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118回国会衆議院1990/05/30

文教委員会 第11号

発言数
176
登壇者
12
会派数
5
開催日
1990/05/30

会議録

船田元自由民主党

○船田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田正雄君。

吉田正雄日本社会党・護憲共同

○吉田(正)委員 衆議院では初めて質問をいたすことになりますけれども、私の方でも思っておることを率直に申し上げたいと思っておりますし、また文部省当局からも、官僚的な答弁ではなくて、本当に心の通い合うようなひとつ論議を行わせていただきたいというふうに思っております。  それで、極めて時間が限られておりますので、高等教育の改革、充実に絞ってお尋ねをいたしたいというふうに思っております。  御承知のように、我が国の高等教育は戦後目覚ましい量的拡大を遂げております。文部省資料でも、平成元年五月現在、大学四百九十九校、短期大学五百八十四校、高等専門学校六十二校であり、在学者数では大学二百七万人、短期大学四十六万人、高等専門学校、これは四、五年次ですが、一万九千人で、進学率は平成元年度三六・八%となっております。  今さら高等教育の重要性を申し上げるまでもないわけでありますけれども、しかし大学院教育の改革、充実は、科学技術の驚異的な発展、学問研究の高度化、社会の国際化、情報化などに伴い日本がこれから国際社会の一員として名誉ある地位と信頼を得ていくために、社会的要請も踏まえた緊急不可欠の課題であります。しかしながら、我が国高等教育の現状は解決すべき多くの問題を抱えております。  時間の関係で本格的な論議はできませんけれども、これはまた馬場委員が後ほど行いますので、それに期待をいたしまして、以下、幾つかの点に絞ってお尋ねいたします。  ちょうど二十年前でありますけれども、一九七〇年一月十一日から二十四日にかけてOECD、経済協力開発機構の教育調査団が日本を訪れ、日本における教育政策及び教育計画の調査を行いました。私は、翻訳でありますけれどもその報告書を読んで、調査団が日本の教育の現状、問題点、政策を的確に把握し、しかも私たち日本人の気づかなかった点や見落としがちな点を含めて鋭い分析を行い、解決策も提示するのを見て、当時大きな衝撃と感激を受けたことを今でも鮮明に覚えております。  報告書の序論では、重要な三つの一般的問題点の指摘を行っておりますけれども、残念ながら、それらは今日なお本質的に解決されていないのではないかと思われます。  その指摘の第一点では、次のように述べております。   学生が生まれながらに持つ能力を開発することよりも、選抜の方を重視することは、事実上、教育のすべての段階を通じて起こっている。   この傾向は、高等教育と大学入試制度の持つ極めて階層的な性格に大きな原因があると考えられる。どの大学に入学するか、とりわけそれが東京大学や京都大学であるか、それとも他の学校であるかは、その人の人生に決定的な重要性を持っている。しかも、入学は十八歳のときに行われるたった一度の試験によって決定されている。こうした選抜制度は、大学教育は言うまでもなく、高等教育以下の教育まで大きくゆがめている。その意味で、日本の教育の中心的な問題点の一つだと思われる。 というふうに指摘をいたしておるわけです。換言すると、このような日本の社会には、出生による階級はないが、十八歳の大学入試によって階級が発生するというふうに言っている人もおるわけです。  この指摘が行われた一九七〇年、昭和四十五年でありますけれども、各省庁の国家公務員上級試験合格者の採用状況を見ると、東大出身者が断然多いわけです。八百二十六人の採用者のうち二百五十二名、三一%が東大卒であり、御三家と言われる大蔵省では三十九人中十八人、通産省三十八人中三十一人、自治省十四人中十三人と東大卒が圧倒的に多くなっております。今日でもこの傾向はさして変わらないのではないかと思われますが、この問題は非常に大きな問題でありまして、単に学校教育だけの問題ではありません。  そういう点で、この問題を今ここで論ずるには余りにも問題が大き過ぎますので、これはさておいて、高等教育の質と量の両面の充実というものが今日の社会的要請でありますので、そういう点で大学院強化の必要性が叫ばれておりますから、そこでこの大学院、とりわけ博士課程について若干お聞きをいたします。  大臣も御承知のように、日本で博士号制度が定められたのは明治二十年であり、最初に授与された人は法学、医学、工学、文学、理学の五分野から五名ずつの二十五名で、それらの人たちは、帝国大学教授十一名を含むいわゆる大家として世間から認められている人たちであったわけです。これらの博士は、大学院の博士課程を修了した者と同等以上の学力を有することを確認されたものとして授与された者、いわゆる論文博士であります。これは日本独得の制度だというふうに思われます。この論文博士の数は、理工系・文科系別、国公私立別にそれぞれどれぐらいの人数になっておるのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 お答えいたします。  昭和三十二年から六十二年までの論文博士の授与者でございますが、国立大学は五万五千二十五人、公立大学は七千八百九十四人、私立大学が二万二千六百九十人、トータルで八万五千六百九人でございます。

吉田正雄日本社会党・護憲共同

○吉田(正)委員 大学院設置基準の第十八条及び学位規則第五条に基づくいわゆる課程博士の数がどれぐらいになっておるものか、特に国立大学での博士課程の定員数と博士号授与者の数がどれぐらいになっておるのか、お聞かせ願いたいと思います。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 お答えいたします。  先ほどの数字との関係で、三十二年から六十二年までの累計で課程博士の授与された者の累計を申し上げます。国立大学だけで申し上げますと、四万六百人でございます。それを六十二年の授与で申し上げますと、国立大学だけで申し上げますと、二千四百三十四人でございまして、これは入学者に対する割合というのは六六・九%でございます。  ちなみに各分野別で申し上げますと、人文系が一一・四%、社会科学系が八・五%、理学部理系が七二・七%、工学系が七七・四%、農学系が七九%、保健、これは主として医学部でございますが、これが八二%、教育が一三%等になっておりまして、人文・社会科学系がかなり低い状況にあるという状況でございます。

吉田正雄日本社会党・護憲共同

○吉田(正)委員 今の数字にも示されておりますように、大学院の博士課程を修了しながら博士号をもらえないという人たちが随分おるわけであります。別の調査によりますと、最近一年間に誕生する理学博士の四五%、工学博士の六〇%が論文博士である。取得者の平均年齢は、八八年度で理学系が四十歳、工学系が四十二歳。それから課程博士の場合は、両方とも大体二十九歳くらいだということが言われておるわけです。  私がここで問題にいたしたいと思いますのは、せっかく大学院、博士課程というものが設置をされながら、設置基準でいくならば、博士課程を修了した人に対しては博士課程を与えなければならない、授与しなければならないということが明確に定められておるわけです。ところが、授与されない方が随分多い。特に文科系統に至ってはもらっている方が一割にも満たないという状況になっておるわけです。一体どこに原因があるのか、どこに問題点があるのか、そして文部省当局としてはこの大学院設置基準に基づいて、このような現状は好ましくないわけでありますから、どのように法に沿った解決を考えておいでになるのか、その点をお聞かせ願いたいと思うわけです。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 確かに先生御指摘のとおりでございまして、先ほど数字で申し上げましたが、文科系の博士課程の授与件数が非常に少ない、しかもこれは特に最近御承知のとおりに留学生が非常にふえてまいりまして、我が国の文科系の博士課程に行ってもなかなか博士がもらえないというようなことで留学生関係者からも大変不満がふえているわけでございます。  先生御指摘のとおりに、戦前の博士の概念と申しますか、博士は、研究実績を上げて、ある意味では研究者として完成された人に与えるというのが博士の考え方でございましたが、戦後の昭和二十八年に規定されました新しい博士というのは、研究者として自立して研究活動を行い得る者に博士の学位を与える、言いかえれば研究者の出発点に立った人に博士を授与する、そういうふうに博士の考え方が変わったわけでございますが、それが非常に残念なことではございますけれども、文科系の大学院ではこの新しい学位制度の考え方が十分徹底していないというのが実情でございます。実際にも、課程博士に必要な論文につきましても過度に高度で体系的なものを要求している大学院が非常に多く見られることも事実でございます。  私どもも、この問題につきましては、最終的には博士を授与する権限を持っておるものは大学院を持つ大学でございますので、大学の関係者に対して従来からも課程博士の意義を十分理解して、特に文科系については博士号を円滑に出すようにお願いもし指導もしてきておりますが、必ずしも十分な状況ではございません。そういう意味で、この問題の解決というのは最終的には私は大学自身の意識改革が基本であろうかと思います。  ただ、大学に何らかの刺激を与える、インセンティブを与えるというような考え方で学位制度の見直し、これは今の学位の考え方を改めるということではございませんが、例えば博士の種類などについては大学院設置基準で限定的に書かれているわけですが、そういうものをもっと弾力化する等のことを含めまして、学位制度の見直しと改善方策につきまして今大学審議会に検討をお願いしているところでございます。  大学審議会は、国公私立の大学院関係者にもアンケート等を出しまして、そしてその学位制度の見直しについて現在検討を加えておりますので、この検討結果を待って文部省としても適切に対処してまいりたい。言いかえれば、対処していくということは、形式的には必要ならば大学院の設置基準を改正するということもあり得るわけですが、それと同時に、その改正の趣旨については国公私立大学の大学院関係者に強力に徹底をしてまいりたいというふうに今のところ考えているところでございます。

吉田正雄日本社会党・護憲共同

○吉田(正)委員 今お認めになっておりますように、日本の大学院教育というものがアメリカ等に対して非常に劣っておるといいましょうか大きな力を発揮し得ない状況になっている。その理由はいろいろあろうかと思うのですけれども、これは大臣ちょっと聞いておいていただきたいのです。これもある調査なんですけれども、大学院の学生の六〇%近くの者というのが自己資金で生活を賄っておる。米国では学生の生活支援体制というのが非常に整っておりますから、みずからの資金で生活を賄う学生というのは非常に少ないということが言われておるわけです。日本の場合、理工系では博士号を取得できないまま社会に出ていく人たちが現在約三割くらいなんですね。それから博士課程修了者は現在理学部で四〇%、工学部で二〇%が修了時点で無職なんです。だから仮に博士課程をもらったとしても今度は就職先がないという状況がまた出ておるわけなんですね。  こういう状況というものが大学院へ進む学生の数を少なくしている、また意欲をなくしておるということで、悪循環だろうと思っているわけです。そのことがまた大学院の質を低めておるということで、現在、もう大学院に残っている学生というのはどちらかというと質が余りよくないのじゃないか、立派な学生というのは全部民間一流企業に就職をしている、またそういう状況というものが相当続いてきたために大学院の教授の質も低下をしているのじゃないかというふうなことを辛らつに言う方も最近ふえているように思われるのです。  そういう点で、これは高等教育局長もよく聞いておいてもらいたいと思うのですが、この大学院の質を高めるという観点から、学生たちの経済的に自立できる条件、研究施設の充実整備、それから大学院修了者にふさわしい職場の確保、進路の確保などについて、文部省としては、今後一体どのように考えられておるのか。文部省から出されている時報やいろいろな書類等にもいろいろなことを書かれておるのですけれども、余り具体的な内容ではない。要するに文章なんですね。  だから、いつまでたってもこの問題が解決されない。このことがまた大学院教育だけでなくて学部にもはね返って日本全体の高等教育の質的充実というものを、質的な向上というものを阻んでいるのではないかと思われますので、今後この質的向上を目指しての整備改善の具体策をどのように考えられていくのか、お聞かせを願いたいと思うのです。いかがでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 最初に、大学院の学生の処遇と申しますか生活費等の確保の問題でございますが、この問題につきましては、確かに先生も御指摘のように、日本育英会でやっております育英奨学事業も本年度は大学院を中心にして貸与人員を増いたしましたけれども、最終的に増いたしました結果、大学院の育英奨学資金を貸与しているパーセンテージというのは大体四二%程度でございまして、必ずしも十分な貸与数ではないと私どもも考えてはおります。  この点につきましては、今後とも育英奨学対象人員等をふやすことについては私ども大学院を中心に鋭意努力をしてまいりたいと考えておりますが、育英奨学資金だけでは生活費まで含めて大学院の学生がやっていけるような金額ではございません。そういう意味で、例えば日本学術振興会で大学院の院生も対象にするフェローシップ制度を設けまして、これは千人でございますが、その千人の枠の中で優秀な大学院の学生に対してはかなりの額の資金と研究費を別途与えておりますが、これも枠の関係から必ずしも十分じゃございません。今後とも拡充していかなければならない問題だと思います。  それと、さらにそういうことではなくて、ティーチングアシスタントというような形で大学院の例えばドクターコースの学生を使っていく、そしてその人に対して給与をペイするというような仕組みについても今後検討し、考えていかなければいけないだろうと私どもも思っておりますが、これにつきましては、現在、大学審議会でその仕組み、あり方等について御検討をお願いしているところでございまして、この検討結果を待って対処してまいりたいと考えております。  第二点の施設設備の充実整備の問題でございますが、これもまさに先生御指摘のとおりでございまして、大学院の施設設備が必ずしも十分とは私ども思っておりません。これにつきましては、国公私立を通じまして、国立についてはもちろん国で全額やるのですが、私立、公立につきましては補助金として大学院最先端設備整備費補助金というものを年々拡充してまいりまして補助をしているわけであります。この点につきましても今後とも努力をしていきたいと考えております。  それから職の確保の問題でございますが、これは大学院を出て研究者になるのかあるいは民間企業体で勤めるのかという点でございますが、大学教官あるいは研究者になるという点につきましては、現在どちらかというと大学規模を国公私立とも拡大している時期でございますので、かなりの需要というのはあるのではないかと思っておりますが、民間企業体の採用ということになりますと、民間企業体の方にイニシアチブがあるものですから、果たして現在の大学院博士課程卒業生が民間企業体にとって魅力のある人材として養成されて育ってきているかどうかというような問題もございまして、なかなか、民間企業体によっては修士課程ならばぜひ採用したいが博士課程はどうもというようなところも従来はあったようでございますが、最近は情報関係を中心にしましてかなり民間企業体でも博士あるいは博士課程を修了した人を採用するということがふえつつあるようでございますが、必ずしも全部の人が希望するように就職できるような状況にはないということも事実でございます。

吉田正雄日本社会党・護憲共同

○吉田(正)委員 今の局長の答弁、これから本当に充実に向けて努力をしていただきたいと思うのです。例えば研究費一つを見ますと、これは昨年の元年度版の科学技術白書なんですけれども、研究費は大学研究機関では一人当たり九百七十四万円、これに対して民間の研究機関の場合には二千四百九十万円、研究費一つとっても大学院と大学と民間では格段の差があるわけです。したがって、本当に研究を望む人たちにとっては大学は余り魅力がない、大学院は余り魅力がない、民間へ行こうという傾向がここしばらくずっと続いてきていると思われますので、大臣、今度はまた予算編成に当たってはこの辺の実情も十分御配慮いただいて、ひとつ予算について御努力をいただきたいと思います。  次に直接この法案と関連をしてお伺いいたしたいと思うのですけれども、今も申し上げましたように、大学、大学院の急激な量的拡大に対して研究、実験の施設設備、教授陣がこれに追いつかない。このことが教育の質的低下を来しておるという多くの指摘は妥当ではないかと私は思っておるのです。  そこで、この法案の中にも出てまいります東京工大の場合、生命関係の理工学部、それぞれ分かれておったものを一本化をして新しい学部を設置をするということなんですけれども、現在行われておる状況、それから法案が成立した後、それがどのように変わるのか。単に現にあるものを、学部が二つに分かれておったものを一つの学部にまとめたというだけなのか。これは研究、実験を含めた施設設備、それから教授陣、教育内容その他についてどのように整備をされるのか、改善をされるのか、具体的にお知らせ願いたいと思うのです。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 この生命理工学部設置構想につきましては、東京工業大学では昭和五十八年一月から全学的な検討を進めてまいりました。その結果、とりあえずということで昭和六十一年度に既存の関連講座等を再編制いたしまして、理学部に生命理学科、工学部に生物工学科を設置いたしました。さらに二年置きました昭和六十三年度に理学部に生体機構学科、工学部に生体分子工学科をそれぞれ設置いたしまして、その後も引き続き教育研究体制のあり方等について鋭意検討を重ねた結果、この四つの学科を一つにまとめて一つの学部として教育研究を行った方がより効率的な教育研究ができるだろうということで生命理工学部として発足をお願いをしているところでございます。  したがいまして、生命理工学部は設備、教授陣につきましては既設の四学科のものを引き継ぐことになりますが、施設につきましては、現在、工学部、理学部がそれぞれ大岡山地区にございまして、大岡山地区で授業を行っておりますが、新しくこの生命理工学部の新設をお認めいただければ、長津田地区に一体的に施設を整備してそこで授業を行うという計画を持っております。これによりまして従来の二学部体制下で実現が困難でありました一体的な運用が可能となるため、教育面ではこの生命理工学部の共通講義科目を設定できる、あるいは担当教官の調整等カリキュラムの編成が容易になるということと同時に、研究面では理学的分野と工学的分野の交流が円滑化されまして研究の効率化が図られるというふうに私ども期待をしているところでございます。  なお教員につきましては、ちょうど昭和六十三年度に理学部に生体機構学科、工学部に生体分子工学科をそれぞれ設置いたしましたというふうに先ほど申し上げましたが、教員の整備につきましては、学年進行で国立大学の場合は整備してまいりますので、昭和六十三年、平成元年、平成二年、平成三年というふうに四年間の学年進行に伴って教員を整備する予定にしております。来年度、平成三年度は教官については九人増、技術職員等その他職員につきましては十八人の増、二十七人の増を予定しておりまして、完成年度としますと、教官数は百人、その他職員が五十六人、トータルで百五十六人という計画になっております。今の工学部あるいは理学部にあります四つの学科の教官数とその他職員を単純に足しますと百二十九人でございますが、新しく学部が認められ、平成三年度には二十七人増の百五十六人のスタッフで教育研究を行っていくという計画になっております。

吉田正雄日本社会党・護憲共同

○吉田(正)委員 すべての組織というものが人によって運営をされるわけですから、そういう点で特に教育の場合、教師というものが大きな役割を果たすという点ではどなたも御異論がないのじゃないかというふうに私は思います。  先般たまたまテレビを見ておりましたらキュリー夫人の伝記が出てまいりまして、これも随分前に私は見たのですが、また感激を新たにして最後までずっと見たわけでありますけれども、あそこには本当に真理を追求していく研究者、学者、そして教師と生徒という関係がよく描かれておったわけでありまして、こうでなければいけないという感じを強く持ったわけです。  日本でも湯川秀樹博士あるいは朝永振一郎博士等非常にすぐれた学者であり研究者であり、そしてまた教育者としても本当にすばらしい方がおいでになったわけでありますし、この両先生の門下生と言われる人たちがその後の日本の物理学を背負って立つすばらしい学者あるいは教育者として育っていったということはどなたもお認めになると思うのです。  そこで私は、時間がありませんから、ひとつ具体的に現在の大学の実態等に触れながらお尋ねをしてまいりたいというふうに思っております。  実は、四月の朝日新聞で筑波大学の教授人事をめぐってのごたごたが報道をされておったわけであります。筑波大学についての評価はいろいろあろうかと思うのですけれども、私も幾つかの大学の先生方にお会いして現在の高等教育の現状あるいは問題点等について話をいろいろお聞きもしました。また、筑波大学についても当該大学の先生あるいはほかの大学の先生の筑波大学観等もお聞きをいたしたわけです。  筑波大学は新構想大学として国際A級をねらったというふうなことで、当初はすばらしい構想を持って出発したわけなのですけれども、しかし現状を見ると、これはすばらしいと評価をされる方もあると思いますが、また、筑波大学というのは失敗したのじゃないのか、特に他の大学の皆さんが外から見ておって、どうもあれは成功とは言いがたいのではないかというふうな評価をされている先生方が私の聞く限りでは何か多いような感じがいたすわけです。  一体、何でそういうふうな批判なりが出てきたのかということなのですけれども、私が聞いている限りでは、筑波大学はいわゆる管理統制というものが強まったのじゃないか。大学の自治であるとかあるいは学問の自由、研究の自由、そういうものがだんだん薄れてきてしまっているのではないか。活気がなくなった。巧妙に管理され封じ込められたために、学生も若者らしい活気が失われつつある。陰気な大学になりつつあるのではないか。また、学問的にすぐれた教官あるいは良心的な教官が現在の大学の現状に嫌気が差して転出をしていくことが最近非常にふえておるということも聞いておるわけです。  講座制を廃止された筑波大学、講座制がいいのか、あるいは学系とか学類、学群というふうな学制の方向に持っていくのがいいのか、いろいろ一長一短があると思うのですけれども、そういう点で、筑波大学の場合には講座制を廃止した大学であるわけです。  その際、私が気をつけなければいけないと思いますのは、学類とか学系の規模が適正規模でない、余りにも小さい規模になると、俗に言うボス教授によってそれが支配されていくという危険性を持っているのではないか。今筑波大学はそれに直面をしておるのではないかというふうな感じがするのですけれども、この筑波大学の現状をどのようにとらえておいでになるのか。  例えば一つの学系の教授の規模がどの程度であるのか、あるいは生徒数がどの程度であるのか、その辺、ちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 先生御指摘のとおり、筑波大学では学部という組織をつくりませんで学群という別の組織を設けまして、これは教育指導上の組織としては学群として、これらの学群の教育に当たる教員の研究上の組織として学術の専門分野に応じて編制する学系二十六学系が設けられておりますが、そういう組織にしたわけでございます。  このねらいは、従来の学部が特定の専門分野において教育と研究の両者を実施するという組織でございますので、ともすれば教育の範囲や内容が研究に引きずられるという傾向がございまして、幅の広い教育を弾力的に行うために制約があるということで、それを改善するためにこういう制度が導入されたわけでございます。  先生御指摘の学系の人数でございますが、大体多いところで教授の数で申し上げまして三十七人、助教授等入れますと八十七人というような、八十九人というところもございますが、そういう組織と、一番小さなところで教授の組織、教授、助教授等を含めまして二十二人、そういうものでございまして、二十二人という学系の教官組織から八十九人の学系の組織まで、その間に大体散らばっておるという状況でございます。

吉田正雄日本社会党・護憲共同

○吉田(正)委員 非常に複雑な仕組みになっているんじゃないかなという感じもするのですけれども、学系、学類、学群あるいは研究センター等、組織といったらいいのか機関というのが非常に細分化をされておるんじゃないか。そのためにまた役職者の数が非常にふえている。役職者がふえるということは、つまり細分化ですから、その役職者の意向によってどうにでも運営されていくということにどうも陥っていく嫌いがあるわけです。  実質的に役職者というものがすべて実権を握っていく、最終的に人事権まで一部の人たちによって牛耳られていくというのが出てくるんじゃないかと思うのですね。現に出たわけなんですね。社会科学系の教授の任命をめぐってそういう問題が出てきたということなので、この人事任命をめぐって文部省としてはどのように現状を把握されておるのか、またこれからその解決に向けてどのように取り組んでいかれようとしているのか、ちょっとお尋ねをいたします。

國分正明文部省大臣官房長

○國分政府委員 筑波大学の社会科学系のうちの経済学専攻の教授につきまして、先ほど朝日新聞を御引用になってお尋ねがあったわけでございます。  若干実情を申し上げますと、筑波大学におきましては、昭和六十年四月に一人辞職されました。それからまた、六十一年三月末に定年で一人退職されました。また、平成元年三月末に辞職されるということで三人の欠員ができたわけでございますが、さらにその後、定員措置が、平成元年九月に定員の配当がなされました。現在のところ教授で四人が欠員状態というふうな状況になっております。  もちろん大学の教官の人事というのは大学自治の根幹をなすわけでございまして、大学自身で解決していただくほかないわけでございます。そしてまた、教育研究上の必要に基づいて定員配置をされているわけでございますから、筑波大学に限らず、いろいろな大学でそれぞれの事情を抱えているかとは思いますけれども、やはり欠員が生じた場合には可及的速やかに補充するというのが教育面でもあるいは研究面でも支障が生じないゆえんでございますので、こういうような状態になっているということは私どもとしては大変遺憾に存じておるわけでございます。  今後の見通しでございますが、現在学内で内部の手続を終えまして、四名のうち三名につきましてはこの六月一日、間もなくでございますが、補充するという予定になっております。また、あとの一名につきましても六月中旬に補充するということで、間もなくこの四名の欠員状態は解消するという状況になっております。

吉田正雄日本社会党・護憲共同

○吉田(正)委員 私の方でいろいろお聞きをした内容があるのですね。きょう残念ながら非常に時間がないものですから、この問題だけ論議をやってもすぐ二、三時間、具体的事実等も確認をしながらということになりますと、二、三時間はあっという間にかかってしまうのです。  そこで、またの機会に譲ることにしまして、これはもう大学当局も承知をいたしておる内容ですから、これを大臣、それから官房長、よく聞いていただいて、今後の解決に資していただきたいと思うのですよ。あえて名前は言いませんが、もう文部省でも御存じだろうと思うのですけれども、この関係教授、しかも専攻教授です、この専攻教授が筑波大学人事委員長、人事責任者に文書を提出しておるのですね。これがことしの四月十六日に提出をいたしております。  この提出をされた文書に今度の一連の人事の背景、原因等が書かれておるというふうに私は思いますから、これを読んで、今後の善処方を要望いたしたいというふうに思うのです。   今回の経済学教授人事(四ポスト)のうち理論経済学と財政・金融論は問題はない。「社会政策」と「経済政策」の二ポストの候補者は研究業績の水準が低く、「専攻自主の原則」にもとづき経済学専攻での教授協議会で十回に互る学問的慎重審議の結果、 これが一九八八年四月から七月まで行われたわけですが、  残念ながら「不適格」という「結論」に行きついた内部の二助教授です。 これは正式な専攻教授会で論議をして十回にもわたってやって、そしてこの二助教授については不適格だという結論が出たというのですね。  そのうち一人の業績には自説か他説か紛わしい論文が多数あるという常識では考えられないケースです。 ということなんですね。これは名前を言うといろいろとまた支障も出ます。これはそういう文書が大学に出ているのですから、私、言っているのです。   その後の二年弱はこの二人の助教授を教授昇格させるための裏・表のルールを破り慣行を無視し、脅し・いやがらせ・虚偽を武器とする、凡そ常識では考えられない不正な経過です。このような不正な事例は全国の国立大学でも例がないように思えます。つまり専攻で「不適格」とされた人物を上記の手順・経過で「最適の候補者」に不正に塗りかえたわけです。   そのような事情からその人事の「手続き」には数えきれないほどの不正と誤まりがあります。この二ポストのねじれ現象については全国注視の事実でもあり、決定を白紙に戻し学系外の場で他の「公募」応募者とともに公正かつ厳正な審査を行なうべきだと考えます。  一、「公募」という社会的公約にもかかわらず四ポスト全部が内部昇格で外部採用ゼロというのでは全国注視の人事として理が立ちません。 これは、ちょっと申し上げますと、紛争で今言ったような不適格といういろいろな話が出たものですから、それでは公募しようということで全国から公募したのですね。それで三十数人の応募者があった。ところが、申し出の当人も含めて、専攻の重要な教授をそこから排除してしまって、結局応募者というのは全部だめだということでやってしまったのですね。そして、再び内部から選考するというふうに持っていったということなんです。  学外から多数の「優秀な応募者」(三十数名)があり優秀な人々が多数いるだけに三十数名の応募者のすべてより内部の人がすべて優れているという証明はいかにしても不可能です。「学系教授協議会」が専攻に代わって人事を行なう時の前提条件は次の諸点がありました。①コア・カリキュラムの確立②公募による最優秀な人物の教授任用③専攻の教授の意見尊重。これらの事項は総てホゴとされたといってよい状態です。従って学系教授協議会(決定権はないとされている)中心、つまりは他の専門の教授が経済学教授人事を行なうのは正当な根拠を欠いています。  一、専攻の教授は本来中心になって人事を行なう立場なのに、「専攻自主」、「専攻中心」審査の過程でいわれなく強引に「排除」された。つまり審査権を奪われた。(人事決定の本来の場である学系レベルで) そういう権限というものが一切無視をされていったということなんですね。  一、経済学教授人事の「基準」は選考のさい無視されたり、二人の「不適格」の助教授を昇格させるために読みかえられたとも推定される。 ということで、この専攻の教授が大学の人事委員長、人事責任者にこうやって正式に文書で訴えておるわけなんですね。その他いろいろなことがあるようなんです。  そういうことで、本来であれば関係者を呼んで実情を聞くなり、あるいはまた大学の自治を侵害しない、介入、干渉にならない範囲で大学の実情等を調査をすべきではないかというふうにも思っているのですけれども、いずれにしても、大学自治の原則を守りながら、しかし国立大学という筑波大学の与えられた地位、責任、それらの重大さから考えますと、今の大学の運営全体にも非常に官僚主義的な管理統制、そしてそこには自主的な研究、学問、そういう雰囲気というものが失われておる。私が先ほど申し上げましたように、これは内部の関係者以外の他大学の教授の先生方も筑波大学を見て、どうもよくないのじゃないかということをおっしゃっている方が結構多いのですね。実は、おやめになった福田前学長も現在の大学のあり方等については若干批判的なことも言われております。  そういう点で、私は大臣に関係者からも大学の実情等を十分お聞きいただいて、ひとつ善処をしていただきたいと思うのです。この問題については大臣の御答弁でやめたいと思っております。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 先生からるる御紹介をいただきました筑波大学の問題、よく拝聴させていただきました。  私は、やはり大学における自治というのは大変大事な問題だと思います。何か私どもでお手助けするというようなことは、時によっては誤解を生ずることがございますから、そこのところは大学の自治を尊重し、私どもは慎重に対応しなければならない、このように思っております。  しかしながら、人事の問題でございますから、適正かつ公正に行われるように私自身としては希望を持っております。

吉田正雄日本社会党・護憲共同

○吉田(正)委員 それでは次に、新潟大学の歯学部の問題について若干お尋ねいたしたいと思うのです。  幾ら文部省で高等教育の充実、振興、整備というふうなことを言われましても、大学における実態というものがその精神から甚だしく逸脱をしているとか外れておるということになりますと、結局は絵にかいたもちであり、仏つくって魂入れずというふうなことになるわけであります。今の筑波大学の問題もそうでありますし、新潟大学歯学部の問題も、私は今日の大学教育の問題点というものを浮き彫りにしておるのではないかというふうに思います。  新潟大学歯学部の問題と申しますのは、大臣、余り御存じないかもわかりませんので概要をちょっと申し上げますと、実は六十三年三月三十日の文教委員会で公明党の鍛治委員からも、歯の弗素洗口の問題について質問がなされております。この弗素洗口の安全性の問題、それからまた、この実習はどういう形でどうなったのか、文部省の考えを鍛治委員は伺っておいでになるのです。これに対して政府委員の阿部高等教育局長から、次の答弁がなされております。   去る二月の新聞報道で、学生を使った人体実験であって人権侵害行為であるという申し立てがあったという報道を見まして、私どももびっくりして、大学当局に問い合わせをし、報告を得たわけでございますけれども、大学当局からの報告によりますと、これは歯学部の学生、将来歯科医師になろうという学生に対しまして、実習の一つの形といたしまして弗化物洗口法というものを行ったということでございます。これは全国的にも、特に新潟県あたりでは弗化物によって口をゆすぐということを特に子供たちの虫歯予防でやっておるわけでございますけれども、学生にそれについての知識、技術あるいはそれの態度等を修得させることを目的としてやったものでございます。この洗口液がどんな味がするかということを学生にも味わっておいてもらいたいし、また、間違って飲んだ場合でも命に別条のあるようなものではないということを学生に理解させるために行ったということでございます。   もちろん、使用した弗素の量はいわゆる基準量、危険と言われる量の七分の一以下というような非常に濃度の薄いもので行ったわけでございまして、昨年初めてやったわけではなくて、ここ数年来ずっと行ってきているものでございます。   そういう意味で、まさに学生の実習として例年行っているものであって、人体実験などという、弗素の影響を人体によって調べようなどというたぐいのものでは全くないということでございますので、私どもとしてもこれについては特に問題はなかったもの、こういうふうに判断をしておる次第でございます。 こういうふうに答弁をされているのですね。  実は今の答弁にもいろいろ問題がございます。時間がありませんので余り詳しくは指摘できないのですが、二、三指摘をいたしますと、実習の一つの形として行ったという点についてなんですけれども、弗素洗口法で言う弗化物で口をゆすぐというものではなくて、食塩水に弗化ナトリウムを混入したもの、これは弗素量として十八ミリグラムのものを飲用させたものなんです。これは、昭和五十二年に松本歯科大学で同趣旨のテストが実施された際に、弗素量十ミリグラムで中毒症状が出たのですけれども、この約二倍近い量であって、実習と言うには大きな危険を伴うものなんです。  特に、この洗口液がどんな味がするかということを学生に味わってもらうというのは許せるとしても、間違って飲んだ場合でも命に別状のあるようなものではないということを学生に理解させるために行ったということは、もうこれは常識では考えられないことなんですね。  なぜなら、アメリカで弗素論争が話題になったのは一九五〇年代のこと、それ以来今日まで弗素の安全性について論争が続いてきており、いまだ決着がついておりません。ごく最近の、最近のというのはことしの二月十五日のニューズウイーク、ここでこういう記事があるわけです。   この論争は終わってはいない。それも今まで以上にPTAの不安をつのらせそうな形で、議論が蒸し返される気配だ。政府系機関の諸研究によれば、フッ素の効果は疑わしいばかりか、人体に害がないとは言い切れないらしい。   なかでも最も気がかりなのは、NTP(毒物調査プログラム)の調査結果だ(NTPは一九七七年以来、議会の要請でフッ素の発癌性に関する研究を進めてきた)。先ごろNTPが発表したデータによれば、フッ素を添加した水を与えたネズミに骨肉腫(骨の瘍)の発生率が異常に高かったという。米環境保護庁(EPA)も、フッ素「灰色」説に立つメモを発表している。 という記事がこの二月十五日のニューズウイークに出ておりますし、さらに最近の四月十九日のメディカル・トリビューン、ここでもこの問題を取り上げて、こういうふうな記事があるわけです。   フッ素がげっ歯類で骨腫瘍を起こしたとする研究が明らかにされたことから、フッ素の発癌性が大きくクローズアップされているが、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)社が一九八〇年代初めに行なった未発表の研究が、実はこれを追認するものなのでは、と注目を集めている。米環境保護局(EPA)は、フッ素を発癌物質と分類するかどうかの判定審査を間もなく開始することにしているが、この審議にも大きな影響を与えそうだ。 同じ新聞の別のページのところでこういうことも書いてあるわけです。   全国毒性学プログラム(NTP)の調査で、フッ素がげっ歯類で発癌性を示したという思いがけない結果は、各方面に衝撃を与えているが、米環境保護局(EPA)はフッ素を発癌物質と認定せざるをえなくなるだろうとみられている。そうなれば、米国で四十年間続いてきた、公共水道水へのフッ素の添加は中止されることになる。 というふうないろいろな記事が出ているわけですね。  つまり、この弗素の安全性についてはいまだ決着がついていない。最近またこのように危険性を指摘をするいろいろな実験結果等が発表をされ出したということなんです。  これについては、いろいろ論議がありますから、ここでやってももちろんけりのつく問題ではありませんが、ただ、この点について私はひとつ文部省、大臣にもよく認識をしていただきたいと思うのですけれども、今のこの問題に絡んで、ことし一月二十九日に新潟県弁護士会が次のような要望書というものを新潟大学歯学部に提出をいたしております。つまり、「「新潟大学歯学部の学生実習に関わる人権救済申立」に対する新潟県弁護士会の新潟大学歯学部予防歯科学教室堀井欣一氏への要望書」というものが出されておるわけです。  これについてお尋ねしますが、この要望書については御存じでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 そのような要望書が一月に新潟大学の歯学部長あてに出されておるということは聞いております。

吉田正雄日本社会党・護憲共同

○吉田(正)委員 この内容を、大臣、御理解いただくために要点だけちょっと申し上げますと、これは、三百七十一人が弁護士会に人権擁護ということで申し立てをしたんですね。   本申立の趣旨は、新潟大学歯学部予防歯科学教室が昭和六二年七月、二回にわたり同学部三年生七〇数名に対し実施した「フッ素の急性毒性」に関する二重盲検法テストは、左記の事実から、学生らが拒否の自由を奪われた強制的な人体実験であるから、これを直ちに中止するとともに、ふたたびかかる違法行為を行わないよう同学部に対し、厳しく警告されたいというにある。 こういう申し立てに基づいて行っておるのです。  「当会の判断」というのは、これは弁護士会なんですが、「判断に供した資料」として関係者からの聴取結果、その他のいろいろな文献等二十件が判断に供した資料として用いられております。  「事実の認定」として   当会人権擁護委員会が、前記資料などにもとづき調査したところによれば、本件に関し以下の事実が認められる。 ということで、「本テスト実施の概要等」として1、2、3、4、5、6、7とずっと書いてありまして、「本テストの結果」としてこれも五点にわたって書いてあります。   一回目のテストの結果は、フッ素混入液を飲用した三八名のうち、吐き気の五五・三パーセントを中心に、腹痛、よだれ、顔色変化など種々の症状が申告され、結局六八・四二パーセントにあたる二六名の者が、何らかの症状を訴えた。   他方、偽薬を飲用した三七名の中からも一四名の者が、吐き気を中心に種々の症状を申告した。 時間の関係で「判断」というところを申し上げますと、   右認定事実等をもとに、本テストが学生らの人権侵害に該当するか否かを判断することとなるが、その際考慮すべき主要なポイントは、飲用に供された本件フッ素量ならびに学生らに発現した種々の身体的影響についての人権侵害の程度に関する評価、本テストの目的とその相当性の有無、本テスト実施方法の適否、これら三点と思われる。以下に、順次検討の結果を述べる。  1、生理的機能障害と人権侵害    本テストの結果、多数の学生に前認定の吐き気、腹痛などの諸症状が発現している。これらは、明らかな人体の生理的機能の障害である。    当弁護士会は、まず、このような結果をもたらす行為は、その目的方法等においてこれを正当とすべき特段の事情のない限り、原則として人権侵害行為であり許されないものと考える。 というふうに判断をいたしているわけです。  その理由をまたずっと述べてありますけれども、最後の「結び」のところでこういうふうに述べているわけです。   当弁護士会は、このような観点に立ち、本テストを人権侵害と認めつつも、事件処理としては、これを頭書のとおり「要望」にとどめ、大学の自主的努力による本問題の解決に期待することとしたものである。というふうに述べておるわけです。それのちょっと前になりますが、   但し、ことは大学における具体的な教育内容に直接関わる事柄である。大学の自治の理念に照らし、本件の如き問題は、学生を含む民主的な討議を経て、大学内において自主的に解決の筋道が見出されることが最も望ましい。 ということで要望書に書いたということなんですね。大学側の立場、教育的な立場というものを非常に配慮をしてこういう取り扱いにしたということを述べているわけなんです。  そこで、時間もありませんので、大臣からは最後にお答えをいただきますが、法務省にお尋ねいたします。おいでになっておりますか。  以上述べましたように、弁護士会の要望は、大学の自治の理念に照らし学内において自主的解決を求めたということは今申し上げたとおりなんですけれども、人権救済の申し立てが直接法務局や人権擁護委員等になされず、直接かかわらなかったため、弁護士会の要望書についての見解は出せぬと思いますけれども、一般論、原則論として、薬物の安全性が確認をされず、その許容基準等も明確でない場合、その使用、飲用を含めて当人の承諾なく、または拒否しがたい状況、あるいは本人の知らないうちに実験的に用いることは許されないことであり、場合によっては人権侵害のおそれがあるというふうに思われますけれども、いかがでしょうか。

濱卓雄法務省人権擁護局調査課長

○濱説明員 お答えいたします。  一般論、原則論として、人間の生体を対象として薬物の臨床実験を行う場合には、やはり被実験者といいますか被験者の自由意思により承諾を得ないで行うことは人権保護上好ましくないというふうに考えております。

吉田正雄日本社会党・護憲共同

○吉田(正)委員 それでは大臣にお尋ねいたします。  ただいまの問題というのは、医療機関ではなくて、大学歯学部という医療にかかわる教育機関で行われたことなんですね。このような問題は学生の教育を受ける正当な権利を一部侵害する。というのは、つまりそのテストを受けなければ単位がもらえないとか、何かそういう拒否しがたいような状況というものがこの調査結果では出ておるのですね。  そういう点で、正当な教育を受ける権利というものが侵害をされているのではないかというふうに思われますし、それから、この弁護士会が調査結果に基づいて人権侵害の内容だということを述べておりますが、教育的配慮で自主的解決というものを要望しているということなんで、それはまた大学当局がその問題について真剣に、慎重に今後取り組んでいく必要があるのではないかというふうに私は思っておるのですけれども、ひとつ大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 本件につきましては、大変恐縮でございますが、私自身も初めて伺いました。弁護士会からの要望書の内容等について先生から聞かせていただきました。大学の中のいわゆる自主的努力によって解決するように求めた弁護士会のその要望書、大変意味のある要望書だと思います。  しかし、基本的には大学の中の問題でございますから、また、大学当局者がどういうふうにお考えになっているかということについても私も承知をいたしておりませんので、ちょっとコメントがいたしにくいのでございますけれども、大学からも話をよく聞いてみたい、こう思います。

吉田正雄日本社会党・護憲共同

○吉田(正)委員 重ねて大臣と文部当局に要請をしておきたいと思うのですけれども、弁護士会がこのような要望という形に変えた点、これは教育に対する、大学自治に対する配慮が非常に色濃くここににじんでおります。  そういう点で、大学当局がメンツであるとか今までやってきたのであるからこれは変えがたいというふうなかたくなな態度をとるのでなくて、本当に教育的観点あるいは人権尊重という観点、教育権を保障するという観点から、この問題について前向きに検討し善処されるよう、そういういい意味での文部省当局の大学側に対する指導といったらいいのでしょうか、助言といったらいいのでしょうか、そういうものを期待をいたしたいと私は思うのですが、いかがでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 お答えいたします。  この問題につきましては、先生からニューズウイークとかメディカル・トリビューンや何かの文献の引用もいろいろございましたが、私どもとしましては、端的に申し上げますと、専門家じゃございませんので判断ができない問題で、どうしても大学側、専門家がどう考えておるのかということを中心に考えざるを得ないということもございます。かなりの大学、国立大学の全部の歯学部で弗化物の局所塗布あるいは弗化物の洗口法などを現在でも予防医学としてやっておるわけでございまして、全体としてその辺をどう考えるのかということは専門家の判断にまたざるを得ないのではないかという感じを私自身いたしております。  いずれにしましても、先生からのせっかくの御要望でございますので、また改めて大学側にこの文教委員会の席でこういう要望が強く出されたということを伝えまして、大学側の意見をまた聞いてみたいと考えております。

吉田正雄日本社会党・護憲共同

○吉田(正)委員 時間が参りましたので、これでやめますけれども、この医学関係については、とにかく疑わしきものあるいは安全性が確認されないもの等については軽々に用いるというふうなことがあってはならぬと私は思いますし、何よりも基本的人権という観点を常に忘れてはいけないのじゃないか、私はそのことを強く要望して、私の質問を終わらせていただきます。

船田元自由民主党

○船田委員長 次に、鍛治清君。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 私は、前回委員会で高等教育の問題について、特に大学入学定員の増加問題について御質問を申し上げましたが、その後、定員についての緩和措置が行われたようでございまして、私は大変うれしく思っております。さらに国立、公立の大学についてもいま一段の定員緩和についての臨時の措置を行っていただきますように強く御要望を申し上げておきます。  そこで、きょうは先日の質問に関連しましてお尋ねしたいと思っておりますが、それは、一つは教員の充足の問題でございます。これは非常に厳しい状況にあるというようなこともいろいろと話が出てくるわけでございますが、この点の質問をずっとやるために、まず最初に平成四年度の学生急増期に向けての学生増、これはどの程度予想をしておられるのか、最初にお尋ねをいたします。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 お答えいたします。  これは全くの予想でございまして、先般、先生がただいま御指摘になりました臨時定員増の手続の簡素化、それから増員枠の緩和というような措置を講じましたので、これから私学の方から臨時定員増の御要望の申請がかなりたくさん出てくるだろうということ、それから恒常的定員増につきましても予想ができるということで、私どもは平成三年度入学者については臨時定員増と恒常的定員増を含めまして二万人ぐらいの増員が見込まれるのではないか、これは全く予想でございますので、それをお断りしてあえて数字を申し上げますと二万人ぐらいじゃなかろうかというふうに考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 これに対応しまして当然のことながら相当数の教員の増というものが必要になってくる、こういうふうに私は思うのでございますけれども、この教員の増ということについてはそういう学生の増に対応して人数にしてどの程度見込まれるのか、これについてお伺いをいたします。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 お答えいたします。  最近の学部・学科の入学定員増というのは、恒常的定員について申し上げますと、どうしても社会的需要の高い分野に集中しがちでございます。そういう意味で言いますと、例えば情報関係とかそういう分野というのは教員の採用がかなりきつくなりつつあることは御指摘のとおりであろうかと思います。  ただ、入学定員増のうちかなりの量を占めます臨時定員増の場合は兼任の教員で対応できるということになっております。それは臨時定員というもの、臨時定員増の性格上、何年かたった場合に、臨時ですので定員を削減するわけでございますので、そこを教員を恒常的定員で埋めてしまいますと、経営的に、言いかえればだぶつく、先生がだぶつくという状況になりまして、もちろん先生の首は切れないわけでございますので、それが経営を圧迫するだろうというようなことを含めまして兼任の教員でも対応できるということにしております。  それから、臨時定員増の場合は大体が一分野に限ることなくかなりの学問分野について行われているということが予想されます。それから、教員の供給源であります大学院の整備が従来に比べますとある程度進んでおるということ、あるいは民間からの教員登用がかなり進んでおりまして、かなりの新設大学が設置基準上要求しておる基準数よりも相当上回って申請をしてくるという状況なのでございますので、平成四年度を頂点とするあと平成三年、平成四年までは何とか先生の供給は賄えるのじゃなかろうかというふうに期待をしているわけでございます。  先ほど博士課程卒業者数のうちドクターを取得した者はどのぐらいであるかという数字が求められましたけれども、課程博士で六十三年度で大体三万六千人おるわけでございます。そういう意味で私どもとしては何とかやれるという気がしているわけであります。  ちなみに、どのぐらい人数が必要なのかということでございますが、これは私学だけに限って申し上げますと、恒常的な定員が一万人ふえるということで計算いたしまして、工学部、経済学部というところに限って計算いたしますと、学部増、新たにつくるのではなくて既存の大学が学部を新たに増設するという形で工学部、経済学部を七千人ばかり、これは二十三学部増設するという前提でございますが、工学部三学部、経済学部二十学部増設して七千人の入学定員増を行うという場合に必要とされる専任教員数は六百四十三人でございます。  それから、新たに大学をつくるという形で工学部、経済学部をやはりつくるということになりますと、これは一般教育担任教員が必要となりますので、学部増よりは人数は必要とするわけですが、いずれにしましても、恒常的な定員を新設大学で三千人入学定員増をする場合に必要な専任教員数は百八十四人、トータルで八百二十七人で、これはもうぎりぎりの数字でございますが、八百二十七人で一万人の入学定員増が行われるという状況でございますので、先ほど申し上げました臨時定員が仮に一万人、恒常的定員が仮に一万人で二万人ということになりますと、千人弱ぐらいの新たな教員ならば何とか今の供給体制で賄えるのではないかというふうに思っております。  ただ、先ほどもお答え申し上げましたとおりに、情報関係などが相当逼迫していることは事実でございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 対応策について次にお尋ねしようと思っておったのですが、多少そこの内容に踏み入ってのお答えがございました。何とかなるだろう、期待をしている、という気がいたします、こういうようなことが局長の御答弁の後についているわけでございまして、私は、こういう形のままでいくとやはり非常に心配だなということを今お答えを聞きながら痛切に感じているわけです。したがって、この対応についてはひとつ文部省の方も真剣にお取り組みをいただきたい。  これは産経新聞の本年の三月の新聞に「経済時評」の中で出ておったのですが、東海大学教授の唐津先生、これは有名な方ですけれども、この見出しの表題に「深刻な理工系の教授不足」ということで、教える立場でいろいろ御苦労なさっておられる先生が、実際に教えてみて、全体を見渡す中で教授の対応、教員の対応というものが数の面で非常に深刻になっておる。これは質の面でも論じなければならぬ問題であろうと思いますけれども、とにかく中からのそういう痛切な声が挙がっているわけでございまして、これはひとつ真剣に対応していただきたい。せっかく学生の方は入学の定員増というものを図られたとしても、これは教員が対応できなければ大変な問題になるであろう。それこそ大学の真価も問われるわけでございますから、そういう点については十分ひとつ取り扱い、また対応をしていただきたい。  特に、これも局長から御答弁もございましたが、先端分野での学部・学科増ということは非常に難しい、しかし国公立ならば多少また無理をしてでも対応ができるのかなというようなことも思いますけれども、私立大学になると特に優秀な教員の確保というのは困難になるのじゃないか、そういうことがあるわけでございまして、ぜひそういったことを踏まえながら対応なり指導なりをしていただきたい、こういうふうに思うわけですが、この点についてもう一度、再度お答えをいただきたいと思います。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 確かに先端科学技術分野、情報等の分野では、地方の私立大学に教官というのは大変確保しにくくなっておることは事実でございます。そういうこともございまして、先般大学設置基準を改正いたしまして、大学人じゃなくとも特に専攻分野ですぐれた知識経験を有しておる人については大学教官としての資格を与えるということにいたしまして、最近の私立大学のこの種の分野の学部を増設した、あるいは大学を新設したところを見ますと、かなり民間等からの登用をしているようでございます。  そういうことも私ども強く期待をしているわけでございますが、いずれにしましても、先生御指摘の点については十分私どもも注意をして、いやしくも大学教官としてたえられないような人が登用される事態にならないよう設置認可に当たっては注意をしてまいりたいというふうに考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 これまで申し上げた問題を含めて、先端科学技術の分野における人材養成のための大学、大学院の整備というものが必要であると思います。若干局長も触れられておりましたが、今後どのように進めていくお考えなのか、これについてお尋ねをいたします。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 情報でありますとかバイオなどの先端科学技術分野の人材養成が極めて重要だという先生の御指摘でございますが、私どもも全く同じ意見を持っております。  文部省といたしましては、そういう社会的なニーズ、私もいろいろな方々からもっといわゆる先端科学技術分野を研究する人たちをふやしてほしいという御要請をいただいておりますが、そういうニーズにこたえまして教育体制の充実を図っていかなければならないと思っております。大学の工学部でありますとか農学部でありますとかあるいは短期大学、高等専門学校などで学部や学科を新設することがまず第一に考えられますが、これも積極的に取り組んでまいらなければならないと思っております。  また同時に、今回、大学院レベルにおきましても先端科学技術大学院大学の創設を初めといたしまして関連分野の研究の整備充実を図るように努めてまいらなければならないと思っておりますし、さらに大学審議会の答申を受けまして大学院制度の弾力化を図りながら研究者や技術者の養成機能の強化に努力をしてまいりたい、このように思っております。  さらにはまた、社会において既に御活躍になっていらっしゃる技術者や研究者の再教育というのも非常に重要な課題でございますので、私どもとしてもこれをどうしたらいいのか、文部省として推進の方策について現在検討中でございます。等々いろいろな形で大学、大学院の整備を進めていかなければならないと思いますので、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 進みまして、独立大学院大学のことについてお尋ねをいたしたいと思います。  この独立大学院大学というのはどういうところにメリットがあるのか。また、デメリットもあるいはあるのではないかと思いますが、それはどういうところにあるというふうに認識をされておるのか。そしてさらに、メリット・デメリットを総合してなおかつ大学院大学をつくった背景ということについて、この際、お尋ねをしておきたいと思いますが、いかがでしょう。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 大学院は、特定の学部を基礎としてその上に大学院の研究科が置かれるというのが今までの通常の形でございます。このような学部に基礎を置く大学院の研究科にありましては、学生に対する基礎的な専門教育の実施に当たるという学部の持つ基本的な性格から、どちらかというと確立された体系的な、系統的な学問体系に沿って学部を中心として教育研究が進められるということになりがちでございます。しかし、先端科学技術分野は学問の境界領域あるいは複合領域などいわゆる学際領域の教育研究の分野のものでありまして、その分野の需要が今日かなり高まってきているわけでございます。  したがって、学部における専門教育の上により高度な、より専門的な事項について教育の実施を大学院が行うという場合に、従来の学部・学科の組織編制にとらわれず独自の柔軟な組織編制により研究科、専攻科を編制するというメリットがあるのではないかというふうに思っております。柔軟な教育研究体制を体系的に整備し得る、あるいは広くさまざまな分野から多様な教員、学生を集めて活発な教育研究の展開が期待できるということ、それから、学部を持ちませんので、大学院専任の教官を配置いたしますので、相当数の規模の大学院生を受け入れて教育することが容易になるというメリットがあろうかと思います。  一口に申し上げますと、確立された体系的な、系統的な学問体系に沿った既成の知識修得型の分野の教育研究の展開に当たりましては、学部、学部に基礎を置く研究科の従来タイプのコースの方がやや効果的であるかなという感じがいたしますが、先端科学技術分野のような創造型の分野の教育研究の展開に当たっては特定の分野に焦点を当てた独立大学院、独立研究科の方式の方が適しているというふうに私ども考えております。  ただ、学部に基礎を置く大学院と比べまして、独立大学院におきましては学生の学部レベルにおける専門知識の修得にばらつきがあるということも、いろいろなところから採るわけでありますので、考えられるわけであります。このことは、多様な資質を持つ学生が得られるということ、それから体系的なカリキュラムを独立大学院でつくりましてその体系的なカリキュラムに沿って教育研究指導を行えるという点ではむしろデメリットをメリットに転化できるのじゃなかろうかというふうに私ども期待しているところでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 今御答弁の中にも、独立大学院大学のメリットの一つとして創造性の問題にも触れていらっしゃいました。これからの日本は特に創造性が大切であるということが言われておるわけでございまして、この点だけを取り上げてみても独立大学院大学というものは今後相当進めていく必要があるのかなというふうにも私は思うわけですが、この独立大学院構想というのは昭和五十一年の学校教育法の一部改正で制度上設置が可能になったのであります。  それ以来約十四年経過しておるのですけれども、私の知るところ、どうも独立した大学院大学というものは今回この法案で設立される北陸先端科学技術大学院大学を含めてたしか二校くらいだったように記憶しておるのですが、これはもっと積極的に取り組んでもいいのではないか、また今までも取り組みがちょっと甘かったかなという気もするわけですが、この点についてはいかがでしょう。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 確かに、先生御指摘のとおり昭和五十一年度に大学院のみを置く大学を設置することができるということで独立大学院が設置できるように学校教育法を改正したわけでございますが、現在までの独立大学院は、国立では昭和六十三年に設置されました総合研究大学院大学、それから私立大学では新潟県にございます国際大学、この二校でございます。これと別に学部にその基礎を置かない独立の研究科というものも既設の大学に置かれておりまして、独立研究科としては国立二十大学に二十八研究科が、それから私立の二大学に二研究科、計二十二の大学で三十研究科が設置されております。  独立大学院あるいは独立研究科として設置するかどうか、それぞれ教育研究の内容、性格等に応じて検討していかなければならないと思いますが、この場合、教育研究の必要性ということと、もう一つは、先ほど先生が御指摘になりました優秀な教官をつくる限りは確保したいという点もございますので、そういうことを含めて総合的に今後私どもとしては考えまして適切に対処してまいりたい、必要に応じて今後設置すべきものは設置してまいりたいというふうに考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 今度できます北陸先端科学技術大学院大学につきましては、先般省令改正によって特に優秀な者は学部三年から大学院を受験できるということになったわけですが、本大学院大学についてはこの制度は活用していくという方向でお考えになっているのかどうか、お尋ねをいたします。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 先生も御指摘のように、昭和六十三年十二月に大学審議会から「大学院制度の弾力化について」という答申をいただきまして、昨年の九月に大学院設置基準の一部を改正して、研究者としてすぐれた資質を有する者に早期から大学院教育を実施する道を開くために、大学に三年以上在学し、大学院において所定の単位をすぐれた成績をもって修得した者と認めた者に大学院への入学資格を認めたわけでございます。この大学におきましても、この大学院制度の弾力化の趣旨に沿いまして、積極的にすぐれた資質を有する大学三年修了者を、これはもちろん本人の希望がなければだめなわけですが、そういうことで応募してきた場合に積極的に受け入れるように考えてまいりたいという計画のようでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 もう一つ、それのまた延長線上でありますが、修士課程です。これは標準修業年限が二年ということになっておって、最短一年で修了することも可能だということになっているわけですけれども、本大学院大学ではこの制度を積極的に活用するという方向なのかどうか、これもあわせてお尋ねをいたします。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 お答えいたします。  この大学は、できることならば社会人としては全体の入学定員の三割ぐらい、実際に社会で民間の研究所等で研究している者を受け入れたいという考えを持っているわけでございますが、そういう場合に、修士課程の修業年限が標準二年でありますが、特にすぐれた業績を上げた学生については最短一年で博士課程に進むことができるという先生御指摘のような措置をいたしたわけでありますが、ここの大学でもその趣旨を踏まえまして、特にすぐれた者については修士課程の修業年限を一年で博士課程に進ませるという措置も考えたいというふうに現在計画しているようでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 本大学院大学の主たる目的の一つは、大学院レベルでの社会人の再教育、継続教育を図る、こういうことにあります。若干今の御答弁の中にも触れられておったようでありますけれども、この点について内容はどういうふうな形になっているのか、少し詳しくお尋ねをいたしたいと思います。  私はここに今、日経の社説を持ってきておるのですが、本年の一月七日の日経に出ておる社説でありますけれども、「今度こそ大学改革の機運を育てたい」、こういう大きなタイトルの中でいろいろと論じられておりますが、その中にこの社会人の再教育に触れた形で論じておるところがあります。これはこういうふうにあるのです。前にいろいろ書いてあるわけですが、こういうふうに始まります。   大学院の貧弱さは言を持たない。このところ若手、中堅社員を大学院に “留学” させる企業が増えている。従来の職場内訓練では手が届かない、長い目でみた再学習の必要性からである。ところが行き先はほとんど米国を中心とする外国の大学。日本の大学院は一にぎりである。   これまで理科系では大学院と企業の往復は一部であった。それでも「日本では大学院は大学でなく企業にある」と外国の研究者から言われていたことに象徴されるように、企業は主として自前で再教育してきた。   今後は事務系でも大学院などにおける社員教育の需要が強まることは目に見えている。欧米諸国のように、いったん就職してから一、二年ビジネススクールなどで学び再び仕事に戻るといった形が少しずつ普及していくだろう。経済学部とか法学部といった個別分野の学部修了証書だけではもたなくなり、さらに在来の職場内の経験だけではもたなくなるからである。しかし今のわが国の大学院には、そうした需要に対処する陣容を質量ともに備えていない。 こういうふうに書かれてあるわけです。  私も二、三いろいろ大学でも先生に聞いてみたことがありますが、私はそういう感が否めないなというふうに思っているわけでございますけれども、本大学院大学ではこの受け入れについてこれを克服した内容のものとなってほしい、こう思っているわけですが、この点についてお尋ねをいたします。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 先ほども申し上げましたとおりに、この大学院では三割程度はとにかく社会人を少なくとも受け入れたいという構想でございますが、社会人に対して広く門戸を開放するため、しかも公平性、妥当性をも配慮しつつ、一つは入学試験において面接や調査書を中心に、原則として社会人については筆記試験は課さない方法をとるというようなこと。それから、学期の区分に応じて入学者の選抜を弾力的に実施する。言いかえれば、年度途中でも、社会人、企業の都合等によって年次途中ならば行けるというような場合は、学期の区分に応じて入学者選択を行うということ。それから、これも先ほど御説明しました大学院制度の弾力化のときにあわせて改正した点でございますが、修士課程を経ないでも学部卒業後二年以上の研究歴、民間企業の研究所等で研究しておる研究歴があって修士課程修了者と同等の能力があると認められる者に対しては、大学院の判断で博士課程への入学資格を認めるということにしておりますが、この規定も積極的に活用いたしまして、さらに社会人に対する再教育であるという点を考慮しまして、すぐれた研究業績を上げた者に対しては、在学期間につきまして先ほど申し上げましたようなことを含めて短期に修了できるような道を積極的に認めていくということといたしております。  それから、教育課程の編成に当たりましても、通常の大学院は学生の研究指導については専攻分野に関する研究課題を一つ与えまして、その研究課題に沿って大学院在学中にいろいろ研究させるわけでありますが、この大学院では、隣接または関連分野の基礎的な概念、知識を修得させるということから、主とした研究テーマのほかに第二の副テーマも与えまして、各学生が幅広い視野を持てるように原則として複数の教官が研究指導に当たるという仕組みも考えているところでございます。  それから、責任ある指導体制のもとに、履修方法についても可能な限り弾力的な運用を行う。例えば、民間の研究所に行って半年あるいは数カ月研究をするといった場合に、それも大学院の研究とほぼ同じであるというふうに認定できるならば大学院の単位として認めるというようなことも運用上図りまして、従来、社会人の再教育として我が国の大学院が必ずしも魅力あるものになっていなかったわけですが、その点には、十分魅力あるものになるよう、この大学院大学としては努力をするということ、あるいは創意工夫していくというふうにしているところでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 参議院の質疑が始まったということで、大臣があちらの方にお出かけのようでございますので、再開されるまで、第一回目の質問をこれで終わらせていただきます。

船田元自由民主党

○船田委員長 午後三時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時四十一分休憩      ────◇─────     午後三時三十三分開議

船田元自由民主党

○船田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鍛治清君。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 先ほどに続きまして質問をさせていただきます。  引き続いて、北陸先端科学技術大学院大学のことについてお尋ねをいたしたいと思います。  臨教審答申の中で、特に第二次答申を中心にしましてあっちこっち、最終答申の中にも触れられておりますが、ポスト・ドクトラル・フェロー制度、この拡充の問題、それから助手のあり方、こういったことが触れられております。第二次答申の中ではほかにも触れられておりますけれども、こういうふうに言われているわけです。   大学院は、高度の専門家ならびに研究後継者育成の場として、また独創的、先駆的研究推進の場として、学術研究の振興上重要な意義をもつ。すでに述べたとおり、その充実、整備は緊要な課題である。ポスト・ドクトラル・フェロー制度については、現行の日本学術振興会特別研究員の制度を基礎にさらに拡充し、大学以外の民間を含めた研究機関においてもそれを受け入れ得るようなシステムの確立を検討する必要がある。   ポスト・ドクトラル・フェロー制度の導入とともに、助手の在り方に基本的な検討を加え、その職務内容、位置付けをより明確にし、名称を改めることを考慮する。 こういうふうに触れられているわけです。  助手については、大変悲しいことですが、やはりいつまでも身分がはっきりしない、上にも上がれないというようなことで亡くなられた方もおります。自殺された方もおりました。いろいろなことがあって、こういう問題については臨教審答申にある方向でこれはやはり早急に対応をすべきであろうと私ども思います。  そういう意味で、この北陸先端科学技術大学院大学ではどのようにこの点については対応をなされようとしておられるのか、お尋ねをいたします。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 ポスト・ドクトラル・フェロー制度、特に学術振興会で行っております制度につきましては、その拡充について現在学術審議会でも検討を加えておるというところでございますが、その問題、あるいは先ほどお答え申し上げましたティーチングアシスタントとして大学院生を処遇するというような問題を含めまして、大学審議会で現在検討を加えているところでございます。  あわせて、今先生御指摘ございました助手のあり方等につきましてもやはり大学審議会で現在検討を加えておるところでございまして、私ども今後大学審議会の検討結果を待って適切に対応してまいりたいというふうに考えております。この大学も恐らくその検討結果を待って対処していくということになろうかと思いますが、例えば先般も問題になりました後援財団等の果実をその大学院の院生のフェローシップに活用するとか、あるいは助手を含む若手研究者を積極的に登用いたしまして、既設大学の教員との人事交流を定期的に行うという運用上の確立など本大学自身の取り組みによって可能なものについては配慮していくということにしております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 午前中の他の委員も触れられておりましたが、次に学位の授与の問題でちょっとお尋ねをいたしたいと思います。  現行におきましては各大学にこの授与についてはゆだねられておるわけでございますけれども、最近は特に科学技術の進歩が激しい。私なんかも機械、いわゆる工学系の学校を出たわけでありますけれども、もう戦時中から戦後にまたがって出た私どもには最近のものはさっぱりわからない。西を向いても東を向いても真っ暗やみでござんすみたいなもので、コンピューターを動かすことすらおっかなくて仕方がない、こんな状況でございまして、従来どおり直接学生の教育ないしはいろいろな人材養成に携わっておられる大学においては、また先生方は万々そういうことはないとは思いますけれども、私たちずっと見ておりまして、この学位の授与、特に科学技術発展の中で現行のままで大学にゆだねるということだけでいいのだろうかなというような心配も実は出てきておるわけでございます。  したがって、権威ある第三者的学位授与機関の設置を検討して、そこで授与するというような形もできてきていいのではないかなというふうにも思うわけでございますが、この点についてお尋ねをいたします。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 学位の授与権をどこに与えるかという問題でございますが、学位は学術の中心として自律的に高度の教育研究を行う大学が授与するのだというのが国際的にも原則として定着しているところでございます。したがって、私どもとしましては、この原則を維持しつつ各大学において学術研究の進展等に対応して高度の教育研究が展開されるよう、あるいは大学院におけるその学位授与を円滑に行っていただけるようこれからも積極的にお願いをしてまいりたいというふうに考えております。  なお、現在、大学審議会におきまして大学以外の教育施設において組織的、体系的な教育を受けた者や、あるいは単位累積加算制度、この前も先生の御質問にお答えしましたが、単に正規の学生ではなくて、パートタイムスチューデントと申しますか、コース登録制あるいは科目登録制ということでまとまったコースの単位を修得する学生も学生として受け入れるというようなこと、履修形態の弾力化ということで現在検討しているところでございます。  短期大学を卒業してから、こういうコース登録制で何年かかかって学問的にもまとまったある一定の単位を修得した場合に、単位累積加算制度という制度を創設いたしまして、それとの関連で、大学学部の修了者と同等の水準にあると認められた者に対して学位授与機関が学位を授与するという道を開くことも必要なのではないか。特に、これから生涯学習社会を迎えるわけでありますので、生涯学習についての住民の意欲をエンカレッジする意味でも必要なのではないかというような観点で現在検討を進めているところでございます。  その検討結果を待って、また大学とは別の学位授与機関を創設するかどうかについても適切に対応してまいりたいというふうに私ども考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 ここで、大学と大学院の役割について私見を交えながらちょっとお尋ねをしたいのです。  前回の質問のときも、日本の大学の全国的な配置について、またあり方について若干やりとりをやらせていただいたわけでございます。きょうは、大学審議会の中でも新しい高等教育計画が検討されておるというように聞いてはいるわけですけれども、この中で、学部と大学院の縦割りの関係について、これはひとつはっきり明確にした方がいいのではないかな、またそういう時期が来ているのではないかなというふうにも私自身は感ずるわけです。  例えば、学部はある程度自由にやらして人間形成を目指すとか、大学院を充実して高度の専門教育を目指すというふうな形、これはごくごく大ざっぱな考え方でありますけれども、そういった形の中で、もう一つ明確にはっきりさせて縦割りをしたらどうかなという気がするわけです。だから私は、今の大学の学部の充実というものはしなければならぬとは思っております。遊びほうけるような大学生であってはいかぬというふうに思いますが、ある程度ゆとりがあってもいいのじゃないかな。とにかく高校時代まで、大学に入学するまではまあがちがちやっておりますから、大学へ行って少しのんびりして、それから少し大学院でがっちりとやるというような考え方も、大枠であってもいいのかなというような気もするわけでございます。  明治十九年の帝国大学令を見てみますと、その中では、大学は教育機能、大学院は研究機能というものをやるんだというふうに分けてちゃんと言ってあるわけですね。これも一つの考え方でございます。現在の高等教育の流れ、こういったものをずっと見てくると、そういうものも考えて、そしてこういう新しい高等教育計画の中で触れていくということも必要な時期に来ているのじゃないか、私はこういうふうに思うわけですが、この点についてお尋ねをいたします。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 この前もお答え申し上げましたが、平成五年度以降、十八歳人口が平成四年の二百五万から、八年間ぐらいの間に一挙に百五十万に減少いたしまして、さらにその後五、六年の間に百三十万に減少するという十八歳人口急減期を迎えるわけでございます。  その急減期を迎える期間の高等教育の質的、量的整備の方向、それから今も先生御指摘の地域配置の問題、学術研究の進展や社会構造、産業構造の変化に伴う新しい需要への対応、生涯学習社会への対応、さらには留学生の受け入れの問題等々、現在、平成五年度以降の高等教育計画を大学審議会で幅広く検討を進めているわけでございます。その際、今先生が御指摘になりました高等教育の役割という点も視点に入れて審議が進められているところでございます。  先般、先生から御質問のございました大学の自己評価の問題、どういうような項目についてどういう形で自己評価を行っていくのかという点につきましても、学部段階ではむしろ教育活動を重視するということで評価を行っていく、それから大学院レベルでは研究活動を重視するという方向で評価を行うべきではないかという委員の先生方の意向がかなり強く議論されておるところでございまして、今後御指摘の大学院教育、それから学部教育の役割も十分考慮の上検討が進められていくものだというふうに私ども考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 日本の学校教育の中では、やはり高等教育はしっかり改善改革をしていかなければならないし、そういう時期が今来ておると思いますので、そういった私ども申し上げたことも含めて、いい点はどんどん取り入れながら改革改善は進めていただきたい、こういうふうに思います。  短期大学の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  茨城大学及び山口大学の工業短期大学部廃止ということに今回提案されているわけでございますが、この趣旨についてお尋ねをいたします。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 茨城大学と山口大学の工業短期大学部、これは三年でございますが、短期大学部を廃止いたしまして四年制の夜間主コースの学部に切りかえるということでございます。近年の科学技術の進展ということを考えますと、三年制、三年間の教育ではどうも中途半端だというような意見が茨城大学、山口大学の関係者からもございますし、さらに学生も高学歴志向と申しますか、短期大学よりも四年制大学というようなそういう志向がございますので、そういうことを勘案いたしまして、両大学とも工業短期大学部を廃止して夜間の主コースの学部にいたしたところでございます。  どうせ夜間の勤労青年を考慮に入れて夜間に主として授業を行う学部にするのならば、百二十単位のうちの四分の一ぐらいは昼間の授業を受けても単位として認定する、そういう勤労青年が履修する上に非常に便宜が図れるような形で転換した方がいいだろうというようなこともございまして、夜間主コースの四年制の工学部に転換するものでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 私ちょっと確認しておりませんからあれですが、たしか前回も、国立の工業短期大学部の廃止・転換があったような気がするのです。今後、国立の工業短期大学部については廃止・転換というものをずっと続けていく方針なのかどうか、この点についてお尋ねをいたします。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 現在、国立の工業短期大学というのが山口大学と茨城大学を含めまして五校ございます。今回お認めいただければ三校だけが残るわけでございますが、この三校、三短期大学につきましても、それぞれの大学の検討結果が熟しまして、私どもに夜間主コースの四年制の工学部に転換したいというような御要望があれば、私どもは大学側のその検討結果に対して前向きに対応してまいりたいというふうに考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 今後、こういった工業短期大学だけではなくて、短期大学自体のあり方というものが非常に問われてくるときであろうかと思います。特に、もう私は前から再々御質問も申し上げてこれに触れてもきたわけです。平成五年からの十八歳人口減少期には短期大学はどうなるのかというのが今非常に問題となって、各学校は真剣にその生き残りをかけて取り組んでいるわけでございますけれども、今後の短期大学のあり方についてどういうふうに考えておられるのか。これはひとつ大臣にお尋ねをいたしたいと思います。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 まず、短期大学の現状でございますが、平成元年五月現在で五百八十四校あります。そして在学者数が四十六万人おられるわけでございますが、四十六万人のうち四十二万人が女子でございます。したがいまして、現在の短期大学の特色は、これは男女共学はもちろんでありますけれども、九一%が女子である。これが現在の短期大学の特色かと存じます。  近年の傾向といたしましては、この短期大学に対して専門職業教育でありますとか、あるいは生涯学習をしたいというようなニーズが社会的に起こってまいっております。このために、各大学におきましては既存学科の改組あるいは転換、あるいは生涯学習ということに備えましての公開講座の実施あるいは社会人特別入学制度の実施などに取り組んでいる短期大学が多くなってまいりました。  お尋ねの今後でございますけれども、今後は、大きくいって二つのことが言えるかと思います。その一つは、生涯学習機関の一つの核として短期大学が果たしていく役割というものが大きくなってくるのではないか。特に女性の高学歴化志向等もございますので、生涯学習機関の核としてこれから短期大学がその役割を果たしていくであろうということが一つ言えると思います。もう一つは、短期大学だけでは、二年間ではちょっと足りない、さらに四年制大学へ進みたいという希望が出てくると思いますので、大学の三年次へ編入する枠ということについてもこれは検討していかなければならないだろう。この二つのことが今後の問題としてあり得ると思います。  現在、御承知のように大学審議会におきましてこうした問題について取り組んでいただいておりますが、どういう御審議をいただくか、私どもとしても関心を持って見守ってまいりたいと思っております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 次に、大学評価の問題について再度お尋ねをいたしたいと思います。この問題については前回質問も申し上げたわけですが、これに引き続いてお尋ねをいたしたいと思います。  大学での自己評価、これは先ほど局長の答弁にも自己評価のことが出てまいりましたが、今これは行うという方向になってきているわけであります。これをやるかやらないかというのは各大学の判断に任せるということになるわけでございますけれども、各大学に任したときに非常に心配が出てくる。どうも私は大学の悪口を言ったり大学の先生の悪口を盛んに言うから気が引けているのですが、悪くどうこう言うことは決して本意ではございません。  むしろ立派な大学もありますし、また先生方とも数多くいろいろとおつき合いをさせていただいておりますが、非常にまじめな先生もたくさん存じ上げておりますし、そういう先生ほど大学の今後のあり方ということについて、またそれに関連して日本の二十一世紀の問題についても真剣に考えていらっしゃるわけで、頭が下がるわけです。本当にやっているところは、文部省含めて我々も立法府としての立場でうんと応援していかなければならぬ、こういう前提に立ってのことでございますけれども、ともすればそういう自己評価ということになると、この前も申し上げたように、どうも大学の先生方は、他の御批判やら評価をなさるのはお好きなようですが、なかなか御自身のことになると嫌がられるという傾向が非常に強い。  ちょっと余談ですが、この前バルセロナの大学の総長御夫妻、副学長とお会いする機会がございまして、いろいろ話したときに、率直に日本の大学でこういう傾向があるんだということで大学の先生、教授会等の話をしましたら、総長がすかさず言われました。日本の大学が我々スペインの大学、バルセロナ大学のまねをしたのか、バルセロナ大学が日本の大学のまねをしたのかわかりませんが、先生方は全く同じですね、こんな話がありまして、やはり大学の運営にも総長の立場で非常に御苦労なさっておられるようでございました。八万三千からの学生がいるんだけれども、私が一番頭を痛めているのは三千五百人の教員の方です、こんな話がありまして、やはりどこの大学でも、大学改革とかいろいろなものを進めていくときに、新しいものをつくり上げていくというのは、全世界苦労しておられるんだなということを、実はそのときに私は痛感をいたしたわけです。  我が国がそういう中でよしとする、ほかもそうだからよろしいよというわけにはいかぬわけでございまして、何とか大学がよくなってもらいたい、大学院もよくなってもらいたい。その延長線上でやはり日本が世界の中で大きく役立っていくことができるんだし、我々自体も繁栄を共有できるというふうになるんだろうと思っております。  そういう意味で再度御質問申し上げるわけでありますが、今申し上げましたように、各大学の判断に任せるというと実際にはなかなか実施されないのじゃないかなという心配を非常にしているわけでございます。これについて、文部省としては具体的に何か実際に大学が進めていくような形での対応策というようなものを考えておられるのかどうか。この点についてお尋ねをいたしたいと思います。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 大学教育の改善は最終的に、あるいは基本的にと申し上げましょうか、まさに各大学の改善努力によって実現できるのではないかというふうに思っております。そういう意味で大学に改善のためのインセンティブを与えるというためには、大学の自己評価についても大学の自主性をまず尊重しながら実施していくことが基本的な姿勢かなというのが私どもの今の考えでございます。  大学審議会の審議概要報告におきましても、我が国の大学が大学評価について十分な経験を積んでいないという現状にかんがみまして、「大学設置基準において、各大学自身による教育研究活動についての定期的な自己評価に関する努力規定を定め、評価についての経験を重ね、定着を図っていくことを第一に考える必要がある。」というふうに指摘をしているわけでございます。大学審議会におきましては、引き続き各大学の自己点検、自己評価の定着を図っていくことを含め有効、適切な評価システムの形成のための具体的な方策について検討を加えているところでございます。  私どもとしましては、御指摘のような各大学における自己評価、自己点検が的確に実施されるような方向で検討が加えられていくものと期待はいたしておりますが、やはり自己評価も初めて取り入れるわけでありますので、最初に戻って恐縮でございますけれども、大学の自主性を尊重しながらまず実施していくという姿勢が必要なのじゃないかというふうに考えているところでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 先ほどもちょっと読み上げた日経の社説の中にも大学評価の問題について触れておりまして、こういうふうに言っているんですね。   大学評価も何らかの形で着手しなければならない。これまでわが国では教育の中身を点検し、どんな形にしろ序列化につながることはタブー扱いだった。しかし、ばく大な教育研究費を使い、実際にどんな活動をしているかを外部に知らさないですむ時代ではない。先進国で組織的な大学評価をしていないのは日本だけである。大学の活動を活性化するためにもぜひ必要だ。   評価の方法はとりあえず自己評価の形で始めるのが穏当だろう。その後大学の団体なり何かの機関が基準に沿って相対評価するという形に持っていけばよい。 云々とありまして、それから、次の質問がそれに入るのですが、その中で続けてこういうふうに書いてあります。  英国のように「平均以下」と認定された学科には補助金をばっさり削るというような方式はわが国の教育風土にはなじまないかも知れない。ただ何でも平等、頭割りという悪平等からは脱皮すべきだろう。国立の教育研究費や私立への国庫助成金にある程度の格差をつけるのは不合理でない。 こういうふうに論評されておるわけです。  私も、何もこれのお先棒を担いでということではございませんけれども、むしろ逆に自己評価等について今後いろいろ実施されていく中で、本当に改善に努めるためにこういったものに真剣に取り組んでやっておるといった大学については、今この社説の中にもありましたように、例えば私学助成面で配慮する、少しこれを温かく見てさしあげるというようなことがあってもいいのではないかな、こういうふうに思うのですが、こういう点についてはいかがでございましょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 先ほども御説明申し上げましたとおりに、自己評価は、各大学がみずから教育研究活動の充実を図るために自己点検を行うという趣旨でございますので、そういうものをもとに直ちに財政面でどうかする、私学助成等について考えるというふうにはなかなかいかないのではないかと思います。  ただ、先生御指摘のようなことも踏まえまして、大学審議会では、将来の問題としまして、自己評価が定着した場合に客観的な、大学人を中心とする第三者が行う外部評価の有効、適切なシステムの形成についても検討しているところでございます。そういう第三者評価が大学人から見て十分客観性のある、しかも自分たちの同僚が行う、同僚というのは第三者であっても大学人が行うという評価で、大学人自身も受け入れるということが明らかになったような段階で第三者評価を行って、それに基づいて何らかの対応をするということはこれから先の検討課題だと思いますが、いずれにしましても、私どもとしましては大学審議会の審議結果を踏まえまして適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 今出ました外部評価の問題で、筑波大学において教員の評価を実施することとしたというふうに聞くのですが、これは朝日新聞の今年四月の社説の中にちょっと触れられておりました。これは方向としては大変いい方向かなというふうにも思うのですが、この筑波大学における教員の評価の検討状況、その内容、これについて状況をわかればお知らせいただきたい。さらには、これに対する文部省の考え方はどういうものなのか、ひとつあわせてお聞きをいたしたいと思います。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 筑波大学におきましては、昭和六十二年七月から教員の業績評価に関する検討委員会を設置して教員の業績評価に関する問題について検討を開始いたしました。同委員会におきましては、平成元年一月に評価の目的、評価すべき事項、評価の方法、評価結果の反映とその活用等について、同大学が教員の業績評価に取り組む上で当面考えられる事項を概括的に取りまとめまして、実現可能なものから逐次着手するよう学長に答申したわけでございます。  この委員会の答申を受けまして、平成元年二月、学長は学内関係機関に対し、評価の目的、評価の事項と方法、評価結果に基づく具体的措置等に関する当面の具体的な提案を行いました。  前記の学長の具体化への提案を受けまして、筑波大学に置かれております教育審議会は検討委員会を設置いたしまして、教員の業績評価の具体的な方法の一つとしての特別昇給の問題、共通科目についての学生からの評価と担当教員の自己評価、人事委員会における教員の業績評価などの教員の教育業績評価に関する検討を行いまして、本年三月に中間答申が出されたわけでございます。さらに本年は、教育業績評価の事例調査あるいは学生、教員からの授業に関するアンケート調査の試行的な実施を行ってきているところでございます。同大学におきましては、これらの学内の関係委員会等において検討を行うという、その検討を詰めているところでございます。  私どもとしましては、大学の教育研究を活性化するというためには、大学自身が教員の教育研究上の活動、業績の評価に積極的に取り組んで、教員の資質の開発向上に努めることはそれ自身大変望ましいことであるというふうに考えているところでございます。文部省としまして、同大学がさらに検討を行いまして適切な業績評価が行われていくようになることを期待して見守っているところでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 これは先ほど申し上げましたように、朝日新聞の本年四月十四日の社説の中に「刺激に富む講義への一石に」という表題の中で論じられているのでございますが、その中に   筑波大学が、学生からアンケートを取り、先生への評価に加味する方針を固めたという。 ちょっと飛ばしまして、   正式に実施されれば、アンケート結果はその先生が所属する部局の長に報告される。先生の側にも「授業でどんな工夫をしたか」などを自己申告させ、両方を合わせて、優れた評価を得た人を特別昇給させるそうだ。   先生の間には「中央集権的な勤務評定につながるのではないか」などと反対意見も強かったと聞く。学生のご機嫌ばかりうかがう人気取り 教授が出てくるとか、果たして学生に先生を評価する能力があるか、といった見方もあるだろう。「学問の自由」「大学の自治」を侵害する恐れはないか、と懸念を抱く人もいるに違いない。   そうした批判も理解できる。運用は慎重でなければなるまい。方式もなお工夫をこらす必要がある。しかし、筑波大の試みは、大学の質を高め、教育と研究を活性化するための興味深い一石ではあるまいか。大学の主役といえば先生のように思われがちだが、学生もまた一方の主役なのだ。その意見が授業のあり方に反映されるのは、むしろ当然といってよいだろう。   日本ではこうした学生アンケートの例はほとんどない。だが、ソ連やとくにアメリカではきわめて一般的である。 中を飛んで、   相互のきびしい評価があってこそより良い大学が実現できる、との発想には学ぶべき点が多いのではなかろうか。   先生を評価するとき、学生の側の姿勢も当然問われる、ということも付け加えておきたい。「アメリカの学生は在学中絶えず評価にさらされている。……ひんぱんに宿題のレポートを書き、授業でのディスカッションに参加し……毎週のように小テストがあり、中間評価と最終評価がある」。真剣に学ぶ気持ちがあって初めて、他を評価する資格があるのだと思う。 こういうふうに結ばれておるわけです。  私もいい意味でこの大学評価というものが定着し、さらに自己評価に加えて第三者機関による評価、これも大いにできるようにしていって、本当にいい意味で大学がよくなってもらいたい、こういうふうに思うわけですが、この点についていかがでございましょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 大学審議会の中で今自己評価の問題について検討を加えておりますが、その自己評価の中でも学生の意見、学生が先生の授業などについてどう思っておるかというような学生の意見も自己評価の項目の中に取り入れるべきではないかというようなことも検討課題になっているところでございます。  この問題につきましては、アメリカなどの大学教官の経験のある委員の先生方は、アメリカの学生は比較的まじめに先生の授業を評価する、日本も、生徒は意外とまじめに評価するのではないかという意見もございますし、また、委員の先生によりますと、今朝日新聞の記事でもございましたように、いい成績、いい点数をくれる先生が評価が高くなって人気取りになるおそれもあるのじゃないか、したがって、学生の評価は慎重に取り入れるべきではなかろうかというような意見もございます。  いずれにしましても、そういう意見を今いろいろぶつけ合って検討している最中でございまして、第三者の評価というよりも自己評価の中に、そういう学生がどう考えておるかという項目を取り入れることも検討事項に加えながら検討を進めているところでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 ちょっと二分ばかり時間前でございますが、先ほど質問のときに二分ぐらい延びましたので、これで私の質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。

船田元自由民主党

○船田委員長 次に、米沢隆君。

米沢隆民社党

○米沢委員 国立学校設置法の一部改正法案に関連いたしまして若干の質問をさせていただきます。  まず、学部設立手続の簡素化の問題でございます。  今回提案の内容を見ますと、東京工大の生命理工学部の設置というものが提案されておるわけでありますが、中身を見ますと、理学部の中の生命理学科及び生体機構学科と工学部に所属します生物工学科及び生体分子工学科の四学科を統合して新たに生命理工学部をつくる、こういう提案でございます。このこと自体は、既設の生命科学の分野とバイオテクノロジーの分野の有機的な統合を図るという意味では時代の要請に十分適合したものであって評価していいと思います。  それはそれで結構なのでございますが、この学部の設置についての手続、いかにも仰々しい。中身が変わるとか学科の中身が変わるというならばいざ知らず、単に今まであった学科を、ただ組み合わせを変えるだけで新しい学部をつくるというようなものを一々法律事項にしなければならぬのかという問題です。大臣。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 確かに、昭和五十九年七月に臨調の答申に基づきまして国家行政組織法を改正したときに、なるべく国のいわゆる行政機関については政令で設置する、あるいは改廃するというふうにしたらどうかということで改正が行われたわけでございます。私どもも、そのときに部内で鋭意検討いたしました。結局、国立大学というのが国民の教育機関として広く国民に利用され、国民生活に重要な関係を持つ機関であり、また教育の機会均等の確保という観点からも、国立学校設置法において大学の名称、位置、学部について規定すべきではなかろうかという結論になったわけでございます。  先生御指摘の学部については、政令でもいいではないかという御指摘もごもっともな面もあるわけでありますが、学校教育法五十三条におきまして、「大学には、学部を置くことを常例とする。」というように規定されておりますように、大学の教育研究上の基本的な組織が学部であるということでございますので、各国立大学に置かれる学部は、その内容を示す観点から、大学の名称、位置とあわせて法律事項として国会の御審議にかからしめるということにした方がいいだろうという結論になりまして、国家行政組織法の改正の際、学部については法律事項として残した、そういう経緯でございます。

米沢隆民社党

○米沢委員 学科の内容ががらっと変わるとか、本当にその大学に新しい学部が設置されるとか、そういう中身ならば今おっしゃるような法律に基づいてこのような形で提案されるのもわからぬわけではありません。  しかし、今回のように、ただ、今まである学科の組み合わせを変えただけの話で、そんなことで一々法律事項ということになりますと、特にこの中身が中身だけに、科学技術の進歩は日々大変顕著なものがございます。そしてそのような研究の成果は即教育の中にでき得る限り取り入れていかねばならぬという時代の要請に、一体こういう法律をつくって、これがまた延び延びになっていつ通るかわからぬような国会情勢みたいなところで議論することが本当なのかという、文部行政と科学の進展と何かミスマッチしておるような気がします。  そういう意味で、単に法律上からいって大学は学部をつくることが常例だ、したがってこういう法律事項になったというその趣旨は、私はわからぬわけではありませんが、それも中身そのものでございまして、こういうたぐいのものは政令事項にするとかあるいは大学の裁量に任すとか、それぐらいのことはできるのじゃないですか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 確かに実質的には先生が御指摘になりますように、理学部、工学部の二つの学科を一緒にして効率的な教育研究を行うという意味では、新たに学科をつくるということにはならないわけでありますが、形式的な議論でまことに恐縮でございますが、形式的には新たに学部をつくるということでございますので、学部については国立学校設置法上明確に法律で書くというふうになっておるものでございますので、まことに先生の御指摘もごもっともだと思いますけれども、法律として国会で御審議をいただくというふうにならざるを得ないことを御理解いただきたいと思います。

米沢隆民社党

○米沢委員 この問題は、昭和五十九年の国家行政組織法が改正されたときにも問題になったと先ほどお話がありましたが、少なくともこういうたぐいのものは行政の簡素化といいましょうか行政改革というのでしょうか、あるいはまた科学の進展に大学は機動的に順応できる、そういうことを考えて、でき得る限りこういうものは一々法律車項で提案しないような方向で検討されるべきであろうと思いますので、大臣、そういう方向での御検討をぜひお願いしたいと思います。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 能率的な政治を行ってまいります観点からの先生の御提案でございます。謹んで拝聴させていただきました。  目下の状態では、このような法律をお出ししなければならない状態にありますことをひとつ御了解をいただきまして、ぜひともこの法律案につきましてはこのまま御審議をいただきますようにお願いをいたします。

米沢隆民社党

○米沢委員 次に、地方国立大学の拡充について御質問をさせていただきます。  ことしの大学受験も終わりました。ことしから始まりました新テスト方式の評価は、これからいろいろなデータを分析されてなされるでありましょうが、マスコミ等が報じるところをいろいろと読んでみますと、ことしの傾向は、私立大学、特に首都圏の私立大学に人気が集まって国立大学の地盤が低下した、なかんずく地方の国立大学の地盤低下が著しい、こう報じております。その中身は、いわゆる偏差値を軸にしていろいろ書いてありますから、地方の国立大学と民間の私立大学と偏差値がほぼ似通ってきて、同時にまた、逆に私立大学がそれを上回り始めたというようなことなのでございます。  そこで、国立大学が地盤低下し、なかんずく地方の国立大学の地盤低下が著しいという傾向について、大臣は認めますか、認めませんか。なぜこういう状況になってきておると思いますか。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 私立大学に入学希望者が増大しておることは確かだと思います。その点については私も認めなければならないと思います。  その理由でございますが、これはいろいろな観点から分析できると思いますけれども、最近の若者が大都市へ出たがるということ、そういう希望がありますのと、ちょうど私立大学が大都市に比較的多く立地しているということがぶつかって私立大学への志望者がふえているということが一つあろうかと思います。もう一つは、入学試験科目が私立大学の場合、国立大学と比べて少ないということについても一つの原因かなと思っております。さらにもう一つは、大学自身が、私立大学でございますけれども、個性化でありますとか魅力ある大学というようになるように努めているということもあろうかと思います。  しかしながら、一方、国立大学におきましても、試験機会の複数化でありますとかあるいは入試の方法の改善でありますとかいろいろな方策を講じておりますし、さらに地方においての大学の充実というようなことも施策として進めておるわけでございます。全体として均衡のある発展を遂げていくということが私たちの願望でございますが、そうした方向で今後とも努力をしてまいりたいと思っております。

米沢隆民社党

○米沢委員 確かに最大の要因は、依然として東京一極集中といいましょうか大都会一極集中というのが大学教育にも見られるということでありましょうし、もう一つ、やはり我々反省しなきゃならぬのは、猫の目行政と言われるようにテストが余りにも変わり過ぎる。こんなの面倒くさくてついていけないということで私立に集中するという原因が大きいのではないかと思うのですが、どうですか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 国公立大学のテストの、共通一次テストを含めまして基本的な仕組みというのは私どもは変わっていないのではないかというふうに理解いたしております。それは、共通一次テストのときには共通一次テスト、大学入試センター試験のときには、本年度からですが、大学入試センター試験で一応基本的な高等学校の学業到達度を見まして、そしてそれを経てその後に個々の大学が科目数をぐっと絞って試験を行うという、ある意味では二回にわたって試験を行う、丁寧な試験をやるというこの仕組みは変わっていない。  問題は、国公立大学が共通一次テストを導入した際に、かつての一期校、二期校制度を廃止してしまいまして、そのために五教科五科目あるいは五教科七科目も勉強をしながらなおかつ一校だけしか受けられないというのは非常におかしい、複数機会受験するチャンスを与えるべきだという意見が高等学校関係者、受験生の方から出てまいりまして、そして六十二年度から複数試験を導入したわけでありますが、その複数試験の導入の仕方がA日程、B日程という連続方式あるいは一つの学校が前期と後期に分離分割するというような、複数機会を与えるやり方が毎年やや複雑に変わってきているというようなことが、入試制度そのものが何か非常に複雑になったんじゃないか、そういう誤解があるんじゃないかという気がするわけでございます。  それからさらに、やはり受験生が私学に集まる一番大きな理由というのは、受験科目が非常に少ない。片方は、どうしても国立大学は平均いたしますと五教科でやっておりますので、そういう意味からいうと、私学が三教科ないし二教科でございますので、科目数が少ないというのが私学に集中する一番大きな――もちろん先ほど大臣が申し上げましたような、その他の大都市志向とかあるいは私学が努力しておるというようなこともありますが、大きな理由というのは科目数の問題ではないかというふうに考えております。

米沢隆民社党

○米沢委員 いろいろな理屈があって大学入試制度も変わったんだと思いますが、それはそれなりに文部省としても理屈はあると思いますが、受験生にとってみたら、くるくる変わるということはやはりいい話ではない。今度新テスト方式というのが導入されたんですが、もうこれ以上変わらないですね。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 私どもとしましては、現段階では、今の大学入試センター試験制度、そういう仕組みを基本にいたしまして、なお二次試験等で国公立大学等で改善できる道があれば改善を加えていく、今の大学入試センター試験を定着させてまいりたいというふうに考えております。  ただ同時に、大学の入学試験のあり方というのは、高等学校以下の教育に大変影響を及ぼすということも事実でございますので、中長期的な観点からは、現在、大学審議会の中に入試問題専門委員会を置きまして調査研究はいたしておりますけれども、とにかく今の制度を定着させるということで努力をしてまいりたいというふうに考えております。

米沢隆民社党

○米沢委員 この大学入学の問題全体について概括いたしますと、文部省の学校基本調査等によりまして御案内のとおり、昭和六十年の十八歳人口が百五十六万人だったのが六十一年から伸び始めて、ピークの平成四年には二百五万人に達し、それ以降は漸次減少していくということになっておりまして、この人口統計をもとに昭和五十九年に大学設置審議会から「昭和六十一年度以降の高等教育の計画的整備について」という報告が出され、その後七年間の計画で大学の定員を八万六千人をふやすという方針が立てられ、その結果、漸次定員が増加しております。  現段階では既にそれ以上の定員増になっていることは承知いたしておりますし、それも、とりわけ地域配置のあり方、地方に重点を置いて整備していくという考え方を重視され、自県内の入学率の低い都道府県について自県内入学率を高める方向で整備を進めていく計画であるということも聞いております。  しかしながら、これらの計画に対しまして、早くもこれは見直しが迫られていることはもうつとに御案内のとおりでございまして、昨年二月、文部省は「新高等教育計画の今後の運用について」という文書で明らかなように、大学、短期大学の志願者数が予想を大幅に上回って進んでおる。一方では入学定員超過率の見込み違い等もあって、多数の不合格者を出した。昭和六十三年は三十七万人、平成一年は四十万人、ことしはどれくらいになりそうですか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 まだことしは最終的な数字を取りまとめておりませんので、私学や何かの状況の報告が上がってきておりませんので正確なことは言えませんけれども、四十二、三万ぐらいになるのかなというように感じております。

米沢隆民社党

○米沢委員 これは昨年の十月二十二日付の毎日新聞ですが、こういうような状況を憂慮いたしまして、国立大学の入学定員をふやせという社説が掲載されておりました。  それによりますと、平成元年度では四十万人近い不合格者、ことしも今おっしゃったように四十数万の不合格者、かなりこれは社会問題であると言ってもいいと思うのでございますが、税金で運営され、設置者が文部省である国立大学が、四十数万にも及ぶ、この場合には五十万人近いと書いてありますが、と予測される不合格者を前にして手をこまねいていることが許されるだろうかと社説氏は批判をしておるわけでございます。  実際の不合格者数は今おっしゃったようにまだ最終集計がなされていないと聞いておりますが、こういう状況を前にして、文部大臣は平成三年度以降の定員増、特に国立大学の定員増についてどういう所見を持っておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 ただいま先生から御指摘をいただきましたいろいろな問題については、私も関心を持っていろいろデータを集めてみました。確かに平成元年度におきましては受験者が百十万人、そして入学者が七十万人、残り四十万人が不合格になっております。  ただ、その前の数字を見てみますと、先生も御引用なさいましたけれども、昭和六十三年度は三十七万人の不合格者が出ております。その三十七万人の不合格者がそのまま翌年の大学入学試験に応募したかというとそうではありませんで、三十七万人のうち二十八万人がいわゆる浪人という形で試験を受けております。そういたしますと、その差が九万人あるわけでございますが、この九万人の方々は専修学校等に行っておられるようでございます。これはいわゆる浪人率ということで専門家の方では計算しているようでございますが、前の不合格者が次の年に試験を受ける率というのは、近年の統計ですと大体七五%程度になっている、こういうことがまず最初にわかりました。  したがいまして、四十万人出ているうちどのくらいが専修学校等に進んだかということはまだよくわかりませんけれども、七五%ということでございますと四分の三がまた次の試験を受けるということになりますから、約十万人が専修学校等に進んだかあるいはもう進学を断念したかということになるのではないか、こういうふうに想像をいたしております。  そこで、これから先の傾向でございますが、志願者数は平成四年度ぐらいまではふえていくのではないか、そしてそれから先は十八歳の人口の減少に伴いまして急激に志願者数が減ってくる。したがいまして、不合格者数等も平成五年からはぐっと下がっていくのではないか、私はそんな考え方を持っておりますが、それまでの間どうするか。私立大学の定員の枠を少し広げていただくような措置を講じましたし、さらに、お尋ねの国立大学につきましては、恒常的な定員の増ということで検討をしようということで省内では話し合っておるところでございます。その目的に向かって私も努力をしてまいりたいと思っております。

米沢隆民社党

○米沢委員 過去の経緯を見ますと、私立大学の定員は頼む、国立大学の方は余り上げない、こういう傾向がありますね。平成三年度は国立大学についてどういう意欲を持っておられるのですか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 先ほど先生の、五十九年にできた高等教育計画というのは六十一年から平成四年、七年間の計画であったわけでありますが、昭和六十一年から六十三年まで、国立大学も臨時定員を含めまして一万一千人ぐらいの定員増を図ってきたところでございます。  こういう事態を迎えましたが、財政状況が、今の段階でシーリングが決まりませんし、それから、国立大学の場合には定員のシーリングも総務庁で決めてまいりまして、教官の定員の増はこの枠の中でやるようにというシーリングがまだ決まっておりません。そういう関係で、今の段階でどのくらい金の枠、それから定員の枠も定かではございませんので、何とも言えないのですけれども、私ども、与えられた条件の中で国立大学の恒常的な定員増につきましては最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。

米沢隆民社党

○米沢委員 それから、大学審議会の報告にもありますとおり、定員をふやす場合、地方に重点を置いた配慮をしよう、これは結構なことだと思いますし、もっとやってもらいたいという立場から質問したいのでありますが、ちなみに昭和六十三年度の学校基本調査報告書によりますと、入学者の出身高校の所在地県と入学した大学の所在地県との関係を見た自県内の大学へ入学した者の比率、全国は三七%、大体四割弱が自分の県の大学に行ける、こういうことなのですが、その他はみんな外の県に出る、その分だけ親不孝をするわけでございます。  平均三七%なのですが、各県別で見ますと、これはえらい差がついていますね。最も低い滋賀県はわずか四%です。いろいろな過去の歴史上の問題があると思いますが、自分の県の大学に行ける人というのはわずか百人に四人。滋賀県が四%、和歌山が七%、長野が八%、栃木が一一%、静岡が一二%、ワーストファイブですね。いいところから見ますと、北海道が七〇%、東京が六五%、福岡が六二%、沖縄が五九%、愛知が五八%、これはベストファイブです。余りにも差が大き過ぎる。  確かに、今地方大学に力点を置いた定員の配分をというのはよくわかるのですが、過去の積み重ねがこんなに大きいのはこの数字を見てちょっとびっくりしました。どういうことでこういう格差がついてきたのですか、こういう格差をどういうふうに今まで見ておられたのですか、文部省は。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 私立大学のウエートが、御承知のとおりに我が国では学生数で申し上げますと大体七七%、高等教育機関の七七%が私立大学で、国公立大学が二三%でございます。その私立大学も、これも私立大学の立場から見れば当然なことでございますけれども、経営問題等を考えますと、学生が比較的集まるであろうと予想できる大都市圏周辺に集中してしまってきておるというのが現実でございます。そういうことで大都市圏周辺が結局収容率と申しますか、収容率が高い状況になっているわけでございます。  私どもとしましては、国立大学の整備に当たっては地方を重視するという考え方で整備を進めてきておりまして、ちなみに昭和五十一年から平成二年、本年度、現在予算で審議中ではございますが、本年度まで含めまして整備した人数のトータルが、これは臨時定員増も含めまして二万二千八百六十八人でございますが、そのうち大都市区域というのは二一%の四千八百人、その他の地域が一万八千人ということで二対八の割合で地方の国立大学を充実させるということで定員増を行ってきております。四千八百人と申しましたが、そのうち大都市区域の三千人は臨時定員増でございますので、これは当然数年間十八歳人口のピークが過ぎた段階では定員が削減されるということでございまして、恒常的定員だけ考えれば、この率はさらにその他区域の方にウエートをかけて私ども整備してきたつもりでございます。

米沢隆民社党

○米沢委員 確かに率の方はアップをしておるのでございますが、入学志望者が、進学率がどんどん高くなる関係では、絶対的な人間の数としては結局他県に勉強に行かねばならぬという人が多くなるといった実情がございます。  同時にまた、いわゆる新高等教育計画の今後の運用というのを見ましても、また四全総にありますような物の考え方にいたしましても、あるいは臨教審の第三次答申の言う生涯学習社会における大学の役割という観点からも、あるいは海部総理の私的諮問機関であります活力ある地域づくりに関する懇談会がふるさと大学の創設を求めておりますように、今後ますます地方の拡充を念頭に置いて大学整備計画が進められるように特に強く要望しておきたいと存じます。  それから、時間があと一分しかありませんが、文部省の学生生活費調査等を見ましても、親の出費がかなり多くなっている。親の平均年収からしますと約二割強を仕送りするということでございますから、親もなかなか大変だろう、この数字から見てもよくわかるのでございます。特に、四百万から七百万の年収の親が大学に行く家庭の三四・三%を占めるという意味では、やはり自分の家から大学に通えるというのが理想の姿であろう、こう思われます。  私は宮崎県でございますが、宮崎あたりは法律とか経済という人文学部系の学部がありませんので、そちらを志望する人はみんな他県に出なければならないということもございます。そういう意味で、単に量的な拡大ではなくて、バランスをとった質の向上あるいは学部の多様化にも応じて、地方大学の拡充というのを常に念頭に置いて今後行政をやってもらいたい、こう思っておる一人でございます。  大臣の所見を聞いて質問を終わりたいと思います。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 私自身も先生と同じように九州でございますが、同じような意見を持っております。地方大学の学部その他の拡充につきましては一生懸命努力をしてまいりたいと思っております。

船田元自由民主党

○船田委員長 次に、馬場昇君。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、各党各派、各委員の先生、一通り質問が終わられたわけでございますが、私が多分最後の質問者になるわけでございますが、そういう点で重複することもあると思いますが、どうしてもわからないといいますか、はっきりさせておかなければならぬという点に絞ってまず質問をいたしたいと思います。  ただいまもお話出たわけですけれども、東京工業大学に生命理工学部を設置するわけですけれども、これは現在の理学部の中の生命理学科、これは三十五人の定員ですね、生体機構学科、これも三十五人、工学部の生物工学科四十名、生体分子工学科四十名、この四つの学科をそのまま一つにまとめて生命理工学部をつくる、こういうことになっておるわけでございますが、大臣は提案理由の説明の中で「同大学の教育研究体制の整備を図る」とおっしゃったわけですね。これは提案理由で説明されたわけです。  この学部の、教育研究をまとめたという中における特徴は、これは実は何ですか、従来と比べてどこがどう変わっていくのですか、それをまずお聞きをしたいと思います。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 先生の御質問に対して正確なお答えになるかどうかわかりませんが、従来、理学部と工学部とに分かれておりまして、学部としては理学部と工学部であったわけでございます。最近のいろいろな科学技術の進歩でありますとか、いろいろな情報科学あるいは材料科学等の進歩で、今までの学部と学部の間にあるようなものというのが出てくる傾向が最近出てまいったわけでございます。それが理学部と工学部の間に生命理工学部というような今までにない新しい形のジャンルができまして、それを学問の上できちんと位置づけるというような形で、理学部、工学部と並びまして生命理工学部という新しい学問の分野を確立するという意味でこの学部が設置されたものと私は理解をしております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 なかなかその辺がよくわからないわけですけれども、では具体的にお聞きしますと、今までの理学部と工学部の間に生命理工学部があるというようなことを説明されたわけですけれども、では教員は、この生命科学というかバイオテクノロジー関係の、いわゆるその間にあるような専門分野、それに対応できる新しい教員を確保なさるんですか、それとも従来の理学部の先生、工学部の先生をそのまま持ってくるのですか。教員の確保は、新しい学部に対応する教員の確保をなさるのですか、なさらないのですか、これをお聞きしたい。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 教員の確保に関する具体的なお話でございますので、大変恐縮でございますが、政府委員からお答えをいたさせます。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 先ほど先生も御指摘ございましたとおりに、現在、理学部の中に生命理学科、それから生体機構学科、工学部に生物工学科、生体分子工学科というものがございまして、これらのそれぞれの学科にはそれぞれ専門の教官が張りついております。それらの先生は、理学部の生命理学科でありましても、例えば教官の出身学部などを見ますと、理学、薬学、工学、農学にわたっておりますし、それから工学部の生物工学科あるいは生体分子工学科なども、出身学部は理学、工学、医学、薬学、農学という多分野にわたった教官がいるわけでございます。  バイオテクノロジー関係の学問というのは新しい学問分野でございますので、これは理学部あるいは工学部あるいは医学部あるいは農学部などでそれぞれいろいろな形でその分野の研究が進めてこられているわけでございます。そこで、東京工業大学ではこれらの新しい学問分野についてかねてから一つの学部をつくって総合的に有機的に教育研究を行っていきたいという構想を持っておりましたけれども、とりあえず学部をつくるまでに学科をつくって、そしてその学科を充実していこうということで充実して今日まで来まして、そしてそれを新たに今回一つの学部にまとめるわけでございます。  そうすることによりまして、例えば学生のカリキュラムの方から申し上げますと、工学部あるいは理学部ですと、工学部あるいは理学部に共通の必ず教養部のときにとらなければならない基礎科目というのが、これは工学部に共通につくられておりますし、理学部も同様に共通につくられているわけでございます。生命理工学、バイオ関係に進む者にとって、基礎的、共通的な科目とすれば本当は別の科目をとってもらった方がいいんだということがありましても、理学部とか工学部に分属しておるということでカリキュラムも必ずしも自由にならなかった。それを今回一緒にすることによりまして、カリキュラムが自由に、バイオテクノロジーに対応できる基礎科目を教養部の段階で共通科目として修得させることができるようになるということ、それから……(馬場委員「もういいよ。中身のことは聞いてないんだ。聞いたことだけ答えればいいんだよ」と呼ぶ)  教官は、そういう意味では既にある教員をもって学部を編制するわけでありますが、先ほど御質問もございましたとおりに、平成三年度に教官とそれからその他の職員を含めましてなお二十七名新たに補充する予定にいたしております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 生徒の数も同じですよね。先生も同じなんです。これでは新しい学部をつくったって意味がないんじゃないかと思う。やはり科学技術がもう本当に日進月歩で発達をしていっているし、お互いに領域も重なったり変わったりするわけですから、そういう新しい専門の先生を採用するとかなんとかしなければ、寄せ集めただけじゃないですか。そういう点について強く指摘しておきたいと思うのです。  さらに、こういう学部を他の大学に、例えば生命理工学部、あるいは二つを合わせてまた別の科学技術の進展に伴う学部をつくる、そういう将来構想というのはお持ちですか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 先ほど申し上げましたような経緯で、東京工業大学ではこれらの分野について充実した教員組織と教育研究実績を有しまして幅広い理工系関連諸分野を有しているということで統合したわけでございます。  今先生御指摘の教官の層の厚さとか、いろいろなことを考えますと、今の段階で他の大学で同様な学部を設置するという具体的な計画は持っておりません。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 この東京工業大学の生命理工学部が今度できるわけですが、ここに大学院の研究科を設置するという将来構想はこの学部にはあるのですか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 大学院を設置するかどうかということは、この学部が発足しまして学生が学年進行で卒業を迎える段階になりましてどうするかということになろうかと思いますが、具体的な構想については現在東京工大の方で検討をしておりますので、その検討結果を待って私どもも適切に対応してまいりたいというふうに今のところ考えております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 これは質問があったかもしれませんけれども、この生命理工学部の卒業生の称号は何というのか、そして社会的需要というのはたくさんあるとお思いですか、その辺の卒業生の社会的需要に対する見通し。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 こういう学際分野における学士の称号でございますが、これは非常に難しいわけですけれども、今大学設置基準の中で学士の称号というのは限定的に決められております。したがって、生命理学科あるいは生体機構学科の卒業生については理学士というふうにいたしまして、生物工学科あるいは生体分子工学科の卒業生については工学士という名称になるのではないか、これは最終的には学校で決めるわけですので何とも言えませんが。あるいは場合によっては、こういう学際分野でございますので、両方とも卒業生を学術士というような名前にするのか、あるいは今大学審議会におきまして学士の種類を設置基準から外しまして学部の名前をつけた方がいいのではないかというような検討も行われておりますが、そういうことを総合的に勘案しまして、大学でその段階で決めるのではないかというふうに考えております。  それから、卒業生の進路でございますが、医薬品工業、医療機器工業、化学工業、環境関連企業、食品産業等における応用研究者、技術者、それから大学等の教育者あるいは基礎研究者というように進んでいくのではないかと考えております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 次に、北陸先端科学技術大学院大学について、端的に二、三御質問を申し上げます。  もういろいろ質問があっておるわけですけれども、この大学をなぜ石川県の辰口町におつくりになるのか。なぜ東京につくらぬのか。私は熊本ですけれども、なぜ熊本につくらぬのか。なぜ石川県につくるのか。こういう理由だからここにつくるのだということを説明してください。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 具体的ないきさつの話でございますので、政府委員から答弁させます。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 北陸先端科学技術大学院大学の目的等から見まして、立地条件としましては、大学等の高等教育機関等がある程度集積しており、それらの連携が可能であること、あるいは周辺に先端科学技術分野または関連分野の企業等が立地し、研究者等の再教育や共同研究、交流等を行うにふさわしい状況にあること、あるいは地元の協力態勢が整っていることなどを理由といたしまして石川県に設置することにしたわけでございます。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 今の答弁の中で一つ絞って質問いたしますけれども、地元の協力態勢というようなことをおっしゃったわけですが、例えばどういう協力をしているのですか。例えば大学院の土地なら土地を全部提供しますとか、どういう地元の協力をこの大学に石川県はやっているのか、こういうことをお聞きします。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 先ほど申し上げましたとおりに、昭和五十八年に石川県における先端産業等の立地の促進に関する条例を石川県が制定いたしまして、金沢市の郊外地区に先端企業を誘致してきているわけでございます。  これらの関連企業、研究所が石川県金沢市の郊外にかなり多く立地してきておるということで、企業が進出してきているすぐ近所にたまたま辰口町というのがございまして、その辰口町が大学院用地として利用できる用地が確保されるということで、私どもとしましても、その用地が立地としてすごく適しているのではないかということで、辰口町が先行投資しまして、それを国が譲り受けるということは立地条件として大変いいのじゃないかということでそういう決定をしたわけでございます。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 この辰口町というのは、私も少し経過を知っているのですけれども、従来、十五、六年前からここに体育系の大学をつくってくれないかとかあるいは教育系の大学をつくってくれないかとかとずっと大学誘致をやっておった地域だということを記憶しておるわけでございます。何も先端科学技術大学院大学というものの最適地ということの理由は、どうもその辺から考えてみますと釈然としないわけでございますが、それはそことしておきまして、また土地の問題については質問すればたくさんあるのですけれども、きょうは時間がありませんので、おいておきたいと思うのです。  次に、設置箇所について、こういう先端科学技術分野の大学院を今後ずっと順次全国に、例えば各ブロックに一つだとか、あるいはさらに三つのブロックとか四つのブロックとか、こういうぐあいにして逐次つくっていくという計画をお持ちですか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 先端科学技術大学院、これと類似の大学院大学につきましては、奈良に設置をもう一つしたいということで準備要員の整備や基本設計等を実施する等創設準備を現在進めているところでございます。京阪奈学園都市の一角でございます。  今のところこの二つだけを私ども計画しておりまして、全国各地にこれと同種の大学院大学をつくるという計画は今のところ持ってはおりませんけれども、今後の先端科学技術分野というのは、材料学、情報関係、バイオテクノロジー関係というふうに現在言われるのですが、これからの科学技術あるいは学術の進展に応じましてまた別個の先端科学技術分野というものが出てくるというようなことも考えられますし、その新しい学術の進展に応じた先端科学技術を教育研究する場としてまた別の地域に設けるという必要も、ここもまた将来の問題として出てくるかもしれませんが、それはそのときの段階で考えなければいけない問題でございますが、今の段階では、北陸・石川の次に奈良というこの二つだけを計画しております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 先ほども質問あったようですが、国土の均衡ある発展といいますか、あるいはまた国土の中で均衡ある学問とか教育の発展という点から考えますと、例えばおくれております北海道だとかあるいは九州とか、次に検討されるときにはそういうところにもそういうのをぜひ研究すべきだということを申し上げておきたいと思います。  そこで、この大学の入学資格、それから、どうやって学生を募集するのか、その大学院大学の入学試験といいますかそういう選考の方法はどうするのですか。そして、ここには留学生も受け入れることができますか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 先ほどもお答え申し上げましたとおりに、この大学は社会人をなるたけ多く受け入れたい、三割程度受け入れたいという計画を持っております。そういう意味で、学生募集をする場合には、全国の関連の各学部とそれから関連の企業の研究所等に募集要項を送付する、あるいはそういうところから募集要項の求めがあれば送付するというような形で学生募集をするということになろうかと思います。  それから入学者選抜につきましては、専攻分野にとらわれることなく、これは最近のコンピューター関係というのはある程度数学的な素養があれば、むしろ言語学者なども、十分正確に言語学をやってきた人も必要だということもございますので、専攻分野にとらわれることなく広く国公立、私立大学等の今申し上げた人たちを受け入れたいということと、それから入学試験でございますが、公平性、妥当性に配慮しつつ、面接や調査表等を中心に原則として教科にかかわる筆記試験は課さない、論文等を中心といたしましてそういう方法をとりたい、あるいは推薦制の導入についても検討していきたいというふうに考えておりますし、それから学期の区分に応じて、四月からということではなくて、場合によっては後期が始まります九月からの入学も考える、学期の区分に応じて学生も受け入れる、弾力的に対応してまいりたいというふうに予定しております。  留学生につきましても、先端科学技術分野における国際交流・協力の推進が求められているわけでございますので、受け入れるという方向で考えております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 ここの学生の授業料というのは大体どうなっているのですか。それと、育英会の奨学金はここはどうするのですか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 授業料も、それから育英会の奨学金につきましても、国立の大学院大学でございますので、他の大学院の院生と同じ授業料と、それから育英会の奨学生の対象として選考する場合も、他の大学院の院生と同じように考えて奨学生として採択を決めるということになろうかと思います。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 産学協同体制をとるような構想になっておるわけでございますが、そういう中でこの大学の自治とか自主的な運営とか、こういう大学の主体性というものを確立するための運営の方策はどうするのですか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 この大学院大学も学校教育法第一条に基づく国立大学でございますので、学校教育法、教育公務員特例法の規定に基づきまして他の国立大学と同様の制度、仕組みのもとで管理運営が行われるというふうに予定いたしております。すなわち全学的な機関としましては学長、副学長、評議会を置き、研究科ごとに研究科長、教授会を置く、それと同時に事務処理に必要な事務局を置くことも予定いたしております。  なお、大学の運営に関し、学外の有識者の意見を求めるため参与若干人を置くということも予定いたしております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 以上で法律案については質問は終わりますが、大学問題全般について、特に文部大臣に質問をしたいと思うのですが、大学問題に入ります前に、あと十年しましたら二十一世紀になるわけでございますから、大臣が二十一世紀の日本というのはこういう日本であるべきだ、こういう二十一世紀の日本、そして日本のそれに向かった教育のあり方というものについて、大臣の見解を聞きたいのです。  大臣、この前この委員会での所信表明で次のように述べておられますね。二十一世紀を創造的で活力ある心豊かな社会にするため、さらに国民一人一人が生涯にわたり、生きがいと潤いを持って一層充実した生活の営まれる社会にするため、教育、学術、文化、スポーツの果たす役割は極めて重要である、こうおっしゃいまして、これは私も同感でございます。  ところが、次に、これは大臣の所信ですが、何か具体的な問題になりますと、次にと言って臨教審答申を踏まえて、中教審に審議をいただいてとか、答申は今もうあるわけですけれども、中教審に審議をいただいてとかと、人頼みと言えば言い過ぎになるかもしれません。これは非常に民主的な機関であればいいわけですけれども、云々と言われておるわけでございますので、きょうはまず最初に大臣自身の所信とか教育の理念について伺っておきたいと思います。  どうしてもやはり、教育を議論する場合にその原点であるのが日本国憲法、教育基本法であるわけでございます。教育基本法前文はもう言わずもがなですけれども、念のために申しますが、「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。」と教育基本法の前文にあるのはもう御承知のとおりでございます。  そうして、その教育基本法の中で、「われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期する」、こうあるわけでございますが、ここでもうその内容を一々言わなくても、この教育の原点、日本国憲法、そして教育基本法、これを本当に心から、本心から大臣は遵守されますか、この一点について質問します。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 憲法、教育基本法、憲法は全部で百三条と覚えておりますが、教育基本法が全部で十一条でございます。どれも大変大事な日本国の基本をなす法律でございますから、これを遵守してまいりますことは当然のことと考えております。  さらに申しますれば、私は私自身の経験で申し上げますと、小学校、当時は私は国民学校というところへ通っておりましたが、その時代のいわゆる戦時中の教育を受けたわけであります。一転いたしまして、昭和二十年の終戦の後、民主的な教育をまた今度は受けるようになった、そういう複雑な教育を受けておりますだけに、そのコントラストはよくわかるわけであります。  教育基本法は昭和二十二年に制定されていると思いますが、ちょうど私が小学校段階から中学校へ移る段階でありますが、そういった時代背景を背負ってあの法律ができているのだなということを、法律を見ながら私は感じたわけでございます。そして、自分自身民主主義教育を受けてきた者として、当然のことながらこういった戦争の反省に立って、そして今後の新しい日本の構築を目指してつくられた憲法並びに教育基本法というのは、これをしっかり守っていくというのが私の気持ちでありますことをお答えを申し上げさせていただきます。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 大臣が自分の経験をお話しになりましたが、実は私も一九四七年、昭和二十二年に日本国憲法が施行されて、教育基本法が制定されたわけでございますが、ちょうど私はそのときに教員に、社会人になったわけですよ。だから、当時軍国主義教育を受けてきたわけですから、そして日本国憲法を読み、教育基本法を読んで、こんなすばらしい社会とかこんなすばらしい教育があるのだなということで身震いをするような感激をしたのを今でも覚えているのですよ。  よく私は、おれは日本国憲法と教育基本法と同級生だ、同級生の悪口を言うといかぬぞとかなんとか冗談に言うのですけれども、本当に憲法を守り憲法に守られる、教育基本法を守り教育基本法に守られる、それが私の社会人としての、また今は政治家としての行動の原点だということを自分にも言い聞かせながらやってきているわけですけれども、大臣もそういう経験の中から今おっしゃったわけでございまして、ぜひひとつ心からこの憲法、基本法に従った教育行政をやっていただきたいということをまずお願いしておきたいと思います。  それから、二十一世紀のあり方についても、先ほど所信表明で言われたわけですけれども、やはり私も、温故知新という言葉がありますけれども、二十世紀を見てみますと、前半は戦争でしたよね。後半というとやはり経済の時代と言ってもいいような、そういう時代でありました。最近の日本を見てみますと、リクルート事件などが文部省にも及んでくる、こういうようなことにあらわれておりますように、何といいますか教育の場においても物とか金が大事なんだと。もちろん大事でございます。しかし、それが力だ、さらに進んでいって拝金思想だとか金主主義だという言葉があるわけでございますが、私は、二十一世紀というのは、やはりこういう物とか金とかいう時代ではなしに、本当に心の時代、文化の時代、そして経済大国から文化国家に日本をしていかなければならぬ、二十一世紀は文化国家であるべきだ、こういうような考え方を持っているわけですけれども、大臣も所信でそのようなことを述べておられますが、これについて御意見はどうでしょうか。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 確かに、二十一世紀を目指して、日本がただの経済大国だけではなくて文化的な本当に世界の国々から尊敬をされるようないい国になってもらいたいという願望を私も強く持っております。しかしながら、文化というものの概念規定というのは非常に難しいと思います。どういうものが文化国家なのか、これは人によってお考えが違うだろうと思います。  私自身は文化というものをもう少し広くとらえておりますが、外国におりました経験からいいまして、日本には日本のすばらしい文化がやはりあると私は思っております。そしてまた、それは世界の国々から、二千年にもわたる長い文化を伝えている国ということでうらやましがられている点もあろうかと思います。そういうものを分析してまいりますと、やはり日本人は昔から文化というものを大事にしてきた。そしてまた、同時に、教養というものを非常に重んじてきた民族であるというような評価を外国からいただいているように思います。  そうでない面がこのところの経済発展なんかに伴ってだんだん出てきておるということはまことに残念でございますが、本来、日本人はそうした文化的素養を持った民族だと思います。そうした文化に対して国民全体が関心を持つようなそういう教育体系をつくり上げていくということが私どもに課せられた一つの責務であろうかな、そんなふうに考えておるわけでございます。  昔、千年も前にでき上がった源氏物語でありますとかいろいろな仏像でありますとか、先日、国宝展に行っていろいろなものを見てまいりましたけれども、そうしたものをはぐくんできた民族でございますから、私は、そういったものをここの現代ここで捨てることなくしっかりはぐくんでいき、同時にまた、新しい形の文化もどんどん吸収をして、世界にうらやまれるような立派な教養に満ちた国になることを念じておるわけでございまして、そういったことを念頭に入れつつ私は文教行政に取り組んでまいりたい、こう思っております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 今大臣も言われましたけれども、文化というものの概念はいろいろあると思いますけれども、私は私なりに文化というのは心だというぐあいに思いますし、文化国家というのは心を大切にする国家だ、そういう二十一世紀であってほしいな、そうしなければならぬ、こういうぐあいに考えておるわけでございます。  そこで、具体的に大臣、今、日本の教育界を見て、これは教育界だけではありませんが、それが社会全体に影響を及ぼしているのですけれども、教育というのは一番平和な中で営みが行われるべきだ、そうしなければ本当の教育の効果は出てこないと思うのですけれども、この平和であるべき教育界に戦争という言葉、地獄という言葉が、どこの社会を見たって今ないですよ、教育界だけですね。受験戦争、戦争という言葉がある。入試地獄という言葉がある。最近は特に経済的に貧しい人は異口同音に教育費の負担に耐えられない、教育費地獄だという言葉さえあるわけでございます。  私は、本当に二十一世紀を心豊かな文化国家にするというためには、まずこの九〇年代においてこの教育界における戦争、地獄、こういう言葉をなくさなければならぬ。これがなくならない限り、二十一世紀の文化国家は、心豊かな社会は出てこない。この受験戦争、入試地獄を、教育費負担の地獄をなくせぬと、オーバーな表現じゃないと思いますけれども、二十一世紀の文明というのは語れないのじゃないか、そういうぐあいに実は考えておるわけでございます。  そういう点について、この入試地獄、入試戦争、試験地獄、こういうものをなくするという点についてのひとつ大臣の御決意のほどをまず最初に聞いておきたいと思います。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 地獄でありますとか戦争でありますとか、そういう言葉が教育界からなくなりますことは私も賛成でございますし、それが理想だと私は思います。  しかしながら、なぜそういう現状があらわれてきているのかということを私なりに考えてみますというと、やはりかつては小学校から中学校を出ればまあ相当な教育を受けていたと言われている時代から、今や大学を出なければだめだというような形に社会が進歩してきた、それが一つの要因かと思います。  大学を受験する人が百十万人もおられる。しかも昭和六十年の数字を見てみますと、これが八十五万人でございますから、この五年間ばかりの間にまた受験をする方が相当ふえてきているわけでございます。一方、大学の方も一生懸命この定員増を図っておりますけれども、その方々をどうしても全員合格させることができないという状況の中で受験が非常に厳しくなってきているということは事実だと思います。  そしてまた、できることならばいい学校を出たい、そういう社会的願望がどんどん強まってきている。見ようによってはこれは大変結構なことだと思いますけれども、しかし、私も先ほど申しましたとおり、地獄でありますとか戦争でありますとかというような言葉が受験界からなくなれば、それはそれにこしたことはないなと思う次第でございます。しかし、現実は現実でございますから、その現実が幾らかでも和らぐように私どもも努力をしていかなければならないなということを感じております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 今大臣のお話を聞いていますと、やはりこの入試地獄、受験戦争というものが何も教育界だけじゃないわけですよね、社会全般に対して物すごい悪影響を与えておるわけでございます。それに対して何とかしてこれをなくそうという――やろうと思えばできないことはないと私は思うのですよ。しかし、受験する数がふえればあるいは大学の定員が少なけりゃ、それは仕方がないのじゃないかというぐあいに今聞こえて、これをなくそうという意欲がどうもはっきり聞こえなかったわけでございます。そういう点で甚だ遺憾に思うのですけれども。  私は高校受験もやはり受験戦争とか入試地獄はありますけれども、やはりその根源は大学入試にあると思うのですよね。ここはやはり徹底的にメスを本気になって入れなければならぬ、そういう状況に来ておると私は思うので、今から大学入試の問題について具体的に質問しておきたいと思うのです。  ことしから入試センター試験、いわゆる新テストというのが実施されたわけでございますが、先ほどもちょっと出たようですけれども、猫の目入試改革という言葉がありますね。このことは、ことしの入試でも受験生に大きな混乱を与えておるのは事実でございます。私どもは、このときにここでも議論いたしましたが、臨教審のときの総理大臣の中曽根さんは、物すごい調子で、国会内外でも共通一次を激しく非難されました。そういう中で、何かその辺からこの新テストというのが出たような感じがしてならない。だからそこから猫の目改革と言われるゆえんのものがそこにあるのじゃないか、こういうぐあいに私は思います。  そこで、本年度の入試センター試験、新テストは文部省としてはどう評価をしておるのか、簡単に説明してください。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 本年度初めて導入されました入試センター試験につきましては、従来の共通一次と違いまして、国公私立大学各大学の判断と創意工夫で利用教科・科目数などについて自由に利用できるという形で行われたわけでございます。  本年度は、すべての国公立大学のほか、私立大学にあっては十六大学十九学部がこの試験を利用いたしまして、四十三万人が志願し、四十万八千人が受験いたしました。各大学においては、この試験と調査書、学力検査、面接、小論文等を適切に組み合わせて入学志願者の能力、適性を多面的に判定するよう努めたところでございます。  本年度初めて本試験を利用した私立大学からは、これは私立大学の関係者の評価でございますが、従来と比べてオールラウンド型の生徒が少しでも入ってきた、あるいは従来より学力水準の高い生徒が受験してくれた等の意見が寄せられております。  二回目の平成三年度入学者選抜におきましては、今の段階でさらに五大学五学部が新たに利用することになっております。今後できるだけ多くの私立大学がこの試験を自由に利用して、大学の本試験と一緒にうまく組み合わせて入学者選抜を行っていっていただければ私ども大変ありがたいというふうに考えているところでございます。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 ことし行われました新テスト、分離分割・連続方式と言われておるわけでございますが、これは受験機会の複数化を図るんだという目的もあったわけでございます。しかし実際は、入試センター試験による門前払いが昨年の三倍ぐらいの四万人ぐらい出たのではないかと言われておるわけでございます。  そして、大体傾向として有名校がそろって前期に偏重の分離分割方式に移行する傾向にありました。そういたしますと、結果としてA日程の前期に定員が偏重して、それが第一次志望だ、後期とB日程は滑りどめだ、こういうような風潮が出たように私は思えてならないわけでございます。分離分割・連続方式は複数の受験の機会を与えると言ったけれども、事実上一校の受験化という傾向が起こっておるのじゃないか、こういう問題点を私はことしの試験に感ずるわけでございます。  こういう点について、そういう点はなかったか、簡単に答えてください。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 確かに御指摘のとおり、前期、後期の分離分割をとる大学、それからA日程、B日程という連続方式をとる大学・学部等の数等は大体同じような数でございます。それを、前期とA日程をトータルいたしますと、言いかえれば前半に試験をやる学部、あるいは入学定員の割合というのは五一・五%。それから、後期あるいはB日程でやる、後半に試験をやる学部等の学生は四八・五%でございます。  そういう意味では、数の上からいえば大体同じような数字に分かれておるわけでありますが、ただ先生も御指摘の有力校がみんなかなりのウエートで前半に入ってきて、後半は一割程度、分離分割でも九割は前期、後期が一割などという大学が多いわけでありますが、そういう意味では確かに地域別、専攻別に見ると、必ずしも五対五に分かれておるからいいじゃないかということにはならないのじゃないかという感じを私どもも持っております。  そういう意味で、これからは地域別、専攻別にも逐年均衡のとれたものになるよう、言いかえれば文字どおりの受験機会の複数化の趣旨がより生かされて実現されていくよう各大学に要請してまいりたいというふうに考えております。  ちょうど平成元年度から分離分割というものが入ったものですから、まことに恐縮ですが、今はちょうどそれぞれの大学が試行錯誤といいますか、産みの苦しみというふうに言ってもいいかもしれませんが、これから文字どおり複数化したということが、地域別に見ても専門別に見ても言えるような形に改革していくよう各国立大学、公立大学にいろいろと御相談し、努力を促してまいりたいというふうに考えております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 今ちょっと答弁でもあったわけでございますけれども、やはり複数受験というような意図で始めたものが、事実上一校受験、有名校偏重というふうな方向に行ってしまう、こういう結果が、芽が出ているわけですから、こういうことのないようにやっていただきたいと思うのです。  入学試験の問題について大臣にお聞きしたいのですけれども、今の大学入学試験というのはやはり入れる方が、大学側が、受験生がたくさんおるわけだから、どうやってこれを切り捨てるか、定員外は切り捨てるかという、切り捨てるための入学試験というぐあいになっているような気がいたします。  例えば、試験を受ける高校生とか、あるいは高校側とか、そういう側の立場というのは余り尊重されていない。試験を施す大学側の切り捨てになっている、こういう点はやはりきちんと検討を加えて改めなければいけないのじゃないか。実際にことしの試験を、猫の目受験とかかわってきて高校生が言っているのです。高校二年のときに三年で受けるときの大学入試のやり方が変わったわけですから、二年のときに変わったから非常に不安だった、こういうことを受験生はみんな言っているわけです。  例えば、高校の生徒で言うならば、少なくとも自分が高校に入ったとき、三年後の大学の受験というのはこういう試験の方法であるんだということが決まっておらなければ、それは生徒は不安ですよ。高校の三年のうちの二年生ぐらいで大学入試のやり方が変わった、これはもう生徒側にとったら本当に不安でたまらない、こういう感じがあったわけでございますから、少なくとも採る側の切り捨て論理じゃなしに、受ける側の、受験生、高校側の意向というものを尊重して、やはり入試というのは考えなければいけないんじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、大臣、どうですか。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 御答弁の前に、先ほど御質問をいただきました点でございますが、大学入試の問題で大変地獄があるというお話でございました。私どもといたしましては、定員増には一生懸命努めておりますことをひとつ御理解をいただきたいと思います。  それから、ただいまの点でございますが、確かに私が受験生であれば、そういう選抜方法が変わるということになれば、私自身も文句を言うだろうと思います。しかし、事情がございまして、共通一次からいわゆる大学入試センター試験というものに切りかえさせていただいたわけでございますが、その切りかえ時点でそういう問題は避け得ないわけでございまして、ここのところは混乱があれば本当に申しわけなかったことだと思っておりますが、これから先、大学入試センター試験の基本をすぐにまた変えるというような、いわゆる猫の目と言われておるようなことは私もこれは避けなければならないことだ、こういうふうに思っているわけでございます。改善する、マイナーチェンジと申しますか、細かい点でいろいろと改良を加えることは随時やっていかなければなりませんが、基本線を変えてしまうということについては、私はいかがなものかなと思っております。  同時にまた、大学の入学試験というのは、大学がどういう生徒を欲するかということでその選抜をするための試験でもあるわけでございますから、一つはやはり大学の中の問題でもあろうかと思います。そういう意味で、長期的には大学審議会の中でどうするかということについて御審議をいただくべきことかと思っておりますけれども、当分の間、これは大学入試センター試験の骨子を変えないで、そして受験生の皆様方に御不安をお与えしないように努力をしていかなければならない、こういうふうに考えております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 共通一次と今度の新テスト、基本的には変わらないという答弁をさっきからなさっているわけですけれども、高校二年生が来年受けるときに変わったわけですから、生徒は不安だと言っているのですから、少なくとも私が言ったように一年に入ったときに三年のときはこうだ、このぐらいはこれをちゃんと三年間ぐらいの余裕を置いてやってもいいわけですからね。中曽根さんが共通一次試験を嫌っておったとか、臨教審が答申をしたから慌ててやらなければいかぬとか、生徒の側とかそういうことを全然考えなくて、政治的な立場でやったんだ、だから猫の目でこういうぐあいにして受験生を苦しめたのだ、こう言われても、本質的に変わらなかったなら、何でいじめることだけするのか。  実際、複数受験といっても、もう機会が結果としては少なくなっているのですから、その本質は十二分に発揮されていないわけですから、そういう点については、ぜひ大臣、少なくとも生徒側に立って言えば、一年生のときには三年のときの試験はこうだとはっきりわかっておるような、途中で変えるようなことはやはりやらないという原則は確立していかなければいかぬと私は思うのですけれども、その部分に限ってはどうですか。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 細かい点は別といたしまして、基本的には現在の大学入試センター試験が定着していくように私たちも努力をいたしますので、現在の高校在学中の皆さん方がまた今度変わった試験を受けなければならぬというようなことにはならないように私どもも努力をいたします。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 次に、もうこれは文部省も新聞に出たから御承知と思いますけれども、大学入試センター試験のデータが、これは一月十三、十四日に入試センター試験が行われて、五月二日にその試験のデータを公表したわけですよね。これは共通一次のときから絶対に公表するまでは漏らしてはならない、いまだかつて一回も外に漏れたことはないのです、公表するまで。ところが、今度二月ごろ、五月二日に公表したのですけれども、二月ごろ河合塾が「九〇年度入試センター試験教科・科目別平均点」という資料を皆流していますよね。こういうことは今まで私は聞いたことがないわけでございます。  そういう点は本当に大学入試センターの試験というのが、リクルート問題でいろいろなことが受験産業と文部省あるいは大学との関係で問題になりましたが、そういうのを思い出すような出来事でございます。だから、このようにどうして漏れたのかということを、これは調査なさったわけですか。これは、河合塾の人はどうやって資料を入手したということは、営業の人が手に入れたんだから調べてみればすぐわかる、こういうことを新聞紙上で発表しておるわけでございますが、いずれにしてもこの事件というのは入試センター試験に対する信用を失墜しておるわけでございます。そういう関係で、事実関係を調べて、文部省は信用を回復するためにどうけじめをつけようとしているのか、お聞かせください。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 入試センター試験に係る全体の平均点、最高点、最低点、標準偏差等の統計数値につきましては、本年一月三十一日以降それぞれの受験生の出願大学、国公立大学、私立も含めまして百四十八の大学に個人別成績と一緒に提供されてきております。  その際、これらの全体の平均点等の統計数値の一般への公表は、これが直ちにいわゆる輪切りや大学の序列化等に予備校に利用されないよう平成二年度の入学者選抜が終了するのを待って行うことにしておりますので、その点は十分御留意くださいということで、かなり早い時期にこの大学入試センター試験に参加した国公私立大学に平均点、最高点、最低点、標準偏差等を送っているわけでございます。  これは、実は共通一次試験までの段階では、試験を終わってからしばらく、要するに大学に発送するのと同時くらいに入試センターは一般に新聞紙上等に公表いたしておりました。発表の時期が非常に早かったわけでございます。したがって、その期間が長くなかったものですから漏れるとか漏れないとかという問題が生じなかったわけですが、この入試センター試験に切りかえるときを機会に、あらかじめ偏差値等を発表いたしますと、それで予備校が統計を大量処理いたしますと、君の点数なら大体この辺に行けるというような序列化に基づいた進路指導をされるということもあって、むしろ遅い方がいいのではないかということで平成二年度の大学入試センター試験からは遅く発表しようということにしたわけでございます。  ところが、先生御指摘の新聞報道によりますと、二月下旬の時点で既にある予備校が一部の数値を入手していた模様であります。これは全部の数値ではなくて、何カ所か抜けているところもございました。これらの統計数値については、今御説明しましたとおりに非常に多くの関係者が知り得る立場にあったわけでありますので、その流出経路等について確認することができなかった、大学入試センターで努力しましたけれども確認することができなかったわけでございます。このようなことは、今先生が御指摘のとおり、大学入試センター試験そのものに対する信頼性を損なうということにもなりかねず、私どもも大変遺憾であるというふうに考えております。  今回の事態を踏まえまして、大学入試センターにおきましては、これら全体の平均点等の統計数値の公表時期につきましては国公私立大学の関係者、それから高等学校の関係者からも意見を聴取いたしまして、その結果、各利用大学において相当の期間にわたり未発表資料として取り扱うことは精神的にもかなり負担であるということ、それから大学入試センター試験の利用方法、利用科目や教科なども、各大学が実施する個別学力試験の内容・方法等についてもかなりいろいろな組み合わせがございますので、仮に従来と同じような形で早く発表してもそう単純に偏差値による輪切り、進路指導がしにくいだろうというようなことを考慮いたしまして、公表時期を見直す、もうちょっと早めるということを大学入試センター内部で決定をしたところでございます。  いずれにいたしましても、こういうような事態を生じたことは信頼性を損なうということで私どもも大変遺憾なことであると思っております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 これを厳密にやってもらわないと、本当に入試センターの試験の信用を失墜しております。これはもう志望大学に生徒が志願票を出した後だったから問題ないのだと言う人もありますけれども、こういうことを考えてみますと、志望大学に出す前にデータが漏れたのじゃないかという疑いさえ持っている人も多いわけですから、今後絶対こういうことが起こらぬようにひとつ指導していただきたいと思います。  次に、先ほども出ましたが、大学の不合格者の問題について質問をいたしたいと思います。  平成二年の大学の出願者は百十五万人でございまして、正確な数字はまだまとまっていないのですが、昨年、平成元年は四十万人程度不合格者がおった。この平成二年は、さっき四十二、三万と言われましたが、私どもいろいろ聞いてみますと、四十四万人ぐらい不合格者がおるのじゃないかという推計をする人もおります。そういう四十余万人不合格、その中で三十二万か三十三万の人は浪人をして来年を期するということになるのではないか、こういうぐあいに予想もできるわけでございます。ちなみに昭和六十年、志願者が八十五万人で不合格者が二十六万人でした。浪人は二十二万人ぐらいでした。ことしの入学者比率は六二%ですが、五年前は六九%。入学者比率がだんだん下がってきておるのはもう御承知のとおりでございます。  大臣、これは大学に進みたいと思う若者が毎年四十万以上も不合格者だ、そういう中で三十万以上の人が浪人をする、こういうことは、教育界はもちろんですけれども、もう社会的に見て大問題じゃないかと私は思うのですが、これについてはどうでしょう。どう思われますか。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 高等教育に対する希望が非常に強くなってまいりまして、今先生も御引用なさいましたけれども、御承知のように昭和六十年度の志願者数が八十五万でありましたが、平成元年度では百十万ということになって急激にここへ来てふえております。それは、一つは、高等教育を受けなければならない、そういう志願率の向上とともに、やはり十八歳の人口もふえてきたということもあろうかと思います。そこで四十万人の人々が不合格となってしまった。この数字も昭和六十年には、先生も御引用になりましたが、二十六万人程度であったということでございます。大変大きな数でございますので、私もこれは大変な問題だなという認識は持っております。  ただ、先々の傾向をずっと見てみますと、先生も御承知のように、十八歳以上の人口が平成四年をピークにしてそれから以降は急激に減少してくるということもございます。それを受けてこれを推定いたしてみますと、平成五年以降は不合格者の数はだんだん減ってくるのではないかな、このように思っております。  片や大学の定員の増加につきましても、これは着実に増加をさせていくように努力をいたしておるわけでございますから、大体平成三年ぐらいが不合格者数のピークになりまして、数が四十四万になりましょうか四十五万になりましょうかわかりませんけれども、その辺が頭打ちで、その先は大分減ってくるというふうに私自身は見ておりますものですから、そこのところを長期的な視点もとらえながら、なおかつ現在四十万人も進学ができない、実はこの四十万人のうち恐らく数万人の方は専修学校等においでになっていらっしゃると思いますけれども、大変重要な問題だという認識を持ち、そして私どもとしてできることは大学の定員枠をふやすような処置を着実にとっていくということではなかろうかと思っております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 今大臣のお話を聞いておりますと、今ふえておる、将来減る、減ることを考えるとなかなかふやすことはそう簡単にはできないんだ、やらないんだというぐあいに聞こえたんですけれども、これは後で反論があれば言ってもらいたいのですが、私は非常に問題だと思うのですよ。教育というのは機会均等ですからね。例えば今あなた方はベビーブームのときに生まれたから運が悪かったんだ、あきらめなさい、こういう考え方に通じてくるわけです。少なくとも教育の機会均等というのは、たくさん子供が生まれたときも、あるいは減ったときも、行政する者はやはり基本的に教育の機会均等というのを、生まれたときおまえは運が悪かったんだというような形で考えてはいけないと思うのです。  私はこの問題については、この委員会でも、十八歳人口急増の新高等教育対策というのを昭和六十一年から平成四年まで立てたときにも、入学者の志願率の伸びというのが入っていないんじゃないか、ただ十八歳人口だけで考えているんじゃないか、やはり社会の事情もあって、生徒の希望もあり親の希望もあって入学率というのはふえるんだ、こういう志願率の増加という予測をしなさい、そういう追及もやったことがあります。そうしたら、考え方としてもちろん国公立もふやしましたけれども、基本的には臨時定員増で、私立大学の水増しで何とか過ごせるんじゃなかろうかというような安易な気持ちもなかったんじゃないというような気がしておるわけでございます。  そこで、その経過について数字を言えばいいのですが、時間がございませんのでそこは申し上げませんが、この間、私立大学については文部省が臨時定員増、これは今定員の三割くらいまでは臨時の定員増を認めると言っておったのを、今度は二倍まで認める、そういうことを先般各私立大学に通知をなさいました。この通知を見たときに、私は思いましたよ。あの急増対策そのものを抜本的に見直さなければいかぬなということをまず基本的に考えながら、何か私立大学にだけ呼びかけておるじゃないか、国公立はどうするんだ、こういうことを思いました。  ところがけさの読売新聞を見てみますと、ちゃんと国公立でも平成三年、四年、この二年間に恒常的な定員増をするということを文部省は検討しておるという報道がなされておるわけでございます。もちろん、だから私立だけじゃなしに国公立ともに、この志願率がふえるのに対して、急増に対する対策を前の対策の上に積み重ねなければならないと思うのですが、具体的に聞きますと、私立に対して臨時定員増を倍認めるというので何人救われるのか。今国公立で、来年、三年と四年で恒常的定員をふやすと検討されておると報道されておりますが、これで何人くらいを救おうと思って今検討しておるのか、この数字を言ってください。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 定員の増加につきましては政府委員から御答弁をさせたいと存じますが、ただ一言だけ、お言葉を返すわけではございませんが、生まれたときが悪かったという気持ちは私も一切持っておりませんので、そのことだけは御理解をいただきたいと思います。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 私学の臨時定員をどのくらい見込んでおるのかという御質問でございますが、私どもとしましては、これは申請主義に基づいておるものでございますので、なかなかこのくらいだというふうに明確には断言できないところを御理解いただきたいと思いますが、私どもの申請事務を扱っておる事務方のところにはかなり相談に来ておりますので、臨時定員増というのは相当の数、一万人を超えるような申請があるのではないかというふうに期待をいたしております。それ以外に恒常的な定員増も、あるいは恒常的な定員増のほかに、短期大学を創設したい、あるいは大学を新たにつくりたいという申請も幾つかございますので、全体としてどのくらいかと言いにくいのですけれども、かなりの数字になるのではないかと思っております。  それから国立大学の問題でございますが、けさの読売新聞で二年間で五千人という数字が出ておりますが、先ほども米沢先生の御質問にもお答えしましたとおり、私どもは今の段階では予算額の方の概算要求の枠も決まっておりませんし、それから総務庁から示されます定員要求の人員のシーリング、要求枠についても示されておりませんので、今の段階でこれだけの要求をする、したがって二年間で五千人だ、来年度は二千五百人だというような数字は今のところ持ってはおりません。ただ私どもとしましては、与えられた条件の中で最大限の恒常的定員増をする努力はしたいというふうに今のところ考えております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 数字は言ってもらいたいのですけれども、なかなかおっしゃいませんけれども、ことしは百十五万人出願者があったわけですけれども、来年は百二十万人くらい出願者があるのじゃないか、ことしよりも五万人くらい出願者がふえるのじゃないかという予想もあるわけで、このままいくと史上最高の大学入試の激戦になる、こう想定されるわけです。  今の話を聞きますと、私立大学の恒常定員、臨時定員、一万ともそれ以上とも言われましたが、国公で五千人という数字も新聞に出ておるわけでございますけれども、これでは、ことしの入学者比率というのは六二%でしたが、来年度のトータルだけでいいますと、入学者比率がことしよりも子供の側にとってよくなるのかどうか、よくなるようにしたいのか、するのか、それについてお聞きします。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 恐らく先生の入学者比率というのは合格率のことだと思いますが、平成元年度の合格率は六三・八%でございます。それからちなみに進学率につきましては三六・三%でございます。それから平成二年の合格率については、本年度の数字がまとまっておりませんので、先ほど来お答えしますとおりにまだ数字はつかんでおりません。  したがって、ことしはどのくらいになるのか、ちょっと時間がかかりますが、来年どのくらいになるのかというのはちょっと予想が立てにくいわけでございますが、もうごくごく大ざっぱで申し上げますと、来年は、ことしの数字がわからないのですが、ことしよりも一万人か一万数千人くらい不合格者数が増加する可能性があるのじゃないかというような感じを持っております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 大臣、今、ことしよりも不合格者が、ことし四十四万とすると来年の不合格者数は四十五万くらいになるんだというような予測ですね。そうすると、ベビーブームのときに生まれたおまえは運が悪かったんだということが結果としては出てくるんですね、対応しないから。教育の機会均等ということに抜本的な対応をしないからそういう結果になるということは考えてもらって、そういう結果を出さないように、文部省としても予算獲得その他についてもぜひ頑張ってもらいたいと思います。  先ほど大臣が減るときもあるからとおっしゃいました。今度は減るときの質問をしてみたいと思います。  これは先ほどから出ておりますが、結論から申し上げますと、言葉がきついようですけれども、文部省の十八歳人口の急増対策というのは失敗した、十分でなかったと私は考えておるわけでございます。今度の減るときにはこの教訓をぜひ生かさなければならぬ。ふえるときがまだ続くわけですからそれもやってもらわなければなりませんが、長期展望に立って、減るときの対策を今から十分考えておいてもらいたい。  十八歳人口は一九九二年、平成四年が最高で二百五万人になるわけでございますが、それからずっと減ってきて、二〇〇〇年には百五十一万人と予想され、それ以降も減り続けて、二〇〇六年には最高時の一九九二年の六五%ぐらいまで下がると言われておるわけでございます。これに対する急減対策というのは徹底的に考えていかなければならぬと思います。  今巷間言われており、大学の皆さんも心配しておりますのは、十八歳人口が減るときに各大学が限られたパイを奪い合って学生を奪い合う。そうして、学生奪い合いに失敗した大学は倒産をする、共倒れをする、こういう危険性があるということが今盛んに言われておるわけでございます。そこで文部大臣、十八歳人口が減るときに、この機をとらえて日本の高等教育というものの質を飛躍的に改善するという立場で急減対策を立てていただきたい。  具体的に幾つか申し上げますと、これはもう小中高でも言われておるわけですけれども、教員一人当たりの学生数を減らせば教育研究の条件が改善されることは当たり前ですから、こういうことをやってもらう。それから、奨学金をよく出せば進学率、志望率が上がってくるわけですから、ぜひ奨学金等で進学率、志望率を上げてもらいたい。それからもう一つは、生涯学習というのが言われておるわけですから、社会人の再教育を大学で行う。そうすると、そこにまた定員も出てくるわけでございます。それから、十万人と言われておりますけれども、この際、留学生を飛躍的に積極的に受け入れなければならないという問題。それから、これも先ほどから言いましたが、高等教育機関を大都市中心じゃなしに地域別配置を適正にやる。こういうことによって受験生の希望をかなえることにもなるし、急減対策にもなっていくわけでございます。それから、もちろん当然のことですが、私立大学に経常費の補助、これは確実に公的援助をふやしていかなければならない。  今幾つかの例を挙げましたが、生徒が減るときに高等教育の質をどう上げるか、こういうことを考えていただきたいということで、急減対策について、具体的なことでなしに基本的なことは、大臣、どうお考えでございますか。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 急減というのも、私も本当に頭の痛い問題だなあと思っております。今は急増対策に手を打ちながら急減対策について考えなければならないということでございますが、ただいま先生から大変貴重な御提言をたくさんちょうだいいたしております。これは私も重要な御提言として受けとめさせていただきまして、十分に検討させていただきたい、このように思います。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 何か事務方で急減対策をもう検討なさっておりますか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 これも何回もお答え申し上げておりますが、急減対策と申しますか、急減時期に我が国の高等教育のあり方をどうするか、どう考えるか。先生が言うような意味での質の改善、それから量的な意味では、急減期であっても地域的な配置状況から見て不十分な地方はどうやって充実していくかというような問題を含めまして、現在、大学審議会の中に高等教育計画部会を設けて検討しているところでございます。  アメリカが、一九七〇年から八〇年までですが、我が国より早く十八歳人口の急減期が来たわけでございまして、その前にアメリカもとうとう大学の冬の時代が来るというようなことが言われておったわけですが、アメリカは大学人がその危機感を持ってそれぞれの大学の個性化、特色化に努めたということ、あるいは先生の御提言の一つにありました社会人の受け入れを積極的にやったというようなこともございまして、結果として八〇年を過ぎた後につぶれた大学が何千のうち何十かございましたが、結局それは個性化、活性化等の努力をしない、つぶれるべくしてつぶれた大学だと言われておりますが、我が国もぜひいろいろな努力を重ねまして、質の充実とあわせて私立大学が何とか、生き延びると言うのも恐縮な表現でございますが、そのままずっと経営できるようなことも頭に描きながら高等教育計画を検討していかなければいけないなあというふうに考えております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 今アメリカの例が出ましたけれども、私が聞いておりますのは、個人に奨学金などで補助をするということで進学率をずっとふやして、そして学生がたくさん来るようにした。こういうことを急減対策の一番重点施策としてアメリカはとったんだ。だから、今言われたように特別混乱が起こらないという面もあった、こう聞いているわけでございます。やはり個人に対する奨学金などの公的補助で進学率を高めるというのも急減対策の非常な基本ではないか。そういうアメリカのいい部分は参考にしなければならぬと私も主張しておきたいと思います。  次に、話題を変えますけれども、今まで私は入学試験のことを中心にして話をしたのですが、入学試験で受験戦争に勝って、ようやく試験地獄から抜け出して大学に入学してみると、待ち構えておるのは何か。それは教育費地獄ですよね。また教育費地獄という道を歩かなければならぬ、苦しまなければならぬ。だから、今こういうことがよく言われております。大学で勉学するためには学生の学力の偏差値にプラスして親の所得の偏差値を追加しなければならない。こういう深刻な状況になってきておる。  ちなみに、もう既に御承知と思いますけれども、受験から入学までの費用、これは東京の私立大学教組の調べですけれども、私立大学を受験するための費用が自宅から受験に行った場合二十六万七千円、去年よりも一〇%アップしておる。自宅外から受験した場合に三十六万一千円、去年よりも八・二%アップしておる。自宅外の人が入学時に払うアパートとか家を借りる、これが大体四十八万二千円ぐらいその費用が要る。初年度の校納金というのが百五万九千円ぐらい。合計で、自宅から試験を受けて入学すると百三十万ぐらい要る。自宅外から試験を受けて入学をすると百九十万円ぐらい要る。こういうアンケートの調査の結果が出ておるわけでございます。  ところが、今の生徒は受験をもう何回もするわけです。何校もやるわけですから、何校も受けるたびにそういうことがつけ加わっていくわけでございまして、大体一回受ける、一校受ける人は、推薦入学の人と思いますけれども二四・五%ぐらいしかいない。一番多い人は、五校ぐらい受けるのが一三・七%とか、六回受けるとか、八回以上受ける人が一六・八%おる。これはやはりその都度費用が要るわけでございます。  また、今度は入学した、大学の学生生活になっていくわけでございますが、これは文部省の六十三年度の調べでも、皆さんが調べられたので、下宿して大学に通わせる私立大学生、年間大体二百四万円ぐらい要る。国公立は百四十一万円ぐらい。大学四年間の学費を調べてみると、これは大学生協の調べですけれども、文科系が千百万円、理科系が千二百万円要る。まさに親の負担というのを見ますと、私立大学に出しますと大体平均十四万円ぐらい仕送りをしている、年間百七十万円ぐらい。国立は年間百七万円ぐらい。年収の約二〇%近くはそういう学費につぎ込んでおる。  特に、大学に出す子を持つ親というのは平均四十五歳から五十五歳ぐらいです。平均年収は五百六十万円ぐらい、大学に出す子供を持つ親の平均年収ですね。私立大学においては大体三〇%ぐらい学費に使う。そういたしますと、一般の家庭ではちょっと子供を大学に下宿して通わせるというようなことはもうできない。計算によりますと、大体年収七百万円から八百万円ぐらいの収入がなければちょっと出せない、こういうことでございます。  大臣も九州ですけれども、先ほどから地域のことを言いますけれども、地域別に見ますと、ほとんど大学に出すときには親は借金をしたという数字も出ておりますが、北海道とか九州から大学に出す親はほとんど借金をして出しているという調査も出ております。そして、大体親全体で八八%ぐらいが教育費負担はもう地獄だと言っておる調査が出ております。北海道、九州は九二%の人がもうこれではたまらぬというような、教育費負担のことを地獄だ、こういうぐあいに言っているわけでございます。  こういうことを考えてみますと、大臣、毎年この教育費というのがどんどん上がっていっているわけです。だから、この教育費地獄の解消ということをせぬ限り、教育費の父母負担を軽減せぬ限り、教育基本法の第三条にあります教育の機会均等、すべての国民はひとしく能力に応じて教育を受ける機会を与えられなければならない、経済的地位によって教育上差別されない、こう教育基本法の第三条はあるわけですけれども、完全に経済的な地位によって教育上今差別されておる、こういう状況が今、日本にあるわけですから、こういう点についてこの教育費の負担の軽減をするということについての大臣の所信を私は伺っておきたいと思います。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 現実のありさまについてのお話をいただきましたが、まさにそういうことが起こっておることはまことに残念でございますし、教育の機会の均等の立場からいえば幾らかでもそういうありさまを軽減をしていくことを考えていかなければならない、こういうふうに思います。  そこで、私どもとしてできることで今までやってきておりますことは、いわゆる奨学金、育英奨学をやること並びに私学助成というようなことを今までやってきておるわけでございます。育英につきましては、御承知のように約四十五万人ほどがこれを受けておりますが、これの充実に向けて今後とも努力をしていかなければならない、こういうふうに決意をいたしておるところでございます。  さらに私学の助成でございますが、これも現在が経常経費の大体一六%ぐらいになっているかと思いますが、これもパーセンテージで年々下がってきた。しかし、予算のときに、これはマイナスシーリングの中で苦労しながらも平成二年度では前年に対して三十四億ふやしまして二千五百二十億円余を計上するなど、いろいろ努力をいたしておるところでございます  しかし、教育の機会均等ということから考えますならば、引き続いてこれは両方について努力をしていかなければならないと思いますので、ぜひ先生方におかれましても御理解をいただき、御支援をいただきますように心からお願いを申し上げたいと思います。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 日本ほど高等教育に金を出し渋っておる国は私はないと言っても言い過ぎではないと思うのです。その中で今言われました私学助成、これは日本の大学の七三%から四%は私立大学です。ところが、国立、公立に対しても国が金を出し渋っておりますけれども、学生一人に対する国費の支出を見てみますと、その少ない国立に出している金の何と十四分の一しか国から私立大学の生徒一人に対しては出してない。私学助成は全体の経常費の――この法律をつくるときに、国会のこの文教委員会でもあの法律の精神、そして国会の意思として経常経費の五〇%は補助しよう、そういうことになっているのですけれども、私学全体の経常費に占める国の私学助成の比率というのは、先ほど大臣言われましたように一六%です。  しかし、昭和五十五年は経常費の二九・五%が国の私学助成であったのです。それがだんだん八年間連続その比率は下がってきておるのです。そして昭和五十年、私学振興助成法が決まりまして、その比率は今が最低ですよ。あの当時から比べて私学全体の経常費に対する私学助成の国の費用は最低の率に今成り下がっておるわけでございます。  だから問題は、やはり教育費の地獄をなくするためには国の責任で公費の支出をやらなければいかぬ、こういうことで具体的に言うと、国立学校の特別会計への繰り入れというのをふやさなければいかぬわけです。それから、生徒に対する直接の公費援助、いわゆる奨学金等をまだどんどんふやしていかなければならぬ。そしていま一つは、やはり低所得者の家庭の出身の子供には集中的に援助をして教育の機会均等というのを生かしていかなければならぬと思います。そしてもう一つは、やはり親に対して、教育費に対する税制というものを抜本的に考えて優遇しなければならぬ。  こういう点、やろうと思えばできるわけですから、こういう点についても、大臣、ぜひ抜本的に推進していただきたいと思いますが、どうですか。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 諸般の経費につきましては、教育という非常に大事な問題でございますから、努力をしてこの確保には努めていかなければならないと思っております。  特に、私学助成につきましては、マイナスシーリングをかけられている中で、ほかから財源を持ってきてこれを埋めるというようなやり方はもう限界に来ておるというふうに思います。ほかの費目を犠牲にして私学助成をふやしていくというようなことは私としてはまずいのではないかと思いますので、今後そうしたことについて関係省庁ともよく連絡をとって予算の確保に努めてまいりたい、こういう決意をいたしておるところであります。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 大学の入学試験がずっと過熱してくる、そうすると必ず高校の入試が過熱させられてきておる、それが小学校から進学塾等の塾通いが始まってきておる。大学入試のところからぐうっとそういうことになってきておるわけでありまして、もう最近は高等学校の付近まで、家庭の所得格差で子供が受ける学校教育に差が出始めております。それは、たくさん裕福なところは塾通いをさせ、いろいろなところにやれるわけですけれども、そうでないところはそうなっていない。私は先ほど教育の機会均等を言いましたけれども、大学だけじゃないのですよ。今教育費の問題で小中高の段階でも教育の機会均等が崩れております。  これはもうゆゆしい問題だと思いますし、例えば総理府の教育関係費動向調査等によりましても、教育費支出は、二十年前に比べて家計全体の消費支出が三・八倍伸びたのに、教育費支出は五・四倍伸びている。昭和四十五年、一九七〇年の一カ月当たりの教育費支出が四千百五十二円だ。それが平成元年は二万二千四百十六円になっておる。そして、特に教育費の中で補習教育の費用が伸びているわけです。この二十年間に十三倍以上補習教育費が伸びてきておるわけでございます。文部省の六十二年度の保護者が支出した教育費調査によってもそれは明らかに出てきておるわけでございます。  東海銀行が調べました子供の教育費調査によりますと、幼稚園から高校まで十四年間の学校教育費、公立だけで幼稚園、小中高に行けば百六十二万円、幼小中高、私立学校だけ行きますと九百十四万円、格差は五・六倍になっておる。そして、子供一人にかかる教育費ですけれども、これは学校教育費、学校外教育費、おけいこごとなんかやっておるわけでございますが、幼稚園は公立で一万八千三百九十四円、私立は二万六千三百七十四円、小学校が公立で一カ月に二万二百四円、私立が六万八千四百六十七円、中学校が公立で三万一千三百六十三円、私立で七万一千百五十二円、高校が公立で三万二千六百四十一円、私立が六万一千五百二十三円。そして中学校の三年生を調べてみますと、八八・八%が塾通いをやっている、中学生の塾の平均の月謝が一万八千円だ、こういうような調査が出ておるわけでございまして、本当に義務教育は無償だとなっているわけですし、特に高校も今は進学率九四%ですから、もう準義務制と言ってもいいわけです。これだけ多額な教育費を支出している、それが年々増加していっておる、この事実はやはり政治をする者、行政をする者、放置はできないのじゃないかと思います。  私は、これをやろうと思えば解決できる。基本的に言うと憲法、教育基本法を忠実に守ろうという政治、行政が行えれば、教育の機会均等は守らなければならぬわけですから、すぐできる。そうしてこれだけの経済大国日本が、教育に使う金は政治姿勢によってはあると思うのです。  例えば国の予算を見てみますと、十年前、昭和五十五年一般会計の予算が四十二兆円でした。今六十六兆円ですよ。二十四兆円ぐらい伸びていますね。ところが教育予算はどうでしょう。昭和五十五年は四兆二千六百六十八億だったのです。ところが、今日はやはり四兆七千九百八十八億円、五千億しか伸びていない。防衛予算を見てみますと、昭和五十五年が二兆二千三百二億。それが平成二年は、今出ておりますのは四兆一千五百九十三億円、防衛費は二兆円ふやしているわけですよ。防衛を強化しようという政府の姿勢によれば、この十年間で二兆円もふやしているわけです。  これは私どもがいつもここで言いますように、昭和五十五年以前は国の予算に対する教育費の予算は常に一〇%以上ありました。三十何年一〇%以上で続いておったわけです。だから、今そのときに戻す、一〇%以上確保するという国の政治、行政、国全体のコンセンサスができれば、六兆六千億の教育予算になるわけです。今四兆七千億円ですから、二兆円ぐらい教育予算というのはふえてくるわけです。防衛費は二兆円ふやしたのですから、ふやそうという政治の方針によって教育もそれをやろうと思えばできないことはないと思います。  そこで具体的に言いますと、予算の組み方ですね。先ほどシーリング、シーリングと言われましたけれども、やはり防衛費が伸びました。防衛費とODAの予算はシーリングの枠外だったでしょう。やはり大臣、教育予算はシーリングの枠外にしてくれ、そうして聖域として一〇%以上は常に確保しようというコンセンサスをつくり上げる。そういたしますと、二兆円以上の予算の増加になりますと、先ほど言った教育の機会均等もあらゆる問題も解決できるのですよ。それをぜひ文部大臣、先頭に立ってそういうことをやってもらいたい。  少なくとも予算の今のような中ではふえないわけです。それはもう御存じのとおりです、我々も知っていますから。シーリングの別枠にして、防衛費とODAの予算を伸ばしたと同じように教育を伸ばそう、そして二十一世紀を文化国家につくり上げようじゃないか、教育費地獄とか受験戦争とか父母負担地獄をなくそうじゃないか、そういうことをやっていくべきじゃないか。大臣の決意を伺いたいと思うのです。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 文教予算の獲得につきましては、これはもう私も一生懸命に努力をして、先生御指摘のようないろいろなことを、実現できるできないは別といたしましても努力をしてこの予算を獲得していくように、いろいろな考え方を組み合わせる中で関係省庁とも協議をして予算の獲得に努めてまいりたい、こう思っております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 これはぜひ、若い大臣だし、本当にもうファイトもあると思う。とにかくこれは、国の方針にそういうことをつくり上げるということで全力を挙げてやっていただきたいと思います。  そこで、予算の問題が出ましたので、これにかかわりまして、文化国家、文化国家と大臣と私は最初からそういうやりとりをいたしましたが、この教育予算の中で、特に文化関係の予算というのはまた物すごく低いんですよね。日本国憲法で、我が国は文化国家を目指すという基本方針が出ている。文化の日が始まってからもう四十年たっておる。文化庁ができてから二十年たっておる。そういう中で、日本の文化予算は本当に低い。  これはちょっと余談になりますけれども、この間、ある人がゴッホの「医師ガシェの肖像」というのを百二十四億円で落札したというのが新聞に載りました。同じ人がルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ガレットにて」を百十九億円で落札した。ところが、私が調べてみましたら、国はこういう美術品を買う予算をどれだけ組んでおるかといいますと、東京国立近代美術館、国立西洋美術館、京都国立近代美術館、国立国際美術館、この四つの美術館で美術品購入の予算は合計四億円ですよ。文化庁全体の予算で四百億円でしょう。一人の経済人が百十九億円と百二十四億円で美術品を買っている。こういうことは国民の感情からいってもちょっと、また経済摩擦というのがありましたけれども、文化摩擦というのもこういう状況では起こるんじゃないかと私は思います。  そういう意味において、我が国の文部省予算の中に占める文化予算は〇・八%ですよね。国家予算に占める予算比率というのは、〇・〇七%ですよ。こんな経済大国日本、一億二千万の人口を抱える日本、それにこの予算、もう貧弱という以外にないわけです。諸外国との比較はもう常にされておるわけですけれども、大体日本と同じ文化行政機構のフランスの文化省の予算は二千億円程度だと聞いております。国家予算に占める比率は〇・八%。イタリア、イギリスの芸術文化振興予算は八百億円。アメリカは免税優遇措置によって民間の援助資金が三千億円、連邦政府も芸術文化活動に三百億円以上出している、こう言われておるわけです。  二十一世紀の日本を文化国家にしよう、こういう決意で最初議論いたしました。そうしたら、文部大臣もそう思っているわけですけれども、日本は今本当に、経済の力で外国に貢献するだけでなしに、やはり文化の面でも世界に貢献していかなければならぬ、こういうぐあいに思います。  だから、文化予算の問題について私はここで申し上げておきたいと思います。今言ったシーリングの問題ですね。少なくとも文化予算についてはシーリングの別枠にしたらどうか。それから、国家予算の一%ぐらいは文化予算を組むべきだ。それから、芸術舞台の公演に対する消費税もついているわけですから、この消費税を廃止すべきだ。また、芸術文化を豊かにつくり出すための税制優遇措置もほかの部分でも行うべきだ。それで、芸術の鑑賞機会についても、都会と田舎は大分差があるわけでございます。この地域間格差をなくせ。国立博物館とか美術館の鑑賞に金を取って見せているわけです。これは無償にすべきだ。文化についてこういうことを思う。これを克服して文化国家をつくっていかなければいかぬと思うのですが、大臣、どうですか。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 教育も文化もスポーツも学術もすべて大事だと思っております。すべての分野についてやはり予算の獲得に努力をしてまいりたいと思います。財政当局あるいは関係省庁はそれなりの立場があろうかと思いますけれども、いろいろと御相談を申し上げる中で決めていかなければならぬことだと思っております。  現在は平成二年度の予算を御審議いただいているところでございますから、これから先のことについて具体的に申し上げる段階ではないのですけれども、しかし全体の流れを見ましたときに、まさに文化国家を志向していくこの日本が文化予算の充実に努めるということは私たちの責務だと思いますので、頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 大臣、今まで文部大臣、何人の人ともここでこういう議論はしたのです。やはり大臣も一生懸命頑張って、教育予算はシーリングの別枠にする、そういうことで文部省としては大蔵省と話をする、あるいは文化予算はシーリングの別枠にする、そういうことで話をしていく、こういうことで、ここではっきりそういう決意で臨むということを強い決意をして、実際にやられた。  ところがなかなか実現しなかったけれども、今例えば日米構造協議の中で、公共事業についてこれはもう今度シーリングの別枠にしなければいかぬのではないか、アメリカから言われれば公共事業をシーリングの別枠にしようという動きが出てきておる。自分の、文化国家をつくろう、さっき言った地獄、戦争をなくそう、そういうシーリングの別枠にして抜本的に教育予算や文化予算を伸ばす。大臣、そのことについてここで全力を尽くすということは言えないのですか。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 要求のさまざまな形態等につきましては省内でもよく協議をしてまいりたいと思いますけれども、全体の予算の確保につきましては、先生方の御協力もいただきながら私たちも頑張っていきたい、こういうふうに思っております。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 きょうの新聞とか動きを見てみますと、もういよいよ公共予算はシーリングというのもここで考え直そうと大蔵省初めみんな言っている時期でもあるわけですから、いい時期じゃないですか。ぜひひとつ全力を挙げてやっていただきたいと思います。  そこで、これは文化にかかわりまして一つ、二つ申し上げておきたいのですが、私の熊本県の水俣に徳富蘇峰が八歳まで住んだ家、弟の蘆花が三歳まで過ごした木造の家が残っているのです。これは「蘇峰自伝」の中に徳富蘇峰はその家のことを書いております。蘆花も「死の蔭に」という本の中にその家のことを書いているので、実は建設してから二百年ぐらいたっている木造の建築物なんですよ。この建築物を昭和四十七年に水俣市が市の文化財にしたのです。だから現在も、これは寛政二年、一七九〇年につくった家と言われておりまして、二百年で老朽化してしまいまして、解体して復元しなければもうだめになってしまう。こういうことで、徳富蘇峰、蘆花旧宅保存会というのができまして、水俣市議会に復元の請願書を出しまして、これは可決されております。  ところがここに問題がございまして、日本の建築基準法によりますとこの復元がちょっとできないんですよ。どういうことかというと、国が指定した国宝や重要文化財は建築基準法に縛られずもとのまま復元できますけれども、市町村指定の文化財は大きな修理や改築に当たっては新築と同じように建築基準法が適用されるわけです。これは建築基準法どおりにしますと歴史的な建造物が文化財の価値を失ってしまう。  例えば火災予防のために屋根を不燃物にしなさいとか、道路の中心線から何メートル離しなさいとか、土台はコンクリートにしなさいとかボルトどめにしなさいとか、こういう建築基準があるのですよ。そうしたら全然文化財の価値は失ってしまうし、言えば日本の建築基準法が文化財を破壊してしまっておる、こういうことが言えております。国が認めた文化財はそういう建築基準法は適用されない、県、市町村が認めた文化財はそれをされるわけで、国の方が上等と思っているか知りませんが、それでも、この五年間に八十棟のそういう旧家が県、市町村の文化財指定から国の文化財指定に格上げされているのです。  そういたしますと、この徳富蘇峰とか蘆花の家だって直ちに国の文化財に指定されるいわば候補者というような格好にもなっておるわけで、重要文化財の候補者とも言えるわけじゃないかと私は思いますが、こういうのが実は建築基準法で復元できないのです。これは大臣、ぜひそういうことは県指定も重要文化財と同じように復元について建築基準法の適用を除外せいということを文部省からまず言っていただきたい。どうですか。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 徳富蘇峰、徳富蘆花、私も学生時代に随分いろいろと読ませていただきました、内容は忘れてしまいましたけれども。しかし、その大事なうちがそういう状態だということは今お話をよく承らせていただきました。具体の問題でございますから、政府委員から御答弁をいたさせます。

鈴木俊夫建設省住宅局建築指導課長

○鈴木説明員 今御指摘のように、国宝とか重要文化財につきましては建築基準法の適用除外になっておるわけでございます。地方公共団体指定の文化財につきましては、国宝のように文化的な価値が国レベルで定められていない、文化財の数も全国で国宝の四倍ぐらいあるというふうに伺っております。また、密集市街地の中にあるものもあるわけでございまして、その利用形態、立地条件は非常に多種多様でございます。そういうことで、これらすべてにつきまして全国で一律に除外するというのは、周辺の市街地への影響等からも問題があるのではないかと考えておるわけでございます。  ただ、今御指摘のように、地方公共団体指定の文化財の中にも当然将来的には国宝等に指定されるものもございます。また、さきの新行革審におきましても、これらの文化財というのは非常に多種多様でございますので、その利用形態とかあるいは周辺地域の状況によりましてそのそれぞれの文化財にふさわしい修繕等が行えるように制度的な介入をしたらどうかという御指摘もございました。建設省といたしましては、建築基準法の第三十八条で建設大臣の認定、こういうのがございますが、これを弾力的に運用するということで対処してまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。

馬場昇日本社会党・護憲共同

○馬場委員 五年間で八十棟も県、市町村の指定の文化財が国の重要文化財とかに格上げになっているのです。そうしますと、やはりその格上げになるのは国の基準で上げたわけですから、こういう県、市町村の指定がその候補者ですよ。それがつぶれてしまったらそういうこともありませんし、ぜひひとつこういう点は弾力的にも運営していただくし、あるいは建築基準法を変えていただいてぜひ保存できるようにやっていただく。やはりこういう県とか市町村の指定の文化財は、その県とか市町村の財産ですよ。そういうことで、また心のふるさとみたいになっているわけですから、ぜひやっていただきたいと思います。  時間が参りましたので、最後にこれは要望して終わりたいと思います。  私はきのうとおととい、岐阜県の益田郡小坂町というところに木曽ヒノキの調査に行ってまいりました。ところが、あそこの小坂町長というのは岐阜県のカモシカ対策協議会の会長をしておられて、カモシカの被害が出ておるものですから、こういうお話がございました。  昭和五十四年、十年前に文化庁、環境庁、それから林野庁、三庁合意で天然記念物のカモシカの保護区を設けるという合意ができているのです。ところが、まだこの保護区ができていないのです。そうしないと、被害がいっぱい起きているわけですよ、だから保護区を早うつくってくれというような陳情を受けました。  それから、カモシカの個体数調整といってやはり何頭はこれを捕獲していいということになっているわけでございますが、一頭捕獲するのに十万円ぐらいかかるというのです。そういう被害対策について国庫負担制度をつくってくれとか、造林地に被害がいっぱい出ているわけですよ。そういうものの復旧に当たっては特別な財政措置をしてくれとこの人からも陳情を受けました。  これは文化庁の方にも言って、各省庁と約束をしているわけですから、皆さんの要望をお伝えするということできのう帰ってきたものですから、ぜひこれは十分検討していただきたい、こういう要望を申し上げまして、私の質問を終ります。

船田元自由民主党

○船田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────

船田元自由民主党

○船田委員長 この際、本案に対し、松田岩夫君から修正案が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。松田岩夫君。     ─────────────  国立学校設置法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────

松田岩夫自由民主党

○松田委員 ただいま議題となっております国立学校設置法の一部を改正する法律案に対する修正案について御説明申し上げます。  案文は既にお手元に配付されておりますので、朗読を省略させていただきます。  修正案の趣旨は、本法律案の施行期日、「平成二年四月一日」は既に経過しておりますので、これを「公布の日」から施行することとするものであります。  何とぞ委員各位の御賛成をお願いいたします。

船田元自由民主党

○船田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     ─────────────

船田元自由民主党

○船田委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。山原健二郎君。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 私は、日本共産党を代表して、本法案について反対の態度を表明します。  東京工業大学の生命理工学部の設置、また茨城大学工業短期大学部及び山口大学工業短期大学部の廃止については賛成であります。  しかし、北陸先端科学技術大学院大学の創設については、質疑の中で申しましたように、寄附講座の異常な開設の問題、支援財団の問題など、学校教育法第六十五条に言う「大学院は、学術の理論及び応用を教授研究し、その深奥をきわめて、文化の進展に寄与することを目的とする。」に反し、財界、とりわけ特定企業に奉仕する大学院設立を認めることになりかねないため反対でありますので、全体として本法案に反対の態度をとるものでございます。  以上で討論を終わります。

船田元自由民主党

○船田委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────

船田元自由民主党

○船田委員長 これより採決に入ります。  国立学校設置法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、松田岩夫君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

船田元自由民主党

○船田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

船田元自由民主党

○船田委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     ─────────────

船田元自由民主党

○船田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、松田岩夫君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の四党共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。吉田正雄君。

吉田正雄日本社会党・護憲共同

○吉田(正)委員 私は、提出者を代表いたしまして、ただいまの法律案に対する附帯決議案について御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     国立学校設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び関係者は、次の事項について特段に配慮すべきである。  一 先端科学技術大学院大学については、その目的を達成するための教育研究組織及び施設・設備等の整備に努めること。  二 大学院大学等の新構想大学院の管理運営に当たっては、大学の理念を尊重し、その教育・研究の目的が十分に生かされるように努めること。  三 高等教育に対する新たな時代の要請に基づき、学術の振興、教育・研究体制の推進のため、既設の大学、大学院の教育・研究体制のより一層の充実を図るなど財政措置を含め必要な諸条件の整備に努めること。  四 大学院学生及び大学院博士課程修了者の現状にかんがみ、大学院学生について若手研究者としての処遇、位置付けについて検討を行うとともに、奨学金や日本学術振興会の特別研究員制度の拡充を図り、また、学位授与の円滑化を図るための積極的な施策を講ずること。  五 大学の学部等の改組、新設に当たっては、大学の意向や地域社会の要請を勘案するとともに、現在進行しつつある大学入学者の急増とその後の急減に適切に対応するための必要な諸条件の整備に努めること。  六 大学入学者選抜のあり方については、受験生の立場に配慮しつつ、一層の改善のために最大の努力をすること。 以上でございます。  その趣旨につきましては、本案の質疑応答を通じて明らかであると存じますので、案文の朗読をもって趣旨説明にかえさせていただきます。  何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

船田元自由民主党

○船田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

船田元自由民主党

○船田委員長 起立多数。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、本附帯決議に対し、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。保利文部大臣。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。     ─────────────

船田元自由民主党

○船田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

船田元自由民主党

○船田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────

船田元自由民主党

○船田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五十三分散会

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