農林水産委員会 第9号
- 発言数
- 176 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1990/04/17
会議録
○亀井委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 これより質疑に入ります。 本日は、本案審査のため、参考人として全国農業会議所専務理事池田斉君、長野県農業者年金推進協議会会長竹内義憲君、東京大学社会科学研究所教授稲本洋之助君、農業者年金基金理事長森実孝郎君、以上四名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。 次に、議事の順序について申し上げます。池田参考人、竹内参考人、稲本参考人、森実参考人の順に、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。 なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっておりますので、御了承願います。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。 それでは、池田参考人にお願いいたします。
○池田参考人 農業者年金基金法の改正案が当委員会で審議されるわけでございますが、この一部改正案につきまして参考人として意見を申し上げる機会を得ましたことをまず御礼を申し上げたいと思います。 今紹介ございましたが、私、全国農業会議所に所属しておりますが、全国農業会議所はこの制度と大変深いかかわり合いを持っておるわけでございます。その一つは、制度の制定、発足に当たりまして、我々農業委員会系統組織が挙げてこの法案の創設に取り組んでまいった経緯があることでございます。二つ目は、現在農業委員会、農業会議が農業者年金基金の委託業務を行っておることでございます。三番目は、加入者、受給者の組織が全国的に、全部ではありませんが、相当の府県で結成されております。そのお世話を農業会議所が行っているわけでございます。このような立場から、本改正案に対する意見をこれから申し述べたいと存じます。 なお、この改正案に対する要請につきましては、全国農業協同組合中央会とまさに一体的に行っていることは皆様御案内のとおりでございまして、あわせて申し上げておきたいと存じます。 農業者年金制度は、発足以来ほぼ二十年になりますが、現在の受給者は約六十一万人、年間の年金受給額は約二千四百億円になっております。農業を取り巻く今日の厳しい状況の中におきまして、農家経済の支えとして無視できないものになっておることは御案内のとおりでございます。また、この制度は、農業経営者の若返り、農地の細分化の防止、農地利用の方向づけ等による経営規模の拡大等につきまして、いわゆる構造政策年金として一定の役割を担ってきたと存じます。 しかし、農村の超高齢化時代を迎えて、農業者年金もいよいよ受給者数が加入者数を上回るというような段階に入ってまいりました。このまま推移すれば七年程度で現在の約五千億の基金が枯渇をするという心配が出ておることは、御案内のとおりでございます。 このため、どうしてもこの段階で年金財政の長期安定のための基盤を確立しておく必要がございます。また、年金の仕組みも高齢化時代にふさわしいものにする必要があると存じます。さらに、産業としての農業の確立を急ぐためにも、政策年金として、農村の実態を踏まえ、構造政策にシフトする制度として改善を図る必要がございます。私どもはこのような観点から制度の改正をお願い してまいりましたが、今回の政府案は、厳しい環境のもとでほぼ我々の期待に沿ったものとなっておるというふうに受けとめております。 その第一は、年金財政の長期安定の問題でございます。加入者、受給者も相応の負担が必要であることは当然でございますが、それには限界があるため、どうしてもここで国庫助成の増額ルールの確立を要請してまいったのでございます。政府案では、農業経営移譲年金の二分の一の国庫補助という現行制度に加えまして、今後約二十五年間にわたって年平均約四百億円の追加助成を行うことといたしまして、当面五年間の実額を法律に明記されたこと、その結果、平均的には経営移譲年金のほぼ四分の三に当たる国庫助成が確保されましたことは、本制度の将来の不安を解消するものとして私どもは高く評価するものでございます。この際、関係者の御努力に対し心より敬意を表したいと存じます。 また、保険料アップは加入者にとって決して楽なものとは言えませんが、国庫助成との関係で当初よりかなり圧縮されたことにつきましても評価をいたしたいと存じます。 第二の問題は、給付体系の変更についてでございます。経営移譲時に六十歳から六十五歳までの選択制にすることは、高齢化時代にふさわしいものとして我々は受けとめられると思うのでございますが、それと同時に、農家の実情に即した担い手の確保にも有効だと考えております。また、従来の五年間の高い経営移譲年金という仕組みから終身同一年金にすることも、長寿時代の老後の保障のあり方として我々は評価したいと存じます。また、経営移譲が間近な人たちについての激変緩和のための経過措置も、ほぼ要望内容と同じような実現ができるものと考えております。 さらに、厚生年金並みという基本的な要望につきましては、給付水準は老齢厚生年金に準ずるものとし、加入者の農業所得水準の見直しによって生涯の給付水準の確保に努力されておるというふうに考えるわけでございます。 第三の問題は、政策年金としての制度の整備、加入促進のための改善、従来から残された課題につきまして、組織検討を積み上げて多くの要望をしてまいったところでありますが、今回この改正案におきましてかなりの部分が実現されたものと受けとめております。特に分割移譲方式の導入は、兼業農家等の段階的な経営縮小など農村の実情に即しつつ農地利用の集積を加速するものとして期待されておるわけでございます。また、担い手不足地域における経営移譲の受け皿の整備、有限会社など農業生産法人の構成員の取り扱い等につきましては、今後の農政展開の中で重要な意味を持つものでありまして、今回の法制上の改善について評価するところでありますが、さらにその円滑な実施のための条件整備をこの際強く望むものでございます。 また、我々が要請してまいりました離農給付金制度の継続について、構造政策にシフトする改善を含めまして実現することは高く評価するところでございます。さらに、他産業に従事した加入者の空期間の通算措置、特定保険料、いわゆる学割の三十五歳末満全員への適用拡大、加入者が死亡した場合の配偶者の加入特例など、多くの点できめ細かな改善措置が講ぜられておりますことは、今後の加入促進にも大いに役立つものとして期待をいたしておるわけでございます。 以上の見解に申しましたとおり、今回の改正はほぼ高齢化時代の制度の再構築であると受けとめております。特に、離農給付金制度の期限切れが御案内のように五月十五日に迫っておることから、当委員会におきましてもできるだけ速やかにこの法案の成立をお願いいたしたいというふうに存ずるわけでございます。 最後に、二つの点について、この際お願いをいたしたいと思います。 一つは、遺族年金についてでございます。この遺族年金につきましては、年金財政の関連で今回は私どもは見送らざるを得ないと考えておりますが、これは我々がかねてからの強い要望事項であることは御案内のとおりであります。したがいまして、将来の実現に向けて積極的に御検討をお願いいたしたいというふうに考えております。 第二点は、今回政府においても検討をいただいておると伺っておりますが、この機会に、農業委員会が行う年金業務の法令上の位置づけの整備をお願いいたしたいし、また業務の思い切った簡素化をお願いいたしたいと存ずるわけでございます。 以上申し上げまして、本案に私は賛成をするものとして、意見の開陳を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○亀井委員長 ありがとうございました。 次に、竹内参考人にお願いいたします。竹内参考人。
○竹内参考人 ただいま御紹介をいただきました竹内でございます。本日は、当委員会において審議されております農業者年金制度の改正について、参考人として意見を申し上げる機会をいただきましたことを厚くお礼を申し上げる次第であります。 私は、昭和五十五年三月に農業者年金の加入者や受給者の組織であります上田市の農業者年金協議会の設立に当たって会長に就任をいたしており、長野県農業者年金推進協議会の会長や全国農業者年金連絡協議会の世話人としまして農業者年金制度の運営や未加入者の加入促進等にかかわってきた者であります。本日は、加入者や受給者の立場から若干の所見を申し上げたいと思います。 農業者年金制度は発足して二十年を迎えようとしております。年金の年間支給総額は二千三百八十六億円余を超えておりまして、私の上田市におきましては、農家戸数七千二百五十五戸のうち専業農家は八百五十四戸であり、農業者年金につきましては、加入者が二百六十三人、受給者が六百四十三人で、農業者年金受給額の年合計額をこの四月で推定をいたしますと一億七千三百万円にも達しております。また、年金受給額を長野県全体で見ますと、実に七十四億円にもなり、水田転作補助金の一・七倍となっております。このように農村の急速な高齢化の進行の中で、老後への備えとして本制度の果たす役割と農業者の期待はますます大きくなってきております。 また、農業者年金制度は、我が国農業を取り巻く厳しい情勢の中で、農業経営の担い手を確保し、経営の若返りや規模拡大等の構造政策の推進を図る上で欠くことのできない制度となってきております。しかし、農業者年金の受給者が増加する一方で新規加入者の減少等により、年金財政の将来に大変不安が生じてきております。このことも今回の制度改正の発端の大きな要因の一つになったと承知をいたしております。また、このことが加入者の不安を呼び、加入促進の進まない大きな要因となっていることも事実であります。したがいまして、このような状況下に長くありますことは、制度にとって大変好ましくないことだと思います。 私たち農業者年金の加入者や受給者の組織としましては、一昨年来の制度改正の動きに対しまして大変大きな関心を寄せてまいったわけであり、数回にわたる大会を開いて私たちの意見を申し上げてきたところであります。それは、ただ単に財政面から論議されるものではなく、我が国農業の将来展望に立って本制度の政策上の役割、位置づけを明確にして、長期的に安定した、農業者にとって魅力のある制度として早急に再構築していただきたいというものでありました。 改正法案について具体的に触れさせていただきたいと思います。 第一に、年金財政基盤の長期安定の方向が明らかにされたことであります。年金財政安定のため、加入者や受給者も相応の負担が必要だということについて理解しないわけではありませんが、これには限界があります。したがって、一番のポイントは、国庫補助の増額についてであります。改正案では現行の経営移譲年金の二分の一に加えて、農業構造の改善を一層促進する観点から一定期間追加的助成を行うとしたことは画期的な財政援助 であり、本制度に対する農業者の将来の不安を解消するものと確信するものであります。 次に、給付体系の変更でございます。経営移譲年金の給付開始時期を六十歳から六十五歳の間の選択制としたことで、現行のように経営移譲がおくれると年金受給総額が少なくなるということがなくなりますので、したがって加入者の同意を得られるものと思います。また、従来五年間の年金という印象の強かった点を終身同一年金とすることも時代に即したものと受けとめ、高く評価いたしております。また、老齢年金についての年金額の引き上げも、加入者の歓迎するところであります。 第三には、経営移譲年金において後継者と第三者への分割移譲を認めたことであります。従来は十アールの自留地以外のすべての農地を第三者に移譲するか、すべての農地を一人の後継者に移譲するかしかなかったため、サラリーマン後継者の場合でもその多くが一括して後継者移譲される結果となり、これがむしろ農地流動化の阻害要因になるといったこともあったわけです。今回の改正は、農地の利用集積を進めるための効果ある現実的な改正であると考えています。 第四は、山村等の担い手不足地域における経営移譲の受け皿として、年金基金に借り入れ事業を設けたこと、これは非常に適切な措置だと考えております。 第五は、加入者促進などの観点から強く要望いたしておりました特定保険料の適用の拡大、一定の他産業従事期間の空期間通算、加入者が死亡したときの配偶者の加入の特例、脱退・死亡一時金の改善など多くの点が実現を見ていることに感謝いたしております。 第六に、離農給付金の制度であります。五月十五日に実施期限が切れますが、継続実施されるとされておりますことに深く感謝をいたしております。 ただ、今回の改正において、私どものかねてから強い要望事項であります遺族年金については、財政上の理由からやむを得ず見送らざるを得ないわけですが、ぜひ近い将来の実現に向けての検討に着手をしていただきますことを念願をいたしております。 最後に、農業委員会等現場における業務執行体制について、制度及び財政上の裏づけを含めて整備をお願いいたしたいと思います。 以上、私たちの組織が従来から申し上げてまいりました多くの事柄が今回の改正案の中に取り入れられておりますことに心から敬意を表します。本案を一日も早く成立させていただきますよう先生方の御尽力をお願いを申し上げまして、意見といたします。ありがとうございました。(拍手)
○亀井委員長 ありがとうございました。 次に、稲本参考人にお願いいたします。稲本参考人。
○稲本参考人 東京大学の稲本であります。私は、農業、農村問題について、ヨーロッパ諸国、特にフランスでありますが、それと我が国とを比較して研究をしておりまして、この年金制度の改正問題についてはかねてより関心を持っておりましたが、このたび当委員会の御要請がありましたので、若干私見を述べさせていただきたいと思います。 私がお話ししたいことは次の三つの点でありますが、一つは、若い農業者を確保するためにこの制度はどうあるべきか、それから第二は、専従的な農業者を確保するためにはどうあるべきかということです。第三は、より抽象的かもしれませんし、言葉は余りなじんでいないかと思いますけれども、国民的な連帯という観点からどう考えるべきかということをヨーロッパと我が国の比較を通じて、概括的なことしか今申し上げられませんが、若干の私見を述べさせていただきたいと思います。 若い農業者の確保、これはどの国においても重要な課題でありますが、我が国においてももちろんそうであります。今回のこの制度改正は、少しでも農業経営者、農業の担い手を若返らせるため、また、その老後の保障を一層安定させるためという考え方で検討されてまいりました。これは単に、農業の経営移譲を早めて、現在の例えば父親の世代からなるべく早く若い息子たちに経営を移譲してやるとよいであろうというだけでは必ずしもないのであります。それ以上にむしろ、現在の農村の青年たちは、果たして農業を続けていくべきか、いけるのか、心配をしているわけでありますが、一番身近に感ずるのは、自分の親の現在の姿を見て将来の自分のあり方を決めるでありましょうから、やはり農業者として将来を担ってもらうためには、現在の親がどのように自分たちの老後を過ごしていこうとしているかをよくわかってもらう必要があります。そのためには、何といいましても年金制度が老後を支える、そして、現在ではまだ不十分ではありましょうが、先々確実によくなっていくという確信を親子ともどもに持つことが非常に重要かと思います。今回の制度改正においてはこの点でかなりの配慮がなされているように私は思いました。 例えば、農家の跡継ぎはしばらくの間は他産業に従事いたします。そうしますと社会保険制度は、例えば厚生年金であると他の部門に属しますが、やがて農業に戻りたいというときにその拠出の期間が通算されるかどうかという問題がありまして、俗に言う空期間の算入の問題は小さいようでかなり重要な問題であります。それから、なるべく若くして加入した人たちには特定の保険料を適用する、こういう制度がありますが、それをさらに拡充すること、また、任意加入者の後継者は任意加入もできないという現状については、こういうような制度ができたときの認識と今日かなり変わっておりますので、これを改める、このようないろいろな配慮をしております今回の制度改正は、私としても納得のいくものであります。 それから第二に、農業専従者による農業、これをもっと重視していく必要がありますが、それは単にやみくもに規模を拡大するということではなくて、そのような農業者に今後の農業を託していくということについて農村部に本当のコンセンサスをつくらなければなりません。現在、親たちはなお自分の息子はサラリーマンであってもその息子に自分の土地を継がせることに頭がいっぱいでありますが、将来の農業、農村を担うということであれば、自分の息子にはある程度与え、すなわちサラリーマンとしての収入の補助に当たるものを与え、そして他のかなりの部分は、同じ村の中でより本格的に農業をしているという他の家の青年たちに譲与していくということを考えてしかるべきだろうと思いますが、今までそういう受け皿がありませんでした。いや、受け皿がなかったのではなくて、それをむしろ抑止するような制度の仕組みになっていたと思います。ですから私は、今回このサラリーマン後継者に対して分割移譲という新しい方途を開いた、そして専従者へその余の農地を集積を図る、こういう道を開いたことは大変賢明な策であったのではないかというように思うのであります。 また、農家にとりましては、好んでサラリーマンに息子を出しているのではないということもよくわかります。もともと田畑の面積の大小というのは昔からのことでありまして、そんなに画一的ではないのでありますから、サラリーマン農業者を切って捨ててはいけないのでありますが、しかし、これからの真の農業の担い手としては、サラリーマン兼業よりは専従者の方に期待を寄せざるを得ないのであります。そのためなるべく経営移譲の受け手は農業専従者の方へ向かわしめるような制度が必要でありまして、若干の格差を設けるということは私はかねてから主張しておりましたが、最近そのような方向で認識が深まり、努力が重ねられてまいりました。今回の制度では、四分の一の格差を定着させようということであります。私個人としては四分の一という数字が適切かどうかについては意見を留保しておりますけれども、こういう方向でこの数年の努力がようやく確認されるということは好ましいことであったのではなかったかと思います。 最後に、国民連帯ということを申し上げました が、実際にこの農業者年金を支えていくためには大体七五%近くの公費ないしは他部門の負担による支出が必要でありまして、このようなお金を農業につぎ込んでよいのかということではいろいろ御意見のあるところだろうと思います。しかし、この点、フランスや西ドイツの状況を考えてみますと、非常に国民的な相互の理解がある、コンセンサスがあるというように私は見ざるを得ないのであります。フランスの場合にも七五%の実質的な補助率があります。なぜこのような非農業部門から農業部門への公的な、場合によっては民間の、すなわち自分たちの掛金から一部を移譲するというようなことが、ヨーロッパ諸国において当然のことまたは望ましいことと考えられて久しいのかということを一言申し上げて、私の意見の陳述を終わりたいと思っているのであります。 これは単に、一国にとって食糧を確保するため農業、農村が大事だから、それに対して他産業部門は十分な理解を示すべきだというだけでは必ずしもないのであります。むしろ、農業、農村に可能な限り可能なときに力を蓄えていくという、そういう考え方が非常に強い。ただ、その場合の力というのは、農村に富を、資金をということではなくて、農村部において人をつくるということであります。現にヨーロッパ諸国においても、現在の農業経営者の年齢は平均して五十歳を超えるというところに来ていまして年齢構成上問題がありますが、なおそこに若い人たちを、青年たちを残して農村部に人ありというような国をつくりたい、そのためには非農業部門や公的な資金を投ずることは必要である、こういう認識がかなり定着をしております。我が国においてもそういう方向に行くでありましょう。フランスの場合に、アルジェリア戦争という大きな問題がありましたが、このときに大幅な財政削減をせざるを得なかったのでありますが、これを農業が引き受けたのであります。農業界においては数年にわたってかなりの予算上の削減を引き受けました。これに対する恩義というようなものを現在でも他産業の人々はしばしば言うのでありまして、私はそういう話を聞くと、個人的ではありますが、一種の感動を覚えたのであります。国民連帯という余りなれていない言葉を使いましたので誤解を生ずるかと思いますが、このナショナルソリダリティーという観念は、これらの諸国においては我が国よりも一層重視されているように思います。私は御参考までに申し上げた次第であります。 以上でございます。(拍手)
○亀井委員長 ありがとうございました。 次に、森実参考人にお願いいたします。
○森実参考人 農業者年金基金の理事長の森実でございます。 先生方におかれては、この年金業務の運営に日ごろから大変御懇篤な御指導を賜っております。この機会に厚くお礼を申し上げたいと思います。本日は、実施機関という立場から制度の現状、役割、さらに今回の制度の問題点なり、今回の制度改正についての意見等を申し上げたいと思っております。 まず、制度の現状でございます。二十年目に入りました。完全に農村社会に定着、成熟したと思っております。むしろ率直に言うならば、過成熟の状態に入ったということが言えると思います。被保険者数は現在ネットで六十二万人に達しております。逆に受給権者数は、被保険者数とは逆に急速な増加を示しておりまして、これはネットで六十四万人という状況にあるわけでございます。これらの事情は、何といいましても高齢化の進展、農業構造の変化等に伴い、加入者から受給権者への移行が新規加入者を大幅に上回るという事情を反映したものでございます。 一方、年金額は年々増加してきております。これは物価スライド制、さらに加入年数の伸びを反映したものでございますが、例えば高い方の経営移譲年金で申しますと、月額で六万一千円、低い方の経営移譲年金が五千百円、さらに老齢年金が月額で九千百円という状況になっております。この結果、年間の年金額として農村部に所得移転しております金額は総額で平成元年度には二千三百八十億円に達しているわけでございます。年金財政は、こういった状況を反映しまして年々厳しい状況に入ってきております。最新時の見込みでも約三百九十八億円の赤字が生まれる見込みでございまして、年金資産も年々減少しまして、最新時の見込みでは約四千九百億円という水準にまでなってきております。もちろんこの水準を当面は維持しておりますので、当面の給付には支障はございませんけれども、やはり長期的に見ますと不安を抱えているわけでございまして、年金財政基盤の抜本的な強化措置が求められているわけでございます。 次に、農業者年金制度の果たしてきた役割というものを今の時点で考えてみたいと思います。 この制度は、農業者の老後の保障と並んで、やはり経営移譲を通じた経営主の若返りによる経営の活性化、またその実績を相続時における農地の細分化防止に役立てていく、こういう構造政策上の原点的な役割は確実に果たしてきたものと思っております。また同時に、今日の農業を取り巻きます厳しい状況のもとで、この制度は中核農家への年金額の安定的な支給を通じまして所得の下支え、さらには農政転換の下支えという機能を果たしてきているものと思っているわけでございます。 次に、制度運用上の問題について二、三触れさしていただきます。 一番重要な問題は、やはり未加入者の加入の確保という問題だろうと思います。しかし、率直に申し上げまして、昭和六十年度以降、新規加入者は年々減少してきております。これは何よりも専業的農家という母集団が減少してきているという事情が基本にありますが、やはり何といってもこれ以外に、年金財政の将来への不安、それから経営移譲時の不安、それから経営の先行きに対する不安、さらに最近における就労形態の変化等がふくそうして起こってきていると思います。また、制度改正の様子待ちという機運が現在農村にあることも否定できないと思います。幸い、今回の改正案におきましては各面にわたって、従来から未加入者の加入促進という意味からも重要な基本課題を解決した形で改正案がまとめられております。そういう意味においては、私ども実施機関としては未加入者の加入促進に大変役立つ状況が生まれてきていると見ているわけでございます。 次に、業務の運営について若干触れさしていただきます。 基金の業務は、その性格上被保険者、受給権者と長期にわたって直接接触するということで、これらの方々の利害に密接に関係を持っております。したがいまして、業務の運営に当たりましては、被保険者資格、受給者資格の確認、管理の問題、保険料の収納の問題、経営移譲年金の裁定、支給の問題、離農給付金の支給の問題、農地等買い入れ資金の貸し付け等の業務をどうやって適正かつ迅速に運営するかが基本でございます。農家との窓口になっていただいております農業委員会、農業協同組合の協力も得まして、その徹底に従来からも努めてきたところでございます。また、このほかに、制度内容の周知徹底、PR活動の積極的な実施、あるいは被保険者や受給者からの疑問とか照会に的確に対応できるような相談サービス業務の充実に近時努力してまいってきているところでございます。 そこで、今回の制度改正についての意見を申し述べさしていただきたいと存ずるわけでございます。 政府が今回の改正案づくりに取り組まれるに当たりまして、農業者年金はさきに述べてきたような重要な役割を果たしてきているという事情、それから中核農家の減少趨勢というのは世界的な傾向でございますし、また構造政策の流れの方向でもあるという事情、それから農村の老齢化が急速に進行している、さらに若い農業者の就労の実態や意識の多様化も急速に進んでいる、こういう中でこの制度を農業の実情に適した仕組みに改めるとともに、安定した年金財政基盤を確立していた だくことを基本としてお願いをしているところでございますが、今回の改正案は、厳しい条件のもとでこれらの基本課題に正面から取り組んでいただいているものとして、私ども高く評価さしていただいているものでございます。 具体的な内容につきましては、五点意見を申し述べさしていただきます。 第一点は、年金財政の長期安定を図るための国庫負担の拡充措置でございます。 年金制度という面では、保険料と給付額とのバランスを年金財政の基本に置くべきことは基本となる考えだろうと思いますが、農業者年金については、現在の中核農家の減少傾向、農家経営の状況のもとでは加入者と受給者に負担のすべてを求めていくということには限界があると思います。そういう意味で政策的重要性の高まりも踏まえながら国庫からの助成強化を強く求めてきたものでございますが、今回の年金財政基盤の健全化を図るための抜本的措置が講ぜられることにより制度の財政的安定が確実に展望できるようになったことにつきましては、関係各位の御尽力に深く感謝しているところでございますし、私どももこれを強力なてことして未加入者の加入の説得に当たってまいれるものと思っております。 第二点は、給付体系の変更に関する問題でございます。 現在の給付体系を考えますと、農村の高齢化の進行や就労実態から見てかなり無理があることは否みがたいという実感を持っております。さらに、六十五歳からの年金支給額というものが六十歳から六十五歳までの高い経営移譲年金に対して約三五%であるという点は、何といっても老後保障という面では据わりが悪かったという印象は免れないと思います。今回の改正案では、六十五歳までの間に経営移譲した場合、具体的な事情に応じて受給開始時期を六十歳から六十五歳の間で選択できるようにするとともに、終身同一額の経営移譲年金、さらには老齢年金を支給しようとするものでありまして、現実に即した安定感の高い給付体系になるものと受けとめております。 第三は、分割経営移譲方式の導入でございます。 やはり最近の就労状況から、サラリーマン後継者が譲り受け農地のすべてを耕作することは困難となる事態が発生していることは事実でございます。現場からも、一定規模までは後継者に残しそれ以外の農地を第三者に移譲しても適格な経営移譲とすべきである、さらに、第三者に移譲する面積の比率が高い場合は加算つき経営移譲年金の給付も受けられるようにしてほしい、また、経営移譲後分割をしても経営移譲年金の支給停止にならないようにしてほしいという声が強く出ております。また、このことは、構造政策という面から評価した場合でも、中核農家への農地の集積を段階的に進めていく上において有効なことだろうと思います。そういう意味において私ども、分割経営移譲方式の導入というものは、年金制度の円滑な運営を図る意味においても、また構造政策の的確な展開を図っていく意味においても、大きな機能を果たしていくものと期待をしております。 第四の点は、他産業に従事した加入者の空期間通算でございます。 今日の農村の労働力事情を見ますと、農業と他産業との間に労働力の流動性はますます高まってきております。さらに、好景気が持続する中で季節雇用も長期化するなど、若い農業者を中心にして様子見の姿勢というものがあることは否みがたいところでございます。今回の改正案により、途中で一たん他産業へ就労した期間を加入期間に空通算できる措置が講ぜられることになりました。これによって、農業労働力の中軸となりつつございますUターン層への積極的な対応ということも可能になるわけでございまして、就労実態に合った改正であろうと評価しております。 第五点は、経営移譲の受け皿の整備という問題でございます。 経営移譲の受け皿づくりとしては、農業委員会の機能をフルに発揮していただくことがもちろん基本だろうと思います。同時に、農協による経営受託事業、県公社の農地保有合理化事業等による積極的な対応が行われるべきものと考えておりますが、今回の改正案によりこれに加えて基金が一時的に借り受ける措置が講ぜられることになれば、多くの地域で経営移譲に対する不安が緩和されることになると思います。これはまた、加入促進に対しても大きなインパクトになるものと期待しております。 このほか、離農給付金支給事業の延長継続、加入者が死亡した場合の配偶者の加入特例、脱退・死亡一時金の給付水準の引き上げや要件の改善等、かねて実施機関として要望してきた改善事項も積極的に取り入れられていると思っております。 今回の改正は、将来に向けて制度を安定させていくための必要不可欠な措置であろうと私ども受けとめております。特に離農給付金支給事業は本年五月十五日に期限切れとなるわけでございますので、できる限り早期にこの法案が成立いたしますことをこの機会にお願いを申し上げる次第でございます。私ども基金といたしましても、改正法案が成立した暁には、十分な理解と協力を得るための周知徹底、PR活動を総力を挙げて実施するとともに、その適正かつ円滑な運営に努力してまいりたいと思っております。 ありがとうございました。(拍手)
○亀井委員長 ありがとうございました。 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。 ─────────────
○亀井委員長 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石破茂君。
○石破委員 先生方には、お忙しいところ当委員会にお出ましをいただきまして貴重な御意見を賜りまして、心から厚く御礼を申し上げます。細かい技術論的なことはまた午後の質疑でやらせていただきたいと思っております。せっかくの機会でございますから、概括的なお話を先生方に承れればまことに幸いでございます。 要するに今回の改正案というのは、技術的なことはともかくといたしまして、この高齢化の中にあって、加えて言えば日本農業について国際化の中にある、そしてまた兼業化、過疎化、余りいいイメージがないわけでありますけれどもとにかく高齢化の中にあって、一体日本農業の中で高齢者はどのような役割を果たしていったらいいのだろうか。今まで厄介者、余計者、そういうような意識でとらえられておったかと思うのですけれども、これから先はそうではない、別の役割が高齢者に担われるべきではないのかなというふうに一つは考えております。 もう一つは、先ほど来国庫助成のお話がずっと出ているわけでありますが、何も本年金に限らず、一体だれがいかような負担をすることが公平なんでしょうかということを考えていきませんと、理解はなかなか得られないのではないかなと思っております。これは政策年金でありかつまた福祉年金であるわけで、ほかの年金とは違った対応が求められようかと思いますが、要は、国庫助成をこれだけ出すについて一体だれがいかような負担をするのが公平なんでしょうか、納税者の理解を得られるのでしょうかということであろうかと思います。 そういうような観点に立ちまして、まず稲本先生にお尋ねをいたしたいと思うのでありますけれども、上記二点についてどのようにお考えかということ。 そしてまた、フランスのお話が出ましたけれども、日本の規模拡大は進んでおるというお話が先ほどからございますが、似たような制度を有する西ドイツ、フランスに比しましてはまだおくれておるというふうな指摘がなされることであります。そういうような原因について、またその解決策についてどのようにお考えか。 そしてまた、先生にもう一点お尋ねしたいのは、先ほどの二点目と関連することでありますけれど も、要は納税者の理解を得るというのは非常に難しいことだと思っておるのであります。現在でも農業バッシングと言われる中にあって、それでなくても財界等々から農業に対する保護は手厚過ぎるのではないかというような御批判が出ておる、そういう中にあっていかにして納税者の理解を得るか。 以上三点について、稲本先生の御見解を賜りたいと存じます。
○稲本参考人 三点おまとめになりましたが、順は不同でお答えをさせていただいてよろしゅうございましょうか。 まず、国庫負担ということに関連して、だれがどのように負担をするのか、また納税者の理解は得られるのだろうかということがありました。確かにこれは非常に大きな問題であり、単に国際的に日本の農業が問題になっているだけではなくて、日本国民の間で農業にそんなに金を出してよいのかという意見が強まっていることも確かであろうかと思います。これについてヨーロッパ諸国を見ますと、やはり必ずしもすべてが円滑に助け合いの精神で行われているのではなくて、時々、財政的な困難に逢着するような節目においては、何で農業にそんな金を出すのか、金を出しても実績が上がっていないではないかという議論があったことは事実であります。 例えば、最近、これはフランスでありますけれども、七割五分近くの国庫負担といいますか他部門からの資金の移算を行うに当たって、単に農業を助けるということだけではもう通用しないという議論がありました。これに対してどのようなことがなされたかといいますと、第一には、農業者はやはり自分たちで自分たちの老後を考えるんだ、それに最大限どこまで考えられるかという農業内部のプランを出せということであります。この点で、つい最近、数カ月前でありますけれども、フランスの農業年金制度は非常に大きな掛金の算定基準の改正に踏み切りました。それはどういうことかというと、農業者の内部において、多くを掛けていながら与えられる年金は少ない、またはそれの逆である、または一定の作物に関して過大な課徴金をかけられてそれが補助的な年金の財源になっているということがありました。これらを全部撤廃しようというわけであります。すなわち、農業所得に応じた掛金を負担するという方向への改革が一つと、特定の作目による課徴金の制度を廃止する、そして農業内部の連帯を強めることによって農業者はまず自分の老後を考え、そしてその上で一定の範囲で他部門への負担を求める、こういうことでございました。この納税者の理解というのは、やはりそういう農業内部の努力がなければ、単に農業が困っているとか農業に同情の目を向けてくれというだけではなかなか進まないでありましょう。 それからもう一つの点でありますが、我が国の規模拡大は大変おくれているということでありますけれども、これはやはり戦前からの経営の仕方及びその圃場の自然的な条件などに制約されているところは非常に多いのでありますが、さらには経営面積のかなり総体的な不足がありました。我が国においては米作中心でありますので非常に集約的な農業が行われ、それで事足れりとしてきたと私は思います。そして、このような農業を一遍にすることは到底できないし、単にそこでは水田が米を生産しているのではなくて、そこに人が生活をして生産をして供給をしているのでありますから、生活の面を含めた経営のあり方を考えなければならないわけでありまして、我が国の規模拡大のおくれとおっしゃいましたけれども、これはそのような諸条件を勘案すれば必ずしも重大なおくれとはまだ言えないのではないだろうか。ただ、現在の国際化、兼業化、高齢化というようないろいろな状況のもとではこれ以上非効率的な農業を続けることはできないということも確かでありまして、これは農業団体の方からも農業の規模の拡大を切に求めるような構造の改善を要求していることは特に御承知のことであろうかと思います。 我が国においては、規模拡大を阻害しているさまざまな理由、原因の中で、ヨーロッパ諸国にはそれほど見られない一つの要素があろうかと思います。これを申し上げることは、私としてはちょっとつらいことなんですが、先祖代々の土地はあくまでも守る、自分の職業がもう兼業化し、さらには農業をやめてもその土地は持ち続けたいという気持ちが非常に強く、このことが現在の局面ではかなり制約的な要因になってきているのではないだろうか。私、考えますのに、土地基本法という新しい立法もできた今日でございますので、農村部においても農地の所有権に関する考え方を少しずつであっても改めていきまして、最有効利用のためには農地を手放すことがむしろ自然である、当然であるというような考え方を広げていかなければならないように思います。我が国に固有の規模拡大阻害要因としてはやはり農村部において土地所有権に対する執着が非常に強い、このこと自体は非難できないのでありますけれども、そのもたらした効果については反省すべきところがあるように思います。 三点に分けて御質問いただきましたが、内容的にはこれで含まれておると思いますので、終わらせていただきます。
○石破委員 ありがとうございました。 それでは池田先生にお尋ねをいたしたいと思います。また、同じことを竹内先生にもお教えいただきたいと存じますけれども、遺族年金の創設についての御要望がございました。確かに遺族年金というのはないよりはあった方がよろしい、これに反対する人はだれもおらない。ただ問題は、一体だれがその金を出すのかということであろうかと思います。その点について、遺族年金の創設についてはだれも反対はしないわけでありますけれども、本制度の今までの趣旨から照らして、これを創設することにどういうような意味があるのか、趣旨との整合性はどうか、そしてまたそれをだれが負担すべきかということにつきまして、お考えがあれば御教示賜りたいと存じます。
○池田参考人 遺族年金の問題につきましては、我々この問題がやはり強い要望でございますので、繰り返し要望を申し上げてきた経過がございます。今お話しのように、この制度との整合性を含めてどういうふうにこの遺族年金を理解するか、こういうお話でございますが、やはりこの制度が総体として政策年金として仕組まれておる、そしてそれがために政府は大変な助成をする、こういうような形で今回さらにこれを上積みをしよう、こういう努力が非常に大きく行われたことを先ほど申し上げ、敬意を表したわけでございます。 しかし、日本の農業に、将来の展望の中で国際化の中で対抗できるある程度の力をこれから付与するということは、国民全体の要望であろうと思います。所有権の問題その他を含めましてそう簡単ではございませんが、この農業者年金制度は、その方向へ日本の農業の体質を変えていく、こういうような役割と性格を持ち、今度の改正ではさらにそれを追求しよう、こういうことになるわけでございますが、やはりそういう成果があらわれるということは、高齢農家が経営移譲をして規模拡大に協力をするというような問題にもつながると私は思うわけでございます。そういう意味では、ほかの制度がやっておる遺族年金を満額この制度にも適用しろというようなことは、財政の面から見てもあるいはいわゆる納税者の立場から見ましても少し問題はあると思いますけれども、やはり高齢者が協力をしたという問題との関係で、その遺族に対してもある程度の遺族年金が支給されるということは当然あってしかるべきではないか。これも納税者の理解を得る措置につながるというふうに私は考えておるわけで、そんなことを含めましてこの問題につきましては、今回はやむを得ない形でございますが、今後さらにひとつ御検討願いたいということを申し上げたわけでございます。
○竹内参考人 ただいまの質問に対しまして、遺族年金の関係等につきましては、私ども加入者、受給者の中から大変長い間要望をされていた事項であります。特にこの農業者年金制度は我が国の 構造政策を推進をするといういわゆる政策年金だということで、非常に多くの農家の皆さんから喜ばれてきておるわけでございまして、今回の提案の中にもありますように、国から多額な補助をいただいて、そしてこれを守り抜くという方向に今いるわけでございまして、それにはやはり遺族年金の加入者の促進ということがまた当面一番大きな問題になっております。 全国におきましてもまだ十五万九千人ほどの未加入者があります。そして私ども長野県にも二千人近くありますけれども、何としても未加入者が加入をして掛金を納めることによって年金財政の基盤もできていくということで、加入促進の上でこの問題が非常に強く要望されているわけでございます。したがって、今回もこの問題については見送られておりますけれども、財政的に本当にこれを全額国でということになると三百億もというふうなことも言われておりますけれども、そういう中で、やはり加入者もある程度の負担をしなければいけない、それにはある程度の理解を求めていかなければならないということで、私ども加入者としてもこの問題についてはお願いはしておりますけれども、十分また下部の段階で検討して、なるべく早くにはお認めをいただくような御尽力をお願いいたしたい、このように思います。
○石破委員 竹内先生、もう一つだけ教えてください。 今回保険料の引き上げがなされますね。農業所得というものは最近ずっと低迷をしているわけで、遺族年金でも保険料を払うというお話がございましたが、保険料の負担について農業者の側から大体どの辺が適当か。これはなかなかお答えされにくいことかと思いますが、今回の引き上げ自体はそう過重なものではないととらえていらっしゃいますか、その点だけ教えてください。
○竹内参考人 保険料の引き上げにつきましては、農業者としては余り喜ばないと思います。しかし、このように年金財政の全体の中身を見ましても、非常に大変な時期だということは加入者もそれぞれ理解をしておるわけでございます。したがって、今回大幅な助成をお願いしたわけでございますが、それだけに若干のこれからの引き上げはやむを得ないではないだろうか。数字的にはどのくらいということはちょっとわかりませんけれども、これからの保険料の引き上げということが今回の改正法案の中にありますけれども、これも十分また私どもも地元へ帰りまして加入者の皆さんに理解をしていただくように努力をしてまいりたいと思っております。
○石破委員 ありがとうございました。終わります。
○亀井委員長 石橋大吉君。
○石橋(大)委員 非常に限られた時間でございますので、できるだけ簡潔に参考人の皆さんにお尋ねをしたいと思いますが、まず一つは婦人の年金加入の問題についてであります。 今回の法改正の基礎になりました農業者年金研究会の中間報告でもかなり議論をされたことでありますし、先ほど来参考人の皆さんも、遺族年金という形で何らか具体化をしてほしい、こういう意見もありましたが、御承知のように四月十日に公表されました平成元年度の農業白書によりますと、今や自家農業に従事する人の六割は女性が占めている、農業の重要な担い手は婦人である、こういうふうに記述をされているわけであります。すべての階層で六割以上になっており、五十アール未満の小規模でも三ヘクタール以上の大規模でも男性を上回っている。つまり、中小規模農家では男性にかわり、大規模農家でも男性と同等かそれ以上に女性が自家農業の担い手になっている。そして、自家農業だけではなくて、女性による野菜の生産出荷組合が誕生しているところもあり、地域農業の重要な担い手でもある。その他の職業を持つ女性に比べて福祉施設など社会奉仕に参加する率も高く、農家女性の頑張り屋さんぶりがわかる。しかし、働き過ぎの嫌いもあり、他の職業を持つ女性に比べ旅行、行楽、趣味、娯楽は少ない、こういうふうに言われているわけであります。 かねて懸案の事項でもあり、このような重要な農村婦人の年金加入問題について、先ほどから遺族年金でどうかというような議論があるわけですが、遺族年金といえば世帯主に従属する女性の立場、こういう位置づけになりますから、一体今日的な女性の感覚からいってこういう受けとめ方でいいのかどうか、こういう問題もあります。これは、この年金が経営移譲年金といういわば所有者を中心にした年金であることからいってそういう形にならざるを得ない、こういう面もありますけれども、果たしてそういう遺族年金という観点だけで議論していいのかどうか、こういう感じもするわけであります。 この点について、参考人の皆さんにごく簡単に一言ずつ、できるだけ近い将来において実現を要望する、こういう意見もありましたが具体的な構想は示されておりませんので、もう少しもしそういう構想めいたことがあったら簡単にひとつお伺いしたい、こう思います。
○池田参考人 それでは私から一言だけ申し上げます。 御案内のように、農家の主婦というものが非常に農業の経営の面でも、またいろいろな面で社会的な役割を大きく担っていることはお話しのとおりだと思います。ただこの制度は、御案内のように土地の権利に基づくという姿の中で仕組まれておるわけです。したがって、その辺が一つ前提になっておりますから、主婦の直接加入という問題は、権利に関係のない主婦が大部分でございますので、これが土地の権利を持ち、また経営の主体者であれば当然入れるわけですが、そういう意味におきまして少し難点があるのではないかというのが、婦人の加入問題についてこの制度との絡みの中で一つ問題があると思います。今回、国民年金法の改正が行われましていわゆる地域年金、職域年金等の道が開ける、こういう問題がございますので、私の見解では、その方向で主婦の問題については解決をすべきではないか、その方がよりベターではないか、こんな考え方を持っております。したがって、これだけ貢献を家族の姿の中でやるわけでございますから、遺族年金でこの問題をある程度解決をしていくというのが筋道ではないかと考えております。
○竹内参考人 具体的にというふうな御質問でございますけれども、格別具体的な考え方は持っておりませんが、今池田参考人が申し上げましたように、土地の権利というふうなものが婦人に今あってないというふうなことが今度の年金加入の問題では一番大きい問題になるわけでございまして、具体的には私ども持ち合わせておりません。その点がどういうふうなことになるかということがこれからの問題と思います。したがって、先ほど申し上げましたように、それにかわる遺族年金でというふうなことを申し上げていた次第でございます。 以上です。
○稲本参考人 制度の改革の長期的な見通しということから私は考えますと、農家の婦人といいますか、それは夫とともに、かつ独立の経営者の地位を農業法制上認められるべきだというのが私の結論であります。 一つの家族に二人の経営者がいておかしいはずはありませんし、既にヨーロッパ諸国の一部においてはそのようなことで制度がつくられています。夫の経営を手伝う、または夫の経営の労働者として雇われる、または夫の死後にそれを続けるというだけの位置づけ、もちろんそれも非常に重要なことかもしれませんが、それぞれについての社会保障制度の手当ては既になされてきていて、今最大の課題は、夫と妻をともに独立の経営者として、しかし相協力してする経営者として農業年金制度にどう組み込むかということが問われております。既にヨーロッパにはそういう実績がありますけれども、それについては負担の問題がある。一戸の農家において二人分の掛金を払うところまで経営の力を蓄えていかなければなりません。この制度は、そういう意味では構造改善を進めながら、また農業専従者による経営を中心として農業 生産を考えるという方向を追求しながら、今の農家における婦人の地位の問題を考えなければならない。具体的なことは私なかなか申し上げかねるのでありますけれども、将来の方向としては今申したようなことではないかと思います。
○森実参考人 婦人の問題を特に年金との関係で評価する場合、二つの面から考えてみる必要があると思います。一つは、婦人が農業経営の中において占めている地位をどうやって年金業務自体において的確に反映していくか、もう一つは、御主人が亡くなった場合の遺族の問題をどう考えていくか、遺族となられた場合をどう考えていくか、二つの側面があると思います。 第一の側面を考える場合、当年金の対象になっております専業的農家を考える場合、一人の基幹労働力でやっている場合と二人の基幹労働力でやっている場合とに大別できると思います。実際は、七、八割までは基幹労働力は一人の場合と考えていいと思います。私は、この場合は男子が、御主人が労働力の主体である場合は御主人が加入すべきだが、奥さんが、女性が労働力の主体である場合はむしろ婦人加入を進めることの方が本筋だろうと思っております。幸い、最近では四%程度の婦人加入になっております。特に三十代では八%程度という高い比率になってきております。はっきり言うと、奥さんを経営主体として位置づけ、使用収益権を設定していただいて婦人加入ということに持っていくことがむしろ筋道ではないか。 二人加入の問題は、基幹労働力が二人以上いるような、例えば酪農で言えば搾乳牛が三十頭、五十頭いるとか、稲作経営であれば十ヘクタール経営しているというふうな大規模経営、奥さんも御主人も両方とも農業に専従している、そういう場合においては二人加入という道を開くか開かないかという問題が、制度のあり方としてこれから議論されなければならない問題であろうと私は思っております。 遺族年金の問題はなかなか難しい問題があると私は思います。率直に申し上げまして、いわゆる加入者の遺族の扱いについては、今回死亡一時金の増額と同時に空期間通算という形で一歩解決が図られたわけでございますが、受給者の問題はなかなか難しい問題がある。これは私が申すまでもなく、保険料の負担がふえるという問題に直結するわけでございますので、それを加入者がどう受けとめられるか。どうも私が非公式にサウンドしたところでは、やはり年齢層によって反応が大分違うという実態もあるわけでございますし、それからまた、保険制度としてうまく仕組めるかどうかという専門的検討も要ると思います。これから少し専門的に、しかも具体的な加入者の意向も聞いた上でやはり詰めていかなければならない課題であろうと思っております。
○石橋(大)委員 残された最大の焦点の一つだ、こういうことで少し時間をかけて聞きましたが、一応参考人の皆さんからそれぞれ意見を承りましてありがとうございました。 続いて、もう時間がありませんから、研究者である稲本先生に少し客観的に話を聞きたいのですが、御承知のように、この農業者年金は主として土地利用型農業について規模拡大を実現する、そしていわば経営効率の高い農業をつくる、こういう意味で政策的な年金として創設をされて、約二十年たっているわけであります。そういう政策目的の実現にどれだけ役に立っているか、貢献しているか、こういう点で果たして所期の成果を上げ得ているのかどうか、率直に言って少し疑問を持っているわけであります。農水省が示されましたこの年金に関する資料の中にも、経営移譲年金によってどれだけの規模拡大の農家が実現をして、どうなっているという資料がありません。稲本先生、恐らく研究者としてそういうことはよく御承知だと思いますので、その辺をどういうふうに評価をされているのか、簡単に言ってそのことをひとつまず総括的に聞きたい。 同時に、後継者に対して一括移譲をするという点ではかなり役に立っている、こういう評価もあるのですが、私はやはり、農地について資産的な価値の非常に高い都市近郊や都市の場合の相続と、それからほとんど農地としても余り夢もないし価値もない農村地帯における移譲の場合と、かなり違うと思うのですね、後継者に対する移譲の場合を考えたときには。資産的な価値の高いところはできるだけ分割して相続したい、こうなるでしょうし、余り値打ちのないところや農業に将来希望の持てないところでは、一括しても例えば親族であっても受け取り手がない、こういう状況があると思うのですね。だとすると、後継者に対する一括移譲というような点に限ってみても、農業者年金が一体大きな役割を果たしているのかどうか、若干疑問を持たざるを得ない、こんな感じがするわけであります。 それからもう一つは、減反政策の問題との関連ですね。どうも市町村の農業委員会の事務担当者の意見などをいろいろ聞いてみると、平均して三〇%の減反政策をとっている。結局は、経営移譲はしても、経営移譲、規模拡大イコール減反面積の拡大、そしてさらに、イコール収益や所得の拡大、こういうことに結びつかないところに大きな悩みがあって、ある意味では減反政策そのものが農業者年金でねらわれた規模拡大につながっていないという隘路があると言われているわけです。こういう問題をどう解決していくか。 もう一つ、もっと深刻なことを言うと、減反政策がとられて今日農業に対する情熱をほとんど失ってしまったために、一昔前の農家では考えられなかったことですが、自分の田んぼや土地がどこにどうなっているのかわからないという状況が広がっているとも言われているわけです。こんな深刻な問題を考えたときに、農業者年金と同時に、もっと日本の農業に夢を持たせる、将来展望が持てるようなことをしっかり確立することなしには、経営移譲やあるべき農業の実現はなかなか難しい今日的な状況にあるのではないかと思うのです。特にこの点を稲本先生に、余り時間もありませんが、簡単にひとつお伺いしたいと思います。
○稲本参考人 この年金制度、二十年を経てどのくらい構造政策に役立っているか、これは数字的にはなかなかあらわせないし、そういう統計は恐らくないと思いますが、私自身も今の御質問と同じような疑問というか疑念をずっと持ち続けてきてはおります。ただ、農業の現状を見ると、それよりも他の原因による農業ないし農村社会の変貌の方が大きくて、その中で年金がどういう役割を果たしたかということがなかなかはかりにくいということは、私もよくわかるところであります。 今、結論的に減反政策やその他いろいろな問題がある中でこの年金制度だけではだめではないかということもおっしゃいましたが、私も率直にそのような感じを持つのであります。ただ、この制度がそれなりの構造改善的な効果を発揮して、日本の農業のあるべき姿を指し示す方向で作用をするとすれば、多分一括して自己の後継者、自己の子供に譲るだけを考えている年金制度ではだめであろう。もちろん全くの第三者に譲ることを強制することもできませんけれども、自分の狭い意味での相続人以外の、農業を行っていくにより適性を備えた人々にも承継の道を開いて、そういうことをより奨励する年金制度をひとつ考えるべきではなかろうかと思います。恐らく、そのような道を開くことによって自己の後継者に移譲する場合の考え方がより厳密となり、また自己の後継者たちの熱意も出てくるのではないだろうかと思います。 外国の例を見てみますと、どこの国においても構造改善効果があらわれるのが一番遅い。それ以外のさまざまな効果はあるといたしましても、構造改善的な効果があらわれるのは、例えて言うならば、原子炉の出力がだんだん上がっていってようやく臨界点に達するような一種の潮どきみたいなものがあって、我が国の諸制度ではまだそういうところまで行っていないかのように思います。ただ、これはかなり長期的に効果があらわれるべきもので、単なる後継者の一括譲渡のみを柱とする制度から、もう少し多角的な制度に変えていく ことによって将来的には年金制度が、これなくしては日本の農業構造の現在はないというものにしていくべきではなかろうか。やめることができない絶対必要な制度でありますけれども、なお工夫の余地はあろうかと思います。 減反政策に関する御質問について、研究者としてということでありましたが、私その能力がございませんので、それはここでは控えさせていただきたいと思います。
○石橋(大)委員 時間が来ましたから、残余の質問は同僚議員に譲りまして終わります。ありがとうございました。
○亀井委員長 西中情君。
○西中委員 初めに、池田参考人にお伺いをいたしたいと思います。 農業者年金の財政運営に大きな影響を与えるものが今後の被保険者数の動向にあるのではないかと私は見ております。今回の財政再計算において、平成二十七年度末で被保険者数を三十四万人、こういうふうにしておるようでございますが、これを実際実現するには、聞くところでは毎年一万五千人ぐらいは新規加入をしていただかなければならない、こういうようなことを聞いております。日ごろから大変御努力をいただいておると思いますが、この見込み、加入促進が図れるかどうか、この辺のところについてお考えを伺いたいと思います。
○池田参考人 私は、この制度が構造政策にシフトしていくということで、今お話しのように平成二十七年には被保険者三十四万、三十四万が正しいかどうかは別でございますが、そういう段階になりますと、この年金制度は質をある程度変えて、それを絶対に守り抜いていくという姿にだんだんなるのではないか。ヨーロッパの年金はその辺まで行っていると思うのです。したがって、そこへ行く姿の中で、今回の改正によりましてかなり加入の促進に対するいろいろな措置が行われたわけでございますが、これを一万五千人というふうに計算して努力をする。現在一万五千人を割っておりますので、これは先ほどいろいろ参考人からお話がありましたように、模様を見ているとか、この中では魅力があるかないか、将来危ない、こういうような問題もございまして、その辺をいろいろな形で今度の改正では手当てを加えるというようなことでございますので、何とかその一万五千人を確保するというのは、我々農業団体を含めまして、受給者あるいは加入者の組織もございますので、また年金基金の当局とのPRを含めまして、全力を挙げてこの問題は仕上げたい。今度の改正をてことして条件が非常に有利になってまいりますので、説得をしながら、この年金の将来の展望の中で、加入者が一万五千人の大台をだんだん割るということになりますと将来極めて心配な姿になりますので、全力を挙げたいと考えております。
○西中委員 竹内参考人にお伺いしますが、年金の新規加入を促進する上においてどういうことが問題になっており、今度の改正で残された問題はあるのかないのか、その辺のところをひとつお伺いいたしたいと思います。
○竹内参考人 私ども加入者が大変心配をしてまいりました多くの問題が今回の改正案の中に含められておりますことについて、本当に敬意を表するわけでございます。今日までこの年金制度が発足いたしまして二十年、この間に幾たびかの改正が行われて改善の方向に参ったわけですが、六十年に大幅な改正が行われ、さらに今回行われるということで、未加入者の皆さん方が今回のこの制度改正を非常に関心を持って見守っているわけでございます。改正をされるごとに保険料が上がるとか、サラリーマン経営者に対するところの年金の二五%の減額だとか、いろいろありまして未加入者の皆さん大変不安で、私どもも加入促進に鋭意努力しておるわけでございます。国が今度補助金を出してくれるだろうか、掛けていてもこの年金がつぶれてしまうのではないかということで大変不安に思っているところでありますけれども、今回このような改正案が出されまして、まあまあ本当に私どもが今まで思っていた、これは納得のできないような問題もありますけれども、最善の策だというようなことで、私ども本当に敬意を表しているわけでございます。自信を持って、これからこの改正案が成立をいたしましたならば、加入者、受給者、農業団体一体となって私ども加入促進に努力をして、この制度の発展のために努めてまいりたい、このように思っております。
○西中委員 大変御苦労ですが御努力を賜りたいと思います。 そこで竹内参考人にもう一つお伺いしますけれども、今度の給付体系では、現行と同様六十五歳到達前の経営移譲ということですが、支給開始時期を農業者の個々の事情に応じて選択できる終身同一水準の年金、こういうふうにいたしております。また年金額を、どの支給開始時期を選択しても他の時期を選択した場合と均衡のとれたものにしておる、こういうようになっておるわけですけれども、こうした改正は農業者の実態と照らし合わせて適切なのかどうなのか、その辺のところの御意見がありましたら伺いたいと思います。
○竹内参考人 給付体系でございますけれども、従来六十歳までに移譲をした者に五年間の移譲年金をということであったわけでございまして、しばらくこの形が続いておりましたので、ここで六十五歳ということは若干の抵抗というか、ないわけではありませんけれども、六十歳から本人の選択によってできるということでありますからそれほどの影響はないと思いますし、最近農家も高齢化が非常に進んでまいりましたけれども、まだ六十五歳ぐらいまでは健康でありますので、六十五歳から終身同一年金だということについては、農家の皆さん方から多分大きな抵抗はありませんし、かえって、ああよかったというような人もあろうかと思いますので、私どもは、この点については本当にこれから十分PRをして理解をしていくように努力したいと思います。
○西中委員 次に、森実参考人にお伺いをいたしたいと思います。 年金財政は年々悪化をしておって、単年度収支は昭和六十一年度から赤字、こういう状況でございます。先ほど御説明もありましたように、年金資産も枯渇するという状況を目の前にしておるわけですが、今度大変な国庫助成をいたすことになろうと思います。そういう助成が行われるわけですが、今後の長期安定経営がこれで確実に確保できたんだ、こういうように自信をお持ちであるかどうか、その点についてのお考えを伺っておきたいと思います。
○森実参考人 私は、今回の再計算に採用された指標が比較的確実性の高い見込み数字に依拠しているという点、それから今委員御指摘のように、高率の国庫助成が特に追加助成を含めて予定されている点から見て、今後二十年間については支障がないものと考えております。ただ問題は、先ほども御指摘がございました新規加入者の確保という点でございます。これも今回の試算は比較的手がたい見方をされていると思いますし、また今度の制度改正で非常に加入の確保に役に立つてこ入れも行われておりますので、このための努力が非常に重要になるのではないか、そのために努力を傾注してまいりたいと思っております。
○西中委員 残された問題としては遺族年金ということでございました。もう既に同僚委員からのお話で皆さん方の御意見は伺いました。私も重大な問題と受けとめておるわけでありますし、女性としての立場を考えますと当然これは何らかの手を入れなきゃならぬな、このようにも思います。しかし、国民の合意を得るという点ではなかなか難しい面もあるのではないかな、こう思っております。したがいまして、二人加入なり女性の加入なりさまざまな案が先ほど出ておりました。私どももよく検討いたしてまいりたいと思いますけれども、皆さん方の方からもいいお考えをぜひ積極的にお出しをいただければありがたい、これは要望でございますけれども、そのように存じておるところでございます。 それから最後に、稲本参考人にお伺いをいたします。 先ほどもちょっとお話が出ておりましたのでダブる感じではございますけれども、今度の大きな法改正を行うについて、これまでの政策年金としての役割がどうだったか、こういうことは私たちも非常に関心を持って見ておるところでございますが、もう少し具体的な資料といいますかそういうものはわからぬものですから、これは評価をどうしたらいいのかな、こう思っております。先生の方で、実績という点ではこれはどういうふうにお考えになっておるのか、評価のほどをお伺いしておきたいと思います。
○稲本参考人 実績について具体的な数字がないということは先ほども申し上げましたし、私たちも確信を持っては言うことはなかなか難しいのでありますが、一つには、この政策年金としての性格が、やはり振り返ってみると、あったようでなかったのではないか、その点が少しあいまいでありました。今後の方向としては、政策年金としての性格を特化、特別化という意味での特化をしていく必要があるのではなかろうか。 ただ、この年金制度は、私たちが農村調査などをいたしますと、もちろん加入農家を訪ねた場合ではありますけれども、私たちが予想したよりもかなり評価がいいのです。それはなぜかということを話していくと、何もないのじゃもううちの子供たちは農業を継いでくれない、こういう制度があるということは大変ありがたいということ。では満足しているかというとそうではないというようなことで、常にこの反応には矛盾したところがありますけれども、主観的にはこれがあるということは大きな支えになっていたように思います。ただ、それが構造政策上どこまで効果があらわれたかということになると、先ほど申し上げたとおり不確かなところが多いのでありまして、今後は構造政策年金としての性格をより強めていくべきであります。 今回の改正は、そういう意味で幾つかの新しい観点を出したかと思われます。今後はやはり経営の態様によって給付のあり方を検討していくというようなことが大事でありましょうし、また、非土地利用型の農家にとってこれはまだ不確かな制度であります。これについてもより適合的なものを生み出して、できれば、今までの制度に余りないオプションという考え方、選択という考え方を盛り込んでいくこともよいのではないだろうかと思います。従来余り効果がはっきりしていなかったにかかわらず、農家側の受けとめ方はかなりよいものがありましたので、今後この改正を通じてこの制度が少しでも成果を上げていくことが期待されるのではないかと考えております。
○西中委員 終わります。
○亀井委員長 藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 参考人の皆さん、きょうはありがとうございます。 私は、まず最初に竹内参考人と池田参考人にお伺いをしたいと思いますが、今回の改正の眼目は、加入者と受給権者それから国が三位一体で負担を負って事業の安定化を図るということでありますけれども、これは農業者にとってみれば、保険料の引き上げと給付の引き下げを突きつけられているものじゃないか、こういうふうに言わざるを得ないわけであります。このことが加入促進という制度の根幹に影響しないかと心配をしておりますけれども、いかがでしょうか。 特に、選択制を取り入れたと言いますけれども、新しい方式は、農業者年金のキャッチフレーズであった六十歳からのつなぎ年金で厚生年金並みを目指すという、そこのところの性格が大きく変わるんじゃないか。六十歳からも前倒しできるんだと言いますが、終身その額がもらえるからといっても、六十歳の入り口で現行の三五%とかに減るんだというようなことは心理的な影響が大きいのではないかというふうに思うわけです。 それから、池田参考人は先ほど、所得水準の見直しで厚生年金並みの給付水準は確保できるんだということをおっしゃったかと思いますが、ことしも農畜産物の価格が引き下げられました。これから米価その他もろもろ価格の引き下げが行われる。過去五年間を見ましても、八五年はゼロでしたし、八六年、八七年はマイナスの所得でした。八八年に〇・九%、やっと八九年で七・九%という状態の中で、果たして本当に農家の所得水準が確保できるのか。政府は四%という数字を挙げて資料を出しておりますが、その点も大変心配をしております。 三点お伺いをいたします。
○池田参考人 掛金が今回八百円ずつ上がるという問題に関連した御質問があるわけですが、先生おっしゃるように、これは加入者、受給者、国、それが一体になってこの制度を守り抜くという仕組みにならざるを得ないわけで、今回はやはり農業者の所得水準その他から見ましてそんなに掛金を上げるということは限界がある、また給付水準につきましても何とか厚生年金並みの水準を守ってもらいたい、こういう問題があるわけで、そうすると国が大きく負担をして新しい助成のルールをつくってもらわなければこれは成り立たないということで、それに対しましても、なるほど八百円ずつ上がるということはそんなに楽なことではないことは事実でございますが、この制度を三者一体で守り抜いていくというような形で実はこの問題につきましては我々は了承し、何とかこれをてことしながらも加入の問題に支障のないように努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。 価格政策の問題にお触れになりましたが、なるほど政府の支持価格がだんだんと低下をし、まあ若干据え置きもございましたが、流れとしてはやはりその方向は、国際化の中で日本の農業の体質を変えていくという姿の中におきましては、その流れというものは否めない方向ではないか。価格政策は一つの限界が常にあり得る。したがって構造政策をもっともっとシフトして、国全体がやっていくという問題でなければならぬと思いますし、またその一環として、この年金制度におきましても構造政策にシフトをしていくというような形で、コストを下げる形におきまして農家の所得を確保する、こういう方向で対応せざるを得ないのが客観的なこれからの趨勢ではないかと思います。そういう意味におきまして、確かに従来は、所得の保障というものを価格でやるというのが国の大きな政策であり、農業者もそれを期待しましたけれども、これからは、それは一定の安定度というのが大事であって、価格をどんどん上げていくという形での農家の所得ということは、国際化の中での日本農業の将来の展望を考える場合には、それはとるべき方策ではないということを農家自体も今は意識をしてきているというふうに私は考えますので、今の御質問の問題につきましては、そのような理解の上でこの制度が、掛金がある程度上がっていくことは耐えていこうというような方向でやる以外にないのではないかというふうに考えております。
○竹内参考人 ただいま先生から、今回の改正で保険料が上がり給付が減るというようなことについて、反応はどうだったかというようなお話でございますけれども、これは、数字ではわずかでありますけれども上がるということあるいは下がるということについては、まんざら抵抗はないわけではないと思いますけれども、何としても私どもは農業者にも年金をということでこのような制度が発足をして今日に至って定着をしてきたわけでございまして、いつも私どもも末端の機関におきまして、多少の困難はあっても、これは将来まで、既に給付を受けた人はいいけれどもこれから残された加入者の皆さん方に、ぜひこの制度は守ていって年金制度の恩恵を受けていかなければいけない、受けさせなければいけないという念願から、私ども加入者、受給者が自分たちで守り抜こう、そういうような考え方で常に努力をしておりますので、まんざら抵抗はないわけではありませんけれども、私どもとしては今回、これまで政府、先生方が御心配をしていただけるということになりますれば、組織を挙げて私どもも努力をしていきたい、このように思っております。 それから給付体系の関係ですけれども、この関 係については、先ほども申し上げましたようにしばらく定着をしておりましたので、この問題についても十分これからPRをして加入者の皆さん方に理解をして努力をしていく、このように思っております。
○藤田(ス)委員 それでは森実参考人にお伺いをいたします。 今回の改正で担い手不足地域における経営移譲の円滑化のために基金が借り入れることができるようにする、こういうことになっているのです。買い入れのときよりも相当該当するものがふえるのじゃないか。しかし、後継者も第三者もいなくて基金に貸すわけですから、基金がだれに貸し付け、どう利用するのかということがいよいよ大変な問題になってくるのじゃないかというふうに考えます。年金は払ってやれるが農地は耕作放棄のままということになっては大変ですし、農政のすべてのツケを負わされるというような感じもするわけですが、基金が持っている見通しと、国に手だてを要求すること、何かおありでしたらお聞かせをいただきたいのです。 もう一つは、私は森実参考人が業務年報ですか、にお書きになったごあいさつ文を読ませていただいたのですが、先般の制度改正以降新規加入者は年々減って、そうして六十三年度も新規加入者が一万六千人にとどまった、こういうことを書かれておりますが、政府の方は、今後その見通しとしては六十五年から三年間は一万七千人だというふうにはじき出しているわけです。今よりもふえるわけですね。さてそういうことになり得るのかどうかと疑問を持っておりますが、いかがでしょうか。
○森実参考人 二点でございます。 まず、基金が経営移譲の対象となる土地の借り入れを行う業務の中身の問題でございます。まだこれは少しこれから詰めていかなければならない点がたくさんあると思っております。基本的には、やはり農業委員会のあっせんで受け手を見つけていく、それから農協の経営受委託で吸収していく、さらに、県によっては農地保有合理化法人に活用していただくということが基本になるだろうと思います。やはり基金がお受けするのは基本的には、地域の農地の需給というのは出し手と受け手が時間的に必ずしも整合しないという点もあるわけでございまして、そういう意味においては、ある一定の期間末端の農業委員会等の御尽力も得てお預かりするというのが基本ではないかと思います。 しかし、確かに御指摘のように、立地条件の非常に悪い場所では、そうはいっても時間をかけてもなかなか受け手が見つからない、そういう場合どうしていくか。これは実は経営移譲年金の支給の内容にもかかわってまいりますし、また広い意味での農地制度の問題にもかかわってまいりますし、また、業務運営の点からは現実にどこまで担保できるかどうかという実施機関としての可能性の問題等もございますので、もう少し時間をかけてしっかり詰めていかなければならないだろう。しかし基本的には今申し上げたように、緊急の場合のむしろ補充的な立場というふうにお考えいただくのが筋道だろうと思っております。 次に、加入者の減少でございます。確かに全般的に加入者が減少傾向にあることは否めませんが、従来からもそうでございましたが、制度改正待ちということで制度改正の前一、二年はどうしても加入者が趨勢的に下がる傾向があることは事実でございます。私は、今度の制度改正では、各面にわたってなぜ加入しないかというアンケート結果にこたえる回答を出していただけると思っております。一つは、やはり財政基盤の強化でございます。もう一つは、分割移譲を導入したということでございます。三番目は、やはり特別保険料、いわゆる保険料の優遇措置を受ける者の要件を緩和したという問題でございます。さらに、最近の時点では、非常に役に立つと思っておりますのは、例の厚生年金等の空期間通算問題がございます。こういったことを十分訴えながら努力をしてまいれば、私は、例えば今までは加入対象にならなかった任意加入の後継者の問題もございますし、農業生産法人の構成員の後継者の問題もございますので、何とか実現できるのではないか。この二、三年相当な努力が要ると思いますが、具体的に申しますと、やはり市町村によって加入率に非常に差があるものでございますから、重点地域を絞り、特に後継者の問題に重点を絞って努力したいと思っております。
○藤田(ス)委員 最後に、稲本参考人にお伺いをいたします。 国が今回追加的な助成をして五年間で千六百億円つぎ込むというのですが、この必要性というのはまさに急速な高齢化と後継者不足にあるわけでありまして、それはなぜかということは、農産物の輸入自由化だとかあるいは価格の引き下げなど、いわば長年の農業つぶしの政策の結果である、こういうふうに考えざるを得ないわけです。もちろん、構造政策の結果少数の後継者に農地が集約されて加入者が減ったなどというようなものではありませんし、農業に希望が持てない、こういう農政のもとでこの先幾ら国庫をつぎ込んでいこうが年金の収支は改善されないのじゃないか、ここに深刻な矛盾があるというふうに私は考えますが、この点先生の御意見をこの際お伺いをしておきたいのです。 それで、フランスやドイツのお話をされましたが、私素人で余り生意気なことは言えませんが、フランスが相当の規模拡大を進めていったその年限というのは非常に長い年月をかけているということを聞いておりますし、中山間ではやはりなかなか規模拡大がうまくないということも聞いておりますが、我が国ではこの十年間に例えば稲作は三ヘクタールを八ヘクタールに中核農家は平均で持っていくんだというような規模拡大を進めるということを、この間の長期展望の中でも政府が発表しております。それに基づいて今回のこの年金改正というのも一つあるわけですが、そういう点もございますので、御意見をお聞かせをいただきたいわけです。
○稲本参考人 年金の収支計算、特に将来見通しについて、私は何も専門家として申し上げる蓄積も余裕もないのでありますが、今回この年金制度の改正に際して行われた試算を私見てみますと、私の予想よりも、例えば今から三十年、三十五年先の被保険者数、約三十万人のオーダーで計算しておられますが、私が予想したよりもなお少な目であります。実は、現在約六十数万人という加入者が、他方で政策目標上の指標である中核農家という観念とどのくらい実際に適合しているかというのが大問題でありまして、質を高めながら全体として数を減らしていくということでありますが、現状においては中核農家として私たちが期待し得るようなもの、そういう農家が年金の加入者の中で恐らく六〇ないし六五%ぐらいを占めているのではないか。仮にそういう推算ができるとすれば、それを八五%ぐらいに高めていくことが必要でありまして、どうしても数%ないしは十数%の変動部分というのは常に先送りとして残るといたしましても、そのようなところまで高めていく必要があろうかと思います。これは恐らく、私よくわかりませんが、年金収支が現在の試算で辛うじてこれは紙の上ではなされておりますが、これが現実のものとなり得るような条件ではないだろうかというように私は思うのであります。むしろ、農業において今よりも収益性の高い経営をしようという意欲を持つ農家をどうつくるか、これを抜きにしては、やはりこの年金収支は、三十年先を考えて仮に三十万人というような加入者数を考え、被保険者数を考えると、仮にそのとき受給権者が二十万人に下がっているだろうということを考えても、このあたりがぎりぎりのところだろうという気がいたします。 他方、規模拡大のペースですが、我が国においては確かに今御指摘があったように、この十五年間の拡大はかなり大きいのです。それ以前には、今ここに数字がありませんけれども、それほどの見るべき変化はありませんでした。これに対してヨーロッパ諸国では、一九六〇年ないし六二年からの十五年間、大体オイルショック前後ぐらいま での間の規模拡大がかなり進んでいて、そして逆にそのツケが一九七〇年代の終わりごろから来たのであります。例えばフランスの例でありますが、大体平均十七ヘクタールという水準で推移してきた経営規模が、構造政策によって二十四、五ヘクタールぐらいまでふえました。約二分の一増です、経営面積にいたしまして。しかし、そのときに問題となったのは、経営の規模を拡大すればそれだけ生産のコストがかかるということと、それだけいわばさまざまな金融制度に依存せざるを得ないということ、それに見合うだけの農業の技術面でも精神面でも担い手ができているかということが大変問題になりました。十分御存じだと思いますが、一九八〇年のフランスの新しい農業基本法では、規模拡大路線を捨てたのであります。そしてそれにかえて、高度の農業教育を身につけた人づくりの方へと進んでいったのであります。これは御承知のように、一九九二年ECの完全統合の問題がありますから日本とはやや違う状況下にありますが、むしろ規模拡大よりは、一たん拡大された経営を充実させて収益性が高いむだのない農業にしようという、市場対応型ではあることは否定できませんけれども、しかしむだのないものにしよう、そのために若返りが要求されているという構造政策になっております。我が国の今回の年金制度の改正にそこまですべてを期待することはできないのかもしれませんけれども、私は昨今の経緯を見ておりますと、ようやくそういう議論も、こう言うと不遜な言い方ですが、農水省にわかってもらえるような段階に来たんじゃないかなというように思っているところです。 我が国の規模拡大というのは、どんどん広がっていくということではなくて、モデル的な農家に相当今まで集中した事例があるということでして、依然その中途でとどまっていてまだ行き先が不確かな農家が非常に多い。これに対してこの年金制度がどれだけのことができるかということになりますと、客観的に見て答えろと言われれば、それほど明確な展望は私にはないのでありますけれども、これをなくすことはやはりできないだろう、こう考えております。
○藤田(ス)委員 ありがとうございました。
○亀井委員長 小平忠正君。
○小平委員 参考人の四人の先生方には本当に御苦労さまでございます。今各党の皆さんからもいろいろと質問されましたけれども、私からも何点か質問させていただきます。 農業者年金制度がスタートしてから早いもので二十年を経過いたしまして、その間八回に及ぶ改正を重ねてまいりましたが、本制度は農村社会に定着しつつあると言ってよいのか、あるいはそうでないのか、そういうところに来ていると思います。今回の改正は、年金財政の安定、経営移譲の推進と老後保障の安定、規模拡大の一層の促進を図ることを目的に行われましたが、農業者年金制度の推進団体である農業委員会系統組織池田専務さんにおかれましては、今回の改正内容に対して十分に満足しておられるのか、その点をお聞きしたいと思います。 またあわせて、当年金では最大の課題は年金財政の確立を図ることですが、今回の改正により長期的安定が図られると考えられます。特に国の助成について、現行の経営移譲年金の給付費用に対して二分の一の助成のほか、一定期間追加助成を行うというふうになっておりますけれども、それで十分なのか、そういう点お伺いいたします。
○池田参考人 今度の改正で満足しておるかという端的な御質問なんですが、私はかなり評価をして、今回はひとつこれで原案で通していただきたい。やはりこの年金というものは、加入者、受給者、国という関係におきまして今回一番高く評価するのは、とにかく七年ぐらい先には枯渇をするというような見通しの中で、国が二分の一に加えて年間平均四百億という多額の助成金をつぎ込んでこれを守ろうというこの姿勢に高く評価をし、また、給付水準もいろいろございますけれども、とにかく農業所得を二十一万というふうに想定をし、これを選択制の中で終身年金にしていくという形においてとにかく厚生年金並みを曲がりなりにも守る、掛金は八百円というようなことで、これでひとつ何とかつないでいくということの見通しがある程度立ってきた。こういうようなことでは、私は満足ということはちょっと言葉としてはどうかと思いますが、とにかくこれでひとつぜひスタートを切って、お互いに努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。そういう意味では、まだ残された問題、遺族年金等は将来の問題としてございますけれども、その他につきましてもこれを実施する過程におきましてまたいろいろな問題も出てくることは当然だと思いますので、それは我々農業委員会の系統もそうでございますし、また受給者、加入者の世話をしておるという立場からも、それらの意見を酌み取りながら今後もまたさらにその改善については努力いたしたいというふうに考えております。
○小平委員 竹内会長さんにお伺いしたいと思いますが、当年金では加入促進が最大の課題となっているわけですけれども、今回の改正では、若い農業者の加入促進として従来の加入要件を緩和し、三十五歳末満の若い農業者について特例を設け、割引の対象にしております。このような配慮もなされておりますけれども、農村の実態からして今後新規の加入者が相当数見込まれるのか、先生のお立場から御意見をお伺いしたいと思います。
○竹内参考人 未加入者の加入促進の問題でありますけれども、何といってもこの年金制度を守り育てていくということにつきましては、まだ全国に十五万九千人、十六万近い未加入者もおりますし、できるだけ多くの皆さんに加入をしていただくということがこの制度を守り育てていくために一番大事な、私ども加入者としての、受給者としての大きな責任であるわけでございまして、この問題については鋭意努力をしてまいりたいと思います。私ども加入促進をしておりますと、先ほども申し上げましたようにいろいろとこの年金制度の将来に非常に不安を持っておりまして、掛けていってもどうだろうかというふうな不安が今日までたくさんあるわけでございます。今、本委員会におきましてもこの改正の問題について御審議をいただいておるわけでございますけれども、末端の地域におきましてはこの成り行きを非常に心配をしているわけでございまして、どうなるだろうというふうなことで非常に不安に思っております。そういうことで、これらの問題等が、先生方の御尽力によりまして成立をさせていただければ、本当に私どももこれを力として十分理解をしていただいて、加入促進に努力していきます。それから、二十年掛けると受給資格があるということで四十になるまでというふうなことで今までおりましたけれども、三十五歳前に加入いたしますと三〇%の割引があるというようなことが今度新しく改正の中に入っておりますので、これらも加入促進の上に非常に大きな役に立つ、このように思っております。
○小平委員 ありがとうございました。 次に、稲本先生に御質問したいと思います。 今ほどヨーロッパ、特にフランスを中心に先生のお話がございました。その中のお話で、私の聞き違いでなければ、ヨーロッパでは農業者の平均年齢が五十歳、そのように言われたかと思いますが、これはどこの国でも高齢化という共通の問題を抱えております。特に日本ではそのような状況に今直面しておりますが、先生は、今後いわゆる高齢者、お年寄りのそういうことのために年金財政の健全化を図る上で何が一番重要な要素なのか。重複するかもしれませんけれども、お答えをいただきたいと思います。
○稲本参考人 財政面から見れば何が一番健全化の直接の要因かと言えば、早く長く掛けてもらうということに一番の大きな問題があろうかと思います。我が国ではなかなか親と一緒に、それも対等の農業者、経営者として農業に従事するだけの条件がないので、後継者も一たん他産業に従事し、後に戻る、こういうようなことでございます。フランスにおいてどうか。事情はそれほどは違わな いのでありますけれども、フランスにおいては親子間の使用貸借による経営の移譲ということは制度上認められなくて、むしろ賃貸借によって親は子に地代を取って貸す、それと他の就農希望者と競争させて、そして賃貸によって経営を移譲していく、こういう仕組みがあります。こちらの方が制度上の目玉になっているのでありますけれども、そういうところでの後継者の問題または高齢化の問題と我が国の問題を比較してみれば、我が国の方は、経営を無償で、すなわち名義をかえるだけで自分の息子に譲り、そして跡を継がせる。このようなことで、何か待っていれば当然にいつかは自分がやることになるが、それまではほかのことをしていてもよい。そのときに、特段の家族外の者との競争ということがほとんどありませんので、経営者の交代の年齢といいましょうか、これが我が国なりに高齢化し、かつそれがあいまい化しているのだろうと思います。 我が国では、早くから農業経営者としての跡取りがこの年金に加入してそしてやっていけるような、そういう方向づけがやはり健全化の一番大きな要素ではないだろうか。既に加入している人たちがやめるという問題もありますけれども、それは数量的には微々たるものでありまして、むしろ、新たにより多く早く加入者を獲得するということが、今一番重要な問題ではないだろうかというふうに思います。
○小平委員 ありがとうございました。 次に、森実理事長にお伺いしたいと存じますが、年金基金の運営の最高責任者として、今回のこの改正に当たって今後の方向として年金財政事情をどのように見ておられるのか、さらには、今回のこの処置によって財政事情が十分に改善され責任を持って今後運営していけるのか。そんなことを中心に責任者としての立場での御意見をお聞かせいただきたいと存じます。
○森実参考人 年金財政の立場で申し上げますと、先ほども申し上げましたように、各指標を比較的手がたく織り込んでいただけたということ、それからもう一つは、追加助成という形で年金資産が一定以上には減額しない、つまり一定の引き当て資産を残すということを頭に置いて追加助成を考えられたこと等を考えますと、私は今後二十年間の問題としてはまず安定したと考えていいと思います。 ただ問題は、やはり一つは加入者をどれだけ確保できるかでございますが、これについても、専業農家は五十万と見込まれて加入率は八割強ということで見込まれておりますので、比較的手がたい数字であり、今回の制度改正によって加入者の皆さんに訴えていくならば、目標到達することは努力によってはある程度可能ではないかと私は思っているわけです。 一番心配なことは、これはすべての年金財政に共通の問題でございますが、インフレの問題でございます。この問題が、かつてのオイルショックのような事情があれば別でございますが、そういう事情がない限りは私は安定したと考えていいと思っております。
○小平委員 ありがとうございました。 池田先生、もう一回大変恐縮なんですが、農業者年金基金の業務を事実上委託されておりまする農業委員会、それに対して今法令上何ら明記されておりません。あるのは市町村ということだけですね。今回の改正では一定の位置づけを行う、そういう方向のようでありますけれども、特に農業委員会の皆さんにおかれてはこのことで日夜大変繁忙なときを過ごしておられます。そういう意味において、年金業務の整備拡充について具体的にどういうことを求めておられるのか、またその位置づけ、それについての池田さんのお立場での御意見をお聞かせ願いたいと存じます。
○池田参考人 私の意見開陳の中で農業委員会の年金業務に対する制度的な位置づけとまた事業の簡素化ということを申し上げておるわけでございますが、御案内のように今農業委員会はいろいろな仕事をし、特にこれから農地二法等を軸として、いわゆる土地の流動化に対する農地銀行を軸とした中心的な事業を推進しなければなりませんが、それの一環的な形での構造政策を推進する年金制度、農業委員会では大変多忙をきわめておる、事務量がふえてきておってなかなか容易ではないというのが現実の姿でございます。しかしこれは農業委員会に与えられた一つの義務であるということで、この問題を強く取り組んでおるわけでございますが、残念ながら、制度的に農業委員会がこれを担当するという面につきまして必ずしも明らかにされていない。いわゆる市町村の姿の中において委託を受けている。しかし実際は、これは農業委員会が担当していることはだれもが知っているわけでございます。したがって、今回は法律事項ではないかもしれませんけれども、省令等でその辺の問題をひとつしっかり位置づけをしていただきたいということを念願をしております。また、政府におきましても今回そういう問題をひとつしっかりやろうというようなことで、期待をしておるわけでございます。 〔委員長退席、大原委員長代理着席〕 それから、いずれにいたしましても非常に事務が煩雑であり、特に認定業務を行うということは、非常にこれは後で責任問題が出ることが多いわけでございまして、かつてはこのことのために自殺者が出るというようなことまであった歴史があるわけでございます。したがいまして、制度的な位置づけと事務の簡素化、これについて格段の御配慮を願いたいというのが念願でございます。よろしくお願いいたします。
○小平委員 どうもありがとうございました。
○大原委員長代理 阿部昭吾君。
○阿部(昭)委員 私は、今回の改正について森実理事長を初め皆さんが大変御努力をされた、その意味で、この改正案の内容についてはそれなりの前進という考え方を持っているのであります。ただ、今森実理事長のおっしゃる、これで二十年間はまあまあ大丈夫だろう、私は実はそうは思っておらないのであります。 今、カロリー換算で自給率は四九%とかあるいは四八%ぐらいに下がっておるのじゃないか、こう言われております。今の日米構造協議などを中心として、日本農業の将来は一体どのようになっていくのかということは、まだまだ非常に流動的である。このことを農業、農村の第一線、現場の皆さんはやはり注目をしておるわけであります。したがって今農村の、私なども長い間農村を駆けめぐってきましたけれども、一つの耕種、米づくりなら米づくり、あるいは畜産なら畜産、あるいは果樹なら果樹、単一耕種で専業農家というのはべらぼうに少ないのであります。それから、今度いろいろな複合的な経営をやってというのが最近私どもも大いに力を入れている部面でありますけれども、なかなかうまくいかぬというのが非常に多い。 そこで、今農村の地方社会におきましては、比較的面積の多い専業農家よりも、兼業農家で兼業の安定しておるという人が、経済的には農村社会でだんだん力を持ってきておるという状況が出てきておるのであります。安定兼業の皆さんは農業年金に入らぬのですよ。そうはいっても、兼業の方も農村では非常に不安定兼業が多いのであります。そうするとこの兼業の皆さんは、農業年金と厚生年金などの間をどっちになっていくのかということが大変これも不安定なんであります。この辺のところが将来、この五年、十年、二十年、どのようになっていくのかという見きわめをつけないと、今度のこの制度改定、特に大変な御努力で年金財政に国の負担というものを法律的に相当鮮明にしたという意味では安定感を増してまいりました。しかし、森実理事長、大変な御努力をされたことは私評価しておりますけれども、まあまあこれで二十年間大丈夫だろうというふうに私は実は思っておらぬのであります。そこで、やはりもう一歩進めるとすれば、遺族年金の問題であるとか農業従事の奥さん方であるとか、このあたりの位置づけがちゃんとなってくると、年金そのもののボリュームとしては基礎構造が相当しっかりする。二十年、三十年、見通しは立つというふうに も思われるのでありますけれども、御努力に私は大変な評価をしておりますけれども、残念ながら二十年、三十年、これでまあまあやっていけるぞというほど実は確信を私は持っておらないのでありますが、その辺のところを池田参考人また森実理事長、私のこういう見方に対して各先生方からそれぞれお願いをしたいのであります。
○池田参考人 二十一世紀の展望の中で、今度は政府も長期見通しを立てたわけですが、それ自体いろいろ工夫なり努力はしておりますが、私もあれで十分な見通しだというふうには残念ながら考えておりません。しかし、日本の農業が将来の展望の中で国際化をたえながらどういうふうに確立するかというようなことは、やはりどうしても日本の国として当然やらなければならない農政の中心の課題であるというふうに考えるわけでございます。その中で、今お話がありましたように、専業農家と兼業農家の関係が、構造政策の推進の中におきまして、年金もその一翼を担うわけですが、どういうようになっていくかということはかなり不透明であるということは事実であると思います。私は、安定兼業農家が農村にたくさん存在することは、農村の将来の展望の中におきましても一つの安定した姿としてそれはそれなりに評価してよろしいと思うのでありますが、しかし、農業の生産力を基本的に担うのは、やはり専業的な農家がどこまで大きくなりながら体質を強化して、それが日本の農業生産のシェアを、今御案内のように中核農家の稲作農家は三〇%のシェアしか持っておりません。これが六割なり七割を担う、そういう農業構造を将来の展望の中ではつくり上げなければならぬ、またそれでなければ将来の日本の農業は国際化の中でたえていくことができないのではないかというふうに考えるわけでございます。 そういう姿の中で、今度政府が大きな負担をして年金の安定化を図るということは、やはり年金制度そのものの安定と同時に、この年金が将来の日本の農業の構造改革の一翼を担うんだ。一翼であります、全体ではない。そういう意味で安定した姿をここで取り戻して全体として年金を守り抜いていく、こういうのが今回の改正案ではないかと思います。したがいまして、私は先ほども満足ということは言っていないわけですが、これでとにかくスタートを切ることが大事である。果たして二十年間もつかもたないかという議論はもう少し経過を見ながらいろいろ考えていかなければならぬ問題がそこにはあるのではないか。当面計算上はそれが成り立つ。しかも、森実参考人は、これは地道な計算をしてその姿ができ上がっておる、心配なのはインフレだけである、こういうお話でございますが、果たしてそうなるか、農業構造の変革がどういう姿で動くかということとの関連が当然出てくると思います。とにかく今回の法案は前向きの改正案でございますので、これをひとつ仕上げていただいて、そして今後の推移の中でそういう問題をいろいろ考えなければならぬと思いますし、また、それとの関連で農村にどういう変化が起こってくるかというようなことで、加入者、受給者等からのいろいろな要望も出てくると思いますので、遺族年金の検討を含めてそれらのことをこれからいろいろやっていく必要があるのではないかというふうに考えております。
○森実参考人 ただいま阿部委員の御指摘ございました安定兼業農家と専業農家のかかわり合いというのは、構造政策の展開を図る上で一番基本的な事項であることは事実だろうと思います。特に、見ておりますと、安定兼業農家が現時点では農村ではかなり有利な状況にあるということは事実だと思います。しかし、次の世代交代を通じ十年以後ぐらいにはそういった安定兼業農家の後継ぎが皆農業をやらなくなるという事態も予測される兆候がたくさんございます。かたがた、やはり農村の就労実態はそう固定的なものではございませんで、安定兼業農家という方も雇用機会、所得機会としては他の雇用機会、所得機会に比べると比較的不安定だという側面もあるわけでございます。ここら辺をどう見るかは、確かに私は次の段階で農業者年金制度を議論するとき基本論になると理解しております。事態をどう予測するかは非常に難しいわけでございますが、現時点でも少なくともその突破口になるというか、その足がかりだけはしっかりつかんでおきたいというのが念願していたところでございます。実は今回の厚生年金加入者等との空期間の通算という問題は、農村の就労実態に対応するというだけではなくて、やはりその問題に対する一つの足がかりになるのではないかという意味で、私もこの制度改定を強くお願いしていた経緯があることは御理解賜りたいと思います。 次に婦人問題でございます。私は、遺族年金も非常に重要な検討課題だと思います。しかしこれについては、はっきり言うと年齢、階層に応じて、また、加入者と受給者の間において利害の対立などという難しい側面があることも事実でございます。したがって、この問題と同時に、私は婦人の労働実態に応じた評価を年金制度にどう反映させるかが非常に大事だと思っております。一人の専業労働で大体やっていける経営については、婦人が主体の場合は婦人加入を積極的に進めることが非常に重要ではないか。実はこれが御主人のサラリーマン化と並行して行われる場合はある種の安定兼業になるわけでございますし、まずそれを積極的に進めることがどうしても要るんじゃないだろうか。これは幸いなことに三十代の方では既に八%という数字になっておりますので、むしろもっと高い率に持っていける努力をしていいんじゃないだろうか。それからさらに、大規模経営につきましては二人加入という問題も、これからの課題として遺族年金等と並んで少し議論を詰めていただく必要があるのではないだろうかと思っております。 御指摘の点は非常に基本論であり、年金だけではなくて他にも非常に関係のある問題だと思いますし、また年金としても常時ウオッチして考えていかなければならない問題だと思います。ただ、私先ほどから申し上げましたのは、希望的数字ではなくて、中核農家については比較的手がたい数字を見て計算されたという点で手がたい見込みだということを申し上げたわけで、御理解を賜りたいと思います。
○阿部(昭)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。
○大原委員長代理 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 この際、参考人各位に一言お礼を申し上げます。 参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。 参考人各位には、御退席をいただいて結構でございます。 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時二十六分休憩 ────◇───── 午後一時三十三分開議
○大原委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。 内閣提出、農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石破茂君。
○石破委員 今般、農業者年金基金法の一部を改正する法律案、これが提出になりました。私ども、国際化、高齢化、過疎化、兼業化、そういうように厳しい農業情勢の中にあって、本案は大変に時宜を得たものだと基本的に考えておる一人でございます。ただ、大臣にお尋ねをいたしたいのは、先般来ずっと言われておることでございますが、農政不信ということが非常に言われておる。今、農業者の方々が高齢化をしておる。また若い人の後継者が少ない。それはなぜであろうかということを考えるときに、単に現象的に米価が余り上が らないとか転作面積が多いとか、そういうようなことだけではないであろうというふうに思っております。つまり一番の問題というのは、これから先、将来農業がどういうふうになっていくのであろうか、五年先、十年先ではなくて、実際後継者をつくるというのは、二十年先、三十年先、五十年先に日本の農業は一体どうなるのかなという展望が欠けておるところに一番の問題点があるのではなかろうかと私は考えておる一人でございます。 今回この年金法の改正というのは、結局は後継者をいかにつくっていくかということも大きな要因でありましょうし、また、日本の農業のウイークポイントと言われておる規模の零細化をどのように拡大していくかということもございましょう。大変に将来を見通した法案であろうかと思っておるところでございますけれども、一体日本の農業は将来いかにあるべきかということについて、まず基本的なお考えを大臣から承りたいと存じます。
○山本国務大臣 お答えをいたします。 今、石破委員御指摘のとおりでございまして、問題は、日本農業の将来に対して展望が持ち得る、そういう農業政策を一刻も早くしっかり樹立をしなければならない、そしてまた、そのことを政治も行政も生産者もあるいは消費者も含めて同じ路線で考えていかなければならないというふうに私はずっと仕事しながら思っております。 そこで、この間来たびたび予算委員会あるいは当委員会でも答弁してまいりましたが、若い人がこれから農業をやっていこう、後継者が跡継ぎをしていこうという気持ちになるような、そういう農政の展開が必要だ、こういうふうに言い続けてまいりました。しかし、現実にこの現役の方々、現在やっている方々、あるいは先輩の方々、相当お年を召してもなおかつその地域の中心になって農業で頑張っている方々、その方々の姿を見て若い人が自分の将来を考える、自分の将来にダブらして考えるというふうなこと等を考えますと、希望と安心というものが並立をしなければならないというふうに思っております。その希望の持てるような、そして現状ある程度安心のできるような農政の展開の中で、きょう御審議をいただいていきます年金の問題などはその一つの大きな基礎であり、あかしでもある。そういう意味で非常に大事だ。今、時宜に適したという委員の御指摘がございましたが、私どももこれに対して非常に大きな期待を持ちながら今度の法案を準備させていただいた、こういうことでございます。
○石破委員 さて、具体的なお話を承りたいと存じます。 農業者年金基金法というものは、昭和四十五年に成立をして四十六年に事業開始以来十九年が既に経過をしておる。この制度は、農業者の中にあって確かに広く定着をするようになったというふうに評価はされております。ただ、この十九年間に社会の状況は、一変という言葉を使ってもよいほどに変化をした。先ほど申し述べましたように国際化が非常に進展をして、高齢化、過疎化が進んだということは否めない事実だと思っております。特に日本社会は先進国でも例を見ないスピードで高齢化が進んでおる。どの国も経験をしたことのないような速さで、人類が初体験をするスピードで高齢化が進む。ましてや農村というのは、その高齢化を二十年も先取りをしておる。そういうように人類が経験したことのない事態に我々日本農業は直面をしなければならぬ、そういうことだと私どもは理解をいたしております。これはもう農業の問題というよりも、一つの社会問題ではないのかなというふうに思っております。そういう中にあって今回の改正案を提出をされたわけであります。 これができたときに、いろいろな目的を持って政策年金という位置づけがなされたわけであります。例えば経営の若返りであるとか細分化の防止であるとか、はたまた規模の拡大であるとか、農業者にも年金をという福祉の観点とあわせてそういう政策目標が設定をされて、十九年間が経過をしてきたはずであります。よく悪口を言われますのに、日本の農業はちっとも規模の拡大が進んでいないではないか、欧米に比べてこんなことで太刀打ちができるのか、そういうような批判を浴びることがございますけれども、そういう政策目標というものがこの十九年間に本法によってどのように達成をされたのか、具体的な数字も織りまぜながら御説明をいただきたいと存じます。
○片桐政府委員 先生御指摘のように、この農業者年金は、農業者の老後の保障という目的のほかに構造改善を進めるという政策目的があるわけでございます。この年金制度が構造政策の面で具体的にどういう効果を発揮したのかという御質問でございますけれども、これについて説明させていただきますと、現在、本年金の加入者といいますか、これは農業を専業とする中核的な農業者が加入者でございまして、平成元年度末で六十三万人があるわけでございますが、全農家数の中に占める割合というものは一五%というふうに少ないわけでございます。ただ、この加入農家はかなり規模の大きい農家でございますので、経営耕地面積で見ますと五二%の経営耕地面積を占めておりますし、また、農業生産額で見ますと五〇%というふうに非常に大きな地位を占めております。また、一戸当たりの耕地面積で見ましても純生産額で見ましても、全農家に比べますと大変に規模の大きい農家が加入農家というふうになっているわけでございます。 本制度は、このような中核農業者の適期の経営移譲を通じて農業構造の改善と、それからまた農業者の老後生活の安定というものを目的にして運営されておりますけれども、具体的に申し上げますと、まず農業者の老後生活の安定、それから若い農業者の確保という面で非常に大きな役割を果たしてきたというふうに思っております。 さらに経営農地の細分化防止という観点で見ますと、農業経営主の引退とか相続に伴いましてその経営農地が分散し細分化するおそれがあるわけでございますけれども、この制度では後継者移譲に当たっては後継者への一括移譲というものを要件としておりまして、その点から経営農地の細分化防止を図っているわけでございます。経営移譲の約九割が後継者移譲でございまして、この制度発足以来現在まで、この後継者移譲によって移譲された農地の面積は約百三万ヘクタールあるわけでございまして、この農地につきまして細分化が防止されてきたというふうに考えております。 それからまた、後継者以外の第三者に対する移譲というのがございますけれども、これによりまして第三者の経営規模拡大が促進されたというふうに思っております。この第三者に対する移譲の面積は制度発足以来約七万ヘクタール譲り渡されているわけでございますけれども、これによりまして第三者の経営規模拡大が非常に進んでいるというふうに見ております。ちなみに六十三年、六十三年度平均で見ますと、都府県で一ヘクタールの面積が一挙に規模拡大されている、そういう実績になっております。
○石破委員 確かに我が国だけ見れば、本法によって規模の拡大というのに随分貢献をしたという言い方はできると思っておるのです。ところが、この国際化の中にあっては、要するに外国と比べて勝ち残っていくことができるのかということが大きな問題でありましょう。 私の知る限りでは、たしかフランスと西ドイツで似たような制度が導入をされておるはずであります。この両国においては、私どもの国よりははるかに規模拡大が進んでおるはず。年金制度というのはそう差があるとは思っておりません。それでは、私どもの国が似たような年金制度を有しておるにもかかわらず規模の拡大というのが両国に比して劣位にあるのは、ほかにも要因は多分あるのでしょうね。ただ農業者年金だけで規模の拡大をするということは無理な話なんで、幾つも幾つもあるような制度、その中の一環としてとらえるべきものだというふうに理解をしておるわけでありますが、諸外国と比べて制度の相運点などあれば教えていただきたい。そしてまた、相違がない のにもかかわらず、我が国の固有の理由で何か規模の拡大が相対的に遅いということがあるとすれば、一体それはどのような理由に基づくものであろうかということで御教示を賜りたいと存じます。
○片桐政府委員 農業者年金制度ということで見ますと、外国ではやはりフランスと西ドイツの制度が非常に知られている制度でございます。私どもも昭和四十五年に日本の農業者年金制度をつくるときに、フランスと西ドイツの農業者年金制度をある程度モデルにしたという経緯があったわけでございます。 このフランスと西ドイツの農業者年金制度の共通の特徴というものを申し上げますと、まず農業者の職域年金として、独立の制度として機能しているという点がございます。それからまた農業者の老齢年金、これは農業者の老後保障を主たる目的とするものでございまして、この部分については拠出制で保険料支払いがなされているわけでございますけれども、それに政策的な年金といたしまして離農年金というものをつけ加えております。これは離農を促進いたしまして農業構造の改善を目的にするということで、これは無拠出制、全額公費で実施する、こういう二本立ての制度でございます。この離農年金の方は時限措置といいますか、そういう形で実施しておりまして、時限が来ますと、いろいろ工夫しながら延長しているというようなやり方を続けているわけでございます。 この両国の年金制度は私どもの年金制度の改正においてもいろいろ参考にさせていただいたわけでございますけれども、両国とも老後保障それから農業構造の改善の促進というものを目的としているわけでございまして、近年、質の高い農業者の確保により重点を置いている、構造改善をより促進するという点に重点を置いて制度の運営を行っているというふうに理解いたしておりまして、私どもの今回の改正におきましてもこのような考え方をある程度取り入れた次第でございます。 それからまた、フランス、西ドイツと比べて日本の農業構造の改善の進み方が遅いではないかというような御指摘でございますけれども、これはもともと日本の農業規模とそれからフランス、西ドイツの規模にはかなりの格差がございました。そういう出発点の格差もございますし、それからまた、日本の場合には農地に対する農家の執着心というのが非常に強くありまして、農地を手放すということが非常に困難といいますか、そういう事情がありまして、日本の場合には農地の売り買いとか貸し借りによって規模拡大というのがなかなか進みにくいという事情があるのではないかと考えております。
○石破委員 さて、今般の改正がなされるわけでありますが、それには社会的な構造が変化をした、背景が物すごく変わったということがあろうかと思います。この際、もう一度参考のために教えていただきたいのですが、どのような社会構造の変化、社会的な背景の変化をとらえて今回の改正がなされるのか、その背景についてお教えをいただきたいと存じます。
○片桐政府委員 今回の改正の背景でございますけれども、まず、近年農業者の兼業化とか高齢化の進行によりまして加入者が減少するという点、それからまた一方受給者が増加するということで、もう既に平成元年末には受給権者数が加入者数を上回るというような状況になっているという点がまず一つでございます。 それからまた、農村社会は高齢化が非常に急速に進行している、これに対応した年金給付体系が必要になっているのじゃなかろうかという点が二点目でございます。 それから三点目といたしましては、先ほどフランス、西ドイツの年金制度にもありましたように、政策年金として農業構造改善の積極的推進というものをより一層進める必要があるのではないかという、この三点が主な背景であると考えております。
○石破委員 それで、農村がなぜ急に高齢化しちゃったかということなんですが、要するに日本の普通のスピードに比べて二十年速い高齢化だとよく言われる。そのことが農村の高齢化として何か当たり前のような気がしているのですが、さてもう一度原点に返ってみて、どうして農村は一般社会に比べてこんなに高齢化が進んでしまったのかという点について教えていただけますか。
○片桐政府委員 まず農村における高齢化の現状でございますけれども、全国平均に比べてかなり速いテンポで高齢化が進行しているわけでございます。具体的に数字を申し上げますと、六十五歳以上の高齢者が平成元年には総農家人口の約二割を占めているというような状況でございますし、それからまた平成十二年、紀元二〇〇〇年には三割弱に達すると見込まれております。 なぜ農村でこのような高齢化が全国平均に比べて進むのかということでございますけれども、これは、日本経済の高度成長の過程で農村から若い労働力が都市にかなり流出したということが反映されているものであると考えております。
○石破委員 しからば、一体いつごろ経営を移譲するのがよろしいのでしょうかということなんですけれども、つまり適当な時期に移譲することを促すというか促進するというか、そういうことなんでありますが、一体何歳ぐらいに譲ればいいものなんだろうかということです。今回の法改正によって給付体系の変更がなされる。すなわち現状では、経営移譲年金を六十歳以降六十五歳までの経営移譲の時期に応じて支給する、その額は六十四歳までと六十五歳以上では十分の一と大変な格差が設けられておるわけであります。言葉を変えれば、早くもらえばもらったほど得ですよ、早く若返りなさいよ、こういうのが今の制度である。ところが今回の改正によって、六十五歳以前の経営移譲が要件であるという点は変わらぬわけでありますけれども、変わりますのは、六十から六十五歳まで個々の事情によって選択ができる、どの時期を選択してもほかの時期を選択した場合と変わらないのであります。均衡のとれたものにする。逆に言えば、早く譲ろうが遅く譲ろうが、それは変わらぬのだよということになっておるはずなんです。今までは、とにかく早く譲った方が得ですよ、若返りなさいというふうに持ってきておったわけですが、これから先はそうでもなくなった、どの時期に譲っても変わりませんよということになるわけで、冒頭述べました政策目的の中の若返りということから考えれば、何かこれに逆行するような印象を与えないでもない。その点についてどのようにお考えでありましょうか。
○片桐政府委員 現行の制度は、先生御指摘のように、六十歳で経営移譲して年金を受給するというのが一番有利な制度になっております。したがいまして、六十歳で経営移譲することを誘導する制度になっておるわけでございます。 しかし、この制度ができてから約二十年になるわけでございますけれども、その間、まず平均余命といいますかそういうものが四歳ちょっと延びているということがございます。それからまた、農業に参入する後継者が、新規に学卒で参入する方もございますけれども、大部分の方々は離職して農業に就農するという方が多いわけでございますが、その離職就農者の年齢構成を見ますと次第に年齢が高くなっているというような事情もございます。そういう平均寿命が延びているというような事情、それからまた離職就農者の年齢が延びているというような事情を勘案いたしまして、六十歳で離農を勧めるという考え方を改めまして、六十歳から六十五歳までの間でその農家の個々の事情によりまして選択していただいて離農するということを今回の給付体系で考えた次第でございます。六十歳から六十五歳の間で離農して新体系での年金を受給した場合にどの時期を選んでも受給総額はほぼ同等であるというような制度に切りかえまして、その離農の年齢を選択制度に変えたということでございます。こういうような変更は、やはり現在の農村のそういう高齢化の事情、実態に対応した変更ではなかろうかと考えている次第 でございます。
○石破委員 確かに実際農村を歩いてみますと、経営移譲の場合には実態を伴ったものでなくてはいけない、こう言われるわけですね。だから、土地改良区の役員であるとか、そういう役職もみんなやめなければいかぬ、それは六十歳でやめるというのは幾ら何でも早いのじゃないかというような指摘がよくなされることでございます。そういうような意味で、これは六十歳で実態を伴った移譲ということをしなくてもいいわけでありますから、農村の現状に即したものかなというふうには思っておるところでございます。 それでは今度は給付の水準についてなんですけれども、つまり年金というものは老後の保障ということが確かになくてはならぬはずであった、実際にそれが保障されるのだろうか、老後が豊かに暮らせるのだろうかという不安が農業者の方々には必ずつきまとうだろうと思っておるのです。仮に六十歳からもらうということを新しい体系で選択した場合に、生涯の受給総額というものが現体系とどのように差が出るのだろうかということ。それから、もらう額は大して変わらぬと言われるわけでございますけれども、今の体系と新体系で生涯受給総額という点ではどのような差があらわれると予想されるか、お教えをいただきたいと思います。
○片桐政府委員 今回の新給付体系では、いわゆる加算つき経営移譲年金、これを六十五歳から受給した場合の給付額を現在の厚生年金並みという形で設計いたしているわけでございます。生涯の給付実額で見た場合に、例えばこの改正法施行日時点で六十歳以下の者、これから年金の受給を開始する人について見ますと、現行の制度での六十歳からの受給と新制度での六十五歳からの受給を比較いたしますと、新給付体系が完全に適用される例えば昭和十一年度生まれ、施行日時点で見ますと五十四歳以下の方々でございますけれども、これでは生涯の年金受給額が一割ないし二割程度この新体系の方が多くなるということで、特に若い層ほど増加の程度が高くなるわけでございます。また、昭和六年度から十年度生まれ、施行日時点で五十五歳から五十九歳で見ますと、四%から八%程度高くなるというような計算になるわけでございます。 ただ、先生御指摘のように六十歳支給を新体系で選択した場合にどうなるかということでございますけれども、これは六十五歳支給を選択した場合に比べまして、生涯の給付実額で見て、ある程度少なくなっていることは事実でございます。これは、新給付体系では六十五歳に近いほど給付額の水準が高くなるために、それ以前で受給した給.付水準の場合に比べまして物価スライドとか所得スライドによる年金の増分が大きくなるということで、こういう結果になるわけでございます。
○石破委員 さて、年金財政の長期安定化という点について御見解を承りたいと存じます。 私ども、これは農業者年金ではない別の年金、言ってしまえば厚生年金の支給開始年齢をどうするかということで昨年大変な思いをしたことがございました。私どもは、とにかく世の中に打ち出の小づちというものは絶対にないと思っておるのでございます。世の中は、楽をして働いて、そしてまたたくさんの年金が早くからもらえれば一番いいことには違いがないわけでありますが、そういうようなうまい話は世界のどこにもない。昨年厚生省の方から厚生年金六十歳支給を六十五歳に引き上げてはどうかというような案が出されたところ、時期尚早であるという大変なおしかりを受けまして、再検討するということになったのは記憶に新しいところでございます。 しかしまた、目を転ずれば、鉄道共済年金というものがあって、あれは物の見事に支払い不能に陥るようなことになった、よって厚生年金等々から支出をして何とか支えることになった、これもまた記憶に新しいところでございます。それから、年金というものは自分が払ったものを自分がもらうわけではない。若い人が払ったものをお年寄りが受け取る。世代を越えた親孝行だというふうに言われておるのはそういうゆえんによるものであろうというふうに思っておるわけでございますけれども、考えてみれば当たり前の話で、若い人が支えてお年寄りがもらうわけですから、若い人が少なくなりもらう人が多くなればこれはつぶれるのは自明の理でございます。だとすれば、それをつぶさないようにするにはどうすればいいのかなというふうに考えてみると、道はそんなにたくさんあるわけではない。一つは受給の金額を減らすことだろう。もう一つは保険料を上げることだろう。もう一つは、支給開始年齢をおくらせて、もらう人の数を減らすことだろう。さらに言えば国庫の助成というような考え方もあるかもしれないけれども、選択の道というのはそんなにたくさんないので、先ほど申し上げましたように、支給開始年齢をおくらせるか、給付の水準を下げるか、保険料を上げるかというくらいの話しかないだろうと思っておるのでございます。 さて、この農業者年金法を改正するに当たりまして、これを支払い不能に陥らせることは絶対にあってはならない。公的年金というものは要するに政府の信用そのものであろうと思っているのですね。これが支払い不能になるということは政府そのものが信用ならないということになってしまうわけでありますから、いかなる手だてを講じようともこれを維持していかねばならぬだろうというふうには思っておるところでございます。ただ、その選択の幅は著しく狭いであろう。金額を減らされるのは嫌ですよ、保険料はこれ以上はもう払いませんよ、早くからもらいたいですよ、そんなことは通用しないだろうと私は思っておるのでございます。 さて、先ほど来御説明がありますように、特に農業者年金というものは財政事情が極めて悪いというふうに言われておりますけれども、その現状というのはどのようになっておるか、そしてまた、このように悪化した原因はどのようなものが考えられるか、お教えをいただきたいと存じます。
○片桐政府委員 まず農業者年金の財政事情の現状でございますけれども、年金財政は年々悪化をしているわけでございまして、単年度収支では昭和六十一年度から赤字となっておりまして、年金の資産もこのままの状態で推移すれば数年で枯渇するというように見通されておる状況でございます。今回の改正では、このような事態に対処して年金財政の長期安定を図るということが最も重要な課題であったわけでございます。このため、今回の改正におきまして、加入者それから受給権者及び国が一体となりまして年金財政基盤の長期安定を図りたいということを考えている次第でございます。 まず加入者に対しましては、その負担能力を勘案しながら保険料を段階的に引き上げるということを考えております。具体的には、平成四年に一万二千八百円といたしまして、以後毎年八百円ずつ引き上げまして、平成八年には一万六千円という保険料を設定いたしております。 それからその次に、既に年金を受給している方々に対しましては、従前の年金額は保障いたしましてカットすることはいたしませんということでございますけれども、給付体系の変更に伴いまして、今後受給権を取得する者との均衡を図るために、新年金額が物価スライドで従前の年金額に追いつくまでの間、物価スライドをしばらく停止するということを考えております。 それからその次に、国は経営移譲年金の給付費用につきまして、その二分の一の国庫助成というのが現行の制度になっておりますけれども、これに加えまして、農業構造改善の一層の促進に資するという観点から、追加して国庫補助を行うということを考えております。このうち平成三年度から七年度までの当面の五カ年間につきましては総額約千六百億円の追加の国庫補助を行うことといたしまして、この旨を法律案に明記いたしておるわけでございますし、また、平成八年度以降につきましても、当分の間、追加の国庫助成を行うということを法律上明記いたしているわけでございます。平成三年度からおおむね二十五年間にわた りましてこのような追加の国庫補助が必要ではないかというふうに私ども試算いたしておりますけれども、この追加の国庫補助は、二十五年間にわたりまして大体年平均四百億円ぐらいの追加補助が必要ではなかろうかというふうに見込まれております。なお、現行の二分の一の定率補助の方は年間約八百億円というふうに見ておりますので、合計いたしますと国庫の支出は年間千二百億円ぐらいの支出になるのではないかというふうに見込んでおります。 これらの三者一体になった措置によりまして、現在赤字となっております単年度収支を次回の財政計算までには黒字に転じさせるということ、それからまた、農業者年金基金の年度末資産に経済変動に備えまして一定の余裕を持たせるということが可能になり、年金財政は長期的に安定していくものというふうに見ているわけでございます。
○石破委員 今いろいろな御説明があったわけでございますが、まず保険料の引き上げについて承りたいと存じます。 近年、とにかく農業所得というものはずっと低迷をしておる。その理由はいろいろございましょうけれども、農家所得は上がっておるのですが、農業所得自体はずっと低迷を続けておるわけですね。そういう中にあって今回保険料の引き上げを行う、これは農家にとって重い負担となるのではないかという御指摘が一部からあるように思っております。私自身は決してそのように一概に考えておるわけではありませんけれども、これが過重な負担となる懸念はないか、また新規加入の阻害要因となりはしないか、この点につきましてお教えいただければと存じます。
○片桐政府委員 先ほど説明いたしましたように、保険料の引き上げをこの法律では設定しているわけでございますけれども、この保険料の引き上げにつきましては、農家の所得と保険料の関係、それからまた厚生年金加入者の保険料負担の状況等を総合的に勘案して、段階的に引き上げるということにした次第でございます。 保険料の段階的引き上げ幅といたしましては、前回の再計算時、五十九年度でございますけれども、その引き上げ幅と同じ八百円ということにいたしているわけでございますけれども、前回の八百円は現在価格で算定いたしますと八百六十円ぐらいに相当するわけでございまして、この分、実質的に引き上げ幅は前回より縮小しているというふうに考えている次第でございます。 それからまた、こういう引き上げが新規加入者の意欲をそぐのではないかという御指摘がございますけれども、私どもといたしましては、三割引きの特定保険料という制度がございますけれども、これは現在は三十五歳未満で親の経営規模が平均規模以上であるというような一定の後継者のみに適用しておりますけれども、今回の改正では三十五歳末満のすべての加入者に適用するということにいたしまして、これらの対象者、特定保険料の対象となる者は約三倍に増加するということで、若い加入者には負担軽減となるのではないかというように考えております。 それからまた、本年金の加入者は国民年金の保険料も納付するということが必要でございます。夫婦二人で納める分と、それからまた農業者年金の保険料を合算したものが農家が負担するという形になるわけでございます。こういう国民年金の保険料と農業者年金の保険料とを合算したものが農家経済の中でどの程度の負担になっているかということを、一つの指標といたしまして厚生年金の本人負担分の保険料率と比較してみますと、ほぼ同程度であるというふうに考えておりまして、この程度の負担は、現在の農家経済、農業所得だけではなかなか難しいわけですけれども、農業所得プラス農外所得、農家所得ということで考えますれば負担は可能ではないかというふうに考えている次第でございます。
○石破委員 次に、国庫助成について承りたいと存じます。 六十年の改正によりまして経営移譲年金に要する費用の半額が補助をされるということになっておるわけでございますけれども、他の年金に類を見ない国庫補助制度というものがなぜ農業者年金には設けられておるのか、まずそこから承りたいと思います。
○片桐政府委員 現在、公的年金に対する国庫助成は、国民年金の給付費用に対する三分の一助成というのが中心になっておりまして、それ以外の厚生年金、共済年金等には国庫助成はないわけでございます。 なぜそれでは農業者年金だけこのような助成があるのかということでございますけれども、これは先ほど西ドイツ、フランスの制度も御紹介いたしましたけれども、農業構造の改善を促進する、経営移譲ないし離農を一定の方向に方向づけて構造改善を促進するという政策の目的があるわけでございまして、そういう政策目的に寄与する年金ということで国の助成が特別にこの農業者年金にされているというふうに解している次第でございます。
○石破委員 今回、平成三年八十六億、平成七年が五百十六億、そういうような多額な補助がなされるという案が出て、財政の健全化を図っておるわけであります。さて、この額というのは一体どういう根拠で算出されたのかなということでありますけれども、これの算出の根拠というものをまず教えていただきたい。 そしてまた、平成三年から七年までということが定められておるわけでありますが、平成八年以降は一体どのようになっていくのでしょうかという見通しについて承りたいと存じます。
○片桐政府委員 現在の現行の経営移譲年金に対する二分の一助成というだけではなかなか財政を安定させることができないというのが状況でございます。しかもまた、保険料の引き上げの方も限界があるというような観点から今回追加の助成ということを考えたわけでございます。 この追加助成の額の算出の考え方でございますけれども、まず第一点は、次回の再計算時までには単年度収支を黒字にしたいというような点がまず第一点でございます。それから第二点は、農業者年金基金の年金資産、これが、年度末の年金資産が翌年度の年金給付予定額を下回らないというようなことを念頭に置きまして金額を定めた次第でございます。 それからまた、八年度以降の追加助成額はどうなるのかという御質問でございますけれども、先ほど私が説明いたしまして、大体二十五年間にわたりまして追加助成額四百億という話をいたしましたけれども、これは、一応保険料の額が平成八年度で一万六千円ということでございますけれども、この一方六千円というものを据え置いてやった場合に大体追加助成が年平均四百億円ぐらいの額になるのではないかというふうに算定した次第でございます。しかし、八年度以降の具体的な額につきましては、次回の再計算のときにまたいろいろそのときの経済情勢を見ながら、保険料の額等も勘案しながら具体的には決められていくのではないかというふうに考えております。
○石破委員 午前中の参考人質疑のときにも申し上げたことでありますが、要は、やはり農業というのは国民みんなで支えていかねばならないものだという基本的な認識に私は立っておるのです。したがって、国家助成というものを行うことはもちろん必要なことであるし、これは国民みんなで支えるという観点に十分合致するものであるというふうには考えております。しかし、これをほかの年金との整合性で考えてみた場合にどうなるのでしょうかということが大きな問題だと私は思うのですね。 厚生年金をどうするかというときに問題になったことであります。つまり、鉄道共済年金が危機に瀕したときに厚生年金から支出をするということで、厚生年金受給者の皆さん方からは、何で我々が鉄道年金のために金を出さなくてはいけないのだというような非常に強い御批判があったと覚えております。今回の場合には、何で農業者年金が苦しくなったらば国民から出すのですかというような批判というものが出るということも予想され ないことではない。ほかのいろいろな公的年金等との整合性において納税者の理解を得られる、つまり、農業というものは国民全員で支えるものなんですよ、農業者年金をつぶしてはいけませんよということを国民に周知徹底させる、そういう認識を持たせる、これが一番肝要なことではないかと思っておりますけれども、納税者の理解を得るそういうような手だて、また大義名分、そういうようなことについてお考えを承りたいと思います。
○片桐政府委員 農業者年金に対するこれだけの国庫助成、特に追加助成という措置まで今回いたしまして財政基盤を安定するということでございますけれども、これにつきましては、やはり農業者以外の国民の理解というものをぜひ得ることが必要であるというふうに考える次第でございます。私どもといたしましては、やはり農業の構造改善を着実に進めて農業の生産性を向上させるということが、まず何よりも重要なのではなかろうかというふうに考えている次第でございます。
○石破委員 ぜひそういうような観点において納税者の理解を得られるように、これはどうしても必要なことだと思っておりますので、構造改善をさらに進めていただいて——一番大切な産業である農業はみんなで支えるのだという認識が私はどうも日本の消費者には著しく欠けているのではないかな、安ければ外国から入れればいいであろうというような安易な考えをされては非常にぐあいが悪いわけでありまして、私は、そういうような農産物自由化に対する考え方も、本年金を国庫が助成をするのだということも、実は根っこは一緒だと思っておるのですね。ですから、どうしてもそこの理解を得るために、生産性向上等々構造改善の一層の推進をぜひお願いをしたいと思っておるところでございます。 次に、規模の拡大についてお教えをいただきたいと思うのでありますが、今回、分割移譲ということが出てまいりました。現行では後継者移譲または第三者移譲、どちらかを選択しなさい、後継者移譲にあっては細分化防止の観点から一人の後継者への移譲を要件とするということになっておるわけであります。今回、一括移譲から分割移譲を認めるということになりまして、これは細分化防止というような考え方からさらに進んで、さらなる規模の拡大への道を開いたというふうにも考えておるわけでありますけれども、本制度を創設された意義、そしてまた、これから期待される効果についてお考えを承りたいと存じます。
○片桐政府委員 先生御指摘のいわゆる分割移譲の導入でございますけれども、これは今回の改正の一つの柱でございます構造改善の要請にさらにこたえるというための導入であります。 現在、この経営移譲の現状を見ますと、一人の後継者への一括移譲を要件といたしておりますけれども、その後継者移譲が移譲全体の九割を占めているという現状でございます。あと残りの一割が第三者移譲ということでございますけれども、しかも、この九割の後継者移譲のうち、いわゆるサラリーマン後継者に対するものが約六割を占めているわけでございます。このサラリーマン後継者に対する移譲にかえまして、農業者年金加入者である第三者に経営移譲をすれば加算つきの経営移譲年金が支給されるというふうに現在なっているわけでございますけれども、第三者移譲というものがいろいろな事情がございまして、第三者委譲により離農するということに対する抵抗というものがございまして、まだなかなか第三者移譲が進んでない状況にあるわけでございます。このため、農業者年金加入者等の第三者に相当部分の農地を譲り渡しまして、サラリーマン後継者に残りの農地を譲り渡す、そういう分割移譲方式を今回創設いたしまして、農業者の意向に配慮しながら農業の中核的な担い手への農地の集積を図るということをいたしたわけでございます。 今後の分割移譲の見通しでございますけれども、毎年の経営移譲面積のうちサラリーマン後継者に対する移譲面積、これは六十三年度で大体四万二千ヘクタール、全体の移譲面積が約十万へクタールございますので四割強を占めているわけでございますけれども、このうち三割程度、一万三千ヘクタールぐらいが分割移譲に供されまして、その二分の一以上、過半が第三者に移譲されるのではなかろうかというふうに見ている次第でございます。 そのほか、サラリーマン後継者に対しまして使用収益権の設定によりまして一括移譲をしている農地、これは特定処分対象農地というふうに私ども称しておりますけれども、六十三年度までの累計で約二十九万ヘクタールあるわけでございますけれども、既にこういう形でサラリーマン後継者に移譲された農地の中にも、一部を第三者に処分したいというものが約二〇%程度、面積にしますと約六万ヘクタールぐらいあるのではないかというふうに推計いたしております。この六万ヘクタールも直ちに一年間で全部第三者にいくということはないかと思いますけれども、年々この六万ヘクタールのものも相当部分が農業者年金加入者等である第三者の農業経営に供されるというふうに見ているわけでございます。
○石破委員 それでは次に、離農給付金についてお尋ねをいたしたいと思います。 今まで離農給付金制度というものがどのような役割を果たしてきたかということ、また、今回十年の延長がなされたわけでありますけれども、これでどのような効果が将来期待をされるのか、そしてまた、この離農給付金がどのような根拠において金額が算定をされたか、簡単に教えていただきたいと思います。
○片桐政府委員 離農給付金支給事業の果たしてきた役割でございますけれども、現在の離農給付金制度、昭和五十五年度以降平成元年度末まで約十年間の離農給付金の支給件数でございますけれども、一万五千二百二十四件、支給金額にいたしまして九十四億円というふうになっているわけでございます。この支給によりまして、離農者が手放した農地の面積は約一万六千ヘクタールに及んでいるわけでございます。一件当たりの平均処分面積は一ヘクタール、かなり大きい面積でございまして、一般の農地移動の平均面積、一件当たり三十アールの約三倍ということでございますので、この離農給付金によりまして経営規模の拡大の効果ということがかなり大きかったのじゃなかろうかというふうに思っている次第でございます。 このように、離農給付金の事業は、安定兼業農家が所有して経営している農地を対象に、これを一括して農業者年金の加入者に集積する点にねらいがあるわけでございます。離農に直接働きかけるという、他に類を見ないような強力な構造政策であるというふうに評価している次第でございます。
○石破委員 次に、若手農業者の加入促進について承りたい。 年金財政健全化のところへ話が戻ってしまうようでありますけれども、とにかく母集団を拡大していかないと年金財政ひっくり返るわけですね。そうすると、若手の農業者にいかにして加入を勧めていくかということを進めていかないと根本的な解決にはならぬというふうに考えております。そういう人たちが今までよく加入をしておるとはどうも言いがたいような面がなきにしもあらずなのでありますけれども、これを今回の改正によってどれだけ魅力的なものにし、またいかなる手だてを使って加入促進を図ろうとしておられるか。
○片桐政府委員 これから若手の新規加入を促進することは極めて重要であるというふうに考えております。今回の措置では、まず法律の改正といいますか、二つの措置を実施しているわけでございます。 一つは、特定被用者年金期間の創設という措置でございます。最近では、農業と他産業との間に労働力の流動性というものが高まっているわけでございます。現行制度におきましては、年金給付に当たりまして二十年の年金受給資格期間の要件を設けているわけでございますけれども、そのた めに、本年金に一たん加入した者が他産業に就業してほかの年金に加入した場合には、その後この農業者年金に加入しようとしてもこの二十年の期間を満たせないというような方々が生じているわけでございます。こういう労働力のいわゆる流動性というものに対応いたしまして、今回は、そういう被用者年金加入期間のうち農業を行っていた期間の一定期間、五年を上限といたしておりますけれども、これを本年金の年金給付の受給資格期間である二十年に通算するという形でこの問題に対応いたしているわけでございます。したがいまして、他産業に一時従事するかもしれないという形で農業者年金に加入をためらっている方々に対しまして、こういう特例があるのですよという形で加入を促進できるのではないかというのが第一点でございます。 それから第二点は、先ほども説明いたしましたけれども、特定保険料の適用の拡大という措置でございます。現在では、三十五歳未満で親の経営規模が平均以上の一定の要件を満たす後継者に三割引きの特定保険料を適用しているわけでございますけれども、今回の改正案では、特定保険料の適用範囲を拡大いたしまして、三十五歳未満のすべての加入者に適用することにいたしておりまして、これによりまして現在の対象者の約三倍に拡大されるということでございます。 この二点のほかに、任意加入規模の農家、これは経営面積にいたしまして三十アールから五十アールぐらいの農家でございますけれども、この経営主それからまた農業生産法人の構成員の後継者、これは現行制度では加入できないことになっているわけでございますけれども、これらの者は現在一万二千人程度と推計されておりますけれども、今回の改正によりましてこういった者の任意加入も可能といたした次第でございます。このような今回の改正措置によりまして新規加入を促進してまいりたいと考えている次第でございます。
○石破委員 あと二点ほどお伺いをいたしたいと思います。 私どもの県も過疎県と言われるところでございますけれども、要するに譲りたくても譲る相手がいないじゃないかという地域がたくさんあろうかと思っているわけでございます。山村過疎地域などというのはまさしくその典型であって、譲りたくても従事者となる農業者が少ない、よって経営移譲が円滑に進まず、過疎化が進み荒れ地がふえるということがあるようでありますけれども、それを防止するために今回どのような措置がなされたかということについてお願いをいたします。
○片桐政府委員 過疎地域等で経営移譲の相手方が見つけられないというような場合があるかと思いますけれども、そういう場合には確かに経営移譲年金の支給が受けられないということになるわけでございます。 今回、こういうような事態に対応いたしまして、いろいろな努力をしたいというふうに考えております。特に、農業委員会のあっせんとか、農地保有合理化法人への売り渡しとか貸し付け、こういうような仕組み、それからさらに農業者年金等への売り渡しということも従来から用意されているわけでございます。しかし、これらの措置によってもなお経営移譲が行えないというケースも考えられますので、今回の改正で、農業者年金基金がみずからその農地を借り入れて貸し付けるという業務を、そういう能力を農業者年金基金に付与したいというふうに考えている次第でございます。このような措置によりまして、何とかそういう経営移譲したくてもできないというような事態をできるだけ解消していきたいというふうに考えている次第でございます。
○石破委員 最後に一点ちょっと、本案とは直接関係がございませんが、お尋ねをいたしたいと思います。 私は、農村の高齢化というのは恐らくとまることはないであろうなと実は考えておるのです。それは、日本全体が高齢化していく中にあって、定年の延長ということがこれからどうしてもやっていかねばならぬ課題となるわけですね。被用者年金にしても六十歳を六十五歳にするということが考えられておる。だとすれば、六十から六十五歳まで働ける場というのを確保していかねばならぬ。そういう人たちが今六十で農村に帰ってくるのに、今度は六十五で帰ってくるということが近い将来考えられるであろう。これは農業者の高齢化ということではなくて、農村コミュニティー自体はさらに高齢化していくであろうなということが私は十分に予想されることだと思っておるのです。そういう中にあって、高齢化した農業者なるものが果たしていくべき役割とは何であろうかということを考えていかねばならぬだろう。単に年金をもらって、お孫さんのお守りをして楽しく暮らすというだけでは、これは困るのであって、やはり産業としての農業というからには、そういうような高齢化した農業者もそれなりの役割を農村社会の中で果たしていっていただかねばならぬのではないか。力のある、知識のある、そしてまたやる気のある高齢化した農業者というような概念を新しく創設をして、考えていく必要があるんじゃないか。そうしなければ農村コミュニティー自体の高齢化というものは解消できないし、単にお金をもらうだけでは真の福祉ではないであろう。生きがいのある高齢化農村というものについてどのような対策、またお考えがおありか。できれば大臣にお尋ねをいたしたいと存じます。
○山本国務大臣 お答えいたします。 石破委員から貴重な意見を交えましてさまざまな質疑がございまして、傾聴しておりました。 最後に農村における高齢者の生きがいを含めた生き方の問題について、こういうことでございまして、私は冒頭申し上げたとおり、若者対策と、今まで農村をしっかり担ってきた、しかもお年を召した方々、この方々の双方とも、車の車輪のように新しい農村づくりのためには考えていくべきであるし、またそれなりの役割をそれぞれ担っていただかなくちゃならない。特に高齢者の方々というのは長い間培ってきた技術や経験というものがありますから、それらを、生産活動はもとよりですけれども、地域社会づくりの中にぜひ生かしていただきたい。また、それだけの経験と実力は十分お持ちだ。ですからその長年にわたる貴重な経験、体験を農村再生のために先達として生かしていただきたい、こういうふうに考えておりますし、またその方々の役割は非常に重要だというふうに考えております。 そこで、農林水産省といたしましては今までもそれなりの、この年金問題もそうでございますが、この年金改正というのは今先生から御指摘のように、次の時代を展望しながら新しい改正を思い切ってやったということで御提案を申し上げておりますけれども、例えば平成二年度には予算の中で、高齢者の農業生産活動への参加を促すための研修とかあるいは交流活動あるいは簡易施設、こういうものを整備をするための事業などにも参加をしていただこう、特に今お話しの山村地域などにおいて高齢者の就業の機会というものを拡大するために、木材加工施設などを整備する事業等々を発足させて農村における高齢者の皆さんの役割を一層充実させていきたい、これはもう過疎法とか山振法とか、みんないろいろございますから、それらも総合的に活用しながら、新しい農村づくりのために先達の高齢者の貴重な体験と実力を生かしていくように我々やってまいりたい、こう考えております。 〔大原委員長代理退席、委員長着席〕
○石破委員 終わります。
○亀井委員長 目黒吉之助君。
○目黒委員 大臣、私は初めての質問であります。これまでの質疑で幾つか大臣答弁なさっておりますが、とにかく日本農業を明るくしよう、こういう強い意欲を持っておられることにつきましては全く同感でございます。ただ、明るくするためには現状の暗い部分も取り除かなきゃならない。これは非常に大事なことだと思うのですね。私は、そちらの方をかなり重視をしながら、明るい農業を切り開いていかなきゃならない、このように考えております。きょうも、そういった面も取り入 れながら、これから幾つか伺ってまいりたいと思います。 最初に、農業構造問題に関連をいたしまして、農業者年金基金法の一部改正案についてこれから伺ってまいります。 これまでいろいろ議論もありましたが、この制度は、農業者の老後の生活安定と適期の経営移譲、あるいは農業経営者の若返り、経営規模の拡大などを目的として四十六年から実施をされてまいりました。以来今日に至るまで八回の法改正が行われて、六十年にはかなり大幅な改正が行われてまいったところであります。今回の改正案では、一つは農村の高齢化に対応した適期の経営移譲の推進、それに伴う給付体系の変更、それから二つ目は年金財政基盤の長期安定化、三つ目は経営移譲による規模拡大の問題が大きな目的になっておると思います。その中身を見てみますと、要約して言いますと、一つは国庫助成の大幅な増額、一一つは加入者の掛金のこれまたかなり大幅な引き上げ、三つ目は年金受給付水準のやはりかなり大きな引き下げ、この三つに要約されると思います。要するに、受給者と加入者と国庫と、この三つが痛み分けをするというような形で制度の危機的な状況を乗り切っていこう、こういうものであろうと思います。 それで伺いますが、私はこのような事態を招いたいわば背景について、農業構造の変化を十分に見通せなかった、構造変化の見通しにやはり一定の甘さがあったのじゃないか、このように思うわけでありますが、この点、大臣はどのように見ておられますか。
○山本国務大臣 先生からまず御指摘のございました日々非常に厳しくなりつつある日本の農政をとにかく守っていこうということでは、まさに認識が一致しておる。これはイデオロギーの問題を超えているのだ、あるいはそれ以前だ、私はこういう認識をいつも持っているわけでございます。 また、暗い部分云々というお話がございましたが、私は暗い部分があることは否定をいたしません。いたしませんが、暗い部分について暗い暗いと言うよりは、暗夜に光をともすという言葉がありますけれども、光をなるべくともしながらだんだん黎明を待つ、こういうふうな心境も持ちながら、今、日々対応している、こういうことをまず申し上げたいと思うわけでございます。 足腰を強くしていくために、いろんな方策がございます。また、先ほど石破委員にお答えしたとおり、将来の展望と安心、これは両立だ。こういう考え方の中で十九年間にわたる年金法のしばしば改正が委員のお話のとおりございましたけれども、今度は相当思い切って、時代に即して年金制度、農業年金というものの改正案を出した、こういうことでございます。その中で構造政策、これは農業政策の基本であることは私が今さら申し上げるまでもございませんけれども、これは内外の情勢が日々刻々変化をしていく中で、やはり基本的には国民が納得してくれる価格での食糧の安定的供給、これが農政の担う一番大きな役割でございますから、その安定供給をするために、地域の実情に即して農地の売り買いあるいは貸し借り、あるいは農作業の受委託、これなどを進めながら、目的としては中核農家の規模を拡大していくということ、あるいは生産組織をしっかりさせていく、促進していく、こういうことに尽きるだろうと思うわけでございます。 そのために、三本柱とでもいうのでしょうか、三つの構造政策の柱がある。一つは農業生産基盤の整備、こういうことでございます。それから一つは、農地の出し手、受け手というのがございますが、この両方に対しまして奨励金を交付するなど、いわゆる農地の流動化施策、これを総合的に実施をしていこう。それから三つは、今の出し手農家の安定的な就業機会を確保する。出しちゃって後どうするか、こういう農家に向かって就業機会をどうやって確保するか。例えば、農村地域における工業導入促進ということなどもその一つでございますが、それらを総合的に進めながら構造政策の一層の推進を図っていく。こういう三本柱で進めてまいりたい、こう考えておりまして、なお具体的な問題につきましては局長の方からまた補足をさせたい、こう思っております。
○片桐政府委員 先生から現在の農業者年金制度がなぜこういう危機的状況になったのかという問題でございますけれども、やはり何といっても、年金加入者が減少すると同時に受給権者が増大したという農村の高齢化の進行ということが一番大きな原因であったというふうに考えます。そのほか、物価スライド等によりますいわゆる過去勤務債務等の累積というようなこともございまして、現在のような財政状況になったのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。先ほど来御説明しておりますように、こういうような状況に対応いたしまして、今回改正案を御提案申し上げている次第でございます。
○目黒委員 私は、これまでの構造政策の目標と現状とに相当の乖離が生じておって、この点が問題視されない限り、若返りの問題もあるいは加入者の問題もなかなか解決しない部分が残るのではないか、そういう点で見通しに少し甘さがあったのじゃなかろうか、このように申し上げたわけであります。十分に納得したわけじゃありませんけれども、なぜこのことを私が提起をして問題視をしておるかという点について、非常に重要だと思うものですから、構造政策の目標と現場との乖離の問題として認識をしておいていただいてこれからの施策の参考もしくは留意事項にしておいていただきたい、こういう立場で二、三申し上げますので、答えがあったらもう一度お願いします。 一つの事例なんですけれども、これはいずれも私どもの新潟県の現場の事例です。その一つは、昭和四十五年から六十年までの間に、五戸以上の集落が百八十三、実はなくなっておるわけであります。このごろもこの傾向は若干進んでおります。それにはそれなりの原因がありますけれども、なぜそのように過疎地帯を中心にした地域の荒廃が起こったか、農村の荒廃が起こったか、ここはやはりどうしても振り返ってもらわなければならない課題だと思っております。 先ほど来、議論もありましたが、やはり農産物価格の低迷もその一つでありましょう。若手の担い手不足もその一つですし、減反や転作農政もこの一つであったろうと思いますし、就労の場がない、こういうのもそのような状態にしていった一つの要因であろう、このように思います。ただ問題は、農業で生きてみようということで一生懸命そこにつかまっていた人でも、やはり少人数ではできない部分というのがあるわけですね。施設管理、維持管理あるいは共同作業の部分ができませんから、ついにここも離農するということで廃村になる、こういう事態がこの間にやはり相当全国でも進んでおります。これは何も年金制度の構造政策だけの問題じゃございません。こういういわゆる山間農村地帯の問題あるいは平場地帯は一体どうなのかということになってまいりますと、先ほど来答弁されておるように、そういいことばかりじゃない、やはり取り除かなければならない悪い面もある、そういう意味で申し上げておくわけであります。 やはりこれも新潟の事例で、平場を中心に一万一千戸ほどの専業農家のうち千六百三十四戸、昭和六十二年に倒産寸前という状態がありました。これは実に専業農家の一五%を占めておりますから、重大な問題というふうに私は認識をいたしております。その負債総額百六十五億三千万円、一戸平均千百十一万円、経営形態別では、やはり複合農家がそのうち三百四戸、再建可能農家と診断されたのが五百六戸、いずれも、これは繰り返すようですが、専業農家であります。 なぜこのように経営が悪化したのかということになってまいりますと、どうしても検討していただきたいと思っておりますのは、午前中の議論にもありました、中核農家に農地を集中して規模拡大を図る手法一本では、やはりそれなりの投資もしなければならない、そして価格が合わないとすればやはり経営体質というのは弱体化をするという側面のあらわれとして理解をしなければならな い面もあろうかと思うのです。ここのところにメスが入りませんと、農村の荒廃というのは一定程度の歯どめをかけていくことができないのではないかという問題視をしておるわけでありますし、それがないとまた構造政策も順調な推進はできない。同時に、年金制度の運用にかかわる若手の加入の問題あるいは未加入者の加入の問題というものについてもなかなか達成されていかない部分に当たるのではないか、こう思っております。今日、制度改正のいわゆる深部の背景になっておる一つの要因ではないか、私はこう思うわけでありますが、この点についてどのように理解をしておられるのか、もう一度御答弁を願います。
○片桐政府委員 農業構造の改善の進め方の問題でございますけれども、私ども確かに個別経営の規模拡大一本やりではなかなか難しいという事情があると思っております。その辺は、地域の実態に応じまして、個別経営の規模拡大が可能なところはそういう方向で進んでいただくということで、例えば北海道等ではそういう方向で進めていただいているのではないかというふうに考えております。 しかし、地域によりましては、そういう個別経営の規模拡大というのが非常に難しい条件があると思います。そういうような地域では、集団的な生産組織というものをできるだけ組織化していきたいというふうに私ども考えておる次第でございます。その集団的な生産組織につきましても、中核的な担い手が中心となりまして、それで兼業的な農家を組織化いたしまして作業を共同化していくとか作業を受託していくというような形で作業規模を拡大するような手法、方向、それからまた機械の共同利用とか共同作業とかという形で、構成員みんなが農作業に参加するような、そういう共同組織による規模拡大といいますか、そういうようなやり方も地域によってはあるのではないかということで、そういういろいろな手法によりまして、地域の実情に応じて関係者の合意をつくりながら経営規模の拡大、作業規模の拡大というものを進めていくような方向で施策を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
○目黒委員 今度の制度改正の要因になったところに直接結びついたことについてお触れにならないようでありますけれども、やはり背景の一つとして理解をする必要があるのではないか。これは新潟の地方紙である三十五万部を擁する日報の社説の最後の部分ですけれども、これまでの農業構造政策が農業縮小をもたらしたことを厳しく反省をして方向転換を図るべきじゃないかという認識もあるようでございますので、これらの点につきましても、この年金制度だけが問題ということではないわけでありますけれども、先ほど来申し上げておりますように、これだけに起因すると思っておりませんが、そういう現場のことも十分に認識をされた上で、これからの取り組みをこの際、強く要望しておきたいと思っております。この点は、今後も構造政策と本制度の関係は将来見通しを立てる上で密接不可分の関係にございます。 そこで、先ほど来若干議論はございましたが、将来の加入者数、あるいは目標とする経営規模などについてどのような見通しを持っておられるのか、お伺いをしておきたいと思います。 また、制度の運用に当たって若い担い手の確保の問題、これもなかなか難しい問題でありますけれども、どのような展望を持っておられますか、あわせてお伺いをいたします。
○片桐政府委員 まず、本年金の加入者の見通しの点でございますけれども、平成元年度末の加入者数は約六十三万人でございますが、今後農業者年金の加入者数をいろいろな観点から推計いたしてみますと、年々一万六千人とか七千人とか、そのぐらいの新規加入者というものをまず見込んでいろいろ推計をいたしまして、平成七年では四十六万人、それからまた平成十二年では四十万人というふうに、漸次減少すると見込んでいるわけでございます。 また、こういう中核的な農家の加入者の経営規模の問題でございますけれども、地域における多様な営農条件によっていろいろあるわけでございます。平均的に見ますと都府県で現在中核的な農家は約二ヘクタールぐらいの経営規模というふうに見ておりますけれども、これが平成十二年、紀元二〇〇〇年には約二倍の経営規模、四ヘクタール程度というふうに見込んでいる次第でございます。 それからまた、新規の加入者の促進の問題でございますけれども、先ほど来説明いたしておりますように、特定保険料の適用の拡大、それから被用者年金期間の空期間通算等の措置によりまして新規加入者の増大を推進してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○目黒委員 そうしますと、紀元二〇〇〇年、平成十二年に中核農家は大体平均四ヘクタール規模、推計では五十万戸、そして年金加入者は八〇%として四十万戸、こうなっているわけですが、農家戸数は大体どうなりますか。
○片桐政府委員 平成十二年の農家戸数は三百六十万戸というふうに見通している次第でございます。これは、平成元年の農家戸数が四百十万戸という見通しでございますので、大体年々平均一・三%の減少。中核農家の方は平成元年度で七十万戸ということでございまして、平成十二年では五十万戸ということでございますので、年平均の減少率は三・五%というふうに見通している次第でございます。
○目黒委員 この点についてはこれから議論もしていきたいと思いますが、きょうは若干別問題でございますので、次に移らせていただきます。 次に、年金財政の長期安定化についてお伺いをしてまいります。 今回の改正案では、年金財政の長期安定化を図るために平成七年までの間に千六百億円の追加助成を行って、二分の一の定額助成と別枠にこれが行われるわけでありますが、同時に保険料を毎年八百円ずつ引き上げる、こうなっております。平成八年から当分の間国庫助成については同様の法律補助を行う、こうなっておるわけでありますが、これは、本改正の背景となっております加入者と受給者が逆転をするために行われて、先ほど来の議論の中で政策助成として行う、こういう御答弁があったわけでありますが、八年度以降も四百億円は法律補助、このように理解をしておるわけでありますが、保険料については、四百億をこのまま継続していく場合に引き上げは検討段階で考えておらないという意味の御答弁に先ほど私は受けとめたのですが、それでよろしゅうございますか。
○片桐政府委員 追加の国庫助成につきましては、平成七年までは保険料の設定もこの法律案の中で一応決まっておりますので、正確に計算ができるわけでございますけれども、平成八年度以降は、次回の再計算の際に保険料をどうするか、それからまた年金給付水準をどうするかということ等が関連するわけでございます。私ども、その辺のところを一定の仮定を置いて八年度以降の追加助成がどのくらい必要かということを算定してみたわけでございます。その仮定といたしまして、保険料は一万六千円という水準をそのまま据え置くという前提で、それからまた給付水準等も、物価スライド、所得スライド等は、例えば物価スライドは年率二%程度、所得スライドも年率四%程度というような前提を置きまして、どのぐらい追加の国庫助成が必要かということで算定したところ、平成三年度から平成二十七年度まで約二十五年間、年平均約四百億円の追加助成が必要ではないか、こういうふうに算定した次第でございます。
○目黒委員 この点でもう一点。そうしますと、わかりましたが、給付水準につきましてはどのようにお考えですか。
○片桐政府委員 今回の改正案で示しております給付水準につきまして、物価スライド、所得スライドをそのままスライドさせるという考え方で算定している次第でございます。
○目黒委員 ちょっと舌足らずでしたが、八年度以降の給付水準に対する検討でございます。
○片桐政府委員 八年度以降の給付水準につきましても、この改正案で示しております給付水準に ついて、年率二%の物価スライド、それから年率四%の所得スライドでスライドさせていくというふうな前提で計算した次第でございます。
○目黒委員 次に、提案になっております給付体系の変更と給付水準の問題についてお伺いをしてまいります。これも今まで随分細かい議論が行われましたので若干ダブる面もあるかもしれませんが、お答えを願いたいと思います。 今回の改正案には、給付体系の変更と給付水準の一定の引き下げが提案をされておるわけであります。いわゆる三方痛み分けという形になっておるわけでありますが、大臣、このような改正に当たって、やはり給付水準が引き下げられるということは全く好ましからざることでありまして、給付水準の引き下げは行わないという前提でいろいろな財政やりくりがあってしかるべきだと思うのです。これはなかなか言うはやすくて難しいことかもしれません。今回は給付水準もやはり下がっているわけですね。この点について、大臣は一体どのように受けとめておられるのか、また、この給付という事業についてどんなふうな考え方を持っておられるのか、所見をひとつ承りたいと思います。
○山本国務大臣 これは先生、なかなか言うはやすく難しい問題だ、こういうお話がございましたけれども、この給付水準の問題、今回の給付体系の変更ですね。これは、前提といたしまして、幾度かここで議論も出ておりましたが、農村の高齢化が進行しておる、一般よりもさらに進行しておるというふうな実態があるわけです。それに対応して行うことに相なるわけでございます。もう一つは、さらに日本人の寿命が伸びまして、人生五十年じゃないわけで、もう人生八十年以上ですから、六十歳を超えても心身ともに壮健な農業者の方がふえておる、十分お仕事ができるという現状でございます。ですから、六十歳での経営移譲というものを画一的に誘導するのじゃなくて、個々の選択に任せる、こういうことも入れまして、そして六十五歳までの間で適当な時期に経営移譲をやってほしい、それは各人の判断によって選択をしていただいて結構だということで、実質的に長く先々まで、よくピストル型の図面が表示されますけれども、老後保障の充実を長く図ろうとする、こういう意図でございます。したがって、今回この点が一つのポイントでございまして、私も随分勉強させていただきましたけれども、これは農村の実態を踏まえた適切な措置だ、こういうふうに私どもは判断をしておるということでございます。
○目黒委員 適切な措置であるか、引き下げがやむを得ない措置であるか、ここのところは聞きたかったところなんですが、再答弁していただけますか。同じですか。
○山本国務大臣 これは適切な措置だと私どもは考えております。それは、今図面の話をいたしました。先生もごらんになっていると思いますけれども、非常にわかりやすいわけです。あれを、ピストルと言うのは余りいい例えじゃございませんけれども、あの形を、今まで細くなっているのをもっと太くしまして伸ばしたという考え方に立っているわけでございまして、相当な工夫をして、しかも選択の自由ということも含めてやったということで、御理解を賜りたいと思っております。
○目黒委員 それでは次に移りますが、先ほど来、全体でどのくらい引き下げになるのか、この議論がございましたね。何かしら全体で二百万円ぐらい上がるような御答弁があったわけでありますが、平成二年の価格そのままにしておくと、全体で何%くらい引き下がりますか。
○片桐政府委員 先生お尋ねの現行制度と新制度での生涯の受給額というような観点であえて比較してみたいと思います。 これはまず、生涯の受給額を平成二年度価格で現価ベースという形で比較いたしますと、新制度におきましては現行制度においてよりもある程度少なくなっているということは事実でございます。この減少の程度は年齢によって違いますけれども、一〇%から一四%程度であるというふうに考えております。しかし、生涯の給付実額について見た場合に、いわゆる名目受給額といいますか、給付の実額といいますか、そういう金額で物価スライド、所得スライドを行った上での生涯の受給額について計算をいたしてみますと、現行制度で六十歳から受給する場合と、それからまた、新制度で六十五歳から受給する場合というふうに仮定をして計算をいたしてみますと、新給付体系が完全に適用されます昭和十一年度生まれの方々、それ以降の人々では一割ないし二割程度多くなる。これは年齢が若くなるほど増加の程度が高くなるという計算になります。それからまた、経過的な期間でございます昭和六年度から昭和十年度生まれの方々で見ますと、四%から八%程度高くなるというふうに算定されるわけでございます。これは、新給付体系では六十五歳以降の給付が現行体系よりもかなり厚くなるということがありまして、物価スライドとか所得スライドによる年金額の増分が大きくなるわけでございます。
○目黒委員 それでは六十歳受給者、これは新制度で、国民年金の老齢年金のいわば繰り上げ支給に当たる減額がどうも基準になっておるようですね。六十から六十一歳で受け取る場合は四二%の減額。そういうことで、六十歳支給からずっと低額にする方法がとられたようでありますが、私は一つわからないのは、厚生年金並みという前提がありながら、減額をするときに国民年金の繰り上げ支給にかかわる減額基準をここへ持ってきて六十歳から六十五歳までの間の減額措置を決めた、こうなっておるわけですが、どうして国民年金の老齢年金の繰り上げ減額率をここへ持ってきたのですか。
○片桐政府委員 六十歳から受給する場合の減額率の問題でございますけれども、農業者年金は国民年金の上乗せ年金であるというようなことから、国民年金と整合性のとれたものとするという必要があるわけでございます。このため、今回の改正に当たりましては、受給開始年齢に応じた経営移譲年金の額を定める場合には、本年金の共管省であります厚生省といろいろ協議いたしまして、六十歳から六十五歳までのどの時期から受給を開始しても、その者が生涯受給する年金額が基本的には同等になるように定められております国民年金の繰り上げ減額率を用いさせていただいた次第でございます。
○目黒委員 次に、新年金の人たちが旧年金に追いつくまでの期間スライドの停止を設けてありますが、これはおおむねどのくらいの年数になりますか。
○片桐政府委員 スライドの停止の期間は、今後の経済情勢の変動にもよりますので一概には申し上げられないわけでございますけれども、仮に今後の年金額の改定を今回の財政再計算で前提といたしております物価スライド率の年二%ということで行うとしますと、改正後の新年金が既裁定年金額を上回るのは平成八年度になると考えておりまして、平成三年度からおおむね五カ年間スライドが停止されるのではないかというふうに見ております。
○目黒委員 先ほどのことにちょっと戻りますが、六十五歳をどうやら支給開始の基準みたいにして、六十歳は減額措置で開始をする、こういうことになっておるわけですが、この中身、この期間生活する人はなかなか大変な事態が起こるわけでありますけれども、これは六十五歳を支給基準年にする、六十五歳に支給基準を誘導するかのような懸念が持たれるわけであります。この点はどのように理解をしておけばいいのでありましょうか。
○片桐政府委員 今回の新給付体系は、農村の高齢化に対応いたしまして、六十歳を超えても心身ともに壮健な農業者が増加している、また他方、後継者の就農時期が多様化しているというような現状を踏まえまして、六十歳から六十五歳までの経営移譲であればその時期は農業者の選択にゆだねるということを考えております。ですから、六十から六十五までの間での受給の開始時期をどの時期を選択しても、給付水準といいますか給付額 につきましては均衡のとれたものというふうに設計をしている次第でございます。このような新給付体系は、年金の支給開始を一律に六十五歳に誘導するものではないと考えておりまして、近年の農業、農村の変化に対応して適期の経営移譲を進める最善のものであるというふうに考えております。 ただ、先ほど説明いたしましたけれども、物価スライドとか所得スライドという観点を含めれば、後から受給した方が多少有利になるという面はあるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○目黒委員 わかりました。 次に、先ほども議論がありましたが、担い手不足地域における経営移譲の円滑化対策についてでありますが、今回の改正では、担い手のいない地域における経営移譲の道を開く、このための努力が実った形で、農業者年金基金の業務に農地の借り受け、貸し付けが追加新設されておりますことは御案内のとおりでございます。年金基金に貸し付けられた農地が経営移譲の対象に組み込まれるわけでありますけれども、これが借り手がなかなかないという問題は先ほど議論がありました。私が冒頭に指摘した過疎地域などはまさにそういう事態になっております。 ここまではいいのですけれども、問題はここから先、この貸し借りの関係なんですが、基金は確かに借り手がない場合十年間持っていなければなりませんね。借り手がない場合に十年持っているということになってきますと、これは相当手厚い管理体制でもあればその土地は何とかなりますけれども、手不足になってまいりますればもう完全に荒廃してしまいますね。農地としてもう使えないような状態になります。ここについてはやはり何らかの配慮が必要なのではないかと思われますが、どのようにこの点は見ておられますか。
○片桐政府委員 経営移譲の実態を見てみますと、その大宗が貸し借りで行われておるというのが実態でございますので、経営移譲の円滑化を図るために今回、農業者年金基金に農地の貸し借り業務を行うことができるように措置した次第でございます。先生御指摘のように、年金基金が借りた農地が借り受けの相手がいないというような事態もあるのではなかろうかということでございますが、確かに過疎地域等ではそういう事態も予想されるわけでございます。年金が借りる場合にそれをどう管理するかということにつきましても、今後その地域の実態に応じていろいろ工夫をしてまいりたいと私ども考えておりまして、その辺は今後地域の実態をいろいろ調べてその管理の形態ということについて検討してまいりたいと考えております。
○目黒委員 次に、昭和六十年の厚生年金法の改正で有限会社等の農業生産法人の部分が厚生年金適用事業所ということになりまして、事業主は保険料の事業主分と本人分、両方支払わなければならないことになっておるわけでありますが、農業生産法人といいましても形態は大変まちまちでありまして、一人親方、家族農業というものもかなりあるわけであります。こういうところでは、事業主と本人負担というのは非常に過重な負担になりますからできない、こういう事態が発生しておりまして、これは当分の間農業者年金で何とか受給資格を取れる方法はないだろうか、そういう希望は非常に多いと思いますが、この点については農業者の側から起こった事態ではないわけでありまして、これまた何らかの配慮が必要ではないかと思われる部分でありますが、この点についてはどのように受けとめておられますか。
○片桐政府委員 先生御指摘のように、昭和六十年度の厚生年金の改正で農林漁業等の法人事業所も厚生年金の適用事業所になったわけでございますけれども、この辺の実際の運用に当たりましては、現在農業者年金の加入者となっている者が厚生年金へ移行するに当たりましては、農業者年金加入期間のさかのぼっての取り消しとか、それから農業生産法人構成員の厚生年金の一律適用ということをいろいろ農業者が心配していることは承知している次第でございます。農業生産法人への厚生年金の適用に当たりましては、現状を踏まえた適切な配慮がなされるよう、農林水産省から厚生省に要請しているところでございます。
○目黒委員 はい、わかりました。 次に、何人かの方から午前中も含めましていろいろ議論がございましたが、遺族年金の問題であります。 これは、財政面からいろいろと議論をされた中身について資料もいただいておるわけでありますが、やはり農業現場の実態等からいいまして、あるいは厚生年金並みというような観点から見ましても、できるものであればこれは創設されてしかるべきもの、こう思うのですけれども、どうも議論を聞いておりますと財政の方が先になってしまって、受けとめようによっては創設する理由が必ずしも明確ではないように聞こえてならないのですが、この点はあるべき姿としてどうなのか。財政の部分につきましては、確かに資料をいただきましたから、かなりの給付費用の引き上げ、それから掛金の引き上げが行われることはわかりました。あるべき姿としてどうでしょう。
○片桐政府委員 農家婦人の老後保障というのは非常に重要な課題であると認識いたしております。このため今回の改正案でも、農業者年金加入者が加入中に死亡した場合に、従前に農業に従事していたなど一定の配偶者が経営主等になったときは、本年金の加入必要期間は二十年でございますけれども、この加入必要期間を短縮いたしまして年金受給の道を開く特例措置を入れている次第でございます。 それからまた、遺族年金の創設をすべきではないか、こういう御意見でございますけれども、これに対する国庫補助は他の制度に例がないわけでございまして、保険料の引き上げも農家の負担力からは困難ではないかというような事情もございまして、また一方、財政負担についてもいろいろ難しい問題があるということでございますけれども、私どもといたしましてはこの問題について今後とも引き続き検討してまいりたいと考えております。 それからまた、婦人の年金につきましては、さきに国民年金法の改正によりまして、老齢基礎年金の上乗せ給付を行う国民年金基金制度というものが拡充されまして、全国の農業に従事する婦人などを主たる対象といたしました国民年金基金の設立が、平成三年の四月をめどに全国共済農業協同組合連合会を初めとする農協系統組織において計画されておりますので、その動向を見守ってまいりたいというふうに考えております。いずれにいたしましても、農家婦人の老後保障のあり方につきましては、今後とも各方面の意見を聞きながら総合的な検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
○目黒委員 それで、未加入者というのはかなりありまして、各県によって少しばらつきもあるようですけれども、やはり相当の数になっております。この制度運用についてはやはり欠かすことのできない問題になっておるわけでありますが、無論それには、農業がやはり魅力のあるものあるいは不安のないものというのが大前提になるわけでありますけれども、当面この加入促進策といったようなものについて、これからどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。
○片桐政府委員 農業者年金の未加入者数につきましては昭和六十三年度末で約十六万人いるというふうに推定いたしておりまして、そのうち当然加入者、いわゆる農業経営主が五万一千人、それから任意加入者、農業後継者でございますけれども、これが十万九千人というふうに推定いたしております。この未加入者の年齢分布を見ますと、三十五歳末満が五五%を占めているわけでございます。また、その未加入者の未加入理由を見ますと、加入するにはまだ早いとか、それからまた将来も農業に従事するか未定であるというふうに挙げる者が半数近くおりまして、これらの者の年金加入は、就農状況とか他産業への就職、離職等とかかわりが深いというふうに見ております。それ からまた、保険料が高いとか農業者年金制度の先行きに不安を挙げるという方もいるわけでございます。 したがいまして、今回の改正では、一定の被用者年金期間の空期間通算措置の創設とか特定保険料、いわゆる三割の割引保険料でございますけれども、これの適用要件の緩和というようなことをいろいろ対策を講じることといたしておりまして、加入促進活動を引き続き積極的に行ってまいりたいというふうに考えております。
○目黒委員 最後になりますが、国民年金基金構想というのがあるようでありますが、本制度との整合性の問題というのは当然検討はされておると思うのでありますが、どのような検討がなされておりますか。
○片桐政府委員 先ほど農家の婦人を対象とする国民年金基金の説明をいたしたわけでございますけれども、この国民年金基金制度は昨年ですか、昨年法律を制定いたしまして、まだ政省令等が決まっていないというような段階でございます。そういう段階で現在、全国共済農協連がいろいろ検討を進めているという段階でございますけれども、現在の検討状況を申し上げますと、農業者年金に加入できない三反未満の小規模農家及び農家の婦人、こういう方々を対象に、こういう方々は全国で約二百万人ぐらいいるのではないかというふうに見られておりますけれども、こういう方々を対象に国民年金基金というものを設立したいということで検討を進められているというふうに聞いております。私ども、この検討に際しまして農業者年金制度との整合性ということも十分両者でいろいろ折衝しながら調和あるものとして設立されるように、今後努力してまいりたいというふうに考えております。
○目黒委員 時間になりましたので、終わります。
○亀井委員長 遠藤登君。
○遠藤(登)委員 いろいろダブる点があるわけでありますが、まず一つは、農業者年金が創設されて十九年、いわば二十年の歩みをたどってきた、その制度の目的あるいは成果などについて先ほどからいろいろ御質問がなされてきたわけでありますが、特にその柱になっているいわば農業者の老後の安定、今回の改正についても大きな柱になっているわけでありますが、さらに大事な構造政策の点に一定の成果を上げられてきたという評価が報告をされているわけでありますが、改めて、急激な国際情勢の変化あるいは農業情勢の変化の中で、農民自身も、一体日本の農業の構造政策というのは、構造方向というのは那辺にあるのか、それが見えない、蛇の生殺しのような状況じゃないのかということがよく言われているのが、今日的な状況なのではないかと思うのであります。この年金制度の大改革との関連の中で、その柱になっているいわば構造政策、あるいは農業者の老後の安定、あるいは農用地の細分化の防止の問題とか、若返りの問題とか、いろいろねらいとされてきたその意図がどのような形で今日を迎えているかということについて、先ほどからの報告もありますが、もう少し突っ込んだこれまでの経過、今日的な状況に対する評価をお聞かせいただきたい。特に、大臣、担当されて誠意を込められて、今までの経過あるいは今日的な状況に立って何とか明るい展望のある農政を展開しなければならないというふうに意気に燃えられている大臣の方から、今までの評価あるいは今後の対応などについてもひとつお聞かせをいただきたいというふうに思います。
○山本国務大臣 お答えいたします。 まず、今までのこの制度の目的、それから役割を果たしてきたというふうなことについての農林水産省としての自己評価、これを出しなさい、こういうことでございますけれども、今先生御指摘のとおり、四十六年につくられましてから十九年、二十年近くたつわけでございます。度々改正もしてまいりました。今度は相当思い切った改正をさせていただこうということでお願いもしております。これは、今お話しのとおり、農業に従事する方々の老後保障、それから経営移譲を通じた構造改善の推進、これに寄与してきた、こういうふうに私どもは受けとめております。 そして、中身を少し申し上げますと、第一は老後保障、そしてさらにそれが若い農業後継者の確保ということにつながっていく、こういうことで、国民年金の給付と相まって、厚生年金並みの年金が支給され、老後生活の安定が図られるとともに、これにより経営の発展に意欲と能力を持つ若い農業者の確保に寄与したということでございます。先ほど来他の先生方にもお答えをしてきたとおりでございます。また、第二は、今先生お触れになりましたけれども、経営の細分化をある程度防いできた、こういう認識であります。経営移譲の九割は後継者に対する移譲でありますけれども、現在までどのくらいかということでございますが、百三万ヘクタールの経営農地がこのことによって譲り渡された。したがって、農地の細分化というものがある程度これによって防止されたんではないかというふうに考えております。それから三番目は、第三者移譲でございます。第三者移譲による規模拡大ということでございまして、これは現在まで約七万ヘクタールの経営農地が中核的農業者に譲り渡され、規模拡大に寄与した、こういうことでございます。 今三つの柱について申し上げましたけれども、今回の改正などを通じまして、この改正もいろいろ議論してまいりましたし、これからも議論させていただきますが、相当苦心をして改正案をつくり上げてきたということでございますので、さらに足腰の強い農政をつくり上げていく意味でも、ぜひ御理解を願いまして本法律の成立をお図り願いたい、こういうふうにお願いする次第でございます。
○遠藤(登)委員 確かに一定の役割を果たしてきたという一面は評価するものでありますけれども、日本の風土あるいは慣習というものも、土地に対する執着の問題、それぞれ総合的な立場から見ればなかなか大変な要素があるという認識、私ども農家でありますからそういう認識は理解するわけでありますが、特に、第三者移譲が約一割程度、七万ヘクタール、それで、百三万ヘクタールを含めて、いわばやる気のある農家に土地の集積が行われて、ある程度の規模拡大が進んだ。農家の場合は、大体後継者に移譲するというのは通常的な建前で、第三者移譲というのはなかなか大変な要素がありますが、そこを一定程度克服できるような条件をやはり整備をしていく、これは時間もかかると思うのでありますが、その辺はこれからの構造政策における重要なポイントになっていくのではないだろうかというふうにも思うわけでありますが、その点に対する今回のいわば構造政策の柱になっている年金制度の改正との関連でどのような見解に立っているのか、お聞かせをいただきたい。 それから、先ほどから大臣も、国際化にたえられる農業をつくりたい、将来展望のある農業をつくりたい、国際競争力を持った農業をつくりたい、そして平成十二年は、先ほどのお話だと大体農家が四百十万戸から三百六十万戸、五十万戸構造的に減らす、中核農家が七十万戸から五十万戸、二十万戸減らすということでありますが、その場合、それぞれ経営形態によって違うと思うのでありますが、農業経営の規模ですね、平成十二年を想定した農業経営の規模、四百十万戸から三百六十万戸、あるいは中核農家を七十万戸から五十万戸に減らす、その場合の一戸当たりの農業所得あるいは農家の就業人口というのはどういう構造を想定していらっしゃるのか。構造政策の重要な部分で、年金制度の改正との関連の中で、その辺もあわせてお聞かせをいただきい。
○片桐政府委員 まず農家の経営移譲の問題でございますけれども、先ほど来説明しておりますように、経営移譲の約九割が後継者移譲である、第三者移譲は一割弱であるというのが実態でございまして、先生御指摘のように、農家の場合には農地に対する執着というのが非常に強いという形で、なかなか第三者移譲が進まない面があるわけでございます。しかし今回の改正では分割移譲と いう仕組みを導入いたしまして、相当部分を第三者に移譲いたしまして残りの部分をサラリーマン後継者に移譲する、こういう農家の実態に即した移譲の形式というものを導入いたしまして、できるだけ第三者移譲をふやしていくという考え方をとっているわけでございます。しかもこの第三者移譲、相当部分というのは二分の一以上というふうに考えているわけでございますけれども、これを四分の三以上第三者に移譲した場合には加算つきの移譲年金を給付するというインセンティブをつけて、第三者の規模拡大というものにできる限り結びつけていきたいというふうに考えている次第でございます。 それからまた、農業構造の見通しの問題でございますけれども、中核的な農家は七十万戸から平成十二年には五十万戸。経営規模につきましては一律になかなか申し上げにくいわけでございますけれども、都府県で平均の経営規模という形で見ますと、現在約二ヘクタール程度というものが平成十二年にはその二倍ぐらいの経営規模になるのではないか。さらにこれに、作業の受託といいますか、経営の受託とかという形で、この四ヘクタールに加えてかなりの作業規模拡大というものが実現し得るのではなかろうかというふうに考えている次第でございます。
○遠藤(登)委員 この場合、いわば農家の所得のこととか農業就業人口構造がどのようになるかということについてもちょっとお尋ねをしたのでありますが、ちょっとお聞かせいただきい。
○片桐政府委員 平成十二年度の見通しにつきましては、経営規模の見通しは行っているわけでございますけれども、農家の所得等につきましては、いろいろな資材価格とか農産物価格とか変動要因が非常に大きいので、農業所得の見通しについては作業をやっておらない次第でございます。
○遠藤(登)委員 それから、構造政策の中で、水田の基盤整備は一定程度進んでいるが、しかし、地域的な条件あるいは作物の価格の問題など、あるいは経営費が莫大にかかるということがあったりして、畑地の基盤整備というものは非常に難しく、立ちおくれている。これはいわば公的な力がなければとてもこの畑地の近代化あるいは基盤整備というのがなかなか進められない。したがって、日本農業の構造政策の中でもこれが不可欠な課題ではないのかというふうに思うのでありますが、この構造政策との関連で、その点一点だけひとつお聞かせをいただきたい。
○片桐政府委員 農業の構造改善、経営規模拡大を図っていく場合に、やはり何といってもその基盤であります農地の整備というものが極めて重要であるということであると思います。基盤整備の中でも水田の基盤整備はかなり進んでいるというふうに思っております。特に平場の地帯についてはかなり進んでいる。ところが畑地の基盤整備については、確かに先生御指摘のようにおくれている面がございます。これは地域的に、例えば北海道等ではかなりの整備率になっているわけでございますけれども、内地、いわゆる都府県の場合には畑地の基盤整備というものがかなりおくれているということは事実でございます。現在の第三次土地改良長期計画の中でも、畑地の基盤整備、この整備率を目標年次では約七割にしたいというようなことで目標を決めておりますけれども、私どもといたしましては、今後とも畑地の基盤整備、これは主として農道の整備が中心でございますけれども、どの畑地の区画も自動車が通れるような農道に接するというような整備の仕方が中心でございます。そのほか、必要に応じて畑地かんがい施設を整備するとか、そういうような畑地の整備につきまして今後とも力を入れてまいりたいというふうに考えております。
○遠藤(登)委員 この畑地の関係、近代化整備の関係は特段にまず力を、構造政策の中でも非常に大事な課題だと思いますので……。 それから、担い手不足地域の問題についても、先ほどから各先生方からいろいろ質問があって、今回の制度の中身も、基金がいわば農用地の借り入れや貸与を行うという業務の追加ということであるわけでありますが、これは先ほどの問題と関連しますが、平成十二年まで四百十万戸を五十万戸減少させる構造政策の中で、特に中山間の農業はこの減少政策、減少化する五十万戸の中にほとんど入っていくのではないだろうかというふうに心配をするものであります。 その点はしたがって担い手不足の地域対策の問題、基金の業務追加の問題と関連しますが、私は、これは別な会計を創設をして、国あるいは県、市町村、農協等が、一定の開発という意図なども含めて、場合によったら買い上げるという制度が創設されていかなければならないのではないか。この年金基金との関連はもちろんでありますが、これは別途に農業団体なども含めて創設をしていくのでなければ解決できないのではないか、あるいは基金財政も大変な状況になるのではないかというふうに心配をするのでありますが、その点はどういうふうにお考えですか。
○片桐政府委員 担い手不足地域の農地の管理の問題でございますけれども、右から左に売り手があれば買い手が出る、貸し手があれば借り手があるというような地域では農用地利用増進事業というようなものを通じて規模拡大が進むわけでございますが、先生御指摘のように、中山間地域とか過疎地域とか、そういうところでは、売り手、貸し手があっても買い手、借り手がないというような地域もかなりふえているというのは事実だと思います。 私ども、こういう地域に対応いたしましてどういう農地の管理をするかということをいろいろ施策を講じているわけでございますけれども、まず一つは、農地保有合理化促進事業というのがございまして、それぞれ各県の農地公社、農地開発公社、そういうものが農地を一たん買い受けてしばらく保有する、それでいろいろ条件を改善して、新たに担い手を見つけてそれを売るなり貸すなりするというような、いわゆる農地保有合理化促進事業をいろいろ展開をしている次第でございます。今後ともこの農地保有合理化促進事業をいろいろ工夫して展開していきたいというふうに考えておる次第でございます。ただ、なおかつそういう農地保有合理化促進事業に乗っかってこないような地域がありました場合に、最後の手段として、農業者年金基金がそれを借り受けて一時管理するというような手法もやむを得ずとらざるを得ない、そういう場合もあるのではなかろうかということで、今回この農業者年金基金の業務追加というものを行った次第でございます。
○遠藤(登)委員 それから、先ほどから、これも後継者のいわば加入促進というか、全体を含めた加入促進、未加入者が十六万人もおる、その中でいわば農業後継者が半分もいる、これは非常に大変な問題だなと思うのであります。大体加入率が、これは元年度ということであると思うのでありますが、報告によれば八〇・九%。約二〇%近くも未加入の者がいる。これは、当然加入、任意加入など含めて、先ほどの答弁もあったようでありますが、約十六万人。三十五歳以下のいわば農業後継者が約半分の余を占める。それでこの対策が非常に重要な課題だと思いますが、今回の法改正、これは空期間の設定とか特定保険料の制度化の問題とか、あるいは年金財政が長期的に安定する問題とか、あるいは老後の保障という面で特に配慮をするとか、今回の改正案件との関連の中で改めてこれらの対策をお聞かせをいただきたい。
○片桐政府委員 未加入者の加入促進対策でございますけれども、先ほど来説明しておりますように、特定被用者年金期間の通算措置の創設とか、それからまた特定保険料の適用拡大ということをいたしまして今後いろいろ努力をしていきたいということがあるわけでございます。さらに、今回の改正の中で、加入要件を緩和するという形で新規加入者をふやしたいということを考えている次第でございます。今回加入要件を緩和いたしましたのは、任意加入規模農業経営主とか、それからまた農業生産法人構成員、こういう方々の後継者、これが従来は加入資格がなかったわけでございます。今回この後継者につきましても農業者年金に 加入したいという意欲があるならば、これを積極的に評価して加入を認めていきたいということで加入資格を新たに与えたという次第でございます。これらの者は、現在一万二千人程度いるのではないかというふうに推定しておりますけれども、今回の改正によりまして、その任意加入を促進してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○遠藤(登)委員 特に、サラリーマンの後継者の六割はほとんどもうサラリーマンでいる、それが離職して農業につく、将来展望がどうなのかということをにらみながらそういう状態にあるわけでありまして、これらのサラリーマン後継者に道を開くということなども非常に大きな意味合いがある。これは積極的な対応をひとつお願いをしていかなきゃならないと思っております。 それから、給付水準、いわば新給付体系の問題について、これも先ほどからいろいろ質問がありましたので省きますが、特に出稼ぎ、まだ地方によっては出稼ぎが相当多いわけであります。これは、八カ月以内あるいは加入が四カ月以上であれば、それはもう通算をしていくということのようでありますが、この関係をもう少し具体的にお示しをいただきたい。新法における扱い方についてですね。
○片桐政府委員 出稼ぎの関係につきましては、先生御指摘のように、現行制度で八カ月以内の出稼ぎにつきまして特別の通算の措置を講じているわけでございまして、この現行制度は今後改正法の中でもそのまま引き継がれていくということでございます。
○遠藤(登)委員 それから、先ほどもお話があったのですが、新旧のいわば生涯の受給額の関係につながると思いますが、これはそれぞれ加入年齢あるいは加入期間によっても違う。それで、積算の仕方によってはいろいろ違うこともあるようでありますが、少なくとも現行制度よりは新法によって生涯受給額としては下がらない、これは、平成七年度再計算ということで新たな時代の変化に対応して内容を充実し改善をしていくという建前になると思いますが、その辺は強く要請をしていかなきゃならないのではないかというふうに思います。 それから、これも先ほどから話がありましたが、農家の就農婦人が日本農業の大宗を担っている、日本の農業を背負っているといっても過言ではない状況の中で、土地がつかなければ資格がない、認められないということについては、これは財政問題もさることながら、三十歳代はある程度加入の限度にあるというけれども、極端に言えば後家さんでなければ年金に入れない、そんな制度はあるのかよと、現場では。だんなよりは一生懸命働いているにもかかわらず土地も与えない、おっかには土地も与えないで、年金の資格も与えないで、そんな政治があるのかよ、こういうことが現場の中で話としてはあるんですね。だからまず、西ドイツやフランスのようにいわば単身者の場合格差をつけるというところには問題があると思いますが、日本農業の大宗を担っている働く就農婦人については、ぜひこのたび入れてもらいたいと言うても無理な話のようでありますから、なるべく早い機会にこれは重要な検討課題として——先ほどから御答弁がありましたように、大体奥さんが農業の主体者になっているならば、奥さんに農地を移譲して、奥さんに年金加入者の主たる資格を与えるべきだ、これはそのとおりだと思います。それはなかなか一挙にいかない状況は御案内のとおりだと思います。その促進方も含めて、ぜひ働く就農婦人が年金の資格を得るように。大体、農家にお嫁さんも来ない、お嫁さんの将来の老後がどうなるんだ、年金も与えないんじゃないか、そんなところに嫁さんは御免だという原因にもなっている。それはこれからの日本農業の再建について重要な課題だと思いますので、この件はひとつ大臣の所感もあわせてこの際お聞きしておきたいなと思います。
○山本国務大臣 お答えします。 もうお説のとおりで、農家の働いておる御婦人の老後保障ということは非常に重要だ、こういうふうに認識はしておるつもりでございます。でありますから今回の改正案などでは、御承知のとおりの特例措置なども考えてそれの中に加えてあるわけでございます。さらに、これは根本的な問題として行う場合には、やはり先ほど来出ておりますが、財政措置の問題もございます。ほかとの兼ね合いもございまして、国庫の補助をどうするか、あるいは今度は保険料を値上げするということでは簡単には相済まないことでございますから、それらの問題等々につきましても十分に検討しなくてはならないという気持ちも私持っておりまして、ひとつ検討課題として検討させていただきたい、勉強させていただきたい、こう思っております。
○遠藤(登)委員 ぜひひとつよろしくお願いをしたいと思います。 それから、経営移譲の年金支給の停止要件が大きく一面緩和されたわけでありますが、やはりいろいろな実情があって、地域の実情に立って、いわば画一的に対応していかなきゃならないということでありますが、この要件緩和について、あるいは今後の対応について、先ほどからの質問もありますが、都市計画上の線引きの問題、あるいは公共用地等の買収の問題、市町村道の作道設定の問題とか、線引きの分割の問題、そういう点についてはある程度の配慮をされてきた、あるいは共同でやる場合の農地の譲渡とか対応の関係などについても配慮をされる内容になっているわけでありますが、その点もう少し具体的にひとつお示しをいただきたい。なお、今後の積極的な支給停止要件の緩和などについて、その対応のあり方などについてお聞かせをいただきたい。
○片桐政府委員 この年金は、構造改善をできるだけ進めたいというような目的も持っておりますので、経営移譲された農地の処分についてもある程度の制限を設けておりまして、その制限に反した場合には年金の支給を停止するというような措置をとっている次第でございます。しかし、現行の支給停止の事由の中には、本人の責めに帰すことができない、また、他の公共的な目的に資する場合等がございますので、こうした場合については経営移譲年金の支給停止をすることが必ずしも適切とは言いがたいという面もありますので、今回の法律改正に伴いまして支給停止要件の見直しを行ってまいりたい。これは政令改正に当たる事項でございます。 具体的に申し上げますと、まず、経営移譲により後継者に貸し付けた農地を分割移譲と同様に相当部分を第三者に処分し直しをするというような場合には、支給停止をしないというような緩和をいたしたいと考えておりますし、また、経営移譲を受けました農地の転用をやむを得ずするというような場合が幾つかございます。例えば農村地域工業導入計画など、そういう公的な計画に定められた用途、それからまた、一定の共同利用施設用地に転用するというような場合とか、いろいろな事業によりまして飛び地となった農地など、当該農地を農業継続するのに不適当であるというふうに認められるような場合には、そういう農地を転用いたしましても支給停止をしないというような支給停止要件の緩和というものを現在考えております。
○遠藤(登)委員 それから、先ほどもちょっと質問の中で意見として開陳をされたようでありますが、年金受給によって、農用地の移譲などによって当然権利を失うということがありますが、特に土地改良区等の役職、これは法的には特に土地改良法の内容の改正問題も絡んでくるのではないかとも思いますが、今六十歳から六十五歳までいわば選択制にされたということがあって、一定程度の緩和がありますが、農用地の移譲を受けた後継者——まず農村、農業だって人手不足が深刻なんですよ。その点は何回か話題として全国的にも要請として出されてきた経過があると思いますが、これは話によれば、農業委員会とか農協等は、それはもう差し支えない。土地改良区の役職ぐらいは一定程度の条件をはめて認めてやるべきじゃな いのか。その点はどうなんでしょうか。
○片桐政府委員 経営移譲によりまして土地改良区などの役員をやめなければいけないようになるのじゃなかろうかという御質問でございますけれども、必ずしもやめなくてもいいといういろいろな制度があるのではなかろうかというふうに考えておりまして、長年にわたり団体運営に携わってきました有能な役員の方々が引き続き活躍し得るような方向につきまして、いろいろ関係方面に周知してまいりたいというふうに考えております。 特に土地改良区の理事について見ますと、まず土地改良区の理事の定数の五分の一以内につきましては、組合員でなくてもいわゆる員外理事という形で就任ができるわけでございますし、また、土地改良区の組合員の資格につきましても、農業委員会の認定によりまして組合員の資格を失わないというようなやり方もあるわけでございますので、そういういろいろな手法につきまして周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
○遠藤(登)委員 いわば農業者の高齢化社会ということとあわせて生きがい対策ということもあって、何もかも後継者というわけにいかない深刻な人手不足の実情があって、高齢者の生きがいと中堅農家の就農と、中国ではないが老中青のそういう仕組みが相まって農業、農村の再建というか発展を期していくという構造の中では、大先輩の果たす役割も非常に大事な要件だと思うのであります。ぜひひとつ善処方をお願いしたい。 それから、離農給付金の支給事業が行われてきて、その果たしてきた役割などについて先ほどからもちょっと質問がなされてきておりますが、これは今回はこの給付事業内容の大幅な改善がなされたわけでありますけれども、この意図などについて、あるいは今後の対応などについてちょっとお聞かせをいただきたい。
○片桐政府委員 離農給付金の支給事業は、いわゆるサラリーマン農家といいますか、安定兼業の農業者がその農地を農業者年金加入者に譲り渡して離農した場合に、現行制度では一律に六十二万円の給付金、これは全額国庫負担でございますけれども、この給付金を支給しているわけでございます。現行の事業は平成二年の五月十五日で期限切れになるわけでございますけれども、この制度は、全国に広範に存在しております安定兼業農家の農地を一括して農業者年金加入者、これは中核的な農業者でございますが、こういう農業者に集積するための施策として構造政策上極めて重要な地位を占めているというふうに考えておりまして、農業者年金制度を補完する措置としてその必要性は変わるところがないというふうに考えております。 今回、この十年延長というものを提案しているわけでございますけれども、この延長が認められました場合には、さらにこの離農給付金事業の構造改善効果を高めるという見地から、まず支給対象者を、従来は年齢を一切制限せずに支給しておりましたけれども、今後は支給対象者を七十歳末満とする、七十歳になるまでに離農をしていただくことを奨励したいということと、もう一つは、農地の処分面積に応じまして離農給付金を支給する、これは、従来は処分面積にかかわらず一律六十二万円という支給でございましたが、今後は処分面積に応じまして離農給付金を支給するというようなことで、この二点につきまして見直しをいたしまして、十年間継続をいたしたいというふうに提案いたしている次第でございます。
○遠藤(登)委員 それから、今まで実施してきた経過の中で、特に離農給付金の支給事業の経過の中で、ちょっと報告を見せてもらいますと、九州の場合は九千五百件、北海道の場合は八千七百件、東北あたりは三千台、特にこの事業の特徴的な九州、北海道の支給事業が非常に多いということに対する分析はどのようになされていらっしゃいますか。
○片桐政府委員 この離農給付金の支給実績で見ますと、確かに北海道、九州が多いということがございます。さらに、東北、北陸等につきましてもかなりの件数に上っているというふうに思っております。これらの地域がなぜ多いのかということは、確かにそういう農業構造の変動という面もありますし、さらにまた、この事業につきましては農業委員会の熱意といいますか、そういうところが非常に影響しているのではなかろうかというふうに考えております。
○遠藤(登)委員 先ほどからこれもまた話が出ておりまして、今局長の方からも農業委員会の熱意という問題も出たわけでありますが、年金の取り扱い上の法的な位置づけの問題とか、先ほどもちょっと話があったのですが、それから業務の簡素化の問題とか、事業執行に支障のないような委託費に対する配慮とか、問題が出ておりますが、この点に対する対応について改めてお聞かせをいただきたい。
○片桐政府委員 この農業者年金制度の運営に当たりまして農業委員会の果たしている役割は非常に大きいものがあるというふうに考えている次第でございます。ただ、現行の農業者年金制度上、農業委員会につきましては法令上何らの位置づけもされていないというのが実態でございます。そこで、私どもといたしましては、まず改正法案成立後に制定することになります厚生省・農林省令におきまして、市町村が受託した業務については原則として農業委員会が行うべき旨の規定を設ける方向で検討してまいりたいと考えております。また、先生御指摘の委託費等につきましても、できる限りの充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
○遠藤(登)委員 離農給付金支給事業のいろいろ改正された今後の対応の具体的な概要について、あわせてちょっとお聞かせをいただきたい。
○片桐政府委員 先ほど私、離農給付金の額につきまして、処分面積によりまして額を変えるという説明をいたしましたけれども、その処分面積に応じて変えるのはどういう考え方でその額を変えるのかという考え方でございますけれども、離農給付金の算定の考え方といたしましては、離農により処分される農業用施設等の平均的な処分損の評価額、これをもとに算定をいたしておる次第でございます。今回、この処分損の計算をよりきめ細かくいたしまして、例えば都府県の場合に、五十アール未満の場合には三十万円、それから五十アールから一ヘクタール未満の場合には七十万円、一ヘクタール以上の場合には百万円というような三段階に分けてこの離農給付金の支給をいたしたいというふうに考えている次第でございます。
○遠藤(登)委員 遺族年金の問題については先ほどから強い要請が出されたわけでありますが、これも緊急ないわば課題として財政的にも非常に大変な要素がありますが、時代の要請に立って配慮していかなければならない課題だと思いますので、私からも強く要請をするわけでありますが、さしあたって死亡一時金の支給条件の緩和についてどう改善をされたのかという点について、ちょっとお聞かせをいただきたい。
○片桐政府委員 今回の改正案では、死亡一時金につきましてもいろいろ改善をいたしている次第でございます。現在の制度では、農業者老齢年金の受給開始後短期間で死亡した場合、その時点で支給が打ち切られまして、受給総額が死亡一時金として支給される額を下回ることがあり得るという制度になっているわけでございます。しかし、このような場合は、本来保険料の掛け捨て防止という観点から設けられております死亡一時金の目的とも相入れませんので、当該加入者が受給開始前に死亡した場合に支払われたはずの本来の死亡一時金と受給済みの年金の額との差額を死亡一時金として支給することが、死亡一時金の受給者との公平を確保する観点から必要であるというふうに考えまして、経営移譲年金の受給者についても六十年改正においてこのような措置を行いましたけれども、農業者老齢年金の受給権者についても事情は同様でありますので、今回この農業者老齢年金の受給者についても同様の措置を行った次第でございます。
○遠藤(登)委員 最後に、まさに日本農業は大変な状況に立って、大臣を初め御当局の皆さん大変な御努力をされていることに敬意を表するわけでありますが、特に日本農業の構造政策、それから何としても自給を中心に据えた国土の保全、あるいは食は命なり、緑や環境を守る、これはやはり民族と国家の将来に不可欠な課題ではないか。国民の共通の理解も積極的に求めていく必要があるのではないか。農業者自身もみずから努力を傾ける。そして年金制度、やはり健全な財政と安定した将来性というのは不可欠な課題だと思います。まさに激動する情勢の中で大変な課題だと思いますが、長期にわたって財政的にも制度的にも安定をする、そして充実をさせていく、そして農業就労婦人も、遺族年金も創設をされていく、後継者も喜んで入るというような制度の改善のためにぜひ努力を重ねていっていただきたいなと強く要請をするのでありますが、改めて大臣の所信のほどをお聞かせいただいて、私の質問を終わらせていただく次第であります。よろしくお願いします。
○山本国務大臣 どうもありがとうございました。 今、食は命のもとだ、こういうお話でございましたし、私は、農は国のもとだ、こういうふうに言っているわけでございまして、今後ともその精神で貫いてまいりたいと考えております。 それから、年金制度の長期安定は非常に重要だ。中身については、私どもは、今までの経過を踏まえつつ、現在の農村の状態などを勘案しながら、相当思い切った今回の改正案、こう考えておりましたが、これが本当に万全なものかどうかはこれからまた十分御審議をいただきながら、研究すべきものは研究する、検討すべきものは検討する、こういうふうに考えております。そこで、老後保障ということとこの経営移譲を通しまして構造改善、この二つの筋で今まで進めてまいりました。今後もさらに農村の環境がさまざまに変化し厳しくなっているわけでございますから、中核農家をつくっていくということを基本にいたしまして、この年金制度というものはさらにますます重要性が増してきた、こういうふうに認識をしております。高齢化の問題に対応した給付体系の変更とか、あるいは国庫助成の拡充、これを中心に今回改正案を出したわけでございますが、それもこれも、この年金制度を長期安定的に運用していきたいということの願いにほかならないわけでございます。農家の方々が安心して農業を営めるような年金制度の運用に向かって最大限の努力をしてまいりたいと思っておりますので、ぜひ御協力をお願いをいたしたい、こう思っております。
○遠藤(登)委員 いろいろ誠意ある答弁をいただきました。大変な課題でありますが、ぜひともどもに頑張って、展望のある農業の発展のためによろしくお願いをいたしまして、感謝を込めながら質問を終わります。ありがとうございました。
○亀井委員長 次回は、明十八日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十二分散会