文教委員会 第13号
- 発言数
- 134 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1990/06/08
会議録
○船田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小坂憲次君。
○小坂委員 おはようございます。 私は、生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案の審議に際しまして、生涯学習体系の迅速な整備を推進すべきとの観点から、本案に対する文部大臣のお考えをお聞きいたしたく若干の質問をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。 明治五年の学制の発布以来、我が国の近代化の過程で学校教育は着実に普及し、量的にも拡大して教育水準の向上に大きな役割を果たしてきたわけでございますけれども、同時に、学校教育に対し過度に依存する傾向があらわれ、次第に学歴偏重の風潮を生じ、この是正が叫ばれているところであります。 近年は、所得の増大に伴う生活水準の向上、社会保障の整備、自由時間の増大を背景として国民は生活の中にゆとりを重視し、物から心の豊かさを求め、価値観も量から質へ、均質、画一から個性化、多様化へと選択の幅を広げる傾向にございます。また、高齢化の進展、婦人の社会参加の拡大、産業、経済の情報化、ソフト化、サービス化の進展によりまして、産業構造、就業構造は著しく変化を遂げてきております。 このような社会環境の変化に対応して昭和五十六年の中央教育審議会答申、昭和五十九年から六十二年の臨時教育審議会の各答申、そして本年一月三十日の中教審によります「生涯学習の基盤整備について」の答申がなされましたことは、まさに二十一世紀の健全なる社会を築くための必要な教育の改革の方策を提言するものと言えると思うのでございます。 このような認識に立ちまして、まず第一に、生涯学習の振興という課題についての文部大臣の御所見をお伺いいたしたいと存じます。
○保利国務大臣 まず最初に、この法案につきまして御配慮をいただき、早速御審議にお入りをいただきましたことについて心から感謝を申し上げます。 ただいまお尋ねの、生涯学習の振興という点についてどう思うかというお話でございます。先生御指摘のように、最近、生活水準が向上し、所得が向上してまいりました。また自由時間がふえてまいりました。またさらに、これは日本にとって最も大きな問題ではありますが、高齢化社会が到来をしてきておるわけでございます。そういう中にあって、学校教育だけではなく社会へ出てからも適時適切に学習をしたいという御要望が非常に大きくなってきております。また同時に、そうした学習の成果というものが社会の中で適切に評価されるような、いわゆる生涯学習社会というものをつくり上げていくということが我が国にとって非常に重要な政策の一つだと考えておるわけでございます。 そこで、ただいまお話しの答申等を受けまして今回の法案を用意をさせていただいたわけでございますが、こうした生涯学習社会というものを日本にさらに定着させ、実現させていくためにこの法案を用意をし、その基盤の整備についてこれを進めていこうということでこの法案を提出させていただいたところでございます。 私どもとしては、生涯にわたっていろいろな学習を、これは自発的な意思に基づいてやっていただかなければなりませんが、あくまでも自発的意思ということを強調しつつ、こうした生涯学習社会の実現に努力をしていきたい、こういう気持ちでおります。
○小坂委員 ただいま大臣の本案に対します御熱意といいますか、何としてもこれからの社会を築くために生涯学習、それも自発的に人々が自己啓発に努め、生涯を通じて豊かな人生を送っていく、そういう社会をつくりたいという御熱意を感じさせていただきました。 本法案では、生涯学習の振興に資するために、都道府県教育委員会が行う事業を示し、必要な体制の整備を図ることといたしております。これは、中教審答申に述べられている生涯学習推進センターなどのことと思われるわけでございますけれども、このように体制の整備を図ることは地域における生涯学習振興のために極めて重要であると考えますが、このようなことについて教育委員会の事業として規定する理由、またその基準についてはどのようなこととなっているのか、お聞かせをいただきたいと存じます。
○横瀬政府委員 お答え申し上げます。 まず、生涯学習の振興に資するための都道府県の体制の整備をこの法案の第三条が定めておりますが、それが教育委員会の事業として規定する理由でございます。 この第三条各号に列挙しております事業は、例えば人々が学習を選択したりあるいは自主的な学習活動を進めていくという上で生涯学習に関する情報を提供したりあるいは各種の生涯学習の施設相互の連携の促進などをするというような、人々の生涯学習を支援する事業を挙げているわけでございますけれども、こうした事業は、例えば情報の提供とかあるいは今申しました団体や機関の連携というようなことあるいは指導者や助言者に対する研修というようなものは、ある程度その対象として一定以上の規模を持っているものの方が効果が上がるものでもございますし、それから、ある程度、指導体制といったような人材とかあるいは財政力の豊かな団体である方が効果的なものが多いということから、また、人々の学習活動圏というものもかなりこのごろは市町村の域をはるかに超えているという広がりを持っておりますので、そういった意味で、これは都道府県段階の事業とすることが適当であると考えたわけでございます。 そこで、それではその上でどこが所管すべきかという問題でございますが、生涯学習に関する事業は教育委員会だけでなく知事部局等でも実施されておりますけれども、地域におきます生涯学習の機会を提供する中心的な部分を占めますのはどうしても学校教育、社会教育及び文化活動の部分でございまして、そういった意味で、これらの分野を所管する教育委員会の事業として規定したわけでございます。 ただ、もちろん先ほど申しましたように、学習者の視点に立ってみれば知事部局等教育委員会以外の所管の事業とも連携をとっていくことは重要でございますので、本法案の第三条の第二項に「生涯学習に資する事業を行う機関及び団体との連携に努めるものとする。」という規定を置きまして、そうした教育委員会以外の事業との連携を含めた趣旨を規定しているということでございます。 次に、御質問の二番目でございますけれども、こういった都道府県教育委員会が行うべき事業に対する基準でございます。 これは第四条に規定を置きまして、文部大臣が望ましい基準を規定することができるという形になっております。これは、整備に当たりまして参考となりますものは、全国的な視野に立った私ども文部省の方がその点についてははるかに全体を知り得る立場にございますので、そういう立場に立ちまして、都道府県がこれからそういった体制を整備していく際に参考となる基準を示そう、こういうことでございます。 ただ、これについてはあくまでも参考のためのものでございまして、都道府県の教育委員会を拘束するものではないということを明らかにするために、望ましい基準を策定するという形で規定をしているものでございます。
○小坂委員 大体理解をさせていただいたわけでございますが、次に、地域生涯学習振興基本構想についてお尋ねいたしたいと存じます。 第五条に、都道府県は、域内の特定の地区において生涯学習に資する諸活動を行うことに関する基本的な構想を作成することとしておりますけれども、ここに言うところの「相当程度広範囲の地域」とは、具体的にはどの程度の地域を想定されておられるのか、また、「多様な機会の総合的な提供」、「民間事業者の能力を活用し」といった言葉があるわけでございますけれども、この点につきまして、もう少し詳しくといいますか、具体的に御説明をいただけたら幸いでございます。お願いいたします。
○横瀬政府委員 お尋ねは三点ございまして、まず第一点でございます。 「特定の地区」ということでございますが、これは、この構想の規定自体は一月三十日の中教審答申に基づいて出されているものでございます。中教審答申の方では、特定の周辺地域というのは「日常生活圏」というような言葉を使っておりまして、したがいまして、ある地域に交通機関等を利用して日常に利用できる、そういう地域というのを大体想定しているわけでございます。そういたしますと、普通ですと通常の交通手段で一時間から一時間三十分以内ぐらいで地区に到達できる範囲、大体そんな感じで全体の周辺地域というものの大きさを想定してございます。 それから、その中において比較的中心的な、交通条件が良好であるというような地区を特定の地区として設定いたしまして、その中に教育、文化、スポーツ等々生涯学習の機会を集中的に提供するという事業を展開する、そういう地区を考えるわけでございますが、その地区の規模といたしまして、これもいろいろあろうかと思いますけれども、私どもは一応数十ヘクタールから数百ヘクタールといった程度の規模を想定しているということでございます。 それから、「総合的な提供」という二番目の御質問でございますが、これは先ほど申しましたように、教育、文化、スポーツといったような機会がこの地区に設定されるように、そういうふうに事業が頻繁に集中して行われるようにということでこういう地区を考えているわけでございますので、教育、文化、スポーツということにつきまして、例えば各年齢層の方々が利用できるもの、あるいは教育とか文化とかスポーツとかといういろいろな種類のものが広く行われるというようなもの、そういうようなこと全体を含めまして「総合的な提供」という言葉で表現しているわけでございます。 それから、三番目に「民間事業者」ということでございますが、これはこういった地区をこの構想によって設定するというのは、都道府県が一応その中心になりまして、もちろん関係の市町村と教育、文化、スポーツを経営しておられます民間事業者が一緒になってこういった地区を設定いたしまして、そして、そこでその周辺の住民に対する総合的な学習機会が提供されるようにということでございますので、そういうカルチャーセンターとかスポーツ施設の経営でありますとか、そういうことをしていらっしゃる方を民間事業者というふうに想定をしているわけでございます。
○小坂委員 御説明によりますと、日常生活圏であって時間的な範囲及び面積的な範囲という基準をお示しになりました。教育、文化、スポーツの総合的な機会を提供できる、こういう御趣旨であることは理解いたしたわけでございますけれども、実際の基本構想の承認に当たりましては、申請に基づいてただ地区と地域を単純に指定するのではなくて、例えば私の地元の長野市を例にとりますと、カルチャーセンター的な活動は県民文化会館と呼ばれる施設から駅前にかけての地域に集中をいたしておりますし、また、スポーツ関係に関しては運動公園というものを中心に施設が整備をされ、また、自然教育あるいはスポーツの中でもラグビーとかそういった分類に関しましては飯綱高原といった若干高度の高い方へ集中をいたしておるわけでございまして、そういった意味では非常に広範囲に散在をいたしております。 町づくり運動が盛んになっている今日、このような例は全国にも非常に多いのではないかと推察されますので、中心となるべき特定の地区の選定に際しましては、こういった点を、どこか偏って特定の民間事業者に対して特に配慮がなされるようなことがないように、均衡のある、バランスのとれた中で全体的に真に地域の中核となるような地域を指定されるように御配慮、御指導のほどをお願いいたしたいと存じます。 次にお願い申し上げたい、またお聞きしたいことは、国、民間の事業者のほかに社会教育団体、宗教団体が生涯学習の振興に果たす役割は非常に大きいと考えるわけでございますけれども、この構想の中で、こういった既存の施設や組織を生かして活用する方策を考えるべきだと思うのでございますけれども、これに関しての御見解をお聞かせいただきたいと存じます。
○横瀬政府委員 この構想につきましては、先ほど申しましたように、周辺の相当程度広範囲な地域に居住する住民が利用しやすく、当該地区の事業が総合的に学習の機会が提供されるようなそういう地区を考えているわけでございまして、ただいまお話しのような個々の地域の具体的な事情につきまして十分配慮をいたしましてそういった基準をつくっていきたいと考えておるところでございます。
○小坂委員 今の点につきましては、社会教育団体という点におきましては、過日、全国のガールスカウトの組織の方々とも懇談をいたしたわけでございますけれども、地域に浸透するのにまた経済的にも大変に困難な状況にある、そういうことでございまして、こういった点についても、地域に果たす役割は非常に大きいと思いますので、こういった各種の団体に対する御配慮をぜひともお願いいたしたいと存じます。 生涯学習審議会について若干御質問したいと思いますが、生涯学習といった場合、いろいろな省庁にまたがる施策であると思うわけでございます。この審議会を文部省の中に置くとした理由はどのようなところであるか、お聞かせをいただきたい。
○保利国務大臣 先生御指摘のように多省庁にまたがる問題でございますが、文部省は、御承知のように学校教育、そして社会教育、あるいは文化の振興というようなものを所管をいたしております。そういう意味で、最も生涯学習振興の中心的役割を果たす文部省に本審議会が設置されるということが大変適当なのではないかと考えて文部省所管とさせていただいたわけであります。
○小坂委員 わかりました。そういった点、文部省が主管になっていただくことが確かによろしいかと思うわけでございます。 生涯教育、生涯学習といった言葉があるわけでございますけれども、生涯学習、学習者の観点から自分から進んで生涯を通じて学習をしていく、この基礎は、小学校、中学校を通じた学校教育の中で醸成をされていく部分があると思うわけでございます。そういった観点からこの施設の充実といったものもこれからの課題ではございますけれども、非常に重要な点があると思います。 最近、私どもの地元を初めといたしまして各地の方々から陳情をいただきます内容の中に、小中学校の校舎の老朽化あるいは体育施設の老朽化といったものがあり、また、改築、新築の御要望も非常にあるわけでございますけれども、こういった公立学校の施設整備予算といいますか、こういったものについて今後どのように充実をされ、また、生涯学習の観点からもどれだけの意欲を持って取り組んでいただけるか、大臣の御意見をお伺いできれば幸いでございます。
○保利国務大臣 平成二年度予算、昨日成立をさせていただいたわけでございますが、公立の施設関係の予算が大変減少してきております。それは、児童生徒数の減少等にあわせて減少してきたと私は心得ておりますが、しかし、先生御指摘のように、古い校舎がたくさんあるとか、それを早く直すべきであるというような御陳情は私自身もまた承っておるところでございまして、公立学校の施設の整備については今後とも特段の力を入れていかなければなりませんし、これから始まります平成三年度の予算編成に当たっての一つの大きな眼目といいますか着目点の一つだと私は心得てこの充実に努力をしてまいりたい、こう思っております。よろしくお願いをいたします。
○小坂委員 ありがとうございました。大臣のそのお考えをもってぜひとも、生徒数が減少する中ではございますけれども、施設の充実強化に御尽力をいただきたいと存じます。 時間も残り少ないわけで、最後に、一九九八年開催予定の冬季オリンピックの長野招致運動についてお伺いをいたしたいと存じます。 生涯学習の一環としてのスポ!ツの振興に関しまして、オリンピックの開催は大きな役割を果たすものと考えるわけでございます。ぜひとも招致実現を図りたいと考えておりますので、また、大臣には既に種々御高配を賜っているところでありますけれども、この点につきまして、聞くところによりますと、今国会で長野招致に関連し国家的な運動の推進のため国会決議をすべく準備中との話もあります。文部大臣におかれましては、この招致運動の絶好の機会と思われます、今秋九月に東京で開催されますIOCの総会に際しまして具体的にどのような取り組みをされるか、また、何かその戦略といったものもあればお聞かせをいただきたいと存じます。
○保利国務大臣 大分以前のことになりますが、札幌の冬季オリンピック、日本国じゅうが沸きました。あの感激をまた再び長野で開催することによって日本にもたらし、そして日本のスポーツ振興等に寄与していきたいという非常に強い願望を私自身も持っております。 そこで、五月十一日に、閣議におきまして閣僚全員で長野招致に対して協力することを申し合わせをしております。それから、先生御指摘のように、本年九月に東京で開催されます第九十六次のIOCの総会、これが非常に効果的な招致の機会であるというふうに考えまして、この総会が円滑に開催されるように日本オリンピック委員会に対する所要の補助金を平成二年度の予算で計上をいたしたりしております。 さらに関係機関、特に外務省でありますが、外務省も加賀美前国連大使を招致活動支援の事務に充てていただきまして、そして協力体制をとっていただいております。等々いろいろなことがございますが、本年九月に行われるこのIOC総会を絶好の機会ととらえまして、私も大いに長野招致について宣伝をし、これが成功するように今後とも努力をいたしてまいりたい、このように思っております。 また、御地元におかれましても、いろいろ体制整備等御協力をいただきますように、ぜひともお願いを申し上げたいと存じます。
○小坂委員 大変に意欲的なお言葉をいただきまして、その夢をぜひとももう一度という大臣の御熱意に私も感銘を受けたわけでございます。 ぜひとも子供たちの気持ちを酌んでいただきまして、この招致に当たりましては、長野県内を初めといたしまして、私どもの開催地であります長野市、そしてまた山ノ内町あるいは白馬村、これに限らず小中学校の子供たちは毎日夢を絵にし、また作文にし、そしてその思いを募らせているわけでございまして、こういった若者の夢を実現することが、やはりスポーツに対する理解を促進し、また同時に、世界の人々との交流を通じてこれからの国際化社会への人材の育成に多大な貢献をするものとかたく信じてやまないわけでございまして、ぜひとも皆様にお願いを申し上げて、ともにこの国民的な、また国家的な運動の展開をもって、今回、一九九八年にはぜひとも長野で冬季オリンピックが開催できますように、そしてまた二十一世紀の入り口にあって、二十一世紀の健全な社会の育成のために大きな貢献ができますように、その夢の実現にぜひとも御協力をお願いしたい。ただいま外務省の支援施策についてもお言葉がございましたけれども、ぜひとも文部省としても人材を派遣していただく等具体的な協力体制の整備をお願いできれば私どもも大変に力強いと思うわけでございまして、私も招致委員会の一員として、大変恐縮ですが、この機会にお願いを申し上げる次第でございます。 時間もなくなってまいりました。それではこれで質問を終えたいと思いますけれども、大変に若い意欲的な大臣として非常に名前が出てくる機会が多いわけでございまして、この保利大臣を旗印として、文部省におかれましては、この生涯学習、また冬季オリンピックの招致の実現の機関車役として大きな活躍をしていただきたい。心から祈念をして、またそういった気概を持って省員の方々すべてが活躍していただくことが明るい日本の将来を築くことになると思います。ぜひともそういった活躍を期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○船田委員長 次に、佐田玄一郎君。
○佐田委員 私は自由民主党の佐田玄一郎でございます。 引き続きまして、生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案について御質問をさせていただきます。 私、大変恐縮なんでございますけれども、私の県であります群馬県でも生涯教育センター、そういうことが県の主導によりまして一生懸命今やられておる。そういう中におきまして我が県でも二十一世紀に向けては六十五歳以上が一・五倍になる。非常に医学の進歩の中で、もう全国的にも世界的にも日本の平均寿命というのはトップである、そういう中におきまして学習意欲も非常に盛んである。また、他面におきましては、非常にいろいろなことで学習の機会を失った方々もいらっしゃる、そういう方々すべてに対して広範な教育をやられるこの施策に対しまして、私は真の教育ではないか、このように思っておるわけでございます。 そういう意味におきましては、生涯学習の振興は、あらゆる分野において学習への欲求を高めつつある国民の一人一人の願いにこたえる極めて意義深い事項であり、この推進に当たっては国、地方それぞれが学ぶ主体である国民のニーズにこたえて適切な施策を行うべきであると私は思うわけでございます。 その中におきまして、地方公共団体、いわゆる国民、地方の方々に直接接する方々がこれから非常に私は重要になってくるのではないか、そういう意味におきまして、生涯学習の振興方策をどのようにお考えか、まずもってお伺いさせていただきたい、かように思うわけでございます。
○横瀬政府委員 地方公共団体が生涯学習について直接住民に対していろいろな振興方策をやっているわけでございまして、またそうした地方公共団体の行う事業に対しまして、私どももいろいろと振興施策をもってこれまでも実施をしてきたわけでございます。 現在、すべての都道府県におきまして生涯学習関連施策の連絡調整を行い、あるいは連携協力を促進するというようなものの組織といたしまして生涯学習推進会議といった組織がございまして、すべての都道府県で設置されております。 それから、それぞれの都道府県におきましては、その県内の広域的な生涯学習の推進のために、指導者の育成とか学習情報の提供でありますとか、あるいは高度な各種の講座の開催というようなものをみずから実施をしておりますほかに、管内の市町村への援助、指導というようなことを大体すべての都道府県が行っているところでございますが、今先生が御指摘ございましたように、群馬県では大変立派な生涯学習センターができておりますけれども、こういうような幾つかの事業を総合的に実施をし、あるいはその地域の生涯学習の拠点となるようなそういう施設といたしまして、生涯学習センター、これはいろいろな名前をつけておりますけれども、生涯学習センターといったような名称で設置して、一元的に集中的にそういった事業を展開している都道府県が十四都道府県ほどございます。 それから、市町村におきましても、これは当然より住民に身近な自治体といたしまして、この中には大変熱心に生涯学習を進めている、町づくりなどの推進体制を整備している市町村もございます。それぞれ社会教育施設や文化施設などを集中的に整備を図って総合的に生涯学習の機会を提供するというような努力をしているところもたくさんあるわけでございます。 こういうような地方公共団体の行っております生涯学習の現在の振興の実態と、それから我が文部省の方で行っておりますそれに対する助成といいますか、それをさらに指導、援助していくといった現在の実態について申し上げたわけでございますが、それらについて全体的な推進体制を今回国と地方にわたりまして確立するというような趣旨をもちましてこの法案を提案してお願いしているところでございますので、どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。
○佐田委員 ただいまの御答弁で私も安心いたしました。と申しますのは、私どもの県の群馬県におきましては、本当に県が中心になってやっておる。そういう中におきまして、生涯学習の重要性を考えた場合に、広範な意味の教育ということを考えますと、やはり国と県との連動ということは非常に私は大事ではないか、このように思うわけでございます。 次の質問に入らしていただきますけれども、本法案では、生涯学習の振興に資するための都道府県教育委員会の事業等についての内容が含まれ、都道府県で行う体制の整備について規定されていますが、都道府県がその都道府県全域にわたる生涯学習の振興のための方策を講ずることは極めて重要であろうと私は思うわけでございますけれども、生涯学習の振興に資するための都道府県の体制として定められた各事業の具体的な内容と申しますか、お聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
○横瀬政府委員 ただいま御指摘の都道府県の生涯学習を推進する事業の体制についてのお尋ねでございます。これは、本法案の第三条第一項に六号の号がございまして、そこに列挙しておるわけでございます。これが私どもとして都道府県において、都道府県の教育委員会が中心になって整備に努めるべき生涯学習推進の事業であるというふうに考えているわけでございます。 これをもう少し詳しく申し上げますと、まず第一といたしまして、講座とか施設とか指導者というようなことに関して、学習情報を収集して整理して提供する。これは管下の各地域において行われていろいろいろな講座、イベント、事業といったものにつきまして、それぞれ情報を住民に提供するサービスをする、こういうことでございます。 それから二番目に、学習意欲や希望する学習内容などについての学習需要を調査する、あるいはこれはまだこれからなかなか難しい点があるわけでございますけれども、学習した成果の評価をどのように活用するかということについて調査研究をする、そういったことでございます。 三番目に、その結果といたしまして、住民が自己に適した学習を効果的に行えるような学習内容とか学習方法の開発の問題でございます。 それから四番目に、学習に関する指導者、助言者に対しまして生涯学習に対する理解を図るための研修を行うということ。 それから五番目に、管下の学校、社会教育施設あるいは団体等々いろいろな生涯学習に関する機関、団体がございますが、それらに対しての相互の連携に関しまして照会や相談に応じたり、あるいは助言や援助を行うというようなことでございます。 最後に六番目といたしまして、これは社会教育等のことが多いと思いますけれども、非常に高度なもの、あるいは先導的な内容のものというものは、各市町村でそういう講座を開くことはなかなか難しいものでございますから、そういったものについては都道府県自身がみずから開設をする、あるいは生涯学習に関する啓蒙書でありますとか事例集の作成、配布をいたしまして、管下の市町村あるいは機関に対する参考に供する、こういったようなおよそ六つ、ここに掲げてございますけれども、そういった内容の事業が具体的に展開されることを願っているということでございます。
○佐田委員 なかなか細かい説明、ありがとうございます。 私も、この生涯学習につきましては、先日来群馬県の資料をいただきまして研究をさせていただいておるのです。私、大変認識不足で恐縮でしたけれども、生涯学習センターで行われていることは一般的な趣味の会や限られた有志による勉学の場、そう考えておりましたらそうではなくて、非常に広範な、今御説明もありましたように人材の情報であるとか、または団体の情報、事業の情報、施設の情報、催し物、見学等々いろいろあるわけでございます。 そういう中におきまして、本当にもう具体的にこれから事業も進めていかなくてはいけない。これはちょっと突っ込んだ話でございますけれども、それらの具体的な事業は現在どんな形、どんな運営というか、そういうことをちょっと詳しくお伺いしたいのですけれども、よろしくお願い申し上げます。
○横瀬政府委員 ただいま申し上げましたような事業というものは、既に大体各都道府県の教育委員会が中心になりまして、それは都道府県によって程度はさまざまでございますけれども、何らかの形でどれかはやられているものでございます。ただ、そういったものの中でこの事業について、この法案にございますように集中的に一体的に事業として行う施設といたしまして、先ほど小坂先生の御質問にお答えしましたように、いろいろな名前がございますけれども、生涯学習センターといったような名称の施設を設置いたしまして、それで各号に掲げてあるような事業を集中的に行っているというような都道府県が既に、これは群馬県は大変よくできているわけでございますが、群馬県を初めといたしまして十四の都道府県で実施されているというのが実態でございます。 その中で最も重要なのは、第一号にございます学習情報の収集、整理、提供という事業でございます。通常は市町村等で行われております各種の事業、これはたくさんございますので、それらをコンピューターシステムによりまして収集、整理、提供ということをやっているというのが多うございまして、こういう学習情報のシステム化というようなことが進められているというのが一番多い事業でございます。また、かつ重要な事業でございます。その他、先ほど申しましたような研修でありますとか学習方法の開発でありますとかあるいは評価に関する調査研究でありますとか、いろいろな事業を、これは各生涯学習センターの発達の程度といいますか充実の程度によって大分違いますけれども、それぞれ行っているものでございます。 そこで、この法律の第三条の規定によりまして、こういうような体制が各都道府県それぞれまだ未整備のところについてもすべてについて整備が促進されますように、それから現在十四ございますセンターも、これも先ほど申しましたようにそれぞれの施設によって実は機能がかなりさまざまでございますので、そういったものが、全部で六号にわたって掲げてございます事業がそれぞれ十分事業として展開されますように、それぞれの都道府県において努力をいただきたいというのがこの第三条を設けました趣旨でございます。
○佐田委員 ただいまの答弁の中で、地方とのきめ細かいこれからのネットワークというのが本当に大事になってくるのではないかと思うわけでございます。 次の質問に移らせていただきますけれども、地域生涯学習振興基本構想について質問をさせていただきます。 これはネットワークにもかかわってくることでございますけれども、正直申しまして、地方においては大都市とはちょっと違いまして非常に情報並びに教育、文化の差異が出ておる。世界的なレベルのスポーツの試合、コンサート、演劇など多様かつ高度な学習に触れる機会に恵まれておらないわけでございます。そういう中において、地域生涯学習振興基本構想によりまして、現在は非常に多極分散の中で格差をなくす、民間導入も取り入れながら広範な学習に寄与していく、そういう意味におきましては非常に大事なことではないかと私は思うわけでございます。 そういう意味におきましては、要するにこの構想が文部大臣並びに通産大臣の所管であるということにおきまして、これは私の勝手な想像でございますけれども、地域に対する活性化に言及する、そういう観点から通産大臣にも言及していると私は思うわけでございますけれども、その辺の内容をお聞きしたい、こう思うわけでございます。
○保利国務大臣 この法案につきましては、先生御指摘のとおり文部大臣と通商産業大臣が共管大臣になっておるわけでございます。これは、先ほどもちょっとお話を申し上げましたが、文部省はいわゆる学校教育、社会教育等あるいは文化の振興というような観点から文部省がこれを主管をするということについては当然のことだと存じておりますが、通商産業省がこれにかんでおりますことは、民間事業者の能力も活用をしながらそういったいろいろな学習活動をする、そういう機会を総合的に提供する、そこへ力をかしていただくというような意味をもちまして民間事業者の活力の導入ということを図りますために、通商産業大臣にも共管者になっていただいて両省協力をしながら幅広く生涯学習の振興のために施策を進めていきたい、こういう観点で共管になっていただいておるわけであります。
○佐田委員 第三セクター並びに民間事業の導入、これは非常に大事なことであろうと私は思うわけでございます。しかしながら、先ほどの御説明にもありましたように、全国的にも十何カ所ぐらいしか生涯学習センターもない、そういうことを考えますと、民間と地方自治体が合致してこれを進めるということはなかなか難しい部分がある。また、生涯学習センターを設置してもそれが順調に運営できないのではないかという懸念があります。ですから、こういうものを加速するというのも国の仕事ではないか、私はかように思うわけでございます。 そういう意味におきまして、本法案の中に税制上の優遇措置ということが書かれておるわけでございますけれども、その優遇措置の概要について御説明いただきたいと思うわけでございます。
○横瀬政府委員 この地域生涯学習振興基本構想におきましては、当該地区に民間の教育、スポーツ、文化の事業を経営している方々、いわゆる民間事業者の参加を得て、そこで計画的、継続的に総合的な生涯学習の提供事業というものが行われるように国が指導、援助を行うとともに、これらの民間事業者のために支援業務を行う民法法人を設けることといたしまして、それが全体が相まってこの地区における総合的な学習機会の充実が図られる、こういうようなねらいを考えているわけでございます。 そこで、お尋ねの税制上の優遇措置でございますが、これはただいま申しましたこの地区に関して支援業務を行う民法法人がその業務を行うのに必要な基金を造成するために民間事業者が出捐を行う場合に、租税特別措置法の定めるところによりましてこの出捐額の全額が損金に算入されるという特例措置を講じようという内容でございまして、それによって、この民法法人は、一つは債務保証といったような財政上の支援業務、もう一つは、ここに参加する従業員の研修でありますとか、この地区の広報活動でありますとか、あるいはこの地区に関してどういう住民の学習需要といいますか、その希望を持っているかというような学習需要に関する調査研究でありますとか、そういうこの地区全体で教育的と考えられる事業を一方で行 うということによりまして民間事業者及びこの地区全体の支援を行う、そういう考え方でございます。
○佐田委員 ただいまの答弁にもございましたように、広範囲な学習という観点から考えますと、これからは民間、そして地方公共団体が一致して生涯学習について推進することを希望するわけでございます。もちろん前提となるのは、国が中心となってネットワークをつくり、そして日本全国に広げていくということが基本であろう、私はかように思うわけでございます。 そういう中におきまして、また私ごとで恐縮ではございますが、今のところでは群馬県が中心でやっておるわけでございますけれども、先ほどもございましたように、これから広がることについて非常に大事なのが地域生涯学習振興基本構想であろうと私は思うわけでございます。これをどんどん進めるためには、先ほどの繰り返しになろうかと思いますけれども、これから文部大臣または通産大臣はどのような推進体制で支援していくのか、この辺をお聞きしたいと思います。
○横瀬政府委員 地域生涯学習振興基本構想を円滑に実施していくための方法といたしまして、一つは、先ほどお尋ねがありお答えいたしました税制上の優遇措置でございますが、もう一つは、文部大臣及び通商産業大臣がそれに対して援助、指導していくということについてでございます。 それで、これにつきましては法案の第八条第二項以下に規定が一応されておりまして、まず文部大臣は社会教育関係団体への協力依頼、それから博物館資料等の貸し出し等を行うということを予定しているわけでございます。 それから、通商産業大臣につきましては、地域における民間事業者の組織でございます商工会議所あるいは商工会への協力要請を行うということを規定してございます。 その他、これは第四項になろうかと思いますが、文部大臣及び通商産業大臣は基本構想の作成及び実施のために関係地方公共団体に対して必要な助言、指導、援助を行うという規定になっておりますけれども、具体的には生涯学習の振興にかかわる情報の提供でありますとか、あるいは教育、スポーツ、文化等にかかりますイベントの優先的な開催でありますとか、あるいは専門家の、これは講師とかその他指導者の優秀な者の紹介、あっせんでありますとか、あるいは中小企業金融公庫等の既存の財政投融資の積極的な活用、その他予算措置の積極的な活用等が考えられておりまして、これらを総合的に行うことによりましてこの基本構想の円滑な実施が図られるように努めてまいりたいということでございます。
○佐田委員 ありがとうございます。 ただいまもありましたように、繰り返しになりますけれども、ネットワークというのは非常に大事であろう。私は群馬県の生涯学習の今の状況を調べましたところ、パソコンによっていろいろと市町村をつないでおるわけでございますけれども、予算の関係等もございましてなかなか全地域にわたってこれをつなぐことができない。私は、群馬県なものですから、山間部であるとか、または過疎地が非常に多い。私は、むしろ格差を考えるならばここにつなぐことが一番の是正ではないか、そして、教育の基本ではないかと思うわけでございます。 私、これからお聞きすることはそのちょっと上部のことでございますけれども、本法案におきましては、都道府県生涯学習審議会及び市町村の連携体制ということが言われておりますけれども、生涯学習の振興のための施策は住民の密接な都道府県や市町村こそが重要と私も考えております。都道府県及び市町村において体制を整えることは大きな意義があると私は考えるわけでございますけれども、要するに、都道府県生涯学習審議会を置くことができるとした理由ですけれども、その辺をお伺いいたします。
○保利国務大臣 現在も都道府県の中にはいろいろな連絡調整でありますとか施策の企画などを行います生涯学習推進協議会というようなものが設けられておるわけでございます。この法律の中ではそうした連絡調整等を行う機関として都道府県段階での審議会を設けていただくということを規定いたしておりますが、しかし、これはあくまでも都道府県の自主的な判断で行っていただくという意味において、これを法律の中では一律には義務づけておりません。そういう中でいろいろな連絡調整役をしていただき、あるいは教育委員会でありますとかあるいは知事でありますとかに生涯教育、生涯学習に関しますいろいろなことについて調査審議を行い、そしてそれを建議していくというようなことで都道府県生涯学習審議会が規定をされておるということでございます。 先生今御指摘のように、いろいろな各地への連絡でありますとかそういうことはこれから県の中を考えてまいりますときに非常に大事なことだと思っておりますので、この審議会等で十分論議をされるということを期待いたしております。
○佐田委員 本当に心温まる答弁ありがとうございます。 そしてまた、私はこの審議会というものが強制的でなくやはり各地域のいろいろな状況、予算の関係もございますけれども、そういう中で置かれていくということに対しまして非常に弾力的ですばらしいことではないかと思うわけでございます。 次の質問でございますけれども、この審議会にかかわることでございますけれども、この審議会というのは結局いろいろな教育課程の中で考えている中で非常にダブってくることがあるのではないか、そういう中におきまして、県の教育委員会であるとかそういうふうな形で置かれるのかどうか、また置くべきなのかどうか、その辺を私お聞きしたいと思います。
○横瀬政府委員 都道府県の生涯学習審議会につきまして今大臣から御答弁申し上げましたように、法律案の第十一条におきましては、都道府県の生涯学習に関する施策全般にわたって審議対象にするということになっておりまして、具体的にはその各都道府県の条例によりまして審議会の組織及び運営等について、つまり審議会をどう設置し、どういうふうに運営していくかということについては、各都道府県の実情に合わせてやっていくという選択が都道府県でできるような規定になっているわけでございます。 それで、これは先ほど大臣からも申し上げましたように、現在、生涯学習推進協議会といったような機関が各都道府県に現実に置かれておりまして、その中でやっております業務というものはこれも都道府県によってさまざまでございます。おおむねその都道府県で行っております各生涯学習に関する施策の連絡調整あるいは連携協力関係を促進するということが主なものでございます。 そういうふうに、都道府県におきましては各教育委員会と教育委員会だけでない、その教育委員会以外の各部におきましてもいろいろな具体的な住民に対する施策が行われていて、それの連絡、連携、協力、重複関係を是正するというようなことも含めまして調整関係を行うという業務が一番多いというようなこと、あるいは現在その生涯学習連絡協議会が知事部局に置かれておりましたりあるいは教育委員会に置かれておりましたり、その実態も都道府県によってさまざまであるというような実態もございまして、これを今回のこの法律案によってある程度制度的に定着させた安定したものにするというのが今回の中教審の答申の趣旨でもございますので、そういった方向で規定したのがこの法案の第十一条でございます。 ということで結論的に申し上げますと、都道府県の生涯学習審議会をどこに置くべきかということは、結局それぞれの都道府県の実情によって置かれるべきだということで、国としてどこに置くべきかということを限定、制約しなかったというのがこの法案の考え方でございます。
○佐田委員 そろそろ時間もなくなってきましたので、ちょっと疑問に思ったことがありまして、私も審議会は非常に大事であろう、ただ、その中において市町村には審議会を置くということは規定されていないという点がこの法案に書いてありますが、この辺のことをちょっとお伺いしたいのですけれども。
○横瀬政府委員 市町村につきましても教育委員会その他各部に置かれている生涯学習に関する施策についての整合的、一体的な展開を行う必要というのは当然あるわけでございますけれども、各市町村はまだ規模、実態がさまざまでございまして、都道府県のように、置くとすれば生涯学習審議会を置くという規定にするにはややまだ実態がそれに伴っていないというふうに考えまして、この点についてどういう組織にするかということも市町村の自主的な判断に任せることにいたしまして、それでその機能といたしましての関係機関及び関係団体との連携協力体制の整備についての努力を行うということについての規定を第十二条でございますかに置いて、市町村についても同様の機能が果たせるように考えたわけでございます。当然この規定によりまして市町村が生涯学習審議会という名前の審議会を置くことも可能であるわけでございます。
○佐田委員 時間もなくなったようなのですが、今の答弁におきまして本当に各山間地、そしてまた過疎地まで教育の光が及ぶようなことを私も期待するわけでございます。 これは決して質問ではございませんけれども、私の所見というか考え方でございますけれども、今なぜ生涯学習か、そういうことを考えましたときに、私はやはり基本に置かれるのは都市と地方との経済、情報、そして教育の格差が今生まれつつあるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。 そういう意味におきましては、我が群馬県、大変手前みそで恐縮ではございますけれども、関係当局の熱意と努力もあって生涯教育に対するハード面、ソフト面とも進んでおると自負しております。生涯学習センターをつくって、そしてまた非常に活発に今稼働しております。そういう中におきまして学習された方々、そしてまた学習しようとする方々が非常に期待しております。そういうことにかんがみますと、すべての年齢層を対象に過疎地でもそしてまた都市においても広範な教育がなされることが必要である、私はかように思うわけでございます。 また、今教育を語るときに、問題点の一つに学歴偏重のことが取り上げられます。一朝一夕には学歴偏重の問題の解決はむずかしいでしょうが、そして長期的に希薄にしていくにはこういう生涯学習というのがこれから重要になってくると私は思うわけでございます。 そういう意味におきまして、大臣、そして関係各位の皆様方にこの法案が通りますように本当に心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。本当にきょうはありがとうございました。
○船田委員長 次に、薮仲義彦君。
○薮仲委員 私は、大臣初め関係の皆様に、生涯学習振興のための施策の推進体制、このたびの法案に関係しまして幾つかの課題について文部省の考え方を確認させていただきたいと思うわけでございます。 そもそもこの生涯学習が具体的になってきましたのは、もう御承知のように、昭和五十九年に臨教審が発足しまして第一次の答申から第四次の最終答申に至るまで論議がなされました。そのとき、教育の現状を改革するために、二十一世紀を目指して生き生きとした活力と創造性、さらには豊かな人間性の回復を目指すすばらしい教育のあり方、さらにはこれからの国際化、情報化、人生八十年という高齢化時代を迎えて人生の一時期に集約された学校教育というものから解き放たれて生涯にわたって伸び伸びと、それは何回も人生にあるいはまた職業に挑戦しながら生きていけるようなすばらしい希望に満ちた社会の体制になってほしいな、こう期待しつつ、私は、臨教審すべてを是としたわけではございませんが、その審議をずっと見守っておった一人でございます。 そして、当時を思い起こしますと、問題になっておりましたのは、教育の荒廃という言葉が我々この国会の場でも何回も言い尽くされました。我が党も、浅井副委員長を中心にこの教育のあり方をどうすべきか、私もその中の生涯学習ということの研究に、というよりもそのグループに入って勉強した関係で、この問題は私の非常に関心の深いことでもございます。当時、日本の国の中で言われておったことは、校内暴力、陰湿ないじめあるいは青少年の非行、こういうことを問題として、この解決のために教育はどうあるべきか、そういう大きなうねりが社会問題としてクローズアップされておった時代であったと思うのでございます。 そのとき、第一次答申あるいは第二次答申の臨教審の答申を見てまいりますと、当面解決すべき重要な課題としてまず第一に挙げたのは何であったか。また、現在もそうでありますけれども、改革の現状認識としての第一項目は、いわゆる教育の荒廃の背景には学歴偏重のこの社会があるのじゃないか、あるいはオーバーヒートしている受験戦争の実態があるのじゃないか。そして教育の現場では、輪切り偏差値という、大学の序列化に始まり一切の子供を成績によって序列化してしまう。教育基本法で言うところの本当の人格の完成、頭のいい子もそれは優秀かもしれない、しかし伸び伸びと気立てのいい子を育てていこう、そういうことの大きな弊害になっている輪切り偏差値を是正しなければならぬ。 そして、大学の受験ということが高校の普通課程のカリキュラムの中で、大学の受験科目が決まると高校の受験のシステムが決まってきてしまう。上から下まで、幼稚園からさらにはその下まで、大学受験で教育が左右される。余りにも行政というものが、教育の肥大化といいますか、そういう表現を臨教審はよくしておりましたけれども、このことによって教育自体がひずみ、ゆがんでいるのじゃないか、こういう問題の指摘があったわけでございます。 その時点で真っ先に叫ばれたのは、生涯教育。学校教育などというものは、その生涯教育の一通過点といいますか、一つの期間であるという位置づけにして、グローバルな人生の中でのすばらしい教育の環境を日本の国の中につくっていかなければならないのだな、こういう問題意識を私は持っておったわけです。 なぜ私がきょうこういうことを申し上げるかというと、あれから約六年たっているわけです。あのとき国民的課題として生涯学習を叫んで、六年たってようやくか。また今、きょうスタートですから。このとき、ロケットならいわゆる発射台です。大臣は何を考えてこの生涯学習に取り組もうとしていらっしゃるのか。この法案を見てみると、基盤とかいろいろ出てきますけれども、大事なものは行き着く到達点、それを私はきょうはっきり伺っておきたい。 スペースシャトルも、スタートの一瞬のタイミングが狂えば宇宙のかなたに吹っ飛んでいって再び帰ってこない。今やろうとしていることは、日本の国の生涯学習のスタートの寸分狂わない目的をはっきり定めて、何のためにこの生涯学習をやらなければならないのか、どういうふうな日本の社会にしていくのか、後世に禍根を残さないために、細かいことはさておいて、生涯学習法でねらいとし、日本が、また文部省がその中でどういう立場で何をやろうとしておるのか、明確に大臣の御所見を伺っておきたいと私は思うのです。 そこで、懸念いたしますのは、先ほども申し上げましたように、この臨教審のメーンテーマは学歴社会の是正だったはずです。一次答申をきょう持ってきました。四次答申まで私はもう一回読み返してみた。受験戦争のオーバーヒートを是正しよう、こういうことをうたわれておったのです。先日、私は大臣の生涯学習の振興のための法律の提案理由の説明をここで伺いました。私は決して悪意で言うわけじゃありませんけれども、このスタートのときに大臣の決意が、あのとき国民的課題として臨まれたことが、本当に一言半句もこの中からは出てこないとは言いませんけれども、具体的な表現として聞き取りにくかった。その確認の意味で私は冒頭にお伺いしたい。 趣旨説明の中では今申し上げた学歴社会の是正であるとか子供をゆがめるような教育環境を何とか変えていこうということが一番肝心であったわけでありますし、また、この臨教審が終わった後、昭和六十二年十月六日の「教育改革に関する当面の具体化方策について 教育改革推進大綱」、これは閣議決定ですね。私はこれをもう一回見直してみた。こう書いてあるのです。「今次教育改革の推進に当たっては、臨時教育審議会答申に示された教育の基本的在り方及び教育改革の視点を踏まえつつ、広範多岐にわたる諸提言について相互に関連及び既存の施策との整合性等を図りながら、」推進することとうたってある。 しかも「生涯学習体制の整備」の項目の方ではっきりと書いてあるのですよ、閣議決定の中に。「社会における学歴偏重の弊害を是正するため、総合的観点から、企業・官公庁における採用人事の改善等に努めるとともに、公的職業資格制度の改革等により生涯にわたる学習の成果が適正に評価される社会の形成に努める。」これは閣議決定の文章ですから、我が党の文章じゃありませんよ。 しかも、この閣議決定の一番最後の部分、七番目に「教育改革の推進体制 臨時教育審議会答申を受けて講ぜられる諸施策の速やかな実現を図る観点から、政府に教育改革推進のための機関を設置する。」八番として「その他 臨時教育審議会の答申において提起された上記以外の改革提言については、答申の趣旨に沿って具体化方策の検討を進め、逐次実施に移すものとする。」 この閣議決定はあくまでも臨教審の精神にのっとっている。明らかに生涯学習社会の大きなポイントはこうですよということをうたってスタートをしたのではないかなと私は思うのです。今度の提案理由には具体的にうたってはいないけれども、大臣の決意はそのとおりだろうと思うわけでございます。 この法案の趣旨説明の中に、今閣議決定にもあるように、また国民が最も望んだのは、学歴偏重の社会をなくしてほしい。伸び伸びとした人間教育の社会を、個性豊かな教育の現場をつくってほしい。いじめや陰湿なそういう校内暴力のない教育の環境にしてほしい。大臣も先般選挙の洗礼を受けてこられた。選挙民の奥様方に会うと、多くの方は必ずこのことを言ったと思うのです。受験戦争を何とかなりませんか、嫌ですね、もっと伸び伸び遊ばせてくれませんか、そして本当に子供が豊かにはぐくまれるようにと。きょうも質問いたしますけれども、今、中学生あるいは小学生、高校生のドロップアウトが最も多いわけです。こういう問題もお母さん方の悩みです。 そうすると、やはり生涯学習ということが、それは言っていることは多少は違ったとしても、今の教育のゆがみを是正して豊かな日本の教育の現状あるいは社会の教育の現状、人生の長いスパンでの何回でもチャレンジできる教育のあり方を築いてほしい。しかもまた高度情報化社会ですから、昔習ったことがこれから役に立つかどうかわからない、そういう意味でのリカレントエデュケーションも非常に重要な課題なんです。それをみんなが期待しておるのに、大臣の所信は短かったかもしれない、でも私は本当に胸を打つ期待感というものにこたえてほしかったと思うものですから、冒頭に余分なことを言いますけれども、大臣の決意を伺ってから質問に入りたいと思います。
○保利国務大臣 私の所信あるいは趣旨説明等におきまして、表現が不十分でございました場合にはお許しをいただかなければならないと思います。今委員から御指摘をいただきましたことは私自身も同じことを考えております。 そこで、私はやはりこの学歴偏重といいますか、その傾向があることについては否定できないと思っております。しかし、このことについては私は二つのことを考えなければいけないと思っております。一つは、今現在どこの学校を出ようとも、その人が持っている能力、そしてまた人格というものが正しく評価をされるという社会になっていかなければならないであろうということがまず第一点であります。その次は、この法案でもお願いをいたしております生涯学習というものを通じて常に新しいものを吸収をした、その吸収した成果というものが正しく評価される社会ができていかなければいけないだろうと思っております。 したがいまして、これは教育でありますとか学習でありますとかの問題の前に、そういう受け入れ側の社会体制の改革ということも必要かな、あるいは意識の改革が必要かなということを思っております。これはひとり文部省だけではなくて、内閣全体としてあるいは国全体として取り組んでいかなければならない問題だろう、このように大きな意味では認識をいたしておるわけでございます。 そこで、この法案の審議をお願いをするに当たりまして、やはり生涯学習をまずしていただく、そして最も新しい知識を得ていただく。日進月歩のこの世の中でありますから、そういう生涯学習の推進を行い、さらにその学習をした成果が正しく評価をされる、そういう社会をつくり上げていく、これがいわゆる生涯学習社会を築くとうたい上げておるその趣旨だろうと私自身思っております。 したがいまして、この法案は具体的にどのようにしてその地域その地域における生涯学習の基盤を整備していくかということを規定をした、あるいは決める法律ではあります。しかし、その背景には、先生今御指摘のような事柄が含まれておるもの、そしてまたそれを実現していかなければならないもの、まさに閣議決定のとおりの方向づけが背景にある、そして我々はそのことについてきちんと意識をして、この法案についてお願いしなければいけないのだと私自身はっきり思っておりますので、そのことを冒頭申し上げさせていただきます。
○薮仲委員 党内で論議したと申し上げましたけれども、臨教審の答申の中で、生涯学習はいつでもどこでもだれでもという表現になっているのです。確かにいつでもどこでも、日本国じゅう、北海道であろうと四国であろうと、先ほどの委員が言った、山の中であろうと町であろうと、学問に触れたいな、勉強したいな、これは生涯学習というのは個人の自律を求めているのですから、やる気のある人はいつでもどこでもだれでも学べる環境をつくりましょう、これが今度の法案の趣旨であってほしいと私は思います。 そのほかに、我が党はどこからでもということを言っているのです。どこからでもというのは、いわゆるドロップアウトした子供が、小学校、中学校は勉強したくなかったけれども、二十になったら勉強したい、そうなった人を優しく、またいつでも受け入れてくれるような教育体制、環境が私はあってほしい。ですから、我が党の生涯学習は、いつでもどこでもどこからでもだれでもと四つになっている。なぜそう言ったかということは、これから質問する中でだんだん明らかになってまいります。 今大臣の御答弁を聞いて、改めて私は、臨教審の答申すべて是とした立場に全くないのです。ただ、生涯学習の中で提言されている中身は非常に好ましい、受け入れられると思うところがあるわけです。臨教審の一次答申、二次答申が特に生涯学習への移行については審議をしておりますので、そこの中から、最も重要だなと自分の考え方と合致する点で文部省がどうしてくれるのかを具体的に聞いてまいります。これは大臣が直接お答えにくければ担当の局長でも結構でございますので、明確に生涯学習の方向を打ち出していただきたい。 まず、臨教審で言っているのは、「生涯学習体系への移行」というところで「我が国が今後、活力を維持し発展していくためには、学校教育体系の肥大化」――「学校教育体系の肥大化」というのは何回も出てくるのです。「に伴う弊害、とくに、学歴社会の弊害を是正するとともに、学習意欲の新たな高まりと多様な新しい教育サービス供給体系の登場、科学技術の進展などに伴う新たな学習需要にこたえ、学校中心の考え方から脱却しなければならない。」まず多様なニーズにこたえて、学校でなければ教育はできないということではなくて、いわゆる教育の多様化ということもニーズにこたえてあってしかるべし。価値観の多様化で、私はこういう人生を、またこういう人生もという、個性を豊かに伸ばしてあげる、ニーズにこたえる教育環境があってほしい。ただこれは前段で、具体的に聞いていきます。 「第一に、第一次答申で指摘した企業、官公庁における採用人事などの改善」とあります。いわゆる学校歴でやるわけですね、採用を。具体的に言えば、官公庁は上級職公務員の採用のときに、どこどこ大学の法科と、こうくるわけです。それをやめなさい。あれから六年たったのです。官公庁の採用は是正すべきだと言われているですから、文部省みずからここ数年どう是正したか、具体的に言ってください。
○國分政府委員 文部省の上級職、現在I種と呼んでおりますけれども、採用の状況でございます。 国家公務員の採用の枠組みあるいは全体ということになりますと、人事院あるいは総務庁で担当しているわけでございますが、その枠組みの中で文部省、ただいま先生御指摘のような視点から採用方針を定めているわけでございます。もちろん、上級職試験の場合に合格していなければならないわけでございますが、登録者の採用に当たりましては、内部で、出身大学についてもできるだけ特定の大学、例えば東京大学出というような、特定の大学に偏らないように幅広く総合的な観点から採用しようという方針を定めております。 具体的にそれがどのような状況になっているかということでございますが、平成元年度の採用、文部省全体で二十名採用いたしておりますが、国公立大学の卒業者が十三名、私学の卒業者が七名という形であり、大学数で十一大学にまたがっておるという状況でございます。それから、平成二年度の採用におきましては、全体の採用が十九名でございまして、国公立大学が十三名、私学出身が六名ということで、これも大学数でいきますと十一大学にまたがっておる、こういう状況でございます。
○薮仲委員 大臣にお願いをしておくのですけれども、隗より始めよということもございますけれども、今官房長がいみじくも採用試験に受からなければ、こうおっしゃったのです。臨教審で言っている、例えば大学の共通テストの問題、共通テストにしなさいと言ったのは、いわゆる高校時代における修学のある一定のレベルというものに到達していればいいですよという、本来はそういう趣旨なんです。しかし、これも時間があれば徹底的にやりたいのですが、その共通一次のことを全くクイズみたいですよと言う専門家もいるわけです。例えば、後に英語のことをやりますけれども、全く共通テストの英語はクイズみたいだという指摘をする学者先生もいらっしゃるわけです。 さはさりながら、私の言いたいのは、今の官房長の発言の中でも気になるのは、入試改革をしなさい、いわゆる共通テストというのは到達度のテスト、高校までである程度日本の国民として受けるべき教育のレベルには到達いたしました、今度は高等教育へステップをしてください、こういうための一つの、本当にだれでもそんなのは到達できるテストをやって、それがしかし受験産業を見てごらんなさい、その共通テストの、だあっとこれで偏差値が出て、どこどこ大学は何点、どこどこ大学は何点、ぴたっと輪切りでいまだにやっておるじゃないですか。臨教審の言っている大学受験のオーバーヒートを直せということは、共通テストなんというのは、いわゆる高校生として通常に学校へ行けば基本的に学べる知識を持っていればいいですよということをスタートとして我々は認識しているわけです。 また、審議の内容等を聞いても大体そういう感覚で、やはり大学へ行くのですからある程度のレベルがなければだめです。それさえ到達していればいいでしょう。ところが、ここの段階でぱあっと切る、偏差値でこれはもう輪切りになってきてしまう、こういうのを改革しなければならない。 今官房長は試験に受からなければ、そこなんです、問題は。もっと個性豊かな子供を育てるためにはリカレントエデュケーションも、きょうスウェーデンの資料を持ってきていますけれども、実社会に出て、二十五歳以上で五年間の職業経歴があればどうぞお入りください、後で質問しますけれども、これも非常に重要なことなんです。 同じように、輪切り偏差値、学歴社会を直そうとしたら、まず上級職の採用のところ、そこのところで文部省が、例えば大臣が面接して、これはおもしろいな、これは個性のある、将来の文部行政を担うにふさわしい、いらっしゃい。今人事院がやっていますから、そんなことはできないかもしれないけれども、生涯学習のためには、文部大臣として人事の採用のところからもっと踏み込んでいって、国の上級職の人間はもっと生きのいい、すばらしい、頭のいいのもいいけれども、いろいろな活力のあるのを集めてこようというぐらいに、まず上級職の壁を取っ払うために大臣が本気になってやるかやらないかから始まると私は思うのですよ。 そして、文部省は、学歴なんか構わない、本当に実力のあるのが出てこいというぐらいの、それも暴論かもしれませんけれども、ある意味ではそうやってまず上級職の壁を打ち破る。むしろ民間はその壁は徐々に破れていますけれども、まだ指定校制度があるのです。問題になっているのです。でも、徐々に徐々に変えていこうという空気をやはりこの上級職のところから、特にある官庁はどこどこ大学の法科を出てなければ事務次官にいたしません、これが不文律になっている官庁があるのですよ、名誉のために申しませんけれども。これは、ここにいる諸先生はみんな知っていると思います。大臣なんかよく御存じです。そういうところからやはり学歴偏重の社会を是正しましょう、臨教審の答申にあったのです。これは私が今ここで大臣にすぐやれと言ったって無理なのは承知ですから、十分踏まえて、この問題はたくさん指摘したいことがあるもので、このことを一つ指摘をしておきたいと思うのです。 それから二番目、さっき大臣がおっしゃいました、これは非常に大事なんです。「人間の評価が形式的な学歴に偏っている状況を改め、どこで学んでも、いつ学んでも、学習の成果が適切に評価され、多面的に人間が評価されるように人々の意識を社会的に形成していくことである。」これはそのとおりなんです。今言われているのは、どこで学んだかが問われるのです。どこで学んだかじゃないのです。あなたは何を学んだか、どのような力を持っているか、それを評価することがこれからの社会で大事ですよ。これは文部省、どう考えますか。
○横瀬政府委員 ただいま先生が御指摘をされました臨教審におきます生涯学習を求める一つの背景といたしまして、最も大きな背景として、学歴社会の是正、学歴偏重社会の是正のかぎとしての生涯学習ということを挙げているというのは全くそのとおりでございます。 臨教審の認識といたしまして、これまで我が国の近代化、工業化に大きく貢献してきた学校教育に対して、近年それに非常に過度に依存することになって、そこから学歴社会や偏差値教育の弊害が起こるようになったというような反省から、学校中心の考え方、学校教育の自己完結的な考え方を改める、そして国民の生涯にわたる学習を振興してその成果を適切に適正に評価する社会の形成が求められる、そういう方向になっているという認識、そこから生涯学習社会が、我が国の場合に生涯学習体系への移行というのが教育改革の非常に大きな眼目になってきているという認識は全くそのとおりでございます。
○薮仲委員 私は考え方を聞いているのじゃなくて、もう六年たったのですから、あなたの学んだ、何を学んだか、何を持っているかを評価してあげなさいと言われているのですから、評価する方法を考えるのですよ。ただ、臨教審の言っているのは、学歴社会を是正して資格社会にしろなんてことを一言も言っていないのです。資格社会もまた学歴社会と同じだ。そんなことを言っているのじゃない。何を学び、何ができ、どういう力を持っているか、その人の持っているすばらしさを伸ばしてやって評価してあげなければいけない。 局長だって、どこかの雑誌の鼎談でやっているじゃないですか。修了証書を出してあげると勉強をよくするとかと書いているじゃないですか。もっとそういうところから、私はちゃんと局長が何をしゃべっているか勉強した上で質問しているのですから、しっかり具体的に答えてもらいたいのです、これはスタートですから。我々も本気なんですから、局長が何をしゃべっているか知らないで質問しているわけじゃないのですからね。局長はそれを言っているのですよ。修了証書を出してあげることも励みになります。それもそうだと思うのです。それが会社へ帰ってフィードバックして、その人の職場における地位や賃金体系に影響するような体制も考えてあげればいいのですよ。学んだことがフィードバックできる。こればかりやっていると、もっと言いたいことがありますからね。 ここに、もっと大事なことがあるのです。「人生の初期に希望する学歴や職業的地位を得ることができなかった人々に対し、その後の人生のなかで、希望する職業的地位などを獲得できるチャンスが、学校や社会の様々な分野に組み込まれ」なければいかぬ、これがいわゆるリカレントエデュケーションですよ。途中でドロップアウトしたって、いつでもやり直しがきくんだ、立ち上がってこい、人生たくましく挑戦してこい、こういう基盤を日本はつくるべきですよ。そんなもやしみたいな脆弱な基盤じゃなくて、人間形成というのはもっとある意味ではしたたかといいますか、どんなに踏まれても立ち上がってくる勇気を、立ち向かう勇気を、チャンスを与えるのが私は教育だと思うのですよ。 脆弱な学校教育だけじゃない、君の好きな人生、君を待っている社会、将来はあるよ、出てこいというぐらいの勇気のある生涯学習の基盤をつくらなかったら、大学を出られなかったらそれで人生終わりか、そんなことはないよ、頑張れよ、板前やっていたっていいじゃないか、フランス語勉強しろ、フランスへ行ってあのフランス料理勉強してこい、君の視野が開けるぞ、人生も広がるぞ、これが若者の望んでいる生涯学習の基盤なんです。だれもが素朴に願っている、人生何回もやり直しがきく。我が党の言うどこからでもなんですよ。いつでもどこでもじゃないのです。どこからでもスタートさせてやるのがこの生涯学習だと私は思うのです。 もう少し具体的に、自信の持てるような話をしてくれませんか。
○保利国務大臣 ただいま委員から御指摘をいただいたことは大変大事なことでございますし、私の経験に照らして考えてみてもまさにそういうことは言えるのじゃないかと思います。 私が大学を出まして会社に試験を受けましたときに、僕はこの会社に受かるだろうかと大変心配をいたしました。ところが採ってくださった。数年たちまして、当時の人事部長に私をなぜ採ったんですかということを聞いてみましたら、お前は学校での成績は余りよくないけれども、しかしスポーツを一生懸命やっておった。薮仲先生は陸上競技の選手をおやりになっていたと伺っておりますが、私自身もそうでありました。スポーツマンだからお前を採ったんだ、こう言われまして大変うれしかったわけでございます。そのかわり会社に入りましてからは物すごく鍛えられた思い出がございます。しかし、スポーツをやっておりましたおかげで、どんなに苦しくても我慢をするということを覚えておった。これは人生の中でよかったことだなと思っておるわけでございます。 そういうような意味で、そういう能力を発見をし、そしてそれを育てていくという社会をやはりつくり上げていかなければならない。それから、今御提案をしております生涯学習に関するこの法案の意図するところは先ほど申し上げたとおりでありますが、いろいろな知識、能力を身につけた者をきちんと評価をする、そういう体制をつくっていかなきゃならぬというようなことを私も感じておるわけでございます。 同時にまた、今官房長から御説明を申し上げたところでございますけれども、平成元年度あるいは二年度の採用のありさまについてお話を申し上げましたが、私の正直な感想で申し上げますと、二十人の採用を十一大学からやっておるということは、随分考え直してやっているなという感想は正直に持っております。しかし、さらに先生御指摘のように、あらゆる人格あらゆる能力というのを見出す努力というのはやはり今後も続けていかなければならないというのは御指摘のとおりだと思っております。
○薮仲委員 この文部省からすごいたくましい、上級職のすばらしい人材が育つことを私は期待しておりますので、よろしくお願いしたいと思うのです。 さらにまた質問を続けますけれども、これはやはり今申し上げたことに関連するのですが、今度のこの法案を読んでみて、ちょっと懸念することがあるので、確認の意味でお伺いしたい。 今も申し上げたのですけれども、学校教育について人生の若年時に集中している。そうですね、これは。大学までだったら二十二歳です。かつ、その役割が家庭や社会の教育に比べて過大なウエートを占めていたことで、もう教育というと若者だけに集中していたのですね。しかし、臨教審が提言しているのは、八十年のスパンがありますよ。二十代というのは四分の一ですよ。ほかに六十年間という人生があるのです。しかも時々刻々変化しているのです。 我々が吹っ飛ぶことがないと思ったベルリンの壁も吹っ飛んだ。米ソの間だって随分変わったな。ソ連と韓国も変わったな。もう攻めるという時代から単に守ろうというようにああいう大国も変わってきて、我々が昔学校の教科書で習ったような東西冷戦とか南北問題とか、これからボーダーレスの時代になってきてどんどん変わっていく。しかも情報化社会あるいは高度なオフィスオートメーション、物すごい進捗です。 そうしますと、昔習った資格や勉強だけで現代社会の有能な企業人として、サラリーマンとしてたえるかどうか。そうなってくると、やはり先ほどから言っているリカレントエデュケーションというのは非常に大事なのです。もっとリフレッシュして、現代の社会に挑戦できるような時代をつくっていかなければならない。ところが、これ、私の読み方が悪いのかどうかしりませんけれども、何となく短大ぐらいまでしか出てこない。 しかし、短大だけの問題ではなくて、学校というものを、大学もあるいはここの中では大学院まで、大学院についてはパートタイムスチューデント、こう言っているのですよ。大学院までもっと開放しましょう、そういうふうに提言しているのです。門戸をもっと開放して、特に平成五年からだんだん大学受験生徒が少なくなるのです。ならばもっと、今こそチャンスだ、リカレントエデュケーションの基盤として大学を初め高校も中学もいろいろな施設というものが国民にもっと開放されていかなければならないな、こう思うのですけれども、本当の意味でのいわゆるリカレントエデュケーションの基盤を柔軟に弾力性を持ってやるべきだと私は思うのですが、いかがでございますか。
○坂元政府委員 先生御指摘のとおりに、生涯にわたる学習機会を確保するという観点から、大学の持つ教育研究機能を社会へ開放していくことが必要であろうというふうに私どもも十分認識しているつもりでございます。 社会人の大学への受け入れのための仕組みというのは、いわゆる夜間学部や通信教育を行う学部のほかに、社会人の高等教育を受ける機会の拡充のために、国立大学におきましては、先般の本委員会でも御審議をいただきました昼夜開講制の実施や、それから放送大学の設置等の施策を推進しているところでございます。特に夜間学部や通信学部を行う学部につきましては、私学がそういう学部等を持っている場合には、私ども私学助成の面でも傾斜配分を行うなど配慮しているところでございます。 それから、先生今御指摘の大学院レベルにおいて夜間その他の時間等に授業または研究指導を行うということも必要ではないかという御指摘でございますが、そういう意味で、夜間の大学院の修士課程でございますが、昼夜開講制を実施する修士課程や専ら夜間において教育を行う夜間大学院の設置も促進しているところでございます。 それから、先般御審議いただきました北陸先端科学技術大学院大学におきましても、社会人の受け入れを少なくとも三分の一は行おうということで取り組むことといたしております。 それからなお、大学審議会におきまして、現在、生涯学習の観点から大幅な編入学定員の設定が可能となるような大学設置基準、これは三年次の編入学枠をふやすということでございますが、そのことによって一たん社会に出て学士入学をしてくる人を引き受ける、あるいは短大、高専を出た人をさらに進学意欲のある人を三年次に編入させる、あるいは他の大学の一年、二年を終わった方が別の大学に行きたいというときに、その三年次編入学に挑戦をして、学生の大学間の流動化も促進したいというようなことで検討しておりますし、先生も今御指摘ございましたパートタイムスチューデント、コース登録制あるいは科目登録制のパートタイムスチューデントにつきましても、正規のいわゆる学士の資格を取るということを、四年間ぐらいを目途に正規の学生として入る学生のほかに、何年かかってもいいからコース登録制なり科目登録制でいろいろなことを勉強したいという人についても学生の身分を与えるということを検討いたしております。 さらに、大学以外の教育機関で履修した成果を大学の単位として認定するというようなことも認めようということで検討をいたしておりますし、また、学位授与機関というものを置きまして、例えば大学あるいは高専を出た後、社会に出て勤務していながら、大学で改めて、先ほど申し上げましたパートタイムスチューデント制度の中である一定の単位を累積してとった生徒に対して学位を授与する道を開くことも検討すべきではないかということで検討をしているところでございます。
○薮仲委員 説明はまことに結構なんですけれども、我々政治家というのは現場で生きている人間ですから、例えば私の身の回りでどうなんだろう。これは大臣も御自分の身の回りでお考えいただくとわかるのです。私の地元にも幾つかの大学、短大があるのです。では、本当に県民、市民とアクセスしてコミュニケーションが、もう地域の中で大学の持っているコングレスした知識や力というものが社会に呼吸しているか。 今御答弁がございましたけれども、現実はそんなに生易しいものでは決してない。もっと地元の大学あるいは国立大学、短大が、市民が親しく大学へ行って先生の講義を聞いてくる、聴講してくる、夏休みになればサマーカレッジだとか市民大学とかありますけれども、そういうものじゃなくて、もっと大学が国民に開かれた体制で、いつでもどこでもどこからでもという体制に、大学も短大も高校ももっともっと開かれるべきであると私は主張をいたしておるのです。 それで、きょうはたくさん質問したいことがあるものですから、今のことでもう少し私が具体的に言います。どういうことかといいますと、大学とか高等学校を社会人が学習できる場として整備をする、このことをもっと本気になってやらなければならないんじゃないかな。 そこで何が問題かというと、入学資格の自由化、弾力化なんです。入るのにどうするかということを臨教審は提言しているのです。入学資格の自由化、弾力化の方向に沿ってシステムの柔軟化などについて検討しなさい。どういうことを言っているのかというと、社会人の入学を容易にするため、入学資格については自由化したらどうだ、あるいはさっき言いました制度もそうですけれども、会社での実際の努力を評価してあげるとか、あるいはそういう社会人が帰ってくるときのカリキュラムの弾力化、教育内容、あるいはそういう人を評価するときは学生とは違った評価の仕方を考えてあげなければいけないでしょう。こういうように個々具体的に私は提起しているわけです。 ですから、今おっしゃったこと、決して否定はいたしませんけれども、我々が望んでいるのは、もう一歩進んだ教育環境のあり方が非常に重要ではないか。そういう意味でもっとこのリカレントエデュケーションや、ドロップアウトした子供が立ち上がれるような教育の場というものを提供するために真剣に取り組んでいただきたいと私はこれは大臣に重ねてお願いをいたしておきます。 それで、私がもっとお伺いをしたいのは、我が国の教育環境というのは多省庁にまたがっているわけです。例えば子供の国際交流というと御承知のように総務庁が所掌でございますし、あるいは先ほど申し上げた高齢化社会、よく公民館等でやっているお年をとられた方の寿大学、盆栽などいろいろなことをやっていらっしゃる地域の生涯学習の一つの形態がございます。と同時に、そういうのは厚生省がどうしても最前線で持っていらっしゃる。リカレントエデュケーションの場合は、今度会社を休んで例えば半年なり三月なり勉強させましょう、こうなってくると、これは労働省が乗り出してこないとリカレントエデュケーションの場としてはどうしても参加できない。労働省の協力も必要だ。 そうなりますと、文部省だけということではなく、生涯学習というのは各省庁が総力を挙げて、自分の持っている省のテリトリーの中でそれを集大成して一つの大きな成果を生み出すようにしていかないと、縦割でやっておりますとどうしてもうまくいかない。ですから、臨教審も、教育の各分野ごとに独自に進められるのではなくて、教育各分野間の連携協力、各省庁との連携、こういうものが非常に重要ですよ。この辺のところが十分できる体制はできておるとは思うのですが、その辺、いかがですか。
○横瀬政府委員 ただいまのリカレント教育についての例えでございますが、これにつきまして最近OffJTというようなものも企業としては非常に広く行われるようになりまして、それに対応する文部省側の一つの方法として、社会人の大学等への受け入れというようなことについて広げているということは先ほど高等教育局長から御答弁したとおりでございます。それに伴って労働時間の短縮でありますとか、その他OffJTに参加しやすくするための労働条件の改善ということにつきましては労働省においてやられているわけでございます。 こういったことについては、これ以外のいろいろなことにつきましても、今お話しのとおり省庁間の縦割りについての連携ということを考えていかなければいけないわけでございます。今度の法案にも、第二条のところに生涯学習に資する別の体系につきましてもそれと相まって連携していかなければいけないというような規定が置かれているとおりでございまして、この法案に規定いたします生涯学習のための諸施策と別に講ぜられていろいろいろな仕組みとの関係は、この機会を一つのきっかけといたしましていよいよ大変重要になってくると思っておりますので、今後そういう批判を受けることのないように関係省庁間で十分連絡を図っていきたいと考えている次第でございます。
○薮仲委員 これは大臣もよく御承知の総理府の世論調査です。きょうは時間が余りなくなりましたからやめますけれども、ここの中でも国民が何を期待しているのかというのは出てきていると私は思うのですね。「学歴偏重社会から移行すべきだ」という意見、これは「全くそう思う」「ある程度そう思う」、この二つで七九・三%です。八割の国民は、今の文部省あるいは日本の政府に対して、これを改革してくれないかということを期待している。それから、今私が質問しております「公開講座の増加」、これは現在多くの大学が勤労者や主婦などを対象に開催しているいろいろな公開講座をふやすことについて聞いたところ、「必要だと思う」五五・四%、過半数がやはりやってほしい。特に専門技術者では八割近く、事務職の方は約七割ですね。そういう期待を持っているのです。 ですから、そういう意味で大臣に重ねて、先ほどの大学の入学などの弾力化、リフレッシュといいますか、大学がもっと新しく再生する意味でリカレントエデュケーションの場として大きく役立っていただきたいな、大学が社会人が参加できる、それからいろいろな人が参加できる、あるいは高校もそうでありますけれども、この中で言っているのは、例えば学校教育の現場を住民に提供するときに、学校教育に支障のない限りというのがいつもひっかかります。こう指摘されているのです。ですから、図書館とか校舎の開放を含めて非常に使いにくい。これもあるんですよ。ですから、そういう意味で私はもっと地域に開かれた、ここに提言しているのは、開放を前提とする学校施設の整備や事故に対する保険制度の整備も必要ですよ。事細かにここまで言っているわけです。 それまでしても、もっと住民、国民から親しまれるような教育機関の施設であってほしい。勉強もできるけれども、あるいは図書館に行くことも楽しみで行けるというような期待にまで踏み込んだ提言があるわけですけれども、リカレントエデュケーションについて大臣のお考えをお伺いしておきたい。
○保利国務大臣 私の地元でも国立の大学を持っておりますが、既に公開講座をやっておるようでございます。大変市民の間に評判が高うございまして、これはぜひ続けてほしいという御要望がございます。 同時にまた、ここ数年は学生数がふえていくわけでございますが、後四、五年たちますと生徒が減少期に入ってくる、そういったときに大学の施設をどういうふうに使っていくか、急激な減少が学生の間で起こりますから、そういったものの利用ということを考えてみても、新たな需要層としてのこのいわゆる生涯学習を志す方々、そうしたものに開放していくということは一つの大きな路線として考えてしかるべき問題じゃないか、それは先生御指摘のとおりであります。 したがいまして、生涯学習を推進していくというのはその面からも言えることだと思いますので、今後とも私どもそういった方向に向かって努力を重ねたい、このように思っております。
○薮仲委員 いろいろ問題があるものですから、この問題ばっかりやってられないので、残念ですが、次の問題に移りたいのです。 臨教審の答申の中で、国際化の中で外国語教育の見直しということが出てくるのです。現在の外国語教育、特に英語の教育は長期間の学習にもかかわらず極めて非効率であり改善の必要がある、これは私は本気になってやっていただけないかなと今思っているのです。 文部省から中学校、高校の教科書を借りてきておるのですけれども、大臣、投書がたくさん来ているのですけれども、ここでちょっと幾つか読みます。「英語教育の改善を願う」、これは三十八歳の主婦の方ですね。 学生時代、英語は得意な科目でした。就職試験の時も、面接の際、英語の試験結果をほめて頂きました。しかし、実際に外国人が銀行の窓口に現れた時、通じる会話ができず、学校で学んだ六年間の英語は何だったのだろうか、とショックでした。 間は飛ばしますけれども、 英語も日本語と同じく、聞くから始まって話す、読む、書くという順序が自然です。文法も会話の基礎ができてから学べば、おもしろいものです。 こう書いてあるのですね。 一日も早く、ほとんどの日本人が、日常会話くらいはできるような中学、高校での英語教育を望みます。 これは文部省は大分真剣になって取り組まれておるようでありますけれども、もう少し読みます。「中高の英語、会話主体に」、これはお年をとられた壮年の方です。 日本人は高校まで六年間、大卒者は十年も英語を学びながら、聞けない、話せないのでは外国人が不審がるのも当然である。通じない言葉では話にならず、英語教育は見直さねばなるまい。 通じない言葉を習ってもエネルギーの浪費にすぎない。 これは外人の方が、英語の先生が英語をしゃべれない、書いたらわかった、不思議な国の人だ、こうなっているのですね。それからもう少し飛ばして、子供たちの「授業は文法ばかり」「聞く力もからっきし」「英語なぜ話せない」とありまして、これは二十八歳の女性の方ですけれども、 コスモポリタン香港では、共通語として英語が使われています。読み書きばかりを学習してきた私の英語では、会話すら成り立ちませんでした。一歩日本を出ると、話せる英語、聞ける英語が必要であることを身にしみて感じ、いま会話のできる英語を一から勉強し直しています。 また、これは学生の方です。 英語教育の目的を、私は「国際的になる」と思っています。つまり、もっと外国との交流を深めること。それには会話が一番の「橋」になると思います。 いま私たちの英語は、中学、高校と文法が中心ですが、それが会話中心だったら、もっと気楽に英語を口にできたはずです。 次の方は、これは高校三年の女の子です。 私、本当は英語が好きです。でも学校の授業はたいくつです。硬い文ばかりで、英語の楽しいところは何ひとつ教えてはくれないんですもの。 こう書いてあるのですね。それから、高校一年生の女の子です。 先生が英語を黒板に書く。それを黙々と写す生徒。ただ暗記するだけの英単語。これが今の中学校の授業風景です。これではいくらなんでも、英語って楽しいなと思う子供はいなくなるはずです。外国人の先生に一時間だけ授業を受けたことがありますが、その時、英語っていいなと感じたのは、 ここに出ているのです。また、東京の高校生。 いったい何のための英語なのでしょうか。将来何かの役に立つのでしょうか。先生方は私たちに、入試のためだけの英語を教えて下さっているのでしょうか。英語を学習する本来の意味を教えて下さい。私は教科書の英文の意味よりも、実用的な英語を知りたいのです。 まあ文部省は、オーラルコミュニケーションあるいはネーティブイングリッシュですか、ネーティブスピークですか、ああいう形で生の母国語の英語をやろうということで、海外から先生方を呼んで生の声を聞かせよう、こうやって努力していらっしゃるのは私も承知しておるのです。ただ、このように子供たちが思っている現状を早く変えてあげなければならない。 ではいつから変わるんだ。大分先のようなお話を私もここで御説明いただきましたけれども、私は今からでももっと使える英語――朝、時々ウィッキーさんの英語を見ているんですけれども、ウィッキーさんがマイクを持って追っかけていくと、ほとんどの中高年の人は逃げちゃってマイクから遠ざかろうとする。たまたま子供たちが出てきて答える方もいらっしゃる。大臣も海外経験はもう物すごい豊かな方でございます。今は英語さえしゃべれれば子供たちはほとんどの国へ行けるわけですよ。中国へ行ったって、まあフランスへ行ったってオフィシャルには絶対使わないかもしれませんけれども、英語さえわかれば相手とのコミュニケーションは通ずるわけです。 大学まで行ってこれだけやってしゃべれない、おかしい。よく奥様方と我々会うのですけれども、日本人は赤ん坊のときから日本語、アメリカ人は子供のときから英語をしゃべりますと笑いながら言いますけれども、英語の教育のあり方にもう少し、私は、しゃべれる、言っていることがわかる、 しかも、ナチュラルスピードでしゃべられてわからない今の教え方じゃなくて、普通の、本当に文部省が言うネーティブスピークといいますか、ナチュラルスピードでしゃべられてわかるような英語会話、本当に子供たちが英語に親しんでいる、道で会ったアメリカの方あるいは外国人の方と気楽にしゃべれて話が通じたよと喜ばれるような教育環境が私はあっていいと思うのです。 外人の教師の方に聞いてみると、日本人は最初やったときにはにこっともしない、答えてもくれない。わからないのかと言ったら、どうもわかってる。こういう英語に対する壁を私は何年先にとおっしゃらずに、もうきょうからでもあしたからでもヒアリングから始めて、本当に英語に対して抵抗のないような子供たちを育てていただきたいと思うのでございますが、大臣、いかがでございますか。
○保利国務大臣 現在、学校においての具体的な教育の内容につきましては後ほど政府委員から御答弁をさせたいと思いますが、今御指摘の点については、私自身大変苦い経験を持っております。戦後、中学生、高校生の時代に勉強しましたけれども、全然使い物にならない、しゃべれないというのは私自身がそうでございました。それはやはり一つは教育の方法にもあるのかと思います。 まず使い物になる英語をしゃべるためには、やっぱり英語で考えるというようなことを志向するような形の教育をしていかなければならない。同時にまた、これは日本人の特性でありましょうけれども、極東の一島国でございましたから、大変閉鎖的な社会になっておって、外人に対するアレルギーというのがやはり日本人には非常に強いように思うわけでございます。外国の方と長いこと接触をしておりますと、やはり同じ人間なんだという気持ちを持ったときに、初めて、何といいますか、アレルギーが解消するように思います。 私自身、英語を最初に学びまして、そして使い物にならなきゃいけないということで、会社の中でアメリカの講師を呼んでまいりまして、ほとんどマン・ツー・マンのような形で勉強させていただいたのですが、そのときに最初の一時間目に何をしたかといいますと、真珠という言葉と、それから看護婦さんという言葉と、それから働くという、その三つの単語だけを一時間、発音の練習をさせられました。全く違う発音であった。また、外国のその先生がおっしゃる発音を私は聞き取ることができなかったのですが、一時間その三つの言葉だけをやらされることによって、全く違う発音だということがわかってまいりました。それは今でもその教育は私の身になって残っておりまして、アメリカの方がおいでになりますと、あなたはアメリカのどこに住んでいたんですかと言われるような、そういうようなもとのもとのところの教育というものを考えた形でなければいけない、こんなふうに私は思っております。 諸般の施策等につきましては、政府委員から御答弁をいたさせたいと存じます。今後とも、こういった英語の教育の改革については努力をしてまいりたいと思います。
○薮仲委員 答弁は結構です。 今大臣の言われたことは、非常に私も全くちんぷんかんぷんな人間ですが、大臣のおっしゃったことは私もそのとおりだと思うのです。ここにもございますけれども、日本人が苦手と言われる英語は、RとLの発音を聞き分ける能力が身につかない。これは国際電気通信基礎技術研究所、ATRが言っているのですが、RとLの聞き分けは八歳までが勝負、こうなってきますと、今の中学校から始まる英語でいいのかなという疑問はございますけれども、大臣はその辺のところは十分深い見識をお持ちでございますので、これからの対応を期待をいたしたいと思います。 今大臣がおっしゃったことは、英語の専門家もおっしゃっておるのです。英語で考える学習方式を採用してほしい。日本の英語というのはどうしてもトランスレーション、いわゆる翻訳方式でやってしまう。そうじゃなくて、この方は、今大臣のおっしゃったとおりなんです。英語で考える。これは、その方が上智大学の教授からしかられた、あなたのやり方では一生かかっても英語はマスターできないでしょう。これはすぐ日本人として翻訳をする考えになっている、そうじゃなくて、今大臣が言ったように、英語で考え英語で表現する、いわゆるシンキングイングリッシュの方向へ転換しなければだめですよ。そうすれば英語下手が直りますよ。こういう提言もございますが、大臣に期待して、私は、どうか日本の子供たちが自由にしゃべれる時代をつくっていただきたいと期待をいたして、この問題は終わります。 生涯学習に関係して、どうしてもこの対応をお伺いしておきたいのは、先ほど来小中学校の登校拒否、これは史上最悪の四万人台、高校中退十一万というのが出ておりまして、八五年以来十一万人時代が定着なんという悲しいニュースが報じられておるわけでございますけれども、やはり小学校、中学校、高校のドロップアウトする、中途退学する方々を立ち上がらせる方向というのは大事だと思うのでございますけれども、これについてどういうお考えがあるか、結論だけ、時間の関係がございますので、お聞かせいただきたいと思います。
○菱村政府委員 先生御指摘のように、小中学校の登校拒否ないしは高等学校では中途退学という形であらわれてくるわけでございますが、その数はかなりの数に上っております。子供たちにとりましては、かけがえのない若いときの教育でございますので、私どもとしましては、そうした事態の起こらないように真剣に取り組んでいるところでございます。 特に中学校の登校拒否が多いわけでございますが、この子供たちはいろいろな理由でそれが学校に行けないという理由がございます。さまざまな理由がございます。もしそれが学校に原因がある場合には、学校の教育のあり方、指導のあり方というものを正さなければならないし、そのことは各学校が、今そういう子供を抱えている学校は真剣に教師全体で取り組んでいるところでございます。 それから、子供たちが神経症的な原因で行けないような場合もございます。こうした子供に対しましては、集団生活になじめないわけでございますので、その集団生活にどのように適応していくか、学校にはもし仮に行けなくても、学校以外の場所で何らかの指導を受けることにつきましてはなじめる子供もございます。そうした子供に対しましては学校以外のところで教育相談ないし教育指導をするというような試みが今市町村で若干行われておりますので、私どもはそれを少し支援してまいりたい。そして、モデル的にそれを研究いたしまして、もしそれが有効であるならばそうした方策も考えてまいりたいと思います。 それから、いろいろ地域、家庭、社会、総合的にこの問題は取り組まなければならない問題がございますので、地域社会、それから家庭が総合的に取り組むような事業もいたしております。そのほか各種のどのような方策をとったらいいかということで文部省内でも専門家を集めて検討をしておりますので、この豊かな社会の中で子供たちが育つのが大変難しくなっているその一つのあらわれであろうかと思いますが、私どもも専門家ないしは教育の実践の場にある先生方の御意見を聞きながら、相談しながらこの問題に今後とも真剣に取り組んでいきたい、このように考えております。
○薮仲委員 私は、小学校、中学校、高校、やはりこれは、きょうはそこまでは踏み込みませんけれども、学校教育の中に解決あるいは改善しなければならない問題が数多くあろうかと思うのです。どうかこういう子供たちが、今回のこの生涯学習という中で人生に再挑戦して明るい将来を築いていただきたい。そのためにも現状の問題をよく解析をして、その解決に真剣に取り組んでいただきたいということをお願いをいたしておきます。 時間の関係で次の問題に移りたいのですが、今英語のお話をさせていただいたのですが、いわゆる生涯学習というときに、私は広く海外を体験する、いわゆるホームステイとか留学とか、小さいうちにいろいろそういう世界を、異文化を、生活慣習を学んでくることは、将来の日本人、国際人として非常に必要であり、大事なことだと思うのです。 ただ、私はこの問題を六十三年から外務委員会で何回か取り上げてまいりました。というのは、私のところに一つの相談事がありました。七月のときでございます。日曜日にお母さんから、自分の娘がロスへホームステイで行っているのだけれども、連絡がとれない、困った。日曜日ですから官庁は全部連絡がとれません。お母さんはもう本当に心臓がつぶれるほど悩んだのです。なぜ通じなかったか。それは旅行会社から来ている、このようにホストファミリー決定のお知らせという一枚のペーパーがあるわけです。これの電話番号が五一七〇というのと五一〇七と一番狂っていたのです。このミスプリントで娘の行っているホームステイ先に電話が通じない。それを旅行業者の方へ言えば、勝手に電話をするなと言って怒られる。あるいは一日七千人から行っているのだからと言ってけんもほろろに対応されて、私のところにこの改善を申し入れてきたのから端を発したわけです。私もいろいろな方の御意見を伺っておるわけでございますが、この例として一人のお手紙を読んでみます。 娘がホームステイにアメリカに行き、いろいろと考えさせられるところが多くありました。ホームステイは、これは旅行業者の名前が出ていますけれども、名誉のために読み上げませんが、旅行業者以外は種々あるのですが、旅行会社として信頼も高いと思い参加させたのですが、現地に着いて先方の受け入れ団体が全面的に行うから日本側から何も言うこともできないと言われました。食事は先方が出してくれたのは一、二回。家族と一緒に、最初の説明では、英語を勉強して、日曜日にはいろいろなプログラムを組んで家族と一緒に行けますよ、ホストファーザーとホストマザーと一緒に行けますよ、こういう説明であったのに、一緒にどこに行くなどという計画は立ててくれない。 そのことをチームリーダーに話したところ、調査もしないでそれはわがままだ、そのようなことを言うなら強制退去させると言われて、知らない他国でこれ以上言うこともできず娘は黙り込んでしまった。ホームステイは旅行業者を信頼して行くのに、現地の調査は先方任せ、特別に口出しは余りできないと言います。受け入れ家族がボランティアだという言葉を使いますが、その実態についていろいろ書いてあるのですけれども、本当にこれがボランティアでしょうか。ボランティアだから文句を言わないようにと言いますが、ロサンゼルスの費用が、これ金額出ています。決して私はこの金額を見て安いとは思わないのですね。普通の旅行と全く変わりません。 日本では自分の家が食べるのに困っている家ではボランティアと言って他国の人、他人をお世話することは余り考えられません。ホームステイを終わって帰るときに次の日本の子供が入るようになっていたようです。どちらかというと、生活に困っている人がそのようなことをやっているのではないか、このようにボランティアという言葉の中に何もかも押し込んでしまう気がします。この子は、行った家庭がお母さんと子供二人なんですよ。お母さんが働きに行った後は小さな男の子といたわけですけれども、また、夜になるとお姉さんのお友達がごろごろごろと寝てしまうのです。そういうことで怖がってうちへ電話がかかってきたそうです。いわゆるミスマッチだからホストファミリーをかえてほしいというところに問題があったのです。 ところが、ここでトラブったわけですけれども、旅行業者として先方の家庭環境を責任を持って調べてほしい、ここでまあ麻薬とかマリファナとかエイズとか犯罪歴とかいろいろあるので、親とすれば旅行業者を信頼して行くのです。ですから、ホストファミリーについてきちんとした調査をして、安心して自分の子供を行かせてやってほしい、こういうことでずっときたわけです。 私が国会で取り上げたのを知って、いわゆるホームステイ被害者の会というところからもお手紙をちょうだいいたして、困ったことだなと思って先般も中山外務大臣に改善方をお願いしたのです。外務省は、これは非常に真剣に領事移住部の方々は取り組んでいらっしゃるのです。何とかしなければいかぬなと。これはやはりしっかりホームステイについてはやろうということで、今日まで協議をして、その衝に当たっているのは運輸省ですから、運輸省にも私は何回も是正方をお願いしました。運輸省も、旅行会社の方々と話し合って、ここにある「ホームステイ・ツアー主催取扱ガイドライン」ということで出したのです。 一方的にきょうは申し上げて恐縮でございますが、この中でホームステイというのはどういうことかというところから始まって、いろいろなことが書いてあるのです。ホストファミリーについてはどうだ、事前のオリエンテーションはどうするか等々書いてあるのです。 きょうも私、これから夏休みのまたこういうパンフレットが出て子供たちが行くわけです。悲しい思いをさせたくないということで、これはやはり大臣にも心にとどめておいていただいて、私は決してこのホームステイそのものが悪いということを言っているわけではありません。文部省がやっていらっしゃる日本国際生活体験協会、これはきちんとした一年前からプログラムを決めてやっておりますから、ホストファミリーとの文通もやっています。そして、写真のやりとりもして、行く前に相手の家族環境やなんかもわかった上で行く。しかも行く前に英語のいわゆる語学力についてもしかるべくその調査もしているでしょうし、あるいはその現地のグループの中心者は中学、高校の英語の教師というふうにすべてやっているわけです。 しかもオリエンテーションは、単にこちらから行く子供たちのオリエンテーションだけではなくて、ホストファミリーのオリエンテーションもやって、受け入れ側もそれなりのホストファミリーについて自覚をして双方でやるという体制でございますと、これは文部省の御説明をいただいております。 事実数千名の方が行っていらっしゃるようですが、私はそれはいいことだな、ただ、旅行業者がおやりになるときに一番懸念いたしますのは、相手側のいわゆるホストファミリーについて、運輸省が幾ら言っても現実は解決できないのではないか。今のままでことしの夏休みに事故が起きないように、やはりこれはかわいい子供たちを預かる文部省としても、海外のホームステイについては意識を持っていただきたい、そういう意味で私この問題を取り上げておるわけでございます。 時間の関係でこちらで問題を申し上げますから、後で運輸省もお見えでしょうからお伺いいたしますが、このガイドラインの中で私が一番大事だというのはまずホームステイの意義です。ホームステイというのは何なのだ、観光旅行とは違うのですよ、物見遊山ではないのですよ。相手の家庭に入ってその字のとおり家族の一員として生活をするという、向こうの生活慣習の中で、向こうの文化の中で生きなければならないということをしっかりのみ込んで行かなければならない。 しかし、ではそのオリエンテーションはどうだ、ホストファミリーとのコミュニケーションはどうだと運輸省は指導した結果、ホストファミリーとの間で事前のコミュニケーションが行われるよう、一定期間前にその連絡をとり合うようにしなければいけない、そしてホストファミリーについてもしっかりと、独自で調査するのではなくして、現地の信用調査会社に依頼して、どういう団体が主催するホストファミリーなのかしっかりしなさいよと書いてある。しかもこのガイドラインには、出発日の一定期日前にホストファミリーの情報を通知しなさい。さらには、ホストファミリー決定を参加者に通知する段階で、写真の交換、文通を勧めるなど、事前に参加者とホストファミリーとの間の連絡を密にしなさい、こう書いてあるのです。これが運輸省のガイドラインですよと、こう書いてあるのです。 ところが私が心配するのは、現実にこうやって大手の旅行業者がこれは計画しているプログラムです。読みます。「ホストファミリー名の通知が出発直前になることがあります。」「ホストファミリーが直前またはアメリカ到着時に、家庭の都合で変更になることがあります。」これは何かというと、「参加にあたってこれだけは必ずご了解下さい」という中に書いてあるのです。 しかも、「受け入れ家庭の事情により、ホームステイの途中でホストファミリーがかわることがあります。」「受け入れ機関よりの指示及び国情により、決定されたホストファミリーは、宗教、人種、職業、家族構成等の理由により、変更、取消しは出来ません。」「ホストファミリーの都合で食事は自分でつくったり、買ったりして食べる場合もあります。」「参加者がグループリーダーの指示に従わない場合、また病気・事故等で必要と認められた時は、プログラム中であっても帰国させることがあります。この場合、帰国費用は一切本人負担となります。」「単独行動等はグループリーダーの許可がない限り認められません。」「プログラム期間中、参加者が病気・傷害等の理由で医師の診断、治療が必要と認められる場合は、参加者本人が不同意であってもその措置をとることがあります。その診断、治療にかかわる金銭、また、その措置の結果に対して責任を負うものではありません。」 こんな人権無視なことが児童憲章に照らしても許されるのか。しかも、小さな子供が行って、どういううちに行くのかわかりません。英語を習いたいといったって、ホストファミリーが英語をやっている家庭かどうかわかりません。あるいは私にその問題を言ってきたのは、ホストファミリーが言われたのはロスの空港へ着いてバスの中でチームリーダーから、あなたの行くうちはこういうことですと渡されているのです。オリエンテーションは全国から集まってわずか数時間しかやらないのです。これで本当の海外へホームステイする気構えや――あるいは英語の語学力は問いません。日常の会話で結構です。こうなっているのです。 ホームステイというのはそんな日常のただ単なるあいさつだけでできるようなプログラムではないと私は思うのです。こういう問題を文部省としてしっかりと関心を持って、きょう外務省は外務省で関係の皆様にお集まりいただいて打ち合わせをいたします、実りあるホームステイをやりたいということで外務省おやりになるようですが、夏休みを前にして、これは文部大臣として外務省、それから運輸省等々どういう実態になっているかよく調べて、ホストファミリーについてきちんとすること。それからまた、チームリーダーや事故のあったときのバックアップシステムをきちんとしてあげないと、子供が再び立ち上がれなくなるのです。私に相談した女性の方は、もうそれからは一切この問題に触れないでくれと言って会おうとしません。ですから、傷ついたことから立ち上がらせることは非常に難しい。 しかも、今法務省の海外への出国の数を見ますと、大体ゼロ歳から十九歳まで六十四万四千人行くのです。いろいろな形ですけれども、中身はわかりません。また二十歳から二十四歳を加えますとこれは七十八万あるのです。二十四歳まででざっと百三、四十万の方が毎年海外へ日本の国から出ているわけです。その中でいろいろなグループのホームステイがあるわけですが、特に私はホームステイが悪いと言ってはおらぬのですが、やはり子供を危険な場にさらさないように文部省としてもきちんと対応を考えていただきたいと思うし、関心を持っていただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
○川村政府委員 ただいまホームステイにつきましていろいろ御指摘をいただいたわけでございます。先生御指摘のように、ホームステイの意義自体はこれからの国際化する社会を背負う日本人を育てていく上で大変有効だと思いますけれども、御指摘のございましたような点が多々ございます。 私どもは従来、今お話のございました生活体験協会でございますとかAFSでございますとか、そういった団体と密接な関連のもとに、そういう団体のやっておりますホームステイの事業を援助してきた、こういうことでございます。そういう経験を通じて、ホームステイというのはなかなか大変だ、今先生がおっしゃったように特にどうやっていいホストファミリーをつかまえるかにポイントがあるということも、我々は従来からそんなことで承知しておったわけでございます。 そんなことがございますので、かねてからこのホームステイについて、それに子供たちが参加する場合にはきちんとした旅行業者等の団体の行うものでなければ困る、そういうことについて留意してほしいということを教育委員会にかねてから指導通知も出しておりますし、いろいろな会議の席上でも指導してきたわけでございます。 教育委員会を通じて各学校に対してそういったきちんとした団体の行うものをというようなことで対応してもらいたいという指導をする、同時に、ただいま申し上げましたように、AFSでございますとか国際生活体験協会でございますとか、そういったしっかりした団体に対する援助をするというようなことでこの問題に対応してきたわけでございますが、ただいまるる御説明がございましたような、実態として実は非常に多くのものが出てきているということでございます。 この問題、先生からいろいろな機会で御指摘をいただいておりまして、今お話がございましたように三省緊密な連絡のもとで連絡会を開いて業者等の対応もしていくということを考えているわけでございますが、さらに現在文部省では高校留学全体について、高校生が海外に留学をする場合のこれからの取り扱いについて、たまたまそういうことで調査懇談会も、検討会も設置をしているところでございます。こちらの方の留学全体の問題についての結論も近くまとまる予定になっておりますから、そういうものもいただきながら、今御指摘のような実態も踏まえながらこれからまた指導を十分に重ねていきたいと思っております。
○薮仲委員 大臣にお伺いしたいのですけれども、今文部省の御説明もございましたけれども、今文部省のやっていらっしゃる日本国際生活体験協会、そこの中の話が書いてあるわけです。「青少年の時代に、少しでも異文化を身をもって体験し友情が培われたとすれば、」これはすばらしいものである、私もそう思うのです。 ただ、その後にこう書いてあるのです。「ホームステイの問題点」、「ホームステイは、基本的には、修学旅行や物見遊山でないことの認識もほしいところである。アメリカの情報によれば、日本の青少年の自己本位、エチケットの欠如等が原因で、今後、日本人の受入れを断られる事例が起きつつあるとのことである。」「つぎに、受け入れる側(主としてアメリカ)としては、受入れ家庭確保の困難性について、つぎの原因を挙げている。①両親がそろっている家庭の減少、②共稼ぎ家庭の増加、③生活の多様化による時間の欠如、④若い世代のボランティア精神の変容等。」となっておりまして、アメリカ側も受け入れが非常に困難である。 これは大臣の地元の例えばJC等がおやりになっていると思うのです。私も地元のJCや何かの方の御意見を聞いても、じゃホストファミリーができる方が何人いるか。JCに入っておられるような方はそれなりの生活レベル、家庭環境を持っていらっしゃる。でも手を挙げる方というのは非常に限られてしまう。日本側が受け入れるとすれば、何十万人もの人がどんどん来られたら大変なことになるというのは我々もわかるわけです、ホームステイというのは非常に限られるなと。こういうことを前提にしますと、ホームステイという名前でおやりになることはもう無理じゃないですかと私は運輸省にいつも言うのです。私はこういうことをやめるという立場に全くないのです。むしろ安全で、しかも子供たちが楽しくすばらしい希望とすばらしい体験を持って帰ってきてほしい。 だったらどうすればいいか。私は大臣にも御決断いただきたいのは、例えば向こうで体験するセンターみたいなものが、仮に日米両方であってもいいし、あるいは向こうの施設でもいい。そこへ文部省も外務省も、もちろん運輸省は途中のアクセスで必要でしょうけれども、そのセンターへ団体として行って、英語体験研修旅行ということでセンターに入って、そこで付近のアメリカの子供やいろいろな方に来ていただいて外国語、英語を勉強する、あるいはそこを拠点として日帰りのホームステイに行ってくる、あるいは一晩泊まってくるとか、そうやってまたセンターへ帰ってくる、それでみんながばらばらにいろいろなことを体験しながら徐々に海外へなれさせていく。 そういうセンターへ入って、まずアメリカを知った、アメリカの生活がどうなのかということが自分でわかった、自信がつけば次の段階から、ホームステイの一段階、二段階、三段階でもいいですから、少しずつ教育の一環として、海外の体験のためにも文部省は積極的にあるいは向こうへ教育学習センターみたいなものをつくって、それを中心にやるとか、あるいは民間がやっても結構ですが、そのプログラムは不安のないように運輸省とも協議して、そこへ行って体験をして、まずそのレベルを終わってから本当の家庭に入っていくというようなステップを踏んでいくことがあってほしいと私は思うのです。 むやみやたらに一軒のうちへ、こんなに相手のうちを向こうの空港へ着いてから言うなんというのはホームステイの名に値しない。これは危険です。どういう家庭かわからないのですから。だから、私は運輸省の担当の衝に当たる方に、非常に申しわけないけれども、あなたは御自分のお嬢さんをこのツアーにおやりになりますかと何回か申し上げたのです。自分の子供をやるとして考えたときに、親ならば、大人ならば、海外がどういうものかを知っているでしょう、もっと子供を思ってあげて体験させることがまず大事でしょう、こう私は申し上げているのです。 そういう意味で、今急にやれとは申しませんけれども、このあり方は、学習センターのようなところへ行って、そこから勉強するということが低学年の場合安全だと私は思うのです。それでも十分学習もできるし、アメリカの生活もアメリカの文化も自分の肌で感じて帰ってこれる、すばらしい教育体験だと私は思うのです。ことしの夏休みも多くの方が行くと思うのですが、どうかこういうことでよく外務省や運輸省と大臣に御協議をいただきながら実りあるものにしていただきたい。 むしろ運輸省のおやりになるホームステイに無理があるのだったら、方向を変えてもみんなが安心して大勢の人が安い料金で参加できるような体制まで考えてあげることがあってほしいと私は思うのですが、大臣、いかがでございますか。
○保利国務大臣 ホームステイは外国の事情を勉強しますのに大変いい有効な方法だと私も思います。しかし、今御指摘のようないろいろな問題があることは予算委員会等でもしばしば御指摘をいただいておりまして、私どももこれに対しては対策を講じていかなければならぬということは重々承知をしておりますし、その気持ちでおります。 ただいま先生から御指摘をいただきましたいわゆるセンターのようなものをつくって、そこでしばらくの間いて、その間に外国の社会について勉強する、大変貴重な御提言あるいは御指摘だと思います。十分私どもも将来の方法として考えていかなければならないと思います。 それから、現今のホームステイと申しますよりは、あるいは団体旅行みたいな形で募集をするというようなことについては多々問題点がありますし、また御指摘もいただいておりますので、関係省庁と十分協議をして夏休み前までに適切な指導ができるように我々も努力をしてまいりたいと思っております。
○薮仲委員 どうか大臣に私は心からお願いを申し上げておきます。 外務省の方、お呼びして大変申しわけないのですが、今の趣旨、外務省の方はよく御存じだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 運輸省の方も、ここで御答弁いただくよりも、決して私は運輸省のやっていることを悪いとは言っておりませんので、どうか今の大臣の御答弁と意を同じゅうして、子供たちの将来に誤りないように、実りあるホームステイのためにこれからも運輸行政の中で御尽力をいただきたい、心から念願をいたしておきます。 もう時間が参りましたので、最後にこれはごく簡単にお伺いしたいのですが、やはり生涯学習の一環としての放送大学が今エリアが関東地区だけでございます。限られたところが幾つかございますが、衛星放送による放送大学の全国ネットで早くいかないかなという期待がございます。 この辺の見通しを簡単にお考えをお伺いしたいのと、もう一つは、ゆうべちょうどテレビを見ておりましたら、アメリカの大学の日本分校が出ておりました。南カリフォルニア大学、イリノイ大学の日本の分校がそれぞれ出ておりまして、今二十七あるそうです。さらに二十校来たい、こういうことでございますが、文部省のお立場は静観をしていらっしゃるというような報道もございました。 しかし、私は、やはりこの生涯学習の一環として、どういう形になるにせよ、いずれはすばらしいものに育っていってほしいなという期待もございますが、この辺の今の文部省のお考え、二つを伺って私の質問を終わりたいと思います。
○保利国務大臣 放送大学の件につきましては、いろいろな場でこの拡張について御指摘をいただいておりました。できるだけ早くネットワークを全国に広げなければいけないと思いますし、またさらにいわゆる学習センターの整備、これもやっていかなければならないと思っております。これには先ほど御指摘をいただいた大学の開放ということも一つの手段として考えられましょうし、あるいは高等学校の開放ということもこれからは考えていかなければならぬ。その両面から今後十分にその拡充について努めてまいりたいと思っております。 それから、アメリカの大学の日本進出については学術国際局長からちょっと御答弁させたいと存じます。
○川村政府委員 ただいま御指摘のございましたアメリカの大学の日本分校でございますけれども、私どももこの問題につきましてはかねてから関心を持って取り組んでいるわけでございます。 この実態はいろいろございまして、文字どおりアメリカの大学のキャンパスが日本に来ているものもございますし、アメリカの大学とそれほど関係がないものもございます。中身によってさまざまでございまして、私ども、例えば日米教育委員会、フルブライト委員会あたりでもその辺の議論をいたしまして、その実態をアメリカ側も日本側もお互いに正確に理解することが必要ではないかという議論が一つございます。それからきちんとした大学、実体を備えているものにつきましては、日本の高等教育との制度上の連携も考えていかなければならない。 ただ、この問題は現在のいわゆる一条学校に発する学校教育制度の基本ともかかわってくる問題でございますから、今後の問題の一つとして大学審議会等でも御議論いただく必要があるであろう。私どもは、その前に今申し上げましたように実態を的確に把握しながら、私どもはそれを大学にしないと言っているのではなくて、誤解があるとあれでございますが、日本の学校教育制度に基づく大学にするとすれば基本的に日本の物差しに従っていただかなければならないので、アメリカの大学としてアメリカ式にやりたいというものを自由にやるとすれば現在の制度の枠には入り切らないのはやむを得ないことだと思います。その辺を踏まえながら、先ほど申し上げましたようなことで今後対応してまいりたいと思っております。
○薮仲委員 終わります。
○船田委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時三十四分休憩 ────◇───── 午後二時五十七分開議
○船田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。山原健二郎君。
○山原委員 生涯学習振興法につきまして、幾つか法案に基づいて質疑をしておきたいと思います。 一つは、社会教育法の第一条には、「この法律は、教育基本法の精神に則り、社会教育に関する国及び地方公共団体の任務」云々、こういうふうに述べておりますが、この法案には教育基本法にのっとりとは書かれていないわけですが、この生涯学習の振興に資するための諸施策は教育基本法の精神にのっとらなくてもいいという解釈で出されているのでしょうか。
○横瀬政府委員 この生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案でございますが、目的のところに、この法律が生涯学習の現在の状況を書いて、そして全体のこの法律の施策をいわば概括的に書いた上で、それによって「もって生涯学習の振興に寄与することを目的とする。」というふうに生涯学習の振興について目的を規定した。これは一つの法律案の全体の書き方でございまして、ここに教育基本法について触れられていなくても、これは当然その法案につきまして生涯学習の振興について、その基礎として教育基本法の精神にのっとっているということは当然であるというふうに考えまして、特に記載をしてございませんが、そういうふうな趣旨で制定されているというふうに理解していただいてよろしいと思います。
○山原委員 教育基本法の精神にのっとるということは当然であるということであれば、やはりこれだけの大きな法律ですから、当然書かれるべきものではないかということが一つですね。 もう一つは、戦後、教育行政は憲法と教育基本法に基づいて行われてきたわけですが、今度初めて教育基本法によると明記していない法律を文部省として所管することになるわけでございます。それに対しては何ら矛盾をお感じにならなかったのかどうか、この点、伺っておきたいのです。
○横瀬政府委員 それぞれの法律案についてどういうふうな目的なり総則を書いていくかというのは、その法律に則して、その状況に即して規定されるべきものでございます。今おっしゃられましたけれども、すべての教育関係の法律に教育基本法にのっとりというふうなことを明記しているわけではないというふうに私は思います。 この法律につきましては、先ほど申しましたように、この第一条の目的の背景に、それは当然に教育基本法の趣旨にのっとっているということが前提になっているというふうに御理解いただきたいと存じます。
○山原委員 背景、バックにその思想があるということでありますけれども、この委員会でどんな教育関係の法律を審議するに当たりましても、すべて教育基本法の立場を堅持して論議が行われてきたわけですね。しかも教育基本法十条によりまして、不当支配に服することなく、また教育行政の条件整備の問題が文部省に対しては明らかに責任を義務づけられているわけですが、それがこの法律にないということは、やはり背景にはあるんだとおっしゃっても、法律の文言を見る限りにおいてはないわけでございます。 そこで、言うならば初めて文部省が教育基本法によると明記していない法律を所管するということで新たな事態を迎えるのではないかという感じを抱くわけですが、そういうことはないのでしょうか。
○横瀬政府委員 私、すべての教育関係の法律の実定法についての具体的な規定ぶりについて存ずるわけではございませんけれども、ただ、ざっと見ましても、例えば学校教育法でありましても、スポーツ振興法でありましても、その条文の中に特に教育基本法という文言を入れているということはないと思います。 したがいまして、今回の生涯学習の振興のための新しい法律案につきましても、特にその点について記述がないからといって、初めてのそういった例であるということにはならないのじゃないかというふうに思います。
○山原委員 教育基本法第七条は、社会教育につきまして「家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない。」そして第二項に「国及び地方公共団体は、図書館、博物館」云々、そして「適当な方法によって教育の目的の実現に努めなければならない。」としております。これは生涯にわたって教育を保障するということであって、文部行政が当然行ってこなければならなかった問題ではないでしょうか。
○横瀬政府委員 教育基本法第七条の規定でございますが、「社会教育」というふうにまとめて規定してございまして、今先生がお読み上げになりましたような規定になっておるわけでございます。これにつきましては、私ども当然社会教育行政の上で、家庭教育、それから図書館、博物館、公民館等の社会教育につきましてそれぞれこの法律の趣旨のとおりにその振興に努めてきているということについては、これは私どもずっと教育行政をやってまいりました方針として一貫してやってきていることだというふうに私は考えております。
○山原委員 今回の生涯学習なるものは、こうした教育基本法第七条に示しておるものとは違うものなんでしょうか。今私が読み上げたところですけれども、この第七条に示しておるものと今回の生涯学習というのは違うものなんですか。別のものなんですか。
○横瀬政府委員 生涯学習と申しまして、例えばこの法律の第三条のところに「学校教育及び社会教育に係る学習並びに文化活動の機会」というふうに書いてございまして、この生涯学習の範囲というものが学校教育、社会教育、文化活動というところに及ぶということは明白でございますが、教育基本法の第七条と申しますのは社会教育という一応その範囲について書いておられるという点で、その範囲につきまして若干異にするところがあるというふうに思います。 ただ、教育基本法の七条につきまして、社会教育についてこの条文にございますような方向、家庭教育、それから社会教育について国及び地方公共団体が奨励しなければいけないというそういう趣旨につきましては、この新しい法律案がそれについて矛盾するというようなものではないというふうに思っています。
○山原委員 この法律案の第二条に、「職業能力の開発及び向上、社会福祉等に関し生涯学習に資するための別に講じられる施策と相まって、効果的」云々と述べております。これは、例えば厚生省とか建設省とか警察庁その他、たくさん行われておりますが、そういう各省庁がやる施策というのは今度の法律に拘束されるのですか、されないのですか。
○横瀬政府委員 今回の法案は、生涯学習の振興を図るために、その施策の推進体制と、それから地域における生涯学習に係る機会の整備について具体的に定めたものでございます。 この第二条にございます今お述べになりました文言の部分につきましては、一つは、こういう生涯学習に資する施策として職業能力開発法とか社会福祉事業法等による施策が別の体系としてあるという存在をはっきりさせているということと、それから、これによってその施策とこの生涯学習の本法に規定する施策との間では、これはそういう別体系ではあってもお互いに相まって、いわば連携をして整合性を保って、そして効果的に促進されなければいけないということを明らかにした、いわば配慮事項として明らかにしたものでございます。これは、本法に基づきます施策とこれら別に講じられる施策とが相作用し合って効果的に行われるという趣旨でございますから、その一方の分につきましてそれを拘束するというような感じではないというふうに思います。
○山原委員 例えば他の省庁が行っている生涯学習がありますね。それはそれなりの法律あるいは予算措置といいますか、そういうもので行われているわけでしょう。例を挙げれば時間がかかりますけれども、各省庁にわたっているたくさんの生涯学習、これらについてはこの生涯学習振興法の枠外、別途の法律、予算措置等で施行されているものであるわけですね。 したがって、「生涯学習に資するための別に講じられる施策と相まって、」としたここのところですが、そうすると、これらの別に講ぜられるものを外せば、現在ある社会教育法の範疇の中にすべて入るのではないでしょうか。
○横瀬政府委員 本法案に盛り込んでございます具体的な施策というのは主に三つあるわけでございますけれども、一つが都道府県の生涯学習の振興に資するための事業体制でございます。もう一つが地域生涯学習振興基本構想、それからもう一つが生涯学習審議会等々の、これは都道府県、市町村の体制まで含めまして生涯学習の審議機関という、この三つを大きく規定しているわけでございます。 今おっしゃられました社会教育との関係でございますが、先ほど申しましたように、生涯学習の範囲といたしましては、学校教育、社会教育、文化活動――その他も入る場合もあるわけでございますが、全体的に申しまして、学校教育、社会教育及び文化活動、こういう範囲のものについて今申し上げたようないろいろな推進体制あるいは総合的な機会の提供というものを規定していく、こういうことでございますから、当然社会教育だけに限定した範囲を考えたものではないという点で、社会教育の体系と今回御提案申し上げました法案との間では一応別のものである、別事項を盛り込んでいる、こういうふうに考えているところでございます。
○山原委員 社会教育法第五条では、「市町村の教育委員会は、社会教育に関し、当該地方の必要に応じ、予算の範囲内において、左の事務を行う。」として、十五項目出ていますね。青年学級の問題とかあるいは社会教育のための講座の開設あるいは討論会、講演会、展示会、また職業教育及び産業に関する科学技術指導のための集会の開催及びその奨励、また生活の科学化の問題とか、それから運動会、競技会その他体育指導のための集会、それから音楽、演劇、美術その他芸術の発表会等、それからいわゆる一般公衆に対する社会教育資料の刊行配布に関すること、視聴覚教育、体育及びレクリエーションに必要な設備、器材及び資料の提供に関すること、情報の交換及び調査研究に関すること、こういうふうに項目がずっと出ておりまして、これらを本当に実施をするならば生涯学習教育の保障になったのではないか。 ところが、この社会教育法があるにかかわらず、今改めて生涯学習振興法というものが出なければならないのは、そこのところが行われてこなかった、あるいは不十分であったところが今度の生涯学習振興法が出てくる原因となったのではないでしょうか。
○横瀬政府委員 今のお話は社会教育法の第五条を引用なさいましたけれども、要するに市町村の事務で、市町村の段階で今回の生涯学習法案に盛り込みました事業ができるのではないかという御質問だったように思います。 それは、先ほど申しましたように、この法案には具体的な施策といたしまして三つのものを盛り込んである。そのうちで、生涯学習の審議機関につきましては、市町村についても連携協力体制という形で十二条に規定がありますので、これは市町村のものでございますから、その他について都道府県を中心に規定をしているということでございます。 この理由といたしましては、例えば第三条の生涯学習振興の事業の体制については、例えば生涯学習に関する情報でありますとか、住民の学習に関する指導者、助言者に対する研修でありますとか、こういうものはかなり広い範囲のものでないと事業の効果が上がらないということ、あるいはかなりの専門的な人材を持った組織でないと対応ができないものというように都道府県段階の事業にふさわしいものである、都道府県段階の事業に位置づけることが最も効果的であるというふうに考えて、都道府県の事業といたしたわけでございまして、それは社会教育法の方の条文でも、例えば五条については、今おっしゃられたように市町村の事務が書いてございますが、六条の方には都道府県の事務がございまして、この都道府県の事務を追加しております社会教育法の態度も、当然により広い行政需要については都道府県で分担をするという姿勢は、これはあたかも全く同じ関係にあるというふうに思っております。 したがいまして、生涯学習法案の第三条及び第五条につきまして都道府県を中心に挙げてあるということが社会教育法の趣旨を減殺するというようなものではないというふうに私は考えております。
○山原委員 法律上の言葉、条項でちょっとややこしいのですけれども、社会教育法では、学校教育、体育、レクリエーション、文化、芸術、情報の交換、研究にまで及んでいます。だから、これらで生涯学習に関する規定をほとんどカバーできるのではないかというふうに思うのです。 それともう一つは、社会教育法の精神というものにつきまして、これはどういう討議をされたかわかりませんけれども、例えばこれは一つの例ですが、「戦後の文教政策」という証言があるわけです。 これは六十二年八月二十五日ですから、ちょうど三年前ですか、その中で井内慶次郎氏が次のような証言を行っています。これは官房長をしておったわけですから御承知と思いますが、この「戦後の文教政策」、監修は木田宏さんがやっているわけですが、社会教育法の「第三条では「全ての国民」ということで全体を網羅し、国や地方公共団体は全体を対象とするとしています。乳幼児から老人に至るすべての国民、ということなんです。しかもその国民があらゆる機会あらゆる場所を利用するというのです。そのころ生涯学習とか生涯教育ということを、明確に意識したということではありませんが、まさに生涯学習的な視点に立って、国や地方公共団体はやらなければということになっている。」こういうふうに証言しているのですね。「立法当時、すでに生涯学習的な発想はあったし、そのための環境醸成が行政の目的だった」というふうにも証言をしております。 社会教育法が生涯学習を保障するものであったのではないですか。ここのところが妙にはっきりしないのです。それをやらなかったところに問題があるのであって、社会教育法がこういう性格を持って生まれて今日まで来ておるわけですが、それがむしろないがしろにされてきたところに問題があるのではないかというふうに思いますが、この点はいかがですか。
○横瀬政府委員 少し整理をして申し上げますと、社会教育法の第五条とか第六条におきましては、地方公共団体が実施すべき事務を定めておりまして、その規定は社会教育を振興するためにそれぞれの地方公共団体が実施すべきものを定めた、こういうことでございます。それに対して、今回の法案の第三条、第四条につきましては、地域の生涯学習を振興するための都道府県が実施すべき事業等を定めているわけでございます。 今おっしゃいましたように、地域の生涯学習の振興には社会教育が重要な役割を果たしている、それはもちろんそうでございます。しかし、それだけでなくて、地域の多様な学習需要に適切に対応するためには、社会教育だけではなくて、学校教育あるいは文化活動というものを、より多様で総合的な学習の機会を提供する必要があるということで、住民の学習に対する支援体制というものを今回第三条で規定している、こういうことでございます。したがいまして、今回第三条で盛り込んであります生涯学習という範疇は、社会教育よりはもう少しというかかなり広いものでございます。 それから、社会教育法では、定義のところで社会教育というのは組織的な教育活動だということが触れられておるわけでございます。この生涯学習の文化活動という面につきましては、これは必ずしも組織的な教育活動でないものであっても、それも当然に生涯学習の機会になり得るということで、その第三条の都道府県の生涯学習を推進する事業体制の中にその対象として含めておるものでもございます。 そういった意味で、社会教育法の持っているいわば法的な性格というものと今回の生涯学習法の三条の性格というものはかなり違っているというふうに私どもは思っております。
○山原委員 ちょっとすれ違うかもしれませんけれども、今度の生涯学習振興法が社会教育法に盛られた精神、地域性であるとか自発性であるとかいう問題、これは井内さんが、後で出てきますけれども、時間があればそれも申し上げたいと思うのですが、これらが随分変わってくるわけですからね。 それで、この社会教育法では第二条に社会教育の定義が出ていますね。ところが本法には生涯学習なるものの定義が出ていないのです。なぜこれは定義を出していないのですか。
○横瀬政府委員 生涯学習と申しますのは、国民の一人一人が充実した人生を送ることを目指して生涯にわたって行う学習活動、あるいは生涯学習に対する振興という言葉につきましては、そのような国民の要請に対して対応すべき理念として用いられている言葉でございまして、そのような通常使われているような言葉によってこの法律について運用すればそれで足りるということでございまして、それ以上に一律な定義規定を設けるということはかえってその意味、内容を限定することにもなりかねない。法律上特に必要がないということであれば、特に規定は置かないというのが法律制定上の一つの方針でございますので、それにのっとって通常の用語として解釈運用すれば足りるということで、特には定義規定を設けなかったということでございます。
○山原委員 社会教育法が制定されるときも大論議になって、これは御承知のように戦前の国民精神総動員的な性格のものから新たな戦後を迎えて民主的な憲法と教育基本法のもとにおいて社会教育法がつくられて、そしてその定義もきちっと出されているわけですね。この中に含まれているのは、基本法に基づく大変民主的な、しかも地域性、そして生き生きとした生涯における国民の学習権を保障する、こういう立場で来て、しかも私、今言いましたように、もうどこを見てもほとんどこの生涯学習をカバーするだけのものを持っているわけですね。 そこへ今度、生涯学習という形のものを持ってきて、ところがそれは定義がない。法律の中のどこにもないわけでしょう。すると、生涯学習とは一体何なのですか。これはここで論議する一番大事な問題なんですよ。それで、生涯学習とは何なのか、私は単に局長の答弁だけでなくて、これは文書化して出してもらいたいぐらいに思うのですよ。それがなしに、何かわからぬ、どうでも解釈できる。 例えばあなたは、これは日本教育新聞ですね、これのインタビューに局長はこういうふうにお答えになっている。五月二十六日付ですけれども、「斜に構えたいい方で恐縮ですが当たり前なことを定義しても意味がありませんし、反対に意外な定義をすればそれは間違いでしょう。ある意味で行政が定義をすると押しつけみたいになりますしね」というふうに述べておりますが、これは常識だとか当たり前だとかいうようなことで解決できる問題ではないと思うのです。 社会教育法の法律に基づいて行われてきたものが、行われていないことはまた別にして、そういう生涯学習をカバーする法律があるにもかかわらず新たにここに出てきた、しかもこれだけの大きな、しかも文部省がこれを所管する、文部省が初めて教育基本法に基づかない法律を所管するという、こういう重大な段階に至ってこの定義がないということは、これは本当にここは審議しにくいですよ。この定義は何なのですか。もっと言うならば、生涯学習とは何なのですか、国民に対してどう答えるのですか。
○横瀬政府委員 生涯学習という用語につきましては、いわゆる臨教審答申で「生涯学習体系への移行」ということが提言されまして以来、特に社会一般に使われるようになったわけでございますが、ここで一般に言われております用語の意味、これは先ほど申しましたように、国民の一人一人が充実した人生を送ることを目的として生涯にわたって行う学習活動ということで、これはごく通常に使われている言葉でございます。 今回、生涯学習のこの新法律案を提案をいたしました中身で、生涯学習についての振興、推進体制について規定しておりますこの三つの具体的な施策につきましては、これは今も私が申し上げました通常使われている生涯学習という言葉、その範囲をもって考えていけば、これは別に何の差し支えもない、通常に解釈運用ができていく、そういうものでございます。 したがいまして、これは先ほどお挙げになりました社会教育法の制定当時の、戦後のそういう状況というような特別な状況によって、いわば定義によって一つの具体的な効果を生もうとするそういう方向というようなことが特にない限りは、わざわざ法律によって定義を設けるということでなくて、通常に実態として存在しているものについてはそのまま使っていくというのが正しい態度であるというふうに私どもとしては考えたわけでございます。
○山原委員 通常だなどとおっしゃるけれども、社会教育だってそうですよ。通常に社会教育といったら、社会教育。わかりませんか、通常性とか常識性を持っているわけです。でも社会教育法はちゃんと第二条に定義を書いてありますね。 では、あなたのおっしゃるように、この法案が臨教審と中教審のあれから出てきているわけですけれども、臨教審の場合は「生涯学習体系への移行」という言葉が出てくるのですよ。生涯学習とは何かというようなことは出ていないのです。あえて言うならば、これはことし一月に出されました中教審答申でも、定義はありませんね。 ただ五十六年のいわゆる五六中教審答申を引用して次のように述べています。ここでは生涯学習という言葉ではなく生涯教育という言葉で、「生涯教育とは、国民の一人一人が充実した人生を送ることを目指して生涯にわたって行う学習を助けるために、教育制度全体がその上に打ち立てられるべき基本的な理念である」、こういうふうに出ています。これが中教審答申の、一般規定と言うんでしょうか、それしかないのです。 しかも教育制度全体がその上に立って打ち立てられるべき基本理念ということになりますと、これはまさに文部省の所管の問題ですよ。今度の生涯学習振興法として、文部省が今まで所管してきたものと違うものが入ってくる。教育基本法の理念に基づかないものまで文部省の法律、所管になるという状態でしょう。だから、生涯学習とは何ぞやということはどこにもないのです。どう説明するのですか。
○横瀬政府委員 今中教審の答申についてお挙げになりましたけれども、今度の一月三十日の「生涯学習の基盤整備について」という答申につきましては、特に生涯学習という定義を置かないで、したがいまして、そのときの考え方としては、先ほど私が申し上げましたように、生涯学習という考え方については大体国民の間で定着をしている。国民の一人一人が充実した人生を送ることを目指して生涯にわたって行う学習活動というぐらいに考えれば、これはもうそれで十分であるという前提に一応立ちまして、そこで、特に留意する点というのを挙げているわけでございます。 一つが、「生涯学習は、生活の向上、職業上の能力の向上や、自己の充実を目指し、各人が自発的意思に基づいて行うことを基本とする」というのが最初の留意事項になっています。この「各人が自発的意思に基づいて行うことを基本とする」という部分について配慮すべき大変に重要な点というふうに考えまして、この法案の第二条にその文言を入れたわけでございます。 生涯学習というものに対してどのように考えていくか、その重点につきまして、その方向性につきましては第二条に特別に配慮事項というのを設けまして、そこで留意をしていただくというふうに考えてこの法案の策定作業を行ったわけでございます。
○山原委員 生涯学習という言葉、これは随分昔からあるわけでもない。でも、「生涯学習体系への移行」という言葉、これは臨教審の中で出てきたわけですね。そうすると、生涯学習とは何かということになってくると、やはりあいまいですね。常識で大体わかる言葉ではなかろうか、国民に定着しておる――そんなことは解釈のしようによってはどうでも恣意的に解釈できるという法律ではだめなんですよ。それは厳密なものですからね。 しかも、ここは立法府ですから、法律の文言については正確にしておかなければなりませんし、また、これだけの大きな法律を出してくる上に当たっては、やはり定義はきちんとしておかないと、これは後々まで大変な事態が発生することはもう目に見えています。だから私はこのことにこだわっているわけで、定義はやはり今、私の質問の中で答えていただきたいのです。文書にして出してください。 法律に出せないというのだったら、今考えておる生涯学習とは何ぞや、一体何の審議をしておるのか、それは生涯学習の振興に関する法律をやっているのですけれども、その生涯学習という、いわば新たに出てきた言葉ですよね。それは中教審の答申の中には生涯学習という言葉は出てくる。法律としてずばりと出てきたこの生涯学習というものは一体何なのかということは、法律作成に当たっては当然やっておかなければならぬことであって、この委員会にも法案審議に当たって当然出すべきものだ。あいまいなことではだめです。 私はそれでは審議できませんから、そのことを申し上げておきたいと思う。もしお答えになるならば箇条書きできちっと言ってください。場合によっては文書にして皆さんに渡してください。
○横瀬政府委員 生涯学習という用語についての私どもの考え方というのは、先ほどから申し上げておりますように、国民の一人一人が充実した人生を送ることを目指して生涯にわたって行う学習活動ということでございます。 もちろん、これについて必ずこれと同じでなければならないかどうかは、先ほど申しましたように、これは国民の共通した、一応これまで定着した概念だと私どもとしては理解しているということで申し上げているわけでございます。ですから、今申し上げたような定義によってこの法律が策定されたというふうに御理解いただきたいというふうに私としては申し上げたいと思います。
○山原委員 局長、これは大事な問題ですよ。もうきょうの持ち時間、五分ぐらいしかなくなっているわけでございますけれども、そんなおっしゃり方だと、社会教育だって何も定義を書かなくたっていいわけです。社会教育なんてみんなおわかりでしょうで済むわけです。そんなことわかりませんか。社会教育とは、おわかりでしょう。でも、社会教育法には第二条にちゃんと定義というものがあるのですよ。そしてそれに逸脱をするならば、これは論議になるところでしょう。 ここはないのです。ないからわからぬ。わからぬからどこかで出ておるのだろうと思って調べてみると、臨教審の中には「生涯学習体系への移行」と出ておるけれども、生涯学習とは何ぞやというのは出ていない。中教審にも出ていないのですよ。 そうしますと、それなら私はここで聞きたい。この前から私は資料提供を求めているのですけれども、例えば中教審小委員会報告から今度の中教審答申になりましたその過程における生涯学習についての論議はどんなものがなされたのか。生涯学習をここへ持ち込む、しかも新たな法律をつくって持ち込む、しかも今までの形態とは随分違った、中身を後からやりますけれども、そういうものを持ち込む場合に、生涯学習とは何ぞやということを論議しているのですか。 論議しておれば、その中教審の審議経過の概要を提出していただきたいのです。議事録まで提出をせいと言っても、これは前の経験からなかなか出てきませんけれども、でも少なくとも、中教審において生涯学習という法律を作成する答申を出してくるに当たって、生涯学習とは何ぞやという論議を審議委員の皆さんがやっておれば、それはここへ当然提出をすべきです。 それもわからずに、何が論議されたかわかりません、臨教審で何が論議されたか、中教審で何が論議されたか、生涯学習とはかくかくのものであるということも論議されたのか、されなかったのか、あるいは意思統一ができておるのか、できていないのか、それもわからずに法律は出てくる、法律の中には定義がないということになると、これは皆さんこれから審議に入るわけですけれども、本当に審議のしようがないぐらい重要な問題だと思うわけでございまして、きょうは私、これでもう時間がなくなってきておりますが、もう一回お答えいただきたいと思います。生涯学習とは何ぞや、出しますか。
○横瀬政府委員 生涯学習の定義につきまして法定をしていないという点につきまして、その点についての私どもの考え方は先ほど述べたとおりでございます。 ただ、それでは生涯学習というものについて私どもがどう考えているのかということについて明確にせよという御主張でございますので、私どもとしては、それを検討してみたいと思います。
○山原委員 きょうの質問は終わります。
○船田委員長 次に、米沢隆君。
○米沢委員 私も、本法案に関しまして若干の質疑をさせていただきたいと思います。 まず最初に、今共産党の委員がしつこく尋ねておられました生涯学習の定義と理念についてお伺いいたします。 今もるる議論がございましたが、この法案を読んでみますと、生涯学習とは一体何かという定義も理念もどこにも示されておりません。したがって、生涯学習の内容がいかなる範囲を持つものか、あるいは今なぜ生涯学習なのかという意味で国民に説得力のないものになっていることは明白であります。その点を文部省は一体どう考えているのか。 したがって、今回の法律案は生涯学習に関する我が国初めての法律であるにもかかわりませず、その目的については第一条に、生涯学習施策の推進体制、機会の整備を図り、生涯学習振興に寄与するとあるだけでございまして、残念ながら定義も理念も欠落しておるとの批判が起こるのは当然のことだと思います。その点について再度御見解を承りたいと思いますし、同時にまた、この生涯学習というものが我が国の教育全体の中でどういう位置づけを持っておるものかということも御説明いただきたい。 同時に、今まで社会教育とか成人教育とか、これに類する言葉がたくさんございましたが、そういう意味では、今局長さんが生涯教育についての定義的なものを述べておられますが、成人教育、社会教育、生涯教育あるいは生涯学習、一体どういう位置づけになって、相関関係はどうなっておるのか、その点についても御説明いただきたい。
○横瀬政府委員 生涯学習の定義、理念につきましては、先ほどるる述べましたように、国民生活を充実していく上で国民それぞれが生涯にわたって行う学習活動であるということでございます。生涯学習というのは、このように通常に使われている用法に沿って解釈運用が行われれば、私どもとしては法律の解釈運用の上では特に支障を生じないというふうに考えまして、特に定義規定を設けなかったわけでございます。 そこで、本法におきまして、その点につきましては先ほど委員の御指摘がありましたけれども、第一条のところで、「国民が生涯にわたって学習する機会があまねく求められている状況にかんがみ」といたしまして、生涯学習が求められている背景を明らかにいたしました。 そして、生涯学習の振興のための推進体制及び地域における生涯学習に係る機会の整備を図るというふうにいたしまして、生涯学習の推進体制と学習の機会の整備というものが生涯学習振興の上での中心課題であるということを位置づけまして、そして施策を実施するに当たりましては、これは第二条の方でございますが、「学習に関する国民の自発的意思を尊重するよう配慮する」というようなこと、あるいは他の「別に講じられる施策と相まって」というふうに生涯学習の振興が全体の整合性と学習者の視点に立った理念に基づいて行われるべきことを明確にしたというふうに私どもとしては考えたところでございます。 そこで、生涯学習を我が国の教育の中でどのように位置づけているのかということでございますが、これは我が国のこれからの社会、所得水準の向上でありますとか高齢化の進行でありますとかいうことに伴いまして、学習に大変大きな需要が増してきた、人々の学習意欲が高まっている、あるいは科学技術の高度化や情報化というような新しい動きによりまして、常に新しい知識、技術を習得する必要が生じてきている。それから、学校教育への過度の依存に伴う学歴偏重の弊害が生じてきて、これについて是正する必要がある、こういうような社会的な背景から生涯学習ということが言われておりまして、国民各人がそれぞれ自己に適した手段、方法をみずから選んで生涯を通じて行っていくことができるような、そしてその学習成果が適正に評価されていくような社会ができていくように生涯学習を進めていく、そういう考え方の中で学校教育、社会教育、あるいは成人教育とおっしゃいましたが、成人教育というのは通常は社会教育の中に含まれておりますけれども、学校教育、社会教育あるいは文化活動といったものが、その大きな学習機会を提供する分野になっていく、その上で生涯学習という観点からそれらの学習機会が整合性を持って国民の要請に従って振興されていく、こういうような位置づけになろうかというふうに考えております。
○保利国務大臣 理念の問題についてお尋ねでございましたが、最近の日本の状態を考えてまいりますと、生活水準が上がってまいりまして所得がふえてきた、さらにはまた自由時間が増大をしてきた、さらに高齢化社会を迎えてお元気な高齢者がたくさんふえてきた、そういう時代の背景の中にありまして、もっといろいろ勉強をしたいというような学習需要というのは非常に増大をしてまいったように思います。同時にまた、それは単なる需要といいますよりは、むしろいろいろなさまざまな形で勉強をしたい、さまざまなことを勉強したいといういわゆる多様化の問題と、それから、さらにもっと高いレベルの、学校教育以外の勉強をしたいというようないわゆる高度化した学習需要の増大というのが出てきているというのが時代背景にあろうかと思います。 そこで、そうしたところでどうしたら学べるのか、今御質問にもあっておりましたが、社会教育法で規定しておりますいろいろな施設というのはそれなりにできておりますが、さらにこれを充実したものにして、いわゆる生涯においてあらゆる場合にあらゆるときに勉強をする、そういう施設をもっともっと充実し、提供していくことが必要だということでこの法律をつくったものと私はそのように理解をしております。 そして目指すところは、最終的には生涯学習社会と言われるような社会の実現を目指していく。いつでもどこでも勉強ができる、そして文化国家にふさわしい自分なりの学習を自主的にやっていく社会ができてくる。それが一つの、この法律案を提出し、そして学習社会というものをつくっていくという、そうした考え方でこれからの日本の問題を考えていく、そうした理念に立ってこの生涯学習というものを進めていこうという考え方に立っているものと私はそのように認識をいたしております。
○米沢委員 生涯学習の定義について言葉ではいろいろお答えになりますが、定義として法律の中にないというのは、生涯学習という言葉が常識的にもう国民の皆さんにわかっておろからというふうな発言がその裏にあるのでございます。 しかし、この法案ができるまでに各省庁でかなりもめたという経緯がございますが、これはまさに生涯教育とは一体何かという定義を決めないところに問題があったのではないか、そういう感じがしてなりません。その点は、今まで作業をしてこられて各省庁の間でいろいろもたもたして議論が続いてきた、その背景には、逆に生涯学習の定義さえできないというところに問題があったのではないでしょうか。 同時にまた、「中教審答申で生涯学習の定義を明確に定めることは、社会教育法の改正、ひいてはその基となっている教育基本法の改正につながるというわけ」で、逆にあいまいにしたんだというように中教審の委員の方が語っておられる新聞があります。これは、今おっしゃった形式的な話ではなくて、本当は裏の話がかなりあり過ぎるのじゃないですか。
○横瀬政府委員 最初のお尋ねでございますけれども、各省庁との調整でかなりの時間を要したということでございますが、それは、生涯学習に関する定義とかいうようなことではなくて、生涯学習に関する初めての法律案でございましたので、それについて全省庁の御理解をいただくとか、あるいは生涯学習に関連する施策を行っております省庁は極めて多数にわたるものでございますから、そういった省庁の施策と本法案に規定する施策との調和をどのようにとっていくかとかいうようなことについて全省庁の御理解をいただくのに時間がかかった。しかし、最終的には全省庁の御理解をいただきまして政府として国会に提出をさせていただいている、そういうことでございます。 それから、中教審における議論でございますが、これは、もちろん生涯学習ということに関していろいろな検討、議論があるということは当然でございますけれども、今おっしゃったようなそういう方向での御意見とかいうようなことは、私は全く記憶にございません。
○米沢委員 この生涯学習の必要性とか理念につきましては、昭和六十二年の臨教審の答申では「従来の学校教育に偏っていた状況を改め、「開かれた学校」への転換を促進し」云々とありますね。また、中教審の答申においては「我が国においては、学校教育への過度の依存に伴う学歴偏重の弊害が生じており、今後はこれを是正して、人々が生涯にわたって学習し、それを正当に評価する社会を築いていくことが重要と考えられる。」こう述べられておりまして、両答申とも、学校中心の考え方を改めて学歴社会の弊害を是正し、人々の生涯にわたる学習の成果が適切に評価される社会を形成する、すなわち、生涯学習体系への移行を図っていくことが大切だ、こう言っておるわけですね。 しかし、この表現の仕方は、今あなたがお答えになっておるように、人々がさまざまな多様なニーズに応じて勉強して学習していくんだというよりも、私はもっと広い概念のような気がするのですね。逆に、臨教審が求めたものも中教審が求めたものも、今あなたがおっしゃるような文部省だけの矮小化された範囲ではなくて、もっと広がった学歴社会を是正していこうという、そのためには一体になって生涯学習をやっていくんだという、そういう意欲があるように僕は見えるのですよ。 ところが、あなたのお答えは本当に矮小化された、ただ人々が時代の要請によって、あるいは自由時間が多くなったから勉強したくなるだろう、それにちゃんとチャンスを与えてあげるんだというくらいのものではないかと私は思うのですね。そういう意味で、臨教審が答申したものも、中教審が答申した意を体するならば、この法律は二十点もあげられない、そんな法律ではないかと思うのですが、どうなんですか。
○保利国務大臣 先ほどの私の御答弁、舌足らずのところがあったかと思います。最後のところで生涯学習社会の実現を目指すという申し上げ方をしたのでありますが、そこの中に今先生から御指摘をいただきました開かれた学校でありますとか、あるいは学歴社会偏重を崩していかなければならない、是正していかなければならないという考え方を含ませておりますが、それを申し上げなかったことはちょっと失礼をいたしました。 今お話しのように、学歴社会偏重、それはまことにまずい状況でございまして、私は現状そういうものがあることを否定はできないわけでありますが、そうしたものをやはり打破していく、そして正しくその方の能力と人格が評価される、そういう社会になっていかなければならない、そして生涯学習を通じていろいろ学んで高めた能力というのはそれなりに評価をされるという社会をつくっていかなければならないという背景、理念がこの法律にはあることを御理解をいただきたいと存じます。
○米沢委員 大臣の御答弁になったそういう気持ちであるならば、私はやはり生涯学習のまず基本法みたいなものをつくって、その後にこういう法律が出てくるのが筋ではないかと思うのですね。
○横瀬政府委員 この臨教審の答申によりまして、先ほど米沢先生がおっしゃいました生涯学習体系への移行というものが大変大きなこれからの課題だということが指摘された、それについて今回の、昨年の四月から第十四期の中央教育審議会、文部省の中教審が審議を始めまして、そしてその具体化についてどうしたらいいかということについての審議をしてきたわけでございます。本年の一月三十日に答申が出て、「生涯学習の基盤整備について」という内容で答申がなされたわけでございます。 これにつきましては、結局先ほど申しました生涯学習体系への移行ということを大きな課題とし、それについて我が国の国及び都道府県、市町村における生涯学習振興のための推進体制というものを、推進の基盤というものをどうつくっていくか、それを具体的にどういうふうにやったらいいか、そういう観点で、それだけではございませんが、そういう課題を中心といたしまして具体的なあり方について審議をし、そして今回の答申になった、こういう関係でございます。 そして、そのうちで法律によって実現すべき、措置することが適当な事項につきまして今回の法律案として盛り込んだ。具体的には国、都道府県、市町村における生涯学習の推進体制というものと、それから地域の生涯学習推進のための具体的な機会の創出といいますか、そういったものについて三つの内容を盛り込んでおるわけでございますが、こういった基本的な生涯学習、これはまだ全く初めてのことでございますから、我が国の生涯学習振興の基本的なあり方について今回定めていただくということになれば、これを基盤にいたしまして我が国の生涯学習、最初におっしゃられました生涯学習体系への移行という大きな方向に向かってその基礎が築かれていくだろう、こういうふうに私どもは考えまして今回の法案を提案した次第でございます。
○米沢委員 お話を聞いていますと、生涯学習の基盤を整備すれば生涯学習が達成されるような、何かそういう逆立ちした議論のように聞こえてなりませんね。 私は、生涯学習への移行とおっしゃるならば、生涯学習の社会とは一体どういうものなんだ、そのために何をしなければならぬのだ、そのためにはどういう戦略でこの学習体系を進めていくのか、そしてそのためにはこういう基盤整備が必要なんだ、こうなっていくのが筋じゃないかと思うのですよ。どうもそういう意味で生涯学習というのが余りにもあいまいもことして、分野が多岐にわたり過ぎて、そして何か今からそっちの方は中身は具体的には考えます、ただ基盤を整備すればいいんですと、そんなふうにしか聞こえないのですが、どうですか。
○横瀬政府委員 我が国における生涯学習のあり方というものについて今委員は一つの方向をお述べになりましたけれども、私どももその点についてはほぼ、それほど逆立ちしているという関係ではないように思います。 生涯学習の推進体制と申しておりますものの中には、御承知のように第十条のところに生涯学習審議会というのがございますが、これは我が国の生涯学習の振興についての重要事項について調査審議をする、これをしっかりとやっていくことによって我が国の生涯学習の方向が出てくるわけでございます。これは社会の進展あるいは時代の進展によりまして、その生涯学習に対するいろいろな重点とか方向とかいうのが変わってくるわけでございますから、そしてそれが積み上げられることによって生涯学習の具体的な姿というものが次第に成熟していくというふうなものでございますので、ぜひそういう審議機関をまずつくって、その中でいろいろな方々による御議論が行われて、その上で国の方向が出てくる、これは十分国民の需要を酌みながら議論をしていくということが必要ではないかというふうに考えまして、中教審の取り上げ方もそういったことでございまして、今回の推進体制といいますか、推進体制を中心とした基盤整備、こういう答申になったというふうに私どもとしては理解をしております。
○米沢委員 どうも納得できませんね。 御承知のとおり、ユネスコが一九七六年に「成人教育の発展に関する勧告」というのを出しておりますね。それを読んでみますと、一つに成人教育の「定義」「目標及び戦略」「成人教育の内容」「方法、手段、研究及び評価」「成人教育業務に従事している者の訓練及び地位」そして「成人教育と青少年教育との間の関係」「成人教育と労働との間の関係」「国際協力」などの各項目にわたって具体的な勧告があるわけです。 今度のこの法案を作成されるに際しましても、こういうものの考え方を一応勉強されながらつくられたものだ、そう我々は考えておるわけでありますが、特にこの成人教育の定義というものをはっきり述べられておりまして、それによると、成人教育とは「その属する社会によつて成人と見なされている者が、能力を伸長し、知識を豊かにし、技術的若しくは専門的資格を向上させ又は新しい方向に転換させ、並びに個人の十分な発達並びに均衡がとれかつ自立した社会的、経済的及び文化的発展への参加の二つの観点からその態度又は行動を変容させる組織的教育過程の全体をいう。」この定義の是非についてはいろいろありましょうが、こういう定義をして、そして「成人教育は、生涯教育及び生涯学習の普遍的体系の一部であり、かつ、不可分の一部をなすものである。」という定義をされて、目標と戦略を具体的に設ける、こういうことになっておるわけですね。 こういうふうに考えてみますと、今回の生涯学習法案が、生涯学習の定義もせず、かつユネスコのような目標と戦略も設けなかったということが、どうも頭の整理上からして全然納得できないのです。国民がこういう法律を読んだときに、ただ基盤整備というだけで、生涯学習なんてこんな大それた言葉をかけるようなものじゃないね、この法律は。ただ基盤整備やりましょうというだけの話なんだ。 そういう意味で、私は、生涯学習の定義というのが単にためにする議論ではなくて、生涯学習の定義さえない、理念さえない、目的さえ示されない、戦略さえないというところにこんな法律が出てきて一体何になるんだという気持ちを持っておるということを率直に申し上げたい。
○横瀬政府委員 このユネスコの「成人教育の発展に関する勧告」といったようなものにつきまして、中教審は十分これを承知して審議をしているというふうに私は思っております。 この成人教育といったような場合の範囲というのは、我が国でいえば社会教育法によります社会教育の一部として成人教育等が行われているというふうに理解するわけでございます。それで、そういった成人教育であるとか社会教育であるとかというものにつきましてはそれぞれこれまで振興をしてきているわけでございますし、それなりに目的を持ってその行政についてはっきりその範囲を決めてその方向で振興するということであります。 それで、生涯学習というのはそういった社会教育でありますとか成人教育でありますとか、あるいは学校教育でありますとかいうように具体的に提供されている学習機会というものをそれぞれ国民の側から自発的にそれを選択して、そしてそれで国民の各人それぞれが自発的にそれを習得していく、こういう考え方でございます。それによってそれが学習されていけば今度は社会がそれを適正に評価していく、そういう社会にしようというのが生涯学習社会というものの考え方でございます。 したがって、この法案の第二条にもございますように、生涯学習というのはあくまでも国民の自発的な意思を尊重して行われなければならない、そういった性格のものでもあるということでございまして、個々に教育の側からある範囲と目的を持って振興しているそういう行き方と生涯学習という考え方は、それを学習者の立場という視点に立って考え直すということでもございますので、そういった性格を持っているということは御理解いただきたいと思います。
○米沢委員 どうも苦しい答弁のような気がしてなりません。納得できません。 これはこれ以上申し上げても余りいい答弁は出てきそうにありませんので、文部大臣に。 私は、こういう具体的な生涯学習に関する初めての法律が、ただこんな基盤整備をするというぐらいのことで出てきたことが悲しいということを言っておるのであって、もっと臨教審や中教審が求めた答申の真意というものを法律に生かせるように、もっと文部省は頑張ってもらわなければいかぬ、私はそんな感じで物を言っておるということを御理解いただき、ぜひそういう方向でこれから生涯学習、こういう基盤整備をする法律じゃなくて、やはり生涯学習の基本法をつくってちゃんと目的と戦略を持って、そしてこのような基盤的整備を進めていきますというぐらいの発想に立ったスケールの大きい生涯学習法案というものをつくってもらいたい。できればつくり直してもらいたいと私は思います。 それから第二の問題は、中教審答申と法案との差についてちょっとお伺いいたします。 この法案は、ことし一月の中教審答申の「生涯学習の基盤整備について」を受けて作成されたわけでありますが、この答申の内容と今回提出されております法律案の中身を比較しますと、幾つかの点で違いがあると思われます。 今回の法案の骨子は、生涯学習振興の都道府県体制整備、地域生涯学習振興基本構想、国及び都道府県における生涯学習審議会の設置という三つが大きな柱であると思っておりますが、それとは別に、ことしの中教審答申に含まれていて今回の法案に盛り込まれてなかった点について所見を伺いたいと思います。 第一は生涯学習推進センター構想というものであります。答申には、地域における生涯学習をより一層推進していくためには、おのおのの地域へ生涯学習を推進するための中心機関となる生涯学習推進センターを設置することが必要として、それを都道府県に設置し、生涯学習情報の提供や学習プログラムの研究、企画など六項目の内容を実施すべきだ、こういうようなことが書いてあります。また大学や短大などにも、大学等の自主的判断により生涯学習センターを開設することが期待される、こういうことが書いてあります。これらセンターの構想について今回は削除されておる、これはどういう理由によるものですか。
○横瀬政府委員 今回のというか一月の中教審答申におきましては、今委員がお述べになりましたように、生涯学習の中心的機関といたしまして、一つが都道府県が設ける生涯学習推進センター、それからもう一つは大学、短大等が設ける生涯学習センター、この二つのものについて提言があったわけでございます。 そのうち、前者の方の生涯学習推進センターにつきましては、実はこの名前につきまして今回盛り込まれなかったのでございまして、この内容については第三条及び第四条にその同じ趣旨のものが盛り込んであるというふうに御理解いただきたいと思います。 生涯学習推進センターという特定の名称のついた組織や施設につきましてこれがこの法案に盛り込めなかったというのは、これは臨時行政調査会の答申等、地方行政の減量化あるいは効率化というような趣旨から、地方自治体に特定の名称のついた施設について、これはたとえ任意設置のものであっても法律によって制度化を行わないということがここ十年ほど継続した政府の方針でございまして、そのために生涯学習推進センターという固有の名称についてはこの規定に盛り込めなかったということでございます。 ただ、中教審が提言しております地域の生涯学習の支援体制につきましては、第三条にその趣旨はそのとおり盛り込んでございまして、各都道府県教育委員会が実現すべき体制について、事業につきましても中教審答申に載っております六つの事業がそっくりこの第三条の第一項各号に列挙されておりますので、中教審答申のこの地域の、都道府県の生涯学習の支援体制につきましては、これは何の支障もなくこの規定によって実現する、この規定の趣旨に中教審答申の趣旨が合致しているというふうに考えているものでございます。 一方、大学、短大等におきます生涯学習センターでございますが、これは答申の中で大学等の自主性に基づいてその生涯学習に関する組織を設けるようにというような内容になっておりまして、これは法律で一律にそういった制度を設けるということは、今申し上げました大学等の自主性というものについてこれと抵触するおそれがあるということがございまして、そういうことから、これはぜひ大学、短大等においてそういった組織をつくっていただきたいということについて変わりはないわけでございますが、法律によって措置すべきものではないという判断でこの法律には盛り込まなかったということで御理解いただきたいと思います。
○米沢委員 今おっしゃることを聞いておりますと、この生涯学習推進センターというのは何かハードな施設をつくって、そこに人間を寄せて物すごく金を使うというような意味で使っておられるような気がしますが、私はそういうふうにとってなかったのです。結局、生涯学習に従事する皆さん方を、一つのセンター的な概念をつくってその中で生涯学習をやっていくんだぞという組織、組織をつくるということであって金目の関係は余りなかったのだと思うのだけれども、何か行政改革に関連するような物の言い方をされるとちょっとおかしいなと思うのですが、実際はどうなんですか。 何かこの推進センターというのは、特に専門職員を配置せよというそこの部分は、今だっておられるから、その人が兼任されてもいいことだし、本当にそういう人がいるならばそれは措置してもらわなければいかぬことでございますが、そこらについてはほとんどこの法案には触れておりません。何かセンターというとハードをつくって物すごく金が要るような話をされるのだけれども、中教審の答申は本当にそんな構想だったのですか。
○横瀬政府委員 中教審の答申の趣旨というものは、これは今先生がおっしゃった趣旨に非常に近いものだと思います。というのは、この答申の中にも「今後は特に、生涯学習に関する情報を提供したり、各種の生涯学習施設相互の連携を促進し、人々の生涯学習を支援する体制を整備していくことが重要である。」こういうふうになっておりまして、それはどんな形にせよ体制を整備するということがその主眼であるということを明らかにしております。 ただ、この答申はその後で、それをいわばセンターという名称で設置することを提言しているわけでございます。そこで、それを法律でセンターという名前を書きますと、これは大変法律論、技術論になって恐縮でございますけれども、法律上のセンターと申しますのは施設だということでございます。したがって、先ほど申し上げましたように、施設というのは新しく地方公共団体に法定化するということは今やられてないという事情とぶつかったということでございます。したがって、先生のおっしゃいますように、私どもとしてはセンターという字を使わないで体制という字を使ったということはかえって中教審の趣旨には沿っているのじゃないかなというくらいにも思っていますけれども、とにかくセンターという中教審の答申がされた名称についてはここに盛り込めなかった、こういう事情でございます。
○米沢委員 センターをつくらなくたって体制をつくるのだ、結局、生涯学習を推進していくためにはまさに生涯学習審議会とか都道府県の教育委員会とかがあるのだからそこでちゃんとやっていけるのだ、機能が果たせるというふうに聞こえるのでございますが、常設のそういう機関があるのと時々集まる審議会がやるのと、これはかなり差があるのじゃないですか。生涯教育に力を入れようと言いながら生涯学習の審議会でお茶を濁そうというところに何かあなた方の苦悶があるような気がするのだが、本当はそういうことじゃないですか。
○横瀬政府委員 ただいまの先生の御指摘は、若干誤解があるように思います。私が今まで説明してまいりましたのはこの法案の第三条でございまして、都道府県の教育委員会の生涯学習振興のための実施体制でございます。したがいまして、これは具体的には学習情報を収集、提供したり、あるいは指導者、助言者に対する研修を行ったりというように具体的な生涯学習に関する事業を行うそういう体制といいますか、これは施設を含めて事業を行う体制ということを言っているわけでございます。 それに対して今先生がお挙げになりましたのは生涯学習審議会でございまして、これは都道府県の分につきましては第十一条でございまして、ここでは都道府県の施策についての総合的な推進に関する重要事項を調査審議するという形で、これはいわゆる審議会でございますが、これと第三条の生涯学習を実施していく実施体制といいますか実施推進体制といいますか、そういうものとは違うものでございます。
○米沢委員 この法案ができるまで、例えば原案には市町村生涯学習審議会というのがあったというふうに聞いておるのです。ところがその部分は削られまして、生涯学習振興の連帯協力体制整備に努めるという形でトーンダウンしていますね。 御案内のとおり、生涯学習というのは都道府県以上に市町村が大きな役割を担っておるような気がしますし、本当に市町村が機動力、活力を持たない限り、こういう生涯学習は本当にお仕着せの生涯学習になる可能性だってある。下から盛り上がったものをどう生涯学習に体系づけていくのかという方が大事であって、都道府県で審議をしてその中でメニューを選んでください的なものはちょっと今時代の方向にはそぐわないのではないか、そう私は考えます。 そういう意味で、この市町村生涯学習審議会みたいなものが単に生涯学習振興の連帯協力体制整備に努めるという形で市町村の役割がかなりトーンダウンしている。一体、どういうところからこういうことになってきたのか。体制をつくるというならば、市町村の体制がまず大事であって、その上に県があり、その上に国があるという方式が本当のこれからの生涯学習を進める意味での体制づくりそのものではないのかなと思うのでございますが、どういう御認識ですか。
○横瀬政府委員 仰せのとおり、市町村が最も住民にとって身近な存在でございますので、市町村が行う生涯学習の取り組みは大変重要であるという点は私どもも全く同じでございます。ただ、市町村の実態と申しますと、これは大小、それから豊かなところ、貧しいところというようなことでも実態は非常にさまざまでございます。 そこで一律に設置するとした場合に、一律に生涯学習審議会という形でなければいけないかどうかというのには若干の議論がございまして、現実にも生涯学習推進協議会という形とか生涯学習推進本部というような機関を設置している例が少なくないことでもあり、また生涯学習に関する調整機関は全くないという市町村もまだあるわけでございますので、そういったものについて一律のレベルで審議会にしなければいけないかどうかということについては、もう少し現実を踏まえた整理をした方がいいのではないかということで、このように法案の第十二条にございますように「関係機関及び関係団体等との連携協力体制の整備に努める」ということでとどめたわけでございます。 ただ、この規定によりまして特定の市町村、それぞれの市町村において市町村生涯学習審議会を設けることも全く差し支えないわけでございます。その辺については市町村の自主的判断に任せるということにしたものでございます。
○米沢委員 次は、この法案ができるまでの各省庁との関係についてお伺いしたいと思います。 先ほど冒頭申しましたように、生涯学習という定義や目的がなかったところに他省庁の誤解ができたり、あるいはまたひょっとしたら自分たちの仕事が文部省にくわえ込まれるのではないかという縦割り行政の一番悪いところが出てきたのではないかと私は思っております。 特に生涯学習法案と僕ら簡単に言いますが、この法案のイメージを考えると、こういう施策の推進体制を整備するというよりも、何か生涯学習法案といったら、国民の立場からいったら文部省も労働省も厚生省もないわけで、何か我々が日常茶飯事、本当に学習意欲を持ってこれを知りたい、これをやりたい、これをやってみたいというものを国がバックアップしてやってくれるのだという感じでこの生涯学習法案をとっておると思うのです。 中身を知ったらみんながっかりするのじゃないかと思うのですが、そういう意味で国民は生涯学習と言われる、それなりに国民の理解に基づく需要を満たしてくれる法案ができたというふうに本当はイメージとしてはとらえていらっしゃるのじゃないのかな、私はそんな感じがするわけでございます。 しかし、どうもこの法案を読んでみたり御説明を聞いておりますと、何か文部省管轄の事業に矮小化されてしまって、労働省はこっちでまた配慮します、厚生省はこうして配慮しますと言って、何か生涯学習というにしては、単に文部省管轄の事業を体制を組んでやるのだ、あといろいろなトラブルが起こるといけませんから各省庁でやろうとする生涯学習に関する部分は相談しながらやっていくのですわと――何のことはないという気がするのですね。そういうような批判は当たりませんか、局長。
○横瀬政府委員 今回の法律案につきまして生涯学習に関する初めての法律案でございましたので、先ほど少し申し上げましたように、関係する省庁が非常に多かったということ、あるいは初めてであったということ等々によりまして調整に時間がかかったということでございます。 それから、生涯学習のこの法案における取り扱いといたしまして、文部省の所掌する事業にかなり範囲が限られているという点でございます。これも、やはり生涯学習の中心は、文部省が所管いたします学校教育、社会教育、文化活動といったことが生涯学習活動の機会の中心でございますので、まずここについていろいろな推進体制あるいは学習機会の提供といったようなものに関する施策を確立するということが、国民の生涯学習の振興の上で非常に大事なことである、基本であるというふうに考えまして、今回の法律案をまとめた次第でございます。
○米沢委員 この法案が初めての生涯学習法案だということで、それぞれ関連する省庁もそれなりにいろいろな議論があったのだと思います。労働省の方、厚生省の方、来ておられますが、一体皆さんは生涯学習というのをどういうふうにとらえておられるか。また、これからどういう取り組みを生涯学習的なものとして取り組まれようとしておるか。あるいはこの法案に盛られておる趣旨、どういう協力体制を組むつもりなのか。三点について簡単に答えてもらいたい。
○小島説明員 私ども労働省でも、生涯職業能力開発ということで進めております。この立場と申しますのは、労働者が職業生活を送るに当たって、その職業生活全般にわたって能力開発をしていただいて、そして労働生活を安定し、また向上させるということを目的としてやっております。 そのために、今までもいろいろな特別の施設、職業訓練校を初めといたしますいろいろな施設をつくってまいりましたし、また事業主、企業に対しましていろいろな助成措置を講ずる、あるいは働く労働者個人に対しても助成措置を講ずる、そういうふうなもろもろの施策を講じてまいっております。 今回の生涯学習法を見てみますと、対象者が、我々労働省の施策といたしましては労働者ということでございますし、またその内容も広く学習ということでございますから、私どもは職業生活のためのいろいろな能力開発ということでやっておりまして、それぞれ少し違うのではないかということで、特に我々、今回の法案に対して異論があるというものではございません。 ただ非常にここに密接な関連がございまして、我々やってまいりますと、特にホワイトカラーの能力開発をやるということになりますと、いわゆる学習ということと非常に関連いたします。そういう面で、今後文部省とも大いに連携協力関係を持ってやってまいりたいというように考えております。
○辻説明員 私ども厚生省といたしまして、生涯学習に関連する事項といたしまして高齢者にかかわる部分が大きいと存じます。私どもといたしましては、二十一世紀の本格的な高齢社会に向けまして、明るい長寿社会を築いていくことが必要である。こういう観点から、高齢者をただ単に弱い立場の者として保護するといった観点で見るのではなくて、その豊富な知識あるいは経験を生かして社会の一員として積極的に活動していただく、こういう観点からいゎば高齢者の生きがいづくりというものを推進しなければならない。こういうふうな観点から、その所掌に基づいて事業を進めております。 したがいまして、この法案の御協議をいただきましたときに、それぞれの所掌がございますので、所掌についての整理が必要であるということで、その所掌に基づいた任務を果たしていくこともまた私ども自身の任務でございますので、その点について調整させていただきまして、異論のない形で調整がついたわけでございます。 いずれにいたしましても、生涯学習ということは非常に重要な政策だと私どもも存じておりますので、具体的な業務の推進におきまして積極的に連携や協力をさせていただきたいと存じます。
○米沢委員 今あらゆる分野で業際というのですか、例えば文部省と厚生省の際の問題、あるいはまた文部省と労働省の際の問題、文部省と農水省の際の問題。私は、これからの生涯学習というのは、ただ文部省の管轄でございますと言ってきたものだけが、その中にすべてはまるのが文部省、労働省の方が言っておられるその所掌に入る者だけが何か勉強したいというのではなくて、ちょうどその際の問題が住民のニーズとしてはどんどん出てくる時代だ、そう思うのですね。 そのあたりを今度は生涯学習という体系の中で、住民からそのニーズが出てきたときに、省庁にまたがるような問題について需要が出てきたときに、皆さんは一体どう整理されるのか。今までのこの法案が出てくる経過から見ると、これまた大変なくだらぬけんかをするのではないか、そういう気がしてならぬのですね。 僕らが予算委員会でわんわんやって、市町村にはこのごろなくなりましたけれども、農村に行きますと何か体育施設がある。入り口は労働省の入り口があったり文部省の入り口があったり農水省の入り口があったり、同じ一つの体育施設をつくるためにも何か理屈をつけて、農水省が出した補助金をもらったから農水省向けの窓口をつくらなければいかぬとか、またそれをつくらないと補助金を出さないとか、たわけたことをずっとやってきたのです、そんなむだ遣いを。私は、そういう意味で物をつくるハードの分野でも、まさに各省庁の縦割り行政の一番悪いところですが、国民はつくってくれればいいのであって、何省が何ぼ補助をくれたというのは関係ないのですよ。 国民が本当に望むものをつくるということですから、逆に文部省であろうと農水省であろうと労働省であろうといいのです。ところが、何か縦割り行政の一番悪いところで、やはりこういう名目で補助金を出すのだから必ずそれがわかるようにしてくれ。とうとう門を三つぐらいつくって、事務所もまた三つつくって、そんなむだ遣いをして縦割り行政の悪いところをみんなさらけ出してきた。こういうことで僕らわんわん大きな声で予算委員会でやりまして、さすがにこのごろこういうものはなくなりました。 ところが、今度はこういうソフトの面、生涯学習をどうしようかというソフトの面では、あなた方はまたやり出すのではないかと思うのですね。国民にとってはこんなものは迷惑だ、本当にスムーズにやってくれないと。どうもそのあたりの懸念がこの法案の作成過程を見ながら考えると、またやり始めたな、こういうものができたって、その各省庁の際の問題にかかわるような需要が出てきたときには、またぞろおれがどうだ、これがどうだとやるのではないのかなと思うのですが、うまくさばけるのですか、文部大臣、約束してくれますか。
○保利国務大臣 そういった御懸念が生ずるということについて、私も大変残念に思いますし、遺憾に思います。しかし、そういうことが起こらないように私たちもできるだけ努力をしてまいりたいと思います。
○米沢委員 そういう答弁しかできないのが一番悲しいことで、実際そういうトラブルが起こったらどこでどういうふうに解決していくのですか。それも、時間をかけて何カ月もたって、こっちの方がもうやめた、もういいですというぐらいの時間をかけて、最後に出てきたわけのわからぬまとまった妥協案ではなくて、さっさっさっとそんなものに対応できるようなものができるのですか。推進体制をつくるのだから、できるのでしょう。
○横瀬政府委員 この法案の第十条のところには「生涯学習審議会」という規定がございまして、その第十条の第三項に「文部大臣又は関係行政機関の長に建議」する事項が挙がっております。これは、前項第一号と申しますのは生涯学習に関する文部省に関する部分でございますけれども、「生涯学習に資するための施策」ということでございますが、それに関して必要と認める事項については関係行政機関の長に建議をするという権限を一応この審議会に付与しているわけでございます。したがいまして、私どもとしては、その文部省の生涯学習施策に関連する部分につきまして、それが他の関係行政機関に関係する部分については、この機能によって解決できる部分もかなりあるのではないかというふうに思っております。 今回の法案の規定する施策を、このような施策を含めまして、各省庁が生涯学習に関する施策を行っていくに当たりましてそれらの連携が十分に留意されていきますように、縦割りという批判を受けることがないように、私どもとしては関係行政機関間で連携を図っていくように努力していきたいと考えております。
○米沢委員 言葉だけではなくて、具体的にこういう例が出てきたときに本当にスムーズにそういうものにきちんと対応できる体制こそ本当は推進体制であって、縦割り行政の悪いところを表に出してばかなけんかをしないように心から期待したいと思います。 次に、法案の第五条から第九条に掲げております地域生涯学習振興基本構想についてお尋ねします。 これは、どうもイメージがわかないのです。この法案にありますように、「相当程度広範囲の地域」とは一体何だろうか。「多様な機会の総合的な提供」とは一体何だろうか。また、諸活動の中に「社会教育」と「文化活動」という言葉だけが入っておりますが、これはどういう意味なのだろうか。さらには、この地域指定を受けるどういうメリットがあるのだろうかという、いわゆる基本構想のイメージがわきませんので、もう既にモデル地区等をつくって勉強されておられると聞いておりますが、そのような調査を通じて今文部省としてこの構想は具体的にはこういうイメージがあるのだというものを我々にもわかりやすくちょっと説明してもらいたい。 第二番目には、この地域指定においては民間事業者の活用を主眼にしておられるようでございますが、その誘導措置として、民間事業者に対する資金の融通の円滑化として債務保証や利子補給等の措置を行うということが書いてあります。また、その法人に負担金を出した場合は全額損金に算入できるよう法律第九条の中で規定が設けてあります。私は、ここで言う民間事業者に対して文部省としては一体どんな事業を期待しておられるのか、そしてそれが具体化する場合に、今おっしゃる利子補給とか負担金の水準等はどの程度のものを考えていらっしゃるのか、あわせてお答えいただければと思います。
○横瀬政府委員 地域生涯学習振興基本構想の具体的なイメージというもの、これはちょっと語弊があるかもしれませんけれども、わかりやすく説明してみたいと思います。 この制度は、都道府県が教育、文化、スポーツ等の施設を集中した管内の特定の地区におきましてその周辺の住民の生涯学習のために社会教育事業とかあるいはスポーツ教室、スポーツイベントの開催あるいは音楽会、展覧会、講演会、そういう多様な、しかも高度な事業、学習の機会を総合的に提供する事業というものを市町村の協力と民間事業者の参加を求めつつ行うことを奨励しようとする制度でございます。 具体的には、都道府県が作成いたしました基本構想に対して文部大臣及び通産大臣が承認した場合には、文部大臣、通産大臣の両大臣が企画実施面での指導助言、種々の援助を行います。と同時に、この地区の事業についての企画やPRあるいは情報誌の発行、あるいは先ほど御指摘のありました債務保証、利子補給などのこの地区の支援を行う法人を設置する。そういうことにいたしまして、その基金に対して負担金を支出した民間事業者に対して、その負担金について損金の算入の特例を適用いたしまして、そこで制度的にこの事業が計画的、継続的に実施されやすくするということでございます。 それで、その基金の規模等でございますが、それは具体的には個々の地区によって決められるべき問題でございますので、その規模について特に申し上げるのは難しゅうございますけれども、全体の地区の大きさとしては数十ヘクタール以上数百ヘクタール程度というようなことで、全体として今申し上げたような具体的な事業が実施できる程度の規模の基金ということになろうかと思います。
○米沢委員 例えばこういうことをやろうとなったときに、地域における人口の集積度だとか諸施設の集積度だとかあるいはニーズの集積度だとか、そんなことを考えると、実際は都会中心になってしまうのではないですか。地方にもこんなものはできますか。
○横瀬政府委員 これは特に民間の教育文化事業が大都市に偏在しているという現状に対しての一つの反省といいますか、是正措置として考えたものでございまして、中教審答申の中では、そういった趣旨を明らかにいたしまして、生涯学習活動重点地域というふうに名称としてはつけて提唱しているわけでございまして、その具体化によったものでございます。 したがいまして、今の構想というものは大都市には適用されないことを私どもとしては期待しているわけでございまして、むしろ大都市以外の地域の、郡市単位といいますか、日常生活圏と呼んでおりますけれども、そういったところにできるだけ拡散できるということを期待しているところでございます。
○米沢委員 ということであれば、民間事業者が入って市町村とタイアップしてやろうということなんですね。それはやはり利子補給の水準だとか負担金の水準みたいなものにすべてかかるような気がしますね。ある程度のものを出さないと、誘導するというか、誘発していくというか、そういうものにはつながらない。制度はあるけれども利用されない、したとしても民間はもう二度としないと思う。そういう結果になったのでは、生涯学習を推進していく地方の体制ではなくなるということでございまして、これから利子負担をどうするか、そんな議論をされるのですか。一体どういう水準になるのですか。
○横瀬政府委員 これは法案の中では第六条のところに承認基準というものがございまして、ここに承認基準の事項が決めてございます。そして第二項のところに、文部大臣及び通産大臣は承認基準を定めるに当たってはということで、いろいろな関係行政機関の長への協議でありますとかあるいは生涯学習審議会等々の意見を聞いた上でつくる、こういうことになっております。したがいまして、今お尋ねの基金の部分につきまして、この承認基準の中で具体的には決められていくもの、その具体的なことについてはこれからこの審議を経た上での決定ということになっていくと考えております。
○米沢委員 時間がありませんのでこれで終わりますが、こういう生涯学習を地方の段階に定着させるという趣旨でつくられるこういうものも、下手にしますと教育が営利事業になっていくようなものに弾みをつけても困りますし、かといってある程度誘導できるような措置がない限りまた動かないであろう、大変難しいところであろうと思いますが、そのあたりは十分配慮されて頑張っていただきたいと思っております。 先ほどから、余り勉強もせぬでるる質問しまして申しわけございませんが、要するに生涯学習を今からやろうというのですから、結局また縄張り争いになって迷惑するのは国民だけだ、そういうばかなことにならぬようにということだけ注文をつけて、質問を終わりたいと思います。 ─────────────
○船田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 ただいま議題となっております本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○船田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は、来る十三日水曜日午前九時四十五分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時四十分散会