農林水産委員会 第10号
- 発言数
- 274 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1990/04/18
会議録
○亀井委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。日野市朗君。
○日野委員 まず実務的な問題からちょっと質問をいたします。 有限会社になっている農業生産法人で、厚生年金保険法、これは昭和六十年の改正で厚生年金の対象者とされている生産法人、これが一部、いろいろな理由があるのでありましょうが、いまだに農業者年金の掛金をやっているという事例があるのは御承知になっておられようかと思います。どのくらいの数おられるか、ちょっと伺いたいと思います。概数で結構でございますよ。
○阿部説明員 お答えいたします。 今ちょっと数字の準備がないのでございますが、農業生産法人全体として約三千と承知しておりますけれども、その中で厚生年金が幾らで農年が幾らでという数字はちょっと今持ち合わせがございませんけれども、もう少し調べさせていただければと思っております。恐れ入ります。
○日野委員 それにしてもそう少ない数ではございませんですね。そうするとこれは、本来ならば厚生年金の方が適用になる事例が農業者年金に入っていていまだにその掛金をしているということになりますと、これは問題としては非常に深刻な問題ではなかろうかというふうに私は考えているのですが、こういった生産法人についてどのように問題を解決していこうとなされているのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○阿部説明員 お答えいたします。 農業生産法人だけでございませんで、一般的に法人として従業員雇用形態をとる場合には、年金なりあるいは医療保険なりの適用というのは厚生年金なり健康保険というのが原則になっているわけでございます。ただ農業生産法人の場合には、やはり農業を営むというふうな実態にございますし、片や一つの制度として農業者年金制度というのがあるわけでございますので、そういったふうな前提に立ってどうした適用にするのかという場合には、やはり実務的なさまざまな調整が生じてくるということも先生御指摘のとおりでございます。基本的には先ほど申し上げましたように、農業生産法人の場合でも厚生年金なり健康保険なりの適用というのが原則でございますので、そうした適用をしていくというふうな立場から私どもは実務に当たらなきゃいかぬということでございますが、先ほど言ったような事情もございますので、基本的には、農業生産法人の実情あるいはその関係者の十分な理解というふうなことを前提にいたしまして対応していく必要があるというふうに考えております。 実際問題といたしましては、まず今までの農業生産法人の適用に関する問題点の一つといたしまして、農業生産法人になりまして厚生年金なりの適用になりますと、過去に農業者年金制度に加入していたときの保険料あるいは納付した期間というものが全くむだになるというふうな御心配の向きもございましたので、その点については今回の法律の中で、いわば農業生産法人として農年に加入していた期間については資格期間として受給を考える場合に通算をするというふうな法律的な処理をまず一つとしていたしておるところでございます。 それから二つ目は、実際の適用に当たりまして農年に加入している方々の中には、いわば自分たちの農業者年金に加入している位置づけというものが非常に不安定ではないかというふうな御心配の向きもございますので、実際上の処理といたしましては、関係者に厚生年金なり農業者年金なりの制度をまず十分御理解をいただいた上で適用を勧めるというのが一つでございまして、最大限無理のない適用というものをやっていきたいと思っております。実際上の処理といたしましては、厚生年金なりの適用は、事業主としての生産法人の代表の方からのさまざまな届け出、例えば適用事業者の届け出だとかあるいは被保険者資格の届け出だとかいうものがあった後において初めて実際上の適用ということになりますので、実際問題として関係者の十分な御理解を得た上でないと実際上の適用もできませんので、実情を踏まえ、かつ条件整備の状況、例えば賃金の支払いがどうなっておるかとかいうふうな条件整備が十分できた上でそういったふうな届け出を待って適用していくというふうなことで、関係者の十分な納得を得るように私どもも指導してまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。
○日野委員 ちょっと念を押すようですが、いろいろ話し合いを前提としてよく理解を得るような説明をして、なおかつ農業者年金でいきたいという人たちはあえて厚生年金の方に引っ張るというようなことはなさらないというところまで伺ってよろしいでしょうか。
○阿部説明員 お答えいたします。 そこのところ、一律的にどうするということはなかなか言いがたいといいましょうか、と申しますのは、やはりそもそも法人の場合の厚生年金の適用等につきましても、あくまでも従業員の将来の年金権の保障といいましょうか、そういうふうな観点もございますものですから、一律的に農年の場合には農年でいいですよと言うのはいかがであろうかというふうに思いますが、私どもとしては、やはり一般の事業所の場合とまた違いまして、農業者年金に既に加入している一つの実情というものも十分頭に入れて対応すべきではなかろうかというふうに考えておることでございまして、そういったふうな事情も十分頭に置いた上で実際の適用に当たってまいりたいというようなことで御理解をちょうだいしたいと思います。
○日野委員 この取り扱いの実際の窓口になるのは、これは社会保険事務所になってまいりますね。ここは非常にかたい窓口でございまして、ここらをよく指導をしておいていただきませんと、上の方の意向が下の方に十分通らない、また実際の現場での生産法人と役所側とのいざこざが絶えないというようなことになりかねないのではないか、そういう心配を私はいたしますので、そこのところは十分に御指導をいただきたいというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○阿部説明員 今回の改正法の中にも、先ほど言いましたような点で一つの改正点が盛り込まれておりますので、そういったふうな機会をとらえまして、さらに今先生のおっしゃったような趣旨のことも十分念頭に置いて、指導を徹底するように努力してまいりたいというふうに思っております。
○日野委員 厚生省の方には、どうもありがとうございました。 では、今度は農業者年金の問題について質問を進めてまいります。 きのう私ずっと委員会にいて議論を聞いておりました。非常に気になったことがあるんですよ。これは政策年金、政策年金という大合唱でございました。政策年金としてこの農業者年金が位置づけられていること、これは確かでございます。そういった政策を実現する一つの手段、方法として用いられていることはまさにそのとおりでございますけれども、農業者年金基金法の第一条を見ても、農業者の老後の生活の安定及び福祉の向上、こういうことがきちんとうたってあるわけでございますね。この面を決して軽んじてはいけないのだというふうに私は考えております。この農業者年金の性格を考えるに当たって、政策年金を強調する余りに、そもそもの農業者の老後の生活の安定及び福祉の向上、こういった面を決してないがしろにしてはいけないというふうに私考えておりますが、この点について農水省はいかがお考えか。基本的に物の考え方、これは当然のことと言えば当然なんだけれども、きのうあたり聞いていると、政策年金性というものが非常に強調されてそれが大合唱になっているという点について、私いささかの危惧を覚えますので、これからの農業者年金を運用していく上での態度というものについて、大臣から所信を伺っておきたいと思います。
○山本国務大臣 お答えをいたします。 今先生から御指摘がございましたけれども、政策年金はわかる、しかし農業者の老後保障という大目的を忘れるようなことがあってはならない、私そのように認識をしております。本来これは老後保障、それから、今政策の話が出ましたが農業構造改善の推進、こういう二本柱とでも申しましょうか、そういう目的を有しておるということはよく認識をしております。 また、きのう来いろいろここで答弁申し上げましたが、法律の改正に当たりましても、農村の実態というもの、現状というものをよく見まして、六十歳を超えても非常にお元気な先輩が多い、農業者がふえている、また平均寿命が人生五十年から八十年に延びておる、世界一の長寿国になっておる、また農村では特にお元気な方々が実際に仕事に従事しているということなどを踏まえて、終身同一の年金給付体系に変更していくことが実情に合うのじゃないか、そのことが老後保障の充実を図っていくために非常に重要ではないかというふうに考えておるわけでございまして、今回の制度の改正に当たりましても、中核的農業者の老後保障ということを念頭に十分置きながら今後とも制度の運営を図ってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○日野委員 老後の保障という点からいいますと、今度は農業者老齢年金ですね。老齢年金もかなりかさ上げがされたようで、私もこれは喜んでいます。しかし従来の経過を見ますと、やはり経営移譲ということに重きを置いた余り、ここのところを少し軽んじていたのではなかろうかというような感じがいたしますね。それから、今度は物価スライド制なんかも停止をするというような措置もとっておられるので、かなり色濃く政策年金性というものが強調され過ぎているという感じがいたします。私は、ここのところを余り強調し過ぎると、加入者を獲得しようという努力をいろいろやっても、どうも先が見えているような気がしてならないのです。これに入っていれば老後の保障がちゃんとやってもらえますよという安心感が広く農業者の間に広がっていれば、もっと年金加入者というものは、これはかなり若い層から加入者層というものは広がっていくのではないかというふうに感じているのですが、この点についていかがお考えになっておられますか。
○片桐政府委員 今回の改正では、六十から六十五歳でかなり厚い年金を支給したという現行給付体系を今度新給付体系に切りかえるという措置を講じた次第でございます。こういう措置によりまして、六十五歳以降受給する経営移譲年金なり老齢年金なりは、従来に比べますと約二倍ぐらいの幅で増額されているということになりますので、この点につきましては、やはり老後保障という観点から見ればかなり魅力ある年金体系になっているのではないかというふうに考えている次第でございます。
○日野委員 この年金に対する農民の間の不安感というものはかなり強いのだろうというふうに私は思います。それで、まずその不安の第一の要因というのは、年金財政がかなり逼迫をしてきているということではなかろうかというふうに、私なんかはいろいろ農家の方々とお話をしてそう感じているのですが、今度は一応非常に高額の助成をいただくことになった、これだけの努力をしてくださったことについては非常に高く評価をいたします。 それで、この助成というもののあり方なんですが、これをはっきりさせておくことによって農家の皆さんにもちゃんとした年金財政の姿というものがわかれば、かなり安心感を持ってもらえるのではないかというような感じも私は持っております。それでちょっと伺っておきますが、平成三年から平成七年まで補助金がずっと出てくることになっているわけですが、まず、これはどんな使途に使われるか、この使途について伺っておきたいと思います。
○片桐政府委員 今回のこの法律の改正案で平成三年度から七年度までの追加助成額を具体的に法律で書いてございますけれども、この追加助成額は経営移譲年金の給付費用の一部に充てられるということでございまして、年金事業の運営に当たっての事務費等については別途予算に計上している次第でございます。
○日野委員 これは給付金以外のものには回さない、こういうことでございますね。それで、平成八年以降の補助はどうなっていくのでしょうか。そして、これが出てくるシステム、十分にそれが出てくるということが担保されているのかどうか、そこらもきちんと伺っておきます。
○片桐政府委員 今回の法律の改正案では、平成七年度までの分については具体的に金額を明示いたしておりますけれども、八年度以降については別途法律で定めるということになっているわけでございます。今後八年度以降のものにつきましては、この次の財政再計算のときに、法律で少なくとも五年ぐらいの分についてまた具体的に決めていただくということになるのではないかというふうに思っております。ただ、その決め方といいますか、考え方、額の決め方につきましては、ほぼ今回決められた考え方を踏襲いたしまして、それで八年度以降五年間ずつ財政計算のときに決められていく。私どもといたしましては、この別途の助成額は、今後の加入状況それから受給者の状況を見ますと、平成三年から二十五年間ぐらいにわたりまして特別の追加助成が必要なのではないかというふうに考えている次第でございます。
○日野委員 お話はよくわかったのですが、私が心配しているのは、また平成八年になって非常に苦労していろいろな折衝を結局は大蔵省あたりとやらなくてはいけないということになるのだと思うのですが、その際に、いろいろな状況の変化などから今考えている当てが狂ったというようなことになったりしますと、これは非常に困ると思うのです。ですから、平成八年以降ちゃんとこういう助成がなされる何か担保があるのか、制度的な担保でもあるのかということを伺っているわけです。
○片桐政府委員 八年度以降の追加助成の担保という問題でございますけれども、今回の法律案の附則の十八条の三項というところでこの点について具体的に書いてございますけれども、「平成八年度以降当分の間、別に法律で定めるところにより、基金に対し、必要な補助を行うものとする。」ということで法律にかなりきちっと書いてあるわけでございます。 今後八年度以降どういう額を補助するかということでございますけれども、これは私ども、財政当局も含めましてそこのところの理解といたしましては、今回平成三年度から平成七年度まで決めたルールに従いましてその必要な額というものを計算いたしまして決定するという考え方でこの条文ができているものというふうに考えている次第でございます。
○日野委員 はっきりそこのところはこうだと、大体どのくらい出るんだということを数字としてお示しいただければ示していただきたいと思います。
○片桐政府委員 平成七年度までは保険料の額それから給付水準、これがはっきりしておりますので額が確定いたしまして、五年間で千六百億という数字が出たわけでございますが、八年度以降につきましては、今度は保険料の額をどうするかとか、物価スライド、所得スライドの状況がどうかということで、いろいろそのときの情勢に応じて具体的な額が決められるわけでございますけれども、一定の前提を置いてそこを計算いたしますと、まず保険料の水準は平成八年度に設定いたしました一万六千円というものを動かさないという前提、それからまた、物価スライドが年率二%とか所得スライド年率四%、こういうものを前提にして、また新規の加入者、これもある程度の前提を置いて計算いたしますと、大体二十五年間にわたりまして年平均約四百億円ぐらいの追加助成が必要ではないかというふうに考えている次第でございます。
○日野委員 今、年平均の額で一応の見通し額が提示されました。これについては一応大蔵省との間に、余り表立ってではないのでしょうが、内々には話し合いは進んでいるというふうに伺ってよろしゅうございますか。
○片桐政府委員 今回の長期的な財政収支見通しというものを私どもいろいろ資料をつくっておりますけれども、これにつきましては大蔵省とも十分協議をいたしている次第でございます。
○日野委員 ひとつ頑張ってもらうしかないわけでありますね。 それで、これからの被保険者数それから受給権者数などということについて一応の見通しを立てて、そして財政収支の見通しもずっと立てておられると思います。見通しを立てるということは過去ずっと再計算期には常にやってきたのですが、私これを見ておりまして、どうも農水省の見通し全体として甘かったというふうに思っております。ちょっと言葉が悪いですけれども、農水省が立てた見通しというのはかなり大幅に狂ってしまっていたということが言えるのではないかと思います。こういうふうに見通しが大幅に狂ってしまったその原因はどこにあったのか、どれが原因であったのか、どんなふうにお考えになっていますか。
○片桐政府委員 前回の財政再計算のときにいろいろ見通しをいたしたわけでございますけれども、その中でいろいろ見通しどおりにいってないという面が確かにございます。その中でも一番大きな問題になりましたのは、これからの新規加入者の見通しだったわけでございますが、これが三万人程度というふうに見通しておりましたのが、その見通しよりもかなり下回っているというのが実態でございます。 これがなぜこういう見通しどおりにいかなかったのかという点でございますけれども、これはまず第一番目には、新規学卒就農者とか、それからまた三十五歳未満の離職就農者、こういう方々の数が最近の厳しい農業情勢を反映いたしまして予想以上に減少したということが一つあったかと思います。それからまた、加入資格者の中で未加入者というものがかなりあるわけでございます。きのうも申し上げましたけれども、約十六万人ぐらいいるわけですけれども、こういう方々が農業者年金の将来への不安といいますか、この年金財政がどうなるのかというような不安もございまして、加入をためらうというような面もあったかと思います。 そういう面につきまして今回いろいろ検討を加えまして、それで新たな見通し、それからまたそういう財政再建、長期安定という方策を講じまして、また加入促進対策ということもいろいろ今後工夫してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○日野委員 確かに、加入者三万人を見込むということで計算をしておられて、それがまるっきり達成できなかったというところに最大の問題点があったという御指摘ですが、私もまさにそうだったと思うのです。そして、私などもずっと農村を歩いてみていろいろ話をしてみて、じゃ農業者年金に対する農民の評価というものは、五年前さらに十年前、これと比較して、悪くなりこそすれよくはなってはいないというのが実情ではなかろうかというのを、私は実感として感じているわけです。意識としてはかなり農業者年金離れを起こしているというのが農民の偽らざる心情ではなかろうかというふうに実は私思っているのです。今度の見通しは三万人というところから大幅に引き下げまして、一万数千人ぐらいのところまで引き下げておられる。それから今度の年金での、財政の健全化と表現していいのかどうかわかりませんが、財政としてはここ当分は大きな破綻を来さないような措置が講じられたということになっても、なおかつ農民の間に残る不安というものはちょっと消しがたいものがあるのではないかというふうに私感じているのです。 何でそうなっているかといいますと、結局は農業に対する農民の間の希望といいますか、農民の農業に対する依存度、それから先行きに対する希望、こういったものがどんどん低下をしているというのが現状ではないかというふうに私考えております。結局は、農家としては今後農業というのをどのようにやっていったらいいのか、どうやったら自分たちは農民として生き残れるのか、そこのところがはっきりつかめないというところが非常に不安感を与えていて、農業者年金に対する期待というものを余り強く持ってないのではないかというような感じがいたします。この点についてはどのようにお考えでしょう。
○山本国務大臣 お答えいたします。 当委員会でもしばしば論議もあり、私からも答弁いたしましたが、農業が内外諸情勢の推移の中で大変厳しい局面を迎えつつあるということはよく認識をしておりますし、また先生今御指摘のように、現地で農業に日々従事されている方々が大変苦労しておられる、また不満もお持ちになったり、不安もお持ちになったり、そういう部分も当然おありになるだろう、こういうこともわかっております。 そこで、言い古された言い方で恐縮でございますけれども、しかし、足腰の強い農村を将来に向かってつくっていく、しかも、暗い面だけいつも指摘をされる向きもございますけれども、明るい面、これを私どもがしっかり把握をしながら明るい農村づくり、希望の持てる農村づくり、こういう呼びかけを絶えずしながら、そして具体的にさまざまな施策の中でこれをフォローしていく、こういうことだろうと思うのです。ビジョンという言葉がございますけれども、ビジョンは言葉のビジョンもございますけれども、やはり計画的でなければならないということを考えますと、前に閣議で決定しております「農産物の需要と生産の長期見通し」、これは数字もきちんと入れまして長期ビジョンの形で打ち出しておりまして、それを年々具体化していく、またそれが時代に沿い得ない部分が出てくればさらにこれを見直していく、こういうことだろうと思いますが、当面この「農産物の需要と生産の長期見通し」に従って進めていかなければならないという農林水産省のポジションでございます。 また、これは国民、消費者もいらっしゃいますから、この方々が納得し得るような価格形成というものは非常に大事でございまして、そのことも念頭におきながら、国民が納得し得る価格での食糧の安定供給というふうなことも考えつつこれを進めていかなければならない。地域地域の実情に応じまして、農地の売買あるいは貸し借り、あるいは農作業の受委託というふうなことを総合的に進めながら、中核農家の規模拡大あるいは生産組織を強化していくということに日々心をいたしながら進めていくということだろうと思います。そこで本年度の予算の中でも、農業生産基盤の整備あるいは農地の流動化施策、いろいろな農用地利用の事業がございますけれども、それらを含めまして農地流動化施策、それから安定的な職業を農村に与えるという意味で農村工業導入というふうなこと等もあわせ考えながら進めていきたい。 いずれにいたしましても、長期の見通しを持ち、そしてビジョンをうたい上げながら、具体的には年々歳々の予算の中でこれを施策として打ち出していく。また、今御審議いただいておりますこの年金法の改正などにつきましても、もう二十年に近い歴史がございます。その都度いろいろ改正をしてまいりまして、私も勉強させていただきましたが、やはりその都度少しずつよくなってきておる。今度の場合にも、今のような農村を支えていく若い人、現在従事している方々、先輩の皆さん、その方々への安心の機会をつくる意味でも、この年金法改正というものも非常に大きな柱になるのではないか、そういう考え方で進めてまいりたい、こう思っております。
○日野委員 まことに失礼な言い方だが、今の大臣の言われたことはもう耳にたこができるほど聞かされたことなんですね。私も当委員会にも大分長くおりましたし、いろいろなところでいろいろなお話を聞く機会もあって、耳にたこができるほど今のようなお話は聞いたのです。しかし、それでもなおかつ、では農家は何をどうやっていけばいいのかということについてしっかりしたビジョンというものは国の方から示されていない。今の大臣のお話を伺っても示されていない。あとはもう農家が工夫してやりなさいということを言われているようなものだなという常日ごろ私が持っている感想というのはさっぱり改まりません。 この間どなたか、自民党のだれかが農業マップをつくったらどうだというようなことをここで提案しておられました。気候とか人口とかいろいろな状況を勘案して、大体どの土地にはどういう作物がふさわしいとか、そういった農業マップをつくったらどうかというようなことを言っておられて、ああこれは非常にいいことを言っているなと思って自民党の発言ながら感心して聞いていたわけでありますが、そういうことさえも農水省はできていないわけですよ。ただ単に構造政策を進めますということでこう言っておられる。その構造政策の行く末というものだってまだきちんと示されたとは私は思っておりません。 まず、構造政策という点で、規模の拡大ということをしきりと言われるのですが、ではどういう規模拡大をイメージしておられるのか、それを二十一世紀初頭、それからさらに先というふうにちょっと示していただけませんか。
○片桐政府委員 西暦二〇〇〇年、平成十二年における農業構造につきましては、ことしの一月に閣議決定いたしました「農産物の需要と生産の長期見通し」に合わせまして、農政審議会で農業構造の展望についても試算をされたわけでございます。 この中で、まず中核農家、これが現在七十万戸が五十万戸に減る、こういう計算でございますけれども、この中核農家の経営耕地のシェア、これは現状が五割でございますけれども、二〇〇〇年には六割程度に達するというふうに見込まれているわけでございます。また、中核農家の経営規模につきましても、これは地域に応じていろいろ営農条件が異なりますので一律的には申し上げられないわけでございますけれども、これを平均的な姿ということで試算しますと、都府県で現状約二ヘクタール程度というのが約二倍の四ヘクタール程度、それからまた、北海道で見ますと二十九ヘクタール程度になるというふうに見込んでいるわけでございます。それからまた、この中でも特に規模拡大が緊急の課題というふうになっております稲作について見ますと、中核農家の稲作の作付面積のシェア、これは現在三割ということでございますけれども、これが二〇〇〇年には四割程度に高まる。それからまた、これに作業受委託とか生産組織によって担われる分を加えますと、稲作の作付面積のシェアは七割程度に達するというふうに見込んでおります。それからまた、稲作経営の経営規模につきましても、都府県で八ヘクタール程度、これに作業受委託を含めますと、十ヘクタール程度の規模になるのではなかろうかというふうに見込んでおります。 もちろんこの試算では生産性とか農業所得とかそういうものについては直接触れていないわけでございますけれども、このような経営規模拡大によりまして、生産性の向上が相当図られるのではないかというふうに考えております。ただ、こういう経営規模拡大を実現するためには、やはり農地の流動化、売り買い、貸し借り、それから作業受委託、そういうものを通じての規模拡大ということでございますので、そういう農地の流動化が必要であるということで、私どもといたしましては農地の流動化施策、それからまた生産基盤の整備、こういうものを充実していきまして、この長期展望に示された構造見通しというものを実現すべく、全力を挙げて努力していきたいというふうに考えている次第でございます。
○日野委員 ここで、農業については、工業なんかと違ってスケールメリットを追求するということは決して成功を導くことにはならないだろう。日本には日本の文化の中ではぐくまれた農業というものがあるわけでありまして、これが、今水田の話が出ていますから水田で申しますと、アメリカあたりのように一戸当たり百八十ヘクタールをも栽培する、そういうものと対抗しようと考えることがそもそも無理であろうということだけ、今ここで申し上げておきたいというふうに思います。 それから、きのう参考人の方からも出ておりましたが、人をつくるという問題ですね。担い手、これをきちっと育て上げていかなければ農地の集積というものもできないだろうし、農地を集積してみたって、担い手がしっかりしていなければきちんとした農業は進めていくことはできないだろうと思うのですが、現実の農政を見た場合、しっかりした目先のきく担い手が育つであろうかということを考えてみて、私ははっきり言って、答えはノーなんですよ。 大体、ちょっと考えてみていただきたいのですが、せっかくこういうことをやりましょうといって営農設計を長期的にわたって立てて、それが国の農政の転換によってぐらぐらと変わってしまうというようなことを、しょっちゅう農水省は今まで繰り返してきている。それが猫の目農政という表現にあらわれたりなんかもするのですが、一例をとってみれば減反である。それから米価についての一貫しない態度。それから米なんかについて特に深刻なんですが、輸入の自由化ということがささやかれてくる。そしてどうやら政府は米の輸入に対して道を開く方向に進んでいるのではないか。こういうことは農民というのは敏感ですからね、みんな感じ取っている。こういう一貫しない農政のもとできちんとした担い手が育っていくのだろうか、もっと農政はしっかりしなくてはいかぬ、こう思います。いかがなものでしょう。
○片桐政府委員 魅力ある農業経営というものをこれからできるだけ多くつくり上げていくという考え方でいろいろ施策を展開しているわけでございますけれども、確かに経営規模拡大一本やりではなかなか難しいという地域もあるかと思います。私どもは、平場の土地利用型農業というようなところでは、やはりこれは基盤整備とか高生産性能の機械導入とか、そういう形でできるだけ生産性を向上するというような対応が必要であろうと思いますし、それからまた、地域によりましては、いわゆる高付加価値の農産物を生産する、私どもは需要創造型農業というようなことでいろいろ構造改善事業を展開していきたいと思っておりますけれども、そういうような形での経営の展開ということもいろいろこれから努力してまいりたいと思っております。 この担い手についての考え方でございますけれども、これも具体的には地域の実情に応じていろいろな考え方があり得ると思いますが、まず個別経営といいますか、個人で相当の規模拡大ができるという地域もあるかと思います。そういう地域については、そういう意欲的な農業者に、農地の買い入れとか借り入れとか作業の受託とか、そういう形で規模拡大を図って個別経営の育成を図っていきたいと考えております。それからまた、農業機械施設の共同利用とか、農作業の受託を行う効率的な生産組織を育成していく、そういう方が適切ではないかというところもあるかと思います。それからまた、そういう意欲的な担い手が不足するような地域もあるかと思います。そういうところでは地縁的な集落機能などを生かしまして、農地の利用調整を通じて集落全員による共同作業といいますか、そういうものを通じて農地の有効利用を図っていくというようなことも必要な地域もあるかと思っております。 こういうそれぞれの地域の実態に応じて農業の担い手というものを育成してまいりたい。そのための基盤整備とか、また先端技術の開発普及とか、それからまた農村の生活環境整備ということも非常に重要なのではないかと考えている次第でございます。
○日野委員 今局長が言われたこと、ずっと努力してこられたことは我々もよく知っています。しかし、それが果たしてうまく農家の間に受け入れられて定着しているかどうかという点について、私、依然としてクエスチョンマークを差し上げておきたいというふうに思うのです。 いずれにしても、この農業者年金をきちんと健全に維持していくためには大変な苦労が必要で、助成金を大蔵省からもらうにしても、農業者年金に加入する人たち、これをふやしていかないことには、あの渋い大蔵省のことでございますから、これからはどう言い出すかわかったものじゃないぞという感じがするんですな。これはやっぱり農水省サイド、それから農民サイド、これもかなりいろいろ頑張っていかなくちゃいけないと思うのです。しかし、それは構造政策そのもの、それから農業そのもの、これについてきちんとした、農家も消費者も理解を得る、理解をする、そして農民が安心して農業に従事できるというような環境をつくっていかなくちゃいけない。そうでなければ、これは非常に危機的な状況に年金そのものがぶつかっていくのではないかというふうな危惧を私は非常に強くいたしますので、この点は申し上げておきたいと思います。 そして、そもそも政策年金ということで始めて、構造政策を推し進めていくという目的があるわけですからね。これは構造政策を進めていけば必然的に農民の数は減っていく、こういうことにならざるを得ないと思うのですね。言うなれば二律背反でございますな。そういう性格を持った年金だと考えざるを得ないと思いますね。最初からこういう性格を持った年金だということについての御理解はどうですか。
○片桐政府委員 先生御指摘のように、この農業者に対する年金制度といいますのは、構造改善が進めば進むほどその加入者が減少していくということは当然予想されることでございます。これは、欧米のフランスとか西ドイツとかそういう国々でも同じような状況でございまして、やはりフランス、西ドイツでも七割から八割にわたる国庫助成をしながら農業者年金というものを維持しているというふうに承知している次第でございます。 私ども、この日本の農業者年金につきましても、構造政策を進めながら、しかしやはり専業的に農業に従事している方々の老後保障ということをきちっと確立しながら構造政策を進めていくということが極めて重要なのではなかろうかというふうに考えている次第でございます。したがいまして、こういう専業的に農業に従事する方々についてはこういう老後保障があるんだということをはっきり示すことによりまして、立派な若い農業の担い手というものも確保していけるのではなかろうかというふうに考えている次第でございます。
○日野委員 それからもう一つ大事な観点がありますね。今フランスと西ドイツの話が出ました。これは確かに局長おっしゃるとおりでしょう。しかしもう一つ大事な点として、フランスにおいても西ドイツにおいても実は兼業農家がどんどんふえていくわけですね。兼業がふえるというのは、これはもう世界的な傾向であります。これは日本ばかりじゃありません。西ドイツやフランスだけでもありません。アメリカにおいてさえも兼業がどんどんふえてきているわけですね。こういう事態に対処すると、専業だとか中核だとかそんなことばかり言っていられないんじゃないですか。いかがですか。
○片桐政府委員 確かに先生御指摘のように、ヨーロッパ、アメリカでも兼業農家が相当のウエートを持っているということは事実でございますし、日本ではさらにその兼業農家の広範な存在ということが大きな特徴だと思っております。ですから、私ども農業の構造政策を進める場合に、この兼業農家というものを十分位置づけて構造政策を進めていくということを考えておる次第でございます。したがいまして、兼業農家を全部無視して構造政策を進めるということではございませんで、生産組織とか作業の受委託とかそういうような形で、兼業農家も含めた形で生産性の向上を進めるというような方策もいろいろ工夫していきたいというふうに考えている次第でございます。
○日野委員 ここは質問通告をしないでちょっと恐縮なんですが、外国における兼業農家の傾向というのを見ますと、数はふえている、そして農業に対する依存度というのは兼業に一たん走り出すとどんどん減っていくわけですよ。特にその顕著なのがアメリカですが、一方では農業をやりながら片方では会社をつくって、そっちの方がどんどんもうかり始める、こういう農家が非常に多いんだということを我々考えておく必要がありますね。そうすれば、そういう人たちはもう農業者年金なんかばかばかしくて入っていられないやという例が非常に出てくるのじゃないかと思いますが、もしこの辺について見通しがあったらちょっとお聞かせいただけますか。
○片桐政府委員 この農業者年金の加入者につきましては、その所得の大部分を農業に依存しているような、そういう専業的な農家を主として加入対象にするという考え方でございまして、兼業にどんどん進化していきまして兼業所得が大部分を占めるというような方々については、被用者年金とかその他の年金制度でもって老後の保障を確保するという方向ではないかというふうに考えております。
○日野委員 私こんなことを言ったのは、加入を促進するといっても、その促進する対象がどんどん減りっ放しじゃしようがあるまいという心配がありますから、そのことを一応申し上げておいたのです。 ところで、さっき大臣もおっしゃったのですが、この年金について政策年金ということばかり強調して考えるのではない、福祉的な側面といったものをちゃんと考えるというふうなお話であったので、私はそれで結構だろうと思っているのですが、さて、そっちの方向を無視しないで進む限り、この遺族年金というものは避けて通れないのではないか、このように考えるのです。きのうもしきりと議論されておりましたが、日本における農業者の家庭で農業を担っているのは多くの場合女性である、奥さん方であるという点は、これはもうだれしも異論はないところであろうと思います。それと、この年金に夫が加入をする、そして経営移譲までやる、そうしますとこの年金に対する期待というのは非常に強く持っているわけですね。これは一種の期待権みたいなものだ、こういうふうに私は考えておりますが、こういう期待をすげなく、はい夫が死にました、じゃ死亡一時金でどうぞとやったのでは、これは余りにも薄情な感じがいたします。国の政策実現のための経営移譲をやれば、それについて夫に対して何がしかが出る、そして天が死ねばもう政策目標は達成したのだからそれで終わりよということでは余りにも冷たいではないか、こういうふうに私なんか思うのですが、いかがですか。
○片桐政府委員 先生御指摘のように、農業経営は家族ぐるみで維持している、その中でも農家の婦人の方が農業を維持しているのに非常に大きな役割を果たしているということは、そのとおりだと思います。私どもといたしましても、農家婦人の老後保障ということは非常に重要な課題であると考えております。ただ、その農家婦人の老後保障をどういう形でやるのかということにつきましては、いろいろな考え方があり得るのではなかろうかと思っております。 私どもの今回の改正案では、農業者年金加入者が加入中に死亡した場合に、その配偶者がその後経営主になったというような場合には本年金に加入しやすいような特例措置というものを盛り込んでいる次第でございます。 また遺族年金、現在厚生年金とか共済年金の方であるわけでございますけれども、こういうものをこの農業者年金にも導入してはどうかという考え方もあり得ると思います。これにつきましては、この遺族年金の採用した場合の財源をどこから持ってくるかということが非常に大きな問題でございます。ほかの制度では国庫補助はないというような状態になっておりまして、もし国庫補助がないという前提で保険料を引き上げて農家に負担していただくということになりますとかなりの負担増になるというような問題もありまして、いろいろ難しい問題があるわけでございますけれども、この点につきましては今後とも引き続き検討してまいりたいと思っております。 それからまた、農家婦人が別途独自に年金に加入するというような制度も考えられると思います。これにつきましては、昨年国民年金法の改正によりまして国民年金基金制度というものが拡充されて、この制度に基づいて全国共済農業協同組合連合会が、そういう農家婦人等を対象にした年金基金を設立したいという方向で検討されておりますので、その動向を見守ってまいりたいというふうにも考えております。 今後とも農家婦人の老後保障のあり方につきましては、各方面の意見を聞きながら総合的な検討を行ってまいりたいと考えております。
○日野委員 最後に、こういう事例を想定していただきたい。夫が経営移譲年金の受給を始めたとしますね。そして、もちろん息子に全部の資産を一括譲渡してしまって経営移譲した。夫が死んじゃった。息子夫婦と余り仲がよくない。こういう場合どうなるか。何もないのです、残された妻には。そういう場合が実に多い。余り仲よくないものですね、おしゅうとめさんと息子たち夫婦というのは余り仲がよくない場合がある。そういう場合なんかは非常に気の毒なことになりますね。そういう場合は十分農業者年金を考えるべきポイントであろうということをお話しだけしておきます。答弁は要りません。 終わります。
○亀井委員長 田中恒利君。
○田中(恒)委員 昨日来、農業者年金法の改正につきまして、同僚の各党の議員の方からいろいろ問題点につきまして質疑がされているわけでありますので、若干重複する点もあろうかと思いますが、最初に、この改正に当たって基本として考えた点、これは大臣でも局長でもどちらでも結構でございますが、その要点だけ御説明いただきたいと思います。
○山本国務大臣 お答えいたします。 法改正の基本的な考え方について申し述べよということでございます。少し長くなりますけれども、私どもこの法案を用意いたしまして、さまざまな角度から研究、検討、勉強もさせていただきました、その要点だけを申し上げたいと思っております。 この農業者年金は農業の中核的な担い手を対象として四十六年に発足をして、十九年経過をしております。今お話も申し上げたのですが、老後生活の安定、それから農業構造改善の推進、これを二つの柱にいたしましてこの法律の改正を考えたということでございます。 ちなみに、本年三月末の年金の加入者は六十二万六千人、それから受給権者数が六十四万六千人でございまして、日本の農村社会に広く定着をしてきた、こういうふうに認識をしております。しかしながら、近年農業者の兼業化あるいは高齢化などが進行いたしまして加入者が減少する一方で受給権者が増加して、既に受給権者数が加入者数を上回っており、年金財政の長期安定化を図るためには緊急な対策が必要だ、こういうふうに考えたところでございます。また、農村社会は高齢化が急速に進行しておりまして、これに対応しました年金給付体系というものの整備も必要だというふうに考えました。さらに、政策年金として農業構造改善の積極的推進、これは何度も申し上げましたが、この要請に対応する必要がある、こういうふうにも考えたわけであります。これらの状況にかんがみまして、農業構造改善の一層の促進に資するという観点から、本年金の財政基盤を長期的に安定させることを基本として、最近の農村の高齢化の進行等に対応して年金の給付体系を変更するとともに、営農意欲の高い農業者の規模拡大を促進するためこの法律を準備させていただいた、こういうことでございます。
○田中(恒)委員 私、十分に順序などを考えておりませんが、大臣から御答弁いただきましたので、若干農政の基本に関する問題について大臣とやりとりをさせていただきたいと思います。 先ほどもうちの日野さんの質疑を通して、この農業者年金というものはやはり農民の老後保障というもの、これを非常に重視しておる。政策年金と通常よく言われるわけでありますが、政策年金というのは、私たち何かこう、農業構造を変えて、昔は自立農家と言っておりましたが最近は中核農家と言っておりまして、農業で食える農業者をつくっていく、そのために土地を集積していく、規模を拡大していく、こういう考えでこの農業者年金というものを取り上げておる嫌いが多いと思います。また、どうもこの年金の体系を見るとそういうところにやはり焦点を置いたさまざまな仕組みができておるように思えてなりませんが、先ほど言われたように、高齢化が非常に進んで五十歳以上の農業者が圧倒的に多い。こういう農村の中でこの年金制度が持つ役割、特に今後期待する役割というのは、こういう方々の老後生活をどういうふうに支えていくかという点がやはりどう見ても大きいと私は思うのです。 そういう意味では農業政策というものについて、特に山村、中山間というところが最近よく言われておるわけでありますが、こういう農村地域社会の中ではこれからは多分に所得政策というか、今までの農政はともすれば構造政策であるとか価格政策であるとか、こういうことを言ってきました。しかし、価格政策などは、最近の国際化の中で内外価格差の是正といったようなことで、米価にせよこの間決めた畜産価格にせよ、なかなかこれは難しくなってきたと思うのですね。それで、いや応なしに所得政策というものについて、新しい福祉社会の中で高齢人口をたくさん持つ地域はどうあるべきかという問題が、これは世界の中でもヨーロッパなどで大胆に取り上げられて進められておると思うのですね。これを日本の農政はもっと本格的に、とるべきものをとっていかなければいかぬと私は思います。そういう際にこの年金制度というものが持つ意味は、ある面ではまた違った形で大きな役割を果たすと思うのです。少なくとも今の年金というものはそういう所得政策的な仕組みをもう一遍考えてみる、追加をしていく、強化をしていく、そういう視点が必要ではないか。これだけで構造改善をやれといったって、私そんなに簡単にできるものではないと思うのですよ。一つの支えではありますから、それはやめろとは言いませんよ。言いませんが、どうも片一方の老後の生活安定という視点が非常に薄いような気がしてなりません。 そういう意味で私は改めて大臣に、農政の中で年金を中心とした所得政策といったようなものについてどういうふうにお考えになっていらっしゃるだろうか、この際、お尋ねしておきたいと思います。
○山本国務大臣 お答えいたします。 もう農政については大変長い間の御見識のある先生でございますから、私どもよりはるかに知識は豊富でございます。その上で御質問でございまして大変恐縮でございますが、これは先生、私は年金というのは、これを進めていくことはある一つの所得政策のあらわれでもある、それからもう一つは、であるがゆえにこれは一つの安心料なんだ、こういう考え方も持っておるわけでございます。 そこで、この間来、この改正案に則してお答え申し上げますが、いろいろ今までの経過についても皆さんから説明を受けましたし、従来の経過をずっと私調べてみました。それから、従来の委員会の決議なども見せていただきました。その都度いろいろな、大変適切な決議などもされておりまして、それをその改正の都度、少しずつ少しずつではございますけれども、十二分ではございませんけれども、その改正案の中に盛って十九年経過した、こういうふうに私は認識いたしました。また、先ほど来日野先生あるいは昨日の先生方からも御指摘のございました遺族年金問題などにつきましても私なりにいろいろ勉強してみまして、気持ちはいろいろございますけれども、制度的に直ちに実現ということはなかなか難しいなという理解を持ったわけでございます。同時に、例の六十歳、六十五歳の給付水準、年齢の問題などにつきましても、私なりにいろいろお役人さんに指摘をいたしまして、図面を見せてもらいながら研究もしてみました。 そこで、やはり農村を明るくしていくためには、将来性を持ったものにするためには、中核農家を育てていくということはどうしても避けられないことでございまして、ただ大きくすればいいということではございませんけれども、しかし、やはり中核農家を育てていく、そしてそのために構造政策を進めていくということがどうしても一つの柱になるわけでございます。そしてまた、中山間地などにはまた別途、この間来お願いをいたしました中山間地の対策などもあわせて講じながら、ハンディのある農山村にはいろいろな施策をそこで総合的に緊急にやれるものからやっていこう、こういうことでございます。 ですから、今先生のおっしゃった所得政策的な考え方をもっと盛り込め、いろいろな意味にとれるわけでございますけれども、構造政策を進めていくことも所得政策につながるものでありますし、また今度の年金問題なども当然所得政策に裏づけられているものだ、こういうふうに考えております。十分な答弁にならないで恐縮でございますけれども、そういう趣旨で今後とも農業全体をとらえながら総合的な施策を徐々に進めてまいりたい。 私は性分が割合にせっかちでございまして、いろいろなことをすぐやれ、すぐやりたい口でございますが、事農業に関しましては一服の頓服でうまくいくなどというはずがありません。一本の注射でにわかに日本農業の展望が開けるというようなことはない。一日一日の努力が、先ほど日野先生にも指摘をされました、もう耳にたこだということでございますが、それにしても前向きに歩を一歩進めていくという努力の中から足腰の強い農村というものは少しずつでき上がるのではないか、そしてそれが将来の若者の展望にもつながってくるのではないか、こういうふうに考えております。
○田中(恒)委員 大臣、よくお話をお聞きすると、あなたの農政に対する一つの考え方や農業に対する愛情というか、お気持ちはよくわかります。私、できるだけ答弁書は——今から幾つかありますが、大体大臣はずばり言う人は少なくて、お役人の書いたものを読み上げられるのだけれども、書いたものを読み上げられても、後で字引でも引いて分解でもしてやったらなかなか含みのあるいろいろな要素があるのでしょうけれども、我々は頭が悪いからどうもよくわからないのです。むしろ端的に、お考えになっていることをずばり言ってもらった方が議論も深まっていくのではないかという気がするわけであります。 ただ、私ども農村を歩いておりますと、今農業は力がないですよ。弱っておりますよ。しかしこういうところへ来て農林省のお役人と会うと、こうだああだ、これでこうなっていける、この数字でこういう数字が出ておりますと示すのですけれども、どうも現場の実態と我々がここで議論をしたりつくっておる法律といったものの間には、大きな落差があるように思えてなりません。私は、この農業者年金のことで二、三日帰ったときに、数カ町村の担当、農業委員会や農協の職員が中心であったと思いますが、彼らに来ていただいて、率直に希望を言ってくれといって話を聞きました。もらっておる人も二、三人来ておりまして、十五、六人来ておりましたが、残念ながら、これでいいよと言う人は余りおらぬのですよ。私はここへその項目を十四、五項目書いておりますけれども、それは素朴な人が言うのですから非常に単純ですよ。単純ですけれども、保険料が高くてやめたいと思っているが、なかなかやめるわけにいかぬ、こういう状態で、必ずしもここへ吸い上がって皆さんが理論的にあるいは現実のこれまでの経過の中からこうしたらいいというものとはちょっと落差があるように思うのです。 私、できれば大臣にお願いしたいが、農業者年金について農業者が一体どういうふうにこれを見ておるかということを農林省として一遍調査でもせられて、今のは私だけの、ちょっとしたところへ行って聞いて帰ってくるだけですからここで大きなことを言うほどのものはありませんけれども、一遍きちんとした世論調査のようなものでもせられて、そしてどういうふうな方向へ持っていったらいいかということについて、次の改正は五年先になるかもしれませんが、準備をしていただく必要があるのではないか。つまり、現地の農業者の実態と農業者年金というものがどういうふうに動いておるのかということをもう少し実証的に把握していただく。これをやった上で次の法律のあり方についてはお考えをいただきたい。私どもが考える視点で、非常に構造を変えていくという視点が強くて、農業者の老後の生活を見てやるという面の比重が非常に少ない。少なくとも半分半分ぐらいにまで高めてもらいたい。給付の問題とかかわってくるのでしょうからいろいろ問題はあると思いますけれども、財政の問題もあると思いますが、そういうことが必要ではないかと私は思います。そういう前提としてそんなものをお考えになったらどうだろうかと思いますが、いかがでしょうか。
○山本国務大臣 お答えいたします。 大変貴重な御意見ですから、ひとつ先生の御提案などを含めまして十分勉強させていただきます。 それから、余分なことでございますが、答弁の読み上げ時々ありましてまことに恐縮でございますけれども、正確を期する意味でやっておるわけでございまして、どうかひとつ御理解を賜りたい、こういうふうに考えております。
○田中(恒)委員 いや、お役人の書いたものを精査せられて出しておるのですから、結構でございます。 そこで、今大臣の方からこの農業者年金法の改正についての基本的なお考えを述べていただきましたが、その中でも大きな問題は、当面、具体的には私は財政問題だと思います。その財政問題について、今度いろいろお骨折りもいただいたことと思います。一定の追加財源のようなものも、お考えになったり、いろいろ手を尽くされておるようでありますけれども、実は農業者年金について余りはっきりした財政の見通し、特に年金ですからこれは長期的な展望を持っておるわけでありますが、それの見通しがなかなか、私どもにずばり資料をいただいておるように思えないのです。我々も資料を出せと言ってから出していただくものは大体いただいておると思いますけれども、年金の財政というのは、農林省の場合農林年金がありますが、農林年金の収支見通しといったようなもの、五年ごとの財政再計算でやっていくのですね、それに準じたような資料は私まだ知らないのです。何かその辺にこの農業者年金というものの難しさがあるような気がしてならぬ。まだ不確定要素が非常にたくさんあってめったに言えないのではないか、今までの過程の中で何回か失敗をしたと言ったらいかぬが、見通しが狂ってしまったということだと思うのですが、現状の農業者年金の財政状況はどういうふうになっておるのか、今度のこの改正でもって大体自信を持って長期的に安定できると言い切れるのかどうか、この点をお知らせいただきたいと思います。
○片桐政府委員 まず農業者年金の財政状況、現状でございますけれども、平成元年度の数字で、これは現段階でまだ見込みでございますが、まず平成元年度の年金給付費が二千四百二十一億円と見込まれております。これに対しまして収入の方が二千十五億円ということでございます。この収入の内訳は、保険料収入が七百十一億円、それから運用収入が三百十三億円、補助金の国庫からの助成が九百九十一億円、こういうふうになっておるわけでございます。したがいまして、平成元年度の単年度で差し引き四百六億円の赤字ということになっております。六十三年度末の年金資産が五千三百一億円あったわけでございますけれども、これが平成元年度末では四千八百九十五億円、こういうような状況でございます。これは、このまま現行制度を続けた場合には年々年度末の資産が減少いたしまして、数年で積立金が枯渇してしまうのではないかというふうに予想されるわけでございます。今回の改正案によりまして保険料の段階的な引き上げ、それからまた一部既裁定権者の数年間のスライド停止とか、先ほど来説明しておりますような国庫からの追加助成ということをもちまして年金財政を何とか長期的に安定した見通しを得たいということで、今回改正案を提案している次第でございます。 長期的な今後の財政見通しでございますけれども、平成七年度までの分につきましてははっきりと見通しがつくわけでございます。これは、もちろん新規加入者一万数千人というものを前提にした見通しでございますけれども、これで見ますと、平成七年度の見通しを申し上げますと、平成七年度の収入が二千百四十五億円、このうち国庫の助成額が千百五十二億円という予定でございますけれども、それに対して支出の方が二千百十九億円ということで、単年度収支プラスで、黒字で二十六億円ということで見通しをしている次第でございます。 その後、平成八年度以降平成二十七年度まで加入者と受給権者の逆転現象が続くのではないかというふうに見ておりますけれども、例えばそのところの、一定の前提を置いて計算をいたしておりますけれども、平成二十三年から二十七年、最後の五年間の年平均の収支の見通しでございますけれども、二十三年から二十七年の五カ年間の年平均の収入が二千七百四十億円、このうち国庫助成額が千二百五十億円になるわけでございます。それに対しまして支出が二千七百四十億円ということで、収支がとんとんになるというふうに見通している次第でございます。
○田中(恒)委員 今、概略をお聞きいたしましたが、その資料、財政再計算の五カ年間は保険料は幾らで国庫補助は幾らで支出がどういうふうになっているというもの、そして、その前提になっておる新規加入者がどれだけあって受給者が幾らあってというものがありますね。そういった財政収支の収支表をいただけますか。それは後でいただきたいと思うのですが。
○片桐政府委員 先生お求めの資料につきましては、後ほどお届けさせていただきたいと思っております。
○田中(恒)委員 それで、今、日野さんの御質問の中で国庫補助の問題についていろいろお尋ねがありましたが、経営移譲年金に対する二分の一の国庫補助のほかに、追加のものが、法律に基づくということで、ありますね。これは経営移譲年金に一部使って、あとは積み立てるということになるのですか。積立金という形でずっと残していく、処理するということなら、あとの補助金はどういうふうにしていくのか。 それから、大体二十五年とおっしゃったですかね。二十五年間ということで年平均大体四百億と言われたから大まかな計算は出てくるわけでありますけれども、万一予想していなかったような状況が出てきた場合、つまり年金財政が非常に厳しくなってきたような場合に、今の計算では保険料は据え置く、値上げをしないということで進められておると思いますけれども、そういう場合にはまた別途にいろいろ考えるということなのか、やはりこの国庫補助というものについて最大限努力しなければいけないということなのか、その辺のことはどういうふうにお考えですか。
○片桐政府委員 追加助成の国庫の助成額の算定の考え方でございますけれども、まず平成七年度までの分につきましては、先ほど申し上げましたように平成七年度に単年度収支が黒字になるということを目指して算定をいたしておりまして、五年間で千六百億円という金額が書いてあるわけでございます。これはあくまでもその年の給付費用に直接充てられるということで、決して積み立てというようなものではございません。積み立てといいますか年度末の年金資産につきましては、現在五千億ぐらいあるわけでございますけれども、これが年々減っていくということですが、年度末の年金資産がその翌年の年金給付予定額を下回らないように国庫助成を追加していくという考え方にいたしておるわけでございます。 その後、平成八年度以降の追加助成につきましては、一応現在のところ、保険料は平成八年の一万六千円を上げない、しかも年々の収支が大体とんとんになるというような前提で、そういうことを目指しまして追加助成額を算定するというふうに考えている次第でございます。
○田中(恒)委員 そうすると、給付費に大体準備をしておくということですね。これは、大蔵省との話の中で保険の助成に対してのいろいろな制約がありますから、それに関連しておると思います。 そこで、保険料が非常に高いのじゃないかということを一般的にはよくおっしゃるわけでありますし、私どもも、もうこれ以上の農業者年金の保険料負担は限度を超える、こういうふうに思うのです。 例えば農業者年金の加入者の保険料は、今農業者年金御当局がお考えになっておる、後継者を持ってできるだけ若い人に早く移譲させていくという形でいくと、夫婦が農業をやって、そして息子が一人、農業を継いでおる、こういう農家を仮に想定いたしますと、農業者年金の保険料は平成四年で一万二千八百円ということになりますね。後継者が九千百四十円ですから、二万一千九百四十円という数字が出てくるわけであります。これは後継者が一人おるということですけれども、後継者は三〇%の掛金の負担減を引いて、二万一千九百四十円。これに国民年金が夫婦で入るわけでありますから、これは九千円になりますが、後継者も入りますと二万七千円になりますから、二つ合わせますと四万八千九百四十円ということになるのですよ。あなたのところがおつくりになっておる標準のものでは、農業者年金が一万二千八百円ですね。それから国民年金は一万八千円ですから合わせて三万八百円になりますね。こういうものを出されておるわけであります。しかし、中核農家を全部入れて後継者移譲を早く進めていくという法の精神からいくと、大体五万円に近い保険料が要るわけです。これは農業の所得が仮に今お考えになっておる二十一万三千円ということになっていくと、これは二三%の負担率ということになるのですね。これは相当高いですね。厚生年金並みにということになっておりますから、仮に厚生年金が、二十一万三千円の給料をいただいておる人がどれだけ負担しておるかというと、これは確かに私の計算では三万八百八十五円ですから、夫婦の国民年金と農業者年金の加入とはほぼとんとんでありますね。しかし、この方は、二分の一は経営者が持つわけでありますから、大体一万五千四百四十三円というものは、これは事業主が持ちます。ですから、労働者が持つのは一万五千四百四十三円、こういうことになります。こういう保険料の実態というのは、農業者年金の場合は残念ながらずっと続けられてきておるわけです。ですから、この農業者年金の保険代は痛いという声が非常に強まっているわけですね。これが理想的だと目指す後継者まで入れてどんどんやっていくということになっていくと、これはさっき申し上げましたように相当な額に膨れ上がるわけですよ。私は、外国の例を見てもこんなに高い年金あるのかなと思うのですけれども、その辺の問題をめぐって今の追加財源といったようなものが出てきたのだと思いますよ。思いますが、しかし、こういう状態にあるという現実に立って、やはり組合員の保険料というのはこれ以上上げるわけにはいかぬ、こういうことをきちんとこの際整理をしないと、この農業者年金は実質的に、みんながこれに関心がなくて加わってこない、こういうところから崩れていくのですよ。そこのところを私はこの委員会の中でまず一つの大きな問題として提起をして、大臣なり局長の回答をいただきたいと思うのです。
○片桐政府委員 ただいまの農家の保険料の負担の問題でございますけれども、私どもも今回、財政の長期安定ということを考える場合に、農家にどの程度負担していただけるのかということをいろいろ検討した次第でございます。先生からもいろいろ御指摘がありましたように、農業者年金の保険料のほかに夫婦で二人分の国民年金の保険料を負担するということもあるわけでございます。そういうような状況の中で、農家所得の中で農業年金の保険料と国民年金の夫婦二人分の保険料を負担するということを前提に置きまして、厚生年金の本人負担分の負担率というのが大体七%から八%、そういうようなところに置かれていると承知しておりますけれども、私どももそういう厚生年金の本人負担分というその比率を参考にしながら、今回保険料の段階的引き上げというものを設定させていただいた次第でございます。 したがいまして、そういう負担能力の限界ということを十分認識いたしまして設定したわけでございまして、結局それで足りない部分は国庫の追加助成に持っていくというような形で今回追加助成額というものが決められてきているわけでございまして、これは法文の中にもその点がはっきり書いてございます。先ほど紹介いたしました附則十八条の三項のところでございますけれども、「農業及びこれをめぐる諸情勢の推移、農業者の保険料負担能力等を考慮の上、平成八年度以降当分の間、別に法律で定めるところにより、基金に対し、必要な補助を行うものとする。」こういう規定をいたしている次第でございます。 〔委員長退席、中川委員長代理着席〕
○田中(恒)委員 だから、そういう状況にあるからこれ以上保険料を高めるということはぎりぎりの段階になっておるというふうに農林省としては理解をしておる、こういうことでいいんですか。上げられないということにつながっていく、こういうことでいいんですか。
○片桐政府委員 現在の農業所得それから農家所得、こういうものが所得スライド等で年率ほぼ四%程度、そういうことを前提にした場合には平成八年度の一万六千円が限界ではないかというふうに考えて、平成八年度以降の長期的な財政試算をする場合にも、一応一万六千円を動かさないという前提でいろいろ財政の長期試算をやっている次第でございます。
○田中(恒)委員 新規加入者は大体どの程度数を予定しておりますか。
○片桐政府委員 新規加入者の見通しでございますけれども、平成元年度の新規加入者は一万五千人程度というふうな見込みでございます。 その後、平成二年度以降どういう新規加入者が見込まれるかということで、私どもいろいろ試算をしているわけでございますが、最近の農家の就業動向調査、こういうものを基礎にいたしまして、そういう新規就農者という方々が新規加入していただけるものが大体一万五千人程度確保できるのではなかろうかというふうに見ております。さらに、現在加入資格がありながら未加入であるという方々が十六万人ぐらいおりまして、その中でも後継者でまだ加入してないという方もかなりの数がおります。こういう方々からもできるだけ加入をしていただくということも予想いたしておりまして、そういうことも含めまして、平成二年度から平成五年度までは一万七千人ぐらい新規加入者があるのではないか、それからまた平成六年度から平成十年度までは一万六千人ぐらい新規加入者を見込んでいる次第でございます。あと、平成十一年度以降は一万五千人程度、年々新規加入者があるものというふうに見込んでいる次第でございます。
○田中(恒)委員 一万五千人から一万七千人ぐらい、若干人口の動向などと絡んで計算をされておるようでありますが、問題は、それが確保できるかどうかというところは、この農業者年金の財政問題、それから制度そのものについての最大のポイントだと私は思うのですよ。これが確保できるかどうか。少なくとも現状の推移の状況を見ると、私はなかなか難しいのではないかという気がしてならないのです。 前回は三万人やりましたけれども、これがなかなかできない、できないどころか大きく狂ってしまったところに今日の事態があるわけです。今度だって、この四、五年来の就業者動向調査などを見ると、新学卒者などの就農状況というものはぐっと落ち込んでおりますね。例えば昨年ですか、二千百人と、開闢以来いまだかつてありませんね。Uターン農家といったようなものも一定の数がありましたけれども、これも同じようにずっと落ち込んでおりますね。景気が若干よくなってきておったものですから農業への就農というのは少なくなったという客観情勢などもありましょうが、日本の経済全体の動向等もありましょうけれども、これから五年間一万五千人から一万七千人ぐらいの新しい加入者をこの年金に入れるということは数字の上から見ると非常に難しくて、あなた方の方でいろいろ計算をする上で最小限このくらいはということで出されておるんじゃないかという気がしてならないわけでありますが、これを確保するためにどういうふうにしたらいいのか、ここのところが大切だと思うのですよね。 だから、確かにこの年金の中身の中に後継者確保のための具体的な、えさと言ったらいけませんけれども、何かものをつくっていらっしゃいますね、三〇%割引を三十五歳以下全部に適用するとかいろいろな方策は出ておりますけれども、やはり全体の年金に対する大きな期待感というか魅力というかそういうものが出てこないと、そういう部分的なもので食いついてくるようなそんな状況では今ないと私は思うのです、現代の若者というかあるいはこれからの新しい農業者というのは。そんなものではないと思うので、一つは、やはりこれを進めていく、主体になっていく、これは農業委員会が参謀本部のようなもので、そして農協とか市町村とか、市町村業務の上からやっておるわけですけれども、そういうところの体制がどれほど固まっていくかということも一つ重要だと思います。あなた方の方は行政ですから、そこのところ最大限駆使していくんだろうと思いますけれども、しかし、これも余り無理をすると逆な面も出るわけでありますから気をつけなければいけませんが、業務執行体制をどういうふうに固めていくか、今まで足らなかったところをどう補っていくかという問題は一つあると思います。 それからやはりもっと大きな問題は、私どもが前々から言っておりますように、婦人の年金権というものを確立させて、少なくとも遺族年金というものはどうしてもこの際考えてみるべきではないかという考えを我々は持っております。これは私どもが持っておるということではなくて、この年金制度ができて以来九回審議がされておりますが、既に七回当委員会がこのことについての決議をしておりますね。ここへ全部持ってきておりますが、これは全党一致ですから、与野党一緒にこの年金の遺族年金の創設ということをうたっておるわけです。それが今なお、多少ニュアンスらしいものを示した程度で終わっておるところに、私はやはりこの年金の審議の中で問題にしなければいけない点があると思うのです。これは私はいろいろな意味で問題にする必要があると思う。 つまり、この年金制度の審議の過程を見てみると、局長さん、あなたの諮問機関のようなものができて、そこへ諮問をせられて、どこが問題かということで吸い上げてきて、その中心になっていくのが大体構造改善の局長をやられた人か農林省の局長クラスの人だ。あなたの先輩みたいな人だ。こういう人が相談をして決めたものを大体どんどんやっておるのだ。しかし、我々がこれだけ長い間、二十年間この議会の中でこの議論をする都度に提起してきた問題はほとんど顧みられていない。ほとんどと言いませんが、遺族年金について。さっき大臣がおっしゃったように私も細かく見てみました。私自体も何回か御質問をしたり細かいことを申し上げておりますが、それは相当な部分やっていただいております。しかし、遺族年金それから女性の年金権の問題は、どうもそれほど前向きではないです。これはこれなりに理屈があるということを聞いております。聞いておりますけれども、しかし、そこが私は今、この農業者年金をめぐって政治的に決断をしなければいけない時期になっておると思うのです。 だから、どうしてもこの遺族年金の創設の問題と裏腹になると思いますが、婦人の年金というものについて大きく前進させていく、こういうものがないと——あなたのところは今度選択制とか、選択制については後で野坂さんが細かく質問することになっておりますが、この選択制の中身にしたって問題がたくさんありますよ。そういう問題はありますけれども、確かにちょっと変わったというものはありますけれども、それだけでこれをえさにしようとしたって、私は新規加入者一万五千人、一万六千人、七千人の人々を確保するのはなかなか大変なことだと思っております、私自体は。思っておりますので、ぜひこの遺族年金について、主婦の年金権の問題について、今までどういう点を検討したけれどもどこに問題があって今日までこういう状態になっておる、しかし今後どういうふうにこれに臨んでいきたい、こういうことについてひとつはっきりとした見解を述べていただきたいと思います。
○片桐政府委員 年金の新規加入者を確保するという観点から見ますと、まず農業者年金の魅力といいますか、そういうものを高めるということが非常に基本だというふうに考えております。 最近新規加入者が落ちているその理由といたしまして、年金の先行きに不安だというようなことを言われる方々も多いというふうに聞いておりますけれども、今回の改正によりまして何とか財政基盤を長期的に安定するという見通しを確立して、その点の不安を取り除いて新規加入を増大させていきたいというふうに考えておる次第でございます。 さらに、この農業者年金に魅力をつけるという観点からすれば、先生御指摘のように遺族年金という考え方も当然あるわけでございます。私どももこの遺族年金につきましては、附帯決議の趣旨も体しましていろいろ検討した次第でございますけれども、先生御承知のように、その財政基盤が非常に現在の農業者年金は不安定であるということがまずございまして、この不安定な財政基盤を何とか確立したいということに最大のポイントを置いて今回改正を行ったわけでございます。さらに、遺族年金を支給するということになりますと相当額の財源を調達しなければいけないということでございますけれども、これをさらに国庫負担を増大させるのか、それとも先ほど出ましたように農家の保険料の引き上げという形で調達するのかという問題にぶつかるわけでございます。保険料の引き上げということも先ほど申しましたような状況でなかなか限界がある。これ以上引き上げられない。また、国庫の方の助成も、今回の改正案で追加助成、これも相当の額になるわけでございまして、これ以上上回ってさらに遺族年金実施のための国庫の追加助成というのは極めて困難であるというようなことで、今回遺族年金につきましてはこの改正案に盛り込んでおらない次第でございます。
○田中(恒)委員 今回のこの改正案では追加財源、追加助成が一定の千六百億ぐらいあるわけでありますから、その上に重ねて遺族年金という財政的な要請というのはなかなか難しい、主として原因は財政問題である、こういうことでありますが、そういたしますと、財政問題の状況によっては遺族年金というものをこの年金の中で仕組んでいく、こういう御意思があるというふうに解してよろしいですか。
○片桐政府委員 従来、長い間遺族年金についていろいろ検討を進められてきたわけでございますけれども、その中でこの遺族年金の導入が困難であるという理由の一つに、制度的にこの遺族年金という制度は農業者年金になじまないのではないか、こういう議論もあったわけでございますけれども、私どもといたしましては、やはり農家婦人の老後保障ということが、農家の老後の生活安定という観点から見ても、また農業の構造改善を進めるという点から見ても、極めて重要な課題であるということを認識いたしておりまして、そういう農業者年金に遺族年金がなじまないというような議論は乗り越えていきたいというふうに考えておる次第でございます。 ただ、やはり財源の問題が最大の問題であるということで考えておりまして、この財源問題をどうするかということが今後の大きな課題ではないかというふうに考えておる次第でございます。
○田中(恒)委員 大臣、今局長の方から、私どももこれまでのこの問題の質疑の中では、国民年金の上乗せであるから、国民年金には遺族年金や寡婦年金というのがありますね、それだというようなことで、もう冒頭からこれは難しいんです、こういうことでありましたが、今の状況では財源、特に当面はこういう状態があるわけですから財源確保についてちょっと難しいということで、財源問題を中心に検討していきたいということであります。 今、局長から御答弁いただいたわけであります。半歩くらい前向きかなと思っておりますが、大臣、この問題は財源問題と言っておりますが、しかし基本的に大臣としては、政治家の農林大臣としては、これはよく考えていただかなければいけぬ点だと思うのです。それは国会の意思であるということを大きく踏まえていただかなければいけぬと思うのです。私らも正直言って嫌になりますよ。こういうふうにばかの一つ覚えのように遺族年金を附帯決議に八回も九回も書かなきゃいけぬような、そんな農林水産委員会、一体どういうことだと思いますよ。我々の立場というものもあるわけでありまして、そして財源問題なんというのはそんなに——私たち社会党は、今度のこの審議に当たってでき得れば各党の御理解をいただいて、場合によれば議会の権限で修正を実現したいと思って一つの案をつくりました。非常に力もなかったけれども、いろいろ財源についての検討もいたしました。確かに若干の金は要ります。しかし、私たちは最小限十年ぐらい——経営移譲年金もらった方が亡くなった。それが五年経営移譲年金いただいた。あと五年はせめて、これは最小限でありますが、奥さんにその方に遺族年金を支給していくというような仕組みはどうだというところの案まで実は設けていろいろ検討さしていただいた経過もあるわけでありますが、やり方はいろいろあると思うんです。それは一遍に何もかもきれいなものを探せといったって無理かもしれませんからね。そこが農林省の事務当局の知恵の出しどころであるし、大蔵省のお役人や厚生省のお役人の方々が力を合わしてもらいたいところでありまして、大臣は金の問題や内容の問題はやる気になればやれるということに立って、当委員会が長い間ここまで積み上げてきたそのものをぜひ実らしていただくために、この機会に農林大臣としてのこの遺族年金のこれからの方向について明確なお答えを聞いておきたい、私はこういうふうに考えるわけであります。
○山本国務大臣 お答えいたします。 先ほどもこの問題ちょっと触れたんですけれども、さまざまな研究、検討を相当事前にいたしました。今先生御指摘のとおり、遺族年金、特に農村の主力になって働いている御婦人の老後保障の問題と裏腹でございますから、そのことは私どもにもよくわかる。事前にも十分検討もいたしました。また、構造改善局長を中心に随分やりとりもいたしました。また、大蔵当局ともいたしました。しかし、現状は大変難しいということで、今日改正案の提出、こういうふうになったわけでございます。 それで戻りますが、国会の委員会の附帯決議というものは重いだろう、こういう話で、当然それは私も政治家でございます、議員の一人でございますから、委員会の決議は非常に重いというふうに受けとめております。それで、今までの十九年間にわたる七回の附帯決議もずっと私見せていただきました。それから、前回の六十年のときの附帯決議も手元にございますけれども、よく見ました。その中に遺族年金が入っていることは間違いありません。しかし、その他の項目もたくさん附帯決議の中にございまして、やり得るものから一つ一つその都度改正に反映をしてきた。財政の安定の問題を初め、あるいは未加入者の加入促進の問題とか、あるいは保険料の問題とか、いろいろございましたが、一つ一つクリアしてきた。そして今、当面残ってきた問題がこの遺族年金だということでもございます。先ほどの六十歳、六十五歳の問題につきましても、私随分事前に事務方に指摘をいたしまして、勉強もさしていただきました。そこで大変残念でございますけれども、現在この問題、財政問題を中心にその他の横並びの問題等々とも考え合わせまして、直ちにこれを、遺族年金の問題を解決するということは極めて難しいというのが正直な結論でございます。 しかし、せっかくの御提案でもございます。私自身もこの点についての熱意も持っておりますので、これからできる限り機会を見て研究を重ねたい、こういうふうに申し上げておきます。
○田中(恒)委員 ちょっと大臣の答弁、はっきりわかりません。局長答弁では、今の段階ではちょっと難しい、財政上の事情が一番の隘路ですと。大臣もそれをお認めになって御答弁いただきました。それから先であります。それから先に遺族年金をつくっていく、できるのかできないのか、制度的にもいろいろな面でも。そういうものを含ませて積極的に前向きに、恐らく次の財政再計算期までかかると思いますよ、かかると思いますが、あなたはその方向で進めさせてみたい、こういう御答弁くらいはできるんじゃないですか。今のは前段だけのところでとまってしもうて、こうわしやるんだ、やらせてみたい、こういうことやったっていいんじゃないですか。もう一遍お願いします。
○山本国務大臣 お答えします。 研究、検討というのは前を向いて研究、検討をする、こういうことでございますから、これは私は随分前向きで申し上げているつもりでございます。
○田中(恒)委員 これはぜひ農林水産省として、構造改善局中心に、また適当な時期には研究会などができるんでしょうけれども、大きな問題として検討課題にしていただきたいと思います。 それで、時間がありませんからあと一つだけちょっと厚生省に念を押しておきますが、農業者年金に被用者年金の空期間というものを入れるというのがありますね。農業者年金に入れば国民年金に入るわけですが、国民年金は少し前に出ておるのですけれども、国民年金はできた当時いろいろな出来事があって、入ってなかった人が農業年金に入って、例えば十八年なら十八年、農業年金に入った。その過程で二十年に二年間足らない。二年間は途中で農業年金を抜けて厚生年金に入っておった、だからこれは、空計算をすると二十年になりますからこの農業者年金の受給資格を持つということになるんですが、その場合に、厚生年金の二年分は通算として認めてその関係者に手渡されるのかどうか。これは大きな問題ではありませんけれども、若干こういう方が一定の数いらっしゃるようであります。そんなに大勢ではないようですけれども、ちょっとお聞きしておきます。
○阿部説明員 お答えいたします。 厚生年金に加入している期間につきましては、例えば先生の今の例ですと、二年なら二年という期間については、これは農業者年金の方の扱いとしては、先ほど言いましたように、資格期間の算定の上で通称空期間といいましょうか、これで算定いたしまして、その厚生年金の方に納めた保険料は厚生年金の保険の方の給付として厚生年金の方から支給されるという格好になります。厚生年金の場合は、基礎年金というのは全国民共通でございますので、基礎年金の資格さえ満たしておれば厚生年金の期間が一年でも二年でも、わずかな期間でもそれに見合った給付が厚生年金の方から支給されるという格好になるという形になります。
○田中(恒)委員 わかりました。通算の関係でちょっと心配をしておったわけでありますが、よくわかりました。 時間がありませんからこれで質問を終わらせていただきますが、私ども、今度の改正全体が今までの改正に対して一歩前進をした中身を持っておることはある程度評価をしたいと思うし、特に財政的な配慮がなされたということは、今重大な年金の危機の段階で、確かにこれは一安心ということでしょう。しかし、これは全く一呼吸置く程度のことでありまして、農村、農業を取り囲む客観情勢は、農業者年金にどっしりかぶさっております以上、そんなに簡単なものではありません。やるならば、私が先ほど申し上げましたように決定的な大きな問題は、婦人というものに対して農業者年金に参加をしていただく、こういう体制をつくることだと思うのですよ。それはいろいろ問題もありますから、遺族年金から切り込んでいくべきである、私はこう思います。あるいは、後継者妻問題というのがあるわけでありまして、こういう問題も解決しなければいかぬわけであります。これがないと、本当に農村の中で、年金を十分に自分のものとしていくという空気や状況はなかなか出てこない。そういう面で、私は、農政全体の問題としてもこの問題については特別な配慮を特に強く要請をいたしまして、質疑を終わりたいと思います。
○中川委員長代理 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時一分休憩 ────◇───── 午後一時一分開議
○亀井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。野坂浩賢君。
○野坂委員 同僚の議員がそれぞれ四人にわたって質問をしましたのでおおむね問題点が整理されたかと思いますが、私から、つまびらかでない点だけを明らかにしておきたいと思うのです。 今度の農業者年金基金法の改正は、従来と変わって、生涯年金の給付がいわゆる一割の上乗せということではなしに相当額国民年金に上乗せをされて厚生年金並みに取り扱う、こういうふうに私たちは承知をいたしておりますが、厚生年金並みというのは、厚生年金に支払う保険料と同じように、農業者年金も二十一万三千円にするわけでありますから厚生年金よりも遜色のない給付を受けられるというふうに考えてよろしゅうございますか。
○片桐政府委員 今回の新給付体系の算定に当たりましては、厚生年金の報酬比例部分の算定方式と同じ方式を用いることにしたわけでございます。その標準報酬月額、これを農業者年金加入農家そのものの農業所得二十一万三千円を推定いたしまして、それをもとにいたしました加算つき移譲年金を算定いたしましたので、その点につきましては厚生年金並みの水準であるというふうに言うことができると思います。
○野坂委員 未加入の皆さんが十六万人いらっしゃる。局長としてはこのように大きな改変、改革をした年金を示したわけでありますから、この方たちはほとんど農業者年金に加入するというふうに考えてよろしゅうございますか。
○片桐政府委員 資格がありながら現在未加入であるという者が十六万人いるわけでございますけれども、このすべての方々を加入させるということは極めて困難であるというふうに思っております。私どもといたしましては、この中でも特に後継者の方々の加入を見込みたいということで、先ほども御説明いたしましたけれども、平成二年度から五年度にかけましておおむね年間二千人程度の加入を促進したい、加入を見込んでいる、それからまた平成六年以降もやはり年々千人程度加入を見込みたいということで考えている次第でございます。
○野坂委員 そうすると、十六万人の皆さんはいつごろまでに全体はお入りになってくるということになりましょうか、見通し。
○片桐政府委員 十六万人の未加入者はかなり年配の方々もおりますので、四十歳に達しますと加入資格を失う、要するに、六十歳までで二十年間の保険料の納付ができないということになりますと保険資格、加入資格を失いますので、そういう観点から、実は加入しないで加入資格を失って未加入者の範疇からなくなってしまう人々が年々相当の数に上るわけでございます。ですからそういうようなことで私どもといたしましては、未加入者の中でも若い人を中心に新規加入を促進していきたいというふうに思っておりまして、そういう若い人につきましてはできるだけ多く加入するように努力してまいりたいというふうに考えております。
○野坂委員 そうすると、ここに示してあります、ずっと毎年度何名になるというのが書いてありますね。このとおりに大体いけそうですか。あなたの考え方でいくと、十六万人のうち四十歳以下というのはわずかだからそう大していかぬだろう。この前の十年ほど前のときには、今ごろは大体八十万人になっておるだろう、こういうふうに言われておったのですね。局長も大臣も答弁しております。今は六十二万人なんですね。だから、いわゆる十二年には大体何名になるということが確定的に言えますか。いつも間違わない方向で、自信を持って言ってくださいね。
○片桐政府委員 確かに先生御指摘のように、前回の財政再計算のときには年間三万人の新規加入、こういう見込みを立てたところ、実際は一万数千人という実態であったわけでございます。私どもこういう実態をよく調査いたしまして、さらに若い未加入者という数もいろいろ調べまして、それで今後の新規加入の見込みというものをつくったわけでございます。私どもといたしましては、この見込みを見込みどおりに実現すべく、私どもと、さらに農業団体、農業委員会、それから農業者年金基金ともども最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○野坂委員 今までは、これは政策年金である、そういうふうに言われて、できるだけ早く後継者にその権利を渡すべきだという格好で六十歳から経営移譲年金というものをつくったわけですね。現在は、六十歳で経営移譲して後継者は大体三十三歳で受けとめる、こういう格好になっていますね。今度は六十五歳と、早く経営移譲せいといった政策を、六十歳からのものを六十五歳に引き上げるということは、言うなれば政策の大転換ですね。それはなぜそうなったのですか。早くやった方がいいのじゃないですか。
○片桐政府委員 二十年前にこの農業者年金を設計したときには、六十歳で経営移譲を進める、こういう形で設計をいたしたわけでございます。二十年たちまして、農村の高齢化の実態というものは相当進んでおるわけでございます。確かに平均寿命といいますか平均余命といいますか、六十歳の方々がこれから何年生きられるかというような平均余命というのがございますけれども、これにつきましても、昭和四十五年には大体十五年という数字だったのですが、現在は十九年とちょっとということで、既に平均余命も四年ちょっと延びているというような状況でございます。したがいまして、六十五歳になっても心身ともに壮健で農業が可能であるというような方々も非常にふえているというような実態、それからまたいわゆる離職就農者、新規に就農する方々の中でやはり相当のウエートを離職就農者が占めておるわけでございますけれども、この離職就農者の年齢も最近次第に高くなっているというような実態もあるわけでございます。こういうような農村の実態に対応いたしまして、今回、六十歳で一律経営移譲を誘導するという制度から、六十歳から六十五歳までその方々の個別の事情に応じて選択し得るという制度に組みかえたわけでございます。
○野坂委員 長生きするようになったからそうしたんだ、端的に言うとそうですね。あなたが我々の会合に出て御説明があったのは、六十歳の平均余命は十九・三年だ、だから七十九・三歳になりますよ、六十五歳の平均余命は十五・五年で八十・五歳、こういうことになりますというお話でございましたね。そうでしょうか。違っていたら言ってください。
○片桐政府委員 ちょっと私の説明の仕方が悪かったかもしれませんけれども、昭和四十五年、今から二十年前の平均余命ということで、六十歳の人の平均余命が大体十五年であったというふうに記憶いたしております。これが最近の統計では、六十歳の人の平均余命が十九・三歳ということで、二十年間の間に寿命が四年ちょっと延びている、こういう説明をしたつもりでございます。
○野坂委員 そうですね、私の言ったことと同じですね。そうすると、六十五歳から農業者年金をもらえます、しかし六十歳からでももらえますよ、それは選択です、六十歳からもらっても六十五歳から支給開始を受けてもトータルは同じですよということですね。何歳までが同じなのですか。
○片桐政府委員 この受給開始年齢に応じた経営移譲年金の額を定める場合に、私どもといたしましては、六十歳から六十五歳までの間でどの時期を選択しても生涯受給される年金額が基本的に同等になるように定めたつもりでございます。
○野坂委員 定めておらぬじゃないですか。今平均余命は、六十歳の場合は七十九・三歳まで生きるということになっておるんですよ。いいですね。今六十五歳になった者、それは十五・五年で八十・五歳まで生きるということを今あなたはおっしゃった。だから、平均すれば八十歳まで生きるんです。六十歳からもらって七十二歳までの年金の総合計は四百二十七万円ですね。六十五歳からもらうのは八年間、六十歳からもらうのは十三年間、七十二歳で。四百四十三万円の六十五歳でもらった八年間の方が高い。この辺がちょうど同等になる。それ以上生きたら、あと十年生きるんですから、六十五歳の方がずっといい。だから、あなたの頭の中では、六十五歳から支給開始しなければ損だよという格好で誘導政策をやろうとしておるんですよ。ちっとも同じじゃない。八十歳までもらうと、六十五歳から年金をもらった人と六十歳からもらった人の差はどのくらいになりますか。
○片桐政府委員 名目給付額、いわゆる物価スライドそれから所得スライド、これを前提にいたしまして計算いたしますと、ほぼ同じ額になるわけでございます。
○野坂委員 そんなこと言ったって、そんなわけにはなりませんね。ほぼ同じというなら金額で示してくれませんか。六十歳の人は八十歳までもらいますと二十一年間もらうんです。六百九十万円になるんです、金額は。そうでしょう。六十五歳から八十歳までもらうと八百八十五万円になるんです。百九十万円違うんです。だから、六十歳からスタートしても六十五歳からスタートしても同じですよというわけにはならぬじゃないですかと私は聞いているんです、矛盾があるじゃないですかと。私の言ったとおりですから。調べてきていますから。認めてください。
○片桐政府委員 実は私どもも、六十歳からもらった場合と六十五歳からもらった場合ということで、これは死亡率をどう見るかということがあるわけでございますけれども、十六回生命表の男を前提にいたしまして算定した資料がございます。これで見ますと、物価スライド二%、所得スライド年率四%ということで算定いたしておりますけれども、昭和六年生まれの方について新体系で六十歳から受給した場合には千百八十三万円、こういう数字になります。これに対しまして六十五歳から受給した方々は千二百五十七万円ということで、ある程度の差はございます。しかし、これはきのうも御説明いたしましたように、後からもらった方が少し厚くなりまして、後送りになるというようなこともあって所得スライドそれから物価スライドがきくというようなこともありまして、ある程度の差は出るわけでございますけれども、ほぼ同等な金額であるというふうに考えている次第でございます。
○野坂委員 それでは、計算式にして内容を委員会に示してください。私が言ったとおりか。あなたは余り違わぬとおっしゃいますから、それを示してもらおう。 そこで、なぜ一体そうなっておるのかということなんです。 農業者年金というのは農水大臣が所管ですね。厚生年金というのは厚生大臣が所管ですね。あなた方がやっておられる六十歳と六十五歳との率は、六十歳の場合は〇・四二引くのでしょう。六十一歳の場合は〇・三五引くのですね。六十二歳の場合は〇・二八引くんだ。六十三歳は〇・二〇、六十四歳は〇・一一、そうなっていますね。そのとおりですか。——僕は、構造改善局長か農水大臣に聞いているんだ。
○坪野説明員 減額率につきまして、国民年金に使っています減額率につきましては今先生おっしゃったとおりでございます。
○野坂委員 そのとおりですね。厚生省がやる国民年金に合わせておるんですね。あなたは我々の同僚の諸君に答えて、その方が整合性があると言っておるのですよ。私から言わせると、六十五歳から支給してもらった人と六十歳から支給してもらった人が八十歳で同額なら文句はない。百九十万円も違うということになると、減額率の縮小をしていかなければ同じような選択年金にならぬということになるのですよ。あなたは六十五歳にせいと言っておるのですよ。あなたの言っておるのは政策年金は六十五歳だぞ、こういうことを言っておることと等しいのです。だから減額の率というものは、独自性があれば農水省で変えることができるだろう、そして同じようにして農業の発展の度合いと、後継者に経営移譲して農業を発展させる基礎をつくっていかなければならぬ、私はそう思っておるのですよ。ところが厚生省が頭を押さえて、絶対そうでなければいかぬ、みんな右へ倣え、だからこれは差がついてくるのです。その辺は農水省は独自性はあるかないか、農林大臣に聞きたい。
○片桐政府委員 農業者年金は国民年金の上乗せ年金ということでございますので、国民年金と整合性のとれたものとするということが必要であると考えております。そこで、農業者年金につきましても、共管省であります厚生省とも協議をいたしまして国民年金と同じ減額率を用いることにした次第でございます。
○野坂委員 老齢年金であり公的年金である国民年金と、政策年金である農業者年金は性格が違うと私は思う。農業者の生活を守り農業の発展を期するためには、選択年金という意味合いからして同等でなければならぬ。それを国民年金の側に押さえられてやるということは、これは政策年金という性格を変えていくということを私は心配しておるわけです。だから一遍あなた方は厚生省と折衝したときに私が言うようなことを言っておったのじゃないですか。ところが、もう泣き泣き押さえつけられたという実績があるのじゃなかろうかと私は推測、想定をしておるわけです。その辺はいかがですか。独自性を発揮してもらいたい、それが政策年金の性格でございます。こういうことを私は提言をしておきます。いかがですか。
○片桐政府委員 各種の年金制度が存在するわけでございますけれども、やはり各種の年金制度の整合性ということがあるわけでございます。したがいましてこの減額率につきましては、国民年金と整合性のとれたものにする必要があるということで国民年金の減額率に合わせているわけでございまして、国民年金の減額率を改定するときにまたこの農業者年金の減額率も改定されるのではないかというふうに考えている次第でございます。
○野坂委員 それでは、その点については十分厚生省と折衝をして、これから検討の課題として研究する、こういうふうに理解していいですね。
○片桐政府委員 私どもといたしましても、国民年金の現在の減額率というものの性格につきまして今後いろいろ検討させていただきまして、それでまたこの農業者年金の減額率についても検討を深めてまいりたいというふうに思っております。
○野坂委員 わかりました。 今度は、農業者年金の所得ですね。同僚が言いましたように、所得政策に入りますが、月収十三万円で年金の掛金というのは決めていましたね。二十一万三千円になりました。これは農業者年金に加入しておる人たちの所得として打ち出されたということだ。それについては、あなたは例を挙げなけれが御答弁されませんから言いますが、あなたにもらったこういうものがありますね。昭和十一年度生まれ、二十五年間加入期間で四十六万一千円というのがあります。二十一万三千円になった理由。そして、十六万人の未加入の皆さんがこれから入っていく、そうすると、全体の平均が十三万円ですから、それをどんどん入れてくると二十一万三千円よりも下回ってくるという可能性がありますか。いかがですか。
○片桐政府委員 現在使用しております十三万円の農業所得は、この農業者年金の加入対象農家全体をとったわけでございます。したがいまして、加入対象農家といいますと五反歩以上の農家全体でございます。その農家の中には、大変に兼業所得の多い、農業所得の少ない農家も含まれておりますので、平均いたしますと十三万円というような数字になっていただけでございますけれども、農業者年金に加入している農家、これは実態といたしましては専業的な農家ということで、例えば経営規模で見ましても、都府県の平均で一・九ヘクタール前後というようなかなり経営規模の大きい農家だけになっているわけでございます。今後も新規加入を促進するわけでございますけれども、やはり専業的な農家が加入されるということだと思いますので、今回採用いたしました農業所得二十一万三千円、これが加入規模がどんどん大きくなることによって下がっていくというふうには考えておらない次第でございます。
○野坂委員 農業者全体の平均が十三万円で、農業者年金に加入した者だけをやると二十一万三千円になる。そうすると、新しく入ってくる人たちが入ってくれば、普通であれば十三万と二十一万三千円でその中間ぐらいかなというふうに考えますが、今回はあなたの答弁を信用することにします。したがって、二十一万三千円よりも下がることはないと断言できますね。ちょっとそれだけを確認しておきます。
○片桐政府委員 五年後の再計算のときにまた農業者年金に加入している農家の農業所得を調査いたしまして再計算をするわけでございますけれども、従来の中核的な農家の農業所得の伸びというものの動向を見ますと、大体年率四%程度で伸びているというような実績を見ますと、次回の再計算のときにはこの二十一万三千円が年率四%、それが正確に年率四%かどうかということはこの場ではっきり申し上げられませんけれども、かなり伸びているであろうということを予想されるわけでございます。
○野坂委員 物価が一年間で二%上がって、厚生年金の場合は四%は上がるであろう。その物価上昇は賃金上昇分をのみ込む、こういう仕組みになっておるわけですね。農業者年金もそれと同じように上がっていきますということを今明言されたわけですが、これからの米の値段とか乳の値段、肉の値段が下がるということは生産者にとって大きな打撃になる。もちろん生産性の問題はありますが、あなたが一番心配されておる十八条の問題を含めても、農業者がどれだけ負担できるか、ここが問題なんです。だからあなたは、十三万円から二十一万三千円になって保険料は毎年千円アップしなければならぬが、今の負担能力からいって八百円が妥当であろうという線を出された。敬意を表しております。だから我々は、そういう生産物価格というものは下げるということになると所得が伸びませんよ。例えば、円安になって飼料等は大幅に上がってきたということになって、乳の値段が二円八銭、二%も下がったというこの現実は、農家の収入にとって大きな影響をもたらしておるというのが現状なんです。生産性を上げても自分にメリットはなくて社会還元をほとんどさせられるという、今日の国際競争力をつけるという美名のもとにそういうことが平然と行われるということは、私は納得できない。したがって、この年金から見て、私が言ったような方向になりましょうというふうにお考えですかということを、構造改善局長は農蚕園芸局長に聞くようなことを言ったっていかぬのですから、全体を総攬する農水大臣にこの辺は明言してもらおう。たった今、米価の問題等もありますから、あなたが答えた方がよかろう、こういうふうに思いますので、御答弁いただきたい。
○片桐政府委員 まず、私の方から事務的に説明せていただきたいと思います。 農業所得が今後四%程度上がるのではないか、こういうふうに私どもは一応前提に置いているわけでございますけれども、過去の動向から見ますと中核的な農家、確かに米価の引き下げとかいろいろな農産物価格の抑制政策というのがあったわけでございますけれども、いろいろなコストダウンとか生産性向上、規模拡大、こういうような方向で農業所得がふえているわけでございます。例えば、六十年の中核農家の農業所得は三百五十九万五千円、こういう調査になっておりますけれども、六十三年の中核農家の農業所得は四百二万七千円、こういうような形で、年率にしますと三・九%程度の伸びになっているわけでございます。今後私どもは、政策的にもいろいろ生産性向上とか規模拡大というような努力を続けてまいりまして、何とかこういう農業所得の伸びというものを価格政策に依存することなしに伸ばすように努力してまいりたいと考えている次第でございます。
○野坂委員 それでは物足りませんけれども、次に進みます。 二十一万三千円としましょう。それを標準報酬月額であるという。今厚生年金は一四・三%ですから、来年の一月から一四・五%になりますね、それを掛けますと大体三万八百八十五円になるわけです。掛金はそういうことになるのです。ところが厚生年金は事業者が半分持つわけですね。一万五千四百四十二円、大体一万五千四百円になるわけです。半分ですからそういうことになりますね。一万五千四百四十二円払うと、それは妻の国民年金の基礎年金も入っていますよ。御本人の分も入っていますよ。だから十一万一千円というものは一万五千円の中に全部入っておるわけです、これをもらうときには。そうですね、厚生年金の場合は。おわかりですね。 そういたしますと、農業者年金はどうなのかといいますと、今は国民年金は一人八千四百円払っていますね。奥さんの分も八千四百円払っておる。私の分も八千四百円払っておる。一万六千八百円払うわけですね。そうですね。農業者年金の場合は、そのほかに農業者年金を一万二千円程度払うということになりますと三万円払うのです。そうでしよう。二十一万三千円を基礎にして厚生年金は一万五千四百円、我々は三万円払うということになると、先ほどの、もらうのも払うのも同じように厚生年金並みにやりますよというのを一つ一つ農家の皆さんが計算をしてみますと、随分違う。これは話が違うじゃないかということになります。したがって、それについては厚生年金並みというのと矛盾があるじゃありませんか、違うのじゃありませんか、こういうことを私は申し上げておるわけです。いかがですか。
○片桐政府委員 厚生年金のいわゆる本人負担分ということで見ますと、先生御指摘のように七・二五%、標準月収に対しての保険料の率はそういうのが現状だと思っております。これに対しまして、農業者年金及び国民年金の掛金が農家所得にどの程度の負担になっているかということを私どももいろいろ算定したわけでございます。先生御指摘のように農業者年金の保険料、それから国民年金は夫婦二人分ということで算定いたしますと、三万円程度になるわけでございます。これにつきまして農業所得だけで負担するということは、確かにかなりの負担率になるわけでございますけれども、これを農外所得も含めた農家所得ということでその三万円の掛金を負担するということにいたしますと、七%前後の負担率ということで、厚生年金の本人負担分の負担率とほぼ同等になるのではないかと考えている次第でございます。
○野坂委員 そんなインチキ言ったっていけません。通りません。農業者の農業収入が二十一万三千円あるということですよ。それを払うのは、ほかのところで出稼ぎでもしてもうけてきてそれで払うとちょうどあるじゃないかという、あなた、そんなむちゃくちゃなことを言われたって、片桐構造改善局長の今までの筋論と随分違ったことを言いますね。私は農家所得じゃなしに農業所得を言っているのです。農業所得が二十一万三千円ありますということを、あなた、たった今確認したじゃないですか。払う段になったら、いや、それは農業所得じゃなしに農家所得でございますと、こんなことは全く通らない。だから、並みではありませんねということ、私はそれを確認さえしてもらえればいいのです。あと文句を言うわけじゃないのです。それは事実ですと、確認さえすればいいのです。これはどうですか。
○片桐政府委員 農業者年金の掛金のほかに夫婦の国民年金の掛金を合計すれば三万円ということでございます。そういう国民保険の夫婦すべての掛金を全部農業所得だけで負担するというのは、確かに先生御指摘のように厚生年金の本人負担分よりも高い負担率になることは事実でございます。しかし、農家の場合にはいろいろ兼業の収入もございまして、そういう兼業収入の中からも国民年金の保険料等も負担し得るのではないかというふうに考えて、私どもはこの負担の限界というものを算定した次第でございます。
○野坂委員 それでは、このことについてはこれ以上論争しませんから、十分に御検討をいただきたい、こういうふうに思います。 ついては、厚生年金並みであるという農業者年金。厚生年金の場合は定額部分と報酬比例部分と二つありますね、それの合計というのは、定額部分と報酬比例部分と合計したものは三千七百九円になります。それで厚生年金の場合は六十歳からもらうのですね。そうすると、細かく言ってもいいのですが、わからぬといいますが、時間がありませんから、六十歳から六十四歳までの場合は五百五十六万三千五百円、計算してみるともらえるのですよ。そして六十五歳から八十歳までもらいますと、厚生年金は大体千四百四十一万九千五百円もらうことになります。これは問違いない。農業者年金の場合は、六十五歳からもらったのが八百八十五万六千円になりますね。五百五十万ほどは減るんですよ、六十歳から六十四歳分。六十五歳からもらう場合を一番余計もらえますからやるので、ちょっと違うのじゃないかなと思うんですよね。厚生年金並みとはいかぬじゃないか。六十五歳からはおっしゃるようになるけれども、六十歳から六十四歳の間の空白は一体どうなるのだろうか。この辺はどうお考えですか。
○片桐政府委員 今回の新給付体系の変更に際しましては、六十五歳で厚生年金並みの上乗せ年金を支給する、こういう前提で設計いたしたわけでございます。したがいまして、これを六十歳から受給するという場合には、確かに先生御指摘のように、先ほどの減額率というのが働くわけでございまして、これは結局、六十歳からもらった人と六十五歳からもらった人が損得なしの設計にする、こういうような前提から当然そういうふうになったわけでございまして、その点につきましては農業者の定年延長といいますか、六十で引退するのじゃなくして六十から六十五の間で選択的に引退していただくというような、そういう考え方からそういう結果になるものであるというふうに考えております。
○野坂委員 局長、ロジックが合いませんね。農業者年金は六十歳からもらっても六十五歳からもらってもいいのですよ。しかし御検討いただくということになったように、六十五歳から八十歳までもらうと八百八十万もらえるんですね。これは厚生年金と同じだ。確かになるんです。しかし、六十歳からもらうと農業者年金はもっとずっと減るんですね。六百六十万にしかならぬのですね。しかし厚生年金は、先ほど保険料のところで申し上げましたけれども、同じようにそれが六十歳からもらうということになると千四百万ぐらいになりますよ。だから違うのじゃないですか。余りこれ以上あなたを詰めるというのも何ですから、これも御検討いただけますか、この差は。いかがですか、検討するかしないか。
○片桐政府委員 厚生年金の場合は六十歳から支給する、こういう前提になっておりますので、六十歳からもらった場合と六十五歳からもらった場合で非常に大きな差ができるわけでございますけれども、今度の新給付体系の農業者年金は、六十から六十五歳、この間でどの引退時期を選んでも生涯の給付額はほぼ同一の水準になる、こういう前提にしているわけでございますので、確かに厚生年金六十歳からもらった場合と農業者年金を六十歳からもらった場合を比較すれば、かなりの差ができるということは事実でございます。厚生年金を六十五歳からもらう分と農業者年金を六十五歳からもらう分を比較した場合には、ほぼ同じ水準であるというふうに言えるわけでございます。ですから、そこのところは確かに厚生年金六十歳から受給した場合と農業者年金を六十歳から受給した場合というのではある程度の格差ができるということは、この年金の設計上のやむを得ない現象じゃなかろうかというふうに思うわけでございます。
○野坂委員 局長さん、一生懸命答えておられますけれども、やむを得ないなんということは絶対通りませんよ。これだけ農業がいじめられて、これだけ厳しい農業の事情の中で、厚生年金以上に払って厚生年金よりも少なくしかもらえないというのは、今までよりもよくなったとはいえ私どもは納得できない。厚生年金並みという前提がある以上、許しがたい。したがって、これについても前向きに検討されるように要求しておきます。よろしゅうございますか。
○片桐政府委員 現在の給付体系が六十歳で引退するのが一番有利にできているということで、六十歳で引退することを誘導する、こういう効果を発揮しているわけでございます。それで、新体系を考える場合に、また六十歳で引退して受給するのが一番有利であるというような終身同一の年金額というものを設計した場合には、やはり同じような六十歳引退を事実上誘導する、こういう結果になってしまうのではないかというふうに考えた次第でございます。したがいまして、六十歳から受給しても六十五歳から受給してもほぼ同一の額というようなことで設計いたした次第でございまして、そこのところは厚生年金の設計とは趣を異にしているというふうに考えている次第でございます。
○野坂委員 なかなかしつこいですね。あなたの言っておるのは本当は矛盾があるんですよ。農業者年金は厚生年金並みではない。六十五歳からは同じように八百八十五万円もらえます。それは厚生年金も同じです。しかし、六十歳から厚生年金はもらうんですよ。我々は六十五歳から始まるんです。六十歳からもらったらもっと悪くなるのです。だから御検討いただきたいと言っておるのです。ここで勝負をしておるわけではないんですから、検討してもらうように要望しておきます。 それから、大臣にお尋ねをしますが、先ほども同僚議員から質問がありましたが、附帯決議というものは重くお感じになっておりますか。そして、その国会の意思というものを十分尊重して善処されますか。いかがですか。どんなものでしょう、行政府の最高責任者としては。
○山本国務大臣 重く考えております。
○野坂委員 尊重するということですね。大体大臣は、最後に附帯決議が出ますと、こういうことを言うんですね。きょうも附帯決議があればこう言われると思いますがね。ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして十分検討の上善処するよう努力してまいります。みんなこう言っておるのです、各大臣は。その中に、遺族年金は十年間ずっと善処せよといって、あちらにいらっしゃる自民党の皆さん、公明党、共産党、民社党、社会党まで満場一致で過去七回決議しておる。一向に尊重しておらぬ。先ほどから片桐さんの話を聞いておると、あなたはこう言っておる。なじまないという言葉を使っておりますね、遺族年金は農業者年金になじみません。なじむようにしたらいいじゃないですか。なじむようになってくださいと言って自民党もみんな決議に賛成しておるんですよ。大臣は、重く受けとめて善処すると言っておるんですよ。これはおやりになりますか、遺族年金は、そういう意味で。
○山本国務大臣 お答えします。 先ほど田中先生にもお答えを申し上げまして、中身のことは先生よく御存じでございますから、今回の改正もいろいろ御質問をお聞きしておりましたが、十分御理解をされた上で評価をするものは評価する、なお研究すべきものは研究せよ、検討せよ、こういう大変大所高所からの御意見だと私受けとめておりました。それで、その国会決議でございますが、これは当然重く受けとめることでございます。しかし、先生例を引かれたように、私どもが、大臣が必ず締めくくって、十分検討して善処いたします、こういう一種の決まり文句に似た大臣の所信が最後にあるわけでございますが、その線に沿って、私が先ほど来勉強してまいりましたと言うのは、ずっと今までの過去の例を見ますと、随分と不満の箇所もあるでしょうけれども、その都度一生懸命改善を続けてきた、今回もかなり思い切って農村の実態に即して改善をするという姿勢で各項目について検討した、私もその最終段階で参加をしたわけでございますが、確かにこの遺族年金の問題、これも田中先生を初め皆さんにお答えしたとおり、特に今農村を支えている御婦人の力というものがいかに大きいか、データ上も出ておりますから、その御婦人の老後を保障する意味でこれは遺族年金と裏腹だな、私どもこういう受けとめ方をしておりまして、何とかならぬかということでございます。それは本音でございます。しかし、確かに財政措置その他ございまして、そうかといって先ほど来の先生の御意見のとおり、保険料を簡単に上げられる状況ではない、御負担願える状況ではない。そしてまた、他の年金制度との横並びの問題等々も、これはもう農業者年金は違うじゃないかという御指摘もございますけれども、しかしそれはそれとして横並びも考えなければならない。また財政当局からもそういう御指摘もある。さまざま苦しんだ上で、やれる問題についてはできる限り今回前向きにやった、遺族年金についてはまことに残念でございますが今回の中からは残った、こういうことでございまして、これは五年ごとに財政の再計算があるということは先生御承知のとおりでございます。平成七年ごろになるわけでしょうが、そこに向かって、御意向を踏まえました上で鋭意研究、検討をさせていただきたい、こういうふうに考えております。
○野坂委員 大体、私もとことんまで追い詰めないのでこの辺でやめなければならぬと思っておりますけれども、山本大臣も、遺族年金の導入をやれという附帯決議をされたときに参議院にいらっしゃいましたよね。だから、あなたも我々と一緒に考えられたものである、こういうふうに思っておるんですよ。したがって、私たちはどうしても遺族年金に穴をあけなければいかぬ。大体御婦人の場合は六割働くんですからね。男性の皆さん以上に働く。基幹農業者の従事員としても五〇・一%ですからね。だから、遺族年金は当然考えなければならぬ。なじまないということではなしに、いわゆる国民年金の付加年金的な性格ではなしに、遺族年金というものは農業者年金の中で確立をする、そういう方針を固めて、来るべき財政再計算のときにはそのものが出てくるというふうに我々は期待します。先ほどの答弁はそういうことだと私は受けとめてよろしいかということですが、いかがでしょう。そのころ、あなたは大臣でないかもしらぬけれども、引き継ぎ事項としてはきちんとしてもらわなければいかぬ。そうせぬと徹底的に修正案を出してこの問題は争うという決意で私たちはおりますが、いかがですか。
○山本国務大臣 ただいままで私が申し上げてきたことにうそ偽りはございません。次期の財政再計算の時期を目指して前向きに研究、検討を重ねてまいりたい、こう考えております。
○野坂委員 大体細かいことは終わったのですが、今農業の場合は担い手不足というのが非常に問題になっていますね。石破さんもいますが、特に私どもの県では中山間地帯に担い手がなかなかなくなってきた、そういう状態であります。だから、受け取る側が余りないために受け手がないということで非常に困っておるというのが現在の状況なんだ。そこで農地保有合理化法人とかあるいは今度は農業者年金基金が金を出してやる。調べてみますと、合理化法人とは、受け取るのが一件しかないですね。これどんどん来たらなかなか大変ですが、またあなた方の奥の手を出して、財源がありません、財政的に困難です、こういうことをすぐ使って、なかなかやらないということはないでしょうね。経営移譲は、受け手がない場合は全部そういう法人が組織をする、全部受けてくれるというふうに考えてよろしゅうございますか。
○片桐政府委員 先生御指摘のように中山間地域等におきまして、農地の借り手それから買い手、こういう方々がいなくなっている地域もあることは事実でございます。私どもはそういう地域に対しましていろいろな政策を展開している次第でございまして、先生御指摘のような農地保有合理化法人による借り受けないしは買い受け、そういう農地につきましてはいろいろ条件を整備して新たな買い手、借り手を探すというようなことも事業展開している次第でございます。しかしまた、なかなかそういう事業にも乗りにくいというような地域もあるというふうに聞いておりまして、最後の手段というような形で今回農業者年金基金に借り受け・貸付業務を付加いたしまして、それでどうしてもそういう事業展開なり、借り手、買い手が見つからないという場合には農業者年金が引き受けるという形でこの業務を追加した次第でございます。
○野坂委員 引き受けてもらうということを確認します。 それから、これから農業の規模拡大というのをやりますね。昔は自立経営農家、専業農家、中核農家、いろいろ変わってきましたね。それを個人でやる場合と、祖先伝来のものだからなかなか売れないで共同化を進めるという格好の規模拡大とありますね。後者の方がこれから進むであろう。その場合、有限会社を多くつくっておるわけです。有限会社をつくるとおたくの厚生年金の方に入ってくるわけですね。農業の今の状況というのは非常に厳しい。したがって、厚生年金に入ってもその有限会社法人そのものが半分負担ができない、そういう能力がない、これが偽らざる事実である。しかも家族労働的な有限会社ですから、そういう意味では、やはり今までどおり農業者年金に入らせなければこれは破算をしてしまうだろうということを私たちは憂慮しておりますが、それらの点については、農業者年金にも入ってもいいということになりますか、なりませんか。
○阿部説明員 厚生年金と農業者年金の適用関係でございますが、御存じのとおり農業者年金の加入の要件といたしまして、国民年金のいわゆる一号被保険者と称しまして、いわば自営業者というのを要件にしてございます。それを基礎資格にいたしまして農業者年金に加入するということになりますので、法律構成からしますと、法人組織の場合には厚生年金保険法なり健康保険法なりによりましていわば被用者年金なり被用者健康保険に入るということになりますので、法律上の構成といたしましては、一号被保険者ではなくて二号被保険者といいましょうか、ということになるわけでございますので、農業者年金の加入資格というものからしますと欠けることになるというふうなのが法律構成上の現在の姿でございます。
○野坂委員 これらの点についても十分農水省と厚生省と話し合っていただきまして、営農の規模拡大あるいは生産性の向上、構造政策、そういうものから考えて農業者の前進のために十分配意をして御検討いただくように要望しておきます。 最後に、農業者年金の話ばかりしておりましたけれども、これに関連して、漁業者も農業者年金のこの論議に非常に注目をしております。遺族年金のときに全共運の問題を引っ張り出してそういう話がありましたが、漁業者の場合は、沿岸漁業者等福祉対策推進事業費という格好で二億七百万組んでいますね。これはあくまでも個人の積み立て年金という格好を漁連がやっておるわけですね。これと同じように漁業者も老後保障というものについて深刻に考えておる。だから、農水大臣で、構造改善局長の所管ではありませんが、この漁業者年金問題についても十分検討して、やはり漁業者の老後の保障というものも十分考慮、配慮すべきではなかろうか、こういうふうに考えますので、水産庁長官が来ていますから、それらについてはどのようにお考えでしょうか。
○京谷政府委員 漁業者に関する年金問題でございますが、御指摘のとおり漁業者については現在の農業者年金のような公的年金がないことは事実でございます。また、御指摘のとおり私的年金としまして全国共済水産業協同組合連合会の傘下で老齢福祉共済事業が行われ、これに対して水産庁としても運営費その他普及推進に要する経費の助成を行っておりますけれども、これに加えまして、御承知と思いますけれども、国民年金基金制度が昨年の年金法改正によって拡充をされまして、老齢基礎年金の上乗せ給付を行うという仕組みが平成三年四月から発足を予定されておるわけでございます。実はこの仕組みのもとで、現在共済事業を行っております共水連あるいは漁協組織が、国民年金基金の委託を受けてこの老齢基礎年金の上乗せ制度を活用していくという方途について、現在系統とともどもに研究をしておるところでございますので、こういった面での努力をさらに続けてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○野坂委員 時間が参りましたのでこれ以上質問はできませんが、今水産庁長官がお話しになりましたのは、平成三年から国民年金基金の創設があるということは、我々はよく承知をしております。それに基づいて遺族年金問題についても、全共連がそれに乗っかってやるという意味で構造改善局等はそれを進めようとしております。ただ、この問題と漁業者年金問題とは本質的に性格が違う。できないから便法的にそうやっておるわけでありまして、水産庁としては、漁業者年金につきましても十分に配意をして、前向きに検討されるように要望して、私の質問を終わります。大変どうもありがとうございました。
○亀井委員長 倉田栄喜君。
○倉田委員 第一に、本件年金法の改正に関連いたしまして、日本農業の将来構造について、多々ダブる点もあろうかと思いますけれども、重ねてお伺いをいたしたいと思います。 まず、今農家の方々の間に存在する農業の先行きに対する不安感は相当なものがあると実感をしております。我が子にはもう農業を継いでくれとはとても言えないという状態よりさらに進んで、ほかの何をしてもいいから農業だけはするな、そういうふうに叫ばれておる声を私は現実に聞いておるわけであります。 〔委員長退席、柳沢委員長代理着席〕 そのような声がすべての声でないにしても、日本の農業の先行きに対する不安を端的に表現をしているのではないか。私もまた農村に生まれ育った者の一人として、現在の日本の発展はその基礎的な部分で農業がしっかりと支えているという考えは、心底納得できるものであります。 しかしながら、現在農業の国際化が声高に言われる中で、日米構造協議が開始され、消費者保護の視点からの論調が政府、マスコミ等を通じて強くなっているように思われます。確かに消費者サイドからの論調も十分に検討しなければならないとしても、他方で農家の方々には、足腰の強い農業という名のもと、規模拡大路線の中で今後ますます農業人口は減少することが予想されるわけであり、先の話になるかもしれませんが、いわば農業従事者は今後一貫して少数者の道をたどることになるのではないかと思われるわけであります。政府は確かに農業を国のもととして先々に考えてくれるのだろうかという将来に対する不安感は、その将来の農業の人口構造というものを考えた場合に募るばかりであるのではないのかと思います。この意味で、根本的な農政理念の確立とともに、確かなる農業の将来展望を示すことは何よりも急務であろうかと思います。 そこで、まずお伺いをいたしますけれども、本件年金の財政基盤の確立という見通しの中で、被保険者数、受給権者数の見通しとして平成三十七年度が見通しの数字が出てくるのが一応最後になっておりますけれども、ここで三十二万人という数字が示されております。この三十二万人という数字の根拠、並びにこの数字が、平成十二年、紀元二〇〇〇年を一つの目途として示された農業構造の展望、そこで試算されておる農家戸数三百六十万程度、中核農家五十万程度という、その数字の延長上の農業政策の上にある数字であるかどうか、この点についてまずお伺いをしたいと思います。
○片桐政府委員 農業者年金の長期的な財政試算を行う前提といたしまして将来の加入者の見通しを行ったわけでございますけれども、先生御指摘のように平成三十七年、二〇二五年の加入者の見込みが三十二万人、こういうふうに見込んでいるわけでございます。これの根拠といいますか、どういうふうにしてそういう見通しをしたのか、こういうお尋ねでございますけれども、現在、昭和六十三年の加入者が六十八万人、こういうものを前提にいたしまして、平成二年から五年度には新規加入者が一万七千人とか、それからまた六年から十年は一万六千人、平成十一年度以降一万五千人、こういうような新規加入者があるであろう、こういうことを前提にいたしまして算定したところ、紀元二〇二五年で三十二万人、こういう数字になったわけでございます。 こういう加入者の見込みが、需要と生産の長期見通しで示しております紀元二〇〇〇年の農業構造の見通しとどう整合性があるのか、こういうことでございますけれども、紀元二〇〇〇年の中核農家の見通しは五十万戸、こういうふうに見通しているわけでございます。ところが、この年金の加入者の見通しでは紀元二〇〇〇年四十万人、こういうふうになっているわけでございますけれども、これは大体中核農家の約八割がこの年金の加入者であろうというふうに見ておりまして、この年金の加入者の見通しとそれからまた農業構造の見通しとは整合性がとれているものと考えている次第でございます。
○倉田委員 今整合性がとれているという御答弁でございますけれども、そうすると、例えば平成三十七年の三十二万、これを先ほどの八割ということで考えますと中核農家数四十万という数字が出てくるのだろうと思いますけれども、農水省としてはそのあたりになると中核農家数四十万という数字を基礎として将来の農業展望を頭に描いている、こういうふうに受けとめてもよろしゅうございますでしょうか。
○片桐政府委員 紀元二〇二五年、平成三十七年の見通しにつきましては、私ども年金の長期の財政安定をどうするかということを試算するために便宜算定をした次第でございまして、農業構造そのものの見通しということでは、現在のところ紀元二〇〇〇年、これから十年間の見通しというものは作業としてかなりきちっとやっておりますけれども、その後の二十年後、三十年後の見通しにつきましては、農業構造そのものとしての見通しとしてははっきりした作業はやっておらないわけでございます。
○倉田委員 そういたしますと、今申し上げました三十二万という数字は農業構造自体の展望を示すものではない、あくまでも本年一月に閣議決定された「農産物の需要と生産の長期見通し」の参考資料としての農業構造の展望の中で示される西暦二〇〇〇年、平成十二年の農家戸数、そこまでである、そういうことでございましょうか。その平成十二年、西暦二〇〇〇年の農家戸数、中核農家数はどの程度と見込んでおられるか、あわせてお答えいただきたいと思います。
○片桐政府委員 「農産物の需要と生産の長期見通し」で見通しております農業構造の見通し、これは平成十二年、紀元二〇〇〇年でございますけれども、中核農家戸数が五十万戸というふうに見通しております。これは平成元年が七十万戸ということでございまして、年率三・五%程度の減少というふうに見ているわけでございます。 この紀元二〇〇〇年の見通しと私どもの加入者の見通し、これは私どもの加入者の見通しは紀元二〇二五年までやっております。したがいまして、二〇〇〇年というのは途中の地点でございます。私どもの加入者の見通しの途中の地点である紀元二〇〇〇年四十万人というものと、それからまた長期見通しに基づく中核農家五十万人の見通しというものは、途中の地点で比べれば整合しているのではなかろうかというふうに考えている次第でございます。
○倉田委員 この農業構造の試算によりますと、西暦二〇〇〇年には中核農家が五十万、農家戸数は三百六十万程度になる。昭和六十四年一月現在の農家戸数四百十九万、これで現在の日本農業を支えているわけですけれども、将来展望の点について、この点は大臣にお伺いできればと思っておるわけですけれども、西暦二〇〇〇年の中核農家数五十万戸、農家戸数三百六十万戸、これで果たして日本農業を支えるに足りるだけの農家戸数であり、中核農家数であるかどうか。確かに食糧自給率等々の見通しも踏まえた上で御検討されているだろうと思いますけれども、その自給率との観点から考え合わせて大臣の所信をお伺いできればと思っております。 〔柳沢委員長代理退席、穂積委員長代理着席〕
○山本国務大臣 お答えします。 「農産物の需要と生産の長期見通し」、これを一つの指針として進めておりますが、この試算では、高齢化の進行などから平成十二年における中核農家の戸数が五十万戸、今先生の御指摘のとおりの数字がここに載っておるわけでございます。この中核農家を中心に、先ほど来申し上げているような規模拡大あるいは生産の組織化等を推進していく、可能な限りの生産性の向上を図って我が国の農業を足腰の強いものにしていく、こういうふうに施策を進めておるということでございます。そしてその結果、食糧自給率の問題でございますけれども、何とか低下の傾向に歯どめをかけまして、熱量供給の五割、これは一つの目標でございますから、この五割の自給率をどうしても維持をしたいということで進めておるわけでございます。 今後、これに向かいまして担い手の育成とか生産基盤の整備、あるいはバイオ等の新しい科学技術、先端技術の開発、普及など諸般の政策を強力に展開していく、それによって自給率はどうしても五〇%というのを確保していきたい、こういう考え方でおります。
○倉田委員 日本農業がさらに維持されながら発展されるということを前提にしながら将来の見通しを立てておられることだろうと思いますけれども、ただ、農業人口だけは確かに減っていく事態になるのであろうと思います。その場合、前日の質問でもございましたけれども、相当数の中山間地域において、過疎化が進行する中で廃村、そのような状況も生まれてくるだろうと思うわけであります。我々の祖先がまさに営々と血を流して汗を流して築いてきた村であり、ふるさとであろうかと思うわけですけれども、この農業人口の減少の中で過疎化が進み、廃村していかざるを得ない、この状況に対してどのようにお考えになっておられるのでしょうか。
○山本国務大臣 いわゆる中山間地の問題でございますけれども、現実に若い人たちがどんどん流出をしまして、したがって農業の担い手が減ってしまった、それによって、地域社会の機能が低下した、今お話しのとおり農村そのものが崩壊に瀕しているというふうな例も、私ども聞いておるわけでございます。そこで、この地域の特性を生かした農林水産業の振興とか、あるいは就業機会の確保、あるいは都市との交流だとか、あるいは生活環境の整備、そういうものを今まで総合的に進めてきた。にもかかわらず、なかなかこれは歯どめがかからないというふうな厳しい状況が、特に山間地にあるというふうに私ども認識をしております。 そこで、平成二年度にお願いをしている予算の中でも、この生産基盤と生活環境の整備を中山間地域の立地条件に即しまして総合的に進める事業、あるいは高付加価値農業の振興、生活環境の整備等によって中山間地の活性化を図る特別対策事業、あるいは中山間地域の活性化の資金とか、それらを公共事業費の中で新しい項目をつくって機能させよう、そして何としても中山間地を荒廃から守っていこう、こういうふうな施策を今進めていきたい、こう思っております。
○倉田委員 私もぜひとも、いわゆる国土保全という観点等々から考えても中山間地域をこのまま過疎化、庭村に追い込んではならないと思いますので、今の点、強く要望いたしておきたいと思います。 そこで第二に、本件年金の年金制度の中における位置づけについてお伺いをしたいと思います。 本件年金の加入者数は、平成元年度で約六百三十万、農家戸数の一五%というのが昨日のお答えでありました。残りの八五%の方々及び林業者、漁業者は、国民全体の年金制度の中でどのように位置づけられているのか、この点について農水省、厚生省所管の方にお伺いをしたいと思います。
○片桐政府委員 まず私の方からは、この農業者年金に加入できない農家の方々をどうするのかという問題につきましてお答えさせていただきたいと思います。 確かに、三十アール未満の農業者とか、それからまた先ほど来議論されております農家の婦人とか、そういう方々は農業者年金に加入できないという形になっているわけでございます。これらの方々につきましては、今後、国民年金法の改正によって拡充された国民年金基金、これの対象にして年金制度を仕組んだらどうかということを現在全国共済農業協同組合連合会でいろいろ検討されているというふうに聞いているわけでございます。もし、この構想が実現いたしますと、こういう方々の老後保障の助けになるのではないかというふうに考えている次第でございます。
○阿部説明員 お答えいたします。 私どもが公的年金として国民全体の老後保障をどう考えるかという観点から公的年金制度というのは組み立てられておるわけでございまして、そういう視点からしますと、個別の産業ごとにどういうふうな対応をすべきなのかというのは、なかなか公的年金一般制度の中からは、そういう視点で物を考えていくというのは大変難しいことではないかなというふうに思っております。ただ、大きく分けまして、一般的に老後保障を考える際の一つのポイントといたしまして、勤労者、サラリーマンの場合の賃金雇用形態があるなしで大きく変わってくるケースと、それから自営業者のように必ずしもそういうものとは違った形態という意味で、大きく年金制度としては分かれておるわけでございますけれども、そういう以外の個別の産業、あるいはその業態といいましょうか、という単位ごとに老後保障一般として制度を考えていくのは大変難しいことではないかなと思っています。 したがいまして、先ほど農林省の方からお話がございましたように、私どもが今回、自営業者を対象といたしまして基礎年金に上乗せする国民年金基金制度というものを用意いたしましたので、その活用という形で考えていただくというのが一つの道ではないかなというふうに考えております。
○倉田委員 御案内のとおりでありますけれども、昭和三十三年に農林漁業団体職員共済組合法が成立をしております。先ほどから附帯決議の点についてはその趣旨というのが問題になっておりますが、その三十三年に成立した農林漁業団体職員共済組合法の附帯決議では、農林漁業関係団体職員の奉仕する相手方である農林漁業者が公的年金制度の対象となっていない、速やかに農林漁業関係者を対象とする年金制度を実現すべきである、こういうふうになっているわけであります。 確かにこの附帯決議を受けて昭和四十六年に本件年金制度が発足をしたわけであろう、こう思うわけでありますけれども、それから今日に至るまで、いわゆる林業者、漁業者についてはこの附帯決議の趣旨が尊重されておらない。先ほどの委員の方からも強い要望がありましたけれども、この附帯決議が存在するにもかかわらず、なおかつ現在まで漁業者を対象とする、いわゆる農業年金に類する政策年金的な年金制度の確立ができてないことについて、どういう理由なのか、お伺いできればと思います。
○鶴岡政府委員 お答えします。 一般の年金につきましては、先ほど来厚生省からお話がありますように、国民年金が基礎になろうかと思います。それで、農業の場合は特別に、先ほど来議論されておりますように、老齢年金という性格もございますけれども、構造政策を助長するという観点からああいう年金が仕組まれたわけでございまして、林業、漁業というのはそういう点からの接近というのが難しいというようなことから、現在、特に農業者年金だけが農林業関係では設けられているというような実情でございます。
○倉田委員 漁業者に関しては政策年金的には難しいから実現してこなかったということでしょうが、今後についてどのように考えておられるわけですか。
○京谷政府委員 漁業者の年金問題についてのお尋ねでございます。 ただいま官房長からお答え申し上げたとおりでございますが、農業者年金は御承知のとおり、農業構造の改善促進という観点から経営規模の拡大という事態をとらえて国民年金の公的な付加的年金として持たれておるわけでございますが、漁業についてもこのような仕組みが考えられないかという議論がありますこと、私ども承知をしております。ただ、御承知のように漁業の場合には、漁業権漁業、あるいは大臣、知事による許可漁業、自由漁業、共同漁業といったような形で大変種類が多うございます。政策年金を仕組むと申しましても、農業におけるような農地といった共通の経営指標もなかなか見出しがたい、また母数も大変限定をされておる、こういう状況にございまして、独自の政策年金を仕組むということは極めて困難であるという考えを持っております。 したがいまして、先ほども申し上げましたけれども、漁協系統組織であります全国共済水産業協同組合連合会の系列のもとで漁業者の老齢福祉共済事業を進め、これに対して私どもとしても運営費あるいは普及経費の助成を行ってこれを助長していく。さらにはまた、先ほど来構造改善局長あるいは厚生省からお答え申し上げましたとおり、国民年金法の改正によって平成三年から発足を予定しております国民年金基金制度の運用を通じまして、老齢基礎年金の上乗せができるような措置を漁業者についても及ぼすような方途を現在検討しておる、こういう状況でございます。
○倉田委員 ただいまのお答えというのは多分昭和四十六年に議論をされたときとほぼ同じ答えなのでその後進展はないのであろう、こういうふうに受けとめているわけでありますけれども、やはり漁業者の方にも年金に対する強い要請はあるだろうと思っておりますので、先ほど何回も出ておりますけれども、まさに前向きに検討していただけるよう強く要望しておきたいと思います。 あわせて、今この農業者年金の加入の対象になっていない方々については、昨年度に議論をされ三年度に考えられておる職能型、地域型の年金制度で考えていきたい、こういう趣旨でございますけれども、一九九五年、五年後の平成七年にはいわゆる公的年金の一元化という議論も検討されているように伺っております。この場合、この公的年金の一元化という議論がされる中で、本件農業者年金とはどのような関係性があるのか、念のために明らかにしておいていただければと思います。
○阿部説明員 御存じのとおり、公的年金の一元化という場合の年金制度といたしましては、いわゆる強制保険といいましょうか、一般的な国民全体を視野に置いた老後保障をやっていくために、強制保険としてどういう保険制度があるべきなのかというふうな視点から公的年金の一元化というものが出てきております。したがいまして、農業者年金といいましょうか、このような一般的な老後保障のみを目的とするということではなくて特別な政策目的を持った年金制度というものは、公的年金の一元化と一般的に言われているものとは全く無縁のものであるというふうに理解しておりますし、今日までそういう視点で、一元化論議の中でも基礎年金の導入とか被用者年金制度間の調整というふうないろいろな施策を進めてきておりますけれども、そういった際にも農業者年金制度というのはそういったふうな議論の対象には一切なっておらないというのが今日までの経過でございますし、これからも同じような形で進んでいくのではないか、こんなふうに考えております。
○倉田委員 よくわかりました。 それでは第三に、本件改正案策定の基本姿勢の部分についてまずお伺いをしていきたいと思います。 改正案については、先ほどの遺族年金等との問題がありますのでこれは後からお伺いしたいと思いますが、農家の方々の声が多く反映をされている点で評価されるべきであろうと思いますが、他方で、財政的には多額な国家負担を要するものであり、国民的理解をきちんと得られるような努力が必要であろうかと思います。この意味で、本件年金がいわゆる政策年金であるということを国民的理解を得るために強調されるのであろうかと思うわけであります。そして、その政策の基本姿勢の一つとして、経営移譲を通じた営農意欲の高い農業者の規模拡大、これがあると理解をしております。 しかしながら、いわゆる政策と言う以上、いつかは政策目標の達成というものが想定されるわけであります。例えば先ほどの農業構造の展望の試算によれば、平成十二年を目途として中核農家の経営規模の平均的な姿を都府県は四ヘクタール程度、北海道では二十九ヘクタール程度になると見通されており、これは本委員会でもたびたび御答弁になっておられます。これが規模拡大路線における政策目標の達成と見てよいかどうかわかりませんけれども、この目標の政策年金として本件年金を位置づけるだけでは非常に不十分なのではないか。それでは政策目的が達成されましたよということになって、本件年金は政策年金だから終わりにしますよ、そういうことになっては農家の方々はたまらないだろうし、新規加入者にとっても非常に不安の材料になるだろう、そういうふうに思うわけであります。その意味からいって、本件農業者年金を将来的にも存続していくのだということを明確にすることは将来の不安をなくすということで大切なことであろう、そういうふうに思います。 そこで、お伺いをいたしますけれども、農業者年金はずっと存続していくのだ、そういうことを前提にしておいて、一方で政策年金というふうに説明をする。この政策ということに目標の達成度があるとするならば、この辺の整合性というのはどのように考えておられるのか、お伺いをしておきたいと思います。
○片桐政府委員 この農業者年金制度の目的といたしましては、農業構造の改善という目的と、それからまた農業者の老後保障、農業に専業的に従事した方々の老後を保障するということ、この二つが大きな目的であるというふうに考えております。 したがいまして、まず、農業者の老後保障という観点で、この制度は時限的なものではない、そういう意味では永続的なものである、専業的な農業者にそういう国民年金上乗せの老後保障をして、魅力ある農業、魅力ある職業といいますか、そういうものとして、また若い担い手も農業に参加していただきたいというような政策的な観点も非常にあるのじゃなかろうかと思っております。 そのほかに、構造改善という観点から経営農地の細分化防止とか、それからまた第三者移譲による規模拡大というような役割もあるわけでございますけれども、こういうような役割も、農業構造の改善が相当進んだ段階におきましてもやはりこういう経営農地の細分化防止とか第三者移譲による規模拡大、こういう構造改善の目標というものは必要なわけでございまして、私どもといたしましては、農業者年金の目的であります農業者の老後保障、それからまた農業構造改善、こういう使命がなくなるというものでは決してないというふうに思っております。
○倉田委員 次に、分割移譲による規模拡大の推進の点についてお伺いをいたします。 現行制度に基づく経営移譲の実態というのは、後継者移譲が件数及び面積の九割以上を占めている。また後継者の態様としても、被用者年金加入者、いわゆるサラリーマン後継者が約六割を占めておる、こういうふうに理解をしておりますけれども、本改正が、いわゆるこのサラリーマン後継者が約六割を占めている現状の中で、この分割移譲による規模拡大にどの程度資していくというふうにお考えになっているのか、お答えを願いたいと思います。
○片桐政府委員 現行の移譲の仕方といたしましては、サラリーマン後継者に一括して移譲するか、それともまた第三者に全部の農地、これは十アールだけの自留地というのを認めておりますけれども、それを除いて全部第三者に移譲するか、その二者択一を迫るというようなやり方が現状の制度でございます。これにつきましては、十アールを除いて全部第三者に移譲する、一挙に移譲するということにつきまして、農業者にかなり大きな心理的な抵抗があったわけでございます。そういうことで、第三者移譲というものがなかなか進まなかった面もあるかと思います。 今回、分割して第三者に移譲する、相当部分ということで、私どもは二分の一以上を第三者に移譲して残りをサラリーマン後継者に移譲する、こういう道を開いたわけでございますけれども、こういう措置によりまして、かなりのサラリーマン後継者に対する移譲が第三者に移譲されるというふうに見ております。これは正確に見通すことはなかなか難しいわけでございますけれども、従来サラリーマン後継者に移譲された面積のうち三割程度、これが分割移譲に供されるのではなかろうか。三割といいますと、面積にいたしまして大体一万三千ヘクタール程度でございますけれども、この一万三千ヘクタールのうち過半の面積が第三者に移譲されるというふうに見ているわけでございます。 そのほか、既にサラリーマン後継者に一括移譲している農地というものが約二十九万ヘクタールぐらいあるわけでございますけれども、これにつきましても、第三者に処分したいという方々がおりまして、約二〇%、六万ヘクタール程度あるのではないかというふうに見ております。この六万ヘクタールにつきましても、この中から相当部分が第三者である農業者年金加入者に移譲されるのではなかろうかというふうに見ている次第でございます。
○倉田委員 次に、離農給付金支給業務の延長についてお伺いをいたします。 今回期間が十年間延長される、こういうことですけれども、この十年間ということについて何か意味があるわけでございましょうか。また、離農給付金の支給対象を七十歳到達前に離農した者に限定をされておるわけですけれども、この趣旨はいかなることでございましょうか。
○片桐政府委員 離農給付金の事業につきまして、今回十年間の延長が認められましたならば、いろいろ改善を加えて延長をさせていただきたいというふうに考えております。 その改善の一点といたしまして、七十歳未満の方々が離農したときにこの離農給付金を差し上げる、こういうふうな改善にしたいと考えておるわけでございますけれども、これは、従来は離農者の年齢にかかわらず給付金を支給しておりましたけれども、農業の構造改善をより一層促進したいというような観点から七十歳までの離農を奨励したい、こういう趣旨で、七十歳を過ぎてから離農する方はこの離農給付金の対象外、そういうふうにいたしたいと考えている次第でございます。
○倉田委員 今回の改正については給付額をそれぞれ三段階に分けておられます。これは四十六年発足当時は二段階、それから今回改正前については一段階というか一律六十二万円、こういうことであったわけですけれども、いわゆる方向として少し一貫性がないみたいにも思えるところがあるわけです。これは何か、当初と現在ではその方向性について政策的な意味づけの変更があったわけでございましょうか。
○片桐政府委員 この離農給付金の額につきましては、離農により処分される農業用施設等の平均的な処分損の評価額というものを一応もとにいたしているわけでございます。今回いろいろ検討したわけでございますけれども、やはりこの処分損の評価額というものは離農前の経営の大小によって違うのではなかろうか、経営の面積が大きいほど処分損は大きいのではないかという点、それからもう一つは、この離農により農業者年金加入者に処分される農地面積が大きいほど構造改善の効果が大きい、こういうようなこともあるわけでございます。今回、こういうような状況に対応いたしまして、離農により処分される農地面積に応じて給付金の額を三段階にしたいというふうに考えている次第でございます。 具体的な額といたしましては、都府県の場合で五十アール未満が三十万円、五十アールから一ヘクタール未満七十万円、一ヘクタール以上百万円、こういうような三段階にいたしたいというふうに考えている次第でございます。
○倉田委員 次に、担い手不足地域における経営移譲の円滑化の問題についてお聞きをいたしたいと思います。 補助事業として農地の買い入れ、売り渡し等の事業がなされており、本件改正では第八十一条でこれに借り入れというか貸し渡しというのですか、そういう改正案になっているわけでございます。そこで、この農業者年金基金の業務追加としていわゆる農地の買い入れ、売り渡しをやってきたわけですけれども、この点については今までの経過というのはどういうふうになっておりましょうか。また、現在、この基金で保有をしておる農地面積というのは現実にどのくらいあるわけでございましょうか。
○片桐政府委員 農業者年金基金の買い入れ、売り渡し事業の実績でございますけれども、本制度発足以来、買い入れ面積で見ますと五千三百三十五ヘクタール、それからまた売り渡し面積は五千二百九十二ヘクタールというふうになっております。この買い入れ、売り渡し事業によりまして、農地の保有合理化、経営規模拡大に大いに役立っているのではないかと考えております。
○倉田委員 本件改正で、いわゆる担い手不足地域においてだれかに譲りたいけれども譲り受けてくれる人がいないという状況の中で、新たに借り受けができるようにした。過疎化対策の一環としてなされたのであろうと思いますが、この点について、今までの委員の方々からも何回か御質問があるみたいでございます。 そこで重ねて確認をしておきたいと思いますが、いわゆる農業者年金基金の業務として補助的にやっている買い受けあるいは売り渡しについては、非常に厳格に、買う場合についてはちゃんと売る見通しが立って、その上で運用されておると聞いております。しかしながら一方で、過疎化地域においてはなかなか買ってくれる人がいないから農業者年金基金の方で借りましょう、こういうふうになっているわけでございますね。そうすると、借りてくれる人がいない状況の中で、先ほど何回も御答弁に出ておりましたけれども、最後の手段として借りましょう、こういう状況が出てくることが考えられますが、これは制度の運用として、最後の手段がどういう状況になるのかわかりませんけれども、そういう借り手がない山間地域の農地であってもきちんと借りて運用をしていく、こういうことございましょうか。
○片桐政府委員 移譲される農地につきましてはできるだけ規模拡大に結びつけたいということでございますけれども、先生御指摘のように借り手、買い手が見つからないというようなケースもあるわけでございます。これにつきましても、できる限り農地保有合理化促進事業等を活用して、いろいろ条件を改善しながらそういう借り手、買い手を見つけるという努力をいろいろするわけでございますけれども、それでもなおかつそういう担い手が見つからないというような状況も考えられるわけでございまして、そういう場合の最後の手段として農業者年金基金が借りるという形で経営移譲を実現していただきまして移譲年金を受給していただく、こういうことを考えたわけでございます。 そういう場合の農業者年金基金が借りた農地をどうするのか、こういう問題でございますけれども、これについては、今後いろいろ工夫をしながら検討していきたいと思っております。例えば経営移譲者に対して管理委託をしていただく、管理を委託するというようなことも考えなければいけないのじゃなかろうかということを検討いたしております。
○倉田委員 確かに財政基盤の厳しい中で、その管理事業自体も基金の方でやるということはまた厳しい話になるだろうと思いますし、今御答弁いただきました、土地の所有者である方が管理をするという方向も十分に検討していただければ、こういうふうに思っております。 時間になりましたので、ちょっと遺族年金、種々議論をされておりますけれども、いわゆる女性の方々の年金加入の問題について御質問をしたいと思います。 農業の実態ということも先ほど議論をされておりますし、私も何回もお話をさせていただく方々の中でいわゆる農家の奥さん方、御婦人は、私たちの年金というのは神経痛と腰痛が年金みたいなものですよと笑ってはおられましたけれども、非常に一生懸命に農業を営んでこられた功績がある方々のもう半分以上が、現実には本件年金には加入できない。いわゆる遺族年金としてでも前向きに検討していただくという大臣の御答弁でありますけれども、この十年来実現の見通しが立ってない。こういう議論をこの委員会で繰り返していて、また十年たっても実現しなければどうにもならないわけですので、この点はきちんと、まさに実現をするという方向で積極的に検討をしていただくと同時に、実現するまでの期間、いわゆる先ほどの地域年金、職能年金とともに、また基礎年金としての国民年金自体も充実をしていかなければいけないと思いますけれども、この点について大臣の御決意のほどをもう一度お示しいただくとともに、実現するまでの期間、どういう方向でこの方々の要望にこたえていくのか、お答えを願えればと思います。 〔穂積委員長代理退席、委員長着席〕
○山本国務大臣 お答えをいたします。 田中先生、野坂先生にもお答えをしたわけでございますけれども、この遺族年金と裏腹に御婦人の老後保障の問題がある、そういうことは非常に強く認識をしておる、その上で研究もし、検討もしました、こういうことでございますが、さらにこれから先、今大体五年目ごとぐらいに財政の再計算というのをやって、数字の見直しなどもやっております。その期間などを目途にいたしましてひとつ研究、検討をさせていただければ、こういうふうに思っております。
○倉田委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わりますが、私は新人、一年生の議員でございますので、いわゆる国会用語としての善処いたしますと前向きに検討いたしますという言葉をその字義どおりに受けとめていいのかどうか、若干不安でもあります。その意味で、ぜひとも字義どおりにひとつ前向きに検討していただくとともに、やはり農業について展望性のある農業政策というのをお示しいただけるよう強く要望して、質問を終わりたいと思います。 大変ありがとうございました。
○亀井委員長 東順治君。
○東(順)委員 この年金の改正でございますけれども、第一次改正から六十年の改正まで、十二年間で実に八回改正を行ってきているということ、しかも、この平成二年三月末で年金加入者が六十二万六千人、受給権者が六十四万六千人といういわば仮分数状況といいますかバランスのとれない厳しい現実になっているわけでございます。八回も改正するというその事実の中に、日本の農業事情に対する苦悩の深さというか、あるいはまた社会構造の変化の大きさと速さに対応がなかなか難しかった、こういう状況があろうかと私は思います。そういう状況を背景として今回この年金制度がまたまた改正をされる。したがって、大変重要な意味合いを持った今回の改正であろうと私は思います。 したがいまして、こういう背景の中で改正をされることに対する基本的な考え方、そしてまた本制度に対する取り組み、重ねてになるかと思いますけれども大臣の所見を伺えれば、こういうふうに思います。
○山本国務大臣 お答えいたします。 今先生から、たび重なる改正がこの十九年間あった、こういうお話、それは日本農業の苦悩の深さ、あるいは国内外の農業に対する変化の速さ、こういうものを示しているんだという御認識でございますけれども、私も全く同感でございます。さればこそ農業を守るためにこの年金改正、ぜひいいものにしたいという熱意で今回も改正案を提案をさせていただいたということでございます。 そこで、先ほど来の御質問にもございましたが、結局、農業者の兼業化がどんどん進んでいる、それから高齢化も進んでいる、また加入者が一方では減り、受給者が一方ではふえているというふうなことで、そういう大きな変化の中で長期安定的に年金財政を取り運んでいくためには、どうしてもまたこの際改正が必要なんだ、こういうことでございます。また、これも議論をしてまいりましたが、構造改善の一環としても積極的に進めてまいりたいというふうなこともございます。農村の老齢化の問題、しかもまだまだ十分頑張れる、そういう寿命が延びた老齢化の中でその方々への年金の対応、それから農業構造改善のための対応、これを二本柱でやっておるんだということも説明をしてまいったところでございます。 そこで、財政基盤をどうしても長期的に安定させるということが、安心をして年金に加入をしていただける、年金を使っていただけるもとでございますので、これを、長い給付体系というものをにらみながら、営農意欲の高い農業者の規模拡大を促進するということを大きな眼目として、これから先も取り組んでまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○東(順)委員 そこで、今回の改正の大変大きなポイントと申しますか、支給開始時期の選択制の導入ということでございますけれども、この改正の背景、選択制を導入するという背景につきましてもう一度御説明をお願いしたいと思います。
○片桐政府委員 今回の改正で六十歳から六十五歳までの選択制の年金給付体系に変えたいという提案を申し上げているわけでございますけれども、その背景につきまして説明させていただきます。 まず、農村の高齢化という状況に対応いたしまして、六十歳を超えても心身ともに壮健な農業者がふえているという実態、それからまた若い農業後継者の就農時期、それからまた就農形態、これがかなり多様化しているというようなこと、そういうことを踏まえまして、現在のような六十歳時での経営移譲を画一的に誘導するというのは農村の実態から見て必ずしも実態にそぐわないのではないかというふうに判断いたしまして、個々の農業者の選択によりまして六十歳から六十五歳までの間で適期に、個々の農家が最も好ましいと思われる時期に経営移譲を促進するということを今回の給付体系で考えた次第でございます。
○東(順)委員 先ほどからの議論の中でも、どの支給開始時期を選んでも均衡のとれたものにします、こういうことでお答えがございましたけれども、先ほどもございましたが、六十歳支給それから六十四歳までの減額率という問題で、どのような減額率を適用されるのかということでお尋ねしたいと思います。
○坪野説明員 減額率の御質問でございますけれども、国民年金におきましては六十五歳支給でございますけれども、希望者によっては六十歳から支給を繰り上げてするという仕組みが当初からできておりまして、それに基づいて、六十歳からもらう人と六十五歳から年金をもらう人の間におきまして年金財政的にも何ら相違がないような形で減額率ができているわけでございます。農業者年金の場合につきましては、国民年金の上乗せ年金という考え方に立っておりますので、その線に沿って、国民年金と同様な減額率を適用するというふうな考え方になっているわけでございます。
○東(順)委員 厚生省にお伺いをしたいと思いますけれども、この国民年金の減額率がどのような根拠に基づいて導入をされているのか、これをまずお伺いしたいと思います。
○坪野説明員 先ほど一部お話し申し上げましたけれども、国民年金におきましては制度発足当時から繰り上げ減額制度というのがあるわけでございます。六十五歳から一生年金を受給した場合の受給総額、この受給総額と申し上げますのは、単に毎年毎年の年金額を足すということではなくて利子を考慮した状態でトータルするというふうに御理解願いたいわけでございますけれども、そういう意味で、六十五歳から年金を受給した場合の年金トータルと、それから六十歳から繰り上げて減額年金をもらった場合について同じように利子を考慮した状態で年金をもらった最終的なトータルというものが、最終段階でほぼニアリーイコールになるような状態で減額率が定まっているわけでございます。
○東(順)委員 繰り上げ支給ということが四十六年から導入されたということで、六十歳と六十五歳で生涯受給に大体どのぐらいの差が出るのか、その辺はいかがですか。
○坪野説明員 一人一人をとらえてどちらが多いか少ないかということを比較することはなかなか難しいわけでございますけれども、保険数理的に申し上げまして、六十五歳から年金を受け取る場合と六十歳から年金を受け取る場合について、利子を考慮した状態では等しくなるように減額率を定めているわけでございます。
○東(順)委員 やはり減額率というものがある以上、支給年齢によってその額の差というのが出てくるわけでございまして、特に平均余命が延びているということで先ほどからもお話が出ていましたけれども、導入されて大体四年ぐらい平均余命が延びている。そういう中でかなり格差のある減額率をずっと適用していくことをそろそろ見直さなければいけないというような時期に来ているのではなかろうか、このように私は考えますが、それについてどのようにお考えですか。
○坪野説明員 さきの国民年金法等の改正のときにも一部の委員の方々からそのような御意見があったことは事実でございます。余命が延びたという状態で減額率を修正するということになりますと、余命だけでということになりますと男子と女子の余命につきましては御存じのように差がございます。そういたしますと、男子と女子の間の余命だけをとらえて減額率に差をつけていいのかどうか。そうするならば、男子と女子の保険料に差をつけてもいいではないかというようないろいろな問題が出てまいります。そういうことから考えまして、現時点で平均余命だけから見て減額率が不合理だというところまではまだいっていないのではないかというふうに考えておりまして、現時点で減額率を修正するということは考えていないということでございます。
○東(順)委員 この国民年金の減額率をそのまま農業者年金に採用されるということで、幅を持たせて六十歳から六十五歳まで選択制というものを導入したわけですけれども、現実に、やはり選択したその年によって受給額は差がついてくるということがあるわけでございまして、しかも今御答弁があったように、もうそろそろという論議が起こってくるくらいに減額率そのものが今いろいろと問題になっているわけでございます。 そういう中で、この農業者年金、六十五歳で受給する場合と六十歳で受給する場合、受給額にかなりの差が出てきている、こういう状況でございます。終身同一額ということで年金財政の改善が期待されるということもあるわけでしょうけれども、現実に受給額の大きな差が出ます。そうすると、選択制を導入したことによって、経営移譲というのはこれまで六十歳で誘導してきたわけでございまして、それが逆に皆さんの気持ちというのはやはり六十五歳の額の多い方にぐっと流れていって、六十五歳まで経営移譲は行わないという状況が出る可能性もあるのではなかろうか、このように思うわけでございます。その点はいかがでしょうか。
○片桐政府委員 減額率の問題に関連しての御質問でございますけれども、現在、国民年金の減額率で今度の農業者年金も考えているわけでございます。実際に、国民年金について六十歳からの繰り上げ支給がどれくらい行われているかということを調べてみましたところ、現在の減額率を適用いたしまして六十歳から繰り上げ支給を受けている方が五十数%いるというようなことを聞いておりますので、その辺は一律に、もう六十よりは六十五の方が有利だから圧倒的に六十五歳以上になるというような実態ではないんじゃなかろうかというふうに考えている次第でございます。
○東(順)委員 国民年金の場合は、額が少ないのはわかっているんだけれども、ともかく早くもらいたい、そういう人たちがやはり大勢含まれているわけで、その辺も判断の中でしっかり考慮しないといけないと思います。 今六十歳が結構多いということをおっしゃいましたけれども、農業者年金の場合で私が心配いたしますのは、今までのように六十歳で移譲ということでずっと誘導してきて、その結果、現実に後継者に移譲する平均年齢が大変若返ったわけですね。例えば、本制度の発足前、後継者が経営主となった年齢は、昭和四十五年三十五歳末満が六一・六%、制度発足後五十一年から六十二年の間三十五歳未満が七七・一%、実に約八割。これはやはり六十歳誘導という政策年金としての効果が上がった、私はこのように思います。六十二年度の後継者の平均的経営移譲も先ほど申し上げました三十三歳。せっかくここまで政策年金の成果というものが出てきていて、今度は逆に選択制をとったことによって六十五にぐっと固まることで、せっかく若返ってきた平均年齢がまた逆戻りをするのではなかろうかな、こういうことが心配されるわけです。若返りの確保という面から考えたときに本当に大丈夫なのかな、そういう疑問というか心配を私は抱きます。 その辺について、この減額率の格差で六十五歳受給が逆にふえてくる心配がある、そうするとスムーズな経営移譲がなかなか行われにくくなるのではないか、このように心配します。その辺についてはいかがでしょうか。
○片桐政府委員 確かに、現行の農業者年金制度は六十歳での経営移譲を誘導するということで、経営移譲の年齢といいますか担い手の若返りという効果をかなり発揮してきたというふうに考えております。しかし、最近の農村の高齢化の実態を見ますと、先ほど来説明しておりますが、平均余命が制度発足から見ますと四年以上延びているとか、それからまた若い農業者の場合も高齢化、高学歴化というようなこともありまして離職就農年齢が高まっているというような農村における全般的な高齢化の現象を踏まえまして、今回六十歳から六十五歳の選択というような制度に組みかえた次第でございます。したがいまして、ただ単に若返りという観点から見れば一歩後退ではないかというような御批判も受けるわけでございますけれども、農村のこういうような高齢化の実態というものを考えた場合には、やはりより実態に即した適切なやり方ではないかというふうに私どもは考えておる次第でございます。
○東(順)委員 そうすると、この改正によって平均年齢というのは大体何歳ぐらいになりそうだと想定されますか。
○片桐政府委員 現行制度では六十歳の親から三十三歳の子供に移譲するというのが一番普通のタイプでございますけれども、今後は幅がございまして、六十五歳の親から三十八歳の子供に移譲するというケースから、六十歳の親から三十三歳の子供に移譲する、こういう幅になってくるわけでございまして、その平均的な移譲年齢といいますか、これはこれから実態をよく観察したいと思いますけれども、その中間くらいになってくるのではないかというふうに考えている次第でございます。
○東(順)委員 私は、都会で働いていてそしてやがてUターンをして後継したいというか、する流れの中にある、そういう人たちを考えたときに、特にこれは大きなネックになるのじゃなかろうかなと心配をします。例えば三十八歳あるいはもう四十近くという時期での後継というようなことになりますと、一般の職場の中では中堅的な立場にいたりして、なかなか自分の意思で行動を軽く変化させることができない、あるいはまた子供が中学生ぐらいになっている、転校といったってなかなかそうはいかない。それからまた、世の中そのものが深刻な人手不足みたいなことでどうしても都会の吸引力が強い。そしてまた、先ほどからもずっと出ていましたけれども、農業生産者はどんどん減っていく、あるいは農政に対する国民の全体的な声、マスコミの論調、そういういわば暗い雰囲気も現実にあるわけで、そういうことから総合的に見ていったときに、Uターンをして後継をしていく年齢を見たときに、四十前後あるいは三十代の後半、こうなってくるとなかなか後継が難しい諸状況が出てくるのじゃなかろうか、このように思うわけです。したがいまして、先ほどから執着しております、下手をすると逆行するのじゃないかなということ、これから先の大変重大な農政、農業状況を本当に好転していかなければならないという状況に来ていながら、逆にこの改正によってそういうことに対してブレーキをかけてしまう、そういう状況もあり得るのじゃなかろうかな、このように私は思うわけでございます。 確かに、若いうちに移譲はしたけれども若い後継者のもとでお父さんが働くみたいなこともあるかと思いますけれども、しかし現実に、世代の違いというのは考え方の大きな違いであって、農業経営に対する考え方も相当大きく違ってくる。そうなったら、後継するのだったらすぱっと年金生活に入ってください、お父さん、自分は自分の考え方でしっかり農業経営をやっていきたい、こういうこともあるのではないかな、そういうふうに思っていきますと、どうも若返りということに対してブレーキをかけてしまう可能性の方が強いのじゃなかろうか、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
○片桐政府委員 確かに農家の個別事情でもって、六十歳で三十三歳の子どもに移譲する方が非常に適切であるというようなケースもございますし、それからまた、六十五歳で三十八歳の子どもに移譲するというのがどちらかといえば好都合であるというような農家もあるかと思います。したがいまして今回は、一律六十歳とか一律六十五歳ということでなく、農家の個別事情に応じて六十歳から六十五歳の間で移譲の時期を選択していただくように制度を仕組んだ次第でございます。こういうような選択制によりまして、農家の個別事情に応じた移譲時期を選んでいただきたいというふうに考えておる次第でございます。
○東(順)委員 逆行しないように、常にそういうところに対して注目をしていきながら対応をしていかなければいけないと思います。 それから、続きまして財政基盤の長期安定ということについてお伺いしたいと思いますが、これは本当に大変な状況だろうなというふうに私も思います。加入者と受給権者と国が、それこそこの三者が痛み分けみたいな形で長期安定を図らなければいけないという厳しい現状の中で、国庫助成、追加補助、こういうことがあるわけでございますけれども、例えば平成四年度で二百二十億、平成七年度で五百十億、大変大きな追加補助額になっているわけでございます。やはりこういうふうな大きな額を追加補助をしていく、そして懸命になって支えていく、そこに大変な状況があることはよくわかりますけれども、この額をはじき出す計算の根拠みたいなもの、こういうものをお示しいただければ、このように思います。
○片桐政府委員 この農業者年金の財政を長期的に安定させたいという観点から、私ども、今後農業者年金の加入者の数、それからまた受給者の数、それからまたどのくらいの給付額が必要であるかというような長期的な財政見通しというものをいろいろ検討したわけでございます。そういう長期的な検討の中で、加入者の保険料負担というものもある程度の限界があるということ、それからまた給付水準につきましても六十五歳で厚生年金並みという水準にしたいというような、もろもろの諸要請を総合的に勘案して長期的な財政計算をいたしたわけでございます。その結果、財政を安定させるためには現在の二分の一の定率助成だけではどうしても足りないという計算になりまして、その足りない部分を国の追加助成で補てんをするというような考え方でこの長期財政試算を行った次第でございます。 特に、その中でも平成三年から平成七年の分につきましては具体的に保険料の額を設定いたしまして、また給付水準も具体的に設定ができておりますので、平成七年度には単年度収支が黒字になるというような前提で追加の助成額というものを算定させていただいたということでございます。 この法律に明記しておりますけれども、五年間で約千六百億円の追加助成が必要である、平成八年度以降の追加国庫助成につきましては別に必要な額を法律で定める、この法律ではこういう形になっておりますけれども、この八年度以降の追加助成につきましても、大体平成三年から平成二十七年まで、約二十五年間にわたって年平均約四百億円ぐらいの追加助成が必要ではないかというふうに試算をしているところでございます。
○東(順)委員 本当に先の見通しということを考えていったときに、大変難しいものがあろうかと思います。例えば、被保険者数と受給権者の見通しとして、二十五年先、つまり平成二十七年に比率一のバランスまで何とか持っていきたいというような見通しを立てておられるようでございますけれども、本当にこの線まで到達させるためには、なかなか先行きが不透明なだけに、見えにくいだけに、むしろこの五年間というもの、この五年間という期間できちっと成功するかしないか、極めて重大な五年間になろうかと僕は思います。五年間であればしっかりとした分析と誤りない判断のもとに見通しが立てられるわけでございますが、二十五年先といえばいわば四半世紀なわけで、そういう先まで見通せるような今の農業の甘い現状、社会状況ではない。それだけにこの五年間の見通しが非常に大事なものになろうかと思います。 二十年前にこの制度が発足したときには、加入農業者数として百七十万人という人数が想定されておった。ところが二十年を経て、ことしの三月末には六十二万四千という、見通しと違うこと百五万四千人という数字が現実に出ているわけでございます。したがいまして、二十五年先に本当に比率一という健全な状況に持っていくために、まずこの五年間、見込みどおりに加入促進が図られるかどうか、毎年の新規加入者をどのように見込んでおられるのか、この辺をお伺いしたいと思います。
○片桐政府委員 先ほど説明いたしました財政の長期見通しを実現できるかどうかというポイントといたしましては、やはり新規加入者が見込みどおり実現できるかどうかということにかかっているというふうに思っております。 まず最初に、平成二年から平成七年まで最初の五年間の見通しでございますけれども、平成二年から平成五年までは年間一万七千人というふうに見通しておりまして、その後次第に少しずつ減少いたしまして、平成十一年度以降は一万五千人程度で推移するというふうに見込んでいる次第でございます。この見込みの根拠といたしましては、最近における離職就農者、新規学卒就農者の動向とか、それからまた現在加入資格がありながら未加入である者、しかもその中でも若い方々の数、こういうものをもとにいたしましてこういう見通しを立てた次第でございます。 私どもといたしましては、この見通しを見込みどおりもしくはこの見込み以上に何とか達成するという方向で、農業者年金基金とかそれからまた農業者団体、農業委員会、こういう関係機関も督励いたしまして加入促進の対策を立てていきたいというふうに考えております。
○東(順)委員 問題は、この新規加入の見込みどおりいけるという、そういう根拠ですね。つまり、どのような分析をされてそういう見込みどおりいくというふうに思われるのかということだと思います。六十年の財政再計算に基づいて年間三万人の新規加入を最低目標とされて、そして懸命に目標達成に邁進されながらも、現実はその目標というものが達成できずに、そしてどんどんと減少してきているという現実があるわけでございます。したがって問題は、なぜそうなるのか。見込みを立てながらも、それも遠い遠い二十年、三十年先の見込みじゃなくて、もう何年か先の見込みを立てながらも現実には目標まで達成できない、そしてまた減少してきているという、きちっとした原因分析というものが恐らくなされてきたのだろうとは思いますけれども、それ以上にさまざまな状況の変化みたいなことがあったのかもしれませんけれども、もうこの五年間というものは絶対に失敗できない五年間だろうというふうに私は思います。こんなに大きな負担を国庫でしてきているわけですから、そして二十年前と今日というのはもう世の中の状況が全く違うわけで、いわゆる農政に対する世論というようなもの、国民の注視というようなものもはるかに大きなものになってきているわけで、したがいまして失敗のできない五年間、こういうふうに私は思います。この五年を失敗すればもう必ずやはり二十五年先も、結局は結局はということでどんどん達成できないままにもっと深みにはまってしまう、そういう状況が出るのじゃなかろうか。 やはり農は国の基ですから、この五年間に対しての新規加入見込みの明確なる根拠、これだったらできる、この原因分析のもとでこの根拠だったらいける、そういうものをぜひお示しをしていただきたい、このように思うわけでございます。いかがでしょうか。
○片桐政府委員 先ほど説明いたしました新規加入の見込み一万数千人の根拠といたしまして、私どもとしては、最近の農家就業動向調査という調査がございますけれども、この調査で、いわゆる他産業を離職して就農した者のうち、かなり高齢になりまして就農する方も多いわけでございますけれども、そういう就農した方々のうち比較的若い方々、四十四歳以下ということで、しかも男子の方々、それからもう一つは新規学卒就農者の男子、これを合わせて最近の動向ですと一万五千四百人ぐらいあるわけでございますが、そのほぼ九割程度の加入者が見込まれるのではないかというふうに考えております。それからまた最近の毎年の新規加入者、一万数千人あるわけでございますけれども、その一割ぐらいは女子の加入者でありますので、そういう千数百人の女性の加入者があるということを考えまして、毎年の新規加入者一万五千人程度というふうに見込んだわけでございます。さらに、現在未加入の者十六万人のうちから比較的若い人で加入資格のある方々、この方々に加入を働きかけまして、平成二年度から五年度にかけて年間おおむね二千人程度加入を見込んでいるということで、先ほど説明したような見込みを立てたわけでございます。
○東(順)委員 今若い人たちの未加入というお話でございますけれども、本当にこれが大変大事なポイントだろうと僕は思います。現実に元年三月末の数字ですけれども、加入率が八〇・九%、加入対象者数八十三万六千七百人に対して加入者数はおよそ六十七万六千人、まだまだ大変多くの未加入の人たちがいらっしゃる。その未加入の人たちの中で十万八千九百五十人、つまり六割ぐらいが三十五歳未満の若い層である。この若い層というところをしっかりとらまえないと現実に厳しいわけでございまして、この若い人たちをとらえるために、加入していただくために、本当に加入したら得になるんだというようなこともあるでしょうし、将来の老後の安定というようなこともあるでしょうけれども、もっと大きな要因、同じぐらいに大きな要因というのは、やはり大変難しい問題だと思いますけれども、農業に対する魅力、その魅力づくり、これは大変大きな要因だろうと僕は思います。 農協とか農業委員会、あるいは地方自治体、そしてまた国、そういう農業関係者の人たちが懸命になって一体となって強力なPR活動みたいなものをこの若い層に向かってしっかりし続けていく、そして農業に対して魅力というものをしっかりと感じさせていく。大臣の御答弁でいつも一服の頓服じゃということをよくおっしゃいます。一本の注射じゃときょうもおっしゃっていました。確かになかなか短兵急にはいかないことだけれども、粘り強いこういうPR活動みたいなことがしっかりと根底に常になされている、全力投球でなされている、その上で加入をしっかり呼びかけていく、こういうことが大事ではなかろうか、このように思いますが、こういうPR活動について、具体的にどのようなものがあるのか教えていただきたいと思います。
○片桐政府委員 加入促進のためのPR活動でございますけれども、農業者年金基金の中にPRの委託費を計上いたしておりまして、いろいろな広報活動を行っておるわけでございます。 具体的なやり方といたしましては、パンフレットとかポスター、広報紙、放送、こういうものを通じまして農業者年金への加入の呼びかけを実施するとか、それからまた未加入者を対象とした戸別訪問による加入の説得とか、また、経営移譲を受けたいわゆる譲り受け未加入後継者という人がおるわけでございますけれども、年齢が若いのでまだいいやというような方々、それからまた四十歳以上になりますと加入資格がなくなるというようなこともありますので、三十八歳以上の加入期限切れに近い人を対象とした書面による加入の呼びかけとか、こういうようなことを今後いろいろ努力していきたいというふうに考えている次第でございます。
○東(順)委員 結局、担い手をしっかり確保していくというこの目標と、それを実現していくための道筋づくりというもの、こうやっていけばここまでいけるという明確な道筋のようなもの、これをどうつけていくか。そして、ここまで目標を掲げているんだけれども現実はここまでしか来ない、まだまだ努力が足らない、だから今度はこういう工夫をしてみよう、ああいう工夫をしてみようと、常にそういう緊張感の中での取り組みをしていかなければ農業に対する魅力はなかなか出てこないのではなかろうか、僕はそのように思いますので、どうかひとつ力を注いでいただきたいと思います。 あわせて、農業後継に対する相談のサービス業みたいなもの、いろいろと相談をしていくそういう窓口がしっかりある、そしてしっかりしたアドバイスができる人を配置する、あるいはまた、農業経営に意欲プラス能力を持っている、そういう人たちをつくっていく人づくり、こういうものが総合的にかけ合わされて、そして何となく、最近農業だな、最近農業だなという雰囲気がだんだん醸し出されてくるのではなかろうか、このように思うわけでございます。若い人たちにやってみようという夢を与える、そういう雰囲気づくりにつきまして、ぜひ大臣からも一言お願いしたいと思います。いかがでしょうか。
○山本国務大臣 お答えいたします。 今、農業の現状、将来を憂えながら大変熱のこもった質疑を、私、感銘して聞いておりました。 そこで、今度の法改正もその一環でございますけれども、まさに先生おっしゃるとおり、農は国の基でございます。ですから、今も御指摘になっておられましたが、そのことをどうしても農業を現場でやっている方々、特に農業の将来を担っていく若い人たちによくわかっていただく、また同時に、将来に対する展望も我々は示していく、さらに、それを支えていく政治と行政の施策というものを、年々歳々、事業の面、お金の面で具体的にあらわしていく、こういうことに尽きると思うのであります。 ややもすると、厳しい面、暗い面ばかり指摘をされます。もちろん厳しいには違いないのですけれども、そこを何としても突破しよう、若い人たちのためにさまざまな施策を総合的かつ計画的に進めていこうということで頑張ってまいりますので、ぜひ御協力をお願いをしたい、こう思っております。
○東(順)委員 確かに大臣おっしゃるように、暗いから暗い暗いと言っていたっていつまでも明るくならないわけで、暗から明へというように、そこから魅力が醸し出されてくるような具体的な努力というもの、これはやはりこれからしっかりやっていかなければならないと思います。ぜひ当委員会でも、これだったらいけるなというようなものをお示しいただく御努力をお願いをしたいと思います。 最後に、遺族年金制度のことについてお伺いしたいと思います。 ずっと御議論がありますけれども、やはりどう考えても農業経営というのは家族経営としての性格を持っているわけで、お父さんが亡くなったから途端に年金がおりない、これは自然の流れから見れば理に合わないと私は思います。したがいまして、経営移譲年金の受給権者が死亡したときの遺族年金制度の創設をぜひやってもらいたい、こう求める声が大変に大きいわけです。したがって、過去何回も何回もこの委員会でも附帯決議というお話がございましたけれども、こういう状況になっているわけでございますので、財源が確保できないからなかなかそうはいかないということだけでこれをストップさせるにはもう無理があるんじゃなかろうかな。ぜひそこに何らかの創意工夫というものがなされて、これだったらというものを近い将来必ず出せるように検討しなければいけない、そのように私は思います。これにつきまして、局長、ぜひお願いいたします。
○片桐政府委員 先生御指摘のように、農家婦人の老後保障というものは非常に重要な課題であると認識いたしております。今回の改正案では、農業者年金加入者が加入中に死亡された場合の配偶者について、一定の特例を設けたわけでございます。 遺族年金の創設につきましては、先ほど来議論されておりますように、財源の負担についてどうするかという非常に難しい問題があるわけでございますけれども、私ども今後とも鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。
○東(順)委員 では時間が参りましたので、以上で質問を終わらしていただきます。
○亀井委員長 藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 農業者年金基金法の改正案についてお伺いをいたします。 前回の改正から五年たったわけですが、その間の農業情勢は先ほどから言われておりますように、大臣は余りお好きじゃないようですが、厳しいですね。牛肉・オレンジの自由化だとか農産物十二品目の自由化、米の減反の拡大、米価の引き下げというようなもので、日本の農業はまさに今存亡の危機にある、こういうふうにも言われているわけであります。だから、農業者は好むと好まざるにかかわらず本当に将来に対する展望も持てない、せっかく後継者になっても暗たんたる思いがつきまとう、これはもう正直なところだと思うわけであります。ところで、この農業者年金基金法の改正は、今回財政の基盤の長期安定を図るためと言われておりますが、農業者年金がよって立っている日本農業自身の存亡が問題になっているわけであります。 そこでまずお伺いをいたしますが、皆さんがこの法案の説明資料として示されている「被保険者数・受給権者数の見通し」を見ますと、被保険者数は一九八八年の六十八万人から二〇〇〇年までに二十八万人も減る、こういうことになっているわけであります。逆に受給権者は六十一万人から七十万人にふえることになっておりますが、その根拠をお示しいただきたいわけであります。
○片桐政府委員 まず受給権者の見通しの方は、現在加入している方々の年齢が次第に高くなりますので、そういう計算で、あとは一定の死亡率というものを前提にいたしまして算定しているわけでございます。また被保険者の数の方は、先ほど申し上げましたように年々の新規加入者は一万数千人ということを前提にいたしまして算定した結果、平成七年の見通しは被保険者数が四十六万人、受給権者数が七十五万人、平成十二年の見通しが被保険者四十万人、受給権者七十万人というような見通しになったわけでございます。
○藤田(ス)委員 その中で、今後の新規加入者数については、今一万数千人とおっしゃいましたが、八九年度の実績見込みが一万四千人、そして九〇年度から九三年度まで各年度一万七千人ということで、三千人ふえる。それ以降も、各年度一万六千人から一万五千人の新規加入者が二〇〇〇年以降も続くと見ていられるわけです。しかし、正直私は、この見通しは過大だというふうに言わざるを得ません。ことしの農業白書自身が語っておりますが、この農業白書の中にも「新規学卒就農者と三十四歳以下の男子離職就農者は減少傾向にあり、それぞれ二千百人、三千四百人にとどまっている。」こういうふうにこの白書には書かれております。一九九〇年が八九年より三千人も新規加入者がふえることは、白書自身の認識からもあり得ないではないですか。農水省は新規学卒就農者や三十四歳以下の男子離職就農者が三千人ふえることを具体的に把握していらっしゃらないと私は先ほどの御答弁を聞いても思いましたが、それとも厳密な計算基礎がおありなのですか。私はこれは過大見積もりだというふうに考えますが、いかがですか。
○片桐政府委員 先ほども説明いたしましたけれども、新規学卒それからまた離職就農、これが一万五千四百人程度というふうに申し上げましたけれども、これの九割程度が年金に加入するということで、さらに女性の方々が千数百人加入するということで一万五千人、さらに現在未加入の方々が十六万人いるわけでございますけれども、その方々からやはり特に若い人を中心に加入奨励を強力に働きかけていく、この方々が二千人というような見込みを立てまして一万七千人、こういう見込みを立てた次第でございます。
○藤田(ス)委員 何度も言いますが、白書は農業就業人口が引き続き減少傾向に推移しているということを随所で書いております。そして実際に実績で見たら、新規学卒就農者は八六年では五千人、八七年では三千七百人、八八年は二千百人、そして離職就農者の方は八六年一万二千百人、八七年が九千七百人、八八年は六千九百人と、趨勢的にはずっと減っていっていることがよくあらわれています。にもかかわらずこういうふうな見通しが出るということにやはり私は疑問を感ぜざるを得ません。しかも最近は景気が非常に変動してきまして、そしてそういうところから大きな影響を受けている、農村は雇用調整機能として活用されるというようなことをこの白書の中でも書いておりますが、特に貴重な女子の就業者もふえてきているということが書かれております。 こういうふうに考えると、年金財政の見通しの大もとの問題でありますから、何か妙薬でもあるのかと聞きたくなるわけです。もちろん妙薬はあると思いますよ。それは輸入を規制し、そして自給率を上げ、あるいはまた農産物の価格を引き上げ生産費に見合ったものにし、生産資材を引き下げさせてコストを引き下げていく、そういうふうにしていけば大いに希望が持てるわけですから状況は変わると思いますが、そういうふうな、本当に今農業をやっていらっしゃる方が日本の農業に展望を見出さない限り、今日のような日本の農業に展望がないという情勢のもとでは私は農業年金自身もたないことは歴然としているじゃないかというふうに言わざるを得ないわけであります。もう一度この二点についてお答えください。
○片桐政府委員 農業者年金の新規加入者の確保という観点からいろいろ議論があるわけでございますけれども、確かに先生御指摘のように、農業そのものを魅力あるものにするということがまず基本であるというふうに思いますけれども、さらにこの農業者年金の魅力といいますか、そういうものもできるだけ高めていく、それからまた、この年金の先行き不安というもので加入をためらっている方も出てきているということもありますので、そういう先行き不安をなくすという観点から、この年金の財政基盤の長期安定策を確立する、そういういろいろな手法を講じながら加入者の確保ということを考えていきたいと思います。 また、今回の改正案の中では、特例の保険料、三割引きの保険料の適用範囲というものも拡大いたしましたり、それからまた被用者の年金に加入している期間を通算するというような制度も導入いたしまして、新規加入者の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。
○藤田(ス)委員 数字のつじつま合わせでやってはならないということをもう一度申し上げておきたいと思います。 せっかくの機会ですから、もう一度大臣にお答えをいただきたいのです。 今の日本の農業に展望がないからこういうふうに新規学卒就農者が二千人にまで落ち込んできた、さらに減ろうとしている。この原因は、責任は自民党の農政にあるのじゃないか。だから私は、この政治を抜本的に変えない限り農業者年金自身がもたないというふうに考えますので、もう一度大臣の御所見をお聞かせください。
○山本国務大臣 お答えいたします。 お言葉を返すようで大変恐縮でございますけれども、自民党の農政が変わらない限りなどということはありません。着々と今まで積み上げてきたわけでございます。確かに日本の農業がこの国際化の中で厳しい状況に直面しておるということは、先生の御認識と私の認識も同じでございます。さればこそ、この年金改正を初めとしてさまざまな施策を農業者のために、さらに若い人のためにも御婦人のためにも何としても実行していきたい、こういう熱意に燃えてやっているわけでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○藤田(ス)委員 国際情勢が厳しいということに対して今求められていることは、日本の政府の自主的な経済、外交、こういうものであると私は思うのです。 それでは続けますが、一月十九日に閣議決定されました二十一世紀農業の展望においても、農業労働力の展望として、基幹的農業従事者のうち六十歳未満の男子は八八年の九十一万人から二〇〇〇年の五十五万に減ることになっていますが、農家世帯員の高齢者比率は二七・五%にもなろうとしています。これも農村自身が疲弊しているということを政府自身が認めていることだというふうに思いますが、不思議だなと思ったのは、にもかかわらずこの二十一世紀農業の展望の中で、供給につり合う自給率が、八七年の四九%から二〇〇〇年には五〇%に上げるのだ、こういうふうになっているわけです。 そこで詳しく見ていきますと、規模の拡大を相当進めるということが出てくるわけでありますが、農家の経営規模は、都府県で現状二ヘクタールから四ヘクタールに、北海道は十六ヘクタールから実に二十九ヘクタールに、稲作の主業経営の経営規模は三ヘクタールから八ヘクタールにもしていくのだ。逆に言うと、このような規模拡大がなされなかったら、自給率は上がるどころか下がるということじゃないかなと考えるわけでありますが、しかし、このような強引な規模拡大政策は果たしてそのとおりに進むのか。私は、進まない、破綻をしてしまうというふうに思わざるを得ません。しかし、今度のこの年金の改正案というのはこういう政策の一環として出されてきたわけでありますから、その点、政府のお考えをお聞かせいただきたいのです。 〔委員長退席、大原委員長代理着席〕
○鶴岡政府委員 前段部分について若干説明させていただきたいと思います。 自給率について、先臨時国会を通じまして予算委員会あるいは農林水産委員会、衆参両院で御議論をいただいたわけでございます。私ども、その際にも前鹿野大臣から答弁申しましたように、農政を預かる者としては、何とか自給率の低下に歯どめをかけ、少しでもそれを向上させたいというふうなことで、与党を初め各野党の方々からの御指摘といいますか御支援にこたえるべくそういう作業をしたわけでございますけれども、自給率の向上というのは、当時も申し上げましたように、そう容易な道ではないと思います。ただ、そういうような精神にのっとりまして、その資料を見ていただいたらわかりますように、米につきましても、米の消費の減少に少しでも歯どめをかけたいということで、従来の主食用あるいは他用途米のほかに、新しいもう少し価格の安い他用途米需要を掘り起こしていくとかそういうふうなことを考えて、元年度の食管の中の予算でも消費拡大についての予算を流用によって行うとか、また、今御審議願っています来年度予算につきましても農蚕園芸局あるいは食管の中にそういう消費拡大の予算を盛り込んで、何とか米の消費の減退に歯どめをかけたい。それからまた麦とか大豆等につきましても、これは食品工業との関係等々ございますので、食品工業の需要に適合した品質のいいもの、あるいはコストの安いもの、あるいは加工適性に沿ったものについての振興を技術改革とともにやっていくということで、日本農業の力を結集し、持てる力を最高度に発揮することによって、苦しい道であるけれども進めていきたいということてああいう見通しを作成し、それに沿って各種の基盤整備でありますとか、担い手の対策でありますとか、あるいは技術開発についての予算を結集して、何とかああいう線に持っていきたいというふうに考えて作成いたしたものでございます。
○藤田(ス)委員 おっしゃることのそれこそ精神はわからないわけじゃないんですが、しかしそんなに、ここで言っているほどの規模拡大が成り得るのかということを申し上げているわけです。実際、稲作主業農家の平均をこの十年で見ましても、一・九ヘクタールが現在三ヘクタール、一・一ヘクタールしか伸びていません。それから、都府県の中核農家の平均を見ましても一・五七ヘクタールというのが十年前、それが現在でわずか一・九ヘクタールという規模拡大しか成っていないのです。だから、規模拡大、規模拡大だということで政策年金で誘導してきたはずだがこの状態じゃないか、そういう点で規模拡大と言われていることが果たしてそんなにうまくいくのかということで申し上げているのです。どうですか。
○片桐政府委員 この長期見通しで示しております中核農家の規模拡大を実現するということは、確かに先生御指摘のようにいろいろ難しい条件があるということは事実であると思います。しかし、今後私どもといたしましては、兼業がかなり進化しているとか高齢化が進んでいるとかというような形で、従来にも増して農地の流動化というものが進み得るのではなかろうか、それからまた、流動化の量そのものも増大するというふうに見込んでおりますし、また、流動化した農地の行き先でございますけれども、これもできるだけ中核農家の方に方向づけをするというような政策努力も強化していく必要があるというふうに考えております。そういう農地の流動化の量をふやす、それからまた方向づけを強化していくという施策でございますけれども、もちろんこの農業者年金の制度も方向づけ、流動化量をふやす施策の一つでございます。そのほか、農地取得資金の融資とか農業委員会による農地の移動あっせん事業とか、いろいろな事業を総合的に動員いたしまして、こういう規模拡大の見通しを実現していきたいというふうに考えております。
○藤田(ス)委員 私は、強引な規模拡大政策というのは必ず多くの他の農民の犠牲者を出すという点で大変危惧をしておりますし、また、今度の改正案もそういう面を相当出されているという点からこういうことをお伺いしているわけであります。 そこで次に、給付体系の問題に移っていきますが、今回の給付体系は大きく変更されました。従来六十歳で経営移譲したものを今回からは、六十歳から六十五歳までの間で農業者の選択に任せる、こういうふうにしておりますが、支給額から見ると、これは六十五歳の支給に誘導するものであることは明らかであります。さらにその支給額ですが、政府の資料では、昭和五年生まれの人で来年時点では、既受給権者である人の新年金額は現行の額に比べて一〇%の切り下げになっています。この場合、既得権は奪わないが、その分を物価スライドを停止して切り下げる、こういうことであります。さらに、来年に受給開始になる昭和六年生まれの人は、来年六十歳を迎える人ですね、現行と比べて九・三%マイナスになる。こういうことはもう先ほどからも御答弁あったと思いますが、もう一度確認をしておきたいと思います。
○片桐政府委員 先生御指摘の新給付体系によります年金受給額についての数字は、いわゆる現価ベースで比較した場合という数字だと思います。現価ベースで考えれば先生御指摘のとおりでございますけれども、私どもは、これをいわゆる実受給額ということで、名目受給額といいますか、物価スライドとか所得スライドを勘案いたしました受給額で計算いたしますと、先生御指摘の昭和六年度生まれから十年度生まれの場合には四%から八%程度高くなるというような算定になるわけでございます。
○藤田(ス)委員 所得スライド年率四%ということで計算をされているようなんですが、そもそも農業者年金のキャッチフレーズだった六十歳からのつなぎ年金で厚生年金並みを目指すという性格は、ここで大きく変わってくるのではないですか。その点はどうなんですか。
○片桐政府委員 二十年前にこの年金を設計した場合に、まさにつなぎ年金という形で六十歳から六十五歳までかなり厚い年金支給を行いまして、六十五歳からその三分の一に減少させて薄い年金を支給する、こういう給付体系であったわけでございますけれども、最近の農村の高齢化、こういう実態に対応いたしまして、経営移譲の時期を六十歳から六十五歳まで選択制ということで終身同一制度の同一の水準の年金に給付体系を変えたいというのが今回の提案でございます。最近平均寿命が延びておりまして、農家の高齢化という事情にかんがみますと、今回の終身同一水準の年金、しかも従来の六十五歳以降の薄い年金のかなりの幅での増額という実態の方が、農家の老齢者の生活保障という観点からは実態に即するのではないかというふうに考えている次第でございます。
○藤田(ス)委員 終身同一水準を導入したという問題ですが、農水省は、昭和十一年生まれ、十六年生まれ、二十一年生まれ、二十六年生まれまでは、それぞれ七十八歳、七十六歳、七十六歳、七十五歳以上生きれば新体系の方が有利になるという数字を出していらっしゃいますね。そうですね。
○片桐政府委員 先生御指摘のとおりでございます。
○藤田(ス)委員 その前提は所得スライド四%で計算されていらっしゃるわけですよね、これはもう言うまでもないと思いますが。
○片桐政府委員 所得スライド年率四%で算定いたしております。
○藤田(ス)委員 大臣も御承知のとおり、というよりも大臣がお決めになったわけですが、先日決定された畜産物価格についても引き下げられました。そして今、内外価格差の縮小などといって、これから米価を初め農産物価格の一斉引き下げがなされるんじゃないかという心配をだれもが持っています。これまでの実績を見ましても農業所得の対前年比は、八五年が〇%、八六年は五・一%マイナスなんです。八七年は六・七%マイナス、八八年がやっとプラスに転じて〇・九%、八九年に七・六%、こういうふうな状態であります。来年からは牛肉の自由化も始まるということで、とても年率四%の所得の伸びというようなことはだれも信用できないんじゃないかと思いますが、例えば年率〇%で計算をしたらどうなりますか。
○片桐政府委員 先生御指摘の農業所得というのは全農家の農業所得ということだと思います。私どもがこの年金の加入者といいますのは中核的な農家ということで、かなり経営規模が大きいわけでございます。そういう農家の農業所得の推移を見ますと、もちろん年によりまして減少している年もありますけれども、趨勢的に見れば、先ほども御説明いたしましたように、昭和六十年から六十三年の三年間の平均をとってみますと年率三・九%で伸びているという実態でございます。
○藤田(ス)委員 仮に年率〇%で計算したらということにはお答えいただけないのですね。
○片桐政府委員 所得スライド〇%というケースはまだ算定していないわけでございます。
○藤田(ス)委員 仮にそういうふうに想定をして私どもの方で計算をしてみますと、昭和十一年生まれの人では八十歳を過ぎても給付総額は現行体系の方が多いわけです。給付総額が逆転するのは、昭和十六年生まれで七十九歳、昭和二十一年生まれで七十八歳、昭和二十六年生まれで七十八歳というふうに、年金総額は相当長生きをしないと逆転しないことは明らかであります。このことは、今回の法改正は農業所得が伸びなければ決して農業者に得にならないということを示しているのじゃありませんか。四%以下ならば得にならないということを示しているのじゃないですか。
○片桐政府委員 先ほども説明いたしましたように中核的な農家といいますのは、経営規模拡大とか生産性向上、コストダウンというようなことでかなりの農業所得の増加という実績があるわけでございます。私どもといたしましては、今後とも経営規模拡大対策を進めまして、中核的な農家の農業所得の増大を実現してまいりたいというふうに考えております。
○藤田(ス)委員 私が確認をしているのは、今回の法改正は四%の農業所得の伸びがなければ実際には、この政府が示した逆転する、平たく言えば加入者が得をする、そういう年金を受けるようにならないねということを申し上げているのです。それはどうなんですか。
○片桐政府委員 それにつきましては、先ほども申し上げましたように、現価ベースで比較いたしますと新体系の方が旧体系よりも多少減っているということは事実でございます。
○藤田(ス)委員 私は別に、給付金が減ればよいと言っているように聞こえたら困りますので。給付金はやはりふえるべきだという立場なんですが、所得が年率四%でずっと伸びていきますということを前提にして出されて農業者年金では制度がよくなりますよなどと主張するのは、いささかごまかしがあるじゃないか、今の御答弁でもお認めになったように、そういうことがあったからしつこく申し上げていたところです。 次に、保険料の引き上げについてお伺いをしたいと思いますが、今回の改正案で九六年まで毎年八百円ずつ保険料が引き上げられるわけですが、これによる被保険者の負担額のふえ分は総額で幾らになりますか。
○片桐政府委員 今回の保険料の段階的引き上げの計画でございますけれども、一年間八百円ずつ五年間で四千円ということで、平成八年には一万六千円になっている次第でございます。
○藤田(ス)委員 いや、そういうことはわかっているのです。それによって加入者の負担増額分はトータルで何ぼになるかということを聞いているのです。
○片桐政府委員 計算すればできるわけでございますけれども、今のところそういう計算をやった結果を持っておらない次第でございます。
○藤田(ス)委員 私はこういうのはあらかじめ資料の要求をしているわけですから、はっきりこの場で答えていただくべきですよ。国の方は五年間で千六百億追加するんだ、そうしたらその保険料を掛ける方は五年間でトータルしたらどれぐらいになるのか。そんなものは、一人当たりで月八百円ずつ、五年で四千円ふえることぐらい、だれでもこの文章を見たらわかりますからね。それを聞いているわけです。あるのですか。
○片桐政府委員 総額の算定は現在のところ持っておりません。
○藤田(ス)委員 後ほどでいいですから、それはぜひちゃんとした数字を示していただきたいと思います。 いずれにしても、相当の加入者の負担になることは明らかであります。国民年金の方も毎年毎年八百円ずつ上がっているのです。これで合わせて千六百円ずつ上がっていくわけです。だから農家の負担は大変なんです。先ほどからも出ていますが、この加入農家の平均農家所得の八・五%に、国民年金保険料と農業者年金保険料を合わせると負担になってくる。そして、奥さんもこれに加入をしているとすると一二・二%の支出になってくるのです。厚生年金の方は所得の六・二%負担ということですから、一二・二%の負担に対して厚生年金は六・二%ですから、もう歴然としているじゃありませんか。私は、これだけの農家の負担というのは非常にむごいと思うわけであります。そして、本当に厚生年金並みというなら、これはとても今の農家の状況を見ても保険料を引き上げることは許せない、こういうふうに考えますが、大臣はそういうことを、保険料の負担の問題についてどう思われますか。
○片桐政府委員 保険料の負担率の問題でございますけれども、私どもは、農業者年金の保険料及び夫婦の二人合わせての国民年金の保険料、これにつきましては農業所得だけではなくして農家所得で負担すべきものではないかという考え方で算定をいたしております。その数字を算定いたしますと、平成元年度では、農家所得に対しまして、農業者年金及び国民年金二人分の保険料の負担率は六・六%というふうになっているわけでございます。これは、先生御指摘の厚生保険料本人負担分六・二%という数字とほぼ見合っているものと考えておる次第でございます。
○藤田(ス)委員 わざわざ農家所得を引き合いに出して数字の対比をするというのは、もうとんでもないことですよ。本当にそれが農林水産省の言うことかと思います。先ほどからさんざん農業所得のことを言っておきながら、大事な問題になるとそういうふうに逃げるというのは本当にずるいですよ。 それから、もう最後になりますのではしょりますが、今回の改正で、加入者が死亡した場合の配偶者の加入の特例が入ったわけです。この点は、私は従来よりは前進していると思うのです。しかし、私はここで、先ほどから出ております、大臣ももう既にお約束をいただいたわけですが、遺族年金の前向きの検討ですね。これは、今度の白書は、私はある意味ではとてもうれしく思いました。随分きれいなカラーを使って、そして「農業を支える農家婦人」ということで取り上げておられるわけです。そして、いかに農家婦人が日本の農業の支え手として、また地域経済や地域の発展のためにも寄与しているかということをるる書かれているわけで、私は、今度の農業白書は、ここの部分はとてもいいなというふうに思ったのですが、ただ、これを読めば読むほど矛盾だなと思いますのは、やはりこの配偶者の加入、つまり農家婦人の加入の問題です。それから、これは我が党は前から皆さんの強い要望として出していたのですが、遺族年金ということではなしに、年金の継続、継承についても検討すべきじゃないかということを強く要望をしてまいりました。また、もっと積極的に農家婦人が加入できるようにPRもするべきだということを言い続けてきたわけであります。最後に、せっかく農業白書でこういうふうに農家の婦人の役割を評価していらっしゃるわけですから、働いた労働にふさわしい老後の保障ということをこの年金制度の中でどう確立していかれようとしているのか、もう一度大臣の決意のほどをお伺いをして終わりたいと思います。
○山本国務大臣 お答えをいたします。 白書についてお褒めの言葉を賜りまして、本当に恐縮しております。農家婦人の老後については、非常にこれは大事なことだというふうな認識につきましては、けさほど来再三にわたって申し上げたとおりでございます。裏腹に遺族年金の問題がある。その遺族年金の問題につきましては今後研究、検討をしっかり続けてまいりますということを先生にも申し上げたいと思うわけでございます。なお、今回特例措置を設けた、このことにつきましても今評価のお言葉がございましたけれども、相当苦心をしてそれを入れたということもぜひ御理解を願い、御協力を賜れば大変ありがたい、こう思っております。
○藤田(ス)委員 終わります。
○大原委員長代理 小平忠正君。
○小平委員 昨日から二日にわたって長い時間の質疑で、大臣初め皆さん大変お疲れだと思いますが、私、最後の質問であります。重複する面も多々あると思いますけれども、私からも何点かについて御質問いたします。よろしくお願いいたします。 この農業者年金制度は、制定されて以来八回に及ぶ改正などの起伏を乗り越えて、本年で二十年目を迎えたわけであります。二十年といえば人間でいえば成人でありまして、一人前の年金として定着をして、そしてその政策効果が問われる時期に来ていると私は思うのであります。本年金の政策効果として期待されているのは、農業経営主の若返り、経営規模の拡大など農業構造の改善に加えて、農業者の老後の保障など多岐にわたっているわけでありますが、具体的にどのような評価が上がっているのか、大臣の御所見をまずお伺いしたいと存じます。
○山本国務大臣 お答えいたします。 御指摘のとおりでありまして、発足以来十九年を経過いたしました。まあ二十年に近くなる。再々にわたって改正をし、今回も現在の農家の実態、農村の実態にあわせてさらに改正をお願いしておる、こういうことでございまして、加入者数六十二万六千人、受給権者数六十四万六千人、この数字から見ても日本の国内の農村社会に広く定着をした、こういうふうに私どもは認識をしておるわけでございます。しかし、これも再々申し上げておりますが、農業の形態がだんだん兼業がふえてきた、あるいはまた高齢化が進行してきた、そのことによって加入者は減ってそして受給権者が増加する、こういう形でございまして、この年金財政を長期安定的に運営するためにも改善、改正がどうしても必要だ、こういう観点で今回改正をお願いしたということでございます。 これについて、今までどういう効果があったかということでございますけれども、やはりこれによりまして農業構造改善が農村の中で、土地改良、これは物の方で土の方でございますけれども、農業者の中でまさに構造改善がこれを中心にして進んできたというふうなことでございます。そのことを踏まえながら、これから先もこの年金の普及に向かって大いに努力をしてまいりたい、こういう考え方でございます。
○小平委員 最近のように国際化の進展などに伴って、農産物の内外価格差の縮小が本当に余儀なくされております。また農家の所得確保、農産物価格の引き上げに期待することが非常に困難な今日の状況を考えるときに、この年金制度は農家の所得保障を図る観点からも大きな位置づけがなされてしかるべきものである、このように私は考えます。その点どうぞ大臣、よろしくお願いいたします。 次に、給付体系の変更についてのことで御質問いたします。 今回給付体系を変更した理由について、農村社会の高齢化現象に対応したものであり、またその仕組みは支給開始年齢を農業者の個々の事情に応じ、六十歳から六十五歳までの間で選択できる終身同一水準の年金としたこと、及び、どの時期を選択しても終身の年金総額を均衡のとれたものと、このように説明をいたしております。私も農村の実態は十分に承知をしているつもりであります。政府の御説明も大筋として了承できるわけでありますが、この法律に基づいて支給開始年齢ごとの年金額を比較すると、六十歳から支給を受けるより六十五歳から支給を受ける方が年金受給総額が相当有利になり、農業者にとってみれば、支給開始時期に選択性がとられたとはいえ、その前提となる経営移譲時期について、場合によっては必要以上におくらせることになるじゃないか、こう懸念せざるを得ません。この点についてどのようにお考えか、御説明いただきます。
○片桐政府委員 今回の新給付体系におきましては、六十歳から六十五歳までのどの時期から受給を開始しても、その者が生涯に受給する年金額が基本的に同等になるように計算して定められております国民年金の繰り上げ減額率を用いておるわけでございます。これにつきまして、生涯の給付総額についていろいろ試算をいたしてみますと、物価スライドとか所得スライド、こういうものの影響によりまして、新体系で六十歳の支給開始を選択した場合の生涯の受取額というものと六十五歳の支給開始を選択した場合の生涯の受取額というものを比較いたしますと、やはりある程度六十五歳を選択した方が多くなるということは、そのとおりでございます。これにつきましては、新給付体系では、受給開始年齢が六十五歳に近いほど物価スライドとか所得スライドによる年金額の増分が大きくなるというようなことが働くために、そういうことになるのではないかというふうに思っております。 〔大原委員長代理退席、委員長着席〕
○小平委員 御説明は理解できます。しかし、高齢化時代に対応するには確かに効果があり、またその逆な意味としては、いわゆる農村の若返りという意味においては逆行する、その辺もこの中には包含するような気がしてなりません。ひとつこれが円滑に運営されるようによろしくお願いいたします。 あわせて給付水準についてでありますが、年金の受給者、被保険者にとって最大の関心事は、今回の給付体系の変更に伴いその水準がどうなるかということであると思います。この点、既受給権者の年金額については、現行の給付額が保障されるとはいえ、新給付体系の水準で算定した額が現行の給付額を超えるまで、年金のスライドアップを停止する措置がとられております。そこで、現行給付額と新給付体系の水準で算定した給付額とではどの程度の差があるのか、また、現在の物価上昇傾向から見て何年ぐらいスライドアップが停止されると予想しているのか、この点について御答弁をいただきます。
○片桐政府委員 既裁定権者について新体系を適用した場合と旧体系を適用した場合の差額は一〇%程度でございます。この一〇%程度の差を埋める間、物価スライドないし所得スライドを停止するということを考えているわけでございますけれども、今後の経済情勢等もいろいろあるわけでございますが、物価スライド年二%ということで仮定して計算いたしますと、おおむね五年間のスライド停止ということになるのではないかというふうに思っております。
○小平委員 それでは次に、年金財政基盤の長期安定の対策についてお伺いいたします。 今回の法改正の眼目は年金財政の長期安定を図ることであると聞いております。実際私どもが農家の方々とお会いしておりますと、特に若い農業後継者、そういう皆さんの中には、彼らが年をとって年金の受給者になったときに果たしてこの制度が適正に存続するのかどうか、それが心配というか安心できなくて年金への加入をためらっている、そういう声が特に聞かれます。今回の改正においては加入者、受給権者、国が三位一体となって財政基盤の強化を図る措置を講じた、こう言われておりますけれども、本当に長期にわたって安定的財政基盤が確立されることになるのかどうか、できるならば具体的な数字を示して御説明をいただきたいと思います。
○片桐政府委員 現在の農業者年金の財政状況は非常に危機的な状況になっておるわけでございまして、このままでは数年間で年金資産が枯渇するというような状況であるわけでございます。このため今回の改正におきましては、加入者、受給権者、国が一体となって長期安定を図りたいということを提案しているわけでございます。 まず、加入者に対しましては、段階的に保険料を引き上げるということで毎年八百円ずつ引き上げまして、平成八年に一万六千円。それからまた既受給権者に対しましては、先ほど御説明いたしましたように、ある程度の期間物価スライドの停止というような形で対応していただく。さらに国の国庫助成の追加ということを今回提案しているわけでございますけれども、これは二分の一の現行の国庫助成に加えまして、さらに追加して国庫の補助を行う。この補助の考え方といたしましては、平成三年から平成七年度まで五カ年問に総額一千六百億円の追加を行う。それからまた、平成八年度以降についても当分の間追加の国庫助成を行うということを明記いたしておるわけでございますけれども、私どもの長期的な財政試算によりますと、平成三年度からおおむね二十五年間にわたりまして、年平均約四百億円の追加助成が必要ではないかというふうに見ておるわけでございます。 これらの措置によりまして、現在赤字となっております単年度収支を次回の財政再計算までには黒字に転じさせるということ、それからもう一つは、農業者年金基金の年度末資産の額が翌年度の給付総額、これを下回らないというような形で推移するのではないかというふうに見ているわけでございます。
○小平委員 それに続いてでありますが保険料について、平成四年が一万二千八百円、以後毎年八百円ずつ引き上げられて、平成八年には一万六千、そのように言われております。農家はこのほかに御承知のように国民年金の保険料を、夫婦二人で平成四年度は大体一万九千円ぐらいだと思うのですが、納付しなければならない。転作面積が最近特に拡大して農産物価格が低迷し、農家所得が非常に伸び悩んでいる。こういうときに保険料が農家負担の限界を超えていくのではないか、こんなふうに実際払う側から見ると大きな懸念があるのですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
○片桐政府委員 農家の農業者年金の保険料の負担につきまして、今回の改正案の策定に当たりましていろいろ検討いたしたわけでございます。当初、毎年千円ずつ五年間、五千円ぐらい上げる必要があるんじゃなかろうかというようなことも検討いたしたわけでございますけれども、その後いろいろ厚生年金の保険料の本人負担分、負担率、そういうものとの比較とか、そういうものを総合的に検討いたしまして、一年八百円ずつ、五年間で四千円という引き上げを提案しているわけでございます。このような保険料の額及び国民年金の夫婦二人分の保険料の額、こういうものを農家所得で負担する場合には、厚生年金の保険料についての負担率とほぼ横並びになるというふうに見ているわけでございます。したがいまして、この程度の保険料の負担であれば何とか負担していただけるのではないか、負担が可能なのではないかというふうに考えている次第でございます。
○小平委員 それは農家のいわゆる経営条件によってまた変わると思うのですけれども、払っていけるようなことになるように私も願う次第であります。 次に、年金の長期安定を図る上で最大の問題は、今後の被保険者数の動向であると思うのです。毎年の新規加入者をどの程度見込んでいられるのか。また、それが見込みどおりいかなかった場合にはどう対処し、年金財政に影響を及ぼすことは間違いないと思うのですね、そこについてどのように考えておられるのか、お聞きいたします。
○片桐政府委員 今回の年金の長期的な財政安定というものを考える場合に、やはり新規加入者をどう見込むか、しかもそれをどう実現していくかということは極めて重要なポイントであったわけでございます。私どもといたしましては、平成二年度から平成五年度まで年間一万七千人、それからまた平成六年度から十年度まで年間一万六千人、平成十一年度以降年間一万五千人、こういう見込みを立てまして財政計算をいたしたわけでございます。私どもといたしましては、この見込みにつきましてはぜひ実現させたいということで、農業者年金基金、それからまた農業者団体、農業委員会、こういう関係機関を指導いたしまして、この新規加入の実現を果たしてまいりたいと考えております。
○小平委員 次に、農業者年金基金の業務の追加についてのことでお伺いいたします。 この年金制度においては経営移譲を前提とした年金支給体制をとっておられますが、しかしながら、最近においては中山間地域を中心に過疎化、農業の衰退等が進み、場合によっては経営移譲ができず、せっかくの年金をもらえないという事態が多発いたしております。これは既に前の方も質問されており、特にこのことについて指摘がありましたけれども、北海道におきましても、特に過疎地域でこういう事態がたびたび発生して、その解決のためには農地保有合理化推進事業の有効活用などが要請されておるわけですけれども、なかなか思うに任せないというのが実情であると思うのです。 今回の改正によって、基金業務に農地の借り入れあるいは貸し付けという業務がふえましたが、離農者が基金に農地を貸し付けた場合にも、これを経営移譲とし、年金支給の道を開いた、こういうようになったそうであります。これによってどの程度のものが経営移譲できるとお考えか、そこのところをどういうふうに想定されているのか、その点についてお伺いいたします。
○片桐政府委員 農業経営を移譲したくてもそれを受ける方がいないというような事情が各地に発生しているということは、私どももいろいろ聞いている次第でございます。そういう場合に、私どもといたしましては、まず何といってもその農地を経営規模拡大のためにできるだけ有効に活用するという観点から、先生御指摘のように農地保有合理化法人といいますか、北海道の場合には農業開発公社というような法人がそういう農地を買い取って一定期間プールしておく、また、いろいろ条件を整備して新しい担い手にその農地を提供していくというような事業を今後とも強化していきたいと考えている次第でございます。 できるだけそういう形で活用するということでございますけれども、そういうような事業にもなかなか乗りにくいというようなケースもあるかと思いますので、今回、最後の手段といいますか、そういうものとして年金の借り受け業務というものを特に追加いたしたわけでございます。したがいまして、この年金の借り受け業務というのはあくまでも最後の手段ということでございますので、それほど多くの件数を見込んでいるわけではないわけでございますけれども、いろいろの資料から算定いたしますと、毎年二百件程度、それからまた五百ヘクタール程度、こういう相手を見つけられないというような事例が発生しておりますけれども、このうちある程度の部分が基金に対して貸し付けられるというふうに見込んでいる次第でございます。
○小平委員 農業開発公社は確かに買い取りしていますけれども、ただしそれは、それが利用されるという裏づけがなければなかなか買い取りもしないというのが実態であります。そんな意味で保有合理化事業推進というのは特に大事だと思いますので、そういう点、推進のほどよろしくお願いいたします。 次に、農業生産法人構成員の厚生年金被保険者への移行に関しての問題で質問したいと思います。 この農業生産法人というのは特に北海道で多く見られるケースであります。今回の改正では、農業者年金の被保険者が農業生産法人の構成員となり、かつ厚生年金の適用を受ける立場になった場合、一定の厚生年金加入期間を農業者年金給付の受給資格期間として通算する、そういう処置が講ぜられておるようであります。私は、本処置は時宜を得たものと評価するものであります。 しかし問題は、この厚生年金適用事業所への移行に際して被保険者資格の移動が必ずしもスムーズに行われない。中には農業者年金の保険料をそのまま納付している人も相当数いると聞いておりますし、私も実際に見ております。この場合、農業者年金の保険料納付実績はどのような扱いを受けるのか。それが一点です。 もう一つは、厚生年金適用事業所への移行をした場合、社会保険事務所の指導等については、個々の農業生産法人の実態を十二分に見きわめて適切な対応が必要だと思うのです。そこのところはどのような御方針か、厚生省の担当の方にお伺いいたします。
○阿部説明員 お答えいたします。 厚生年金保険の適用というのは事業主さんにとっても一定の義務を伴うわけでございますけれども、一面、被保険者の被用者としての年金権の保障というふうな観点もございますので、法体系としては法人の場合は原則として厚生年金の適用ということで、私どもはできるだけ促進を図っていくという立場に立たなければいかぬと思っております。 ただ、先生御指摘のように、やはりそれはそうした法律上の趣旨にかなうべくやるわけでございまして、大変な無理をして、あるいは生産法人の方々の十分な理解のないままに強制的にやるというのは本来のあり方ではないのではないかなと思っておりますので、その点につきましては、先ほど先生が例示されました一つの調整措置を今回講じたことを機会にいたしまして、改めて農業生産法人の関係者と十分な話し合いをし、条件整備を十分していただいた上で適用という方向に持っていくように、私ども、さらに指導に当たってまいりたいと考えております。
○小平委員 いずれにしても、農家の皆さんにちゃんとカバーできるような方策でしてもらいたいと思います。 次に、農業委員会のことについてお伺いいたします。 現在、農業者年金の末端業務は、実際的には農業委員会や農協に委託されております。特に、農業委員会においては年金に関する業務が年々増大して、今日では全体業務のうち大なる部分を占めるに至っていると聞いております。こうした中で、農業委員会の年金業務が法令上明確に位置づけられていない。こういうことは業務の運営上、士気に影響を及ぼすものと懸念されます。従来からその位置づけの明確化が要請されてきたところでありますけれども、今回、市町村のほかに、省令でその位置づけを行うと聞いております。しかし、それをもう一歩進めて、いわゆる法令での明記がなぜできないのか。また、それができないならば、いわゆる政令で明記をするとか、そういう方法がとれないのか、そのことについてお伺いしたいと存じます。 また、その業務の委託費については、現在ではその額も微々たるものであると聞いております。その引き上げが従来から強く要請されておる。この点についても、今後どのように取り組んでいかれるのか、あわせてお伺いしたいと存じます。
○片桐政府委員 農業者年金制度の運営上、農業委員会が果たすべき役割というものは極めて重要であると考えております。しかも先生御指摘のように、最近受給者の増加に伴いましてその業務量もかなり増加しているというのも実態でございます。私どもとしてはそういう観点から、改正法案の成立後に制定することにいたしております施行規則の改正省令でございますけれども、その省令におきまして、市町村が受託した業務については原則として農業委員会が行うべき旨の規定を設ける方向で検討してまいりたいと考えております。なぜ法律とかもっと格上の法令で位置づけられないのかという御質問でございますけれども、農業委員会は法的な性格としては市町村の一行政機関というような位置づけでございまして、法人格を持たないというようなことでございますので、農業委員会に直接に業務委託するということはできないような状況でございますので、このような処理をさせていただきたいと思っている次第でございます。 また、農業委員会に対する業務委託費についてでございますけれども、最近の厳しいマイナスシーリングの中でいろいろな委託費、補助金が削減されているわけでございますが、この農業委員会に対する委託費につきましては前年度の予算額を割り込むことのないように年々措置をしてきた次第でございまして、現在約三十億円程度の委託費でございますけれども、今後ともこの予算の確保には最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
○小平委員 農業委員会は法人格を有しない、これは確かにおっしゃるとおりであります。しかし、実際農業委員の皆さんとか職員の皆さんはこれに対して大変繁忙なる日を過ごされている。そんな意味では本当に士気に影響が出ないように、大事な農業の推進の問題でありますので、この点について前進した回答ができるようにぜひよろしくお願いいたしたいと存じます。 最後に大臣にもう一度お聞きしたいのです。これは皆さんそれぞれがお聞きした問題ですけれども、いわゆる遺族年金制度の創設です。 これは確かに年金そのものの問題で、非常に難しいことであると思うのですけれども、農業者年金というのはその創設当初より、農家の婦人、いわゆる配偶者に対する配慮が欠けているという指摘が従前から常々ありました。以前当委員会でもこれについて附帯決議を行っていると私も聞いておりますけれども、農業経営が家族経営としての性格を強く持つという観点から、経営移譲年金の受給者が死亡した場合における遺族年金制度の実現のために早急に検討していく必要があると私は思いますが、大臣いかがでしょうか。大臣の御所見を重ねて最後にお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
○山本国務大臣 お答えいたします。 けさほど来各先生方にお答えをしてまいりましたけれども、繰り返しになりますが、農家の御婦人の老後保障、これが非常に重要だということについてはよく認識しております。ですから、今回の改正に当たりましても、御承知のとおりの特例措置などについてもこれを設けたというふうな経緯がございます。なお、今御指摘の遺族年金の問題につきましては財政的にいろいろ問題もございます。また負担の問題等もございます。そこで、次期の財政再計算のときをひとつ目途にいたしましてしっかり検討してまいります。そういうことで御了解を願いたいと思っております。
○小平委員 終わります。
○亀井委員長 御苦労さまでした。 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 ─────────────
○亀井委員長 これより討論に入ります。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。中川昭一君。
○中川委員 私は、自由民主党を代表し、農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対して賛成の立場から討論を行うものであります。 農業者年金制度は、農業者の老後の保障と経営移譲を通じての農業構造の改善を図る政策年金として、昭和四十五年に発足して以来二十年を迎え、今日においては、被保険者、受給権者を合わせて百二十七万人を教えるなど、農村社会に深く定着するに至っております。 しかしながら、本年金をめぐる状況は、財政運営上非常に厳しい事態に直面しており、その抜本的改善が求められているほか、年金の給付体系につきましても、農村の高齢化等に対応して、実情に即した再構築が必要となっております。 今回の改正は、こうした事態を打開するための適切な措置であり、全面的に賛意を表するものであります。 以下、賛成の主な理由について申し上げます。 第一は、年金財政基盤の長期安定であります。 本年金の財政は、既に昭和六十一年度から単年度収支が字に転じ、このままでは大切な積立金もあと数年で枯渇するという危機的な状況にあります。農村においても、本制度の将来に対し不安を感じておる方が多かったことと思います。しかしながら、今回の制度改正による国庫助成の大幅な拡充措置等により、本年金の財政は長期的に安定することと見込まれます。加入者は安心して農業にいそしめるようになり、若い方々も積極的に本年金に加入することが期待されますので、この措置を高く評価するものであります。 第二は、年金の給付体系の変更であります。 農村において高齢化が進行していることは私たちもよく知るところであります。こうした中で年金の新しい給付体系は、経営能力にすぐれた六十歳以上の農業者の増加、後継者の就業実態などに対応した弾力的な年金給付を可能にするものであり、農村の実態にかなった適切なものと考えます。 第三は、分割移譲の創設であります。 これは、農業構造改善を一層促進するため、農村の実態を踏まえつつ営農意欲の高い農業者の経営規模の拡大を図るものであり、生産性の高い農業を確立するという農政の課題にこたえる措置となっております。 第四は、農業者から延長実施の要望が強かった離農給付金支給事業について、構造政策効果を高めるための見直しを行いつつ、さらに十年間延長実施するとしていることであります。 第五は、特定保険料の適用範囲の拡大、他産業従事期間の年金受給資格期間への通算措置などの若い農業者の加入促進対策、加入者が死亡した場合の配偶者の加入の特例措置など、数多くの改善措置を講じていることであります。 以上、本案に対する賛成の態度を明らかにしたのでありますが、政府においては今後とも農業者年金制度の健全な発展に一層の努力を払うことを要望して、私の討論を終わります。
○亀井委員長 藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 私は、日本共産党を代表して、農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対して、反対の討論を行います。 今回の改正は、基金財政の安定を理由に、被保険者の保険料の引き上げ、受給権者に対する給付削減を名実ともにうたっているものであり、農産物の相次ぐ自由化や価格引き下げでこれ以上負担能力のない農業者に対し、犠牲を強いるものであります。既に保険料負担は厚生年金に比べても重く、さらに受給権者は事実上六十五歳まで支給をおくらされ、キャッチフレーズである厚生年金並みにつなぎ年金という性格が大きく変えられ、しかも給付額も削減されてしまうものであります。一層大幅な離農促進を図る差別的な離農給付金制度の導入も問題であります。 年金制度の危機的状況は、ほかならぬ国の農業つぶし政策の結果であり、農業に希望が持てないなら後継者も加入せず、この先も年金収支の改善はできないのであります。農政及び本法もねらいとする構造政策が生んだこの現実を直視するべきであります。 以上から、私は、この年金制度の安定は国の責任でこそ図られるべきものであることを主張するものです。 改正案では、分割移譲や遺族配偶者の加入の特例など農業者の要望に沿った内容も一部ありますが、構造政策推進を掲げ、農家負担も拡大していくのが本法の基本方向であり、反対を表明するものであります。私は、農業者年金が、その性格においても内容においても、真に農業者の老後を保障するものに改められるべきであることを強調して、反対の討論を終わります。
○亀井委員長 これにて討論は終局いたしました。 ─────────────
○亀井委員長 これより採決に入ります。 内閣提出、農業者年金基金法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○亀井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 ─────────────
○亀井委員長 この際、本案に対し、大原一三君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。石橋大吉君。
○石橋(大)委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合を代表して、農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、最近の農業・農村をとりまく厳しい情勢に対処し、本制度が農業者の老後の保障と農業構造の改善に十分な役割を発揮できるよう、左記事項の実現に努め、制度の長期にわたる安定的発展に遺憾なきを期すべきである。 記 一 農業構造の改善の一層の促進に資する観点から、本年金の財政基盤を長期的に安定させるため、年金財政の動向等に応じて国庫から必要な額が助成されるよう十分配慮すること。 また、年金未加入者の加入促進について、一層の努力をすること。 二 保険料については、農家の負担能力の実情、本年金の政策年金としての性格等を踏まえ、過重負担にならないよう設定すること。 三 今回の改正に伴う新給付体系への移行、経営移譲に係る分割移譲方式の導入等については、その趣旨を周知徹底し、運用に遺憾なきを期すること。 四 農業のもつ家族経営体としての特性等を考慮し、経営移譲年金の受給権者が死亡した場合における遺族年金等の実施については、次期財政再計算時を目途に検討すること。 また、農業に専従する主婦等の年金への加入について引き続き検討すること。 五 離農給付金交付制度の運用に当たっては、離農者の農地が中核的農家の経営規模の拡大等農業構造の改善に資するよう十分配慮すること。 六 農業者年金に加入している農業生産法人構成員の厚生年金への移行については、その実態を踏まえ、これが円滑に行われるよう配慮すること。 七 年金事業の末端業務が円滑かつ的確に実施されるよう、農業委員会の役割の明確化など業務執行体制の整備充実に努めること。 右決議する。 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
○亀井委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 大原一三君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○亀井委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。 この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山本農林水産大臣。
○山本国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして十分検討の上善処するよう努力してまいりたいと存じます。 ─────────────
○亀井委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○亀井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。 ───────────── 〔報告書は附録に掲載〕 ─────────────
○亀井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時十二分散会