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118回国会衆議院1990/04/25

文教委員会 第8号

発言数
234
登壇者
17
会派数
4
開催日
1990/04/25

会議録

船田元自由民主党

○船田委員長 これより会議を開きます。  文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。狩野勝君。

狩野勝自由民主党

○狩野委員 私は自由民主党の狩野でございますが、初めての質問でございますし、大変時間が短いわけでございます。早口になったり要領を得ない点があるかと思いますが、文部大臣初め関係当局の皆さん方によろしくお願いをいたしたいと思います。  私は、生涯教育の基礎づくりの観点に立って、未来を担う人間性豊かな児童生徒の育成を図る学校教育、とりわけ教員の資質の向上について研修制度を通してお伺いをいたしたいと思います。  近年、児童生徒数が減少し、新規採用の教員数も減少傾向にあるために、各地において、大学の専門的な教育学部を卒業した優秀な学生が教員志望として入ってきているということも耳にいたします。大変よいことだなと思います。が一方、昨今の好景気と相まって、企業への就職希望者が増加し、ところによっては教職員を希望する者がかつてより減少傾向にあるということも耳にするわけであります。  こういう中で、いかにして教員に適する人材を確保するか、また教員の資質能力向上を図るかが大変重要だと思います。教育は人なりと言われますが、制度も理想もあるいはまた教科書もカリキュラムも、すべてが人であります。そして、教員に対して今まで以上に求められる資質能力は、教育者としての使命感と情熱、児童生徒に対する教育的愛情、そしてこれに基づいた実践的指導力ではないかと思うわけでございます。  そこで、お伺いをいたしますが、昨年から実施された初任者研修制度に私は大いに期待するものでございますが、これをどのように評価をしているか、大臣の御所見をお伺いいたします。  また、本年度から中学校を対象として実施されますが、高等学校については何年度から本格的実施を予定しているのかも、あわせお伺いいたします。  二点目は、教員は絶えず研修と修養に努めなければならないと思います。教職員経験を積むに従って、教員はその立場や年齢にふさわしい資質能力が求められていると思いますが、教職員経験の十年とかあるいは二十年とか、こういう節目に体系的な研修も大切と思うが、どうか、お伺いをいたします。  三点目は、私どもの千葉県で、高等学校においてでございますが、半年間あるいは一年間を、会社に入れまして体験入社をさせまして、その体験を教育の場に生かしていくという試みをいたしておりますが、私は大変これは注目すると同時に、実施すべきだなと思いますが、この御所見もお伺いいたします。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 お答えを申し上げます。  初任者研修制度は、初任者に対しまして、先生御指摘のように実践的指導力と使命感を養うとともに、同時に幅広い知識でありますとかあるいは見聞でありますとかを得させることを目的としたものでございます。  平成元年度の実施結果につきましては、初任者の実践的能力の向上が特に著しいと認められます。また、初任者研修に対する学校全体の取り組みを通じまして、ほかの教員の研修意欲も高まったという報告を各都道府県あるいは指定都市教育委員会等から受けているところでございます。  文部省といたしましては、初任者研修制度は初任者の教育力の育成にとどまらず、学校全体の活性化にも資するものと評価しているところでございます。  残余につきましては、政府委員から補足をいたさせます。

倉地克次文部省教育助成局長

○倉地政府委員 高等学校の初任者研修制度についてお尋ねでございますけれども、先生御指摘のありましたように、平成元年度は小学校、平成二年度は中学校というふうに本格実施をしてまいった次第でございます。あと残るのは高等学校と特殊教育諸学校ということでございますけれども、平成三年度に本格実施を行う学校種をどうするかということにつきましては、今後予算要求とも関連いたしますので、平成三年度の概算要求に向けて十分検討してまいりたい、そのように考えております。  それからもう一つのお尋ねは、教職の経験年数ごとの体系的な研修のお話でございます。御指摘のありましたように、教員の資質能力は、養成と採用、現職研修の各段階を通じて形成されていくものでございますので、教職経験等に応じて現職研修は非常に重要なものだというふうに考えている次第でございます。  それで、昭和六十二年度の教育職員養成審議会の答申におきましても、初任者研修に引き続きまして、現職経験五年程度、それから十年程度、さらに二十年程度の時期において研修を実施することが非常に好ましいということで、現職研修の体系化をさらに進めるべきだということが提言されている次第でございます。私どもといたしましては、今後ともこの趣旨に沿いまして都道府県教育委員会を十分指導してまいりたい、そのように考えている次第でございます。  それから次が、体験入社の件でございますけれども、私ども、教員を企業などの学校と異なった組織体に参加させまして、その組織体におきます仕事を進めるに当たっての考え方とか発想とか、さらにはそこにおける幅広い対人関係でございますとか企業としての規律、そういうものを体験させることによって、再び学校へ復帰してまいりましたときに、異なった新たな視点から学校の組織体とか教育を見直す機会を与えることは非常に有意義なことだというふうに考えている次第でございます。  短期間のものといたしましては、初任者研修の校外研修の中におきましても民間企業の参観などということはしているわけでございますけれども、御指摘のように、千葉県において長期間にわたり高等学校の一般教員についてそうした研修を始めたというふうに聞いている次第でございます。このような研修につきましては、各地域の実態ということも非常に重要でございますので、各都道府県が地域の実情に応じて適切にこうしたことに対処していくことを私どもとしては期待している次第でございます。  以上でございます。

狩野勝自由民主党

○狩野委員 私は、初任者研修というものは大変重要だと思うわけでございます。大学を卒業いたしまして、就任早々クラス担任の場合もありましょうし、いきなり学級という一国一城のあるじにもなったりするわけでございますし、どうかひとつこの研修制度を充実させまして、一層の効果が上がりますよう期待いたしたいと思います。  また、体験入社でございますけれども、予算面とか多くの課題があるかと思いますが、これからの教員は、現代のような情報社会にあっては、広い視野に基づいたバランス感覚のある常識人が求められていると思いますので、ぜひ今後ともこれらを検討していただきますよう要望いたしたいと思います。  次に、学校教育における国旗・国歌の取り扱いについて質問をいたします。  これからの国際化の進展を考えるとき、二十一世紀を担う子供たちは、日本国民としての白覚と国を愛する心を持ち、将来、国際社会において信頼され尊敬される日本人として成長していくことが期待されているのであります。そのために、国旗・国歌について正しい理解とこれらを尊重する態度を育てることは極めて重要なことだと私は思っております。先般のたしかあれは第二回アジア冬季競技大会だったでしょうか、国旗や国歌を取り違える、間違えるというようなことは、まことに国の恥でもありますし、相手国としてはこれほど屈辱のことはないわけであります。  財団法人日本青少年研究所による日米の高校生の意識調査によりますと、我が国の高校生は諸外国の国旗・国歌に対して敬意を表する態度が極めて乏しいとの報告がなされております。この調査結果を見ても、学校教育において子供たちに国旗・国歌を尊重する心や態度をしっかり身につけさせることが必要であると考えるのであります。  この意味から、新学習指導要領において入学式や卒業式における国旗・国歌の取り扱いを明確にしたことを私は高く評価をするものでありますが、大臣御自身の豊富な海外での御経験等を照らし合わせまして、国旗と国歌を学校で教える意義についてどのようにお考えでしょうか、大臣の御所見をまずお伺いいたしたいと思います。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 先生御指摘のように、私も約五年間海外生活をしてまいったわけでございますが、国旗・国歌はもちろんでございますが、日本の国というもののありがたさというものを痛切に身にしみて感じておりました。自分が何かのときに帰る国があるということのありがたさというものを痛切に感じておったわけでございます。  ところで、国旗・国歌の問題でございますが、日本が次第に国際化の時代を迎えつつある中にあって、やはり日本の国民全体が相手の国の立場を尊重するという気持ちを国民全体が持つようにしていかなければならないということは当然のことでございます。その中にあって、各国とも国旗・国歌を持っておるわけでございますから、そうした相手国の国旗・国歌に対してこれを大切にする、これに対して敬意を払うという気持ちをやはり国民の中にもっと大きく醸成をしていかなければならぬというふうにふだん考えておるわけでございます。そこから参りまして、やはりそのためには自国の国旗・国歌に対してもこれを大切にするという気持ちをはぐくんでいくことは大変重要なことだ、このように認識をいたしております。  このたび、学習指導要領改訂をされる中でこの取り扱いについて明確化させていただいたわけでございますが、今後ともこうした国旗・国歌を大切にするという心が国民の中に醸成されていきますように私どもとしては願ってやまないところであります。

狩野勝自由民主党

○狩野委員 だんだん時間がありませんから要望いたしますけれども、さきに実施した結果が近日出るやに聞いておりますが、一部には大変実施されたというようにも聞いておりますが、また一方、国旗を会場の正面ではないところに掲揚して実施した、あるいはまた国歌は演奏だけで歌わないで、これも実施したと見たり、中には校長の職務命令に従わない学校もあるやに耳にするわけでございます。ぜひともひとつ、大臣も今おっしゃったように、今後はもっと徹底してより理解させるようひとつ指導していただきたいことを要望いたしたいわけであります。  実は私も、かつて若いときですけれども、総理府から海外派遣で行ったわけでございますが、懇親の会で当然国旗が掲揚され、国歌がともに歌われるわけでございますけれども、そのときに我々の団の中でただ一人実は立たないメンバーがおったわけであります。我々団員は大変恥ずかしい思いをしたのでありますけれども、実はそのメンバーはある県の日教組のメンバーでございまして、なぜそういう日教組のメンバーがこの団員に選ばれたのかなということも実は後で思ったのですけれども、そういう意味で我々団員全員が恥をかいたこともあります。  一部であるかもしれませんが、国旗・国歌を否定したり、例えば国を愛するということは悪だと言わんばかりの教員がいたり、国を愛する心などを学校で口にいたしますとまさに四面楚歌となるような教育環境がまだ一部にあるやにも聞いておりまして、大変残念であります。いずれにいたしましても、今後、国旗・国歌の正しい理解によりまして、世界の中の日本としての資質を子供のころから養うよう、一層の尽力を期待いたしたいと思います。  次に、芸術文化の振興についてお伺いをいたします。  日本も戦後四十五年、世界の驚異と言われるような経済の発展と社会の繁栄を見たわけであります。そして私ども、大臣のように長い間諸外国に行ったわけではございませんし、時たま外国に行くわけですけれども、外に行ってみて感ずることは、日本という国はすばらしい国だな、よい国だなということをいつも痛感するわけであります。これはまさに明治以来の日本の教育の成果であると私は思います。同時に、国民の勤勉性、加えて私は、戦後の自由民主党の政策が大方において誤りがなかったなと思う。まさにその証左であるとも思うのであります。  そして今、人生八十年時代という長寿国となり、国民の多くが精神的、文化的な豊かさを求めるようになってまいりました。特に近年、生活水準の向上、自由時間の増大等の状況を背景として、国民の間には心の豊かさと生活の質の充実を求める声が高まっており、文化に対する志向はこれまでになく強まっていると思うわけであります。一方、国際社会においても、文化の面でも積極的な貢献を求める動きが強まっております。  このような意味から、このたび芸術文化振興基金が創設されたことはまことは時宜を得たものであり、我が国芸術文化の振興にとって画期的なことであります。しかし、いまだ欧米諸国に比べて我が国の芸術文化振興予算は少なく、文化に取り組む体制はまことに不十分と言わざるを得ないわけであります。  こういう意味では、この文教委員会は、ずっと聞いておりますと、与野党ともにバックアップする応援団のようでございますけれども、どうかひとつ、この基金の創設を一つの契機として芸術文化の振興のための施策を飛躍的に拡充していかなければならないと思いますが、文部大臣の決意をひとつお伺いいたしたいと思います。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 日本には長い歴史がございますし、さらにそうした長い歴史からはぐくまれたところの立派な日本の文化がございます。さらに地方地方にそれぞれのローカル色を出した文化が存在をしておると考えております。さらに近年は新しい形の文化がまた栄えつつあります。そういう中で今日、国民の文化に対する関心が非常に高くなってまいりましたのと同時に、国際化社会を迎えまして、我が国もやはり文化面で国際的にいろいろ貢献をしていかなければならないという立場にもなってまいりました。  このために平成二年度の予算におきましては、文化庁予算として対前年度五・六%増の四百三十二億余の予算を計上させていただいておりますが、先生御指摘のとおり、十分であるかと言われれば、まだ十分という状態ではないかもしれません。しかし一生懸命努力をしておるということだけは御了承いただきたいと思います。  そしてまた、さらに先般、国会の御審議をいただきまして芸術文化振興基金を創設させていただくことになりました。与野党一致でいわゆる国立劇場法の改正をしていただきましたことに感謝をいたす次第でございますが、こうした基金の創設を一つの契機といたしまして、これから文化関係の政策の充実に努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。

狩野勝自由民主党

○狩野委員 海部総理は教育、文教の総理大臣とも言われております。保利文部大臣はその一角を占める文部大臣でございますので、どうぞひとつ芸術文化の振興に一層の御尽力を賜りたいと要望いたしたいと思います。  時間がなくなりましたけれども、今文部省が生涯学習に大変な意欲を持っており、今回、各都道府県に生涯学習推進センターを設置するなど、九〇年代の主要な政策として体制づくりが着々と進められていることに私は深く敬意と拍手を送るものであります。  そこで、その一環としての放送大学の充実についてお伺いをいたしたいと思います。  放送大学は、私ども千葉県の国際情報の拠点たらんとする幕張メッセ地域の一角に位置するものでありますが、この放送大学は、テレビ、ラジオの放送メディアを使い広く社会人や家庭婦人等に大学教育の機会を提供するために設置され、昭和六十年四月から学生の受け入れ、授業の開始がなされ、平成元年三月、昨年の三月に初めて卒業生を送り出したわけであります。こうした中で放送大学の信頼が大変高まってきているものと私は受けとめ、考えるわけであります。  そして私は、この放送大学の特色が、いろいろの学生がいらっしゃっているんじゃないかなと思うわけですが、この学生の構成にあらわれていると考えますけれども、その現状はどのようになっているのか、まずお伺いをいたしたいと思います。

横瀬庄次文部省生涯学習局長

○横瀬政府委員 放送大学が生涯学習としての使命を非常に多く担っているということにつきましては御指摘のとおりでございまして、その結果として学生の構成に大きくいろいろな面であらわれております。  その幾つかについて挙げてみますと、放送大学の現時点での在学者数は二万七千七百人程度でございます。まず男女別について見ますと、男子が四九・九%、女子が五〇・一%、ほぼ半々ということでございまして、これは四年制大学一般で申しますと約三対一ぐらいで男子の学生の方が多いという形になっておりますので、女性がかなり多く在学しているということをあらわしていると思います。  それから次に年齢別でございますが、二十歳代、二十九歳以下の学生は全体の約三三%、そして三十歳代、四十歳代がほぼそれぞれ四分の一ずつ二五%程度、そして五十歳以上が一九%ということですから、非常に広く広範な年齢層にわたっているということでございまして、通常の四年制大学ですと二十五歳以下が九八%ぐらいを占めているということで、非常に多様な構成になっているということが一番著しく出ていると思います。  それから三番目に、先ほど御指摘がございました職業別でございますが、これも会社員が約三分の一、主婦が四分の一、公務員が一三%程度というふうに有職者の割合とかあるいは家庭の主婦の割合というものが非常に高くなっているという点も、まさに生涯にわたっていつでも学ぶことができるというような生涯学習体系における、それに適合する放送大学の特色としてあらわれていることだと考えております。

狩野勝自由民主党

○狩野委員 このような、今伺ったような学生の構成から考えますと、放送大学はまさに生涯学習機関としての使命を果たしていると私は考えるわけであります。一方、国民の生涯学習に対するニーズを総理府が昭和六十三年九月に実施した「生涯学習に関する世論調査」で見ますと、「一生を通じていつでも、仕事や日常生活に必要なことを学んだり、スポーツや芸術文化に親しみたいと思う」とする者は七七・六%となっているわけでございます。こうした生涯学習ニーズにこたえるものとして放送大学があると私も考えるわけであります。  ところで、現在、放送大学の放送対象エリアが主として関東地域に限られており、国民の生涯学習の要請にこたえ、その対象地域の拡大が私は求められていると考えますけれども、今後の将来計画はもっと全国的にこれが多く利用されるような、そのような将来計画はどのようになっているのか、文部大臣のお考え、御所見をお伺いいたしたいと思います。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 先生御指摘のとおり、放送大学のいわゆる対象地域を拡大するということは、現在、重要な課題の一つであると私は認識をいたしておるわけであります。また、生涯学習という観点からも、このことは極めて重要な課題であると考えております。  ただし、この拡大に当たりましては考えなければいけないことが二つございまして、一つは放送網をどうやって整備をするか。一つは放送衛星という手段があろうかと思いますが、こうした技術的な検討をしなければならないということ。それからもう一つは、いわゆる面接授業がこの放送大学には必要でございますので、単位認定試験などを実施いたしますいわゆる学習センターをどうやって整備するかという問題等があろうかと思います。こうした検討を加えつつ、この放送エリアの拡大について努力を重ねてまいりたい、このように思っております。  なお、学習センターにおきましては、現在、広島大学におきまして実験的にビデオ学習センターをやっておりますが、これを平成二年度におきましては拡大をしていくという方向で予算を組んでおりますことを申し添えさしていただきます。

狩野勝自由民主党

○狩野委員 時間があと三分になりましたけれども、それぞれ懇切な答弁、大変ありがとうございます。私は、この放送大学はせっかくのこれだけの内容でありますので、ぜひもっと拡大をして全国的なネットワークの中での利用を期待するわけでありますが、今お話しのように、放送網、放送衛星を打ち上げるということ、これは内閣挙げての、また文教委員会だけでは解決できない問題かと思いますけれども、ぜひこの面におきましても、我々もバックアップしますので、そういう計画をお持ちの中でぜひ進めていただきたいと思います。  また、各地の学習センターでございますが、これを拝見しますと、大学等を活用したりしておりますが、これからは児童が減るような小中学校の施設等もあるいは利用できるのかなとも考えますし、いずれにいたしましても、ぜひとも全国的ネットワークとなるよう、そしてこの放送大学が生涯学習センターとしての真の機能が十分果たせますよう尽力を要望いたしまして、時間になりましたので、これで質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

船田元自由民主党

○船田委員長 次に、岩屋毅君。

岩屋毅自由民主党

○岩屋委員 まず冒頭に、日ごろから昼夜を分かたぬ御努力で日本の学術、文化、芸術、スポーツの振興に御努力をいただいております保利文部大臣を初め文部省の皆さん方に深甚なる敬意を表したいと思います。  私は、文部行政の中からとりわけ関心を高く持っております数点につきまして、時間の制約等もございますので、要点を絞って質問をさせていただきたいと思います。何分初めての質問でございますし、きょうは恩師鳩山邦夫先生も御参観をいただいておりますので、いささか緊張いたしておりますが、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  まず、狩野先生から今御質問もございましたが、生涯教育の問題につきまして質問をさせていただきたいと思います。重複部分もございますので大変申しわけありませんが、重複部分は避けて御答弁をいただいて結構でございますので、ひとつよろしくお願いをいたします。  最近、生涯教育の重要性についてはもう論をまたないわけでございまして、国民の皆さん方の間でも十分に生涯教育の必要性についてはコンセンサスが成就をしている、このように考えております。全国各地で生涯教育センター等の施設が設置をされております。我が大分県にも文部省と労働省一緒になっていただきましてニューライフプラザという施設を整備していただいておりますが、これは大変評判がよろしい、すこぶる評判がいいわけでございまして、年々利用者の数もふえてきております。県下におきましては別府市に設置をしていただいておるわけでありますが、別府市のみにとどまらず、県下全域に小規模なものでも結構だから整備をしていただきたい、こういう御要望も出てきておるぐらいでございますが、これらの施設は今後の生涯学習を推進していく上でまさに重要な拠点となるものでございます。  したがいまして、今後は積極的にこういった生涯学習センターという施設を全国展開をしていただきたい、その充実を図っていただきたい、このように考えておりますけれども、この生涯教育センターの整備充実について、まず文部大臣の御所見をお伺いをしたいと思います。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 先生御指摘の大分県別府の生涯学習センター、私もパンフレット等でよく承知をいたしております。現在、こうした生涯学習センターでありますとかあるいは生涯教育センターと称するような施設がたくさんできております。これらの施設では、それぞれの地域におきます生涯学習のいわゆる拠点として重要な役割をそれぞれ果たしておりますが、文部省におきましても、従来からこれらの施設の整備、そこで実施される諸活動に対する助成等を講じてきたところでございます。  本年一月に中央教育審議会、中教審から生涯学習の基盤整備に関する答申というのをちょうだいいたしました。そこの中でも、地域の生涯学習を推進するための中心機関となりますいわゆる生涯学習推進センターを各都道府県に設置するように御提言をいただいております。今後ともこうした御答申の趣旨を体しましてこれらの施設の・一層の整備充実に努めてまいりたい、このように考えております。

岩屋毅自由民主党

○岩屋委員 できればこういった施設の整備は計画的にやっていただけるとありがたい。もちろん実際に施設を設置していただく各都道府県との綿密な打ち合わせがなければ勝手に計画をつくってもなかなか進まない事柄だと思いますが、国民の皆さん方の御要望は大変強いと思いますし、そういう場が設定をされませんと生涯教育の推進といってもなかなか、もちろん文部行政はハードの整備よりもどちらかというとソフトの充実が大切な領域だとは思いますが、この生涯教育の充実についてはそういう場の設定をできるだけ早期に、計画的にやっていただけるとありがたい、こう思いますので、その点を強く要望を申し上げておきたいと思います。  それから、先ほど狩野委員からも既に御質問がございました生涯教育の一環としての放送大学の充実について私も重ねて御質問申し上げたい、こう思います。  放送大学は特殊法人立大学ということで、これは世界でも非常に珍しいというふうに伺っておりますし、各国にもこういう放送を通じての通信教育はあるそうでありますが、独自に放送局を持っておるというのもまた我が国の放送大学の特徴だということも伺っております。私は、この放送大学を通じての通信教育がこれから充実をしてまいりますと、現在までいろいろと問題にされてきておりますいわゆる学歴偏重社会の是正でありますとか、ちょっと言い方はきついですが、レジャーランド化した今の大学のあり方についても警鐘を鳴らしていくことのできる放送大学になってもらえるのではないか、そういうことで大変大きな期待をさせていただいておるわけでございます。  先ほど御説明もございましたように、現在、関東地域におきましてテレビ、ラジオを効果的に利用した大学教育を行っていただいておりますが、社会人や家庭の主婦の皆さんなど、いろいろな方が学んでおられます。私が大変感心をいたしますのは、放送大学の卒業率が大変高い。通常の一般通信教育ですと卒業率が大体三%くらいだ、そう伺っておりますが、放送大学は現在のところでは約六%の卒業率、まあ六%というとちょっと低いような感じもしますが、しかし通信教育の中では極めて高い部類に入るというふうに伺っております。しかもなお、卒業生がまだまだ勉強を続けたいということでさらに再入学をされるというケースも相次いでおるというふうに聞いておりまして、そういった意味でも放送大学の充実について国民の皆さん方の御要望も非常に高いんじゃないか、こういうふうに思うわけです。  放送大学が人々の生涯学習を推進するための機関としての使命を十分に現在も果たしていただいていると思いますし、これからさらにその内容を充実させていただきたいと思います。しかし、先ほどもお話がございましたように、受信ができる地域が東京タワーから電波が届く関東地域に限られているということもございます。山梨ではケーブルテレビで再放送を行っているそうでありますし、長野県の諏訪でもケーブルテレビで再放送を行っているそうでございますが、今後この生涯学習をもっともっと推進をしていく観点からは、これらの地域以外の各地域においても全国的に放送大学を受信できる、学習できる、視聴できるというふうにすることが極めて重要であると思います。  平成二年度からは、受信ができない地域においても視聴ができるように、先ほども御説明がございましたビデオ学習センターの設置予定があると伺っております。このビデオ学習センター、具体的にはどういうものなのかということをもう少し詳しくお聞かせをいただけるとありがたいと思います。

横瀬庄次文部省生涯学習局長

○横瀬政府委員 放送大学は非常にたくさんの放送教材を持っておりまして、それを通常は電波に乗せて、今おっしゃいました関東地域を中心とした放送エリアの電波の届く地域について放送しているわけでございますが、この放送教材は一面でビデオテープ、ビデオソフト化されておりますので、これをさらに放送網が現在届いていないところに使って何かもう少し組織的な教育の受講機会が整備できないかということで考えましたのが、このビデオ学習センターでございます。  ここでは、今申し上げました放送大学の持っておりますビデオテープ、あるいはオーディオテープも一緒でございますが、この教材を活用いたしまして放送大学の正規の単位が取れる程度にまでその機会をふやしていこうということで、それによって現在の放送エリア以外の地域の受講機会を提供しようということでございます。  それで、それと同時にこの学習センターは、当然大学、現在は国立大学を考えておりますけれども、現在の各地域の大学と結んで学習ができる体制をつくっていくというようなことでございますので、これは将来全国的な放送網ができました場合には、それが必要となる学習センターの拠点にもなっていくだろうということで、その二つの面を考えながら各大学と協力関係を結んで徐々にふやしていこう、こういうことでございます。先ほど大臣から申し上げましたように、平成二年度では広島大学ほか三大学におきまして、この十月、この秋から正規の単位が取れるような体制にまで整備をしていきたいということで予算計上をお願いしているところでございます。

岩屋毅自由民主党

○岩屋委員 学習センター、これから人工衛星が打ち上がって全国的に受信ができるというところまでもうちょっと時間があるようでございますから、ぜひ積極的に全国展開をしていっていただきたい。  それから、主に地方にある大学の中に設置をした方が支援体制がとりやすいというお考えだと思うのですけれども、さきに申し上げました生涯学習センターも今後各地にどんどんと整備をされてくるわけでございまして、大学の中に入って大学生と一緒に勉強したいという方もいらっしゃると思いますが、ふだん通いなれた生涯学習センターの中でまた放送大学の勉強もできる、こういう形の方が私はより地域の皆さん方にとって親切ではないかなという感じがするものですから、そういうことも今後あわせお考えをいただけると大変ありがたい。  それから、今後の対象地域の拡大について大臣にお伺いをと思っておったのでありますが、既に先ほどの狩野委員の質問にお答えをいただいておりますので、ひとつ今後より積極的に対象地域の拡大につき御尽力を賜りますように御要望を申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。  次に、我が国が国際社会における責任を十分に果たしていくためには、国際開発援助及び協力をさらに推進をしていくことが極めて重要であると考えます。  その一つとして、従来から青年海外協力隊という組織があるわけでございますが、この一層の充実発展を図ることが極めて大切であると考えております。青年海外協力隊はことしで発足二十五年を迎えるそうであります。この間、赴任した隊員数が一万方人を超え、また、赴任した国も四十5カ国になるとお聞きいたしております。今後、さらにボランティア精神に満ちあふれた青年を募るためにも、志願者が応募しやすい環境を整えることが重要であると思います。  そこでお伺いいたしますが、大学生が在学期間中に青年海外協力隊に参加することは、若い時期に国際的視野を広げ、また、その後職業生活等に体験を生かしていくなどの面を考えても大変有意義なことであると思います。  私も、実はきょうお見えの鳩山先生の書生をいたしておりましたときに、全国大学生難民キャンプ奉仕の船という使節団がございまして、タイの奥地のバンビナイという難民キャンプに約一カ月ほど奉仕活動に行ってまいりました。それまで外国というと先進国のことしか頭に浮かばなかった私にとっては、その難民キャンプの体験というのは大変有意義で貴重な体験でございまして、大げさに言うならば、その後の私の人生観を大きく変えたと言っても過言ではありません。そういった意味で、大学在学中の学生さんがそういった奉仕活動にどんどん出ていけるような、行きやすいような環境づくりをぜひしていただきたいな、こう思っておるわけであります。  現在、大学在学中に青年海外協力隊に参加している学生さんはどのくらいいらっしゃるでしょうか、教えていただきたいと思います。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 平成元年、昨年の九月一日現在で、大学の学部または大学院の院生として在学中に青年海外協力隊に参加している者は、大学院の院生を中心にいたしまして約五十名でございます。いずれも大学側から休学の許可をとって参加しているものでございます。

岩屋毅自由民主党

○岩屋委員 これを多いと解釈すべきかどうかちょっとわかりませんけれども、大学生がもっと行きやすくするためには、例えば休学制度のさらなる活用、それから青年海外協力隊への活動を大学の単位として読みかえることができないかどうか、そういう方策も考えていったらいいのではないかと思うのですが、その辺はいかがでございましょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 青年海外協力隊に参加してその活動を大学の単位として認定することにつきましては、大学の単位として認定する場合には、各大学の教育課程の一環に位置づける必要があるということ。それから二つ目は、協力隊の業務の実態が非常にさまざまである。例えばこれは極端な例でございますが、工学部在学の学生がたまたま体操の選手として日本のかなりトップレベルの生徒でありますので、青年海外協力隊の活動としては体操を教えておるというようなこともございまして、そういう意味で業務の実態が種々さまざまであるというようなこと。それから、二年以上という長期にわたるものでありますので、さらに海外であるということで、大学として責任を持った指導体制をつくる、教授が時々のぞくというようなことがなかなかとりにくい、整えにくいということがございまして、それを大学の単位として認定することは極めて難しいのではないかというふうに私ども考えております。  ただ、先ほど先生御指摘のボランティア精神にのっとって青年が海外協力隊に参加するということは、国際協力の観点あるいは国際視野を広げるという意味でも大変意味のあることでありますので、青年海外協力隊への参加を学生に呼びかけるというようなことあるいは促進するために、例えば青年海外協力隊のPRや隊員募集等に関するポスターを学内に掲示するなど、青年海外協力隊の広報活動について大学側に要請をいたしまして協力することも可能であろうと考えますし、それから、大学のその期間を休学として取り扱うことにつきましても、各種の機会をとらえまして円滑に休学が許可されるよう配慮するよう大学側に指導してまいりたいというふうに考えているところでございます。

岩屋毅自由民主党

○岩屋委員 確かに、単位の読みかえ、単位の認定ということはいろいろなケースがございますから一律には難しいとは思いますけれども、大学生がもっと参加をしやすくなる、海外へ出やすくなるという環境づくりのためには、もう少し文部省としても前向きに積極的な対応をぜひ御協力、御考慮をいただきたいということを強く御要望申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。  時間がありませんので、質問項目も幾つか用意したのでございますが、最後に、長野冬季オリンピックの問題について質問をさせていただきたいと思います。  オリンピック競技大会を自国で開催をする、我が国で開催をするということは、諸外国との国際親善や我が国のスポーツの振興に大きな意義を有するものだというふうに私は考えておりますけれども、そのオリンピック競技大会を招致をする、誘致をすることについての効果、それを一般論で結構なんですが、長野オリンピックにとらわれずに、オリンピック大会を招致をするということの効果についてどのようにお考えなのか、まずその点をお伺いをしたいと思います。

前畑安宏文部省体育局長

○前畑政府委員 今日、国際社会において重要な役割を果たしております我が国にとって、国際交流を通じて世界平和に寄与していくことの必要性はますます高まっております。昭和四十七年に札幌でオリンピックの冬季競技大会が開催されたわけでございますが、この際、二十六年ぶりに我が国でオリンピックを開催することができますれば、国際理解と国際親善を深めるとともに、我が国のスポーッの振興を図る上で大変絶好の機会となるものでありまして、極めて意義深いものがある、このように考えております。

岩屋毅自由民主党

○岩屋委員 おっしゃるとおりだと私も思うわけです。  そこで、平成十年、一九九八年に開催をされます第十八回オリンピック冬季競技大会の開催都市として、我が国の長野県長野市が立候補をしておるわけでございます。これは来年六月に投票の期日が迫ってきておるということでございまして、政府としてもこれを支援をしていただいているものと思います。平成元年六月六日に、第十八回オリンピック冬季競技大会の長野招致についての閣議了解というのをしていただいておりますし、それに基づきまして、長野冬季オリンピック招致委員会というものをおつくりをいただいております。最高顧問は海部内閣総理大臣並びに衆参両院議長、顧問として保利文部大臣もお名前を連ねていらっしゃるわけでございまして、政府としても一生懸命御支援をいただいている、こういうふうに思うわけであります。  この長野冬季オリンピックの招致活動の現状について、今一体どのようになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

前畑安宏文部省体育局長

○前畑政府委員 今先生御指摘になりましたように、長野市が立候補するにつきましては、まず国内のオリンピック委員会がこれを承認をし、そして開催都市の属する国の政府がこれを了承するという手続が必要でございますので、御指摘ございましたように、必要な閣議了解を行ったところであり、また、これも御質問の中にございましたように、従来は地元の長野県及び長野市だけでつくっておりました招致委員会を改組いたしまして、新たにいわば中央レベルの招致委員会を発足させ、招致体制を整備いたしますとともに、本年二月には、正式に立候補届けをIOC本部に提出をいたしまして、以来、鋭意招致活動を進めていると承知しております。  具体的には、昨年十月に、ブダペストで国際競技連盟総連合会総会というのが開催されました。また、昨年十二月には、ローザンヌでIOCの理事会が開催されましたが、このような会議の機会、また本年三月、札幌で開催されました冬季アジア競技大会等の国際競技大会には、IOCの委員等いろいろな関係者が参りますので、その関係者等と積極的に接触を図るなど、広くPR活動及び情報収集活動を行っておるところであります。既にIOC委員全員と接触を終わり、同委員のうち十二名については長野市に招待をいたしたというふうに承知をいたしておるところでございます。

岩屋毅自由民主党

○岩屋委員 そこで、御案内のとおり、ちょっと心配な事柄が最近持ち上がってまいりました。  最近の報道におきまして、堤義明氏がJOC会長を辞任することが伝えられたわけでございます。このことは、サマランチ会長を初め、IOC関係者に大きな驚きを与えているようでございまして、幾つかの新聞報道があるわけでございますが、四月十九日付の産経新聞によりますと、サマランチ会長は、この堤さんの辞任を知って「非常に残念だ。もう一度繰り返すが、失望した」、こういうことをおっしゃったということでございまして、これがオリンピックの長野誘致にマイナス影響を大きく与えるのじゃないかということが心配をされているわけでございます。  堤氏の辞任が招致活動にマイナス影響を与えるのじゃないかという心配があるわけでございますが、その点について大臣、いかがでしょうか。どのようにお考えでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。

前畑安宏文部省体育局長

○前畑政府委員 御指摘のように、日本オリンピック委員会の堤義明会長が辞意を明らかにされたということは承知をいたしておりますが、まだ辞表を提出されたということは聞いておりません。五月九日に開催されます日本オリンピック委員会の評議員会、理事会でこのことが協議をされるというふうに承っておりますので、この時点で、仮に堤議明会長が辞任された場合にどういうふうな影響があるかというふうなことについては、私どもとしては論評を差し控えたいと思っております。  いずれにいたしましても、招致活動は、長野県吉村知事を会長といたします招致委員会が中心となりまして、そして冬季競技大会の開催種目になっております各競技団体、そしてそれを取りまとめます日本オリンピック委員会がこれを支援をしながら進める、いわば組織としての活動でございます。長野県の知事さんの方でも、仮にそういう事態があっても、組織として関係者の一層の緊密な連携を図っていくというふうなことを表明されておるところでございます。  私どもといたしましても、仮に会長が交代するというような事態が起こりましても、それぞれの組織が組織体として一層緊密に連携を図り、努力を傾注していくことを期待しておるところでございます。

岩屋毅自由民主党

○岩屋委員 ぜひそうあっていただきたいと思うのです。立候補地であります長野県も長野市も、もう長い時間をかけて御努力をいただいてきておりますし、ここへ来てこういう問題も持ち上がってきたわけでありますけれども、ぜひひとつこの冬季オリンピック招致が成功するように、文部省としても今後より一層の御努力をいただきたいと思うのです。  どうも、東京でもやっちゃった、札幌でもやっちゃった、だから今度三回目というのはどうだろうか、いわゆる表現としては適当かどうかわかりませんが、国威発揚という面から考えても、従来までのような効果もないのじゃなかろうかとか、いろいろな議論もあるように伺っておりますけれども、ひとつ久方ぶりの自国でのオリンピック開催ということになるわけでございまして、それを期待をされておられる国民の皆さん方もたくさんいらっしゃると思いますので、ぜひ引き続いての御努力をいただきたいと思うのでございますが、長野冬季オリンピックの今後の招致活動についてどのようにお考えか、大臣の御所見を伺いたいと思います。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 先生から御指摘のとおり、招致委員会を設けまして、そしてこれを積極的に招致をしていこうということを政府としても取り組んでおるわけでございます。明年のバーミンガムで行われますIOC総会へ向けまして、この招致が成功するように政府としても一生懸命に努力をしてまいりたいと思っております。  なお、堤会長の辞意を漏らされたという件でございますが、まだ正式に辞意をされていないこの段階で私からコメントをすることは差し控えたいと思いますけれども、いろいろなお立場から応援、支援をしてくださるものと私は期待をいたしております。

岩屋毅自由民主党

○岩屋委員 この大会につきましては、海外に大変有力な立候補都市も出てきておるというふうに伺っておりますが、我が国を代表してといいますか、長野が立候補していただいた以上は、これはもうぜひとも招致を成功させていただきたい、勝っていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  単純にこういう話をするのはどうかなと思いますが、大体そういう国際舞台における我が国のネゴシエーションの弱さということは、いろいろな局面で指摘をされておるわけでございますから、ひとつ立候補した以上は、長野にぜひかち取っていただきたい。そのために文部省としても、より一層御支援、御後援を賜りますように強く要望申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

船田元自由民主党

○船田委員長 次に、土肥隆一君。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 先ほど自民党の皆さんは生涯教育ということでございましたが、私は、障害児教育を中心にして質問させていただきたいと思います。これは、障害児、障害者の問題でありますから、論争というよりはひとつみんなで心を開いて、この障害を持ってしまった子供あるいはその子供を支えている両親の気持ちをしんしゃくしながら議論したいものだ、こういうふうに思っております。  まず最初に、文部大臣、大変心願優しい大臣だったことを私は感謝するわけでありますが、文教委員会あるいは学校教育、教育問題というのはやはり心優しい配慮が必要じゃないか、優しい気持ちで教育行政というものを行わなきゃならないのではないか。そういう意味では、学校の中に無用な争いあるいは対立するような状況というものをなるべくつくらないで、子供中心に、子供の心を大切にしながら教育現場というものが維持されていくべきだというふうに思います。ここの場ではそういう文教委員会であってほしいと思うわけであります。  さて、この障害児問題、障害者問題あるいは障害児教育の問題については、いつも対象者である子供の身になって物を考えるということが大切であろうと思います。子供が悪いのでもなく、産んだ親が悪いのでもございません。たまたまそういう子供が生まれてしまうということであります。そうであるならば、だれが悪い、だれを責めるというのではなくて、みんなで、そして社会がそういう子供たち、その両親を支えていく、これが国の仕事だというふうに思うわけであります。  私は長年、福祉をやってまいりましたけれども、福祉の現場でよく言われることですが、これだけ豊かになったのだから福祉行政も見直したらいい、そういう意味では教育行政も見直したらいい、そして民間活力だとか民間の資金導入などを考えていくわけでありますけれども、福祉をやっておりますと、例えば障害児、障害者のお世話をしておりますと、そこで自分の子供が温かく扱われる、安心して扱われることによって親は元気になるわけです。そして親はますます、その子供のためだけでなく社会のために貢献しよう、こう考えるわけです。これを社会福祉では、社会福祉の再生産論というふうに呼ぶわけであります。  まず大臣にお聞きしたいのでありますが、先ほど私が申しましたように、この障害児問題、障害者問題を考えるときに、優しさ、そして学校現場に無用な対立を持ち込まないで何とか子供を中心にして考えるような行政を私は願っておりますが、大臣の障害児教育あるいは障害者問題に関する御感想を述べていただければありがたいと思います。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 先生が長年にわたりまして福祉の面で大変御努力をいただいておりますことを承知いたしております。また、宗教者としての立場からいろいろな心の問題等についても御指導をいただいておるということに対して、心から敬意を表したいと思います。  心優しい教育というお話をされました。大変御立派なお話だと思いますし、私自身もそのことは非常に大事な要素であって、教育において心の優しさというものは欠くべからざるものだというふうに感じております。ただ、一言つけ加えさせていただきますならば、教育課程におきましては、心優しさを持ちつつも、同時に、ある面で厳しさというものも必要であるような気がいたしております。そういった両面から教育をすることによって子供たちが立派な社会人として成長していくようにするということが教育の一つの目的であろうかと思っております。  障害関係の教育でございますが、生まれながらにしていろいろとハンディキャップをお持ちの方方に対しては、社会全体が先生御指摘のような心の優しい気持ちで、そしてまた奉仕する精神で、そういう方々に対して社会人として暮らせていくように援助をしてさしあげる、あるいは教育をしてさしあげるということは大変重要なことだと私も認識いたしておるところであります。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 さて、障害児教育の問題について、少し細部にわたってお尋ねしたいと思うのであります。  教育改革に関する第三次答申が出まして、この答申を読んでおりますと、特に第二章第四節(1)の「障害者教育の充実」というところで、本文を読みますと、前文は大変結構な、私も大いに賛同する内容になっております。例えば「障害者が、家庭や地域社会から孤立しないで、」と書いてあります。ところが、「孤立しないで、」と言いながら、「障害の種類と程度に応じた適切な教育」、ここも認めましょう。まず、その「障害者が、家庭や地域社会から孤立しない」ということがこの「障害者教育の充実」の第一行目に出てきておるわけであります。  しかし、現状として、日本の文部省行政の中には、障害者諸学校、それから障害児教室と二つございまして、そして、その「家庭や地域社会から孤立しない」ということを言いながら実は障害者をずっと細分化していく、なるほど障害の重度傾向やいろいろな微妙な違いが出てきて障害者というのは一人一人特殊性を持っておるわけでありますからそれを細分化していく、そしてその適切な就学を確保するということになるわけでありますけれども、この「生徒の発達や障害の種類の状況」にと、こういうふうになりますが、障害者教育が根本的には障害児や「障害者が、家庭や地域社会から孤立しない」と言いながら、実は細分化されていくという現状があるわけであります。そして最近では、この臨教審答申の中にも出てまいりますけれども、通級学級というのができてまいります。特殊学級の中に通級制を入れようというわけです。  そうすると、この通級制についてお聞きしたいのでありますが、もう既に何校か実施されておるようでありますけれども、「障害者が、家庭や地域から孤立しないで、」と言いながら実は自分の住む地域の学校に行けなくなってきて、あるいは障害児学級に通っていてもそこからまた通級というふうに引っ張り出していくというふうな状況が一つあるわけです。  そこで、この通級学級というのは、通級制の特殊学級と申しますか、そういうものについての文部省が目指しておられる目的なり構想をお聞かせいただきたいと思います。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 御指摘のように、臨教審答申では「障害者が、家庭や地域社会から孤立しないで、」ということを指摘しておりますが、同時に「障害の種類と程度に応じた適切な教育が受けられる」必要があるということを指摘しているわけでございます。  私どもは、障害を持ちます子供たちのその心身の障害の状態や発達段階、特性などに応じましてよりよい環境を整えてやる、そしてその可能性を最大限に伸ばして、できる限り積極的に社会に参加する人間を育てたい、そのための特別な配慮のもとに適切な教育を行う必要があると考えているわけでございます。  そこで、今先生の御指摘になりましたように、障害を持つ子供たちに対しましては、特殊教育諸学校、盲・聾・養護学校と同時に特殊学級を設けて、その程度に応じて適切な教育を行っているわけでございます。  ただ、最後に御質問になりました通級学級でございますが、これは障害の程度が軽くて、普通の学級で、いわゆる普通の小中学校で教育を受けている中で、特に、例えば現在は言語障害とか、難聴弱視等の子供に対しまして、ある一定時間だけ特殊学級、いわゆる通級学級に通いまして、そこで特別な配慮に基づく教育を受けるということを行っております。  現在、全国の公立小中学校で二万一千余の特殊学級が設置されておりまして、八万五千人余の児童生徒が在籍しておりますが、そのほかにも約一万二千人ほどの子供が特殊学級において指導を受けております。そして、これらの子供たちがいわゆる通級学級に通っているというふうに考えているところでございます。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 通級学級というのは、要するに普通学級にいる子がその障害の程度に応じて今ある特殊学級に通級するという意味でございますか。そういうふうに考えていいのでございましょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 そのとおりでございます。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 わかりました。  今ある特殊学級に通級する、そうしますと、その障害の種類とか程度というのは、普通学級にいる子が障害児学級に通級する場合の判定、あるいはそこに通級したらどうですかというふうな指導はどなたがなさるのでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 特殊学級に入級させる場合には、具体的な判断に当たりましては、児童生徒が在籍する学校の長が決定をするわけでございますが、その場合には、各市町村等に置かれております就学指導委員会等の意見も踏まえまして、教育的、医学的、心理学的な観点から総合的に判断をしているわけでございます。また、その際には当然保護者の御理解を得ることが大事でございますので、保護者からも十分意見を聞きまして、そして適当かどうかということを判定しているのでございます。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 それでは、例えば普通学級にもう障害者が入っている、そしてそのときに、途中でやはりこの子は通級相当だというふうな状況が生じてくる、そういう判断がどこかで生まれてくる、そのときには学校ではどういうふうに取り扱われるのでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 普通学級に通っておりまして、その子供たちに通級学級に通った方がいい教育ができるということの判定は、ただいま申しましたように、特殊学級の入級の際に決めますような手順を踏んで学校長が決めていくということになります。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 わかりました。  さて、そういう障害児を持った親たちがいつも悩む問題がございます。それは、親の意見というものが十分間かれていないのじゃないかということを私は感じるわけです。  そして、新一年生になるときの進路指導あるいは知能テスト等があって決められていくわけですけれども、途中でも、やはり学級ですごく足手まといになるというふうな言い方をされて、担任の先生の顔色をうかがう、あるいは校長先生の意見も聞かなければならない、そういう一種の振り分けの恐怖を毎年新学期に受けなければならないような子もいる。そして、ある先生は非常に熱心であって受け入れてくださったけれども今度の先生はだめだとか、あるいは校長先生が非常に形式的な論理であなたは特殊学級に行きなさいというふうな言い方をされて、そういう話し合いのルールとか細かな配慮というものがそれぞれの子供あるいは親と十分に行われていないのじゃないかなというふうに思うのですが、その辺の指導とか、あるいは何かマニュアルみたいなものはございませんでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 ハンディキャップを持ちます子供たちがどういう教育を受けるか、ないしはハンディキャップまでにはいかないけれどもいろいろ学習に障害のある子供たちがどのような教育を受けたら最も適切であるかということは、やはり学校におきまして十分検討されまして、それと同時に、先生が御指摘になりますように、とにかく父母の意見というものを十分しんしゃくしてやるということは大事でございますので、一方的に決めるということなどのないように、保護者の理解を十分得て行うべきことであるというふうに私どもも考えておりますし、そのような指導を日ごろしているところでございます。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 その指導、相談あるいは話し合いというふうなことがなされて、そして決定がなされる。そのときに何かそういう決定通知書あるいは指導した結果の文書みたいなものは残されているのでしょうか。それはもう単に日常的な業務の中で記録あるいは指導指針とかそういうものを書き残すことなく行われているのでしょうか。その実態をちょっとお聞きしたいと思うのです。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 特殊学級に入る場合には特に文書は出しておりません。ただ、それは市町村の教育委員会の内部の文書、ないしは入りましたときには学校にあります指導要録等には記入されることになろうと思います。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 それは親も見ることができる文書なのでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 それは外部には公表しておりません。親にも見せてはいないわけでございます。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 そうしますと、例えば精薄児の判定が更生相談所でございますが、この文書は判定書の秘密事項に属すると思いますが、親には了承を得ていると思うのですが、学校現場ではそういう文書は親には見せないということでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 就学指導委員会の内部の判定の資料は、通常、外には公開してないというふうに聞いております。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 私は、今後の学校教育というのはなるべく公開性を持っていただきたいというふうに思うのであります。  というのは、親はやはり弱い立場にあるといいましょうか、不利な立場にあると言っていいと恐うのですね。なぜかといいますと、やはり預ける、預かってほしい、特に軽い子供の場合は障害児学級ではなくて普通学級に入れてほしいというふうな願いを持っているわけでありますから、当然十分な話し合いがなされているとは思いますが、そういう判定の結果だとか、こういう考えでこういう処置をしましたというふうなことについても公開をなさる予定はございませんでしょうか、お聞きします。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 就学指導委員会等で決定になりますプロセスにおきましては、一方的に決めるのではなくて父母の意見等も十分聞くということは、先ほど申し上げたとおりでございます。その限りにおきまして、いろいろ検査のデータないしは医師の判定というようなものは親も知る機会があるわけでございますが、ただ、就学指導委員会の内部の文書として作成されましたものにつきまして、これを親にアクセス権を認めるかどうかということは慎重に検討しなければならない課題であるというふうに考えております。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 私が申し上げたいのは、何も殊さら無理なことを申し上げているのではなくて、親の気持ちを十分考えて、そしてそういう障害児を持ったからといって、学校に子供を通わせることで特別な悩みや配慮やあるいは気遣いをさせないでも、堂々と子供を学校にやる、そしてそのことについては学校あるいは教育関係者も堂々と受け入れるというふうな、障害児を持った親たちがもっと自由にされるというふうな、そういう状況を生み出してほしいということを申し上げているわけでございます。  ですから、そういう意味ではなるべくその親が納得する道を開いていただきたい。そのときに、やはり指導する側、受け入れる側の力が強うございますから、ある意味で文書のそういうような公開もある場合には必要じゃないか。一種の行政指導みたいなもので押し込められてしまうというふうな状況をなるべく回避していただきたいと思うのですが、御感想でいいですから、局長の御意見を伺いたいと思います。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 先ほど来御指摘になっておりますように、障害を持つ子供たちの教育につきましては、当然これは父母の理解を得て行うということが非常に大事であるということはそのとおりであろうと思います。したがいまして、その決定に至りますプロセスにおきまして、親の意見も聞くと同時に当局側の就学指導委員会におきます側のいろいろな情報とかデータにつきましても親に提示をしていくというようなことは必要であろうと思います。  ただ、就学指導委員会で作成します内部の文書につきまして、これを全面的に親にアクセス権を認めるかどうかということにつきましては、繰り返しになりますが、やはり慎重に検討すべき今後の課題であろうというふうに考えております。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 さて、今局長も特殊教育における生徒の数等を申されましたけれども、学齢児童生徒数の約一%、十三万七千七百九十九人と出ておりますが、一%の障害児が今学校ないしは諸学校に通学しているわけでございます。  きょう私が特別にまた問題提起として申し上げたいのは、実は最近、この十年くらいですが、教育界でも非常に問題になっております、日本語で訳しますと学習障害児、また障害という言葉が出るので、アメリカなんかが言っておりますラーニング・ディスアビリティーズといいまして、学習にやや技術力を欠くと申しましょうか、いわば学習障害なんですけれども、それでこの親たちあるいは教育研究者たちはLD児というふうに呼んでおります。ラーニング・ディスアビリティーズというわけです。  このLD児というのは、今までは全く教育現場で意識されてこなかった子供たちの一群であります。今LD児というふうに言っておりますけれども、従来はむしろ落ちこぼれっ子というふうに言われていた子供たちであります。  そして、落ちこぼれというのは大体二つに大別されるそうでありまして、一つは学業不振児、もう一つは学業遅進児。・学業が不振というのと遅進というのは違うのだそうでありまして、不振というのは、家庭的な問題やさまざまあって勉強を怠ける、もともと知能は十分あるのに勉強を怠けてできない。怠けて勉強ができないという子もいるかもしれません。いると思います。ある先生に言わせれば、教室の八割は学習不振児だ、こういうふうに言っておりました。  しかし、どう考えても学校の中でちょっと知能がおくれているな、あるいは非常にのろまで、関西で言うと鈍くさいというふうに言うのですが、そして運動能力が非常に落ちている子がいます。じゃ、運動能力が全部落ちているかというと、例えば自転車の一輪車なんかを非常に見事に乗りこなすというような子もおるわけであります。そして、いろいろアメリカなんかの研究が進んでおりますが、出産時あるいは幼児期における難産とか病気とかの障害で微細な脳障害がある子供が多い。そして、医学的な脳神経科的な診断をいたしましてもはっきり出てこない子もいるわけでありますが、脳波等に若干のぶれがあるというような子供がかなりいるのではないかということが言われております。  私は三人のお子さんにお会いいたしまして、話を聞いてまいりました。ちょっと長くなりますが、三人のお子さんの一人は八歳の男の子です。家庭ではほとんど問題はない。私の横に座りまして、そして一緒にお茶を飲んでケーキを食べたのです。そして、自分はさっと食べて、私のも欲しいというふうに言っているわけです。そうすると、お母さんがあなたは一つでいいんですと言って教えているというようなぐあいで、そういう情景というのはどこの子供にも、八歳ぐらいの子供だったらあるわけですけれども。そして、二、三歳のころ、どうも動作がおかしいなということをこのお母さんは気づいておりまして、いろいろな病院を訪ね、あるいはそういう問題児のクリニックをやっていらっしゃる先生を訪ねまして、五歳のときに、やはりお医者さんにこの子については苦労をしますよという診断を受けて、微細な脳機能障害があるというふうに判定されたそうであります。  確かにこの方は難産でございました。三番目のお子さんで、帝王切開を望まれたのですけれども、自然分娩で大丈夫だというふうにお医者さんが言ったためにかなり無理して生まれて、誕生後はすぐに保育器に入れられたということでございます。その子は私にいろいろな字を書いて見せてくれまして、きれいに文字は書けるのです。それから算数でも計算は非常に上手にできます。ところがちょっと応用問題で、五引く二というときに、鳥が五羽電線にとまっていました、二羽逃げていきました、あと何羽残るでしょうというと、五引く二は三、こうやればいいわけですけれども、それができないわけです。  もう一人のお子さんは中学三年生の女の子ですけれども、五歳のときに保育所で保育所の先生にちょっとおかしいのではないですかと言われて、よく聞いてみると、例えば一、二、三、四と物が教えられないということがわかった。どうも服の着方かいつもおかしいと思っていたら、表と裏がわからない。この子もやはり微細な脳障害があるというふうに言われた。  それからもう一人は十九歳の男のお子さんですけれども、この人はようやっと中学校を卒業して高校に入ったのですが、とてもついていけない。それでもう一度通信教育で今頑張っているのだけれども、その通信教育だけを教えてくれる家庭教師に頼んで勉強をさせている。しかし、恐らく卒業できないでしょう、こういうふうに言っております。  こういうお子さんを実はLD児と申します。通常は普通の学級に入っているわけです。普通の学級に入って、そして大抵はやはりのろまで、学習能力が低いために落ちこぼれて、その落ちこぼれたということをその子は自分で意識するわけですね。自分は外された、自分は落ちこぼれたんだということを知っているわけです。自分はできない子だということも知っているわけです。しかし、できないという子がおるわけであります。  これはアメリカでは既に一九七〇年にLD児教育法という法律ができておりまして、国会図書館に問い合わせましたら翻訳ももう出ているという話でございます。そして、LD児研究が大変進んでおりまして、このLD児というのはアメリカでは就学年齢児の大体四%、日本では二ないし三%というふうに言われております。そうしますと、例えば今学齢児童数が千五百万人いる、そうすると二%にいたしましても三十万人の子供が実はいるわけであります。  そうなりますと、今特殊学級あるいは諸学校に行っている子が十三万七千人ですか、これの倍以上の子供が実はボーダーラインといいましょうか、普通学級にいながら特殊学級に行かなければならないような状況にある子。そして、中学は何とか卒業させてもらっても高校なんかにはとっくに行けっこないような能力の子供たちがかなりいるということがわかってまいりまして、そして、先ほど言いましたようにアメリカは既にLD児を障害者教育法というものに定めまして、LD児の定義をきちっといたしまして、そして無償で適切な公教育が行われるべきであるというふうにうたわれておるわけであります。  そうなりますと、アメリカもやはり一%かそのくらいが障害児の発生率だとすれば、四、五倍の勢いでこのLD児がいる、こういう状況が、今日本の中でも大分明らかになってまいりました。そうすると、今までは落ちこぼれで、落ちこぼれっ子だ、できない子だ、そしてある意味ではその子たちが、のろまですから、いじめの対象になる。そして学校嫌いになって登校拒否になる。そして、疎外されたということをよく知っていますから、結局はその子がある意味で非行に走ったりすることもないとも限らない。そういうふうな状況があるわけです。  今、文部省で、このLD児についてどの程度認識しておられるか、どういう研究や調査が行われているか、まずお聞きしたいと思います。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 今御指摘のありましたLD児、ラーニング・ディスアビリティーズの子供に関しましては、我が国で問題になったのは、先生御案内のようにごく最近でございまして、昨年あたりからいろいろセミナーが開かれたり、シンポジウムがあったり、新聞にもこれが出てきたりしている段階でございます。  私どもといたしましては、そういう、アメリカ等におきまして特にこの学習障害児を特殊教育の対象として特別な指導をしている、今御指摘のありましたようにその子供たちは四%というようなかなり大きな数字になっている、最近では精神薄弱児の四倍もの数をその対象にして特別な教育をしているというようなことはいろいろ聞いておりますし、若干の論文等も拝見しております。ただ、この問題につきましては、先ほど申し上げましたようにごく最近日本で話題になっていることでございますので、私どもとしてはこれからの研究課題だというふうに考えているところでございます。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 これからの課題だということで、大いに課題にしていただきたいわけでありますが、しかし私がお会いしました三人の方は、かなり自覚的に自分の子供をLD児だということを認識しまして、そして現実に子供がおるわけでありまして、その子供はどんどん成長していくわけであります。小さいときには上級生にいじめられ、まあ一、二年生くらいはうまくいくというのですね。三、四年生くらいになると今度は同級生あたりにいじめられる。それから、教育熱心な校区なんかにおりますと、学校の先生がそのLD児に特別な目をかけたりいたしますと授業がおくれるとかいうふうな批判が親同士で出てくる。  そうすると、他の親が冷たい目でその子の母や父親を見る。親は大変焦っておりまして、何とかこの子をできるようにしたい、少しでもついていけるようにして、せめて高等学校までくらい行かせたい、こう思うわけです。日常的には全く変わりはありませんから、言ってみれば、重度の障害者であればそれなりに教育ができるでしょうれども、普通は一般教育、普通教育を受けておりて普通学級に入っているわけでありますから、普通学級でも疎外される。  そうであるならば、特殊学級に入れたらどうかとなりますと、特殊学級では何でもみんなよりもはるかにうまくできるわけでありますから浮き上がってしまう。そうなりますと、どこに行ってもおり場がないというふうな状態が生まれるわけですね。しかも何とかこの子に能力をつけようということで親も一生懸命になり過ぎて、いわば過度にこの子供に教育的な態度をとってしまう。親も苦しんでいる。その昔しみの中から、どうしたらいいかということを本当に真剣に考えているわけです。  私は、こういうお子さんたちの、綿密な統計や調査ができていないようでありますが、まずは文部省で何とかこのLD児の研究班をつくりていただきまして、まず調査から始めてもらう、なるべく急いで調査を始めてもらうというふうなお約束はいただけないものでありましょうか、お聞きいたします。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 平成二年度の予算案におきまして通級学級問題に関する調査研究をする予算を計上しているわけでございますが、これは主としまして、一番冒頭に御質問がございました通級学級全般についての調査研究でございますけれども、その中で今先生御指摘になりましたLD児につきましても関連して取り上げていきたいなというふうに考えております。  それから、私どもの方には国立の特殊教育研究所もございますので、そういう中ででもこれからの課題としてこの問題を受けとめていきたいと考えているところでございます。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 今局長が通級学級という問題に関する調査研究についてお述べになりました。大変うれしく思います。したがいまして、ここでは特殊学級という考えしかありませんが、今おっしゃいましたように、LD児の問題についてきちっと調査研究をしていただきたいということをもう一遍念を押しておきたいと思います。  したがって、これでは六百万円しか予算がついておりませんが、ぜひともLD児の問題を調査研究していただくと同時に、LD児の通級ということになりますと、通常はほとんど普通学級におるわけでありまして、したがって普通学級の子なんですね。そこから通級というような形で抜きますと、日本の学校というのは非常に不思議なもので、何か一つ学級が決まりますとその子はずっとそこにいなければならないというふうに子供も思っていますし、教師も思っている、親も思っているというところがありまして、群れの社会といいましょうか、ちょっとでも抜けると、あの子はどこか悪いんじゃないかとか特別な子じゃないかとかいうふうに子供も判断する、本人も気にするというところがあって、例えば特殊学級に通級するということもありていいと僕は思うのですけれども、できますならばLD児学級がもう一つ通級の中にある、LD児の通級学級というようなことは考えられないかどうか、いかがでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 LD児と考えられる子供は、現在も特殊学級にもおりましょうが、大部分は普通学級にいると思うわけでございます。これまでも学習のおくれがちな子、ないしはスローラーナーに対します指導上の配慮というのはそれぞれの学級で担任の教師が配慮をしていくということにしておりまして、特に今回の新しい学習指導要領では子供たち一人一人の個に応じた指導ということを特に強調しているところでございます。したがいまして、通常の学級にいる子供たちの中でそれに該当するような子供たちに対しましては、その学習面、生活指導面で十分な配慮をしていくということがまず大事だと思います。  それからもう一つ先に進みまして、例えばアメリカでやっておりますようなリソースルームに通わせるというようなことも考えられるわけで、その意味で、先ほど来申し上げておりますように、通級学級の中にそうしたものも考えられるのではないだろうか、これは今後の課題である。ですから、私どもで予定しております通級学級全般の中の一つとしてこの問題も取り上げていきたいと考えているわけでございますが、どのような形態でそれを行ったらいいかということはこれから十分研究させていただきたい、このように考えております。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 今のリソースルーム、それが通級のLD児学級みたいになると思うのですが、必ずしも抜かないでもそういうLD児というのは、つまり通級させないでも、通級担当の先生がその教室に入っていきまして、LD児の横に座りましてLD児の学習形態、学習している様子を見て、そしてあるいはそこで少しずつ援助しながら、そういうクラスの中でも見られる子供だと思うのです。  何も引っ張り出さなくても大丈夫だという子もいる。あるいはリソースルームみたいなところで通級するのも結構かと思いますが、そういう障害児学級あるいは普通学級、そして通級というようなときに、何か教室の中が非常に固定化されて、このクラスには二人の先生は入れないとか、あるいはそういう子供はよその教室に行ってやればいいとかいうのではなくて、もっと自由な柔軟性に富んだそういう通級、それから特殊学級、そして普通学級というような交流をしてもらうような、自由な運用をしてもらうようなことは今は行われているのでしょうかどうか、まずそれからお聞きしましょう。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 通級学級につきましては、今限られた形で実施しております。そしてその実施につきましては、各学校におきましていろいろ工夫をされているところでございますけれども、通級学級全般につきまして、その指導の方法とかあり方とか、それから今先生の御指摘になりましたような、子供たちがいたずらに特別な差別感、偏見を持たないようにするとか、それから教育課程上どのようにこれを位置づけていくかというようなこと、いろいろな問題がございます。  これらの問題につきまして、新しい予算で計上しております研究会におきまして十分検討したい、それからできましたら実際の学校も指定しましてそこで実践的な研究も行いまして、どのよな問題点があり、それをどのようにクリアしていったらいいかということを検討してまいりたいと思うわけでございます。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 大変ありがたく思います。ただ、六百万というふうになっておりますから、これはどういうふうに使われるのか心細い限りでございますが、このLD児が、下手しますとというか、綿密に選びますと三十万からになりそうな数、よく考えたらそういう子供が落ちこぼれだというふうな言い方で今まで放置されてきたということです。私は、教育というのは、言葉は語弊がありますが、やはり下に厚く、要するに恵まれない人に厚く施されるべきである、公教育というのはそういうものだというふうに思うのであります。  一方で臨教審答申なんかを見ますと、例えば習熟度別学級編制だとかその他を見ますと、どう考えたって障害児が大切にされるような方針にはなっていないのじゃないかなというふうに思うわけです。学校の教育の能率とか合理性というものからいえばそういうことになるのでしょうけれども、しかし、人間はいろいろな人がいるわけでありますし、いろいろな人がいていいわけでありますから、LD児の問題については、医学が発達することによってあるいはいろいろな社会的な状況によって生まれてくる、その子の責任でもない一つの障害というか、アンバランスというか、そういう状況の子供が、今までは、落ちこぼれだ、できない子だというふうにほっておかれた、見過ごしにされてきたということを率直に認めなければならないのじゃないかな。これは、教育現場も、そしてまた行政当局もそういうふうに思うのであります。  ちょっと文部大臣にせっかくでございますからお聞きしたいのでありますが、日本の教育で落ちこぼれというようなことが平気で言われる状況、そして今のLD児なんかは要するにボーダーラインにいる落ちこぼれ群なんですね。そういうものがずっとあって、やっと今それが注目され始めてきたということについて御感想をお聞かせいただきたいと思います。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 先ほどから先生のお話を伺っておりました。三人のお子さんにお会いになっての体験を交えてのお話、大変ありがたく拝聴させていただいたわけでございます。  私も、このLD児の問題につきましては、文部省の中でいろいろお話を聞かせていただきましたが、いわゆるできない子でもない、さらにはっきりした障害児でもない、その中間のところだというような感じで受け取ったわけでございますが、これは今、日本では医学的には必ずしもはっきりしていない、なぜこういうものができたのかという医学的ないわゆる定義づけでありますとかあるいは判定でありますとか、そういうところの概念がまだ確立をされていないと認識をしたわけでございます。  まず、このLD児の問題を考えるに当たって大事なことは、医学的な原因の究明でありますとか、あるいはどういう人がLD児なのかということを判定する、そういう医学的な見地からの基準といいますか、ある一つのガイドラインというものがこの問題を考える上で絶対に必要ではないかなと思います。その上に立ちまして、LDといいますからラーニング・ディスアビリティーですけれども、そういうものを持った人をどういうふうにして教育していくかということを考えていかなければならぬ。  確かに非常に難しい問題だと思います。しかしながら、御指摘のような落ちこぼれというものの原因がこの辺にあるとするならば、ここら辺の医学的な原因の探求はこれからも大いにしていかなければなりませんし、同時に、それに対する教育対策等についても重要な課題、テーマとして取り上げて真剣に検討していかなければならないことだなと、御感想をというお話でございましたので、感想的に申し上げさせていただきます。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 そのとおりでございますけれども、実は医学的な進歩とそれから現実にいる子供への対応というのは必ずしも一致しないわけでありまして、やっと医学的にも微細な脳障害、あるいは中枢神経系統における障害とかいうふうなことを言うのですけれども、はっきり言いますと、よくわからないわけですね。しかしながら、脳波に異常が若干見られるとかあるいは小児てんかんであるとか、そういう判断がつく子はいいと思いますけれども、単に医学的な問題だけでなくて、その子の生育歴、親子関係等々も含めてかなり総合的な検討をしなければならないので、これこれがLD児であるというふうな概念規定というのはなかなかできないわけであります。  臨教審の答申の中にもありますように、「障害を有する者のための医療・福祉・教育が一体として機能する地域センターの設置を文部省・厚生省が中心となって推進する。」というのがございます。第三次答申の三十九ページでありますけれども、これはやはり一文部省の問題だけでなくて、厚生省等も含めて早急に積極的な取り組みをしていただきたいと思うのですが、この点については当局はどうお考えでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 御指摘のように、この問題につきましては厚生省、同児童相談所とか、それからそのほかの関係機関がいろいろございますので、十分連携をとりまして今後これに取り組んでまいりたいというふうに考えております。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 ただいま局長からお答えを申し上げましたとおり、各関連省庁と十分連絡をとって研究体制を進めてまいりたいと思っております。  同時に、ちょっと補足をさせていただきますが、世界にはいろいろな異なった文明体系が存在をしておりますから、その文明体系と文明体系がまざり合うところにそういったいろいろな問題が出てくるのではないか。民族によって思考方法その他異なる場合がございます。言葉の問題等も異なった違う体系で発想が行われてくるというような、それがまざり合ったところにこの問題が出て、アメリカあたりでスペイン語とアメリカ語といいますか英語の問題が出てきているというようなことも若干関係があるのではないかな、感想としてこれをつけ加えさせていただきます。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 今大臣おっしゃいましたように、アメリカのLD児の問題は言語問題なんです。ですから、やはり多民族が混在しているところではそういう問題もあって、それがLD児というふうに扱われているのではないか。したがって、そのパーセンテージは少し高過ぎるのではないかという批判もあるわけであります。  いずれにしても、現実にそういうお子さんを持っていらっしゃる親の会もできておりますし、そして現実にそういうお子さんを抱えて、今その子がどこに入ったら、どういう教育現場に置いたら一番安定するか、そして、その子にふさわしい教育的な現場があるかというと、ないわけですね。  普通学級でも落ちこぼれ、特殊学級でも浮き上がり、かといって精薄児ではないので養護学校にも行けないという、そういう現実のお子さんがいるということを十分認識して、その人たちに幾らかの希望でもあるいは見通しでも与えないと、例えばもう小さいときから言語治療の先生やらいろいろな専門家のところに通って、何人もの先生のところに行っておるわけです。  そして、今もそういうところを駆け回ってまして、聞くところによると、月五、六万円くらいの費用がかかるというふうにおっしゃって、一生懸命になっても、結局、その親御さんたちは今のそういう教育現場に対するあるいは教育行政に対する深い失望感を味わっているわけなのです。ですから、私は少し具体的に問題提起をしてみたいと思うのでありますが、そういう親御さんたちに少しでも希望を持っていただくという意味で提案をしたいのであります。  まずは文部省段階で厚生省とも協議してとおっしゃいますけれども、既にいろいろな地方でLD児の検討をしている先生のグループやあるいはそういう地域における教育研究が報告されておりますので、先ほどの調査研究に付随して、全国の活動状況というものをなるべく早く集めて、そして既に地方で研究されているような問題について、それも行政の中に早く生かしていただきたいと思うのであります。  例えば私の出身の兵庫県でありますけれども、神戸大学の教育学部、特殊学級の先生で坂本龍生先生という方がいらっしゃいます。やはりLD児の研究をしていらっしゃいますが、その先生がおっしゃるには、これも新聞の記事で申しわけないのですが、学校あるいは児童相談所、それから民間、公立を問わず諸種のクリニック、相談機関、そういう子供にまつわるあらゆる分野に対してLD児についてもっと知ってもらう、そういうLD児の理解を深めるようなことをまず最初にやるべきだとおっしゃっております。  そして、私が相談を受けたLD児のお母さん方も、この先生なんかにもお世話になっているわけでありますが、とりあえずは学校ですけれども、学校の先生方に、このLD児という概念があるのだということをまず教えていただく。  教えるというときに一番いけないのは、また一つの障害者の区別あるいは差別ができる。この子はLD児だというふうな差別、区別をした物の考え方ではなくて、今までああいう子がいたな、そしてどうも今気がつけばあれはLD児だったなということがたくさんあると思うのですね。そういう学校現場の教職員の皆さんに、LD児についての具体的なガイドラインを示すような何かテキストとか、そういう啓蒙の書なんかをまずは出していただきたいと思うのですが、そういうことはお願いできるのでしょうか、お聞きいたします。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 この問題は、これからの私どもの検討課題ということで、研究会等におきましても取り上げていきたいと考えておりますし、特殊教育研究所等でもいろいろ御研究をいただきたいと思っている段階でございますので、現段階におきまして、全国に向けましてそうした教師向けの指導書を作成するというのはまだ時間が早いと考えております。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 そのときには、ぜひ新たな障害者区別というようなものが行われないように留意していただきたい。それから、なるべく早く実施していたたぎたいと思うのであります。  実は滋賀県の報告によりますと、もう既に学校自体、担任の先生方が追跡調査などをしているようであります。そして、その結果を聞きますと、調査をして、そのLD児と呼ばれるような子供たちを何とかしようとすると、教師の悩みは拡大するばかりだというふうに聞いております。  つまり、学級を運営していく、教科を教えていく中にLD児の問題も取り込みながら、そして自分のクラスにおける教育の方法を考えていくわけでありますが、今のような四十人学級のような中で、LD児はこうですよということを教師に知らしめても、果たして教師がそれを引き受けていけるような余裕があるだろうかということも考えるわけです。  LD児のお母さん方と会いますと、いつも学級数で問題になるのです。四十人学級とはいえ、ある場合には、三十六人とか三十五人になりますと、先生もややゆとりがあるから、そういう子供を受け入れましょうと言って配慮してくれるわけですね。ところが今度は四十人ぎりぎりになったりすると、あるいはややもすると四十人を超えるようなことがあると、そういう子は見られませんと言って、教師がいわば心理的負担というようなことで拒否してしまう。学校長も、ほかの子供のことを考えますから、どうしてもそういう子供に対して、じゃ特殊学級にどうですかというような話にもなる。  だから、LD児の親たちは、先ほども申しましたように、学年が変わるごとに戦々恐々として——基本的には、LD児の教育は集団の中で、つまり普通学級の中で勉強させる、クラスみんなと一緒に生きていくことがふさわしいというのはもう大体結論づけられた、先生方も認めている共通理解であります。つまり、集団の中で社会的な技術、これを英語で言いますとソーシャルスキルと書いてありますけれども、社会的な技術を学ぶ。学習の問題よりも、対人関係や経験や感情の交流や、それから人間は人と一緒に生きていかなければならないわけでありますから、ともに生きるということはどういうことかということを考えていく、学んでいく。そういうためには普通学級が一番いいわけですね。  ところが、実際はそういう微妙な人数、学級編制の過程における人数、それから校長先生あるいは担任の先生の理解度によっていつも毎学年ふるいにかけられるというわけですね。こういう状況があるということは、私にとっては一体学校教育というのは何だろうかと思うわけです。  したがいまして、今、指導する先生の悩みも大きいわけでありますが、やはり終局的にはクラスの人数を減らすということですね。最終的には二十五人ぐらいあるいは二十人ぐらいに減らす。それから、そういう学習遅滞児あるいはLD児と呼ばれるような子には専門の研究をした先生を配置しまして、そして複数で先生が教室に入ってもいいし、あるいは通級にしてもいいし、いずれにしてもこういう子供たちが安定してクラスに迎えられるためには、クラスの子供の数をとにかく、四十人なんて言わないでせめて二十五人ぐらいまで減らす。したがって、それは教師がふえることになりますけれども、そしてまた、心理的な、あるいは医学的な、あるいは教育学的なさまざまな勉強を積んだ、こういう問題になる子供たちの専門の先生が今後必要ではないか。  そういうふうに考えますときに、今の定数法の問題などを聞いておりますともう絶望的になるわけでありますが、どうかこういう障害児あるいはLD児の問題を契機にいたしまして、単に計数的教師の数や学級の数を決めるのではなくて、もう少し恵まれない子供たちを中心にした教師の数とか学級編制というものは考える余地がないのかどうか。大変素人で申しわけないのですが、その点についてお聞きしないと、幾ら議論いたしましても結局はクラス編制の問題に返ってまいりますので、その辺をちょっとお聞きしたいのですが、どうでしょうか。

倉地克次文部省教育助成局長

○倉地政府委員 お答え申し上げる前に、現状について若干御説明申し上げたいと思うわけでございますけれども、一般の小中学校におきまして若干でも障害のある方々についてどういう方法を今のところとっているかという問題があるわけでございますが、まず第一に特殊学級があるわけでございまして、これにつきましては、一学級十二人ないし十人のお子さんにつきまして、一番ケースの多い率をとりますと、小学校では一・二人程度の教員を配置することになっておりますし、中学校では一・五、六人程度の教員を配置するという建前になっておるわけでございます。また、そのほかに通級学級というのも現実にはとられているわけでございますけれども、この場合につきましては、その学校に特殊学級に所属し得る児童生徒がおられる場合に限ってその通級学級を特殊学級と認定し、特殊学級としての児童の編制、それから教員の配当などを行うという建前を今とっておるところでございます。  現状ではそういう段階でございますので、先ほど来お話を伺っておりますと、LD児については、今後教育の方法と申しますか形態と申しますか、そういうものがいろいろ研究された末に教員配当ということについても考慮されるべきことではないかと思うわけでございます。  また、そのほかに、現在第五次の定数改善計画が進行中でございますので、何と申しましても、そうした問題をいろいろ検討し定数上の措置をするということになりますと、この計画が完成した後の、さらにその次の計画におきます検討課題ではないか、そのように考えておる次第でございます。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 平成二年度で定数増要求が全部認められたというふうになっておりますが、配置改善については、三千八百五十四人で千三百人が認められていないのですが、配置改善の中で数字を少し上げるような形で、例えばそういう特殊教育、特殊学級あるいはLD児などに対する配慮あるいは応用というものはできないものなのでしょうか。

倉地克次文部省教育助成局長

○倉地政府委員 第五次の定数改善計画の中におきましては、一般小中学校におきます特殊学級につきまして今十二人の学級編制ということになっておりますけれども、これを第五次改善計画の中で十人まで減らす措置を講じておる次第でございます。そのほかの要素につきましては特段措置をしておりませんので、現段階におきましては、その改善計画の中で対応することはなかなか困難ではないかと思うわけでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、教員の定数の配置と申しますのは一学級について一人ということではございませんので、小学校ですと先ほど申し上げましたような数字になっているわけでございますし、中学校についても同様でございますので、県全体で考えますと若干の余裕が出るのは事実でございます。そうした余裕に基づきまして都道府県の判断で、LD児に限りませんけれども、特段の要望のある学校についてそれぞれ加配することは可能でございますので、そうしたことは、ひとつ県の実態的な実情に合った御判断に期待することが最も適当ではないか、そのように考える次第でございます。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 そのほか、私、親たちに対していろいろな意見を申し上げているわけでありますけれども、例えば高等学校にどうしてもやりたい、ところがほとんど高校に入る能力がないというわけです。私は学校教育法を十分研究してないのですが、高等学校に特殊学級を置くということは法律的にはできるのでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 学校教育法の体系におきましては、一応置き得ることになっております。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 なぜ今置いていらっしゃらないのでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 高等学校につきましてはできるだけ希望者の多くを入れるという前提はもちろんございます。しかし、高等学校につきましては学校教育法等に目的、目標が定まっておりまして、それに基づいて学習指導要領が定められております。そして、その学習指導要領はかなり柔軟なものにはなっておりますけれども、一応それに基づいて各学校が教育課程を編成しておりまして、その教育課程を受けるに足る資質と能力のある者を選抜して入れるという前提になっておりますので、現在のところ高等学校におきましては小中学校におきますような特殊学級というものは設けていないわけでございます。  ただ、盲・聾・養護学校がハンディキャップのある子供に対しましては用意されておりますが、そこには高等部を置いておりまして、そちらの方で高等学校に相当する教育を確保していくという配慮はいたしているところでございます。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 そこが非常に問題でありまして、確かに高等学校の高校生に求められる一定の能力とかレベルというものがあるわけでありますし、単位もあるわけでありますけれども、これだけ、九四%ですか五%ですか高校の進学率が上がっている中でLD児が二、三%ということであるならば、ではあと残りはLD児かということになるわけでありますが、そうではないだろう。例えばLD児が高校に実際入っているのですね。障害の程度が低かったから入れた、学習障害が緩やかであったから入れたというのはいいのです。  ところが、入ってみますと、高等学校に行っているお子さんの話を聞きますと、それこそ試験があったら落第。したがって、今度は追試。追試、追試でやっと追試をクリアしたら次の試験が始まる。そしてまた、追試、追試、追試で大変だと言うわけです。もうその子供はパニックを起こしていまして、何でこんなに勉強しなければならないんだと言っているわけです。そういう実情がある。  僕は、高等学校の教育というのは、九十何%というふうな進学率の時代にLD学級があってもおかしくないと思うのです。その中で、求められる教育課程というものがあることは承知しますけれども、そこは十分応用いたしまして、各学校によって、例えば欠点なんというものも、厳しいところでは五十点ぐらいからやさしいところでは十点ぐらいまで、高等学校によってあるのではないでしょうか、よくわかりませんが。そういうことから考えれば、高校にもLD学級があっていい、私はそのように思うのであります。  実は、親たちが、昨年でしたか、愛知県で私塾のような見晴台学園という小さな高等学校をつくりました。もちろん設置法に基づくものではございませんから、高等学校という名前もつけておりません。見晴台学園というのがあるのですが、それをつくっているお母さん方に聞きますと、今、常勤の先生が二名、そして子供が六名ですね。どこか名古屋の町の中の、住所もわかっているのですが、水道工事店の事務所を借りて、そこを学校にした。最初、家賃だとか敷金だとか机とかで二百万円ほど要って、それも全部自分たちのお金でやっているわけです。  しかし、二人の先生の人件費を払う、その他臨時講師でいっぱい来ていらっしゃるわけですけれども、そうしてでも高等学校を卒業させたい。五年間、五年制の見晴台学園という高校です。高校といったって、それを卒業したから、修了したからといって高校卒の資格が得られるわけではありませんけれども、それほどに熱心に、何とかせめて高等学校の時代を過ごさせたい、高等学校の学生生活というのはこういうものですよという感じを自分の子供にも味わわせたい、思春期、十八歳なら十八歳の年齢に応じた普通の学生たちが経験しているような経験を子供にさせたいと思いましても、なかなかそれができないと言っております。  ところが、先ほど局長がおっしゃいましたように、では高等養護学校があるじゃないかということになりますと、今度はやはり考え方が変わってくるわけですね。私は、高等養護学校があるとおっしゃるならば、私の考えですけれども、養護という名前をお取りになったらどうでしょうか。そうして、そういうLD児も自由に行けるような学校にしていただきまして、何か知恵おくれ、肢体不自由ということではなくて、いわばだれが行っても特別差別もされない学校にしてほしい。  ある養護学校の先生に聞きますと、養護学校の子供が、先生、私、障害者なのと聞くのだそうです。養護学校に行って初めて自分が精神薄弱の障害者であるということがわかるわけですね。そんなことはいずれわかると言えばそうかもしれませんけれども、私はかわいそうに思うのですね。卒業いたしましても、その履歴書に何々養護学校と出ますと、ああこの子は養護学校の出かということで、会社に勤めるときもいろいろ不利なことがありましょうし、もし養護学校に行けというふうにおっしゃるならば、LD児が行けるような定数、それから、できますならば学校の名称の変更なども検討すべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 LD児は恐らく高等学校にかなり入っているんだろうと思います。特殊学級の卒業者でも高等学校に入っている子供たちはおりますので、アメリカにおきますようなLD児の概念で考えますならば、日本の高等学校には相当、九四%、九五%ということでございますから、生徒の実態は多様でございますし、能力も適性も、それから興味、関心もさまざまな子供が入っております。したがいまして、今の高等学校におきましてはそうした子供たちを抱えて教育をしているという実態があろうと思います。  高等学校のカリキュラムといいますのは、小中学校とは違いまして、かなり弾力的に各学校が工夫できるようになっております。例えば数学—などは必修にしておりますけれども、これは必ずしも単位が取れなくても卒業ができるという仕組みになっております。履修と修得というふうに分けておりまして、数学—、理料—などは履修はさせる、学校では授業を受けさせるけれども、どうしても単位が取れない子供は必ずしもその単位を修得しなくても卒業ができる。それは各学校が子供の実態に応じて定めてほしい、決めてほしい、こういうことになっております。  例えば数学—、四単位必修となっておりましても、学校の実態によりましては四単位取らなくてもいい、もう少し単位を減じてもいいということで、標準単位を減ずることもできるというような措置もしておりますし、さまざまな形で子供たちの実態に対応できるカリキュラム編成実施をしてほしいということで、国の基準もそうなっておりますし、私どもも学校にそうお願いしておるわけでございます。したがいまして、各学校におきましては、子供たちの実態に応じてかなり弾力的な教育課程を編成実施されている学校もございますけれども、高等学校というからにはやはり昔ながらのこういう教育でなければならないということで、かなりかたいカリキュラムといいますか、そういう伝統的なカリキュラムを維持されている学校、さまざまでございます。  しかし、進学率がこれだけ伸びました以上、いろいろな子供がいるんだからその実態に応じたカリキュラム編成実施をしていただきたいというのが、私どもの方からも各学校にお願いをしておるところであるということをまず申し述べたいと思います。  それから、養護学校にももちろんそうした子供たちがいることが予想されるわけでございますが、養護学校の名称を変えたらどうかという御指摘でございますけれども、養護学校にしましても特殊学級にしましても、戦後四十年にわたって法令に基づいて使用している言葉でございます。こうした言葉が逆に差別の意識を助長するということはあるかもしれませんが、しかし、他に適切な用語がございまして、それが国民的な合意が得られましたら、もちろん私どももこの養護学校とか特殊学級という用語に固執するつもりはございません。しかし、これらの言葉にかわりましてこれらの学校や学級をあらわす適切な言葉については、まだ今のところ国民的な合意が得られるまでには至っていないというふうに理解しておるわけでございます。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 どうもありがとうございました。要するに、今現実にそういうお子さんを抱えて悩んでいらっしゃる方の子供に学習を得させる何らかの機会を与えてあげてほしい、その言葉に尽きるわけでございます。  どうか文部省におかれまして、ぜひとも実態調査、そして今後の方針、特にLD児の問題について関心を持っていただきたい。そして文部大臣もその方面の指導をしていただきたいとお願いいたします。  では、ちょっと論点を変えまして、児童養護問題についてお間きいたしたいと思いますので、厚生省の関係の方、お願いいたします。  大臣、最初に申し上げておきたいと思いますが、今児童養護施設には約三万名の子供がおります。欠損家庭を含めまして、今日、はっきりした数字は知りませんけれども、昔のように孤児院と呼ばれていた時代とは違いまして、両親がそろっておりましたり、あるいは片親がまだ生きていたりする、いわば親がいない子というのはほとんどいないのでございます。戦後、児童福祉法が制定されて今日まで四十年以上の長きにわたって児童養護施設というものは子育ての重要な役割を果たしてきたのですが、私は児童養護施設を考えるときに、どうも児童養護施設という施設が教育的な機能を果たす上において、福祉的な視点はいいにしても、教育的な機能を増進させることには弱いのではないか。これは単に厚生省の問題だけでなく、文部行政の中にも取り上げられるべき問題ではないかというふうに思っているわけです。  つまり、福祉という観点からいいますと、要するに食べさせて住まわせて、そして学校に行かせておけばそれで福祉的な最低の業務は終わるわけですね。しかし、そこには親から捨てられた、そして自分は家庭ではないこういう施設に集団生活を強いられているという絶対的な喪失感、自分は捨てられたんだという意識を持っているわけです。そういう子供が学校に行きましても、普通の近所の学校に行くわけですけれども、なかなか成績が上がらないのですね。そして、その施設の中でもきっちり宿題もさせ、かなり厳しい勉強時間を強いるわけですけれども、全然成績が上がらない。たまに大学なんかへ行く子がおりますと、施設長会なんかに出ますと、そうですか、大学に行きましたかなんて言って、賛嘆の声が上がるくらいの状況でございます。  一体、厚生省は、児童養護施設の教育的な機能を活性化させるために今までどういう施策をしてこられたか、お聞きしたいと思います。

秋山勝喜厚生省児童家庭局育成課長

○秋山説明員 先生が御指摘のとおり、昭和六十二年度に養護児童の実態調査をいたしましたが、このときの養護施設の入所児童のうち、学習指導上注意を要する児童は全体の一四・四%でございました。その原因と考えられますのは、これらの児童が養護施設に入所するまでに受けてきた心の葛藤、あるいは家庭崩壊などの厳しい養育体験が児童の心身に悪影響を及ぼしまして、学力の面でも相当おくれてきているのではないだろうか、このように思われております。  このため各施設では、まず入所児童の精神的な安定や日常生活の指導に重点を置いた指導をするのが養護施設の最も重要な役割であると思っておりまして、その処遇方針で臨んでいるところでございます。これをさらに充実をいたしますために、昭和六十二年度から特別指導員を配置いたしましてそれに対応するということで今力を入れているところでございます。なお、学童の通学する学校と緊密な連携を図りつつ、児童の個性、能力を発達させるようにさらに指導してまいりたい、このように考えております。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 特別指導員を配置していただいたことはありがたいことですけれども、学校の先生もまた施設の子を学校で預かっているわけですが、ただ、その子が施設の子だ、かわいそうな子だ、そういうことだけで、実は子供として、人間として生きるという、そしてそれは家庭あるいは両親の愛情のもとに生きていくという、普通だれもが生きている姿から足が切られてしまっているような状況にある子供に対する教育的な配慮は余り学校でもないのですね。学校の教師も、そういう児童施設にいる子の教育、あるいはそういう子に対する特別な教育的な配慮というものはほとんど感じていらっしゃらないと思うのであります。  数からいえば三万人ということですから、障害児なんかに比べればそう多くはないけれども、それでも今後社会に出て有為な人間として成長していただかなければならないわけです。厚生省サイドの教育的な配慮では私は不十分だ。これもまた厚生省と文部省、文部行政と相まって、そういう児童施設における子供の調査実態は私も若干存じておりますけれども、単に成績がどうだとか、施設におる子で結構登校拒否やっている子も暴れている子もいるわけですけれども、もっと根本的に、そういう子が本当に生きていくということはどういうことなんだ、人間が生きるということはこういうことなんだということから教えないと、絶対的に足が切り落とされている子供を幾ら勉強せい勉強せいといったって、あるいは何か上からつぎ込んだり接ぎ足したりしても成長しないわけです。そういう心理的な精神的な問題も含めて非常に深刻な状況にあるということを思うのであります。  突然で申しわけありませんが、そういう子供に生き方そのものを教えるような、生き方そのものを支えるような教育的な配慮というものはできないものでしょうか。まず、厚生省の方からお願いします。

秋山勝喜厚生省児童家庭局育成課長

○秋山説明員 先ほども申し上げましたように、養護施設は基本的には家庭に恵まれない子供たちを預かる施設でございますので、ここでは生活を見るということがまず主体でございます。先ほど先生がおっしゃいましたように、その中では教育的な観点も十分に図っていくべきではないかという御指摘だと思いますけれども、現在の養護施設の勤務体制などによりまして、できる限りの職員の配置の中で、学校から帰ってきました後の指導といいますか、こういうものは十分に行えるように、今体制はないわけでございますが、その中で今可能な限りのことをやっているというのが実態でございます。  さらにその上に、先ほど申し上げましたが、特別指導員を配置いたしまして、これはむしろ教育的な配慮を重点に行うという特別の意味を持って六十二年度から配置したということでございますので、そのような努力を今後とも続けてまいりたい、このように思っております。

土肥隆一日本社会党・護憲共同

○土肥委員 そうおっしゃられますと、かなり絶望的にならざるを得ないのであります。家庭的な機能を施設は果たすことはできません。施設は家庭ではございません。これは寮であるし、集団生活をするところであるし、いわば施設でございます。そうした中で、家庭を破壊された子供たちであります。家庭を破壊され、自分の生きるべき根拠を失った子供たちでありますから、厚生省におかれましても、今後子供たちのそうした心理的なハンディキャップ、それに十分触れるような形でもう一度児童養護施設におります子供たちの教育的な機能をどうしたら、あるいは教育的な配慮をどうしたら充実させることができるかということを御検討いただきたいということを希望を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

船田元自由民主党

○船田委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十分休憩      ────◇─────     午後一時三十一分開議

船田元自由民主党

○船田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鍛治清君。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 私は、公明党を代表いたしまして、大臣の所信に対して御質問を申し上げたいと思います。特に私は、所信の中で第五番目に大臣がお述べになり、触れられております高等教育の充実と改革についてお尋ねをいたしたいと思います。  現在、我が国の教育につきましては、国際的に見まして、初等中等教育に対する評価というものは非常に高い、しかしながら高等教育につきましては極めて厳しい評価がなされております。日本の高等教育のやり方は決してまねしちゃ相ならぬというような話も伝わっているくらいでありまして、また国内におきましても、この高等教育のあり方、大学のあり方につきましては、今のままで二十一世紀を迎えるということになりますと、国際社会の中で日本はいろいろな面で取り残されてしまうのではないか、こういったような現在の高等教育を非常に憂える声というものがあちこちから聞こえてくるわけでございます。  大臣も所信の中でこの点を踏まえてお述べになっておるのだろうと思いますけれども、最初に、「我が国が国際社会において積極的な役割を果たしていくためには、高等教育の充実と改革を不断に推進することが重要であります。」こういうふうに言われておりますし、その第五の締めくくりのところで、「今後とも、大学等の教育研究の高度化、多様化、活性化等を図る観点から、大学改革の諸課題の具体化に積極的に取り組んでまいる所存であります。」こういうふうに述べていらっしゃるわけでございます。  そこで大臣にお尋ねをいたしますが、高等教育について大臣の言われました大学改革の諸課題の具体化、このことは具体的にはどのような内容を指して言っておられるのか、簡明にお答えをいただきたいと思います。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 先生御指摘のとおり、大学には人材の養成並びに学術研究の振興という大事な役割があるわけでございますから、これを充実し、そしてまた改革を不断に実行するということは必要だろうと思っております。  文部省では、昭和六十二年の十月に大学審議会に対しまして「大学等における教育研究の高度化、個性化及び活性化等のための具体的方策について」ということで諮問をさせていただいたわけでありますが、同審議会におかれましては、昭和六十三年十二月に「大学院制度の弾力化について」という答申を行われたわけであります。そして、その答申とともに現在なおまだ四つの主要なテーマについて検討がなされておると聞いております。  第一は、大学設置基準を大綱化していく。大綱化というのはなかなか難しい表現でございますが、細かい区別をできるだけ外していくというようなことと考えております。そして、各大学の特色を生かした自由で多様な教育研究を実現していかなければならないということについて現在御審議をいただいております。  あわせて、そうなったときに、大学の学部等におきましての、こういうことでいいのかという自己評価システムというものを導入をしていかなければならぬだろう。  それから三番目に、学位制度の見直し、これは理工系については学位を授与することについて割と円滑にいっておりますが、文科系については現在なかなか難しい問題がある、こういったところの学位制度についてどう見直していくか。  それから四番目に、大学院の重点的な整備。  具体的に、以上、四つのテーマについて今後検討をしていただくということでお願いをいたしておるところであります。  文部省といたしましても、こうした大学審議会の結論を得まして、これらの課題の具体化に努めてまいりたい、このように考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 ちょっと最初に申し上げるのを失念しておりましたが、大臣、予算委員会で私の質疑の最中に答弁ということで、私の方にも質問者の方から連絡もございまして聞いておりますので、そちらの方の時間が参りましたら、私の質疑の途中でも結構でございますので、ひとつそちらの方においでいただいて答弁をなさって、終わりましたら直ちにお帰りをいただくということでよろしくお願いをいたします。  今大臣の御答弁ございましたが、大学審議会に触れられております。当然これは大学の改革について前の文部大臣がいろいろと諮問をされているわけでございまして、重要な高等教育、大学の改革に対する大切なものを諮問いたしておるということは承知をいたしております。  また、今大臣の御答弁の中にございましたように、各部会に分かれてそれぞれ検討しておるということも承知をいたしておりますし、これも答弁にございました大学院制度の弾力化についての答申が既に出されて、それに基づきまして大学院設置基準の改正等が行われたということも私も十分承知いたしておりますが、それ以外に、今お触れになりましたような大変大切な、大学改善改革にとって必要な事項の検討が今なされておるわけでございますが、その概略の審議の経過と、それから、いつこの答申がまとまって報告がなされ、それに基づく大学改革改善についての具体的な取り組みを始めるようになるのか、その経過と見通しについて御説明をいただきたいと思います。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 お答えいたします。  大学審議会の発足、それからその後大学院の弾力化の答申をいただいて、それに基づいて措置を講じた点につきましては、今先生御指摘のとおりでございます。  さらに、昨年の七月に大学審議会に設けられました大学院部会と大学教育部会から、大学設置基準の大綱化あるいは大臣からも今御説明申し上げました大学の自己評価システムの導入、さらに大学の途中年次への編入学定員の設定、学位制度の見直し、学位授与機関の創設などを内容とする部会の審議概要が公表されまして、各方面の意見も聴取しながら現在両部会においてこれらの課題についてさらに審議を進めている最中でございます。  さらに、後ほどあるいは先生からもいろいろ御質問あろうかと思いますが、昨年十月に高等教育計画部会を設置いたしまして、御承知のとおりに十八歳人口が平成四年度にピークになりまして、五年度以降減少に入りまして、八年間で五十万人の、二百五万から百五十方、二十一世紀当初には百五十万に減少する、そういう急減期を迎えるわけでありますが、その減少期における高等教育機関の量的及び質的な整備のあり方に関し、現在検討を進めているところであります。  このほか大学入試につきましても、昨年十一月に大学入試に関する専門委員会を設置いたしまして、中長期的な課題として現在そのあり方について専門的な調査研究を進めているところでございます。  また、短期大学の問題につきましても、本年三月、大学教育部会に短期大学教育専門委員会を設けまして、大学と同じように、短大の設置基準の大綱化等の問題を検討しているところでございます。  以上のように、大変広範多岐にわたる審議を現在進めているわけでございまして、私どもとしましては、審議会の結論が出て答申をいただきましたら、逐次その課題について実現を図ってまいりたいと考えておりますが、見通しといたしましては、中長期的な課題であります大学入試のあり方の問題は別といたしまして、今私が御説明しましたような事項については来年の春ごろまでには逐次答申がいただけるのではないかと考えているところでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 今御答弁の中にもございましたが、十八歳人口の増減ですね。大学の改善改革については非常にこれは密接な関係があるし、大切な視点であろうかとも思います。  特に、これも今御答弁の中にありましたように、平成四年、あと二年たちますと一番ピークに来る。そして、それ以降は今お話しのように減っていく。要するに、今戦後の第二のベビーブームの時代に生まれた人たちがちょうど大学入学時期を迎えておるということ、さらには昨年、ことしにかけまして大学の進学希望者というものを見てみますと、今までよりも非常に急増しておるというふうにも数字の上で見られるわけでございますけれども、これがまた重なって、平成四年まで来年、再来年とふえていくとしますと、これは大変厳しい問題が出てくるのではないかと思います。  これに対して文部省はどういう対応をなさろうとしておられるのか、この点についてお考えをお聞きしたいと思います。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 お答え申し上げます。  昭和六十一年から昭和六十七年、平成四年まででございますが、十八歳人口が急増いたしまして、ピークには二百五万になり、さらには先ほど御説明申し上げましたとおりに八年の間にそれが一挙に、急激に百五十万に激変するというような事態に対応するために、激変するということも頭に留意しながら六十一年から平成四年までの七年間の高等教育計画を立てたわけでございます。その高等教育計画の線に沿いまして、文部省としましては昭和六十一年度から定員増を図ってまいったところでございます。  その計画の概要につきまして簡単に御説明申し上げますと、先生も御承知のとおりに、計画を策定検討したのが昭和五十八年でございましたので、昭和五十八年度の数字をある程度前提にいたしまして計画をつくったわけでございますが、昭和六十一年から平成四年までの間に、昭和五十八年と同じような進学率、五十八年の進学率が三五・六%でございましたが、そのピーク時の平成四年にも三五・六%を確保するにほどのぐらいの定員増を図ったらいいかということを想定いたしまして、八万六千人の入学定員増を図ればいいのではないかということで八万六千人の入学定員増を図る計画の推進を図ってきたところでございます。八万六千人のうち、臨時定員が四万四千、恒常的な定員が四万二千ということで計画をいたしまして、平成元年度までに約九万五千人の定員増を図りまして、その目標は計画数をはるかに超えて達成したところでございます。  しかるに、それにもかかわらず先生も御指摘ございましたように、平成元年度で申し上げますと、大学志願率の増等もございまして、百十万の学生が大学、短大を受験し、約七十万人が合格し、四十万人が不合格になったというような事態になったわけでございます。そういうこともございまして、昨年二月に大学審議会においてさらに議論をしていただきまして、一応八万六千人の計画を達成はしておりますけれども、志願率の推計のミスあるいは私学の定員超過率の推定の誤差等もございましたので、平成二年度から四年度までの間も計画を上回って、さらに臨時的定員を含め定員整備を図っていくということが認められまして、現在その方向で整備を行っているところでございます。  ちなみに、平成二年度入学者に係る分は、臨時定員増を含めて約一万六千人の定員増を図ったところでございます。その結果、八万六千人の計画に対しまして、平成二年度現在で十一万一千人の定員増を図りまして、達成率は一二九%でございます。  ただ、これも先生も御指摘の、志願率の増ということがさらに予想されるものでございますので、平成三年度あるいは平成四年度に向かって臨時定員の手続等を緩和いたしまして、さらに入学定員増を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 今ちょっとお触れにもなったのですが、平成元年度における大学、短大の進学状況、これを細かくもう一度お答えをいただきたいと思いますが、それを踏まえながらまた次の質問をさせていただきたい、こういうふうに思います。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 ちょっと細かい数字になりまして恐縮でございますが、平成元年度の高等学校卒業者が百七十万一千人でございます。大学、短大の入学志願者数が百十万一千人、うち新卒者が八十二万四千人でございまして、大学、短大の現役志願率が四八・五%でございました。先ほど私が御説明いたしました昭和五十八年度の段階ではこの志願率が四五%のレベルであったわけでございます。  大学、短大の入学者数は七十万二千人でございます。その内訳は、大学が四十七万七千人、短大が二十二万五千人でございます。大学、短大の不合格者は四十万四千人でございます。大学、短大の進学率は三六・三%でございます。それから、大学、短大の合格率が六四%でございます。  さらに、大学、短大の志願率をまとめて申し上げましたが、細かく申し上げますと、大学への進学率が二四・七%、短大が一一・七%、それから高等専門学校の四年次進学者が〇・五%でございます。それと、高卒を入学条件といたします専修学校の専門課程に進学した者が一六%でございます。これらをトータルいたしますと、全体で、専修学校、専門学校まで含めました広い意味での高等教育機関への進学率というのが五二・八%という水準になっておるところでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 高等専門学校その他、そこらあたりは省くといたしまして、大学、短大に限って言いますと、今もお答えがありましたように、三六・三%の進学率で不合格者四十万四千人というものが出た、こういう状況です。このことについて、平成二年の三月二十六日付のある新聞の社説にもこのことが触れられておりますけれども、私はこの社説を読んで同感することが多かったわけであります。こういうふうに書いてあります。「若者四十余万人のため息」、こういう見出しがございまして、そしてこの問題を論じておるわけですけれども、その一番最後のところにこういうふうに述べられているわけです。   大学なんてどうせレジャーランド、これ以上門を開く必要はない、との声もあるだろう。逆に、国民全体の教育レベルが上がるのはいいことだ、と考える人も少なくあるまい。大学および大学生のあり方については、いろいろと意見がわかれる。   けれども、大学に進みたいと願う若者が、毎年四十万人以上も不合格になるというのは、社会問題ではないだろうか。   高学歴が就職に際しても有利だという社会の現況、産業界も大卒者を求めている事実、しかも二十一世紀には専門職が大幅に不足するとの予測も、視野にいれねばなるまい。   長期的に高等教育のあり方を見直すとともに、とりあえず来春以降の受験生のために、文部省は大学の門をもっと開くよう、具体的には大学の募集定員をもっとふやすように努めるべきだ。その場合、これまで、ともすると私大にのみゲタを預ける傾向があったが、国立大にも当然の負担を望みたい。   定員増は、教員の充足や施設などの点で問題が多いのも明らかだ。といって、この若者たちに「ベビーブーム期に生まれたのが不運とあきらめろ」と、だれがいえるだろう。 こういうふうに結んであるわけです。  私は、本当にこれはそのとおりだと思うのです。現実に、ベビーブームのときに生まれたのが大変不幸だったというような、それに近いことを言っている子供を私は知っていますし、従来以上に幾つもかけ持ちといいますか大学受験をして、大変な思いの中で、従来のいわば受験産業なんかが出しております偏差値をはるかに超えた形で入学者が決まってきたというような状況もある中で、多くの悩みを抱えている若い人たちがいるわけです。そういうことを思いますと、ただいま答弁の中でそれなりの定員増の対応というものをお示しになっておられましたけれども、それではやはり少ないのではないか。  私どもの委員長も、こういった現実を踏まえまして、入りやすく出にくい大学を目指す大学改革の第一歩として、大学、短大の定員を三〇%ふやす、大幅に拡大すべきではないか、さらには、臨時定員も大幅に増員をして入学者の率をぐっと高める、こういうことを確保してやるべきではないか、対応すべきである、こういう提案も本年一月にしているわけでございますけれども、この定員増については御答弁ございましたけれども、今の答弁の内容では不十分なのではないか、思い切った対策を講ずる必要がある、こういうふうに思うわけでございますが、再度御答弁をいただきたいと思います。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 先ほど御答弁申し上げましたが、大学審議会の了承も得まして、臨時定員につきましても、ある一定の制限、そう極端な人数の臨時定員を認めない、そういう方針で臨んできたわけでございますが、本年の大学審議会の了承を得まして、臨時定員増の数の制限を廃止する、あるいは臨時定員増に伴う学則変更の認可申請処理について簡素化を図る等の措置を講じまして、現在、私学の関係者にいろいろと説明をいたしているところでございます。  なお、国立大学につきまして先生お触れになりましたが、国立大学につきましても六十一年から六十三年までの三年間に臨時定員を含めまして一万一千人の増募を行ったわけでございます。その後、六十三年に計画が達成されたというようなこともございまして、六十四年、平成元年、二年につきましては真に必要な分野というところに限って学生の定員増を国立大学について行ってまいりましたが、来年度につきましては、国立大学につきましても、厳しい財政状況ではありますが極力この問題について対応するよう努力をしてまいりたいというふうに現在考えているところでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 先ほどの、読み上げました社説の中にもありましたように、二十一世紀には専門職が大幅に不足するという予測、これは確かにあると思います。また、いろいろな角度からこれは定員増、定員確保というものは現時点でちもっと確保しながら、さらに平成四年にはピークになり、その後減っていくとはいうものの、やはり進学志望者が非常に多くなっているという現実を踏まえましたならば、私は少々進学率が上がろうともこれは日本の将来のためにも確保してやるべきであろう、こういうふうにも思います。  ただ、その中で私は一つ気をつけなければならないのは、いわゆる高等遊民といいますか、大学に入って要するに遊んでしまう、一説には我が国は高校までは非常にしごきにしごいて受験戦争でやりますから、むしろ大学に入ったらもう遊ばせておいた方がいいのじゃないか、こういうふうな御意見の方もあります。それは一理あると思いますけれども、遊ばせるというのではなくて、高校までと大学に入ってからの勉強のあり方、仕方というものはおのずから違うわけでありますし、余裕をもってゆったりする中で勉強するというのと遊ぶというのは違うと思いますので、そういう意味での厳しさというものは持っていく必要があるのだろう、こういうふうにも思います。  そういう中で、先ほども平成元年度の分の数字をいろいろ挙げていただきましたが、しかし、そういう半面に隠れたところで、実は大学学部・学科によっては定員にも満たないところがある。私もそういう大学を知っております。非常に努力はしているのだけれどもなかなかそこまでいかない、こういう大学もあるようでございますけれども、その実態というものは大体どういうふうになっているのか、大学、短大等の数、それから定員割れの人数等が把握できておりましたらお答えをいただきたいと思います。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 平成元年度で大学、短大で入学者数が入学定員に満たないところというのは、学校数で大学、短大——短大の方が数は多いのでありますが、大学、短大を含めまして百九十五校、欠員数は四千五百九十五人でございます。ただ、例えば昭和五十八年度の数字を見ますと、学校数で三百六十七校、欠員数は一万二千ということで、近年、学校数とそれから欠員数ともこういう十八歳人口の増を背景にいたしまして減少をしつつある傾向にはございます。  欠員が生じている理由というのはそれぞれの個別のケースで異なるわけでございますが、例えば学校自体の魅力の問題、それから分野が魅力がない、あるいは地域の問題、言いかえれば地域的に過疎地と言っては恐縮でございますが、田舎の方に設立されておって、若い人たちがなかなかそっちの方に魅力が感じられないというような事柄が絡み合って欠員の状況があるのではないかと思います。  地域的に見ますと、南関東、近畿は全体の中で一〇%台にあるのに対しまして、北海道、南東北、南九州がそれぞれ三〇%ということでございまして、地域によって大分違いがあるというような数字になっております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 詳しくお答えをいただきました。私はやはりそれが減ってきつつあるというのは喜ばしいことだとは思いますが、いろいろな理由でそういう欠員があるということはやはり好ましくないであろう。その中の理由の一つに今地域性の問題が挙げられております。これはまた次回の文教委員会で私も引き続いて質問をやらしていただきますので、その問題も含めてお尋ねをしようと思いますので、きょうはそこのところは次回に譲りたいと思いますが、私はやはり大枠で考えまして、文部省で今まで大学の設置認可をされてきた、それのあり方にも問題があったのじゃないかな、そういうことも思うのです。  確かに、地域によりましては短大とか大学をぜひつくりたいということでの御希望をなさるという、そこは大切なところでございますけれども、それができても定員割れになってはどうにもならない。しかも、それが一校のみとか、付近に余り大学、短大がなくてそこだけぽつっとあるというところはどうもどうしても子供たちが行きたがらないというふうな感じが、感じというより現実があるようでありまして、そういう子供たちの現実の考え、流れというものを無視するわけにはいかないだろう。それがやはりちょっとそこらあたりで認可等についても、文部省、ちょっとこれは方向というものが思わぬ方向に結果が出たということになっているのではないかなという気がいたします。こういったことを含めて次回お尋ねをいたします。  また、先ほど御答弁の中にもありました件について質問を続けさせていただきます。  不合格者の中には、今言いましたように定員割れの学校もあるという事実を見てみますと、やはり自分の目指す大学、短大に入れなかったから浪人をするという現実も多くあると考えられるわけです。したがって、定員増について今後も取り組むという姿勢をお示しでございますが、その内容は吟味をして、定員増を行うところはどういう大学、どういう部面でどういうふうにふやすのかというのは相当吟味してやられるべきであろう。  先ほど、これも答弁の中で吟味してやったような意味の話はございましたが、具体的にはどういう形で恒常的定員の増、臨時的定員の増に対して対応されてきたのか、さらにこれからはどういうふうに、具体的にどういう方面に力を置いて定員増というものを考えていかれようとしておるのか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 数字につきましては先ほど御説明申し上げましたので、数字については御説明を省かせていただきますけれども、今先生が御指摘になりました、地方に大学を設置認可する場合には十分注意すべきだという御指摘はごもっともだと思います。  私どもも地方に大学を設置するという申請につましては、設置した後、間違いなく学生が定員いっぱい確保できるのかどうかということを十分吟し、地域の実情につきましてもいろいろな方面から、例えば高等学校の校長会の要望書、それから地域の高等学校在学生を持っておる父兄の進学調査等もとりまして、いろいろと吟味してその設置認可をしてきているわけであります。  ただ、一方でそういう問題もございますが、今各地域の市町村、地方の市町村が高等教育機関を招致して高等教育機関を設置することによって地域の活性化をしよう、そういうねらいで市町村も学校法人と一緒になって大学をつくる、短大をつくるという動きを一生懸命やっていることも一方で事実でございます。そういう市町村の地域の熱意のある御要望をむげに私ども無視もできないところもございまして、設置はしたけれども定員が確保できないという事態は避けなければなりませんけれども、同時に、そういう地域の活性化のために大学をつくりたいという御要望に対しましては、先ほど申し上げましたようなバックグラウンドの調査を十分した上で認可を今までもしてまいりましたし、これからもしていかなければいけないのではないかと思っております。  ただ、十八歳人口が、先ほど来私も御説明申し上げましたとおりに平成五年度以降急減いたしますので、一般的な既存の大学に定員増をする場合には主として臨時定員で賄っていただく、そして十八歳人口が八年間に五十万減で百五十万に減少するまでの間に臨時定員をやめていただく、そういう措置を講じながらこの急増急減に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。もとより恒常的定員増の分野につきましては、国際化、情報化あるいは地域の産業に密着した学科あるいは学部等、そういう観点から恒常的な定員増は優先的に図っていくという姿勢は持ってはおりますけれども、十八歳人口の急増急減に対応する、そういうことについては臨時定員増で対応するのが最も現実的な対応ではないかというふうに考えているところでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 さらに進めさせていただきますが、これが平成五年から減少期に入るわけですけれども、このときにどの程度に進学率というものはなるというふうな予測をされておるのか、この点について検討なさっておられればお聞かせをいただきたいと思います。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 お答えいたします。  この急減は平成十二年、西暦二〇〇〇年の段階まで急減いたすわけでありますが、この間の進学率がどのぐらいになるかということでございますが、詳しい予測等につきましては先ほど来御説明申し上げております平成五年度以降の高等教育計画を作成いたしております大学審議会の高等教育計画部会で現在検討を進めている最中でございます。ただ、そういう意味では私どもの予測は一概になかなか言えないのでありますが、六十一年から六十七年、平成四年までの間の高等教育計画では、平成十二年、西暦二〇〇〇年の進学率は大体四〇・六%ぐらいになるのではないかという予測を立てたわけでございます。  ただ、志願率が年々ふえてまいっております。先ほど申し上げましたが、昭和五十八年で四五%、四五%の志願率というのは、過去五十八年までの十年間ぐらい安定的に四五%前後で推移してきた数字でございます。それが六十二年から急激にポイントを上げてまいりまして、平成元年度は四八・五%という志願率になってきております。そういう意味で、この志願率が今後どのぐらいまで伸びるのかということも予測を立てなければならないところでございます。  それから、大体進学率をつかまえる場合には、単に十八歳人口だけではなくて、世界的にもそうなんですが、当該年度に大学にどのぐらいの人数が入ったか、そしてその入った人数を十八歳人口で割って進学率というものをはじいているわけでありますが、例えばアメリカあたりでは、パートタイムスチューデントというのを入れますと六〇%ぐらいになっているわけでございます。  そういう意味で、現在、生涯学習社会への進展ということも考慮に入れまして、大学審議会でパートタイムスチューデントといいますか、例えばある科目だけ履習する生徒、学生、あるいはある科目のグループ、コース登録制というふうに私ども言っておりますが、そういう学生なども受け入れるということを制度的に位置づける必要があるのではないかということで検討をしておりますし、また社会人の受け入れもこれから積極的に行っていかなければならないだろうというふうに考えております。  そういうことを含めて考えますと、進学率というのは相当高くなるんじゃないかというふうに考えておりますが、具体的な数字については、現在、高等教育計画部会で検討中でございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 多少、通告申し上げたことと、関連はしますが違う問題に若干触れますので、お許しいただきたいのですけれども、今お話を聞いておりましてつくづく思うのですが、進学率だって想することは難しいし、あくまで予測でございまから大変だと思いますが、ちなみにこれは定員をうんと仮にふやしたとして、大学、短大に進学したいという人たち、入りたいと思う人をぱっと入れてしまうというぐらいまでいったときに、実際にはどのくらいの程度で進学率というのはとどまるものなのか。  これはわからなければしようがありませんが、大体この程度はいくんじゃないかという予測がつくものなのかどうなのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 ちょっと、その予測を安易に数字を挙げて申し上げるわけにいかないわけでありますが、仮に、全く仮定の数字でございます。仮に平成十二年、西暦二〇〇〇年、十八歳人口が百五十万になったときの数字を想定いたしまして、そのときの志願率が大体五〇%であるというようなことで、その五〇%、あるいは五〇%じゃ少ないかもしれませんが、仮に五五%といたしまして、その全部を入れるんだということで考えますと、単純に計算すれば、それは大体八十万人ぐらいの入学定員を確保すれば大体吸収できるということになろうかと思います。  ただ問題は、先ほども先生が御指摘ございましたように、どこの大学でもいいという学生だけではなくて、ぜひここの大学に入りたいという学生がかなりおるわけでございますので、日本の国全体、全国で八十万の大学の入学定員の間口をセットしておけば大体志願した人は全部はいれるんだというふうにはならないわけでして、そうなりますと、逆にむしろ地方の大学などはそれだけ十分に間口を用意いたしますと、今より以上、先ほど申し上げました数字より以上に欠員を生じてしまうという事態にもなりかねないわけでございまして、その辺は大変難しい問題じゃないかというふうに考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 それで、これも先ほど答弁の中にございましたが、減少期につきましては臨時的定員を削減をしていくという方向で対応するということでございましたけれども、今言ったように、実際に門戸を開いたときに、本当に大学に入ってやりたいという人がどの程度とまるかということもわかりにくい。なるべく私たちは、それは入りたい人は入れてあげるという方向で考える。  さらには、今局長から答弁ございましたようは、地域によっては定員割れが大きくなるだろうとか、学校の内容によっては定員割れがあるだろうとか、ここはふえるだろうというのは確かにばらつきはあると思うのですが、そういうものをひとつこういう機会に見きわめてみることも必要ではないかなという気がするのですが、そういう意味を含めて、臨時的定員も含めて平成四年までには大幅に定員増をなさる計画で取り組む、お願いもしておるし、そうなさると思うのですけれども、それをずっと減らさずにしばらく何年か、三年でも四年でも置いておく。その中でどういう推移になるかということを見きわめていく、その中でまたさらに二十一世紀を目指しての高等教育の計画もいろいろ立てていくというふうなこともあってもしいんではないかなと思うのですが、こういう点についてはいかがでございましょう。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 御指摘のとおりでございまして、臨時定員につきましては、一応平成十二年までの間にそれぞれの大学の実情で定員をはがしていくと申しますか、募集をやめるということにしてよろしいということで臨時定員を認めております。したがって、平成四年、ピークを過ぎまして、平成六年から臨時定員は直ちに募集をしてはいけないんだという仕組みになっておりませんので、それぞれ各大学あるいは地域の実情を勘案しながら個々の大学が募集停止に取り組んでいくのではなかろうかと思います。  それで、もとより募集停止に取り組んでいくわけでありますが、先ほど来先生が御指摘になっております進学率の動向、志願率の動向によっては、逆にその地域によっては臨時定員を恒常的定員にむしろ切りかえて、そういう情報関係とか国際関係の分野の人材養成が叫ばれておりますので、そういう分野については恒常的定員に切りかえて対応していくという必要も出てくるかと思います。  その点については、私ども、今先生御指摘のとおり、その辺の推移を十分見守りながら、大学の関係者とも相談しながら適切に対応してまいりたいというふうに現在のところ考えているところでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 そういったものを踏まえながら、さらに高等教育計画ですかね、新計画の最中でございますが、次回の計画もお立てになる必要があるし、もちろん当然大学審議会でそこらあたりも答申に出てくるのだろうと思いますが、ひとつ今まで御質問申し上げた意図を踏まえながら取り組みをやっていただきたい、こういうふうにお願いをいたしておきます。  次に進ましていただきますが、十八歳人口の急減期になりますと、これは以前にも私は質問申し上げてやりとりしたことがありますが、私学の経営が特に非常に厳しくなるのではないか、こういうように思います。  その中で、今いろいろな大学に携わっている方からもお聞きいたしますけれども、それこそ生き残りといいますか、かけて真剣な取り組みをいろいろな模索の中でやっていらっしゃるようでございます。  そういう中で、以前にも申し上げたように、私は、一つは特色ある、魅力ある大学をつくるということが大切なポイントになるのであろう。それから答弁の中にもございましたように、社会人を入れるということも大きなポイントになるであろう。さらには、私は留学生もうんと入れるという方向も一つのポイントになるのではないか。アメリカのかつてのそういう日本と同じような地域の経過というものを聞いてみますと、志願率というのはそんなに下がらずに、多少上がったようではございますが、そういう中で社会人というものを相当入れて進学率といいますか、大学の定員というものを確保してきたというようなことも現実にアメリカではあるようでございます。  そういう意味からも、今言った三つのことは大切であろう、こう思っておりますが、それに対するこれは私の判断でございますが、こういう判断というものはやはり正しいのかどうか。さらには、特色ある大学をつくるということ、これは文部省も盛んに言っておられるわけでありますが、魅力ある大学をつくり、教育、研究を行う必要が各大学であるわけでございますけれども、これに対しましては文部省としてどういう対応をなさるおつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 十八歳人口の、先ほど来御説明申し上げております急増急減という状況を踏まえまして、私ども従来から各私立大学に長期的な見通しのもとに、教育、研究条件を向上させると同時に、国際化、情報化、生涯学習への積極的な取り組み等によりまして、個性的で魅力のある大学づくりをしていかないと、平成五年度以降十八歳人口が急減するときに大学が大変ですよということで、ぜひ積極的なそういうお取り組みをお願いしたいということを指導してきているところでございます。各大学もかなりその点を意識しまして、現在いろいろなその努力を重ねてきているようでございます。  先ほど先生が御指摘になりましたアメリカの例でございますが、アメリカが一九七五年から八五年、この十年間に十八歳人口が相当、まさに何百万という急減をしたわけでございます。ちょうど昭和五十年代でございます。昭和四十年代の後半に、アメリカの大学関係者は大学に冬の時代が到来する、アメリカの大学の三割くらいがつぶれるのではないかという見通しを、アメリカの教育学者がいろいろな形で論文発表をいたしました。ところが、現実にはアメリカでつぶれた大学はほとんどなかった。この間つぶれた大学はむしろ経営努力をしなかった、つぶれるべくしてつぶれた大学であった。  その理由は、今先生が御説明になりましたように「相当この間に社会人入学を奨励して引き受けた、あるいは先ほど私が御説明申しましたパートタイムスチューデントを正式に学生として引き受ける、あるいは志願率も従来より上がってきたというようなこともございまして、意外にもアメリカでは三〇%の高等教育機関がつぶれるだろうということが現実にならなかったわけでございます。  そういう意味で、私どもも社会人を引き受ける、あるいは情報化、国際化に対応するために個性ある大学づくりをお願いしたいということを私学の関係者に指導しているわけでございますが、同時にそれを助ける枠組みを考えなければいけないだろう。後ほど先生からも詳しく質問があろうかと思いますが、私学が自由に四年間のカリキュラムを設計できるような、そういう枠組み、言いかえれば、大学設置基準で規制しているわけですが、その大学設置基準の規制を極力基本的なことだけに限定いたしまして、それぞれの私学がそれぞれ建学の精神あるいは将来の進むべき目標に向かって自由なカリキュラムが設計できるような、そういう仕組みをつくっていく必要があるだろうというふうに考えているところでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 日本では、もう既に四国あたりでは短大あたりも何かつぶれているところもあるようでございまして、アメリカの過去の、今答弁のございましたような内容で大学はつぶれずに推移するかどうかというのは非常に予測できがたいものがある、厳しいものがあると思います。そういう意味でひとつその対応についてはがっちりとやっていただきたい。  また、今お触れになりましたそういう意味で、対応策として大学の設置基準を変えるということについて大学審議会でも随分と検討がなされ、その大枠の考え方等も審議経過の概要の中で打ち出されているようでございますけれども、私はまさにこれは大切な一つのポイントになるのではないかというふうに思います。この設置基準も、確かに戦後、新制大学がたくさんつくられた中で大学の最低限の確保すべき基準を決めた、これがその後の高等教育の水準を維持し、またいろいろとプラスになった面も多かったというふうに思います。  しかし、現在では改善改革をしようとする大学に対して、特色ある大学づくりには逆に非常に足かせになってきている向きがあると思います。御答弁のとおりであろうと思いますが、したがってこの設置基準の見直しを早急に行うべきではないのかというふうに思いますが、この点についてはいかがでございましょう。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 先ほど来御説明申し上げましたとおりに、現在大学審議会で設置基準の大綱化について鋭意検討を進めているところでございます。  例えば一般教育等につきまして、一般教育そのものの理念、大学が単に専門教育だけではなくて、広い知識、広い分野にわたる知見を持って、そして専門教育を学んでいくという、そういう一般教育の理念はこれは重要でありますが、実態は専門教育と一般教育の連携が欠如しているのではないか、あるいは高校教育の繰り返しなのではないかというような批判があるわけでございます。一般教育と専門教育が有機的に連携いたしまして、四年間を通じて適切な教育を行うことが必要であるわけであります。  今の大学設置基準におきましては、例えば授業科目につきましては一般教育は三十六単位、すべての学問分野に関係なく人文、社会、自然の三分野について三十六単位の一般教育を実施しなければならない。あるいは外国語教育は八単位、それから保健体育については四単位、それから専門は七十六単位、トータルで卒業要件が百二十四単位というふうに決められておりまして、さらに専任教員数につきましてもこれらの科目区分ごとに必要な員数を定めているわけでございます。  これらの定め方は、確かに戦後すぐの段階、混乱期の段階では大学教育の一定の水準を担保する上で一応の役割を果たしてまいったわけでありますが、例えばその教員組織、教育の実施組織の問題とも相まちまして、時代の進展に対応した四年間の学部教育を自由に設計しようとする際には、ある意味では支障が生じてきているのではないかという指摘を私学関係者などから受けるわけでございます。その結果が、基準があることが逆に大学教育を形式化、画一化する原因になっているのではないかというような指摘を受けるわけでございます。  先ほど申し上げました昨年七月の大学審議会大学教育部会の審議概要報告におきましてもこの点が指摘されまして、各大学学部が学校教育法に規定する大学の目的を前提としつつ、四年間の学部教育全体を通じた教育目的を設計し、それを実現するためのカリキュラムを自由に設計し得るようにすることが重要だ、そのために大学設置基準の規定を大綱化して細部については各大学の責任において決められるようにすべきだという審議経過の概要を発表しているわけでありまして、大学設置審議会におきましては、この問題と一般教育の問題あるいは外国語教育、保健体育の区分の問題等を含めまして検討を続けている最中でございます。  ただ、大学審議会も審議経過の概要の中に触れられておりますが、こういう改善の方向は一般教育や外国語教育あるいは保健体育をそれぞれ軽視するのではなくて、むしろ従来画一的に行われていたこれらの教育内容を大綱化することを機会に、専門分野の先生方と一般教育、外国語あるいは保健体育の先生方が、カリキュラムが真に自分の大学にとって必要なものは何かということを検討する、まさに一般教育なり外国語教育の本当のあり方を再構築するいい機会になるのではないか。そういう意味でも、一般教育を含めた設置基準を大綱化するということが必要なのではないかというふうに触れているところでございます。  私どもといたしましても大学審議会の結論を早くいただきまして、その線に沿って設置基準の大綱化、簡素化を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 多少私が質問通告を詳細にしておきましたので、御質問申し上げたいと思うような内容も含めてお話があっておるわけでございますが、私があえて大学審議会の最終答申がまだ出てないときにこうやって取り上げて申し上げております真意は、やはり平成四年というのはもう二年後でございまして、実際には五年からは減少期が始まる、これはやはり急激な変化がもう二年、三年後には迫っているわけでございまして、私立の大学と短大等ではもうそれこそさっきも申し上げたように一生懸命生き残りをかけて、どうするかということをやっております。  これが、答申が先ほどの答弁では来年でしたか、春でしたか、おっしゃったようでございますが、それを受けてまた行政当局が実際に改革を実施する一つの牽引役として、また縁の下の力でもって大いに努力をしていただかなければならないのだけれども、それからまた法改正を検討してそれでまた国会にかけてやっていくということであると、これは平成四年が来てしまうのではないかというような気がするわけです。  そうしますと、この改革というのは、その年から始めてもこれはどうにもならぬわけでありまして、今からどういうふうな形で大学設置基準というものを、これは大きな足かぜになっているということは先ほどの御答弁の中でもございましたし、変えていこうという方向があるのならば、大学審議会からは審議経過の概要だけしか出てはおりませんけれども、そういったことも踏まえながら、また審議会の各委員の発言なり御検討の項目なりは文部省もよく知っておられるわけでございましょうから、先取りの形かはわからないけれども、多少言いづらいところがあってもあえてここで方向性とか具体的なこういうところもほぼさわりたい、審議会でも検討されておるし我々もさわりたいというようなところは思い切ってお答えをいただける。そういう意味で、各大学が先取りをしながら、よしこういう形でひとつ変えていくという方向があるならば我々はこういう取り組みをしていこう、こういうふうにも考えていこうということが、早目に手が打てるのではないのかな。  こういう意味合いを含めて、文部省としても審議会から答申が出ない前にお答えいただくのは、私はちょっとしんどいのかなと思いながらもきょうあえて御質問を申し上げておりますので、その意図はひとつお酌み取りをいただいて、できる範囲で、これから多少箇条的にも御質問申し上げますので、お答えをしていただきたい、こういうふうに私は思うわけでございます。  これは今御答弁の中で触れられておりましたけれども、一般教育等のあり方、これについて設置基準においては授業科目の区分というものをちゃんと今先ほどからお話があったように明確に書き上げておるわけですが、これは廃止するということについてお考えはお持ちなのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 先ほど御説明申し上げましたとおりに、現在では一般教育三十六単位以上、外国語教育八単位以上、保健体育四単位以上、専門教育科目七十六単位以上というのが授業区分で卒業要件として決まっているわけでございます。むしろこれは審議会の委員の先生方の大勢といたしましては、卒業要件としてはトータルの百二十四単位以上を大学で修得しなければならないということだけ決めて、それぞれ一般教育、外国語教育あるいは保健体育、専門教育の各科目ごとの単位数をどう配当するかということは各大学の創意工夫に任せて、四年間の学部教育を通じて教育課程を多様な形で自由に設計し得るようにした方がいいのではないかというのが委員の先生方の、大多数の先生方の考え方のようでございます。そういうことで恐らくそういう結論になるのではなかろうかというふうに考えているところでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 言いづらい御答弁で恐縮ですが、さらに続けさせていただきます。  設置基準の中の第二十六条や第三十二条などは実態と合致していない。さらには、余り細かく決め過ぎているのじゃないか、こういったことについても見直しを図るべきではないか、こういうふうに思いますが、この点についてはいかがでしょう。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 設置基準の三十二条は、今私が御説明申し上げました卒業要件の一般教育、外国語科目のそれぞれの科目の最低必要単位数を決めている条文でございまして、これにつきましては今御答弁申し上げましたような方向で進むのではないかというふうに思います。  二十六条は単位計算の方法でございます。これまた大変フィクションで計算方法の基準が決められておりまして、教室内での授業時間と教室外における準備のための学修の時間を合わせて四十五時間が一単位として、さらにそれも講義、演習、実験、実習という授業方法の別によりましてそれぞれ細かい計算方法が定められているわけでございます。これが実態と乖離しているのではないかという御指摘や、それから学生の学習意欲を高めるとともに、その学習効果を上げるためにも見直すべきであるという指摘もあるところでございます。  二十六条の単位計算の方法の基準の問題につきましては、現在大学審議会で検討中でございまして、これはどういう方向だという御指摘、御質問に対しましては、非常に複雑な計算方法をやっておりまして、方向もまだ現在のところこういう方向に行きそうですというそこまで大学審議会のコンセンサスは得られておりませんけれども、現在鋭意いろいろな意見をぶつけ合って検討している最中でございます。その検討結果に基づきまして私どもとしても適切に対処してまいりたいというふうに考えております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 第四十条のところでは、図書及び学術雑誌等のことが規定されているわけでありますが、備えるべき図書の冊数等もがっちりと何々以上ということで数字が挙げられているわけですけれども、これはもっと弾力的に考えてもいいのではないかというふうに思います。  さらには、大学における図書館というものが非常に重要性を帯びてくるわけでありますが、その現代化というものも図る必要があるのではないか。また、情報化の時代に対応するためにも、大学図書館については大学における学術情報システムセンターとしての機能を充実させていくべきではないか、こういうふうに思うわけでありますが、この点についてはいかがでしょう。

川村恒明文部省学術国際局長

○川村政府委員 先ほど来、大学設置基準の見直しにつきまして御指摘をいただいているわけでございますけれども、ただいま御指摘のございました大学における図書館のあり方、これまた御指摘がございましたように大学設置基準に規定をされているわけでございます。大学設置基準によれば、大学にはしかるべき図書及び雑誌を備えなければならないということが規定されているわけでございますけれども、今御指摘がございましたように、実は大学における情報センターとしての図書館のあり方というのは最近非常に変化が激しいわけでございます。  御指摘がございましたように、従来は学術情報あるいは教育情報というものは図書あるいは雑誌という活字媒体が中心でございました。したがって、大学として、いかに多くの情報を集めるかと言えば、そういう図書、雑誌をいかに多く収集するかということでございましたけれども、最近そういう関係の情報通信に関します科学技術が非常に進歩をしてまいっております。いわゆる情報化全体の進展の中で、そういった活字による情報だけでございませんで、いろいろな形での情報源が出てくるようになった。一番端的な例で申し上げればCD・ROMというふうな、要すればまさに電子情報媒体が出てくる、こういうことでございます。  そういうことを考えながら、大学の図書館がいかに多くの情報を蓄積するかというところからさらに一歩踏み出しまして、いかに正確な情報を選択し、それをいかに早くユーザーに提供するかということを考えていかなければならないのじゃないかということでございます。  既に御案内のとおりに、学術情報ネットワークという全国の大学の図書館でございますとかその他の情報関係のセンターを結んだ学術情報のネットワークをつくって、その相互間でリアルタイムで情報のやりとりをやるというようなことも進めております。また、それぞれの図書館ではできるだけコンピューターを導入いたしまして、図書館業務の合理化でございますとか情報提供サービスを迅速にしていくというようなことをやっているわけでございます。  そうやって、大学自体の図書館の現代化と申しましょうか、情報センター化というふうな実態をさらに進めていきながら、ただいま御指摘のございます、そういうものをまた大学設置基準の方にも反映していかなければならないんじゃないか。先ほど来御議論ございますように、設置基準の見直しというのが大きな課題でございまして、私どももまたそういう観点からこの問題に取り組んでいかなければならないというふうに思っているところでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 設置基準でもう一つだけお尋ねをしておきたいと思いますが、附則の校地面積や校舎の面積の規定について、これももっと弾力的に考えてよろしいのではないか、こういうふうにも思いますが、これについてはいかがでございましょう。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 校地、校舎の必要最低面積基準の問題でございますが、昭和三十一年に設置基準を制定して以来の情報化等の授業内容・方法の改善、それから機械器具の改良普及、校舎の高層化、大都市における大学の立地等の諸情勢の進腰と相まちまして、今日的な観点から見ますと、例えば校舎の基準は、情報化等に伴ってコンピューター等を置く場合に相当のスペースを必要とするというようなことは全然予想してなかったわけでございますので、その辺についてはやや改善しなければならないのかなという感じはいたしております。ただ、その場合に、校舎基準として定量化した基準で示すのか、さらに定性化した基準で示すのか、これは今検討している最中でございます。  土地の問題につきましては、これまた大きな議論があるところでございまして、例えば容積率二〇〇のところに建てる建物あるいは高さ制限のあるような土地で建てるそういう校舎にも、それから容積率が八〇〇とか超高層の建物も建てられるようなそういう校地も、あわせて校舎面積の六倍というのが今の基準でございます。そういう意味で、土地の問題につきましてはより弾力化と申しますか、現代の実情に合うような方向で基準を改正しなければいけないだろうという方向で取り組んでいるところでございます。  それから、先ほど図書館の話も出ましたが、図書館につきましても現在極めて定量的に決めておりまして、川村局長からお答えしましたような、ああいう図書館を現代化するという学術情報センター的な機能という部分を定性的に設置基準に決めまして、定量化部分はむしろ省いた方がいいのではないかというような方向で検討している最中でございます。  例えば外国語の問題で申し上げますと、一つの外国語学科については必ず千冊以上の図書が必要であるというようになっておるわけでありますが、英語あるいはフランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語等世界共通語に近いような分野の図書については一千冊ぐらい集められるわけでありますが、余り世界的になじみのない国の語学ですと、とても一千冊の本などは世界的に見ても参考書がないというのが実情でございます。そういうものを一切合財抜きにして、一外国語について一千冊というような極めておかしな決め方になっておる部分もかなりございますので、そういう点については改善をしていくという方向で現在検討している最中でございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 そこで、大臣にお答えをいただきたいのですが、大学設置基準につきまして今若干細かくやりとりをさせていただきました。  大学審議会の答申がまだ出ておりませんから答えづらいという中でできるだけ御答弁をいただいたように私も思いますが、ひとつ大学審議会の審議を促進をして、これは大切な改革ですから、内容が薄いものになっては大変ですから、どうも早くやれ早くやれというわけにもいきにくいようではございますが、とにかく十分に検討、論議の上で答申はなるべく早く受けるように促進をしていただく中で、早目に出ましたならば今度は文部省の方でその対応をして、行政上、法的に変えるところは変えて国会に諮る、そして速やかにこれを実施するという方向でおやりをいただきたい、こういうふうに思うわけですが、この点について大臣の御決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 いろいろ御質問を伺わさせていただきました。勉強させていただいたわけでございますが、先生から御指摘のような方向で私どもも努力をしてまいりたいと思っております。  特に大学のあり方等に関連いたしまして最近求められておりますのは、私なりに整理をいたしますと、大学をできるだけ高度化していかなければならないという一つの時代の要請があると思います。同時にまた、大学の個性化ということも求められておるんじゃないかと思います。またさらに地域、地域の文化の中心というような大学の役割もあろうかと思います。  とりわけ今申しました個性化ということを考えてまいりますと、今大学審議会の中で御論議をいただいておる設置基準の大綱化というようなものにつきまして、これについてかちっと枠をはめるというのではなくて、四年間の中でできるだけ自由な教育ができるという体系というものはこの個性化に沿った方向だと思いますので、今先生からお話のありました線に沿った努力をしていかなければならぬ、こういうふうに思っております。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 そろそろ時間が参りました。この次に私は大学の評価の問題をできればきょうぜひやりたいと思っておりましたが、時間がございませんので、次の委員会のときの質問に持ち越したい、こういうふうに思っております。  時間のあるだけ、あと若干だけお尋ねをして終りたいと思っておりますが、社会人入学のこと先ほど御答弁がありまして、受け入れていく必要があるということでございました。これは、確かに十八歳人口減少期に向けて先ほどから繰り返し申し上げておる一つの大切な要素であると同時に、減少しようがしまいが、これは非常に大切なこれからの問題として生涯学習という立場からも大学でやらなければいけないことであろうと思っております。  これをさらにもう少し具体的にどういうふうな形でやっていくのか、突っ込んだ形の中で社会人受け入れの問題、ひとつお答えをいただきたいと思います。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 先生御指摘のように、十八歳人口が減少するから社会人を受け入れてとにかく経営を安定させようという観点よりも、むしろこれから個人の学習意欲あるいは職業上の多様な要請に的確に対応していくというためには、生涯にわたって学習機会を提供するよう大学自身も門戸を広く社会に開く必要があるわけであります。  現実に、例えば国立大学では社会人に門戸を開くという方策の一つといたしまして昼夜開講制の実施、夜間が主ではありますが、百二十四単位のうち四分の一程度の単位は昼間の学部の授業で取っても差し支えないというやり方や、あるいは先ほど来他の先生方からいろいろと御指摘がございました放送大学の拡充とか、あるいは大学院レベルでは夜間に授業を行う修士課程を設置するなどの努力をしているわけでございます。さらに、国立大学に限らず公私立大学も社会人には特別の入学者選抜試験を実施いたしまして社会人の受け入れをしているわけでございます。  そういう観点もございまして、大学審議会では現在むしろ大幅に編入学定員を設定する。言いかえれば、現在の大学設置基準の考え方あるいは大学を設立するときの一般的な考え方というのは、一年生の入学定員が百名ですとそのまま四年生まで百名ずつつながっていくという決め方、トータルで四百人という定員になるわけでありますが、それをむしろ一年生は百名であるけれども、一年、二年は百名で、三年生の段階で三百人にするとかという大幅な三年生の編入学定員を設定することによって社会人の学士入学という形で三年生に編入する道も広く開くというようなこと、あるいはこれは社会人入学とはちょっと違うのですが、大学間の流動と申しますか、ほかの大学に移るあるいは短大、高等専門学校から大学の三年に編入するというねらいも含めまして、社会人のことも含めて編入学定員の設定を三年次からするような、そういう大学設置基準もつくる必要があるだろうということで現在検討している最中でございます。  こういうような各般の施策を総合的に推進することによって、社会人が大学に入りやすい道を模索してまいりたいと私どもは考えているところでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 もう一つくらいは時間がありそうですから、聴講生などについても履修の成果が社会的に評価されるように単位を与える仕掛け、仕組み、こういうことを設けるというようなことなども考えて、履修の形態、方法の弾力化、これはお答えの中にもちょっと触れてあったと思うのですが、こういったことを図っていくというお考えはないのか、お答えをいただきたいと思います。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 先生の御指摘のとおりでございまして、社会人が、先ほど私が申し上げました施策を講じましても、我が国の雇用形態、勤務の実態を考えますと、その企業を休職して二年間大学に戻って勉強するというのがなかなか難しい実情にあることも事実でございます。そういう意味で、むしろ履修形態、履修方法を柔軟化、弾力化した方がいいのではないかというようなことで、例えば科目登録制の学生を引き受ける、これは特定の授業料目の単位修得のみを目的とする学生を受け入れる、あるいはコース登録制、コースとして設定された複数の授業科目の単位修得を目的とする学生を受け入れる制度等を導入することも考えているわけでございます。  これらのコースの設定と相まちまして、単位累積加算制度、これらの科目を何年間にわたって履修した結果ある一定の単位を累積加算して学士の称号を与えるというような道も含めて現在検討を進めているところでございます。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 この次にも委員会で質問をさらに続けさせていただきますが、きょういろいろ御質問申し上げた内容を大臣にもお酌み取りをいただいて、これは我々が日本の二十一世紀を考えるときに、本当に高等教育の改革改善については真剣な取り組みをしませんと大変なことになるだろう、私は本当にそう思います。  さらには、生涯学習の問題、就学前の教育の問題等、こういったところがこれから最重点的に考えなければならないところに入っていくのじゃないかという気がいたしております。そういったことを含めて、大臣にはしっかりとしたお取り組みをいただいて、御在任中にその方向づけないしは実施ということを力強くやっていただきたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 大学におきます高等教育のレベルというものはその国の教育のレベルをあらわすと言っても過言ではないと思います。そのような意味におきまして、高等教育の持つ非常な重要性にかんがみまして、先生御指摘のように今後もこの充実に向けて努力を重ねてまいりたいと思います。

鍛治清公明党・国民会議

○鍛治委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。

船田元自由民主党

○船田委員長 次に、輿石東君。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 私も初めての質問に立つわけでして、なれない点で失礼があろうかと思いますけれども、その点、お許しをいただきたいと思います。  ただいまの公明党を代表された鍛治委員と文部大臣との話し合いの中で、高等教育においても今現在の教育の中で一番強調され重要視されなければならないのは一人一人の子供たちの個性が大事にされる教育、そういうふうなことも言われましたし、所信表明でも大臣は生涯学習の基盤を養うという観点からも個性を生かす教育の充実を図ることが重要であるというふうに語られたのであります。  そして、昨年、ゆとりと充実をキャッチフレーズにした前回の指導要領も十三年ぶりに改訂をされまして、新しい指導要領の中で心の教育の重視や自己教育力の育成の重視が叫ばれているところでありますけれども、私は子供たちに何としてもいい教材としての教科書を与えていきたいという観点から、教科書検定制度の改革もこの四月からされておりますので、その問題について御質問をしていきたいというふうに思うのであります。  最初に、新しい教科書検定制度の改革に至る現在までの経過を含め、文部省は、今回の検定制度改革に当たってその必要性をどのように認識をされているのか、最初に大臣にお尋ねをしたいと思います。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 ただいまお尋ねの教科書検定制度でございますけれども、昭和六十二年四月の臨時教育審議会、いわゆる臨教審の第三次答申におきまして、適切な教育内容を確保し、個性豊かで多様な教科書が発行されることなどをねらいとする制度改善の提言がなされたわけでございます。これを受けまして文部省では、教科用図書検定調査審議会におきまして検定制度の具体的な改善方策の検討を行いました。そして平成元年四月、検定規則及び検定基準の全面的な改正を行ったところでございます。これが経緯でございます。  この改善の内容、目的でございますが、これは検定の手続と基準の大幅な簡素化を図っていこうということが一つでございます。さらに、簡素化並びに重点化というようなことを考えました。さらに、検定の結果の公開などを進めることによりまして、簡明でかつわかりやすい教科書検定制度を目指すことといたしたわけであります。さらに、審議会の役割と責任を重視いたしました。より公正で適切な審査が行われるようにいたしたものであります。  なお、この新しい検定制度につきましては、平成二年度以降、新学習指導要領に基づきました教科書の検定から順次適用されることになっております。簡素化というねらいでございますので、従来三回ぐらいの審査をしておったものを一回で済ますというようなことが組み込まれておりますことをつけ加えさせていただきます。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 ただいま文部大臣から、六十二年四月の臨教審第三次答申の改善提言を受けて今回の教科書検定の改定をしていった、そう言われ、その中での今回の改定の要点として、審査手続の簡略化、それから検定基準の重点化、簡素化、検定の公開、そうした面について検定の複雑さを除いて簡略な検定制度にしたというふうに答えられたわけでありますけれども、その仕組みの中身、従来行われていた検定制度と大きく変わっている点については概略説明を受けたわけですけれども、もう少し中身にかかわって御説明をいただきたいというふうに思います。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 検定制度の改正につきましてもう少し詳しく御説明を申し上げます。  まず、審査制度手続の簡略化を図ったということでございますが、これは申請者の負担をなるべく軽減したいということで、従来三段階の審査をとっておりましたのを一段階にしたということがまず第一でございます。  すなわち、従来は原稿本審査、まず申請が出てきますと、白表紙といいまして、中身はそのまま教科書に使えるわけでございますけれども、だれが書いたというようなことを伏せてあります表紙になっておりまして、原稿本審査というわけでございますが、それをまず申請をいただきましてその審査に入る。この審査は、審議会と、それからもちろん文部省にいます教科書調査官、さらには外部の方に委嘱しております調査員等によって審査をするわけでございますが、従来はこの原稿本審査で合格かまたは不合格か、そして合格の場合にも、条件つき合格か条件のつかない合格かという決定をしていたわけでございます。  ただ、従来一発で合格というのはないわけでございまして、ほとんどが不合格ないしは条件つき合格でございました。そして、その条件つき合格になりますと、従来は内閲本審査という段階に入ったわけでございます。これは、条件つき合格になりましたその原稿に文部省のつけます検定意見に従いまして直したそれをもう一度内閲本として提出をいただいていたわけでございます。  その内閲本の審査は従来、教科書調査官が行っておりました。その審査が済みますと、今度はちゃんと表紙をつけまして、そのまま学校で使えるような完成本の形で、見本本と言っておりますが、見本本を提出いただきまして、見本本審査をする。これも教科書調査官において行う。その三段階が済みまして検定が最終的に決定する。こういうかなり複雑なやり方であったわけでございます。  それを今回は、臨教審の答申に基づきまして審査手続を簡略化、簡素化しようということで、従来の三段階審査をやめまして、一段階と申しますか、一本の審査方法によることになったわけであります。  すなわち、著者ないし発行者から申請をいただきますのは従来のように白表紙になった申請本でございますが、それを申請がございますと審議会にかけるわけでございます。そして、審議会では審査をいたしまして、それが不合格の場合は不合格に決めるわけでございますが、従来で言います条件つき合格、要するに何か修正をする必要があるという場合につきましては審議会の決定を留保するということになっております。  そして、留保いたしまして、直せばよくなるところにつきましては検定意見をつけるわけでございます。そして、その検定意見に従いまして著者、発行者において修正表を出していただきまして、それをもう一度審議会で再審査いたします。と申しますのは、第一段階で行いましたのは決定の留保でございますので、修正したものをもう一度審議会にかけまして、そして再審査した結果、それでもだめなものは不合格、それでいいものは検定という形になっているわけでございます。  したがいまして、従来の三段階審査を一段階に改めたこと、それから、従来内閲本審査とか見本本審査は調査官の段階でやっておりましたのを今度は審議会でもう一度最終的に見て合否を決める、こういう形に改めたのでございます。これが今の審査手続でございます。  そのほかの改正点としては、先ほどちょっとございました、従来新規検定と改訂検定がございましたが、新規検定一本に改めたとか、さらには申請図書を公開するとか、ないしは正誤訂正の慣例を改めたとか、その他いろいろな改正点がございます。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 ただいま改定のポイントについて御説明をいただいたわけでありますけれども、臨教審第三次答申を受けてこのように改定の背景を語られました。その審議の過程で、このように改定をしなければならないという論議がされているはずですから、その審議の過程についても御説明をいただきたいと思います。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 臨教審におきましては、初等中等教育の改革の問題の一環といたしまして教科書制度の改革を取り上げております。そして、その中では、適切な教育内容を確保して、個性豊かで多様な教科書が発行されるようにする。そして、この教科書の内容に対する信頼を高めるために検定制度の改革を図る必要があるということになりまして、臨教審で御提言がございましたのは、先ほど申し上げましたように改革のもとになるわけでございますが、一つは、教科書発行者の教科書作成のための創意工夫を促進しよう、発行者、著者の創意工夫を促進しようということで、そういうことを重視しようということ。それから、検定の機能というのは、教科書として適格性があるかどうか、そういう判定に重点を置くのだという指摘をされているわけであります。  そして、その適格性の判定、これは検定の合否ということになるわけでございますが、それは総合的な観点ないしは大局的な観点から行う。余り瑣末なことで判定というのじゃなくて、総合的、大局的観点から行うことが大事だ。そして、著者、編集者の創意工夫が生かされるようにすることが大事だ。そういう観点から、この検定基準は主として学習指導要領が主要な内容をなすわけでございますが、指導要領以外にもいろいろ必要な事項を検定基準として定めております。その検定基準を見直して重点化、簡素化を図ったらどうかという御指摘もいただいております。  それから、検定基準につきましてはそのほかいろいろあるわけですが、例えばこれまで編集技術的なもの、非常にテクニカルな体裁のこととか非常に細目にわたっているような基準があるけれども、これらについては廃止、簡略化したらどうかというような御指摘もございます。  さらに、この教科書検定を公正、適切に行う観点から、審査手続を見直して審査過程を簡略化しようということで、先ほど御説明申し上げました従来の原稿本審査、内閲本審査、見本本審査による三段階審査は一本化したらどうかという御指摘をいただいておるのであります。  それから、文部大臣によります検定の合否の判定につきましては、従来どおり審議会の答申に基づいて行うということでございますが、その検定の審査につきまして、文部大臣は修正の指示をすることができる。ですから、検定意見をつけることができるということも答申の中に入っております。  さらに、検定の審査ないしは合否の理由等につきまして、適切な方法により公開したらどうか。さらには、検定の周期につきましては、学校段階や教科の種類等を考慮して現行より少し長くしたらどうであろうか。  さらに、高等学校の教科書につきましては、小中学校の場合よりも簡素化の方向で検定基準を検討する必要がある等のいろいろな御意見、御答申をいただいているわけでございます。  さらに、検定以外につきましても、教科書の採択、発行、供給等につきましてもいろいろ御指摘をいただいておりまして、それらに基づいて今回の検定制度の改革を行った、こういう次第でございます。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 それでは、大変親切な御説明をいただきましたので、確認をいたしますけれども、今回の改定については、第三次答申を受げ、適切な教育内容を確保し、個性豊かで多様な教科書が発行できるようにするために改定をしていく。そして具体的には、この改定は教科書の質的向上と多様化の促進にある。さらには審議会の過程で論議をされた著者、発行者の教科書作成のための創意工夫を重んじていく。そして検定の機能から見て、教科書としての適格性の判定に重点を置いている。そうした基本的な立場に立って、審査手続の簡素化、検定基準の重点化、簡素化、検定の公開等についてメスを入れ改善を図ったものである。そのようにとらえてよろしゅうございますか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 今先生の御指摘いただきましたとおりでございますが、もう一つつけ加えますと、臨教審の答申をいただきまして私どもが今回の検定制度の改革を行うに際しまして、文部省にございます教科用図書検定調査審議会に諮りましてこの検定制度の改善を行っているということでございます。すなわち臨教審答申をいただきました後に、昭和六十二年の七月からでございますが、教科用図書検定調査審議会の総括部会におきまして、この今回の改定につきまして御論議をいただいたわけでございます。  そして六十二年と六十三年いっぱいかけまして御審議をいただきまして、六十三年九月には検定制度改善についての中間的な取りまとめをいただきました。そして平成元年になりまして、今回の検定規則の改定ないしは検定基準の改定につきまして御審議を賜りまして最終的な決定をいただいた、それによりまして今回の改定を行った、こういう次第でございます。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 それでは、改定のポイント等が明らかになりましたので、改定をされたものと従前あったものとの比較の中から、私自身大変心配になる点について御質問をしていきたいと思うのであります。  最初に、ただいまお答えをいただきましたように、従来、新規検定と改訂検定の二種類があったわけですけれども、それを今回の制度改正で改訂検定を廃止して新規検定に一本化した。そのようなことから今回の検定制度について一発検定というようなことも言われ始めているのであります。確かに審査手続については簡素化されたには違いありません。  しかし、先ほど御説明いただきましたように、白表紙、それから見本本に至るその手続の中で、従来ですと改訂箇所が少ない、ページ数の四分の一に満たないというときには、別名四分の一改訂と言われていたそのところがなくなるわけですから、今度、改訂検定をなくしたがために、検定のたびごとに全面的に教科書の審査が行われることになりまして、従来以上に検定が強化されるというふうなことにはならないのかどうか、その点についてお伺いしたいというふうに思います。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 御指摘のように、現在新規検定と改訂検定が二種類ございます。新規検定というのは、図書全体を改訂するということで、いわば全く書き直す場合の検定でございますが、そのほかに全体の四分の一以内の改訂の場合には改訂検定という若干簡易な手続の検定制度がございました。しかし、この件につきましては、改訂検定というのはいろいろ問題がないわけではなかったわけでございます。  例えば、改訂に当たりまして四分の一以内の場合ということでございますので、どうしてもその四分の一をはみ出すことができませんので、全体的な見直しを行うことができない。ですから、よりよい教科書をつくるには、やはりこの四分の一の枠内の改訂検定というものではおのずから改善についての限界があったということが一つでございます。それからもう一つは、部分的な改訂でございますので、改訂する箇所と改訂しない箇所に分かれるわけでございます。そこでどうしても整合性が十分とれない場合が出てくるというような指摘も従来ございました。  そこで、今回の検定制度の改定に当たりましては、この新規検定といい改訂検定といい、いろいろメリット、デメリットがあるわけでございますが、とにかく教科書をよりよくするというためには、新規検定として全体的に必要ならば見直していく、そういう改善の方がいいのではないかということで一本に踏み切ったわけでございます。  この背景には、もちろん今回検定周期を三年から四年に延長するということがかかわっております。すなわち、従来三年ごとに改訂をしていたわけでございますが、四年に延長する、要するに検討期間を長く置くということができるようにいたしました。そしてもう一つは、著者、編集者の創意工夫を促すという観点からも四分の一以内ということではなくて全面的な改訂を行う方が、全面的といいましても全部変えるわけではなくて、とにかく全体的に見直してみて必要な箇所を直していくというこの新規検定の方がいろいろメリットが多いわけでございますので、新規検定一本にしたわけでございます。  ただ、この検定手続につきましては、著者、発行者に負担にならないようになるべく手続を簡素化しようということで、先ほど申し上げました三段階審査を一段階審査に改めたとか、そのほか手続上のいろいろな簡略化を図っている、こういうことでございます。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 今局長は、三段階審査を廃止した審査手続の部面にも触れていただきました。そして今のお答えの中で、この三段階審査というところを簡素化して一発検定のような形にしていった、その背景は、発行者や著者に負担がかからないようにという理由でこのようになったというふうに回答をしていただきましたけれども、それではその問題について若干触れさせていただきたいというふうに思うわけであります。  三段階審査を廃止して審査手続を簡素化したことによりまして、すなわち、従来行われておりました原稿本審査、内閲本審査、及び見本本審査の区分を廃止をいたしまして、申請本図書、従来の見本本に当たるわけでしょうけれども、その審査一本に簡素化することによってこれまでの教科書検定の流れが大きく変わっていくわけですから、その中では、例えば内閲本審査のところまで来るところで著者と教科書調査官の間で相当の論議が過去には行われていたはずであります。そのことによって教科書がよりよいものになり、著者の意思が生かされるという面があったわけですけれども、今回の簡素化という理由でその辺が飛んでしまう、そうしたデメリットといいますか、この検定の仕組みの欠点についてどのようにお考えになっておられますか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 従来三段階審査でございますので、その検定意見がつけられますと、それについて直して、著者、発行者が修正をして内閲本審査に入る。内閲本審査では、著者と発行者が、場合によってはいろいろ話をし合っていくうちにおのずからこの辺までという点もあったわけでございます。そうして教科書をよりよいものに、完成度を高くして発行するということになったのであります。  今回、三段階審査をやめましたので、そうしたことが一切なくなって、とにかくもう一たん検定意見がついて、直して、それでそれをもう一度審議会にかけて一発勝負で決まってしまうのではないかという御懸念だろうと思います。この点につきましては、私どもも、審議会が留保をする、そして留保したときにこういう修正点が必要だという検定意見をつける、そしてその検定意見に基づいて著者、編集者が修正を施される、その修正表が出てきて、それをもう一度審議会にかけるわけでございますが、その間に著者、発行者において御希望があれば、当然私どもの教科書調査官がおりますので、教科書調査官との間でいろいろ指導助言をするというようなことはあり得ることだと思っております。  したがいまして、ただ従来は内閲本審査が完了するまでいつまでもずっと長く延びるというようなことがございましたけれども、今回は審議会という一応のタイムリミットもございますから、それまでの間におきましては、私どももできるだけ著者、発行者に対しまして不利益にならないような指導助言は求められればしていきたいというふうに考えております。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 今発行者や著者に不利にならないように指導助言をしていきたい、そういうふうに言われましたけれども、その保証はどこにありますか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 これは、これからの新しい制度でございますので、これから私どもはそういう運用をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 これから運用してまいりたい、その言葉を信じたいわけですけれども、それならば、そういう憂い、心配があるわけですから、その制度としてきちんと保証できる、そういう制度にさせるべきだと思いますが、その点、いかがですか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 教科用図書検定規則の実施細則がございます。その中に修正表を、要するに検定意見に基づいて著者、発行者が修正をされてその修正表を出していただくわけです。  これは意見の通知を受けたときから四十日以内に出していただくわけでございますが、この修正表につきましては、出したらそれでおしまいというわけではなくて、修正表を変更することができるという規定をここに置いておりますので、その間に調査官等との話し合いがございまして、修正をするということがございましたらそれを変更して出していただく、これは一種の制度的保証までいくかどうかわかりませんけれども、そういう手続は定めております。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 実施細則で修正表を提示をして、その道がある、このようにおっしゃいましたけれども、そういうものは、先ほどは運用で考えていきますよ、このように申したわけですから、そういう著者や発行者にそうした心配が残る、それは認められたわけですので、今後、運用の面でその辺は注意をしていくと言われる言葉を信じるよりほかに、制度として施行されてきた現在やむを得ないだろうと思いますけれども、十分御配慮をいただきたいと思うのであります。  しかし、検定の審査が臨教審の答申の中で余りに細部にわたり過ぎているというような嫌いがあるということから簡素化をしたというふうに言われましたし、その中で、著者や編集者の自助努力とか創意工夫を一層促進するような検定制度の改革を行うべきであると答申の中にもうたってあるはずであります。  そうしますと、簡素化という名のもとに、そうした著者や編集者の意思が無視されるような危険のある改定というふうに見られる側面があると理解をしておきたいと思います。また、私は、この方法は、臨教審が提言をいたしました個性豊かで多様な教科書づくりや教科書発行者の創意工夫などの改革方針には明らかにこれは反しているのではないかと思います。  今回の改定で一本化した検定意見は、従来の修正意見に相当していると思いますが、この検定意見というものは強制力を持つ、従わなければならないというふうに理解されるのかどうか、この点についてもお聞きをいたします。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 冒頭に今回の改正のポイントとして申し上げなかったわけでございますが、申しわけございませんでしたが、もう一つ、今先生から御指摘ございましたように、改正の内容として、従来修正意見と改善意見の二本立てであったのが、今回は、改善意見の制度をやめまして検定意見という形で一本化したということがございます。  そこで、従来二本立てであったといいますのは、従前の制度では、教科書の原稿を審査して欠陥と判断される箇所につきましては削除とか訂正とか追加などによって修正をしていくわけでございますが、その必要のある箇所については、どうしてもこれは直さなければ教科書としての適格性がない、要件を満たさないというものにつきましてほ修正意見をつけていたわけでございます。この修正意見は、従来も必ずこれに従って修正をしなければ教科書として最終的に合格にならないという意見でございました。強制力のある意見というふうに先生おっしゃいましたが、そのとおりでございます。  もう一つ従来ございました改善意見というのは、修正意見として指摘するほどにはその欠陥の程度が至らない、どうしてもそれを直さなければ教科書としての適格性がない、要件を満たさないという程度には至らないけれども、訂正とか削除、追加などの措置をした方が、修正をした方が教科書としてはよくなる、要するにベターになると判断される箇所につきましては改善意見を付していたわけでございます。この改善意見は、どうでもそれに従わなければ教科書として最終的に合格にならないという合否の判定には関係がない、しかし審査する方としては、これは直した方がよくなるのではないか、よりいいものになるのではないかと気づいた点について改善意見を付していたわけでございます。  実態を申し上げますと、従来は修正意見よりも改善意見が非常に多かったわけでございます。ですから、著者、発行者につきましては、この改善意見がたくさんつくということに関して、かえって著者の創意工夫を阻害するのではないかというような御指摘もかなりございました。  そこで、今回の改善におきましては、先ほど来御指摘がありますように、個性豊かで多様な教科書を発行する、著者の創意工夫を生かすという観点、そして簡明でわかりやすい検定制度を実現するという観点から、教科書としての適格性の判定に重点を置く、教科書としていいかどうか、その要件を満たすかどうかという観点で検定を行うという形でこの検定基準を重点化し、簡素化いたしましたものとあわせまして、従来の改善意見の制度を廃止したわけでございます。  したがいまして、今回つきます検定意見は、従来の修正意見だけに限りますので、これはそれによって修正をしていただかなければ教科書としては合格はならない。そういう意味では、御指摘のような強制力のあるという言い方にもなるかとも存じます。  いずれにしましても、従来に比べますと、今回の改正によりまして検定で付されます意見というのは数が絞られてくるであろうというふうに考えております。したがいまして、教科書の発行者、著者にとりましては、より創意を生かす余地が広がってきているというふうにとらえることもできるというふうに考えております。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 従来あった改善意見、これは従わなくてもよいという側面のある意見、しかしその改善意見があったがために五百カ所もの修正箇所等があって、調査官との間で大変時間もかかり、煩わしい。その辺を簡明でわかりやすくするために一本化をし、またさらに条件つき合格というものも廃止をしていった。その理由は局長ずっと答えられているわけでございますけれども、そうしたことが、本当に答申の精神を反映をして多様な魅力ある教科書づくりになるのかどうか、もう一度聞いておきたいというふうに思います。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 臨教審の答申ないしは審議の過程でいろいろございましたのは、検定の審査が細部にわたり過ぎて著者、編集者の自助努力と創意工夫が欠けてくるのではないか、ですから、そういうことのないように著者の自助努力とか創意工夫というのを一層促進するように検定制度を改革をする必要があるという御指摘でございました。  そういう観点から、三段階の審査を一段階にして簡素化を図るとか、さらには検定基準の重点化を図るとか、それからただいま申し上げましたように検定意見につきましても、従来の修正意見と改善意見の二本立てで、しかもただいま先生からも御指摘のございましたように、物によっては五百カ所にも及ぶ意見がついた、その大部分は、半分以上は改善意見なのでございますが、そういう形でこの改善意見というものを廃止することによりまして、従来に比べますと検定意見というのはかなり絞り込んだ形で、本当にここを直さなければだめだというところだけに絞って行うわけでございますので、著者、発行者にとりましては、従来もしこの細部にわたり過ぎているという御指摘があるとするならば、そうした点は改められていくのではないだろうかというように考えております。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 細部にわたり過ぎておるというその理解が問題だというふうに私は思うのであります。  手続上の細部にわたり過ぎて細か過ぎると、そう指摘しているのか、それとも調査官との間のやりとりの中で、または、後から質問をしようと思うわけですけれども、指導要領に準拠して、従ってやらなければならないという検定の精神から、そちらの方からの細部にわたり過ぎるというふうにとらえられる面もあるわけでして、決してそのことが「著作者・編集者の自助努力と創意工夫を一層促進する」という答申の意見、それがこういう形で簡素化していけば著者や編集者の創意工夫が一層促進されるのだというふうには何としても理解できないのであります。その辺はいつまで論議をしても平行線になるだろうというふうに思いますので、その辺は大きく問題があるというふうにとらえておきたいと思います。  次に、そうやってある面では臨教審の第三次答申を受けてというふうにこの改訂の方法が用いられているわけですけれども、今言いましたように、そういう部分については答申の精神が生かされていない。そういう面も両面この検定の中身としてはあるというふうにとらえます。また、臨教審答申が提言をいたしました教科書調査官や、略して検定審と言わせていただきたいと思うわけですけれども、その検定審の構成や制度についての見直しもやらなければならない、やっていく必要があるというふうに答申は提言しているわけですけれども、その部分が見送られていったのはなぜなのか、お答えをいただきたいというふうに思います。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 教科書調査官制度につきましてはこれまでと同じでございますが、検定審議会につきましては、このたび生活科の実施等に伴いまして新しい部会をつくるとか、それから、臨教審の答申で御指摘もいただいております委員の人選のあり方についての考慮などにつきましては、今後ともこの臨教審の御答申に沿って十分配慮してまいりたいというふうに考えております。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 今後検討してまいりたいというふうに答えられたわけですけれども、検定審の委員の人選や機能や権限、それから教科書調査官の役割とか位置づけ、その辺こそメスを入れて改正をしていくことが本来の検定をよりよくする、文部省で言われている改善につながるというふうに思いますけれども、その辺についてもう一度お答えいただきたいというふうに思います。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 審議会の役割とそれから教科書調査官の役割につきましては、先ほど審査の手続で申し述べましたように、審議会の従来の三段階審査においては原稿本審査の段階でのみ審議会が関与しておりましたのを、今回、一本化することによりまして、最終段階、修正に基づきます最終的な審査も審議会にかけて行うというような形で、その役割を従来よりも一層重視しているといいますか役割を大きくしているということがございます。  それから、教科書調査官の役割につきましても、先ほどちょっと申し上げましたように、従来の内閲本審査、見本本審査におきます教科書調査官の役割というものは今回変わってくるわけでございますので、そうした役割は今回の制度改正によって改善されてきているというふうに考えております。ただ、制度としての教科書調査官のあり方についてまで今回の答申が求めているのかどうかは存じませんが、現在の教科書調査官の制度というものは従来どおり私どもは維持してまいりたいというふうに考えております。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 教科書調査官の役割については従前の役割、位置づけ等が踏襲をされるというふうにお答えをいただいたわけですけれども、私が申し上げたいのは、検定審の役割といいますか、それは検定春を重視をして、検定審が最後の教科書の合否の決定まですることになったわけですので、なおさらのこと、そこにどういう委員を人選していくかというところが大事なのでありまして、教科書の検定の最終判断をする審議会の人々の考え方、そういうものについて相当教科書の合否の中身が変わってくるだろうというふうに思います。しかも臨教審答申ではその辺についても、人選を含め「適正な構成になるよう考慮する必要がある。」というふうに明確にうたっているわけです。  したがいまして、その辺については今後の検討課題ですというふうに片手落ちの答申の意見の尊重というふうにとらえざるを得ないわけですけれども、その辺については、文部大臣、いかがでしょう。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 教科用図書検定調査審議会の役割につきましては、先ほど来申し上げておりますように、今回その役割を重視したわけでございます。したがって、委員の人選等が重要であることは先生御指摘のとおりでございます。  したがいまして、私どもはこの審議会委員の人選につきましては、今先生のおっしゃいましたようなことと、それからこの臨教審答申が求めておりますような適正な構成になるように十分留意してまいりたい、配慮してまいりたいというふうに考えております。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 その辺について後ほど文部大臣にもお答えをいただきたいと思いますが、その問題、先ほど局長が高校教科書の問題にもちょっと触れておりましたので、その点についても若干触れさせていただきたいと思います。  答申の中には、高校教科書の一部は検定の対象にしなくてもよいのではないかというふうにもうたっているところであります。しかし、その辺についても今回の検定の改定には何ら触れられていませんし、そうした、どう見ても、文部省が都合のいいところだけ答申を引用されてこの検定の構成をされたとしか思えないような節がありますので、その辺について大臣からお答えいただければありがたいと思います。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 高等学校の教科書につきましては、確かに「教科によっては、検定の対象としないことについても、」「検討していく必要がある。」という臨教審の御答申がございます。ただその中で、「教科指導の在り方」とか「教科書の水準の維持」とか「大学入試との関連」とか「教科書をめぐる環境条件の成熟状況を勘案しながら、検討していく必要がある。」ということで、中長期的な問題として臨教審答申は指摘しているわけでございます。  したがいまして、今回の制度改善の中には高校の教科書の検定について組み込んでいないわけでございますが、高等学校につきましては、御案内のように平成六年度から新指導要領が実施されます。それに基づきます新しい指導が行われることになりますので、それらの実施の経験をも含めまして、今後の学習指導の指導方法の変化とか教科書をめぐります環境条件等の変化を見守りつつ、私どもの今後の中長期的な課題として検討していきたいと考えているわけでございます。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 ぜひ、その辺について大臣のお考えをいただきたいというふうに思うわけです。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 先ほど私もお答えを申し上げましたとおり、今度の改定に当たりましては、公正で適切な審査が行われるようにということを申し上げたのでございますが、それを行いますためには、当然、先生から御指摘をいただきました人選等についても十分配慮をしていかなければならないことだということを承知いたしております。  それから、高校の教科書の問題につきましては、今局長から御答弁を申し上げたとおりでございます。全部何も野放しのままというわけにもまいりませんが、しかし個性化その他を考えてまいりますと、そこら辺のところにはそれなりの配慮があってしかるべきかなと考えます。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 高校の教科書の一部は検定の対象にならなくてもよいのではないかという、例えば一例で申し上げますと、古典として出てくる徒然草等の扱いについて、あれはもう私どもの貴重な文化遺産として子供たちの教育の教材としてすばらしいものであるというふうに認められるとすれば、その都度改訂のたびに、例えばの話ですけれども、そういう教材になり得る素材や検定の対象になって、そのときその時代の背景や検定審の委員の構成によって合否が決まってくるというような危険も内包しているわけですから、そのようなことについても、そういう趣旨で高校教科書、高校教育になりますとより専門的になりますし、その教材も固定化されていいというような性格にもなり得るわけですから、その辺について今後さらに御検討をいただきたいというふうに思うのであります。  次に、これはぜひ文部大臣に直接お聞きをしたい問題であります。  検定の済んだ教科書に対しまして、文部大臣の訂正申請勧告権が今度の規定では新たに規定をされたわけですけれども、このことは六十三年九月の検定制度改善の骨子の中にはなかったはずであります。これが突如としてこの勧告権として規定で登場してきたのはなぜなのか、その辺についてお答えをいただきたいと思います。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 今回の改正で、従来正誤訂正として、誤りが見つかったときに簡易に直せる制度がございましたが、その正誤訂正を検定済み図書の訂正という形で規定を整備いたしております。これは、検定周期の延長に伴いまして社会の変化とか使用上の経験に即したより適切な教科書の内容を確保するために、学習上の必要がある場合には従来よりも弾力的に図書の訂正を行うことができるようにしたものでございます。  この検定済み図書の訂正は、従来の正誤訂正と同様に発行者の申請に基づきまして文部大臣が承認をする、そういう手続で行われることに基本はなっております。が、明白な誤りとか学習を進める上に支障となる記載などがございましてその訂正を行うことが必要と認められるものがある場合には、発行者からの申請がないからといってこれを放置すべきではないわけでございます。教科書として適切な内容を確保するために、文部大臣としても発行者に対して申請を促す必要がある、そういう観点から文部大臣の措置としまして新たに勧告の規定を設けたわけでございます。  これは、中間まとめの骨子、すなわち検定調査審議会でこの制度改善を議論いたしましてその中間まとめを出しているわけでございますが、そこにはないではないかという御指摘でございます。それはそのとおりでございますが、この件につきましては、当然その後も審議会等で御審議をいただきまして、教科用図書検定調査審議会でございますが、そこで御議論をいただきまして、最終的な改正、文部大臣の勧告規定を設けることにつきましては検定調査審議会で御審議をいただいた上、そこの決定をいただいて決める、こういう経緯がございます。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 訂正条項の経緯につきましては今局長から御答弁を申し上げたところでありますが、教科書の作成に当たりましては、文部大臣の訂正条項、これはミスその他の訂正については当然やっていかなければならないことでありますが、これをいろいろな形で乱用するというようなことがあってはならない、そういう気持ちでおりますことを申し添えます。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 大変真摯な大臣ですから、それを乱用するような考えはない、乱用するつもりはないと言われましたけれども、時が変わり大臣がかわったときにこの権限が発動をされぬという保証はどこにもないはずであります。そのような危険きわまりない権限を大臣のもとに置くということ、それ自体が大きな問題であろうというふうに思います。  さらに、先ほど局長触れられましたように、文部大臣は、教科書会社からの検定済み図書改訂申請を承認する際には必要に応じて検定審の意見を聞くものとするとしておりますけれども、この文部大臣の訂正申請勧告の場合については、事前にこの検定審に意見を聞く機会を設けていない。そのこと自体にも大きな問題があるわけでして、今言われた大変な問題を内包しているというふうに思いますが、局長、どのように考えられますか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 今回のこの文部大臣の訂正につきます勧告権は、要件が規則で決まっておりまして、かなり限定的に規定がしてございます。それからもう一つは、この訂正を強制する、逆にいいますと法的な規定もございませんので、これは訂正があくまでも勧告でございまして、その訂正がなければ教科書としての効力がなくなるとか検定の効力が失効する、そういう規定はないことを申し上げておく必要があろうかと思います。  それから検定審議会、もちろん検定審議会というのは重要でございますので、簡単な誤記、誤植はともかくとしまして、いろいろ内容の変更等につきまして訂正を求めますときには、当然審議会の意見の聴取を行うという運用をすることとしております。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 それでは、今の問題も含めてもうちょっと具体的に触れさせていただきたいと思うのであります。  昨年、指導要領も改訂をされました。その中で、小学校の社会科の六年生の教科書の中に戦後初めて東郷元帥が登場をしてきた、そのことについては大変な論議を呼びましたし、また当時の中島文部大臣、そして西岡文部大臣へバトンタッチをされたときの問題であります。  マスコミ等でも大きく取り上げられたところでありますけれども、その辺の経過やその是非について今論じようというふうには思わないわけですけれども、例えばという話で、その東郷平八郎、社会科の歴史を教えるための時代区分を組みながら登場してきた四十二人の中の東郷元帥の扱いによって、教科書検定、今回の制度によって合否が決まるような、そういうことはないでしょうけれども、そうした問題について今の文部大臣の訂正申請勧告権を規定したという点についてもそういう心配がなきにしもあらずであります。  そのことを考えるときに、著者やそれから発行者は一発検定の恐ろしさというものを感じながら、まず合格をしなければ、さらに今午前中から出ていますように、大変児童生徒減が予想されるわけでして、教科書会社、発行者にとればその辺に神経を使わざるを得ない、そのことが臨教審答申で言われる創意工夫を促進することになるのかどうか、検定制度の簡素化という名のもとにいろいろなものを内包しているということが明らかになってきたというふうに思うのであります。  なお、当時の西岡文部大臣は、外国人記者団との会見の中で、小学校の指導要領に東郷平八郎が登場してきたけれども、あくまでもこれは例示であって、採用するしないは教科書執筆者の判断で、文部省はそこまで介入はしないというふうに言ってあるわけですけれども、介入のできる道もここに開かれているのではないかというふうに思いますけれども、その点について、御感想でも結構ですから、お答えをいただきたいというふうに思います。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 新しい学習指導要領、小学校の社会科の六年生で歴史学習を行うのでありますが、ここで今回指導すべき人物として四十二名を例示いたしました。  これは、従来小学校段階の歴史学習におきましてとかく政治史、経済史的な通史に流れる傾向がございました。子供たちの発達段階から申しますと、そうした通史的な歴史、特に政治史、経済史を中心にした通史というのは、小学校の段階としては歴史学習としてはいろいろ必ずしも適切でないという御指摘がございました。この人物を中心とする、文化遺産を中心とする学習が小学校段階では特に大事ではないかという指摘が昭和四十代の改訂からずっと出てきているわけでございます。そしてそのことが指導要領に書かれてきたわけでございます。  ただ、では実際に教科書がどうなるかということを見てまいりますと、昭和四十年代からそういう指導要領上規定があるわけでございますが、実際の教科書はやはりなかなか人物中心の教科書ということにはならなかった。そこで今回小学校の学習指導要領では、重要な歴史事象に対応します人物として四十二名を例示したわけでございます。したがいまして、その指導事項のねらいが十分達成されますようにこれからの学校教育におきましてはそうした人物を中心に据えながらの歴史学習、子供たちの発達段階に即した小学生にふさわしい学習が行われるものというふうに考えております。  今回例示しましたものにつきましては、これらが教科書上も取り上げられるということを私どもは当然期待をいたしております。ただ、その指導事項のねらいが達成できるものであるならば、例示した人物にかえまして他の人物を取り上げることも可能であるということはそのとおりでございます。したがいまして、教科書検定におきましても、ただいま申し上げましたような趣旨を踏まえて適切な検定を行ってまいりたいと考えております。  ただ、具体的な記述の適否につきましては、実際に申請されました図書それぞれの記述の仕方に応ずるわけでございます。その記述の仕方につきまして教科用図書検定調査審議会におきまして十分御審議され、判断されることであろうというふうに考えております。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 この問題は、いずれにしましても、この勧告権というものは教科書会社からの訂正申請がない場合でも文部省が恣意で教科書はいつでも書きかえさせることができる道を開いた、そのように私は理解をしたいのでありますけれども、その辺、いかがですか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 文部大臣の勧告権といいますのは、この検定規則によりまして、検定を経た教科書について行うということでございますから、検定済みの教科書でございます。検定申請があって審査をしている段階におきましてはこの文部大臣の勧告権というのではなくて、必要な場合には検定意見をつけて教科書を修正していただくわけでございます。  そして、一たん検定が終わって世の中に使われている図書について、一定の要件の場合に文部大臣が勧告できるということでございますが、その要件と申しますのは、「誤記、誤植、脱字若しくは誤った事実の記載又は客観的事情の変更に伴い、明白に誤りとなった事実の記載がある」とき、それから「学習を進める上に支障となる記載又は更新を行うことが適切な統計資料の記載」、そういう場合に限っておりますので、御指摘のような歴史上の人物の問題につきまして直接関係のある問題ではないというふうに理解をいたしております。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 よりよい教科書、多様な教科書をつくるというのが今度の教科書検定の改定の目的でもあるわけでして、そして発行については民間にゆだねる、そういう性格を持っておりますので、当然その著作、編集という立場から言えば言論出版の自由という問題も出てくるというふうに思うわけであります。そうした観点から言えば、やはり自由な発想で多様な教科書がこうした検定の仕組みからは大変生まれにくい、そういうふうに感じてならないのであります。しかし、その問題は既に局長、文部大臣の方から触れていただきましたので、きょうはこの辺で終わります。  次に、検定終了後申請図書を公開することとした理由、そしてまた、それはしなくてもいいというふうにもとれる任意規定となっているのはどういうわけなのか。さらに、公開は具体的にどのような方法で行うのか、その点について御質問をしたいというふうに思います。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 今回の検定規則の改正によりまして、「検定審査終了後、別に定めるところにより、申請図書を公開することができる。」となっております。これは「できる。」となっておりますけれども、私どもは申請図書につきまして公開をするつもりでおります。  そして、実施細則におきまして、申請図書の公開につきましては、申請図書は検定審査終了後、初中局の教科書課長の指定する場所と日時において閲覧することができるという規定を設けておりまして、これはことし初めてのことでございますので、今後これからの課題でございますが、私の方としましては、一定の場所を指定しまして、そこに申請のありました図書を全部供覧に付したいというふうに考えております。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 それで、今できることになっているという任意規定だけれども、文部省とすればやる、それから公開については一定の場所を設けて、まあその方法についてはまだ具体的に検討をしていくというふうな過程のような御回答をいただいたわけですけれども、公開の原則として、いつでも、だれでもが見ることのできる、そういう公開にすべきだと思います。  それには大変な費用と労力も必要でしょうけれども、密室検定、密室審議と言われる検定制度を変えた大きな目玉としてこの公開をするというふうにうたっているわけですから、その辺について再度、公開は今の時点ではもうちょっと検討をしていく課題だというふうに言っておりますけれども、一番必要なのは、この問題で教科書をつくる立場、それから選ぶ立場、もう一つ忘れてならないのは使う立場、言葉をかえますと、やはりいい教科書ができるそのためには、すぐれた編集者、著者が保証されなければなりませんし、それを選ぶ専門的な公正な審議会の人員構成がされなければならない。  そして、一番直接に影響を受ける子供たち、教師、教科書を手にする子供たちや教師がこの教科書をどのようにとらえるかということで教科書のよしあしも決まってくるという観点からすれば、この公開についてもすべての国民に開かれた公開になるようなことが原則だと思いますけれども、その辺についていかがですか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 だれでも見れるようにしたいと思います。ただ、いつでもといいましても、やはり役所の開庁時間がございますし、それからこの検定申請の部数自体も大変少ない部数でやっておりまして、それは審議会の委員とか外部の調査員とかに全部渡してしまうわけでございますので、部数にも非常に制約がございます。したがいまして、全国どこでもというわけにはまいりませんが、とにかく文部省のある場所において、だれでも見れるような方法をとりたいというふうに考えております。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 文部省のどこかに置いて、それでは国民のだれでもが見てくださいよと言われても見れる保証はないはずであります。部数に制限があるから……。しかし、いい教科書づくり、すばらしい教材として、教育の重要性を考えるときにそれは保証されるべきだろうというふうに思いますし、もう一つ問題になるのは、一発検定と言われる簡素化をした、しかも結論が審議会にすべて任される、途中を簡略をしている、そういう中身に加えて、それに、検定が行われた原稿本が申請図書として完成をした審議の経過が一番大事なのであります。結果ではなくてその過程こそ、どのような論議がされ、この教材が取り上げられ、修正をされたかというところが一番知りたいところでありますけれども、その辺の過程まで含めて公開をするのかどうか、再度お聞きをいたします。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 なお、でき上がりました教科書自体につきましては、全国各地で多くの国民、教師の皆様に見ていただくという観点から、全国で七百四十九カ所の教科書センターを設けておりまして、そこで供覧に付しております。  ただ、先ほど来問題になっております申請原稿本自体につきましての公開は、これは従来一切外部には私どもからは公開しないということで来ていたわけでございますが、今回臨教審の答申等、御指摘もございますので、これを見たい方には見れるようにしようということで公開に踏み切ったのであります。  この検定の過程についても公開すべきではないかという御意見でございますが、審議会は、この教科書検定調査審議会のみならずほかの審議会も、他省の審議会もそうでございますが、原則として公開しないという前提で運営されております。  ただ、この検定の問題につきましては、従来からいろいろ御指摘もございますので、その年にございました検定につきまして問題点を整理して、主要な論点などを公表するという形でこれまでも行っておりますが、そうしました、どんな検定で問題があったのか、そしてそれについてはどういう論点があったのかというようなことにつきましては、今後とも公表をしてまいりたいと考えております。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 この公開の問題については今後検討をしていくという余地があるわけですから、今局長言われるように、その審議の経過まで明確になるような公開の方法をぜひ御検討いただきたいというふうに思います。  次に、検定の周期が三年から四年に一年延長をされましたけれども、そのメリットについてどのように考えておられるかお聞きをいたしたいと思います。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 教科書につきましては、従来から三年ごとに改訂を行う、したがいまして三年ごとに採択がえを行うということが行われてまいりました。  しかし、今回臨教審答申によりまして検定周期を三年から四年に延長したわけでございますが、これは三年ごとの改訂ですと、教科書をつくって検定をして、全国で採択をして供給するという間に三年かかって、そして実際に使われるときにはもう次の改訂を行わなければいけない。実際に現場で使われないうちに教科書を改訂しなければいけないという悩みがあったわけでございます。しかし、今回一年延ばすことによりまして、教科書を実際に学校で使用してみてその経験に基づく実践的な成果を次の改訂に生かすことができるというメリットが最大のメリットでございます。  教科書というのは、やはり時間をかけて丁寧につくる必要がございます。したがいまして、現在以上に時間をかけて教科書の著作、編集が行われますように、この検定周期の延長を行ったというものでございます。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 そこにも問題があろうというふうに思います。検定周期の延長によりまして、児童生徒が新しい知識や情報に対応できない教科書を長い間使用しなければならないという事態も考えられないことはないというふうに思うのであります。  さらに、いい教科書づくりのために、時間をかけてすばらしいものをつくってもらうために三年から四年にした、そういう配慮もあるんだというふうにお聞きをしたわけですけれども、それならば確かに時間と金をかけてすばらしい教科書が生まれてくる、そういうふうにも思いますけれども、検定制度の手続の簡素化というところでは、その辺を簡略にし、時間をある面ではかけない、そうした相矛盾したことになりはしないのかということが心配になるわけであります。  さらに、教科書発行者にとっては、この周期の延長によりまして大変競争が激化をしてまいる。一回検定が通らなかった、不合格になったときには死活問題にもなる、そういうような背景もありますから、ますます文部省の言われる、私たちが望む多様な教科書づくり、個性豊かな教科書づくりが保障されていくという環境はますます狭まったというふうにとらえられる面があると思いますが、その点について再度お聞きをしたいと思います。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 先生、前半に御指摘になりました検定周期が長くなると教科書の内容が古くなる、ないしは実態に合わなくなるという御指摘がございました。それはそのとおりでございます。したがいまして、今回検定規則の改定におきまして、検定済み図書の訂正というのを少し弾力化したわけでございます。特に、統計資料等は古くなりますと教育的にもいろいろ適切ではございませんので、統計資料等の訂正ないしは世の中の客観的事情の変更に伴いまして訂正を要する箇所等につきましては、検定済みの教科書であっても簡易な方法で訂正ができるということになっているのであります。  それから、検定周期を延長することによりまして教科書が多様なものがかえってできにくくなるのではないか、ないしは教科書会社にとっては採択等の関係で問題があるのではないかという御指摘でございますが、最近の教科書の種類数等につきまして見ますと、小中学校用につきましては、この十年間ほとんど変化はなくて安定的に推移しております。  また、高等学校につきましては、このところ、いろいろ多様化の傾向がございますので、教科書につきましてもいろんな種類が豊富になっているわけでございます。したがいまして、検定周期の延長によりまして直ちにそうした問題が起きてくるというふうに私どもは考えておりません。  検定周期の延長は、教科書発行者が創意を凝らしてよりよい、また多様な教科書をつくることができるようにするためのものでございますので、御懸念の点は生じないのではないかと考えております。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 もう時間がなくなってまいりましたから、用意をした質問を少し割愛いたしまして、どうしてもお答えをいただきたい問題として、指導要領との関連であります。  指導要領に準拠した形で検定が行われる、さらにその指導要領は法的拘束性を持つということになって、今回の指導要領、中身についても大変きめ細かくなって規制が出てきているわけですから、おのずからこの検定の基準にも制約がかかってくる。その辺について、指導要領とこの検定制度のあり方についてどのように考えられているか、お答えをいただきたいと思います。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 学習指導要領は、全国的な教育水準の維持向上とか、教育の機会均等の保障とか、さらには適切な教育内容の維持確保を図る、そういう目的のために教育課程の基準として学校教育法に基づいて定められているものでございます。  一方、教科書は、教科の主たる教材といたしまして児童生徒が学習する際の中心的な教材でございます。したがいまして、教科書は学習指導要領に基づいて適切に編集、著作されなければならないものであると考えております。  したがいまして、教科書検定におきましても、教科書が学習指導要領に基づいてつくられますように、そして検定の審査におきましては、当然学習指導要領を検定基準の重要な内容の一つとして審査をするということになっております。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 当然そのようなお答えになろうかと思うわけですけれども、今回の検定基準の改定は何に主眼を置いておったのか、それは若干冒頭の中でお答えをいただいたわけですけれども、再度検定基準の改定の主眼、その辺について最後に触れていただきたいと思います。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 検定基準につきましても、臨教審答申で御指摘がございました。先ほど来出ております個性豊かで多様な教科書が発行されるようにするために、発行者の創意工夫を促進しよう、そのためには検定の機能というものを教科書としての適格性の判定に重点を置こう、そういう観点から、今回検定基準につきましても重点化、簡素化を図ったわけでございます。  このため、教科書の検定基準につきましては、教科書としての要件、適格性に不可欠と考えられますことに絞りまして、一つは学習指導要領に準拠しているかどうか、そして二つには中立性、公正というものが確保されているかどうか、三番目には正確性の点に問題はないかどうかというような、そのほかいろいろ観点がございますが、そういう観点から、この検定基準を見直しまして重点化、一簡素化を図ったわけでございます。

輿石東日本社会党・護憲共同

○輿石委員 時間も終了したようですが、私は今回の検定の中身につきまして大変心配をしている一人であります。しかし、何としても子供に魅力ある個性豊かな教科書をつくるために、子供の立場から、使う教師の立場から検定が行われ、指導要領が改訂をされていく、そういう視点での今後の文部行政に対しまして期待を申し上げながら、発言を終わります。ありがとうございました。

船田元自由民主党

○船田委員長 次に、山原健二郎君。     〔委員長退席、麻生委員長代理着席〕

山原健二郎日本共産党

○山原委員 最初に、今回起こりました右翼のテロによりますフェリス女学院大学弓削達学長の自宅に対する銃撃事件について伺いたいのです。  これは、もう御承知のように、去る二十二日の深夜、弓削達氏のお宅に対して二発の銃弾が撃ち込まれました。幸い弓削学長は無事でございましたが、弓削学長が踏み台に上って書類を取り出した直後に銃弾が撃ち込まれ、学長の頭上をかすめて壁に食い込むという極めて間一髪のものであったと言われております。「天誅」という脅迫状を残しているところから、右翼の犯罪であることは疑いないと言われておるわけですが、この事件につまして捜査の状況を簡明に御報告いただきたいのです。

渡邉泉郎警察庁警備局公安第二課長

○渡邉説明員 お尋ねの事件につきましては、四月二十二日午後十一時十四分ごろ、東京都練馬区所在のフェリス女学院大学弓削達学長宅にけん銃二発が撃ち込まれたという事件であります。警察といたしましては、事件認知と同時に緊急配備を発令するとともに、実況見分、聞き込み捜査等を行いまして、現在、犯人の早期検挙に向けて鋭意捜査中でございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 弓削学長は、関西学院大学の柘植一雄学長、国際基督教大学の渡辺保男学長、明治学院大学の福田歓一学長とともに、今秋予定されている大嘗祭に対しまして反対声明を出しておられます。この問題は、本年、本島長崎市長銃撃事件に引き続く言論抹殺の銃撃事件だと私は思うわけですが、これに対して警察当局としてどういう態度で臨んでいるのでしょうか。私は、厳正な態度で対処するべきだと思っておりますが、この点についてお答えをいただきます。

渡邉泉郎警察庁警備局公安第二課長

○渡邉説明員 およそ民主主義社会におきまして、いかなる立場からするものであれ暴力によって目的を達成しようとする行為は絶対に許されないものでございます。警察は、違法行為は看過しないということを基本方針といたしまして厳正に対処してきたところでありますが、今後ともこの種事件の再発防止と犯人検挙に向けて努力をしてまいる所存でございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 この問題は、実は私自身も去る総選挙の直後に襲撃を受けまして、これは改造銃によって弾を撃ち込まれたわけですが、私の事務所と千メートル離れております私の県の党の事務所、二カ所に対しまして深夜二回にわたって弾が撃ち込まれました。パチンコの玉ですけれども、専門家に聞きますと、頭蓋骨を撃ち抜くぐらいの強力な力を持っておるものでございましたが、これはもちろん直接の原因は明らかでありません。けれども、今度の場合は明らかに大嘗祭に対する四学長の声明を契機として起こったものでございまして、明らかに自由と民主主義、言論、思想の自由に関する問題であることは間違いないと思います。  私は、いかなるものにあってもタブーがあってはならぬと思っているのです。これは大嘗祭につきまして四学長の声明の中には「象徴天皇制を神権天皇制に逆行させる途を開くおそれ」があるということで反対声明を出されているわけでございまして、このことを契機にして起こった銃撃事件ではなかろうかと思いますと、天皇問題についてもタブーがあってはならないという思いをいたしておるわけです。戦前における経験を踏まえまして、こういう事態は断じて許してはなりませんし、また再び物が言えないような時代に逆戻りすることは許されないことでございます。  この問題につきまして文部大臣の御見解を伺いたいのです。大学の学長に関する問題でもございます。私は文部大臣の毅然たる態度を求めるものでございますが、大臣の御見解をお伺いしたいのであります。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 今回の事件につきましては、ただいま当局からお話がありましたとおり現在捜査中でございます。でございますので、この問題についての直接のコメントは差し控えさせていただきたいと存じます。  なお、一般論として申し上げれば、言論の自由の保障というものは民主主義の基本でございますし、これが暴力行為等により妨げられることがあってはならないということは私も強く感じております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 私はあなたの意見に反対だ、だが、あなたが意見を言う権利を私は命をかけて守りますという言葉は、これはもう御承知のボルテールの言葉でありますけれども、今問われているこの民主主義の問題、本当にそれが侵されるような風潮というものは絶対につくってはならぬものでございます。  もともと戦後、大学は学問の自由と大学の自治ということを理念として今日まで発展をしてきたわけですね。その背景には、戦前における大学に対する国家権力の介入あるいはテロあるいは特高警察による弾圧というようなものがあったわけでございまして、それがこの国をあの不幸な事態に追い込んだ大きな要因になっているわけですから、その中でかち取ってきた戦後の民主主義というものを守るために、この問題を契機に、私は、少なくとも教育に関係する者が決意を固めてこれらの事態に対処しなければならぬ時期ではないかというふうに思うわけでございまして、この点について文部大臣の再度の決意をお伺いしておきたいのです。     〔麻生委員長代理退席、委員長着席〕

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 民主主義と言論の自由、これは命をかけても守らなければならない、当然のことだと思います。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 次に、日の丸・君が代の問題について伺っておきたいんです。  今年度の学校における入学式、これに右翼が押しかけ、街頭宣伝車でがなり立てるなど、直接学校に対しての威圧などが行われたことがしばしば新聞にも出たのでございます。この点について警察当局としてどういうふうに掌握をされておりますか、お答えいただきたいのです。

渡邉泉郎警察庁警備局公安第二課長

○渡邉説明員 右翼は、卒業式当日の三月二十三日に、兵庫県宝塚市内の丸橋小学校及び長尾南小学校周辺で教職員組合を批判する街頭宣伝活動を行い、また入学式当日の四月九日に卒業式同様、兵庫県宝塚市内の二校及び埼玉県上福岡市内の福岡高校周辺で、さらに四月十日に兵庫県芦屋市内の芦屋高校周辺で教職員組合批判並びに国旗・国歌啓蒙の街頭宣伝活動を行ったので、各県警では所要の警戒措置を講じた結果、卒業式や入学式は妨害されたという事案はなかったと承知しております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 今御報告のように、これは新聞報道の一部分を私がまとめたものですけれども、埼玉県のある高等学校では、右翼が乗り込んできて朝から校門の前に日の丸を掲げ、しっかり君が代を歌えよと威圧を生徒たちに対して加える事態が起こっておるようです。  今お話しの兵庫県宝塚市では、二つの小学校の校門わきに右翼の街宣車が十七台集まりまして、日の丸を掲げろとマイクで叫ぶなど異様な風景、そしてしかも県警、警察機動隊、宝塚署員ら約百七十人が校門前で警戒する中を新入生や父母などが顔をこわばらせて学校に入ったという、こういう状態です。こういう事態が今度の入学式で起こっているわけですね。  本当に厳粛で楽しい入学式というのが、学校の教師も父母も子供も望んでいる入学式だと思います。生涯に一度の小学校へ入るという楽しい行事ですから、それがこういう異常な事態になることは、これはまことに残念至極の問題でございますけれども、これに対して文部大臣の御見解を伺いたい。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 入学式は、人生にとりまして大変大事な折り目の行事でございます。これが平穏無事に行われるということは国民だれしも願っていることだと思います。今回の入学式等におきましては、一部に先生御指摘のようなことがあったと承知しておりますが、全国的には平穏無事にこの入学式が行われたと私は承知をいたしております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 学校教育における主人公はだれでしょうね。教育における一番大事に処遇されなければならない者はだれだというふうに大臣はお考えでしょうか。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 まず第一に教育を受ける生徒であり、教育を授ける先生だと思います。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 全く私、そのとおりだと思います。学校はやはり子供が主人公、まあ主人公という定義をつけること自体がおかしいかもしれませんが、一番尊重され、大事にされ、処遇されるべきものであるというふうに思うわけです。したがって、そこでは校長でもなければ教師でもない、やはり子供だというふうに思いますと、そのことを念頭に置いて教育行政というものも行われなければならぬと思うのです。  ところが最近では、教育委員会あるいは教育長によりまして学校の主人公は校長だという風潮が非常にふえております。そして強引に日の丸を立てるとか君が代を歌うとかいうことを校長が主導的に行う様相がふえているのですね。  ちょっと京都のある学校の例ですけれども、教職員がかいた童話の絵と在校生がかいた似顔絵、これが卒業式のときに張られるのです。それが例になっているわけですが、今度は校長の指示でそれが撤去されまして、かわりに日の丸を掲げ紅白の幕を張るという状態が出てまいりました。この似顔絵というのは、式は学校の式場が狭いために六年生しか出られない、そのために在校生の四百五十名の子供たちが自己紹介を兼ねて自分の似顔絵を全員がかくわけですね。それを張って、そして六年生を送り出していく、そういう慣習があるわけです。ところが、それに対して校長はどう言うかといいますと、式は厳粛なものでなければならない、会場内に絵を張るなどということは私の思っている式のやり方ではないと言ってこれを撤去させたわけです。  こうなってきますと、まさにここでは校長の主観で、この学校における子供たち、先生方、そして習慣として行われてきた楽しさ、そして本心から卒業生を送るというこの習慣が破られるわけです。これは卒業式のときもそうですし、入学式のときも新入生たちは自分たちの手で迎えたいということでこういうことがやられているわけですけれども、これがやはり次第に重苦しい空気の中に入っていくわけですね。  なぜこんな事態が起こるのかといいますと、ただいま学習指導要領の話が出ましたけれども、やはり文部省が今回出しました日の丸・君が代のいわゆる押しつけの結果ではないか。なぜ学校の創意ある入学式ではいけないのか、卒業式ではいけないのか。日の丸・君が代がなくても感動的な入学式や卒業式は幾らでもできるわけでございまして、これを強制によって全く異質の雰囲気に変えていくということが、教育上、果たして正しいのかどうかという点はどのようにお考えになるでしょうか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 学校教育におきまして子供たちが最も重要であることは仰せのとおりで、御指摘のとおりであろうと思います。  ただ、その大事な子供たちに最も適切な教育を施すのは学校の責任でございます。そして、その学校の責任として最も重要な立場にあるのは校長でございます。入学式、卒業式等は子供たちにとって大切な人生の節目でございます。学校教育において最も清新で厳粛な行事であるという重要な行事でございます。  その行事をどのような形で行うかというのは、これは学校として最も適切な方法をいろいろ御工夫になって行われるものであろうと思います。学校行事につきましてどのような形でやるかということは、もちろん職員会議等で全教師が参加していろいろ御議論をなさいましょう。しかし、それを最終的にやはり責任を持って行うのは校長であるというふうに私は考えております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 そういう見解だろうと思いますね。でも、本当に今までずっと戦後ちゃんと来ているわけですよ。  それぞれに工夫を凝らし、創意を凝らし、校長と先生方が話し合い、父母とも話し合い、今度の卒業式はこういうふうに、今度の入学式はこういうふうにやろうというようなことで来ているところへ、今回文部省の見解によって一つの式が強制されるわけですね。そのことによって学校にいろいろな事態が起こっているわけですからね。きょうはここで論争して長い時間をとるつもりはありませんけれども、本当に考えなければならぬところへ来ておると思うのです。  今度の文部大臣の所信表明の中に初めて、これは私の認識が間違っておったらお許しいただきたいのですけれども、校長を中心として責任体制を確立し、活力と規律ある学校をつくるというのが出てきました。今までの文部大臣の所信表明の中で「校長を中心とする責任体制」という文言が使われたことは過去においてあったでしょうか。この点、ちょっと伺いたいのです。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 過去においてそのような表現があったかどうかについては私もよく承知をしておりませんので、事務当局から御返事させます。

倉地克次文部省教育助成局長

○倉地政府委員 大変恐縮ですが、今確たる記憶がないわけでございますけれども、昨年の所信表明にも多分このような文言があったのではないか、そのように考えている次第でございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 あったかなかったかわかりませんか。この間の所信表明を聞いておりまして、今まで私も二十三名の文部大臣とおつき合いをしてきたわけですけれども、今まで所信表明で「校長を中心とする責任体制」、こういう言葉はなかったと思います。  これは私の記憶が間違っておったら訂正しなければなりませんけれども、あえてなぜこの言葉、「校長を中心とする責任体制」——これは学校教育にとって強烈な文言なんですね。おわかりになったらお答えください。わからなければよろしい。

倉地克次文部省教育助成局長

○倉地政府委員 あったかなかったかということにつきましては、それでは早速調べたいと思っているわけでございます。  ただ、「校長を中心とする責任体制」というのは、やはり学校というのは組織体でございますので、校長を中心として、学校が組織体全体として円滑に機能するにはやはり校長を中心として活動するのが一番の方法ではないかということでこのような文言が書かれている次第でございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 私は今までなかったと思うのです。だから、私はこの間予算委員会で申し上げたのですけれども、三木総理大臣のこの問題に対する見解をもう一回文部省の方も見ていただきたいと思うのですよ。  これは参議院で、ちょうど三木武夫さんが総理大臣のときに、今の外務大臣をしておられる中山太郎さんが日の丸・君が代を取り入れろという質問をしまして、それに対して三木さんがどう答えたかといいますと、日本の教育が、政治というものが教育の場に入ってきて、そして政治の争いが学園を中心として繰り広げられている。こんなことでは幾らいろんなことを言われても、私はだめだと思う。やはり教育を政治の争いの場から外さなければいけない。そういう雰囲気を一掃しなければ、日本の教育というものは、これは軌道に乗ってこないという言葉、海部さんが三木さんを恩師と言われておるわけでございますから、予算委員会でこの言葉をそのまま議事録を読み上げた。  三木元総理の発言の中には、少なくとも日の丸・君が代についてのかなりリベラルな、しかも極めて志の高いもの、また学校教育に対する配慮というものがあると私は思っておりまして、そういう意味でこれを使わせていただいたのです。校長を中心とする責任体制、そして活力と規律というものとは違う、異質のものが教育にはあるのです。そのことを三木元総理は言っておられると思います。  それで、学校の現場へ行きますと、今ほど愚かさとずるさがはっきりしてきた時代はないということを言うのですね。例えば日の丸を自分のロッカーに隠しておきまして、来客があるとこれをぱっとあけて見せる。日の丸をいつでも掲げていますよという、こそくな日の丸の見せ方ですね。それから、土下座でも何でもするから、とにかく日の丸と君が代さえあればあとはどうなってもよいから、やってください、こういう校長先生も出てくるのです。いろいろ出てきますけれども、校長室で日の丸の虫干し。ふだんは隠しておいて、何かのときに出して、虫干しをしているんだということまで言うとか、式の最中に突然校長が起立して君が代を歌い出して、生徒も先生も唖然とするような事態なども起こっているわけです。  私は校長を責めているのではありません。校長にも信念がありますから。戦前の教育というものを学び、そして戦後において民主的な教育基本法に基づく教育をやろうとするその気持ちと、今文部省を中心として系列化されている教育委員会との板挟みの苦慮、そこで苦労している教師、校長の姿というものは、これはもう形式ではなくて、本当に教育者として彼らがどんな悩みを持っているかということ、そういうことを理解しなければだめだと私は思っているのです。  それから、教育を混乱させ教師や校長、そして父母との溝をつくる一つの要因に最近は日の丸・君が代の押しつけがあるのではないかと思うわけでございまして、父母の中にも、強制には反対だが子供の式に出席して、何とか混乱させないようにしてもらいたいという、深刻な顔をして集まっている父母の方もおるわけです。  こういうことを配慮しますと、私はやはり日の丸・君が代は強制すべきではないと思っているわけですが、これはここでも何度も論議されておることですけれども、あえて今御答弁をいただきたいのです。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 世界のどこの国におきましても自分の国やほかの国の国旗・国歌を大切にし、敬意を表するということは国際的な常識になっていることは先生も御承知のとおりだと思います。  これからの国際社会に生きていく児童生徒が国旗や国歌に対して正しい認識を持ち、またそれを尊重する態度をしっかりと身につけますことは極めて大切なことだと私は考えております。新学習指導要領におきましては、そのような資質を育てることを国民として必要とされる基礎・基本の一つとしてとらえまして、入学式、卒業式において国旗掲揚をするとともに国歌を斉唱するように指導することとしたものでございます。  学習指導要領は公教育に携わる教師の指導の基準でございまして、国語や数学などの内容を指導することと同じように、国民として必要な基礎・基本の一つとして国旗・国歌についてしっかり指導することを求めているものでございまして、これは学校教育においてこれからの国際化社会を考えていく場合にどうしても必要なことだと考えている次第でございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 私は強制すべきでないと思いますが、この問題はこれからも続くわけですから、そのことをおきますけれども、今度四月十六日に文部省初中局の小学校課長名で「公立小・中・高等学校における入学式及び卒業式での国旗掲揚及び国歌斉唱に関する調査について」という照会文書を出しておられますね。これは何のために照会するのですか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 先ほど来議論になっておりますように、新しい学習指導要領におきましてこれからの国際化を踏まえまして入学式、卒業式におきます国旗・国歌の取り扱いを明確化したわけでございます。  したがいまして、この国旗・国歌の取り扱いを明確化しました趣旨を踏まえまして、今後におきます国旗・国歌の指導に関する参考資料とするため、この四月十六日に、御指摘のように各都道府県、指定都市の教育委員会に対しまして国旗掲揚、国歌斉唱の実施状況についての照会を文書によって行っているところでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 結局、今こういう照会をして全国的な情勢を調べまして、そしてこの中には「実施の状況に関する特記事項」というのがあるのです。「これまで講じてきた方策」、「今後の指導方針」というものも書き込むことになっております。結局これを全国的に調べて、そしてさらに強制、押しつけの材料にするのではないか、より以上混乱を持ち込む可能性があるのじゃないかということを私は心配しております。  特記事項というのは、想像しますと、どんな混乱が起こった、どんな教師がどういうことをやったかというようなことまで結局書かざるを得ないような状態まで想像されるわけでございますけれども、これは私は、こんなことは撤回してください。どうですか。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 先ほど来御指摘がございますように、各地でいろいろ若干のトラブル等がございますので、そうした状況の把握もございます。  それから、今回の新しい指導要領の趣旨を徹底するためには、今後とも私どもは繰り返し教育委員会、学校等に指導の徹底を図りたいと考えておりますので、これまで講じられてきた方策とか今後の指導方針についてもあわせてこの際お伺いしたい、こういうことで調査をお願いしているのでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 これで、了解できませんけれども、この問題きょうは終えておきます。  次に、最近起こりました愛媛県立津島高等学校の問題につきまして、新聞等で報道されておりますし、私の隣の県でございますが、連日新聞報道なされております。これは社会科担任の先生が教育課程に基づいて日本国憲法の単元を扱ったわけですが、先生の授業は憲法前文の「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」というこの前文の意味について説明をし、さらに各自が選挙に際してはしっかりした基準を持ち、金権や情実などに左右されないことの大切さを教えたものでございました。これが二月の授業でございます。  ところが、二月十一日、十二日の連休が明けた途端に、生徒たちの中から警察の訪問、捜査を受けたということが伝わってまいりました。どういうことであったかといいますと、宇和島警察署が授業に犯罪の嫌疑があるとして十数名の生徒の家に聞き込みに入りまして、三十分から三時間に及ぶ聴取を行い、取り調べ調書に生徒の指で押捺させるという事態が起こったわけでございます。そして同時に、生徒や保護者に対しまして学校や教職員に一切秘密にしておくようにと言い渡しておる事件でございます。  この事件は、今までちょっと経験したことのない、警察が直接学校の子供を聴取して、さらに調書をとる、しかも指印を押さすというようなことはちょっと学校教育では今まで考えられないことでございますし、校長さんは警察の行動については全く知らなかったということを言っておるわけです。しかも、地元の某県会議員が校長と警察に働きかけをしていたということをこれはPTAの研究会であいさつの中で発言をしておりますが、こういう事件でございます。  この事件について、文部省、どういうふうにお考えになっているのでしょうか。私は余りにも非教育的な警察の授業内容に対する介入であるというふうに思いますと同時に、本当にこれまた民主主義の立場かち許すことのできないことだと思っておりまして、こんなことが二度とないように厳重な態度をとっていただきたいと思っているわけですが、この点についてのお答えをいただきます。

倉地克次文部省教育助成局長

○倉地政府委員 大変恐縮ですが、この立ちました機会に、先ほどの所信表明のことも述べさせていただきたいと思います。  「校長を中心とする責任体制」の文言でございますが、これは前回の第百十四回国会の所信表明にほぼ同趣旨のものが入っておる次第でございます。  それから、ただいまお尋ねの件でございますけれども、これは愛媛県教育委員会から報告をいただいているわけでございますけれども、本年二月、愛媛県立津島高校の社会科教諭が行った現代社会の授業内容について公職選挙法違反の疑いがあるとして警察が生徒から事情を聴取したというものでございます。  私ども、県教委からの報告を伺っているわけでございますけれども、衆議院議員総選挙の公示直後の時期に、このような誤解を招くような授業が行われたことは必ずしも適切ではないのではないかというふうに考えている次第でございます。私どもとしては、今後とも教育の政治的中立の観点から、国民の誤解を招くようなことのないよう指導してまいりたいというふうに考えている次第でございます。  また、警察の事情聴収の問題でございますが、愛媛県教育委員会の報告では、警察の捜査は公職選挙法違反の疑いによるものであり、やむを得ないものであったと受けとめているということでございました。こういうことから見ましても、私どもが県の教育委員会から聞いた報告の限りにおきましてはやむを得ないものであったというふうに考える次第でございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 随分自主性のない文部省ですね。十五名もの生徒を警察が、今までこんなことありませんよ。しかも、指印を押さすわけでしょう。それから、だれにも言うなというわけでしょう。それに対して文部省は、もっと教育権を守る立場に立ってもらいたいですよ。  それから、先生の教えた時期が悪いと言う。でも、本当は時期の問題についてとやかく言うわけではありませんけれども、実際は政治的高揚あるいは政治関心の高いときに、憲法に示された選挙に対する考え方を教えるということは決して悪いことでも何でもありませんし、これはまさに警察のやることを是認した立場だと思うのです。  しかも、教育基本法第八条は、「良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない。」ということがあるわけです。しかも、「教育は、不当な支配に服することなく、」ということがあるわけです。これは異常な事態です。  これはいろいろやり方はあるわけです。例えば教育長を通じてやるとか、そんなうわさがあるがどうなんだ、たった一人の人間のうわさをもって警察が子供たちを調べるなんということをやられたら、これは教育、成り立ちませんよ。警察そのものが教育の授業内容まで干渉することができることになるわけです。  そのことを考えますと、こういうやり方に対しては文部省は毅然たる態度をとって、そういうことは教育的なやり方ではないということぐらいははっきりと警察当局に対して言うべきだと私は思うのですが、その点、どうですか。

倉地克次文部省教育助成局長

○倉地政府委員 法律違反の事態がありましたときに、警察がどういう行動をとるかと申しますのは刑事訴訟法に定められているところでございまして、その観点から警察がいろいろとおやりになることにつきまして、私どもがとやかく申し上げる立場にはないのではないかというふうに考えているところでございます。  ただ、衆議院の総選挙公示直後の時期にこのような誤解を招くような授業を行われたということは、必ずしも適切ではないというふうに考えておるわけでございまして、私どもは、この点については今後とも十分指導してまいりたい、そのように考えている次第でございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 これは県の教育長、武内さんですけれども、もう違反の確証がないということまではっきり言っておられるわけです。文部省はその時期にこんな教育したらだめだとか、そんなことをおっしゃるのだったら、それは教育委員会を通じてそういう点についての注意をすればいいのであって、警察が直接介入して、それを平気で黙っておるということ、私は、それは教育委員会としてま——もう愛媛県はわんわん言っておるのですよ。これは各党が問題にしておるのです。  文部省よりはるかに愛媛県の県民の方が、民主主義を守るという立場では毅然たる態度をとっていますからね。警察がやることを一々容認しておったのでは、しかも中身を見たって何の違反になるような確証もない、何もないものを調べられて、黙っておるということはないでしょう。やはりこれをほうっておけば、幾らでも教育内容へ、あるいは授業の中身まで警察が監視できるということになりますと、これは大変なことだ。それにはあなた方も反対でしょう。

倉地克次文部省教育助成局長

○倉地政府委員 何度も同じことをお答え申し上げて大変恐縮でございますけれども、公職選挙法に基づく違反行為があったということで警察がいろいろ捜査を行うことは刑事訴訟法に認められた行為でございまして、私どもがどうこう言う立場にあるというふうには考えていないわけでございます。  ただ、教員の政治的中立の問題につきましては、今後とも誤解を招くことのないよう十分指導してまいりたい、そのように考えている次第でございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 ちょっと御発言が少し明確でないのですけれども、学校の教育というのは先生と生徒の信頼の中で成り立っているわけですから、その先生に対して、これは一種の、先生のやったことを、いわば警察が権力をもって子供たちに対してこれを言え、これを言えと、あるいはどうなんだと、悪い言葉だけれども、言うたら先生をスパイするわけですからね。それでは学校における先生と生徒の信頼関係は壊れます。  だから、そんなことをやるのだったら、それならば教育委員会へ言ってちゃんとした教育上の指導をすべきでしょう。いわゆる教育上の立場に立って問題の処理に当たるべきであって、そういうことはやめてくださいと言うのが少なくとも教育府としての任務じゃないのですか。

倉地克次文部省教育助成局長

○倉地政府委員 愛媛県の教育委員会からの報告につきましても、先ほど申し上げましたように、警察の捜査は公職選挙法違反の疑いによるものであり、やむを得ないものであったと受けとめているという報告でございます。私どもも、いろいろ県から事情を聞いたわけでございますけれども、全体的観点からはやむを得ないものであったというふうに考えている次第でございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 この問題で、最後に申し上げておきますけれども、いわゆる公選法の百三十七条ですか、それについても何の違反の確証もない。そういう授業を、生徒十数名も調べる、ちょっと今までにないのです。一つの学校の生徒を十何名も調べる、判を押す、しかも黙っておれということなんか、これは本当にちょっとない異常な現象ですね。  そういう意味では、今の文部省の体質が問われるぐらいの問題だと思いますけれども、やはりこういう問題が起こりましたときには、教育上の観点で問題を処理していくとか、いろいろな方法があるわけですね。子供に対して直接そんなことをしてもらっては困るとか、それはもういろいろなことができるわけでございまして、そういう点は、やはり学校教育へそういう権力介入というのがたやすく行われるような情勢をつくっては私はいかぬと思います。このことだけ申し上げておきます。  次に、けさの質問の中で随分詳しく論議されておりますので、ダブったら恐縮でございますが、学習障害児の問題について、私の方にも親の会その他から要請が参っておりまして、なるべくダブらないような立場で、いわゆるLD児の問題でございますが、簡単にお尋ねしておきたいと思います。  学習障害児に関するシンポジウムが先日持たれまして、また学習障害児を対象とした、私塾ですけれども高等学校もつくられて、また親の会の連絡会も結成をされております。  まず、文部省としてこの学習障害児についてどのように把握されておるでしょうか。先ほどもこれは問題になったわけですけれども、簡単にお答えいただきたいのです。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 学習障害児につきましては、ここ一、二年いろいろな形で取り上げられ始めている問題でございます。学習障害児は、全体としては知能にそれほどのおくれはないけれども認知能力のアンバランスのために主として読み書き、計算などに一部学習上の困難を伴う、そういう子供だというふうに言われておりますけれども、その概念のとらえ方とか、ないしはその医学的な原因については現在のところまだ必ずしも明らかではないようでございます。  ただ、アメリカではこの問題はかなり大きな問題になっておりまして、学習障害児が特殊教育の対象として特別な指導が行われておりますし、その数も全児童生徒数の四%に達するなど精神薄弱児を上回る数字になっているというようなことで、かなり特殊教育の中心的な課題になっているというふうに私どもは承知しております。ただ日本では、先ほども申し上げましたように、まだ、いろいろ最近問題になり始めたわけでございまして、私どもとしましては今後の研究課題と受けとめているところでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 この問題は、いわゆるLD児というのは、一つは知能的には大きなおくれがない。二つ目は学力の習得や行動面に幾つかの発達的な特有の問題症状が見られる。三つ目は原因として環境的な要因でなく子供の自身の脳の働きに関係する原因が推定される、いわゆる脳の働きにやや偏りがあるために思考や行動にアンバランスを起こしている子供のことを指すと言われております。  アメリカの合同委員会の一九八一年の定義を見ますと、「学習障害は聞く、話す、読む、書く、推論する、計算するなどの能力を習得したり、用いたりすることに著しい困難を示すさまざまな障害を包括する用語である。これらの障害はその個人の本来的なものであって、中枢神経系の機能障害と推定される。学習の障害は、他の障害(感覚障害、精神遅滞、情緒・社会的障害など)や環境的要因(文化の違い、不十分・不適切な指導、心理的要因など)によっても起こるが、これらの障害や要因の直接的な結果によるものはLDには含まない」こういうふうに書かれております。  さらにその特徴を見ますと、一つは活動水準の異常——多動、逆に無気力。二つ目は転勤性、集中力の不足——刺激に反応しやすい、集中力に欠ける、短時間しか一つのことを続けられない。三つ目は固執性——一つのことをいつまでも繰り返して、なかなか次のことに移れない。四番目は衝動性——突発的な行動。五番目が情緒の不安定——緊張しやすく傷つきやすい。六番目が協応逆動のまずさ——大きな運動、手先の運動とも不器用。七番目が物を学ぶ上での特有の障害——読むこと、書くこと、数の操作などの著しい困難性。八番目が言語のおくれ。九番目が記憶、思考、日常概念の障害——学んだことを忘れやすい、総合的に考える力が弱い。  現象的にはこれが全部あらわれるのではなくて、個々の子供によって違うが、こうした子供がどれくらいいるかというと、先ほどお話に出ておりました二ないし三%、大体一クラス一人の割合でいるということになります。また、男子に多いということも特徴的だと言われておりますが、こうした子供はいじめの対象にされたり怠け者のレッテルを張られたりして、さらに高等学校の進学をなかなか受け入れる学校もないという状態でございます。  今局長おっしゃったように、アメリカでは一九六〇年代からこうした子供たちに光が当てられ、専門教師が育成され、治療教育が進んでいるわけで、例えば二十五人学級程度の普通学級とともにさまざまな通級学級、LD学級、スピーチのクラス、リーディングのクラスなどにも通えるようになっているようです。また、担任教師のほかにもリソースの先生、助手、スクールカウンセラーなどがおり、その他にスクールサイコロジスト、ソーシャルワーカー、スピーチセラピストなどの専門家が巡回しておるというふうに聞いているわけでございます。  先ほど質問に対して、文部省としても調査研究を行うというふうな御答弁があったわけでございますが、早急に調査研究をされまして対策をとるべきだと思いますが、簡単で結構ですが、お答えをいただきたいのです。

菱村幸彦文部省初等中等教育局長

○菱村政府委員 私の方で今、国会に御提出しております平成二年度の予算案におきまして、通級学級の研究をする経費を計上いたしております。その通級学級の調査研究の一環としてこの問題を取り上げてまいりたいと思っております。  それから、私どもにございます国立特殊教育研究所等の研究におきましても、できましたらこういう問題も取り上げて研究を深めてまいりたいというふうに考えております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 文部大臣、この問題について随分研究されておるように先ほど伺ったわけでございますが、実態調査をされまして、特に親の会とか専門家の意見を聞いて、具体的な対策、対応を講じていただきたいと思いますが、簡単でいいですから、お答えいただきたいのです。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 いわゆるLD児の問題は、医学的な分野でまだ何が原因であるかということがはっきりいたしていないというふうに私は理解をいたしております。日本人の間でこれがどの程度のものがあるのかということについてもまだ明確ではないと思っておりますので、そこら辺のところが明確になって初めていろいろな対策が講じられていくのだろうと思います。  さらにまた、LDの場合には、現象的にあらわれてまいりますいろいろな形と申しますか、この点がまずい、あの点がまずいというところがいろいろな形で出てきますので、それを一律に、あなたLDですよという格好で枠はめをするのがいいのかどうかというようなことも含めまして、いろいろな研究をしていかなければならないことだと思いますが、世界各国でこういった分野についての研究が進められていることでございますから、十分に配慮して調査研究を進めたいと思っております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 最後に、残された時間で学費の問題についてちょっと伺っておきたいのです。もう恐らく全部質問する時間はないと思いますので。  お金がないと大学へは行けないという事態が次第に深刻になりつつあると思っております。勤労者世帯にとりまして学費が大きな負担になっているわけでございますが、例えば私立大学の初年度納付金に関する文部省の調査結果を見ますと、昨年度、百万円を突破しまして、今年度はさらに二万三千七百六十円、二・三%のアップで百五万八千八百七十八円となっております。  ところで、この納付金の調査対象は授業料、入学金、施設整備費の三項目ですが、消費税が非課税扱いということで最近徴収する大学がふえている教育充実費は調査対象に含まれておりません。この教育充実費を含めますと、私立大学初年度納付金は概算で前年比どの程度のアップとなるか、また額はどれくらいか、ちょっとお伺いしたいのです。

野崎弘文部省高等教育局私学部長

○野崎(弘)政府委員 お答えを申し上げます。  学納金の調査でございますけれども、従来から授業料、入学料、それから施設設備費、これは各大学共通に取っておりますので、この三費目について集計をしてきたわけでございまして、御指摘の教育充実費というものについての平均額というのは算出をしていないわけでございます。  ただ、今お話がございましたように、平成二年度におきましては消費税の課税対象になっておる施設設備費を減額して教育充実費などによりその分を対応するというような大学もありましたので、そういうものを勘案いたしますと、ほぼ前年度並み、これは三・六%でございますが、前年度並みの上昇率になるのではないか、このように考えております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 大体三・六%程度、額で三万七千円。  文部省の調査資料を見ますと、中央大学、明治大学などでは今年度施設整備費をゼロとするかわりにいわゆる教育充実費を新設しまして、実際の初年度納付金は前年比でアップしているわけです。しかし、それが調査対象にないものですから、文部省の調査では見かけ上は十数%の学費値下げとなっているようですね。今後とも恐らく消費税の関係で教育充実費に切りかえる大学がふえてくると思われます。  そうしますと、調査対象に教育充実費も含めて学費の実態を正確に把握する必要があると思いますが、この点はいかがでしょうか。

野崎弘文部省高等教育局私学部長

○野崎(弘)政府委員 今先生の方から教育充実費についてのお話が出たわけでございますが、この教育充実費につきましては、従来から医歯学部で大変多額に取っている、そういうふうなことで、これを全大学に入れますと、その医歯学部のウエートというものが極端に大きいものでございますから、それを全体に入れるのはどうかということで入れてこなかった。そういうことで、この医歯学部につきましては他の学部と区別してこれらの額についての集計をし、公表をしてきたわけでございます。  それ以外の学部の問題につきましては、確かにことしそういう消費税のことも要因としてあって教育充実費に回すというようなことも出たわけでございますけれども、今後そういうことがあるのかということは、私ども必ずしもそのようには思っておりませんので、調査の方法を変えるというようなことは現段階においては考えておりません。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 国立大学の学費も毎年値上げされておりまして、来年度の予算を見ますと、今年度より三万六千円アップで五十八万千六百円、こうなりますね。そうすると、今から二十年前ですが、一九七〇年の場合では一万六千円でございましたから、随分上がってきているわけですね。一九八〇年、十年前が二十六万円ですから、これに比較しましても二・二倍にはね上がっているということで、この学費問題というのは日本の大学教育にとりましても非常に重大な問題になってきておると思います。  先進資本主義国の中でもこれほど高い学費を徴収しておるところはないはずで、文部省がまとめております「教育指標の国際比較」でその概要が示されておりますけれども、例えば西ドイツの州立大学、フランスの国立大学、イギリスはすべて私立大学ですが、そしてアメリカ合衆国の州立大学、これを見ましても、本当に高いですね。  西ドイツの州立大学は入学料も授業料も徴収していません。フランスの国立大学は、八六年、四年前に一方一千円、日本の国立大学はそのときに四十万二千円です。イギリスの場合はすべて私立大学ですが、これも十三万一千円。これは日本の私立大学に比べますと、日本の場合は九十九万九千五百円ですから、随分違います。しかもイギリスの場合は、実際には学生個人の負担はない。これは明確には確めておりませんけれども、そういう制度もあるわけです。アメリカ合衆国の州立総合大学の場合も三年前で二十六万四千円、日本の場合は四十五万円ということでございます。  そのほかに、今度は親の負担から見ますと、学費だけではなく自宅外通学、これが今度調査が出ておりますが、それを見ますと、何と入学時の初年度納付金、受験費用総額、それから入学時の居住費を合わせて約百八十八万、こういう数字が出てくるわけですね。  結局、今度の日米構造協議でも日本人の貯蓄指向がアメリカ側から指摘されておりますけれども、貯蓄に励まなければ子供に教育を受けさせることができない。しかも、最近は進学ローンを受けるケースが非常にふえております。  こういうことから、もうこれでおきますけれども、これでは結局お金がなければ大学へ行けないという事態が出てくるのではないか。勤労者の家庭ではもう大学へ子供をやることはできないという深刻な、教育の機会均等とは全く逆行する事態が起こってくるのではないかと思いますが、そのような危慎を私は持っておりますけれども、文部省はどうお考えでしょうか。

坂元弘直文部省高等教育局長

○坂元政府委員 ちょっと数字について、先生は来年度五十何万というような数字をお話ししたように受けとめましたが、先生御指摘のとおり、来年度、平成三年度入学者にかかる授業料につきましては、月額三千円、年額三万六千円アップいたしまして年額三十七万五千六百円への値上げを今回の御審議いただいております平成二年度予算でお願いをしているところでございます。  授業料等学生納付金のあり方をどう考えるかということにつきましては、高等教育全体の経費について公と個人がどういうように負担をするかという基本的な問題でもあるわけであります。その際、よくその個人に教育投資の結果が帰属するのだから受益者に丸々負担させていいのではないかという議論もございますが、単に個人に教育投資の結果が帰属するだけではなくて、その個人が社会に出て国家社会のために活動するということは、結果とすれば国家社会にも利益が還元されるということも考慮しなければならないところでございます。  先生も御指摘のとおり、特に国立大学の授業料につきましては、人材育成や教育の機会均等確保の観点から授業料を極力低水準に維持していくという必要があるわけでございます。従来から私どもはそういうような基本的な考え方を持っておりますが、同時に、国立学校特別会計の充実あるいは社会経済情勢の変化等を総合的に勘案しつつ今日まで授業料の引き上げをお願いしてきたところでございます。  ちなみに国立大学で申し上げますと、自宅通学者、これは平均でありますが、自宅通学者の年間収入に対する学生への年間給付金、これは生活費やなんかも含めてでございますが、それは収入に対して六・七%、それから下宿等通学者に対する給付金の率というのは一五%、全学生平均で一一・七%という数字になっております。  そういう意味で、この数字を高くするということは、家庭負担の観点から大変問題のあるところでもありますし、私どもとしましては、今後とも授業料をなるたけ抑制するという基本的な立場に立ちつつ、国立大学特会の充実あるいは社会経済の情勢等、諸情勢を総合的に勘案して考えてまいりたいというふうに考えているところでございます。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 厚生省においでていただいておるのですが、厚生省が「昭和六十三年度全国母子世帯等調査結果の概要」というものを発表しておられますが、この中で一番の悩みというのが教育、進学ということになっております。四〇・二%というのがありまして、これはしつけなどは別の問題で別の項目に出ておりますから、教育、進学というものが母子家庭にとりましても親御さんたちにとりましても非常に重大な問題、一番大きな悩みとなっておるという意味でお答えいただこうと思ったのですが、もう時間がありませんから、厚生省、済みません、御答弁は結構です。  最後に大臣に対しまして、東京地区の私立大学新入生の家計負担調査をここへ持っておるわけでございますけれども、例えば所得階層別の新入学生の割合を見てみますと、昨年度、年間税込み総収入が四百万円以下の家庭は入学生の七・八%、四百万から六百万円階層の子弟が一七・六%、六百万から八百万円が二五・九%、八百万から一千万が二三・五%、一千万以上の階層が二五・二%となっております。結局、税込み八百万円以上の収入というのは、これは国家公務員にとりましても大変な上層部になるのではないかと思いますけれども、もう本当にそういう階層でなければ大学へ行けないという数字とも思ええます。  しかもそれがだんだん、八百万円以上の層の大学入学者の比重が今四八・七%を占めておりまして、年々急速な勢いでその割合がふえておるわけですね。こうなってきますと、もういよいよ大学は遠くなりにけり、庶民にとっては大学教育はなかなか難しいということがいよいよ社会的な問題になろうとしておるわけでございます。  したがって、教育の機会均等の立場から、文部大臣とされましても、いよいよ予算編成を前にいたしておりますので、国立大学の学費の値上げはやめるとかあるいは私学に対する助成を大胆にふやしていくとかあるいは学費の値上げの凍結をするとか、そういった姿勢をとっていただきたいと思いますが、この点についてのお答えを伺いまして、私の質問を終わります。

保利耕輔自由民主党文部大臣

○保利国務大臣 大学における授業料その他、これは安ければ安いほどいいというふうに考えるのは当然でございます。しかしながら、授業料等については従来から社会情勢あるいは経済情勢などを総合的に勘案して改定を行ってきておるところで、やむを得ないものと考えております。

山原健二郎日本共産党

○山原委員 終わります。

船田元自由民主党

○船田委員長 次回は、来る二十七日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十八分散会

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