず重要事項について審議をしていただく、そしてその主要な部分に関連する部分につきまして必要と認める事項を関係行政機関の長に建議するということで、限定はございますけれども、かなり内容としての広がりはあるというふうに考えております。 先ほどの教育訓練休暇との関係につきまして御答弁をするのが漏れてしまいまして申しわけございませんでしたが、教育訓練休暇につきましては、勤労者が生涯学習を行う上で、教育を受ける際にそのために有給休暇が必要であるという観点に立ちますと、これは生涯学習審議会の議論の対象になるというふうに思います。したがいまして、その議論の結論に関連いたしまして、労働大臣の御協力を得るために、労働大臣に対してその教育訓練休暇に関して建議を行うことはあり得るというふうに考えております。
○佐藤(泰)委員 ありがとうございました。対象になるということの御答弁だったと思いますが、中教審答申で既にこうしたものの普及を考えていくことが必要であるという提言がなされており、そして今回の法案が提出をされ、先ほど私が数字を申し上げましたが、例えば有給休暇についての調査を見ますと、学習休暇制度の普及についてそれを望むか、五三・六%の方がこのいただいた資料によると賛成をしているわけです。 したがって、そうした重要な部分を中教審が提議をしながらも、それの実現についてはまたもや生涯学習審議会の検討に任せるというようなことで大変先送りをされていくのではないかというように思いますので、ぜひそうした国民の期待にこたえるためにも、早急に審議の対象にされて、労働省とも詰められてその実現のために文部省は指導的な努力を果たしていただきたいと思いますが、どうお考えでしょうか。
○横瀬政府委員 生涯学習審議会はまずこの法案をお認めいただきませんとできないのでございますし、できました段階でも、これは審議会の中でいろいろと決められていくことでございますので、そういうことはございますけれども、私といたしましては、その教育訓練休暇に関する部分につきましても非常に重要な部分であろうというふうに考えております。
○佐藤(泰)委員 生涯学習の振興に当たっては、今申し上げたように窓口の一本化といいますか、統一的に進めていくことが学習者にとっては必要であろう、そのことが学習者の多様なニーズにこたえていくことになると私は思います。したがってもっと他省庁との連携を図って進めるべきだと考えますが、他省庁と日常的にこうした生涯学習に関して政策調整は進められてきているのかどうか。 本法案の提出に当たってかなり手間取ったというような状況を考えますと、生涯学習にかかわって他省庁との調整というものが十分に果たされてないように私は思うわけですけれども、今の有給教育訓練休暇制度の問題に関してもさらに連携を密にしていかなければならぬ問題ではないかと思います。そうした中において、この生涯学習に関する事務局を総理府に置いたらどうかというような考えもあったように聞いております。文部省が取りまとめていく意義は一体どこにあり、そしてそうした日常的な他省庁との政策調整を今後どのように進められていくのか、この二点についてお伺いをします。
○横瀬政府委員 文部省に生涯学習審議会を置いたという趣旨は、先ほど申しましたように、生涯学習に関する中心的な領域というものは学校教育、社会教育及び文化でございますので、それを所掌しております文部省に置けば、生涯学習に関する非常に主要な部分についての方向性でありますとか、あるいは連携協力体制でありますとか、そういうものが期待されるということで文部省に置いた次第でございます。 それから、文部省と他省庁との連絡体制の問題でございますけれども、実は昭和六十三年の七月に私ども生涯学習局ができまして、そこで初めて生涯学習というものに対しての取り組みを政府としても専門的な機関、専門的な組織として始めたわけでございますが、その生涯学習の新しい展開をテーマといたしました文教白書をそのときに作成するに当たりまして、まず、他省庁の担当部局と連絡をとり合いまして関係省庁の生涯学習関連施策の把握ないし連絡に努めたところでございます。 その後、こういう体制については随時とり合ってございまして、例えば、先ほどちょっと申しました建設省で実施しております「生涯学習のむら」構想等にも協力をいたしておりますし、それから婦人教育の関係で労働省、厚生省、それから高齢者教育の関係で総務庁、厚生省と日常的な連携体制というものをとっておりまして、その中で私どもの生涯学習の業務というものも行っているところでございます。
○佐藤(泰)委員 私は何度も申し上げているわけですけれども、文部省の所管の学校教育、社会教育、文化、スポーツというものが中心になるから文部省が主管で進めていくんだということは十分に理解するわけですけれども、先ほども申し上げましたが、自発的意思に基づいて生涯学習を進めていくというように書かれておりますけれども、個人に応じて自発的意思はあってもどうしてもその提供を受けられない人々、この部分にどう目を向けていくかということが私は最も大事なのではないかというふうに思います。そういった意味で、そういう条件整備を図っていくための努力をしていく必要があるのではないか、そのためには他省庁とも十分に連絡をとってそういった条件の整備を図っていく必要があるのではないかというふうに思います。 したがって、この中心が社会教育とか学校教育とか文化であるから、その条件を整備して自発的意思に任せますよということではなくて、当然他の省庁ともかかわって、自発的な意思はあってもできないという人々にもっと目を向けて生涯学習というものを考えていく必要があるのではないかということで、今二、三の質問をさせていただいているわけです。そんな点はどうお考えですか。
○横瀬政府委員 生涯学習というものを振興していく上での観点、今先生がお挙げになりました、それにふだん接することができない方々にそういう条件整備をしてあげて、それが可能になるような方向というのが一つの非常に大きな課題であるということは、私どももそのとおりに思います。 それからもう一つは、やはり文部省の政策というものと他省庁の政策との関連につきまして、もっと連携協力関係を深めていくことによってまたよりよい学習機会というものを提供する、そういうことも非常に求められているわけでございまして、そういうような、今先生がお挙げになりました条件整備の関係あるいはその連携協力の関係というようなことがこれから生涯学習審議会における非常に大きなテーマになっていくだろうというふうに私どもとしても考えております。
○佐藤(泰)委員 では、この問題はこの程度にさせていただいて、次に、審議会にかかわってもう一点、お尋ねをします。 本法案の生涯学習の振興に当たっては、この審議会が重要な役割を果たすものと考えます。審議委員の考え方によっては、生涯学習の方向づけが大きく変わる場合も考えられると思います。 そこで、この審議会の目的とか機能、委員の任命基準、構成といったものについて具体的に説明をしていただけますでしょうか。
○横瀬政府委員 この生涯学習審議会の内容につきましては、第十条第四項のところに「審議会の委員は、人格識見共に優れた者のうちから、文部大臣が内閣の承認を経て任命する二十七人以内の委員で組織する。」ということになっておりまして、さらに六項のところに「前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。」ということになっております。したがいまして、そういう内容につきましてはこれからのことになるところもあるわけでございますけれども、審議会の委員の構成につきまして、これは当然国民の動向を視野に入れて、学校教育、社会教育及び文化に関する生涯学習の振興をいかに図っていくかという観点で審議をされるわけでございますので、広くかつ高い立場から的確な判断を下すことのできる方々を任命しなければならないというふうに考えております。 その場合に、教育、スポーツ、文化関係者のほかに学習者の立場の方々とかあるいは地方公共団体の方々、当然そういった方々の御意見も反映される必要があるというふうに考えておりますので、そういった観点からいろいろと人選がなされるものというふうに考えております。
○佐藤(泰)委員 今後の問題だということですので今後の問題になるのだろうと思いますけれども、先ほども文部省にかかわりが多くある部分を進めていくんだという答弁がありましたので、例えば教育現場の代表とか、先ほどの有給教育訓練休暇の問題等を考えますと、勤労者の代表等を含めるようなお考えは現在おありでしょうか。それも今後の問題でしょうか。
○横瀬政府委員 そういった点についても当然検討の対象になっていくと思います。具体的に今申し上げるわけにはいかない立場でございますけれども、非常に幅広い分野の方々の中から任命をされる必要があるというふうに考えております。 それから、ボランティア活動等といったような特別な、専門的な事項につきましては、必要がある場合には審議会の中に特別委員とかあるいは専門委員を置くことができるような仕組みも一部考えているところでございまして、そういう形で審議に加わっていただく、そういう余地も考えていきたいというふうに考えております。
○佐藤(泰)委員 ぜひそのようにお願いをしたいと思います。特別委員というものもつくられていくということですので、そこで審議になる問題については、そういった中へ勤労者の代表、教育現場の代表、より幅広い層の代表が加われるような審議会の構成にしていっていただきたいというふうに思います。 それでは次の質問に移りますが、文部省はこれまでも生涯学習振興のための施策を実施してきていると思いますが、各県においても生涯学習推進会議とか生涯学習推進本部を設置して、地域に根差した生涯学習事業の推進が進められてきていると思います。全国のこうした推進状況の実態を把握してみえる範囲で報告していただけますでしょうか。
○横瀬政府委員 生涯学習の振興に関する施策は、ただいま先生が仰せになりましたように各都道府県で最近は非常に盛んに行われつつございまして、大変私どもとしても喜ばしく考えておりますが、例えば生涯学習推進会議というような生涯学習の推進に関する全県的な組織でございますが、これは名称はさまざまでございますけれども、全都道府県に設置してございます。そして、それらにつきましては、基本的な計画の策定でありますとか、あるいはそれの具体化についての検討でありますとか、あるいはその奨励普及の方法でありますとか、非常にさまざまな多角的な検討課題というのが実際に審議されておりまして、その成果としても、基本計画でありますとかそういう生涯学習に関するPR資料でありますとか調査研究資料でありますとか、そういうものがかなりたくさん作成されつつございます。 それから、先ほど最初に申し上げましたように、生涯学習センターといったような名称の施設、これが全国に、十四都道府県について設置されておりまして、これもその事業の実施を通じましてその地域、都道府県内におきますさまざまな生涯学習の振興、情報収集、提供でありますとか、指導者の研修でありますとか、あるいは非常に高度な、体系的な講座の開催でありますとか、そういったものを通じまして広く都道府県住民に対して生涯学習の機会を提供している、あるいは支援の作業をしているというふうに考えております。
○佐藤(泰)委員 今報告いただいた各県で既に実施されている施策、事業等、かなり独自性を持って進められているように思うわけですけれども、本法案にかかわる施策、事業との関係は一体どのように考えてみえますか。
○横瀬政府委員 ただいま申し上げましたまず第一点の方の、生涯学習推進会議あるいは生涯学習推進協議会といったような内容のものの組織が既にございます。これが法案の第十一条で規定しております都道府県に置かれます生涯学習審議会というものに発展していく、あるいは発展して安定的な位置づけが与えられる、そういう方向を一つ期待している、そういう関連を期待しているのが一つでございます。 それからもう一つ、二番目の方の生涯学習センター等の施設につきましては、最初に申し上げましたように第三条の都道府県教育委員会の生涯学習推進事業に関する体制の整備というものにつながっていくわけでございますし、この整備のない地区につきましてはこれからぜひそういった体制が整備されるようにというようなつながりで考えているところでございます。
○佐藤(泰)委員 そうしますと、この法案に盛られている事業については、これまでの県で行われているものを一層発展充実させていくというような理解でいいですか。そのような理解をさせていただきますが、いいですね。 そうしますと、そのような理解に立ちますと、都道府県が作成するこの基本構想に対して文部大臣の承認に当たっては、その承認が得られるかどうかという問題が生じてくるわけですけれども、現在行われている地域の生涯学習を充実していくという観点に立てば、申請が来ればおおむね自動的に許可をされるというような形であるべきだと私は思うのですが、この点についてはどうかという点と、ちょっと時間がなくなってまいりましたので、例えばそれを承認できないというようなことになった場合については、その理由というものが明らかに公表されるのかどうか、この二点についてお尋ねをします。
○横瀬政府委員 地域生涯学習振興基本構想につきましては、第五条に文部大臣及び通産大臣の承認ということがあるわけでございまして、第六条にその承認基準が定められておりますので、この基準によって承認するか否かということが大まかにはといいますか、当然その基準によって決められていくわけでございます。 したがいまして、今仰せのように承認がされない場合というのも、この基準の規定の上からいえば、制度の上からいえば当然出てくるわけでございますが、これにつきましては、作成の段階においてお求めがあればいろいろと御指導、御援助を申し上げていきたいと思いますし、それから承認に至らないような点があれば、これは一度出されたものについても再提出をしていただくとか、それからそもそもこの承認基準というものをできるだけ簡単なものにしていくとか、そういう方向で、申請される各都道府県の御意思がなるべく尊重されるような方向で考えていきたいというふうに考えているところでございます。
○佐藤(泰)委員 この基本構想にかかわる承認についても、冒頭申し上げた望ましい基準にかかわっても、そのような基準を定めていくことによって国主導になっていくのではないかという心配を持ちますので、今御答弁をいただいたような形で、既に行われている各県での施策を補完充実していくような形で進めていっていただきたいと思います。出されたものに余り国の指導が入らないように、そんな点を十分留意していただきたいというふうに思います。 次に、学校教育と生涯学習のかかわりについてちょっとお尋ねをしておきたいと思います。 生涯学習体系に移行した場合、生涯学習の振興とかかわって学校の機能や施設の社会への開放など、学校の活用を現時点ではどうお考えになってみえますか。
○保利国務大臣 これからの高齢化社会、あるいは今言われております十八歳人口の減少、そういったものを考えてみますと、これから先の学校は、高等学校でございますとか大学を含めまして、ありさまというものは少しずつ変わっていかなければならない、またそういう変化に対応していかなければならないというふうに私どもも考えております。したがいまして、生涯学習社会における学校のあり方あるいは高齢化社会における学校のあり方というのは、そういった再教育の場というような形に少しずつ変質をしていくのではないかというふうに考えております。 義務教育段階におきましても子供の数が減少したりしてまいりますが、義務教育段階におきましては、これはいわば他動的に教育を受けるあるいは教育を授けるという形でそのまま残っていかざるを得ませんけれども、高等教育におきましては、一遍社会に出た方がまた戻ってきて勉強されるという場、そういうような形で一体となって生涯学習社会というものが形成されていく、融合していく、そんなふうに考えております。
○佐藤(泰)委員 ありがとうございました。 時間が参りましたので、最後にもう一点、文部大臣にお尋ねをします。 ある人の話で、十人十色という言葉がございます。それがどうしても十人一色にまとめ上げられていく生涯学習にならないように、むしろ一人が十色の生涯学習を行えるような、そんな生涯学習社会を目指して施策を進めていっていただきたいということを文部大臣に要望をして、時間が参りましたので、私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
○船田委員長 午後零時四十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時五十分休憩 ────◇───── 午後零時四十七分開議
○船田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。土肥隆一君。
○土肥委員 冒頭ちょっと、きのうの新聞で保利文部大臣が閣議の後で——特にその閣議の問題は女性の子供を産む率、出生率と申しましょうか、これが一・五七人になったということで、自民党あるいは閣議でも、どうしたらもっと女性が赤ちゃんを産んでくれるか、子供を産んでくれるかというようなことが議題になったようでございまして、例えば橋本大蔵大臣は「若い人の教育と就職についても見直してはどうか」、こう言いまして、例えば高等教育を含めて全部入れるというのが文部省の方針だが、労働力の確保の点からいうとこれでいいのか、働きながら勉強するという方法もあるというふうなことを言いまして、そして、たった一行ですけれども、保利文部大臣は「生涯学習も含めて検討する」と言って賛成した、こういうふうに書いてあります。 文部大臣の、要するに高等教育あるいは教育と子供の出生率の低下というようなこと、それを生涯学習に絡めて何か考える、検討するとおっしゃるのですが、その辺のちょっと真意、何をお考えになっているのか、お聞きしたい思います。
○保利国務大臣 一、二の報道機関によりまして記事が出されておりますが、実は昨日午前八時半から長寿社会に関する関係閣僚会議が行われました。そのときに「長寿社会対策の動向及び今後の課題と展望」という報告書が報告されまして、それを聴取し、採択をしたわけでございます。その後、九時から開かれました閣議にこれは報告をされました。 それで、この中にいろいろなことがございましたが、報告が終わりましてからの懇談の中で、これは関係閣僚会議でございますから、閣議ではございません、そこでいろいろなやりとりがありましたけれども、この報告書の中でも出ておりますが、出生率が大分低下をしてきている、一・五七人という数字もございますが、それに関連をいたしまして若干のやりとりがございました。 橋本大蔵大臣が座っておられましたところと私が座っておりましたところは大分距離がございましたので、つぶさに橋本大蔵大臣のお話を完全に記憶はいたしておりませんが、若年労働力の減少が心配であるということを言われました。そのときに私が申しましたのは、学校におきましても、平成五年以降の十八歳人口の減少傾向が見られる、しかしながら大学に関する志願率というようなものが上がってきているというようなことがあり、これから先、高等教育機関においてどういうふうな体制をとっていったらいいのだ、将来の三年とか五年とかあるいは十年とか先を見たときに、どういうふうな体制を高等教育機関がとっていくべきかというようなことについて議論がございまして、私の方からは、そうした先々の見通しについて十分勉強してみたいというようなことを大蔵大臣にお答えをした記憶がございます。そうしたものが誤り伝えられてこのような記事になったものではないかと私は推測をいたしております。 この記事を読んでみまして、いろいろなことが書いてありますが、女性の高学歴化とも関係があるのではないかというようなお話につきましては、私はそれを聞いた記憶がございません。そういうお話ではなかったように記憶をいたしております。先生御指摘のように、若年労働力が減少していくということについての御懸念、そして将来の高等教育体制をどう持っていったらいいのだというそういう御提議、それに対して私どもの方で、将来の高等教育については人口減少に伴ってどういうことが起こるかということについて研究をしてみたい、そのことについてはきちんとまた研究すべきことでもあろうかと私は思っております。そういうようなやりとりがございましたので、この記事につきましてはどうもそのときのやりとりと随分違う記事になっているように私は思います。
○土肥委員 それじゃ文部大臣は発言はなさらなかったということでしょうか。
○保利国務大臣 発言はいたしておりまして、先々十八歳人口が減っていくのであるとか、あるいはそれに対しては大学のあり方等についても研究をしていかなければなりませんし、特にこれから大学の高度化というようなものを考えていけば、大学院の整備等については力を入れていかなければならないであろうとか、そういうような発言はさせていただきました。
○土肥委員 これはまさに生涯学習というようなことはおっしゃらなかったようでございますけれども、橋本蔵相の、高等教育を含めて全部入れるというのが文部省の方針だが、考え直したらどうだというようなことは、それも発言としては大臣はお聞きになっていないのですね。そういう発言もお聞きになっていないということですか。(「委員長、議事進行について」と呼ぶ者あり)
○船田委員長 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○船田委員長 速記を起こしてください。 保利文部大臣。
○保利国務大臣 実は報告書の報告後のことでございますから、そしてややたくさんの方が入っておられた中で遠いところからでございましたから、はっきりと橋本大蔵大臣がどういうことを言われたかということについては明確な記憶がございません。ただ、若年労働力の不足ということを心配しておられる、それに関連して教育関係どうだろう、将来の見通しどうだろうというような御質問の御趣旨と考えまして私が遠くの方から対応させていただいた、こういうことでございます。 先ほど、誤り伝えられたということを発言をさせていただきましたが、これについては多少誤解を与えるといけませんので、人の口を介すうちにだんだん変わってきたのかな、こういうことに変えさせていただきます。訂正させていただきます。
○土肥委員 関係閣僚会議がどういうふうに持たれているのか存じませんが、これは要するに正式の会議ではないんでしょうか。ただ何か雑談程度のようなものが飛び交って、聞こえた聞こえなかったというような、そういう会議なんでしょうか。私、出たことがありませんので、大臣、ちょっとお答えいただきたいと思います。
○保利国務大臣 関係閣僚会議は正式な会議でございまして、この報告書の採択が行われたわけでございます。報告書の報告が終わりまして、その後、懇談的な形になりましたものですから、やや場がざわめいたりしておりまして、完全な聞き取りができなかったわけであります。
○土肥委員 突然で申しわけないのですが、大臣、出生率が一・五七人まで落ちた理由で、この中でさまざまなやりとりが行われていたようでありますけれども、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
○保利国務大臣 出生率が一・五七人になったというのはずうっと歴史的な経過を踏んできておりまして、今日ただいますぐになったわけではございませんが、やはり住宅事情でございますとかあるいは結婚年齢が少し上がってきたとか、いろんな要素が絡み合ってこういう現象になってきたと思っております。 先進国においては大体こういう形になってきておるのが実情でございまして、日本も先進国の中に入ってきたのかな、もともと先進国でありますが、先進国の一員であるのかな、こういうふうに思いました。いろいろな原因がふくそうしてこういう形になっていると思いますので、これこそが一つの原因であるということを特定することはなかなか難しいかと存じます。
○土肥委員 ここは文教委員会ですから申し上げますけれども、住宅の問題もおっしゃいました、それからまだまだ女性が仕事を持ちながら子育てをするというふうな環境が整備されてないということも申し上げなきゃならないと思います。 私も三人子供がおりますけれども、これはやはり教育費とかあるいは経済的な豊かさが実現いたしますとどうしても知的な方面に向かうというのは当たり前でありまして、そういう意味では学歴社会ですね。学歴社会に自分の子供を滑り込ませるというようなことを考えると、五人いるよりは三人の方が集中ができるし、三人よりは一人というようなことになってきて、そういう親の自分の生活体験、それはまさに高学歴社会における親にしみ込んでいる学歴社会への防備といいましょうか用意といいましょうか、そういうものも見過ごしにできないのではないか。 まさに日本の近代教育の歴史の中で高学歴社会というものを目指してきたわけでして、これは何も国民が目指したのではなくて国の政策もそうであっただろうと思うわけですが、高学歴社会が出産率を低めているというふうにはお考えにならないでしょうか。
○保利国務大臣 それも原因の一つかと思いますが、全部ではございませんし、むしろ私どもは、この日本が将来どうあるべきかということを考えていきます場合に、国民全体ができるだけ高度の教育を受けるという社会を理想といたしておりますので、そういう意味においては高学歴社会というものを否定する気持ちは全くございません。 ただ、子供さんがもう少し産まれてくれればなあという願望を何となく持っていることは事実でありますし、私の経験では、二人の子供がおりますが、三人目をどうしようかといったときに、やはり家が小さくて産めないなというのが実感でございました。二DKのアパートでは二人が限度だったように思います。そういうこと等々いろいろございまして、短絡的に結論を出すわけにはいかないと思っております。
○土肥委員 もちろん高学歴社会あるいは学歴社会だけが主な原因だとは申しません。住宅問題もそうでございます。これから高齢化社会ということでございまして、下手するとひいおじいさん、ひいおばあさんも一緒に住まなければならない、四世代も住まなければならないような時代が来ますと、それこそ部屋数が足りないということもあるかと思います。日本の若い両親が今子育てをしているわけでありますが、そのときにこの学歴社会というもの、子供にお金がかかるということが最大のブレーキじゃないかと考えております。このことについて議論しても仕方がないし、ここは文教委員会なのですが。 したがって私が申し上げたいのは、この生涯学習の振興のための施策の推進体制の整備という法案が出されるに至った経過は、中教審ないしは臨教審が学歴社会の解消ということを言っているわけですね。そういうことからいいますと、学歴社会を生涯学習で解消していくということが果たして可能なのかということを私は考えるわけです。 そうした中で、出生率がこれだけ低くなったというのはやはり学歴社会が原因の大きな一つである、それを生涯学習で考えると新聞には載っておりますので、私は、これはどういうことかなと、聞いてみなければならないと思いました。しかし、新聞に載るか載らないかは別にいたしましても、今回の生涯学習の法案は、学歴社会を乗り越えていくというか解消するという意味でつくられたということが一つの柱になっているわけです。 学歴社会というのは、生涯学習が目指している、あるいはこの法案が目指しているもので解消するとお考えでしょうか、大臣の所感をお述べいただきたいと思います。
○保利国務大臣 学歴社会がこの法案によって三年とか四年とか、そういう短い期間のうちに完全に解消するというふうには私も率直に言って感じません。しかし、一歩一歩近づいていくための努力の一つであるというふうにお考えをいただければありがたいと思います。
○土肥委員 将来、長い目で見れば解決するんじゃないかというお話ですが、これは後でも質問いたしますけれども、学習の成果とか評価とかいう言葉が法案に出てまいります。例えば生涯学習で学歴社会を克服する道というのは、やはり資格というものを整備しなければならない。アメリカ型と申しましょうか、アメリカの社会というのは資格制度でありまして、資格の違いで給料も違っていくという社会です。日本では、学歴社会というのは出身の大学やその名前、あるいはその大学の社会的な評価でその人の進路が決まるとか就職が決まるということを言うわけですけれども、それにかわるものがあるとすれば、それは資格社会だと思うのです。 何か生涯かけて一生懸命勉強しましたけれども、どうかこれを評価してくださって大企業に入れてください、文部省に入れてくださいと言ったって、だれも入れてくれないわけです。これはそういう資格社会に移るという法案なのか。これは大臣ないし局長、どちらでも結構ですが、御答弁いただきたいと思います。(「委員長、議事進行」と呼ぶ者あり)
○船田委員長 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○船田委員長 速記を起こしてください。 保利文部大臣。
○保利国務大臣 ただいま委員お尋ねの件でございますが、学歴社会、資格社会はどういうふうに絡み合うかというお話だろうと思います。 私は、やはり学歴社会というのは是正をしていかなければならないものだ、このように思っております。そして、特にその人の能力と人格が正しく評価をされるという社会であってもらいたい、こういう願望を持っておるわけでございます。 そして、この法案においては資格社会を形成していくものであるかどうかというお尋ねがございましたが、必ずしも資格社会だけではないように思います。資格という部分もあろうかと思いますが、これはやはりその方を受け入れていく社会の方が能力と人格を正しく評価をする、してもらえる、そういう社会になっていかなければならないのじゃないかと思います。その能力の一部にやはり資格という問題も出てこようかな、こう思うわけでございまして、この法案によってすべてを資格で縛ってしまうという社会の方向に持っていくということをねらっているものではないと私は考えております。
○土肥委員 そこが難しいのですね。人格も、その人の能力も認められるような社会にしたい、これはだれもがそう思うわけですけれども、そうならなくていわば学歴だけが先走りする社会というのが学歴社会。中教審、臨教審が学歴社会を乗り越えることが一つの生涯学習の大きな目標であるというふうに書いておりますから、では、生涯学習で学歴社会が乗り越えられるのですかということを言いたいわけです。それにかわるものとしてやはり資格であとは勝負する以外ないわけでありまして、そういう意味では、生涯教育が本当に学歴社会を克服するというのならば、もっと資格規定みたいなものを生涯学習の中にどんどん取り入れていく。資格を取ってください、資格を取ればあなたの人生が開けますよ、そういうものになるかというふうにも思ってみるわけです。 局長にお尋ねいたします。 局長は、二年二月号の「教育委員会月報」で「わが国における生涯学習の展望」というものをお書きになっているわけでありますが、その中で、学歴偏重社会是正のかぎとなる生涯学習の要請がある、こう言いまして、例えば、学歴社会や偏差値教育の弊害が起こっておる、あるいは学校中心の考え方、学校教育の自己完結的な考え方があって、これが学歴社会を生んだ。したがって、国民の生涯にわたる学習を振興し、その成果をそれぞれ適正に評価する社会の形成が求められている。この日本の学歴社会は独特の社会状況の中から生まれたものである。 我が国の学歴社会は国民の意識の上に形成されており、これを改めるには生涯学習体系を社会全体、行政全体といった規模でつくり上げて変革していかなければならない。まさに生涯学習社会の建設、生涯学習の町づくりが学歴社会を克服するんだ。その学歴社会は、国民が受け取っている学歴社会の差別感というものがあって、そういうものが企業や官公庁の人事にもあらわれる。そして、学歴社会というのはかなりの部分がお母さんや生徒の意識の中にあり、学歴社会是正はまさに親と子の意識改革の問題だ。こう書いてあるんですね。 この局長の文章を読みますと、いわば学歴社会を持っている国民が悪いのであって、国民がそういう意識を持っているから学歴社会は生まれるのである。したがって、あなた方の考え方を、国民の考え方を、生涯学習というカテゴリーの中で考え直しなさいというふうに聞こえるわけです。 しかし、私は日本の近代教育史というものをつまびらかには知りませんけれども、まさに学歴社会を国がつくり、特に文部省行政がつくり出して、そしてその学歴社会をもって国の近代化を図り、その産業構造を能率的に取り仕切っていくために国が率先してつくったのが学歴社会じゃないんでしょうか。その辺、局長の御答弁をお願いいたします。
○横瀬政府委員 私がこの中で申し上げたかったといいますか、学歴偏重社会の是正のかぎとなる生涯学習のメカニズムといいますか仕組みについて述べておりますところは、臨時教育審議会の答申をなぞってというか要約をしているところでございます。 学歴社会と申しますのは、人生の若い時期にどこの大学、どこの学校を出たかということによって評価されるといいますか、実社会において採用とか昇進とかいうことに関してそれが評価されていく、そういういわば固定的な考え、評価というものが、従来実社会における学歴社会であったというふうに思うわけでございます。 それが次第に、もちろんこれでもまだかなりたくさん残っている、この調査によってもかなり残っているわけですが、四割と六割というぐらいで、どっちかといえば、実際の社会において学歴社会が残っているというよりは、むしろその結果として、それが影響したことによって大学の入り口のところで受験競争が行われていて、そこで有名校に対する偏向といいますか偏重というのが起こっている。それが実際にはその残っている大きな部分である。そういうふうに考えれば、学歴社会というのは、実際の、実社会の中に起こっている以上に、むしろ意識の問題であります。 そうなりますと、その意識を改革する上では、やはりこれはどうしてもある程度長い時間がかかりますし、それから社会全体でそれに取り組んでいく必要がある。しかし、生涯学習社会というものが形成されていって、いつでも何を習得したかによって昇進とか採用とかが評価されていくということになっていけば、次第にその意識の方にもそれが影響していって、そして学歴社会の意識というものが払拭されていく。そういった意味で生涯学習社会というものがぜひ早く建設され、そしてそれが成熟していくように考えていくべきだ。そういうメカニズムの中で臨教審は生涯学習を学歴社会是正のかぎとして取り上げたんじゃないだろうか、こういうふうに私は考えて、ここにあらわしたつもりでございます。
○土肥委員 それでは局長、生涯学習のプランナーですけれども、生涯学習のこの法案を通して、それからこれに肉づけをしていく過程で、本当に日本の学歴社会はなくなるとお思いでしょうか。
○横瀬政府委員 先ほど申しましたように、人生の若い時期にどの学校を卒業したかということによって人間が主に職業生活の上で評価されていくというようなことは、私、実感としても感ずるわけですが、まだ手放しで解決したと言えるほどではもちろんありませんけれども、しかし、これは次第になくなってきている、その方向をたどっているということは、私は言えるように思います。 職場の中で努力をして別のいろいろな知識、技能を身につければそれが正当に評価されていく、そういうような社会になりつつあるということは言えると思います。したがいまして、それをさらに続けていけば、もちろん数年という間では到底ありませんけれども、次第に解消されていくんじゃないだろうかというふうに私は思っております。
○土肥委員 私は全く逆に考えております。ますます学歴社会がエスカレートしているのが今の状態ではないか、その学歴社会はまさに日本の国の文教行政が生み出した社会だと私は理解しております。 東大を頂点といたします帝国大学、そしてその下請機関としての高等学校、全部受験体制に向けて教育が組み立てられている今の高等学校、そしてこの世の中にあだ花のように予備校がはやり、そしてそれが中学校、小学校におりていき、幼稚園におりていく、そして、赤ちゃんが産まれるともう既に才能教育が始まる。 そういうことを考えれば、若いカップルが子供を育てるときに、これはもう乳児の時代からえらいことになるぞ、一生涯かけて何百万円、何千万円を子供の教育に投資しなければならない、そういうふうに考えれば、子供は減るわけです。私は、日本の近代教育史の中で、まさに文教行政が生み出したものが学歴社会だと考えるのですが、局長の意見、いかがでしょうか。
○横瀬政府委員 学歴社会と申しますのは、先ほど申しましたように、私の受け取り方は、どの大学、どの学校を出たかということによって実社会の中で評価され、そのことを非常に偏重して評価をするということにそのもとがあるというふうに考えます。それが次第に価値の評価の多様化といいますか、何を学んだかによって昇進についても評価をしていくというような、これは企業、官庁を問わずそういう方向で昇進の評価をしていっているということは、そういう実態としては進んでいる。ただ、それと従来から残っているそういう有名校の偏重傾向というのはもちろん関係があるわけでございますが、それが意識の問題も含んでいるわけでございますので、それのいわば改革のタイムラグといいますか、そういうものが非常に長くあるわけでございます。 ですから、そういう意味でもちろん学歴社会というものが、現在まだその偏重という部分が残っていて、それが有名校偏重あるいは偏差値教育というようなものの弊害に結びついているということについては、これはもちろん臨教審でもそういうふうに考えておりまして、私もそれを要約して申し上げているわけでございますので、もちろんその上に乗っかっての話でございますけれども、この生涯学習社会というものが成熟していくに従ってそういった傾向が是正されていく、そういう一つのかぎになっていくということについては、私はそういうふうに確信しております。
○土肥委員 私は、もう生涯学習なんというもの、なんというものというと語弊がありますけれども、生涯学習では学歴社会というものは克服できない、そして今も連綿として生きている学歴社会、ですから、これは今の特に高等教育と申しましょうか大学教育の、あるいは大学制度のあり方そのものをいじらないと学歴社会なんというものはなくならないと私は思っております。 例えば東大を解体する、東大解体論というのは昔からあるわけですけれども、少なくとも毎年三千人ぐらい入るのでしょうか、だったら、まず六千人ぐらい予備で入れまして、あとは抽せんで決めるとか、とにかく思い切った大学改革を行わない限り、生涯学習で日本の学歴社会を克服するんだと言われたら、だれが聞いてもこれは実現しないというふうに私は思うのですが、局長はどうでしょうか。あるいは、きょうは大学の方もいらしていますので、お答えください。
○坂元政府委員 大学の入学試験につきましては、いろいろな努力を今日まで重ねてまいりまして、東大のほかに各国立大学、各私立のいわゆる有名校と申しますか、皆さんがぜひ入りたいと言うような大学を含めまして、いろいろな工夫、改善の努力を続けてきているわけでございます。 私は、大学の入学試験というのは、最終的にはいろいろな評価の仕方、いろいろな間口をつくってやることが必要なのではないか。教科の試験だけで入れるそういう入り口と、あるいは推薦入学の入り口あるいは一芸に秀でていると申しますか、クラブ活動歴、運動歴等を重視して入れるそういう入り口、いろいろなそういう入り口、多面的な評価をして、そして大学に入れていくということが、大学自体が同質の学生ではなくていろいろな学生が入ってきているということで活性化するんじゃないかという感じを持っております。 そういう意味で、各大学もそれぞれ努力して今日までいろいろなやり方を私立を含めてやってきております。今先生御指摘の東京大学なども、ことしから分離分割方式として、後期の方は専ら論 文だけで入学者を決めるというようなやり方を、全体の一割ではございますけれども、そういうやり方を導入してきているわけでございます。それが、その後追跡していって非常にいい成果が上がるということになれば、東大の方もその率をもっと増していきたいというような意向を持っているようでございまして、一挙にドラスチックな改革というのは難しいかもしれませんが、それぞれの大学がそれぞれ一歩ずつ改革改善のために努力をしているのが現状ではないかというふうに考えております。
○土肥委員 少なくとも私の率直な感想を申し上げれば、臨教審、中教審の答申による措置法とはいえ、生涯学習で学歴社会を乗り越えるのですというようなことを言ったら国民は笑うというふうに私は思うわけであります、今大学のいろいろな工夫はなされているようでありますけれども。今の学歴社会というのは、要するに、紛れもなく日本の国における文教行政が生み出したというふうにはお思いになりませんでしょうか。大臣、お願いします。
○保利国務大臣 非常に難しい問題でございますし、また、歴史的な経緯もいろいろあろうかと思います。 今たまたま手元にデータがございましたが、昭和五年の中等教育を受けている者の比率というのは、ある年の人間をとってみますと、一五・七%が中等教育を受けておる。さらに、昭和五年におきます旧制高等学校あるいは大学等に入っております当該年齢の者というのは三・一%になる。そういう時代においては、本当に社会のごく一部の者だけが高等教育を受けている。高等教育を受けて、また、それが社会の指導者として実際社会の第一線で仕事をしておったというありさまを想定をしてみますと、やはりこれは学歴社会であるなということがつくづく感ぜられます。 今から約二十年ぐらい前、昭和四十五年の数字を見てみますと、中等教育で七九・三%、それから高等教育で一八・七%でございます。まだその時代でも、一応高等教育を受ける者は社会のエリートとして遇されるということがあったろうと思います。そういう一つの流れというのがずっと来て、ここへ参りまして大学あるいはそれに準ずる高等教育を受ける者は三〇%を超えておりますので、だんだん社会も変質をしてくるのだろう、私もそう思っております。 したがいまして、より高度な教育が必要だというような意味で大学院等の充実等も図っていかなければならないと思いますが、同時に、高等教育を受ける者がたくさんできてきた段階では、そこに学校等によっていろいろな区別が行われるというようなことがあってはならないと思いますし、また、社会のありさまにつきましても、就職等において学校指定というようなものは、このごろほとんどもうなくなりました。形の上と言われるかもしれませんけれども、一応形の上であっても、それはなくなってまいりました。文部省でも、せんだってお答えをいたしましたが、二十人ほどの採用者を十一の大学から採用しているというようなありさまに変わってまいっております。したがって、これから先のことを考えていきますと、大学あるいは高等教育というようなものも今のようなことを背景といたしまして次第に変質をしていくのではないかなというふうに考えております。 したがいまして、大学がもう少し柔軟性を持つようになり、社会に出て働いている人たちも受け入れ、あるいはもう少し開かれたような、市民講座的なものでだんだん社会の一般の中へ食い込んでいくというような形で大学の変貌というものが何となく私は予想されるわけでございます。そういう中で、次第に学歴というものを重視するという傾向がだんだん薄れていくのではないかなというようなことを期待をいたしております。
○土肥委員 ちょっとしつこいようですけれども、学歴社会が問題だということは当然でございまして、その答申があってこの生涯学習の振興法が出る。そうしたら、もうちょっときちっと法案に学歴社会を克服する道はこういうふうなことが考えられる、あるいは学歴社会を克服するためにつくられた法律であるとか、もう少し具体的に書いていただかないと、私は、これをもって学歴社会の克服の一つの重要な役割を生涯学習が果たすとは到底思えないわけであります。 日本が子供の数が足りなくなってくる、高齢化社会がやってくる、そうした中でこの学歴社会、それに伴う教育費の高騰、親の負担ということを考えれば、子供は少なくなっていくのは当然でありまして、希望を持って子供を産むというのではなくて、非常に消極的なあるいは懐を計算しながら、財布の中身を見ながら子供を産んでいくというふうな状況、これは国全体からいっても非常にいわばマイナスの加速が続いているのではないか、このように思うわけであります。したがって、学歴社会を生涯教育で克服できるとは少なくともこの時点ではだれも信じられない、こういうふうに思います。私の意見はそれくらいにいたしまして、次に進ませていただきます。 さて、私どもは今この法案を審議しているわけでございますけれども、私がこの法案を読んで率直に思いますのは、私は法律については全く素人ではございますけれども、読んで内容がわからない。法制局というのがありますけれども、そもそも日本の法律をつくる人は庶民が読んでもわからないようにつくるというふうな気がしてならないわけであります。 そういう意味で、きょうは私の疑問のあるところを皆さんにお答えいただきたいと思うのでありますが、その前に、一九八八年に文部省の社会教育局が改組されまして生涯学習局が筆頭局として生まれる。そして、いよいよ生涯学習局のいわば働きの中心となる法律が今回出てくる。こういう状況の中で、私どもは、法律をつくる側からいえば、後でほぞをかまないような、後顧の憂いを持たないような法律をつくらなければならない、こう思うわけであります。 先ほどから学歴社会は日本の文教政策が生んだ結果ではないのかということを申し上げましたが、余り明快な回答は得られなかったのですが、要するに今回の生涯教育の振興法案にいたしましても、法律が一たんできますとその法律に縛られていくわけですね。ですから、私どもは慎重に、中身をよく理解した上で、そして日本の国民の皆さんがこれによって少しでもよき文化的、教育的な、社会的な充実感を味わっていただくというふうに考えなければならないと思うわけであります。 そうしたときに、私は一つの短い文章をここに持っておりますが、ちょっと古くて申しわけないですが、八八年に発行されたもので、早稲田大学の教授だと思いますが、横山宏さんが「社会教育局の「終焉」」という文章を寄せておられまして、そして今申し上げました一九八八年六月三十日に社会教育局から生涯学習局に改組されていく、そのときに当たって、今までの文部省の特に社会教育局の歴史、六十年の歴史があるわけでありますが、その歴史を振り返っていらっしゃるわけです。 そして、この六十年の歴史は敗戦を挟んで前半と後半に大きく分かれる。そして、この法律の前半部分、つまり第二次大戦終戦前の話になりますと、それはまさに文部省に社会教育局が設けられたのは一九二九年、昭和四年でございますけれども、第一次大戦に続く関東大震災、金融恐慌などから、国内外に不協和音が高まって、わけても労使の対立や小作争議の頻発、危険思想の舶来による思想的な混乱がかまびすしくなってきた。そうした中で政府は、これまで通俗教育と言っていたのです。それを通俗教育を主としてきた社会教育課を局に昇格させることによって、国民思想の善導を掲げた、こうなっているわけです。そして、本格的な教化総動員体制に入っていった、こういうわけです。 通俗教育が社会教育になり、社会教育と言いかえられ、「国民の自己教育を本来とする近代的な社会教育とはおよそ似て非なる「教化・思想善導の司」」としてこの社会教育局が機能した、こういうわけです。そして満州事変から第二次大戦に突入して、この法律が、社会教育的な法律が第二次世界大戦に国民を巻き込むための先兵的な役割を果たした、「わが国歴史のいわば血塗られた一ページを画して来た事実に目を蔽うことはできない。」こういうふうに述べられております。 戦後、主権在民、新憲法や教育基本法ができ、社会教育法が制定され、そして新しい社会教育制度が出発している。ですから、私がここで申し上げたいのは、生涯学習局もまたこの六十年の文教政策、特に社会教育政策の歴史の延長線、延長線と言っては語弊がありますね、その歴史に連なってできているということです。もちろん生涯学習局がまた国民の思想善導に当たるつかさになるなどということは思いませんけれども、しかし、少なくとも法律をつくるこの段階において、こういう日本の六十年の社会教育史の流れというものは念頭に置いておかなければならないのじゃないかと思うわけですが、局長の御見解はいかがでしょうか。
○横瀬政府委員 ちょうど二年前の七月一日がこの生涯学習局が発足した日でございます。ですから、その後約二年足らずでございますが、経ているわけでございます。 それで、今の生涯学習局は、旧社会教育局を解消、発展させてというよりは、むしろ吸収してその上に生涯学習の振興の組織を加えましてそれで誕生したものでございまして、従来の社会教育局が行っていた仕事はそっくりそのまま受け継いでおりますし、課としても当時ありました四課そのまま引き継いでいるわけでございます。 ただいまおっしゃいました社会教育局、昭和四年からの六十年の歴史がございまして、その中で戦後四十年、我が国の社会教育の中心的な組織として仕事をしてきたわけでございます。その上に立ちまして、私どもとしては生涯学習というのは、今度の法律にもございますように、学習者の視点に立ってまず考えるということと、それから、国民の学習に対する自発的な意思を尊重するということでやっていこうということでございますので、その中で一番重要なその分野というのは社会教育、その社会教育の部分と今申し上げた学習者の視点に立ったいわば環境整備といいますか基盤整備といいますか、そういうものの行政とが合わさって、今まで社会教育局がこの戦後四十年間進めてまいりました教育をさらに総合的に国民の要求するところに従って発展、展開させていくというような方向でやっていきたいというふうに考えているところでございます。
○土肥委員 要するに文教政策、文教教育、文部省教育の中に、社会教育局もまた戦前にはあの忌まわしい日本の軍国主義の先兵的な役割を果たさざるを得なくなっていく。戦後幸いにして四十年間平和国家が続いたわけでございますけれども、しかし、教育というのはいつもそういう国家の機関として使われる、そして教化善導というふうな手段にも使われるということを十分踏まえて生涯学習というものを考えていかなければならないと私は思うのです。 生涯学習という言葉でもって、赤ちゃんからお年寄りまでこの世に生きている限りは全部生涯学習だということになれば、すべて含まれるわけでありまして、生涯学習のためだと言えば何でも取り込まれていく、そしてそこに変質が起こっても、この法案に定義がないというふうに、後でまた質問いたしますけれども、歯どめもない、禁止事項もないというふうな法案の中で、ただ生涯学習と一声言えばすべてはそこにとうとうと流れ込んでいくような何かそういうものがもし社会の中に生まれた場合に、そこへ巻き込まれていくような、そういうふうな状況が生まれないとも限らないわけであります。私ども今生きている者がこうして法案をつくった、だけど三十年後にとんでもない事態が起きていたというようなことも私は危惧をするわけであります。 そういうことからいいまして、この横山先生の論文によりますと、「かつての日その「教化」によって疑うことを忘れ、諾々として騙され、あの忌わしい戦争に駆り立てられていった人々、」この横山さんは以前少しだけ社会教育局におられたのですね。そして今の生涯学習局の出現を見て「歴史の教訓の中から、なにを学び、今日ようやく高揚されつつある世界的規模での「学習権」思想に根ざした真の社会教育をどのように創造していくのかということを醒めた目で、しかも暖かく見守っていきたい。」こう書いていらっしゃる。 この法案を見ますと、学習権という言葉はもちろん出てまいりませんし、学ぶ側の、あるいはこれはもう権利であれば学習する側の、学習する者の位置だとかあるいは参加だとか自主だとかいうことがほとんどうたわれてないというふうに思うわけです。この学習権について局長のお考えをお知らせください。
○横瀬政府委員 学習権という権利の権という字が入っている言葉につきましては、これはそういう具体的な権利として形成されているかどうかという問題がございまして、そういう言葉が一般的に行政の領域で使われているものではないものですから、それはここではこの法律で使うというようなことはもちろんないわけでございますが、ただ、この法律におきましても、例えば第一条のところに「国民が生涯にわたって学習する機会があまねく求められている状況」というようなものをこの法律の基盤整備を行う際の一つの社会的な背景としてそういう状況を押さえている。 この「国民が生涯にわたって学習する機会があまねく求められている状況」について、これはまさに国民が学習するという、そういうことに対しての対応、後でこの目的の中にありますように、それが推進体制の促進であり、あるいは地域における生涯学習に係る機会の整備であるわけでございますが、そういう具体的な施策を行っていく際の背景として、国民のそういう生涯にわたって学習する欲求といいますか、そういう要請を念頭に置いて体制整備を図るということにつながっているわけでございます。
○土肥委員 つまり、参加あるいは学習する者の自主的な自治権というようなものが学習権だというふうに思うのですけれども、この二条で「施策を実施するに当たっては、学習に関する国民の自発的意思を尊重するよう配慮するとともに、」これだけだと思いますね。この法文で国民の学習権に若干触れているというのは、ここの一行半であろうと思います。 私はここで御質問をしたいのですが、この「学習に関する国民の自発的意思を尊重するよう配慮する」という言葉ですね、やはりここではきちんと国民の学習権をうたうべきだと思うのですが、とりあえず提案されている法案でいいますと、尊重するとか配慮するという言葉、これは私に言わせれば非常に文学的な表現と申しましょうか、というふうにしか思えないのであります。 例えば具体的にこの法案が実施されて国民の生活に影響を与えるときに、尊重するとか配慮するというような抽象的な言い方でいきますと、ちょうどあなた、私愛していると言って、愛しているか愛していないか、まあ愛しているというようなことと余り変わらないような、非常にあいまいな、その人の態度によっては全然愛していなくても愛しているふりをすることもできるような、そういうふうな関係を思わせるような文学的、抽象的、そして使う者によってはこれを恣意的に使うことができる。 例えば国民が、あるいは市民がある一定の自発的な提案をしたときに、それはできません、こう言った場合に、それじゃそれは尊重やら配慮をしてないじゃないかというのがあったときに、いや尊重しています、十分尊重しています、いや配慮していますというようなことでは話にならない。法案としてこういう文章はふさわしくない、もう少しきちんと学習権というようなものに根差した定義をここで入れるべきではないかと思うのですが、局長の意見をお聞きいたします。
○横瀬政府委員 生涯学習の振興というものは、基本的には人々が生涯の各時期において自発的な意思に基づいて適時適切な学習を行うことができ、またその成果が適正に評価されるようなそういう社会の実現を図るということが生涯学習振興の理念であるというふうに思います。したがいまして、これは当然に、国民の生涯学習というものはあくまでもみずからの意思に基づいて行うことが基本になるということでございます。 そのことにつきましては、生涯学習の基盤整備についての一月三十日の中教審答申におきましても、生涯学習の考え方についてのことに触れた段落におきまして、生涯学習を推進するに当たって最も留意をしなければいけない点として、「各人が自発的意思に基づいて行うことを基本とする」ということを挙げております。したがいまして、最も大事な点はみずからの意思に基づいて行うということである、そのことをこの法案の第二条では特に配慮事項として挙げまして、その旨を法文上明記することによりまして、これは国と地方公共団体がこの法律に基づく施策を講ずるに当たっての配慮事項として挙げたものでございます。 それで、もちろん配慮事項ということでございますから、それはその限り、その性格からすれば抽象的なものにもちろんなるわけではございますけれども、それを法律の文章で国と地方公共団体にいわば配慮するように律したという点では、全体のそうした生涯学習の性格というものをはっきりさせるというような意味からも非常に大きな点であるというふうに私は思っております。 それから、こういう配慮事項という形で規定する法文上の例というのも過去にもかなりございまして、これが初めてというものでは決してございません。
○土肥委員 法文上特異なものではないということでしょうが、尊重し配慮するというのは当たり前のことなんですね。国民が生涯にわたって自分の生活の質を高めていくということにおいて、そして文教行政が生涯にわたって学習する機会を提供するというときに、国民が主体であり、主権者は国民なんでありまして、尊重し配慮するというのは、これは言うまでもないことだろうと思うのです。 そういう意味で、生涯学習を振興しようというならば、それを享受する側の国民、市民の積極的な位置づけ、あるいは市民生活の中から生まれてくる生涯学習プログラムというようなことを考えれば、どうもこの配慮、尊重というようなことでは国民の学習する権利というものがないがしろにされている、そういうように思うのです。 この法文に例えば国民の参加のもとに学習に対する国民の自発的意思を尊重するとか、そういうふうなもっと明快な国民の学習権というようなものをうたい込むべきではないかと思いますが、そのことについてお聞きしたいと思います。
○横瀬政府委員 ここに法文としては「学習に関する国民の自発的意思を尊重する」というふうになっておりまして、私としては、その言葉は国民一人一人の自発的意思というものについて取り上げているというふうに思っております。 ところで、今御質問のございました点に関連をして、ほかの条文になりますけれども、第三条に都道府県教育委員会の生涯学習振興推進事業の体制整備というのが決められております。この中の第二号のところに、この都道府県教育委員会が行います生涯学習振興事業の一つの事業といたしまして住民の学習に対する需要というものを調査研究するというのがございます。 これは、もちろん生涯学習は非常に地域性の高いものでございますから、各都道府県あるいはその中の地域ごとにいろいろな学習需要が違うということが考えられます。したがいまして、そういう住民の学習需要というものをまず把握をして、それを基礎にして各地域の生涯学習の個々のプログラム、この三号のところには学習方法の開発というのが挙げてございますけれども、そういうプログラムを開発してその地域地域の実情に即した、そして、その地域の住民の学習需要に即したそういう生涯学習を展開していく具体的な方向というのはここにある程度は出てくるというふうに考えております。
○土肥委員 どうも振興法案あるいは推進体制の整備の法案ということの性格が強くて基本的な学習権とか地方自治権というようなものが、特に市町村が非常に低く見られているというのは、後でまた質問いたしますけれども、そういうようなことも考えると、自治あるいは国民の権利としての生涯学習というような面が非常に薄いというふうに感じるわけです。それがゆえに、先ほど横山先生の文章を私が引用いたしましたのも、ここはよく注意しておかないと、やはり国がやる施策でありますから、どうしても上から下へという施策になるわけですね。 そして、文部省から知事部局、教育委員会、市町村へと流れていく、この日本の行政の縦の流れというものを考えますときに、やはり国民あるいは市民の自治権、学習権、そして地方自治権というようなものを明快にしませんと、結局、生涯学習と言ったってずっと上からおりてくる生涯学習の機会の提供であるということになりまして、端的に言えば官製の生涯学習になりかねないということを私は思うわけです。 そういう意味では、思い切ってこの国民の学習権とか地方自治権というふうなものを含めた条文を入れる必要が感ぜられるのですが、それでもだめでしょうか。局長の意見をお伺いいたします。
○横瀬政府委員 この法案に盛られております施策のうちで、先ほど挙げました第三条の都道府県教育委員会の生涯学習の推進事業体制というものにつきましては、先生の今のお言葉でございますが、住民の学習需要といいますか、住民が学習について何を欲しているかということを基礎にして、それをあくまでももとにして、そして地域の生涯学習推進の事業を組み立てていく。そういう方向でそういう推進体制をここに規定しているというふうに私は理解しおります。 それから、生涯学習審議会の部分にいたしましても、これはこれからの学校教育、社会教育及び文化の振興についての生涯学習に資するための施策の重要事項を審議するということでございます。そして、それはこれからの生涯学習の方向をここでいろいろ論議していただくということになるわけでございます。 これも先ほど申しましたように、あくまでも学習に対する国民の自発的意思を尊重するという観点から審議をされるわけでございますし、それはやはり全体的に今国民が何を望んでいるか、そして社会あるいは時代の進展の中で何を望んでいく動向にあるか、どういう方向をたどっていくのか、そういうことを十分御審議いただいて、そしてそれを非常に詳細な生涯学習の重点として描いていく、施策に入れていくというようなことになっていくわけでございます。 そういう意味で、今回のこの推進体制にいたしましても、住民の意向、国民の意向というものが十分に反映できるような、そういう基盤になっていくというふうに私どもとしては考えているところでございます。
○土肥委員 そうなればいいのですけれども、これが県におりていき市町村におりていく段階で「学習に関する国民の自発的意思を尊重するよう配慮するとともに」というふうなことが実際上行われればいいわけですけれども、それぞれの担当の役人さんの解釈や口頭による行政指導的な発言でそういうものが保障されない。そうすると、サービスを享受する側の市民が異議を申し立てても、いや皆さんの意見を尊重していますよ、配慮していますよと言われればそれでおしまいというふうなことになるのではないかと心配しているわけであります。そういうことで、私としては、きちんとした一項を設けて国民の学習権というのはどういうものかを明快にうたうべきだというふうに考えたいと思います。 先へ進みます。 二条ですけれども、その配慮の後、「職業能力の開発及び向上、社会福祉等に関し生涯学習に資するための別に講じられる施策と相まって、」そして「効果的に」という言葉が出てまいります。突然「職業能力の開発」と「社会福祉」が出てまいりまして、「等」と出てくるわけです。したがって、ここで考えられるのが文部省が、労働省でしょうか、それから厚生省などと話し合って、それぞれ持っている生涯学習のプログラムと一緒になって、「相まって」というのはどういうことかちょっと後で聞きますが、そしてそれを効果的に組み合わせてやろうというふうに読むのです。 きょうは厚生省の方においでいただいておりますが、まず生涯学習局長の方にお尋ねいたしますけれども、「等」の中には労働省、厚生省、あと何省とお話しになったのか挙げていただけませんでしょうか。
○横瀬政府委員 この第二条の今お読み上げになりました部分につきましては、この法案とは別の法体系によるものではあるけれども、職業能力開発促進法とか社会福祉事業法等による施策も学習者の立場から見ると生涯学習に役立っているというものもありますので、そういうものに対して国及び地方公共団体は、この法案に基づく施策とそれらの施策とが互いに作用し合って効果的に行われるように努力することが必要であるということを明らかにしたものでございます。いわば全体の施策の整合性を保つという配慮をすべきである、こういう意味でございます。 そこで、お尋ねの本法案におきます政府としての、私どもの協議状況でございますが、労働省、厚生省を初めといたしましてこれは全省庁についてこのような理解がされまして、そして政府として国会に提出をいたしたわけでございますので、すべての省庁の合意は得たものというふうに御理解いただきたいと思います。
○土肥委員 例えば、警察庁が少年柔剣道活動というのをやっておりますね。それはどうでしょうか。警察庁ともお話しになったのですか。
○横瀬政府委員 ただいまお挙げになりました警察庁のそういう事業も入っております。
○土肥委員 そうすると、すべての省庁に文部省が相談なさって、文部省がこれは生涯学習のカテゴリーに入る事業であるというふうに考えた事柄についてはすべて了解を得られたのですね。
○横瀬政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、要するに相まって行われる施策の中にそういった事業が入るかというお尋ねであると思いまして、お挙げになりましたその警察庁の事業についてもそういうものに含まれるということでございます。 それは、生涯学習に資する事業として特に私どもが認めなければいけないということではございませんで、それぞれの所管省庁においてそういうものも含めていろいろ協議をいたしたわけでございます。そういう意味でこの中に含まれている、こういう解釈でございます。
○土肥委員 それじゃ、すべてといいますと、例えば防衛庁なんかはどうなんでしょうか。防衛庁は何か生涯学習にかかわるプログラムなんかは持っていないのでしょうか。
○横瀬政府委員 防衛庁とは、もちろん私どもから照会をいたしましたけれども、これに関しての協議というものは行われませんでした。
○土肥委員 例えば防衛庁が、航空ショーというのですか、私一度も見たことないのですけれども、これをやる。そして防衛施設の一部を開放して戦車にさわったり乗ったりあるいは機関銃にさわってみたりというふうなこと、あるいは飛行機を見るあるいは地上に置いてある飛行機に乗ってみるというようなこともあるわけです。そして、近代的な兵器というのは非常に高度なハイテクに基づいてつくられたものでありますけれども、そういう意味においては大変貴重なというか得がたい機会になる、そういう催しがあったとして、それは生涯学習に入るのでしょうか。
○横瀬政府委員 第二条では「この法律に規定する生涯学習の振興のための施策を実施するに当たっては、」ということになっておりまして、この条項に言う「生涯学習」というのは、主に学校教育、社会教育及び文化に関することでございます。したがいまして、今おっしゃられましたことについては、そういった私どもの考えております事業とかなり関係が遠いということではないかと思います。実際問題として、私どもが省庁間で協議をいたしましたときには、この防衛庁の施策というのはこの条文の「等」、今おっしゃられた「等」の中には入らないということにいたしてございます。
○土肥委員 そこが要するに生涯学習に対する定義がございませんから、言ってみればそれも生涯学習じゃないか。今の自衛隊というのは私ども市民生活の中にどの程度浸透しているのかはそれぞれの生活環境によって違います。例えば沖縄なんかはいわば駐留米軍と一緒に生きているような島でありますし……。 私が少し調べた文献によりますと、アメリカあたりでは海軍が市民に技術を公開しまして、そしてその近代的な装備の操作の方法だとか、海軍が培ってきた近代科学あるいはテクノロジーの一部を一般の社会にある企業の職員にまでトレーニングコースをつくってそのハイテク技術を習得させるためのプログラムなんかもあるわけですね。アメリカも生涯学習の非常に盛んなところですし、資格社会ということであるわけです。その受講している数は、私、調べたら、四百人ぐらいでそんなに多くはないのですけれども、そういうことすらアメリカでは行われているということになりますので、極端な話のようにお思いかもしれませんが、防衛庁とは協議をなさらなかった、防衛庁がやっていることは関係ないとおっしゃいますけれども、解釈は自由なんですからね。いや、これも生涯教育だと言ってしまえば、防衛庁がやっているいろいろな行事あるいは防衛庁が持っている近代的な知識の蓄積、そういうものもあるわけでございまして、そういうものが生涯学習の中に入らないとは保証できないと思うのですが、いかがなものでしょうか。
○横瀬政府委員 この第二条の「別に講じられる施策」と申しますのは、ある程度施策として生涯学習全体に資するといいますか、そういうある程度体系を持ったものという解釈でございまして、先ほどもお挙げになりました航空ショーというような単に事業的なもの、一行事的なものではこの施策という概念には入らないのではないかというふうにまず思います。 それから、防衛庁の設置法上で国民の学習のために事務を行うということにはなっていないと私どもは考えておりまして、したがって、これらの施策の中に防衛庁のものが入るというふうには考えておりません。
○土肥委員 ですから、ここでもやはりあいまいなわけです。生涯学習という定義がないがために、応用は幾らでもきくし、その都度その都度の社会的情勢あるいは置かれた時代の背景に基づいて解釈が可能であるというような内容のものだということを私は指摘せざるを得ない。 今局長はある程度というような言葉をお使いになりましたけれども、程度物の話ではないので、やはり私ども日常生活、平和な市民生活を送っていくという中にあっていろいろなところに問題点があるわけでありまして、問題点が考えられる範囲においてはそれを防いでおくということであります。 例えば「社会福祉等」の「等」の中には防衛庁は入らなかったということですが、しかし、将来も入らないのかというようなことになりますと、そのときにはまた別の局長がおるでしょうし、文部大臣も別な方がいらっしゃるというようなことになれば、あれは前回の局長答弁だったけれども、今回は入るというふうに判断しますということもあり得るのじゃないかと考えるわけであります。文部大臣、御意見を一言お聞かせください。
○保利国務大臣 冒頭でちょっとお話を申し上げましたように、生涯学習という概念を広く解釈しますと何でも生涯学習になろうかと思います。そういう意味では、あらゆるものが学習、お母さんから授かるいろいろなことについてもこれは学習だろうと思います。しかし、ここではある程度限定的に生涯学習の概念を政府としては使っておると思います。 しかし、今いろいろ御懸念のありました点につきましては、この生涯学習という法案、さらに概念そのものもやはり日本国の憲法、それによってできておりますところの日本の教育基本法、そういったものを背景としてこの生涯学習というものが考えられていかなければならないということは当然だと存じます。したがいまして、御懸念の問題等が生じました場合には、その背景でありますところの教育基本法あるいは憲法というものにさかのぼって物事を考えていかなければならないと思っておりますので、もし御懸念の点が発生をいたします場合には、そういった点に立ち返って考えていくべきものと私は考えております。
○土肥委員 次に、進みます。 第三条で都道府県の教育委員会の仕事、これを一項、二項挙げております。第四条もそうですね。それから第五条では都道府県ということになるわけです。これも前の質問者が質問されたと思いますが、都道府県の教育委員会が生涯学習の振興をまず始めるということでございましょう。 そして、その必要な体制の整備を図るというわけですが、三条第一項第一号で「学校教育及び社会教育に係る学習並びに文化活動の機会に関する情報を収集し、整理し、及び提供する」、これは教育委員会が学校教育、社会教育その他文化活動で情報を収集する、それを整理して再び市民に提供するということでございましょうが、情報を収集するといったときに、今教育委員会では学校教育あるいは社会教育等に関してどんな情報の収集をしていらっしゃるのでしょうか。その情報の収集の内容についてお知らせいただきたいと思います。
○横瀬政府委員 都道府県教育委員会が収集、整理、提供しようとするその学習情報というのは、その県下のあらゆる学習情報について収集されることが望ましいわけでございます。 特に学校教育に係る情報、学習情報として具体的に挙げるとすれば、これは正規の学校が正規の授業をやっている、その部分については特に一般の住民という形では意味がありませんので、そういうことは余りないわけでございますけれども、一般の住民に対して行われるべき情報の具体的なものとしては、例えば大学や短大における社会人入学の制度の状況でありますとか、あるいは聴講生制度とか夜間開講、通信制というようなものに関する情報でありますとか、あるいはそれと同じように高等学校に関する夜間、通信制、単位制、あるいはそれの聴講生制度といったようなものに関する情報、それから専修学校、各種学校に関する情報、それと、学校教育に係るというよりもう少し範囲が広くなるかもしれませんけれども、大学以下小学校まで学校開放というのをやっておりますが、その学校開放に関する情報、これは厳密な意味で学校教育と言えるかどうかはわかりませんが、学校に関する情報でございます。そういうようなものが挙げられるわけでございます。 それから社会教育につきましても、県下各市町村で行われております、本当に各種たくさんあると思いますが、そういう社会教育の講座とか学級、あるいは行事でありますとか、そういうものに関する情報、これは指導者なども含めまして非常に貴重な情報になっていくというふうに考えておりますが、そういったことが教育委員会の学習情報収集ということの対象になるものと考えております。
○土肥委員 またもや私、心配をするわけであります。 今学校がやっているいろいろな施策あるいは活動状況というものは当然収集されるでありましょうが、例えば学校の先生を生涯学習のマンパワーとして使いたい、こう思ったときに、この先生はどんな先生かということ。例えば、体育の先生なら体育の先生でいいですよ。バレーがうまいのか、野球がうまいのかということまではいいと思います。だけれども、そこからだんだん入っていって、恐らく最後は個人情報がコンピューターに入ると思いますが、言ってみればその学校にかかわる人間、そこに出入りする人間の個人情報まで収集なさるのでしょうか。
○横瀬政府委員 学習情報の中で指導者に関する情報というのは、各市町村なり関係社会教育団体なりがある事業をやります場合に、非常に重要な貴重な情報になるわけでございますので、そういう意味におきまして指導者に関する情報というものはなるべく充実しておきたいというのは、各都道府県なり市町村の考えることはみんなそうだと思います。 ただ、今おっしゃいましたように、プライバシーの問題等々については、もちろんこの情報を収集、提供するという事業の中では常に考えなければならない問題でございますので、これは今の学習活動の指導者としてどうなのかというその限度におくべきことは当然でございます。また、そのプライバシー保護の観点からいろいろな注意をしていくというのは当然でございまして、私どもといたしましても、これからこういうものが充実されていくときにそういう観点においていろいろと配慮、留意をしていかなければいけない、そういうことは指導も十分していきたいというふうに考えております。
○土肥委員 しかし、一たん収集が始まりますと、相当な個人情報も蓄積されていくということをやはり感じるわけです。グリーンカードなど言うまでもないことでございますけれども、いつも情報収集あるいは調査研究というようなことをいたしますときに、やはりどうしてもそういう面に踏み込まざるを得ないので、十分その点は配慮していただきたい。そして、そういうものが、つまりどこかで蓄積された資料がどこでどういうふうに管理されるのかというようなことも十分注意していただきたい、こういうふうに思うのでございます。 次に進みます。 実は、今回の法案を見てまいりますと、生涯学習を県におろす、そして、県においては、都道府県においては県の教育委員会あるいは知事部局が担当する。そして基本構想を県がつくり、その基本構想に基づいて特定の地域を設定して、その地域における生涯学習の振興を図るというふうな筋道になっております。 市町村に関しては、一番最後に十二条で「市町村は、生涯学習の振興に資するため、関係機関及び関係団体等との連携協力体制の整備に努めるものとする。」要するに、連携協力体制だけでよろしいというふうに感じるわけです。 私は、この生涯学習の法案を見ますときに、コミュニティーと申しましょうか、これは行政単位だけを言うのではございません。まさに地域が行政単位を超えることもあるわけでありますけれども、コミュニティーというものをどう見るかということについてであります。文部省の視点からいうならば、いわば教育、文化、スポーツ等々になりましょうけれども、受ける市民の側からいえば、自分の学習意欲に応じてさまざまな教育サービスを受けたい、利用したいということになるわけです。 しかし、実はそんな悠長なコミュニティー状況ではない。どういうことかといいますと、高齢化社会ということ、超高齢化社会ということです。もう既に、日本の農村地帯と言ったら語弊がありますが、一万五千人から三万人ぐらいの町でもお年寄りの数が二〇%を超えた超高齢化社会、既に二五%、三〇%というようなところもあるわけです。そういう超高齢化社会が進行している、これは都市部においてもそうですけれども、そういう状況のもとで生涯教育は何かということを考えますときに、絶対に忘れてはならないのは福祉的な視点に立った生涯教育ということでございます。 文化、スポーツというのはやらなくても命にかかわるわけではありません。しかし、お年寄りを現実に抱えて、そのお年寄りの面倒を一生懸命見ているような御婦人方や家庭状況を見ながら、今度の生涯学習プログラムによってこんな町には絶対来ないようないいお芝居が来たから見ましょうといっても、ではその夫婦が家をあける間、だれが面倒見るかということもありまして、この福祉的な視点というものを見失いますと、そんな文化的なことを言っていられない状況というものが必ず生じてくる。そして、高齢化社会というのはお年寄りの問題だけではなくて、それを面倒見る家庭なり市民なり、要するに元気な人がどこまでお年寄りを見ることができるか、看護することができるかという問題、これは非常に深刻な問題なのです。 そういう意味で、実はきょう、厚生省の方が来ておられますけれども、今国会で八本の法案が出ておりますが、老人福祉法等の一部を改正する法律案というのが出ております。これを見ますと、例えば老人福祉計画というのがございまして、その計画も実際上の仕事も全部市町村におろすわけです。そして従来国が持っておりました措置権、例えば施設に、老人ホームに人を入れるか入れないかというような措置権についても市町村の団体委任事務とするということになるわけですね。それから、指定法人を定めましていろいろな長寿社会の開発プログラムを提供しているわけです。 市町村に全面的に地域福祉の責任を持ってもらう、大英断だと私は思うのでありますが、その法文を見るにつけ、今度文部省の出しました生涯学習というようなことは、恐らく基本構想にしてもあるいは地域指定を受けても、小さな村はよう受けぬだろう。だから、広域行政的に県に一つとか二つとか三つとかということで地区を指定するような程度ではないだろうか。 先ほど佐藤先生もおっしゃっておりましたけれども、過疎地の文化対策、文化行政なんというものは全く行われないんじゃないかというようなことを考えますときに、きょう厚生省からおいでになっておられる方にお聞きいたしますが、老人福祉計画で市町村に措置権から地域福祉、在宅福祉の面倒までおろしていかれたわけですけれども、その辺の状況をちょっとお話ししていただけませんでしょうか。
○辻説明員 現在、老人福祉法等の一部改正ということで国会で審議を賜っております老人福祉法の改正の基本的な考え方について御説明いたします。 このたび、御指摘ありましたように特別養護老人ホームといったような施設に対する入所措置権と申しておりますけれども、入所の権限の決定権を市町村に一元化する。それから在宅福祉サービス、ホームヘルパーさんの派遣とか、そういったさまざまなサービスがございますけれども、これをさらに積極的に位置づけて、在宅サービス、施設サービスを一元的に市町村でとり行う、そしてそれを計画的に行うために市町村老人保健福祉計画というものを市町村に策定していただく。こんな改革案を盛り込まさせていただいております。 その基本的な考え方といたしましては、これから高齢者が非常にふえていく。具体的には、全国平均で見ましても、六十五歳以上人口の方が現在一一%台であるものが、この十年ぐらいで一六%台ということで、これは全国平均でございますので、地域によっては非常に高くなりますけれども、ヨーロッパ並みになるということで、これはどうしても地域ケアということが必要である、地域でお年寄りを支えていくという方向にならなくちゃいけない。 そうなりますと、声をかけるとかあるいは必要なニーズを発見するとか連絡するとか、あるいはその地域のまだ元気なお年寄りが助けるとか、こういった仕組みの中で施策が推進されるべきであって、そのためにはどうしても市町村でこのような施策を推進することが必要である、こういう考え方のもとで今申しましたような改正案が盛り込まれているという事情でございます。
○土肥委員 辻さんにちょっとお聞きいたしますが、市町村はこの大変な福祉ニーズを担うわけですが、力があるところもないところもあるでしょうけれども、どういうふうにして市町村を励まし育てていこうと考えておられるか、お聞きいたしたいと思います。辻課長、お願いします。
○辻説明員 市町村そのものにつきましては、既に例えば在宅福祉サービスといったものが事務として位置づけられておるわけでございます。これは市町村の事務ではございますけれども、これから国が応分の負担を行わなければならないということで、国、県、県は広域的な立場からでございますけれどもきちっとした補助を行うということと、市町村の負担分につきましては、地方交付税できっちりとした措置をとるといったことを念頭に置きながら、一方におきまして、これからは、さまざまなサービスの提供あるいは提供の仕組みといったことにつきまして、ガイドラインやマニュアルやいろいろな情報が必要かと存じます。 こういったことが市町村に対して的確に伝わるようなそういった仕組みというものを講じながら、財政、それからそういう情報、それからもう一つ大事なことはマンパワーの育成でございまして、マンパワーにつきましては、一般の人材難の中で、これから福祉に携わるマンパワーについてはさまざまな問題がございますけれども、こういうことに携わる方々の仕事の大切さというものを厚生省といたしましても積極的に社会に訴える中で、さまざまな研修制度を導入するとか、もちろん処遇を改善するとか、そういった形で市町村でそういう人たちが得られやすいような環境ができるように国としても最善を尽くしてまいりたいと思います。
○土肥委員 まさに市町村による福祉プログラムの推進という画期的な決断だっただろうというふうに私は思うわけであります。 私が先ほど申しましたように、超高齢化社会を迎えるコミュニティー、そしてそこに住む市民、そして生涯学習、そして生涯学習というようなものも、コミュニティーを自分たちで維持していく、福祉的な意味でも文化的な意味でも推持していくというふうな視点がないと、いわば厚生省自体も大変なこれは決断と、それからその地域のマンパワーを育てなければいけないわけです。 そういうときに、文部省が生涯学習といったときに、単にいいお芝居を見るとか文化的な施設を利用するとかいうことのみならず、福祉的、そして直接的に言えばマンパワーが福祉的に開発されるということが非常に重要でございまして、ただテニスをやって、テニスコートを安く貸すとかいうことではもう済まされない時代が来るわけでありまして、そういう文化的な、スポーツ的なサービスも享受しながら、同時に、地域社会において大事な地域福祉を支えていく責任があるんだというふうな学習教育というようなものも必要じゃないかと思うのですが、局長の御見解をお願いいたします。
○横瀬政府委員 私どもといたしましても、高齢者に対する学習活動という形で、学習機会の提供という形でいろいろな事業を展開してきております。例えば、高齢者の生きがい促進総合事業でありますとかあるいは生涯スポーツ推進事業でありますとか、そういった事業がそれに当たるわけでございますが、その中で最近、今先生がお話しになりましたように高齢者がいわば社会に参加をしていく、それも、ボランティアという形で自分でも社会参加を果たしていく、それが最も高齢者が生きがいを持って自立した生活感が味わえるというようなことでもございますので、そういった点に重点を置いた、いわゆる長寿学園開設事業と呼んでおるわけでございますが、いわばその本格的、体系的なある種の学習コースを幾つか設けまして、大体二年ぐらいのコースにいたしまして、そこである程度まとまった、例えば三十単位なら三十単位というようなまとまった体系的な学習をしていただきまして、それの修得ができた段階でボランティアとして登録をする、そして、登録をしたことに従って社会参加をしていただくというようなそういう方向の学習事業というものを、これは平成元年度からでございますが、発足させまして、これを今後さらに重点的に拡充をしていこうというふうに私どもは思っております。 そうしたいわば学習と社会参加というものを結びつけたようなそういう高齢者学習事業というものが今後も一つの大きな重点になってくるんじゃないかということで努力をしていきたいというように考えております。
○土肥委員 そのときに、市町村はどうなんですか。この法案によりますと、一番最後にちょっと置かれているだけで、いわば県単位というようなことが主眼になっておりますけれども、結局、文化とかスポーツとか言ったって、自分の村や町でやることであって、交通の便とかいうような話があって、一時間ぐらいなら行くというような話ですけれども、一時間かけて行く人と行かない人、それは例えば車の免許を持ってなきゃ、車を持ってなきゃ行けないわけですけれども、特に地方ではそういう事態があるわけです。 私は、県のみならず市町村まで教育基本構想の策定であるとか、あるいは生涯学習の計画のプランニングであるとか、例えそれが千戸しかない、千人しかいないそういう町村であっても当然あってしかるべきだ、そういうふうに思うのですが、市町村の位置づけというのは低いと私は考えますが、局長の見解をお願いいたします。
○横瀬政府委員 この法案に盛り込まれております施策につきましては、例えば第三条の生涯学習推進の事業体制、それから第五条以下の地域生涯学習振興基本構想、それから第十一条の都道府県生涯学習審議会、これはいずれも確かに都道府県を主体とする施策でございますけれども、これは例えば第三条の生涯学習推進事業体制につきましては、これは学習情報の提供でありますとか、あるいは団体、機関の連携促進というように、ある程度対象地域が広域でないと事業効果が上がらないという性質を持った事業、あるいは各種の調査研究でありますとか、指導者の研修でありますとか、実施体制に相当の専門的な人材が確保されなければ実施が困難であるような事業というのが内容になっておりまして、そういった事業の性格上といいますか内容上、都道府県段階の事業としたわけでございます。 それから地域生涯学習振興基本構想も、これもいわば、先ほども申しましたけれども、日常生活圏を単位にしておりまして、単一の市町村域を超える事業内容になっているということ、それから都道府県生涯学習審議会は、これは都道府県の処理する事業でございますので当然でございますが、というふうにこの三つの施策の内容はそれぞれその内容上、性格上、都道府県段階の事業とするというそういう推進体制といいますか、推進体制、学習機会の整備の事業の主体がたまたまそういう都道府県単位の性格に適合するためにこのように規定したわけでございます。そういう意味で、市町村の役割を軽視したということでは決してないわけでございます。 そこで、その生涯学習のそれぞれの学習機会の提供と申しますのは、これはもちろん一番学習者に身近な立場にございます市町村が最も重要な役割を果たしているわけでございまして、それは義務教育とか、あるいは公民館等において行われます社会教育、すべて市町村が実施主体になっているところから見てもこれは当然でございます。そこで今申し上げましたこの法案に盛り込みました三つの制度につきましても、市町村との連携や均衡はそれぞれ図るような制度になっております。 例えば第三条の都道府県が行います生涯学習推進実施事業体制につきましても、第二項のところに地域に生涯学習に資する事業を行う機関との連携に努めるものとするというふうになっておりますし、それから第五条以下の地域生涯学習振興基本構想につきましても、基本構想の作成とか変更の際に、関係市町村に協議しなければならないという規定を置いております。 それから都道府県生涯学習審議会に並ぶ市町村の組織といたしまして、第十二条に「市町村は、生涯学習の振興に資するため、関係機関及び関係団体等との連携協力体制の整備に努めるものとする。」というふうに規定をしております。 こうした趣旨に立ちまして、市町村の役割というものは常に視野に置いて、その生涯学習の推進体制あるいは機会の整備というものが果たされるように実施しなければならないという形でこの法案もできているというふうに思います。
○土肥委員 とはいえ、やはり市町村というのは要するに相談の相手方であって主体ではないということだろうというふうに思います。なぜ市町村が、特に町村が例えば生涯学習にかかわる基本構想を出したり、あるいは具体的な施策について自分の村ではこういうふうに生涯学習に取り組んでほしいというふうな考えを自主的につくるようなことをさせないのでしょうか。むしろ市町村がそれぞれ上げてきたものを、独自でつくったものを県が集約するというふうな形で基本構想をつくっていくということでないと、やはり県がつくるときに各市町村に対して、おたくではどうですかと言ったところで、本当の意味で本当の地域ニーズが出てくるかというと、私はそうは思わないのであります。 私は、この際、市町村にも基本的な構想を自分でつくる、あるいは総合的な地域の文化ニーズをきちっと主張できるような、そういう制度を市町村の教育委員会、そして首長のところでも結構ですが、どんな村であれどんな町であれ、人間が生きている限りは文化を持ち、そして生涯学習を持っているわけでありますから、そういう単位で十分な、その地域住民が自主的に望むようなそういう生涯学習に対する希望なり願望なりを出していくような体制にしないと、とてもじゃないけれども、やはり生涯学習とはいえ、上からというか県から、そして上は国からというふうなことになるのではないかと思うのですが、市町村の役割を今後変えていくというお考えはないでしょうか。
○横瀬政府委員 地域生涯学習振興基本構想が具体的に構想されてまいります段階で、都道府県が主体性をとるというところももちろんあるでしょうけれども、普通は都道府県と市町村が互いに協議をし合って、そしてどっちかといえば市町村がある程度具体的な構想というものをむしろリードしていくような形で話が進展していくというふうに考える方が通常は多いんではないかというふうに思っているくらいでございますけれども、私どももこの基本構想について指導してまいります際に、十分その該当する市町村の意向を尊重するように都道府県を指導してまいりたいと思います。 それから、この法案に盛り込まれておりますこれらの推進体制等につきまして、先ほど申し上げたような御説明でございますけれども、先ほども申しましたように具体的な生涯学習の手段といいますか、学習機会を提供する具体的な振興事業というのは、それぞれ学校教育、社会教育において行われているわけでございまして、それは先ほども申しましたように実施主体は市町村である場合が非常に多いわけでございますから、私どもとしても一般的にいろいろな形で学級、講座の開催であるとか、あるいは団体活動の振興であるとか、そういうことを考えていく際にその主体としてはほとんど市町村を対象にして補助、援助をしておるところでもございますし、社会教育全体の振興の上で市町村の役割というものについては、これはもちろん最も重要なものである、そして今後とも振興していかなければならない、助成をしていかなければならないものだということは、当然言うまでもなくそう思っているわけでございますので、そこはどうか御理解をいただきたいと思います。 〔委員長退席、松田委員長代理着席〕
○土肥委員 そうすると、今の市町村の教育委員会の社会教育部門はそのまま生きていて、それに生涯学習法案がかぶさってくるということで、市町村のいわば社会教育的な側面は引き続き維持されるわけですね。
○横瀬政府委員 市町村の社会教育事業について今回の生涯学習関係の法案がそれについて影響するということは、それの支障になるといいますか、これまで市町村がやってきた社会教育事業について変更を加えるというものは全くありません。むしろこの生涯学習の審議会等の生涯学習に関するいわば指針に基づきまして、社会教育というものがますます充実発展する方向に進むものというふうに考えております。
○土肥委員 ありがとうございました。 それでは最後に、この法案の特異な内容として、いわゆる民間事業者という言葉、あるいは関係業者、関係事業者というような言葉がどんどん出てくるわけで言ってみれば民活ということですが、どうもその内容がわからないのです。 中教審答申を見ますと、民間教育業者とかあるいは教育事業者とかいうふうに必ず教育がついているのですが、今回の法案では、教育も見事に吹っ飛びまして、民間事業者、関係事業者、こうなるわけです。この法案を見ている限り、民間事業者が何をするのかよくわからないのですが、民間事業者とはこの場合は教育という形容詞が抜けておりますから、だれを指すのか、何を指すのか、具体的におっしゃっていただきたいと思います。民間事業者とはだれなんでしょうか。 〔松田委員長代理退席、委員長着席〕
○横瀬政府委員 これは確かに法文の上で、文言の上では民間事業者というのが独立に使われておりますけれども、例えば第五条のところに「社会教育に係る学習及び文化活動その他の生涯学習に資する諸活動の多様な機会の総合的な提供を民間事業者の能力を活用しつつ」とございますように、これは教育あるいは文化その他生涯学習の振興に資する部分もあるかもしれませんが、そういった生涯学習諸活動に携わる民間事業者、こういう意味でございます。
○土肥委員 そして、その民間業者を基本構想の中に必ず入れて連携を保つということでございますが、特にこの九条との関係でいきますと、民間事業者あるいは関係事業者が、負担金とか損金算入とか言葉が出てくるわけですけれども、何をもってこの生涯学習に参入しようとしているのか、どういう形で参入しようとしているのか、教えてください。
○横瀬政府委員 民間事業者がこの地区におきまして積極的に生涯学習にかかわる機会の提供のために事業展開を行おうとする、そういう民間事業者について必要な資金を調達する際に、その債務につきましてこの地区にかかわります都道府県の財団法人が保証することによって資金の融通の円滑化を図ろう、そういう関係でございます。その基金について民間事業者が寄附をしたといいますか、負担をした場合に損金算入の特例が受けられる、そういうシステムになっております。
○土肥委員 そうすると、必ずこれは財団法人をつくるのですね。どの地域においてもこの地区を設定して事業を行うときには、その生涯学習の事業を行うときには、必ず財団法人を設定するというのが前提ですね。
○横瀬政府委員 そのとおりでございます。
○土肥委員 この財団法人は、民間だけが負担金を出して出資するのでしょうか、行政はどうするのでしょうか。
○横瀬政府委員 これは地方公共団体、具体的には都道府県、市町村、そういうところの民間事業者、この三者の第三セクター方式といいますか、そういう形になるということでございます。
○土肥委員 そうすると、財団法人をつくるための民間業者の負担金、それから自治体がやる負担金、この割合はどういうふうになるんでしょうか。
○横瀬政府委員 五〇%以上関係地方公共団体の負担とするということで、全体の承認基準を作成する際のめどになっていくというふうに思っております。
○土肥委員 そうすると、五〇%以上自治体が負担をし、あとの半分を民間が受託する。それによって、何か民間業者が事業をやるときに融資の手伝いをするとおっしゃいましたけれども、それは財団の持ついわば果実から融資をするということでしょうか。
○横瀬政府委員 融資をするのではございませんで、その融資のときにできます債務について債務保証をする、こういうことでございます。
○土肥委員 そうすると、例えば基金が一億あるとして、五千万、五千万を持つ、そんなお金を市町村あるいは都道府県が出さなければいけないわけですけれども、そういう財政負担、それから、そこで民間業者が教育事業をやるときに債務保証をする場合に、その資金あるいは基金の限度額、あるいは債務保証というのはどこまでするのか、お知らせください。
○横瀬政府委員 そこら辺は具体的に振興構想の中で決められるべきことでございまして、第五条第二項第四号のところにそういうことに関しての申請事項が掲げてございますが、こういった策定、そしてそれについて承認をする過程で具体的な姿が決まっていくということになろうと思います。
○土肥委員 通産省においでになっていただいておりますので、最後に一言だけお聞きいたします。 八条三項で、通産省が商工会議所及び商工会に対して、「生涯学習に係る機会の提供その他の必要な協力を求める」とありますが、要するにこれは出資金というか負担金を提供するようにお願いするという意味ですか。
○桑田説明員 地域生涯学習振興基本構想が円滑に実施されまして、地域の住民の方に多様な学習機会の提供が総合的に行われますように、通産省といたしまして民間事業者の能力が効果的に活用されるように支援をしていきたいと思っております。 それで、今御質問がございました商工会議所、商工会でございますけれども、従来より、全国津々浦々で地域の総合経済団体といたしまして各種の講習会でございますとか研修活動等、地域に密着した生涯学習の機会の提供を行っております。 しかしながら、地域生涯学習振興基本構想の円滑な実施には、全国で三千三百余りあります商工会、商工会議所の機能を活用しながら、地域におけるコミュニティーの中核的な存在として地域に密着した生涯学習の振興に資する事業の実施に協力をしていただきたいというふうな趣旨でございまして、資金面の協力等々についてまでは考えておりません。 具体的には今後その地域の実情に応じてさまざまな協力要請の内容が出てこようかと存じますけれども、今のところ考えておりますのは、例えば商工会議所、商工会におきます生活文化とか教養に関する講習会とか講演会の開催の協力でございますとか、地域住民の方が参加できるような学習の機会についての情報を提供しますとか、展示会等々の開催の御協力ということを今念頭には置いておるところでございます。
○土肥委員 ありがとうございました。終わります。
○船田委員長 次に、輿石東君。
○輿石委員 私は、最初に文部大臣の決意をお聞きをしたいわけです。 途中で中断があったりしまして大変時間も延びているわけでございますけれども、私自身、本法案が一日に文部大臣から趣旨説明をいただいて代表質問をさせていただいた経過もあるわけでございますが、この法案がここまで来る経過等、またその背景や本法律案自体が持っているいろいろな問題点が次第に浮き彫りにされてきたように思うのであります。 加えて、今百十八特別国会も二十六日の会期末まで残すところあと二週間足らず、そういうところへ来ているわけですけれども、御承知のとおり、今国会で論議をされている政治課題、それはまさに戦後の三大改革と言われる政治改革、税制改革、そして教育改革そのものであるというふうに思うわけであります。政治改革の第一歩として選挙制度の改革をめぐって今論議をし、また消費税存廃をめぐって税制改革の本格的な審議も一昨日から行われてきているところでありますけれども、この生涯学習についても、中教審、臨教審等の答申を受けて、それを踏まえて大きな教育改革の柱として出てきたという経過や背景は再三言われているところであります。 このように、我が国の政治また教育の根幹にかかわるような大事な法案ともとれるわけでして、これを今国会で上げてしまう、そういうようなお考えかどうか。十分審議を尽くす時間を保証すべきだと思うわけですけれども、その点について冒頭大臣の決意のほどを伺いたいというふうに思うのであります。
○保利国務大臣 生涯教育を充実させていくということは大変大事な時代の要請でもあろうかと思います。そういう意味で、中教審の答申を受けましてとりあえずこれだけのことはやろうということで御提出を申し上げた法律案でございますが、生涯教育というのは、先ほどから御論議をいただいておりますとおり大変大きなテーマでもあります。したがいまして、この法案だけで生涯教育を全部網羅した形になっていくのかということを問われれば、これはやや、将来の生涯学習社会をつくっていく場合の先導役になる法案であろうかと思っております。 そういう意味で大変大事な法案でもございますので、ぜひ御審議をいただきまして衆参両院において御可決をいただき、法案が法律として施行され、生涯教育にかかわるいわゆる基盤の整備というものが一日も早く着手できますように願っておる次第でございまして、かかる意味におきまして今国会で成立をさせていただくようにお願いをし、そしてまた御審議を願いたいと願っております。
○輿石委員 私どもといたしましても、国民一人一人の学習需要にこたえて、いつでもだれでもどこでもそういう学習権が保障されていく、そのことを否定するものでもありませんし、大いに賛成でありまして、そういう法案ならば一日も早く成立を図り、国民の前に提示すべきだというふうに思います。 生涯学習というものは、今大臣言われましたようにこの法案ですべて言い尽くされ、できているものではない。今後の検討課題として残す問題もある。しかし、先導的役割としてこの法案をひとまず通してほしいというふうにも聞こえるわけですが、そのように理解してよろしゅうございますか。
○保利国務大臣 そのとおりでございます。
○輿石委員 きょう、我が党の佐藤委員、ただいまの土肥委員の方から既に繰り返し指摘されました法案のいろいろな問題点または心配される事項等については、条文を逐一追いながら御提起を申し上げたり御論議をしていただいたところですから、私の場合は重複をなるべく避けて違う角度から御質問をしていきたいと思います。しかしながら、その前提になりますきょうのこの時点までに明らかになった点を自分自身にしっかり覚えさせておくという面で、一度復習をしてみたいと思うわけです。そういう意味でお聞き取りいただきたいと思います。 まず最初に、この法案が出てきた経過、背景というものは、やはり何度も言われているように、今我が国が苦悩している学歴社会を是正し、国民一人一人の学習需要にこたえる、そうした生涯学習社会を実現するためだ、そういうふうに大臣自身も言っておられるし、そのように理解をしておきたいというふうに思うわけですが、学習権が保障できるような法案になり得ているかどうか。 生涯学習とは一体何なんだ、そうした根幹にかかわる理念とか定義が明確ではないというようなことは既に指摘をされておりますし、この法案自体が根本においては、先ほど文部大臣に御答弁をいただきましたように憲法、教育基本法の理念に立ち返りながらやっていく、そんなこともおっしゃられました。そういう把握からすれば、この法案自体が持っている問題点が余りにも多過ぎるのではないか。だとすれば、もう少し時間をかけて整理をされた形で国民の前に法案を提示していくというのが筋道ではないかというふうに思います。くどいようですが、その点についてもう一度お伺いをいたします。
○保利国務大臣 法案の審議に当たりましては十分御論議をいただかなければならないというのは私もよく承知をいたしております。ただ、限られた日数の中でございますが、今回提出させていただきました法案は、先ほど先導役という言葉を使わせていただきましたけれども、一刻も早くこの生涯学習に関する基盤の整備に着手したい、そうして生涯学習社会というものを一日も早くつくり上げるように着手をしたい、こういう気持ちのあらわれでこの法案を提出しておるわけでございます。したがいまして、できるだけ早く基盤の整備に着手させていただきますために、ぜひとも今回の国会で御可決をいただきますように願っておるところであります。
○輿石委員 その辺の根本的なことを幾らやりとりしていても切りがないということですので、納得できる形ではありませんけれどもさておきまして、前回の八日の文教委員会でも本日も再三出てきている言葉に、生涯学習社会の実現、そこに到達する目標がある。とするならば、午前中もそのことについてお答えをいただいておりますけれども、もう一度文部省並びに文部大臣がお考えになっている生涯学習社会とはどういうものであるのか。わかりやすく国民の前に、そのイメージが出てくるような形で御提示をいただければありがたいと思います。
○横瀬政府委員 生涯学習の振興の理念でございますけれども、基本的には、人々が生涯の各時期において自発的意思に基づいて適時適切な学習を行うことができ、かつ、その成果が適正に評価されるような社会を目指すことだというふうに思います。 そういう社会を目指すために、この法案として、具体的には生涯学習の振興に資するための都道府県の体制整備、それから地域生涯学習振興基本構想、それと国及び都道府県、市町村に関する生涯学習に関する審議会ないしはその連携体制というものについてのいわば推進体制を整備いたしまして、それによってその社会の実現を目指す、こういうことにつながっているわけでございます。
○輿石委員 今の局長のお答えを聞きますと、生涯にわたっていろいろな個人の学習需要にこたえて、しかも自発的な意思に基づいて行われる学習を、各都道府県、いろいろな立場の中で保障していくのである。それを裏を返せば、そうした学習機会が用意され、提供されていくというのがまた行政の責任でもある、そのように受け取ってよろしゅうございましょうか。
○横瀬政府委員 そのとおりに考えております。
○輿石委員 そうしますと、学歴社会の是正ということが盛んに言われ、それを何とかしなければならない、そのために生涯学習を持ち出してきたということは先ほどから指摘をされているところでありますけれども、まず学校を卒業してから社会に出た後も、みずからの能力、適性とか意欲に応じて学習できる道を広く確保している社会、そのように生涯学習社会をとらえることもできるというふうに思います。その辺はいかがでしょうか。
○横瀬政府委員 例えば大学について申し上げますと、高等学校を卒業して二十歳前後の時期において正規の大学教育を授けるというだけではなくて、一たん社会に出た者についても、社会人になった者が再度入学ができるような、そういうような柔軟な道をつくっていくというのも、生涯学習の振興の観点から見て、大学教育の非常に重要な改革改善の方向であるというように考えております。
○輿石委員 学歴社会から生涯学習社会へ移行しなければならない理由の一つに、学歴社会の解体といいますか是正というものが当然考えられますし、また、だからこそいろいろな形で、広い意味で生涯学習を行っていくという視点からすれば、この法案が出てきた経過へ立ち戻らざるを得ないというふうに思うわけであります。 先ほども話が出ましたけれども、文部省がちょうど社会教育局なるものを改組し、そして生涯学習局を筆頭局として位置づけ、全省庁的な立場で生涯学習を進めていこう、それに対して各省庁がこの生涯学習に対してどうとらえ、どう考えているかということも大事な点になろうというふうに思います。 そうした点から、先ほども出てきましたが、通産省、厚生省、おいでになる省庁で結構ですから、各省庁にお伺いをしたいと思うのは、この大事な生涯学習に対して、現時点でどのように考え、どのような協力を考えておられるか、お聞きをしたいのであります。
○桑田説明員 多様化、高度化した国民の学習意欲に対応しまして、やはり各人が自主的に生涯にわたって自己の啓発とか充実に励んでいかれるという点で生涯学習の振興というのは極めて重要だと私ども通産省は認識をいたしております。そうした観点から、この地域生涯学習振興基本構想におきまして、民間事業者の能力を活用しながらスポーツ、文化活動等多種多様な生涯学習の機会を提供することを目的とするということでございます。 通産省といたしましては、民間の事業者の方が創意工夫によって人々の学習需要に柔軟に対応されている状況にかんがみまして、こういった事業者の方々の能力が効果的に活用が図られれば、生涯学習の機会の提供がより厚みとか深みをもって行われるようになるのではないかということで考えております。したがいまして、文部省と御協力しながらこの地域生涯学習振興基本構想の円滑な推進に取り組んでまいる所存でございます。
○辻説明員 今後、生涯教育、これは非常に大切な課題だと私ども厚生省も受けとめております。この生涯教育に関連するといった形での厚生省の施策でございますが、特に高齢化に対応いたすものが大きなものでございます。 これから高齢者が非常に多くなっていくという中で、今まではどっちかと申しますと高齢者というのは保護をしなければいけない弱い方々だといった認識があったのですけれども、これからはもっともっと元気で胸を張って、そしてその知識や経験を生かして自立していく、これは寝たきりとか虚弱といった要介護老人問題という先進諸国共通の問題を前に置きまして、そのような意味からも重要な課題でございますけれども、こういった高齢者をより積極的に位置づけるといった観点から、私ども、高齢者がみずから健康で、あるいは積極的な社会活動を行っていく、こういうものを推進するといった観点から、高齢者の健康づくりあるいは生きがいづくりといった施策を推進いたしております。 この施策を推進してまいります上で、例えば健康教育の講座とか生きがい講座とかいった形での、いわば老人福祉あるいは社会福祉といった観点からの施策があるわけでございますけれども、こういった諸施策を推進するに当たりましては、文部省の各種施策あるいは生涯教育と積極的に連携をして推進させていただきたいと考えております。
○輿石委員 そうしますと、今厚生省にしても、通産省にしても、文部省と連絡を密にとりながら強力な体制の中でこの生涯学習を推進をしてまいります、していきますよ、そういうことはよくわかるわけですけれども、この審議会を各県につくり、望ましい基準を設定し、そして、その中で、先ほどからも指摘をされておりますように、文部大臣並びに通産大臣の承認を得るものとするというふうに法案にもうたってありますが、全省庁挙げて取り組んでいくという発想ならば、文部大臣が中核になるにしても、通産大臣だけに限ったという理由はどこにあるのか、お伺いしたいと思います。
○横瀬政府委員 この法案の第五条から第九条までに規定してございます地域生涯学習振興基本構想、これは再三申し上げておりますように、民間事業者がこれに参画をすることによりまして、その民間事業者の提供する学習機会を大都市以外の地区にも振興するというような方向を持っているものでございます。 そこで、この構想につきまして関与する大臣といたしまして、文部大臣、これは当然この内容が社会教育、文化活動ということになっておりますので、その内容面を所管する省として文部省が入るわけでございますが、同時に、教育あるいは文化、スポーツに関係する民間事業者がこれに加わるというところに特色を持っているという以上、民間事業者に関する面を所管しております通商産業大臣がもう一つ主管大臣となる。それで、この両大臣が相協力いたしましてこの基本構想について盛り上げを図っていく、こういうことでございます。
○輿石委員 その点についてはわかりました。 したがいまして、文部大臣は教育の中核にいる大臣ですから、先頭に立つのは当然でありましょう。通産大臣がこの法案に入ってきている経過については、民間事業者の効果的な利用という点で入ってきている、そういうふうに聞こえるわけでして、先ほどからも指摘がありました。土肥委員ももう少し御質問をしたかったところだろうというふうに思います。 俗に言う民間活力の導入、その点につきまして後ほどお伺いをいたしますけれども、そうすると、この生涯学習法案のかなりの部分で民間事業者を有効的に活用していくというのがこの中の大きな柱でもあるというふうにとらえてよろしゅうございますか。
○横瀬政府委員 この法案は、大きく申しまして三つの内容を持っているというふうに申して説明をしてきてございます。 それで、ただいまの地域生涯学習振興基本構想というのはそのうちの一つでございますから、確かに非常に重要な位置を占めているわけでございますが、ただ、これも御説明を申し上げましたとおり、これは民間事業者を活用しつつ大都市部以外の地域におきまして社会教育、文化活動その他生涯学習に関する諸活動の多様な機会の総合的な提供ということを目的とする一つの方策でございます。したがいまして、その方策としての位置づけでございまして、それはそれ以上のものでもないし、それ以下のものでもない。余り過大に私どもはこの部分について考えているわけではございません。
○輿石委員 その点については、また後ほど触れさせていただきますけれども、問題点としては、先ほどありましたように、この法案自体の持っているかなり大きな欠陥、理念もない、定義も明確でない、そして、学歴社会の是正と言いながら、この形で学歴社会が是正される保証もない。さらに一人一人の学習需要にこたえて自発的な意思に基づいて行われる生涯学習だ、そういう面では学習権を保障するという明確な位置づけが法案になされる必要があるというのは指摘をされておりますから省略をいたします。 具体的にこの法案が実施された場合に、学校教育、家庭教育、社会教育という三つの分野を生涯学習に大きく包含をしていくとすれば、そことのかかわりがまた重要になってくる、その三つの分野と生涯学習とのかかわらせ方をどのように考えておられるか、お伺いをいたします。
○横瀬政府委員 生涯学習と学校教育、社会教育、家庭教育との位置づけ関係でございますが、生涯学習というのは、学校教育、社会教育、家庭教育といったようなそれぞれの作用がもたらす学習の機会というものについてそれを生涯にわたって学習していくという関係でその位置づけ関係が決まってくるわけでございます。要するに、生涯学習という概念が学校教育、社会教育、家庭教育というそれぞれについて包含をしている関係になっておりまして、それぞれも充実、有機的な関係の中での方向づけといいますか、そういうのが生涯学習という観点から出てくるものでございます。したがいまして、生涯学習社会におきましては、当然、学校教育、社会教育、家庭教育それぞれが充実すると同時に相互間の連携が重要になってくる、こういうことであろうかと思います。 学校教育について申し上げれば、これは最も組織的、体系的に学習の機会を提供するものでございまして、一面では国民の生涯学習の基盤を培うということがありますし、もう一面で先ほど申しましたように社会人に多様な学習機会を提供する、最も系統的、組織的な学習機会を提供する機能をこれから果たしていくことを要請されております。 社会教育は、国民の多様化、高度化する学習需要に対応して、その要請にかなった学習機会の提供がこれから求められるわけでございますが、特に今後は高齢者に対する、あるいは家庭婦人に対する、非常に高度化志向というのがございますが、高度なあるいは体系的な学習機会というものがある程度まとまって提供されて、かつそれが学習された際に社会参加の道につながっていくような方向というのが非常に重要ではないかというふうに言われております。学校の在学青少年に対しまして、最近は地域や家庭の教育機能の低下ということが言われておりますので、そういった面からいわゆる学社連携、つまり学校と社会との連携によりまして自然との触れ合いとか、あるいは勤労体験とか、そういう今非常に子供たちに不足している体験学習についての機会を与えてやる、そういうことが必要だというふうに言われております。 家庭教育は、もちろん親と子の触れ合いの中で基本的な生活習慣の形成あるいは情緒の安定が図られるという方向での家庭教育についての充実が言われている。 こういうような関係で、生涯学習という観点からのそれぞれの領域に対する方向づけといいますか重点というものがそのような形で言われているというふうに私は認識しております。
○輿石委員 生涯学習と家庭教育、社会教育、学校教育、三者緊密な連絡をとり合って相互に補完し拡充し合ってやっていくという点はだれでもそのように理解をしていますし、そう考えるのは当然だというふうに思うのであります。 そこで、もう少し個々にわたってお尋ねをいたしますが、やはり子供や青少年にとって必要なことは、教育が行われる領域を三つに大きく分けるとすれば家庭と地域と学校というふうに分けることもできるわけでして、その三者が緊密な連絡をとりながら、そして、学校の今の実態はどうであるのか、家庭を取り巻く地域の状況はどうであるのかという正しい認識の上に教育は行われなければいけないし、正しい認識の上に立った施策が展開されなければ最も効果的な教育はできない、そういうふうにも理解いたします。 そうした面から、今局長は、学校教育は生涯学習の基盤を養うところだというふうに言われておりますけれども、その基盤とは何なのか、その辺についてお伺いをしておきたいというふうに思います。
○菱村政府委員 これからの社会は生涯学習が問題になってくるわけでございます。学校教育、とりわけ義務教育ないしは高等学校もそうでございますが、初等中等教育におきましては、生涯学習の基盤、すなわち生涯にわたって学習する能力とか意欲とか態度、そういうものを培うところであろうと思います。したがいまして、そこにおきましては基礎・基本をしっかり身につけさせるということとともに、自己教育力と申しますか、要するにみずから学習する意欲とか態度、能力、そういうものを養うことがこれからの学校教育においてはとりわけ大事であると存じます。 そういう観点から、このたびの新しい学習指導要領におきましては、小中学校の教育につきまして基礎・基本の徹底と自己教育力の育成ということに重点を置いて改善を図っているところでございます。
○輿石委員 基盤を養うとは基礎・基本を育てることであり、みずから学ぶという自己教育力の実現にある、そのために今回の学習指導要領も改訂をし、それに備えたとお答えをいただいたわけですけれども、学習指導要領の話が出ましたから、そこへ話を移らせていただきたいというふうに思うわけでございます。 今学校教育の中核的にねらうところを基礎・基本に置き、自己教育力の実現にあるというふうに言われたわけですけれども、それが保障されるような学習指導要領に今回改訂をしたとお考えかどうか、お伺いをいたします。
○菱村政府委員 このたびの学習指導要領の改訂におきましては、ただいま申し上げましたように教育内容を精選いたしまして、子供たちが本当に将来にわたって必要とする基礎・基本に内容を精選いたしました。そして、その指導の徹底を図るという観点から、個に応じた指導とか、いろいろ指導の方法につきましても、学校教育に対しまして個別学習等の推進を図っているところでございます。 それから二番目には、自己教育力の育成という観点から、教育内容を教え込む学習というのではなくてみずから学習していく、問題をみずから見出し、みずから解決していくというような能力を育成するという観点から、自己学習を中心にする教育というものに転換していきたいというふうに考えているわけであります。 例えば、このたび小学校の低学年で新しく生活科などを設けましたけれども、これは教え込む教育ではなくて、子供たちがいろいろな活動の中で、体験の中で学ぶ態度、能力というものを育成していくということをそのねらいの一つとしているわけでございます。また、中学校におきましては、このたび選択履修の拡大を図っておりますが、これもやはり子供たちの特性に応じまして、いろいろ基礎・基本は中心にしておりますが、それに選択の幅を広げましてみずから学んでいくというような学習を充実したいという観点で改善を図っているところでございます。そのほか、各教科にわたりましてそうした観点を盛り込みまして今回の改訂を行っている、こういうことでございます。
○輿石委員 教え込む教育からみずから学ぶ教育へ、その発想の転換を図り、中学校では選択科目等をふやし、そういう手法をとっているその文部省の考えられる考え方には賛同できるわけですけれども、実際、教育現場がそれではみずから学ぶゆとりがあり、自分で選ぶ価値判断ができるような、中学段階でそういう生徒になり得るような環境になり得ているかどうかという点について、どう文部省は義務教育の中で小中学校の実態をとらまえておられるか、その点についてもお伺いをしたいというふうに思います。
○菱村政府委員 小中学校の教育につきましては、昭和五十年代の改訂におきまして、改訂のテーマといたしましてゆとりと充実のある学校生活を実現するということでございました。これは、従来学校が忙し過ぎる、先生も生徒も次から次と授業とかいろいろ行事に追われて学校が忙し過ぎるではないか、もう少しゆとりのある充実した教育をすべきではないかということがございまして、昭和五十年代の学習指導要領の改訂におきましては、教育内容の精選とそれから授業時数を約一割下げました。学校の在校時間は従来並みとして、ただし授業時数は一割程度精選する、そしてそのゆとりのできました時間を子供たちのさまざまな活動ないしは休息も含めましてゆとりのある学校生活を送らせるようにするという改善を図ったわけでございます。 平成元年に告示になりました今回の新しい学習指導要領におきましても、従前のゆとりのあるしかも充実した教育を実現するという基本的な線は踏襲をいたしております。その上に立ちまして、ただいま申し上げましたみずから学ぶ意欲ないしは社会の変化に主体的に対応できる能力、これはいわば自己教育力なのでございますが、そうしたものの能力の育成を図るということと、そしてこれも先ほど申し上げましたが、基礎的、基本的な内容の指導を徹底する、そして個性を生かす教育の充実に努めようということで改善を図っているところでございます。
○輿石委員 私が申し上げたい点については、基礎・基本を学ばせるように教育内容も精選をし、授業時数も一割カットで教師も子供にもゆとりを持たせ、創造性豊かな子供を育てたい、そういうために指導要領も改訂をしていった、その趣旨は理解できますけれども、それでは子供たちを取り巻く学校現場の状況や地域の状況が本当に個性豊かな創造性豊かな青少年が育つような環境になり得ているかどうか。 その視点から一つ例をとりますと、先回、私どもの馬場委員の方から御指摘がありましたように、教育界だけにしかない受験戦争、受験地獄というこの言葉を一日も早く教育界から取り除いてやりたい、そんな発言もあったというように記憶しているのであります。この受験戦争、受験地獄と言われる言葉の出てきた背景がそのままずっと語られてきました学歴社会の弊害というふうに言えるわけであります。 そこを是正していくためにこの法案が出てきたという大きな背景もあるというふうなことは再三言われているわけですから、この法案が出ればそういうものが解決するなどという簡単なものではないし、これは一手法であって、これから文部大臣が言われるようにひとまずこれでやって先導的役割を果たして、次に大きくきちっとしたものを出してくるというふうにも今までの経過の中から理解できるわけです。 そうなれば、もっと時間をかけてきちんとしたものを出す、そこへこそ時間をかけるべきだというふうに思われるわけであります。こういうふうに学校教育とのかかわりを論じてくればくるほどそういう形にならざるを得ないというふうに思いますが、いかがでしょう。
○横瀬政府委員 生涯学習社会を形成するあるいは生涯学習体系への移行をするということの背景に、学歴社会の是正というのは非常に大きなものとして取り上げられたというのが臨教審の答申の流れでございます。 ただ、背景といたしましてはそれだけではございませんで、臨教審は三つの背景を挙げておられまして、一つは今の学歴社会の是正でございますが、第二番目といたしまして、主に高齢化あるいは自由時間の増大ということを背景にいたしまして、いわゆる生きがいとなる生涯学習の推進、学習するということが最も充実した時間となるわけでございますので、それを目指す学習需要というものは非常に高まっていくだろう、特に高齢化あるいは自由時間の増大あるいは高学歴化というようなことからそういうものが増大していくと考えられるので、それに対する対応策としての生涯学習社会というものがもう一つでございます。 もう一つは、職業能力の向上ということに大いに関係がありますけれども、科学技術の高度化といったようなことから、知識や技術の陳腐化というのが非常に早まってくるということから、絶えず職業生活を向上していくためには知識、技術を補給していく必要がある、その面での生涯学習への需要、この三つの背景からこの生涯学習体系への移行ということが言われているわけでございます。 本法案は、その生涯学習社会への推進体制といたしまして、あるいは総合的な学習機会の整備という方策を三つ挙げまして、これをいわば必要最小限度のまず整備すべき体制としてお願いをしようということで策定されたものでございまして、これを実現することによりまして我が国の社会の中に生涯学習の具体的な体制というものが確立していきますようにぜひ御理解をいただきたいということでございます。
○輿石委員 今この法案の背景には、目的は三つの側面がある。それはずっと論議をされましたから、私もわかるような気がするわけであります。 学校教育にかかわれば何としてもこの学歴偏重の弊害を取り除いてもらいたい、それが子供の悲鳴であり、教師の願いである。そしてまた、所得が向上し自由時間が増大をしたからその人たちの学習需要にこたえるという側面、これは大人の場合が多かろうというふうに思うわけであります。そしてまた、科学技術が振興し、一度受けた教育ではもう間に合わない。だから、再教育という面にかかわって、もう一度教育する機会を与えなければならない。 この三つを目指して本法案を作成をしてきたとするならば、今学歴社会の是正ということばかり言っていると時間がなくなりますから、再教育を、一度社会へ出た人たちを再び教育をし、また職場に戻れるという方法として、既に話もありましたけれども、ヨーロッパではリカレント教育というような発想で、これを生涯学習の推進の大きな柱として、ILO条約についても諸外国では批准をしているという状況もある、その辺について文部省として、また政府としてどう考えていかれるか、お伺いをしたいというふうに思います。
○横瀬政府委員 リカレント教育とおっしゃられました。私の挙げた中では三つ目の背景に対応する生涯学習への要求、要請ということになろうかと思いますが、これは特に最近OffJT、職場を離れて再度教育を受けるというようなことがかなりたくさん行われておりまして、私どもにかかわる部分といたしまして、先ほど挙げました社会人の大学への受け入れというようなことを非常に大きな問題として私どもも推進しているところでございます。 これに関連いたしまして、労働省の方で主に担当をされます労働時間の短縮でありますとか有給教育訓練休暇というような施策が推進されているわけでございまして、これと相まって、今のようなOffJTその他リカレント教育というものが推進されるというふうに私どもも承知しております。したがいまして、この法案に規定する生涯学習の施策と非常に深い関係のある問題でもございますので、今後、労働省等とも連携を一層深めながら検討していきたいというふうに考えておるところでございます。
○輿石委員 その点について、労働省は今の時点でどのようにお考えですか。
○小島説明員 労働省では、前から生涯職業能力開発ということで、このねらいは職業生活を安定し、また向上させる、充実した職業生活を送っていただくためにあらゆる段階で能力開発に努めてもらおうということにしております。 その手法でございますが、我々いろいろな施設をつくっております。職業訓練校を初め、施設をつくっておりますが、そのほかに、やはり基本は、労働者を雇っている企業に対して、その雇っている労働者の能力開発に努めていただきたいということで推奨しております。そのために、企業等が能力開発をやる場合にそれを助成するということで各種給付金等を設けて推奨しているところでございます。 それからまた、労働者本人が能力開発に努めたい、我々自己啓発と言っておりますが、それに対しても、ある一定の資格を取る、高齢者になって資格を取るという場合に助成措置を講ずるとか、あるいは先ほどから先生言われましたような有給教育訓練休暇というものを普及しようということで、企業等で有給教育訓練休暇を認けて、そしてこれを与えた場合には一定の助成措置を講ずるとか、そういうことでやっております。 それからILO等の条約のことがございましたが、これは我々、有給教育訓練休暇を普及するということは非常に重要なことだと考えておりますが、ただ、条約につきましてはいろいろな条約の文言等、あるいは現在の法制等からいろいろ検討すべき点ございまして、各省庁ともいろいろ絡みますので、検討している段階でございます。
○輿石委員 それで、もう一度お伺いをしたいと思うのですが、ILO百四十号条約が我が国では批准をされておらない。それは各関連省庁等のいろいろな協議も必要であろうし、それよりももっと根本的には、一省庁ではなくて、国の施策として、政府みずからどう考えるかということにこの問題は大きくかかわってくるというふうにも思うわけであります。 そうしますと、日本政府としては、この大事な生涯学習へ向けて、これからは生きがいのある人生を送れるように、国民一人一人の生きがいが実現できるようにという施策に向かっていくと言いながら、批准されない理由はどこにあるのか、いつ批准をしようとするのかという点についてここでお答えをいただきたいと言っても無理でしょうから、労働省としては極力その方向で、担当省庁として頑張っていただくことを強く要請をするものでございます。 それから、先ほどお答えになりました、既に労働省としても何らかの手だてはしているという中身は、生涯能力開発給付金という点についてであろうかというふうに思うわけですけれども、これは具体的には自己啓発助成給付金という名前でやられている、そのことでしょうか。それはどの程度の企業で現在行われているかお伺いをいたします。
○小島説明員 今のお尋ねの自己啓発給付金でございますが、これは中身が二つございまして、一つは有給教育訓練休暇を設けてそれをとらした場合に助成をするというものと、それから時間外に労働者自体が自己啓発に励む、どこかに勉強に行くという場合に助成をしたものに対してこれを助成するというものでございます。 それで、先生お尋ねのは、有給教育訓練休暇がどの程度普及しているかということだと思うのですが、我々調べましたところ、事業所の割合として、昭和六十三年度でございますが、一二・五%の事業所でやっているということでございます。ただ、中身につきましては、我々もまだまだというような感じを持っております。 それで、何とかこれを普及させたいというふうに考えておりまして、特に、できれば日本型といたしまして、最近リフレッシュ休暇というような格好で取り入れられているところがあるようでありますが、そういうことで、少し高齢者といいますか中高年、勤続年数が長い者、四十歳以上という面について少し要件を緩和したらということで現在やろうかと思っております。この有給教育訓練休暇、せっかく能力開発促進法の中にも条文として盛り込まれておりますので、我々ぜひ何とか普及したいというふうに考えております。
○輿石委員 今のお答えで、一二・五%の企業で既に行われている、これは諸外国から見れば本当にまだまだ低い数字でありますから、ぜひこの拡大に向けて御努力をいただきたいということですが、これとかかわって本法案にかかわらしていただくならば、今、生涯能力開発給付金というのを私が調べたところによりますと、これはやはりこの給付金が給付されるその法的根拠として、職業能力開発促進法の第十条あたりのところから効力を発してこういう形で給付されるという形が出てきているように思うわけですけれども、その点はそのように理解してよろしゅうございますか。
○小島説明員 私もそういうふうに取り扱っております。
○輿石委員 私がそのように細かい点を御指摘申し上げたのは、やはりやらなければならない基本、一番大事なところは、法律としてきちんと整備をしておくということが一人一人の学習権なり働く権利というようなものについても保障できる裏づけだというふうに思いますので、この生涯学習法案についてもそのような整備をされた形で出てくるのが筋ではないかと再三申し上げているのはそういう意味であります。しかし、その点についてはお答えいただかなくて結構であります。 次に、先ほどリカレント教育のことについて触れさせていただいたわけですけれども、人生の早い時期に教育を集中させるという今までの日本の教育体系ではなくて、やはり労働、教育、また労働、職場へ戻れる、そういう繰り返しの教育の体系をつくり出していこうというのもこの生涯学習の本旨であろうというふうに思いますが、その点、文部大臣、いかがでしょう。
○保利国務大臣 まことにそのとおりだと思います。 私自身も昭和三十三年に企業に就職をいたしまして、その後、現場で大変忙しい思いをしながら働きましたが、考えてみれば少し勉強が足りなかったかな、三、四年たってから、もう少し経理の方の勉強をしておくべきだったとか、あるいは技術者のところで門前の小僧的にいろいろ勉強しておりましたが、ああ、やはり技術の勉強も少ししたいなというような気持ちを持ったことは正直言ってございます。 ただ、余りに仕事が忙しかったために、その当時それを実現することはできませんでしたけれども、社会情勢の変化とともにそういった希望を持つ人たちが、きちんとリカレント教育と申しますかそういう形での再教育を受け、そしてさらに能力と人格を高めて社会のために貢献をしていくということはまことに望ましい姿だと思います。そのとおりでございます。
○輿石委員 ただいま文部大臣がみずからの経験を含めてその必要性を語られたわけですけれども、入社試験にかかわってもやはりペーパーテストで人間をはかるという偏差値がひとり歩きをしているこの世の中を何とか解消していく、その手だてとしてやはり考えられていかなければならない。そして前回の文教委員会での文部大臣の言葉をかりれば、大変謙虚に、私は成績はよくはなかったけれどもスポーツマンという点で採用をされたという側面がある、だから、人間はどれだけの知識を持っているかではなくて、これからどれだけのことができるかという、そういうものへ目を向けた選抜方法、それが入社試験の本筋、そういう方向へ行くべきであろうし、また学校教育においても入学試験制度がそういう姿になってこそこの学歴社会の是正も一つの解消できる糸口になろうというふうに思うわけであります。 そこで、お尋ねをしたいと思います。 このリカレント教育と言われる方法を踏まえて、これからの高等教育とどのようにかかわらせていくのか、その辺についてお伺いをいたします。
○坂元政府委員 この前も本委員会でお答えいたしましたが、現在大学審議会でいろいろなことを議論しているわけでございますが、その中で、例えば大学以外の教育施設等における学習成果、例えば専門学校における外国語や情報処理技術を習得した場合、大学教育に相当する一定水準以上のものを大学の責任において評価して、一定の範囲内でこれを大学の単位として認定するというような仕組み、あるいは社会人が全授業を、フルタイムで授業をなかなか受けにくいというような場合もあろうかと思いますが、そういう場合にいわゆるパートタイムスチューデントというものでございますが、特定の授業科目の単位の修得のみを目的とする学生を受け入れる制度、科目登録制というふうに私ども略称しております。 それから、コースとして設定された複数の授業科目の単位修得を目的とする学生を受け入れる制度などについてもこれらを導入することを検討いたしておりますし、さらに短期大学あるいは高等専門学校を卒業して社会人になった後に、今御説明申し上げました科目登録制あるいはコース登録制で随時必要な単位を何年間にわたって修得して、その修得した場合にその単位を累積加算いたしまして、一定の要件を満たした場合には大学卒業の認定を行う制度などについて検討しているところでございます。 これらの検討結果につきましては、来春ぐらいに最終的な御答申を大学審議会から私どもいただけるものと思っておりますので、その答申を受けて適切に対処してまいりたいというふうに考えております。 さらに、生涯学習への対応という観点から、従来から大学に御承知のとおりに夜間学部とか通信教育を行う学部などがございますが、最近は夜間のみの大学院を開設する制度も新しく設けまして、現在、私立が二校、国立が一校、三大学で夜間のみの大学院を開設して全部社会人を受け入れている状況でございます。 それから、先般国立学校設置法で御審議いただきましたが、いわゆる国立大学における昼夜開講制のそういう学部も創設いたしまして、社会人等を含めた勤労者の勉学の便宜を図ってきているところでございます。 これらの制度的な仕組みとは別に、大学入試におきましても、私ども、社会人を一定の別枠を設けて、例えば国立大学でありますと大学入試センター試験などは免除して論文のみ、あるいは論文と面接程度で社会人を受け入れるように指導しているところでございまして、これも逐年ふえてきております。この傾向は、恐らく平成五年度以降十八歳人口が急減期に入りましたときにはさらに社会人の受け入れがふえていくのではないかというふうに考えているところでございます。
○輿石委員 今、社会人の大学等への受け入れという問題が出てきたわけでありますけれども、もう少し具体的に、例えば単位制高校の模索とか単位をどこの大学で取ってもというような単位の互換とか、そういうことも高等教育の中で盛んに叫ばれておりますし、強調もされつつあるわけです。その点について、社会人入学と単位制高校とか、単位の互換ができるとかというふうな問題とのかかわりについて、若干御説明をいただきたいというふうに思います。
○菱村政府委員 私の方からは単位制高校につきまして御答弁申し上げます。 単位制高校は、御案内のように臨教審答申にございまして、それを受けまして具体化したわけでございますが、これは、御案内のように生涯学習の観点に立ちまして、だれでもいつでも必要に応じて高等学校教育を受けられるようにする、いわば新しいタイプの高等学校をつくったらどうだという御提言がございまして、それを実行に移しているものでございます。 昭和六十三年度に単位制高校の制度を発足させましたが、平成二年度現在で九県におきまして十三校実現を見ております。 この単位制高校では、生徒の多様な生活形態や学習ニーズに対応できるようにしようということで多様な科目を開設しまして、授業形態も昼夜開講ないしは土、日も開講するというようなことでいろいろな人々、いろいろな状況にいらっしゃる方に対応できる高等学校教育の実現ということで大きな役割を果たしているわけでございます。 先生御指摘のように、社会人の方ももちろんこうした高等学校教育を改めて受けたいというときには、この単位制高校などというのは非常に受けやすい形態の高等学校教育であろうと思います。また、高等学校に一たん入りましたけれども中途退学をしてまた高校の授業を継続したいというような場合にも、こうした単位制高校はそれらの子供たちの受け皿としての役割も果たしているわけでございます。 いずれにしましても、学習者の幅広い学習ニーズにこたえる高校として現在かなり高い評価を受けていると私どもは考えております。各都道府県におきまして、今後もこの単位制高校の設置について積極的な意向を示しているところもございます。生涯学習の振興の観点からも、私どもとしましてはこの単位制高校を一層充実、発展さしていきたいというふうに考えているところでございます。
○輿石委員 今単位制高校にかかわって局長の方から若干お話がありました。これは学習者の多様なニーズにこたえ、一度学業を中途でやめた者についても再度チャンスが回ってくる、そういう点で、生涯学習という視点からもこの単位制高校をさらに拡充強化していかなければならないというお話だったように思うわけですけれども、そこで私は、高校を中途で退学をしていかなければならない、また退学していってしまったという生徒の救済策として単位制高校はある程度役割を果たしている、それはそれなりに言えるでありましょうけれども、その十一万とも言われる高校中退者あるいは小中学校における四万にも及ぶ登校拒否児、これもまた学歴社会の弊害としての遺物であるというふうにとらえますと、そういう点についてそのような学校教育の実態を何とかしなければならない。 行政サイドでも教育現場でも親という立場でも、それぞれこの解決に向かってみんな努力をしているというふうに思うわけですけれども、この辺について、登校拒否や高校中退の現状についてどう考られているか、お伺いをいたします。
○菱村政府委員 御指摘のように、現在の学校教育にはさまざまな問題を抱えておりますが、その中でも高校中退の問題ないしは小中学校におきます登校拒否の問題は、大変深刻で重要な問題であるというふうに認識いたしております。 高校中退は先生もただいま御指摘がございましたが十一万人を超えております。在籍者数に占める割合で見ますと、二・一%ではございますが、子供たちにとりましてはかけがえのない教育の機会でございますので、こうした中途退学者が出ることは私どもとしては大変遺憾なことである、高等学校に一たん入りました以上はぜひすべての生徒がその高校を卒業するようにあってほしいと願っているところでございます。 中退の事由等を見ますと、進路変更によるものが三二%で最も多いわけでございますが、学校生活や学業に不適応というのも二六・九%ございます。これも同じだと思いますが、学業不振というのもございます。そのほか、家庭の事情とか問題行動とかさまざまでございますけれども、とにかく学校生活になじめない、授業になじめないということで学校をやめていく子供たちがいるわけでございます。 私どもとしましては、学校におきまして先生方は大変御熱心にそうした中途退学が出ないような御努力をいただいているところでございますが、今後とも一層高校教育の内容が充実して、子供たちが学校に行って充実感が味わえる、学校がぜひ行きたいところであるというような教育が行われることを期待したいのであります。 また小中学校におきます登校拒否、これはとりわけ中学校に多いわけでございまして、小学生で六十三年度は六千二百八十五人、中学生で三万六千百人、合計で四万二千三百八十五人となっております。これも率そのものは、子供たちの全体に占める率は大変低いわけでございますが、この義務教育段階におきます教育、大変重要でございます。その子供たちにとっては生涯にわたる基礎を培うところでございますので、私どもとしましても、こうした事態の生じないよう、また一たん生じましたらその子供たちが何とか学校に復帰できるようにしていただきたいということでいろいろな施策を行っているところでございます。 これの原因等もいろいろございます。友人関係の問題とか学校生活をめぐる問題とか親子関係とか、さまざまな問題が複雑に絡み合っているケースが多いわけでございますが、この問題の解決のためには教育の専門機関である学校がまず中心になる必要がございますけれども、関係機関ないしは保護者と連携協力いたしまして、学校と家庭と地域社会が一体となって取り組むということが大事である、大切であると考えているわけであります。 現在、私どもといたしましては、登校拒否の問題に焦点を当てました教師用の指導資料をつくりまして全国に配布するとか、ないしは各種のカウンセリング講座等の教師の研修を実施するとか、さらには教育相談活動の充実をするとか、また学校に行くことはなじめない、集団生活にはなじめないけれども、学校以外の場所で同じような教育指導ないしは生徒指導を一緒にやりますとそこにはなじんで出てくるという子供も若干いるようでございます。そうした子供たちを対象に現在市町村で幾つかのそうしました学習の機会を提供する一種の治療教室のようなものが行われているわけでございますが、私どもとしましては、今年度の予算におきまして、それを若干モデル的に、パイロット的に御研究いただく、そのための助成をいたしまして、その研究成果をまた全国にフィードバックしていきたい、そんな予算も計上して実施しようとしているわけでございます。 いずれにしましても、これらの問題につきましては私どもも今後真剣に取り組んでいきたいというふうに思っておりますが、また、学校におきましてもこうした事態の生じないように先生方の一層の御努力を期待したいと思う次第でございます。
○輿石委員 今四万を超える小中の登校拒否児、十一万を超える高校中退者、そして挫折をしていく子供たちを何とかしなければということで教育相談、手引書をつくり、治療教室をつくり、そして対応していく、その努力は敬意を表したいと思うわけですけれども、そういう生徒や児童が出てくる背景を断ち切らない限り、この問題は根本的に解決をされない。教育現場でもしっかりやっていただきたい、そんなお答えもあったわけですけれども、教育現場で一人一人の教師が子供たちにいい授業をしたい、子供たちが目を輝かした、局長言われるように、だれもが喜んで来てくれるような学校にしたい、そう思っているのであります。親もそういう学校でありたいと思うわけであります。 そういう施策の一端として教師に研修が必要だ、だから初任者研修も必要だという形で文部省は初任者研修も配置をしているというふうに思うわけですけれども、生涯学習のところでも言われましたが、学習をするという基本はあくまでもみずからの主体的、自発的な意思に従って学習や研修が行われるというのが原則であり鉄則だ、こう言いながら、片っ方では免許状というものがきちんと採用制度にかかわって、一たん与えられたものを、教員の職場だけに限って一年間期限つきで、しかも義務的に初任者研修という形で研修をさせる。そこでは、職場を離れて先生はつらい思いをしながら、早く子供たちとの人間関係をつくってすばらしい教育に専念したいというそういう立場を奪う結果になりはしないかと私どもはその点についても心配をしますし、研修というものはあくまでも自主的にやっていくものであって、上から強制すべきものではないというふうに思うのであります。 また、この初任者研修が出てきた背景には、この生涯学習法案が出てきましたように、臨教審の第一次答申、第二次答申、四次にわたる答申の中で、第一次答申当時言われた教育自由化論、そこで出てきた初任者研修、くしくも有田臨教審第三部会長は鉄は熱いうちに打て、大学を卒業した教師がまだいろいろ染まらないうちに一つの枠型へはめることが必要なんだ。そして、片っ方では画一的な教育はいけない。そして、指導要領では法的拘束力をきちんと位置づけて、こう教えなさい。 私は、前回の文教委員会でも教科書検定の問題も取り上げさせていただきました。教育の中身まで、教科書まで逐一検定をつくり、文部大臣の承認を得るという改定もしてきている。今、学校教育に一番必要なこと、我が国の教育体系で考え直さなければいけないのは、学歴がすべてだという考え方を、そういう意識を変えると同時に、規則や規定で余りに縛ってしまう、そこにあるというふうなことは再三言われてきたわけであります。 その点について、教職員に対する文教政策として今後考えられるべき点、留意されなければならない点というものをどのように考えていられるか、または学校教育に対してどのような指導をされていくおつもりか。悲鳴を上げている一教科七千円と言われる塾通いを、生まれ落ちてから大学受験のゴールを目指してまっしぐらに進まなければならないというこの子供の実態を何とかしてやろうというのが、立場は違っても行政の立場から、親の立場から、私ども大人の立場から、政治の立場から解決していくことが今一番緊急にして最大の課題だと思いますが、その点についてはいかがでしょう。
○菱村政府委員 初任者研修等につきましてはまた別な御答弁があると思いますが、学習指導要領、教科書検定等のお話が出ましたので、その点につきまして御答弁申し上げます。 学習指導要領は、もちろん教師、先生方の自由を束縛するという趣旨では毛頭ございませんでして、全国的に一定の教育水準を確保しよう、そして実質的な教育の機会均等を保障しよう、どこの地区におきましても、どの学校におきましても、どの先生におきましても同質の教育が受けられるということが教育の機会均等では大切であると考えるわけであります。したがいまして、そうした実質的な教育の機会均等を実現するために、国会で制定していただきました学校教育法に基づいて国が教育課程の基準として定めているものでございます。 学習指導要領の内容をごらんいただけばおわかりになりますように、それは極めて大綱的な基準が中心でございます。もちろん、それによりまして学校では教育を行っていただいているわけでございますが、地域や学校の実態あるいは生徒の実態に応じまして先生方がさまざまな創意工夫を生かして教育を行う、教育課程が実施できるという基準になっているものと私ども考えております。 また、教科書検定も、同じように一定の教育水準を確保する、ないしは適切な教育内容を確保する、さらには実質的な教育の機会均等を保障しようということで、これも学校教育法に基づきまして適切な検定を行っているつもりでございます。 いずれにしましても、子供たちは毎日成長を続けている存在でございます。その成長を続ける子供たちを対象にする教育という営みは、当然、担当なさいます先生の創意工夫に満ちた弾力的なものであるということは必要であろうと思います。現行の学習指導要領、教科書検定等はそれを何ら阻害するものではないというふうに考えております。
○倉地政府委員 先生お尋ねの、今いろいろな問題を抱えております学校における教職員を初めとしてその運営の問題でございますけれども、私どもといたしましては、やはり学校は組織体でございますので、校長先生を中心として皆さん、教員が一致協力していろいろな問題に当たっていくことが必要だというふうに考えている次第でございます。そうした点につきまして、学校の運営に今後も十分協力体制が整えられるような指導を徹底してまいりたいと思っているところでございます。 また、先生方の研修の問題でございますが、これは教育公務員特例法の規定にもございますように、教員につきましては特段に研修が必要であるということが言われている次第でございます。一般の職員以上にそうした研修が必要だということで、従来から研修の必要性、それから勤務場所を離れた研修の問題が規定されているわけでございますが、最近の情勢にかんがみまして、特に初任者についてはその研修を強化しようということで初任者研修制度が設けられた次第でございます。 昨年度から小学校については初任者研修の本格実施をしておりますし、本年度からは中学校についても本格実施しているところでございます。私どもといたしましても実施されている方々からいろいろと情報をいただいているわけでございますけれども、初任者研修の効果といたしましては、初任者の実践的指導力が短い期間に非常に図られるということが評価されているわけでございますし、また初任者を研修することを通じまして学校全体が活性化するという利点も報告されている次第でございます。私どもといたしましては、この初任者研修につきましても十分その効果が発揮されるよう今後とも留意してまいりたいと思うわけでございます。 また、初任者研修に限らず教員が生涯を通じて適切な時期に適切な研修を受けることも非常に大切というふうに考えているわけでございまして、五年研とか十年研とかそうした問題についても今後都道府県教育委員会の方で十分御研究いただき、実施などに取りかかっていただくよう御相談してまいりたい、そのように考えている次第でございます。
○輿石委員 今、初中局長の方からのお答えにありましたが、子供たちは一日たりとも成長をやめていないわけで、絶えず毎日成長していく子供たち、小学校五年生という時期は生涯を通じて一度しかないわけであります。後でできるというものでもない。そのときでなければ、そのときこそ必要だ。その発達段階に応じた教育を考える、そのように指導要領がなり得ているのかどうか。また、先生方の創意工夫で教育は行われなければならない、したがって、指導要領も弾力的に運用されるべきだ、こう言っているわけですが、であるならば、弾力的に教師の創意や工夫のそういうところを重点的に取り入れていってほしいというならば、どうして指導要領に法的な拘束力というものを置くのか。 その答えは多分、一定の教育水準を維持していくために、聞き違いかもしれませんけれども、先ほど同一の教育をしていくためにというふうに私は聞こえたわけですが、そのようにとらえてよろしいですか。
○菱村政府委員 同一ではなくて同質と申し上げたつもりでございます。
○輿石委員 同一か同質かと言葉の遊びをしているわけじゃないですからその辺は省略をいたしますが、法的拘束力を指導要領に持たせなければいけない根拠、その点についてお伺いをいたします。
○菱村政府委員 学校教育におきましては、特に義務教育では国民に共通に必要な基礎・基本をしっかり教えるということが重要な点でございます。したがいまして、国民共通に必要な基礎・基本をしっかり身につけさせるためには、やはり一定の基準があって、その基準に基づいて学校教育が行われることが大切である。そうした趣旨から、学校教育法では教育課程の基準として学習指導要領を定める権限を文部大臣に付与しているもの、このように考えております。(発言する者あり)
○輿石委員 今生涯学習の質問だから生涯学習の法案にかかわる質問をするようにという御指摘がありました。それはまさに生涯学習というものをどう理解されているのか、私は大変疑わしいわけであります。 と申しますのは、午前中に佐藤委員、さらに土肥委員の方から定義が欠けているとか生涯学習とは何かが明確でないという点については既に触れられておりますし、十二条にわたる生涯学習にかかわる問題についての御質問は八日の質問も受けながらかなり明確に問題点が出ているわけであります。そのことを何回も何回も繰り返せというならばそういう方法で私は質問をしていきますけれども、そうではなくて、大変大事な審議の場所ですから、角度をかえて……(発言する者あり)だから、今そういう論議が出るというふうに思うわけです。 そこは、生涯学習とは何かが明確でないからそういう論議も出てくる。生涯学習とはこれこれこういうものである、学校教育はこうだ、そしてさらに、社会教育はこうあり、家庭教育はこうあるべきだというものが出ていって、ならば生涯学習の中の学校教育はどうあるべきかという点でお聞きをしている中身であります。 また質問を続けます。 したがいまして、今も出ましたけれども、学歴社会の弊害を是正するということにかなりのウエートを置いてこの生涯学習が出てきたというその背景をきちんととらえておいていただきたいと思うのであります。だから、学歴社会の弊害を取り除くために学校教育はどうあるべきかという視点でお伺いをしているのであります。 それでは、もう少し具体的にやっていきましょう。社会教育とのかかわりについてお伺いをいたします。 生涯学習と社会教育とのかかわりについては既に言われておりますし、文部省の中に、社会教育局を改組し生涯学習局を新たにつくって二年になる。それだけ生涯学習は重要だから、社会教育もその中の重要な部分であるという点についても既に指摘をされております。 そこで、一つの事例としてお伺いいたしますが、八日のある新聞によりますと、少年サッカーの試合が九日、十日に行われた。ある県で、その全国大会へ向けてきちんと積み上げてきた成果を子供たちが大会で発揮したいということだったが、しかし修学旅行がそこへぶつかってしまった。親は修学旅行に参加させるべきか、子供が願っているその少年サッカー全国大会に参加させてやろうかということで相当苦悩したと思います。この場合に私が言いたいのは、学校教育の中で部活動としてやられている、時間外活動としてやられている部面と社会教育とどうかかわっていくのか。 修学旅行というのは学校行事であります。最終的には、学校長の責任で行われる修学旅行に一日参加をして、日曜日にはサッカー大会に参加をしていった。この学校長も相当苦悩し、そこの先生方も相当な協議をし、しかし教育的な配慮から親の願い、子供たちの願いをかなえてやりたいということで、二日目はサッカー大会に参加したという報道があるわけです。 ここでお尋ねしたいのは、指導要領には法的拘束力があるとするならば、この校長の判断について文部省はどのように判断されるのかということは、これからの教育にとって、また社会教育とのかかわり、生涯学習とのかかわりにおいて大変重要な点でありますので、お尋ねしたいと思います。
○菱村政府委員 御指摘のケースにつきまして私ども直接事実関係を詳細に把握していないわけでございますが、新聞報道によりますと、サッカーの競技団体等が主催する県大会に参加するために、選手となる児童が修学旅行の途中で帰ることについて学校が承認したということでございます。 修学旅行は、教育課程上特別活動の学校行事のうちの遠足・集団宿泊的行事として位置づけられているわけでございます。その目的は、平素と異なる生活環境にあって見聞を広める、それから集団生活の決まりとか公衆道徳などについて望ましい体験を積むという教育的な趣旨でこれが行われているわけであります。したがいまして修学旅行は意義のある教育活動でございますので、子供の個人的な旅行ではもちろんございません。学校の正規の教育課程として位置づけられ、原則としてその学校の全員参加という形で実施されるものでございます。 一方、少年サッカー大会などの学校教育活動外の運動競技大会でございますが、これも子供が参加することは健康の増進とか体力の向上とか、ないしは公正にして健全な社会的態度を育成するというような点から見まして、教育的な効果は大変大きいわけでございます。ただ、教育活動外のこうした活動に対しましては一応学業に支障がないことを前提にして行われるという前提がございます。 したがいまして、以上のようなことからこのケースを考えてみますと、子供が修学旅行を欠席して学校教育活動外の運動競技大会に参加することにつきましては、学校教育上の観点からして若干いろいろ御議論があろうと思います。ただ、本件につきましては、学校長がいろいろその父母の要請とか児童の意思、希望とか、それから修学旅行のあり方とか総合的に勘案して、いろいろ悩まれた末に決められた措置であろうと思います。これも学校現場に即した一つの判断ではあろうかと考えるわけでございます。 いずれにしましても、これは指導要領違反とかなんとかという問題ではございません。指導要領は、要するに学校の教師の指導基準でございまして、実際の個々の子供に対しましてそれがどうこうする判断ではございません。したがいまして、学校におきましては学校行事としてこの修学旅行を実施されたわけでございますが、実際にどのような形で子供たちがそれに参加して行われるかということは、これは個別具体的な問題として学校が御判断になる問題だろうというふうに考えております。
○輿石委員 これはそのような判断は、大変教育的な配慮とか学校行事との性格、それから学校外の教育とかかわって、そこの境界線といいますか、そういう問題が今後ますます出てきますし、だからこそ余り規定、規約、そういう法規というようなものでがんじがらめにするとその辺の弾力的な応用とか創意工夫という余地がなくなる、そういうふうにも思います。 また私は、この問題について生涯学習の今度の法案とかかわってみるならば、もちろん学校の施設設備の開放ということが当然考えられていくというふうに思います。この点について、学校が持っている教育的資源というような言い方をする場合もあるわけですけれども、先生方、教師をどう活用していくのか、また施設をどう活用していこうとしているのか、この生涯学習とかかわってお答えをいただきたいというふうに思います。
○横瀬政府委員 生涯学習におきます学校の役割の一つとして、今先生御指摘のございました学校開放というものも非常に大きな役割の一つであると思います。地域における生涯学習のニーズにこたえる上でも非常に大きな効果のあるものだと思います。 学校開放と申します中には二つの内容があると思いますが、一つは施設そのものを開放する、例えば運動場であるとかあるいは体育施設でありますとか図書館でありますとか、そういうものを開放するというのがございますし、これも非常に多くの小中高等学校あるいは大学に至るまでそういう開放事業が行われているわけでございます。 それからもう一つは、学校の機能を開放するといいますか、一つの学校の行っております授業そのものを開放するということでございまして、これが大学、短期大学で、あるいは高等専門学校では公開講座でございますし、それから高等学校では開放講座というのがございます。これもその地域におきます成人も含めた住民の学習のために、それから地域社会における最も身近な学習の場としても非常に意味のあるものでございまして、積極的に活用することが重要であるというふうに考えております。 この点につきまして、文部省におきましても大学、短大あるいは高専、それから高等学校の開放講座それぞれにつきまして助成措置を講じておりまして、年々これは需要の方についても増加がございますので、それに対応いたしまして予算の拡充を行ってきているところでございます。それぞれの公開講座あるいは開放講座に携わります教員に対する待遇というのもそれはそれなりに行われているわけでございまして、その辺の充実につきましても留意をしながらこの面の予算の拡充について努力をしていきたいというように考えます。
○輿石委員 そこで学校等の施設または学校自体が持つ能力の活用という点をお答えいただいたわけですけれども、学校施設の開放にかかわって今でも各学校は地域の文化的なセンターとしての位置づけという性格から、夜間には夜間照明を設置し社会体育の面ですばらしい効果を上げている、そういう事実もあるわけです。しかしながら、時としてその管理をめぐっていろいろな管理の責任の所在というものが問題を生じてくる場合があるわけでして、その辺についても文部省としてもきめ細かい御指導をいただく必要があろうというふうに思います。 また、私は法案に逐一かかわった方がいいような感じですから、あえて午前中からの繰り返しになろうかというふうに思いますが、触れさせていただきます。 最初に、生涯学習振興の法案が出てきた、文部省が各省庁との調整に手間取ったということもある程度認めてきたわけですけれども、その間、短期大学の話が出てまいりましたけれども、短期大学を生涯学習センターというような形でそれとのかかわりで考えたというふうなことも聞いておりますが、その点についていかがでしょう。
○坂元政府委員 短期大学につきましては、御案内のとおり女子の高等教育機関としまして発展してまいりまして平成元年、昨年の五月現在の数字で申し上げますと五百八十四校、四十六万人、そのうち女子が九一%の四十二万人を擁しておりまして、学生数は入学者総数の一二%を占めるに至っております。 最近、専門教育や生涯学習へのニーズの高まりなどの社会変化の動向に対応いたしまして既設学科を改組・転換するというような動きもございますし、それから、先ほど生涯学習局長からもお答えしましたが、公開講座を拡充してきておるということ、あるいは社会人特別入学制度の実施等を積極的に行っておるという短期大学がふえてきております。 本年一月の中央教育審議会答申におきましては、短期大学に限らず大学、短期大学の自主的な判断によって体系的、継続的な講座の実施、情報の提供、学習に対する相談などを行う生涯学習センターを開設したらどうかということが提言されているわけでございます。この生涯学習センターはあくまで個々の大学、短期大学の自主的な判断により開設されるべきものでありまして、大学、短期大学そのものが生涯学習センターに転換するという性格のものではない、そういう御提言ではないというふうに私ども理解しているところでございます、 短期大学は、御承知のとおりに地域性が大変高い。全国全体の平均を見ますと、自県内進学率というのが短期大学は六〇%でございまして、大学の三十数%に比べるとそれだけ地域に密接な関係があるというふうに言えるかと思います。そういう意味で、生涯学習へ対応するというよりも、短期大学の持つ教育機能をより地域に開くという意味で中教審が提言しております生涯学習センターを開設するというのはそれは大変意義のあることだと私どもも思っておりますし、それから同時に、先ほど大学の問題で御説明申し上げましたが、生涯学習機関としての役割も視野に入れましていわゆる履修形態を工夫する。先ほどのパートタイムスチューデントでございますが、あるいはカリキュラムの多様化、柔軟化などを進めていく必要があろうかと思います。 そういう意味で、現在その問題も含めまして大学と並べて短期大学につきましても大学設置審議会で短期大学設置基準などの見直しを進めているところでございます。私どもとしましては、これらの検討結果を踏まえて適切に対応すると同時に、先ほど御説明いたしましたとおりに、短期大学が持つ地域性、地域に密着しているという性格にかんがみまして、短期大学の教育機能をより地域に開放していく、そういう具体的な施策をとるよう短期大学関係者に今後も指導してまいりたいというふうに考えております。
○輿石委員 今、短期大学の問題にかかわりまして社会人入学の問題が関連として出されましたので、その点についてお伺いをいたします。 社会人入学制度は、私がちょっと調べさせていただいたところによりますと、五十三年に立教大学法学部が昼間部として初めて導入しまして、五十八年には国公立の大学として初めて名古屋大の法学部が導入をしていったというふうに書かれておりますけれども、現状どのような形になっておるのか、お知らせをいただきたいというふうに思います。
○坂元政府委員 平成元年度の数字で申し上げますと、国立大学が十九大学二十六学部、公立大学が八大学十学部、それから私立大学が六十六大学百三学部、入学者数はトータルで二千百二十一八でございます。ちなみに、応募者は大体三千人ちょっとでございまして、そのうちの大体七割ぐらいが社会人の特別入学選抜の枠の中で入学を認められておるということでございます。これは年々拡充してきておりまして、五十八年度では入学者数は九百八十一人でございましたが、元年度ではその二倍強の増加になっております。 先ほど御説明申し上げましたとおりに、社会人入学というのは、平成五年度以降十八歳人口が減少する段階でかなり大学、短期大学が積極的に受け入れていくだろうという見通しを持っておりますが、同時に、そのためには社会人が途中で退職あるいは休職をしてさらに大学で学ぶ、大学院で学ぶ、そういういろいろな社会的な、先ほど委員がいろいろと問題にしておりました社会的な条件が整備されなければ、社会人が一挙に何万人が大学に志願するという状況にはなかなかならないとは思いますが、傾向としては大学、短大も社会人を受け入れる枠を別枠につくるという動きにございますし、平成五年度以降はさらに増加するのじゃないかという見通しを持っているところでございます。
○輿石委員 そういう方向で、ここへ入学をし学習の機会を得てまた再び職場へ戻ってすばらしい職業人として成長をしていかれる、そういうふうに私どもも望みたいわけですけれども、その問題とかかわって、生涯学習とかかわった専修学校、各種学校との関係はどのような現状にあるか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
○横瀬政府委員 専修学校には、課程といたしまして中学校卒業者を受け入れる高等課程、それから高等学校卒業者を受け入れる専門課程、そのほか入学資格を決めていない一般課程、この三つの課程がございまして、特にこの一般課程につきましては、生涯学習の面で社会の要請に非常に柔軟にこたえていくというような機能を果たしているわけでございます。 それと、ことし平成二年度の予算におきまして、専修学校につきましても、その専門的な技術、知識につきまして一般の住民にも開放できるような開放講座というものを新設いたしまして、これも最初の年でございましたので三百講座ちょっとでございますけれども、初めてそれを予算化いたしまして、これを各専修学校に助成することによってそういった機会を新設するということを始めております。この点につきましても大変引き合いが多うございますので、大変うまくいくと思いますけれども、さらに需要動向を見まして今後の充実について考えていきたいと思っております。
○輿石委員 専修学校が三つの課程に分かれていて、一般課程については、当然のことでしょうけれども、入学資格とか年齢制限はないわけですね。
○横瀬政府委員 一般課程につきましては、特に入学資格というものを設けていない課程でございます。
○輿石委員 それでは別の問題をお尋ねいたしたいというふうに思うわけですけれども、既に午前中の質問にもありましたが、四十七各都道府県で生涯学習推進会議というような名前で、名称はいろいろあるでしょうけれども、十四県に至っては生涯学習センターというふうな名称も使いながら、生涯学習へ向けての推進がされておる。その現状について、わかる範囲で結構ですから、お知らせいただければありがたいと思います。
○横瀬政府委員 生涯学習に関します推進のための諮問あるいは協議、連絡に当たる組織ということでございまして、これは先ほども申しましたように、全国四十七都道府県全県がそういうものを持っております。その中には、名称といたしましては推進協議会という名前のものあるいは推進連絡会議というもの、あるいは推進本部という名前を持っておるものもございます。その他、県独特の名称もございますけれども、おおむねこの生涯学習の各部における施策といいますか関連事業につきまして、その情報交換あるいは連絡協力あるいは都道府県の全域にわたります基本計画の策定に関する協議というようなものがほぼその所掌事務の中心でございます。 それから、生涯学習センターあるいは生涯教育センターというような名称で各都道府県が住民の生涯学習に対する支援体制としての施設を持っているのが十四県あるというふうに申しました。これもこの法案の第三条にございます各号に列記されております学習情報の提供あるいは指導者、助言者に対する研修あるいは学習需要の把握、それからみずから講座を行うというような事業につきまして、これはいろいろと県によって違いますけれども、大体そういった事業の範囲内で行われているというような実態でございます。
○輿石委員 もう時間がなくなりました。まだお尋ねをしたい問題があったわけですけれども、時間切れになりますので、最後にどうしても心配になる点をお尋ねいたします。法案にかかわった方がよろしかろうと思いますので、お尋ねをいたします。 学習塾とのかかわりについてであります。第三条第一項一号の事業として「学校教育及び社会教育に係る学習(体育に係るものを含む。以下この項において「学習」という。)並びに文化活動の機会に関する情報を収集し、整理し、及び提供すること。」こうあるわけでありますが、この事業の中に学習塾に関するものが含まれるかどうかという点であります。
○横瀬政府委員 中数審の答申で行いましたときに、民間教育事業というものの範囲につきまして中教審内の了解事項がございまして、これは民間教育事業というものの中にいわゆる学習塾は含まないという統一見解でございました。この学習塾というものに関して、これも学習塾というものの内容がいろいろでございます。例えば学校で教育をしていない、教科の内容になっていない、あるいは教科の内容を超えているピアノ塾とか書道塾とか、いわゆるおけいこごと塾というのがございます。これについての問題と、それからいわゆる学習塾というものの問題は若干違うと思いますが、いずれにいたしましても、学習塾というものは公教育に対しまして私教育として行われているものでございまして、これは保護者の判断によって、保護者の委託によって教育関係ができ上がっているというようなものでございます。 現在学習塾の問題というのは、そういう意味ではおけいこごと塾と同じ列に入るわけでございますが、何と申しましても多くの児童生徒が学習塾に通うという実情がございまして、それについていろいろな弊害が指摘されている。この弊害についての対策として学習塾問題というのは文部省として考えているわけでございます。 学習塾に対する現実的な対応といたしまして、私ども、現在学習塾関係者との協議の場も持ちまして、そして公教育に対する啓蒙あるいは情報、資料等も提供いたしますけれども、同時に、学習塾に関する行き過ぎたことに関しましてはぜひ自粛するように、そういう事態に合わせましていろいろと対策を行っていることもありますし、またそのもととなっております国立、私立の中高等学校の入学者選抜方法の改善ということについても、これは背景として最も大事な点でございますので、それについても指導していく、こういうような学習塾に対する一つの対策をしてきているわけでございます。 先ほどの学習情報の中にこの部分のどの部分を入れるかというのは一般的には都道府県教育委員会がそれぞれ判断すべき問題でございますが、一般論として、純粋な学習塾についての情報は私どもとしては期待をしていない、予想をしていないところでございます。
○輿石委員 学習塾の情報は私どもとしては期待をしていない、とすれば、入る余地もある、そういうふうにも受け取れますが、いかがですか。
○横瀬政府委員 先ほど申しましたように、学習塾と一般的に申しましても内容はさまざまでございますので、それぞれの判断というものは各都道府県、各地方公共団体においてあっていいわけでございますので、一般的にしか申せませんけれども、私どもとしてはそこまで入れるべきでないというふうに考えております。
○輿石委員 私どもとしては入れるべきでないというふうに思うと言われたわけですから、学習塾の情報なるものがこの生涯学習の事業の一環として入ってくるというようなことになれば、まさに過去にもそれで政治問題になった背景がありますから、ぜひその辺についてはそれの歯どめなり入らないという保証をしていくという方向で、文部省はそういう思想で考えていっていただきたいと思うのであります。 最後に、現在その学習塾とかかわっているという団体、民間教育振興協会の社団法人化を文部省に申請をしていると聞いておるわけですが、その点についていかがですか。
○横瀬政府委員 民間教育振興協会は民間の教育事業の水準の維持向上と自主的規制を図ることを目的として昨年の四月に任意団体として発足して、その会員は学習塾関係者が五割を超えますけれども、その他書道、手工芸等のおけいこごとの塾等もかなりの割合で構成されているというものでございます。 この民間教育振興協会から、ただいまお話しのように公益法人としての設立許可申請が出されております。現在、その事業内容あるいは財政等々の今後の見通しあるいは理事等の法人の管理運営体制、会員の資格等、いろいろな広範な事項につきまして文部省内の関係局間におきまして慎重に検討している段階でございます。
○輿石委員 審議の時間が終了したという連絡が入りましたので、以上で質問を終わらせていただきますが、私は、子供たちが塾通いをし、悲鳴を上げているこの子供、青少年の叫びを何としても生涯学習、文教政策の中心の柱として考えていっていただくことを要請をいたしまして質問を終わります。ありがとうございました。
○船田委員長 次回は、来る十五日金曜日午前九時十五分理事会、午前九時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時八分散会